○板垣正君 恐らく報告書と記者会見の記録を
野田さんはまだ見ておられないんじゃないかと思います。
伊藤団長ですか、伊藤団長はフン・セン首相にも会って、フン・セン首相からまた重ねてはっきり自衛隊を、またそのほかの分も出してくださいとはっきり要請を受けているわけですね。そして、さっき申し上げましたいわゆる自衛隊の能力の平和利用、こういうふうなことを踏み込んで党執行部で発言されたのは、現地を見て帰られた伊藤さんが初めてだということではやはり注目すべきで、これがよりよい
方向へ行ってもらいたいと思うのでございます。
次に、
ドイツの例等もございます。
ドイツが現在、PKFに参加できるようにするために、つまりNATOに入っている、これは域外には出れない、しかしPKFについてこれに
協力を、参加をすべきだと。この
ドイツが、統一後の初めての議会で
コール首相が、国際的な役割、すべての権利と義務を果たすんだと、こういうことを演説されて、PKFなど参加のための基本法の改正、これが現在課題になっておる。
野党のSPD、社会民主党におきましても、PKOに限る、
軍事行動は認めないがPKOに限ることで域外派兵は容認をすると。やはりさすが政権をとった社会民主党だけあって、そういうことで、これは御
承知のとおり、一九五九年、大変な論争の中で
ドイツの社会民主党が綱領を改めマルクス・レーニン主義と縁を切って、国防を認めNATOに入る、これに踏み切ったという画期的な転機があった。その後、十年後に連合政権に入り、やがて政権を担当する。
こうした中で、既に三十六回基本法を改正して今日に至っているというわけでありますから、私
どもが戦後四十五年、不磨の大典のごとく
憲法はとにかくいただいて指一本触れられないんだと、この格好は逆に言うと昔に似ているのではないのか。せっかく自由と民主主義の
時代でありますから、こうした問題についてももっと自由な論議が展開される。四十五年もたてば時勢に適応できないいろいろな面が出てくるのは当然であります。
先ほど
野田議員が二十九年の参議院本
会議の決議に触れられましたけれ
ども、まさかあのころこういう
世界情勢の展開をだれが予想したでしょう。そういう中で、PKO
派遣協力もつまりは
日本の平和、
日本の安全、
日本の安全保障につながる、そういう
立場において、あのスウェーデンにおいても四八年以来ほとんどのPKOに参加し、PKFに
派遣をし、高く
国際社会でも評価されていることは御
承知のとおりであります。
今度、社会党のあの案は、別部隊をつくる、スウェーデンのあの姿に着目したんだというようなことも伝えられておりますけれ
ども、しかしスウェーデンの場合、あの社会を支えている基盤、これはそういう面においては我々よりもはるかに多くの困難な中から実績を積んできて、いわゆる北欧の体制をつくっていることは恐らく御
承知だと思うんです。志願制であります、この待機軍は。PKOに参加する待機軍は志願制でありますけれ
ども、現役、予備役及び一般から募集をする。五、六百名の募集をするそうです。年二回募集しますけれ
ども、募集の都度、約十倍の応募者がいる。現役以外の一般からの採用者もすべて徴兵基礎訓練七カ月半から十五カ月を終了して、北欧待機軍及びその要員は
軍隊及び軍人としての法的地位を保有しておる。徴兵基礎訓練終了者が約四、五万人出ているそうであります。
私も昨年スウェーデンに参りまして、その実態に一部触れましたけれ
ども、スウェーデンの人々、若い人たちも、スウェーデン国民は徴兵に行って国を守る。あの国はまた防衛においては極めて特殊なものがあります。ベテランですから御存じでしょう、一朝有事のとき動員すれば、人口八百五十万で約八十万の動員を四十八時間でやり通す。
常にそうした有事即応体制があればこそ、彼らの言う中立の姿を守り抜いてきた。申立てあるけれ
ども、
国連がスタートし、
国際社会における
対応においてPKOに積極的に参加することがスウェーデンにとっての安全保障の一環であろう、その意識が若い人たちにも国民にも浸透しておって、これに参加することが名誉である、当然の務めである、こういうことが徹底をしておるというので、徴兵義務を終えた何千名の応募者の中から特に優秀な人材を募集して、これに充てている。
こういうことでありますから、そういう国情というものはとてもとても現在の
日本、いまだにこうした論議を繰り返さなきゃならない
日本とは大分開きがあるし、私はスウェーデンの方が平和
国家としてはよっぽど先進国ではないかとも思うわけであります。
北欧待機要員の構成比は、現役将校が四%、予備役将校が回ないし六%、下士官、兵が九〇ないし九二%、中隊長、大隊長等の主要指揮官はすべて現役将校から採用、北欧待機軍数は一千六百から千八百で、年度の契約状況によります。この任務はもちろん停戦監視団あるいは選挙監視団、平和維持軍、こうしたものに交代で参加をしていくわけであります。これは一九五九年、ハマーショルドの書簡に基づいて、一九六四年、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンの共同事業としてスタートしてこの四カ国共同の待機軍という形になっているわけであります。
スウェーデンは国防軍の中に
国連待機軍を設置している。
国連事務総長の要請に基づき、
政府は待機軍を平和維持活動のために
国連事務総長の指揮下に置くことができる。災害救援のためにも使える。待機軍の規模は最大二個大隊及び一個大隊に相当する特別部隊合計約二千、最高指令官が要員を募集、訓練する。この志願者はさっき申し上げたとおりであります。
以下省略しますけれ
ども、この待機軍の場合、やはりそうした社会的基盤がある。国民的なまさにコンセンサスがある。そういう中で国の防衛を全うし、かつ積極的に平和のために行動に、恐らく相当の今まで犠牲者も出ていると思いますけれ
ども、そういうことに参加している姿、この辺を私
どもはさらに認識を新たにし、視野を広くして、
世界の国々ととも
どもに、
アジアの国々ととも
どもに汗を流し、危険も顧みずに平和を築き上げていく、こういう姿勢にこの法案の成立によって初めて第一歩を踏み出すわけでありますから、ぜひこの成立について社会党の
立場においても野党第一党としての
責任を果たしていただきたいものであります。
次に、四月十五日に社会党の発表している、きょうも御発言がございましたカンボジア国民の自立
支援策、これは社会党の
外交政策調査会、矢田部さんが会長のようですが、これで広範なカンボジア
援助のことをうたわれておりますけれ
ども、この中に重大な誤りがあります。
さっきも
お話がございましたが、五百人の選挙監視員を送ると、こう言う。しかし、さっき外務省の
お話にもございましたね。この選挙監視について現在向こうで計画されておりますのは、
国連職員が四百名、各国にお願いするのが千名、あと四千名は現地で、つまりカンボジアの国民の方々がこの任務を担当するわけですね。ですから、
国連が各国にお願いするのは千名のうち何名か出してくださいと、こういう姿になっているわけであります。これ五百名も出すということは、つまり五千何百名というのが丸々行くんであろうという、これ誤りですね。誤りです。調査不十分ですね。
それで、しかも五百名を出すんだ、選挙のベテランがそろっているんだ、五百名出すと。これはまたPKOについて本質的な誤りであります。誤りですよ。
国連のPKOは四十何年の歴史を持っております。PKOの配分についても
国連の決議がもちろんございますし、
国連事務総長の
責任のもとに極めて配慮を持って人員の割り当て等も行い、それで
協力が行われている。当然でありましょう。特定の国がたくさん乗り込んできて、まして
日本から五百名も選挙のベテランが乗り込んでいったら、せっかく独立を始めようというカンボジアの行政を全部こちらがおかしくして牛耳ってしまう。
そんなことはあり得ないことであり、そういうことを堂々と、五百名出す、各県から十名ずつだなどといかにも自衛隊がいなくてもいいんだと、民間からこれだけの人数がいるんだという、そういう見せかけの人数じゃありませんか。こんなことで国民に誤解を与えるということは重大であります。
ほかにも指摘できます。いわゆる文民警察。文民警察は全部で三千六百名、これをUNTACでは四十七カ国にお願いをする。四十七カ国です。それで一国七十五名程度、せいぜい一国七十五名程度の文民警察をお願いしょう、こういう配慮で行われているわけでありますから、これについても三百名も
日本から行くんだと。これは要らないし、根本的なPKOの精神、
国連の精神からちょっとずれているんじゃないですか。
同時に、海外青年
協力隊千人、これもまた大変な数字ではありませんか。海外青年
協力隊はこれもまた長い歴史を持ち、非常に
国際貢献をしてきた。
日本の名誉のために若い方々、ベテランの方々が大変成果を上げてきていただいておる。現在海外におるのが約千名だそうです。これは二年勤務で
派遣されてそういう千名が行っている。カンボジアはもう二十二年前にああいう状態でありますから、おりました海外青年
協力隊を引き揚げて、今度のこういう情勢でありますから、青年
協力隊を再び
派遣しようという動きがもちろん出てきて現地調査をもう始めようと、
派遣計画も徐々に固められつつあるわけであります。
そこにこの千名というのは一体どうやって集める数ですか。しかも、ただ集めて行けというようなものじゃないわけですよ、青年
協力隊というのは。やはりそれぞれの専門家、それぞれの心構えを持っていただいて二年間も行っていただくんですから、その千名の数までここに並べて、それから警察官は三百名だ、選挙監視員は五百人だ。はったりですよ。はったりです、これは。こういう形で、だから自衛隊は要らないんだと。
というのは、社会党の案ではほとんど狭いんです、やれることが。ああいう状態の中に行くには、やはりそれだけの危険を冒し、かつそれに
対応できるだけの訓練、組織また持久力、そうしたものを持たなければ
国家としてもそんな無
責任に送り出すわけにはいきません。
したがって、そういう自衛隊
派遣には真っ向から反対、それが五百人とか三百人とか千名とか全く根拠のない数字を並べてこれを公表して、いかにも文民なんだ、非
軍事なんだ、こういう言い方というのは、私は社会党のためにもその名誉をおかしくするものじゃないですか。この点、どういう
見解を持たれますか。