運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1992-12-08 第125回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成四年十月三十日)(金曜日) (午前零時現在)における本委員は、次のとおり である。   委員長 久間 章生君    理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君    理事 坂本 剛二君 理事 武部  勤君    理事 村田 吉隆君 理事 緒方 克陽君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       木部 佳昭君    二階 俊博君       橋本龍太郎君    平泉  渉君       古屋 圭司君    星野 行男君       細田 博之君    増子 輝彦君       宮崎 茂一君    赤松 広隆君       小林 恒人君    左近 正男君       関山 信之君    常松 裕志君       細川 律夫君    浅井 美幸君       草川 昭三君    佐藤 祐弘君       高木 義明君 ――――――――――――――――――――― 平成四年十二月八日(火曜日)     午前九時五十三分開議 出席委員   委員長 久間 章生君    理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君    理事 坂本 剛二君 理事 武部  勤君    理事 村田 吉隆君 理事 緒方 克陽君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       木部 佳昭君    二階 俊博君       橋本龍太郎君    平泉  渉君       古屋 圭司君    星野 行男君       細田 博之君    増子 輝彦君       宮崎 茂一君    赤松 広隆君       小林 恒人君    左近 正男君       関山 信之君    常松 裕志君       細川 律夫君    浅井 美幸君       草川 昭三君    佐藤 祐弘君       高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         運輸大臣官房長 豊田  実君         運輸省運輸政策         局長      大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局次長内閣審         議官      和田 義文君         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         運輸省自動車交         通局長     土坂 泰敏君         運輸省海上交通         局長      浅見 喜紀君         運輸省海上技術         安全局長    戸田 邦司君         運輸省航空局長 松尾 道彦君         海上保安庁次長 後出  豊君  委員外出席者         建設省建設経済         局宅地開発課民         間宅地指導室長 榊  正剛君         建設省道路局有         料道路課長   佐藤 信彦君         建設省住宅局建         築指導課長   羽生 洋治君         自治省行政局行         政課長     蓼沼 朗寿君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       大竹 邦実君         運輸委員会調査         室長      長岡日出雄君 ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     越智 通雄君   古屋 圭司君     森  喜朗君   高木 義明君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     衛藤 晟一君   森  喜朗君     古屋 圭司君   神田  厚君     高木 義明君 ――――――――――――― 十月三十日  海上保安庁留置施設に関する法律案内閣提  出、第百二十回国会閣法第八九号) 十一月二十四日  新潟・ハルビン間の定期航空路開設に関する請  願(岩村卯一郎紹介)(第一三三号) 同月二十五日  測候所地域気象センターとして拡充強化  に関する請願有川清次紹介)(第三九八号  )  同(小川信紹介)(第三九九号)  同(新盛辰雄紹介)(第四〇〇号)  同(松浦利尚君紹介)(第四〇一号) 同月二十七日  測候所地域気象センターとして拡充強化  に関する請願徳田虎雄紹介)(第四三九号  )  同(村山富市紹介)(第四四〇号)  同(北川昌典紹介)(第五一三号)  同(緒方克陽紹介)(第六一二号)  北陸新幹線整備促進に関する請願串原義直  君紹介)(第六一〇号)  同(清水勇紹介)(第六一一号) 同月三十日  測候所地域気象センターとして拡充強化  に関する請願吉井光照紹介)(第六九九号  )  同(岩田順介紹介)(第八〇一号)  同(倉田栄喜紹介)(第八〇二号)  同(阿部未喜男君紹介)(第八六六号)  同(田口健二紹介)(第八六七号)  北陸新幹線整備促進に関する請願北沢清功  君紹介)(第八〇三号)  同(堀込征雄紹介)(第八九九号) 十二月一日  公共交通機関鉄道・駅舎・バス等アクセス  に対しバリアフリーの完全実施に関する請願  (吹田愰君紹介)(第九八六号)  北陸新幹線整備促進に関する請願井出正一  君紹介)(第九八七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第九八八号)  同(小坂憲次紹介)(第九八九号)  同(田中秀征紹介)(第九九〇号)  同(中島衛紹介)(第九九一号)  同(村井仁紹介)(第九九二号)  測候所地域気象センターとして拡充強化  に関する請願田中昭一紹介)(第一一一八  号)  同(川崎寛治紹介)(第一一九五号)  同(東順治紹介)(第一一九六号)  同(川崎寛治紹介)(第一三七三号) 同月二日  測候所地域気象センターとして拡充強化  に関する請願小沢和秋紹介)(第一七三三  号)  北陸新幹線整備促進に関する請願木島日出  夫君紹介)(第一七五九号) は本委員会に付託された。 ――――――――――――― 十二月二日  鉄道網整備促進に関する陳情書外一件  (第一三七号)  日豊本線高速化複線化促進及び日豊本線  の整備についての鉄道整備基金の適用に関する  陳情書外二件  (第一三八号)  奥羽本線完全複線化促進に関する陳情書  (第一三九号)  リニア鉄道常磐ルート導入に関する陳情書  (第一四〇号)  第三セクター鉄道会社等への国の支援強化に関  する陳情書  (第一四一号)  新幹線鉄道建設促進等に関する陳情書  (第一四二号)  北海道新幹線建設促進に関する陳情書  (第一四三号)  東北新幹線盛岡・青森間の早期完成に関する陳  情書  (第一四四号)  奥羽本線新幹線化促進に関する陳情書  (第一四五号)  北陸新幹線整備促進に関する陳情書  (第一四六号)  四国への新幹線鉄道導入に関する陳情書外三  件  (第一四七号)  九州新幹線建設促進に関する陳情書外三件  (第一四八号)  JRへの採用差別事件等早期解決に関する陳  情書外八件  (第一四九  号)  地方バス路線運行維持対策強化に関する陳情  書(第  一五〇号)  港湾整備及び港湾海岸事業の推進に関する陳情  書外三件  (第一五一  号)  関西国際空港へのアクセス整備に関する陳情  書外三件  (第一五二号)  関西新空港飛行ルート変更反対に関する陳情書  (第一五三号)  地方空港におけるCIQ機能強化充実に関す  る陳情書  (第一五四号)  中部新国際空港等建設促進に関する陳情書  (第  一五五号)  離島航空路等に対する財政援助促進に関する  陳情書外二件  (第一五六号)  海底地震常時観測システム三陸沖への設置に  関する陳情書(第  一五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件      ――――◇―――――
  2. 久間章生

    久間委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久間章生

    久間委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  4. 久間章生

    久間委員長 この際、先刻の理事会の協議に基づき、委員長から、一言申し上げます。  日本国有鉄道改革法附則第四項に基づく「日本国有鉄道改革に関する施策の実施状況に関する報告」は、本年十月における平成三年度分の報告をもって終了いたしましたが、今後の長期債務償還問題等国民的関心も高く、その改革も途上であることにかんがみ、国会に対する報告義務終了後も、日本国有鉄道清算事業団による改革実施状況を当分の間、当委員会報告するよう政府に要望いたします。  以上でございます。  この際、奥田運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許します。奥田運輸大臣
  5. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいまの委員長の御発言に対しましては、その御趣旨に沿って御報告してまいるようにいたします。      ————◇—————
  6. 久間章生

    久間委員長 陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細川律夫君。
  7. 細川律夫

    細川委員 おはようございます。  それでは、私の方から質問をさせていただきたいと思います。  第百二十三通常国会、この国会でも佐川急便問題が大変大きな問題となりましたし、その後も、国会閉会中も佐川急便問題は大変大きな問題として国民皆さんの中で関心の的でございました。特に運輸委員会は、運輸業者であります佐川急便など、運輸政策などについて審査をする委員会といたしまして、当運輸委員会が一体どういうような審査をするのか、このことについても国民皆さん大変関心を持たれ、注目をしているであろうと思うところであります。  しかし、前国会におきまして、その終わりに当委員会でも閉会中の審査をするという決議をしながら、この委員会は一切閉会審査が行われることがなかったのでありますし、また、この臨時国会が開かれましても、当委員会が初めて開かれたのが会期の最終日のきょうなのであります。  私は、そういう意味では国民皆さんのこの運輸委員会にかける期待に沿った委員会運営をされていないということで大変残念に思うところであります。特に当委員会国民の間で注目をされておりますがゆえに、当委員会でもしこれの運営などについて、国民皆さんからいろいろな疑念の目で見られるようなことがあっては、国民の負託に十分こたえているというふうに言えないであろうと思います。  ところが、大変残念なことではありますけれども、当委員会のまさにかなめであります委員長の問題につきまして、マスコミ等で大きな報道などがされているところでございます。先月の十一月十九日でありますけれども、これは新聞の朝刊十段抜きで「久間衆院運輸委員長融資一億円受ける」と、大変大きな報道がなされているわけでございます。  したがって、私は、こういう報道がなされますと、国民皆さんからは、当委員会が果たして公正な運営をされているのかどうだろうかというような疑念を持たれるというふうに思いますので、まず私は最初に、委員長が一億円の融資佐川系列企業から、企業定期預金担保融資の一億円を受けたのかどうなのか、この事実についてまず委員長にお聞きをしたいと思います。
  8. 久間章生

    久間委員長 プライベートな話について当委員会質疑するかどうかについては、また後刻理事会で諮りたいと思います。
  9. 細川律夫

    細川委員 これは単にプライベートな問題ではなくて、新聞等では大変大きな報道なのです。しかも、個人としての報道ではなくて、久間衆議院運輸委員長定期預金担保に一億円を借りた、これがその社会面の十段抜きトップ記事なのです。  そうしますと、一体どうしてこういうふうな記事になるかというと、運輸委員会委員長であるがゆえにこういうような報道になるわけなのですね。だから、そういう面についてはまた事実関係をはっきりしていただきたい。
  10. 久間章生

    久間委員長 わかりました。  委員長としては、委員長在職中に受けたこともなければ、そういうことの事実はございません。
  11. 細川律夫

    細川委員 それでは、委員長になる前にこういう融資を受けましたか。
  12. 久間章生

    久間委員長 過去の話につきましては、プライベートなことなので、当委員会理事会等においてまた後刻相談したいと思います。
  13. 細川律夫

    細川委員 プライベートな問題ではなくて、これは委員長として、私が申し上げているのは、当委員会で今この運営をされている委員長疑念を持たれたら、国民皆さんから疑念を持たれていることについてはきちんとそれを話すこともまたこれは委員長のためでもあろうと思うのですよ。だから、そういう意味で私はこの点についてぜひお聞きをしたい、このように言っているわけであります。
  14. 久間章生

    久間委員長 委員長としては、委員長の職の答弁しかできませんので、その辺については御理解賜りたいと思います。
  15. 細川律夫

    細川委員 納得できませんね、それでは。  これは大変大事なことなのですよ。これは十一月の十九日に、ほんの最近なのですよ、これほど大きく報道されているでしょう。それからことしの四月の一日、これも十段抜きなのですよ。これでも報道されている。それで、その前には二月の十八日、こんなに大きく報道されているわけですよ。それを、委員長のとき以外、それ以前はプライベートなことだからそれは説明できないといっても、それじゃ国民皆さんは納得しないと思いますよ、そんなことでは。答えてくださいよ、これは。
  16. 久間章生

    久間委員長 先ほどから何回も申しておりますとおり、当委員会としては委員長の職としての答弁しかできないわけでございますので、個人的な問題については、先ほどから何回も言いますように、後刻理事会等において御協議したいと思います。
  17. 細川律夫

    細川委員 国会法だとかあるいは議院規則だとか、そういうふうになっておりますか。それはなっていないじゃないですか。この間の衆議院委員会でも、予算委員会でも、委員長答えておったでしょう、ちゃんと。
  18. 久間章生

    久間委員長 当委員会は、今政府に対する質疑を行っているわけでございまして政府に対する質疑を今、一般質疑を行っているわけでございまして、委員長としては現在の職責範囲でしか答弁できないことについては御理解賜りたいと思います。
  19. 細川律夫

    細川委員 いやいや、これはだってこれから当委員会運営していく上において、委員長が公平な運営をされるかどうかということで、国民疑惑があるんだということで私は質問しているんですから、それが前提なんですよ、それが。委員長答えてくださいよ、そんな難しい問題でもないじゃないですか。それが前提ですから、ちょっと質問できないですね、そういうことでは。これは委員長委員長……
  20. 久間章生

    久間委員長 当委員会運営につきましては、円満、公正にやっていくつもりでございます。
  21. 細川律夫

    細川委員 それは、これに対してきちんと答えてくれて初めてそれが言えるんですよ、委員長、こういう疑惑に対して。大変な疑惑ですよ、これは、こういう大きなことで載せられて。だから僕は委員長の名誉のためにもここできちんと事実関係をはっきりさせた方がいいと思いますよ、これは。
  22. 久間章生

    久間委員長 私自身も個人的な見解を述べさせてもらいたいと思いますけれども、説明したいと思いますけれども、当委員会におきましては政府に対する質疑を今行っておりまして委員長としての発言しかこの席ではできませんので、御理解賜りたいと思います。(発言する者あり)
  23. 細川律夫

    細川委員 いやいや、前提ですよ、それは。非常に大事なことですよ。(発言する者あり)
  24. 久間章生

    久間委員長 どうぞ続けてください。先ほど理事会でもその話は出たところでございます。
  25. 細川律夫

    細川委員 この問題については国民皆さんが知りたいんですよ。我々も知りたいと思いますよ、同僚の議員だってみんな知りたいと思いますよ。こういう、特に佐川急便が巷間問題になっておるわけですから、その当委員会での委員長なんですから、その委員長にこういうことで疑惑が持たれた場合、それをまず最初にどうなのかということを確かめるのは、これは委員としても当然だろうと思いますし、事実でないならば、委員長の名誉のためにも、私の方から質問をして、そうでないということを言っていただければいいと思うのですよ。これが公平だと思いますよ。(発言する者あり)いや、だめですよ。それはだめですよ。(発言する者あり)
  26. 久間章生

    久間委員長 先ほどからも答弁しておりますように、委員長職責として答え得る範囲でしか答えられないのでございますので、その辺……。  速記をとめてください。     〔速記中止
  27. 久間章生

    久間委員長 速記を起こしてください。細川律夫君。——どうぞ。     〔委員長退席村田(吉)委員長代理着席
  28. 村田吉隆

    村田(吉)委員長代理 それでは、質疑を続行してください。細川律夫君。
  29. 細川律夫

    細川委員 それでは、質問を留保いたしまして、次に進めさせていただきます。  佐川急便問題で、いわゆる佐川急便グループ違法行為がいろいろとこれまでにも指摘をされてまいりました。私は、この佐川急便グループ都市計画法違反についてお聞きをいたしたいと思います。  土浦佐川急便の問題についてお聞きをしたいと思いますけれども、その前に、一般的なことについてお聞きをいたします。  都市計画法二十九条の、いわゆる市街化調整区域での開発許可を受けなければならない開発について、その手続がどういうふうになされていくのか、説明を願いたいと思います。建設省
  30. 榊正剛

    榊説明員 お答え申し上げます。  市街化調整区域におきまして開発行為を行おうとする者は、開発許可が不要な場合を除きまして、開発区域位置、規模及び開発区域内において予定されている建築物用途等を記載した申請書に、開発区域位置図等の図書を添付して、都道府県知事に対し開発許可申請することとされております。
  31. 細川律夫

    細川委員 その開発許可を受けた者あるいは法人が開発をするのであれば問題はないと思いますけれども、それを第三者がかわって開発をしていったらどうなるでしょうか。全くダミーで使うような形ですけれども。
  32. 榊正剛

    榊説明員 開発を行おうとする者が、開発許可を受けた者の相続人など一般承継人である場合には、都市計画法四十四条によりまして開発許可に基づく地位を承継することになっております。  それから、開発行為を行おうとする者が、開発許可を受けた者から開発行為に関する工事を施行する権原を取得した場合には、都市計画法の第四十五条に基づきまして知事承認を受けまして、開発許可に基づく地位を承継することになります。  法四十五条の承認を受けないで承継した場合には、開発を行った者は無許可開発したということになりますために、法四十五条の承認を改めて申請をさせるか、開発許可を新たに取るかという  ことに相なろうかというふうに思っております。
  33. 細川律夫

    細川委員 そのことを前提にしながらお聞きしますけれども、土浦佐川急便都市計画法違反を行った、その違法行為についての経緯について運輸省の方から説明してください。
  34. 土坂泰敏

    土坂政府委員 昭和五十三年の九月に岡本工業が工場、倉庫として開発許可を得た建物があったわけでございますが、その建物昭和五十八年の一月に土浦佐川急便が借り受けまして、営業所、車庫として使うということにつきまして、貨物自動車運送事業法認可を受けたわけでございます。これは調整区域内でございまして、区域トラック事業者ターミナルをつくることについては、都市計画法上の先ほど手続が必要でございます。それを取っておりませんので、都市計画法  のに違反になるということでございます。  ただ、この点につきましては、国会でことしの三月、ターミナルの問題についていろいろ御指摘があった際に御議論がありまして、調査をいたしました結果、移転を指導いたしまして平成四年九月には移転認可をして、現在は鹿島町の別のところに土浦佐川急便移転をした、こういう経緯がございます。
  35. 細川律夫

    細川委員 この土浦佐川急便が使っておりました建物なんですけれども、これはそもそも、開発許可を受けたのは岡本工業という会社でございます。建物については岡本工業株式会社がこれまた建築確認申請を出しておるわけなのですけれども、でき上がった建物東京佐川急便保存登記がなされているわけなのです。これはどうなのですか。都市計画法上、こういうことは許されるのですか、それとも許されないのですか。
  36. 榊正剛

    榊説明員 都市計画法上は所有権の存在がどこにあるかということを問うておりませんので、だれが利用するかということが一つのメルクマールになるものというふうに考えております。
  37. 細川律夫

    細川委員 この開発許可を受けたのは岡本工業という会社であり、そして建物を建てる申請岡本工業という会社申請をした。そういう手続を経ながら、できた建物東京佐川急便保存登記がなされている、東京佐川急便のものになっているというのはおかしいじゃないですか。こういうことが許されるのですか。所有権がどこにあるかというのは別問題ですよ。こういうことが許されるかどうかということです。
  38. 羽生洋治

    羽生説明員 建築確認の方からお答えを申し上げます。  先生御指摘のように、五十七年の六月二十五日に岡本工業に対しまして茨城県の建築主事建築確認を行っております。その後、五十七年の八月二十日に、その建物がそのとおり物理的に基準法に合致してできているかどうかということを検査して、その検査済み証を交付いたしております。  建築確認というのは、建築計画建築基準法等の規定に適合しているかどうかということを審査しまた検査するものでございまして、その土地の所有関係についてとか、その後、建物保存登記が五十七年十二月になされたようでございますが、その間の建築確認は適正に行われているというふうに考えております。
  39. 細川律夫

    細川委員 最後、もう一回言ってください。何が適正に行われたのですか。
  40. 羽生洋治

    羽生説明員 建築確認申請に基づきまして建築確認をおろしまして、それに基づきまして建物検査を五十七年八月に行いまして、その検査済み証を交付しているという行為でございます。
  41. 細川律夫

    細川委員 それがなぜ東京佐川急便のものになっているのか。岡本工業建物として所有権保存登記がなされて、そして東京佐川急便に移っているというんだったらこれはわかりますよ。しかし、最初から東京佐川が建てたということになっているのですよ。こういうことが許されるのかと聞いているのです。これはだめなのじゃないですか、こういうことは。
  42. 榊正剛

    榊説明員 都市計画法上は、例えばホテルなんかがございます場合に、Aさんという方がホテルを持っておられてBさんという方がホテルを経営する。すると、ホテルの敷地を開発許可開発して、例えばBさんならBさん、もしくはAさんでも結構なんですが、建物を建てる。その予定建築物ホテルということでございます。そうしますと、利用している方はBさんで、しかし所有権は例えばAさんにあるというようなこともございます。  したがいまして、私ども開発許可をやります場合に、予定建築物というのを記載させることにいたしております。この予定建築物どおりの利用がなされるならば、その所有権の存在は問わないという体系になっておるわけでございます。
  43. 細川律夫

    細川委員 そうしますと、そもそもこの場所に東京佐川申請をしたならば、これは建てられる場所ですか、建てられる場所じゃないですか。
  44. 榊正剛

    榊説明員 利用する用途によります。岡本工業がとりました開発許可予定建築物の用途と全く同じものであれば可能でございます。ただ、トラックターミナルということであれば許可はおりなかったのではないかと思います。
  45. 細川律夫

    細川委員 結局、東京佐川岡本工業申請の名をかりてトラックターミナルをつくって、自分の所有権登記をしている。これは客観的に事実なんですよ。それが法的に所有権がどうのこうの、確かに皆さんの方では審査は通ったというふうに言えるかもわかりませんけれども、こういうことは私は一般の人から見ても常識で通らないと思いますよ。そういう意味で、私はこういうことが許されていること自体大変問題だろうと思います。  そこで、次にお聞きしますけれども、土浦佐川急便営業所が五十八年の十一月十日、それから東日本運輸興業の荷扱い所、こういうものの認可がおりているのですけれども、そもそも違法でというか、おろしてはならない認可が、おろしてはならないのにかかわらず認可がおりたのは、どういうことでおりたのでしょうか。
  46. 土坂泰敏

    土坂政府委員 土浦佐川急便も東日本運輸興業も都市計画法違反しておるわけでございますが、それを貨物自動車運送事業法、旧道路運送法上認可をしたということについての経緯でございます。  端的にいいまして、こういう処理に当たりますのが陸運支局の職員でございますが、陸運支局の職員が、言いわけのようでございますが、都市計画法というよその省の御所管になっている法律について必ずしも十分に精通をしていなかったということが一番大きな原因でございます。  したがいまして、基本的には御所管のところに問い合わせをして、これは問題がありませんでしょうかと言って責任のある回答をいただいて判断をするというのが一番確かであるわけですが、そういうことをきちんとやりましょうという仕組みも当時はなかったわけでございまして、そういうことが重なって結果的にこういうことになってしまったということでございます。  ただ、先取りするようでございますが、この点は深く反省をいたしまして、これからは両省で貨物事業法の認可に当たって一件ずつお問い合わせをして確認の上処理をするということで、今後は誤りのないようにやってまいりたいと思っております。
  47. 細川律夫

    細川委員 この土浦佐川急便あるいは東日本運輸興業の違法な認可、違法状態が十年以上も続いているのですけれども、この間現場に行くとか、あるいは東日本運輸興業が途中で増築申請をしたりしているのですけれども、全然気がつかないということはあるのでしょうか。監査もやるわけでしょう。そうすると、そこが調整区域であるかどうかぐらいは現場に行けばわかるのじゃないですか、普通の職員であれば。これは東京佐川急便系列の、佐川急便グループだから何もせずに認可したのじゃないですか。
  48. 土坂泰敏

    土坂政府委員 陸運支局というのは、輸送関係の担当をする職員が大体五、六人という感じでございまして、少ないところは四人ぐらいでございます。これで全部の、トラックだけでなくてバスもタクシーも所管をしておる関係がございまして、非常に結果的にはなかなかきちんと監査に回るという能力がございません。そのために、現実にここへ行って現場で確認するということまではできなかったということでございます。  ただ、これも繰り返しになりますが、一件一件の申請に当たって県の開発担当部局にお問い合わせをして、御返事をいただいて、これからやっていく限りにおいては、仮に現場に陸運支局の人間が行かなくても今後は間違いは生じないというふうになろうかと思います。
  49. 細川律夫

    細川委員 そういう違法状態、違法な認可がなされて、その違法状態の除却については、いつ、何日にそれが、土浦佐川急便はそこから退いたのでしょうか。
  50. 土坂泰敏

    土坂政府委員 国会でことしの三月に佐川急便ターミナル都市計画法上問題があるという御指摘があって、あわせて全ターミナルについて調査をすべしという御指示がありまして、それを受けて運輸省建設省を通じて佐川の全ターミナルについて調査をした結果、土浦佐川についても実は違法が確認をされた、こういう経緯でございます。  その後すぐに是正を指導いたしまして、土浦佐川急便につきましては、平成四年の九月に移転認可をしておりまして、これは同じ鹿島町の大字長栖というところに移転をなさいました。(細川委員「何日ですか。九月何日ですか」と呼ぶ)九月の十七日でございます。  それからもう一つの東日本運輸興業の方でございますが、東日本運輸興業は実は土浦佐川急便に荷扱い所を委託するという格好でここで仕事をしておったわけでございますけれども、その委託先を東日本運輸興業は、土浦佐川急便、これが出ていきますので、東日本運輸興業から土浦佐川急便ではなくて佐川急便に委託先を変えまして、この佐川急便平成四年の八月五日に都市計画法上の許可を受けた、これによりまして両者とも違法状態が是正をされた、こういうことでございます。
  51. 細川律夫

    細川委員 今九月の十七日、その認可で、変更の認可ということで土浦佐川急便はほかの場所に移った、こういうお話でしたけれども、私どもが十月の九日にこの現地を見たのですが、土浦佐川急便の従業員みんなここで、従来のところで仕事をしていましたよ。移転したという移転先のところにはだれ一人もいない。これはどういうことでしょうか。
  52. 土坂泰敏

    土坂政府委員 十月の十五日に実は茨城県と私どもの陸運支局で現地確認に行ったわけでございますが、結論だけ申し上げますと、営業所としての実体があるというふうに県と私どもで判断をしたわけでございます。  その理由でございますが、営業所というのはどういうことかといいますと、二つ機能がございまして、一つはそこで営業活動が行われている、つまり営業に関する受注行為があり、それに基づく指示があるということが一点。それからもう一つはそこで運行管理が行われている、そこに車両が配置されて、運行管理者がいて、そして点検とか点呼とか整備とかそういったことが行われている。二つ必要でございますが、その二つとも現実に人がいてきちんとやられておるということが確認をされました。  たまたま先生、土浦佐川の従業員が作業をしているというような御指摘もありましたけれども、これは多分コンピューターのオペレーターのことだと思いますが、コンピューターのオペレーターも佐川急便が派遣を受けているということを確認をいたしております。したがいまして、営業所の実体はきちんとあるというふうな確認をしておるところでございます。
  53. 細川律夫

    細川委員 これは私どもがこの十月の九日に現地を見ても、その移ったというところには一切だれも一人もいない。それで従来のところで皆仕事をしているということ、これについては今いろいろお答えがありましたけれども、県の方も認めているんですよ、県の方も。この時点でまだ全然できていないんだということを。文書でも認めていますよ。それに対してきちんとした厳正ないわゆる指導がされているのかどうか非常に疑わしいですね。東京佐川急便だから手心を加えているというようなことがあってはこれは決して許されないことでありますし、ひとつ指導の方をしっかりお願いをしたいというふうに思います。  それから、この点の最後ですけれども、佐川急便の方が平成四年の六月十日に都計法四十二条第一項によって予定建築物等以外の建築許可申請、これがなされて、これも許可されているようなんですが、最初に申し上げましたように、そもそもそこに佐川急便は持てないようなトラックターミナルを、いわゆる鉄工所のようなものをつくるということで許可をもらって、それが東京佐川のトラックターミナルになるなんて、そういう違法状態みたいなものがずっと十年以上も続いて、そういう違法な行為をやったのが今度また建築の方の申請をしてくるような、そういうときにはもっと厳しく指導して、まかりならぬというようなことを僕はやるべきだと思いますけれども、それをいとも簡単に認めるというのは私どうも解せないのですが、いかがでしょうか。
  54. 土坂泰敏

    土坂政府委員 都市計画法上いろいろ御疑念があるということであろうかと思いますが、都市計画法上にどういう問題があったのかあるいはなかったのか、これは運輸省の方からお答えは大変しにくい問題でございますけれども、先生のお尋ねは、そういう疑義があることについて、貨物自動車運送事業法上そういう疑義のあるものをそのまま認めるのはいかがかということではなかろうか、こう思うわけでございます。  都市計画法でどういう問題があったにせよ、やはり現実に都市計画法上は許可を得て正常な状態になっておるということであれば、これは貨物自動車運送事業法上はそういう疑義があるとかないとかいうことだけで認可をしないとかいうことは、それはやはりできないんじゃないかと思います。つまり他法令の違反をもって、それもかって違反があったことをもって貨物事業法上の認可をしないということはやはりそれは、そこまではちょっと無理ではないかというふうに考えます。
  55. 細川律夫

    細川委員 どうも悪いことをやり得のようなそういう印象を受けるわけなんですけれども、いずれにしても非常に厳格な処置というかそういうことを私は強く望んでおきたいというふうに思います。  次に移ります。同じような事例が埼玉の越谷でも起こっております。これは北関東佐川急便の問題でございますけれども、これはやはり市街化調整区域の中に、開発許可が要らない農家の農業用倉庫として建てられたものが東京佐川急便のトラックターミナルとして、そこで北関東佐川急便が事業をしていた、こういう事例なんでありますが、ちょっと建設省、そこらあたり、市街化調整区域の中で許可が要らない建設がどういうふうになっていくのか簡単に説明してください。
  56. 榊正剛

    榊説明員 開発許可上は許可が不要でありますけれども、当該計画につきましては都市計画法に適合している旨の証明書の交付を、申請があった場合には、審査の上、開発許可権者が当該計画都市計画法に適合していると認められれば証明書を交付することになっておりまして、その証明書があれば建築確認申請の段階に移る、それから証明書がない場合には、建築確認部局と開発部局が協議をして開発許可の適用除外であるかどうかということを確認するといったような手続になっております。
  57. 細川律夫

    細川委員 この北関東佐川急便がそもそもそこで営業所を持てないにもかかわらず違法があったわけなんですけれども、その前に確認の意味で聞きます。農業用倉庫として佐川急便がそこへ建物を建てるということはそもそもできるのですか、できないのですか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  58. 羽生洋治

    羽生説明員 この案件につきましては堀井清一氏の建築確認申請が出されておりまして、その前提といたしまして、今話がございましたように、農業用倉庫としての都市計画法上適合している証明の交付があった上で建築確認を受け付けております。
  59. 細川律夫

    細川委員 的確に答えていただきたいと思いますけれども、いずれにしろ市街化調整区域ですから、東京佐川は当時路線のあれも持っていないところでしたから、もちろん農業用倉庫なんかは建てられないということは法律上はっきりしているわけでしょう、東京佐川は。これは認められませんよね。そこが、どうも僕はわからないのは、東京佐川のこの農業用倉庫が東京佐川のものになっているというのは、もう初めから、登記簿上も東京佐川が建てたものだという登記簿になっているのですよ。それがいわゆるトラックターミナルとして使われる、これはどう見ても認められないことでしょう、こんなことは。ちょっと説明してください。
  60. 榊正剛

    榊説明員 お答え申し上げます。  佐川急便が農業用倉庫の所有権を取得するということについては、先ほども触れましたけれども、直ちに都市計画法上の問題であるとは言えないのではないかというふうに考えております。あくまで都市計画上どのように利用されるかが問題でございまして、その使用実態がトラックターミナルだということであれば、その時点から都市計画法違反になるというふうに考えております。
  61. 細川律夫

    細川委員 これは都市計画法の問題それから運輸の方の問題、いろいろありますが、この北関東佐川が都市計画法違反になった経緯をちょっと簡単に説明してください。
  62. 土坂泰敏

    土坂政府委員 今先生がいろいろ仰せになりましたような、農業用倉庫というものを埼玉佐川急便が借り受けまして、そしてそこを営業所にしたわけでございますが、これがやはり調整区域内に区域の事業者が営業所をつくった、当然都市計画法許可が要るにもかかわらずとっていない。そういう意味都市計画法違反しておったわけでございます。それを当時の道路運送法に従いまして運輸省側の方で認可をした、そこが一つの問題点でございまして、この点については、先ほど申し上げたような理由で大変遺憾なことであるというふうに思っておるわけでございます。
  63. 細川律夫

    細川委員 この問題については、農業用倉庫を、東京佐川急便がいわゆる農業用倉庫という名前でトラックターミナルをつくって、そしてそれを北関東佐川に仕事をさせる、しかもそれをいわゆる運輸省の方が、運輸局がそれを認可してやらせた。これは佐川のいわゆる違法な行為運輸局の方もむしろ積極的に違法に加担をしているような、そういう実態だろうというふうに思うのです。そういう意味では、こういうことをまずなくさなければいけませんし、厳しい処置をとっていただきたい。こういう問題で、この問題そのもので東京佐川にペナルティーというようなことは科されていないわけでしょう。  それで、もう時間がありませんから進みますけれども、今やったこのトラックターミナルを今度合併した佐川急便が使うということで申請がされているわけですね。それでこの申請が進んでいるわけですね。これは認可をおろすかどうかという問題なんですけれども、私は、もうこういう違法を重ねてきたようなところに対しておろすべきではない、ペナルティーを与えなければいかぬ、そう思うのですよ。この点はどうですか、最後に簡単に言ってください。
  64. 土坂泰敏

    土坂政府委員 簡単に申し上げますが、今申請が出ておりますのはいわゆる昔の路線に当たる特積みというものでございまして、これは都市計画法上この場所につくることについて問題はございません。したがいまして、私どもの方では貨物自動車運送事業法上の問題がなければ認可をするということになります。  ただ、かつていろいろ違反があったからペナルティーとして貨物事業法の認可もすべきではないのではないかという御指摘であろうかと思うのでございますが、これは、先ほどもお答えしましたように、やはり他の法令に違反したということでもって、それもかって違反したということでもって貨物事業法上の認可をしないということまでは、ちょっとそこまではペナルティーとしては無理ではないだろうかというふうに思っておるところでございます。
  65. 細川律夫

    細川委員 時間がありませんから、反論したいのですけれども……。そもそも東京佐川はそこへ農業用倉庫という名前で、そもそもそこへ建ててはいけないのですよ。それをずっと持ってきているじゃないですか。それで違法をずっと重ねてきたのじゃないですか。それが合併しただけの話なんですからね。東京佐川の実態はずっと続いているはずなんですよ。それが法的に合併しただけなんです。それを過去の違法だからということで、それで法的には問題ないから、今は問題ないから認めるということは、行政的におかしい、余りにも佐川に優しいのじゃないですか。もっと厳しくやるべきですよ。そんな、今までの違法に陸運が加担をしてきているようなところもあるし、その上にまだやりますと、どうも佐川の方に加担をしているというふうに思いますので、ひとつそこは厳正にやっていただきたいと思います。  あと、いろいろ質問をしたいのですけれども、ちょっとまだ佐川のグループの違法な実態についていろいろお聞きをしたいのですが、この場でしか聞けないことが一点ございますので、最後に朝鮮学校のJRの割引についてお聞きをしたいというふうに思います。  この件については、文部省の方も来ていただいて私の方から質問をすることになっておりましたが、ちょっともう時間がありませんので、私は大臣に最後にこれをお聞きしたい、もう最後の結論だけになりますけれども。  ことしの四月の十五日に私がこの件について質問をいたしました。そこで大臣は、最後に大変心強い御答弁をいただきました。  こういうふうに言っております。「文部省と運輸省が協議といっても、お互いにそういった形の制度の建前に固執している限りにおいてはいつまでもこの問題は解決すまいということで、すっきりした対応を一遍相談するように、思い切ってやるように話してみます。話してみてまた検討という言葉で言っていくと、またいつまでも続いていくような形になりますから、私の在任中にこの問題の方向づけだけをきっちり真剣に相談してみます。」こういう御回答をいただいておりますけれども、その後どのように検討されまして、そしてどういうふうにこれから進むのか、その点について最後にお聞きをいたしまして、一応質問留保という形で私の最後の質問にしたいと思います。
  66. 奥田敬和

    奥田国務大臣 委員から、先般の質疑の過程を通じまして朝鮮人学校に関する通学定期、これを差別なくやるようにしろという御指摘をいただきました。  その後、何とかこれを在任中に結論を見出すというお約束のもとで検討会をJRと鉄道局、行政当局の間で設けさせていただきました。在任もう一、二日でございますので、結論をここではっきり申し上げることができないことはまことに申しわけない、残念であると思っておりますけれども、方向は打ち出してきたつもりでございます。  と申しますのは、今現在民鉄は八〇%割引で一本化しておりますし、JRの場合、大、高、中と申しますか、七〇、七五、八〇という形で学校別の割引になっておるわけです。三段階制度になっております。ですから、私はJR当局に対しても、ともかく民鉄並みにわかりやすく単純にやるような方向で協力してほしい、そして、できることなら今現在各種学校並みの朝鮮人学校生徒に対しても、単純化される過程において、もう全くそういった御批判、あの差別等々の御批判もなくなる、そういった方向で検討をしてほしい、結論を出してほしいということで、事実大変熱心に実はやっていただいておりますが、これがちょうど八〇に一本化すれば一番結構なことなのでございますけれども、そうするとこの収益の面において全国一律ということになります関係上、収益の多いJRとそうでないJRとの間のやはり問題点もございます。  したがって、割引率をどこに一本化するかという形においては料金の絡みもございますので、料金改定時も含めまして結論を出したいということで、今もなおいろいろな数字を挙げての検討を行っていただいております。  いずれにしても、この大、高、中の区分別を一本化する方向の中で、そういった委員からの御指摘のような各種学校に対する差別とかあるいは朝鮮人学校に対する差別とか、そういった御批判を受けないような方向で解決しようという形で詰めておるということを御報告申し上げて、結論にはなりませんけれども、結論に近い形でよろしく御理解を賜りたいと思っております。
  67. 細川律夫

    細川委員 どうもありがとうございました。
  68. 村田吉隆

  69. 常松裕志

    常松委員 まず大臣にお尋ねいたします。  私の手元に、昨年五月十四日の例の信楽事故の犠牲者遺族の会の代表者である吉崎俊三さんから緊急のファックスが送られてきました。運輸大臣の発言を撤回してもらってほしい、こういう趣旨の要請でありました。もっとも、その大臣の発言というのも、直接大臣のお話を聞いてのことではなくて、十二月四日付の日本経済新聞の夕刊に掲載された大臣の記者会見のときの記事をお読みになっての抗議であります。  その新聞記事をそのまま読みますと、滋賀県警が信楽高原鉄道の運転主任ら関係者三人を逮捕したことを受けて、奥田運輸大臣は「四日の閣議後の記者会見で「運輸省の事故調査報告書を年内にまとめたい」と語った。」続いて奥田運輸大臣は「「赤信号を無視して出発したという単純な事故で残念だ。貴重な教訓としたい。改めて亡くなられた方に哀悼の意を表したい」と話した。また、「二度とこのような単純なヒューマンエラーによる事故を起こさないように全力を挙げたい」と語った。」というのがその記事であります。  もしこれが大臣の真意だとするならば、遺族の方が怒るのは当たり前だと私は思うのです。大臣、この発言は、JR西日本の信楽事故に対する責任を免責する意図を持って行った発言というふうに受け取られてもやむを得ないのじゃないか。あるいはまた、今滋賀県警はJR西日本の運転手への刑事責任を追及しようとしているやさきでありますが、その滋賀県警への牽制の発言というふうに受けとめられるのも当然ではないか。こういう意味で、この遺族の方々が大変怒っていらっしゃるのは私には理解できるのですけれども、どうなんでしょうか、大臣、この発言は撤回していただけますか。
  70. 奥田敬和

    奥田国務大臣 犠牲者も含む御遺族の皆さん一方、そしてこの事故によって傷害を受けた皆さん方に対しても、そういった形で誤解を与えたということを大変遺憾に存じます。  これは正確に申します。記者会見のメモもきちっととってあるわけでございますから、この点においてそういった点に誤解を与えたということになりますと大変申しわけないと思いますので、ちょっと時間をかしていただきたいと思います。  記者会見において、本日滋賀県警で三人逮捕という形になった、信楽事故で三人逮捕されたということについてどう考えるかということでございました。  私は、きょう滋賀県警から三人逮捕という形で発表がございました、県警で、この事故原因者、もう三人亡くなられていることも含めてでございますけれども、そういった形で逮捕されたという事実を認めた上で、県警の逮捕の原因は、「端的に言えば赤信号であるのに、それでやって惹起された事故だという方向にきているわけですが、」こうなれば「亡くなられた皆さんに対して本当に改めて、事故原因の未熟さというかそういった形に御遺族の怒りは大変だろうと、心から哀悼の意を表し、反省の貴重なあれにしなきゃいかんと思っています。当事者も既に三名亡くなられておるという現状もございますし、真相解明には警察司法当局も苦労したと思いますけれども、今後、運輸省としては、技術的な原因追及を含め今後の改善措置、これに対しては年内にも調査結論を出したいと思っているわけですが、」信号と保安施設の問題もありますし、また、「二度とこういったヒューマンエラーと言われるような形で、」とうとい人命を1言葉のとおり言っているもので、今これを読むとちょっと言葉としてはおかしいことになりますけれども、ここはこのとおり読みます。「年内にも運輸省サイドのそういった調査結論を出したいと思っているわけですが、二度とこういったヒューマンエラーと言われるような形で、」「形は本当に……。」と書いてあります。  結局人命を預かっておる安全に対する基本姿勢にたるみがなかったかどうか、それが無資格運転とかあるいは研修中かそういったものにもたるみが出てきておるのじゃないか、鉄道企業に携わっている経営者、従業員の皆さんにも反省の材料として厳しく受けとめていただきたい。  これは会見の言葉で言っているものですから、支離滅裂にお聞きになったかもしれませんけれども、結局私が言わんとしたことは、県警の事故責任は何かこう、赤信号を無視して突っ走って起こした事故だというような形になっておるけれども、運輸省としては、これは保安システム、信号システム等々の事故原因追及においては、厳正に、厳密に今やっておるので、この結論は年内にも出したい。もし仮にヒューマンエラーという形だけで片づけられるとすれば、これは事故に遭われた御遺族の皆さんたちに対しては、もうこのお怒りはどこへ持っていっていいかわからぬくらいつらいことであろう、そういう点はこれからの、二度と起こしてはいかぬ反省資料として考えなければいかぬ。  なお、これに付随して、最近無資格運転とか研修中にもそういった形が、旧の国鉄気分がまだ抜けない形で、無資格、研修等でたるみが出てきておるという形も、人命を預かる軌道業者全般に、これは厳しい反省資料として伝えなければいかぬという形で言ったことで、事故原因が赤信号無視で、もう突っ走った形が全部でこういった大きなあれになったということで決して断定した発言ではなかったわけでございます。  ですけれども、そういった形で、何か全部が決まったような形に受け取られて、その一部報道がもし犠牲者なり関係者の皆さんに誤解を与えたとすれば、全く私の本旨と異なることでとても残念なことであると思っております。
  71. 常松裕志

    常松委員 御趣旨よくわかりましたが、重ねてお伺いいたしますと、そうすると、そうだ違うと言うだけで結構なんですが、JR西日本の責任を免責するというような御趣旨では決してないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  72. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そのとおりでございます。  事故原因は厳正に、技術的にもそういった形で厳正にして、決して一部企業に免責云々というものじゃなく、あくまでも遺族、犠牲者の立場に立っての事故原因究明は、警察は警察のあれですけれども、こちらはもっと高度な形での技術的解明も含めた、システム解明も含めた事故原因調査でなければならぬと思っております。
  73. 常松裕志

    常松委員 伝えられるところによりますと、この事故の直接の引き金になった信楽駅の出発信号機が進行を現示できなかったことに端を発した事故ですけれども、これは当日JR西日本の亀山CTCにおいて方向優先てこが引かれていたことによるという指摘もされているわけです。  したがって、私はJR西日本の責任は極めて重大だと思いますし、特にお亡くなりになられた方々は全部JR西日本のお客さんなわけです。JR西日本の駅で切符を買って、JR西日本の電車に乗って、そこであの四十二人もの方々がお亡くなりになり、たくさんの方々が事故に遭われたわけでありますから、だれのお客さんかといったらJR西日本のお客さんなんです。そのJR西日本の責任は極めて重大だと考えております。  あの大臣の発言はそういうことをもちろん踏まえての御発言というふうに理解いたしますので、どうかひとつ今後厳正な原因の究明を、そして被害者の方々の立場に立った、あるいは遺族の方々の立場に立った原因の究明をぜひひとつお願いを申し上げます。  次に、国鉄の改革についてお尋ねをいたします。   改革法など七法案が成立して丸六年になります。いわゆる分割・民営化が実施されて五年有余がたちました。運輸省はこの十月に鉄道局から  「国鉄改革後五年間の成果と課題」を明らかにしたところでありますが、国会といたしましても、国鉄改革五年がどうだったのか、あの改革は成功だったのか失敗だったのかというような議論を深めていく必要があるだろうと思っています。今の信楽の事故なども私はその議論の一つの重大な柱だろうと思っています。そんな議論を今後深めたり広げたりしていく一つとして御質問してみたいわけであります。  まず第一に、何といっても国鉄改革というのは一体何なんだということについてであります。運輸省としては、国鉄改革について端的に言って何だというふうに考えているんでしょうか。私どもは、この国鉄改革というのは、あの当時国鉄が抱えていた膨大な赤字、この赤字を解決をしていくということに端を発したのが国鉄改革であり、したがって、この赤字の解決なしに、あるいは累積の債務の解決なしに国鉄改革はない、このように思っておりますが、大臣いかがでしょか。
  74. 秦野裕

    ○秦野政府委員 ただいま先生御指摘のように、国鉄改革につきましては非常に膨大に上っております赤字の解消ということももちろん大きなテーマでございますが、基本的には国鉄時代に言われましたいわゆる親方日の丸という言葉に象徴されますような経営に対する無責任と申しますか、責任ある体制がなかったということが一番そうした赤字を招いた原因であるという認識のもとに、責任ある経営体制の確立ということをねらいといたしまして、いわゆる分割・民営化というものを図って、各社の自主的な経営を促進していくということを基本にしたということが国鉄改革の一番のねらいであるというふうに考えております。
  75. 常松裕志

    常松委員 局長は、ことしの十月の「トランスポート」の中でこんなふうに発言されていますね。「JRの完全民営化と長期債務の処理が行われてはじめて国鉄改革が完了することになります」というふうにおっしゃっていますが、このように局長はお考えになっていらっしゃいますか。
  76. 秦野裕

    ○秦野政府委員 基本的には、まず会社につきまして申し上げれば、完全民営化、いわゆる株式が上場され完全な民営化になっていることが一つ、それからもう一つは、今先生お話しのとおりいわゆる長期債務の問題について解消のめどが立つ、この二つが一番大きな柱だと思っております。
  77. 常松裕志

    常松委員 そういうことであるとするならば、株式の公開はまだ行われていないわけでありますから、したがって、いわゆる完全な民営化は行われていません。  同時に長期債務について少しお伺いしたいんですが、その前に、ちょっとわき道にそれますけれども、「トランスポート」という雑誌はどういう雑誌なんですか。これは運輸省が編集している雑誌なんですか。
  78. 秦野裕

    ○秦野政府委員 運輸省の方で編さんしております運輸省の広報誌でございます。
  79. 常松裕志

    常松委員 今御紹介した十月号の中で、「国鉄改革を振り返って」という座談会があります。二つ出ておりまして、非常に興味のある座談会なのですが、その中に、長期債務のことで非常に気になる発言がございます。  出席者の竹内さんの発言としてでありますけれども、こんなふうに言っておりますね。長期債務が二十六兆円になっているという発言を受けて、「多分その二十六兆円は、過去国民全体で国鉄にたかってきたコストだから、」たかってきたコストだから、「納税者が払うのは当然じゃないですかねえ。」という発言をしていますが、これは運輸省、どう思いますか。
  80. 秦野裕

    ○秦野政府委員 竹内さんの御発言そのものについてはちょっとコメントできませんけれども、いわゆる国鉄の時代に生じました長期債務につきまして、ある程度国民の方々に御負担を願わなければならないのじゃないか、しかしそれは極力最小限にしたいということで現在努力しているというのが私どもの立場でございます。
  81. 常松裕志

    常松委員 この二十六兆円を、国民がたかってきたコストだから納税者が払うのは当然じゃないか、こういうことを運輸省の責任で編集している広報誌に出すとは何事かというふうに思うのですね。こんなことはこの国鉄改革から見て全く論外の話でありまして、運輸省が、こういう方向に世論を誘導していこう、もう長期債務は返済できないんだ、みんなこれは国民に負担してもらうんだ、税金で負担してもらうんだ、こういう誘導を運輸省はしているのですか。
  82. 秦野裕

    ○秦野政府委員 「トランスポート」は確かに運輸省の広報誌でございますけれども、御意見につきましては、特にこういう御意見は載せないとか、こういう御意見を積極的に載せるとかいうような意図を持っておるわけではございませんで、国鉄の問題について幅広い皆様の御意見をそのままお載せしているということが実態でございます。  ただ、運輸省といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、長期債務について極力国民の負担が少なくなるように、いろいろな方策を尽くして最小限にとどめたいということで努力しておる状況でございます。
  83. 常松裕志

    常松委員 そういうことで、決して世論を誘導しているわけじゃないということで理解はいたしますが、大体その長期債務については、国鉄の改革七法案の審議のときから大きな問題になっているわけであります。  この清算事業団の債務についてでありますけれども、この五年間かかってむしろふえています。二十五兆五千億円から今日二十六兆四千億円にふえているということは間違いありませんね。
  84. 秦野裕

    ○秦野政府委員 そのとおりでございます。
  85. 常松裕志

    常松委員 この五年間に、清算事業団における土地の売却実績は二兆二千億円。ところがこの間、毎年の利息の支払いはちょうどその倍の四兆四千億円。これも間違いありませんか。
  86. 秦野裕

    ○秦野政府委員 その数字で、そのとおりでございます。
  87. 常松裕志

    常松委員 この間のやりくりは、借金で利息を支払う、二兆二千億円しか土地が売れてなくて、その倍の四兆四千億円利息を払うのですから、したがって、この間の清算事業団のいわば経理のやりくりは、借金で利息を払うというかっての国鉄時代と全く変わらない運営をしてきたということも間違いありませんね。
  88. 秦野裕

    ○秦野政府委員 私どもとしては若干違うわけでございまして、確かに、先生御指摘のとおり、土地の方が、いわゆる地価の高騰時代には地価の抑制問題がございまして、必ずしも思うとおりに処分ができなかった。いろいろな事情があるわけでございますけれども、今日まで必ずしも所期のとおり土地が売れていない、それによっていわゆる長期債務の額が思うように減っていないということは事実でございます。  しかし、私どもといたしましてはこの中に、土地を売る、あるいは国からの補助金を出す、あるいは事業費を極力抑制する、いろいろな手だてを講じまして、極力債務がふえないという方向で努力をしておるわけでございます。確かに過去一時期、たしか平成二年度だったと思いますけれども、かなり債務が増加いたしましたが、現在では減少傾向に転じておりまして、平成四年度、さらに来年度予算につきましても、極力横ばい、少なくともふえない方向で処理したいというふうに努力をしている状況でございます。
  89. 常松裕志

    常松委員 いや、今私がお尋ねしたのは、この間のやりくりは借金で利息を支払う、そういう、かって国鉄時代が、その借金の利息を支払うためにまた借金をしてくるという形で累積していきました。確かに今局長おっしゃるように、わずか一兆円しかふえていませんよ、わずか一兆円しか。まあ、わずかかどうかわかりませんが、私はわずかだと思いませんけれども、発足時二十五兆五千億円から二十六兆四千億円に約一兆円ふえているわけですから、これがわずかだと私は思いません。しかし、とにかくそうやってこの借金が膨らんでいる。膨らんでいるのはかつての国鉄のときのやり方と変わりないじゃないですか。借金を返済するためにまた金を借りる、こういうやり方は全然変わっていないんですね。  そして、もっと肝心なことなんですけれども、政府の一般会計からの補助金について、今局長は補助金について努力しているとおっしゃいましたけれども、逆ですね。これは、傾向としては減り続けている。とうとう今年度は、改革初年度約一千七百億円に比べて半分の九百二十四億円ですよ。半分ですよ。しかも、来年度はそれさえも削減されようとしているというじゃありませんか。どうなんですか。これ、間違いないんじゃないですか。一般会計からの補助金、ふえていますか、減っていますか。今、減らされようとしているんじゃないですか。
  90. 秦野裕

    ○秦野政府委員 確かに先生の御指摘のとおり財政状況、非常に厳しい状況の中で、毎年補助金が減額しておることは事実でございます。来年度も非常に厳しい状況でございますけれども、私どもとしては、できる限り要求の額を確保するように努力したいと思っております。
  91. 常松裕志

    常松委員 そのとおりだと思うんです。つまり、長期債務の償還については、昭和六十一年一月二十八日の閣議決定でいうところの、いわゆる「本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」」については、改革後五年たってもまだ、五年以上たったにもかかわらず、決定どころか検討されていないというのが実情じゃありませんか。どうなんですか。答弁してください。
  92. 秦野裕

    ○秦野政府委員 国鉄改革時、国会でいろいろ御議論がございましたけれども、その過程では、当時はいわゆる土地の対策、あるいは雇用対策等について考えながら、一応三年程度は必要であるというようなことを御答弁申し上げていたこともございました。  その後、土地の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、地価の高騰の時代に抑制政策からその売却を非常に抑えられ、また、現在では逆に、なかなか土地が売れないというような状況にございますので、非常に苦しいわけでございます。ただ、いずれにしましても、私どもといたしましては平成九年度を目途にいたしまして、ひとつ土地の処分というものについて実質的なめどをつけたいというふうに考えております。  また、もう一つの柱でございます株式につきましても、御案内のような経済市況でございますので、本年度は残念ながら株の売却を断念いたしましたけれども、来年度にはぜひ売却を進めたいというふうに考えておりまして、これらの施策が相まって、極力長期債務を減少させていくということを考えて、一生懸命努力しているところでございます。
  93. 常松裕志

    常松委員 今、局長は、平成九年度までに土地の売却を進めたい、全部完全に売りたいというお話でしたけれども、今売れているのはわずか二兆二千億円でしょう。あと十二兆円分残っているんでしょう。五年間たって売れたのがまだ二兆、残りが十二兆。これからあと五年間で売れるなんてことをだれが信じられますか。できっこないです、そんなこと。できっこないと言っては清算事業団に申しわけないですけれども、私はできないと思いますね。できるはずがない。  そして、そもそもこういう事態になっているのは、大臣、私は運輸大臣にあると思っているのです。国鉄改革法審議の際に、当時の橋本運輸大臣などは各委員質問に答えて、昭和六十一年一月二十八日の閣議決定を踏まえたと私は推測しているわけでありますが、本格的な処理のための新たな財源、措置は改革後三年というふうに答弁しているのです。つまり、一九九〇年四月一日が改革後三年なのです。あの清算事業団の職員の皆さんの首をたたき切ったときが、そのときが改革後三年なのです。ところが、清算事業団の職員の首はたたき切ったけれども、国会答弁をした本格的な処理のための新たな財源、措置については、これはもちろん決定どころか検討もしない。一体どういうことなんですか、これは。なぜこんなことになっているのですか。これは大臣にお願いします。
  94. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに昭和六十一年当時、雇用、土地売却、見通しがついた段階で検討、決定するとされております。おおむね三年くらいはこの見通しは見なければならぬだろうということで発言されていることは事実でございます。  しかし、その後、雇用対策におきましては三年間でおおむね終了いたしておると思っております。土地売却については見通しが狂ってきたことは事実でございます。しかし、これも地価対策関係もございますし、ああいったバブルの状態のときの思いもかけない土地高騰の時期、それから、厳しい規制を受けまして今日の土地の価格が比較的落ちついてきておるという状況の問題もございます。したがって、思った以上に土地売却に関しましては実効が上がらなかった。しかし最近は、自治体あたりが公共用地としてJR用地の買い上げに非常に積極的に取り組んでいただいておりますので、これも何とか、地価の底どまりと申しますか、そういった形を踏まえまして進んでいってくれることを期待いたしております。  したがって、平成九年、五年の間に十二兆に近い土地資産を処分するということは、先生は不可能じゃないかという御指摘でございましたけれども、何とかしてその目標値に近づけていきたい。平成九年までにはこの土地売却に関する促進を図りたいという意欲は依然として変わっていないわけでございます。  また、株式上場については、これも今日のバブル崩壊と同時に証券業界の低迷もございまして、ことしは上場かないませんでしたけれども、明年はひとつぜひ、JR東を初めとして、西、東海、三社同時というわけにはいかないかもしれませんけれども、何とかして上場する形によって、早期に株式売却を達成することで何としても清算事業団の負担を軽減していきたい。  そして先生の御指摘のとおり、国鉄改革は、清算事業団の抱えている債務の軽減と国民負担を少なくしていく形の実効が上がってこそ初めて国鉄改革に対する一つの使命が達成されるというわけでございますから、この点を念頭に置きながら、民営化五年の光の部分だけを見てうまくいっているんだという気持ちは毛頭持っていないことは御理解賜りたいと思います。
  95. 常松裕志

    常松委員 大臣、これは国会に対する約束なんです。改革法審議のときに各党の委員に対して、当時の運輸大臣あるいは林淳司さんですか、当時の政府委員は再三にわたって答弁しているのです、これは。三年後までに本格的な処理のための新たな財源、措置を講ずるんだ、そういう答弁を何度もしているのです。それを運輸省は、その約束をなぜ果たしてこなかったのですか、これまで。なぜ果たしてこなかったのですか、そのことを言っているのです。今のような、いろいろ、あれが売れなかった、これが売れなかったじゃなくて……。
  96. 奥田敬和

    奥田国務大臣 当時の大臣答弁を含めまして政府委員から答弁をさせていただきます。
  97. 秦野裕

    ○秦野政府委員 確かに、当時、六十一年の国鉄改革法の御審議の際に大臣あるいは政府委員の方からそのような趣旨の御説明をいたしました。  確かに、その当時は三年後で雇用対策あるいは土地対策について一つのめどが立つであろうという前提のもとにまず御説明をしておったわけでございまして、その後、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、主として土地問題につきまして当初の予定と若干といいますか、かなり狂いが生じてまいりました。最終的に一体どれくらいがいわゆる国民の負担になるか、当時の試算で約十三兆八千億でございましたけれども、その十三兆八千億がどれくらいになるかということについてのめどが明確に立てられるような事態になっておりませんものでしたので、今日まで推移をしてきておるわけでございます。  現在のところ、例えば土地につきましては毎年評価、毎年と申しますか、一定の期間を置いて再評価をいたしておりますが、現在のところは約十二兆という試算もございます。それから株につきましては、これは市況の動向で必ずしも明確ではございませんけれども、来年度には何とか、先ほど来御説明しておりますような形で売却ができますと、かなりその辺の数字もはっきりしてくるということで、それらを総合いたしまして、極力早い時期に国民負担が最終的にどれくらいになるかということについての一つのめどを立てたいというように考えております。
  98. 常松裕志

    常松委員 これは到底納得できないです。  これは当時、国鉄改革法が国会を通過するかしないかのときの政府の、運輸省の約束ですよ。それが、土地が売れなかった、株が売れなかった。だったら、三年後に何をやったのですか。一九九〇年の四月一日に運輸大臣からそういう話がありましたか、国会に対して。ありはしないのです。当時の大野運輸大臣からも、その後、村岡運輸大臣からも、奥田運輸大臣からもありません。  そのときの約束、これは公党に対する約束ですよ。公明党の浅井先生もやっておられる、我が党の青木先生あるいは上田卓三先生、あらゆる党の議員に対してこういう答弁をしているのです。それが約束が守られていない。そして一方では、「トランスポート」で二十六兆円国民に全部税金をおっつけるのだ、税金で国民に負担してもらうのだ、そういう記事が飛び出してくる。私はとんでもないことだと思っているのです。  これは当時の質疑の過程の中で、当時の国鉄管理委員会報告をもとにして、三十年でこの当時の債務を返済していこうと思っても、毎年一兆数千億円の一般会計からの持ち出しがなければ三十年かかったつでこれは到底解決できない。そういう管理委員会報告からの試算も国会の中で議論されておりまして、そして当時の林政府委員も、当時の橋本運輸大臣も、その試算に立てば毎年一兆数千億円の一般会計からの持ち出しは必要なんだ、それをやったって三十年間かかるのだ、こういうふうに言っているのです。答弁しているのです。  ところがどうですか。一般会計からの持ち出しは減るばかりじゃないですか。とうとうことしは一千億円に減って、今度は何、この間の読売新聞によりますと、大蔵省は財投で四百億円つけて、そして一般会計からの持ち出しは減らしちゃうというのでしょう。冗談じゃないというのです。  国会での答弁がこんなに軽く扱われる。それは国鉄職員について一人の首も切らないと言ったことも軽く扱われた。組合員の差別をしないということについての国会答弁もチャラだ。そしてこの約束もチャラだ。全部チャラじゃありませんか。これで何で国鉄改革が成功したのですか。国会に対する約束なんか何も守ってはいないじゃないですか。私はそう思いますよ。これは抜本的に、こんな政府の中で運輸省が弱腰でいるから、だから国民の負担の方はどんどん広がっていくのです。最終的に国民が税金によって負担させられなければならないような金額は、それこそ雪だるま式に膨らんでいるじゃありませんか。違いますか。私の言っていることがどこか間違っていますか。将来の国民負担は広がる一方じゃありませんか。  これは、当時の特別委員会の中で公明党の浅井先生が質問し、あるいは社会党の上田卓三議員が、あるいは参議院で青木委員が、各委員が、あの民社党の河村先生もそうです、みんなが心配したとおりに、借金がさらに借金を重ねていくという今の国鉄の持っている構造は清算事業団ができたって変わらないんじゃないですか、そういう心配をしての質問に対して、三年後にはやるのです、そういうふうに運輸大臣は答弁してきた、運輸省答弁してきた。それが今もって何も変わっていないじゃありませんか。違いますか。——これは大臣答弁してください、大臣。
  99. 秦野裕

    ○秦野政府委員 では、その前にちょっと事実関係だけ補足させていただきます。  ただいま先生御指摘の中で、大蔵省からのいわゆる一般会計の補助金が減っておるではないか、これは確かにおっしゃるとおりでございます。私ども、一生懸命所要額の確保に努力をいたしたいと思いますが、今お話ございました財投の関係でちょっと申し上げておきますと、今度大蔵省さんの方で財投をお考えいただいておりますのは、むしろ現在私どもで考えております不動産変換ローン、いわゆる清算事業団土地処分の一つの方法であります不動産変換ローンでそれを買い求めていただきます方に対しまして資金の融資をしようというものでございまして、むしろ清算事業団土地処分の有効促進を図るという意味から制度を導入したいというものでございまして、むしろ一般会計を減らすとかそういうものでは全くございませんで、その点だけはお含みおきいただきたいと思います。  それとあわせまして、ただいまの御指摘の中で、確かに三年後ではなくてもう既に五年たってしまいまして、その間まことに申しわけないと思いますけれども、私どもとしましては国民のいわゆる負担の部分、国民の負担となる部分について、これを最小限にするための努力というものを今一生懸命やっておるわけで、決して国民負担をふやす方向に向かうようになっておるというふうな認識は持っておりませんので、その点だけは御理解いただきたいと思う次第でございます。
  100. 常松裕志

    常松委員 私が言っているのは、国鉄改革法審議のときに、とにかく野党の各党の議員が心配したとおりに今なっておる。利息を支払うためにまた借金して、そして債務が膨らんでいくというこの清算事業団の構造は少しも今、まあそういう構造にありますが、これは当時の各党委員が心配したとおりなんです。それに対する歯どめとして政府が約束をしたことが守られていないということを、くどいのですけれども、ここではっきり確認しておきます。  それで運輸省は、運輸大臣といたしましては、もう一回そのときの答弁に立ち返ってもらって、本気になって政府部内においても、一体これはどうするんだ、この赤字を、累積債務をどうするんだということについて政府部内で運輸大臣ははっきり問題を提起して、そして当時の国会に対する約束を守る、その決意を表明してもらいたいと思うのですが、大臣どうでしょうか。
  101. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御指摘されたとおり、清算事業団の債務は残念ながら二十六兆四千億という現状、これは旧国鉄時代に大きな借金の利息が雪だるまになっていった時期と何ら変わらないサイクルじゃないかという御指摘でございます。残念ながら現状は率直にそういった形になってきておる形を認めざるを得ません。  しかし、このことも考えていただきたいのは、もう釈迦に説法ですけれども、国の土地政策に、清算事業団の抱えておる用地、これが非常に高く売却でき得る時期もございました。これに関しては、一つの国の土地政策に関連をいたしまして、できるだけ土地高騰防止のために用地売却をむしろストップした時期もございましたし、また株の問題にいたしましても、過熱的な市場のときに、我々としてはできるだけいい形での株上場を目指したわけでありますけれども、これもやはり一つの大きな政策過程の中で我慢した時期もございました。そういった形の中で、二十六兆四千億、この大きな借金に対して何とかめどをつけなければいかぬという気持ちで現在も一生懸命やっておるわけでございます。  しかし他方、この清算事業団が抱えておる長期債務の中には、最終的に一部どうしても国民負担に頼らざるを得ない部分もあることもこれは御理解いただけると思います。ということは、地方交通線あたりに係る地方自治体の負担についても、一定の補助とそういった形の交付金は清算事業団が行っていかなければなりませんし、これに関しては、政府の予算において対応していただけるように今年度の予算編成におきましてもそれなりに財政当局と強力に交渉して、それらの問題点に支障のないように措置されつつあるところでございますので、どうかひとつ、もう少し長い目でこの成果を見守っていただきたいということをお願い申し上げます。
  102. 常松裕志

    常松委員 大臣、こういうやりとりをしなければならないのは情けないのですけれども、清算事業団の問題じゃないのです。国会政府の問題なんです。国会に約束をしたんです。三年後に数値を確定して、それで三年後に新たな財源、措置について、本格的な償還の処理方針についてその時点で決めていくんだ、そして当然国会に示していくんだ、こういう国会答弁をしているのです。どうして運輸省は、この国会答弁政府の約束を守ろうとしないのですか。これは国会に対する政府の約束ですよ。清算事業団がどうとかこうとかの問題じゃないのです。  私は、その約束が守られていないということを先ほどからるる申し上げています。これは、ぜひ今後この問題については各党間の理事の中でもお話し合いをいただいて、極めて重要な政府の怠慢だと私は思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。  重ねて、私、先ほど委員長から読み上げられたメモを聞いていてちょっと驚いたのですけれども、そういう議論の副産物として改革法の附則第四項というのができましたね。そして、五年間についてその七社及び清算事業団についての改革状況について報告をする、これが附則第四項で決まったわけです。五年間、こうまあ終わります、法律は失効するわけでしょうから。清算事業団については報告をするという話はありましたけれども、何ですか、七社の方はそうするとしないということなんですか、七社の方は。それは七社の方だってまだ民営化できていないのですよ、完全な民営化。株、売れていないのですよ。  それから、補助金だって毎年出しているでしょう。第十四条には報告も、義務ではありませんけれども、運輸大臣が報告を求めることができるとなっていますね。三島会社については経営安定基金も出していますね。これが清算事業団の累積赤字の原因の一つでもあるのですよ。国鉄七社のそういう問題について、これは我々が報告を求めても、現在報告しているようなこの程度の報告を我々にしないのですか。  そんなこともしないで、そもそも約束を何も守らぬ、そして報告はしないでやみからやみで、それでこれから国民負担をどうするなんということの議論ができますか。我々は、これはこれからも要求していきますから、せめて今の附則第四項に基づく報告程度のものは、これは出してもらえるものというふうに私は信じていますけれども、これはよろしいですね。
  103. 秦野裕

    ○秦野政府委員 これはもちろんこの委員会の方でお決めいただくことでございますので、私どもの方から申し上げるのも何かと思いますけれども、私どもといたしましては、お求めがありました場合には、それに応じて必要な資料をお出しするようにいたしたいと思います。
  104. 常松裕志

    常松委員 委員長にお願いいたしますけれども、理事会で諮っていただいて、ぜひ現在のこの程度の報告はしてもらう、そして、我々が国鉄改革について、やはり従来どおり国会挙げて国鉄改革国民合意のもとで進められていくかどうか見守るための最低の措置だと思いますから、政府のそういった努力は重ねてお願いいたしておきますので、大臣、よろしく協力をお願いいたします。  次に、プルトニウムの海上輸送の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  運輸大臣、プルトニウムの危険性について運輸省はどんなふうに認識しているのかお尋ねしたいのです。  シェルブール港を出港したプルトニウム輸送船のあかつき丸については、全世界が注目しています。そしてこの船、全世界から嫌われているのです。なぜこんなふうに嫌われているかといいますと、プルトニウムの毒性は、大変な毒性があるわけでありまして、粉末を吸い込んだ場合はアルファ線によって周囲の細胞にダメージが与えられまして、その放射能の毒性はわずか一グラムで数千万人の年間摂取許容量に当たるというふうに言われているぐらい強烈な毒性を持っているわけです。  それをあかつき丸は一トン運んでくるのですね。この一トンという数字は、わずか一グラムで数千万人が死んでしまうようなもの、それを一トン持ってくる。その一トンという数字を別の側面からいいますと、これまでずっと長い間続いていた核実験によって全世界に放出されているプルトニウムの総量が四トンです。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕  今までの核実験によって地球上に累積されているプルトニウムの量が四トンです。ところが、あかつき丸一隻で一トン持ってくるのですね。これから三十トン持ってこようというわけです。  こういうわけですから、しかも地球の向こう側から持ってくるわけですから、これは世界じゅうの沿岸国などが、万一沈没したりあるいは炎工事故を起こした場合の惨状を想定して反対するのは当たり前なんです。しかも容器の安全性、これは運輸省マターではありませんけれども、容器の安全性についてもあるいは炎上の場合の安全性についてもクエスチョンマークだらけであります。  これがプルトニウム輸送なんですが、運輸省はこのプルトニウムの毒性についてどういう認識を持っているのでしょうか。
  105. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 先生御存じのとおりでありまして、プルトニウム、これはウランが原子炉内で中性子を吸収してできる人工的な物質でありまして、少量で臨界に達しやすい、それから使用済み燃料もそうでありますが、非常に強い放射性毒性を持っている、それから化学的毒性も有する、さらに先ほど指摘のように核兵器の原料にもなり得る物質であるということでありまして、核物質防護の観点から考えましても、特に慎重な取り扱いを要するものである、そういうふうに理解しております。
  106. 常松裕志

    常松委員 相当粗っぽい説明ですけれども、時間もありませんから。しかし、とにかく先ほど申し上げましたようなわけで、だから世界じゅう及び日本じゅうでみんながとにかく心配しているというわけですね。  ところで、話は違いますけれども、フランス共和国の核防護安全研究所、IPSNから運輸省に対してこの安全輸送に関する質問が求められていますね。その質問及び運輸省が出した回答について、後刻で結構ですけれども、私の方に届けていただけますか。これは公開していただけますか。
  107. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 フランスのIPSN、核防護安全研究所から運輸省または科学技術庁に対しての質問ということでありますが、このIPSNが安全評価を行うことにつきましての質問は、科学技術庁に対して行われたものでありまして、同庁が回答したと承知しております。  運輸省に対しましては、運搬船の具体的な構造設備に関する問い合わせがありましたが、運輸省としましては、基準は我が方が定めておりますが、具体的な船舶についてはその輸送の責任者であります動燃から回答すべきであるということで、動燃からその部分について回答をしております。  したがいまして、質問と回答文書につきましては、それぞれの当事者に聞いてみないと、出せるものかどうかということがわかりません。
  108. 常松裕志

    常松委員 これは出すように話し合っていただきたいですし、これもひとつ理事皆さん委員長にお願いしますけれども、今の文書、後で検討してもらって理事会の方に出していただくようにお願いしたいのですが。
  109. 久間章生

    久間委員長 理事会で協議いたしたいと思います。
  110. 常松裕志

    常松委員 ところで、東京都議会においてプルトニウムの輸送の問題が取り上げられておりまして、私どもの党の大久保都会議員の質問に対して、都はこういう回答をしているのです。「万一事故が発生した場合には、地域防災計画に基いて必要な措置をとる」、これは万一事故が起こった場合にどうだということについてです。  ところで、運輸省それから海上保安庁にお尋ねいたしますけれども、あかつき丸が仮に東京湾に入ってくるとき、あるいは東京湾でなければその他の県の県知事に対して入港の予定、プルトニウムを積んだ恐ろしい船が今入ってくるということについて、そして、あらかじめ万が一何か事故が起こった場合には、地域防災計画に基づいて万全の措置をとるようにというような連絡を各県知事にするのでしょうか。運輸省それから海上保安庁、それぞれ答えてください。
  111. 戸田邦司

    ○戸田政府委員 御指摘の点でございますが、事故時におきましては警察庁、消防庁などに対して連絡通報を速やかに行うことにしておりますが、運輸省としましては、入港する地方自治体に対しまして事前に連絡するということにはしておりません。そういうような仕組みにはなっておりません。
  112. 後出豊

    後出政府委員 海上保安庁としても同様でございます。
  113. 常松裕志

    常松委員 運輸大臣、これはとにかくそんな恐ろしいものなのに事前に連絡しないというのです。だから、事故が起こったら連絡をするというのだけれども、しかし、事故が起こってからでは遅いわけですね。こういう非常に矛盾に富んだものであるということを理解しておいていただきたいのです。  ところで、今度あかつき丸について伺いますが、各種の申請書や届け出書などが提出されていますね。その日時などについて答えてください。  きのう事前に伺ったところによりますと、放射性物質等運送届については十一月二日と十一月六日、二回にわたって変更届が出ていると伺っておりますが、簡単にその理由。そして、そんなにくるくる変わっていいものかどうか、それもちょっとだけ答えてください。
  114. 後出豊

    後出政府委員 あかつき丸のプルトニウム輸送につきまして、危険物船舶運送及び貯蔵規則第九十一条の二十一に基づきまして管区海上保安本部長あてに放射性物質等運送届が提出されております。  これは当初、平成四年十月十三日に提出されました。しかし、その後フランス側の都合などで運送開始の日時等に変更がございましたので、所要の変更届が出ております。その変更届が出たのは十一月二日及び十一月六日でございます。
  115. 常松裕志

    常松委員 それでは、今ここでの答弁はいいですが、放射性輸送物運送計画書安全確認申請書、これは運輸大臣あてに出るものですけれども、それらの出された日時等々については後で一覧表にして私のところへ届けてくださるようにお願いいたします。  ところで、十一月十三日に海上保安庁が、グリーンピースのソロと呼ばれる船が「しきしま」にぶつかってきたという趣旨の記者会見をやりましたね。この衝突は、「しきしま」がソロの左舷から近づいたことによって発生しているというふうに私どもは聞いています。これは、衝突回避義務を負っている「しきしま」がその義務を怠ったのじゃないかというような疑いがございます。  また、十一月二十日、そのソロの後を追跡しているスミット・ニューヨークのバーバラさんという方からの電話によりますと、あかつき丸と「しきしま」が真っ暗な海上で接近をして無灯火で航行している、そしてスミット・ニューヨークの追尾をまこうとしているのじゃないか、こういうことが新聞等で伝えられていますね。これも恐らく、恐らくじゃありません、無灯火での航行というのは国際規則違反だろうと思うのですけれども、こういうことが本当に起こっているのでしょうか。
  116. 後出豊

    後出政府委員 初めに、「しきしま」とソロの事故につきまして御説明申し上げます。  私どもの調査によりますれば、一定の針路、速力を保持して航行しておりました護衛船の「しきしま」の右舷後方からソロが追い越しの状況で異常に接近し、急に左転したために発生したものであるというふうに考えております。したがって、このようなソロの行動は国際海上衝突予防規則上の追い越し.船の航法に違反しておりまして、今回の事故の責任はソロ側にあるというふうに理解しております。  なお、このことにつきましては、IMO、国際海事機関におきましても、フランス政府当局から、事故発生海域で同行しておりましたフランスの艦船からの報告に基づきまして、あかつき丸と「しきしま」を常時追尾していたソロは追い越し船の立場にあったが、「しきしま」の右舷にソロの左舷船首を衝突させた旨の見解が示されております。  次に、船灯、明かりの問題でございますが、実はこの問題につきましては、護衛船団の個々の行動につきましては、プルトニウム輸送の防護ということにかんがみまして、個々の具体的な説明につきましては控えさせていただきたいと考えております。
  117. 常松裕志

    常松委員 質問を終わりますけれども、最後の話にあるように秘密、秘密、秘密なんですね。この秘密主義が殊さらに全世界の、及び国内におけるあかつき丸に対する不安を助長していると私は思うのです。  大臣もそろそろ任期が終わりだという先ほどのお話でしたけれども、最後の仕事として、秘密主義はやめろ、もっと言えばプルトニウムなんてこんなとんでもないものを使うのはやめろ、こういう使用はやめろということをぜひ政府部内で大きい声で言っていただいて、そして運輸省に迷惑をかけないようにしろ、国民に迷惑をかけないようにしろということをぜひ大臣から言ってもらいたいということを要望しまして、質問を終わります。
  118. 久間章生

  119. 緒方克陽

    緒方委員 国連障害者の十年というものが設定をされましてことしが最終年に当たるわけですけれども、そういう中で経済大国である日本が障害者の問題についてどういう施策をとってきたのか。特に、運輸省は障害者の移動の制約という問題について積極的に対応する必要があるわけでありますが、この十年間に障害者の考え方も変わりまして、保護される立場から、みずから一人の人間として町を移動したい、そういう要望が強くなる中で、それにこたえるような積極的な施策を政府としてはしていかなければいけないというふうに思うわけであります。  この十年間、一応終わるわけでありますが、私に言わせれば、この十年間は障害者問題を、こんなに数多くの問題があるんだということを言って、国民の間にあるいは行政機関の間にも明らかにしたと思うのですが、その問題解決は緒についたばかりだというふうに言わなければいけないのではないかという気がしております。  そういうことで、きょうは時間がありませんので端的に幾つか質問をしてまいりますので、お答えを願いたいと思います。  まず第一に、運輸大臣にお尋ねをしたいと思います。社会完全参加と平等を迫る国連障害者の十年というものが、先ほど言いましたように、もうあと一カ月を切った段階で終わるわけでありますが、この取り組みについて運輸省としてはどのような理念に基づいて、またどのような施策を展開されてきたのか、お尋ねをいたします。
  120. 奥田敬和

    奥田国務大臣 本当に早いもので、一九八三年国連障害者の十年、もう最終年を迎えてきたということは、本当に思い出多いこの十年であったと思っております。この間、先生の言われた障害者の社会完全参加という形の国民間における認識も随分深まってきたと思っております。確かに私たち自身も、あのパラリンピックあたりで不自由な皆さんが我々に負けずああして努力されてやっておる姿というものは、私も本当に大きな感激、感慨を受けた一人でございます。  運輸省としましても、この十年間、先生がいつも御指摘の交通弱者と申しますか、できるだけ優しい交通運輸行政ということを目標にして運動展開に努めてまいったと自負しておるわけでありますが、今まで身体の負担の少ない方法でいかにして公共機関を利用していただけるかという形で、具体的にはエスカレーターやエレベーター整備やリフトつきのバスや、あるいは案内板における点字ブロック等々、何とか障害者の方々が少しでも利用しやすいような方向で、車両の改善も含めて指導してまいったつもりでございます。  最近こういった形の成果は上がりつつありますが、これはしかしまさに緒についたばかりで、今までは障害者十年の意識改革国民の間に周知してきた。しかし、むしろこれからの十年が本当にこういった形の整備、実効を上げていく、そういった十年にしなければならぬなと思っております。  そういった形でまだ十分ということはとても言えない状況でありますが、ともかくそういった方向の中で意識改革がなされ、たとえ第一歩が形は小さかったけれどもそれは緒についてきた、そして今後車両であれ、設備であれ、施設であれ、すべての面で障害者の立場が考慮される、そういった方向づけがなされてきた、また今後はそれを充実していかなければならぬということで、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  121. 緒方克陽

    緒方委員 運輸省としての努力をしてきたということですが、しかし、現実には今から質問しますようにいろんな問題が本当にまだ緒についたばかりということだと思います。  そこで二番目に、具体的に質問いたしますが、一九八三年から十年たった今日、公共交通ターミナルにおける身体障害者用の施設整備におけるガイドラインというものが設定をされたわけであります。この見直し作業が今開始をされていると聞いておりますけれども、八三年に作成されたガイドラインがもたらした成果と、そして反省点はどういうものであったかということで例示していただきたいと思います。
  122. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 このガイドラインに従いまして公共交通機関における障害者用施設整備の推進を交通事業者に対して指導いたしました結果、例えば鉄道駅における身体障害者用トイレ、誘導・警告ブロック及びエスカレーターの整備率は、ガイドライン策定時の昭和五十七年度末にはそれぞれ五・四%、一九・六%及び五・二%でございましたが、平成三年度末には一九・九%、五二二%及び一〇・八%となっているなど、施設整備は着実に進められつつあると考えております。  しかし、ガイドラインは策定の後十年を経過しておりまして、その間、車いす対応エスカレーター等の技術革新が進んだこと、障害者の活動範囲が拡大したこと、それから高齢化社会の到来への対応が必要になったことなど、情勢の変化に適切に対応していかなければならないと考えております。
  123. 緒方克陽

    緒方委員 そこでもう少し具体的に質問いたしますが、それではなぜ今新たなガイドラインの作成が必要になったのかということについてお尋ねいたします。
  124. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 今申し上げましたように、ここ十年間の新しい技術開発の成果をガイドラインに盛り込む必要があると考えておりますし、また公共交通ターミナルとして鉄道駅だけでなくバスターミナル、空港、旅客船のフェリーターミナル等も対象に追加する必要がある。さらに高齢化社会の到来に伴いまして高齢者用の施設もガイドラインの対象にすることを検討する必要がある。こういった点から今年度から二カ年でガイドラインの見直し、拡充を行うこととした次第でございます。
  125. 緒方克陽

    緒方委員 今御説明いただいたことにちょっとダブるかもしれませんけれども、いま少し詳しく説明していただきたいんですが、十年たった今、障害者を取り巻く環境もずっと変わってきたわけでありますし、障害者自身の意識も変わってきたというのが一つの大きなこれは十年間の特徴じゃないかというふうに思います。これらの現状を踏まえて、今一定の説明がありましたけれども、もう少し特徴点といいますか、そういうものを示していただきたいと思います。
  126. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 一つは、障害者の方々の行動範囲が広くなったことに対応しまして対象の施設を広げるということでございます。それからもう一つは、技術革新の成果等をできるだけ取り入れていく。現在調査の対象となっている設備の例としましては、車いす対応型のエスカレーター、それから動く歩道、視覚障害者のための音声ガイドシステム、こういったものが最近は非常に発達してまいっておりますので、こういうものをガイドラインの対象として検討しなければならないと思っております。
  127. 緒方克陽

    緒方委員 局長、後の予定があるようですので結構です。  そこで鉄道局長にお尋ねいたしますが、一九八三年のガイドラインでは、まさにガイドラインだけのものであったというふうに私は思うのでありますが、今回十年経過をして見直しをされるガイドラインというのは、やっぱりより一歩進んだものでなければいけないというふうに思うわけであります。  そこで、特に鉄道事業者に対してこの新たなガイドライン、検討されているものは何らかの強制力を持たせるものになるのかどうか。私に言わせれば一つの駅が仮にも完成をいたしますと、新たにエレベーターをつくるということになれば億というお金がかかる、それ以上のお金もかかるところもあるわけでありますが、そういう意味で早目に施策をやりながら、とにかく後手後手に回らないようにしなきゃいかぬというふうに思うのであります。  そういう意味で、そういう考え方と同時にやっぱり一定のお願いだけということでは済まない面もあるというふうに思いまして、何らかの強制力を持たせるものであるかどうかということについてお尋ねをいたします。
  128. 秦野裕

    ○秦野政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、駅施設の整備につきまして、身体障害者の方々にも利用しやすいような施設をつくるという必要性につきまして私どもも十分認識しておるつもりでございます。  今義務づけのお話が出たのでございますが、例えば鉄道の既存駅にエスカレーターとかエレベーター、特にエレベーターをっけます場合には、駅の構造の問題あるいはその出入り口に新しい用地が要るというような問題、いろいろ非常に難しい問題がたくさんあるわけでございます。したがいまして、鉄道事業者に一律にこの義務づけをするということは、その実情から考えましても非常に難しい点があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、その必要性についてもちろん私ども否定するわけではないわけでございまして、先ほど運政局長の方から御説明しましたガイドラインとあわせまして、どういう駅にエスカレーターなりエレベーターを整備していくべきか、いわゆるその整備指針のようなものでございます、ガイドラインの方はこういう形のエレベーター、こういう形のエスカレーターを考えていったらどうかということを主たる点にしておりますが、こういう駅につくっていく、どういう駅につくっていくべきかという一つの整備指針となるものを考えておりまして、平成の三年度には既にエスカレーターにつきましてそういうものを策定して私ども自身の基準とすると同時に、その指針に従って各事業所を指導しているわけでございます。引き続きまして、エレベーターにつきましても同様の整備指針の策定について、現在鋭意検討を進めておるという段階でございます。
  129. 緒方克陽

    緒方委員 実は身体障害者団体と運輸省とのいろいろな話もされているわけでありますが、過日話をお伺いしますと、十一月の中旬ごろJR各社とそれから民鉄を集めて、そして運輸省がこのエレベーターなどの問題について要請をしたということになっております。その話を聞いておりますと、それはもう口頭で要請したんだということで、具体的に各社に対して要請する場合にも、やはりこういうふうにしていただきたいということを文書で示すというようなことをしなければ、どこで何がされたかちっともわからないという状況でありまして、ですから身体障害者団体の人たちも運輸省に対して大変不信を持つということになっていると思います。  今、指針という話になってきましたけれども、なかなか強制力が持てないというような話です。しかし、もう今から新しくできていくことについては、やはり指針みたいなものじゃなくて、もっと具体的にこうすべきだということで、お金の面も一定考えてやるというふうにしなければこれは具体的には進まないというふうに思うのです。一定の補助をするなりなんなり、そういうことも含めて考えていただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。   〔委員長退席坂本(剛)委員長代理着席
  130. 秦野裕

    ○秦野政府委員 ただいまお話ございましたお金の面と申しますか経費の問題でございますが、これは一応基本的にはその事業者の方でその全体の経営の中から必要な経費を拠出していく、つまり端的に申しますと、通常の運賃収入の中から必要な経費を割り出していくということが原則であるべきだというふうに考えております。  ただ、今後の整備水準なりなんなりを検討していきます過程で、そうした点も含めて、将来のエレベーターなりエスカレーターの整備のあり方がどういうものであるべきかという点については、さらに検討を進めていきたいと思っております。
  131. 緒方克陽

    緒方委員 検討を進めていきたいということでありますので、指針だけは出すけれども具体的には手だてはないということについては、私は非常に問題があろうかと思います。その点については検討の中で十分生かしていただきたいというふうに思います。  次に、バスの問題についてお尋ねいたします。  大都市におけるリフトつきバスの運行状況運輸省としてはどの程度把握されているか、実態についてお尋ねをいたします。
  132. 土坂泰敏

    土坂政府委員 リフトつきバスは昨年の十一月に大阪市の公営バスで初めて導入をされたわけでございますが、その後広がっておりまして、現在七都市の公営で三十八両の車両が運行されております。  利用状況は運行系統によっていろいろ違うわけでございますが、毎月の利用人員が百人を超える運行系統もございますし、月によっては利用人員が全然いらっしゃらない運行系統もあるということで、スタートしたばかりでもあり、こういうような状況であるということでございます。
  133. 緒方克陽

    緒方委員 ここ一、二年で大阪市や神戸市、それから京都市、名古屋市、東京都などで車いすのまま乗れる今のリフトつき公営バスが、お話がありましたようにわずかではありますけれども、運行されるようになったのであります。このことについて運輸省としてどのような見解を持っていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  134. 土坂泰敏

    土坂政府委員 リフトつきバスは、身体障害者に開かれた交通体系をつくっていくという上で重要な手段であるというふうに運輸省としては認識をしております。ただ、仰せになりましたように、現段階、まだ運行実績も乏しゅうございます。もう少し運行状況なりあるいは車の開発状況なども見ながら今後のあり方については考えてまいりたいと思っております。
  135. 緒方克陽

    緒方委員 今の話を聞いておりますと、重要な移動の手段、そういうものではあるけれどもということで運行状況などをもう少しということであります。これはやはり周知徹底とかいろいろな、どこに走ったが一番いいのかという問題等もいろいろあろうと思うのですが、基本的にこのことについては積極的に進められていく、喜ばしいことであるというふうにお考えかどうか、そういう意味でお尋ねをしましたので、お答えをいただきたいと思います。
  136. 土坂泰敏

    土坂政府委員 仰せのように積極的に推進していくべきものであるというふうに受けとめております。
  137. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、公営バスについても今のような考えで積極的に進めていただきたいわけでありますが、一層の推進を図っていただきたいわけでありますが、公営バスが運行されていない地方都市ですね、都市によっては公営があるところ、ないところ、あるわけでございまして、そういう公営のバスのないある程度の大規模な都市ということについて、そういうところについてはどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  138. 土坂泰敏

    土坂政府委員 推進をしていくに当たりまして一つの課題は、やはり非常にコストが高いということでございます。先生今公営のことをおっしゃいましたが、実は公営は高くなった分の差額を地方公共団体の一般会計で補てんし、それをさらに特別交付税で面倒を見るというようなことも可能でございますけれども、それ以外の公営がないところ、つまり民営になりますとそういうことができません。そこが一つの問題でございまして、大体普通の車より一千万円ぐらい高い。したがいまして、今全国のバス事業、大変厳しい状況にあるわけですが、その費用の負担をどういうふうに進めていくかということに一つ課題があって、私どもも悩んでおるというか、そういう状況でございます。
  139. 緒方克陽

    緒方委員 次に質問しようとしたことについてもお答えをいただきましたけれども、悩んでいるというような話でありますが、やはりこういう施策を積極的に進めるということについては必要だと思いますので、今悩んでいるという状況じゃなくて、まあ言うなればお金の問題でありますが、そこら辺について積極的に進めるような財政当局との話なりなんなり、あるいはそれを要求するに当たってのやはり政策の基本的な考え方を積極的に進めるような運輸省としての積極性を出すような方針といいますか、あるいはなぜそういうふうにしなければならぬかというようなことを固めて働きかけていかなければ前進しないと思うのです。そこら辺についてはどうお考えですか。
  140. 土坂泰敏

    土坂政府委員 一両が大体二千五百万から二千八百万というような値段でございますので、今の全国のバスの一割をこれに買いかえるとしますと、大体千六百億円から千八百億円かかるというような状況でございます。  バス事業は平成三年度で全国で九百億円の赤字を出しております。全体で九割が赤字でございまして赤字の額がまた九百億円、こういった中でそういう負担をやっていくためにどうすればいいかというのが課題でございまして、非常に難しい問題であるわけでございますが、バス事業者がそれを負担してのみ込んでいくということは、これは非常に難しい。かといって、それを転嫁して普通の利用者に負担していただくというのは、これはバス事業はほとんど運賃については赤字改定をしておりますのでそういうこともできない。そうすると、やはりそれ以外の方に負担をしてもらうことを考えなければいけない、そこに難しさがあるわけでございます。  大変財政事情も厳しい中でこういうことを進めていくことについてどういう知恵があるのか。一つは、福祉行政との間でよく連携をとるということが一つの考えであろうかと思いますが、そういったようなことも念頭に置いて、今の先生の御指摘も踏まえながらこれからよく相談をしてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  141. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、先ほど大臣も、この国連障害者の十年は、啓蒙とかいろいろな意味で一定の成果はあったけれども、まさにこれからだ、次の十年というお話もされたわけでありますが、実は、アジア・太平洋障害者の十年というのが一九九三年から二〇〇二年までということで、今ESCAPで議論をされているというふうに聞いております。  ことしの四月ごろの国連アジア太平洋経済社会委員会の第四十八回の総会で中国が提起をして、アジア・太平洋障害者の十年という決議が満場一致で採択をされて、今その作業がいよいよ一九九三年、来年から始まるわけでありまして、どのようなことをやっていくかということで議論がされているというふうに聞いております。  世界でも経済大国と言われる日本、特にアジア・太平洋ではその先導的な役割を果たしていかなければいけないというふうに思うわけであります。お聞きしますと、そういった全体的なことは総務庁が対応したり、あるいはこのESCAPには外務省が参加をされているということで、運輸省としては余りつまびらかにはされていないというふうには聞いておりますけれども、もう来年の一月から始まるということであれば、いろいろ折衝などもされながら、運輸省としてはこのアジア・太平洋障害者十年に向けてどういう対応をされるかということについても検討されているのではないかというふうに思いますので、その辺についてお尋ねをいたします。
  142. 和田義文

    ○和田政府委員 先生御指摘のように、本年四月、北京で開催されました国連アジア太平洋経済社会委員会第四十八回総会におきまして、一九九三年から二〇〇二年までをアジア・太平洋障害者の十年にするということで満場一致で採択されたと私どもも承知いたしております。  最近の動きにつきましては、今月の一日から五日にかけまして北京で会合が開かれまして、アジア・太平洋障害者の十年にいかなる活動が行われるべきか等の議題について話し合いが行われたと聞いておりますが、現在のところまだ詳細な情報を得ておりません。  今後、運輸省といたしましても、関係省庁と連絡をとりつつ必要な情報収集を行いまして、適切な対応を図っていきたい、かように考えております。
  143. 緒方克陽

    緒方委員 私といたしましては、今情報収集というような話でありますが、やはり、先ほども言いましたように、経済大国日本としてこれには積極的な役割、ある意味で言うと問題提起を、日本政府の中でも運輸省、特に障害者の移動の問題についてはこのようなことを他の国に対しても示していく、あるいは他の国にも学ぶというような意味での積極的な役割を果たしていくべきではないかというふうに思いますので、その点についてはぜひ努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そこで、建設省の方、お見えでしょうか。同じく障害者の問題で、有料道路通行料金の身体障害者割引制度の改善についてお尋ねをしたいと思います。  平成四年の六月十五日の「今後の有料道路制度のあり方についての中間答申」の中で、「料金制度のあり方」ということにつきましても答申が出され、「身体障害者割引制度の見直し」ということになっております。  この中では、特に具体的に障害者十年の問題なども取り上げられながら、「内部障害者等肢体不自由者以外の身体障害者が自ら運転する場合」、「口」として、「単独での移動が困難であること、自動車に頼らなければ移動が困難であること及び長時間乗車等による苦痛や疲労が著しいことにより、介護者の運転で有料道路を通行することが特に必要と認められる重度の身体障害者又は重度の精神薄弱者について、その介護者が運転する」車については範囲を広げて検討する必要があるということで、もう六月に出されているわけであります。  そこで、この問題についての今日の検討状況はどうなっているのかということについてまずお尋ねをいたします。
  144. 佐藤信彦

    佐藤説明員 お答えいたします。  ことしの六月十五日に道路審議会の答申をいただいておりますが、この中の趣旨は先生仰せのとおりでございます。  これに基づきまして、今後拡大対象としていきます障害者の具体的な範囲、それから介護者運転の場合も触れているわけでございますが、こういったものの範囲、それから限定の方法、対象自動車の範囲とかそういった具体的な適用範囲、それから利用方法、そういったものを関係省庁といろいろ打ち合わせ等、検討しているところでございます。
  145. 緒方克陽

    緒方委員 もう一点お尋ねをいたしますが、現行でも、身体障害者手帳の交付を受けている肢体不自由者がみずから運転をする場合には制度として適用されております。昨年の実績などもいろいろお尋ねをして一定の成果も上げていると思われるわけでありますが、高速道路だけではなくて一般の道路でも、一時間か二時間運転したら休みなさい、特に高速道路などでは長時間運転するということは安全上よくないということで、休憩をとったり交代をしたりということを警察庁あるいはその他も含めて政府として指導をしているわけでありまして、このように身体障害者手帳を持ってみずから運転する場合という人についても、本人がその車に乗っていて、そして障害者手帳を示しながら、しかも本人の車であるということが確認されれば、例えばその介護者というような人を特定しておいていけば、これは必ずしも運転をしていなくてもやはり割引適用をすべきじゃないか、あるいは、もうしていただきたいという切実な声を、これは安全上からもやるべきではないかという声を聞いているわけでありますが、この辺についてもどういうふうに検討されているかお尋ねいたします。    坂本(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 佐藤信彦

    佐藤説明員 有料道路の料金につきまして身障者割引制度というのが現在行われておりますのは、今仰せのとおり肢体不自由の方、手足の不自由な方でございますが、そういった方についての本人が運転される場合について割引を行っております。もともと有料道路につきましては料金収入をもって道路の償還に充てるといった方向になっておりますので、これらの割引を行うということは他の利用者の負担となるといったことがございます。そういったことで、この割引も、もともと始まりましたのが特別な形で利用者の御理解をいただく範囲ということで進められてきております。  そういったこともございますので、今回の拡大、範囲を少し広げられないかということについても、私どもも審議会の中でも検討させていただいております。  その中での話では、本人の運転、そういったものについてできるものは広げられないかといった趣旨が先ほどの初めの話でございます。それから後の話の方の介護者の運転といいますのは、これは本人が運転するのは非常に難しくて全くできないといった者の介護者について運転するといった趣旨が介護者運転ということになっています。  したがいまして、本人が運転できるものについて別の人がまた運転してもいいという話にはなかなか結びつかないんじゃないか。そういうことになってきますといろいろ範囲が広がりまして、これまた車の料金を取ったりとかそういう場所でも混乱は非常に広がりますし、それから、利用者の方々の御理解がなかなか得られないんじゃないかといったこともございますので、一応現在考えておりますのは重度の障害者、そういう者についての介護者といったようなことの検討等を行っております。  以上でございます。
  147. 緒方克陽

    緒方委員 私が申し上げましたのは、通常高速道路等でも長時間運転はまずいということが言われて、そのことが事故の多発につながっているという意味からすると、じゃ料金所の近くの手前で、どこかでまた乗かえればいいじゃないかとかというふうな話も出てくるんですが、そういう安全の観点からも、特定の介護者という言葉が今出ましたけれども、私が言った意味は、その人に対して、肢体の不自由な人の介護という意味を特定したというふうなことで言ったわけであります。  そういうことについてはやはり安全上ということもありますので、今検討されているという中で、一定の枠組みをちゃんとつくるならばそれも当然検討されていいのじゃないかと思います。その辺についてはぜひ検討を、枠組みをきちっとするならば何とかできるということもあると思いますので、その辺についてはいま一度御見解をお伺いしたいと思います。
  148. 佐藤信彦

    佐藤説明員 ただいまの先生の仰せでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、有料道路の料金につきましては償還をもとに考えておりますし、そういった点でやはり利用者の方々の御理解をいただける範囲ということが限界になるかと思うのです。  そういったことで、私どもとしましては、現在行っておりますのは、介護者もございますが、重度な者、そういう者についての検討といったことを主体に行っております。
  149. 緒方克陽

    緒方委員 今重度の人を主体に検討しているということですが、私が言ったことについてもぜひ検討していただきたいということと、現在ワーキンググループをつくられていろいろ作業をされているということのようでありますが、なるべく早い方がいいのですけれども、一体めどはどの辺に置いていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  150. 佐藤信彦

    佐藤説明員 これの検討でございますが、先ほど申し上げました具体的ないろいろな問題、これについて一つ一つは申し上げておりませんが、取り扱いの方法として鉄道とか航空料金と非常に違いますのは、鉄道などの場合には恐らく一人一人が対象になると思います。道路の場合にはそれが車一台一台の扱いになってくるということになります。そうしますと、その場合の料金所での扱いとか、それから、それも運転している人、介護者とか車とかそういうものの確認というのは非常に難しい問題がございます。  そういった問題が非常にございまして、その検討というのを現在行っているところでございますが、今の時点でいつという話はちょっと申し上げられない状況でございます。ですが、なるべく早い時期にやっていきたいというふうに考えております。
  151. 緒方克陽

    緒方委員 障害者団体からの要望も強いようでありますので、なるべく早く実施をするように議論を詰めていただきたいと思います。  自治省、お見えですね。同じく障害者の権利の問題でお尋ねをしたいと思います。課長、お見えのようですけれども、憲法十四条は、「すべて国民は、法の下に平等」云々ということがあるわけでありますが、そのことについては自治省は御承知でしょうか。
  152. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 承知しております。
  153. 緒方克陽

    緒方委員 ところで、現在佐賀県の佐賀市においては議長選出をめぐる汚職事件で地方自治法により三名の、当初七名でしたけれども、次々とやめていかれまして、リコールが始まる時点では四名だったんですが、途中で一名やめられて、今三名の議員の解職を求める直接請求の運動が行われております。このことについても御存じでしょうか。
  154. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 佐賀市においてリコール運動があるということは承知しております。
  155. 緒方克陽

    緒方委員 ところで、この直接請求の運動で実は重大な問題が発生をしているわけであります。  実は地方自治法では、直接請求で署名そして印を押すということで拇印ないし印鑑を押すということになっているわけであります。これは裁判で何か自署でなければいけないとかなんとかいうことになって、法律上は署名ということであるわけでありますが、身体障害者、手が不自由で字が書けない人がこの直接請求に参加できないという問題が起きてまいりました。  ここに一冊の、これは平成四年十月十九日代表者証明書交付ということで議員の解職を求める署名簿があるわけでありますが、ここには、私もここに立ち会いをしまして、署名の意思がある、ぜひしたいという人がいらっしゃったので、NHKさんにも来てもらって、新聞社も来てもらって、目の前で、手が書けないものですから代理の解職請求の署名をしていただきました。  具体的には五名の方の分を代理署名をいたしまして、私が立会人で、いま一人は佐賀市の西村さんという人と、それから署名収集人が秋山健次さんという人ですが、この人は身体障害者のことを、ボランティアをやっておられる方ですけれども、この人が署名収集人になりまして、マスコミも入れて写真も撮って、私なども立会人になりまして、そして佐賀市の選管に提出をいたしました。五名分です。  その締め切りは、締め切りといいますか、審査判定が今行われておりまして、十二月十四日までに終わることになっておりますが、これはあくまでも署名収集人が代署を行ったものであるということを確認し、二重、三重の署名をしたことではないという意味からすると、これは当然有効な署名として認められるべきと思いますが、どうでしょうか。
  156. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 その現物の署名簿は見たことはございませんが、先生がおっしゃるように本人の自署、自分で書いたものでなくてだれかに代筆させた、こういうことでございますれば、現在の直接請求制度上の問題でございますが、無効である、そういうふうに解されます。
  157. 緒方克陽

    緒方委員 自分が市会議員の選挙をするときには一票を投ぜられて、それから、選挙のときには手が不自由な人でも代理投票ということがあるわけですね。ところが、代理署名はできないということになりますと、これはやはり法が整備されていないということだと思うんですが、今まで地方自治法が施行されまして一番最新のところまででいいんですけれども、総件数でいいますと、どれぐらいの直接請求がされているでしょうか。
  158. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 手元に詳しい数字は持っておりませんが、地方自治法が施行されて以来、約二千数百ぐらいあるのではないか、そういうふうに思っております。
  159. 緒方克陽

    緒方委員 憲法十四条では、法のもとに平等である、それから選挙権も認められている。そして、ことしは国際障害者年である。自分は一市民として、有権者としてどうしてもこの議員の解職署名をしたい、手は不自由だけれども社会活動はちゃっと参加をしている、どうして自分の署名はできないんだ、そういう障害者の怒りといいますか、そういうものがあることに対して自治省はどう対応されるのですか。その気持ちに対してどう対応されるのですか。
  160. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 直接請求制度の問題でございます。  先生御承知のように、現在の自治法におきましては、公選の長あるいは議会の議員に対し、議会の議員による代表民主制が原則としてとられておりますが、これを補完する意味で、長や議員のリコール、いわゆる解職請求等の直接請求制度が設けられておるわけでございます。  この直接請求制度におきましては、選挙権を有する者の一定数以上の連署により請求ができるものというふうにされております。現在の制度におきましては、署名による請求、これが基本的な要件になっております。最も重要な要素というふうに言われております。  したがいまして、これに関しまして、不正や違法行為、こういうものが入らないようにするということが非常に重要なことになっておりまして、法の高度の形式的な安全性が強く要求される。こういう結果、先生も御指摘のように、身体の故障と、手が不自由で自分から署名できないという方々、こういう方々が直接請求制度に参画できないというような問題がございます。  したがいまして、身体の不自由な方々、故障等により署名ができない、自署できない方々につきましては、現在の制度を手当ていたしまして、代筆署名等を認めるということが、先生が先ほどからも御指摘ありますように、選挙権を有する者の重要な権利というふうに考えられます。  したがいまして、御指摘の点も踏まえまして、制度化について検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
  161. 緒方克陽

    緒方委員 確かに、判例なんかも見ていますけれども、法律では署名ということしか書いていないわけであって、判例で自署でなければということが出ているわけであります。しかもそれには、不正ないし違法手段による署名の収集または署名についての無用の紛争を極力防止するためにということでされているわけでありまして、ここに私が持ってきておりますのは、あくまでも署名収集人が、自分が代筆をしたんだ、選管としては確認してくださいということを言っているわけで、二重三重ということにはならない、そういう種類のものであるわけですね。  ですから、今、しかしこれは有効とは認められないという答えがありましたけれども、それは私は納得できない。そういう強い有権者の声があることに対して自治省は早急にこたえるべきじゃないかと思うのです。今までも、昭和二十二年から平成三年の年度末までに二千八百三十七ですか、それぐらいのものがやられたというのですが、今も幾つもあっているのですね、直接請求は。今もあちこちであっているのですよ。一つでも早くそれが適用できるようにしないと、これはまさに法の欠陥ではないかというふうに思いますので、着手するということですが、一体どういうことで真剣にやっているのですか。
  162. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 現在の状況でございますが、署名収集者が署名するという直接請求制度、これがございますので、この趣旨を損なわないようにするのが第一だと考えております。この点に配慮しながら、どういう方、いろいろな方がおりますので、どういう人に対して、あるいはどういう手続きで、また不正や違法行為が入らないように、これは絶対入ると困るわけですから、絶対入らないような要件をどうするか。これが法律改正でいけるのか、あるいは政令改正でいけるのか、そういう点も含めまして幅広く検討しているところでございます。
  163. 緒方克陽

    緒方委員 幅広くということですが、現実に一人一人の権利がやはり今無視をされているわけですから、現実に。今進行しているんですよ、今でも。だから、自治省としては早急にこのことについては対応していただきたいということを強く要求をしておきたいと思います。  だんだん時間がなくなってまいりましたので、あと内航船員の確保対策と運賃、用船料の適正化の問題について、ちょっと午後に回さなければならぬことにもなると思うんですが、質問させてもらいたいと思います。  ことしの四月でしたか、船員法の一部改正法が出されまして、この委員会で議論して、私もその審議に参加をしてまいりました。そして、今や日本の内航海運というのは、国の大動脈を担っている、そういう大変な輸送力を持っているということになっているわけであります。しかし、いろいろな制度上の問題、あるいは仕事がきついということなども含めて、賃金も安いということで内航船員が集まらずに、いっ船がとまるかというようなことも言われている、こういう現状の中で、適正運賃の収受、あるいは用船料の確立が必要だということで国会でも議論をされました。  また、この問題については、我が党の渕上議員の参議院運輸委員会での質問に対して、荷主と業界との間で定期的に運賃について話し合う場ができているというふうに答弁をされているわけでありますが、実態としては、業界団体である内航総連合と各種荷主団体との間でこのような場は設けられていないのじゃないか。あるとすれば、鉄、セメント、自動車は、どういう業界団体ごとにどの程度の話し合いが、協議の場ができたのか、お答え願いたいと思います。
  164. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 お答えをいたします。  ただいま御質問の、内航海運業界と荷主関係業界との話し合いの場でございますが、鉄鋼につきましては、日本内航海運組合総連合会と鉄鋼連盟との間で鉄鋼内航輸送連絡会というのが設けられておりまして、これまでも運賃コストであるとか輸送の効率化等の問題につきまして、昭和五十五年以降これまでに二十二回の協議が行われております。  また、石油につきましては、内航タンカー運賃協定、それから内航ケミカルタンカー運賃協定という一種の運賃協定が定められておりまして、荷主との間で運賃水準について交渉が行われております。内航のタンカーにつきましては、昭和四十九年の協定以来十九回、それからケミカルタンカーにつきましては、平成三年の協定締結以来二回交渉が行われております。  それから、石灰石の運搬船につきましては、内航総連合会が平成三年に一回、それから自動車専用船につきましては、全国内航輸送海運組合が年二回程度荷主との懇談会等を行っているところでございます。
  165. 緒方克陽

    緒方委員 本会議の時間が来ましたので、質問はちょっとここで中断ということにいたします。
  166. 久間章生

    久間委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  167. 久間章生

    久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。緒方克陽君。
  168. 緒方克陽

    緒方委員 先ほど、荷主と業界との間で定期的に運賃について話し合う場ができているということについて御答弁がありましたが、先ほどのものは明確に運賃ということのための協議の場かどうか、内容が定かではありませんので、それぞれ業界ごとに回数と日時をお話しになりましたけれども、その会議の名称と、それから、それぞれの会議で何が決められたかということについて、後ほどで結構ですが、示していただきたいと思いますけれども、どうですか。
  169. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 詳細につきましては、後ほど御報告いたしたいと思います。
  170. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、報告をいただきます。  それから次に、内航海運業法第十六条では、内航海運の健全化ということで標準運賃というものが告示をされるように法律はなっているわけであります。今日、船員不足が内航海運の命運を左右するというような状況になっている中で、この業法の立法趣旨に基づいてガイドライン的な標準運賃を告示することが法律でちゃんとあるわけでありますから、行政の役割ではないかと思うのですが、その辺ついて。
  171. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の内航海運業法第十六条に定める標準運賃でございますが、これは先生も御承知のように、内航二法が施行されました昭和四十一年の六月に、石炭、鉄鋼、石油の三品目の七航路につきまして、まさにガイドライン的なものとして設定をされたわけでございます。その後オイルショック等の経済状況の急変というような事情もございまして、さらに荷主業界と運賃問題について話し合える路線も、先ほどお話ししましたようにそういう路線も敷かれてきたというようなことがございまして、実質的に意義が薄れてきたというようなことがありまして、昭和五十年の五月に廃止されて、その後は設定されていないわけでございます。  この標準運賃についてどう考えるかというお尋ねでございますが、内航に限らず、海運の運賃の実態というのは極めて複雑多岐でございまして、航路、貨物はもとより使用船舶の船種、それから船型、船齢、船価等々によりまして非常にコストが異なっているわけでございまして、現実の問題としてなかなか標準的な指標を見出すのが難しいといった問題もございます。  それから標準運賃は、ある意味ではそれが存在するためにかえって運賃の硬直化を招くおそれもあるというような問題もございます。それから、現在のところ内航運賃をめぐる問題は、過去の標準運賃が設定されていたときと異なりまして、運賃水準もおおむね一定の水準を保っているところでございます。  先ほどもお話がありましたように、運賃の適正化というのは非常に重要なことだと考えておりますが、そのためには、何よりも荷主あるいは最終消費者としての一般国民の理解を得ることが肝要だと考えておりまして、さらに冒頭お尋ねのありました荷主との協議の場等についても積極的に指導をしていきたいと思っております。
  172. 緒方克陽

    緒方委員 時間がなくなりましたので最後の御質問ですが、前段の、運賃についての業界との話し合いの場ができているというふうに言われましたけれども、どうも私が調べるところでは違うわけですね。ですから、後ほど具体的にそれぞれの業界ごとの会議がいつ持たれて、どういう内容であったかということも含めて、そのことについては次の機会にただして、適正運賃が実現できるようにするために次回に問題を残したいと思います。  もう時間が来ましたから、最後にみなし船の問題についてでありますけれども、このことはさきの国会でも何回か議論してまいりました。役所の人に来てもらって船主で船員を雇用していない人たちの問題などをいろいろ相談したり、あるいは話を聞いているときに、言うなればこれは海の佐川急便みたいなものですなという話が役所の方から出た、つい最近ですけれども。そんなことでございまして、このことについては、やはり内航海運業が健全に発展するという意味で非常に問題があるというふうに私は考えております。  佐川みたいなことにならないためにも、この問題については運輸省は真剣に検討をするべきであるということで、みなし船やオーナーにかかわるまた貸しなどの一連の通達は早急に見直すべきであるというふうに思いますが、この点について最後にお尋ねをいたします。
  173. 浅見喜紀

    ○浅見政府委員 いわゆるマンニングによります船員配乗というのは特に最近になって出てきたのではなくて、また内航に特有ということではございませんで、内航、外航問わず、海運業界におきましては長年にわたって商慣習として行われてきているものでございます。また、船員職業安定法上も船員労務供給事業の枠外として従来から認められているわけでございまして、一概にマンニングによる船員配乗というものが悪いものだというふうに断定できない面もあるのではないかというふうに考えております。  それで、先生から先ほどもお話がございましたように、今後とも内航船員不足が深刻化しつつある状況の中で、これから内航海運業の経営の安定あるいは内航船員の雇用の確保ということを念頭に置いて内航海運業の構造改善を図っていく必要があるわけですが、そういった中で、今のようなマンニング業の問題というものをどういうふうに位置づけていくのかというのは、検討課題の一つとして受けとめております。
  174. 緒方克陽

    緒方委員 時間が参りましたので終わりますけれども、一概に悪いことだと言えない面もあるということですが、運輸省自体の役人の皆さんからも出るように、これは海の佐川急便みたいなことですねというふうになりかねない、そういう要素を持っているわけですから、検討ですね、一生懸命真剣に詰めてやっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  175. 久間章生

    久間委員長 この際、申し上げます。  先ほどの私の銀行融資にかかわる担保問題につきましては、理事会において協議していただきました。私の委員長在職中の問題ではなく、個人的なことでございますが、今後、自戒、自重し、委員会の円満、公正なる運営に当たりたいと存じます。  何とぞよろしくお願いいたします。  細川律夫君。
  176. 細川律夫

    細川委員 今、委員長の方から発言がございました。委員会の円満、公正な運営に当たりたいということで、それは承知をするわけでありますけれども、その委員会の円満、公正な運営に支障を来すのではないか、あるいはそういう運営がなされていないのではないかという国民疑惑に対して、あるいは疑念に対して、事実関係委員長がこの場で釈明していただければその疑念も晴れるのではないか、委員長の名誉のためにも私はそのような質問をしたわけでございます。その点はぜひとも御理解をいただきたいというふうに思います。  特に委員長に関しては、今まで私の知る限りでも全国紙の社会面のトップで、しかも十段抜きあるいは七段抜きとか、そういうような大きな報道をされておりまして、しかも佐川急便系列の取締役になった、あるいは今回の、担保を借りて融資を受けたというようなことが三回も報道をされているわけであります。  したがって、そういうことについてこの場で、こういう事実はないんだというようなきちっとした事実関係を釈明していただけるならばそれにこしたことはなかったと私は思うわけなのですけれども、委員長の方からお答えをいただけませんので、私自身が勝手に思っているのかもわかりません。  しかし、新聞などの報道によって、委員長が一回は一億円の融資については否定をされており、そして今度の十一月十九日の報道ではその一億円の融資を認めておられるわけでございます。しかも新聞記者との一問一答のところにおきまして、例えば、運輸政務次官に就任してから九州佐川の社長に会ったり関連会社の幹部から相談事を持ちかけられたことはある、私の知識で、それは可能だ、それはできない、こういう助言もしてきたというようなことが報道されているわけであります。  したがって、例えばそういうときのお礼に今回の一億円の融資なんかがあるとするならば、もしそうでないならば、私はこれはきちんとここで釈明していただいて否定をしていただきたかったのでありますけれども、しかし私は、委員長が別の席でこういう疑念に対して十分国民疑惑を晴らすように釈明をされるもの、そう信じているところでございます。  そういう意味で、私の方からはこれから委員長の方にはもう質問をいたしませんけれども、どうか私の思っている趣旨を御理解いただきたいと思うところでございます。  それでは、私の質問も時間がございませんので、先ほど佐川急便問題の都市計画法違反につきましての最後の質問といいますか、まとめの質問をさせていただきまして、終わりにしたいと思います。  この委員会では土浦佐川あるいは北関東佐川についていろいろお尋ねをいたしました。そのほかにも、例えば三郷でありました美穂運輸あるいは秋庭運送などの問題点などもきょう質問する予定でありましたけれども、時間の関係でできなかったのでありますが、こういう事例が全国で十カ所存在をしたということが報告もされているところでございます。きょう当委員会で私の質問からも浮かび上がってまいったと思いますけれども、東京佐川急便がいろいろな会社などをダミーに使いながら、法律違反を重ねながら事業を展開してきた、あるいは拡大をしてきたということがはっきりしたものと思います。  そういう佐川急便グループに対して一体どう対応をしていくのか、あるいはこの問題を契機にしまして今後の運輸行政にどのように生かしていくのか、その点について最後に大臣にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  177. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生御指摘のとおり、さきの本委員会の御指摘を踏まえまして、佐川グループ全体に対するこういった都市計画法違反の上に営業所設置を図ってきたという実態について、全国調査の結果、十カ所が違反を犯しているという実態が明らかになりました。結論から申しますけれども、七カ所は既に改善というか移転も完了いたしておりますし、あと三カ所も本年度内という期限を区切った中で厳正に対処してまいるということでございます。  基本的に、具体的事例を交えての先生の御質疑を通じまして、私も聞いておっても、都市計画法違反を犯してきた、遵法精神に欠ける形での企業拡大、こういった形の実態を知るに至りまして、本当に遺憾に存じております。もちろん率直に、縦割り行政の欠陥を露呈したような結果になりまして、そのこと自体反省をいたしております。陸運支局の職員が都市計画法に精通していなかったこと、そして、それらの運用に当たりましても、自治体の開発許可等々の問い合わせの徹底を欠いたこと、こういったことはまことに残念でございました。  しかし、今回の反省に立ちまして、建設省側と調整を図った結果、これらの営業所等の設置に係る認可申請があった場合には、直ちに都市計画法上の手続の必要性について逐一自治体側と連絡をとるという形、これはもう徹底をいたしております。そしてまた、この九月であったと思いますけれども、運輸省建設省両省の通達をもちまして、現場自治体にもこの点について二度と過ちがないようにということの徹底を期したわけでございます。  結果的に大変な違反が犯された中にこういった佐川の実態が浮かび上がってきたことは、行政を指導する立場からも大変残念でございますけれども、今後は防止に万全を期しまして、厳正な形での指導を行ってまいるということで御理解を賜りたいと存じます。
  178. 細川律夫

    細川委員 終わります。
  179. 久間章生

  180. 春田重昭

    春田委員 私は、本日の委員会におきまして、東京佐川急便問題、さらに関西新空港の問題、鉄道のトラブル、それから事故の問題、最後に時間があれば旅行業法の改正の問題、こういった角度から質問させていただきたい。限られた時間ですので、答弁者はひとつ簡潔明瞭に御答弁いただきたい、こう思います。  まず、東京佐川急便事件、委員会として、開かれた以上この問題に触れざるを得ません。この国会、大変な事件として、社会的な問題として大きく報道されているわけでありまして、その規模は歴史に残る空前の犯罪として指摘されております。国民の怒りは頂点に達している。事件の当事者は運送企業でありまして、監督すべき運輸省としてその責任は非常に重いと思います。  この国会は、運輸省当局よりもむしろ政界とか暴力団の方に焦点が移っておりますけれども、やはりその温床は運輸省にあると言わざるを得ない。そういった点でまず大臣に、この事件に対してどう深刻に、どう真剣に受けとめておいでになるのかお伺いしたい。
  181. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今日の東京佐川事件にまつわるいわゆる国民の最大の疑惑関心は、正直言いまして、内容からいいますと運輸行政そのものという立場からよりも、むしろ巨額な債務保証、そしてそれが暴力団とのかかわりでなされた、また政界に多額のそういった政治的な裏金というものがまかれてきたといったような、運輸行政とは直接かかわりないと言ったら語弊がありますけれども、そういった形が大きく国民疑惑関心事になっておるわけでありますけれども、私たちはこの運輸行政を預かる立場からいって、物流業者でしかも全国第二位という急成長を遂げたこの企業がそういった事件の中核であったということについては本当に残念に、遺憾に思っております。  また、今回の疑惑を契機にいたしまして、佐川の実態から、特に先ほど来御指摘のあったようないろいろな遵法精神に欠ける行為の中で急成長の原因があったという点も、運輸行政を預かる立場としては深く反省しなければならぬと思っております。  いずれにしても、戦後いろいろな疑惑がありました。しかし、それが許認可行政の多い運輸を預かっておる立場から、それが造船であれ、飛行機であれ、今回は佐川が、大きな物流事業の一翼を担っておった業者の中からこういった疑惑が出てきたという形も含め、大変遺憾に存ずるとともに、一層の遵法精神の徹底を期して指導に当たってまいることを職員一同に指導しておるところでございます。
  182. 春田重昭

    春田委員 本体であります運輸業務以外の業務で出たいわゆる今回の事件だから運輸省としては知らないとか責任がないということは言えないと私は思います。そのことがやはりいわゆる運輸行政そのものに大きく影響があるわけですから、その点は私は強く反省していただきたい。  佐川急便が非常に短期間で、今や日通に次いで業界第二位の地位を占めた。その背景には、昭和三十二年ですか、佐川清氏が二トントラックで戸口から戸口の営業をやってスタートした。昭和三十何年になりますと四十人で佐川急便会社を設立した。その後、東京の渡辺運輸と合併しながら、東京佐川急便初め現在ではグループ全体で七十八あると聞いております。従業員が一万八千人ですか、年間の売上高が三千億円を超えているというぐらい非常に急成長してきた。その急成長した背景というのは、かなりやはり無理がある、その無理を通すためにいろいろな政界や暴力団とつながつたと言わざるを得ない。  行政庁としての運輸省、この佐川急便がこれだけいろんな社会的な問題を含みながら今日まで進んできている中で、本当に合併が正しく行われたのか、またトラックターミナルの建設が本当に都市計画法にのっとって、また建築基準法にのっとって建設されたのか、また労働問題が正しく守られていたのか、こういった点を運輸省としてきちっと見てきたのか、把握してきたのか、こういう点を私は指摘されるんじゃないかと思うのです。  過去、佐川急便に対しまして運輸省としては何回か全国一斉調査等がやられておりますけれども、それが生かされなかったんじゃないか、こう私は思っておりますけれども、この点どう運輸省としてはお考えになっておりますか。
  183. 土坂泰敏

    土坂政府委員 たびたび安全関係を中心に違反を繰り返してきた会社でございますが、その都度厳正な対処をしてきておりますし、過去二回にわたる特別監査もいたしました。またそれ以外にも、そういう違反を繰り返す背景になっておると思われるいわゆる事業運営のあり方そのもの、例えば賃金であるとか労務管理、こういったことについても改善の指導を求めてきております。  また、合併認可のお話がございましたが、合併認可に際しましては二・九告示をきちんと守っていただくこと、あるいは経営体質の抜本的な改革を図って不祥事を起こさないようにすること、こういったことについてもお約束をいただきました。  現在はそういったことすべてを含めまして三回目の特別監査を行っているところでございまして、そういったことがきちんと実施されているかどうか確認中でございます。今後のことにつきましてもその結果を踏まえてさらに適正に対処してまいりたいと考えます。
  184. 春田重昭

    春田委員 運輸省は三回調査した。第一回目は昭和六十一年から六十二年にかけて行っております。さらに第二回目は平成元年、第三回がことしの十月から行われている。こういうことでございますが、結果的にこういう問題を惹起してきているというのは、やはり調査したことが生かされていないわけですね。そういった面で再びこうした事件が起こらないように、今三回目をやっているわけですから、私はそういった面で万全の体制をとっていただきたい、このことを強く要求しておきます。  佐川問題はこの程度で終わりたいと思っておりますが、次は関西国際新空港の問題について五点にわたりまして質問していきたいと思います。  まず第一点でございますが、開港予定は平成六年の夏ごろを目指すとなっております。そこで今時点、空港島、関連の諸施設、それからアクセスとなる鉄道、道路等の工事は開港までにすべて予定どおり完成されまして、この開港に支障は来さないと断言できるかどうか御答弁をいただきたいと思います。
  185. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西空港につきましては、今先生御指摘ございましたが、全体の工事工程が非常に順調に推移いたしておりまして、昨年の十二月には空港島の方も全部工事が終わっておりまして、現在は建物関係を工事中でございます。  私どもの航空局の管制塔、庁舎も既に完成をいたしまして今週には、あすの予定でございますが、竣工式を行う、こういう状態でございます。  いろんな周辺の鉄道あるいは道路関係関係省庁で大変御努力をいただいておりまして、私ども平成六年の夏の開業を目途に今極力工事を進めておりますので、これでおくれることはないというふうに考えておるところであります。
  186. 春田重昭

    春田委員 開港の具体的な時期ですけれども、平成六年の夏ごろ、かなり幅があります。ある関西財界人の方が、今のまま進んでいけば平成六年の七月に限りない夏、うまくいけば七月の上旬でもいけるのではないかという発言をされております。また、会社関係の方は、準備にやはり時間がかかるので夏の遅い時期ではないか、こういったような発言もあるわけでありまして、その点どうお考えになっておられるのか。夏休みの利用者を考える、また、一日約二億円ですか金利がかかるという点から考えれば、関係者の皆さん方は一日も早い方がいいと思っていると思うのですが、この開港の具体的な日程が明らかになるといいますか明確になるのは大体いつごろと考えたらいいのか、この二点につきましてお答えいただきたい。
  187. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 まず開港の時期の問題でございますが、私ども今全体の工程をよく見計らっておりまして、開港前の大体一年前、したがって来年の夏ごろにはある程度のめどをつけたいというふうに考えております。  基本的には、関空会社の収支問題もございますので、一日も早く開港したいというのが本音でございます。そういう工程に向けて一生懸命努力を  いたしておるところでございます。
  188. 春田重昭

    春田委員 続きまして、飛行ルートについてお伺いしたいと思うのです。  飛行ルートは海上ルートということで今日まで進んできたのでありますが、この九月、突然一部陸上ルートという話が持ち上がってきたわけであります。運輸省の御見解をお伺いしたい。
  189. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 先ほど申し上げましたとおり、開港が私どもの最優先課題でございます。それで、飛行コースについては、これまで約束いたしております三点セットの中で海上ルートを示させていただいております。十年前の想定から考えるとかなり交通容量がふえておりまして、将来の関西空港のあり方などを考えますと、いろいろなことを勉強してまいったわけでございますが、地域の方から考えますとやはり環境問題が大変大きな課題でございます。  したがって、地域に御迷惑をかけないように飛行コースの設定を、あとわずかでございますが、年内ぐらいに基本方針を定めて、年明けには地元に御説明させていただきたいと考えております。
  190. 春田重昭

    春田委員 この海上ルートは非常に需要が膨らんできて大変混雑している、こういうことで、管制上の問題ということで今回の一部陸上ルートが発表されたやに聞いているわけであります。これには大阪府の関係市町村、十三ございますが、すべて反対しているし、九つの市におきましては反対の決議案も出ているわけですよ。こんな大事な問題が地元に全然提示されないままに突然マスコミから発表された、こういった点で、なぜ地元にこういった問題を事前に説明なり案内といいますか、それをしなかったのですか。
  191. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今御指摘のとおり、飛行コースは地元と非常に密接不可分な重大案件でございますので、正式に出すときには当然地元に十分な協議をするという基本姿勢でございます。途中経過におきまして私どもの中で勉強している中身について若干報道で出たことも事実でございまして、そういった取り扱いについても十分細心の注意を払って地元の御理解をいただくようにしてまいりたいと思います。
  192. 春田重昭

    春田委員 局長答弁では大体十二月ぐらいに発表したいという話でございますが、現在この空域飛行経路のワーキンググループで検討中といいますか研究中と伺っておりますけれども、きょうは十二月の八日でございますから、もう近々発表せざるを得ないと思うのですが、このいわゆるワーキンググループの中ではどんな論議がされているのですか。
  193. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 具体的には私どもレーダー管制をやるわけでございますので、施設の整備の問題、それから非常にふえております航空交通容量の効率的な管制をやるためのシミュレーションを今やっておりまして、そういう観点から地元に御迷惑をかけないという前提でもって、これから将来に向けて飛行コースの公示もやりますので、そういった細目について現在最終的な調節を行っている段階でございます。
  194. 春田重昭

    春田委員 地元に迷惑をかけないのが大前提だと思うのですが、いわゆる騒音公害の問題ですね。今いろいろな意見が出ていると思うのですが、どうなんですか、局長。やはり地元が反対である、また環境も相当厳しい、そういった面では、検討したけれどもやはり一部陸上ルートについては断念せざるを得ないのじゃないか、やはり海上ルートでいかざるを得ないのじゃないか、そういった意見が強いのか。いや、それとも、いわゆる十分環境はクリアできる、陸上ルートにもいかざるを得ない、今後の需要を考えた場合には陸上ルートもいかざるを得ない、そんな意見も出ている、大勢としてはどんな方向になっているのですか、再度お伺いします。
  195. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 先般も地元の十三市町の各首長さん方と私、いろいろな問題で会談をいたしました。その段階でも地域に御迷惑をかけないという基本で考えておりまして、いろいろな問題がまだ残っておりますけれども、やはり当初の対応した方針というものを私ども尊重しなければならないというふうな基本的な観点に立って最終調整を行っておる段階でございます。
  196. 春田重昭

    春田委員 当初の方針ということは海上ルートということであろうと思うのですが、いずれにいたしましても、この関西新空港、やはり地元との共存共栄なくして存在はないと私は思います。そういった意味で、地元のほとんどのそういった自治体が反対しているこの陸上ルートについては慎重を期していただきたい、私はこのように思います。十二月という話でございますが、十二月の中旬なのか下旬なのか、その辺明らかになれば御答弁いただきたいと思うのですが。
  197. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 あとわずかな時間でございますが、年内いっぱいということを考えておりますので、十二月の終わりごろという感じでございます。地元に対しては、最終的な大臣の御判断もいただいた上で、年明けには具体的な御説明をさせていただきたいと思っております。
  198. 春田重昭

    春田委員 第三点、乗り入れの便数です。国際線で一日九十便、国内線で一日七十便が目標と言われておりますが、かなり国内線も厳しいという話がありますし、国際線も現段階ではかなり厳しいという話を聞いております。どこら辺まで進んでおりますか、お答えいただきたい。
  199. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今先生から御指摘いただきました数字は最終的な将来の方向でございますが、開港時点ではそこまでなかなか行き着かない点でございます。  実は、きょうもオーストラリアとの交渉を運輸省でやっておりますが、現時点で具体的な便数計画で確認されておりますのが二十七カ国というところでございまして、週間便数にいたしまして約二百五十便程度でございますので、まだ大変少のうございますが、これから将来に向けまして毎週交渉を継続するような日程が組まれておりますので、相当便数の確保は可能だというふうに考えております。
  200. 春田重昭

    春田委員 国内線はどうですか。
  201. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西新空港につきましては、国際的なハブ空港でございますので、国内線の乗り継ぎ利便の強化を図るということでございますので、可能な限り関西新空港に路線を張っていきたいというふうに考えております。  特に、現大阪国際空港はジェット枠を一日二百便に抑えるという確約もいたしておりまして、大阪で今御利用していただいておるそういった路線も関西新空港に一部転換をせざるを得ないというふうな形でもって、現在大阪と関西新空港のすみ分け議論も進めておる段階でございます。
  202. 春田重昭

    春田委員 続きまして第四点として、空港が予定どおり開港される、開港された後の問題として、利用者といいますか消費者で非常に心配されている料金問題、例えば、沖合五キロですから橋を利用する、橋梁の使用料が大変高くなるのじゃないか、それから着陸料も非常に高くなるのじゃないか、また、給油の諸施設その他いろいろな賃貸物件等が高くなるのじゃないか、果てはレストランの土産物、レストランにおけるコーヒーが千円近くになるのじゃないかとか、カレーライスがもう千円ぐらいになるのじゃないかとか、土産品も相当他と違って高く転嫁されていくのじゃないか、そういった、かなり心配されております。  現時点で一期工事が一兆四千三百億円、国が二割、地方自治体、財界が一割、七割が会社のいわゆる負担になっております。したがって、約一兆円が会社負担である。そんなことを考えたら、大変大きな負担を負っての今回の関西空港のスタートでございますから、いわゆる採算面、採算の確保という点から考えたら、そういった利用とか使用とかまたはいわゆる飲食代まで、そこも高くなっていくのじゃないかという心配がされております。  そういった面で、これは会社の方が決めることでありますけれども、私は運輸省としても関心を持っていただきたい。どうお考えですか。
  203. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 基本施設の着陸料等につきましては、現国際空港でございます成田の利用例等も勘案いたしまして、これから年明け以降IATAとの交渉課題がありまして、まだ現在結論が出ておりません。  それからテナントの関係でございますが、今説明会をやっておりまして、今月中旬以降、具体的な申し受けをいただくわけでございます。確かに建設費用は大変ふえておりまして、若干の割高感はあろうかと思いますが、やはりテナントとして十分将来の収支ができるように、適正なテナント料金について指導してまいりたいと考えております。
  204. 春田重昭

    春田委員 収支の点をどの辺に置くのか、その次第によっては随分高くなっちゃうのですよ。現在でも、成田のジェット便が着陸する、大体八十万から九十万と言われますよ。世界一高いのですよ。そんな成田でも大変な批判が出ているわけでありまして、まして二十四時間国際空港といういわゆる日本の顔になっていく関西国際空港、それが値段が非常に高いとなれば、日本全体がそういった形でまた違った面の批判が出てくるのです。  そういった面で、利用者とかまたそういった消費者に決して膨大な負担がかからないように、価格の設定については運輸省が十分指導をしていただきたい、こう私は思っております。この点、ちょっと大臣からも御答弁いただきたいと思うのです。
  205. 奥田敬和

    奥田国務大臣 関西新空港は世界でも最大の初の人工島といいますか、したがって世界各国の乗り入れ関心が非常に高いことは事実でございます。私の在任中わずかの間だけでも乗り入れ希望の各国の担当大臣が押し寄せるくらい、いわば前人気は上々でございます。  しかし、今先生が御指摘されたように、いわゆる着陸料あるいはテナント、利用客等々がそういった多額の投資に、まあそれに見返りというわけじゃありませんけれども、非常に高い着陸料金になった場合のことは大変心配しております。担当局長から答弁させますが、私も先生の御指摘と同じことを、大丈夫か、これでなおかつ利用はどんどん来てくれるのかという形での単純な繰り返しになっておりますけれども、その点については、できるだけ利用に対する軽減を図るという措置を講じながらも、何としてでも利用客に対する万全の対応で臨みたい。大丈夫でしようという力強い返事をいただいておるので、大丈夫だと思っておるわけでありますけれども、確かに先生御指摘の点はひとしくだれもが思いつく、心配することであろうかと思っております。  政府委員から答弁させます。
  206. 春田重昭

    春田委員 最後に、全体構想、閣議決定では推進することになっております。平成四年度の要求額は六億円でございましたが、運輸省も頑張っていただきまして、最終三億五千万で一応決着がついたわけでございます。平成五年度における運輸省の要求額及び全体構想についてどう決意しているのか、あわせて御答弁いただきたい。
  207. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今の使用料関係については、確かに割高感がぬぐえないわけでございますけれども、関西新空港が円満に効率的に利用できるように、やはり段階的なことも含めながら、適正料金で、今関空会社が一生懸命交渉に入っておる、こういう段階でございますので、よろしく御理解賜りたいと思います。  それから、全体構想問題でございますが、来年度予算で今九億六千八百万という数字でお願いいたしております。大変厳しい来年度の歳入の中で、私どもやはり関空の全体構想調査は大変大事だというふうに認識しておりまして、今最終的に財政当局と具体的な折衝に入っておりますので、確保について一生懸命努力してまいりたいと思っております。
  208. 春田重昭

    春田委員 地元としては、第一期の滑走路一本でありますが、二〇〇二年といいますか、二〇〇〇年初頭までは対応できるだろう、しかし、その後需要が相当膨らんでくる、それは十分あります。その予測もあるわけでありますから、その時点ではやはり一本では足らない、平行滑走路が当然必要になってまいります。ところが、この平行滑走路の調査にはやはり五年、工事費もやはり七年くらい最低かかると言われているのですね。  そういったことを考えたときに、平成六年の夏に開港して、その需要といいますか、その動向を見ていわゆる平行滑走路を考えたらいいというような大蔵省の考えもあるやに伺っているわけでございまして、そんな考え方では国際新空港はいわゆる万全な体制にはならない。そういった意味で、平成五年度はどうしてもいわゆるこの全体構想、今お話があったとおり九億六千八百万でございますが、獲得していただきたいし、大蔵省は渋っているわけでございますから、運輸大臣初め航空局の皆さん方が一丸となって、どうしても全体構想は必要なんだ、こういう意気込みでこの予算要求には腹を入れて頑張っていただきたい、こう私は思います。どうでしょうか、大臣の御答弁をいただきます。
  209. 奥田敬和

    奥田国務大臣 優秀な方が次期閣僚になっていただけると思いますし、私もこれまで、最大の重要プロジェクトということで概算の際にも大蔵財政当局に強く要望していい感触を得ております。しかし、これは絶対確保しなければいけない、使命感に燃えて次の申し次ぎに当たりましてもきっちり確保できるように話してまいります。
  210. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、大蔵省は非常に厳しい考え方を持っております。そういった面で、関西は地元の市町村、財界あわせて第二期についても協力していくという姿勢をとっているわけでございますから、本来なれば国際空港というのは国がやって当たり前、そういった空港をあえて東京は公団方式、関西の場合は会社方式をとって、関西の皆さん方がいわゆる日本の顔としてすばらしい空港を、ハブ空港をつくろうという決意のもとでやっているわけですから、要するにそれは地方でやればいいんだというような、そんな冷たい扱いはしないで、運輸省が全力を挙げて御支援をいただきたい、よろしくお願いしたいと思います。  関西空港の問題は以上で終わります。  次に、鉄道の問題についてお尋ねしていきたいと思いますが、最近鉄軌道にかかわるいろいろなトラブルとか事故とか多い。その中の一つとして無資格の運転問題が報道されているわけであります。  JRのほとんどの会社、また私鉄におきましては近鉄が行ったということが報道されております。鉄道事業法や運転規則ではいわゆる免許の取得者しか運転できないことになっております。ただし、例外として公共団体や運転手づきであれば免許を取得していない見習い運転手でも運転できるようになっておりますが、この無資格運転はお客を乗せたままやっていた、しかも数年前からやっている、ちょっと常識では考えられないことが行われていたわけであります。運輸省としてはどうお考えになっていますか。
  211. 秦野裕

    ○秦野政府委員 端的に申しましてJR各社におきまして、あるいは一部の私鉄におきまして無資格の運転が行われておりましたことは私どもとしましても大変残念に存じておるところでございます。  先般JR東海におきます無資格運転が明らかになりました時点で、他のJR各社に対しまして同種の事実の有無につきまして調査するように指示をいたしました。その結果、御案内のとおりJR西日本を初め各社におきまして、研修の一環として大学の卒業新入社員に対しましてハンドルを持たせていたという事実が判明し、さらには近畿日本鉄道におきましても同様のことが行われていたということが報道されたわけでございます。  私どもといたしましては、地方の運輸局長を通じましてJR各社を初めとします関係事業者に対しまして厳重な警告を発しますとともに、私、鉄道局長名で全事業者に対しまして再発防止につきまして周知徹底を図るとともに、二度とこのようなことのないように厳重な警告を発したところでございまして、今後ともこのような事態の再発防止に全力を投球する覚悟でございます。
  212. 春田重昭

    春田委員 局長名でこの調査はやっているんですか。すべての鉄道事業者に対する調査を行っているんですか。
  213. 秦野裕

    ○秦野政府委員 現在調査をいたしております。報告を求めることになっております。
  214. 春田重昭

    春田委員 私鉄では近鉄だけだったんですが、近鉄のこの無資格運転は司法修習生が千五百名ですか、昭和四十五年以降やっている。裁判とか弁護士の実務を行う上でどうしても必要であるという名目でやっていたらしいんですね。近鉄は中部と関西だけを走っている鉄道でございますから、司法修習生がそういった慣行といいますか伝統があれば、これは全国でもやっているんじゃないか、こう疑ぐるわけでございますが、その点どうですか。
  215. 秦野裕

    ○秦野政府委員 現時点では他の事業者において行われているということは聞いておりませんけれども、先ほど申しましたとおり、全事業者に対しまして調査の上報告するように指示をしているところでございます。
  216. 春田重昭

    春田委員 運輸省は、JRが民営化になった昭和六十二年四月一日以前に、民営化になったということで運転免許を発行しているわけですね。したがって、その時点で厳しく運輸省として指導をしていれば、こうした従来からの慣行といいますか慣例といいますか、それをいわゆるJRでやっていたとか民鉄がやっていたとかはなくなったと思うんです。そういった点で、私は、再びこういった考えられないようなことが起こらないように、十分に反省の上に反省に立って今後の運輸行政に当たっていただきたい、このように注意をしておきます。  続きまして、鉄道の事故でございますが、非常に毎年起こっている。昭和五十八年以来この十年間で鉄道事故を調べてみますと、昭和六十一年と平成二年だけが事故が起こっておりませんが、それ以外は毎年起こっております。事故が起こったとき、原因を究明、調査する委員会鉄道は常設機関としてない。航空事故の場合には航空事故調査委員会、船の場合は海難審判機関がそれぞれ常設の機関としてあるんですね。それで対応している。鉄道は必要に応じて調査委員会を設けているわけであって、常設機関がないものですから、非常に対応が遅いという批判があるわけでありますが、この点どうお考えになりますか。
  217. 秦野裕

    ○秦野政府委員 御指摘のとおり、鉄道の事故調査につきましては、航空の場合におきます事故調査委員会といったような制度は設けられておらないわけでございますが、この趣旨は、鉄道事故の場合には航空機の事故と異なりまして、一般的には事故原因究明のための証拠となるような物件が数多く残されているというケースが非常に多いものでございますから、事故原因究明にそれほど困難となる事例が少ないということから設けられておらないわけでございます。  ただ、事故の種類によりましては、特に専門的な事項調査が及ぶような場合におきましては、その内容に応じまして専門の学識経験者等に調査検討を御依頼申し上げて、その結果を踏まえて最終的な結論を出すということで現在のところ目的が達せられているんではないかというふうに考えております。
  218. 春田重昭

    春田委員 事故でも、交通事故の場合は非常に多いですけれども、いわゆる鉄道航空と船を比較した場合でも圧倒的に鉄道が多いんですね。そういった面で、アメリカなんかは国家運輸安全委員会というのを常設しておりまして、ここで陸海空すべてやる。委員がわずか五名でございますが、調査スタッフが三百四十名というのですね。非常に迅速に正確に行って、大体短い一年以内で勧告が出されるという形です。アメリカの場合には、そういった鉄道事故に対しても非常に即応性があるわけですね。  ところが、日本の場合には、後にも質問しますけれども、信楽事故をとってみてもなかなか結論が出ない。そういった点で、この際アメリカ並みにそういった常設の機関を考えるべきじゃないか、こう私は考えるわけでございます。  最後の質問ですが、大臣、どうお考えになりますか。
  219. 奥田敬和

    奥田国務大臣 確かに一考すべき大事な御提案だと思います。  空とか海に関しては、事故の際、証拠品収集等々大変高度な専門的な皆さんに委嘱しておかないと急に対応できないといったような面がやはりあると思います。陸の場合、今日、残念なことに大きな事故が多発したという現状にかんがみまして、そういった制度も必要なのかなとも思っておりますけれども、証拠の収集等々、そういった形については比較的に空とか海に関するより容易である。容易であるという点から、恐らく常設の事故調査のそういった形の制度化なり機関なりがまだできていないのがそういった原因かなと思っております。  ですけれども、今、アメリカの例を引かれて、陸海空一体となった形での事故調査、生命の安全を最大に考える立場から、いずれにしても、陸の事故に対してもそういった常設のものがいいのかどうか、このことはやはり前向きに検討していく課題であろう。御提案の趣旨を生かすことができますように、一遍部内で検討させてみるということをお約束いたします。
  220. 春田重昭

    春田委員 大臣の前向きの御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。  さて、鉄道事故の中でも、平成三年五月十四日に発生した信楽鉄道の列車衝突事件。死者が四十二名、負傷者が六百十四名という、鉄道事故として史上最大の大惨事となったわけでございます。調査検討委員会が設置されましたけれども、一年半たった現在、この事故の原因もまだ発表されない、ましてこの中間発表もされない、また、関係者が資料提出を望んでも資料も出てこない、全く情報公開もないという、やみの中におさまっているこの信楽高原鉄道事故なんです。  一方、補償の問題にしても、負傷者の方はかなり進んでおりますが、いわゆる遺族の会との話し合いもほとんど進んでいない。八名だけですか、解決したと聞いておりますが、補償問題も進んでいない。こういう状況をどう運輸省として深刻に受けとめているのか、お答えいただきたいと思います。
  221. 秦野裕

    ○秦野政府委員 まず、事故の原因の調査関係でございますが、先ほど先生の方からお話ございましたように、特に信楽高原鉄道の信号保安システムに関する調査検討会というものを設けまして、専門の先生方に各般にわたる調査検討を依頼し、また、運輸省としても独自の立場から各種の調査を進めてきております。  時日が経過しておりますことはまことに申しわけないと思っておりますが、現時点では調査の最終段階にまで来ておりまして、年内には最終的な結論をまとめまして公表する段取りにいたしたいというように考えておるところでございます。  それから、補償の関係でございますが、私どもといたしましても、事故直後にJR西日本と信楽高原鉄道に対しまして、誠意を持って補償に当たるようにということを指導しております。両社は合同でご被災者相談室というものを設置いたしまして、現在まで交渉を進めてきておるところでございますけれども、今後とも御遺族並びに負傷された方々に対します補償について万全を期するように、私どもどいたしましても十分に指導してまいりたいというように考えております。
  222. 春田重昭

    春田委員 年内に公表ということでございますので、ひとつよろしくお願いしたい。  報道によりますと、いわゆる事故の原因としては二つ、運転上の取り扱いの問題と信号機の保安システムの問題点が指摘されております。継電器室の配線変更が事故の原因の一つでもないのかと指摘もされておりますが、この継電器の変更は鉄道事業法で大臣の認可を受ける必要がある、こうなっております。今回、信楽高原鉄道から申請がなされたのか、また検査も必要となっておりますけれども、この検査もなされたのか、あわせて御答弁いただきたい。
  223. 秦野裕

    ○秦野政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、事故当時までには実は申請がなされておりませんで、その後申請が出てまいったということでございます。
  224. 春田重昭

    春田委員 運輸省としては、これが事故の原因の一つであると見ているのですか。
  225. 秦野裕

    ○秦野政府委員 先生御指摘の点も含めまして現在調査中でございまして、年内に予定しております最終結論の中で御報告させていただきたいと思っております。
  226. 春田重昭

    春田委員 認可申請がなされなかった場合に、いかなる罰則といいますか処分があるのですか。
  227. 秦野裕

    ○秦野政府委員 鉄道事業法上の罰則規定につきましては、鉄道施設の変更を行う際に、認可を受けないで行った場合は、七十一条の規定によりまして百万円以下の罰金でございます。それから、届け出をしないで行った場合には、七十二条の規定によりまして二十万円以下の罰金ということになっております。
  228. 春田重昭

    春田委員 いずれにいたしましても、早急に事故原因の解明と、補償の問題についても誠意を持って対応していただきたい。さらに、同じ単線事故ですね。島原の鉄道事故があります。幸い、信楽と違いまして負傷者だけで終わったわけでありますが、全くこの信楽高原鉄道の事故の教訓が生かされていない、こう言わざるを得ないのです。運転手が非常に若い。十九歳と二十ですか、下りが二十七歳と二十三歳である。会社全体が非常に若い社員で構成されているみたいでございますが、私は、ベテランというかある程度経験のある方と未熟な方とをやはり組み合わせるべきだろう。そこの若手の方たちは、勉強してきてまだ一年未満だというんですね。そういったところが今回の島原事故の原因の一つであろうと思うんです。  赤信号でありながら、それを見落としてスタートしたということで、今回は単純なミスだと思うんですが、まあ、人間だれだって勘違いと見間違いといいますか、ミスがあります。ヒューマンエラーというのはっきものでございますから、そのヒューマンエラーをカバーするのが信号であり、機械だと思うのです。そういった面で、この島原鉄道については、ATS、自動列車停止装置が設置されていないのですね。したがって、赤信号で出てもATSがついていれば当然これが正面衝突を防ぐわけですよ。  そういった面で、私はATSの設置を強く主張していきたい。島原鉄道だけでなくして、中小鉄道九十四社のうち三十六社がまだ未設置だというのですね。そういった点で、私は、運輸省としてはこの島原鉄道の事故を一つの契機として、ATSの設置、全事業者に義務づけるぐらいの強い行政指導をやっていただきたいし、とともに、やはり国からの援助、五分の一が三分の一になったみたいでございますが、もっと大幅な助成を考えていく必要があるんじゃないか、こう思いますけれども、運輸省としてはどうお考えですか。
  229. 秦野裕

    ○秦野政府委員 まずお尋ねのATSの関係でございますが、確かに法令上、既設の事業者に対しましてはいわゆる義務づけというものはないわけでございますけれども、運輸省では平成二年に通達を出しまして、整備を具体化する事業者につきまして、その計画をつくって整備をするようにということで指導をしてまいってきたところであります。島原鉄道は、確かに現時点ではATSはついておりませんでしたけれども、今回の事故の経緯を踏まえまして、会社といたしましても早急に整備を行いたいという話を私ども聞いておるところでございます。  また、予算の関係でございますけれども、先生も御指摘のとおり、これまで五分の一の補助でありましたものを三分の一に補助率をアップしておりまして、地方の負担分を合わせますと三分の二が国なり地方からの補助ということになるわけでございまして、今回の島原鉄道のATS設置につきましてもこうした補助制度を最大限に活用して対処してまいりたいというように考えております。
  230. 春田重昭

    春田委員 保険ですけれども、信楽の場合には最大補償額が三億円、したがって、私どもの要求したことによりまして団体保険制度が適用されまして、全体で五十億円と、大きく膨らみました。非常に運輸省の御努力に敬意を表するわけでございますが、保険の約款で、被保険者もしくはその使用人に重大な過失があった場合は保険がてん補されない、補償金がてん補されないという約款の条項があるのですけれども、島原鉄道についてはその心配はございませんか。
  231. 秦野裕

    ○秦野政府委員 確かに御指摘のとおり、約款上は重大な過失、故意があった場合には適用されないということになっておりますが、これはあくまでも保険を掛けている者、この場合で申しますと島原鉄道そのものに故意、過失があったかどうか、つまり従業員の監督に故意または重大な過失があったかどうかということの認定でございますので、今回の事故の場合にはそのような条項は適用がない、つまり、被害者の方々に対して十分な補償が支払われるというふうに考えております。
  232. 春田重昭

    春田委員 最後になりますけれども、旅行業法の問題についてお伺いします。  ことしの五月、当委員会で旅行業者ミヤビワールドツアーズの倒産による消費者の被害問題について質問させていただきました。質問の骨子は、被害者が六千八百名、被害総額が七億五千万、しかも倒産の前日まで旅行代金を集金していたという詐欺まがいの悪らつな事件だったわけでございますが、かなりの数の消費者に対する保証が極めて薄い。現在、営業保証金制度というのがありまして、最大三千七百五十万の支払いが可能となっておりますけれども、その還付をする手続が非常に複雑である。  こういった点を質問で私は指摘したわけでございますけれども、運輸省としてはこの点についてどう対応してきているのか、簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
  233. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 本年七月に観光部に旅行業務適正化対策研究会を設置し、十月に意見が出ました。これに基づいて当省が指導しました結果、日本旅行業協会では十一月二十四日に協会の規約を改正し、還付手続の簡素化等を実施したところでございます。また、全国旅行業協会におきましては、現在内部手続を行っており、こちらの方も来年早々に同様の措置を講ずることができる旨聞いております。
  234. 春田重昭

    春田委員 非常に手続が簡素になったということでございまして評価していきたいと思っておりますが、なお、還付額がやはり非常に低いという点があります。  このミヤビワールドツアーズと同じような事件がこの九月、株式会社エスプリツアーというのにも起こっておりまして、被害者が二千七百名、被害総額が二億六千万という同じような事件が起こっているのです。  これから週休二日制、余暇の利用、海外旅行の増大等を考えた場合、この還付額三千七百五十万というのはやはり非常に低い。そういう点から考えれば、今後手続の簡素化とともに還付額の大幅な増額が必要であろう、本当に消費者を守ろうと思えば、そういった点も考えるべきであろう、私はこう思いますが、どうお考えになっておりますか。
  235. 大塚秀夫

    ○大塚政府委員 ミヤビワールドツアーズのような特別な状況にも対応するために、現在の営業保証金またはこれに代替する弁済業務保証金をどうすればいいか。引き上げるか、その引き上げの場合にどの程度の額にすれば今後対応できるか、いろいろな問題について現在研究会で検討しておりまして、その検討結果を待って私ども対応したいと考えております。
  236. 春田重昭

    春田委員 どうか消費者のそういった被害に十分こたえるような前向きな答えが出るように、運輸省としてもひとつ御努力いただきたい、このことを強く要求して質問を終わりたいと思います。
  237. 久間章生

  238. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 質問に入る前に一言。  先ほど久間委員長から、私の融資について云々、の発言がありました。これは佐川系列運輸会社定期預金担保久間議員が一億円の融資を受けられたという問題です。  私は朝の理事会でも、これは便宜供与といいますか非常に重要な問題だということを言いましたし、佐川急便問題を審議する運輸委員会委員長としての適格性にもかかわるものだ、そういう重要な問題だと考えているということを申し上げておきたいと思います。  さて、佐川問題です。極めて国民関心も強いですし、重要な政治問題になっています。私は今春以来、本委員会で幾つかの問題を取り上げてまいりましたが、きょうも二、三、明らかにしていきたい、そう思っております。  一つは、北陸佐川の社屋増築の問題です。これは運輸大臣のまさにおひざ元、地元でありまして、本社屋建設のパーティーには大臣も出られて祝辞も述べられたという深いつながりもあるところでありますが、ここで本社の南に隣接する農地ですね、農振地域、もちろん市街化調整区域ですが、数年前まではそういう土地だった、そこに突然といいますか、七階建てのビルが建ち上がったということで、県や市でもいろいろ疑問があるということで問題になっておるわけです。  大臣は地元でもありますし、つながりもあるということがありますが、どういうようにこの問題を承知しておられるか、まずお聞きしたい。
  239. 奥田敬和

    奥田国務大臣 北陸佐川の本社新築、北陸佐川ですよ、そのケースのときの披露パーティーに出席したことは事実でございます、まあ十年ほど前の話でございますけれども。  二点目の御質問の、いわゆる市街化調整区域内で何らかの建物がつくられたという形については、私が何か関与したということはございません。
  240. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 関与したかどうかの質問の前に、どう承知しておられるかということを今お聞きしたのだけれども。  この増築も、まあ北陸佐川ですね、これは我が党の上田耕一郎議員が参議院予算委員会で初めて指摘しましたように、大臣の地元秘書が北陸佐川から給料を二年半にわたって受け取っておったという問題もありますし、増築の工事の一部を大臣の弟さんが経営しておられる治山社、これが請け負っておられるということもあるのですね。ですから、もう少しこの問題についても御存じじゃないかというふうに思うのです。  それで、何かこの増築に関係して大臣が依頼を受けた、先ほど前もって答弁されましたけれども、そういう疑問も持たれているわけですね、非常に関係が深いから。改めてその点をお聞きしておきたいと思います。
  241. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私の実弟が金沢におきましてゼネコンと申しますか建設会社を経営しておることは事実でございますし、私もこの増築ケースの問題に関してけさ電話を入れて聞きました。  この工事は、何か佐川は、全部だれかがどこかの一社がちゃんと設備を請け負うことになっておるようです。その下と申しますか、ジョイントベンチャーで、地元を代表する真柄建設、これは一部上場の金沢に本社を有する建設会社ですけれども、その真柄さんと弟の経営する、治山社と申しますけれども、治山社とのジョイントベンチャーで、言ってみれば佐川さんが常時発注するその会社を通じて地元を代表するその真柄と治山社がジョイントベンチャーで、JVで請け負った、そういう報告がございました。
  242. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 やはりいろいろ詳しく知っておられるようで、元請は佐川系列のある産業で、そこからまた受けたという経過のようです。  建設省来ていただいておりますね、建設省建設省に聞きたいのですが、今質問しているように、増築された土地はもともとは農振地域であったわけですが、これの転用許可を佐川が取る、その際にはグラウンドまたは駐車場にするのだということで転用許可を取っておったわけですね。だから、周囲の人たちもまさかあそこに大きなビルが建つとは思っていなかった。依然市街化調整区域ですから、開発が厳しく規制されているわけですね。そこにどういう経過でああいう増築が認められたのか、説明をしていただきたい。
  243. 榊正剛

    榊説明員 お答え申し上げます。  平成元年の五月十五日に都市計画法第四十三条に基づきます許可申請が出てまいりまして、五月の二十日に建築許可をいたしております。
  244. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いや、経過。
  245. 榊正剛

    榊説明員 経過としては、当該土地は五十七年の十一月一日に既存宅地の確認を受けまして、五十八年一月に建築確認を受けたというふうに承っております。それから六十一年に一部道路用地買収がございまして、その後、平成元年の五月二十日に許可をしたという経緯でございます。
  246. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 質問に答えてもらいたいのだけれども、私の質問の趣旨は、市街化調整区域で厳しい規制がかかっておるわけですよ。本来なら大きな建物が建つはずもない場所なんです。それがどうして許可をされたのか、そういう問題です。
  247. 榊正剛

    榊説明員 都市計画法に基づきます四十三条の建築許可でございますけれども、都市計画法第三十四条十号口の規定に該当するということで金沢市の方で建築許可を出した。十号口の運用としては、収用対象事業の施行によって生活権の保障が必要になったというふうに報告を受けております。
  248. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 建設省、その都市計画法並びに建設省通達、私は地元へ行って県当局、市当局の担当者幹部から事情を正確に聞きました。今の説明ではとんとわからないと思うのですよ。あなたがおっしゃった「市街化調整区域における開発許可制度の運用について」という通達ですね、これのある項を適用したのだというのが地元の当局の説明なんですよ。  それを言われないからこちらから言うと、こういう文言になっておるのですね。「市街化調整区域に存する建築物が収用対象事業の施行により移転又は除却しなければならない場合において、これに代わるべきものとして、従前とほぼ同一の規模、用途及び構造で建築される建築物」、これは許可してよろしいというのが規定なんですね。これでやったんでしょう。どうなんですか。
  249. 榊正剛

    榊説明員 収用対象事業の施行によりまして、移転または除却しなければならない場合の建築物について建築許可の対象として差し支えないという旨の通達を五十七年に私どもの方で出しております。石川県においては、この通達の趣旨でございますけれども、この通達の趣旨は公共事業の円滑な施行と被収用者の生活権の保障、それから開発許可制度の調和を図る、こういう趣旨でございまして、その趣旨に即して石川県において運用したというふうに報告を受けております。
  250. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 石川県がどういう解釈でどうしようとも、それを全面的に絶えず建設省は擁護しなければならぬということではないと思うのですね。建設省の通達の精神が本当に守られているのかどうか、それを私は問題にしているのです。もし間違いがあるなら正さなければならぬわけですね。  今読み上げたように、あなたはそこを飛ばして読んだけれども、この通達で言っているのは、建築物が除却された場合にはそれに見合うものは認めますよということでしょう。ところが、実際には、一定部分の土地を収用しただけなのですよ。  説明すると時間がなくなって困るのだけれども、北陸佐川があって、西側に道路があるのです。その道路を四車線に拡幅するという計画がある。そのために、七メートル掛ける百六十メートルですね、千百数十平米かにわたって収用したのです、八六年に。そして、その見返りとして、土地を収用して、そこには建物なんか建っていないのですよ、建っていないにもかかわらず、その見返りとして別のところに巨大な七階建ての物流センター、建築物開発許可するということをやったのです。これは何といっても拡大解釈というよりも、こじつけというかねじ曲げも甚だしいと私は思っているのです。こういう点、子細にあなた方は検討したのかどうか。
  251. 榊正剛

    榊説明員 私ども、調整区域開発許可につきましては、例えば分家住宅のように例示をいたしまして、これについては許可をして差し支えないという通達を出しております。ただ、それだけでいいかということになりますと、地域振興の弾力的な運用ということがございまして、ある意味において都道府県知事様に運用をお任せしている分野がございます。そういう意味で、取り扱いについては本通達の趣旨を踏まえまして、地域の実情に応じた運用が行われた例ではないかというふうに私どもとしては考えております。  それから、石川県において収用対象事業の施行によって用地買収が行われた場合に、確かに建築物の除却は行われておりません。建築物の除却を伴わなくても、土地をとられたことによって当該施設としての機能障害を生ずる場合もございます。建築物の除却のみに限りますと、かえって用地買収部分に故意に建築物建築して補償金をたくさんもらおう、こういったようなケースも生じる可能性もございます。したがいまして、その建築物の除却が伴わない場合においても許可する余地はあるのではないかというふうに私どもとしても考えておる次第でございます。
  252. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 こういうふうに解釈を拡大していくと、まさにしり抜けになってしまうのですよ、大臣もよく聞いておいてもらいたいのだけれども。明らかにこれは建設省の通達の原文ですよ。ここには建築物が収用対象事業の施行によって移転または除却しなければならぬということになったときにはかわりのものを認めますよということなんです。これはこれで通る話です。  今回は、単なる端っこの土地を細長く収用しただけなんです。建築物もない、建築計画もなかった土地ですよ。それを理由に新しい建築を認めた。  しかももう一つの問題があるのは、その細長い土地を収用したのは八六年のことなんです。そのときには、現地で確かめました、北陸佐川から何か意見や要望が出たのかと。何もなかったと言うのです。だから、それは平穏のうちに行われたわけです。ところが、それから三年半たって突然、あのとき土地を提供した、それに通達を適用して開発許可という話が進んでいったのですね。極めて不明朗で、私は裏に何かあったと思わざるを得ないのです。  仮にそういうあなたの言い分だったとしても、土地を収用して即座に困るからという話は一切なくて、三年半もたってから、三年前に渡した土地のかわりに建築物許可をくれませんかと、これは通る話ですか、どこでもそういうことをやっていい話ですか。
  253. 榊正剛

    榊説明員 建築許可の時期と買収の時期がずれていることにつきまして、用地買収時と実際の道路建設工事開始の間に時間の経過があるというケースもございますし、時期がずれていても直ちに許可の対象外とはしないというのが石川県の方針であるというふうに聞いておるところでございます。
  254. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 何とか県を擁護しようということばかりで、本当に厳格に——佐川のやり方はどこでもそうなんですよ。一見不可能と見えるようなことをやっていくわけだ。新潟の黒埼だってそうでしょう。どんどん土地買収して、結局都合よく建設省通達が出てきてターミナルの建設ができたのですよ。今回の場合は、建設省通達を本当に恣意的に解釈して認めるということをやっているということを指摘しておきたいと思う。  時間がなくなってきたので、はしょって言いますが、本当にもとになった、もととして利用された道路の収用についても奇妙なことがいっぱいあるのですよ。その道路の担当は市の担当なんだ。その交差点から北側は県の担当なんです。市の担当のところを県が市に相談なく買収したのです。しかも八六年に買収していまだに着工もしていないのですよ。なぜそんな早く買収する必要があったのかということも議論になっているのです。  これは、一つの可能性として言えば、佐川としては日本社社屋を建てたときから農地買収を早くから始めたわけですよ。しかし、それだけでは市街化調整区域だから増築できないのですね。増築できるためには二つのやり方があった。一つは黒埼で適用された通達ですね、あれは六十一年の通達かな、これだと四車線に面しておればよろしいというのが一つあるのですよ。あるいはインターチェンジからおおむね五百メートル以内かな、どちらかの条件を満たしておればターミナル建設ができる。もう一つは、土地提供したものの見返りとして許可を取るというやり方ですね。  だから、私は、恐らくは当初は早く、市が驚くほど——この道路の事業採択をしたのは去年ですよ、九一年度ですよ、市が。それを八六年に県が買収しているのです。そして四車線にする。四車線になればもう一つの通達が適用されて建物が建てられるのですよ。しかし、それはおいそれと進まない、いまだに着工もしていない。おかしいじゃないかと言って私が追及したら、県の担当の責任者は室長だ、この人は、大変見通しが甘くて悪かったということを言いました。見通しが甘かったというだけではなくて、そういう一つのもくろみがあったのではないか。四車線にして建築物を認める、それがなかなか進まないから土地収用を材料にして、強引な解釈で建築許可をした、こういう疑いが極めて濃厚だ。関連して幾つか問題がありますけれども、そういう事例なんです、大臣。  佐川が都市計画法違反をしてターミナルをやっている。十件は明らかにされたけれども、これは一応手続上は都市計画法をクリアしたことにしているのですよ。しかし、そのもとには、今言いましたように、だれが考えても、平均的な日本人の常識としてこの日本語を読めば、建築物を壊したら別に認めますよというふうにしか読めないのですよ、裏から読んだって。それを強引に解釈して、土地をとっただけで、提供させただけで建築物許可した、こういう実例なんです。  ですから、私は、佐川急便のいろいろ強引な商法とかいろいろありますが、違法、不法行為ですね、道路交通法違反、脱税とか、これはみんな総点検しなければならぬ、そういう立場にあられる一人の大臣として、こういう点にも十分に目を光らせていただきたいということを要望したいと思いますが、いかがですか。
  255. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私も大臣を拝命してから、佐川急成長の原因追及には私なりに努力したつもりでございますけれども、確かに私が今まで思っておった急成長、超優良企業という形の外観ではなくて、実態は大変行儀の悪い、遵法精神に欠ける企業であったなという実態の中から、今のような御指摘も特別厳しい形で見られておるのだと思います。  詳細に関しては知りませんけれども、県、市当局が正規な、法的な手続を踏んで建築許可をしたという実態にかんがみまして、北陸佐川の問題に関しては先生がそれだけ言われるほどの実態があったのかな、今聞いたのが初めてでございますから、改めて反省の資料として検討させていただきますけれども、そういった形では今後厳正にこれらの営業許認可も含めまして対応してまいらな  ければならぬという思いを強くいたしておりま  す。
  256. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実はその収用した土地、大臣、これも念頭に置いておいてください。八六年ですよ。七メートル幅で百六十メートル、正確には百六十二メートルですけれども、それは収用したのです。ところが、実際には塀は全然動かしていないのでしょう。もとのままでただで北陸佐川は使っているのです。収用で土地を提供したはずでしょう、県に。ところが、もとの塀はそのままで依然として従来どおりここの土地は使っているのですよ。  だから、これは無料で使っておって、これもおかしいのじゃないかということで、市に対して監査請求も出ています。共産党議員以外の党派の議員が出された、こういう問題もあって、その文書も私持ってきておりますが、もう時間がありませんから省略しますけれども、手続的にも非常に遺憾な点があったということを言わざるを得ないという事態なのですね。いまだに使っている。これからも道路ができるまではただで使わせますということを言っているのですね。県、市が決めたからといって正確とは限らない。過剰サービスですね。至れり尽くせりという問題なんだということをしっかり念頭に置いて調査検討していただきたい。  それから、もう時間がありませんので最後になりました。  秘書問題です。これは経過は省略して言いますが、要するに、給料をもらっておったことは認められた。それで我が党が、奥田事務所で働いていて佐川から給料をもらったのだから、それならそれは寄附じゃないか、寄附として届け出るべきじゃないかということを言いました。それに対して大臣は、政治資金規正法に基づく寄附に該当するかどうか、該当しないのじゃないか、目下精査中ですというような答弁もされています。研修ではないかとかね。どう承知されていますか。
  257. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘の中西利雄、現在金沢市議会の議員でございますけれども、昭和六十三年の春から平成二年夏ごろまで二年数カ月にわたって佐川からの給与を受けておった、年間三百万円相当であるという事実でございます。  中西利雄は大変政治家を志望して、先ほど申しました私の実弟のところに参ったわけでございます。そして、この中西が政治家志望であるということを踏んまえて、いわゆる奥田事務所で働かせて政治修行をさせようということであったことも事実でございます。はっきりしておきますけれども、当時の北陸佐川の社長と私の実弟は親しい友人関係にあったことも事実でございます。  それで、要するにこの二年何カ月の奥田事務所における政治修行研修の、研修と申しますか政治修行の期間がなかりせば、これはとても、金沢の市議会議員といったって五千票近く票をとらなければいかぬわけですから、この研修成果を生かして彼は目的を達した。  つまり、その間の本人の人柄と本人の政治志望を見込んで北陸佐川がスポンサーになられたわけでありますけれども、これは、私あるいは奥田事務所に関する政治献金とは思えない。中西利雄、いわゆる政治家予定者中西利雄に対する支援であったという形で、私たちはそういう形で解釈して届け出をしなかったということでございます。
  258. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 時間がもう来ましたので申しわけないのですが、自治省、来ていただいていますね。  質問主意書に対する自治省の正式の答弁もあるのですが、寄附には労務の無償提供も含まれる。我々は、佐川から給料をもらって奥田事務所で働いていたのだから、これは無償提供だというふうに考えているわけですが、その場合寄附に当たるということは法律上明らかなのですね。ただし、「企業からの秘書派遣等については、それが研修や訓練として行われているような場合にあっては、必ずしも労務の無償提供とはいえず、同法上の「寄附」に該当するとはいえないと考えている」という答えが出されておるわけですが、必ずしも労務の無償提供とは言えないというのは、どういう区分け判断になりますか。
  259. 大竹邦実

    ○大竹説明員 お答え申し上げます。  政治資金規正法におきましては、「「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」とされているわけでございまして、ここで「財産上の利益」とは、金銭、物品に限らず債務の免除、さらには労務の無償提供もこれに該当すると解されているところでございます。  お尋ねの企業からの秘書派遣につきましては、それが企業としての研修や訓練のために社員を派遣しているような場合におきましては必ずしも寄附には該当しないものとしてきているところでございまして、それにつきましては、個々具体の事例に即して、秘書派遣の趣旨あるいは勤務の態様等を総合的に勘案し、個々具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。
  260. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それはここに書いてあるとおりのことなんですよ。私が聞いているのは、必ずしも無償提供と言えないという、その基準はどこかということです。どういう場合にそういう判断をするのか。個々具体例を判断する場合にも、基準がなければ判断しようがないでしょう。
  261. 大竹邦実

    ○大竹説明員 先ほど申し上げましたように寄附の定義があるわけでございますけれども、いわば対価性のない無償の財産上の利益の提供、これを寄附というふうにしておると考えております。  したがいまして、企業等の秘書の派遣につきましては、それが研修や訓練としていろいろ勉強するために派遣するような場合におきましては、それは対価性のない無償の利益の提供とは必ずしも言えないのではないかということであり、労務の無償提供をして寄附に当たるか否かにつきましては、あくまで個々具体の事例に即して判断されるべきものと考えております。
  262. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ちょっと時間切れで、本当は最後に大臣に痛烈な質問をする予定だったのだけれども、これはお預けにしておきます。  今の、要するに対価ですよ。あなたは寄附じゃないということを言うために研修だと言っておられる。労務の無償提供ではないということを言っておる。しかし、今の答弁のように、無償の労務提供なら、その場合は寄附と見られるわけですよ。しかし、研修などの場合は対価があるんだ、つまり奥田事務所にも利益はあるけれども佐川にとっても利益がある、そういう場合が寄附とは認められない場合だということになるのです。だから、あなたが寄附と認めないという立場に立つならば、秘書の給料提供は佐川にとって大変メリットがあったのだということに落ちつかざるを得ないという問題なんです。よく考えて対応してください。
  263. 久間章生

  264. 高木義明

    高木委員 私は、佐川問題につきまして一言触れさせていただきます。  この問題は、今や今国会の最重要課題でありますし、大きな社会問題となっております。私どもはかねてから、物流については、国民の生活と産業活動を支える重要な基盤といたしまして、この健全な活動については日常的に敬意を表しておりますし、また、そういったものを支援するための最善の策を国に求めてきたところでございます。  しかし今、問題は例えば多くの献金の問題あるいは褒め殺しの問題等々の政治課題が大きな注目を集めておりますけれども、本来よって立つ問題点はやはり運輸行政にかかわる問題ということから、私たちは看過できないわけであります。  したがって、私ども、さきの国会におきまして、四月の時点で、労働省が佐川に対する監査を進めてまいりました、その監査結果が四月じゆうにまとまる、しからばその四月じゆうにまとまった問題について運輸省としても特別監査に立ち上がる決意はあるかというお尋ねをしたときに、運輸省としてもぜひそうしたい、こういうお答えであったわけであります。しかし、今日現在、まず十月一日から監査が行われておりまして、その監査結果はまだよくまとまっていないということで、その報告はされていないのが実情であります。  佐川急便のグループ中核六社の合併に当たりましては、これは平成四年の四月二十八日付で受理されたわけであります。合併に当たっては、このときの審査の中で、いわゆる勤務割り、乗務割り及び乗務基準、これは特別積み合わせでありますが、いわゆる二・九告示に適合しているかという項目ではなお審査に関連をして現状調査を行ったところ、二・九告示に違反をしている例があったので、厳重に改善指導を行ったところ、会社側から改善報告書の提出があり、新体制で確実にその内容を実施すると確約しているとされております。  一体この確約は現在に至って守られているのであろうか。同業他社からは、今なお違法体質は改められていない、こういう声も聞かれておるわけでありまして、合併後に運輸省は十月一日より一斉監査を行っておりますけれども、今日までのところこうした改善項目に当たっては違反事例はないのか、その点についてこの際明らかにしていただきたいと思います。
  265. 土坂泰敏

    土坂政府委員 四月二十八日の合併に際して、今御指摘のありましたように二・九告示を遵守するための改善措置というのを出していただきました。それをきちんとやっていただくというお約束であったわけでございますので、この八月になりましてその約束をどういうふうに実施しておりますかというお尋ねを文書で会社側に出したところでございます。その御返事が九月の二十五日に参りまして、それを受けまして、その御返事どおりきちんと会社でお約束を実行していただいているかどうかということを確認するための監査に十月一日から入った、こういう状況でございます。実は今なおこの監査が継続中でございまして、まだ監査対象全部が済んでいるわけではございません。  したがいまして、監査の結果の整理につきましても並行して進めておるわけでございますが、何分一回で監査というのは終わるわけではございませんで、補足的な説明などを求めたりしていろいろ違反事実の確認をいたしますので、現在はその整理中であるという状況でございますので、もう少しお時間をいただいて御報告させていただきたいと思います。
  266. 高木義明

    高木委員 私どもは、今国会の開会前に、このような事態でありますから特に委員会の開催を要求したところであります。  今お話がありましたけれども、四月の末時点から十月の一日までは五カ月間の経過があります。これほどこの問題が問われておるときに、一体なぜ十月一日からではないと監査ができなかったのか、一体手続が複雑な関係があるのか、あるいは陣容が足りないのか、そのほかの理由があるのか。私はそういうことに至らぬ運輸省に対する国民疑惑、不信感、こういうのが誤解として出てくるのではないのか、このように思っております。  したがって、こういう場合には緊急性があるわけですから、今までの監査、特別監査に当たる準備ももっともっと早くして、少なくとも今国会にはそういう監査結果がまとまって報告できるような、そういう手はずをしなければならなかったのではないか、このように思いますが、いかがでしょう。
  267. 土坂泰敏

    土坂政府委員 御疑念をお持ちいただきましてまことに残念なのでございますが、四月の二十八日に認可をいたしまして、五月の一日に新しい会社が発足をいたしました。  したがいまして、その会社ができて直後、やはり六社の合併で生まれた会社でございますからすぐ直後というのでなくて、やはりその会社がある程度軌道に乗って、そしてその一つの動きができたときに、改めて今お約束いただいたことはどうなっていますかということを文書で確認をいたしまして、それからその御返事もいただいて、それを確認するために監査に入った、こういう経緯をたどりましたので、結果的に十月一日になったということでございます。
  268. 高木義明

    高木委員 会社は確かに発足時点はそうでありました。しかし、仕事はこれまでと同様に延長、むしろそれ以上にやられておるわけですから、だからその仕事に対しての監査でありますから、今の答弁は私は納得できない。それは運輸省の消極的な姿勢と言われても仕方ない、私はこのように指摘せざるを得ないと思っておりますが、いかがでしょう。
  269. 土坂泰敏

    土坂政府委員 まあ新しい体制、人事も一新いたしましたし、組織も一新いたしました。そういう新しい体制で今までにないお約束もして、それを実行していくということでスタートしたところでございますので、まずそれをある程度軌道に乗るまで待って、それが本当にできているのかどうかということを見てからやった方がよかろうということで十月になったわけでございまして、決して消極的な意味でおくらせたというようなことではございません。  現在でも既に六十五社に対して監査をしておるところでございますし、これからも監査を続けますし、なるべく早く成果も御報告できるようにしたいと思います。
  270. 高木義明

    高木委員 この時点でこの論議は、時間もありませんので省きますけれども、ぜひその監査報告が早くできるように、今後はひとつ力を注いでいただきたい、このように要請をいたしておきます。  そこで、今回の事件が発生した背景には、何と申し上げましても運輸省の持つ膨大な許認可権限があると指摘されております。つまり佐川急便のような新興企業が短期間で事業を拡大させようとした場合、現在の運輸行政のもとでは官僚を取り込むかあるいは政治家を動かすか、こういったことをしなければならないという業界の一部の実態があるのではないか。もちろんこれは佐川急便会社の体質によって起因されたことも事実でありますが、私は、この問題はこの問題として、こういった許認可権限の問題も再検討しなければならないのではないかというふうに思っております。  このほど総務庁行政監察局が発表いたしましたものによると、平成四年三月三十一日現在で運輸省は千九百六十六の許認可事項を持っており、平成三年三月三十一日の調査から増減ゼロ、一つも減ってない。もちろんこれは全省庁のトップでございます。運輸交通事業は国民生活や社会経済の根幹にかかわる事業でありまして、ほかのサービス業と比べて公共的色彩が極めて強く、その意味では行政庁による何らかの規制がなされてもやむを得ない部分はあろうかと私は理解をいたしております。しかし、昭和二十九年以来造船疑獄あるいは日通事件、大阪タクシー、ロッキード、ダグラス・グラマン、そして今回の佐川急便と、戦後の主な疑獄事件はほとんどが運輸行政絡み、こういうことが言われております。  したがって、この際私は、運輸省のあり方の根本を見直す、いわゆる許認可官庁から政策官庁への転換を今こそすべきではないか、こういうふうに思うわけであります。早急に地方におろすべきものはおろし、あるいは民間の創意に任せるものはこの際精査をして、例えば許認可事項緊急削減五カ年計画といったものを立てながらそういうものを進めていくことが私は今回のこのようなスキャンダルを防止する大きな力ではないか、このように思っておりますが、この点につきましていかがお考えでしょう。
  271. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生が冒頭に御指摘いただきましたように、運輸行政国民生活に全く密着した輸送サービス、そういったものの重要性にかんがみまして必然的に安全、快適という人の命にも関する分野が多うございますから、そういった意味合いでは許認可件数が必然的に他省庁に比べて多いという実態は御指摘のとおりでございます。  先生も御指摘なさいましたように、大体一万件余の許認可業務がある中で、運輸省はまず二千件ということでございますからダントツで大きな、二〇%弱という割合を占めておることは事実でございます。許認可官庁という別名でそういった指摘のあることもわかります。  しかし先生、非常に努力しているということは、平成三年三月現在で千九百六十六件、前年に比べて二十二件のいわゆる許認可業務を地方移管するなり民間移管するなりで減らしてきております。これは他官庁を抜いて圧倒的に多いわけでございます。そして今度は、平成四年三月現在千九百六十六件、これは前年とゼロということでございますが、逆にこれはふやさなかった、減らさなかったけれどもふやさなかった。このゼロの官庁は、通産が一件だけ減らしておるのを除きますと、このゼロもまた大変な努力をしてきたということもお認めいただきたいのです。ほかのところはみんなふえているのです。  まあほかの省のことをあげつらう必要はありませんけれども、要するに、これだけの許認可業務を持っておる官庁であったけれども、新しい政令に基づいてふやすことだけは厳重にしなかったということはお認めいただきたいと思います。  また、今日の行革審指摘に応じまして、具体的にはタクシー事業のあり方も規制緩和をいたしましたし、航空運送の分野においてもダブルやらトリプルトラッキングで基準の緩和も行いましたし、またホテル業務あたりの認可に関しては民間移管という形の中での基準緩和も図ってまいりましたし、常に利用者の声を十分に反映しながら、先生の御指摘のように、許認可官庁と言われる形から、何としても許認可業務を地方なり民間に譲り渡していくような方向の中で、政策中心の政策官庁としての脱皮を図ってまいりたいというのが基本姿勢であるということをぜひ御理解賜りたいと存じます。
  272. 高木義明

    高木委員 運輸省が許認可によりまして業界をある意味では保護、支援している現実は、結果として国民のためにも業界のためにもなっていないというのが少なくないと思うのであります。  例えば航空業界におきましても、運賃問題、これはいろいろ取り上げられてまいりましたけれども、現状さまざまな問題が顕在化いたしております。これらの問題は今日までの運輸行政により生じたものが多いわけでありまして、例えば仮に航空各社を規制から解き放ったならば、我が国の航空会社には極めて優秀な人材がたくさんおられますので、会社の創意工夫が生かされましてむしろ業界の発展につながるのではないか、こういうことも言われております。  ただし、ここで規制緩和が環境の悪化とかあるいは安全性の低下ということにつながってはならないということは、これはもう前提でございますが、そういう意味では規制の適正化という表現もよく使われておるわけであります。おりますけれども、例えばアメリカにおきましては、近年の航空業界の規制緩和に伴ってむしろ事故は減っておるというふうな資料も出ておるのであります。我が国におきましても、こういった安全、環境に配慮した航空行政の規制緩和、こういったものがまだまだ可能ではないか、私はこのように思っておりますが、当局としていかに御見解をお持ちであるのか。
  273. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 航空関係の問題につきましても本年の六月に行革審で御指摘を賜りまして、できるだけ参入問題について弾力運用をやるべきだという基本答申をいただきましたので、早速やはり適正な競争促進策の積極的な導入という立場に立って現在進めておる段階でございます。  アメリカにおきましては、確かに自由競争という立場でやってまいっておりますけれども、最近に至るまで相当の会社が破産宣告等経て、かえって運賃が割高になるとか、あるいはいい路線の運用だけやって低採算性の路線はやめるとか、そういった問題もございますので、日本になじむような現行の制度の運用の弾力化を行って、安全確保を図りながら効率的な運用を図っていきたい、そのように考えております。
  274. 高木義明

    高木委員 私は今回、この航空運賃、国内運賃、まあこれは国際運賃も含めてでありますが、これが高いか低いかという議論はもちろんする余地もございません。しかし、九〇年時点におきましては、例えば名古屋−新潟とアメリカのサンフランシスコからロサンゼルスを比較しまして、日本の一〇〇に対して米国は二〇二、こういうことが報告されておりますので、必ずしも日本が、この面で見れば国内運賃はかなり安いというふうなことになるわけでありますが、しかし、割引率等からいえば総合的にまだまだ検討する課題があるであろうと私は思っております。  そこで、この秋からようやく導入されました、一定の範囲内であれば航空会社が自由に運賃を設定できるいわゆるゾーン運賃制は、私はある程度市場原理を反映したものとして評価をいたします。しかし、ゾーンの下限が現行運賃よりも一〇%から一五%低い運賃額にとどまっております。実際の各社の申請も平均では四%の値下げにとどまっております。この程度では正規より数十%も安い格安の航空券との差はまだ埋まってはいないという現実もあります。  この航空運賃につきましては、公正取引委員会政府規制等と競争政策に関する研究会におきまして今春まとめられた報告書の中では、許可運賃は形骸化しておる、市場の実態に応じて弾力的に運賃を決められるように制度を改善すべきだと指摘をいたしております。また、平成元年十二月にまとめられました「国内航空旅客運賃に関する諸問題について」と題した航空運賃問題懇談会の報告でも、「今後の運賃体系構築の目標」として次の三つが適正であるとされております。一つは、まず「競争によりできる限り低廉な運賃を」ということ、二つ目には「ニーズに対応しつつできる限り公平な運賃を」ということ、そして三つ目は「利用者にわかりやすい明確な運賃を」ということであります。  この効率性、公平性、明確性、これは現在十分確保されていると考えておられるのか、当局の御見解をこの際賜っておきたいと思いますし、これらの提案に沿いまして、今後規制緩和を進めゾーンの幅を拡大されるなど弾力的な運用を行う、こういった方向にいくべきではないかと私は考えておるわけでありますが、当局の御見解を賜っておきたいと思います。
  275. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今、国際航空運賃問題についてのいろいろな御指摘を賜りまして、御評価もいただきまして大変ありがたいと思っております。  私ども弾力化について一生懸命やっておりまして、ただ、国際貨物運賃についても二割の幅運賃を設定したわけでございますが、これは各国との両方の承認が必要になっておりまして、まだアメリカでは認可されないというふうな残念なこともございますので、各国の理解をいただきながら積極的にそういう方向での運用を図ってまいりたいと思います。  それから、二点目に御指摘いただきました国内の大きな問題点でございますが、今、国内航空運賃は昭和五十七年に改定して以来十年間実質上据え置かれているばかりか、むしろ消費税の導入とかあるいは方向別格差等で運賃をダウンしてまいりまして、十年前に比べれば、消費者物価からいけば二割程度実質運賃が下がっているような状態でございます。  これからもわかりやすい運賃制度の導入を図りながら、特に今先生御指摘いただきました営業割引問題によって利用者の需要の開発も期待できますので、そういう問題については航空会社のアイデアを積極的に活用していただきまして、私どももそういった認可の面におきましても弾力を期して、運賃の低廉化もあわせて進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  276. 高木義明

    高木委員 時間が大変限られておりますので、また次の機会に申し上げたいと思いますけれども、私が言いたいのは、いわゆる行政に求められるのは、利用者、いわば消費者でございますが、こういった動向に企業がもう機敏に対応できる、そういうふうなことをしていただくために、余り公的な介入をしないように、こういうことが大切ではないかということを私は申し上げたのであります。  最後になりますけれども、各種の規制緩和を行うことと並行いたしまして、今大きな問題になっておりますいわゆる空港整備につきましては、これは首都圏を初め地方におきましても積極的に整備をすべきであると思っております。  しかし、現在の空港整備財源制度の受益者負担のあり方、こういったものも今もう一度見直していかなければならないのではないか。いわば五〇%程度の国庫負担をぜひ導入すべきではないか。  なおまた、世界的に極めて高い水準と言われております空港使用料の引き上げ、あるいはジェット料金の引き上げ等も、今後我が国の航空行政を考える場合に改善を行うべきではないかと私は思っておりますが、この点についてお尋ねをして、私の質問を終わります。
  277. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 空港整備については、今一生懸命進めさせていただいております。財源問題については、今一般会計からの御負担もいただいておりますが、やはり基本的には現在程度の利用者負担のことも御理解を賜りたいなというふうに考えております。  現在の着陸料等につきましては、昭和五十五年度以降ずっと据え置いてまいっておりまして、財源として全体の三割程度が今実質負担になっております。一般会計負担も航空燃料税等を入れますと二割程度というふうな状態でございますが、さらに今後の財源措置としては、現在の負担と将来の負担を公平感を確保するためにも、例えば羽田の空港整備財源は全部借入金で対応しておりますので、そういった全体の空港整備の財源確保に公正さを図って努力してまいりたいと思います。
  278. 高木義明

    高木委員 終わります。
  279. 久間章生

    久間委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会