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1992-04-06 第123回国会 参議院 環境特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月六日(月曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  四月三日     辞任         補欠選任     中村 鋭一君      粟森  喬君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 石川  弘君                 森山 眞弓君     委 員                 井上 章平君                 石渡 清元君                 大島 慶久君                 木宮 和彦君                 須藤良太郎君                 原 文兵衛君                 真島 一男君                 久保田真苗君                 清水 澄子君                 堂本 暁子君                 西野 康雄君                 高桑 栄松君                 沓脱タケ子君                 粟森  喬君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  中村正三郎君    政府委員        公害等調整委員        会事務局長    石出 宗秀君        環境庁長官官房        長        森  仁美君        環境庁長官官房        会計課長     井上  毅君        環境庁企画調整        局長       八木橋惇夫君        環境庁企画調整        局長       柳沢健一郎君        環境庁自然保護        局長       伊藤 卓雄君        環境庁水質保全        局長       眞鍋 武紀君    事務局側        第二特別調査室        長        宅間 圭輔君    説明員        環境庁企画調整        局地球環境部長  加藤 三郎君        国土庁長官官房        水資源部水資源        計画課長     満岡 英世君        外務省国際連合        局社会協力課長  隈丸 優次君        農林水産大臣官        房技術調整室長  猪股 敏郎君        建設省建設経済        局総務課長    百武 伸茂君        建設省河川局河        川計画課長    市原 四郎君        建設省河川局開        発課長      荒井  治君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成四年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成四年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成四年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (総理府所管公害等調整委員会環境庁)     ―――――――――――――
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  まず「委員異動について御報告をいたします。  去る三月十八日、安恒良一君が委員を辞任され、その補欠として堂本暁子君が選任されました。  また、去る三日、中村鋭一君が委員を辞任され、その補欠として栗森喬君が選任されました。
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 去る三月二十五日、予算委員会から、四月六日の一日間、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  予算説明については既に聴取をいたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 西野康雄

    西野康雄君 環境問題で今盛んに世界から注目を浴びているのに長良川河口ぜき問題がございます。  その長良川河口ぜきの問題について、先ごろ長良川河口ぜき環境影響調査というものが出されました。この建設省が公表した長良川河口きの影響調査に対する環境庁見解をまずお伺いいたします。
  5. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 今般公表されました長良川河口ぜき建設に係る追加的な調査検討でございますが、これは、平成二年十二月に示しました環境庁長官見解に沿いまして、建設省及び水資源開発公団において学識経験者指導を得て環境庁とも調整を図りながら実施されてきたものでございます。調査検討結果は、河口ぜき建設によります水質魚類生息等への影響を予測しまして、その結果を踏まえた環境保全のための対策を明らかにする内容となっているわけでございます。環境庁といたしましては、これらの対策の適切な実施によりまして環境保全上の著しい影響は避けられるものと考えているところでございます。  建設省及び水資源開発公団においては、この調査検討結果を関係自治体及び地元住民説明をして、その意見を十分反映させた環境保全上の措置を講ずることとなるわけでございますが、環境庁といたしましても、今後とも必要に応じまして建設省連絡をとりながら長良川の良好な環境が保全されるよう引き続き努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  6. 西野康雄

    西野康雄君 先日の朝日新聞にかような記事が載りました。これは、   建設省が公表した長良川河口堰環境影響調査を請け負った財団法人ダム水源地環境整備センター」の理事長建設省OBで、職員半数建設会社コンサルタント会社出向社員が占めたり、同センターから発注されたコンサルタント会社にも、建設省から天下りしていることがわかった。   建設省は、昨年二月から今年三月まで、自然環境などについて、追加調査を行った。どこの会社調査発注したのか、という点について「水資源開発公団に任せてあり、知らない」とし、同公団も、「発注先は言えない」としてきた。   しかし、同公団内部資料によると、建設省は、同省が認可した環境整備センターに依頼。さらに、日水コン新日本気象海洋建設環境研究所など、五社のコンサルタント会社発注した。   八七年に設立された同センターは、建設省OB理事長。同センターによると、現在、職員半数が、建設業界や大手のコンサルタント会社からの派遣社員建設省からもかなり出向を受けている。給与は、会社側全額負担出向社員の中には、今回の追加調査に携わったコンサルタント会社社員もいた、という。   同センターから発注を受けたコンサルタント会社の中には、建設省OBが設立したり、役員として天下りするなど、建設省との関係の深い会社もあった。   調査方法や進め方について、建設省や同公団は、これまで一切、秘密にし、発注先コンサルタント会社には「もし、マスコミが取材に行けば、すぐに連絡するように」と指示。実際に、テレビ局の取材内容報告書として、同公団にファクスで送られたことも数回あった、 こういうふうなことで、環境保護団体から、身内だけの調査でどこまで客観的にやったか疑問である、これまでの経過も含めてもっと生データを公表すべきだという声も上がっております。  私は、まさに自然保護団体だけではなくて普通の市民団体もこういうふうなものが癒着の中で行われたとあれば本当に信用しないんじゃないか、信用度において欠けるんじゃないだろうか、こんな気がしてならないわけです。新日本気象海洋というのは、これは海の生物については詳しゅうございますが、河川のことは知らない。日水コンにはこれはもう生物専門家はいない。もちろん地質と水質のそういうふうな調査でございます。肝心な魚類相調査だとかそういうふうなものも随分と抜け落ちておるように思います。  また、カジカの生態とかで、石川県、これはもちろん石川県はカジカなんかの養殖をやっておりますからそこに行ったんでしょうけれども、非常に安易だと思うのは、そういうふうなものを、カジカならカジカをもし何かあったときには放流すればそれでいいんだという。カジカのたぐいなんかでも石川県のカジカ長良川カジカとは一見よく似ているようですけれども非常に違う、こういうふうなことが最近言われ出してきております。非常に安易な姿勢が随分とこの報告書に見られるわけですが、環境庁として独自の自主的な調査、これをおやりになる必要が私は環境庁の立場としてあるんじゃないだろうか。  そういうことが環境保護団体あるいは一般市民の皆さんに対して、環境庁環境に対してしっかりと政策をしているんだということにつながるんではないだろうか。建設省OBがいている。これが悪いとかいいとかの判断ではございませんけれども、まさに環境庁そのものがやはり独自の調査をきっちりしていくべきではないだろうかと私は考えるんですけれども、環境庁としては独自の自主的調査をやる予定はあるのかないのか、お答え願えますか。
  7. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 調査でございますが、各種事業実施に際しまして、環境影響に係る調査につきましては事業者調査実施することによりまして調査結果が事業計画に十分反映されるというふうなことから、その事業を行う者の責任において実施する、こういうことが定着をしてきておるところでございます。  今回の公表されました長良川河口ぜき建設に係る追加的な調査検討につきましては、建設省及び水資源開発公団において実施したわけでございますが、調査方法でございますとかあるいは学識経験者選定でございますとか取りまとめ等調査実施につきまして環境庁とも十分調整を図りながら、また学識経験者の適切な指導も得て進められてきたものでございます。  そういうことでございますので、環境庁といたしましては、本件についてこれとは別に独自の調査実施する考えは持っていないわけでございますが、今後とも必要に応じまして建設省連絡をとりまして長良川の良好な環境が保全されるように引き続き努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  8. 西野康雄

    西野康雄君 建設省OBが随分と入っている。そういう中で環境調査というものが行われた。私は、環境庁みずからがしっかりとやっていくべきものじゃないだろうか。建設省OBが入っている。そうしたならば厳密な調査はできない。そういうふうなまず疑いを持って国民疑問点をしっかりと晴らしていく、そういうふうな姿勢環境庁には必要じゃないかと思います。  環境庁独自が本来調査すべきものだと思うんですけれども、どうですか。
  9. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 先ほど御答弁申し上げたことの繰り返しになるわけでございますが、本来ならば、これは環境庁とは別に、事業を行う者の責任においてそれぞれやるわけでございますけれども、本件については特別にそういう調整を図りながら、また学識経験者協力も得ながら調査をやったということでございます。そういうことでございます。  ただ、どういうところを使うかというふうなことについては、実施する人が選定をするわけでございまして、ただこの水質問題等につきましても、コンサルタント会社等は優秀なといいますか適切な技術、能力を持ったところを選定したというふうに聞いておるところでございます。
  10. 西野康雄

    西野康雄君 この問題に関して幾ら追及したところで、環境庁の独自の調査というのはしないんだという答えしか返ってこないと思います。しかし、環境庁という省庁はやはり環境に対してはしっかりと守っていくんだ、こういう姿勢が必要ではないかと思います。  コンサルタント会社についても私どもも二、三調査いたしましたけれども、他の業者は逃げたんだけれどもうちだけは白保の空港問題に関してちょっとみそをつけたんで逃げられなかったんだ、そういうふうなことも随分と私ども承っておりますし、今後詳しく内部の情報が整理されていって、そしてまた自然保護団体がそれに対して今回の調査についてもやはり反論を加えていくだろうと思います。それなりの材料というものがだんだんそろいつつございます。そのときにやはり今の答弁で果たしてよかったんだろうか、こういうふうなことが出てくるかと思います。  これぐらいで環境庁に対しての質問は終えさせていただきますが、本計画昭和四十三年、四十八年、五十七年と三回にわたって閣議決定を受けております。木曽川水系にかかわる都市用水水道用水工業用水実績はどうなっているのか。木曽川水系水資源開発基本計画ですが、これについてちょっと実績をお知らせ願えますか。
  11. 満岡英世

    説明員満岡英世君) お答えいたします。  木曽川水系水資源開発基本計画対象地域におきます都市用水需要実績は、昭和六十三年度時点の資料でございますけれども、水道あるいは工業用水にかかわる需要量は毎秒五十六立方メートルでございまして、そのうち木曽川水系に依存しているものが毎秒約三十八立方メートルとなっております。
  12. 西野康雄

    西野康雄君 日量ではどうなっていますか。
  13. 満岡英世

    説明員満岡英世君) 日量では今手持ちで持っておりません。
  14. 西野康雄

    西野康雄君 掛け合わせればいいわけですけれども、大体昭和五十年の日量六百六万トンをピークに現在では五百六十万トンから五百八十万トン推移をいたしております。ちなみに、昭和六十三年度の通産省の工業統計、それと日本水道協会水道統計、こういうふうなものを合わせてみましても、日量五百八十七万トンが大体の昭和六十三年度の数字がと思います。  二月二十七日の衆議院環境委員会における岩垂寿喜男議員質問に対して、国土庁木曽川水系事業別供給目標量一覧表というものを出してまいりました。それによれば、木曽川水系水資源開発基本計画新規計画六施設を合計すると日量七百十七万トン、そして今のと合わせますというと現在の実績の二倍という都市用水が既にでき上がっておるわけですが、木曽川水系水需給計画見通しは一体いつできるのでございましょうか。
  15. 満岡英世

    説明員満岡英世君) 国土庁といたしましては、四全総を受けまして、昭和六十二年に全国総合水資源計画を策定いたしましてから順次各水系の長期的な水資源計画であります水資源開発基本計画の改定を行ってきております。  木曽川水系水資源開発基本計画につきましても、これまで国土庁関係県との間で変更作業及び調整を進めてきているところではございますが、おおむねまとまりつつありますので、今後は早急に関係省庁あるいは関係県事前協議を進めていきまして、速やかに全部変更すべく作業を進めてまいりたい、かように思っております。
  16. 西野康雄

    西野康雄君 早急にとかおおむねまとまりつつありますとか、そういうふうなことばかり絶えずおっしゃるわけですよ。これは一年も前からも、二年も前からも延び延びになったりしているわけですよ。これは、長良川河口ぜきに関して言うならば利水という問題も大きくクローズアップされてきている、そういう中で今までずっと延び延びになっておる。一体いっそういうふうなことがきっちりと出されてくるのか、おおむねの見通しでもどうですか。
  17. 満岡英世

    説明員満岡英世君) ただいま作業中でございますので、関係省庁あるいは関係県ともよく、従来の例から見ましても全部変更までにはまだなお時間を要すると思われますけれども、各省庁あるいは各県の了解を得まして、また水資源開発審議会意見も聞いて速やかに全部変更に向けて努力していきたい、かように思っております。
  18. 西野康雄

    西野康雄君 いっできるんですかと聞いているんです。大体そのめどみたいなものございましょう。
  19. 満岡英世

    説明員満岡英世君) また繰り返しになりますけれども、現在作業中でございますし、関係省庁あるいは関係県ございますけれども、近年のほかの例を見ますと国土庁の原案がまとまりましてから公示までにまだ数カ月かかるというようなことで考えております。
  20. 西野康雄

    西野康雄君 そうしたら、数カ月後に出てきますか。
  21. 満岡英世

    説明員満岡英世君) まとめるべく努力をいたしてまいりたいと思っております。
  22. 西野康雄

    西野康雄君 実は、今申し上げましたとおり実績の二倍の都市用水ができているんですね。そういう中で、本当に今長良川河口ぜきをまず利水という面から見たときにこれはまさに過大な投資でありますし、これをつくることの意味合いというものがまず利水の面からでは最もないんではないだろうか、そういうふうなことを考えるわけですが、過去にこれ異常な渇水だとかそういうものがあったんでしょうか。荒井開発課長、どうでしょうか。
  23. 市原四郎

    説明員市原四郎君) 御説明申し上げます。  木曽川水系におきましてはしばしば渇水に見舞われておりまして、特に最近記憶に新しいのは六十一年の渇水でございまして、そのときは大変な渇水状況になっておったわけでございます。
  24. 西野康雄

    西野康雄君 私は河川局を別に責めているわけでも何でもございません。このごろの河川局は自然に対しても随分と配慮をなさるようになった。思想が少し違ってきている。従来は川というものを排水溝、それぐらいのようにしか考えておられなかったんじゃないだろうか。そういうふうな時代背景もあったでしょう。今は随分と違ってきておるということに対しては評価をいたしておるわけでござます。  随分と異常な渇水がございましたと、こういうふうなことでした、今御答弁で。水余りの中でなぜ一九八六年から八七年にかけて渇水騒ぎが起こったのか。観測史上最悪のひでりだったからか。そう言うならば、結論から先に言いますというと、絶対量では需要を充足するはずなのに渇水になるのは降雨のピーク水使用ピークがずれたからにほかならないわけで、ダムの容量がピークのずれをカバーし切れぬと渇水になるわけです。  このときも異常な渇水だとあなた方はおっしゃいます。年次別に追うてみるというと、昭和六十一年の十月二十三日に第一次節水が行われました。岩屋ダムでは五%減、あるいはそういうふうなことで順次行われてまいりましたが、最高のときが十一月二十日、第六次節水二〇%減ということですが、しかしこれは一体どういうふうなことで乗り切っているかというと、実害というのがほとんど出ていない、水圧調整することを強化した、こういうふうなことだけでございます。そしてまた、木曽川維持流量毎秒五十トンを四十トンに下げました。こういうふうなことで乗り切っております。これを異常渇水と呼ぶには私は無理があるんじゃないだろうか、こんな気がするわけですが、どうでしょうか。
  25. 市原四郎

    説明員市原四郎君) 昭和六十一年の渇水のときには、これは五カ月間にわたって取水制限がありまして、単に制限しただけじゃないかということでございますけれども、しかし実情を申し上げますと、水道用水では二〇%の制限工業用水では三〇%から四〇%の制限農業用水につきましても三〇%から四〇%、こういう取水制限が一カ月余りにも及んだわけでございます。  そういう非常に厳しい状況の運用をしたにもかかわらず、最後にはその水資源の中心になります牧尾ダムだとか岩屋ダムがもうほとんどなくなったという状況でございます。そのために、水道の水が非常に出にくくなったとか断水があったとかそれから赤水が出ただとか、こういうのが約九万世帯の家庭で発生したとか、それから工業用水制限によりまして各会社生産調整だとか作業能率が非常に低下したとか品質低下とか、こういった被害が出ておりますし、農業生産等におきましても野菜等被害が出たということでございます。  やっぱり我々は、こういった世の中におきまして、国民皆様方にそういった心配をかけないようにやるということが非常に大きな使命だと考えておるところでございます。
  26. 西野康雄

    西野康雄君 具体的な数値が何一つ出てこない答弁でございました。  工業用水を三〇%制限した、こういうふうなことですけれども、しかし四日市コンビナートのところでも昭和五十七年ごろからこんな話し合いをされました。内容秘密にされておるわけですが、出席者によると、中部地建愛知県や名古屋市にもっと水需要を伸ばせないかと何度も求めた。愛知県や名古屋市は無理だと突っぱねた。両者とも中部地建の案を最終的に受け入れることになるが、これは地域水需要実情から全くかけ離れたことであった。例えば愛知用水から受水している石油化学産業M社は、製造プラントを完全に停止したために愛知県に対して不要になる一万トンの返上をかけ合った。しかし、県にとってもその水を売る当てがなく、認めてくれない。このため、全量の料金年間一億五千万円支払っている。うち四千万円は全く使っていない部分だ。これは四日市コンビナートでも同様である、こういうふうなことが書かれてあります。  つまり、あなた方は三〇%削減しましたと言うけれども、ふだんから押し売りをしているわけなんですよ。ふだんからもう要らないのを引き取らずに押し売りをしている中のことなんです。農業用水を四〇%削減をしました。もう一遍この木曽川水系のものを見直さなけりゃならないのは、農業用水において、例えば愛知豊川用水、これは豊川大野頭首工よりポンプとパイプで各農場に農業用水槽ファームポンドを経て送られております。岐阜大学の農学研究報告書を見ますというと、豊川用水の成立と農業の展開を見るとファームポンドだけで六ないし七割の無効放流がなされている、ファームポンドだけで六ないし七割だから幹線水路の余水吐きからの放流量を考えると無効放流量の割合がもっと高くなる、こういうふうなことが書かれております。  つまり、農業用水においてもあなた方は被害が出たとかそんなことをおっしゃいますけれども、もう一度見直す必要があるのはどこでもそういうふうなものがどんどんと余っている、こういうふうな実情が出されてきておるわけでございます。  そしてまた、大変な断水があったと言われております市東部丘陵地でございます。これはまさに名古屋市あたりが水道のバルブの調圧丘陵部もそして平たんな平野部も同じような調整をしたがために断水騒ぎになった、赤水騒ぎになった。もう少しきめ細かな調圧をしておったならばこれは防ぎ得たことでございます。だからこそ第七次の調整のときには市東部丘陵地域のうち極端な出水不良地域水圧を第五次の状況に戻すと、こういうふうなことになっておるわけですよ。明らかにこれは人災なわけです。  だから、そういうふうな答弁をなさる前に、やはり実情をきっちり調査していかなければこれは答弁にならない。きっちりとやっていく、国民の信頼にこたえていく、こういうふうなことが一番大事なことなんです。あなた方は被害被害と言って随分と被害の面を強調なさるけれども、調べていったならばこれは人災であったりすることが非常に多い。木曽川河川維持流量を五十トンから四十トンに下げた。しかし、これも上流のダムをつくるために過剰なほどの維持用水を五十トンと設定した。利根川をごらんなさい。毎秒三十トンですよ。そういうふうに木曽川水系だけでも河川賦存量というのが大変に豊富なわけですよ。それをあなた方はいつも絶えず昭和六十一年のこういうふうな渇水を出してくる。その渇水実情を調べてみる。断水はどうだったのか。調圧不足であった、こういうふうなことがわかってくる。現実にもう水なんというのは本当に要らない。  あなた方は除塩用水除塩用水と、こういうふうなことをおっしゃる。淡水かんがいのかけ流したと、そんなこともおっしゃる。しかし、こういうふうなこともそういうふうなことでいつも答弁なさっておられるけれども、淡水かんがいのかけ流し、こんなものは現地農家の人が聞いたら怒りますよ。国会の答弁でも近藤河川局長もまた荒井開発課長もそのようなことをおっしゃっているけれども、しかし現地農家の農作業のプロセスを見てみるというと、由植えは四月の二十日から始まり、その月末ごろには終わる。四月前後より六月いっぱい水を必要とするが、かけ流しはしない。施肥、除草剤、農薬散布等のために深水は禁物。七月、中干しのための落水をする。  こういうふうな田植えの順番からずっと追っていくと、かけ流しなんてしていられないですよ。かけ流しをしたら、せっかくの農業も肥料も除草剤もみんな流れていってしまう。水だけになってしまう。こんないいかげんな答弁ばっかりあなた方はしている。誠意ある答弁というものをきっちりとやっていかないとだめ一ですよ。  荒井さんも、我々はこの事業に対する治水的な要請、利水的な要請、そして環境的な配慮というものにつきまして、こういうような青い報告書、今そこに持ってはりましたですね、これを平成二年の十月でございますが、既に関係市町村、県、そういったようなところに御説明実施しております、十分に理解を得られるために一生懸命やっております、そういうふうな答弁をいたしました。  しかし、現実はどうなのか。愛知県の土木部長がこんなことを言っております。平成四年の三月十三日。   長良川河口ぜきで同じ答弁の連続 国が資料を出さぬ 十二日の県議会土木建築委員会で、石井晃一土木部長が長良川河口ぜき問題に関連して「国にもう少し資料を出してくれと言っているが、出してくれない」などと述べ、資料を十分に公開しない建設省などの姿勢に不満を表明した。   石井土木部長は「同じ答弁で心苦しい。将来、水が必要なので河口ぜきを造ってほしいという ことだが、私の方としては国に対して(必要性を証明する)資料をもう少し出してくれと要求しているのに出してくれない。国の資料をいたたき、もう少しこたえられるような答弁をしたい」とみずからの答弁の不十分さを認める発言をしているんです。渇水渇水だ。でも、現実には愛知県の方にもこんな説明をしていない。  塩害防止や将来の水需要、治水上の必要性などを論拠に建設省は工事推進の姿勢を崩しておらず、これに対して市民団体などは「科学的論拠に乏しい」とこういうふうなことですが、どうですか。  この愛知県の土木部長が言っているように、私が今説明をしたとおり、本当に水が要るのかちゃんと資料を公開して出していく、そういうふうな姿勢が必要でしょう。利水面によって、利水面て言っているんですよ。どうですか、答弁は。
  27. 荒井治

    説明員荒井治君) ただいまの御質問は、愛知県議会において土木部長が国に資料要求したけれどもなかなか得られなかったというような趣旨だったと思います。  その点につきまして、我々は地元市町村、地元の住民関係に、昨年の七月以来この事業計画等の説明を逐次やって連絡を深めていると同時に、内容等についても十分御説明申し上げております。  また、愛知県議会においての発言はどういう趣旨がと申しますと、県としても独自の意見を出すべきではないかという質問です。県としても独自の意見を出すべきじゃないかということに対して、土木部長としては、国が長年かかって詳細に調査した結果であるので県が独自に調査することも困難である、非常に内容が詳細であるから今後国から詳細な資料を手に入れるよう努力する、その答弁であったわけでございます。  ですから、我々といたしましては、そういうような議会において御質問が出たものについては、逐次資料を提供し、御説明申し上げているところでございます。
  28. 西野康雄

    西野康雄君 逐次詳細な資料を議会から提出の要求があったときには提出する、その姿勢が問題なんですよ。  今回の長良川河口ぜきの環境調査でもそうなんです。私が一番最初に建設委員会に配属されたときに、急遽の問題で、カジカはどうですか、アユカケはどうですか。そのときの答弁はどうだったんですか。問題ございません、問題ないと思います、それの繰り返しであった。言わなければやらない。この急遽で問題ないのか。問題が出てきたからせせらぎ式魚道だとかそういうふうなことになってきたんでしょう。言わなければやらない。言わなければ出さない。そういうふうな姿勢こそ、荒井さん、やっぱりこれがいかぬのじゃないですか。疑惑を招くんじゃないですか。言われてから、さあカジカもやりましたよ。言わなければ何にもやらない。ほったらかしなんです。  利根川河口ぜきの塩害問題も、何か提防の下をくぐって塩が出てくるような、この間資料取り寄せたらそうじゃない。塩水が川を遡上していって、それを間違って給水口からどんどんと取り入れた。どこか隠ぺいする、自分たちの不都合なことは隠す。そして問題が出てきたら資料は出しますよと。  そしたら、本当に水が要るのかどうか、私も資料請求しますから出してくれますか。愛知県に出したのと同じものを出してくれますか。
  29. 市原四郎

    説明員市原四郎君) 水のどういった資料かということがよくわかりませんけれども、その点がはっきりすれば検討したいと思います。
  30. 西野康雄

    西野康雄君 いや、荒井開発課長答弁したとおりのことですよ。愛知県へ出した資料と同じものを出してくださればそれでよろしゅうございます。出すんでしょう。とにかく言わないと何にもやらない。恥ずかしいことだと思います。  また、地盤沈下に関しましてもそうですよ。これは、僕は何も開発に対して自然保護がとかそういうふうなことを言っているんではなくて、本当に人命に関しても大丈夫なのか、そういうふうなことを思うわけですよ。  例えばゼロメートル地帯。名古屋市南部の悲劇は海面以下のいわゆるゼロメートル地帯であった。しかも、ここの被災者の大部分が海面下に住んでいたことを知らなかったと言われる。名古屋のゼロメートル地帯の成因は東京そのほかのゼロメートル地帯の場合よりはるかに複雑であり、幾つかの原因が組み合わされたものと見られ、その範囲は東京のゼロメートル地帯よりはるかに広く百八十五・四平方キロに達している。その大半が名古屋四日市の工業地帯からはるかに離れた水田地域であるので、単純な地下水過剰揚水とも言い切れない。南海地震や東南海地震のときに約三十センチも沈降したことがあるため、地盤沈下の原因をすべて自然的なものとする説もある。要するに、ここの地方での沈下は、地殻変動、軟弱層の収縮、地下水脈上流側の過剰揚水、被圧地下水の農業用水くみ上げなど、さまざまの要因が考えられる。  あなた方は、地盤沈下しておりますというのは、いつも工業用水だけで取り上げたりする。しかし、こういうふうなところで一遍地震が起きると三十センチも沈降する。かような場所に大きなものをつくる。ひょっとしたらゲートが上がらない、下がらない、そんなことまで起きてくる。現実に、行かれたらわかりますけれども、あの河口ぜきの堤の向こう側の民家はひび割れてきていますよ。あなた方もそれを補償しているんでしょう。補償といったって、これはセメントを詰め込んでいるだけですよ。  なぜもっと事業実施する前に、やれ利水だという前に地盤から全部調べないんだ。被害が出てから、補償すればええ、金さえ出しゃええ。しかし、人の命というものはそういうものじゃないんですよ。利水面でもはっきりしてこない。治水においては一遍で三十センチも下がってくる。こういうふうなことでは本当に国民は納得しませんよ。言われなければデータを出してこない、こういうふうな姿勢であってはいけない、そういうふうに思います。  しっかりとこれからもみずからが疑問点に対して情報を公開していく。何も資料を出さない。隠している。この環境調査においても、魚類相だとかいろんなものが隠れているんだよ。肝心な部分はばこっと抜けている。そういうふうな姿勢であったら、幾ら長良川河口ぜきは必要ですと言ったって国民は信頼しないと思いますしっかりとこれからも、近藤河川局長はいつか情報をきちんと公開してやりますよと言いながら、除塩用水一つとりましても、これはできていない。こんなことでは本当にいけない、姿勢としてついていけない、国民が納得しない、そういうふうに思います。  いろいろと質問はしとうございますけれども、今回においては、私、四十分参りましたので、終えさせていただきます。
  31. 堂本暁子

    堂本暁子君 地球サミットと言われます開発と環境に関する国連会議まであと二カ月になりました。ニューヨークで開かれておりました最終準備会もちょうど終わったところです。環境庁の方も大変に忙しい思いをされたと思いますし、私も現地で皆さんがもう本当に夜遅くまで働いていらっしゃるのを見て御苦労なことだと思っておりました。  きょうはまずそのことから伺いたいんですけれども、日本の立場と申しますか、大変世界から注目を浴びている。いろいろな意味で注目を浴びている。単に資金面というようなそういった単純なことではなく、一体日本の指導力はどうなっているのか、一体日本は何を考えているのかというようなことを多々聞きました。それで、この地球サミットに向かって環境庁としてはこの最終準備会を終えてどういう対応を今後考えておられるのか、まず最初にそのことを局長に伺いたいと思います。
  32. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) ただいま先生おっしゃられましたように、四月三日準備会合が終わりまして、六月のUNCEDに向けまして、これからUNCEDを成功に向けるために最大限の努力を引き続きしてみたいというように思っております。  中でも、これまでの準備会合で残しました幾つかの点、すなわち資金問題あるいは組織、機構の問題、あるいはかって地球憲章と呼んでおりまして準備会合の結果リオデジャネイロ宣言というふうに名前が変わると思いますが、そういったものの最終的な文案づくり、そういったものにつきまして日本として最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  33. 堂本暁子

    堂本暁子君 文案づくりは確かに事務局や各国政府の間で着々と進められていると思います。随分とリオに持ち越された作業も多いようですけれども、そのことよりも、やはり一国としての姿勢、これは大臣に伺った方がいいかと思いますけれども、やはり日本としての姿勢が今問われている。地球サミットに向かって日本はどういう姿勢で臨むのか、その点を伺いたいのですが。
  34. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) これは今世紀における国連主催にかかわる最大級の会議と思っておりますし、今非常に緊急の課題になってまいりました地球の将来の環境の問題でありますから、これの成功に向けて、私のところにも、昔の環境庁はこんなことなかったと思いますけれども、外国の環境庁長官環境大臣、また国連の方々、いろんな方々がしょっちゅう来て打ち合わせをする。私はなかなか予算委員会があるものですから外国へ出られない。そこで外務省の方たちにいろいろお願いし、またうちの職員の方たちに動いてもらって、いろいろな交渉に当たる。簡単に言えば、これの成功に向けて今精いっぱいの努力をしているところであります。  ただ、先生立場と、こうおっしゃいますけれども、国際会議でありますから国際的な合意が得られなければいけないわけであります。ところが、世界の国々はそれぞれの立場があって動いているわけでありますし、今、先生もうジャーナリスト御出身でよく御存じだと思いますけれども、やや立場が似ておりますのがECと私ども。それから発展途上国の方々はよく来られて、この間からブラジルのゴールデンベルギさんからインドの環境大臣から、それからこの間はメキシコの大使も来られました。いろいろ話し合いますけれども、この方々たちとは最終的にはいろんな面で意見の相違は今ございますけれども話が合わせていける接点があるんじゃないかなと。今最大の問題として抱えているのはアメリカとの問題であります、委員多分御存じだと思いますけれども。  困難なことはいっぱいございますけれども、我が国といたしましてはこの十五日から開かれる、国連のUNCEDの主催でありますけれども、我が国で竹下元総理、海部前総理、それから平岩経団連会長がホスト役を務めていたします会議、これは大変日本でやるということに意味もあり、ここいらで議論されることがUNCEDの成功に向けての一つの大きな要素になってくれればいいなと。あらゆることを通じてこの会議の成功へ向けて努力をするというのが我が国としての立場でございます。
  35. 堂本暁子

    堂本暁子君 そうした御努力はよくわかりますが、大臣おっしゃられるほど簡単ではないように思います。  大変にさまざまな問題が錯綜しております。単純な対立という構図ではなくて、いろいろな国の利害あるいは南北の利害、南の中の国々の利害といったものが錯綜していますが、そういった中で、今精いっぱいにやりますとおっしゃいますが、日本は本気で環境の分野でイニシアチブをとっていく、世界に指導力を発揮していくという覚悟でおられるのかどうか、その点を確認させていただきたい。
  36. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) これは委員言われるまでもなく各国の利害の中でやるわけですから、準備会合にいたしましても議長が言いますと百何十カ国というのがそれぞれずっと発言していくわけですから、それを整理してやっていくというのも大変です。  今度の会合でいわゆる従来地球憲章と言われていたものにつきましては大分文章をつくり上げたようでありますけれども、これも御存じだと思いますけれども、トミー・コーさんが非常な手腕を発揮してやったのでございますけれども、これもUNCEDの本会議でまた議論が蒸し返されることになるんじゃないかというようなことも予想されます。大変難しい国際会議でありますからこそそれを成功させるためにあらゆるチャンネルであらゆる努力を今払っているところであります。  ですから、イニシアチブを発揮するといってもそれは各国の、国連というのは一国で動かすものじゃありませんから、各国の合意の上に動かすわけですから、合意ができて、しかも一番有効であるような条約なり話し合いができるように今精いっぱいの努力をしているということでございます。
  37. 堂本暁子

    堂本暁子君 今地球憲章のお話が出たので地球憲章のことに移りたいと思いますけれども、朝日新聞、三月四日の夕刊なんですけれども、ここに環境庁の基本的な認識をまとめた「地球憲章に関する基本的な考え方」というのがまとまったということで、ここにありますけれども、大臣はこれをお読みになりましたでしょうか。
  38. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 読みました。
  39. 堂本暁子

    堂本暁子君 はい、ありがとうございました。  そして、私は実は出かける前は存じませんで、きのうこれをいただきまして読んだんですけれども、英語の文章ももちろんできていて、お読みになってどうお感じになったか。私自身は大変によくできているんではないか、大変明快に日本の態度が示されているというふうに思っております。  「基本的認識」のところでは、先進国を中心として経済の量的成長や物質的に豊かな生活を至上とする考えが産業分野のみならず多くの生活様式にまで浸透し、地球環境への負荷が増大しているというふうに認識していると。まさにそのとおりだというふうに思うんですね。それから、次の章で「環境保全型の社会経済システム構築のための行動原則」というところがありますけれども、そこでも、先進国を中心にした大量生産、大量消費、大量廃棄の経済構造や生活様式は、厳しく反省され、抜本的な改革がなされなければならないとしています。そして、最後に今後の問題として   地球の有限性に基づく循環を基調とした政策  の推進 各国、特に先進国は、地球が無限であ  ることを前提とした工業化社会の大量生産・大  量消費・大量廃棄を基調とする政策を見直し、  資源の有限性に基づく循環を基調とした再生能  力の最大化を目指す政策の展開を図らなくては  ならない。というふうに書いているわけです。  環境庁としては、もちろんここに書かれている基本認識と行動原則に沿って対応しておられるんだと思いますが、局長いかがでしょうか。
  40. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先生お触れになられました懇談会の基本的考え方、これはまさに私どもの環境庁長官のもとに設けられました懇談会でございますが、ここでの意見をこの地球サミットの準備委員会の場でのいわゆる地球憲章の検討に最大限使ってもらうべく、盛り込まれておりますエッセンスをいわば日本政府提案の中に盛り込みまして、そしてこの議論を開始しました当初にいわば日本提案として提出するだけでなくて、実はその地球憲章の部分の審議が非常に長かったわけですが、その期間じゅうずっとこの精神を体して臨んだわけでございます。
  41. 堂本暁子

    堂本暁子君 この基本的な考え方は、私が理解する限りではG77の途上国にも歓迎されると思うんです。  ちょうど私がニューヨークへ着きました日がこの地球憲章の審議をしている日で、先進国の責任として過剰消費社会を入れるか入れないかという議論が一日じゅう続いていたようです、私は別の会議に出ていたので自分で出たわけではありませんが。そういった利益至上主義の価値観から社会経済システムの転換を図るということが途上国からの要求であった。それに対してアメリカはそれを断固として入れなかったということを聞いています。  その先が大変気になることなんですが、NGOの人たちがこう言いました。日本は書いていることは非常に立派である。しかし、どうして会議の場で積極的にそれを支持していくような発言をしないのか、どうして一々アメリカの顔色を見ているのか、日本はどうして独自のイニシアチブをとろうとしないのかと。これは地球憲章の場には私はいなかったのでその場は私はわからないんですけれども、全体としては非常にその雰囲気が強い。  私がずっと出ていましたバイオダイバーシティー、生物の多様性条約についてはまさにそうでありまして、ほとんど日本代表は発言しない。たまに発言すると思うと、日本はアメリカを支持しますという発言なんです。もう本当に情けないというか、大体環境庁が行っていないということが最大の間違いです、私のいたところは。どうして自然保護局の方がこういうちゃんと大事な生態系の。審議をする場にいないのか。そこにいた代表というのは通産省であり厚生省です。ですからバイオテクノロジーの利益を代表する人であり、どちらかといえばそちらの方を代表している。だからアメリカの肩を持つのは当たり前なんです。  そういったアジェンダ21の審議の場でもそうですけれども、もう一回話を地球憲章の方へ戻しまして部長にもう一度伺いたいと思いますが、私が出ていなかった、みんなが紙には立派なことが書いてあるが発言はアメリカ追随だというふうに言われたその内容は実際はどういうものだったんでしょうか。
  42. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 私どもはもちろん私どもの考えでもって発言をし行動しているつもりでございまして、アメリカに追随するとかどこの国に追随するとかそういうことではなくて、日本の立場といいますか私どもの考え方に従ってしているつもりでございます。  今、先生のお触れになられましたことで申し上げますと、先ほどの地球憲章のエッセンスを生かすということで、日本政府といたしましては、良好な地球環境のもとでの人類と多様な生命の生存を将来にわたり確保し、人類の共通の利益を持続的に追求することを可能とするため、我々は既存の生産、消費、開発等のパターンに反省を加え、これを見直すとともに、持続可能な開発を維持しつつ新しい社会と文化を形成していく覚悟と決意を持って臨むことが必要というポジションで、これを英文に直しまして日本政府提案として配付して、それに即して適宜発言をいたしているわけでございます。  その結果といたしまして、最終的に原案で現時点で取りまとまりましたものの中には、今の部分で関連して言いますと原則八というのがございます。実はまだできたばかりでございますので横のままになってございますが、この中に、持続が不可能なようなそういう生産とか消費のパターン、そういったものを削減しないしは排除すべきだ、そういう趣旨も盛り込まれておるわけでございます。  地球懇から出てきた考え方、これは必ずしも日本だけが言っているわけじゃございませんが、ほかの国も似たようなことを言っておりますけれども、まさに先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、いろんな国の意見が総意となって現時点では最終版としてはプリンシプル八に結実しているということでございます。私どもとしては日本の立場で行動しているつもりでございます。
  43. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 先ほどの御質問にありましたけれども、日本政府は一体となってこの問題に当たっているわけでありまして、どこに環境庁がいなかったから、外務省だったからという問題はないんです。そして、生物多様性条約のところにも環境庁職員は実は出ております。ただ、出ていても出ていなくても、実は先生これは御理解いただきたいんですけれども、私の方とニューヨークと速射砲のようにやりとりをしながら会議は動いてまいります。どんどん報告が入ってきて、こうしてくれということを言いながら動いてまいります。  それから、アメリカが言ったことでいいことがあればアメリカに私どもは賛成をいたします。悪いことを言えば反対いたします。そして、アメリカに対する今の私どもの態度ですけれども、国際的にお聞きになっていただけばわかりますけれども、私はアメリカ追従は一切しておりません。こちらの言うことは言っております。特にアメリカとのやりとりでもって私のやり方にそれはちょっとというような意見もありますけれども、外務省の人にも話しまして、日本は日本の立場で正しいことをやっていくと。  そして、最後はこれはやっぱりいろいろな国が集まっての会議でありますからその会議を成功させるためにはいろいろな話し合いがあると思いますけれども、ともかく今は日本の立場を貫いてまいると。そして、外務省の方が出ておられましたけれども、けさも帰ってきてすぐ外務省の赤尾さんでも畠中さんでも私のところへ来て、朝からずっと今まで打ち合わせをしていたんです。  そういうことで、政府一体となってやっていることは御理解をいただきたいと思います。
  44. 堂本暁子

    堂本暁子君 私もそれは頭で申し上げたように、皆様の御努力はよく存じております。  しかし、生物の多様性条約に関してだけ言えば、私がいる十日間の間には環境庁の方は出席しておられませんでした。外務省とそれから通産省と厚生省と農水省の四人でございます。ですから、少なくとも私がいる間、一番主な会議は十九日にあったんですが、それから二十一日もございましたが、その間は今申し上げた四省庁だということは、この目でずっとそこにおりましたししますのでいらっしゃらなかったと思います。
  45. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) それは間違えるといけないので、バイオテクノロジーの会議だと思います、出ていなかったのは。
  46. 堂本暁子

    堂本暁子君 いいえ違います。バイオダイバーシティーです。
  47. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 大臣、ちょっとまとめて。
  48. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 最後の二週間はバイオテクノロジーも生物多様性も彼が行っておりますから、出ておりました。
  49. 堂本暁子

    堂本暁子君 十九日の日は最低いらっしゃいませんでしたね。
  50. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先生も御高承のとおり、ニューヨークのあの会議場のいろんなところで非公式会合とかいろんなことがあります。それで、環境庁からの人間も限りがございますので、分けていろいろなところを分担しておりますが、私が今報告を受けているのでは、私どもの小野川調査官ではございませんが、その場にはある自然保護局の担当官がおった、環境庁職員がおったというふうに聞いております。
  51. 堂本暁子

    堂本暁子君 とてもそれは不思議なことですけれども、少なくとも私が名刺をいただいた方は全部別の省庁の方でありました。  そして、そのことは細かいというか末梢的なことだからいいんですけれども、やはり今おっしゃったように本省と連絡をとりながらということも一つの原因だと思うんですけれども、日本の発言が非常に遅い。これはもう一つは各省庁間の調整ということもあるんではないかというふうに私は思うんです。  アメリカの人がこういう言い方をしていたんです。アメリカの政府が環境に非常に不熱心である、今はたまたまそういう政権である。だから日本は環境の領域で非常に主導権を握れるそういうチャンスである、にもかかわらず日本はその期を逃しているんではないかと思うというような言い方もされました。私自身がなぜそういう印象を受けたかといいますと、やはりここで拝見しているようなことがどんどん実際の現場で出てこない。ですから、例えば森林のところに入っていったときなんかにとてもいい発言を日本代表がしていてすごくうれしかったんですけれども、私が主にやっていたところでは非常に私は後ろ向きだったというふうに今でも思っています。  資金面でも日本への期待は非常に大きいんです。お金を出せばよいというものでは私はないと思うんです。あくまでも国際的に、特に開発途上国に期待されるような、理解されるようなそういった理念の裏づけがあって初めて経済的な問題ももっとイニシアチブがとれるんではないかというふうに思うんですけれども、何か各省庁の圧力と申しますか、環境庁が手足を縛られてしまっているんではないか、そんな気がしてならないわけなんです。本音を今申し上げているわけですけれども、あえて本音を言わせていただければそういう気がいたします。  日本人の目で見ると、どうしても日本国内での、例えば国会の場でも同じですけれども、経済関係省庁主導で進んでいる日本の行政の体質、それがそのまま国際舞台でも出てしまっているのではないか。だから環境的な視点からの非常に積極的な主張、例えばバイオダイバーシティーの場合だったらスウェーデンとかそれから南米なんかが物すごく仲介の役を一生懸命とっているわけなんですが、日本はそういう仲介の役なんかをとって走り回るようなことができない。  やはりそれは正直に言って、その分野のことで言えばいろいろ今申し上げたような省庁の中での利害の対立というのが国内にあるわけですから国際的なところでのイニシアチブはとれない。そういった状況が外国人の目から見るとやはり日本は発言もしないしアメリカ追随なんだというふうに映ってしまうんではないかという気がしてしょうがないわけなんです。その辺を大変残念に思います。  各国の政府代表は今まででも国連の場での日本の対応、そういうものを見ていたと思いますけれども、今回大変新しいと思いますのは、UNCEDに限って言えばNGOが公開の場にほとんど出ている。各国のNGOが出ている。市民団体が出ている。しかも参加して発言もしている。そういった市民レベルの人たちにはもっと奇異に映るわけです。日本は四人もいる。もう一人か二人しかいない国は会議と会議の間をはしごして歩くような忙しさ。日本は一国で一つの会議に四人ぐらい出ていられるほど余裕があるわけですが、発言といえば一人で頑張っているような国よりはるかにできない。  それは省庁間の調整も必要だろうし、本国の指示もいろんな意味で必要であるがゆえにそこでとかく発言が限定されるんではないかというような私は正直なところ印象を受けました。これは、環境で今大臣が一生懸命頑張ってくださっているんだとすれば、やはりその壁をこれから日本が破っていかない限り国際会議の場で環境庁が本当に思い切って動けないんではないかという気がするんです。その意味で、大臣本当に日夜御苦労でいらっしゃるんだろうと思いますが、やはりもう総理大臣並みに私は今の環境庁長官というのは大事なポジションだと思っているんです。  今UNCEDで日本がどういうふうに国際的に評価されるかということは、ある意味で言えばこれから日本の非常に大きな国際的な立場をつくっていくと言っても過言ではないというふうに思います。それだけに大臣に英断、勇断を、本当に現場にいらっしゃる方は物すごく頑張っていらっしゃる方がいらっしゃるわけですから、その方たちが思い切って物が言えるようなそういった政治力をやはり大臣に発揮していただきたいと思いながら帰ってまいりました。
  52. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 各省庁に手を縛られて困っているというようなことは全くございません。私に関して言わせていただければ、各省庁に今協力をしていただいております。  この間、先週の金曜日の閣議で私は公式に発言をいたしまして、UNCEDも大切だけれども、UNCEDの前にあるストロングさんが主宰する賢人会議、これも私的な会議ではあるけれども、我が国の元総理大臣、前総理大臣の二人がホスト役をされ、経団連会長もホスト役をされ、大変な会議だと。これについて全省庁協力をお願いするということで私は発言いたしまして了承され、なおかつ外務省の方もそれで一生懸命やろうということを言っております。手を縛られてとか連絡が悪いというようなことはございません。  ただ、国内の問題としては、それぞれの立場があり、いろんなことが今新聞等で取りざたされておりますけれども、しかしこれは日本は民主主義の国であり、いろんな立場の方がある。それを調整して動いていかなきゃいけないのが政府の立場であります。この地球サミットに関しましても、環境庁ひとりで動くんじゃなくて、政府一体となって取り組まなければいけない問題です。それじゃなきゃ何もできません。そういう意味で、私も各所で政府一体となってこの会議の成功に向けて頑張りますということを申し上げております用地球サミットの今準備会合へ向けるいろいろな作業として、各省庁に手を縛られて困っているというようなことは全くございません。
  53. 堂本暁子

    堂本暁子君 UNCEDに限ったことじゃないような気がいたします。建設省の方もいらっしゃる前でなんですが、長良川一つとってみてもそう思うんですね。もし本当に日本で環境本位にもっと考えられたら随分とやはり違うんではないかと思うことだらけです。ですから、やはり国内の体質がそのまま外に出ているということは、これは何ともいたし方がない。手足を縛られているという言い方が悪ければ、やはりお互いの調整の中でという言い方かもしれませんが、各省庁調整の中でここに書かれているこのことがでは一〇〇%日本として本当に主張できるのかどうか。そのことを私は伺いたいと思うんですが、先へ行かせていただきます。  次に、主要グループの役割強化というアジェンダ21がございますが、これは主要グループというと英語のメジャーグループという言い方でマジョリティーのグループということなんですけれども、そのグループというのは、言葉だと軽く感じますが、実際には社会の主要な構成員分野というような意味だと思います。先住民とか女性、それから市民団体、企業、若者、労働組合、地方自治体など九つの分野が入っているわけなんです。  私が大変おもしろいと思いましたのは、国連は世界を地理的に分けた各国政府で成立している機関ですけれども、この主要グループというのは全くボーダーレスなんですね。そういった機能別に分かれた例えば先住民の主権と環境権あるいは女性の主権と環境権、市民の主権と環境権、若者の次の世代に向かっての主権と環境権というような形で、全く違った面と申しますかフェーズで、切り口と言ったらいいのでしょうか、力学が国連の中に出てきたというふうな気がいたしました。全体会議の中で、市民の代表も女性の代表も先住民の代表も堂々と発言し、会議に参加していたのが大変興味深かったんです。  特に、前回女性のことを伺ったんですが、今回は環境庁に先住民の環境権について日本政府はどのような見解をお持ちか、伺わせていただきたいと思います。
  54. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先ほど先生もお触れになり、私もちょっと触れさせていただきました「地球憲章に関する基本的な考え方」、私どもの長官の懇談会におきましてはこの点について触れておりまして、具体的に申し上げますと、第二章の先ほど先生のお触れになりました社会経済システム構築のための行動原則というところの第五の項及び第六の項、特に第六の項で「現地環境保全、先住民の人権保全等に十分な配慮が加えられなければならない」。これは、この文脈は開発途上国などへの支援を強化するに当たって先住民の人権を保全するというそういうことでございます。そういうことで私ども臨んでいるわけでございます。
  55. 堂本暁子

    堂本暁子君 部長、外国の先住民の主権を日本として重視していくというふうにおっしゃったんですが、それはもう日本国内とて例外ではございませんね。
  56. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先ほどの「地球憲章に関する基本的な考え方」におきましては、ちょっと私省いてしまいましたが、「各国、企業等は」とありまして、ODAの実施などに当たって先ほどの「先住民の人権保全等に十分な配慮が加えられなければならない」と、こういう思想を打ち出しているわけでございます。
  57. 堂本暁子

    堂本暁子君 もう一度確認させていただきますが、日本国内に対してはどうでしょうか。
  58. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 日本国内の問題は、それはちょっと環境庁が所管し口を出す分野ではないと思います。  今サミットで言われています先住民というのは、いろいろな深いジャングルの中や何かで先祖伝来の生き方をしている少数民族がいろいろな開発によってその生活を圧迫されているということに対する配慮だと思いますから、日本の国内のことについて私どもの「地球憲章に関する基本的な考え方」の中で述べているわけではございません。
  59. 堂本暁子

    堂本暁子君 大臣に伺いたいと思いますが、個人的な質問になるかもしれませんけれども、大臣は日本に先住民がいるとお思いでしょうか、思っておられないんでしょうか。
  60. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) ちょっと払お答えする能力を持っていません。私どもの所管する問題とはちょっと違うと思います。
  61. 堂本暁子

    堂本暁子君 所管という問題ではなくて、大臣個人として日本には先住民がいると思っていらっしゃるのか、いないと思っていらっしゃるのか、その点でございます。
  62. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) ただいま環境庁長官でありますから、ちょっと発言というかお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  63. 堂本暁子

    堂本暁子君 それでは、環境庁長官に伺わせていただきます。  環境庁長官の立場で、日本には先住民はいると思っておられますか、思っておられませんでしょうか。
  64. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 先住民がいるかいないかという判断は環境庁のすることではございません。
  65. 堂本暁子

    堂本暁子君 では、次に移らせていただきます。  生物の多様性とバイオテクノロジーの分科会に入りたいんですけれども、地球サミットに向けて温暖化とか森林と一緒に生物の多様性の条約づくりがスタートいたしました。生物の多様性はそういう意味では比較的新しいコンセプトなのかもしれませんが、環境庁としては、今後、これだけ議論がなされ、そして熱心に日本もこれの採択に向かって努力をしているそういったときに、日本の国内における多様性、それをどのように保全していくか、それを伺いたいと思うんです。  きのう事務方の方に伺ったところ、四つの法律がある。自然環境保全法とか自然公園法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、そして今回国会に出されている、私はこれは早くつくらなければいけない法律だったと思いますが、絶滅のおそれのある野性動植物の種の保存に関する法律案、そういったものがかかわるというふうな御説明でした。  しかし、こういった四つの法律、そのまさにすき間のようなところにあものがこの生物の多様性ではないか、機能としての生態系というふうに思います。生態系の多様性あるいは種の多様性あるいは遺伝子の多様性、そういったものに今後どのような対応をしていくおつもりか、その辺を伺わせていただきたいと思います。
  66. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 生物多様性、バイオダイバーシティーと最近言われておりますが、これの明確な日本語の定訳もないようでございますけれども、国際的な学者によりますと、動植物それから微生物のあらゆる種とこれらが構成する生態系とその生態プロセスを包括する概念であると。さらに、それを通常生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性の三つのレベルで考察することになるということでございます。  極めてこれをわかりやすく私の理解でまとめてみますと、地球上の生物の多様さ、それからその生活環境の多様さを示す概念だろう。それらをさらにくくれば豊かな自然ということで、私どもが取り組んできている仕事がこの中に含まれるかというふうに感ずるわけでございますけれども、特に野生生物はその生態系をなす要素として非常に重視いたしておるところでございまして、今先生からお触れいただきましたように私どもとしても新しい法案を考えておるわけですが、このもとになりますのは二月の二十四日に自然環境保全審議会からいただきました「野生生物に関し緊急に講ずべき保護方策について」という答申に基づくものでございます。  ここでも、今申し上げましたような多様な構成要素から成り立っている生物の世界には生態系あるいは生物群集、個体群、種、遺伝子等さまざまなレベルがある。それぞれの段階での多様性こそが自然の根源であり、この保護が非常に大事である。その環境の保持に注意を払わなければならないと述べられておるところでございます。  実は、先生が今触れられました幾つかの法律につきましても、生物多様性という観点から見ますと、例えば生息地あるいは生息環境の保護というレベルでのものが今お触れいただいたような法律でございますし、さらには個体のレベルでのとらえ方といたしましては、鳥獣保護法に加えまして特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律、あるいは絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律、これはワシントン条約の国内法でございますが、こういったものもその手段として我々は既に使っておるということでございますが、一つ大きく抜けておるというところが種の保存に関する法律でございまして、今回私どもといたしましては、先ほど触れました審議会の答申を受けまして、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案ということで提案させていただいているところでございます。
  67. 堂本暁子

    堂本暁子君 何と申しますか、解説書に書いてあるようなことの御説明をいただきましたけれども、むしろそれよりももう一歩進んで、できれば日本国としてどのように生態系の保存を、私も専門家ではないんですが少しく物の本を読みましたところ、そしてここのところ一年間ずっと人の話を聞いていて思いましたのは、生物の多様性というのは自然保護と別の領域のものである、もっと進んだ環境政策であるというような理念が国際的にはだんだん盛り上がってきているように思います。  そういった意味で、今おっしゃってくださった四つの法律からまさにすき間、もっとすき間があるんではないかというふうに思うわけですし、それから確かに今回の野生生物の保護は大変結構なんですけれども、個体の保護なんですね。そうではなくて、もっと毎日刻々と動いている生物の生態のそういった機能自体、それをやはりもう一回見直すことが必要なんではないか。今地球環境の中でそれが壊れていっているんではないかという視点から、何とか日本の中でもそういったことをもう少し大事にする政策を環境庁に大いにやっていただきたいと期待しているわけでございます。  例えば水の浄化ですとか土の質を維持するとか、それから気象条件を一定にしていくこととか、そういった日本列島の自然全体にいろいろあります。例えば河川の問題も先ほども長良川で、セメントで固めてしまってというようなお話もありましたけれども、むしろ世界の方向としては、沿岸にしろ河川にしろそういったものをできるだけ自然に保つことによってバイオダイバーシティーを保全していく。例えば海の沿岸なんかにしても同じですけれども、そういうことから言いますと、むしろ国立公園とか原生林だけではなくて、山村とか漁村とか私たちの住宅地域とか、そういった生活圏の中でのバイオダイバーシティー、生態系をこれからはどう保存していくかということがポイントかと思うんです。  むしろ今それを壊していく、過剰開発とあえて言いたいですが、過剰開発、そして有害化学廃棄物とか農業とか除草剤の乱用とかいろいろなもので。量だとアメリカがトップで質だと日本がトップだそうです。地球の中でそれぐらい速い形で生物の多様性が破壊されていることは、やはり私たち人間だけではなくて、動物も植物もすみかとしての生態系を失う方向に向かっているという、それを日本としては何とか保全していく必要があるんではないかというふうに思うわけです。  もう一度局長に伺いたいんですけれども、やはりそういった機能としてのとらえ方みたいなものを役所でぜひやっていただく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  68. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 生態系の保存の必要性につきましては、かなり古くなりますけれども、実は私ども自然環境保全法ができたときから持ち続けておるところでございまして、その法律に基づきまして四十八年には自然環境保全基本方針というものを定めております。そこには、やはり自然の大事さを認識し、それから「自然を構成する諸要素間のバランスに注目する生態学をふまえた幅広い思考方法を尊重し」ということで、いろいろな大事な要素がある、それに基づいて自然環境保全の問題に対処していくべきであるという指摘をまずいたしました上で、人間活動の諸分野において注意すべきことをいろいろと書いておるわけでございます。  したがいまして、その大きな傘のもとに現在私どもの武器で言いますと自然公園法であるとか鳥獣保護法などを動かしておるわけでございますが、さらには例えば建設省などは都市緑地保全法などを分担しておるというところでございます。おっしゃるように、最近では都市化の進展などによりまして身近な自然が失われていくというようなこともございまして、そういった既存の法律で対応できないものにつきましては、やはり身近な動植物を守るというようなことも含めまして予算措置等でやっておるところでございます。  今回私どもが考えております種の保存ということも、また一つの新しい取り組み方、切り口であろうと思います。これはいずれ御審議いただくことになりますけれども、実は自然環境保全法ができまして二十年目にまた新しい種という観点からの切り口を持った法律を御審議いただくわけでございますが、ここでもやはり野生動植物を守る基本方針なるものを政府レベルで決めていこうと。それに基づいて各種の施策をやっていこうというふうな考え方に立っておるわけでございますので、この点で言えば、おくればせながらとは言いながら、先生の御指摘の趣旨に沿って努力をしてまいるつもりでございます。
  69. 堂本暁子

    堂本暁子君 何かまだ質的な違いがあるような気がしないではございませんが、この辺にいたします。  次に、バイオダイバーシティーと一緒にバイオテクノロジーの議論が行われているわけですが、確かにプラス面もあります。そして、薬品ですとかそれから農業の増産、高収穫ということで、別にバイオテクノロジーを全面否定するという気はないんですけれども、かといって、今コマーシャルで言っているように、地球に優しいバイオ技術というようなことを果たして全面的に受け取っていいのかというと、そうばかりではないんではないか。例えばケミカルハザード、化学災害に対して今バイオハザード、生物災害というのが新しい公害として欧米では注目されてきておりますし、反対運動も起こっています。  アジェンダ21の技術移転、日本は技術を移転する側かもしれませんけれども、バイオテクノロジーの移転というものの要求も非常にUNCEDでは強いわけです。それだけに、いろいろ段階がこれもあると思いますが、自然界への影響ですとか、それから私たちの健康への影響ですとか、それから社会生活への影響、そういったいろいろなものに対して日本としては積極的にそういったバイオ公害、バイオ災害というものを防ぐことに寄与すると申しますか、積極的な姿勢をお示しになる環境庁は今用意がおありになるかどうか。
  70. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) 先生ただいま御指摘なさいましたように、遺伝子組みかえ等のバイオテクノロジーの進展は最近著しゅうございまして、我が国におきましても近い将来に遺伝子操作生物の開放系利用が進むというぐあいに考えられますことから、平成元年六月に、私どもは問題意識を持ちまして、中央公害対策審議会、これは具体的には企画部会にバイオテクノロジー専門委員会というものを設けていただきまして、環境の観点からいろんな議論が行われております遺伝子操作生物の開放系利用に係る環境保全のあり方について御審議をいただいたわけでございます。約二年間の御審議をいただきまして、昨年の十二月に報告が取りまとめられました。  その報告によりますと、遺伝子操作生物の開放系利用につきましては、現時点では個別事例ごとに影響を評価することによりましてリスクを判断することが重要である。そこで、環境影響評価を中心とした適切な制度が必要であろうということと、そういった技術事項に関して研究開発を促進しこれを整備することが重要であるという問題意識についての取りまとめをいただいたんですが、それではそれからどうするかということにつきましては、残念ながら事例数も少なく、まだそれほど取り組みが行われておらないということもございまして、具体的な意見の取りまとめには実は至っておりません。  そういうようなことから、私どもといたしましては、こういった我が国における現状を見ますと、やはり遺伝子操作生物の開放系利用におけるアセスをやるに当たりまして、どういった技術的事項を検討し、またどういった要素を取り入れ、それをどう評価していくかという技術に関する整理を私どもは大いにまとめる必要があるという問題意識を持っておりますのと同時に、もう一つは、やはり先生御指摘になりましたように、国際間における議論の動向を踏まえながら、また我が国におけるそういった研究、ただいま開放系の利用は組みかえトマトの例が一つあるだけでございますが、そういったものにつきましても私どもどういった事前調査をやるかということを御相談にあずかり、それに基づいてやっていただいているわけでございます。  そういう事例を重ねながら、我が国としてどういった方向で安全性確保を図っていくかということを勉強してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  71. 堂本暁子

    堂本暁子君 まだ余り事例がないというふうにおっしゃいましたけれども、私も驚いたんですが、これもニューヨークでのUNCEDの場でのことでしたけれども、日本が開発したバイオ技術で、これは健康食品ですけれども、それで千五百人の被害が出ていて六十五人死亡した。ついては記者会見に出てくれと言われて、私それは知らないから、ちょっとそれはお断りしますと言ったんですが、帰ってきて調べましたところ、昭和電工がつくっているトリプトファンという製品です。アメリカでは健康食品として、日本では不眠症や時差ぼけに効く薬として売られたもので、日本では死亡者は出ていませんが病人は出ています。アメリカの場合にはもうどんどん裁判が何件も何件もああいう国ですから出ていて、それで会社の方も認めて賠償金を支払っている。そういうことです。  この一例を見ましても、細胞融合と遺伝子の組みかえに、新しい技術に限って言わせていただければやはり商業利用が暴走しているとしか言いようがない。そこの中で歯どめがかからないのはやはり非常に危険である。確かにプラス面もあるのかもしれませんが、多分不純物が混じっていたんだろうということです。そういった可能性があるわけで、未知の危険というようなものを言う人が大変多くなってきました。  それから、今局長がおっしゃったようにまだ余り明らかでない。そのことが解明されていないからということで安全にすりかえられてしまう。一方では企業としては大変にそれをどんどん推進していくということで進んでいく。これはやはり企業の責任もありますでしょうし、行政の責任も問われるところだと思います。こういった面から見ても、このバイオテクノロジーの技術移転というものは大変大きな危険性をはらんでいるものではないかという気がいたします。  例えばUNCEDでもって事務局がバイオテクノロジーに関しての安全性の開発についての緊急行動というようなことを出しておりますけれども、その中でも、長期的な影響を検討しなければいけない、持続的な環境監視が必要であるとか、それから例えば日本から南の国に行くとそういった異なった環境とか、それからその過程でバイオテクノロジーが自然界に対してどういう影響を与えるかということはまだ不明である。それから、そういった技術に関しての知識が公開される必要があることとか、バイオテクノロジーの技術と知識を一般の人にも広める必要がある、安全性が必要だというようなことも書いてあるんですけれども、やはりこの点についてアジアのそういった技術を持った国として日本は積極的に取り組む必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  72. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) ただいま先生いろんな問題点に、またいろいろな側面からこの問題を取り上げておられまして、例えば食料品なら食料品として人間が摂取する場合というような事柄になりますと私ども直接こういう公式の場でお答えする立場にはないわけでございますが、バイオを使いました開放系で利用される、したがって環境影響を与えるという点から見て慎重にその安全性というものを検討していかなければならないとおっしゃる点につきましては私ども全く同様でございます。  ただ、これは先生先刻御承知のとおり、アジェンダ21を議論する場におきましてもまだ煮詰まっておりませんで、二通りの議論があるようでございます。利用の安全性確保が必要であるというところでは意見の一致を見ておるわけですが、そこから先になりますと、出てくるもの、アウトプットの段階で見ればいいんじゃないかということと、それからバイオそのものに着目してその試験段階と生成過程からその辺を見ていったらどうかというところの議論があるわけでございます。  その辺に関する議論、これはそれぞれの経験をどのぐらい積んでいるかということと、それぞれの事象をどのぐらい持っているかということにもよろうかと思いますが、私どもはやはりその両側面からこの問題についてアプローチし、いずれにいたしましても安全性を確保するための方策というその結論を得るために、そこは今後検討していく必要があるというぐあいに考えているわけでございます。
  73. 堂本暁子

    堂本暁子君 できるだけ早くお願いをしたい。今おっしゃったように、外界に対しての影響とそれから私たちの体、健康に対しての影響と両面あると思いますが、その二点、ゆっくり待って様子を見ていこうということではまたまた外国から大きな批判を浴びることになりかねないと思います。  次に、また先住民の問題に移りたいんですが、これはアジェンダ21の中ですけれども、先住民の部分については、先住民は彼らの住居、資源、影響を受ける開発についての決定に関して、また現在の枠組みの中で伝統的な方法によって伝統的文化資産を維持し発展させるために保全することが必要である、そういったことが書いてあります。それから、例えば先住民の環境を守るということ、社会的、文化的にその価値を損なってはならないということもアジェンダ21に書いてあります。  ここのところが採択されたのかどうかはそれこそわからないんです。一生懸命電話をかけてみたんですけれども、ここが入っているかどうかわかりませんが、それから生物の多様性条約の方にも先住民とその地域の共同体が伝統様式に則して大事にしていかなければいけないということがるる書いてあります。こういった条約であろうがそれからアジェンダであろうが、大変にそういった国際的な趨勢は強くなっているんです。  先ほど大臣はどうしても答えてくださいませんでしたけれども、私はやはり二風谷のことについて、アイヌは日本の先住民以外の何物でもない、もう本当にこちらのいわゆる内地から行って明治二年にその土地を日本が奪った先住民であるというふうに私は理解しております。そういった意味で、コロンブスの時代から五百年というような長い間ではなくて、もっと私たちは大変身近に、すぐそこに先住民がいるというのが日本の状況ではないか。その先住民のまさに聖地と言われる二風谷がダムによって今や水没しようとしている。  私が今読みましたニューヨークで議論されていた先住民の問題、それは文化や自然環境を破壊してはならないということがるる議論もされているし、大勢の先住民が本当に世界じゅうから毎日毎日朝八時から九時まで集まっている。それはジュネーブでも似ていましたけれども、ジュネーブよりははるかにニューヨークの方が大勢の先住民が集まっていました。アイヌの方ももちろん見えておられましたけれども、そういった国家の主権よりも一人一人の人間の地球人としての人権、それを大事にしていくという方向で私は先住民の人権というのは大事にされなければいけない、ましてや文化と環境は大事にされなければいけないと思います。  これから水没しようとしているところは、アイヌのオキクルミという神様がおり立った聖地だそうです。こういうことだそうです。   むかしオキクルミという神がいた。知恵も力もある若い男神だった。   あるとき、下界に最近新しく神が創造したアイヌモシリについて、父神と母神が話しているのをオキクルミは耳にした。美しい山々。川底までいつもすきとおっている川。その底の小石は虹のように七色に輝き、せせらぎの音は石との楽しげな語らいのように聞こえる。 こういうところへこの神様はおりてきた。そこがまさに今水没するダムの予定地でございます。予定地ではなくてもう七割できているそうですけれども、こういったことで、私はここは環境委員会ですから先住民の環境権、そして文化権、それから人権という視点からきょうは伺いたいと思っています。  まず最初に環境庁に伺いたいんですが、先ほども西野さんが長良川のことについて聞かれましたが、あえてまた、この二風谷の環境について環境庁調査していらっしゃいますでしょうか。
  74. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) いたしておりません。
  75. 堂本暁子

    堂本暁子君 長良川と同じですね。やはり環境庁調査できるようにならない限り私は日本の環境はよくならない、これは本当にそう思います。  そしてもう一つは、るる前段で申し上げた生物の多様性なんですけれども、川のサケだけがどうなった、フクロウだけがどうなったという個体ではなくて、その二風谷全体の環境そのものがアイヌの方たちの環境であり文化だったわけですね。そこの特別天然記念物、シマフクロウとかいろいろいるようですけれども、中でも先ほど西野さんが言わなければ調べないというふうにおっしゃいましたのであえて伺いますけれども、サケの一種でマスノスケという種類があるそうです。沙流川、ダムが今つくられているところですが、日高山脈の一番大きな川で一番奥のところになるわけですけれども、その沙流川にマスノスケというサケの一種が上るそうです。こういったものが今回のダムによって絶滅するおそれもあるんではないかということを聞いています。  これは環境庁調査していらっしゃいますか。
  76. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 私ども個別の計画に即していろいろ調査する立場ではございませんで、全国の自然環境保全基礎調査、いわゆる緑の国勢調査というもので一つ大きな位置づけを調べるための調査はやっております。さらには、最近絶滅のおそれのある動植物に関する調査、いわゆるレッドデータブックをまとめるための基礎的な調査、これはやっておりますが、ただいまの箇所についてそういったものが要るかどうか、今手元にデータがございませんのでお答えできません。
  77. 堂本暁子

    堂本暁子君 建設省に伺いますが、建設省にはこのダムの目的を伺うつもりだったんですが、もう時間がないので結構でございます。  目的は、私の知る限りでは、昭和四十六年に出されている沙流川工事用水道計画調査によりますと、工業用水といったった一つの目的です。それがもう今や工業用水が必要なくなった。にもかかわらず、なぜこのダムをつくらなきゃならないのか。私には全く理解ができません。そして、今はダムの必要な理由として洪水の調節とか流水の機能の維持とかかんがい用水、それから水道用水、発電などいろいろおっしゃっていらっしゃいますけれども、現地の方たちに聞くと、こういうことは一つも必要ないではないか、そんなためにこんな膨大なダムをつくる必要などない、水害があるとしたら百年に一回だというようなことをおっしゃっています。  貝沢正さんとそれから萱野さんはもうここの土地収用に不服を申し立て、不服というか土地収用を拒否されたわけなんですけれども、その土地収用で拒否された後、行政不服審査法によって申し立てをしていらっしゃいますけれども、今建設省ではここの経過はどうなっていますでしょうか。
  78. 百武伸茂

    説明員(百武伸茂君) 先生御指摘の件は、平成元年の二月三日付で北海道収用委員会の収用及び明け渡し裁決がされております。これに関するものかと存じます。  この裁決に対しまして、平成元年三月四日付で建設大臣あてに審査請求がなされておりますが、その理由といたしましては、一つは収用裁決の理由付記が不十分であること、二つは本件ダムが必要がなく事業認定の要件を満たしていないこと、三つは金銭補償のみではアイヌ人に対する正当な補償とはいえず憲法二十九条第三項に違反しているというものでございます。  本審査請求につきましては、現在審理中でございまして、これまで、土地収用法、行政不服審査法の定めるところによりまして、審査請求人の口頭意見陳述、参考人の陳述、現地の検証等を実施してきているところでございます。今後、さらに審査請求人の主張の内容を慎重に検討いたしまして、速やかに審理を進めてまいりたいと考えております。
  79. 堂本暁子

    堂本暁子君 それで、今建設大臣とおっしゃいましたけれども、フランスの法律のことわざに何びとも自分の事件について裁判官になれないというのがあるそうです。この事業の起業者は建設大臣でありながら、今、日本の法律では行政の不服審査を申し立てるときに第三者ではなくて起業者にそれを申し込むというのは、これは何とも不合理な法律だと思いますが、きょうはそのことには深く触れずにおきますが、納得がまいりません。  それから、執行停止の申し立てをやはりしているそうですが、この返事はどうなっていますでしょうか。
  80. 百武伸茂

    説明員(百武伸茂君) 執行停止の申し立ても出てございますが、先ほど申し上げました審査請求と同じように、慎重に検討いたしまして、速やかに審理を進めてまいりたいと考えております。
  81. 堂本暁子

    堂本暁子君 返事は出してあるんですか。
  82. 百武伸茂

    説明員(百武伸茂君) 現在審理中でございまして、まだ出してございません。
  83. 堂本暁子

    堂本暁子君 どうしてそんなに時間がかかるんでしょうか。もし返事を出さないのであれば、その間工事を中止して待つべきではないかと思いますけれども。それは長良川についても思いますし、建設省というのはこういうふうにいろいろこちらからの申し入れがあってもそのことは全く無視してどんどん進行する。これでは本当に環境とかそれからそういったアイヌの方たちの人権というのは守れないというふうに私は思います。  ここに一つ新聞がありますけれども、これはメキシコのナワ族という人たちですが、やはり大型ダムがつくられる、そういったときに水没する二十二の村に住む人たちが反対運動を起こした。そして、この先住民族である人たちが反対をしていることでこの大型ダム建設は中止されております。今、時代はそちらの方向に行っているときだと思いますが、アイヌのそういった文化そして環境権、そして百年前にも略奪に近い形で土地を奪ったわけですけれども、給与地という形で政府から与えられた土地をまた再度こういう形で奪ってしまう。このことやアイヌのことについて建設省はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  84. 荒井治

    説明員荒井治君) 二風谷ダム建設及び計画に当たって先住民族に対してどのような配慮を行ったかという御質問かと思います。  この二風谷ダムでございますが、事業実施に当たりましては、水源地域対策特別措置法に基づく水源地計画を策定するというようなこと、さらには関連施設の整備また生活再建のための措置等を実施しているほか、地域及び住民の抱える歴史的特性に配慮して対処しているところでございます。地元平取町ではアイヌ文化を生かした地域振興のための構想が策定されておりまして、ダム周辺環境整備事業など事業者として実施できるものについては積極的にその推進を図ってまいりたいというふうに考えております。また、その他の事業につきましても、関係機関の協力を得てその具体化に向けてできる限り支援してまいりたいということでございます。  なお、先生、先ほどこの事業工業用水から始まったという御指摘があったかと思いますが、これについて調べますと、昭和三十六年、三十七年の二年連続の大出水に遭遇したということで、四十三年から沙流川の抜本的な治水対策調査いたしました。四十八年から、治水を目的といたしまして都市用水、発電もあわせた多目的ダムとしてこの事業がスタートしたわけでございます。その後、昭和五十年にも大出水で災害が発生して、ダムの早期完成が望まれたわけでございます。  そういうことで、昭和五十八年の三月に二風谷ダム及び平取ダム建設に関する基本方針がまとめられたわけでございまして、事業のスタート以来、内容、目的については変更ございません。ということで、その辺よろしくお願いいたします。
  85. 堂本暁子

    堂本暁子君 全然よろしくお願いされません。  私、山登りをいたしますのでいささか日高も存じておりますけれども、こちら側には入ったことはありませんが反対側に入りまして、何が一番出水の原因かといえば伐採なんです。現地へいらしていますか。もう日高の山の奥へ入っていけば一番よくわかります、それは。木を切るから鉄砲水が出るんです。だから、こんな巨大ダムをつくって百年に一度と言われるようなことに備えるよりも、まさに木を植えた方がいいと思いますし、それよりもやはり日本の数少ない先住民族の聖地をそういう形で水没させるということの方がはるかに罪深いとあえて言いたいぐらいに私は自分で責任を感じるような気持ちを持たざるを得ません。  この実際に執行停止の申し立てをなさった貝沢さんは最近亡くなりましたけれども、もしダムで水没するのであれば、自分は先祖に申しわけないから水柱となって木にかじりついてでもそのまま死ぬと言っておられたそうです。そういうことが起こらない前に亡くなったわけですけれども、例えばエルサレムに何かを建てるとか、それから例えばカイラス山のわきにマナサロワという聖なる湖がございますが、そこにダムをつくるとかしたらヒンズー教徒と仏教徒がすごく怒ります。それと同じように、アイヌの方の数の問題ではないと存じます。やはり文化というのは壊してはいけないものだと。今UNCEDで、これだけそういった先住民の数は少なくてもその方たちの文化を大事にしていこうということの大きなうねりになっているということを考えた場合に、私は今からでも、七割の工事が進んでいても工事は中止していただきたい。もし残ったお金があるんだったら、それはむしろそこの聖地を守ることに使っていただきたい、そう思います。  大臣、私はやはり日本に先住民はいると思うし、そして大臣は環境庁長官としてアイヌは先住民であるということをお認めになるべきなんではないかというふうに私は思うんですけれども、少なくとも環境庁の長官として、このUNCEDの責任者として、これだけ国際世論の中で先住民の文化と環境を守るということ、そのことの重要性が認識されている中で、環境庁長官としてぜひアイヌの環境権をお守りくださるということ、そのことの御決意を伺いたいと思います。
  86. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 私どもの所管するのは自然環境でございます。
  87. 堂本暁子

    堂本暁子君 環境権と申し上げました。
  88. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 自然環境問題を所管する役所でございます。
  89. 堂本暁子

    堂本暁子君 それはおかしい。
  90. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 堂本さん、もう時間ですから。
  91. 堂本暁子

    堂本暁子君 ありがとうございました。
  92. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 先ほど堂本委員からもねぎらいの言葉がございましたけれども、大臣初め環境庁の皆さんには急激にふえてまいりました環境の諸問題に対しまして大変御苦労をいただいております。心からその労をねぎらいたいと思います。  そこで、まず大臣にお伺いいたしますが、環境問題は国内国外を含めまして今日国政の最大の課題でございます。そして、当面六月の環境サミット、また来週からは賢人会議が持たれるわけでありますし、環境をめぐる問題は山積しておりまして、まさに広範多岐、多種多様にわたっていると思います。特に地球環境問題は、我が国の国際貢献、PKOあるいはODA、これと並びまして三大柱の一つでございます。こういうことから、国民環境庁環境政策に対する期待、要望はますます高まりているところ、こういうふうに考えるわけでございます。そういう中で、地球環境を所掌するところが環境庁ではちょっと弱いんではないかということで、少なくも環境省にしたらどうか、こういう声も上がっておる時期でございます。  こういうことで、もろもろの重要課題、そしてまた重要な段階に当たりまして、長官の総括的な所見、そしてまた決意を簡単にお伺いいたしたいと思います。
  93. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 地球サミット、まさに今世紀最大の地球環境に関する会議、ここまで会議の準備が進んでたどり着いてきたということも画期的なことでございますし、これの会議を成功させるかさせないかということが地球の将来を占う上で大変重要な会議だと思っております。しかし、委員も御経歴からしてよくおわかりのように、大変今困難に直面していることも事実でございます。各国の主張、総論賛成であるけれども各論いろんな意見があるということでぶつかりまして、それを解決すべき準備に取りかかっているところでございます。そういう中でこの会議が大きな成果を上げることなく終わった場合に、次にいっこういう会議が開かれるかというようなことに思いをいたしますときに、やはりこの会議をどうしても成功させなければいけない。そういう決意で、先ほどから御答弁させていただいておりますように、政府一体となって今努力をしているところでございます。  そして、こういう問題に取り組むための政府の体制でございますけれども、今私ども、先生御存じのとおり、総理からいただいた権限、付与された権限は調整官庁としてございます。実際の仕事はそれほど持っておりません。そういう中でやっているわけですから、政府一体となってやるときは環境に対するいろいろなことが政府一体でできるわけでありますけれども、やはりそこはそこ、だんだん問題が突き詰まっていきますといろんな問題が出てまいります。そういう中で環境行政は、こういう昔からの対処型、公害が出てきたもの、悪いものをつかまえようというような時代からプリベンティブといいますか、将来の地球に関して環境の立場から社会経済体制を組みかえていこうなんという時代に入ってまいりますと、今の組織体制では不十分であると私は感じるわけであります。  ですから、ただ省に名前を直しただけでいいかというとそうでない。ほかに議論があると思いますけれども、私は省に昇格するということも組織体制充実の一つのやり方だと思いますので、いろんな御議論を経た後にやはり象徴的な意味でも省に昇格した方がいいんではないか。その上で大きく地球環境問題を含め国内環境問題にも取り組まさせていただいたらいいんじゃないか、こんな考えを持っております。
  94. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 名は体をあらわすわけでありますから、ひとつその辺を頑張っていただきたいと思います。  次に、環境庁にお伺いいたしますけれども、今日生活大国あるいは生活基盤の実現が内閣の最大の課題でもございます。これは生活環境整備の充実といってもいいと思うわけでありますけれども、この整備水準を評価する指標も幾つかあるわけでありますが、大きく大都市地域と農村地域とに分けてみた場合に、農村地域におきます下水の整備はこれはけた違いに低い。全国平均でも四五、六%あるのに、農村部は数%。道路にしてもあるいは医療、教育、文化等にしても非常に立ちおくれていることは明らかであります。  しかし一方では、広い空間あるいは緑に代表される自然環境、公園資源等に恵まれておるわけでありまして、これから生活の豊かさが実感できる社会の実現ということになりますと、一つはやはり自然なり農村、そういうものに着目して自然に親しみ溶け込むことに向かう生活ではないか、こういうふうに思うわけでございます。しかし、いわゆる今日農村地域から若者を中心に都市部へ人口流出が続いておるわけでありまして、これはもちろん経済、所得面の有利性があるわけでありますけれども、同時に環境面のおくれも農村地域にある、こういうふうにも思うわけでございます。  それはそれといたしまして、いずれにいたしましてもいろいろな側面から環境整備のことが大事だと思いますが、農村部の自然資源を大切に有効に活用して、都市、農村の交流あるいは共存を図るという観点から、自然歩道なりあるいは自然公園、こういう施設整備を重点的に実施して自然の持つよさを十二分に生かしていったらどうか、こういうふうに考えるわけでございます。そういうことで、ひとつ自然歩道、自然公園の面の対応についてお答えをいただきたいと思います。
  95. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 国民のいわゆる自然志向というのは年々高まりを見せておりまして、実は私どもが一応法律等に基づいて所管いたしております自然公園の部分だけをとってみましても、県立自然公園も含めましてでございますが、年間約十億人の方が利用している。これは本当に国民が自然と触れ合いたいというような気持ちのあらわれでありましょうし、実際にそういったところがその役割を果たしてきているということも事実でございます。  ただ、御案内のように国立公園、国定公園等自然公園を有します市町村、これは多くが山間部あるいは離島に位置するというようなことで、ここの整備をどうするかということが問題でございます。地域におきましても、最近では地域のすぐれた自然環境を生かすことが地域振興へつながるということで非常に取り組みが活発化してきておりますので、私たちもその立場からできるだけその充実をしてまいりたいと考えております。  御案内かと思いますけれども、実は自然公園等における施設整備事業というのをかねてからやってきておりますが、平成三年度から新たに生活関連重点化枠が認められまして飛躍的な整備ができるということになったわけでございますけれども、基本的な事業といたしまして、みんなが安全で快適に公園等を利用できるようにという意味でございますが、公衆トイレの再整備、それから長距離自然歩道の整備、こういったものを中心に予算の増額を図り、地域の要望を聞きながら整備を進めつつあるわけでございます。この点は従来にはなかったことでございまして、特に市町村長さん方の御要請も強く、また新たな予算措置ということでありがたく受け取られているところでございます。  中でも、やはりお触れになりましたように、その地域の文化といったものとのかかわりもあるわけでございますので、身近な自然を守り触れ合っていただくという場の提供だけでなくて、そこでその地域文化にも触れていただく。そういった意味合いで、従来から自然環境保全活動拠点整備という形でやっておりましたものを平成四年度から拡充いたしまして、「環境と文化のむら」というふうな愛称をもちまして整備を進めることとしているところでございます。
  96. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 次に、農業環境の問題についてお伺いいたします。  若干誇張して申し上げますと、地球環境問題は農業の問題に帰するというふうにも言えるわけでありまして、農業は本来、水田の歴史を見てもおわかりになるように、作物とこれを取り巻く環境とで構成される生態系に働きかけて、そのリサイクル機能を通じて持続的な生産を行っておるわけでございます。そして、太陽の恵みで物をつくるということは人間活動の原点でもありますし、農業は自然への関心なり恵みへの感謝あるいは生きることの意味というものを教えてくれるものだというふうに思うわけでございます。また、この日本の水田自体の持つ多面的な機能のように、治水なり水質浄化なり地下水補給あるいは土壌保全、こういう環境保全が水田を舞台に展開される農業によって図られているところでございます。  そこで、この農業環境保全に果たしている役割についてでございますけれども、今、世界の農業の現況を見ますと、世界最大の輸出国アメリカでは、輸出を目的とした生産の急速な拡大によりまして農業を取り巻く環境への影響は非常に悪くなっている。土壌の流亡なり地下水の枯渇、水質汚染等が問題になっておりまして、いわゆる農産物の輸出が土と水の輸出だとまで言われるわけでございます。アメリカ全土で毎年三十億トン近い土壌が浸食され、金にしますと六十億ドル、約八千億円が失われている、こういう話もあるわけであります。また、地球の肺と言われますアマゾンでは、放牧地としての開発が進みまして環境上大変な問題になっておりますし、アフリカでもいわゆる換金作物の過度の栽培で砂漠化が一層進んでいる、こういう話もあるわけでございます。  これに対しまして、日本のいわゆる水田農業は、急峻な地形を含め温暖多雨の日本風土の中で、水や土、大気の保全等の環境保全に大きな役割を果たしていると思うわけでございまして、これは世界に誇れる貴重なものではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  そこで、ひとつ環境庁は特にこの日本の水田の機能というものをどういうふうに評価されておるか、この点をお聞きいたしたいと思います。
  97. 八木橋惇夫

    政府委員八木橋惇夫君) 先生のような専門家の方にお答えするにはまことに失礼かと存じますけれども、私ども農業というものを見てみますと、その一つの産業の特性といたしまして、産業そのものが自然の物質循環というものに生産の基礎を置いているということに非常に大きい特色があることから、その基本的性格そのものが環境保全型のものであり、またそうあるべきであるというぐあいに認識しているわけでございます。  特にお触れになりました水田について見ますと、そこに水をたたえるというような独自の農法でやっておりますことから、お触れになりました土壌の流出防止とか窒素の吸着といったような水質浄化の作用、また地下水の涵養作用、それから洪水防止作用といったような積極的な環境保全機能もあるというぐあいに認識しているわけでございます。  ただ、最近ちょっと問題になっていますところは、過剰な化学肥料、また農業の過剰投与といったようなことから水質汚濁や生態系への影響等というものが問題になってくる、また生じ得る問題もあるわけでございますが、本質そのものは先ほど申し上げたような本来環境保全型のものであり、また環境保全型に配慮される格好で運営することが十分可能であるというぐあいに考えておりますので、そういう意味での健全な発展を期待しておりますし、私どもはやはりそういう農業の特性というものをいろいろな広報活動の中でやっていく必要があるというぐあいに考えております。
  98. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 関連して建設省にも一言お伺いいたしますけれども、今のこの水田の保水力、これはダムとしての機能があると考えるわけでございまして、防災なりあるいは治水の観点から水田の保水力をどういうふうに評価しているか。特に中小河川の整備率が三割そこそこと非常に低いわけでありますから、この水田の治水面での役割は非常に大きいと思うわけでございます。いわゆるこの治水能力としては五十億トンあるいは六十億トン、水源涵養としては数百トン、こういう水田の機能を言われるわけでありますが、その辺、ひとつ建設省に簡単にお答えいただきたいと思います。
  99. 市原四郎

    説明員市原四郎君) 先生の御質問は水田の持ちます保水力、特に中小河川というものに対してどう考えるかということだろうと思いますので、御説明いたします。  中小河川の治水計画といいますのは、その流域の土地の利用の状態というものを勘案いたしまして、計画の雨量でどれだけの水が出てくるかというようなことで計画されておるわけでございまして、降った雨がどれだけ出てくるかという出やすさの指数といたしまして流出係数というものをとっております。それは流域の状態によって変えておるわけでありまして、平たんな耕地では例えば〇・四五から〇・六とか住宅地は〇・八とかいうことでございます。この中で、かんがい中の水田は〇・七から〇・八、このように考えて、こういった係数を盛り込んでその土地利用変化を勘案して中小河川計画を立てておるという状況でございます。  そこで、先生お尋ねのその水田の役割の評価ということになろうかと存じますけれども、その水田がどういう流域にあるか、それから水田の形態がどういう状態であるか。かんがい中で完全に水が満杯になっておるか、それとも全然まだ水がない状態にあるかというような状態。それから、その水田がどれだけその流域で占めておるか。特に人家連檐部などにございますように、その水田がどのような形に変えられているか、こういった状況。それからさらに、大雨が降ったときにその水田がどういう状態にあるかというようなことにょってその評価は変わってくるんじゃないかと思いますが、計画の中ではこういうものも見ますし、出水の時期によりましては非常に大きな評価をしているんじゃないかと思います。  また、涵養、保水という観点におきましては、その時期だとかそういう状況によっては評価されるべきものだと考えております。
  100. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 次に、農水省にお伺いいたしますけれども、環境問題に関連いたしまして先ほど環境庁の方からも若干触れられましたけれども、農業を積極的に環境保全農業に持っていこうという努力が今国内国外に見られるわけでございます。ヨーロッパの条件不利地帯の所得保障を考えた対応というものもありますけれども、それとは別にいたしまして、例えばアメリカのLISA、ロー・インプット・サステーナブル・アグリカルチャーという低投入持続型農業ですか、こういうことで生産性、生産力を落とさないでかえって生産を上げていこう、こういうことが考えられておるわけでございます。化学肥料、農業をできるだけ少なくして生産を確保しようと。こうなりますと、これは一石二鳥、三鳥の成果を上げるわけでございます。  今、農水省は新しい時代への政策に取り組んでおるわけでありますけれども、項目としてはその中に環境農業、こういうものが掲げられておりますが、それにはどんなメリットを期待し、どんな課題を抱えながらどのような取り組みをしているのか、お聞かせいただきたいと思います。とにかく、これは思い切った施策を図っていただきたいと思うわけでありまして、二十一世紀が食糧農業環境の時代、こういうふうにも言われるわけでありますけれども、その最も中心となる課題ではないか、こういうふうに思うわけでございます。  農水省、お願いいたします。
  101. 猪股敏郎

    説明員(猪股敏郎君) 今、先生の方から御指摘ございましたように、欧米におきましては農業生産の拡大に伴いまして土壌流亡とか地下水汚染といった問題が顕在化してきておりまして、EC諸国では粗放的農法を採用した農家に対して助成するとか、アメリカにおきましてはLISA農業、いわゆる低投入持続型農業というものを推進するというふうなことで研究、普及等に対して助成を行っております。  一方、我が国につきましては、先ほど先生からも御指摘ございましたけれども、雨が多くて森林の割合が多い、あるいは傾斜地が多いというふうなことから地下水等の汚染が進みにくい状況にありますし、また水田農業を中心としておりますので水の働きによって非常に環境の汚染が進みにくいといった面がございまして、そういった面で欧米とは異なった条件下にあるかと思います。  こういうふうなことから、我が国では農業に由来する環境の悪化は欧米と比べてさほど表面化していないということでございますけれども、一方では、少しずつではございますけれども、一部地域で地下水の汚染とか湖沼の水質について環境の悪化傾向も見られるわけでございます。こうした状況の中で、現段階から、農業者だけじゃなくて国民の御理解を得ながら、農業が本来有します物質循環型産業としての特質を生かしながら生産性の向上と両立し得る環境保全農業の確立に向けて積極的に取り組んでいくことが大変重要かと思っております。  こうしたことから、平成四年度から、環境保全に配慮した新しい農法の確立を中心として、地域実情に応じた環境保全農業を積極的に推進していきたいと考えております。
  102. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 次に、建設省にお伺いいたしますが、長良川河口ぜきの問題でございます。  先ほど西野先生から環境庁にお尋ねがありましたので、私は建設省の方にお伺いいたしますけれども、今回の追加調査の発表、これは環境庁調整を行ってやったわけでありますが、その内容を簡潔に紹介していただきたいのと、今後どのような環境保全対策をさらに進めていくのか、見解をお聞きしたいと思います。簡単で結構でございます。
  103. 荒井治

    説明員荒井治君) 長良川河口ぜきに関しまして、一昨年の環境庁長官見解を踏まえまして、特に三項目の追加調査を一年間にわたって精力的に実施いたしました。  その三項目につきましては、まず第一に、河口ぜきの設置によって水質に変化がないかどうかということを水質の数値シミュレーションによって計算しなさいということでございました。これにつきましてはいろいろ検討いたしまして、基本的にBOD及び表層のDO、溶存酸素でございますが、については環境基準を満足するということがわかっているところでございます。それからまた、渇水面で一番厳しい年について適用いたしますと、底の方の溶存酸素、DOについて、ほとんど満足するわけですが、八月に若干環境基準の五ppmを下回るときがあるというような予測結果が出ておるわけでございます。  二点目のカジカ類。これはカジカ類についていろいろ調査をいたしなさいということでございますが、せきの設置によって、遊泳力の弱いカジカという底をはう魚が果たしてせきを上れるのかどうかというようなことでございます。カジカと似たようなのでハゼというのがございますけれども、ハゼは吸盤があるために非常に上る力があるわけでして、それよりももっと弱いカジカはどうかというようなことでございました。この点につきましてもいろいろ現地の採捕実験等も精力的に行い、かつ室内実験でのいろいろな水路実験等も行いました。その結果、後ほど述べますような影響軽減対策を若干追加する必要があるだろうというようなことになっております。  また、三点目につきましては、高水敷の動植物の中に貴重種はいるのか、それについてどのような保全対策がというようなことでございました。  現地調査をした結果、植物ではタコノアシという貴重種がいるということがわかりました。あと鳥類では、カワウ、カワセミ、タゲリという三種類の鳥類がいるということがわかりましたけれども、まずタコノアシにつきましては、木曽川、揖斐川、長良川一帯に非常に多く生息分布していること、また既に改変された高水敷にも既にタコノアシというものが生息していること、そういうようなことである程度水際に生える植物でございますが、これらについては環境に十分配慮した形で対応できるんではないかというように考えております。  また、鳥類につきましては、カワウ等はそこにねぐらがあるわけではございませんで、鉄塔の上にねぐらがあって、水面に来て魚等を食しているわけでございますが、そういうことでカワウ、カワセミ、タゲリ等につきましては基本的には大きな影響はないだろうというように考えております。  それで、先ほどの魚類等につきまして影響軽減対策というものを実施いたしたいということで、参考人の意見聴取の中でも早瀬式魚道ということがたしか水野先生からもお話がありましたけれども、まず呼び水式魚道につきまして若干改良を加えたいということで、現在呼び水式魚道というのは左右岸に二本すっ四本ついているわけでございますが、その一門にデニール式魚道というものを設置しようと。これは欧米等で行われているわりかし遊泳力の弱い魚も上がれるというようなものでございます。  また、玉石を敷き詰めるような玉石急遽に四門のうちの一門を行う。また、上流に行ってからの川岸に浅瀬が必要であると。これは小さい魚が大きい魚に食われてしまう、そのときどうしても逃げ込むような場所が欲しいというようなことがございますので、魚類の生息環境のために岸辺に浅瀬を設けるような多自然型の岸辺づくりをする。要するに、捨て石によって浅瀬を設けるようなことをして、やはりアシ、ヨシを復元させるというようなことも行うというようなことであります。  それから、せき完成後におきましては、これらについて効果を判定するためのモニタリングを実施するというような影響軽減対策を考えております。  そういうことで、この結果等につきまして、建設大臣におかれましても、環境面について大きな問題はなく、考えられる影響についてもさらに一層適切な保全対策を講じ極力軽減するよう努力することとしており、これらの措置を十分講じることにより関係自治体や治川住民の要請に十分こたえられるものと確信しているというような御見解を付されております。また、これらにつきましては、水質関係魚類関係、植物、昆虫、鳥類等の十五名にわたります学識経験者に御指導いただいて、これらにつきましても環境庁当局との調整をさせていただいてやったわけでございます。  なお、これらの結果につきましては、治川市町村当局及び住民に順次説明してまいるというようなことを考えております。よろしくお願いいたします。
  104. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 お答え要りませんけれども、河口ぜきの建設に当たりましては、環境面で最大の配慮をすることは言うまでもないわけでありまして、今後できるだけひとつ努力を願いたいと思います。  ただ、河口ぜきの建設が沿岸住民の生命なり財産などのいわゆる安全にかかわる治水対策でありますから、この環境と安全、治水対策、二者択一という形ではないというふうに私思っておるわけでございます。したがいまして、環境問題はともかく、治水効果なり治水の必要性、そういうものに対して疑問、批判が非常に報道されておりますけれども、建設省といたしましてはぜひ住民の不信を招かぬように十分配慮して説明もしていただきたい、こういうふうに思います。  それから最後に、地球環境問題になりますけれども、外務省にお尋ねいたしたいと思います。  いよいよサミットが近づいたわけでありますけれども、二十年前のストックホルム会議はこれは先進国のイニシアチブで開催されたわけでありまして、しかしそのときも途上国は環境破壊の最大の原因は貧困にあるんだ、こういうふうに強調しておるわけでございます。いずれにいたしましても、貧困格差是正のための途上国の開発というものはこれから不可欠だというふうに思います。そういう中で人口が年一億人ふえている。その九五%が途上国、こういうことでありますから、途上国問題はやはり人口問題、それから開発の促進、こういうことになると思います。  人口問題はいろいろ難しい問題があるようでございますけれども、ひとつ実態だけお聞かせいただきたいわけでありますが、今の途上国の人口の動向、全体の動向もそうでありますけれども、タイ、インドネシアのように成長が進んだところでのいわゆる人口増加、それから依然人口がふえている国、そういうふうに分けて幾つか教えていただければ幸いと思います。
  105. 隈丸優次

    説明員隈丸優次君) 御説明申し上げます。  世界全体の人口の動向でございますが、国連の統計によりますれば、一九五〇年に二十五億であった世界全体の人口が一九七五年には四十億、一九八七年七月には五十億、現在約五十四億ということでございます。国連は同じく若干の予測をやっておりますが、今世紀末には六十四億、二〇二五年には八十五億、さらに二〇五〇年には百億に達するであろうというふうに予測しております。  東南アジアの地域におきまして、タイ、インドネシアの人口増加率でございますが、低下が若干目立っております。両国の八五年-九〇年の年平均増加率はそれぞれ一・五三%、一・九三%でございまして、一%台ということでございます。同じく東アジアでは中国、韓国の人口増加率の低下が顕著でございます。他方、南西アジア地域、国で言いますればパキスタン、バングラデシュの人口増加は顕著でございまして、それぞれの国の八五年-九〇年の年平均増加率はそれぞれ三・四四%、二・六七%ということでかなり大きい数字となっております。
  106. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 終わりますけれども、いわゆる地球環境問題、CO2の抑制問題、特に途上国の要望がどうなっているのかということを聞きたかったわけでありますけれども、それはやめにいたしまして、環境庁もいわゆる環境保全環境無償、こういうものに非常に取り組んでいる、こういうふうに聞いておるわけでありまして、ぜひひとつこれからのODAは環境無償でふやす、こういうことで頑張っていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。
  107. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは質問させていただきますが、今までの同僚委員の御質問と若干ダブるところがございますので、その辺は適当にひとつ御答弁いただければと思います。私は、きょうは地球環境サミットに関連したことに集中をして質問させていただきたいと思います。  まず最初に、日本は世界最大の貿易黒字国で、何か最近もまた額が上がったと出ておりました。そして経済大国と言われておりますので、今度の地球環境保全に対する我が国の先進国としての役割、特にいわゆる公害先進国、今や環境対策先進国と言った方がいいんでしょう、これにつきましての責任も非常に大きいんではないかと思います。  そこで、新聞を先ほども言われておりましたが紹介いたしますと、四月五日ですから昨日の朝日を見ますと、地球環境サミットの最終準備会が四日をもって幕を閉じた。そのときに言われていることは、我が国は十省庁で四十七名の大代表団であると。だから四十七士が乗り込んだのかと思ったんですが一だれが山鹿流の陣太鼓をたたいたのかなと。これが問題ではないかと思うのでありますが、その中に消極的な対応が目立って異例とも思えるような日本批判の声がしばしば上がったと書いてあります。大変私は気になりました。例えばトミー・コー議長さんが二度にわたって日本は積極的にアイデアを出してほしいとこう言ったと書いてあります。それから、ECやNGOの集まりでも日本は後ろ向きだという批判が何度か聞かれていると。これは私はやっぱり先進国としても非常に残念な話であるということでございます。  これに対応しまして今や地球と人類の将来はどうなるかと言われているわけですから、この危機を救うために私がお聞きしたいのは、具体的な貢献策をどのように描いておられるかということを伺いたいと思います。
  108. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 日本の取り組み姿勢についての御指摘がございましたけれども、やはりこれは国際的な交渉でありますからその間の経緯のいろんなことを出席しておった者からけさ聞きました。いろんな経緯があるんですが、国際交渉の中のことですから一々ここでちょっとお話しするのもあれかと思いますけれども、世界各国なかなか経済が厳しい中で、私どもは外国から来る各国の方にも申し上げているんですが、日本はその国際的地位に応じた資金なりなんなりを出すつもりは十分ありますよということははっきり申し上げております。そういう態度を示しているという点においては私は十分評価されていると思うんですね。  ところが、どういう報道だか知りませんけれども、日本だけが多大な資金を持つんじゃないかというような報道が過去になされたことがございます。そういったものを信じてと言うのも悪いかもしれませんが、そういったものがあるのかなという判断から出た人は、日本が全部持ってくれるわけじゃなかったのかと思っている人もゼロじゃないかもしれないんですね、これは私の想像でございますけれども。そういうところから考えてみますと、やはり日本の国際的地位、国力に応じた負担はいたします、そういう覚悟の上で国際的な資金のメカニズム等をつくりましょうということを提案している上では、日本は一番積極的な発言をしていると思います。ただ、具体的にトミー・コー議長の中でどういうことになったのかというのはよく調べて、もしなんでしたら後で御報告を先輩に申し上げさせていただきたいと思います。  それで、やはりここでいろんなことがあります、日本は積極的に資金も出してこい、それで竹下賢人会議も開かれる。そういう中で、いろんな発展途上国の方が来ますけれども、これくらいのことをしてくれたらいいよとか、いろんな非公式な話のサウンドの中である程度の方向性を資金問題等では出せていけるんじゃないか。非常に難しいと思うけれども、やはり最終的には先進国団が何もしないというようなことではこれは済まない問題であろうというふうに感じております。  それから、新聞の批判にいわゆる地球憲章が多少トーンダウンしたんじゃないかというようなことも書いてございましたけれども、これは交渉の過程をいろいろ聞いてみますと、やはり主催国であるブラジルがリオデジャネイロという名前が入った方が好ましいということ、それから環境と開発というような文字をきちっと入れたいというようなこと、そういうこと等から、内容のトーンダウンでなくてタイトルがそういうことになるであろうというような合意が大体された。しかし、内容については、多分よく御存じだと思いますけれども、トミー・コーさんが相当指揮力を発揮されてまとめたようですから、これからまたいろいろ議論が出てくる可能性があると思います。  私は意外に問題になるのはCO2の問題じゃないかと思うんです。これについては先ほどからいろいろ日本はアメリカ追随じゃないかというような御批判も受けましたけれども、全くそういうことはございませんで、今全力を挙げてアメリカに対して我々なりECなりと同調できるような方向でいってもらえないかということをお願いしているところでございます。  そういう中で、やはり国際交渉ですからいろんなことありますけれども、この会議の成功に向けて政府一体となってやっておりますので、どうか先輩のいろんな御助言、御指導を賜りたいとお願い申し上げます。
  109. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 先ほど来国際会議だから調停ということは確かに日本の立場としてもそうだと思いますが、相撲で言うと調停は行司でございまして、行司は大事な役割でございますけれども主役はお相撲さんでございまして、テレビはみんなお相撲さんを見ておりまして行司の方を見ていないわけでありますから、調停に余り徹してはいけないんじゃないか。日本の主張するポイントはどこだと。これがアメリカと同じであっても結構だし反対でおっても結構だし、やってみたらちょうど足して二で割ったと、これも主張として結構だと思うんです。  しかし、そういう意味で我が国のやっぱり英知を集めたそういう提案が私は具体的に必要だと思うんです。私はサイエンスをやった人間なものですからどうも抽象的なことでは満足できませんので、ユニークな独特なアイデアで何か主張してもらいたい。たまたま外国と一緒になってもそれは十分結構でございます。そういう意味です。  それで、実は二番目に地球環境保全の財源のお話を伺おうと思ったんですが、この間たまたま竹下さんとお会いして、リオデジャネイロに参りますので端っこに座っていますからという話をしたら、何でもお金はたくさん出すんじゃないかと言われているようで実は困っているようなお話を私にしておられました。当然だと思うんです。賢人会議だといって献金会議じゃございませんので、賢人が集まるという意味で、知恵を出し合って日本も応分の資金を出すということであろうと思いますので、何だか質問が少し途中でぐあいが悪くなりましたけれども、そういうことなんです。  それで、後で財源というのはどういうふうにお考えかも実は御返事していただきたいんですが、一つの考え方として、新世界環境保全戦略というんですか、そこが軍事費の一定割合を削減してこれを地球環境保全の資金としてはどうかという考えがある。これは何かというと軍事費というのは言いたくなる場所でございますが、東西冷戦が終わったんですから、これはどうしても今までどおりの軍事費を考えれば年間世界で一兆ドルという話だそうですからもう相当なものでありますし、我が国にすれば防衛費でしょうが、そういうことのある意味でのイニシアチブを平和国家を国是とする我が国がとれないだろうか。これを含めて財源の話をおわかりの範囲でひとつ教えていただきたいと思います。
  110. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) この財源の問題というのはやはり各国いろんな事情があろうかと思うんです。それで、くどいようでございますけれども、今世界の枠組みがまとまれば私どもは資金を出す、応分の負担をする用意がありますということを明確に言っているのは日本であろうと私は思うんですね。そういう中で、今ちょうど終わったばかりの会議でも結局この問題は決着がつきませんでした。そして、これからいろいろ論議がされていくと思うんですが、やはり私は現実問題として、言い方を改めますが、ストロングさんが主宰する賢人による会議、竹下元総理、海部前総理、そして平岩経団連会長がホスト役を務められる。ここで論議されることがこういった問題の討議のための一つの筋道をつくってくれるんじゃないかと期待もしているわけでございます。  債務救済の活用だとか国際公共財の使用とか、また環境税とかいろんな論議がされております。理想的にはブルントラントさんが言うように、CO2税を世界で協調して取って、そしてCO2の方もそれによって抑制するし、それを目的的に環境保全に使うということは非常に私は望ましいことだと思うんです。しかしながら、やはり各国それぞれの立場、都合、いろんなことがあると思いますから、当面は各国それぞれに資金の調達の仕方というのは考えていったらいいんじゃないか。それをどのように集めでどのように使っていくという枠組みをこの賢人による会議なりUNCEDでつくっていったらい。いんじゃないかというふうに考えております。
  111. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のお話、私はそうだと思いながら承りましたけれども、要するにお金は出す、出したからには口も出すということだと思うんですね。お金を出して口は出さぬから日本は何ぼでも言えば出すんではないかと思われているのでございますから、金を出したら口を出す、出させないんならやめる。これはやっぱり原則だと思います。それが一つ。だからそのためには具体案が要るということを私は申し上げているんです。こういうことをやってくれるなら出したい、出すつもりがあると。  それから、もう一つは軍事費の問題。やっぱり世界各国はそれぞれまだためらっているんでしょうから、我が国は平和国家なんですから、我が道を行くという意味でのやっぱり防衛費削減をある部分充てるとか、そういうイニシアチブをとるというのは、もっと先になったときに日本は非常にいいことを言ったなということになろうかと私は期待するんです。  そういうことがございますが、もう一つはさっきの四月五日の朝日新聞で、これも聞き捨てならぬことが書いてあるんです。大きな山場は資金協力問題であって、南北が対立したときに猛反対していた米国が一転これを認めた。そうしたら、その直後にやはり反対していた日本はそれを容認したと。甚だけしからぬ話ですね。これは日本が追随したということを明確に書いております。言いわけがありました。日本はもともと考えておったんだ、だから言ったまでだというんですが、タイミングが悪いと書いてあります。このタイミングでいけば日本は追随したと思われる。これはどうなんでしょうかね。
  112. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 実を言いますと、先ほどの話にちょっと戻らせていただけたら幸いでございますけれども、言われました発展途上国でどういうことをしてくれるんだ、どういうような対策をしてくれるんだというようなこと。そしてそれをきちっとやってもらうようなUNCEDなり国連なりの組織、こういったものをきちっとして実質的に役に立つ対応をしてもらいたい。それは受け入れ能力と申しましょうか、そういうことをしなきゃいけないということが私の主張でありまして、これはストロングさんの方にも申し上げまして私どもの主張が入ったと思いますけれども、ストロングさんのバックグラウンドペーパーにも出てまいりますし、そういうことが非常に大切だと思います。  このODAに関して、例えば今は非常に要求ベースでやっております。この間もインドの環境大臣が来られまして話したんですが、今はこういう項目を出してやる、だけどこれからはそうはいかなくなるよと。やはり環境に対して必要なことは環境ODAとして直接ODAは特にこういうことをやってくださいという時代に入っていくんですよということを話しているんです。それに対してトルバさんは余りそういうことを条件づけないでくれというような話をされましたけれども、私はそれはそういうわけにはいかなくなるよということで、かなり本音で各国と話しております。  そのときに、もうこれは去年からでありますけれども、GEFの組織を変えて窓口をいっぱいつくってくれとか、新しいグリーンファンドをつくってくれとか、またニュー・アンド・アディショナルとかいろいろおっしゃられます。そこで私は、現にこれは外国の環境庁長官との会談で私申していますからみんな知っておりますけれども、ニューとかアディショナルとかいう言葉の問題でない。やはり我々だってお金をつくって出すというのは大変なことなんですよ。それを今枠組みをつくろうと言っているんだから、皆さんはそれを有効に使ってくださることを考えてください。だから、それがニューだとかアディショナルだとか、お札には色がついていませんよ顔が書いてありませんよとまで私は発展途上国の環境庁長官の方たちに申し上げております。  その中でアメリカ側、まあアメリカは非常にスマートにやられるわけですが言われましたけれども、またこれも後で会談、いろんな交渉事の内答ですから全部申し上げるわけにはいきませんけれども、結論としてニューであろうとアディショナルであろうと資金を出すことが大切で、これをきちっと出す用意があるよということを表明しているのは日本だけである。そこいらをひとつ考えていただけたらと思うわけであります。  細かいことはまた後ほどお知らせしても結構だと思います。
  113. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大臣のお話は私は原則的に非常に賛成です。やっぱり注文つけてくださいよ。お金に印がないからという手はありませんね。それは監査ができるんですから、やっぱりそのつもりでひとつやっていただきたいと思います。  それから地球環境問題というのは、私は公害研究所にもおりまして、そのときの名前が国立公害研究所でございました。あれはインスティチュート・フォー・エンバイロメンタル・スタディーズでもともと環境研究所と書いてあるんですが、日本語は公害と書いてあるんですね。それがそもそも公害であったんではないかと思いますけれども、今や環境という名前に変わりましてよかったと思っております。  この地球環境問題がこんなにクローズアップされるとは、私もいささか専門の分野に携わっていた人間として思いも寄りませんでした。だから環境庁はしっかりこの体制を組んでもらいたい。与党の委員さんからも環境庁を省に格上げしろというお話ございました。私も当然省に上げるべきだと思うんです。省に上がらなければしょうがないんじゃないか、こう思っているわけでございますが、このことはそのおつもりですね。
  114. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) やはり先輩もうすべて御存じのことでありますけれども、この庁ができたときにも、例えばごみの問題一つにしてもこちらで持っておくべきかどうかというような議論もあったそうです。また、現実に仕事を持つかどうかという面で公共事業調整費が持てないかとか持てるかとかいう議論もあったそうです。そして、やっぱり私はすべてのそういった現実的な問題を考え合わせてどうあるべきかということをこれから議論していかなきゃいけないんだと思うんです。  まず第一に環境に関する基本法みたいなものが必要ではないか。これは宮澤総理も答弁しておりますが、そういったことはやろうということでありますので私ども準備しておりますけれども、まず環境基本法があって、そこの下に手続とかいろんな法律があるというような体系をつくって、環境に対する物の考え方をきちっとしていかなきゃいけない。そういったものを踏まえて、それでは今の単なる調整官庁でいいのかどうかということをいろいろ検討していかなきゃいけない。ただ名前がついただけでいいということでなくて、いろいろな現実的な検討が必要だと思います。しかし、それをやるには大変なことだと思いますので、どうか御助力を賜りたいと思うわけであります。  そして、やはり今アメリカでも環境庁が、この間ライリーさんとハビックトゥ次官が来て、やっと下院だけ通った、上院が通ればこれでもって省になるんだと、こうおっしゃっていましたけれども、やはり世界がそうなっていく中で、象徴的にも環境保全型、そして持続可能な開発というようなコンセプトが入ってきた時代にやっぱり私は省であるべきというふうに思っております。
  115. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の長官の御発言はこれは与党はもちろんだと思いますが、本委員会の野党側の委員も話をしておりますと全部環境庁をバックアップしていきたいと。しかって文句つけておられるように見えますけれども、皆さんがみんなバックアップする態勢なんですね。私なんかそう思っているわけで、環境庁OBのつもりでおりますので、そういうことでしっかりやってもらいたい。だから省と庁を合わせて象徴だとおっしゃったのかと思ったんですが。  そこで、一つ私は注文がございますけれども、環境アセスメント法です。これは九十四国会に提出をされてそのままお蔵入りになりまして、昭和五十九年八月閣議決定ということで決着をつけたわけです。あのときの次官が正田さんでした。正田さんと実は組んでこれをがっちりやろうじゃないかというわけでいろいろとお願いをしたんですけれども、閣議決定という線で落ちついて、環境アセスメント法はだめだったわけです。つまり環境庁は出さなかった、出せなかったということだと思います。省内でまとまらなかったんで決議でいったと。首かしげておられるからこれは見込みありますね、長官。  それで、日本は公害輸出国だという国際的非難も受けて裁判まで起こされている例があるんですね。だから、我が国に国内法としての環境アセスメント法がなくて地球環境を論ずるのは私はおこがましいと思うんです。これは何遍も私は委員会あるいは本会議で主張いたしました。一番近いところでいうと平成元年二月十五日の百十四国会の本会議で私は国内アセスメント法はどうしても必要であるということを申し上げましたが、私は早急にこれは持つべきでないかというふうに思います。大臣のお考えはいかがでしょうか。
  116. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 実はアセスメント法案は国会に提出をされました。そして廃案になりました。その廃案になったときの環境委員会の自由民主党の責任者が私でございます。ですから内容をよく存じておりますけれども、先ほど委員が今環境というものがこれだけ注目される時代になったというのはまさに驚きだという趣旨の御発言をされておられました。あのころは環境特別委員会。しかも環境特別委員会をやっておりますと、私は実はそのとき大蔵委員会の仕事をずっとやっておったんですが、それと一緒に環境委員会をやりました。比較してみますと、何か環境委員会というのは特別な人たちが集まってそこで環境環境とやっている、こういう感じだったんです。今はまさにその感じが変わってきた。  でありますから、あのころアセスメント法案をやりましたけれども、それに対していろんな懸念が出されまして、裁判が多発されるんじゃないかとか、これは実体法なのか手続法なのかと。実体法だとしたらそのアセスメントという理念をこんなことで出してこれで大丈夫なのかとか、いいのか悪いのかとかいろんな議論があって、結局はこれは民主主義ですから御賛同が得られなければ成立しないわけですね。私の記憶ではたしか野党の一部の方も反対であったと思います。そこで採決すればこれは否決されるということで、もちろん自民党の中にも反対があるであろう、否決されるんではないか。この間の政治改革法案と比較しちゃいけないかもしれませんけれども、審議未了、廃案にしたわけであります。  その後、御存じの閣議決定のアセスをやって、アセスというやり方も大変定着してきたと思います。そこで、このアセス法を持つべきだと私どもも思っております。そして、こういうものも必要であろうということをたしか総理もこの間御答弁されたと思います。そうなりますと、先輩だからここまで申し上げていいかどうかということもちょっと考えるんですが、やはり環境基本法というものをつくった場合にはそのアセスの実体法的な部分はそこに入らざるを得ない構造かなとも思うんですね。そういうことをこれからずっと検討していかなければいけないというふうに考えております。
  117. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 公害基本法は今や環境基本法と名前を変えるべきでございますから、確かに大臣おっしゃるようにそういうふうに整備をしてそのときに環境アセス法を必ず持っていくと、お忘れなくひとつお願いしたいと思います。  そこで、その次に途上国への環境技術移転ということを申し上げたいと思うんですが、例えば昔の公害というのは局地的な問題であったんですね。これは非常に昔の話で私が教授になりたてのころで、偉い公衆衛生の教授が一月一日の新聞にこれくらいの大きな記事だったと思いますが書いたの読みましたら、排気ガスで街路樹が枯れる。街路樹が枯れると炭素同化作用が減る。つまり熱帯林と同じです。したがって札幌の空気は酸素が薄くなると書いてあったんです。今思えばグローバルな問題である。私はびっくりしまして問題を提起したんですが、公害をそう思った人がいるんですね。これは冗談じゃないと。札幌の空気が仮に薄かったらそれを吸うのは札幌ではなくて南風が吹けば岩見沢の人がこれを吸うのでありまして、札幌の人は吸わないんです、空気は動いておりますから。  それから、もう一つそのときに言ったのは、街路樹が枯れるのが問題だったら冬になったらみんなないんですから、常緑樹以外は。そうすると、冬はいつでも酸素が足りなくて高地のような訓練を受けることになるのか。これもばかばかしい話で、空気は地球を回っていますね。そのころはそこまでの考えはなかったんですね、三十年近く前ですから。今やグローバルな問題として酸性雨が例として取り上げられますが、当然ここで発生したのはここの人が吸うよりは隣の方が吸うわけだから、動くんですから。そういう意味で空気の塊が動いていってそのままそこにとどまるかどうかは問題だろうと思いますが、そういった意味でのグローバルな問題として我々は考える必要がある。ということは、環境技術は日本なら日本だけで持っているのではなくて途上国にむしろ移転しなければならない、こう思うわけです。  それで、私が委員会その他で主張いたしました高桑提案を申し上げますと、もう数年前に言ったんですが、少なくとも環境を測定するステーションが世界各国になければならない。東南アジアも同じです。しかもその技術的レベルが一緒でなければ、あるいは測定器具が同じレベルでなければ比較ができませんので、そういうものをそろえるという必要がある。モニタリングステーションシステムをつくるべきだ。これに金が要るのであればステーションをつくるのに例えば日本は三割を負担するから七割そっちで出せ、技術は国立公害研究所でトレーニングする。こういうステーションをつくるべきだというのが私の提案の一つでございました。今それはやっていないんだろうと思いますが、例えばそういう具体的な案を私は環境庁に期待しだいです。ただこうやれというプリンシプルではだめだと思うんです。ということで、ひとつお考えをお伺いしたいと思います。
  118. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先生おっしゃられましたように、モニタリングあるいは調査研究の必要性は全くそのとおりだと思います。そして私どもといたしましても、UNEPあるいはそのUNEPのもとでのGEMSと申しています先生よく御存じの地球環境モニタリングシステム、それから世界気象機関、WMOが実施いたしております全球大気監視計画、そういった中でのモニタリングという計画に積極的に参加をいたしております。特に平成二年十月におきまして国立環境研究所に地球環境研究センターというものを設けまして一アジア・西太平洋地域を中心とした地球環境の定期的かつ長期的なモニタリングを実施すべく業務を開始いたしております。  このセンターはUNEPの先ほど申し上げましたGEMSのデータベースの一つの基地としても活用されているところでございます。今後とも、アジア地域を中心としたモニタリングネットワークの充実を図るということで、国際的にも貢献をしてまいりたいというふうに思っております。  また、先生も御高承のとおり、無償資金協力でタイに環境研究研修センターというのを三月二十日にオープンいたしました。また、中国の北京におきましては日中友好環境保全センターといったものをつくるべく今着々と準備が進んでおります。また、同様にインドネシアのジャカルタにおきましても環境管理センターといったもののプロジェクトが進められておりますが、いずれにおきましてもモニタリングが重要な要素ということで、これを推進してまいりたいというふうに思っております。
  119. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のことで一つこれも注文ですが、大臣もおっしゃったと思うし与党の議員さんもおっしゃったと思いますけれども、例えばODA、ですが、日本からの技術移転を環境ODAにある意味では重点を置いて援助の主軸にしていくようなことも緊急な課題として今ホットなときに考える必要があるのではないか、こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
  120. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 先生おっしゃられました、ように、環境分野のODAが近年急速に増加いたしております。ちょっと数字を申し上げますと、一九八六年ということでございますので昭和六十一年でございますが、ODA全体の中に占める割合が四・八%、金額でいきますと三百二十九億円程度、無償有償技術協力を含めての環境分野のODAでございますが四・八%程度でありましたのが、一九九〇年におきましてはこれが一二・四%、金額でいきますと千六百五十四億円程度にまで膨れてきております。  途上国におきますこの分野のニードの大きさ、それからこれまでの過去の傾向を見ますと、今後とも充実されていくものというふうに期待をいたしておします。
  121. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そういうときのリーダーシップをとるのにも我が国において国内のアセス法が私はやっぱり大事なものになるんじゃないかと思うわけです。  それで、次にバーゼル条約の批准のことをちょっと伺いますけれども、批准加入国はこの二月で二十カ国に達している。それからUNEPからの、何か外務省の連絡らしいですが五月五日にも発効するようだ、EC諸国も六月のサミットまでには批准の意向で動いているようであると。しかるに我が国はまだその動きがないのではないか。そういたしますと、環境問題に取り組む姿勢が口ほどになく何もやらないのではないかという非難というか批判を浴びるのではないかと思いますが、これについてのお考え、見通しはどうでしょうか。
  122. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) このバーゼル条約に対する対応というのはこれは急ぎたいということで今やっているわけでありますけれども、やはり民主主義の世の中でありますからいろんな意見がございます。それを今政府部内で鋭意調整をしているところでございまして、この調整を急ぎまして、早期に法律をまとめもということに努力してまいりたいと思っております。
  123. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 時間もだんだん迫ってまいりましたが、先ほど来やはり問題になっておりました地球温暖化防止条約交渉について伺います。  これも非常にホットな新聞ニュースで見ますと、四月四日あたりの新聞に載っておりますのは、炭酸ガスの削減がアメリカにおいては非常に経済に大きな打撃を与えると米国政府の高官を震え上がらせたと。こういうふうに新聞は大げさに書きますね、震え上がったと書いてありましたよ。それで米国大統領はこの案を引っ込めないんなら私はサミットに出席しないというふうな言い方をした、こういうことが出ております。そうすると、米国の主張を通せば条約は骨抜きになってしまうし、ブッシュさんが出席しなければすべてがブッシュの中でやぶの中になってしまうということで実効が期待できないということだと思います。  ですから、こういった意味でこれに対して日本の態度はどうなのか。これは伝えられるところCO2削減については日本は頑張っていると。しかし、今まで言われているのはいつでも最後はアメリカに追随するのではないか。これは論理的に言っても非常に残念な話でございますから、やっぱり我々がそれを主張するんであればサイエンティフィックなデータを提供して、これ以上は下がれないということがなければ説得力がないわけです。環境の北、開発の南と言われて、経済はむしろ南の方が求めているわけでございまして、今さら先進国が開発発展を目指して炭酸ガスを多く出してもいいという論理は通らない。これはもしその余裕があるならそのリザーブは南の方にやらなければだめなのではないか。この責任を南が問うているわけでありまして、南北はここでもめているというのが本当だろうと思うんです。  ですから、我が国は地球の将来、人類の将来を考えた人類益あるいは地球益というものにポイントを置いて主張していくのか、それともやっぱりアメリカの傘の下でなければ暮らしていけないとおっしゃるのか、この辺は難しいところだと私は思いますよ。現実の問題としてはなかなか難しい点があるだろう。しかし、ここからは下がれないという方針がなければならぬと思うんですね。  そういうことで、この炭酸ガスというのは地球温暖化の温室効果ガスすべてを含んでいるんですね、本当は。フロンはもう一九九五年でしたか全廃という方向だと、これはそういうふうになりました。そのほかメタンだとかNOxだとかいろいろありますが、そういう温室効果ガスすべてに関する規制を炭酸ガスが代表しているんだと私は理解しているんです。そういうことで、オランダなんかは海面が上がってきたら困ると言っておりますし、小さな島はもちろんそうでしょうね、水没するかもしれない。  一方では、森林国は熱帯林を伐採する規制が入ったら困るとか、何かもう利害が非常に錯綜しておって、調停役、行司も大変だろうと思いますが、我が国はその中でどう考えていくのか。これが今度のサミットの最も焦点に置かれる問題ではないかと私は思いながら、大臣の御見解と今の見通し、そういったものをお伺いしたいと思います。
  124. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 委員御指摘のとおり、この問題が一番重要な問題になってきはしないかという感じを持っております。といいますのは、先ほど申し上げましたようなことで資金についてもいろいろな話し合いはあると思いますけれども、一つの方向性は出てくるんじゃないか。  それから、フロンガスについてはこれは白人種の方たちが皮膚がんになりやすいということがあって非常に熱心でありますから、日本が同調すればこれはできていくことになるということだと思います。そして、フロンガスは温暖化ガスでありますけれども、フロンガスが壊していたオゾンも温暖化ガスであると。だから、オゾンが減ったということにおいてフロンガスによる地球の温暖化効果は結果として見れば相殺されていたと。これからフロンガスをやめにしたらオゾンが復活してくると。これは温暖化ガスでありますから、もっとCO2の温暖化効果を助成されてプラスになっていくだろうということが考えられております。  そして何の知見をとるかということですが、気候変動に関する政府間パネル、御存じのIPCCです。これは各国全部出てやっているわけです。ここは検証に検証を重ねておりますが、CO2の温暖化効果に対してこれは危ないという結論であって、大したことでないという結論は一つも出ていない。昔から考えられてきたことが、もっとこれは我々として考えて注意していかなきゃいけないことだという厳しい結論になってきております。  その中で、CO2の発生量を減らさなければいけない。釈迦に説法でございますけれども、産業革命の前から何十年か後になると空気中の炭酸ガスの濃度が倍になるというんですね。それからまた数十年でまた倍、三倍になっちゃうと。それで、〇・五%ずつ毎年CO2の含有量がふえていく、こんなことを続けていっていいわけがございませんと思います。そこで何とかしなきゃいけないということで、私どもとしましては、ECと私ども大体のところ合っているんですが、二〇〇〇年までにおおむね一九九〇年のレベルで安定化させる。そして日本においては、十九省庁が集まってこれを温暖化防止行動計画という計画にまとめて、政府が計画を持っております。  この間もECの環境に関する大臣会議の議長国のポルトガルの環境大臣も来られましたけれども、二人で話し合ってこれでアメリカを説得していこう。いろいろな面でそういうことを今やっております。発展途上国の方が参りますから申し上げるんですけれども、いろんなことは考えていくけれども、この点については皆さんもちゃんとやってくれよと言うと、EC、日本の主張で結構だという方ばかりに会っております。  しかしながら、今アメリカが乗ってきてくれていない。この間うち、我々は二〇〇〇年までに一九九〇年レベルと言っているんですが、アズ スーン アズ フィージブル フォー インスタンス バイ ジ イヤー ツー サウザンド アット ザ レベル オブ ナインティーンナインティーというのをアメリカがちょっと言ったんですけれども、それもまた引っ込めちゃったということでありまして、非常にぐあいの悪い状態になっている。  そこで考えますのに、アメリカが今CO2の発生量の四分の一、二五%近くを発生している。日本はこれだけの工業生産をやりながら四・七%しか発生していない。でありますから、アメリカを除いて条約をつくってみたところでアメリカが出してしまえば実効性はない。しかしアメリカが入って実効性のない条約をつくってもいかぬという大変なことに突入しそうなんですね。ですからこそ私どもは我々と考えを同じくしてくれる世界の方と一緒になって、ともかくアメリカを説得していこうということをあらゆるレベルで努力をいたしまして、この条約が意味のない緩いものにならないような努力を今続けているところでございます。
  125. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 では一言だけ、時間になりましたので。  今の話は大事なことだと思いますね。ですから、日米二国間では難しいから、日本がいつも外圧をこうむっては何かかんかやらされていますので、今度はアメリカに対してたくさんのEC諸国等と一緒になって外圧をかけて、そしてアメリカを譲歩させるというところで日本の存在をひとつ世界にも認めてもらえるように、つまり国際貢献を日本がどれほど真剣にやっているか、私はこっちの方が一番大事な国際貢献ではないか、こんなふうに思います。  ありがとうござました。
  126. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、従来からたびたび申し上げてまいりましたように、サミットの成功と地球環境の保全のためには、何よりもまず日本国内の足元の公害の根絶と被害者の完全救済が急がれるということを申し上げてまいりました。  そこで、限られた時間でありますので、去る三月三十一日に判決がありました新潟水俣病第二次訴訟地裁判決についてお伺いをしたいと思います。  御承知のように判決の要点というのは非常に簡潔でありまして、国の賠償責任は逃れましたけれども、四肢末端の障害の存在する原告について、疫学的な状況と四肢末梢性の感覚障害のある者についてはこれは水俣病によるものと推認できるということで、九十一人中八十八人に三百万から八百万の損害賠償を支払うべきという内容でありました。そういうことについてこれは論評している余裕がありませんので申し上げませんが、そして加害者であります昭和電工の村田社長が四月二日の早朝に、  当社は一昨日の新潟地方裁判所の判決を厳粛に  受けとめ、新潟水俣病を発生させましたことにつ  いては深くお詫び申しあげます。  当社は判決内容と対応を検討しますが、新潟水  俣病問題の早期解決のため誠実に取組むこと  (協議を含む)を約束します。という確認書を提出しておるわけでございます。  つまり、原告は国の認定基準が狭いということがあって切り捨てられていた被害者が訴訟に立ち上がって、十年もかかって司法のもとでやっと昭和電工の賠償責任が認められたものであります、事実は。国は賠償責任を逃れたとはいえ、被害者救済の政治的責任は逃れられないと思うのであります。きのうの報道によりますと、四月の八日ないし九日にこの確認書に基づいて昭和電工と患者会との交渉が設定をされたやに伺っております。  そこで、政治責任を逃れられないという立場にある環境庁長官昭和電工に対して判決に従って賠償命令に応じるように指導をすべきだと思いますが、いかがですか。
  127. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 去る三月三十一日の第二次新潟訴訟の判決の件につきましては先ほど先生御指摘のとおりでございますけれども、昭和電工に対しまして環境庁として云々ということについては、私どもさような考えは毛頭持っていないところでございます。
  128. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 部長、それはけしからぬですよ。だって、かつて八五年八月十六日の熊本の水俣第二次訴訟の判決で原告が勝訴をしたときに、環境庁長官がチッソに働きかけて上告を断念させた。被害者を救済するという立場をとった例があるじゃありませんか。現にそういうことが過去にやられているにもかかわらず、する気はありませんとは一体何ですか。長官、ちょっとはっきりしてください。
  129. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) この水俣病に関する患者の認定は医学を基礎にしてそうした知見に応じて公正に行われる必要があるということで、現行の水俣病の判断基準について私どもがやっていること、これは医学界の定説となっている知見を基礎とした適切なものであると私ども考えておるわけでありますのでありますから、私どもの主張が認められなかったということは、厳しい判決であるというふうに、我々の判断と違うということは感じております。
  130. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは御理解が間違っていると思うんです。私明確に言うたでしょう。政府の認定基準に入らなかった、狭いから。あなたのところの定説だと言われている認定基準に入らなくて切り捨てられた被害者の方々が訴訟に立ち上がって司法救済を求めた。司法救済の結果、これは水俣病だというふうに裁判で認められたんですよ。だから損害賠償を払いなさいと言っているんだから、そういうことが明確に裁判の判決で出たんだから、そういう状況なら司法救済で早く解決をしなさい、また上告や何や言って長引かせるのではなしに的確に早く司法救済には対応しなさいという、そういう助言をしたらどうかということを申し上げているんです。あなたのところの基準が悪いとか憩うないとか言ってない。はっきり聞いてくださいよ。
  131. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 裁判の結果については、司法当局から損害を負担するべきところに申すことだと思います。
  132. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 昭和電工にはそういう助言はしないんですね。そうすると、前よりも現在の環境庁の行政というのは後戻りをしている、逆行しているということを示すんですよ。いいんですか。
  133. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 今、先生から判断条件の問題についてのお話がございましたけれども、三月三十一日の判決の一カ月ほど前の二月七日には、東京地裁の同じ水俣病に対する、これは阿賀野川ではなくて鹿児島の人たちを中心にした訴訟に対する判決がございました。この際は、国の判断条件、認定条件につきましてこれは妥当であるという旨の判断がなされ、その一カ月有余の後、新潟地裁での判断が示されたわけでございます。  この判決の内容につきましてはなお詳細には検討する必要がございますけれども、今回の判決は公健法の認定業務のあり方そのものについては何ら言及されておらない。原因企業でございます昭和電工との間におきまして、現行の水俣病の判断条件によって認定申請を棄却された方々に対しましても、原因企業との間の損害賠償請求事件の判断として水俣病と認められるとしているもの、そういうふうに考えているわけでございます。
  134. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 わずかな時間の質問ですから、私がお聞きをしたことに対して御答弁をいただきたいと思います。  いずれにしても、八五年当時の環境庁よりは現在は後退しているというふうに私は認めざるを得ません。  次に参りますが、水俣病総合対策事業についてお伺いをいたしたいと思います。  平成四年度の予算というのは十億四千万、そのうち国の負担というものは五億二千百万円ですね。    〔委員長退席、久保田真苗君着席〕 事業内容等は私、事前に伺っておりますから細かく伺うつもりはありませんが、この総合対策によって各地の原告を含む救済を求めている被害者全部を総合対策事業の対象者として実施をするんでしょうね。
  135. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 私どもこの水俣病総合対策につきましては、これは裁判に関しまして原告であるとか原告でないとかということにかかわらず、これから国の方で出します総合対策に対する実施要綱に基づいてそれに該当する方々、そういう方々に対しましてはこの対策の対象者として事業実施してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  136. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これも細かく聞きたいと思ったけれども、時間がないから、これはできるだけ広く、被害を訴える方々には全部対応されるように厳に要請をしておきます。  それで、この水俣病総合対策事業を出してきた中公審の去年の十一月二十六日のこれをよく拝見してみますと、こういうふうに書かれているんですね。四肢末端の感覚障害を有する者について個々の症候とメチル水銀との関連の有無を判断するのは困難で、一方、裁判所には事実認定の権限が認められ、裁判官は法的因果関係を認定できる、こう述べているんですね。そのとおりなんですが、行政としては汚染原因者の損害賠償責任を踏まえた対策はできないと説明をされていますね、これを拝見すると。  つまり、水俣病問題の損害賠償責任は裁判所の権限で認定できる。    〔委員長代理久保田真苗君退席、委員長着席〕 司法の場での水俣病の認定と救済をこれは中公審も認めているんですね。その上で、水俣病をめぐる問題の解決が長期にわたっていることは甚だ遺憾である。行政が健康上の問題について行う対策について、水俣病をめぐるすべての問題を解決できるわけではないと述べながらこの総合対策を御提起なさったんですね。これはまあ当然といえば当然なんです。これをやったからといってすべては解決できないと中公審も言っておられる。  ここで国と環境庁は、今、国会でも水俣病問題の早期解決に努力することを表明しておられるんですから、水俣病総合対策事業だけで中公審も指摘しているように早期全面解決にならないのは明らかなんで、この機会に関係高裁、地裁の呼びかけている和解のテーブルに着く以外にやはり全面解決の道はないのではないかと思うんですが、その全面解決をそういうこともあわせておやりになるかどうか、その点についての決意を伺いたいと思います。
  137. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 国としては、先ほど先生御指摘のように、昨年の十一月二十六日付の中公審答申をいただいて以来、平成四年度に総合対策実施するべく準備してまいったわけでございます。  この総合対策につきましては、幸い今回の予算案に盛られているわけでございますので、環境庁といたしましては、この予算が成立後できるだけ早くにこの対策実施いたしまして、そして水俣病の早期解決に向かって全面的な努力をさらに続けたいというふうに考えているところでございます。
  138. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、今回の水俣病総合対策事業で水俣病をめぐるすべての問題の解決にならないという中公審の御意見を踏まえて、総合対策と同時にできるだけ全面解決に進んでいきたい、こういうお考えですね。
  139. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 国としては、今度新しく実施されます総合対策を中心にして、従来からの認定業務の促進はもちろんでございますけれども、それらの政策と相まって水俣病の解決に努力を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  140. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 中公審では、今申し上げたように、これだけではすべての問題の解決にはならないと明確に答申は書いている。さっき部長もおっしゃったんでちょっと触れますが、東京地裁の判決に触れながら、やっぱり全面解決について本当に腹をくくった対応を私は環境庁に求めたいと思うんです。  東京地裁の判決というのは非常にマスコミでも手厳しい批判があったような内容になっていますね。これはもう申し上げる必要はなかろうと思いますけれども、国の責任は免罪された。国の責任は免罪されたけれども、国の認定基準から漏れた人たちのうちそれでも三分の二の原告の方々には損害賠償を認めたんです、わずか四百万というのはむちゃくちゃですけどね。一生を台なしにして四百万の損害賠償というのは人をばかにしていると思いますけれども、しかしそれでも三分の二の方々には損害賠償を認めた。これは政府の基準から漏れた方々ばかりですよ。  こういう状況から見ますと、私は本当に環境庁が腹をくぐってやらなきゃいけないのではないかと思うんです。東京地裁の判決をさっきも御引用になりましたね。いわば環境庁が引用するほどの環境庁の思うような判決なんでしょうけれども、それでもやっぱり三分の二は救済しているんです。認めなかったら四百万の損害賠償なんて命じないんですからね。そのことが現実にあるわけです。  それから、東京地裁の判決でも、和解における救済の基準というのは判決での容認の基準とは違ったものになっても当然容認されるというふうに述べられています。だから、東京地裁の判決はこれは水俣病問題の解決の基準にはなり得ないということを判決が明確にしているわけです。しかも、東京地裁の判決というのは国に和解のテーブルに着くことを求めているじゃないですか。最後の章で言っているでしょう。水俣病被害の拡大防止のための行政措置が不十分だったと述べ、国と県には政治的責任があり、国には水俣病を解決する責務があると書いてありますね。国の行政の基本方針の変更と早期解決の決断を迫って国に和解のテーブルに着くことを求めているじゃありませんか。そうでしょう。いやいやそうですがな。書いてあるとおりに言っている。  東京地裁の判決も含む一高裁四地裁の和解勧告について、東京地裁の判決も求めているこの和解に、チッソと県が和解に応じているにもかかわらず着いてない。かたくなに拒否している。この東京地裁めおたくの方がしかみつくというか大変よりどころにしている判決でさえも国に和解のテーブルに着くことを求めているんです。それで東京地裁の判決の後で熊本の知事さんも言ってますよね。今後も和解協議を県は重ねていくんだ、環境庁も立庁の趣旨に立ち返って和解のテーブルに着くべきだ、こう言っているでしょう、実際。そこまで来ているんだからこれは決断をするときへ来ていると私は考えます。  こういう中で、東京地裁の判決でも言っていますが、チッソの経営状態から見て国、県の関与なしには水俣病紛争の解決は不可能、国には解決の責務があると言っているんですから、大臣、地球サミットヘ行って胸を張ろうと思ったら、これは今こそ関係閣僚会議を開いて、水俣病の全面解決をやっていくための和解のテーブルに着くということをやらなければならないところへ来ていると思うんですが、大臣の御決断を伺いたい。
  141. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) この問題は、何らかの損害が国民に発生したときにそれをどこまで国、すなわち国民全体の負担で見るかという行政としての基本的な問題を含んでおりますので、私どもとしては裁判によって、こちらも一方の当事者になっているんですから、そこで結論を出していただきたいということでやってまいったわけでありまして、私どもから和解ということがなかなかできないというようなことでございますので、今総合対策ということで、行政ででき得るぎりぎりのところを踏み出すような格好で総合対策を進めて、解決に向かって努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
  142. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 時間ですから。
  143. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう時間ですので終わりますが、今の大臣の御答弁は極めて不満であります。そういうやり方をやっていたら最高裁に行くまで、そうしたら被害者が全部死んでしまうまで救済をしないという態度になるんですよ。これは深く反省をして決断してもらいたいということを重ねて要請して、終わります。
  144. 粟森喬

    粟森喬君 まず、今回法律でも出されているわけでございますが、絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律案が既に衆議院に付託をされています。この種の種の保存にかかわる問題というのは、この間環境問題の中で非常に大きな高まりがありまして、むしろ私も含めて遅きに失したんではないかという感じがするわけでございます。  この種のことがなぜできたのかという社会的背景とか国際的背景というものはいろいろあるわけでございますが、私はやっぱり注目しなければならないのは、この間、いわゆる普通の市民といいますか国民の方がこの種のことに関心を持ち、そしてそのことで一定の役割を果たし問題提起してきたことがあり、そしてさらには国際的にもこの種の保存がいろんな地域で言われでこういう法律ができたんだと思います。  今日までのことをざっとお尋ねをしたいと思いますが、いわゆる市民団体といいますか、NGOというのは国際的な言葉でございますから適当ではないと思いますが、やはり行政にかかわりのないその方々の情報というのを皆さん行政としてどう扱ってきたのか、そしてまた今回の法律を通じてその種のことのいわゆる意見交換といいますか情報提供というものをどう扱うのか、その辺の環境庁の基本的な姿勢をまずお伺いしておきたい、こういうふうに思います。
  145. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 私どもこのたび絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律案というものを提案させていただいておりまして、いずれ具体的には御審議いただく機会があるかと思っておりますが、実は野生生物の種の保存ということに今回ターゲットを絞った提案になっておりますけれども、基本的には私ども自然保護の仕事をし、またその基本的な考え方といたしましては、自然環境保全法というのがありましてここにおきます基本方針なるものを受けて種々の行政をやってきておるところでございます。  今お尋ねの野生動植物に関しまして各方面で大変関心が高まってきておりまして、また民間団体でもいろんな活動がなされ、あるいは地方でも自治体を初めとしていろいろな保全活動が進んできておるということは確かでございますが、今般の法案の提案に至りますものは、実は私どもが野生生物課というものを六年前につくりまして、そこから始まっておるかと思っております。  野生生物課が六年前にできまして、やはり野生生物の保全についていろいろ検討しなければいけないというところからまず取り組みましたのが調査でございまして、私ども自然保護の立場で言いますと緑の国勢調査と称するものを環境庁発足以来やってきておりましたけれども、こういった種に着目した調査というのは新しいものでございますが、その調査が大体五年ほどかけましてまとまって、いわばレッドデータブックというような形で公表されるに至ったわけでございます。  そういった過程を経まして、実は自然環境保全審議会というふうな審議会を私ども持っておりますけれども、そこでも関心といいますか問題提起がありまして、いろいろこれの制度化を進めるべきではないかということになってまいりまして、昨年の秋、私どもといたしましてはこの審議会に対して諮問をいたしたわけでございます。この諮問の結果、やはり急ぐべきものとしては種の保全に関する法律の制度化というものであると。幅を広げますといろいろやるべきことはありますけれども、そういった御指摘がありましたので、それを受けて立法化の作業を進めてきたわけでございます。
  146. 粟森喬

    粟森喬君 まだよくわかりませんので、もう少し詳しくお尋ねしたいと思います。  一つは、今までにも既存のいろんな法律があって、そして一方いわゆる市民社会と言われるところで自然発生的に環境問題の関心が高まる。今日の法律の策定作業とか行政の対応というのがどうも立ちおくれているというか、一方では環境問題というのは個人的な価値観の差というのが相当ございます。どちらを選択するかというときに、法がある意味では一つの価値観に対して左右するという意味や、あるいはその法に基づく行政というものがそういうもので規定をされるという意味では確かにおくれてやむなしみたいな側面があります。  やはり今日の社会の中で、環境問題がこれほど厳しく危機感を持って訴えられるというのは、依然として法律や制度の不備が依然として内在をしているという認識、これは環境庁長官にもお尋ねをしたいと思いますが、そういう認識で今日おられるのかほどほどなのかというその辺のところに対して言うならば、私はやっぱりまず出発点は環境行政なり立法行為といいますか、そういうものが私はおくれているという認識に立つべきだと思いますが、環境庁長官、その辺いかがですか。
  147. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 自然環境保全という立場からは、実は先ほども触れましたような自然環境保全法というのが環境庁ができました直後にてきておるわけでございます。これに沿いまして基本方針などが定められる。あるいは当時からやはり我々は自然環境に関するデータを持たないのではどうしようもないということで自然環境保全調査をやってまいったわけでございます。  そういったものでございますけれども、生態系の保全という考え方は従来から法律の中にも若干あったわけですが、種という観点からのものがない。それで、実はバイオダイバーシティーの国際的な動きの中でもそういった角度のものがないのはやっぱり抜けているといえば抜けているということで、ぜひまず取り組もうというふうに考えたわけでございます。
  148. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 多分御質問環境庁全体の法体系の中でどうあるべきかというお話じゃないかと思うんですが、やはり環境問題、従来は二十年前に環境庁ができたときの何か悪いものが出てきたからそれを取り締まろうという公害対策、何といいますか公害対応型、対策型。そうして自然保護も絶滅していくものを拾っていくような、要するに対策、対応型といいますか、それに比べて今の時代の環境のあり方というのはもっとプリベンティブといいますか、環境全体を考えて社会生活、国民の人々の生活、経済のあり方もやっていかなきゃいけないんじゃないかという時代へ入ったわけですから、根本的にやっぱり私は環境基本法みたいなものがあって、その下にこういう現実的な整備法だとかいろんなものがあるという法体系が望ましいんじゃないか。  そういうことについて、今この地球時代の環境行政のあり方、法体系のあり方等について諮問委員会にこれを諮問いたしております。いろいろ勉強していきたいと思っております。
  149. 粟森喬

    粟森喬君 大体、それ以上聞いてもあれだと思います。私はやっぱり行政なり国の対応というものがおくれていくという現状認識から、ぜひともそういう基本法の成立やさまざまなところについてやっていただきたいと思います。  今度のあの法案が出されるというときに私は一つの関心を持って見ておったんですが、国際的に見ると、例えば動物保護官とか生物に対する保護のためのいろんなことをやっているところが幾つかございます。動物保護官なんかというのは国家公務員とかそういう人がやるというケースが多いわけですが、今日の社会の中では、ボランティア的にやっていただく人たちをそういうところに一定の資格なり条件を付与してやっていくということなどを検討していかないと、すべて行政が一般的な行政の枠組みでやるだけでは問題の解決にはならないのではないか、こういうふうに考えますが、その辺は政府としてどんなお考えでしょうか。
  150. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 御指摘のとおりでございまして、私どもとしましてもこれから行政を進めていく上でぜひボランティアの力もかりたいということで、実は今回の法案では民間の方を野生動植物種保存推進員に委嘱しまして、啓発、調査あるいは助言等の活動ができるように考えているところでございます。
  151. 粟森喬

    粟森喬君 ちょっとニュアンスが違うと思いますが、いずれにしてもそういう制度をいろいろ試行錯誤しながら網羅的につくっていただきたいということでここはお願いをしておきたい、こういうように思います。  次に、一点、農水関係で松くい虫にかかわる問題。先日、これはさらに計画を延長するということで通ったわけでございます。過去にも、松くい虫駆除の空中散布におけるいわゆる他の昆虫であるとか鳥であるとか、さまざまな影響の問題がいろんな自然保護団体からも意見を出されていたわけでございます。  それで率直にお尋ねをしますが、このときに私どもも調べようと思って環境庁にも多少の資料提示をいただいたんですが、あの程度なのかという感じがちょっとしたんです。そういう一つ一つの問題提起に対して、きちっとした対応で現実に空中散布における動植物に対する影響なんかを具体的な資料として数字としてお持ちなのかどうか、そこをお尋ねしたいと思います。
  152. 伊藤卓雄

    政府委員(伊藤卓雄君) 私どもは残念ながら具体的な活動との関連でのデータは一切持ち合わせをしておりませんが、動植物の保護地域であるとか大事なところについてはできるだけ避けるようにというようなことは両者の申し合わせになっております。
  153. 粟森喬

    粟森喬君 きょうはこれ以上言いませんが、私が松くい虫の空中散布でやったとき、いろんな問題があるというのをいろんな団体から言ってくるわけです。私も多少その種の人たちの意見もお聞きをするけれども、何らかの客観的な物差しが欲しいというときには行政なら行政にそんなところ調べたことあるのかと。これはたまたま林野庁が担当ですが、林野庁はとにかくこの法律を通してほしいということで、いや問題はありません、できるだけ制限をしてあります。そして今までから見ると農業もちょっと薄めたりしたとかそういう話で、こっちには情報もほとんど出してこない。  一方、環境庁に聞けば、多少調べであるけれども、それ以上になると行政の一つの縄張りという話が適当かどうかは別にして、余り突っ込んでそれをやるということはお互いに行政官庁同士としてはどうも難しいというこういう御意見をいただく。だとすると、私は何を物差しにしてどうそれを処理するかということが全くできないという状態になるんです。  ですから、この種のことについて一つの例示で申し上げたわけでございますが、私は例えば今度のバーゼル条約の問題一つ見たって、推進する通産省や厚生省が監視にかかわる問題を幾らやったって、別にきょうは環境庁の応援演説に来たわけじゃないんだけれども、やっぱり私は行政の中でチェックをするということでないと、証券の問題もそれで出たんだし、お互いにどんな行政でもそういうお互いが監視するものと推進するものばどこかで区分けをしなければならない。  松くい虫という全政治行政領域から見たらごく少数でございますが、私が痛感した一つでございますから、今後この種のことについて積極的に前へ出るという姿勢環境庁としておありなのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。できたら長官にも一言答弁を願いたいと思います。
  154. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) やはり役所へ来てみましてこうして仕事をしてみますと、現実には各役所の所掌というのが決まっておりまして、その中で動くものですから委員の御満足のいけないような格好も出てくると思うんです。  バーゼル条約に関する法律はちょっとこれとは局面が違うかとも思いますけれども、あらゆる面で、地球環境なり我々の生活自体が持続可能な開発という中で、環境という視点をやはりあらゆる経済に組み込んでいかなきゃいけないという時代になりまして、まさに環境庁のあり方、環境行政のあり方というのを考えていかなきゃいけない時代、そういった大きな考えの中で微力ですがいろいろ一生懸命やってまいりたい、こんな感じを持っております。
  155. 粟森喬

    粟森喬君 今までは優しく申し上げて、次に水俣病のことについて、今度はこれはきっちりお答えを。  同僚議員からも出されておったわけでございますが、今回の問題で私なんかも考えて非常に難しいと思うのは、一つは新潟地裁の判決と東京地裁の判決が多少違った面も出てきた。これは行政に対して一定の見解なりこれからのあり方を求めるに当たってちょっと弱ったというところもあります。しかし、基本的には私は司法判断を求めざるを得ない。司法判断を求めるに当たって国は当然そこに見解を言っているわけでございますが、少なくとも司法判断の根拠というのをやっぱり重要視して、これに対してきっちり受けとめるという姿勢がどうもこの間の新潟地裁判決以降の対応の中でも感じられない。  この辺のところについてこれからどうしていくのか、まず基本的なこととしてお尋ねをしたいと思います。
  156. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 今回、新潟地裁の判決におきましては、疫学条件と四肢末端の感覚障害だけでもってこれは水俣病だというそういう判断をしているわけでございますけれども、これは一カ月ほど前の東京地裁ではそういう判断はいたしておりません。  そこで、私どもといたしましては、昭和五十二年の通知の判断条件、これはその後昭和六十年の専門家会議、それからごく最近、昨年十一月の中公審答申、そこにおきましても国の判断条件は妥当である、こういうことが述べられているわけでございますけれども、こういうようなことから、環境庁の定めている水俣病の判断条件は現在におきましても医学界の定説となっている知見を基礎として適切なものである、こういうふうに考えているところでございます。
  157. 粟森喬

    粟森喬君 何となくそれが行政の見解だという意味で私は少し問題提起をしたいわけです。  確かに一つの判断だけで、別の確率があるということは当然あると思います。やっぱり司法判断を求めざるを得ないというそれぞれの原告団の置かれた問題、それから裁判では必ずしもそういうことが争われたと思いませんが、地域社会の中でやっぱりある種の、私はしびれがあったんだとかこういう感覚があるんだということは、あの人は水俣病に関係なくほかの病気をすりかえて言っているなんという、そういう問題意識では裁判までやれないものですよ。裁判で判断を求めるというのはよっぽどのことというのが一般的な国民の常識でございます。私はそういうことを考えたときに、今の行政の判断基準というのはどこかでそういう個別のプライバシーも重要視しなければならないが、ちゃんとできるような体制をやっぱりっくっていただけることがこれからの問題ではないかと思います。  特に、もし皆さんが言うことが妥当だとすれば、今回総合対策をなぜつくったのかというのは、いずれにしても今までの行政の判断の限界を超えたところに熊本なら熊本の問題で一定の判決があった。新潟はまた新しい判決の材料があったわけでございますから、この種の問題について今までも何回も答弁をいただきましたが、もう少し新しい行政の判断基準をつくるべき段階に来たんではないか、こういうふうに思いますので、答弁を大臣にもお願いしたいと思います。
  158. 柳沢健一郎

    政府委員柳沢健一郎君) 今まさに先生がおっしゃったようなこと、これは中公審の答申におきましても、水俣病とは認定されないものの水俣病にも見られる感覚障害を有する人、それからそういう人たちに対して医療の機会を確保するということが必要である、あるいはそれはその地域における社会的問題となっている、そういうような判断が示されているわけでございます。  先生の御趣旨のいわば解決の方策にもなるという考え方でもって今回国の総合対策を進めることになったわけでございます。この総合対策によって医療の確保はもちろんのこと、療養手当として月一万六千円ないし二万二千円というその療養手当の確保等々が行われるわけでございますので、私どもはこの総合対策をこれから十分実りあるものとするように実施をしてまいらなければならないというふうに考えているところでございます。
  159. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) やはり先ほども御答弁させていただきましたように、行政というのは国民から預かったもので動き、国を預かって動くわけでありますから、どうしても先生方から見るとしゃくし定規だということに見られてしまう。そういうことがあるのかもしれませんが、やはり汚染者負担の原則という中で、国民全体でどこまでしていこうかというときにどこまで踏み込めるか。  そこで、今保健部長からお答えさせていただきましたように、やはりそれだけの根拠がないと予算要求もできないし、予算もつけてもらえません。そこで、私昨年十一月五日ですが就任して、この予算だけはどうしてもくれよということで大蔵省と一生懸命折衝いたしまして予算をもらって、そしてこの総合対策をやることによって努力をさせていただきたいということで今取り組んでいるわけでございます。  なかなか和解ということも委員からこの間も御質問ありましたけれども、やはり行政でどこまで、すなわち国民の負担でどこまでやるかということになりますと、私も半分政治家でありますから考えるのですが、行政に判断を求められてもなかなか難しいところではないか。そこでぎりぎりできるところで今努力をさせていただいている、こういうことでございます。
  160. 山田勇

    ○山田勇君 今の沓脱委員そして粟森委員の水俣の話を伺っておりました。環境委員会は私も籍を置いて長いので、この問題はもう何年来続けてきたことであります。長官、よくわかるんですね、長官の言われること。私ごとですが、これは質疑通告していませんので答弁は結構なんですが、今の流れの中から感じたことを率直に述べたいという気持ちであえて申し上げているわけでございますが、国が私企業の責任を一々負っておられない、これはもう全くそのとおりだと思うんです。これをやるともうとんでもないことで、私はその苦い経験があるんですね。  私、友人に五千万円の手形の裏書きを無知なものですからして損失を与えられた。ある日降ってわいたように五千二百七十五万円というのを払いなさいと言われてきた。これは友達の裏書きをしたんだから払わざるを得ない。しかし、これは損金として国税へ持っていって認めてくれと言うたら、これは商業上の取引の一貫性のその流れにあるから、先生これはもう残念なことですが認められないという判断があるわけですね。それと全く僕は一緒だと思うんです、今国が立たされている立場は。  私は水俣のこの問題で最後の質疑をして、そして山内さんという最優秀な方を一人亡くしております。質疑が終わった後に私の部屋へ来て切々と訴えられて、私の判断としては先生もうあれ以上の答えはできません、お許しいただきたいというで、ほんまに源流して言われたんで、いや山内局長よくわかったということでお別れして、それから間もなく御不幸があったわけで、大変残念に思っている委員の一人でございます。  それだけに、もうこれ以上私は申し上げませんが、今長官は政治の判断というのは大変立場上難しいと言われておりますが、私はここに至っては政治の決断だと思うんですね。本当は地球サミットまでにやっぱりこの問題も片づけて長官の気持ちとしてはすっきりした気持ちで行きたいでしょうが、今いろんな情勢の中で私はやっぱり判断より決断だと思うんです。これも間もなくその時期が来ると思うんですね。その時期が来ることを心からこいねがっている一人としまして、水俣問題の早期解決をしていっていただきたいと思います。  まず、地球環境問題に対する取り組みについてお尋ねをいたします。  従来、我が国の地球環境への国際的取り組みに対しては消極的かつ受動的との批判が強いばかり。でなく、熱帯雨林の問題、また流し網問題など日本は世界の環境収奪者といったイメージが広がっています。例えば日本人が割りばしを使用することによって熱帯雨林が激減しているかのごとく報道されたり、国内でも割りばし追放運動が起こっています。また、日本の流し網漁によって海洋生物が根こそぎ絶滅するという外国の報道を耳にするものですが、これらの追放運動などは事実誤認の上に立ったものも少なくないと思います。  政府としてはこれらの誤解を解くためのアピールを積極的にしなければならないと思いますが、この点はどんなものでしょうか。
  161. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) まさに先生おっしゃられましたように、地球環境問題はいろんな問題がございます。複雑多岐にわたっております。したがいまして、正しい知識を普及させていくということは非常に重要だというふうに考えております。私どもとしましても、従来から例えばシンポジウムを開くとか、あるいは環境白書というものの英文版あるいはその他の英文資料などをつくりまして、内外ともに私どもやっている施策をPRするといいますか、そういう努力はしてきているつもりでございますが、まだ十分でないという点はあろうかと思っております。  私ども、地球サミットを契機にいたしまして、さらに一層こういった知識の普及あるいは私どもがやっているものを正しく主張すべきは主張するということを貫いてまいりたいというふうに思っております。
  162. 山田勇

    ○山田勇君 流し網とか割りばしなど個別の問題に限らず、地球環境問題全般について我が国がどのように関与し貢献をしているか、環境改善に対する努力の実態を国の内外にもっと知ってもらう努力が必要ではないでしょうかと私は思います。今御答弁いただいたので結構でございます。これは食文化の一つですから、はしを使うというのは。余り言われるのもしゃくなものでございます。はしとしゃくにひっかけたわけでございます。高桑委員のかわりです。あの方素人やのに玄人つかまえて二回もしゃれ言いよりましたので、一つぐらいは返しておかないけません。  世界に対する環境貢献については、単に人、技術、資金の協力だけでなく、環境保全のための理念を掲げる必要性を感じるんですが、政府としての環境問題に対する理念を簡潔にお聞かせください。
  163. 加藤三郎

    説明員(加藤三郎君) 私どもといたしまして、先ほど御答弁でも申し上げましたが、地球環境問題に当たる基本原則といたしまして長官の懇談会で基本的な考え方を打ち出していただいております。この考え方に沿いまして、また我が国の経済力あるいはこれまでの環境の体験、そういったものをすべて活用いたしまして、長官がたびたびここで御答弁いたしておりますように、世界の環境保全に向けて積極的な貢献をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  164. 山田勇

    ○山田勇君 次に、環境行政の強化について伺います。  今年度の予算では地球環境保全関係費は十七省庁で計四千九百五十二億円となっていますが、このうち直接環境庁分としては約四十八億円となっており、総予算の一%にすぎません。確かに環境庁は総合調整官庁として設立された経緯があり、予算は少額であっても他省庁に対する指揮権、監督権があれば問題はないのであります。代表的な環境問題の例では、リゾート問題は国土庁長良川問題は建設省がイニシアチブをとっており、環境庁としてはただ意見を述べる立場でしかありません。予算も少なければ指揮権、監督権も弱く、データの集積すら思うようにできないんではないかと思うんです。  これからの環境行政の重要性を考えるとき、環境行政の強化、また内外に日本の環境行政の顔を明確にするためにも、早急に環境問題に関するデータを環境庁に集約するとともに、環境庁に対する他省庁の権限移譲を実施し、庁を省に、いわゆる環境省に格上げすべきだと考えます。これはもう同僚議員の方からも再三にわたって言われていることであります。  いろいろな意味で、長良川の問題だけではなく。公害の問題でも市民運動を一生懸命なさっている方がおられます。そのものの運動に対しては御熱心に反対運動をなさっておりますが、あの方たちにも私たちはこれからお願いしようと思う、環境庁を省に昇格するために。そういう運動にもひとつ環境庁を省にするための運動を手伝ってもらいたい。そうすると、大きな権限が移譲してくるとあなたたちが反対している問題もひょっとしたら解決するかもわからないというようなことで、市民運動の方にもこれからお願いに行かないかぬなと私は思っております。  そういうことで、ひとつ庁から省、先ほどのと重複して申しわけございませんが、また決意のほどを伺います。
  165. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 日本は昭和四十年代に大変な公害を体験しまして、公害国会をやり、環境庁ができまして二十年になりました。御指摘のとおり、その関大変環境をめぐる情勢は変わってまいりまして、今や地球規模の環境問題というのが解決すべき喫緊の課題になって、本当にこのままでは地球は危ないんじゃないかというようなことになってまいりました。国内においても水俣病でありますとか水質汚濁だとか大気の」問題とかいろいろ残っておりますけれども、要は持続可能な開発ということを念頭に置いて、社会経済のあり方、国民生活まですべて環境というものを視点に入れて組み直していかなきゃいけない時代じゃないか。  そういう時代の環境行政でありますが、委員御案内のとおり、組織、制度、法理体系はそういうふうには全然なっておりません。そこで、これを今抜本的見直しをするべき時期に差しかかっているということで、環境庁といたしましても、審議会に諮問をいたしましたり庁内でいろいろ勉強をいたしましたりしているわけでございます。そういう中で、ただ名前が省になったからいいというものではないと思いますが、さっきから申し上げておりますように、象徴的な意味においても各国が省として対応する以上やっぱり日本も省という格好でやった方がいいということは当然だと思います。  組織体制の充実の一環としてそういうこともお願いしたいし、やはりこれからの環境行政のあり方について全体を見直す中でそういうことも考えてまいりたい、このように考えております。
  166. 山田勇

    ○山田勇君 どうもありがとうございました。  次に、地球サミットについて伺います。  本年六月にブラジルにおいて地球サミットが開催され、そこで採択される地球憲章は世界人権宣言とともに二十世紀最大の精神的バックボーンになることは確実であると考えます。また、温暖化防止条約、生物学的多様性保全条約、森林憲章の合意、これらを具体化させる実行計画アジェンダ21の策定をなされようとしています。日本としても環境先進国としてリーダーシップをとり、条約の合意実施のために他国をリードし、さらに人、技術、資金面において最大限の努力をすべきだと思いますが、政府のこれからの態度をぜひお伺いしたいと思っております。
  167. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 山田委員御指摘のとおりだと思います。今、各種の準備会合が開かれましてかなりの詰めを行っておりますが、まだUNCEDに向けて解決していないこともまたたくさんございます。  そこで、今ちょっと御指摘になりました地球憲章でありますけれども、これについてはちょうど終わりました準備会合で大体素案がまとまりました。ただ内容については、まだ本会議で、そのUNCEDの本会議であろうかと思いますが、地球憲章が開かれますブラジルの都市の名前を冠してほしいというようなこともあるようでございまして、憲章ということでなくて、開発と環境に対するリオデジャネイロ宣言というようなことになろうかというような案もあるようでございまして、変わってくるでございましょう。  また、アジェンダ21も今詰めております。また資金問題、これに関しましても、日本は国際的地位、国力に応じた負担というものをする考えはございますということを真っ先に表明いたしまして、今それを国際的にどうしようかという枠組みをつくっているわけであります。  あらゆる会議に具体的提案をもって政府を挙げて出席しておりまして、困難はございますが、このUNCEDの成功に向けて政府一体となって努力をしているというところでございます。
  168. 山田勇

    ○山田勇君 地球サミットに対する我が国の資金提供額は約百五十万ドルの予定と聞いております用地球サミット合意、採択された条約の実行のために毎年千二百五十億ドルが必要と国連環境開発会議事務局は各国に提示していると報道されておりますが、求められて資金を出すんではなく、合意条約実行のために日本として積極的に資金を拠出するとともに、他国にも相応の役割分担を行うよう呼びかけるべきであると考えますが、その点いかがですか。
  169. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 流れとしては委員御指摘のとおりの方向で今動いておるわけであります。千二百五十億ドルという金額はこれはUNCEDの事務局でアジェンダ21をやるためにこういうものがあるかなということで積み重ねていったもので、直接これだけの額を当初から世界の国々で調達するということにはならない数字ではないかと思っております。  また、日本がその中でどれだけのものをどういう格好で負担するということもまだ決まっておりません。ただそれは日本の国力、今まで国連に対する拠出の割合だとか世銀に対する拠出の割合だとかいろいろございます。そういったものを参考にして、日本の経済力に応じた、国際的地位に応じた拠出はする用意があるということを表明しているのは日本でありまして、それにつれて世界の国々がそういう気持ちになっていただいて、そして世界でどういうふうにしょうかという枠組みをまずつくっていきませんと、日本一国じゃできない問題でありますから、そういう努力を今しているところでございます。
  170. 山田勇

    ○山田勇君 次に、地球サミット最大の焦点の一つであるところの温暖化防止条約については、先進国の中ではアメリカのみがCO2の排出抑制目標の設定に反対をしており、条約の合意が危ぶまれています。日本としてアメリカが条約に合意をするよう努力するとともに、アメリカが最終的に合意に応じなかった場合の対応も考えておくべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  171. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) まさに委員御指摘のところが一番難しい大変なところであります。  ただ、この温暖化の問題は先ほどもいろいろ御答弁させていただいたんですが、アメリカが最大のCO2排出国である。そして四分の一ぐらい、日本などはこれだけの工業生産を持ちながら四・七%しか出していないという中で、アメリカが加わらない条約でも意味がないし、アメリカが加わるために非常に緩い条約になっても意味がない。でありますので、どっちへいってもぐあいが悪いということでありますから、今私どもの立場は、ほぼ意を同じくするEC諸国でございますとか開発途上の国も賛成してくださっておりますので、アメリカ説得に向けて努力をしていく。今そういう段階かと思っております。
  172. 山田勇

    ○山田勇君 これが最後になると思いますが、私のところへ今国務省の日本語研修生という後々に各領事館へ行ったりするアメリカ人が二人ほどちょっと出入りをしているわけです。これは息子がロスのウィッテアカレッジの社会学部を出たもので、その卒業生で同級生がたまたま日本語研修生として外務省の関係なんかで来ております。  彼らが言うのに、この条約の問題でもアメリカはかなり反対をしてくるだろう。しかし、日本の立場としてはこれはもうノーはノーとはっきり言わないと世界の中で逆に我が国が孤立するんだと。そういう形で、強い姿勢で挑んだ方がいいよなんて時々食事をしながら彼らの意見を聞いたりして話をしております。これはぜひ環境庁長官としてもこの問題を頑張っていっていただきたいと思います。相手の名前が悪うございます、相手はストロングでございますから。ストロングに負けないように、環境庁の月光仮面としても大いに環境庁長官に頑張っていっていただきたいと思います。  これをもちまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  173. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 以上をもちまして、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公害等調整委員会及び環境庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会      ―――――・―――――