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1992-09-17 第124回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年九月十七日(木曜日)    午後二時二十九分開会     ―――――――――――――    委員異動  九月九日     辞任        補欠選任      泉  信也君    尾辻 秀久君      大島 慶久君    合馬  敬君      西田 吉宏君    真島 一男君      服部三男雄君    鎌田 要人君  九月十一日     辞任        補欠選任      西野 康雄君    角田 義一君  九月十六日     辞任        補欠選任      猪熊 重二君    木庭健太郎君  九月十七日     辞任        補欠選任      合馬  敬君    河本 三郎君      鎌田 要人君    松谷蒼一郎君      真島 一男君    藤田 雄山君   出席者は左のとおり。     委員長        大渕 絹子君     理 事                沢田 一精君                鈴木 貞敏君                会田 長栄君                村田 誠醇君                常松 克安君                高崎 裕子君     委 員                尾辻 秀久君                河本 三郎君                清水嘉与子君                清水 達雄君                椎名 素夫君                南野知惠子君                藤田 雄山君                松谷蒼一郎君                矢野 哲朗君                菅野  壽君                角田 義一君                中尾 則幸君                西岡瑠璃子君                堀  利和君                森  暢子君                木庭健太郎君                直嶋 正行君                井上 哲夫君                下村  泰君   国務大臣       法 務 大 臣  田原  隆君       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君       国 務 大 臣       (防衛庁長官)  宮下 創平君   最高裁判所長官代理者       最高裁判所事務       総長       千種 秀夫君       最高裁判所事務       総局経理局長   仁田 陸郎君   事務局側       常任委員会専門       員        吉田 堯躬君   説明員       総理府国際平和       協力本部事務局       長        柳井 俊二君       警察庁刑事局暴       力団対策部長   廣瀬  権君       防衛庁参事官   河路 明夫君       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君       防衛庁人事局長  秋山 昌廣君       法務省刑事局長  濱  邦久君       法務省入国管理       局長       高橋 雅二君       外務大臣官房審       議官       津守  滋君       外務省国際連合       局国連政策課長  神余 隆博君       文部省学術国際       局教育文化交流       室長       竹本 廣文君       労働省労働基準       局長       石岡慎太郎君       労働省職業安定       局長       齋藤 邦彦君       自治省行政局選       挙部長      吉田 弘正君       自治省行政局選       挙部政治資金課       長        大竹 邦実君       会計検査院事務       総局第一局長   阿部 杉人君       会計検査院事務       総局第二局長   小川 幸作君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成二年度一般会計歳入歳出決算平成二年度  特別会計歳入歳出決算平成二年度国税収納金  整理資金受払計算書平成二年度政府関係機関  決算書(第百二十三回国会内閣提出) ○平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十三回国会内閣提出) ○平成二年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十三回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) ただいまから決算委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。二号  去る九日、泉信也君、大島慶久君、服部三男雄君及び西田吉宏君が委員辞任され、その補欠として尾辻秀久君、合馬敬君、鎌田要人君及び真島一男君が選任されました。  また、去る十一日、西野康雄君が委員辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。  また、昨日、猪熊重二君が委員辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。  また、本日、合馬敬君、鎌田要人君及び真島一男君が委員辞任され、その補欠として河本三郎君、松谷蒼一郎君及び藤田雄山君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事村田誠醇君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 平成二年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省労働省防衛庁及び裁判所決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  6. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及 び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  8. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 村田誠醇

    村田誠醇君 私は、一番最初に会計検査院の方に御質問をさせていただきます。  現在、いろいろなところで佐川問題が言われておりますけれども、私が聞きたいのは、金丸氏が受領したと言われております五億円、本人が受領した事実を認めているわけでございますが、この資金性格について質問をさせていただきたいわけでございます。  この金丸氏の五億円の授受が、まあ本人が認めたわけですから事実となるわけですが、そのことに対して今度は国税当局から見ますと、金丸個人に行ってきた過去の本人への課税、これが適正であったかどうかという疑問が生じてくるわけでございます。  というのは、このお金個人所得対象となる収入なのか、それとも違うものなのか、あるいは贈与に該当するものなのか、国税庁は当然資料を収集して調査をし判断をしなければいけないわけでございます。しかも、それはただ単に金丸氏に金が行ったということが判明するだけじゃなくて、その先にどういうふうにお金が流れていったのか、その性格判断しなければいけないわけでございます。それと同時に、国税庁調査した結果、この資金性格所得を発生させる根拠になるものなのか、それとも違う性格の金なのか、端的に言えば政治資金として処理されるべき性格のものなのか、国税庁判断をしなければいけないと思うわけでございます。  一般的に、国税庁調査に対して、会計検査院としては、国税当局が保有している課税根拠となった本人から提出された確定申告書やあるいはそれに添付した各種資料、もしくはいろいろなところで指摘された資料、あるいは書かれている報道等に直接当たって、課税対象となるものであるかどうかというものを国税判断する判断そのものが当然正しかったかどうかということを検査することができると理解しているわけでございます。そのようにまず理解しておいていいのかどうか。  もう一度言いますと、確定申告書や直接国税が持っている各種資料を見て、課税適否判断が正しかったのかどうかも含めて検査できるというふうに理解していいのかどうか、これが第一点目でございます。  それと同時に、今私が言いました特定の方の課税の問題について、これはまず第一義的には、先ほど言いましたように国税庁がやらなければいけないわけでございますが、会計検査院においても国税当局調査結果と、それに基づいて判断した、あるいは課税するとかしないとか、こういう判断を下した国税局の判断適否についても検査をしてもらいたいと思うわけですけれども、その点について会計検査院見解をお聞きしたいと思います。
  10. 阿部杉人

    説明員阿部杉人君) 先生案内のように、会計検査院個々納税者につきまして直接検査する権限はございませんで、検査対象はあくまでも国税当局であります。  検査の面から申しますと、まず国税当局課税処理というものがございまして、その課税処理が終わったものにつきまして、国税当局から私どもに提出されました資料あるいは国税当局で保管しておられます資料に基づきまして課税適否検査できますし、今までもやってきております。  本日、先生の御議論を拝聴いたしました。本日の先生の御議論をも参考とさせていただきまして、今後も適切に対処してまいりたい、そう考えております。
  11. 村田誠醇

    村田誠醇君 本問題は、大変重要な点でございますので、個別の問題ではございますけれども、過去田中金脈等調査等においても会計検査院が御努力されたという実績もございますので、現在これは進行中であれば別ですけれども、結論が出た段階でひとつ会計検査院調査を実施していただきたいということだけをお願いしておきます。  それでは、次に移りたいと思います。  北陸佐川から、紛失といいましょうか、窃盗として案件が提起されております総勘定元帳について警察庁の方にお聞きしたいと思うわけでございます。  先般の委員会同僚会田議員の方から、世間に流布していると言われております総勘定元帳コピーを提示いたしまして、これの真実性について聞いたわけでございます。問題なのは、このコピー石川県警察本部が持っているという総勘定元帳と照らし合わせて本物の一ページなのか、それとも改ざんされたものなのか、あるいはそういうページはあるけれども中身が一部違っているという点なのか、これは現物と照らし合わせて見れば一目瞭然、わかるはずでございます。その点について、警察庁はどのような見解をお持ちなのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  12. 廣瀬権

    説明員廣瀬権君) お尋ねの総勘定元帳につきましては、石川県警におきまして被疑者不詳窃盗容疑事件証拠物として領置しております。その内容を明らかにいたしますことは、本件窃盗事件支障を来すおそれがありますので差し控えさせていただきたいと思います。
  13. 村田誠醇

    村田誠醇君 おかしいですね。我々、ここにも法律の専門家がいらっしゃいますけれども、窃盗罪で調べている、捜査しているわけですよね。盗まれたと称される総勘定元帳、これは仮に価値のないもの、あるいは中身が全くのでたらめであるとしてもこの犯罪は成立する。  今この国会で、あるいは本委員会で問題になっているのは、だれが盗んだかということじゃなくて、総勘定元帳の中に何が記載されているかという点が問題になっていると思うんです。窃盗犯人を捕まえるといいましょうか、本人もしくは共犯を含めて捕まえるということと総勘定元帳中身とは全く無関係であると思うんです。特に、ここでも奥田運輸大臣がみずからの潔白を説明し、なおかつその質問を受けること自体恥ずべき行為であるという義憤を言っておられるわけでございますから、運輸大臣潔白を証明するためにも、世間に流布されていると称されるこの元帳コピー本物かどうか、あるいはそこに書いてあることが全部にせものなのかということは窃盗捜査とは何ら関係ないと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  14. 廣瀬権

    説明員廣瀬権君) 現在、窃盗事件捜査しているわけでございますが、この捜査はその後に続く起訴及び裁判の前段階としての性格を持つものであります。捜査秘密に属する事項を公にいたしますれば、現在及び将来の捜査支障を来すおそれがあるばかりでなく、ひいては公訴の維持にも支障を来すおそれがございます。また、捜査秘密に属する事項の中でも証拠物内容というのは極めて重要であるというふうに考えております。
  15. 村田誠醇

    村田誠醇君 窃盗捜査支障を来す。わからないんですよね。中身を、例えば総勘定元帳の一ページにこういうことが書いてありますということを委員会答弁をなさることが窃盗犯罪容疑とどこにつながるのかわからないんですよ。むしろ、総勘定元帳の中に記載されている事項、我々はわかりませんよ、見ているわけじゃないから。この事項が他の犯罪の、この場合でいけば、場合によったら政治資金規正法だとかそういう他の犯罪捜査支障を来すんだと、あるいはそれを立証するためにこれを公表してしまうとまずいんだということであるなら今言われた捜査秘密というのはわかる。なぜかといえば、総勘定元帳中身に何が書いてあるかというのは、窃盗事件犯人を逮捕するあるいは犯人を突きとめるのに 何ら関係がない、このように思うんですけれども、どうでしょうか。
  16. 廣瀬権

    説明員廣瀬権君) 本件についての直接の答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論で申しますれば、被害品内容は、本件の場合は窃盗事件でありますが、その窃盗事件被疑者特定、犯行の動機、目的立証等のために有力な決め手になるものでありますので、これを明らかにすることは捜査支障があるものと考えて  おります。
  17. 村田誠醇

    村田誠醇君 きょうの本委員会開会がおくれたのは、内閣官房の方の御出席を要求していたんですけれども、出てこない。まあ出たくないのか答えられないのかは別として、出てこないということなので直接警察の方にお聞きしたいんです。  三木内閣のときに、公務員の一般的守秘義務と、それから国政調査権に基づく調査活動の両方についてどういうふうにバランスをとらせるのかという政府見解が出ているわけです。これは、守秘義務によって守られるべき公益と、国政調査活動によって明らかになるべき公益との比較をはっきり示されているわけです。  その観点から、もう一度、現職閣僚奥田運輸大臣の名誉にもかかわる大切な公益警察が持っている証拠物からはっきりと証明できるのかどうか、それとも、それよりもさらに現在進めている窃盗捜査の方が重要であるという理由を、三木内閣のときの政府見解に基づいて丁寧に御説明していただけませんか。
  18. 廣瀬権

    説明員廣瀬権君) 先ほどお答え申し上げましたことの繰り返しになりまして恐縮でございますが、三木内閣当時の政府統一見解については重々承知をいたしておりますが、本件はまさに現在この証拠物に基づきまして石川県警窃盗事件捜査しているところでございます。その証拠物内容を明らかにするということは捜査支障になるということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  19. 村田誠醇

    村田誠醇君 この守秘義務国会調査権との問題の論議については、大変長い、ロッキードのとき以来やっていますから、別の委員会の日、もしくは同僚議員がやると思いますが、一つだけ確認をしたい。  窃盗事件捜査をするために、証拠物中身を開示できないのか。それとも、窃盗によってはっきり明るみに出てきたこの北陸佐川の総勘定元帳の中に書いてあることが、他の犯罪もしくは刑事違反事件というんでしょうか、これの捜査支障を来すから言えないのか。どっちなのかはっきりしていただけませんか。
  20. 廣瀬権

    説明員廣瀬権君) 現在は、石川県警におきまして窃盗事件捜査をいたしております。その窃盗事件の重要な証拠物でございます。その窃盗事件をやっていく上におきまして、その証拠物内容を明らかにすることはできないというふうに考えております。
  21. 村田誠醇

    村田誠醇君 私、ほかの県警本部の所管だったら何にも言わないんですよ。対象となっている本人大臣が、ここでそういうことを聞かれるのも恥だというくらい義憤を感じておられる。その大臣が選出されているのが石川一区です。そして、その大臣潔白を証明できる資料を持っている、証拠物を持っているのは石川県警なんです。ここがはっきりさせてくれなかったら、それは大臣、立つ瀬がないと思うんです。ですから、そのことについてもうちょっときちっと比較考量、どちらの公益が正しいのか、これはやがて重要な論争になると思います。これも後日やらせていただきます。本日は私が端緒だけを指摘させていただきます。  それでは、続いて法務省にお聞きしたいと思います。  平成元年の五月二十四日に、新潟知事選に関して多額の金を運搬運搬というんでしょうか運んだというんでしょうか、ということが言われているわけでございます。この運ばれたと言われる方が故人で某参議院議員と、こう言われているわけでございます。これは故人の名誉にかかわる問題でありますので、あえて私は名前を出しますが、誤りであるならば明白に否定をしてもらいたい。私の発言議事録の中からそれは直ちに削除する手続をとります。そのことを前提条件にしてお聞きしたい。これは故人の名誉にかかわる問題でございますので、お聞きしたい。この方の名前長谷川信氏であるのかどうか。それから、二億円を運んだと言われている件については、現在捜査対象物というのでしょうか、関心の対象になっているのかどうか。この点をまずお聞きしたいと思います。
  22. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 今、委員お尋ねになっておられます事柄につきまして、いろいろな報道がなされていることは承知しているところでございます。ただ、委員も御案内のとおり、いわゆる東京佐川急便事件につきましては検察当局が現在捜査中でございまして、今お尋ねの点も含めまして検察当局がどのような事実を把握しているかということ、あるいはどのようなことを捜査しているかということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  23. 村田誠醇

    村田誠醇君 法務大臣にお聞きしたい。  平成二年の二月二十八日から同年の九月十三日まで長谷川信氏は法務大臣をやられておるわけですね。少なくとも法務大臣を経験された方が、その半年前に知事選挙に絡んで、これは裏金工作と言っていいのか、お金運搬役と言っていいのか、何ともわかりません、失礼な発言があったら訂正、削除するのはやぶさかじゃないんですが、法務大臣経験者がこういうことを行ったと言われている。しかも、本人はこれは一言も弁明ができないわけでございます。弁明ができない。さぞかし遺族の方は憤りを感じているんだろうと思うんです。生きている方でしたらここへ出てきて、いや違うとかいろんなことが言えるし弁明もできますけれども、故人の方はこれは弁明ができない。  そのことを前提にして、今世間で言われているこのことについて、現在の法務大臣として、死者の名誉を守るためにもこの点についてだけ、これが事実なのか違うのかはっきりさせるべきだと思うんです。その点について見解と同時に、そういう指示をすべきだと私は思うんだけれども、大臣はどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  24. 田原隆

    国務大臣田原隆君) ただいま御質問の点につきましては、委員のお気持ちはわからぬでもございませんが、報道にあることについて逐一私が意見を述べたりコメントすることは差し控えさせていただきたい。また、捜査をしなさいとか、今あたかも事実を調べなさいという命令をしろというふうに私聞き取りましたが、そういうことは私はやはりすべきでない、捜査検察に任せて、検察が厳正公平にやっておると、そういうふうに判断しておりますので、そういう気持ちは今のところございません。
  25. 村田誠醇

    村田誠醇君 大臣、これは運輸大臣もそうですし、亡くなられた長谷川氏もそうですけれども、自分で証明しろとこう言われても、シロであるという証明なんというのはよほどじゃないとできないですね。一番よくわかっているのが警察であり検察であるわけですから、したがって、その人たちの名誉をきちんと守るというのも大変重要なことでございます。  これは、先般の委員会で自民党の鈴木委員の方からも、マスコミで警察捜査当局が何ら公表していないのに勝手にどんどん書いている、こういうことはけしからぬということすら指摘されているわけなんです。書かれた本人は、それはあなた、有名税でございますといえばそれっきりになっちゃうのかもしれませんが、しかし、法務大臣を経験した長谷川氏は既に亡くなられているわけでございますから、自分で証明するなんということは当然できないと思うんですね。  したがって、捜査当局の方で守秘義務があるということは前提としながら、全部を公表しろと私は言っているわけじゃない、東京佐川事件について。この故人の名誉についてだけでもきちんと 見解を表明すべきではないかと思うんですけれども、重ねて御見解を伺いたいと思います。
  26. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 一般に、捜査機関犯罪の嫌疑の有無等を明らかにするために捜査を行うものでありまして、捜査の経緯や捜査の結果として把握した事実関係について、関係者の人権を保護するという目的のほかに、現在及び将来における捜査、公判の円滑な遂行を全うするという目的からも、いわゆる捜査秘密とされているものと私は理解しております。  したがって、死者の名誉を守ることも大切なことでありますけれども、そのために捜査を行ってその結果を公表するということは、捜査の本来の目的捜査秘密の原則の趣旨に照らしていかがなものかと思いますので、私はそういうことについてコメントしたり、そういうことについて指示を与えたりということはいたさないというふうに考えております。
  27. 村田誠醇

    村田誠醇君 先ほど言いましたように、内閣官房が出てきていませんので聞けないんですが、昭和四十九年の三木内閣のときの政府見解、これについて質問したいと言ったら、答えはこういうことなんで各省庁に聞いてくれということなので、警察及び法務の方にこの内閣官房見解が正しいのかどうかをまず一つ聞きたいと思います。  守秘義務によって守られるべき公益国政調査権の行使によって得られるべき公益との比較考量は、第一義的には個々の行政府、例えば法務省あるいは警察庁、ここが判断すべきことで、行政当局国政調査に協力して得られる公益の方がより大きいと判断したら発表してよろしい、守秘義務一般的な義務を解除してよろしいと内閣官房指示をしておりますという答弁をしていますけれども、この見解でよろしいんですか。
  28. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 三木内閣当時の統一見解を踏まえてのお尋ねだと思うわけでございますが、今委員お尋ねの点について端的にお答え申し上げますれば、守秘義務を課せられた者がお尋ねの点を判断するということに理解されているというふうに承知しておるわけでございます。
  29. 廣瀬権

    説明員廣瀬権君) 私ども、この政府統一見解十分理解をいたしておりますが、現在捜査を一生懸命やっているその重要な証拠品であるということをひとつ御理解賜りたいというふうに思います。
  30. 村田誠醇

    村田誠醇君 いや警察の方、守秘義務を守るべきか、それを解除して国政調査に協力した方がいいかの判断個々行政庁でしてもらうんです、内閣として統一的指示しないで個々判断しますと。先ほど法務省が言ったように、課された方の責任で解除といいましょうか、ここまではいいとか協力できる、こういうふうに判断していいかと聞いたんです。ちょっとお答えがずれているようなんですが。
  31. 廣瀬権

    説明員廣瀬権君) それは、守秘義務を課されたところで判断すべきものと考えております。
  32. 村田誠醇

    村田誠醇君 これも長々論議のあるところでございますが、これは本当に内閣官房が来ていないから困るんです。  そうすると、極端な表現をすると、それぞれの省庁で勝手に基準をつくって、これは発表してもいい、これは発表できない、こういう問題が出てくる。しかし、それは皆さん方にはお答えできないはずですから聞きません、答える資格がないと思いますから。だから、内閣官房に出てきてくれと言っているにもかかわらず、内閣官房はどういうわけだか答えられる人がいませんと言って出てこない。けしからぬということだけを指摘しておきます。  そこで、私の時間もなくなってまいりましたし、佐川問題の最後に防衛庁長官に一つだけ所感をお聞きしたい。決して難しいことじゃございません。本当はこの問題に関して内閣見解を聞きたいわけでございます。  現在の宮澤総理大臣は、昔の派閥で言いますと池田さんの系統の宏池会、こういうことでございまして、このときの有名な逸話というんでしょうか、池田内閣のときに閣僚に指名してくれなかったというんでしょうか、組閣のときに外れた某方が、自分の庭にある池の中に飛び込んで、池だ冷たい、こう言ったというエピソードがあるわけですね。  今の内閣官房の対応なんか見ていると、この伝統をまさに受け継いで、内閣の閣僚がおれは潔白だとこう言っているにもかかわらず、手を差し伸べているのか、それとも何やつているのかよくわからないんですけれども、同僚大臣として、本人潔白であると言っているその中身が、捜査当局なり警察が持って発表しないことによっていつまでもさらしものという、表現は悪いんですけれどもなっていることに対して、簡単で結構です、見解があればお聞かせ願いたいと思います。
  33. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 同僚閣僚の問題でございますので、基本的に私がここでいろいろ言及すべき問題ではございません。しかしながら、いろいろ今御論議されているようなケースは、最終的には法務大臣のおっしゃられるとおり、あるいは刑事局長のおっしゃられるとおり、そこで決着がつけられるものと思います。そして、私ども同僚議員がそう言っていることは、あれだけ言っておるわけでございますから、あくまでそれを私どもは信じたい気持ちでいっぱいです。
  34. 村田誠醇

    村田誠醇君 佐川の問題はこのくらいにしまして、関連で角田議員がやっていただけるということでございますので、私は、決算でございますのでもう一つ防衛庁の方にお尋ねをしたいわけでございます。  過日、報道がございまして、現職の自衛官が運輸省の民間のパイロット試験に挑戦して、結果、合格した者が非常に少なかったということが言われているわけでございます。私どもがわからないのは、自衛隊に所属している航空機は、別に運輸省のパイロット資格に合致しているから操縦できるとかフライトできるということとはまるつきり関係ないはずでございます。  そういう立場に立ちますと、防衛庁が所管されております政府専用機、過日の委員会で長官は、この飛行機を場合によったらカンボジアヘの物資の輸送にも使用したいんだ、こういう趣旨の答弁をなさっているわけでございますけれども、別に運輸省のパイロット試験を受けなくてもこれがフライトできるはずなのに、いまだかつて政府専用機が、訓練で飛んでいるのはちょっと別として、公式にフライトができるようになるのは一体いつごろなのか、あるいはフライ十ができない最大の理由というのはどこにあるのか、簡単にちょっと説明していただけますか。
  35. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) いつごろからフライトができるかどうかでございますけれども、これは委員案内のように、四月から防衛庁に所管がえしておる町でございますけれども、これはいろいろ多目的に使われるものでございますので、私どもとしてはなるべく早く運用ができるようにしたいと思っておりますが、来春とかあるいはもうちょっとかかるかもしれませんし、はっきり今申し上げる段階ではございません。  それとの関連でございますが、自衛隊の航空機は、一般の航空機と比べまして構造上、あるいは戦闘等々を目的とした航空機でございますから747とはおのずから違います。したがって、その資格等につきましても自衛隊法で除外をいたしまして、今委員御指摘のように独自に定めておるのが通例でございます。しかし、この747はいわゆる大型ジャンボ機でございまして、この機種は自衛隊として初めて持つわけでありますし、そしてまたこれは多目的に使うものでありますので、これによく習熟して事故のないように目的を達成しなければならないと思っております。  そんなことで、今回は運輸省の資格基準、判定基準によって万遺漏なきを期した方がよかろうということもございまして、資格試験を運輸省と協議の上やることにしたわけであります。
  36. 村田誠醇

    村田誠醇君 前回も私触れたんですが、長官の答弁の中にも来春とかなんとかという、まあ明確な時期ではないというふうに理解しますけれど も、いつになったら飛べるのかわからないんでは非常に困ったもんだなということだけ言っておきます。  そろそろ時間が来たので、最後に、エリツィンロシア共和国大統領の来日が中止されたわけですけれども、これに関連して、やれ北方領土問題に対する日本の強硬姿勢が原因だとか、対ロシア支援策が不十分だからとか、いろんなことを言われ  ておるわけでございますが、中止になった経過と、それから今後どういうふうに対応していくのか、あるいはどういう見通しを持っているのか、その見解について簡単にちょっと説明をしていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  37. 津守滋

    説明員(津守滋君) エリツィン大統領は、今月十三日から十六日まで国賓として訪日する予定でございましたが、日本時間で九日夕刻、宮澤総理に対しまして直接電話をもってロシア側の諸般の事情を理由として訪日を延期したいということを連絡してまいりました。  エリツィン大統領の訪日は、領土問題を解決して日ロ平和条約を締結し、新しい日ロ関係の展望を開こうとしていた日ロ両国の努力にさらに大きなはずみをつける重要な機会であった、こういう認識を私ども持っていたわけでございますが、結果的に訪日の延期になりましたことは遺憾でございまして、宮澤・エリツィン電話会談の後、加藤官房長官から記者会見でその旨の表明を行っております。  さらに、エリツィン大統領接遇のため一時帰国いたしておりました枝村駐ロ大使を直ちにモスクワに帰任せしめまして、コズイレフ外務大臣と会談し、改めて日本側の遺憾の意を表明した次第でございます。これに対しましてコズイレフ外務大臣は、今回の延期問題が両国関係を悪化させることのないようにしたい、さらに両国関係の肯定的な側面を積極的に発展させていきたいと、こういう発言があったわけでございます。  政府としましては、いたずらに感情的な反発は避け、これまでの拡大均衡に基づく対口政策の基本方針を堅持してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、エリツィン大統領の訪日の障害となりましたロシア側の事情が早期に解決することを期待している次第でございます。
  38. 角田義一

    角田義一君 時間が限られておりますので端的にお尋ねしたいと思いますが、佐川問題の新潟ルートに絞ってお尋ねいたします。  いわば、佐川マネーが金子陣営あるいは自民党の新潟県連に三億円渡っておるのではないかという重大な疑問があるわけでありますけれども、そのうちの一億については金子知事自身もその授受について認めておられるというような報道もありますし、恐らく間違いないのじゃないかと思いますが、残った二億円という巨額な全員は一体どこへ流れていったのか。全然それらについての捜査の状況もわかっておりませんし報道もされておりませんが、この二億円という巨額な金額がどう流れていくのかということについては、新潟県民はもとより我々国民も非常に重大な関心を持っておるわけであります。  私は、法務当局に捜査の経過の説明を求めるつもりはありませんが、この巨額な二億円のお金の流れというものについては当然重大な関心を持ち、そしてそこに犯罪の嫌疑ありというふうに思料されるならば、徹底解明をするお立場にあるというふうに理解しておきたいと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
  39. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 今、委員が御指摘になられましたような事柄について、いろんな報道がなされていることは承知いたしております。  ただ、先ほどもお答え申し上げておりますとおり、いわゆる東京佐川急便事件につきましては現在検察当局において捜査中でございまして、検察当局がどういうことに関心を持って捜査を進めているかというようなことにつきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  40. 角田義一

    角田義一君 私は、捜査内容とか捜査の経過についてお尋ねする気持ちはありません。当然今捜査中でしょうから、差し支えがあってはいかぬと思っているからそこはあえて聞かないんです。しかし、二億円というようなお金がやみからやみに葬られて、行った先もわかりません、だれがどうしたかわかりませんというようなことで果たして世間様が納得するか。日本の検察というものはその程度かということになりかねないわけでありまして、これは当然重大な関心を持って事態に対処していると、こういうふうに我々は理解しておるわけでありますが、濱局長はどうですか。その程度のことも何にもしゃべれないんですか。見解表明もできませんか。そんなことはないでしょう。
  41. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 今の委員お尋ねは、詰まるところ検察当局がどういうことに関心を持って捜査をしているかということのお尋ねに帰すると思うわけでございまして、先ほど来お答え申し上げておりますとおり、検察当局がどういうことに関心を持って捜査を進めているかということについては、ひとつお答えを御勘弁いただきたいと思うわけでございます。
  42. 角田義一

    角田義一君 私は、今度の佐川の新潟の三億円については、金子前知事が佐川清さんに対してあるいは佐川グループに対して三億円ものいわば資金援助を求めた、そのこと自体大変異常だと思っておるんです。選挙をやる立場の者からいっても、一社に対して三億というような巨額な全員の支援を要請するということは異例なことであります。これは濱局長、どう思いますか。  そして、私は、なぜ金子清さんが三億というような巨額な金額を佐川急便あるいは佐川清さん一社に対して請求することができたのか、要求することができたのか。その原因、理由、背景、そういうものも視野に入れた幅広い捜査が展開されるものだ、そうしなければ事案の解明というものはできない、こういうふうに私は理解しておるわけでありますが、私の理解が間違っておりましょうか。
  43. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 今、委員お尋ねの点をも含めまして、巷間報道されております事柄につきまして意見を申し上げる、あるいは論評を申し上げることはちょっといたしかねるわけでございます。  ただ、これはもう当然のことでございますけれども、検察当局犯罪の嫌疑があるかどうか、あるいはその内容捜査するのが目的でございまして、犯罪に当たる事実ありと思料いたします場合には、厳正に事件捜査をするということは検察当局の使命であることは申し上げるまでもないと思うわけでございます。
  44. 角田義一

    角田義一君 だから、その犯罪捜査を進めるに当たって、これはもう犯罪捜査のイロハでありますけれども、動機なり理由なり背景なりというものが、じゃ一般論でも結構ですけれども、当然そこまで捜査を広げなければしっかりした捜査はできないというように私は理解しておるんですけれども、その理解は間違っていますか。
  45. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、検察当局犯罪に当たる事実があると思料いたしました場合には、その解明に必要な捜査は当然行うのが検察当局の使命であるというふうに考えています。
  46. 角田義一

    角田義一君 私ども社会党は、過般、新潟県に調査団を派遣いたしまして、新潟知事選挙に絡むいわば金の流れ、それは公の政治資金規正法に基づくさまざまな報告書等を精密に調べてまいりました。その記載の中でいろいろな疑問が出ておるわけであります。  特に問題になっておりますのは、平成元年の五月十日付で、自民党の新潟支部連合会から金子清知事の後援団体である清新で活力ある県政をすすめる会というものに対して五千十一万七千五百六十円の寄附が記載されておる。それから、清新で活力ある県政をすすめる会、これから当時の近藤元次自民党県連会長の後援団体である元友会に十二月八日に一千万円の寄附が記載されておる。この二つの事実はないのではないか、こういう金の動きはないのではないかという疑問が今提起されておるわけでありますし、場合によりますと、近藤元次さんの後援会元友会に寄せられた一千万 円は、金子陣営の幹部の言によれば選挙の謝礼である、こういうことも実は言われておる。片一方では、いやこれは全くの架空の記載である、こうも言われておる。  そして、先ほど言った自民党県連から金子知事の後援団体に五千万円何がしかの金が実際は流れてはいないんだ、これはいわば三億円の金の流れを隠ぺいするために、自民党の新潟県連と金子さんの政治団体、あるいは近藤さんの後援会等が政治資金規正法違反を組織ぐるみでやっておるのではないか、こういう疑問すら呈されるところにきておるわけですよ。したがいまして、この新潟の問題というのは組織的な犯罪の嫌疑も私はあると思う。そういう問題についても当然検察当局がメスを入れる、調べるというふうに私は理解しておるわけでありますけれども、いかがでございますか。
  47. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 今、委員お尋ねになっておられます事柄について、この点も報道がいろいろなされていることはもちろん承知いたしております。ただ、委員お尋ねは、つまるところそういう具体的事案について検察当局がどのような事実を把握しているかどうかということのお尋ねに帰するわけでございましょうから、やはりその点のお尋ねにつきましてはお答えを御勘弁いただきたいというふうに思うわけでございます。
  48. 角田義一

    角田義一君 私が御指摘申し上げたいのは、例えばこの一千万円が選挙のお礼であるということになりますと、お礼というのはなかなか微妙な趣旨、ニュアンスを含んでおると私は思います。場合によれば公職選挙法違反になるという嫌疑も出てくる。さらには、私どもが得たいろいろの情報を総合しますと、この二億円というのは三国峠を越えていない、江戸で仕切られた、江戸で分けられた、こういう確かな筋からの話も私どもに来ているわけです。そうしますと、あの新潟の四候補、知事の候補を一本化するための調整資金に使われたのではないかというような疑問も出てくる。  私が申し上げたいのは、単なる政治資金規正法違反だけではなくて公職選挙法違反の問題も出てくるのではないか。あるいは、先ほど私が御指摘申し上げましたような、三億円という巨額な全員を要するに金子前知事が要求できた背景というもの、あの黒埼ターミナル建設の経過等を見れば贈収賄というようなこともあり得るのではないか。そういったさまざまな角度から広範な捜査が行われてしかるべきだなという率直な気持ちを持っておるので、捜査はそういった広範多岐にわたった角度からやられておる、やられるべきだというふうに私は理解をするが、そういうふうに理解してよろしいかどうかお尋ねします。
  49. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、検察当局が今委員お尋ねになっておられます具体的事案についてどのような観点からどのような捜査をしているかどうかというようなことは、これは先ほど来の答えを繰り返すようでございますが、お答えは御遠慮させていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  50. 角田義一

    角田義一君 じゃ、一般論として聞きましょうか。  私が申し上げたようないろいろな、この一つの事案に対してこういう犯罪もあるんじゃないか、こういう犯罪もあるいは成立するんじゃないかといろいろな疑問が出てくる。そういう疑問に対して徹底的に究明していく、考えられる合理的な理由がある限り究明していく、それは検察検察行政を進める上で当然の基本的な姿勢だと私は思いますが、いかがですか。
  51. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 今、委員仰せになられましたように、一般論としてお答え申し上げますれば、検察当局の使命は、いろいろな角度から犯罪の嫌疑があるかどうか、その内容はどういうものかということについて捜査を進めていくものということはもとより当然のことでございます。
  52. 角田義一

    角田義一君 そのような当然の基本的な姿勢がこの新潟の問題についてもきちっと守られる、堅持されるということを私は期待しておりますので、しっかりやってもらいたいということであります。  大臣、二つお尋ねいたしますが、今回の佐川問題で非常に憂うべき事柄が一つあると私は思っておるんであります。それは、いわば政治家と暴力団との関係というものが非常に大きな問題になってきておる。いろいろな報道を見ますると、今度の佐川の問題で、ある自民党の領袖が総裁選挙に出るに当たって右翼団体からいろいろな妨害をされた。それを何とか静めてもらうために自民党の大変な実力者がそれにかかわって、しかも暴力団の方に佐川の渡辺さんを介していろいろお願いをしたやの報道がされておりますし、渡辺会長みずからがそのことによって借りをつくっている。暴力団に借りができて、そして債務保証をずるずるとせざるを得なくなった。さらには、貸し金の取り立ても必ずしも容易でないというようなことが報道されております。  もしそういうような事案が本当にあるとすれば、暴力団新法というようないろいろ問題がある新法をつくって国を挙げて暴力団を壊滅していく、しかも市民は市民で、例えば暴力団が住んでおるところから、それこそ命がけでもって裁判をやって出ていってもらうというようなことをやっているときに、もしも政治家がそういうような態度をとったというようなことが本当だとすれば、これは金の流れ以上にゆゆしき問題だというふうに私は思うんです。その辺、この政治家と暴力団とのかかわりというものについて、あってはならぬことだと私は思うけれども、法務大臣として御所信を承りたいと思うのであります。
  53. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 捜査機関である検察を所管する法務大臣といたしましては、報道されておるようなことについて一つ一つコメントは差し控えたいと思いますので、何とぞ御了承いただきたいと思います。
  54. 角田義一

    角田義一君 私は、政治家としてのあなたの見識を聞いておるんですよ。その報道が真実かどうかまだわかりません。それはまだわからぬ。これからだんだんわかってくるかもしれないけれども今はわからぬ。しかしかなり生々しい報道がされておるわけですよ。  私があなたにお尋ねしたいのは、法務大臣として、例えば検察当局が暴力団壊滅のために一生懸命頑張るわけです。暴力団新法を盾にして頑張るわけです。警察も頑張るわけです。そういう大変な立場にある法務大臣が、いわば暴力団と政治家とのかかわり合いについて、そういうことはあってはならぬことだというような見解がなぜ述べられないのか、私は不思議でしようがないです。そういう法務大臣としての私は見識を承っておるんですよ。お答えください。
  55. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 一連の報道により国民の不信感が高まっておることはまことに遺憾と思いますが、私がこの報道内容等を見て一つ一つ感想等をコメントすることは、私はやはり差し控えるべきと思いますので、お許しいただきたいと思います。
  56. 角田義一

    角田義一君 私は情けないと思いますよ。あってはならぬことではないかというふうに思うからあえて申し上げているわけです。法務大臣として、そういうことはやっぱりあってはならぬことじゃないかと思う、なぜそのくらいの見解、コメントができないのか、まことに残念だ。  再度聞きます。いかがですか。
  57. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 一般論としてお答えするなら、そのようなことがあることはまことに残念なことだと思いますが、固有名詞のこの問題について私はコメントは差し控えたいと思います。
  58. 角田義一

    角田義一君 誤解を招かれるといけません。私は固有名詞は一つも挙げておりません。いいですか、固有名詞のコの字も言ってませんので、その点は誤解のないように。一言も固有名詞は言っていません。  そこで、最後に、大臣に対して大変御無礼な質問になると思いますが、お尋ねしたいと思います。  今、金丸前自民党副総裁の五億円授受の問題が大きな問題になっております。金丸前自民党副総裁は五億円の授受についてはお認めになっておられる。同志に対する陣中見舞いと思って受け取っ た、こう言っております。最近の報道によりますと、その五億円は六十数人の同志に配った、こう言われておりますが、失礼でございますけれども、大臣は経世会のメンバーであられますね。金丸前副総裁から特別なお手当というものが配られたのか配られないのか、この際はっきりさせていただきたいと私は思うんです。いかがですか。
  59. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 私どもの経世会の会長として数年やっておられますので、その間に、詳しい記憶がございませんが、調べてみなきやわかりませんが、あったかもしれませんが、それは即それに何か書いてあるわけでもないし、私は別にそういう認識のもとにそういうことを考えたことはございません。
  60. 角田義一

    角田義一君 それは、お金に佐川から来たものと書いてはないと思うんですが、いわば派閥から来る正式なお手当とは別に、こう言っちゃ御無礼ですけれども、裏のお金として前副総裁が同志に配ったと、こう言っておりますので、その配られたお一人に大臣がおられるのかおられないのかということだけ聞いておるんです。それはこの九〇年の二月の総選挙についてでございます、時期を限定しますけれども。
  61. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 突然の御質問なので、その時期とかその他特定することができるほど記憶にありませんが、ただ、そういうことがあったときは派閥の事務所であったような気がしますので、どれがどれか、正式か個人か、そんなことは全くわからないものと私は思います。
  62. 角田義一

    角田義一君 きょうはこの程度にしておきましょう。時間ですから終わります。
  63. 堀利和

    ○堀利和君 私も佐川の問題で、特に金丸前副総裁の件についてお聞きします。  従前より、捜査中である、あるいはそれは報道中身であるということでなかなか答弁がいただけないんですけれども、そこで田原法務大臣にまずお聞きしたいんです。  金丸前副総裁、つい先ごろまでは副総裁であったわけですが、今辞任されて前ということになっております。金丸前副総裁は佐川からの五億円の授受をみずからの口からおしゃべりになりました。時期もいろいろありましたけれども、平成二年の総選挙以前の一月に五億円を受け取ったというふうに言われたわけですけれども、私はこれは事実だと思います。金丸前副総裁のこの信念どいいますか、言葉の真実を私は信頼いたしますけれども、法務大臣はいかがでしょうか。金丸さんのこの信念、言葉を信じますでしょうか。
  64. 田原隆

    国務大臣田原隆君) お答えします。  御趣旨が聞き取れない部分がありましたのでもう一度お伺いしたいのが本心でありますが、ただ一般論で申しまして、報道金丸さんのことがいろいろなされておりますけれども、私は法務大臣という立場からこれについて主観的な意見、その他私の考えを述べることは差し控えるのがこの際至当ではないかというふうに考えておるわけであります。
  65. 堀利和

    ○堀利和君 報道でも、記者が取材してこうこう書いたとか、どうも受け取ったようだとか、捜査がこうこうこうなっているとか、そういうのは確かに記者の頭といいますか、ペンを通して書かれたものですから、大臣が言われるように報道の一つ一つにはコメントを差し控えるというのも、これはそれなりにわからないことではないんです。  政治家が国民に向かってメッセージを送るときには、当然テレビ、ラジオ、電波を通して、あるいは新聞という活字を通して訴えるわけですから、それさえ否定したら、目の前に直接一億二千万人の国民の方々を呼んで言うしかないんです。電波を通して言うのは当たり前なんですよ。ですから、新聞記者が勝手に書いた-失礼、そういう言い方はおかしいんですけれども、新聞記者が理解して書いたということではなくて、金丸前副総裁がみずから平成二年の総選挙前に東京佐川から五億円を受け取った、これで辞任されたというふうに私は理解しておるわけです。  これは私は、金丸さんがうそをついたとは思っていません。事実を述べたと思っています。そういう意味で私は金丸さんを信用、信頼しておりますが、もう一度お聞きしますけれども、法務大臣金丸さんを信頼、信用していらっしゃるのでしょうか。どうでしょうか。
  66. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 金丸さんが御自身のことについて記者会見なされたことでありますから、それはそれなりに、金丸さんが御自分段階において真実と信じておられることと信じております。
  67. 堀利和

    ○堀利和君 それでは、私と一緒になりまして、信頼しているということで理解させていただきます。  そこで、検察にお伺いしますが、金丸さんから、五億円の授受について事情聴取の意向を持っているというように聞いておりますが、この場合、金丸前副総裁の立場としては参考人になるのか被疑者になるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  68. 濱邦久

    説明員濱邦久君) まず、委員お尋ねになっておられる具体的事案に関しての具体的なお尋ねでございますので、これはやはりお答えをいたしかねるわけでございます。  先ほど来お答え申し上げておりますように、いわゆる東京佐川急便事件につきましては、現在検察当局において捜査を進めている段階でございます。したがいまして、東京佐川急便事件について、検察当局がどういうことを調べ、あるいはだれを調べ、あるいはどういう立場で調べをしているかというようなことにつきましては、これはすべて捜査秘密に属することでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  69. 堀利和

    ○堀利和君 金丸前副総裁の言葉、五億円を受け取ったというこの事実、これはうそも紛れも何もない真実である、金丸副総裁は真実を言ったということを私も信頼しました。法務大臣も信頼しているという答弁がありました。これは、五億円というのは非常に多額です。庶民、国民から見て、私から見ても五億円というのはどういうものか、本当に大変な額だと思いますし、それがどういうふうに使われ、どういうふうに流れたのか、既にもう五億円を受け取ったという事実があるわけですから。そうなりますと、やはり当然御本人から事情聴取されるべきと私は考えております。改めて検察から、事情聴取を行う必要があるかどうか、その御見解をもう一度お伺いしたいと思います。
  70. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 今、委員お尋ねになっておられます具体的な事柄についてお答えを申し上げることは御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、一般論としてお答えできる範囲でお答えさせていただくわけでございますが、捜査当局捜査を進める場合に、必要と考えます場合には被疑者、参考人、その他関係者の取り調べをすることは刑事訴訟法上規定されているところでございます。
  71. 堀利和

    ○堀利和君 事情聴取のための任意出頭という場合、法の前の平等、国民すべて平等という観点からしますと、任意出頭を求めた場合に、出頭しなくてもいい人と、任意と言いながら実態としては強制的にといいますか出頭せざるを得ない、それがまた当然だという人と、そういう区別というのはございますでしょうか。
  72. 濱邦久

    説明員濱邦久君) これは一般論としてお答え申し上げるわけでございますが、捜査当局において具体的事案について捜査を進める場合に、必要と考えます場合には被疑者または参考人として取り調べをする、その必要がないと考える場合にはそこまでの取り調べをしない。  いずれにいたしても、捜査当局がその必要性を判断して捜査を行うということに尽きるわけでございます。
  73. 堀利和

    ○堀利和君 私は、この金丸前副総裁の五億円という多額な授受について、上申書で事足りる、そういう事案であるというふうにはとても考えられないんですね。具体的なことですから見解を述べられないと言われるかもしれませんけれども、既 に捜査も進んでおります。ですから、その捜査中身、経過については聞くことができません。捜査中でありますから聞きませんけれども、しかし私は、上申書で済むような内容ではないということだけは私の見解として明らかにしておきたいと思います。もし、こういうことが単に上申書で済むようであれば、やはり国民から政治が、そして検察の権威が見放され、そういった司法当局を含めて非常な不信感を買うであろうと私は思います。そして、政治に対する不信感もかなり増幅されるだろうと思います。見解を聞いても同じことになりそうなのであえて聞きませんけれども。  そこで、田原法務大臣にまた改めてお伺いしたいと思います。  金丸前副総裁の政治生命というとちょっと大げさでしょうけれども、名誉といいますか、そして政治に対する信頼、同時に、法務大臣でありますから、出頭を、事情聴取を求めた場合にそれに応じるかどうかということは、これは大変重要なことだと思います。検察の権威にかかわることだと思います。大臣としての立場は、そういう点で私は非常に重いものがあろうかと思います。検察にこの事情聴取の問題、任意出頭、やるやらないということならば指揮権発動になりますので、これはもちろん望ましいことではありません。しかし、田原法務大臣金丸前副総裁を御信頼申し上げて、そして同じ経世会でございますので、そういった信頼のもとで金丸前副総裁に対して事情聴取に応じるよう求めたらいいのではないかなと私は思うんですね。そういうお気持ちがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  74. 田原隆

    国務大臣田原隆君) お答えします力  捜査をするなということがあったとすれば、それは指揮権発動と今おっしゃいましたが、捜査をしろということも指揮権発動かもしれませんし、検察は不偏不党、厳正公平の立場ですべてを見ておると私は信じておりますので、具体的なことに関して、プラスもマイナスも、右も左も、一切口を出すつもりはございません。検察が必要とあれば必要な行動をとると私は信じております。
  75. 堀利和

    ○堀利和君 そのとおりだと思います。法務大臣検察に対して捜査をするなとかしろとか、これは指揮権発動です。それはやってもらったら本当に困るんです。国民もそう思っていると思います。しかし、私が申し上げているのは検察に対してではありません。金丸前副総裁に対して積極的に事情聴取に応じたらどうでしょうかと、アドバイスといいますか、そういうことは私は指揮権発動には当たらないと思いますけれども、これちょっと見解を示してください、当たるか当たらないか。
  76. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 私が、第一義的に厳正公平に捜査しておる検察を飛び越えて、法務大臣という身でありながらそういうことをすることは、これは差し控えるべきことであると考えております。
  77. 堀利和

    ○堀利和君 立場上差し控えるかどうかお聞きしているんじゃないんです。  これは検察庁の見解をお聞きしたいんですけれども、田原法務大臣が、検察にではないですよ、金丸前副総裁に、御本人の名誉のためにも事情聴取に積極的に応じて、みずから明らかにしたらどうでしょうか、こういう助言をすることが果たして指揮権発動に当たるかどうか、お伺いしたいと思います。
  78. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 検察にお聞きのようでございますけれども、その前に私が申し上げたいと思いますが、第一義的には検察が厳正公平に捜査すべきものに対して、それを飛び越えて私が私的感情を持って、法務大臣という立場を離れてあれこれ当事者に申し上げてサジェスチョンするということは私はやはりいかがなものかと思いますし、そういう気持ちはございません。
  79. 堀利和

    ○堀利和君 そういうお気持ちを聞きましたので、これ以上お伺いしても私の期待するといいますか、お願いするような答弁はいただけないと思います。佐川の問題は非常に大きな問題です、これからの日本の政治がどうあるべきかという重要な問題です。しかし、佐川の問題ばかり質問をやっていますと、今国民一人一人が社会的に弱い立場で苦しんでいる、そういう方々の問題が置き去りにされてしまっても大変ですので、残された短い時間ではありますけれども、別の質問に移らせていただきます。  求人情報誌がかなり出回っております。以前からそうですが、求人情報誌の中には、雇用主と求人情報誌に載せている公告の社名とが違っているという、こういう事実があります。このことはいろいろ問題にはしているんですけれども、実はきょう質問するに当たりまして、今週号というんでしょうか、九月二十二日に出るある情報誌を見ていましたら、やはりそういったのがありました。渋谷駅の近くのある会社が全く架空の社名で募集をしている。しかし、この電話番号はもともとそこの雇用する事業所の電話でもあったわけです。  このように、雇用する側と情報誌に掲載している社名とが違う。私はこれは職安法違反だというふうに思いますが、この点どういうことなのか、違反になるかどうか、その見解をお伺いしたいと思いますし、この辺の実態を労働省としてつかんでいるのか、あるいは取り締まりというものをしているのか。さらには、求人情報誌を出している大手の会社が一つになりまして社団法人全国求人情報誌協会というものをつくっております。労働省として、この件で協会の方に指導されているのか、あわせてお聞きしたいと思います。
  80. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) 求人情報誌の問題でございますが、常日ごろ求人情報誌の掲載内容というのが労働者の方々、要するに応募される労働者の方々にとって、職業の選択をするわけですから、正確なものでなければならないということは当然のことだろうというふうに思います。職業安定法におきましても、労働者を募集しようといたします事業主は、その業務の内容等について、「労働者に誤解を生じさせることのないように」「的確な表示に努めなければならない。」というようにされておりますし、また虚偽の広告を行うということになりますと、これは職業安定法に違反するのではないかというふうに思います。  いずれにいたしましても、具体的事例に即して判断をしなければならないというふうには思いますが、常日ごろから先生御指摘の求人情報誌協会、その他種々の情報誌関係の団体がございますが、そういうような団体に対しまして倫理綱領あるいは掲載基準の作成、内部の審査体制の確立というようなことに努めるようということで指導をいたしてきたところでございます。  今、実態というお話もございましたけれども、個々具体的な実態を特に把握はいたしておりませんが、先生御指摘のようなケースも踏まえまして、今後さらに関係団体に対しまして指導を強化していきたいというふうに考えております。
  81. 堀利和

    ○堀利和君 同じように、労働者派遣法に基づいた派遣業がございます。この場合も派遣広告を見ますと、掲載してある、公告に載っている会社があたかも派遣先であるかのように、いわゆるおとり広告とでもいいましょうか、出して、それを見て派遣会社に行きますと、その方が別の会社に派遣されるということが起きている。私は、これもやはり職安法及び労働者派遣法に抵触するのではないかと思いますけれども、その見解、そしてこの実態をやはり把握しているのかどうか。あるいは行政指導といいますか、取り締まり等をしているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  82. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) 先ほども申し上げましたように、職業安定法におきましては、労働者募集が適正に行われるということのために、労働条件の明示ですとか業務内容等は的確な表示をしなければならないという規定を設けておるわけでございます。したがいまして、就業の場所につきましても、当然のことながら掲載する場合におきましては的確な表示でなればならないということになります。  今御指摘の点は、具体的な問題でございますので定かにはわかりませんが、単なる例示の一つとして書かれたものなのか、あるいは具体的にこの 場所に就業させるというように書いてあったものか、若干不明なところがございます。いずれにいたしましても、労働者募集広告を行うに当たりましては、労働者に誤解のないようにというようなことでなければならないというふうに思います。  そういうことでございますので、先ほども申し上げました求人情報誌の団体を初めとしまして、ただいまの御指摘は恐らく労働者派遣業者のことだろうというふうに思いますが、その方の関係の団体にも十分指導をしていきたいというふうに思  います。
  83. 堀利和

    ○堀利和君 実は、求人情報誌にしろ派遣会社にしろ、具体的に名前、社名は私の方でわかっているんですが、こういう場で具体的な情報誌の名前なり社名を明らかにするというのは余りふさわしくないだろうということで控えさせてもらっているわけですけれども、この点はやはり具体的に、これが職安法なりあるいは労働者派遣法に抵触するかどうか、これは具体的な問題ですから、この情報誌なり派遣業者の社名のことについては後日また労働省とお話し合いをさせていただきたいというふうに思います。  さらに、派遣業者の問題で言いますと、派遣元会社が労働者を面接し、あるいは能力調査をして派遣するというふうになっているんですが、派遣元の業者がそういう面接なり能力調査をしないで、いきなり派遣先の会社に労働者を派遣してしまう。そして、派遣先会社では派遣されてきた労働者を面接し、場合によっては試験をして、そして自分のところの会社では不適格であるということで不合格にしてしまうというケースもあるんです。そのために、派遣元会社の方でその労働者を雇用していませんから、結学派遣先会社に行って一日なり時間をつぶすわけです。試験を受けて面接をします。もちろん交通費もかかります。こういうことが一切払われないで、何といいますか、ほうり出されてしまう。  さらに、問題なのがまたあるんですが、派遣元会社が三名の労働者を今言ったような形で面接も能力調査もしないで派遣先会社に派遣しまして、そして今度、派遣先会社の方がその三人のうち一人を選んで受け入れるということまで行われている実態があるんです。こういうこともやはり私は職安法なり労働者派遣法に抵触すると思いますけれども、こういう実態、また法律から見てもどのようにお考え、また把握しているか、重ねてお伺いしたいと思います。
  84. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) 労働者派遣事業におきましては、派遣労働者と雇用関係があるのは派遣元の事業主、こういう仕組みで法律制度はでき上がっております。  先生御指摘のようなケースでございますが、極端な例を考えるとすれば、派遣先の事業主が実質的に採用行為を行っている、いわば派遣先事業主と派遣労働者との間に雇用関係があるというような形になるとすれば、やはりそれは職業安定法四十四条に禁止しております労働者供給事業になるんではなかろうかというふうにも思われます。ただ、具体的ケースによりまして職業安定法に違反するかしないかということは当然判断されるべきことでございますが、従来から先生の御指摘のような苦情というのは間々聞いておりまして、従来から職業安定所を通じまして派遣元事業主、派遣先事業主に対し適切な指導をいたしてきたつもりではございますが、今後とも指導は強めていきたいというふうに思います。  それで、たまたまでございますけれども、この十月は派遣事業に関しまして苦情相談重点対応月間ということで、各出先を通じまして関係団体とのいろいろな指導の場というのも大々的に行う予定にいたしております。そういうような場も通じまして、今後とも労働者派遣事業が適切に運営されていきますように指導に努めてまいりたいというふうに考えております。
  85. 堀利和

    ○堀利和君 前向きな答弁をいただきました。  もう一例、同じようにやはり困った問題があるんです。今のも派遣というよりは紹企業のような形になってしまっていましたけれども、これはやはり派遣の際には派遣契約書を取り交わすわけです。ところが、これは派遣会社の全部ではありませんが、ある派遣会社が派遣しておいて、そして派遣先の会社で少し働いてから派遣先会社が契約をする。派遣期間を後から記入するわけです。つまり、派遣された労働者が自分の会社にいいか悪いかを見定めてから派遣の後にこういった期間の期日を後から書き入れて、本来三カ月であるところを一カ月だよということで、そしてやめてもらうといいますか、こういうやはり実態も、いわば悪質な派遣会社があるわけです。こういうのはやはり労働者派遣法に明らかに違反するわけですので、これは具体的な問題になりますけれども、この辺も十分取り締まり等きちんと法律を遵守していただくような措置をとっていただきたいと思います。  今、私が取り上げた求人情報誌あるいは労働者派遣業の問題、これは大変重要な問題です。昨今、フリーアルバイターというような言われ方もしていますし、いろいろな仕事を選びながら人生を楽しむ方もいます。あるいは自分の能力に会った仕事をその都度見つけていこうという方もいます。そういう時代ですから、やはりこういう法律に違反するようなことがあってはいかぬと思いますが、この辺の監督、行政指導を大臣としてひとつ頑張っていただきたいと思いますけれども、その御所見を大臣にお伺いしたいと思います。
  86. 近藤鉄雄

    国務大臣(近藤鉄雄君) 先生からいろいろ御指摘がございましたが、いわゆる公共職業安定所を通じます公の求人、求職の調整というのは、マッチングですね。これと並行いたしまして、御指摘のような求人情報誌もしくは労働者派遣といった形で、いろんな多角的なまた多様な求人と求職の出会いが並行して行われていることは、私はそれ自体は大事なことであると思います。  ただ、いろいろこの委員会で、先生が今御指摘ございましたような問題も確かに私ども調べておりますので、そういったことが起こらないように、先ほど局長からも御説明をいたしましたけれども、労働省としては職安その他を通じて適切な指導に努めているところでございますが、御指摘のような事例がまだ現存することでもございますので、さらにこの指導徹底に努めてまいりたいと考えております。  局長からも話がございましたが、この十月は苦情相談重点対応月間ということで、毎年ございますが、現在全国二十数都道府県を中心に重点的にこの問題について労働省は取り上げてございますので、さらに指導の徹底強化を図ってまいりたいと考えております。
  87. 堀利和

    ○堀利和君 今大臣から、私の申し上げた事例が今でも現存するというような御答弁いただきまして、まさにまだ現存しておりますので、こういうことのないように、大臣にぜひ頑張っていただきたいということをお願いしたいと思います。  それでは次に、日本語学校の問題をちょっと取り上げさせていただきます。  一九八三年、当時の中曽根首相が訪中した際、留学生十万人受け入れ計画というものを明らかにしたわけですけれども、既に九年たっております。これについて法務省及び文部省としてどのような対応あるいは対応策をとっているのか、時間もありませんので、簡単にお聞かせいただければと思います。
  88. 高橋雅二

    説明員(高橋雅二君) 教育分野での国際交流の活発化に伴いまして、日本に留学しようとする外国人の数は年々増加しております。日本の国際的貢献、それから国際交流の促進という観点も入管行政の一つの大きな柱でございます。そういう観点からいたしまして、一九八三年以降、法務省としても真に勉学を希望する者がより簡易な手続で入国、在留できるように配慮しているところでございます。  具体的に申しますと、本邦にいる関係者が事前に入国のための手続ができる在留資格認定証明書制度というものを充実いたしまして、これが以前に比べてよりスピーディーに、迅速に発給できるということ、それから生活費の支弁が確実に行え る者につきましては本人が入学を希望する学校が身元保証することを認める、あるいは勉強に差し支えない範囲でアルバイトができるように一定の条件のもとに包括的に認めるというような措置をとりまして、法務省入管局の権限の範囲内でこのような留学生が日本で勉強できるような環境づくりに貢献している、こういうことでございます。
  89. 堀利和

    ○堀利和君 文部省からもお伺いしたいと思います。
  90. 竹本廣文

    説明員(竹本廣文君) お答えいたします。  留学生受け入れの十万人計画、非常に順調に進んでおりまして、現在約四万五千人の留学生が来ております。当初予定よりも速いペースで来ております。ただ、この受け入れのためには今後もますます受け入れ態勢の充実が大切でございますので、来年度予算概算要求等におきましてもその辺のことを重点的に盛り込んでいるところでございます。  以上でございます。
  91. 堀利和

    ○堀利和君 就学生があたかも不法在留者あるいは不法就労者であるかのようにちまたといいますか、世間で言われている点もあるんですね。果たして本当にそうだろうかということで、私の方も非常に気になるんですが、就学から留学、つまり大学なり専門学校に入学する際に在留資格変更等がなされるわけですが、この就学生の受け入れ以後の実態調査といいますか、実態把握がなされているかどうか、お伺いしたいと思います。
  92. 高橋雅二

    説明員(高橋雅二君) 就学生から留学生への身分資格、在留資格の変更の際には、法務省入管局におきましてその都度厳格に審査いたします。また、就学生から一般に就職する場合もまれにはございます。その段階でチェックをいたします。しかしながら、就学生がどういうふうに日本で滞在していくのか、あるいは帰るのかということを一般的な意味で把握しているかというと、その辺は全般的に把握している状況ではございません。  なお、今先生ちまたに就学生イコール不法在留、不法就労というイメージがあるということをおっしゃったわけですが、もしそのようなことがあるとしますと、これは就学生という資格制度の根幹に触れるようなことでございまして、非常に遺憾なことでございますが、法務省としてもそういうことのないように厳正に日本語学校の特にそういう就学関係の施設の適正な運営について、より厳正な入国在留管理を徹底していきたいと思っております。
  93. 堀利和

    ○堀利和君 時間がありませんので、一つ具体的なところで法務省並びに文部省の方から御見解を伺いたいと思います。  ことし春二月に、太平洋日本語学校に対しまして東京入管局から在留資格認定証明書交付申請の全面取り下げを指導されたというふうに伺っています。その経過また結果について法務省の方からお伺いしたいと思います。  当然、こういうことになれば太平洋日本語学校は廃校になるといいますか、追い込まれることは目に見えて明らかです。そういうことからいいますと、これから就学生として日本に来ようとしている方々が授業料等を払い込むわけです。あるいは既に在校している方々が、ことしの四月から廃校になってしまって困るわけです。それにはやはり他の学校に転校するなり、あるいは専門学校なり大学なりに入学するなり、何らかの道をきちんとされないと路頭に迷うわけです。あげくの果てには、この学校の関係者が数千万円かはっきりしませんけれども、持ち逃げして行方知れずということで今係争中だというふうにも聞いております。ここについては係争中ですからお聞きしませんけれども、明らかにそういう事態がある程度予測されたのではないかと思います。  この辺のところ、つまり法務省、文部省、外務省、三省所管の財団法人日本語教育振興協会というのがございます。ここが今言ったような学校を認定するわけですけれども、そういった行政指導を含めてどういうふうな対応をされてきたのか、法務省そして文部省からお伺いして終わりたいと思います。
  94. 高橋雅二

    説明員(高橋雅二君) 法務省関係からお答えいたしたいと思います。  東京入国管理局は、今先生から御指摘のありました太平洋日本語学校に本年四月に入学予定の者の在留資格認定証明書交付申請の審査を進めていたところでございますが、この学校が実はほかの学校との間で同一保証人を二重に立てているということがわかりまして、また保証人についても虚偽の在職証明書を使用しているということが判明しましたため、本年二月、東京入国管理局は、学校関係者を呼びましてどういう事情か説明を求めたわけでございます。その結果、この学校は東京入管局が指摘した事実を認めまして、自主的に在留資格認定証明書交付申請を取り下げたわけでございます。この学校につきましては、その後、校長兼経営者から廃校するという連絡がございまして廃校になったというふうに承知しております。  今、先生が御心配になりました在校生につきましては、太平洋日本語学校の関係者から相談がありまして、これについては東京入管局におきましていろいろ相談に応じまして、転校先をどうするかどうかということにつきまして適宜助言をし、勧告あるいは指導をしたわけでございます。  私たちの承知しているところでは、この学校に入ってほかの学校に行きたいということでほかの学校が受け入れることになった者につきましては、これは学校が廃校になったということですので、特別な事情があるということで入管法上これを認めております。  また、一般的に財団法人日本語教育振興協会というものについてどういう指導を行っているかということでございますが、法務省入管局の関係といたしましては、入管に関する手続について、また在留の審査とかあるいは在留資格、在留状況の把握等適切に行うように指導しているところでございます。  以上が法務省入管当局の関係しているところでございます。
  95. 竹本廣文

    説明員(竹本廣文君) お答えいたします。  太平洋日本語学校の問題に関しましては、本年四月、当該校の設置代表者兼校長が、学校の運営資金、通帳、有価証券等を持ち出し、逃亡したことによりまして在学生の処遇、在学生の納入済みの学費の処理及び海外にあって就学を希望する者及びその代理人が入学のための事前手続を進めるために設置代表者に支払ったと思われる選考料以外の金銭、いわゆる預かり金の処理等に問題があったと認識いたしております。  在学生の処遇等については、当該校の教務主任から日本語教育振興協会に相談があり、同協会の指導等に基づき、当該教務主任等が尽力し、在学生のほとんどの者が既に払い込まれた入学金及び授業料等を免除された上、転校手続がとられたと聞いております。また、いわゆる預かり金については、日本語教育振興協会を通じてその内容を把握すべく努力したところでございますが、設置代表者の所在が不明であり、いまだ把握できていない状況でございます。  文部省としては、このような問題が起こったことについてまことに遺憾であると考えており、現在三年ごとの施設の認定更新時に日本語教育振興協会が把握することになっている日本語教育施設の運営等について一層きめ細かく把握できる方策を検討いたしているところでございます。  また、日本語教育振興協会に対する文部省の監督等についてでございますけれども、先生御承知のように、日本語教育施設に関する審査は、日本語教育振興協会に設けられました審査委員会により、文部省の協力者会議が昭和六十三年十二月にまとめました基準に基づいて実施いたしております。この基準においては、日本語学習を主目的として我が国に滞在する外国人を対象として日本語教育を行う教育施設のあり方についてのガイドラインを定めているところでございます。  文部省としては、従来から日本語教育施設が教育施設として備えるべき要件を備えているかどうかについて、基準に基づいた厳格な審査が行われ るよう日本語教育振興協会を指導してきたところでございますが、今後とも引き続き厳格な審査が行われるよう指導してまいる所存でございます。  以上でございます。
  96. 堀利和

    ○堀利和君 終わります。
  97. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 飛脚のマークをつけた佐川急便、全国規模で運送業務を展開してまいりましたけれども、今回疑惑が起きておりますこの佐川マネーは数百億円から一千億円とも言われております。およそ庶民の金銭感覚から申しますと気の遠くなるような金額でございます。国民世論はもう許さないというところまで来ていると思うわけでございます。そこで私は、これら佐川マネーの疑惑解明と政治資金の透明化につきまして、同僚委員三人に続いて若干のお尋ねをしてまいります。  先ほど、私どもの角田議員の方からもお尋ねがありましたけれども、金丸前副総裁は今回五億円の受領を認めているわけですね。私はこのことを自治大臣にお聞きしたいと思いましたけれども、きょうばいらっしゃいません。  自治省の方にお聞きをいたしますが、佐川急便の元会長佐川清氏、そして東京佐川急便元社長渡辺広康氏からの企業献金があり、金丸前副総裁の保有金として、金丸さんの指定団体の収入として平成元年及び平成二年に佐川急便からの五億円の企業献金の収支の報告がございましたか。自治省にお尋ねいたします。
  98. 大竹邦実

    説明員(大竹邦実君) お答え申し上げます。  金丸議員の指定団体でございます新国土開発研究会の平成元年及び二年の収支報告書を確認いたしましたところ、寄附の内訳欄に東京佐川急便及び同社渡辺元社長及び佐川清の記載はございません。また、平成元年及び二年の金丸議員個人として受けられました寄附につきましては、指定団体に対する寄附がなされておりまして、保有金に係る収支報告書は提出されておりません。
  99. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 記載が一切なかったということでございますね。つまり、故意に収支報告をしなかったというふうに確認していいのではないか、初めからやみで処理をするつもりだったというふうに私は理解していきたいと思います。  続きましてさらに、これも先ほど質問がございましたけれども、金丸さん個人の立場から経世会の六十人に渡ったということも明らかになってまいりました。これ六十人に平均で分割いたしましても一人一千万円弱、これだけでも法定限度額を超えているわけでございます。私はきょうは法務大臣にお聞きをするわけですけれども、法務大臣は経世会に所属されていらっしゃる。ですけれども、先ほどお尋ねがございましたときの御答弁は、九〇年二月の総選挙についてだけお聞きすると角田議員が申しましたら、そういうことは私の事務所であったようでないようで、あったかもしれないような非常にあいまいもことした御答弁でございました。  私は、今このことを追及する時間がございませんけれども、経世会に所属されていられる政治家の保有金、指定団体についての収支報告についてはいずれ明らかにさせていただきたいと思っております。そのときには該当の方々には出処進退を鮮やかにしていただきたい。間違っても新潟の金子知事のような歯切れの悪いことをしていただきたくないということをまず申し上げておきたいと思います。  次に、法務大臣に別の観点から伺います。  新潟ルートのやみ献金が、平成元年新潟知事選の際、三億円金子陣営に渡ったと言われています。先ほどこれもございましたけれども、このうち二億円が未解明と言われていた。そして、このお金を元法務大臣の故長谷川信さんが受け取っているとずっと言われていたんですけれども、本日、渡辺現郵政大臣が当時県連の会長をなさっていらっしゃったときに受け取ったのではないかというふうに報道されております。これから特捜部の調べの進展によって、政治資金規正法違反ということでなくてあるいは収賄罪ということに発展する可能性もあるかもわかりませんけれども、私は、こういった一連の行為に対して、法の番人である田原法務大臣として、内閣の閣僚の一員としてこのことをどのように受けとめていらっしゃるか、そのことについてお聞かせいだだきたいと思います。
  100. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 二つ今お話しされたんですが、第一点のことはお聞きしないと言われましたけれども、私は、六十数人とか新聞で言われておりますが、それについては全く記憶がありません。ただ、ないと言ってしまうのには、突然言われたことですから調べて言わなきゃ責任を持った話になりませんのでそういうお答えをしたわけでありまして、私は金丸さん個人から個人的なそういうことはありませんし、まして今算術的に割ったら一人一千万とかなんとかいう数字ですが、そういうことは記憶にもありませんのでそういうふうに先ほどお答えしたわけでございます。  それから第二点目でございますが、長谷川さんの件でございますけれども、たびたびここでお答えしておりますように、私は、報道のことに関して逐一コメントすることは法務大臣としていかがなものかなと。というのは、私は法務省の中にある検察庁も所管しておりますから、私が主観的なことを述べることはやはりよくないことではないかということで、報道についてはお答えは一切できませんと申しているわけであります。そのことは貫かせていただきたいと思いますが、こういう報道がなされることは、そして国民の不信を買いつつあることは甚だ遺憾であるということは先ほども申し上げましたが、そこまでの答弁でよろしく御理解いただきたいと思います。
  101. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私は、元法相の故長谷川信先生だけでなくて、今渦中になりつつある渡辺現郵政大臣のことについてもちょっと触れましたけれども、時間がございませんので、田原法務大臣としては今のところ、いずれひょっとしてあるかもしれないというふうに非常にぼかした御発言でございましたのですけれども、その点については弁明なさいますか。
  102. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 第一の点ですか。
  103. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 ひょっとしてあるかもしれないというふうにおっしゃいましたね。
  104. 田原隆

    国務大臣田原隆君) いや、誤解を受けたらいけませんが、私は記憶にありませんが、突然の御質問ですから調べてきておりませんので、もし食言だったらいけませんのでそういう慎重な答弁をさせていただいたわけでございまして、私は現在ここのあれでは九九・九%ないと思っておりますけれども、絶対ないという絶対という言葉を使うのには調べてみるのがいいのではないかと、そういうふうに申し上げているわけです。
  105. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 田原法務大臣だけを責めるわけにはいかないと思いますけれども、もし絶対ないと言われて、後日そのことが明らかにされた場合は大臣としてはどのように出処進退をなさるおつもりでございますか。
  106. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 私は、絶対という言葉を、ですから使っておりません。
  107. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 それでは、もう時間もありませんので、続いて政治資金規正法についてお伺いしてまいります。  やみ献金の処理が巧妙にできるのは、政治資金規正法に問題があるのではないかというふうに私は思うわけでございます。違反をしても国庫に没収されるわけでもない、もらい得になっているわけです。政治家が違反をしても会計責任者がその責任を問われるだけで、まさにざる法だと言われております。不特定多数の人を対象にした法律ですけれども、脱税の場合には脱税額の二倍を支払わなければならない。収賄罪も刑罰プラス同額の追徴金が課せられるわけでございます。公職選挙法ですと、確定すれば禁錮刑、公民権停止となるわけでございます。また、イギリスの政治腐敗防止法は百年以上も前にできております。これらも当時は、一八八三年ごろですけれども、いろいろと猛反発もあったんだけれども、議論議論を重ねて国民世論の盛り上がりもあって実現しております。  企業が多額のお金を出すのはそれなりの見返り、つまりメリットがあるからであると思います。私は、政治資金規正法は政治家及び政治団体に特定されている、だから緩い、つまり甘過ぎるのではないかと国民が素朴な疑問を今持っていると思うんです。例えば、金丸さんが五億円もらって届け出義務違反というだけで罰金二十万円で済めばこんな楽なことはない、だからまた次々と性懲りもなくこの種の不祥事が起こっていくわけでございます。  法務大臣に伺います。国会の自浄能力についてどうお考えになっていらっしゃいますか。
  108. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 政治資金規正法にまつわる話として今御質問されましたけれども、政治資金規正法関係の法律は私の方の所管ではございません。ただ、政治倫理的な感覚で申すならば、出入りが明確になりきちんとすることが必要であろうと思いますが、それ以上のお答えは所管の大臣からお聞きいただきたいと思います。
  109. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私は、まだ労働大臣への御質問を控えておりますので、続きまして最後に指揮権の発動に関して法務大臣お尋ねいたします。  今や頂点に達しております国民の政治不信をぬぐい去るために、検察当局が良心に基づいて疑惑解明へ向けて核心に迫る捜査を続けるためには、捜査の環境づくりをされることが法務大臣としての一番の使命だというふうに私は考えております。捜査は進展しておりますか。  この際、私たち政治家全員が襟を正して、国民の失った政治への信頼回復のため真剣に政治改革に取り組んでいかなくてはならないということを強く申し上げておきます。大臣の御決意を伺いたいと思います。
  110. 田原隆

    国務大臣田原隆君) お答えします。  私は、法務省に参ります以前から、日本の検察捜査に当たり不偏不党、厳正公平にやってきているという感じを持っておりました。来てみましてますますその意を強くしておるわけでございまして、検察は厳正公平、不偏不党に調べるものは調べており、行動することを行動しておる、そういうふうに考えております。したがって、私は、特に環境づくりということを考える必要もないし、何も言わずにじっと見て検察を信頼していくことが一番最大の環境づくりであると信じておりますし、そのことがまた大事なことであると思いますので、御理解いただきたいと思います。私は、いわゆる指揮権の発動等を念頭に置いたことはございません。
  111. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私は、法務大臣の御答弁非常に不満でございますけれども、私に与えられた時間が迫っておりますので、次は労働大臣に、お久しぶりです、御質問させていただきます。  今日、我が国は高齢化社会が急ピッチで進んでおりますけれども、世界最長寿国とも言われております。佐川急便にも関係なく清貧に甘んじて働き続けて、企業では五十五歳定年というところもございました。最近では六十歳へというふうに移行してきておりますけれども、しかしその六十歳を過ぎてもなお就労意欲を持った方々が七二%以上にも達していると、ことしの初めの総理府の世論調査にもあらわれております。先輩の政治家の方々には八十歳になってもかくしゃくとしていらっしゃる方もございます。生産年齢人口の定義、生産年齢人口というのは従来十五歳から六十五歳と言われておりますけれども、この定義も変わる時代でございます。  そこで、このシルバーパワーをどのように近藤労働大臣は御認識なさっていらっしゃるのか、労働大臣お尋ねいたします。
  112. 近藤鉄雄

    国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘のように、我が国は急速にいわゆる高齢化社会に入っておるわけでございますが、御年配の方々がこれまで経験されたいろんな力、能力というものを積極的に社会生活また社会の生産活動の中に継続して投入していただくということは、単なる労働力不足対策だけじゃなしに、やはりお年寄りの方々のいわば生きがいという点を考えても大事なことであると私は考えております。  こういった観点をもちまして、労働省としては高齢者雇用安定法に基づきまして、定年延長指導によりまして六十歳定年の平成五年度までの完全定着、そして六十五歳までの継続雇用制度の普及による継続雇用の推進、また御年配の方々の労働力需給調整機能の強化によって再就職を図る等々、そしていわゆるシルバー人材センターの充実によって臨時的、短期的な就労機会の確保等の施策を現在積極的にとっている状態でございます。
  113. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 大臣のおっしゃるとおり、今日まで勤労をしてこられた豊かな経験と能力を地域社会に役立てていきたい、地域の活性化のためにまだ十分役割を果たすことができる、そして積極的な社会参加へのそういう高い意欲を持って、そしてまた高齢の方々の中にはいろんな御趣味がもう専門家の域に達していらっしゃるという方々もたくさんございます。私は、そういった方々をぜひともシルバー人材センターに結集されて、そこで御自身の余生というものを十分に生かしていただいて、生きがいを求めていっていただきたいと願うわけですけれども、そこでシルバー人材センターの増設について伺ってまいりたいと思います。  平成四年度の予算で七十五団体の増設が図られることによって、昭和六十一年度から六百四十団体を目標に新設に取り組んでこられたと伺っております。この六百四十団体というのはどのような根拠に基づいてなされているものでございますか。
  114. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) お答え申し上げます。  全国のシルバー人材センターの団体数、昨年度末で五百六十五団体設置されております。先生御指摘のように、平成四年度末には六百四十団体にいたしたいということで、今関係の市町村といろいろ御相談をしているところでございます。  どういう根拠でということでございますが、大体そのときどきの地域の実情、私どもへのいろいろシルバー人材センターをやりたいというような御要望の数その他を勘案いたしまして、大体七十から七十五団体ぐらいを今まで毎年ふやしてきたというのが実態でございます。
  115. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 つまり、そのことは設置基準ということに関係してくると思うわけですけれども、現行の設置基準に該当する団体につきましては、来年度以降につきましても当然設置を認めるべきものと考えますけれども、そのことについていかがお考えでございますか。
  116. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) 来年度の関係につきましては、これから来年度予算に向けまして財政当局といろいろ御相談をすることになっておりますけれども、当面、私どもとしましては今年度と同じような形で進めていきたいというふうに思っております。
  117. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 二、三日前の日経新聞には、平成五年、九三年度に二十カ所増設、六百六十カ所になる見込みというふうに報道されておりました。ぜひ今後ともセンター増設のために御努力いただきたいと思うわけでございます。  それで、現在の設置基準というのは、会員が百五十人以上見込めて、そして会員の年間就業延べ人員が六千人目以上見込める市町村というふうになっているわけですけれども、これはどのような考え方に基づいて決められているのか、また今後この基準を下回る自治体から補助の要望があった場合は現行の基準を緩和して適用することもあり得るのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  118. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) シルバー人材センターは、地域社会の需要にこたえまして、高年齢者の方の多様な就業ニーズにこたえるという趣旨でございます。したがいまして、ある程度の規模でなければこういうような団体として成り立つことが非常に難しいというようなこともありましてそういうような基準を設けておるわけでございます。  ただ、今後のシルバー人材センターのあり方につきましては、もう少し基本的なところからも含めて見直しを進めたいというふうに今考えておる次第でございます。
  119. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私の県におきましても、高知市シルバー人材センター、そして広域シルバー人材センターというのが活動しておりまして、県下全域に設立の声が強まっているわけですけれども、その際の克服すべき課題というのは何であるとお考えになりますか、私は逆にお尋ねしたいと思うわけです。
  120. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) シルバー人材センター、都道府県と申しますか、市町村によりまして規模の大きいところから小さいところまでいろいろの形があるわけでございますが、いずれにしましても、その地域の実情なりによってそれぞれ異なった形での運営というのも行われてくるだろうというふうに思います。
  121. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 私が高知のシルバー人材センターの所長に会っていろんな要望を聞きましたら、一つは国の補助基準を満たす事業量の確保がなかなか難しいということ、あと一つはやっぱり財政負担が比較的大きい、このように申しておりました。  シルバー人材センターに対する補助内容の充実という点で、補助金などの増額もぜひしていただきたい。その際に、現在の補助金の方式というのが、センターの規模を四つのランクに区分いたしましてそれぞれのランクごとに補助額を決めるという定額方式をとっているわけですけれども、補助の方法として私は、補助額を低く抑えるためということはないと思うんです。センターの場合なぜ定額方式となっているのか、むしろ定率の補助方式の方が適当ではないかというふうにも思うわけですけれども、その点について運営の実態に即した補助の方式というのはどういうことが考えられるか。今までのままでいいのか、今後検討する余地があるのかどうか、そのあたりをちょっとお尋ねしたいと思います。
  122. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) シルバー人材センターの補助内容でございますが、先生御指摘のように、会員の数それから会員の方々の就業延べ人数という二つの要素をもとにいたしまして、四つのランクに分けてそれぞれ補助金額を決めておるわけでございます。これはいわばシルバー人材センターの運営に関します経費について、通常であれば二分の一ぐらいになるはずだというようなことを頭に置きましてそれぞれ金額を定めておるわけでございます。  今、定率というようなお話もございましたけれども、定率方式と定額方式のいいところだけ取り込んだというような形で決めておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、シルバー人材センターの今後のあり方について少し基本的に見直しをいたしていきたいというふうに思っておりますので、その中において十分考えさせていただきたいと思います。
  123. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 もう時間がわずかになりましたので大変はしょりまして、また次回に詳しくお尋ねしたいと思います。  最後の二点でございますが、会員数が増加するにつれまして勤務時間帯や通勤中の事故などもふえておりまして、このシルバー人材センターから派遣された方々が事故に遭った場合の対応というのはどうなさっていらっしゃるのか。例えば、安全講習とかあるいは研修を担当する安全就業推進員をセンター内に配置するということも決められたそうでございますけれども、こういったことは補助金の中に組み入れてお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。
  124. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) シルバー人材センターの会員の皆様は高齢でございます。高齢の方々が仕事をされるわけでございますので、事故がないように安心して就業していただくということがシルバー人材センターの運営に当たって非常に重要なことだろうというふうに考えております。  ですから、できるだけ会員の事故が発生しないように人材センターの安全就業対策というものを強化していくということが基本だろうというふうに思っておりますが、不幸にして事故に遭われた方々への対応といたしましては、損害保険業界の御協力もいただきまして、シルバー人材センター団体傷害保険というものに加入していただいて会員の事故の補償を行うというような形をとっておるわけでございます。この辺についても補助の対象になっております。
  125. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 最後でございます。  高年齢者就業機会開発事業というのが六十一年度から実施されていますけれども、これはセンターが質、量とも十分な仕事を確保する上で私は極めて重要な事業であり、今後ともその充実を図るべきだと思っております。今後、高齢化社会に向けてのシルバー人材センターの運営なども含めた総合的な高齢者雇用対策につきましては、労働省だけでなく厚生省など他の省庁と連携をとりながら推進すべきだというふうにも思っております。労働大臣の御見解を承りたいと思います。
  126. 近藤鉄雄

    国務大臣(近藤鉄雄君) 高齢者の方々の雇用につきましては、先ほど申しましたように、定年の延長、六十五歳まで継続雇用、またいわゆる職安で高齢者の方々の職業紹介もやっておりますけれども、そういったことから離れて、一応退職された方がなおお力があり御希望がある場合に、その方々の御要望に応じたお仕事をお願いしようと、こういうことでございます。  先生御心配のような、いろいろな事故の場合どうするか、そういった問題等もございますので十分に配慮しながら、しかし力を持った方々、意欲を持った方々が大いに積極的な社会参加を安心しておやりになれるように、またそういうニーズもあるわけでございますので、労働省として積極的に施策の展開をこれから図ってまいりたいと考えております。
  127. 西岡瑠璃子

    西岡瑠璃子君 ありがとうございました。  終わります。
  128. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最初に、佐川急便問題で数点だけお伺いいたします。  先ほども御論議あっておりましたけれども、佐川急便事件の中で渡辺東京佐川急便元社長から金丸自民党前副総裁に渡された五億円が、事件となるのかどうかということで、問題は金丸さんが記者会見後捜査が行われて、今政治家本人政治資金規正法違反に当たるかどうかというような点に至っているというような状況のようでございます。  私どもは、こうした疑惑を解明するためには検察当局金丸本人から事情聴取するのは当然のことであると考えております。先ほど刑事局長一般論でおっしゃいましたけれども、必要な場合は被疑者、参考人の取り調べを行うのは当たり前のことであって、そう考えておりますし、検察当局としてもそのような御努力をなされていると認識いたしておりますが、刑事局長見解を伺っておきたい。  あえて何回もこういう問題お尋ねしているのは、この場合は特に御本人が公の場でおっしゃったことが事件になるかどうかということの発端になっているわけでありまして、国民の目から見てしまえば、なぜそういう事情聴取ができるとかできないという問題が起こるんだろうという疑問がやはりあるからだと思うんです。あえてその点についてもう一回お尋ねしておきます。
  129. 濱邦久

    説明員濱邦久君) いわゆる東京佐川急便事件に関連する形で、今委員お尋ねの献金に関する問題がマスコミによって報道され、あるいは国会でも御議論されていることは、これは検察当局も十分承知していると思うわけでございます。ただ、具体的事実関係につきまして検察当局がどういう考えで捜査を行っているか、あるいはその捜査の状況等につきましては捜査秘密に属することでございますので、答弁は御勘弁いただきたいというふうに思います。
  130. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題、先ほど上申書ということが出ておりました。これは共和のときに鈴木元総理でありましたか、やはり上申書という問題が上がっておりました。私がここで刑事局長お尋ねしたいのは、上申書というのが一般的にどういうものをいい、法的性格はどのようなものをいうかという点であります。特に捜査当局、普通事件と認める場合は、参考人、被疑者などから事情聴取をして供述調書をとられるわけですよね。 だから、供述調書というのと上申書というのがどのような違いがあるのかということも含めて、私たち一般の人間でもわかりやすいように上申書ということについての御説明をいただきたいと思います。
  131. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 上申書と言われますものにもいろんなものがあると思うわけでございますが、一般的には上申書というふうに申しますと、これを作成して提出する者が、捜査やあるいは公判における事実認定に資する目的を持ちまして、捜査段階における場合には警察あるいは検察等の捜査機関に対しまして、また公判段階におきましては裁判所に対しまして自己の認識する事実等について申告するために作成して提出する文書のことをいうものであるというふうに理解しているわけでございます。  それでは、そのような性格の文書と供述調書がどういうふうに違うのかというお尋ねでございますが、これは一口で端的に申しますと、上申書と申しますのは今申しましたように本人が作成して提出するものというふうに申してよいかと思うわけでございますが、供述調書となりますとこれは通常、捜査機関がその供述する人の供述を聞いて供述録取書という形で作成するものというふうに、ちょっと大ざっぱな言い方ですけれども、端的に申し上げるとそういうことになると思うわけでございます。  したがいまして、これは刑事訴訟法に証拠法という観点から今の上申書を含めた、これを一口に供述書と申し上げてよろしいかと思いますが、供述書に関する規定あるいは委員が御指摘になられました供述調書あるいは供述録取書と申した方がいいかもしれませんが、についてそれぞれ刑事訴訟法の三百二十一条あるいは三百二十二条に規定がなされているわけでございます。
  132. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど刑事局長は、一般論として捜査当局捜査を進める場合、必要な場合は被疑者、参考人の取り調べを行うとおっしゃいましたね。そうすると、上申書というものは、この場合の取り調べという概念に当たるのか当たらないのか。例えば一般の場合、上申書をだれかに出す、出したことで、これが取り調べということで認められるのかどうか、その辺の認識をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  133. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 取り調べという言葉を使った場合に、広く捜査一般を含めて取り調べというふうに言われる場合も、その場合場合に応じてあるかと思うわけでございます。しかしながら、通常取り調べということにつきましては、例えば刑事訴訟法百九十七条によりますと、「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。」というふうに規定してございまして、例えば参考人の取り調べということは、この百九十七条の規定によってなされるというふうに理解されると思うわけでございます。  それから、被疑者の取り調べにつきましては、刑事訴訟法の百九十八条に「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。」という規定になっているわけでございます。
  134. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ちょっと専門的な話をしていただいたんですけれども、そうすると、一般的に考えれば、上申書というのは取り調べには該当しにくいというふうな認識を持ってよろしいんでしょうかね。
  135. 濱邦久

    説明員濱邦久君) ですから、取り調べということ、先ほど申しましたように、先ほどちょっと読み上げました刑事訴訟法百九十七条の規定で言っている取り調べというのは、広い範囲で、「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。」ということで、その態様は問わないということであろう、態様と申しますのは、どういう方法をとるかということについてはここでは規定していないわけでございます。  先ほど御紹介した百九十八条の被疑者の出頭要求、取り調べということにつきましては、これは「被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。」というふうに規定しておりますので、これは被疑者の出頭を前提にしているというふうに言ってよろしいかと思うわけでございます。
  136. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今お話をお聞きしたんですけれども、こういう問題、具体例のときはお答えできないということですけれども、今お話を聞いている限りでは、この問題、私どもは、金丸氏御自身からぜひとも、検察当局も御努力をいただいて事情聴取をしていただきたいし、そのように努力もされると思うんですね。特にこの問題は、さっきから何回も言っているように、本人が認めているというところが大きな問題の一つだと思うんです。それと、最近、六十人というような名前とか、六十人にも流れているという指摘もあるわけですから、政治家と金とかいう国民の不信を払拭するためにも、そういうふうな最大限の努力を続けていただきたいと思うんです。  それと、法務大臣にこの件でちょっとお伺いしておきますけれども、法務大臣は先ほどから、捜査というのは厳正にやるべき問題であって、大臣としては検察が一生懸命最大限に厳正にやれるように見守るのが法務大臣の態度だというふうに一貫しておっしゃっております。この問題で特に、私どもが最近の新聞報道を見てあっと思うのは、例えば金丸氏の事情聴取の問題について、これは新聞報道でございますが、例えば、ある政治家がこの問題で金丸氏の事情聴取まで及ばないように水面下で何かやっているとか、いろんな話を書いております。それはそれとして別で結構です。法務大臣としてこういう問題について、とにかくこれからの捜査についても法務大臣としてはどこからも横やりが入らない、検察当局が厳正に捜査できるように自分は守る立場である、そのことをこれからも一貫してやっていく、このことを再確認して明言していただけますか。
  137. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 私は法務大臣ですから、私情を交えてこの場合はこう、この場合はこうということは考えておりません。したがって、私は、先ほど西岡先生おっしゃったように、捜査の環境づくりというのは私に言わせるならば、厳正公平に、不偏不党にやっておる検察を見守るということであろうと思いますので、その態度は今までもそうだったし、これからもそのように続けたいと思っております。
  138. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 法務大臣に佐川の問題、もう一つ聞いておきます。これはまた少し先の話になると思いますけれども、今から一応お伺いしておきたいと思うんです。  こういういろんな事件というのは、一つは政治家の道義的責任とか政治倫理の問題というのを考えていった場合は、たとえ事件にならなくても立件されなくても、私は当然政治家として責任を問われる場合というのはあると思うんですよね。例えば事件として時効が成立していたとしても、政治的責任というのは残るという問題だろうと思うんです。その意味で、また国民の前に事件の概要を明確にするためにも、国会のかかわりということが先ほども指摘があっておりましたけれども、非常に重要な問題だと思っております。特に今回の佐川急便事件のように、政治家と巨額な金の問題が疑惑として国民の政治不信を加速させている現状でありますから、国会への報告という問題をやはり法務当局としても真剣に御検討いただきたいと思うわけです。  今すぐにやれとは言っておりません。例えば政治家にかかわる問題について、起訴なり処分なり一つの決定が出された場合の中間報告の問題、また事件が終結した場合の最終報告の問題、これを行うのは私どもとしては当然のことだと思っておりますが、法務大臣見解をお伺いしておきたいと思います。
  139. 田原隆

    国務大臣田原隆君) お答えします。  いわゆる東京佐川事件については、御承知のように、現在なお検察当局捜査が継続中でありますし、その結果等に関して御報告できるかどうかについて今の時点で法務大臣としてお答えすることは差し控えるべきことではないかと思います。  国会国政調査権の行使については、国会でそういうようにお決めになったときは法務省としてもその法令の許す範囲で御協力すべきものと考えておりますので、国会から捜査結果の報告に関する御要請があれば、その時点においてどのような御協力ができるかということを検討するのが正しい道ではないかと考えております。
  140. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題、もう少し事件の解明が進みましてある一定程度の処分の問題が出てきたときにもう一回論議をさせていただきたいと思います。  それでは、今度は国連の平和維持活動への我が国の参加の問題についてこれから少しお伺いしたいと思います。  新しく制定されました国際平和協力法に基づいて、昨日アンゴラヘの選挙監視団が派遣されて、本日はカンボジアのUNTACに対する第一陣が派遣されました。我が国は国際社会の中で、特に国連に関連して初めて本格的な人的貢献に乗り出すものであります。私どもはその成功を心から願う一人でもございます。特に、自衛隊員の皆様には国際協力ということで多大な御苦労をおかけするわけでございますけれども、自衛隊の初の海外への部隊派遣という面でやはり心配される国民がいらっしゃるのもこれは事実でございます。  私たちは、この派遣に当たっては法律に盛り込んだ紛争当事者間の停戦合意、受け入れに当たっての同意の問題、中立性など、いわゆる五原則の問題を厳守することが最も大事であるということを従来から主張してまいりました。  そこで、まずお伺いしたいのは、カンボジアの国連平和協力実施計画では、この停戦合意、平和維持活動への同意、中立性がまずUNTACについて満たされているというふうにしておりますが、これについて、その理由、この場合受け入れ国及び紛争当事者とは何を指すのかも含めて具体的にお答えいただきたいし、特にポル・ポト派の武装解除が現在まだ残念ながら行われていないわけでございますけれども、この点についてもどう考えるかということも含めてお答えいただければと思います。
  141. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま木庭先生から五原則に関するお尋ねをいただきました。御指摘のごとく、実施計画を策定する際にこれらの点につきまして私どもとしても慎重に検討したわけでございます。ただいま御指摘の諸点のそれぞれにつきまして御説明させていただきたいと存じます。  まず第一に、紛争当事者間の停戦の合意についてでございますけれども、ポル・ポト派の動向がしばしば話題になるわけでございますが、ポル・ポト派は累次の機会にパリ包括和平協定を遵守するということを明らかにしているわけでございます。散発的あるいは局地的な違反が発生しているというふうに伝えられておりますが、いずれも小規模なものでございまして、停戦の前提を危うくするというようなものではないというふうに承知しております。  この点は、先生よく御承知のとおり、一般的に申しまして、長年にわたって戦闘がありまして停戦がやっと成立するという場合に、こういう停戦というのは脆弱な点がございまして、ある程度の停戦違反が生ずるのは現実問題としてはやむを得ないという点もあろうかと思います。このような脆弱な停戦を国際的な努力によりまして確固たる平和に導くというのがまさしく国連の平和維持活動の役目であろうというふうに考える次第でございます。また、ポル・ポト派は、現在、全面的に戦闘を再開するといったような行動に出ているわけでもございません。  以上を勘案しまして、パリ協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されている、また紛争当事者間の停戦の合意も保たれているというふうに判断した次第でございます。  なお、現在、UNTACには軍事部門で三十一カ国、文民部門を合わせますと全体で約百カ国という多くの国々から参加を得ているわけでございまして、これはUNTACの活動が典型的な国連平和維持活動として広く国際的に認められているということを示していると思います。これは、各国がカンボジアにおきまして停戦合意が存在しているというふうに認識している証左でもあると言って差し支えないと存じます。  第二に、受け入れ国及び紛争当事国の国連平和維持活動への同意の点でございます。  カンボジアにおきまして、現在、その主権を具現しておりますのはいわゆるSNC、カンボジア最高国民評議会でございます。また、SNCは現時点でポル・ポト派を含む四派を代表する機能を有効に維持していると考えております。SNCはUNTACの活動を含むパリ協定に署名しているわけでございまして、UNTACの活動には受け入れ国すなわちカンボジアとしてのSNCの同意、それから紛争当事者各派の総意としてのSNCの同意というものが存在していると認識しております。なお、この点も先生案内のとおり、パリ協定には各派の代表がそれぞれ署名しているということもございます。  それから第三に、中立性の問題でございますが、UNTACはパリ協定に基づきましていずれの紛争当事者にも偏ることなく活動を行っているというふうに判断されます。ポル・ポト派が、UNTACの立場はどうもプノンペン政府に近くてポル・ポト派への対応が厳しいというような不満を漏らしているということも聞いておりますけれども、ただ、この点につきましては、そもそもポル・ポト派が武装解除に応じていないという別の問題がございます。そのような状況にかんがみれば、来年春の選挙を予定どおり実施するため、和平プロセスを進めているUNTACといたしましては、ポル・ポト派がパリ協定上の義務を果たすように種々説得に努めるということはむしろ当然であろうというふうに考えております。  以上、ちょっと長くなりましたが、合意の点、受け入れ国の同意の点、それから紛争当事国のPKOに対する同意の点、それから中立性ということについて御説明申し上げました。
  142. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、もう一つ同意という問題では、我が国の実施についてという部分がございますどれについても、今の御説明で大体わかる部分もございますけれども、一応具体的にどういう形で受け入れ国及び紛争当事者の同意が得られているとしているか、簡潔にひとつお願いします。
  143. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) ただいま御指摘の、我が国の国際平和協力業務に対する同意という点でございますが、これは国際平和協力法の第六条第一項第一号で言っているところでございますけれども、この点につきましては、我が国の参加に関しまして国連を経由して紛争当事者各派の総意としてSNCの同意を取りつけているわけでございます。  ちょっと具体的に敷衍させていただきますと、七月二十八日に我が国の要員あるいは部隊の派遣につきまして、明石UNTAC代表からSNCの議長でございますシアヌーク殿下に通報されましたところ、シアヌーク殿下はこれを歓迎するといたしまして、これはSNCの総意であるというふうに国連側に述べたというふうに連絡を受けております。なお、ただいま申し上げましたように、この我が国の参加に関する同意の取りつけば国連を経由するというのが原則でございます。  これとは別に、ことしの八月五日でございますが、今川大使がキュー・サムファン・ポル・ポト派議長と会談いたしました際に、キュー・サムファン氏は、いかなる国がUNTACに参加するかは国連が決めることであるとしておりました。このほか今川大使の質問に答えまして、日本のUNTAC参加については先ほど申し上げたシアヌーク殿下と同じ考えであるというふうに述べておりまして、この点からもKRあるいはポル・ポト派としての立場は明確になっているというふうに考えております。おな、カンボジアの同意ということにつきましては、SNCがこれを代表しているということであると考えております。
  144. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次は、停戦合意受け入れの同意、中立性が万が一崩れた場合の中断及び撤収の問題でございます。  これは防衛庁にお聞きしておきたいと思うんですけれども、カンボジア派遣に際してこの実施要領の中では、漏れ伝え聞いた話では休止というような考え方も持っていらっしゃるというふうに聞いておるんですけれども、どういう形で中断、撤収、また休止という考えがあるならば、どんなふうな形でどうなるのか、指示系統、指揮系統がどうなるのかということも含めてお答えをいただければありがたいと思うんです。
  145. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) この実施要領はいわば般的な原則を定めておりますので、防衛庁の方からもお答えがあると思いますが、私の方からとりあえず考え方を御説明させていただきたいと存じます。  まず、業務の中断でございますけれども、先生御念頭にお持ちなのは恐らく部隊派遣の場合についてのことだろうと思います。この場合につきましては、防衛庁長官が国際平和協力本部長と協議の上、部隊の長に中断を指示することができるというのが第一点でございます。  それから第二点は、ただいま申し上げましたのはいわば東京の方から指示を与えるということでございますが、現地の状況に変化が生じました場合についても定めております。  ただいまから申し上げる四点、四つの場合に該当するというふうに部隊の長が判断する場合あるいはそのおそれがあるというふうに判断する場合につきまして、部隊の長は、防衛庁長官を通じまして本部長に報告して、防衛庁長官が本部長と協議した上で発出する指示に従うというふうにしております。  この四つの場合と申し上げましたが、その第一は紛争当事者が停戦合意、平和維持活動及び我が国による国際平和協力業務の実施に対する同意を撤回する旨の意思表示を行った場合というのが第一の場合でございます。第二の場合は、大規模な武力紛争の発生等によりましてもはや前述の合意または同意が存在しないと認められるような場合でございます。それから第三の場合でございますが、ただいま申し上げた第一と第二の場合のほか、これらの合意または同意が存在しないと認められる場合、いわばその他の場合ということでございます。それから第四の場合は、国際連合平和維持活動がもはや中立性を持って実施されなくなったと認められる場合でございます。これらの場合については、現地の判断指示を仰ぐという考え方でございます。  なお、そのほかに中断の際の報告でございますとかあるいは中断すべき状況が解消したという場合及び防衛庁長官による指示についても定めております。  なお、業務の一時休止ということも定めておりますが、これは隊員の生命または身体に危害を及ぼす可能性がございまして、防衛庁長官指示または国連の事務総長等の指図を受けるいとまがないという緊急の場合につきまして、国際平和協力業務を行う部隊の長はその業務を一時休止するというふうに規定してございます。
  146. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、この場合の部隊の長という言い方は、例えば部隊派遣をしています、部隊派遣をすべて指揮している部隊の長という認識なのか。中隊ごとなり小隊ごとに各方面に展開する可能性があります、その長もそういう権限を有するのかという問題についてはどうなんですか。
  147. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 基本的には施設大隊の場合に六百人でございますけれども、その全体を統括します二佐の大隊長がおりますので、この者が判断するということに相なるわけでございますが、仮にコマンドに従って同時にいろんなところを施工するということがあり得るといたしますと、そのときには当然、施設中隊というのは三個中隊持っておりまして、その中隊長というのがおりますので、それが大隊長と相談して判断をし、かつまた報告を本部に上げてくるという形に相なると考えております。
  148. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 当たり前の話ですけれども、各方面に展開した場合は、通信隊も行っていますから、通信連絡というのはそういう形で行うということでよろしいんですね。
  149. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) おっしゃるとおりでございまして、無線等あるいはインマルサットの地上局をも配備することにいたしておりますので、そういうところを通じて通信を密にいたしまして連絡をとって指示を受けるという形になるはずでございます。
  150. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから武器の使用の点で、部隊派遣である施設大隊の場合、一人一人の隊員に武器を持たせず保管するというような考え方のようでございます。これについて簡単に理由を説明していただいて、具体的にどのようにされるのかという問題、また必要と認めた場合は隊員に渡すこととしていますけれども、その判断はだれがどんな場合に行うかということも含めて簡潔にいただければよろしいんですけれども。
  151. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 既にこれは新聞等にも出ておりましたが、携行する武器といたしましては九ミリけん銃、それから七・六二ミリ小銃ということでございますけれども、これは通常保管をいたしておりまして、保安上適切な場所に厳重に保管するということでございます。具体的に申し上げますと、けん銃につきましてはけん銃格納箱に入れて施錠いたしまして、小銃につきましては銃かけというものにかけて施錠の上それをプレハブ製の武器庫に格納いたしまして施錠して保管する、こういう形を通常のスタイルとして考えているわけでございます。  ただ、先ほど申しました大隊長が隊員の安全確保のため必要と認める場合、例えば夜間にわたる輸送業務を行う場合であるとか、あるいは夜間に宿営地から離れた場所で業務を行わせる場合、ないしは夜間就寝時において歩哨を立てる場合といったようなケースにつきましては、その大隊長の判断におきまして自衛官に武器を携行させるということができるようにというふうに考えておるところでございます。
  152. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、先ほどもありましたが、例えば中隊単位でもし展開した場合なんですけれども、今の考え方は大隊一括保管だと思うんですよね。ただ、それほど離れた展開というのはあり得るのかどうかわかりませんけれども、そういった展開がある場合はどんなふうに考えればいいのかなとちょっと思ったものですから、その点について何か考えがあれば聞いておきたいと思います。
  153. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) その場合には展開した場合の中隊長が責任を持つことになるわけでございますが、その中隊長がその場の責任者として判断する、ないしは大隊長と通信連絡をしてその指示を仰ぐ、こういう形に相なるわけでございます。
  154. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それから少し話を変えまして、国会論議の中でPKOの派遣に当たっていろんな論議がありました。その中の一つが、日本はこの法律の中で五原則というある意味では独特のものを法律の中に織り込んでいる、国連に対してそのことはきちんと認識させているかどうかという問題が国連文書との関係で随分何回も議論になりました。私どもは国連文書に合致しているという考え方を持っておりましたけれども、国連がそのことを理解していないということも何回も何回も言われてまいりました。  たしか、外務省としてですか、政府としてこの法案が通った直後に当時の準備室長が行かれまして、国連に対して御説明をこの五原則についてなされたことも記憶がございます。ただ、今回初めてこうやって具体的に展開されることになったわけでございます。  つい最近、政府としてはこれを受諾するということの口上書を国連の方に出されたというふうにお聞きしておりますが、口上書の中でもこういう日本の法律の問題、例えば日本の法律は五原則を持っていますよというようなことを口上書の中で御指摘なさっているのかどうか、そんなことをお伺いしたいんです。
  155. 神余隆博

    説明員(神余隆博君) 委員にお答え申し上げます。  委員御指摘のございました国連に対する説明で ございますけれども、これは古くは九一年、昨年八月に当時の国連局の幹部、河村審議官が国連に参りまして、いわゆる五原則の形で国連事務局のグールディング事務次長に対して説明を行い、そしてその了解を得ておりまして、この点につきましてはもう既に国会等で御説明したとおりでございます。  次に、先ほど委員御指摘のとおりでございまして、国際平和協力法がまさに成立をいたしました翌日の六月十六日及び十七日の両日にわたりまして、当時の野村内閣法案準備室長ほかがニューヨークの国連本部に直ちに参りまして、先ほど申しました平和維持活動担当のグールディング事務次長に対しましてその法案の内容につき極めて詳細に説明を申し上げました。その際各種資料、英文資料等を先方に手交し説明をした次第でございます。これに対して先方からは、我が国の説明を多といたしましてその法律の成立に対する祝意の表明がございまして、そして日本の国連平和維持活動への参加を歓迎するという発言があった次第でございます。  さて、御指摘の点でございますが、口上書による日本の参加の通報ということにつきましては、我が国といたしましては、先ほど来御説明しておりますように、国際平和協力法に規定されるその五原則に基づいて今回の派遣が行われるものであるということを受けまして、今般我が国が発出いたしました口上書の中にも、我が国の要員は国内関連法令、なかんずくその五原則を盛り込んだ国際平和協力法に従ってUNTACの活動に参加するということが明記されております。
  156. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 隊員選考の問題でお聞きしたいんですけれども、いろいろ報道によりますと希望者が殺到したという話もあるし、辞退者もいたというような話もいろいろあってはおりましたが、どのような点を特に考慮されたかという点。それから、ある意味では初めてのケースでもありますし、自衛隊員の個人の意思というものが反映されるような場面はあったのかどうか。もし希望者が殺到したというのであれば、施設大隊が六百人ですか、そうなると千人ぐらいの希望があったのかどうかわかりませんけれども、そういったことも教えていただきたいし、辞退者が出たとするならば、例えば家庭の事情なりなんなりで何名が辞退したかということがわかれば簡潔に教えていただきたいと思います。
  157. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 派遣隊員の選考についての御質問がございました。  要員の選定に当たりましては、基本的にはその派遣される部隊の能力が十分発揮できるようにという観点から、当然のことではございますけれども、任務遂行に必要な知識、経験それから特に健康状況でございますね、こういったものを踏まえるというのが基本ではございますけれども、さらに家庭の状況ですとかあるいは本人の意思、そういったものなど個人的な事情も十分勘案した上で総合的に判断いたしまして行ったところでございます。  実は、八月十一日の派遣準備に関する長官指示を受けまして、それぞれ陸海空、中部方面隊等を中核といたしまして選考を始めたわけでございます。最終的に九月十一日、平和協力隊に派遣する、つまりカンボジア国際平和協力隊が設置された日にその隊に派遣するという形でいわゆる身分の併有といったようなことで一連の選考は終わったわけでございます。  御質問の中に、派遣希望者が大勢いたという話もあるが、人数はどのぐらいかとか、あるいは辞退者はどうかといったような話ございましたけれども、実は、今申し上げましたように、八月十一日以降から選考に入ったと冒頭申し上げましたように、知識、経験、健康状態それから家庭の事情、個人の事情等々、把握できるものを全部把握した上で選考いたしてきたわけでございます。  率直に申し上げれば、最終的に例えば陸であれば六百名というのが念頭にあったわけでございます。あるいは海では約四百名とか、空では百名ちょっとといったようなものが念頭にございまして、最終的にその隊員の個人的な事情を把握するために直接面接を実施いたしたわけでございます。その過程で合計六名の者が家族の状況等を理由に派遣を希望しないということを申し出たわけでございまして、そのために本人の申し入れを尊重して部隊長の判断によって選考対象から外したというプロセスがございます。
  158. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひそういう点も考慮をしていただきながらやっていただきたいと考えております。  そうすると、UNTACからのさまざまな要請があると思うんです。私は、こうやってもちろん人的交流をすることも大事だけれども、またその一方で物資面でもさまざまな要請があればそれなりにこたえていく、総合的な取り組みをしていくことが大事だと考えておるんですが、物資面で日本としてUNTACから要請がありやったことがあるのか、簡潔にひとつお願いします。
  159. 柳井俊二

    説明員(柳井俊二君) 総合的に協力すべきであるという御指摘もまさにそのとおりだと存じます。  物資協力につきましては、九月四日に明石特別代表から我が国に対しまして選挙公報用等のためのテレビ、ビデオ、それからその電源、小型発電機でございますが、それから武装解除兵等のための医薬品につきまして供与の要請がございました。私どもといたしましては、これにこたえまして政府として九月十一日の閣議におきまして、テレビ、ビデオ及び小型発電機、これらのセットを二百セット、それから医薬品五十セットを無償で供与することを決定いたした次第でございます。医薬品の五十セットというのは、一セットで一万人が三カ月分使えるというかなり大きなセットでございます。
  160. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そのほかいろんな問題を挙げて、労働省の方もお呼びしていた分もあるんですけれども、質問する時間がなくなりましたので、最後に防衛庁長官に。  九月十三日の完結式のときに、自衛隊法の問題について触れられております。私どもも、やはりこれからそういう国際的任務をやるに当たっては、この自衛隊法三条へきちんとした任務として位置づけるという時間も極めて重大だし、即座にはできないとしても、これから自衛隊法そのものの問題、防衛基本法の問題というようなことも考えておるんです。さまざまな問題を含めて、雑則じゃなくて三条へという問題についてやはり防衛庁としても検討する時期に来ているというふうに認識しております、これから国際貢献をやっていくわけですから。  そういった点について、先日発言された防衛庁長官の真意と、そういった考え方についての御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  161. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 御指摘のように、自衛隊は自衛隊法三条によりまして、直接侵略、間接侵略に対して我が国を防衛することを主たる任務とする、同時に必要に応じて公共の秩序の維持に当たる、いわば治安出動ですね、こういうことが三条に規定されております。今回の平和協力法は、これは第八章、いわば雑則と言われておりますが、そこにもろもろの附帯的な業務がございますが、それに記載されていることは委員御指摘のとおりです。  私どもは、自衛隊の任務遂行、つまり三条の任務遂行に支障のない限りこの平和協力業務をやるという法律上の位置づけになっておりますけれども、事柄やっぱり国際貢献という意味で非常に重要なものでございます。なればこそ、あれだけ委員会等でいろいろ質疑があり、そして御理解を得て成立し、今日派遣するに至ったわけでありまして、私どもはこれからの新しい世界平和秩序構築の中で、物的な貢献ばかりでなしに人的な貢献を平和的に行うということがいかに大切かということを今感じつつ、きょう第一陣が派遣されておるわけでございます。  したがいまして、この問題は将来いろいろケースとしてあるいは数多く発生する可能性なきにしもあらずと私も思います。そういうことでござい ますので、新しい世界秩序構築のために自衛隊が貢献するということは大変すばらしいことでありますので、これをどう位置づけしていくかということは十分議論対象になり得るんじゃないかということを申し上げたわけであります。ただいまのところは、国民的な動向なり世論の動向、あるいは国民的な論議あるいは国会の論議をもう少しよくやっていただいて、本来の三条業務とどういう位置づけになるのか、三条業務ということになれば装備その他もそれなりのものを備えなければなりませんし、組織編成もあるいは別個に編成するということが必要でございましょう。  いろいろの問題点がございますから、私としては将来課題としては十分検討に値するということを伊丹の記者会見でも申し上げたわけであります。このことは特別委員会でも申し上げていることと何ら変わっておりませんが、そのようなことを申し上げて私の感じといたしたわけであります。
  162. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  163. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私は、まずPKOのカンボジアヘの派遣についてお伺いをいたしたいと思います。  民社党は御存じのように、我が国が世界の国々から信頼され、また尊敬され、必要とされる国家になるためには、国際社会に対して金の面ばかりではなく人の面でも積極的に貢献していかなければいけない、こう主張してまいりました。その意味では、今回のカンボジアヘのPKO派遣を積極的に評価するものであります。  今月の九日に大内委員長が伊丹駐屯地を訪れ、派遣される施設部隊の皆さんを激励いたしました。また、本日十七日も呉から海上自衛隊の皆さんが出港されましたが、これにも党代表を派遣いたしました。PKO協力法を成立させた政党や政府の責任として、その意義を派遣される隊員の皆さんに直接説明し、激励するのは重要なことであり、隊員の士気も高まると思うからであります。  一番重要な行事であった九月十三日、伊丹で行嘉ました陸上自衛隊編成完結式に私どもは党代表を参加させましたが、防衛庁長官も御出席されておりました。しかし、宮澤総理は御出席になりませんでした。防衛庁長官が御出席されたわけでありますけれども、今回自衛隊が初めて国際貢献という重要な任務を帯びて海外に派遣されるわけであります。総理が幹部ばかりではなく、派遣される隊員に直接激励をする機会を可能な限り持つことは隊員の士気が大きく高まるのではないか、このように思います。なぜ、総理がみずから出席されなかったのか。  この日は、エリツィン大統領の訪日が延期され、日程的にも可能であったというふうにお伺いいたしております。自衛隊を預かる防衛庁長官として御所見をお伺いいたしたいと思います。
  164. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 今、委員の御指摘のように、民社党の委員長がこの十三日の編成完結式の前に御訪問いただき、激励いただき、また十三日の当日も塚本元委員長もおいでいただきました。大変理解ある来訪でございまして、私も大変厚く御礼を申し上げた次第でございます。  ところで、十三日の伊丹駐屯地で行われました編成完結式は、御案内のようにこれは自衛隊法二十二条というのがございまして、防衛庁長官が臨時に編成する特別の部隊である今度の大隊組織の編成ですね、そういうことで大隊長に大隊旗を授与し、また防衛庁長官出席して激励するというものでございました。  総理は、ちょうどエリツィン大統領の来日も予定されておったことでもあり、急遽のことでもございますし、それよりも総理御自身が自衛隊の最高指揮官として、十一日の日には官邸にこの平和協力隊の百数十人に及ぶ隊員を招いていただきまして、ここで一々激励をいただきました。また、レセプション等もやっていただきまして、そうした総理としての自衛官を励ます真意を吐露されたわけでございまして、私は、現場のこの編成完結式というのはあくまで防衛庁長官の主宰する行事ということでもございましたのですから、どうしても御出席願いたいということまでも申し上げませんでしたが、これはいろいろ諸般の事情、総理の御都合等もございましたし、私自身の編成完結式でございますから、まあ御理解をいただかなくちゃしようがないかなというように思っておるところでございます。  きょう、海上自衛隊と陸上自衛隊の一部の人が先発隊として出港いたしましたが、現に私も出たい気持ちはありましたけれども、当委員会その他ございましたし、一回総括的に伊丹でやりましたものですから、そんなことで、今後も機会があれば、事情が許せば私としては激励はしていきたいなと思いますし、また現地に展開された後もやっぱり責任者としてはその実施状況、問題点等を視察して遺漏なきようにしたいし激励もしたいと、そんな感じでございます。
  165. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、長官からございましたように、やはり責任者の方が出向いていって激励する、このことによって隊員の方の士気は大いに上がると思うのであります。いろいろと御事情があったかと思うんですけれども、一国民として見ました場合に大変残念であったな、総理が出ていられればもっとよかったなと、こういう気持ちを持っておりますことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一点、実は今回派遣される、特に施設部隊の皆さんから私ども民社党として直接お目にかかっていろいろとお話をお聞きをしてまいりまして、その中から要望として幾つかお聞きいたしております。  その点について確認をさせていただきたいわけでありますが、特に派遣される隊員の皆さんが強く希望されておられましたのは、国に残された御家族の皆さんとの連絡手段の確保であります。とりわけ直接話ができる、家族と会話ができる電話ですね、そういう機会をやはりつくってほしい、こういう要望が強く出てまいりました。お聞きしましたところ、我が国の一般電話の回線は四つしがなくて、それも通常使えるのは三回線だというふうにお聞きしております。そうしますと、六百人の隊員の方が電話をするにはこれでは不十分ではないかというふうに思います。  そこでお聞きしたいんですけれども、今回の派遣に伴いまして、一般回線とは別に業務用の通信手段として防衛庁及び平和協力本部の方で恐らく電話回線を施設されると思うんですけれども、この状況について今どういうふうになっているかお聞きしたいと思うのであります。
  166. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 防衛庁といたしましては、施設部隊の所要といたしまして業務用で二台の国際衛星通信可搬局、いわゆるインマルサット用のものの用意を考えております。そのほかに国際平和協力本部の方で予算措置をいたしまして、そちらの方で手当てするものが三ないし四台ございまして、それらを含めますと五ないし六台というのが利用可能な台数、いわゆるインマルサットの可搬のもので地球局として置くものとして利用可能な台数ということに相なるわけでございます。
  167. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今お話しのありましたトータルで五ないし六台ですか、これについては例えば隊員の方が緊急の場合に、今私が申し上げたように、御家族との会話ができるように個人用として使える道は開くべきだと思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えになっておられますか。
  168. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 御指摘の点については私どもも非常に重要な点だと考えておりまして、そこのところは一応インマルサットの地球可搬局といいますのは業務用として予算措置がなされているということでございますので、個人がこれのあいているときに利用することができるのかどうか、御指摘もございましたので、なるべく隊員の希望に沿えるような方向で今後検討してまいりたいというふうに思います。  ただ、その場合に費用負担の問題等もございまして、当然使用料については個人負担ということに相なりますが、その借り上げ料の問題もございますので、そこを慎重に検討した上でなるべく隊 員の希望に沿えるような方向で結論を得ていきたい、関係省庁と詰めてまいりたいというふうに思います。
  169. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ぜひそういう方向で、隊員の皆さんが安心して行けるように御配慮をお願い申し上げたいと思います。  それから、もう一点お聞きします。これは住居の問題であります。当面、もちろん天幕といいますか、野営ということになるのはやむを得ないかもしれませんが、隊員の皆さんがかなり長期にわたって滞在されるわけでありますから、健康あるいは士気の面、こういう面を含めますと、例えばせめてプレハブ宿舎に住めるような、そういう環境も整えることをやはり検討する必要があるんじゃないかと思いますが、この点についてもお伺いしたいと思います。
  170. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 業務用といいますか、医務室、食堂、洗面所とかあるいは執務室、こういったものにつきましてはプレハブで対応するということを考えておりますが、居住施設につきましては当初は天幕を持っていきまして、いわゆる病院用天幕という大きなものをしつらえましてこれの中で居住するということに、これは各国の参加国の部隊の例を見ましても大体そういう形でございますので、その例をも勘案いたしましてそういう形をとろうということになっております。  ただ、御指摘のとおり、高温多湿のところでもございますので、長い間そういうことはいかがかということでございまして、プレハブの居住施設を調達するということを当然考えております。これは国連の本部の方からUNTACを通じまして現物が供給されるという形になっておりまして、ただこの時期とかそういうところがまだ詰まっておりませんので、極力このタイミングを失しないような形で調達を得たいというふうに考えておりまして、その後ではプレハブの中に居住ができるという形に相なろうかと思います。
  171. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 先ほども隊員の選考のお話がございましたが、行かれた方がきちっと任務が果たせるように、そういう環境をつくっていくことが今回特に初めてのことだけに大変大事だな、このように思いますので、ぜひ当局の御努力をよろしくお願い申し上げたいと思います。  あと、最後に労働大臣に一点、最近の雇用の状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。  今回の総合経済対策の中では、雇用対策についてはいろいろと情報収集に努めあるいは雇用調整助成金の基準を一部見直す、こういうことがうたわれているわけでございますが、私自身の判断としまして、今のこのような対処の仕方ではちょっと実態の認識が、大変失礼ですけれども、少し甘いんではないかな、こんなふうに思っておりまして、雇用の今後の動向について懸念いたしておりますのでお伺いしたいというふうに思います。  特に、最近この一週間ぐらいの間に新聞等でも報道されておりますように、例えば製造業の中で申し上げれば、鉄鋼産業が雇用調整助成金の申請をするというふうなことが言われておりますし、また日本の基幹産業であります電機あるいは自動車産業も一部そういう方向を検討されているというようにお聞きいたしております。そうしますと、今回のこの不況に伴う雇用情勢というのは、製造業の中で申し上げれば、やはり日本の基幹産業の部分にまでかなり影響が出てきているんではないかな、このように思います。  もう一点、私は今回大事な点があるなと思いますのは、そういった製造業のいわゆる現業部門での雇用の問題だけではなくて、最近はとりわけコンピューター業界でありますとか、あるいは金融、証券、こういったところを中心にしまして、いわゆるホワイトカラー層にも特に不況を反映してかなり合理化の影響が出てきておる、このように見受けているところでございます。  今、例えばアメリカなんかもなかなか不況から経済が脱し切れない。これは一面、御承知のとおり、ホワイトカラー不況というようなことも言われておりまして、このようにいわゆる雇用の問題が製造現場だけではなくホワイトカラー層も含めて幅広く影響が出てまいりますと、やはり経済社会的に大変大きな影響が出てくると思うんです。特に、こういったホワイトカラー層というのは購買力という面でも大変大きなウエートを占めておりますだけに、雇用という問題にかかわらず経済全体の動向にもかなり影響すると思うんですけれども、この点について今労働省としてどういうふうに認識しておられて、あるいはこれからどういう対策を考えておられるのか、お聞きしたいと思うんです。
  172. 近藤鉄雄

    国務大臣(近藤鉄雄君) 最近の雇用失業情勢でございますが、先生も御案内のように、完全失業率は依然として七月が二・二%、ちょっと上がりましたけれども低い状況でございます。有効求人倍率は昨年三月以来ずっと低下しておりまして、七月には一・〇四倍である。労働需給は確かに緩和の状況にございますが、ただ、これはいろんなばらつきが産業ごとにございまして、先生御指摘の家電業界や鉄鋼または自動車の一部はそうでございます。私たち労働省は、実は八月以来各業界のヒアリングをしておりますし、片一方で産業別組合の方々からまたいろいろ話を聞いているわけでありますけれども、いろんなばらつきがあって、特に中小企業は基本的に労働力不足感が依然として残っております。  そこで、現在多少過剰感を持っておる企業、業界におきましても、中長期的に日本はやはり労働力不足だろうということでありますので、基幹的な労働力は確保していこうと。したがって、生産調整をする場合も解雇ということよりも、むしろ残業制限だとか配置転換とかそういった形で対応して景気のよくなるのを待とう、こういう状況のようでございます。  ただ、まさに御指摘のホワイトカラーについて、一部、私は解雇というよりは主として配置転換だと思うわけであります。実は、アメリカの例も先生お話がございましたが、私ちょうど先週はアメリカで労働長官その他労働組合員、また企業の方々とお話ししてまいったわけでございます。アメリカにおいても今ホワイトカラーが失業してきているということは、生産部門の合理化は日本においてもアメリカにおいても相当進んできていますけれども、これから残されたいわば生産性向上の部分が事務系統じゃないかと思うんですね。  ですから、そういった意味で事務系統分野の合理化というのが、いわばこれから事務管理能力の生産性の向上と並行してある程度過剰労働者が出てくるのじゃないかなと、こういう感じでおります。特に、まさに証券、銀行なんかも、私はこれはバブル時代に採り過ぎた面があると思うんですね。一金融、銀行、証券でウン百人の大学卒を採ったことがあったわけでありますから、私は日本におけるそういうサービス分野においてのこれまでのバブル時代の過剰雇用が今調整方に入っている面もあるんだと、こういうふうに認識をしております。  いずれにいたしましても、現在の調整過程から早く回復するために政府としては御案内の総合経済対策を打ち出したわけでございまして、この中でも雇用の維持、失業の予防に私どもは重点を置いておりまして、産業地域の雇用動向の迅速かつ的確な把握を行い、そして御要請に応じて雇用調整助成金の機動的、積極的な活用などの対策を実施することにしておるわけでございます。  雇用情勢、大事な問題でございますので、今後とも迅速、的確に措置をしてまいるように努力していきたいと考えております。
  173. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。
  174. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 自治省にお尋ねいたします。  九日の当委員会で、私は金丸さんの五億円が一体どこに渡ったのかが極めて重大問題であると指摘をいたしました。金丸さんみずからが会見で、「多額であるところから、わが同志への陣中見舞いだと認識した」と、こう述べられました。  そこで、金丸さん及びあらかじめ調査を依頼した金丸さんの政治団体から、経世会、経世会所属 議員及びその政治団体に対する献金について自治省に調査をお願いしてありましたが、調査した年、調査団体数、献金先の名称、日付、金額はそれぞれいかがでしょうか。
  175. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) お尋ねがありました収支報告書の支出の記載についてでございますが、金丸議員の指定団体であります新国土開発研究会の収支報告書の支出の寄附欄に、経世会に対して平成元年分は、六月に一千万円、十一月に一千万円、十二月に一千万円、計三千万円。平成二年分は、一月に一千万円、五月に三百万円、七月に一千万円、十二月に一千万円、計三千三百万円。平成三年分は、一月に一千万円、四月に二千万円、七月に一千万円、八月に二千万円、九月に一千万円、十一月に一千万円、十二月に二千万円、計一億円支出したとの記載がございます。  次に、新国土開発研究会の収支報告書の支出の寄附欄に、あらかじめお尋ねのありました百一人の議員、全議員の方々及びその指定団体、これについては平成元年が百十六団体、二年が百二十団体、三年が百二十六団体でございますが、これらに対して寄附の支出をしたとの記載はございません。  また、あらかじめお尋ねのあった三十四の団体に対しても同様に寄附の支出をしたとの記載はございません。  また、お尋ねのありました久親会、久親会櫛形町連合会及び税理士による金丸信後援会については山梨県選挙管理委員会の所管の政治団体でございますが、山梨県選挙管理委員会に照会いたしましたところ、平成元年、二年及び三年の収支報告書にお尋ねのあった者に対する寄附の支出の記載はないとの回答でございます。  なお、平成元年から三年までの金丸議員個人として受けた寄附については指定団体に対する寄附がなされており、保有金に係る収支報告書は提出されておりません。
  176. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そこで、法務省お尋ねいたします。  金丸さんみずからが、我が同志への陣中見舞いだと言われました。しかし経世会では、金丸さんが受け取ったという九〇年二月ですけれども、その年は三千三百万円しか届け出がされていない、もらっていない。それから、所属議員も届け出はされていない、もらっていないということが今の自治省の報告で明らかになりました。金丸さんを除いた百一人、それから百五十ないし百六十の政治団体を調べたことになるわけですけれども、金丸さんは陣中見舞いとして認識し分配されたはずなのに、現実には届け出はされていない、もらっていない。この五億円は一体どこに消えたのか、全く奇々怪々なことだと言わなければなりません。  六十数人の同志に渡ったとも言われていますが、このお金の渡った六十数人の議員は、金丸さんだけではなくこの議員も含めて政治資金規正法に触れることになるということはもう明らかなことで、大変重大なことだと思います。法務省としては徹底した究明を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  177. 濱邦久

    説明員濱邦久君) まず、委員が今お触れになられましたいわゆる東京佐川急便事件に関連して報道されておりますところの献金云々の問題でございますけれども、この報道なりあるいは当委員会での御質疑なり等につきましては、もちろん検察当局においてもこれを十分承知していると思うわけでございます。  ただ、この報道前提にして委員がいろいろお尋ねでございますけれども、まず申し上げておかなければならないことは、今委員が御指摘になられました具体的な事案を含めまして具体的事実についてどういう犯罪が成立するか、政治資金規正法違反の罪が成立するかどうかをも含めましてどういう犯罪が成立するかということは、これは検察当局が証拠によって事実を確定した上で初めて判断できるわけでございまして、法務当局から責任あるお答えを申し上げることはいたしかねるわけでございます。
  178. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 これは、報道前提にと今言われましたけれども、自治省が現に渡っていない、届け出がないという事実を指摘された上で、金丸さんが同志に陣中見舞いと認識して受け取ってお渡ししたということがあるという、これが政治資金規正法に違反するんだという重大な事実がここで明らかになったわけですから、法務省としてはこれに重大な関心を持って徹底的に究明すべきだと、一連の佐川事件全体の究明にとっても新しい事実が明らかになったわけですから、これに対して厳正な態度で私の指摘を受けて臨んでほしいということなんですが、いかがですか。
  179. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、まず政治資金規正法上の届け出があったかどうかというような点については、ただいま自治省の方からお答えがあったとおりだと思うわけでございます。  また、先ほど来お答え申し上げておりますように、いろんな報道がなされている事実あるいは当委員会を初め国会で御議論のあるところは、これは当然検察当局においても十分承知しているところだと思うわけでございます。
  180. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 こういうことを承知した上で私の指摘を受けて厳正な対応をしていただきたいということを強く指摘いたしまして、次に自治省にお尋ねいたします。  報道によれば、金丸さんは五億円の受領を認めた、既に政治的責任をとったとして捜査当局の事情聴取について出頭拒否をしている、こう伝えられています。  もしこれが事実であれば、大変重大なことです。そもそも道義的、政治的責任をとったことと刑事事件の解明とは全く別問題なわけで、しかも佐川急便事件というのは金権腐敗事件としてはまれに見る大疑獄事件です。その疑惑の中心的政治家が党の副総裁を辞任した程度で政治的責任をとったというのはとんでもない話だと。どうしても解明されなければならない課題、疑惑は山積しているというふうに思うわけです。  そこで、一つは政治資金規正法の量的制限にかかわる問題ですが、お金を受け取った人物は秘書だと金丸さんは主張されているようです。しかし、金丸さん本人が渡辺元社長に八九年四月、参院選の軍資金として十億円が必要だと支援を要請したと渡辺元社長は言われているようです。  そうであれば、もし秘書が受け取ったとしてもたまたま秘書が受け取っただけで、金丸さん本人が受け取ったものと、こう言わなければなりません。この点については金丸発言でも明らかなように、総選挙の事前に渡辺さんから献金の申し出があったので御辞退申し上げたわけですが、数週間たって私の秘書から報告を受けました、私は御辞退申し上げたのにと思いながら、多額であるところから我が同志への陣中見舞いだと認識したところでありますと。つまり、献金の申し出があった、辞退したが数週間たって五億円が届けられたという報告があって、その報告を受けて、辞退したのにと思いながらもそのとき陣中見舞いとして受け取った。つまり本人が自覚をして受け取っている。  これは明らかに量的制限違反であるわけですが、ここで自治省にお尋ねしたいのは、法律の純粋な解釈としてお尋ねいたします。  「何人も」とあるわけですから、政治資金としての認識、つまり故意があることを当然の前提として受け取った秘書と、それから政治家のいずれもがこの量的制限違反については処罰の対象となり得ますね。可能性です。なり得るかどうかという結論だけ端的にお聞かせください。
  181. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) 御質問の件につきましては、私ども具体的事実関係を承知しておりませんので、これに即してのお答えはいたしかねるわけでございます。  ただ、政治資金規正法についての一般論としてのことで御説明させていただきますと、政治資金規正法では寄附の個別規制につきまして、政党及び政治資金団体を除きまして、何人も各年中において政治団体以外の同一の者から百五十万円を超 えて政治活動に関する寄附を受けてはならないとされておりまして、これに違反して寄附を受けた者、団体にありましては、その役職員また構成員として当該違反行為をした者について罰則の規定が設けられているわけでございます。  具体的な事例については、私どもよく承知しておりませんのでお答えできないわけですが、あくまでも事実関係に即して法律の適用がなされるというふうに考えているものでございます。
  182. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 受け取った秘書も政治家も処罰の対象となり得るということになるわけですが、そこで法務省にお聞きいたします。  これまで、政治資金規正法で国政レベルの政治家本人が処罰されたケースはありますか。
  183. 濱邦久

    説明員濱邦久君) そういう例は報告を受けておりません。
  184. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 そこで、法務大臣お尋ねいたします。  法的には政治家本人政治資金規正法違反で処罰され得るのに、実際には処罰されたケースがこれまでにない。捜査の姿勢がまさに私は問われているというふうに思うわけです。私が冒頭に指摘した五億円が一体だれに渡ったのか。金丸氏秘書は経世会に入れた、私のところは素通りしただけだと、こう述べているわけです。しかし、先ほどの自治省の報告では、経世会には五億円は渡っていないことがはっきりいたしました。だからこそ、金丸さん本人から疑惑をただすしか真相を解明することはできないという点で上申書ではなくて出頭させて事情を聞く、事情聴取をするということを含めての厳正な捜査が求められているわけです。  法務大臣、毅然たる決意で臨むべきだと思いますけれども、その決意のほどを聞かせてください。
  185. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 私、しばしば申し上げておるんですが、佐川急便事件検察当局において現在捜査中でありますので、その捜査方針等について法務大臣が口を出すのはいかがなものかと思うんです。  これは、申し上げるように、徹底的とかなんとかいう表現はいささか感情をあらわす表現のような気がしますから、そういう話になりますとどっち向きかの指揮権を発動していることになりますから、私は中庸で冷静で、厳正公平にやっている検察を見守ることが一番大事なことであると思っておりますので、検察判断に任せて検察がおやりになることを見詰める、これが私の姿勢でなければならぬと思っております。
  186. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 毅然たる態度で厳正、私の指摘を受けて適正そして適切に対処する、そういう決意で臨んでいただけるということでよろしいですね。
  187. 田原隆

    国務大臣田原隆君) 私は、法務大臣としてどちら向きの指揮権も発動せずに中庸、冷静に見守っていくということで、厳然とそれを見守るということであります。
  188. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 厳正に対処していただきたいということを重ねて申し上げまして、労働大臣お尋ねいたします。  労働時間の短縮、時間外労働の削減について政府・労働省は関心を持って取り組んでいると強調されています。  そこで、サービス残業についてお伺いいたしますが、最近、我が党の上田議員などが金融機関に対するサービス残業問題を取り上げ、労働省の監督もあり、一定の改善措置がとられています。  ところが、肝心の国の機関はどうなっているのかというと、国の機関で労働基準法の全面的適用を受ける郵政、林野、大蔵省の印刷、造幣のいわゆる四現業ですが、労働省は民間に対しては抜き打ち監査を行っていながら、この四現業の監査は、例えば金融機関と比較して極めて少ないというふうに思われます。  具体的に、北海道郵政局のサービス残業の例、特定局のケースですけれども、私どもの調査では、二人から五人という少ないところで時間外手当の予算枠が一カ月一人五時間から六時間分しか割り当てられていません。私、書類、資料を持っていますけれども、ある局の職場の実際の時間外労働の状態を克明に記録したもの、実際は一カ月に二十五時間の超勤を行っていますが、手当は六時間分しか支払われていない。写真も実際撮って持っているんですけれども、ほかの特定局もほとんど同様。これは北海道だけではなくて東京も京都も聞きましたけれども、同様の状態です。  どうしてこのようなことになるのか。それは、郵政に対する労働省の監督の姿勢の反映だと私は思うんです。国の機関が率先して時間外労働を削減し、サービス残業を根絶しなくてはならないのに、労働省の監査がないことから、ある意味では無法状態。北海道の労基局もほとんど監査はやっていないと私たちに答えています。これでは金融初め民間企業に厳しく対応ができないではないかと思うんです。  そこで、大臣、北海道だけではなく東京、京都も同じなわけですから、全国の調査をして郵政省に適切な指導をしていただきたい。そして、四現業の監査について監査の反映状況がわからないわけですから、その状況がわかる資料を提出していただけるよう検討してください。これまでずっと監査して発表されています。それを精査していただければすぐ出せる問題ですので、この点はぜひ積極的に検討していただきたいと思いますが、この二点いかがでしょうか。
  189. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 時間が来ていますので、端的にお願い申し上げます。
  190. 石岡慎太郎

    説明員石岡慎太郎君) サービス残業の問題につきましては、労働者から申告があるとか、あるいはまた定期的な監督指導を労働基準局が行います場合に、適宜適切に対処しているつもりでございます。  お尋ねの北海道の場合につきましても、御指摘がいろいろ各方面からございましたので、現在鋭意調査をしている段階でございます。特定局において一人五時間ないし六時間の予算が決められておりまして、それ以上の残業をしてもその分しか支払われないという御指摘がございましたが、私どもまだその辺は承知いたしておりません。  いずれにいたしましても、サービス残業、大変難しい問題でございますが、問題がいろいろございますので、今後とも労働基準局といたしましては適宜適切にこの問題に対処してまいりたいと考えております。
  191. 高崎裕子

    ○高崎裕子君 もう一点、監査の反映状況を出していただきたいということですけれども、大臣、いかがですか。
  192. 石岡慎太郎

    説明員石岡慎太郎君) 定期監督の状況につきましては、統計上は私ども基準法の第八条で適用事業所が郵便の場合は電気通信と一緒になっておりますので、郵便、電気通信の事業としてくくりまして統計を整理させていただいております。  これをさらに分解いたしまして、郵便の数字を出せという御指摘でございますけれども、いろいろ大変膨大な数字を処理しているわけでございまして、これだけを特段に引き出してどうのこうのするのは現在のところ適切ではないと考えております。
  193. 近藤鉄雄

    国務大臣(近藤鉄雄君) サービス残業の解消というのは、私たち最近積極的に推進してまいっているところでございますが、民間だけじゃなしに、まさに国営企業においても例外じゃないわけでございますので、今の先生の御指摘の事実がどこまであるかどうか、調べてございますが、こういったサービス残業が解消されるように我々も積極的に今後努力をしてまいりたいと考えております。
  194. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私も、きょうは法務大臣、労働大臣にも御出席いただいておりますので、佐川問題についてお尋ねいたします。  まず、先ほど来ずっとの金丸議員の五億円献金受領事件の方からお尋ねいたします。  現在のところ、政治資金規正法の違反になるかどうかということで捜査が進んでいるやに聞いておるわけですが、もうやめられました新潟県知事の金子さんの場合には、虚偽記載という側面から 略式起訴にとどめることはできないのではないか、むしろ正式起訴になるのではというような新聞報道も出ておったわけでございますね。それで法務大臣、刑事局長のこれまでの御答弁を見ても、新聞報道は新聞報道捜査捜査秘密があって云々という答弁に終始されておりまして、そのことは私自身やむを得ないことだとは思うんですが、新聞報道にかなり際どい報道が出るということは、捜査の進展の状況状況がやはり新聞に出ているのではないか、こういうふうに受け取らざるを得ない。  そこで、金丸議員の五億円の問題ですが、政治資金規正法の違反の問題で略式手続による裁判ではなくて正式起訴という手続によることもあり得るのかどうか。さらに、それは授受に直接関与した人だけにとどまるのか議員本人まで可能性としてあるのか、そういう観点についてまずお尋ねいたします。
  195. 濱邦久

    説明員濱邦久君) まず、委員が御質問前提としていろいろ報道等を挙げられてのお尋ねでございますけれども、今委員がお触れになっておられます。そういう具体的事案についてお答えを申し上げることは、これは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただ、一般論として、刑事訴訟法の手続として刑事訴訟法ではどういうふうに規定され、それが一般的にどのように運用されているかとかいうような観点からのお尋ねでございますれば一般論としてお答え申し上げるわけでございます。この起訴、不起訴の判断あるいは起訴する事件について公判請求するかあるいは略式請求するかの判断などの具体的事件の処理は、これは申すまでもなく検察当局判断すべき事柄であるというふうに理解しているところでございます。  このいわゆる東京佐川急便事件につきましては、繰り返しお答え申し上げているわけでございますが、現在検察当局において捜査中でございまして、いかなる事実についていかなる捜査処理がなされるのかということにつきまして現段階で申し上げることは、これにいたしかねるわけでございます。
  196. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 先ほど来、例えば木庭委員質問してみえたんですが、上申書の提出云々、さらに出頭要請、まあここで刑事訴訟法三百二十一条の議論をするつもりは毛頭ありませんが、現実に被疑者の供述調書をとるということになれば、これは証拠として自白調書であろうと否認調書であろうと上申書に比べて格段の証拠能力を持っているわけですが、こういう形の新聞報道が出てくるということは、そこからは一つ論理の飛躍があるわけでありますが、公判請求もあり得ると、こういうふうに受けとめることができるわけですね。  そこで、一般論しかお答えがいただけないわけですから私も一般論としてお尋ねするわけですが、現時点で金丸議員の五億円の問題はそういう可能性を含んでいるのではないかと思われます。そこで、その点の一般論としての御見解お尋ねします、禅問答のようでございますが。
  197. 濱邦久

    説明員濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、今委員お尋ね前提としておられる具体的事案についてお答えすることは、これはいたしかねるわけでございます。  ここから先は一般論としてお答えするわけでございますが、起訴、不起訴の判断あるいは公判請求するのか略式請求するのか等の判断、これは先ほどもお答え申し上げましたとおり、具体的事件の処理をする検察当局判断すべき事柄でありますので、御理解いただきたいと思います。
  198. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私も法律で飯を食ってきた者ですからこれ以上は申し上げませんが、この事件で国民の見る目は、五億円は受領している、六十人に渡ったかどうか、それは言えないこともあるんじゃなかろうかと。しかし、いわゆるざる法の典型だと言われる政治資金規正法に少なくとも間擬できる、こういうことになったら、これは略式起訴はだめですよと。やはり政治資金規正法違反にしても公判請求をして、そして国民の前に、一体この事件の全容はあるいは関与した広がりは、さらに背景事実は、そして動機はということがある程度明らかにされない限り、それが結局は政治の信頼を取り戻すための最小限度の捜査当局の努力ではないか、こういう見方にならざるを得ないと思うんです。  先ほど来、法務大臣は指揮権発動の問題について何回も繰り返し質問を受けられて、捜査当局の厳正中立のこれまでの経過を十分信頼して見守ることだけが努めであると、こういう趣旨の答弁を繰り返されてみえるわけです。この見守るというのはいろいろな意味に受け取れるわけでございまして、国語の広辞苑に云々という、そういうことを言うわけじゃないんですが、捜査当局が安んじて捜査に集中できるような環境づくりを法務大臣としてしても、それが指揮権の発動になるわけではないですし、あるいはそれはどちらかに加担したわけでもないと思うんです。  したがって、私は法務大臣お尋ねしたいのでございますが、この問題についての国民の関心、それから国民の見る目というものを法務大臣としては日ごとに厳しく受けとめていただきたい。あるいはそういう国民の関心というものに重大な意義があるということを受けとめていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございますか。
  199. 田原隆

    国務大臣田原隆君) おっしゃるように、国民の目は重要な、大変な目であると思って受けとめております。  しかし、捜査が不偏不党、厳正公平に行われるようにする積極的環境づくりをすべきでないかという御意見については、検察がやっていることは検察の独立性に基づいて、私ども見て全く不偏不党、厳正公平にやっていると思っておりますから、それ以上口を出したりして環境づくりする必要はなくて、ただ泰然と見守っておることが最も今必要な時期ではないかと、そういうふうに考えておるわけであります。
  200. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私も持ち時間が非常に少なくて、労働大臣、この前は海外にいらして御出席願えなかったので、お尋ねしたいと思います。  「佐川急便グループ所属事業場に対する平成三年金国一斉監督の結果について」という資料労働省から私いただいたわけでございます。この資料は実は昨年出ておりまして、何も珍しい資料ではないわけでございますが、この資料を見まして感じたことは、昭和六十二年には役所のいわゆる監督、つまり労働法規に違反している、あるいはその疑いがあるというふうなことで調査をする、それが六十二年では非常にたくさんの数といいますか、調査に入ってみえる。そして平成三年度も六十二年度に負けず劣らず調査を実施されている。しかし、平成元年平成二年はそれに比べますと非常に調査の数も内容も少ないように資料から見ると見受けられます。  それは、よく考えれば昭和六十二年の調査で厳しい指導監督をした結果、元年、二年はうまくいった。しかし、三年になってまたいろいろ問題が出てきて労働省としても調査に入り、かつ指導監督を強化したというふうに受け取ればこれはまさに効果があったと。さらに、佐川急便グループの事業場の努力といいますか是正に努められた効果だと、こういうふうに見えるわけですが、この一連の献金疑惑がこのところ出てまいりまして、そのように素直に見ることができるのかどうか。うがったというか非常に意地の悪い見方をすると、物の見方というのは表からと裏からではまるで逆だというのは世間で通常あることですので、殊さらそれを強調するつもりはないわけですが、何か急に世間で問題になってきたから調査率がふえたんじゃないか、調査事業場がふえたんではないか、こういうふうにも見られる、意地の悪い見方で見ますと。  そして、今ここで佐川問題があらゆる形で出てきた。この間、運輸大臣に私は監督所管大臣としてどういうふうに今後襟を正していくのか、あるいは多くの国民から見ると何かあるんじゃないか、あるいはこれだけの献金をするというのはいろんな形で手心を加えたというそういうギブ・ア ンド・テークの関係にあるから大盤振る舞いをするんだ、こういう見方は厳然としてあるわけですので、労働大臣としてはこの佐川問題で今後の指導監督についてどういう所見を持ってみえるのか、お尋ねしたいと思います。
  201. 近藤鉄雄

    国務大臣(近藤鉄雄君) 労働省のまさに労働基準監督行政においては、佐川グループに手心を加えたとかそういったことは私はないと確信しておりますが、これからも厳正に対処してまいる決心でございます。  事実関係でございますので、基準局長から答弁をさせます。
  202. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 端的にお願いします。
  203. 石岡慎太郎

    説明員石岡慎太郎君) 佐川急便グループに対しましては、労働条件にいろいろ問題がございましたので、昭和六十二年以降四回にわたりまして全国一斉の監督指導を行っております。  昭和六十二年は全部で四十四やりましたが、これは主管店が六、それから一般店が三十八でございました。平成元年は十八と数は下がりましたけれども、これは主管店を中心にいたした結果でございまして、主管店十、それから一般店で比較的大規模なものを八つ選んだわけでございます。それから、平成二年は主管店十三だけを対象にいたした次第でございます。それから、平成三年は主管店十二、一般店三十九と規模をふやしまして、再び大規模な調査を行ったわけでございます。  これは、そのときそのときの申告の状況等々から判断しまして事業場を選定して行った結果でございまして、それ以上の他意はございません。労働基準局としては、佐川急便に対しまして厳正に対処してきたつもりでございます。
  204. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 終わります。
  205. 下村泰

    ○下村泰君 法務省にせっかく来ていただいておりますけれども、実は今ヨーロッパなどで見られる成年貢献制度ということについてどういう検討状況なのかお伺いしようと思いましたが、とてもここまでいけそうもございませんので、法務省の方々、まことに申しわけございません、結構でございます。  まず、防衛庁に伺います。  私は、自衛隊が行くということには余り賛成はできない、できるならばほかの者に行ってほしかった。殊に、警察機動隊なんというのが余っているんですから、ああいう機動隊の組織を使ってほしかったと思っています。ただ、行く以上これはもうしようがない、今さらとめるわけにはいきません。  そこで、防衛庁に伺いますけれども、当然防衛庁でも作戦なんか立てるときには仮想敵国なんというのをつくっていろいろと紅白に分かれて演習もするでしょう。それと同じように、もし東南アジア諸国に行った場合に、東南アジア諸国における風土病はどんなものがあるのか、そのぐらいのあれはしていると思うんですが、大体これから出かけるカンボジアはどんな風土病があると思いますか。
  206. 河路明夫

    説明員河路明夫君) カンボジアにおきます国際平和協力業務に従事する隊員が罹患するおそれのあるいわゆる風土病ということについてのお尋ねでございます。  問題となりますような主なものとして、私ども、マラリア、日本脳炎、それから破傷風、狂犬病、ポリオ、それからA型肝炎、B型肝炎、それにコレラなどが重要なものであろうというふうに考えております。
  207. 下村泰

    ○下村泰君 では、それらに対する対応策ですね、予防策、どういうふうにやりますか。
  208. 河路明夫

    説明員河路明夫君) 基本的には隊員の生活環境と申しますか、例えば安全な飲料水の確保、安全な食糧の確保、こういった問題がございます。それから、居住環境としては宿営地におけるいわゆる害虫、昆虫が入ってこないための網戸の設置ですとか蚊帳の使用、あるいは蚊が活動いたします日没から日の出までの間の行動をできるだけ差し控える、あるいは体の表面が露出しないような長そでの衣服を着用する等、そういった基本的な部分がございます。  それに加えまして、今申し上げたような各種の疾病に対しては予防接種を行うことといたしております。また、マラリアにつきましては実は有効な予防接種はございません。したがいまして、カンボジアに入国する以前からマラリアに対します予防薬を内服いたします。滞在中ずっと内服いたしますし、また帰国後も一定期間服用する、こういったことで対応を考えております。
  209. 下村泰

    ○下村泰君 今、簡単にあなたはおっしゃっていたけれども、実際にマラリアに対して完全に効くという薬はないはずでしょう。
  210. 河路明夫

    説明員河路明夫君) 今おっしゃいますように、絶対にという予防策についてはマラリアについてはございません。しかしながら、各種の方策をとることによって感染する確率、あるいは発病いたしましても軽症で済むようなそういった努力を何種類か重ねて実施していくということでございます。
  211. 下村泰

    ○下村泰君 実際のことを言って、じゃ防衛庁でデング熱、熱帯熱、三日熱、四日熱、卵型マラリアなんてかかった人は恐らくいないでしょう。
  212. 河路明夫

    説明員河路明夫君) 今お尋ね防衛庁の職員において実例があるかということでございますが、これは恐らくないと存じます。
  213. 下村泰

    ○下村泰君 さあ そうなりますと、私が何でこんなことを質問するかといいますと、私自身が東南アジアにいたんです。ミャンマーまで行っておるんです、昔のビルマ、今のミャンマーですね。  デング熱にかかりますと四十度以上の熱が出っ放しなんです、一週間。慈恵医大の先生は五日以内に治療をしないといけないと言っています。ひどいのになると十日ぐらい出る。そうしますと、それ以前に何か病気を持っていた人はそれが併発して一発で死に至るんですよ。マラリア三日熱は三日目に熱が出ます。四日熱は四日目にきちんと熱が出ます。午前中刺されれば午前中出る、午後刺されれば午後に出るんです、これはきちょうめんなんです、このマラリアというやつは。人をばかにしおって、狂ったことがないんです、アノフェレス、そういったハマダラカなんというのが媒介するんですけれども。三日熱、四日熱にかかったら二日続けて出るわけです。  熱帯熱になると、今度は脳漿をやられるんです、脳を。最後には精神に異常を来して、兵舎の周りを夜中に二、三回大きな声を出してぐるぐる回るような状態になると、まず一日か二日後は死ですよ。  こういうことを防衛庁は全然知らないわけだ。そうしますと、今PKOで自衛隊の連中が出かけていって何百人、千八百人ぐらい参加するんでしょうけれども、今、乾季ですか、雨季ですか。
  214. 河路明夫

    説明員河路明夫君) 今、雨季でございまして、間もなく乾季に入ります。
  215. 下村泰

    ○下村泰君 今、雨季から乾季になるからいいようなものだけれども、雨季に入ったら大変ですよ。  そうすると、そういう病気にやられた場合、マラリア、デング熱、アメーバ赤痢もありますよ、これにやられた場合、では千八百人の隊員が何人実働できるか計算していますか。
  216. 河路明夫

    説明員河路明夫君) 今、御指摘のような形の試算と申しますか、それはいたしておりませんけれども、現在私どもも、例えばWHOが現地において持っておりますいろいろな情報、またJICAの方で国際協力をやりながら得ております現地の疾病に関する情報、そういったもの、また国内におきます熱帯医学の専門家の方々からのいろいろな御助言、それをいただきまして、確かにかつてこれらの風土病は非常に恐ろしい部分がございましたけれども、現在各種の薬剤も開発されてきております。現に国内でマラリアで亡くなられる方は年間一、二名程度に防ぐことができております。これらの知見を合わせまして、隊員の人たちの健康については万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  217. 下村泰

    ○下村泰君 私が体験者だから説明してあげますよ。現地にいるのと日本と全然違うんです、気候、風土が。マラリアというのは原虫なんです よ、菌じゃないんです。血管の中に生きている虫なんです。そうしますと、気候、風土が変わってくるとこれがだんだん少なくなってくるんです。そして、やがて発病しなくなる。私は昭和二十一年に復員してきて三十年過ぎまで出ておった、三十一、二年ごろまで。風邪を引くと四十度以上すぐ熱が出るんですよ。十年間続いていた。それでも今は完璧に治りました。そのくらいに治りにくいんです。これは。  そして、私のいわゆる昔の言葉で言えば戦友です。あのミャンマーというところに日本軍が進駐していって亡くなった私たちの戦友は、ドンパチで亡くなった人よりもこの風土病で亡くなった人の方が多いんです。アメーバ赤痢なんてかかってごらんなさい、あなた。腹は減るんだ。物を食べて、食べている瞬間に御不浄に行きたい。行っても出ない。ゼリー状の粘便、しかも血便が出る。私が治ったのは薬用カーボンというやつ。何のことはない、キリです。キリの木を灰にして真っ黒けにしたやつ、その粉を飲んでとまったんです。それでもこうして命を長らえて、ずうずうしいから帰ってきましたけれども。  私が何でこういうことを言うかといったら、本当に薬がないんです、僕らのときはキニーネというやつ。今、現地の人たちはドリアンという実がある。すごいんだ、これが。手ぬぐいでこう鼻をふさいでおいて、甚だびろうな話だが、肥だめです、あれをかき回してその猿ぐつわをぱっととった瞬間にぷーんとにおってくる、こんなにおいなんだ、ドリアンというやつは、ところが、この実のうまさというのは、これはもう例えようがないくらいおいしい。現地の人はこの実がまだ熟れないやつ、若いうちを食べることによって予防しています。これは覚えておいてください。このドリアンをたくさん食べた方がいい。そのかわりこれは食べにくい。  そのほかに、性病は第五種性病とか全然今までないような性病があるわけです。  何で私がこんな心配をするかというと、きょうの夕刊にもう出ているんです。「国連スポークスマンは十六日、カンボジアで平和維持活動に従事する国連要員約一万五千人のうち、八月だけで少なくとも三百八十五人がマラリアに感染し、活動が始まったことし三月以来、三人が死亡した」と出ている。マラリアというのはばかにならないんです。殊に、今申し上げました熱帯熱にかかったら、熱が出っ放しでやがて死に至るんです。それをみんな知らないんだ。知らない方々が今出かけていくわけです。ですから、そういうことをきちんとしておきませんと、千八百人行ったって半分が動けるか動けないか、現地でどのぐらいの人間が実働不能になるか。戦力ダウンするんです。  ですから、そういうことをきょうはよく防衛庁長官お尋ねしようと思ったけれども御用があるそうで、おまけに防衛庁長官はこんなの全然知らないから、そんな年じゃないから、あの人はわかるわけがない。それで聞いたって答えが出てこない。したがって、あなたによく言っておきますけれども、これはもう恐ろしいんです。地雷火よりか恐ろしいんだから、こっちの方が。これはよく頭に入れておいてください。そして対応してください。長そでがどうのとかそんな生易しい蚊じゃないんだ、着ている上から刺すんですから。よく覚えておいてください。そのくらいにしておきましょう。  今度は労働大臣、障害者の雇用についてちょっとお伺いします。  私のところに今こんなちょっとした書き物があるんですけれども、これが実に人をばかにしているんです。ある障害者に対して、「助成金の期限が切れましたので給料金額日給二千円 二十五日で五万円 九〇年七月分より」と、こういうのがあるんです。ところが、その働いていた人が、その一カ月、二カ月前までは平均して月収八万円あるんです。つまり、私は再三再四これはもう申し上げておりますけれども、助成金の切れ目、これが雇用の切れ目なんです。金の切れ目が縁の切れ目という言葉が通用する場所ならようござんす。ところが、障害者に対してこういうことがあっちゃいかぬと思うんです。何のための助成金だかわけがわからぬ。これに対して、どういうふうに大臣はお思いになりますか。
  218. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) 身体障害者の方々を雇っていただいたときに助成金を差し上げているわけでございますが、この助成金は雇っていただく当初にいろいろな費用がかかるだろうということで差し上げておるわけでございまして、助成金の切れ目が縁の切れ目というのは甚だ好ましくないことでございまして、そういうことのないように私どもいろいろ指導しておるつもりでございますが、先生御指摘のような事例があったということでございまして、非常に残念なことだというふうに思っております。
  219. 下村泰

    ○下村泰君 おたくの方はそう言っても、実情がこうなんだから。実際にこうして私の手元にこういう資料がある以上、これはうそも隠しもないわけですから。  大体、日本障害者雇用促進協会、これはもう納付金をいろいろと管理したりなんかしているんでしょうけれども、ここで給料をもらっている役員の数、この役員の中で労働省出身の方は何人いらっしゃるか、どのくらいの給料をもらっているのか、ちょっと教えてください。
  220. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) 日本障害者雇用促進協会の役員の給与総額は、平成三年度決算によりますと約一億一千九百万でございます。納付金の中から給与を受けております役員数は現在八人おりますが、そのうち労働省出身者は五名でございます。
  221. 下村泰

    ○下村泰君 それで、年間給料はどのぐらいもらっていますか。
  222. 齋藤邦彦

    説明員(齋藤邦彦君) 役員給与でございますが、会長が本俸月額百十二万、専務理事八十七万、その他の理事は八十万でございます。
  223. 下村泰

    ○下村泰君 現に一千万以上もらっているわけですよね。  そうすると、こういうことがあるんですよ。ことしの三月五日に、横浜地裁で一つの判決が出たんです。水泳の授業中に水死した自閉症の神奈川県立伊勢原養護学校生徒の両親が訴えたわけですね、損害賠償を求めて。その判決で、逸失利益を健常児の四%にも満たない年額七万円、総額百二十万円と算定した。「この養護学校の当時の卒業生の進路を見た場合、(水死した)生徒も卒業後、地域作業所に進む蓋然性が高い。生徒の逸失利益の算定に当たってはこの作業所の平均年収七万円を基礎とすべきだ」と、地裁がこういう判決を出したんです。この子は、かわいそうに作業所でもらっている給料、それにしか相当しないんだ。ところが、このお子さんが実際にどこまでの能力があったかということは何にも調べていない。それでいきなりこういう判決を出した。  この裁判官に対して本当はいろいろと文句を言いたいところですけれども、これはもうどうにもならないからしようがないとは思いますけれども、片方で、今申し上げたように、納付金の中から給料をもらっている、そういう労働省から天下った人もいらっしゃるわけです。何か世の中の非常にアンバランスといいますか矛盾というものを余計感じるわけです。雇用されない人たちがたくさんいるわけです。  ただ、私が安心するのは、一番安心をしているわけじゃありませんけれども、NHKの厚生文化事業団が調べた、「精神薄弱の人たちに、最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと言われると、この人達の仕事量から見て、雇用に踏み切ることができないという意見がありますが、このことについてどう思いますか。」と。答えた会社の総数が六百四。「そう思う」と答えたのが六百四中二百九十一。「そう思わない」百四十五、「どちらともいえない」百六十七パーセンテージにして、六百四社を一〇〇%とすれば二四%と二七・六%、五一・六%の会社の人たちはそうは思わない、面倒を見ると、こういう答えが出ているんです。私はこれを頼りにしたいとは思いますけれども、こういう状況なんです。  そうしますと、一体この障害者の雇用問題に対して大臣はどういうふうにお考えなんですか、それだけ聞かせていただいて、終わりにします。
  224. 近藤鉄雄

    国務大臣(近藤鉄雄君) 心身に障害のおありになる方の安定した職場の確保をしていただくということは、これは私はやっぱりこれからの労働行政の大きな方針でなければならないと思いますし、そのために社会的また国家的な負担、場合によっては個々の企業がそのことで多少の能率が下がるというようなことがよしんばあっても、今生活大国を言い経済大国を言う日本でございますから、それは我が国の経済力の中で十分カバーしなければならないものである。多少の効率、社会全体の効率や企業の効率がそのことで損なわれても、私はあえてこの問題について積極的に対応すべきじゃないか、こう考えておりまして、いろいろ障害者雇用納付金制度、その他これまでも施策を講じてまいりましたけれども、まだまだ不十分ではないかと先生がおっしゃるお気持ちはよくわかりますので、いろいろ考えさせていただきたいと思います。
  225. 大渕絹子

    委員長大渕絹子君) 他に御発言もないようですから、法務省労働省防衛庁及び裁判所決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十分散会      ―――――・―――――