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宮下国務大臣 お答え申し上げます。
もう申し上げるまでもございませんが、
自衛隊法の三条には、
自衛隊の本来任務といたしまして、直接侵略、間接侵略に対して
我が国を
防衛することが主たる任務であるということが明確に書かれております。一方、今回の国際平和協力業務の位置づけにつきましては、
事柄の性質上は、これからの国際化社会の中で日本が
自衛隊の平和的協力を行うという
意味で非常に重要な任務であると私も思っておりますけれ
ども、この
法律の位置づけとしては、第八章雑則というところの百条の七で、
自衛隊法に、国際平和協力法で一方はっきりした平和維持活動の規定がなされると同時に、これを
自衛隊が担うことができる根拠規定が設けられているわけでございまして、私は、これによってこの国際平和協力業務が劣後するとか、そういう
認識は全然持っておりません。
しかしながら
自衛隊は、本来的には今三条に言われておりますように、
専守防衛というような
基本的な
防衛政策に沿って
我が国を
防衛するということが一義的に極めて重要なことでございます。したがって、今度設けられました
自衛隊法百条の七でも、運用上差し支えない限りという限定条件がつけられておるわけですね。決めたら無条件で何が何でも
自衛隊の勢力をそちらに割くという問題ではございません。
自衛隊の任務遂行に支障のない限りにおいて派遣をする、これが
法律で明定されておりますので、位置づけはそのようになっております。
それで、将来これをどう持っていくかということで、野党の
先生方の中にも、また自民党の一部の
先生方にも、これだけ重要な国際的な貢献業務を
自衛隊が今後やる以上は、
自衛隊の中に組織化をきちっとして、しかも三条の任務として並べたらどうか、こういう御
意見がございます。私は、これに対しましては、現状では時期尚早だということを申し上げているわけです。もう少しPKOの実績を積み重ね、それから国民世論が、
自衛隊とはどういうものであるべきか、一部の政党では
自衛隊を解体して施設部隊にしたらいいだろうというようなことがかつて言われたこともございますね。それで、
自衛隊とは何であるかということをもう少し理解を深めて、国民的な論議の中でこの国際的な貢献をどう位置づけするかということがあって初めて現実的な問題になるだろうと思います。
したがって、私が申し上げたのは、将来課題としてはそういうことも十分
考えられる、しかし今直ちにそういうことは
考えておりませんという趣意で申し上げたわけです。それがどちらを強調するかによって直ちに何か作業に従事したやにもおとりいただける、あるいは新聞記事があるのかもしれませんけれ
ども、私の真意はそういうことでございます。したがって、将来課題としての問題指摘にとどめておりまして、現実に別個の組織にして、そして三条に入れて、
自衛隊の中でPKO部隊とかなんとかいうようなものをきちっと位置づけするというようなことを、率直に申しましてまだ
検討はいたしておりません。
今カンボジアに出しているのは中部方面隊でございますが、ローテーションによりまして出せば十分可能でございますし、それからまた、
法律によって二千人という枠がございます。今度のカンボジアだけでも私が辞令を出したのは、海上
自衛隊の輸送艦、補給艦それから航空
自衛隊の130等々の要員を含めて千百十四名になっているわけですね、この六百名を出すのに。したがって、そう無制限に出し得る
法律的な条件もございませんし、今直ちにこれをやるということは必要ないばかりか、むしろそういう運用の問題で、ローテーシーョンによって広くそういうものに参加した
自衛隊員が
自衛隊の国際的な感覚を持っていただけるのは非常にいいので、そういうような格好で運用したい、当面はそう思っております。