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1992-05-12 第123回国会 参議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十二日(火曜日)    午後一時三十分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      石渡 清元君     宮澤  弘君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         大鷹 淑子君     理 事                 成瀬 守重君                 山岡 賢次君                 松前 達郎君                 高井 和伸君     委 員                 岡部 三郎君                 久世 公堯君                 関口 恵造君                 原 文兵衛君                 宮澤  弘君                 久保田真苗君                 田  英夫君                 黒柳  明君                 立木  洋君                 猪木 寛至君    国務大臣        外 務 大 臣  渡辺美智雄君    政府委員        外務大臣官房領        事移住部長    荒  義尚君        外務省アジア局        長        谷野作太郎君        外務省北米局長  佐藤 行雄君        外務省中南米局        長        寺田 輝介君        外務省欧亜局長  兵藤 長雄君        外務省中近東ア        フリカ局長    小原  武君        外務省経済協力        局長       川上 隆朗君        外務省条約局長  柳井 俊二君        外務省国際連合        局長       丹波  實君    事務局側        常任委員会専門        員        辻  啓明君    説明員        防衛施設庁施設        部連絡調整官   吉田 嚴彦君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件国際情勢等に関する調査  (ドミニカ移住問題に関する件)  (国連通常兵器移転登録制度に関する件)  (北方領土問題に関する件)  (国連平和維持活動(PKO)問題に関する件  )  (在比米軍撤退日米安保体制に関する件)  (アフガニスタン及びユーゴスラビア情勢に関  する件)  (国連環境開発会議に関する件) ○所得に対する租税及びある種の他の租税に関す  る二重課税回避及び脱税防止のための日本  国とルクセンブルグ大公国との間の条約締結  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国ノールウェー王国  との間の条約締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税回避のだ  めの日本国政府オランダ王国政府との間の条  約を改正する議定書締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十四日、石渡清元君が委員を辞任され、その補欠として宮澤弘君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) 国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、二月二十七日のこの委員会で取り上げましたドミニカ共和国への日本移住民の問題につきましてそのときにいろいろとお願いをいたしました。その後、JICA移住事業部移住投融資室長さんが現地出張をなさったり、外務省としていろいろ御尽力いただいていることを御報告いただいております。そこで、きょうはそれらの確認なども含めまして若干の御質問をしたいと思います。  前回お願いしました昭和三十年九月の事前調査団吉岡報告ですけれども、大変いろいろな御心配がございまして読ませていただくということで最近拝見だけさせていただいたわけでございます。これを読みましたところが何となくわかるような気がいたしまして、これで当時両方の政府の間で移民協定とか移住契約とかそういった明文化した公文の交換はなかったと政府側はお答えになっていらっしゃるわけですけれども、本当になかったのだろうなということを推測するわけです。  移住契約は結局結ばれなかったということなのですけれども、その経緯をもう一度お話しいただきたいと思います。
  5. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) お答えいたします。  まず順番としまして移住協定経緯でございますけれども、私どもとしましては、当然ドミニカヘの移住ということになりますと協定が要るということで先方政府といろいろ折衝したわけでございます。しかしながら、これは主として先方政府事情でございますけれども、協議が調いませんで、そのかわり昭和三十一年の三月に先方農務大臣から我が方の公使に対してドミニカ政府としては国の政策として日本移住を受け入れるという意向を正式に通報してまいりました。これをもちまして我が方としては協定にかわるものとして国の意向が確認されたということで、協定自体締結されなかったということでございます。  他方先生お尋ね移住契約というのは個々移住者移住されるについての契約のことかと存じますけれども、当時日本から中南米に参りました移住者は基本的に独立の農家といいますか自営開拓農としてそれぞれの国に行かれたということでございまして、自営開拓農につきましては個々移住契約というものはドミニカに限らず締結されておりません。
  6. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、いろいろそういったものを読んでみますと、同時にスペインから移住した農民につきましてはこれが相手国政府個人的に契約をしているということもわかりましたし、日本移民の場合は個人としてもそういうことをやらなかったし、政府としても正式のものはやらなかったし、JICAの前身である海協連もやらなかった。  つまり移住のためのスタートを切ったそのときにトルヒーヨ大統領言葉を頼って契約を避けたということになると思うのですが、後々それがたたりまして大統領の暗殺というような政治状況の中でいろいろなものが御破算になっていくという、そういう災難を移住民が受けたということは私はどうしても認めるざるを得ないと思いますけれども、いかがでございますか。
  7. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) お言葉を返すようでございますけれども、私ども当時のトルヒーヨ元帥意向を金科玉条といいますかそれだけに頼って協定締結を避けだということは、先ほども御答弁申し上げたように、ございません。  確かに我が国これは独特の事情かもしれませんけれどもドミニカに限らずブラジル、アルゼンチンその他に移住された自営開拓農の方につきましては契約というものは当時もやっておらないわけでございまして、ドミニカだけの特殊な事情ということではございません。
  8. 久保田真苗

    久保田真苗君 個人のものはともかくとしまして、政府が正式に協定を結ばずに出したということは確かなのでございますよね。それがやっぱり後々いろいろな問題で差しさわりが出ているというふうに思うわけです。今、個人契約自営農としてやるということにおいては契約が結ばれるのかもしれないけれども、このときの事情としては日本移民コロニア法適用を受けるということが政府にはわかっていたわけでございます。それを移住募集に当たって移住者には知らせなかったということがあると思います。隠していたと言ってよろしいのではないかと思うのです。  確かにこの前の部長の御答弁ではドミニカ法令に従うべしということが手引に書いてあるとおっしゃいますが、一般的にドミニカ法令に従うということとこのコロニア法適用自分自身が受けるのだということとは大きな違いがあると思います。  コロニア法は、この前もう詳しく申し上げましたので繰り返そうとは思いませんけれども、これは国営集団農場に収容されるということでございまして、当然自営農ではないわけでございます。そして、自由がなかった場合が多いということでございます。自営農と思って行った人たちが、そうではない国営集団農場の何といいますか、一種の失業対策貧民対策、そういったものの対象となってここでいろいろな命令を受けながらやらなければならなかったということがショックになっていると思います。  ただ、コロニア法の中には、八年なりの月日の後、農地所有権が取得できるという一項があったはずでございますけれども、結局政治情勢の変化とかそういったことなのでしょうか、それが実行されないというそういう結果を招来しているわけでございます。つまりは知らしむべからずよらしむべしという方針に乗っていったとしか思われないのですけれども、またこのよらしむべしというところがこれも十分には行われなかったのではないか。そのとさの状況をサマライズしてみるとそのような状況であったと私は思いますが、この点についてどうですか。
  9. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 順番にお話し申し上げますけれども、先般も御指摘申し上げまし一たように、移民方々に対してはドミニカ法令適用になるということは募集要綱にも明記しまして説明会等でもお話ししておるというわけでございまして、その結果当然のこととしてコロニア法適用になるわけでございます。  ただし、一点だけ御指摘申し上げたいのは、日本からドミニカに行かれた移民方々はこれはあくまで自営開拓農でございまして、例えば確かに作物の栽培につき指示を受けたことはございますけれども、それ以外に何か強制的な義務を課されたという実情は当時ございませんでした。繰り返しますけれども雇用農ということではございません。
  10. 久保田真苗

    久保田真苗君 私がこの前お伺いしました質問の中でも聞いたのですが、入植者の人が述べていることをもう一回繰り返さなきゃなりませんですね。  そこに書いてあることは、入植してまず第一に驚いたのは、募集要綱自営開拓農であったことに対して植民地国営農場であり入植者はコロノで、国内の土地のない農民及び失業者を保護するための国営設備であった。私ども先進国の優秀な農業者を利用して自国の原始農業開発のため体裁よく受け入れたこともわかった。コロニアは周囲に鉄条網をめぐらし入り口に事務所及び倉庫を持ち、管理官以下数名の役人がけん銃を所持し馬に乗り、私どもの作業を毎日監督し、あらゆる命令、すなわちコロニアル法を守らねばならぬ奴隷のごとき感じだった。こういうふうに言っている方もあるわけでございますね。  でございますから、そういう事実はなかったとおっしゃるけれども、こういう本も残っているわけでして、やっぱり私は当時皆さんコロニア法適用を受けるものだということを知っていたとは到底思われないのでございます。ですから、これから申し上げるもろもろのことにつきまして、ひとついろいろな意味から外務省のそれなりの対処をお願いしたい、こう思います。  それで、まず地権の問題なのですが、地権の問題は大分解決していただいたように思います。この前、昭和六十年には十三件あったものが二月現在では六件が残っているという状態だというふうに言われましたですが、現在どうなのか、そして今後の見通しはどうなのかということを伺いたいと思います。
  11. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 地権問題でございますけれども、二月に御答弁申し上げたときの状況、ただいま御指摘世帯数にしまして六世帯、それと耕地面積の割合でこれまで解決したのは八五%を超えておりますのでおおむね未解決は一五%でございますが、その状況は残念ながらきょうの現在件数では同じでございます。ただし、そのときもお話ししましたように、私どもとしては、地権問題の解決というのは営農基盤の安定という意味で大変重要な問題だという認識で出先公館を通じまして先方政府に働きかけております。  それで、見通しということになるわけでございますが、きょうはしかとは申し上げられませんけれども、若干解決の方向が出てきた件数がきょう現在一件出ております。  そういうことでまだ努力をすべきところ多いわけでございますが、今後とも最大限側面的に働きかけをやっていきたいと思っております。
  12. 久保田真苗

    久保田真苗君 それから国有地が三百タレアというつもりでいたのが非常に少ない割り当てを受けて、そして自分営農基盤をつくるためにその後必死の思いで民有地を買っていった方もあるわけですね。残った方は非常に少なかったけれども、そういう方は努力をしてそうした。ところが、この民有地についても地権の問題が依然として解決されないものがあるわけです。  私は、国有地については当初からのことでございますしぜひとも外務省最大限の御尽力をお願いしたいと思いますけれども、この民有地につきましてもそういういきさつから考えますとやはり同じレベルでの援助をぜひともお願いしたいなと思うのでございます。この点はいかがでございましょうか。
  13. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 御指摘のように、民有地を取得された方で地権問題が未解決の方もおられることは我々も承知しております。もちろん民有地を自主的に自己の責任で獲得されたということで先般来の他の未解決の問題とは根本的に違いますけれども、しかしながら先生も御指摘のように、同じく移民方々関係する問題だということで私ども民有地についても同じように政府サイドで働きかけていきたいというふうに考えております。
  14. 久保田真苗

    久保田真苗君 部長言われますように、農業者にとって営農基盤というのはもうこれが死活問題でございますので、くどいようですが、外務省が当時の問題をここ何年かでぜひ解決していただくように最大の御努力をお願いしたい。そして、外務省現地大使館国際協力事業団移民皆さんと一緒になってこの問題を解決していただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  15. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 私どもも問題の重要性を十分認識しておりまして、今後とも最大限の支援のための努力を行っていきたいと思っております。
  16. 久保田真苗

    久保田真苗君 次は投融資の問題です。  移住民に対する投融資現状はどうなっているか、あるいは今後の見通し、特に当事者の希望をどうくみ上げていくのかということについて御説明をお願いいたします。
  17. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) まず移住者に対する投融資現状でございますけれども平成三年度末の実績では貸付件数が百三十五件、貸付残高が三億八千万強でございます。  それから見通してございますけれども先生承知のように、昨年の九月に投融資制度の改善を図りまして、そういうこともございますので今後につきましては従前に比し貸付申請希望者の増加が見込まれるというふうに私ども思っております。現にきょう現在になりますけれども平成四年度貸付申請案件としまして既に十七件の申し込みを受けております。  それから融資についての移住者方々希望をどう吸い上げているかというお尋ねでございますけれども、昨年九月の制度改正につきましては現地JICA事務所を通じまして各種広報に力を入れておりまして、皆様方制度実情については十分御承知だと思います。
  18. 久保田真苗

    久保田真苗君 その広報の問題ですが、JICAあるいは大使館日系人の組織を頼りにそこを通じてやらせるということが多いかと思うのです。ただ、このドミニカの場合は実際には残留した方たちが非常に少なくて、それも一部は農地を転々しあるいは離農した方も多い。そして、非常に少ない日本の人が散在しているという形なので必ずしもそのような形で広報あるいは外務省のお出しになるこういったものが徹底しないうらみがあると思うのですが、何かいい方法はないものでしょうか。
  19. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 確かに先生指摘のように、現在ドミニカにおられる移住者の方の居住地及び職業は必ずしもかつての入植地に限らない、また職業農業はむしろ少数派になっております。したがいまして、私どもとしても広報を今後どうすべきか現在いろいろ考えておるところでございまして、一般論になりますけれども、今後よりよい広報のあり方について引き続き研究したいというふうに考えております。
  20. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひいろいろな情報が行き届くようにお願いしたいと思います。  次に、奨学金要望でございますけれども、離農した方がいろいろな町へ入っていらっしゃる、そうするとその方たちのお子さん、お孫さんの問題があるのですが、この方たちが離農した以上はやはりその社会職業を身につけるということは非常に大事になってまいるわけでございます。  いただいた資料で拝見いたしますと、既に学校を出た人たちのうち約一六%は小学校中退といったような状態でございます。また、小中学校及び中退者を含めてそのレベル教育の方がほぼ半分近いという状態でございます。日本状況から見ますと、高校進学率が九割五分あるいはそれを上回るほどになっている状況から見ますと非常に教育の上のおくれが目立つように思いますし、今後その社会で一定の地位なりそれからまたまともな生活なりを得ていく上から、教育を奨励するということは先方要望のある限り最も大切なことじゃないかと思います。  それで、奨学金要望が少ないというお話を伺いましたけれども、これは一体どういう理由なのでしょうか。
  21. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 若干経緯をまず申し上げますけれども、私ども移住者の子女の教育問題の重要性はっとに認識しておるところでございまして、昭和三十八年度以降最初は無償奨学金給付制度というものをやっておりました。しかしその後、いろいろな事情がございます。例えば移住者方々もそこそこに生活基盤ができてこられたということ、それから我が方の国内事情もございまして、財政制度等もございまして昭和五十一年度以降につきましては無償奨学金制度は残念ながら廃止いたしまして、自後、貸付制度ということに切り変わったわけでございます。  問題は財源でございまして、当初から我々として原資JICAの方から出資ということで外貨で出した、ただし御案内のように、貸し付けは現地通貨でございますけれどもインフレというようなことがありまして、回収金が入ってくるのですが目減りするということで原資が大変少なくなっております。現在数十万円のレベルまで落ちてきておるということが一つ原因としてございます。  それから個々移住者方々の方の事情でございますけれども、これについては正直申しましてそこら辺についてどういうお考えか、御要望があるのか必ずしもつまびらかにはしておりませんが、奨学金の申し入れの件数が非常に少なくなっているということは事実でございまして、この辺も含めまして現地要望を今、調査しておるという状況でございます。
  22. 久保田真苗

    久保田真苗君 年に三〇%ないし五〇%のインフレなのですね。これは南米などの累積債務個人版になっているのじゃないかというふうに思われるのですが、ペソが目減りしてしまうことについて何かいい知恵はないものなのでしょうかね。  例えばドル建てペソ払いになっていまして、それは円建てよりはましかもしれませんが、ドル建てペソ払いではこのすごいインフレによるペソの下落でもって借りても返済が困難と思われるのですね。例えばペソ建て更生資金融資、こういうものの使い道の枠を広げるとか貸付限度額も大幅に増額するとか、そういったことができたら大変いいのじゃないか。そうでないと実際にはこれは使えない奨学金になってしまいますので、何とかその辺お知恵出していただけないものでしょうか。
  23. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 確かに奨学金制度及び投融資制度の共通の問題でございまして、そういう高率のインフレ国でこういうファンドをどう運用するか。確かに利用者サイドを考えますと、例えば一ドル一ペソとかにしておけばインフレもございますので利用者の方は大変便利だということですが、他方、国の財政サイドから見ますと、そういうことになると幾ら国の税金をつぎ込んでも足りぬということで大変なジレンマがございまして、現在のところ有効な抜本的な解決方法というのは見出せないという一般的な事情がございます。  他方、ただし現在の制度、例えば更生資金につきましてはそういう基本的な構造的な問題ございますが、なるたけ貸付枠原資の許す限り拡大したいということで今後ともやっていきたい。例えば昨年九月にはその更生資金につきましても枠を一〇〇%拡大するということで現在運用しておる次第でございます。
  24. 久保田真苗

    久保田真苗君 とりあえずはその枠を拡大するなりなんなりでできるだけ現地要望を受け入れていただくように御尽力をお願いいたします。  それから次に、今、調査をしていただいていると伺いましたが、この前御報告いただきましたときに全移住者に対してアンケートをお出しになったと伺いましたですね。まだ最終集約まではいっていないとは思いますけれども、どんな目的でどんなことをお調べになって最終的にはそれをどう生かすおつもりなのか、いっその結果がわかるのか、そんなことをお聞かせいただけますでしょうか。
  25. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 御指摘アンケートでございますけれども、実施時期はこの四月でございまして、対象は在ドミニカ移住関係者の全世帯おおむね二百世帯を超えております。  調査項目はいろいろございますけれども就学状況職業、それから例の地権取得状況につきましてもこれは国有民有両方含めましてもう一度事実をしっかりと把握したいということで項目に入れております。それからいろいろ移住者方々要望につきましてこの際総括的に網羅的にもう一度個々に聞いてみたいということで、要望事項アンケートの中に入れてございます。  現在回収中でございますけれども、我々としては何とか五月中には全体を取りまとめて調査の取りまとめを行いたいと思っております。それをもとにしまして、今後特にドミニカ移住者の方の施策をどうやっていくかということをそれをベースにいろいろ我々として検討していきたい、いろいろ有益な示唆が得られるのじゃないかと期待しております。
  26. 久保田真苗

    久保田真苗君 私も期待しております。  ところで、前回の委員会で売部長は御自身も、JICAの方はおいでになりましたけれども、御自身ドミニカヘ行ってそして理解を深めたいという、そういう御発言をいただいておりますけれども、その御計画はございますでしょうか。
  27. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 先般お答え申し上げましたように、私としましてもぜひ事情の許す限り早急に現地に赴きまして現地事情を把握したいと考えておりまして、まだ時期を特定するまでには至っておりませんが、可能であればことしじゅうには何とかという気持ちでおります。
  28. 久保田真苗

    久保田真苗君 できるだけ近い機会にどうぞよろしくお願いします。  それからおいでになりましたときにはいろいろ相互理解を深めていただきたいと思うのでございますけれども一つ現地の方にひっかかっていることは、昭和三十六年には移住した約八割の方が帰国するかまたは南米へ再移住されたわけですね。外務省としてはそのときをもってこの問題は、そういった帰国、再移住に援護をしたのだからこのときで問題は解決している、したがって後は外務省とは関係がないのだというような御発言が間々あったらしいのですね。それが大変何といいますか、そのよって来るところの原因までいきますと憤激を買うというようなことになっていると言わざるを得ませんのです。  それで、外務省としてはあるいは事業団としては、今現在もそのようなもう昭和三十六年で縁は切れたのだというお気持ちなのかどうか、もしそうでなければどういうお気持ちなのか、その辺をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  29. 荒義尚

    政府委員荒義尚君) 私どもは、御指摘昭和三十六年の閣議決定のことを御念頭に置かれてと思いますけれども、私どもとしてはそれでもってすべて終わった、もう関係ないということは毛頭ございません。それが証拠にといいますか、それ以降も私どもは引き続き可能な範囲で誠意をもってドミニカ移住者方々のための援護事業ということは続けておるわけでございまして、再三お答えしましたように、今後ともなるたけきめ細かく親身になってそういう要望にこたえるよう施策の充実を図っていきたい、そういう気持ちでおるわけでございます。
  30. 久保田真苗

    久保田真苗君 ドミニカ移民についてはこのぐらいにしておきますけれども、最後に一つ渡辺外務大臣に申し上げたいと思います。  私、ドミニカ移民についてやってきたのですが、ドミニカに限らず多くの中南米諸国への移民についていろいろな問題を抱えている人が多いと聞いております。私も行ったときにはできるだけそういう方にお会いしておるわけでございますけれども、問題は複雑多岐になっておりまして、現地大使館、領事館の対応も、御苦労は多いのだけれども、そしてお忙しい中さぞ大変なことだろうとは思いますけれども、ぜひ親身に応接していただきたいものだと思います。  いろいろお忙しい中ですけれども、これは日本がかつて国策として送り出したというその結果でございまして、日本の方、日系の方、そういった方たち現地で非常に有益な仕事もし生活もするということが非常に大事だと思います。同時に要望にこたえ得る制度が充実しないと実は何もしてあげられないわけでございまして、ひとつ風通しのいい親身な応対と、もう一つ制度の確立についてこれからお知恵を絞っていただきたい、このことをお願いして、大臣の御所感など承りたいと思います。
  31. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) ドミニカのことは私はつまびらかでございませんが、中南米等に移住された方々が非常な御苦労をなさっているということはよく承知をいたしております。したがいまして、できるだけ移住者方々に対して在外の公館は親切に相談に乗ってやるように督励をしてまいりたいと存じます。  ただ、非常に最近はナショナリズムといいますかそういう空気が強くて、例えばブラジル等におきましてもかつては移住会社ですか、そういうようなものがあって、日本からの移民に対しては直接的にそれに融資をしたりいろいろ面倒を見ておったのでございますが、そのことについて今ブラジルの中から批判が出まして、ブラジルに来た以上はブラジルの人である、したがって日本人にだけそういうような援助をするということは好ましくない、そういうふうな余裕金があるならばブラジル政府に直接貸してくれ、ブラジル政府は公平にブラジル国民に対して融資をすると、こういうようなことなどもありまして、ブラジルのあの灌木地帯の開発等の問題についても、実際はもう日系人に応援したいという気持ちがあってもそれは日系人というわけにいかない、そこに入植するブラジル人だというようなことで、余り日系人は恩恵を受けなかったという実例も実はあるのです。  ここらの兼ね合いが非常に難しいのですね。直接こちらが余り手出しをすると内政干渉だ、こう言われますし、手を出して見てやらないと我々移住者に対して日本は冷たいじゃないか、こういうことに受け取られることが多い。したがって、できるだけその国の法律規則に従う中でどれだけ親切にやれるかという問題になってくるわけであります。  したがいまして、今後ともいろいろな事情等を勘案いたしまして、移住者に対しては親切にひとつ対応するというように計らってまいりたいと考えます。
  32. 久保田真苗

    久保田真苗君 親切がまずスタートなのですけれども、今、大臣がブラジルの問題おっしゃいました。私はきょうはブラジルのことを論ずる用意はございませんのですけれども、大きな違いはブラジルは非常に歴史のある移住先だということなのです。ドミニカは戦後でして、それも日本が非常に困っていたころの昭和三十一年のそれも小規模な移民でございまして、どうしても人の頭から忘れられてしまうというその中で、今また昭和三十一年の話は古い話ですけれども、実は去年から大分それがこのように新聞にも雑誌にも報道されております。ということは、これは古くて新しい問題で、人の心の中から発足のときのあの苦しさ、あの不合理だという怒り、それが消えていない証拠だと私は思っております。  昨日の新聞にも現地をお調べになった調査団の報告書がまとまったというお話がございます。これによって皆さんのいろいろな苦情がさらに出てくるかもわからない。しかし私は、今おっしゃったような集団帰国段階でこの問題は解決済みという外務省の態度がもう続いていないということですから大変結構なので、ぜひこういった現地方々とのお話し合いをしていただければ幸いだと、この際お願いしておきます。ありがとうございました。
  33. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 承知いたしました。
  34. 久保田真苗

    久保田真苗君 それからこれは国連の問題になりますが、通常兵器移転国連登録制度というのが昨年の十二月ですか、国連総会で反対はなして採択されております、棄権は若干あったようでございますが。ことしの一月からこの制度はスタートしたわけですが、実はこれをやっていました軍縮センター、その長は明石康さんだったわけですが、カンボジアの特別代表になられまして、その後この軍縮センターがなくなったというふうにも聞きます。  そういたしますと、これは日本がイニシアチブをとってやった、非常にいいイニシアチブだったと私は思いますけれども、続かないとイニシアチブにもリーダーシップにも結局はならないわけでございまして、この案件が今現在どこまでいって今後どういうことが必要なのか、ひとつ進行状況等を聞かせていただきたいと思います。
  35. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 先生おっしゃいますとおり、この日本が推進いたしました通常兵器の登録制度でございますが、まさにおっしゃいますとおり、昨年の十二月九日に賛成百五十、反対ゼロ、棄権二、これはキューバとイラクが棄権したわけですが、まさに圧倒的な多数で採択された決議案だったわけでございます。  この制度は、制度的にはことしの一月一日から発足するということでございまして、第一回目の登録というものはことし各国が行った兵器の移転に関しまして来年の四月三十日までにまず登録をする、そういう制度でございます。  ところで、そういう意味で非常に新しい制度でございますので、現実にはことしの取引について来年に入ってから登録が行われるということになっておりますので、その間この登録に必要な技術的あるいは手続的な事項とか将来の登録制度の拡充の問題等につきまして事務総長のもとに政府の専門家の集まるパネルというものができておりまして、そこで将来に向けての技術的な問題を検討いたしましてことしの国連総会に報告するということになっておるわけです。  まさにそういう手続を議論して、どういうやり方であれば一番登録がうまくいくかという技術的なプロセスの側面を議論するためにパネルが設けられて、これには十七カ国から専門家が出てきておりまして、既に一月それから四月、二回にわたりましてパネルの会合が行われております。三回目の会合が七月に行われまして、一応このパネルとしての結論を出した上でことしの秋に事務総長に報告する。事務総長はそれを受けて関係各国に対して、もしこれが採択されるとすればこういう手続で来年からことしの分について報告しなさい、登録しなさいと、そういう仕組みになっていくということでございます。  ちなみに、先生が触れられた軍縮センター、軍縮局、明石さんがヘッドをしておりましたけれども、これが確かに名前としてはなくなったというのは先生おっしゃるとおりです。これはしかし、先生も大変お詳しくて御承知と思いますけれども、国連の事務局の改革ということが行われまして、従来幹部部局としては三十ぐらいあったものが二十一に縮小されたということで、政務局につきましては、調査・情報収集部、政治・総会局、政治・安全保障理事会局、それから特別政治問題・地域協力・信託統治局、軍縮局とあったものが政務二局になりまして、その一つをペトロフスキー事務次長、二つ目をジョナ事務次長が処理するということで、軍縮問題は私の理解に間違いかなければこのペトロフスキー事務次長が掌握しておって、事実上彼のもとでこの仕事が進められているというふうに理解しております。
  36. 久保田真苗

    久保田真苗君 実はこの問題は一年以上かかって提起されていったのだと思いますけれども、当時の海部首相が提言なさったり、前の外務大臣が国連総会で日本も応分の財政的な協力をするといったような発言をしていらっしゃいますが、外務省の方ではこれについての財政的な拠出、これはどのようになっておりますか。
  37. 丹波實

    政府委員(丹波實君) これは応分の協力といった場合、広く私たちは二つの協力ということを考えております。  一つは、まさにこの登録制度というものが今後円滑に行われるためのいろいろな側面的な協力、これは財政以外の協力でございまして、例えばことしの六月一日から三日まで東京におきまして軍備の透明性に関する東京ワークショップというそういう一種のゼミナールを開きまして、この軍備の登録問題について世界の関係の学者さんその他を集めて議論をする会議を設けるというのも側面的なこの問題についての応分の協力だと思っております。  二つ目の応分の協力は、先生今ちょっとおっしゃった中山大臣の演説にも出てくるあるいは海部総理の演説にも出てくる財政的な側面の協力でございまして、当時私たちが考えておりましたのは、この登録制度が設定されて将来これが拡充されていくに当たっては、国連の中に各国がいろいろなものを登録しできますからコンピューター的なデータベースというものが必要になってくるであろう、もしそういうものが本当に必要になってくる場合には日本政府としては何らかの財政的な支援をそういうデータベースの確立のために行いたい、そういうことが念頭にあってあのような言葉が表明された、あのような決意が表明されたと、そういう意味でございます。
  38. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうするとそのデータベースは、軍縮センターはなくなったけれども、政務局でデータベースの仕事もやるという意味ですね。
  39. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 先ほど申し上げました政務局、新たにできた政務局の中に軍縮室というものができておりますので、もし、もしと申しますか、この軍縮室がその登録制度あるいはそれに関連するところの事務処理というものを所管していくというふうに理解いたしております。
  40. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣、私は、国際貢献という言葉は緒方さんに言わせますと、国際貢献国際貢献なんてわめいている国はないのだということを言っていらっしゃいますが、貢献という言葉が大きく聞えるのだろうと思うのです。  ただ私、もしかしたらこれは日本の国際貢献という名に値するようなものになり得る可能性もあるのじゃないか。と申しますのは、やっぱり武器移転というもので東南アジアにもそれから中東にも大変な武器の売り込み合戦が現に行われているという話も聞きますし、日本の周辺がこういう状況になっていくことを防ぐ自分の国益の面からいいましても、この仕事はぜひ日本がリーダーシップをとって進めていただきたいと思います。  実際問題として、国連の改組等があり、これを一生懸命やっていらした明石さんもカンボジアに行かれたということでこの後を私は気遣っているわけでございまして、せっかくこれだけ積み上げた外務省一つの非常にいい仕事だと思います。これをぜひ埋没しないようにやかましく言って進めていただきたい、こう思うのです。いかがなものでしょうか。
  41. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 御説のとおりでございまして、我が国は武器の製造能力はかなりございますが、外国にには武器は輸出しないという国是を持って実行しておるわけですから、そのために自衛隊の武器調達等は高上がりになっている。これも事実です、製造が限定されていますから。そういう犠牲を払ってすら日本はみずから実行しておることでございますので、これは本当に大手を振って諸外国に武器輸出ということについて自制的措置をとってもらうように訴えることのできる国でございます。  しかしながら、現実の問題としてそれぞれ自国の防衛のために必要最小限度の武器が必要だと、これを否定することはなかなかできません。でありますが、身分不相応なほど武器を買い込むということは何らかの目的があって買い込むということになるわけでありますので、それが知らないうちにイラクのフセインのクウエート侵略みたいなことになるわけでありますから、やはりなぜそれだけの武器を買い込んでいるのかということを今度は部外から検討するためには武器の輸出に対する登録制度というものが機能していくことが重要でございます。  したがいまして、これはせっかくあれだけの国連の圧倒的多数の支持を受けてこの武器移転に対する登録制度というものが採択されたわけですから、竜頭蛇尾に終わることなくこれが着実に実行されるという方向で火を消さないように今後とも国際舞台においては努力をしてまいりたいと考えております。
  42. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひよろしくお願いいたします。  それから時間の関係で一括してお伺いしてしまいますので、時間の限りひとつ簡潔にお願いします。  それは最近政府間交渉会議で採択されました地球温暖化防止条約、それから最終交渉がナイロビで始まりました生物多様性保存条約、それから廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約、これが今どういう時点にあって日本はこれをどのように取り扱うか、そのことを恐縮ですが五分でお願いいたします。
  43. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 五分で御説明できるかどうか自信ありませんけれども、努めたいと思います。  まず第一番目の気候変動枠組み条約につきましては、先生承知のとおり、五月の九日に一年半の、一年半足らずの交渉と申しますか、この種の非常に大きなたくさんの問題を抱えた条約交渉としては非常に速い速さで採択に至ったわけでございます。  大きな問題は三つか四つあるわけですが、一つは何と申しましても温室効果ガスの排出抑制の問題をどう処理するかということ、それから二つ目はこの資金協力のメカニズムをどう処理するかという、一番大きな問題はこの二つだったと思いますけれども、前者につきましては先進国の間でもいろいろな対立があり南北間でもいろいろな意見があったわけですが、結局のところ温室効果ガスの排出抑制について先進国等のとる政策及び措置は、二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出量を一九九〇年代の終わりまでに従前のレベルまで回帰させることが長期の排出傾向を修正することに寄与するものであるという認識を表明するということが一つ。それからこのような措置をとる先進国等は、そのとることになる政策あるいは措置に関します詳細な報告を締約国会議に情報として提出し、締約国会議はこの情報を定期的に審査する、こういうパッケージでそこが合意されたということでございます。  それから資金協力の問題に関しましては南北間で、先生承知と思いますけれども、新しいメカニズムをつくるのか既存のメカニズムを改善して運営するのかという点について大きな意見の対立がありましたけれども、とりあえず暫定的な措置として地球環境基金でございますね、これはまさに既存の基金でございますけれども、とりあえず暫定的措置としてこの地球環境基金を改善したものを利用するということで決着がついたということでございます。  内容的にはもちろん交渉事でございますので一〇〇%の目標を必ずしも達成したとは評価できない面はあるいはあるかもしれませんけれども、百四十数カ国の国がコンセンサスで合意したと、今の機会を逃せばUNCEDの会議そのものが失敗に終わると評価されるといったようなこと、いろいろなことを考えますとまずまずの成果を得たのではないか、これが第一番目の条約についての問題でございます。  第二番目の生物多様性保存条約の問題でございますけれども、昨日十一日から第七回目の交渉がナイロビで開始されておりまして、これもUNCEDに向けて最後の条約交渉の機会になろうかと思いますが、生物多様性と申しますのは動植物の種類の多さでありますところの種の多様性、それから同じ種の中でも個性の多様性を示す遺伝子の多様性、それから生息地のタイプの多さを示す生態系の多様性、この三つぐらいの多様性というものをいかに保存していくかという条約でございます。  これも実は幾つかの大きな問題をめぐって各国間に対立があります。一つはバイオテクノロジーの移転の問題、それからこの種の種の存在というのはとかく発展途上国にありましてその保存が問題になるわけですが、それとの絡みでやはり先進国の発展途上国に対する資金的な援助のメカニズムをどうするかということで、第七回目の交渉が昨日始まったばかりでございますから見通しをこの時点で申し上げるのはなんでございますけれども、少なくとも例えば資金メカニズムの問題について見ますれば、気候変動枠組み条約の資金メカニズム問題が今御説明したような形で一応決着したということは、このナイロビ交渉にもそれなりに前向き、前向きと申しますか積極的な影響を与えるのではないかということで、私たちは交渉の成り行きを単に見守るのみならず、日本としても積極的にこの交渉に参画してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  最後のバーゼル条約の問題でございますけれども、これは一昨々年に採択された条約でございまして、趣旨は基本的にはリサイクルその他廃棄物もございますけれども、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分というものを関係国間で規制しようという、そういう条約でございます。もしそういう規制がなければ、とかくそういう廃棄物が先進諸国から開発途上国に流れてそれが公害その他の問題に発展する、そういうことが生じないように規制をしましょうという条約でございます。  この条約はことしの五月五日に発効することになっておりまして、日本としても、外務省といたしましても、当然のことながらこの条約には早期に加入したいと思っております。しかし、加入するためには例えば有害廃棄物の輸出入についての許可の問題その他関係国内法の改正を必要とするということで、現在関係各省庁でこの関係国内法の作成に当たっておりまして、基本的には最終的な段階に入っていると承知いたしておりますが、ややもうしばらくのお時間をいただきまして、もし今国会中にもそういう準備が整うのであるならば今国会中にもあるいは御審議をお願い申し上げることになろうかと思います。そのときにはまたよろしくお願い申し上げたいということでございます。  以上でございます。
  44. 松前達郎

    ○松前達郎君 最初に外務大臣にお伺いをいたしたいのですが、連休中、外務大臣はロシア、カザフ、キルギス、この三つの共和国を訪問されたわけですね。まず最初に、訪問されているいろ会談をやられたと思いますが、その内容と結果等についてお伺いしたいと思います。
  45. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 簡潔に申し上げますと、主たる目的は、エリツィン大統領に直接お会いをいたしまして初めて直接に我が国の北方四島の問題及び日ロ平和条約に対する基本的な考え方をお伝えする。その次は、ことしの秋、九月にエリツィン大統領日本を訪問するということは宮澤・エリツィン会談で決まっておりますが、日付が確定されていない。日付が確定されていないと困るわけでございますから、情報としては少し早めてほしいというような話も出ておりまして、我が方はいろいろな国内行事、宮中との関係等もありますから、日付をはっきりしてもらいたいということです。これについてはもう既に御発表のとおり、十四、十五、二日間を公式日程に当てる、これは決まっ光わけてあります。  そこで、向こうは向こうで言い分を五段階返還論とかいろいろなことを言っておりましたが、我々といたしましては、北方四島に対する主権の確認が行われれば、返還の時期とか条件とかいろいろな対応とかそういうことについてはこれは相談に応ずる用意ありということを申し上げたわけでございます。それに対して最終的な意見を聞くことはできなかったわけでございますが、いずれにせよ、まだ日があるので日ロ両外相の間でもっと具体的な問題等について詰められるものは詰めてもらいたいというお話がありました。  我々は、条約というものは守られるものであるということでなければ困るというのが私の基本なのです。それには日露通好条約とか樺太千島交換条約とかあるいは共同宣言とかいろいろありますが、そういうものがないがしろにされるようでは今後条約を結んでもいつないがしろにされるかわからないということでは信頼関係を損ねるから、そういうようにまず証拠として過去の条約、友好裏に平和裏に結ばれたものは守られるという態度をきちっと示してほしいということがこちらの主張であったわけでございます。  ただ、向こうの五段階解消論はそれは早めることはいいですよと。何も来世紀まで待つとか次の世代まで待つというのでなくたって構わない。そのうちの三つはもう手についたじゃないか。一つは、北方領土問題というものがまだ未確認だし未解決の問題として残っているということはもう認めたじゃないか。それから第二番目の問題は北方四島の自由往来、これも完全にはいっていないが始まったじゃないか。第三番目は非軍事化の問題。これについては一両年の間で北方四島から軍隊を撤去して、それで国土警備隊といいますか国境警備隊だけにする。これもまあ片づいてはいないが、非軍事化という方向で進めよう、これを一両年にやるというのだから、三つ片がつくじゃないか。そうすれば平和条約を結べる条件ができるじゃないかというのが彼の主張なのでありますが、それだけでは困るのだということでそこから先が懸案事項、こうなっておるわけであります。  それからキルギスタン、カザフスタンに参りましたのは、これは国交を樹立して外交関係を持つということを宣言したので時間があれば訪問したい、いいチャンスでもあるからということで訪問しただけであって、これについては特に私どもが主張したのは、核不拡散条約に非核国として加入していただけぬか。したがって、キルギスタンは何も問題ないのです、そのとおりで結構ですと。それから日本に対しては、農産物をただ非常にむだにして腐らしてしまっているのがいっぱいあるので、加工技術それから貯蔵技術とか施設とかそういうものに援助してほしい、手をかしてほしい。いわゆるノウハウ、資金ですね。簡単に言えばそういうことです。  それからカザフスタンは、同じような話をするのですが一つ違うところがありまして、我々は大国だ、資源大国だと言うと同時に、それはまあいいのですよ、いいのだけれども、ただ不拡散条約に加盟するに当たって核を持たない国として加盟してくれということについては、核を持つなといったって現に核があるじゃないか、私が好きで持ったわけじゃありませんよ、四十年間我々はひどい目に遭って放射能で四十万人ぐらいの人が被害を受けているのだ、したがって片をつけるといったって片をつけようがない、現にあるのだからそれは核を持ったまま入りたいのだという趣旨でしたね。  結局、超大国になりたいということになっちゃうわけですね、そうなってくると。それは困るのだ、そんなこと言ったってあなた、国の大きさからいったって――あなたとは言いませんが、大統領閣下とちゃんと言いましたけれども、わかりやすく言えば、あなた方の方が核があったとしてもそれは核のボタンを持たなければいいはずなのだから、それは一元的管理でそれにみんな任せてはいかがですかという話ですね。そうするとそこのところがぼやけているわけですよ。そんなことを言ったってソ連がどうで中国がどうでアメリカがどうでとか、安全保障してくれるかとか、そういうふうに話がそれてしまいますとちょっと懸念を持たざるを得ないので、私の方としてはそういうことでは幾ら応援してくれと言われても、応援しようと思っているのだがちょっと考えないわけにはいきませんねということを言ったわけです。  そうすると多少トーンダウンをするのはするのですが、しかしそれは私の持っている核は押す核でなくて押さないボタンを持つのだ、エリツィンが勝手に飛ばせないように一緒に持っていれば、だからみんながそろって押さなきゃだめだ、こういうことなのだから差し支えないじゃないかというようなことで平行線できた。ただ日本に対しては、ぜひ招待してもらって、日本人も来てもらって、これだけの大資源国だから、ほかの国はいっぱい来ているのだから日本もやってくれということでした。  雑な話になったけれども、もっと丁寧に話をしたわけです。
  46. 松前達郎

    ○松前達郎君 大変丁寧にお話をいただいてありがとうございました。  今お伺いした交渉といいますか北方領土の問題ですね、これについての考え方としては日本の主権という言葉で向こうにお話をされたというお話ですね。結局、日本の主権さえ認めれば日本としてその返還時期にはこだわらないと。
  47. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) こだわらないとは言いません。柔軟に対応する用意がありますと。
  48. 松前達郎

    ○松前達郎君 現在の住民の問題もまた出てくるわけですね。ですから現在の住民の処遇についても配慮しよう、こういうふうにおっしゃったと報道されているのですが、日本政府の方の今の交渉の段階での態度といいますか、今おっしゃったことに加えて私が申し上げたようなことで理解しておいてよろしゅうございますか。
  49. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これはこういうふうに言ったのです。私の方は、スターリンがやったように勝手に占領して一挙に出ていけというようなことは絶対にしませんと。だから住民の福祉とか生活とかそういうような問題につきましてはそれはできるだけ御相談に応じていきたい、そういう趣旨のことを言いました。
  50. 松前達郎

    ○松前達郎君 日ソ共同宣言、一九五六年でしたか、この共同宣言に基づいた歯舞、色丹両島の返還、これをまず実現して、そしてその後、国後、択捉については当分はロシア側の施政権を認め、そして時期を見てといいますか返還交渉を行うという考え方があるというのを伺っているのです。これは二段階返還論だと思うのですが、これについてはどうなのでしょうか。
  51. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これはそこまでまだこないのですよ。要するに共同宣言の問題。私は、一たん平和裏に結ばれた条約はこれをお互いに確認し合うということでなければ、今後条約を結んでも都合が悪ければぽいと、ぽいという言葉は使いませんが、破棄されたりなんかされると困りますよということですね。  だから共同宣言をまず確認するということは必要ですが、しかしそれだけでは昭和三十一年に逆戻りしただけで、今はもっとひどいわけですから、外国の軍隊が日本にいる限りは歯舞、色丹も返さない、こう言ってきているわけですから、これはだめですからやっぱり一遍は共同宣言に戻る。しかし、それだけでは前へ進まないわけですから、そこにプラスして前へ前進するという方向を我々は求めておるわけです。それについてともかくはっきりした意思表示は向こうはしていないということです。
  52. 松前達郎

    ○松前達郎君 そうしますと、どうやら問題となっているのは主権という表現ですね。これをやはり向こうが簡単にのめない。前に私ここで潜在主権という言葉を使ったのですが、そういうことだとあるいはのむかもしれない。しかし、潜在主権となると一体どっちがどの潜在主権を持っているのか、お互いに持つのかどうか、共同管理になるのかといろんな問題が出てきますね。  ですからこれはいずれ九月にエリツィン大統領が来られたときにも恐らく話が必ず出るわけで、もっともその主目的というか主なものはそれだと思うのですが、事務レベルでこれからもまた交渉されるわけですね。その辺ひとつうまく交渉していただければと私は思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  53. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 潜在主権という言葉は使いません。主権。要するに過去の条約をはっきり確認し合えば、それは争いが江戸時代の末期以来なかったと。ロシア帝国と日本政府の間でこれはもう四島というものはもともと日本のもので得撫以北がロシアのものと、こういうことは千島と樺太との交換条約でもはっきりしているわけですから、そういうことを確認することが私は免じゃないかということで、それにつきましてはロシアの中でも、共同資料というものをこしらえてお互いに確認し合ったものは発表してPRしてもいいよというところまで話はきておるわけですから、徐々にそうして世論をほぐしていく。  一口にすぐに言うのは世論という言葉、議会と世論と。それは私の方だって議会と世論があるのですよと、我々だって今まで四島一括即時返還ということを言ってきたわけですから。しかしそれを言ったって、四島一括即時と言ったってこれも現実的でない。だから我々も世論でそれを訴えてきたが、それは主権を認めれば、二段階とか一段階とかということは具体的には申しませんが、それは引き渡しの条件とか時期とかについては柔軟に対応する用意ありと言っているのですからある程度想像はつくかもしれませんね。しかし、具体的には言っておりません。
  54. 松前達郎

    ○松前達郎君 きょうからですか、ロシア最高会議が開会されていると思うのですね。これは国会に相当する会議だと思いますが、これをエリツィン大統領としては乗り切っていかなきゃいけない。  この内容として領土問題が出ているということは聞いていないのですけれども、やはり今おっしゃったように、国内の問題それぞれあるわけですね。ですからそういう問題、いわゆる北方領土問題はエリツィン大統領にとっても大変な問題だと思うのですね。同情することはないと思いますが、日本にとってはもう最も大切な問題だ。このぶつかり合いになってくるわけで、これから多少時間がありますから一歩でも前進できるような努力をひとつもうこれは大変な問題ですからお願いしたいと思っております。  そして次に、総理あるいは通産大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、みんなそれぞれ同じ時期に各西側の国を訪問されたわけですね。昔流に言う西側の国です。いろんな領土問題についての助太刀といいますか、いろいろなことを話し合ってきているというふうに報じられているのですが、これらの反応等について外務省としてどういうふうに評価されておりますか。
  55. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 宮澤さんが行ってミッテラン大統領にお会いしていろいろ話した。かつてはフランスの態度は一番距離のあるように我々としてはどうも考えざるを得なかったのでありますが、今回ミッテラン大統領からできることがあれば助言したいという発言があったということは一歩理解を深めたというように解釈しておりますし、またドイツのコール首相も、日本の意見、考え方はよく理解している、だからエリツィン大統領に会う機会があるから同首相には日本の意見というものを伝えることにしたいというやはり一歩前向きな態度になってきたというように我々は理解をいたしております。  また、渡部通産大臣が英国のへーゼルタイン貿易大臣それからマルルーニー・カナダ首相に会うとか、羽田大蔵大臣がベーカー国務長官と会うとかあるいは宮下防衛庁長官がメージャー・イギリス首相やリフキンド国防大臣に会うとか、会う都度に皆、要するにロシアとの友好関係を樹立し、世界の支援に日本が正規に加わって大型支援をするための障害、あるいは日ロ平和条約のためにはどうしても北方四島問題は片づけなければならない問題だと、だからひとつ御理解、御支持を得たいということをそれぞれ話をされてきたようであります。
  56. 松前達郎

    ○松前達郎君 余りその結果として期待されたようなお話にはなっていなかったという報道なのですが、これはそこではっきりしたことを言えるわけないのですね、第三国ですから。二カ国間の当事者同士の話し合いというのがやはり優先しなきゃいけない、これは当然だと思うのです。  そこで、きょうクエール米副大統領が来日されていると思いますけれども、報道では副大統領がグローバルパートナーシップ、地球規模での協力ですか、こういったような問題について関心を持っている、恐らくそういう話が出るというふうに報じられているわけです。我が国として、国際責任という言葉が最近流行ですから国際責任という言葉を使わせていただきますと、国際責任をどう果たすのか、これ以上の国際責任を一体どういうふうに果たしていくのか。例えば東欧ですとか中欧に関しての援助、経済的な援助ですね、これについて恐らく話が出てくるであろうという予測のもとにもう既に政府では何か発表されたようですね。これについて今後どういうふうに対応されるのか、それを一言お伺いしたいのです。
  57. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) クエール副大統領が来日されるのは沖縄返還二十周年記念式典出席というのが主たる目的でございますが、しかしながらブッシュ大統領訪日以後、貿易問題その他いろいろな問題等で日米間の中に多少雑音があったことは既に皆さん承知のとおりでございます。しかし我々は、やはり依然としてグローバルパートナーシップというもとで日米関係は一層今後しっかりした基盤の上でやっていかなきゃならぬということを再確認するという点でも大変意味があるというように考えております。  東欧支援の問題とかなんかについてはまだ具体的に話を聞いておりませんが、我々としてはできるだけのことはやりたい、そう思っています。  ちなみに申し上げますが、大蔵大臣や通産大臣が各国を回って得た印象というのは、みんな日本に対して要するに技術と金をいっぱい出してくれというのだけが非常に強い印象だった、どこへ行ってもそういうことを言われたというようなことを言っていましたね。
  58. 松前達郎

    ○松前達郎君 日本は金持ちだと思われているのですね。政府は持っていないでしょう、金は。そこが問題なのですね。  それはそれとしまして、今、沖縄の復帰二十周年ですか、そのことで来られたとおっしゃったのですが、本当はきょうここで、また古い話なのですが、だだっ子を起こすようなことになるかもしれませんが、例の事前協議の問題が新聞にちょっと出ましたね。こういったような問題、これはまたいずれやりましょう、大体質問をさせていただくと答えはもうわかっていますから。とにかくまだ私は腑に落ちない、ずっと腑に落ちないでいるのですけれども、この辺はまたいずれ機会を見て質問させていただく、議論させていただくことにします。  これは通告はしていないのですが、一つだけちょっとお伺いしたいのですが、化学兵器包括禁止条約、これの条約機構本部の設置の問題ですね。最近あるところからいろいろと私も話を伺っているわけですが、この場所の設定について、これは今、名のりを上げているところはデンバーグ、オランダですね。それとジュネーブ、ベオグラード、それからウィーンと、このぐらいのところが名のりを上げているというふうに聞いているのですが、どうも日本はハーグを推しているらしいという情報があるのですけれども、このハーグを推すという理由はオランダとの交換条件というか何かあるのでしょうか。その辺ちょっとよくわからないものですから聞かせていただきたいと思います。
  59. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 事務当局から答弁させます。
  60. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 先生おっしゃいますとおり、現在、化学兵器の禁止条約が交渉中でございまして、ことしじゅうに決着をつけるということで進かられておりまして、先生がおっしゃるとおり、現在、将来の事務局の候補として立候補している、手を挙げていると申しますか国は、オランダ、オーストリア、スイスとユーゴスラビアがあるわけですが、特に有力なのはこのうちオランダとオーストリアだろうと見られております。  日本は、実は先般三月二十六日の軍縮会議の本会議におきます日本政府代表の大使の演説の中で、日本としてはハーグを支持しますということを明らかにしたことは先生おっしゃるとおりなのですが、その理由は、ウィーンとハーグを比較した場合、実はオーストリアはこの軍縮会議のオブザーバーというステータスであるのに対して、ハーグ、オランダはこの軍縮会議のメンバー国でございまして、単にメンバー国であるのみならずこの化学兵器の禁止条約交渉を通じて非常に積極的なイニシアチブなり交渉態度をとったということで、関係各国、日本を含めまして非常に高く評価できるということで、そういう気持ちをあらわすという意味でハーグの支持ということを決めたということでございます。  ちなみに、カナダとかベルギーなんかもハーグの支持を明らかにしている、そういう状況でございます。
  61. 松前達郎

    ○松前達郎君 そういった何か根拠はあるのだろうと私は思っていたのですけれども、化学兵器というのはやはり西側よりもかつての東側ですね、そっちの方がどうも何かいろいろと画策をしていたような情報もあるわけですね。そうなると、地理的に言えばオーストリアがその間に入った状況にありますから、しかも国連がありますね、そういうことからオーストリアでもいいのじゃないかと私は思うのですけれども、これは政府の決められることなのでここでぜひともとは申しませんが、一遍もう声明を出しちゃったのだったらこれはどうしようもないですないかがですか。
  62. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 一応いろいろなことを考慮した上で態度を表明したわけでございますので、今回のところはそういうことで先生にもぜひ御理解いただきたいというふうに考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
  63. 松前達郎

    ○松前達郎君 それはそれでわかりました。  もう時間がほとんどありませんのできょうはこのぐらいにしますけれども、さっき申し上げましたいわゆるトランジットとイントロダクションの問題、これについてやはりまだ腑に落ちないところが幾つもあるので、これはまた次の機会にひとつ議論をさせていただきたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  64. 黒柳明

    ○黒柳明君 UNTACの明石さんがいらっしゃって、きのう大臣とお会いした話をマスコミ、新聞、テレビ等で拝見しまして、先ほどまで参議院のPKOの特別委員会で参考人としていろいろコメントされている話も聞きました。私もカンボジアヘ行く前にお会いして二、三回いろんな問題を聞いているのですが、きょうのお話を聞きますと、二カ月弱にわたっての明石さんの体験を踏まえての話で、やっぱり非常に大変な仕事だなと、こういうことを実感いたしました。  選挙にしましてもただ監視ということじゃなくて、カンボジアにどういう国際法にのっとった選挙法が必要なのかその法律を選んでと、ここから始めなきゃならない。当然、武装解除にしましても非常に大変であるというようなことで聞くにつれて大変な作業、仕事だな、こう思います。  それにつけましても、きのうも大臣に要請してきょうも言っておりましたが、資金援助の問題で、行く前においても三分の一ぐらいと、こういう漠然とした話をしていましたが、昨日は大臣のところでは項目別に三つに分けて二億、四億、二億、計八億ドルと、きょうも特別委員会で同じようなことを言っておりました。我が国が出しているのは六千万ドルですか、直ちに今すぐという話ではないと思うのですけれども、六千万ドルと八億ドルというのはけたがちょっと違うと思うのです。きのうの大臣と明石さんと会われたマスコミでの活字では、大臣は全く何とも返答しなかったということでありますが、当然今まで検討しこれからも検討しなきゃならない事項かと思うのです。  大臣、あの人数も一万六千の中からまだ四千ですかね、いろんな面でまだ緒についたばかりですから、日本だけがその要望しておる金すべて出す必要もないとは思うのですけれども、それにつけてもまだ人的貢献が若干時間がかかると、こういうことでありますので、せめてあれだけ大変な事業をやるのに、しかも日本の人が代表で苦労して行っているわけですから、八億という中でもうちょっと前向きの話でもきのう出なかったのかなと、こんな感じが客観的にしないではないのですが、大臣、いかがでしょうか。
  65. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) いずれにいたしましても、ある程度出さざるを得ないと思いますが、余り気前よくぽこぽこ言われちやっとそれだけが先行しちゃって当たり前の話になっては、せっかく出したお金が一つも生きないのですね。ですから軽々に余り何億ドル出すなんということを言われちゃうと迷惑するのですよ、正直な話が。財政事情もありますし日本はそんな大金持ちじゃないし、御承知のとおり、もう一千億ドル近い利払いしている国ですから、日本という国は。  だからそういう点も踏まえまして慎重に、しかしできるだけということしか言っていないのです。
  66. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、前から国連の負担金を超えて相当というような、相当という言葉は使ったかどうか、資金援助はするという発言を外務大臣はやられていましたから、そういうことは前向きに取り組んでいられると思うのです。  ひとつ、何も私がここで陳情する必要も要請する必要もないのですが、あす石田が帰っできますし、いろんな国際電話での話の中で、これは今までになく私たちもそれなりに頑張らなきゃならない問題だぞと、今こういう感を非常に深くしているわけなのです。それにつきましても、法案の成否は成否として、財政的援助というのは当然私たちができる問題でありませんし、これについて当面は相当な要請があることは間違いないものですから、ぜひ前向きにとこれは要望するよりほかありません。  国連局長、それと同時に、きのうもきょうもありましたあのPKOの訓練場所それから物資の集積所を日本にと。これは法的には可能ですか。ということは、ちょっと私なりにこう思う。PKOといいましても日本日本なりのPKOの、PKFが凍結するのかどうか、法律が成立しましてもやっぱりそれだけのものがあるわけですよ。各国はもうPKFまでどんどん出しているわけですから果たしてPKOの訓練場所といってもどういう内容なのか、これは定かではないわけですが、いずれにせよ、あの訓練場所とか物資の集積所、こんなものを日本にと、こういう要望があったやにマスコミでは報道されておりますが、これは実際的に今の現行法においてできる可能性があるものなのでしょうか。
  67. 丹波實

    政府委員(丹波實君) まず物資の集積場所の問題でございますが、物資供与ということも含めてということであるならば、現在のPKO法案がまさに物資供与のその枠組みをつくっておりますので、法案ができますとPKO活動に対する物資供与というそれはできるわけでございます。物資供与をした上でさらにその集積所を日本につくるという恐らくそういうアイデアだろうと思いますけれども、それ以上につきましては、現在の段階では個人的になかなか興味のある提案だなという受けとめ方でございまして、今後勉強させていただきたいというふうに思っておる次第でございます。  それから訓練場所ということにつきましては、やはり興味のあるアイデアでございますけれども、今後、先生承知のとおり、北欧の四カ国がやはり共同でPKOの訓練場所というものをつくったりしておるわけでございますので、将来の問題としてアジアの諸国と相談しながらそういうものが果たしてできるのかどうか、あるいはできた方がいいのかということも勉強させていただいて考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 黒柳明

    ○黒柳明君 法案の成立について、大臣、いつですか沼津でしたかね、自公民で八、九分どおりと、こんな発言しておりましたが、どうでしょうか、マスコミのあれですと、連合も山岸会長初め非常に、どういう結果が出るかわかりませんが、意欲的であるということは間違いありません。自公民で八、九分どおりだと、自公民、連合まで入れると何分方ですか、大臣の感触は。法案の成立について自公民だと八、九分どおり成立間違いないと、こうおっしゃった。それじゃ自公民、連合を含めるとどのぐらいの感触を持っていますか。
  69. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これは考え方の問題でありまして、原案どおり通してもらうとすればもっと低い数字だろうということですが、八、九分どおりとかなんとかと言ったって、だれか昔の武将が、山を登るに九合目を登って半ばとなすとかという言葉がありますから、それぐらいのつもりでおるのです。
  70. 黒柳明

    ○黒柳明君 私たちは内部にいまして、やっぱり八、九分よりもうちょっと自公民なら強いのじゃないかなという感触であれします。もうこれはそのたびにここで大臣に激励されちゃったので急ピッチで今、私たちも作業を進めているのですが。  国連局長、一点だけそれでまだまだ安心できない点があるのです。大臣がおっしゃったように、一応自公民で成立するかどうか、これは出口はわかりませんけれども一つはっきりしないのは、今、うちの委員長も大内委員長も、あるいは大臣もおっしゃったのですね、後方支援、通信にせよ医療にせよ輸送にせよこれはできるのだと。ところが今、UNTACで現実に出ているインドネシアの部隊にせよ、医療とか通信とかというのはこれはPKFの中の医療であり通信であり後方支援で、PKFと切ったわけではないですね。  日本が万が一PKFが凍結でPKO法案が成立した場合に、自衛隊がカンボジアに出る。局長は九月まで出ればと、ぜひ出したいというようなことですが、そのとき後方支援の医療とか通信とかというのはどういう概念で私たちは受けとめたらいいでしょう。
  71. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 先生ぜひ御理解賜りたいと思いますのは、この凍結とかいろいろな修正のお話というのは国会の御論議の中で出てきておる話ですし、政治の中から出てきておる話でございまして、私たち法制局で検討したわけでもございませんし役人として検討したわけでもございませんので、この席で政府委員が今の先生の御質問にお答えするというのはちょっとできかねるということでございますので、ぜひ御理解賜りたいと思います。
  72. 黒柳明

    ○黒柳明君 先委員会でも同じようなこと言った。ちょっと質問が違う。大臣、覚えていますか、おっしゃったこと。あの後方の医療とか通信とかできるのだと、自衛隊も。局長はこの前のときも、今言ったと同じ質問じゃないのですけれども、大体同じようなニュアンスでできないと。今もできないと、こうおっしゃったのですよ、大臣は、だけどそれはどうかなと。大臣はあちこちで非常に前向きな発言をして、委員会に来るとちょっと発言がこうあれだけれども、たしかどこかで後方の医療とか通信とか自衛隊できるのだと。どういう後方を理解したらいいのでしょうか。  私たちもこれからいろんなすり合わせをするにつけまして、その後方の通信、医療、自衛隊が行ってこれができるのだと、どうもどういうふうに分けていいのか。今も行っているのは、インドネシア部隊でも何でもみんなPKFの一環として医療もそれから通信も後方平たんもみんなあるわけですよ。それを今度は、日本が万が一PKFが凍結されてそして法案が成立した場合に、停戦監視は当然、後方の方の通信あるいは医療もできるのだと、概念的にはわかるような感じがするのですよ。わかるような感じがするのですが、先国会でも前方といったって後方といったってはっきりしないじゃないかと、私たち自身がこう質問したことがあるわけですよ。だから後方のそれで、今、石田委員長も言っているのです。大内委員長も同じようなニュアンスで言っているのです。大臣もくしくも同じことおっしゃった。ちょっとそれがわからないので、できれば教えてもらいたい。自衛隊が出動できる後方支援の医療あるいは通信あるいは輸送、建設、そういうものはどういう概念で受けとめたらいいのか。
  73. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう現場現場で私は違う話じゃないかと。頭の中ではいろいろなことが考えられますが、しかしそのとおりにならないことだってあるかもしれぬし、全然ゲリラはおりません、治安は確立されています、しかしながら難民のテントがあってそこに食糧、飲料を運ばなきゃならぬとか、そういうようなときにトラックもないし何もないという場合に、自衛隊が輸送トラックを持っていってそれをどんどん荷揚げをして食糧やなんかを届ける、こういうようなことはできるでしょう。そういうときにやはり前方と連絡しながらやらなきゃならぬから、それは通信設備も一緒に乗せてある。先遣隊もあるでしょう。  そういうことがありましょうが、それじゃ仮に、これも頭の上の話だけれども、目の前に地雷とか何かがあった、しかし地雷をどけるのはPKFの部分だから地雷はそのまま踏んで通るとか、そんなことはあり得るわけがないわけですから、現実は。ちょっと手をかせばどけられるようなものがあるとすれば、それは命の方が大事に決まっているので、地雷をよけるということは現場のそういうところになればそれはあるかもしれない。だけれども、そういうものの少ない、ごく少ないところを見てやるということなのですよ。だから九九・九九九%は地雷除去はないかもしらぬけれども、万に一つぐらい全くないということも断言もできない話ですわね。私は許容限度の範囲内だと思うのですね、そういうのは。排気ガスみたいなものでね。
  74. 黒柳明

    ○黒柳明君 排気ガスね。何か時々私たち理解できないような比喩というかお使いになるので、頭の回転が悪い私は戸惑っちゃうのでね。  局長、こういう非常に紳士的な委員会ですから、予算委員会みたいにぎゃあぎゃあやる委員会じゃないのでそれ以上のことはあれですけれども、今のUNTACの各部隊が出ているインドネシア、私たちは石田がインドネシアの現地の司令官に会ってきたからインドネシア、インドネシアと言うのですが、医療とか輸送とかに従事していますと、それでパトロールして当然PKFの活動もやっています。今、行っている部隊がやっているような、例えばインドネシアでいいでしょう、医療でも輸送でも建設でもやっています。これは完全にもう間違いなくPKFの中の医療であり輸送であり通信である、そういう考えでいいわけでしょうね。
  75. 丹波實

    政府委員(丹波實君) インドネシアは現在、一歩兵大隊を出しているわけですけれども、八百五十人、その八百五十人全部はこれは歩兵部隊として出ていっているわけですから、きょうの明石さんの御意見を私も聞いていましたけれども、彼はPKFというのは非常に狭く歩兵部隊の活動そのものとしてとらえておられるようです。この歩兵部隊の中における活動はたとえ通信的なものであっても何であっても狭い意味でのPKFの活動の中に恐らく入っているという、そういう考え方だろうと思います。これは、もちろん凍結論、それは全然関係なく今申し上げているので、そこのところはぜひ誤解のないようにお願いしたいと思いますけれども
  76. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは私も同じ味方ですから、何もそんな余り毛嫌いしないで、味方同士ということであれしてもらいたい。  それはもうわかるのです。それは当然そうなのです。ただ、狭い範囲で明石さんが考えているかどうか、これはもう一回明石さんに聞かなきゃわからない。それは局長がそういうふうに判断する、これはもう自由だと思うのですけれども。  それからもう一つ、これは言えるのでしょうね。もし、これはもしというとあなたはこれは答えがないのか、答えはないですね。わかりました。もうそこらだけで、いい。  大臣、また大臣はいろんなところでいい発言をするのでね、もう断片的で恐縮ですけれども、天皇陛下の訪中についてもどういうふうな、正確にはわかりませんけれども、中国の考えを尊重したらどうか、こんな意味発言、あの新聞の活字では今秋の天皇陛下の訪中について大臣は前向きに発言したと、こういうふうに書いてありました。これは一時、自民党の中のある意味においての抵抗が強くて、そして訪中についてのクレームが出たからはっきりした結論出てなかったのかなと、こんなような報道がなされて、ここでもそういう論議がなされたわけですが、大臣はむしろ秋の二十周年、これを踏まえて陛下の訪中ということは前向きに考えられた方がいいと、こういうふうなお考えを持っての発言だったわけでしょうか。
  77. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 天皇陛下の訪中につきましては、中国側より日中国交二十周年の本年秋に御訪中いただきたい旨の要請があったことは事実でございます。ともかくことしいろんな行事がありますから、そういう意味での一環としてというように我々は受けとめておったわけでございますが、諸般の事情を考慮いたしまして、これに対し我が国としては真剣に目下検討しているところでございますということです。真剣に検討しておる最中でありますと。まだ結論は出ておりません。
  78. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは前の委員会でもそんな話を聞きましたが、それをいつでしたか、要するに中国の意思というものを大切にした方がいいのじゃないかという発言されたということは、これは新聞の活字ですけれども、もう大臣が今秋の訪中も前向きに考えているあらわれじゃないかなどというようなことが書いてありましたが、そういう考えは余りお持ちじゃないわけですか。まだ自民党の党内の世論に配慮するという段階ですか。
  79. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私は、中国と日本との関係という話をいろいろしまして、それで尖閣列島の問題とかPKFに対してこう言ったとか、そういうことを言ったからといってそれを言葉じりといいますかね、そういうことだけで日中関係の議論をぎくしゃくさせておかしくしてしまうということは両国にとって決してプラスにならない、そういう意味で私は言ったので、天皇陛下のての字も言ってはいない、実際は。
  80. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構です、時間ですから。
  81. 立木洋

    ○立木洋君 私は、フィリピンの米軍基地が撤収するということが日本にどういう影響をもたらしているのかちょっとお尋ねしたいと思うのです。  まず事実関係ですけれども、フィリピンのスビックの基地撤収について米軍の方から日本側にどういうふうな情報を提供してもらっているのか、それに関して何らかの通知が、スビックの基地の問題についてその人員の問題だとかあるいは機能の問題だとか、どういうふうな連絡が来ているのか、最初にお尋ねします。
  82. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) そこは海軍のスビックとそれからクラークにありました空軍の問題があるわけでありますが、スビックの問題についてはまだ正確な数を我々は聞いておりません。いろいろの話が間接的に出ておりまして、一部が我が国に来ることもあり得べしということは我々としても予想しておりますけれども、全体がどういうふうになるかまだ承知しておりません。
  83. 立木洋

    ○立木洋君 四月十六日の神奈川新聞によりますと、「横須賀に移る人員は家族百人を含め二百四、五十人程度。施設、部隊の移動は現在のところ考えられない」というような一部の移動が既に始まったかのような報道があるのですが、まだ全然移動してきていないのか、それとも移動してきているけれどもまだ数字が最終的につかめていないというのか、そこらあたりはどうなっていますか。
  84. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) 正確にということでございますので正確なところを申しますと、まず私が承知しておりますのは、今の数字が神奈川新聞に出たことは承知しておりますけれども、米側からそういう格好できちっとした形でまだ聞いていないというのが状況であります。あるいは実は同じようなことがクラークの空軍のときにもあったわけでありますが、とりあえず移動してきて、そして最終的な行き先地が決まってからきちっとして発表になるということもあったわけでございますので、全くないとは必ずしも言い切れないとは思います。私、その点正確に承知しておりません。  ただ、我々が従来から聞いておりましたのは、アメリカ側がこの前からやっておりました十年間三段階に分けてアジア・太平洋地域の軍を削減していくという中での第二段階、九二年末に第一段階は終了するわけでありますが、それから先のことが間もなく出るということをこの前から聞いておりまして、そこでこの数字が日本との関係も含めて明らかになるのだろうと思っております。
  85. 立木洋

    ○立木洋君 この神奈川新聞の内容を見ますと、これは横須賀市が照会したのに対する外務省の見解というふうに述べられているのだから、局長が知らないというのはどうもおかしいという感じがするのです。  それで、いろいろ物資が大分送られてきているという問題ですが、横須賀の基地の六号ドック北の補給倉庫あるいは横浜市金沢区の富岡倉庫地区あるいは米陸軍の相模補給廠、こういうところに相当の数の物資が送られてきているというのは、これはもう全部の新聞が写真を撮って報道しているから事実間違いないだろうということになるわけですが、この物資の搬入についてはどういうふうに米側から状況をお聞きになっているのでしょうか。あるいは事実としてはどういうふうになっているのか承知されているのでしょうか。
  86. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) 物資がいろいろな形で搬入されていることは当然想像されますけれども、物資の搬入について逐一我々に報告しなければならない義務もアメリカ側にはございませんし、我々としては特に報告を求めておりません。
  87. 立木洋

    ○立木洋君 この問題で、今言われたような点ではどうも十分に納得するわけにはいかぬのです。  例えば横須賀補給廠の兵士らに配られている通信誌「TODAY」、この二月二十九日号を見てみますと、スビックからの膨大な資材の受け取りと搬入を含む数多くの業務に挑戦する、この資材で向こう数年間第七艦隊を支援する任務があるという将校の巻頭言が載っています。それからまた、在日米軍の報道部の報道として出されている内容を見てみますと、スビックから軍人二百八十八人、軍属三十七人来年中移駐、半数近くが横須賀に配属される、これは家族が入っていないと。また、これは御承知だと思いますが、三月五日に米下院の外交委員会の東アジア太平洋小委員会で米太平洋軍のラーソン総司令官が証言をしております。ここでも、フィリピンのスビック米海軍基地の撤収に伴い同基地の艦船修理機能を横須賀、佐世保、グアムの三カ所に分散移転し、特にこのうちの半分は横須賀が持つことになるというふうなことも述べられております。  その他の新聞の報道等によってもこういうふうに一部の機能が日本に移される、あるいはそういう物資についても第七艦隊の補給としてそれを充てる等々の報道があるのですが、こういう問題についてはどういうふうに外務省としては承知しているのでしょうか。
  88. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) ただいま御指摘になりましたラーソン司令官の証言についても私は承知しております。  先ほども申し上げましたように、フィリピンの基地、最盛時には空海両方含わせまして一万数千、多いときには一万七、八千の米軍がいたわけでありまして、それがピナツボ火山の爆発を契機として、さらに基地協定の延長がまとまらなかったことを契機にして一斉に引き揚げていくわけでありますから、その一部がこの地域、我が国に回ってくるのはある意味で予想されるところだと思っております。  そこで、私が先ほどから具体的なことについて正確に承知しておりませんと申し上げておりますのは決して影響がないということを申し上げようとしてそういうことを申し上げておるわけではありませんで、ただ正確なところは、例えば先ほど来御質問の兵員の問題につきましてはいずれアメリカ側からきちっとした形で発表があるのだろうと思いますし、急速にいろいろ移動をしておりますので恐らく物につきましてもとりあえず日本に運んできてまたほかに運ぶというようなこともあるのだろうと思いますので、この段階でそういう動きがあることは当然想像されることでありますが、特に地位協定上とか安保条約上の問題になるわけでもございませんので、今のところ向こう側からの正式な決定、通告を待っているというところでございます。
  89. 立木洋

    ○立木洋君 フィリピンにいた米空軍の問題、これもあわせて述べられていますけれども、これは先ほど話がありましたピナツボ火山の噴火でもう全然使用できなくなって去年の十一月二十六日にフィリピン政府に正式に返還されたということになっているわけです。  去年の十二月二十六日のアメリカ太平洋軍の準機関紙「星条旗」、こういう新聞が出ているのは御承知だと思いますが、それを見てみますと、横田、三沢の二つの在日米軍基地は噴火によってクラークの基地が閉鎖されて以降、兵員の来日が極めて急増している、それで人員の急増によって深刻な住宅不足を引き起こしているというふうなことが報道されて、兵士が住宅を得るまで家族を日本に連れてくることを禁止する政策までとるということが報道されているわけです。  横田にはフィリピンのクラーク基地から八十五家族が移駐して、九一年九月までの九一会計年度の間に横田基地の兵士と文民を合わせると千七十人が増加した。三沢基地でもことしの三月までに四百人増加するというふうな報道がされていたわけですが、装備を含めてどういう部隊が来日しているのか。これも今言われたようなことでは正確に把握していないかもしれないけれども、そういう動向についてはどういうふうに承知しているのでしょうか。
  90. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) 空軍の動きにつきましては、海軍の場合と異なりましてそれなりの発表が既に出ております。  昨年六月のピナツボの噴火の結果、最初はとりあえず二つの部隊、輸送部隊と特殊作戦用の航空団が沖縄に移動してきていたわけでありますが、その後、これは私が今申し上げている基礎になっていますのはことしの一月の末にアメリカ側が発表した発表文でございますけれども、したがって一月になってクラーク基地から避難した部隊の移転先が決定されまして、そのほとんどの部隊はグアム、ハワイ、アメリカ本土に移動した。また、ある部隊は解体された。そういう中で幾つかの部隊とそれに伴う兵員が日本にとりあえずいる、あるいは次のことが決まるまでいるということになったわけであります。  内容的に申しますと、一つはクラーク基地におりました三五三特殊作戦航空団の二飛行隊、これは司令部の人員で五百八十一名になるそうでありますが、これについてはほかの移転先が見つかるまで嘉手納にとどめるということが決まった。それから同じようにその航空団の中のヘリコプター部隊が、これは今年じゅうに日本からほかへ移転するようでありますが、これも嘉手納にいる、それまでの間残っている。それに加えて輸送空軍が嘉手納における物資、乗客にかかわる支援のため、クラーク基地にもともとおりましたうちの百六十名を今後嘉手納で使うということが出ております。  他方、このときはことしの一月の発表でありましたものですから、今年中に予定されるアメリカ側の兵力削減、日本における兵力削減等もあわせて発表になりまして、そのときには本年の十月からは今度は嘉手納の第一八航空団F15十八機の削減ということが始まりますものですから、それによって四百九十一名の人間が削減される。さらにまた、一八航空団と嘉手納部隊の再編成によりまして君らに二百二十八名の兵員が削減されると。  したがって、ちょっと細かいことになりますが、先ほどの増加する部分と減らす部分合わせまして差し引き二十二名の増ということになるようでありますが、これがことしの一月三十一日の発表でございまして、我々としては空軍についてはこういう格好でかなり詳しく実態がわかっています。海軍についてはこれからだろうと思っております。
  91. 立木洋

    ○立木洋君 クラークの基地から輸送空軍だとか特殊作戦航空団が一時駐留という形で嘉手納とか普天間に来ておるということは承知しておりますけれども、これは向こう側の発表によっても一時駐留ということで、先ほど言われたように、本国に帰るかあるいは解体するのかそれは別としてそういう形で発表されているのですが、今言われた数字の内容というのは、横田だとか三沢だとか含めての最終的な数字が増二十二名という意味でしょうか。
  92. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) 私はそのように理解しております。  ただ、まだアメリカの削減計画、移動計面というのはいろいろ進行中のところもございますものですから、例えば先ほど申し上げました海軍にかかわるものも含めた次の発表が私の承知しているスケジュールから見ましてもおくれておりますので、予算との関係とかいろいろ調整をしているのではないかと思われますから、これで最終かどうかちょっと断定するのは差し控えたいと思います。
  93. 立木洋

    ○立木洋君 九〇年九月末現在の在日米軍というのは四万六千五百九十三名というふうに発表されていたわけですね。これは横須賀に乗組員の家族を移駐させておるのはこの中に含めていないという数字として四万六千五百九十三名というふうに出されていたのですが、現時点については正確に今言ったようなことで把握できていないのかどうなのか。それとも多少なりともこの九〇年九月末現在の数字からいって増というふうに見込まれているのか。あるいはどういうふうに見込まれておられるのか、大まかな数字でもわかれば示してください。
  94. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) 米軍の数字につきましては二種類の数字があることは御承知のとおりでありまして、定員ベースの数字とそれから実員ベースの数字とございます。それで、軍の性格上移動者が多いものですから実員ベースと定員ベースとは必ずしも合っていないということをまず前もって申し上げておきたいと思います。  私も、先ほど先生おっしやられた数字は九月とおっしゃられましたものですから恐らく実員ベースの話ではないかと思いますが、一九九二年九月、毎年実は九月末に実員の発表を国防省がいたしておりますが、九二年九月分についてはまだこれからの問題なので私は承知しておりません。九一年九月末が実員ベースで四万四千六百という数に聞いております。  他方、定員ベースにつきましては、もともと一昨年アジア・太平洋地域の兵力削減計画をアメリカが発表いたしましたときには日本について定員では五万一千八百三十四名ということが発表になりまして、それから日本については四千七百七十三を向こう二年間で引くということになっております。  なぜこうくどくど申し上げるかといいますと、その後フィリピンの分が急にふえました。実はその段階で同じときにフィリピンから三千四百九十名引くと言っていたわけでありますが、恐らくその当時実員ベースでおりました一万数千全員これを引くことになりますものですから全体の数字がどうなるのか今のところちょっとわかりかねますが、大体、在日米軍は今のところ定員ベースで四万七、八千ではないかと私は思っております。
  95. 立木洋

    ○立木洋君 防衛庁の方おいでになっていると思いますが、ことしの夏、横須賀にトマホーク積載可能な駆逐艦オブライエンが新たに配備されるあるいは同じ時期に佐世保に強襲揚陸艦ベロー・ウッドが配備されるということを聞いているのですが、これの機能等についてはどのように掌握されているのでしょうか。
  96. 吉田嚴彦

    説明員(吉田嚴彦君) オブライエン等の先ほどの御質問につきましては、ちょっと機能について私、承知をしておりません。
  97. 立木洋

    ○立木洋君 機能についてわかっている人に来ていただきたい、いろいろな米軍の機能についてお聞きするからと言ってきのう頼んであったのですが、答弁できないとなれば仕方ないでしょう。  それじゃ、もう時間がないので最後のまとめで大臣にも所感をちょっとお尋ねすることになると思いますが、アメリカ軍とフィリピンの軍事基地の協定によりますと、米軍の駐留の目的としては、アメリカ合衆国大統領に対してフィリピン国の領土保全、アメリカ合衆国及びフィリピン国の相互防衛並びに太平洋の平和維持を確保することを目的とするというふうにされているのです。  日本に対して、今、移動中で最終的な兵員がどうなるのかまたその基地の機能がどうなるのか正確には答えられないけれども、若干の移転があるというふうなことを局長が答弁されたわけですが、フィリピンにあった軍事基地の協定の中に述べられている太平洋の平和維持を確保する目的という性格を日本にその基地の機能として移転されるのかどうかという問題があると思うのです。この点では、今この駆逐艦のオブライエンあるいは強襲揚陸艦ベロー・ウッド、このべロー・ウッドというのはアメリカのあれでちょっと見てみますと、世界の第三地域や紛争地域なんかのゲリラ等に対する上陸作戦を行うのがこのベロー・ウッドとしての機能だというふうなことが指摘されているので私も注目しているのですが、こういうフィリピンでの基地の撤収による機能の日本への移転や日本でのアメリカ海軍の機能の強化等々について、これをどういうふうに大臣の方はお考えになっているのか。  つまり日本についていえば、御承知のように、いわゆる軍縮の方向に世界の流れは進みソ連のあり方というのも大きく変化してきた状況の中で、こういうような大変な機能の強化、フィリピンから基地の機能を撤去した場合に日本に移転されるという問題についてはそれはちょっと重視しないとならない点ではないかというふうに感じているので、その点についてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  98. 佐藤行雄

    政府委員(佐藤行雄君) オブライエンにつきましては、フィリピンの機能削減から結果として日本に移転してくるということではなくて従来からということでございます。  それから第二に、米軍の艦船機能が日本に参りました場合には、御承知のとおり、当然安保条約適用になるわけでありますので、安保条約の枠の中での機能になるということは条約上の問題として当然そうなるものと言えると思います。
  99. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 我々は日米安保を結んでおりますので、日米安保の円滑な運用というような観点で理解をしたいと考えています。
  100. 立木洋

    ○立木洋君 ちょっと一言だけ。  やっぱり今の世界の大きな流れとちょっと反する方向に、こういう軍備の状況だとか基地の機能の移転だとかというふうな問題はそういう角度からも見ておく必要があると思うのですが、そういうふうな方向に、日本が肩がわりして軍事大国の方向に行くみたいな格好で米軍の基地の機能がより一層増強されることは、安保条約だから結構だと一概にそういうふうに言わないで、世界の大きな流れの中でどう日本が対処していくかということを当然考えなきゃいかぬ問題だと思うのですね。
  101. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) 大きな流れとすればそれは消極的にはそういう方向に行くのだと思いますが、やっぱり臨時的、部分部分の問題では移動とかなんかがありますから、決して私は心配ない、そう思っております。
  102. 立木洋

    ○立木洋君 次の機会にまた、
  103. 高井和伸

    ○高井和伸君 きょうは主にアフガニスタンとユーゴスラビアの紛争につきまして国連の役割というようなことを中心にお尋ねしたいのですが、カンボジアの問題で現在日本国、議論が沸騰しております、そしてその中で、外務省の支援をいただきまして、連合参議院、せんだってカンボジアにも行ってきました。そこで感じたことを少し大臣にお尋ねしたいと思うのです。  中国の兵が、工兵でございますが、上陸していたというような状況がございました。そこで感ずるのは、カンボジアは大変日本が大好きだということを感じてまいりました。その理由は大国によってカンボジアの国内がじゅうりんされたという思いの反作用というようなこともあろうかと思うのです。ソ連大嫌い、中国も大嫌い、ベトナムも大嫌い、もっと古くはフランスも大嫌い。そういうふうな中で今後のUNTACの活動を見るときに、ある意味では応援団というか、紛争当事者の裏側にいた大国がPKO隊としてカンボジアに来るということ、大変私は矛盾に思いながらUNTACの方にお尋ねしました。  サドリさんだったと思いますが、その答えは、安保理の五大国があちこちのPKOの中で活躍しているから、一カ所をとらえて参加しちゃいかぬということになると全体的にはバランスがうまくいかぬというようなことでお答えになっておりました。  しかしながら今度、アフガニスタンあるいは、まあアフガニスタンだけでも結構ですが、紛争当事者の裏側にいた方々に対する日本国政府外務省あるいは外務大臣としてのお考え、こういったものが全部吹っ飛んじゃってとは言いませんけれども、例えばAという国が応援するからBという国も応援するというようなことで代理戦争みたいになってきてしまったのだみうと思うのです。そこらに対する裏側にいた大国の米ソ冷戦構造の尾を引いているわけでございますが、紛争当事者じゃないけれども、実質的応援団的な紛争当事者の国際的な責任というものが吹っ飛んじゃって、そこらに対する糾問というか糾弾というか責任の所在というか、そういうことはもう素人的に考えちゃいかぬのかと思うほど無視された議論が続いているような感じがしております。  そこで、米ソ冷戦構造が解けたといったところで、その後また各国の国益に沿った応援団があらわれる。ユーゴスラビアなんかに行くとそんなような雰囲気がまた出てくるわけですね。アフガニスタンも同じように周りの国が応援団で出てくる。こういった現象に対して外務大臣としてはどうお考えなのか。
  104. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) アフガニスタンのことは私つまびらかでないので、担当局長からお答えをいたします。  カンボジアの問題については、かねて十年来かかわりを持っておりましたから多少のことは知っているのです。  御承知のとおり、シアヌーク政権というのが追い飛ばされて、その後からですがポル・ポト政権というものができて、それを結局ベトナム軍が入っていって山の中に追い出した、そして現在のヘン・サムリン政権ができたと。ヘン・サムリン政権の応援者はベトナムでありソ連であったということは言われているわけですね。それからポル・ポト、クメール・ルージュに対しては中国がこれに武器援助をやっておったということは公然の秘密なのですね。そしてまた、アメリカはソン・サンとかなんかを応援しているということは言われておったわけです。  したがって、内部で四派を集めて話をつけたってまとまらぬのですよ。やはりそのためには応援者が手を引くということが大事なことですから。幸か不幸かソ連は自分の方が手いっぱいになっちゃってベトナム支援どころじゃない。ベトナムだって今度はそんなカンボジア支援どころじゃないということになって、中国が要するにポル・ポト支援をやめるということになればいいわけですね。したがって、ポル・ポトの支援をやめさせるためにはベトナムの影響力をカンボジアからなくすということが最大の条件になるわけですから、だからベトナムも手を引いてくれ、アメリカも手を引く、みんなが手を引くということで国連決議が行われて現在の和平の枠組みができて進行中だと。  これをさかのぼって、今まで応援した人にはそれぞれの今までのいきさつがみんなあるわけですが、その責任を言い出すとまたこれ全然まとまる話もぶっ壊れちゃうわけですから、それはさておき、とりあえず現実の問題としてカンボジアに和平ができることはいいことだと、みんなこう言っているわけですから、やはり現状を伸ばしてそこで和平を確実なものにするというほかはないのじゃないか。  アフガンの問題も、これはソ連が介入してきて、それに対して他の陣営が対抗的にゲリラを応援したのは事実なのです。これも両方手を引いて、ところが今度は民族紛争的なゲリラとゲリラの戦いみたいなことになっているわけですね。これはだれが今、応援しているのか私わかりませんが、局長が詳しかったらそこから先ほどうぞ引き継いでお願いします。
  105. 小原武

    政府委員(小原武君) 大臣が終わったところから現状を御報告いたします。  この四月の中旬からいわゆるムジャヒディン反政府ゲリラ勢力の攻勢が強まりまして、四月二十八日にカブール政権からムジャヒディン勢力に対して無条件での権力の移譲が行われまして、現在ムジャヒディン各派が暫定政権樹立に向けてその準備を進めている状況でございます。しかしながら、新しい体制の内部におきます主導権争いがあるようでありまして、一部の強硬派は依然軍事行動の可能性を否定していないという状況でありまして、今後の情勢はなお予断を許さないものがあるというふうに見ております。
  106. 高井和伸

    ○高井和伸君 先ほど応援団のところで大臣のお話は、そういったことを言っても仕方がないのでとりあえずというようなことでお答えになってしまわれまして、どうも聞き損なったというイメージでございます。現実的に紛争を解決することは大変いいことで別に悪いと言っているわけではございませんが、そういった側面はこれが政治なのだ、国際政治だということに尽きるのかというような思いもございます。  そこで、次のアフガニスタンの問題でございますけれども、国連が和平への政治的合意を目指して動き出したところでそれがある意味ではとんざしてしまったというような状況に現在あるというふうに私は認識しているわけでございますが、カンボジアにおけるパリ和平のようなそういった枠組みづくりというような見通しあるいは動き、とんざしたあたりの事情というようなことはどのように掌握しておられるでしょうか。
  107. 小原武

    政府委員(小原武君) 現状はムジャヒディン勢力の中でのお互いの新体制に向けての協議、合意の成立ということが焦点でございまして、それに。対して国連を含めまして各方面の努力が向けられているという状況でございます。  とりあえずは各派代表から成ります五十一人委員会、暫定評議会と言われておりますけれども、これが組織されておりまして、これを中心に暫定政権に向けての話し合いが行われている。したがいまして、国連などの代表の努力もその準備がうまく進むようにというところに焦点を置いて進められているというふうに理解しております。
  108. 高井和伸

    ○高井和伸君 カンボジアにおいてはある意味では四派と言われておりましたけれども、こちらのアフガニスタンではもう数限りないというように非常に数が多い。暫定評議会の人数が五十人だとかというような数字になっているということは先の見通しは非常に明るいと言うべきでしょうか、わからないと言うべきでしょうか、暗いと言うべきでしょうか、大体そこら辺の感触はお持ちでしょうか。
  109. 小原武

    政府委員(小原武君) 冒頭申し上げましたけれども、まだ一部の強硬派は軍事行動も辞さずという立場を崩していないようでありますし、今後の情勢はなお予断を許さないものがあるというふうに見受けております。    〔委員長退席、理事山岡賢次君着席〕
  110. 高井和伸

    ○高井和伸君 アフガン問題で最後に、日本国の外交方針として今のアフガニスタンの現状についてはどのような姿勢でお臨みになるのかということになりますと。
  111. 小原武

    政府委員(小原武君) 日本政府としましては、すべての当事者が武力に訴えることを自制して国連並びにいろいろの関係者の和平努力に協力していくことを強く呼びかけているところでございます。これらの各勢力の中での問題の平和的解決、それから国民の幅広い支持基盤を持つ安定的な政権の樹立に向けて事態が進展していくことを望みながら呼びかけを行っているところであります。  今後、もしそのような国民の幅広い基盤を持つ政権が樹立されたというような場合には、かねてからの懸案の復興援助などの検討に入る段階に移ると思いますけれども現状におきましてはとりあえず平和的な話し合いによる政権づくりを呼びかけていくという状況でございます。
  112. 高井和伸

    ○高井和伸君 最後に一つだけ。  カンボジアにおけるUNTAC方式、政治的枠組みつくり方式というのは日本としては希求されるのでしょうかされないのでしょうか、アフガニスタンについて。
  113. 小原武

    政府委員(小原武君) 今後の日本の国際貢献のあり方ということは改めて現状に即して検討すべき問題だと思いますけれども、とりあえず当面は当事者の和平、国内和解への努力を見守る、それから難民が帰還できるような状況に備えて難民救助の方策を引き続き検討していくというようなところに主眼を置くべきであると考えております。
  114. 高井和伸

    ○高井和伸君 アフガンの問題は終わりますけれども、難民が百万だとか百五十万だとか言われております。カンボジアにおける三十七万だとか国内難民が二十万だとかそういった数字、さらにまた地雷もあるというようなことを聞きますと、このアフガンの先というのは大変難儀なことだろうというようなことを考えておりまして、ぜひ和平へ向かっての御努力、我々もしますが、お願いしたいと思います。  次に、ユーゴスラビアの現状でございますけれども、それぞれ新しい五つの独立国ができたというような現状だろうと思いますが、この新ユーゴスラビアの各国に対する日本国政府の基本的な外交のスタンスはどうなっているのでしょうか。
  115. 兵藤長雄

    政府委員(兵藤長雄君) 今、御指摘のごとく、ユーゴスラビア旧連邦は完全に分解しつつあるということでございますが、そのうちのクロアチア、スロベニア両共和国につきましては既に国家承認をいたし、さらに外交関係の設定に進んだわけでございます。  さらにボスニア・ヘルツェゴビナにつきましては、先般の国民投票によりまして独立という方向で走り出したわけでございますけれども、その時点になりまして、御承知のとおり、セルビアを中心といたします軍隊がユーゴスラビア連邦軍の名においてここに武力をもちましてボスニア側から言えば干渉を開始したということで、今、現にボスニアにおきましては武力衝突が続いておる、流血の惨事が続いておるということは御承知のとおりでございます。  さらにマケドニアにつきましては、これも国民投票によりまして独立ということになったわけでございますけれども、ここは若干違った事情つまりマケドニアという国名を称することにつきまして、詳しくは御存じと思いますから省きますけれども、ギリシャが強硬な異議を唱えている。そのためにEC諸国ほかの西側諸国もマケドニアについては承認に踏み切れていない。ボスニア・ヘルツェゴビナについては一部先行している国もありますけれども、若干の国はなお状況を見ていると。我が国も、マケドニア並びにボスニア・ヘルツェゴビナ両共和国につきましては、なおそういう今申し上げましたような事態も踏まえまして慎重に情勢を見守っておると。  最後に、セルビア、モンテネグロでございますけれども、四月の二十七日に新憲法を採択いたしまして、かなり唐突な形でございましたけれども、独立を宣言したということでございます。  私どもは、この新しいユーゴ連邦共和国というものが法的にどういう地位にあると認識すべきかという点につきましてはいろいろな要素がございますので、今、慎重にその法的な取り扱いも含めまして検討しているというのが現状でございます。
  116. 高井和伸

    ○高井和伸君 国連のPKOの活動がクロアチアで行われている。行われつつあると言うべきでありましょうか。それからボスニア・ヘルツェゴビナ国における活動、こういったものの現状というのは新聞報道程度のことは知っておりますけれども、今後の展開からいった場合、見通しというのはどのように掌握しておられるでしょうか。
  117. 丹波實

    政府委員(丹波實君) ユーゴに関しますPKOは大きく分けまして二つの地域に分けて御説明申し上げることができると思います。  一つは、現実にPKO活動、具体的にはこれはPKFに当たりますが、PKO活動が行われている地域、これは基本的にはクロアチア共和国の南側の地域でございましてボスニア・ヘルツェゴビナの北に当たるところでございますが、二月二十一日に安保理事会が国連保護隊という名前のPKOを決定いたしまして、これは十二カ月の長さをもって設立されております。軍事部門及び文民部門を全部含めまして、基本的には軍事部門で成っていますけれども、総計約一万四千四百名で構成され二十九カ国が参加する予定であるというふうに聞いております。五月半ばぐらいに全面展開を完了する予定であるというふうに承知いたしております。  それが予定でございますが、四月二十三日の国連の発表によりますと、四月二十三日現在では軍事要員が七千九百七十五人、文民警察が二百九十人、それから文民スタッフが六十七名、計八千三百三十二名が先ほど申し上げたクロアチア共和国内の四地域に展開しており、展開地域内のパトロールとかあるいは監視ポストの設営等の活動を行っていると、概略を申し上げるとクロアチアにおきますところのPKO活動はそういう状況にございます。    〔理事山岡賢次君退席、委員長着席〕  もう一つ問題になっていますのは、ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争との絡みで別個にPKOをあそこに設立てきないかという話が特にヨーロッパ、この間ガリ事務総長が例えばフラシスを訪問いたしましたけれども、ミッテラン大統領からボスニア・ヘルツェゴビナにPKOを何とかできないかという話があったと聞いております。そういう話を受けて、そういうことに前後いたしまして例えば四月だったと思いますが、バンスかつてのアメリカの国務長官が、SG、事務総長の代理としてボスニア・ヘルツェゴビナを訪問いたしまして、御承知のとおり、停戦とかいろいろな条件があるわけですから、果たしてそういう状況にあるのかどうか視察してまいりました。それを受けてとりあえず国連が出した結論は、残念ながら現下の情勢ではPKOが成功するような状況にはないと、それはつまり停戦の問題も含めてそういう状況にはないということを言っておるわけです。これは四月二十四日ぐらいの時点の話です。  しかしその後、さらにもう一回ミッテランから事務総長が頼まれまして、それじゃもう一度ということで実はグールディンク、これはまさに国連の本部でPKOを担当している事務次長をもう一度ボスニア・ヘルツェゴビナに視察させまして、最近国連に帰ったわけですが、やはり現在の状況ではボスニア・ヘルツェゴビナにPKOを設立するのは困難であるという結論が出ております。したがいまして、後者につきましてはもう少し事態を見る必要がある、こういうのが今日の状況でございます。
  118. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 ここのところ連日PKO法案ということで、大臣、お疲れさまでございます。  私もちょうどこの連休を利用させてもらいましてタイの、タイというかラオスとミャンマーに挟まれたゴールデントライアングル、黄金の三角地帯に行ってまいりました。今、PKO法案の中ではカンボジアの方へ意見が集中しているようですが、難民問題、これはタイも関係しできます。  もう一つ今回の目的というのは、あのゴールデントライアングル、タイの国王が麻薬撲滅ということで畑を全部焼き払った、しかしながらそこの山岳民族というのはそのために生きていくのが大変だといういろんな問題が生じてきている、その開発をどうするかというようなことでちょっと視察をしてまいりました。実際は思っていたよりトライアングルというのはちょっとイメージが違ったというか、メコン川が流れておりまして、その川のふちに牛と一緒に水浴びをしている状況を見まして一見のどかではあるのですが、大変貧しい状況というか、そういう中でタイ政府と今ラオスが一緒に開発をしようというようなことで電力やいろんなことを計画しているようです。  もう一つ、私自身ミャンマーの状況を、これは外務省に後で怒られるかもしれませんが、内緒で潜り込みましてちょっと一部視察をしてきました。タイのメーサイというところにメーサイ橋というのがあって、そこを渡りますとすぐミャンマーになるのです。これはタイとミャンマーの人間に限って橋が渡れるというか国境を越えられるわけなのですが、特別な計らいでそこの橋を渡りました。  ミャンマーとタイ、この経済格差が大変大きいというか、例えば市場と言っていいのでしょうか、出ているものは中国製の、これは怒られるかもしれませんが粗悪品というか、そういうものがずっと並んでいる中で、例えばたばこがワンカートン百五十バーツというと大体九百円ぐらいでしょうかね。ところがタイのこちらに参りますとそれが約二倍半ぐらいの値段ということで、タイの人たちはその橋を渡って買い出しに行くような部分があるわけです。そういうことで東南アジアというのはカンボジアも含めてまだまだ私どもが見ると非常に貧しいなという気がするのです。私は、さっきちょっと移民の問題が出ておりましたけれども、ブラジルに移民したときにちょうど同じような生活をしたものですから、川で牛が水を飲んでいるところで水を浴びてと、そんなことで哀愁を感じるといいますか。  そういう中でこの麻薬問題というのは、今一方で国王が撲滅運動を起こして畑を焼き払ったのですが、実際には麻薬は山の中の非常に土地の枯れているというか悪いところで生産される。そういう中で逆に今、肥料を与えて、実際は栽培面積は減ってきているのですが、そこの単収を上げるような技術を彼らが身につけまして実際の生産量はふえているのじゃないかという話を聞いてまいりました。  実際に栽培しているぎりぎりの線まで行ってまいりまして、これはちょっと信じられない話なのですが、もう八十過ぎた老夫婦がおりまして、我々はアヘンを毎日吸っているから大変このとおり元気だという話を聞いて本当かなという気がしましたが、しかし元気なのですね。やはりこれは今後、東南アジアを含めて山岳民族の生活というのが大変問題になってくると思います。  ちなみに今、年収というのは、その山岳民族、麻薬、ケシを栽培していない人たちが大体一万円ぐらいだと思うのですが、それが大体三倍というと三万円程度、これでも大変大きな収入になるわけです。そういうようなところをこの間ちょっと行って見てまいりました。  このタイとの国境における難民問題、それからもう一つ、これは後からちょっとお話しをさせてもらいますが、公害問題。まずバンコクの町が、私は今から二十七年前ぐらいに行ったのですが、今回行ってびっくりしたのは経済発展が大変すごいなと。ビルが建ち並ぶ、その中で交通渋滞とそれからもう一つは排気ガスの問題。信号が三つぐらいの先、見えている先まで行くのに本当に四十分、五十分かかってしまうというのはざらであって、その中で四十度を超える暑さ。八十歳のおばあさんに聞いたのですが、自分の体験で初めてこんな暑さを感じたという猛暑であったわけですけれども、そういう暑さの中で大気汚染、こんなところで人が住めるのかなと思うような感じを味わってきました。  一つちょっとお聞きしたいのは、タイには大分経済援助はしていると思うのですが、これからは公害意識というものを市民がもっと持ってもらう、そこへ住んでいるとなれてしまうのか、あるいはもうどうしようもないとあきらめているのかもしれませんが、その測定器というのが日本にもありますね。町の信号に大気汚染が今このくらいですよという表示をするようなもの、ああいうような援助をぜひしてあげたらいかがかなと。そして今、自分たちがどれぐらいの状態で生きているかということを認識してもらう。そういう中から公害規制というものを考えてもらうということを感じてまいりました。  それで、きょう余り時間もありませんから、バンコクの汚染とそしてもう一つ、これは前にもこの委員会で申し上げたことがあるのですが、砂糖の精糖が結構ありまして、その精糖会社から流れてくる廃液というのがこれまた大きな汚染の問題で、これはブラジルでも大きな問題になっています。川にたれ流しになっている、そのために魚はそのままもう死んで浮き上がってくるというような状況がありまして、向こうへ行ったときにこれは何とかならないかというふうな話がありました。私どものグループでもそういう研究を今しておりますので、我々も何とか解決できそうだということが実感として大分感触が出てきました。  そこで、ことしの最大のイベントというのは温暖化防止条約というかブラジルのサミットだと思うのですが、きょう私どもに入ってきた情報によりますと、本当にまだまだ準備が全然できてないというそういう話の報告がありました。そこら辺については私、ちょっときょうは質問に入っていませんでしたが、どうでしょうか。
  119. 丹波實

    政府委員(丹波實君) この点につきましては、先生以前にもこの委員会でリオセントロの準備状況について御心配になられて、日本政府として例えば協力するような考えはないかということを御質問されたのを記憶しておりますけれども、ブラジル政府は当時も今も一貫して必ず自分たちでできるということを言っておるものですから、私たちとしてはもし何かできればとは思っておりますけれども、ブラジル政府としてはそのUNCEDの会議までには間に合わせるべきものは間に合わせるということで一生懸命やっておるものですから、私たちとしてはとりあえず、とりあえずと申しますか、今のところ成り行きを見守っている、こういう状況にあるということでございます。
  120. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 そしてまた、日本から参加されるメンバーというのは、私もいろいろ聞いてはいるのですがよくわからないのですが、大体骨子は決まったのでしょうか。
  121. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 一番重要なところは、最終日近くに行われる首脳レベルの会合に日本政府を代表してだれが出るかということでございますが、これは総理御自身が国会でも御答弁しておられますとおり、政治日程が許すならばと言っておられて、まさにそういうお考えであろうかと。政府としては、そういう意味では政治日程が許すならば総理みずからが出席されるということでございます。  あとはいろいろなNGO、その前に国会の中の各党の先生方はそれぞれ党内で取り仕切りをされて出席されるというふうに伺っておる次第でございます。
  122. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 それと、きのうの新聞ですが、この前もこの委員会質問させてもらったアジア横断鉄道合意ということで、アシハバードというところでこの間会議が行われたようですが、やはり中央アジアが一つに結ばれるというのは経済圏として大変大きなことじゃないかなと思うのです。ちょうど大臣はずっとこの間行かれていましたが、ウズベクからこの辺一帯が関係してくる問題と、それから先ほど同僚議員からアフガニスタンの質問がありました。これはタジクというところ、やはりタジク民族というのがアフガンにも相当関与していまして、これからのアフガンの行方によってはタジクも非常に状況が危なくなってくるというような問題を抱えております。  その辺のこれからの政治情勢と同時に経済援助というか、当然そういうものを日本が請け負うのかどうか。依頼があれば、要請があれば請け負わなきゃいけないのでしょうけれども、ある程度の部分。そういう情報が本当に我々も薄いのですけれども、やはり今のPKO法案というのがどうしてもカンボジアだけで、私は、カンボジアだけなのか、そうじゃなくて先ほどアフガンの問題も出ておりましたし、世界に貢献するという日本の立場からするとその辺の今の情報はどういうふうになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  123. 兵藤長雄

    政府委員(兵藤長雄君) 今、御指摘いただきましたいろいろな動きの中でタジキスタン共和国の動きでございますけれども、私の理解では、タジク共和国はCIS、独立国家共同体の中でもいわば実質的には共産党支配体制が続いていたところで、これに対する一般の特に革新派あるいは民主化グループからの不満がうっせきしておったということが原因であるのではないかというふうに認識をいたしております。なおいろいろお動きがあるようでございますけれども、方向としては民主化の流れに沿う方向で動いているというふうに認識しておるわけでございます。  それから中央アジア鉄道構想のお話でございますけれども、御指摘のとおり、五月九日、十日の両日アシハバードにおきまして、今、紛争でごたごたしておりますタジキスタンを除きます中央アジア四共和国とそれからイランのラフサンジャニ大統領と、あとトルコ、パキスタンの首相が参りましてこの中央アジア地域の経済開発の問題が話し合われた。  その中で一つは、中国とトルコまでを結ぶ鉄道の話、これは実質的にはこの間、御承知のように、ウルムチとアルマアタの間の鉄道が開通をいたしまして、渡辺外務大臣がカザフスタンに参りましたときに渡辺大臣からナザルバエフ大統領にこの鉄道網についての質問をされて、その後直ちにカザフスタンの首相が大臣のところに地図を持ってまいりまして、今、中国まで鉄道が通ずるようになったというお話をしたわけでございますけれども、これをもうちょっと近代的な路線に合理化していくという話であるというふうに承知しております。と同時に、道路、昔のシルクロードの道も建設する話が出たようでございます。  このいずれの話もまだ具体的なアイデアが出たということではなくて、この地域の交通輸送網の整備増強の必要性、これが経済発展に多大な寄与が見込まれるということでございまして、構想の具体化というところまでは話はいっていなかったということでございます。  私どもも、具体的な段階に入って具体的な要請が具体的に出てくるという段階で対応を考えたいと思っておりますが、一般的な我が国の姿勢といたしましては、渡辺外務大臣がこのほどキルギス、カザフ両共和国を訪問いたしましたときに、この五共和国に対しては日本政府としてはODAを使う、ODA対象国とすることを今、OECDの中の開発委員会、DACと言われているようでございますが、ここで対象国に含めるということを積極的に働きかけているという我が国の努力説明をしたところでございます。
  124. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 もう一つ、私どもこの九月から十月ぐらいに、北方領土のビザなし渡航というのが進めばひとつ何かやらせていただこうということで今いろいろ呼びかけておりまして、民間交流をしようじゃないかということで考えております。  このビザなし渡航がスタートしたことは大変喜ばしいなと思うのですが、きょうの新聞でしょうか、なお手探りということで、テレシコさんですか団長さんが来られて、この中にもいろいろありますが、時間がありませんから中を読みませんけれども、どうでしょう、第一団が来られてそしてまたこちらから第一団が行かれて、第二団が予定されているようですけれども、その成果は。
  125. 兵藤長雄

    政府委員(兵藤長雄君) 先方から第一陣が参ったわけでございますけれども、私はその評価は総合いたしますと成功であった。初期の目的は達したというふうに御報告申し上げていいだろうと思っております。  今、まさに日本からの第一陣が北方四島を訪問中でございます。私どもは、あくまでもこのビザなし交流の制度を発足させました趣旨にのっとって、旧島民と現四島に住んでおられるロシア国民の方々との相互理解、信頼関係を醸成していくというその本筋にのっとりまして今後の計画を考えてまいりたい。そういうことでございますから、第二陣もいわゆる直接関係者、島民あるいは旧島民の方々を中心に考えていきたいということでございます。  そういう中でこの交流が定着をする、政治的にいろいろなデリケートな側面がだんだんと解消していく、そういう中で国会議員の先生方の訪問というものもその段階の課題としては私どもも当然考えなければいけない課題だと。当面は、まずとにかくいろいろな政治的な問題がありましたけれども発足させた。向こうは相当いろいろ機微なデリケートな状況がある。特にこれを政治的に利用されるということについて向こうは大変に危惧を持っている。そういうことを踏まえながら一歩一歩この無査証交流が定着するということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  126. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 最後に、話があっちこっち飛びますが、先ほど言った温暖化の問題です。我々いろんな情報を集めていますが、大変有望な一つの情報があります。  最近メキシコのグアダラハラで事故が起きました。これは今、我々が集めている情報、水の問題、それから大気汚染、これは時間がありませんからまたにしますけれども、ちょっとだけお話ししますと、今の油の質自体、開発途上国というのは大変質が悪いのですね、日本の場合は精製されておりますが。それからもう一つは、十年二十年たった車が大きな顔をして走っている、車検制度がないということで。それが黒煙をどんどん出して走っているというのが今の現状です。  今、我々が考えている一つのアイデアはその油の質を変えるということで、どういうことかというと、丸太を燃やした場合には大変煙が多く出る、それで燃え方も悪い。しかし、これは一つの添加剤なのですが、それを投入することによってバイオで油の粒子を細かくする、そうすると今まで不完全燃焼だったものを全部それを分解することによって燃焼率を物すごく高める。これは新日鉄なんかでももう導入されておりますし、技術的な問題は何もありません。  こういうようなものが今、温暖化でどうしようというときに、これは三〇%のCO2あるいはNOx、SOx、硫黄酸化物、ばい煙、ばいじん、そういうようなものも全部抑えることができるという、こういうような技術を我々今ちょっと情報を得ているのですけれども、きょうは時間がありませんからまたお話しさせてもらいますが、そういうようなことも日本の中に随分いろいろないい技術がありますので、ひとつその辺をぜひ取り上げていただきたいと思います。  終わります。
  127. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  128. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) 次に、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ルクセンブルグ大公国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ノールウェー王国との間の条約締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府オランダ王国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。渡辺外務大臣。
  129. 渡辺美智雄

    ○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ルクセンブルグ大公国との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、ルクセンブルグとの間で租税条約締結するため、ルクセンブルグ政府と交渉を行いました結果、平成四年三月五日にルクセンブルグにおいて、我が方矢田部特命全権大使と先方ポース外務通商協力大臣との間でこの条約に署名を行った次第であります。  この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、経済的交流、人的交流等に伴って発生する国際約二重課税回避を目的として、ルクセンブルグとの間で課税権を調整するものであり、条約全般にわたり、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。  この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。ただし、国際運輸業所得に関しましては、船舶及び航空機のいずれの運用による所得に対する租税につきましても相手国において全額免除することを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。  この条約締結によって我が国とルクセンブルグとの間での各種所得等に対する課税権の調整が図られることになり、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。  よって、ここにこの条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ノールウェー王国との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十二年五月に署名されたノールウェーとの間の現行租税条約にかわる新たな租税条約締結するため、ノールウェー政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成四年三月四日にオスロにおいて、我が古沢井特命全権大使と先方ヴィンテネス外務次官との間でこの条約に署名を行った次第であります。  この条約は、現行条約に比し、条約全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れたものであり、近年我が国が諸外国との間で締結した租税条約と同様、OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。  この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。ただし、国際運輸業所得に関しましては、船舶及び航空機のいずれの運用による所得に対する租税につきましても相手国において全額免除とすることを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子及び使用料についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。なお、相手国の沖合における天然資源の探査・開発活動に係る所得につきましては、一定の条件のもとに相手国で課税できるものとしております。  この条約締結によって我が国とノールウェーとの間の二重課税回避制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。  よって、ここにこの条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国政府オランダ王国政府との間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十五年三月に署名されたオランダとの間の現行の租税条約を改正する議定書締結するため、オランダ政府と交渉を行いました結果、平成四年三月四日にヘーグにおいて、我が方藤田特命全権大使と先方ファン・アメルスフォールト大蔵担当国務大臣との間でこの議定書に署名を行った次第であります。  この議定書による改正の主な内容は、親子関係にある会社の間で支払われる配当に対して源泉地国として我が国が行う課税の限度税率を、現行条約に定める一〇%から五%に引き下げること、並びに、条約の実施等のための情報の交換及び条約の不正利用防止のための租税の徴収共助に関する規定を新たに加えることであります。  この議定書締結によって我が国とオランダとの間の二重課税回避制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。  よって、ここにこの議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  130. 大鷹淑子

    委員長大鷹淑子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会      ―――――・―――――