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1992-03-12 第123回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月十二日(木曜日)    午前九時二分開議 出席分科員   主 査 粟屋 敏信君       金子原二郎君    原田昇左右君       筒井 信隆君    高木 義明君       中野 寛成君    兼務 山口 俊一君 兼務 山本 有二君    兼務 大畠 章宏君 兼務 志賀 一夫君    兼務 新村 勝雄君 兼務 鈴木  久君    兼務 竹内  猛君 兼務 谷村 啓介君    兼務 常松 裕志君 兼務 富塚 三夫君    兼務 永井 孝信君 兼務 長谷百合子君    兼務 渡辺 嘉藏君 兼務 遠藤 乙彦君    兼務 遠藤 和良君 兼務 長田 武士君    兼務 貝沼 次郎君 兼務 古堅 実吉君    兼務 吉井 英勝君 兼務 楢崎弥之助君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 東家 嘉幸君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       藤原 良一君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁計画・調         整局長     田中 章介君         国土庁大都市圏         整備局長    西谷  剛君         国土庁地方振興         局長      小島 重喜君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房会         計課長     近藤 茂夫君         建設省建設経済         局長      伴   襄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  分科員外出席者         環境庁自然保護         局国立公園課長 鹿野 久男君         環境庁水質保全         局水質管理課長 石田 祐幸君         国土庁計画・調         整局計画課長  小林 勇造君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 溜水 義久君         国土庁地方振興         局離島振興課長 吉田  博君         法務大臣官房司         法法制調査部司         法法制課長   池田 耕平君         大蔵省主計局主         計官      松谷 明彦君         大蔵省主計局主         計官      田谷 廣明君         厚生省健康政策         局指導課長   今田 寛睦君         水産庁漁港部計         画課長     坂井  淳君         水産庁漁港部防         災海岸課長   秦  英樹君         中小企業庁計画         部下請企業課長 柚木 俊二君         運輸省鉄道局幹         線鉄道課長   岩村  敬君         運輸省海上交通         局国内旅客課長 床井  健君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       辻  通明君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      森  俊雄君         郵政省郵務局切         手文通振興課長 井口 義勝君         建設大臣官房官         庁営繕部営繕計         画課長     照井 進一君         建設省建設経済         局調整課事業調         整官      土屋  進君         建設省建設経済         居宅地開発課民         間宅地指導室長 中山 啓一君         建設省都市局都         市計画課長   林  桂一君         建設省都市局区         画整理課長   西  建吾君         建設省道路局企         画課道路経済調         査室長     井上 啓一君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  岡田 哲夫君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  丸山 良仁君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  安仁屋政彦君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  河原  昂君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  鈴木 政徳君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  依田 和夫君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   筒井 信隆君     辻  一彦君   中野 寛成君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     筒井 信隆君   伊藤 英成君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   神田  厚君     小平 忠正君 同日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     中野 寛成君 同日  第一分科員楢崎弥之助君、第二分科員長谷百合  子君、遠藤和良君、第三分科員谷村啓介君、渡  辺嘉藏君、吉井英勝君、第四分科員山本有二君  、新村勝雄君、竹内猛君、遠藤乙彦君、長田武  士君、貝沼次郎君、古堅実吉君、第五分科員山  口俊一君、大畠章宏君、志賀一夫君、常松裕志  君、第六分科員富塚三夫君、永井孝信吾及び第  七分科員鈴木久君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算  〔総理府(国土庁)及び建設省所管〕      ――――◇―――――
  2. 粟屋敏信

    粟屋主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
  3. 山口俊一

    山口(俊)分科員 おはようございます。大臣初め皆さん方には連日、本当に御苦労でございます。大変お疲れのこととは思いますけれども、どうか力を振り絞っておつき合いのほどをお願いいたしたいと思う次第でございます。  実は私、国会に出てくる前に四期十数年ほど、県議会の方でお世話になってまいりました。徳島といいますと、御案内のとおり言わすと知れた自主財源の乏しいいわゆる財政窮乏県というふうなことでありますが、それだけに国に頼らざるを得ない、公共事業にその県政発展の望みを託さざるを得ない過疎県でもあります。地建にと、あるいは建設省にと、私も県議時代に何度となく足を運び、御陳情もさせていただきました。ですから、地域発展のために、あるいは均衡ある国土発展のために、建設省皆さん方大変御尽力をなさっておられたと、実感として感じておるわけでありまして、大臣初め皆さん方に改めて敬意と感謝を表させていただきたいと思う次第でございます。  しかも、先般実は大臣徳島のある会合で、今からは建設省時代であるというふうなことをおっしゃっておられたわけでありますが、確かに今宮澤総理のおっしゃる生活大国に向けていろいろなインフラの整備を急がなくてはならない、あるいは例の日米構造協議の四百二十兆というのもあるわけでありますし、同時に、今冷え込みつつある景気を誘導していくというふうな大切な役割もあろうかと思うわけであります。今後の御活躍に、御努力に大いに期待をしておるわけでありますが、そこできょうは高速道路について、なかんずく四国縦貫横断道路についてお伺いをいたしたいと存じます。  御存じのとおり、既に瀬戸大橋は開通をいたしました。平成九年度には明石海峡大橋、平成十年度には尾道-今治ルート完成をする予定になっておるわけでありますが、名実とも四国もようやく本土と直結をする、三ルートによって接続をするというふうな、四国時代を迎えるわけであります。ところが、いかんせん四国島内高速道路整備が若干足踏みをしておるんじゃないかというふうなことで、危惧をいたしておるところであります。四国は一つと言いながら、四県の県庁所在地の時間的距離というのは大変長いというのが実態でありまして、交通ネットワーク整備、特に高速交通ネットワーク整備が急がれておるゆえんであります。  そこでまずお伺いをいたしますが、四国における縦貫横断道路現況をどうごらんになっておられるのか、同時に、今後の見通しとかあるいは将来構想といいますか、そういったものがあればあわせてお伺いをいたしておきます。
  4. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  全国で一万四千キロの高規格幹線道路網の中で四国は七百九十七キロ、全体で五・七%ほどのシェアを占める計画延長を持っております。そういう中で、この整備の仕方が二つございます。国土開発幹線自動車道に基づく整備一般国道自動車専用道路による整備、こういうのがございますが、先生今御指摘四国縦貫自動車道及び四国横断自動車道国幹道として整備をいたすルートでございまして、六百八十五キロございます。  昨年十二月三日のいわゆる国幹審におきまして、四国横断自動車道阿南市から徳島市間など三区間の八十五キロが新たに基本計画をいたしました。また、四国横断自動車道の鳴門から津田町間の三十六キロ、高松市の前田東から同じ高松市の中間町間の十三キロ、宇和町から大洲市の十六キロの間は整備計画を策定したところでございます。その結果、先ほど申しました六百八十五キロのうち五百五十一キロが基本計画、大体八割が基本計画、そして四百三十七キロが整備計画、大体六割がもう整備計画ということに相なりました。整備計画ということは事実上、事業化ということと同義語でございますので、そういう状況になっております。さらに、これに加えて並行する自動車専用道路として、四国では一般国道十一号の高松東道路、あるいは五十六号の中村宿毛道路等五道、合わせて五十五キロが供用中または整備中でございますので、こういうものを加えますと、全体の七割に当たる四百九十二キロが供用中または整備中、しかも供用中はその二割に当たる百二十六キロ、こういうことでございます。  四国は今まではおくれていた、こういう御認識を多くの方々がお持ちでございますが、私ども本州四国連絡橋完成と相まちまして、このおくれを取り戻し、さらにスピードを上げるということで今鋭意進めてまいりたいと思っております。
  5. 山口俊一

    山口(俊)分科員 お話をいただきましたけれども、確かに四国のおくれというのは一にかかって道路のおくれにあると言っても過言ではないわけでありまして、是が非とも早急な整備お願いいたしたいと思うわけであります。  今お話があった中でも、特に残念なことに我が徳島県が、実は全国唯一高速道路ゼロメートル地帯というふうなことで大変御迷惑をおかけしておるわけでありまして、その間、用地交渉とか埋蔵文化財だとか、かつて一度だけルートを変更したことがあるといったことも相まちましておくれてきたわけでありますが、ともかく過去は過去として、今申し上げましたような三ルート完成を控えて、ともかく整備を急がなくてはいけないというふうな気持ちに県民もなってきておるわけでありまして、是が非とも建設省の方からの御努力お願いをしたいわけですが、特に、今申し上げました高速道路ゼロメートル地帯である徳島県内縦貫道について、まずお伺いをいたしたいわけであります。  御案内のとおり、徳島-脇間というのが、いち早く今用地交渉も済んだところから工事にかかっておるわけでありますが、その徳島-脇間の進捗状況とか見通しについてであります。これも御案内と思いますが、実は平成五年には徳島県で国体が開かれるわけでありまして、そうした国体をにらんで平成五年にはこの区間を何とか供用したいということが、実は知事初め県の大事な努力目標としてあったわけであります。ところが、昨年いろいろな事情で断念せざるを得ないといった雰囲気になってきておりました。ある意味で、せっかく盛り上がった高速道路への機運というのが若干冷めたような感じも実はするわけであります。それだけに、この徳島-脇間の中で工事の進んでおるところあるいはおくれておるところ、いろいろばらつきが出てきております。  その中で、今県民の声として急速に出てきておるのが、一部供用部分供用でもできないだろうか。部分供用することによって、他の工区に対する大きな波及効果が出てくるのじゃないか。あるいは地域発展のためにも、少しでもできるところから供用していただきたいというふうな声も出てきておるわけでありまして、そうしたことも含めまして、今申し上げた徳島-脇間のことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘四国縦貫自動車道は、愛媛県の方が三十八キロを既に供用して、徳島県はゼロメートルでございます。八十九キロが徳島県では計画されておりまして、特にそのうち徳島-脇間は私どもの最重点区間ということで、早期供用を図るべく用地買収工事を進めてまいったところでございますが、正直に言いまして、先生も既に百も御承知だと思いますが、徳島-藍住間という一番急ぎたいところが現在用地取得状況が六七%、あるいは建物の収去率といいますか撤収率がまだ二割強ということで、私ども本当に残念に思っております。一生懸命今このおくれを少しでも取り戻そうとしております。また文化財もございまして、こういうものに対してもまだ発掘が十分至っていないというような現状であることは否めません。  ただ、平成五年の秋に東四国国体徳島市等を会場として開催されるということは十分意識をいたしております。そこで、地元から何とか一部でも供用できないかという御要望があることも存じ上げております。ただ、利用するからには、やはり徳島という大きな拠点との結びつきをまず重視して、それとの関係開通させるということになりますと、藍住-徳島というこの間を本当は私ども、もし部分開通するにしてもここの部分が一番最初だろうと思っておりますが、ここが一番おくれているという現状で、私ども今苦慮している最中でございます。まだ時間が残っておりますので、県あるいは地元方々とさらに意を強めながらやってまいりますが、その場合に、仮に供用可能性があるという部分があったときにこれをどうすみかは、アクセス道路との関係から検討しなきゃいけない問題だと思いますので、さらに県等地元とよく相談しながら検討をしてまいりたいと思います。
  7. 山口俊一

    山口(俊)分科員 お話のとおりでありまして、しかも先ほど申し上げましたように、特にこの区間徳島-藍住間におきましてはルート変更というのが非常に影響したというふうな感じがあるわけでありまして、いわゆる県サイドとしても大変申しわけない事情もあるわけでありますので、そこら辺は県挙げて今取り組んでおります。同時に、町村挙げて取り組んでおるわけでありまして、是が非ともこの一部供用も心の中に持ちながら、今から鋭意お進めをいただきたいと思うわけであります。先ほど申し上げましたように、波及効果も考えられますし、同時に国体の選手の移送も実はその道を利用してというふうな考え方もあったわけでありまして、今その練り直しを余儀なくされておるというふうなこともあるわけでありますので、そこら辺を総合的に御勘案をいただきまして、何とぞお願いをいたしたいと思う次第であります。  今、徳島-脇間についてお伺いいたしたわけでありますが、残る徳島県内縦貫道路脇町から県境を越えて川之江の間でありまして、特にその中でも美馬-川之江間四二・三キロメートルというふうな区間についてお伺いをいたしたいわけであります。というのも、御案内のとおり、去る一月三十日に川之江・大豊間が開通をいたしました。実は、この開通によって、いわゆる国道三十二号線沿線の地区というのが、あっという間に裏街道になってしまったという事情があるわけであります。ある町が調べたところによりますと、観光バスが七割減った、あるいは全体の交通量が四割減った、大型のトラック等々がこれまた六割近く減ったというふうな結果が実は出てきております。  そうしたことで大変危機意識も深めておるわけでありますが、そうした裏街道をとりあえず若干解消するためにも、実は川之江ジャンクションにつなぐ一部でも供用できればそれが解消できるのじゃないかというふうなことがあるわけでありますし、同時に川之江ジャンクションへのアクセスという意味におきましては、採算面からも非常に有利な面があるのじゃないかというふうなことも考えるわけであります。ですから、この美馬-川之江間というのは、実は大変大事な区間になってきておるのではないか。しかも当該地区愛媛、香川も含めまして周辺地区におきましては、川之江ジャンクションを中心にした放射線状の整備というふうな話も若干聞かれるわけであります。ですから、この美馬-川之江間というのが徐々に脚光を浴びてきた、徐々にその必要性を大にしてきておるというふうな思いがいたすわけでありますので、この区間についても、見通し進捗状況等についてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘のとおりでございまして、先ほど先生がおっしゃいました徳島から脇に続いて、脇-美馬があるわけであります。これは先生承知のように、六十三年五月に施行命令を出しまして、今設計協議を進めております。美馬-川之江東、この間につきましては、平成二年十一月十九日に施行命令道路公団に出して設計協議の準備を今進めております。  いつまでに開通できるかというのは、一般的に整備計画から十年、こういう言い方を私どもはいたしておりますが、実はこの中身が大事でございまして、いわゆる建設工事をする、ブルドーザーが入り土を動かし、そして橋をつくるというこの期間は、土木技術の進歩もございますからある程度もう読めます。ところが、そこまでに至る、設計協議から幅ぐいを打って用地を確保する、この間が非常に不透明な期間、いわゆるソフト期間と私ども言っています。その時間は、短縮しようと思えば縮められるし、長くなることも、一つ間違うと非常に長くなる、このおそれのある期間でございます。したがって、もし川之江-美馬間が少しでも早くなるとすれば、今言った設計協議から用地を確保するまでの間にすべてがかかっていると思いますので、私どもそういう意味道路公団は指導してまいりますけれども、また県とも十分相談しながら、先生の御指摘に沿うように努力させていただきたいと思います。
  9. 山口俊一

    山口(俊)分科員 まさに局長おっしゃるとおりでありまして、先ほど出てまいりました徳島-藍住間のおくれというのはまさにそこに原因があったわけであります。ただ、今申し上げた美馬-川之江間というのは、特に地元熱意といいますか、それが非常に今盛り上がってきております。実は、革新系の町長さんがある町においでるわけでありますが、その方でさえと言えば語弊があるのですけれども、その方でさえ必死になって取り組んでいただいておるというふうな現況があるわけでありまして、これはかなり早くできるのではないかなというふうな感じも私ども持っておるわけであります。そうした意味合いから、是が非でもお願い申し上げたい。特に、その美馬-川之江間でも、実は池田井川インターというのがその間に予定をされております。この池田井川インターから川之江の間というのは相当早く進む可能性があるわけでありますので、そこら辺にも御注目をいただきながら、是が非でも一日でも早く、そうした徳島県の県西部皆さん方が利用できるようにお願いをいたしたいと思う次第であります。  縦貫道、いろいろと申し上げてきましたけれども、また後ほどちょっと触れます。  今度は、徳島県内横断道についてお伺いいたしたいと思います。これも先ほどの局長さんのお話のとおり、先般の国幹審整備計画あるいは基本計画に昇格というふうなことで大変お世話をいただいたわけでありますけれども、ただこれも県議会の中で、ルートが海の方へ行くのだろうか、いや内陸部だろうかといろいろな議論があったわけでありまして、さて今どうなっておるのかというふうなことで、皆さん大変心配をしておられます。進捗を図る意味におきましても、是が非とも今の状況見通しあるいは御決意についてお伺いをいたしたいと思います。
  10. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 徳島県内四国横断自動車道、いわゆる阿南市から高松市間の八十六キロ、あるいは徳島から阿南市のこの部分でございますけれども、私ども、このルートはいろいろと長い間かかって地元と御調整をさせていただきました。いろいろな立場からのいろいろな御議論もありました。  そこで、私どもとしては、ここの地域全体が吉野川のはんらん原、あるいは旧海底部であったり、非常に軟弱な層が広がっていたり、非常に技術的な問題と、それから町自体の形成が徳島はどんどん発展してきておりますので、そういう意味合い町づくりとの関係ということで、特に徳島周辺道路網ルートを決めるときに難しゅうございました。そこで、私ども四国地建徳島県と市と道路公団から構成される幹線道路協議会をつくっていただきまして、ここで検討を進めております。  その検討の中では、結果として、今先生が御指摘なさいましたような、やはり現実的につくれるであろうルート、すなわち臨海部ルートをべースに検討することが現実的だということに立って、ではその場合に周辺道路網土地利用との整合性はどうなのだろうか、都市計画との関係はどうなのだろうかということも当然また必要になりますので、そういう観点からの検討も含めて、今最終的な議論をいたしておるところでございます。現在、二千五百分の一の図面をつくりながら、環境の基礎調査にもかかっております。平成四年度になりましたら都市計画の手続も開始をさせていただければありがたいということで、今具体的な段階に入っていることを御報告させていただきたいと思います。
  11. 山口俊一

    山口(俊)分科員 力強いお話をお伺いしましたが、これもいろいろ県議会議論をしておりましたけれども、その根底はいわゆる徳島-藍住間、あるいは先ほど申し上げました徳島-脇町間の用地が非常に難航したというふうな実績が実はあるわけでありまして、そのようなことにならないように総合的に御勘案をいただきまして、これも一日も早くお進めをいただきたい。熱意も相当なレベルまで上がってきておりますので、お願いをいたしたいと思う次第であります。  高速道路もさることながら、実はそれにつなぐアクセスというのが大事なわけでありまして、たしか先般、建設省の方でもアクセスに力を入れるというふうなお話をお伺いをいたしたわけでありますが、そうしたアクセスたり得る県道とかあるいは市町村道整備というのが急がれるわけであります。というのも、目の前に高速道路が見えていましても、そこへ行くために一時間もかかるというのではその役割を全く果たし得ない、地域のために余り役に立たないというふうなこともあるわけでありますので、アクセスについて若干お伺いいたしたいと思います。  例えば、実は今回、徳島県の方から国道昇格の要望に四路線出ておるわけであります。近々その件が決定をするやに聞いておりますけれども、例えばその中でも新居浜山城線という希望が出ております。これは、見事にいわゆる四国横断道につながるアクセスとして大変大事な道路でもあるわけであります。あるいはまた貞光剣山線というのが出ております。これもまた、徳島県内縦貫道に向かうアクセスとして大変大事な道路でもあります。そうしたいろいろな要望が出ておるわけでありますけれども、そうしたことも含めて、アクセスに対するお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  12. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、先生指摘の新宮インターチェンジとのアクセス道路という理解をいたしますと、この新宮インターチェンジがきちっとした機能をするためには、そのアクセス道路である現在の主要地方道、新居浜山城線の整備が何よりも重要でございます。そういう意味で、私どもこれの整備には特に意を払ってやってまいりたいと思っております。  そういう中で、ここが国道昇格の候補として御要望が出ておることは承知しております。これは今年度、あとわずかでございますが、この三月中にはできれば国道昇格という形の議論をいたしますので、その中正最終的な検討を合いたしている最中でございます。この路線がどうかということは、具体的なことですので触れることを省かしていただきますけれども、いずれにいたしましてもアクセス道路を重視していくということは当然のことと理解をいたしております。
  13. 山口俊一

    山口(俊)分科員 ともかく工事に大変お金のかかる山間部でもあるわけでありまして、ぜひとも予算の重点配分といったこともお願いをいたしたいし、かつまた、そうしたことをにらんでの今回の国道昇格への御要望でもあるわけでありますので、そこら辺も御勘案をいただきながら最終決定、何分よろしくお願いをいたしたいと思う次第であります。  いろいろとお伺いをしてまいりましたけれども四国高速道路網、順次進んでおるというふうなことが言えるわけでありますが、ただ、その中でも特に今現在はおくれております徳島川之江間というふうなことでありますが、これにつきましては、その全区間供用されて四国横断自動車道及び明石海峡大橋と結ばれることによって、四国内そして近畿圏、さらには全国高速道路とのネットワーク化が図られまして高速道路としての効果が最大限に発揮をされる。同時に、交流の拡大とか産業、経済、文化の振興だとか地域間格差の是正だとか、そうしたことに大変大きく寄与するものであるわけであります。こうしたことから、徳島川之江間の、平成九年度内と言われております明石海峡大橋との同時開通に向けて、事業の促進を是が非とも図っていただきたいし、当然図るべきであろうと考えておるわけであります。しかも平成十年には、申し上げました尾道-今治ルート、これも控えているわけであります。そうしたことについて御所見と、是が非とも決意をお伺いいたしたいと思います。
  14. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 私からお答えをさせていただきます。  ただいま先生が力説をされました平成九年度の明石海峡大橋の開通、それに合わせまして徳島川之江間の開通をぜひ頼む、こういう御趣旨であったと思いますが、このことが成就いたしました場合に、先生の御地元徳島市を初め徳島県全体、四国全体にいわば動脈が走り、血液が流れる、そのような感じがいたすわけでございます。そのような方向に向けまして努力をしてまいりたいということを、この際申し上げておきたいと存じます。  先ほど来、道路局長との間で、四国内の縦貫、横断高速自動車国道整備につきましていろいろと御議論をいただいたところでございます。来る平成四年四月十九日には、横断自動車道の高松西から善通寺間二十二キロメートルの供用が開始されるということでございまして、実はこの開通式に私も参上いたしたいと考えておりますが、これによりまして四国横断自動車道と本四連絡道路が連結をすることになりまして、四国と本州の交流が一層深まると存じます。このように、当面いたしまして四国の産業経済が大きく発展するいわば端緒と申しますかが道路整備の面で生まれつつあるわけでございますが、さらに冒頭に申し上げました平成九年度という次の大飛躍の段階に向けまして、道路整備を一段と進めてまいりたいと考えております。
  15. 山口俊一

    山口(俊)分科員 大臣の御決意をお伺いいたしましたけれども、是が非ともお願いいたしたい。  というのも、繰り返しになりますが、ともかく明石海峡大橋の開通というのは恐らく空前絶後のインパクトを四国に与えるであろう、特に徳島県に与えるであろうといったことで、そうした一つの明石海峡大橋というのを目標にあらゆる施策を進めておるというふうな現状があるわけでありまして、ですから、明石海峡大橋開通と同時に四国島内高速道路がほぼ完成をする。特に、徳島川之江間を通じて四国島内に関西圏からの、それこそ血管に例えますと温かい血液が流れるというふうな状況を私ども夢見ながらやっておるわけでありますので、もちろんこれまでも建設省皆さん方におかれましては大変な御努力をいただいてきたと承知をいたしておりますけれども、過去のいろいろな経緯、こうしたことがネックになっておくれたのだな、いろいろなことがあろうかと思います。そうしたことも十分踏まえながらよりよい方法も考えつつ、どうか一日も早い完成に向けて御尽力、御努力お願いいたしまして、まだ若干予定をしておりましたけれども、次の機会に譲らせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  16. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて山口俊一君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木久君。
  17. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 私は、私のふるさとの観光地としても大変有名な会津磐梯山の周辺にございます、いわゆる猪苗代湖あるいは裏磐梯三湖等の利水と治水と、そしてそれに絡まる水利権の問題等について質問をしてまいりたいと思います。  御案内のように、猪苗代湖というのは全国でも湖水の面積でいうと日本で三位になるそうでございまして、その裏磐梯の檜原、小野川、秋元という三つの湖を加えまして、いわゆる発電水利ということ、利水ということでいえば日本一と言ってもいい。ちょうど裏磐梯三湖が標高一千メーターから八百メーターくらいのところにございまして、それから猪苗代湖が標高五百メーターぐらい、両方、猪苗代湖から会津方面と郡山方面に流れ出るわけですけれども、その落差が二、三百メーターずつあるということで、現在も十五くらいの水力発電所で三十万キロワットくらいの発電を行っているという、極めて発電水利としても大きな役割を果たしてきているところでございます。  もちろん、それまでの中に、明治以来、安積疎水の開拓事業というのをやりまして、いわゆる郡山を中心とする安積平野が全く水がなくて原野の状態だったというものに対して疎水事業を行いまして、これはオランダの技師であるファンドールンという方が明治の十二年から三カ年くらいかけて水門をつくって、その治水事業を行ってきております。そういう古い歴史から今日に至っておるわけでございますけれども、今度建設省の方では日橋川上流総合開発事業というのを手がけることになりました。これは文字どおり、猪苗代湖の洪水調整という役割をより以上発揮させるという意味で治水事業を行う、こういうことになったわけでございまして、これを機に、実は今大変変則的になっている水利権の問題がございます。  これは、水利権等は長い歴史があって、こういうふうに明治の当時から開発が進んでいるところというのは複雑怪奇でございます。当初、安積疎水が工事をして持っておった、それが途中発電水利にどんどん水利権が移転をしていくという経過がございまして、今日、猪苗代湖から裏磐梯上流三湖については、ほとんどと言っていいくらい発電者側の水利権、水利調整権になってしまっていて、あるいはまた安積疎水も持っているような持っていないような、二重三重の水利権のような状況になってございます。治水の立場からいくと、河川管理者が全く水利権を持っていないという変則な状態が今日続いておるわけでございまして、そういう意味から、今回のこの事業を機にこの問題について少し考え方をただしたい、こういうことなのでございます。  それで、まずその利水と水利権をめぐっての歴史的な経過というのがあると思いますけれども建設省からその概略、かいつまんで御説明いただきたいと思います。
  18. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 猪苗代湖の問題については大変先生御造詣が深いので、今まで私ども承知している限りを一応がいつまんで御説明させていただきます。  猪苗代湖は、そもそも阿賀野川水系日橋川の上流に位置する湖でございます。江戸時代に、猪苗代湖西岸側のいわば日橋川出口側のかんがい用水として取水されたことに始まりまして、また地域の飲料水としても利用されてきたわけでございます。明治政府発足と同時に、とりわけ東北地方の産業振興の立場あるいは農業振興の立場から、時の大久保利通が東北地方の幾つかの社会基盤開発のプロジェクトとして、今おっしゃいました安積疎水の計画を立案し、明治十五年に今言いましたオランダ技師ファンドールン等の指導に基づきまして安積疎水が開設され通水を見、水利に恵まれなかった安積平野の約一万町歩に及ぶかんがいに利用されるようになりまして、阿武隈川流域になりますが、この安積平野の開発がなされたわけでございまして、歴史的にも大変価値あるプロジェクトであると認識しております。  また、豊富な水量及び高低差は発電のエネルギー源として着目され、明治三十二年に安積疎水を流下する水を利用する沼上発電所が稼働したのを最初といたしまして、猪苗代湖から流出する日橋川、安積疎水等を流下する水を利用する水力発電所が次々と利用されまして、水力エネルギー的にも有効利用が行われてきておるわけでございます。このように、地域方々努力の積み重ねによりまして、猪苗代湖の水資源及び水力エネルギーの有効な利用が進められてきたものと理解しております。
  19. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 それで、現在の特に猪苗代湖から上流、長瀬川、裏磐梯三湖、この関係でいえば、私が冒頭申し上げましたけれども、水利権のほとんどは調整を含めていわゆる発電水利を利用している方々が持っているというふうに考えてよろしいでしょうか。
  20. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私ども、水を利用される方には、発電用あるいは農業水利用、水道、工業用水用等に利用する場合には、水利権を許可するということになります。河川管理者そのものは、本来維持用水としてみずから定めて運用するわけでございます。  それで、先生のおっしゃっている意味とすれば、猪苗代湖の出口に当たります日橋川の流下地点において、現在実質的には東京電力の発電所によります小石ケ浜水門からの取水によって日橋川の流量が制御されているという意味で、実態的に東京電力が維持用水の管理をしているのではないかという趣旨のお尋ねと存じます。この意味では、実態的には東京電力が維持運用しているわけではございますが、私ども当然水利権の認可に当たりましては水利使用規則を定め、湖水の水位調節や流量等については定めて、そのもとに運用されているわけでございますので、本来ならば河川管理者が管理した施設で的確に確実に運用されるべきではないかという御趣旨からすれば、若干異例とは存じますが、実態的にといいますか、河川管理の立場からいえば、この水利使用規則によって定められた運用がなされているものと認識しております。
  21. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 それで、この問題は後で質問をいたしますけれども、今度建設省が行おうとしております日橋川総合開発事業の概要、この点についてお答えいただきたいと思います。
  22. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 日橋川上流総合開発は、猪苗代湖周辺及び日橋川沿川地域の洪水被害を防御し、治川住民の生命財産を守るとともに、日橋川の流水の正常な機能の維持、河東町への水道用水の供給を目的といたしまして、昭和六十一年から実施計画調査に着手したものでございます。  日橋川及び猪苗代湖周辺は、従来より出水のたびに被害が発生しておりまして、昭和六十年三月に阿賀野川水系工事実施基本計画を改定いたしまして、猪苗代湖に標高五百十三・六一メートルから五百十四・二一メートル間に洪水調節容量を確保いたしまして、基本高水流量千九百立方メートル毎秒に対して、計画最大放流量を毎秒二百二十二・四立方メートルとしているところでございます。猪苗代湖の出口に当たる日橋川に設置されております十六橋水門、これはオランダ人ファンドールンによる技術指導を受けて明治十三年に完成したものでございますが、現在洪水期制限水位において毎秒九十立方メートルの放流能力しか有しておりません。また、老朽化も著しいため、阿賀野川水系工事実施基本計画に適合する機能を有する治水施設に改築する必要がございます。  現在十六橋水門、安積疎水、普通水利組合が東京電力に管理委託しているものでございますが、日橋川上流総合開発によりまして、河川管理者が名目的にも実態的にも河川の適正な管理を行うことによって、阿賀野川全体の河川管理をなお一層適正化を図ろうとするものでございます。
  23. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 そこで、日橋川の入り口というか出口というか、猪苗代湖の出口ですね、ここの十六橋水門を今度は大変改造して洪水調整権を猪苗代湖に持たせるということになろうと思います。そのことは大変地域にとってはありがたいことなのですけれども、ただ猪苗代湖だけでは、正直申し上げまして洪水調整権というのはなかなか難しいと私は思っております。  というのは、その上に裏磐梯三湖があるのです。猪苗代湖に流れ込む水量というのは吾妻水系から、磐梯の山が大変深いですから物すごい水量がもちろん流れ込んでまいります。現在は、この裏磐梯三湖から猪苗代湖の水位調整というのは、全部いわゆる発電水利を持っている東京電力が管理をいたしております。何がそこで問題になっているかというと、先般の水害のときにも、放水をする時期等のおくれなどの指摘がありまして、長瀬川流域ではかなり大きな被害を出しているという問題などがございます。普通一級河川その他の場合であれば、ほとんど河川管理者が洪水調整のためにテレメーターシステムをつくったりして、山にどれだけ降水量があったら、いつ、どういうふうに、例えばダムを持っていれば放水する、こういうのを全部決められているはずでございます。にもかかわらず、ここはそうはなっておりませんで、観測もいわゆる湖の放水の時期も、全部河川管理者でない方が行っておるという極めて変則的な状況が続いてございます。  ですから、実は福島県はこういうふうに言っているのです。これは福島県の二十年史に載っておる文章そのものを読んでみますけれども、  現在、猪苗代湖をはじめとする四湖の河川管理は福島県知事が行っているが、猪苗代湖の場合、利水・治水上の重要な施設となっている十六橋水門は今まで述べてきたように、管理を安積疏水に、水門開閉を含む水位調整行為を東京電力(株)に認めている。   今回の工事実施基本計画の改定により、十六橋水門の改築を含む猪苗代湖の治水対策を建設省事業で昭和六十一年度から調査することとなったが、これにより十六橋水門が河川管理施設となり、今日まで懸案となっているこの件に関し、河川管理者が実質的に猪苗代湖を管理するための好機と考えられる。 ですから、猪苗代湖を河川管理者が管理する極めていい好機である、こういうふうに言っているわけです。私は、現状は変則だと思っているのです。極めていろいろ歴史的経過がありますから、それは発電水利にどんどん使ってもらうというのは当然のことです。しかし河川管理、治水管理を含めてそういうことを考えますと、正常ではない。ちょっと変則である。そして、今県みずからが言っているように、もう少し河川管理者がしっかりした治水計画をできるようにする好機である、こういうふうに言っております。  これらの点についてどうですか、建設省は県との間で、この工事を実施するに当たって何らかの話し合いとかそういうものを持ってこられたかどうか、そして現状についての認識もあわせてお尋ねをしたいと思います。
  24. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、阿賀野川水系の工事実施基本計画を改定するに当たりましては、当然ながら関係県知事の御意見を十分踏まえて改定しているわけでございまして、当然ながら福島県の御意見も十分踏まえておるところでございます。  それから、猪苗代湖の水力あるいは水利用の関係につきましては、古く明治時代からさまざまの歴史的経緯があり、今日、実態的にはそれぞれの水利用者が直営をしていることも事実でございますが、私どもは、当然ながら河川法に基づき、水利権許可に当たっては治水上支障のないようにということを十分条件づけてやってきたわけでございます。ただ、それぞれの管理者の目的意識の中には治水上の目的意識はないわけでございまして、本来治水上支障のない範囲までで運用していただくということになります。さらに一歩踏み込んで、治水上さらに効果を上げていくとなりますと、これはやはり河川管理者が本来所管すべきものでございますから、今回目橋川上流総合開発事業により、猪苗代湖及び治川住民の生命財産を守り、治水上の効果を上げるという目的を持ちまして、もちろん河川管理者の費用も投入して実体的に管理していくようにしたい。  そういう意味では、猪苗代湖の中でも一番中心的な施設は、日橋川への流出口の出口である十六橋水門の管理が最も重要と考えておりまして、この事業の実施に当たりましては、十六橋水門の改築を一つの目的としたものでございます。もちろんこの十六橋水門は、大変歴史的な経緯のある、歴史的にも文化的にも遺産として後世に承継すべきものと考えておりますので、これを保存しつつ、かつ治水の機能を向上させるような施設を別途設置したいと考えております。
  25. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 確認をする意味でもう一度お答えいただきたいのですけれども、今回の事業で、そうするとまず十六橋水門は河川管理施設として建設省が管理をする、こういうふうに考えてよろしいのですか。
  26. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 十六橋水門の現在ある施設は保存しますが、それと同等以上の機能を持つものを別途設けることによって、日橋川への流出は河川管理者が管理するものとしてまいりたいと孝之ております。そこで、河川管理者イコール建設省かということになりますが、これは河川法を所管する建設大臣でございますが、この施設について建設大臣みずから直轄で管理するか、あるいは福島県知事が建設大臣の命を受けました機関委任事務として管理するかは、今後の研究課題と存じております。
  27. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 そこまではわかりました。でも、先ほどから申し上げておりますように、猪苗代湖上流全体の治水管理というのは、それだけではほとんど十分な機能を果たさないということになるわけでございます。  それでもう一つ、治水だけじゃなくて、猪苗代湖の高度利用研究会というのを福島県はずうっと行ってきております。この中では、新たな水資源の開発、猪苗代湖を中心とした裏磐梯三湖を利用した水資源の開発、その場合には裏磐梯三湖を含めた水利調整の調査というものもやってまいりたい、あるいは続けてきている、こういうふうに言ってもいいだろうと思うのですね。ですから、この際私は、これからさらに猪苗代湖あるいは裏磐梯三湖の高度利用をする、新方な水資源を確保するということから考えてみても、出口の十六橋水門だけではなくて、入ってくる上流部全体の治水あるいは水資源確保、高度利用、こういう立場から河川管理者としてもう少し主体的に自律的にものをやれるようにすべきなのじゃないか。今の状態でありますと、ほとんど手のつけようもございません。ですからここのところは、私は本音で言えば、みずからこういう文書にもあらわしているように、県もそうしたい、こういう気持ちがかなりあると思っております。相手がある話ですから、なかなかこれはすんなりはいかないことは十分承知の上でございます。当然、発電水利その他はどんどん認めて活用していくということを前提の上に、県や建設省が河川管理者としての自律ある立場をこの際もう少しきちっとして、上流の治水計画等についても改めて私は考え方を出していただきたい、こんなふうに思っておりますが、いかがでしょう、
  28. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 猪苗代湖に流入します長瀬川の上流に桧原湖、小野川湖、秋元湖がございます。これらの湖水の実質的な維持、操作は、東京電力の施設によって管理されている。それを、やはり河川管理者みずからが管理するようにすべきではないがという先生の御質問の趣旨と承ります。  この問題につきましては、古く明治時代からの沿革的な歴史があり、この周辺の水利用あるいは電力エネルギーの活用といった立場から現在こういう管理形態になっておるわけでございますが、そういう意味では、長瀬川の治水上の支障にはならないようにということは、水利権の水利使用規則に定めて厳格に運用させていることによりまして格別問題はないわけではございますが、さらに今後は治水上の効果をもっと上げる必要があるという認識になりますと、これはやはり河川管理者みずからが実施する河川事業によってその機能を向上させる必要か出てくると思います。ただ、まず猪苗代湖本体をどう運用していくかという意味では、この日橋川総合開発事業で着手をし、なおかつ長瀬川沿川の治水効果、あるいはこの長瀬川の運用次第でさらに猪苗代湖の治水機能が向上できるということが検討の結果はっきりするならば、私どももさらに一歩進んで、おっしゃるような管理に向かってまいりたいと存じます。  それから、先ほど申し上げました十六橋水門についてはまだ研究課題と申し上げましたが、阿賀野川は新潟県に流入する河川でございますから、もちろんこの治水効果はひとり福島県だけの研究ではなくて、新潟県も含めなければいけません。そういう意味では、新潟県、福島県の治水を全体に総括する必要があるという判断が出た場合には、建設大臣みずから直轄運用する場面が出てくるのだと思います。そういうことを前提といたしまして、研究課題と申し上げた次第でございます。
  29. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 最後になりますけれども、ずうっと一連の治水と利水、個々の持っている機能を十分に発揮する、そして洪水を調整をしていただくという県民の願い、そういうものをより確実にするために、この総合開発事業が大変歓迎をされている。しかし同時に、未解決の問題がたくさんあるということを私は指摘をしたつもりでございます。  大臣、県は本当にこの問題で建設省にいろいろな形で忌憚のない話をしているかどうかは、私はよく承知しておりません、しかし今後、いずれにしてもいわゆる利水の問題を含めた猪苗代湖の高度利用計画、新たな治水計画、そういうものを持っておりますから、当然ながらそういう河川管理者としてのもう少し自律ある、あるいは自主性を持てるような水利の調整というものをしたい。同時に、治水の問題でも、かなり過去にもいろいろな水害を上流部でも出しております。ですから、今河川局長から上流部の問題については改めて検討したい旨のお話がございましたけれども、ぜひここは、これを機に県とも十分いろいろと総合調整をしていただいて、これは福島県にとっては極めて大きな資源でございますので、これを高度利用するためになお一層の御指導をいただきたいし、県との調整を含めて、前向きにこの種問題について検討をいただきたい、その決意をお示しいただきたいと思います。
  30. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先ほど来、鈴木先生の郷土にございます裏磐梯三湖を含めました猪苗代湖の治水、利水の問題につきまして、先生の御所見をお伺いさせていただいたのでございます。猪苗代湖の水の利用によりまして、我々関東に生活させていただいておりますが、貴重な電力の供給を受けているということも改めて認識をさせていただきまして感謝申し上げたいと思いますし、これからもまた引き続き貴重な電源として活用させていただきたいと考えているのでございます。  さはさりながら、先生のおっしゃるとおり、もっと高度の河川管理あるいは治水利水の発展と申しますか、そういう見地からの御質疑でございました。これからの河川管理の見地を、日橋川の総合開発を二つのきっかけと申しますか、にいたしまして、県当局等とも十分協議をしながら、さらに一層前向きに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  31. 鈴木久

    鈴木(久)分科員 終わります。  どうもありがとうございました。
  32. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて鈴木久君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。
  33. 新村勝雄

    新村分科員 私は最初に、入札制度についてお伺いをしたいと思います。  現在、国及び地方団体において、公共事業の量は膨大なものがあると思います。その公共事業の実施に当たって、最も公正に実施されなければいけないということはもちろんでありまして、その基本的な方針については法律にも規定をされているわけでありますが、まず、四年度の予算において国が直接行う公共事業、これは総額はどのくらいになりますか。
  34. 望月薫雄

    ○望月政府委員 とっさの御質問ですので、ちょっと今手元に資料がございませんですが、平成四年度の建設省関係公共事業は、公団の事業も含めまして大体十四兆くらいというふうに見込んでおります。今先生お話の公団あるいは直轄あるいは補助事業、その内訳を今ちょっと手元に資料持っておりませんので、後ほど届き次第御説明させていただきたいと思います。
  35. 新村勝雄

    新村分科員 そうしますと、地方団体の額はわかりませんか。この額あるいはこの額をかなり上回る額にはなると思いますが、いかがでしょうか。
  36. 望月薫雄

    ○望月政府委員 地方単独については、地方財政計画上十四兆、こういうふうに言われておるところでございます。今私が申しました十四兆というのは、建設省関係、いわゆる建設本省、地方建設局を含みますけれども、プラス北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁、それに私ども関係の公団、事業団等の事業を足したもの、なお厳密に言いますと、住宅金融公庫によります融資業務は除外したもの、あくまでも公共事業費ベースのものでございます。それがおおむね十四兆ぐらい、こういうことを申し上げた次第でございます。  その内訳については後ほど説明させていただきます。
  37. 新村勝雄

    新村分科員 そのように年間における中央地方の公共事業は膨大な額になるわけですね、この事業を公正に行うためには、何といっても入札制度が明朗な公正なものでなければならないということは、言うまでもないわけであります。この問題については、数年前にもいわゆる談合問題というようなことで、国の公共事業の執行について国会の議論になったことがあります。  さらにまた、この公共事業の執行あるいは入札問題については、国際間の、日米間の構造協議の中の一つにもなっているということですね。それからまた、談合という言葉が、何か日本の経済の仕組みのゆがめられた形をあらわす言葉として、今やこれは国際語になっている。外国の文書の中にも、談合という言葉がそのまま談合として書かれているという状況です。これは日本の国の名誉にといっても余り好ましくないことでありまして、また日本経済がいわゆるフェアに行われていないということを外国に印象づけることにもなるわけであります。アンフェアなことがあるかないかということとは別に、外国がこういう目で日本の公共事業の執行を見ているということ自体が問題であると思うのです。  そこで、現在の国の公共事業の執行に当たっての、これは建設省さんが一番大きいと思うのですけれども、入札制度については現状はどうなっておりますか。
  38. 望月薫雄

    ○望月政府委員 公共事業の入札のあり方、制度のあり方等について、今先生おっしゃったように、いろいろな角度からいろいろなことが言われているところでございますが、私ども、あくまでも事業の発注、契約に当たって大事なことは、公共工事という工事の信頼性、これが第一点基本に踏まえなければならない、これが一点ございます。と同時に、入札に当たりましての競争性、さらには明朗性、こういったことが基本と受けとめておりますが、そういった中で、現在は原則として私ども指名競争入札制度によって契約を進めているというのが現状でございます。  今お尋ねの実績はどうかということでございますが、平成二年度について申し上げますと、建設省の直轄事業、直轄工事に関しての話でございますけれども平成二年度、おおむね二万一千件の工事を発注いたしております。その中で、全体の件数で八二%、これが指名競争入札制度によって実施している、他は随意契約によって行っている、こういう状況でございます。
  39. 新村勝雄

    新村分科員 前に国会でいわゆる談合問題が起こったときに、建設省では、その論議を踏まえて、国民の、あるいは国際的な疑惑を招かないような慎重な改善策を進める、こういうことであったわけであります。あの議論以来六、七年たつと思いますけれども、その間において、前と後でどういう改善が行われたのですか。
  40. 伴襄

    ○伴政府委員 入札・契約制度の改正、改善の問題でございますが、前回、いわゆる静岡談合と言っておりますけれども、五十七、八年ごろの談合の事件がございまして、あのときには、中央建設業審議会でこの入札・契約制度のあり方についていろいろ議論があったわけでございまして、そのときには例えば入札の経過、どういうものを示したとか、どういう経緯になったかというようなことを公表するとか、いろいろなことが打ち出されたわけでございます。その後、今先生指摘のありましたように、国際化の関係だとか、民間の方もかなり技術力がついてきているといったようなこともございまして、いろいろな情勢の変化がございますので、新たに再度公共事業による入札・契約制度をどうするかということを検討いたしました。  実は、一昨年になりますけれども平成二年の九月から平成三年三月にかけて、六カ月間でございますけれども公共事業における入札・契約制度に関する懇談会というのを開きました。これは建設業界とも特に意見交換を行ったわけでございますが、その最終結論が、昨年の三月二十五日に報告書として出しております。それを受けたような形で建設省は、入札・契約問題をどういうふうに対応するかというのを、当面の対応と中長期の対応と分けて出したわけでございます。  その中身を御紹介させていただきますと、例えば当面の対応というのは、今制度はあるけれども、その運用上余り望ましくないうまくいっていないものについて改めるというようなことでございまして、例えば今の発注標準、Aランク、Bランク、業者がいろいろございます。その発注標準を見直すとか、あるいは入札自体が必ずしも自由にできないというようなことで、入札の自由化をしようということで、それを例えば入札心得に書いたり、あるいは発注者の連合体がございます。中央公契連と言っておりますけれども、その連合体で入札自体を自由にするようなことをやろうというようなことを申し合わせたりしております。それから加えて、一挙に一般競争というわけにいきませんけれども、公募によって技術情報を集めて、それによって指名するといったような、いわば希望制を取り入れて、しかも技術力も審査するような新しい指名制度を試行してみようというようなことで、これはもう昨年度から当面の対応事項としてやっております。そのほか、労務費単価の改善等々、積算の改善もやっております。  以上のような事柄を当面の対応といたしまして、これは建設省はもちろん率先してやっておりますけれども、ほかの発注機関、そういうところにもこういうことを及ぼしていただこうというようなことで、国の発注機関、公団、それから公共団体等にも、建設省はこういうふうにやるから、ひとつ同じようにやろうじゃないかといったようなことを呼びかけているところでございます。  それから、当面の対応でございますが、さらに中長期的に、今先生指摘のような、特に国際化の中でどうやるか、それから民間の会社も大変技術力がついておりますので、そういった状況の中でどうするかというようなことがございますので、これにつきましては、中央建設業審議会というのがございまして、そこに今後の建設業のあり方というようなことを諮問しておりまして、その一環として今後の入札・契約制度の基本的あり方というのを取り上げております。これは入札・契約の専門委員会を設けまして、そこで今検討しておるところでございます。  この入札・契約制度は、御指摘のとおり、時代の変化に対応して絶えず点検、検討していく必要があるかと思っておりまして、しかも今大変背景事情が激しく変わっているときでございますので、そういったことを踏まえて、この中央建設業審議会の御審議で結果を出していただいて、それに基づいてこの入札・契約制度の合理化に一段と努力したいというふうに考えているところでございます。
  41. 新村勝雄

    新村分科員 一つの問題点は、指名競争ということになりますと、それを完全に制度化する、ルール化するということは難しいと思うのですね。やはり役人さんの判断によってこの社とこの社を入れる、こういうことになるわけですね、そうすると、これはいいことではありませんけれども、それに関連をして必然的にそういう状況が政治家を誘惑する、こういうことが残念ながらあるわけであります。我々が日常見聞するのは、公共事業と政治家との癒着、関係が生ずるということでありますが、その原因は、何といっても、完全な競争入札ではなくて指名競争というこの制度から起こってくる、指名競争という制度が政治家を誘惑する、こういうことは争えない事実だと思うのです。  そういう観点からして、やはり入札制度を国民の目から見ていささかも疑惑のない制度にしていかなければいけないと思います。信頼性と競争性ということを言われましたが、公共事業をやる限りは競争性ということが基本でなければならないと思いますが、同時にまた、それを信頼性という観点から補完していくということであって、信頼性と競争性というのは矛盾するものではなく、お互いに補完をしながら、国民の税金を最も有効に使うにはどうすればいいかということに発想を集中していかなければいけないと思うのですね。  そういう点からして、現在一つの年度で、建設省及び関連の事業団等だけで十四兆、そのほかに、ほかの省庁にももちろんこれはあるわけでありますから、それプラスほかの省庁、それから地方団体が十四兆ということになりますと、膨大な額の公共事業が行われる。その公共事業のやり方が仮に国民に疑惑を与えるものであるとすれば、これはゆゆしき問題だと思うのですね。  そういう点で、ぜひ国民の納得のいく、競争性を尊重しながら信頼性をいかに保持していくかということに御努力をいただきたいわけでありますけれども、先ほどのお話によって、現在八二%が指名競争、あとは随契、一般競争は少しもないということでありますから、やはり問題点はかなり残っているのではないかと思います。  特に、随契が一八%あるということですけれども、この随契については、競争性それからまた一定の技術力のある業者については、そのチャンスを公平に与えるということが、これは絶対必要だと思います。そういう配慮から、この随契の場合に、だれが見ても納得のできる一定の方針、いわゆるルール化ですね、関係者に納得のいくそういう制度化、ルール化が行われているのかどうか。たとえ随契であったにしても、一定のルールで律することができる、そういう方法であれば、これは疑惑はないわけでありますけれども、そうじゃなくて、役人さんの恣意によってそのたびに適当に決められるということであれば、これは問題が残るわけでありますけれども、そういう点はどうでしょうか。
  42. 望月薫雄

    ○望月政府委員 冒頭あえて申し上げさせていただきたいのは、私ども膨大な発注事務を進めているわけでございますが、常に我々が肝に銘じていますことは、契約事務の公正さ、厳正さということをいかに確保していくかということが基本であります。実務担当レベルにおきましても、我々組織を挙げましてそういったことについて細心の努力を払っている今日でございますので、御理解賜りたいと思います。  そこで、まず一般競争か指名競争かという点でございますけれども、この点につきましては、先ほど先生おっしゃった、過去のいわゆる談合事件等々も踏まえながら、私ども、有識者によります、具体的には中央建設業審議会という場がございますが、そういった場で大変御熱心な慎重な御議論を賜った経過がございます。今日でも、先ほど経済局長が申しましたように、新たな視点からの検討をいただいておりますが、特に昭和五十八年にその審議会から御建議をいただいておりまして、その中で、特に一般競争契約と指名競争制度のいろいろメリット、デメリットを御検討いただいています。  そこで出た結論的なことを申しますと、やはり一般競争入札というのも決して問題なしとしない、むしろいろいろな問題がある、こういった点が基本にございまして、具体的には疎漏工事を防止するとか、工事の遅延をできるだけ出さないとかいうことからしますと、ある程度の施工能力のある業者、ここをしっかりと相手にさせていただきたいということとか、あるいはまた、一般競争になりますと、機会均等といいましょうか、受注機会のあり方というものについて公平さが確保できないおそれがある、俗に言う弱肉強食といいましょうか、そういった点が果たして適当であるか、あるいはまた、一方でダンピングが発生しないかというような懸念もある。あるいはまた、これは事務処理の話になって恐縮でございますけれども、一般競争ということになると、膨大な事務処理をしなければならない、こういったことからすると、公共工事の発注事務の迅速化、適正化という観点からまた一つの問題がある等々のことがございまして、そういったことを踏まえまして、指名競争入札制度を基本に据えるのが、原則にするのがよろしい、こういった御意見を承って、先ほど申しましたような、今日八二%という指名競争入札制度の実態になっているわけでございます。  さてそこで、今先生おっしゃいました、一般随意契約のあり方でございますが、おっしゃるように、恣意にわたるような随意契約があってはならぬことは当然でございます。私ども、昭和五十九年に新たな官房長通達を発出いたしまして、請負工事におきます随意契約のガイドラインというものをつくっております。これについては、各契約担当官が、これは随契になじむものかどうかということを、ひとつしっかりと筋目を明確にしたい、こういった思いでございまして、その内容は、ちょっと大項目だけ申し上げさせていただいて失礼でございますが、一つは契約の性質あるいは目的が競争を許さないという問題がございます。あるいは緊急の必要によって競争に付する時間的余裕がないという事案、事例、あるいはまた競争に付することによってかえって不利になるというケースもあるわけでございますが、そういったものなどを具体的に列挙いたしまして、そういったものについて初めて随意契約が許されみ、こういうことでかなり限定的に運用させていただいているつもりでございます。  そういったことで、まず指名競争入札制度を私どもとらしていただきながら、この透明性といいましょうか、公平性といいましょうか、競争性といいましょうか、こういったことを確保しながら、できるだけ誤解を招くことのないような細心最大の努力を積み重ねながら今日ある。あわせてまた、先ほど経済局長が申しましたように、さらなる改善の余地がありやなしやということも常に常に新しい課題として取り組ませていただいているという次第でございます。
  43. 新村勝雄

    新村分科員 私はまだ十分検討したわけではありませんけれども、千葉県では一般競争入札をこれから行う、それを原則にするという方針を出したようであります。これは一定の見識だと思います。この見識が生まれてきた前段には、いろいろな経験があったわけであります。問題もあった。そういう問題を見、あるいは問題を経験した末に、県当局がそういう判断をされたのだと思いますけれども、詳しい点は検討しておりませんが、要するに、これから県の事業は一般競争にしていくのだという方針を出したわけですよね。このことについてはどう評価されますか。
  44. 望月薫雄

    ○望月政府委員 今先生指摘の千葉県のお話、私どもも新聞報道で承知いたしました。早速私どもそれはどういうことであるのかということを照会させていただきましたけれども、どうも実態はそこまで結論を出した段階ではなくて、現在私ども建設省で行っております契約制度のあり方についていろいろ勉強したいということと相呼応した動きとして、千葉県においても千葉県独自の勉強をしてみたい、こういった動きと承知しています。くどいようですけれども、一般競争入札制度に切りかえるというふうな結論はまだまだ出ていないというふうに承知しておりますが、いずれにしましても、契約制度というものをどうよりよく改善するかという一つの御努力の中にある、こう理解いたしております。
  45. 新村勝雄

    新村分科員 その問題については、私も実はよく勉強しておりませんけれども、千葉県がこれから完全に一般競争にするかどうかは今私には何とも言えませんけれども、そういう発想が出てくる。今までのやり方は、抜本的に、根本的に検討する余地がある、多くの疑問があるということは、やはりあるわけでありまして、そういう中から、そういう制度化されたもの、まだ確立された制度ではないにしても、そういう発想が出てくること自体が、この問題に伏在をしている多くの問題があるということですよね。その点については十分国においても研究をしていただきたいし、また地方団体に対しても指導をしていただきたいし、またそういう地方団体の発想については、国も積極的に評価をして、一緒に研究をされるという態度をぜひお願いしたいと思うのですね。  次の問題ですが、時間がなくなってしまいました。都市計画法の問題についてですけれども都市計画法は極めて膨大な内容を持っておりますが、;日で現在の都市計画法の問題点を申し上げるならば、要するにこれは全国地域に対する規制でありますから、全国地域の特性、性格は地域によって千差万別であります。非常に違う。ところが、そういう千差万別の全国三十七万平方キロの地域に同じ法律を適用するということは、非常に無理があるのではないかと思うのですね。特にこれは土地利用の問題とも絡んでまいりますし、都市化をいかに誘導するかという問題もありますし、多くの問題があるわけでありますが、要するに地域性が違う全国に一つの法律を適用する。ことが極めて無理ではないか。  それと同時に、都市計画法施行以来既にもう二十年になりますか、二十年近くになると思いますね。その間において抜本的な改正は行われていない。もちろん改正はありましたけれども、抜本的なものはなかったという中で、全国地域の特性がますます特化しつつあるということが言えると思います。  特に市街化区域と調整区域とを分けるということ、それから、そのことによって土地利用を規制していくという問題についても、例えば首都圏五十キロ圏内の地域と、あるいは東北、北海道の地域とでは大変な違いがあるわけであります。首都圏周辺地域では、既にもうこれは考え方のいかんにかかわらず、農業はほとんど衰退して将来性がなくなっているという状況の中で、旧態依然たる農地法あるいは都市計画法というような法律の規制によって、土地利用が全く自由にできないという状況があるわけであります。最近、市街化区域の中の農地についての利用、将来の計画等についての別な発想はあるようでありますが、市街化区域だけではなくて、調整区域の中でも、宅地化のできる便利な土地で調整になっているために利用ができない、そうかといって、そこは農業として将来やっていく状況にはない、休耕されている、あるいは農地ではあるけれども荒廃している、いわゆる未利用地、休閑地として放置されているところがかなりあるということですね。  そういう状況の中で土地の高度利用という見地から、都市計画法、特に東京圏、大都市圏でそういう見地からの抜本的な改正はお考えになっていないのかどうか。そういう抜本的な改正をする時期になっているのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  46. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘ございましたように、現行の都市計画法、制定されましたのは昭和四十三年でございまして、施行が四十四年でございますから、二十年以上経過しております。  現行法の最も基本は、市街化区域、市街化調整区域という線引きをいたしまして、それで開発行為を基本的に制御していくというところから発想しておる法律でございまして、二十年以上たった今日において、それが果たして現在の社会経済情勢に的確に対応し得る法制度であるかどうかという問題点、あるいはただいま先生の方から御指摘ございましたように、都市計画というものの持つ基本的な性格からしで、やはりそれぞれの地域社会、都市によっていろいろと実態が違うわけでございますから、制度のあり方も違っていいのではないか、そういったようなこと等いろいろございまして、実は昨年の一月から都市計画中央審議会におきまして約一年間、そういう問題点につきまして熱心な御議論をいただいたわけでございますが、やはり大都市地域におきましてはこの線引き制度を今後とも継続いたしまして、調整区域と市街化区域の線引きによりまして、計画的な市街化を図るところと基本的には抑制していく調整区域 とをコントロールしていくということの必要性を、審議会としては結論として出した次第でございます。  したがいまして、お尋ねのような線引き制度の根幹に触れるような改正までには至らないわけでございます。しかし、本当に先生からお話がございましたように、各都市、各地域の実態に応じたきめ細かな町づくりに対応できるような法制度としてはもっともっと改善すべき点があるのではないかという御指摘がありますので、大臣とも相談いたしまして、今回、都市計画法のかなりの大改正案を現在検討させてただいているところでございます。
  47. 新村勝雄

    新村分科員 現行の都市計画法でも地方団体に一定の発言権は認めておりますけれども、基本的にはやはり国が一切を押さえてやっていくということですよね。土地利用都市計画というようなものは、基本的にはこれは国がやるべきものではなくて地方団体がやるべきものですよ。地方団体にできる限り権限を移譲して、線引き等についてももちろんでありますけれども都市計画法に規定をされたほとんど九割方の権限は市町村に、これは県ではなく市町村です、県は余り知らないのですからね。県は何かやるにしても、市町村から意見を聞いて、市町村に調査をさせ、市町村の意見を聞いて県が判断をするということですから。実際の地域の情報によく精通しているのは市町村ですから、市町村に都市計画あるいは土地利用の権限は全面的に移管をする、移譲をするということが、地方自治の本旨からいっても必要ですし、また、土地利用あるいは都市計画法を有効に機能させるという点からいっても、地方団体に任せるということ、この発想が基本になければうまくいかないのですよ。  そういう点でぜひ、都市計画法及び土地関係の法制の再検討に当たっては、地方自治体を本位にして、地方自治体を中心にして仕事を進めていくという、あるいは法制を組み立てていくという、そういう発想をぜひ持っていただきたいと思うのですが、最後に大臣にその点について伺いたいと思います。
  48. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 現行の都市計画法におきましても、都市計画の制度につきまして各種のメニューがございまして、知事や市町村がその取捨選択を自主的に行うことができるようになっていると存じます。今回の改正でも、市町村が住民参加のもとに町づくりの基本方針をつくるマスタープラン制度の創設を今回の改正の中に入れている等、今後とも市町村がみずからの都市計画を行っていく体制を充実させてまいりたいと考えております。
  49. 新村勝雄

    新村分科員 終わります。
  50. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  51. 長田武士

    長田分科員 昨年私は同分科会におきまして、住宅都市整備公団が現在行っております公団の建てかえ事業につきまして、その進め方を丸山総裁に質問をいたしました。特にその中で、私は賃貸住宅の家賃の設定基準、積算根拠が余りにも不明確、不明瞭であることを強く申し上げたわけであります。  丸山総裁は私が強く要望した原価家賃の公表をかたくなに拒否をされたことは、まことに遺憾と言わざるを得ません。その後も私は、建てかえを迫られている数多くの公団住民の将来の不安を訴える生の声を伺うにつれ、少しでも住民の皆さんが安心して建てかえに臨める環境をつくりたいとの思いで本日質問をさせていただくことを、まず大臣、総裁に申し上げておきます。  加えて、本日は、昨年の総裁の答弁の中から不明確な点、不審な点など多少問題が詳細にわたるかもしれませんが、どうか、誠意ある、かつ前向きな御答弁をいただきたいと存じます。  昭和六十二年度にスタートいたしました建てかえ事業は、平成二年度までに五十団地、二万三千七百二十九戸で実施されており、来月いよいよ六年目を迎えることになります。この間、全国各地の団地でいろいろなトラブルが発生し、事業計画が滞っていることもまた事実であります。私の調べによりますと、平成二年度までの事業の進捗率は約八八%とかなりおくれているようであります。そこで、おくれの原因を調査してみますと、公団の建てかえ計画自体に反対し明け渡しを拒否しておる、そういう方もおります。さらに、大部分の方は、建てかえには賛成であるけれども、家賃が非常に高くなる、これで高齢化の対応ができない、住めなくなるというようなそういう理由によって反対しておる、こういう方もおるわけであります。特に、私は後者の家賃の体系に疑問を持って反対している方が大部分ではないかというふうに考えております。  そこで、丸山総裁は、この点についてどのような感想をお持ちであるか、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 丸山良仁

    ○丸山参考人 今先生からお話のございましたように、建てかえを行う場合、住民の方々といろいろとお話し合いを二年間続けることにいたしておりますが、その中で一番問題になりますのが、家賃が高くなってしまうということでございます。それは先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、どうして家賃が高くなるかということは、改めて申すまでもないことでございますが、全く新しいうちを面積も広くし、設備も立派にしてつくるわけでございますから、どうしても家賃が高くなるのはやむを得ないことと存じます。したがいまして、最初は反対される方も、二年間にわたりましていろいろとお話し合いを進める間に、御了解を賜る場合が多いわけでございまして、今先生がお挙げになられました昭和六十一年度からこの事業は始めたわけでございますが、六十一年度から六十三年度までの三カ年分につきましては、一〇〇%の方の御同意をいただいて解決いたしております。平成元年度につきましては、二年たって昨年の九月の末で御了解をいただく期限が参ったのでございますが、十一人の方が反対をされました。この方につきましては訴訟に持ち込んだわけでございますが、そのうち一件は判決をいただき、残り三件は同意をいただきましたから、訴訟を取り下げ、現在一団地七人の方について訴訟を行っているところでございます。  先生が先ほど申されました八八%しか進んでおらないとおっしゃいますのは、平成二年度に着手した団地のことと存じますが、この団地につきましては、ことしの九月までに一〇〇%の御同意をいただくべく今鋭意努力をしておるところでございます。
  53. 長田武士

    長田分科員 先月十四日に大阪地裁で大阪市都島団地の居住者に対しまして明け渡しの判決が出たことは御案内のとおりであります。このほかにも、東村山市久米川団地でも同様の訴訟を公団は起こされておるわけでありますが、これはすべて建てかえ自体に反対する住民の方の抗議に対する司法の判断でありまして、この判決が家賃の値上げを認めたものではないということは、言をまちません。  今回は明け渡し裁判での勝訴でありましたけれども、仮に近い将来建てかえの家賃に対する訴訟があった場合、総裁は勝訴できる自信があるのかどうか、当然その場合、審理の過程上法廷で総裁があれだけ拒否を続けました原価家賃を公表せざるを得なくなるのではないか、このように思いますが、この点、いかがですか。
  54. 丸山良仁

    ○丸山参考人 大阪の裁判は、おっしゃるとおり、家賃の裁判ではございません。したがいまして、家賃の裁判を行われた場合に勝訴するかどうかということは、これは裁判所がお決めになることでございますから、私がとやかく言う問題ではないかもしれませんが、私といたしましては、公団法の施行規則第四条及び第五条の規定に基づきまして適正な家賃を算定しているという確信を持っておりますから、この点につきましては、裁判になりましても勝てるものと考えております。  また、原価の公表の問題でございますが、確かに建てかえの家賃につきましては、この問題は争われたことはございませんが、一般の家賃の一斉改定に関する訴訟は幾つかあるわけでございますが、この場合におきましても、今までのところは原価を公表するということはいたしておりません。
  55. 長田武士

    長田分科員 家賃の問題については、昨年も総裁と相当私は論議を交わしました。殊に、私の地元、練馬区の石神井団地については、いろいろな角度から建てかえ後の家賃が高額になるわけでありまして、もっと住民が納得するよう説明を行うためにも、家賃の設定の基準、原価家賃の公表を強く総裁に迫りましたけれども、大変残念ながら、これはかたくなに拒否をいたしました。  ここで付言しておきますが、当団地の皆さんは、ただ単に建てかえに反対しているのではないのです。この設定の家賃では、高齢化が進んでいるし、当団地の人は将来住めなくなってしまう、そういう不安が大きな要因であります。また、私が昨年比較いたしましたほぼ同じ条件の板橋区の蓮根団地とは、余りにも家賃の格差がある。去年随分やりましたね。そうしたら、土地の問題については大体イーブンであると総裁は言いました。そうなりますと、では、どこが違うかといったら、いわゆる建設費であるということをあなたはおっしゃいました。  そのようにして、何年もたってない、三年おくれぐらいの団地で平米当たりの家賃が物すごい違う。これはおかしいのじゃないかというのが、公団に住んでいらっしゃる皆さん方の同じ意見なのです。そういう意味で、私は現場に行きまして、公団の皆さん方がただ単に反対をし、何かストライキみたいなことをやっているような感じではないのですね。真剣に高齢化のために、高齢者の皆さんのために何とか頑張ろう、そして納得できるまで私たちは話し合っていこうというのが、基本的な考え方です。そういう点を考えますと、私はやはりこういう問題については、公団は耳を傾けて、住民の皆さん方が納得できるようなそういう対応というものを、誠意ある対応を見せるべきである。これが私の基本的な考え方です。公団の総裁も反対じゃないでしょう。そういうことでありまして、私はこの問題について取り組んでいるわけであります。  そこで、総裁は、去年の私への答弁の中で、議事録持ってきておりますけれども、「公団住宅が民間より高いということはほとんどございません。」「全体で考えてみますと、大体公団住宅は民間住宅の六〇%の家賃というのが通説でございます。」ということを申しまして、ある意味での基準を示す発言をされましたけれども、この答弁は間違いありませんか。
  56. 丸山良仁

    ○丸山参考人 昨年の答弁でそのように申し上げましたのは、そのとおりでございます。これは昭和六十三年に行われました総務庁の統計局の住宅統計調査、これに基づいて計算してみますと、大体ストックで公団の家賃の平均が三万八千円、それに対しまして民間の家賃の平均が五万二千円、これに面積等を勘案いたしまして計算いたしますと、約六割になるということで、おおむね六割でございます、こう申し上げたのですが、家賃につきましては、立地あるいは面積あるいは構造等が違うものでございますから、一概に比較することは大変難しい問題であると存じますし、そのようにも昨年申し上げておると存じます。
  57. 長田武士

    長田分科員 先ほど委員長の御了解をいただきまして、資料を私がつくってまいりました。大臣、ちょっと見ておいてくださ.いね。  先ほど申し上げました総裁の答弁に関連をいたしまして、さらにお伺いするわけでありますけれども、石神井団地周辺の民間マンションと比較しながら去年も質問いたしました。総裁の答弁に不満足でありましたので、その後私なりに石神井団地集会所前の、練馬区石神井台三の二十の十のメゾンドクレインを対象に私は調べてみました。  そうしますと、家賃の計算をいたしますと、これは平均家賃は平成三年八月の調べでありまして、二年ごとに契約更新で平成十六年までに六回更新されるケースを想定しまして計算をいたしました。メゾンドクレインの場合、これは民間マンションでありますけれども、二年契約でございますから、アップ率を一〇%と五%という想定のもとに計算をいたしました。平成四年度では、一〇%の場合は平米当たり二千百九士二円、五%の場合は二千九十三円、これがずっと二年ごとに更新をされまして、一〇%の場合は三千八百八十三円、五%アップの場合は二千八百二円、このようになります。そして公団総裁がおっしゃったいわゆる公団住宅については、この民間家賃の六〇%相当分を私なりに計算しました。そうしますと、一〇%のアップの場合は、平成四年度では一千三百十六円、五%アップの場合は一千二百五十六円、平成十六年では、公団家賃は、一〇%アップといたしましても二千三百四十円、五%アップいたしましても千六百八十一円、こういう数字が出てまいりました。  そこで、私は民間家賃の一〇%と五%の中間、これを割りまして中間値をとりましたところ、三千三百四十六円という数字が平成十六年度に出るわけであります。これは民間です。そして望ましい公団家賃といたしまして、二千三百四十円プラス千六百八十一円、割る二で二千十円という数字が出ました。これはまさしく民間家賃が三千三百四十六円の一平米当たりの家賃が、六〇%に相当するということならば二千十円というのが適当である、このように、まさしく私が計算したとおり、公団の総裁のおっしゃるいわゆる六〇%の家賃であります。  以上のような石神井団地での家賃は、同団地の皆さん方が要望する板橋区の蓮根団地並みの平米当たり二千円前後、ほぼ同額になります。今石神井団地の皆さん方は、蓮根団地並みにしてほしいというのが強い要望です。まさしく六〇%の家賃を掛けますと、民間家賃の六〇%で大体二千円前後という数字が出てまいりました。石神井団地の適正家賃は平米当たり二千円から二千二百円。これは総裁の言われた六〇%、まさしく符合いたします。このような、昨年より申し上げてまいりました蓮根団地の家賃横並びの根拠がさらに明確になっておる、このように私は考えますけれども、総裁はこの点どうお考えでしょう。
  58. 丸山良仁

    ○丸山参考人 先ほども申し上げましたように、民間のマンションの家賃というのは個々ばらばらでございまして、平均すれば大体公団が民間の六割ということでございますから、この先生がお挙げになった例は比較的家賃が安い方ではないかと存じますけれども、このような家賃の住宅だけが民間でできれば大変結構なことだと存じますが、これよりも高いものもございますから、一概に論評することは差し控えさせていただきたいと存じます。
  59. 長田武士

    長田分科員 総裁、今の石神井団地よりもうちょっと条件のいいところを選んだのですよ。民間のは確かにばらばらだけれども、安いことにこしたことないじゃありませんか。民間家賃で平米当たりこれだけ住める。あなたは六〇%だと言ったんだから。とんでもない、もっと駅前をとって私がどうのこうの言っているんじゃなくて、同じ条件、いわゆる地価の公示も全く同じ条件、それに見合うところをとったんですよ。そういう点を考えますと、余りばらばらだとか、こういうものは対象として比較はできないとか、ちょっとおかしいじゃありませんか。
  60. 丸山良仁

    ○丸山参考人 民間のマンションをとる場合、私このマンションを詳細に検討しておりませんから何とも申しかねますけれども、このマンションは比較的ほかのものに比べたら安いんではないかと考えるわけでございます。したがいまして、マンションの値段を決める場合に、例えば地主さんがマンション経営をやられるような場合には、地代を非常に安く見積もられて家賃を決められるというような場合もございますし、民間ディベロッパーが家賃を決める場合には、やはり土地を買って行わなければならないから家賃が高くなるというようなことがございますから、どうも私の感じでは、これは安いマンションの部類に入るのではないかと存じますので、それ以上のことはよく調べてみないとお答えができません。
  61. 長田武士

    長田分科員 総裁、そんなこと言っちゃだめだよ。あの公団の土地は三十年前、三十五年前に取得した土地じゃありませんか。安い土地もいいところですよ。民間のあの土地の方がもっと高いですよ、最近建った民間マンションですから。あなたは、私の去年の質問に、土地代というのは微々たるものだ、大体二〇%前後だ、二二%平均だ、こうおっしゃったでしょう。きょうは、土地代が高いから家賃が高くなるんだ。話が合わないじゃないですか。
  62. 丸山良仁

    ○丸山参考人 私は、公団の住宅の土地の値段が高いから家賃が高くなるということは申しておりません。この点は昨年と同じでございまして、公団が例えば石神井団地の家賃を決める場合に、どの程度土地代を見ているかと申しますと、今先生がおっしゃられましたのは、基準価額を決める場合の大体の土地代のウエートが二十数%ということを申しているわけでございまして、実際の家賃は、その基準価額どおりに決めていないわけでございまして、それから相当低い値段で決めております。そういうことになりますと、土地代がほとんど見られておらないというのが現実でございます。
  63. 長田武士

    長田分科員 全く納得できません。こんなことを公団が考えておるのだったら、みんな家賃の設定そのものに疑問を持ちますよ、家賃設定そのものに。お役所仕事丸出しじゃありませんか。私は今回の建てかえ住宅については、やはり三十年も三十五年も住んでいるのですから、そういう人たちにはある程度優遇しなければいけない、そういう意味で申し上げているのです。公団は民間の六〇%だと言うから、それと全く同じような条件を選んで私は民間のアパートの家賃を調べた、そして六〇%に値するのはこれだと。したがって、今回の建てかえについては、家賃の設定の基準がちょっと高いのではないかということを申し上げているのです。総裁、この当たり前の理論というのはわかりませんか、こういう単純な理論が。納得できません、これは。
  64. 丸山良仁

    ○丸山参考人 何回も同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、公団の家賃を決めるためには、原価を基準にはいたしますけれども、やはり他の公団の賃貸住宅との均衡がとれるような形で家賃は決めているわけでございます。これは施行規則の四条と五条にそういう規定があるわけでございまして、これをそのとおり適用しているわけでございますから、適正な家賃が決められていると前回から申し上げているとおりでございます。
  65. 長田武士

    長田分科員 他の公団住宅との均衡をとるということですね。蓮根団地との均衡はとれていません。そして、あなたは去年、いわゆる三年間ずれております、それに対する建設費の値上げがある、この部分を家賃のいわゆる高い部分に乗せておるのです、こう私には説明しましたね。間違いありませんね、  そこで、あなたが工事費が三五%以上上昇しておる、こういうことを申されましたから、私も物価問題は長くやっておりましたから、この三年間のいろいろな指数を私は調べてみました。そして、この点について私はどうしても納得いかない。あなたが去年私に申したのは、「石神井団地につきましては、昨年の九月に説明会を開催いたしまして、ここで発表した家賃でございます。この三年間、丸三年以上たっておりますが、この三年間の間に残念ながら工事費が三五%以上上昇しているわけでございます。」これの影響が非常に強く家賃にあらわれておる、このようにおっしゃいましたね。これは間違いない。あなたの言われる数字は間違いないのですか。
  66. 丸山良仁

    ○丸山参考人 そのとおりに申し上げましたのですが、ここで一言おわびをいたしたいと存じますけれども、当時三五%程度と申し上げたと存じますけれども、厳密に申しますと三三・四%でございます。
  67. 長田武士

    長田分科員 パーセントがやや下がってきたようですけれども、また具体的なパーセントを私申し上げます。  昨年総裁は、石神井団地の家賃がほぼ同じ条件でありながら蓮根団地と比較して高いのは、三年間の工事費である、このように答弁されたわけです。私の調査ですと、状況は相当違いました。  私の手元に二つの資料があります。一つは公営住宅標準工事費一覧、これは第一種公営住宅特別地区の場合であります。もう一つは、公団の工事費予算単価一覧というのがございます。二つの資料とも工事費をそれぞれ二戸当たり、あるいは平米当たり算出したものであります。  この資料で正式な家賃を設定すると思われるわけでありますけれども、住民説明会の一年前あたりの数字を調べてみますと、公営住宅標準工事費一覧では、石神井団地と同じ条件、石神井は三階から十九階の規模の高層耐火九階から十一階、広さ八十五平米の建物で、昭和六十一年度で二戸当たりの工事費は一千五十六万円、平成元年度では一千九十八万円ですので、この三年間の上昇率は四%です。そして、各種構造物を見ましても、四%から八%の間で推移をいたしております。ちなみに、昭和六十二年度と平成二年度の対比表を見ましても、一〇%から一六%の範囲で上昇しているのが現状であります。確かに公団住宅の方が公営住宅よりも工事費が多少かさむであろう、こういうふうなことを加味いたしましても、総裁の言われた工事費の三五%には絶対ならない。数字はそう出ております。  一方、公団みずから作成しておりますところの予算単価一覧でありますけれども、これもまた総裁の言われた事実は全く存在していないのであります。この一覧の賃貸住宅の市街地欄の比較でありますけれども、先ほどと同様に対比しますと、昭和六十一年度は平米当たり十五万八百円、平成元年度では十六万二千八百円、上昇率は七・九%であります。また、昭和六十二年度は十五万八百円、平成二年度では十七万四千八百円、上昇率は一五・九%にとどまっておるわけであります。  こうした具体的な事実が判明するに従いまして、昨年総裁が答弁されました内容が、三五%、きょう訂正があって三三・四%と話がございましたけれども、その数字でもなお乖離があるという点で、私はこの数字は全く納得しておりません。この点はどうでしょうか。
  68. 丸山良仁

    ○丸山参考人 公営住宅の単価につきましては、私は全く関係しておりませんから、お答えする能力がございません。  次に、公団住宅の単価でございますが、確かに予算単価は、先生がおっしゃいますように、昭和六十年度予算単価と平成二年度の予算単価を比べてみますと、約一六%の上昇卒になっております。ところが、実際に工事を施行するに当たりましては、直近の工事費の動向を踏まえて実施することになるわけでございますから、実績といたしましては約三五%の上昇ということになっております。
  69. 長田武士

    長田分科員 あなたの三五%と言っているのは、何の指数を言っているのですか。
  70. 丸山良仁

    ○丸山参考人 工事費の指数でございます。したがいまして、資材と労務と合わせたものの指数でございます。
  71. 長田武士

    長田分科員 それはどこの資料ですか。出所を明らかにしてください。僕の手元にありますけれども一多分それだろうと思っているのです。
  72. 丸山良仁

    ○丸山参考人 昨年度お答えいたしましたのは、建設工業経営研究会の発行している資料でございます。
  73. 長田武士

    長田分科員 この指数は非常にあいまいな指数が多いのです山一回調べてみてください。  それで、今総裁答弁されましたけれども、この単価のことを問題にしているのじゃないのです。公営住宅の建設に対する一つの流れといたしまして、年度別の上昇率というものはどういうふうになっているかということを私は調べたのです。公営住宅ですよ。単価のことを言っているのじゃないのです。ですから私は、単価の問題については、多少公団の方が費用がかかるだろうとさっき申し上げたじゃありませんか。上昇率については、あなたの言う三五%もこの三年間で上昇してないということを言っているのです。公団だけは別に高い工事費でやっているという意味ですか。一般の公営住宅とは違うのですか。
  74. 立石真

    ○立石政府委員 公営住宅工事費の単価についての御質問でございますが、ちょっと手元に具体的な数値を持っておらないところでございますけれども、六十二年度から平成二年度間に予算上の標準工事費の単価はそれほど大きく値上がりしておりません。しかしながら、実態といたしましては、この間に建築工事費の非常な値上がりがございまして、予算の補助は、地方公共団体に対する補助の標準単価は余り動いておりませんが、実際の工事費では、かなり高くしなければ落札しないような状況があったのは確かでございます。
  75. 長田武士

    長田分科員 それでは、公営住宅の調べも乱やってみますけれども、そういう点、公団としては取り組みがちょっと甘いというふうに考えます。  そこで総裁、こうやってトラブルが起きていますから、やはり公団としても誠心誠意これに当たらなければなりません。そういう意味で、三十年間も住んでいる住宅皆さん方にはその世代だけ家賃は据え置くとか、公募する人と十年間あるいは七年間で家賃を並べるということじゃなくて、ある程度優遇措置はとれないのですか。今世代限り、その世代限りの家賃については考慮するという方法はとれませんか。
  76. 丸山良仁

    ○丸山参考人 今お話のございましたように、七年間あるいは十年間の場合もございますけれども、激変緩和措置を講じていることは御承知のとおりでございますが、これは公営住宅を建てかえる場合に地方公共団体が行っておられますものを参考にして決めさせていただいたわけでございまして、例えば東京都の公営住宅の建てかえの例を見ますと、五年間で廃止と申しますか、五年間の激変緩和措置になっております。  これに比べましても公団の七年間というのは決して少ないものではないと思いますし、できればこれを長くするにこしたことはないわけでございますが、先ほども申しましたように、この建てかえ事業そのものが経営採算上それほどいい事業ではございませんから、そういう点からこれ以上の優遇措置を講ずるのはなかなか困難ではないかと考えております。
  77. 長田武士

    長田分科員 大臣、やりとりを聞かれましたですね。私が問題にしておりますのは、蓮根団地という、同じような条件で建てかえを行いましたそのところは平米当たり二千円前後の家賃の設定なんです。ところが、こちらの石神井団地の方は大体二千七百円前後、平米当たり七百円も違うのですよ。このような格差というのは私はやめるべきだと思っているのです。  そういう意味で、私は公団によく指導して、住民が納得いくような――やはり蓮根団地が二千円で、我が団地が二千七百円では、これは住民納得しません。そういう意味での家賃の設定の仕方については建設省、もっとしっかりかんだらどうでしょうか。指導したらどうでしょうか。そして、時間がありましたら山崎大臣、現地へ来てみてください。私が調べた民間団地と民間のアパートと、あるいは団地の皆さんはどういう考えを持っているか、そうすれば私は皆さん方の言い分も十分わかると思っております。この点、いかがでしょうか。
  78. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいま長田先生と公団総裁とのやりとりを拝聴いたしておりまして、長田先生、大衆政治家としての面目躍如たるものがあるということを痛感をさせていただいたのでございます。  ただ、公団が今日まで住宅供給面で国民生活に果たしてまいりました使命、役割は非常に大きかったと存じますし、これからも大変大きいと考えているのでございます。公団のやっている仕事に私ども全幅の信頼を置いているのでございますが、先生の御議論を聞きまして、各公団間の家賃の格差を平準化させるべきではないかという御議論にもとれるのでございますが、そのことの是非、またどうして格差ができたかという計算の根拠等も、公団側としてのそれなりの考え方も存在すると思うのでございまして、その辺よく検討させていただきたいと存じております。
  79. 長田武士

    長田分科員 終わります。
  80. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、谷村啓介君。
  81. 谷村啓介

    谷村分科員 私は主として同和対策といいますか、そういった問題についてお尋ねいたしたいと思うのであります。  まず初めに大臣、山崎大臣の経歴を見ますと、もちろん福岡の出身でありますが、旧大連市でお生まれになったようですね。その後県会議員等を綴られまして国会議員ということでございます。私、解放行政といいますかそういった問題を考えるときに、いつも解放運動の父と言われている松本治一郎さんのことを思い出すわけであります。御承知のように、同じ福岡の御出身でございました。  大臣、まずお尋ねいたしたいのは、福岡県というのは大変未解放部落といいますか被差別部落が多いというふうに認識をいたしております。私の岡山におきましてもそうでございますが、そういうふうに承知いたしておりますけれども、まず大臣、いつごろから差別という問題についての認識、そういったことを御認識になったか、こういう点についてお聞かせ願いたいと思うのであります。
  82. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 いつごろから同和問題の存在を認識するに至ったかという御質問は、ちょっと私は正確にお答えすることができないのでございます。  ただ、先生がたまたまお名前をお挙げになりましたが、私の郷土福岡県の出身の政治家といたしましては、例えば保守では緒方竹虎先生等々非常に著名な方がいらっしゃいますが、革新側といたしましては松本治一郎先生は郷土を代表する政界の巨魁であるというふうに私ども誇りに感じているのでございます。その松本治一郎先生の存在を知りましたのは高校時代ではなかったかなとおぼろげながら――私はたまたま緒方、中野、広田といった政治家の方と同じ高等学校を出ておりまして、よく政治家評と申しますか論議が我々生徒の間でも行われましたときに、革新に松本ありということはよく話に出ました。そして松本先生が部落解放運動の先駆者であり指導者であるということもそのときに初めて知りまして、恐らく部落解放という問題があるということはそのころ、ぼんやりではございますが認識をした初めではなかったかと存じます。
  83. 谷村啓介

    谷村分科員 松本治一郎先生についてお触れになりましたけれども、私がお尋ねしておるのは、差別というものが現存をしておる、これはもう御承知のとおりでありますが、これから展開をいたします解放行政について大臣の差別の認識といいますか、差別とは何なんだということについて御見解を承りたいというのが実は主眼なんでございますが、その点、いかがでしょう。
  84. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 実は私の心の中には差別の問題は存在いたしておりません。日本国憲法のもとで基本的人権はすべて公平、平等に認められておるところでございまして、差別そのものが存在していいということは毫も考えたことはございませんし、そのような問題が存在することが非常に不思議にいつも感じていたわけでございます。  しかしながら、同対法等が定められてまいりまして現に差別が存在するんだ、そういうことを前提にそのような差別をなくすための政策が真剣に模索され、さらに推進してこられたということは厳然たる事実でございますから、そういうことが存在するということがあるとすれば一日も早い解決が望まれると存じております。
  85. 谷村啓介

    谷村分科員 大臣のお言葉の中に、私はそういう差別意識はないというふうにおっしゃいますが、社会的な観念として実は長い間つくられてきているのですね。ですから、あなたのおっしゃることをそのとおりだというふうにはなかなか思いがたい点もございますけれども、次に移りましょう。  それでは、同和対策審議会答申が出されて久しいわけでございます。その同対審答申についての大臣の御認識についてお聞かせ願えればありがたいと思います。
  86. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 同和対策審議会答申が昭和四十年に出されておりますが、同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策として示されたものでございます。  この中に「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。」と位置づけられておりまして、これは政府がその後の同和対策のあり方の基礎を築きました貴重な答申であると認識いたしております。
  87. 谷村啓介

    谷村分科員 御承知のように、同和対策審議会の答申が出るまでというのは関係者の皆さんの大変な努力が要りました。今大臣御答弁のように、まさにこの同対審の答申というものは画期的な答申であったというふうに私は思うわけであります。  そこで、その後二十年にわたりまして措置法、最近では地対財特法でございますけれども、そういう問題をめぐってまたまたいろいろな問題が起こってまいりました。そこで、政府の方は地対協の方に今後のとるべき対策といいますか、そういう問題について諮問をいたしまして、地対協具申なるものが出てまいったことは御承知のとおりでありますが一この地対協の、つまり磯村委員会の具申を建設大臣としてどのようにとらえておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  88. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 昨年十二月十一日に提出されました地域改善対策協議会意見具申でございますが、これは先生の言われる地対財特法が平成三年度末、間もなくでございますが、失効するに当たりまして、平成四年度以降の方策のあり方等につきまして基本的な考えを示したものだと存じます。今後この施策の推進に当たりまして、貴重な意見として受けとめておるのでございます。  そこで、建設大臣としてどうかというお話でございましたが、建設省といたしましては物的事業を所管いたしておりまして、先ほど申し上げましたかつての同対審の答申の中で、劣悪な生活環境等の実態を改善していくことが地域に係る差別的偏見をなくす極めて重要な課題であるとの指摘を踏まえまして、従来より住環境の整備等を積極的に推進してまいったところでございますが、平成四年度以降におきましてもいわゆる物的事業量が相当程度見込まれると存じますので、所要の財政的措置を講ずるための法的措置が今度とられると存じますが、今後地対財特法の一部改正案、私どもも所管官庁の一つといたしまして提出をいたしたところでございまして、この成立を待ちまして、さらに地域環境整備の事業を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  89. 谷村啓介

    谷村分科員 それでは、具体的な問題に順次移ってまいりたいと思います。  部落の住環境の整備について、建設省においてはあらゆる手法を用いられ、その改善に向けて積極的に取り組まれているところであります。そしてまた、一定の成果も上げてまいられたわけでございます。しかし、残された問題もまた多く存在することも事実でございます。  そこで、ここでお尋ねしたいのは、残念ながら未指定地といいますか、事業未実施地区と申し上げてもいいかもしれませんが、このような施策の中でこぼれておる地域というのが全国で一千カ所に上るということがしばしば指摘されるわけであります。この問題につきましては、非常に重要な問題である。同じように差別をされてずっと長年生活していらっしゃる部落が、政治の、行政の全然恩恵を、恩恵という言葉はまずいですが、そういう効果というものを生まない、権利をまるで放棄させられておるような状況である。いろいろな経緯も確かにありますけれども、現実にそういう部落が一千を超えておる。こういう問題について、どういうふうにこれからの取り組みをお考えになっておるのか、お尋ねしたい。
  90. 立石真

    ○立石政府委員 先生指摘のいわゆる未指定地区についてでございますが、御承知のとおり、現行の地対財特法の規定におきましては、旧地域改善対策特別措置法、旧地対法の失効までに対象地域として事業が実施された地域のみを対象とするというようなことになっているところでございますので、現行法の体系の中で地域改善対策事業を実施できないことに法制度上なっているということは御承知かと思うわけでございます。  こうした中におきまして、未指定地域についてでございますが、これらの地域では地域改善対策がまだ行われていない、そういうようなことから、住環境の整備をしなければならない課題があるという御指摘だというふうに承知するわけでございますが、いわゆる未指定地区に係る住環境の改善につきまして、その地域あるいはまた市町村を通して、その市町村が事業を行いたいという要望がありました場合には、それぞれの具体的なケースに応じまして、またそれぞれの地域の実態に即しまして的確な事業制度を活用していきたい、そしてまた、優先的に実施してまいりたいというように考えているところでございます。
  91. 谷村啓介

    谷村分科員 先日、予算委員会を聞いておりましたら、この問題を我が党の代表が取り上げまして、それに対して総務庁長官が、政治というものは動くものであるし、情勢も動いておるというようなことをおっしゃりながら、将来について含みを持たせておるわけでございます。ここで私はあえて質問しょうと思いませんが、そういう動きもあるということをぜひ御認識しておいていただぎたいというふうに思います。  さて、地域のさまざまな条件から事業の着手がおくれている地域にとっては、これから本格的に事業の推進に取り組まねばならないわけであります。今度提案されます法の延長という手はいかがかと思いますけれども、五年というようなことも言われておるわけでございまして、そういうふうな条件から、それらの地区及び地方自治体事業の完了までの積極的な支援が必要だというふうに私は認識をいたしておりますが、建設省の御見解を賜りたいと思います。
  92. 立石真

    ○立石政府委員 現在、国会に提出され、御審議いただきます改正案におきまして、法律が制定したときには建設省関係の住環境関係の事業を積極的に推進していきたいと思っているところでございます。  現在、建設省の方で、それでは四年度以降にどれだけの事業が必要かという調査をしたところでは、国費べで二千四百六十億円について当面実施する必要があるという数値を把握しているところでございます。建設省といたしましては、各年度の事業におきまして、この事業を完全に実施すべく、かつ早期に実施すべく努力してまいりたいと考えているところでございます。
  93. 谷村啓介

    谷村分科員 建設省の資料を見ますと、これは解放同盟との交渉の資料の中にございますが、住環境の整備について「今日的な住環境整備の観点から、最低住居水準未満の住宅の解消や障害者や老人が快適に居住できる住宅の建設に努められたい。」という、そういう要望に対して、恐らくそういった方向を目指していらっしゃるというふうに思うわけですけれども、ただ実際は、その地区へ入りますと公共同和住宅にいたしましても大変狭いという感じがいたしますね。  私はよく葬儀に参列をしたりあるいはお通夜等にも参りますが、狭いですから葬儀の方は集会所等でやられておりますけれども、お通夜は自宅でやらなければしょうがないというわけで、行ってまいりますとそのことを非常に痛感をするわけであります。最近改善されたところもございますけれども、そういうところがたくさん残っておるわけでございますが、そういった問題についてどういうふうにお考えになっておるのか、ぜひお尋ねしたいと思うのであります。  さらに、先ほどもちょっと触れましたが、老朽化が進んでおることもこれまた事実ですね。そういった問題についても、建てかえ等について計画的なものが必要だというふうに思っておりますけれども、いかがでしょう。
  94. 立石真

    ○立石政府委員 まず、同和向けの公営住宅でございますけれども地域住宅事情に応じまして最低居住水準未満の住宅の解消に努めたいということで、特定目的住宅としてこれまで建設を進めてきたところでございます。これらによりまして現在までにおおむね六万戸ぐらいの住宅建設を行い、そしてその管理を進めているところでございます。しかしながら、四十年代ぐらいまでに建てたものについてはかなり狭いものが多い。五十年代の後半ぐらいからある程度の広さのものに拡大してきたところでございますが、古いものにはかなり狭いものが多い。そしてまた、現段階では老朽化の進んでいるものが多いということも事実でございます。  そこで、これらの居住水準を向上するためには、まず一つはこれらの住宅の建てかえをすることがその事業でございますが、建てかえの対象といたしましては、耐用年数の二分の一を超えた住宅の割合が全国で見ますと二一%程度となっております。また、地域によってはこの割合が相当高い地域、また老朽化が進んだ地域があるというのも事実でございます。またもう一つの解決の仕方といたしましては、住戸改善事業。例えば一室増築する、あるいは内部を整える、設備等を新しくする、そういうような事業もあるわけでございます。  今後の方策といたしましては、これらの事業を迅速に進めていきまして、同和地区の住環境の改善に努めてまいりたいと考えております。
  95. 谷村啓介

    谷村分科員 建設省は、一般の公共賃貸住宅の建てかえの推進という方針を出されておりますことを承知いたしております。私の持っております資料の中にも建てかえ促進重点計画の策定等も、公共賃貸住宅建てかえ十カ年戦略というのですか、そういうことで提起をされておるようですね。これは一般公共住宅についても同じことが言えると思うのですけれども、最近のゆとりと豊かさといいますか、そんなことを追求するような住宅にはなっていないところが多い。これはもうはっきりしておると思うのですね。もちろん、今おっしゃるようにそれを広くする、あるいは住みやすくするといった意味で住環境をぐっと強めてまいろうという、これは国民のニーズに合った政策であるということはもう言うまでもないわけであります。  ただ、同和住宅を見ますと、村等へ参りますと、もう同和住宅しかないというようなところも実はあるわけですね。ほかの公共住宅、公営、市営、村営だとか町営だとか、そんなものがない。まさに公営住宅は同和住宅だけしかないという地区も実はあるわけですね。岡山県においてもそういう地区を私は見ておりますけれども、とりわけそういうところが十カ年戦略の中で取りこぼされるということになると、これはまだその取り返しか大変だろうというふうに思っておるわけであります。特にそういう地域について建設省としては注意されて、全体を把握されて的確な指導といいますか支援をお願いをしなければならぬな、こういうふうに思っておりますが、いかがでしょう。
  96. 立石真

    ○立石政府委員 既設の公営住宅にはかなり狭いもの、古いもの等がございます。また、例えば公団住宅、公社住宅等についても建てかえを必要としている状況もございます。こういうように公的な賃貸住宅につきましても全体のストックが大きくなっておりますので、これらを計画的に建てかえて居住環境の改善を図る必要があるというように考えているところでございます。  今先生の御指摘がございましたが、これらを総合的にまた強力に進めていくために、平成四年度以降の十年間における建てかえ事業推進のための基本的指針をつくりたいと考えているところでございまして、公共賃貸住宅建てかえ十カ年戦略を本年度中に策定していきたいと考えております。それらを四年度以降、積極的に進めていきたいということでございます。  この公共賃貸住宅建てかえ十カ年戦略におきましては、公営住宅、公社・公団住宅、全部を含めまして地域的に公的賃貸住宅を総合的にどう建てかえていくか、そういう戦略を立てまして、具体的にどういうところに重点を置き、それぞれをどういうように関連させながら建てかえていくべきなのかということを都道府県段階での計画を立ててもらい、それらに対しまして必要な国としての支援をしていきたいというように考えているところでございます。  例えば公営住宅、公団等を総合的に建てかえるものもあれば、公営住宅団地だけの地域であればそれらについてどのくらい傷んでいたら何年ごろに建てかえていくのが妥当なのかということをやる地域もあり、そういうもの全部を含めた推進計画をしていきたいということでございまして、国としても積極的に支援をしていきたいと考えております。
  97. 谷村啓介

    谷村分科員 一般的な公営住宅についての十カ年戦略、その精神はよくわかるわけでありますが、私が今御質問をいたしておりますのはその中で含まれるであろう同和住宅、これは先ほども御答弁の中に、これは一般の住宅もそうでしょうけれども、四十年代に建てられたもの等について大変劣悪な、狭い、そういうものがある、こういうふうな御認識が先ほどありましたけれども、今のままほっておきますとまさにこれがスラムになってしまうというような感じがいたしてなりません。そういったこともまた差別の助長でもありますので、やはりこの十カ年戦略の中に十分そういう思いどいうものをあなたの方もぜひ入れ込んでいただきたい、こういう気持ちで今の質問はいたしておりますが、いかがでしょう。
  98. 立石真

    ○立石政府委員 同和地区におきます同和向けの公営住宅につきましても、非常にまだ狭いあるいは老朽化したものが多いという事実を承知しております。また、地域によりましては、高齢者が多い、あるいは障害者の方もかなりいるとかそういうような状況も各地域の実情に応じてかなりあるだろうと思っているわけでございます。同和地区の同和向けの公営住宅状況をつぶさに把握いたしまして、差別が残るようなことがないように住環境の向上に努めていきたいと考えております。
  99. 谷村啓介

    谷村分科員 次の質問に移ヶます。  「地域改善対策特定事業の見直し」という中に、いろいろさまざまの今までの事業を、ある程度完成したもの、ある程度進捗を果たしたもの、こういう点については幾らか予算面でも減がせられておりますけれども、そういう見直しの中に住宅新築資金等貸付事業、同和対策事業の中にございますが、これは私も、その資金を借りて住宅を建て直される、そしてその地域自体が、あるいは村自体と言ってもいいでしょう、すばらしく変わってきたという点についてはもう大いに成果が上がっておるというふうに思うわけでございますが、これの利率の引き上げというのが今度出ておるようですね。現行が二・八%ですか、これを三・五%に引き上げる、もちろん他の金融機関あるいは金融制度の中で金利の面で当然優遇されてきた、それはもう根拠があるわけでありますから。この金利の引き上げは地対財特法の精神から申しましてもその振興を妨げるのではないかな、こんな気もするわけであります。地域の皆さんからはぜひこれは据え置いてもらいたいという強い要望があることも私も知っておるわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょう。
  100. 立石真

    ○立石政府委員 住宅新築資金等の貸付事業は、低利の住宅融資を行う特別対策として同和地区におきます住宅事情あるいは住環境の整備改善に大きく寄与してきたものと思っているところでございます。そしてまた、平成四年度以降も相応の事業ニーズがあると考えておりまして、この制度を存続する必要があると建設省としても考えているところでございます。  平成四年度以降の地域改善対策につきましては、昨年の十二月の地域改善対策協議会の意見具申におきまして、限定的に実施する個人給付的施策についても段階的に一般対策に移行をできるように検討するという具体的な見直しの基準がございまして、基本的見直しをやはり行うように迫られたところでございます。  住宅新築資金等貸付事業につきましては、制度創設以来約二十万件の貸し付けを実施してきたところでございます。五十年代の半ばがピークでございまして、五十五年度には一万九千件というようなかなりの事業があったところでございますが、その後大幅に減少してきておりまして、平成二年度におきましては三千件というように激減した状況でございます。こういうような状況と先ほどの見直しについての意見具申の指摘を踏まえまして、段階的に一般対策へ移行するために貸付金利を年二・八%から年三・五%への引き上げを行うこととしたところでございます。  なお、建築工事費とか用地費の上昇等を参酌いたしまして、貸付限度額については三十万円引き上げるというような持ち家取得の円滑化に配慮しているのも同時に行っているところでございます。御理解をいただきたいと存じます。
  101. 谷村啓介

    谷村分科員 金利の問題で一般対策に移行というようなこともおっしゃいましたが、そういう点については疑義のあるところでございますから、了承をしたというわけにはまいりませんが、ぜひひとつ効果の上がるように努力を願いたいというふうに思います。  最後でございますが、冒頭に大臣から、差別に対する認識、あるいは松本治一郎先生等にもお触れになりまして、福岡ということで深い認識をお持ちになっておるということも私もよく承知いたしました。ただ、残念ながら、大臣、最近そういう地区へ入られたことがございますか。私はそれはなぜ申し上げるかと言いますと、意見具申の中にありますように、やはり実態調査進めろ、十分に実態調査をしろ、未指定地一千部落以上あるじゃないか、こういう実態も建設大臣として一遍ごらんになる。そう遠くじゃないのですから、福岡県にいらっしゃるのですから、選挙区ですから、選挙のときはお行きになるかもしれませんけれども。実態を調査するために、把握もされますために、大臣みずから現地の視察をぜひお願いいたしたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  102. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 検討させていただきます。
  103. 谷村啓介

    谷村分科員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
  104. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて谷村啓介君の質疑は終了いたしました。  次に、常松裕志君。
  105. 常松裕志

    常松分科員 きょうは大臣に住都公団の団地の建てかえの問題に絞ってお尋ねをいたします。  大臣の選挙区にも公団の団地がたくさんございますけれども、その中で、曙団地、それから梅光園、あるいは貝塚とか諸岡とか別府、こういう団地が大臣の選挙区の中にもございますが、これが今公団住宅の建てかえを実施しているわけでございます。そのほか昭和三十年代にできました団地、これまた大臣の選挙区にたくさんございますけれども、順次全国では十六万戸の建てかえが行われようとしているわけであります。  それで、なるほど確かに建てかえの計画につきまして私は必要だろうと思っております。まず狭いです。大体二DKが中心で、三DKというのは昭和三十年代のおしまいあるいは四十年代になってからでありますし、あるいは設備も古いですね。窓枠も木ですし、そのほか厨房の施設やふろ、照明施設なども今になっては相当時代おくれなものばかりであります。もっとも、この木の窓枠なんですけれども、これは公営住宅、私どもでいえば都営住宅の場合にはもうほとんど全部アルミサッシにかわっていまして、今どき木枠の団地などというのは公団だけでありまして、この間、去年の集中審議のときに私は地元の国立団地と牟礼団地の例を挙げて、台風が来ると雨漏りがする、こういうことで質問いたしましたところ、早速公団の方では雨漏りしないようにいろいろ手を尽くした整備をしていただいていまして、その点は本当にありがたく、またお札を申し上げる次第でございますが、こういう措置、もうちょっと早くやってくれていたら、やっておくこともできるはずなんですが、それはともかくといたしまして、その設備がいろいろ古いです。また、建てかえることによって敷地の有効な利用も進んで、福岡や東京や大阪のような大都市圏では住宅の不足がございますから、そういう方々のためにも必要なんだろうなと思います。  しかし大臣、この建てかえという言葉を私たち聞きますと、この言葉の持つ響きから感ずるのは、もう少し、あなたの住んでいる家が古くなったからひとつ大家の方で建てかえますよ、その後また住んでくださいね、こういうふうに大家から言われるように、そんな響きがあると思うんですね。ところが公団の建てかえの場合そうじゃないのですね。ちょっと極端な言い方になりますが、古い家を壊すからまずあなたたち出ていってくれ、その後に新しい家をつくる、家賃も間取りも公団、大家の方で一方的に決めます。ただ、それじゃ余りかわいそうだから、あと優先入居は認めてあげましょう、正直言ってこういう感じなのです。これは建てかえじゃなくて新規住宅供給というふうな感じが私はすると思うのです。  こういうふうなのですけれども、例えば同じ建てかえでも公営住宅の場合ですと住民との合意ということが公営住宅法の中に書かれておりますけれども、公団の方はそれがないということで、住民に家賃とか間取りとかあるいはどういう建てかえ計画にするかということはほとんど話し合いを行われることなく一方的な公団の計画が事実上押しつけられているという、そんな感じがするのですね。  歌にもあるじゃありませんか、「柱のきずはおととしの」という、ああいう、例えばきず一つ、あるいは木陰一つ、あるいはぶらんこ一つ、あるいは公園一つとってみても、長い間、昭和三十年代から住んでいる例えば御高齢の方々にすれば、子供を育てた、あるいは若かったころの思い出が残っているわけですね。そういった思いなんかを酌み取ってもらいながら、次の建てかえの住宅の配置などについても生かしていくというようなことが必要なのじゃないかなと思っているのです。  今私の選挙区で、久米川団地、緑町団地、新川団地、東伏見団地というのが建てかえの対象になっていますが、どれもこれも緑いっぱいの非常にすばらしい住環境の団地なのですけれども、建てかえに当たってそういった住環境が本当に生かされていくのかな、思い出が生かされていくのかな、そういう点についてぜひ住民の参加で建てかえを進めるというようなことを基本にして、まず少し大臣の胸をたたいてみたいというふうに私思って幾つか質問させていただきますが、まず緑町、それから東伏見、新川三団地の間取りとか戸数とか配置計画とか駐車場数とか公共スペースとか緑被率とか、こういったものを公団の方から答えていただけませんか。及びそういうものを決めていく基準についてマニュアルがあるのでしたらお示しください。
  106. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 それでは各団地の建てかえ計画の概要について御説明申し上げます。  まず平成三年度事業としまして着手しました武蔵野緑町団地、三鷹市所在でございます。これは従前戸数千十九戸というのを、賃貸住宅、分譲住宅合わせまして千二百六十戸に建てかえる。ただ事業のやり方としまして、団地全体を二ブロックに分けて実施することで昨年の十月に居住者説明会を開催したところでございまして、このうち先に実施します第一ブロックの具体的な内容としましては、賃貸住宅六百二十戸、内訳は一DKから三LDKまででございます。それから分譲住宅七十戸、これは二LDKないしは三LDKということで、合計第一ブロックで六百九十戸を建設することとしております。  次に、同じく平成三年度事業としまして着手しました東伏見団地、保谷市所在でございますが、これは従前戸数五百五十八戸を、賃貸住宅、分譲住宅合わせて九百七十戸に建てかえますが、これも団地全体を二ブロックに分けて実施するということで昨年の九月に説明会を開いております。  このうち、先に実施いたします第一ブロックの具体的な内容としましては、賃貸住宅三百五十戸、これは一DKから三LDKまで、それから分譲住宅四十戸、これは二LDKと三LDK、合計で三百九十戸を建設することとしております。  さらに、一年前でございますが、平成二年度事業としまして着手しました新川団地、三鷹市所在でございますが、これは従前戸数九百二十二戸を賃貸住宅、分譲住宅合わせて千二百五十戸に建てかえまして、これも団地全体を二ブロックに分けて実施するわけでございまして、平成二年の九月に説明会を開催しております。  そのうち、先に実施いたします第一ブロックの具体的な内容としましては、賃貸住宅二百九十戸、型式としましては一DKから三LDK、それから分譲住宅百十戸、これは二LDKと三LDK、合計四百戸、これを第一ブロックに建設することとしております。  なお、駐車場設置率につきましては、いずれの団地も、賃貸住宅におきましてはその計画戸数の約六〇%、それから分譲住宅におきましては計画戸数の約七〇%を計画するということにしております。
  107. 常松裕志

    常松分科員 時間がありませんから、また後ほど、緑被率とかあるいは公共スペースなどの基準がおおりでしょうから、それはまた別途私の方へ届けていただければと思いますが、その建てかえのスケジュールですね、説明会を開いて、最後全部建てかえを完了するまでのスケジュール、これをちょっと簡単にこれまた御答弁をいただきたいのですが、特にそれぞれについて一期工事、二期工事になっていますが、一期の中を前期、後期と分けて建てかえが行われるというふうにこの三団地とも考えてよろしいですか。
  108. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 それでは、スケジュールについて御説明申し上げます。  武蔵野緑町団地につきましては、昨年の九月二十二日と二十三日に説明会を開催しまして事業着手ということになっております。それで、移転期限は平成五年九月三十日、説明会の日から約二年後ということになっております。その後、既存建物を除却しまして、建てかえ後住宅の建設にかかりまして、入居予定時期は今のところ平成七年十一月となっております。私ども、一ブロックを完工区、後工区という二つの工区に分けておりますが、後工区の方はおおむね二年後にそれぞれ着手するというふうに考えております。  それから、これは同様でございますが、東伏見団地につきましては、やはり昨年の九月に説明会を開催しまして着手したわけでございますが、移転期限日はやはり平成五年の九月三十日となっております。その後、既存の建物を除却しまして建てかえ後住宅の新設にかかりまして、入居予定時期としましては平成八年四月を予定しております。  それから、新川団地につきましては、一年前でございますが、平成二年の九月に説明会を開催しまして事業着手をいたしまして、移転期限日は本年の九月三十日ということになっております。この期限が到来しました後、既存の建物を除却しまして建てかえ後住宅の建設に着手いたしまして、入居していただくのは平成七年四月という予定にしておるわけでございます。
  109. 常松裕志

    常松分科員 三団地とも一期、二期に分けて、それぞれの一期、二期の中が完工区と後工区、こういうふうに分かれて行われるというふうに理解してよろしいですね。
  110. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 そのとおりでございます。
  111. 常松裕志

    常松分科員 次に、建てかえ計画についてなんですが、どういうふうにして策定されるのですか。時に、地元の自治体の要望とかあるいは住民の要望というようなものはどの段階で公団は取り入れていくのでしょうか。
  112. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 建てかえの事業計画の策定に当たりましては、まず事業に着手するおおむね三年ぐらい前から団地の現況、当該団地の都市計画等の上位計画、居住者の居住の状況及び仮移転、本移転のための受け皿住宅の確保の可能性といったものにつきまして公団として事前調査を行い、建てかえ条件が整備されているかどうかということを確認するわけでございます。  次に、これらの事前調査に基づきまして地元の地方公共団体の意見をお伺いしながら、土地利用計画、住宅及び施設の配置計画、具体的な住戸のプラン、事業の実施スケジュール、こういったものを策定して居住者説明会を開催し、居住者に提示するということでございます。  さらに、説明会が終わりました以降、住宅希望調査等によりまして居住者の方々住宅希望等をお聞きしながら、型式別の計画戸数等を確定しまして、あわせて地元地方公共団体と具体的な開発協議を行いまして、この協議が調った後に具体の実施設計を作成し、発注と申しますか建設に取りかかる、こういうことでございます。
  113. 常松裕志

    常松分科員 例えば今やっている久米川団地なんかも、近所では有名なすばらしい桜の名所になっていますね。緑町団地の場合でもそうですよ。あの木を残してほしいとかあるいはあの通りを残してほしいというようなそういう住民の側に要望があるのですね。例えば、住民の方々町づくりといいますか団地づくりといいますか、そういう要望みたいなものはどこで、どの段階で公団は受けとめるのでしょうか。
  114. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 先ほど御説明申し上げましたように、居住者説明会を実施しまして居住者との実際の接触に入るわけでございますが、その以後におきまして、居住者個々の方からの御意見を伺うなり、あるいは自治会といった組織を通じまして懇談の場を設けまして御意見をお聞きし、できるだけしんしゃくして事業を進めてまいるというのが通常のやり方でございます。
  115. 常松裕志

    常松分科員 ところが大臣、実際はそれがほとんど消えているかもしれませんよ。しかし、実際は配置計画や何かの中でそれが受け入れられたことはないのですね。あの木をこうしてほしいとかいろいろなものがありますけれども、そういうものを、公団の方は立場の違いで、あるいは受けとめていますよということがあるかもしれませんが、居住者の方々からすると、間取りとかそういうことについての部分的な意見は大体聞いてくれるけれども、あの団地のあそこの緑は残してほしい、あるいはあの公園を残してほしいというような、こういう思い出を残していきたいという気持ち青酌み取って変わったということはどうもないようなのですね。  改めて聞きますけれども、では武蔵野市とか東村山とか三鷹とか保谷から公団の方にどういう要望が出ていますか、市から。公団の方はそれを受けとめていますか。
  116. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 私の手元にちょっと久米川の分がございますが、これも含めて申し上げますと、東村山市からは、建ぺい率を抑えまして空間の質的な向上を図ってほしい、それからシルバーハウジングの計画、周辺道路整備あるいは公営住宅の併設、さらには電車図書館の保存等、こういったものが要望されております。このうち建ぺい率の件に関しましては、土地の有効利用という建てかえ事業の目的にかんがみまして、公団の計画案で御了解いただきたいということで了解を得たところでございます。その他の要望につきましては、できる限りの範囲で実施する方向でございます。  新川団地につきましては、三鷹市から仙川を中心としました整備計画との整合を図ってほしい、それから駐車場設置率を拡大してほしい、あるいは高齢者住宅施設の計画、こういったものを要望されております。また、これは東京都でございますが、この新川団地につきましては、東京都からは、一団地の住宅施設の都市計画変更等の手続の指導を受けておるわけでございますが、これらにつきましては、今後三鷹市あるいは東京都との間で詰めていきたいというふうに考えております。  東伏見団地及び武蔵野緑町団地につきましては、これは着手後間もないということもございまして、保谷市及び武蔵野市から高齢者住宅等の計画について要望されておりますが、まだ話は詰まっておりませんが、今後それぞれの市との間で協議をし詰めていきたい、このように考えております。
  117. 常松裕志

    常松分科員 これは大臣にお答えいただきたいし、要望も含まれているわけですけれども大臣地元の団地の皆さんに聞いていただいてもそうですけれども、公団と地元の自治体と住民の三者で話し合うような、団地をこういうふうにしていきたいということについて話し合うような場をぜひつくっていくように大臣の方から公団に対して御指導いただくとか、あるいは自治体に対してそういう要望をしていただくとか、そういうことがまた私はこの建てかえが速やかに進んでいく条件づくりになるのじゃないかと思うのですけれども、御要望でございますけれども、いかがでございましょうか。
  118. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 公団住宅の建てかえの問題でございますけれども、当然居住者の同意を得ながら進めていく事業でございますし、また居住者の理解と御協力をいただかなければならないと考えておるのでございます。そのための話し合いは、説明会等を今行っている旨公団からお話がございましたが、その点はできるだけ当該地方自治体とも協議しろというお話が今ございましたが、この点も留意いたしまして、その進め方につきましては、今公団が行っている方法でよいのかどうかなお検討させていただきたいと思います。  ただ、公団住宅は公共住宅でございますから、公共住宅につきましてはどうしても二足の制約があるということも御考慮いただきたいと存じます。
  119. 常松裕志

    常松分科員 ぜひその三者の協議を行って、住民からの非常に細かな、建てかえに関するさまざまな要望というものを受けとめていただくようにぜひひとつ御配慮いただきたい、検討していただきたいということをお願いいたしておきます。  次に、高齢者対策についてお尋ねをいたします。  少し時間がなくなってまいりましだからのっけからお尋ねをするので大変恐縮なんですけれども、新川団地、緑町団地、東伏見団地、この三団地に都営住宅は建設されるという予定になっているのでしょうか。つまり、今年度のこの予算が成立をいたしますと、高齢者対策の新しい抜本的な措置として公営住宅を併設をするという施策が行われることになっているわけですが、この三団地についてはいかがでしょうか。
  120. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 今先生からお話がございましたが、個々具体の団地におきまして公営住宅を併設することにつきましては、今後建設省において定められる方針の枠内で関係地方公共団体とも十分協議を行いながら決定してまいりたい、このように考えております。
  121. 常松裕志

    常松分科員 局長、どうでしょうか。
  122. 立石真

    ○立石政府委員 公団住宅を建てかえるに当たりましては、居住者の実態等から見てみますと、高齢者あるいは高齢者で特に所得の少ない人に対しては、これまでの公団住宅の建てかえ事業だけでは十分ではない面があるというように私も認識しております。そのようなことがございまして、公団住宅の建てかえに当たっては、公営住宅を併設する等によってその問題の解決に当たりたいというように考えておりまして、平成四年度におきましてはこれらの事業の進捗を図っていきたいと思っております。  また、そのために平成四年度予算におきましては、これまで公営住宅の建てかえに当たっては高齢者等に対して特に家賃激変緩和のための家賃対策補助等を行ってきたわけでございますが、公団住宅団地の中に、公団住宅から公営住宅に移る方につきましてもこれらの措置を適用できるように拡充を図ってまいりたいと思っております。
  123. 常松裕志

    常松分科員 どういう基準なんですか。例えばこういう団地にはつくるという基準があるんじゃありませんか。
  124. 立石真

    ○立石政府委員 公営住宅併設を行う場合の考え方でございますが、現在具体的な基準等については検討中というような段階でございますけれども、例えば対象団地につきましては、そこに併設する公営住宅に対してどれほどの需要があるか、ある程度のまとまりを確保する必要がありますので、そういうことどもを考慮いたしますとおおむね五百戸程度以上の大規模な団地の場合が該当するのではないか。  また、入居する対象者につきましては、建てかえ団地の従前の居住者のうち六十歳以上の高齢者等で特に収入の低い世帯、大体第二種公営住宅階層と考えておりますけれども、こういうような方々に対して公営住宅の併設をするのが適切ではないかというようなことが現在考えている内容でございます。
  125. 常松裕志

    常松分科員 建てかえ団地に住んでいる今の基準に当てはまるような方々については、全員当該団地につくられる都営住宅の中に入居できるというふうに理解していてよろしいのですか。
  126. 立石真

    ○立石政府委員 平成四年度からの事業の基準でございますので、まだ詳細が固まったところではございませんが、基本的には今のような条件等を加味し、地域の実態にも応じることになろうかと思っております。  といいますのは、公営住宅はそれぞれの事業主体が市町村ないし都道府県、地方公共団体側の意見等もあるところでございますので、これらを調整していく必要があると考えておりますが、おおむねそういうような考え方に基づきまして、また具体的な団地の各希望のあり方についても対応しながら対応していくのが適切なのではないかと考えております。
  127. 常松裕志

    常松分科員 そうすると、基準づくりがこれからだとすると、幾つか要望があるんです。その基準づくりの中に含めていただきたい。  まず第一に、説明会時六十歳じゃなくて、入居時を六十歳というふうに改善してもらいたい。あるいはそういう基準にしてもらいたい。これが一つ。  それから、公団からの転居者、今のお話ですと低所得者ということですけれども、そうすると、それで余る部屋が出てきますね。公団からの転居者以外の部屋が出てきますね。それは一種なのか、二種なのかということですけれども、この点は御質問になりますけれども、どうなんだろうか。  それから、広さや間取りはどんなものを考えているのか。公団の状況から余りにも狭くなったりすることはないんだろうなという点です。  最後に、今の話で、六十歳以上の方々がほとんど住むということになりますと、シルバーピアによるライフサポートアドバイザーなどをその住宅に置くというようなことも基準の中で検討してもらいたいと思います。  最後に、市から市営住宅をつくってほしいあるいは併設してほしいというような要望があった場合にはこれを受け入れていただくことができるのかどうか。まとめて御答弁ください。
  128. 立石真

    ○立石政府委員 幾つか御要望がございましたが、例えば高齢者の年齢を認定するときの時期についてのお話でございますが、これらについてはやはり弾力的な対応ができるようにしていく必要があるかと思っております。  また、建設する公営住宅の戸数、あるいは公団団地に入居していた人だけで余った場合どうするかというお話がございましたが、各地方公共団体の意見等を聴取いたしますと、例えばその団地に建てる公営住宅は公団の人だけを入れるのではなくて、公団住宅に居住していた人たちももちろん入れるが、ある一定の戸数については一般公募できる公営住宅としても入れたいというような希望も持っているようでございまして、具体的な今後の調整が必要になろうかと思っております。  そのほか、広さ、間取りあるいは高齢者に対する介護のシステム、市営住宅等の問題等につきましても、今後現実的に動けるように、そしてまた併設が成功するように基準等についても検討していきたいと思っております。
  129. 常松裕志

    常松分科員 いずれにしても大臣、建てかえの事業というのは非常に重要な事業だと思います。そこで、御要望を申し上げてお答えをいただいて私の質問を終わりますが、ぜひ建てかえの問題について政府も公団も我々議員も一度集中して議論してみる必要があるんじゃないか、私はこんなふうに思っております。  したがって、これはしかるべき委員会にお願いをすることになりますけれども、そういう建てかえの問題について集中的に審議をするような機会を国会の中でもつくっていただきたいと思いますし、御協力もいただきたいと思いますし、同時に、特に居住者の方々にはさまざまな意見があります。例えば家賃についてなども、建てかえ後の家賃についていろいろな意見を持っていらっしゃいます。そういうことについて大臣もぜひ一度居住者の代表の方々に会っていただくような機会をつくっていただくことができないかどうか、ぜひつくっていただきたいということを御要望し、お答えをいただいて質問を終わります。
  130. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 公団の建てかえの問題は、国民の関心も高い現下の非常に重要な問題だと受けとめているところでございます。三十年たちましたから建てかえを行うことは当然だという御認識を常松先生もお示しになりましたところでございますが、その建てかえをやるに当たりまして、これはできるだけ国民の皆様方から理解され支持される方法で建てかえを行ってまいりたいということにつきましては、先生と私ども考えを同じくしていると存じております。  この問題について議論をしようではないかということでございますが、もう既に予算委員会や建設委員会におきましてしばしば取り上げられてまいりましたところでございます。今後も、これは委員会の問題でございますので、政府サイドから申し上げることではございませんが、どうか委員会におきましてこの問題についてさらに論議を深めるように、私どもも協力してまいりますので、お取り計らいを願いたいと思っております。  なお、公団の住民の方々の声を聞けということでございますが、この点につきましては、公団によく聞かせるようにいたしますし、建設省といたしましても、できるだけ民意というものをよく踏まえまして施策を講じてまいるということについては当然のことだと考えておるところでございます。
  131. 常松裕志

    常松分科員 終わります。
  132. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて常松裕志君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後一時十五分開議
  133. 原田昇左右

    ○原田(昇)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。山本有二君。     〔原田(昇)主査代理退席、筒井主査代理者     席〕
  134. 山本有二

    山本(有)分科員 本日は、建設省に対しまして、道路の問題と不動産コンサルタントの問題、この二点につきましてお伺いをさせていただきたいと存じます。  まず道路でございますが、さきの一月三十日、川之江-大豊間の高速道路四国横断自動車道開通となりました。これが高知県、四国の南に大変好影響を与えております。ウイークエンドにもなりますと大変な観光客の流入でございまして、まさしくこの道路の効果が目に見えてあったと言えると思います。こんな状況を高知県の中では「県土の開放化」という呼び名で呼んでおるわけでありまして、格別今まで鎖国をしておったわけではありませんが、開放されたという、非常に物流面あるいは産業面での大きな期待をかけた意味での言葉が生まれております。さてそこで、すべてがよくなったかと申しますと、それはやはりいい面と悪い面、陰と陽があるわけでございまして、私に言わせれば、陰なるものがいわゆる高知県内、横断道を抜けてからの道路整備ではなかろうかというように思います。したがいまして、やっと高知へ入ってきてからその後どういうようにするか、県内のいわゆる道路網整備が緊急な課題と逆になってきたというように思う次第であります。  そこで、県内の高規格道路国道、地方道の一体的整備、そういう意味におきまして質問をさせていただきます。まず、大量そして高速輸送の時代と言われておりますけれども、高知県の第一次の県土軸というべきものが、いわゆる土佐湾に沿いました高規格道路整備計画と軌を一にするわけでございますが、今後、高知県内の高規格道路整備がどうしても第一番に重要となってまいります。そこで、現在御研究をいただいております高知東部自動車道、須崎道路、中村宿毛道路、こういった高規格道路進捗状況と今後の見通しについて、まずお伺いをさせていただきます。
  135. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  四国は、先生指摘のように、高規格幹線道路七百九十七キロのうち百六十四キロが、この三月一日で開通いたしております。おくれていた四国が、大幅に今高規格幹線道路時代に入りつつあります。  その中で、高知県の高知東部自動車道は高知市から安芸市に至る三十キロの路線で、高知市一宮と南国市物部間の十五キロにつきましては、平成二年度に一般国道五十五号の高知南国道路として事業に着手させていただきまして、十月に都市計画決定の手続を終えて、現在、路線測量と設計を行っているところでございます。今後まず、この高知ジャンクションから高知南インターチェンジ、これはちょうど高知市の五台山のところにございますが、ここの六・二キロ間について地元での設計協議を行わせていただいておりますので、これに従って平成四年度からは積極的に用地買収に着手させていただきたいと思っております。  一方、この室戸岬側とちょうど正反対の須崎、中村の方に至りますと、この須崎道路及び中村宿毛道路につきましては、合わせて二十五キロございますが、国土開発幹線自動車道四国横断自動車道にちょうど並行する一般国道自動車専用道路として整備をさせていただいておりまして、須崎道路は、六十一年に都市計画変更を行い、地域の農地に与える影響が大きいということから、地元での設計協議に時間を要しておりました。しかし、この平成三年度から用地買収に着手しておりますけれども、残念ながら、まだ用地進捗率は五%というのが現状でございます。したがって、四年度は用地買収を促進いたしまして、特に下分地区から一部工事には着手させていただきたいと思っておりますし、あわせて、須崎以東の四国横断自動車道と同時に、できれば供用を同じ時期にさせていただきたいというふうに思っております。  一方、さらにちょっと飛びますが中村宿毛道路、ここは非常に厳しいと、ころでございまして、五十一年に一般道路として事業着手いたしまして、用地買収及び一部区間工事にも着手したのですが、六十二年に自動車専用道路として構造変更を行いました。中村市右山から宿毛市平田間の十三キロを中心に現在用地買収工事を実施しておりまして、用地進捗率は三三%、かように相なっております。平成四年度も引き続き用地買収工事を進めていくわけでございますが、地域が非常に渇望するそれぞれの事業でございますので、私どももできる限りの努力を傾注させていただきたいと思っております。
  136. 山本有二

    山本(有)分科員 大変すばらしい決意をいただきましてありがとうございました。  次の問題に移ります。西高東低という言葉がございます。これは一般には気圧配置のことでございますけれども、高知県の中で西高東低という言葉が使われるときには、政治が西に高くて東に低いという意味に間々使われるわけでございます。その象徴的なものが国道五十五号線、ちっとも改良が進まないじゃないかというようなことも一つでございますし、また国道の昇格におきましても、東では全然認めてくれないじゃないかというようなこともございます。そこで、この象徴となっております国道五十五号線についてお伺いいたします。  まず明石-鳴門ルート、この本四連絡橋がつきましたら五十五号線の意味というのは今の意味以上の役割を果たさざるを得ないというような強いものがございますし、また園芸作物を出荷するのにも五十五号の機能というのはますます重要になってきております。そこで、五十五号線で現在実施中の改築事業の進捗状況及び今後の見通しについてお伺いいたします。
  137. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘のとおり、五十五号線、徳島と高知を直接結ぶ、言ってみれば海の街道の幹線道路でございます。四十七年には高知県全体の一次改築を終わらせました。二百二十キロの一次改築が終わったわけでございます。その間、五十五号の平成二年の交通量は、場所によってこのルートは非常に変わっておりまして、一万五千台通る場所もあれば千五百台しか通らないところもある。ということは、この地域道路とのかかわり合いにおける開発がこれから大いに期待されながら、しかし交通の状況が悪いということからそう果たせない、こういうようなこともこれから推察できるわけでございます。  そこで私ども、その中で部分的に特に線形が悪く幅員が狭小な地区でありまして、この地区には今異常気象時になりますと交通を規制してとめなければならない区間がございます。そういうことにならないようにするために、改築事業を特に場所的に選びましてやっております。それが相間局改、吉良川局改、手結局改、こういう三カ所がございます。それぞれかなり前から事業に着手し、それぞれ用地買収工事に着手してきているわけでございます。特に相間局改のこの場所におきましては、全体が一・二キロの場所で起点側から〇・七キロは用地買収済みでございますし、もう次期の五計内には供用を果たしたいということで今一生懸命やらせていただいております。ちょうど真ん中に当たります吉良川局改、これは室戸市の吉良川町内の四・五キロの場所でございますが、この部分は二・五キロ間は供用いたしておりますが、残りの区間、特に平尾地区につきまして現在改良工事を行っておりまして、次の五計内には残る全線の供用も図りたいと思っております。それから手結局改、これは香美郡の夜須町内の延長一・一キロの部分でございますが、これも平成三年度はこの地区用地買収を促進しております。しかし、一部にいろいろな場所における混乱がございました。そのために用地取得にかなり支障を来しましたが、おかげさまで何とか用地取得率も二割を超えることになりました。これから用地を早く片づけて、ここを少なくとも安心して車が通れるようにさせていただきたいと思っております。
  138. 山本有二

    山本(有)分科員 なおひとつ御努力お願いいたしたいと存じます。  この五十五号線の整備への願いというのは、実はこんなことも背景にあるのです。と申しますのは、高規格幹。線道路予定路線におきまして室戸地区が空白になっております。したがいまして、この室戸地域、これをどうして結んでくれないのかな、高規格で結んでくれないのかな。しかも五十五号はまだまだ改良が十分でないというようなことで、道路行政において捨て去られたという意識が強いものですから、逆にそれだけ局改について要望が強いと同時に、もう一つ地域高規格道路網の選定について疑問なしとしないところもございますので、こういう高規格の空白地帯への対応をどのようにするのかというようなことについて、ちょっとだけ御意見があればお伺いさせていただきたいと存じます。
  139. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 高規格の空白地帯という御指摘でございますが、全国の高規格幹線道路の考え方は、四十一年に二時間で高速サービスを提供しようという物の考え方から、時間価値を考えまして、現在は一時間で高速サービスが得られるようにしよう、こういうネットワークで現在のネットワークの計画ができております。しかし、これだけでは必ずしも地域を中心としたいろいろな活性化のためのその地域社会におけるネットワークは構築できないであろう、集積圏としてあるいは集積交流圏として不十分であろうということから、各県等々がそれぞれの地域において地域活性化のためのネットワークの提案をしております。一時間圏構想とか、あるいは二時間圏構想とかいうようなものがございます。こういうものを横に見ながら、地域がどのような形で、例えばリゾートを中心にしていく、あるいはその他のいろいろな総合的な開発を中心にしていくといったような、地域の振興計画と表裏一体をなした形でのネットワーク基盤の構築、そういう形で私どものこの高規格ネットワークの計画をこれから補足させていただこう、このように考えております。  そういう中で、この室戸地区の問題も今後検討させていただく必要があろうかと思っておりまして、新しい五カ年計画を来年度から発足させていただきますが、それに向けて現在いろいろな勉強をいたしております。この室戸地区が、四国における歴史的な意味合いを持った多くの魅力のある拠点であるということはっとに知っておりますが、これをどのような形で今後育てていくかは、地域方々の意思決定の問題だと思っております。それに私どもがどのように応援していくか、御一緒に汗をかいていくかという中で今後のネットワークができ上がるものと理解をいたしております。
  140. 山本有二

    山本(有)分科員 室戸地域の皆さんとともに、我々も熱心に御要望申し上げていきたいと存じますので、御理解のほどお願い申し上げます。  続きまして、国道三十三号線の問題に移らせていただきます。一月三十日の川之江ジャンクションまでの横断道開通によりまして、随分四国の車の流れが変わりました。例えば高知市内から松山へ行くのに、この川之江を通って行くならば早いときには二時間半で結べるというようなことになりました。高知駅前からのJRバスで松山まで三十三号を通って行きますと、通常でも三時間半かかります。したがいまして、川之江を通った方が現実に松山まで早いというようなちょっとした矛盾点を生じておるように思うのであります。  そこで、わずか百二十一キロしかない高知-松山間、三十三号線でありますので、これを改築あるいは工夫をすることによってもっと早く行けることになる。高知県の知事さんは二時間で結べるようになるんじゃないかという構想を立ててもおるわけでありますが、そういうような意味で、今現在進行形でございます高知西バイパスの御努力は多とするわけでございますけれども、今後、例えば一番ネックになります越知町野老山地区の計画、あるいはそのほかこうやったらいい、ああやったらいいというところが随分あると思うのですが、二時間への理想に向かってどのような見通しを立てておられるのか、お伺いさせていただきます。
  141. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道三十三号は二けたの国道でございます。したがって、私どもからのネットワークから見れば極めて古くて、しかも重要な路線でございます。ただしここの路線は、非常に急峻な地形の連続を持ったのがこの三十三号の状況でございます。その中で、特に既成区間二十・三キロを持つ越知町野老山地区、ここは幅員七・五メーター程度の二車線道路でございまして、最小曲線半径が三十五メーターと非常に厳しい半径、連続雨量二百五十ミリになりますととめざるを得ない、また地すべりも非常に起きやすい状態、こういうことで、今こういうものをどうやったらいいかということで、平成二年から地質調査と、では構造物を入れるとすればどういう構造物をどういうふうにしていったらいいかというような、設計などの事業実施に向けた調査を開始したところでございます。この調査が終わり次第、事業化を図ってまいりたいと思っております。
  142. 山本有二

    山本(有)分科員 ぜひ事業の早期展開をお願いいたします。  続きまして、一般国道四百三十九号線の整備現状と今後の見通しについてお伺いするわけでありますが、実はこれは四百三十九でありますのでヨサク道路と、こう言われておりまして、その名のとおり中山間地域をまっしぐらに山合いを抜けております。いわば、これは高知県の背骨といってもいいような道路となっております。我々はこれを第二県土軸というように呼んで、とにかく中山間地域の人たちの民生の安定、生活の発展のために整備を急ごう、こう考えておるわけでございます。つい先週、私は大豊町の西峯地区に行ってまいりました。そうしますと、その地域の御老人の方から、大型バスが入ることすらできないので、我々老人会の方としてもどうしても豊永の駅までわざわざおつていかなければならぬ、だから国道だから何とか大型バスが通れるくらいの、それぐらいの道にはしてほしいというような、切実な陳情もございました。  そんな意味におきまして、四百三十九号の整備状況、そして今後の見通しをお伺いさせていただきます。
  143. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 御指摘の四百三十九号、これは五十七年に国道昇格で国道にな、たばかりの、一番新しい国道でございます。したがって、四国山地を縦走する山岳道路であることから、実延長二百十九キロに対して改良率は三一%ということで、これからの国道ということで私ども対応するわけでございますが、現在大豊町の落合地先におきまして現道拡幅とバイパスを組み合わせた事業を行っております。あるいは土佐町から吾北村までの間においても同様に、これは十六キロの道路改良も実施しております等々、高知県内において特に緊急性の高い区間、十一工区にわたりまして全長四十四キロの区間で改良事業を進めております。延長が長うございますので、特に緊急性の高い区間をまず選んで、十一工区でございますが今やっておりまして、その次にまた次の区間ということで、逐次こういうことをやりながら全体の改良に努めていきたいと思っております。その際には、地域方々の御意見、利用実態も十分踏まえながらやらせていただきたいと思います。
  144. 山本有二

    山本(有)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。  最後に大臣にお伺いさせていただくわけでありますが、高知県の道路というのは本当に改良率が低くて、いまだに車が通れるようにとか、バスがすれ違えるようにとか、そんな要望ばかりでございます。現実に異常気象時で通行規制区間が、直轄国道含めましても三〇%近くあるというのは、高知県が全国で一番未改良区間が多いということの象徴でもあろうかと思うわけでありますけれども、今後このようなおくれた県、過疎県、後発県、高知県が代表するようなそういう地方と言われる県、こういう県の道路整備、これに工夫を加えていく必要があろうかというように思っております。  そこで、時あたかも第十次五カ年計画が終わって十一次に入るわけでありますから、ひとつ初めからやり直しのつもりで地方への道路のことも大事に考えていただきたいと思うわけでございますが、この点、大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  145. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいま先生お話しのとおり、第十次の道路整備五カ年計画は平成四年度で終わりまして、平成五年度から第十一次の道路整備五カ年計画に入るのでございます。一九九〇年代は四五二十兆円の公共投資基本計画を遂行していくべき時期でございますが、その中にありまして、道路整備も一段と進めてまいりたいと考えております。そして、その公共投資はどういう方向で行われていくべきであるかと考えますと、幾つかのポイントがあると思いますが、その一つといたしまして、いわゆる均衡ある国土発展あるいは多極分散型国土の形成といった点に、一つの重要なポイントがあると考えているのでございます。  そこで、第十一次の道路整備五カ年計画におきましては、従来から取り進めてまいりました高規格幹線道路整備をさらに進捗せしめまして、二十一世紀の初頭には九千キロまで整備をいたしたいと考えておるところでございますが、同時に、ただいま申し上げました観点から、地域のモビリティーを高める、あるいは均衡ある国土発展を行うというような意味におきまして、地域高規格道路という新しい考え方で道路整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。そのためには、第十次は五十三兆円でございますが、それを大きく上回る規模の予算を確保したいと考えておりますので、先生の御協力もお願いしたいと思います。そして、先生の郷土高知県の発展にかける並々ならぬ情熱をきょうは感得させていただいたのでございますが、どうかそういった予算が高知県の発展のためにも活用されますように、先生の政治的な御活躍も御期待申し上げたいと思います。
  146. 山本有二

    山本(有)分科員 大臣のありがたい宣言葉、本当に恐縮でございます。私も、及ばずながら十一次に向けましてお手伝いをさせていただきたいと存じます。  続きまして、不動産コンサルタントに係る資格制度について御質問させていただきます。まず、資格認定制度、この現在の進捗状況をお伺いさせていただきます。
  147. 伴襄

    ○伴政府委員 これは、不動産コンサルティングの技能認定制度と言っておりますけれども、この背景はもう御案内のとおりでございますけれども、最近大変土地所有者が自分の土地をどういうふうに使ったらいいかといったような御相談を受けるわけでございまして、不動産の有効利用の手法あるいは処分あるいは取得についてどうするかといったような、基本的な方向づけについていろいろアドバイスを求められることが多うございます。そこで、そういうことができるような知識、技能を有していることがやはり不動産業に従事している人にも大事だというようなことでございまして、そういう人材育成の意味でそういうものをつくったらどうかと考えているところでございます。したがって、決して新しい業態を創設するというものではないわけでございますが、そういうことで現在検討中でございまして、関係方面、特に税理士会あるいは弁護士会等々の業界の方との調整もございますので、それを鋭意調整しているところでございます。
  148. 山本有二

    山本(有)分科員 これはもう本当にいろいろな方が質問されておるわけでありますけれども、私としましても業界の分野調整が十分できていないことに大変危惧を覚えるわけでありまして、この弁護士あるいは弁理士との業務範囲、これが極めて抽象的、あいまいでありまして、この点についてどういう計らいをされておるのか、今後どういう所存で臨んでいかれるのか、局長にお伺いをいたします。
  149. 伴襄

    ○伴政府委員 こういう業際の問題というのは、とかくいろいろな分野で起こるわけでございますけれども、今回の場合も一番そこのところに神経を使っておりまして、具体のこの制度を具体化する中で、関係の業界団体と意見交換を今行っておるところでございます。  基本的な考え方としましては、それぞれ今あります資格を持っておられる方々は、それぞれ法律に基づいて根拠があってやっておられますので、その法律に基づいて、その方しか行えないような専管的な業務もございます。そういったものについては当然行えないというようなことをはっきりさせたいと思っておりまして、そういうことを大臣告示等にも明記いたしまして、もしそういうそれぞれの、例えば弁護士法なり税理士法なりそれぞれその専門の資格士法がございますから、それに違反に当たるような行為があったら、例えば合格した者でも登録を取り消すとか、あるいは場合によっては宅建業法に基づく監督処分によるというようなことも含めまして厳正に対処していきたいというふうに思っておりまして、そういうことを御説明しているところでございます。
  150. 山本有二

    山本(有)分科員 法務省にお伺いいたしますが、弁護士法七十二条、これの解釈によりますと、法律事件に関する法律事務を取り扱い及びその周旋、これにすべて不動産コンサルタント業務が当たってくるのではないか、こういうようにおそれられておるわけでありますけれども、そうなってくると国民全体に紛争を逆に惹起させたり、不測の損害をこうむらせたりするというようなことにもなりかねません。そんな意味で、法務省のこの不動産コンサルタントに関する見解をお伺いさせていただきます。
  151. 池田耕平

    池田説明員 お尋ねの点に関しまして、不動産コンサルタントという制度の仕組みあるいは業務内容の詳細はいまだ定かでありませんので、この時点で弁護士法に違反するか否かという点についてはちょっと答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、弁護士法を所管しております法務省といたしましても、今先生がおっしゃられた非弁活動に抵触するような制度あるいは業務内容であっては困りますし、そのような制度あるいは業務とならないようにしていただきたい、このように考えております。それから、今後とも法務省といたしましても、この問題については関心を持っていきたいと存じております
  152. 山本有二

    山本(有)分科員 関心を持って見ていただきたいわけでありますが、最後に私の心配事を幾つか述べて終わりたいと思うのです。  まず一つは、より難しい資格制度をより安易な資格制度で簡単に侵害してしまうということによって、難しい資格制度、これが危うくなるという危険性があるということ。二番目には、資格を盾に悪らつな業者がまかり通ることにならないようにしてほしい。いわば地上げの権威づけをこの制度によってしないでほしい。三番目には、不動産のニーズが高いから資格を与えるということでありますけれども、ほかにも人材の確保については何らか別の政策をとり得るのではないかというように思うわけでございます。そしてさらには、抽象的広範な業務の認定、概念の認定、こういうことになりますと、これは資格といういわゆる専門性から離れてしまうのではないかというようにも思います。そして最後には、弁護士法七十二条の抵触、こういうような危険性、危惧があるわけでありまして、そんなことを考えましたらほかの分野でも大反対があって、弁理士会、弁護士会、ほかにもあるわけではございますけれども、そう考えていきますと、こういうあえて危険を冒してこれほどの制度をつくることはないんじゃないかというように素直に私は思っておるわけでございまして、そんな意味でも、ひとつ建設省さんの方の適切な御判断と今後の対応をお願いをさせていただきます。  以上で質問を終わらせていただきます。
  153. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて山本有二君の質疑は終了いたしました。  次に、永井孝信君。
  154. 永井孝信

    永井分科員 都市計画法に関する問題について御質問を申し上げたいと思うわけでありますが、この御質問の前に、何が具体的に問題になっているかということをちょっと初めに御説明を申し上げておきたいと思うわけであります。  実は私の地元に社町という町がございまして、今そこで都市計画法に基づきまして企業の進出を認めるいわゆる開発許可がございまして、その開発許可をめぐって地域住民と業者との間に鋭い対立が起きているわけであります。それはどういうことかと申し上げますと、平成二年でありますが、その社町内の圃場整備を行った地域、その地域の中にある土地をその所有者がある建設業者に売却をいたしました。ところが、その売却をした本人が圃場整備の委員長をしておったということから、この売却をめぐって、その売却した土地の前面にある農業用道路、この圃場整備のときに農家の皆さんがそれぞれ減歩をしてつくった農業専用道路でありますが、この道路をその開発の企業が使ってよろしいという同意書を公印を押して提出をいたしました。したがって、業者はその同意書をつけて県当局に開発許可の申請を行ったという経緯がございます。  それがわかって地元が大騒ぎになりまして、全体の集まりを持ちまして、いわゆる総会ですね、それを持ちまして、事実経過を明らかにしてもらった上でその圃場整備委員長は解任をされました。そして新しい整備委員長ができました。そしてその地域は、圃場整備にかかわった農家の方、その地域全員が、この進出については都市開発の許可をしないようにということで県当局に申し入れをいたしまして、一たん個人の名義で出したいわゆる道路使用同意書というものも、正式に総会の名において撤回をする旨を通告をいたしました。その途中で県当局は、地元の賛同が得られるように最大限の努力を行うように許可申請を出した業者に指導をしていったわけありますが、とうとうそのことの何ら努力の成果も見られず、全く同意が得られないままに、実は県当局が開発許可をおろしてしまったわけであります。  これが大体の経過でありますので、これをひとつ頭に入れて、今から御質問申し上げることについて端的にお答えをいただきたいと思うわけでありますが、まず第一は、この都市計画法の開発許可制度というのは、開発を促進させるための制度ではないと私は思っているのですね。地域住民の良好な生活環境等を確保するために、開発行為が無秩序に行われたり、あるいは乱開発につながることを防止するための制度だ、私はこう考えておるのでありますが、建設省の見解をまずお尋ねいたしたいと思います。
  155. 伴襄

    ○伴政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘でございますが、都市計画の開発許可制度、これはもうまさに都市計画区域で計画的な市街化を図っていこうというための制度でございます。したがいまして、開発行為をやりますときには当然のことながら、その一番基本的なインフラストラクチャーであります道路あるいは下水道といったような基盤施設を適切に整備させる、そのようなことを通じまして良好な水準の市街地を形成していこうというものかと考えております。  一方では、非常に私有財産をそれぞれ持っておられまして、それをどう活用するかということの問題もございますので、そこで都市計画の上では必要最小限の基準を決めまして、特にそれは公共の福祉のために私有財産権の制約をしてもいいという、許される範囲の必要最小限の基準を決めておりまして、それがいわゆる開発許可基準でございます。したがって、その開発基準に合致した開発行為については許可しなければならないという仕掛けになっていることもまた事実でございます。
  156. 永井孝信

    永井分科員 開発を許可しなければならないというふうになっている関係は私は承知をしているわけでありますが、しかし今前段で経緯を御説明申し上げましたように、個人が個人の土地を売却するに当たって、たまたま整備委員長というポストにあったがゆえにそのポストを利用して、だれにも相談することなく自分の個人の判断で、自分の土地を売りやすいように公印を使って同意書を与えてしまう、それが後でわかって、住民の総意によってその委員長の職を解任されて、改めて開発許可に反対だということの全員の署名を集めて県当局にも申し入れを行った、こういう経緯なんです。しかも、確かにこの公共の福祉ということがありますが、果たしてそこは、出てくる企業というのは生コン業者でありますけれども一生コン。業者がそこで企業活動を行うことが公共の福祉の目的に必ずしも合致するとは、私は思えないわけであります。  しかも、問題になっておりますのは、売却した土地の前の農道、これは幅員四メートルほどでありますが、農道でありますから簡易舗装が二メートルちょっと、ごく簡単な簡易舗装がしてあります。これは農業用のトラックであるとかトラクターであるとかコンバインであるとかいうものを通すための農道でありまして、これは農家の皆さんが共同減歩で出し合ってつくった道路なんです。その道路を、生コンクリートの関係でいきますと大型ダンプカー、大型ミキサー車が頻繁に出入りするわけでありますから、その道路をそういう目的のために使われたのでは、もう道路ももたないし農業も非常な支障を来すということから反対をしてきたという経緯なんです。したがって、本件のこの開発許可に当たっては、都市計画法第三十二条に基づいて農道管理者の同意が行われていないというこの現実、この現実から見た場合はその三十二条に違反をするのではないか。あるいは農道は、この第四条に言ういわゆる公共施設に当たるのではないか。これは農道だから、県の開発許可をした条件の中にはその農業用道路を公共施設とはみなしていないようでありますが、農道も公共施設であるということにならないのかどうか、私はその辺のところを明らかにしてもらいたいと思うわけであります。
  157. 伴襄

    ○伴政府委員 後にお尋ねの点から先に申し上げますが、都市計画法上今おっしゃる公共施設というのは、法律で「道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設」、こう言っておりまして、この場合の道路というのは、いわゆる道路法上認定された道路、そういうもの以外のものであっても一般の交通の用に供するものはすべて含む、こういう趣旨でございますので、したがって今御指摘のような農道につきましても当然、もし一般の交通の用に供されている実態があれば公共施設ということに該当すると思われます。  そこで、この同意の手続でございますが、これは実は後でまたお話があるのかもしれませんが、現在この許可処分につきまして兵庫県の開発審査会の方に不服審査の審査請求があって、その裁決があった。その裁決についてまた不満だということで、現在建設省の方に再審査請求が出てきている事案でございますので、そういう意味で我々もちょっと承知しているところが多いわけでございますが、その中で見ますと、このときに公共施設の管理者に同意の手続をとったかとらないか、この問題につきまして兵庫県の考え方でございますが、現在都市計画法の三十二条は、同意手続の対象となる公共施設は「開発行為に関係がある公共施設」、こういうふうに規定しております。  そこで、「開発行為に関係がある公共施設」かどうかというところがポイントだと思いますけれども、この点につきまして兵庫県の判断は、当該農道につきましては本件開発行為に伴って変更が生じない、例えばいじるとか道路をつけ加えるとか廃止するとかそういうことがない、そこでこの「開発行為に関係がある公共施設」に該当しない、こういうふうに判断しているようでございまして、その場合には、農道管理者がどなたであるかにかかわらず、その農道管理者の同意は不要ではないかという判断をして開発許可を行ったというふうに、県の方からの報告は受けているわけでございます。そのことは、再度兵庫県の開発審査会で裁決がございましたけれども、そのときも、この農道管理者が町か住民がはっきりしないところがあるけれども、どちらであったとしても同意を不要とした県の判断は仕方がなかったもの、支持するというふうな判断が下っているわけでございます。  そんな状況でございまして、以上のような経過がございますので、現在この開発許可の処分の取り消しをめぐって建設大臣に再審査請求が出てきております。したがって、この問題につきましては一つのポイントだと思いますので、まだ現在は判定しておりませんので、審査庁の立場にあります建設省としてはちょっと確定的なことを申し上げる段階ではございませんけれども、いずれにいたしましても、法律上は「開発行為に関係がある公共施設」かどうかということを認定する必要がある、それについて兵庫県はそういう判断をしたということかと思っております。
  158. 永井孝信

    永井分科員 そこで私は、聞いておってちょっとひっかかるのでありますが、兵庫県の方は、この「開発行為に関係がある公共施設」として認定をできない、そういうことで開発許可をおろしたということになるのでありますが、その幅員四メートル、簡易舗装が二メートルちょっと、ごく薄い舗装しかしてないのでありますが、その農業用の道路をダンプカーもミキサー車も通らないとその工場にたどり着くことができない、材料の運搬もできない、製品の搬出もできないという土地なのです。その土地に、想像してもらったらいいのでありますが、そこに四トン積みあるいは十トン積みのダンプカーが出入りをする、ミキサー車の大きなのが出入りするということで、その農道が果たしてこの開発業者の開発行為によってそのまま済ませるものなのかどうなのか、これは素人が考えてもわかる話なのです。だから地域の住民は、実は問題にしているわけであります。  しかもその農道は、今もちょっとお話が出ておりましたけれども、この圃場整備がなされたのは昭和四十八年でありまして、それからもう二十年の年数がたっているわけであります。二十年年数がたっているけれども、これは建設省の所管ではありませんが、いまだに本換地がなされていないのです。だから法律上で言う、その農業用道路の特定の管理者が特定できないという形になっているわけです。これに対して、地元の社町の町長はこのように言っています。圃場整備委員会が実質的な管理を行っています、それで、管理主体として町が町道として認定等を行って管理を行う計画はございませんというふうに、裁判所に対する資料の中でも明らかにしておりまして、現管理者である圃場整備委員会の同意のみをこの都市計画法に基づく許可条件の対象と考えておりますという趣旨のことを、地元の町長も答弁書を実は出しているわけであります。  ところで、そういう関係からいきますと、本件行為については自己の関発行為ということで、都市計画法第三十三条第二号の道路基準が適用されていないということになっていくわけでありますが、しかしもう一つ問題を提起すれば、この地域は本来市街化を抑制すべき調整区域に入っています。そして、そもそもこの件の場合のみ道路配置要件を不要とするような法の規定というものは、これはやはり法の不備と言わざるを得ないのではないか。法の不備があるからこういう問題になってくるのではないか。今申し上げたように、大型の生コンクリート運搬車両の通行が予定されることから見ましても、道路配置要件というものが不可欠の条件に値すると私は思うわけであります。  したがって、今局長答弁されましたけれども、なるほど兵庫県の方では、不服審査に対して事実上それを却下するに等しい内容で回答を出しているわけでありますが、それは問題があるのではないか。都市計画地域住民の立場に立って考えていくという法の本来のあるべき姿からいきますと、進出する一企業の側に立って法が適用されている。法は「開発許可をしなければならない。」という拘束的な条文にもなっておりますが、だからといって地域住民の側の犠牲を求めることが優先されてはたまったものではない。こういうことで、問題あるのではないかと思いますので、再度お尋ねをしておきたいと思います。
  159. 伴襄

    ○伴政府委員 現在、そういういろいろな公共施設の基準等につきましては、都市計画法の三十三条というところでいろいろ決めてあるわけでございます。その基準は、開発行為が行われた後にその土地を利用する方の利便を確保するために、例えば道路整備を義務づけるというような規定になっておりますので、それは例えば自己用の開発行為、自分のうちしか使わないよというようなものについては、申請者みずからがその土地を利用するだけなので道路の確保を義務づける必要はない、そういう必要はないという考え方で、現在こういったような自己用の開発行為、自分のためだけのそういったような開発行為については、この法律三十三条の道路基準が適用されてない、こういうことに現行法はなっている。したがって現行法では、今のような本件開発行為について道路をつくりなさいというようなことは、あるいは道路を接続しなさいというようなことは適用はないわけです。これは現行法でございます。  ただ、立法論としまして、例えば今のお話のような市街地で土地利用が非常に稠密化している、そういった中で、たとえ自己用の業務施設であっても、そこを不特定多数の方が利用されてその開発区域の周辺に交通渋滞が生じているというような例もないわけではないわけでございますので、そういう事態もあることもありまして、建設省としましては、今後は開発行為の態様に応じて、たとえ自己業務用の開発行為であっても道路に関する基準を適用しょう、要するに今の立法を変えて、法律を変えて適用しようという方向で今検討を行っておりまして、できればそれも近い機会に都市計画法の一部改正という形でお願いしたいというふうに考えているところでございます。
  160. 永井孝信

    永井分科員 くどいようですが、法律の改正についても検討を行っておられるようでありますから、地域住民の権益が最大限生かされるような方向で法律の改正をぜひひとつやってもらいたいと思うのであります。  再度重ねて恐縮ですが、確かに、自己開発をして、その自己開発のために道路をつけなさいという必要はない、こういう認定を県当局がしたわけでありますが、その開発をしたところの企業活動をするに当たっての道路というものは、その農業用道路を利用するという前提で成り立っているのです。そして、その農業用道路は農家の皆さんでつくっている圃場整備委員会が管理を事実上行っている、町は管理をしていない、町道にも編入する予定はない。その農道を管理している圃場整備委員会は、その道路はそういう大型ダンプカーなどが頻繁に通る道路に向いてないし、それをやられたのでは農業にも差し支えがあるから、それは使うことを認めるわけにいかないという住民の意思なんです。法律の条文がどうあっても、その意思を法の運用の中で生かし切る方法は果たしてないのか。  あるいは過去の経過を聞いてみますと、圃場整備委員会のメンバーが進出する企業に対して、他の土地を提供するからそういう農業用道路を使わずに本来の道路県道国道がそばにあるわけですが、その県道国道のそばの土地にかわることはできないかという話をしたけれども、その土地を買い入れたのだからその土地に建てるのはおれの権利だということで、物別れになってしまったという経緯も実は存在するわけであります。そうすると、常に弱い立場にある者が、法律がどうあれ法律の谷間で泣かされていく、そして本来の農業振興ということに大きな支障を来すのではないか、私はこう思います。したがって、地元住民の意向を無視して開発許可が行われているという現実、これは開発許可制度の性格から見て望ましくない、こう私は思うのですが、再度御答弁を願います。
  161. 伴襄

    ○伴政府委員 建前から先に申し上げますと、先ほど申し上げたように、都市計画法においては、私有財産権の制約として許される範囲の必要最小限の基準を決めておいて、もしそれに合致するような開発許可申請が出てくれば、その基準に合致しておれば許可しなければならないという建前にはなっております。  ただ、お話のとおり、こういう開発許可の際の基準の文言のみを機械的に適用して、血も涙もないような行政をやるというのは確かにまずいと思います。したがって、そういう機械的な事務執行をするのではなくて、法令上許された裁量の範囲内で、しかもその開発者の意にも反しないような、例えば負担の増大をいたずらに求めるといったようなことのないような範囲内で所要の指導あるいは配慮、そういったことを、地域住民の要望を受けてこの開発行為の中に生かしていくという努力も必要かと考えております。  本件の開発許可につきましては、実は許可に先立ちまして町が非常に心配いたしまして、それで地元の要望が出ておりますから、いろいろ事業者に働きかけたということがあると思います。事業者からは、私どもの手元にありますのは社町あての誓約書が出ておりまして、この道路のことにつきましてもろもろの誓約をしておるわけでございます。例えば、ダンプ等が走って道路が破損した場合には責任を持って修理、復旧します、あるいは道路が狭いというお話でございますから、運行道路について車が行き交うような避難所を設ける、あるいはカーブミラーをつけます、あるいは走り方が問題でございますから三十キロ以下の速度で走る、あるいは農業用機械が走っておればその運行を優先するとか、特に農繁期は運行が激しいわけですから運転者に交通マナーを徹底します、こういったような文章で誓約書が出ておりまして、町としてはそれをとっておるわけでございますが、これは行政指導の結果だと思います。  そこで建設省としては、確かにお話のことがいろいろあろうかと思いますので、ぜひともこの誓約書を守っていただくように、この誓約書の内容が履行されることを期待いたしたいというふうに思っておるところでございます。
  162. 永井孝信

    永井分科員 局長、別に人情的に訴えるということで私言うのじゃないのですけれども、開発許可を与えるまでの段階で、地元の住民の皆さんはそういう経緯を全部文書にして県当局や町当局に陳情もしているのです。そしてそのときに、県当局はその代表団に対して、地元がそういう状態なら許可できないなとつぶやいたというのですわ。別に文書に書いたわけじゃないのですよ。ところが、それ以降何の話もなしにぽんと許可がされてしまったというところに、地域住民の意思を行政は聞く耳持たぬのか――これは国だって県だって町だって同じことだと思うのですが、行政に対するそういう不信感が根強くこの下にあるということなんですね。こういう状況だから、これはもう許可せなしょうがないんだけれどもという話もなければ、陳情や要求、そのことを承知しながら、何の連絡も何の説明もないままにぽんと許可が出てしまった。  そして、今不服審査を出しているめですが、この不服審査をしているさなかにどんどん一方的に工場を建設して工場ができてしまっているのですよ、まだ操業はしていませんけれども。昨年の十二月に工場を落成して、披露宴までやっているわけです。地元の住民は、その道路を我々は認めていないんだからということでバリケードまで築いた。トラックなんかが入るのにバリケードまで築いた。しかし、それは行き過ぎでないかということの警察署の指導もあって、その工事のときにやむなくバリケドドを除いたという経過もあるのです。しかしこれから本格的に操業していけば、我々の農業を守ろうということから、あるいは住民の意思を守ろうということから、本格的なバリケードを築いて、昔風に言うたら闘いになっていくと私は思うのですね。そこで血の雨の降るようなことが起きる可能性もある。そのときに、行政の対応が法律の機械的な運用、機械的な適用、これによってそういうことが起きていったとすると私は、行政は法律を所管する立場からいって本意ではないと思うのですね。不本意になっていくと思うのですね。  だから、そう考えていきますと、この地域住民の要望等をもっと具体的に反映して、今審査請求やっておりますけれども、開発行為が円滑に行われるように、この件に限らず、配慮するのが国の責務ではないかと思うのですね。したがって建設省としても、本件は今紛争中でありますが、この紛争の実態的解決に向けて誠意を持って取り組んでもらうように望みたいと私は思うのですが、どうでございますか。
  163. 伴襄

    ○伴政府委員 ちょっと先ほどの答弁を繰り返すようなところがございますが、御指摘のとおりでございまして、開発許可に当たって余り法の定める要件だけで機械的に事務執行するというようなことは、必ずしも望ましいわけではありませんので、可能な範囲で地域住民の要望を反映させて、できれば開発行為が円滑に行われるようにいろいろな形で適切な配慮、指導をする必要があろうと思っております。  この事案に限らず、そういうことが起こらないように予防する意味でも、あるいは今後、この方針の問題がございますので、いろいろな形で指導しておりますが、従来から特にこの周辺住民との調整について、大変大事な問題でございますので、その周辺住民との事務処理マニュアルを、特にこの開発指導行政におきまして開発指導マニュアルというのをつくっておりまして、その中には一例えば周辺住民との調整についての基本的な姿勢だとかあるいは具体的な調整方策とか、それをずらっと書いたものがございます。そのマニュアルを三年ほど前に経済局長通達で出しておりますけれども、そういったものをやっておるところでもございますので、こういったものをぜひとも、兵庫県知事に限らず各県知事に徹底していきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、本件紛争については、実態的に解決が図られることが何といっても望ましいわけでございますので、先ほど申し上げたように、再審査請求の係属中の案件でもございますので、まず我々はこの再審査請求の審議を急ぎ、裁決を急ぎたいというふうに思っておるところでございます。
  164. 永井孝信

    永井分科員 時間がありませんのでおきますが、大臣、今ずっと経緯も申し上げてまいりました。建設省にいろいろな意味でこれから御努力を願うわけでありますが、この件に限らず、都市計画法を適用して都市開発を進めていく場合に、私はこの種に似たケースはどこでも出がちだと思うのです。その場合に、少なくとも進出する企業の側に立っていると思われるようなそういう法の適用ではなくて、やはり都市計画法を適用する場合に、地域の公平な発展地域住民の意思を無視しないで、できるだけ円滑にその開発ができるように、そういう立場での、住民の意思が可能な限り最大限尊重されるように、この件に限らず私は対応してもらいたいと思うのですね。そうしませんと、今も局重言われておりましたように、法律だけがひとり歩きをする、法律が機械的に適用されるということがあったのでは、これは法に対する信頼感がなくなってまいりますので、その辺の関係を、今の私の質問を聞いていらっしゃって、建設大臣としてどういうふうに思われるか、お答えをいただきたいと思います。
  165. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 開発行為は、地域住民とのあつれきが生じない形で行われることが当然望ましいわけでございまして、ただいまの先生のお挙げになりました事例は、一つの参考事例として受けとめさせていただいた次第でございます。  なお、本件に関しましては、既に再審査請求が出されておりますので、公正に対処してまいりたいと存じます。
  166. 永井孝信

    永井分科員 終わります。
  167. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて永井孝信君の質疑は終了いたしました。  次に、貝沼次郎君。
  168. 貝沼次郎

    貝沼分科員 きょうは、本四連絡橋の公団の方にもおいでいただいておると思いますので、まず瀬戸大橋につきまして御質問させていただきたいと思います。  瀬戸内の悲願とも言われた夢のかけ橋瀬戸大橋が完成しましてから、はやもう来年で五年になるわけでございます。この間、順調に進んだことは大変うれしいことでありますが、そのためには、陰に陽に各県の行政当局あるいは警備当局、住民、利用者の橋を愛する、橋への誇りというこの気持ちと努力があったからではないかと、私ども自負しておるわけでございます。  そこで、瀬戸大橋開通五周年に当たりまして、公団として、ユーザーの皆さんとかあるいは多くの皆さんにさらに利用を呼びかけるという意味やら、魅力ある橋を目指して何か、この記念すべき五周年でありますから、記念事業などが考えられておるのかどうか。そういうものは全然考えていないということなのか、何かやりたいと思っておられるのか、まずその辺のお気持ちをお聞きしたいと思います。
  169. 岡田哲夫

    ○岡田参考人 瀬戸大橋の開通五周年、来年の四月十日でございますが、これを記念いたしましてイベントを実施したいという考え方が岡山県、香川県、御両県から出ていることは、重々承知いたしておる次第でございます。  本四公団といたしましても、本記念事業の実施が本州-四国間の交流を促進し、ひいては本四道路の利用促進につながると考えられることから、岡山、香川両県に対しましてできるだけの協力をしてまいりたいと存じております。
  170. 貝沼次郎

    貝沼分科員 それは地元の話なんです。地元からは要請して、それで要求をしておりますが、本来、大体こういうことは公団がやることですね。橋をどんどん利用する人がいなければ採算が合わないのですから、しかも今料金が高いと言われておることでもあり、そして本四架橋が一本でなく二本、三本となった場合にはその利用の問題もあり、償還が非常に難しくなってくることも予想されるわけでありますから、本来、公団が先頭に立ってやるべきことではなかったのか、私はこういう気持ちがあるものですから、地元の意思はともかくとして、公団としてやりたいという気持ちなのか、後ろ向きなのか、その辺のところを伺っておきたいと今質問したわけでありますが、もう一度お願いいたします。
  171. 岡田哲夫

    ○岡田参考人 公団としても、ぜひこういう記念すべき行事に積極的に参画をいたしたいということでございます。ただ、毎日自動車専用道として自動車も通っておりますので、自動車を通す、こういうことが橋としての第一の使命でございますので、それによっていろいろ地域発展する、こういうようなことから、地元と一体となってこの事業を進めてまいりたい。  例えば、そのイベントのときには橋に点灯をする、イルミネーションをつけるとか、こういうようなことも考えておりますし、それから与島のパーキングエリアにおきましていろいろの記念のイベントを実施してまいりたいというふうに考えておりますが、これはやはり実施に参画していただくのは地元方々地域方々でございますので、それを代表する岡山、香川両県とも十分御相談しながら進めてまいりたい、さように考えております。
  172. 貝沼次郎

    貝沼分科員 わかりましたよ。おっしゃることはよくわかりますが、ただ、もう一つ、やはり公団が参画するという。そうじゃなしに、公団が本来やることであって、それでさらにそれを地元として盛り上げてやろうとしていることに対しては、これは大変うれしいことであるという話ならわかるんだけれども地元がやるというから公団も参画しますというのは、何となく積極性に欠けますね。どうなんでしょうかね、その辺。
  173. 岡田哲夫

    ○岡田参考人 本四公団としましては前向きに御協力申し上げるということでございますけれども、本四公団だけでこのイベントを実施するということはやはり無理があろうかと存じております。
  174. 貝沼次郎

    貝沼分科員 それもよくわかっております。まあ地元も、今公団の意思がわかりましたので、鋭意岡山、香川で話を進めておるようでありますが、具体的なものが出た段階で今協力してやりたいと。いうお話でございますから、私はそれで了といたします。いたしますが、ぜひとも立派なイベントが実現できるようにお願いしておきたいと思います。  なお、先ほど与島の話と、それからイルミネーションの話もありましたが、問題になってくるのは、この橋の車道のところの利用の問題だと思うのですね。先ほどおっしゃいましたように、実際使っておる橋ですから、車が走っておるわけでありますから、それをある部分制限して、そして何かを行うということになると思いますので、この辺のところも何もとめるというのではなしに、はっきり言って、今混雑して大変なほど走っている橋でもありませんから、したがってその辺のところを勘案して、橋の上の部分も使って、要するに車道ですが、車道のある部分、どれだけかは話し合いでしょうが、この辺も使って、今後話し合いに応ずるというようなことは、どのようにお考えでしょうか。
  175. 岡田哲夫

    ○岡田参考人 今先生がおっしゃいました橋の上を使うということについても、これは全面的にとめるということでは問題がございますけれども、四車線ございますので、その片側を使うとか、そういうことは十分考えられるわけでございますけれども、これについては、交通の取り締まりをする側の立場の御意見も聞かなければなりませんし、今そういうようなこともあわせて検討させていただいているところでございます。
  176. 貝沼次郎

    貝沼分科員 よろしくお願いいたします。  それでもう一点。実は瀬戸大橋、自動車で渡りまして、私たちもできたとき喜んで渡ったわけですが、ここから先はちょっと建設省関係があるけれども、質問はいたしませんが、橋を渡ってから先、道がないのですね、きちんとした大きな道が。これは今度整備するのでしょうけれども、橋の方が先に行っちゃった。  それでもう一つわかったことは、その橋をまた渡ってこないと戻れないということなんですね。つまり、「本の橋というのは、渡ったら、また必ず渡らなくちゃいけないという、車に乗る限りそういう問題がありまして、この通行料金というのは片道だけの計算ではなかなか難しいということで、いろいろ議論がありました。最近、去年から往復で公団の方に御努力いただきまして安くしていただいたわけでありますが、しかしまだまだ料金が高い、こういう声がたくさんございます。そういう声を恐らく聞いておると思いますが、今後その点につきまして何か工夫をされようとされているのか、あるいは別に考えていないのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  177. 岡田哲夫

    ○岡田参考人 先生おっしゃいましたように、平成二年の四月に、普通車と軽自動車の往復割引の割引率を引き上げる、すなわち割引を大きくするということで、約一割の割引から約二割の割引というような割引を行ったわけでございます。  その利用状況について見ますと、例えば往復割引については、割引対象の普通車、軽自動車のほぼ六割が利用するなど、この往復割引が有効に活用されていると考えております。  なお、利用交通量を全車で見ますと、割引制度の拡充初年度の平成二年度で約八%の交通量の増があったわけでございますが、割引をしたために、収入の方はほぼ前年並みにとどまったということでございまして、現行の割引制度の効果を今後とも見守っていきたいと考えておりますけれども、現在の時点ではさらなる割引制度の拡充は考えていないわけでございます。公団といたしましては、今後とも瀬戸大橋の利用状況等について引き続き調査分析を進めるとともに、橋の利用の促進に努めてまいる所存でございます。
  178. 貝沼次郎

    貝沼分科員 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。  それで大臣、大体こういう状況なんでございますが、一言でいいんですけれども地元岡山、香川が中心になると思いますが、それと公団の皆さん方でいろいろ詰めていくと思いますが、できれば建設省の方からも理解あるひとつ態度をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  179. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 五周年を期しましてセレモニーをやって、その経済的効果あるいは地域発展に対する効果をお互いに確認し合い、さらに将来の協力につなげていくということは、有意義なことだと考えております。
  180. 貝沼次郎

    貝沼分科員 問題を変えたいと思います。公団の方、ありがとうございました。  次は国道県道整備の問題でお尋ねしたいと思います。  生活基盤の整備を推進するために第十次道路整備五カ年計画に基づきましていろいろ整備が行われておるわけでありますが、まず国道二号線、大変具体的な話で恐縮でありますが、国道二号線整備で、玉島バイパスというのがありまして、この玉島バイパス、大変よくなってまいりました。しかしながら、大きなバイパスで走っていくのですが、いよいよ広島向きに走りていったときに出口のところがきゅっと狭くなりまして、非常に混雑するわけであります。それから、途中信号が多くて、交差点が大変なので、高架にしてもらいたいという要望がありまして、これも大分進んでまいりましたが、この辺のところをにらんで一体どうなっておるのか、さらに予算措置についてどうなっておるのか、この点をちょっと簡単に説明していただきたいと思います。
  181. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えします。  玉島バイパスが倉敷市内の国道二号のふくそうで非常に大変なことからこの事業を着手したことは御承知のとおりでございます。現在七・五キロ,の暫定二車線の供用を行っております。さらにこの暫定供用区間交通量の増大に対応いたしまして、他の道路との連続立体交差を図るために爪崎高架橋、これ約二・六キロかかりますが、これの上下部の工事あるいは未供用区間が一・八キロございますが、これの用地買収及び工事をやっておりまして、おかげさまで、用地取得もこの二月で九六%になっております。  いろいろなことがございましたけれども、私どもとしては、次期五計の中で少しでも早く開通できるように、全体事業費としては五百億という大規模な事業費も要する事業でございましたけれども、何とか次の五計内では少しでも早く供用が図れるように努めてまいりたいと思っております。
  182. 貝沼次郎

    貝沼分科員 ぜひそれはお願いしたいと思います。  それから、笠岡バイパス、これがもうちょっとというところで使えないのですね。特に現在の二号線から海寄りの方に、浜中のところを入る、臨時として入ることになるのだろうと思うのですけれども、その辺のところがない。それで神島のところがはっきりしてないために、せっかく干拓のところに大きな道路ができておっても実際使われておりません。こういったところから、ぜひともこれは早く進めていただきたいということで、その説明をひとつ求めることと、それから、時間がありませんので、あわせて、百八十号線の総社バイパス、これも県北に行く道路として大事な道路でありますが、休日などはほとんど動かない状況になっております。そういうことでありますので、その辺のところをひとつ進めていただきたい、こう思っておりますが、説明をお願いいたします。
  183. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 最初の笠岡バイパスでございますが、六十三年度に事業に着手いたしまして、平成二年度に干拓地内の用地を取得いたしました。現在起点側で地元関係者と協議を進めておることは、御承知のとおりでございます。特にこの一部地区に入江、土手尻、名切、こういうところがございます。ここでルート及び環境問題で、やはり各論になりますと、どうしてもいろいろな考え方の髪もございまして、地元協議が難航いたしております。これらの地区の西側の横島・神島地区においては、立ち入りの御了解が得られましたので、平成三年度より路線測量を実施しております。全線で一緒に御了解が得られればよかったわけですが、まず得られたところからということで今入っております。現在、まだ用地が残っておりますし、一部でこのように難航しておりますし、特にまた干拓地区の軟弱地盤の処理対策、これに時間がかかるので、早くこれもやらなければいけないということで、普通ならば、いつまでにと私は必ず申し上げるのですが、そういう人為的な部分がございますので、私どもとしてはなるべく早くということにとどめさせていただきたいと思います。  ただ、総社バイパスにつきましては、これは岡山・総社インターから県立岡山大学までを平成五年春の開校に合わせて供用したいということで、やはり大学が開校するということは、多くの交通量がまた一般の道路にふくそうしますから、そういうことに対して最大限の努力をすべく、その目標で今やっております。  その結果、用地取得もバイパス全体では三五%でございますが、重点区間では八六%と非常に御協力をいただいております。そういうことで、計画的にやらせていただいております。
  184. 貝沼次郎

    貝沼分科員 大変急いでおる工事でありますの、で、いろいろな条件はありますが、精力的にお願いしたいと思います。  それからもう一つ、国道関係では有名な三一三、三百十三号線でありますが、私は当選以来、この三百十三号線というのは、どういうわけかずっと言ってきているんですね。それで大変よくなりました。一北房町、あそこの縦貫道のインターからずっと参りまして高梁に入るところまでは大変よくなりました。しかし、高梁から成羽というところへ行きまして、成羽から後もまた広島に入るところは非常によくなっておるのでありますが、高梁-成羽間がもう本当に盲腸みたいに細くなっているのですね。せっかくあれだけ立派な国道でありながら、なぜあそこのところだけが狭いのかというのが地元の今の関心事でありますから、これを何とか整備といいますか、拡幅していただきたいという希望があるのですが、この点はいかがでしょうか。
  185. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 おっしゃるとおり、三百十三号、これは倉吉と岡山を結ぶ非常に交通量の多い、使い勝手のいい道路でございます。先生指摘の、この高梁から成羽町を経て川上町に至る十一キロというのは、このうち特に七キロ、これは四十年代の前半にどちらかというと早く改良された区間なんでございます。その当時の基準でもってつくりましたので、早くはつくったけれども、規格は実は当時の規格でございますから、車道幅員が五・五という構造になっております。したがって、当時としては非常に使い勝手がよかったのですが、車はだんだん大型化しますし、今から見ると、先生指摘のとおりのいろいろな問題が起きていることは承知いたしております。  そこで私ども、すぐここを手がければよろしいのでしょうけれども、残念ながらこれより緊急性の高い区間、まだ未改良の区間も若干ございますし、またいろいろと交通安全とかそういう面で、どうしても早く現道拡幅しなければいけない部分もございます。今そういうところからやってきておりますが、ここが十二時間で八千台というふうになってきておりますので、この区間についても一気に全部というのは、なかなかすぐに、言うべくして困難でございますが、では、どのようにしたらできるのかということは、これからあわせて見ながら、先生のそういう実際の利用者の立場に立っての御不満に対応していきたいと思っております。
  186. 貝沼次郎

    貝沼分科員 一気にはいかないけれども、何らかのことを考えていきたいというふうに受け取らせていただきたいと思います。  陳情ついでにもう一つ、これは県道の俗称岡山水島線と言われているものでありますが、これが倉敷の町の混雑を解決するのに非常に重要な道路になっております。ところが、これが倉敷に入った入り口のところがきゅっと狭くなっておりまして、せっかくの道路が生きておりません。したがって、極めて短い距離でありますので、この辺のところについてもひとつ御配慮いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  187. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 確かにこれは水島の臨海工業地帯に入っていくところでございまして、チボリ公園のところからずっと行くところでございますが、全長八・一キロとはいうものの、特に一般県道藤戸連島線と交差する江長交差点間ここが非常に日交通量二万二千台ということで混雑しておるために、私ども、そのうちの特にひどいところを、一・九キロですが、バイパスを整備しようということで、このうち、その一・九キロのうちの終点側六百というものを五十七年に着手して六十一年に完成いたしましたが、残りの一・三キロ、これを六十三年に着手して今現在用地買収をさせていただいております。  こういう市街地といいますか、非常に使い勝手のいい地域でございますから、土地に対するいろいろな所有者のお考え方というものもありまして、用地買収、なかなか困難を来しておりますけれども平成五年度から始まります次の五カ年の半ばまでにはせめて完成させたいということで今やっておりますので、ひとつ用地買収等につきましては、よろしく御指導のほどお願いしたいと思います。
  188. 貝沼次郎

    貝沼分科員 よろしくお願いいたします。  以上、道路関係の陳情をさせていただきましたが、これは地元の声でありますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、問題を変えたいと思います。  道路財源となっております自動車重量税の話がありますので、私ども大蔵委員会のときにここで重量税つくったわけですけれども、きょうはその重量税の徴税の問題でちょっとお尋ねしたいと思います。  これは、具体的に申し上げた方がいいでしょう。  岡山県内で、毎年かもしれませんが、アンケートをとっておるのです。これは自動車整備事業をやっておるところを対象にしてやっております。  いろいろありますが、そのうちの一つで、約一千四百社の整備事業者がおりまして、それのアンケートをとりました。その結果、約七五%、平成四年では七一・七%となっておりますが、この事業所は車検のときに自動車重量税を立てかえておる。立てかえておるわけです。随分大きな数字なんですね、七一・七%、これは平成四年でありますが。  それらを計算して、この人たちの計算によりますと、一日に県内で約何億円かの立てかえをしておる。月末では何十億円を事業所が立てかえることになる。いわば徴税の手伝いをしていることになる。しかし、それについてお礼もなければ、利子もつくわけでもない。何にもない。税務署、大蔵省に聞いてみれば、税制があるんだから納めるのは当たり前だ、こういうふうになっておる。しかし反面、自動車を買ったときに、自動車を持った人はその自動車を買うほどの担税力というものを対象にいたしまして、自動車税が県税でかかっております。この県税はちゃんと通知が参りまして、そして税金を振り込むようになっておる。それから、自動車重量税は国税でありますが、これは自動車を運行することに対するものでありますので、これはその車検のときにかけるようになっておりますので、印紙で納入することになっております。  ところが、この印紙、どこで売っておるかといいますと、もう時間があと五分しかないそうですから私が申し上げますが、はっきり言って、岡山県下で何カ所かといいますと一カ所であります、一カ所。これは陸運事務所のある近くの郵便局一カ所。そうすると、県内の自動車、みんな車検を受けるわけでありますから、その自動車を扱う事業所は、結局近くのところへ行って印紙を買うことになりますので、全部立てかえる。商売上、これが当たり前ですね。  そのほか、税金だけでなく保険だとかいろいろなものを一緒にやるものですから、大変なことになるわけですが、この方々のおっしゃるには、せめても国税ぐらいは立てかえなくてもいいようにしてもらいたい、そのためには何らかの方法を考えていただきたいということでありますが、当局では何にも考えてくれないということで、少なくとも対応できることといえば、郵便局はたくさんあるわけでありまして、それから、何も県の中央部でなく郡部の方に自動車はたくさんあるわけでありますから、そちらの郵便局で印紙を買えるようになれば、私は何もかも整備工場が肩がわりしなくても済むのではないか、少なくとも効果はあるのではないか、こう思っておるわけでございます。  そこで、この印紙の扱いにつきましては、大蔵省から郵政省に委託され、郵政省がそれをやっておるわけでありますが、自動車重量税印紙を売りさばく郵便局を指定する件というので指定されておりますので、これはほかでできないわけでありますが、これを郵便局、広げることは考えられないのかどうか、郵政省にお尋ねしたいと思います。
  189. 井口義勝

    ○井口説明員 お答えいたします。  お話しのように、自動車重量税印紙の販売につきましては、現在自動車重量税の納付場所が陸運事務所となっておりますことから、その事務所の付近に所在する全国二百二十六の郵便局、それからその近辺の郵便切手類販売所及び印紙売りさばき所で販売いたしております。また、自動車重量税印紙の需要があります場合には、地方郵政局からの上申を受けて販売郵便局を指定することといたしておりますが、余り上申がないのが実態でございます。しかし、今後地方郵政局を通じて改めて需要を再調査し、必要があるところから、順次自動車重量税印紙の販売郵便局を拡大していきたいと考えております。
  190. 貝沼次郎

    貝沼分科員 きのうあれだけあなたに説明したじゃありませんか。需要というのは自動車の台数なんです。自動車以外のものは自動車重量税納めるわけないでしょう。自動車は地方にあるから、そこで需要があるのです。ところが、要求があるというのは、それは陸運事務所のその隣しか売ってないから、そこへ皆買いに行くのであって、よそに売っているなら、それが需要というわけにはいかないのですよ。この辺の認識がおかしい。自動車があることが需要です。したがって、自動車の分布に従って売るところを置くのが当たり前なんです。需要があればとか、何ですか、要請があればなんて、だれが要請するのですか。自動車持っている人が一々要請するのですか。そんなことないでしょう、実際これを納めに行くのは車検をやっている業者が行くわけですから。したがって、そういう答弁は納得できません。ちゃんと広げると言ってください。
  191. 井口義勝

    ○井口説明員 御趣旨を踏まえまして、前向きに検討してまいります。
  192. 貝沼次郎

    貝沼分科員 もう時間がなくなりましたので、その趣旨でひとつお願いしたいと思います。  最後に、離島関係国土庁の古来ていただいておりますので、一言だけ、離島振興についての決意、特に離島の人口が減らないためにどうするか。例えば教育等においてどうするか、それだけ簡単に質問をして終わりたいと思います。
  193. 吉田博

    ○吉田説明員 御説明をいたします。  人口の減少が非常に高こうございまして、そのために私どもアンケート調査等を行っておりますが、働き場がないというようなことが大きな要因になっておるわけでございます。そういう意味で、産業の振興というようなこと、それから御指摘のような教育の充実ということも必要であるというふうに考えております。
  194. 貝沼次郎

    貝沼分科員 終わります。
  195. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、富塚三夫君。
  196. 富塚三夫

    富塚分科員 私は、地元問題について二、三御質問をさしていただきたい、こう思います。  第一の問題は、神奈川県小田原市の海岸環境整備工事の促進の問題であります。  小田原の漁港海岸、御幸ヶ浜というところがあるのですけれども、波浪による侵食が非常に著しい。海岸の砂浜は、昭和二十三年から六十三年までの四十年間で平均二十メーター後退をしておりまして、局所的には近年後退量が非常に増しまして、昭和五十八年から六十三年の五年間で十メートル以上も後退をしている。背後地の住宅に住む人たちは非常に恐怖におののいておるわけですが、特に住宅が密集しておりまして、住民の生命財産を守らなければならない深刻かつ緊急な課題となっております。また、御幸ヶ浜は、海水浴、花火大会等、地元小田原市民の唯一の海岸のレクリエーションの地でありまして、この砂浜の後退は、地元の強い要望となって今対策が実は望まれています。  そこで、ここは水産庁の所管ということになっておるようですが、神奈川県は既に御幸ヶ浜の海岸保全計画を策定をいたしまして、平成三年度から七年度までの間に国の第五次海岸事業五カ年計画の中に事業の採択が取り入れられて工事が始められています。ところが、計画案によると、事業延長が六百五十メートルで、初年度潜堤工一基、また今後は人工リーフ工一基、突堤工一基、階段護岸工、養浜工一式となっています。結局、削られる砂浜を潜堤工で歯どめをかけて、階段護岸工や突堤工または人工リーフ工によりしっかり押さえ込んで、そこに養浜工、すなわち砂を入れるという工事であるというふうに聞いています。問題は、五カ年計画ではどうにもならない、工期をもっと早めてほしい、そういう地元の強い要望がありまして、この工事全体の費用として神奈川県が策定したのは二十一億円です。ところが、国の査定は十二億となっておりまして、これでは国の補助が非常に少なくなっているということでありまして、何とかこの事業を促進することについて一体側協力をいただけないかという点で、ひとつ水産庁のお答えをいただきたいと思います。
  197. 秦英樹

    ○秦説明員 御説明をいたします。  小田原漁港の区域内にあります海岸は、砂浜が侵食される傾向にございまして、そのために砂浜が今先生指摘のように後退をしておる状態でございます。したがいまして、背後の住民の方は大変な不安を募らせておられる、こういう状態でございます。また、当該海岸は、海水浴等、国民の休養の場として利用されております。  このために、平成三年度から始まった第五次海岸事業五カ年計画において、今先生も御指摘されましたけれども、潜堤あるいは親水性護岸等の施設を整備いたしまして、この海岸侵食を防止するとともに、快適で潤いのある海岸の環境を創設するために、小田原漁港海岸環境整備事業を実施しているところでございます。そういう事情でございまして、今後とも引き続き当該事業の重要性にかんがみまして、これを計画的に実施してまいりたい、かように思っております。  以上でございます。
  198. 富塚三夫

    富塚分科員 工事が始まったのですけれども、非常に全体像がきちっと見えてきませんから、ばらばらになっている感じで、そこに実は波浪による影響が非常に強いという問題が出てきているということなんです。  実は、次の建設省関係にも――ちょっとこれ配っていただきたいのですけれども、ついでに次の平塚のこれも時間の関係で配っておいてもらおうかな。――小田原海岸におけるその被害状況といいましょうか、御案内のように、波浪によってどんどんと海岸が侵食されていっている、何とかしなくてはいけない、工事が始まったということですけれども、全体的に波浪の影響が非常に大さくなっているわけであります。  ここで私は、地元の居住者の皆さんの意見を聞いて、実態をつぶさに調査をしてまいりましたけれども、台風による影響はもとよりでありますけれども、日常震動が激しくて、ふろ場のタイルにひびが発生したり、あるいは石垣が壊されたり、あるいはその震動によってテレビもよく見えない、字も書けないみたいなことが非常に多いわけです。それだけに、工事を早く進めてもらいたいということなんですが、何といっても予算の措置の問題になるということで、県の二十一億の所要額に対して、やはりお金がないから無理だ、時間を延ばせ、これでは現地は困るという点で、水産庁も問題認識を持っておられることは十分理解できますけれども、積極的にこの問題を取り上げていただきたいと思うのですが、やはり大蔵省が金を出すのを渋っているからなんじゃないかと思うのですが、どうですか大蔵省、ひとつそのことについて前向きに答弁をしてもらえないでしょうか。
  199. 田谷廣明

    ○田谷説明員 突然の御質問でございますが、御指摘の点も踏まえまして、よくまた建設省とも御相談してやってまいりたいと思います。
  200. 富塚三夫

    富塚分科員 基本的にぜひ、水産庁も認識されておって県とも調整をされておることは理解できますが、どうかひとつ積極的にこの問題を取り上げて、工期を縮めてもらう、早めてもらうということについて要望しておきたいというふうに思います。
  201. 秦英樹

    ○秦説明員 水産庁といたしましても、小田原のこの漁港区域内の海岸が非常に住民に不安を与えておるということは、非常に認識をしておりまして、与えられた財政の中で、水産庁としてできるだけこの整備の促進に努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  202. 富塚三夫

    富塚分科員 酒匂川を、西の方は水産庁が所管、東の方は建設省が所管、これは変な話ですけれども、どうして、同じ海岸で建設省と水産庁、こう分担されているので、そのことをとやかくやっている時間はありませんが、建設省にお尋ねをしたいのは、やはり酒匂川から東の方も、そこに調査に出てきていますように、波浪による大変な影響が出てきている。波が高いとがたがたしてうちでよく眠れない、塀が壊される、あるいはバイパスがストップする、さまざまな被害を受けているわけですけれども建設省といたしまして、この所管の中の小田原海岸の侵食に対しての認識と、十分に事情を調査してもらいたい、実態を知ってもらいたいという点で私はお願いしたいと思うのでありますけれども建設省としてどうでしょう。
  203. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、海岸につきましては、漁港に関連するところにつきましては水産庁が所管し、土地改良等に関連する地域につきましては農林水産省構造改善局が所管し、港湾に関連する海岸につきましては運輸省港湾局が所管しておりまして、その他一般の住民に関連する区域につきまして建設省が所管しておるところでございます。  そこで、先ほどの小田原漁港に関連する御幸ヶ浜につきましては、先ほど申し上げました水産庁で所管しておるわけでございますが、その東側、二宮町に至る区間につきましては、当建設省が所管しておるところでございます。  海岸の問題につきましては、大変複雑な地象、気象、地形の問題あるいは社会活動によるいろいろな影響もありまして、大変この対応には私どもも苦慮しておるところでございます。一口に言いまして、我が国のこの急傾斜な山岳地帯で集中豪雨によって山が削られることによって土砂害が発生し、また、河川に流入することによって堆積して河川がはんらんする、そういう意味では、山岳地帯から土砂が流れてこない方がいろいろな国土保全上は都合がいいわけでございますが、一たん河口に出てしまった後では、その流入土砂が少ないことは海浜が消失する問題にもなりますので、適切な土砂が流出してもらうことが海浜の保全上もいいわけでございます。あるいはまた、海浜利用の関係でいろいろな構造物が海流、気象現象にも影響しまして、あるところでは侵食し、あるところでは土砂堆積があるということで、なかなか我々の計画どおりには海浜が保全されないところがございます。そのために、大変いろいろな観測によって絶えず知見を積み重ねながら、それの地域地域に応じて適切な対応をするように努力しておるところでございます。  当小田原海岸につきましては、近年侵食が著しく、先ほど先生が言いましたように、四十年間に二十メートルというような侵食が発生しておるわけでございます。場合によっては前浜の消失している地域もございます。このために、侵食対策の計画立案が必要でございますので、この所管につきましては神奈川県土木部で所管しておるわけでございますが、平成四年度より侵食対策のための調査を実施することといたしまして、その調査の一環の中で、被害の実態、先ほど住民の皆さんのいろいろな事情等も調査するとともに、当海岸の侵食対策につきまして早急に検討し、対策を講じるよう指導してまいりたいと存じます。
  204. 富塚三夫

    富塚分科員 ぜひお願いしたいのは、一回に全部すっきりやれといったってできるわけでもないので、住民の皆さんの不安、影響というものをやはり積極的に取り上げていただいて、調査をしていただいて、ひとつ今後の対策を急いでいただきたいということを要請しておきたいと思います。  次に、西湘バイパスの早川口付近の改築の現状と今後の見通しについてお尋ねしたいと思いますが、同時に、小田原市や地元住民の要求で、早川口の改築のときに酒勾にも出口をつくってほしいという要請が随分出ているわけであります。約束をしたとかしないとかいろいろ、それは触れませんけれども、どうも今の状況ですと、まだ具体的な促進方が十分でないというふうに見受けられますので、市と道路公団との話し合いとか、そういう点で建設省は積極的に指導していただきたいと思うのですが、この点について建設省の考えをお伺いしたいと思います。
  205. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 それではまず二点、先に西湘バイパス早川口付近の改築の現状と今後の見通しをお答えいたします。  このバイパス、現在二万一千台から三万六千台、車が非常に多い道路でございます。特に、このバイパスから伊豆方面に向かう交通は、休日はもとより、早川インターチェンジから国道百三十五号を利用することとなっております。また、一方、小田原厚木道路というのがございますが、これからも伊豆半島の方へ向かう車がございまして、小田原市道の二十四号というのがございますが、これを経由して、やはり国道百三十五号を利用しております。これがちょうど小田原市の早川交差点付近を中心に渋滞を生じていることは、私ども十分承知しております。  そこで、この西湘バイパスと小田原厚木道路から伊豆方面に向かう交通をここで通過しないように外そうということから、西湘バイパスについては、早川インターチェンジから小田原漁港の先の小田原市石橋付近まで約一・九キロを延長いたしまして、国道百三十五号に接続する、こういうような形にじょう、それから、小田原厚木道路と西湘バイパスが接続する小田原西インターチェンジについて、伊豆半島の連結路を新設しよう、こういうことを内容として西湘バイパスの改築計画をつくりました。そして、非常に人家密集の地域ではございますけれども、五十九年から着手したわけでございます。地元に入りますと、当然のことながら、いろいろな関係者が多いものですから、そこと調整をいたしました。そして、六十三年からやっと用地買収にかかって、それに伴い、地元にも御説明をいたしました。  現在どういう状況かというと、この二月現在でございますが、延伸部については、おかげさまで漁業補償、平成三年、昨年の三月に終わりました。そこで、この漁業補償が終わりますと大体用地補償というものは進むものでございまして、概成できました。したがって工事も、土工及び橋梁下部工を中心に全面展開いたしております。  それから西湘バイパスと小田原厚木との連結路につきましても用地買収が終わりましたので、工事について今進めております。今後、特に高架部の工事をやってまいろうと思っております。全体の目標は、地元でも申し上げておりますが、平成六年度の供用、こういうことで一生懸命やっておるわけでございます。  そういう中で、西湘バイパス本体に従来から酒匂川のインターチェンジがございます。これはハーフになっております。ハーフになっておるというのも、実はここは菊川と酒匂川の合流点でございます。さらにその反対側に酒匂中学校というのがございまして、こういうものを含みながら、学校の環境問題に対処しながらここのインターチェンジを広げるということは、言うべくして今までなかなかできにくいところでございました。  しかし、要望が高いということと、現実にそれだけの利用の形態が市民生活の中で出てきているという以上、小田原市にも御協力をお願いいたしまして、今どういう形ならば、この中学校の方々も、また利用者も、PTAも、お子様たちにもいいか、それから、この二一つの河川との構造もどうやったらいいのか。特にここは、ちょっといじりますとまた新しい漁業との問題が出てまいりますので、そういうことで検討いたしております。今まではとても無理だなと思っておりましたけれども、こういう全体の大きな改築計画が出る際にこの問題もひとつ一気に解決するようにということで、地元の御協力も大分前向きになっておりますので、私どもも一生懸命その方向で取り組みさせていただいておる最中でございます。
  206. 富塚三夫

    富塚分科員 ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいということを要請しておきます。  もう一つ、これは水産庁ですが、神奈川県の平塚漁港の整備事業のことについてであります。六十三年より平成五年までを目途に、水産庁は平塚漁港整備を第八次漁港整備長期計画の中に取り入れてくれました。この事業の進捗状況は、これまた予算の関係でスムーズにいってない。予定の事業費は五年間で二十五億円を予定しているにもかかわらず、この四年間でわずか五億九千万しか支出されておらない、予定の二三・六%のめどしかついていないという現状であります。さらに全体計画では、第九次の計画が想定をされて、二十八億余の金が必要とされたと聞いています。  こういう状況のもとで、新たに漁港利用調整事業、平成元年から五年までを水産庁は好意的に取り上げて、その事業が進められています。実際には平成二年より着工されましたが、この二年から五年の間で十五億三千四百万の予算について、二年間の実績額は毎年五億円を予定しているにもかかわらず二億九千六百七十二万円で、予定額のこれまた三七・二%であり、このままのペースではいつ完成するか見通しが立てられない。平塚漁港の整備事業と漁港利用調整事業は、遊漁船等を集約して収容する利用調整施設を整備して、地域漁業の活性化と海洋レクリエーションの共存をねらったという点で、水産庁も好意的にモデルケースとして平塚市と協議をして進めていますけれども、何せ予算が十分でないので、あっぷあっぶしている状況である。  隣の茅ヶ崎市なども、漁港整備では約二十年以上もかかっているわけですけれども、この漁港整備の問題で、これもまたお金の問題にぶつかるわけですが、水産庁としてもっと積極的に取り組んでもらいたい。どういう現状かをひとつお伺いいたしたいと思います。
  207. 坂井淳

    ○坂井説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、平塚漁港は古くからの河口港といいますか、川港でございまして、大変利用されてきたわけでございます。  従来の対策といたしましては、相模川の河口の安定といいますか、そこを安全に通れるような対策をいろいろ考えてまいったわけでございますが、これではどうしても発展的でないということになりまして、第八次漁港整備計画から外港、外側の方の港に着手いたしました。これはゼロからスタートしたわけでございますので、進捗が大変悪い状況になっておりますが、私どもも、平塚市も、あるいは神奈川県も、大変期待されて、一生懸命やっておりますし、私どもも一生懸命応援しております。それで、修築事業と漁港利用調整事業というものをあわせまして、防波堤を両サイドから出すというような努力もいたしておりまして、今後とも、予算にはいろいろ制約はあると思いますが、私どもとしては全力を投入していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  208. 富塚三夫

    富塚分科員 相模川の場合には、相模川の水を家庭用の飲料水等に利用している。利水をしている。取水を強化しておって、水がないので砂がいや応なく堆積状況に持っていかれている。これが漁船の安全運航や操業面に大きな障害となっておりまして、お手元にお配りをした警察の調査の中でも、漁船の安全運航や操業面で大きな障害を受け、特に荒天時には避難港の役割も十分果たせないという状況になっています。  現在のこの漁港は、相模川の河口内にあるために、船の出入りは潮の流れによって考えなければならぬということで、漁船の事故が多いわけですが、これも積極的に取り組んでペースを速めていただきたいというふうに思います。その点でひとつ水産庁の努力お願いしたいのですが、どうでしょう。
  209. 坂井淳

    ○坂井説明員 現在の相模川も当然利用されておりますので、これの安全対策につきましてもできるだけのことをいたしながら、また外港の、新しい港づくりにつきましても、全力を尽くしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  210. 富塚三夫

    富塚分科員 時間の関係がありますから多くは申しませんが、小田原に直下型地震がやってくるというように今専ら想定をされて、恐らく地震の震源地になるだろう。西湘バイパスの問題もある、海岸の波浪の問題もある、イコール漁港の整備の問題もあるという意味で、非常にトータルとして政府も考えていただかなければならない問題になっていると思います。そういう点で、県や市とも積極的に話し合いをしてやりますけれども地元の住民が日常の生活の中で波浪による影響などでおののいておる生活の実態、建設省にも調査していただきますけれども、ぜひひとつそういう点で、建設大臣あるいは農水省、水産庁長官に努力をしていただきたいということをお願いをいたします。  以上で、時間が早いですけれども、協力する意味で終わることにいたします。どうぞよろしくお願いします。
  211. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて富塚三夫君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。     〔筒井主査代理退席、金子(原)主査代理     着席〕
  212. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 私はきょう、建設業法の問題に関連して伺いたいのですが、まず、建設大臣認可の特定建設業者というのは、これは、業法の第十五条の中で「許可の基準」というのが定められておりますが、「請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。」となっております。つまり、誠実にやってもらう、これが建設大臣認可の特定建設業者の基準になると思うのですが、これはこういうことですね。
  213. 伴襄

    ○伴政府委員 そのとおりでございます。
  214. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 また、この建設業法、それから昭和四十九年五月十七日の通達、昭和五十一年十一月三十日の通達、昭和五十三年十一月三十日の通達、それらの通達とともに、またそれらに基づく指導を守るということは、私は、特定建設業者の方からすれば当然のことだと思うのですが、この点もそのとおりでいいですね。
  215. 伴襄

    ○伴政府委員 特定建設業は、下請の保護を特にいろいろ加重いたしまして認めた制度でございますので、ちょっと今通達の中は一々当たっておりませんけれども、そういう趣旨のことを通達していると思っております。
  216. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 ですから、そういう建設業法、通達に基づいて特定建設業者の方はきっちりやってもらいたいと、建設省ももともとそのことを期待して法律をつくられたし、そしてまた、そういう立場で指導を当然ながらやっていただいていると思うのですが、きょうは少しこの問題を具体の事例に基づいて伺っていきたいと思うのですが、東芝設備機器株式会社というのがありまして、ここと契約しておった一次下請というのが倒産したわけですね。これは富合工務店というのですが、その下請、つまり二次下請をやっておった藤原工務店と、そして今この元請の東芝との間で問題が出ております。  昨年九月から十一月にかけて、これはもともと、この東芝が明興運輸・京都共同配送センター新築工事というのを請けて負って、その仕事をやっておったわけですが、一次下請でやった富合工務店というのが、十月には倒産に近い状態になってしまって仕事ができなくなってしまった。そこで、藤原工務店という二次下請の方が東芝さんに対して、一次の富合さんの方はもう倒産状態に近くなっているから、下請代金を今もう払ってくれないんだ、だから、これからのでき上がった分は直接藤原工務店へ払ってほしいんだ、そういうふうにその時点で言っておったのですが、これを無視して東芝設備機器はこの一次の方に支払いをしてしまっている。そしてもう済んだというふうな調子なんですが、しかもその時期に、ちょうど秋口は台風だ雨だということでどうしても工事がおくれますから、だんだん仕事がずれてきて、それでもう納期が迫ってきて、もうこの一次下請に頼んでおったってどうしようもない、これはだめだと。そこで、藤原工務店さん、あんたのところでやってくれ、そういうふうに言って、二次下請の藤原工務店の方で労働者を集め、資材を購入して竣工へ持っていってもらった。そのときには、また別な仕事もあるからあんたのところでやってもらうよ、そういうふうないわばえさで釣るような話までして、本当に突貫工事をやらせていく、こういうことをやってきたわけですね。  ところが、もう既に竣工して四カ月になりますが、下請代金の不払い額は三千五百四十万円、そのうち、労働者八十四名分の二千七百八万円の労賃もいまだに未払い、こういう事態になっております。二次下請をやってきた藤原工務店からすると、今や本当に深刻な事態なんですね。働いてくれた人を無理を言って現場へ来てくれと言って、行ってもらった人からは、どないしてくれると怒られるし、一方、東芝設備機器に何ぼ話をしてもちゃんと対応してもらえない、そういう深刻な事態が生まれているわけでありますが、建設省の方でこういう事態は知ってもらっていますね。
  217. 伴襄

    ○伴政府委員 この事案は、先生お話しのとおり、東芝設備機器が明興運輸という、これは施主でございますけれども、京都共同配送センターの新築工事を請け負ったわけでございまして、それを請け負った東芝設備機器、これは元請になりますが、それの一次下請が今おっしゃった富合工務店でございます。さらに、その富合工務店の下に二次下請の藤原工務店ということでございますが、その中間にあります一次下請の宮合工務店が十二月に、工事は完了しておったのですけれども、完了後の十二月に破産宣告を受けた。そのために、二次下請の藤原工務店に代金は手形の形で渡しておったのですが、その不渡りが発生したということでございます。  実は、建設省がなぜこれを知ることになったかと申しますと、その藤原工務店から、手形が不渡りになったのでその仲裁をしてほしいと東芝設備機器に直接交渉したけれども、らちが明かないので、ひとつ建設省にこの元請である東芝設備機器を指導してほしいというような依頼があったわけでございまして、現在、元請を指導しつつ、当事者間で話し合いをしていただいているところでございます。  今お話しの代金の支払いは、どうもその元請である東芝設備機器から一次下請には払われたということは事実のようでございます。それで、そのうち、また施主である明興運輸から元請に払われたうちの、東芝設備機器から一次下請の富合工務店に払われた額のうち、倒産によりまして一部はそういう形で二次下請に支払った手形が不渡りになっておりますし、また、一部は管財人の手元に残っているという状況であるというふうに聞いております。  それから今の、八十四名分で二千四百七十万円、この労賃の話が出ましたが、若干この辺は、その人数ですと、ちょっと二千四百七十万というのは多いではないかというようなことを、東芝の方は言っているようでございます。その辺は把握しているところでございます。
  218. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 まあそれは、八十四名とか、下請の分とか、業者の分とかありますからですが、建設省の方も東芝設備機器を呼んで、それで事情を聞いてもらっておりますが、その工事中の十月の時点で、一次下請の富合工務店がもう倒産に近い状態で支払ってくれない、だから直接藤原工務店へ支払ってほしいと言っていたこととか、東芝設備の方が一次下請のもう倒産に近い状態も知って、納期に間に合わない、その間に合わせるために二次下請の藤原工務店に随分無理を頼んでやったからこそ、よくやってくれたというふうに評価をしているということ。それから、藤原工務店の方から東芝設備に、未払い代金請求書とか労働者名簿とか各人別人工と作業別人工及び賃金額一覧表とか、こういう資料を出しなさいと東芝から言われて、そういう資料を求めに応じて出しているということ。こういうふうな関係にあるということは、これは建設省の方もつかんでもらっていますね、そういう関係は。
  219. 伴襄

    ○伴政府委員 これは民事の話でございますので、原則としてはまず当事者間でお話しいただくということで我々は極力話し合いが円滑に進むようにということで指導している立場でございます。  したがいまして、双方それぞれいろいろな主張があることは間違いないわけでございまして、今先生お話しになったのは、当事者の一方である二次下請の藤原工務店の方がそういうことを言っていることは承知しているつもりでおります。
  220. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 二次下請が言っているだけじゃなくて、そういう資料を全部出したということは、これは実際に出したコピーを建設省の担当の方に皆見てもらっていますから、ですから一万の側の話だけじゃなくてこれは建設省も確認してもらっていることですから、そういうふうに二万的な話を私もしたくないから、できるだけ公正に話をしたいと思うのです。  東芝設備の方は資料を出せ出せと言って出させておいて、出した内容は建設省も見てもらっているのです。ところが、ことしの二月の二十日になりますと、顧問弁護士の方から、「当社は藤原工務店とは、請負契約、雇用その他直接の契約関係に立つものではない」、「立てかえ払いをすべき事実関係及び法律関係は存在しない」、「労働者の労賃を支払うべき法律上の義務を負うものでもない」、「道義上、あるいは慣例上においても、当社が本工事労働者に対して賃金支払い義務を負担すべき状態にはなかったと考える」、こういう通知を、私も法律事務所の文書をここに持っていますけれども、それも建設省の方にコピーがちゃんと行っておりますが、そういう通知をしてきているのですね。  問題は、局長さん、これは建設業法第二十四条の六とか第四十一条を初めとする建設業法というものが全く眼中になしという、こういう態度にうかがわれるのですが、どうですか。
  221. 伴襄

    ○伴政府委員 今お話しの東芝機器の回答等は私も見せてもらっておりますので、それは見ております。それから、先ほどの資料等も、ちょっと私、直接あれですが、手元にあると思いますが、いずれにいたしましても、基本的にはこれは当事者間でまず解決していただかなければいかぬという問題でございまして、それぞれの文書について行政側から特段のコメントをする立場にはないわけです。  ただ、最初にお話がありましたように、東芝設備機器は特定建設業者でもありますし、下請のことをいろいろおもんぱかって行動するという加重的な義務もあろうと思っておりまして、それは先ほど四十一条等でおっしゃいましたが、そういう規定もございますので、そういった精神を酌んで極力お話し合いでもってやれるように、特に元請なんかも指導しているというのが今の状況ではないかと思っております。
  222. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 建設業法二十四条の六とか四十一条とか建設業法を前提として当事者間の話し合いということであれば、これは法律に基づく話なんですね。ところが、顧問弁護士の方の文書のように、そんなものはうちは全然関係ないんだ、建設業法知ったことかい一こういうことになってしまったら、もう全然話にも何にもならないという点、ここが私はこの問題の一番ポイントの大事な一つだと思うのです。  実は私も、まさか天下の大東芝系列の東芝設備機器ともあろうところがこんな不誠実なことはなかろうと思うくらいの話でびっくりしたわけです。冒頭にもお聞きしましたように、大体法第十五条で「許可の基準」に誠実な行為をしなければいけないわけでしょう。それが建設業法なんか知ったことかいと、こんなふうになったら、もう誠実も何も吹き飛んでしまうわけで、私はこの点で本当にびっくりしているのです。  少し経過的に見ておくと、ことし一月の二十日に川こういうふうになかなか払ってくれないということで藤原工務店の方が東芝設備機器大阪営業所へ篠田美貴夫さんという部長さんを訪ねていきました。この建設業法に基づいて、「元請責任で下請の不払い労賃の立てかえをお願いします」とお願いしたところ、篠田部長の方から、「建設業法にそんな規定はない。したがって、応じられない」。法律なんか関係なしということなんですね。  それから二週間ほどして二月六日には、この部長は、「建設省へ行って建設業法の説明を受けた。業法に基づいてできるだけ元請責任を果たしていく。窮状はよぐわかるので、できるだけ早く解決したい」。これは建設省の指導も入って少し前進がなと思ったら、今度はそれからまた二十日ほどするとこの部長は、「わしのところに金を出せというのか。工事の金は出せない。銀行から藤原工務店が借りて、あるいはまた他の業者に借りてもらって、五年くらいのローンで返せばいいじゃないか。働いて返したらよいじゃないか。労賃も待ってもらったらええ。立てかえ払いの金は一切出せない。」三週間したら話がまたころっと変わるのですね。  それからまた十日ほどしましてこの三月の三日には、部長から、「あんたらは借金せぬとどうにもならぬやろ。うちは絶対立てかえ払いはしまへんで。」それでその二日後には部長はまた、「上司に藤原工務店さんは昨年の秋の工事でようやってくれたと言ってあるんですよ。だからきょうは経理の担当の人も呼んである。私は敵じゃなくてあなたの味方ですよ。」ちょっと懐柔するような話も言い出すのですね。それから一週間しますと、三月十日にはこの部長は、「本社の意向で八百万円だけ払うてやる。後は自分で勝手にやれ。本社の意向だからこれ以上何も言えぬ。」翌日にはこの部長はまた、「三千五百万円あきらめて八百万円で同意しろ。」  これらの一連の経過は、建設省へはこのやりとり、逐一ファクスで資料も入れてありますから、この概要の方はわかってもらっていると思うのです。建設省もこの指導に入ってもらっているわけですが一いまだに建設業法が理解できないのか、あるいは恐らくは建設業法を知りたくない、無視したいというのか、そこはよくわかりませんが、あれから二カ月たって、建設省の方でもこのお話を聞いていただいて二カ月近くになりますが、進展がないのですね。  この篠田部長という方は、これは本社の指示だから、自分の判断では何もできないんだと表明しているわけです。そこで、本社の幹部の方にも建設業法をよく理解してもらう、そういう理解してもらう指導から始まるんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  223. 伴襄

    ○伴政府委員 ちょっといろいろ細かいやっとりは私も承知しておりませんし、先生が大変お詳しいようでございますが、東芝機器がどの程度建設業法を理解したかどうか、ちょっと最初の段階でよくわかりませんが、少なくとも私どもが、元請とそれから今の二次下請である藤原工務店との間でよく話し合うようにいろいろ進めて、それに応じているということは建設業法の精神なり規定なり、そういったことを酌んでやっているんだろうと思っておりまして、またそれが生かされるように図っていきたいというふうに思っております。  ただ、今は多分藤原工務店の方の言い分の方をお触れになったと思いますけれども、東芝設備機器の方で元請としてもまたいろいろな言い分があるようでございまして、その辺が、例えば先ほどちょっと申し上げましたけれども、管財人に残金があってそれが残っているというような問題だとか、あるいは少なくとも一番問題は労賃分だと思うのですけれども、労賃分相当につきましては六百万円ほどが労賃分になるだろう。これは東芝の言い分ですよ。東芝の言い分ですが、二次下請の日報によ名と三百名近くの方なんで、一日一人二万円としたら六百万だ。そうすると、少なくとも一次下請から二次下請には六百三十万円の金を現金で払っているから、それを充てるということもできたじゃないかといったようなこととか、それなつの元請の主張もあるようでございまして、二次下請は二次下請の主張があるというようなことで、その辺を双方の言い分を聞きながら仲介に当たっているというところでございます。
  224. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 あれですか局長さん、管財人が管理しているものというのは、これは建設業法と関係ないですね。建設業法に基づいて建設省の方は対応されるわけですね。私は、まずそこのところをきっちりしておいてもらいたいと思うのです。  双方の言い分は当然あると思うのです。だからこそ私は、藤原工務店に資料を出せといって東芝の方に出てきているわけですから、今度は東芝の方がその資料を突き合わせて、一つ一つの、例えば労働者の名簿は皆出ているわけですから、それから日報その他を現場の方はずっと見ておられたはずですから、突き合わせをして、そうしてこそ本当に具体的に解決することになると思うのです。  片方に資料を出せといって、自分のところは資料も出さない。資料の突き合わせもやらない。一方的な計算をして、これでもう打ち切りだ、これは本社の意向だ、管財人の押さえているところから勝手に取ってくれればいいじゃないかと。これは建設業法から何から全部足げにしたやり方ではないでしょうか。  当事者同士で、話し合いで円満解決するよう努力をしているということで、実際幹部を呼んで努力をしてもらっているのも私は知っているのです。そういう努力はだめだと言っているんじゃないのです。しかし、せっかく建設省努力をやられても、その建設省努力や指導を足げにするようなことをやっているんじゃないですか。私はそこのところが大事だと思うのです。  それでこの間、今はどうなっているかといいますと、労働者の方、孫請の親方などから毎日責められて、電話も毎日どんどんかかってくる、おばあちゃんはとうとう病気になってしまった。それから奥さんの方は里へ帰ってしまいましたよ。もう家におられない。支払いを済まさないことには、自分自身が仕事に行けない。こういう事態で、この藤原工務店の藤原さんという方は、まさに人間がつぶれてしまう寸前まで来ているんですよ。管財人相手の裁判を、これからずっと半年か一年かかけてやりましょうという、そんな余裕が全然ないというのが現在の下請の実態なんです。これは、このままいけば蛇の生殺しみたいなやり方では、本当に一家心中にでもなれば、これは東芝設備機器があれしたと言われても仕方がないような事態なんじゃないですか。  大臣、今私は建設業法の問題で、個々具体の問題にわたってこれほど細かく大臣に聞いていただきたいと思ってお話ししましたのも、やはり今景気が昨年の秋からよくないですね。それで、こういうときこそ下請中小零細企業を守るという必要があると思うのですよ。そしてまた、そういう点では、この建設業法に基づいて東芝設備機器の本社を指導しで、そして本社がまじめに、まともに大阪営業所などを指揮して早急に解決するように、そうでないと本当に、零細企業の方というのはもともと資金力がないわけですから、野だれ死にしてしまうのですよ。私は、こういう点で客観的に判断したいと思うし、大臣もその点では同じ立場だと思うのです。  だから、どっちがどうだとかこうだとか、ここで決めつけてという話ではないのです。ただ問題は、建設業法に基づいて、やはり大企業ですから、その特定建設業者が、そういう状態にある、本当に大企業に言われるまま一生懸命やってきた、誠実にやってきた、こういうところに対しては、この法律の趣旨にのっとって特段の努力をして早く解決しなさい、こういうふうな働きかけを大臣もやっていただきたいし、直接それをやられるのは担当の部局であるにしても、私は今日のこういう日本の経済情勢の中で、ぜひこの点については大臣にふくお考えいただきたいし、またそういう立場で頑張っていただきたいと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  225. 伴襄

    ○伴政府委員 ちょっとその前に少し事務的なことだけ先に答弁させていただきますけれども、ちょっと経緯的にくどいべつで申しわけありませんけれども、元請と一次下請と二次下請の関係でございますから、当然のことながら、契約関係は元請と一次、それから一次と二次ということでございまして、今一次は飛んじゃったので、本来契約関係のない元請の東芝と二次の藤原工務店との関係ということになっているわけですね。したがって、法律的に言えば契約関係のない人の中で何とかしろという話をやっているわけでございまして、直接の契約関係はないわけですね。  そういう、ないところをあえて例えば立てかえ払いするとか、そういうことをやるときには、当然のことながら必要があると認められたときなわけです。だから、本来損害賠償の義務はないわけです。本来損害賠償の義務のない者に対して、この法律によって立てかえ払いを求めるということになるわけですから、だから非常に厳格に運用せざるを得ないということは当然だと思います。  そういう中での話なので、例えば元請に対してこちらから言うこともかなり限定的にならざるを得ないところがあります。その辺を我々が間に入って、元請ももちろん指導しますし、両者円滑に話し合いをするようにということをもちろん進めておりますけれも、そういう限界点もあるということだけはひとつぜひとも御了解いただきたいと思います。
  226. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 下請契約関係におきます代金の支払いは、中小企業の保護という観点から極めて重要な課題であるということはよく承知をいたしておりますしばしば通達を出しまして、そのことが適正に行われるように指導いたしておるところでございます。  ただいま建設経済局長が申し上げましたとおり、本件に関しましては、私が申し上げました下請契約関係が直接的ではございませんで、二次下請という関係になっておるというところに、私が今先生質疑を承っておりまして感じました点でございます。ただ、血の通った行政という見地から、藤原工務店のお立場もまことに気の毒にも感じますので、よく事実関係を精査いたしまして、できるだけ円満な解決が図られるように努力してまりたいと存じます。
  227. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 まず局長さんの方、この建設業法、当然あなたの方は御専門ですから、私が多くを申し上げるまでもなく知っておられるはずですが、二十四条の六、これは逐条解説その他によりましても、下請に対し違反しないように指導すべき法令の規定という中で、下請代金の支払い、だから特定建設業者がその下請業者について、さらにその下請の人なんかに対して、代金が払われないということがないようにちゃんと指導するというのは、これは特定建設業者としてやらなければいけないことなんですね。  四十一条、他人に損害を加えた場合、これは「当該他人が受けた損害につき、適正と認められる金額を立替払することその他の適切な措置を講ずることを勧告することができる。」のですね。この勧告の内容はということなども、これは詳しく論じられておりますが、しかしこれは、勧告することができるのですよ。労賃が不払いになっておる、あるいは下請業者に損害を与えてしまっておる、下請が倒産して孫請がそういうふうになっている、こういうときには特定建設業者は、この法律によって、ちゃんと下請保護をやらなければいけないんだから、それがちゃんとなされないときには、これはまず勧告をすることができるというのがこの法律ですよね。  私は、そういう勧告を含めて、やはり本当の意味で、今大臣がおっしゃったように、中小零細の下請で困っておる業者に対して温かい施策をやるということは、それはやはり建設省はそういう立場で、なかなか話し合いをやってくれといっても、ずるずるいっているだけでちゃんとやらなかったならば、次は勧告をしますよ。勧告のその次に来る、また、ありますね。ですから、法律上も何段も本当に真剣に下請保護に当たるようにちゃんと規定をしているわけですから、私は、民事に介入しなさいとかいろいろそういうことを言っているのではなくて、この業法に基づいて下請保護、そういう立場でやってもらいたいということを言っているのです。  この点、大臣、私は特にその点を強調しているのです。建設業法、これまで出された通達の中で、それは皆あるわけですからね。もう一遍大臣に、私はこの法律に基づいてぜひ取り組んでいただきたいということをお願いし、大臣のお考えをもう一遍伺っておきたいと思います。
  228. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 建設業法にも先生のおっしゃるように勧告の規定がございますが、本ケースにつきましては、先ほど申し上げましたとおりよく実態を精査いたしまして、円満な解決が図れるように引き続き努力をいたします。
  229. 吉井英勝

    吉井(英)分科員 努力お願いしまして、終わります。
  230. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  次に、長谷百合子君。
  231. 長谷百合子

    ○長谷分科員 それでは、私の地元であります東京都多摩市に住宅都市整備公団によってつくられました聖ヶ丘の団地ですね、ここに緑地があるわけですけれども、これはもちろん公園台帳に載っておるような緑地でございますが、ここに道路を建設するということをめぐりまして、地元の方では道路建設に反対するというようなことで大きなトラブルが起こっております。このことに関連いたしまして、住宅公団の方に何点かお伺いしたいと思います。  まず最初に、この当時の「多摩ニュータウン エステート聖ヶ丘-3」というパンフレットがあるわけですけれども、ここの図面を見ますと、当時の図面のところに「緑地」というふうに指定がありまして、ここには何かが建設されるというような条項は全く入っておりません。こういったところに突如、住民の皆さんからしますと、全く、全然知らない、突然ということで道路建設が打ち出されてきておるわけでございますけれども、この道路建設の計画というのは、入居当時に予定があったんでしょうか。
  232. 鈴木政徳

    鈴木参考人 ただいま御指摘道路の問題につきましては、この聖ヶ丘団地の住宅を募集した時点、これは昭和五十八年の十一月から五十九年一月だったと思いますが、その時点では計画は立っておりません。当然、私ども住宅の募集をするときには、物件の概要であるとかあるいは周辺の施設計画の概要につきましても、概況を示すパンフレットを作成して募集しますし、また、契約時に入居説明会を開催しますが、そういうところでもそうした周辺のことを含めまして計画については説明をしているところでございます。  先ほど御指摘道路につきましては、その募集の時点では全く計画はございませんでした。
  233. 長谷百合子

    ○長谷分科員 そういたしますと、この道路がここに建設されるという計画ができたのは、何年の何月何日ということでしょうか。
  234. 依田和夫

    ○依田参考人 当該道路の計画につきましては、東部団地とその西側の聖ヶ丘団地とを連絡する道路でございますが、東部団地を新住宅市街地開発事業の施行区域から除外する都市計画の変更のために昭和五十七年から六十年にかけて行われました東京都、多摩市、住宅都市整備公団の三者協議会におきまして、その整備が必要であると結論づけられたものでございます。  以上でございます。
  235. 長谷百合子

    ○長谷分科員 そういたしますと、昭和五十七年から六十年にわたって道路の計画ということが検討されてきた、今こういうお話だったのですけれども、そういたしますと、その計画の段階で、その地域の住民の方、具体的にはこの周辺の団地を購入された方あるいは賃貸で住んでいらっしゃる方ということになりますけれども、こういった方々には公団の方から道路の建設が実は行われるんだというような説明はされたんでしょうか。
  236. 依田和夫

    ○依田参考人 先ほど鈴木理事もお答えいたしましたが、募集時の五十八年末から五十九年初めにかけました時期におきましては、当該道路の計画はまだ確定しておりませんでした。したがいまして、説明はしていないということになります。
  237. 長谷百合子

    ○長谷分科員 五十九年に入居ということはもちろん存じておりますけれども、計画をつくってきたというのは、今のお話しのように、その入居の以前から公団が緑地を所有しておったわけですね、その段階でも計画があったんだというお答えだと思うのですけれども、これに対して住民に説明をされましたでしょうかということなんですけれども
  238. 依田和夫

    ○依田参考人 この三者協議会の結論につきましては、六十年の四月に出されております。
  239. 長谷百合子

    ○長谷分科員 ですから、六十年の四月に出されたと、これはずっと話し合いをしてきて六十年の四月に正式に出されたということですが、そういたしましたら、住民には説明をされましたでしょうかということなんですけれども
  240. 依田和夫

    ○依田参考人 住民には説明をしていないということでございます。
  241. 長谷百合子

    ○長谷分科員 これはやはり正当な消費者にしてみますと、消費者というのはおかしいですかね、住民の皆さんから見ますと、この地域は緑地ということで非常に期待度が大きいわけですね。環境が非常にいいということで買われているというふうに聞いております。多くの方がそのようなことを、非常にすばらしい環境だからここに住もうというふうにして判断をされたという方が多いのですけれども、そういう方々は、まさかここに道路の建設がされるということは全く知らないわけですよね。知らない方に対してやはり実はここは道路ができるんだということは説明する必要があったんじゃないでしょうか。
  242. 依田和夫

    ○依田参考人 分譲時点では、先ほども申し上げましたとおり計画が確定しておりませんでしたので、説明はなされませんでした。
  243. 長谷百合子

    ○長谷分科員 確定はしていなくても、計画ができたときに住民に説明をする責任、こういったものがあるんじゃないか、そういうことを申し上げているのですけれども
  244. 鈴木政徳

    鈴木参考人 先生既によく御承知のことをちょっと繰り返し申し上げるようなことになるかもしれませんけれども、新住宅市街地開発事業は、いろいろの公共施設を整備しながら良好な住宅地を大量につくる事業でございまして、多摩の新住事業におきましても非常に広い面積をやっているわけでございます。公共施設、例えば聖ヶ丘の緑地につきましての費用も八王子の方の区域内の方々も負担していただいていますし、逆に八王子の新住区域内につくる事業につきましても聖ヶ丘の団地の方々にも負担していただくということで、事業トータルとしましてそういう負担関係を決めているところでございます。  この緑地は、これまた先生承知のとおり、六十年三月に市の方に移管されて、市が現在管理している公共施設でございます。その後の社会情勢その他によりまして、この引き渡した公共施設が変更が加えられ、あるいはその公園の中に新たな施設ができるという例もあるわけでございますが、そうした場合には市の方が道路法とか河川法とか、あるいは都市計画法といったような公物管理法あるいはそれに基づいた条例によりまして適正に管理をし、その手続に従ってそういうものに変えていくわけでございまして、その過程で地元住民の方々に対しても何らかの調整をするということが必要であれば、公共施設の管理者である市の方でいろいろ努力をされるものというふうに理解しているところでございます。
  245. 長谷百合子

    ○長谷分科員 ですから、それは市がやればいい、公団にはそういった責任はない、そういうことをおっしゃっているんですか。それじゃ困るんですよね。売ってしまって、しかも昭和五十七年の段階、まだこの計画があって入居される前から、少なくとも道路はどこかにできるんだということがあったわけですよね。それを全く住民の方には何ら説明がなくて、当然住民の人は、買えばここはわあすてきだな、こういうことで買われているわけですよ。それが行政内部といいますか、公団と市との間の、内の事情ですね。多摩市に移管してしまったので、公団には責任がないんだということを言われましても、それは住民の側からしたら断じて理解できないところじゃないんですか。
  246. 鈴木政徳

    鈴木参考人 先ほど申しましたのは、公団が施行して完成したものを本来の管理者であります地方公共団体に引き継ぐわけでありますが、引き継いだ後は、これは先ほども、繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、いろいろの公物管理法あるいはそれに基づく条例によって管理主体である市が一義的に責任を持って対応している問題でございます。したがいまして、市がそうした法律や条例に基づいてやっておりますことについて、公団としては市の方の意向に従うという姿勢にならざるを得ないということでございます。
  247. 長谷百合子

    ○長谷分科員 いや、だからそういうことでは公団は、やはり要するにお客さんに対して、住民の皆さんに対して責任がとれない、とってないと同じじゃないですか。しかもこの地域というのは、この団地と緑地を含めた工事というのは昭和五十八年に完了している。完了していて、その段階で緑地を整備されていたのですから、住民の方から見れば、数年たった後で突然ここに道路ができるというようなことは納得いかない。そのことから今回の多摩市のトラブルが起こっておるわけです。  こういったことに対して、移管してしまったのは、先ほど言いましたね、三月に多摩市に移して四月には正式には出したんだということで責任はないんだとおっしゃいますけれども、その前に既に計画としては、どこかにできる、こういうことがあったわけですから、それならば、パンフレットなりあるいは住民の入居に際してやはり何らかの、どういう言い方になるか知りませんけれども、ここは将来何らかの便利な道路、生活道路、そういったものができる可能性がありますということは言う必要があるんじゃないか、こう申し上げているんですけれども
  248. 依田和夫

    ○依田参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、分譲した時点、五十九年の初めにおきましては道路の計画はございませんでした。そこで、六十年の三月にこの緑地は市の方に引き継がれたわけでございまして、その引き継ぎによって、住民の方々に対する説明を含め地元調整につきましては、道路の事業主体であります多摩市が行うこととなったわけでございます。
  249. 長谷百合子

    ○長谷分科員 先ほども言われました、広い地域で負担するというのですけれども、やはりここの団地を買われた方あるいは賃貸住宅に住んでいらっしゃる方からしますと、この土地を買ったときのお金、買い上げのお金、それから造成した価格、こういったものを金部合算いたしまして分譲価格なり賃貸価格、こういうものがつくられておるわけです。  そういたしますと、やはり住民にしてみれば、自分たちの負担においてつくられた緑地、しかもこれ、ちゃんとした緑地ですよね。先ほども言いましたように、きちっと公園の台帳にも載っかっておるわけです。こういったものに対して、多摩に移ってしまったからもう今さら何とも言えないんだ。というと、多摩が悪い、多摩市が扱うべきだ、多摩市が住民にきちっと説明をしていないというようなことであって、公団はない、多摩市が説明をしていないということが問題だけだ、公団にはない、こういうことをおっしゃっているわけですか。
  250. 鈴木政徳

    鈴木参考人 何度も繰り返しになって大変恐縮でございますが、御承知のとおり、現在、公園の管理主体は市でございます。市はそれぞれの、そのときどきの要求あるいはいろいろの利害調整の一環としまして、いろいろそれに変更を加えるということは決してないわけではないと思います。  その場合に、都市公園法あるいはそれに基づく条例、さらに、予算が必要ならば市議会に予算の議決をしていただいてというようなことで、地方自治の趣旨に基づいて地方公共団体がやっていることでございまして、全く公団が責任ないかという直接的なお答えには大変難しい問題でございますけれども、私どもは、市のそうした努力を見守りながら、市の意向に沿っていろいろの措置をとっているという状況でございます。
  251. 長谷百合子

    ○長谷分科員 やはり公団にも責任があると私は思います。それがやはり消費者であります買い手の方に対する責任というものだと思いますし、そういうことがなければ公団との信頼関係というものも崩れてしまうわけです。第一、多摩市がやることだというのでもう既に六十年の引き継ぎ、ほとんどこれはもう、私たち住民の方から言わせれば非常にごまかしに近い。三月に引き継いでしまって、決めたのは四月ですよ。この一カ月で全部決まってしまったんだからあくまで多摩ですよと言うのですが、ではそのとき多摩市に対して何らかの、それはちょっと困るとか、そういう計画は当初ないんだからそれはきちっとしてやっていただかなければ仕方がないというようなことは多摩の方に伝えられたのでしょうか。
  252. 依田和夫

    ○依田参考人 直接のお答えにならないかもしれませんが、東京都と多摩市と住宅都市整備公団の三者協議におきまして結論づけられたことは先ほども申し上げました。このような経緯もございまして、地元の多摩市と公団との協議の結果、多摩市がルートの決定も含め責任を持って整備を行い、公団がその費用を負担することとなったものであります。したがいまして、住民の方々に対する説明を含め、地元調整につきましては、事業主体であります。多摩市が行うこととなっているわけでございます。
  253. 長谷百合子

    ○長谷分科員 それでは、多摩市がやるこの工事に対して九千万近い工事費というのを公団が負担されるということになっておりますけれども、それは、そうするとどういうことになりますか。多摩市がやって多摩市しか関係のないことだ、公団にとってはこのことについてとやかくは言えないんだということであれば、そこに対してお金を出すということもやめられたらどうでしょうか。
  254. 依田和夫

    ○依田参考人 本件につきましては、多摩市が市議会での議決等を踏まえた上で施行される道路事業でございますので、何とぞ御理解を賜りますようお願いしたいわけでございます。  公団といたしましては、多摩市との間で本件道路に関しまして負担金を支払う契約を締結いたしておりまして、それに基づいて負担することとなるものでございます。
  255. 長谷百合子

    ○長谷分科員 私も、これは問題がなければ別にこういうところで何だかんだと言うわけじゃないのですけれども、大変大きな問題になって、住民を二分するような対立になっておるわけですね。  こういった状況で、多摩の市長はこういうふうにおっしゃっているようなことが新聞に伝わっております。全部の人の同意を得なければいけないということはないというふうにおっしゃっておりますけれども、既にこの道路建設に対しては二千名にも及ぶ反対署名というものも出てきて、差しとめの監査請求というのも市の方に出されているわけですね。こういったような状態の中で、やはりそのお金だけはかっての約束なんだというような形で出されてしまうことについて、公団は公団としての立場、責任としてどうか、こういうことをお伺いしているのです。
  256. 依田和夫

    ○依田参考人 契約を締結しておりますので、それに基づいて負担することになります。
  257. 長谷百合子

    ○長谷分科員 住民の皆さんからしましたら、購入するときにこのパンフレットを見まして、どういう環境かな、そういうことを踏まえて買われているのですよ。こういうものがなければいいですよ。緑地ですということで、しかも、五十八年から既に七、八年たっておりますけれども、その間は何にも住民の方は知らないわけです。昭和五十八年に既に工事も完了しているので、当然住民の方からしてみればこのままもちろん緑地が保全されるというふうに思っていたわけですよ。  それを、今の公団のようなお話ですと、市に移してしまったんだ、移してしまったんだから、そうなればそこにビルができようが火葬場ができようがお墓ができようが、そんなものができたって、それは多摩市のやることだ、自分の権限外だ、それは口を挟むことはできない、そんなようなことになったら、住民は、例えばこういうパンフレットを見ながら公団から買えば、公団は非常にいいものをつくってくれているんだという信頼の上で買っているのですけれども、その信頼が崩れてしまう、こういうことにはなりませんか。
  258. 鈴木政徳

    鈴木参考人 ちょっと言葉じりをとらえるようで大変恐縮でございます。先ほど、移管してしまえばどんなことに使われてもというようなお話がございましたが、移管いたしましても、これは当然都市公園法なりそのほかの公物管理法に従って、またそれに基づく条例に従って適正に管理されるべきものでございまして、そうした法律には、公園なら公園として管理していく上で当然いろいろ制約があるわけでございます。  先ほど申しましたように、予算はまた市議会の方で議論していただくことでもございますし、それぞれそうした法律あるいは条例、そして設置の精神に基づいて適正に設置、管理されているものだと思いまして、私どもは市のそうした努力に対して、それに応じて対応していくということにならざるを得ないというふうに考えております。
  259. 長谷百合子

    ○長谷分科員 そうしますと、ここを緑地として価格にも含めてお売りになったのだと思うのですけれども、その緑地が全部消されて道路になるということに対しては、公団も賛成だ、そういうふうにおっしゃっているわけですか。
  260. 依田和夫

    ○依田参考人 これは市議会の議決を経て推進されている事業でございますので、公団といたしましては、この点についての意見は差し控えさせていただきたいと思います。
  261. 長谷百合子

    ○長谷分科員 この問題、大変深刻でありまして、強制的に着工されたりして、住民の皆さんがそこに入って阻止をするというようなトラブルになっておるかと思うのですけれども、そういったトラブルを、では現実的にどうするのかというようなことを考えたときに、地元の皆さんで、実はこの東部団地の北側に当たりますか、ここに公団所有の土地がございますわ、この土地の中に新しい道の、今の計画で着工するという道路ではなくて、どちらの団地の方、対立している団地の住民の皆さんの両方の合意を得られるようなルートというものが検討されております。  こういったルートについてやはり検討を加えていくということをやらない限り、こういったトラブルのままに強行されていくことに対して、これは公団にとっても大変な信用を損なうことだ、私はそういうふうに思うわけですね。もちろん多摩市にとっても大変なことですけれども、公団にとっても大変厳しい状態じゃないかと推測するわけです。  そういったことに対して、トラブルがこのような状況である段階ではやはり着工を見合わせる、そこまで言えないならば、お金に関してはトラブルを解決する、多摩市が解決した段階で執行するというような立場をぜひ公団側はとられるべきだ、こういうふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
  262. 依田和夫

    ○依田参考人 当該道路につきましては、多摩市が計画を立案され、また市議会での議決等を踏まえた上でお進めになっておられることでありますので、公団といたしましてはルートについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、ルートも含めまして、地元との調整につきましては多摩市が行うこととなっておりますので、この旨何とぞ御理解を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
  263. 長谷百合子

    ○長谷分科員 そういうお話を聞いておりますと、土地を転売していく、売ってしまえば法的な支配関係が変わってくるのでそれは知らないということをよく繰り返し言っておられるようにも思うのですけれども、こういうことがまかり通れば、公団とは一体何か、土地の売買とは一体何かというようなことにもかかわってくるんじゃないか。あくまで公団は住民の立場に立って団地をつくられていると私は思うのですね。そういう立場からして、この問題に関して、もう引き渡してしまったのだからというようなことを繰り返し述べられるということに対しては大変遺憾だと私は思うのですね。  やはりそうなれば、最初鈴木理事のお話にあったように、既に道路建設は引き渡し以前にも、住民が入居される前からも出ていたような話である。協議会というのはもうやっておられるわけですから、やっておられるならば、今だって別に多摩市と全然話ができない、こういうような立場にはないわけです。多摩市と一番コミットしてやっていかれる立場にあるのはやはり公団だと思うわけなんですね。そういったときに、あくまで住民の立場に立つ、住民のトラブルを解決する、こういった立場に立たれるのが公団のあり得べき姿、正しい姿だ、こういうふうに私は申し上げておるのでございます。その辺を含めてお答え願います。
  264. 依田和夫

    ○依田参考人 ただいまの先生お話の中で、五十七年時点で道路の計画があったというような御理解におありのようでございますが、当該道路が確定いたしましたのは、先ほども申し上げましたけれども、昭和六十年四月でございます。したがいまして、入居時点におきましては道路の計画が決まっていなかったということで御理解をいただきたいと思います。
  265. 鈴木政徳

    鈴木参考人 済みません。ちょっと補足させていただきたいと存じますが、私最初に申し上げましたのは、パンフレットをつくり募集した時点あるいは契約時点のときには全然私どもも知らな、かったということを申し上げたのでございまして、当然知らないことをパンフレットに書けるはずもございません。今依田理事がお答えしましたように、計画が確定したのは募集したその後でございます。
  266. 長谷百合子

    ○長谷分科員 引き渡しをした後だから書けなかったということですけれども工事の計画があったということ、それからその後も引き続きこの九千万円近いお金を多摩市に支払うというような話なので、公団と市は非常に緊密な関係にあるというふうに私は申し上げているのです。  この土地にしても、私、先ほどちょっと売買という言葉を使ったかもしれませんけれども、無償で多摩市に移管されておるわけですが、移管されるに当たっては、当然この現状、公団が当初予定したこういった緑地を含めて住民の皆さんが買われたのであれば、その現状を維持していくということを努力されるべきだ、そういったことについて、それこそ市が道路をつくるんだと言われたときに、どうしてそういうところで住民に対する説明というようなことをする立場にないのか、そこが住民の側から見れば全く見えないことなんです。わからないことなんです。  では、住民は一体どうすればいいのですか。公団に言うしかないんじゃありませんか。
  267. 鈴木政徳

    鈴木参考人 私どもも一般の方々に土地を分譲したりするときには、当然現状のままで使っていただきたいという買い戻し特約等をつけますが、この緑地は、相手が地方公共団体でございますし、また公園の管理につきましては、何度も申し上げて恐縮でございますけれども、都市公園法その他いろいろ公物管理の法律がございます。また、その法律に基づいて地方公共団体が条例もつくっている。また、場合によりましては、予算の場合には議会で議論していただきながら管理しているものでございまして、こうした地方公共団体にお渡しするものにつきましては、当然そうした法律にのっとって適正に管理されるという前提で、公団といたしましては、こうした公共施設について地方公共団体に移管するときには特に条件をつけるというようなことはやっておりません。その辺は御理解いただきたいと存じます。
  268. 長谷百合子

    ○長谷分科員 もう現地では連日、工事着工をする作業員の方と住民がもみ合うという本当に不幸な事態になっておるのですね。こういったことをこのまま続けていくわけにはいかないと思うのです。どちらにとっても貴重な時間を割いて駆けつけているわけですから。こういったことに対して、やっぱり責任を持って市の側に対して公団側の意向あるいは住民の意向ということについて話し合いをしていただきたい、それが公団の役割じゃないかということを私は望んでおるわけです。そういったクレームをつける、あるいは地方自治のことだから仕方がないんだということになれば、今後の公団の信頼ということについて私は非常に心配なわけですね。これから住民がかかわるときにも、これも何度も言いましたけれども、それでは売ってしまったらそれっきりだというようなことでは、住民は怒りのやり場がないのじゃないでしょうか。
  269. 依田和夫

    ○依田参考人 これまでも、住民の方々の陳情や先生方の御意見につきましては多摩市の方にお伝えしてきたところでございますが、本日の先生の御意見につきましても、誠意を持ってお伝えいたしたいと考えております。
  270. 長谷百合子

    ○長谷分科員 多摩市にしても公団にしても、住民の幸せということが一番大切なことだと思います。こういった不幸な事態を解決するように、住民の側に立って配慮をされていくことを一層望んでおりますので、努力をされることを心よりお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  271. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて長谷百合子君の質疑は終了いたしました。  次に、大畠章宏君。
  272. 大畠章宏

    大畠分科員 日本社会党の大畠章宏でございます。  今、長谷委員からもいろいろお話がございましたけれども、とにかく国の仕事というのはもっと住民の方々の意見を聞いたり、あるいは地域状況を十分踏まえた上で施行をしていただきたいなという感じを持ちました。私もそういう観点から、この予算分科会というのは地域の言ってみれば住民のいろいろな声を、小さな声かもしれませんけれども、そういう声をベースとして、あるいはその声が日本の国の建設省のいろいろな仕事の中で本当に大きな流れとして間違ってないかどうか、そういうことをチェックする意味でも、この予算分科会等で小さな住民の声を検討していくというのも重要だろうと思いますので、地域の声を幾つか取り上げながら、それに対する御意見等を、あるいは建設省のお考えを伺ってまいりたいと思いす。  最初に、私の選挙区の非常に強い要望があるのですけれども、私は茨城県の県会議員のころから日立市内の交通渋滞問題は一生懸命取り上げてまいりました。今、国の方でも国道六号のいわゆる日立バイパス工事というものに御尽力をいただいているところでありますが、最近になりまして、どうも日立バイパス工事完成見通しが二転、三転といいますか、幾つかの意見が出されております。平成七年には完成するだろうという意見や、平成十年あるいは平成十四年ぐらいになるのではないかという幾つかの見通しが出ておりまして、地域住民の方ではこの一日も早い完成を望んでいるわけでありますが、一体どうなっているのだろうかという声も聞こえております。そういうことから、まず最初に、この国道六号の日立バイパス工事進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
  273. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、この日立市内の一般国道六号は唯一の幹線道路で、朝夕非常にふくそうしていることを承知しております。そういうことで、私どもも日立バイパスを現在約四・七キロで事業化をいたしております。都市計画決定は十キロということでなされておりますが、その中で六号のバイパスとしては四・七キロを日立バイパスという形で事業化いたしました。五十九年の八月に都市計画決定を行い、六十年度から用地買収に着手してきたわけでございます。特に、平成三年度は本バイパスの途中で都計道の神田鈴の宮線と連絡し、海上部工事工事用進入路となる鶴首インターについて、橋梁下部工事に着手したところでございます。この二月の二十六日に起工式もさせていただきました。  ただ、本事業は、海上部を埋め立てて盛り土を構築する部分と海中に高架橋を建設する部分が大半で、海中、海上での工事が連続する上、工事用進入路も少ない等、大規模かつ制約条件の多い工事となっておることは御承知のとおりでございます。四・七キロのうち三割の一・五キロが陸上部で、あとは全部海岸部、しかも海上部の埋め立てをするところが一・三キロの二八%、高架橋でするところが一・九キロの四〇%でございます。しかも、私どもこの事業をやりながら、このようなことはまさかないだろうと思っていたのに、残念ながら非常につらい思いをしておりますのは、例えば用地取得に際して所有者の不明地があります。これは神社でございますけれども、所有者が不明なためにだれと交渉していいのか。これを地元方々と御相談しながら一生懸命捜しております。あるいは民民で境界争いが三筆でもって行われておりまして、これが今解決のめどが立っておりません。何とかこれを立てませんと交渉の相手に相手側がならないとか、もう一つびっくりしたのは、海中に民地が四筆もあります。海中にピアをつくったり盛り土をするのですが、その海中に民地がございました。普通は海中に民地はないのですが、海岸線が移動したことで結果的に海中に民地が存在していた。  実はこの事業を始めたときに、多くの方々にいつまでにやりますよということを申し上げたときには、こういうことがわかってなかった。そこで、こういうことがわかった以上は、建設省はもちろんでございますが、市あるいは昔からいる方々とか、いろいろな方の応援をいただかないとどうにもなりませんので、そういうことで今やっております。今用地は、面積ベースでは六八%まで何とか進んできております。その中で特に渋滞が激しいのは、高速道路からのインターの関係もありますが、滑川浜入口交差点というのが、これは先生の方が御承知でございます。その交通混雑を解消するのが一番大きな問題だと思いますので、せめてそこに至る鶴首インター以北の区間の三・二キロだけは何としても早目に供用したい、まずそこだけでもということで、そこについては今用地取得は八五%まで済みました。全線は六八%ですが、そこだけは八五%ということでございます。  しかし、その場合にも実は文化財がまたございまして、その文化財も、またどうしてこう難しくなってしまうのかと思うのですが、用地買収をしなければその文化財の調査のできないところがあるわけです。その場合の四千百平米のうち二千五百平米は山崎遺跡、あとが滑川浜館遺跡の中でございますが、まだ土地を買わせていただいておりません。せめてここだけは早く買わせていただかないと、ここの文化財は買ってから文化財調査をするものですから、こういうソフトの部分にえらく時間がかかってしまうのです。ハードの方は、我々ある程度めどが立つのです。そういうことで、地元方々の信頼を失わないようにできるだけこれからもやりながら、先生が御指摘のように少しでも早くということで、一つのめどとしては平成五年度から始まる次期五カ年計画の中だけでもそのめどを立てたいということで頑張らせていただきたいと我々思っております。何はともあれ、こういう次々に出てくるいろいろな問題には、地元と一緒になって当たりたいと思っております。
  274. 大畠章宏

    大畠分科員 大変詳細に現地の状況を調べ、その問題に対応しようとしていただいていることに対して心から感謝を申し上げたいと思いますが、今お話がありましたとおり、住民の方は、日立の交通渋滞を半ばあきらめつつあるのです。しかし、その解決への一つの大きな出口としてこの日立バイパスに対する期待は大きなものがあります。今、平成五年度から始まる五カ年計画の中で一つのめどをつけたいという話がございました。私も、この日立のバイパス工事全線の問題については、いろいろ詳細に調べれば調べるほど難しい問題が出てきているというのは承知をしております。  そこで、これは最近ある地方自治体の長の方が申されていました。一年でできることを二年でやるということは増税につながる、一年でやることを半年でやる場合には減税につながる、そのくらい行政の仕事というのは責任を持って対応しなければならないものだ、こういうふうな話をある講演のときに聞いたわけであります。この道路工事も、今できるだけ早くということでありますが、言ってみれば難しい問題があるから、完成年度というものをなるべく安全パイに見て後ろ倒し後ろ倒しということじゃなくて、住民の方々の意見を聞きながらあるいは状況を見ながら、この部分については例えば平成七年だったら平成七年、平成八年だったら平成八年やろう、あるいはこの部分についてはこういう問題があるから平成十四年までかかってしまうとか、そういう、全線じゃなくて、今お話がありましたとおりできるところは早く完成させて、そして早く部分的にも使用させていくという具体的な目標を立てて仕事を進めていくことが、行政としても大変重要じゃないかと思うのです。  今、平成五年から五年間に一つのめどをつけるという話がございましたけれども、再度、その全線の間を区切ってでも早目に供用させるという検討をしていただきたいと思うのですが、それに対する御見解をいただきたいと思います。
  275. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 私ども、ぜひさようにしたいと思います。ひとつ先生にも、御指導を今後ともよろしくお願いしたいと思います。
  276. 大畠章宏

    大畠分科員 二番目の問題に入りたいと思いますが、これも私の住んでいる日立市の裏の方にはずっと山が続いておりまして、どんどん今過疎化が進んできております。そういう山間地域で非常に期待していますのがやはり道路整備でございまして、その中でも特に、地方財政というのが厳しいこともありまして、県道から国道に昇格していただきたい、そういう声が茨城県内でも国の方に四路線ほど出されていると思います。その中で、私の地元の方では一つの路線、高萩大子線というものをぜひ国道に昇格させてもらいたいという強い要求を受けています。この地域も、皆様御存じのとおりの過疎化の進む山村を貫く道路の一つであります。  そこでちょっとお伺いしたいのですけれども、この道路網構想というのは、昭和四十二年の第五次道路整備五カ年計画の策定時に、おおよそ五万キロをめどにしようという五万キロ構想というのが生まれたと伺っております。そういうことを考えますと、今全国からは大変大きな一万二千キロですか、百八十路線一万二千キロの要望が来ている。現在残されているこの五万キロ構想の中ではあと五千七百五十キロぐらいしかないということでは、競争率が長さでは倍になっているわけですが、昭和四十二年に策定された状況とは現在の状況は非常に違ってきています。例えば公共投資四百三十兆円をアメリカ政府に約束しているとか、そういう状況もございますので、そろそろ全体のこの計画そのものを、現状勘案しながら再度見直すべきじゃないかという考えを持っておるのですが、この件について、現状についてお伺いしたいと思います。
  277. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘のとおりでございまして、私ども四十二年の第五次五カ年計画の時点、ちょうど車が保有台数でいえば一千万台、あるいは運転免許者でも二千五百万人、GNPでも百十三兆円、こういう時代でございました。現在は、御承知のように保有台数も六千万台になろうとしておりますし、運転免許者は六千三百万人になろうとしております。全く車社会という形で大きく変わってきております。そういう中で、実は一般国道は日本じゅうの幹線道路の十分の一、一般国道延長は五万キロで幹線道路延長は約四十万キロと言っておりますから十分の一ぐらい、こういうことでしょうけれども、日本じゅうの全交通量の三分の一をこの五万キロが担っているわけでございます。そういう国道が、一極集中是正で多極分散型で、そして地方こそこれから大きな集積生活圏をつくろう、こういう段階でございますので、そういう見方の中で見れば、今までのネットワークで本当にいいのかどうか、これは大きな問題になっております。  そこで、現在、道路審議会という私ども建設省にある審議会におきまして国道網等の規模についても御検討いただいております。それを待って私どもは対応するわけでございますが、考え方としては、そろそろ別の見方をする時期も来たのかなという感じはしております。しかし、今回の国道昇格の作業におきましてはまだそういう政策的な転換をしている段階ではございませんので、五万キロをめどといたしまして今実際の具体的な作業に入らせていただいております。そういう中で、茨城県から四路線が出ておる、しかも先生指摘の高萩から出ている路線はかなり古くからの歴史を持った路線であるということも承知をいたしております。具体的なその内容について申し上げるわけにはまいりませんけれども、今年度中にはその結論を出していただきたいというふうに考えております。
  278. 大畠章宏

    大畠分科員 山村地域にとっては、言ってみれば産業や文化や経済の本当に動脈となる道路でございますので、日本全体のそういういろいろな状況もございましょうけれども、特に過疎化が進む地域あるいは地方都市のいろいろな御意見を賜りながら、それをベースとした国道昇格あるいは道路整備に努めていただきたいということを要望して、次の質問に入りたいと思います。  もう一つは、これも私の地元の方の問題でございますけれども国道二百九十三号線の常陸太田市内のバイパスというもの、これも地域の方では大変強く要望されているものでありますが、このバイパスの整備状況についてお伺いをしたいと思います。
  279. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 二百九十三号、これは日立市から足利市に至る百六十四キロの幹線道路でございまして、その中で特にJR水郡線及び日立電鉄線の終点であります常陸太田駅前で一般国道三百九十四号と交差しておりますので、慢性的な渋滞が生じていることを私ども承知しております。  そこで、延長約五・六キロのバイパスに着手いたしまして、現在、これまでに主要地方道の常陸太田烏山線から金砂郷村における現道との分岐約三・七キロは用地買収を完了いたしました。現在、工事に入っております。県道富岡玉造常陸太田線から現道との分岐までの約一・四キロだけは、平成四年度に供用できるものと思っております。いずれにいたしましても、こういう渋滞対策が私どもの大きな政策課題でございますので、早く対応させていただきたいと思っております。
  280. 大畠章宏

    大畠分科員 今お話がありましたけれども、ぜひこの路線につきましても地域の住民の方々の意見を反映させながら、先ほどの長谷百合子委員のお話等で住民とのトラブル云々というのがありましたけれども、この地域の方では全面的に歓迎をしているというふうに私も聞いておりますので、ぜひ積極的な事業の展開を図っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  次に、地方の町づくりという観点から幾つか御質問をさせていただきたいと思うのですが、その前段に、私も東京で月曜日から金曜日まで過ごしておりまして、首都圏の一極集中というのはすごいものだなという感じがいたします。今政治倫理が問われていますが、特に永田町を取り巻く町の環境なんかも、自然はなかなかありませんし、人間が自然や人のぬくもりというものを感じながらの生活というものがなかなか難しくなってきていると思います。そういうことで、前段でちょっとこの首都圏の一極集中傾向の改善について、たくさんいろいろなことがあると思うのですが、基本的なポイントだけ、要するに東京もこれから一極集中をなくして新たな町づくりをする方向で進んでいるのかどうか、具体的な点がありましたら、それを含めてお伺いしたいと思います。
  281. 小林勇造

    ○小林説明員 初めに、国土庁といたしまして基本的な考え方をお答えしたいと思います。  御承知のとおり、国土の均衡ある発展を図るために、東京一極集中を是正し、多極分散型の国土形成を図るということが極めて重要であるということで、まさに四全総の目標でございますし、国土政策上も現在一番重要な課題になっておるというふうに国土庁として認識をしております。  そこで、方向といたしまして三点ございまして、まず東京への集中を抑制するということ、それから東京からの分散あるいは移転を促進する、それから地方圏の戦略的また重点的整備といった方向で諸般の施策を進めることが必要だというふうに考えておりまして、具体的には関係省庁との連携のもとで、例えば多極法に基づく国の行政機関の移転、それから振興拠点地域の開発整備、さらには高速交通体系の整備、またテクノポリス法だとかあるいは頭脳立地法に基づく地域産業の高度化、さらに地方の自立的な成長と発展の拠点となる地方拠点都市地域整備など各般の施策の展開を通じて、今後とも一極集中の是正をしていきたいというふうに考えております。
  282. 大畠章宏

    大畠分科員 この首都圏の一極集中傾向の改善というのは、一言ではなかなか難しいと思います。今、国会の方でもこの国会そのものの移転計画等も検討されておるそうでありますが、いずれにしてもそういう抜本的な対策をとらなければ、この東京というのはもう死んでしまうのじゃないか。水の問題についてもぎりぎりのところにまで来ているということでありますから、ぜひそういう観点で積極的な計画の推進を図っていただきたいと思います。  今いろいろお話がありましたけれども、この東京一極集中の改善のための地方拠点都市法、略称だと思いますが、この構想も検討されておるところでありますが、こういう法案が提案されているということでありますが、この法案の対象とならないような地方都市、先ほど私が申し上げましたとおり過疎化が進む山村地域の地方都市の問題でありますが、まさに今若者の流出や、あるいは農地も大変荒れほうだいになっているという状況もございます。こういうことを踏まえて建設省としては、大都市の再検討あるいは中都市の再検討もそうでありますが、このような小さな地方都市の問題についてどのような形でてこ入れをしょうとされているのか、伺いたいと思います。
  283. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘ございました地方拠点都市法でございますが、先ほど国土庁からも御答弁ございましたように、国の基本的な考え方として、四全総に基づく多極分散型の国土形成施策を展開しているわけでございますけれども、今回の国勢調査の結果を見ますと、人口減少が前回の一県から十八道県に増加しておるわけでございまして、地方部での人口減少が非常に広がる厳しい状況になっている。しかしながら、一方で地方部にありましても、政令指定都市とかあるいは県庁所在都市では人口も伸び、成長する状況が見られるわけでございます。  このような状況を踏まえまして、今回の法案では地方の成長を牽引し、地方定住の核となるような地域社会の中心となる地方都市とその周辺の市町村から成る地域を地方拠点都市地域として位置づけまして、その一体的整備を図ることによりまして、地方の力もつけ、地方の自立的成長を促していこう、こういう発想をとったわけでございまして、基本的にはその拠点都市地域に対しまして、国の立場では地方で樹立されました計画の遂行のために全力を挙げて支援していく、こういう考え方に立っているわけでございます。  そうなりますと、お尋ねがございましたように、そういった地方拠点都市地域の対象とならない地方都市をどうするのだ、こういう問題に当たるわけでございまして、この問題につきましては、私どもこの地方拠点都市構想を進める基本的な問題点として十分意識しておる点でございまして、言ってみますればナショナルミニマムといいますか、そういったものは絶対に確保しなければならない。しかも昨今、住宅、社会資本について求められております国民のナショナルミニマムは決して低いものではない、かなり高度なものが要求されておる、こういったものはやはりきちっとやっていかなければいけない。特に、普及のおくれている下水道などを見ますと、そういったことの整備必要性は痛感しておるわけでございまして、そういったようなこととか、あるいは中心商店街の活性化等による都市的魅力の増大とかいろいろな、地方拠点都市に入っているとが入っていないとかにかかわらず、当然やっていかなければならない整備の問題があるわけでございまして、これはある意味では建設省の最も基本的な役割でもございますので、そこはきちっとやっていく。  そのやっていく過程において別途、先ほど申し上げました地方の活性化を促す上において、地方の自立的成長を促すという意味において拠点都市地域的なところを選定して、それは知事さんに選定していただくわけでございますが、それをまた強くしていく。そうしないと、若者の定着という非常に難しい問題を考えました場合になかなかうまくいかないのではないか、こういったことを考えておりますが、非常に難しいテーマに取り組んでおるなという意識は持っておるつもりでございます。
  284. 大畠章宏

    大畠分科員 私は、また五時から農林水産の分科会で農業問題についても質問してまいりますが、山村地域の振興についてはまさに建設省地域町づくりという観点、あるいは今お話がありましたとおりどういう産業をその地域に根づかせていくか、こういうところも非常に重要な課題だろうと思います。そういう意味から考えますと、今回の地方拠点都市法というものが、単に東京の建設省の机の上で機械的につくられていくということじゃなくて、ぜひ地方の実態、担当官の方にも足を運んでいただいて、おじいちゃんやおばあちゃんが曲がった背で一生懸命田んぼを耕したり、息子たちはみんな都市に流れていってしまう、後どうなるのかなという不安を抱えながらも今一生懸命頑張っているという、そういう声も聞きながらの地方都市の町づくりといいますか地域おこしといいますか、そういうことを考えながらの行政をしていただきたいなと思っております。  本来でありますと、次に私は、地方の町づくりあるいは中くらいの規模の町づくりにおきましても、ゾーニングという観点での都市計画というものの考え方を導入すべきじゃないかということについていろいろお伺いをしたいと思ったのですが、時間がなくなってしまいました。  最後に、建設大臣に一つお伺いしたいのですが地方の人間もみんな税金を払っています。都会の人ももちろん払っています。先ほど言いましたように、背の曲がったおばあちゃんもおじいちゃんも、みんな一生懸命働きながら応分の税金を払っているわけです。ところが、今の流れでいうと、どうも中央都市、巨大都市にどんどん人の流れあるいは快適な住空間がつくられてきているのですけれども、建設大臣として、地方のへんぴなあるいは過疎化が進む農村地帯をどういう形でとらえておられるのか、非常に難しいかもしれませんけれども、お考えを伺いたいと思います。そして、どういうふうにされようとしているのかお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  285. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 その点に関しましては、ただいま都市局長建設省の考え方をるる申し述べたところでございます。  実は、私はこのポストにつきます前に党の過疎対策特別委員長というのをやっておったのですが、これは各党協議いたしまして、下水道の都道府県代行制度というのを過疎対策の一環として、実は前国会でも成立をさせたのでございます。このときの発想でございますが、例えば春休みとか夏休みに東京に住んでいらっしゃる御夫婦が、子供たちに自分のふるさとを見せたいということで連れて帰る。それで大自然に触れて大変満足して東京に戻ったはずだが、また休みになったら行こうよと言うと、その子供たちがもう二度と行かないという拒否的な反応をする。なぜかと聞いたら、御不浄という言葉がございますが、トイレが汚いということを言った。そういうところから、下世話な話かもしれませんが、実は下水道の都道府県代行制度が生まれたということを承知いたしておるのでございます。そういった事例でわかりますとおり、やはり地方がもっともっと整備されなくてはならぬ。下水道の例で申し上げたわけでございますが、全国の千九百の市町村でまだ下水道が未着手であるということでございますのでございますから、私ども建設行政の中で、生活大国づくりという一面もございますが、例えば下水道の整備を積極的にやってまいりたいということでございます。  拠点都市の整備は、産業業務施設の再配置とワンセットになっております。やはり私ども同窓会をやりますと、みんな東京に集まっていて国に帰りたいなと。先生より一回り上でございますが、このところもう定年間近になりまして、九州に帰って仕事があるかということも実はお互いにささやき合ったりいたしておるのでございまして、今回の法案は、そういったことも含めまして職住遊学、これは若者たちにとっても魅力ある都市の機能を漏れなく備えているということでございますが、そういった町づくりを推進してまいりたい。いろいろな角度で一極集中を改めるように、最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  286. 大畠章宏

    大畠分科員 ありがとうございました。
  287. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、志賀一夫君。
  288. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 私はまず最初に、FIT構想と言いまして、福島のF、茨城のI、栃木県のTということでFIT構想というものを最近発足させまして、関係者にいろいろお骨折りをいただいていると聞いているわけでありますが、この件について若干お聞きをいたしたいと思います。  これにかかわります市町村は十四市三十九町二十三村、人口にして二百二十二万千七百四十五人、面積にして九千四百五十一平方キロメートルに及ぶまことに広大な地域であります。この地域というのは、二十数年前でありますが、八溝・阿武隈山系の開発ということで、畜産基地として大変華々しくデピューしたところでありますが、国の農政転換等もありまして必ずしも住民の期待するような結果にならなかったことは、私も畜産関係にかかわってきましたので、今もって非常に残念に思っているわけであります。この北関東、南東北地域というのは全般的に非常におくれている地域でありますだけに、今後どうしても地域開発を進めていかなければならない重要な地域でもあるだけに、関係住民は非常に大きな期待感を持っているところであります。  そういうところから、建設省あるいは国土庁関係省庁が集まりまして、いろいろ基本的な構想をお立てになって今後の方針を今検討中、こういうふうに聞いておるわけでありますが、それらにつきまして、基本となる方針等をお伺いしたいと思います。
  289. 溜水義久

    溜水説明員 ただいま先生からお話ありましたように、この地域は豊かな自然と広大な土地がありまして、なお東京に近い、あるいは筑波研究学園都市とかあるいは郡山、宇都宮のテクノポリス等に近いということで非常にポテンシャルのあるところではございますけれども、現在までは余り生かされてこなかったという地域でございます。ただ、東北自動車道とか常磐自動車道、東北新幹線あるいは福島空港ということで高速交通機関が整備をされてきている、あるいはゆとり、豊かさを実感できるライフスタイルを求めようという動きも高まってきていることから、二十一世紀にはこの地域は職住遊・自然のそろった先導的な地域になり得る地域ではないかと認識しております。  そういうことから、私ども国土庁建設省を含めまして七省庁でいろいろ調査を続けてきているわけでございますけれども平成二年度の国の調査では、この地域整備を進めるに当たりましては、先ほどのポテンシャルを踏まえまして、単発的な開発ではなく、広い視野に立った広域的な開発をすることが大切ではなかろうか。それぞれ個性、特徴、機能を持った都市がたくさんあるわけでございますけれども、これらを多重に連携させ、共振共鳴させながら連鎖的に発展し、圏域全体としての向上を図っていく。言ってみますと、個々の楽器としてではなくて、シンフォニーのように進めていってはどうがということの提案をしてきたわけでございます。引き続き本年度、このような考え方によりまして、広域交流圏づくりのための整備計画検討を行っております。
  290. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 今お話もございましたように、この地域は東京の一極集中からは極めて近距離にありますし、利用し得る広大な土地もあるわけでありますから、ぜひよい計画を立てて御利用願いたいと思う次第であります。  その基本構想の中で、何といいましても大事なことは、一つの交通のネットワークをつくることだと考えておるわけでありますが、御承知のように、この地域には東北縦貫自動車道がありますし、浜通りには、全体が完成いたしておりませんけれども、常磐地区高速道路が促進されてきつつあります。縦軸としてこのような二つの高速道路があるわけでありますが、もう一つぜひ考えていただかなければならないところに、中間地帯に水戸を経由して郡山に至る国道百十八号線がございます。この路線は、今後おくれているこの地域の中間地帯を走る道路として極めて重要な道路ではないのかというふうに私は思います。なおかつこの道路は、御承知のように来年の三月福島空港が開港するわけでありますから、これらのFIT構想の中にある関係住民が最大限に空港への道路として活用できる道路でありますので、私はやはりこれを高速道路に準じた規格の高い道路として徹底的な整備をやることが、福島空港の利用価値も高まりますし、この構想の全体的な将来への可能性を実現されるための大きな手だてになるのではないか、そういうふうに考えまして、ぜひこれをそういう方向で御検討いただきたいな、そんなふうに思いますので、御見解をお聞きしたいと思います。
  291. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の御指摘のこのFIT構想の対象地域、これをどのような形で今後より活性化していくかということは、国土庁からの御説明にもありましたとおり、我々も一緒になっていろいろな工夫をし、知恵を出しながら地域のお役に立つような方向を見つけなければいけないと思っております。  その中で、やはり根幹的な施設としての交通網の整備、それを一つ例として見ますと、当該地域にございます既存の道路といたしましても、今先生がおっしゃいました東北縦貫自動車道という大きな縦軸、常磐自動車道というもう一つの大きな縦軸、それにいわゆる横軸の大きなものとしては、東北横断自動車道のいわき新潟線あるいは北関東自動車道というようなものがそれぞれ水戸ないしはいわきから出ております。その間におきまして、やはり縦軸としては一般国道の四号と六号がありますし、それから同じようにこれと並行して二百九十四号と百十八号、三百四十九号、さらに東西に結ぶ国道としては四十九号、二百八十九号、四百号等々、国道だけでもこのような形になっております。  その中で、今具体的に先生が百十八号のことをお触れになられましたが、私どもこの百十八号を非常に重要視いたしております。福島県の須賀川市及び鏡石町において、この平成五年の三月に福島空港が開港されるやに承知しておりますので、それに合わせまして須賀川工区として、市街地を迂回いたしまして東北自動車道須賀川インターチェンジにアクセスする二・六キロのバイパス事業を実施しております。平成四年度までには暫定二車線の供用が可能になるだろうというふうに見ております。さらにこの百十八号は、福島県の棚倉町において棚倉工区とか、あるいはいわき市において二百八十九号では田人工区、こういったふうなことで、そのほかいろいろなところについて、地元からの御要望とあわせて必要な箇所といいますか、一気に全部できませんから重点箇所を設けながらやっております。  しかし、これらの整備を今までのような考え方だけではなくて、先生が今御指摘なさいましたような大きなFIT構想、こういうレベルに上げて、もう一つ必要な箇所といいますか区間というものを見直しながらやれるならば、もっと効果的な整備ができるかと思いますので、私どももそういう国土庁を中心とした大きな勉強の中で努めさせていただきたいと思っております。
  292. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 今お話しの百十八号についてでありますけれども、先ほどいろいろ申し上げたとおりでありますが、ぜひこれを、高速道とはいかないまでも、それに準じた規格の高い道路として、FIT地域からすれば空港への重要な、いわばバックボーンとも言うべき重要なアクセス道路でございますので、ぜひひとつそういった構想で織り込んでやっていただきたいことを特に強調したいと思います。  さらに、今お話がございましたようにいろいろ国道が、いわば縦軸に対して横軸ということで一応ありますけれども、例えば会津の田島-下郷、それを結んで、それから中通り、それに海岸地区、こういった路線が幾つかあるわけでありますけれども、そのほとんどがまだ交通不能地があったりなんかしてまだまだ整備をされていない実情にあるわけでありますから、やはりこの磐越高速自動車道と北関東の水戸を走るこの路線の中間地区、このFIT構想の全体を盛り上げて実現するためには、その中間に走っている横の線をやはりもっと強化をして整備の促進は当然なさっていただきたいな、そんなふうに思いますが、いかがでしょう。
  293. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の御指摘のように、この二つの横断軸の間にある、言ってみればFIT地域というのでしょうか、FIT構想地域に関しましては、先ほどの国土庁お話のように調査調整費による進捗状況、及び何はともあれこの地域をどうするかというその意欲を出すのは地域そのものでございますので、その地域の開発状況あるいは交通状況の変化等を勘案しながら、地元、県、関係者と相談しながら検討してまいりたいと思います。
  294. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 ひとつどうぞよろしくお願いしたいと思います。  次に、河川の問題について若干お聞きをしたいと思います。  いろいろ勉強している中で、建設省の事務当局からいろいろ資料をいただきまして、ふるさとの川モデル事業、多自然型川づくり事業とかあるいは桜づつみモデル事業とかという事業をやっておりまして、私の認識不足だったかもしれませんが、建設省もすばらしいソフトな事業をやっているものだなと実は感謝をし、敬意を払っているところでありまして、この事業を建設省ばかりでなくて農水省の方でも、自然景観の維持とかそういった問題についてもやはり農水的な立場でこれからやっていかなければならぬという方向にあるわけであります。ぜひとも予算をたくさん取っていただきまして、多くの各地にこういった事業をどんどん進めていただきたいと思いますが、これらの事業についての建設省としての基本的な考え方なりこれからの長期計画について、お考えがあればひとつお聞きをしたいというふうに思います。
  295. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川は、集中豪雨になりますとはんらんによって国民の貴重な生命財産を奪うという大変恐ろしい存在でございます。したがいまして、河川のはんらんを起こさないように、あるいは土砂害を起こさないように、治水対策を進めていきましてその万全を図ることが、河川管理者に課せられた責務と考えております。一方で、平常時になりますと、大変水と緑のあふれる、潤いと安らぎのある生活空間でございます。今日、都市空間の中でも大変貴重な空間として国民の注目を浴びておるわけでございますので、その利用と保全は調和のとれたものでなければなりません。従来からそのような認識のもとに計画的に川づくりを進めていくことといたしまして、全国の主要な河川で河川環境管理基本計画を策定することとしております。現在、一級水系では百七水系、また主要な二級水系において五十七水系を計画し、これに基づいてそれぞれ管理しておるところでございます。  今先生がおっしゃいました幾つかのモデル事業でございますが、まずふるさとの川モデル事業、これは、市町村の町づくりの中に川を生かして、その発意の中に企画のあるものについて、川づくりの我々の構想、治水の安全度の整備と空間を町づくりの中に生かせる適切なものにつきましては、私どもの方で取り上げましてこのモデル事業として推進しておるところでございます。また、桜づつみモデル事業につきましても、従来は堤防に植樹することは出水時の危険を伴うということで、私ども見送ってまいったわけでございますが、所要の補強をして堤防の安全度を上げるようなものにつきましては、桜堤とすることによって地域の中でも親しまれる川づくりとして、適切なものについてはどしどし進めてまいりたいと思っております。  また、河川の中は自然の動植物、特に水生動植物の宝庫でございますし、これらと人類とが共存することは我々の生活環境にとっても適切なものでございますので、そのようなものにつきましてはできるだけ自然を保全しつつ、なお治水の安全度を上げるように努力してまいりたいということで、これも私どもの川づくりの中の基本としておるところでございます。また近年は、魚がいろいろな河川内の工作物、せき、ダム等によって遮へいされて遡上、降下できないようなものについても、その改善も図ることによって自然との共生を図るよう努力してまいりたいと存じております。
  296. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 従来建設省が進めてまいりました河川改良事業では、長期的な災害ということを考えて、五十年に一度とか大変長い期間で起こり得るであろう災害を考えて河川改良をしてきた。そういうことから、私ども見ておりまして、果たしてこういう河川改良のやり方でいいのかな、どうも場合によっては、そこには今お話ございました、これらのモデル事業をやる場合に相反するような、自然を壊していく、そういう傾向がなきにしもあらずでありますし、また、自然と周辺の環境とのマッチがどうも似つかわしくないな、そう考える部面も多いわけであります。  この多自然型川づくりの実施要領を見ますると、「河川改修計画の作成等に当たっての留意事項」ということで幾つかあります。時間がありませんから簡単に申し上げますが、一つは「現在の河川が有している多様性に富んだ環境の保全に努めること。」二番目には、「標準断面を設定したうえで上下流一律の川幅で計画することはできるだけ避け、川幅を広く確保できるところは広く確保し、河道貯留能力を期待するとともに、広く確保した用地断面を活用し「多自然型川づくり」をすすめること。」それから、「護岸工法については、水理特性、背後地の状況等を十分踏まえた上で、生物の良好な成育環境と自然景観の保全・創出に配慮した適切な工法を選択すること。」そういうふうに書かれているわけでありますが、こういうものと従来の河川の改良の基本的な考え方とはなかなか相入れないものが当然にして出てきている、私どもはやっている状況を見ながらそういうふうに思いますので、この辺の整合性をどういうふうにやろうというお考えなのか。十分考慮すべきであろう、そういうふうに思いますので、御見解をお聞かせ願いたい、そんなふうに思います。
  297. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 我が国の河川は、諸外国に比べますと、特に欧米先進諸国と比べますと急流河川でございます。ごらんのように、二、三百キロの幅の日本列島の真ん中に二、三千メートルの川があるということですから、大変急流でございますし、その上に台風や梅雨による集中豪雨がありまして、一たび川が荒れますと大変な大災害を催す。したがいまして、我が国で例えば毎年一回起こる洪水と、五十年に一回起こる洪水とを比較しますと、大変その倍率は高いわけでございまして、安全度というものにつきましては、諸外国と比較になりません。仮にセーヌ川とかテムズ川等と比較しましても、あのような河川は千年に一回と例えば二、三十年に一回の流量等でも、その差異は余りないのでございます。  そういう意味で、地形的にも気象的にも洪水が起こったときの激甚さは全く違うわけでございまして、我が国の国土では安全性はいささかも度外視はできない。その点については、私どもも先輩が進めてきた河川行政は今後もいささかも緩めてはならない。とりわけ、現在の河川のはんらん区域は急激に都市化しており、かつ往時はその流域の住民も、皆様が各家庭の中に船や、あるいは水害に遭ったときは荷物を二階に載せるような甘いろいろな施設によって水害と闘う生活様式を持っておりましたが、現在の都市化された現象では全くそういう状況がございませんので、一たん災害が起こった場合には大変なことになる。あるいは都市部におきましては、地下鉄やいろいろなものがありますから、安全性については最大の私どもは追求する義務がございます。しかしながら一方で、普段の通常の河川の空間というものは、安らぎと潤いを求めておる住民の強いニーズがございます。  そういう意味では、相反するものではございますが、この二つを整備していくことが、これから私どもが二十一世紀の潤いのある社会基盤の中で、とりわけ安全と潤いのある環境づくりという意味で、私どもはこの二つを求めていかなければならないんではないかというふうに思っております。今先生が読み上げられましたものも、限られた国民の提供していただく用地の中でも、この二つを追求しようという我々の決意というふうにごらんいただきまして、一万を犠牲にするということはいささかも思ってはおりませんで、やはり二つを求めることによって、経済大国と言われる中でも安全性を持った潤いのある国土づくりとして、我々の目指そうという信念と御了解願いたいと存じます。     〔金子(原一主査代理退席、原田一男)主査代     理着席〕
  298. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 今おっしゃられたことについて、私ども十分わかるわけでありますが、しかし、工法の面で言いますと、三面が全部コンクリートで固められるという、いろいろな種類の工法をやっているようでありますけれども、そういうふうにすると、結局、雨がたくさん降ったとき速度が速くなる。速くなるということは、下流に被害を及ぼすということになるわけでありますから、ですから、従来の工法をそういう点ではいろいろ検討されたい、こんなふうに思うわけです。  それは、同時にまた、三面をコンクリートブロックでつくったようなものを上流地域にたくさん、指定河川の、まあ中小河川であっても、それが幾つも重なれば、大きな洪水になるわけでありますから、小魚がいっぱい出たり、子供が遊べるような、魚をとったり、蛍が出るような、そういう多自然型の川づくりということを考えると、従来工法だけでは、そういう願いが、事業が実現しないのではないかというふうに私は指摘せざるを得ないのです。その辺は、どう思いますか。
  299. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 我が国は、従来は多く水田地帯に囲まれておりますので、例えば水田地帯ですと、水深が十センチということは、雨量で言うと百ミリの豪雨があっても、そこで湛水して、河川への流出がそれだけ抑えられるということがございますが、現今では、こういったものも畑に変わりつつあるといった意味で、流出形態は大変変わってきております。  また、河川があふれても、先ほど言いましたように、船を持っていたような生活の時代、あるいは長靴で生活していた時代から、今は一切浸水を許さない生活様式が定着しつつあります。  そういう意味で、今おっしゃいました、上流で水を流せば下流ではんらんするではないかということでございますが、上流で一時的にあふれさせておくのか、下流まで持っていくのか、これは、その地域地域土地利用と密接な関係がございます。  いわば日本全国どこも全部都市化させるのか、あるいは農地としてどういうふうに維持していくのか、これは重大な土地利用計画との関係がございますが、その中で、やはり安全度を主眼にしながら、河川の能力と土地の整備のあり方とをうまく調和させつつ、なおかつ、その上に自然を十分保金した川づくりをやっていこうということで、大変欲の深いことではございますが、やはり理想としてそういう国土づくりを目指すということで、私ども関係機関とも常に連絡をとりながら、また地元の皆さんの意見を聞きながら、一方で、この水害という問題については、私どもは十分な技術的な蓄積を持っておりますので、その部分については十分皆様に御説明し、場合によっては、この地域は浸水することあり得べしということも御承知の上で、いろいろな施策を積み重ねてまいりたいと存じます。
  300. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 私、実は、河川の災害で、落成した場所がありまして、完成した場所がありまして、三カ所ほど、その落成祝いに出てまいりましたが、そういう箇所、私の福島県田村郡内ですけれども、見ましたが、多自然型川づくりということの関連で言えば、従来の工法のみに依存しているのではないかなという印象を、実は強くしているわけであります。  ですから、これは、災害を受けた地域住民にとっては、一日も早くつくってほしいという願いはもちろんあるわけですけれども、こういう構想がある場合には、時間を多少かけても、こういった自然の川づくり、環境との調整を、バランスを考えながら、ここに災害復旧事業における留意事項ということでいろいろ書かれていますけれども、災害復旧もこういうことに注意しながらやるべきではなかろうかというふうに思いますが、その辺。  もう一つは、大体災害がいろいろ起きる場合には、上流に雨がたくさん降った、集中的に降ったということもありますけれども、それと関連して、上流地域の開発行為というものが、多分に河川のはんらん、災害に結びつく、こういうことが非常に多いというふうに、私はいろいろ現地見てまいりまして、草地になったとか、あるいはゴルフ場ができたとか、牧場になったとかということで、いろいろあるわけであります。  ですから、そういう開発行為が行われる場合は、河川管理者としての立場で、その開発行為に対して協議にいろいろ参画をして意見を出す、意見を申し述べる、そういう機会も当然あっていいし、なければならないではないか、そんなふうに思いますが、この点は、大臣にちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
  301. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 その流出形態につきましては、それぞれ各県庁の中に河川部局も参画して、さまざまな御意見を申し上げて、反映するように努力しているところでございます。
  302. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいま河川局長が答弁申し上げたとおりでございます。
  303. 原田昇左右

    ○原田(昇)主査代理 これにて志賀一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺嘉藏君。
  304. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 私は、長良川河畔で生まれまして、育って、今日もまた長良川とともに生活をしているわけです。だから、長良川をこよなく愛し、この自然を守ることに情熱をかけ、破壊するものと戦ってきました。     〔原田一昇一主査代理退席、金子(原)主査代     理着席〕  しかし、自然の転変地変は、自然を愛する者をも自然は殺すという猛威を持っております。治水のためコンクリートで人工堤をつくり、生活、経済のための長大橋も必要である。自然環境を守ることは、自然の猛威からも守ることである。長良川は、かつて古川、古々川と三本ありましたが、それぞれ締め切って、河川敷は宅地、道路、そして工業用地、文化用地となって、今日に至っておるわけです。  このことは、長良川は人工的にいじめられてきた。これ以上いじめてはいけない。そういうふうな歴史的な流れからも、今天下の耳目を集めております長良川河口ぜきについては、私は、ない方がいいと思っておる立場は変わらないのであります。  しかし、今日的に治水上、利水上、環境保全上に万全を期すことは、現実に私の政治責任であるとも思います。それがために、長良川流域のこれらの深刻な重要課題の八〇%は私の選挙区なのです。この住民の立場に立ちまして、次の点を質問いたしますので、御答弁を的確にお願いをいたしたい。  まず第一は、昭和三十八年、長良川の総合基本計画により計画高水流量七千五百立米を安全に流下させることのできる完成堤防は、ここに参考として概要の図面を本省からいただいたわけでございます。ここには完成堤防の部分、暫定堤防の部分、未改修堤防の部分、こういうふうに色分けをしてちょうだいをいたしましたので、その暫定部分について私はピンク色で明らかにいたしましたが、この図面のように未改修堤防、暫定堤防があると理解してよろしいか承ります。
  305. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 長良川の治水計画、治水の安全度の問題につきましては、ただいま先生がおっしゃったとおりと存じます。長良川は人間がいじめてきたということも、ある意味では真実なところもあるのではないかと存じます。  この地域は、有史以来、木曽三川が運んできました土砂が堆積した島々に住民が住みつき、その周りに堤防を建設して、いわば輪中堤を建設することによって水害と戦ってきた地域でございます。したがって、どの堤防が切れても大水害に遭うということでございます。私もあの岐阜県の治水の歴史を勉強してみたわけでございますが、往時は、輪中の皆様は堤防が破堤しないように戦ってきたわけでありまして、どこが切れても全村水没ということから、団結の強い輪中の集落をつくってまいったわけでございます。一方で、輪中と輪中との関係になりますと、一つの輪中が破堤すれば、そこが遊水地になることによって他の輪中が助かるというような競争関係にあるわけでございまして、江戸時代には笠松代官所に幕府直轄の治水に関する管理者がいて、この輪中の補強の順位とか内容を規制することによって輪中間の血なまぐさい抗争を何とか防いできたという歴史だそうでございます。  このような治水の歴史を何とか打開すべく、先生も御承知のとおり、宝暦治水において三川分流の計画を立て、かつ、明治におきましては、オランダの技師デレーケによって三川分流工事を企画し、現在に至っておるわけでございます。  そのような意味では、長良川においては、従来の輪中堤にかわって三川分流のこの堤防を何とか補強することが重大な使命として河川管理者は事業を進めてきたわけでございますが、御承知のとおり、昭和三十四年、五年、六年、特に三十四年は伊勢湾台風でございましたし「三十五年は、観測では、上流で出水、はんらん、破堤によるものがなかったとするならば、恐らく長良川には八千トンの洪水が流下していたであろうということが、私どもの計算では成り立っております。そこで、三十八年の計画におきましては、長良川の治水計画を八千トンとし、上流で五百トンの洪水調節を行い、残り七千五百トンをこの長良川の河道に流すこととしたわけでございます。  そこで、今いろいろいじめてきたという意味では、それぞれの輪中の従来の居住権を何とか確保しつつ、最小限の用地の中でこれだけの、木曽川、長良川、揖斐川の三大河川の河川敷地を確保したわけでございますし、また、住民の生活の場も確保しようとしたことでございますから、ある意味では治水上かなり無理をしてきた、川からいえば、人間が川を狭めてきたということも言えないことはないわけでございますが、私どもは、そういう限られた中で河川の洪水を流そうとするならば、やはりそれぞれの地域の皆さんの用地をできるだけ確保しつつ、現在与えられたこの河川の空間の中で洪水の疎通能力を確保しようとすることにしたわけでございます。  そういう長良川の洪水を処理する意味では、大規模しゅんせつと堤防の補強が我々の大きな課題でございまして、今おっしゃって図示されましたものは、私ども担当者からお示ししたものと思いますが、一般堤防の延長、高潮堤とかいろいろございます。上流からの洪水を処理する目的で建設されておる堤防は八十キロでございますが、完成断面となっているものは六十キロ、堤防整備率は八〇%でございます。  そこで、全国との比率でいいますと、全国直轄河川全体の整備率は四六%ということで、相対的にいえば整備率は大変上がっている方でございますが、何しろこういう輪中で成り立ってきた歴史のあるところで、治水的にはなお万全を期するためにも、私どもは先行して堤防整備を進めつつ、また大規模しゅんせつをしていかなければならないということでございます。  大規模しゅんせつに当たっては、長良川河口ぜきの必要性については、その都度御説明しているとおりでございますが、何しろ大規模しゅんせつをすることによって洪水時の水位を一メートル下げることは、結果的には堤防の厚さを四メートル厚くしたのと同様の効果がございますので、私どもは、堤防整備と並行して、洪水時の水位を極力下げるための大規模しゅんせつを先行させたい。その意味では、長良川河口ぜきは早期に完成して皆様の期待にこたえるような治水対策を展開したいと存じておるところでございます。
  306. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 私の質問したことにお答えをいただきたいと存じます。博学は十分承知をいたしております。  私は、この図面にこういうふうに図示してあるが、完成部分と未完成部分、暫定部分はこれでよろしいかということを聞きたかったのですが、概要はこれでいいのですね。
  307. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 そのとおりでございます。
  308. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 では、ここに河口ぜきをつくられるわけですが、私どもは、これは治水上危険だということを重ねて言っておるわけですが、そういう論争よりも、このような暫定の状態のままで進められることの危険を私どもは深刻に受けとめておるわけなんです。ですから、前の多摩川はんらんにおける最高裁の判決等もあるわけですが、ここにこういうような暫定のままで工作物をつくられることに危惧を感ずる以上、この暫定、未改修の部分は、これが供用開始されるまでには、これらの堤防は完成の状態にしていただくのは当然である、私はこう考えるわけですが、この点について、この七千五百トンの水を流下させるに足る堤防として完成ができるかどうか、これを承りたいと思います。
  309. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 若干御説明をさせていただきますと、堤防を補強することと河口ぜきを建設してしゅんせつすることとは、背反することではないわけでございまして、大規模しゅんせっすることによって洪水時の水位を下げるということは、堤防補強と同等以上の効果があることは、先ほど申し上げました。しかしながら、住民の皆さんが、その因果関係について、私ども再三御説明しているわけでございますが、まだ御理解の賜らないところもございますし、私ども堤防補強をおくらせようという気は毛頭ございません。したがいまして、私ども、これについても全力を傾注いたしまして、何とか平成六年度までに、皆様に御納得いただけるように堤防補強についても今後努力してまいりたいと存じます。
  310. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 それでは、そういう御努力の上に立って、もしこの計画どおりの堤防が完成した、いわゆる昭和三十八年に決めたこの基本計画に基づく堤防が完成した、そのときに、七千五百立米以下の水で万一破堤したときには、当然私は国家賠償法に基づく被害補償はなされるべきであると思うのですが、この点はどうです。
  311. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 基本的には、そういうお考えのとおりだろうと存じます。  若干の言いわけをさせていただきますと、河川というものは、例えば新幹線でいうと、新幹線を皆様にお使いになっていただくためには、何方角もかかって試運転をし、時速二百七十キロなら二百七十キロで何十回も往復して、皆様が乗っても安全となったときに皆様に乗っていただくということでございますが、私どもは、私どもの英知を傾けて七千五百トン流すべく最善の努力をいたしますが、それでも七千五百トン来たときには、どうしても試運転という形になりますから、私どもの人知の及ばないところに何かが起こるということはあり得るわけでございまして、そのときには、何とか私どもの人知の至らなかったということを弁明させていただくということで、基本的には国家賠償法にのっとった処理がされるものと考えております。
  312. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 最後の結論的な言葉は私も了解できるのですが、その前の附帯条件が気に入らないのですね。いろいろな、もろもろの、こういうことなんですね。五十一年に安八町で切れまして、死傷者も出ました。大変な被害も出したわけです。これはここの地域なんですね。このときにも、この堤防はいわゆる完成していない堤防だったから、切れてもやむを得ない、こういうことで建設省は反論された。それがために、一審では住民が勝訴しましたが、二審では住民が敗訴した。それがために、補償額十九億に対して利息を九億つけて二十八億円返還が今来ておるわけです。住民はこれに対しては、建設省、国に対して非常な不信感と、そして反発をしておることは事実なんですね。  ですから、こういうときに、私は建設省としては、こういうふうに七千五百立米と基本計画を立てた以上、これについては御心配要りませんよと。しかし、洪水というものは、あらゆるいろいろな要素が重層的に重なりますから、一概的には言えません。試運転はできない、これは当たり前のことなんです、新幹線じゃありませんから。しかし、今までに七千五百トンから八千トンの水が流れたことは事実なんですから、そういう経験則からも見て、これは当然建設省としては、住民に対して、心配要らないということを明言していただくことは、必要なことじゃないか、私はこう思うのですが、どうですか。
  313. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 基本的には、先生のおっしゃっていることと基本理念としては同様だと私は存じますが、私が弁明したことが気に入らないとおっしゃられると、私も大変御答弁しにくいのでございますが、私どもは、明治以来先輩がいろいろな河川工学の知見を高めてきた、それは全力を振るってこの長良川の河川計画に傾注している所存でございますから、そういう意味では、大変な自信を持っております。  ただ、長良川は過去のいろいろな自然の猛威の中で、上流から流出してきた土砂が堆積し、自然のままにあの土地ができ、したがって、あの土地の中にはどんな水道があるとか、ガマがあるとか、いろいろな要素もございますでしょう。そういうことを考えますと、本来は試運転をさせていただきたい。試運転をさせていただいて、安全となったら、さあ流域の皆さん、お住まいくださいという形にしたいのでございますが、河川工学というものはそういうことができない、大変限界を持っているということを御理解いただいた上で、基本的な理念については同様だと申し上げた次第でございます。
  314. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 そうしたならば、もし正常な状態で計画どおりであったら、国家賠償法の適用にはなるんですね。
  315. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 そのように存じております。
  316. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 私の地元は、先ほど申し上げたように、長良川とともに生きてきたということと、そこの魚族、特にアユ、私、鵜飼いで有名な長良川のすぐそこに住んでおりますから、アユとは切っても切れない間柄なんです。だから、本能的に郷愁を抱いておるのです。このアユの遡上がこの急遽で万全なのかどうか、また、これの試運転はそれこそ一年はサイクルとして必要なんじゃないか、私はこういうことも考えるわけですが、これについては、どのような対策を講じておられますか。
  317. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川の中にいろんな工作物をつくれば、河川の中の生物には何らかの影響があるということは、残念ながら否定できないわけでございます。とりわけ長良川は、アユを中心とした魚類の豊富なところでございますし、私どもはこの問題については大変問題意識を持ちまして、河口ぜき計画を実施する、意思決定をする五年前から徹底的な調査をしたということも、先生十分御承知だと思います。その上で、その技術の中では最善を尽くした、万全という言葉に値するかどうか知りませんが、現在のこの関係の知見の中では最善を尽くして、現在の呼び水式魚道、ロック式魚道の技術開発をして、これを設置しようとしているものでございまして、これにつきましては、実は筑後大ぜきその他で既に実験的に設置しまして、大変いい結果を持っておりますので、これについては相当程度の皆様の御信頼を得て、大丈夫と自信を持っております。
  318. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 続いて河口ぜきの事業に関して、環境保全上万全を期す必要があることは言うまでもありませんので、環境庁は、これに対してどのように対応されたかということと、そして建設省との間で追加調査の実施もされたわけですが、これの内容と浸食状況、今後の見通し等について両省からお願いをいたします。
  319. 石田祐幸

    ○石田説明員 長良川の河口ぜきの建設につきましては、既に建設省及び水資源開発公団の方で工事が進められてきておった事業でございますが、自然環境あるいは水質、こういったものに対する影響についてさまざまの懸念が表明されてきております。  そういった特別の事情を踏まえ、また、建設省より環境影響に関する既往の調査の説明も十分に承りまして、平成二年十二月に環境への影響に関する追加的な調査検討の実施等を提案いたします環境庁長官の見解を明らかにした次第でございます。  その後、この見解に沿いまして、環境庁と建設省が協議した結果、建設省及び水資源開発公団において学識経験者の指導を得まして、以下の三点申し上げますが、一つ目が河口ぜき設置後の水質がどのようになるか、その予測について、二つ目が、せきの設置並びに水質や流況の変化、これがカジカ類の遡上、降海、生息、これにどのような影響を及ぼすことになるのか、それから三つ目が今後工事予定されております高水敷、ブランケットでございますが、ここにおける貴重な動植物の生息にどのような影響を及ぼすことになるか、このような三つの側面に関しまして補足的な調査検討を実施し、また過去にこれまで実施してこられました水質や回遊性魚類、これらに関する調査検討結果も含めて取りまとめる、その結果につきまして平成三年度末を目途に公表する、こういうことでお約束をしておるわけでございます、  環境庁といたしましては、おっつけ出てまいります。その結果を踏まえまして、長良川の環境保全のためにとり得る最善の措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  320. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 調査の内容等については、今の環境庁からの御答弁のとおりでございまして、私どもはこの調査につきまして、本年三月、今月末を目途に取りまとめまして、環境庁とも十分調整を図って公表し、あわせて、この結果を地域住民の皆様に御説明申し上げて、御理解を賜り、粛々として河口ぜき事業を推進してまいりたいと存じております。
  321. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 岐阜県知事は、治水上、利水上、環境保全上万全であると認められない以上は、本湛水は行わせないと、水資源公団と覚書及び協定があると公式に表明をしていらっしゃるわけです。これはどのようにあるのか。  それと、この知事の言明の法的な地位といいますか根拠、法的な効果、有効性、これはどうなっておるのか、建設省はどう考えていらっしゃいますか。
  322. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 長良川河口ぜきの管理を開始するに当たりましては、水資源開発公団法に定めるところによりまして、建設大臣関係知事の意見を聞いて、水資源公団に施設管理方針を指示することになります。この管理方針の指示を受けた水資源開発公団は、同公団法の規定に基づきまして県知事と協議し、施設管理規程を作成して、主務大臣の認可を受けることになっておりますので、この公団から協議を受ける段階で、知事としては、その長良川河口ぜきが所期の目的どおりにその機能を発揮しているかを確認したいという趣旨と、私ども承知しております。
  323. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 そうすると、知事は、この協定に基づいて試験湛水をやって、治水、利水、環境等が万全でないという事実が明らかになったら、本湛水はさせない、こう明言をしておりますが、それは建設省は御承知であるかどうか、この担保を明らかにしてもらいたい。  それから、試験湛水期間は、では、どのくらいあるのかということがある。  それから三つ目には、この試験湛水のために立ち会いをするのは県、公団、土地改良区ということは承知しておるわけですが、岐阜県は現在河口ぜき調査団及び検討委員会を組織して、県民の声を結集、調査研究をしよう、こういうことになっておるわけですが、この調査団の立ち会いも約束されるかどうか、そしてこの調査団の声をどのように理解されるか、御答弁いただきたい。
  324. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 新聞報道ではいろいろな表現となっておると思いますが、知事としては、この長良川河口ぜきが、私どもはその機能につきましては万全の技術を尽くして建設しているところでございまして、その点では、御理解いただいていると思っておりますが、それをある一つの表現とすれば、万全でない場合にはということでおっしゃったのだろうと思いますが、そういう意味では、私どもも知事を通じてその趣旨については承っております。  それから、期間の問題でございますが、これは私ども、河口ぜきあるいは類似ぜきの経験もございますし、とりわけ長良川河口ぜきの設計に当たりましては、万全を尽くしてきたつもりでございますので、その先発の知見を踏まえれば、それほど長い期間を要せずに機能は確認できると存じます。  それから、知事も同公団法を通じて公団からの協議に返答するわけでございますが、県民のためにこれは建設するものでございますから、当然ながら、その機能が発揮できるかということを踏まえて、知事は知事としての立場から、調査団を立ち会わせたいという御意向があれば、それは私どもは知事のお考えとして、その調査団の意見を踏まえて回答されるということについては、尊重してまいりたいと存じます。そういう意味で、県民の意見あるいは調査団の意見、それぞれを踏まえながら、御回答があるものと私どもは期待しております。
  325. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 最後にもう一遍聞きますが、それから、治水上、利水上、環境保全上まだ完全でない、こういうふうに知事が判断をして意見を述べたときには、本湛水はしない、いわゆるゲートをおろしての本湛水はしない、こういうふうに建設省は約束できるわけですね。
  326. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 形式論としてはそういうことが想定されると思いますが、当然ながら私どもは、これだけの貴重な国民の税金を使って、なおかつ、長良川沿川の住民の皆様六十七万人の生命財産を守るという趣旨で懸命に努力してまいりましたので、その中に若干でも問題点があるとすれば、現在の調査で、もう既に絶えず技術の発展とともに補完し、改善を加えてきているわけでございますが、さらに改善を加えることによって、そのような事態にならないように努力するのが、私たちの当然の責務と考えております。
  327. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 いや、そういう流れ言葉はいいのですよ。そうでなしに、長良川というのはあれだけの大河で非常に怖い川なのですよ。ふだんはおとなしいのですよ、優しい。怒ると、これほど恐ろしい川はない。だから、あの薩摩義士のああいう宝暦治水もあったのです。それだけに万全を期さないといけないので、そこで知事が、これはまだ万全じゃないと言うたときには、建設省としては、本湛水はしない、こういうことはきちっと担保していただかなければ、私ども知事の言明が信用できなくなるわけです。この点はどうなのですか。最後にひとつきちっとお答えいただきたい。
  328. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先ほども御説明したように、これは法律に基づく協議で、法律に基づいて御意見を承るわけでございますから、知事がこの協議に応じないという場合には、私どもは新しい段階には入れないことは当然でございますし、そして担当する我々としては、そういう事態にならないように努力するという私どもの決意を申し述べた次第でございます。
  329. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)分科員 終わります。
  330. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。     〔金子(原一主査代理退席、主査着席〕
  331. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 三月四日の日の総括であったと思いますが、その質問の中で宝塚ゴルフ場問題を取り上げました。私がこのゴルフ場を取り上げたのは、最近ゴルフ場に関する犯罪的な事件が非常に多くなっておる、もう御案内のとおりです。ついせんだっては、真里谷が俎上に上った、その前には茨城カントリー。そういうあれの一環として、若干私がこの宝塚ゴルフを取り上げた角度は違いますけれども、非常に問題がある、そういう点でお伺いをいたしたわけです。  で、三月十日の日に文書で、四日の日にお答えになれなかった点は、文書でひとつ教えていただきたいというお願いをいたしておりまして、三月十日の日に文書で建設省の方から私のところに持ってきてくださいました。「宝塚ゴルフ場に介在する国有財産について」という題であります。  順を追ってこの文書についてお伺いをさらに重ねたいと思いますが、一、二、三、四、五と五項目にこの回答書は分かれております。そのうち「兵庫県からの聞き取り」、これは第四項目ですね。「国有地の賦存状況」というのですか、そこのところにわざわざ「兵庫県からの聞き取り」と書いてある。そうすると、一と二と三と五は建設省独自の調査に基づく回答でございますか。
  332. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先般先生の方に私どもの方から御報告させて。いただきました資料、おっしゃるとおり、面積の賦存状況のところだけを「兵庫県からの聞き取り」、こう書いてございますが、ある意味では整理がまずくて御無礼いたしました。全体が兵庫県からの聞き取りの結果であります。
  333. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうなんでしょう。全体が兵庫県からお聞きになったわけでしょう、そうじゃないのですか。もう一遍重ねて聞いておきます。独自で調査なさったわけじゃないのでしょう。兵庫県からの報告をそのまま文章化されたのですか。
  334. 望月薫雄

    ○望月政府委員 厳密に申しますと、例えばこのゴルフ場の所在地なんというのは、私どもしかるべき公刊物でも調べることはできます。ただ、率直に言いまして、この社団法人がいつ任意として発足したか、あるいは社団法人になったか、あるいはまた、いつ開設、オープンしたかとか、今御指摘の賦存状況、こういったものについては、県からの聞き取りの結果でございます。
  335. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 じゃ、今のお答えによりますと、本省がお調べになったのは所在地だけですね。所在地なんというのは、本省が調べないでもすぐわかることで、ほかのことが大事なんでして、結局兵庫県からの報告をうのみにして、今度は私に対する回答になった。この回答に本省として責任を負われますか。
  336. 望月薫雄

    ○望月政府委員 これは先生も御案内と存じますけれども、いわゆる法定外公共財産、あるいはこの中には当然市道等も入っておりますけれども、この種の財産の管理者というものは、国有財産法上、知事にお願いを申し上げております、あるいはまた市道である場合は、市が管理者である、こういった状況になっておりまして、私ども建設省が自前の、独自のものとしてこういった実態を調査するということは、直接はできる仕掛けになっておりませんので、基本的には国有財産の管理者としてお願いしている県を通じてお伺いする、こういった仕掛けになるのは、ごく一般的なことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  337. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は一般的なことを聞いておるんじゃありませんで、重大な疑義があるということで四日以来やっておるわけです。少し無責任ではないのか。この文書をもらって、ああそうですかと、私が引っ込んだらどうなりますか。私自身がこの裏をとらなければ、これが本当かどうかわからぬじゃないですか。そういうことは私がとるのじゃなしに、本省がやるべき問題ではないのでしょうか。私は疑問をこの前ずっと言っているのですから、本当に兵庫県の報告が正しいかどうか、もし正しくなかったら、だれが責任を負うのですか。
  338. 望月薫雄

    ○望月政府委員 率直に申しまして、この事案について申し上げますならば、先般先生からの御質問をいただいて、まだ日が浅うございます。そういった中で、私ども精緻な資料というものは全くない現実でございますし、先ほど申しましたような財産管理のいわゆる委任の実態ということからしますと、時間はかかりながらも、あくまでもこれは兵庫県を通じて調べないとできないという面があります。そういづたものをまず調べた上で、私ども、さらに必要ならば、いろいろと調査をすることもありましょうけれども、今の段階は、まずは県からの報告をいただく、県の状況を掌握する、こういったところが現段階でございますので、御理解いただきたいと思います。
  339. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはほとんど正しくないですね。首をおひねりになるのだったら、自分でお調べなさい。  ここに書いてあることをもう一遍一つ一つ尋ねますよ。「一、経営者 社団法人宝塚ゴルフ倶楽部(大正十五年発足当時は任意団体としての宝塚ゴルフ倶楽部)」、そしてその次に、「昭和十二年一月十一日社団法人成立」、こう書いてありますね。大正十五年発足当時、宝塚ゴルフ倶楽部はあったのですか。
  340. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど申し上げましたように、こういう内容で県から伺っているところでございます。
  341. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 冒頭そう言われましたから、そういうことでしょう。しかし、これは正確ではありませんので、もう一度指摘しておきます。今度は本省から兵庫県に派遣をされて、責任ある調査、確認をしていただきたいと思います。  ここにこういう本がある。「宝塚ゴルフ倶楽部四十年史」、これは昭和四十一年五月一日発行、発行者は宝塚ゴルフ倶楽部、印刷は大阪高速印刷株式会社、これに書いてあります。これに書いてあるのが本当だと思うのですね。  どういうふうに書いてあるか、つまりこの年史を見ますと、こう書いてあります。「大正十五年宝塚ホテルのレクリエーション施設のひとつとして、わずか三ホールスの建設から今日まで幾度かの変ぼうをみせてきました」、つまり、宝塚ゴルフ倶楽部が大正十五年にあったのではないのです。宝塚ホテルがあったのです。そして、そのレクリエーション施設の一つとして、つまり宝塚ホテルの附属施設として、三ホールのゴルフ練習場と乗馬クラブ、つまり馬場及びテニス場に使用していたのです。これが歴史です。  これは平成四年三月十日、神戸地方法務局宝塚出張所からとりました閉鎖登記簿の謄本。これを見てみますと、三回名前が変わっておるのですね。どんなふうに変わったかというと、最初は登記はされておらぬわけです。三ホールの練習場として、今言いましたテニス場とか乗馬クラブの馬場とかの一つとしての存在でしたから。  この閉鎖登記簿を見ますと、こう書いてありますね。登記は、昭和十二年一月十一日になっています。名前は、社団法人宝塚カントリー倶楽部です。ゴルフ倶楽部という名前じゃない、カントリー倶楽部。設立は、昭和十二年一月十一日登記、そして昭和十八年十一月十七日、名前が変わって、これは戦時中ですから横文字が使えなかったのでしょう、宝塚打球会と名前が変わりました。そして、戦争が済んで昭和二十一年七月十六日に宝塚ゴルフ倶楽部と名称が変更され、登記されて今日に至っておる、これが事実であります。  私が言っていることが本当かどうか、県知事に確かめてください。  それで、大臣はゴルフをなさいますか。
  342. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 いたしません。
  343. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大臣は中学時代から柔道の達人でありまして、私も同じ修猷館という中学で水泳、中学五年のときに日米対抗日本代表選手になったのです。だから、今もって歩くのは苦手でございまして、ゴルフをしないのです。だから、ゴルフのことは私は余り知らないのですよ。そういう立場で聞いていただきたいのです。  どなたでも結構ですが、何ホールだったら、ゴルフ場として認可されるのですか。どなたでも結構です、私は知らないから教えていただきたい。ゴルフをなさる方、おいででしょう。
  344. 望月薫雄

    ○望月政府委員 実はその前に、ただいま社団法人の歴史等について先生から御懇篤なる御説明、ありがとうございました。  言いわけになりますけれども、社団法人自体を直接私ども建設省が監督する立場にないわけでございますので、私ども、それについていささか認識していない点を改めて確認させていただいた次第でございます。  そこでゴルフのことでございますけれども、私もそんなにやる方でないから自信を持って言えませんが、ゴルフ場の許可云々ということでありますけれども、許可業務が果たしてどこがどうなっているかということについては、私もつまびらかでございません。ただ、世上言われているのは、どうも十八ホールないとゴルフ場としてまともじやない、こんなふうに受けとめられているんじゃないか、こんなふうに思っております。
  345. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 最初の点はもうよくわかっていますから、私が言ったのを知事に確かめていただきたい。それでいいのです。  それで、今、私もそうじゃないかと思っていたのです。常識としては十八ホール。そうじゃないのですよ。これはあした最後の総括締めくくりがありますから、きょうは建設省関係ですから、恐らくゴルフをなさる方でも正確に御存じの方がないんじゃないか、このように思うのです。これはあした聞きますから、あなた方にはもう聞きません。知っている人に聞きます。知っているはずの人に聞きますから、それでそれはいいとしましょう。あしたに残しておきます。  それで、ここに、三にゴルフ場の開設とありますね。おたくの回答書ですよ。この開設とは、どういう意味なんですか、大正十五年。
  346. 望月薫雄

    ○望月政府委員 これもそう言われると、なかなか明快に申し上げにくくて御無礼いたしますけれども、今これが三ホールで始められたというお話でございましたけれども、多分九ホールで始まったんじゃないかと思っているところでございます。
  347. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それも間違いです。よく知事の方に確かめてください。  それで、私がこれを見まして、これは何だろうかと思うことは、建設省の方もこれを出されるときに何だろうかと思われないのですかね。不思議ですね。開設とは一体どういうことなのか。回答を出された側が、兵庫から聞かれたのかもしれませんが、私だったら、開設とは何だろうか、ゴルフがわからないから聞きますけれども、どうしてお聞きにならないのでしょうかね。だから、わからないわけでしょう。これもあしたお伺いいたしますが、念のために申し上げておきますと、こういうことになっているのですよ。これも私は全部謄本をとっておりますから。  この宝塚ゴルフ場の土地の所有権の異動状態を申し上げておきます。  大正三年五月二十三日、内務省、大正三年六月十三日、これは武庫郡良元村というのですかね。それから昭和二十三年二月十四日、武庫郡良元村、そして大正三年九月九日、八木豊一郎、大正九年三月四日、これは実印土地株式会社、大正十一年三月十三日、甲陽土地株式会社、昭和五年十二月二十九日、米本儀之助、昭和十八年八月二十七日、日本競馬会、昭和二十三年二月十四日、日本競馬会、昭和二十三年七月二十六日、農林省、昭和二十三年七月二十八日、日本中央競馬会、昭和二十九年一月四日、日本中央競馬会、これは全部売買による土地の異動状態です。そしてこれが京阪神競馬株式会社、昭和三十一年四月五日に会社の名前が変わって京阪神不動産株式会社、こういう土地の異動なんです。  だから私は開設とはどういう意味がと聞いたんですよ。こういうことになっておりますからね。そしてその回答書では、昭和五年に十八ホールを完成した、こうなっていますね。その開業したときの十八ホールの宝塚ゴルフ倶楽部、これは、社団法人自体が所有しておった敷地の総面積及び借地契約済みの総面積、敷地はそれぞれ何ヘクタールであったのか、また借地契約の相手先、だれだったのか、そしてその面積の内訳はどうなっておったか、これも兵庫県知事に問い合わして文書でお願いをしたい。  それから、ここに、五のところ、四は後回しにして、五のところに「今後の対応策」とありますね、回答書。「当該地域内の国有地については、現在兵庫県等において官民境界の協議等の作業を進めていると聞いておる。」この「官民」の「民」はだれですか。
  348. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生から今二点のお話がございましたが、まず前段の方でございます。  宝塚ゴルフ場のその土地の異動あるいは所有関係の内容等々についてでございますが、これは率直に申し上げまして、ゴルフ場、これを運営管理いたしております財団の管理監督の立場に建設省がございませんものですから、これについて私どもに求められましても、ちょっとお答えしかねるな、こんな感じが率直にいたします。  私どもは、この中にある国有財産がどういう状況になっているかということを実は主眼として先般も承り、また、これは当然建設省関係する国有財産に関することでございますので、これについては、県当局等についてもしっかり上お調べいただくとか、報告をいただくということは、今後ともやらしていただきますが、そういった点は、ひとつ御理解、御了解をいただきたいと存じます。  それから、そういった意味で官民境界の協議等云々でございますが、これはあくまでもそういった意味で法定外公共財産である里道、水路あるいはまた普通河川等が入っているわけでございますが、あるいは市道も入っている、こういったものについての官民境界ということでございますので、隣接土地所有者、言うなれば、ここで言えば宝塚ゴルフ場そのものだと思いますけれども、いずれにしても、その中でこういった公共財産がどういうふうに入っているかということを画定する、こういった意味でございます。
  349. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は四日から指摘しているのは、その中に国有地があるから問題にしているのですよ。だから、今言ったようなことをはっきりしてください、国有地が入っているから。この前から言っているでしょう。  それで、今「官民」の民は宝塚ゴルフ倶楽部とおっしゃいました。そのほかの隣接の地主は、民に入っていないのですか。宝塚ゴルフ倶楽部だけですか、民は。
  350. 望月薫雄

    ○望月政府委員 もう申し上げるまでもありませんけれども、この種の土地については公図によって確認するのが現実的であるし、またそれ以外に手がないわけでございますが、そうなりますと、この土地がどこに所在するかということからアプローチいたします。したがいまして、極端に言えば宝塚ゴルフ倶楽部の所有する土地の一番へりといいましょうか、地区の外に隣接するところ、こういうところにあれば、その所有者というものは、関係権利者というのは、おのずから倶楽部以外の者もあり得るとは思いますけれども、いずれにしましても、公図によってそこら辺が画定されるもの、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  351. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 当然でしょうね、隣接というのは。だから、民が宝塚ゴルフ倶楽部だけ考えておったとしたら、これは大間違いじゃないでしょうか。そのほか、の隣接の地主さんがおられるはずだから。当然民の中にはこういう方々も含まれないと、争いは起こっても解決しませんよ。これは指摘をしておきます。よく注意をしてくださいね、兵庫県知事に。  それから、その次に「官民境界の協議等」とありますね。今度は、この「等」は一体何を意味しておるんでしょうか。
  352. 望月薫雄

    ○望月政府委員 これは、まず土地の画定と同時に、いずれ用途廃止等を行う段階に来るべきものもあると思いますが、それならば、その手続も含めての「等」でございます。
  353. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは、兵庫県以外の役所も含むということでしょうか。
  354. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほどもちょっと申しましたけれども、この区域の中には、宝塚の市道が市道として現在認定されたままになっている土地もあるようでございます。そういった意味では、その土地は、もしあればこれは宝塚市、こういうことになりますので、県のみならず市も一緒でございます。
  355. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さっきつけ加えるのを私ちょっと落としておりましたが、その隣接の中に西宮市もある。西宮市と宝塚市、これの境界線の一部がまだ不確認の状態のはずであります。どうしてこの二つの市にこの境界を画定させないんでしょうかね。これも私は不思議に思います。これも地元の知事によく確かめていただきたい。  だから、どうも私は、兵庫県、おかしいのじゃないかという気がしてならないのです。本省を非難しているんじゃないんですよ。兵庫県がおかしいのじゃないか、何かあるんじゃないか、そういう疑いを私は持つんですよ、やり方が余りにもおかしいから。  それで、時間が来たそうですけれども、この「国有地の賦存状況」というのは一体どういうことですか。四です。
  356. 望月薫雄

    ○望月政府委員 これは、私ども、この宝塚ゴルフ場の区域の中に存在しているいわゆる国有財産、法定外公共用財産を含めてでございますが、これがどうであるかということを聞いたものでございます。お示ししていますように、その中には宝塚市道もあれば里道、水路、逆瀬川もある、こういったことでございます。
  357. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 具体的に言いますと、賦存の状態とは、使用の貸借状態、賃貸借なのかどうか、あるいは払い下げを受けて所有権が移転しているのかどうか、無償で貸しておるのかどうか。その根拠は、一体無償の場合どういう根拠なのか。この根拠というのは、つまり、ここに書いてある「賦存状況」、賦存以外は宝塚ゴルフ倶楽部がゴルフ場の土地について勝手に使用しておるのではないか。もしそうならば、その放置しておる面積があります。なぜ放置されているのか、その理由をしかと聞いておいていただきたい。  それで、重ねて申し上げますけれども、この四の「国有地の賦存状況」、数字が書いてあります。市道、里道、逆瀬川、水路、合計四万七千八百平米。この数字にも疑問があります。例えば里道が千平米で水路が一万二千平米、こういうことはないのじゃないですか。水路と里道というのは非常に関係があるから、大体そう違わないと私は思いますけれども、これももう一度兵庫県知事に精査を命じてください。  それで、建設省本省の管轄でないものについては管轄の方に連絡をして調べさせてください。私はどこが管轄かわかりませんから。管轄でない点まで本省に言おうとは思いません。  最後の一問だけ、これもさっき申し上げた謄本に関係をするのですけれども、社団法人宝塚ゴルフ倶楽部の謄本の一番最後にこういうあれがあります。資産総額、平成二年三月三十一日、これは十八億四千四百六十五万五千四百八円ですね。一年後の平成三年三月三十一日、急に四十一億円ふえておりますね、この謄本によると。資産の総額五十九億五千百二十万五千百七十一円。何で一年間でこんなに四十一億もふえたのでしょうか。これもここにありますけれども、謄本から見ますと、国有地を勝手に侵奪したんではないかと私は問題視している。謄本を見ますと時期が符合するんですね。それで勝手に侵奪したから四十一億資産ふえたのでしょう。私はそう思わざるを得ない。  それで、残余は明日の総括でやりますが、私がきょう疑問として出した点は、現地の知事によく連絡して、できるだけ文書であしたの二時ごろまでにひとつ御提出をいただきたい。
  358. 望月薫雄

    ○望月政府委員 せっかくの先生の御要求でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この社団法人宝塚ゴルフ倶楽部に関しては、建設大臣建設省は何らの指導監督権を持たない立場でございます。したがいまして、今お示しの資産状況がどうなっているかとか、あるいはこの社団法人の基本的な事柄については、私ども幾ら何でも、県知事を通じてでも、報告を求めたり調査をお願いするということは建設省としてはいたしかねますので、そこのところは、先生、ひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  359. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ほかの点は。
  360. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ですから、私どもは、先ほども申しましたように、法定外財産も含めての国有財産についての状況、これはお願いさせていただきました。ただ、何分とも先ほど申しましたように公図等に当たらないと正確なものがわかりません。そういった中でこれは時間のかかる調査になろうかと思いますが、いずれにしても、お話がちょっとありましたけれども、何らの手続もとらないままに不用なものも不用の処置もしない、あるいはそのほかに財産管理上の手続の遅滞等があれば、それについては是正していただく必要がありますので、そういった観点からの指導は引き続きさせていただきますが、いずれにしましても、今先生がお求めのような資料等を、今すぐと言われても、これはなかなかお答えいたしかねるのじゃないか、こんなふうに思う次第でございます。
  361. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これで終わりますが、私は、本省の方で無理なものはいいと言っているでしょう。そんな無理なことは言いませんよ。あした締めくくりがありますから、全部大臣がそろっておりますから、あしたわかるでしょう。  それでは、これで終わります。
  362. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。L1
  363. 粟屋敏信

    粟屋主査 平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算中総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。東家国土庁長官
  364. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成四年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁の一般会計歳出予算は、三千十三億二千七百万円余を予定いたしております。  また、大蔵省所管の産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出一億八千九百万円を予定いたしております。  その主要な内容は、  第一に、第四次全国総合開発計画の総合的推進等の国土計画の推進  第二に、適正な地価水準の実現、適正かつ合理的な土地利用の確保等の総合的土地対策の推進  第三に、水資源の開発及び有効利用の促進等の総合的な水資源対策の推進  第四に、良好、安全な都市環境の整備を図るための大都市圏整備の推進  第五に、人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進.  第六に、国土を保全し、国民の生命及び財産を災害から守るための総合的災害対策の推進  第七に、地域活性化施策に関する調査・研究等及び具体化を図るための地域活性化施策の推進  第八に、人口及び産業の地方への分散と地域の開発発展を図るための地域振興整備公団の事業の推進であります。  国土庁予算の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります平成四年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  365. 粟屋敏信

    粟屋主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。L1
  366. 粟屋敏信

    粟屋主査 この際一分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木義明君。
  367. 高木義明

    高木分科員 私は、離島の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  御承知のとおり、離島振興法は昭和二十八年に制定されまして、今日まで約四十年間の月日がたっておるのでありますが、当時の我が国の社会経済情勢は、私がここで述べるまでもなく、今日とは大きく異なった状態であっただろうということでありまして、そういう中で、どちらかと言えば、離島は本土から離れ、同情的な立場からの政策の確立というのがあったのではないかと思っております。しかし、この四十年間、関係各位の御努力の中で、私は格段に離島の環境は向上していったというふうに思っております。  しかし、今なお地域格差があると言わざるを得ません。そういう意味で、今、私たちはこの四十年の貴重な教訓を生かしながら、また、新しい観点に立った離島政策を確立しなければならない、私はそういうふうに思っております。今後は、かわいそう論といいますか、いわゆる同情論から脱却をして、希望のある、むしろ積極的な立場の政策立案、これが私は大切であろうと思っております。  そういう意味で、今後ますます、離島の医療あるいは福祉等々におきましても、きめ細かい施策が必要になっておる、こういう現状ではないかと私は思っております。特によく言われるのは、離島は本土と比べてハンディがある、こういうふうに言われておりまして、このハンディを少しでも補うことの取り組みが行われてまいりましたけれども、今の我が国の離島の現状について、そして、国土政策上離島をどのように位置づけておるのか、位置づけていくのか、こういうことにつきまして、政府の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  368. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘のとおり、離島振興法ができまして四十年余り経過いたしたわけでございます。この間、関係者の大変な御努力によりまして、いわゆるインフラと申しますか、そういう部分は、当時と比べますと、本土との格差がかなり近づいておりますが、まだ現状は十分なものと言えないということは、今御指摘のとおりだと思います。それから同時に、最近の離島の状況を見てまいりますと、どうも依然として人口の減少がとまらない、それの結果といたしまして、高齢化の進展が甚だしい、著しい、こういうことがございます。  従来のこの離島振興法と申しますのは、先生も御案内のとおり、どちらかと言いますとハード中心、なかんずく、今申し上げましたようなインフラ整備を中心にやってまいりました。これはこれなりの成果があるわけでありますけれども、最近の状況を見てまいりますと、先ほど御指摘がありましたような福祉の問題でございますとか、あるいは離島には特有の文化があるわけでございまして、そういう文化の問題あるいは産業振興の問題、医療の問題、そして、それらを実施するためのもろもろの財政、金融あるいは税制、こういう問題についての配慮と申しますか、そういうところが欠けていたのじゃないかということを私どもは反省をいたしております。そして、過般開かれました国土審議会の離島の特別委員会におきましても、皆さん方からさような御指摘をいただいております。  御案内のとおり、この離島振興法自体は議員立法という形で提案をされておりますものですから、私ども、そういう趣旨を関係方面にお伝え申し上げまして、そして、ぜひ今申し上げましたようなことも含めた形で今後離島政策をやっていただきたい。その際に、やはり今御指摘がございましたが、離島というものの国土政策上の果たす役割というものをもう少し明確にする必要があるだろう。ただ単に遠くにあるからというようなことではなくて、例えば当時と比べると国際情勢が変わってまいりました。そして二百海里というような問題が現実の問題として出てまいりました。  この二百海里という問題を考えますと、離島の果たすべき役割、離島があることによって我が国の二百海里水域は相当程度広がっているわけでございます。そういうことも踏まえながら、四全総にも今申しましたような離島の位置づけがございますものですから、そういう点も踏まえて、私どもはこれから新しく離島政策をやっていく必要があるのではないかと考えております。
  369. 高木義明

    高木分科員 私は、これからの離島振興対策を進める上では、まず我が国にとって離島とは一体どのような役割を持つのか、そういう位置づけをきちっとした中でこそ政策の展開があり得るというふうに思っております。今お述べになられましたように、何といっても離島は我が国国土の保全の面からしても、あるいはまた海洋国家の日本としても、その開発の基地あるいは物流の拠点といった意味でも、今後私は大切な意味合いを持っていくであろうと思うわけでございます。  しかし、反面、四十年にわたる数々の施策を講じられたけれども、現実には人口の減があるし、そして島内はますます高齢化をしていく。特に、それぞれの自治体におきましても、財政力は強くなるどころか脆弱になっていくという現状であります。これは一体どういうことなのか。ひとえに離島のハンディといえばそれまででありますけれども、今叫ばれております離島から若者が流出をしないように、流出に歯どめをかけるように、そういう施策を皆さんが求めておられる。これは、言葉では大変易しいわけでありますけれども、極めて難しい問題であります。しかし、難しいからといって手をこまねいているわけにはまいりませんで、それぞれ知恵と汗をかきながら、私はこれらの問題を克服していかなければならないだろうと思っております。  そういう意味で、今後新しい離島の振興対策を講ずるときに、その基本になるスタンスは一体どこに置くのか、そういうことについていかにお考えであるか、私はこの際お聞かせを賜りたいと思います。
  370. 小島重喜

    ○小島政府委員 繰り返しになるかもわかりませんけれども、最近の離島というものは、今御指摘ございましたように、二百海里体制というようなことで国土の言うなら最前線といいますか、そういうようなところでの役割の問題、それに関連いたしまして海洋資源の利用とか自然環境の保全、さらには最近、時短時短ということが言われておりますけれども、余暇利用の場というようなことを総合的に考えますと、大変重要な役割を果たすべき地域であろうかと思います。  こういう地域に、今御指摘ございましたように、できるだけ若い方々に住んでいただく、あるいは若者がそこに魅力を感ずるような地域をつくっていかなければ、いかぬということもまた御指摘のとおりでございまして、私どももそういう方向で離島施策を進めていきたいと思いますけれども、仄聞するところによりますと、今関係の政党間でいろいろと御審議をいただいております新しい離島振興法の方策というようなものも、ほぼそういうような方向で進んでおると伺っております。私ども、これから離島振興の衝に当たる者といたしましては大変ありがたいことでございまして、ぜひそういう方向で各党間の皆様方の御意見をまとめていただいて、そして私どもはそれに沿ってやっていきたいと思います。  その中でも、特にソフト面といいますか、離島振興の場合、従来のハードはもちろんでありますけれども、やはりソフト面に力を入れるような施策に今後特に私どもは意を用いていきたい、かように考えております。
  371. 高木義明

    高木分科員 私は、離島の福祉や教育、産業、いろいろ重要な課題がありますが、やはり何といっても交通アクセスと申しましょうか、足の確保だと思っております。  そこで、その足の離島航路の維持、改善につきまして、まず国土庁として今どのようにとらえておられるのか、御所見を承りたいと思います。
  372. 小島重喜

    ○小島政府委員 今御指摘ございましたように、言うならば足の確保ということが大変重要なことだと私ども思います。離島と半島あるいは離島以外の過疎地域との大きな差は、今御指摘ございましたように道がないということではないかと思います。  そういう意味で離島とのアクセスあるいは離島相互間のアクセスということを考えますと、離島航路の果たす役割は大変大きいものがございますし、それがある程度定時性で、そして安くて速いということが仮に実現できますならば、本土から観光客等も行く可能性は今以上にあるわけでございますから、私どもといたしましては、今回仮に離島振興法の一部改正ということになりますと、そういう点には特に重点を置いていただきたいと思いますし、これからいろいろな工夫を凝らしてできる限りそういうところの利便性の向上ということに、また国土庁といたしましても関係の、特に運輸省あるいは自治省等の御協力が要るわけでございますけれども、ぜひ努めてまいりたいと考えております。
  373. 高木義明

    高木分科員 運輸省におかれましては、離島航路の補助制度としまして、これはもちろん離島航路整備法に基づくものでございますが、現在のところ平成三年度で補助対象の航路数は百三十六航路となっております。平成四年度の予算につきましては三年度より五%アップ、むしろこれは大幅だと私は評価するわけでありますが、三十九億九千七百万円、こういう額で措置をされております。これはこれで私は評価をいたしますけれども、今日、離島航路を運営する船会社等におきましても御多分に漏れず人手不足あるいは燃油の値上がり、こういう影響を受ける中で大変厳しい経営を強いられていると言っても過言ではありません。しかし、離島の方々の足を守るために企業努力をして運航をしておるというのが実情ではないかと思っております。  今後、これらの予算の確保はもとより、新規の補助対象を拡大したり、あるいは最近高速船艇の導入が関係者、自治体等から要望が大変強いわけでありまして、そういうものを導入するときに対する補助制度の創設等も必要ではないかと私は思いますけれども、この点についてお考えをお聞かせいただきたい。
  374. 床井健

    床井説明員 離島航路は、離島住民の日常生活に欠かせない交通機関であるため、従来から国におきましては、指定した航路に対しまして、生じた欠損について地方公共団体と協力して補助を行い、航路の維持整備を図ってきているところであります。離島航路補助金につきましては、先ほど先生からお話がありましたように、平成四年度予算案におきまして、前年度に比べ五%増の三十九億九千七百万円が計上されているところであります。今後とも離島航路の維持整備について支障のないように努めてまいりたいと考えております。  また、離島航路に就航しております船舶の高速化等サービス水準の高度化を図っていくことは、離島住民の生活基盤の充実の観点から極めて重要であると考えております。このため、運輸省としましても、高速船等の建造により生ずる金利及び減価償却費を離島航路補助の対象経費として毎年度補てんずるとともに、船舶整備公団の共有建造方式による建造資金融資を行っているところであります。今後とも、これらの制度を活用することにより、航路の特性に応じ高速船の導入に努めてまいりたいと考えております。
  375. 高木義明

    高木分科員 さらに、基幹の交通手段の助成強化がなされますように強く要望しておきたいと思います。  さて、海もさることながら、こういう時代になりますと、何といっても空の便というのも大切でございます。今の時代ですから、飛行機なんてという方も一部におられますけれども、やはり多くのニーズに対応するためには、こういう航空路の充実というのも離島対策として欠かせないことだろうと私は思っております。先ほど海の問題では、航路につきましては離島航路整備法という法律がございまして、これに基づいて国の助成策が出ておるわけです。しかし、離島航空路の場合はこのような制度はございません。したがって私は、この問題についてどういうふうなとらまえ方をしておるのか、まず国土庁の御所見を賜っておきたいと思います。
  376. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答えいたします。  海が船、空が飛行機ということで、離島と本土とのアクセスがさらに容易になるということは、基本的には望ましいことであるというようには私どもは考えております。  ただ、今お話しの空路の問題につきましては、いろいろと、そういう空路整備法をつくったらどうかというようなお話も私どものところにも来ておりまして、ただ、今のような財政状況のもとではなかなか難しいということもございますが、基本的にそういう離島空路のあり方と申しますか、そういうものについて私どもは私どもなりに一応の検討もしなければいけないということでございまして、今既に幾つかの離島空路に対して、運輸省の御努力によりまして実質的な助成措置が行われておるわけでございますけれども、いずれにしましても、さらに、離島相互間の時間的距離の、あるいは離島と本土との間の時間的距離の短縮というようなことにつきましては、関係省庁とも今後、今御指摘いただきましたような趣旨を踏まえながら私どもとしてはこれから研究をしてまいりたいというように考えております。
  377. 高木義明

    高木分科員 そこで、運輸省の方にお伺いします。  これまで離島航空路の助成につきましては一定の対策が講じられておりまして、まことに結構だと思っておりますが、私が申し上げました例えば離島航空路整備法等の制定とかあるいはまた新たに機体を購入する場合の補助制度、こういったものの導入等についていかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  378. 辻通明

    ○辻説明員 お答え申し上げます。  離島航空につきましては、離島生活に果たしている航空輸送の役割、また、我が国における高速交通体系整備必要性といったことにかんがみますると、離島路線の維持については今後とも積極的に取り組んでいく必要があろうと考えておるところでございます。  先生もう既に御案内のとおり、離島路線につきましては、国におきましては従来から空港の着陸料及び航行援助施設利用料の軽減措置というのを講じてきているところでございます。現在のところ、離島路線につきましては、国のこういった助成措置、また地方公共団体の助成措置を受けながら離島航空企業が積極的な経営努力をする、そういうことによりましてその維持が図られているという現状でございます。運輸省といたしましては、離島路線の維持につきましては今後とも、基本的には離島航空企業の自主的な経営努力、これが前提といいますか基本となるとは思いますが、それを基本としつつ、地方公共団体及び国が適切な役割を果たしていく必要があろうと考えているところでございます。  現在、離島路線につきましては、いろいろと検討しなければならないと考えております。今後とも、高速交通体系の整備必要性、それから離島住民の足の確保といった観点から、適切な対策はどういうものがあるのかということについて十分検討させていただきたいと考えておるところでございます。
  379. 高木義明

    高木分科員 時間も限られておりますので、離島航路あるいは航空路の問題はこの辺にいたしまして、離島問題につきまして、私は、今後離島架橋の整備も大切な課題であろうと思っております。  今既にかなり整備が図られておりますけれども、例えば私どもの長崎県におきましては、西彼杵郡の仮称大島大橋、これは既に着工されておるわけでございます。同じく西彼杵郡の伊王島大橋、これも仮称でございますが、そういうことも島民の強い要望になっておりますけれども、離島の今後の整備方針につきましてこの際承っておきたいと思います。
  380. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  離島架橋につきましては、本土と離島、さらに離島相互間を結ぶものとしては大変有効な手段であるというように思います。この点につきましては、今お話ございましたように、かねてから私どもといたしましては、できる限り可能なものは実現していこうというようなことで、既に五十一の橋をかけておりまして、また、平成三年度現在で建設中のものが、建設省所管そのほか農道その他入れますと十九というようなことで、かなりの橋を現在建設中でございます。  今後も、そういう架橋が可能な地域につきましては、一挙にはできないかもわかりませんけれども、順次そういうものの実現を図っていくということが私ども大変必要なことだろう、かように考えております。そのためには、やはり事前にいろいろな調査で、果たして可能であるかどうかとかいうような事前調査、さらには、主として大体県道なりあるいは場合によっては市町村道ということでやられますから、県内のいろいろな調整あるいは地元の漁協その他の関係者との調整など、そういう意味での地元のコンセンサスができませんと、御案内のとおりなかなか実現をいたしません。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、予算の許される範囲内で、できるだけ離島架橋につきましては力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  381. 高木義明

    高木分科員 次の問題に移りますけれども、いわゆる長崎県、熊本県、鹿児島県、この三県が、島原・天草・長島架橋構想というものを持っております。この問題につきましては既にその実現に向けまして九州中西部地域整備計画調査というのが行われておりますが、この結果についてお教えいただきたいと思います。
  382. 土屋進

    ○土屋説明員 御説明をいたします。  先生指摘の調査でございますが、これは、平成元年度から平成二年度まで二カ年にわたりまして国土総合開発事業調整費の調査でやっております。調査は建設省が農林水産省、それから通産省、運輸省等と共同で実施をしているわけでありますが、有明海と八代海を取り巻きます福岡、佐賀、長崎、熊本、それから鹿児島県にわたります地域を対象としています。  それで、内容は産業振興あるいは観光振興あるいは基盤整備など、地域の振興方策を検討いたしまして総合的な地域整備計画の策定を行うということを目的として実施をしているところであります。  調査は学識経験者等から成る委員会を設けて実施をいたしました。その結果、有明海、それから八代海沿岸の各地域の特性、それぞれあるわけでございますが、そういう特性を生かした整備を行うために、東側、東岸側でございますが、東岸側は工業を初めといたします産業基盤の強化、それから西側、西岸側でございますが、それは観光レクリエーションの強化が必要であるという結論を得ているところであります。  さらに、地域内の交通促進を図るということから、東岸の交通軸、それから西岸の交通軸、それから東と西を結びます東西の交通軸、そういうものの強化が必要であろうということであります。  それで、現在連携が弱い西側の交通軸の強化につきましては、現在あります基幹的な交通ネットワーク一般国道であったりあるいはそれがフェリーの航路であったりするわけでありますが、そういうものの利便性とか定時性の確保をまず図っていこう、それとともに、先ほど先生指摘の島原・天草・長島架橋を含む広域基幹ルートの構想につきましては、各種地域振興方策の具体化を踏まえながら長期的視点から検討を進めていく必要がある、そういう結果を得ているところであります。  以上でございます。
  383. 高木義明

    高木分科員 時間もございませんので、国土庁長官、せっかく御出席でございますので、今私が最後に提起しました島原・天草・長島三県架橋構想の実現は地域の活性化にとって、また大臣も大変かかわり合いの深いところでございまして、大切な事業だと思っております。したがって、その事業につきましては今後さらに実現へのステップを踏んでいただきたい、このように思います。  さらに、前段からお話ししました離島対策につきまして、国土庁長官としての御決意をこの際お聞きしておきたいと思います。
  384. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 基本的には、多極分散型の国土を、均衡ある発展を求めての今日までの努力が、先生お尋ねの三県架橋にいたしましても、九州のドーナツ状の、将来は、道路としての活力は必ずこれにより生み出されると私は思っておりますし、どうかひとつ今後とも、今局長から話がございましたように、新たにまた議員立法による改正がなされるわけですから、ハード面だけではなくて、さらにソフト面の充実を図っていこうというようなことでございますから、新しい改正への立法府の皆さん方熱意に我々もこたえていくべく努力してまいりたいと思っております。  なおまた、離島振興につきましては、るる今説明がございましたけれども、やはりこれからの新しい国土の形成の中に離島が、先ほども御質問にありましたように、人口がこのように減少するということは私どもは非常に嘆かわしいことだと考えておりますし、投資効率が今後離島の振興につながるように頑張っていきたいというふうに考えております。御協力をお願い申し上げます。
  385. 高木義明

    高木分科員 終わります。
  386. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤和良君。
  387. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 皆様大変遅くまで御苦労さまでございます。私はきょうは少し大きな夢のあるお話をさせていただきたいと思います。  私、徳島県でございますけれども徳島県がこんなパンフレットをつくりました。「第二国土軸の形成にむけて 紀淡海峡連絡道」というにじの絵の入ったこういうふうなパンフレットでございますが、これを開いてみますと、東家国土庁長官はたしか熊本県だと思いますけれども、熊本から四国を通りまして東京まで鉄道が走っております。これは、第二国土軸、鉄道はこのように走らせたいという夢でございます。それから道路の方は、やはり九州の長崎県から四国を通りまして、和歌山県、伊勢湾を通りまして東京まで走るような構想になっているわけでございますが、この夢のある第二国土軸構想ということでございますけれども、私は、国土庁というお役所はやはり県民といいますか国民に夢と希望を与えていくような日本の国のデザインを考える役所ではないかと思うのでございます。  そこで、この第二国土軸構想につきましてはいろいろな歴史的な経緯があるめですけれども、昭和四十年に国連の例のワイズマン・レポートから始まりまして、最近は与党自民党の皆さんの中にも議員連盟をおつくりになりまして、そしてもう精力的に調査活動をされておると伺っています。国土庁長官ももちろんそのメンバーの一人だと思うのですけれども、この間は豊橋から長崎まで飛行機で上から御視察をなされた、このように伺っているわけでございますが、こういった夢のある構想に対しまして国の機関としてこれをどのように受けとめていらっしゃるのか、この辺をぜひお伺いしたいと思います。
  388. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 関係各県の皆さん方熱意は、大変な盛り上がりを今日、議員の先生方とともどもに盛り上げておられるところでございます。国土の均衡ある発展を図る上では、交通体系の整備等を通じ国土の重要な軸と有る、形成せねばならない、このことにより充実を図ると私は考えております。  そうした観点から、西日本、東日本等の地域から構想が提案されて以来今日まで、大変な御努力をいただいて既に調査等も行われているわけでございますから、二十一世紀の国土づくりのやはり何としてでも貴重な、長期的な視点からも検討すべき大きな課題だと私は考えております。
  389. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 きのう私、夜、この第四次全国総合開発計画を全部読んできたのです。ここにどういうことが書いてあるかなと思ったのですけれども、これは昭和六十二年の六月三十日に閣議決定されたものですが、この頭のところにこのように書いてございました。「先行き不透明な時代における長期計画である全国総合開発計画については、計画の内容を硬直的に考えることなく、時代の変化に対応し中間時点において適時見直しを行うこと。」こうあるのですね。これが昭和六十二年ですから一九八七年ですね。これが完成するのは平成十二年、二〇〇〇年ということですから、ちょうど中間的な年はいつかなと計算してみますと、来年なんですね。平成五年なんです。一九九三年でございますから、そうすると、この中間時点における適時見直しということは、そろそろ準備の作業をしないと来年が中間時点でございますからやらなければいけないんじゃないかと思います。  そうすると、その四全総の見直しと申しますか、その中に今の新しい国土軸としてのこの構想を位置づけて見直しをされるおつもりなのかどうか、この辺を確認させていただきたいのです。
  390. 田中章介

    ○田中(章)政府委員 四全総につきましては、目標年次が二〇〇〇年ということで現在四全総の目標であります東京一極集中是正あるいは多極分散型国土の形成、こういうことのために地域の主導の地域づくりということを基調にしまして、その基盤となりますいわゆる高速交通ネットワーク整備、こういうことを推進しております。  そういう意味では、さらにこういった四全総の推進を一段と進めていかなければいけないわけでございますが、先ほど先生指摘のように、ちょうどその中間時点といいますと一九九三年ないし四年ということになりますので、私どもとしましては、国土審議会の場がございます、そこでこの四全総につきまして総合的点検を行おう。これはいろいろな角度から、特に中長期的な視点からも含めまして総合的に点検をしたい。そういう中で将来の国土づくりの基本となります交通ネットワークにつきましても検討してまいりたい、このように考えて、既にその総合的点検につきましては国土審議会を開催しまして着手したところでございます」
  391. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 総合的な点検作業の中に新しい国土軸ということは当然視野に入れて点検をする、このように理解してよろしゅうございますか。
  392. 田中章介

    ○田中(章)政府委員 新しい国土軸と申しますと、今東日本からも提案されておりますし、いろいろまた西日本のも御承知のようにあるということで、日本列島全体を見ましてどういう軸が必要なのか、あるいはどういう交通軸が必要なのか、そういうことを含めまして将来の国土構造という点で検討をしてまいりたいというふうに考えます。
  393. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 確かに四全総を策定した時点と現在の時点では大分四全総のときに想定していなかった問題がたくさんその後出てきているように思うのです。  例えば四全総では東京一極集中主義の是正ということを言いまして、多極分散型国土の形成ということを言っているのですが、今では実態は依然として東京一極集中主義が横行しておりますし、このままいけば絵にかいたもちに終わるんじゃないかとか、あるいは少産化、子供さんが少ない、あるいは高齢化というのが当初の予想よりも急ピッチで進んでいる、あるいは新たな問題として日米構造協議の例の四百二十兆円の公共事業という話も出てまいりました、あるいは大規模なリゾート構想というものもいろいろ環境問題等があって見直さなければいけない、こんな状況が出ているものですから、当然四全総の見直しはやるべしというふうな機運というものは高まっているのではないか、このように思うのですね。  ですから、今お話がありましたが、第二国土軸というのは西日本ばかりでなくて北の方も第二国土軸という同じ名前を使っているようでございますが、この双方ともに新しい国土軸の形成という感じで、日本に一本ある国土軸に加えてそうした複合的な国土計画というものをお立てになれば、当然一極集中主義というのは加速度的に分散される、この四全総がねらった計画というものが具体的に進むことにもなるわけでございますから、ぜひ私どもが念願しております第二国土軸構想、西日本におきます第二国土軸構想というものを公式な場にのせる意味におきましても、その見直し作業、総点検作業と申されましたけれども、その中でぜひ位置づけてもらいたい、これを強く要望したいのでございますが、大臣、どうですか。
  394. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今おっしゃられましたように、出生率の低下だとか国際情勢の変化だとか、また経済情勢が大きく今日変わってきているわけでございます。中間点にありますから、役所は見直すという言葉はなかなか使いづらい点があろうかと思いますが、見直しも点検も実際中身は一緒だと私は思うのですよ。そういうことをざっくばらんに申し上げまして、今後そういう第二国土軸の重要性というのは、これは国土審議会においてもやはり見直しという言葉はなかなか、使ったら困るようなあんばいもありましょうけれども、そういう点検作業に今入っているわけですから、当然なことだと私は思っておりますし、今後とも推進に努めたいと思っております。
  395. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 この四全総の中にも「見直し」という言葉は入っていますし、「見直しを行うこと。」というふうに明記されていることですから、余り言葉じりにとらわれる必要はないと思いまして、実質的な見直しか行われるもの、このように私は理解させていただきます。よろしゅうございますね。  それでは、具体的に聞きますけれども、四全総が行われた後、四国地方開発促進計画というのが平成二年五月二十九日に閣議決定されているのですが、その中には既に第二国土軸に関して、第二国土軸という言葉は使っていませんけれども、次のような表現があります。「四国における新たな国土の軸の形成が」云々という話がありましたり、それから「現在基本計画が決定している四国新幹線については、海底部トンネルに係る区間の調査を進める。」とか、あるいは「四国における新たな国土の軸の形成が必要であり、本州、四国、九州を結ぶ幹線交通体系について長期的な視点から検討する。」既にこれは念頭に置いている計画ではないのかなと思うのですが、この四国地方開発促進計画というのは四全総と一体のものと理解してよろしゅうございますね。
  396. 小島重喜

    ○小島政府委員 四全総ができましたものですから、言うならばそれを地域におろすという意味で基本的には書いております。御案内のとおり、四国地方開発促進法という法律に基づいた計画でございまして、そのときの情勢をある程度反映した表現がそこにあるのだ、かように考えております。
  397. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 小島さんは前に徳島県の副知事をされておったんだから、徳島のこともよう知っておると思うのですが、四国のことも深い御理解があると思います。  それで、これ原文ですけれども四国地方開発促進計画、この中にもたしか「計画の前向きの展開」という章がありまして、その中には「特に計画期間前半には経済社会の大きな変動が予想されることから、計画の内容を硬直的に考えることなく、時代の変化に対応し、中間時点においで適宜見直しを行うものとする。」このように明文化されていますから、さきの四全総の話と同じように、そろそろこの四国全体の開発促進計画についても見直しを行っていく時期を迎えているのではないか、このように理解しますが、どうですか。
  398. 小島重喜

    ○小島政府委員 この各フロックの計画につきましては、私ども、従来は、言うと語弊がありますが、つくりっ放し、こんな感じでやってまいりま。したが、こういうことではぐあいが悪いということで反省をいたしまして、それで毎年国土審の中に特別のそういう部会をつくりまして、そこで見直すというかフォローアップをしよう。それで現実とのギャップが大きくなればまたこういう事態になるかもわかりませんけれども、とりあえず今は、今月の二十日過ぎにも四国の委員会を開いてフォローアップをやる予定にいたしております。
  399. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 地元では、平成二年の十月に第二国土軸構想推進協議会というのが設立されまして、当時の佐藤国土庁長官に、ぜひ国家プロジェクトとして早期に位置づけるように陳情いたしました。そのときに、平成三年度の予算で調査をいたしますということを言明されまして、確かにその予算に計上されております。例えば、二十一世紀の国土構造の展望調査費九百万円、それから地域間交流促進のための高速ネットワーク調査費七百万円、このようなことが平成三年度予算で計上されておりますが、どのような調査をされたのか。それから来年度の予算ですね、これではどういう形であらわれておって、いつまでこの調査を行い、結論はいつ出すのか、これをお聞きしたいと思います。
  400. 田中章介

    ○田中(章)政府委員 私どもは、この第二国土軸に関連する予算としまして、平成三年度でございますが、全国的な視野のもとに、というのは第二国土軸だけではなくして、東日本等もありますしいろいろございます。そういう意味で、第一番目に二十一世紀の国土構造の展望ということで交通ネットワークに関する調査をしていこう。それでもう一つは、地域間交流促進に資する高速交通ネットワーク調査ということで地域間の交通量、これは人的もありますし、物的なものもあります。そういったものの実態につきまして調査するということで、これは引き続き平成四年度も行っていきたい、このように考えております。
  401. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 それで結論的な報告書のような形で、最後は出るのでしょうか。
  402. 田中章介

    ○田中(章)政府委員 この二十一世紀の国土構造の展望と申しますのは、先ほどもお話がありました国土審議会におきます四全総の総合的点検という中で行いたいと思っておりますので、これは引き続きこういった調査がといいますか、報告書ができたときに、当然世に発表されるという性格のものでございます。  また、もう一つの地域間交流促進に資するための高速交通ネットワーク調査、これは現在、来年度も引き続き地域間交流のあり方を整理してみたり、あるいはそのネットワークのあり方について調査研究をするというものでございますので、その内容を検討していきたいというふうに思っております。
  403. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 運輸省にお伺いしますが、鉄建公団が紀淡海峡のトンネル部に係る区間について地形、地質等の調査を昭和五十八年以来やっています。いつこの最終報告が出るのですか。それとあと、このトンネルは可能なのかどうか、今の時点での感触はいかがでございましょう。
  404. 岩村敬

    ○岩村説明員 紀淡海峡の鉄道トンネルの調査の件でございますが、今御指摘ありましたように、五十八年度から日本鉄道建設公団において調査を行っておるところでございます。具体的には、これまでに空中写真測量でありますとかボーリング調査とか、そういったことをやっておりまして、来年度も紀淡海峡の海底部の地質の把握のために、海峡の東側、すなわち和歌山県側の陸上部から海底の地質を調査するということでボーリング調査を行おうという計画でございます。こういった調査を続けまして、これまでに得られました調査結果とも照合しながら成果を得ていくわけでございます。  今先生の方から、いつにそのめどがつくのだというお話でございますが、今御説明申し上げましたように、まだボーリング調査を続けておるところでございまして、現時点でいつまでにということを明らかにすることはできない状況でございます。  それから、この調査の結果、トンネルが掘れるのか振れないのか、技術的に可能なのかどうか、この点につきましても、さらに現在データを収集中ということでございまして、技術的可能性の判断を、それまでの解析はまだ行い得ない状況にございますので、可能であるとも不可能であるとも現時点では申し上げることができません。
  405. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 さっきの徳島県のパンフレットには、ちゃんと完成した絵がありまして、豊予海峡トンネルの方はもうそれは終わっているのですね。これはできるということですが、こっちの方は最大水深が約二百メートル。深い。しかし、紀淡海峡の方は最大水深が百二十メートルで浅いのですね。地形のことは考えられるわけでございますけれども、どうもだらだらこの調査をしている感じがしまして、地元としては、中間報告なり、現在どの程度やっていて、本当にできるものか、できぬものか、はっきりしてもらいたい、こういうふうな要請が大変強いのですね。その声を伝えておきたいのですが、この中間報告は、あくまでやりませんか。
  406. 岩村敬

    ○岩村説明員 豊予海峡トンネルにつきましては、六十三年の十二月に中間報告という形でトンネルの技術的可能性ありという報告をいたしているわけございますが、この調査全体、四国新幹線の全体の調査ということでございまして、この紀淡海峡について、そのトンネルの技術可能性について中間報告するかしないか、そこら辺も含めて、現在まだ未定の状況でございます。
  407. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 建設省にお伺いしたいのですが、建設省では、平成三年度より紀淡海峡連絡道路というものの本格的な調査を始める、こういうことで、これは日本全国各地に広がるのですが、海峡横断プロジェクト構想の技術的調査方針を取りまとめるために技術調査委員会をつくった。これは紀淡海峡トンネルばかりではなくて、東京湾口の道路だとか伊勢湾口の道路だとか豊予海峡道路だとか、先ほど話のありました三県架橋、九州の方ですが、それを全部念頭に置いているようですが、これはどんな研究をするのでしょうか。そして、平成四年度に報告書を出すと言っておりますが、出せますか。
  408. 井上啓一

    ○井上説明員 我が国の経済及び社会の発展に伴いまして、今先生指摘のように、東京湾口、伊勢湾口など全国各地の海峡部を横断する道路整備することの重要性が高まってきているというふうに認識しております。まだ現在本州四国連絡橋、伊勢湾岸道路、東京湾横断道路等の大規模な道路事業が鋭意進められておりますが、そういうようなことで、これまで技術の進歩が目覚ましいものがございます。  今後の海峡横断プロジェクト構想でございますが、そういう今までの既往の実績を上回る大規模構造物が含まれているという可能性もございまして、新たな技術的課題が予想されております。また、本四のような大規模プロジェクト、現在まで経緯を見てもわかりますが、調査設計のみを限って見ましても、十年以上を超える検討期間を要しました。  そういうことで、建設省では、超長大橋梁、超長大海底道路トンネル等の大規模構造物に関する調査を効率的に進めることを目的といたしまして、各地の海峡横断プロジェクト構想を例題にとりまして、その技術的課題を総括的に調査して、今後の調査方針を取りまとめるために今先生お話がございました技術調査委員会を発足させたところでございます。昨年の十一月に第一回の委員会を開催いたしまして、平成四年度末を目標に技術調査の方針を取りまとめていく方針でございます。
  409. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 地元の関心といたしましては、橋なのか、トンネルなのか、また、道路単独なのか、鉄道併用なのか、こういうことはいろいろ議論があるわけでございますけれども、これは全部がいてあります。道路も鉄道も、それから、橋もトンネルも、全部がいてあるのですけれども。  お伺いをいたします。  建設省道路の担当ですからやはり道路のことを真剣に考える、運輸省は鉄道の方が専門ですから鉄道の方を専門に考える、こういうことでございますが、国土庁はどちらでもいいと言ったらおかしいのですけれども、道ができればいいわけですから、国土庁はもっと大きい視野に立ってルートをつくる。そういう意味では余り固定概念じゃなくて、橋、トンネルそして鉄道併用という最初は幅広い視点から考えて、だんだんと問題点を絞り込んでいく、メリット、デメリット者えてやっていく、こういうふうな手法がいいのではないかと思うのですが、実際見ておりますと、国土庁は計画をつくるのですけれども、実際の実動部隊というのは建設省と運輸省でございまして、何かその調整がいま一つすっきりしないのではないか、こういうふうな感じがしますけれども、どうでしょう。
  410. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 紀淡海峡を連絡するルートは技術的にも大変な課題、解決すべき問題を抱えているということを聞いております。しかし、多極分散型、地方の振興等も非常におくれておりますことからすれば、やはり最大限にこの調査というものは早く、地域住民に将来の希望を与える一つの大きな目安ともなる幹線道路として完成することが望ましいと私は思っております。  橋かトンネルかの問題等いろいろとございましょうけれども、今後ともそうした技術的な経済的な社会上の調査や研究等もそれぞれ進めておられるわけですから、私どもはその調停に入っていきたいと思っております。
  411. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 よろしくお願い申し上げます。  最後に私、大阪湾のベイエリア開発整備についてお伺いしたいのですが、これは国土庁からいただいた資料でございますけれども、これを見ますと、既に「大阪湾ベイエリアについては、四全総、近畿圏基本整備計画において、広域的な視点から開発整備を進める必要性が述べられている。」ということが明記されておりまして、既に上位計画での位置づけは完了しておる、こういうことでございますから、この構想はもう公式的に認知されているものだ、このように理解するわけでございます。例えば四全総の中の明文を見ますと、「また、長期的な視点から大阪湾における環状交通体系の構想について検討する。」こうありまして、これは当然紀淡海峡トンネルが入らないと環状交通体系は完成しないわけでございますから、既に紀淡海峡トンネルはその位置づけが大阪湾ベイエリアの開発整備における第四次全国総合開発計画の中には入っている、このように理解してよろしいのではないかと思うのです。そして、大阪湾ベイエリアの開発についてもいろいろな資料をいただきましたけれども、この絵を見ますと既に紀淡海峡トンネルは全部組み込まれておりまして、そういうルート完成しておる絵ができておるわけでございますが、このような理解で正しいでしょうか。
  412. 西谷剛

    ○西谷政府委員 結論から申し上げれば、それで正しいと思います。ただ、まだ現段階では計画を具体化するところまで行っておりませんし、またタイムスケジュールとしてどうやっていくかということも今後の問題ですが、基本的にはかなり長期的あるいは広域的な目から物事を進めていく、このように理解しております。
  413. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 最後の最後で申しわけありませんけれども建設省ですか、この構想、要するに環状道路でございます。この大阪湾の環状道路の中で紀淡海峡トンネルの調査をしましょうということで平成三年から調査に入った、このように報道されましたが、これはそのとおりですか。
  414. 井上啓一

    ○井上説明員 建設省といたしましては、昨年六月に大阪湾圏域整備連絡協議会を設立いたしまして、大阪湾圏域整備計画について総合的に検討を始めたところでございます。また、先ほど申しましたような技術検討委員会を発足させて技術的な検討をしているというようなこと、それからまた、昨年十二月には財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構が設立されたということで、そういうような状況の中で建設省としては、大阪湾圏域整備連絡協議会の検討結果あるいは海峡横断プロジェクト技術調査委員会における技術的な検討結果を踏まえまして、また大阪湾ベイエリア開発推進機構と連絡を密にしながら調査、計画を推進していきたいと思っております。
  415. 遠藤和良

    遠藤(和)分科員 大変ありがとうございました。  この構想が早く実現されますように、皆様の御努力を心からお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  416. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤乙彦君。
  417. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 私は、離島振興対策につきましてお伺いをしたいと思います。  私の選挙区は東京二区でございまして、片や大田、品川という人口密度の高い都市部と、それから伊豆諸島、小笠原諸島という典型的な離島を抱えておりまして、私もたびたびこの島換地域には出かけますけれども、自然環境は大変すばらしいわけですけれども、他方、本土と違ったさまざまな厳しい制約、そういったことで島民の生活上の不便は本土と比べようもないということで、身にしみてこれを感じておるわけでございます。例えば交通アクセスの不便、医療の不足、文化、情報の不足、産業の停滞、若年層の流出、後継者不足、高齢化の進行、こういったことは典型的に離島の状況なわけでございます。  離島振興法に基づく離島振興事業によりまして、各島の基盤整備はある程度進んできたわけでございますが、まだまだ法の目的を達成したとは言いがたいと思います。離島振興法は、昭和二十八年に施行されて以来ちょうど四十年ということでございまして、日本の戦後そのものだと言ってもいいわけでございますけれども、この法律が平成四年度で期限切れを迎えるわけでございます。離島の関係団体は、新しい法の制定を求めまして国会や政府に対しまして陳情を続け、先日もこの永田町の近くで決起大会を開いたわけでございます、大臣も御出席になったと思いますけれども。こういった方々の新法制定への熱意、要望というのは大変強いものがあったと私も感じたわけでございます。  そこでまずお伺いをしたいわけですが、政府としまして法の期限を目前にしまして、今までどのように取り組んできたのか、また今後離島振興についてどういう方策が必要と考えているか、特にこの四十年の歴史を振り返りまして、離島振興法の総括的評価といったことでまずお伺いをしたいと思います。
  418. 小島重喜

    ○小島政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のとおり、昭和二十八年に現在の離島振興法が十年間の時限法として制定をされました。それ以来十年、十年、十年ということで三回延長がなされてきました。そのうち、若干の中身の充実はございましたが、主として今までの離島振興法と申しますのは、御案内のことと思いますけれども、今また御指摘もございましたが、いわゆる公共施設と申しますか、インフラの整備ということに中心が置かれてまいりました。これは当時の状況からいたしますと、恐らく本土といわゆる離島地域との間のインフラの格差というものは相当なものがあった、こういう認識と同時に、離島の市町村あるいは離島を抱える県、そういうところは一般的に見てまいりますと大変財政力が弱い、こういうことにかんがみまして、恐らく当時としては破格の補助率の特例制度あるいは負担率の特例制度というものができて今日に至ったのであろうと思います。  その後、いろいろと各種の地域立法ができてまいりました。言うなら離島振興法は地域振興立法の嚆矢とも言うべき法律であったと思いますし、当時のそれぞれの国会議員の先生方の、そういう意味では大変先見の明があったということではなかったかと思います。そして今日まで来ているわけでありますが、先生方初め離島の皆さん方、あるいは離島関係皆さん方の大変な御努力によりまして、いわゆるインフラの部分につきましては、まだ本土並みとはいきませんけれども、まあ本土の例えば県道といいますかそういうものの舗装卒なんかを見ますと九割近い、あるいは九割を超えるような水準にはなっておりますけれども、全体として見てまいりますと、そういう意味でのインフラの整備の率も低いということが一点ございます。しかし、ある程度の整備ができておるということも一方事実でございまして、そういう意味では引き続いてこういうインフラの整備というのは当然行っていかなきゃなりませんけれども、今申し上げましたように、どちらかというとそういうインフラに傾斜をいたしました施策が中心でありましたために、今で言いますいわゆるソフト面の施策に欠ける点があったんではないかということを、私どもは反省をいたしております。  そういう面で今も指摘ございましたように、全離島あるいは離対協の皆さん方のいろいろな御要望等々、さらには私ども国土審議会の特別委員会におきます各学識経験者、さらには国会議員の代表の先生方のいろいろな御意見等も踏まえまして、もう少し現在の言うならば離島振興法という名前は同じでありましても、中身を一新をして相当充実してやっていく必要があるんじゃないか、私ども政府としてはそう思っておりますが、これは御案内のとおり議員立法ということでございまして、現在関係政党の間で鋭憲法案の骨子について御検討いただいて、私どもお願いしているような方向で調整がされているように聞いております。同時に、私どもも政府の中におきまして、できる限り離島の皆さん方の御要望が実現できますように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  419. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 今の総括的な評価を伺いまして、私も基本的には同感でございます。  最近、歴史的な転換期という言葉がよく使われるわけですけれども、世界全体が冷戦が終わってポスト冷戦時代に移行している。また日本自体も、戦後四十数年の政治経済体制を抜本的に見直す時期に今来ている。同じようなことが離島にも言えるわけであって、過去四十年間の離島振興法の歴史を踏まえて、二十一世紀型の夢のある離島振興ということで、基本的なそういったビジョン、哲学まで踏み込んだ見直しをもう一回行って、ぜひ体系的な新しい離島振興法の制定に全力を尽くしていただきたい、このようにまずお願いしたいと思います。もちろんこれは議員立法ですから、国土庁だけの責任ではございませんけれども、ぜひ政府側としてもそういう姿勢で臨んでいただければと思っております。  続いて、小規模離島への特別配慮ということでお伺いをしたいわけなんですが、離島といっても、人それぞれ顔が違うように大変きまざまでございます。佐渡島とか対馬、屋久島といった面積が大きくて人口も多い島と、伊豆諸島の利島、御蔵島、青ケ島といったかなり規模の小さい島もあるわけでございまして、画一的な振興策のみでは十分でないということを、私は現地を訪れるたびに痛感をしておるわけでございます。やはりこの離島に対する共通的な一つの施策とともに、非常に個性的、個別的なきめの細かい施策、両者相まって本当の意味で離島振興ができるものだと私は感じております。政府はこの離島振興に当たりまして、どのように各離島ごとの特殊条件を踏まえて振興策を講じてきたかという点で、お伺いをしたいと思います。
  420. 小島重喜

    ○小島政府委員 現在の離島振興法というのは大変珍しい法律でございまして、実は最近よく行革審が言っておるような、地方の自主性を尊重してそしてやれということなんですが、今の各県がおつくりになります離島振興法というのは内閣総理大臣の承認も必要ありませんし、あるいは国土庁長官もそういう意味では直接はかかわりない。要するに、離島振興の実施地域に指定をされましたら、その各県の知事が事実上は関係の市町村の皆さん方と協議をされて、その離島にふさわしいそういう振興計画ができる建前になっております。  ただ、今離島振興計画の内容自体が、現在は先ほど申し上げましたように主としてハードということでございまして、今御指摘のような点が、ハードはある意味ではナショナルミニマムでございますけれども、ソフトの面はこれは当然その地域地域によって違ってこなければいけない。そこで、今度の離島振興計画の中身につきましても、私どもの方からむしろ要望でございますけれども、そのような点を踏まえてぜひそのソフト面も配慮できるような離島振興計画の内容にしていただければ、それは各県、各地域地域の実情に即したソフト面のいろんなスキームが入ってくるのではないか。私どもはそれを期待いたしておりますし、同時に、そういう点につきましては私どもも今の御指摘の趣旨を踏まえまして、新しい離島振興法がこの国会で御議決をいただければ、私どもとしても今御指摘の趣旨を十分踏まえた指導はできるのではないか。そしてまた、そういう中で例えば地方の単独事業であるというようなものにつきましては、自治省あたりにお願いをして少し財政措置をしてもらうとか、あるいは今のお話の中でも、例えばふるさと創生の一億円なんというのは、まさに青ケ島も一億円ですし人口三百万の横浜市も一億円というようなことで、そういう中でいろいろと青ケ島なり利島なりの市町村ではそれぞれお考えいただいたのではないかと思いますが、そういう発想は私どもぜひ大切にしていきたい、かように考えております。
  421. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 今の政府委員の側からの、ソフト面をもっと重視した法体系にしてほしいという御要望はよく理解をできます。我々もぜひ、今の御趣旨を踏まえまして前向きに対応していきたいと考えます。  この小規模離島への対応ということで一つの例をとって申し上げたいのですが、例えば伊豆諸島の青ケ島を見ますと、非常に小さな絶海の孤島でございます。したがって、その整備は遅々とならざるを得ない状況でございまして、例えば定期便の就航率、これは港が完全に整備されていないために五十数%、ほとんど二回に一回は接岸できない大変厳しい状況でございまして、やはりこの港湾整備の財源を一挙に投入して一日も早い接岸率の高い港を整備するということが、何よりも島の振興にとって最も重要なポイントであるということだと思いますが、こういった点につきましては、何か国土庁としましてひとつ一層の御支援をお願いしたいという要望なんですけれども、いかがでございましょうか。
  422. 小島重喜

    ○小島政府委員 私も青ケ島のお話、ちょっとお伺いをいたしました。なかなかその地理的な位置で接岸が難しいという話はお伺いしております。そこで、それでは例えば島の中をくりぬいてそういうことはできないのか、素人でございますからそういう話をいたしますと、大体二千億もかかる。こういうことで、かなりの金ががかるというようなことも一方であるようでございますが、一方では、例えばヘリコプターとかそういうようなものがもう少し利用できないかとか、いろいろな意味で総合的なアクセス、そこへ安定的にしかも安く近づくことができるということが一番重要なことだと思いますので、今の御指摘の趣旨も踏まえながら、最もいい方法などについても私どもも研究をしてみたい、かように考えております。
  423. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  続いて、離島航空路の助成の問題につきましてお伺いをします。  伊豆諸島には、今大島、三宅島、それから八丈島並びに新島に空港があります。さらにこの夏、神津島に空港がオープンする予定でございまして、この点につきましては関係者の努力に感謝を申し上げたいと思っております。やはり航空路それから海路、この両方が本当に大事な生命線でございまして、特に離島に住む方々から見れば、距離的には東京に近くても心理的には大変大きな隔たりがあるわけでございまして、そういったことは現地に行かないとまた理解できない点があるかもしれませんけれども、何よりもこういった離島の島民の方々の生活安定や産業振興を図る上で、海路だけでなくて空路もあわせた交通体系の整備、さらに、本土と離島間だけでなくて、島と島の間の空路も結ぶ総合的な交通網の整備が必要だということだと思います。実は島と島というのは非常に不便でございまして、島と島の間を行くことはほとんどできなくて、一たん東京に戻って羽田を基点にまた行かなくちゃいけない、あるいは船も使って東京港に戻っていかなくちゃいけないということで非常に不便がございまして、ぜひこういった島と島のネットワークということも今後進めていただければと思っております。  そこでお伺いをしたいのですが、この離島における航空路にかかわる国の助成の現状はどうなっているか、お伺いをしたいと思います。
  424. 辻通明

    ○辻説明員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましては、離島生活に果たしている航空輸送の役割、また我が国における高速交通体系整備必要性ということから、離島路線の維持については積極的に取り組んでいく必要があると考えておりまして、従来から空港の着陸料及び航行援助施設使用料の軽減措置を講じているところでございます。
  425. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 また、この航空路の安定的運営という観点から、離島航路整備法に準じた離島空路整備法の制定が必要と考えるわけでございます。また、同様の要望が離島関係団体から出ておりますけれども、政府として離島空路の支援に今後どう取り組むのか、お伺いをしたいと思います。
  426. 辻通明

    ○辻説明員 お答え申し上げます。  離島空路の維持につきましては、先生案内のとおり、国及び地方公共団体の助成を受けながら、まず離島航空企業が積極的な合理化等の経営努力を行うことによりまして、その維持が図られているというところでございます。  運輸省といたしましては、基本的には離島路線の維持につきましては、まずは離島航空企業の自主的な経営努力、これが基本になろうかと思いますが、それを前提として地方公共団体及び国が適切な役割を果たしていくということになるだろうと考えております。国としましては、こういう考え方に基づきまして、先ほど申し上げました高速交通体系の整備必要性、それから離島住民の足の確保の必要性、そういった観点からどのような適切な施策が合うのか、今後十分検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  427. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 島における航空路の重要性を御認識いただきまして、ぜひひとつ最大限の努力お願いしたいと思っております。  続いて、医療施設の建設援助ということでお伺いをしたいのですが、離島の場合、地理的条件などからお医者さんや看護婦さんの確保が大変困難でございまして、また専門医療を受ける機会が非常に少ないことなど数々の問題を抱えております。島の方々が日々安心して暮らせるためにも、病院等の医療体制を整備することはぜひ必要であるということも御理解いただけるかと思います。具体例として、八丈島には伊豆諸島でただ一つの町立病院がございます。といっても、お医者さんが三名しかおりませんけれども、この離島における公立病院への国の援助策にはどのようなものがあるかということで、まずお聞きしたいと思います。
  428. 今田寛睦

    ○今田説明員 御指摘のように、離島など大変医療機関の不足しております地域におきまして医療の確保を図るということは、私ども大変重要な課題と認識をしているわけでございます。  従来から、離島などの僻地におきます公的な医療施設の整備につきましては、僻地中核病院あるいは救急医療の中心的な役割を果たしておられる病院、さらには不採算地区の病院、このほか小児医療などの高度、特殊な医療を担っております病院等に対しまして、運営費、建物の整備費、それから医療機器の整備等につきまして助成措置を講じておるところでございます。
  429. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 この八丈島の病院の場合、昭和四十一年に建設をされまして既に二十五年も経過をしております。特に、島特有の気象条件で老朽化が激しいため、建てかえて近代的設備を備えた地域住民の信頼にこたえる病院にすることが急務と考えるわけでございますが、しかし町単独では財政能力から到底不可能でございまして、何とか国の援助等の方法がないかということでお伺いをしたいと思います。
  430. 今田寛睦

    ○今田説明員 御指摘地域におきます病院の改築についてでございますが、先ほども申し上げましたように、その医療施設の担っておる機能、例えば僻地中核病院としての機能あるいは救急医療としての機能、さらには採算の問題、こういったものをあわせまして、東京都の医療計画との位置づけ等もあわせまして、その病院の持っております機能を十分に踏まえながら対応していきたいと考えております。
  431. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 非常に抽象的なお答えでございますけれども、ぜひより具体的な踏み込んだひとつ支援をお願いしたいと思っております。  続いて、自然公園区域の見直しについてということでお伺いをしたいのですが、伊豆諸島の場合、昭和三十九年に国立公園に編入をされております。そのため自然は非常に保護されているわけですけれども、他方、住民の快適な生活環境の整備とか産業の振興を図るという点では有効な土地活用ができないということで、地域社会の停滞が続いておりまして、この環境の保護ということと産業振興という点では、どうしても矛盾がそこに出てくるということがあるわけでございます。こういった自然公園法に基づく指定区域は、これは実態と合わない現状となっているわけでございまして、やはり時に応じて早急に各島の実情に即した見直しが必要であろうということでございまして、この点をどうお考えになるか、御説明をお願いしたいと思います。
  432. 鹿野久男

    ○鹿野説明員 お尋ねの伊豆諸島でございますが、この地域は昭和三十九年に富士箱根伊豆国立公園に編入された地域でございます。  この地域の公園区域または公園計画の見直しでございますが、噴火のありました三宅島を除きまして、昭和五十九年五月に行われました。ただその後、現在まで年数もたちましたので、その後の社会情勢、そういうものに対応すべく現在再度見直しの作業を行っているところでございます。また、三宅島につきましても、噴火後の諸情勢、そういった変化がございましたので、そういったものを受けました見直し作業を現在行っているところでございます。それぞれ地域の実情に応じまして、適切な公園区域、公園計画となるよう十分検討してまいりたいと考えております。  なお、国立公園の地域内におきます規制につきましては、国としては全国的な指針をつくって運用しているところでございますが、特に離島につきましては、実際的に地理的また社会経済的な条件が非常に厳しい、そういうことにかんがみまして、生活環境や農林漁業等の地場産業の振興にかかわるものにつきましては、特に配慮して運用してまいっているところでございます。私ども環境庁といたしましては、今後とも地域地元の意向を尊重しつつ、自然公園法の適正な運用を図ってまいりたいと考えております。
  433. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 この指定区域の見直し作業が今行われておるということは了解をいたしましたが、ぜひ早急に結論を出していただきたいということで、これは島民の方々の強い一般的な要望であるということをこの場でお伝えをしておきたいと思います。  続いて、火山噴火の観測体制ということでお聞きをしたいのです。伊豆諸島は富士火山帯に属し、島民は常に噴火の危険におびえているわけでございまして、三宅島、大島というのは近い過去においてそういった事態があったわけでございます。この噴火の予知体制の整備強化ということは急務であるということを考えるわけでございますけれども、その点で、まず伊豆諸島の火山観測体制の現状はどうなっているかということでお伺いをしたいと思います。
  434. 森俊雄

    ○森説明員 気象庁よりお答えさせていただきます。  気象庁では、伊豆諸島の火山の中で活動が活発であります伊豆大島及び三宅島では、震動観測、遠望観測及び現地観測による火山常時観測を行っております。その他の火山につきましては、計画的に機動観測を立地いたしまして、火山活動の把握に努めているところでございます。また、もし火山に異常が発生した場合には、直ちに火山機動観測班を派遣いたしまして監視を強化することとしております。
  435. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 今現状ということで御説明があったわけでございますけれども、今後の観測体制の充実ということにつきまして、今後の取り組みということで御説明をお願いしたいと思います。
  436. 森俊雄

    ○森説明員 伊豆諸島の特に伊豆大島、三宅島では過去にも噴火がございますので、気象庁といたしましても、大学等各関係機関とよく連携をとりまして、今後とも火山観測体制の強化については努めてまいりたいと存じます。
  437. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 備えあれば憂いなしということでございますので、この予知体制、万全の体制をとるということがさまざまな被害を抑えるための最も重要なポイントでございますので、ぜひこの点はひとつよろしくお願いをしたいと思っております。  最後に、今後の離島振興の方策といいますか、もっと広く哲学ということでお伺いをしたい。これは、特に長官にお伺いするのがいいかと思います。いろいろな考え方につきまして、先ほどからもるる御説明がございました。一つは、ハードとソフトという問題です。今までの離島振興策、ハードに非常に偏っておった、これがもっとソフト面も充実をする必要があるということが、最近大変強調されております。これも大事なポイントかと思います。  あと、これは私の持論なんですが、またさまざまな整備のあり方、もう少しトータルプラン的なアプローチを持ったらどうかということでございます。どうしても予算の制度の上から、非常に毎年毎年ちょこっとずつやっていくということが大体通例になっているわけですけれども、それだけじゃなかなか効果が出ない。もっと全体的なビジョン、求心力のあるビジョンを持って、夢のある政策体系をつくって重点的に投資を進めていく、こういったことによって島の活性化のダイナミズムをつくり出していくことができるのではないか。こういったトータルプラン的なアプローチをぜひ離島振興には持つべきではないかと私は考えるわけでございますが、こういったことも踏まえまして、今後の離島振興の方策、哲学、いかにあるべきか、これはぜひ長官にお伺いしたいと思います。
  438. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 離島振興の施策は、確かに効果は着実に上がってきていると私は思っております。しかし、先ほどからインフラのお話も出ましたが、まだまだ事足りない問題が多くあるということをよくそれぞれの離島の町村関係者の皆さん方からお聞きしますと、やはり私は、これだけの経済力を持った日本が、離島の皆さん方にもっと投資をしてさしあげることが必要だと痛切に感じております。  先ほどから、ハード面においても、もちろんソフト面もさらに充実していかねばならない、それは医療の面からもです。やはりそうした皆さん方が大変不安の中に島を離れねばならない現状のことも承知いたしておりますし、私はこの間ある委員会で、沖縄は非常に今まで投資効率が高まりまして、今人口がむしろふえている現状にあるわけです。離島のまた中の小さな島、水問題あたりでも非常にお困りである。そういう総合的なこれからの離島の活性化のためには、基本的にやはり私は、国民的課題としてどう取り上げていくかというようなことは、ぜひ今度の新しい議員立法によって肉づけしていただいて、我々はその実行にどのように当たるかというようなこと、皆さんと一緒に取り組んでいけるようにひとつ御協力を願いたい、心から思うわけでございます。
  439. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ただいまの大臣の力強い御決意、高く評価をするものでございまして、ぜひとも我々も協力をして進めていきたいと思うわけでございます。  冒頭にも申し上げましたように、今、日本全体もそうなんですけれども、離島自体も大変な転換期、歴史的転換期にあるという認識でございまして、今までこの四十年の経験を踏まえて、衆知を集めて二十一世紀型のすばらしい離島地域をつくる、最も魅力ある地域としてこの離島をつくっていくという決意に立って、今後ひとつ協力をしてまいりたいし、また、政府側におかれましても一層の尽力をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  440. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。  次に、筒井信隆君。
  441. 筒井信隆

    筒井分科員 きょうは、一極集中是正の問題を中心にお聞きをしたいと思います。  過疎過密の解消、過疎の地域はもちろん過疎で苦しんでおりますが、過密の地域もまた過密で苦しんでいる。地方を活性化させて過疎過密を解消するということは、決して地方のためだけではない、過疎の地域のためだけではない、日本全国のために今重要な課題となっているというふうに考えるわけでございまして、その一極集中是正の一つの重要な措置、方策として地方拠点都市地域整備と産業業務施設の再配置の促進、これに関する構想が今出されております。これは幾つかの、今までになかった意義を持っているというふうに考えます。県知事が地域の指定を自主的に行う、これを初めとした地方の自主性を尊重しようという姿勢を持っている。そして、六省が共同して対処しようとしている。さらには職住遊学、総合的な振興を考えている。テクノポリス等である程度職住学等の総合的な振興ということも考えていたわけでございますが、さらに遊も含めて、すべての問題を含めた総合的なものを考えようとしている。さらには、工業、生産施設の地方への再配置だけではなくて、オフィスの再配置等も重要な問題として考慮に入れている。これらの点で、この構想は積極的なものを持っている点があるわけでございます。  しかし、同時にまた問題点もある。環境等に対する配慮がこれで十分かと言えるかというと、決してそうではない。リゾート法等がいろいろな問題を起こしているわけですが、やはり環境との問題が大きな問題になっている。今度のこの構想においても、環境等との調整の問題が十分かというと、そうはなっていない。さらに、地方活性化のための大きな手段として、やはりまだ相変わらずひもつきの補助金が大きな比重を占めている、あるいはひもつきの補助金が大きな比重を占める危険性がある、こういう問題点があるわけでございまして、さらには、この地域指定の数それから指定された地域の実際の活性策、これらがやはり結局は全国的に余り変わらないようなものがなされる、その意味で画一的な結果が起こってしまうという危険性もやはりあるわけでございまして、これらのこの構想について、具体的にお聞きをしていきたいと思います。  まず第一点目としては、この地方拠点都市地域の要件が幾つか挙げられております。その要件の中で、三つの要件の違いと趣旨をお聞きをしたいと思います。「地域社会の中心となる地方都市及びその周辺地域の市町村からなる地域」、これが一つ目で挙げられております。「自然的経済的社会的条件からみて一体として」「整備を図ることが相当と認められる地域」、これが二つ目の要件です。三つ目が「その地域に係る」「整備を図ることが一公共施設等の整備状況、人口及び産業の将来の見通し等からみて、地方の発展の拠点を形成する意義を有すると認められる地域」、この三つの要件のそれぞれの違いとそれぞれの趣旨、これをまず国土庁の方に説明をしていただきたいと思います。     〔主査退席、金子(原)主査代理着席〕
  442. 小島重喜

    ○小島政府委員 まず、今御指摘がございました二号要件「地域社会の中心となる地方都市及びその周辺地域の市町村からなみ地域である」、これは一つには、当該地域の中に言うなら核となる都市というのはどうしても必要だ、そして、ただその場合に、その対象となる地域というのは、その核である都市だけではなくて、それを含む周辺の一定の広がりを持った地域であるということでございます。周辺の市町村から成る地域だということ。  それから二番目の「自然的経済的社会的条件からみて一体として」云々、こういう規定がございますけれども、これは要するに、その地域を確定するに際して自然的な条件、はるか川を越えて向こうとか山を越えて向こうとかいうようなそういう自然的に一体性のない地域、あるいは社会的に、いろいろな商圏でありますとかあるいは通勤通学圏とか、そういうようなものも一定の圏域あるいは生活圏域というようなものがあろうと思いますけれども、そういう生活圏とは無関係地域までこの地域には取り込めない、少なくとも何らかの形でそことの同質性ということがあることが必要だ。  それから同時に、これはその地域ももちろんでありますが、その周辺地域を、これは四号要件でございますけれども、それを引っ張っていくといいますかある程度牽引力になる、こういうことを期待される地域でございますものですから、やはりそこにはある程度の発展のポテンシャリティーといいますか、そういうものがなければいけない。そういうものとして、例えば近くに高速道路があるとか、あるいは将来の産業の展開というものがある程度見込まれるとか、そういうことによって地域全体として人口がふえていくとか、こういうポテンシャリティーというものが、拠点都市地域というからにはある程度見込まれないといけないということでございます。  ただ、いずれにいたしましても、先ほど御指摘ございましたように、どうそういう地域を判断するかということの最後的な判断者は知事でございます。私ども、恐らく基本方針である程度の指針的なものは示せるかもわかりませんけれども、それは地域地域によって都市のありようも違います。都市の配置の状況も違います。あるいはその県がどういう都市政策をやっていくかということによっても違うと思いますから、一概に一律になかなか言うことはできませんが、少なくとも拠点都市地域になるにはこのくらいの要件というのは備えていただきたいというような程度のものとお考えいただいてよかろうかと思います。
  443. 筒井信隆

    筒井分科員 今お答えいただきましたように、今挙げた要件は、同時に知事が地域指定をする際の基準といいますか、大ざっぱな大枠の基準になるかと思います。それを、知事が指定する際の具体的なメルクマールを全部中央の方で決めてしまうと、これは地方の自主性に反するわけですから、具体的に細かいところまで決めるのはまさに構想の趣旨と異なってしまう。ただしかし言えるのは、この構想の趣旨から見てこうゆうことがメルクマールとして考えられる、その範囲はある程度言える部分があるだろうと思うのです。  その点でお聞きをするのですが、今言われたような要件の趣旨から見ると、あみ県において、ある地域においてぬきんでて発展をしている市がある、都市があるという場合に、それを指定するとこの地域をさらにまた発展させるということを考えると、その県における一極集中をまた発生させてしまうことになる。そういう意味では、県庁所在地が必ずしもぬきんでた市とは限りませんけれども、ぬきんでた市があった場合にはそれを除いて、第二、第三のそれよりもっと発展が少ない部分、この方を指定した方が趣旨に合う、こういうことは言えるのじゃないですか。
  444. 小島重喜

    ○小島政府委員 まさに一つは、これは先ほどお話がございましたが、大きな意味では国土全体の多極分散ということの方策ということと、もう一つは、今御指摘ございましたような、今まさに主として県庁所在地でございますが、この間の国勢調査を見ましても県内人口の四割とか、ひどいところは五割近くがそういうところに集中しているというようなところについは、これはどうも私どもとしても余りそれを御推奨するというわけにはいかないだろう。むしろ、やはりできるならば県内のぬきんでたところ以外で、さらに多極分散型県土と申しますか、そういうものができるような可能性があれば、やはり知事はそういうところを選んでいただけるのじゃないか、私はかように期待をいたしております。
  445. 筒井信隆

    筒井分科員 もちろん一体性とか先ほど説明されたポテンシャルとか、こういう要件に該当しなければそもそも対象にならないと思いますが、しかし一体性とかあるいは母都市があるとかポテンシャルがある、こういう要件に該当する限りは、第一の都市よりも第二の方がいいし、第二の都市より第三の方がいい、その方がより要件に該当する、そういうことがこの構想の趣旨からは言えるのじゃないでしょうか。重ねて質問いたします。
  446. 小島重喜

    ○小島政府委員 これは、二がいいか三がいいかという話になりますとなかなか難しい話でございまして、私どもが決めるよりもやはりそれは県土の中の政策あるいは県内の都市政策といいますか、都市地域の政策としてどうするかということを、知事が見識を持って決めるべきであろうというように私は思います。そういうものについて、私どもが逆にまたとやかく言うことではないだろう。御指摘のような幾つかのことを配慮しながら知事がお選びになったのなら、やはりそれはそれなりに私どもとしては尊重すべきであろう、かように考えております。
  447. 筒井信隆

    筒井分科員 ほかのことを全部考えないで、今言ったところだけで決定するのがこの構想の趣旨に合っているということではなくて、ほかの要素もいろいろなことを考えて県知事が最終的に決めるのだと思うのです。しかし、今言ったようにこの要件に該当する限りは、まさにその県における全体の底上げをねらうわけですから、要件に該当する市である限りは第一より第二の方、第二より第三の方という趣旨は、その方向性自体は言えるのじゃないか。それだけで決定されるわけではないのですが、その方向性自体は言えるのじゃないかという点の質問なんですが、重ねて。
  448. 小島重喜

    ○小島政府委員 これは大変難しい問題でございまして、私がここでお答えするのはいかがかと思いますのであれですが、ただ長期的に見た場合、それは各県に必ずしも一つということではないと思います。そういうことを考えますと、どちらを優先するかとか、そういうことも含めて、もう少し長い目でお考えをいただくことも必要ではないか、かように考えております。
  449. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今振興局長からいろいろ御説明しましたが、先生のおっしゃられることも一理ある、私は大臣としてそのように――やはり地域の活性化のための法案が、いろいろと指定時における知事を困らせるようなことがまたあってはいけない。やはりあくまでも協議しながら、そしてまた法案を出した以上は、国が責任を持って提言もし、そして決定されていく方向が必要であろうと私も思っております。  なおまた、今までややもすると縦割り的と言われておったことが、六省庁がそうした協調の中に、一つの地域の農村活性化も含めて取り組もうという、画期的な新しい地域の拠点都市、地域整備をやろうということの趣旨は、分散するためにも、私はこれから非常に大切な方向づけだと思っておりますから、今後はそれを運用の面でどう図るかということは、まだこれからの問題も多くあろうと思っておりますので、やはりそういう御指摘の点を十分配慮しながら、政府も、我々はこう行くんだということで法案を提出する主務官庁がかたくなに取り組むということだけではいけないと私は思っております。やはり多くの意見を聞きながら、そしてまた地域の代表される皆さん方の意見を尊重しながら、私は今後とも運用で取り組んでいくように指導していきたいと思っております。
  450. 筒井信隆

    筒井分科員 二点、さらに確認をしたいのですが、今もちょっと関連が出されましたが、各県で一カ所から二カ所指定というふうなことを聞いているのですが、これは別に数は決まっているわけではない、これもまさに各県知事の自主的な判断によるものである、一カ所ないし二カ所に限定しているものではない、こういうふうな確認でよろしいですね。
  451. 小島重喜

    ○小島政府委員 この法律自体は恒久法の形に一応なっております。ただ、十年後に社会情勢の変化があればそういうものを見直すというような附則もございます。これはある意味では、公共投資、インフラなど考えますととりあえず重点的に整備をする一こういうこともございますので、幾つでもというのはなかなか難しいと思いますが、私ども長い目で見てやはり一カ所か二カ所か、あるいは県によってはもっとということもあるかもわかりませんけれども、当面はそういう重点的な整備をしようという関係省庁の合意もまたございますものですから、そういうものの推移を見ながら進めていく必要もあろうかというように考えております。
  452. 筒井信隆

    筒井分科員 県知事が指定をするという極めて新しい、評価できる手法をとっているわけでございまして、それは県知事が数においても場所においてもやはり自主的に決定できなければそういう意味が損なわれるわけでございまして、だから、一、二カ所ということで中央の方で決めているかのごとく聞くものですから、その点を確認したいわけです。今の答弁ですと、ほぼ決めているような感じもしないでもないのですが、もう一度ちょっとその点を確認してください。
  453. 林桂一

    ○林説明員 この地方拠点都市の整備のスキームは、恐らく地方の自主性、創意工夫を生かしながら進めるということでございますが、しかし一つの背景にあります考え方として、やはり地方の発展を牽引するための拠点となる、そのような潜在力を有する地方拠点都市地域整備を促進するという考え方があるわけでございます。そのような意味で、拠点という意味合いから、やはりある程度絞られた地域を指定するという考え方が出てくるわけでございまして、具体的にどういう形でその数等が出てくるかということにつきましては、今後基本方針等の詰めの中で具体化されてくることになろうと思いますが、絞り込んで地域を指定していくという考え方は、法案の全体を通じてある考え方ではないかというふうに考えております。
  454. 筒井信隆

    筒井分科員 絞り込んで具体的に幾つになるとか、そういうのも含めてそれは基本的に知事が決めることで、知事が決めるということを規定しているにもかかわらず、数の点に関してまでも上の方から決めていくのは趣旨に反するのではないかと思いますので、それで確認をしているわけですが、もう一度確認したい。一カ所ないし二カ所というふうに一般に言われているのですが、そういうふうに決めているのですか、それともそれは最終的に各知事が決めるべき問題だというふうに考えてよろしいのですか。
  455. 小島重喜

    ○小島政府委員 今の段階で、各県必ず一カ所とか二カ所とかいうことをはっきり決めているわけではございませんけれども、先ほど都市計画課長からも御答弁申し上げましたように、ここで言う拠点都市地域になり得るかどうかということはおのずからそこに限界はある、先ほどから申し上げておりますけれども、こういうことであろう。それをどうするかというのは、何と申しましても、私はこれは知事さんも大変だと思いますけれども、やはり知事の見識にまつということが基本ではなかろうかというふうに思っております。
  456. 筒井信隆

    筒井分科員 よくわからないけれども、先ほど言った、各県知事の自主性に基本的には任すという趣旨というふうにお聞きをしておきます。  もう一点確認したいのですが、県知事が指定をして各市町村が共同計画をつくるという形になっている。それだけを見ると、県と県とにまたがる地域指定が何かできないのかみたいな感じがこの構想からは出てくるわけですが、それは別にできないというわけじゃないし、それを排除しているわけではないですね。
  457. 小島重喜

    ○小島政府委員 これは排除しているわけではございません。私どもも県域を越えていろいろ従来から、これだけじゃありませんが、行政をしたいと思う際には、現実としてはなかなか難しい点がございます。ただ、これは自治法の手続をとれば、共同行為としてはできるというように思います。
  458. 筒井信隆

    筒井分科員 国土庁に対しては最後の質問になりますが、国土庁プロパーのこの構想への参加の問題として、地域振興費による支援とか拠点都市地域土地利用計画のモデルの策定とかというのを聞いているのですが、この中身について、簡単でよろしいですが説明をしていただきたいのです。
  459. 小島重喜

    ○小島政府委員 私ども国土庁は、御案内のとおり金もないわけでございまして、政府の中の役割といたしましては、むしろ地域を振興するあるいはそれをプロモートするというのが私どもの基本的なスタンスでございまして、そのためにはどういうスキームをつくって、そして関係各省の皆さん方にどのようにそれに対して御協力をいただいていくかということが、基本的な私どもの役割であると考えております。  そのほか、例えばこの法律に基づきまして監視区域の指定だとかそういうようなものにつきましては、土地局なり計画・調整局などの例えば事業調整費とか、そういうものを必要があれば発動はさせますけれども、基本的に国土庁の役割というのはコーディネーターであり、あるいは地方団体と国とがうまくいくような、そういう仕掛けを私どもは責任を持ってやるということが第一の責務ではないか、かように考えております。
  460. 筒井信隆

    筒井分科員 次に、建設省にお聞きをいたしますが、この地域指定の要件といいますか、もっと広く地域の要件ということでもよろしいですが、それについて建設省どういうふうに考えておられるか、答弁をお願いします。
  461. 林桂一

    ○林説明員 地域の要件につきましては、やはりこの法律の地方拠点都市地域の定義によります必要な要件ということを満たした上で、基本方針その他に則しまして知事の自主的な判断によって決められていくということになろうかと思います。  この定義の中で四つばかりの要件が決められているわけでございますけれども、基本的には、やはり公共施設等の整備状況とかいろいろな状況を考えまして、ポテンシャルのあるところを拠点として選んでいくというようなことであろうかと思いますし、また、そういうこととの関係で、やはり核となる都市が存在し、その周辺に市町村によって構成される地域というようなものが存在するとか、それから地域を一体的に整備するというスキームでございますので、そのような一体としての整備を図るということが相当と認められるようなところとか、そういういろいろな要件があるわけでございますが、そういったことを勘案しながら知事が自主的に決めていくというふうに考えております。
  462. 筒井信隆

    筒井分科員 さらに建設省に質問ですが、この地域、地方拠点都市地域といっても、その中には既成市街地もあるし、あるいは調整区域もあるし、いろいろな形があると思う。既成市街地が結構地方の。方は活力が低下をしているわけですけれども、この既成市街地の活性化策としては、この構想においてどういうふうな方法を考えておられるのか、まずその点の説明をお願いします。
  463. 林桂一

    ○林説明員 近年のモータリゼーションの進展等に伴いまして、先生指摘のように地方都市におきましては、ともすれば既成市街地の中心部で交通混雑あるいは諸施設の陳腐化あるいは駐車場の不足等々の原因で、活力の低下が生じているという現象がございます。そういう意味で、今回の地方拠点都市地域整備の中でも、やはり中心市街地で再開発を実施することによって道路等の基盤施設も整備しながら、魅力ある商業あるいは業務施設などの高次の機能を備えた都市を整備するということが必要であろうかと考えております。  そういった観点で、今回の法案におきましても、都市計画上の特例といたしまして、いろいろ拠点的な業務市街地の適地、これは例えば工場跡地とか鉄道施設の跡地、こういったものが中心市街地の中に多く存在する都市があるわけでございますが、こういうものを活用して拠点的な業務市街地の適地として整備していくということが重要な課題ではないかというふうに考えておりまして、そのための都市計画上の特例としまして区画整理事業の特例、あるいはその区画整理事業を促進するための都市計画上の制度等につきまして創設することにいたしております。
  464. 筒井信隆

    筒井分科員 もう一つの調整区域の方では、どういう方策を考えておられるのですか。
  465. 中山啓一

    ○中山説明員 調整区域におきます特例について御説明申し上げます。  地方拠点地域内の関係市町村が基本計画の中で、市街化調整区域内の拠点地区につきまして、そこで実施されることが適当と認められる開発行為等につきまして定めることができるという規定になっております。この計画は知事の承認を得て効力が発するわけでございますけれども、その承認された計画に従って将来事業者が開発許可の申請をいたしました場合におきましては、立地基準の審査につきまして既にこの審査が済んでいるという立場から、立地基準につきましては都市計画法で定められている基準に該当しているものとみなすという特例を置いております。具体的には、法律の三十四条十号という一番広い規定なんでございますが、そこでは県に開発審査会という審議機関がございまして、知事はそこに諮りまして、その上で許可するかしないかということを通常決めておるわけでございますが、今回の法律では、先ほど申し上げましたような、市町村が基本計画にそういうことを定めていろいろ審査の先取りをすることができるというふうな形にしておりますので、将来の開発許可申請のときには改めて審査会の手続を踏む必要はないという形にいたしております。
  466. 筒井信隆

    筒井分科員 調整区域で特例措置等によるいろいろな方策をやっていく場合に、やはり大きな問題となるのが環境との関係の問題ですし、既成市街地での先ほどの方策をやっていく際に、場所にもよるでしょうけれども、地価の問題が問題になってくると思うのです。それで、それらそれぞれについて環境の保全と地価の安定に関して基本方針の中で一項配慮すべき事項を定めるとあるのですが、やはりこれで点結構不十分じゃないかという感じがするわけですが、今の既成市街地と調整区域の場合において、環境の保全、地価の安定、これとの関係においてはどう考えておられるか、その点答弁をお願いしたいと思います。
  467. 林桂一

    ○林説明員 先ほど申しましたように、中心市街地で再開発を重点的に実施していこうという考え方は持っているわけでございますが、その場合に、やはり土地区画整理事業等の事業手法を活用して進めていくということが非常に重要ではないかなというふうに考えております。土地区画整理事業によります事業をいたしますと、地価の顕在化といいますか、そういったこともある程度抑制ということの効果もあるわけでございますが、そういった手法によりまして、公共施設も整備しながら、良好な宅地なり業務市街地としての敷地等の供給を図ることにしていきたいというふうに考えております。
  468. 中山啓一

    ○中山説明員 調整区域の方につきましてでございますけれども、何でも認められるというわけではございませんで、市町村が基本計画調整区域について定める場合、どういうふうな目的でどのような施設をそこへ持ってくるのかというふうなことを、まずその承認申請する際に基本計画の中に書いていただくような、出していただくような形を今考えております。したがいまして、知事が承認する際に、そこの調整区域が、今先生おっしゃいましたようないろいろの問題について問題が起きないように、十分知事の方としては判断をして、責任を持って承認をする、したがいまして、通常の場合経ております開発審査会の議を特例として省略しても、そこは担保できるという考え方で特例を作成しているものでございます。
  469. 筒井信隆

    筒井分科員 最後に大臣にお聞きをしたいと思うのですが、この地方の活性化措置が真に成功するかどうかというのは、やはり各自治体の自主性を運用の面においても本当に尊重してやれるかどうかという点が一つと、それと、今質問いたしました環境の点、開発と環境というのは常に大きな問題になっているわけですが、環境をいかに維持し、守りながら地方の活性化を図っていくか。この環境の点と地方の自主性の二つをやはり守りながら、地方の活性化というのを進めなければいけないと思うのですけれども、その点に関して、最後に大臣の御見解をお伺いいたします。
  470. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先ほども触れられたのでございますけれども、リゾート開発等についても環境問題が大変いろいろと御指摘を受けておりますし、そこで各市町村でも見直しをしているところもあるわけでございます。いろいろな、経済的ないろいろなことから変化してきております状況もあったろうと思いますし、特にまた、今度の拠点整備法がそうした環境に大きな影響を及ぼすようなことの、やはり今後の活性化といえども、それがまたあってはいけない。しかし全くというわけにはいかないだろうということで、要はこうした一極集中をどうするのか、地方をどう活性化させるのかというようなことから出発したわけでございますから、その点は、私も今日まで何カ月かごの問題に取り組んでみまして、これは地域のそれぞれの自主性にまつことは肝要でございますから、その点もやはりよく指導しながら、そういうことのないように取り組んでいかねばならないと思っております。
  471. 筒井信隆

    筒井分科員 ありがとうございました。終わります。
  472. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて筒井信隆君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  473. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私は、筑波研究学園の建設をして二十年を経過したわけですが、これの現状と問題点、それから、リゾート法ができてから日にちがかなりたっていますけれども、これをめぐっての諸問題について、主として質問をします。  第一に、研究学園都市ができてから既に二十年たっておりますが、この間に、移転するべきものは全部移転し、そして一万人以上の公務員もそこに入ってきております。そこで建物がかなり傷んできている。内部の機械、そういうようなものについては、それはそれぞれの研究所自体が受け持つかもしれませんが、この建物が傷んでいるということについて、建設省としては、どの程度にこれを見込んでどうしょうとされるのか、その辺について。
  474. 照井進一

    ○照井説明員 それではお答えいたします。  建設省におきましては、昭和五十四年概成以来もう既に十数年たっておりまして、その間、いろいろその良好な維持保全を行うために、関係各機関に対していろいろな指導、また助言を行ってきたわけでございますが、しかし、もともと筑波研究学園都市近辺の土壌、それから水質というものが、かなり建物にとってはよくない性質を持っておりまして、それでかなり傷んだところもございます。また、急に、急にといいましょうか、建設時期が集中しているということによって、相当修繕が重なるというような状況になるのではないかということが予想されております。  そういうわけで、私どもといたしましては、緊急的なもの、それから執務環境の維持に必要不可欠な修繕というものを重点的に実施していこうということで考えております。そういうわけでございまして、平成三年度の予算におきましては、筑波研究施設特別整備事業というのが創設されまして、初年度といたしましては三億一千万円が計上され、そして現在もまだ各省の機関の修繕をやっております。それから来年度、四年度予算におきましても、一億九千万プラスして五億円という予算を計上してそれに充てようということで、予算内示もいただいております。  今後も各関係省庁と緊密な連携をとりつつ、適切に対処してまいりたいと思っております。
  475. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 現状において、各省庁の研究所の出先の所長の集まり、こういうところでいろいろな話をした場合に、大体二千億くらいの金が必要ではないか、それを十で割ると年間二百億くらいの金がなかったら思うようにいかぬじゃないかと言っているのに、随分、この五億ということではね、これはどうですかね。
  476. 照井進一

    ○照井説明員 確かに先生おっしゃいますように、私どもの試算では、二十年間で二千億というような数字が出ております。  ただ、私どもとしましては、当面十カ年を予測して数字をはじいておりまして、それは十カ年ですと八百億弱でしょうか。それで、そのうち建設省、それから各省庁独自でその修繕、整備を行ってもらいたいというものもございまして、それといろいろ調整をしながらやっておるわけでございますが、建設省といたしましては、今後十年間に今年度の予算も合わせまして約百八十億円程度をのせようということで計画しております。
  477. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それは建設省努力をして修理をする。修理をするより以上に壊れる方が進んでいったときには、これは容易ならざることが起こりますね。ひとつ十分にこの点については努力を要求するという以外にはないですね、これは。努力を重ねてまた壊れて、その上で努力する、こういうことで難しいですね、これは。  さて、その次に問題になっているのはこういうことです。これは、この間、約二千人の公務員を、民間から来た研究者もいるようですが、調査をした。そして、三月の四、五ですか、集まってフォーラムをやった中で、こういう問題が起きていますね。  何が一番この学園で問題かというと、交通問題だという。これが大体七割ですね。常磐新線については、これは余り高くない、二〇%程度です。  だから、その交通ということは、これは二面ありまして、一つは、東京に通う場合に、高速バスではどうにも込み合ってしょうがない。これはもう一時間で行かない、倍かかりますからね。そうすると、今度は常磐線へ出なくちゃならない。出るには、これはよほどの時間の余裕を見なくちゃいけないし、タクシーで行けば大体二千円は片道かかる、こういうことになって金がかかります。  それはそれとしていいとしても、今度は学園内部の交通ですね。これは、一定の時間は循環バスが動いておりますから、それに間に合えば結構ですけれども、それはいつも動いているわけじゃない。夜中になるとそれは全部とまってしまうから、病気が出た場合、急用ができた場合、あるいはその他用事があった場合に、どうしても個人の車を持たなければならない。その個人の車を持った場合に、公務員の宿舎が十階建であるいは十五階、二十階、こうなっている。そうなると、今の駐車場法という法律によって、車をとめる場所がないんだ。駐車場がないのですね。初め学園をつくるときには、大変広いところで、道路も広くとったし、歩道もあるし、公園も広くとったけれども、今になってみると、大変悩みが出てきた。この駐車場というものを確保しない限り、これから違法駐車で片っ端からやられないとも限らない。大変心配ですね。  この点について、関係者はどのように把握をされ、お考えか。
  478. 西谷剛

    ○西谷政府委員 御指摘のように、交通問題、これは非常に筑波の発展にとって基本的なところかと思います。  交通問題も、御指摘のように二道ありまして、主として東京と結ぶ都市間交通という問題と学園地区内の問題。  都市間交通については、お話ございましたけれども、常磐線なり高速バスなりの回数をふやすということを順次やってきているようでございますが、まだ十分ではないだろう。これは常磐新線の建設ということも含めて、さらに東京との連携を強化するということが一つ必要であろうと思っております。  それから、都市内交通、学園地区内の交通につきましては、主として大量交通機関としてはバス輸送、バス交通ということになって、これをもう少し便利にすべきだということが一つ。  それからもう一つは駐車場問題で、センター地区なんかも、もうほとんど休日も平日も満杯というような状況のようでございますね。十分私どもも認識しております。関係方面に働きかけてその推進を図りたいと考えておりますけれども、とりあえず平成四年度に七百台収容の立体駐車場をつくるという計画もあるようでございます。これで済むというものではございません。積極的にこれらの問題をさらに推進していかなければならぬ、こんなふうに考えております。
  479. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この宿舎が大体八千世帯入るようになっていますね。移転したのは一万八百人、こういうことになっているわけですから、とてもその七百では、十分の一ぐらいにしかならないし、それから、家族のうちで車を二台持った場合は――これはまた、そういう持たなければならないような状況なんですね、実際の交通の状況がそうですから。  だから、またこの駐車場については、何とか早急に研究をして、検討をしていただきたいと思いますけれども、もう一度、これは大臣も一遍ぜひ時間を見て現地に出かけていただきたい。前に現地に行ったことはよく承知していますが、もう一度現地に来て、今度市長がかわったのですから、そのかわった市長とよく相談をして、これは市にも協力をさせなきゃいけないと思うのですね。ですから、ちょっともう一つ……。
  480. 西谷剛

    ○西谷政府委員 現在の駐車場の整備状況を見ますと、約一万台収容できる駐車場はあるようでございます。詳しくは一万四百台となっておりますが、それだけ現存のものがある。実際使われておりますのは、休日の場合で八千台ぐらい駐車場利用台数がある、こんな統計を私は持っておりますが、そこへ加えて平成四年度に七百台の立体駐車場を開設する、こういうことのようでございます。
  481. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それは確かに丘陵の近くには六階建てぐらいの駐車場ができていますから、これは立派なものですから、それにはかなり入りますけれども一それは住宅とはちょっと無関係なんですね。住宅というのは、それは竹園にもあるし、松代にもあるし、それから並木にもありますしね、あちこちに集団的にできていますから、そこからあすこへ持っていくということだけではどうも足りない。夜はどうするか、夜の置き場がないのですね。行くときにはそこへ預けていけば。いい、帰っならないでしょう、置き場が。その帰ったときの置き場が必要だ。そういうふうにひとつ考えていただきたい、こう思うのですね。  次に、常磐新線に関連をして、前にも少し議論をしましたが、これは建設省関係しますね。この四・四方式という土地の買い上げ方式も、四・四というのは、これは建設省の指導方針ですか。
  482. 西建吾

    ○西説明員 これは、四割を買収し、さらに四割を区画整理事業で減歩をしていくという形というふうに聞いておりますが、これは、茨城県がこの沿線開発に対して、県の方針として、こういう方針でいこうという形で現在努力をされている方式というふうに私どもは理解しております。
  483. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 その方針が合うまくいっていないでしょう、現実に。
  484. 西建吾

    ○西説明員 四・四方式につきましては、実は、伊奈・谷和原丘陵地区というところがございますが、ここにつきまして、来年度から区画整理事業で整備をするという形で要望が出てきております。この中では四割の買収が行われたというふうに聞いております。
  485. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それは伊奈・谷和原は四・四でいいのですよ、最初に公共事業に土地を提供するのですから。これは初めてだ。ところが、肝心のつくば市に入りますと、学園都市で土地をまず提供した。自動車研究所にも出した。それから常磐高速道路にも、それから科学博覧会にも出している。今度で五回目になるのですね。そうすると、四・四方式という、四割先買いをして四割減歩という形になると、これは土地の所有の多い人ほど抵抗している。今現在あの地区に三つの集団ができて、五十五集落、三千人の地権者がいますね。この人たちは前の市長とは対決をしたけれども、今度の市長とは対話をしょうということになっているが、いまだにこの市長との間では話をしていない。なぜならば四・四方式について疑問を持っているのですね。  だから、どういう町づくりをするかということと関係があるが、四・四の前に、町づくりというものをどういうぐあいにあそこに、これは法律ができて最初の試みですから、いろいろ試行錯誤があるかもしれませんが、幹線を中心にやるのか、それとも田園都市型の町をつくるのか、どういう町をつくろうとしているのですか。
  486. 西建吾

    ○西説明員 この常磐新線の沿線地区につきましては、農地が多数存在するいわゆる新市街地でございます。こういう地区町づくりを総合的に行’う場合には、区画整理事業によりまして道路や公園などの公共施設を整備するということとあわせまして、鉄道施設用地であるとか、将来必要になります学校、病院、コミュニティーセンター等の用地を別途手当てをしていく必要があろうかというふうに理解しておるわけでございます。そういうような用地を確保しながら整備をしていくということでございまして、鉄道の整備とあわせまして、市街地の整備、良好な環境を整備していくという形で町づくりが行われるべきだというふうに考えております。
  487. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 地権者が一番問題にしていることは、開発利益というものをどこへ持っていったか、こういうことなのです。これは三十八年ごろから計画をして、四十五年から移転が始まって、大体終了して、今二十年たっていますが、あのときに県に渡した土地の価格、これは三百坪四十三万円、三百坪ですよ。ところが、現在三井センタービルは一千万円だ、坪が。そうすると、これは三十億ですからね。三十億ですよ、二十数年の間に。だからそれも――これは極端な話だ。それでは、地主が持っていて、区画整理をして地主に返したその土地が今残っていますね、いっぱい。これは坪百万円以下のものはない。これでも、これは大変でしょう。  そういうことになりますと、それは地主が持っている場合には、高いからだれも買わないから草が生えているだけの話だ。公務員は買えない。公務員の給料と退職金と、それではどこかでやはりあれをしなければ買えない。公務員はそれはできませんからね、なかなか。だから草が生えているだけの話だ。それでは三井センタービル周辺のああいうところに入ってくるのは何かというと、銀行であり、デパートであり、保険会社であり、まあ今の大変な栄えている第三次産業ですね、これは。  それで、それは住宅都市整備公団、あの当時は住宅公団がやったのですが、その開発利益というものについて行方が余りよくわからない。それは国が投資をしたのですから、一兆円以上の投資をしたから、道路もできたし、下水もできたから地価が上がったのはわかるけれども、しかし、とはいえ、どうも四十三万対三十億というこの比率は、何としても納得がいかないということで、それで筑波大学の学者あるいは地域の知識人が新横浜の緑区あたりの例を勉強して、どうしても所有権を渡したがらない。  だから、所有権は持っていながら、賃貸でどうか、こういう考え方、あるいは田園都市型の開発はどうか、こういったような考え方、あるいは組合型の土地提供という形でいろいろなことを提供していますが、いまだに方向が決まっていないから、県の方からは四人の次長と七十五人の職員が来て、いろいろ話をしているけれども、聞いてみると、地権者が土地を売った場合の相続税、所得税、そういうことの税金のことについて、これはこうすれば有利だどうだの話はするが、いよいよの大事なときに、それでは売るかどうかという話になると、これはノーだ。それで、地権者は、国の関係者や県の関係者が行っても、それは本当の腹は言わない。あの開発の当時、最初のときにも市町村職員が何人か過労で死んで、そしてようやくあれができたのですから。やはり地元の役場の職員か地元の町村長が努力をしなければなかなか土地が入らないということは、その点は建設省の皆さん、よく理解をしていかないと、時間までに間に合わなくなりますよ。よく研究してほしいですね。それ、いかがですか。どういうふうに聞いていますか。
  488. 西建吾

    ○西説明員 常磐新線沿いの土地。につきましては、四割買収の中で住宅の供給も行うというふうに聞いております。先生指摘のとおり、常磐新線が通り、区画整理事業が行われますと、地価が非常に高くなります。高くなりますと、 一般のサラリーマンの住宅供給という点からは、かなり厳しくなることが予想されるわけでございます。その点、今御指摘ございました一部借地方式等を入れて、住宅用地であれば、そういう借地方式も考えられるというふうなことで対応されるというふうに聞いております。
  489. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 このことばかりやっているわけにはいかないから、いずれまた別な機会に、現地の代表というか、それと、それから現在は都市整備公団、それとの話で開発利益というものがやはり理解できるような説明をしてもらわなければ、これは三井がもうかったじゃないか、デパートがもうかったじゃないか、こう言われてしまったんじゃ、これは身もふたもないでしょう。一生懸命国が投資をして下水をつくり、道路をつくり、それを、やって、その結果が、そういう理解では実際困る。だから、僕もそういうことは言いたくはないが、そういう話がずっと伝わっているから、地権者は土地を離せば何をされても言うことはできない、土地を持っているがゆえにいろいろな意見ができるんだ、こういう話ですから、なかなかこれは離さない。このことは、その程度にしておきます。  続いて、四全総との関連で、先ほど筒井さんからお話があったが、新しく出す法律は大変難しい法律で、これはなかなか容易じゃないと思いますがね、これはなかなか理解しにくいですよ。  そこで、リゾートの問題について、私たちはリゾート法については非常に夢を与えられた、だから賛成をしましたよ、実際は。ところが、現実にこのリゾートの法律が生きてなるほどよかったと言っているところは、今三十五の地区の五つぐらいじゃないですか。四つか五つでしょう。それも、いいものだけを食い逃げをしているような状態じゃないですか。いかがですか。
  490. 小島重喜

    ○小島政府委員 今お話しのリゾート法は、昭和六十一年に、豊かな国民生活の実現ということと、それから地域振興という二つの目的を持ちまして制定されました。それから現在の状況は、三十五の道県で指定を受けております。  ただ、御理解をいただきたいと思いますのは、やはりリゾート地域整備というのは、一年、二年でできるものではないと私どもは当時から申し上げておりましたけれども、やはり二十一世紀に向けての時間短縮が進むと同時に、それに即応したそういう対策である、こういうように考えておりまして、まだ最も早いものでも四年くらいしかたっておりません。その前に、今いろいろお話ございましたように、つくる以上は、いわゆるアセスメントとか、そういうことにもかなり時間がかかるわけでございまして、私どもといたしましては、まだリゾート施設の整備そのものは緒についたばかりだ。今御指摘の初めにありました宮崎とか若干のところは、姿が見えてきている部分もございますけれども、まだ多くのところでは、そういうことになっておらぬというのは、また事実だと思います。  同時に、当時と現在の経済状況もまたかなり変わっております。そういう面では、少し私どもも、当時の夢を追うだけじゃなくて、もう少し現実に即したものにしていただく必要も一方である。これは県の方でも、例えば兵庫県などは、そういうことで淡路島などもやっていただいているようでございますから、そこらのところを含めながら、もう少し長い目でぜひ見ていただきたい、かように考えております。
  491. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 夢多き法律であったことは間違いない。私も夢を持った。しかし、現実にあちらこちらを調査をしてみると、夢が多過ぎて現実がかなり後退をしている。町村長が一生懸命誘致をする、基盤整備もする、道路もつくる。しかし企業がもうぐあいが悪い、こうなって、その地域だけはある部分が買い占められた、しかしながら手が出ない、買い取られてしまって手を出さない、こういうような土地、山、一体これ、どうします。いつまでもいつまでもあの状態に置くことはできない。一定の期間、これを過ぎたら、何とかこれをしなければいけない。ゴルフ場もそのうちの一つですね。ほとんどがゴルフ場をつくるという予定になっているから、これはやむを得ない。こういう問題について一遍総括をして、これからの景気の状況を反映をして出直しをしなければいけないんじゃないかと思うのですが、これは大臣、ひとつお答えをいただきたいのですが。
  492. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先生にはまた、その前に国土審議会委員として大変お世話になっておりますことを御礼申し上げます。  リゾート地域整備については、全体として、今局長が申し上げましたように、まだこれからの問題がたくさんあるわけでございます。が、しかし、経済的な大きな変化の中で、既に今申し上げましたように、見直している地域もあるわけです。なおまた、行き過ぎた環境の問題等でいろいろな意見があることも、承知いたしております。が、反面、どうしてもこうしたレジャーの余暇をどう求めるかというニーズは、非常に高くなってきているわけです。ゴルフ一つ取り上げてみましても、地域に行ってやらなければやれないという状況にもあるわけです。ここをどう調和させていくかということは、今後の課題だと思っておりますし、海外に求めるリゾート、保養ということもさることながら、やはり国内に格安で魅力あるリゾート地域をどう形成していくかということも、大きな今後のまた課題であろうと思っております。  そういうことで、今後は適正なそうした見直すべき地域が、それは自主的に地元皆さん方によって開発行為を今日までやってきたのでございますし、また、確かに倒産等も出て行き詰まっておることも承知いたしておりますが、それも一つの経済的な変化の中に生まれたことでございますから、ひとつそういう点はもっと、まだ出発したばかりですから、長期的に見直しづつ、また、新たなそうした地域が求められている地域もあるわけですから、そういう点は十分配慮しながら今後検討していきたいというふうに思っております。
  493. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう時間が来たからこれで終わりますが、大臣にぜひお願いしたいことは、今度、地元のつくばの市長が去年の十二月にかわりまして、従来のように高圧的に上意下達という形じゃなしに、住民の声を聞いて、一緒になって、官民一体になって町づくりをしていこうという姿勢をとっている。私は、政策協定をしてその市長を応援している関係から、どうしてもこれを完成させなければならないということで、せっかく熟成に入っている筑波学園都市というものをしっかつするために、これは国土庁の大都市圏が担当しているわけですから、時間をあんばいをしていただいて、ぜひ市なりなんなりとじっくり相談をしていただいて、いろいろな問題があります。ごみ処理場の問題、火葬場の問題、今の新線の地権者に対する問題、それからその開発利益に関する利害の問題、こういうような問題について、じっくり話をしていただきたいと思います。今度は陳情みたいなことになって大変恐縮ですが、これは大きな国の仕事ですから、成功させなければいけない、こういうふうに思っておりますので、ひとつお答えをいただいて終わりたいと思います。
  494. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 筑波学園都市は、国土庁としても重要なプロジェクトであるというふうに認識いたしております。できるだけ早い機会に現地を訪問し、そして、ただいま御質問のような御意向も十分拝聴しながら、今後とも前向きに進めていくように努めてまいりたいと思っております。
  495. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 終わります。
  496. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、古堅実吉君。     〔金子(原)主査代理退席、主査着席〕
  497. 古堅実吉

    古堅分科員 長官を初め、大変御苦労さんです。晩も九時前になりました。文字どおり私が最後の質問者です。あとしばらく、よろしくお願いいたします。  本日、衆議院の本会議で沖縄振興開発特別措置法が全会一致で可決されました。第三次沖縄振興開発計画が九二年度から十カ年にわたって実施されます。きょうは、この沖縄三次振計との関連で、那覇新都心開発整備事業について質問させていただきます。  この整備事業が実施される那覇市天久・上之屋一帯の米軍基地は、長年米軍の住宅地として県民に犠牲を強いてきた、そういうところでありました。それなだけに、一九八七年の全面返還のときは、県民生活にとって大きな期待が持たれる、このように受けとめられたものであります。この整備事業は、三次振計の主要事業の一つでもあります。県民にとっては、返還米軍基地の跡利用のモデル事業としても、県民生活向上と都市問題の解決、さらには地元企業の活性化の面からも、大いに注目されている事業でもあります。  そこで、この事業の概要、事業期間や規模などについて、最初に御説明願いたいと思います。
  498. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 那覇新都心開発整備事業は、平成元年四月に、地元の沖縄県、那覇市から地域振興整備公団に対して事業要請が出てきまして、これを受けて、同公団から同年八月に事業実施基本計画の認可申請がなされまして、九月に認可したところでございます。  事業の概要でございますが、先生も既に御承知と思いますが、那覇市の市街地のほぼ中心に位置する米軍住宅跡地におきまして、今後の沖縄県の発展を支える産業振興、あるいは都市機能の強化を図る新しい拠点として、行政、商業・業務の各種中枢機能、総合公園と一体となった文化機能、さらには住宅等の複合的な機能を持つ魅力ある新都心開発を行おうとするものでございます。  概要は、面積は約二百十ヘクタール、開発手法は、土地区画整理事業及び一般宅地造成事業を予定しております。概算事業費は、約六百三十億円、完成後は計画人口約二万人ということになっております。平成元年から既に準備を始めておりますが、工期はおおむね十年間という見込みになっております。
  499. 古堅実吉

    古堅分科員 この開発事業の発注に当たっては、地元関係者から、県内企業への優先発注を進めてほしい、そういう強い要望が出され続けております。そういう動きの中で、去る二月二十一日には親泊那覇市長と沖縄県仲井真副知事が、地域振興整備公団の福島総裁に対して、「那覇新都心開発整備事業の実施に伴う地元企業への優先発注及び県産品の優先使用について」と題する文書をもっての要請が行われました。一九八九年十月、地域振興整備公団の那覇都市開発事務所が開設をされた際に、当時の公団の茂串総裁は、同整備事業の実施に当たり、地域経済の発展に十分留意し、地元建設業者の発注機会の確保を十分図っていくとあいさつをされています。  同事業は九二年度には開始されると聞いておりますけれども地元企業への優先発注及び県産品の優先使用という問題について、地元公団側の対処のあり方について、監督官庁であります国土庁としてどう考えられ、どう指導されていかれるおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
  500. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 地域振興整備公団の那覇新都心開発整備事業の工事地元企業が受注することは、一般的には地元経済にとっても結構なことだと思っておりますし、本事業は比較的発注の規模が小さいと聞いております。そういうことで、地元建設業者の受注機会は十分あると考えられております用地元沖縄県の実情も考慮し、さらに、公団事業の円滑かつ効率的な推進を指導してまいりたいと思っておりますので、その点については十分踏まえた推進であるというふうに私たちも思っております。
  501. 古堅実吉

    古堅分科員 力強い御答弁であります。地元のそういう要望に沿えるようにぜひ最善の御努力を願いたいと思います。  ところで、地元公団側の説明によりますというと、公団の土木工事の場合、AからEまでの事業発注の等級区分があって、Aランクヘの発注も出さざるを得ないということが説明されております。一方、沖縄の建設業協会は、公団の発注基準でAランクになりますというと、沖縄にはそれに該当する企業がないので、結果的には受注できなくなる、そういう部面が多くなる、中小企業の建設業関係などが受注できるような規模に分割してほしい、そういう強い要望も続いております。このような要望にこたえられるようにするのが、今懸念されている地元の動きとの関係においても、沖縄の振興開発計画を全体として多く成功させ、その大きな目玉の一つだというふうな位置づけから、しても、当然のことではないか、このように考えておりますが、国土庁として、その方向で努力していただけるかどうか、お伺いしたいと思います。
  502. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 大臣が御答弁申し上げましたように、地元企業の受注は沖縄経済の振興発展に大変役立つと私ども認識しておりまして、工事の性格からいたしましても、受注機会は期待していただけるのじゃないかと思っております。特に区画整理事業と申しますのは、整地工事が主たるものでございますから、比較的規模も小さいものが多いと思いますので、そういう面で受注機会の確保には十分恵まれるのではないか、そういうふうに思っております。  ただ、そうは申しましても、確かに二億円以上のような工事も出てくるのじゃないかと思います。そういう際には、やはり国の方では、官公需の発注に当たりまして、できるだけ中小企業の受注機会の確保に努める、そういう方針も出しております。そういう方針のもとで、工事の適正かつ効率的な実施に留意しながら、分割発注等についても努力していくべきだ、そういうふうに考えております。
  503. 古堅実吉

    古堅分科員 次に中小企業庁にお伺いします。  昨年七月九日、平成三年度中小企業者に関する国等の契約方針という閣議決定が行われております。この内容を見ますというと、第Ⅱの(3)では「指名競争契約等における受注機会の増大」、同じく(10)では「中小建設業者に対する配慮」、同(12)では「中小企業者の自主的努力の助長」という項目などがございまして、中小企業育成の立場からの提起となっております。この閣議決定の趣旨、ねらいはどこにあるのか、そのことについて簡単に御説明願いたいと思います。
  504. 柚木俊二

    ○柚木説明員 中小企業者の発展を図るためには、官公需におきます受注機会の確保を図るということが極めて重要だということから、国としまして、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律、いわゆる官公需法と申しておりますが、これに基づきまして、中小企業者に関する国等の契約の方針を、毎年度閣議決定いたしておるところでございます。  この国等の契約の方針におきましては、国等の契約のうちの中小企業者向けの契約金額の目標あるいは中小企業者の受注機会増大のための措置等を決定いたしまして、官公需施策に対します政府全体の基本姿勢を明確にするということをねらいとしております。
  505. 古堅実吉

    古堅分科員 先ほど引用いたしました閣議決定によりますというと、第Ⅱの(3)項で「国等は、指名競争を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保すること等により、中小企業者の受注機会の増大を図るものとする。」と述べています。  そこで、重ねて国土庁お願いしたいと思いま  沖縄の実情に即して、この整備事業についてはBランク以下の発注が実現できるようにあらゆる面での高い配慮が必要になっているのじゃないか、こう考えまして、国土庁として地元公団へのそういう立場からの指導がしていただけるかどうか、そこらあたりをお伺いしたいと思います。
  506. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 国土庁は、地域振興整備公団に対しまして、財務、会計等の業務が適正かつ効率的に実施されるかどうか、そういった観点から監督しておるわけでございますが、先ほど来お答え申し上げておりますように、地元企業の受注機会の増大ということは、沖縄経済、地元振興の観点からも非常に重要だというふうに考えておりますので、そういう考えのもとに公団に対して臨みたいというふうに考えております。
  507. 古堅実吉

    古堅分科員 ストレートでない、そういう関係にはあると思いますが、監督官庁であるだけに、また今申し上げている事柄が、沖縄がなぜ三次にわたる振興開発計画を実施しなければいかぬかということにかかわる、求められている、その内容の問題でもあると思いますゆえに、政府としてはあらゆる面からの努力を尽くして、実際に地元の要望にこたえて沖縄経済が全体として自立的な方向に発展していけるように、十カ年という長い年月にわたる事業でもありますだけに、最善の努力を払ってほしいものだというふうに考えていますので、そういう立場からの御努力を切に願いたい、こう考えております。  次にお伺いしますが、地元企業への発注機会を増大させることとともに、地元関係者が要請しているもう一つに、コンクリートパイル、ポールヒューム管、共同溝など県産コンクリート製品を優先的に使用してほしい、そういう要望がございます。これももっともな話だというふうに考えておりまして、この県産品を使用するということになりますというと、そのことによって沖縄における関連産業の企業が大いに活気づくことは申すまでもございません。実際に発注に携わるのは公団ではありますけれども国土庁として、この点についてのきちっとした指導がしていただけるかどうか、お伺いしたいと思いますが、この地元県産品を優先的に使用し、地元における製造業その他企業の活気につないでいくということは、沖縄振興開発計画、三次振計の求め続けている中心的な課題でもあるわけです。そういう面で受けとめていただいて、そのことについてもぜひ前向きの御答弁がいただけたらというふうに考えております。
  508. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 冒頭、先生がお触れになりました沖縄県知事及び那覇市長から地域振興整備公団総裁に対する要請文も私拝見しておりまして、その中でも、県、市は公共工事の施行に当たって県産品の優先使用基本方針をお決めになって努力しておられると聞いております。国もそういう方針で、やはり県、市に協力していかなければならない、そんなふうに考えております。
  509. 古堅実吉

    古堅分科員 予定しておりました質問は以上でございますが、きょうは大変前向きの御答弁をいただけた、このように思います。  しかし、本題は、これから十年にわたって進めていただく実際における事業の推進の中で、この那覇新都心開発整備事業、これが県民の期待されている方向で、本当によかった、そういう立場での全体としての事業の推進となっていけるかどうかは、これは地元における関係者の努力はもちろんでありますけれども、公団にかかわる面もありますだけに、政府の各省庁からの、わけても国土庁や、あるいは中小企業庁その他関係がございます。そういう面からの絶え間ないそれなりの努力がどうしても必要ではなかろうか、このように考えておりまして、そういう面からの大きな努力を払い、直接県を代表する仲井真副知事や那覇市を代表される親泊市長がついこの問公団への申し入れもあったばかりでありますだけに、こういう要望にこたえられるように、ことしの出発に当たってきちっとしていただきたいというふうに考えております。  もう一度、国土庁と中小企業庁、両方からそのことについての最後の御意見を賜って、私の質疑を終わりとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  510. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 この開発基本構想は、非常にこれから先々沖縄の経済あるいは地域住民の福祉にとって重要なプロジェクトだと考えております。事業を実施する地域振興整備公団も、当然各地域の皆さんの御意見もよく聞きながら、また、皆様方の御協力、御理解を得ながら進めることと思います。私どもも、公団等に対しましては、そういう姿勢で、この計画が円滑に実りあるものとして推進されることを期して努力したいというふうに思っております。
  511. 柚木俊二

    ○柚木説明員 中小企業者に対します官公需の受注の機会を増大するということのために、今後とも最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
  512. 古堅実吉

    古堅分科員 これをもって終わります。御苦労さまでした。
  513. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて古堅実吉君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます、  これにて散会いたします。     午後九時十七分散会