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1992-03-11 第123回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成四年三月六日(金曜日)委員会に おいて、設置することに決した。 三月十日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       粟屋 敏信君    金子原二郎君       原田昇左右君    筒井 信隆君       中野 寛成君 三月十日  粟屋敏信君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成四年三月十一日(水曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 粟屋 敏信君       金子原二郎君    原田昇左右君       筒井 信隆君    高木 義明君       中野 寛成君    兼務 衛藤 晟一君 兼務 久野統一郎君    兼務 有川 清次君 兼務 上田 利正君    兼務 遠藤  登君 兼務 川島  實君    兼務 北川 昌典君 兼務 小森 龍邦君    兼務 佐々木秀典君 兼務 佐藤 恒晴君    兼務 斉藤 一雄君 兼務 沢田  広君    兼務 細川 律夫君 兼務 松原 脩雄君    兼務 吉岡 賢治君 兼務 竹内 勝彦君    兼務 宮地 正介君 兼務 森本 晃司君    兼務 山田 英介君 兼務 寺前  巖君  出席国務大臣        建 設 大 臣 山崎  拓君  出席政府委員        建設政務次官  金子 一義君        建設大臣官房長 望月 薫雄君        建設大臣官房会        計課長     近藤 茂夫君        建設省建設経済        局長      伴   襄君        建設省都市局長 市川 一朗君        建設省河川局長 近藤  徹君        建設省道路局長 藤井 治芳君        建設省住宅局長 立石  真君  分科員外出席者        総務庁長官官房        地域改善対策室        長       荒賀 泰太君        環境庁自然保護        局計画課長   橋本善太郎君        国土庁大都市圏        整備局計画官  真木 浩之君        国土庁地方振興        局総務課長   斉藤 恒孝君        大蔵省主計局主        計官      田谷 廣明君        大蔵省理財局国        有財産鑑定課長 能田 孝昌君        運輸省海上交通        局国内旅客課長 床井  健君        労働省労働基準        局賃金時間部企        画室長     朝原 幸久君        建設大臣官房技        術審議官    豊田 高司君        参  考  人        (日本道路公団        総裁)     鈴木 道雄君        参  考  人        (日本道路公団        理事)     小林 芳夫君        参  考  人        (日本道路公団        理事)     山下 宣博君        参  考  人        (住宅都市整        備公団総裁)  丸山 良仁君        参  考  人        (住宅都市整        備公団理事)  安仁屋政彦君        予算委員会調査        室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   筒井 信隆君     辻  一彦君   中野 寛成君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     大畠 章宏君   神田  厚君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   大畠 章宏君     筒井 信隆君   高木 義明君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     小平 忠正君 同日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 英成君     中野 寛成君 同日  第一分科員有川清次君、小森龍邦君、竹内勝彦  君、第二分科員衛藤晟一君、宮地正介君、森本  晃司君、第三分科員久野統一郎君、北川昌典  君、沢田広君、寺前巖君、第四分科員上田利正  君、川島實君、佐々木秀典君、佐藤恒晴君、松  原脩雄君、山田英介君、第五分科員斉藤一雄  君、第六分科員遠藤登君、第七分科員細川律夫  君及び吉岡賢治君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ――――◇―――――
  2. 粟屋敏信

    粟屋主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。山崎建設大臣
  3. 山崎拓

    山崎国務大臣 建設省関係平成四年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入二百三十四億五千万円余、歳出四兆八千五百七十五億五千九百万円余、国庫債務負担行為五千九百五十九億九千二百万円余でありますが、建設省移替え予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出五兆五千九百十二億七千万円余、国庫債務負担行為六千三百四十三億三百万円余を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計予算について御説叩いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも三兆六千四百五十六億四百万円、国庫債務負担行為五千五百六十七億五千万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも千六十七億千八百万円を予定いたしておりますが、歳入については、前年度に引き続き揮発油税収入の一部直接組入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆五千二百八十九億八千五百万円余、国庫債務負担行為四千七百七十五億三百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも百七億千百万円を予定いたしております。  都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも千五百四十三億六千七百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも四十六億七千二百万円を予定いたしております。  次に、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出八百七億八千九百万円余、国庫債務負担行為五百四十六億二千万円余を予定いたしております。  以上のほかに、大蔵省所管産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、建設省所掌事業に要する無利子貸付金は、歳出三十二億六千四百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策都市対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる施策を推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付しております平成四年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 粟屋敏信

    粟屋主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。
  5. 粟屋敏信

    粟屋主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
  6. 衛藤晟一

    衛藤(晟)分科員 私は、特に九州国道について質問をさせていただきたい。また、大分関連について質問させていただきたいと思います。  ちょうど私は、実は二年前に衆議院に出させていただきましたときに、九経連、九州経済連合会の方と私ども自民党の一期生と懇談会がありまして、今一番大きな課題を絞り込んでみたら何だろうといろいろな議論がありましたが、その最優先に挙げられたのは、実は高速交通体系でありまして、九経連皆さんそろったところ、その中のまた一番に挙げたのが、実は東九州がおく丸過ぎている。二年前でございますから、西回りはほぼできつつあるけれども東回りはどうもできていないので、見通しが立っていないので、九州全体の浮揚策として極めてマイナスである。それで、九州挙げてこの東回りの完成に向けて努力をしようではないかという話し合いが行われました。  そして、私もそういえばということで、四、五年ぐらい前調べたことがありますが、西回り、とりわけ熊本を中心にしてこの西回り高速道路ができたときに、地域における波及効果ということについて調べたことがあります。それと経済関係ですね。  それによりますと、いわゆる高速交通体系ができ上がるとその周辺に組み立て工場のようなものが一気にぱっとでき上がるのです。それから流通関係産業がそこに立地していくのですね。それを一つずつ、できているところとできていないところ、同じような町でずっと統計を出してみたところが、歴然とした結果が出てきたものですから、いわゆる高速交通体系ができるとできないということでこれだけ大きく産業構造に影響を与えるのかということをしみじみと感じました。  そういう意味で、今東京一極集中ということが言われて大分なるわけでありますが、やはり効率的だという、あるいは経済投資という面からのみ考えて今までやり過ぎた嫌いがある、そのことがいわゆる九州等地域開発をおくらしてきたという事実は否めないのではないのか。どうしても人口が多いところから、経済効率の高いところからという形で進んでくるがゆえに、ますます人口の少ない過疎地域等地域開発がおくれていったということだけは間違いないなということを実感したわけでございます。  そこで質問でございますが、今言いましたように、そんな政治的なアンバランスが現在の過疎過密問題等を生み出してきたのではないのかな、そして東京への一極集中を加速してきたのではないかなというようなことをしみじみと感じておるわけでございますので、特にまず東九州自動車道整備見通しについてお尋ねをいたしたい。  昨年の国幹審では、大分-津久見市間二十七キロが整備計画路線に格上げになりましたし、また、佐伯-蒲江町十九キロが基本計画路線へということになりましたが、蒲江から宮崎延岡にかける間はまだ予定路線のままですし、いろいろな意味でこの道路整備の立ちおくれというのが目立っているような感じがいたしますので、この東九州自動車道整備見通しについてまず局長お尋ねしたいと思います。
  7. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  昭和四十一年に七千六百キロができたときには、いろいろな地域から高速道路に二時間で到達できる、こういうことを目標にいたしました。そのときには、九州横断自動車道長崎大分線あるいは九州縦貫自動車道宮崎線でもってまあ何とか二時間圏域になろうかな、こういうような構想を当時持ちました。しかし、現時点においてはそれではもう足りないということから、四全総の考え方に沿いまして、一万四千キロの高規格幹線道願の一環として、この東九州自動車道が全長四百十八キロという形で位置づけられました。  先生今御指摘のように、昨年の十二月三日に開催されました第二十九回のいわゆる国幹審の議を経まして、大分-津久見市間二十七キロなど三区間八十二キロ、これは全体の約二割に相当いたしますが、ここで初めて整備計画が策定されました。これらはもう道路公団におきまして、ルートや道路構造の詳細な設計等事業実施のための準備を今やっております。これが終わり次第、すぐにいわゆる具体的な工事に着手する、こういう形になるわけでございます。  さらに、この国幹審の議を経まして、椎田町-日出間四十六キロとか佐伯-蒲江町間十九キロなど六区間の百四十キロが基本計画を決定しております。したがって、既定の基本計画区間と合わせますと全体の約八割、三百二十六キロが基本計画になっているわけでございます。  ただ、今先生指摘のように、二つ区間で、いずれも宮崎県がその中でございますが、まだ調査の内容が詰まらなかったということもありまして残っておりますが、これについては今一生懸命調査を進めて、少しでも全体としての開通にそれほど大きな支障にならないような努力をいたしている最中でございます。  またさらに、日出―米良間、これは大分市内でございますが、この三十三キロ、これは九州横断自動車道長崎大分線として既に事業が進められておりますし、日出-別府問の七キロはもう供用しているところでございます。それから、別府-大分間、この十五キロは平成四年度に供用予定、そういうことでございまして、さらに並行する自動車専用道路といたしまして、御承知一般国道号宇佐道路あるいは宇佐別府道路など五道路五十七キロが供用中ないしは事業中でございます。こういうものを入れますと、既に東九州自動車道全線の約四割に当たる百七十二キロが供用中または事業中でございます。  いずれにいたしましても、九州におきましてこの東九州の断面が重要であるということは十分認識しておりますので、今までのおくれを取り戻すべく一生懸命努力させていただきたいと思います。
  8. 衛藤晟一

    衛藤(晟)分科員 大変力強い御回答をいただきましてどうもありがとうございました。一日も早い整備を、二十一世紀になるときにはもうでき上がっているというぐらいのピッチでぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、また大分関連でありますが、今一般国道三二六が大分県の方、三重-宇目町の間、いわゆる三国峠の方の線が開通いたしました。利用者も非常にふえておりまして、大変喜ばれている道路でございます。開通をいたしまして、まさに一時間以上かかっていたものが正味十五分ぐらいで  往復できるというぐあいになりました。あと残っております宮崎県側、県境から宮崎県の北川町の間が今非常におくれているわけでございまして、これができますと延岡から一気に大分宇目町を通って三重町に来て大分市に至るということでございまして、大分市側は大分目鼻がついてきたのですが、宮崎側がどうしてもついていないということでございまして、何とかこの整備を急ぎたいけれども一体どうなっているのだろうかという地元の声もたくさんありますので、この整備見通しについてお尋ねをしたいと思います。
  9. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 今先生指摘国道三百二十六号は、延岡から大分県の犬飼町に至る道路で、ちょうどこの県境三国峠でございます。ここは急峻で線形が悪いために、今先生指摘の東臼杵郡北川町熊田から大分大野郡三童町の大字内山に至る間三十五キロを直轄でもっていわゆる一次改築事業として整備を進めさせていただいております。四十九年に事業に着手し、五十年には用地買収工事に着手、こういうことでございますが、特に宮崎県内十四・七キロのうち六・八キロが平成二年度までに供用、三年度には新たに〇・六キロを供用する予定でございます。それから、大分県内延長十九・九キロございますが、そのうち十三・六キロは既に供用させていただいておりますが、平成四年度に三・八キロの供用予定いたしております。やはり橋梁とトンネルが連続する難工事区間でございますし、この県境区間用買及び工事を進めているところでございますが、県境部約七・六キロ、これを次の五カ年内には供用できるように進めてまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、用地取得率は九十数%まで至っておりますので、今後とも一生懸命やってまいりたいと思います。
  10. 衛藤晟一

    衛藤(晟)分科員 ぜひこの緑もよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、これも同じ県南地域でございますが、今の三二六というのは山間部の方を走っておりますけれども、やはりここに宮崎から大分佐伯市にかけまして三百八十八号線という道路がございます。実は大分市から南は全部リアス式海岸なんですね。大変お金もかかるという道路であります。  私も去年、建設大臣一緒にイラクの方、クウエートに行かせていただいたのですが、向こうの道路は本当にいいなというように思いました。砂漠の中を転圧をしてアスファルトをかければそれで道路はでき上がり、しかも道路は真っすぐ行ける。それに比べて日本というのは、緑が大変豊富でありますが、山あり川ありで、川の隣はちゃんと堤防をつくり、あるいは護岸工事をやって、  そして排水を全部やり、それから山は、のり面整備する、あるいはトンネルをつくりというところでございまして、そういう意味では、本当に道路一本つくるのにも全然コストが違うんだなということをしみじみと感じて帰ってきたところでございます。  国内におきましても、ここのあたりリアス式海岸で、まさに山と海が直接接しているという海岸線でございまして、しかもリアス式ですからでこぼこであるということで大変な経費がかかるということも私ども存じ上げておりますけれども、この線の整備を急がれております。本当にすぐそばにぽっと見えましても、ああ、ここに本当にわずかな橋があれば、二、三百メートルの橋があれば二キロも三キロもぐるぐる回らなくていいのになというところまでたくさんあるわけでございまして、そんな意味も込めまして、この三百八十八号、今とりわけ蒲江あたり整備をやっておりますが、この整備見通しについてお尋ねしたいと思います。
  11. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘国道三百八十八号は、佐伯市から宮崎県の延岡に至るおよそ百キロの幹線道路、いわゆる日豊海岸国定公園を縦貫している道路でございます。今先生指摘のように、リアス式海岸でございますので、道路をきちっとするにはいろいろと非常に難航いたします。大分県内においても実延長四十五キロに対して改良率が約六〇%と、どちらかというと極めておくれている方でございます。  現在、そのうち蒲江町について現道拡幅バイパスを組み合わせて延長約三・二キロの改良事業を実施しております。マリンカルチャーセンターといったようなものもございます。こういうものがみんなに親しまれるように我々この改良事業を一生懸命やらせていただきたいと思っておりますが、平成三年度は、〇・八キロだけは供用いたしましたので、残る区間用地買収及び工事促進をさせていただいております。ここは全線にわたってやるには非常に難しいところでございますので、逐次各区間を決めながら全体が改良されるように努力させていただきたいと思います。
  12. 衛藤晟一

    衛藤(晟)分科員 ありがとうございました。  それからもう一つ国道二百十七号津久見-上浦工区は半分以上完成したわけでございますが、トンネル部分等が残っております。なかなか完成いたしておりませんが、この見通しはどうでございましょうか。
  13. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 一般国道二百十七号、これは大分市から津久見市、佐伯市を経て県南部の弥生町に至る約八十キロの幹線道路でございまして、ここもやはり非常に急峻な地域でございまして、特に津久見市から上浦町までの間は拡幅と急カーブの解消がどうしても必要だということで、四本トンネルを掘るということで、そういうものを含めた三・四キロのバイパス事業を実施させていただいております。既に二本のトンネルを含む二・四キロを供用いたしております。津久見市内においては、福良第二トンネル工事等残る一キロの工事を進めております。  この福良第二トンネル工事が完了いたしますとさらに〇・六キロの供用ができるわけでございますが、これが終わればすぐにでも福良第一トンネルに着手したいと思っております。いずれにしても、この四本のトンネルが完成することがこの区間のポイントでございますので、今後とも計画どおりやらせていただきたいと思っております。
  14. 衛藤晟一

    衛藤(晟)分科員 それでは、あと地域高規格道路についてお尋ねをしたいと思います。  高速高規格道路幹線高規格道路は一万四千キロの整備を今進めているところでございますが、それから漏れている地域の問題があります。それからいま一つは、その幹線高規格道路に至るまで何とか一時間で結ぼうという話もありますが、そういう問題をひっくるめて、もっともっとやはり幹線の面的な、高い規格道路整備がどうしても必要だなということをしみじみと感じております。  例えば、私ども大分県ていいますと、大分から大野郡、竹田市、阿蘇、それから熊本を通る道路は、数年前県を挙げて中九州自動車道として運動していたところでございますが、残念ながら幹線高規格道路計画で漏れましたので、それについて何とかできないかという検討をちょうどしているときに、道路局の方から、いやいや、地域高規格道路のようなものをつくって面的な整備をやった方がいいんじゃないのかということの話も出ましたので、この概要と今後の取り組み方についてお尋ねしたいと思います。
  15. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 地域高規格についてのお尋ねでございますが、私ども、一万四千キロの高規格幹線道路をつくった際に、これで我が国の地域活性化は十分果たせるんじゃないかというふうな考え方を多少持っておりました。しかしやはり、ストック効果フロー効果、こういう二つの面から見たときに、東京とか大阪とか名古屋といったような大都市圏集積効果が余りにも大きいということから、地方集積効果をさらに発揮させて国土の全体的な活用を図るといういわゆる多極分散型の国土の形成のためにはもう少し違ったネットワーク構造が必要ではないか、こういうようなことを考えるに至りました。その結果、地域におけるネットワーク社会を構成する要素といたしまして、こういう地域高規格幹線道路といったような発想が必要だということで、この計画を立てたわけでございます。  特に、そのベースになりますのは各県から一時間圏構想あるいは二時間圏構想等々、その地域においてそれぞれのいろいろな構想が出てまいりました。それは一つ集積効果を持った地域生活圏、といいますか、地域交流圏をつくりたいという地域の切実な願いだと私どもは理解いたしておりまして、こういうものを国としてどのような形で応援し、また一緒になって汗をかいていくか、こういう視点に立ったときに、いわゆる全国的な高規格幹線道路一体となったネットワーク構造、こういうものをまず構築するための勉強をしようじゃないかということで、平成四年度にそのような調査費を要求して予算原案でお認めいただいて、今度の国会に御審議をいただいている、こういう経緯がございます。  そこで、この地域高規格性格そのものが、そういう意味でむしろ地域活性化に資する、しかも全国的な高規格幹線道路一体となっている、こういう二つの面から考えてまいりますので、こういう定義で、こういう採択条件でというものを決めるにはまだ早かろう、もう少し地域と国が一緒になって勉強する中で、どういったものが一番地域高規格としてふさわしいかというものを整理してみたい、このように考えております。  ただ、やはりそうはいうものの、二つの性格というものはおのずから違うというふうには認識しておりますので、そういう中で、平成四年度、十分勉強しながら、新しい五カ年計画平成五年度から私どもはつくらせていただきたいと思っておりますので、その中の非常に大きな中心のテーマとしてこの政策を育てていきたいと思っております。そういう意味で、先生方の一層の御教示、御指導を賜ればありがたいと思っております。  そこで、先生指摘のいわゆる中九州を横断する横断道路構想がこういう地域高規格に向いているんじゃないか、こういうような御指摘もございました。むしろ、この線が向いているというような物の考え方よりも、それぞれの熊本ゾーンあるいは大分ゾーンの地域圏における経済活動がどのような形で行われているのか、それをどのような形で結ぶことが両方の集積効果をより高めるために必要か、そういう面の勉強から、その間を結ぶ道路がどのような性格の道路であるのがいいかというふうな持っていき方をしたいと思っております用地域高規格が先にあるのではなくて、地域の利用計画地域の振興の考え方が先にあって、それと一体となってその路線の性格もつくってみたい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  16. 衛藤晟一

    衛藤(晟)分科員 どうも大変ありがとうございました。私どもも、今局長が言われましたように、そういうものを大変期待をしているところでございます。今まで、やはり多極分散と言われながらなかなか進んでいなかったということで、何か交通体系の整備においては、今の局長の答弁で光が見えたような気がいたしております。私どももそれに懸命に取り組みたいと思いますので、ぜひとも、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
  17. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて衛藤晟一君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤登君。
  18. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 時間が余りありませんので、特に私、山形県出身でありますが、地元の問題なども、恐縮でありますが関連をさせていただきながら、質問をさせていただきます。大変な御苦労をされていることに深く敬意を表したいというふうに思います。  まず一つは、いろいろ各先生方からも指摘をされ、また当局側においても大変な御努力を重ねられております高規格幹線道路の問題でありますが、二十一世紀に向かって均衡ある国土建設をする、また四全総を完結をさせる、その骨格はやはり道路だというふうにも思う次第であります。そういう意味で、一万四千キロの高規格幹線遺路整備計画が策定をされて鋭意努力集中をされていらっしゃるわけでありますが、これらの整備促進について、先ほども強く要請がなされたわけでありますが、全国的に国民の大きな期待が寄せられているところであります。この進捗状況あるいは整備促進の対応などについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  19. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  いわゆる高規格幹線道路、アメリカでは、一九九二年から今の高速道路を三倍にする、こういう計画を公表いたしました。我が国では、昭和六十二年に七千六百キロであった高速道路をおおむね倍にするという、一万四千キロの計画をつくらせていただきました。それに沿って現在鋭意事業を進めております。  従来、七千六百キロの時代には、年間供用ペースを二百キロということでやってまいりました。しかし、各地域からの活性化の要望等が非常に強いということにかんがみまして、私ども、高規格幹線道路網といたしましては、三百五十キロという年間の供用ペースを目標にいたしまして、ほぼ二倍に近いペースで整備を進めていこうというふうに考えております。  その結果、現在五千四百八十五キロが供用済みでございますが、私ども、何とか二〇〇〇年まで、平成十二年までには、目標とする九千キロまで供用を図り、さらに二十一世紀初頭の一万四千キロの全線の完成ということで一生懸命努力していきたい。こういうふうな形のものがもしでき上がるといたしますと、全国の都市や農村からおおむね一時間以内で高規格幹線道路のインターチェンジに到達できるようになりますので、やっと全国が等質のネットワーク社会になるだろう、このように考えております。
  20. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 公共投資四百三十兆円の問題も、それぞれ各省庁にまたがる、こういう部分があると思いますが、重点的な投資もそこに加えられていくのではないかというふうにも思うわけでありますが、特に山形県的に、これに関連をして、これもまた大変な御心配をいただいてきておりますが、横断道酒田線、それから日本海沿岸の高速自動車道、またこれも大変な御心配をいただいてまいりました東北中央自動車道、この促進について県民的に大きな期待を寄せているのであります。大変な御高配をいただいてきておりますが、一段とこれらの大きな期待を寄せる幹線促進についてどのような対応状況、対応方向にあるのか、お聞かせいただきたい。
  21. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 山形県の高規格幹線道路は、従来東北横断自動車道酒田線百二十六キロだけでございました。この六十二年の策定によって三百三十六キロとおおよそ二倍以上の規模に膨れ上がりました。その中で東北横断自動車道につきましては、御承知のように全線にわたって今事業を進めております。  先般の十二月三日のいわゆる国幹審におきましては、東北自動車道の村山から尾花沢間十五キロ、福島から米沢間三十七キロ、日本海沿岸自動車道の温海から鶴岡間二十七キロ、これが基本計画となり、さらに東北中央自動車道上山から東根間の二十七キロの整備計画が策定されたわけでございます。  結果といたしまして、山形県内におきましては二百四十六キロの基本計画、これは全体の約七割が基本計画ができておりますし、百三十六キロ、これは全体の四割が整備計画、こうなっております。  さらに、山形県の場合には整備手法のいろいろな研究をいただきましたので、並行する自動車専用道路といたしまして、一般国道十三号の米沢南陽道路とか尾花沢新庄道路あるいは一般国道百十二号の月山道路一般国道二百八十六号の笹谷トンネル、こういうものが合計しますと五十六キロございます。これが供用中または整備中でございます。こういうものを入れますと山形県全体の約六割に当たる百九十二キロ、供用中は四十七キロですが、供用中または整備中、こういうことに相なるわけでございます。  そういうことで、私ども整備計画が決定された区間につきましてはさらに実施のための調査を進めておりますし、さらに、東北横断自動車道の酒田線の寒河江から月山沢間あるいは田麦俣から酒田間の八十三キロはもう整備を今進めているわけでございます。  また、残りの栗子トンネルを初めとする基本計画区間につきましても、所要環境調査等々慎重に今調査をいたしております。環境調査は慎重に慎重であった方が後の整備が早く。なりますので、そういうことで調査をきちっとしながら今後とも対応させていただきたいと思っております。
  22. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 大変な御心配をいただいておりますが、さらにその促進のために特段の御配慮をいただきたいと強くお願いをさせていただく次第であります。  次に、これも今、交通安全の確保あるいは交通をスムーズに進行させるために、踏切事故解消あるいは踏切の改良の問題が提起、取り上げられてしばらくになるのでありますが、これの改良促進についても大変な御努力をされてきているわけでありますけれども、どのような状況にあるのか、あるいは今後どのような対応方向にあるのかということについてお聞かせをいただきたい。
  23. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 踏切道、現在全国で五万七千カ所ほど交差箇所がございます。そのうちの四〇%はどうやら立体交差ができました。まだ六〇%が平面交差、こういう状況でございます。  こういうことで、昭和四十六年から、実は五年ごとに交通対策本部におきまして踏切事故防止総合対策を決定いたしました。そして五カ年計画をつくり実施をしてまいっております。平成三年の二月からは第五次の対策を推進しているところでございます。  この第五次対策におきましては、踏切道を一カ所ずつ実施する単独立体交差化によるよりも何カ所もの踏切道を同時に除却した方が効果的であるために連続立体交差化で計画される場合や、踏切道の周辺の土地利用の状況等から単独立体交差化が難しくバイパス計画が採用される場合が多くなっているということが現状でございますので、どうしても連続立体あるいは新設立体、こういうような事業に重点を移しております。  そうすると、当然のことながらお金がかかるということでございますが、しかしできるものは質のいいものができる、やはり二十一世紀を目指して質のいいものを仮に時間がかかったとしてもつくった方がいいだろうということで計画的に今進めております。平成三年度は事業費約千六百十四億をもって実施いたしましたが、平成四年度はさらにそれを上回る千六百七十億円以上の事業費をもって充てたいということで今計画を立てている次第でございます。いずれにしましても、踏切において不幸な出来事が起きませんように、効率的な交通ができるように努力させていただきたいと思います。
  24. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 大変な御努力に敬意を表しながら、一段と今、年間一万一千人を超えるような死傷者を出しているという状況などもあったり、交通停滞が拡大をしているという状況があったりして、安全確保の立場からも十分な促進方についての御配慮を要請させていただく次第であります。  次に、国道昇格の問題、これは高規格幹線道路の問題を初めとして大変な道路整備促進についての期待が寄せられているわけでありますが、全国的にも相当国道昇格に対する強い願望が寄せられてきていると思うのでありますが、どのような対応状況にあるのかお聞かせをいただきたい。
  25. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道昇格、これは非常に歴史の長い作業が従来から行われてきております。御承知のように、昭和四十四年、そして四十七年、四十九年、五十六年と逐次国道を追加してまいりました。現在国道の現道延長が四万四千二百五十三キロ余、こういう状況でございます。そういうことで五十六年からはほぼ十年を経過をいたしました。その間に四全総の計画も出され、地域の利用計画がかなり変わってまいりました。そういうことから国道にしてほしいという御要望が現在百八十路線一万二千キロ余ございます。そういうことで、私どもこれを今、国道昇格のための最後の作業に入っているわけでございますが、従来、四十年代に国道の規模として、当時の国の計画から考えると五万キロぐらいがちょうど妥当かなという構想を打ち出しました。しかし、正直言いまして、この五万キロというのを一つの上限といたしますと、四万四千余でございますからこれが最後の国道昇格、こういうことに相なるわけでございます。  国道というのは国における根幹的な施設でございますし、国の生活あるいは社会経済活動との絡みから、また国土利用との絡みからこういう根幹的なネットワークがいかにあるべきかということを考えていく性格のものでございます。そういうことで、道路審議会等におきましてもいろいろな議が今なされている状況でございます。私ども四全総におけるこの一万四千キロの高規格幹線道路網という新しい骨格道路一体となって機能する国道網の姿が今後どのような形になるか、これを横でにらみながら今回の国道昇格の作業を現在させていただいております。  そういう中で半島法の問題あるいは離島等々、新しい地域における要望も多々出ております。そういうことで、従来私ども平成三年度中に国道の再編成をするというふうに申し上げておりました。したがって、私ども、今もうわずかではございますが、その最後の段階に達しているわけでございます。山形県における国道の御要望も多々私どもお聞きしております。その中には道路法第五条の第一項に規定する国道の要件等から見てぴたりと合うものもありますし、やはり若干問題になるところも出ているわけでございます。そういう総合的な検討、そして採択要件等々いろいろな角度からの検討を今やりながら最後の詰めをさせていただいているわけでございます。  そういうことで、具体的な内容についての発言は控えさせていただきますが、いずれにいたしましても三年度中、わずかではございますが、一生懸命努力して地域国道昇格に対する要望におこたえできるようにさせていただきたいと思っております。
  26. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 大変な御努力を傾注されていらっしゃるわけでありますが、全国的には百八十路線、今最後の詰めがなされているということのようであります。答弁にありましたように、山形県的にも数十年来の願望として要請を続けられてきた、いわば地域的な、県民的な課題があるわけでありますので、最後の詰めにおいて十分な御配慮をいただきたいということを強くお願いさせていただきます。  次に、通学路、積雪、雪の地帯の歩道の確保の問題でありますが、これも鋭意御努力をされてきているのでありますが、特に歩道、通学路の冬季下における安全確保の関係で、いわば車道の雪を歩道に排雪をするというような問題など、それからその雪の上を子供らが朝晩通学をする、危険きわまりないような状況があったり、あるいは事故が多発しているという状況があったり、建設省国道の歩道の関係の除雪についてもいろいろな対応が重ねられてきて、除雪の歩道の延長ども年々拡大の方向にあるということについては深く敬意を表するのでありますが、一段とこれを強めてもらいたい。  それから、十数年来試験除雪ということでは困るんじゃないか、何とか本格的な対応をしていただきたいという強い願望があるのでありますが、これは県、市町村あるいはその地域一体になって対応している部分もあるわけでありますので、十分国道の歩道等の除雪について、あるいは特に通学路の確保については特段の御配慮を期待されているのでありますが、その対応状況、対応方向などについてお聞かせをいただきたい。
  27. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 通学路につきましては、私ども、通常の道路事業道路改築事業、そして特に交通安全の五カ年計画の中で歩道の確保をこの通学路を特に重視しながらやってきているところでございます。さらに、その通学路が雪国の場合には歩道除雪、こういう問題が出てまいります。そこで、私ども雪寒、積雪寒冷特別地域における道路交通の安全の確保と円滑化ということを目的といたしまして五カ年計画をつくってまいった、現在が第九次でございます。今年度、平成四年度で第九次も終わります。平成五年度からは新しい雪寒五カ年計画を策定する、こういう状況になっております。  この中で、除雪、防雪、凍雪害の事業を実施しておりまして、この歩道除雪につきましては、痛ましい事故等々いろいろな経緯を経まして、昭和五十年代の当初より歩道除雪を試験的に施行いたしております。  そして、現在歩道除雪は、当初の二百キロから逐次いろいろな実験をしながら実施延長を延ばしてきております。そして、特に昭和六十三年度からは、従来から実施してきた試験的歩道除雪に加えまして、国、県、市町村が協力して、市町村ごとに策定した歩行者空間確保計画、通称雪みち計画と言っておりますが、これに基づきまして、歩道除雪、場合によっては消雪パイプあるいは無散水消雪施設あるいは流雪溝といったようなものをいろいろと地域によって総合的に組み合わせて行ってまいりました。こういうものを私どもいわゆる冬期歩行者空間確保パイロット事業、こう言っております。  この通学路は、むしろこのパイロット事業をいかにうまくこなすかということによって通学路の確保に資するわけでございますので、通学路の確保にこの事業を重点的に充ててまいりました。  例を山形県について申しますと、平成三年度にはこのパイロット事業として、直轄事業八十五キロ、いわゆる一般国道の直轄が管理しておりますのが八十五キロ、補助が百四十二キロございますが、この歩行者空間除雪につきましてはすべて通学路となっております。したがって、パイロット事業イコール通学路事業と言ってもいいようなことが山形県の平成三年度の実態でございます。  さらに、平成四年度におきましては、山形県の例を言いますと、全市町村をこのパイロット事業の対象とする、こういうような形になっております。全国的に見ますと、平成四年度においては、雪寒事業として国県道合わせて四千五百キロ、こういうものが歩道除雪の状況でございます。  歩道除雪も、やはり歩道をきちっとするということがその前に必要でございますので、そういうものをもろもろあわせ、市町村に至っては、やはり市町村に機械を補助することによって市町村の責任においてやっていただくといったようないろいろな組み合わせを考えながら、少しでも通学路の確保を図ってまいりたいと思っております。
  28. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 大変な御努力に敬意を表するわけでありますが、さらに一段とこれらの問題を強化されるように強く要請をさせていただきます。  次に、時間がありませんから、いわば地方拠点都市整構想が法案として提起をされてきたわけであります、これは四全総との関係、あるいは二十一世紀に向かって多極分散型の均衡ある国土あるいは都市形成をどうするかということの上に立ってこの問題が提起されてきたのではないかというふうにも思いますが、地方一極集中が進んでいる、こういう状況があるわけであります。  したがって、これは四全総にかなう均衡ある都市構造、いわば国土構造をつくり上げていくというためには、各県に一ないし二の指定ということであってはならないのではないか。もっとそれぞれの大中小都市を基盤、いわば核として、それを山村が包み合う、そして広域圏的な整備、構造を強めていくということが大事なのではないか。それは四全総のかなめに合致するのではないか。二十一世紀への都市構造、国土構造政策の上からも、これは第一次として大きな意味があるのではないか、私はそういうふうに理解をするのでありますが、そういう点などについて十分御配慮をいただきたいものだなというふうに思う次第であります。  それから、都市構造政策、健康な都市構造政策というのは何なのか。これは、太陽とか緑とか通風とか、いわばそういうことを基本に健康な都市構造政策というものを見直してみる必要があるのではないだろうかということも、私の私見でありますが、お訴えをさせていただく次第であります。  時間が参りましたが、最後に公共事業の平準化の問題について、特に積雪地方は大体公共事業が出回るというのは九月段階なんですね。それで十二月になると雪が降る。そして大事な四月から八月のこめ期間、これは仕事が、いわば端的に言えば、ない。これは公平の面、効用的な効率的な面から考えても、また事業者、やる人々の立場から考えても、これは十分ゼロ国債あるいは施越し事業などを含めて公共事業の平準化に向けて格段の御配慮を願いたいということを強く要請をさせていただきながら質問を終わらせていただく次第であります。いろいろありがとうございました。
  29. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて遠藤登君の質疑は終了いたしました。  次に、細川律夫君。
  30. 細川律夫

    細川分科員 私は、まず首都圏外郭環状道路についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  東京一極集中ということで、首都圏の道路というのは大変混雑をいたしております。この混雑の解消ということもありまして、首都圏外郭環状道路の建設が進められているところでございます。  そこで、まず最初にお聞きしますのは、この首都圏外郭環状道路の進捗状況についてお伺いいたします。
  31. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 東京外郭環状道路東京の中心から約十五キロの半径で、大体八十五キロの延長でございまして、いわゆる東京都市圏の都心方向に集中する交通を分散あるいは導入等々いろいろな意味で極めて重要なネットワークでございます。  このうち東京都の世田谷区、いわゆる東名高速道路の位置から千葉県の市川市に至る六十七キロは、既に都市計画という形では決定されております。しかし、このうち埼玉県和光市、国道でいうと二百五十四号のバイパスから市川市に至る約四十四キロの一般部が一般国道の二百九十八号として直轄で事業化しておりまして、埼玉県内を中心に整備を進めております。特に関越自動車道から常磐自動車道に至る自動車専用部約三十キロ、これが六十一年から道路公団において高速自動車国道として事業を進めております。埼玉県内の三郷から美女木の間の供用平成四年度中に図ろうということで最後の努力をしておりますし、残る美女木から練馬間についても、現実にいろいろな地域における問題が出てまいりましたので、それらの解決を関係機関の協力を得ながら努力をしている最中でございます。  さらに、常磐自動車道の三郷市から以南につきましては、昨年のいわゆる国幹審におきまして基本計画が承認をいただいたところでございます。また、関越自動車道から東名高速道路間、これは昭和四十一年の七月に都市計画決定をされているわけですが、あのころから比べますと明らかに土地利用状況、生活環境も変わってまいりましたので、そういうものを含めた形の道路構造について検討中でございます。今後関係機関と密接な調整を図りながら、地域の意向を十分反映した計画を策定していく方針でございます。  さらに、東名高速道路から湾岸道路間につきましての路線、道路構造についても調査中でございます。
  32. 細川律夫

    細川分科員 今御説明がありました大変重要な東京外郭環状道路なんですけれども、これの埼玉県内の整備状況についてお伺いをしたいと思いますけれども、三郷-美女木間が平成四年度中に供用開始というようなことを今御説明いただきましたけれども、少しおくれているかなとも思いますけれども、この供用開始は、これは上のといいますか高速道路の方と、それから一般国道、いずれも同じ時期なのか、それとも違うのか等について、埼玉県内について特に御説明をしていただきたいと思います。
  33. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この三郷-練馬間につきまして、私ども練馬地区にまで一緒開通させたいと思っておりましたが、先生承知のように、当初私どもが縄文時代の遺構が主だと思っていた練馬地区の埋蔵文化財が、旧石器時代の出土品が出てまいりまして、当初二層であったものが十層になり、本掘も当時一万平米であったものが今七倍以上の調査をやっているということで、こういうものを含めていろいろな問題で時間がかかっている、こういうのが現状でございます。  しかし、これらを一生懸命今やっているわけでございますが、何はともあれ平成四年度中には小なくともそれらとの関係がない三郷-美女木間については供用を図りたいということで、関係機関との調整に努めているわけでございます。特に、ここでもって一般の道路におりるわけでございますから、一般の道路の状況とあわせて、やはりそこでいろんな問題、混雑だとかといったようなことが起きないようなそういう調整もしなければなりません。そう釣とで関係機関との調整に努めているわけでございます。  また、美女木-和光間につきましては、練馬地区の工事の進捗等々いろんな問題がありますし、端末での交通集中の回避等もありますので、どういう形で美女木-和光間についてとりあえずの利用の形をやるか、これも今検討しております。特に、先生指摘でございましたが、一般部は今いろいろと仕事をやっております。特に和光市から三郷市間の二十四キロ一体となった整備でございますから、草加市内の一部を除く専門部と同時に供用を図る方針でございます。また、残る草加市内の区間についてもできるだけ早い時期に一般部について供用が図れるように努めてまいりたい、かように考えております。
  34. 細川律夫

    細川分科員 この埼玉県というところは、東京に向かっての道路というのは割と整備をされておりますけれども、横の道路についてはまだまだ不十分でございまして、地元の皆さん方は東京外郭環状道路供用開始の一日も早いことを望んでおります。ひとつ御努力のほど、よろしくお願いをしたいと思います。  次に移らせていただきますが、国道四号線については、これは埼玉県の東部を走っております交通の最大の動脈でございますけれども、なかなかこれが最近は渋滞などもいたしておりまして、これのいわばバイパス的な意味で東埼玉道路の建設が予定をされているところでございます。この東埼玉道路予定をされております。辺には、越谷の流通団地であるとかあるいはまたレイクタウン構想、いろいろなプロジェクトが計画をされておりまして、この東埼玉道路の建設については地元で大変期待をされているところでございます。そういう意味での、埼玉東部の発展のためにも早い東埼玉道路の建設が必要でありますけれども、その整備のこれからの見通しはどういうふうになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  35. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 東埼玉道路延長十七。六キロでございます。全線事業化することはいろいろな意味で大変でございましたので、特に先ほどの東京外郭環状道路に直接接するところから越谷市の大成町の間約四・二キロ、この間につきまして重点的に六十三年に事業化いたしまして、そして平成二年度には八潮市及び草加市内の用地幅ぐいの設置を実施したところでございます。  平成三年度は、用地幅ぐいの設置済み区間につきましていよいよ用地測量をさせていただいているわけでございますが、実はこのところにいろいろな意味で、見田方遺跡という古墳時代後期の集落跡もどうもあるようでございます。そういったこともありますので、私ども多少慎重に一方では構えざるを得ないという側面もございます。そこで、地元の方々の御理解と御協力を得ながら、用地買収できるところについては積極的に買収に着手して、少しでも外環との関係でいたずらな混乱が起きないように、できるだけ効果的な区間を選びながら全線事業化に逐次入れるような、そういう地元と御相談しながらやってまいりたい、かように思っております。
  36. 細川律夫

    細川分科員 この東埼玉道路につきましては、私昨年もその建設促進についてお願いを申し上げましたけれども、ひとつ今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  次に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども国道四号線についてでございます。これは埼玉県の東部におきましての最大の交通の動脈でございまして、この国道四号線がなかなか渋滞をいたしておりまして、この道路幅の拡張が特に強く期待をされているところでございます。特に今、四号線と旧四号線との交差点であります下間久里というところの高架橋が工事をしておりますし、それから越谷-春日部間のバイパスについても道路幅を拡張する工事が進められておるようでありますけれども、これについてどのような今後の見通しになっているのか、この進捗状況、今後の見通しについてお聞かせください。」
  37. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  まずもって、ちょっとお断りを申し上げます。先ほど先生の御指摘で、東埼玉道路のうち、四・二キロの事業区間について昭和六十三年度に着手と申し上げましたが、平成元年度より着手ということでございますので、訂正させていただきたいと思います。  今の越谷春日部バイパスの四車化の問題でございますが、昭和四十三年に事業化に着手して、五十二年に全線を暫定二車線で供用済みになりました。確かに先生指摘のように、交通混雑非常に激しいということで、特に混雑の著しい旧四号線と本バイパスが交差する下間久里交差点について、四車線立体交差化のための越谷高架橋の工事を実施しております。上部工の橋げたの架設はほぼ完了いたしました。四年度、この越谷高架橋の残る工事を進めまして、四年度内に四車線の立体交差化の完成を図る予定でございます。その他の区間につきましても逐次四車化を進めまして、次期五計内には完成供用が図れるようにしたい、かように考えております。
  38. 細川律夫

    細川分科員 次に、首都圏中央連絡道路についてお伺いをいたしたいと思います。  この首都圏中央連絡道路につきましても、大変大きな構想のプロジェクトでございまして、埼玉県においては埼玉県の中央部を横断するような形の予定道路でもございます。特に埼玉では横の道路が未整備でありまして、このいわゆる圏央道に対する県民の期待は大変強いところでございます。この首都圏中央連絡道路のいわゆる進捗状況、今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。今後の見通しについては、特に国道二百五十四号から常磐高速道路までの間について詳しく御説明をお願いしたいと思います。
  39. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 首都圏中央連絡道路、先ほどのいわゆる東京外郭環状道路東京圏の十五キロであるのに対して、これは四十から五十キロ圏の環状道路延長二百七十キロでございます。  その整備に当たりまして、横浜市の金沢区から戸塚区の間の十キロ、茅ケ崎市から厚木市間の二十一キロ、八王子市から埼玉県比企郡川島町間の五十キロ、つくば市から茨城県稲敷郡東村までの二十六キロ、全長合計百七キロ、全体の約四〇%に相当いたしますが、既に事業に着手して、現在促進を図っているところでございます。この平成四年度には、この東村から千葉県の大栄町間約十五キロ及び千葉県の茂原から木更津間約二十九キロ、これについて新規事業化を考えているところでございます。  今、先生指摘国道二百五十四号バイパス川島町のところでございますが、これから常磐道、ちょうどつくば市に至る間、この間につきましては一昨年、平成二年の十一月に基本計画を策定いたしまして、現在、整備計画策定に向けてルート検討、環境調査等の調査をやっております。いわゆる環境影響評価という一番重要な調査を今やっておりまして、これらは通常大体数年かかります。したがって、平成二年にやっと計画ができたわけでございますから、今もうちょっとというところまで来ておりますが、この環境影響評価にだけは慎重に対応させていただきたいと思っております。これらが終われば、一生懸命また次のステップの事業に入るように努めてまいりたいと思います。
  40. 細川律夫

    細川分科員 埼玉の県民にとりましては大変期待をいたしておりますので、ぜひその進行方、促進をひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、簡単で結構ですけれども国道百二十五号線について簡単に、どういう整備が今後なされていくのか、その見通しについて簡単にちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  41. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 百二十五号のうち、加須から熊谷までの間について延長十九・九キロの大規模バイパスを実施しております。そのうち、熊谷市の一般国道十七号との接続部から行田市までの六・七キロが供用。それで平成三年度内、今年度内にはこの区間と接続する行田市内から羽生市間の一般国道百二十二号との接続までの四・四キロの供用を図る予定でございます。この残り、羽生市から加須市に至る区間については、現在用地買収及び工事促進を図っておりますので、今後とも努めてまいりたいと思っております。
  42. 細川律夫

    細川分科員 道路関係についてはこの程度にいたしまして、次に、埼玉東部の地域におきます治水対策についてお伺いをいたしたいと存じます。  昨年の秋にも、集中豪雨によりまして中川・綾瀬川流域では床上浸水を含めます大変な水害が発生をいたしまして、草加などでは市内の半分以上の家が水害をこうむったというような事態が発生をしたわけでございます。この埼玉東部の低地帯におきましてはしばしば水害が起こっておりまして、この流域の人たちは大変困っておるわけでありまして、また、そういう意味では国の治水対策に大変期待を寄せているところでございます。そこで、まず中川・綾瀬川流域の治水対策を、全般的なものをちょっと御説明をいただきたいと思います。
  43. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 埼玉県の南部といいますかこの東部地帯は、利根川、江戸川、荒川に挟まれた、いわば大河川がかつてはんらんした地域でございます。一昔前は豊かな水田地帯でございましたが、近年の都市化によっていわば都市水害として典型的な被害が頻発している地域でございます。  昭和三十三年度より、埼玉県におきましてはこの中川につきまして改修に着手したところでございますが、とりわけ主要な区間でありますところにつきましては、昭和三十六年度より建設省直轄事業として改修に着手いたしました。さらには、首都圏のベッドタウンとなったこともありまして、この低平地が都市化によって大変浸水被害が増大したこととあわせまして、河川の改修事業と流域における治水対策とをあわせて行うことを旨とする総合治水対策特定河川事業として着手したところでございます。  それで、その主要な中には、中川と江戸川を結ぶ三郷放水路、これは既に完成しておるわけでございますが、さらに綾瀬川から中川に結ぶことによって上流部の治水の安全度を確保するという趣旨で、これは綾瀬川放水路は草加市内でございますが、その事業に現在重点を置いて推進しているところでございます。平成四年度には、綾瀬川放水路のうち、これは先ほど御質問になられました外郭環状道路一体となって推進しているところでございますが、この道路と並行して二条の放水路を設置するわけでございますが、そのうち北一条の方につきましては、平成四年度には完成を図りたいという趣旨で進めておるところでございます。  このような主管的な事業を進めておりますが、さらには、昭和五十四年、五十六年、六十一年と典型的な都市水害の頻発を見たところでございますので、綾瀬川の本川及び支川の伝古川、辰井川等において、再度災害を防止するために、その災害が起こりました都度、激甚災害対策特別緊急事業ということで特別枠を設けまして予算の重点投資を行って、それぞれ河道改修、排水機場の設置等を実施してきたところでございます。  昨年、平成三年九月に台風十八号によりまして、このような従来の懸命の改修にもかかわらず、また草加市等で多大な浸水被害が発生いたしました。約二万三千戸の家屋が浸水しておりまして、今回の災害の起こった箇所につきまして、さらに再度災害防止を図る観点から、特別枠によります激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業に採択しまして、既定計画のうちでも、綾瀬川の排水機場の増設、水門を設置いたしましてこの低平河川を一部カットいたしまして荒川に放水するための施設、また辰井川調整池等を重点的に、一応五カ年をめどにこの区間については整備を図る趣旨で、現在進めておるところでございます。
  44. 細川律夫

    細川分科員 新方川などの治水対策の進捗状況についてもお聞きをしたいのですけれども、時間がございませんので、ひとつその対策もよろしくお願いを申し上げまして、その昨年の九月の台風の被害のときにもありましたけれども、例えば川の方ははんらんをしないけれども堤防の外側に水がたまる、いわゆる内水被害というのも発生いたしております。このような内水対策については今後どのような方法を講じでいかれるのか、ひとつその対策についてお願いしたいと思います。
  45. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘ございましたように、昨年九月の台風十八号の豪雨の際に、埼玉県下におきましても越谷市を初め多くの地域で内水被害が生じたところでございます。  こうした豪雨等による内水被害の軽減を図るために、建設省といたしましては、河川改修事業と並行いたしまして公共下水道等による雨水排除対策が必要であると考えておりまして、越谷市を例にとりますと、弥栄町周辺を含む地域におきまして鋭意整備を行ってきているところでございますが、なかなか整備が完了していないという状況もあるわけでございます。私どもといたしましては、雨水を河川に排除するためのポンプ場の増設が極めて重要であるという観点から、そういったポンプ場の増設を中心といたしまして内水対策の充実が図られるように、今後、地元市、県とも協力をとりながら適切に対処してまいりたいという基本的考え方でおるわけでございます。
  46. 細川律夫

    細川分科員 それでは最後の質問をさせていただきますけれども、この中川・綾瀬川流域住民の皆さん方は、大変水害にこれまで悩んでまいりました。建設省の方の御努力をこれからも大変期待をいたすわけでありますけれども、この中川。綾瀬川流域の水害を阻止するためには、上流の方の水を何とかうまく別のところに持っていけるような、そういうようなことができれば下流の方の水はけも大変よくなるわけでありまして、そういうような観点から、建設省の方では首都圏外郭放水路の建設を進められているというふうにお聞きをいたしておりますけれども、簡単で結構ですから、その概要と進捗状況をお願いしたいと思います。
  47. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、この流域は利根川、荒川のはんらんした低平地であるということでございますが、とりわけ中川、綾瀬川等は、本来は東京湾から逐次上流に向かって改修していくというのが治水計画としては本道でございますが、この付近が近年の都市化によって、上中流域が急激に都市化していることによって都市水害が発生しているということから、中止流部におきまして荒川、江戸川に放水することによって上流部の治水の安全度を早期に確保するという構想から、この首都圏外郭放水路事業が企画されたわけでございます。  現在のところ、平成三年度にこの構想に基づきまして新規着手をいたしまして、関係者とルートの問題その他について現在詰めておるところでございまして、これらの御了解を得次第、早期に着工できるように努力してまいりたいと考えております。
  48. 細川律夫

    細川分科員 どうもありがとうございました。
  49. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて細川律夫君の質疑は終了いたしました。  次に、上田利正君。
  50. 上田利正

    上田(利)分科員 建設大臣がこの後何か参議院の方に行かれるようでございますから、最後に大臣の考え方を聞きたいと思ったのですけれども、先に結論じみたようなことになってしまいますけれども、まず建設大臣にお伺いをしたい、こう思う次第でございます。  実は、既に大臣も御承知かと存じますけれども、我が山梨県におきまして、いわゆるリゾートマンションにおける訴訟が起こりました。自治体と業者との間の争いということでございまして、今まで余り例がなかった、全国的にもまれな形でございます。実はその件につきまして、今日のいわゆる建築基準法、これを何としても改正、見直しをしていただかないとこのような問題は解決できないではないか、こういう立場でまず大臣に御質問申し上げる次第でございます。  実は、東京都の千代田区に荒川建設工業というのがございますけれども、この事業者が高根町の清里、ペンションで有名でございまして非常に今全国にもリゾート地として有名でございますけれども、その清里にリゾートマンションを建設すべく山梨県に昨年、平成三年の三月に建築確認申請書を提出してまいりました。この計画のマンションは、実は地上が七階、地下一階、高さが約二十メートル、十九メートル九十五センチという高さで、床面積が約九千七百七十平米、こういうこの地域にとりましては非常に大きな建物でございます。  実は山梨県は、このリゾート法が制定されまして六、七年たちますけれども、その間に乱開発その他ができないように、あるいは景観を保護するような立場でということでいろいろと取り組んでまいりました。今日の法体系の中では、自然公園法であるとか都市計画法であるとか、あるいは建築基準法であるとか、こういうふうなものが一応網をかけておるわけでございます。しかし、すべてのところにこれが網がかかるわけじゃない。したがって、この美しい自然、そして清里、高根町の景観を保持していかなければならない。先進県でございます越後湯沢などの実態なども視察をする中で、開発というならば自然というもの、これと調和させていかなければならない。開発ができなくても困るけれども、さればといって自然が破壊されるということでは、これはかけがえのない、人間が住む中では問題が出てくる。こういうことで、実は平成二年の十月でございますけれども、山梨県におきまして県の景観条例というものを制定をいたしました。施行が昨年の四月一日からということでございます。  そういう施行の段階でこういう確認申請が出てまいりまして、実はこの県の景観条例というものは、自然の景観を保持していこう、そしてそれは地域住民や、そこの町にさまざまな開発に関する要綱であるとか要領がある、そういうものが制定されておる町村やあるいはその地域の住民の中で、これと協議をしながらその建築についてはやっていく、こういう立場でこういう条例が出てまいりましたけれども、結局これを不服といたしまして、地元のこの条例に基づきますと十三メートルぐらいのものにしてほしい。今まで入ってきた業者あるいは工場、すべて話をしながら、自然に住民と業者それから行政とが一体になって話し合いの中で、ではそうしていこう、こういうことで解決されてきましたけれども、この業者に限ってだめだ、これはもう建築確認申請をしておるのにこの申請を認めないということは、言うならば留保しているということは建築基準法違反だということで訴訟を起こして、先月の段階で第一審の判決が出まして、結局県とその自治体が敗訴ということになったわけです。  そうしますと、これが右へ倣えでどんどん建築基準法によってやってしまおう、こんな条例やそんなものがあっても、景観がどうなろうとも、そんなことは建築基準法上からいったら問題じゃないんだ、できるんだ、業者と地域住民とその行政が話し合うなんてことをする必要はないということになりますと、これは乱開発の状況になってまいる。県並びに当の高根町なども建設省に陳情、請願などを行ってきておりますけれども、どうかこの自然、景観を保護していくという立場の上に立って早期に、建設省も何か計画されておるようでございますけれども、早期にこの問題は建築基準法を改正していただくように強く私からも要望したいと思うわけですが、大臣の考え方をお伺いいたしたい、こう思います。
  51. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生指摘開発と環境保全の問題でございますが、これは大変重要な問題であると受けとめております。従来から地区計画、建築協定等を積極的に活用いたしまして、景観保護、環境保全等の見地をできるだけ重視して対応してまいったところでございます。  そこで、今回のような事件もございましたが、そのことも踏まえまして今回、都市計画法、建築基準法の改正を行うに当たりまして、いろいろと国会で御議論も願って、どうやって今回のような問題に対応していくかということも検討してまいりたいと考えているところでございます。今回の法改正の中では、住居系の用途地域の細分化を検討いたしておりますほかに、都市計画区域外、今回の事件も該当すると思いますが、都市計画区域外のリゾートマンション等の無秩序な開発の規制を行うために、建築規制の拡充等を検討いたしているところでございます。
  52. 上田利正

    上田(利)分科員 大臣から前向きな御答弁をいただきました。都市計画区域外についてもこれに網がかかれるような、そういう立場で建築基準法、都市計画法を含めて改正をしていきたい、こういうことでございますが、これは急を要する問題でございまして、実は山梨はまだ百二十くらいそういうものの申請が来ておりまして、当面の清里におきましても実は十五ぐらいあるわけでございます。一致して景観条列などで了承を得てやれるものもできますけれども、これを今度の裁判の結果に基づきまして、我も我もという形で来ますとどうにもならぬ状態になりますから、どうか今国会におきまして早期に改正をいただくように、最後一言だけ大臣からお伺いをしたいと思います。
  53. 山崎拓

    山崎国務大臣 私どもは、都市計画法、建築基準法の改正案はできるだけ早急に国会に提出したいと存じておりますし、また国会での御審議をできるだけ早急に行っていただきまして、早期の成立を期してまいりたいと考えております。
  54. 上田利正

    上田(利)分科員 大臣、ありがとうございました。どうか私どものこういう状況につきまして御勘案の上、早期に法律を策定、制定をしていただき、そして公布の日からできるだけ早い日に施行する、こういう法律の内容で御努力を賜りたいと存じます。大臣、どうもありがとうございました。  それでは引き続いて、国土庁に関連がございますからお伺いしたいと思いますけれども国土庁いらっしゃいますね。  実は、リゾートマンションの問題、今法改正の問題が出てまいりました。昨今のマスコミを見ますると、リゾート法の運用の見直しなり改正なりというものをやっていこう。実はこのリゾート法が一九八七年に施行されまして、言うならばこのリゾート法の基本方針に基づいて都道府県が区域や開発スケジュールを定めて、そして基本構想をつくるという中で、特定地域と重点整備地域という指定を受けながら、その指定を受けたところは農地転用やあるいは国有林の開発の規制緩和や進出企業に対する税制上の優遇措置とか、さまざまなものができることの中から、やはり国土を高度利用していこうという形の中でこの法案が出まして、山梨はそういう中では自然環境が非常にいいものでございますから、さっき申しましたようなちょっと問題があるものも出てまいりましたけれども、リゾート法によってこの精神が生かされてきておるわけでございます。  しかし、昨今のバブル経済の崩壊という形の中で、どうも国土庁といたしましてはこの大型な大規模の開発といいますかリゾート、これはバブルが崩壊したという中でちょっと難しいじゃないか。したがって、もう少しこれの規模を小さくした開発計画と申しますか、そういうものにやっていく必要がある。民活という形の中で出てまいりましたけれども、民活といってもバブルの関係も含めて一応問題があるという中からは、やはり公的な資金も援助できるような形をしていったらどうかというようなことで、国土庁としてリゾート法の改正なり見直しというものがどうも検討が進められておるということのようでございますけれども、実は懸念されますのは、そういう形で大規模を中心としたいわゆるリゾート法によってやる場合については十分な対応策ができ得るわけでございますけれども、しかしそれの規模が縮小されますと、今言いましたような網のかからないような清里のようなところで、ああいうような小規模のところをどんどん何カ所も何カ所もこれをやっていくということになりますと、今日地球サミットということで六月にはブラジルで行われることになっておりますが、自然環境を守ろうということは非常に重要なことになってきておるわけでございます。  そういうことの状況の中で、小さくすることによってリゾート法によっての運用でどんどんできるということになりますと、今大臣にお尋ねしましたような景観あるいは環境、こういうものを保持できないような状態が生まれてくるんじゃないか。そうすると、地域住民との間にいろいろないざこざが出てくるのではないか、そういうことが想定されるわけでございまして、国土庁としましては法改正の問題と含めて恐らくセットでやっていかれると思うのでございますけれども、この点についてどんな構想でリゾート法の改正なり見直しをやろうとしておるのか、この点についてぜひ御答弁をいただきたい、こう思うのです。
  55. 斉藤恒孝

    斉藤説明員 ただいま、リゾート法の今後の運営と自然環境保全の関係について御質問いただいたわけでございます。  リゾート法は、御承知のとおり昭和六十二年に、ゆとりある余暇空間それから地域経済活性化、この二つを大きな目的としてつくりまして、現在全国で三十五地域が承認基本構想をつくりまして取り組んでおるわけでございます。ただ、こういう地域整備あるいはリゾート地域整備につきましては、非常に時間がかかるものでございまして、私どもは現在のリゾート地域整備はまだ緒についたばかりというふうに認識しております。したがいまして、現在の法律に従いまして厳正に運営していく。その中で、現在のリゾート地域整備の基本方針においても、リゾート施設の整備に当たってはそれが良好な景観やアメニティーの保持、形成に十分配慮したものとなるよう明記されておるところでございまして、それを受けまして各県のリゾート地域整備計画におきましても、それぞれの開発のあり方について、景観の形成条例の制定あるいは景観形成ガイドラインの制定等、地方の実情に応じて施策が立てられているところでございます。  全体として、運営の中の見直しとしましては、計画に基づくプロジェクトが一部には見直しが必要なものもあるようでございますので、個別の計画の見直しというものが地方から相談があった場合には、関係省庁とも御相談して十分対応していくことにしておりますが、その中で、地域に密着したものを今後重視していくという方向づけは持っておりますが、法全体としては、現在の法の趣旨に従いまして的確な運営をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  56. 上田利正

    上田(利)分科員 今、課長から御答弁がございました。これから見直していこうというものを、地域に密着して地域の声も聞きながらということのようでございますけれども、実はこれはなかなか、自然環境を守ろう、あるいは景観を守っていこう、先祖伝来からある景観――もちろんさっき申しましたように、開発も重要でございます。しかし、そういうことで自然をできるだけ生かしながら、しかも景観も置きながら、景観が悪く、あるいは自然がなければリゾートなどというものは出てこないのですね、これは東京のようなことになってしまえばもう同じことなんですから。だから、どうしても地域は、先祖伝来のそういうものの中の景観も保持しながら、自然も守りながら、かつ地域活性化開発、こういうことでリゾート法に基づいて対応してきたわけですけれども、なかなかこれがさっき申しましたように、営業の方が、利潤の追求の方が先にいってしまって、早くやって自分たちでその景観は損ねたとしても、これはやり得だというような形の中で出る可能性がある。  そういう中ではやはり地域の声といいますか、地域のこういう条例とか、あるいはその地域に住んでいる住民が独自で決めている要綱とか要領とか、こういうものをこれからリゾート法の関係の中では重視できるような、そういう方向でぜひ運用の見直しなりなんなりというものを考えていただきたい。実は、日弁連などではやはりこのリゾート法はうまくないではないか、だから日弁連としてはリゾート法はやめるべきだというような行動が行われておるわけでございますけれども、この点についてはどんなふうにお考えになっておりますか。
  57. 斉藤恒孝

    斉藤説明員 リゾート地域整備に当たりまして、景観を初めとしまして自然環境等の保全を図るというのは当然のことだと考えております。それは、よりよい余暇空間あるいは地域をつくるには自然環境との調和なくしてはあり得ないということでございまして、この趣旨は現在の法律にも入っているものでございます。  また、それぞれの基本構想につきましては、都道府県がまとめて国の関係六省庁の承認を得て承認基本構想になるという手続になっておりまして、そういう意味では、現在の法体系のもとでも自然保護との調和を十分図れるようになっているものと認識しております。したがいまして、私どもは現在の法律の趣旨に従いまして、自然環境の保護との調和がうまくいきますよう、さらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  58. 上田利正

    上田(利)分科員 ぜひ国土庁におきましても、自然保護あるいは自然の景観、そういうものを重視をしながらこの対応をしていただくような、そしてその行政指導をしていただくように、強くこの際お願いしておく次第でございます。宮澤総理大臣も、生活大国にしていかなければいけない、そして生活を重視した政治でなければならない、こういうことは、その地域住民の意向とかそういうものを大切にしながらやっていこうという、こういう宮澤総理の考えだと思いますから、これが大きな指針になると思いますから、ぜひそういう基本指針に基づいて国土庁としても対応していただく、こういうことを重ねてお願い申し上げる次第でございます。  最後になりますけれども、環境庁からもおいでをいただいております。実は環境庁にお尋ねしたいのでございますけれども、要は何といっても環境庁がこの自然保護の問題、そして国土を快適な中で私どもが住むことができるような、そういうものにしていくために、環境庁の大きな任務があり、これまでもいろいろな点で環境庁は努力されてきたと思うわけでございます。ただ、今回出ました建築基準法、都市計画法等をめぐってのこの訴訟、全国で初めてでございまして、私ども調査した中でも、こういう景観条例的なものをつくっている地方自治体、都道府県は十ぐらいある、こう見ておりますけれども、そういう中でこの訴訟が敗訴してしまった。もう景観が損なわれようが何しようが建築基準法でいいんだという形、こういう結果になりました。  先ほど大臣に基準法の改正をお願いしましたけれども、そういう中で環境庁がもう少し建設省とか国土庁とか、リゾートの関係では六省庁に関連するわけでございますが、その環境庁がやはり主軸になっていろいろな問題が出てくれば、それを早く地域の状況を察知をする中で、国土庁に対してとかあるいは建設省に対して、これではどうにもならない、環境保全のためにはこういう法改正をできないだろうかと、環境庁長官が閣議等においてやはりそれを提起をして、そしてそれを各省庁が力を合わせて、よしそれではこうやっていこうということになるような行政でなければならぬと思うのです。それが生活大国であり、生活を重視する、言うならば内閣の基本姿勢だろうと思うわけでございます。  環境庁は今まで、こういう山梨における訴訟やその他の関係、リゾートマンションに係る訴訟などについては知っておったんでしょうか、どうでしょうか。
  59. 橋本善太郎

    ○橋本説明員 お答え申し上げますが、山梨県に限りませず、特に最近、先生がおっしゃいますように、全国の自治体において景観の保全であるとかあるいはその形成ということを目的としました条例が数多く制定されてきているということは承知しております。環境庁といたしましては、その中でいろいろ調べてみまして勉強しておりますけれども、景観保全と申しましても、例えば都市景観の保全であるとか、あるいは歴史的景観の保全、あるいは沿道景観保全、あるいは自然景観の保全、あるいはそれを総合したような景観保全、いろいろな目的を持った条例があるということを一応承知しております。
  60. 上田利正

    上田(利)分科員 それで、環境庁も承知しておられるということでございますけれども、やはり環境庁が前向きでこういう問題に対応しないと、結局山梨のような、行政で一生懸命地域住民もあるいはその町村もそれから県も努力しても、結局これが実らない。山梨におきましては全くこれが敗訴したということで、今の二十二年前に大幅に改正をした建築基準法、これがそのままになって放置されておる。本来ならば、リゾート法が出たときに建築基準法を、環境庁などを中心にしながらやはり見直しを求める、そういうことをやるべきではなかったか。  一生懸命やった地域住民にとっては全面敗訴ですから、今の時代、この古い建築基準法では律せられるけれども、しかし時代が進んできてリゾート法等に基づいてこういう形になってきている。しかも自然保護のものはグローバルな立場で出てきている。したがって、県が条例をつくったこともよくわかる。わかるけれども、この建築基準法に照らせばこれは違法と言わざるを得ないけれども、さらに行政相互の中で努力したらどうだというようなことになればいいのですけれども、一方的な敗訴ですから、やはりそこには環境庁がもう少し自然を保護していくという立場の中で、全県的なそういう把握をしているならばしているなりに各省庁に対応しなかったからこういう結果になったんじゃないかと思うのです。言うならば、環境庁が主軸でやるべきだと思うのですよ、これは。  行政の縦割りがさまざまな問題を出してきているということは、国会の中で、あるいは地方自治体の中で言われてきているわけです。地域においては、各省庁で来るものは、これは建設省、これは国土庁、これは環境庁だということじゃないのです。その地域住民は総合的に、それらの形の中でどうそこを守っていくのか、どう自然を守るか、景観をどう維持するのか、こういう形で来るわけですから、それが中央官庁になると、これは建設省の所管、これは国土庁だ、これは環境庁だ、こういう形で縦割りになってきている弊害が今回の問題だろうと思うわけでございます。どうか環境庁がやはりもう少し積極的に、そういうものを察知しているならばそれなりの対応をしていただかなければならないし、これからはそういう体制で対応できるのかどうなのか、見解もこの際賜りたい、こう思います。
  61. 橋本善太郎

    ○橋本説明員 先ほど申しましたように、景観条例にはいろんな目的があるわけでございますけれども、環境庁といたしましては、六十年にわたります自然公園法に基づきますすぐれた自然の風景地の風致、景観の保護というものに関する行政を所掌しておるわけでございます。自然環境保全行政に関する総合調整を図るという立場から、自然環境の保全というものは非常に重要な課題であると認識しておりまして、それぞれの自治体の実情に応じた保全施策というものが講じられるということが望ましいのだろうというふうに考えております。  法律に基づきます指定地域以外にも、こうした施策については基本的には各自治体の自主的な判断にお任せせざるを得ないのだろうというふうに思っておりますけれども、環境庁といたしましても、自然公園行政等を通じて蓄積されました景観保全に関する知見あるいはノウハウといったものを積極的に自治体の方へ提供するように努めてまいりたい、かように存じております。
  62. 上田利正

    上田(利)分科員 もう時間になりました。  実は環境庁、景観という概念、これは非常に幅が広いのですよ。どうしても法律的に争いをするようなときには、景観ということと自然保護、あるいは自然破壊に対してどうするかということと比べますと、景観ということは非常に幅が広過ぎて、今申されましたように、あらゆるものについて景観というものはあるわけでございまして、これが日照権の問題などをめぐるマンション訴訟などと違って、さしたる概念というものがはっきりしていないという点で非常に難しさがあることも私ども承知をしております。しかし、自然を保護し、自然を保全していこうという立場の景観、そういう立場で景観条例がもう制定をされてきているわけですけれども、どうかこれから環境庁におきましても、景観というところに視点を向けて自然保護、あるいは自然公園法とかさまざまなものもございますけれども、やはりそれを一歩踏み込んだ景観という立場の中で、環境庁が一歩踏み込んでいく、こういうことがより重要だろう、こう私は思うわけでございまして、そのことを特に環境庁にお願いを申し上げておく次第でございます。  時間になりましたから、建設省それから国土庁それから環境庁、きょうは来ていただきました。大臣からも前向きの御回答をいただきましたけれども、リゾート法の問題は六省庁にかかわりますが、主として建設省あるいは国土庁、環境庁などが主軸だと思いますから、これからさまざまな景観保全やあるいは自然保護のこういう問題点につきましては、省間の事務レベルの連絡会か何かそういうものを持ちながら、地域の事情を報告を受けたらそういう形で迅速な対応ができるような、こういう訴訟で敗訴していくような惨めな形にならないように、それによって地域が萎縮をし、何をやってもだめなんだ、大きいものにはやられてしまうんだということにならないようなためにも、特に三省庁の連絡をぜひ密にしながら対応していただけますように、最後に御要望を申し上げまして、時間が来ましたから私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  63. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて上田利正君の質疑は終了いたしました。  次に、森本晃司君。
  64. 森本晃司

    森本分科員 関西国際空港の建設に伴いまして、空港へのアクセス道路が関西全域で急ピッチで行われております。とりわけ私の奈良県でございますが、これまでの道路整備のおくれと重なりまして、県下全域において高規格幹線道路また有料道路、またそれらとアクセスする一般道路整備促進が今メジロ押しの状況でございます。いずれも国土の均衡ある発展、そして近畿圏の一体化と浮上に欠かせない、特に紀伊半島の開発、振興にとっても極めて重要な路線であります。今後の当局の一層の御協力をいただかなければなりませんが、そこで、幾つかの点についてお伺いをさせていただきます。  まず、京奈和自動車道路整備促進について伺うわけでございますが、本線は、県内各地から既存の国土開発幹線自動車道へ短時間でアクセスする道路であります。早急に整備促進をお願いするところでありますが、現在までの進捗状況、あわせてまた、事業化になっていない区間の取り組みについてお願いしたいと思います。殊にお伺いしたいんですが、大和・御所道路の約二十八キロ、これの平成四年度の事業化の状況、このうち都市計画化していない大和郡山市から橿原市間十四キロの早期決定についての見通しをお願いいたします。
  65. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  京奈和自動車道は、関西圏における本格的な大環状道路として極めて重要でございます。京都市から和歌山市に至る約百二十キロでございますが、一般国道自動車専用道路として逐次整備することといたしておりまして、京都府の第二京阪道路約五キロ、京都府と奈良県内にあります京茶道路、これが十七キロ、うち九キロは供用済みでございます。五條道路約八キロ、和歌山県内では橋本道路約十一キロ、これを合わせますと約四十一キロ、全体の三四%の整備を推進しております。  今先生おっしゃいました平成四年度には、新たに奈良県内で大和・御所道路約二十八キロの新規事業化を、私ども予算成立と同時に考えております。そのうち、橿原市から五條市間につきましては、整備計画に必要な都市計画決定が完了いたしましたので、十二月三日付で整備計画を決定いたしました。問題は大和郡山から橿原市間についてでございますが、これは現在、都市計画決定を行うべく必要な準備を進めております。いろいろと地域の状況厳しいところもあろうかと思いますが、地元関係者の御協力を得ながら都市計画決定をさせていただいて、早く事業化をさせていただきたいと思っております。  残された奈良県内の区間、京都府の府境から大和郡山市間約十四キロでございますが、交通の状況、土地の状況、特に文化財の分布状況等、この区間は極めて難しい区間であることを私ども十分承知の上で、いろいろな角度からの検討を、地元の方々、関係機関ともあわせながらやっております。いずれにいたしましても、これはつながってこそ意味があるものでございますので、今いよいよここが最大のポイントになってまいりましたから、精力的にここの問題についても私ども、近畿地方建設局が担当いたしますが、今努力をさせていただいているところでございます。
  66. 森本晃司

    森本分科員 今御答弁いただきまして、この奈良県の南北の線、これが極めて大事で、つながってこそという御答弁をいただきましたが、まさにそのとおりでございまして、特に奈良県では、この南北が非常に混雑するものでございます。私ごとで大変恐縮でございますが、私は橿原市に住んでおりまして、奈良市へは絶えず出向いていくわけでございますけれども、まさに時間の予測が立たないということで、いつも相当前もって大幅な時間をとってスタートしていくという状況下でございます。そういう体験を日々しておるだけに、私以上にそれを日常の生活道路としておる奈良県民の皆さんにとっては、大変な問題でもございます。どうぞこの京奈和自動車道、奈良県を南北に縦断する道路でございます。ひとつこの点については、いろいろと文化財の問題等々ありますけれども関係者の皆さんのさらなる御尽力、そして一日も早い推進をお願いするところであります。  次に、第二阪奈有料道路についてお伺いをさせていただきます。  奈良県北部における地域開発の発展に伴いまして、奈良-大阪間の交通量は年々増加の一途をたどっております。現在の主要道路である県道大阪生駒、奈良生駒線、いわゆる阪奈道路では、現在もう満杯の状況になりまして、将来の交通需要に対応できないことは確実であります。この奈良市、生駒市、奈良県の中で人工急増地域でございまして、かつてこの阪奈道路を利用すれば大阪へという道でございましたが、非常にこれも厳しい状況になってまいりました。既に相当の交通量の上に、さらに関西国際空港、それからもう一つ関西文化学術研究都市の建設が、ここで私たちの一つの大きな希望としてこの建設が行われるわけでありますけれども、そういった点等々から考えまして、奈良、大阪の連結の強化は大変急務になっているところでございます。第二阪奈有料道路事業整備推進の状況についてお伺いをさせていただきます。  また、阪奈トンネルの大阪側のところでございますが、その区間で区分地上権の設定で交渉がやや難航しているように伺っているところでございますが、その状況はいかがなものか。それから、早急に進めていただきたいというぐあいに要望するところでございます。
  67. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 第二阪奈有料道路、この構想は実は昭和四十七、八年ごろから出ておりました。しかし、当時はいろいろな問題がありまして、慎重に検討を重ねながら昭和六十年から有料道路事業として事業化された歴史を持った十三・四キロの自動車専用道路でございます。これは、阪神高速自動車国道東大阪線とつながり、そしていずれは湾岸道路ともつながる、非常に大きなネットワークでございます。  平成四年三月十日現在では、用地につきまして、大阪府の起点側の取りつけ部若宮住宅付近及び奈良県の終点側の取りつけ部室来インターの一部を除きまして約九五%の用地を取得済みでございます。また、工事につきましては、延長五・六キロの阪奈トンネルも含めてほぼ全面的に工事奈展開して整備促進しております。  先生今御指摘の若宮住宅地区における地上権設定の問題、いろいろと私ども承知しておりますが、これらは十分この事業の進捗と連携を保ちながらきちっとやっていける見通しを持って今やっております用地元の方々の不信感が起きないような細やかな配慮をしながら一生懸命努力してまいりたいと思います。特に、この道路が関西国際空港との関連が非常に密接であるということも私ども十分認識しておりますので、これを十分考えた上で、今後の事業の展開在図ってまいりたいと思っております。
  68. 森本晃司

    森本分科員 第二阪奈有料道路整備推進については、引き続き早期完成に向けてお願いしたいところでございますが、トンネル工事の影響であるかどうか原因は今のところ定かではありませんが、水脈の異変が各地で起こっているところであります。奈良県の道路公社の方は、そういった水脈の変化から起きる住民の生活に支障を来さないように、生駒市とも連携をとりながら住民の皆さんの御理解を得るように努めているところでございますが、最近一つの滝がかれてしまったりということで、地元の農業用水にどう影響してくるかということも心配の旨があるようでございます。生活にかかわる問題につきましては、十分研究していただいて対応していただくことが、今も一生懸命やっていただいておりますが、これが、住民一の理解を深めることになるのではないか。現在どのような状況把握をされておられて、今後どのようにされようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  69. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 大阪府と奈良県の県境にあるこの生駒山を貫く延長五・六キロの阪奈トン、スル、これを六十三年七月から奈良県側から工事に着手し、平成四年三月十日現在では、奈良県側から二・一キロ、大阪側から〇・八キロのところまで現在掘削を完了しております。  このトンネル工事に着手後、平成元年の夏ごろでございましたでしょうか、生駒の南地区の井戸水の減水、あるいは平成二年六月ごろからため池の貯水量の水位の低下というようなことが見られました。このため私ども事業主体は奈良県の道路公社でございますが、この井戸水やわき水調査などの水文調査を強化いたしまして、さらにその原因について調査を進めるとともに、まずはこの水の問題に対処しなければなりませんので、生駒市と協力させていただきまして、とりあえず生活用水に対する上水道の設置、これは生駒南地区の百七十五戸を対象としているようでございますが、それから農業用水、これはため池に対するトンネルのわき水を送水いたしまして不足した水を確保する、こういうようなことも実施し、必要な生活用水等の確保に努めてきたところでございます。  いずれにいたしましても、今後ともこの必要な農業用水の水量の確保や住民の生活に必要な水の確保というようなことで、生活に支障のないよう生駒市と協力しながら適切な対応がなされるように指導をしてまいりたいと思います。  こういう事業の結果いろいろなことが起きてまいるかと思いますが、これらに対しては臨機応変、細やかな配慮をしながらやっていくように指導をしていきたいと思っております。
  70. 森本晃司

    森本分科員 細やかな配慮をしていくことが、これもまた工事進捗につながっていくのではないかと思います。地元のそういった関係者が一生懸命やってくださっているだけに、ここで大きく問題になっていかないような対処の仕方が極めて必要ではないかと思うところでございます。  次に、南阪奈道路整備促進の問題について伺います。  奈良県の中南部地域もまた都市化の進展が著しく、交通量が年々増加の一途をたどっております。さらに、先ほど述べましたように、関西国際空港との関係で急速な整備が必要になってきております。この南阪奈道路の完成が長い間望まれてきているわけでございますけれども、大阪方面で文化財が出てきたりしまして、なかなか工事が今日まで進んでいない状況でございました。先ほど申し上げました第二阪奈道路、これは奈良県の北部から大阪への道でございますが、この南阪奈道路というのは、奈良県の中和地域、さらにまた奈良県の南部をもカバーできる道路でございまして、さらに今いろいろと構想されております三重県との、奈良、三重、和歌山との関係、最初に申し上げました京奈和自動車道等を含めて重要な道であります。待望久しいところでございます。ぜひ関係者の皆さんのお力を今以上に注いでいただきたいというところでございますが、この状況について説明をお伺いします。
  71. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 南阪奈道路も、その歴史は昭和四十八年にさかのぼるぐらい非常に歴史、経緯のある道路でございます。十七キロの延長でございますが、当時南河内というような名称もつけた計画もその中に一部に入っておりましたが、たまたまこの本路線の延長上、大阪府の方で「近づ飛鳥」というような重要な文化財が羽曳野市付近で出ました。こういうこともありまして、いろいろとこの調査とあわせて関係機関との計画調整にかなりの時間を要しました。  おかげさまで関係機関の御協力を得て、一部ルートの見直し等も含めて全体の計画も固まりました。そこで現在、建設省、奈良県、大阪府及び道路公団で協力しながら事業を進めさせていただいているところでございます。  このうち、いわゆる奈良県区間につきまして、平成二年度より一般国道百六十六号のバイパスとして進めております。現在、測量及び一部区間用地買収促進中でございます。また、道路公団において府県境トンネル区間を中心に調査設計も進めております。さらに大阪区間については、同様に平成二年度より一般国道百六十五号、百六十六号及び主要地方道美原太子線のバイパスということで、それぞれ工夫を凝らしながら大阪府及び建設省において事業に着手しました。言ってみれば、みんながそれぞれ手助けをしながら全体をつくるということで、タックチームを組みながら現在こういう調査、設計ないしは事業に進んでおります。特に、主要地方道美原太子線区間につきましては、一部区間で用地調査も進めているところでございます。  全線の早期供用ということで、これが必要なことは、関西空港の問題を言うこともなく、私ども地域の生活幹線として十分認識しておりますので、少しでも早く次期五計の中で供用ができるように努めていくつもりでございます。
  72. 森本晃司

    森本分科員 この南阪奈道路でございますが、事業計画をして相当の年月が流れているわけでございます。その間に、そのルートと思われるところにその後住宅が建ち並んだりしているところでもあるわけでございますが、その中で、当麻工区の予定ルート、これはもう既に決定したものでしょうか、それとも今調査中のものでありましょうか、その点をお伺いしたいわけでございますが、その予定ルートが、町の浄化槽とその浄化場に水を供給している幾つかの池と非常に接近しているわけでございます。この点、当麻町の住民にとってもどうなのかという今不安感があるわけでございまして、ルート決定については、そういった点も十分考えながらルート決定をしていただきたい。最終的なルート決定に当たっては、建設省平成四年度の重点政策として掲げられておるように、環境に優しい道路整備の推進に十分心がけて配慮されるよう念願するところでございます。  殊に、ルート決定については、地権者もさることながら、住民の皆さんの理解を得る話を、十分な説明をしていくことが必要ではないだろうか。ただ単に皆さんが不安になっているというだけでは、これは工事もなかなか進まないのではないか。そういった点についてお伺いしたいと思います。
  73. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この南阪奈道路、奈良県内のルート、ここに当麻イトーピアという団地があることは承知しております。また、別所池であるとかあるいは二度山池とか、先生の方がお詳しいわけですが、たくさんのため池が、この地方特有のものが、小さいもの、大きいもの、いろいろなものがあります。  そこで我々、このルートを考える際には、集落あるいは団地の生活環境の保全、それから景観との調和、非常に景観のいいところでございますから、景観はやはり何とか大事にしなきゃいけない。それから何よりもこの用水池の機能保全、こういうこと。それからもう一つ文化財と、四つを同時に満足させるということで、しかも、道路はくねくねというわけにはいきませんから、やはり真っすぐ通さなければいかぬ。そうすると、その間を縫って通すということで、実は現在のルートが考えられております。その際、やはり点在する用水池に余り近接すると、これは用水池を切ることになります。また、山の斜面を大規模に切り土しますと、例えば団地からの景観も含めて非常にこれは見場の悪いルートにもなります。それから西側にルートを振れば、これはかなりのトンネルがあって、また変なルートにもなります。  そういうことで、いろいろなことを考えながら今の計画のルートを考えたわけでございますが、要は、そのルートはルートといたしまして、現在このルートをベースに測量を実施しております。やはり測量をしながら、現地での土地利用とか文化財とかの調査もさらに並行して実施させていただいて、その上でい例えば道路の構造ののり面をうまく配慮するとか、あるいは水質を損なわないような工法をとるとか、あるいは道路の構造そのものを、そういう音であるとかその他いろいろなことを考えて、気にならないような形にするとか、そういう構造と位置とそれからそういういろいろな保全、こういうものをあわせて考えていくという、今は非常につらい立場に置きながら、やはり環境に優しい道路整備という視点から、地元の方々に御説明をしながら御理解を得る、そういう作業をやっております。いずれにいたしましても、その作業の中で御理解のいただける努力をした上でこのルートは最終的に決定する、こうい、つ経過をとることになろうかと思います。
  74. 森本晃司

    森本分科員 ルート決定についてはもういろいろな角度からの御検討をいただいているわけでございまして、それだけに難しいことも多々あるかと思います。しかし、それゆえに、住民の皆さん、今、当麻町のイトーピア団地の皆さんからもいろいろと請願が出ているようでございますけれども、理解を深めるさらなる努力をしていただきたいし、十分な対話を深めていっていただきたいと思うところでございます。  次に、国道三百六十九号線開路トンネルの早期着工並びに栂坂トンネルの早期事業化に対する取り組みについて、お伺いしたいと思います。  この二つトンネルでございますけれども、この上に曽爾村、御杖村という村がございます。これはもうその村人たちにとって大事な大事な生活道路であるわけでございますが、非常に勾配が急なのと、冬場に入りますとそこに積雪の日々が多くなってまいります。ここが雪が多くなりますと事故にもなりますし、それを何とか避けようとするならば、三重県側の方に回って御杖村、曽爾村へ行かなければならない。このトンネルの早期完成が、住民の皆さんの長い間の念願でございます。早期着工と、それから、殊に栂坂トンネル、これは住民の皆さんは、同時に進行してもらいたいという陳情もたびたび重ねているようでございますけれども、私も、同時着工ぐらいにしていただければと強く念願するところでございます。この状況について、取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  75. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 現在この地域につきましては、榛原町から室生村までの間で、開路トンネルを含む約三・〇キロの区間の現道拡幅及びバイパス事業を、開路工区ということで昭和六十三年度に着手しております。この区間用地買収及び工事促進を図っておりまして、本年度よりトンネル工事にも着手しております。  本工区に隣接する室生村から曽爾村の栂坂峠までの間の一・八キロの未改良区間につきましては、この閉路工区を初めとする事業実施中の他の箇所の進捗状況も考えないとなかなかうまくいかないわけでございますが、そういうものと見合いながら、今後どういうぐあいにここの部分に入っていくかを検討させていただきたいと思っております。
  76. 森本晃司

    森本分科員 次に、百六十五号大和高田バイパスの取り組みについてお伺いします。
  77. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 百六十五号大和高田バイパスにつきましては、四十三年度に事業に着手し、四十七年度に用地買収、四十八年度に工事に着手、現在までに六・四キロを供用平成三年度は、残る区間、十四・一キロのうち六。四を引きますから、大体八キロ弱でございますが、これについて用地買収工事をしております。その用地取得率も現在八六%でございます。  地元の御協力を受けながらやるわけでございますが、県道御所香芝線から国道百六十五号の間四・六キロを平成四年度までに供用するということで、今最重点でやっております。さらに、残る区間も今後さらにやってまいりたい、こう思っております。
  78. 森本晃司

    森本分科員 次に、大滝ダム建設に関する質問をさせていただきたいと思います。  このダムは、吉野川の治水対策と県民の水がめとして大きな期待を寄せているダムであります。予備調査から実に三十有余年を経まして、ようやく昨年実質的な本体工事が着工されました。これまでの調査を含め漁業補償、景観との調和等建設省にはさまざまな御苦労をおかけしているわけでございますが、今後も建設推進をよろしくお願い申し上げます。  ところで、この大滝ダムは川上村のところに建設されるわけでございまして、建設される村民に対して温かい配慮をいろいろといただいていることは、私も十分知っているところでございます。しかし、その川上村からわずか離れたところの吉野町南国栖という地域がございます。ここに二百八十名ほどの住民がお住まいになっております。こういった人たちは従来その吉野川から先祖代々水をくみ取ったり、あるいは吉野川とともに生きてきた人々であります。ここのダム建設に伴って水量が少なくなったり、あるいはダムから放出される水の汚染土によって生活は大変厳しい状況になってくるのではないか。そこからもう少し下に下がりますと、今度は高見川という川から水が流れてきて合流するわけでございますが、この南国栖の地域だけ全く吉野川一本のところでございます。そういったところが、これは建設省としてもそれに対する下流の補償というのは非常に厳しい状況でございますが、南国栖の人たちがたびたびこの大滝ダムにいろいろとそれぞれの願いを込めて陳情をされているわけでございますが、十分な回答が得られていないというのが今日の状況でございます。  さらに、昨年台風が相次ぎまして、工事のために積み重ねられておりました土砂が流出いたしまた、建設省説明はあったようでございますけれども、土砂流出に関しては南国栖の人たちに大変な迷惑をかけていることは事実でありますし、川床も上がっております。南国栖の人々は吉野町と一体になりまして、何とか今度は簡易水道を設置して生活の水を守っていこうという状況下でございますが、どうぞこの南国栖の人々に対する十分なる大滝ダムの対応をしていただきたいと思っておりますが、その点、今日までたびたび陳情も届いているはずでございますので、状況をお伺いしたいと思います。
  79. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 大滝ダムの事業が紀ノ川沿川の住民の生命財産を守り、あるいは下流の用水確保という点で極めて重要な位置づけにあるということについては、先生今御質問の中でもお話しいただきました。  この事業は水没者が、四百八十七戸に上るという大変大規模な水没、移転を伴うことから、大変時間がかかってきておるわけでございますが、関係機関が一体となって水源地域対策に努めてきたところでございまして、昭和五十四年に水源地域対策特別措置法に基づく整備計画に沿いまして地域整備に努めるとともに、代替地造成による生活基盤の確保等、水没者の生活再建にも力を入れてきたところでございます。基本的には、水没される方につきましては、閣議決定されております公共用地の取得に関する補償基準によって補償をし、なおかつこれらの方が支障なく代替地に移転していただく、あるいはこれらの方が移転したことによって地域の活性力が失われないように、水源地対策は、これは関係諸庁協力して、一致して、それぞれの諸庁の持っている地域支援策によって水源地域活性化させよう、こういう二つの手法によりまして地域対策を展開しておるところでございます。  そこで、今御質問の南国栖ダム下流の方々に関するものでございますが、基本的にはダム建設によってこれらの方々に支障が起こらないように、まず水量が少なくなるという問題につきましては、ダムの放流水で一応所要の自流量を確保するとともに、放流水の汚濁等の問題につきましても、従来から、選択取水等の施設を設置することによって、放流水の汚濁というような問題が起こらないように、施設として対応するということが、私たちの立場でございます。  なお、台風による土砂害等の問題につきましても、従来から土砂の流出対策については、なお少なくともダム工事によって影響のないように対応していくという立場で進めてまいりました。ただ、南国栖の方々の問題につきましては、それぞれいろいろな立場がございますので、ダム事業によって即対応するということは難しい問題もございますが、地元奈良県、吉野町、建設省も参画いたしまして三者で対応してまいりたいということで、現在協議しているところでございます。これらの検討結果に基づきまして、対応してまいりたいと考えております。
  80. 森本晃司

    森本分科員 放流水の汚濁は起こらないような施設を行うということでございますけれども、これに対しても十分な説明がなされていないようです。ただ、美しくなるんです、美しくなるんですよという状況の説明ばかりであるように、私も伺っております。何か新しいそういった機械を入れて、これは非常によくなるんですよとおっしゃいますが、その地域の人々は他の地域もいろいろと調査に行きました。行ったけれども、やはりそこにはいろいろな汚水の問題があるということを目の当たりに見てきております。  それから、土砂流出の件でございますが、建設省は一割程度しか実は流れていないんだというふうな報告をしたりしているようでございますけれども、それは、そのために積み重ねた全体の土砂の一割程度であるかもわかりませんが、それは川の、台風によって流れる流域にない部分まで含まれているのではないかと思うわけです。私もその現地へ台風の後に地元の人々と行ってまいりまして、写真を撮ってまいりました。それも見せたりしているところでございます。いろいろと私の方も、この問題については、住民への十分な説明をさらにやってもらいたいと思うところでございます。  いろいろと申し上げたいこと多々ございますが、時間が参りまして、大臣もお見えいただきましたので、この点については、今後大滝ダムの関係者とも、建設省とも、よく話し合っていきたいと思います。県と吉野町と現場ということで建設省は言っておりますけれども、なかなかその会合を持とうとしていないのが現実ではないだろうか。むしろ建設省が音頭をとって、いろいろと住民の声を聞いていっていただきたいと思うところでございます。もう一度お願いします。
  81. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 地元の皆さんに御理解を求める努力は、今先生の御指摘を受けまして、なお一層指導してまいりたいと考えております。
  82. 森本晃司

    森本分科員 大臣にお見えいただきまして、先般大臣も私の奈良県へ足を運んでいただいたところでございます。大阪に隣接する奈良県、そして新住民が大変ふえてきた奈良県でございます。しかも関西空港、さらにまた学研都市等々が建設されてまいります。従来から奈良県は非常に基幹道路がおくれておりまして、先ほど来私は、京奈和自動車道、さらにまた第二阪奈道路、南阪奈道路に関する陳情方推進を強くお願いしたところでございますが、ぜひ大臣もまた奈良県のこの実情を知っていただきまして、その途中にいろいろと問題はありますけれども、住民との対話を進めていただいて、いずれにしても早く工事を進捗していただくことを強くお願いするところでございます。大臣、よろしくお願いします。
  83. 山崎拓

    山崎国務大臣 森本先生の郷土の発展に対する非常な政治的な情熱を真摯に受けとめまして、建設省といたしましても、社会資本の充実に努力をいたしてまいりたいと思います。
  84. 森本晃司

    森本分科員 ありがとうございました。終わります。
  85. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて森本晃司君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤恒晴君。
  86. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 道路関係を若干お尋ねをいたしたいと思います。  高規格道路の建設につきましては、膨大な予算を必要とする。最近の建設単価というのは、名神あたりをつくった時代から見ると、非常に大幅な値上がりになっている。こういうことから、今後の財源対策をどうするかということで、有料道路の場合には料金を引き上げるとか、あるいはまた審議会の方では、国や地方の助成というか、そういうものの拡大とか、あるいはまた用地費などについては地元の負担とか、いろいろなことが実は言われておるようでありますが、このことにつきましては、連絡がちょっとなかなかつきませんでしたので、質問の件につきましては通告いたしておりませんので、答弁できればということで申し上げますが、いろいろとこの道路建設につきましては、特にこれから建設される地域地方である。したがって、投資効果という点からいうと、いろいろと問題があるということになるんだろうと思いますけれども、しかし川の流れと同じでございまして、小さい泉からだんだん大きな流れになるわけでありますから、物流もまたそういうことでございますので、地方だからといって投資効率が低いから金は手前のところで持てというのもちょっとどうかな、こんなふうに思いますので、この多額の経費を要する高規格道路の建設等の財源についての考え方があれば、財源対策のあり方についての考え方があれば、お尋ねをしたいと思います。これは事前に通告いたしておりませんでしたので……。
  87. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 高規格幹線道路一万四千キロ、これを整備するのに二つの方法を考えております。一万一千五百二十キロについては、国土開発幹線自動車道によって整備をする。さらに二千三百キロは、一般国道自動車専用道路整備する。それぞれ整備手法に工夫をしながら整備をして、早く一万四千キロの整備を完成させたい、こういう考えがまずベースにございます。  その際、国土開発幹線自動車道の整備にわたりましては、従来七千六百キロの計画の段階でとってまいりましたように、まずいずれも両方ともそうでございますが、有料道路制度を大いに活用せざるを得ないだろう。一般道路も極めておくれている現状から、特にサービスレベルの高いこういう高規格幹線道路網については、有料道路制度を活用しよう、これが第一点。さらに、国土開発幹線自動車道については、全国プール制ということで、先発路線も後発路線についての応援をしながら、みんなで同じ、同質のネットワークの完成に協力し合うというプール制をとる。その際に、従来は資金コスト六%ということでやってまいりましたけれども、やはり交通量等々現実に採算性の厳しい箇所もございます。  採算性が厳しいから整備をしないのではなくて、やはり全体で国に必要な路線を整備するという観点から、三%路線も導入いたしまして、そして料金についても、適正な負担をいただきながら、国としてもできるだけの国費を投入し、さらに建設費についてもできるだけ節約し、さらに地元その他いろいろな形での御協力をいただける範囲内のものも今後検討するというところで今までやってまいりました。  しかし、それだけではまだ若干問題があるということで、現在道路審議会に対して建設大臣からこの一月に諮問をしていただきまして、有料制度のあり方ということを諮問していただいております。この中で、こういう問題についての御検討をいただきながら、新しい方向でこういう問題にも対処してまいりたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、適正な料金負担の中での有料道路のあり方、そして、高規格幹線道路を早くつくる。ための方策を探してまいりたいと思っております。
  88. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 地方が手が出せないということにならないように十分な配慮をお願いしたいと思います。  大臣もお忙しいでしょうから、ちょっとお尋ねをいたします。  東北中央自動車道の問題でありますが、先般福島-米沢間につきまして基本計画に格上げ、そういうことになったわけでありますが、この今回格上げされたところの起点については、東北自動車道のどこになるかは別にいたしまして、ジャンクションといいますか、そういうものが当然つくられるだろうと思います。東北自動車道を起点として米沢まで、こういうことになっているようでありますけれども、今さら変更ということはもちろんできないのだろうと思いますが、やはりジャンクションを設けなければいけないという計画道路の場合には、そのジャンクションを越えてさらにある程度の距離を先に延ばすということで基本計画にしないと、ジャンクションでとまってしまうということになれば、もちろん最寄りのインターからおりなければいけないわけでありますが、ジャンクションを越えて、ある程度の距離を越えて先まで計画区域に入れて、やがて工事を行うことになれば、それなりの国道にタッチすることで非常に便利になる、こういうことになるのだろうと思うのです。  そういう意味で、私は、ジャンクションを起点に切ってしまったところにこの東北中央自動車道の格上げの起点のとり方については問題があるのではないかというふうに思います。それを含めまして、この点、相馬-米沢間の整備見通しにつきまして、見解をお尋ねしておきたいと思います。
  89. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘の東北中央自動車道、これは先生指摘のように、昨年のいわゆる国幹審におきまして、上山市から東根の間二十七キロが初めて整備計画に策定されました。そして、福島市から米沢市間三十七キロなど二区間五十二キロが基本計画が決定いたしました。したがって、この路線といたしましては四割に当たる百七キロが基本計画が決定されております。  この相馬市から米沢市間、この部分が今先生の特に御指摘の点だろうと思いますが、東北縦貫自動車道と連結する福島市-米沢市間については、この基本計画を受けまして、現在路線選定、環境調査整備計画策定に向けた調査をいたしておりますし、相馬市から福島市間の予定路線区間、これについてはこれから基本計画を出すための調査ということを今精力的にやらせていただいております。これらの計画は、この路線はやはり六十二年に初めて登場した路線でございまして、従来から歴史のある調査をやってきた部分と若干違っておりまして、我々の調査の実績といいますか、経験が積み重なっておりませんので、今精力的にいろいろな意味からの調査をやらせていただいております。  そういうことで、先生が今おっしゃいましたいわゆる東北縦貫自動車道との連結の形、あるいはその他いろいろな各ネットワークの利用の仕方等については、これらの調査の中で一つ一つ整理をして、地域の利用あるいはそれとの関係を頭に描きながら調査をさせていただきたいと思っております。
  90. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 過般、磐越-自動車道が本宮ジャンクションから猪苗代方面に開通したわけでありますが、これも東の方に向かって、つまりいわき市の方に向かっての部分はまだ着工されていないわけですね。そうしますと、ジャンクションでそこで切れてしまうわけです。ですから、それをある程度の距離を延ばして、そこで出口、入り口を仮に設置すればジャンクションを有効に生かすことができるわけですね。そういう意味で、基本計画に組み込む場合には、予想される起点を東北縦貫道路というところでぷつっと切ってしまうのではなくて、それを越えてある程度のところに設けるということが望ましいだろうということで、そういう手法でさらに今後前進されることをひとつ要望しておきたいと思います。  そこで、いずれ基本計画になりましても、実際の整備ということになりますと相当の時間がこれからかかるということが予想されるわけでありますが、そうなってまいりますと、この国道百十五号線相馬-福島間というのは、私はやはり緊急な直轄事業としての改良工事を実施すべきである、地方からもそのような要望は強く上がっているのではないか、こう思っております。というのは、相馬港が膨大な資金を投入して整備をされておりますけれども、ここに木材等の陸揚げがされるわけであります。その木材の約四六%、四七%近くは福島県の内陸部及び山形県方面に搬入される、こういうデータになっているわけであります。あそこの道路は、御案内のとおりに非常に狭くて、しかもカーブが連続しているということでありますから、大型車の交差というのは非常に問題のある道路であります。そういうことから、この百十五号線については早急な改良事業が必要である、こう思いますけれども、いかがでございましょうか。
  91. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 御指摘の百十五号相馬-福島間の問題でございますが、全長五十一キロございます。これはいわゆる改良という面から見ますと全線ほぼ改良済みとなっておりますが、一部未改良となっている一般国道三百四十九号との交差部についても平成四年度にはその改良を終えて、そして全線の改良が完了する、こういう形になっております。ただ、相馬市内において市街地の交通渋滞の解消等々ございまして、延長二。九キロのバイパス事業を昭和六十二年から着手しているところでございます。現在用地買収及び工事促進しております。  この全線の交通量を見ますと、福島に近いところで九〇年で、十二時間交通でございますが、六千三百台ぐらい、それから、ちょうど中間で千五百台、そして相馬市の方で三千台ということでございまして、いわゆる私どもが言う二次改築というバイパス計画という計画の対象としては、なかなかまだ時間がかかる路線ではございますが、今先生がおっしゃいましたように、そうはいうけれども、いわゆる人家運槍を通るようなところで、やはり交通安全等々の面から見ても、トラック等が通るという段階で見て支障のあるところにつきましては、私どもそれなりの検討をいたしまして、可能な限りの対応を図ってまいりたいと思っております。  ただ、そういうことでございますので、基本的にはこの国道の二次改築をし、かつ、ここに高規格幹線道路をつくるということはなかなか厳しい状況だと思いますので、これらの両方をあわせて、今後どのような整備の手順でこの地域地域開発とあわせた道路網を確保するのがいいか、検討させていただきたいと思っております。
  92. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 そういう事情にあることについては、私も理解をしているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、木材等のまだ製品化されてないものについて搬入をするということになりますと、かなり大型車になる、こういう通過交通機関の問題がございますので、ひとつ速やかな対応をされるように要望しておきたいと思います。  続いて、国道三百九十九号線の問題でございますが、三十五キロほど未改良ということでありますけれども、ダム関連等もありまして若干手がついてまいっている。わけてありますが、冬期通過不能距離が約二十二キロということになっていると思います。昨年もお尋ねをしまして、六十三年度から改良調査をやっているんだ、こういうお話もございましたけれども、今度のいわゆる東北中央自動車道の建設といったような問題とか、あるいはまた国道百十三号線の改良といったような問題が重なってまいりますと、三九九はこれはちょっとお預けかなといったようなことでは困る。これは山形県南と福島市を結ぶ最短コースということにもなっておるわけでありますし、また南蔵王を含めたいわゆる福島、山形、宮城三県の隣接した地域のこれからの経済活性化のためにもぜひ必要な道路である、こんなふうに思っているわけでありますが、この冬期間通過不能区間事業促進については、今後どのようにされていくお考えなのか、ひとつ明快なお答えをいただきたい。
  93. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 簡単に御説明いたします。  三百九十九号の特に冬期不能区間につきましては、鳩峰峠付近の問題だと思いますが、六十三年度から初めて調査に着手をいたしました。しかし、現実に三百九十九号の整備としては、飯坂バイパス整備、あるいは摺上川ダムに関連した道路整備、あるいは国道百十三号における道路整備の状況、さらには東北中央自動車道のこれからの整備の進展等々、先生が御指摘なさったように、これらの地域における道路整備がそれぞれの立場で行われております。こういったものを無視して、ここにさらにどんどんやっていくということが可能かどうか、山形県のいろんな問題もありますので、今後とも調査調査として進めながら、どういう形でこの三百九十九号の整備に対応するかを県とも調整を図ってまいりたいと思います。
  94. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 ひとつ前向きの調整をやられるようにお願いをしておきたいと思います。  ところで、国土調査の補助等の問題につきましては、昨年もお尋ねをしまして、これは国土庁さというのは非常に重要な仕事であるという立場からお尋ねをしたわけであります。  そこで、国土調査をやるための地方の負担というのはなかなか大変だということで、その点についてお尋ねをしてまいったわけでありますが、実はそういうことを昨年も申し上げましたのは、いわゆる自然発生的と言ってはちょっと言葉が正確じゃありませんけれども、それぞれの所有者が農耕地を住宅等に転換をしていく、水田とか畑を住宅地に転換をしていく。いわゆる団地造成といったようなものではなくて、個々の所有者が時間をかけていわゆる住宅化していく。そういう地域には旧水路用地跡とか、あるいはまた私ども官地と俗に言っておりますが、いわゆる里道、そういうようなものがかなり含まれておりまして、国土調査をやらないところは個人の土地の庭に含めてしまうとか、そういうことが現実にはたくさんあるわけですね。それを国から払い下げを受けるというような手続をとらないままにしているというところもたくさんございます。そんなような問題は、本来は国土調査等をやりながら速やかに改善をすべきでありますけれども、なかなかそうはいかないのが実態だ、こんなふうに思っております。  そこで大蔵省に、非常に事務的になって恐縮でございますが、お尋ねをいたしますが、この里道とか俗に言う官地、水路用地跡といったような細かく点在する用地について、しかも廃道、目的がもう廃止されているというような部分についての払い下げを行う場合の単価の算定方法について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  95. 能田孝昌

    ○能田説明員 今先生のおっしゃいましたような旧里道、水路等の用途廃止財産でございますが、これが住宅敷地等として使われておる、そういう場合のその敷地の所有者に当該用途廃止財産を売り払うという一般的な評価方法について御説明いたしますと、相手方の土地を含みます近隣地域内にあります取引事例価格をもとといたしまして、その国有地が所在する土地の時価額をまず求めるわけでございます。そしてその次に、今おっしゃったような旧里道、水路等といいますものは、地形が非常に細長いということもありまして、そういった事情を考慮いたしまして、所要の修正を行って売り払い価格を出す、こういうことにしております。
  96. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 そういう算定の方法でありますから、まあ結構なお値段、こういうことになるのだろうと思うのですね。以前はかなり安かった。以前というのは正確な時期の表現ではございませんけれども、そういう話をよく聞くわけでありますが、最近は結構な値段ではないかといったような話も聞くわけであります。いずれにしましても、近傍類地ということになるんだろうと思いますが、ところで、先ほど質問いたしました三九九は、ダム建設の関連といたしまして、つけかえ道路の建設あるいはまたダム建設に伴う車両通行等の問題もありまして、いわゆる一部バイパスあるいはまた部分改良といったような事業が始められようといたしております。そういった事情の中で、この補償問題というのはさまざまなケースがありまして、なかなか当局も御苦労をされているというふうに思っております。そういう事情を私はいろいろと聞いているわけでありますが、一般論としてお尋ねをしたいと思います。  道路敷の中に既に交通の用に供されるために包含されている私有地、こういうものが、さらにその道路を改良していく場合にはどのような買収の価格の設定の仕方をするのかということ、そういうことについてひとつお尋ねをしたいと思います。  現在の道路敷の中に個人の所有地が既にもう交通の用に供されるために道路化されている、そういうところを含めて買収をしながらダム関連の道路を建設していく、こういった場合にその民地をどのような基準で買収していくのかということについて、お尋ねをしてみたいと思います。
  97. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道敷内の民有地につきまして、国道敷となった事情にもよりましょうけれども、半永久的な地上権が設定された土地であるという前提でありますと、相続税法等の規定を参考といたしまして、周辺の土地の取引価格の一〇%と評価しているところでございます。  なお、特別の事情を有する事案がございましたら、調査の上適切に対処するというふうな考え方をとっております。
  98. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 一般論としてはそういうことだろうと思いますが、このダム補償という関連での、あるいはダム建設に伴ういろいろなさまざまな補償がありまして、それと比較をしながら地権者はいろいろな判断をしていくという状況がございますので、ひとつ適切な対応をされるように求めておきたいと思います。  次に、河川等の関連につきまして若干お尋ねをしたいと思います。  実は、最近は環境保全とか環境問題を言わないと何か政治家でないような雰囲気がございまして、環境問題と人権問題は非常な国際的な課題になっているわけでありますけれども、いわゆる地球的な規模での環境保全問題もさることながら、やはり足元から改善をしていくということがなければいけないのではないか、こんなふうに考えてまいりますと、河川の大小を問わず、かなりの河川敷内あるいはまた河川そのものに構築物がございます。こういうものが、そのことによって河川の災害を新たに引き起こす、そしてさらにまた水生動植物の生存を、不可能ということではないですけれども、そういう生存をできないような、生態系が維持できないような状態になってしまう、そういうことがたくさん例があるわけであります。  そういうようなことを考えてまいりますと、管理者は、もちろん適切な構築物ということで許可をされているけれども、例えば土地改良区等の取水といった場合には、その設置者がいろいろとこれから問題のあるせき堤などを改善する場合には、財源上の問題などもあってそれは一挙にできることではないというふうには思っておりますけれども、こうした河川の構築物が環境に災いを及ぼす、あるいはまた災害を招くといったような問題について、どういうふうな対応をしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  99. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川内の工作物は、それぞれ歴史的経緯があって存在しているのだろうと思います。河川は、集中豪雨のときにははんらんによって人命財産に損傷を与えるということから、治水工事を私ども懸命に進めておるところでございますが、一方、古くから農業用水等の水利用によって地域が栄えてきたわけでございまして、それらの歴史の中に河川内にいろいろな工作物が現存しているわけでございます。  これらについては、私ども、いろいろな技術開発の発展の歴史の中でそのせきの設計基準等について設けてきております。すなわち、昭和五十一年七月二十日に制定されました河川法に基づく河川管理施設等構造令におきましては、各構造物の技術基準を定めたところでございますが、これらにより、かつまた、河川ごとの特性に応じてそれぞれの設置の基準を設けており、それに従って工作物の改築をお願いしているところでございます。  なお、工作物がその構造令制定以前に設置されたものについては、さまざまな事情で現在でもそのまま現存しているものもございますが、工作物の管理者の都合によって改築する場合には、この構造令の技術基準に基づいて改造することをお願いするところでございます。  なお、治水上のさまざまな事由によりましてそれが治水上の障害になっているものにつきましては、河川事業の一環によって改築し、治水の機能を高めるように努力しているところでございます。  同時に、そういう工作物があることは河川の自然の環境上いろいろ疑念があるというような場合につきましては、例えばそのせきがあることによって魚が上りにくいとかいろいろな問題につきましては、私ども平成三年度より、多自然型川づくりとか、魚の上りやすい川づくりとかといった一環の中で、そういうものもせきの管理者ともども改築を進めるよう努力しておるところでございます。
  100. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 時間もなくなってまいりましたから、これ以上はこの点については触れませんが、この五十一年以後に改築をされたものについて、やはり適切な状況ではないというものが数多く見受けられるということについて含んでおいていただきたいと思います。  ところで、河川等の大小にかかわらず、大雨等によって災害が起きる、これを復旧していくということになるわけでありますが、その場合には、原則として通常原状回復という復旧になってしまう。ということになりますと、その地域をさらに今後災害がなるべく起きないようにとか、あるいはまた、せっかく河川敷地として存在する用地を有効に使っていくとか、あるいは環境保全上好ましい工法にしていくとかという場合に、原状復旧でいくんだということになりますと、なかなかそういう事業に手が回らない、こういうことになるわけであります。そんな点で、やはりこの災害復旧の場合の原状復旧を基本にした考え方というのは改めるべきではないか、こう実は思いますので、御見解をお尋ねしたい。  最後に、河川の改良、改修あるいは復旧という場合に、コンクリート二次製品でもう半永久的なものにがちっとやってしまうというようなやり方だけではなくて、金と暇はかかるけれども、例えば蛇管を使うとか、あるいはテトラの工夫をした使い方をするとか、そういうことで水生動植物が生存できるといったような河川の改修を強く推し進めるべきではないのか。最近親水公園などという名前はたくさん聞きますけれども、いずれにしてもコンクリート二次製品でがっちりできたものばかりでございまして、やわらかみは全然ないというような状況でございます。そんなところを考えまして、水質保全のための河川の改修あるいはまた復旧等の工法等の問題についても、手間暇かかるものだからそれじゃいかぬ、二次製品でもう格好のいいものにしなさいというのじゃなくて、もう少し工夫をすべきじゃないか、こう思いますので、以上二点につきまして、御見解をお尋ねしたいと思います。
  101. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 一般に災害と申しましたとき、一般の皆さんは、人命財産等に支障のあるような災害ということを思い浮かべるわけでございますが、私どもが災害復旧と申しますときは、公共土木施設の災害ということでございまして、それを災害復旧するという立場からいいますと、従来の土木施設が持っていた機能を回復するということが前提でございますので、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づきまして、原形復旧が基本であるということは法律の定めるところでございます。  ただ、原形復旧したままでは、同様の出水のときにまた同様な災害になる、破損するということでは本来の目的は達成できませんので、その際には、再度災害防止の観点から、改良費を加えた災害復旧助成事業、災害関連事業等の改良復旧を積極的に進めまして、再度災害防止に努めているところでございます。  また一方、一般の皆様の生命財産に支障のあるような災害を再び起こさないということでは、本来の治水事業の公共事業費を投入いたしまして治水の安全度を向上するということによって、全体の治水の安全度の向上に努めておるところでございます。  それから、せっかく河川改修をするのに当たって、どうもコンクリートの二次製品等で川を固めてしまうのは今日的ではないではないかというお尋ねだろうと存じます。私ども同様な気持ちを持っております。しかしながら、現在まだ全国の治水の安全度は、時間雨量五十ミリ相当では、災害防除率といいますか、はんらん防除率は四五%と極めて低く、毎年ちょっとした出水で全国から大変な再度災害防止のための治水安全度向上のための要望がなされておるところでございます。そういう中で、いわば治水の安全度を一方で早急に上げなければいかぬという中で、また、潤いのある川づくりをするということは、いわば二律背反的なところはございますが、私どもとしては、今後二十一世紀に向けて、潤いのある社会資本整備をする立場で、この二つの立場をうまく調整しながら、一方では自然環境に配慮した治水対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  102. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  103. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて佐藤恒晴君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  104. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。川島實君。
  105. 川島實

    川島分科員 私は、既に通告をいたしております建設省所管道路行政について幾つか質問をしていきたいと思います。時間もありませんので、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  最初に、中部新国際空港等のこれからのアクセス道路として生かせる伊勢湾岸道路について、その整備状況並びに今後の完成見通し等についてお伺いをしておきたいと思います。
  106. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 伊勢湾岸道路は、全長約五十三キロございますが、このうちいわゆる西部区間十九キロ、東部区間二十二キロは国土開発幹線自動車道審議会において第二東名・名神という形で位置づけられた形をとりまして整備をするべく、去る十二月三日、いわゆる国幹審において整備計画が策定され、それに基づいて現在施行命令を出すべく調査を実施している区間でございます。  真ん中にございますいわゆる海上区間、これにつきましては一部六十年三月に名港西大橋が開通いたしまして、その後六十二年から事業を進め、いわゆる中央大橋、東大橋という区間について事業を実施しているわけでございますが、この区間につきまして、用地としては約七割ほど進んでおりますし、工事につきましても今年度、平成四年度は平成三年度に引き続きまして用地買収、既発注工事の進捗とともに名港中央大橋、名港東大橋の上部工を実施する予定でございます。いわゆる土木工事の発注という意味でいいますと約半分が発注される、こういう状況でございますので、今後とも我々次の五カ年計画内の完成を目途に一生懸命やってまいる所存でございます。
  107. 川島實

    川島分科員 次に、国道二十三号の名農道路でございますが、大分整備も進んでおるわけでございます。しかし、いつも国道一号線のバイパスとして、知立バイパスの近くが四車線化になっていないために非常に渋滞をいたしておりますので、その工事の進捗状況、今後の見通し等についてお伺いをいたします。
  108. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 名農道路は知立バイパス、岡崎バイパス、蒲郡バイパス、豊橋バイパス、豊橋東バイパスの五つのバイパスから成る延長約七十三キロの道路でございます。このうち豊橋、岡崎、知立の三つのバイパス延長約四十九キロにつきましては既に事業に着手しておりまして、そのうちの二十六キロが暫定二車線で供用を図っております。  いわゆる四車化という意味では知立バイパスは一番混雑の激しい上重原インターについて交差点部の改良工事を含めた四車化を進めておりまして、平成四年度には約一・五キロの四車化を図る予定でございますし、岡崎バイパスにつきましては、平成三年度、用地買収工事促進し、約三・四キロの供用を図ることといたしております。さらに蒲郡バイパスについては、平成三年十一月、都市計画決定が行われました。三年度は関連事業との調整等々を進めているところでございます。さらに豊橋バイパスにつきましては、平成三年度、用地買収及び工事促進しておりますし、豊橋東バイパスについては、平成三年度は事業化に向けて六十一年度都市計画決定された内容をさらに詰めて事業化をするべく調査を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、三河地方における重要な幹線道路でございますので、今後とも一生懸命やってまいるつもりでございます。
  109. 川島實

    川島分科員 ただいまの国道二十三号の完成と同時に、現在の国道一号の岡崎を越えた本宿から以東の関係については現在まだ片側二車線化になってないですね。名古屋からいいますと、三車線になって二車線になって一車線になっている。だから非常にここは混雑をするわけでございますが、土地の確保もできているようでございますので、その整備見通し等についてお伺いをしておきたいと思います。
  110. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘の一号岡崎市本宿付近でございますが、約二・三キロが二車線でございます。そこで、この付近は東名高速、国道一号、名鉄名古屋本線等いろいろな交通機関が狭い谷筋に集中しております。特にこの名鉄名古屋本線の立体化が重要な問題でございます。  ここは一日約五万人の通勤通学が行われておるということでございますので、これを踏まえながらの工事を進めなければいけないということで、三年度はこの名鉄の立体化工事を行うとともに、国道拡幅改良工事促進しております。私どもとしては、平成五年度の完成を目指してこれから一生懸命努めたいと思っております。
  111. 川島實

    川島分科員 次に、国道四百二十号でございますが、これは足助、下山等過疎地に道路が存在しているわけでございますが、昨年の暮れに五区の村田代議士とともに大臣や大蔵大臣にもずっと陳情させていただいたわけでございますが、トンネル等の整備がなされているところでございますが、その完成見通し等についてお伺いをしておきたいと思います。
  112. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道四百二十号は改良率が大体六六%、こういう路線でございます。この特に未改良区間のうち、幅員が矮小で急カーブとなっている区間について今現在現拡及びバイパスを逐次やっております。特に下山村において延長四・七キロの区間、下山村から設楽町において千三百八十メーターのトンネルを含む二・二キロの区間、作手村において〇・二キロの区間、さらに設楽町において〇・九キロの区間事業をそれぞれ実施しておりまして、特に下山村の四・七キロはこの平成三年度に完了させる予定でございます。いずれにいたしましても、未改良でございますので、逐次きちっとした形で事業を進めさせていただきたいと思っております。
  113. 川島實

    川島分科員 次に、国道四百十九号でございますが、知立バイパス等の整備状況と今後の見通しについてお伺いをしておきたいと思います。
  114. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道四百十九号は豊田市を中心とする内陸工業地帯と衣浦臨海工業地帯を結ぶ路線でございまして、特にこの知立市内における交通混雑は激しゅうございます。そこで、国道二十三号の交差点から一般国道一号までの間二・八キロ、ここのバイパス事業平成元年度に着手したばかりでございます。現在用地買収をやっておりますが、地域地域でございますので、この用地買収を地元の御協力のもとに何とか計画的に終わらして、そして工事にかからしていただきたいと思っております。
  115. 川島實

    川島分科員 次に、蒲郡相良線を国道昇格にお願いをしたいということで、実は地元の岡崎市を初め、静岡県も含めて要望しているわけでございますけれども、これの見通しと、どのような対策が講じられておるのか。やれるのかやれないのか、やれないとすればどういう障害があるのか、このことについてお伺いをしておきたいと思います。
  116. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道昇格、私どもかねてから平成三年度中には国道の再編成をさせていただきたいと申し上げておりました。それは来年、平成五年度から新しい五カ年計画をつくらさしていただきたいと思っておりますが、そのベースになる基本的な国道網の規模でございますので、どうしても平成三年度までにやらしていただきたいということで関係機関等々と調整をしながら今鋭意詰めている最中でございます。もうわずかでございますが、私どもも今最終段階でございます。  ただ、この国道昇格の基本的な考え方は、何しろ百八十路線一万二千キロという膨大な要望を現在の五万キロ構想の中で縮めなければいけない、こういう作業でございますので、非常に大変でございます、さらに、半島法等々いろいろな地域立法も出てまいりました。そういう新しい政策需要に対しても対応しながらやっていくということでございまして、先生が御指摘になっておられる、例えば愛知県やあるいは静岡県等この中部地方国道要望路線も多々ございますが、これらもそういう中で議論を尽くしております。いずれにいたしましても、具体的な路線についての言及は控えさせていただきますが、何とか平成三年度中には道路審議会において御答申をいただけるように最後の努力をしている、こういうことでございます。
  117. 川島實

    川島分科員 次に、主要地方道の豊田安城線の整備状況についてお伺いをしたいと思います。  トヨタ自動車等の関係もございましで、非常に自動車の通行量が多くなっておりまして、その整備が急がれておるところでございますが、見通し等についてお伺いしておきたいと思います。
  118. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 主要地方道豊田安城線、これも豊田市という大きな生産拠点を起点とし安城市に至る十五・七キロの県道でございます。しかし、県道といっても非常に生活幹線として重要な路線でございます。改良率は九三%と進んでいるわけですが、特に安城市街での混雑が激しくなっております。  そこで、五十七年に延長三キロのバイパスを都市計画決定いたしました。特に、安城市池浦地区の延長一キロについて平成三年度から改良事業に着手させていただいております。現在、用地買収を実施しております。残るバイパス区間は、いわゆる区画整理事業というものをこの地区に入れていただきまして、こういう区画整理事業といわゆる単純買収による道路事業との併用で全線整備に向けて事業の推進を図ってまいりたいと思っております。
  119. 川島實

    川島分科員 次に、地方道の名古屋岡崎線でございますが、これは国道一号線と並んで、岡崎市にとっては名古屋へ通う非常に大切な道路でございますが、いろいろと整備が行われているわけですが、途中野並-白土間の二つの交差点が非常にいつも渋滞をしておる。  それからもう一つは、衣浦岡崎線と国道一号線の交差点の整備関係も同時に見通しを聞いておきたいわけですが、この道路高速道路の岡崎インターへ上る改良予定といいますか、高架をして上っていく、こういう予定ではや十年近く放置をされていて、岡崎環状道路がそれにつながっているわけですが、片側三車線が一車線になってしまっている。両方で六車線なんですが、真ん中のところが約百五十メーターぐらい空洞になっているわけです。そのために、南から北進をしてくる車が高速インターへ入るために右折をする、右折をするめと真っすぐ行くのと重なり合いまして、この一本の車線に一キロ超える渋滞がずっとでき上がりまして、次の信号まで渋滞をしてしまう、こういう状況が一向に直されておりませんので、もし、その高架の高速道路へ上るそういう計画が、はや十年渋滞をしておりますので、できないのであれば、わずか百五十メーターほどの空間でございますから、とりあえず版を埋めて三車線が通れるように改良を行っていただきたいと思うわけでございますが、これらについての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  120. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 それではまず、この主要地方道名古屋岡崎線についての整備状況を御説明させていただきます。  全長二十四・八キロという主要な県道でございますが、二車線の改良はほぼ完了しております。先生指摘のように、交通量の増大に伴っていろいろな箇所で交通混雑を来しております。その中で、岡崎市の矢作川にかかる日名橋での交通混雑のために、五十五年からバイパス事業に着手しておりまして、特に岡崎大橋というのがその中心でございます。この岡崎大橋は、一・一キロの長大橋でございますが、この平成四年三月十三日金曜日に供用することといたしております。残る区間につきましても、平成四年度に舗装を行い、完成する予定と考えております。  それから、岡崎市橋目町から名古屋市間につきましては、総幅員三十メーターで都市計画決定はされておりますが、いわゆるここに並行する一号、二十三号、東名等々いろいろな路線がございまして、こういうものを見、かつ、圃場整備事業等地の事業の進捗も関連してまいりますので、こういうものとの関係を見ながら今後の整備の手順を考えてまいりたいと思っております。
  121. 市川一朗

    ○市川政府委員 私から、衣浦周崎線と国道一号の交差点の整備見通し等につきましてお答えを申し上げたいと思います。  先生御案内のとおり、衣浦岡崎線は、愛知県によりまして鋭意事業が進められている路線でございますが、この路線と国道一号との交差部は、ただいま御指摘ございましたように、衣浦岡崎線の六車線のうち四車線は国道一号上を立体交差し、二車線が国道一号と平面交差する計画となっておるわけでございます。したがいまして、昭和六十二年三月に、とりあえず平面部の二車線で暫定供用をいたしておりましたので、片側は一車線ずつになるわけでございまして、そこが御指摘ございましたように渋滞の状況が出ておるわけでございます。  したがいまして、もし立体交差の事業が進まないならば、そこも平面交差のような形で供用したらどうかというような御指摘があったわけでございますが、地元愛知県におきましても、現在この立体交差の整備事業の早期事業化につきまして真剣に取り組んでおるわけでございまして、私どもといたしましても、できるだけ早急にこの立体交差の事業化に取り組むよう愛知県を指導していくという方向で対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  122. 川島實

    川島分科員 再質問させていただきますけれども、これは立体交差を進めるのであれば早急にきちっと対応してもらわないと、地元では非常に長い間苦労しておるわけです。ふさぐのも外すのも簡単なことで、高架になっておりますから、ふさぐ工事だって我々から見れば普通の道路と違って簡単にできることですから、その辺を十分配慮しながら、立体交差がすぐ着工できるということであれば結構でございますが、そうでなければそのような対応をひとつ希望しておきたいと思います。  次に、一般県道平坂福清水線の中畑橋の工事を現在やっていただいているわけでございますが、その進捗状況と橋の完成見通しについてお伺いしておきたいと思います。
  123. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘の中畑橋は、一級河川矢作川にかかる昭和十年に架設された延長三百三十メーターの長大橋でございますが、昭和十年ということで、もう老朽化いたしております、いわゆる老朽橋でございます。しかもまだ幅員も、幅が四・五メーターと非常に狭うございます。また、それにあわせて、矢作川そのものの河川断面の拡張もしなければいけないという必要性もございまして、いわゆる道路事業と河川改修事業との合併による事業という形で位置づけられております。そして、五十六年にかげかえ事業に着手しましたが、この平成三年度は上部工事を実施しております。平成五年度完成ということに向けて、今計画的に事業促進をしている最中でございます。
  124. 川島實

    川島分科員 次に、環境問題で大きく取り組みが問われております油ケ渕の関係でございますが、これにいろいろと接続をする三本の河川等の改修の進捗状況をお聞かせをいただきたい。この完成がなければなかなか油ケ渕の環境保全が保たれないという事情もございますので、ひとつその辺も含めて御配慮をいただきたいど思います。
  125. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 油ケ渕は、二級河川の高浜川の中流といいますか下流にあるわけでございますが、これには幾つかの支川が合流しております。この地域は、名古屋圏の都市化の進展が近年著しい地域でございまして、そのために治水対策が極めて重要になっております。碧南市、安城市の両市にまたがって、この油ケ渕は周囲六キロの水域になっているわけでございます。周辺は地盤が海面と同程度の排水不良地帯でございまして、特に上流地域の市街化の動向に伴って人口が急増しているというのが現状でございます。流域の都市化に伴いまして治水の安全度の向上が大変急務となっております。  これに伴う河川改修事業といたしましては、昭和五十年からまず本川の高浜川の高潮対策事業に着手いたして現在に至っております。また、稗田川でございますが、これは高浜川に合流する支川でございますが、六十一年度から小規模河川改修事業で進めてまいりました。それから、長田川というのは油ケ渕に合流する河川でございますが、平成二年度の小規模河川改修事業で着手しております。同時にまた、半場川というのが、これは上流の方から流入してまいりますが、これは局部改良事業で実施しております。環境問題とあわせ、治水対策の問題と両立させるよう努力しながら、地域の都市化に対応した所要の安全度を確保するように努力してまいりたいと考えております。
  126. 川島實

    川島分科員 次に、境川、猿渡川の改修の進捗状況をお尋ねしたいわけでございます。  都市化によりまして、この川は非常に小さい川でございますが、いつもすぐ堤防決壊等があるわけでございますけれども、これらの対応について。の見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  127. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 これも同様に衣浦湾に合流する二級河川でございますが、流域には豊田市、刈谷市、知立市、安城市等の近年の都市化の進展の著しい地域を流域に持っているわけでございまして、この二つの川につきましては、中小河川改修事業として昭和四十九年度より着手したところでございます。とりわけ流域の都市化の進展が著しく、従来からの単なる河川改修事業では対応し切れないということで、流域における治水対策と我々の実施する河川改修事業と両々相まって治水の安全度を確保すべく、昭和五十七年度より総合治水対策特定河川事業として別枠立てで予算的にも優先的に進めることといたしております。現在のところ、刈谷市内の河道の部分の改修を促進しでおるところでございます。また、省内的には、住宅対策として確保されている住宅・宅地関連公共施設整備促進事業費も投入することによって安全な治水の水準を確保しつつ住宅整備ができるように、あわせて実施しているところでございます。  なお、平成三年九月の台風十八号によりまして、下流の刈谷市においては浸水被害が発生しておりまして、こういうことも踏まえまして、私ども早期に治水の安全度を確保できるよう各種施策を組み合わせて対処してまいりたいと考えております。
  128. 川島實

    川島分科員 最後に、日本のかわらの生産地として非常に代表的な都市でございます高浜市、人口も少なくて今活性化が問われているわけでございますが、ここの三高の駅西・駅東地区の市街地再開発事業が現在行われているわけです。一日も早い完成が望まれておるところでございますが、進捗状況並びに今後の完成への見通し等について最後にお伺いしておきたいと思います。
  129. 市川一朗

    ○市川政府委員 三高駅東地区及び西地区の市街地再開発事業でございますが、愛知県高浜市の顔づくり、魅力ある商店街の形成、生活環境の向上といったようなことを目的にいたしまして、名鉄三河線三河高浜駅の東側及び西側において駅前広場等の公共施設の整備住宅、商業施設等から成る再開発ビルを建設する事業でございます。  ただいま御質問がございましたが、まず東地区につきましては、これは組合施行でございまして、駅の東側〇・七ヘクタールにつきまして平成三年度から平成六年度までの予定事業を実施しております。それで、平成四年一月に権利変換計画の知事認可を受けましたので、現在、平成四年度に工事着工を行うべく準備を進めておる状況でございます。  それから西地区につきましては、これは高浜市の施行事業でございますが、駅の西側一・五ヘクタールにつきまして、現在、平成四年度に知事の事業認可を受けたいということで鋭意地元調整を行っておる状況でございます。  私どもの評価といたしましては、両地区とも順調に推移する見通しと考えております。したがいまして、国といたしましても事業の円滑化に向けまして必要な指導等を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  130. 川島實

    川島分科員 大変ありがとうございました。いずれも重要な、地域にとっては一日も早い完成を望んでおる各線でございますので、予定が何年早まっても私どもは文句を言いませんので、ひとつよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  131. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、久野統一郎君。
  132. 久野統一郎

    ○久野分科員 久野統一郎でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  今盛んに生活大国という、そんな言葉が使われているわけでございまして、この間ある人に生活大国というのは何ですかと聞きましたら、ゆったりとした家に住んで、きれいな着物を着て、おいしいものを食べて、のんびりと過ごす、これが生活大国だ、そんなお話をされた方がみえるわけですけれども、やはりそういう目先のことじゃなしに、今楽をするのではなしに、本当は、もうちょっとこれから先のことを考えた、そんなことを我々は考えていかなければいけないんじゃないかな、そう思っているようなわけでございます。目先の社会福祉だとか環境整備、こういうものではなしに、まさに道路だとか鉄道だとか空港、住宅、公園、下水道、こういうような社会資本の充実、こういうものを一番整備していかなければならないんじゃないかなと私は思っているわけでございます。  例えば下水道一つ取り上げましても、下水道の普及率は全国平均が四六%だそうでございます。私の地元の愛知県は四二%とちょっと下がっているのですけれども、名古屋市が大部分を占めておりまして、その名古屋市を除くと一八%だということなんです。全国の平均が四六%で一八%というと相当おくれているわけです。こういうふうにおくれているために、伊勢湾、愛知県の海というのは、東京だとか大阪、こんな大都市に比べてももう一番汚れている、そういうことでございまして、この汚れがひどくなっていって、これから魚がすめなくなるんじゃないかな、そんなことが言われているわけでございます。まさに社会資本のおくれが環境を侵しているわけでございます。  この間のテレビを見ておりましたら、あるぜんそくの方がタクシーを拾って病院に駆けつけようと思ったのですけれども道路が渋滞しているために治療が間に合わなくなりましてお亡くなりになってしまった、そんなことをテレビで放映していたわけでございますが、まさに社会資本のおくれが社会福祉のおくれにつながっていっているんじゃないかと思います。やはり目先の社会福祉だとか環境保全ではなしに、本当にこれからの将来を見詰めた社会資本の充実という、そんなことを考えていかなければならない士思うわけでございます。減税減税という話があるわけでございますが、減税をするよりもむしろ増税をしてこういう社会資本整備を図っていかなければならない、私はそう考えるものでございます。  社会資本の中心となりますのは、もちろん道路でございます。道路整備状況がどういうふうに現在なっておりますか、高速道路国道地方道別にお尋ねをいたします。
  133. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 道路を昭和二十九年以来営々として整備をしてまいりました。特に、六十三年から始まる第十次五カ年計画は、飛躍的に、高規格幹線道路が決定されたこともございまして、この五カ年間の中で千五百六十四キロが完成、供用されるという見通しになっております。そういうことを前提として、平成四年度末にはおおむね六千キロ、五千九百五十一キロ、一万四千キロの全体に対して四三%の達成がなされる見込みでございます。  ただ、一万四千キロということで、七千六百キロから倍憎いたしましたが、今や諸外国では、例えばアメリカでは高速道路の規模を三倍にして新しい基盤整備をしようとか、いろいろとドイツであるとかフランスであっても、まだまだ高速道路を二百キロ以上つくっているというような、高速道路先進国でも高速道路を一生懸命やっている、こういう状況から見まして、私ども、一生懸命高速道路、高規格幹線道路整備をしていかなきゃいけない、このような状況と判断いたしております。  一般国道整備率で見ますと、平成二年度当初では五四・八%が整備率でございます。都道府県道で四六・一%、市町村道で四三・三%と、いずれも五〇%前後ないしそれを下回ります。特に私ども気にしておりますのは、我が国の道路を使っている走行台キロ、あらゆる車が走っているのの三分の一が一般国道を走っております。現在四万七千キロぐらいありますが、そこを三一%の車が使っております。都道府県道が十三万キロほどございますが、これを三一%、我が国の三分の一ぐらいが使っているわけでございます。その整備率が今このような状況、こういうふうなことでございます。また、そういう場合の一般国道の四車化率は、一三メーター以上と見た場合に、九・九%の四車化率になっております。  さらに、歩道というレベルで見ますとさらに問題がございまして、私ども、この五カ年の中で飛躍的にやってまいりました。例えば、第八次五計のときには、その末で三〇%の歩道設置率でございました。それが第九次の五カ年計画では四〇%になり、今回の第十次、平成四年度末では五〇・八%と、おおむね一〇%ずつ歩道設置率も上げてきた、こういうような状況でございますが、いずれをとりましても約半分、これが道路整備の状況というふうにお答えいたします。
  134. 久野統一郎

    ○久野分科員 ぜひ一日も早く、五〇%切れているということでございますが、完全に整備できるように、我々も努めていかなければなりませんし、建設省さんの方でも頑張っていただきたいと思います。  ちょっと予定より三つ四つ飛ばしまして、先ほどのお話で全国高規格幹線道路が一万四千キロというお話でございます。そういう道路網を整備していくために、地域高規格幹線道路という、そんなことを盛んに最近お聞きしておるのですけれども、その整備考え方はどんなようなものでしょうか、お教えをいただきたいと思います。
  135. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 地域高規格幹線道路、これは、全国の高規格幹線道路一万四千キロで我が国の多極分散型の国土の形成を図ろうというのがその主目的でございましたが、やはり大都市圏のストックの強さにはなかなか十分対応できないだろうというふうな感じがしてまいりました。そこで、地域にストックの集積効果を一層強めながらネットワーク社会をつくり、そして国土の全面的な有効な利用を果たすために、そして地域活性化を図るためにはもう一つのネットワークをつくらなきゃいかぬ、その発想が地域高規格となったわけでございます。  したがって、地域高規格というのは、それ自体が、各県等々で御提唱になっております一時間圏構想とかあるいは二時間圏構想といったようなものがそのベースにございますが、やはり地域の集積生活圏をどのように考えていくかということがそのベースにございますので、そういうものを見ながら、全体的な、全国的な高規格幹線道路一体となったネット・ワークとしてつくり上げていく、こういう性格のものでございます。  したがって、路線の性格としては、自動車専用道路ないしは専用道路と同じような効果を持った質の高いネットワーク、こういうことでございまして、まだ採択基準がどうだとかいうようなものよりも、地域活性化にどのように貢献するネットワーク構造になるかを前提として、まず平成四年度にその調査を行い、考え方をまとめ、新しい五カ年計画の中心テーマとしていきたい、このような考え方を持っている次第でございます。
  136. 久野統一郎

    ○久野分科員 まあこれからだということでございますが、大変すばらしい構想だと思いますので、ぜひその整備に御尽力をいただきたいと思います。  私の地元の名古屋圏で、いろいろな道路構想があるわけでございます。名古屋市をぐるっと取り巻く第二環状線、それからその外側を東海環状線、また日本列島を縦断する伊勢湾岸等々大きな道路構想があるわけでございますが、これに加えまして、第二環状線と東海環状線の間に第三環状線を整備していかなきゃいけないだとか、また、第二環状線と第三環状線の間に二・五環状線を整備しようだとか、先ほどの第二環状、東海環状、伊勢湾岸道路というのが、伊勢湾を渡るところが全部その三本の道路一つにまとまってきてしまうわけでございまして、三つの道路一つにまとまれば、当然そこで容量がパンクをしてしまうわけで、もう一本伊勢湾を渡る道路をつくらなきゃいけないんじゃないかという、そういうことで、伊勢湾を横断する道路、伊勢湾台風のときにできた防潮堤沿いに道路をつくろうなんという伊勢湾横断道路だとか、また、衣浦湾を横断する衣浦湾横断道路だとか、今度中部新国際空港が伊勢湾にできるわけでございまして、これには当然伊勢湾岸道路からアクセスがつながるわけでございますが、そのつながった道路を空港でとめるだけではなしに、それをずっと半島の先まで持っていきまして、その持っていった道路をまた知多半島の東海岸を北上させる知多半島周遊道路という道路だとか、また、先ほどの衣浦湾横断道路に中部新国際空港をつなげる知多半島鉢巻き道路だとか、まあ、地元ではこんないろいろな道路構想が言われているわけでございます。  これらの道路整備にどう国として取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
  137. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘のように、私ども、第十次五カ年計画を立案する際に、大都市圏自動車専用道路網という形で、中部圏におきましても一つ構想を立てました。これが五カ年計画の中に組み込まれております。今回、道路長期構想というものをつくるつもりでございます。その上で、そういうものに基づいて新しい五カ年計画構想をまとめよう、こういうふうに考えております。その際にやはり、それぞれの中部圏、首都圏あるいは近畿圏あるいは九州大都市圏といったようなそれぞれの地方圏、地域圏におけるネットワーク構造地域基盤としてどのようなものが必要なのかということを、まず白紙に戻してもう一度考え直してセットし直す、そして、現在構想されているネットワークをその中で位置づけ直すという作業を合していただいております。  先生指摘のもろもろの構想は私どもも部分的には承知いたしております。そういうものを、例えば中部圏の場合にはたまたま環伊勢湾地域整備連絡会議というものが関係県市等々でできておりますので、しかもこれは単に土木局だけではなくて都市局あるいは企画部局等々が集まってこのような会議を構成いたしておりますので、こういう中でそれらのもろもろの要望というものを整理していただいて、そして御提案をいただければ国としてもそれを重要な資料として検討することができようかと思っております。  その際に、一つだけ申し上げますと、日本海と太平洋を結ぶ東海北陸自動車道とか、あるいは東西を結ぶ第二東名・名神とか、あるいは東海環状道路と伊勢湾岸を結ぶ、伊勢湾口を含めた大きな構想、8の字構想とか、歴史的にいろいろと構想が積み重なってきております。さらにそれに加えて、それだけでは集積効果が上がらないということからサブネットワークがそれぞれまた生まれております。そういうものをきちっと整理していただいた中で中部圏が大きな集積圏として国全体としての大きな役割を演ずる、そういう中部圏になるようなネットワークを御提案いただきますと私ども一緒になってそれらをオーソライズさせていただきたいと思っております。
  138. 久野統一郎

    ○久野分科員 ぜひ地元の声を取り入れていただいて皆さんで御協議いただいてすばらしい道路づくりをしていただきたいと思います。  地元のちょっと小さなことで申しわけないんですけれども、私の住んでおりますところに、清洲町という、織田信長の清洲城のあるところでございますが、ここに部落がございまして、名古屋鉄道がこの部落をちょうど真ん中から真っ二つに割って鉄道を敷いたわけでございます。部落が二つに割れてしまった。そこへ、昭和四十二年ごろだとお聞きしているのですけれども、名阪自動車国道がその鉄道と十字に交わって計画をされたということで、地元と、その部落としますと、もともと二つに割れていた部落が今度は四つに分割されてしまうということで、そんなことがあっては困るというようなお話をされたんだそうでございます。  そういうお話の中で、道路ができると今度は今ある鉄道を高架にして上に上げるからその両方の今分断されている地域がつながっていくから、そういうこともあるからぜひ道づくりに協力をしてくださいよというそんなお話があって、今の名阪自動車国道に用地を提供して協力をした。これは地元のお話ですので、実際このとおりかどうかはその辺はよくわかりませんけれども、そういうお話があったわけでございます。  もしそういうふうなことをお約束というのか地元の人にお話をされているようでしたら、一日も早くこの今の鉄道というのは高架にしなければいけない。四十二年ですので、今もう二十数年たっているわけでございます。この鉄道高架の計画というのは現在どういうふうになっておりますか、お教えをいただきたいと思います。
  139. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国道三百二号、これは、一つは近畿自動車道としての役割を持っておりますし、一つ国道三百二号としての名古屋都市圏における環状機能を持った役割として非常に大きな位置づけを持っております。ただ、環状機能でございますから当然放射状のいろいろな施設とクロスをしております。例えば国道二十三号、国道一号、近鉄名古屋線、JR関西線、名鉄津島線、名鉄名古屋本線、東海道新幹線、JR東海道本線、二十二号等々二十七本ほどの鉄道ないしは道路とクロスをいたしている、そういう性格の環状道路でございます。したがって、当然ながらその地域、その周辺の地域とはいろいろな意味での地域利用と深いかかわり合いを持っております。  そこで、私ども、名古屋環状二号線をつくる際になるべく地域の利用とをあわせて考えるということで、まず専用道路は当然のことながら立体構造としてつくっております。ただ、三百二号そのものは平面道路として、一般道路でございますから、これは地先道路としての役割を持つ性格を持っておりますから、当然平面交差、こういうことになります。そうなりますと、当然のことながら、先ほど言いましたように鉄道がたくさんございますから、ここと分断いたしますとそこで渋滞ということも出てまいります。  そこで、今進捗状況を申し上げますと、平成二年度までにこの環状線としては専用部の十七・二キロ、一般部二十九・七キロを供用しておりますが、平成四年度には専用部の名古屋インターから勝川間の九・七キロと一般部六・四キロの供用を加えて、さらに一層環状機能が強化されるわけでございます。  そういう中で、西春日井郡の清洲町内の名古屋鉄道の名古屋本線との交差部、ここは一日約十五万人の通勤通学の足となっております。したがって、この十五万人の足に絶対支障のないようにしながら工事を進めるということはかなり綿密な計画を立てなければいけないということで、愛知県、名古屋鉄道、当然私ども建設省とその他関係機関が相寄りまして今綿密な計画を調整をしているところでございます。こういう計画は相当綿密にしておきませんと、何か支障があったときに毎日の生活にすぐ支障がありますので、やっておりますが、かなり順調にその調整は進んでいると聞いております。  それを終えましたら、地元の方々にこういうやり方でやりますよという説明をし、そして用地買収等に着手するということでございます。そこで、私ども、その計画の出発点、事業化の出発点は新しい五カ年計画、次期五カ年計画早々にもしたいということで、この平成四年度を一つの大きな年と考えて今その調整の最後の段階を一生懸命やっている、こんなふうにやっております。
  140. 久野統一郎

    ○久野分科員 五カ年計画といいますと、そうするとこの五カ年計画で今度そこへ高架の仕事に取っかかれるようになるということですか、できれば。
  141. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 そのとおりでございます。
  142. 久野統一郎

    ○久野分科員 一日も早く鉄道の立体交差をしていただくよう、よろしくお願いをいたします。  ちょっと先ほど飛ばしてしまって申しわけないのですけれども、先ほどの話に戻るのですが、先ほどいろいろな地元の構想があるというお話をさせていただいたのですが、今後地域振興のために道路構想が具体化してくると思います。こうした道路整備に将来、地域高規格幹線道路の制度を活用できないでしょうか。
  143. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先ほど申し上げました各地域圏における一つの大きなネットワーク構造の中には、地域高規格幹線道路は有力な手段として検討されるものと思います。ただ、そのものすべてが地域高規格になるかどうか、これはこれからの検討の問題だと思います。
  144. 久野統一郎

    ○久野分科員 話がちょっと変わるのですけれども、地元業者育成ということで中小企業をどんどん育てていこうという、国でもそんな方針があろうかと思うわけでございます。通常、市町から仕事が出た場合に、当然それは今までは地元の業者が受けていたわけでございます。しかし、そういう事業を公団だとか事業団に委託した方がきちんと仕事がいくんじゃないかということで、そういうのを最近は委託しているようでございます。そういうふうに公団だとか事業団に仕事を委託しますと、どうしても大手業者中心に仕事が進められるというような、そんな傾向があるやに伺っているのですけれども、その辺のところはいかがなものでしょうか。
  145. 伴襄

    ○伴政府委員 地元というか、地元あるいは中小企業の契約、極力受注機会の確保を、拡大を図ろうというのは、政府全体でも閣議決定をやりまして、目標を決めてやっております。特に建設業の場合は、それこそれ九・一%が中小でございますので、極力地元あるいは中小建設業向けの発注割合を高めようということでいろいろな形で努力をしております。一つは発注標準をよく守ってもらって上位のクラスの建設業者が入ってきてやるというようなことを極力避けることといったようなこともやっておりますし、それから分離分割発注をやりまして、特に地元の業者の方が、例えば工事の性質や種別によったり、あるいは建設労働者の確保とか資材の調達の面等考えますとどうしても地元建設業者あるいは専門工事業の中小建設業の方を活用するのが工事の進行上一番いいといったようなこともあるわけでございまして、そういうものについては極力分割発注して分けて出すようにというようなことを言っております。  そのほか、共同企業体の活用というのもございますので共同企業体で特に中小の場合は経常建設共同企業体、経常JVと言っておりますが極力、あらかじめ組んでおいて年間通してジョイントベンチャーを組んでいただくようにというようなことを配慮してやっていただくように言っておりまして、こういったいろいろな手法によって極力施工能力の向上を図るし、あるいは中小建設業者の育成を図りながらそういう機会をふやしていきたいというふうに思っております。  そのほか、特に中小建設業者の場合は経営基盤が弱いということもありますので、そのための措置、これもいろいろな措置がございますけれども、そういうことを今後とも努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  146. 久野統一郎

    ○久野分科員 今言われた政策を進めていただいて、地元業者、中小企業育成に努めていただきたいと思います。  ちょっと話がまた戻って申しわけないのですけれども、先ほどの道路整備していくということでお話があったんですけれども道路整備五カ年計画の進捗及び達成の見通しというのはいかがなものでしょうか。
  147. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 平成四年度末に第十次五カ年計画が終わります。この平成四年度の予算が完全に執行されたといたしますと、平成四年度末における進捗率は、調整費を除く計画額に対して九九・八%という進捗になります。ただ、その内容が若干いろいろとございまして、一般道路事業は九二・二%、有料道路事業は一〇〇・八%、地方単独事業が三・七%という形で、合計で九九・八%、そういう形になります。  私ども、これはやはり国の財政の状況等々からの第十次五カ年計画期間内の一つのやむを得ざる状況からこのようなものになったという理解はいたしておりますが、今度はそれぞれの整備の内容から見まして、今後の第十一次において、私どもやはり足らざるものについては十分この結果を反省といたしまして、次の新しい五カ年に向けていろいろと検討を重ねてまいりたいと思っております。ただ、第九次、第八次という過年度の五カ年計画を見ますと、やはり同じようにおおむね一〇〇%ということでございますので、おかげさまで第十次もそういう意味ではおおむね一〇〇%達成、概成できたのかなという理解はいたしております。
  148. 久野統一郎

    ○久野分科員 皆さんの御努力によりまして、そうしてその事業が達成されていっているわけでございまして、本当に御苦労さまでございます。  時間になりましたので、これで終わらさせていただきます。どうもありがとうございました。
  149. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 これにて久野統一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、北川昌典君。
  150. 北川昌典

    北川(昌)分科員 北川でございます。  日ごろから国民の生活の環境整備、さらには地域の振興、こういった面で建設省として御尽力いただいていることに対しまして、心から敬意を表しながら、質問を申し上げたいと思います  私は、道路整備を中心にして御質問を申し上げたいと思いますが、特に毎年毎年同じことを御質問申し上げますので、皆さん方には耳にたこができたというお考えかもしれません。しかし、同じ問題を連続して取り上げて皆さん方の認識をさらに深めていただく、そうしなければならないほど私の出身の宮崎県というところは道路整備がおくれておる、こういうことでございますので、御理解いただきながらよろしくお願い申し上げたいと思います。  これは平成元年の国が取りまとめました資料でございますけれども、行政投資実績を見てみますと、富崎県はここ十年間、全国のトータルをいたしました行政投資額、いわゆる総額のおおむね一%で推移をいたしております。これを道路で申し上げてみたいと思いますけれども、国県道は全国で五兆六千七十二億円、宮崎は六百四十二億円、一・一%の率でございます。さらに市町村道ではどうかといいますと、全国で一兆九千五百十八億円、宮崎県では百九十三億円、これが大体一%でございます。道路全体の投資額を見ましても、全国の総額の一・一%、こういう実態にございます。  これは、一%というのは宮崎県の人口が日本の全人口の一%に当たります。したがって、この人口に見合ったところの投資額ではないか、私はこのように理解するものでございます。  公共投資、とりわけ生活に関連する道路とか街路、住宅、公共下水道、これらについては人口に応じた施策というものが展開されるのも当然必要でございます。しかし、道路について申し上げますならば、面積も加味されなければならないのではないか、私はこのように考えております。  宮崎県は全国で十三番目に面積の広い県でもございます。仮に面積が同じ広さのA、Bという県の中で、A県がB県の人口二倍、こうしますと、A県は投資額二%と仮定すれば、そうするとB県は一%、これが十年たちますとまさに大きな格差が出てまいるわけであります。こうした点を考えますときに、面積が広い割に人口が少ない、そのために宮崎県は投資額が少なくしたがって道路整備がおくれておるのではないかという勘ぐりもいたしたくなるわけでございます。  そういう考え方に立って物事を考えてみますと、今日人口は三大都市圏集中いたしております。この三大都市圏だけで人口の約五〇%が集まっておる、こういう結果がさきの国土調査の結果でも出ておるわけでございます。こうした一極集中、これを排除して多極分散をさしていく、こういう目的を持ってこれまでも多くの施策が法律化され、展開されてきました。申し上げますならば、三十年代後半の新産都市、そして工業整備特別地域整備促進法、テクノポリス、民活法、リゾート法、頭脳立地法、多極分散型国土形成促進法、こういういろいろな施策がとられてきましたけれども一つの例を挙げますと宮崎県、昭和三十年代後半の三十八年、新産都市の指定を受けました。大変大きな希望を県民持ったわけでございますけれども、結果はどうかといいますと、今でもその造成したところに工場が建っておるのは、立地しておるのはわずかだ。かなりのスペースがペンペン草が生えたまま残っておる、こういう状況であります。これはなぜかといいますと、やはり当時は港を中心としたところの新産都市であり、それにアクセスの道路整備されてなかったことが私は大きな新産都市の宮崎県における失敗だ、このように理解しております。  今回も、近く地方拠点都市にかかわる法案がそれぞれの省庁で建設省が中心になって出されるとお聞きしておりますが、この法律ができても果たしてこれがその地域に根づく状況ができるのかどうか。私は一に道路整備にかかっておる、こういうふうに考えておるわけでございます。こういった政策を生かすためには、道路体系というものを、交通体系というものを整備されるのが大前提だ、このように思っておるわけでございますけれども、これは通告いたしておりませんで申しわけないですが、建設大臣のもしお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  151. 山崎拓

    山崎国務大臣 平成二年度の国勢調査によりますと、過去五年の人口の移動は、十八道県におきまして減少しているという結果が出ているのでございます。四全総で多極分散型国土の形成、一極集中の排除等を進めてまいったはずでございますが、結果といたしましては人口減少県が非常にふえたということでございます。したがいまして、これから生活大国を築き、ただいま申し上げました多極分散型国土の形成を志してまいるということになりました場合には、いかなる方策をもって行うかということになるのでございまして、その一つが、ただいま先生がお取り上げになりました地方拠点都市整備及び産業業務施設再配置の法案である、そのように考えているのでございます。これが有効な法案となりますように、実効あらしめるように最大限の努力をいたしたいと思っておりますが、まずは国会においてこの法案の成立を目指してまいりたいと考えているのでございます。  また、再三道路整備をお取り上げになったのでございますが、これは新産都市の建設が意外な結果であったという話でございますけれども、その点はあるいは先生がおっしゃったとおり、道路網の整備が伴わなかったことに起因しているのかもわかりません。先生の御地元の富崎県、道路整備がおくれているということでございますが、道路局長は宮崎県の御出身でございまして、そのことからいたしますと、恐らく緊要度に応じまして道路整備を進めると、非常に公正におやりになってきたのかもわかりませんが、いずれにいたしましても、道路整備に対する各地域の御要望まことに強いということを、就任以来四カ月痛感をいたしておるところでございまして、きょうは東九州自動車道を中心といたします当該地域における先生の地元の宮崎を含みます道路網の整備についてたくさんの御質問をいただいたところでございまして、さらに整備を進めてまいるように努力いたしますことを申し上げておきたいと存じます。
  152. 北川昌典

    北川(昌)分科員 どうもありがとうございました。  先ほど申しましたけれども、多極分散、そして均衡ある国土を形成するための一つの主役は、何と申しましても高速自動車道であると考えます。既に西回りの高速道を建設いただきまして、若干人吉―えびの間残っておりますけれども、これもやがてすぐ完成ということで大変期待も大きいところでありますけれども、このことによりまして、宮崎県がこの十三年間に企業を誘致したのは百七十社ございますけれども、その就業員数でいきますと、そのうちの七〇%から八〇%がこの高速道の周辺でございます。そういった面で、この高速道が地域振興といいますか分散させるために果たしている役割は大きい、このように私は実感として持っておるわけでございます。  そこで東九州自動車道、これは昨年の十二月に由幹審におきまして一部を除きまして基本計画への昇格、そして整備計画、それぞれ昇格をいただきまして、建設への前進をしていただきました。大臣初め各関係者に対しまして心からお礼を申し上げたいと思います。ところで問題はこれからでございますが、大臣も九州御出身でございまして、御案内のように九州一つ、こういうことで各県の知事さんを先頭に、この九州全体の経済浮揚を目指して、協議会を持ちながら頑張っておられます。また昨年は、北九州から鹿児島までの東回りの沿線の市町村首長、それに経済界、さらには建設省、通産局、こういった関係者の皆さん方が集まりまして東九州軸推進機構というものを結成いたしました。これは、とりもなおさず一日も早く東九州自動車道を完成していただきたい、こういう大きな願いがあるわけでございます。  現に西九州東九州では経済格差は歴然といたしておりますし、まさに九州一つにするためには、ひとつ建設大臣、お力をいただいてこの東九州自動車道の一日も早い実現、実現といいますか、もう既に御尽力いただいているわけですけれども、完成の暁を見るように、それと同時に九州横断自動車道延岡線、これが結んだとき初めて九州一つになると思うわけでございます。この東九州自動車道の、まあ昇格をいただいたばかりのときに次にということも大変これは申しわけないかもしれませんけれども、どういうお考えか、お聞きしたいと思います。
  153. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 東九州自動車道の現況といいますか、これからの考え方を御説明申し上げます。  まず、先生指摘になられましたが、九州の全体が一つと見たときの高規格幹線道路の全延長は千四百八十七キロでございまして、全計画の大体一一%弱、九州人口、面積からいっても大体一一%でございますから、そういう意味では一つの姿ができ上がっていようかと思います。その中で、これは言うべきかどうかわかりませんが、九州一つ一つと見たときに、宮崎県で見ますと人口が一%、面積が二%というのから見ますと、宮崎県の場合、従来九州縦貫道の宮崎線だけでございましたが、今回九州横断自動車道延岡線と東九州自動車道が百八十二キロ等々加わって現在三百三十三キロということでございますので、宮崎県における将来の高規格幹線道路基盤のレベルは飛躍的に増大いたしております。問題は、これをこれからどのように整備していくか、こういうことであろうかと思います。  そういうことで、昨年の十二月三日にいわゆる国幹審におきまして、西都-清武間二十七キロなど三区間の八十二キロ、これは全路線の二割に相当いたしますが、これが整備計画が策定され、これは現在道路公団におきまして、ルートや道路構造等詳細な調査をいたしております。これが終われば逐次事業に着手する、こういう状況に至っております。さらに、同審議会におきまして、清武-日南市間二十七キロ、串間-志布志間十七キロ等六区間百四十キロが基本計画に決定したわけでございまして、既定の基本計画合わせますと約八割に当たる三百二十六キロが基本計画、こういう状況でございます。これらについては、今これから環境アセスメント等次のステップの調査をやっている最中でございます。  さらにもう一つ、今まで申し上げておりませんでしたけれども日出大分間という、大分県においては九州横断道大分線というのがございまして、これが日出大分間三十三キロについては九州横断自動車道と併用しております。そこで、こういう形でやっている部分と、もう一つは、並行する自動車専用道路といたしまして一般国道十号の例えば延岡道路など五道路五十七キロが供用中または事業中でございます。そういう意味では、東九州自動車道全線の約四割に当たる百七十二キロが供用中または事業中、こういう形になります。六十二年までは何も計画がなかったということを考えれば、かなり急いで今進展しているということでございます。  しかし、今後これらを一層引っ張るのは、地域における言ってみれば活動といいますか、地域がどのようにこういう高速自動車国道を中心にして振興発展するか、活性化するかという地域におけるいろいろな計画の協力でございますので、そういう意味で、地域と我々道路行政とが一緒になって歩調を合わせたときに、この東九州自動車道のスピードはもっと上がるもの、こういうふうに考えております。  一応そういうふうなことで状況を御説明申し上げました。
  154. 北川昌典

    北川(昌)分科員 藤井局長宮崎県出身だからという大臣のお話がございましたが、地元出身であればあるほど、公正という立場からなかなか難しい面も、心中なかなか苦しい面もあろうかと思いますが、そこは大臣がひとつお力添えいただきまして、九州一つのために御尽力また御加勢よろしくお願い申し上げたいと思います。  それと、幾つもローカルの分を申し上げておりましたけれども、今までしょっちゅうやっております関係でございますので十分御理解いただいておると思いますが、いわゆる国道二百二十号線、災害に非常に弱い。おかげさまでかなり整備が進んでおります、防災対策として。それと二百二十二号線、これにつきましても御尽力いただいておりますし、できるならばテンポを一歩進めていただいて、油津港が完成しますので、このアクセス道路として活用できるような状態をつくり上げていただきたいということを、この点については御要望申し上げまして、ひとつ二百六十五号線についてお尋ねを申し上げたいと思います。  この線は、小林市から県北の五ケ瀬町、この一市四町村にわたりまして、九州中央山地を縦走する延長百六十二キロの国道でございます。国道といいましてもまさに残酷道と申しましょうか、地図の上には国道として載っておりますが、観光客が高千穂側の熊本側から入ってまいりますと、途中で引き返すにも引き返せないという道路でございます。しかし、先ほど申しましたような、中央山地を縦走する道路でございまして、極めてその地域にとっては重要な路線でもございます。今それぞれ改良工事はしていただいておりますけれども、やはりその地域に含有されております広大な森林資源、こういったもの、さらには山村地域の総合的な開発、こういった面からもこの道路整備について一段の力添えをいただきたいと思うわけであります。観光道路にもなるわけでございまして、また地域開発にもなるわけですが、とりわけ、先ほど申しました一市四町村間、この町と村との間を結ぶ区間については、早急な整備を目指しまして予算の十分な配慮をお願い申し上げたいと思いますが、この点について、御意見というかお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  155. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘国道二百六十五号、熊本県境から須木村の間の整備について申し上げます。  椎葉村―五ケ瀬町間の国見峠、ここが最大のポイントでございまして、二千七百七十メーターの大規模トンネル区間を含めて六・六キロのバイパス事業を実施するなど、いろいろな工区を今事業中でございます。私どもとしては、例えば一例を申し上げますと、この平成三年度に終わる工区としては西米良村の槇ノ口工区、あるいは平成四年度に終わる工区としては上椎葉工区あるいは田代八重工区、これは須木村と西米良村のちょうど中間でございます。こういうふうに、投資効果がそれぞれ上がるように工区を選びながら重点的にそれぞれやり、そしてそこが終われば次の重点区間といいますか、必要緊急性の高い区間に移るというようなことで、だらだらと全線をやるというよりも、それぞれ重点区間を置きながら逐次整備に着手して、全体が今先生が言われましたように、来た車が安心して戻れないなんという言葉が出ないように、これから我々も一生懸命県とよく調整をしながら対応してまいりたいと思っております。
  156. 北川昌典

    北川(昌)分科員 次に、労働時間の短縮と工期期間の見直しといいますか、これについてお考えをお聞きしたいと思います。  労働時間短縮で千八百時間、これは経済五カ年計画の中に含まれておりまして、平成四年にということでございましたがなかなか目標達成まではいかない。近く週休二日制の法案が今国会に提案されることになっております。そうなりますと、法案が通りましたならば、やはりこれは全国的にこの実現、普及をしていかなければならない、こうなるわけでございます。労働者側も、そういった週休二日制の整備がなされてない企業を敬遠する、こういうことで人手不足に拍車をかける、こういうことにもなりかねないわけでございますが、特に建設業につきましては、今地方では従事者平均年齢六十三歳、もうこう言われております。そういう中で大変企業側も御苦労いただいているわけでございますけれども、そういった人員確保の面からも、建設業自体に対しての週休二日制の普及、実施というものを御指導いただく必要があるのではないか、こう思いますが、その点についてどうなのか。  もう時間がございませんので、あわせてお聞きしますけれども、今度は建設業側とすれば、時間短縮はするが、工期が緩和されないと仕事が進まない、引き受けた工期内に仕事が完成しない、こういう問題も出てくるわけでございまして、そういった週休二日制と兼ね合いまして工期の緩和、この点についてはどのように対策をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  157. 伴襄

    ○伴政府委員 まず、時短の方でございますが、先生指摘のとおりでございまして、建設業界、特に意欲のある若年労働者を確保していくにはどうしても労働時間の短縮、いろいろな雇用条件、労働条件の改善の中でも大事なことだと思っております。これは、業界を指導する立場あるいは発注者の立場だけではなくて、建設業界でもこれに大変熱心に取り組んでいただいておりまして、現在、建設業構造改善推進プログラムというのを三年計画で進めております。ことしか最終年でございますけれども、この中でも時短の問題が官民挙げて取り組むテーマだということで、いろいろなことをやっております。  その結果、御案内のとおりでございますけれども今年度、したがって平成三年四月から労働基準法で法定労働時間が週四十八時間から四十六時間になりました。これをきっかけに時短のキャンペーンをやっておりまして、それで建設業、特に三百人以下の規模の建設業の場合には平成五年、来年の四月からこの週四十六時間を四十四時間にする、したがって四週六休にするということになっておりますが、こういう機運が大変盛り上がっておりますので、これを一年前倒しにしてことしの四月からひとつ四週六休に取り組もうということを決議しておりまして、このことを広く広めていきたいと思っております。おかげさまで、まだ全産業平均並みになりませんけれども、建設業の年間総労働時間は非常に短くなってきておりまして、例えば平成二年に比べて平成三年は、年間ですけれども四十九時間短縮されたといったようなことでございます。  今後とも、四週六休の先行的実施をきちっと広めますとともに、先生おっしゃるように完全週休二日あるいは年間千八百時間に向けて、不断の努力をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  158. 豊田高司

    ○豊田説明員 お尋ねの工期について、考え方なり現在取り組んでおる状況について御説明申し上げます。  今、局長答弁しましたように、週休二日制の導入という問題は、労働環境を改善し、施工体制の確保を図るという上で大変重要な問題である、課題であるという認識をしているところでございます。その点につきまして建設省では、まず発注に際しまして工期を設定するわけでございますが、この場合、労働者の休日日数として、官公庁の土曜閉庁日、夏季及び年末年始の休暇、そのほか降雨日、出水期、こういう作業不能日数を見込んで適正なものにするというふうに考えているところでございます。  この点につきまして建設省では、昨年週休二日制を試行いたしましてモデル工事を実施しております。このモデル工事は、工期設定を実施する際にいろいろな課題があるわけでございますが、この課題を明確にすることを目的としておるものでございまして、これを契約事項としてはっきり明記いたしまして、土曜日、日曜日及び祝日を休日とする完全週休二日制ということで実施しているところでございます。また、この課題を整理、検討するために、官民あわせました検討委員会を設けておりまして、具体的な課題を抽出し対応策を検討しておるところでございます。さらに、ゆとりある工期を設定するためには、何よりも工事の平準化というものが重要でございます。そのためには、工事計画的な発注が大事であろうと思っておるところでございまして、できるだけ早期の発注、あるいは国庫債務負担行為活用によります平準化に努めてまいっておるところでございますが、なお一層努力したいと思っております。今後とも、モデル工事におきまして明らかになった課題は逐次実施してまいりたいと思っております。  なお、地方自治体に対しましては、建設業所管事業の執行に当たりまして、このことを各種会議の場を通じ、あるいは通達を通じまして徹底を図っておるところでございますが、なお一層徹底してまいりたいと考えているところでございます。
  159. 北川昌典

    北川(昌)分科員 ちょうど時間が参りまして、河川局長さん、大変申しわけございません。私の時間配分が悪うございまして、お許しいただきたいと思います。  また、公共投資四百三十兆、どうか地域に、地方に十分生かしていただきますように大臣にもお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  160. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 これにて北川昌典君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。     〔金子(原)主査代理退席、原田(昇)主査     代理着席〕
  161. 宮地正介

    宮地分科員 三十分間という限られた時間でございますので、端的にお伺いしてまいりますので、答弁の方も簡潔に要領よくよろしくお願いしたいと思います。  また、山崎建設大臣におかれましては、過日、埼玉県に来県をいただき、建設行政の視察をいただきまして、この席をおかりし、心から感謝を申し上げる次第でございます。  そこで、まず第一点は、住都公団の建てかえ問題に伴う公営住宅の併設制度の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。  大臣、既に御存じと思いますが、日本の住宅政策として、特に中所得層を中心として住宅整備公団がつくられまして、全国の国民の住宅の供給に政府としても大変努力をしていることは、私も心から敬意を表しているところでございます。しかし、その公団が建てましてから三十年を超えた団地がたくさんございます。そういう団地を今後建てかえをすることによりまして、その地域の町の活性化、また入居者に快適な、時代に適応した住宅を供給する、こういう趣旨で行われていることについては私も大変理解をしております。  しかし三十年経過いたしますと、当時は大変に中堅所得層として働き盛りの方々も、三十年たちますと定年になりまして、既に年金生活に入っている入居者も相当数になっているわけであります。また、低所得者層に変わっている入居者も相当数おるわけでございまして、そういう方々が今まで三十年以上住んだ住みなれた団地から結果として転居せざるを得ない、出ていかなくてはならない、これは大変重要な問題であろう。できるだけ住みなれた団地で今後とも生活できる、そうしたフォローというものを政府としても積極的にやっていくべきであろう。その一つとして、家賃の補助制度とか税制上の家賃の控除制度、こういうことも今検討しなくてはならない。また低所得者対策としても、いろいろ公団も建設省も検討されております。  しかし、私は昨年来、私の地元の新所沢団地の建てかえの状況、また今回の富士見市における鶴瀬の第一団地の建てかえの状況を見ておりますと、こうした家賃補助制度やそういうものだけでは対応し切れない、やはり本来の中所得者層対策としてつくられた住宅都市整備公団の中に低所得者層を対象とした公営住宅というものも併設していくべきではないか、このことを建設省、公団に御意見を申し上げてまいりました。そういう中で、平成四年度の中で建設省としても、この公団建てかえ団地内への公営住宅併設制度という一つの基準づくりに着手を今していただいているところでございます。その基準の中で、対象団地として大規模団地、おおむね五百戸以上、こういう一つの線引きが今されることが検討されているようであります。     〔原田(昇)主査代理退席、金子(原)主査     代理着席〕  ここで、一つの実例でございますが、私の選挙区の中の富士見市といいますと都心三十キロ圏です。そこに、今から三十数年前に鶴瀬第一団地というのができました。恐らくこれは公団の中でも早い時期です。ここは大臣、二百三十戸なんですね。その後間もなく、第二団地というのが千戸以上できました。この両方とも、本来の建てかえの対象団地なんです。ところが、この二百三十戸は、今のおおむね五百戸以上という基準になりますと対象外になってしまう。ところが後から、二年、三年後にできた鶴瀬第二団地というのは、まことに隣接の同じ地域の中にあるわけです。ここは恐らく、今後建てかえの対象になりますと公営住宅が併設できることになる。早くから入ったお年寄りがそこにさらに残りたい、しかし二百三十戸だからつくれません、二年後にできた鶴瀬第二団地はつくります、これでは、社会的に不公平な実態が実際に醸し出されてしまう。私は、ここはやはり弾力的な運用によって何らかの措置をしなくてはならない、この問題は大変重要な社会問題にもなろうかと思います。  ましてや、その後にこの一つ先の駅に、私の在住している上福岡市というところは、当時東洋一のマンモス団地といいまして、二千世帯の団地が二つできて四千世帯ある。これも対象団地になっているのです。いずれは建てかえをやらなきゃいけない。この鶴瀬の第一団地のモデルケースの成功、不成功というものは、今後の建てかえ問題について大変大きな影響を与える。私はこの際、この基準づくりの中で、おおむね五百戸以上という、これをぜひ適用し得るような、弾力的な運用のできるような基準づくりの見直しをぜひしていただきたい、また、そうした運用をしていただきたい。  これは、まず大臣に、この辺についての御見解を伺っておきたいと思います。
  162. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま富地委員から住宅公団、今日の住都公団の実績や使命につきまして正しく御評価いただきましたことを、まず感謝申し上げたいと思います。さらに、今後生活大国づくりを進めていく上におきまして、居住条件を、居住面積の拡大を含めまして一層高からしめていくことが必要である、その点につきましても御認識をお示しいただいたのでございます。  それは基本的なことといたしまして、なお実態、実情に照らしてどう適切に対処していくかという見地からの御覧禍であったと考えるのでございます。お話しのとおり、おおむね五百戸程度以上を公営住宅併設の一応の目安にしておるということは事実でございます。そこで、今鶴瀬第一、第二団地の例をお挙げになったわけでございますが、建てかえ対象団地が複数隣接しているケースにつきましての規模について、今後検討してまいりたいと存じます。
  163. 宮地正介

    宮地分科員 きょうは公団の総裁も見えておりますので、隣接しているということで大臣も検討したい、こういう前向きのお話でございますが、建設省のそうした基本的な方針に基づいて、総裁として、まずこの具体的な問題についてどうお取り組みになるか、この辺について見解を伺っておきたいと思います。
  164. 丸山良仁

    ○丸山参考人 まず最初に、宮地先生から建てかえにつきまして大変御理解あるお話を承りまして、感謝申し上げます。  そこで、今のお話でございますが、公団の建てかえ団地内に公営住宅等を併設する場合に、今おおむね五里戸というお話でございましたが、一般論といたしましては、私もこれが妥当ではなかろうかと思っております。と申しますのは、やはり優先入居対象者がある程度いないとむだなことになるわけでございますから、そういう点ではこの程度が適切ではないかと思います。  ただし、今お話のございましたように、対象団地が隣接しているような場合、例えば鶴瀬第一団地と鶴瀬第二団地は二百三十戸と千七上戸でございますが、こういうようなものにつきましては、具体的な問題として建設省の御指導を得ながら検討をしてまいりたい。この場合に問題になりますのは、やはり公共団体の出方でございまして、公営住宅は公共団体がおつくりいただくわけでございますから、公共団体の御理解と御協力がぜひ必要である、このように考えております。
  165. 宮地正介

    宮地分科員 私らの調査によりますと、この地域は県営住宅が一番ベターであろうということで、埼玉県にもこれから強く要請もしてまいりたい。また、そうした今後の意向も十分お持ちのようでございますから、どうか大臣も総裁も、隣接団地については具体的問題としてできるだけの配慮をいただける、こういうふうに私は理解いたしました。ぜひ公団としても今後、社会的不公正の問題とか、さらに今後の建てかえ問題に悪影響の出ないように最大限の御努力をいただきたい、このことを強く申し上げたいと思います。  大臣、もう一言これについて御決意をお願いしたいと思います。
  166. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま総裁が申し上げましたとおり、公共団体の理解と協力が必須のことになるのでございますが、そのこともあわせまして適切な対応をやってまいりたいと考えております。
  167. 宮地正介

    宮地分科員 それじゃ、公団の関係者はこれで結構でございます。  次に、関越高速道路の防音対策について、これも少し具体的問題をあわせてお伺いしたいと思います。  大臣御存じのように、関越高速道路は今東京から新潟まで開通になりました。当初の練馬-川越間開通が昭和四十六年でございまして、足かけ二十一年目になります。大変に東京と新潟を結ぶ重要な生活産業道路になってまいりました。しかし二十年たちまして、また大きな変化も今起きてまいりました。確かに当時は、私も承知をしておりますが、まだ関越高速道路の両サイドは余り宅地開発というものは進んでおりませんでした。恐らく田畑がほとんどでございました。ですから、騒音問題というのはそんなに気にしなくて建設というものは進んでまいりました。しかし二十年たちまして、練馬、所沢、川越、東松山、この地域になりますと、御存じのように、大変な人口が爆発的に増加をいたしました。それに伴いまして、宅地開発も相当進んでまいりました。今ではこの周辺は大変な宅地化が進んでまいりまして、住宅もマンションも工場も大変にこの関越道路の両サイドにふえてまいりました。  と同時に、もう一つは、そうした宅地や人口の増加とともに、住居、住まいの建築様式、これも変化してきました。今までは大体、家をつくりましても二階建ての家でございます。最近はマンションができたり、あるいはツーバイフォーとか、あるいは場合によっては三階建ての家ができるようになりました。こういうことで、防音問題についても一つの見直しの時期が来ているんではないか。当時から、日本道路公団を初め建設省も、三メーターの高さの、大体道路に並行して垂直につくる、そうした防音の壁の対応でありました。最近は、この三メーターの頭を超えましてマンションとか三階建ての家ができてまいりました。  一つの例でございますが、川越市の今福というところに約四十世帯のすずかけ団地というのがあるのですが、ここはまさに高層化のマンションが建っております。余りひどい騒音だということで、現地を私も見てまいりました。確かに三メーターの道路より、住んでいる方の方が上から見おろすという状態で、いわゆる爆風のような騒音がまともに入ってくる、こういう団地がこの沿線には大分でき上がってまいりました。三メーターの防音壁では、これは対応し切れない。それで公団にいろいろ調べてみましたら、平成五年度から五メーターの高さの防音壁に対応するように今検討しているという話がありました。このすずかけ団地の住民は、ちょうど今から六年ぐらい前から川越市を通じて公団にも再三要請に行っていたようですが、なかなかこの三メーターから五メーターへの改善というのは費用もかかるということで、ここの地域では約五千万ぐらいと聞いていますが、そうした一つの新しい状況、新しい防音対策の見直しの時期に来ている。と同時に、技術革新の中で防音壁で騒音を吸収するその対応も非常に研究されておりまして、最近できる防音壁は非常に立派なものが存在しているのを私も承知しております。  当初、東京に近いところで早くに開通した地域、そこにおいてのそうした人口急増、宅地開発に伴っての新たな防音対策の見直しについて、まず大臣に、そうした認識をお持ちになっていると思いますが、そうした考え方を大臣としてもお持ちなのかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  168. 山崎拓

    山崎国務大臣 高速自動車道の新設に当たりましては、環境アセス、騒音対策、十分事前に検討を進めまして、路線の選定から当たっているところでございます。  ただいま先生が具体的な例を挙げて御指摘になりました供用中の高速自動車道の騒音対策でございますが、ただいまのような例もあるかと存じますので、交通量や沿道の土地利用状態、住居の状況等を総合的に勘案しつつ、適宜対策の充実を図ってまいりたいと考えております。なお、地元の地方自治体とも調整を行いたいと考えております。
  169. 宮地正介

    宮地分科員 道路公団総裁、せっかくでございますから、総裁からも、そうした今後の新たな時代の流れに沿った、また新たなそうした状況変化に対する防音対策、また具体的にこのすずかけ団地の問題についても既に御調査されておると思うのですが、この問題に対する対応、この辺の二点について簡明にお答え願いたいと思います。
  170. 鈴木道雄

    ○鈴木参考人 高遠自動車国道の騒音対策につきましての基本的な考え方は、今建設大臣がおっしゃったとおりでございまして、道路公団といたしましてもその基本的な考え方に沿って騒音対策をしているところでございます。  なお、今先生から御指摘のありました関越自動車道の騒音対策につきましては、先般練馬から高崎の間の拡幅整備計画、六車線化の整備計画が昨年の十二月に決まっておりまして、それに基づいてそういった環境調査も含めて道路公団で今後調査を進め、事業を行うことになっております。具体的な問題に関しましてはその中で十分検討いたしまして、環境対策についても万全を期すように今後進めたいと考えております。
  171. 宮地正介

    宮地分科員 きょうは理事さんも見えているようですから、このすずかけ団地の対応について御調査されてまいりましたでしょうか。
  172. 山下宣博

    ○山下参考人 ただいま御指摘の川越市の今福すずかけ団地の騒音対策の件でございますけれども、まず関越道全体につきまして、先生指摘のように開通以来交通量が順次ふえてまいりました。その間、私どもでも環境対策を充実してまいっておりますが、このすずかけ団地につきましては当初、供用は御指摘のとおり四十六年でございますけれども、その後昭和五十一年度におきまして延長五百七十メートル、高さ三メートルの遮音壁を設置いたしております。  以前からこの騒音対策に対しまして、さらにこれをレベルアップするようにという要望をいただいておりますが、私ども現在のところ、先ほど総裁がお答え申し上げましたとおり、この区間、昨年末の国幹審におきまして六車線に拡幅する整備計画が策定されておりますので、こういった事態も含めて、新たに環境対策を検討してまいる予定でございます。
  173. 宮地正介

    宮地分科員 六車線の拡幅問題を含めてということですが、当面、非常に深刻な生活状況です。私も実際に調査してまいりましたが、不眠症を訴えている住民も相当おります。そうした緊急的問題も抱えておりますので、どうか早急に調査をしていただいて、そしてそうした調査の中で深刻な生活状況、劣悪な状態であれば、そうした事業計画とは別にして緊急避難的に何らかの対策を講じていただきたい。  このことについて、総裁の決意を伺っておきたいと思います。
  174. 鈴木道雄

    ○鈴木参考人 ただいま先生指摘のような面に関しましては、公団といたしましても誠意を持って対応してまいりたいと思います。
  175. 宮地正介

    宮地分科員 では公団関係の方、ありがとうございました。  それから大臣、これは非常に心豊かな情緒の話なんですが、大臣も伺っているかと思いますが、埼玉県というところは海のない県なんです。川はたくさんあります。そういう中で、今荒川を使いまして水上交通、こういうことで、当初はテストコースということで昭和六十一年から四年間、さらに現在は平成三年度から平成五年度末ということでモデル事業、こういうことで今遊覧航行といいますか、これを海洋商船株式会社という民間会社に委託いたしまして、埼玉県が建設省の河川占用許可をいただきまして秋ケ瀬に桟橋を一応現在つくりまして、御許可いただいて運航しているわけなんです。ただ、これは今申し上げましたようにモデル事業でございますので、平成六年の三月三十一日までの限定なんです。そういう限定ということで、運輸省としてもこの営業許可は期限つきで許可しているわけです。  しかしこの営業許可も、モデル航行でありますが、本格航行と同じ営業許可をしているわけですね。これは調べますと、なぎさ航路というのは秋ケ瀬から葛西臨海公園まで行くのですが、平成三年八月から平成四年二月、わずか七カ月で一万四千人の乗客があるのですね。そうしますと、大体一カ月二千人ぐらいお乗りになっている。また、その秋ケ瀬から新芝川を回ってまた秋ケ瀬に帰ってくる、これも大体九千人ぐらいですから、月に直しますと千三百人ぐらい。非常に採算も合っているようで、一つは川を下っていきまして水に親しむといいますか、あるいは川のいわゆる地域の実態を、環境なり鳥とか生物の調査とか、こういうことで子供の学校教育には、これは非常に風情もありまして勉強になるのですね。  私は、今ジェット機だとか新幹線だとかのスピード時代の中で、まことに情緒ある、風情のある、まさに新交通ではなかろうかということで、むしろこういう問題は、国としても大いにフォローしていくべきじゃないかな、こんな感じがしているのです。まして埼玉は、先ほど申し上げた海のない県ですから、ぜひ今後本格航行について、埼玉県なりが第三セクターでやるかどうか、いろいろ事業形態は別にいたしましても、私は本格航行の方向に持っていくことは非常にいいことだな、こう思っているんです。  そこで、建設省として大臣、この桟橋の河川占用許可というのは、これは河川管理者ですからやはり建設省建設大臣が認可したことに並行して運輸省の方でも営業許可をしているというのが今実態なんです。ぜひ今後の治水の問題だとか河川管理の問題とか、あるいはいろいろ、中には釣り人の釣りの邪魔をしないように大分気を使って徐行運転をしているとか、相当今回のこの水上交通については埼玉県なり、もう相当気を使っていらっしゃる。聞くところによりますと、運輸省も十分検証されました結果、非常に安全管理だ、こういうことも出ているんですね。ぜひ将来的にもこの状況を見ていただいて、建設省としても今後前向きにこの水上交通の促進について御援助いただければありがたい、こう思っているのですが、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  176. 山崎拓

    山崎国務大臣 我が国は、四囲海に囲まれました島国でございまして、非常に親水性の強い民族だと言われております。埼玉県はたまたま海がないので川が大事だという先生のお話は、至極もっともなことだと承っておったのでございます。  建設省は、適正な河川管理を行う責任を持っておりまして、その観点からも河川が一種の公共財といたしまして、国民にさまざまな形で活用されるということは必要なことであると考えております。したがいまして、モデル航行につきまして協力をしてきたところでございますが、今後の本格的な運航に当たりまして、適正な河川管理という観点を踏まえつつ、前向きに対処してまいりたいと考えております。
  177. 宮地正介

    宮地分科員 今、大臣から大変にありがたい、前向きに対処するという御答弁をいただきまして、運輸省もぜひそれを受けて今後の安全航行の問題、またこの営業の今後の許可の方向についても、ぜひ前向きに取り組んでいただきたい、こう思いますが、運輸省の見解を伺っておきたいと思います。
  178. 床井健

    床井説明員 荒川の秋ケ瀬と葛西臨海公園等とを結ぶ海洋商船株式会社が運航しております航路につきましては、平成三年の七月二十三日に許可をいたしましたが、その際、先生からお話がありましたように、秋ケ瀬桟橋の河川占用許可の期限が平成六年三月三十一日までとされ、旅客船事業もモデル事業として開始するということでありましたので、航路事業の許可にも同じ期限が付されたところであります。  運輸省といたしましても、本航路は、国民が水に親しむことを通じて豊かな情緒を養う貴重な機会を提供してくれる事業として、重要な意義を有すると考えております。したがいまして、平成六年三月三十一日の期限以後も本事業を継続したいという申請があり、秋ケ瀬桟橋の使用も可能であるならば、海上運送法に定められた許可基準に従いまして適正に審査をした上で、許可する方向で検討してまいりたいと考えております。
  179. 宮地正介

    宮地分科員 時間が参りましたので、最後に大臣に、ぜひ今後御努力をお願いして、一言だけ簡単に御答弁をいただいて終わりたいと思うのですが、もう一つは、やはり埼玉県の特徴は、非常に河川に弱いという特徴があるのです。ですから、台風が参りますと全県的に治水問題というのは大変に大きな問題なんです。  特に、埼玉西部地域に重要な河川として歴史のある新河岸川という川がありまして、これは昔は小江戸と言われました川越のお米やお芋を江戸の人たちに供給した非常に大事な生活産業河川であります。しかし、これが大変に今まで遊水地が非常にたくさんございまして、この新河岸川の治水問題というのは、いつも台風の来るたびに大変な大きな被害が出ております。昨年も十八号台風で相当やられました。この一つの大きなかなめとして、今、朝霞市に朝霞の排水機場をつくろうという計画がありまして、そういう中で特に朝霞水門については、約五ヘクタールの地域でございますが、ここは大体ほぼ用地買収が完了いたしまして、平成六年度ぐらいには水門の完成が間違いないであろう。この水門ができることによりまして、荒川と新河岸川の河川の水路は、水深は荒川の方が大体四、五メーター低いですから、新河岸が水門ができますと水がどんどんはける感じになる、相当これは影響がプラスになると思います。  その後、調節池とか朝霞排水機場のポンプアップの問題、非常に今後のこの地域の治水のかなめでございますので、私どももぜひ全力でこの問題を政府にお願いしながら進めていきたい。昨年の台風災害によりまして臨時事業で八十四億もつけていただきまして、地域でも大変喜んでいただいております。しかし、今後この問題については、重要な治水対策でありますので、どうか建設省としても、十分御認識いただいておりますが、大臣といたしましても今後特段の御助力をいただきたい、このことを強くお願いしたいと思います。  一言で結構でございますので、御決意をお伺いしたい。
  180. 山崎拓

    山崎国務大臣 第八次治水五カ年計画十七兆五千億円ではんらん防御率を四五%から五三%に高めていきたいと考えておりますが、緊要度の高い分から整備を進めてまいりたいと考えております。  この先生指摘の新河岸川の治水対策は極めて緊要度が高いものと考えておりまして、県、地元公共団体の協力をいただきまして強力に推進してまいる所存でございます。
  181. 宮地正介

    宮地分科員 終わります。
  182. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  183. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 近年の東京、大阪あるいは私の住んでおります京都など、大都市地域におきましては、昨年度までというか、バブルの崩壊までというか、本当に異常な地価の高騰、そういったものが続いてまいりました。努力次第で我が家を持って頑張っていこう、こういうサラリーマンのマイホームの夢を絶望的にしてしまった。一方で、住宅家賃の高騰をもたらし、都市生活者の家計を著しく圧迫してまいりました。  本来都市サラリーマンのための公共住宅である公団住宅も、家賃が異常に高くなっております。例えば東京都港区のある公団住宅団地、ここにおきましては、二LDKの家賃が月額二十八万五千七百円。広さは六十二・九平米です。決して広くはございません。しかもこの団地は現在傾斜家賃のため、平成四年の四月には二十九万七千百円となり、これは共益費八千三百三十円が加わると、月額三十万五千四百三十円の負担となります。大臣、本来公団などというものは、これはもう低所得層あるいはサラリーマン、そういうようなところが利用しなければならぬものですよね。それに対して、この今の港区の例、それからもう一つ申し上げますが、例えば千代田区の公団住宅団地、似たようなものでございますが、家賃が月額二十五万八千六百円。傾斜家賃のために年々加算されて、平成六年四月には二十九万百円になります。これに共益費八千円を加えると二十九万八千百円の負担となる。  こういうような状況になってしまっては、これは本当にサラリーマンに対してマイホームの夢を絶望的にしてしまい、なおかつ、今度はそういう公団、いわゆる公共のそういう建物に何とか低家賃で入っていきたい、そういうものさえも打ち砕いてしまった。こういうものを踏まえて、状況をどう思うか。同時に、こういうようなところへは大体どういう人が入ると思いますか。まず最初に大臣の御所見、その前に、じゃ局長、答弁してください。
  184. 立石真

    ○立石政府委員 私から現状の数値等についてまず御答弁したいと思います。  御指摘のように公団賃貸住宅の家賃でございますが、地価上昇あるいは建築費の上昇等を反映いたしまして、近年値上がりしているのは事実でございます。全体的に見れば、まだ中堅勤労者の負担にたえる水準であるというように認識しております。  例えば、まず初年度家賃の平均でございますが、全国では十万三千円になっておりまして、また首都圏では十一万八千二百円になっているところでございます。これらは第三分位中位勤労者の収入月額、つまり平均的な勤労者の月収のおおむね二〇%程度でございまして、新築のものについてもまだまだ中堅勤労者の負担にたえるものであるというように認識しているところでございます。  もう一つ先生の御指摘でございますが、高い家賃のものについてでございます。都市再開発の一環として、都心部とかあるいは都心周辺地域において住宅供給を行う場合には、非常に家賃が高額化する場合があるわけでございますが、住都公団におきまして種々の家賃の引き下げの努力等を進めているところでございます。  しかしながら、先ほどのような高い団地があるわけでございますが、この高くなった理由といたしましては、やはりその周辺の地価が非常に高い地域である、場合によっては二世帯が居住可能な大型住宅などがあるわけでございますが、これらの住宅についての需要もまた存在するわけでございます。私たち、住都公団の調査等からお聞きしているところでは、これらの団地につきまして都心部あるいはその周辺に立地しておりますので、通勤通学とか買い物などの利便性がかなり高いわけでございますので、例えば夫婦二人とも職業を持っている世帯あるいは職住の近接が必要な世帯、さらに、生活の他の面よりは住宅の利便性を重視する生活のスタイルの世帯、そういうようなニーズがあるわけでございまして、通常、標準的な勤労者世帯の家賃負担の限度は年収の二〇%程度以内におさめることが大事であるというように考えているところでございますが、これらの世帯におきましては、むしろかなりの負担をしても利便性を優先してそういうような住宅を確保したいという世帯があるのも事実でございまして、千代田区、港区等の例ではこれらの勤労者の世帯が入居しているものと考えているところでございます。
  185. 山崎拓

    山崎国務大臣 公団賃貸住宅の家賃につきましては、先生がお挙げになりました港区、千代田区等の都心部の特殊なケースを除きまして、中堅勤労者の負担にたえ得るものであるべきだと考えております。今後とも引き続き家賃の抑制に努めてまいりたいと存じます。
  186. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 ちょっと認識不足なんですよ、局長も大臣も。みんな近くで便利なところへ住みたいんですよ。それが遠くへ行っちゃっているわけです。平均だからと言って、狭くて遠くて、そういうようなところを本当にみんな苦労してやっておるということを、まずそういう認識を先に言わなきゃだめですよ、そんな考え方では。  私ども政治、行政の立場というものは、国民に広くみんなに喜んでもらえるようにやっていくのが行政でしょう一私がこういう例を挙げて、こういうところへだれが入るんですか。うんと大金持ちじゃなければ入れないじゃないですか。幾ら老夫婦でも、あるいはもう二人働く必要がなくてお金持っている、そういう人たちだって大変ですよ。それからまた、夫婦で共稼ぎしておる、大変ですよ。ただ仕事の関係上できるだけ近いところへ住みたい、これはだれだってそういうことは考えておるわけでございますので、認識は、決して今の住宅状況というのはそんな甘いものじゃないのです。そんなような答弁じゃ、ちょっとこれはおかしいですよ。もう一度ちょっと局長、全般的なことと、それから、じゃごく一部の人に、例えば港区とか千代田区とか、これはこのまま続けるということは、これは努力をしないと大変なことになると私は思うよ。その面で、このままでいいのか、ちょっともう一度答弁してください。
  187. 立石真

    ○立石政府委員 まず住宅都市整備公団の家賃について若干補わしていただきますと、現在の住宅公団の家賃水準は、全ストックで平均してみますと、全国では四万五千四百円、また首都圏域では四万七千百円ということでございまして、中堅勤労者が負担に十分たえる水準の家賃で入居できることになっているわけでございます。先生指摘のとおり、勤労者が住宅に住みたいときに、やはり通勤が可能な地域に、そして適正な負担の範囲内で、また質のよい住宅に入りたいという希望を持っているわけでございまして、大都市地域におきましてそういうような住宅の供給を図っていくことは、今後の重要な課題だと認識しておるところでございまして、これまでも、いわゆる大都市法に基づきまして大郡市地域における住宅供給、宅地供給を進めることとしているところでございまして、政策の重点として今後とも進めていきたいと考えているのは基本でございます。  ただ、住宅の場合にはいろいろな需要がございまして、例えば貸し家、賃貸需要の低所得者に対しては、公営住宅の供給、そして中堅勤労者に対しましては、住宅都市整備公団の住宅等の供給を図っているところでございまして、その中のニーズにはいろいろなニーズがあると考えておりますので、今後とも公団といたしましては、家賃の軽減を図るべく努力しつつ、勤労者向けの住宅の建設に努めていきたいと考えております。
  188. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 だから私、何も平均的なことを聞いているわけじゃなくて、うんとあいているところはいっぱいあるのですよ、遠くて狭いところは。むしろ、やはり近くて便利なところへということで私はこの例を挙げているんですから、もうちょっと質問に対して答えていただきたいと思います。  そこでお伺いしますが、まず、例えば港区だとか千代田区だとか、この家賃高騰の最大の原因は、地価の高騰です。したがいまして、その際の家賃算定基準の中の地代相当分を軽減する、いわゆる家賃抑制のための何か方策というものを考えているか、まず最初に御答弁いただきたいと思います。
  189. 立石真

    ○立石政府委員 住宅都市整備公団の賃貸住宅につきましては、従来より、住宅建設に要する費用に低利の財政投融資資金を充当するとともに、家賃に占めます金利分を軽減するために、一般会計から利子補給を行って、家賃の軽減に努めているところでございます。  これらに加えまして、平成四年度予算におきましては、平成三年度に引き続いて、新規取得用地における賃貸住宅建設事業について、用地費の縮減を行うための国からの出資を行うこととしたほか、さらに、大都市法に基づきます重点供給地域内におきまして、用地費の一部として国から出資を行うというような措置を講じようとしているところでございます。  これらによりまして、家賃の高額化の抑制を図るとともに、新規賃貸住宅の用地の取得を促進していくことが可能になるというように考えております。
  190. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 我が党は、このような賃貸住宅居住者の過重な家賃負担の軽減を図るため、かねてより家賃補助制度の創設、これを主張してきました。政府平成三年度から、民間の木造賃貸アパートを建てかえた場合の家賃激変緩和補助制度や、あるいは、土地所有者が建設する民間賃貸住宅地方自治体が借り上げて公共賃貸住宅として供給する借り上げ公共賃貸住宅補助制度など、間接的な家賃補助制度ではあるが一部制度化を図るなどの点につきましては、評価をいたしております。  しかし、欧米先進諸国等、いろいろなタイプの家賃補助制度が整備されて十分に機能しておる、そういったものを考えるにつけても、我が国の制度というものはいまだ貧弱でございます。したがいまして、こういった補助制度の拡大を図っていく、例えば家賃激変緩和補助制度の国の負担率を引き上げるとか、あるいは、借り上げ公共賃貸住宅補助制度の負担率、それから対象戸数、こういったものの倍増を図っていく、そのほか考えられるものはないか、そういった面でまず御答弁をいただきたいと思います。
  191. 立石真

    ○立石政府委員 まず、先生指摘の点でございますが、民間賃貸住宅の家賃対策補助制度につきましては、木賃住宅等が密集する地域の建てかえを促進すべき区域で行う事業の場合に、家主がその賃貸住宅を建てかえるときに、前から住んでいた人たちに対しまして激変緩和のために家賃を低減する場合に補助をする制度でございます。平成四年度予算におきましては、低所得の高齢者等につきましてその補助を手厚くするための措置を盛り込んだところでございまして、この制度の活用に努めてまいりたいと考えております。  さらに、借り上げ公共賃貸住宅制度につきましては、地方公共団体または地方住宅供給公社が、民間の土地所有者が建設した良質な賃貸住宅を借り上げて中堅勤労者に賃貸する制度でございまして、平成三年度実績三千七百四十四戸でございました。平成四年度予算におきましては五千戸を計画しておりまして、今後とも地方公共団体に対する指導、土地所有者への情報提供を通じまして、さらに供給を推進してまいりたいと考えているところでございます。
  192. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 現在のような深刻な住宅問題に対処するために、今も説明がございましたが、例えば地方自治体によっては、国に先駆けて独自の家賃補助制度をスタートさせておりますね。例えばアパート住みかえの高齢者を対象とした東京都江戸川区高齢者住みかえ家賃補助制度、新婚家庭を対象とした台東区の新婚家庭家賃補助制度を初め、江東区、新宿区、兵庫県の神戸市等、補助制度の内容は多種多様でございます。  私の住んでおる京都におきましても、平成四年度より家賃補助制度が実現いたしました。借り上げ公共賃貸住宅制度として、一定規模の賃貸住宅を京都市住宅供給公社が借り上げ、家賃補助をして安くした住宅を中堅勤労者等に賃貸する。京都の中でもその中心の四区、上京、中京、下京、東山の四区がまず対象として百戸つくりましてスタートしてまいります。入居者に対しては、高齢者、子供のいる世帯、新婚世帯、これをさらに京都市として家賃補助を特別加算する、こういうような非常にユニークな案もとっておりますけれども、どうでしょうか、こういうものに対してぜひひとつ、今までのそういう考え方をさらに具体的に、補助率のアップであるとかそういう助成措置というものを、何らかのものは考えられないのか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  193. 立石真

    ○立石政府委員 先生指摘のとおりに、地方公共団体の一部におきまして、人口の減少対策、あるいは高齢者の福祉対策、あるいは地域活性化対策、そういうような考え方から、独自の目的で家賃を軽減する制度を導入している動きについては、承知しているところでございます。  家賃補助制度一般の問題といたしましては、住宅宅地審議会で、家賃の評価、家賃の支出能力の把握、管理運営のための組織、費用など検討課題があるというように指摘されておるところでございまして、全面的に家賃補助制度を採用することについては、慎重に対応すべきものと考えているところでございます。  しかしながら、国におきましては、一般的な家賃補助制度ではないわけでございますが、今御指摘のように、例えば借り上げ公共賃貸住宅制度等の制度を設けまして、民間の力も活用しつつ、かつ、地方公共団体の創意性を発揮した形で家賃対策、家賃の減額措置を国と地方で協力して行う等の制度を進めているところでございますが、先ほど申しました制度等も含めまして、今後ともこの充実に努めてまいりたいと思っております。
  194. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 京都市の例でございますが、例えば今申し上げました新婚世帯、これには月二万円補助を三年間出します。それから今度は子供が生まれる。子供が生まれた場合は一人に五千円を五年間、もちろん途中からそのところへ入ってきた人も、十八歳未満までは対象でございます。それから高齢者のおるところ、六十歳以上対象に月一万円補助を五年間出します。そういうような努力をしています。これ、先ほど局長答弁したように、いかに住宅の状況が大変なのか、こういう中心のところが、上京、中京、下京とか東山、御存じのとおり京都の中心ですよ、京都御所のあるところや、一番の中心です。そのところが、もうどんどん過疎化になっていっちゃう。みんな出ていっちゃう。若い人たちもみんな出ていっちゃう。だから人口もどんどん減ってきてしまいますし、学校も閉鎖、統合、そういうような状況で、もう区として成り立っていかないのではないかというような大変な事態なんですよ。今こういう形で努力しているのですから、そういう面でもうちょっと前向きな答弁があってもいいと思いますよ。大臣、一度大臣の御所見、この点でまず伺っ、ておきたいと思います。
  195. 山崎拓

    山崎国務大臣 家賃補助制度につきましては、ただいま住宅局長が申し述べましたとおり、住宅審議会の指摘もございまして、慎重に対応してまいったのでございます。しかし、繰り返しになりますが、新しく高齢者向け借り上げ公共賃貸住宅制度を創設いたしましたほか、この問題に真剣に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  196. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、京都には京町家というのがあるのを御存じですね。その実態を若干申し上げますが、まず、京都市内には住宅が約五十一万六千戸、うち木造住宅が八万二千戸、もう再生不能と言われるような本当に大変な住宅がそのうち一万一千戸です。この木造住宅、いわゆる京町家として有名な、いかにも古都らしい、そういうものを何とか守っていかなきゃということで、みんなの願いというものがあるのです。ところが、もうどんどん古くなってきている。そしてもう今のように建てかえるといったら大変なお金がかかる。それから賃貸でも、民間がやっていくとしたら、これまた大変だ。したがいまして、こういうようなものに、今言った借り上げの公共住宅、これはもうそういうものへの対応とかを踏まえて考えていく必要があるのではないか。あるいはこの家賃補助、こういう古いものに関しても、そういう形で、特殊なところはぜひこの保存の問題と、それがちゃんと運営できるようにやっていかなきゃならないと思いますので、そういった問題に対しての御所見を伺っておきたいと思います。
  197. 立石真

    ○立石政府委員 京都の町家については、やはり京都の町を形づくる非常に貴重な文化であるということが指摘されておりまして、そのそれぞれの保存等につきましてはいろいろな施策を講じられているものと存じますが、この京都の町家を保存する上で公共団体が借り上げて賃貸住宅に使う等の措置につきましては、公共団体が賃貸住宅として借り上げて使うのは通常十戸程度以上のまとまりのあるところで、後で公共賃貸住宅として管理運営できるということが一つの要件でもございますので、京都の町家が果たしてそういう制度とかみ合うのかどうかについては、私ちょっと不勉強で、現在即断はできないところでございますが、いろいろな問題があろうかと思いますので、今後勉強させていただきたいと存じます。
  198. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 御承知のとおり、京都というのは固まっていますよね。もちろんそういう中で木造住宅、これが京都らしいああいう京町家として残っておるのですけれども、今どんどん減っちゃっているのです。そうすると、今観光客も全世界から来ていますが、そういう人たちの声からも、こういったところを残してほしいなということがある。だが、運営上やっていけないのです、京都市としても。あるいは持ち主も大変なんですよ。そういうようなことを考えていくと、やはりこういったものは、そんな一般的なものでなくして特殊なものに対して特別に配慮していく、こういう考え方を、ぜひもう一度町家に関して、どうでしょうか、大臣、私の今言っていること、どんなお考えでしょうか。
  199. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生の御議論を承っておりまして、京都にはそういう問題があるんだなということを感じたのでございます。この問題につきましても、いろいろ検討してまいりたいということを申し上げるほかはございません。
  200. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 ぜひその点、前向きに検討を。そうでないと、もうどこへ行っても似たような町並みになって、では、その観光に来た人たちに果たして一体これで喜んでもらったのか。やはりそこには文化、伝統というものがあるわけですよね。それは何も寺だとか神社だとか、そういうものだけではなくして、その町自体が、それからそこで息づいている生活自体がやはり重要なものなんですから、ぜひその点の検討をよろしくお願いしたい。これは重ねて要望しておきます。  そこで、もう時間がありませんので、わざわざ住宅公団に来ていただいておりますので、御答弁をお願いしたいと思います。  最近住宅都市整備公団が進められている老朽化した団地の建てかえ事業をめぐり、建てかえに応じない住民と公団との間でトラブルがふえているやに伺っております。それは、やはり建てかえたら、先ほどの話ですよ、やっぱり家賃が上がっていってしまう。そうしたら、もう年金生活者などはそれに住めなくなってしまう。こういうようなこともございまして、なかなかいろいろな問題があるようでございます。その点で、どんなような原因と、どんなような対応をそれに対してしておるのか、まずひとつその辺を御答弁いただきたいと思います。
  201. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 私ども、今お話のありました建てかえを鋭意実施しております。  それで、昭和六十一年度に始まったわけでございますが、平成元年度に着手しました事業、これが昨年の秋に、移転期限と申しますか、話し合いの期限が来たわけでございますが、そこまでで折衝いたしました約一万一千九百戸のうち、十四戸につきまして期限内に合意が得られずに、やむを得ず訴訟手続に移ったという実態はございます。しかし、既に七件は解決しておりまして、現在七件が裁判所に係属している、こういう状況でございます。
  202. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それじゃ、時間ですからこれで終わりますが、一言だけ済みませんが答弁いただきたいのですが、それは、この建てかえ後の家賃上昇に対して今のようなトラブルがあるということは、新しくした場合は家賃が上昇してしまう、それに対しての何らかの施策を講じていかなきゃなりません。したがいまして、国としてどのような対応をしようとしておるのか、そこを御答弁いただきまして、終わりたいと思います。
  203. 安仁屋政彦

    ○安仁屋参考人 建てかえ後の家賃につきましては、七年間、七段階というような緩やかに家賃が上がっていくような措置を初めとしまして、いろいろな措置を講じております。場合によりましては、同程度の家賃の公団住宅にごあっせん申し上げるとか、そういったいろいろな手段を講じまして、できるだけ建てかえ事業がスムーズにいくような措置を講じている次第でございます。  それから、特に高齢者等の社会的弱者につきましては、一般の方々と違ったもう一つ進んだ措置、こういったものを講じまして、できるだけトラブルなく事業が進むような努力をしているところでございます。
  204. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 終わります。
  205. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  次に、小森龍邦君。     〔金子(原)主査代理退席、筒井主査代理     着席〕
  206. 小森龍邦

    小森分科員 私は、二点ほどお尋ねをしたいと思います。  その一つは、この年度末にも国道昇格の問題について審議会が行われて結論が出るやに聞いておるのでありますが、その方の作業の進みぐあいはどのようになっておるでございましょうか。
  207. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  かねてから私ども、要望路線約百八十路線、一万二千キロの要望をベースに、いろいろな調査をし、検討をしておりました。かねてから私ども平成三年度内には国道網の再編成をさせていただきたいという旨のことを申し上げておりました。  私ども平成五年度を初年度とする新しい五カ年計画をつくらせていただきたいと思っております。この新しい国道網はその際のベースになるものでございます。したがって、現在、平成三年度、あとわずかでございますが、その中で道路審議会を聞かしていただいて、その中で御答申をいただくべく、最後の調整をさせていただいているところでございます。  その際に、当然のことながら、一般国道の指定要件につきまして、道路法の第五条の第一項に規定されている条件、そして種々の採択要件等がございます。これは路線値、網値といったようなものもございます。さらに、半島法等新たに指定された地域立法もあります。そういうもろもろのものと、国道網の粗密の程度、地域開発に対する効果の程度等を総合的に判断して、今、最後の路線の調整に入っているということでございます。  個別の路線につきましては、もうそういう段階でございますので、あえて申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういうことで最後に、今年度中には再編成の作業をさせていただきたいというふうに申し述べさせていただきたいと思います。
  208. 小森龍邦

    小森分科員 全国に今四万数千キロ国道がキロ数としては走っておるわけで、私の広島県にも、十数本あるいは二十本も数えられるかもしれませんが、国道二号あるいは国道五十四号というような、比較的大きな路線と思われておるものが走っております。  そこで、私お尋ねをしたいと思うのでありますが、全国に、合併などありましてその後若干の増減があるかもしれませんが、私の承知しておるところでは、六百数十の市と名前のつく町があると思いますが、私が現在住所を構えております広島県府中市は、その中の、本当に一つ二つぐらいしか残っていないと思うのでありますが、国道の走っていない町なんであります。やはりある程度市と名前がつけば、そこに人口があるし、産業経済が発展をしておったし、一応のこの基準もあろうと思いますが、その基準を精査の上、国道の走っていない市というのはほかにあるのかどうか、お答えいただきたいと思いますが、十分な配慮をいただけないものか。これはそこに住む住民の一つの誇りというような問題もありますので、そんなことを強く申し上げたいと思いますが、それをやるとかやらぬとか、ここで聞こうとは思いませんが、所見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  209. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘の市は、私の想像で府中市という市だと思います。このほかに、例えば男鹿市とかまだ幾つかございます。  国道の場合には、やはりその指定要件の一つに、国土を縦断し、横断し、循環しという物の考え方のほかに、「重要都市又は人口十万以上の市」、さらに第三号に、「二以上の市を連絡して」云々、こういう指定要件もございます。したがって、市を非常に強く意識しながら国道の指定要件ができているということを考えましたときに、市というものは非常に重要な判断根拠の一つであるとは認識しております。  今回の指定、再編成におきましても、そういう御要望の際に、市の存在を十分検討の重要な要素として検討していることは申し添えたいと思います。
  210. 小森龍邦

    小森分科員 私が申し上げるまでもなく、地図を開けばすぐわかることでありますが、私の住んでおります府中市は、御承知のとおり人口三十七万の福山市のすぐ隣でありまして、府中市を経由し、県北の三次市とか庄原市、庄原市の方へ向かえば、当然のことながら米子あるいは鳥取、三次へ向かえば島根県の松江市、こういうことになるわけであります。  しかも、私が強調しておきたいと思いますことは、昔、奈良の時代に、福山市の、現在でも地名に奈良津というところがありますが、そこが港でございました。そこから陸に上がりまして石州街道、昔の間道でございます。そこには馬宿もあり、駅家という地名が私のすぐ近くにありますが、つまり馬の駅があったわけなんであります。その石州街道が寂れてしまって、府中が言うなれば置いてけぼりに遭っておる。地名は府中でありますから、つまり備後国府の所在地であります。  私の町を二点ほど調査をしたのを広島県が持っておりますが、これが今から四、五年前のことでありますが、私のこの府中市の中須町というところが、一日一万四千台自動車が通行しておるし、これは私の直接の住所地でありますが、目崎町は一万五千台通行しております。国道二号線と比べて引けをとらないし、国道五十四号よりははるかにこちらの方が多いのであります。まあ何もほかの路線にけちをつけるわけではありませんが、ぜひひとつ、市の体面ということを考えていただきまして、十分な配慮をしながら審議会で結論を出していただくようにお願いをしておきたいと思います。  それでは次に、時間の関係もありますから、同和対策の問題についてお尋ねをしたいと思います。  この同和対策というのは、御承知のように、同和対策審議会の答申が一九六五年に出されまして、そして、一九六九年でありますから昭和四十四年でありますが、このときに、まあ何とか同和対策事業特別措置法というものができました。あれから、前期五年、後期五年という計画でやったのでありますが、私は、これは政府は本気にやってないな、こう思っておりました。  なぜならば、年々組む予算が、後期だ、前期だといったところで、物の解決のつかない水準でしか予算を組んでおりませんでしたから、片づかぬと思っておった。そしてそれが切れたときに、三年の延長をこそくにやった。これが最後だと政府は言った。ところが、次にまた五年間の地対財特法を制定せざるを得なかった。これが最後だと言ったのです。そして、これが済んで、また今度政府が提案なさっておりますように、地対財特法というのを今度また、最後だと言いながらまた法律を政府は提案をした。  甚だしきは、これは閣僚の一員として大臣に聞いておいていただきたいと思いますが、十一月の初めごろに、宮澤内閣成立当初、総理大臣が本会議で我が社会党の田邊委員長質問に対して、まだそこで法律をつくる気持ちはありません、一般行政への円滑な移行でありますと言いよったのです、去年の十一月。しかし、私どもは地対協の意見具申やその他の準備段階のことを知っていますから、ああこれは、知らぬは総理ばかりなりと隣の代議士と言って笑うたのですよ。小森君、あれ、どうならと言うから、総理が知らぬだけよというような格好で、余りにも小刻み過ぎるのです。  それでこの間も、これは法務委員会で私どもの社会党の同僚代議士が法務大臣の所見を伺っておりましたが、これはいじめと違うんか、小刻み小刻みでいきよるけれども、いじめと違うんか、こういうふうな、まことにこれは名言だと私は思って聞いたのでありますが、どういうわけでこの同和対策は何回も小刻みになるのか。これは極めて大きな政策上の問題でありますから、数字のことはそのそれぞれの役人の皆さんに聞きたいと思いますけれども、いずれにしても、これはひとつ大臣の考え方を聞かせていただきたいと思うのです。
  211. 山崎拓

    山崎国務大臣 同和問題につきましては、憲法に保障されました基本的人権に係る重要な問題であるという認識を持っております。建設省といたしましても、地域の環境を改善いたしますことは、その解決を図る上で極めて重要な事柄であると考えておりまして、従来から住環境の整備等を積極的に推進してきたところでございます。  ただいま一連の同和対策に対する歴史的経過についてお話がございましたが、このたび政府は、現行と同様な財政措置を継続するための地対財特法の一部改正法案を国会に提出をいたしたところでございます。本国会におきまして、この法案の成立を期し、かつその成立を待ちまして事業の迅速かつ円滑な推進を図ってまいりたいと考えております。
  212. 小森龍邦

    小森分科員 大臣、私が言うたことよりちょっと的外れなことを言われておるので、官僚の皆さんでもよろしいですから、どうして小刻みになったのかということをお聞かせください。
  213. 立石真

    ○立石政府委員 昭和四十四年に制定された同和対策事業特別措置法以来これまで二十三年間を経過したところでございます。それぞれの法律が定められるに当たりましては、同対審の答申あるいは審議会または協議会のいろいろな意見具申等に基づいてそれぞれの事業、法律の有効期限を定めたものであろうと私は考えるわけでございますが、建設省の立場といたしましては、今大臣が申し上げましたように、この法律に従って地域の改善をできるだけ速やかに実施すべく活動を、事業を推進してきたところでございまして、そういう意味では、建設省事業としては十分にこの法律に従って努力をしてきたものというように認識しているところでございます。
  214. 小森龍邦

    小森分科員 建設省は比較的やっておること、私は納得しておるのです。建設省はそうはいっても事業省庁でありますから、そんな簡単に切られたら困るというような、余り政府部内で表ざたになって対立までしてないけれども、まあまあ良心的にやっておるように私は思っておるのです。これは去年の分科会でも、おととしの分科会でも、私のそういう感謝の気持ちは申し上げておるのです。  ただ問題は、私が言いたいのは、運動側が万一ぼやっとしておったら途中切れになるような政策的段取りということで物が進んできておったということですね。これはもうぼろかすに我々は言われながら、政治の次元でもぼろかすに言われながら、また一般的にも我々がかなり厳しい闘いをするということであれこれ言われながらも、じっと辛抱して、そしてじゅんじゅんと説いて、これまで法律を何回も繰り返しこの継続をしてもらった、こういうことなんですね。  したがって、私は大臣に問いたいことは、政府は本当に物を解決しようとしておるのか。まことにこれは抽象的な言い方でありますけれども、いや適当なところでやめようと思うんじゃと言われるのか、いやこれは憲法に定められた、海部総理のときもそうですよ、これは憲法第十四条、すべて国民は法のもとに平等である、特に「人種、信条、性別、社会的身分」というところを引用しで海部総理は答えられた。宮澤総理もこの間そういうことで答えられた。憲法上の事項ならば、今二十一世紀には解決したいというのは、二十一世紀までにやめたいという意味じゃなくて、二十一世紀までには解決するという気持ちが出ておるんだと思いますが、根本的にこれは解決しなければならぬと思われますか。大臣、どうですか。
  215. 山崎拓

    山崎国務大臣 繰り返しになりますけれども、一日も早い解決が望まれると考えております用地域改善対策協議会の意見具申の中で平成四年度以降事業量がなお相当程度見込まれるということでございますので、所要の財政措置を一石も早く講じまして、先生のおっしゃる事業をできるだけ早く完成させたいと考えております。
  216. 小森龍邦

    小森分科員 そこで大臣、ひとつこの点は政党政派を超えてじっくり聞いていただきたいと思うのですが、この部落問題というのは、やはり問題はマクロに見て、事業なら事業に限って言ってもよいですが、全体としてどれだけあるか、それを年次に割ったらどうなるかということで追い込むというか、政策を次々に進めていかなければならぬわけですね。  ところが、大変ネックがあるのですよ。これは閣僚の一員として、しかも同和問題に大変関係の深い大きな事業量を抱えた建設大臣ですから、聞いておいていただきたいと思うのでありますが、どうしてもちょっとこう目で見たところが、それが差別の実態なのかどうなのかということが普通はわからないのです。よほどスラム街とか、よほど堤防が部落のところまで来て、そこでちょん切れておって、また部落が済んだら向こうへ堤防が続いておった、これは差別じゃないかというようなことならばわかるのですけれども。  こう言ったらちょっとおかしいのですが、立石局長なんか随分前から広島におられたり、その後本省へ来られでいろいろ接触があるから、大分この人は本質的に物を見る力を持っておられると私は思うけれども、ついうっかりすると、何が差別で何が差別でないかがわからないのですね。それは同対審答申にも書いてあるのです。一見何事もなきかのごとく見えるが、よく本質的に見たら差別だ、こう書いてある。これは私の勝手な理屈を振り回しているのではないのであります。  それで申し上げておきますけれども、広島県の私の町を流れておる芦田川という一級河川があるが、これは大正年間から福山市の川下からずうっと芦田川、河川を改修していくという特別の立法でもってやっていった。私の町まで入ってきて、部落だけちょっと残して、部落だけ残して、部落だけ堤防なくて、また上へ堤防をつくった。いつか見てもらいたいと思いますけれども、そこを、部落へ入る途端のところで堤防を山の方へぐうっと巻き込んで、部落だけ洪水にさらして、また部落が済んだところで堤防が始まっておる。  これが要するに同対審答申以後、私はまだ青年時代であったが、田舎の市議会の、府中という町の市会議員をしておったが、府中市議会が特別の議決をして、小森君、行ってこい、同対審もできたことだし、建設省と談判してこい。それで当時の建設省の河川局長と談判したら、それは差別じゃない。何かと言うたら、それは何億も金を使ってそこに堤防をつくるほどの生命財産を守るだけの価値がペイしないと言う。ペイしないというのは、要するにそれだけの価値がないというんだ。これはもう全然物の考え方が違うわな。そういうのが差別というんじゃと言ってかなり議論をして、そこへ堤防がついた。私が解放同盟の中央執行委員になって議論をし始めて、四国だったと思うけれども、鏡川に堤防がやはりそれと同じようになくて、やかましく言って堤防をつけた。群馬県の桐生市の桐生川、これはたったこの間ですよ。私が現地を見に行って、何でここに堤防がないか、部落は遊水地帯になっておるではないか。それは何か建設省がやりますというから、やるならすぐこの秋からやれ、それならやりますと。  これは簡単に言うと、気づいたところからできる。気づいたところからできるということは、一見何事もなきがごとく見えるというのは、差別に対する不感症になっておる者から見れば何事もないのです。差別を見抜く力のある者から見れば、それは差別だとわかるのです。そうすると、残念ながら、事業というものは、被差別部落民の市民的権利感覚が高まるに従ってふえるのです。それが政府にはわかっていない。  私は、総務庁の大臣とか官僚と、わずか三十分じゃからどこまで議論できるかわからぬけれども、それはわしはよく言っておこうと思うのですけれども、うちの団体が交渉して言う分には、総務庁はすっぺらこっぺら、へ理屈ばかり言っておるけれども事業がふえるのは、市民的権利感覚が次第に深まっていくに従って、あれもこれもと気がつくのです。一たん、事業を五年前、七年前に定めたものがそのままであっただけで、ずっと事業を組んだだけで、あと残り何ぼというような計算になるということは、これは残念ながら、我が国における近代市民社会の原理である市民的権利感覚が、つまりそこで硬直状態になっておればそうなんです。  したがって、どうしてこれはやるたびに事業がふえるのかなと、私はそれを答えてもらいたかったのだけれども、私の方から答えたような格好になるのですけれども、大臣、ひとつそこを十分頭に入れておいていただいて、やるたびに事業がふえるのは何かむちゃを言いおるのではないか、こう思われたら、事の本質は大いに間違いが生まれてくる、こう思うのですね。立石局長はわかっておるのではないかと思いますから、立石局長、どうですかな、私が言うたことは間違いですかな。
  217. 立石真

    ○立石政府委員 まず、いわゆる残事業についての答弁をいたしたいと思います。  建設省の所管事業につきましては、六十二年度から平成三年度までの間の、つまり地対財特法制定時に予定した事業量といたしましては、四千十七億円を予定したところでございます。それに対しまして、この五年間に三千七百五十一億円の予算の執行額を行ったところでございます。これによりますと、九五%程度の執行が行われた。数字上は行われたところでございますが、平成四年度以降の事業量を昨年の十一月現在で調査いたしましたところ、あと二千四百六十億円は残っているというような調査が行われております。このように事業を進めながら、しかし、かつまた今後の残事業がかなりあるということにつきましては、三つほど原因が挙げられると思っております。  その一つは、実際の同和地区の環境を改善する上で、地元調整とか用地取得が難航いたしまして、事業が当初の計画どおり進捗しなかった、そういうような事業のおくれそのものも中にはございます。  第二点は、用地費とか建築工事費などが上昇して、事業実施段階におきまして計画を見直しする必要ができ、そういうことを全部加えまして全体事業量が増加したケースもございます。  そして、さらに第三点でございますが、先生の御指摘のところにも関係あるかと思いますけれども、地元住民と当該市町村において事業への取り組み、姿勢を調整し、あるいは進展することによりまして、その時点では当初見込んでいなかった新たな事業に着手することが必要になり、行われるようになったというようなこと、三つの点があろうかと思っておるわけでございます。  こういうような三点の理由がございまして、所期の目的でございます一定の期限内に迅速に事業を完成させるということが結果的に達成できなかった、そしてまた、かなりの残事業量を持っているという点があるのはやむを得ないことかと思っております。今後地方公共団体と調整を図りながら、必要な事業の迅速かつ円滑な推進を図ってまいりたいと思っております。
  218. 小森龍邦

    小森分科員 その三つ、細かく分けて言えばそうですけれども、それは靴の上から足の裏をかくような言い方なんで、本当はそういうことがかっちりできないということは、部落問題に対する認識の浅さ、もっと言うならば、要求する側の――要求する側というのは被差別部落民の側ですよ、私の方の側ですよ、これがしっかりとした全体として市民的な権利の感覚というものを持っておれば、ずばっと要求するから、若干の抵抗はあっても、いじくじいじくじするうちにそこは落ちつくのですけれども、市民的権利感覚というものが、我々が掘り起こしつつやっておるわけだから、運動が、そこで掘り起こした分だけがどんどん要求として出てくる。こういう関係になっておるわけですから、立石局長の言われるもう一つ土台の部分に、人間のありよう、権利を要求する人間のありようというものがそこにある。人間社会のことですから、人間というものを抜きにしては考えられませんから、その点はひとつ認識しておいてください。  そこで、もう一つ大きな問題がありますわな。これはおおよそ六千部落と言われておるが、五千数百だろうと思うけれども、今地域指定を受けておるのは六千六百余りですね。そうすると、どうも千ぐらいは残っておる、こういうことになるのです。それで、二十一世紀までに解決をしようとか、これは憲法上の問題だとか、美辞麗句を言うのは簡単ですけれども、これ、残っておって、解決つくと思いますか。これ、ちょっと大臣、聞かせてください。
  219. 立石真

    ○立石政府委員 これまで事業の対象とするべく同和地区として指定された地区は先生のおっしゃるような数値かと存じますが、これらの地域について事業を進め、いわれなき差別等をなくしていくことは、最も基本的な課題であり、建設省もまたその一環を担って進めていかなければならないものと思っているところでございます。しかしながら、これらの地区に漏れている、いわゆる未指定地区の問題があろうかと思います。先生の御指摘、その辺がと思うわけでございます。  このいわゆる未指定地区につきましては、地域改善対策が行われていない等で、例えば住環境上の問題があるとか{そういうことも指摘があろうかということを承知しているわけでございます。が、建設省といたしましては、地域の環境改善を図っていく、そういうことを基本に据えながら事業を進めていきたいと考えておりますので、例えば未指定地区に係る住環境の改善につきましても、事業の要望があった場合には、具体的なそれぞれのケースに応じまして、また、地域の実態に即しまして、的確に事業制度、いろいろな制度を活用しながら、かつ、優先的に採択する等によって、実質的に環境改善を進めるべく事業の進捗を図ってまいりたいと思います。
  220. 小森龍邦

    小森分科員 もう少し総務庁というお役所がしっかりしておれば、立石局長のようにあずったあずったような答弁をしてもらわなくてもよいのだけれども、しかし、それは建設省サイドではまことに誠意のある答弁だと私は受けとめさせていただきます。  そこで、何をどうするかという問題ではなくて、私は大臣に総論的に聞いておきたいのは、これは閣僚の発言だから総論的に聞いておきたいということは、国が将来やはりそこらを真剣に考える芽として私は大事にしたいと思うのでありますが、この六千部落三百万と言われたのが四千数百しか指定されなくて甘いろいろ事情があるのですよ、指定に乗ってこないというのはいろいろ事情がある。それは運動の取り組みの弱さもありますけれども、運動というものは政府から金をもらってやっておるわけじゃないんで、これはボランティアですからね、手の届かぬところも出てきますわね。そんなことがあって、いろいろあるが、やはり六千部落だと言うんなら六千部落に対して政府はさまざまなことをやらなきゃこの問題は解決つかない。理論上の問題として建設大臣はどう思われるか、お答えいただきたいと思います。
  221. 山崎拓

    山崎国務大臣 指定地区はもちろんでございますが、未指定地区に関しましても、その環境整備に関しまして建設行政の立場から積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
  222. 小森龍邦

    小森分科員 終わります。ありがとうございました。
  223. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。  次に、吉一岡賢治君。
  224. 吉岡賢治

    吉岡分科員 国土庁なりあるいは建設省なり、国土の保全、そしてまた災害に強い国づくり、地域づくり、こういうことで日夜御奮闘いただいておることに心から敬意を表したいと思います。ただ、そういう中にありまして、やはり災害に弱い地域がまだまだたくさん残っている、こういう現状をお訴えしながら、ぜひ深い御理解を賜り、皆さん方の御検討を煩わしたい、こう思っておるところでございます。  それは、兵庫県の円山川、これは一級河川でございますけれども、この治水計画についてお尋ねをしたいと思うのでございます。  御案内のとおり、一九九〇年、秋雨前線並びに十九号台風、これが日本の国土に大きなつめ跡を残してまいりました。とりわけ私どもの選挙区にあります但馬地域というのは非常に災害に弱かったということでございましょうが、総額にして四百億、過疎地にしては非常に大きい災害をこうむったところでございます。したがって、緊急の対応というのが求められる、こう思っておるところでございます。  ちなみに、今回の台風の中で特徴的に起こったことを申し上げてみたいと思います。  まず一つは、円山川の水位の急上昇というものが起こったんです。建設省の方で測定地点よく御存じだろうと思いますが、豊岡市の立野、ここでの外水位、これが二時間で三メートル上がるという現象を起こしたわけであります。かつては二メートル上がるということであれば五時間ぐらいかかった。これが短縮されているという現状である。最高水位七メートル十三センチまで上がったわけですが、危険水位を突破してしまった、こういうことになっているわけでございます。  そのことによって何が起こったか。河口都市でございますから、台風時にはいわゆる天井川になっているわけでございます。内水が湛水していくという現状の中で、いわゆる市民活動に大きな支障を来した。排水ポンプもごみがたまったりとか、あるいは危険だからということで途中とまったようでありますが、とにもかくにも四日間湛水したわけでございます。  そして市民の皆さん方のいわゆる生活財産と言われるもの、ガステーブルだとかふろ、そして洗濯機、いろいろございますが、畳ももちろんでございますが、そういうものがたくさんついていく。しかし水がずっと引いてしまえば、これがどうという被害の実情が訴えられないというようなことで、市民生活に大きな影響を来しております。また、そこには六万川という川があるわけでございますが、その流域に平野が開けておりまして、そこで農作物が四日間つかる。こういうことの中で転作をなさっておられました豆の被害、こういうことを考えていきますと大変なものになるわけでございます。  そういう被害をこうむった中で、一体何で今申し上げますように二時間で三メートル水位が上がるということが起こったのか、これを考えてみますと、一つにはやはり森林だと思いますね。私はずっと十五日間にわたりましてこの被害地を歩いたわけですが、要するに植林をしたところ、それが大きく崩れ、土砂の流出を起こしているという現状を見て、山に保水力がなくなっているのではないかということが一?言えると思います。二つは、何といっても減反であります。三割減反ということの中で、御案内のとおり但馬地域でいえば、山すその田んぼからどんどん放置していくといいますか転作をしないという現状が起こっておるわけです。そういうことによってやはり保水能力がなくなっているという現状があるのではないか。  それから三つ目は、一級河川でございますけれども、その地域というのは限定をされております。上流については県費支弁河川ということになるわけで、県の方は比較的小さい川を順次整備していく、こういうことになりますと、勢い三面張りになってみたりとかということで整備されていくわけです。そういうことで下流に対して非常にスピードの速い流れになっていき、そして今申し上げるような異常な水位の上昇というのを来していく、こういうことが原因ではなかろうかと思います。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、上流の整備あるいはそういう条件がある、それに沿った形での下流における河川整備あるいは治水事業というのがいわばバランスよく進んでいかなきゃならぬというように思っておりますが、それが崩れているというふうに指摘してもやむを得ないのではないかと思っておるところです。そこで、この円山川の治水計画について建設省としてどのようにお考えになり、そしてどのように実施されようとしておるのか、明確にお答えいただきたいと思うのであります。
  225. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 円山川は兵庫県北部を流れる一級河川でございますが、大正九年に直轄事業として改修事業に着手し、その整備を進めてきたところでございます。現在はその計画高水流量を五千四百トンとして定めておりますが、まだその整備水準は低いために、戦後に起こりました洪水の中の最大のもの、円山川では伊勢湾台風時に発生しました四千五百トンというのが最も大きな、洪水でございますので、これを当面の対象として早期にその安全度を確保すべく金川にわたって整備を進める努力をしておるところでございます。  その意味でいいますと、まず一つは、下流部におきましては河道掘削、中止流部におきましては堤防の低いところがございますので、その堤防高を計画高水位プラス〇・五メーターの堤防の早期完成を目指し鋭意事業を推進しているところでございます。  おっしゃるとおり平成二年の、九月の出水では、この堤防の未整備な箇所から堤防を越えるような越水が生じる寸前まで行っておりまして、日撫、今森、加陽地区等で土のう積みによりかろうじて堤防越水に対応したわけでございます。それにもかかわらず円山川沿川流域においては二千九百ヘクタール、千八百世帯の浸水被害が発生したわけでございます。中流部におきまして本川堤防は現在計画高水位程度の低い堤防となっておりまして、水位上昇に伴い破堤につながる重大な災害が懸念されますので、それを防止するため、平成二年九月出水時の越水危険区間の箇所の堤防かさ上げ、堤体の裏腹づけ、堤防を厚くして補強するわけでございますが、そういう強化を図っているところでございます。  また、六万川の問題もございましたが、この上流の方におきまして、その支川である出石川の水を直接に排除するための小野川放水路を現在鋭意促進しているところでございます。  全般的に見ますと、直轄河川、全国的にまだ整備率、極めて低い状況でございまして、戦後最大の洪水、いわば三十年から四十年に一遍程度生じる洪水あるいは戦後に起こった洪水等を早期に、何とか再度災害防止の水準まで持っていこうとするのが現在の治水事業の基本的な方針となっておりますのを申し添えさせていただきます。
  226. 吉岡賢治

    吉岡分科員 ぜひひとつ推進方をお願いしたいというふうに思うわけでございますが、ひとつ、いわゆる六万川を中心とした内水対策についてお尋ねをしたいと思います。  内水対策といいましても、天井川のことですからなかなか難しい。そういうことで、建設省の方ではもう六万樋門というものをつくっていただきまして、その地域の住民の皆さんは、やがて排水ポンプの大型がつくであろう、このように期待をしているのであります。先ほどおっしゃいましたポンプの件については、小野川ショートカット完成の暁に、こういうことでございますけれども、いわゆる流域面積もわかっておる、どれくらいの降雨量があればどうなるかということは皆さん方は十分おわかりだというように思っているわけでございます。  その内水の問題では、先ほど言いますように、豊岡市というところの全体の社会活動に大きな支障を来しているわけです。やむを得ない、水がつくというところ、被差別部落もあるわけでございますけれども、そこは特にひどいのですが、そういう状況の中で、要するに交通の遮断も起こり、そして、ついた水が二日で済むのか四日で済むのかということでは随分違うわけであります。したがって、早期にポンプの問題に着手していただきたい、こう思っておるところでございます。  御案内のとおり、小野川ショートカットがということで建設省の方はおっしゃいますけれども、その様子を見てというような状況ではもうない。子供が道路からはみ出して、はまって亡くなったということもあるわけであります。そういうような状況を考えていただくなら、全体の排水能力、四十六年ごろだったと思いますが、私が聞いたのでは、九十トンを計画しているというふうに聞いているわけであります、排水ポンプの容量。しかし、それがどうなるのかということもございますが、その辺、計画をどのようになさっておられるのか、ぜひ聞かしていただきたい。住民の皆さん方の声というのは、一日も早い着工をということになっておりますので、お願いをしたいと思います。それが二つ目です。  三つ目に、同じく台風時期になりますと、河口一面のごみ、しかもこの河口は国立公園になっているわけでございます。そして海水浴場もある。全国的にこういう問題はあるんだと思うのですが、河口ごみについてどのように処していくのか、自治体の責任だということでいいのかどうか、このことも含めて御見解を賜りたいと思います。
  227. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、六万川の治水計画に関してでございますが、ちょっと先ほど私、説明でうっかり間違えていたと思いますので修正させていただきますが、小野川放水路は、六万川の上流の山地流域の流水を直接出石川に排出する事業でございます。もし間違えていましたら訂正させていただきます。  まず、そういう観点で、上流で小野川放水路事業を実施することによりまして、六万川への流出する洪水をまず上流でカットしようということでございます。また、本川から六万川流域への越水はんらんを防ぐために、先ほど申し上げましたが、本川における、現在堤防の低いものを鋭意計画の高さになるまで築堤、かさ上げ、腹づけ等を実施しているところでございます。  それから、皆さんどうしても堤防に守られている地域でございますから、堤防の背後に内水が湛水するということで、早期にこの排水ポンプを設置してほしいという御要望があるわけでございます。こういう問題につきましては、現在ここでは二つポンプが既に設置されておりまして、一つは兵庫県土木部で管理しておりまして、昭和三十三年に設置されました十八トンの能力を持つポンプがございますし、また一方、農林部で所管しております三・四五トンの能力を持ったポンプが設置されております。既に合流部には六万川水門が設置されておりますので、そういう意味でいえば、早期にポンプの増設というお話であると思いますが、限られた財源の中で早期に治水効果を着実に上げていくという意味では、一つ一つのプロジェクトを重点投資して、順次その能力をプルに発揮させるというのが最も効率的な事業であるという観点から、現在上流における小野川放水路に全力投球しておるわけでございまして、これらの見通しにあわせまして下流部の内水排除についても今後努力してまいりたいと考えております。  それから、河口のごみの問題でございますが、河川内にたまったごみについては、従来からも、河川管理者が河川の維持管理業務の一環としてそのごみ対策に当たってきたわけでございます。また、流域住民の御理解もいただきながら、河川環境あるいは川に親しんでいただくというような観点から、ボランティア活動や啓蒙活動の一環の中でもこのごみ除去を図っていただいておるわけでございます。  先年の出水では、河川のみならず流域におけるごみが河川に流出して、河口部でいろいろたまって問題があったという御質問でございますが、私ども関係自治体や皆様との御協力を得ながら、この問題にも努力してまいりたいと考えております。
  228. 吉岡賢治

    吉岡分科員 ポンプの早期設置の問題ですけれども、今おっしゃっているのは、小野川のショートカットを見てやりたい、現状兵庫県の設置しているポンプの稼働を十分に進めていきたいというようなことでございますけれども、先ほど言いますように、流域面積決まっておるわけです。予定洪水量どのくらいだかということも、さっき言われましたように出ておるわけです。それに耐え得る河川ということになれば、内水がどのくらい出てくるのかということもまた逆にわかっていますね。おたくがおっしゃっているのは理解しますよ。理解しますけれども、今問題なのは、そういうことはかり十数年間聞かされてきて、現実には樋門をつけたまま、そしてポンプが増設をされないという現状の中で、被災住民が毎年のように、ちょっとしたら出てくるんですからね、低いですから。毎年のようにつかっているわけです。そういう状況をどのように脱却するのかということになれば、排水ポンプをつける以外にない。それでは、待っておれ待っておれとおっしゃるけれども、いつまで待っておればいいのですか、お聞きしたいのです。  それからもう一つは、それを脱却するというのは何も、例えば九十トンというのだったら九十トンという設計をされたらいいのですが、一基や二基は事前につけたって、むしろそういうことで住民の皆さん方の、四日間つかっているものが三日間、二日間ということで短縮していくことでその地域全体の社会活動が物すごく変わってくるのですね。そういうことを考えていただくなら、早い着手をしていただく、そして全体に何基つくのかわかりませんが、一基や二基はきちんとつけていただくという方向で御検討いただけないのか、そういうことが今非常に喫緊の課題ということになっているわけで、御理解をいただきたいと思うのですが、もう一度その点についてお願いしたいと思います。
  229. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 大変、地域の浸水被害を経験している皆様からいえば、一日も早くこの災害をなくすためにそれぞれ御要望があろうと思います。私どもへそのお気持ちは十分踏まえて努力してまいりたいと思っております。  私ども考え方は、すぐにはいろいろな意味で御理解していただきにくいかもしれませんが、例えば小野川放水路の竣工が若干おくれてもやむを得ない、けれども下にポンプをつける方が先なのか、こういった選択になろうかと思うのでございます。私どもとしては、この放水路についてもかなり地域の反対運動があった中で、結果、全体の円山川の治水安全度を向上するために皆様から貴重な土地を提供していただき、今鋭意この工事をやっておりますので、早くとにかく完成させ機能を発揮すればたちどころにポンプにも移りたいと思うわけでございます。  したがって、同時並行的に進めていくことによって、結果、治水の機能の発現がある意味では少しおくれるのではないか。目の前でポンプが設置されたことによって住民の皆様に安心していただくという観点もあろうと思います。したがいまして、この問題はいずれがいいかということはもう非常に悩ましい問題ではございますが、私どもは現在は早く放水路を完成させたいと考えております。  この問題については、またとりわけいろいろな観点もあろうと思いますので、地方自治体の首長や町長さん方とも御意見を交換しながら、いずれにしても、国としては全国数多くある浸水区域の解消の観点に立ってそれぞれの地域努力していることを御理解していただきながら、ここの浸水解消にも我々いろいろな制約の中で努力してまいりたいと考える次第でございます。
  230. 吉岡賢治

    吉岡分科員 今のお話で小野川放水路の進捗状況とポンプの状況とが相身互いみたいなことをおっしゃいますけれども、小野川ショートカットを推進していただくということがもう先決だということは百も承知いたしております。  それだけに、小野川ショートカットが進めばまた下流は水がふえるわけですね。おわかりいただけますか。そうしましたら、排水ポンプで排水するということが限られてくるわけですから、それで小野川ショートカットがすべてだというように思いませんから、問題は、今申し上げるように、バランスをとって、小野川ショートカットはもちろん進めていただくわけですが、下流部分について早い着手を、こう言っているのです。理解できる、できない、よく理解していますよ。しかし皆さんのおっしゃっていることの方が――私が今言っていることについても逆に言ったら十分おわかりのはずですね。そうでしょう。大臣、その辺やはり、よしということで、一つは検討してみようかというようなことで煮詰めていただけませんか。
  231. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 技術的な問題については、先生のお考えも私どもは十分理解しているところでございます。限られた中で、とにかくトータル、流域の治水安全度をどう向上させようかという問題のその過程における手続、手続と言っては申しわけないのですが、どれをどういう段取りにしていったら一番早く治水の安全度が上がるかという問題だろうと思います。  それで、なおつけ加えて申し上げますと、小野川放水路と同時並行で、平成二年九月出水において本川の方であふれそうだったものについては今堤防補強を懸念にやっております。そういうことによって小野川放水路から出てきた水が六万川の方にあふれることのないようにすることはもちろんでございまして、私どもはそういう意味では、何かある事業をやった結果となたかに水害の危険をふやすということはまた避けなきゃいかぬ。そういう観点で、上流から六万川の下流に落ちてくる水をまず横取りしましょう、横取りした水が逆流して越流してこの区域に入る水を防ぐためにも本川の堤防は高く厚くしましょう、そういう観点で、まずこの入ってくる水を少なくしよう、同時に、たまっている水を出そうということももちろん私どもは並行して検討してまいりたいと考えております。そして、これも早期に着手するよう努力してまいりたいと考えております。
  232. 吉岡賢治

    吉岡分科員 早期にという言葉がございましたのでお願いをしたいのですが、小野川ショートカットの完成でありますが、早期にというのはいつでしょうか、最後にお聞きしたいと思います。
  233. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 ちょっと今の時点では、いろいろな問題もございますし、地元の皆様の御協力の問題その他いろいろございますので、いつというその時期を申し上げるのは差し控えさせていただきますが、懸命に努力してまいりたいということを申し上げたいと存じます。
  234. 吉岡賢治

    吉岡分科員 地元の方は何も問題ないのですよ、早いことしてくれということですからね。だから、調査費ぐらい、いつつけるとはっきり言ってくださいよ。それが一つ。  それから、時間がございませんから続いて話をしますが、それ答えてください。今六十二年度の四全総、これで一万四千キロの高規格自動車道計画が行われました。それで、ずっと日本列島を見詰めてみますと、鳥取-舞鶴間が日本海側で切れている、太平洋側では、宮古から先百キロぐらいが切れている。この二カ所が切れていると思うのですね。  考えてみますと、兵庫県は日本海と瀬戸内に挟まれておりますから、南北の高規格自動章道をことし新規に事業を組んでいただいて御努力いただいて感謝しておるわけですが、日本海の東西線ですね、これをやっぱり考えていただかなければならぬだろう、こう思うのです。環日本海という立場から考えてみましても、相手との間、例えばソビエトだとか中国、モンゴル、朝鮮半島、そしてまた国連の中でも豆満江の開発計画、こういうものが構想として上がり、非常に重要視されているという昨今の状況がある。となれば、日本列島の日本海側の方もそれに合わせた流通道路の問題だとか山陰線の問題だとかいろいろあると思うのですが、山陰線も全部鉄橋があるばかりに非常に不便な実態になっているということ等もございますけれども、いずれにしても、そういう意味で、国土軸を変えていくといいますか、そういう発想を持っていなきゃできないことかもわかりませんが、今申し上げますように、鳥取-舞鶴間が切れている現状というのをどのようにお考えになり、もしこの道路計画で見直しということが行われる可能性があるなら、お聞かせいただきたいと思います。
  235. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず調査計画、先ほどの排水事業計画でございますが、既に計画の基本的なところについては地元の皆様にも御説明といいますか公表してございます。現在、それに基づいて基礎的な調査は続けておることを申し述べさせていただきます。
  236. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 現在の一万四千キロ、その前に昭和四十一年に七千六百キロ、このときには、我が国土のいろいろなところから二時間ぐらいでせめて高速道路を使えるようにしよう、こういう計画でした。でも、それはいろいろな意味で、やはり四全総で掲げている地方を主役とする多極分散型の国土ではまずいじゃないかということで一時間で使えるようにしよう、これが一万四千キロの考え方でした。  その際、この丹波、但馬の地域におきましては、北近畿豊岡自動車道、これを入れることによって一応の計画考え方を整理したわけでございまして、そして全国の一万四千キロ、このネットワークができたわけでございますが、やはりもう一つ考えたときに、これだけで全国の多極分散型の国土がうまく形成されるかどうか、こういう今反省をいたしているところでございます。そういう意味で、地域集積効果をさらに発揮させて、地域一つの大きな中心になるようなそういう交流圏をつくるという目で見たときに、もう少し違った目のネットワークをさらに加えることによってこの一万四千キロがもっと効果が発揮できる、こういったような検討をいたしたいということから、平成四年度に、地域高規格幹線道路といったような物の考え方も入れたわけでございます。  今後、こういったようなことを入れながら、先生指摘の丹波、但馬のこの環日本海の地域のネットワークについても検討して、その方向性を何らかの形で打ち出すような努力をしてみたいと思っております。
  237. 吉岡賢治

    吉岡分科員 ポンプの設置の問題は、ひとつ早急に着手いただきますようにお願いをしたいと思います。  高規格自動車道の問題、御検討いただくということで、ぜひこれも早急な計画を立てていただきますように要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  238. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて吉岡賢治君の質疑は終了いたしました。  次に、高木義明君。
  239. 高木義明

    高木分科員 私は、道路整備についてお尋ねをしてまいりたいと思っております。  政府平成四年度道路整備事業は、御案内のとおり、第十次道路整備五カ年許画の最終年度ととらえて、高規格幹線道路からいわゆる地方の市町村道に至る道路網の計画的な整備を基本としておりまして、道路整備特別会計におきましては、事業費ベースで二兆三千六百四十八億円、これは対前年度比にしますと一・〇五倍、こういうことになっております。一方、国費ベースでは二兆九千九百六十七億円、対前年度比でいきますと一・〇四倍、こういうふうになっておるわけです。  我が国の道路整備は、いわゆる昭和二十九年に始まりました第一次道路整備五カ年計画、これから本格化したと言われておりまして、今日までその歴史の中であらゆる困難を乗り越えて着実に整備をされた、これにつきましては、私は大いに評価をするところでございます。しかし、今なおその態勢は十分だとは言えない状況もあるわけであります。  したがって、これは何と申し上げましても、道路財源の確保ということも大きな柱になりますけれども、当面、二十一世紀初頭を目指した展望に立った、先ほどからもお話が出ておりますように、多極分散型国土の形成、そしてまた、地方の時代にふさわしい地方社会の活性化、とりわけ地方定住と交流を促進する道路づくり、こういうことを掲げてさらに積極的な対応をしていかなければならないし、また、してほしい、こういうふうに私は思うわけであります。  そこで、現在の国道整備状況につきまして、この際、どのような状況になっておるんであろうか、その現況につきましてお聞きをしておきたいと思います。
  240. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 お答えいたします。  一般国道は、平成二年四月一日現在で、路線数が四百一路線、現道延長四万四千二百五十三キロでございます。いろいろとこの三十年の間に車もふえてまいりました。昭和三十年ごろは、多分保有台数は九十万台弱ぐらいだったと思います。三百七十万人ほどの免許保有者だったと思います。現在は、六千万人が免許を持ち、およそ六千万台に近い車がございます。そういう中で、地方の方が車社会という形でどんどん変貌し、大都市は鉄道と車との併存、こういうふうな形で進んでまいりました。  そういう中で、一般国道延長は、改良済み延長が四万一千キロ余で改良率八七・四%、それから整備済み、この整備済みといいますのは、せめて国道だけは車がすれ違えるようにしたいということから、最低五・五メートルの車道幅員があって、そして、車が混雑して通れないようではどうにもなりませんので、混雑度一未満の延長、こういうことで改良されて混雑度が一未満の延長、こういうものを整備済み延長といっておりますが、これが現時点で二万五千七百キロ弱、整備率でいいますと五四・八%、しかし、四車化というより質の高いレベルでいいますと、四千六百六十キロでございますから九・九%、こういうことで、欧米諸国と比べたときに一番大きな違いは、この四車化というところが一番大きな違いとなっております。
  241. 高木義明

    高木分科員 確かにおっしゃられるとおりに、欧米先進国との社会資本の比較を見てみましても、私は、そのとおりだと痛感するところはございます。そういう意味で、今後は高規格道路を中心にした国土のネットワークづくり、これはもう大いに推進をされて結構だと思っておりますので、それはそれで、私は、問題は今度は地方の方に移りますけれども、やはり地方にありましては、先ほど申されましたように、幹線鉄道網とかあるいは足の便が非常に不十分なところがございます。したがって、道路整備がそれぞれの都道府県の政治の一つの大きな課題になっておるところがたくさんございます。そういう意味で、国道の追加指定をしてほしい、こういう要望もたくさん出ておる状況にあります。  したがって、今出されておる国道の追加指定、こういった要望については、一体どのように現状はなっておるのか、その点についてお示しをいただきたいと思います。
  242. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先ほど申しましたように、国道の現道延長は四万四手二百五十三キロでございます。これは、昭和五十七年に追加指定五千五百四十八キロをいたしましてこのような形になっております。  その後、四全総という形で国土の利用の考え方が変わってまいりました。その中で、高規格幹線道路網も一万四千キロという形の計画が策定されました。それに伴って、地域活性化のためのいろいろな大きな変貌が国土全体で行われてきております。そういう中で、一般国道へさらに追加してほしいという期待が高まってまいりまして、現在、全国で百八十路線一万二千キロの要望が出ております。
  243. 高木義明

    高木分科員 今私は、改めて考えなければならないのは、こういった国道網の将来構想についてもう一度やはり考えてみる必要があるのではないかと思っております。したがって、今、一般国道五万キロ構想ということでありますけれども、これらを見直すべきではないかな、私はそういう意見を持っておりますが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  244. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 私ども、現在、その国道昇格のための国道網再編成の作業を平成三年度中にやりたいということで、今作業をさせていただいております。そういう中で、一つの目標が、先生おっしゃいました五万キロというものでございますが、これは昭和四十二年の第五次道路整備五カ年計画策定時に提案されたものでございます。  その後、我が国の経済規模、GNPも約三倍、自動車保有台数は五倍ということで、言ってみれば車が完全に生活の足となってまいりました。特に地方の生活では軍に全面的に依存している状態でございます。一方、一般国道幹線道路の約十分の一の延長で、全交通量の三分の一、約三一%を担っておる、こういうことで国道の役割は非常に増大しております。  私ども、こういう多極分散型の国土を形成するために高規格幹線道路網と一体となった国道網が果たしてこれからどういうような形で必要かということは常日ごろ勉強しておったところでございますが、現在道路審議会におきましてもそのような御検討をいただいている最中でございまして、ことしの夏には平成五年度を初年度とする新しい五カ年計画をつくらせていただきたいと思っておりますが、それへ向けて道路審議会におきましてもいろいろな御検討をいただいております。そういう中でこの国道網の規模や質についても検討いただいておりますので、そういう道路審議会の検討の中でこの方向も明確にされるものと考えております。
  245. 高木義明

    高木分科員 国道の追加指定に当たりましては、私の地元の長崎県でも今日五つの線について国に要望をいたしておる状況です。私は今回、この五つの中で厳原、これは対馬でございますが、対馬の厳原豆酘美津島線、この一部を国道昇格、いわゆる追加指定にしてほしい、こういう強い要望があるわけであります。  ここに地図がありますけれども、これが対馬の南部でございます。大体南北百キロぐらいの域圏、になるわけですが、ここの厳原町から比田勝、北の方までは一応国道になっておるのですが、厳原町からこちらの豆酘という、これは第四種漁港でございますが、あそこまでは今主要地方道ということで整備をされておりますが、問題のこの厳原-豆酘間のこの道、ごらんのとおりに非常に曲がりくねっております。今の状況を少し申し上げますと、幅員が大体五メーターから六メーターぐらいであります。そして全長は二十九キロというふうになっております。  ここの町の様子でありますけれども、大体農林水産業がその大部分を占めておりますが、最近では島内外からの観光客というのもふえております。さらにこの沿線は無医村、いわゆる無医部落、病院がないところでありますので、救急車の搬送というのも行われておりまして、非常に曲がりくねって危険性も高い、こういうところでございます。周辺の世帯数は二千五百四十五世帯、人口七千百二十五人、交通量にしましたらこれはもう都会と比較にならないほど非常に簡素なところでございます。いわゆる過疎地でございまして、十二時間二千二百七台、二十四時間ではかってみても二千八百十台、こういう交通量のところではございますけれども、この道路の役割というのは島内はもちろん壱岐対馬国定公園の大きな役割を果たし、島民にとってもこの早期の整備が望まれておるわけです。  そういうことで、離島のこういう道路でございますけれども、ぜひ国の目を向けていただいて、光を差し伸べてほしい、こういう強い要望があっております。私も現地は見ておりますけれども、格段の御配慮をいただきましてこういうところの整備もぜひ推進をしていただきたい、こう思うわけでございますが、この点につきまして御当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  246. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘のこの離島地域国道を入れるというのは実は以前はございませんでした。昭和五十年の追加指定時から離島において一般国道の指定追加を、要件をつくらせていただきました。そして、以後このような形で離島にも国道を指定させていただきました。対馬の全島の全道路を十分に検討いたしました。そして、対馬にもし国道を入れるとすればどういう形で国道網が入り得るかということを十分に検討いたしました。そしてこの場合にやはりフェリーという、道路でございますから交通の連続性がなければなりません、そういうことからこの厳原について、そして北に行くべきか南に行くべきかということも検討いたしました。そして現時点でこのような三百八十二号というものを指定させていただいたという経緯を持っております。そういうことで今現在、対馬やあるいは佐渡島もそうでございますし、壱岐もそうでございますし、平戸、福江等々たくさんの離島に国道が指定されております。  今回御要望の路線の中でこの対馬の南の方にさらに国道網が指定できないかという御要望があるのも私ども承知をいたしております。現在この御要望の路線には、法に定める要件等その他の基準でもって検討いたしているところでございますが、要は離島におきましては、その道路国道であるかあるいは県道であるかということも重要な要素ではございますが、そこが整備されているということが何よりも重要な、その道路の種別、さらにもっと重要なことは整備されるということだと思っております。そういうことで、県当局からもいろいろとそういうお話も聞いております。で、今回そういう意味で、こういう離島の道路整備をどのようにしていくかということもあわせてこの問題に対処させていただきたいと思っております。
  247. 高木義明

    高木分科員 そのような御答弁で、ひとつよろしくお願いを申し上げておきます。  この終点の豆酘の実情なんですが、ここは先ほど漁港と申し上げました。いわゆる対馬の位置するところでございますから、台湾とか韓国、中国、こういったところの漁船がその近くで操業しますしげに過ったときにはこの豆酘の港にほとんどが避難をしてくる、こういう港で有名なところでございます。こういうこともございますし、最近では大型車もふえ、そしてまた離合できずに大変苦労するという状況も出ておりますので、重ねてひとつ特段の御配慮をお願いを申し上げます。  次に、同じ長崎県の長崎市の仮称女神大橋という事業があるわけでありますが、今般この建設をめぐっては長い間国と地元との間で協議が進んでおりました。とりわけ国におきましては建設省、そして港湾道路という観点から運輸省、こういうところの両省の協議がまとまりまして、建設省のイニシアチブで実現に向けて大きく扉が開いた、こういうことに私は受けとめておりまして、地元も非常に喜んでおるわけでございますが、この仮称女神大橋につきまして、その事業概要についてこの際お示しをいただきたいと思っております。
  248. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 女神大橋は、都市計画道路長崎外環状線ということで一般国道二〇二号を連絡し、長崎外環状道路の一部を構成する道路、こういう位置づけでございます。平成三年の十二月に延長約五キロの四章線道路として都市計画決定が行われました。この平成四年の一月に県道長崎南環状線として県道としての認定もなされております。  女神大橋は、主橋梁部の延長が約九百メートル、幅員二十五メートルの長大橋でありまして大規模でございますので、長崎県において学識経験者から成る長崎県橋梁技術検討委員会というものを設置して、現在どのような形の橋梁にするか検討をいたしております。  その検討の内容としては、海洋調査、気象調査、予備設計、詳細設計等、いろいろなものを含めて検討していただいておる最中でございます。
  249. 高木義明

    高木分科員 この事業の今後の取り組みは一体どうなるのかということが大きな注目でございます。運輸省との調整の状況とか、あるいはこの長大橋を整備していく整備手法とか、これらについては一体どのようになるのであろうか、この点についてお伺いしておきます。
  250. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この道路、いわゆる女神大橋は、ちょうどこの長崎都市圏の幹線遺路であると同時に、長崎港における港湾活動の重要な役割も演ずるということから、期待が非常に大きいというふうに理解しております。  そこで、長崎市戸町の県道長崎野母港線から同市木鉢町の県道神の島飽の滝線の約二・四キロにつきまして、橋梁整備事業として平成三年度の新規事業として採択を行わせていただいております。平成三年度は、橋梁部の設計に必要なボーリング調査等の地質調査や潮流、風速調査等の海洋・気象調査道路部の測量を実施しておりまして、平成四年度にいよいよ橋梁の基本設計や一部用地買収も行わせていただこうと予定をいたしております。  いずれにいたしましても、今後とも港湾機能の確保とか、そういう観点からも運輸省とも所要の調整を行いながらこの効果が上げられるようにしていくわけでございますが、事業費がいずれにしても莫大となりますので、有料事業活用も含めた整備手法の検討を行い、一日も早い完成ができるように今後検討をし、さらに推進に努めてまいりたいと思っております。
  251. 高木義明

    高木分科員 少し御確認をしておきますけれども、この事業のいわゆる事業主体は一体どうなるのであろうか。それから、事業費については大体どの程度をお考えなのか。それから、本格着工並びに完成目標というところはどのようになっておるのか、この点についてあわせてお伺いしておきます。
  252. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、事業主体は長崎県でございます。それから、全体事業費は、この道路はいわゆる環状道路でございますから、一般道路部分もございます。そういうものを入れますと約五百億ぐらいかかりそうでございますけれども、橋梁部は大体そのおおよそ半分、このように考えております、  いずれにいたしましても、こういう調査設計等をやり、いろいろな準備をしながら行いますので、橋梁部そのものにいよいよかかるのは平成五年あたりかなと思っておりますが、私ども、一般的にこういうものは十年かかるのが通常でございます。しかし、この長崎港における今後の活性化のキーワードになる事業だとも思っておりますので、いろいろな技術的な工夫だとかいろいろなことを検討して、これが少しでも短縮できるように今後詰めさせたいと思っております。
  253. 高木義明

    高木分科員 そのようによろしくお願いを申し上げます。  次に、橋梁関係でございますが、長崎県は離島が多いところでございまして、少しでも離島の大きな足であるところの離島架橋をかけながら住民の福祉に供するという取り組みを積極的に進めておるわけですが、既に御承知の西彼杵郡の、これは仮称大島大橋ですか、これについて、これまでは離島のときは大体国土庁の方でいろいろ仕事をされておったのですが、既に着工されたということでございまして、今建設省の方でいろいろな御尽力をいただいておりますが、この点について、整備見通しについてお伺いをしておきます。
  254. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この大島大橋は、一般県道大島太田和線の補助事業という形で平成三年度に新規事業採択を行われております。延長約二・八キロでございます。そのうち橋梁延長は約一・一キロでございます。一応事業化いたしました。平成四年度はこの橋梁部の基本設計を進めて、さらに橋にかかるためには、まず取りつけ部ができていなければ橋にかかりにくうございますので、取りつけ部の用地買収等を実施したいと思っております。これも先ほどの女神大橋と同じでございますが、要するに事業費もやはり莫大になりますから、早くつくるために有料事業活用も含めた整備手法の検討を行いながら事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
  255. 高木義明

    高木分科員 次に、高速道路、いわゆる九州横断長崎自動車道の区間延伸問題についてお尋ねします。  この道路につきましては、昨年十二月の三日の国土開発幹線自動車道建設審議会、国幹審ですか、この審議会におきまして、現在の長崎多良見から長崎市内の南部への延伸、具体的には長崎市早坂町から中里町ということになっておりますが、この区間整備計画に格上げされました。そういう意味で、今後長崎市内の方にこの高速道路が入ってくることに大きな見通しが開けたわけでございますが、今後の整備見通し、この際、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  256. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生今御指摘のように、昨年の十二月の三日に長崎多良見から長崎間の十二キロが整備計画が策定されました。現在、道路公団に、その整備計画が策定されましたので、施行命令を出すまでの詳細な調査の指示を出しております。今道路公団道路構造、ルート、詳細な調査をいたしております。この調査が終わり次第、施行命令を出して、いよいよ事業、こういうことになるわけでございますが、一般的には整備計画策定後十年というのがこういうものの一つの目安でございます。  しかし、キーワードは、やはり今言った施行命令を出すまでの調査、これに地元で、本当にこのルートで大丈夫かなという地元の同意、了解をいただくための努力一つあります。  それから、仮にルートが決まって施行命令が出て入ったとしても、中心ぐいを打ち、幅ぐいを打って、また、打たせていただけるかということももう一つありますが、用地を買収する、ここまでが非常に実際に時間がかかるところなんです。この部分が早まるかどうかによって、今言ったおおむね十年というのが非常に変化いたします。いわゆる工事をし、何といいますか、土を盛り、あるいは擁壁をつくる、こういう土木工事の部分というのは比較的技術でコントロールできますが、その前の、住民と一緒になって用地をそこに確保する部分というのがなかなか読みにくい部分でございます。  したがって、長崎におけるこの道路のいつ供用できるかということは、今後地元の方々と御一緒になって汗をかいていただきながら、私ども一緒に汗をかきながらやるところ、こういうふうに理解をいたしております。
  257. 高木義明

    高木分科員 大臣にお尋ねします。  時間も参りましたので、ひとつ決意のほどをお伺いしたいのでありますけれども、私は今回道路行政について取り上げました。言うまでもなく、道路につきましては、これは私たちの先人が大変な御努力でつくり上げてきたわけでございまして、私は、この道路をつくることのとうとさということは大変なものがあろうと思っております。とりわけ、今生活大国等の政策課題が私たちの目の前にあるわけでございますけれども地方整備、恵まれない過疎地あるいは離島、こういったところにおいては、地域活性化を図るためにはいろいろな諸施策が講じられております。町おこし、村おこし、そういうこともありますが、やはりインフラ整備道路整備というのがその大きな柱になるであろうと私は思っております。  したがって、今後道路整備に当たられましては、とりわけ地方優先のお考えを持ちながら取り組んでいただければと思っておりますけれども、大臣の決意をお伺いしておきます。
  258. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま第十次道路整備五カ年計画の最終年度を迎えようといたしておりますが、そして第十一次の道路整備五カ年計画をこれからつくってまいるわけでございます。  ただいま先生からお話がございましたとおり、国土の均衡ある発展あるいは地域活性化、生活大国づくりのための社会資本の充実等々の観点から、第十一次道路整備五カ年計画の所要額と申しますか、それは第十次五十三兆円を大きく上回るものと考えているのでございます。そしてその予算は、ただいま先生が御指摘されましたような見地で国土の発展のために使ってまいりたい、かように考えております。
  259. 高木義明

    高木分科員 これで終わります。ありがとうございました。
  260. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木秀典君。
  261. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 佐々木でございます。ただいまも道路の問題でのお尋ねでございまして、引き続き私も、北海道なものですから北海道の道路の問題でお尋ねをしたい。大変恐縮に存じますけれども局長もお疲れだろうと思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  今もお話がありましたけれども道路というのは本当に大事なものだと思います。特に第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総では、これは一極集中傾向、これを見直さなければならない、日本の国づくりで多極分散型の国土形成を目指すのだということが打ち出されているわけですね。そのためには、どうしても交通体系の整備ということが必要だ、これが特に四全総の中で強調されていると理解をしております。  とりわけ私どもが住んでおります北海道というのは、申し上げるまでもなくもう大変に広大なところでございまして、四国と九州を合わせたぐらいでございますし、よく例え話に出ますけれども一つの村だけで四国全部に当たるとか、あるいは一県に当たるとかいうような例えも出されるぐらい広いところ、そこに住んでいる人は決して多くはございません。まだ六百万人いないわけですけれども、しかしそれだけにすばらしい自然にも恵まれておりますし、さまざまな国土資源もまだある。かつて第一次産業の根幹をなしておりました石炭は、御案内のように大変没落をいたしておりますけれども、しかしまだまだ北海道の資源というのは捨てたものではありませんし、農林水産関係の第一次産業、これも非常に大事なものになっておりまして、日本全体から見た場合、将来的に考えても非常に大事な地域だということは申し上げるまでもないと思っております。  ただ、これも御案内のように、北海道の場合には開発の歴史というのは決して長くはございませんで、まだ開道から百年余でございます。それだけにまた開発の度合いもおくれている、しかしそれだけにまた将来性もある、展望もあるということが言えるのではなかろうかと思います。しかし一方、どうしても開発の面では他に大変立ちおくれていることも事実でありまして、例えば高速自動車道路網の整備、建設なども、こういうこれからの将来を考えた場合には大変緊要な課題だということになっておりますけれども、まだまだ他地域、私どもが内地と言っております地方九州に比べてもおくれているのではないかと思っております。  御案内のように、横路知事も一村一品などの提唱を含め、各地域の町おこし、村おこしに一生懸命力を入れておりまして、そうした知事の努力にこたえて各地域ごとにみんな大変な頑張りを見せております。第一次産業だけではなくして、さらに二次産業あるいは三次産業の面でも頑張っている。そしてまた、一次産業の産品についても付加価値を高めるというようなこともやっております。それだけにまた、そういう各地域との物流あるいは人的な交流あるいは情報の交流、こういうためにもどうしてもこの道路整備というものが要望されているわけですけれども、そこで、今北海道全般の自動車道の整備状況、この現状についてまずお伺いしたいと思います。
  262. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 北海道における高規格幹線道路網につきましては、全体で千八百十六キロございます。これを二つ整備手法で分けております。いわゆる高速自動車国道と言われております国幹道、国土開発幹線自動車道による整備でもって千三百六十六キロ、それからいわゆる一般国道の自動車専用道がその残りでございます。こういう二つの方法でやっておりますのは、やはり北海道が、先生も先ほど御指摘なさいましたけれども人口が少ない、そして平野が多いということから、単に普通の整備手法でやりますと採算がとれないがゆえになかなか整備ができないということもございますので、いろいろな整備手法を組み合わせながらつくっていかなければならない手法として、特に北海道が我が国でも顕著な地域であろうかと思っております。  そういう意味で、二つ整備手法を特に組み合わせた代表例だと思いますが、そのうちいわゆる国幹道につきましては、昨年の十二月の三日のいわゆる国幹審におきまして、北海道横断自動車道の倶知安から小樽市間など四区間の九十四キロが基本計画、及び北海道縦貫自動車道の士別市から名寄市間二十三キロ、北海道横断自動車道の阿寒から釧路市間の十七キロ、訓子府町から北見市間の十三キロ等、三区間の五十三キロの整備計画が策定されております。このような経緯を経ました現在、九百六十八キロ、全体の七割に当たるものが基本計画、そして七百八十六キロ、全体の六割に当たるものが整備計画ということになっておりまして、また二百七十キロに相当するもの、これが全体の約二割でございますが、供用している、こういうのが現状でございます。  さらに、現在事業中の区間二百十キロにつきましては、平成四年度に北海道縦貫自動車道の伊達インターから室蘭インターの十三キロ、北海道横断自動車道の札幌ジャンクションから札幌西インターチェンジ間の十五キロの供用予定しております。そういたしますと、この結果道路五カ年計画期間内では百九キロが供用されるということでございまして、残る区間につきましても私ども一生懸命、今道路公団、そして一般国道自動車専用道路につきましては北海道開発局が中心になって事業の展開を図っているところでございます。
  263. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 概況としてはそういうことのようですけれども、それを入れるともっとふえるのかもしれませんけれども、私の聞いておりますところ、いわゆる国幹道のこれは供用率ですけれども、全国水準では四二・三%ぐらい、北海道の場合には今供用率が一九・一%ぐらいというように聞いておるのですけれども、大体率的にはこんなものでしょうか。
  264. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 いわゆる国幹道という意味で申し上げますと、北海道は供用が現在一九・八%ということになっております。ただ、私どもはこの国幹道だけではなくて、高規格幹線道路という、事実上同じものでもって見ておりますので、そういう目で見ますと二百七十キロございますので、変わりませんから、それは現在一五%というのが全体の姿に相なります。
  265. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 そうすると、国幹道に今高規格道路などを加えると三五%弱ぐらいですか。
  266. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 国幹道という、一万一千五百二十キロというのが全国の総数でございますが、それに対して二百七十キロ、その中で、全国では五千四十四キロだったと思いますが、北海道における国幹道の計画延長を分母にいたしまして北海道の二百七十キロを考えますと一九・八%です。先ほどの一五%と言ったのは、これも入れて、国幹道も含めて、それに一般国道自動車専用道路も足したのを分母といたしますと、結局一般国道自動車専用道路というのは供用しているのがございませんから一五%に落ちてしまう、そういうことです。一万四千キロベースの世の中では一五%になってしまう、こういうことでございます。
  267. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 ということで、これは全国的な率から見ると、何にしても北海道の場合にはまだまだ水準以下だということになるのだろうと思います。これはもちろんいろいろな事情があることはわかっております。しかし、先ほど来申し上げましたように、何かにつけて北海道というのはどうも最後になってしまうというか、後回しになってしまう。これは新幹線もそうですし、いろいろな点でそういうような、ひがみもないではないのですけれども、どうもそんなような思いがございまして、それだけに、何とか北海道の地域振興のために道路をという要望が、各地域から非常に多いということをひとつ御理解を賜りたいと思うわけです。  とりわけ、私は北海道で第二の都市と言われている旭川市ですけれども、この旭川の場合には、おかげさまで平成二年十月三十日に深川から鷹栖間、国幹道二十七・二キロが暫定二車線ですけれども一応供用開始になりまして、これは北の方につながるものとして大変皆さんに喜ばれておる。ただ、構造的な問題がありますので、時間がありましたらこれまた後に申し上げますが、しかしそれ以北、つまり旭川以北、いわゆる道北圏内、道北圏域、こちらになりますとやはり非常にまた一段と道路整備がおくれている状況にございます。  ただいまのところは、旭川以北稚内までということになりますと一般国道の四十号線、これが唯一の幹線道路でございます。何分にも、旭川-稚内間も距離がございまして、恐らく百五十キロ余になるんではなかろうかと思います。私どもが旭川から稚内へ参りますのも、電車を利用しても片道四時間、それからまた自動車の場合でも、この国道四十号線で参りまして片道四時間。これがまた冬の時期、吹雪なんかになりますと、また川のほとりも通るという道もありますので、災害の問題なんかも心配なわけですけれども、五時間ぐらい冬の場合にはかかってしまうというようなこともあり、この国道整備の問題も要望されておりますけれども、同時に、やはりこの旭川まで来ておる国幹道を何とか北の方に延ばしてもらいたい、それによって北海道の縦貫道路の体制をとにかく進めてもらいたいんだという要望が非常に強いのです。  特に稚内の場合には、御案内のように、日本では最北端の地域でございまして、サハリンとの交流というのが非常に今見直されてきております。ソビエトがああいう体制になりましたけれどもロシアの領地でありますサハリン、これはもう戦前から切っても切れないわけでございまして、いろいろな歴史的な不幸な経過もありますが、将来の北海道あるいは日本を考える場合に、このサハリンと北海道、特にそういう意味では稚内の位置づけというのは非常に大事なものになってくるだけに、この北海道縦貫道というのは非常に大事になってくるのではなかろうかと思っているわけです。  そこで、先ほどちょっと旭川以北の区域のお話も出ましたけれども、旭川鷹栖以北、これの一つは縦貫道あるいはまた国道整備計画など現状どうなっているか、それからまた、見通しどうなのか、できましたら区間ごとにお示しをいただけるとありがたいと思っております。
  268. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 旭川鷹栖から士別間、これが四十五キロございます。これにつきましては、現在道路公団において整備計画が出ておりますので、調査をしている最中でございます。調査の内容は、雪氷対策であるとか地すべり、長大構造物の検討など、技術的検討をする要素が多いようでございますが、今一生懸命調査をしております。さらに、この士別から先名寄間、これが先般の国幹審において新たに整備計画が出ました。これもそういう意味で新たな整備計画でございますので、今道路公団において調査を始めております。こういうのを合わせますと、全体の延長が七百キロでございますから、名寄まで加えますと合計で四百七十七キロになりますから、おおよそ七割が整備計画が策定された、こういうことになります。  問題は名寄から以北、こういうことでございますが、私ども、実はこの名寄から以北の予定路線区間が一番頭の痛いところでございます。これをどういうふうな形で整備をしていくか、今後北海道の関係機関と相談をしながらやってまいりますが、先ほど言いました一般国道自動車専用道路といったような発想も入れながら、非常に採算性は悪いけれども先生がおっしゃったように稚内という非常に重要な拠点、これへの交通アクセスをどのように早くつくっていくか、これをかねてから議論はしておりますけれども、一層そういう検討を強めてまいりたいと思っております。
  269. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 稚内の場合にはもう一つ、サハリンとの関係もございますけれども、離島がございまして、御承知のように礼文島、利尻島という二つの島がございまして、ここは海産物の大変重要な基地になっております。特に利尻昆布なんというのはもう御承知のとおりでございますけれども、ここにはまた観光客が大変に多くなっておりまして、稚内から利尻島には飛行機も出ておるのですけれども、冬は無理なわけです。もう大変たくさんの方々が来ております。そういう意味でも稚内、大変重要なものですから、これをとにかく早く進めてもらいたい。そして、その途中途中にある名寄市にしても士別市にしても、やはり旭川-士別-名寄そして稚内、こういう縦貫体制ができることを待ち望んでおりまして、これができれば物流、人的交流の面でも、そしてまた、みんな地域おこし一生懸命やっているものですから、そういう地域活性化、振興のためにもきっと役に立つだろう、心待ちをしているということをぜひ御考慮をいただきたいと思います。  ただ、今もお話しのように、名寄-稚内閣がまだ現在予定路線なんですね。なかなか見えない。しかし、そこを見させるためにも、もう既に整備計画の中へ入っている区間、旭川鷹栖と和寒、これがなかなかにやはり進んでこない、調査中だというお話ですけれども、何とかこれを早めてもらいたいという要望が非常に今強いのです、順序立ててやっていくものですから。これを何とかひとつまた御考慮をいただきたい、特段のお願いをしたいと思っております。  それから、時間が大分迫ってまいりましたので、さっき高規格道路、これも進めておるというお話でございます。これも大変御努力をいただきまして、北海道開発庁なんかも御努力をいただきまして、一つは、高規格道路では旭川と紋別、それから深川と留萌ですね。留萌という町もまた日本海側の大変重要な位置づけを持っている市なんですね。立派な港湾も持っておりますし、これもまたかつてはサハリンとの関係での交流なんかも非常にあったところです。それからまたその以前には、この留萌港というのは内地との交流にも大変役立ったところでして、これらの高規格道路整備をされますと縦貫道路とのつながりも、特に深川-留萌間の場合には既にできております国幹道と結びついてくるものですから、これも早く進めてもらえないだろうかということなわけですが、深川-沼田間ではもう既に建設が着工されておりますけれどもこれの促進方、そしてまた沼田幌糖道路がまだなんじゃないかと思いますけれども着工の見通しなど。それからまた旭川―紋別間につきましては、平成三年九月二十六日にいわゆる上北トンネル工事の着工が始まりまして、これもなかなか難工事だと思いますけれども、それぞれについてのお見通しなどについてお尋ねをしたいと思います。
  270. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、深川・留萌自動車道でございますが、御承知のように、深川沼田道路二十キロについては平成元年度に着手して三年度から一部用地買収に入っております。平成四年度に新たに沼田幌糖道路約十六キロでございますが、これを新規事業化すべく現在の予算で御要求を申し上げているところでございます。これからこの留萌市幌糖から先をどうするか、これが今後の大きな問題でございますが、まずここまででも、せめて少しでもつくっていこうと思っております。その先は今現在調査をしている、こういうことでございます。  もう一つ、旭川・紋別自動車道でございますが、これも先生承知のように旭川愛別から愛別上川、いずれも事業化を平成元年、平成三年にさせていただいて、合計二十七キロが事業化をいたしております。今回、この上川郡上川町から同じ上川町の間でございますが、十八キロの区間基本計画を策定していただいております。さらに、上川町から紋別郡白滝村の白滝インターチェンジの区間十九キロでございますが、これは平成元年に整備計画を出しまして、現在事業を実施している最中でございます。  こういうことで、これも紋別空港という大きな拠点がございますので、地域からの御要望も多々私どもお聞きしております。こういうものに対してどのようにこれから、やはりここも採算性その他いろいろと難しい問題が多々ございますので、それに要する財源の確保とあわせて整備手法等、いずれにいたしましても、北海道の場合には整備にかかる投資と、それを有料道路事業とした場合に採算から見て非常に厳しいということから、その整備手法について他にないいろいろな検討をしながらこれに臨みたいと思っておりまして、北海道開発局あるいは開発庁とも今後一層詰めながら、北海道のこういう特に要望の高いものに対応させていただきたいと思っております。
  271. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 時間が大分参りましたので、大臣の御意見もちょうだいしたいと思うのですけれども、今採算性というお話が何回か出てまいりました。確かに採算ということを考えると、北海道の地域というのは諸事なかなか合わないところではないかと思っております。鉄道にいたしましても電気通信事業にいたしましても、それから郵便関係にいたしましても、これは採算性ということになると極めて難しいということがあるのは承知をいたしております。ですから、鉄道については国営から今度は民営になりましたけれども、JR北海道もなかなかに苦労しております。労使頑張っておりまして、何とか上向きにということで企業努力をしておりますけれども、しかし採算性という点から見ると、内地の方から見ると事ごとに合わないということになると思うのですね。  だから、国幹道にいたしましても、採算性の点が基準になってということになりますと、これはつくづてもやはりまたまた採算性に合わないということでおくらされるなどということになっては、それこそ四全総の目標とするところと離れてしまうのではないかという心配がある。そしてまた、そういうところにこそ私たち政治家は、光の当たらない地域に政治の光を当てていかなければならないということをよく言うわけですけれども、そういう採算性の合わないところであればこそ、しかし全く将来性がないというのではこれはどうにもならないけれども、将来性のあるところの将来性を生かすような国費の使い方をしてもらわなければいけないのではないか、こう考えておるわけですね。  そういう点で、先ほども大臣、道路建設についてのお話がありましたけれども国土の調和のとれた発展のために道路の位置づけ、そしてそれに対する国としての力の入れ方などについていお考えの趣がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  272. 山崎拓

    山崎国務大臣 国土の均衡ある発展、地域活性化のためには、高速道路網の整備は必要不可欠のものだと考えております。一方におきまして、道路公団を第二の国鉄化してはならないという世論も根強く存在するところでございまして、その見地から道路審議会にも、いかなる方策をもって対処するかという点を諮問をいたしておるところでございます。その答申を待ちまして、適切に今後対応してまいりたいと考えております。
  273. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 ちょっとまだ時間があるようですから、最後になりますか、局長にもう一つお尋ねをしておきたいと思います。  建設省にしても、それからまた北海道の場合には北海道開発庁あるいは開発局、それからいざ工事ということになると道路公団、それぞれにそれぞれのお立場から御努力なさると思いますけれども、同時に、道路整備することが、あるいは新しい道路をつくることがその地域のためにどういうような利益をもたらすのかということについても、地域の実情をお調べになり、あるいは地域の意見を聞き、調整しという御努力はなさっていると思いますけれども、例えば国幹道なんかの場合、北海道の場合には砂川のインターについて公園化するというような試みがなされているようにも聞いているのですけれども、これは地元の意向も十分に聞いていただいて、地元の活性化、振興につながるような御努力をしていただきたいと思いますし、現にやっていると思いますけれども、そうした実績といいますか、ありましたら簡単に、こんな例があるよということをお答えいただければと思います。
  274. 小林芳夫

    ○小林参考人 ただいま先生からお話のありました砂川のハイウェイ・オアシスと私ども呼んでおりますが、サービスエリアの外に「子どもの国」というのがございまして、そこに行かれる方がサービスエリアから直接行かれるようにというような施設をつくらせていただきまして、先般オープンさせていただきました。非常に好評でございまして、近郊の都市から子供連れというような方にたくさんお見えいただきまして、私ども計画してつくった者として非常にうれしく思っております。  高速道路をただつくるだけではなくて、そういったインター周辺の開発ですとか地域にマッチした高速道路になるように、私どもも私たちの立場で建設省等の御指導を得ながら進めてまいりたい、こんなふうに思っております。
  275. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 今先生からいろいろな利用者の声を聞いているかということでございますが、道路利用者があってのものでございますし、地域があってのもので、道路自体は何ら意味がないわけでございます。そういう意味で、今後とも私どもが気がつない点があったらどんどん御指摘をいただきたいと思いますが、利用者地域の方々の御意見をどんどんお伺いしながら、それを一言でちょっとソフトな言い方をいたしますと人に優しい道づくり、こういう言い方をしておりますが、そういう視点で対応してまいりたいと思います。  そういう意味で、実は採算性ということも先ほど申しましたが、これは逃れられない壁でございます。しかし壁は、いろいろな方々のお知恵と制度と財源、こういうものの組み合わせで乗り越えなければ、先生指摘の日の当たらない、可能性はあるけれどもなかなか普通の効率性だけでは手の出せない地域開発はできないわけでございますから、そういうものにも我々は積極的に対応させていただきたいと思っております。
  276. 佐々木秀典

    ○佐々木分科員 時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。  実は、さっきちょっと触れましたけれども、せっかくおつくりいただいた深川-旭川鷹栖間のハイウエーが深川から暫定二車線、まあ暫定とついておりますから、いずれはまた幅員を広げていただけるんだろうとは思っておりますけれども、何といってもまずつくろうというような地元の要望もあったせいだと思いますが、つくっていただいたけれども、非常にカーブが多かったり、それから分離帯のつくり方がちょっと問題があったりとか、それから冬の走行状況が困難だというようなことがあったりして、いろいろな苦情が出ております。幸いしかし、できて当初事故があったのですけれども、最近はお互いに注意をし合うとか、あるいは公団側もいろいろ気を使っていただくということで事故は避けられてはいるようですけれども、いずれはこの辺についてもやはり見直ししていただかなきゃならないかな。しかし何よりもまず、せっかくここまでできたのだから、この先北へ延ばしていただきたいというのが何よりの熱望でございますので、ひとつ十分この辺を御配慮いただきたいと思います。  御丁寧にお答えいただきましてありがとうございました。終わります。
  277. 筒井信隆

    筒井主査代理 これにて佐々木秀典君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。     〔筒井主査代理退席、金子(原)主査代理     着席〕
  278. 寺前巖

    寺前分科員 きょうは、今京都で歴史的土地が、これは景観の面から都市計画のあり方としてこれでいいのかなということが、京都市内のみならず全国的にも世界的にも注目をされていますので、その件について幾つかの問題をお聞きしたいというふうに思います。  まず最初に、よく新聞にテレビに出てくるのは、京都の市役所の隣にある京都ホテルの改築をめぐっての問題が一つ出てきます。それからもう一つは、新幹線で京都にお着きになるあの京都駅の高さの改築問題が話題になっています。それは一体何が話題になっているのか。  京都の美観を、歴史的な土地を守るという上において、今日まで東山の眺望と東出ろくの町並みを守るために、鴨東美観地区という地域がつくられている。それから、鴨川とその周辺を保全するために鴨川風致地区というのがつくられている。それを見渡すすぐ隣のところ、そこでは今四十五メートルの高さ制限と容積率七〇〇%という措置でもって、京都の山に囲まれたあの京都の町が夏になれば五山を見ることができる、そういう京都の風情を残す役割をしているわけです。そこに、京都ホテルというのは従来三十一メートルでつくられていたわけだけれども、今度それを総合設計制度ということで、これは高さ六十メートル、容積率八一五%という巨大なホテル、ホテルというより巨大な壁をそこへどーんとつくってしまうものだから、待てよ、これは一体どういうことになるんだろう、京都ホテルにとどまらず、これからの京都のあり方として、果たしてこれで五山を見るあの夏の京都の風情が残っていくんだろうか、こういう心配が京都ホテル問題をめぐって出てきたわけです。  それから、京都駅の方にはいろいろな意味を持ってきます。そこには、東京から伊勢丹が入ってくる。それとの競争だということで今、十数%という京都のこういう業者の床面積が急速に二十何%に上がる計画、すなわち増床計画というのが、大丸だ高島屋だ近鉄だとか、こういろいろだあっと広がってくるという問題もあります。  しかし同時に、この古都、歴史的町京都のちょうど南の入り口が京都駅になりますから、そこには現在、そのすぐ北側に本願寺さんが東西あるわけですね。そこには、東西本願寺美観地区という設定がしてある。それで、その東海道新幹線の南西には、京都の南の入り口として昔存在した東寺の美観地区ということで、そして美観地区と全く同等の規制とはいかないまでも、美観地区との調和が保たれ、高度地区指定で高さ三十一メートルという規制が加えられている。この京都駅が、今度は倍の六十メートル、幅四百七十メートルという巨大な雑居ビルになっていく。さて、あすこではーんと壁を大々的に南の入り口のところで張られたら、その東寺と本願寺との関係、北山、東山のこの関係、本当に京都がこれで京都でなくなるんじゃないだろうか、そういう心配が出てくるわけです。それは、特定街区制度というものを導入するところからくる。  私はそういう意味で、総合設計制度なり特定街区制度の導入というものが、果たしてこれは歴史的にいい役割を果たすことになるだろうか、これは建設省としてどういうふうに見ておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  279. 立石真

    ○立石政府委員 初めに、総合設計制度について御答弁いたします。  総合設計制度というものは、一定規模以上の敷地の規模を有する、そしてまたその敷地内に公開空地等を確保する、そういうことによりまして良好な市街地環境の形成に資する建築計画であるということになりましたならば、特定行政庁が建築審査会の同意を得まして、容積率及び高さ制限の緩和を行うことのできる制度となっているところでございます。この総合設計制度の適用に関しましては、建設省としましては、一般的な考え方を示しております運用の基本方針を定めているところでございますが、具体的な許可に当たりましては、それぞれの建築確認を行う特定行政庁が、それぞれの地域の特性を踏まえて独自の運用方針を定めてその適切な活用を図っているというように承知しております。  京都市におきましては、古都の景観保全を図る、そういう観点から、昭和六十三年四月に総合設計制度の取扱要領の策定を行ったと聞いております。この要領におきましては、高さの制限を緩和するに当たっては、絶対高さを抑えている高度地区の種類に応じまして緩和の限度を定める、あるいはまた、美観地区とか風致地区においては高さ制限の緩和を行わないなどの考慮をしながら、この制度を運用していきたいとしているところだと聞いております。  御指摘の京都ホテルに関しましては、京都市がこの総合設計制度の取扱要領に従いまして、所定の手続を経て特定行政庁たる京都市長が許可を行ったものでありまして、現在、建築工事が進行中だと聞いているところでございます。京都ホテルの建築をめぐりまして、地元を中心にさまざまな議論が行われているということは承知しております。良好な都市景観の形成、保全といいますのは、建築行政上からも重要な課題であるというように認識しているところでございますが、各地域において保全または形成を図るべき景観と申しますのは、各地域の特性に応じて行うわけでございますので、おのおのの地方自治体が判断すべきものであろうというように考えているところでございます。国といたしましては、都市景観を初めとする良好な市街地環境の形成、保全を図るために、建築規制制度の拡充、活用等について今後とも適切な配慮を行っていきたいと考えております。
  280. 寺前巖

    寺前分科員 というようなことで、一般的にむにゃむにゃおっしゃっても、京都の景観というのは、例えば私ここに二枚の写真を持ってきています。一枚は本願寺さんの枳殻邸です。見てもらったらわかりますわ。私、この近所で学校の教師をやっていました。これは大臣、見てもらったちわかるでしょう、枳殻邸という立派な庭をこんなにされてしまったら枳殻邸も台なしですわ。それから、「暴れん坊将軍」で今話題になっていますけれども、梅宮神社というのが右京区にありますけれども、こちらにお宮さんがあって、その前にマンションができておる。もう台なしになってしまうのです。これが一、二の話じゃなくて、こういう調子で、あっちこっちに立派な庭があるわけです、昔からの都であっただけに。それが、片っ端からこういうものが建ってつぶされていく。遠くには、借景としての東山三十六峰寝たる姿があるわけや。それが建物がばっと建ってつぶされていく、これはもう大変なことですよ。  この間、植物園が温室をつくる、四月一日から新しい温室ができるというので私行ってみた。そしたら、その本部のあるところの建物は、これは研究室、学習室みたいな建物がつくられている。その二階から見た借景というのは、ちょうど比叡山の見えている面からも非常にいいところなんですよ。ところが、その向こうに大学の建物がぽんとあるために、せっかくの植物園の庭が台なしになるのです。そこで、大きな大きく伸びる木を植えて覆おうという苦労をやっていましたわ。どこから見ても町全体がそういう町なんですから、歴史的に残されている町なんだから、それを守っていくどいうことが、今までは美観地区とかそういうふうに言って守ってきたものですよ。それが倍からの高さ制限が緩和されるということになったら、だれが見たってこれはえらいこっちゃなということになるわけです。  一九七〇年にユネスコが「京都・奈良の都市計画における歴史的地域の保存と開発について」という勧告を出しています。「京都・奈良両都市の遺跡と記念物は、日本人および世界にとってきわめて価値の高い文化的遺産であり、これらは歴史的建造物群と周囲景観の美との調和によって補完される」、こう書いてある。そして「文化財保存の方策は、単に指定又は未指定の遺跡および記念物のみならず、それらの直接周辺地域並びに歴史的地域や田園にまで及ぼすべきである」、こういうふうに指摘しているのですね。そして歴史的な地域保存の方策としては「日本の歴史にとり非常に重要である京都と奈良の場合は、その全地域にわたって強力な保存方策がとられるべきである」、さらに「指定地域の景観を規制するために、歴史的地域の周辺部と「倍量」は厳重に取締まられるべきである」とまで、これは世界の人が指摘してくれているわけでしょう。  私はこういうことを考えたときに、自然に任せておって緩和させていっておったら、これを守るということにならないのではないだろうか。ドイツには記念物保護法というのがある。イギリスには田園計画法というのがある。これらは、歴史的地区を対象にとらえて、それを都市計画上の指定地区の一つとしておる。個々の建造物の価値は低くとも、全体として特徴的な建築群、町並みも、記念建造物としての保存の対象となっている。米国でも、大都市で歴史的建造物の保護条例で歴史的保全地区に指定されると、その地区にある無指定の建物も規制を受けるなど、さまざまな歴史都市を保存する方策をとっているわけですね。日本だって、この借景を守ろうということで、例えば美観地区の周辺地域には倉敷市が借景地区というのをつくって、この向こうにそんな建物をつくってはなりませんとかいって、守るために条例で苦労しているところもあるわけですね。  建設大臣お尋ねしたいのですが、私は何か特別な施策を、例えばかつて保護するためにいろいろな、何といいましたか、奈良県の明日香ですか、明日香村に特別な地域をつくったり、そういうことをおやりになったけれども、何かそういうようなことを考えて、今ぽっぽこぽっぽこ美観地区、そんなものを無視して、別な体系のそういう総合設計制度とか特定街区制度なんというのを導入してはあっとつくっていく。ちょっと気になるのですけれども、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  281. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま事例をお挙げになりました京都ホテルに関する総合設計の制度、それからJR京都駅改築に関する特定街区制度、いずれも国が直接関与するものではないと認識をいたしておりまして、この場合、京都市がこの問題について指導的な役割を果たしているということだと思うのです。  基本的には、先生の言われるとおり、歴史的な町並みでございますとか景観を保存するいうことは極めて重要なことであると認識をいたしておりまして、建設行政の中ではそのような見地で今日までも取り組んでまいりましたし、今後も都市政策の重要な課題といたしまして取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  京都に関しましては、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法がございまして、これに基づく歴史的風土特別保存地区等の都市計画制度の活用によりまして、今日まですぐれた自然景観、歴史的景観を保存してまいったと思うわけでございます。現在京都市で、京都市土地利用及び景観対策についてのまちづくり審議会を設置されまして、このような保存の問題、土地利用のあり方等について検討されていると承っております。建設省といたしましては、その検討結果を参考としながら、今後適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  282. 寺前巖

    寺前分科員 それで、私さっきも、各国のように国として手を打っていく必要がある。今、いわゆる古都保存法で歴史的風土何とかというのがありますよね、それで景観を守っている。例えば嵯峨野とかそういうところを守っていますよ。そこは、かなりその土地所有者の果たしている役割も大きいですよね。そうやって守っているわけだけれども、町並みの問題がやはり一番借景に関係してきて、これを歴史的都市としてそのものを残していくということは、残念ながら今までのこれだけではやっていけないことが、この高さ制限の緩和やらこういう問題の中で出てきたわけですから、そういう意味では、国としても何か特別な対処すべきものを考えてみる必要があるのじゃないだろうか。  それで私は、今世界の多くの国が参加している問題として世界遺産条約というのがありますが、そういう遺産条約に京都を登録させて、そして積極的に批准してほしいなというような気になるのです。イタリーのフィレンツェやべニスが登録されて、今日美しい歴史都市として守られているのを見るにつけても、特にそういうことを感ずるわけですね。ですから、何で日本が世界の遺産条約に入らぬのだろうか。私は、入って積極的に、誇り得べき歴史的都市を守るという特別施策、特別立法というのをぜひ山崎建設大臣のときに考えてほしいものだという期待を持っているのですが、いかがですか。
  283. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘ございました世界遺産条約につきましては、御指摘のように、現在日本は批准しておらないわけでございますけれども、近く政府におきましては閣議にかけまして、批准の方向で取り扱うというふうに私ども伺っておるわけでございます。  この条約を批准いたしました段階におきまして、現在既に百十八カ国がこの条約締結国になっておるようでございますので、ほぼ全世界的レベルで世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約が効力を出すわけでございますので、その方向も踏まえながら、また、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、特に京都市におきましては、改めて自然景観や歴史的景観の保存と土地利用のあり方についても検討しているところでございますので、そういったような方向での施策の検討ということになろうかと思っている次第でございます。
  284. 寺前巖

    寺前分科員 そこで、さっき古都保存法の話が出ましたから、今度は百人一首で有名な小倉山や嵐山のところです。そこへ山陰線を新しく線を引いたために、上から穴を掘りまして、トンネルを掘ったのです。上から穴を掘って、その土をずっと上に上げたわけですね。これは、歴史的風土地区の保存地域なんです。これをやり始めたのが、古都保存法が制定されたのが一九六六年ですけれども、この地域は八二年からそういう作業をやったのです。だから、今十年たっているわけでしょう。その土をどうするのかということがちゃんと条件にあって、よろしいといって当時国鉄、今JRですね、そこに許可を与えたのです。ところが、土を掘って山の上にほったらかしになったままになっている。  一方では、古都保存法の指定地域だったら、道路だって、昔の景観を残すために苦労した形で残しているのですよ。家の姿だって、昔風を大切にしてつくっているのですね。みんな個人個人には物すごい努力をしてもらう。ところが、事国鉄が、事JRがやった場合には十年たったっていまだに放置されたまま、こんなことが許されるんだろうか。これはだれが所管しておられるのか知りませんけれども、お答えいただきたいと思うのです。
  285. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘ありました土砂につきましては、先生は先刻御案内だと思いますけれども、当時、国鉄時代に、小倉山歴史的風土特別保存地区内におきまして山陰本線の複線化に伴う小倉山トンネル工事を行うに当たりまして、古都保存法の土地の区画形質の変更になるものでございますから、管理者の京都市の同意を得まして、昭和五十七年からその土地に土砂を堆積したものでございます。  その際京都市は、原状復旧を条件としてつけたわけでございますが、この原状復旧につきましては、当初の計画では、小倉山トンネルの竣工後、営業運行を一年間程度見合わせまして、その間に当該トンネルを使用して土砂の撤去を行う。かなりの大量の土砂でございましたので、そういう予定であったようでございますが、地元住民の方々のトンネルの早期開通に対する期待が強いところから、トンネル工事が完成しました時点で早期に開通するということになりまして、そのトンネルを使用して土砂を撤去することが不可能になったようでございます。この点につきましては、地元京都市と、現在は西日本旅客鉄道株式会社になっているわけでございますが、開適時からずっと検討が行われて、今日に至っておると聞いております。  建設省といたしましては、この古都保存法の土地の形質の問題でもございますので、早急に地元におきまして両者が検討を下しまして、最善の復旧方法によりまして、一日も早い復旧が実行されるべきであると考えておるところでございます。
  286. 寺前巖

    寺前分科員 いろいろ長いこと言われたけれども、原状回復が条件で許可を与えているのでしょう。そうしたら、原状回復を必ずやる、中途半端なことはさせぬということを明確にさえしてもらったら、それで私は、やはり得だなどというようなこと重言われぬようにしてほしいというのが私の意見です。後でこれは大臣に答えてもらいます。  それからもう一つ、せっかくの機会ですから質問させてもらいますけれども、国宝とかそういうものだったら、改築する場合には特別扱いがされるのですね。そうでない地方公共団体の文化財の場合だったら、そうでないという問題があるために鉄筋でつくらなければならぬようなことになって、不細工になって、歴史的町並みが保存されぬという問題が生まれてくるわけです。  御存じのとおり、京都には寺社、仏閣などの伝統的建築物のお寺さんが千百六十カ所あるのですね。歴史的建造物の中で、国宝が四十六件、五十八棟、重要文化財が二百七十七件、五百十五棟、合計三百二十三件、五百七十三棟ある。それから京都府が指定する文化財、登録文化財が四十七件の百九棟、六十件の百七棟ある、これで合計百七件の二百十六棟。京都市の指定する、あるいは登録するものが七十件の百六十棟。それから、京都府下の市町村が指定するものが六十三件の八十三棟。物すごくたくさんあるわけですよ。国宝と重文など建築基準法の適用除外以外のところをどうするかという問題は、これは歴史的都市を守る上において重要な位置を占めているのです。だから、そこには地方自治体の指定するものと、それから現に指定していないものと、だけれどもやはりそれは考えなければならない問題もあるわけです。これを全体としてどういうふうに、今のままでいくんだとおっしゃるのか、考えられるとおっしゃるのか、そこをはっきりしてほしいと思うのです。
  287. 立石真

    ○立石政府委員 歴史的な建築物を保存する、あるいは歴史的な町並みを保存する、そういうような観点からは、確かに、地方公共団体が指定している文化財の価値を損なわずに保存していくということは重要なことであると認識しているところでございます。  従来は、御指摘のとおり、建築基準法におきましては、国が指定した国宝、重要文化財等については建築基準法令の適用を除外する、あるいはまた、市町村が指定する伝統的建造物群保存地区内の建造物について一部の規定の適用を除外または緩和するというような措置を講じてきたところでございます。国が指定するというような、非常に重要なという文化財について、これまでそういう政策をとってきたわけでございますが、現在各地方で指定した文化財も非常に重要なものであるという認識が社会一般に強くなってまいりましたので、この点について今回いろいろな制度の見直しをしたいと思っているところでございます。  これまでですと、地方公共団体が指定した建築物については建築基準法令が適用されますと、例えば法令に抵触する場合、市街地の中で民家や寺院で木造の壁あるいはカヤぶきの屋根等がある場合がよく該当しますが、それらの建築物については、解体修理や再現はできないことになっておったわけでございます。昨年の十二月に建築審議会から、地方公共団体が文化財として指定した建築物についても解体修理、再現等が可能になるように、建築基準法令の全部または一部の適用除外を行う必要があるのではないかという答申を受けたところでございまして、建設省といたしましては、今回の法制度の整備の中でこれらを見直ししていきたいと考えておるところでございます。
  288. 寺前巖

    寺前分科員 時間が来ましたのでやめますけれども、大臣に、やり得みたいな変なことがJRにおいて許されるということになったら、国としての責任が問われることになるだろう、だからやはり原状回復が条件で認めたものだったら、それをきちっとやらすということを私は聞かしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  289. 山崎拓

    山崎国務大臣 京都小倉山の案件に関しましては、現在、京都市とJR西日本の間で原状復旧の方策につきまして話し合いが行われておると聞いております。早急に両者が検討を終了されまして、最善の復旧方法がとられることを強く期待をいたしたいと考えております。
  290. 寺前巖

    寺前分科員 終わります。
  291. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、有川清次君。
  292. 有川清次

    有川分科員 鹿児島県肝属郡を流れる一級河川、高山川の樋管改良について、私はお伺いをしたいと思います。  この河川は、昭和十数年ごろ大改修が行われまして、近年、道路整備地域住民の環境改善、集水面積の拡大が行われてまいりましたが、これに並行して排水施設の整備もされ、降雨の際は瞬時にして河川の右岸左岸から雨水が高山川に集中します。  河川への流出口といたしまして、右岸の樋管は神成窪樋管、上流側ですが、これが直径九十センチ、紺屋馬場樋管、下流側で直径百センチとなっております。上流側樋管への町排水路は、高さ百七十センチ、幅が百センチとなっております。近年、直近のところは二百五十センチの深さにまで改良されており、樋管が九十センチの直径では到底排水ができないところであります。また、下流の樋管の場合、高さ百五十センチ、幅百十センチと、高さ、幅とも六十センチ、さらに三十センチ平方の側溝が集中いたしておりまして、直径百センチの樋管では到底排水ができない、こういう状況にございます。この樋管は、上流側が昭和十五年、下流側は昭和十六年に施工されたものであり、今日の状況にはとても合致できる状況ではありません。  一方、左岸の西町樋管は、幅七十五センチ、高さ八十センチの楕円形でありますが、流入口の側溝は、高さ百センチ、幅百三十センチと、高さ百二十センチ、幅百四十センチ、さらに四十センチ四万の三本が集中しておりまして、到底これだけの量の排水ができる状況ではございません。  ここに、河川の状況、排水路の状況を図面と写真でちょっとお示し申し上げたいと思います。  こうした状況のために、梅雨季や台風のとき、豪雨時には、町じゅうが水浸しになる状況になっておるわけであります。西町地区等では常時床上六十センチ程度の浸水がございまして、今日では高齢化社会にもなっており、浸水対策、避難など、大変な状況を繰り返しておみのが実情であります。また、歩行者や児童生徒の登下校、車両の通行、中央商店街の振興に大きな支障を与えております。  この地域は高山町の中心街でもありまして、商店街は雨のたびに商品を二階に上げる、住宅の皆さんは家財道具の避難などに追われまして、雨のたびに夜も眠れず、避難対策をどうするかというのが現状になっております。  それぞれまた写真をお示し申し上げたいと思います。
  293. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 質問者は、一応委員長の許可をもらってから提出してください。
  294. 有川清次

    有川分科員 はい、委員長。――どうも失礼しました。  それぞれ今お示しした写真のとおりでありますが、商店街等の人が避難前に写したものですから、最高時のときはもっとひどい状況になっていると思います。  これまで十数年前から住民の皆さんは、町当局を通じまして、改善方要求をされてきましたが、今日まで放置されているのが現状であり、しかし、なかなか解決されないために、関係住民の皆さんは昭和五十九年と平成三年の二回にわたり陳情書を提出しながら、私たちの生きている間にこの問題は解決するだろうかと半ばあきらめたような嘆き、行政の怠慢に対する怒り、そういうものがみなぎっておるのが現状です。申し上げたように、昭和十五年、十六年の樋管ですから、時代も変わり、町の発展もありますし、こうした実情となることは十分理解ができるところだろうと思いますが、これまでの経過と対処状況など、現在の取り組みについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  295. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 肝属川につきましては、特に今お話しの支川、高山川になりますが、昭和十二年に肝属川が直轄の河川改修が始まったわけでございますが、その中でも高山川が最初に河川改修事業に着手した地域でございます。これによりまして、高山町の中心市街部を洪水、はんらんから防御する中下流の築堤は既に完成したところでございます。  当時は浸水を許容するような農地であったわけでございますが、その低平地が近年宅地化が進行したことによって、今おっしゃいます高山川の左岸の前田地区、右岸の新富地区で最近浸水被害を見るに至ったわけでございます。  両地区の浸水対策は、まず狭小な地区内の排水路の改良と、これら排水路から高山川への出口に当たる樋管、今おっしゃいました西町樋管、紺屋馬場樋管、神成窪樋管の改良等が必要と考えられます。今後地元高山町とも連絡を密にいたしまして、町による地区全体の排水計画の検討とあわせまして、樋管の改築についても検討してまいる所存でございます。
  296. 有川清次

    有川分科員 今まで排水については町はかなり努力をして、そこに側溝の大きさがあるでしょう。全部改善をして、そこまで来ているわけです。樋管は一つの側溝の大きさほどもないわけですから、それは詭弁にすぎませんよ。今までなぜそれがやれなかったのですか。  しかも、建設省九州地方建設局の大隅工事事務所というのは、このはんらんをする地域と百メートルも離れていない、目の前なんです。常時見ているはずです。しかも、もう長い期間かかっています。その辺はどうなんですか。
  297. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 基本的には、私どもの治水対策をさらに強力に推進していくということを申し上げるしかないわけでございますが、全国で、時間雨量五十ミリ、いわば五年から十年に一遍降るような頻度の集中豪雨になりますが、これに対するはんらん防御率は現在のところ四五心という状況でございますので、集中豪雨があればはんらんする区域がまだ全国に相当あるというような状況の中でございます。  肝属川に関して申し上げますと、肝属川の一番の都市圏でございます鹿屋市内のはんらん防御ということで現在鹿屋分水路事業を強力に進めているところでございまして、限られた予算の中で地域から数多くある要望を、できれば早期に、それぞれの皆さんの御納得のいくように治水の安全度を上げる努力をしてまいりたいという中で努力をしているわけでございます。地域によってその対応のおくれとか、いろいろ住民の皆さんから見ればそういうふうな目で見られるかと思いますが、今後ともそれぞれ地域の要望を踏まえつつ、一方では早く全体の安全度を上げるという観点から努力してまいりたへと考えております。
  298. 有川清次

    有川分科員 このはんらんの状況は十数年前から起こっておりまして、要請しておるわけですね。そういう状況で、建設省の局の大隅工事事務所はこういう実態をいつごろから知ったのか、その辺をまずお答えください。  そして、鹿屋バイパスの河川分水路、今工事が始まっておるということでありますが、それはそのとおりでありますけれども、しかし現実には五十五年から事業検討がされまして、五十九年から工事に入ったわけでしょう。それまでの間、やろうと思えば十分やれる状況があったのに、それをやらずに、今鹿屋のバイパスにかこつけて予算上の問題とかそういうことは、ちょっと納得できないのですがね。そこをもっと詳しく説明してください。
  299. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 高山川についてのはんらんはいつごろから知ったかという御質問は、私も今承りましたので、問い合わせないとわかりませんので即答はできませんが、鹿屋分水路に関する限り、私が承知しているのでは、昭和四十年代後半に地域から強い要望があって、そのころから事業計画は着々進められていたと思います。五十一年六月の出水によって、とりわけ市街地の大部分に大きな被害があったということで、たしか計画的に見ますと、四十年代の一番最後のころからかなり事業計画は詰めておったと存じます。諸般のいろいろな事情、当時オイルショックの役とかいろいろな問題もございまして、治水事業も厳しい背景の中ですから、本格的に事業着手したのは五十五年度でございますが、その前後の水路用地の確保等はかなり早い段階に着手していたように私の記憶で考えております。  いずれにしても、長い時間かかっておりますが、早期にこのトンネルを完成させることによって、鹿屋市の市街地の浸水防除を早期に進めながら、なおかつ、下流の高山地区の内水排除についても強力に進めるよう、今後も努力してまいりたいと考えております。
  300. 有川清次

    有川分科員 このはんらんの実態は、あなた方はいつ知りましたか。
  301. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私も一々全国のはんらんを全部承知しているわけではありませんので、私は先生からの質問通告を担当の方から聞いて承知した次第でございます。
  302. 有川清次

    有川分科員 こういう実態を、一つの町の中心街ですから、しかも建設省の出先機関が目と鼻にある。そういう状況の中で町長も再三住民から責められまして、建設省に交渉しています。しかし、私たちでは建設省にはもう太刀打ちできません、別な手で何とかしてください、こう町長が言っているのですよ。その数年前からの町長の陳情に対して、あなた方は受けとめて、こういう理由でできないとか、そういう具体的な回答がないのです。もう私たちでは建設省には歯が立ちません、町長の分際ではできませんと、こういう言い方をしているのです。それはどういうことなんですか。
  303. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先ほどからも申し上げますとおり、時間雨量五十ミリではんらん防御率として見れば四五%という低い状況であり、例えば九州管内でも、熊本県緑川ではちょっとした雨でも一週間くらい非常に広大な地域が水につかるということがしょっちゅう私どもの耳に入っているわけでございますし、そういう目で見れば、恐らく日本各地、人の住むところで水害の危険がもう去ったと保証できるところはなかなかないような状況でございますから、そういうところで、全国各地で要望のある中で、できるだけ皆さんの意に沿いつつも、治水の効果を計画的に上げていくという努力の中で皆様の御要望にこたえてまいりたいと考えております。
  304. 有川清次

    有川分科員 よそのことはいいんですよ。ここに直轄の大隅工事事務所というのがあるのだから、目の前が洪水になっている、はんらんしているわけですから、それをあなた方がよそと比べてどうだということを知っていないでしょう。現実には今まで知らなかった。行政の怠慢じゃないですか。住民は、私が生きている間にこれは解決することがあるのだろうか、こう嘆きながら、子供たちの通学なども心配してやっているような現状なんです。  それで、樋管一本かえるのに大体どのくらいの工事費が要るのですか。
  305. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 直ちに今どの程度ということはお答えしかねますが、調査の上、詰めてまいりたいと考えております。
  306. 有川清次

    有川分科員 レクチャーの中でも随分早くから私申し上げているわけで、現地とも連絡をとっておればすぐわかるはずですよ。現地がそういう計画ですらない、考えてもいなかった、こういうことじゃないですか。そこはどうなんですか。  そして、宮澤内閣は生活関連を重視しながら特別枠二千億、その中に住宅対策とか下水道とか環境衛生、こういうものを大きく伸ばしたというふうに言っているわけです。住民の生命財産、そして日常生活に大きな阻害をして、衛生的な面でも大きな問題になる、こうした実情が、このまま放置されていいとお思いでしょうか、環境整備の基本的な問題だと思いますけれども一つの河川に鹿屋バイパスがあるから、そんなに余計金は使えないというのであれば、両方あるわけですから、三本ありますけれども、まず両方一本ずつ、二本改良すればかなり解決できると思うのです。それを一本ずつでもやるという意思はないのかどうか、それをちょっとお伺いしたい。
  307. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 限られた予算をいかに効率的に使いながら治水効果をどう上げていくかということを私どもも日夜真剣に考えているわけであります。もとより、安全な国土をつくるということは私どもの責務でございますから、そのようなところが長い間放置されていいはずはございません。したがって極力進めたいと思っております。  ただ、先ほどからも言いますように、ほかの地区はどうでもいいけれどもこの地区とおっしゃられると、やはり私どもちょっと申し上げたくなるわけですが、全国にこのような地域がたくさんある中で、限られた予算の中をできるだけ効率的に使いながら、総体的に治水の安全度を早期に上げるように努力してまいりたい、こういうことを胸に思いつつ今後も進めてまいりたいと考えております。
  308. 有川清次

    有川分科員 私がほかのところを言う必要はないというのは、それはほかのところもあるでしょう、たくさんあると思う。しかし、高山のこの実態についてあなた方が今まで把握していなかったのはなぜなのか、そこの問題が今まで解決しなかった非常に大きな問題点だと思っているのですよ。知っておって、四百何カ所ある中の一つにこれも考えておって、計画はこうです、もし一つの樋管を改良すればこのくらいの金がかかる、財政も見ながら何年度ごろには進めていきたい、こんな回答が来ないところに、もう太刀打ちできない、現地の町長がこういう言い方を、さじを投げたような言い方をするのじゃないでしょうか。  住民の暮らしを考え、命を考え、財産を考えていく、そういう血も涙もある建設省の対策じゃないじゃないですか。二本ですから一本ずつでも年次的にやるという、こういう構えがどうしても私は必要だと思う。年度は言えなくても、ことしと言えなければ、来年とか一定の方向、住民の皆さんが希望が持てるような、つなげるような、そういう示唆というものを、建設省として示していただきたい。今ここで言えなければ、現地と連絡の上で、事務所もあるわけですから、どのくらいの経費がかかるのかを含めてきちっと精査の上、それなら何年度にはやれるという、こういう具体的なものを示していただかなければ、なかなか納得はできない、建設省に対する不信はぬぐえない。  この地域の河川はんらんはまだほかにもありますよ。しかし、ここは住宅街、商店街ですから決定的な問題になっておるわけで、ある人は、どうしてもはんらんをするから、家をつくるのに四十七センチ土地を上げたのです。そしてそこに鉄筋の家をつくった。これならもう大丈夫と思ってやったら、八十センチその上に来たのです。常時床下二十センチを除いて鉄筋の家が六十センチ水につかる。ましてや土地を上げてない人はうんとつかる。そこに住んでごらんなさい。しかも鹿児島は台風常襲地帯。雨も多い。そういう状況下にあるわけですから、どうですか、建設大臣、あなたは最初の段階ではいらっしゃいませんでしたけれども、住民が納得する前向きな答弁をきちっと伺いたいと思う。
  309. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この肝属川の中でも高山町を中心とする高山川は真っ先に改修に手をつけて、真っ先に一応概成させたという状況の中で、この地域は、本来は浸水を許容していた農地の中に宅地化が進んだということが残念ながら社会現象として背景にありまして、近年の水害が顕在化したのだろうと思います。  この問題は、この高山川のみならず、全国都市化の進展地域においては大変広い地域で我々も経験している事実でございまして、こういう地域におきましては、流域の皆さんにも御協力を得ながら、早期に治水の安全度を確保する努力を懸命にしているところでございます。そういう意味で、これは単に大都市圏のみならず、地方においても、近年、社会構造の変化によって水害が頻発している状況を踏まえて、私どもも極力予算を効率的に執行することによって治水効果を上げる努力をしておるところでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。  それから、先ほどの樋管の問題といわば鹿屋分水路とのてんびんにかけるような話にもなりかねません。これは我々の選択としても大変悩むところでございます。その辺は、私どもの意のあるところは御理解いただきたいと思います。いずれにしても、鹿屋分水路というのは、これが貫通しない限り一切治水効果は出ないところから、全力を振り絞って早期に完成させて開通させるとともに、その意味では、その間残された地域の治水安全度を向上させることも我々の責務でございますので、調査等にも全力を傾注いたしまして、皆様の御納得をいただけるように、今後の治水の安全度の向上について、流域全体を踏まえて実施してまいりたいと考えております。
  310. 有川清次

    有川分科員 鹿屋バイパスはやるなと言っているんじゃないですよ。それは大いにやって早期完成をしてもらいたい。しかしプラスアルファ、樋管をかえる、一つずつでもいいからプラスができないのか。住民に協力してもらっておって、水につかって、雨のたびに畳から何から、また干したら、また次の日雨が来る、こういう状態を繰り返しておる住民が、協力ができますか。  大臣、こうした現状を考えたあなた自身の改善対策なり腹づもりを、きちっと答えていただきたい。
  311. 山崎拓

    山崎国務大臣 地元高山町とも連絡を密にいたしまして、町による地区全体の排水計画の検討とあわせまして、本件樋管の改築につきましても検討を進めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、国民の生命財産を守る立場から、地元地域ともよく調整をして進めてまいる所存でございます。
  312. 有川清次

    有川分科員 わかりました。ただ、現地とよく連絡をとって、事務所もあるわけですから、どのくらい樋管に金がかかるのか、やはり設計もしながら、十分時期等を判断してもらう。これはきょうのこの場でなくても結構ですから、ぜひ早い機会に方向を示していただきたいと思います。  次に、国道関係でちょっと質問申し上げたいと思いますが、大隅半島の玄関口になります国道二百二十号線の桜島と大隅半島の接点に当たる早崎地区が雨のたびに常に崩れまして、なかなか安全度が確保できないということで、現在海岸側にこれを突き出して国道を変更したいということになっておるようでありますが、この進捗状況と展望、もう時間がありませんから一緒に二、三項目、同じところですから申し上げます。  二百二十号線の垂水市内で新城・海潟地区の土地改良工事が進められているわけですが、いずれも住宅密集地に入っておりまして、非常に進捗がおくれる心配がありますけれども、これらについて、どのように予算増額のあれを含めながら考えていらっしゃるのか、完成目標年次をどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたい。  三つ目は、海潟地区と牛根地区で、桜島噴火に備えまして、交通安全対策を図る立場から、旧国鉄廃線敷、トンネルがあるわけですが、これを利用した道路新設を、避難道路としても役立たせたい、こういう地元の希望がありますが、考え方をお聞かせ願いたいと思います。  そして最後に、鹿屋市から空港へ通ずる道路が、今県道で鹿屋福山線というのがございますが、国道昇格についての希望を住民がひとしく持っておるところでありまして、その見通しについてお聞かせください。
  313. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生まず最初に御指摘の早崎地区の防災事業でございますが、確かにここは連続雨量二百ミリで通行規制区間になっております。ただ、ここの場所はいわゆる国立公園区域でございますので、非常に厳しい制限がありまして、そこで海側に出すということは決まったわけでございますが、それをどのような形で仕事をしていくかということは、計画だけではなくて、事業実施も非常に厳しい制限があります。  そこで、私ども平成三年度に環境庁といわゆる環境影響評価の調査の協議をやりまして、これが整いまして、一部区間用地買収に着手しております。平成四年度にはいよいよ事業の実施に関する環境庁との協議を行った上で、漁業補償を含めた本格的な用地買収を進めて、そしてできれば下部工事に入りたいと思っております。ただ、漁業補償ができないと実際の仕事はできないということと、もう一つは、仕事をするための環境庁との協議が整わないとできないという制約条件が二つございます。これについて、平成四年度、私ども一生懸命やりながら、何はともあれここは非常に危ないところだということも、私ども常日ごろからお聞きしておりますので、そういう関係機関の御協力を得ながら、事業の実施を図ってまいりたいと思っております。  新城・海潟地区の改良事業でございますが、ここも現在事業は進めているわけでございまして、全体五・一キロの現道拡幅事業、そのうち平成二年度までに一・六キロの供用に至っております。今年度のこの平成四年の三月末に三百四十メーター、少しずっでございますが、供用をさせていただいております。非常に狭いところで、沿道に家屋が連檐しております。こういう方々の家屋を移転しながらやるということで、個別の問題になりますと、やはり個別の御事情もありますので、そういう方々が一地区ごとといいますかへある程度まとまったらそこの仕事をするということをやりながら、仕事をしております。したがって、いつまでにということは非常に難しいわけでございますが、要は地元の皆さんの御協力を得ながら、なるべく早くこの部分は、もう事業を実施しているわけでございますから、完成させたいと思っております。  そういう意味では、城山トンネルという鉄道廃線敷がやはりこの地区にございます。これは鉄道ですから幅が三・七五という非常に狭いトンネルでございます。このままでは使えません。しかし、これを利用するということは一つのアイデアでございますので、地質調査等を実施しながら、道路トンネルとして拡幅するとすればどういった拡幅の仕方があるかということの検討を今しております。これについては、その検討を待って抜本的な対策としてこのトンネル活用を考えてみたいということで、今、九州地建がその調査にかかっているところでございます。  四点目、国道昇格につきましては、常日ごろから平成三年度内に国道昇格の作業をさせていただきたいということをお願いしてありまして、あと残りわずかでございますが、今最終段階に至っておりますので、御要望の路線につきましては、その一環として検討しておるということにとどめさせていただきますけれども、地元大隅半島の活性化に非常に重要な路線であるというふうにお聞きしていることを申し添えまして、回答とさせていただきます。
  314. 有川清次

    有川分科員 終わります。
  315. 金子原二郎

    金子(原)主査代理 これにて有川清次君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤一雄君。     〔金子(原)主査代理退席、主査着席〕
  316. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 社会党の斉藤一雄です。渡良瀬遊水地の開発問題についてお尋ねをいたします。  最初に、渡良瀬貯水池によるカビ臭問題についてお尋ねをいたします。  一九九〇年の夏は、江戸川から取水している水道水が、上流から下流まで軒並みひどくカビ臭くなりました。この事実を承知しているか。
  317. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 渡良瀬遊水地は、利根川沿川の治水上の重要性から設置されておるところでございますが、さらに昭和四十八年度から総合開発事業の一環として新たに貯水池を設ける事業を進めてまいって、既に概成したところでございます。  お尋ね平成二年の夏には、江戸川から取水した金町浄水場におきまして水道水にカビ臭が生じだということは承知しております。平成二年の渡良瀬遊水地直下流の渡良瀬川のBOD平均値は一一・八ppmで、遊水地に貯水を始めた昭和六十二年とほぼ同程度となっております。渡良瀬川の表流水の水質はさほど変化はしていないわけでございます。そのカビ臭の問題につきましては、さまざまな要因が考えられると思っております。
  318. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 九〇年八月二十七日の新聞報道で貯水池からの放流でというように報道されております。十分御存じのはずじゃないですか。
  319. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 さまざまの要因が考えられますと申し上げましたのは、取水地点に至る間の利根川本川や流入交川の水質の悪化も一つの要因ではなかったかと当時の資料等から考えられるところではございます。
  320. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 渡良瀬貯水池にためる水は、渡良瀬川最下流の水であるため、上中流の家庭排水等の流入で栄養塩類がたっぷり含まれており、そのような水を貯水すれば、藻類の異常増殖が進行し、水道水のカビ臭問題が発生することは十分考えられていたことではないのでしょうか。
  321. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 建設に際しましても、既存資料等に基づきまして湛水後の水質予測を行ったわけでございますが、池内水路による貯水池の流動化等さまざまの対策によって実施してまいりましたし、あるいは噴水施設による貯水池の曝気、流入河川谷田川の浄化対策等も実施してきたところでございますが、残念ながら平成二年夏にはおっしゃるような事態になったわけでございます。
  322. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 藻類は水道水中の発がん性物質トリハロメタンの原因物質も生産すると聞いておりますけれども、どのような認識をお持ちですか。
  323. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先生も御専門だと思いますので、若干釈迦に説法的ではございますが、トリハロメタンは、主として水道の浄水過程における塩素滅菌等によって水中のフミン質、これは自然界にはどこでもあるものだそうでございますが、その有機物質が遊離塩素と反応して生成されると言われております。このトリハロメタンの生成機構は現在でも十分に解明されておりませんが、特にトリハロメタンの発生の予測されるところは、海水の影響のあるところとかいろいろな学説をなす先生方もおりまして、現時点ではこれははっきりしておりません。したがいまして、藻類の発生が直ちに水道水のトリハロメタンの生成に結びつくとは考えにくいのではないかと思います。
  324. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 そういう認識では私の方は困るわけでありまして、十分ひとつ検討していただきたいと思います。そうしませんと、江戸川流域の住民は、トリハロメタン濃度の高い水道水をずっと飲まされるという可能性が強くなりますので、大変心配であります。このことをつけ加えておきます。  渡良瀬貯水池の水質を改善するためにはどのような対策を講じるつもりか。
  325. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 トリハロメタンの関係でちょっと申し上げさせていただきますが、先生は御専門で、むしろ私の方が専門外ですから申し上げにくいのでございますけれども、トリハロメタンが従来検出されたというところは非常に限定されている。例えば小笠原諸島で発見されたとかいろいろなことを言いますから、それらから見ると、少なくとも藻類の増殖即トリハロメタンということで議論がなされることはいかがか、住民の皆さんに対しても、いたずらに不安感を招くのではないかということで、この議論は慎重にさせていただきたいと存じます。  水質改善の対策でございますが、現在藻類の異常増殖の発生のメカニズム等について調査検討中でございまして、その結果を勘案しつつ、極力早期に実施に移したいと考えております。  水質対策につきましては、渡良瀬遊水地内の対策とあわせて、家庭汚水の負荷源対策、流域の下水道整備等流域の水質対策も重要であるということでございます。そのような認識のもとに、引き続き貯水池内のみならず、周辺河川の調査を実施し、関係機関が協力して流域の水質対策に努めていく所存でございます。  現在、渡良瀬遊水地において考えられる水質対策といたしましては、礫間浄化及びアシ原浄化等の浄化対策、導水によって貯水池内の水を動かす流動化対策によって異常増殖を防ぐこと、あるいはホテイアオイ等を繁殖させることによって栄養塩類を固定化することによる浄化対策、あるいは護岸等に植生を用いることによって窒素、燐等の栄養塩類を吸着させる方式、あるいは噴水によって絶えず停滞している水を動かすことによって藻類が増殖しにくい条件をつくり出す等、さまざまのことが考えられますが、経済性あるいは効果その他をいろいろな観点から検討して、速やかに抜本的な対策を実施してまいりたいと考えております。
  326. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 聞くところによれば、現在の貯水池のコンクリート護岸をヨシの茂った植生護岸に改造するとのことでありますが、その植生護岸にするための工法、工事費用、工事期間を具体的に説明願いたい。
  327. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 植生護岸は結果的に貯水池内の栄養塩類を固定するという意味では一つの有効な策だと存じます。私どもは、長期的にはこの問題も対応してまいりたいということで、現在検討しているところでございます。  どのような植物が効果があるのか、河岸の侵合に強く、なお植生としてこれが維持できるのか、さまざまな問題がございますので、まずモデル的に工事を行いまして、効果を確認しつつ進めてまいりたいと考えておりまして、現時点で具体的な工法、工事費用、工事期間等はまだ申し上げる段階には至っておりません。今後とも現場における実際のモデル工事による検討、あるいはさまざまの学識を集めまして具体的な対策工について早急に計画を固め、対策を講じていく所存でございます。
  328. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 例えば植生護岸に変えた場合の水質改善の効果といったものについては、どの程度の認識をお持ちでしょうか。
  329. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 定性的には貯水池内にあります栄養塩類、窒素、燐等を、アシ、ヨシとなると思いますが、そういうもので固定するということで非常に効果があるわけでございますが、その貯水池の水のボリューム、あるいはそのうち、どのような条件のときに藻類の異常増殖になるのかといった要件、それらも含めまして効果等を検討する必要がありまして、具体的に、定量的にどのような効果があるということをまだ申し上げにくい状況ではないかと存じます。  いずれにしても、どの工法によれば抜本的な対応になるかということは、一概には決めにくいので、効果的なものを幾つか組み合わせることによって進めていくのが、最も妥当だと思います。基本的には窒素、燐等の栄養塩類が停滞水域に貯留しているということは好ましくございませんので、まずは流入水においてできるだけ窒素、燐が入らないようにする、一たん入ったものについては、停滞することが問題でございますので、仮に言えば、貯水池内でも水の分子が移動しているような状況をつくり出しておくこと、同時に、光合成でございますから、どんな気温とかどんな条件でそういうものになるのか、同じ藻類でもカビ臭にどんなものが直接結びつくのか、そういったものも総合的に検討しなければならないと思っておりますが、基本的には、私ども、流域の皆さんの御協力も得つつ、また、河川内でできるものはあらゆる、あらゆるといいますか、効果的なものを組み合わせることによって対応してまいりたいと考えております。
  330. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 今もお話がありましたけれども、多少の効果はあったとしても、基本的に藻類の異常増殖を抑制するということにはならぬというふうに私は思うわけであります。どだい、このような場所に貯水池をつくること、自体、私は間違っていると思うのですが、御見解をお伺いいたします。
  331. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 利根川、荒川を水源とする東京中心の首都圏における水は現在でも大変逼迫状況でございます。たまたま気象条件がよい方向に出ている年は何とか水不足を解消しているわけでございますが、一昨年、たしか八月だったと思いますが、首都圏の水がめが底をつき、たまたま八月十一日の十一号台風によって首都圏は断水から免れだというような状況もございまして、いずれにしても、水資源の確保ということは大きな使命でございます。  そこで、ただ下流部で浅いところに水をためて、いわば栄養塩類の多い水をためるという企画が適当ではないのではないかという御質問だと思いますが、私どもはさまざまな水資源開発施設の組み合わせによって対応できるのではないかと思います。  例えば上流の矢木沢ダムとかそういうところで貯留されている水は、確かに栄養塩類は少なくて水道用水としては最適だろうと思いますが、これらは下流の気象条件によって、例えば夕立によって残流域から雨が出たときに、たまたま下流は渇水だと思って放流したダムの放流水は下流ではむだに使われるというようなこともあり得るわけでございますので、いわば大きな補給というのは上流で実施するとともに、小まめな補給計画というのは、下流のこういった貯水地を使うことが適切なのではないか。そういう意味で、むしろ運用の仕方の中でできるだけ回転率を高くし、絶えず貯水池内の水を流動化させるような努力、特に藻類が異常増殖しそうな気象条件のときは、できるだけ私どもはそういう観点から貯水池の管理をすることによって、全体としては水量も確保しつつ、また水質もいいものを提供できるように、今後とも水管理の面で努力してまいりたいと考えております。
  332. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 渡良瀬遊水地に第二貯水池をつくる計画があるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  333. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 事業計画としては六十三年度から第二貯水池について各種調査を進めております。しかしながら、今申し上げました第一貯水池における藻類の異常増殖の経験をいたしましたので、これらの経験を踏まえまして、それらの点につきましてはさらに詳細に検討を進め、利根川、荒川の水資源の確保の観点及び渡良瀬遊水地における環境に配慮した管理のあり方、それから御家庭にお送りします水質の管理、そういったものも総合的に判断しながらこの問題には対応してまいる所存でございます。
  334. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 そうしますと、現在のところ、着工の時期、貯水容量、開発水量といったものについては、どの程度の検討がされておるのでしょうか。
  335. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 現時点ではまだ申し上げる段階に至っておりません。
  336. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 先ほどもお話がありましたけれども、第二貯水池はつくるべきでないというふうに私は思うわけですが、なおかつ、その建設を計画するんだということになった場合に、カビ臭問題等が再び起きる危険が十分あるわけであります。その場合に建設省はどういう責任をとるのでしょうか。
  337. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 私どもは、河川管理を進めながらさまざまの経験をいたしますが、それぞれの経験を次の事業計画には生かしていく、また、一たん建設したものも住民の納得のいくように適正に管理していくというのが私ども河川行政の責務だと考えておりまして、基本的には、まず第一貯水池につきましては、先ほど言いましたように、現在考えられるさまざまの施策を総合的に組み合わせることによってこの問題が起こらないようにしつつ、その経験が次の計画に生かせるのかどうか、私どもは生かしてまいりたいと思いますが、そういうものを踏まえて実施しておりますので、そういうことを進めることが私どもの河川行政の責任と考えております。
  338. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 次に、渡良瀬遊水地の自然についてお尋ねいたします。  貯水池の建設やアグリメーション振興財団によるゴルフ場等の造成によって、かけがえのない自然が大きな影響を受けております。建設省が二年前に出した「生きている自然の博物館」というリーフレット、大変立派な内容で高く評価しているわけでありますけれども、これとは大分違ってきているんではないかというふうに思いますが、その辺の御所見をお伺いしておきます。
  339. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 渡良瀬遊水地は、首都圏の中央部に残された比較的広大な水と緑の自然環境空間でございます。一方で、従前から地元からは広く一般の人々が楽しめる広域的なレクリエーションゾーンとしての整備が強く要望されておるところでございます。また、一方で、この渡良瀬遊水地の建設の過程においては、さまざまな歴史的な問題がございました。そういうことも踏まえつつ、この遊水地が地域住民に親しまれる水と緑の自然環境と調和をとったレクリエーション、教育の場とすべく、地域と連携を図って整備を進めておるところでございます。  渡良瀬遊水地アグリメーション振興財団も、そういった地域のニーズを担って生まれたものでございます。かつ、その収益は、子供広場、史跡保存、自然観察等の各ゾーンの適切な維持管理を行っていく公共性の高いものに投入することとしておりますし、そういう観点から、この貴重な空間を地域の皆様と一体として管理することが私どもとしては最も妥当なのではないかと考えております。
  340. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 今もお話がありましたが、渡良瀬遊水地は東日本で最大のワシ、タカ類の集団越冬地と聞いておりますし、そのワシ、タカ類が激減しつつある、こういう事実を御存じでしょうか。
  341. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 渡良瀬遊水地には、私ども調査によりますと、ミサゴ、トビ、ノスリ、チョウヒ、オオタカなどの十種類のワシ、タカ類を確認しており、日本野鳥の会なども七種類のワシ、タカ類を確認したと聞いております。  鳥類の行動範囲は広く、渡良瀬遊水地だけに限った見方がよいのかどうか、遊水地内だけの調査によれば、最近約十年間の状況においては特段の変化は認められておりません。鳥類に限らず河川等に生息する動植物については、私ども平成二年度から、河川水辺の国勢調査として定期的に鳥類のみならず哺乳類や水生動植物等の調査をすることとしておりまして、渡良瀬遊水地の鳥類についても、この調査の一環として今後も引き続き調査をしてまいる所存でございます。
  342. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 地元の自然保護団体の実態調査等と大分違った認識をお持ちのようなんで、そういう認識でこの自然を守っていくということは大変困難だと思いますから、実態をよく、正しく把握をして認識をしていただきたい。時間がありませんので、そのことを強く要望しておきます。  最後に、そういったような貴重な自然を守る上でも、住民や自然保護団体の意見の交流というものが大変重要ではないかというふうに私は考えておるわけであります。私どもも、社会党の環境委員のメンバーで先般現地視察をしてきたところでありますけれども、利根川上流工事事務所のお話ですと、学識経験者であるとかあるいは周辺市町の首長などをメンバーとする自然保全及び利用に関する懇談会ですか、そういったようなものを発足させるというようなことを耳にしているわけであります。  大臣にお尋ねしたいのですけれども、そういったような懇談会とかあるいはシンポジウムとか開催をすべきである、また、そういう構想もお持ちのようでありますけれども、その場合の目的、メンバー、スケジュールといった点についてお示しいただきたい、また、お考えをぜひお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  343. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 河川は国民共有の財産でございますし、とりわけ渡良瀬遊水地は地域住民の協力があって初めてできた広大な遊水地でございます。この遊水地は、洪水時には首都圏を守る極めて重要な治水施設でございますが、一方で、平常時におきましては、地域の皆様あるいはそれを取り巻く周囲の皆様に愛される場とすることが必要であり、そういう意味では、地元の地方自治体の皆様の意見あるいは学識経験者の意見、その他多くの方々の意見を聞いて河川管理に反映させることが最も重要だと考えておりまして、これは、一遊水地のみならず、従来からもそのような意味で皆様の意見を聞きながら河川管理を進めてまいりましたので、その一環として渡良瀬遊水地についても進めてまいりたいと考えております。  ただ、現時点でメンバー、スケジュール等はまだ申し上げる段階ではないので、その点は申し添えさせていただきます。
  344. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 今のお答えですと、その他多くの方々の意見、大変結構なんですけれども、大臣にぜびお考えいただきたいと思うのです。その中に当然地元の住民の代表、自然保護団体の代表といった方々を入れて、その上で広く多くの方の意見を聞いていただきたいというふうに思いますが、大臣のその辺についての所見をお伺いしたいと思います。
  345. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生のおっしゃるとおり、地元住民の声を聞き、かつ自然保護の観点からの意見を承るシンポジウムといたしたいと考えております。
  346. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 大臣、どうもありがとうございました。  以上をもちまして私の質問を終わります。
  347. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて斉藤一雄君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。
  348. 山田英介

    山田分科員 私は、この分科会で特に、中川。綾瀬川流域の治水事業について、そして先ほども審議の対象になっておりました渡良瀬遊水地の整備に関連をして、いま一つ建設省が将来に向けた極めて重要な事業として取り組まれておりますスーパー堤防、この三点につきまして幾つかの質問あるいは要望等申し上げたいと思いますが、まずこの中川・綾瀬川流域の治水事業につきましては、建設省におかれまして、治川住民の希望とかあるいは悩みとか、そういうものに大変な御留意、御配慮をいただきまして、特段の予算の措置を講じていただき、積極的な治水事業に取り組んでいただいておりますこと、そして、現実に一定の成果をおさめつつあるということにつきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。  と同時に、都心に非常に近い地域で、なおかつ低地帯というのでしょうか、レベルが低い地域でございます。そこに、非常に利便性の高いロケーションというようなことから、社会資本が非常に大きく集積している、あるいは経済資本なども大変大きく集積をしている地域でございまして、大規模な洪水等がまたいつ何ときという心配もあるわけでございまして、そういう洪水が出た場合にこうむる被害、損害というものは想像を絶するものがあるのだろう、こう思いますし、と同時に、一定の成果を上げつつも、治水事業いまだ半ばということもまた事実でございますので、そういう観点から、特段にまた継続をしてこの流域の治水にお取り組みを賜りたいという観点から、幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず、昨年九月の十八号台風のときにも、綾瀬川の流域が、非常に改修等進めていただいておりますけれども、出水被害というものがかなり大きなものになりました。綾瀬川だけではなくて、新方川の流域だとかその他あるわけでございますが、特段に、この綾瀬川につきましては洪水対策として、かねてから私どももこの水をさらに南部を流れます中川に逃がしてあげるというか、排除してあげるというための放水路の建設を強く御要望申し上げていたわけでございますが、工事もかなり進捗をしてきているようでございます。  そこで、この綾瀬川放水路の完成時期とその効果につきまして、具体的にひとつ御説明をいただければと存じます。
  349. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 この綾瀬川あるいは中川が流下している治川は、利根川あるいは江戸川、荒川がかつてはんらんしていた地域でございまして、したがって、大変な低平地でございます。また、少なくともつい最近までは埼玉県の穀倉地帯の水田として重要な位置づけがあったわけでございますが、首都圏から大変近いということから、近年都市化の進行と同時に、一方で都市水害が顕在化してきたわけでございます。そのような計画の一環から、私どもでは、まず中川と江戸川を結ぶ三郷放水路を建設して既に機能しておるわけでございますが、これを踏まえまして、綾瀬川の草加市八幡地先から中川の八潮市八条地先へつながる綾瀬川放水路を計画いたしました。これは綾瀬川の洪水時の計画流量百九十トンのうち百トンを中川、それからそれを通じまして三郷放水路を経由して江戸川へ分派するというものでございまして、これによってこの地域のはんらん水を江戸川に放流しようとするものでございます。  この計画につきましては、昭和五十四年度より用地買収に着手し、とりわけ、この地域が都市化の進行によって都市水害としての状況が顕在化していることを踏まえまして、昭和五十五年度からは総合治水対策特定河川として、河川事業の中でも特別枠をもちまして本格的な工事に着手いたしました。この結果、平成四年度には、北一条区間五十トンの暫定通水が図れることになるのではないかというふうに考えておりまして、これによってかなりの綾瀬川流域の浸水被害が軽減されるものと存じますが、引き続き、もう一本の南一条区間整備に着手することによりまして、早期完成に向けて努力してまいる所存でございます。
  350. 山田英介

    山田分科員 大変恐縮ですが、南一条をこれから着手なさるという、できるだけ早くという局長からも御答弁いただいているわけでございますが、大体大めどとして、平成何年度あたりを南一条の竣工といいますか、おおよそで結構でございますので、お示しいただければありがたいと思います。
  351. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 さまざまの要因もございますし、これからの予算の問題あるいは物価の問題、いろいろございますので、今この段階で何年度ということはまだ私ども申し上げられませんが、この問題については、私どもは最重点で進めているということで御理解いただきたいと存じます。
  352. 山田英介

    山田分科員 いま一つ放水路でございますが、埼玉県北葛飾郡松伏町地内で、中川と江戸川の間を地元などでは金杉放水路という呼び方をしておりますが、県の基本的な事業がと思いますが、建設省も国もこれをバックアップをするといいますか、協力支援をする、そういう事業と伺っておりますので、この金杉放水路の建設の見通し、それから期待されるその効果につきまして簡潔に御説明いただければと思います。
  353. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先ほどの綾瀬川放水路、それから三郷放水路の組み合わせで御説明申し上げましたように、この中川流域というのは、かつて利根川、荒川がはんらんした区域でございますし、そこを流れる中川、綾瀬川も、本来であれば河川改修は下流からということで、結局東京都内から改修を進めていかなければならぬ結果、埼玉県の中止流部は長期間治水の安全度が向上しないまま放置されるということがございます。  それらを防ぐのに放水路計画というのは大変有効な施策であるという観点に立ちまして、平成三年度から、この構想に基づき金杉放水路に着手したところでございます。まず、現在のところはその基本的な諸元を決定するための詰めを行っているところでございまして、それを受けまして、平成四年度からはできるだけ早い機会に事業化ができるように努力してまいりたいと考えております。
  354. 山田英介

    山田分科員 もう一度綾瀬川の方に戻らせていただきますが、東京都葛飾区内と私は場所を確認しているのですが、綾瀬川排水機場というのが既に稼働をいたしておりまして、一定の綾瀬川の洪水を中川に排除する、そういう機能を既に発揮されているわけでございますが、昨年の十八号台風のときの被害などを見ましても、 一方においては、ただいまの綾瀬川放水路の通水が間もなく片側実施されるということもありますけれども、やはり一層その治水対策を強化するためには、この綾瀬排水機場のいわゆる排水能力をさらに高める必要があるのではないか。  それは、この排水機場は葛飾区内、東京都区内にありますが、その上流にあります埼玉県八潮を初め草加とか越谷とか都市化の非常に進んでいるところの洪水が大変心配されておるわけでございまして、この綾瀬排水機場の排水能力の向上、それから海水の逆どめを調整するような水門もやはり整備していく必要があろうかと思います。いろいろ建設省の御担当の皆様から伺いますと、そういう基本的な方針で御省は臨まれておるということで意を強くしております。せっかくの機会でありますので、当分科会におきまして御説明いただければありがたいと思います。
  355. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 綾瀬川の下流部は東京都内では荒川と並行して流れているという状況でございまして、基本的には東京湾の潮位に支配されるような地域でございます。したがって、満潮位になりますと、溝なし県の埼玉県とはいえ、海の潮位が高いために、上流、草加等ではんらんを起こす。昨年の台風十八号でもそういう意味で大きな被害をこうむったわけでございます。  私どもは、この再度災害防止の立場からいたしますと、低平な綾瀬川を何とか排水能力をふやすためには東京湾の潮位と縁を切る、そういう観点から逆流防止の綾瀬川水門を建設すること、同時に、その上流において、逆流防止水門を閉めた上流の洪水を荒川に吐くための綾瀬排水機場を建設するということになります。この綾瀬排水機場につきましては、既に五十トンのポンプを前回の災害のときに設けたわけでございますが、さらにこれを機会に百トンに増設することとし、昨年の災害にかんがみまして、これらの事書を河川激甚災害対策特別緊急事業として特別枠で採択いたしまして、この事業に採択したものについてはおおむね五年間でそれらの事業を完了させる方針で今後、対応してまいる所存でございます。
  356. 山田英介

    山田分科員 ちょっと勘違いいたしまして、先ほど私は綾瀬川の洪水を中川に綾瀬排水機場で排除すると申し上げましたが、荒川でございました。大変失礼いたしました。ぜひよろしくお力をいただけますようにお願いしたいと存じます。  具体的に、特に八潮市の住民の皆様、当然自治体もさようでございますが、昨年九月の十八号台風の折に、実は最高水位がどこまで上がったかということについて御省からお調べいただきまして御報告を賜りました。  今申し上げました綾瀬排水機場地点ではAPプラス二・六メートルの水位であった。それで今度は綾瀬川の現在の堤防高というのも調べていただいたのですが、東京都区内ではAPプラス三・九から五・〇メートル。したがいまして、東京都区内にありましては、この綾瀬川の最高水位と堤防高の関係からすれば、ある意味では非常に余力を持って洪水を防ぐことができていた。それから、今度は埼玉県内で見てまいりますと、十八号台風の最高水位が谷古宇橋地点でAPプラス四・〇メートルまで上がりました。ところが、現在の堤防高は、埼玉県区内で見てまいりますと、この谷古宇橋地点でAPプラス四・Oから四・二メートルということですから、天堤というのでしょうか、もうほとんど堤防の高さすれすれのところまで十八号台風のときの最高水位が迫っていたことがこの数字から読み取れるわけでございます。  ですから、放水路に力を入れていただいたり、それから綾瀬排水機場の能力を高めたり、逆どめ水門を建設したりということになるわけですけれども、堤防高は治川住民の方も一番よく目に触れるところでございまして、東京都区内で五メートルまであるということであれば、昨年を含めて過去、埼玉県内の綾瀬川の流域では大きな浸水が出ておりますので、すれすれの堤防高というのは非常に不安を感じておる。これをぜひ東京都区部レベルの五メートルにできるだけ早くかさ上げをしていただけないか、非常に強い要望が出されておるわけでございます。ぜひ綾瀬川の埼玉県区内の堤防高、これも整備をしていただけますように特段に御要望を申し上げる次第でございますが、ひとつ御認識をお知らせいただきたいと思います。
  357. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 中川、綾瀬川の東京都内区間については、この区域が東京のいわば下町の中心街を貫流していたということから大変早い時期に河川改修がなされまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、堤防高についても所定の堤防高で既にでき上がっておるわけでございますが、埼玉県内に入りますと、長い間水田地帯であったということもありまして、ある意味では都市化の進行の方が河川改修より先に進んでいったということで都市水害が顕在化してきたわけでございます。  ただ、この治川の堤防予定地のところは、それなりに人家もあり、あるいは道路も並走している区間等もあっていろいろ困難な問題がございましたが、地元地方公共団体の協力及び関係機関の協力を得ながら、今までの間、まず用地を確保して所定の高さの堤防が乗せられるだけの幅を確保するために懸命の努力をしてまいりまして、今言いましたように、一応計画高水位高に近いところまででき上がる段階になりました。今後はこの上にがさ上げということでございますので、一連の改修との見合いの中で堤防高を上げる工事も進めてまいりたい、そういう方針で臨みたいと思っております。
  358. 山田英介

    山田分科員 ぜひよろしくお取り組みのほどをお願い申し上げます。  それから、これは簡単で結構でございますが、先ほども局長触れられておりましたが、埼玉県三郷地内にございます建設省直轄の三郷排水機場、こちらも綾瀬川の洪水を、毎秒五十トンですか、綾瀬川放水路完成を期して中川に受け入れるわけでございまして、そういたしますと、どうしても三郷排水機場の排水能力のレベルアップの必要が当然出てくると思います。この点につきまして建設省で御計画がありましたらお知らせをいただきたいと思います。
  359. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 三郷排水機場は、三郷放水路の建設にあわせて設置したものでございますが、中川上流域の洪水時の計画流量千百トンのうち百トンを江戸川に放流するという計画で既に概成しておるわけでございます。先ほども申し述べましたように、上流で今度は綾瀬川放水路から洪水時の洪水が入ってまいりますので、それを受けまして所要の安全度を確保するために増設ということになります。今後は、従来の分派量百トンを二百トンに上げたいと思っております。これにつきましては、綾瀬川放水路の一条分が平成四年度に完成いたしますので、これを契機として三郷排水機場のポンプ五十トンの増設に平成三年度から着手しておりまして、これについても早期に、まずこの五十トンの増設分を完了すべく努力してまいる所存でございます。
  360. 山田英介

    山田分科員 そういたしますと、残事業といいますか、南一条分が将来整備された場合には百トンということになろうかと思いますので、その時点に合わせて三郷排水機場の排水能力をまたもう五十トンプラスするというふうに理解してよろしいでしょうか。
  361. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 そのとおりでございます。
  362. 山田英介

    山田分科員 それで、そのようにいろいろな御努力がありまして治水事業が前進をしているわけでございますが、この地域開発がいかにも急でございまして、これからも住宅ができ、人が張りつき、そういうことになってまいりますので、開発が進めばその分だけ湛水能力といいますか、洪水をためておく区域が狭められる。そうすると、やはり五十トンずつとか百トンずっとかまたふやさなければならないという悪循環になりかねない。際限がないといいますか、その繰り返しになってしまう。ということで、何かそうい連環を、輪を断ち切っていくような新しい手法というのも当然構想なされておられると思うのです。  その一つが、例えば開発して、それに見合っただけの湖といいますか遊水地をちゃんと一緒につくって開発した分、洪水を今度はセットで整備した遊水地にためておくとかということになるのだろうと私は思うのです。それは建設省の御計画、プロジェクトではレイクタウン構想というふうに呼ばれているものだろうというふうに思うのですが、そういう開発・改修、開発・改修という繰り返しを解決をする、そういう基本的な考え方、手法というものをどのようにお考えでございましょうか。
  363. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 この区域は、古くは利根川、荒川のはんらん区域と先ほども申し上げましたが、そういう意味で大変低平な土地でございますから、治水条件はよくない地域でございます。この地域が都市化するに当たっては、これらの条件を踏まえて都市化する必要があるのではないかというふうに前から対応してまいったわけであります。  昭和三十三年の狩野川台風時点におきまして、まだ都市化がそれほど進行していない時期でございましたが、この流域でも相当な地域が湛水したわけでございます。そのため、今後の開発に当たりましては、昭和三十三年の狩野川台風時の湛水量を適切に処理する、あるいはその湛水量を調節池をつくってそこで確保しつつ都市化する、こういったことで臨んでまいりました。  いわば、私どもは、河川改修と同時に流域対策として、それぞれ遊水機能の確保をすることによって水害を拡大させないということを前提にしてまいりました。私どもではこれを総合治水対策という呼び方によって河川と流域と相まって水害を拡大させない基本方針で臨んでまいりましたが、一方で東京、首都圏の近郊地帯でございますし、都市化の圧力も厳しいところでございます。で、さらに、これらの計画をもっと国の事業の中で適切に組み合わせていくことがいいのではないかということで、今御質問のございましたように、レイクタウン整備事業等では、都市局、住宅局の所管事業と私どもの治水事業とを組み合わせることによって必要な遊水機能を確保しつつ適切な都市開発をやっていくというような事業も発足しております。  また、首都圏外郭放水路事業として、将来的には江戸川と荒川を結ぶことによって東京湾の水位の影響を受けずに上流で洪水量をカットするというような方針。これは先ほど言いました綾瀬川、三郷放水路の組み合わせあるいは金杉放水路をさらに延長していくような構想、こういったものも踏まえることによってこの地域の治水上の条件を基本的に変えていくような努力もして対応していく所存でございます。
  364. 山田英介

    山田分科員 大臣、大変恐縮でございますが、今二十五分ほどかけまして局長とやりとりをさせていただきました。中川・綾瀬川、その流域にはまた、新方川とか元荒川とか古利根川、大中小さまざまな河川が集中している地域でございます。この中川・綾瀬川治水事業につきましては今後とも、厳しい財政事情にございますけれども、特段の御理解をいただき、ぜひお取り組みをいただきたいと存じますが、大臣のお気持ちを一言お聞かせいただきたいと思います。
  365. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいままで河川局長がいろいろと御答弁申し上げましたとおり、先生の御指摘の河川治水対策につきましては、これから真剣に取り組んでまいりたいと存じます。
  366. 山田英介

    山田分科員 恐らく最後の質問になるかと思いますが、渡良瀬遊水地の整備につきまして、時間がございませんのできょう触れることができないのは残念でございますが、いずれにいたしましても大変大きな、東京ドームが七百個も入るような面積を持つ、あるいは貯水容量にしてもサンシャインビル二百六十杯分という遊水地でございます。いろいろな意味で大変重要な機能を発揮させなければならないポイントだというふうに思っております。  アグリメーション振興財団、こちらが関係の市町村、自治体等との話し合いの中で、このように整備していくんだという一つの基本的な構想が出ております。それは、スポーツとかレクリエーション、あるいは自然に親しむとか、湖をつくってヨットとか、多目的な、それでいて自然はしっかりと守っていこうというもの。したがって、いろいろな地域からこの渡良瀬遊水地を訪れる方々が今後ますます多くなるであろう、またそうしなければならないと思います。  そこでまず一点は、この整備の基本町な方向というものがやはり周辺の地域活性化につながるような方向で整備をしていただかなければならないということが一つ。  それからもう一つは、これだけ広いところでございますから歴史的な経緯もございます。そういうところに極めてグレードの高い高規格の国営公園をぜひ整備していただきたいという要望もございます。  それからもう一つは、これは道路局になりますが、その近くに、道路交通なんですが三国橋というのがあるのですけれども、これが非常に激しい渋滞でございます。そこで新しい三国橋をつくってもらいたいという地元の強い要望がありまして、数年前から基本的にこの事業がスタートしているわけでございますけれども、その整備の現状、それから見通し。もう時間がなくなったところで申しわけないのですが、まとめて三問。恐縮ですが、簡潔にひとつお答えをいただきまして、終わらせていただきたいと思います。
  367. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 渡良瀬遊水地は、利根川の治水のかなめの施設であるということ、また、設置の過程におきましては谷中村の廃村等のさまざまの物語が残っているところでございますが、この地域は首都圏における広大な自然の残された空間であることにかんがみまして、適切に維持管理されることが重要であるという認識に立ち、かつそれらの財源の拠出も含めまして、昭和六十三年十一月に四県二市四町が中心となりまして、渡良瀬遊水地アグリメーション振興財団を設立し、子供広場、自然観察広場、スポーツ広場等の整備が行われているところでございまして、地域活性化の観点からも期待されておるところでございます。
  368. 市川一朗

    ○市川政府委員 国営公園化のことにつきまして、お答えを申し上げます。  渡良瀬遊水地につきましては、ただいまも先生の方から御指摘ございましたが、首都圏整備計画などでも首都圏の貴重なレクリエーション空間として位置づけられておりまして、私どももそういうふうに認識しておるところでございます。  これの国営公園化につきましては、かねてからいろいろとテーマとして取り上げられ、検討されてきた経緯もあるようでございますが、地元の御要望、それから整備状況等も勘案しながら、長期的な観点から引き続き検討させていただきたいと思います。
  369. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 それでは、三国橋につきましてのお答えをいたします。  現在の橋が大型車も約五〇%ということで非常に混雑しておることは承知しております。六十一年から新しい三国橋を下流一・二キロのところで整備に着手いたしました。埼玉県と茨城県両県で今仕事をしておりまして、取りつけ部の用地取得も約半分は終わりました。用地で若干難航している部分もあるようでございますが、これに努めまして、平成五年、来年度から始まる私どもの新しい五カ年計画の半ばまでには完成させたいと思っております、
  370. 山田英介

    山田分科員 時間超過で大変御無礼いたしましたが、御理解ありがとうございました。終わります。
  371. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて山田英介君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  372. 沢田広

    沢田分科員 大臣には、埼玉なり関東平野の事肩というのはなかなか行政範囲が広く扱われておりますから難しいのではないかと思いますから、河川局長、今まで大変御苦労さまでしたが、山田議員の方からも今いろいろ述べられておりましたが、これは委員長の許可を得て、十八号台風の冠水図面をちょっと出させてもらって。――いいですか、局長。荒川は何年ごろできたのだか、御存じでいらっしゃいますか。
  373. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 お尋ねの件でございますが、歴史的な経緯で申しますと、荒川は昔、現在の隅田川に合流していたと言われておりますが、江戸時代に一部を入間川と合わせまして独立させ、また利根川と合流した荒川を分離したということがございます。それから明治以降になりまして、利根川、荒川の大水害があったのを契機にいたしまして、荒川の現在の岩渕地先から当時の東京の郊外の方に大きな放水路を建設いたしまして、残った川が今隅田川と称されているわけでございまして、これはたしか昭和の最初、二、三年のころに完成したと思います。  それからさらに上流、埼玉県内でございますが、直轄工事として取り組みまして、営々として努力してまいりまして、一応、昭和二十八年には内務省時代の事業計画としては完成したということになっておりますが、その後、御承知のように、近年の都市化に応じまして、上流におけるダム建設、下流部における河道しゅんせつ及び中流部における遊水地の設置等によって現在対応しているところでございます。
  374. 沢田広

    沢田分科員 おおよそ二百年前ですね。荒川の名前は非常に川が荒れていたということで、今の綾瀬も中川も荒川から分流してそれぞれの河川を構成して、そのデルタ地帯に江戸城がつくられていた、こういうことであります。  それで、横堤があるのですが、河川局長は横堤の役割とできた経緯は御存じでしょうか。
  375. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 この内務省時代の直轄計画の上におきまして、首都東京を守る意味で、東京都内におきまして、先ほど言いました荒川放水路、現在は荒川になりましたが、これを建設し、また中流部においては東京都内の洪水の量ができるだけふえないようにということもあったと思いますけれども、やや幅広の堤防を建設し、それから、その残されたいわば河川区域の中に横堤を建設することによって、中流部では一時時差出勤をし、下流部においては速やかに洪水を流下させるという計画で進められてきたと承知しております。
  376. 沢田広

    沢田分科員 河川局長は答弁が少し長いから、短い時間に終わらせるのにはちょっと難しいので、私の方から言ってしまうことにします。  横堤二十六本、それは昔から今日まで二百年、変わらざる現状なんです。これは東京を守ために、武蔵の国にはんらんを起こして調整するというのが目的であったわけでありまして、その歴史的な状況は今日においても変わっていないということなんでありますのでありますから、今日まで変わっていない一つが、先ほど述べた地図でもごらんになっていただいた各河川のはんらんなんであります。  そこで、その横堤を取れとまでは、私は県会のときには言ったのでありますが、横堤をある程度機械化するなり、あるいは取ったり――しかも、勾配は河川局長は幾らと見ておりますか、荒川の流速の勾配は。――じゃ、まあいいです。やや三千分の一ですね。ですから、関東平野の、今出てきておる綾瀬にしても中川にしても、あるいは鴨川、新河岸にしても、大体三千メートルで一メートルぐらいの勾配。だから、先ほど百トンのポンプなんて言ってみましても、二十四時間で七百二十万トン、大ざっぱに言っても一日で八百万トンですか、それだけの水を、一時間でもそうですが、三十六万トン……。それは計算すればわかることですから。そういうポンプをつけたって、そこに水がなければどうにもならないのですね。流速がなければ、水が一秒間で大体一メートルぐらいしかないですね。そうなると、一秒間でとにかく百トンの水がそこに蓄えでなければ、次の一秒のときにはゼロになってしまいます。ですから、河川局長がもしそういう認識で、百トンのポンプをつければ排水が可能であるという解釈を持っているとすれば、それは大変な間違いだと思うのです。後くみたくても、その次の水がないのですから、それには三百六十万トンぐらいをためておいて、ためておいてもその次追いついてくるかといえばこないですね。上流から来る時間は大体八時間ぐらいかかります。昭和三十年ごろの我々の経験では、わずか十三キロぐらいの距離ですが、上流から下流まで到着する時間は一昼夜かかりました。  ですから、話が荒川の話と関東平野の話ばかりここのところ続きましたから、私も今度はアバウトの話で言っているわけですが、要するに、一つは、荒川の持っている構造でポンプで可能になるという論理は通用しないということです。それはお認めになりますか。二百トンのポンプをつけようが、水がついてこないところヘポンプをつければ泥をさらうだけですね。ですから、そのことではんらんやその他が解消するという発想はないと……。どうですか。
  377. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 おっしゃっている御質問の背景には、ポンプをつくっただけで、建設しただけで浸水防除にはならないんだという先生の御見解だと思いますが、その点については私も全く同感でございます。ただ、荒川に合流する河川、先ほど言いました鴨川以下多くの河川がございますが、これらが合流しようとするときは、残念ながら荒川の水位が極めて高い事態が考えられるわけでございまして、秩父の方に降った雨によって荒川の中流部の水位が高くなってしまったところに例えば浦和や大宮から流下してくる鴨川等の河川が水位の関係で合流できないということがございます。  そのときには、どうしてもポンプをつけることによって高い荒川の水位に放流をすることが必要でございます。その際に、ただつけただけではおっしゃるとおり空気を吸い込むということもあり得るわけでございますので、そのポンプにつながる水路、例えば鴨川を例にすれば、鴨川を改修することによってポンプに見合うだけの流量が来るようなことにならなければいけないわけでございますので、ポンプ計画の場合にはその流入交川の河道計画一体として整備することが必要であると存じます。
  378. 沢田広

    沢田分科員 一流速がなくて、河床が高くて、今度二メートル堤防を高くしますが、ポンプをつけたとしても、深さも決まっている、流速も決まっている、あとは川幅以外にないのですね、流量を増大させるためには。これは初歩的なものですが、あとは川幅を広げる以外に水の量を多く流すことはできない。そういうことになるでしょう。どうですか。
  379. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 川底を掘るというのも一つの方法ですが、先生の御質問の中には、例えば荒川みたいな川になりますと、これは大河川でございます。究極のところ、海底の深さにどうつなげるかということでございますが、荒川につきましては東京湾で、港湾で相当整備しておりまして相当の水深がとれますので、東京都内に関する限りは、荒川の川底をしゅんせつして流量をふやすという努力をしておるところでございます。  ただ、支川の、今の埼玉県内の中小河川でございますが、これにつきましては、おっしゃるとおり低平地でございますし、まず基本的には川幅を広げる必要があります。ただ、荒川の合流点のところの中小河川の川底と荒川との川底を一応すりつけるとなりますと、そこで決まってしまうのではないかというのが先生の御質問の趣旨だと思いますから、そういう点では全く同様でございますから、そこで決まった限りにおきましては、その中小河川もポンプでくむとき以外に自然に流入させるとすれば、川底は必要以上に下げることはできませんので、川幅確保が一番有効な施策だと存じます。
  380. 沢田広

    沢田分科員 関東平野の一つの宿命ですからね。四千万の人間が住んでいて、こういう形状の中にいるわけですから。これは大臣に特にお願いしておきますが、基本的な見直しをして、これは国土庁を呼んでいるわけですが、これは何も関東平野ばかりじゃないんですね。各平野、皆同じに、いわゆるデルタ地帯に都市をつくった、川の治川に都市がつくられてきた、そういう歴史的な背景があるわけですね。ですから、いや応なしに下流のデルタ地帯はそういう条件を持っておる。  私がここに持ってきた図面には、もう一つ見てもらいたかったものは、河川敷の高さがこの二万五千分の一では大体四メートルなんです。APでいきますと、マイナス一・一なんですから五・二になるわけです。ところが、内陸部の方が四・八、三・八、時には二・六、こういうふうになっていますから、荒川の流れている川の部分だけの議論でいきますと、いや応なしに内水面現象が起きるわけです。言っている意味がおわかりいただけるでしょうか。  私は、極端に言うと、長年二百年の間に、河川敷がゴルフ場とかになっていますから今すぐそれを壊せと言うわけにはいきませんが、そこが高くなってきてしまったわけです。地盤沈下なんですね。地盤沈下は環境庁の書類で読み上げるのはやめますが、地盤沈下で一方はどんどん下がったわけですね。ですから、荒川はかけどよのように高くなって浮いているわけです。ですから、結果的には内陸部は下がった。水を流そうと思っても、荒川の川の水の方が高くなってしまう。これはAPでちゃんと出ている数字を言っているわけです。それでわざわざ図面を持ってきたんです。ですから、河川敷を本当は一メートルくらい削るというのが理想なんじゃないかと思ってはいるんです。  しかし、これはなかなかできない。泥の持って行き場も大変でしょう。しかし、今の堤防を二メートル上げるならば、その泥を盛って上げていく方がいいのじゃないのかというくらいです。ただ、大変犠牲が伴いますね、今商売しておられる人もいるんですから。ですから、そういうことになれば、関東地建の意見では、今の川幅を広げる以外にありませんへあとは深くする以外にないんだ、こういうことで言っているようであります。しかし、このままでいったら、十八号台風のような内水面現象はことしも出てきますよ。このままではことしも出てくる、来年も出てくる。ですから、これは根本的に見直さなければならぬ。どこをどういじろうと、絶対出てくる。そういう一つの必然性を持っているんだということを御理解をいただきたいと思うのです。  前の方が幾らか遅くなってきましたから、職員の皆さんも疲れてきているでしょうから、またこれはこれからも何回か機会を改めて申し述べていくことになりますけれども。だから、地盤沈下の傾向と荒川対内陸部の高さ。綾瀬もそうです。中川もそうです。新河岸もそうですが、川の方が高くなって内陸部の方が低くなっておる。そこに水が内水面として皆だまっていく。こういう構造ですから、河川局長、その点はおわかりいただけるでしょうね。わからないんじゃ、せっかく言っていても意味がないですから。おわかりですか。
  381. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 まず、浦和、大宮付近に雨が降った里雨のときと、秩父の山奥に流域全体で降ったときの二つのパターンに分けさせていただきたいと思います。  浦和、大宮あたりに降った雨が夕立みたいなものあるいは短時間の集中豪雨が降った場合には、先ほど言いました鴨川等がはんらんする危険性がありますが、これはその中小河川を改修し、荒川にスムーズに合流させることによってはんらん防止ができるわけでございます。  そこで、先生お尋ねは、例えば浦和や大宮の背後地が地盤沈下したことによって荒川に合流しにくくなっているのではないか、相対的に荒川の方の水位が高くなって背後地から合流しにくいのではないかというお尋ねかとも思いますが、そうだといたしますと、これは基本的には荒川の水位も東京湾の水位に支配されてはおります。ただ、先ほどの中川、綾瀬川ほどではなくて、ある程度は、あの辺になりますと感潮区間から外れてまいると思いますので、相対的に沈下していると思いますので、これはその中小河川と荒川の本川の低水路、いわば現在でも常時水の流れているところとの合流関係をうまくやっていくことによってかなり解消できると思います。  そこで、もう一つは、秩父の山奥に降ったような流域全体の集中豪雨のときは荒川の水位が高くなってしまっておりますので、これは地盤沈下その他に関係なく山水が荒川の外水となっているところへ合流させようということですから、どだい無理でございますので、これにつきましては、従来、私どもが進めてきました内水排除ポンプとその中小文川の改修とを組み合わせることによって対処していくのが適当ではないかと思います。基本的には、私どもは、荒川が高水位のときにも極力この都市部が浸水しないためには、前提としては、荒川の洪水時の水位を前提として内水排除もでき、中小河川もはんらんしないということを前提に計画を策定しているところでございます。
  382. 沢田広

    沢田分科員 もう一つ、今荒川の堤防十四メーター、ニメーター足してAPで十六メーターですか、そうしますと一般の住宅では十六メーターですね。十六メーターの図面に出てきている以下は荒川の堤防が決壊したときは全部冠水する、こういう条件、これもその条件で間違いありませんか。
  383. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 我が国の関東平野を中心とした人口密集地帯はほぼそのように大河川の堤防に囲まれている地敏とごらんいただきたいと思いますので、これは荒川だけでなく、利根川沿川、江戸川沿川、あるいは大阪の淀川に至りましては、大阪市は大阪城の付近を除いてはすべて淀川、大和川の水位以下ということでございます。
  384. 沢田広

    沢田分科員 そこで、いろいろな点を大臣にも申し上げたような格好になりますが、私は結論的に言うと、さっき荒川の上流の秩父の方に大体五十ミリぐらい降りますと、やはり一昼夜、十二時間ぐらいたってくると下流に来る。――荒川の中の川と河川敷とを今言っているわけです。内陸部は水がいっぱいになりましても、河川敷は顔を出しているんですよ。言っている意味わかりますか。内陸は湛水してしまって水がたくさん出てしまっているんですが、河川敷が出ている。河川敷が出過ぎているということ、出ているということ。だから、荒川が荒川としてのいわゆる容量といいますか、完全な機能を発揮していない。この意味はわかりますか、簡単に言ってください。
  385. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 先生の図面では確かに荒川の高水敷より低い観測地点があることは事実でございますが、ただ総体的に申し上げますと、荒川の高水敷はAPで四、五メーター程度、堤内地の平均の地盤だから六、七メーター。ただ、おっしゃるとおりこの高水敷より低い点が一部にあることは事実でございますが、そういう位置関係でございますので、背後地が浸水しているにもかかわらず荒川が高水敷が高いんではないかという御懸念につきましては、基本的にはそのような条件のときには、荒川の中心部を流れている、低水路と我々言っておりますが、そこに中小河川が適切に合流するように計画をつくることによって対応できる。したがって、一般的に言えば、背後地は低水路に合流することによって通常の夕立程度であれば合流できるというふうに考えております。
  386. 沢田広

    沢田分科員 大蔵省にも来ていただきましたし、国土庁にも来ていただきましたが、時間が非常に少なくなりまして、大変おいでになっていただいて恐縮でありますが、お帰りいただいて結構であります。  それから最後に、あと残された時間まだわずかありますが、水門の操作ですね。十八号台風のときに、十時四十五分、さっきの問題になりました綾瀬の水門からすべて大体閉めた。私たちの関係しておりまする水門は閉めなかった。それで、夜中になってから鴨川の水門は閉めたという経過がありますが、口はちょっと悪くなりますが、台風というのは皮肉なもので、土曜と日曜にやってくるんですね。大体土曜日――土曜日に来るんです。これは河川局長も知っているように、大体土曜日に台風は来る。ですから、職員としてみれば、ちょうど休みになるのに都合が悪い。だから、十時四十五分に閉めてしまって、十八号台風のあの内水面現象、この図のようなものが生まれた後、ポンプですから、ポンプの能力ではたかが知れているんですよ。ですから、とてもじゃないが排水しきれない、ある意味においては私は人災だ、こう言っているわけですが、そういう状況です。  この水門操作は、局長、十分意思の徹底がされていなければならぬと思うんですね。早く閉めればいいというものでもないんですね。それから、満潮と干潮の関係も考えなくてはならぬ、あるいは秩父の方に降った雨量の状態も考えなくてはならぬ、あるいは自分の川の上流に降った水の来る時間も想定しなくてはならぬ。だから、少しぐらい逆流があったとしても直ちに閉めて余計に水害が起きる可能性もある、底部ですから。当然ポンプの能力が限定されているわけですから、水は追いついてこないのですから、結果的には上流に停滞した水になる、こういうことになるわけですから、水門の操作についてはなお一層、関東平野における水門、これは大阪も同じだと思うのですね。大東水害も私は行きましたが、現場も見ましたけれども、同じですね。ですから、そういう状況から見ると、水門の操作というものは絶えざる監視と判断と、そして一種の技術が必要である。ただ簡単に閉めてポンプによるという依存心では果たせない、そういうことだと思うのですね。  最後に、以上の点を申し上げて、前のおくれた分も含めて、少し早いと思いますが、職員のことを考えてこれで終わります。後でまたこれは本格的な議論をする機会を持ちたいと思っていますけれども、その点、水門の操作についてはくれぐれも十分注意して対応していただきたい、こういうことをお願い申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。局長、何かその点で意見ありますか。
  387. 近藤徹

    近藤(徹)政府委員 水門をどういう時点でタイミングよく閉める、いわばポンプをどういう時点で稼働するかということが大変重要であるという御指摘はまことにごもっともでございます。私どもも、毎年出水期の前には、全国へ局長名でございますが通達を発しまして、水害予防のために万全の体制で臨むように指導しているところでございます。
  388. 沢田広

    沢田分科員 どうもありがとうございました。  これで終わります。
  389. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、松原脩雄君。
  390. 松原脩雄

    ○松原分科員 部落問題、同和問題についてお伺いをしたいと思います。  昨年の十二月十一日にいわゆる地対協の意見具申というものがなされましたけれども、この意見具申についての政府の評価を最初にお伺いしておきたいと思います。
  391. 荒賀泰太

    荒賀説明員 昨年十二月に地対協の意見具申が出されたわけでございます。この具申におきましては、地対財特法失効後の方策でありますとか、今後における施策の重点課題でありますとか、今後の地域改善対策を適正に推進するための方策、この三点につきまして基本的な考え方を示していただいておるわけでございます。  政府といたしましては、今回の意見具申を今後の施策推進に当たっての貴重な意見として受けとめておりまして、これを尊重して取りまとめをいたしました政府の基本方針でございます今後の地域改善対策に関する大綱に基づきまして、地域改善対策を推進してまいることといたしているところでございます。
  392. 松原脩雄

    ○松原分科員 同和問題というのは戦後も取り組まれてまいりました。特に戦後の憲法、法のもとの平等を基軸にした基本的人権の尊重、それから一九六五年に同対審答申が出ております。同対審答申では「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。」「その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」、こういう確認がなされて、その後諸施策が行われてきたわけでありますが、この憲法を基軸にして同対審答申、そしてさらに今回の地対協の意見具申、こういう一連の流れを押さえた上で、部落問題の根本的解決に向けた今後の基本的な考えを簡単で結構ですから御説明願えますか。
  393. 荒賀泰太

    荒賀説明員 政府の大綱に即して推進をすることといたしておるわけでございますが、具体的には、現行の地対財特法制定の趣旨を踏まえまして、真に必要な事業に絞って財政上の特別措置を五年間延長することにいたしておりまして、現行地対財特法の一部改正法案を国会に提出をいたしておるところでございます。  それから、これまでの地域改善対策の効果を測定いたしまして、同和地区の実態等について把握するために、しかるべき時期に全国的規模の調査を行うことといたしておりまして、その実施体制、方法等について慎重かつ早期に検討をすることとしているわけでございます。  さらに、今後の地域改善対策のあり方等につきまして審議する機関といたしまして、現在ございます地域改善対策協議会を存続させることといたしております。  また、今後、就労対策、産業振興、教育、啓発等の非物的な事業に重点を置いて施策を積極的に推進することといたしております。  また、今後の地域改善対策を適正に推進するために、各種行政運営の適正化対策に一層積極的に取り組むことといたしているところでございます。
  394. 松原脩雄

    ○松原分科員 そこで、実は部落問題につきまして、従来、事業の観点から地域の指定をして施策を行ってきたわけでありますが、これまでもたびたび指摘してきましたように、いわゆる未指定地域と言われるものが現に存在をする、一説によれば一千カ所ほど存在をするというふうに言われております。  そこで、結局この未指定地域も含めた部落問題の解決でなければ根本的に部落差別の解決になったとは言えない、こういうふうになるだろうと思うのでありますが、現在、総務庁の方では、部落が全国では何カ所存在しておると思われますか。
  395. 荒賀泰太

    荒賀説明員 政府といたしましては、同対審の答申でありますとか地対協の意見具申を踏まえまして、同和対策事業特別措置法あるいは地域改善対策特別措置法を制定いたしまして、地域改善対策の推進に努めてきたわけでございます。これらの特別措置法の対象地域は、同対法が施行されました昭和四十四年から旧地対法の失効期限でございます昭和六十二年までの十八年間という長期間にわたりまして、具体的には市町村から手が挙げられたものにつきましてすべて確認、これはいわゆる指定ということでありますが、指定されてきておりまして、旧地対法の期限の切れる昭和六十二年三月末で四千六百三地区が確認されておるわけでございます。したがって、この四千六百三地区というものは、対象地域として事業実施の希望のあるものについてはすべて確認がされているものというふうに考えておるわけでございます。
  396. 松原脩雄

    ○松原分科員 戦後の調査だけを見ましても、一九六七年、当時の総理府で調査した数では三千五百四十五、それから七五年には四千三百七十四、それから一九八七年の総務庁の調べで四千六百三というふうになっております。これが、例えば福岡県一つの県をとってみましても、一九六七年の時点で約四百八十ぐらいだと思いますが、それが一九八七年の調査時点では六百十七ということで、部落の数が相当全国的にも、例えば福岡県をとってみても、数がふえておるわけですね。  これは、部落というものが、その発生史的に見ますと、いわゆる近世初頭ぐらいから発生をしたと言われておって、そんなに最近発生するというような問題ではないということですから、このような時を追って部落の数がふえてくるというこのばらつきの原因、これはどういうふうにお考えになっておられますか。
  397. 荒賀泰太

    荒賀説明員 ただいま申し上げましたこの十八年間という長期にわたりまして、その間には何回かの補完的な調査もございまして、今お話にありましたが、昭和四十六年は三千九百七十二でございましたが、その後追加の確認が行われておるわけでございます。これは、その同和対策事業地域改善対策事業という事業を実施する対象地域にするかどうか、これはあくまで地元地区あるいは地元の地方公共団体の選択あるいは合意によって手を挙げていただいておりまして、国としてはそれを尊重して今までやってきておるところでございます。  そして、先ほどお話がございましたが、六十二年三月末で私どもが確認したものが四千六百三でございましたが、そのちょうど一年前、六十一年の三月から六十二年三月の一年間におきましては門戸が開かれているところでございましたけれども、この昭和六十一年度の一年度間におきましては、一つの地区の追加も、手を挙げておられる自治体もなく、地区の追加指定もなかったという事実もあるわけでございます。  そこで、この地対法と現在の地対財特法の関係でございますが、現行の地対財特法といいますのは六十二年に失効いたしました旧地対法の残事業、つまり旧地対法の期間中に残された事業を処理するという目的でつくられた法律でございます。そういった地対法時代の残事業を処理するための法律でございまして、その対象地域はあくまでも旧地対法の失効までの間に対象地域として事業が実施された地域、すなわち対象地域に限定いたしまして事業を実施するという立て方になっておるわけでございます。したがって、現行の地対財特法におきましては、新たな対象地域の追加は行われないということになっているところでございます。
  398. 松原脩雄

    ○松原分科員 先ほど御説明がありましたよ、うに、いわゆる事業実施をするために指定を要請するということが要件になっているから、こういう数の変動もあるというふうになるわけでありますが、そのように地域指定を受ける、みずからそこの部落の方がいわば手を挙げてくる、そういう問題については法の光が当てられていますけれども、そういうふうに手を挙げることのないいろいろな事情があると私は思います。一番深刻なのは、私たちは部落として差別をされていますというふうな声を上げることすらできないほどに差別をされておられる方々、ここがやはり一番問題点である。  先ほどから繰り返していますように、部落差別という問題については、これを早急に解決しなければならない、国の責務であり、国民的な課題だ、これはずっと確認をされてきたことであります。したがって、いわゆる未指定地域というもの、一説によれば一千カ所、ここには全く法の光が当たっていない。この状態を残したままで果たして同和対策の根本的解決の施策を打ったと言えるかどうかという点について、総務庁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  399. 荒賀泰太

    荒賀説明員 多少重複して恐縮でございますが、私どもとしては、この十八年間という長い歴史の積み上げの中で、この地域改善対策事業を実施しないという地域住民の合意なりあるいは地方自治体としての選択というものがあったというふうに理解をいたしておるわけでございますから、対象地域以外の地域、これは一般地域でございます、一般地域に対しましては、これは全国民を対象とする一般対策が適用されるわけでございますので、対象地域以外の地域については一般対策の中で適切に対応していくべきものというふうに考えておるわけでございます。
  400. 松原脩雄

    ○松原分科員 ちょっと繰り返しますけれども、そういう差別された部落としての実態はある、しかし手を挙げてこないから指定はされていない、したがって実態として差別された部落がまだ指定地域以外にもあるんだという認識は政府としてはできないということなんでしょうか。
  401. 荒賀泰太

    荒賀説明員 私の申し上げておるのは、特別対策としての地域改善対策事業を実施する地域とするかどうかというのはあくまで地元地方自治体なり地元住民の方々の合意なり選択の問題であるということでございますから、当該地域においてそれはそれなりに十分な御議論なりがあって、そしてこれは一般対策でやっていく、特別対策としては考えないという選択があったものというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  402. 松原脩雄

    ○松原分科員 従来の答弁の繰り返してあります。  そこで、先ほど出ました昨年十二月の地対協の意見具申、その中の今後の方策の一つに、部落の実態と国民の意識調査をする必要がある、こういう項目があります。今までの法的施策といったものは一応おいといて、今後の施策という観点から考えまして、部落の実態調査、そして国民の部落差別に関する意識調査、そういったものを進めるに当たって、いわゆる運動体もあるいはほかのいろいろなマスコミも含めまして、まだまだ指定されていない部落が千ほどあって法の光が当たっておらぬ、そこには差別が厳然として温存されておる、そういう指摘もされておるわけでありますから、その面も含めて国の責任で今後この部落の実態調査といったものを進める方向で検討していくべきではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
  403. 荒賀泰太

    荒賀説明員 政府におきましては、昭和五十年とか六十年とか同和地区の実態の把握を行ってきております。昨年十二月の意見具申におきましても、これまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握するための全国的規模の調査をしかるべき時期に行うというのが、地対協の御意見でもあり、政府の見解でもございます。  この調査に当たりましては幾つかの準備が必要でございますが、調査結果の客観性が保証できるような実施体制、方法等について慎重に検討していかなければならないというふうに私どもは考えておりますが、その中で今お尋ねのいわゆる未指定地区についても対象にするかどうかという御質問でございますが、私どもの行っております実態調査というのは、あくまでも特別対策として地域改善対策事業を行ってきた地域、すなわち対象地域の実態を把握することが目的でございます。したがって、いわゆる未指定地区と言われるものにつきましては、これは現行法上の取り扱いはあくまでも一般地域でございますので、一般対策が適用されますこれらの地域について調査対象にすることは考えておらないわけでございます。また、今回の意見具申におきましても、これまでの地域改善対策の効果を測定するための調査ということをうたっておられるわけでございますから、そういった意味におきましても、いわゆる未指定地区について調査することは考えておらないところでございます。
  404. 松原脩雄

    ○松原分科員 部落問題の解決のために、先ほど指摘しました一九六五年のいわゆる同対審答申、これが非常に大きな力を発揮したという評価は当然与えるべきだと私は思います。そしてその同対審答申に基づいて諸施策が行われてきたわけでありますが、今度の地対協の意見具申にもありますように、やはりまだまだ環境改善面でおくれているところ、それから就労や教育あるいは啓発にかかわる問題につきましては差別がまだ広く残存しておるというのが実態のところであります。そして、ややもすれば今まで地域改善、環境改善という方向で進められてきたこの状況に対しまして、いまひとつ、もっと広範に、差別をなくしていこうという人権の観点からもっと広く部落問題の実態に光を当てて、そして本当に根本的に解決しよう、できたらもう二十一世紀には部落差別のない日本をつくっていこう、そういうふうな意気込みが必要だというふうに私は思っておるのです。今お話を伺っていたら、いわゆる今後の実態調査についても、これまでの施策の効果の判定というふうに限定的にお考えになっているようでありますが、私が先ほど指摘しましたように、未指定地域の問題も含めまして、もっと根本的に、これまでの施策を反省して、光を当てなきゃいかぬところをやらなきゃいかぬと思うのです。  そこで、同和対策審議会といったものがかつて設置をされて、これまで非常に大きな力を発揮した。このことを考慮に入れまして、この際、部落差別の実態を明らかにして、同和問題の解決に向けた行政全般のあり方をもっと幅広く国民的議論の俎上にのせるために、部落問題に関するいわゆる同対審答申並みの審議会、そういうものを設置して、もう一度点検をする必要があるのではないかと思うのですが、その点はお考えはいかがでございましょうか。
  405. 荒賀泰太

    荒賀説明員 昨年の地対協の意見具申におきましては、今後の地域改善対策のあり方につきまして審議する機関が今後とも引き続き必要である、こういう御提言をいただいておるわけでございます。この意見具申を受けた政府の基本方針でございます大綱におきましては、先ほど申し上げましたように地域改善対策協議会を存続させるということにいたしておるわけでございます。これまでもこの地対協におきましては地域改善対策について貴重な意見具申を行ってきていただいておりまして、政府もこれを尊重して施策を推進してきておるところでございますので、審議会に変更する必要はないというふうに考えておるわけでございます。  それで、同対審では、お話しのようにこの同和問題を解決するための総合的な施策ということについての御答申をいただいたわけでございまして、政府はそれを踏まえて各般の施策を推進してきたわけでございますが、その答申の中では、今後は、つまり同対審の答申以降は協議会を国に設置してやるべきだ、これは要するに具体的な施策の円滑な実施を図っていくという観点での協議会が必要だという提言をしておるわけでございます。したがって、その提言に沿いまして、同和対策として推進すべき施策のうちの関係行政機関相互の緊密な連絡を要するものに関する基本的事項を調査審議する組織として同対協を設け、そして現在地対協に至っておるということでございまして、この関係行政機関相互の緊密な連絡を要するという所掌事務からいたしまして、協議会という名称がふさわしいものというふうに考えておるわけでございます。  この地対協の意見具申では、先生おっしゃるように、今後は物的事業だけじゃなくて、もう物的事業はかなり進捗をしておりますから、これからは就労、産業、教育、啓発、こういった非物的な事業に重点を置いた施策の積極的な推進が重要な課題だというふうに述べておるわけでございますから、私ども、今後におきましては、地対協においてはこうした課題も含めて大いに議論をされるということを期待しておるところでございます。
  406. 松原脩雄

    ○松原分科員 それでは建設省の方にお伺いをしたいと思います。  実は同和向け公営住宅についての問題であります。既に資料をお渡ししておりますけれども、奈良県の場合、現在市町村管理の公営住宅が八千四百十五戸ございます。そのうち、同和向け公営住宅は四千八百六戸である。それらのうち、いわゆる老朽化して建てかえをする必要に迫られているものが実は相当数出てまいりました。県も指摘しておりますけれども、傾向としては建てかえ対象戸数の急激な増加傾向にあるというふうな指摘を実はいたしております。とりわけ同和向け公営住宅の場合、老朽化いたしますと、もちろん狭い、そして非常に老朽化したことがまた一つの新たな差別助長の温床になる、そういう危険性を含んでおるわけでありまして、この建てかえ問題、とりわけ市町村が一生懸命同和問題の解決のためにやってきたために、これだけの多くのものを建て、しかも建てかえに直面をしておる、こういう状態であるわけであります。  その点で、この老朽化した公営住宅、とりわけ同和向けとして公営住宅の建てかえ問題について政府が持っておる現状の認識と今後の施策について、まず最初に概括的にお話しを願いたいと思います。
  407. 立石真

    ○立石政府委員 まず、老朽化した公営住宅でございますが、公営住宅はこれまでに鋭意建設を図ってまいりまして、現在で二百万戸を超える住宅がございます。これらのうちには木造のものあるいは低層のもの等にかなり老朽したものがございますし、また中層のものにつきましても、かなり狭小でかつ老朽したものも出始めてきております。同和向けの公営住宅につきましては、低廉で良質な賃貸住宅の供給によって同和地区の住民の居住環境の向上を図るという目的で、特定目的公営住宅として昭和三十六年度より建設を行ってきておりまして、現在では六万戸弱の特定目的公営住宅が管理されている状況にございます。このうち建てかえ対象となる耐用年数の二分の一を超える住宅の割合は、全国で見ますと一二%程度となっております。先生指摘のように、奈良県はかなり古いものが多い県だというふうに見ておりますが、地域によりましてこの割合が相当高い地域もありますし、かつ老朽化の進展が著しい地域もあるというように認識、承知しているところでございます。  こういうようなときの住宅は、かなり住宅面積も狭く、そしてまた現在では老朽化しているところも多いわけでございますので、既設の公営住宅については、その居住水準の向上を図るために公営住宅の建てかえの推進を図ってきております。国におきましては、平成四年度以降十年間の建てかえ事業推進の基本方針となります公共賃貸住宅建てかえ十カ年戦略を、本年度中を目途に現在策定をしておりまして、これをもとに建てかえの激変緩和措置をとるため家賃対策補助制度等についても拡充を図っているところでございます。同和向けの公営住宅につきましても、国、都道府県及び事業主体が一体となりまして、建てかえ事業の推進に取り組んでいきたいと考えております。
  408. 松原脩雄

    ○松原分科員 特に同和向けの公営住宅の場合、非常に顕著な傾向が出ていると私は思う。一つは、非常に高齢者が多いということなんですね。それから、一種のおひとり住まいというような形の方が多い。それから、これまで差別をされてきたために大変健康を害されている方も多い。そういう意味では障害者というふうな形のものが多いわけですね。もう一つは、本当に部落差別をなくしていくためには、その部落を含んだ一般地域とのいわゆるコミュニティーを考える、それぐらいの方向性を持って、同和向け住宅の建設については現状に即した方向性を展開しておいていただきたい、このことを要望申し上げまして、時間ですから終わります。ありがとうございました。
  409. 粟屋敏信

    粟屋主査 これにて松原脩雄君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十二日午前九時より開会することとし、引き続き建設省所管並びに総理府所管国土庁について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十七分散会