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1992-12-04 第125回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年十二月四日(金曜日)     午前九時四十一分開議 出席委員   委員長 麻生 太郎君    理事 鈴木 宗男君 理事 長勢 甚遠君    理事 浜野  剛君 理事 福田 康夫君    理事 宮里 松正君 理事 上原 康助君    理事 土井たか子君 理事 遠藤 乙彦君       新井 将敬君    石原慎太郎君       小渕 恵三君    奥田 幹生君       唐沢俊二郎君    鯨岡 兵輔君       古賀 一成君    松浦  昭君       五十嵐広三君    井上 一成君       伊藤  茂君    伊藤 忠治君       川島  實君    藤田 高敏君       玉城 栄一君    古堅 実吉君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 渡辺美智雄君  出席政府委員         国際平和協力本         部事務局次長  萩  次郎君         外務政務次官  柿澤 弘治君         外務大臣官房長 林  貞行君         外務大臣官房審         議官      橋本  宏君         外務大臣官房審         議官      野村 一成君         外務省アジア局         長       池田  維君         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省条約局長 丹波  實君         外務省国際連合         局長      澁谷 治彦君  委員外出席者         内閣官房内閣外         政審議室内閣審         議官      木村 政之君         環境庁企画調整         局環境研究技術         課長      宮川 秀真君         環境庁水質保全         局企画課海洋汚         染・廃棄物対策         室長      木下 正明君         法務省民事局第         五課長     下田 文男君         外務大臣官房外         務参事官    河合 正男君         文化庁文化財保         護部伝統文化課         長       吉澤富士夫君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   三本木 徹君         厚生省社会・援         護局援護企画課         長       川邊  新君         通商産業省貿易         局輸入課長   仁坂 吉伸君         通商産業省立地         公害局環境政策         課長      今井 康夫君         外務委員会調査         室長      市岡 克博君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月一日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     和田 一仁君 同月四日  辞任         補欠選任   中村 喜四郎君    奥田 幹生君 同日 辞任          補欠選任   奥田 幹生君     中村 喜四郎君     ――――――――――――― 十二月二日  子ども権利条約批准に関する請願(鍛冶清君  紹介)(第一四九〇号)  同(永井孝信紹介)(第一四九一号)  同(小沢和秋紹介)(第一四九二号)  同(金子満広紹介)(第一四九三号)  同(木島日出夫紹介)(第一四九四号)  同(児玉健次紹介)(第一四九五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一四九六号)  同(菅野悦子紹介)(第一四九七号)  同(辻第一君紹介)(第一四九八号)  同(寺前巖紹介)(第一四九九号)  同(東中光雄紹介)(第一五〇〇号)  同(不破哲三紹介)(第一五〇一号)  同(藤田スミ紹介)(第一五〇二号)  同(古堅実吉紹介)(第一五〇三号)  同(正森成二君紹介)(第一五〇四号)  同(三浦久紹介)(第一五〇五号)  同(山原健二郎紹介)(第一五〇六号)  同(吉井英勝紹介)(第一五〇七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二日  子ども権利条約早期批准に関する陳情書外  六件  (第三二号)  外国公館設置支援に関する陳情書  (第三三号)  北朝鮮の核査察核兵器製造施設廃棄に関す  る陳情書  (第三四号)  米軍機低空飛行訓練中止に関する陳情書  (第  三五号)  韓国漁船北方水域における操業問題に関する  陳情書  (第三六号)  竹島の領土権確立及び同島周辺海域における  漁業の安全操業の確保に関する陳情書  (第三七号)  尖閣諸島の領土権明確化に関する陳情書外二  件  (第三八号)  日朝国交正常化早期実現に関する陳情書外六  件  (第三九号)  核兵器全面禁止廃絶国際協定締結の促進、非  核三原則等に関する陳情書外一件  (第四  〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  有害廃棄物国境を越える移動及びその処分の  規制に関するバーゼル条約締結について承認  を求めるの件(第百二十三回国会条約第一一号  )  「有害廃棄物国境を越える移動及びその処分  の規制に関するバーゼル条約」に関する件      ――――◇―――――
  2. 麻生太郎

    麻生委員長 これより会議を開きます。  有害廃棄物国境を越える移動及びその処分規制に関するバーゼル条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
  3. 五十嵐広三

    五十嵐委員 バーゼル条約についての質疑なわけでありますが、しかしせっかく参議院予算委員会の始まる直前、時間を外務大臣がお割きいただいたわけでありますので、ちょっと恐縮ですが、今国会外務委員会での質問の折も余り私としてはないように思うので、外務大臣にせっかくの折でありますので、急を要する問題二、三についてお伺いをいたしたい、こういうぐあいに思います。  一つは、ウルグアイ・ラウンドの問題であります。  六年越しの交渉で、しかも山場というよりはもういよいよ剣が峰というところに交渉が立っているということであろうと思います。外務大臣は、殊に最近いわゆる条件闘争論といいますか、そういう御発言が時折伝えられるわけでありますが、非常に大事なときだけに、こういう発言については私ども非常にいかがなものかと思うのでありますが、真意をちょっとまず伺いたい、こういうぐあいに思います。
  4. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 ウルグアイ・ラウンド、大詰めに来ておりまして、私は非常に後退した印象を与えております。交渉事というのはもともと、他人の言うことは一切聞きません、私の主張だけを聞きなさいというのでは交渉にならないのですね、これは。だから、こちらの言うことも聞いてください、あなたの言うこともできるだけ聞きますというので交渉が成り立つわけですから、最初から一切相手のことは聞かないというのではもう交渉にならぬのですよ。  だから、私はやはりウルグアイ・ラウンドをまとめましょうということで、この点はみんな一致しているんですから、したがって、そこは何とか日本の農家にとっても国民にとっても一番いい道をひとつ選んでいく。その基本的な方針は、総理がきのう言っているように、またマルチの場で我が国主張を公式にまだ言ってないわけですから、二国間ではいろいろなやりとりがありますが、だからマルチの場でまず我が国主張をできるだけ申し上げて理解を得るという最後の場面があろうかと存じます。
  5. 五十嵐広三

    五十嵐委員 相手の話をお互いに聞くのが交渉だ、それは当たり前の話で、関係国意見あるいはダンケル事務局長の取りまとめの意見等ももちろん我々十分にお聞きしなければならぬわけでありますが、同時に我が国としての方針というものは言うまでもなく決まっているわけで、やはりこれを強く主張し通すというところが交渉の一番大事なところで、しかもいよいよ剣が峰という大事なところで、今もジュネーブでは一生懸命我が国代表団が大変な意気込みで、しかも悲壮な決意交渉しているわけですからね。  そのときに、大臣、どうも今の発言を聞いてもそうなんですね。何だか我が国方針がどこにあるのかわからないような感じ発言外務大臣・副総理がなされるということは、私は交渉の上でも非常にマイナスではないかと思うのですよ。現にそういう声も我々も聞いているわけで、ここは副総理として外務大臣として、やはり国会決議が三回ある、それから閣議等でも時折合意なさっておられる、そういう我が国のこの問題に対する基本方針というもの、つまり例外なき関税化というのは受け入れられない、こういう方針でしっかりひとつ交渉してもらいたい。発言についても、そういうせっかく交渉している人たちにとって、どうも母国の方の一番偉い人がそんなことを言っているんじゃ何を出先で言ったって始まらないというような空気が起こらないようにしてほしいと思うのですよ。  きのうも参議院予算委員会では、総理外務大臣もそれぞれ一応の答弁をなさっておられた。三回にわたる国会決議方針を堅持してやっていこうというような方向での答弁があったようでありますが、そういう意味では、どうかひとつ外務大臣頑張ってほしい。もうあとわずかな期間なんでありますから、そのことを心からお願い申し上げたいと思い、もう一遍ひとつ力強い御発言お願い申し上げたいと思います。
  6. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 基本的な方針は、もう総理が申し上げているように、国会決議の趣旨に沿って交渉に当たるということです。
  7. 五十嵐広三

    五十嵐委員 とにかくもう今我が国農民は、あるいは農民に限らず消費者等も含めてこの問題については大変な心配をして、連日とにかく農民の皆さんなんか要請に上京し運動をなさっておられるこのさなかでありますから、外務大臣がそういう消極的な弱い御発言では非常に情けない、こう思わざるを得ないわけなんです。  ECとアメリカは妥結した、しかし、輸出補助金の問題で二四%の削減率を二一%ということで合意したというような話も我々は聞いているわけです。ガットというのは貿易関係国の公正な貿易秩序確立というところが本来の目的であろうというふうに思うわけなんですが、農業分野に関しては、我々は、どうもいわゆる輸出大国が非常に中心になって輸入国権利というものを非常に軽く見ているという印象を強く受けざるを得ないのであります。  ですから、今度の状況なんか見ましても、輸出補助金についても、要するに八割というものは残しながら、一方で輸入国に対しては例外なき関税化を押しつけていくというようなことでの交渉の経過というものは、そういう意味でも我々は非常に不満が残る。もっと本来の公正な貿易秩序確立という意味でのガット交渉ウルグアイ・ラウンド交渉についてひとつしっかりした態度で交渉を進めてもらいたい、こういうことを特にお願いを申し上げたいと思うのです。  あるいはウェーバーだってどういうことになるのか、あるいはフランスの十九品目ですか、この輸入制限の問題だってどうなるのか、さまざまな各国の問題というものを抱えているわけでありますから、したがって、我が国もそういう面では最後までとにかく断固たる決意交渉を進めてもらいたい。それは満場一致で国会決議を三回もした我々側としては、本当にそのことを行政府に強く求めたい、こういうぐあいに思うのです。  もう一遍求めて、これは三遍目であれでありますが、しかしこれ以上は求めませんので、ひとつ大臣、もう少し決意ある御意見を例えればありがたいと思うのですね。
  8. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 それは断固として例外なき関税化はのめないという基本方針、そういう方針ですよ、方針交渉をやってまいります。
  9. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ぜひひとつ最善の努力お願い申し上げたい。何といったって渡辺外務大臣は頭の中が知恵でいっぱいのようなお方でありますから、その能力をひとつ最大限に、我が国農業を守る立場で頑張ってほしい。農業を犠牲にしながら進んでいくなんていうことのないように、ひとつ重ねてお願い申し上げておきたいと思います。  わずかな時間しかございませんので、あと二点はどこの機会外務大臣にお伺いをしたいと思うのです。  一点は、詳しいことは、本当はずっと外務大臣おられれば事前に事務当局と少し詳しい議論をしながら大臣におしまいのところで御意見をいただきたいと思っているのでありますが、しかし、大臣もこの問題は非常に深刻な大切な問題でありますからかねがね御存じのことと思うのでありますが、サハリン残留韓国朝鮮人問題であります。  これはもう時間がありませんから詳しく申し上げるわけにいきませんが、強制的な、あるいは強制でなくて行った人も中には含まれていますが、連行した人などが中心で、旧樺太で炭鉱であるとかさまざまな仕事をさせていたのが、戦争が終わった、日本人は約三十万人ぐらい樺太にいたのですが、これはいつせいに引き揚げたのでありますが、四万三千人のその連行していった人たち中心とする朝鮮人が結局あそこに置き去りにされた。約半世紀に及んで置きっ放しだ。これにはさまざまな原因があるというふうに思いますが、しかしいずれにしても我が国の歴史的な政治責任というのは大きいと思うのです。  我々も超党派の議員懇談会をつくって、一時帰国の問題、永住帰国の問題に取り組んでまいりまして、政府もようやく近年、予算もつけてあるいは赤十字協力も得て、ここ二、三年は約四千人に及ぶ一時再会肉親再会も実現するというようなことになってきたことは非常に喜ばしいのでありますが、問題は永住帰国希望者なのですよ。  この間、今年については五百三十七万円の調査費に基づいて外務省現地調査団を派遣なされた。その報告等も既に受けておられるというふうに思うのですが、今のロシア状況なものですから、とにかく帰りたい、何千人の人たち帰国希望を出してきているのですよ。これに対してどうにかしていかなければならない。韓国は、それは入れたとして、お年寄りがほとんどですから、その老後の生活を一体どうするかという問題がある。これに対してやはり我が国は援護する責任があると思うのですよ。それから、一方では、これはもうこの期に及んでは帰るわけにはいかぬ、ここで骨を埋めようという人たちもいる。だから、サハリン対策も要る。  これの基金制度等の造成について我々強く要請しているのですが、この際、渡辺外務大臣のこの問題に対する御意見、御見解をいただきたい。詳しいことはまた後ほどやりますから。
  10. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 サハリンに在住する人たち、この人たちについてどういうような支援をしていけるか、いろいろあろうかと存じます。基金というようなことも一つの考え方かもしれません。  しかし、それにつきましては実態をもう少し調べないとわからないので、平成四年度も調査費を含めて事業費ともで一億二千万円余の予算を計上しました。平成五年度も同額程度予算要求を出してありますので、そういう中でもっと実態の把握に努めてまいりたい。その結果どうするか、基金も含めて結論を出してまいりたいと考えます。
  11. 五十嵐広三

    五十嵐委員 もうお時間のようでありますからいいですが、一言。  どうか、在韓被爆者の問題、四十億円がことしで終わるものですから、できれば引き続いて。従軍慰安婦の問題は少し時間がかかるようでありますから、サハリンの問題についてぜひ積極的に取り組んでほしい。みんな年をとってしまっていて、本当に年々たくさんの人が亡くなってしまっているわけです。どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。どうぞ。  それでは、サハリンの話が出ておりましたので、サハリン問題について二、三、先にちょっとお伺いしたいと思います。  一つは、サハリン国立公文書館に旧樺太庁時代公文書等中心にして約二万五千点ぐらいの資料保管されているわけですね。実はことしの八月、それからついこの前、十一月の中ごろ、私も参った折に見てまいりました。約四分の一ぐらいは向こう整理をしているんですが、四分の三ぐらいは未整理のままですね。段ボールに詰め込んで、縛って、公文書館の三階に積み上げているのであります。中には、例えば豊原の郵便局における郵便貯金台帳、何かこれも貴重なものなんですが、これがやはり湿気だとかカビで正常な保管に耐えず、向こうでは調査会を設けてそれぞれの資料についての方針を決めて、今の郵貯の台帳などは焼却処分にしているんですね。非常に問題だと思うのですね。  それで、ずっと見たところ極めて貴重な資料が多く含まれているということ等もあって、実はこの前、十一月の十四日でありますが、サハリン州議会のアクショーノフ議長に会いましたときに、ぜひひとつこれをできれば日本側に譲渡してもらいたい、そのことについて御要請いたしましたところが、非常に好意的なんですね。もちろん法律に照らして検討しなければならないが、ただあの人も昔は市長をしていた人なものだから、いろいろ水道だとかあるいは暖房だとか、それぞれ町のそういう設備に関してはおれたちも必要な資料だと思うので、そういうのはひとつコピーするなりなんなりしながら我々にも使わせてほしいというようなお話がございました。  そうして、当面共同で整理していこうということのための、やはり日本語なものですから日本側協力だとかあるいはコピー機だとかあるいはそういうものの棚だとか、こういうことについての協力もしてほしいなどという話もあって、これは外務省ロシア課の方にもよく報告をしてあるのでありますが、ぜひこの機会外務省としても実務レベルで具体的に交渉を進めて、この貴重な資料を譲り受けることが実現できるように御努力いただきたい、私はこう思うのですが、いかがですか。
  12. 兵藤長雄

    兵藤政府委員 この問題におきまする五十嵐先生のかねがねの御関心、また、今回サハリンに行かれて、実際に今お話しいただきましたような御努力を賜りましたことに対して心から敬意とお礼を申し上げたいと思います。  この問題は、私ども日本政府としましては今のお話を踏まえまして、ロシア連邦政府、わけてもロシア連邦外務省を通じて話すことが適当であろう、ロシア連邦外務省はどう考えるかということも含めまして、今のお話を踏まえて早速事務レベルで先方に申し入れを行ってみたいというふうに考えます。
  13. 五十嵐広三

    五十嵐委員 そしてぜひ、これは金目にすれば大したことないのでありますが、保管あるいは整理に要する若干の経費等向こうからの話がありましたが、これらにつきましてもどうか実務レベルお話しいただいて、そういうことにも対応しつつ、返還が可能なように御努力お願い申し上げたい、こういうぐあいに思うところであります。  それで次に、今話をしていたサハリン残留韓国朝鮮人永住帰国問題であります。  一時帰国の面では、これは外務省も大変御尽力いただいて、我々は本当に、この運動に初めのころかかわっていた折には、とてもこんなに進展しなかっただろうというふうに思っていたのでありますが、もちろんそれはペレストロイカを初めとする新しい風が吹いたというようなものを追い風にしてということもありましたけれども、約四千人ぐらいの人がここ二年ぐらいで一時帰国できたというようなことで、皆大変喜んでおります。これはもちろん継続して、なおまだ約三千人ぐらいの対象者が残っているというふうに思われますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。その点が一つですね。  問題は、やはり永住帰国者なんですね。今のロシア事情なものですから、とにかく帰りたいということなのです。この間、ことしの調査費をもとにして外務省及び日本赤十字社から、あるいは大韓赤十字社からも一名行っていたようでありますが、私も現地で合流しましたが、一生懸命向こうで聞き取り調査等なさっておりました。したがって、その状況というのはつぶさに報告があったのだろうというふうに思いますが、その永住帰国希望者の声を代表団方々報告によればどういうぐあいにお受け取りになっているか、この面をちょっとお伺いしたいと思います。
  14. 池田維

    池田政府委員 お答えを申し上げます。  十一月十一日から十四日まで日本赤十字社中心となりまして、ただいま先生が御指摘になられましたような形で、在サハリン韓国人問題について今後どういうような効果的な支援のあり方があるのかということを検討するために代表団を出したわけであります。その調査団には外務省の職員も同行いたしました。そして、永住帰国者希望実態調査するということを行ったわけでございます。そして、現地におきます韓国人関係団体複数からいろいろ実態を聴取をいたしましたし、それからサハリン州の関係者とも意見交換を行いました。調査結果につきましては現在整理中でございますけれども、そのうち整理がつきましてから、一部について公表をすることを予定いたしております。  我々が承知しておりますところでは、永住帰国希望者につきましては、今般の調査でその総数を把握することはできませんでしたけれども、現地におきます関係団体の幾つかから話を総合的に聞いたところでは、戦後生まれの人を含めまして、一九九二年十月一日現在でございますが、サハリン全体で約二千世帯、人数にいたしますと一万二千数百名くらいの方々永住帰国希望しているというように聞いております。
  15. 五十嵐広三

    五十嵐委員 大変な数なんですね。半世紀にわたって残されて、とにかく死ぬまでに母国に帰って母国で死んでいきたい、骨を埋めたい、こういう願望で、もう本当に我々行きましても、とにかくまともにお話ができないくらいの、あらしのようなそういう要望が集中するというような感じですね。  従前はほんのわずかな、恐らく去年まで、やや半世紀の間で七十人ぐらいじゃないですかね、永住帰国が実現した人は。ことし初めて九月の末に、これは韓国光林教会ですか、が受け入れるということになって、七十六人、集団的にそこの老人ホームに収容するということが可能になった。私も韓国に行ってここの金牧師さんにお会いしてお話を聞いたけれども、非常に感動いたしました。  しかし、それは本当にありがたいことだけれども、やはりそれだけの人数ということであって、一万二千人もの人が帰るという状況、一体どういうぐあいにして韓国は受け入れることになるのか。入ったとしても、それらの人たちのこれからの暮らしは一体どうなるのかということになりますと、この永住帰国の問題というのは実は大変な問題と言わなくちゃならないわけですね。  そういう面につきましては、さっき大臣お答えがあったけれども、ぜひそういうすごい深刻な大きな問題だということの御認識の上に立って、鋭意韓国政府とも話し合いながら、あるいはロシア政府とも話し合いながらその対策を早急に進めてもらいたい、こういうぐあいに思うところなんです。  そのことと、もう一つは、今言うのは永住帰国韓国に帰る人たちの帰ってからの問題ですが、しかしもうこうなったら帰らないで、帰ったってもう余り親族もいない、我々はやはりここに骨を埋めよう、こっちの方にはこっちの方で家族もできたという人たちもたくさんいるわけですね。それもさっき言う数よりもちろんもっともっと多い人たちがそうなわけですから、サハリンにおける残留韓国朝鮮人に対して、我々としてどう歴史的な政治責任の償いをするかということは、これまた非常に大きな問題であって、したがってこの問題というのは、韓国側サハリンの側と両側に我が国としての支援の必要があるというふうに思うので、こういう点については、どうか引き続いて積極的な御調査対策を講じてほしいと切望いたしたいと思いますが、もう一遍お答えお願い申し上げたいと思います。
  16. 池田維

    池田政府委員 本件は、ただいま先生御指摘になられましたとおり、まさに韓国政府それからロシア政府と十分に緊密な連絡をとりながら話し合っていくべき問題だと思っておりますし、日本政府としましてもできる限りの努力を続けたいというように考えております。  いずれにしましても、いろんな歴史的な経緯もございましたし、この人たちの国籍等の問題もあるかと思います。そして、特に韓国に永住をする場合に、どういう形で韓国側が受け入れることができるのかといういろいろな法的な問題等もあるかと思います。したがいまして、両政府と十分に連絡をとりながら努力していきたいというように考えております。
  17. 五十嵐広三

    五十嵐委員 柿澤外務政務次官、非常に人権問題についても熱心にお取り組みいただいているわけでありますが、今のような経過でございますので、ぜひお力を尽くしていただきたい、こういうぐあいに思うのですが、御意見をいただければありがたいと思います。
  18. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 五十嵐先生の御指摘の問題につきましては、まさに人権の問題としても十分に配慮をしなければいけないと思っておりますので、今事務当局からお答えをいたしましたように、実情を把握すると同時に関係政府とも相談の上、できるだけの努力をしていきたい、させていきたいと思っております。
  19. 五十嵐広三

    五十嵐委員 サハリン残留者の問題で、もう一つサハリン残留の邦人の問題があるわけですね。これはもちろん、人数としては三百人程度、こう言われているわけでありますが、これらの方々もさまざまな深刻な事情があって戦後お残りになっておられる。ようやくここ数年、国内における「促進の会」というボランティアがありまして、非常に熱心に御努力いただいて、そして第六次までこの一時帰国が実現をして、大変みんな喜んでいるところであります。  ところが、これらのサハリンに残っている邦人の皆さんの最近の要望というのは、これも永住帰国なんですよ。今までは一時帰国なんですが、一時帰国してみれば、なおさらその思いが高まるという感じで、もう本当にみんな帰りたいという感じですね。そこで、この永住帰国の問題が、ことしはたしか二人ばかりですね、お帰りになった方がいたと思いますが、いよいよこれから本格的なそういう永住帰国のことになろうと思います。  そこで、まず法務省にお伺いしたいと思いますが、永住帰国希望を持っているサハリン残留邦人の方々は、言うまでもなく現状としてはロシア国籍をお持ちになっているわけで、この場合、日本国籍の就籍に関してはどういうことになるか。あるいはお帰りになるときは家族ぐるみ帰りたいという希望が非常に多いわけですから、二世、三世が、これもロシアで生まれてロシア国籍を持っているという方が大部分でありますが、これらの方々帰国後、日本国籍を取得する上でどういうようなことになるのか。これについて法務省からちょっと御説明いただきたいと思います。
  20. 下田文男

    ○下田説明員 我が国の国籍法上、日本人が外国の国籍を取得した場合におきまして、その外国の国籍の取得が自己の志望に基づく、こういう場合には日本国籍を失うとされているわけであります。  外国の国籍の取得が自己の志望に基づくかどうかにつきましては、個々の事案につきまして具体的な判断を行うことになるわけでございます。その判断に当たりましては、ロシア国籍を取得した動機あるいは経緯、またサハリン等における社会情勢、そのほか残留邦人の生活状況等の諸状況を総合して判断することになるわけでございます。  もしその外国の国籍の取得が外部からの強制あるいは圧迫、そういうものに基づくものである場合につきましては、自己の志望に基づくものとは認められないということから、なお日本の国籍を失っていないということになるわけでございます。  次に、外国人が日本国籍を取得する方法としましては、一般的に帰化の手続による方法がございます。サハリン在留邦人の二世、三世でありまして外国人である方が日本帰国された場合につきましても、この帰化の手続によりまして日本の国籍を取得することができるものと思われます。
  21. 五十嵐広三

    五十嵐委員 この前は増田さんという方の国籍の問題に関して、いろいろこれも経緯、問題がありましたけれども、法務省当局の御尽力を得て、きのうも電話で話しましたが、非常に喜んで安心して暮らしているようでありますが、それぞれの状況に応じて実態をどうか御理解いただいて、格別の御配慮をいただきたいというふうに思う次第であります。  それから、厚生省にお伺いしますが、永住帰国者に対する受け入れ時のさまざまな支援体制ですね。ですから、支度金の問題であるとかあるいは帰国の旅費の支給の問題等であるとか、あるいは帰国後何をするといったってお金の面で一番どうにもならないことになるわけでありますので、生活保護等に関してはもちろん直ちに必要ということになってくるんだろうと思うのですが、これらについて厚生省としての永住帰国者に対する援護の考え方をちょっと御説明いただきたいと思います。
  22. 川邊新

    ○川邊説明員 お答え申し上げます。  旧ソ連地域の残留邦人が永住のために日本帰国する場合、先生今御指摘のとおり、一つは、ソ連国内の居住地から日本の落ちつき先までの旅費等の援護をやっております。  それから、これも御指摘でございますが、自立支度金という形で、ある程度人数に合わせた一時金を支給させていただいておるわけでございます。  それから具体的に、御帰国なさった場合、今御指摘の生活保護等もございましょうし、いろいろな形のものを、既存の現在日本で行っているいろいろな施策を個人の事情に応じまして組み合わせてやっていくということになろうかと思います。
  23. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ぜひ地元の受け入れの自治体等とも御協議いただいて万全を期してほしいというふうに思いますね。案外受け入れ希望の町村が随分あるようですよ。我々もいろいろ町長さんあたりとお話ししてみますと、それはもう議会とも相談してぜひ応援したいというところもありますので、恐らく明年は相当な戸数が戻ってくるというふうに思うので、我々も一生懸命努力しますが、御協力お願い申し上げたいというふうに思います。  それからもう一点、一時帰国について、この間来ずっと順調にきたわけですが、一遍来た人は次回支援の対象になるまでには十年ぐらいかかるわけですね。これをもう少し短縮できないかという意見が非常にあります。それともう一つは、緊急の場合、例えば親族が重病になったというようなときなんかについては何か対応してもらえぬかという意見もあるのでありますが、これらについてのお考えをちょっと承りたいと思います。
  24. 川邊新

    ○川邊説明員 先生御指摘のとおり、特に先生を初め、あるいは民間の団体、ボランティアの方たちの御努力によりまして、ここ数年一時帰国される方が大変相当数に上っているということでございます。  それで、今御指摘のとおり、一度帰国なさると若干期間を置いてからでないとできないという今の仕組み、これは一般的に残留のどこの地域におきましてもそういう形をとっているわけでございますけれども、まだ実は一時帰国サハリンの場合初めから四年ぐらいの経過でございますので、一般的に再一時帰国の仕組みを変えるということはなかなか難しいかと思っておりますが、例えば御指摘のように、在日親族が病気で緊急にどうしてもというような場合にどうだろうかという御指摘、当然あろうかと思います。そこら辺の特別の事情につきまして何らかの措置がとれないかどうか、私どもとしても検討をしていきたいというふうに今考えているところでございます。
  25. 五十嵐広三

    五十嵐委員 御検討いただくということで非常にうれしく思いますが、ぜひひとつ早目に結論の出るように、実施できるようにお願い申し上げたい、こういうぐあいに思います。  続いて、今月の十日の日に、国連の先住民族年、これがオープンになるということになるわけです。一九九三年は、国際先住民年としてさまざまな行事を行うということになっているわけであります。これは、一九九〇年十二月の第四十五回国連総会で一九九三年を世界の先住民のための国際年とするという決議を採択いたしまして、一九九一年十二月の第四十六回国連総会で国際年のための活動計画を採択しているわけであります。  この中で、「国際年のための企画」という項があって、国際年の成功のために各国家は、「適切な省に国際年のための窓口担当者を任命し、全国的な活動の計画を作成するために、政府、先住民族および非政府組織の代表からなる全国委員会を設立する。」こういうぐあいに決められているわけであります。これはもちろん外務省は御承知のことだろうと思います。  外務省はこれに基づいて窓口を各省庁とも協議の上、人権難民課にすることになった、今まで関係省庁の会議を三回ぐらいやっているというようなお話も聞いているのであります。しかし、ここで言われている「政府、先住民族および非政府組織の代表からなる全国委員会」というのが設けられているとは余り聞いていないのですが、これはどうなんですか。
  26. 河合正男

    ○河合説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、世界の先住民のための国際年、国際先住民年は、先住民の人権、環境、教育、保健等の分野の諸問題解決のための国際協力を推進するという意味で、大変意義のあるものだと考えております。  外務省といたしましては、ことし初めて、この国際先住民年に世界各国がどのように取り組んでいるのかということを調査いたしまして、その上で、今先生からお話がありましたように、これまで三度にわたりまして関係省庁を集めて会議を行ってまいりました。そこで、国際先住民年の意義、各国の取り組みぶりについて説明いたしますとともに、北海道庁等からの御要望につきまして私どもから説明し、関係各省に国際先住民年についての取り組みについて検討をお願いしてきているところでございます。そういうことで関係各省どの話が進んできておりますが、外務省といたしましては、今後とも前向きに本件に取り組んでまいりたいと考えております。  ちなみに、外務省といたしましては、この国際年の意義につきましての広報を実施するということで現在検討を行っております。
  27. 五十嵐広三

    五十嵐委員 今質問した趣旨に対するお答えではないわけです。聞くまでもないことですからそれでいいのですが、つまり国内における、今言う国連が決議で示している全国委員会、国内委員会というようなものは設けられていないんですよ。これは僕は、やはりどうかなと思うんですね。  なお、ここのところでは、その国連の決議ではこう言っているんです。いわゆる事業計画の内容でありますが、その中で、「ラジオ・テレビおよび教育、健康、雇用、住居、そして環境に関するモデルプロジェクトのような領域において、先住民族のイニシアティブを推進する。」「国内における一般的な状況および国際年中に開始される活動について、先住民族と共同で作成された情報を提供する。」「国際年に関連して行われる全ての活動の準備と実行に先住民族の参加を奨励する。」「先住民族の組織および共同体が独自の計画と活動を準備することを奨励する。」というような中身なんですね。  つまり、先住民を参加させてそのイニシアチブを図っていくんだよということを、繰り返し繰り返し国連では今度の先住民年に関して言っているわけですね。それが、そういう国内委員会もできていない。どうですか、例えばアイヌ民族の方々にこのことについて相談し、協議したことはありますか。
  28. 河合正男

    ○河合説明員 本件の北海道側の準備団体から数度にわたりまして陳情を受けております。そこで、私どもも現在検討しております計画等につきまして御説明し、また意見交換を行ってまいっております。
  29. 五十嵐広三

    五十嵐委員 要するに陳情を受けているということぐらいで、彼らの意見を聞いてみるというようなことについては全くやっておられないわけですね。これは私は、本当にそういう人権感覚について疑問を持たざるを得ないですね。したがって、来年何をやるかというものも決まってないでしょう。もう年内わずかしか残ってない、しかも国連では今度の総会、十日の日にこれをスタートするわけですから。しかし、我が国国内におけるこの先住民年における国内事業計画を何にするかということは決まってないというんでしょう。  北海道庁からは陳情書が出ていて、要請書が出ていて、三つぐらい事業についての要請が来ているようですね。それは道から要請が来ているということであって、それを踏まえて御検討いただいているとは思うけれども、これはうまくないですね。とにかく早く何をするんだということをきちんと決める、しかもそれを決める経過に当たっては、アイヌの方々意見をちゃんと聞く、それが国連の趣旨なのですから。  そういうことで、とにかく年内に早く事業計画を明確にして準備に入るべきだ、こう思うのだけれども、これは政務次官の方がよろしいですか、御返事いただきたいと思います。
  30. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 我が国としても、先住民族問題また少数民族問題等について、国際的な感覚で対応していく必要が来ているということは、五十嵐先生御指摘のとおりだと思います。  その意味で、現在、十三省庁にまたがる問題だそうでございますので、現在、省庁間の連絡を密にして、今後できるだけ早く日本として何をやるべきか、関係者等の意見も聴取しながら対応していきたい、また対応させるべく関係省庁、事務当局を督励していきたい、こう思っております。
  31. 五十嵐広三

    五十嵐委員 政務次官、余りよく御存じないからそういうことなのですが、しかし、実際にはその事業を行うのはやや絞られているところなのですよ。特に、道から要請が来ている三項目のうち、主要な二項目、その一つは、国立劇場及び全国の主要都市においてアイヌ古式舞踊などの公演、もう一つは、国立博物館事業としてアイヌ文化の特別展の開催、こういうことなのです。  これはいわゆる文化庁にかかわる仕事であって、文化庁への要請も今までしてきているのだろうと思うのですが、きょう、文化庁からもちょっとおいでいただきましたので、どういうことになっているか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  32. 吉澤富士夫

    ○吉澤説明員 現在、国際先住民年への対応については、窓口である外務省中心として政府全体として検討を行っているところでありますけれども、アイヌ民族の文化を理解する上で、アイヌの古式舞踊それからユーカラなどのアイヌ民族文化財の保存、伝承、公開、これは大切なことであるというふうに考えておりますが、来年、どのような事業を実現することができるか否かにつきましては、北海道及び北海道ウタリ協会の要望や国際先住民年に対する政府全体の検討状況などもろもろの事情を考慮いたしまして、関係機関とも引き続き協議、調整して、早急に結論を出すよう努力しているというところでございます。
  33. 五十嵐広三

    五十嵐委員 やはり文化庁としても、殊に劇場なんかでどうする、地方の協力もいただくなんということになると、それぞれ劇場のいつやるかということのスケジュールを決めていく上で、調整やなんかなかなか大変だろうというふうに思います。それだけに、とにかく早目にやっていかなければなかなかいい企画もできないというふうに思うので、年内にはひとつ詰めてほしい、そういうぐあいに思うが、よろしいですか。
  34. 吉澤富士夫

    ○吉澤説明員 国際先住民年の意義や北海道または北海道ウタリ協会などの要望も踏まえまして現在検討しているところでありますけれども、一応年内を目途に検討したいというふうに思っております。
  35. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ぜひお願いします。  それから、言っておくけれども、きょうは時間がなくて、一番肝心な内政審議室の皆さんと少しやろうと思ったのですが、改めて十分に時間をとってやりたいと思います。  要するに、アイヌは先住民なのかどうなのかという認識が、三年間、今まであなた方は毎月三回くらいやっていたそうだけれども、そこがまだすとんとこないというお話も承る。これはもう非常に心外です。そういう状況だから、今日の前にある、この国際先住民年に関する対応もろくにできないということになるのであって、新法制定の問題に絡めながら、ひとつとにかく早く方針を出してほしいということを強くこの機会に要望を申し上げておきたいと思います。  あとわずかしか残っておりませんのでバーゼル条約に入りたいのですが、これは要するに、法律の方は大体もうできたようでありますし、条約そのものには我々も賛成でありますから、恐縮ですが、残ったわずかな時間、従軍慰安婦に関してちょっとお聞きをしたいと思います。  従軍慰安婦に関しては、何月でしたか、六月かそのくらいに中間報告日本側としても出ているわけでありますが、その後の調査によって新たな資料が出てきているというふうに思いますが、簡単でよろしゅうございますので、その御報告をまずお願い申し上げたいと思います。
  36. 木村政之

    ○木村説明員 いわゆる従軍慰安婦問題の調査につきましては、本年七月にその中間報告を取りまとめたところでございます。その後、防衛庁から十六件それから外務省から二件の新しい資料の発見があったという報告を受けております。それから法務省におきましても、同省保管の裁判関係記録、これはオランダ人慰安婦の関係でございますが、この資科の調査を現在行っているところでございます。これらの資料につきましては、いずれ法務省の調査がまとまりました段階で、内閣官房で取りまとめた上で御報告をいたしたいと思っております。
  37. 五十嵐広三

    五十嵐委員 この前も土井たか子委員は社会党の調査団の代表として香港、台湾を調査に訪れました。私は韓国の方に調査団で参りました。今そういうふうにそれぞれうちの党としてもこの調査について全力を挙げているところでありますが、どこへ行ってもお聞きできるのは、まずその完全な事実の把握、調査だということですね。ですから、誠意を持って日本側調査してほしいということをどこでも強くお話があるところであります。  この調査は、言うまでもなく明年以降も継続して進めることになるのか、それが一点。  それから、韓国だけでなくて、今申しましたように北朝鮮においてもあるいは台湾においても、中国においても、フィリピンにおいてもそれぞれこの問題はあるわけであって、これはそれぞれの国に関しても同じように調査を行う考え方かどうか。  第三点、実際に現地に行って聞き取り調査等もしなければ十分な調査ということにならぬと思うのだが、そういう考え方はないか。  以上です。
  38. 木村政之

    ○木村説明員 一点目の、今後も継続して調査を進めるかどうかという点でございますが、今後も引き続き全力を挙げて調査に努めてまいりたいと思います。  それから二点目、韓国以外の諸外国の関係の調査ということでございますが、これまでも、今までの調査におきまして韓国以外にも東南アジアの諸国の関係の資料も見つかってきておりますので、それもあわせて調べた上で御報告をするということにいたしております。  それから三点目のヒアリング調査につきましては、これもかねがね要望、御指摘がございまして、私どももそういう方法をとれないかどうか検討をいたしたのでございますが、なかなか難しい問題がございまして、例えばプライバシーの問題に触れるとか、均衡を欠くんじゃないかとか、それから、その証言を得て、それが真実かどうかどうやってこれを見きわめるのかというような問題もございまして、なかなかそれを行うことは困難じゃないかと思っております。
  39. 五十嵐広三

    五十嵐委員 最後の御質問ですが、そういう気持ちもわかるけれども、やはりそれぞれの国々で、また、それぞれの団体や被害者が口をそろえて言うのは、真剣になって調べてないんじゃないかということなんですね。まずその誠意を見せるということが第一であって、どうしかられたって何と言ったって出かけていって生の声を聞くということが僕は大事だと思うのですよ、そういう行為が。だから、そのことを強く要請しておきたいと思います。  それから、韓国に関しては、年内に基金だとかあるいは何か法人をつくってどうとかというような話もあったけれども、しかし全体の状況では年内はやはり困難だろうというふうなことも聞いているのですが、解決のめどについてはどういうぐあいに考えておられるか。  それから第二点は、韓国だけでなくて、さっき言いましたようにそれぞれの国で同様の問題がある。解決の基準、つまり補償の基準というのですか、償いの基準というものは、これはどちらの国についても同じような方法で行うべきものであろうというふうに思うのですが、これについてのお考えをいただいて、質問を終えたいというように思います。
  40. 池田維

    池田政府委員 真相解明をどういうように続けていくかという点でございますけれども、私たちも内部で種々議論はいたしておりますし、関係国政府とも内々に話をいたしております。したがいまして、我が方としましては、これまで続けてきましたような真相解明の努力をさらに一層続けていきたい。それは、これまで国内に調査対象というものがございましたけれども、六省庁の保存しております資料中心調査しておりましたが、この範囲をさらに拡大したいと思います。  それから、韓国との関係では、韓国側が個々の慰安婦であったという人たちとの間で聞き取り調査をしたものがございますので、そういうものの写しを入手いたしまして、これを十分に拝見させていただきたいというように考えております。したがいまして、このための真相究明の時間がもう少しかかるという予定でございます。  それから、韓国以外の国々との関係では、これは官房長官がことしの七月に明言されておりますけれども、地域とか国籍を問わず、従軍慰安婦であった人たちに対する日本側の誠意ある対応をとりたいということでございますので、そういう意味では私どもは基本的な考え方は同じでございますし、基本的に、今後措置をとります場合にも同一のものを考えていきたいというように考えているわけでございます。
  41. 五十嵐広三

    五十嵐委員 ありがとうございました。
  42. 麻生太郎

    麻生委員長 川島實君。
  43. 川島實

    ○川島委員 私は、ただいま議題になっております有害廃棄物国境を越える移動及びその処分規制に関するバーゼル条約についてお尋ねをいたします。  この条約制定の背景は、一九七六年、イタリアのセベソで農薬工場の爆発事故で周囲の土壌がダイオキシンで汚染されるという事故が起こった。事故後、汚染された土壌はドラム缶に保管されていたが、一九八二年、国外に搬出され、行方不明となる事件が発生いたしました。ドラム缶は、その後フランス国内で発見されましたが、イタリア政府が受け取りを拒否したため、一時、ドラム缶の引き取り手がない状態が続いておりました。結局、爆発事故を起こした農薬工場の親会社があるスイス政府がこれを引き取ることになった事件がもとであります。そのほかナイジェリアのココ事件等があるわけであります。  これらの事件を契機といたしまして、有害廃棄物国境を越える場合何らかの規制が必要となり、OECD及び国連環境計画で検討が行われた結果、一九八九年三月二十二日、スイスのバーゼルにおいて、一定の廃棄物の国境を越える移動を原則として禁止し、移動が行われる場合の手続などを規定したバーゼル条約が採択されました。一九九二年五月五日に効力が発生したわけであります。現在の締約国は平成四年十一月二十一日現在三十五カ国と言われております。我が国は既に六カ月近くおくれているわけでありまして、一日も早い締約が望まれるわけでありまして、本日も大臣がいない状況でも慣例を破って条約を審議をする、こういう結果になっておるわけでございます。  我が国バーゼル条約締結するに当たって、この条約履行に対して外務省はどのような決意をお持ちか。また、我が国の環境保全に対する、いつまでにこういう目標を立ててこういう形で実行するという行動計画というものはいかなるものか、今後国連にも提出をするわけでございますが、その決意についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  44. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 バーゼル条約締結の経緯につきましては、ただいま川島先生からお話のあったとおりでございまして、その意味我が国としても検討の上、前国会に御承認の御審議をお願いをいたしたところでございます。きょうもこうした状況の中で御審議を進めていただいておりますことを心からお礼を申し上げたいと思います。  この条約は、有害廃棄物及び他の廃棄物の国境を越える移動及びその処分規制につきまして国際的な枠組みを定め、これらの廃棄物によってもたらされる危険から人の健康及び環境を保護することを目的としているものでございます。我が国がこの条約を締結することは、これらの廃棄物の輸出入の適切な規制廃棄物の適正な処理等についての国際協力を一層推進するものとなり、地球環境問題への取り組みの一環としても大きな意義を有するものと考えております。  また、この条約は、再生利用のための廃棄物の輸出入をもその規制の対象としておりますが、我が国はアメリカ、東南アジア諸国等との間で再生利用可能な廃棄物を資源として輸出入している現状にあるところでもあり、我が国としては各国とともに条約に加入し、条約の規定する手続に従って適正な貿易を行うことが望ましいと考えております。  そうした観点に立ちまして速やかに本条約の締結について御承認をいただくことをお願いをしているところであり、本条約に加入の上は、関係省庁と緊密に協力の上、ただいま川島先生から御指摘のように的確かつ円滑な履行を確保すべく努力をしていきたいと考えております。
  45. 川島實

    ○川島委員 次に、我が国の一般廃棄物が今回のバーゼル条約有害廃棄物という形で対象になるわけでございますが、アジア諸国に今日まで不法に投棄されている。これがさきのテレビ朝日のニュース等で報道されまして、日本の環境保全がこういう状況なのかということで非常に国民の批判が相次いだわけでございますが、これらの廃棄物の輸出入に関する実態はどのように把握しているのか。また、この条約を締約することによってどういう形で日本の環境行政が変わっていくのか、その辺のことについてお伺いをしておきたいと思います。
  46. 仁坂吉伸

    仁坂説明員 今回のバーゼル条約対象の有害廃棄物等の輸出入実績について御報告させていただきたいと思います。  有害廃棄物の中にリサイクルの対象として輸出入が行われているものがございます。こういうものについてもその有害性からバーゼル条約の対象となる可能性の高いものがあるわけでございますが、その中で輸出されているものといたしましては、例えば鉛くずをインドネシア、韓国等へ輸出する、これは私どものヒアリングでございますと、平成三年に二万五千トンございます。  それから輸入されているものの実態といたしましては、例えば亜鉛精錬時に発生いたしますカドミウム酸化物、あるいはコピー機の使用済みドラム、この中にリサイクルできる貴金属が入っておりますので、こういうもののスクラップを例えばアメリカから輸入しているような例がございます。  ただ、本条約全体の対象物がどのぐらいあるかということについては、これまでの法規制でございますと、それを区別して、条約の対象だけを区別して統計をとったことはございません。通関統計上もそれは出ておりませんので、これからは条約の実施のための法規制を別途委員会の方で審議していただいておりまして、この法律を御通過させていただくことができますれば、この法律でもって規制をし、実態をきちんと把握をしていくことができるのではないかと考えております。
  47. 川島實

    ○川島委員 テレビの「ニュース23」で吉崎特派員の報告があったわけですが、これは台湾だけの関係でございますけれども、今アジア諸国に日本の企業は約三千三百進出しているわけですね。その中で台湾だけのことで、自動車だとか冷蔵庫、クーラー、自動販売機、トラック荷台、電線、電子レンジ、これが四十三ヘクタール二百区画に及んで約年間十五万トン、こういう量が現実的に出ているわけですね。それが日本の環境保全に対するイメージを非常に悪くしているわけです。  だから、今回のこういう条約を締約することによってそれらがどう阻止されるか。それで今後のいろいろな大きな課題が出てくるわけでございますけれども、どういう形でそういうものが、目に見えてそういう状況がなくなるかということが実は聞きたいわけでございますが、この件についてはどうでございましょう。
  48. 河合正男

    ○河合説明員 先ほど川島先生から条約締結の背景についておまとめいただきましたが、まさにこの条約は開発途上国の有害廃棄物の問題について非常に重視している条約でございます。この条約が実施に移されましたら、国際的協力のもとで、有害廃棄物の輸出入、運搬、処分が環境上適切な方法で一層確実に行われていくということになると考えておりますし、私どももそのために厳しくこの条約を実施してまいりたいと考えております。
  49. 川島實

    ○川島委員 外国から日本へ入ってくる問題については日本が自国で、科学技術がすぐれていると言われているわけですからいろいろな処理が曲がりなりにもできておるだろうという形をとれるわけでございますけれども、海外へ出ていっておる多くの環境汚染のおそれのある製品のこれからの選別については国内の問題が非常に問われてくるわけでございます。  今回法律改正がなされております通商産業省それから厚生省、この二つの法律の中で、特に環境庁が他国のこの条約によってのチェック義務が課せられておるわけですね。このことについて、環境庁として海外のそういう人的な配置といいますか、そういう整備が他国の、例えば台湾なら台湾の環境所管の責任者とのいろいろな対話が必要になるわけですが、そういう整備ができておるのかどうか、この辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
  50. 木下正明

    ○木下説明員 お答えいたします。  バーゼル条約を誠実に履行いたしますため、今国会におきまして特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律案を御審議いただいているところでございます。  この法案の中におきましては、環境庁長官は、特に有害廃棄物等の輸出に当たりましては通産大臣の輸出の承認に先立ち一定のものについて確認を行うようにいたしております。  この確認の内容でございますが、リサイクルを含めまして処分に供される施設が環境保全上支障なく特定有害廃棄物等を処分するための公害防止施設を有しているかどうか、あるいはそれが適切に維持管理されるかどうか、あるいはその処分される特定有害廃棄物等が施設の処理能力を超えていないかどうか、あるいは輸入国の環境保全上の措置に照らして相当の措置が講じられているかどうか、こういったことを通産大臣から送付を受けました写しをもとに審査をしたい、このように考えております。  あわせまして、必要ある場合には、輸入国の環境担当の機関を通じまして、そうした輸入国状況も把握いたしまして、その上で慎重に審査する、あるいは確認をする、こういうことでございます。
  51. 川島實

    ○川島委員 いろいろお話を聞きますと、外務省の各出先機関の中に環境庁の職員が全部おるわけではございませんので、いろいろとファクス等のやりとりにいくまでに各国とのいろいろな人間関係というか対話が必要になってくるだろうと思いますけれども、その辺のところについても今後ひとつ十分留意をしていただきたいと思うわけでございます。  それから次に、第九条には不法取引に関する防止の規則が幾つかあるわけでございますけれども、今後も不法投棄される心配というのが少しも払拭されないわけでございますので、この辺についても通産省並びに環境庁、十分ひとつ御留意をいただきたいと思うわけでございます。  今国会で、バーゼル条約を受けて国内法の整備として厚生省の廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正、通商産業省と環境庁による特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律が出されておりまして、幾つかの問題点も実は浮上いたしておるわけでございますが、今後どのような計画でこういう問題点について対応されようとしているのか、特に商工委員会の附帯決議、厚生委員会の附帯決議等がなされているわけでございますが、これらの対応の基本姿勢についてお伺いをしておきたいと思います。
  52. 木下正明

    ○木下説明員 いろいろな問題点があろうかと思いますが、一応環境庁関係からまず最初にお答えしたいと思います。  平成二年の十二月、中央公害対策審議会の答申でございますが、「有害廃棄物等の越境移動対策の在り方について」を私どもいただきました。この中で、処分基準について若干バーゼル条約の範囲と国内について差があるということを御指摘いただいております。こうした答申の重要性を非常に私どもも理解しておりますが、廃棄物処理法の基準値は、現在の国内の環境の状況を踏まえた上で必要となる規制措置、規制項目も定めているものでありますので、バーゼル条約に加入したからといって直ちにそうした基準の見直しを行うことには至らない、このように考えておるところでございます。  しかしながら、環境庁としては、現在未規制規制項目について従来より各種の調査研究を行ってきておりますので、引き続きまして、そうした検討の過程におきまして適切な運用に努めてまいりたい、このように考えております。  そのほか研究開発の促進であるとか国際協力につきましても御指摘をいただいております。この点に関しましては、これまでも各種の調査研究を実施してきておりますし、国際協力についても関係省庁と協力しながら取り組んできておりますので、今後ともそういった面も頑張っていきたい、このように考えております。
  53. 今井康夫

    ○今井説明員 通産省といたしましても、新しく御提案申し上げておりますバーゼル実施法につきまして、環境上適切な方法で有害廃棄物等の輸出入、運搬、処分が行われるように適正な運用に努めてまいりますとともに、廃棄物の適正な処理、発生の抑制、減量化・リサイクル等に係る一層の技術開発、途上国への技術移転等によりまして、環境面における国際貢献をも積極的に推進してまいりたいと考えております。
  54. 三本木徹

    ○三本木説明員 厚生省におきましても、バーゼル関係の新法並びに廃棄物処理法の改正案を御提案申し上げておりまして、それに関連しての附帯決議につきましては、両方の法案の適正な運用を図る、特に廃棄物処理法の改正案におきましては国内処理の原則ということがうたわれておりますので、その線は堅持しながら適正な輸出入の管理が行われるように各般の措置をしてまいりたいと考えております。
  55. 川島實

    ○川島委員 皆さん各議員さんは各地方から出ておりまして、今一番頭が痛いのは各県なり都道府県、市町村も含めてこういう産業廃棄物、一般廃棄物を含めて処理する場所がない、それから施設がない、反対があって埋め立てもままならぬ、こういう状況が続いているわけでございます。今回一番必要なことは、条約を受けて国内法が整備され、ドイツのようにいついつまでに何%、ここまで達成する、こういう行動計画が必要だと思うわけでございますが、不法投棄を阻止する、こういう意味合いからも、そういう行動計画をつくるおつもりがあるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  56. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  国内での不法投棄対策ということにつきましては、確かに先生御指摘のように各地で数多く見られるということは、私どもも大変懸念を表明してきておるところでございます。不法投棄対策は、具体的にどの程度の目標を立ててその件数を減らしていくかということはなかなか難しいわけでございますが、法律改正に伴って、例えば罰則の強化があるとか、あるいは都道府県の職員の増を図るとか、監視の体制を整えていくとか、あるいはまた、事業者の責任が法律上明確になっておりますので、そういったことの徹底を図っていくとか、そういった考え方で対応をとっていくことが必要だと思っております。  さらにまた、不法投棄の前提にといいましょうか要因の一つとして、処理施設不足ということもあるかと思います。そういう面では施設整備の目標というものを私どもは立てております。廃棄物処理施設整備緊急措置法という法律に基づきまして五カ年間でどの程度の施設整備を行うかとか、あるいは別の観点でいきますと、産業廃棄物の処理施設整備の促進に関する法律をついさきの国会で成立させていただきましたものですから、そういったものを通じまして適切な施設の整備を図っていく、こういう考えでやってまいりたいと思っております。
  57. 川島實

    ○川島委員 御答弁をいただきましたので、注文をつけておくわけでございますけれども、例えば東京都が当初の計画で埋立地なり施設をつくる、それが何千億もかかって、バブルが崩壊して財政収入がなくなる、そうすると途端にそれができなくなる、こういうときに当局はどういう行動計画をもってそれらを補うか、このことをひとつ心に念じて対応をしておいていただきたいと思います。  時間が余りございませんのでちょっとはしょらせていただきますが、特に環境庁は、平成二年の十月に中央公害対策審議会から諮問をしたことについて答申を受けているわけでございます。  この中で特に私が重要だと思うのは、研究開発の促進の問題について、私、九月にインドネシア、シンガポール、マレーシアの環境の各関係の議員なり省庁と会ってきたわけでございますけれども、この中で特に日本は、フロンの問題にしても、いろいろな環境のそういうものですね、代替品について金もうけをしておる、少なくとも環境問題についてこれから日本は国際的にリーダーという形になってもらわなければいかぬわけですから、そういう物品については無料なり原価なりでひとつ出していただきたい、そして、研究の成果を早く各国へ知らせていただいて、おのおのがアジアにおける環境対策ができるように、こういう強い注文を受けておるわけでございます。  そういう意味合いで、今回の有害廃棄物に対する答申のことにつきまして、国内法の整備の中で十分ひとつ環境庁は留意していただきたいと思います。  また、厚生省も、平成二年の十二月に生活環境審議会から廃棄物対策の在り方についての答申を受けているわけでございます。この中で不法投棄の問題、中間処理施設、最終処分場の不足の問題、廃棄物の減量化や資源化と再利用、それから広域的対応と公共関与の推進、この問題について指摘を受けているわけでございますが、今回の法律改正における中身を見ますと、この辺のところが非常に不足しておるような感じを受けるわけでございますが、この辺についてお伺いしておきたいと思います。
  58. 木下正明

    ○木下説明員 お答えしたいと思います。  先ほど説明した内容とも若干重複いたしますが、環境庁では、従来から有害廃棄物に関した調査研究を実施いたしております。具体的に平成四年度で申し上げます。  有害廃棄物越境移動対策調査という調査が約七百万円でございます。それから廃棄処分基準規制項目追加調査、これが約二千七百万円、有害廃棄物の越境移動に係る社会経済的技術的評価に関する予備的研究、これは地球環境研究総合推進費という地球環境問題に関係した予算の枠でございますが、その中で約八百万計上してございます。こうした予算を使いまして、有害廃棄物の問題について特にバーゼル関係で取り組んできておるところでございます。  それから国際技術協力、特に環境庁におきましては、技術協力中心でございますが、そういったことを外務省協力しながら実施してきております。  具体的には、タイの環境研修センターあるいは中国の日中友好環境保全センター、あるいは先ほどお話がありましたが、インドネシアの環境管理センター、こういったものが進められております。そのほかUNEPの機関といたしまして、国際環境技術センターの設立が最近なされたところでございます。  あと補足的になりますが、今回御審議いただいている国内法におきましては、三条の基本的事項の公表の中で、こういった調査研究の推進等について若干触れる予定でございます。  終わります。
  59. 三本木徹

    ○三本木説明員 先生御指摘の生活環境審議会の答申の中で、この国会に御提案申し上げております廃棄物処理法の改正案の部分は、廃棄物の輸出入に関する部分の提言をいただいたところを受けて今回改正案を御提案申し上げているところでございます。  ところが、それ以外、先生御指摘のありました減量化・リサイクルあるいは不法投棄対策というところにつきましては、さきの臨時国会で成立をいただきました廃棄物処理法の改正案の中に所要の規定を入れております。また、それに伴う施策というものも現在講じております。  ただ一つ、産業廃棄物に絡めましての公共関与あるいは広域的処理の部分につきましては、さきの臨時国会で改正を成立させていただいたわけでございますが、廃棄物処理センターの整備を各都道府県単位で整備していくということに実はとどまっているところでございまして、したがいまして、さきの通常国会におきましては、産業廃棄物の広域的処理あるいは公共関与の枠組みを提供するということで、新しい法律といたしまして産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律という法律を成立させていただいたところでございます。  そういったことで、生活環境審議会の答申内容を受けまして所定の制度改正を行い、あるいはまた、それに伴う施策を現在進めているところでございます。
  60. 川島實

    ○川島委員 時間がございませんし答弁が長くなりますので、ちょっと話を聞いておいてもらいたい。  まず、政務次官の柿澤先生お願いをしておきたいと思います。  今回の日本の国内法の改正で一番欠けている点は、ドイツのように廃棄物を例えば自動車の製造者に回収を命ずるとか、いろいろな空き瓶だとかビニールの包装品、そういうものをリサイクルして何回も使うとか、そういう点が非常に欠けている。先ほどお話がありましたけれども、もとを絶たなければこれが不法投棄になってどこかへ出ていくわけですから、人間が生活している以上。この件について十分御留意をいただきたいと思います。  それから、未締約国間の、二国間のそういう取り扱いとか多数国間の取り扱いの協定についてはここに規定がありますので、これを十分留意をしていただきたい。  それから、今回日本がバーゼルを締約することによって、アジア諸国の中でほとんどの国が日本と同じように同調するという非常にいい傾向になってきておるわけでございますが、その辺のところも、アジアの日本という形で、他国ヘバーゼル条約に入っていただくような積極的な施策を進めておいていただきたいと思います。  それからもう一つは、廃棄物の海洋投棄が年間四百五十万トン日本がほかっているわけでございますけれども、これがロンドン・ダンピング条約の採択によりまして禁止をされるわけでございまして、この辺の禁止を受けて日本のこれからの対応策というのは非常に問題になってこようかと思うわけでございますが、特にまた、海の生態への影響など基本的な調査をやるべきだという声も上がっております。この件についてお答えをいただきたいと思います。
  61. 木下正明

    ○木下説明員 それでは、まず環境庁の方からお答えいたします。  海洋汚染調査のどういうことをやっているかということからまず最初にお答えいたしますと、環境庁では、日本周辺の海域におきまして昭和五十年度より日本近海海洋汚染実態調査を実施してきております。平成四年度の予算では約六千九百万円でございます。  この調査の内容でございますが、海水の水温、塩分、水素イオン濃度といった基本的な項目に加えまして、水銀、カドミ、砒素、鉛等の有害重金属の測定、油分の測定あるいはプランクトンの調査といった総合的な調査を実施しているところでございます。この調査結果につきましては毎年まとめてございますが、今のところ汚染の進行は認められていないという結論に至っております。  二番目、ロンドン・ダンピング条約関連でございますが、先生の御指摘のとおり、一九九〇年に開催されました第十三回の条約締約国会議におきまして、一九九五年末までに産業廃棄物の海洋投棄を禁止するという決議がなされたところでございます。環境庁の方では、この決議に対応するため、現在検討会を設置しまして調査検討を行っているところでございます。
  62. 川島實

    ○川島委員 次に、日系企業でインドネシアにあります三菱化成の系列ですか、これが七年ぶりに裁判の判決を受けて企業の操業停止という判決になったわけですが、会社側の対応が非常に地元の国民感情を逆なでするような、自分のところには法律的には何ら問題がないような立場をとっておりまして、これからの我が国との関係で国民感情として非常によろしくない。  一方では、私がユニチカを視察させていただいたわけですが、そこは大統領から浄化処理施設の表彰を受けておりまして、それがその付近の市民の皆さんに高く評価をされておりまして、染色で汚れた水が出ていく先ではきれいになって、そこではコイを飼って皆さんに見せる、こういう状況があるわけでございますから、非常にいいところと悪いところとの差が激し過ぎますので、ひとつ今後の御指導を要望しておきたいと思います。  それから次に、アメリカ大統領が今回クリントンにかわるわけでございますが、この中で環境政策について非常にブッシュとの隔たりの部分がございますので、この点についてお伺いをしておきたいと思います。  一つは、ブッシュは環境問題の中で、市場をベースにした方法で臨む、こう言っているのに対しまして、クリントンは、経済競争力を口実に環境保護をおろそかにすることに反対をする。  二つ目は、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素排出量の削減について、六月の地球サミットでブッシュは反対をしたわけでございますが、この件についても、二酸化炭素排出量の削減にアメリカは責任を持って取り組まなければならない、こういうふうに賛成の立場に変わってきておるわけでございます。  それからもう一つは、国産自動車メーカーに燃費の引き上げを義務づける立法に反対する、こうブッシュが言っていることに対しまして、クリントンは、燃費の引き上げ、天然ガス利用増によるエネルギー備蓄を奨励する、税によるインセンティブを通じて資源リサイクルを活発化する、こう述べておるわけでございます。  さらに、原子力発電所建設の推進をするとブッシュが言っていることに対しまして、原子力エネルギーへの依存を少なくし、太陽エネルギーなど新しい資源の研究を進める。  もう一つは、北極圏の野生動物生息地で原油、天然ガス開発を行うことにブッシュは賛成をしておるわけでございますが、この件について、原油、天然ガス開発に反対をする。こう明確に出ている部分があるわけでございます。  これらについての御所見を、今後日本の国連における環境問題の対応としての姿勢についてひとつ御所見をお伺いしておきたいと思います。
  63. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、クリントン政権は環境問題に大変熱心だと言われておりますゴア副大統領とのコンビでこれから政策を進めていくことになりますので、従来以上に環境については前向きの姿勢をとるものと私どもも考えております。  御指摘の二酸化炭素排出量の規制等につきまして前向きの行動がとれるならば、これから我が国の方としても地球環境問題解決のために日米のパートナーシップを強化するという意味でも大変結構なことだと思っております。  従来から我が国と米国との間では、日米環境保護協力協定に基づきまして、プログラムや地球環境問題に関する意見交換等環境に関する協力を進めてきているところでございます。その意味で、今のようにクリントン政権が前向きな環境政策をとる場合には、さらに両国協力をいたしまして地球環境問題について一層積極的に取り組んでいきたい、こう考えております。
  64. 川島實

    ○川島委員 最後に、外務省は海外との議員交流を積極的に進めたい、こうおっしゃっているわけでございますが、実はことし私どもがインドネシアへ行っているときに、AIPO(アセアン・インターナショナル・パーラメンタリー・オーガニゼーション)アジア議員機構の開催がなされておったわけでございます。そこにオブザーバーとしてオーストラリア、アメリカ、カナダ、中国、韓国が出席して、アジアの諸国の皆さんが出ておったわけでございますが、私どもが知ったのは後、シンガポールへ行ってからそこの議員との交流で知ったわけでございます。  日本に招待状を出しているけれども一遍も出てきてない、こういうことでございまして、来年はマレーシアのクアラルンプールであるからと言うので、私どもはぜひ参加をするということで約束をしてきたわけでございますけれども、そういう情報というのはもっと議員の皆さんに出していただくように積極的に行っていただきたいと思うわけでございます。  こういう我々に知らされないという事柄、そこのホテルまで行って、二日間にかかって朝七時からその人たち会議を開かれるからということで、私どもはその議員と二回も交流を二日間にわたってやっているわけですね。そこでAIPOの開催がなされていたということは後で知ったわけでございますが、この辺のことの経過についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  65. 池田維

    池田政府委員 AIPO、つまりASEANの議員連盟でございますが、これの総会への参加の問題につきましては、国会が基本的に対応してきていられるというように私ども承知いたしております。もちろん外務省として情報がありましたらそれを国会側に提供することについては全くやぶさかではございませんけれども、本来は国会マターであるというように承知しているわけでございます。  それで、最近の事情について衆議院の事務局に我々の方から問い合わせをいたしました。その結果わかりましたことは、平成二年のAIPO総会の参加に当たりまして、当時のホスト国の方が総会採択で行われたガイドラインの線に沿って、もし国会議員が御出席になる場合には、その国会を代表するという必要があるんだということがあったようでございます。そのために日本からは代表団の派遣が見送られたというのが衆議院の事務局の説明でございますし、私どもこのあたりのことは衆議院がお決めになることだと思っております。  ただ、先ほど御指摘がありましたように、関連の情報等を外務省が把握することがあれば、もちろんこれは衆議院側、参議院側に迅速にお送りしたいというように考えているわけでございます。
  66. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 私自身も議員交流にはしばしば参加しておりますし、これから関係各国との議員交流の重要性というのはますます高まってくると思いますので、外務省としても情報収集にこれからも努力をしてまいりたいと思います。
  67. 川島實

    ○川島委員 ぜひ期待をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。  終わります。
  68. 麻生太郎

    麻生委員長 玉城栄一君。
  69. 玉城栄一

    ○玉城委員 このバーゼル条約に関連しまして、関連といいますか、この対象の中に入っているわけでありますが、PCBですね、PCBについて、これは附属書のYの10ですかに入っております。この委員会でも問題になったわけでありますが、いわゆる沖縄の米軍基地のPCBについて米側は撤去をすると言っておりまして、その撤去作業、その進捗状況ですね、それを概略御説明をいただきたいのです。
  70. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。  沖縄の問題になりました嘉手納の基地内のPCBにつきましては、この間来の最終的な掘削作業が完了いたしまして、その掘り出した土をすべて今保管していて、アメリカへの輸送のための配船を待っているという状況だと聞いております。
  71. 玉城栄一

    ○玉城委員 完了してアメリカへの配船を待っている。一九九九年の七月までに米側は完了するという話があった、これはこの前の御答弁でありますけれども。そういういわゆる沖縄、まあ沖縄に限りませんけれども、基地からアメリカへ持っていくわけですね。この汚染土、土壌です。アメリカへ持っていくわけですが、その場合に手続は何に基づいてやるのか、その辺をお伺いいたします。
  72. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 お答えいたします。  この条約との関連については、別途また必要であれば条約局の方からお答えすると思いますが、今回の事例について申し上げますと、従来からこの問題は、アメリカ側がアメリカ側の手続に従って掘削を行い搬出するということでございまして、過去六回掘りまして、過去の五回において百十トンくらいの土を掘りました。それで、これはすべてドラム缶に詰めてアメリカへ持っていったようであります。六回目は最終的なものでございますからはるかに多量の、完全にないというところまで掘り下げましたものですから量が非常に多い、そういうことでドラム缶に詰めて保管してあるということで、そのやり方についてはアメリカ側の軍の基準に従ってやっておると承知しております。
  73. 玉城栄一

    ○玉城委員 まあこのバーゼル条約、これから入るわけですけれども、この条約にそれに類する条文があるわけですね。ですから、今その沖縄のPCBをアメリカに持っていく。まあアメリカ自体の基準に基づいてやっているということですけれども、法的に、例えば日米地位協定とかあるいはそういうものに基づいての手続がされているのか。そういうのも全くされないまま、あるいは日米環境分科委員会ですか、そこでいろいろ話し合いされたんだろうと思いますけれども、そういう形で処理がされるということになっているのか、その辺をお伺いいたします。
  74. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 実態面の方に即してお答えさしていただきます。  御承知のとおり、地位協定上は米軍の出入りについて米軍の法規に従ってやるという自由を持っているわけでありますが、同時に日本の国内法を尊重するという建前もございます。したがって、具体的には米軍の基地と日本の国内に移動がある場合には当然尊重しているということだと思いますと申し上げることができると思います。  その上で合同委員会上の手続でありますが、環境問題については御指摘の環境分科委員会というのがございまして、特にこの問題、レイ報告で問題になって以来三回の委員会を開いてこの問題を議論いたしました。それに従って我々の合意いたしましたことは、向こう側が残っている部分も掘り尽くして、そしてアメリカ側が持って帰るということでございます。  手続という点についてお聞きの点は私もちょっと今つまびらかにいたしませんが、この問題の取り扱いについてはそのような措置が行われている、その点を含めて環境分科委員会の最終発表の際に公にしたわけであります。
  75. 玉城栄一

    ○玉城委員 このバーゼル条約我が国も間もなく加入するわけですが、もちろんアメリカ、米国も入る、そのように思います。ですから、このPCBというのは、この条約にも規定されているように非常に猛毒性がある、いろいろな影響がある、しかも人の健康あるいは環境に非常に障害があるということでこの条約ができているわけですけれども、今のお話では、我が国にPCBがあっても日米の環境委員会あたりで話がされて、それで持っていくと。アメリカもこの条約に入ってくるわけですけれども、そういう持ってきたPCBをどのようにするのかということも結局わからないといいますか、我々一般の国民はわからないままにこういう処理がされているということでは非常に問題になるんじゃないかと思うのですね。  どうですか。この条約の条文をずっと読みますと、健康あるいは環境問題ということが非常に強調されています。そしてPCBについてもこれは対象なんだとある。そういうことでこれはそのままでいいのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  76. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 日米安保体制の中で環境問題は特に重視しているからこそ合同委員会の下で環境分科委員会があるわけであります。そして、レイ報告でさらにこのPCB問題が重大なことだとわかりましたものですから、あえてこれの議論をして幾つかの原則を定めております。  それで、その点は今時間の関係もおありだと思いますから一々申し上げませんが、例えばPCBの問題がわかった場合にはきちっと撤去する。一番問題になるのは変圧器でございますが、変圧器について、アメリカ側が持ち込んだり、あるいはアメリカが外国から買った場合もあるでしょうが、PCBがわかった場合にはそれは撤去するということになっておりますし、日本側が提供した変圧器の中にPCBがあった場合には、それをPCBを使っていない変圧器に切りかえるとか、そういう一連のことを、従業員の取り扱いも含めてこの間の環境分科委員会で結論を出して、日米間では特に在日米軍基地のPCBの取り扱いについては一応の原則的な考え方ができております。  その上でさらにまた問題があれば、我々あのときも発表いたしましたけれども、環境分科委員会をなるべく頻度多く活用して対応していきたいと思っております。
  77. 玉城栄一

    ○玉城委員 この条約に我が国が近いうちに入るわけですけれども、こういう国際条約、そして今申し上げた二国間の条約、日米地位協定ですね、こういう国際条約、地位協定という二つの条約が事PCBという問題で重なっているわけですね。その場合この条約を優先するのか、この地位協定を皆さん方そういうふうにやるのか、その辺をひとつはっきりしておいていただきたいんですね。
  78. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  この条約が作成に至りました歴史的な背景とかについては先ほど来御議論いただいているわけでございますけれども、この条約の作成の過程におきまして、軍隊による有害廃棄物移動等の扱いについて議論が行われたということはございません。先生御案内の、日本の場合の施設、区域の扱いというのはある意味で特殊なケースだと思うのでございますけれども。したがいまして、果たしてこの条約そのものが御指摘のような場合について適用になるのかどうかといったことについて、現段階では確定的に申し上げるということはできないわけでございます。  いずれにいたしましても、この条約の適用の有無にかかわらず、先ほど来北米局長指摘しておりますけれども、在日米軍の廃棄物の処理が環境上適正に行われるということは確保される必要がある、そういうふうに考えておる次第でございます。
  79. 玉城栄一

    ○玉城委員 この条約では、こうした汚染土の処理について文書、書面による同意、移動の許可が規定をされているわけですね。この条約によってその処理がされれば、我が国も米国との間で文書による処理がされていくのは当然だと思うのですね。文書による交換、そういうものがあるわけです。これはもう当然公になってくるわけです。
  80. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど私答弁申し上げましたのは、この条約が御指摘のような点について果たして適用されるかどうかということについて確定的に申し上げることが困難であるということでございます。したがいまして、仮定の問題ではございますけれども、もし仮にこの条約、例えば第六条などでは手続が先生御案内のとおり非常に細かく書いてございますけれども、実際問題といたしましてそういうのを米軍に対して課すということは、やはり外国軍隊でございます米軍の基本的地位になじまないものだ、私はそういうふうに考えております。
  81. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、だから、軍隊がそういう特殊な存在でありますのでなじまないと。ただ、この条約上きちっと、事PCBという問題がひっかかっているわけですから、これはこの条約にはなじまないということで処理できる問題かどうか非常に疑問に思うわけですね。  というのは、沖縄の米軍基地の嘉手納は全部撤去するのは一九九九年の七月までかかるという外務省お答えがあったわけですけれども、そういうことからしますと、この条約に加入して、我が国が入っていくわけですから、当然それまでまだ残っているわけですね。そういうことから、やはりきちっとしておかないと、このままの状態でいいのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  82. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 沖縄のPCBのことで私の申し上げたことが若干不明瞭だったかと、誤解をお与えしましたとしたら申しわけないので申し上げておきますが、嘉手納の問題になりました場所のPCB汚染の問題は、今までわかった唯一の処置のしてないケースでありますが、これについてもすべて土地を掘り終わりまして、本来ならば年内にでも全部撤去するはずだった、それが配船の都合でおくれているわけでありまして、七月ということが仮にあったとすれば、ことしの夏のタイミングのことだろうと思います。九九年の七月ということはございませんで、船が来次第、来年の春にでも持っていく。そうすれば、六回目の土を持っていけばこの問題はそれできれいになるというふうに我々は思っております。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が来ましたけれども、これは今後の問題としましても、こういうPCBというものも現にあるわけですから、あったわけですから、それが皆さんの答弁の中では「五十五ガロンのドラム缶三百六十六本分というふうに米側は言っておりますが、これが米本土に一九九九年の七月までに搬出される。」これは皆さんの答弁ですよ。  そういうことからしますと、今後もあり得る、あるいはないかもしらぬが、やはりあり得るということを想定してこの条約上はどうするということをきちっとおっしゃっておかないと、これは軍隊だからなじまないというもので済まされるかどうか、それをお伺いしておきます。では一言。
  84. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 大事な点ですので、私の承知しているところをもう一度申し上げますが、仮に私の資料の読み間違いだとしたら後ほどあれですが、私の理解しておりますのは、今もおっしゃいました三百六十六本のドラム缶というのは過去の一回から五回目までに掘り起こされた土の量でありまして、これはもう既に米本土に行っております。  残っているのは、最後に完全にやった、非常に量が多いと申し上げました四百九十六トンの土でございます。これは完全になくなるまで掘ったので量が多いわけですが、これが今船を待っているということでございます。したがって、今の三百六十六本というのは、もう向こうへ持っていったドラム缶の数と、私はそういうふうに承知しております。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に、この条約、それから二国間条約もあるわけですけれども、そういうPCBの問題について、もう少しわかりやすく後でお話をいただきたいと思います。  以上です。
  86. 麻生太郎

  87. 古堅実吉

    古堅委員 最初に、条約についての政府の解釈宣言につきましてお尋ねいたします。  政府は、条約第四条十二項について解釈宣言を行っています。そのことを問題視してお尋ねするわけです。  例えばPCB積載船舶の場合、沿岸において衝突やその他の事故によるPCBの海洋漏出が起これば、漁業はもちろん、海水浴や海洋レジャーなどに大きな影響を与えるわけで、このような有害廃棄物の領海等の通過に対して、当該国が事前の通告を求めたり、同意を要求するのは当然だと思います。それがこの条約の大事な趣旨でもあろうかと思うのですが、それについてお伺いしたい。
  88. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  解釈宣言は、これは何と申しますか、公海、経済水域あるいは領海について、特に通航の面、ナビゲーションでございますけれども、その面で確立しております一般国際法の原則というのがございまして、それを害するものではないということ、その点をいわば確認したわけでございます。  特にこの条約に基づきましては、通過に当たって通過国の事前の通告とか、そういった手続が義務づけられている面がございますので、単なる通過につきましてはそれは該当しないのだということをある意味で確認するための解釈宣言をこの点については行うことを考えているわけでございまして、イギリス、ドイツといった国が、この条約の署名に当たりまして同じような解釈宣言を行っております。それに対して、ほかの国からも特に異論等は出ておらないわけでございます。  他方、この解釈宣言につきまして、とはいうものの実際に通過する国の側からそういう通告を要求してくるといった事態の可能性も全くないとは言えないわけでございますので、そういったことが予想される国を通過する場合には、そういう必要が生じた場合には、そういった沿岸国に対しまして日本側の考え方をあらかじめ自発的に説明するといったことを行いまして、要するにその通過をめぐりまして問題が実際上起こらないように処理していく、そういうことは必要であろうかというふうに考えております。
  89. 古堅実吉

    古堅委員 例えばPCBやカドミウム、六価クロムなどを積載した船舶が、ある国の領海を勝手に通過され、もし事故が発生すればということで当該国が心配するのは当然のことです。  条約第四条十一項は、「この条約のいかなる規定も、締約国が人の健康及び環境を一層保護するためこの条約の規定に適合しかつ国際法の諸規則に従う追加的な義務を課することを妨げるものではない。」積極的にこういう姿勢さえ示しています。そういう規定に照らしても、政府の解釈宣言というのは、極めて消極的な立場からの対応をしようとするもので、問題だと思うのです。  しかも、こういう解釈宣言を明らかにする態度というのは、この条約批准の意義を薄めるものでしかないというふうにも考えます。それを撤回すべきじゃありませんか。     〔委員長退席、宮里委員長代理着席〕
  90. 野村一成

    ○野村(一)政府委員 この解釈宣言で申しておりますことは、例えば公海における通過の自由とか領海における無害通航、いずれもこれらの国際法上確立した原則を言っているわけでございまして、その内容自体何らおかしなことを言っているわけではございません。特にこの条約との関係で、特定の条項の実施上その辺をはっきりさせておく必要があるからということで念のために解釈宣言を行っているわけでございますので、これはむしろ撤回云々じゃなくて、やはりこの条約の締結に当たりましてそういう点をはっきりさせておくことが必要であろうかというふうに判断している次第でございます。
  91. 古堅実吉

    古堅委員 次に、有害廃棄物の国内処理原則と国内法との関係についてお伺いします。  条約が指定する四十五種の有害廃棄物について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律でも積極的にそれを受け入れて指定し、環境保全のための措置を一層強化することが大事だと考えますが、いかがですか。
  92. 河合正男

    ○河合説明員 お答えいたします。  このバーゼル条約上の有害廃棄物と今先生が御指摘になりました国内法、この廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定いたします特別管理廃棄物につきましてはへそれぞれの規制の趣旨また目的が違っております。その結果、この条約上の四十五品目と国内法の十品目という隔たりがあるわけでございますが、今後、必要に応じまして、所管官庁におきまして、この国内法の特別管理廃棄物についての追加指定等の措置がとられていくものと外務省としては承知しております。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  93. 古堅実吉

    古堅委員 結構なことです。ぜひそういう方向で積極的に進めてほしいと要望も申し上げておきます。  次に、PCBの最終処分の方途についてお伺いしたいと思います。  米軍基地でのPCB汚染の相次ぐ発覚あるいは東京都内の企業の中で管理されているはずのPCBが相当量どこに行ったかわけがわからなくなっておったという重大な事態が発生しています。極めてゆゆしい問題だと指摘されなければなりません。これはPCBの最終処理の方法が確立されていないことと不可分の関係があります。まさに放置の許されない重大問題です。その最終処理方法の研究開発と取り組みの現状、見通しなどについて環境庁にお伺いしたい。
  94. 宮川秀真

    ○宮川説明員 御説明申し上げます。  先生御承知のように、PCB処理施設の立地にかかわる問題につきましては、なかなか関係者の同意が得られないということで処理ができない、したがいまして長年保管されている状況でございます。こういう状況を一刻も早く解決しようということで予算要求いたしているわけでございますけれども、技術的な観点からPCBの処理に関する情報の収集とか解析を行いまして、PCB処理技術の確認、処理方法の調査検討をする予定でございます。現在も保管中のPCBの安全な処理は重要な問題であると考えておりまして、したがいまして、このような調査検討を通じましてPCBのより一層安全な処理方法が確立されることによりまして、安全なPCB処理の実現ができるよう、関係省庁と連携をいたしまして最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  95. 古堅実吉

    古堅委員 これはおっしゃるとおり重大問題ですよ。予算要求その他いろいろと努力をしているということはわかりましたが、いつごろまでにその問題についてめどをつけたいという計画もおありでしょう、お聞きしたい。
  96. 宮川秀真

    ○宮川説明員 環境庁といたしましては、できるだけ早く、より安全な処理プラントの詳細設計を行いたいと思っております。環境庁の目標といたしましては、数年でそういう処理プラントの設計を行いたいというふうに考えております。
  97. 古堅実吉

    古堅委員 時間が来ましたが、数年というのは長過ぎる、必要な予算を計上するなどして、もっと速やかにその対処策を考えていくべきだということを指摘して、終わります。
  98. 麻生太郎

  99. 和田一仁

    和田(一)委員 初めにバーゼル条約についてお尋ねしたいと思います。  このバーゼル条約がつくられた背景というのは、欧米諸国やアフリカ諸国での有害廃棄物の扱いが無原則であって、その移動に伴っていろいろな環境汚染が起こった、そういうことではいけないということがきっかけであったというふうに聞いておりますけれども、そういったきっかけがあるにもかかわらず、欧米主導のもとに締約されるこの条約に、欧米諸国やあるいはアフリカの国の加入が少ないというふうに思えるのですけれども、その理由はどうしてでしょうか。見通し等についても、わかればお答えをいただきたい、こう思います。
  100. 河合正男

    ○河合説明員 先生御指摘のとおり、この条約がつくられました背景には、ヨーロッパ等での廃棄物処理上の問題があったわけでございます。  ただいままでに締結しておりますECの国はフランスだけでございますが、EC諸国はことしの十月に環境大臣理事会におきまして、ECとしての有害廃棄物越境移動の問題の規制を合意したところでございます。この合意ができたということで、バーゼル条約にもECとして遠からず加盟するという見通してございます。したがいまして各加盟国、多くのEC加盟国もまたそれに従って加入していくものと考えております。  アメリカにつきましては、ことしの八月に、条約批准につきまして上院の承認が得られておりますが、国内実施法の方が議会でまだ成立をしておりませんので、来年以降の条約批准になるのではないかというふうに見ております。  また、アフリカでございますが、例の有名なココ事件の舞台となりましたナイジェリアは当然入っております。それから、セネガルも条約を締結しておりますほか、南アフリカも本条約に早期加盟するということで検討しているというふうに承知しております。
  101. 和田一仁

    和田(一)委員 条約の第十条「国際協力」という条文がありますけれども、これは開発途上国に対して技術上その他の国際協力を行うことを規定していると思うのですね。そして、それに関連して十四条に、そういったことをやるための「財政的な側面」が書かれておりまして、訓練及び技術移転のためのセンターが設立されるべきである、こういうことに締約国は同意する、こういう第十四条がございますけれども、これをもう少し御説明いただいて、これの見通し等についてどういう見解をお持ちかをお聞きしたいと思います。
  102. 河合正男

    ○河合説明員 本条約の主目的の一つは、開発途上国に対する有害廃棄物処理の面での協力でございます。  その一環といたしまして、世界の地域または小地域でセンターを設けまして、国際協力、特に開発途上国に対する技術移転を推進していこう、そういうセンターを設けようというふうに条約で規定されておりますが、それをどういうふうなものにするかというのは、締約国会合等で決めていこうということになっております。実は今週、締約国会合が開かれておりますが、まだこの点についての結論は出ていない、現在なお検討中、そういう状況でございます。
  103. 和田一仁

    和田(一)委員 今お答えにもありましたけれども、ウルグアイで第一回の締約国会議が開かれているというふうに聞いておりまして、この条約を見ていて、やはりこの辺が一番議題になるのではないかな、こう私は思っていたのですが、それが今のお答えでは、まだそこまでいっていないようなお話。結局これは予算を伴う、財政上の措置が裏にないとどうしてもできない話だと思うのです。そうなると、やはり締約国の中にアメリカであるとか主要先進国が入ってこないとなかなか解決しない問題だと思うのですけれども、そういう意味で先ほどもちょっと、締約国の中に欧米がおくれているのではないか、こういう感じがしたのですが、この見通し等は、こういうことは非常に大事だと思うのですが、そういったときに日本の財政的なバックアップ体制というのはもう考えてあるのでしょうか。
  104. 河合正男

    ○河合説明員 先進諸国の加盟状況また加入の見通しにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、確かにこの途上国への有害廃棄物処理の分野の技術協力というものは今後ますます重要になっていくと思います。  この条約の第十条におきまして各方面からの協力が規定されておるわけでございますが、この条約に我が国が加入いたしましたら、第十条に基づきまして、できるだけの対途上国協力を図ってまいりたい、このように考えております。
  105. 和田一仁

    和田(一)委員 大臣、こちらに向かっておられるようですけれども、政務次官がいらっしゃいますので、ちょっと一般的なことについてお尋ねしたいと思います。  カンボジアのUNTAC、PKO問題についてお尋ねしたいと思うのですが、二、三日前の新聞にUNTAC要員がポル・ポト派に身柄を拘束されたという記事が出ておりまして、その後、何か人質のようにして条件が明示されて、そうでないと釈放しないぞというような形になってきている、こういう記事がございました。これは安保理事会でいろいろな決議をしました。その中には経済制裁が含まれております。ポル・ポト派が和平プロセスに協力してないということが今カンボジアにおけるUNTACの一番大きな根っこにある障害ではないかと思うのですけれども、そういうことに対応して国連の安保理事会が決議をした。そういう厳しい姿勢に対してポル・ポト派が対抗的にこういうことをやったかなという思いもありますし、あるいはポル・ポト派内部の統制がきかなくなっているという見方もできるでしょうし、いずれにしても、これはちょっと見逃せないことだと思います。  特に、こういった事態が局地的、限られたところだけで、もうほかは起きないという保証はないと思うのですね。そういうことを踏まえまして、今派遣されている日本の民間警察あるいは監視員あるいは自衛隊の部隊、こういうところへの影響を私は憂慮するのですが、この点についての政府としての情報収集と御見解をお伺いしたいと思います。
  106. 柿澤弘治

    柿澤政府委員 大臣が戻られましたけれども、和田先生から御指名がありましたので、お答えをさせていただきます。  先般のポル・ポト派がUNTAC要員六名を拘束しましたことにつきましては、私どもも大変懸念を持ちまして、いろいろと情報も集めました。  当初は直ちに解放される状況でなかったので、今和田先生がおっしゃったように、国連決議に対するポル・ポト派としての全体としての意思表示かという懸念も持ちましたが、その後新聞報道にもございますように、UNTAC本部とポル・ポト派の本部との折衝の中で六名の身柄を解放するようにという指示が出されたところでございます。そういう意味では、やはり本部による組織的な拘束ということではなかったのではないかと考えておりますが、まだ身柄が解放されておりませんので、今後とも注目をして見守っていきたいと思っております。  また、和田先生御指摘の我が国のUNTAC要員に対するそうした事故の発生の可能性につきましては、そういうことはあってはならないと思っておりますが、状況状況だけに今後とも慎重にそれぞれ予防措置を講ずるなり、適切な対応をとっていきたいと考えております。
  107. 和田一仁

    和田(一)委員 大臣がお見えになりましたので、少し関連してお尋ねしていきたいと思います。  けさ閣議で、恐らくPKOの実施計画についての改正を決定されたのではないかと思います。別の委員会ですけれども私伺ったときに、四日に決める、こういうお話がございましたので、多分けさの閣議でその点は決まったと思うのですが、当初計画した計画を改めなければならなかった理由と内容をぜひお聞かせいただきたいと思うのですね。  まあ初めてのことですから、万全の調査の上、計画は立てられたと思うのですけれども、やはり行ってみると実態は違う、これはもう当然なことだと思います。したがって、その実態に合わせるように、協力の実が上がるように、そういう意味での改正は当然あってしかるべきだと私は思いますが、いずれにしても、まだ国会には報告がございませんので、その点についてのきょうの決定内容等についてお聞かせをいただきたい、こう思います。
  108. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 事実関係のことで事務当局が詳しいので、事務当局から答えさせます。
  109. 萩次郎

    ○萩政府委員 今先生からお話しありましたように、本日の閣議におきましてカンボジアのPKO活動に関します実施計画の変更を決定していただきました。  その内容は、自衛隊の行います業務に輸送、保管それから浄水、これを追加することとなったわけであります。  理由といたしましては、現在のところ三点ほど国連から要請がございます。一つは、航空自衛隊の定期便が週に一回日本とカンボジアの間を飛んでおりますが、帰りの空便でプノンペンからタイのウタパオへ出るときに必要があれば人と物をカンボジアからタイのウタパオまで運んでもらえないか、こういう非公式な要請が来ておりました。それからもう一つはフィリピンから、やはりフィリピンがUNTACに部隊を出しております。その車両用のタイヤ、これをその定期便がマニラで給油した折についでに運んでもらえないか。それから三点目といたしまして、現在自衛隊の施設部隊が井戸を掘っておりますが、周辺の選挙監視部門、これらが大変水に苦労している。したがって、水が余った場合にはその選挙監視部門に給水をしてもらえないか。それから、その際ついでにUNTACからの石油、ガソリンでございますが、これを運んでもらえないか。この三点の要請がありまして、検討いたしました結果、実施計画の変更により対応すべきであるということになりまして、今般実施計画の変更を行ったものでございます。  なお、先生御指摘のようにこの変更につきましては、閣議決定後、直ちに国会の方に御報告をさせていただく予定となっております。
  110. 和田一仁

    和田(一)委員 今お聞きしますと、具体的に要請のあった事項はすべてクリアできるような体制、こういうふうに理解いたしました。あるいはまた、新しい要請等が出てくるかなという感じがいたします。計画と実施で実態にやはりなかなか沿いかねるというところも随分あると思うのですね。例えば、派遣要員の手当などの問題についてもランクづけがありますね。ランクづけは頭の中で考えて、国境周辺は厳しいからといって高いランクを設定していると思うのですが、同じ国境でもベトナムとの国境とタイ側との国境の危険度は随分違う、そういうような実態をやはりこれからもう少しきちっとして対応してもらいたいな、こんなふうにも、これは別のことですけれども思います。  きょうは大臣せっかくお見えなのでいろいろお聞きしたいと思いましたが、もう時間がありませんので、一つだけソマリア問題。  今世界じゅうがソマリアの内戦と飢餓を何とかしなければいけない、これはもう人類共通の大変な願いではないかと思います。三十万人以上が死に、二百万人以上が飢餓線上に漂っている。この救済を何としてもやらなければいけないというのが先般の国連の会議での決議であったと私は思います。そういう中で一体我が国がとれる態度、どれだけのことをとろうとしているのか、これは資金面での援助だけではなしに人的な貢献も考えなければいけないというような思いが強いのですけれども、政府としてこのソマリア問題に一体どれだけのことを対応していこうとなさっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  111. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 ソマリアの現在の内戦状態の中で、我が国に対する協力要請がありますが、これは現在のPKO法の中ではなかなか対処できない、そう思っております。しかし、何かできることはやらなければならぬと思っております。
  112. 和田一仁

    和田(一)委員 そのできることをどの辺までお考えになっているかをきょうは伺いたいのです。できることはやるのは当たり前ですが、やらなければいけないという思いがあるのかどうか。やらなければいけないという思いがあるが、こういう点が障害になっている、したがって、そういうものは何としてもクリアしたいのだという思いまでお持ちかどうか。  国民合意を形成してPKOというものがせっかくここまで来ましたけれども、今のPKO法ではできない。が、しかしこれからこういったケースがだんだん出てくるかもしれない。まして、九月二十二日に大臣は国連の総会でP5入りも考えているという演説をなさいました。これは、常任理事国の中に日本が入りたいという意思があるからには、国際協力を積極的にやるという姿勢がバックになくて、どうしてこんなことが言えるのですか。言えるだけでない、どこの国も相手にしませんよ。  したがって私は、こういう世界の人たちが悩んでいる人道上の問題について、日本はもう少し積極的な姿勢があってしかるべきだ。こういう弊害があるというならば、その弊害をみんなで一緒に考えましょうというぐらいのお気持ちをちょっとでもお示しいただければありがたい、こう思います。
  113. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 私も、気分的には先生と全く同じなのです、実際は。しかし現実の問題として、法律上なかなか難しい問題がございますので、やはり法の整備もしなきゃならないし、憲法の解釈の問題もいろいろあるでしょう。しかし、それには少なくとも国民の大勢の人の御支持が得られるようなことにならなきゃなりません。確かに、常任理事国になろうとして、どこかの国のリーダーが言ったが、あれもやらぬ、これもやらぬ、そして常任理事国にしろと、お金だけでは難しいねと言われていることも事実です。したがって、それらも含めまして、今後できるだけのことはやれるように、国民に理解と協力を求めることをやってまいりたいと思っております。
  114. 和田一仁

    和田(一)委員 また時間をいただいて機会があったらお尋ねすることにして、時間が過ぎてしまいましたので終わります。ありがとうございました。
  115. 麻生太郎

    麻生委員長 川島實君。
  116. 川島實

    ○川島委員 限られた時間でございますので、三点にわたりまして大臣だけに御質問をさせていただきたいと思います。  まず一つは、昨年も私はスペインに行ってまいりまして、大使館の施設が、今日海外へ一千万人以上も日本の国民の皆さんが出かけていくわけでございますが、出先の建物等が非常に悪い。ことしもアジア諸国を回ってまいりまして、クアラルンプールの公邸等も、庭がお隣のマンションから丸見えになってしまって建物も非常に悪くなっている、そういう状況があっちこっちで生まれておりますので、そういう出先機関の見直しといいますか、建物の改築計画、全体で幾らかかって年度は何年でこれらをきちっと国民の期待にこたえるように直すことができる、こういう計画をひとつ行っていただきたい、このことが一つです。  二つ目は、外務省の本省にお勤めになります職員の方々が、例えば通産だとか環境だとか厚生だとか、そういう人たちは半年なりの研修を受けながら自分の持ち場の職務については海外の事情も見ておるようでございますけれども、本省の全体の人にわたって、一部の人たちはそういう研修を受けているようでございますが、皆自分の職務の範囲内の、例えばアジアならアジアの職務の範囲内の研修をぜひひとつ実態を見ていただくような形の中でないと、我々がいろいろな形で議論をしていましても、職員の方はそういうアジアの事情を知らない、その国の事情を知らないということで話がかみ合いませんので、その辺のところをひとつ研修の問題について配慮をいただきたい。これが二つ。  それから三つ目は、先ほどカンボジア問題も出たわけでございますが、ポル・ポト派の関係については和平がなかなか進んでないような状況でございます。我が国がそういう平和の問題について、国連中心主義を唱えているわけでございますから、お力添えをいただいて、アジア諸国からこのことについては非常に感謝をされている状況でございますので、ここはひとつ日本が積極的にポル・ポト派の、国連決議等もございましてよそを向いているようでございますが、会談を申し入れながら仲介役を果たしていただく、このことについてのお気持ちをお伺いをして終わりたいと思います。
  117. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 在外大使館あるいは大使公邸等の建物や敷地が狭降であったり老朽化したり、これを長期計画を立てて見直せ、全く御趣旨そのとおりでございまして、予算の許す限りぜひとも直してまいりたい、改修、改築、新築をしてまいりたいと思います。  それからその次は、本省職員の赴任前の研修の件でございますが、これはやることはやっているんですが、まだ徹底してない点もたくさんございますので、これも極力御主張に沿うように努力してまいりたいと存じます。  カンボジアでのUNTACとポル・ポト派の紛争の問題がございまして、極力ポル・ポト派に総選挙に参加してもらうように、今後UNTACともよく相談をしながら粘り強く日本としても努力をしてまいりたいと考えます。
  118. 川島實

    ○川島委員 終わります。ありがとうございました。
  119. 麻生太郎

    麻生委員長 玉城栄一君。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどバーゼル条約について質疑をさせていただきましたけれども、一点ちょっと問題に思いますのは、米軍基地にPCBというのがありまして、この条約にもPCBについての規定があるわけです。従来いわゆる日米地位協定に基づいて取り扱っていた、ところがこの条約はそれにかかわりないような御答弁があったわけですね。ですが、これは非常に問題のPCBですから、これがまだ沖縄にあるということは、この条約に間もなく入るわけですが、入った後にはこの条約に基づいてその処理をきちっとしてもらいたいと思うわけです。  地位協定よりむしろ優先してこの条約、この条約は人の健康とか環境を損なうものであってはならないということでありますから、そういう趣旨の条約ですから、アメリカも間もなく入ると思います。そういうことからしますと当然この条約に入って、条約によって沖縄の、これは沖縄には限りません、岩国にもありますけれども、それを優先してすべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いしておきます。
  121. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 条約の解釈問題なのですが、沖縄に適用になるかどうかはまだよくわかりません。わかりませんが、しかしバーゼル条約に関係なく、日米安保条約の中でこれは処理していかなければならない。したがって今後とも、汚染土を米国に持ち帰るとかそういうようなことをやっておりますが、いずれにせよ迷惑のかからないように処理をしてまいりたいと考えております。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうためにこういう条約を制定し加入しようというわけですから、こういうPCBとかいうようなものについてもぜひちゃんと処置をしていただきたい、そういうことを強く要望しておきます。  以上です。
  123. 麻生太郎

  124. 古堅実吉

    古堅委員 横須賀基地のPCB汚染問題について、大臣にお尋ねします。  私は、この委員会で、米軍基地のPCB汚染問題について何回も取り上げてまいりました。今度は、横須賀基地の土壌がPCBで汚染され、米軍がそれを放置しているという、日本の法律と行政指針にも明確に違反した状況があるという問題についてお尋ねしたいと思うのです。  アメリカのUSニューズ・アンド・ワールド・リポート誌十一月三十日号でございますが、その報道によりますと、アメリカの会計検査院の一九九一年報告として、「横須賀基地では海岸の埋め立てのために掘り出された土壌が、あまりにもPCBと重金属に汚染されていたので埋立地に投棄することが法律的にできなかった。このプロジェクトはキャンセルされ、汚染土壌は元の穴に埋め戻された。」ということを明らかにしたと伝えておるのであります。  それが事実であれば極めて重大な問題です。大臣はそのことを御承知であられるかどうかお聞きしたい。
  125. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 事実関係でございますので、私の方から先にお答えをさせていただきます。USニューズ・アンド・ワールド・リポートに出ました記事については、もちろん我々も承知しております。そこで、早速アメリカ側に今照会をいたしております。ここの大使館だけでなくアメリカ側の現地でも、ワシントンでも聞く必要があると思いましたものですから、両方で今照会をしておりまして、その結果を待っているところでございます。
  126. 古堅実吉

    古堅委員 そのPCBや重金属汚染が事実であれば、一つには横須賀米軍基地が戦後一貫して米軍支配下にあったということに照らし、その汚染源が米軍自体であるということが考えられることが問題。もう一つは、PCBや重金属に汚染された土壌をまたもとの穴に埋め戻したというのでありますから、日本の法律に照らし明確な違反行為があったということが指摘できます。  廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令では、埋立処分について、「PCBを一定基準を越えて含むものは、遮断埋め立て処分の方法によるもの」と定めています。また、環境庁の「国有地に係る土壌汚染対策指針」でも、「コンクリートをもちいた遮断層に封じ込める等環境から遮断する」というふうになっています。極めて厳しい措置が求められています。  大臣、それが米軍において隠された事実であるとすれば、事は極めて重大問題であります。かつ、速やかに日米間で必要な対策をとるということについても手を打たなければなりません。そのためにも、直ちに米軍側に照会する、そして必要な手を打っていく、そういうことが政府の態度として厳しく求められています。事務当局からではなしに、大臣の御意思をここで表明していただきたい。大臣からもお答えください。
  127. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 大臣お答えの前に、先ほどの御指摘の点で一、二、ございます。  あくまで我々、これはまだ報道で承知した限りの点でございます。  それから、横須賀における汚染はすべて米軍のものであるという想定がおありのようでございましたけれども、私、何もこの問題でアメリカの立場を守るつもりはございませんが、昨年、御承知のレイ報告で、あの中で横須賀基地の汚染の問題が一つ出てまいりました。そのとき調べまして、結局旧日本軍のアセトンであったというようなこともわかっております。  そういうことですから、あくまでこの問題は、事実関係を照会した上で、その上で対応したいと考えているところでございます。
  128. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 今の答弁で尽きておるのですが、やはり事実がそのような報道のとおりであれば放置できない問題でございますから、まず事実関係を確認した上で対処してまいりたいと思います。
  129. 古堅実吉

    古堅委員 終わります。
  130. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  131. 麻生太郎

    麻生委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 麻生太郎

    麻生委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 麻生太郎

    麻生委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  134. 麻生太郎

    麻生委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、「有害廃棄物国境を越える移動及びその処分規制に関するバーゼル条約」に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件に関しましては、理事会におきまして各党間の協議が調い、案文がまとまっております。  便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。     「有害廃棄物国境を越える移動及びその処分規制に関するバーゼル条約」に関する件(案)   目下、国際社会において、地球的規模の環境保全の重要性が強く指摘され、このための国際協力推進の必要性が痛感されている情況にかんがみ、バーゼル条約への加入に当たり、政府は、左記事項について特段の努力を払うべきである。       記  一 地球環境保全に向けての国際協力に積極的に参加し、関連する諸問題の解決に最大限の貢献をするよう努めること。  ニ バーゼル条約の厳正な履行に万全を期すこと。特に、有害廃棄物は出来る限り発生国において処理すべしとする本条約の趣旨に十分沿うよう、国内体制の整備、運用に努めること。  三 本条約の趣旨を体し、我が国として国境を越える移動及び処分規制を要する有害廃棄物につき常時検討を行い、必要に応じ規制のための指定拡大等所要の措置の整備に取り組むこと。  四 本条約の履行に当たっては、開発途上国に対する廃棄物に関する技術移転、技術協力の推進に格段の努力をすること。   右決議する。 以上であります。  お諮りいたします。  ただいま読み上げました案文を本委員会決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  135. 麻生太郎

    麻生委員長 起立総員。よって、本件は本委員会決議とするに決しました。  この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣渡辺美智雄君。
  136. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 ただいま有害廃棄物国境を越える移動及びその処分規制に関するバーゼル条約締結につき、本委員会の御承認をいただきましたことにつき、御礼を申し上げます。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分尊重しつつ、この条約を誠実に履行することにより、有害廃棄物国境を越える移動及び処分規制についての国際協力を一層推進してまいる所存であります。
  137. 麻生太郎

    麻生委員長 お諮りいたします。  本決議の議長に対する報告及び参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 麻生太郎

    麻生委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会