○井上哲夫君 私はきょう、
三上委員、それから
先ほどの猪熊
委員の
質問に関連して、もう少し各論的なお話で
大臣に御
見解をいただきたいと思っております。
つまり、法人化の問題が新政策の中で極めて大きく取り上げられ、それが新聞等で株式会社導入かということで、それはけしからぬとかけしかるとかいう
議論になっておる。
実は、「
日本の
農業」の百七十八号でも営農
集団の法人問題ということで貴重な文献が出ました。まだ熟読玩味まではいっておりませんが、これも私は読ませていただいて、これから、米の
農家に限らず今の
担い手問題を踏まえるならば、ある程度家族労働を主体とする
農家と組織的な力で経営をやっていく
農業法人と、これは非常に分析をして両方に
政府が力を出していかなきゃならない。これは異論はないと思うんですが、いわゆる
農業の
生産法人を見ますと、
先ほどの林
委員は十年間で十ヘクタールないし二十ヘクタールのそういう大規模の家族労働を基本にする
農家は十五万戸を目標にしておっても実際には一万一千戸じゃないかと言われましたが、組織体の方でも二万の組織法人を目標にしているといいますが、現在は三千六百九しかないわけですね、資料を見ますと。
この営農
集団の法人化という問題はこのところ横ばいになっていると私は思います、資料を読む限り。どうして横ばいになっているのかということ、これはいろんな分析が専門家でなされていると思うんですが、一つには農事組合法人制度の利点と欠点がある、あるいは有限会社制度で農地法の許される範囲でやっていくというのもなかなか欠点があるというようなことがあります。
ただ、私はここで一気に法人化を進めないといけないんではないか。それは、株式制度導入というと、この間も私あるところでお話ししたんですが、手形のぱくり業者だって株式会社なんですね。そうすると、世間の人は株の譲渡の自由があるとかいろんなことで株式会社に対する警戒的な気風といいますかそれはもうかなりある。しかしそうなると、有限会社でというと、有限会社という看板を上げることで
農家の人も、何か小さな会社とか今にも倒れそうな会社だとか、あるいは何か
農家なのに有限会社づくっておかしいんじゃないかとか、そういう心理的な障害になっていることがあるようですね。
だから私は、例えば有限会社法を、これは法務
委員会で
質問しないといけないんでしょうけれども、改正して、有限会社でも
農業の
生産法人が営む有限会社は○農有限会社というふうに表題を使うことを許すとか、これは工夫をして、
日本の
農業の再興というか
担い手確保のためにやらないといけないんじゃないか。もちろん法務
委員会では、ばかなことを言うなという
意見になろうかと思うんですが、実際には法人、株式会社にしても、有限会社あるいは合名・合資会社にしても、それを表示しなきゃならないというのは商法に書いてあるわけですが、特段の表示を法律で決めればそれはそれで私は可能だと思うんです。
だから、例えば○農有限会社○○何とかと言えば、それで世間の人も有限会社に対する一つの悪いイメージといいますかマイナスイメージがなくなるかもしれない。あるいは農事組合法人の場合も税制等で非常にいいわけですが、農事組合法人の場合には労働力の
確保の面での制約がかなりきついという声があるわけですね。そうしますと、農事組合法人についてももう少し大胆な発想なり
考えができないのか。今一号法人、二号法人というふうに農地法でなっておりますが、労働力
確保の面とかあるいは組織を維持するために、事業のできる範囲をもう少し拡大するとかいう大胆なことをやれば法人化の誘引策になるんではないか。
それからもう一点は、
先ほど構造
改善局長のお話を聞いておりまして私もそう思ったんですが、圃場整備ができない非常に効率の悪い水田、あるいは畑もそうでしょうが、そういうものをかき集めて農事組合法人をつくるというのはなかなか現実には至難だし、無理につくってもやはりパンクしてしまう。そういう場合に、圃場整備と実は組合をつくるということをセットにしまして、そして集落でそういう将来復円できないような中山間
地域では圃場整備をモデル的にやりましょう、そのかわりに法人化を一定の制限をつけてやりなさい、それによって農事組合法人の推進を図る、こういうふうな工夫ができないものだろうか。
そういうことで、前置きが長くなりましたが、法人化の問題について、今、
大臣のお話を聞いておりまして、
農家に選択肢を広げる意味では株式会社というものもそんなに頭から排除しなくてもいいんじゃないかというお話を伺いまして、私はそれは異論はありませんが、もう少し細かいところでも何か知恵なり工夫をしていただきたいという観点からお願いをいたしたいと思います。