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1992-03-11 第123回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成四年三月六日(金曜日)委員会に おいて、設置することに決した。 三月十日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       池田 行彦君    鈴木 宗男君       山村治郎君    加藤 万吉君       小岩井 清君    草川 昭三君       楢崎弥之助君 三月十日  池田行彦君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成四年三月十一日(水曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 池田 行彦君       鈴木 宗男君    山村治郎君       加藤 万吉君    小岩井 清君       谷村 啓介君    常松 裕志君       草川 昭三君    竹内 勝彦君       楢崎弥之助君    兼務 伊東 秀子君 兼務 上原 康助君    兼務 川島  實君 兼務 佐藤 恒晴君    兼務 鈴木喜久子君 兼務 関  晴正君    兼務 細川 律夫君 兼務 水田  稔君    兼務 元信  堯君 兼務 冬柴 鐵三君    兼務 吉井 光照君 兼務 渡部 一郎君    兼務 菅野 悦子君 兼務 古堅 実吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官加藤 紘一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 宮下 創平君  出席政府委員         内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房会計課長  荒田  建君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         管理局長    丹羽清之助君         人事院事務総局         任用局長    吉川 共治君         人事院事務総局         給与局長    森園 幸男君         人事院事務総局         職員局長    山崎宏一郎君         内閣総理大臣官         房審議官    高岡 完治君         警察庁長官官房         会計課長    石川 重明君         宮内庁次長   宮尾  盤君         皇室経済主管  永岡 祿朗君         総務庁長官官房         会計課長    土屋  勲君         北海道開発庁予         算課長     村上 喜堂君         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁参事官  金森 仁作君         防衛庁参事官  三井 康有君         防衛庁参事官  上原 祥雄君         防衛庁長官官房         長       村田 直昭君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練         局長      小池 清彦君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁長官 藤井 一夫君         防衛施設庁総務         部長      竹下  昭君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         防衛施設庁建設         部長      新井 弘文君         防衛施設庁労務         部長      荻野 貴一君         科学技術庁長官         官房会計課長  岡崎 俊雄君         沖縄開発庁総務         局会計課長   山城  勉君         外務大臣官房審         議官      川島  裕君  分科員外出席者         衆議院事務総長 緒方信一郎君         参議院事務総長 戸張 正雄君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   生天目忠夫君         裁判官訴追委員         会事務局長   澁川  滿君         国立国会図書館         長       加藤木理勝君         内閣総理大臣官         房総務課長   羽毛田信吾君         公正取引委員会         事務局官房庶務         課長      平林 英勝君         総務庁人事局参         事官      木内 徳治君         総務庁人事局参         事官      村木 裕隆君         防衛庁経理局会         計課長     山本  晃君         防衛施設長総務         部会計課長   荒木 丈彦君         経済企画庁総合         計画局計画官  安原 宣和君         科学技術庁研究         開発局宇宙企画         課長      興  直孝君         環境庁水質保全         局企画課長   小澤 三宜君         国土庁大都市圏         整備局特別整備         課長      宮地 謙一君         大蔵省主計局主         計官      松谷 明彦君         大蔵省主計局主         計官      藤井 秀人君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 冨岡  悟君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   今井 康夫君         運輸省航空局技         術部運航課長  松本 武徳君         労働省婦人局婦         人政策課長   尾上 史江君         最高裁判所事務         総長      千種 秀夫君         最高裁判所事務         総局刑事局長  仁田 陸郎君         最高裁判所事務         総局刑事局長  島田 仁郎君         法務委員会調査         室長      小柳 泰治君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君         決算委員会調査         室長      小島  敞君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     常松 裕志君   小岩井 清君     永井 孝信君   草川 昭三君     近江巳記夫君   楢崎弥之助君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   常松 裕志君     谷村 啓介君   永井 孝信君     小森 龍邦君   近江巳記夫君     遠藤 和良君   阿部 昭吾君     楢崎弥之助君 同日  辞任        補欠選任   小森 龍邦君     小岩井 清君   谷村 啓介君     前島 秀行君   遠藤 和良君     竹内 勝彦君 同日  辞任        補欠選任   前島 秀行君     有川 清次君   竹内 勝彦君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   有川 清次君     加藤 万吉君 同日  第二分科員伊東秀子君、鈴木喜久子君、元信堯  君、冬柴鐵三君、第三分科員上原康助君、吉井  光照君、第四分科員川島實君、佐藤恒晴君、渡  部一郎君、菅野悦子君、古堅実吉君、第六分科  員水田稔君、第七分科員関晴正君及び細川律夫  君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算  〔皇室費国会裁判所内閣及び総理府所管  (経済企画庁環境庁国土庁を除く)〕      ――――◇―――――
  2. 池田行彦

    池田主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、皇室費国会裁判所、会計検査院、内閣及び総理府並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管についての審査を行うことになっております。  平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算及び平成四年度政府関係機関予算中国会所管について審査を進めます。  まず、衆議院関係予算説明を聴取いたします。緒方衆議院事務総長
  3. 緒方信一郎

    緒方事務総長 平成四年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成四年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、五百六十九億三千万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十八億九千九百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、五百五十二億六千六百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し二十へ億一千九百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、議員室直通電話回線増設経費議員歳費並びに議員秘書及び職員人件費等増加によるものであります。  なお、議員秘書増員問題検討経費及び国会審議テレビ中継関係調査費を計上いたしております。  第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十六億五千六百万円余を計上いたしております。これは、第二議員会館内装改修費国会審議テレビ中継設備整備費電話交換設備整備費及び本館等庁舎の諸整備に要する経費並びに国会周辺等整備に必要な土地購入費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 池田行彦

    池田主査 次に、参議院関係予算説明を聴取いたします。戸張参議院事務総長
  5. 戸張正雄

    戸張参議院事務総長 平成四年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成四年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、三百四十億三千五百万円余でありまして、これを前年度と比較いたしますと、約二十五億八百万円の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百三十億七千八百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し約二十五億三千万円の増加となっております。これは主として、人件費増加によるもののほか、第十六回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費の計上によるものでございます。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、九億五千二百万円余を計上いたしております。これは、議員会館昇降機改修費分館委員会室テレビ中継放送設備整備費及び庁舎等施設整備に要する経費でありまして、前年度に比し約二千二百万円の城となっております。  第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成四年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 池田行彦

  7. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 平成四年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成四年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は、百四十三億二千二百万円余でありまして、これを前年度予算額百四十億二百万円余と比較いたしますと、三億二千万円余の増額となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百二十二億六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、三億八千八百万円余の増額となっております。これは主として、国会サービスの充実のための経費図書館資料収集経費及び人件費等について増額計上いたしたことによるものでございます。また、関西図書館プロジェクト調査経費につきましては、新規に事項立てをして、一千二百万円余を計上いたしております。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億三千五百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、一千六百万円余の増額となっております。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、十五億七千九百万円余を計上いたしております。これは、主に新館整備及び本館改修に要する経費で、前年度予算額と比較いたしますと、八千四百万円余の減額となっております。  以上、簡単でありますが、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  8. 池田行彦

  9. 生天目忠夫

    生天目裁判官弾劾裁判所参事 平成四年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成四年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は、一億一千百九十万円余でありまして、これを前年度予算額一億七百五十五万円余に比較いたしますと、四百三十四万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費裁判員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、主として職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  10. 池田行彦

  11. 澁川滿

    澁川裁判官訴追委員会参事 平成四年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成四年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は、一億二千六百五十五万円余でありまして、これを前年度予算額一億一千九百七万円余に比較いたしますと、七百四十八万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは、職員給与関係経費等増加によるものであります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  12. 池田行彦

    池田主査 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 池田行彦

    池田主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。常松裕志君。
  14. 常松裕志

    常松分科員 私は、国会で働いてくださっている方々の労働条件にかかわる問題について、幾つか御質問をいたします。  欧米主要国と比較して年間二百時間から五百時間程度は長いと言われております我が国の労働時間は、貿易収支問題に対する反発から、公正な国際競争を阻害するものであるとの批判が欧米諸国の間に高まってきており、また、国内的にもいわゆる過労死健康破壊生活破壊を引き起こすなど、極めて深刻な社会問題となっておりまして、今や労働時間の短縮は、命と健康を守り、豊かでゆとりのある暮らしを実現するための緊急の課題となっているところであります。  そこで、まず経済企画庁お尋ねをいたしますが、来年度は政府年間総実労働時間を千八百時間にすると内外に公約をした経済運営五カ年計画最終年度に当たるわけでありますが、この計画達成の見通しはいかがでございましょうか。
  15. 安原宣和

    安原説明員 ただいま御指摘の点でございますけれども、最近の労働時間の動向を見てまいりますと、完全週休二日制というものが順調に普及してきているということがございまして、着実に減少はしてきておるのですけれども、昨年、平成三年の総実労働時間はまだ二千十六時間という状況にございまして、先ほど御指摘のございました現行経済計画年間労働時間を、計画期間中に千八百時間程度に向けてできる限り短縮するという目標に対しましては、なお一層の努力が必要であるという状況でございます。  なお、本年一月に総理より諮問をいただきました新たな経済計画におきましても、労働時間の短縮といいますものは主要な課題の一つでございまして、現在、経済審議会で御検討いただいておる状況でございます。
  16. 常松裕志

    常松分科員 政府は、年間総実労働時間を千八百時間とするとの方針を決め、目標に向かって努力をしているようでありますが、労働時間の短縮については、衆議院事務局においてもこの方針と同じであると理解してよろしいかどうか、事務総長にお伺いをいたします。
  17. 緒方信一郎

    緒方事務総長 私ども国会職員国家公務員の一員でございまして、勤務時間と国会職員勤務条件につきましては、従来から一般職公務員に準じた取り扱いとなっておるわけでございます。  ただいまお話しのございました労働時間の短縮の問題につきましては、一般職公務員と同じ歩調で、同じ方針で積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  18. 常松裕志

    常松分科員 次に、総務庁お尋ねをいたします。  国家公務員完全週休二日制について、宮澤総理施政方針演説の中で「平成四年度のできるだけ早い時点での実施が可能となりますよう、所要の法律案を今国会提出する」と述べていらっしゃいますが、この法律案提出時期及びできるだけ早い時点とはいつか、周知期間を含めて御説明をお願いいたします。
  19. 木内徳治

    木内説明員 国家公務員完全週休二日制でございますけれども、昨年八月の人事院勧告を受けまして、その導入につきまして政府部内で検討を行いまして、昨年十二月に平成四年度のできるだけ早い時期に実施することなどを内容といたします方針を閣議決定しまして、この方針に沿って完全週休二日制を速やかに実施できるように近く法案国会提出したいと考えております。  また、周知期間でございますけれども、行政機関執務日の変更を国民に対して周知徹底するために、少なくとも一カ月以上の期間が必要でありまして、またその準備に相当な時間がかかるということでございますので、法の成立から実施までに少なくとも二カ月程度期間が必要ではないかと考えております。したがいまして、実施時期につきましては、現段階では確定的に申し上げることはできませんが、総務庁といたしましては、平成四年度のできるだけ早い時期に実施できるように引き続き最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 常松裕志

    常松分科員 できるだけ早いというのは、今国会中に提出をするということですか。
  21. 木内徳治

    木内説明員 今国会に近々提出させていただきたいと思っております。
  22. 常松裕志

    常松分科員 わかりました。  国会職員完全週休二日制については、本年四月から実施することになったとしても、交代制職場を含め体制的には支障がないというふうに聞いておりますし、行政庁早期実施のめどはついていることでもありますので、むしろ衆議院が率先して実施すべきだと思いますが、事務総長のお考えをお伺いをいたします。
  23. 緒方信一郎

    緒方事務総長 国会職員勤務条件につきましては、国会特殊性ということにかんがみまして独自の制度をとる余地があるわけでございまして、ただいま御指摘のように他省庁に率先してというお考えもあるわけでございますけれども、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、国会職員といえども国家公務員でございますので、一般職公務員と変わらない部門につきましては、一般職公務員に準じた取り扱いを従来から続けてまいっておるという経緯があるわけでございまして、ただいま近く週休二日制の法案一般職について提出されるというお話がございましたけれども、おくれないように国会職員についても実施をしてまいりたいというふうに存じております。
  24. 常松裕志

    常松分科員 おくれるよりも、ぜひ率先してやっていただくようにお願いいたします。  次に、休暇制度改善についてお尋ねをいたします。  年間総実労働時間を千八百時間とするには、完全週休二日制の実施のほか、超過勤務を抑制し、年次休暇完全取得を促進するとともに、夏季休暇を拡大し、リフレッシュ休暇スクーリング休暇などを新設するなど、休暇制度改善する必要があると思いますが、総務庁及び人事院は、これらの問題についてどのように取り組んでおられるのか、概略で結構でございますから、簡潔に御説明をいただきたいと存じます。
  25. 木内徳治

    木内説明員 総務庁といたしましては、労働時間短縮観点から、従来から、週休二日制の推進とともに、超過勤務時間の縮減、さらには年次休暇使用促進に努めているところでございます。  超過勤務時間の縮減につきましては、平成三年度の「人事管理運営方針」におきまして、「公務能率の一層の向上を図りつつ、超過勤務時間の短縮に努める。」ということとしております。また、超過勤務時間の短縮に関する方策検討するため、各省庁の実務担当者がら成る研究会を開催しております。この研究会では、中間報告といたしまして「当面実施可能な超過勤務対策」を取りまとめておりまして、各省庁において超過勤務対策に活用しているところでございます。  また、年次休暇使用促進でございますけれども、これも平成三年度の「人事管理運営方針」におきまして、「特に、夏季休暇の前後における年次休暇使用等を促進し、連続休暇の普及を図る。このため、職場実情に応じ計画を作成するなど休暇を取得しやすい環境作りを一層積極的に推進する。」こととしておりまして、各省庁に対してその趣旨の徹底を通知しておるところでございます。今後とも機会あるごとに年次休暇使用促進に努めてまいりたいと思います。  また、休暇制度改善でございますけれども、人事院の方から見解が表明されることがありましたら、総務庁としても、その見解を踏まえて適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  26. 弥富啓之助

    弥富政府委員 お答えを申し上げます。  豊かでゆとりある国民生活、それから、ただいま御指摘がありました国際化に対応するということで、勤務時間の短縮というのは確かにもう時代の潮流と言えるところであろうと思います。  人事院といたしましては、週休二日制の推進あるいは夏季休暇の新設その他いろいろと努力をしてきておりまして、随時その推進を図ってきているところでございます。  なお、仮に完全週休二日制の実施が図られたといたしましても、その後にさらに新たな観点からいろいろな施策を展開していかなければならないのではないか、こういうふうに思っております。  ただいま御指摘のありましたいろいろの休暇制度、今後とも関係者の意見を聞きながら、民間の実施状況、社会の動向等を勘案をして適切に対応をいたしてまいりたい、かように考えております。
  27. 常松裕志

    常松分科員 次に、衆議院事務総長お尋ねをいたします。  昨年から実施をされた夏季休暇は、たまたま国会開会中であったために、特に交代制職場などでは連続取得ができなかったというふうに伺っております。全く取得することができなかったという方もいらっしゃるようでありまして、また年休が大変とりにくくなった、そういった実情もあるようでございます。  年休についても、人手不足でもあり、なかなか希望どおりにはとれないというふうなお話を伺っているところでございます。年休完全取得を促進するために具体的な方策も講じておられるだろうとは思いますが、今総務庁あるいは人事院からお話がございましたような休暇制度改善について、今後、衆議院でどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
  28. 緒方信一郎

    緒方事務総長 ただいま御指摘にございました交代制職場におきましては、連続三日の夏季休暇というのはなかなかとりにくいというのが現状であると思われますけれども、できるだけとるようにという指導をいたしております。ただ、例外的に分割をしてとるということもやむを得ないのではないであろうかと考えておるわけでございます。昨年におきましては、一部管理職等で夏季休暇がとれなかったという例がごく例外的にございますけれども、交代制職場では全員が夏季休暇を取得しておるわけでございます。  また、年次休暇につきましても、交代制職場におきます年休は確かにとりにくいということもあるかと存じますけれども、そういう状況におきましても、業務に支障のない限り、できるだけとってもらうようにかねがね指導しておるところでございます。  休暇制度改善というお話がございましたけれども、先ほども申し上げましたように、勤務条件については政府職員に準ずるということでずっと来ておりますので、政府職員と同一歩調で研究してまいりたい、かように存じております。
  29. 常松裕志

    常松分科員 実態について、私が伺っているのと事務総長の掌握されているのとやや食い違いがあるような気がいたしましたので、その点につきましては、ぜひ事務総長も改めて職員の皆さんにお伺いをしていただいて、交代職場等で夏季休暇が本当にきちっととられたのかどうかについて、改めて調査もしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。お願いいたします。  次に、宿日直問題についてお尋ねをいたします。  衆議院においては、いまだ相当数の職場において宿日直業務が行われていると聞いています。私も相当夜遅くまで会館で仕事しておりまして、十時か十時半ころになりますと、会館の事務局の方々がこれから宿直だというお話を伺うわけですけれども、会館の事務局の方々なんかもそうだと思うのですが、また、私たちの乗る車を運転してくださっている方々もそうだと思うのですが、普通の宿日直というのは庁舎とかあるいは設備の保全など、本来の仕事とは違いまして、そういう庁舎や設備の保全などの勤務をするのじゃないかと思われますが、会館だとかドライバーの方々の場合は、本来の仕事の延長でずっと宿日直する、だから非常に長時間の労働に及ぶようにお見受けをしているわけでありまして、肉体的に見ても精神的に見ても相当過酷だなという実感を持って見ているわけでございます。  労働時間を短絡し、豊かでゆとりのある、人間らしい暮らしを求める最近の世の中の動きにどうも逆行するのがこの職員の方々の宿日直業務ではないかな、こんなふうに思いますが、完全週休二日制の実施を契機として、こうした宿日直業務について廃止あるいは大幅な見直しを行うということが必要じゃないかなと思われるわけでありますが、事務総長いかが。でしょうか。
  30. 緒方信一郎

    緒方事務総長 議員宿舎でございますとか議員会館等、宿日直の職場があるということは、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。また、今日、完全週休二日制の実現等、労働時間の短縮国民的な課題になっておるということも、私ども十分認識をいたしておるわけでございます。  現在、本院におきましては、OA化推進委員会という内部のプロジェクトチームをつくっていろいろ業務の見直しを行っているところでございますけれども、その検討課題に宿日直体制の見直しというものも入れて研究をしております。いろいろ現場の意見も踏まえまして検討しているわけでございます。議員の諸先生の御理解を得なければならない面もいろいろあろうかと思いますけれども、そういう点も得つつ廃止の方向で検討していきたいと思っております。
  31. 常松裕志

    常松分科員 私たちもできるだけ理解をして、その廃止の方向が実現するように協力をしていきたいと思いますから、ぜひよろしくお願いいたします。  次に、高齢化対策及び定年延長問題についてお尋ねをいたします。  人生八十年時代を迎え、また、二十一世紀の超高齢社会を目前に控えまして、高齢者の雇用機会の確保は極めて重要な問題となっております。おととしの六月には、六十五歳までの雇用機会の確保を図るための高齢者雇用安定法が制定され、これに基づき、労働省は六十五歳までの継続雇用の推進等に重点を置いたいろいろな高齢化対策を進めているところでございます。  公務部門では、総務庁及び人事院において高齢者の雇用のあり方を中心に本格的な調査研究が進められていると聞き及んでいるところでございますが、総務庁及び人事院において検討されております高齢化対策の内容及びその進捗状況等について御説明していただきたいと存じます。
  32. 村木裕隆

    ○村木説明員 御承知のとおり、平成元年の三月に被用者年金の支給開始年齢の引き上げについての閣議決定が行われたところでございます。  その中で、厚生年金における支給開始年齢の引き上げのスケジュール、六十歳から六十五歳でございますけれども、そのスケジュールが定められるとともに、公務員の年金であります共済年金につきましては、その職域における就業に関する制度運営等にも留意しつつ検討を進め、厚生年金との整合性を図る観点から、同様の趣旨の措置を講ずるよう対処していくこととされたところでございます。  この閣議決定に基づく共済年金の支給開始年齢の改定に伴い生じます公務員の雇用問題につきまして、種々の観点から調査研究し、対応について検討を進めるため、総務庁の人事局長を初めとする関係省庁局長クラスを構成員とする公務員共済年金制度改定問題に係る雇用問題検討委員会を、元年の四月二十日に発足させたところでございます。  同委員会におきましては、雇用に係る制度運用にあり方、共済年金に係る制度運用のあり方、民間企業における同種の制度運用状況、諸外国における同種の制度運用状況について検討を進めていくこととしておりまして、また、これらの検討に資するため、種々の実態把握に努めているところでございます。  この問題は、民間とのバランス、それから職員の所得及び生活設計、体力及び就労意欲、公務能率及び組織の活性化等、さまざまな観点からの多面的かつ総合的な検討が必要とされている問題であると認識しておりまして、今後総務庁といたしましては、引き続き先ほど申し上げたような種々の実態把握のための調査や資料の収集整備を行いまして、検討委員会における検討に資することとしているところでございます。
  33. 丹羽清之助

    ○丹羽政府委員 人事院といたしましては、高齢社会の問題への対応は、公務におきましても避けて通ることのできないものでありまして、今後の人事行政全般に大きな影響を及ぼす極めて重要なものであると考えて取り組んでいる次第でございます。  六十歳代前半層の雇用機会の確保を含みます高齢対策の検討に当たりましては、各省庁の業務運営、職務付与のあり方、さらにはそれらに応じました人事管理の見直しが必要であると考えられることから、これらの点につきまして各省庁、各職域の実態を踏まえました体制の見通しを得るために、既に各省庁の退職管理の状況、退職公務員の就業状況等の実態調査を実施し、また、六十歳代前半層の継続雇用に係る諸問題の把握に努めるとともに、各省庁にも具体的な検討をお願いしているところでございます。  さらに、これらの検討は、年金をめぐる動向あるいは民間企業の動向等を踏まえながら進める必要があることから、民間におきます定年制度、中高年齢者雇用、企業年金等の実態をも把握するための調査研究をも行っているところでございます。
  34. 常松裕志

    常松分科員 次に、定年延長の問題についてお尋ねをいたしますが、衆議院におきましては、職員団体の強い反対を押し切る形で、昭和六十年から六十歳定年制が導入、施行され、経過措置による暫定定年年齢も今や六十一歳代に突入し、六十歳になるのは目前に迫っているわけであります。今、総務庁やあるいは人事院お話もございますので、直ちに暫定定年年齢を凍結をし、高齢化社会を迎え今や社会的趨勢となっております六十五歳程度まで定年年齢を延長する措置を講ずるべきであると思いますが、事務総長はいかがお考えでしょうか。
  35. 緒方信一郎

    緒方事務総長 国会職員の定年制につきましては、政府職員か六十歳定年ということをとっております均衡もございまして、世論のコンセンサスが得られるものでなければならないという趣旨から、ただいま御指摘のように、六十歳定年制ということを定めておるわけでございます。  ただ、定年制導入前の退職年齢というものを考慮いたしまして、急激な変化を避けるために十年間の暫定年齢というものを設定いたしまして、平成七年三月三十日に六十歳になるというように逓減措置を講じているわけでございます。  ただいま御指摘ありましたように、暫定年齢は現時点で六十一歳六月になっておりまして、退職管理も円滑に行われておるわけでございます。私ども、公務員を取り巻く諸情勢というものを慎重に見きわめながら運営をしておるわけでございますけれども、現時点で、暫定年齢の凍結でありますとかあるいは定年の延長というようなことについて見直す情勢にはないのではないかというふうに現在考えております。  ただ、定年制施行時の退職時期は、従来の経緯もありまして、定年に達した日の属する月末、その月ごとに退職をしておったわけでございますが、平成二年度からは四半期ごとに改めましたし、また、平成四年度からは年度末に退職時期をまとめて延ばす、その月でなくて年度末に全部まとめるというようなやり方にしたいというふうにしております。  また、政府職員におきまして、高齢化社会に対応した諸施策の策定に向けましていろいろ問題点の把握、検討を進めておられるということでございますので、本院におきましても、その推移に十分注意しながら研究してまいりたいと存じております。
  36. 常松裕志

    常松分科員 国会職員の定年制についての最大の問題は、六十歳定年制の導入は、政府職員にとっては実質的に雇用延長措置であったのに対しまして、国会職員の場合は、まさに時代の流れに逆行する雇用短縮措置でありまして、明らかに職員の方々の生活権を侵害する大変不当な措置であったという点であります。  これを補う趣旨かどうか、当時の国会審議において事務総長は、「定年退職制度の運用に当たりましては、勤務延長の十分な活用によって職員の人事管理が適正となるよう努めてまいりたい」、あるいはまた、勤務延長、再任用などの運用に当たっては、勤務実績及び関係職員団体の意見を反映する等運用の公正を確保するとの「内閣委員会の附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいりたい」と答弁をされているわけでありますが、現実には、職員団体の意向は全く聞き入れられることなく、今日に至るまで勤務延長、再任用は行われていないというふうに聞いているところであります。  他省庁では、実際にこの制度を活用しているところもあると聞いておりますので、衆議院においても国会答弁どおり勤務延長、再任用制度を活用してしかるべきであると思いますが、事務総長の御見解をお承りいたします。
  37. 緒方信一郎

    緒方事務総長 勤務延長あるいは再任用という。問題につきましては、いろいろそういう御議論があったことは事実でございます。  ただ、この制度を実際に政府職員等につきましても実施をしておる状況をいろいろ見ますと、やはり退職すべき職員の職務の特殊性あるいは職務遂行上の特別な事情から見て、その退職により公務に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるとき認められる、こういう制度でございまして、政府職員の例を見ましても、医師とか看護婦あるいは予報官でございますとか、そういう特殊な職種しか認められていないというふうに聞いておるわけでございます。  本院におきましては、定年制施行後現在まで、特殊な例を除いて御指摘のように勤務延長、再任用職種は認めておりませんけれども、今後、そういう制度の趣旨から見まして、真に必要な場合にはこの制度を活用してまいりたいと考えております。
  38. 常松裕志

    常松分科員 先日、議院運営委員会の中においても、私どもの森井忠良代議士からそういった点についてお話を申し上げたやに私ども報告を受けているところでございますので、ぜひひとつこの勤務延長、再任用制度については、弾力的に活用していただきたいということをお願いいたしておきます。  次に、再就職の問題です。  最近は人手不足だと言われておりますが、年齢別有効求人倍率で見ると、高齢者の再就職は非常に難しい状況だと言わざるを得ません。長年にわたり衆議院のために尽くしてこられた方々へのアフターケアとして行う退職の際の再就職先のあっせんや相談、情報提供等については、他省庁でも行われているところでありますし、特に、衆議院の場合は退職年齢を引き下げたこととの関連においても誠実に対応していただきたい。  また、現在退職予定者について行われておりまする生涯設計セミナーの内容を充実するとともに、対象者を四十歳代の希望者にまで拡大するようにお願いしたいと思いますが、事務総長の御所見をお伺いいたします。
  39. 緒方信一郎

    緒方事務総長 長い間事務局職員として御苦労いただきました職員に対しまして、定年後もその力を活用していただきたいという気持ちは、私ども十分に持っているわけでございまして、可能な限りのことはいたしたいというふうに思っております。  ただ、何分にも本院は行政官庁と事情が異なりまして、実際問題として、定年退職後における再就職先のあっせんというのはなかなか困難な事情にあることも、ひとつ御理解をいただきたいと存じます。  当事務局を退職されました多くの方が、再就職をされる際にいささかでもお役に立てればという考え方から、平成二年度から退職予定職員を対象にしまして生涯設計セミナーというものを実施をしておるわけでございまして、その中で、例えば再就職先のあっせん機関の情報提供を行うというようなことも行っておるわけでございます。ただいま先生御指摘のございましたこのセミナーの拡充、受講対象の拡大ということにつきましては積極的に、前向きに検討していきたいと存じております。
  40. 常松裕志

    常松分科員 終わります。ありがとうございました。
  41. 池田行彦

    池田主査 これにて常松裕志君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木喜久子君。
  42. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 私は、国会職員の皆さんの労働条件にかかわる問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず、定員増の問題について衆議院事務総長にお伺いします。  国会においては、近年の緊迫した政治情勢を反映して、各職場の業務量は年々増加し、その業務内容も著しく複雑、多様化してきておりまして、各職場からは人員増が強く求められてきているようであります。  しかしながら、衆議院事務局は、これまで政府の七次にわたる定員削減計画に協力せざるを得ないということで、連年にわたり厳しい定員管理を行ってきております。ここ十年間の動きを見ますと、増員ところかむしろ減員となっておりまして、長年にわたる過重労働による職員の肉体的、精神的疲労は限界状態にあると聞いております。  表を見ますと、五十八年度からずっとマイナスで、昭和六十三年度に、これは旧国鉄職員採用ということで一人、それから、あと平成三年度に社会労働委員会が二つに分かれたということで、ここでプラス五というのがあるだけでありまして、あとは五十八年度からずっと減員、減員で来ております。こういう状態にありながら、来年度の予算定員は、本年度に比べてまだ実質一人減の千八百二十一人というふうにされたわけでありますけれども、このような人員体制で、職員労働過重を解消し、また、国会改革の一環として要請されている事務局スタッフの強化等に十分対応することができるのかどうか、お伺いをいたします。
  43. 緒方信一郎

    緒方事務総長 政府の定員削減計画というものは、政府機関についての計画でございますけれども、国会についても、これは同じ公務員であるということで、協力すべきものは協力をしようということで、ただいま御指摘のようにずっと協力をしてきたわけでございます。ただ、協力する面におきましては協力いたしますけれども、ただいま例に挙げられましたように、社会労働委員会を分割した際には必要な人員を五名ふやす、一例でございますけれども、例えばそういうぐあいに、いろいろ新しい仕事がふえるという面については増員要求を行って増員を行ってきているという、その繰り返しを行ってきたわけでございます。  最近十年の例をお挙げになりましたけれども、もう少し長いスパンでごらんいただきまして、第一次削減計画というものが始まりました初年度が昭和四十三年度でございますが、そのときの衆議院の予算定数は千七百五十六人でございました。第七次削減計画平成三年度終わるわけでございますが、そのときの定数が千八百二十二でございますから、かなりふえておるわけでございます。これは、減るものは減るけれども、ふやすものはふやすということの積み重ねでそういうことになっているということでございます。  たまたま平成四年度、ちょっと一名差し引きで減が出ますけれども、職員勤務負担増にならないように、いろいろ職員の適正配置でございますとか、事務機器の導入とか効率化とか、いろいろ配慮しながら、現場で過重労働にならないように配慮してまいりたいと思っております。
  44. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 私どもも大変お世話になっている職員の方々でございます。くれぐれも過重労働にならないように、これから元気をつけていただきたいというふうに思います。  さらに、事務総長に欠員の問題についてお尋ねします。  衆議院事務局においても、最近は団塊の世代と呼ばれる人たちが退職年齢を迎えてきておりまして、ここ当分の間、大量退職時期というのが続くというふうに聞いております。しかし、その大量退職に伴う欠員の補充が不十分であるために、年々現職の職員の負担が重くなり、長時間に及ぶ残業問題等が生ずるというふうに聞いております。現在生じている欠員は、年度末にはさらにふえるということになるわけでございますけれども、来年度当初の四月にはすべて補充されて、欠員は解消されることになるのか、今後の大量退職の状況等を含めてお答えをいただきたいと思います。
  45. 緒方信一郎

    緒方事務総長 事務局の人員確保につきましては、従来からあらゆる努力を払っておるところでございまして、応募者も逐年増加をしてまいりまして、その成果が着実にあらわれておるわけでございます。  ただいまは、欠員については、一つは年度途中で退職者が出てくるということで欠員が出るという問題と、それから一部特定の部署においては募集難で若干欠員が出るという問題と、二つあるわけでございますが、その募集につきましては、今後とも最善の努力を重ねていきたいと思っております。  年度途中の欠員の問題につきましては、ただいま先生もお触れになりましたように、平成四年度からは一般職員の定年退職日を年度末に一本化をしまして、年度中の欠員が出ないようにしていきたい、それで、退職しましたものについては年度初めに全員補充する、こういう方針でやってまいりたいと思っております。
  46. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 年度末に定年退職日が一本化されるということで、これによって確かに年度途中の欠員はかなり生じにくくなるということで、多くの職場ではこの措置については歓迎されているようでであると思います。しかし、中には、年度当初の大量の欠員補充はかえって難しい、好ましくないという職場もあるように聞いております。これらの職場については、その意向を十分尊重して対処されるようにお願いを申し上げたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。育児休業制度についてお伺いをしていきたいと思います。  育児休業制度については、民間、公務両部門において本年四月一日から実施されることになりました。仕事と家庭生活の両立を図る観点から、男女労働者にその権利が保障されたことは大変意義のあることだと思います。  しかし、この制度の実効性を担保する上で最大の問題は、休業中の所得保障がないことであります。昨年の一月に労働省が行った調査においても、無給であるということが休業取得の大きなネックになっているということがうかがえるわけで、また、公務員の場合には、女子教育職員等の特定三職種とそれから他の職員との間で不公平を生ずるということもあります。そういうことで問題があるわけですけれども、速やかに何らかの所得保障を検討すべきだと思います。このことについては、民間との関係もあります。労働省と人事院のお考えお尋ねいたします。
  47. 尾上史江

    ○尾上説明員 お答えいたします。  育児休業を取得する労働者に対する経済的援助の問題につきましては、この問題を御審議いただきました私どもの婦人少年問題審議会の建議におきまして、この問題につきまして「様々な意見、見解の違いがみられるなかでは、一定の方向を定めることは困難な状況にあり、更に、広範、かつ、多角的な観点から論議が深められる必要がある。」といった建議をいただいております。  労働省としましては、今後、育児休業法の施行状況などを踏まえて適宜対処いたしたいというふうに考えているところでございます。
  48. 山崎宏一郎

    ○山崎政府委員 人事院におきましても同じような議論があったわけでございますけれども、育児休業中の給付につきましては、民間における給付が一般化するまでに至ってないということを踏まえ、現行のような制度にしたものでございます。  なお、この育児休業給の支給の直用拡大につきましては、今後の民間での育児休業中の経済的援助の状況の的確な把握を進めつつ、今後対応してまいりたいと思っております。
  49. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 さらに、労働省の方に伺いたいと思うのですけれども、現在、先ほどおっしゃいましたところで、賃金補助ということに関しましては、これは労働省の調査だと思いますけれども、民間では約半数を超える企業が何らかの賃金補助をしている、全くないのは四六%だというようなことが出ております。民間の中で定着をしてきたかどうかということについての一つの指針になると思いますので、この点についても、今後の。ことについて労働省のお考えをなおただしたいというふうに思います。  また、もう一つ、もともとのところで、本来は休業法の法制化に当たってはここでは有給にしようじゃないか、何らかの所得保障をしようじゃないかというふうなことがあったと聞いております。ところが、これについては財界や自民党の強い反対で実現しなかったということでございます。この点について、もうそろそろその時期が来ていると思いますが、再びこの点について伺いたいと思います。
  50. 尾上史江

    ○尾上説明員 先生御指摘のとおり、労働省の調査では、約四割が社会保険相当額を支給しているという調査結果が出ております。今後の経済的援助の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、こういった民間での状況、四月から施行になるわけですから、この施行状況をしっかり見定めてそれから対処していきたいというふうに考えているところでございます。  それから、婦人少年問題審議会でのこの育児休業期間中の労働者の経済的援助の問題につきましては、いろいろ御議論がございまして、先ほど申し上げましたように、一定の結論が出せなかったということでございます。こういった御審議の経過、それから法の施行状況を踏まえて、今後考えていきたいというふうに考えているところでございます。
  51. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 よろしくお願いをしたいと思います。  さらに、人事院の方にお伺いしたいのですが、民間対象の法律では、就学前の子供を持つ労働者に対しても、育児休業とかそれから勤務短縮に準ずる措置をとるように努力義務を課しております。育児は一年間で終わるわけではない、その後もまた大変な時期があるわけでございますから、公務員においても同様の措置が望まれるのですが、この点はいかがでしょうか。
  52. 山崎宏一郎

    ○山崎政府委員 今回の育児休業法におきまして部分休業という制度を設けまして、一年の範囲内で一定の時間、育児のために休業できるという制度を設けたところでございます。
  53. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 今のお答えとして、私が申し上げましたのは、一年の後のことについてということでございますが。
  54. 山崎宏一郎

    ○山崎政府委員 一年まで、子供が一歳を超えてまでとはなっていないわけでございますけれども、こういう制度にしましたのは、公務運営と、あるいは育児との調和を図るといいますか、そういうこともございます。現行の制度といたしまして、子が一歳に達するまでは母性保護の観点から、保育時間、超過勤務の制限、勤務軽減などの措置が既に設けられております。  それから、乳児である期間が最も育児と仕事の両立が難しい、あるいは民間法等とのバランスも考慮する必要があるというようなことを総合判断して、一年ということにしたものでございます。  人事院の方の調査によりますと、現在、子が一歳を超えて育児休業を認めている企業は六・五%ございます。今後とも民間の動向については的確にその状況を把握してまいりたいと思っております。
  55. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 育児休業について、一歳を超えて認めているのは六・五%ということでございますけれども、勤務時間の短縮というような弾力的な措置、一年を超えても子育てを、やはりずっとその間には非常にたくさんいろいろなことがあるわけでございます。公務運営とのバランス、それは、その勤務する女性にとってももちろん大切なことですし、自覚を持って働こうとするわけでございますけれども、やはりやむを得ないことというのも、一年を過ぎた子供たちにも多く発生すると思います。ぜひとも、この点について弾力的な考え方というものをこれからもとっていっていただきたいと思います。  ところで、制度の利用、この育児休業法を円滑に行っていくというその利用を阻むもう一つの要素として、保育施設の不備の問題が指摘をされております。現状で、母親が育児休業に入ると、上の子は原則として保育所を退所するということになって、今度休業が終わってしまってからまた再度入所をさせようとしても、年度途中の定員がいっぱいでなかなか入所できないというような現状があったと聞いております。  この入所基準の見直しについては、本年になりましてからいろいろな形で厚生省の方もお考えになっているようでございます。その点について、こうした入所基準の見直しとか、また、保育所の量的な整備について、厚生省としては、どういったことを考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  56. 冨岡悟

    ○冨岡説明員 御説明申し上げます。  保育所は、女性の仕事と子育ての両立を支援する上で大変重要な柱であると考え、その充実を図ってきているところでございます。四月から育児休業制度が本格的に導入されることに伴いまして、その円滑な実施に向けて、保育所としてもきめ細かな対応が必要であると考えているところでございます。このため、保育所の対応につきまして幅広い観点から対策を検討してまいったところでございます。  その結果につきまして、今月の五日に各都道府県、政令市に対しまして通知いたしたところでございます。御指摘の、いわゆる上のお子様につきましては、実はなかなか難しい問題があるところでございます。  それは、育児休業制度はお子様を育てるための休暇制度、一方、保育所はお子様を家庭で育てることができない方につきましてお預かりするという制度でございます。そのようなことから、大変難しい点があるわけでございますが、せっかくできました大変大事な育児休業制度でございまして、それに対します折り合いをどのようにしようかと思って検討したところでございます。  今回講ずることといたしました対策の概要を申し上げますと、保護者が育児休業をとられたからといって、一律に保育所から退所ということではなくて、保護者の健康状態がよくないといった事由に加えまして、次年度に小学校への就学を控えているなど、入所児童の環境の変化に留意する必要がある場合、それから、集団指導が必要とされます三歳以上のお子様につきましてその地域に児童館といった受け入れ先がない場合、それから、その児童の発達上環境の変化が好ましくないと考えられるといった場合につきましては措置を継続して差し支えない、こういった取り扱いにすることとしたものでございます。  また、育児休業の実施によりまして、それから復帰されるお子様の、乳児それから低年齢児の保育需要が塔すものと考えております。この点につきましては、平成四年度予算案におきましても、乳児保育所の増加といった対策を講ずることといたしております。  以上でございます。
  57. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 これは大変いいことだと思います。それでよろしくお願いをしたいと思いますが、それでもなおかつ、やはり途中で一遍退所する子供さんたちも多くなると思います。この途中入所、またその後再入所を認めるという点でも、新聞報道によりますと、その点についても厚生省は、育児休業法に対応して途中入所ということも推進するというようにここに書かれております。ことしの一月八日の日経でございますけれども、そういったものも書かれておりますので、その点もよろしくお願いをしたいというふうに思います。  では、事務総長にお伺いします。  育児休業制度を運用する上で最も重要なことは、取得しやすい環境の整備であります。そのためには、請求に対しては原則として承認すべきであることを徹底すること、代替要員を確保すること、また、復帰後の職場に対する本人の意向を尊重すること等が必要でございます。さらに、管理者を初め全職員に、制度の趣旨、内容がより一層周知徹底されるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 緒方信一郎

    緒方事務総長 育児休業制度につきましては、創設をされました目的に照らしまして、請求があった場合にはできるだけ承認をしていくということは、言うまでもないところでございます。  他方、公務員というのは、公務の役割ということから考えましてその穴をあけてはいけないわけでございまして、業務分担の見直しでありますとかあるいは配置がえ、非常勤職員の採用、臨時的任用等の代替要員の確保等の措置を行いまして、原則として承認をしていくというふうにしていきたいと思っております。  復帰後の職場に対する本人の意向でございますけれども、十分尊重するということにもちろんやぶさかではございませんけれども、復帰後の配置については、人事管理上総合的に判断をいたしまして決定をしていくということになろうかと思います。  周知徹底ということにつきましては、これはもう当然のことでございまして、取得しやすい環境の整備ということに最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  59. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  復帰後に肩身の狭い思いをするようなことのないように、育児休暇をとられない人たちの間にもその理解を深めることに、どうぞ努めていただきたいと思います。  次に、看護・介護休暇について伺います。  高齢化の進展あるいは家族構成の変化などに伴い、老いた親の介護また家族の病気看護のために、男女を問わず取得できる看護・介護休暇制度の導入が労働者の切実な要望となってきております。昨年の人事院の勧告においてもこうした趣旨の制度導入について触れられていたと思いますけれども、人事院は今後どのように取り組まれるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  60. 弥富啓之助

    弥富政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまのお話の看護休暇それから介護休暇等の制度につきましては、職業生活と家庭生活の両立を図るものとして、老親介護を初め家族の介護のための休暇制度につきましては、最近の報道にもありましたように、これは社会的関心が非常に高まっているということは承知をいたしております。  ただ、本院が平成二年に調査をいたしましたところによりますと、民間企業における看護休暇の普及率というものは、個別に措置するものを含めても大体一三・五%ぐらいでございまして、必ずしも現時点ではそう高いものとはいえないとは申しながら、ただいま申し上げましたように、これからの職業生活と家庭生活の両立を図るということとして、ただいまいろいろお話しありました育児休業制度も四月から導入されることなどもございまして、今後民間企業における看護休暇の普及も進むことは、十分にこれは考えられるということでありますので、当院といたしましても、民間の動向等を常に調査検討しながら適切に対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 事務総長はどのようにお考えでしょうか。
  62. 緒方信一郎

    緒方事務総長 看護休暇の必要性についていろいろ御意見があるということは、十分承知をいたしております。ただ、基本的に、国会職員勤務条件につきましては一般職公務員と同じ取り扱いをする、従来からそういうことで積み重ねてきておりまして、看護休暇の件につきましても、一般職公務員の措置をされますれば、当然本院も同様の措置をとっていきたいと考えております。
  63. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 もう少しぜひ前向きの御答弁をいただきたかったと思いますけれども、ぜひ御検討をよろしくお願い申し上げます。  次に、女子職員の職能育成について伺います。  衆議院においては、この数年来、女性職員の登用、配置、そしてまた研修、出向等について、総長の御努力もあって徐々に実績ができつつあるように聞いておりまして、大変喜ばしいことだと思っております。今後も引き続き、責任を持って意欲的に働こうとする女性の能力を見出し、それを最大限に活用するとともに、その努力に見合った処遇をしていただきたい、また管理職にもどんどん登用していただきたいと思いますが、事務総長の御意見をお伺いいたします。
  64. 緒方信一郎

    緒方事務総長 衆議院におきまして、女子職員の登用あるいは職域拡大、職能育成につきましては逐年積極的に努力を重ねておるところでございまして、ただいまは実績をお認めいただきまして、大変恐縮に存ずるわけでございます。  御参考までに少々申し上げますと、現在の衆議院事務局におきます全職員に対する女子職員の比率は全体で約二六%でございまして、昨年二五%でございましたので、全体としても数はふえてきておるということで、またその中でも、行(一)、速記職員、議院警察職員につきまして昨年より増加をしておるというようなことで、職域も拡大しているわけでございます。  職能育成につきましては、職務遂行に必要な能力を付与する教育をし、育成するためにさまざまな研修を行っておりますが、女子職員の研修の受講比率も現在三五%ということで、昨年は三二%でございましたが、増加をしておるというようなことでございます。また、女子の職員の出張等についてもいろいろ増加をしておるわけでございまして、先生がおっしゃいましたように、意欲的に働こうとしております女子職員努力に見合った処遇をしてまいろうというふうに私ども取り組んでおるところでございます。  ちなみに、女子職員の全体の中に占める係長以上の女子職員の比率は現在五二・六%ということで、前年の五一・五%と比べましても相当増加しております。また、七級以上の女子職員も一八・二%で、前年の一六・八%と比べ増加をしております。このようにいわゆる女子職員の役職率というものも拡大しているということで、職員もだんだん重くなっているということも言えるわけでございます。各職場において、その処遇に見合った職員をひとつ果たしていただけるように大いに期待をしておるわけでございます。  管理職の登用でございますが、これも現在、庶務部にもふえております。今後意欲のある女子職員はますます管理職に登用していくことになる、これからだんだんふえていくということになると思います。  こういうことを踏まえまして、それぞれ意欲を持って職務に取り組まれまして、大いに力をつけて職員を果たしていくように、大いに私ども期待をしているところでございます。
  65. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 どうもありがとうございました。ぜひともよろしくお願い申し上げます。  最後になりますけれども、女性の職員の再雇用制度について伺います。  育児休業制度ができたとして、いろいろなことがありますけれども、なおやはり十分なキャリアを持ちながらも、仕事と家庭生活との間で退職を余儀なくされる女性も少なくありません。こうした女性が再度働ける状況になったときに復職できるような制度をつくり、その能力を活用することは、今や時代の要請でもあります。この問題について積極的に取り組んでいただきたいと思うのですが、人事院、そしてまた事務総長の方々の、これから女性もふえていく中で大変重要な問題でございますけれども、お二方の御意見をぜひ前向きの御答弁でお願いしたいと思います。
  66. 吉川共治

    ○吉川政府委員 再雇用の問題でございますが、近年の女性の目覚ましい社会進出による共働き世帯の増加と社会の高齢化、核家族化が進みます中で、職業生活と育児、看護等の家庭生活との調和を図る観点から、御質問のような要望があることは十分に承知をいたしております。この問題につきましては、本年四月に発足する育児休業制度の活用状況あるいは民間企業における動向なども見ながら、今後研究をしてまいりたいと思っております。
  67. 緒方信一郎

    緒方事務総長 育児休業制度というものができたことによりまして、従来とまた若干状況が変わってくるのではないかという感じもいたしまして、非常に注目をしておるところでございますけれども、なおかつ、先生御指摘のように、十分なキャリアを持ちながら諸般の事情で退職をしなければならないという方もあろうかと思います。そういう再雇用の問題については、人事院においても、いろいろ公務員全体の問題として御研究されているというふうに聞いておりますので、それを踏まえながら十分検討してまいりたいと思っております。
  68. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)分科員 東京特別手当と労働基準法の女子保護規定についても伺いたいと思いましたが、時間の関係でここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  69. 池田行彦

    池田主査 これにて鈴木喜久子君の質疑は終了いたしました。  次に、元信堯君。
  70. 元信堯

    元信分科員 私は、過去二回、この分科会におきまして、国会会議録のデータベース化など情報化について質問をさせていただいてまいりました。衆議院においてもこの間、部分的ながらワープロの導入を図られるなど努力をされておりますことは評価すべきことだというふうに思っております。そういうものを踏まえて、きょうは、今後の方向性について幾つか御質問したいというふうに思います。  まず、そもそも会議録というものについて議員がどのようなニーズを持っているかということが重要であろうというふうに思います。昨年、会議録について国会議員の立場で研究してみようじゃないかということで呼びかけまして、超党派の議員六十三名によって国会会議録研究会を発足をいたしました。会長には中島源太郎先生をいただいたわけでございますが、直後にお亡くなりになりまして、本当に残念に思っているところであります。十二月十七日に衆議院参議院各党の十八人の議員の参加を得まして第一回の研究会を行ったところであります。この研究会には、両院の事務方の皆さんやあるいは大蔵省の印刷局、国立国会図書館など、それぞれの職員の皆さんからも御参加をいただきましたし、あるいはまた、その後レポートをつくりましてお届けをしておりますので御承知いただいているかというふうに思いますが、当日の席上でも、あるいはまたその後、出席した会員の皆さんに行いましたアンケートでも、さまざま意見が寄せられているところであります。  整理してみますと、現状の会議録、これがこれでいいと思っている人というのは二五%未満である。七五%以上の人は、やはり時代に即した改良が必要であろうというふうに考えられているところであります。その改良の方向としては、まず第一に、やはりもう少し速く会議録が出るようにしてもらえないか、速報化と押しましょうか、そういう要求が一つ。それからもう一つは、それと同じぐらいの大きさでございましたけれども、データベース化を急いでもらいたい。この二つの意見が圧倒的に多かったというふうに思います。  今後、会議録をどういうふうにしていくかということについていろいろな角度からの検討が必要であろうかと思いますが、議員の関心も大きな要素になるだろうというふうに思います。院として、昨年、全議員に対して、設備についてどう思うかというようなことを民間の機関を使ってアンケートをされたようでございましたが、会議録のあり方などについても議員の意見を調べてみる必要があるのではないか。議員としてはいたしましたけれども、事務方としてもそういう必要がある時期に来ているのではないかと思いますが、まずこの点から伺いたいと思います。
  71. 緒方信一郎

    緒方事務総長 国会の会議録につきまして議員の諸先生の御意見を反映していく、これは当然のことであろうかと思います。  会議録がもっと早く入手できないか、あるいはもうちょっと簡単に一般の人でも入手できるようにならないか、そういうような論点では、現在、議院運営委員会でも国会改革の一環としてお取り上げになりまして、いろいろ議論をいただいております。そういう中で、そういうものについて前向きに検討してまいりたいと思っております。  それから、データベース等につきましては、これはもうかねて先生御主張のような方向に沿って私ども実際に進めていきつつあるわけでございまして、必要な時期に、いろいろな具体的な御意見を伺う必要があれば、またお伺いをしていきたいと思っております。
  72. 元信堯

    元信分科員 昨年の分科会で御質問申し上げた以降、院の事務方としてもさまざま御努力があったというふうに思いますので、この間、データベース化を含めて、会議録部門の機械化などについて、衆議院あるいは参議院国立国会図書館を含めて、どのような措置が講じられたか、あるいは来年度、平成四年度予算の中にはどういうものが盛り込まれているか、この際、ちょっと伺っておきたいと思います。
  73. 緒方信一郎

    緒方事務総長 本院の事務局に設置をしております衆議院OA化推進委員会というのがございますが、その下に、効果的な会議録作成システムの構築を目的としまして、昨年二月に、記録部を中心とした関係の部課室から構成されますワーキンググループで会議録作成システム分科会というものを設けまして、協議、検討を重ねてまいりました。  その結果、報告書が昨年六月に提出されたのでございますが、その骨子は、会議録作成の過程でのOA機器活用による会議録情報のディジタル化及びデータベースの構築を図るというものでございます。また、将来的な意味での院内のLAN構想についてもその中で触れております。こうした報告書の提出を受けまして、当面の課題として、会議録情報のディジタル化について行うことといたしております。  去る十月、現在行っております速記反訳の際の手書きをワープロで代替するといった計画推進するために、ワープロを二十四台導入したわけでございますが、新年度も引き続き大幅な導入を図っていきたいと思っております。今後実績を考慮しながら、ともかく記録部の全課に必要なワープロが行き渡るように措置したいと存じております。  また、平成三年四月より衆・参・図書館の事務レベルでの会合を持ちまして、各組織のOA化の現状、問題点等の意見交換、研究を行ってまいりました。  その後、七月に、私も含めまして、参議院事務総長国会図書館長との間で、国会会議録のデータベース化について協議を行っております。その結果、国立国会図書館が所有します国会会議録索引システムの改善にとどまらず、広く国会会議録のデータベース化を初めとしたさまざまな問題を衆・参・図の間で取り上げまして検討を行うということを協議決定いたしまして、十月に会議録索引システム改善検討会というものを発足いたしたところでございます。今後ともこのような検討会を含めまして、衆・参・図書館三者の協議の場を持つように努めてまいりたいと存じております。
  74. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 昨年の分科会で先生から御指摘がありまして、会議録の索引について両事務総長と協議する必要があるのじゃないか、それはどうなったか、こういうお話がございました。そういうことで三者で協議を進めることにいたしまして、その前提としまして、先ほど緒方事務総長から御答弁がありましたように、三当局の事務方でのそれぞれの業務機械化の進捗状況を今後どう進めていくか、もちろんその中には会議録のデータベース化、そういうものを含めまして検討するということで始めて、それを現在まで七回行っております。  それから、やはりこれも緒方事務総長が今御答弁になりましたが、常会が終わりました後で両事務総長と私と会合いたしまして、会議録の全文をファクスで先生方のお手元にお送りするのにはどのようにしたらいいか、どの程度のことが当面できるかというような研究をそれぞれする。それから、それにつきましては、当然現在の索引の改善が必要になってまいりますので、それについてもどうするかというような協議をいたしまして、その結果、当面、光ファイルにしていく、そうしてそれを引き出しやすいような索引の改善を行う、そういうような三者によって構成する非公式の協議の機関をつくろうではないか、こういうことで、ただいま緒方総長が言われましたような三者の協議会のようなものをつくったわけでございます。そうして現在は、その協議をまた進めているところでございます。  そういうような背景におきまして、平成四年度の予算に千八百九十万ばかりの予算を計上いたしております。これは、会議録の光ファイル化をまず当面やってみようじゃないか、そうしてファクスでお送りしやすいような、また検索しやすいような索引の改善を並行させて実施していこうではないか、そういうようなところに至っているわけでございます。
  75. 元信堯

    元信分科員 過去の会議録についてはさかのぼってディジタル化することはせずに、光ファイルにイメージとしてとっておいて、そうしてそれを必要があれば、今ですと索引のデータベースから必要とする会議録にたどりつきますと、行ってコピーをいただいてくるというのをファクスで送ってやろう、こういうお話かというふうに伺いました。  今のシステムよりは随分便利になろうかというふうに思いますが、一つここで気になりますのが、去年も申し上げましたけれども、総務庁が同じシステムをつくっておる。総務庁とこれは重複することになるのじゃないかな、こういう気がするわけであります。きょうは呼んでありませんが、総務庁に去年聞いたら、三権分立の手前、同じにはできないという、まことに御立派な御答弁があったわけでございます。まあ使い勝手の点からいっても、総務庁の使用目的と国会の使用目的はまた違うというようなこともあろうかと思います。なければ、向こうのを何とかこっちへ公開させるのも一つの手かなと思いましたが、国会国会でやるということでありますと、二重投資という点はちょっとあろうかというふうにも思いますが、まあ評価できるのではないかと思います。  ただ、今の国会の会議録の索引データベースはNORENの中に入っておるわけですが、NORENとこの光ファイル、ファクシミリ伝達との関係、このあたりがちょっと気になるのですが、どのようにお考えでしょうか。
  76. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 これは、NORENと光ファイルとを結びつけることを今考えております。
  77. 元信堯

    元信分科員 技術的にはいろいろ問題があろうかと思いますが、ぜひ早く使えるようにしていただきたい、お願いしておきたいと思います。  それでは今度、将来発生する会議録の問題に移っていきたいと思います。  なかなか難しいところですね、過去の分は光ディスクにしてイメージでやっていく、将来はディジタルにするということになると、やはり二本立てということにならざるを得ない。考え方としては、今のシステムでずっと将来も先ファイルでいけばいいではないかという考え方もあろうかと思いますが、私は、その一貫性という点ではそれも一理はあろうかと思いますが、使いやすさという観点から見てまいりますと、やはりディジタルということになろうかと思います。将来についてどういう方向であるかということをまずちょっとお聞かせいただけますか。     〔主査退席、加藤(万)主査代理着席〕
  78. 緒方信一郎

    緒方事務総長 いろいろ衆・参・図書館でそういう問題も含めて現在議論をしておるわけでございますけれども、さしあたり、先ほども申し上げましたように、衆議院におきましては、記録部にワープロを導入しましてディジタル化を進めておるわけでございまして、私どもは、やはりその先生おっしゃるような将来のフルテキスト形式での方向というものに対応できる準備をしていかなければいけないということでやっておるわけでございます。
  79. 元信堯

    元信分科員 それでは次の問題に移りたいと思います。  先ほど申しましたように、議員の中では会議録の速報化という問題、これが非常に要求が強いわけです。今、予算委員会でありますとか、その国会での中心的な委員会は、記録部の皆さんに最大限の努力をしていただいて、三日ないし四日後には会議録が手に入る。今のシステムの中では驚異的な速さではないかなというふうに私は思っておりますけれども、しかしながら、諸外国の例などいろいろ聞いてまいりますと、あした出るとか二、三時間後には出るとかという例も、例えばアメリカですとかEC議会だとかそういうとろではあるようにも聞きます。これは、日本語とアルファベット系の文字の違いというようなことなども当然考慮されなければならぬことでありますけれども、実は、この速報とデータベースというのは関連しているのではないかなというふうに思われるわけです。  といいますのは、これも私、幾つか勉強してみたのですけれども、従来の考え方ですと、まず会議録ができてそれをデータベースに登録する、こういう順序で考えておったわけですが、今はどうも逆のようで、反訳を例えばワープロでやれば、その時点でもうどんどんデータベースに登録をしていく。その登録のときに一ひねりしなければならぬのですが、会議録の決まった様式というものがあります。様式に合わせて、ここからここまでの文字列、例えばその日の日付であるとかタイトルであるとか質問者あるいは答弁者とかそういう、タグというふうに申しておりますけれども、符号をつけて、そしてワープロで打っていけばそのままいわゆる構造化された文章になる。いろいろなやり方があるようですが、SGMLなどが代表的なものだと承知をしておりますが、そうして構造化された文章がデータベースに登録されますと、それを今度コンピューターからおろしますと、そのまま印刷にかけ、会議録ができる、こういうようなシステムができるように今はなっているというふうに聞いております。  そういう意味で、速報化とデータベースというものは切り離せない関係にあるものだというふうに私どもは承知をしておるわけでございますが、そういうことを踏まえて、速報化の問題についてどのような対応をお考えになっているのか承りたいと思い、ます。
  80. 緒方信一郎

    緒方事務総長 会議録をもっと速くできないかという御指摘は、再三先生方からお聞きしているわけでございます。現在、標準的には本会議の会議録は十日ぐらい、委員会議録で一週間ぐらいかかっているというのが実情でございます。これは、まず速記を起こしまして、手書きの原稿を大蔵省の印刷局に送りまして、そこで電算写植をして、そういう経緯を踏んでいるわけでございます。  ただいま記録部にワープロを導入しておりますのは、その手書き原稿というものをつくらなくて、いきなり反訳でワープロに入れてしまいますと非常にきれいな原稿がすぐできる。それが、そこから先が、先生がおっしゃいましたように、一工夫すれば直ちにデータベースに直行できるわけでございますけれども、他方、印刷した会議録というものは、これは国会としてはどうしても必要なものでございまして、必要であると思っておるわけですが、それの場合にも、その現在の作業の一つの過程を省略していきなり印刷原稿ができるということで、飛躍的に速くできるようになるだろうと思います。ただ、現在習熟をしている段階でございますのでなかなか、そこまでいくのにはちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、そういう方向で、できるだけ速く会議録が作成できるようにということで努力していきたいと思っております。  別途速報版というようなものを出すことができるかどうかという問題でございますけれども、確かに欧米諸国で、翌日そういう要約が出ておるというものもいろいろお聞きをしております。ただ、先生もお話しになりましたように、言葉の違いでありますとか、それから、どうしても未定稿のようなものになりますので、後日またきちんとした会議録をつくらなければいけないとか、そういう問題があるわけでございます。  現在でも、例えば会議録を精査する必要があるというような場合には、手書きではございますけれども、その部分だけ速報といいますか、コピーしまして、議運等で御検討いただくというようなことはやっておるわけでございますので、用途をごく限定していただければ、そういう問題については現在でも対応していけるのじゃないかというふうに思っております。全部についてぱっと簡単に、欧米でやっておるような速報版が出るというのにはなかなか、いろいろ問題もありまして、これは検討課題にさせていただきたいと思っておりますけれども、基本的には、現在の会議録作成のスピードそのものをどんどん上げていくというのがまず正攻法ではないだろうかというふうに私ども思っております。
  81. 元信堯

    元信分科員 私も、去年になりますか、臨時国会でPKO委員会に所属をいたしまして何回か質問に立ちました。ああいうふうに非常に込み入ったといいますか、あれは言葉の問題などがありまして非常に難しい委員会だったわけですけれども、すると、やはりきょうの発言というものを精査しなければなぬ。記録部へお邪魔をいたしまして未定稿を見せていただく、これがまだ制度化されていないわけなんですね。まあ例外的扱いと申しますか、まあしようがありませんねというぐらいのお話で、後日何かの引用なんかされちゃ困りますよとか、いろいろあれこれ制約がある。しかも、原稿そのものが印刷局に回ってしまい。ますと、それのコピーはありませんから、もうその時点で、印刷局から返ってくるまではどうにも手が出ないというような問題もさまざまありまして、これから国会審議がますますふくそうしてくるとどうしても、この速報化といいますのか、問題は重大になると思います。ぜひ御検討をお急ぎいただきたいと思うのであります。  それから次に、会議録についてはさまざま御努力をいただいておるようでありますけれども、国会の中での情報化と申しますのはそれだけではないだろうと思うんですね。会議録だけが突出してやるというわけにもまいりません。公報のあり方の問題ですとか、さまざまあろうかというふうに思います。その点についても先ほど事務総長から、OA化研究委員会ですか、つくられて御準備されていると思います。  このOA化の問題というのは、コンピューターの使い方というだけではなくて、その業務にそれぞれ習熟、周知をしている人たちが集まって、全体的に、かつ有機的なものでなくてはならぬというふうに思うわけであります。衆議院もたくさんの職員を擁されておって、その中にはさまざま能力のある方もあろうかと思います。この情報化について、衆議院職員の人材の有効活用について考える必要があるかと思いますが、ちょっと御見解を承っておきたいと思います。
  82. 緒方信一郎

    緒方事務総長 衆議院の全体の情報化という問題につきましては、先生御指摘のように、まず職員の人材活用といいますか、人材の養成ということがまず基本になるのではないかと思います。  本院につきましても、近年、OA機器等がかなり導入されましたので、いろいろコンピューター関係の基礎知識も大分身についてきているのではないかと思っております。衆議院のOA化推進委員会でいろいろワーキンググループをつくって研究しているわけでございますけれども、人材確保につきましては、昭和六十二年から実施しております階層別研修の中にもOA関係の科目を取り入れまして、職員の情報処理の基礎知識の付与に努めておるところでございます。また、本年度からはそれをさらに一歩進めまして、OA研修というような形で、短期間ではございますけれども、職員数十名を民間会社で実施をしております研修に派遣をしておるわけでございます。  それから、平成四年度に入りましたならば、長期の情報処理研修にある程度の情報処理の基礎的素養並びに適性を持つ職員を派遣するというようなことも検討したいと思っております。今後は、こういう形で育成をしました職員を積極的に院内の情報化の核として参画をさせて進めてまいりたいと考えております。
  83. 元信堯

    元信分科員 それでは最後に、会議録の出発点となります速記のあり方、これについて承りたいと思います。  我が国の国会における速記というのは、百年を超す歴史がある大変由緒正しいといいますか、伝統のあるものであるとは承知をしておりますが、最近、電気機器あるいは情報機器の進歩も目覚ましいものがありまして、ディクナーションマシンなどというものも登場してまいりまして、さらに速記タイプライターなどというものが英語圏で開発されて、最近では日本語の中にもそういうものが登場しつつある、こういう状況であろうかというふうに思います。速記をめぐる状況というのは、甚だ大きな変容を遂げつつあるわけでありますけれども、このディクナーションという考え方ですね。テープを用いて話し言葉を文字にしていく、こういうものについて、事務局としてはどんなようにお考えになっているのか、この際、承っておきたいと思います。
  84. 緒方信一郎

    緒方事務総長 ディクナーションの活用ということでございますけれども、いわゆるテープ起こしというような意味でありますとすれば、国会の議事のように、問題が非常に多岐にわたりますとともに、緻密な論議を記録する場合におきましては、会議録の正確さ等、質の高い会議録を作成するという面から考えまして、いろいろ問題が多いのではないだろうかというように考えております。
  85. 元信堯

    元信分科員 地方議会などでも、事実上ディクナーションを採用しているところがもう多数じゃないかなというふうに思われます。事務総長からお話がありましたように、確かに正確なものをつくる、後世に残すものをつくるわけでありますから、遠ければいい、安ければいいというものでないことは重々承知をしておりますけれども、速記符号を使う今の速記のやり方と、こういう電子機器を用いるやり方、おのおの長所があろうかというふうに思われますので、ぜひ積極的に御検討をいただきますようにお願いを申し上げて、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  86. 加藤万吉

    加藤(万)主査代理 これにて元信堯君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  87. 川島實

    川島分科員 私は、既に通告をいたしております衆議院施設整備のあり方、及び国会見学者に対する開かれた国会として改革するための諸施策についてお尋ねをいたしたいと思います。  数日前、私のところに安城市の杉浦さんという方が、国会見学をしたいということで事務所を訪れてまいりました。杉浦さんは年金生活者で、交通費も安く上げるためJRの東海道在来線の割引切符を利用いたしまして、夜行列車で前日、安城市を立ちまして、朝早く東京に着いたということでございます。  国会見学を楽しみに来たそうでございますが、私の秘書が面会所まで案内をして手続をいたしましたけれども、団体やその他の見学者がないために一人の案内はできないということで断られてしまいました。やむなく、私も委員会がございまして、事務所をあげるのは大変不本意でございましたけれども、秘書に通行証を、自分のところはよそに借り出されておりまして、よそから借りてこさせ、本人を連れて案内をさせたのが現実の状況でございます。  現在の国会国民一人来ても見学を自由にできない、非常に民主主義の守られていない嘆かわしい状況であると思うわけでございますが、事務総長は、このことをいかに受けとめておるのか、まずお伺いしたいと思います。
  88. 緒方信一郎

    緒方事務総長 だれでも自由に院内を参観できるようにするのがいいのではないかという御意見は当然あろうかと思います。  ただ、院内では非常に重要な審議が行われておるわけでございまして、私どもとしましては、まず平穏で円滑な審議ができるような院内秩序というものを確保するのが不可欠であるということから、現在のような制度を多年とっておるわけでございます。  先生お話しいただきました、一人で来て断られたというお話でございますが、そういうふうにお受けとめされたとすれば大変残念なことでございましたが、突然少人数で――必ず衛視がついて案内するわけでございますけれども、突然少人数でおいでになった場合には、できるだけほかの団体と一緒にまとめて御案内する、衛視の数も限られておりますのでそういうやり方をしておりますので、恐らくちょっとお待ちくださいというようなことだったのではないかと思います。
  89. 川島實

    川島分科員 今の答弁に対して非常に問題点が出てまいっております。それは、これから私が一つずつ質問をする中で解き明かすことができると思います。  次に、一昨年の国会開設百年記念に国会が自由にあちこち全部見れるということで、我々議員のところにも御案内がございました。私も、後援会の人たちがその一週間前にここの国会見学を予定を入れておりましたが、わざわざそれを日にちを延ばしまして、自由に見れるだろうということで日にちを変更いたしました。そして、地元を朝六時に立って、バスでここへ参りまして、あの駐車場ヘバスを入れて、参議院の側からずっと並びながら、二時間半並んでようやく国会の玄関の入り口のまだ中ほどでございまして、またこれから入り口へ入るまでに二時間かかる。これでは次の、夜のいろいろなホテルヘ行く道中のこともございまして、泣く泣く断念をいたしまして帰った経緯がございます。  多くの主権者たる国民が見学を希望して、これにこたえることができない、こういう国会議事堂の管理のあり方が問われるべきでありまして、日ごろ皆さん方が、その管理に携わっている多くの人たちがもっともっと英知を結集して、国会議事堂百年のこの記念にどういう開かれた国会としての討議がなされたのか、その辺のこともお伺いをしておきたいと思います。  日本国憲法の前文にはこのように書かれております。「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」とあります。さらにまた、議長がこの議会開設百周年記念の過去・現在・未来のこのあいさつ文の中で、「帝国議会の時代を経て、新憲法下において、主権者である国民を代表する国会に生まれ変わりました。」このようなあいさつすら述べておるわけでございまして、これらのことを考え合わせますと、今の現状がいかにひどいものであるかと言わざるを得ないわけでございます。  きょうも多くの子供たちが朝早くから、あの交通の激しいところにバスをとめて、狭い歩道のところへ乗りおりをさせながらあそこへ行列をして、行き交う人たちも十分に歩くことができない状況の中で国会見学の入り口が定められております。なぜ、もっと安全な広い正面玄関のあの門から入って、あの広いところで乗りおりをさすことができないのか、このことについて御所見をお伺いしたいと思います。
  90. 緒方信一郎

    緒方事務総長 ただいま議長のあいさつ文を引用されましたけれども、確かに、戦後、国会国民主権の国権の最高機関として生まれ変わったわけでございますけれども、建物は、実は大正九年に起工いたしまして昭和十一年に完成をして、それから使い始めておるというものでございまして、いかにもいろいろ問題が出ておるわけでございます。恐らく、いろいろ先生が御指摘をされる点もそういうところから出てくるんじゃないかと思います。  これから新しく議事堂を建てるという場合には、恐らくこれはできるだけ多くの人に見ていただくということと、会議の円滑、平穏なる進行というものとが両立するにはどうしたらいいか。あるいは、見学の、今おっしゃった、子供たちが危険な目に遣わないとか、できるだけ便利に見ていただくとか、そういうことを配慮した構造に多分なると思います。これは、そういうわけで非常に古い建物で、新しい機能をできるだけ円滑にやろうということから、どうしても無理が出てくるという点があるわけでございまして、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  現在、国会移転などというものも特別委員会をつくっていろいろ御議論をされておりますし、いろいろ現状での、例えば議員会館の改築でありますとか、手直し的ではありますけれども、一つの抜本的な施設のやりかえというようなことも議題に上ってきておるわけでございまして、そういう中で、いろいろ御指摘のような問題も、全面的に一挙にということにはならないかと思いますけれども、部分的に解決していけるものがあるのではないだろうかと存じております。
  91. 川島實

    川島分科員 私は、そんな古いことを言っているのではない。今現在で十分対応できることを建設的にあなたに申し上げているわけです。国会議事堂の建物の正面も開放する努力をすべきであります。そしてまた、衆議院参議院の入り口から見学コースをつくるべきだと思います。そして、見学コースは、一人でも二人でも訪れたときに自由に散策ができるように、おのおのの説明者がつかない場合は、機械やビデオやそういう近代的な施設できちっと、せっかく国会へ来て、ここで代表者が、みんなが働いているそのありさまがわかるような状況をつくり出す、あなたにはその義務があると思います、責任者として。そしてまた、国会周辺にあります食堂だとか売店だとかそういうものも自由に出入りができるように構造を改革すべきだと思います。  オーストラリアの首都のキャンベラ、総長は行かれたかどうかわかりませんけれども、あそこの国会議事堂は正面から堂々と入ることができます。そして、中へ入ると、いろいろな貴重な絵や彫刻や、じゅうたんが敷かれて、本当に美術館のように音楽が流れ、きれいなところでございます。本会議場も防弾ガラスがきちっと張られて、そういう設備になって、いつでも、会議をやっているところでも自由に見ることができ、話を聞くことができる、一日じゅうでもそこで遊ぶことができる、そういう開かれた国会が世界の中にはあるわけです。なぜ日本はそういうことができないのでしょうか。  さらにまた、先ほど、代議士がいろいろ審議中だから、いろいろ問題になるといけないからという配慮もございました。なぜ、今の開かれた時代に土曜や日曜を見学コースとして全部開放しないのですか。これからは、主権者は国民国民の利用ができやすいところに我々は目を向けて、月曜日休みに振りかえるとかそういう措置を講じてもできるじゃありませんか。  さらにまた、国会議事堂のあの高い展望台は「開かずの間」と言われております。議会開設記念の百年のときに初めて開かれたと言われている。代議士の何人がそこを見ておりますか。なぜそういうところをつくらなきゃいけないのでしょうか。私は、それを開放すべきだと思いますが、御所見をお伺いしておきたいと思います。
  92. 緒方信一郎

    緒方事務総長 いろいろ御指摘のような点について、できるものからいろいろ私どもも考えていかなきゃならないとは思っておるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように大変古い建物でありまして、建築当時の設計思想として、そういうふうに自由にみんなが出入りするという考え方でできておりませんので、ともかく私どもとしては、審議の円滑、安全ということを最優先にまず考えざるを得ない。しかる上で、どれだけそれと両立する範囲で一般の方にごらんいただけるかという、そういう範囲で考えていかなきゃいけない。それをこの古い、大正九年起工の建物の中でやろうとしておるわけでございますので、いろいろ無理があるわけでございます。  キャンベラは、私は参ったことはございませんけれども、恐らくそういうところも、立派なところもいろいろあると思います。これは新しくまた議事堂というものを、いずれ移転という話もございますし、これはそういうことがいずれまた日程に上ってくると思いますが、そのときこそ、いろいろ先生のそういう御意見を取り入れた、本当に理想的なものを皆さんのお知恵を出してつくっていただきたいというふうに思います。とりあえずのところとしては、我々、さっき申しましたような、今現状でできる範囲内で最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  93. 川島實

    川島分科員 答弁に対して大変不満です。こういう姿があるからこそ、国民が泣かざるを得ない状況になっている。日本の民主主義が育たない状況なのです。  本年度も予算の中に施設整備が十六億五千万余のっております。いろいろ整備に向けて目が向いてきておるようでございますが、しかし、私にとってはまだまだ大変不満が多うございます。国会周辺の環境整備について、いろいろ目を向けてみたいと思います。  私は、二年前に新人議員として国会に来たときに、余りにもあちこち汚いのに、そして事務室がにおいがあって臭い、汚れている、こういう汚いところにびっくりいたしました。そして管理者を呼んで、どうして新人議員が来たときには、もう少しきれいにならないのかと言ったら、これらを全部張りかえると一カ月かかると。参議院はいつもきれいになっている。しかし、私が愛知県から東京へ来て、一週間前に言って、二日間できれいになりました。おかげさんでこの二年間、非常にきれいなところで実務をとることができます。ほかの秘書さんやほかの代議士さんが私の部屋へ来でいろいろ見ながら、本当に感心をして帰られておるのが現状でございます。ようやく今、第一会館が環境整備が進んだ、こういうふうに聞いているわけでございますけれども、私は、皆さん方がやる気があればできると思うのです。  あの第二会館の階段で滑った先輩代議士が、残念ながら亡くなりました。非常に貴重な国家としての人材をなくして、損失なんです。しかし、すぐ後に、あっという間に手すりができ上がりました。赤坂の寮では、代議士が滑ったと言うたらすぐフロアにカーペットが敷かれました。やれるじゃないですか、やろうと思えば。なぜやらないのでございますか。このことについて、まず御所見をお伺いしておきたいと思います。
  94. 緒方信一郎

    緒方事務総長 主に議員会館のことをお話しをされておるのだと思いますけれども、会館につきましては、建築後かなり年月もたっておりまして、非常に今となっては狭いとか、あるいは汚いという御意見はごもっともであろうと思います。私どもも逐年いろいろ手を入れておりまして、例えば外装も、現在の外装は建築のときとは全く違う外装になっております。中もそれぞれ手を入れまして、なかなか予算もかかりますので一挙にというわけにはいきませんですけれども、部屋の張りかえでありますとか水回りの整備でありますとか、それからエレベーターを増設するとか、いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、できるだけの努力はいたしておるつもりではございます。
  95. 川島實

    川島分科員 大体こういう建物の管理というのは、日ごろから本当に建物を管理する人が厳しい目で建物を見て、建物をかわいがる、環境整備を行う、これによって快適なことが生まれるわけです。本来なら、代議士がおのおのの事務室で国政に携わるわけでございますから、代議士の人たちが、皆さんが事務室で快適な仕事ができるように配慮をしてさしあげるのが皆さん方の役目だと僕は思うわけです。ところが、実態は非常に悲しい状況ですね。あの第二会館なり第一会館の入り口付近を見てください。車全部、一日じゅうとまって占領されて、通行人は、何千人も出入りをしておる通行人は、一メーター八十のあの通路を、それも車が後ろ向きで排気ガスを吹かれるために一メーターに縮まったところを行き来せざるを得ない。衛視さんが立っていても、それを指導しない。もうなれちゃっておるわけですよ、悪さに。そこにとまっている車社会の人たちが一日じゅう、一台に一人乗ってきて、何人の人があの広場を占拠しておるのですか。このことについてどう考えますか。
  96. 緒方信一郎

    緒方事務総長 議員会館は、大変車が多いというようなことから、歩行者に大変御迷惑をかけておる、こういう事実が御指摘のようにあるということにかんがみまして、これは歩行者をもっと大事にしなければいけないという観点から、平成四年度におきましては、第一議員会館及び第二議員会館の前庭の歩道部分に車どめさくを取りつけまして、歩道上に駐車している車体が突き出さないように処置をして、駐車部分は、現在の駐車線引きを変更し、対処するというふうに予定いたしております。
  97. 川島實

    川島分科員 そういうこそくなやり方では反対です。もっと堂々と、歩道を便利がいいようにカラークリート――今、本当に名古屋は、名古屋の町は古くて田舎だと言われておりましたが、しかし、三年前に名古屋のデザイン博を行いまして、町並みは本当に驚くほどきれいになりました。みんなが、自分たちが住んでいてよかった、ここで働いていてよかったといって、誇りを持ってやれるような、そういう町づくりが必要なんですよ。国会で働いている皆さん方、衛視として働いて日夜頑張っておる人たちが、外に立っておっても、すがすがしい気持ちで職場でやっておれるような、そういう環境をつくってあげなきゃいけないと思います。  私は、最初に来た年に、そういう状況でちょっとひどかったものですから、議長さんにも名古屋の立派な町並みのパンフレットを、小冊子を、名古屋市役所からもらってきて差し上げて陳情しております。東京都知事にも、そういう冊子を持って、ちゃんと出向いて陳情してまいりました。しかし、二年間たっそみても一向に何ら改善する兆しかない。これは、やはりそこに携わる、総長さんを主体にして、勧告をしながら、要請をしながら直さざるを得ないのじゃないですか。  今、日本は、世界でも経済大国と言われている。毎月、各国の元首が何人も来るわけです。なのにどうですか、通路には穴があいて、ひっかかって転びそうになるところだってあります。あそこは簡単にカラークリートをちょっと敷くだけで、そう人様に邪魔にならなくても、土、日だけの仕事でもきれいに改革することもできます。地下のあの長い廊下、殺風景なところ、参議院は自然のいろいろな四季折々の写真が張ってありますよね。なぜ衆議院はそれを見て、国会のいろいろな解説だとか、いろいろな人たちが通ったときになごむような、そういう施設を考え出さないのでしょうか。管理者は、自分が管理しているところをどのように見ておるのか、あなたは部下の人たちがどのようにそれらを感じて、あなたの方へ返事をしてきた、そういう意見書を受け取ったことがありますか。この件について、どうでしょうか。
  98. 緒方信一郎

    緒方事務総長 こういう役所、いわゆる役所の建物でございますので、どうしても機能の方に目が行っておるということはあろうかと思います。既存の施設で十分、先生のいろいろ御指摘のような点を配慮して快適にする余地はいろいろあると思います。私ども、そういう点は十分研究してまいりたいと思います。
  99. 川島實

    川島分科員 次に、この議事堂の中の各委員会室も、ここは天井が非常に高いから空調施設も、たばこを吸っておりましてもあそこから逃げます。日本の古い建物なりこれからの建物は非常に密封性がありまして、たばこのそういう排気のガスも充満をして空気が洗浄されません。今の新しい建築は、各部屋に新しい外気を、洗浄した空気を中へ入れて、強制的に入れて強制的に出す、空調とはまた別の形でそういうものが取りつけられてあるわけでございます。  ところが、おのおのの委員会室はそういう空調施設ができておりません。たばこを吸わない人にとっては非常に苦痛で、それらの汚染された空気を吸うことによって、思考力が落ちますし、体のためにも非常に悪いわけです。これらの配慮が、皆さん方がそういうことをなさらないということで、非常に残念に思うわけでございます。  名古屋のある私鉄は、駅の構内でたばこを吸うことを禁止したら、朝の通勤時間と夜の帰り時間だけの時間規制で約三億円の清掃用の予算が浮いた、こう言われている。きょうも多くの灰皿がいっぱい置いてありますけれども、これらを片づけたり処理したりする、そういう費用だってなくなるわけでございます。火事の心配もございません。火災の一番の原因はたばこでございます。このようなことを考えるときに、これらの環境整備についてどのようにお考えになっておりますか、お伺いをしておきたいと思います。
  100. 緒方信一郎

    緒方事務総長 委員室につきましてのことでございますれば、これは、いわゆる分館の方につきましては、割合新しい建物でございますので、そんなにひどい状況というふうには私どもは実は認識しておりませんでした。そういう御指摘伺いましたので、早速いろいろ調査をしてみたいというふうに存じております。  議員会館の議員室については、これは先ほども申し上げましたように建設後かなり年数がたっておりますので、大勢の人が入りますと、かなりたばこの換気能力が限界を超えるという問題があるわけでございます。これは、根本的にはやはり今後の議員会館の増改築の問題の中で解決をしていかなければならない問題であろうと思います。抜本的なものと、とりあえずできるものとを分けて我々も考えて、いろいろ御意見を踏まえて対処してまいりたいと思います。
  101. 川島實

    川島分科員 最後に要請をしておきたいと思いますが、今年度の予算の中にも、その他施設整備費が九千三百七十万、これらを改造するための施工事務費が九百七十九万八千円、こういう計上をされているわけであります。これからのそういう施設のあり方等もっと専門家を交えて、現場で働く人たちも交えて、どうしたら快適な環境づくりが行えるのか、周辺の歩道や植木、そういうものを含めて、世界各国、日本国じゅうから国会へ見学に訪れる人たちが快適にお帰りいただけるような環境づくりを行うための審議会等を設けて検討をしていただきたいと思いますが、そのことについてのお答えをお願いしておきたいと思います。
  102. 緒方信一郎

    緒方事務総長 現在のこの場所でこの建物を前提としましてできるだけ快適なものにしていくということ、これは当然の務めであると我々も思っております。いろいろ研究をさせていただきたいと思います。
  103. 川島實

    川島分科員 最後に、新しいものをつくってからそれをやる、議事堂でも会館でも、そういうことではなくて、それができ上がるまでにこれから十年も二十年もかかるわけでございますから、すぐやれるものをやる、やれないものは、どういう計画でいつまでにやる。あなたたちの権限が及ばなければ、議院運営委員会でも国対でも出していただいて、我々の方へお示しをいただいて我々がそれに対して御協力をさせていただく、こういう形をせざるを得ないと思いますので、強く要請をして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  104. 加藤万吉

    加藤(万)主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、菅野悦子君。
  105. 菅野悦子

    菅野分科員 国会職員の皆さんには日ごろから大変御苦労いただいておりまして、心から感謝しているところでございます。  きょう、私は女性職員の皆さんの職場環境問題及び労働条件についてお聞きしたいと思うわけでございます。  まず最初に、事務総長に御見解をお伺いしたいと思うのですが、国会における女子職員の果たしている役割、これについてどのような御認識をお持ちかということをお伺いいたします。また、今後女性の登用、あらゆる職域への女性の配置、それから研修や役所への出向の問題、また昇任・昇格についてのお考え、これをぜひお伺いしておきたいと思います。
  106. 緒方信一郎

    緒方事務総長 衆議院におきましては、女子職員の登用あるいは職域の拡大、職能の育成につきまして、逐年積極的に努力を重ねておるところでございます。  御参考までに少々申し上げますと、現在の衆議院事務局におきます全職員に対する女子職員の比率は全体で二六%ということになっておりまして、年々増加をしておるような状況でございます。  女子職員の職能の育成につきましては、職務遂行に必要な能力を付与する教育をして育成をするためにさまざまな研修等を行っておりまして、女子職員の参加比率も平成三年度において三五%で、これもまた年々増加をしているわけでございます。さらに女性職員の育成に努めてまいろうと思っているところでございます。  また、意欲的に働こうとしております女子職員努力に見合った処遇ということをしてまいろうということで取り組んでおるところでございます。ちなみに女子職員全体の中に占めます係長以上の比率、いわゆる役職比率でございますが、現在五二・六%になっているわけでございます。こういうわけで、女子職員の役職率も拡大をし、職員もだんだん重くなってきておるという状況でございまして、女子職員は本院の中において大きな役割を負担しておるというふうに認識をしております。各職場において、その処遇に見合った職員を大いに果たしていただけるように期待をしているところでございます。
  107. 菅野悦子

    菅野分科員 女性の比率二六%とおっしゃいました。確かに千六百七十四人中女性が四百三十四人ということで、四人に一人が女性ということなんですね。確かに役付数二百十一名ということで多くの女性が頑張って働き続けているんだなというふうに思うのですけれども、ただ管理職を見た場合に、男性は九十六名なのに女性は二名しかいないというふうなことで、女性の能力が劣るとみなされているのかなと思ったりするのですが、その点どうなのかということ。  それから、昇任・昇格が適切に行われるように格段の配慮をお願いしたいと思うわけなんですけれども、特に四十代以上で見ますと、未婚の女性が三十名以上ということで、五〇%を超えていらっしゃる。仕事にかけてきた人たちというふうに思うのですけれども、これらの現実もどう思われるか、ぜひ御見解をお伺いしたいと思います。
  108. 緒方信一郎

    緒方事務総長 その未婚、既婚という問題については大変プライベートな問題でございますので、私どもちょっと特別なことを申し上げることはございません。  管理職については、確かに現在女性二名でございますけれども、これはやはりいろいろ事務局のそのときどきの採用の仕方といいますか、そういう問題も関係をしておるかと思います。これからどんどん管理職がふえてくるというふうに私ども思っております。
  109. 菅野悦子

    菅野分科員 ぜひそういう方向でよろしくお願いしたいと思います。  次の問題なんですけれども、出生率の低下が今非常に大きな社会問題になっているわけなのです。お若い女性が働きやすい環境整備、そして引き続き働き続けるというふうな点は非常に重要になってきているかと思うわけなんです。九〇年度の三十歳未満退職者を見てみたのですが、十九名のうち十七名が女性なんですね。事情はいろいろあるかと思うのですが、なぜ退職しなければならないのか、検討の余地があるのではないかと思うわけなんです。結婚、育児、これらの時期は、やはり残業のないセクションに配置がえするとか、本人の意向を十分尊重するというふうなことが重要だと思いますし、とりわけ産前産後休暇、この問題は非常に大事になってきているのではないかというふうに思うのです。産前休暇の八週間への見直し、これは必要なのではないかと思うのですね。  国会職員の場合は労働基準法が準用されているのです。産前休暇、これは一週間分病体扱いで休業しているというのが実情なんですけれども、こうなると産休を病気、出産を病気というふうに考えておられたら、これはえらいことだなと思うわけなんです。ぜひその点で、引き続きお若い人たちに働いてもらわなければならないわけですから、人材確保という点でも、この病体扱いというのは不適切ではなかろうかということで、私はぜひこの産前休暇の見直しを今検討していただきたいというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  110. 緒方信一郎

    緒方事務総長 人材確保という面で女性の職員が働きやすい環境を整備しなければいけない、これは我々もかねがねそう思っております。特に非常に仕事に習熟をしてきて脂の乗り切ったところで退職をされるということになりますと非常に職務上も困るわけでございまして、気持ちよく勤めてもらえる環境をつくってまいらなければいけない。一つは育児休業制度が今度できましたので、これがある程度これから効果をあらわしていくのではないだろうかというふうに期待をしております。  ただいま産前休暇お話がございましたけれども、勤務条件につきましては、基本的には一般職公務員と同じ扱いをするということで来ておるわけでございますけれども、国会独自の考え方で、運用で実際的に運用するという面もあるわけでございまして、そういう工夫の一つだというふうに御理解をいただきたいと思います。
  111. 菅野悦子

    菅野分科員 国会ですから、やはり模範を示していただくという点で、病体扱いというふうな形で何とか八週間へ近づけるというふうな状況でなくて、ぜひ産休として見直すという方向を御検討いただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  それから次は、有給休暇の問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、これは消化率がどうなっているか、完全消化のための具体的な対策を検討していらっしゃるかどうか、特に代替要員の確保がどうなっているか、これが確保されるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  112. 緒方信一郎

    緒方事務総長 年次休暇でございますが、従来から各職場において取得しやすいような環境整備を指導してまいっておりましたし、これからもそのように指導していきたいと思っております。特に女子職員につきましても、現在では年次休暇の消化率は男性より女性の方が上回っているというようなことでございます。  代替要員の確保という問題でございますけれども、まず第一義的には、年次休暇という問題について考えれば、職員の効率的な運用というようなことで、まず他の職員に負担がかからないように心がけていくということが第一義であろうかと思っております。
  113. 菅野悦子

    菅野分科員 特に健康センターの職員の方の問題をちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、参議院の一名と二人配置ですね。九時から午後七時までという勤務になっているのです。これは二人でやりくりしているということなんですけれども、一人が休むと代替者がなくて、いや応なしに十時間勤務になってしまうというふうな実情があるわけなのです。これでは休めないという訴えがあるのですけれども、この点で何か対策をお考えでしょうか。
  114. 緒方信一郎

    緒方事務総長 ただいま御指摘ございましたので、いろいろまた実態をよく調べまして、非常に過重なことが起こらないような工夫をしてまいりたいと思います。
  115. 菅野悦子

    菅野分科員 健康センターの皆さんの場合は、そのほかにもいろいろアルバイト的な位置づけになっているとかということで、処遇の改善も含めてぜひ前向きに御検討いただきたいということをお願いしておきたいと思います。  先ほど事務総長もおっしゃいました育児休業法、これが制定されまして一歩前進というところなのですが、実効性の点でなお多くの問題があると思うのです。まだ無給という規定になっておりますが、これは九五年の全産業、全職種適用の時期までに見直しの検討というのを労働大臣が約束しているのですけれども、事務総長は、何かこの点で対応策をお考えでしょうか。
  116. 緒方信一郎

    緒方事務総長 先ほども申し上げましたように、国会職員勤務条件というものにつきましては、基本的には一般職職員と同じ扱いをする。特に国会職員として特殊性を認める部分についてはまだ独自なあれでございますけれども、基本的には一般職員と同じ取り扱いということできておるわけでございます。育児休業法についても基本的にはそういう考え方でございまして、これは一般職の育児休業法の状況を見ながら対処していきたいと思っております。
  117. 菅野悦子

    菅野分科員 九五年という一つのけじめがあるわけですけれども、ぜひ前向きに、むしろ模範を示すという立場でよろしくお願いしたいと思います。  同じ育児休業、育児時間ということでのかかわりで御質問させていただきたいと思うのですが、児童の健全育成のための労働時間の緩和措置というのは、民間労働者の場合は就学前まで保障されているのですね、育児時間が。ところが、こちらの方は一歳未満ということで格差が非常に大きいわけなんです。だから、そういう中でこの国会職員、女性職員の皆さん方は現状では二重保育を余儀なくされている方が多いと聞いておりますけれども、それがどのくらいいらっしゃるのかという実情把握、これはなさっておられるかどうか、これをまずお聞きしたい。  それから、これは今度の育児休業期間と同じということになるのですね。そうなりますと、一年間は休まないものとみなしているのかなということに思えてくるのですけれども、だからこの点で、働き続ける条件の保障としては就学前までという保障にすべきではないか、検討し直すべきではないかと思うわけなんです。とりわけこの問題は、若い女性が結婚し、子供を持ってもなお引き続き働き続けるという点、ますます魅力のある職場づくりという点では非常に大事な問題だと思うわけなんですけれども、国権の最高機関で働くにふさわしいそういう環境整備ということはどうしても必要ではなかろうかと思いますし、ひとえに事務総長の決断で決まるわけですから、その辺での御決意といいますか方向、どうお考えなのか、ぜひお聞きしたいと思うわけです。
  118. 緒方信一郎

    緒方事務総長 いわゆる保育時間の問題についての御指摘であると存じます。  いろいろかなり利用されておるというふうに存じておりますけれども、正確な数字として今手元にちょっとございませんので、また調べさせていただきます。  これを、現在生後一年未満となっておるのを就学まで延長すべきだというお話でございます。これもやはり公務員全体の問題の中で、一環として一緒に考えていくべき問題だろうかと存じております。
  119. 菅野悦子

    菅野分科員 その点ではちょっと残念なんですね。育児休業で一年、育児時間が一年ということになりますと本当に重なってしまいまして、全然、これはどういうことになるのかな、繰り返しになりますけれども、一年間は休まないものとみなしているということにもなりかねないわけです。公務員と横並びということですけれども、ここの場合は事務総長の決断でできますし、労働基準法の適用ということで踏み切ったらいいわけですから、そういう点で一年間の限定というのはぜひ前向きに考えていただいて、就学前という、そこでは相当幅がありますけれども、一年間というその枠を取っ払うという方向の御回答がぜひいただけないのかなと思うのです。ぜひ前向きの検討をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  120. 緒方信一郎

    緒方事務総長 先生の強い御要望は承りましたので、いろいろ検討させていただきます。ただ、基本的にはやはり一般職公務員と特に違う特殊性というものが認められるかどうか、そういう問題になってこようかと思うわけでございまして、その辺を含めて十分検討させていただきたいと思います。
  121. 菅野悦子

    菅野分科員 それで、育休の代替要員の問題でとりわけお願いしておきたいのは、速記の職員の皆さんなんですね。こういうふうな専門職の場合は、代替要員が確実に確保されなければ安心して育休も取れない、休めないという状況があるわけなんです。この点はとりわけ対策が必要だと思うのですけれども、その辺の対策、どんなふうにお考えか、これも一言ぜひお聞きしておきたいと思います。
  122. 緒方信一郎

    緒方事務総長 確かに速記職員につきましては特に問題があろうかと思います。業務分担の見直しでありますとかあるいは非常勤職員の採用、配置がえ等、部内の人員操作に加えて、場合によったら外部からの臨時的任用というようなことも含めてできるだけの措置を講じまして、育児休業の承認の請求がしやすい環境整備に努めてまいりたいと存じております。
  123. 菅野悦子

    菅野分科員 次にお伺いしたいのですが、搾乳室などの問題なんです。  実態としては、無給のために一年間休めない人とか、あるいは仕事の関係で一年間の育児休業を取れない人というのもたくさんあるのではないかと思うのですけれども、休業期間の途中から出勤した場合、この搾乳室というのがどうしても必要になってくるわけなんです。たまたま私の秘書がこうした立場にありまして、秘書協議会を通じてお願いいたしましたところ、庶務課長さん初め管理課長各位におかれまして、本当に速やかに対応していただきましたことを大変感謝している次第でございます。  こういうことが起こりまして、改めてこれまでどうしてきたのかなということでいろいろ聞いてみたのですけれども、皆さんトイレで用を足していらっしゃったということで、これはいかにもみじめな話だなと思いまして、経済大国とか金持ち日本とか言われている、しかも国会の中でちょっと恥ずかしい話だなと思ったわけでございます。さすがに図書館の方はきちんと用意されているということで、なるほどなと思ったわけなんです。いろいろお聞きしますと、スペースがなくて大変御苦労されているということはわかっているのですけれども、何とか各建物ごとに一カ所そういう搾乳室を速やかに用意していく必要があるのではなかろうかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  124. 緒方信一郎

    緒方事務総長 大変議事堂は古い建物でございまして、変な話ですけれども、女性用のトイレそのものすら非常に整備がおくれておるというような状況すらあるぐらいであったわけでございます。搾乳室の問題等、そういう点で女性に対する配慮というのは大変おくれておったということは認めざるを得ないだろうと思います。いろいろ前向きに検討してまいりたいと思っております。
  125. 菅野悦子

    菅野分科員 続きまして、休養室の問題でお尋ねしたいと思うのです。  これは、労働安全衛生法というのは、官民関係なくすべての職場に適用されるということはもう御承知いただいていると思うのですけれども、その規則六百十八条で、女性を三十人以上使用するときは休養室の設置というのが義務づけられています。それも臥床する、つまり横になって休む、それができることが条件になっているわけなんですね。五十人以上の使用者があるときは、男女別々に休養室が必要だということになっています。六百十三条では、有効に利用することのできる休憩設備を設けるように努力せよということにもなっているわけなんです。  私も、こういうことがあるわけで文書課長さんに御無理をお願いして、ここではどうなっているのかなということで各休養室を見せていただきました。本館の場合は、暗くてやかましくてちょっとひどいなというふうに思いました。これでは利用する気になれないのではないかなというふうに思ったのですけれども、そういう不満の声も聞いておりましたが、確かに利用者ゼロなんですね。スペースがないならやはりぜひ改善もしなければならないのではなかろうかというふうに思いますし、その点ぜひお願いしたいなと思うわけです。  第二点は、本館のみならず第一、第二別館の方も含めて、休養室と休憩室を兼ねて常時使用が可能となるようにぜひお願いをしたいというふうに思うわけなんです。  この点で、休養室の問題、この間国会でもやりとりされているのですけれども、「休養室とか休養所というのは、畳やベッドなどがあって、使用するのに当たって常時かぎがかかっていたり、その都度上司の許可が要るとか、使用日及び使用時間が決められているものは休養室ではないこというふうな労働省の見解が出ているのです。だから、これは「かぎもかかっていない、時間もフリーだ、労働者が気分が悪くなったときに休める、休憩時間にはそこに行って横になれるというところでなければ休養室でない」のだというやりとりが、この国会でもやられているのです。  ところが、残念ながら、この国会の休養室はそうではなくて、常時かぎがかかっているのですね。そして、使うときにはそのかぎをわざわざお断りしてもらって、あけて休まなければいかぬ、こういうふうな休養室になっているわけで、だから、年間通じて本館の場合はゼロであったり、あるいは第一、第二もあるのだけれども非常に利用者が少ない。まさに労働省なんかが言っている休養室ということにはなっていないわけなんですね。だから、これはもう大問題ではなかろうかというふうにも思うのですけれども、そういう点で、国権の最高機関で働く職場環境にふさわしい休養室にぜひしていただきたい。  だから、私、ちょっと考えたら、かぎも朝あけていただいて、そして夜閉めるということで、中身も例えば冷蔵庫を備えつけていただければ搾乳室にもなるわけですから、休養室、休憩室、搾乳室を兼ねた使い方ができるという工夫もできるのではなかろうかというふうに思いまして、ぜひそういう形で本館のものも、それから第一、第二別館のものもまさに本当の休養室にしていただきたいというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  126. 緒方信一郎

    緒方事務総長 休養室につきましては、管理運営の面で若干問題なしとはしないようでございますので、改善策を講じてまいりたいというふうに存じます。
  127. 菅野悦子

    菅野分科員 もっと積極的な御答弁をいただかないと、国会の中で労働省の認識にも欠けるような休養室というのがまかり通っているというのは大問題になりますから、だから本当に最低、今みたいなあかずの間みたいな形でありますよという休養室ではなくす、ここで言われているかぎがかかっているような休養室は困るわけですから、最低、常時あいている休養室にぜひしていただきたいと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
  128. 緒方信一郎

    緒方事務総長 休養室というのは女子職員の健康、安全、福祉ということについて設置しなければいけないものであるわけでございまして、その実態についていろいろ御指摘がありましたので、これは我々としても十分よく現状を調査しまして、おっしゃるような改善をしていきたいと思います。
  129. 菅野悦子

    菅野分科員 それこそ国権の最高機関で働くにふさわしい環境の整備ということで、確かに人事院とか公務員との横並びというお話も多々出てきたのですけれども、ここの場合は、労働基準法を遵守していただいて事務総長の決断で決まることというのが多いわけですから、ぜひ前向きに積極的に対応していただきますように重ねてお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  130. 加藤万吉

    加藤(万)主査代理 これにて菅野悦子君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして国会所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  131. 加藤万吉

    加藤(万)主査代理 次に、裁判所所管について審査を進めます。最高裁判所当局から説明を聴取いたします。千種事務総長。     〔加藤(万)主査代理退席、鈴木(宗)主査     代理着席〕
  132. 千種秀夫

    ○千種最高裁判所長官代理者 平成四年度裁判所所管歳出予算要求額について、御説明申し上げます。  平成四年度裁判所所管歳出予算要求額の総額は、二千七百七十六億七千二百五十八万円でありまして、これを前年度補正後予算額二千七百二十四億五千百十万円に比較いたしますと、差し引き五十二億二千百四十八万円の増加となっております。  これは、人件費において三十六億六千三百七十六万三千円、裁判費において六千二百九十八万一千円、施設費において五億四千二百二十七万一千円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において九億五千二百四十六万五千円が増加した結果であります。  次に、平成四年度歳出予算要求額のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず人的機構の充実、すなわち増員であります。  民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件の適正迂遠な処理及び司法修習体制の充実を図るため、判事補七人、裁判所書記官二十三人、裁判所事務官三十三人、合計六十三人の増員をすることとしております。  他方、定員削減計画に基づく平成四年度削減分として、裁判所事務官等三十三人が減員されることになりますので、差し引き三十人の定員増となるわけであります。  次は、司法の体制の強化に必要な経費であります。  裁判運営の効率化及び近代化のため、庁用図書等裁判資料の整備に要する経費として複写機、計算機等裁判事務能率化器具の整備に要する経費として八億六千九百十四万円、調停委員に支給する手当として五十六億二千百六十八万五千円、裁判費の充実を図るため、国選弁護人報酬に要する経費として二十四億四千四百七十万八千円、証人、司法委員、参与員等旅費として七億二千二百六十一万一千円を計上しております。また、裁判所施設の整備を図るため、裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として百十六億五千百五十九万一千円を計上しております。  以上が平成四年度裁判所所管歳出予算要求額の大要であります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  133. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  134. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。細川律夫君。
  135. 細川律夫

    細川分科員 私は、国選弁護人制度に対する問題について質問をさせていただきます。  まず最初に、裁判所の国選弁護人制度に対する御認識をお伺いいたしたいというふうに思います。  憲法三十七条第三項には「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」という規定がございます。すべての刑事被告人に対し弁護人の依頼権をこの規定は保障したものでありまして、貧困などで弁護人を依頼できない者には国が国選弁護人を依頼をするということになっているものでございます。  そこで、この国選弁護人がどの程度国から、裁判所の方から選任を受けて弁護をしているかということについては、必要的弁護事件で国選弁護人がついた事件というのが大体八五%ぐらいあるようでございます。そうしますと、日本の刑事裁判というのは国選弁護人によって支えられていると言っても過言ではないというふうに思います。そういう国選弁護人の今の制度に対して、裁判所はどのような御認識を持っておられるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  136. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 ただいま委員が御指摘のとおり、国選弁護の事件というものは数多くございます折から、国選弁護人の法廷における活動、法廷の内外における活動というものが刑事裁判にとって非常に重要な役割を果たしておるというふうに認識しております。
  137. 細川律夫

    細川分科員 そこで、今国選弁護人に対する、あるいは国選弁護人制度に対する大変重要な制度だということで御認識をいただきましたけれども、刑事事件における私選弁護人とそれから国選弁護人の数といいますか、それがここどういうふうな傾向になってきているのか、そういう点について数字をもってその傾向をちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  138. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 数字で申し上げますと、例えば平成二年の地方裁判所、簡易裁判所含めました刑事事件の総数、被告人の数六万百九十五人に対し、私選弁護人のついた被告人の人員は二万一千百九十三名、三五・二%であります。これに対し国選弁護人のついた被告人の数が三万七千八百三十六名、六二・九%でございます。最近の傾向といたしましては、昭和六十年代ごろまでこの国選弁護人の事件の割合が年々増加してまいりました。ここ二、三年を見まするとほぼ頭打ち現象というようなこともございまして、横ばい状況あるいはやや漸減状況というところにございます。
  139. 細川律夫

    細川分科員 この国選弁護人は、そもそもがお金のないといいますか、私選弁護人を依頼することができない人たちが国選弁護人を依頼するわけなんですけれども、この数が六十年来ふえてきているということであります。今はちょっと頭打ちなんですけれども、これはどうしてこういうふうに多いのか、そこのあたりはどういう御認識でしょうか。
  140. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 これにつきましては複数の要因がいろいろ絡んでいるというふうに思いますが、一つには国選弁護人の活動のあり方が非常に充実してまいったために、刑事事件の被告人が国選弁護人に対する信頼というものが定着してまいっておるということもあるかと思います。それからまた、景気の変動といった経済情勢にも影響されておると思われますし、また覚せい剤取締法違反事件とか交通事件といったたぐいの事件の増加というような、事件の種類の動向にも影響されるところがあるかと思われます。  また、さらに言えば、社会的には核家族化傾向が進む中で、被告人が以前ほど親兄弟等から面倒を見てもらえなくなったというような事情もあるいはあるのではないか、そういうようなもろもろの要因が複数絡んでおるんだろうというふうに思っております。
  141. 細川律夫

    細川分科員 国選弁護人制度というのは大変重要な制度でありまして、また、その国選弁護人による被告人の弁護というのも大変多い割合を占めているわけでございます。そうしますと、この国選弁護人が選任をされて被告人の弁護をするというのは、公判が提起されてから弁護人が被告人の弁護をするわけでありますけれども、被告人のこの刑事弁護を十分効果的にするためには、起訴前の捜査の段階でも弁護人がつく必要があるというふうに私は思います。やはりいろいろな冤罪事件、そういうものを見ましても、捜査段階での弁護人の活動というのがどうしても必要だというふうに思います。  そういう意味で、今の制度は公判を提起された後に国選弁護人を選任するということになっておりますけれども、これを捜査段階のうちに国選弁護人を選任する、こういう制度にすることはできないのかどうか。もちろんこれは法律の改正も必要でありますけれども、こういう点について、捜査段階における国選弁護人の制度導入ということについて裁判所はどういうふうにお考えでしょうか。
  142. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 ただいま委員が言われましたような御意見が多方面においてあるということは私どもも十分承知しております。また、被疑者段階における弁護活動の充実という観点から、その点についての議論がますます進化すること自体は大変結構なことであるというふうに私ども思っておるわけでございます。  しかし、捜査段階でも国選弁護人を選任できるようにということになれば、今委員御指摘のように法改正の問題になります。また、その法改正については、国の財政上の負担とか弁護士の数等をも考慮し慎重に検討されるべき問題であろうと思いますが、何分にも立法政策の問題でございますので、最高裁の事務総局としては意見を差し控えたいというふうに考えます。
  143. 細川律夫

    細川分科員 今の御回答は、捜査段階における国選弁護制度というのは必要というか重要だという御認識だというふうに受けとめたいと思います。これは立法の問題ですから、今後この立法の関係で解決をしていかなければならない問題であろうというふうに思います。  そこで、今現在のこの国選弁護人制度制度充実についてこれからいろいろお伺いをしてまいりたいと思います。  今、国選弁護人が選任をされ、そして被告人のための弁護活動をいたしましたら、その報酬などが支払われるということになっております。そこで、国選弁護におけるその報酬の基準がどういうふうになっているのか、どういうような根拠でそのようになっているのか、また来年度はこれがどういうふうになるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  144. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 国選弁護人に支給いたします報酬額は、個々の裁判所において具体的な事件に即しまして、例えば開廷回数とか事案の困難性の程度、弁護人の訴訟活動、記録等の謄写に要した費用、その他被告人との面接に要した交通費等、実費償還の要否等も含めいろいろな事情を参酌して決定されるわけでございますが、最高裁判所の方からは、毎年予算の適正な執行という面を考えまして、国選弁護人に支給する報酬額を決定する際の一応の参考といたしまして支給基準を定めた通達を各裁判所に示しております。  この支給基準は、国選弁護人が付されている事件の中で開廷回数、事案の難易等から見て標準的と考えられる事件について、これまでの支給基準や各庁における支給の実情等諸般の事情を勘案した上で、国選弁護人の報酬としては一応この程度の額が標準的ではないかと思われる金額を示したものであります。具体的な額といたしまして、例えば現在、平成三年度は、地方裁判所の三開廷の標準的な支給基準額は六万五千円でございます。平成四年度の予算としては、これを五・七%上げまして六万八千七百円ということでお願いしておる次第でございます。
  145. 細川律夫

    細川分科員 この標準の報酬、まあ三開廷という一般の標準事件を基準にして報酬が六万五千円ということはいかにも少ないというふうに私は思います。私の経験からいたしましても、国選弁護人に選任をされますと、まずその起訴状を受け取りまして、拘置所に入っている場合には拘置所に面会に行きますし、また入っていない場合には被告人に会う、そしてまず被告人の言い分を聞くということをやるわけなんです。それから検察庁に行って記録を閲覧しなければなりません。そしてまたその閲覧した後で、これまた問題があれば被告人とも会わなければいけませんし、家族とかあるいは事件関係者にも必ずこれはまた面会をしていろいろ打ち合わせをしなければなりません。  そして最終的には、被告人質問をどのようにやるかということでこれまた最後に拘置所の方に面会に行く、そういう弁護人としての普通の、当たり前の活動をいたしましても、先ほど申し上げましたような大変な手間暇がかかるわけでありまして、実際に国選弁護の活動の弁護士としての労力を非常に使うということになるわけなんです。それから見ますと、この三開廷標準での六万五千円というのは、事務所維持の費用など、弁護士の経費なども考えますといかにも少ないというふうに私は考えるわけでございます。  そこで、日本弁護士連合会の方でも、従来からこの国選弁護の報酬については上げてほしいという要望がずっとなされてきているわけなんですけれども、この日弁連の要請といたしましては、標準事件で十五万円ということにしてほしいという要望をされているわけでございます。もちろん、御承知のように日弁連のこの報酬規程といいますか、これによりますと、着手金で、地裁段階で単独事件で二十万、合議事件で三十万というようなことになっておりまして、また事件の成功における報酬というようなことも考えますと、余りにも、いわゆる私選の場合と国選の事件の場合の弁護士報酬が格差があり過ぎるというふうに私は思います。  そこでお聞きをしたいのは、日弁連からの要請、特に国選弁護制度という大変重要な刑事裁判を支えております国選弁護に対する報酬でありますから、もっと上げていただきたいと思うのですけれども、これについていかがでしょうか。
  146. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 冒頭申し上げましたように、国選弁護人の活動が非常に重要であるという認識は、私どもも委員と全く同一の認識を持っておりまして、したがって、そういう認識のもとに最高裁といたしましても、国選弁護人の報酬の増額につきましてはその活動にふさわしい額を確保するようということで、最大限の努力を払ってまいったつもりでございます。  近年の非常に厳しい財政状況の中でも財政当局の御理解を得まして、一般の公務員給与改定率よりはかなり手厚い引き上げを実現してきております。例えば、昨年度は人事院勧告による公務員給与改定率を二%上回る増額改定が実施されたわけでありますが、今回、平成四年度の予算案でも同様に約二%を上回る増額改定をお願いしているところであるわけであります。もっとも、確かに委員が今御指摘のように、日弁連から増額要求のありますところの十五万円という金額と比べますと、いまだかなりの隔たりがあるということは承知しておるわけでございますが、果たしてこの要求額の方が相当であると言えるかどうかということについては、いろいろまた意見もあろうことかと思われます。  国選弁護人の報酬ということになりますと、これは訴訟費用として後々被告人の負担とされ得るものでもあります。また、国選弁護人の高度の公共的な性格、また従来の増額の経緯等、諸般の事情を考慮してまいりますと、現在のこの二%アップというところは必ずしも十分とは言い得ないにしても、一概にこの時点で、いろいろな財政状況等を考えました場合に、一概に低過ぎるとも言えないのではないかというふうに思われるわけでございます。  そうは申しましても、私どもとしましてこれでもう十分であるというふうに考えているわけじゃございませんで、今後とも先ほどの精神で、大いに国弁の報酬額の引き上げにつきまして努力を続けてまいりたいと思っております。
  147. 細川律夫

    細川分科員 ぜひ今後とも、この国選弁護人に対する報酬の引き上げについて御努力をお願いしたいというふうに思います。  そこで、このほかの実費の支給に対して御質問をしたいと思いますけれども、特に私思いますのは、記録の謄写料の問題でございます。  私も経験がありますけれども、刑事弁護をする場合には、検察庁に行って記録を閲覧するというのは時間をとるのが難しいということもありますし、刑事弁護のための記録を精査して読むという場合には、常に自分の近くに記録がないと、すぐに記録を見てそこで精査したいという場合には間に合わないということがありまして、いつも事務所があるいは自宅にこの記録を置いておきたい、あるいはまたそれがなければなかなか十分な刑事弁護もできない、私の経験からしてもそういうふうに思います。  したがって、私は刑事弁護をする場合の記録を謄写することについては、これはいれゆる必要的といいますか、必須の条件のようなものでありますから、記録謄写料については実費として当然弁護人の方に支給をしていただきたいというふうに思います。  そこで、記録の謄写料についてはどうなっているのか、どういう支給になっているのか、今後それをどういうふうに改めていくのか、そこらあたりをちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  148. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 謄写料のことについてお答え申し上げますと、謄写料に要した相当分の支給につきましては、従前からこれを報酬支給決定に当たり別枠で明記いたしまして、その分については所得税の源泉徴収の対象にしないという取り扱いをしてきておるわけでございますけれども、さらに今委員御指摘のような要望が各方面から、特に弁護士会から強くございましたので、一昨年には一部否認を含む否認事件や法定刑に死刑が定められている重大事件等につきましては、原則として全額謄写料を支払い、その他の事件についても、訴訟準備のために特に必要と認められる場合にはこれを支払うという取り扱いをいたすように、私どもの方から全国各地の裁判所にお願いしたところでございます。その後、それを受けまして各地の裁判所におきましては、そのような方向で報酬の支給決定をしておるように聞いております。  もともとこの謄写料というものも、通常の事件に要するようなものであれば、これは国選弁護人報酬の先ほど申し上げた一般的な支給基準の中に含まれているものでありますけれども、それをはみ出て、特にこの事件についてはかなりの謄写を要したというような場合については、十分それを報酬支給決定に当たって勘案するようにという趣旨を私ども徹底してまいったわけでございますが、さらに今後ともその辺のところは十分徹底させて、運用してまいりたいと思っております。
  149. 細川律夫

    細川分科員 国選弁護を問わず、刑事事件の弁護については、これはもう記録を謄写して手元に置くということは、刑事弁護をやっている弁護人としてはどうしても必要だろうというふうに思いますので、ひとつぜひ謄写料については実費として支給をしていただくような方向で御努力をお願いしたいというふうに思います。  それから、国選弁護事件でも長期化するような事件がございますし、そういう難しい事件については、先ほど御答弁いただいたように、それぞれその難易度によって報酬も決めていただけるということになっているようなんですけれども、聞くところによりますと、国選弁護人で実際長期化するような事件を担当した場合に、標準の事件プラスいわゆる開廷日数の日当をそこにプラスされる、こういうようなやり方になっているのではないかというふうに思いますけれども、その日当については、いわゆる弁護士としての、弁護人としての日当というふうにぜひ額を設定していただきたい。  いわゆる普通の証人とか鑑定人なんかとは違う、仕事として、職務としてやっているということのその意味在も十分考慮していただきまして、日弁連の方としては、日当を少なくとも一回行って二時間以内のあれでは一万円ぐらいをということで要望もしているようでありますから、その点もひとつ御努力をお願いしたいというふうに思います。  時間もありませんから、もう最後になりますが、この国選弁護人の制度というのは大変私も重要というふうに認識をしておりますし、もっともっと充実をさせていかなきゃいけないというふうに思いますが、ただ、この国選弁護におけるその報酬なども、もう四十年ぐらいたっておりますし、社会のいろいろな変化、あるいは事件が量的にもふえた、あるいは質的にもいろいろな拡大をしている、変化をしているというようなことで、この国選弁護に関する抜本的な問題で、日弁連との協議をぜひやっていただきたいなというふうに思います。  そこで、私が一番心配しておりますのは、国選弁護で受任をする弁護士が、いわゆる働き盛りの弁護士は余り引き受けていないというような実態があるようでございますし、また、国選弁護については報酬が安いので私選よりは弁護が十分でなくてもいいような認識があれば大変だという指摘もいろいろされているわけでありまして、こういう点もいろいろありますので、ひとつ日弁連といろいろな点で協議をしていただきたいということを最後の質問として終わりにしたいと思います。
  150. 島田仁郎

    ○島田最高裁判所長官代理者 ただいま委員が御指摘されたような点は、十分その趣意を酌みまして、今後とも日弁連と十分話し合いながらやってまいりたいと思っております。
  151. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 これにて細川律夫君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして裁判所所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  152. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 次に、皇室費について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。宮尾宮内庁次長
  153. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 平成四年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費平成四年度における歳出予算要求額は、七十五億六千百十二万六千円でありまして、これを前年度の予算額五十九億二千八百二十二万一千円に比較いたしますと、十六億三千二百九十万五千円の増加となっております。  皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億九千万円、宮廷に必要な経費六十九億七千四百三十八万一千円、皇族に必要な経費二億九千六百七十四万五千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費四億五千百四十二万三千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費六十五億二千二百九十五万八千円でありまして、前年度に比較して、十六億三千十九万五千円の増加となっております。  その増加の主な理由は、吹上新御所(仮称)の新築のために必要な経費三十六億八千百十万三千円を計上したことによるものであります。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、二百七十一万円の増加となっております。  これは、文仁親王第一女子眞子内親王の御誕生に伴うものであります。  以上をもちまして、平成四年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  154. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 以上で説明は終わりました。  別に質疑の申し出もありませんので、皇室費については終了いたしました。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  155. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣及び総理府、ただし経済企画庁環境庁及び国土庁を除く所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。加藤内閣官房長官
  156. 加藤紘一

    加藤国務大臣 平成四年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管平成四年度における歳出予算要求額は百四十四億四千万円でありまして、これを前年度歳出予算額百三十八億九千万円に比較いたしますと、五億五千万円の増額となっております。  次に、総理府所管平成四年度における歳出予算要求額は八兆四千八百六十九億一千六百万円でありまして、これを前年度歳出予算額八兆一千五百六十六億九千二百万円に比較いたしますと、三千三百二億二千四百万円の増額となっております。  このうち、経済企画庁環境庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議を願っておりますので、それ以外の経費について、御説明いたします。  以下、順を追って主なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費四百二億五千九百万円、警察庁に必要な経費二千百三十四億六千四百万円、総務庁に必要な経費一兆七千百八十億二百万円、北海道開発庁に必要な経費八千五百九十八億五千四百万円、防衛本庁に必要な経費四兆六百五十三億二千万円、防衛施設庁に必要な経費四千八百六十二億九千九百万円、科学技術庁に必要な経費四千百十八億六千六百万円、沖縄開発庁に必要な経費二千七百四十億九千万円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、政府広報、栄典関係、平和祈念事業特別基金事業の推進、航空機の諸器材購入総理大臣官邸敷地の整備等のための経費でありまして、前年度に比較して八十億八千九百万円の減額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁、その附属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察費補助等のための経費でありまして、前年度に比較して九十一億五千四百万円の増額となっております。  総務庁に必要な経費は、総務庁一般行政、恩給の支給、統計調査等のための経費でありまして、前年度に比較して百八十億五千三百万円の減額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸、漁港、住宅、公園、下水道、農業農村整備、造林、林道、沿岸漁場整備等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備、農業農村整備のうち国営土地改良の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して一千二百四十五億二千九百万円の増額となっております。  防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して八百六十九億一千四百万円の増額となっております。  防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺対策事業、提供施設の整備、補償経費、基地従業員対策、提供施設の移設等のための経費でありまして、前年度に比較して二百四十九億四千万円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、創造性豊かな基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備、科学技術による国際社会への貢献、科学技術振興調整費の拡充等による科学技術行政の総合的推進並びに原子力、宇宙、海洋、地球科学技術、物質・材料系科学技術、ライフサイエンス等の研究開発の推進等のための経費でありまして、前年度に比較して二百八十三億一千五百万円の増額となっております。  沖縄開発庁に必要な経費は、沖縄における教育振興、保健衛生対策、農業振興に要する経費並びに沖縄開発事業に要する海岸、漁港、住宅、環境衛生施設、都市計画、農業農村整備、造林等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備、農業農村整備のうち国営土地改良の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して三百八十一億二千九百万円の増額となっております。  また、以上のほか新規継続費として、防衛本庁において一千九十三億五百万円、国庫債務負担行為として、総理本府において九十三億四千四百万円、総務庁において三百万円、北海道開発庁において三百四十五億六千四百万円、防衛本庁において一兆五千三百八十四億九千七百万円、防衛施設庁において九百七十六億三千九百万円、科学技術庁において一千三百五十八億七千四百万円、沖縄開発庁において六十三億六千万円を計上いたしております。  以上をもって、平成四年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  157. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  158. 鈴木宗男

    鈴木(宗)主査代理 総理本府について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冬柴鐵三君。
  159. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。  本日は、昨年に引き続きまして軍人恩給未受給者の問題に絞ってお尋ねをしてまいりたい、このように思い、ます。  まず冒頭に、内閣官房長官から平成四年度の歳出予算要求額説明をお聞かせいただいたわけでございますけれども、総理本府のうち平和祈念事業特別基金事業の推進のための経費として幾らを要求されているのか、これは前年度に比較してどのような増減があるのか、まずその点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  160. 加藤紘一

    加藤国務大臣 正確な数字を担当当局から答えさせます。
  161. 高岡完治

    ○高岡政府委員 ただいまお尋ねの件でございますけれども、現在国会で御審議をお願いいたしております平成四年度の予算額といたしまして総理府関係に計上されております予算は、七十六億六千六百万円をお願いしておるところでございます。なお、このほかに約十二億円弱の金額が国債費として大蔵省の方に計上をされております。  増減でございますが、総理府関係で申し上げますと五千五百万円の増ということになります。
  162. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 さて、この平和祈念事業特別基金事業の推進は大変重要な事業でありますが、これは周知のように平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づいて行われているわけであります。この法制定につきましては、全国に数十万名の旧軍人である会員を現に擁する団体であります全国軍人恩給未受給者連盟、以下ややこしいので軍未連、このように略させていただきますが、この多くの会員あるいは長年月全くボランティア活動によってその基礎を築いて、今日までこれを支えてきた多くの役員たち、この人たちの血のにじむような努力によってこの法がようやく制定をされたわけでございます。  私は、昨年に引き続いてことしもこのような質問をさせていただくのは、国家の正義といいますか、国家の道義といいますか、そういうものに欠けるところがあるのではないかという問題意識をかねて持っているためにお聞きするわけであります。  内閣総理大臣の認可を得まして、ようやく平成元年度から、個別的な措置の一環といたしまして書状、すなわち御苦労であった、このような内閣総理大臣のお言葉を記した書状であります、これに銀杯を添えて給付をする、こういうような慰藉事業が始められた。そしてまた、その翌年である二年度からは、加えて額縁、また時計等の給付の新規事業が行われることになっているわけであります。私は、ここまでわずかではありますけれども、国家がそういう人たちのために慰藉をする気持ちをあらわす事業を遅まきながら始められたこと、所管内閣官房長官及び担当部局の方々に対してまず深く敬意を表したいと思います。  そこで、議論に入る前にデータを若干お示しいただきたいと思うわけであります。この恩給欠格者であって軍に実役一年以上服務した人は何名ぐらいいらっしゃるのか、まずその点、推定値だと思いますけれども、お知らせをいただきたいと思います。
  163. 高岡完治

    ○高岡政府委員 いわゆる恩給欠格者の方々の数でございますけれども、私どもが把握しております数字は、平成元年の数字ではございますけれども、百八万人というふうに認識をいたしております。これはもちろん私どもの慰藉事業の対象ということでございますので、外地の勤務経験があるということと、それから加算年を含めまして三年以上の在職年を持っておられる方、こういう縛りをかけましての数字でございます。
  164. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 ちょっと、私がお尋ねしたのはその前に、内外地を問わず一年以上服した人、この人の数をお聞かせいただきたかったわけであります。
  165. 高岡完治

    ○高岡政府委員 総数で申し上げますと、全部で約二百五十一万八千人の方が該当するということになっております。それで、細かい数字はいろいろございますけれども、いわゆる三年未満の方、これは加算年を含めて在職年が三年未満の方でございますが、約百六万四千人という数になっております。それから、加算年を含めて三年以上という方が百四十五万四千人、合わせまして二百五十一万八千人の方たち、在職年ということだけで申し上げますと、そういう数字になっております。
  166. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 ちょっと隔靴掻痒なんですが、昨年私がお尋ねした数字があります。一年以上という方は百九十万人である、このようなお答えをいただいているのですが、そのうち外地勤務、加算年を含めまして三年以上、そういう方が百八万名というふうに伺ったのですが、それでいいですか、その理解で。
  167. 高岡完治

    ○高岡政府委員 外地勤務経験があるということで縛りをかけますと、先生今お話しのように、昨年私どもがお答えいたしましたような数字になります。  実在職一年以上ということで縛りをかけてみますと約百九十万人。それから、三年以上の加算年ということで、外地勤務の経験ありということでいたしますと、百八万人ということになるわけでございます。
  168. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 では、現実にその給付の事業でございますが、まず分母の百八万名についてお尋ねするのですけれども、ことし、平成四年一月末でどれだけの方が給付請求をされたのか、また新規事業についても、どれだけの人がされているの。か、それをお示し願いたいと思います。
  169. 高岡完治

    ○高岡政府委員 まず書状に対する請求でございますけれども、書状につきましては二十六万二千件の請求をいただいております。実際に贈呈事業を実施させていただきましたのが、その約七八%に相当いたします二十万四千件でございます。それから、次は銀杯でございますけれども、十六万二千件の御請求に対しまして、私どもが贈呈をさせていただきましたのは、その約七割に当たります十一万四千件でございます。それから、新規慰藉事業でございますが、これにつきましても、三万五千件の請求に対しまして二万一千件の贈呈を行わさせていただいております。これは約六割に相当いたします。  以上でございます。
  170. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 今、二十六万二千件の請求ということでしたが、昨年お聞かせいただきました、平成三年一月末、すなわちちょうど一年前は二十三万七千件、こういうふうにお答えをいただいているのですが、その数字でいいのか。それから、新規事業につきましてはことしは三万五千と言われましたが、去年は一万七千、その差がこの一年間に請求された数だ、こういうふうに理解できますか。
  171. 高岡完治

    ○高岡政府委員 基本的にはそういうことで受け取っていただいて、御理解をいただいて結構だと存じます。
  172. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 官房長官、百八万人の方々を対象に御苦労であったという書状を差し上げよう、こういうことで予算措置もしていただいているわけですが、いかんせん戦後四十数年の歳月を刻みました。そしてまた、そういうものに対してもう関心を示さない御老人もおられるでしょう。また、そういうことの情報を得られない人もあるだろうし、生存はしておられるけれども病気で寝たきりになっている方もありましょう。そういうことで、現に請求されている方は百八万人の分母に対して、今日現在約四年、丸三年ですか、経過をいたしまして、今の御答弁で二十六万二千と、三割を切っているということですね。そうすると、その残りの七割五分ぐらいの余裕がまだ予算上はあるということがおわかりだと思うわけです。  私は、赤紙一枚で青春を、内地、外地を問わず国家のために軍務に服した人に国家ができるだけ、年金をくれとかなんとかというのじゃなしに、要するに御苦労でありました、これくらいの声がかけられないのかなと思うわけであります。しかし、どこかで線を引かなければいけないだろう。当面一年ぐらいで線を引っ張ってみたらどうだろうというふうに思うわけでございます。     〔鈴木(宗)主査代理退席、草川主査代理     着席〕  そして、今は外地勤務ということをおっしゃっているわけですが、内地にいても危険はあったわけでございまして、例えば沖縄県は当然内地でございます。ところが、この内地でも玉砕というような形で、終戦当時非常に悲惨な状況になったわけでございまして、外地扱いにしてあります。したがいまして、内地と外地の差というのは非常に相対的でして、また、例えば帝都防空ということで立川に基地がありました、航空基地が。ここへ蟷螂のおのではありませんけれども、B29が飛来しているのに対して、やはり帝都防空のために、負けるのがわかっておっても要撃戦を試みた史実があるわけでして、これは直ちに撃ち落とされたり、あるいは負傷して傷痍軍人になったり、あるいは九死に一生を得て、飛行機は壊れたけれども自分は助かって今生存している人もあるわけでして、余り外地、内地の差をつけて外地に三年以上おった人には書状を上げようとか、その差別はもう要らぬのじゃないか。  また私は、これを一年以上として内外地の区別をもう取り払っても、要するに政府が確保された百八万人の枠を超えて請求があるということは考えられないわけであります。すなわち分母が百九十万人ですから、全部が請求しても。ですから百八万人のうち、丸三年を経た今日、なお請求しな、い人が七割五分もあるという事実にかんがみれば、そこまで広げても国家に今新たな負担を強いることにはならないと思うわけでありますが、官房長官、急なことでございますからどんな答弁になりますか、ひとつ前向きに、こういう国家の道義あるいは正義として私は申し上げているわけでありまして、ひとつ御答弁をいただきたいというふうに思います。
  173. 加藤紘一

    加藤国務大臣 冬柴委員御指摘のとおり、この恩給欠格者の問題というのは、かなり長い間の議論があったものでございます。そして昭和五十七年に、いわゆる年金通算の問題につきましては、ある種の結論を出したわけでございますけれども、その後、全国各地にこの問題に関して、いわゆる恩欠連という名前の呼び方もありますし、委員御指摘の別の名前もございますし、大変な議論があったり、広がりがあったことを私自身もよく承知いたしております。  それで、いわゆる年金の官民格差の問題というものは今論じないとして、少なくとも現地でともに苦労したというその事実について、何らかの政府の意思表示があってもいいじゃないかというのが最終的な運動のある種の結論、集約していったものであったと思っておりますので、そこで今度平和祈念事業というものができたわけですから、それをできるだけ早く実施していくようにしていかなければいけないのだと思います。書状、銀杯、それから記念品、この三つでありますが、そういう中で基金の運営というものを一応今やっておりまして、高齢者の方から順次行っておりますけれども、とりあえず今の戦地加算も含めて三年、そして外地勤務のある者という基準の中の人についても、まだ現実には完全に事業が終わってないものですから、そちらの方を早く実施していくというのが肝要なのではないだろうか、こう思っております。  今委員御指摘のように、それを一年に下げたらという御議論も、政府としてはたびたびお聞きいたしておりますけれども、高齢者の方の問題でありますので、今決められた要件の方をできるだけ早く実施していきたい、そういう気持ちで事業に取り組まさせていただければと思っております。
  174. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 私は、一度三年ということで決めたわけですから、それを一応の一段落をつけて、そしてまた次に考慮すべきことだろうと思うのですけれども、何しろ、終戦当時紅顔の美少年であった人も、四十数年を経ますと六十歳、七十歳ということになってくるわけでございますから、余命は物理的にもう少ないわけでございまして、この百八万名に対して催告をし、請求したらこうしますよというのが、四年たって二十六万二千人という実情ですね。これももう七八%給付したということになれば、ここらで分母をもうちょっと広げるということを考えてもいい時期に来ているのじゃないか。私に、請求してもなかなかもらえないという文句というか、どうなっているのだろうという問い合わせをされる方がありますので、これについて、請求から給付までの期間が非常に長くなる人と短い人があるのか、そこら辺の実情をちょっとお答えをいただきたいと思うのです。
  175. 高岡完治

    ○高岡政府委員 まず書状、銀杯の方から申し上げますと、これにつきましては、御請求いただきましてから、特異など申しますか、なかなか軍歴期間を証明できないような方がいらっしゃいますが、そいう特異な例を除きますと、一般的にはおおむね六カ月、半年ということで贈呈をさせていただいております。  それから、少しおくれて発足をいたしました新規慰藉事業でございますけれども、これにつきましては、おおむね三カ月程度で贈呈をさせていただくということになっております。  それからなお一点、これは財政当局の温かい御理解をいただきまして今国会で御審議いただいております予算案にも計上させていただいておりますが、実は、住民票を請求の都度添付をしてくださいというお願いを基金の方からいたしておりまして、この点につきましては、関係団体の方から大変強いおしかりを受けておったわけでございますが、幸いにしまして関係当局の御理解をいただいたところでございますので、住民票の添付は書状の請求をしていただく第一回目だけでいい、銀杯、それから新規慰藉事業のときには結構ですという形に改めさせていただいております。そんなことで、さらにまたもう少し短縮できるよう努力をしてまいりたい、かように存じます。
  176. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 官房長官、申請をして給付まで六カ月とか三カ月、この間に亡くなられる方があるのです。この一月からその人に限り、請求の意思を表明した人に限り、その遺族に給付をしようということを始めていただいて、非常にきめの細かい、私はそういう行政をやはりやっていただきたいと思うわけでありますし、それから今の住民票についてもしかりであります。もうそんなものを、住民票を一々すぐ取りに行けるわけじゃなし、一々お金も要るわけですし、また送付料も要るわけですから、できるだけ簡略にしてやっていただくということが必要だと思いますけれども、なおそういう細々した点に配慮していただきたいと思うのです。  私、この慰藉事業を広げるにしても何にしても一番問題だと思うのは、これは法に定められているわけですけれども、基金の運営委員会ですね。諮問機関といいますか、そこの御意見がないと個別的な補償、書状一枚にしても、これは内閣総理大臣の認可を得てするにしても、運営委員会のまず答申がないと動かないようなんですね。  この運営委員会に恩欠連というところから委員が出ているようです。ところが、軍未連からは出てないですね。この軍未連も約数十万人、五十万人の会員を持っている団体でありまして、やはり委員がもう少し交代するというか、そういう大きなところから出せなければ、少なくとも軍未連の意見を運営委員会で聴取をして、それを運営委員会の協議の中に反映させる、こういう配慮はぜひ必要だと思うのですけれども、今までそういうことはなかったわけですが、その点とういうふうにお感じになられますか。
  177. 高岡完治

    ○高岡政府委員 運営委員会におきます運営方法といいましょうか、あるいは構成の関係でございますけれども、確かに先生が御指摘のように、十人の委員から構成されております中にいろいろな、恩給欠格者の方々でございますと、御自身御経験の方でいろいろな識見を持っておられる方に入っていただいております。これは、例えば戦後強制抑留の関係につきましても同様でございます。ただ、私ども、関係団体、団体の代表という形ではなくて、その方の知識、経験、そういったものを踏まえて、こういう公的な運営委員会という立場でございますので、団体ということももちろん大事なことではございますけれども、広く恩給欠格者の方々の御意見を代弁していただきたい、そんなつもりで、十人という限られた人数でございますので、そういう中でだった一人ですがお願いをしておるわけでございます。  なお、私ども基金の立場あるいは総理府の立場におきましても、いろいろな関係の方がお訪ねをくださいまして、いろいろ御意見をいただいております。また、要望書という形でもいただいております。私どもに御意見をいただく場合も、あるいは基金の方でいただきます場合にも、お会いするということは熱心にやらなければいかぬということで、私ども今まで会見の申し込みがありましたときにもお断りしたことはございませんし、その場でいただきました御意見につきましては、私どもの方から基金の方に間違いなく伝達をいたしております。  そういった意見を踏まえまして、基金の方も運営委員会事務局をつかさどっておりますので、運営委員会の先生方にはその都度、あるいは関係の方々からもまとめて御意見を御披露申し上げておるということでございますので(確かに先生の御指摘のような点はあるかと思いますが、私ども、そういう点は十分配慮しつつ万遺漏なきを期しながら、運営の点につきましては関係の方々から疑惑といいましょうか、御批判の出ないように一生懸命努力をしてまいりたいと存じます。どうぞよろしく御理解を賜りたいと存じます。
  178. 加藤紘一

    加藤国務大臣 この慰藉事業というのが決定されましたときに、個人的な話でございますが、実は私は自民党の方で政調会長代理というのをやっておりまして、私が担当して決定いたしましたので、この経緯は私は非常によく存じておりますし、それから、運営委員会の人選の問題で、それぞれ欠格者に関するいろいろな団体、また時には対立もございましたけれども、そういう中からどういう方をお願いするかということで、担当当局が大変苦労していたということもよく記憶しております。その後ずっと経緯を見ましたり、また私自身が今政府の方の立場にいて見ていますと、いろいろな方、またいろいろな組織の御意見は、今審議官が申しましたように比較的公平に、まだかなり細かいことでも耳を傾けて聞くという運営はやっているのではないかなというふうに見ております。  でありますので、今後とも、いろいろそういう委員のあり方とか意見の聴取の仕方について御意見がありましたら、ぜひ政府の方にも率直にお伝えいただきたいし、またそれを生かしていかなければならないし、それは絶対そうしていきたいというつもりでおりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
  179. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 私が最初こういうことをこの場で、今後もやっていきたいと思っているのですけれども、申しているのは、実は私も終戦当時、満州で戦災に遭いまして、母親も亡くしまして、戦争体験はあります。けれども、私の方は父親が自分が選んで外地へ行ったわけであります。したがって、その結果は従容として受けているわけで、要求がましいことは言ったこともありません。しかし、今私が扱っている問題は、御存じのように、赤紙一枚で召集された人に対して、国家が御苦労だったという慰藉の言葉すら吐けないということに対する義憤からきているわけであります。  それで、いろいろ不公平な点につきましては、法律問題にもなるのじゃないかと思われるほどの問題があります。例えば官民格差です。こういう問題につきまして、先ほど官房長官からもその問題点の御指摘がありましたから、もう時間もありませんから申しませんけれども、数え上げれば本当に切りがないほど、この問題については甲乙の不平等といいますか、そういうものが目立つわけでございます。  例えば、何の本人の意思と関係なく出征地の位置が決まるわけでございますが、それが、甲乙丙丁という戦地加算年が、客観的に危険だとか危険でないとかいうことでするのでしょうけれども、そういうものが区別され、片や恩給を手厚く受けられるが、片やこの人たちのように全然受けられないとか、傷痍軍人になった人については、軍歴に関係なく恩給がずっと支払われています。また、恩給受給権のなかった従軍看護婦に対しては、終身慰労給付金という名目で恩給類似の補償をずっと重ねていらっしゃる。シベリア抑留者に対しては、軍歴に関係なしに慰労の品と十万円の個別補償、慰労金が既に支払われているというような事例。あげつらえば本当に、この戦争に行きながら軍歴が足らないというだけで、慰藉の言葉すら受けられないという無念の気持ちを持つ老兵たち、こうした人たちがおるわけで、そうした人たちに対して国家はなるべく早く何らかの形をとっていただきたい、切に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうか、その点を十分酌んで温かい行政をしていただきたい、このように思います。  終わります。
  180. 草川昭三

    草川主査代理 これにて冬柴鐵三君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。
  181. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 かねてから要望しております関西圏における和風迎賓館の建設に関しまして、若干質問させていただきたいと思います。  我が国の国際社会における地位は飛躍的な高まりを見せております。その地位にふさわしい国際貢献が、政治、経済、文化など、あらゆる分野において期待されているところでもございます。このような状況の中で、本格的な国際化時代の到来を迎え、国公賓を初めとする外国賓客の来日が一層増加することとなっておりますが、これらの方々を接遇するための迎賓施設につきましては、日本らしい雰囲気とたたずまいといったものをぜひ踏まえたものということで、私も何回かごの問題を取り上げさせていただきましたけれども、京都からも要望が出ておるわけでございますので、この和風迎賓館建設への現在までの取り組みの推移、状況を御説明いただければありがたいと思います。
  182. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えさせていただきます。  今先生からお話がございましたように、先生からも幾度がにわたりまして御質問をちょうだいいたしましたし、また、京都等の地元からも強い要望のあることを私ども踏まえております。  ただ、この問題につきましては、いろいろ幅広い観点からの検討が必要でございます。そういった観点から今日までの検討状況を御報告させていただきますと、まず平成三年度におきまして、総理府において国土庁の地域活性化施策推進費から約二千五百万円の移しかえを受けまして、今年度、目下幅広い観点から、関西圏の国際化の進展に合わせました国際交流の基盤施設のあり方について調査研究を進めてまいっておるところでございます。  これに引き続きまして、来年度、平成四年度におきましては、目下予算の御審議を賜っているところでございますが、その予算の中におきまして、内閣に関西迎賓等施設検討経費という形の経費を計上していただきますとともに、総理府におきましても、先ほど申し上げました検討を引き続き進めまして、さらに具体的な施設の検討を進めるということで、今後も検討を続けていきたいということで、目下取り組んでおるところでございます。
  183. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、関西圏における迎賓施設を含めた国際交流基盤施設のあり方に関する調査研究、これについてお伺いいたします。  その中で、調査研究会が昨年の十月二十五日を第一回としてことしの一月二十三日まで三回行われたやに伺っておりますが、その内容を御説明ください。
  184. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 今先生からも御指摘ございましたように、先ほど申し上げました今年度の検討と申しますのは、調査研究会を設けましてその研究会の御検討ということを通じて検討を進めておるわけでございまして、御案内のとおり三回やってきております。メンバーは、伊藤善市先生を座長といたしまして各方面の学識者あるいは関係省庁、それから京都府等の地元の関係の方々をメンバーにいたしまして、今日まで三回開催をいたしました。  関西圏の国際化の進展状況がどうであるか、また今後の状況はどういうふうにいくであろうかといったようなことから、あるいは国際交流の基盤施設、迎賓館を初めとしてそういったものが日本の現状はどうなっているか、また、諸外国の状況はどうであるかといったことで、そういった国際交流の基盤施設の現状について検討を進め、また、国際化の進展に伴いまして関西圏がどのような形で発展をし、どういう方向に国際交流のいわば一つの基地として向かっていくかといったようなことをいろいろ、いわば基盤的な検討を推し進めまして、その上に立って国際交流の基盤施設の方向性等について、鋭意検討を進めていただいておるというのが現在の状況でございます。
  185. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 要望としてはどんなところから来ておるのでしょうか。具体的に御説明ください。
  186. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 この和風迎賓館を関西にあるいは京都にという形での御要望は、京都府、京都市、京都商工会議所、それから平安建都千二百年記念協会という財団法人がございますが、こういったところから連名で強い要望をいただいておるという状況にございます。
  187. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 官房長官、お聞きのようでございまして、また、自民党の有志もこの問題に大分力を入れておるようでございますし、それから京都から非常に強い要望、そして今も和風迎賓館という御答弁がございましたが、本当にこういう和風迎賓館という考え方でやっていくのだ、主に木材を中心としたそういうような木の文化、そういったものを踏まえたものにしていく必要があるのだというような要望もございます。  それから候補地としては京都御所の名前も出ております。それからまた、もう御承知のとおり京都は皇族との非常に強いつながりがございますし、官房長官として今後どのように対処していこうと考えておるか、それからその候補地としてどんな考え方を、個人的にでも結構でございますが持っておるのか、そういった面も踏まえてひとつ意欲的な御答弁をお願いしたいと思う次第でございます。
  188. 加藤紘一

    加藤国務大臣 昨年の予算の編成期に、この問題につきまして与党のかなり有力な先生方から強い陳情を受けました。また、京都府とか京都市それから京都商工会議所等からも非常に夢のある、そして日本らしい雰囲気で外国の賓客を迎えたい、それはいいアイデアではないかというような力強い陳情がございました。自民党の中にも促進議員連盟ができておりまして、会長が金丸さんであり、いろいろな方が入っておられますが、顧問には、総理大臣就任前だったと思うのですが、宮澤喜一さんの名前もあったりいたしまして、そういうことでいろいろこの問題には興味を持って見てまいりましたけれども、問題は、今羽毛田首席参事官から申しましたように、具体的な施設について、仮につくるとすればどういうものが考えられるのかというその調査研究というのが、今一番重要な時期なのではないかな、こう思っております。したがいまして、今引き続きその調整費等によって研究を進めておりますので、それの結果を待って、またいろいろ考えてまいりたいと思っております。
  189. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 官房長官、私、今官房長官に答弁を要望しているのは、その和風迎賓館ということはそういうような考え方で、官房長官としては個人的な考えも入って結構なのですが、そういう考え方でいくのか。あるいはもう全く白紙で、和風になるか洋風になるかそんなことはわからんのやというものなのか、その辺をもうちょっと具体的に……。  それから、京都から強い要望が出ておりますので、これは関西圏という名前が出ておると、やはりどうしても京都の人は心配するわけですね、関西圏といっても広いわけですから。したがいまして、京都というものが念頭にあるのかどうか。その辺も踏まえてもう一度御答弁いただきたいと思います。
  190. 加藤紘一

    加藤国務大臣 今いろいろな方との間で調査し、また研究されているところでございますので、私が個人的な見解を申すのは適当ではないのじゃないかと思います。いろいろ議論の中では、和風にするのか洋風にするのかという議論も、今先生が御提起されましたけれども、その迎賓館という形になるのか。そうすると、迎賓館ということであると極めて限られた使用頻度にしかならなかった場合に、それが有効であるかどうかとか、今いろいろな御議論がされておるようでございますけれども、その辺の議論を待って判断をさせていただければ、こう思っております。
  191. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 要望としては、ぜひ日本の文化と国民性というものを理解して、日本らしい、こういうことになりますと、私は和風迎賓館になるのではないか、こういうように、迎賓館ということに限られてはなりません、官房長官が言うようにもっと幅広いものであってよいと思いますが、同時にまた、関西でもそれにほぼ合った地域というものがございますよね。そういうものも踏まえて、私はそういうふうに思いますけれども、その点、私の考え方を否定するのかどうか。その辺をもう一度御答弁ください。
  192. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 今、先生お話しのございました考え方、私どもまだ今の段階では否定をするとかそういうところに結論を出しているわけではございませんで、先ほど官房長官も御説明申し上げましたように、目下のところで言えば、関西の国際化がどのように進展をしていくか。また、日本の迎賓機能というようなことがどのようにあるべきか。国際交流の中でそういった施設がどうあるべきかというようなことを詰めた中で、例えば新しい施設をつくるとして、そこに迎賓機能だけなのか、あるいはそのほかのいろいろな諸機能を持ってくるか、こういったことが決まりまして、それに応じてどういうような施設をつくるのがよろしいか、こういうことになってこようかと思うのでございますが、そうした中には、やや具体的なことで申し上げますれば、純粋に木製の和風のものを仮につくるといたしました場合に、警備上の問題がどういうふうになってくるかといったようなこともあると思います。  逆に、今先生おっしゃったように、同じつくるなら、あるいはもし仮に関西圏でつくるならば、やはり日本らしいということが国際的な面でもいいではないかということも大きな要素に入ってまいりましょうし、現在のところはそういったことを総合的に検討している段階でございますので、具体的にそういった和風建築というものをつくるかどうか、先生のおっしゃることを否定するという意味ではなくて、まだそこらのところはこれからの段階になろうかと思います。  したがって、場所につきましても、そういう機能なり求められるところのものが何であるかというようなことを詰めました中で決めてくるということでございますので、そういったことの検討の深まりとともに、先生が御指摘のようなことをさらに詰めてまいりたい。当然、そのときには要望等もよく踏まえまして、今後検討していくということに相なろうかというふうに思います。     〔草川主査代理退席、小岩井主査代理者     席〕
  193. 加藤紘一

    加藤国務大臣 恐らく京都の地元の方が要望をされておりますのは、京都らしい雰囲気の中で外国の賓客を迎えるとするならば、純日本的な静かなたたずまいの中でお休みいただくようなところがいいのじゃないかと言われることだと思います。それは私も、最初陳情を受けましたときになるほどなと思いましたし、現にそういうしっかりとした日本風のお泊まりいただく民間の施設、またはそれが商業上のものであってもだんだんなくなっていく趨勢にあるわけですから、また、国賓をお泊めできるような、警備上だとか施設の広さ等からいって適当な施設というものはだんだん少なくなっていくということもあって、こういうアイデアが出てきたのではなかろうかなと思いました。その意味で、アイデアとしてはかなりアピールするものがあるのではないかな、こう思っておりますが、今首席参事官が申しましたように、それの効率性だとか警備上の問題だとか、技術的にいろいろ検討しなければならない問題、経費の有効的な活用という問題もあって、それで今御議論いただいているのだと思います。  したがいまして、先生がおっしゃいましたように、和風なたたずまいの中で外国の賓客を迎えるということを、日本のどこかに設けたらどうかというアイデアそのものが否定されるというものではないのだと思っております。
  194. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは次の問題に移らせていただきます。  仮称国立国会図書館関西館、この問題で、今までの関西館の設置に関する経過、それから今後どういうような経緯で進んでいくのか、その状況をまず御説明いただければありがたいと思います。
  195. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 国立国会図書館の関西館の経緯ということでございますが、国立国会図書館の機能をより完全に発揮し、充実するために、関西に国立国会図書館の一つの組織を設けてはどうかという考え方が起こりまして、昭和五十七年に関西プロジェクト調査会というのを第三者の方に委員になっていただきまして設けたわけでございます。  その調査会におきまして、関西にそのような組織を設けることが適当である、それから、その時期については財政の状況、その他十分に勘案して決めるようにという答申をいただいたのが、昭和六十二年のことでございます。それから、そういうような答申を具体化するために調査を行い、その成果を昭和六十三年に第一次構想として一応発表いたしました。しかし、それがまた十分ではございませんので、さらに調査を進めまして、第二次構想をまとめましたのが昨年のことでございます。これはまだ、財政当局等との御協議も必要でございますので、部内資料にとどめております。  その後、いろいろと協議いたしまして、平成四年度予算に関西プロジェクトに関する調査経費を項目を立てていただきまして、千二百万計上いたしております。今後は、その千二百万によりましてさらに調査を行って具体化に入っていきたいと思っておるところでございます。
  196. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 今もございましたが、設立に関する第二次基本構想、こういう形で進められておりますけれども、まずその内容と、平成四年度の予算内示額として、関西図書館プロジェクト調査経費として約一千二百万円計上されておりますけれども、この平成四年度の調査内容についてお伺いしておきたいと思います。
  197. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 第二次構想の内容でございますが、これは関西館を東京の本館と有機的に一体となって機能するような組織として、それぞれの機能をお互いに補完し合う。本館の方も現在手狭になってきておりますので、その機能の一部を関西館に分担させて、そうして本館においては直接国会の先生方に対するサービスその他をさらに強化するような、そういう組織も必要でございますので、いわば電子機器を十分に活用した、そういう組織をつくっていきたい、そういうような考え方もあります。  それから、関西においてはどういうことをするかと申しますと、一つは、現在、日本の学者その他の方で外国の資料を取り寄せる場合に、日本の図書館ではなかなか十分に機能しないということから、イギリスのブリティッシュライブラリーの文献提供施設を利用している方が随分ございます。これはまことにお恥ずかしいことでございますが、国立国会図書館の複写機能が完全に動いていないということにもなりますので、その一部をこの関西館において拡張いたしまして、ロンドンまでお願いしている分を日本で行えるようにしたい、そういう願いが一つございます。  それからもう一つは、最近、情報の国際化と申しますか、外国では日本情報がなかなか得にくい、そういうような声が高こうございます。これが一つは情報摩擦の原因ともなっておりますので、日本情報を外国に対しても送ることができるように、利用することができるようにしたいと思います。そういうような施設を関西につくっていく。  それから、現在の東京の書庫があと十三年程度でもう飽和状態になるということが報告されております。こういうような書庫の拡充と申しますか、そういうことに対応することも必要でございます。二十一世紀中は所蔵可能であるというような書庫をつくる必要もございます。  それから、関西地域にはいろいろの古文書等もございますし、こういうものを、あるいは委託を受け、あるいは所蔵の資料として関西の図書館に入れまして、そしてその地域の図書館とネットワークを組んで、それからこれを全国的なネットワークの基礎にしていく、そういうことで新しい図書館の一つの基盤にしていきたいという考え方を持っているわけでございます。それが第二次構想の内容でございます。  それからもう一つの、明年度の予算千二百万の使い方、調査の内容ということでございますが、これはただいま申し上げましたような、そういう種々の文献をどのくらい必要とされているのか、いわば需要でございますが、その需要の予測をしてみたいと思います。これは、ブリティッシュライブラリーから取り寄せるのはどのくらいあるかというようなこともよく聞くのでございますが、そういうのをもう少し組織的に、外国の施設からどのくらい日本で取り寄せるか、また日本に対してどのくらい情報を求めているのか、そういう需要の予測調査をいたしたいと思います。  それからもう一つは、これからの図書館といたしましては、電子機器によりまして、いわばそれぞれのおられるところで必要な資料が見られるようなシステムを開発していくということが現在の傾向でございますので、そういうような技術の実用化がいつのころどの程度経費をもって行えばできるものであるか、そういうようなたぐいの調査をしてみたいと思っております。それがこの千二百万の使い方の内容でございます。
  198. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 国土庁に来てもらっておりますが、この国立国会図書館関西館の問題も踏まえて、関西文化学術研究都市、ここを二十一世紀に向けた世界的な新文化首都を目指して関西文化首都圏の中心として位置づけ、京阪奈丘陵で関西文化学術研究都市の建設が進められておるわけでございます。私も何度か要望を重ねてまいりました。  そのプロジェクトの推移と現状をお伺いして、もう時間が余りありませんので、特にその中で、今まではイオン工学センターあるいは国際電気通信基礎技術研究所、地球環境産業技術研究機構などが設立され動いておりますけれども、ともすれば、文化学術研究都市の中でこの施設の多くは自然科学関係の施設が中心というか、そちらの方面に偏っているやに伺いますが、文化の薫り、こういう面から考えますと、今の国立国会図書館関西館あるいは国際総合芸術センター、これは仮称でございます、文化財総合機構についてもこれを検討していくべきではないか、こう思いますので、あわせて御答弁をお願いしたいと思います。
  199. 宮地謙一

    ○宮地説明員 お答えいたします。  関西文化学術研究都市の建設につきましては、関西文化学術研究都市建設促進法に基づきまして、産学官の協力のもとに、全体として今のところ順調に整備が進んでいるというふうに考えております。  そのうち、施設の立地関係について申しますと、国際電気通信基礎技術研究所等九つの施設が整備済み、または供用を開始しております。また、文化学術研究交流施設等八つの施設につきましては整備中でございますし、国際高等研究所等の整備の準備が進められているところでございます。  また、基盤整備関係につきましては、十二の、クラスターと言っておりますけれども、文化学術研究地区がございますけれども、そのうち九つの地区につきましては、宅地開発が概成あるいは整備中でございます。このほか京茶道路あるいは木津川上流流域下水道等の関連公共施設につきましても、順調に推移しているとろでございます。  そういった中で、先生御指摘ございました国立国会図書館についてでございますけれども、この関西文化学術研究都市につきましては、二十一世紀に向けた文化・学術・研究の新たな展開の拠点づくりということでございますので、私どもも当然、文化機能の充実ということが非常に重要と考えておりまして、国立国会図書館の関西館構想につきましても、本都市においてこの構想が実現することになりますれば、本都市にとっても非常に意義深いというふうに考えておりますので、今後とも関係のところにおかれまして前向きに検討が進められていくことを非常に期待しているところでございます。  また、総合芸術センターあるいは文化財総合機構についてもございましたけれども、これらにつきましては、地元にそういったものの独自の構想として検討が進められているというふうに承知しておりますけれども、これにつきましても、今後さらに議論が深まって、実現に向いていくことを非常に期待しているところでございます。
  200. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それで、先ほどの図書館の問題で、特に現在の国会図書館が満杯状況になる期限ではないか、こういうようにも予想される。どんなような状況なのか。  それと、今国土庁からも答弁がございましたが、場所に関してはほぼ文化学術研究都市、ここにおきましてそのものが進められておりますが、まず完成目標をどのように考えておるのか、そういった面も踏まえて、図書館の方としても、いつまでも年月がかかるとこれまた大変でございますし、そういう要望も踏まえて、それから国土庁としてもその問題を、大体どんなことを念頭に置いておるのか、その点をあわせて答弁をいただきまして、終わりたいと思います。
  201. 加藤木理勝

    加藤木国立国会図書館長 現在の書庫の状況は、諸先生の御理解をいただきまして予算が、現在の新館の書庫の完成ということを目標に進めているところでございます。これは平成四年度に完成いたします。この本館と新館とあわせて書庫の耐用年数と申しますか、飽和状態になるまでの期間は、今後おおむね十三年間というように見ております。したがいまして、平成十六年には書庫が飽和状態になるであろうというように予測しております。  関西館の建設の見通しというお話でございますが、これは財政当局とのこれからの折衝もございますし、一概にいつということを申し上げることはできませんけれども、この書庫の飽和状態ということをにらみながら、なるべく早く建設に着手したいものだということを希望しておる次第でございます。
  202. 宮地謙一

    ○宮地説明員 国立国会図書館の構想につきましては、現在、国立国会図書館におかれましていろいろ検討が進められておるわけでございますけれども、国土庁といたしましても、これらの構想が煮詰まってまいりまして、国土庁として支援し得る面があるかどうか、そういった段階になって積極的に協力してまいりたいというふうに考えております。
  203. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 終わります。
  204. 小岩井清

    小岩井主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理本府についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  205. 小岩井清

    小岩井主査代理 次に、防衛庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊東秀子君。
  206. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 防衛庁にお伺いいたします。  防衛の前提には侵略の脅威ということが当然あると思うのですが、今現在防衛費の削減には至っていないこの現状の中で、防衛庁としては、どこの国が何の目的のために日本を侵略すると考えておられるのでしょうか。
  207. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 御答弁申し上げます。  我が国の防衛力の基本的な考え方は防衛計画の大綱で定められておりますが、基盤的防衛力構想ということで整備を図っているところでございます。これは言いかえるならば、どの国を相手として、脅威の対象として特化して防衛力を整備するという考え方ではございませんで、この五十一年当時、デタントの時代を背景としてつくられた構想でございますけれども、独立国として必要最小限度の自衛力を保持する、そして我が国が、力の空白があってはかえって周辺諸国から影響を受けやすいということもございまして、基盤的な防衛構想でございまして、特定のどの国を脅威の対象として考える、そういう目的意識を持った防衛力整備ではございません。
  208. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 それは、大綱を一九七六年におつくりになったときに、基本思想として閣議決定したわけですね。ところが、八〇年代に入って対ソ脅威論というのが出てきて、ずっとそれで日本の防衛は走ってきた。防衛白書等も常にそれは出ておりますし、六十三年や平成元年の情勢分析等においても、冷戦構造は変わっていない、東西の軍事対立は変わっていない、極東ソ連軍の脅威は不変であるということをずっと言い続けているわけです。  それで今になって、いや、そういうことはない、どこが攻めるということは考えていないというふうに急に、このソビエト連邦が崩壊し、東西の冷戦構造が崩れ、大幅な軍縮をアメリカもソビエトもそして欧州もやり始めた、中国も、最近の報道では鄧小平が三割国防費の削減をと呼びかけているという状況の中で、日本だけが、あと第三世界の少数の国だけが軍事費を削減していない。ストックホルムの報告書でも述べられているような状況にあるわけです。それで、今の御答弁ではどうも私は詭弁だと考えるわけですね。  では、侵略は全く前提にしていないというふうに言い切ってよろしいんでしょうか。
  209. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今、先生、侵略して……(伊東(秀)分科員「侵略を前提には考えていないのか」と呼ぶ)当然、基盤的防衛力といえども、我が国に対する侵攻ということを前提にいたしております。専守防衛でございますから、侵攻があった場合に、必要最小限度の自衛力でもってこれに対応して国の独立を守っていく、この考え方はもちろん基本にございます。
  210. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 とすれば、今のお答えを前提にいたしまして、何の目的で日本を侵略するというふうなことをお考えになっておられるんでしょうか。
  211. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 我が国を取り巻く情勢というのは刻々いろいろ変化しておりますし、かつては、今御指摘のような米ソ超大国の対峙というようなこともございましたけれども、私どもの防衛構想としては、それらに直接関係なく、我が国は専守防衛の立場でございますから、必要最小限度の自衛力を持ってこれに対応する、しかもその足らざるところは日米安保条約によってこの機能を補完して、来援を求めて我が国を守る、こういう体制でずっと来ておるわけでございます。
  212. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 今までの答弁を伺っておりますと、具体的に侵略する国も考えられない、何の目的かも、攻めてくるかもはっきり考えていない。そういったことでどうして具体的に、例えば今回護衛艦を新しく購入するとか、一両十億円もするような九〇年戦車を二十両購入するとか、そういう装備の具体的な購入計画が出てくるのか、それは大変奇妙に思えるわけですね。その辺は何を根拠に、戦車で結構でございますから、戦車は千二百三十両ぐらい現にあるわけですね、それをさらに九〇年戦車にかえなければいけないこの具体的理由は何でしょうか。
  213. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 戦車の例がございましたけれども、我が国が侵攻を受けて内陸で戦車を使用するような状況というものは考えられないのではないかという意見を述べられる方も往々にして多うございますけれども、私どもはそうは考えませんで、我が国に侵攻勢力がありまして、上着陸を阻止することが第一義的ですが、万が一上陸するようなことがあった場合に陸上自衛隊がそれに対応するへ幾重にも縦深性のある防御力を持っておる、このことが必要だという観点から戦車の機動力とか火力、そういうものに着目をいたしまして所要め整備を図っているところでございます。  なお、先生、相手の国を特定しないのにどうして防衛力整備のいろいろの装備ができるかというお尋ねでございますが、まさにそこが問題でありまして、私どもは、基盤的防衛力構想というのはある一定の規模、これは具体的になかなか、過去の議論でもはっきりとどの程度の規模という具体的規模は申し上げておりませんけれども、小規模の侵略に対しては独力で対処するということでございますから、それ相応の陸海空の自衛隊の力をバランスのとれたものとして整備していくということは当然なことだと私ども考えておるわけです。
  214. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 今の御答弁では、具体的になぜその数字が出てくるのかということにはお答えになっていないと考えるわけでございますが、上陸してきたときの国土戦に対応するために陸上自衛隊が必要だと。そうすると、陸上自衛隊というものの存在意義については、防衛庁長官はいかが考えていらっしゃるのですか。
  215. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 我が国は自衛隊と申しておりますが、各国の軍隊の構成を見ましても大体陸海空、そして陸上自衛隊というものをかなり重視しておるということは、もう世界の軍事情勢だと存じます。隣の韓国におきましてもあるいは北朝鮮におきましても、この周辺でも、中国におきましても、陸上兵力はもう我が国と比較にならないほど膨大なものを保有しているわけでございます。  我が国が陸上自衛隊を保有しているゆえんのものは、先ほど申しましたように我が国は専守防衛ですから、上着陸を第一義的に考えておりますけれども、しかし同時に、陸上自衛隊の存在があるということによって、その上着陸阻止にもちろん有効な機能を発揮すると同時に、縦深性のある、もしくは攻め入った場合に、陸上自衛隊の力があるということによって、かえってその存在自体が我が国に対する抑止力にもなり得る、このような感じで、我が国としては最小限度の陸上自衛力を各地に配置をしておる、こういう状況でございます。
  216. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 あくまでも国土戦、我が国に上陸してくるということを前提にお考えのようですが、せんだっても一般質問で私も伺いましたように、上陸する前には、まず日本海側を中心に四十一基ある原発、これが数基でも爆破されるその可能性、制空権を制覇される可能性は高い。そういう場合はどうするのか、もう一度はっきりお答えいただけますでしょうか。
  217. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御質問も、ある想定に基づく、またはある想定に基づいた攻撃というようなものを想定されておられますけれども、私ども具体的に、ここでそういうことを特化いたしまして、この場合はこうだ、この場合はこうだというようなことは一々申し上げるわけにはまいりません。けれども、一般的に申しまして、今委員は、抽象的でよくわからないじゃないかというお言葉もございますけれども、しかし、我が国の国土を守り、そして同時に、国民の生命財産あるいは公共施設、その他万般のものを守るということでございますから、まずもって何よりも上着陸、海上において、侵攻勢力、あるいは空から来る場合も多いわけですから、経海、海を経て来るもの、あるいは経空、空を経て来るもの、こういうものに対して一義的にこれを防戦しなければならないことは当然でありますけれども、同時に、その場合に、それでは一撃を全部受けてしまって原子力発電所が全部壊れたらどうかというような、それは一つの想定としては先生御指摘されるのでしょうけれども、私どもとしては、やはり国土全体を有効に守っていく、そして被害を最小限度にとどめて専守防衛につないでいくというのは、どうしても基本的な考え方になっておるわけでございます。
  218. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 防衛というのは常に、具体的にこういう場面にどうするかということを想定して訓練もしておられますでしょうし、計画もお立てになるであろう。侵略しようとする側に立ては、素人の私でも、まず狭い日本に一番打撃を与えるには、一基でいいから原発を爆破するということを考える。そういうことは仮定のことだから考えられないとか想定しておりませんというのだったら、そういう重大なことを想定しないで戦車の数や護衛艦やあるいは多連装ロケットシステムや、そういう中身の兵器だけの拡張を考えることが非常におかしなことになってくるわけですね。論理的に破綻していくんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  それで、じゃ質問を変えますが、基盤的防衛力構想をこれまでとってきた。具体的な敵を想定しているわけじゃないというようなお答えのようですけれども、とすればなおさら、周辺の国々との信頼醸成措置、これを高めるということが重大な目標になるのではなかろうかと思うのですが、昨年及び一昨年と二回にわたってソ連邦からの軍事演習の参観を防衛庁はお断りになりましたね。これはどのような理由で断られたのでしょうか。
  219. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ちょっとまず私の方から。  先生先ほど、そういうことも想定しないで装備をどんどん整備するのはというのですが、私どもは、そういうことが起こり得ないために装備をきちっとして、護衛隊群を備え、また飛行隊も備え、また陸上自衛隊のそういう体制もきちっとやっていくということでございますので、考えないでやっているわけではないので、これも当然のことながら申し上げさせていただきます。  それから信頼醸成措置については、これは私もそうだと思います。国と国との間の信頼醸成というのは非常に大切です。これは、外交努力あるいは政治的な努力を通じまして信頼醸成措置を講ずることが何よりも平和の基礎であることは間違いありません。  しかしながら、ただそれだけで安心し切れるかというと、現実の主権国家を主体にした国際情勢の中では必ずしもそうばかりもいかないという、これは国際情勢に対する認識の問題もございますが……(伊東(秀)分科員「断った理由を」と呼ぶ)はい。そういう情勢でありますから、私どもは、基本的には信頼醸成措置は必要だと思っておりますが、しかし同時に、自国の防衛というものも同時に並行的に進めていくということも必要だと思っております。  なお、軍事演習の点については、ちょっと担当局長の方から答弁させます。
  220. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 一昨年と昨年、確かに、訓練を見学にということの提案がソ連側からございました。一昨年の事情と昨年の事情とは若干違うところがございまして、一昨年の場合には、招待が極めてショートノーティスであったということが一つございました。期間が前広ではなくて、直前に招待があったということが一つございました。  それ以外の理由として、両方に共通な点について申し上げますと、まずもって、ソ連側との間には政治的ないろいろな問題、未解決の問題がございますので、それらの総合的な解決のステップ・バイ・ステップの中で行われていくべきものというふうに思っておりまして、単に演習について見学を、参加したということをもって、それが最優先されるべき信頼醸成措置のステップかというと、そうではないであろうというふうに我々は考えた次第であります。例えば情報開示をソ連側がするといったようなことも必要でありましょうし、そういったことの優先順位を考えたときに、これが最優先されるべき問題ではなかろうということが一つございました。そういうことを踏まえまして、招待を受けた西側諸国等ともその動きを勘案しながら、態度を決定した次第でございます。
  221. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 政治的な未解決の問題があるということとか、直前の招待だったというようにお述べになりましたけれども、昨年あたりから大変な形で冷戦構造の崩壊が進んでいた。政治的に未解決な問題があればこそ、お互いにより交流を深めて、そしてそういったものへの一歩、打開策を考えようというのが、非常に積極的な、日本の平和的な防衛に対する考え方でなければおかしいのじゃないか。あるから一切行きませんというのは、非常に後ろ向きというか、むしろ防衛庁の、ソビエトをいつまでも敵視し続けようということのあらわれではなかろうかと私は考えるわけでございます。  その辺について、ことし、もしまた参観の要請があったら、お受けになるかどうか。いかがでしょうか、防衛庁長官、お願いいたします。
  222. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これは基本的な事柄でございまして、防衛局長の申し上げたように、旧ソ連と我が国との関係では、北方領土問題というような非常に国民的な関心の大きな課題等もございまして、確かに未解決の問題もございます。しかしながら、安全保障政策を含めまして、対外政策等、いろいろ大きな違いがございますけれども、実は、お互いの相亘理解促進を図るということからいえば、今委員のおっしゃられるように、軍事面等でも人的交流を行うということは十分考えられることだと思います。かかる考え方に立ちまして、若手将校その他もペレストロイカの影響も受けておるでしょう、大きな変化があると思います。  そういうことから、昨年、中山外務大臣が行かれた際にもその問題に多少触れられまして、双方の外務省とか防衛庁を含めて、国務省関係者を交えたアドホックな対話を進めていきたい。それから、特に海工事故防止協定、これはソ連も自由圏と結んでおりますが、我が国もまだこうした面で必ずしも意見の一致を見ておりませんから、そういったことを通じて、お互いにこれからの交渉、交流もやったらどうかなというように、昨年の十月、話し合われたところでございます。  基本的には私も、こういった外務省を中心とした政策協議その他にも、必要があれば防衛庁の幹部等が出席していろいろ交流を深めていくことは意義のあること、こう思っておりますが、今直ちに具体的な計画があるわけではございません。
  223. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 昨年までと違って、ことしは前向きな形で検討を進めていると伺ってよろしいですか。
  224. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 今は十月の外相との経過を多少申し上げたわけでありますけれども、特にことしになってから、さらにそれを進めてより一層具体的な動きがあるということではございません。
  225. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 それでは昨年と全く変わらないということになってしまうのじゃないか。防衛庁はあくまでも冷戦構造の東西対立の状況のままの防衛政策、だからこそ防衛費を削減しないという主張をやり続けるのだというふうに、国民にとっては、税収が余りにも逼迫している中でとんでもない政策を続けているということに見受けられるのじゃないかと思うのです。もう一方では信頼醸成措置をどんどん高める努力をしながら、ここまでは最低限必要なんだとか、国民が納得できる形のものを提示しなければ、これは詭弁だということになってしまうのではなかろうかと思うわけでございます。  先ほどの防衛庁長官お話でも、原発は攻撃されるようなことがないように中での抑止力を高めるとおっしゃいましたが、原発が攻撃されたら、例えば戦車が今の千二百三十両が三千両になったところで全く意味がない、そういう問題じゃなかろうかと思うわけで、防衛政策そのものが、今のこの核時代といえばいいのですか、原発あるいは化学工場がこんなにたくさんある日本の立地条件や経済力、そういったものと若干どころか相当にずれているということを感じるわけでございます。  時間がありませんので、次に進みます。  「陸戦研究」という雑誌の平成四年一月号に西村繁樹さんという方が「ポスト冷戦期の日米安保体制」という論文を寄せておられまして、その中で西村氏は、「ポスト冷戦期においても実質的に強化されつつある極東ソ連軍との軍事バランスの維持が不可欠」であるという前提をとった上で、今後も「地域紛争に対する間接的な国際貢献という立場から防衛費を増加させるという政治的英断が求められる。」こういう論理を展開しているわけでございますが、この論理に対して防衛庁長官はいかがなお考えをお持ちでしょうか。
  226. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ただいま御指摘の「陸戦研究」というのは、現役の方、OBの方を中心とした自発的な研究グループである、そしていろいろな研究成果を発表なすっていらっしゃるということも私は承知しておりますが、今の西村さんの論文は、私はちょっとまだ拝見しておりませんので、御指摘の点だけで論評するのもいかがかと存じますが、一般論として、「陸戦研究」その他で、我が国の防衛の基本政策の枠内であれば、いろいろな研究をなさることはかえってシビリアンコントロール上いいのではないかと私は思うのです。つまり、いろいろそういうことで、我が国の基本的防衛政策の枠をはみ出しては困りますけれども、そうでなければ、いろいろの角度からの、ケース・バイ・ケースでいろいろの想定を置いて研究なさることは、それ自体そう否定することではない、このように思うわけです。(伊東(秀)分科員「中身です」と呼ぶ)中身は、ちょっと今先生のおっしゃられただけで判断が私はつきかねますので。冷戦が終わってなおかつ、冷戦構造が終わっても抑止力のために我が国の防衛力を増強すべきであるという、こういう所論ですか。
  227. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 自衛隊が「地域紛争に対する間接的な国際貢献」をすべきである、そのために防衛力を増加させよと言っているのです。
  228. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 地域的紛争に貢献するためにね。そういう点も、よく前後を読みませんと、どういう地域紛争を想定しているかも必ずしも明確でありませんので、ちょっと答弁は差し控えさせていただきます。
  229. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 今の問題は、今後の自衛隊の方向性ということで大変重要なことだと思うので、じゃ、防衛庁長官お答えやすいように、もうちょっと彼の言わんとしていることを申し上げますと、こういうことを言っているのです。「日本の貢献は、在日米軍、すなわち横須賀を母港とする第七艦隊および沖縄の海兵隊が、適時に湾岸に移動できたことにある。」湾岸戦争への貢献ですけれども。「日本が米国に対し基地を提供していることが米国の迅速な行動に寄与していることの戦略的重要性を再認識させた。このことは、今後西側の共通利益を守る米国の地域紛争に対する行動支援のため、日本が支援後拠として重要性が向上することを示している。」つまり、こういった湾岸のようなときにも日本は基地を通して大変貢献した。さらには、今後は後方支援の形で、アメリカが地域紛争に対する行動を開始するときの後方支援を重点に自衛隊は働くべきである。そして、こういうことを言っているのです。例えば「米国の戦闘部隊が、日本列島の千マイル以内に入ってきた場合、その安全を確保するとともに、米軍が必要とする弾薬、燃料、食料等の補給及び情報の提供を日本に頼れるという体制作りが望ましい。」ここまで具体的に言っているのですが、こういった方向を防衛庁が目指しているのかどうか。これは大変重要な、今後憲法問題にもなるかと思うので、防衛庁長官の御所見を伺うわけでございます。
  230. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 日米安保条約によって、米軍が我が国の安全と極東の安全を確保していくということは安全保障条約上の義務でございますし、それに即応した体制をとることは当然でございます。その西村さんの提言も、湾岸戦争を引用してのことだと思いますが、御承知のように、湾岸戦争は国連の決議によって、多国籍軍によってあのイラクの不当な侵略防止を国際的な協調のもとにやったわけでございまして、そういうことについて恐らく言及されたものだと思いますけれども、基本的に、そういう世界の変化、国連中心の変化というものを頭に置きつつ論評されたものだと存じます。しかし、それをよく正確に私も判読いたしませんと、このような方針をとっているとかいないとかいうことはにわかに断定できませんけれども、私どもは、日米安保条約を我が国の安全のために、また極東の安全のために、ひいては世界の安全のために寄与できるような体制できちっとやっていくことは重要なことだと思っております。
  231. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 簡潔に結論だけお答えいただきたいのですが、それでは、こういったアメリカが地域紛争に出かけていく場合に、自衛隊がその後方支援をするようなことはあるのかないのか、この点についてお答えいただきたい。
  232. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 米軍が単独でそのような行動をとる場合は、我が国がこれを支援することはありません。安保条約上の相互の義務としてやる場合は別で、そういう条件が満たされない限りあり得ないことでございます。
  233. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 安保条約上の義務という場合には、我が国への本土の防衛という大きな枠があるわけで、その場合には海外に出る必要は全く出てこないわけですが、そのように理解してよろしいですか。
  234. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 我が国の安全と極東の安全、我が国の安全は極東の安全がなくしてできません。そういう意味で、これはかって長い論争がございまして、極東の範囲いかんというような問題提起がございましたけれども、我が国の領海だけでとどまるべき問題でないことは当然であります。
  235. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 最後に、長官に伺いますが、中曽根元総理がシェワルナゼ外相に対して、軍縮は軍人に任せてはならない、軍人に任せたら軍縮にはならない、政治家でなければできないことだというふうなことを教示したという新聞報道を私は目にしたことがあるわけでございます。まさしくそのとおりで、軍人は、やはり今あるものの維持拡大という発想をする。とすれば、こういう東西の冷戦構造が崩れてイデオロギーの対立がなくなった時代の中で、軍縮というのは大胆に政治家が決断して、まずこれだけ軍縮しますというような形を打ち出していくことが重大じゃないかと思うのですが、宮下長官は、軍縮に対する、こういった世界の流れの中で日本だけが軍事費を上げているという非難を浴びている中で、政治家の決断として、軍縮というものをどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  236. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ただいまは中曽根元総理とシェワルナゼ元外相の軍縮についての引用でございますが、ソ連の実態からしますと、ソ連軍という強大な勢力があって、なおかつ、いろいろ報道によりますと、集会をやったりいろいろやっております。コンサーバティブな動きを示しております。そういう意味では、政治が優位に立ってこれを行うということは、確かに中曽根さんとシェワルナゼさんとの会話であり得たことだなと思います。そしてまた、我が国におきましても、シビリアンコントロールというのは、まさに政治が軍事に優位する立場にあることを意味しておりますから、この立場のもとに国防政策その他を考えていくということは当然なことでございまして、それは委員おっしゃるとおりであります。  ただ、我が国も軍縮すべきかどうかという点については、これは基盤的防衛力構想をとっている我が国として、今直ちに、超大国が軍縮をやったから我が国も軍縮をやるべきであるということについてはまだ異論のあるところでございまして、その内容には、私は必ずしも委員の言うとおりではございませんけれども、しかし、政治が軍事に優位性を保ってリードしていくべきである、これはそのとおりであると思います。
  237. 伊東秀子

    伊東(秀)分科員 終わります。
  238. 小岩井清

    小岩井主査代理 これにて伊東秀子君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  239. 水田稔

    水田分科員 私は、防衛庁にFSXの開発についてお伺いしたいと思うのですが、どうも最近の国際情勢の大きな変化、それからもともとF16をベースにした開発に無理があったのか、そして、今までの開発が、日本だけならいいけれども、アメリカとやるとどうもだんだんコストが高くなる、最初言った値段が十倍ぐらいになるわけです。そういうことが絡んでかどうか知りませんが、日本政府はFSXの開発を中止するのではないか、こういうことが言われておるわけですが、その点はいかがなものでしょうか。
  240. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 FSXの日米共同開発、この計画は、先生御案内のとおり、なぜ行うかという点が一つありますが、それは支援戦闘機F1というのがございまして、これが一九九〇年代後半には減耗してまいります。その後継機としてのFSXを今共同開発しようとしておるわけでございますけれども、これは申し上げるまでもなく我が国への上着陸阻止のための支援戦闘機能を重視した戦略体系、作戦体系といいますか、そういうものでございますから、当然私は必要なものだと思います。そして、既に六十二年ごろからあれしまして、六十三年度から着手をいたしております。MOUもつくりましたし、交換公文もつくりまして現実にスタートしているわけでございます。御案内のようにF16の改良ということで研究開発を進めているわけでございまして、この路線は必要なものだと考えております。
  241. 水田稔

    水田分科員 順調に進んでおるということですか。何か私が今申し上げましたような条件、国際情勢の変化や、あるいはもともと無理なものをベースにしておるということ、それから開発費が非常に高くつくというような問題等がだんだん検討する中で出てきて、ちょっとこれは後へ引こうか、こういうことになっておるのではないかということをお伺いしたのです。ですから、やはり一歩下がっておるのなら下がっておるということをお伺いしたいのです。
  242. 関收

    ○関政府委員 FSXの必要性につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。  具体的な日米共同開発でございますが、実はスタート時点でいろいろな議論もございまして、平成二年の三月に日米の共同設計チームが発足をいたしました。その後、具体的には名古屋でございますが、名古屋で日本の技術者とアメリカの技術者が数百名、共同で今設計作業等を行っておりまして、その設計作業は極めて順調に進んでおる、こう聞いておるところでございます。
  243. 水田稔

    水田分科員 F1というのは、エンジンは輸入ですけれども機体は国産だったわけですね。もともとそういう飛行機ですから、F1の後継機は国産でやりたいということで準備を進めてきたはずなんですね。そこヘアメリカから大変厳しい意見が出て共同開発になった、国民から見ると、やはりそういうぐあいに見えるわけですね。そして、いざ開発に取りかかろうとすると、そこまででも無理があるのです。アメリカの議会からクレームがついて、御承知のように、一つは、炭素繊維の一体成形の技術は出せ、あるいはCCVの技術は出せ、あるいはとにかく複眼のレーダーの機能は出せ、アメリカの持っておるノウハウはいわゆるブラックボックスに入れて出さない、そして共同で開発した技術については、アメリカは使うけれども日本の国内で使ってはならぬ。私は、何も戦闘機をどんどんつくれという意味ではないんですよ。日本のいわゆるハイテク技術の将来の問題を心配するから言うわけです。そういったことがあっていいのかという思いがある。  ですから、予算の一般質問でも、宮澤総理も、ちょっと申し上げたらそうお認めになりましたが、一緒に行って、アメリカのフォーリー下院議長が、向こうからFSXの問題を出したから、けしからぬという話をやったわけですよ。そうすると彼は逃げたですよ。宮澤総理はそこで、水田君、それは日本も知らぬことはないよということを知らせただけでもいいのじゃないかというので、その話で打ち切ったわけです。今申し上げたそういう経過は国民の恐らくは相当の人が知っておるでしょうね。こういうことでいいのか。  というのは、お伺いをしたいのは、例えば防衛庁で、単発の飛行機でエンジンがトラブルを起こした、戦闘機ですよ、そのときにどうやって脱出せいというのか、そのマニュアルはどうなっておるのか、言ってみてください。
  244. 関收

    ○関政府委員 まず単発のエンジンというお話でございますが、F16につきましては、先生御案内のとおり非常に安全性の高い航空機でございます。今世界の十六カ国で二千六百機ぐらいが使われておるという非常に安全性の高いものでございますし、またこれからそれを改造いたしましてFSXを開発するに当たりましても、安全性には十分な配慮を加えていくという予定にいたしておるところを御理解いただきたいと思います。
  245. 水田稔

    水田分科員 質問に答えてくださいよ。あなたは装備局長で、そんなことわかるわけはない。F16が三沢で何機落ちたのですか。ぼろぼろ落ちておるじゃないですか。問題だということが日本で言われておるのでしょう。それをあなたは、安全だというようなばかな話をしなさんな。単発で操縦しておるときにエンジントラブルを起こしたらパイロットはどうするんだ。双発のF15のときはどうして飛び出すのかということがちゃんと決めてあるはずですよ。防衛庁、おられるのですか、そういう――私の方から言いましょう。私は、今の技術隊のマニュアルは知りませんけれども、単発であれば直ちに逃げなかったら本人は落ちて死にますよ。直ちに座席ごと飛び出すようにしておるはずです。双発なら市街地へ落ちないように海へ向けて固定して、そして海へ落ちるようにして飛び出すだけの時間的な余裕があるんですよ。だからこのF16をベースにするというときに、自衛隊の中でもやはり喜んでもろ手を挙げて賛成してないでしょう。ただ、開発をする側からいうといろいろ問題があるから、それだけに新しい改造ということで、事実上は新しくつくると同じようなものをつくろう、そういう意味で認めただけなんですよ。だからそういうことを押しつけられておるわけでしょう。そのことを聞いておるわけですよ。それはどうなんですか。そうでしょう。常識的に考えてもそうなんです。
  246. 関收

    ○関政府委員 FSXをどういう機種にするかということにつきましては、国内におきましてもさまざまな議論がございました。国内開発の議論もございました。外国機の導入というのもございました。それから開発というのもございました。それを比較考量いたします場合に、いかに確実に取得ができるか、それから費用対効果、それから日本におきます運用の構想でありますとか、あるいは日本の地理的特性に対応できるかどうかといったようなことを総合的に勘案して、F16の改造開発という結論になったものと承知をいたしておるところでございます。
  247. 水田稔

    水田分科員 私は、武器だけの問題じゃなくて、日本の技術ということで心配しておるから申し上げるんですよ。日本の武器を全部国産でやれ、そんなことは私、言いません。けれども、今、日本航空電子という会社が問題を起こして部品が入ってこない、自衛隊の飛行機は稼働率が落ちる、こういう報道がされたわけですね。第一に、安保条約でお互いに共同してやろうと言って、別の問題でそういうことが起こる状態というのは安全保障上極めてよくないことでしょう。FSXの問題でも、これは単独でやっていればもう相当程度の研究は進んでおるはずですね。共同開発を申し入れられていろいろクレームがついて、そのためにずっとおくれてきておるわけでしょう。ですから、どうなんですか、日本航空電子の問題で稼働率が落ちて、この間から自衛隊の飛行機がヘリを含めて二機落ちておる、三人死んでおるんですね。やはりそれは影響しておるんですか、部品が入らぬということで。
  248. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 最近幾つかの航空事故がございまして、まことに遺憾なことで、これは国民に申しわけない次第でありますけれども、今の日航電の部品との関係というようには私は聞いておりませんし、そういうことはないと存じます。  それから、技術交流の点から航空機産業、これは歴史的に言って日本は非常に制約を受けた条件のもとでしか行われてきません。先生はその道に大変関心を持っていらっしゃるということも私も十分承知しておりますけれども、このFSXの開発計画につきましては、装備局長の言いましたように確かにいろいろな選択肢が考えられまして、我が国としては、我が国の防衛所要を満たし、かつコストが低くて、しかも我が国の技術開発に非常に影響を及ぼすものでもございますから、そういった観点の主張等もあったやに私は聞いております。  しかし、我が国の防衛は、主として今までアメリカの技術の輸入超過と言っていいでしょう、ほとんどそれに依存してきたわけでありますが、武器輸出三原則の例外として、ようやく五十八年度から本格的に技術の交流ができるようになったわけでございます。したがって、今後は与えるものも与えるし、受け取るものも受け取っていくという点が必要だと思いますが、確かにFSXについてはソースコードの一部、航法管制装置でしょうか、そういうものの一部がブラックボックスで、アメリカの議会で議論がございました。これはもう御案内のとおりでございます。しかし逆にそのことが、我が国でこれを開発する、それによって多少開発計画がおくれはありますけれども、考えようによっては、場合によれば我が国の技術開発により資するものかなということも考えつつ、多少おくれることもございます、今、平成十年くらいということでありますから、そのことによって二年くらいあるいはおくれるのかもしれませんが、そういうことも覚悟しつつ、我が国の技術開発も相当なレベルになっておりますから、それで十分克服していける、このように思っております。
  249. 水田稔

    水田分科員 答弁で納得するわけは全くない。なぜなら、私が申し上げたことに答えられぬわけでしょう。  というのは、なぜ日本は技術を皆出して、向こうは技術を出さない、共同で開発した技術は、日本でほかの民間の航空産業等に使ってはならぬ、そこまでの条件がつけられた共同開発というものが日本の産業にどういう影響が起こるのですか。  私が一般質問で申し上げましたように、御巣鷹山の日本航空の五百二十人が亡くなったあの事故も、本当にあれが――まあ事故調査委員会というのは権威者が集まってやられておるけれども、相模湾に落ちた例えば補助エンジンその他のものは回収されてないんですね。本当の意味での事故調査が完全にできておるかというのは疑問に思うし、それから、あのときにも申し上げたように、あの飛行機が大阪でしりもち事故を起こして、そしてボーイングが来て修理した、あれが修理したから完璧だということで、日本で完全に調べることができる人は恐らくおらぬだろうと思うんですね。  当時、私は航空局へ行って局長に、あなたの部下があれに耐空証明の判を押して、飛んでよろしいと言ったんですよと言った。それで調べられておるよ、今。結局不起訴になったけれども、それが現実なんだ。だから、ボーイングはなぜ早々と隔壁の修理ミスだったということを認めたのかというと、そう認めなかったら、どこにおるかわからぬということになると、世界を飛んでおるジャンボが全部とめられるということになるんです。私がいまだに疑問に思うのは、一般質問でも申し上げたように、あのボイスレコーダーを聞くと、ドンといって隔壁が壊れてから恐らく七、八分ぐらいですか、コックピットは酸素吸入をしてないということは、一挙に抜けておるなら酸素吸入が普通なら客席におりてきてやらなければならないわけでしょう。それをせずに、キャプテン、もうそろそろ酸素マスクをしますかというのがボイスレコーダーに入っておるんですね。だから私は、いまだに疑問に思うわけです。  ですから、これは通産省の担当の課長にはよくお話をして、日本で全部の飛行機をつくれとは言わぬけれども、そういうことを総合的に組み立てる技術をやはり日本で持たなければ、日本の空を飛んでおる外国の飛行機が事故を起こしたときに、本当に何が問題かということはわかりませんよ、こういうことを申し上げておるわけです。  そこで、きょうは三十分ではとても無理なんで、運輸省にも来てもらってそのこともお伺いしたいと思ったし、それから科学技術庁おいでになっていますね、技術の点で――防衛庁はそこまでで、私は答弁に全く納得できぬのですよ。私の言ったことを日本全国に放送したら、うん、そうかと言って、みんなおかしいと言いますよ。だから、それはそこでとめておいてください。  科学技術庁、STOLに相当な、十年ぐらいかけてトータールで三百九十二億ですから、YS11の赤字がたしか二百億ぐらいで、慌てふためいてもうやめたと言ってやめたんです。私は本当に、あれは政策判断として、日本政府として大変な誤りだったと思うんです。そこで、こういう研究、STOLをやられたんですが、滑走路が千メーターとか千二百メーターで非常に短い距離で離着陸できる開発ということで大変力を入れてやられたんです。研究を終わってしまったんですね。これは逆に通産省にも聞きたいのですが、通産省はこの研究成果をどういうぐあいに生かしたのか、それから科学技術庁は、ここまでやられたんですが、これはどういうぐあいに今後、日本の科学技術なりあるいは航空宇宙産業の中に生かしていこうと考えておるのか、お伺いしたいと思うのです。
  250. 興直孝

    ○興説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の飛鳥でございますけれども、これは短距離離着陸機の実験機といたしまして科学技術庁が昭和五十二年以来開発を行っていたものでございます。昭和六十年に初飛行を行いまして、昭和六十一年度から六十三年度にかけまして科学技術庁の航空宇宙技術研究所の方におきましてその飛行実験データをとってきたところでございます。非常に数多くの貴重な成果が得られでございます。  この成果を具体的にかいつまんで申し上げますと、STOLの技術に関します総合的なデータを航空宇宙技術研究所の方で取得したわけでございますが、この結果、エンジンを主翼の上部に置いた基本技術が確立されたもの、こう考えでございます。また、これは国際的にも極めて意義のあるデータと思っでございます。また、このSTOL機の持つすぐれた短距離の離着陸性あるいは低騒音性に関しますデータも実証されたわけでございますが、特に航空機の騒音対策、さらには短距離離着陸性という側面から極めて意義のあるものと考えでございます。  さらに加えまして、今年度まででございますけれども、航空宇宙技術研究所の方におきましては、アメリカの航空宇宙局、NASAとの間で、このSTOLに関します技術基準のデータに関します基盤の構築ということで、基準設定に関します研究を進めでございます。この成果が得られるという形になりますと、国際的なそういう基準づくりに日本の実験データが使われるという形になろうかと考えでございます。  また、先ほど先生御指摘になられましたように、滑走路の延長であるとか、さらに加えて、エンジン技術の進歩に伴いまして在来型機の低騒音化も図られましたところ、直接的に飛鳥が実利用に供されるというふうな状況にはなっておりませんけれども、飛鳥で得られました航空機の空気抵抗の低減策とか、さらには航空機の大型化への適応問題につきましても、特にコンピューター飛行制御、さらには複合材料等の新技術、さらに加えまして飛鳥というものを全段にわたりまして全機組み立て開発をしたという実績、さらにはエンジンの地上試験、こういうものをこなしてきたということが将来の航空機製造というものに十分役立つものと考えでございます。科学技術庁の方といたしましても、そういう側面から今後努力していきたい、こういうふうに考えでございます。  以上でございます。
  251. 水田稔

    水田分科員 低速で、いわゆる翼上面に排気を吹きつけてそして高揚力をつくるという、逆に言えば、離着陸のときには速度が低いものですから、そのときの安定性というのは非常に悪いわけですが、それを人間の力ではミスがあるものですからコンピューター制御をする、そのソフトというのは私は大きな成果だろうと思うんですね。ただそれ以外の、いわゆる複合の材料の問題等、翼上面を熱い排気を流すわけで、そういうものは確かにあるんだろうと思いますけれども、一番の成果はそこのところだと思うんですね。ですから、そういった技術をどう生かしていくのか、これは通産省に聞きたい。  それから、FSXで、条件は先ほど私が言ったように、こっちの技術は出せ、向こうは出さない、新しく開発したのは、特に民間の航空産業へ利用させることをとにかく一番アメリカは抑えようとして条件をつけておるわけですね。そういうことが我が国の航空宇宙産業発展のためにどういう影響があるかと通産省に問いたいんですね。どういうぐあいに考えておるか、お伺いしたいと思うのです。
  252. 今井康夫

    ○今井説明員 先生御指摘の飛鳥の件でございます。今、科技庁から御説明したとおりでございますが、私どもの観点から一、二補足させていただきます。  現在、航空機は国際共同開発ということで、世界じゅうで力を合わせて開発している状況にございます。その際、このような先進的な航空機の研究という実績が、我が国の航空機メーカーが諸外国のメーカーと伍して共同開発を進めていくに当たりまして非常に有意義な大きな意味を持っているというふうに考えております。  それから、この技術の使い方の問題でございますけれども、今後、先生御案内のコミューター機、やや小ぶりの飛行機、滑走路が短くて、というのが世界的な課題でございまして、これからヨーロッパでもアメリカでも日本でも、そういうやや小型の飛行機を開発しようという機運が高まっております。次の飛行機にその飛鳥のような形のVTOL機ということにはなかなかならないと思いますけれども、そういうときにも、こういう技術をベースにいろいろ培って進めていけたらというふうに考えておる次第でございます。
  253. 水田稔

    水田分科員 私、商工委員会でかつて、飛鳥を通産省見に行ったかと言ったら、見に行っていないというんですね。縦割りというのはいけませんね、あのときにそう思ったんです。もともとあれは科学技術庁でやるのがいいのかといって、予算の説明のたびに私は、これは通産省の仕事じゃないかと言ったら、科学技術庁は慌てて説明に来たんですね。というのは、従来の技術の開発を延長する、いわゆる全く新規な飛行理論ではないわけです。そういう話もしてきたんですね。  私、なぜFSXの問題を言ったかというと、これからの日本の科学技術の発展のために、アメリカとの関係、これは全部すっとやりたくてなにしたんですが、この問題も本当は第六分科会でやる方がいいのですけれども、うちの方は満杯で入れてもらえなかったものですからここへ来たわけです。ですから通産省の課長なんですがね。  フォーリー下院議長の言葉で、向こうは率直に物を言っている。あれはけしからぬじゃないか、議会がクレームをつけてという話をしたら、こう言ったんですよ。なぜあれを言ったかというのは、日本が官民でこれから航空宇宙産業をターゲットにして攻めてくる、それを抑えなければならぬ、だからあれをやったんだと。もう率直なんですよ。僕はいいと思うんですよ、率直だから。これから我々議員同士でやって、けんかになってもいいから、アメリカとはそのくらいの論議をした方がいいと思うんです。そういう思いがある。  それに対して通産省は、これから、何もけんかをするのじゃなくてそれをはねのけながら我が国の科学技術を、例えば防衛庁だけであれは話をしたとしたら、日本であそこで共同開発でやれるといったら恐らく三菱や川重でしょう、それがやった技術を民間の航空機に使おうとしたら使っちゃならぬというのですからね。そういう約束をしておるわけでしょう。ですからそういう点が、日本の航空機ならこれからのその開発には物すごい制約になるわけですから、そういう制約を受けたのでは日本の科学技術の発展のためによろしくないのじゃないか。私は、アメリカと日本は、協力するところはすればよろしい、競争して研究するところは研究したらよろしい、そういう関係をつくっていこうじゃないか、それが一番これからの日米関係で大事なことじゃないかというので申し上げておるのです。  課長はもう例の、日本の航空機産業である程度のものを持たなければ、本当に、事故が起こった場合の事故原因も究明できない状態で、外国から買った飛行機が、よその国が保障しておっても実際には危ないものが飛んでおるかもわからぬ、国民の安全さえ保障できない中でそういう技術をやはり持とうという意味で一生懸命努力されておるわけですね。だから、それが制約になるようなことは僕は取り除いていきたい。FSXでも、とにかくやってみて、F16をベースにしてやったのではとてもだめだ、あるいはアメリカは、どうせ研究費は、どんどん開発費が膨らむのですからこれはもたぬというので、やり直すならやり直した方がいいと思うの。ですね。防衛庁にはそのことを……。  それから通産省には、そういう総合的な日本の科学技術を日米の関係で、まあアメリカは日本の技術を、今、日本が追い抜いていない部分については絶対傘の下に置いておかなければならぬという思いがある。そういうことをやればやるほど日米の間ではお互いに、日本では反米、向こうでは反日ということが起こってくる。それをなくするためにも、やはり言うべきことはきちっと言って日米技術協力ができるような形をとるべきだと思うのです。  時間がありませんから、ひとつ防衛庁と通産省、もう一遍お答えいただいて終わりにしたいと思います。
  254. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の御指摘は大変示唆に富んだことでございまして、防衛技術の問題でございますから、私どもはいろいろの制約条件がございます。我が国はF16を母体にして開発するということですから、向こうはかなりの技術提供をしていることは間違いございません。  ただ、御指摘のブラックボックスのソースコードの問題は確かにございました。これはいろいろ熾烈な交渉の米そのような結論になりました。我が国から出す、例えば一体成形、炭素繊維成形の技術の指摘も今ございましたが、こういうものが向こうに行きますけれども、我が国としても向こうに出した技術については、他の用途に使うあるいは第三国に輸出するというような場合には制約条件を付する、そういうようなこともございます。こちらもそういう点、まあできるだけ航空機産業を育成する立場ということで、私どもは軍事目的用の航空機の研究開発でございますけれども、委員のおっしゃるようなことは大変重要なことだと考えております。
  255. 今井康夫

    ○今井説明員 私どもの方からは民間ベースの現在の協力でございますけれども、御案内のようにボーイング777の開発、それから五カ国でやっておりますV二五〇〇エンジンでございますが、こういうものでお互いの強いところを出し合って開発をしていくということでございまして、民間の場合は技術の双方向の交流を促進して足らざるところを補っていくということでこれまで進めてきておりますし、これからも基本的にはそういう姿勢で対応していきたいと思っております。
  256. 水田稔

    水田分科員 時間になりましたので質問をやめますが、通産省の方へこれだけは考えていただきたいのは、767の場合も部品のいわゆる供給ということで、実際にはあれを主体にして日本がやっておるわけじゃないのですね。だから大事なことは、YS11で積み重ねてきた、いわゆるユーザーのニーズなんというものは全部捨ててしまったわけですね。そこまで含め、そして総合的な加工組み立てが自動車とはけた違いに高い精度のものが求められる、そういう技術を日本が持つ、そういう形での共同開発でなければ、今までやったのは全部アメリカの下請けの形になっておる。それを乗り越えていく、そういうことをぜひ考えながらこれからの技術開発に取り組んでいただきたいということを要望として申し上げまして、質問を終わります。
  257. 小岩井清

    小岩井主査代理 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  258. 上原康助

    上原分科員 どうも、宮下防衛庁長官、連日御苦労さんです。短時間で防衛論争をするのは大変難しいし、何を聞こうかなと思ってさっきから考えているのですが、私もこの席に立たせてもらった以上は、ただ半端なことを聞いて、PCB汚染だけ聞いたって、社会党の防衛担当はその程度のものかと思われてもシビリアンコントロール上問題があると思うので、少し要望をかねてお尋ねをしますので、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、予算審議も大詰めに来ているようですが、これだけ国際情勢が大変化を来して、いろいろ評価や見方の違いはあるにしても、軍縮、軍事力の削減ということが話題になっている割には体系的に掘り下げた防衛論争がないのは私、大変遺憾に思っている一人なんです。  そういう意味で、予算修正とも非常に関連の深い防衛費の問題について端的にお尋ねさせていただきますが、せっかく社会党が苦労して、党内でもいろいろ議論を重ねながら、何とか外交や防衛というものをもっと従来よりは与野党の共通項を見出して、これからの新しい国際秩序に向けた防衛政策というか、そういうものをやっていこう、シビリアンコントロールをもっと充実化しようという立場でささやかな防衛費削減の提案をしたんだが、これさえも削減をしないという。わずか三百二十四億円。四兆五千幾らの額からすると大変小さい額なんですが、それさえも認めようとしない、この冷戦構造発想の防衛庁の考えをもう少し明らかにしてみたらいかがかと思うのですが、長官いかがでしょう。
  259. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 もう委員はベテランでございますから、ちょうちょういろいろ申し上げることはございませんけれども、平成四年度の防衛予算は中期防、平成三年から七年までの中期防に基づく二年目の予算として位置づけられております。そして、中期防の計画自体が、例えば正面装備一つとっても七・七%前期防ではアップしている、平均伸び率で。ところが今度の防衛計画は二・三%ダウンしておる。総額においても契約量においても、前期の防衛計画は十八兆四千五百でしたかでございましたが、正面装備は五兆五千三百億くらいの契約量だったのですね。今度は五兆円です。  また全体の平均伸び率二十二兆七千五百億でございますが、これを見ても五・四%が三%になっているんですね。そういう国際情勢の変化をある程度反映したものが現在の中期防であるということは、これは紛れもない事実です。そして、平成四年度の予算もその二年目として位置づけられております。  一方、平成四年度の予算は、今委員御指摘のように、四兆五千五百十八億円ということで、これは三・八%の伸び率、これは昭和三十五年に〇・七%の伸び率でございましたが、以後、五%以上です。四%台、三%台は三十二年ぶりと言ってよろしゅうございます。そしてまた伸び額も千六百五十八億円でしたが、これも私、調べてみました。結果として十二年ぶりの低い伸び額です。つまり、十二年前は防衛費が二兆四千億でした。そのときに千六百億以上ふえていたのです。今は四兆五千億の台でその額より下回るということですから、もう個々の問題については触れませんけれども、マクロ的に見ても大幅なこういう状況を反映したものと思います。  したがいまして、この予算を分析いたしますと、委員御承知のように歳出化、人件・糧食費の負担経費ですね。これはもう削れないものでございますが、これが三・八%のうち三・六%を占める。あと〇・二%というと九十億しかございません。その中で、駐留米軍の労務費の問題、基本給を今後七年までに一〇〇%持つことを特別協定で御承認いただいておりますけれども、そういった問題。光熱水料の問題等でも、これも百五十八億円ぐらいかかるのですから、それを差し引くと一般物件費ではマイナスになってしまうのです。  したがって、先生、三百二十四億は僅少じゃないか、そのくらい削れるんじゃないかとおっしゃるけれども、それを削るとなると、隊員の施策その他の経費に手をつけざるを得なくなります。やはり自衛隊員である以上、誇りを持って隊舎、宿舎等の整備を行って、そして厳正な訓練をやっていただくというのが私どもの方針でございますので、そのような御要望には添いかねるということで終始一貫して申し上げてきているところでございます。
  260. 上原康助

    上原分科員 これはもう少し時間をかけてやればおもしろいですね、この論議は。あなた相当勉強なさって数字もたくさん挙げるけれども、数字はこれは魔術で、評価の仕方があるのです。何も後方支援に社会党はちっとも手をかけてませんよ。必要経費には全然手をかけてないのです。三百二十四億程度も四兆五千億から削れないのかということを私は問題にしている。たくさん言う必要はないから、その点だけはどうなんですか。
  261. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 社会党の案は残念ながら私はまだ詳細に検討をしておりませんけれども、御指摘のように、後方経費で削れということを言っているのではなくて正面装備で削れと。しかし、正面装備は契約額で五千億ですか、その程度の削減を御主張なさっていらっしゃるようですが、平成四年度の歳出化の現金化分というのは非常に少ないのです。したがって、それを削れということでございますが、そうなりますと、我が国の基盤的防衛力構想で今まで進めてきた、デタントではございますけれども、基盤的防衛力構想というのは崩れてまいります。そして、編制その他大きな影響を与えますのでより一層困難なことであるということで、御提案ではございますが、私どもとしてはこれをのむわけにはまいらぬ、こういうことでございます。
  262. 上原康助

    上原分科員 最近、防衛庁の長官初め首脳や局長クラス、参事官、みんな基盤的防衛力云々を言っているが、過去の五十一年から二、三年は基盤的防衛力構想云々を言っておった。防衛白書見たって全然ない、八〇年代は。これはいつか議論しましょう。最近になってから取って返したようにそんな古証文出してやったら困りますよ、大臣も。  だから、もうあなたがおっしゃるとおりだよ、それは。三百二十四億ではあるのだが、頭だけもたげているから、五年度からは大変な額になるからそれにこたえかねる、それだけ国民の前に明らかにされたら、私も難儀した苦労がある。しかし我々は、あれを一〇〇%削れということは無理かもしれないんだが、政府が本当に冷戦構造下における我が国の防衛のあり方、国際情勢の分析等々考えるならば、もう少しは、四年度はびた一文も削れませんなんて言わずに、まじめにやるだけの努力はお願いしたい。これは注文つけておきます。  それと、PCBの話がまたできなくなっても困るんだが、せっかくちょっと話しかけているから。  米国の新国防政策をちょっと斜め読みしてみたんですが、これは九〇年の八月でしたか、ブッシュさんが発表したものなので、それ以上にアメリカの軍縮、防衛力削減、軍事費削減というのは進んでいる、おわかりのように。その中でも、これは私は声を大にして言っておきたいわけですが、アメリカは、レーガンのいわゆるあの軍拡路線下で、一九八五年をピークにして、九七年度までに何と三七%の防衛費を削減していくんですよ。これよりまた下方修正をするというのがこれの方針であり、最近のSTARTを含める、INFよりさらに戦略核を含めての削減計画なんですよ。だから三七%以上のものになることは間違いない。しかもそれは、新規正面装備をずっとレベルダウンし、中止をしていくというのがはっきりしている。これでもはっきりしている。  だが、これは防衛庁長官も防衛庁も聞いておいていただきたいのだが、一九八五年度から九二年度までの日本の防衛費というのは何と三六・九%伸びていますよ。しかも、八五年をとって九七年までとしますと、仮に九三年から九七年まで前中期防のあれからして大体三・四か三・五を押さえると、何と日本の防衛費はプラス五三・九%。アメリカは三七%削減なんだよ。そうすると、余りにも日本の防衛力の整備、基盤的防衛力とか専守防衛という、このつじつまの合わない、ロジックの合わないことが明らかになるんですよね。だから、あなたがさっき数字をたくさん並べたが、私もちょっと防衛ハンドブックからメモってみた。我が国の防衛費は八五年以降どうなっているのか、九七年度までのトレンドを見たらどうなるのか。こういうような状態なんですよね。  だから、もう少し真剣に、この新しい国際秩序に向けて、なかなかこれは急カーブでは行かない面もあるかもしれないのだが、もし日本の防衛問題あるいは外交問題を、共通項を認めて、本当に国民のコンセンサスを得てシビリアンコントロールをかける、我が国の安全保障にとって必要なものは何なのかということからお互いが手をかけるというならば、もっと、こういった数字に対しても、野党の提案に対しても、聞くべきところは聞いていただいてこれからやらなければいかないと思うのですが、今私が指摘した点は、私はそう間違っていないと見ているのですが、いかがですか。
  263. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員の国防白書についての三七%は私も拝見をしております。ただし、お言葉を返すようでございますが、私どもも、こういう軍縮、世界の平和の傾向、こういうものを背景にこれからの防衛政策を考えていこうということで、中期防の検討、見直し、あるいは修正、それからまた、場合によると次期防に反映させるための防衛力のあり方についての検討、こういうものも当委員会でも申し上げております。  今先生が日本の防衛力の数字を挙げられましたが、これはちょ一つと私も確認しておりませんので何とも申し上げかねますが、今後そのようになるかどうか、これから私ども十分検討していかなければいけません。  ただここで一つだけ、前提としてお断りしておきたいなと思うのは、アメリカの膨大な世界戦略に基づく軍事費、それと我が国の、いわば基盤的防衛力構想は古臭いというような御指摘もあったけれども、決して私どもはそう思いませんで、そういうもので必要最少限度のものを整備していく、しかし技術の進歩に即応して、数量的水準はともかくある程度のレベルに達したからこれ以上ふやすことはしないが、更新、近代化をしていこう、あるいは隊舎、宿舎を更新していこう、こういう立場に立ちますと、なかなか、今年度の予算も、私どもいろいろ考えましたけれども、マイナスというわけにはまいりません。膨大なアメリカの軍縮と、我が国のようなそういう性格のものと同列になかなか論ずることはできないんじゃないかなと思うのであります。  特にアメリカは、為替の問題等もございますが、邦貨にして四十兆円前後というようなことで、我が国は四兆五千億でございますから、その削減についてもおのずから、しかも戦略兵器その他を中心にしてのアメリカの削減とも承っております。そういう点をいろいろ考えながらやっていきませんと、一概に、アメリカがこれだけ落としたから日本もそれだけ落とすべきであるというような主張には、にわかになかなか賛成しがたい点もあろうかと存じます。
  264. 上原康助

    上原分科員 それは長官の御見解として一応承っておきましょう。しかし、何でも事あるごとに皆さんはアメリカを引き合いに出すじゃないですか。議論して自分たちの論理がちょっと不利に立たされると、アメリカは何やかんやと言ってはいけませんよ。アメリカだって、対ソ世界戦争への備えから地域紛争への対処というふうに世界戦略を変えてきているじゃありませんか。小さいならば小さいなりにやるべきだと言っているのだ、私は。恐らく私がさっき指摘した数字は間違っていないと思いますよ。四年、五年以降どれだけ伸びるかは後で聞きましょう、きょうはいいです、それを言っているのです。  それとあと一点、総理がおっしゃっている別表を含む中期防の見直し。きょうは頭の中にあるだけで話しますから少しあれがあるかもしれませんけれども、防衛庁長官だから慎重にならざるを得ない面は、仮に私があなたの立場に置かれてもあるいはそうなるかもしれぬ。だが、さっきも伊東さんだったかおっしゃっておったが、やはり軍人というのは、制服というのは、防衛庁長官、もともと軍縮は好きじゃないのですよ、本来からいうと。役人は自分たちの縄張りを狭められるのを一番嫌うのだよ。ましてや防衛費を削減するとか装備を落とすとかいうことは、制服の軍人が、ああそうですか、やりましょうと言わぬはずなんだよ。そこをやるのが政治であり、シビリアンコントロールであり、防衛庁長官であり、総理大臣なんだよ。難しくてもそれはやらなければいけない政治のリーダーシップなんですよ、皆さん。それを私は問いかけている。  そうなりますと、これだけ国際情勢が変わり、今我々がこういう指摘をしている、野党もできるだけ現実的な対応をしてみたいという、努力をしようとしている。そういう中では、これまでの、陸上がどんどん戦車を買うやらペトリオットがどうのこうのとか、一方は、さっきの話のFXも、あれなんかもちんぷんかんぷんの論理なんだよ、いろいろ調べてみると。いつかやりたいですがね、アメリカが言っておることにしても。  だから私は、防衛計画大綱というものは、単に陸上自衛隊、実員は今十五万を切っているんじゃないか、これを、実人員を落とすということではなくて、陸海空含むすべて総点検をしてみて、前倒しで、防衛計画大綱というものは速やかに別表を含めて対処していくということが私は順当だと思うのですね。その点は私は総理のおっしゃっている点を評価したいし、防衛庁長官もそういう姿勢をとらざるを得ないと思うのですが、この点についてはどういう基本的御認識でこれから作業を進めていかれようとするのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  265. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 現在の中期防におきましては「人的資源」という言葉を使っておりますが、人的資源の制約等もございまして、これからの人口構成、若者の構成その他もございます。それから充足率の問題も、若者をいかに集めるかという困難性の問題等もございますので、自衛官定数を含む防衛力のあり方について今中期防期間中に検討し結論を得る、つまり、次期防にはこれを反映させたいというように明定してございます。  それはすなわちどういうことかといいますと、大綱の別表の改正につながるかどうかという御質疑がございまして、私ども、大綱別表の検討もしなければなるまい。そして同時に、大綱別表というものは陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の各自衛隊の体制との関係で別表ができておるわけでありますので、その限りにおいて我が国の自衛隊のあり方、編成その他そういうものも検討に及ぶであろうということを申し上げておりまして、この点は総理の答弁といささかも変わっておりません。私どもはそういう意味でこれから、時間はかかります、そう簡単に、いろいろ編成、装備その他検討対象ということになりますと時間はかかりますが、今期間中に成果を得るようにして、そして次期防にはきちっと反映させていきたい、このように思っているところであります。
  266. 上原康助

    上原分科員 そんなのんきなことをおっしゃっておったら困ります。次期防をつくるなんて、もちろんそれは何かの計画は必要でしょうが、今のような中期防、新中期防、また次期防と――次期防は軍縮中期計画くらいにしなければいかぬですよ。まあ、そういう議論はまたいつか機会があると思いますから、大いにやりましょう。  我々はしかし、政府のこれまでおっしゃってきた必要最小限度の防衛力整備とか専守防衛とか基盤的防衛力というのは全くその都度つじつま合わせで、野党も不勉強でこれだけ肥大化させたことには大いに責任を感じておりますけれども、もう少し何とか歯どめをかける必要があると思いますね。そういう意味で、社会党なり野党の防衛費削減要求に対してもひとつ誠意を持ってこたえていただきますことを強く注文をつけておきたいと思います。  あと在日米軍基地のPCB汚染の問題、これまで外務委員会あるいは河北委員会などでも聞いてきたのですが、これは全くひどいですね。それで、まず環境庁来ていると思うのですが、三月五日の日米合同委で環境分科委員会を持って、これから事実関係を確認して汚染を除去したりあるいは基地従業員の健康管理等々をやっていくということなのだが、環境分科委員会でどういう対策をやろうとしているのですか。環境庁はこの問題についてどう思っているのですか、防衛施設庁は余りいい答弁しないから。
  267. 小澤三宜

    ○小澤説明員 先生御指摘の問題につきましては、環境分科委員会の場で事実関係を中心にしまして情報の把握に努めているところでございます。三月五日の環境分科委員会におきまして、長時間にわたっていろいろ意見交換、情報交換をしたわけでございますけれども、環境庁といたしましては、この分科委員会を通じまして必要な情報の把握、それから必要な対応を図っていきたいというぐあいに考えております。
  268. 上原康助

    上原分科員 まだその必要な情報も必要な実態も把握しでいないわけですか。それはどこが把握するのですか、外務省、それとも防衛施設庁、環境庁、どっちですか。三者でしょう、恐らく。
  269. 小澤三宜

    ○小澤説明員 環境分科委員会には、私ども環境庁のみならず外務省あるいは防衛施設庁、運輸省、厚生省という関係の省庁が入っておるわけでございます。  今回の分科委員会を開くに至りましてから、先月の二十七日の合同委員会で開催が決まったわけなのですが、その後米側と早急に開くということで日程の調整をいたしまして三月五日ということになったわけでございます。その間大変時間的にも短かったというようなこともございまして、先ごろの分科委員会におきましては私どもとしては十分な情報が得られなかったという嫌いがございまして、米軍に対してさらなる情報の提供ということを要請したわけでございます。
  270. 上原康助

    上原分科員 さっき隣の外務の分科会でも、外務大臣にもいろいろ聞いてきたのですが、後で長官に要望とお考えをお聞きしたいのです。  そこで、今後は施設庁、僕は沖縄だけ言っているのではないのですよ。岩国基地とか横須賀、あちこち出ているのです。恐らく在日米軍基地はすべてじゃないかと思うのですね。かつて日本側が思いやり予算で岩国基地に変圧器を提供したことがあるのですか、ないのですか。
  271. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 先ほどお話のございました環境分科委員会の場におきまして、米側から判明した事実の幾つかが指摘がございました。その中の一つに、岩国基地におきまして、私の方からFIPで提供した変圧器の中にPCBが含まれているものがある、これを取りかえてもらいたい、こういう申し出がございました。それで、早速私ども現地の米側との話し合いをしましたところ、米側の調査では岩国に十三基のPCBが入った変圧器がある、こういう情報を今得ておるところでございます。
  272. 上原康助

    上原分科員 だから、日本側の思いやりでやったものがPCBをまき散らしているというとちょっと語弊があるかもしれませんが、PCB汚染の原因になっているというのは問題なので、だから米側は、外から持ち込んだものだ、アメリカ側の責任ではないというような言い分をこの二月二十七日の合同委員会で言ったとか言わなかったという記事が出ておった。私はそれは非常に重要だ。  もう一つは、沖縄県具志川市のキャンプ・マクトリアスで日本人従業員が汚染の土壌を除去した、これは事実なのですか。それと、この基地従業員の健康管理、あるいは基地周辺に及ぼしている影響、対策について施設庁はどうするのか。二点
  273. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 同じく先ほどの環境分科委員会におきます米側から提供された情報によりますと、キャンプ・マクトリアスにおきましてPCBが漏出して土壌が汚染をした。その汚染した土壌を除去したという事実はございます。そのときに日本人従業員が関与いたしましたけれども、日本人従業員はPCBを扱うのに十分な防護措置をとった上でこの除去作業に関与した、このような報告を受けております。
  274. 上原康助

    上原分科員 ですから、PCBで相当汚染をされているのは間違いない、岩国、横須賀あるいは嘉手納空軍基地、キャンプ・マクトリアス、海兵隊関係、これは重大問題ですよ、防衛庁長官。  そこで、まずは実態を把握しなければいかぬということは当然でしょう。そして汚染物体、物質というか、その危険物は全部除去しなければいかぬ。それともう一点は、それ用の作業に携わった日本人従業員、あるいは米軍もみんなでしょう、周辺に及ぼす影響等含めて、これは速やかに対策を講じなければいけない課題ですね。そうなると、やはり環境庁も防衛施設庁も基地内立入調査をやってもらわなければいかぬですよ、あなた。基地内といえども我が国の主権の及ぶ領土であるはずなんだよ、基地内であっても、いろいろ制約はあっても。これだけ問題になっている。  したがって、外務大臣はその必要があればとまだ少し遠慮した言い分でしたが、こういうのを役人に任じてはいけないですよ、防衛庁長官。これこそ外務大臣と相談をして、環境庁長官とも三者で協議して、必要があればじゃなくて、日本側としては基地内立ち入りもしたい、除去も日米間でやるべきだ、そして健康管理もやるということで早急にこのことについては決断をして基地内の実態を調べる、我が国の労働基準監督署とか環境庁とか防衛施設庁合同でやるべきだと思うんですが、その点についていかがですか。
  275. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 御指摘の点は、まさに基地内といえどもPCB汚染があるようでは大変でございますので、環境分科委員会等を設けて、そしてこれは日米間でよく話し合って、早急に対策を講ずるべきことは当然であります。また、基地の従業員の健康対策その他も委員御指摘のとおりでございますので、私ども重大な関心を持って日米間で話し合いをし、そしてこのおそれのないような対応を早急にいたしたい、こう思っております。
  276. 上原康助

    上原分科員 時間ですから終わります。ですから、基地内立ち入りを含めて実行するということですね。
  277. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 基地内に立ち入る、日米で話し合いがついてそういう了解が得られれば、そういうことも必要に応じてなされることはこれは否定できないところであろうかと思います。
  278. 上原康助

    上原分科員 終わります。
  279. 小岩井清

    小岩井主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部一郎君。
  280. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 長官、私は日本国内でPCB焼き捨てをやるためにいろいろな交渉した一人ですから、ちょっと助言をいたします。  今、上原康助君から申し出がありましたように、日本国内において米軍基地といえども治外法権地域ではありませんから、日本国内の法律が執行されるわけであります。したがって、公害に対する規制、公害物に対する処理は日本の法律で行わなければならぬというのが第一の原則でありますので、その点の御認識はいかがですか。
  281. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員御指摘のとおり、この環境問題の法律その他は適用があることは私も承知をいたしております。
  282. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 次に、PCBの処理については日本側で散々苦労しているんですが、当時モンサントにおける特許その他がございましたので、私はアメリカの方まで行って調べてきたことがごございます。その結果として、セメントで囲うとか埋め立てに使用するとかというのは、PCBがセメントを突き抜けてしまうんです。もしひょっとして米側が、PCBは非常に処理が難しいものですから、それをセメントの中に入れて埋めてしまおうというのは処理をする人にとっては常識的な考え方ですから、それをやる可能性があるんです。ところが抜けて出てくるんです。出てきますと、今太平洋海面の中で、日本よりアメリカの周辺というのは、当時使用禁止はいたしましたけれども、PCBの濃度は高くなるばかり、それが生物圧縮という生物濃縮が行われて、それを食べて人間の体に来るということは、非常に大きな打撃があることは当時証明済みであります。  当時日本の科学技術特別委員会決議におきまして、微量化学物質の処理に関する決議を僕たちは行ったいきさつがございます。その結果といたしまして、その決議に基づいて処理法が研究され、焼き捨てるしかないということで、主として高砂にありました鐘淵化学の高砂工場に集中しておりました約二千トン近いPCBは焼却施設をつくってから焼却処分をした。非常な厳重な監視をしながら焼き捨てたといういきさつがございます。  こういう処理技術は日本側が持っておりますので、その技術を持っているという立場で米側と交渉していただく、そういうふうにしていただいたらいかがかな、こう思ったわけでございますけれども、いかがでございますか。
  283. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 技術的な問題、ちょっと私も理解しかねますので、施設庁長官から答弁させていただきます。
  284. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、現在のPCBがどうなっているかということをこれから調べるということが非常に重要でございますが、過去において嘉手納基地を中心にPCBの漏えいというのがございました。この処理につきましては、米側は特殊なドラム缶みたいなものをつくりましてその中に全部入れて本国の方に持ち帰って処理をした、こういうふうな報告を私どもは受けております。
  285. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 ついでに言っておきますが、特殊なドラム缶というのは、その手もよくある手なんですけれども、ドラム缶が腐ってPCBが流れ出すのですね。だから、それもよく言っておかないとならぬと思います。ひとつその点も含めてよろしくお願いしたいと思います。  では、私の方の質問に、最初御通告中の質問について申し上げたいと存じます。ペルシャ湾掃海派遣部隊の件についてお尋ねしたいと思います。  指揮官の落合一等海佐以下五百十名の方々が百八十八日の間に掃海艇四隻、同母艦一隻、補給艦一隻をもちまして昨年の四月二十六日ないし十月三十日の間出動され、三十四個の機雷を掃海されて帰ってこられました。その間において事故もなく見事な成果を示された、私はその労に深く感謝したいと存じます。  ペルシャ湾掃海派遣部隊は、MDA10という非常に水深が浅く潮の速い、そして視界の悪いところを担当し、大変な苦労をしたというふうに伺っているわけでありますが、その作業はどのような手段で行われ、どういう成果が上がったか、その辺をまずお聞かせいただきたい。
  286. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 御指摘のとおり、MDA10という場所でありますが、シャトルアラブ川河口沖合いでございまして、水深が非常に浅くて潮流が速いということで非常に作業の困難な場所でございます。このため、掃海艇が入ることさえできないということで、掃海艇を用いた機雷の通常の処分ができないということでございました。それで、水中処分隊、EODと称しておりますが、それが手作業によって一個一個処分を行ったということでございます。この作業によりまして、その地域におきまして十七個の機雷を処分いたしまして船舶航行の安全に多大に寄与したというふうな事実でございます。
  287. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 今回掃海艇を中東に派遣した国の中には、掃海艇を専用の輸送船に搭載して出動させたという国もあるわけでありますが、この船が十海里以下ののろいスピードでのろのろ行かれたというのを聞きまして、何とも言えぬ感じがするわけであります。一万三千キロに及ぶ長期の航行において隊員の苦労は並み大抵ではない。木造船でなければならぬという立場があったのでしょうけれども、もし台風の時期に突っ込んでいたらとんでもないことになっておった。  また、そんな小さな船ですから、あの地域に出没する高速艇による海賊船も相当あることですし、あるいは巨大タンカーが疾走してくる場合もあるのですし、事故が起きない方が不思議である。私はこういうのは、日本人得意のマラソンをわざわざ洋上でやったような妙な感じがするわけですね。こういうのは武士道というのではなくて、また近代的、科学的軍人の処断するところでもなくて、これは実際にはむだな努力だったというしかないと思います。  伺うところによると、他国には専用の輸送船を持っていて、この四隻ぐらいがそっくり乗っけられるような大きいものをもって活動されているというのも聞くし、日本でも巨大タンカーあるいは捕鯨母艦のような非常に大きなものが、輸送能力があり、スピードの速いものがあるわけでありますから、こういった点も考慮すべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  288. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 確かに、片道三十日をかけて掃海艇みずから自走していくわけでありますから、相当困難な航海であったことは事実でございます。その際、決断を早期に求められたものですから、台風の状況といったものを勘案いたしまして、この地域に台風がいつ発生し得る確率が高いかということも勘案して出発の時期も設定した次第でございます。  御指摘のような大型のこれを乗せられるような船を外国から手当てしようということも一案としてはあったわけでございますけれども、これはそれのためにまた非常に時間がかかるということでございまして、そういうことからやむなくといいますか、今回の場合には自走して三十日かけて行ったということでございます。  それから帰りにつきましては、これは成果が上がった隊員たちが自分たちの船で帰りたい、こういうこともございまして、これもまた安全な時期を選んで帰すことにしたいということでございます。その苦労は並み大抵なものではなかったと考えております。
  289. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 落合一等海佐の書かれたものの中にも、「モンスーンの谷間を狙え」と称して、   一番の山場は、マレーシアのペナンを出港  し、針路を西にとってスリランカのコロンボま  でインド洋のベンガル湾を押し渡ったときで、  インド洋は夏と冬のモンスーンの変わり目、こ  こに一週間から一カ月くらいの凪がある、それ  を狙っていった。ペナンを出るときは、だいぶ  前から天気予察をしていったが、幸いサイクロ  ンの発生はなく、一気にコロンボを目指すこと  ができた。   やはり五百トン足らずの木造船であつかまし  くインド洋の真ん中を通るのはどうか、という  ことでインドの西岸沿いに北上して  云々というふうに書いてあるわけですね。こういう苦労をされるということは神風型の精神であって、決して好ましいことじゃない。防衛費圧縮のときに言うのも何でありますけれども、それぐらいの輸送艦ぐらいちゃんと持ってなければ話にもならないのではないかと私は思うわけでございます。  さて、もっと心配なことがここに書かれておりまして、衛星を利用して艦隊の正確な位置を割り出す役割を持つGPSですか、このGPSを日本側は常時設置しておられず、そのときに仮設して行くというふうな状況にあったということが記されております。防衛庁は艦艇のGPSの装置をどう考えておられるのか。つまり、自分の位置が三十メートルぐらいの誤差でこの器材ではわかるということでこれを装置されたということでございますけれども、ふだんはない。  察するにそれは恐らく、日本国内では島々がありますから、それを地上で見ていて自分の位置を判断することができるかもしれないけれども、こういうところでは、洋上の大きなところでは自分の位置がわからない。わからないのに掃海するとどういうことになるかというと、今機雷を取り除いたとしても取り除いた場所がわからない。また逆に言うと、取り除こうという情報を持って行ったところの機雷がわからないという状況になってしまう。まさに目が見えないまま掃海に突っ込んだと同じことになってしまう。GPSを仮設したということで片づいたとは言えるわけですけれども、常時そんなものもつけてない掃海艇というのは一体何なのかと、ひどく胸騒ぎのする御報告を伺って、私はびっくりしたわけであります。こういうふうなものは常時つけておくべきものではないか。予算を節約するといったって、こんなものまで節約するのは話の筋が違うのではないかと思うのでございますが、いかがでしょうか。
  290. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 御指摘はまことにごもっともであろうと思います。私どもも、GPSにつきましては、六十三年度の計画の護衛艦、DDGでございますが、これから装備を開始いたしまして、掃海艇及び掃海艇につきましては、平成元年度の掃海艇それから平成二年度の計画の掃海艦からこのGPSの装備を開始したということでございます。それで、昨年ペルシャ湾に派遣しましたときには、まだそのGPSが装備されている艦が就役していなかったものですから、やむを得ず御指摘のとおり暫定的にこれを至急に取りつけたということでございます。
  291. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 私は、GPSなんて英語で言うのでこれはきっとアメリカ製の器械だと思っておりましたら、何と日本製の器械なんだそうで、アメリカ側は全部ついておるのに日本側がついてないという話なんだそうでございまして、全くハイテク製造日本、そしてそれを全然買おうとしない自衛隊、こういうアンバランスをひどく感じましてショックを受けた一人であります。  おまけにこの本にはもっとおもしろいことが書いてありまして、その同じ一等海佐の署名でありますが、「個々のエレメントの性能はNATO、米軍を含めてもニアリーイコールである。だが、米軍などはこれらの装置を全体のシステムとしてコンピュータ制御できる。」というふうに書かれているわけであります。コンピューター制御をいたします、要するにコンピューター・コントロール・システムというシステムにあらゆるものがなっておりますから、ナビゲーションにおいてもあるいは自分の位置決定についても実際的な仕事をしているについてもそれがコンピューター操作でできる。  ところが我が方にはその器材はない。また、「人間が潜って機雷を見にいくという発想も、無人のビークルに搭載したテレビアイで見るというように変えていくべきだ。」と述べておられますが、伺うところによると、非常に難しいところを担当されたので、むしろ無人でやるよりも手でやらなきゃならぬところもたくさんおありだったという事情もあるようではありますけれども、全体的に言うと無人でやった方がいい場所というのがたくさんある。そういうところは日本側がおくれて行ったために、器械でできるところは各国がやって、そういう無人化した器械ではできにくいところを日本側が担当した、こういう状況にあることも伺ったわけであります。  そういたしますと、私はますます気の毒な感じがしておりまして、たまたま手でやる方のところが当たったから、たまたま潜水夫の方々をたくさん連れていったということが当たったからいいということは言えますけれども、実際にはドイツなんかにおいては、完全な無人のビークルに搭載された器材を使ってテレビアイで見ながら自動的に処理したというところまで進んでいるのをごらんになったそうでありますから、我が国においてもそれぐらいの器材はそろえられてしかるべきものではないか。浅海においてはやはり手でやらなきゃならぬという話ではなさそうでございまして、多少改良すればそういうところもできるという技術者のお話も別に承ったものですから、余計にこうした器材はやる。  昔チャーチルだったと思いますが、軍人は必ず前の大戦の器材で戦う、つまり日露戦争のときは日清戦争のことを構えて準備をする、そして日露戦争になったときはびっくりするというような意味のことを言ったということを聞いたことがありますけれども、こういうふうに手で機雷を処理するなんというのは前世紀型の考え方でありまして、思い切って装備を新品に変えていく、そして掃海という作業は極めて平和的な作業でもありますから常時、平時において要るものでもあるし、充実しておかれるのが妥当だと思いますが、いかがでしょうか。
  292. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 これも若干装備の時期がおくれたことに伴う部分がございまして、掃海器具としてS4というものには御指摘のテレビカメラがついていないということなものですから、特殊なことによって捜索をし探査をしなきゃいけないということでございました。それで、S7というのは新しくテレビカメラがついておりますから、これは艦上におきましてテレビの画像を見て誘導することができるということでございます。しかしながら、このS7を装置されたものについてはまだその掃海艇が就役したばかりだものですから、訓練に至らずということで今回はこれを派遣できなかったという事情でありまして、今後はこういったものも装備されたものが逐次整備されていくものと思います。  ただし、御指摘にもございましたけれども、これは捜索といいますか誘導する、機雷のところへ持っていくという分には構いませんが、先ほどのMDA10のような非常に浅いところにおける機雷の処分そのものについては、これでどうするということもなかなか難しいことがございまして、人的な作業に頼らざるを得ないという面があることもまた事実でございます。
  293. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 先ほど申し上げましたのは、無人掃海具はドイツではトロイカという名前がついているのだそうでございますが、こうしたものが現に存在する以上は、ひとつそれ以上のものをおつくりいただくということがよろしいのではないかと存じます。  また、米軍側のGPSでありますが、グローブ・ポジショニング・システムは、米国衛星と絡んで使用するものでありますから、我が方が衛星を上げるとすればそれは大変なものでございます。ところが、その話を伺うほど、途中で使用というものが、日本側に対して完全に許されている時間が衛星の都合があるので、そろそろやめてくれというお話があって、拝み倒してやっと使わせていただいたという話を御報告をいただきました。我が方の持っていたのは軍用衛星のGPSではなくて、汎用のGPSであったようでございますが、どうやらアメリカ側の衛星には精度を多少下げるということが可能のようでございます。  こうしたことを考えると、精度が今まで三十メートルあったものが三メートルに変わる、三ートルあったものが三十メートルに変わるというのは、これは同じ器材を使う値打ちがあるかないかというぐらいの大きな変化であります。そうしますと、やはりこれについては世界最高のハイテク国家の日本として、ポジショニングというのはやはりもうちょっと厳しく考えでいいのではないか、それは私は新たなる研究対象にすべきテーマではなかろうかと思っているわけであります。  落合さんが、エレメントから入ったデータを人間がマニュアルで使っているというのを、オートマチック化してもらいたいという希望を述べておられますが、その点も私は重要な指摘だと存じます。といいますのは、あらゆるデータが入ってくる、そのデータを突っ込んで処理するのに、コンピューターで制御するか何かの形にしないと、一つずつ図面の上に点を書いてこうだねという話にならざるを得ない、それは私は近代的な情報処理の上からいってもおかしいことではないか、まさに基本的な要請であると思うのでございますが、その点、見解はいかがでございますか。
  294. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 先ほど御説明しましたGPSを今後ずうっと装備をしていくいうことになりますというと、掃海艇、掃海艇のGPSの位置情報が各種の掃海装置に自動的に連動されるということ、そのシステム自体につきましては、諸外国といいますか、アメリカのシステムと何ら遜色はないものというふうに承知をいたしておりますので、今後新たに装備される掃海艇、掃海艇についてGPSが搭載されるということになれば、おっしゃるようなマニュアル処理ということもまたなくなっていくのではないかというふうに思います。
  295. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 それから、船が長時間にわたって移動するときに、水と燃料は不可欠でありますが、どうやら補給艦から木造船に移す水、燃料が非常に時間がかかったようでございます。多少割れたりしたら大変なことになったな、燃料についても水についても、余りここで申し上げたくありませんけれども、余りにも洋上で長い時間かけて水も燃料も移さなければならなかった、ほんのわずかでそういうことが必要になった。これはもう本当に能力的にも何もむちゃくちゃだったと私は思います。今後はそうした点も変えていただきたい。  また、兵員が掃海作業中に冷房の入っている部屋の中にいるわけにいかないし、破裂させるときには上部甲板にいなければならないというので、あの暑いところで上部甲板に全部上がって、かんかん照りの中で我慢しておられたようなのですが、これはもう本当に原始的な処理で何とも言えない感じがしているわけでございます。  最後に、落合さんに私は聞いたのです。常時、こういうものをやるときどれぐらいの事故が起こるのか、個人的に伺いました。五百人を動員して二週間もかけると、三、四人というのは必ずけがするものです、ですから今度の場合は、これだけの人数を連れでこれだけの長い時間を移動した。働かせたりすると、十人ぐらいは犠牲者が出ると覚悟していたと彼は言っていました。ところが、犠牲者はゼロで帰ってきたわけであります。これからが日本式の我々の判断でなければならぬと思います。  というのは、事故がなかったから今のシステムでいいのではなくて、こんな特別の緊張度を持ってやったから事故はなかったというのをむしろ奇跡だ、これは例外的措置だというふうに判断すべきだ。だから事故のないようなシステムに変えていくという教訓を学ばなければいけない。そうしないと、第二次大戦のときに、昔は白兵攻撃で肉弾三勇士が突撃すれば何でもできたというのでそのままやったというような、そういう歴史の教訓に学ばない考え方で戦争して、ひどい負け方を戦略の上でも戦術の上でもしたことがありますけれども、我々はこの教訓から学ばなければいけない、これをむしろ失敗例として長く記録にとどめられるべきであろう。現場で働いた人は成功、しかしそれを動員して出した我々は失敗、こう冷酷に認める必要がある。  例えば、この根拠法についても国会の中で大論争があって、決着がつかないままに出してしまったし、それについてある意味の大きな決着をつけなければならない。そしてまた、出動させるに当たっての準備の不足な点も失敗と考えて、改良すべきテーマと考えてやるべきだと思うのでございますが、その点はいかがでしょうか。
  296. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先生が機雷掃海の海上自衛隊の任務遂行に大変御理解をいただき、また落合一佐のお話も聞いていただいて、つぶさにGPSの話とかテレビアイの話とかあるいはシステム化の話、大変私も参考になりました。そういう点で今後、やはり近代化された装備の中でございますから、正確にきちっと任務が遂行できるようにしていかにゃいかぬな、これは大変御示唆に富んだ御意見だったと存じ、敬意を表します。  なお、法的な問題につきましては、当時議論がございました九十九条で機雷除去の任務が与えられでおりました。私どもはそれに基づいてこの任務を達成させていただいたわけでございます。PKO法案の中でも廃棄された兵器、機雷処理等の権限もPKFの中で述べられておりますけれども、要件がおのずから違っておりまして、我が国の船舶の航行安全という見地から九十九条に基づいて出動させていただきました。そして同時に、安全を期する意味で安保会議、閣議でわざわざこの決定をいたしまして派遣をしたような慎重な配慮もいたした次第であります。その点は御理解をいただきたいと存じます。ありがとうございました。
  297. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 最後に私は、掃海艇派遣時の兵員に対する処遇面の改善考えられなければならぬと存じます。特に事故が起こった場合の処遇については、賞じゅつ金とか諸手当とか、こうしたものについては当時よく決まっておりませんでした。伺うところによると、大分改良されたというお話なので、多少は安堵の胸をなでおろしているわけであります。また、ただいま長官おっしゃっていただきましたPKO法案審議の中でありましたように、国連の要請において述べられるものは、今後においてはPKO法案の枠の中において処理されるべきであろう、私は将来はそういうふうに思っているわけでありまして、我が国単独でこうした形で出すということについては、やはり長い間まだ国民世論の成熟を見、そして国民の大きな合意を得ていく作業が政治家としては必要でなかろうか、こう思っているわけでございます。その点は今後御研究をいただきたい、こう思っているわけでございます。  じゃ最後に、褒賞面あるいは処遇の面、賞じゅつ金の面等について、警察官の死亡事故等と比べて余りにも低かったと何回も私どもは予算委員会において、また本会議等において御質問もしたわけでございますが、その点はどうなられたか、御答弁をいただきたいと存じます。
  298. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先生方の御努力によりまして、私どもも平成四年度の予算要求におきまして、隊員のそういう処遇改善を最重点の一つにいたしまして、この賞じゅつ金等につきましても、地方公務員である警察官あるいは消防その他とバランスを失しておるという実態がございましたので、今回は最高額五千万円程度まで支給できるように、同一のレベルにすることができました。今までは千七百万円くらいが限度だったように聞いておりますけれども、そういう点もあわせて今後可能になりました。御指摘、御努力に対して大変敬意を表します。
  299. 渡部一郎

    ○渡部(一)分科員 ありがとうございました。  以上です。
  300. 小岩井清

    小岩井主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、谷村啓介君。
  301. 谷村啓介

    谷村分科員 陸上自衛隊日本原演習場における実弾射撃の訓練等についてお尋ねしたいと思います。私は岡山の出身でございますから、地元でございますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず、長官に、こんな機会も余りないわけですから、私、地方行政委員ですから、一般的な問題でお尋ねしておきたいわけですけれども、現在の国際情勢といいますか、ソ連邦の崩壊というふうなことで、世界の超大国の覇権に基づく冷戦構造が解体してしまった。ようやく軍縮と平和の方向に進み始めているということは、もう御承知のとおりでありますが、こういうことが私どもの共通の認識に今なりつつあると思うわけであります。防衛庁長官のこういった問題についての考え方をまずお尋ねしたいと思います。
  302. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 全般的な情勢につきまして、先生御案内のように、東西冷戦が終えんをいたしまして、世界の平和と安定への流れが非常に強くなってきております。しかしながら、もう全部万々歳かといえば、必ずしもそうではございません。混乱状況にある旧ソ連の状況指摘するまでもございませんし、また、ユーゴスラビアの内戦等もございます。また、旧ソ連の核の拡散の問題等も今議論されておりますし、心配の種です。  他方、アジアの方におきましても、非常に好ましい傾向がございます。例えば、韓ソの国交樹立てありますとか南北朝鮮の国連同時加盟とか、あるいはカンボジアの包括和平の成立等々ございますが、しかし一方、北方領土問題もまだ解決しておりませんし、北朝鮮における状況等は、あるいは核開発の問題、これはアメリカも大変ナーバスにこれを見ておりますが、我が国としても、例えば核開発のほかにミサイルの長射程距離化の問題等々報道されておりまして、必ずしも楽観論だけではいけないというようなことで、不安定要因も残されておるという状況でございます。  我が国の防衛の体制も、こういう国際情勢の大きな流れは流れとして、しかし地域的にはいろいろな問題もございますので、その定着を待ちながら防衛政策も検討していかなければいけないな、このような感想でございます。
  303. 谷村啓介

    谷村分科員 私どもの見解といささか違った点もございますけれども、しかし、軍縮、平和志向といいますか、そういったことを理念としてこれからもぜひ防衛対策を進められたいと思うわけでございますが、ただ、防衛予算に見る限り、まだまだ問題あり、こう私は思っておるのであります。  そうした折も折、先ほど申し上げましたように、我が国山県下にございます日本原演習場において、第十三師団、第十三戦車大隊による実弾射撃訓練が再開されたわけであります。これは十日から再開をされました。  この訓練というのは私ども非常に疑問を持つわけでありますが、仮想敵、防衛庁の言葉では潜在的脅威というふうに言うそうでありますけれども、この潜在的脅威というものは、この場合は何を指すのか私どももよくわからない点がありますが、その点についてもお聞きしておきたいと思うのであります。  そもそもこの第十三師団というものの存在は、どのような目的で実は置かれておるのか、それと同時に、その構成規模などについて全容を明確にこの際お尋ねしておきたいと思うのであります。  まあ、戦車部隊ですね。金丸副総理はこの間、戦車などというのはこれを使うときにはもう空は握られてしまっているんだというような発言もございましたが、その点についての御感想もあわせてお尋ねしておきたいと思うわけであります。
  304. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 潜在的脅威という言葉は、現在は使っておりません。これは装備能力、その他に着目してのことでございますけれども、現在国語学者等でも使用はいたしておりません。  なお、この師団の配置等につきましては、我が国は専守防衛、そして同時に、基本的に上着陸阻止という体制でありますが、しかし、国防の問題でございますから、内陸侵攻ということが万々が一あった場合にも、ぴしっとした抑止力を行使できるということで配置をしておるわけでございます。  戦車につきましては、まあ今御指摘のような御意見も私も聞いておりますけれども、しかし、陸上自衛隊の戦車というのは、やはりそういった面で我が国に侵攻を内陸までさせるということは、決して好ましいことではございません。しかし、そういう陸上自衛隊のきちっとした抑止力を持っておればこそ、我が国に対する侵攻もなくなるだろうという前提に立っておるわけでございまして、私は決して戦車無用論ということではございません。しかし、その配置その他についてはこれからいろいろ検討対象にはなるであろうということは、当委員会でも申し上げているところでございます。
  305. 谷村啓介

    谷村分科員 質問について。全容、規模。
  306. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 十三師団の全容ということでございますが、これは広島県海田市駐屯地に司令部を置きまして、普通科連隊三、それから特科連隊一、戦車大隊一、その他の部隊から成ります師団で、定員は約七千名ということでございます。  この師団といいますものは、陸上自衛隊におきましての基幹的な作戦部隊、基本的な作戦部隊でございまして、我が国のどの方面の侵攻があったとした場合でも、その侵攻の作戦の初頭からこれに対応できるという基本的な考え方で、全国に十三個の、十二個師団、一機甲師団というものが配置されているわけでございます。それで、そういったことの考え方の一環としてこの十三師団も中国地方の方に置かれまして、防衛及び警備に任じているということでございます。  それで、第十三戦車大隊でございますが、その火力、機動力、防護力にすぐれました装備として、今陸上自衛隊の中でも基幹であります戦車を保有しておりまして、この十三師団全体として三十両程度の戦車が保有されているということでございます。
  307. 谷村啓介

    谷村分科員 本論に入りますが、ちょうど去年の三月でございましたか、百二十回のこの分科会で小池政府委員、教育訓練局長でしたが、この実射訓練の再開について私がお尋ねいたしたわけでありますが、「地元の方々の御理解を得ながら、よく調整しながら進めてまいりたい」、こういうふうに述べられておるわけであります。当時の池田長官も「安全面についてはよく地元の御理解をちょうだいし、御相談しながらやってまいりたい」と述べておられるわけであります。これは会議録を持ってきておりますが、そのように述べられたわけであります。  このたびの実射訓練再開に当たって、防衛庁が地元との間にどのような協議あるいは調整をされたのか、私には実はこの前質問をいたしておりますから責任もございますので、関係資料の要求をいたしました。どういう覚書が交わされたのか。いただけたものは本当に簡単なもので、要旨でしょうか、こういう三カ条にわたるメモ程度のものしか実はいただいていないわけですが、ぜひ全文が備わったものをいただきたい、こういうふうに思います。ぜひその点はよろしくお願い申し上げたいと思うのであります。いかがでしょう。
  308. 小池清彦

    ○小池政府委員 一年ほど前、先生から御質問がございましたときに、四回の試射を行いましたというところまで御説明申し上げました。あの試射につきましては、地元の奈義町長さんからの御要望もございまして、停弾堤に撃ち込みました場合に、破片がどの辺の範囲まで飛散するかということを調べたわけでございます。その結果、大体飛散する範囲がわかったわけでございます。ここまで御説明申し上げました。  その後、防衛庁といたしましては、さらに地元の御理解を得るように努めてまいりましたが、一方、奈義町の方も、この一定の範囲に飛散するということに御理解を示されまして、かつ射撃訓練の早期再開を要望してこられました。そういう奈義町側の要望、さらに防衛庁といたしましては、この日本原演習場の中央射場というものが、中国地方並びに四国地方におきまして戦車の射撃ができる唯一の訓練場でございますので、この練度向上、練度の維持のためにぜひ使わせていただきたい、こういう希望を持っておりましたので、両者の意向が合致をいたしまして、それでただいま先生のおっしゃいました覚書を去る三月三日に、奈義町長さんと私どもの方の日本原駐屯地司令との間で締結をしたということでございます。そして、その覚書を結びましたということを翌四日に発表をいたしまして、そのときに、それに基づく中央射場での射撃訓練を三月十日にやらせていただきたいということを発表いたしました。そして三月十日に射撃をさせていただいた、こういうことでございます。  そこで、この覚書の内容でございますけれども、実は覚書自体が大変分量の少ない短い覚書でございまして、あの先生に差し上げました中身がすなわちその内容なんでございます。改めてそれを読ませていただきましょうか。(谷村分科員「いや、時間がございませんから、ではほぼ一緒なんですね」と呼ぶ)ほぼ一緒でございまして、私も実際の覚書と比べて今見ますと、さらにそれにつけ加えることといいますと、実質的にはそういうことなんですが、さらに申し上げますと、「この覚書は当分の間、中央射場における暫定射撃が円滑に実施できることを目的とする。」という目的が冒頭に書いてございます。そこが加わっているといえば加わります。  それから、この暫定射撃の実施に関しまして、「この覚書にかかわる問題が生じた場合には、奈義町長さんと日本原駐屯地司令は相互に協議し、解決するものとする。」こういうことがさらに文言的には加わっております。そうしてさらに、「この覚書は関係者の記名押印の日から発効して、そして保安用地の適切な管理態勢が確立され、暫定射撃が終了した日をもって失効する。」こういうふうに結んでございまして、したがいまして、先生のところに差し上げましたのは、実質を全部盛るように努めて差し上げた次第でございます。
  309. 谷村啓介

    谷村分科員 実物を、写しで結構ですから、後で結構ですから、ぜひそれをいただきたいということです。
  310. 小池清彦

    ○小池政府委員 この覚書につきましては、相手があることでございますので、相手でございます奈義町長さんと相談をさせていただきたいと存じます。
  311. 谷村啓介

    谷村分科員 次に移りますが、その覚書の中に、先ほども御説明がございましたが、地元の理解を得るということが一つのポイントになっておるわけですね。実はこの前の試射で、散弾が破裂しまして周囲に散ったということから事件が発生しているわけですから、そういった点で、それは保安用地といえども耕作権を持っておる農民がおるわけですから、もう問題になったわけでありますが、地元の理解を得たということは、私ども聞いてみますと、町長と町当局との理解を得たというふうなことで地元了解ということになっておるようであります。実際は、その用地自体は町の名義ではございますが、かつての歴史的経緯から見ますと、それぞれ個人が耕作権を持っておるということもあるわけでございまして、できれば町だけ。でなしに、個々の皆さんにも十分な了解を得る努力というものをぜひお願いしたいというふうに思うわけでありますが、いかがでしょう。
  312. 小池清彦

    ○小池政府委員 奈義町長さんにおかれましては、町の議会当局でございますとかあるいは地元の住民の方々でございますとか、そういった方々とよく御協議されまして、そして私どもとこの覚書を結ばれたというふうに聞いておりますし、そのように理解をいたしております。
  313. 谷村啓介

    谷村分科員 そこで、保安用地の買収ということが持ち上がりまして、新年度の予算にも保安用地の一部を買収する、つまり後背地になるわけでありますね。そういうふうな措置がとられておるようでありますが、その概要は一体どうなのか、広さ等についてお願いしたいと思います。
  314. 三井康有

    ○三井政府委員 ただいまお尋ねの保安用地でございますけれども、日本原演習場におきましては、これまで射撃時の安全確保のために、立ち入り制限の用に供する地域としまして保安用地を借り上げていたところでございます。今般、その一部保安用地の購入につきまして地元の御理解をちょうだいすることができましたので、射撃時の一層の安全確保及び日本原演習場の安定的使用の観点から、現在借り上げを行っております保安用地のうちの所要の区域につきまして購入したいと考えておるわけでございます。  なお、平成四年度におきましては、現在借り上げを行っております中央射場に係る保安用地のうち、その一部を購入することを予定しているところでございます。(谷村分科員「面積等は」と呼ぶ)平成四年度におきましては、約三ヘクタールの保安用地の購入を予定させていただいております。
  315. 谷村啓介

    谷村分科員 この保安用地、今御説明いただきましたけれども、平成四年度三ヘクタールということでございますが、買収の時期のめどをどこに置いておるのか、全体がどの程度なのか。平成四年度三ヘクというふうにおっしゃいましたが、全体がどの程度の買収になるのか、その買収の時期、全体の買収を終わる時期について、見通しを明らかにしてもらいたいと思うのです。  きのう実弾射撃訓練を再開したわけですが、地元としてはなぜ三月十日に設定したのかという気持ちがございますのできれば、事故のあった射場ですから、全体が買収されてからの時期の方が適切であったのではないかという感じがいたすわけでありますが、いかがでしょう。
  316. 三井康有

    ○三井政府委員 保安用地の購入の部分に関して御答弁させていただきます。  平成四年度の関係につきましては、先ほど約三ヘクタールと申し上げたわけでございますが、この購入時期につきましては、予算の成立を待ちましてから実施したいと思っておりますが、何分、相生地権者等の関係があるわけでございますので、その明確な時期というものはいまだ申し上げる段階ではございません。  なお、それ以降の問題でございますが、平成五年度以降については、さらに年度、年度の予算編成の過程に決定される問題でございますので、現時点で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  317. 谷村啓介

    谷村分科員 話はちょっと変わりますけれども、おとといの九日でございますが、現地に私は入りました。これは余談ですけれども、今まで私どもの基地に反対する皆さんが現地へ行きますと、自衛隊の幹部の皆さんは会ってくれない。そして、防護さくのところで申し入れ書を渡すというようなことが続いておったようでありますけれども、私は知りませんでしたが、今回はまさに民主化されたのでしょうか、変わったのでしょうか、ちゃんと部屋を用意されまして、大変丁重な扱いをいただきました。喜んでいるわけでありますが、この点も申し上げておきたいと思うわけであります。  もう一つは、私も地方行政の関係におりますから、その際に黒田町長が、二年前ごろになるのでしょうか、戦車の大幅な削減でよそへ移転したという時期があったそうでありますけれども、その後調整交付金が、三千万とおっしゃったと思うのですが、どっと一方的に減らされてしまったということがあるようでございます。三千万という額は正確ではありませんけれども。防衛庁に町長さん自身が参られまして、強く抗議をされたようでありますけれども、地方自治体というのは御存じのように計画性を持った財政を持つわけでありますから、激変を与えるということはいかがなものであろうかという気持ちもいたしましたので、この復元について、谷村さん、質問されるのならぜひつけ加えて言っておいてくれという話がございましたが、いかがでしょう。
  318. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付額の算定でございますけれども、防衛施設の面積とか市町村の人口及び運用の実績等を基礎といたしまして交付される普通額と、先生御高承のとおりでございますが、運用の態様の変更を考慮いたしまして一時金として交付いたします特別交付額がございます。各年度ごとの交付額につきまして、これらの要因に基づきまして決定されるものでございまして一例えば、戦車数の減を理由に奈義町の交付額を減額するというものではございませんで、昭和六十三年の二月以降、戦車砲の射撃が中止されていたこともございまして減額となったものでございます。  先生御指摘の二年前三千万円の減額ということでございますが、対前年度に比べて調べてみますと、平成元年度で八百万、二年度で六百万、平成三年度で六百万の減額というふうになっておりますので、八、六、六でございまして、合わせて二千万の減額となっていたようでございます。  また、毎年度の交付額につきましては、さきに述べましたこのような事情によりまして算定されるものでございますので、中央射場の射撃再開といった演習等の運用によりましては、交付金の算定に今後反映されることになるのではないか、そのように考えております。
  319. 谷村啓介

    谷村分科員 申し上げておきますけれども、小さな町でありますから、財政でも先ほどの金額なんて非常に大きいわけでありますし、ぜひ今後も慎重な配慮を願いたい、このように町長のかわりに要望いたしておきたいと思うわけであります。  それから、もう時間もございませんが、これも昨年の分科会で質問をいたした問題でございます。これは奈義町ではございませんけれども、基地の周辺に位置しております勝田町というところがございますが、その道路を自衛隊の車両が一般に利用するというようなことでございまして、基地調整交付金等からは外れておるという地域でございますけれども、そういうことを理由に何らかの対応はできないのかという要望がございまして、その点についても前回私も御質問を申し上げておるところでございます。  お聞きするところによりますと、防衛施設庁では、既に町道の拡幅、舗装などについて格段の御配慮をその後いただいておるということでございますけれども、この点についてはどういう勝田町とのやりとりがあり、現在どういうふうな対策が講ぜられつつあるのか、お尋ねしておきたいと思いますが、いかがでしょう。
  320. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  勝田郡勝田町の町長様から道路の改修につきまして補助をしてほしいという御要望を賜っております。この場合の例は、自衛隊車両が県道を通行いたします関係で非常に混雑するということで、一般車両が町道の方に回る、したがって、そこの改良をいたしますので、そちらの方の補助金をつけてくれないかという御要請でございます。  しかしながら、一般車両による混雑が生じているとか、混雑回避のために迂回路として利用している町道について補助をするということは、制度上困難でございまして、まことに御要望に沿えないような御答弁になるわけでございますが、ひとつ御理解をお願いいたします。
  321. 谷村啓介

    谷村分科員 今の問題についてもう一回お尋ねしますが、町からの報告によりますと、道路の改良その他、この問題について例えば町費を持ち出すとか、そういう問題があれば防衛庁の方に申し出てほしいという指導が防衛庁の方からございまして、その資料を作成をして提出をしておるということでございますけれども、そういうことは御存じありませんか。
  322. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  四年の、ことしの二月二十日に勝田町長様から私の方の広島防衛施設局長の方に御要望として文書を賜っておりますが、これにつきまして、特段、私の方の広島防衛施設局の方から、補助金が交付し得るからこのようにしたらという御指導を申し上げたという話は聞いておらないのでありまして、今のところこれは対象にならないと私ども考えております。
  323. 谷村啓介

    谷村分科員 最後でございますが、私の手元へ実はその要望書の全容が参っております。あるいは出先と今お話をしている最中かとも思いますけれども、もしその中で取り上げるべき問題がありますればぜひ前向きに対処願いたい、このように思いますが、以上申し上げまして質問を終わります。
  324. 小岩井清

    小岩井主査代理 これにて谷村啓介君の質疑は終了いたしました。  次に、関晴正君。
  325. 関晴正

    ○関分科員 大臣、我が国が防衛計画の策定に当たって仮想敵国はソ連邦である、こういうことに基づいてつくられてきた計画だと思うんですが、今や仮想敵国というものはなくなった。少なくともこれまで眺めてきたソ連邦というものではなくなって、まさしく米ソは協調の時代に入った。こういうことを見ますというと、私どもの方の中期防衛計画というものは、大幅に変更されていかなきゃならないものである、こう思いますが、いかがですか。
  326. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 委員のお言葉で仮想敵国という言葉がございましたが、私どもの防衛構想としては、仮想敵国というものを置いて、そしてその仮想敵国に対抗する防衛力を整備するという基本的考え方はとっておりません。これは、御承知のように防衛計画の大綱におきましてもそのことをはっきり明言しておりまして、我が国の専守防衛の立場から、我が国の力の空白が起きてはかえって不安定要素になる、したがって基盤的な防衛力整備をやる、こういうことで、今日までその大綱に基づきまして中期防衛力整備計画をやってきたわけであります。  中期防衛力整備計画につきましていろいろ申し上げたい点はございますが、時間の関係もございますから余り詳しいことは申し上げませんが、平成三年から七年までの中期防もかなりこういった世界の情勢変化を踏まえまして、しかし、情勢変化があるからといって直ちに防衛計画の予算に反映し、また、緊張が出てきたからすぐ増強するというものでもございません。安定的なものでなければならないと思いますが、傾向としてそういうものを踏まえた中期防になっております。そして、四年度の防衛予算もそういう角度から計上してあるということでございます。
  327. 関晴正

    ○関分科員 大臣、そう言うけれども、私どもの青森県にF16がアメリカにおいて配備された。このときの理由というものは、相対峙する向かいの国のソ連邦においてバックファイアを用意しておる、これは核搭載の戦闘爆撃機である、これを迎え撃つのにはどうしても必要だからということが理由でF16が配置されたのです。ところが、今日F16というものは必要であろうかということを見ますときに、もはや必要ではない、早くお帰りになってもらっていいんじゃないだろうか。そうして今日、私ども青森県民にとってはF16が全く迷惑千万です。  そうして、先般実弾二千ポンド、これを落としたまま平気でいるんですよ。外務大臣もあのときはびっくりして、物を申し上げてまいりますと言ったようでありますが、申したかもしれぬけれども、二千ポンドの爆弾は依然としてそのままです。そうして今日、三沢においてもアメリカの船が来るたびごとにタッチ・アンド・ゴーが常に行われています。これは大臣もごらんになったことがあるのかと思いますが、低空飛行でいろいろやっては青森県の日本一の十和田湖に平気でまた燃料タンクを落としておる、これもまた何にも片づけられておりませんね。そういうことを見ますときに、きちんとアメリカに言う、やはりそういう一つの潮どきじゃないだろうか、こう思うのでありますけれども、その二点についてどう扱い、またどう思っておられるかという点を伺っておきたいと思います。
  328. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 三沢基地における米軍の配置につきましては、先生、核搭載したものでありしかもソビエトを目的としたものではないかというように断定をされましたけれども、私どもが申し上げておりますように、仮想敵国という概念はとっておらないのが我が国の防衛構想でございまして、その点は認識の相違と申しますか、そう言われることも承知はしておりますが、私どもとしてはそう考えておりません。  米軍の日本における駐留あるいは極東配置というものは、我が国の安全及び我が国をめぐる極東の安全にとって、その前方展開能力というものが平和の安定に大変寄与していると私どもは考えておりますので、基本的にそういう立場をとっております。  先生御指摘の爆弾の投下がまだ何ら手が打たれていないのではないかという点等々は、これは米軍が安全上投下したものでございまして、水深もかなり深いようでございます。今アメリカの船によりましてソナーで探知その他をやっておりまして、一義的には投下した米軍の責任でこれを処理するという建前でございますので、私どもはその結果を見守っております。なお、米軍がどうしてもというようなことであれば、米軍の要請があれば話し合いをやって、また我が国として当然、我が国の領海内に投下されておるものでございますから、対処しなければならないが、一義的には今米軍が精力的にやっておる、こう承知しておるところでございます。     〔小岩井主査代理退席、佐藤(恒)主査代     理着席〕
  329. 関晴正

    ○関分科員 米側は何と言っているのですか。いつまでに片づけると言っているのですか、お答えください。
  330. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 事実関係でございますから、日米関係の話し合いの模様をちょっと担当局長から…。
  331. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 二千ポンドの爆弾の件につきましては、御承知のように救難支援艦ビューフォートを現場に派遣いたしまして爆弾の捜索を行い、現在、同艦の得たデータを分析しておるところでございます。この件につきましては、先般の日米合同委員会等を通じましても、なるべく早急にその結論を出すように米側に申し入れておりますが、米側からいつまでという回答は得ておりません。
  332. 関晴正

    ○関分科員 まことにけしからぬ話じゃないですか。あの爆弾を落とされた地域は、言うなれば今ホッキガイの地域でありまして、爆弾を恐る恐るのためにそういう漁業もやれない。そういう点からいっても大変御迷惑をかけておるわけです。そうしてただいまのお話では、アメリカがやると言っておるけれどもいつやるかわからない。こんな情けない、だらしのない姿というのはあるものですか。思いやり予算というものがあるけれども、こんなにわがままでおるのであれば、自衛隊の方でおやりになったっていいんじゃありませんか。要請があればやるというのも方法だろうけれども、幾らこちらの方でちゃんとやってくれと言ってもこたえてくれないものであれば、こちらの方でやりますからと言ってもいいんじゃないですか、要請があろうとなかろうと。やれますか。
  333. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 私の聞いた限りにおきましては、これは水深がかなり深いようでございます。そして岩礁その他もあるようでございまして、ゾナー技術によってもその物体がまだキャッチできないというような状況のようでございます。もしか米軍の怠慢といいますか、そういうことによってこれが遅延しておるものであれば、私どもは当然米側に要請すべきでございますけれども、水深その他から技術上の問題点があるやにお聞きしておりますので、とにかく米軍の誠意ある処理、そしてその分析結果を早く出していただけるように、そして、それによってまた我が方で協力すべき問題があれば協力する、こういうことではないかと存じますので、決して米軍が放置しておるという状況ではないように私は聞いております。
  334. 関晴正

    ○関分科員 昨年の十一月八日に投下してもう何カ月です。十二、一、二、三と四カ月ですよ、あなた。あと少しすればもう半年もたちますよ。それほど御迷惑をかけるようであるならば、これは我が国の方でやるしかない。こうして、やるとした場合には、防衛庁ではやる能力があるんですか。二百メートルのところをアメリカと同じようにやれないということになるんですか、それとも、そうじゃありません、ちゃんとやりますよということなのでしょうか、お答えください。
  335. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、本件原因者である米軍が処理すべきものという立場でございますが、一般論としてのお尋ねとして、この場合に能力があるかというお尋ねとしてお答え申し上げます。  その水深の問題が一つございまして、水深百八十メートルのところにビューフォートでその物体らしきものを発見したという情報でございますから、おおむねそういうものを前提として考えますと、まず、探索を正確にやるということにつきましては、掃海艇のソナー、あるいは機雷探知機、あるいは海洋観測艦「わかさ」のソナー、潜水艦救難艦であります「ちよだ」の小型潜水艇からの目視あるいはソナーということで、探知は可能であろうというふうに思います。  それから、処分につきましては、二通りのやり方がございまして、「ちよだ」に乗っております飽和潜水員というものを滞らせて、それでバルーンを取りつけて浮き上がらせてというやり方と、それから、爆破処理ということが許される海域であれば、爆破処理ということもできるわけでありまして、その爆破処理は、掃海艇にございますS7という掃海処理具によって対応することが可能であろうというふうに思いますが、いずれにしても、一定の前提条件を置いて、一般的な能力としてそういうことが考えられるということでございます。
  336. 関晴正

    ○関分科員 イラクの機雷を片づけるのには四十日もかけて行ってきたわけですよね。そういうことにはそうして行ってくる。我が国の国民の一つの問題として迷惑をかけているのには何も構わない。アメリカが構わないならば、もうそんなアメリカは相手にしないで我が国の方で、言うなればこれも災害でしょう。自然災害ではない、米災害とでも言った方がいいかもしれませんね。アメリカ災害を片づけるのに我が国の方でやる、こういうことでもすべきだと思いますので、これは一刻も早くこの問題については対処していただきたい、こう思います。  二つ目の質問でございますが、イージス艦を購入しましたよね。イージス艦というのは何の働きをするもので、どれだけの金が後年度負担としてありますか。
  337. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 イージス艦四隻を本中期防期間中に契約し調達することになっております。これは、護衛隊群は四つございまして、従来、DDGというターター搭載艦というようなものがございました。しかし、高度に軍事技術が発達してまいりますと、やはり設備の近代化・更新をやらなければなりません。そういう意味で、このイージス艦四隻を本中期防中に調達することを明記してございます。  海上防衛の必要性につきましては、今さら私から申し上げるまでもございませんが、海洋国家として、船舶の護衛あるいは海上の安全を期するということは、我が国にとって大変重要なことでございますので、そういう任務を持つ護衛隊群の編成として四隻はぜひとも必要だ、このように考えておるところでございます。
  338. 関晴正

    ○関分科員 金額は何ぼになっていますか。
  339. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 調達金額につきましては、数字でございますのでちょっと防衛局長の方から……。
  340. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 ただいま大臣の方から、四隻、今中期防中にという話がございましたが、そのうち二隻は前中期防で契約済みでございまして、この中期防期間中に二隻ということでございます。  それで、六十三年度のイージス艦につきましては、契約ベースの金額は千二百二十三億円でございました。それから、平成二年度は千二百九十二億円でございました。それから平成三年度、既に契約しましたものは千二百二十七億円ということでございます。(関分科員「後年度負担は何ぼ残っている」と呼ぶ)このうちの後年度負担分についてはちょっと……
  341. 関晴正

    ○関分科員 ぜひ調べてもらって……。すぐできますか。
  342. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 恐れ入ります。  平成三年度契約分の艦につきましては、先ほどの千二百二十七億円の契約総額のうち、後年度負担分は千百九十七億町ということでございますので、大部分が後年度負担になっているわけでございます。他の艦について詳細な数字は手元にございませんが、同様な契約パターンになっているはずでございます。
  343. 関晴正

    ○関分科員 私は、このイージス艦は、核攻撃を受けたときに対処するというのがこの機能だと思っております。ところが、今や米ソの和解によりまして、核爆弾はやめようじゃないか。プルトニウムも取り出してひとつ捨てようじゃないか、こういうところに来ておりますよね。  こういうときに、核攻撃に対処するための、言うなれば一度に十何発も発射できるというような戦艦、軍艦、そう言ってもいいでしょう、そういうようなものは要らないんじゃないか。契約したから買わねばならない、こう思うかもしれませんけれども、こういうものはやはり契約をやめてもいいんじゃないだろうか。そういう点については、やめるとかやめないとかというお答えは今要りませんけれども、当然に後年度負担の中から何でも出していくんだという姿勢をやめて、あの当時の時点では必要であったかもしれない、しかしこの時点ではこれは要らないのじゃないだろうかということについての再検討をよくされて、徹底してこの中期防衛計画の削減策というものをとっていただきたいと私は思います。これは希望しておきます。  その次は、中期防衛計画の中に弾薬費というものはどれだけ見積もられておりますか、お伺いします。
  344. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 中期防衛力整備計画の中で別表がございまして、その中に主たる装備品についてはそれぞれ金額が書いてございますけれども、その他のものにつきましては、もちろん我々、作業の過程で当然一定の前提ないし想定を置いているわけでございますが、それがそういうものとして政府の中で確定されたものではございませんので、弾薬についても同様に、そういう意味で、作業上の事務的参考資料という程度のものとして我々は持っておりますけれども、ちょっと、その確定したものとして表に公表するという性質のものではないということを御理解いただきたいと存じます。     〔佐藤(恒)主査代理退席、小岩井主査代     理着席〕
  345. 関晴正

    ○関分科員 これは大変なことを聞きました。中期防衛計画の中で五カ年の間に、平成三年から平成七年までの間に二十二兆七千五百億、その中に弾薬費がどのくらいということを見積もっていないというのは大変な話だと思うのです。じゃ、見積もっているならその額を示してください。
  346. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 ただいま申し上げましたのは、中期防衛力整備計画の別表の中には、主要装備として閣議でも決めましたその数字がはっきり出ておりますが、その他のものについては、見積もってはおりますけれども、それが政府部内としてそういう額として確定されたものという認識ではございませんので、それは我々の作業上の見積もり、前提ということで御理解をいただきたいということを申し上げているわけでございます。
  347. 関晴正

    ○関分科員 その見積もりで結構でございます。示してください。
  348. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 二十二兆七千五百億の中で、弾薬として、ミサイルその他誘導弾も含めましておおよそ七千億弱ということでございます。
  349. 関晴正

    ○関分科員 今の額は間違いありませんか。
  350. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 歳出額として、既定分を除きまして新規に契約をして歳出に至る額として、おおむね今の数字であろうと思います。     〔小岩井主査代理退席、主査着席〕
  351. 関晴正

    ○関分科員 今日まで、ここ五年、六年、今年度の予算を含めますと六年にもなりますが、この六年間における弾薬費というものは約一兆円近いものです、大臣。予算に計上されているものでトータルしますと、六年で九千五百億をちょっと超します。そして、五年でいきますと八千億を超します。ですから、今の見積もりでいきますと、今まで買ってきた弾薬の金額よりも一千億ほど安いということになります。それで、私は安いほどいいと思います。何もそれが悪いと言うんじゃありません。  ただ、問題は、中期防の中でさえそういうような見積もりでおったとするのであれば、この後は大いに減じていいだろう、こう思います。それというのも、中期防の時代において、情勢というものを見て、そうして計画した一つの弾薬費でございますから、この後はどんどん減らしていくし、していっていいんじゃないだろうか、こう思うのです。  そこで、私は、私どもの青森県の東北町に皆さん方は何が何でも大規模の弾薬庫をつくるんだ、こうおっしゃいますが、これは、そのときにはそう考えたかもしれぬけれども、そのときのお話の中にも、中期防衛計画の中にあるのだから、そのときには弾薬費がどのくらい、あるいは弾薬量がどのくらいというようなことまでは別に論もしませんでした。ただ、二百五十ヘクタールのところにそんな大きな弾薬庫をつくって、この後どうするんだろうな、こういうことを考えましたときに、軍縮の道をたどらなきゃならない日本としては、そういうことは適当ではないんじゃないか、ぜひ考え直しなさいよ、こうも申し上げてきました。しかし、走り出しますとなかなかやめることをしないんですよね。そうかなと言って思いとどまることをしないのです。というならば、高蔵寺の方が移転することになるので青森によろしく、こういうことになるのかといえば、そうでもない。そういうことは考えていない。とするならば、一番先に減額しなきゃならない防衛計画の策定をするときに格好のいい材料でしょう、こういうのは。しかも、その金額の高だといってみても、大した金額じゃないでしょう。でも、ぜひやろう、こう思っているのですが、今度の予算の中に弾薬庫という予算がありますよね、この弾薬庫というのでは予算としてどのくらい見ているのですか。これは何も東北町だけじゃありませんよ。弾薬庫というのはどのくらい持っているのか。
  352. 三井康有

    ○三井政府委員 お答え申し上げます。  弾薬庫整備経費は、平成四年度予算案の中で、契約ベースで申し上げまして約五十六億円を計上いたしております。
  353. 関晴正

    ○関分科員 この金で終わるわけでもないでしょうから、この後ほどのくらいかかることになりますか。
  354. 三井康有

    ○三井政府委員 この後と申しますと平成五年度以降ということになるわけでございますが、それは年度年度の予算編成の過程で決定されるわけでございますので、今確たることを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  355. 関晴正

    ○関分科員 まあそんなに難しい計算じゃありませんから、私はとにかく、大臣、ここ二百五十ヘクタールというのは広い土地ですよ。しかも弾薬庫としては日本一、東洋一と言われるのでしょう。そういうものこそ、そういう計画であったけれどもここではやめよう、こう考えて対処していいんじゃないだろうか、こう思うのですが、大臣いかがです。
  356. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 弾薬につきましては、我が国の継戦能力といいますか抗堪性といいますか、そういう点で、やはり正面装備だけで弾薬が非常に不足しておったのでは抑止力にもなりません。そういう意味で「たまに撃つ弾がないのが玉にきず」ということを述べられた著名な政治家もおられます。  そのように、我が国の場合には弾薬量が比較的蓄積が少ないという点は先生御理解いただけると思いますけれども、そういうことで航空自衛隊の弾薬庫として今青森県にお願いをして建設中でございます。確かに面積は広うございますが、弾薬庫の性格からしてかなりな安全性その他を見て所要面積を確保したものと思っておりますが、これはぜひひとつ御理解をいただきまして、地元その他の了解も、私どもも全面的な理解を得つつ、今後進めてまいらなくちゃいけませんし、今までも御理解を賜ってきたものと思いますので、この計画について何分の御理解をいただきたい、こう存じます。
  357. 関晴正

    ○関分科員 これはとにかく決めてきたからやるという構えで進むから、答えとしちゃそうなるしかないだろうと思うのです。でも、やはりここで、ある意味からいけば、きちんとしたけじめをつける必要があるのです。  かつて、弾がないと言われました。しかし、今は弾は余っているのじゃないですか。弾が余っているから弾薬庫をつくるんでしょう、どうなんです。お答えは要りませんよ。ですから、弾がないと言った時代と、とにかく五、六年の間に弾代だけでも一兆円ですよ。何もこれは安い金額じゃありませんよ。  それから、中期防衛計画の中にもどのくらいあるかというと、二十二兆五千億の中だ七千億ぐらいは試算しておるというお話でしたけれども、それが七千億でとまるかどうかは知りません。知りませんけれども、客観情勢から見て、この弾は何に使います。廃棄処分するのに困るようなものでしょう。平和、平和でいくこれからの政策からいっても外交策からいっても。そういうことを考えますと、私は、やはりここで思い切って事を決断すべきじゃないだろうかと思いますので、やはりこういうのは大臣がかわったときに考えてもらうしかないんですよ。ですから、まだ新大臣だと思っておりますので、ここに前大臣もおりますし、大分私と論戦したのですが、なかなか決断なくてここまで来ているわけなんだが、私はあんな場所にそうしておいて一体何をするのだろうなと思います。一朝事あるときにどんな作用をするのかなということも考えます。それよりも何よりも、弾を使わない、そういう外交が大事なんですから、そういう点において私は、次の防衛計画を立てるに当たって、何をおいてもこれは片づけやすい問題だ、こう思いますので、これは強く希望しておきます。  最後の質問はプルトニウムの輸送の問題で、また防衛庁の方の船のお世話にならなきゃならないのじゃないだろうかというような話が出てきた場合に、よろしゅうございますと防衛庁長官は答えるのか、それはしませんときちんと言えるのか、どちらかお答えください。
  358. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 プルトニウムの輸送につきましては、護衛の問題がございまして、竹下内閣のときであったと存じますが、その基本的な方針を決め、そして海部内閣のときに海上保安庁の新船を建造いたしまして、それによって護衛するという方針が決められて、それに沿って進行中でございます。したがいまして、私どもはその政府方針に従っておるわけでございまして、ただいま委員のおっしゃられるような海上自衛隊を現在派遣するということは考えておりません。
  359. 関晴正

    ○関分科員 もう一つ、空中給油機の問題でお尋ねしておきたいと思うのですが、これもひところ言われた時代がありますけれども、今や全くその要がないものじゃないか、こう思いますので、その点についてもお考えをいただければと思います。
  360. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 空中給油機は中期防の中でも書かれておりまして、その検討が記載されております。私、個人的に申しますとへ空中給油機を持つと、非常に海外に足が長くなって侵略的になるという議論がございますが、私は必ずしもそうは思いません。これからいろいろ国際的な貢献その他もございますし、あくまで我が国は専守防衛の立場を堅持しているわけでありますので、この機能については十分検討させていただいて、必要であれば導入すべきものではないかなとは考えておりますが、いずれにいたしましても、今中期防中に検討するということに相なっておるところでございます。
  361. 関晴正

    ○関分科員 むだですので、おやめになることを申し上げておいて、終わります。
  362. 池田行彦

    池田主査 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤恒晴君。
  363. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 私は、RF4E偵察機の墜落問題につきまして、お尋ねをしたいと思います。  きょうの報道では、第一ヘリ団のV107型も墜落をしまして、またとうとい生命が失われたという痛ましい事故が続いておるわけであります。  そこで、今度の偵察機の飛行を追尾しているレーダーは、幾つかの箇所でやっているのでしょうけれども、大滝根の第二十七警戒群のレーダーで追跡しておったのでしょうか、お尋ねいたします。
  364. 小池清彦

    ○小池政府委員 大滝根のレーダーで見ておりました。
  365. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 そうすると、先日の答弁では、おおよその数字でありますが、墜落地点からさかのぼって十二、三キロぐらいのところから、その地点ぐらいでレーダーから消えたということでありますが、あの地帯では最高峰の大滝根のレーダーでありますけれども、あの辺では大滝根よりも高い山はないわけです。そうしますと、高度の問題でございますが、大体どの程度であればレーダーで捕捉できなくなるのか、そこら辺をお尋ねしておきたい。
  366. 小池清彦

    ○小池政府委員 お尋ねの体なのでございますが、まことに恐縮なんでございますけれども、これは航空自衛隊のレーダーの性能にかかわることでございますので、まことに申しわけございませんが、お答えすることを差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一般的に申し上げられますことは、ああいったレーダーというものは、自分のレーダーの近くになればなるほど、クラッターと申しますか、電波の反射雑音が強くなる、これは一般的に言えることでございますが、どの辺の高度まで見えるとか、そういうことにつきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
  367. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 それでは、レーダーから消える直前、何秒直前であるか、何分直前であるかは別にしまして、直前二、三カ所の高度はどういう高度で飛んでおったのか、どの地点でどういう高度で飛んだのか、地名でお答えをいただければありがたいと思います。
  368. 小池清彦

    ○小池政府委員 先生がポイント2とポイント3と名づけておられますポイントがございますが、その名称をそのまま使わせていただきますと、ポイント2からポイント3に対しまして、ほぼそれを結ぶ線に沿って飛行いたしておりました。高度につきましては、おおむね千フィートとお考えいただいて結構でございます。千フィートで飛んでおりました。
  369. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 先日は、私が2から3と申し上げたら、直線に飛んでいるわけではないのだということでございましたけれども、きょうはほぼそういうことでということでございますが、この前も申し上げましたように、墜落地点から見ますと北北西の角度であります。こういう角度で参りますと、全く逆方向に近いということになりますから、2から3へほぼというよりは逆方向という点は、それじゃどういうふうに御説明されるのか、お尋ねしたいと思うのです。しかも、今はぼ千フィートで飛んでおったというのですが、それは記録としては残されているのですか、いないのですか。
  370. 小池清彦

    ○小池政府委員 レーダーの航跡の記録は残されております。
  371. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 それでは、そのほぼ千フィートで、三百メートル程度で飛んでいたということでありますが、きょうは無理としても、それの資料の提出はいただけるのですか。
  372. 小池清彦

    ○小池政府委員 レーダーの航跡につきましては、これまたまことに申しわけないのでございますけれども、レーダーの性能にかかわることでございますので、御提出することを御容赦いただきたいと存じます。この点、御理解いただきたいと存じます。
  373. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 そうすると、自衛隊の低空飛行訓練については、相当低空で飛んでいる、三百メートル以下であるということを、私はこの前若干の実例を申し上げました。私もいろいろな状況下で確認いたしておりますが、それは正確に言えませんけれども、三百メートルなどというものではない、もっと低いというふうに現認しておるわけであります。そうすると、今、レーダーでどのくらい飛んでいるかということを教えてもらいたいと言うと、教えられない。それじゃ、三百メートル以下で飛んだと我々が指摘しても、いや、そうではないと言う。あなた方が証明するものがなければ、私の質問は次に行けないわけですよ。そこのところは明確にしていただかないと困る。
  374. 小池清彦

    ○小池政府委員 ただいま申し上げましたのは、レーダーの航跡はお出しすることは差し控えさせていただきたいということでございまして、その航跡を見て、どれほどで飛んでおったかということにつきましては、これは千フィートで飛んでおったことは間違いございません。
  375. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 私も現場に行ってまいりましたけれども、墜落地点から千七百五十メートルほど北北西のところに事業所がございます。そこの事業所の上を通過した。従業員が見たところが、十五メートルほどの木をすれすれに飛んでいったということでありますから、相当低い状況で飛んでいた。恐らくそのときには、飛行しようと思って飛んでいたというよりは、むしろどうにもならない状態で、墜落地点をどこにするかということで探しながら飛んでいた状況ではないのか。ベテランパイロットというふうに新聞に出ておりますが、なるほど家を避けながら長距離を、十数キロを飛んだのだなという感じが私はしておるわけであります。  したがって、今後、事故の原因が明らかになると思いますので、その時点でまたいろいろと伺いたいと思いますけれども、それでは、レーダーの航跡はともかくといたしまして、どの地点では何メートルで飛んでおったかということについては、文字化してお知らせいただけるでしょうか。
  376. 小池清彦

    ○小池政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、二つの地点を結びます直線上に沿って飛行しておりました。  なお、もう少し詳細に申し上げますと、あのレーダーの消失地点はその直線よりもやや西に、あの北を上にした地図では、やや左にそれております。飛んだ航跡は、あのレーダーが消失した地点の大体真上を通りまして飛んでおりまして、したがいまして、両地点を結ぶ線よりもやや左にそれて、大体まっすぐ飛んでおったということでございます。
  377. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 先日の答弁と違うのじゃないでしょうか。先日私は、ポイント2、ポイント3というのは私がつけたのではなくて新聞などを参考に書き込んだだけであって、私がつけたのではありませんけれども、これを結ぶ線の方向に行かなければならないにもかかわらず、相当ジグザグというか迂回というか、そういう飛び方をしていたのではないか、方向はむしろ逆方向に近いのではないか、こういう指摘をしましたところが、偵察機は訓練しながら飛ぶから必ずしも真っすぐ飛ぶわけではない、この前こういう答弁でしたね。今の答弁は、ほぼこの線に沿って飛んでいる。ということになりますと、ジグザグをしながらこの線ということなのか。つまり、トータルな意味ではこの線だけれども、飛び方はジグザグなんだ、どちらなんですか、この前の説明とはかなりニュアンスが違いますね。
  378. 小池清彦

    ○小池政府委員 矛盾はいたしておりませんで、大体真っすぐ飛んでおりまして、あそこで消失をしたわけでございます。その後どう飛んだか、これは今後の事故調査にもかかってくるわけでございます。結果的には、先生おっしゃいましたように、消失地点よりも南東方向に墜落をしておるわけでございます。したがいまして、消失地点よりもなお先へ行って、そうして右の方に進路を変えましてあの墜落地点に至ったものか、あるいは消失地点のあたりから右に曲がって至ったものか、その辺はわからないわけでございます。  また、動機といたしましても、先生がおっしゃいましたように、飛んでいたところが何らかのふぐあいが起こりまして、そうして電源なども切れまして無線通信も不可能になるというようなことで連絡もとれない、基地に向かって引き返す途中であったということも一つの可能性としてはあると思いますし、あるいは真っすぐ飛んでおりまして、その消失地点あるいはその先のあたりからひとつ右旋回をしようと思って、そして一遍回ってもとの線を先に行こうと思ったという可能性も考えられますし、いろいろな可能性があり得ると思うわけでございます。したがいまして、先日申し上げましたのは、常に真っすぐ飛んでいるわけではございませんで、偵察訓練をしながらの航法訓練でございます、したがいまして常に真っすぐ飛んでいるというわけではございません、こうお答え申し上げた次第でございます。一にかかってこれからの事故調査にかかっていることでございます。  また、ただいま先生がおっしゃいました十五メーターくらいの木をすれすれに飛んでいったという証言は、大変貴重な証言であろうと思います。常識的に見まして、パイロットがそんな低い高度を飛ぶということは、もう自殺行為以外の何物でもございません。したがいまして、大変それは貴重な証言であろうと思いますので、私どもも事故調査の一環といたしまして、ぜひ参考にさせていただきたい、このように考えております。
  379. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 緊急の場合に、何ですか、緊急装置ではなくて緊急の信号、これを打ち上げるということを聞いておりますが、これは緊急という場合に、どういう状況の中で最終的に発射するのか。つまり、墜落の場合だと墜落直前とかあるいは操縦機能がどうにもならなくなってこれ以上は無理だというところでやるのか、どういう状況の中でやるのが一般的なのですか。
  380. 小池清彦

    ○小池政府委員 これは、飛行機に乗っております間に何か発射するということはございません。飛行機から外へ出ましてベールアウトいたしますとか、あるいは不時着をして飛行機から出る、出たときに使うものは、パイロットは身につけております。それはペンシルガンと申しまして、それを発射しますと、それが光線を引きまして合図になるというものでございますとか、あるいは自分の位置を知らせる発煙筒、そういうものは持っております。しかし、それはあくまでも機の外に出た段階で使うものでございまして、航空機に乗っている間に使うものではございません。
  381. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 そうすると、今度の墜落の直前に二発の信号といいますか、信号弾というのか、それが二発発射された発射音を聞いたというお話がありますけれども、そういう状況については確認されておりますか。
  382. 小池清彦

    ○小池政府委員 確認いたしておりませんで、ただいまのお話も事故調査には大変貴重な御証言であろうと思います。それで、私どもの方でも本当にぜひその目撃者の方からいろいろお伺いできたら、そのように考えております。そういうふうなものを機上で発射するということはあり得ないことでございます。
  383. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 何かその状況理解についてはさっぱりつかんでいないようなお話でございますので、これ以上言ってもしょうがないと思うのですが、運輸省にお尋ねをいたしますが、状況からいいますと、墜落した平田地区あるいはまた須賀川市上空、この辺を飛んだことは間違いないことになるわけでありますが、省令の、例のイ、ロ、ハとある項目がございますけれども、先般もお尋ねをしましたところが、都市部などの人家密集地がイの項であって、あるいは人家のないところが口の項である、それでは人家の連檐しているようなところはどこの概念に入るのだと言ったら、それはハの項であるといったような説明であったように思いますが、そういう解釈でよろしいでしょうか。
  384. 松本武徳

    ○松本説明員 お答えいたします。  先生御質問のございました平田村、須賀川市等の上空につきまして、今回の事故の調査は防衛庁がただいま行っているところでございまして、運輸省といたしましては、事故の現場の詳細は承知しておりません。しかしながら、平田村、須賀川市等について、一概には言えませんが、報道されました墜落地点の周辺につきまして、私ども、国土地理院の五万分の一の地図で調べたところ、家屋は点在しておりますが密集はしていない状況であると考えられます。したがいまして、そのような場所でございますと、先生が御指摘になりましたように航空法の施行規則の第百七十四条に規定されているハという条項が適用されるものと考えられます。
  385. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 それで、そこに非常に矛盾があるのじゃないでしょうか。イの項は、簡単に言うと密集地ですね。ロの項は、人家のないところです。そうすると、人家の密集ではないが、人家が連檐したり集落を形成しているところについてはハの項であるということになりますと、ハの項をよく読むと、これは地表から百五十メートルということになるんですね。ところが、家のないところは、地表及び地上にあるいろいろな構築物とかそういうものがあるところから百五十メートルですよ。だから、百五十メートルに構築物か何か存在する物の高さがプラスになる、その高度を飛ぶことになるわけです。ところが、ハの項は、これは地表からになるんですよ、家があっても。そうしたら、より危険性を増すのじゃないですか。そういう省令というのは、私は極めて不十分な定めではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。  あわせて、低高度の概念をどういう概念でとらえればいいのかということと、それから、それでは低高度訓練空域は何のために設定しているのかということについてもお答えをいただきたいと思います。
  386. 松本武徳

    ○松本説明員 お答えいたします。  先生御指摘のイの項でございますが、これはいわゆる市街地に適用される条項でございまして、その場合には相当高い建造物があるということを前提といたしておりますので、その上空を飛行する航空機につきましては、その航空機を中心といたしまして「六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度」というふうに規定しております。  また、ロにつきましては、これは大平原とか海洋上に飛行する航空機に適用されるものでございまして、先生がおっしゃいますハの項につきましては、人家等が全くないわけではございませんが点在しているような場所につきましては、確かに「地表面又は水面から百五十メートル以上の高度」というふうになっておりますが、先ほど申し上げましたように、人家の集中しておる以外、いわゆる市街地には相当高い建造物があるということを考えております反面、こういう場所においてはそれほど高いものはないということも考えておりまして、したがいまして、いわゆる「地表面又は水面から百五十メートル以上の高度」でという規定を適用してございます。  それから、お尋ねの低高度の概念でございますが、これは相対的な概念でございまして、私どもの航空法におきましては、低高度ということについて定義はございません。
  387. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 空域の指定の意味についてはお答えがなかったようでありますが、改めて申し上げますけれども、密集しているところでは、今おっしゃったように、密集しているところの構築物よりもさらに三百メートルの高度ですよ。口の項は、家のないところでは地上から百五十メートル、しかし物があったらそれを加えた高さで百五十メートルですよ。ハの項は、家のあるところ、点在しているところは地表から百五十でいいということが、この省令は矛盾していませんかと言うんですよ。あの辺には何もないと今おっしゃっていますけれども、冗談じゃないですね。  福島県は、御案内のとおりに電源地帯ですよ。高圧線がいっぱい走っているんですね。鉄塔があるのです。家もあるし高圧線もあるんですよ。そういうところがハの項が適用できるというのは、イ、ロ、ハをきちんと読んで、図解してみてくださいよ。おたくの方の事務局からいただいた図解は全くこの条文どおりにかいてありますけれども、つまり集落が点在するところをハの項を適用したらロの頃より条件が悪くなるのじゃないですか。これは改正をしなければいかぬと思うのです。時間がないから先に行かなければいかぬのだけれども、改めてここのところはお尋ねをしたいと思う。
  388. 松本武徳

    ○松本説明員 お答えいたします。  先生お尋ねの自衛隊機の事故の関係の航空機につましては、有視界飛行方式という飛行方式で飛行しておりますが、そのようなものにつきましては、先ほどのイ、ロ、ハという条項のほかに、「飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度」か、または先ほど申し上げましたイ、ロ、ハのうちのいずれかの高度より高い高度以上で飛ばなければならないという規定でございますので、先生がおっしゃいましたような心配はないものと考えております。
  389. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 冗談じゃないですよ。この条項の前文に書いてあることは、どういう状況になったときには、例えばエンジントラブルがあった場合、脱出しなければいかぬ、あるいは不時着をしなければいかぬ、そのときには不時着できるような高度をとってもよろしいということだけれども、それはどういう高度かというのは、さっきの低高度の概念と同じで、それはないのです。こういう概念はないでしょう。高さの概念はそれにはないですね。低高度とは何かということについては定義なしという答弁でしたけれども、それと同じように高さの概念はここの中にはないのです。しかし、高さの概念を示しているのはイ、ロ、ハなんですよ。この概念に基づいて航空自衛隊は飛んでもよろしいと思って飛んでいる、こういう答弁をしているわけです。  ところが、イの項は、何回も言うけれども、三百メートルプラス構造物ですよ。ロの項も、いわゆる構築物プラス百五十メートルですよ、全然家のないところが。ところが、家のあるところでは地表から百五十でいいというんでしょう。構築物があっても地上から百五十でいいというんでしょう。これでは矛盾でしょうと言うんですよ。安全高度にならないでしょう。これは改正する必要があると思うのですけれども、矛盾じゃないですか。時間がないから、簡潔に答えてください。
  390. 松本武徳

    ○松本説明員 先ほど申しましたように、航空機にとりまして、例えば百五十メートル、三百メートルというのは千フィートまたは五百フィートという概念でございまして、そういうものから見ますと、ハのような場所におきましては「地表面又は水面から百五十メートル」、または五百フィートであっても特に問題はなかろうと考えております。
  391. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 納得できないですね。いいですか。家のないところ、人のいないところでは地上から百五十メートルだけれども、そこに物が建っておったらそれプラスの高さで飛びなさいというのです、安全高度は。家があったり、構造物のあるところは地表から百五十メートルだというのでは、これは全然矛盾しているじゃないですか。そこのところを私は答えてもちいたいと言うのです。この問題がはっきりしなければ、次の問題に行けないですね。こんな、だれが読んだって矛盾しているじゃないですか。それを答えてくださいよ。これは素直に読んでみてください。矛盾しているでしょう。家のあるところは、いいですか、地表から百五十の安全高度、家がないけれども構造物があったらそれをプラスした高さで飛びなさいというんでしょう。そうしたら、百五十か二百か三百かになるんですよ。それが安全高度だというんでしょう。家のあるところは何で百五十で許されるのですか、家のないところが百五十以上で飛ばなければいけないというのに。こんなイ、ロ、ハはだれが読んだって解釈できるでしょう。これはひとつ、私、防衛庁に次の質問をやりますから、その間に答えを考えておいてください。  防衛庁にお尋ねいたしますが、九〇年四月の十二日の予算委員会で串原委員が、我が国の自衛隊は、低空飛行訓練を行う場合にどこでやってもいいのかという質問をしているのです。それに対する答弁は、低空飛行という定義はないけれども、「自衛隊機の飛行につきましても当然航空法の適用がございます。自衛隊の戦闘機につきましては、必要に応じ公海上やあるいは演習場の上空等で航法訓練、対艦攻撃訓練等を行っておりまして、その際法律の規定を遵守をしこまた、必要がある場合には、大臣の許可をもらってやります、こうなっているんですよ。  どこを飛んでもいいなんて全然言っていないですね。この答弁と今回の答弁は矛盾していると思うのですけれども、いかがですか。
  392. 小池清彦

    ○小池政府委員 このたび私が申し上げておりますことは、前回の答弁者が申し上げておりますとおり、航空法に違反した航行ではございませんで、航空法によりまして許された空域を、しかも千フィート以上というきつい指導のもとに、かつ、繰り返しになって恐縮でございますけれども、人家密集地を避けて飛んでおるわけでございます。  また、これも繰り返しになりますけれども、航法用のレーダーも使いまして安全に飛んでおりますので、このたびのような訓練飛行自体は危険な飛行ではないということを御理解賜りたいと存じます。
  393. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 政府委員の答弁は、自衛隊機が低空飛行訓練をする場合には演習場の上空でやりますと言っているんですよ。そうして、その演習場上空でやる場合といえども航空法は守ってやっています、こう言っているんですよ。それ以外の場合は運輸大臣の許可をもらってやるのです、こう言っているんですよ。どこを飛んでもいいなんて答弁してないです。そこが矛盾しているでしょうと言うんですよ。  あなたの答弁は、先ほど申し上げた百七十何条ですか、これのイの項とかロの項を守っておればやってよろしいという答弁ですよね。しかし、さきの答弁は、自衛隊機が低空飛行訓練をする場合は演習場の上空でやるのだ、その場合といえども法律は守るのです、こう答弁しているんですよ。全然違うじゃないですか。  それから、あわせて運輸省の方も答弁いただきたい。
  394. 池田行彦

    池田主査 時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。
  395. 小池清彦

    ○小池政府委員 演習場と前任者が答弁いたしましたのは、恐らく輸送機によります物件の投下訓練というようなことが頭にあったのではないかと思います。  また、ただいま先生がお読みになりましたその議事録によりましても、演習場などと言っておると思いますので、演習場のみでと言っておるわけではないと思います。
  396. 松本武徳

    ○松本説明員 お答えいたします。  最低安全高度の規定でございますが、この規定は国際標準に沿って定められたものでございまして、米国等の諸外国においても同様な規定が定められております。したがいまして、先ほども申しましたように、ハの項につきまして、地表または水面から百五十メートルと規定いたしましても、特段ふぐあいはないものと考えております。
  397. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)分科員 もう時間がありませんから最後に強調しますが、そういう答弁では納得できない。幾ら国際法で書いてあるとかいっても、解釈が合わないじゃないですか。密集しているところでは三百メートル以上ですよ。そしてそこに構築物がある場合には、構築物の高さプラス三百でしょう。人家のないところでは地表から百五十ですよ。そこに何か建っていたら、それをプラスした高さを飛びなさいとなっているんです。今度の自衛隊機の墜落機が飛んだ地域は家があるんです。高圧線も通っているんです。それであってもなおハの項を適用して、地表から百五十でいいというのは矛盾でしょうというんですよ。この矛盾は、私は何回も申し上げているけれども、こんなことが矛盾でないんだという答弁をするのであれば、いずれまた改めて機会を見てこの問題はやっていきたい。省令の改正を求めておきたいと思います。  終わります。
  398. 池田行彦

    池田主査 これにて佐藤恒晴君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  399. 草川昭三

    草川分科員 草川であります。  今度の国会では、本会議あるいは予算委員会を通じて、かつてないほど防衛費削減について基本的な討議が行われたことはなかったのではないかと思います。特に、公明党の場合は、ポスト冷戦のもとで世界的な軍縮の傾向を、我が国においても平和の配当として実現をすべく問題提起をしてきたつもりであります。  石田委員長の本会議討論で、政府の方からの、別表の改定もあり得る、あるいはまた市川書記長、二見政審会長、一般質問における山口質問等々を通じまして、この問題について具体的な提起をしてきたと思っております。  そこで、本日改めて二月の四日、当予算委員会で市川書記長の質問の問題を取り上げたいと思うのでありますが、市川書記長のいわゆる防衛大綱の見直し問題に関する質問に際しまして、宮下防衛庁長官は、防衛力のあり方について検討することになっているが、その検討の対象としては、別表だけではなく、これと連動する大綱本文をも含むというような趣旨の答弁をされたわけでありますけれども、本答弁について再度確認をしたいと思うわけであります。  特に、市川書記長はこの委員会の中で、いわゆるこの計画大綱については新しい哲学が必要ではないか、こういう言い方もしておるわけでありますし、大綱別表の見直しに通じることもあるかもしれないということを政府の方から答弁をしておるわけでありますけれども、これは別表だけを見直して大綱を見直さないということはあり得ない、こういう趣旨の質問もしておるわけであります。この点の確認を申し上げ、見解を賜りたいと思います。  また、この大綱は昭和五十一年に策定をされておるわけでありまして、今回の見直しに当たっては、今さら言うまでもありませんけれども、今日の国際情勢の激変等を受けて、大綱の「国際情勢」の部分があるわけでございますが、この「国際情勢」の部分についても当然見直すことになると思うのでありますけれども、防衛庁長官見解をお願いをしたい、こう思います。
  400. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 御答弁申し上げます。  草川委員の御指摘のとおり、二月四日の総括質問の市川書記長の御質問に対しまして、大綱の見直し問題につきまして私は答弁を申し上げました。これは、現在の中期防衛力整備計画の中に、人的資源の制約等からして、自衛官定数を含む防衛力のあり方について検討するというくだりがございまして、それに基づきまして検討をいたしますとなれば、そうなれば防衛計画の大綱に及ぶのではないかということでございました。  既に本会議等におきまして総理も、別表の改正に及ぶもの、検討の対象が及ぶものという御答弁を申し上げておりましたところ、結局、別表の改正ということは、つまりこの大綱の中に、市川先生にも御答弁申し上げましたが、「陸上、海上及び航空自衛隊の体制」ということが書かれておりまして、陸、海、空のそれぞれの機能、役割等が書いてあります。「以上に基づく編成、主要装備等の具体的規模は、別表のとおりとする。」ということがございますので、別表の改正ということになりますと、当然この本文のこういった問題に及ぶことは理論上あり得ることだ、こういうことを申し上げたわけでございます。この点は、私もそのように存じております。  第二点の国際情勢の変化の部分でありますが、御指摘のように、防衛計画の大綱につきましては、目的、趣旨の次に「国際情勢」という欄がございます。当時もデタントの傾向にありましたけれども、しかし米ソのまだ基本的な今日の冷戦構造の終結ということはございません。そういう中ではありましたが、そういうデタントの傾向を踏まえて防衛計画の大綱をつくったものでございます。  しかし今回、一昨年の十二月に今の防衛計画をつくるときに、やはり情勢の変化が大幅にその後ございます、当時のデタント情勢がよりレベルの高くなったものという見方を私どもはしておりますが、しかし、現実にはかなり大きな変化でございました。したがって、一昨年の十二月二十日に中期防衛力整備計画をつくる前日におきまして、この国際情勢の判断につきまして改めて国防会議等を開催いたしまして、そして平成三年度以降の防衛力整備のあり方についてということで、主として国際情勢の判断を改めてその時点における現実的な情勢を頭に置きつつ再確認をしておることは御承知のとおりでございまして、そういう意味では、基本的にデタントの傾向、それがより高まったものという基本認識は変わっていないと思いますが、より変化した、だれも想像しなかったような変化が起きているということを踏まえて、今の中期防衛力計画が定められたものでございます。
  401. 草川昭三

    草川分科員 要するに今の御答弁は、大綱の「国際情勢」も検討の対象となり得るということを改めて御認識なさった、こういうように受けとめてよろしゅうございますか。
  402. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 防衛計画の大綱の基本になった、デタントの情勢のもとで我が国の必要最小限度の基盤的防衛力をつくるという構想自体、これは、現在も私は正しいと存じますけれども、具体的な国際情勢の変化というものは、これはもう刻々変わるわけでございまして、大幅な変化がございます。そういう意味で、今後新しい検討をする際にも、こうした具体的な大きな変化、これを定着することをきちっと待って評価していくべきもの、このように思っております。
  403. 草川昭三

    草川分科員 じゃ次の質問に移りますが、大綱の見直しについて、これまた予算委員会でも随分いろいろな質疑が行われております。この大綱についてでございますけれども、将来において見込まれます若年人口の減少、これは長官の答弁があるわけでございますが、陸上自衛隊の自衛官定数の十八万人体制、この問題に手をつけざるを得ない、こう思うのでございますけれども、この点についての質問をまず第一に行いたいと思います。  同時にまた、仮にこの十八万人を下方修正した場合、すなわち、中期防の別紙十二の中にもあるわけでございますが、(3)「その現状を踏まえ、十五万三千人を限度とする。」というような文言もあるわけでございますけれども、このように下方修正した場合には、陸上自衛隊の師団等を含む編成のあり方や、当然装備の数量にもこれは影響を与えるものだと考えるわけでございますが、この点はどのようなことになるのかお答えを願いたい、こう思います。
  404. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 中期防の中で、ただいま申し上げましたように、将来における人的資源の制約等を考慮して、自衛官定数を含む防衛力のあり方の検討ということでございまして、この点は、市川先生にもはっきり申しましたように、本中期防中に検討を加え、次期防に反映させたい、こう申し上げております。  ただし、具体的に十八万人体制を何ぼにするかということは、これははっきり私も、まだこれからの検討の問題でございますから、当然今答弁する時期ではございません。これからの検討の結果でございます。  ただし、先生御指摘のように、この中期防には、十五万三千人を超えないということもまたメンションされておるのは、現実の自衛官の充足、その他の減員の問題がございますので、水期間中はそれ以上にすることはないだろうということが記述されております。これが今後の有力なめどになるかならないか、これは検討しなければならないと存じますけれども、いずれにいたしましても、十八万人体制という問題が一つの大きな焦点になることは間違いありません。  その場合に、それの変更等が行われますれば、御指摘のように師団編成その他、組織の問題にも及びますし、また組織のいろいろ改編その他が行われれば、特に、当然装備にも及びますし、いろいろの面で非常に大きな検討を要する要素が多いように存じます。そういうことでございますので、私どもといたしましては、国際情勢がこんなになっているからのんびりしていてはだめだよという御指摘もございますけれども、問題が問題であるだけに、きちっとした対応をしなければなりません。そのために中期防におきましても、本中期防期間中に結論を得てということになっておるわけでありますので、私ども、鋭意勉強をさせていただいておりますが、これを次期防に的確に反映をしていきたい、このように思っておるところでございます。
  405. 草川昭三

    草川分科員 そこの答弁、非常に重要なんですが、今の長官の答弁が少しトーンが違う場合があるんですね、我々聞いておりまして。非常にこれは報道にはね返りまして、必ずしも一様の報道になってない場合もあるのです。これは私ども非常に関心があるところなんですが、また後ほど説明をしますが、総理の答弁ともそこは食い違うとまでは言いませんけれども、明らかにニュアンスの違うところがあるのです。  そこで、これは非常に重要な点でございますので、念を押したいわけでございますが、主要装備の見直しにどれくらいの時間が必要なのか。長時間の検討時間が必要だと言っておりますが、総理の御答弁は後ほど、これは金額のことはきょう申し上げませんけれども、正面装備の金額が云々ということは申し上げませんが、平和の配当というような趣旨からいって、少なくとも平成五年度の予算に反映させたいような趣旨を総理は御答弁なすっている、そういうように我々は受けとめているわけです。  確かに長官はそれに対して、これは他の委員の方々の答弁にもありますけれども、五年に反映するというのは非常に難しいですよ、概算要求のことを考えるならば、少なくとも五月、六月には一定の腹を固めなければいけない、盛んにこの点については無理だ、無理だとおっしゃってみえるわけです。だとすると、それは六年に反映する、こういうことになるんですね。六年に反映ということになると、これは中期防衛力整備計画の中で、三年後の見直しということが書いてあるわけですから、最初から計画をしたところに落ちついてしまう。いわゆる総理自身は、少なくとも三年の見直しより前広に、前倒しにという御答弁があるわけですから、それを踏まえるとするならば、今の御答弁も、私は、長時間必要だということではなくて、これも前広に検討するというようにしていただかないと問題が起きるのではないか、こんなように思うのですが、その点はどうでしょう。
  406. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたのは、中期防の中で、大綱の検討に及ぶと申し上げております、自衛官定数を含む防衛力のあり方の問題を申し上げました。これは中期防期間中に大変時間を要する問題でございますから、それでやります、こういうことを申し上げたわけで、今委員の御指摘の点は、今度は中期防、現在の中期防の総額の範囲内における修正の問題だと存じます。  その点は、委員御指摘のように、これも当委員会でたびたび議論がございまして、総理も、昨年の十二月二十八日の安全保障会議におきまして、前広に検討を開始してほしいという御指示もございまして、防衛庁におきましては防衛力検討委員会を早速、これはもともと中期防をつくるときにあった、事務次官を長とする専門家集団の検討委員会でございますけれども、これを新たな中期防の見直しのためにさらにすぐに機能させまして、一月から機能させまして検討を開始しておるところでございます。  これは、総理の御指示も、前広にとにかく検討してほしいということでございまして、私どもとしては、総理の御指示どおり直ちに検討を開始しておりますが、何分にもなかなか、一年前倒しというお言葉も今ございましたけれども、そうなりますれば予算要求の手続といたしまして、概算要求時までには中期防の全体の検討をやって済ませておいて、なおかつ平成五年度の位置づけをすべきものというのが通常のあり方であります。なれば、非常に期間も短うございますし、私としては、やはりいろいろ検討を要する点もございますのでもうちょっと時間が欲しい、しかし検討は早期に精力的にやります、こういうことを御答弁申し上げておるわけでございまして、総理の御答弁とそう私は変わっていないというように理解をいたしております。
  407. 草川昭三

    草川分科員 いずれにいたしましても、その点は、きょうは分科会なものですから、二十二兆七千五百億の切り込み方の問題、きっぱりと切るとかという、その話の延長線とごっちゃになってはいけませんので、これはきょうは避けておきたいと思います。いずれにいたしましても、締めくくり総括では、ぜひ私は総理の方からも、今私が申し上げた後段の件についてはぜひ確認をさせていただきたい、こういうように思っておりますので、また別の機会にこれを御質問申し上げたいと思います。  第三問になりますが……
  408. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先生、中期防の修正見直しを前倒ししなければ平成五年度の予算が膨張的なものになるとか、そういうものでもございません。私どもは、十分今の中期防の性格を理解しておりまして、正面装備についても御案内のとおりでございますから、そういうものを踏まえての要求になることは当然でございますから、決してそれと離れたものということでもないわけでございます。
  409. 草川昭三

    草川分科員 特に我が党は、その点について非常に昨年来から中に立ち入って、実現可能な問題提起をしておるつもりでございますので、その点はしかと受けとめていただきたいことだ、こういうように思います。  次の質問は、平成四年度の予算において九〇式戦車が二十両調達をされることになっておりますけれども、一両当たりの価格、値段というものは一体幾らに積算をされておるのか、あるいは七四式戦車と比較すると大幅な値上がりになっていると思うのでございますが、いわゆるそれぞれの持つ諸元といいますか、そのものについてお答えを願いたい、こう思います。
  410. 関收

    ○関政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御審議をいただいております平成四年度予算におきます九〇式戦車の一両当たりの平均価格は十億九千万円でございます。また、七四式戦車でございますが、これを調達いたしました最終年度平成元年度予算でございますが、そのときにおきます単価が約三億九千万円でございますしからば、いかにしてこのような差が出てきたかということでございますが、元年度と四年度におきます物価の差等を別にいたしますと、大部分は性能が大幅に向上したということに起因するものでございます。  具体例としてどんな点が違うかということでございますが、まず火力性能でございますけれども、七四式戦車におきまして搭載いたします砲は百五ミリ戦車砲でございました。これが、九〇式におきましては百二十ミリ戦車砲を搭載しております。また、ディジタル式の射撃統制装置あるいは自動装てん装置等が組み込まれておりまして、走行中における迅速かつ正確な射撃が可能なものとなっております。  第二点は、機動性能でございますけれども、エンジンの馬力が大体二倍程度にアップをいたしております。また、自動変速装置あるいはまた懸架装置につきましても、油気圧式とトーションバー式と申しまして、ねじり棒方式と申しておりますが、そうした方式の組み合わせということを採用いたしまして、複雑な地形におきましても軽快に操縦することを可能にいたしておるわけでございます。  第三点は、防護性能でございますけれども、これにつきましても、特殊な材料を使用いたしました装甲あるいは対戦車ミサイルを検知する装置、これはレーザー検知装置でございますが、そういったものを装備いたしまして生存性の向上を図っておるところでございます。さらに、自動装てん装置等の導入によりまして、乗員の数をこれまで四名でございましたものを三名ということにいたしております。  そういったような非常に高い技術力と性能ということに見合った妥当な値段ではないかと私どもは考えておる次第でございます。
  411. 草川昭三

    草川分科員 約四億のものが十一億近いものだ、もちろん質的に性能がよくなっておるという答弁でありますが、平地が非常に少ない狭い日本というものを念頭に置いて考えますと、人口と産業が密集しているという日本の地理的な条件、それから我が国における地上戦というのはほとんど想定されないのではないか、こんなようなことを考えるわけであります。公明党が従来から主張しておりますように、ハリネズミ論というのですか、陸上防衛力、特にその中核である戦車については整備数量の削減を行うべきではないだろうか、金丸副総裁も同様趣旨のことを言っておみえになるようでございますが、防衛庁の見解をお伺いしたいと思います。
  412. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 我が国への上着陸侵攻に際して、できる限り洋上でこれを阻止するというのが基本でございます。しかし、洋上ですべて撃破できればよろしゅうございますが、これはなかなか困難な場合もございますので、幾重にも縦深性のある防衛力の保有が必要だと思っております。  そこで、陸上自衛隊はその上着陸した侵攻部隊を撃破する力として不可欠であるということに加えまして、そういうことが存在することが侵攻自体を断念させる抑止力として働き得るもの、このように私どもは陸上自衛隊の機能を評価し、見ております。  ところで、戦車でございますけれども、戦車は火力とか機動力とか防護力、そういう点でバランスのとれた装備でございまして、各種陸上戦をやる場合に、装甲、機動、打撃力の根幹として機能していることは申し上げるまでもありません。我が国のような地勢で戦車の利用可能性はないのではないかというのですが、戦史等に照らしてもそれは可能性が十分存在すると思っております。  いずれにいたしましても、我が国に対する侵略を防止するためには、陸海空自衛隊のバランスのとれた効率的な防衛力の整備が必要でございまして、私ども、陸上自衛隊のあり方について、各自衛隊のあり方について、防衛力のあり方について今後検討はいたしますけれども、基本的にはそういう必要性を痛感しておるところでございます。
  413. 草川昭三

    草川分科員 もう時間が五分しかございませんので、この問題については、先ほど申し上げましたように、今日的な国際情勢の中で新しい哲学を持ちながらの日本の基盤的な防衛構想というものを構築しなければいけないと考えております。この点についてはまだ別の機会に譲りたいと思います。  昨日、報道によりますと、自衛隊法の改正案が閣議決定されたというような趣旨の報道がなされております。それで、いわゆる在外邦人の救出に自衛隊機活用を決めた、これは政府専用機に限定しない、こういうことのようでございます。この中で、在外邦人救出の条項を自衛隊法の百条の八として規定する考え方であったようでございますが、これを今度は百一条の方に盛り込んだと言われておりますが、その経過は、どのような趣旨からこういうことになったのか、お伺いしたいと思います。
  414. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お答えいたしますが、これは法制局との間でいろいろ法制技術的な面の検討をされた結果でございまして、これは正確には法制局の方から御答弁いただくのがよろしいかと存じますけれども、折衝した局長の方からその概要等について御説明させていただきます。
  415. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 正直申し上げまして、百条の八とする案も当初はございました。百条の六というのが、現在、緊急援助隊法の改正案をお願いしておりまして、それに伴うものでございます。それから、百条の七がいわゆるPKO法案のものでございます。したがいまして、法律の提出順位からいいますと、百条の八という考え方も全く論理的に排除し得ないところでございます。  しかしながら、現在、百条の七ということが考えられておりますPKO法案の施行期日が、公布してから三カ月以内ということになっておることの関係で先後関係が複雑になる。これは施行されてから、施行の順位でやらなければならない。施行といいますか、実際に適用がされる、公布されて施行されている順位で要するに枝番をつけていくという法制的な技術的な概念がございましたので、それとの関係を避けるために百一条としたというふうな整理であるということを法制当局から聞いております。
  416. 草川昭三

    草川分科員 それはうがった見方をしますと、PKO協力法案が廃案というのですか、だめになるというようなこともあり得るという判断からそのようなことになっていくのではないだろうかとも思えるのですが、その点はどうでしょう。
  417. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 私もそんな疑問を感ぜざるを得なかったものですから確かめましたが、決してそのようなことではなく、法技術的な観点からそのように決定しましたという報告を受けておりまして、私もそのように存じております。
  418. 草川昭三

    草川分科員 これは新しい法律が提示されたら、その場でまた審議していくことが必要だと思っておりますので、あと一分くらいだと思いますので、高蔵寺の弾薬庫のことについてだけ質問いたしたいと思います。  これは前回の分科会でも申し上げておりますが、愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンに隣接をいたします航空自衛隊の高蔵寺弾薬庫の移転問題でございます。地元の方は、ピンポイント爆撃なんかが映像で映るたびに大変心配しておるわけでございます。その後どのような形で移転問題が進んでいるのか、お伺いをいたしまして、私の質問を終わりたい、こういうように思います。
  419. 三井康有

    ○三井政府委員 高蔵寺弾薬支処の移転問題につきましては、防衛庁といたしましては、代替施設の確保と所要の条件が満たされましたならば、この要請に基本的に協力するという考え方で臨んでおります。  既にこの移転問題は長い歴史を持っておるわけでございますけれども、移転先地の問題につきましてもこれまでいろいろございました。委員もよく御案内のことかと存じます。ただいまだに結論を得るというところまで参っておりませんので、引き続き前向きの姿勢で鋭意関係のところと検討、調整を積極的に進めてまいりたい、このように考えている段階でございます。
  420. 草川昭三

    草川分科員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  421. 池田行彦

    池田主査 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。  次に、古堅実吉君。
  422. 古堅実吉

    古堅分科員 米軍基地内でのPCB汚染問題についてお尋ねします。  去る二月二十六日、外務委員会でその質問をいたしましたが、問題がその後も含めてみても明らかにされていない、そういう状況を踏まえて再度の質問に及ぶものであります。  三月五日に日米合同委員会のもとに置かれている環境分科委員会、そこで開かれて若干の問題点が明らかにされたということを聞いておりますが、現在全国の米軍基地でPCBを使用した器具はどれほどあるのか、それらはいつまでに、どこの責任において撤去されるのか、まず最初にそのことを明らかにしてください。
  423. 大原重信

    ○大原政府委員 お答えを申し上げます。  在日の米軍基地の中でPCBを含んだ変圧器があるところ、数等につきましては、ただいま外務省及び環境庁がキャップになっております環境分科委員会においていろいろ情報を収集しておるところでございまして、当庁といたしましてはそれをつかんでいるところではございません。
  424. 古堅実吉

    古堅分科員 関係する防衛庁がそういう問題について何ら関知しないというほどにそれへの関心の薄さがあるのかと思って、改めて政府全体としての重大問題であり、外務委員会その他でも問題になってきていることについてその程度の認識や受けとめしかないのかと、実際にそのこと自体が重大だなというふうな感じがいたします。  PCBは、御存じのとおり一九七二年に国会でその追放の決議が行われました。そして、一九七四年製造禁止の法律ができましたし、二年後の一九七六年にはそれらを設置することそのものを禁止する法律も制定されました。その後米軍基地内ではそれをずっと使われておったということ自体が重大な問題ではないか、このように考えるわけです。そこらあたりについて、長官、どうお考えですか。
  425. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  レイ報告書、いわゆる米下院報告書によりますと、PCBが含まれる変圧器が所在すること及びPCBによる土砂汚染があることを指摘してございます。  現在までに明らかになりました内容について御説明を申し上げますと、嘉手納基地におきましてはPCBを含む変圧器が二個残っているが、近く撤去する予定であるというふうに聞いております。また、一九八六年に変圧器から漏出いたしましたPCBにより汚染された土砂は、本年三月までに掘削撤去する予定であると承知いたしております。また、キャンプ・マクトリアスのPCBといたしまして、日本人が持ち込んだ変圧器からPCBが漏出し、土砂が汚染しましたが、汚染土を撤去したというふうに米側から報告を受けております。また、岩国基地におきますPCBにつきましては、基地内に所在するPCBを含む変圧器がございますことを指摘しております。  当庁といたしましては、環境分科委員会の討議結果等を踏まえ、関係省庁とも調整しながら適切に対処させていただくという所存でございます。
  426. 古堅実吉

    古堅分科員 適切にとかそういうふうな抽象的な言い方を今どきやるということ自体が、外務委員会を通じ、日米合同委員会のもとにおけるところの委員会も開かれ、ここに至って質問も受け続けているというのにそういう抽象的な言い方しかできないということ自体が許されない、こういう問題なのですよ。ですから、先ほど長官にそういう事態をどう思うかというふうにお尋ねしているわけで、一九八六年に嘉手納基地で起こったPCB漏出事故、その漏出事故を起こした変圧器というのはどこの国の製品ですか。
  427. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  変圧器は米国製の変圧器であるというふうに報告を受けております。
  428. 古堅実吉

    古堅分科員 これは一体いつわかったのですか。重大問題ではありませんか。
  429. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  先ほどから御答弁させていただいておりますように、環境分科委員会を通じまして米側からいろいろな資料の提供あるいは情報の提供を受けております。それに加えまして、外務省を通じましてアメリカからもいろいろな情報を得ておりまして、これは最近得た情報でございます。
  430. 古堅実吉

    古堅分科員 今までその事故を起こした変圧器はあたかも日本製であるかのごとく我々に説明をし、そういう日本製を米国に持ち込むときには米国の特別の許可が要る、だからそのように時間がかかったんだというふうな思わせぶりの説明をしてきた、まことに許しがたいものです。これが米国製とわかったということの関係でこういう説明も全く成り立たなくなっています。  二月二十六日の外務委員会で、私はこの問題を重視し、政府のとっている態度が余りにもなまぬるいものがあるだけに具体的に問題を明らかにしろという質疑を行いました。その問題についてほとんど解明できませんでした。どれだけ問題が明らかにされたのか、そういう立場から具体的な問題について改めて聞きますから、前もってお知らせもしてあります、簡明にお答えください。  一、PCBが漏出した場所は具体的にどこか。単に嘉手納基地ですなどというふうな形では許されません。  二、PCB漏出の変圧器は何個で、漏出量はどれほどか。  三、漏出した変圧器は何年に米軍が取り外したものか。  四、その変圧器は尾根もある建物内に保管されたのか、それとも雨ざらしのような、庭に置いているような、そういう形で今日に至ったのか。  五、汚染土壌はこの三月に撤去完了するといいますけれども、六カ年も嘉手納基地に置かれてきた理由は何ですか。  以上、簡単にお答えください。
  431. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  嘉手納基地におけるPCB問題に関するお尋ねの諸点につきましては米側の運用にかかわることでございまして、当庁として直接お答えする立場にはございませんが、本問題に関し協議された環境分科委員会を通じ、あるいは外務省、環境庁さんを通じまして得た米側の説明を申し上げますと、  まず先生御指摘の一点、漏出の起こった場所につきましては基地内の沖縄市側、滑走路中央部分から南西方面にある保管場であるというふうに報告を受けております。  第二点、総変圧器数及び漏出量につきましては不明でございますが、漏出変圧器数については一個という報告を受けております。  また、三点、米軍が変圧器を取り外した時期につきましては不明でございますが、米国への搬出のために保管場へ運び込まれてから約一カ月程度と見られるという報告を受けております。  四点、取り外した後の保管方法につきましては、漏出を起こした変圧器は屋外にございましたが、上からプラスチック製の特別のシートで覆われております。  第五点、汚染土はなぜ六年間も放置されたかという点につきましては、現在までに掘削された汚染土は処理のため米本国に輸送されました。この種の汚染箇所の除去作業は反復して行う必要がございまして、また掘削された土を船積みのための特別なドラム缶に蓄える必要がございます。もし掘削を実施しても、PCBが残存しておれば繰り返し実施する必要があるということから、時間を要したものでございます。
  432. 古堅実吉

    古堅分科員 この漏出したときの状況というのは、土壌に深く汚染を起こすような状況のもとで起きたのですか。ということは、この変圧器はそういう土壌の、直接その上に野ざらしで置かれておったとかいうことが想定できるような状況であったのですか。
  433. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの件でございますが、的確にお答えできるだけの情報を米側から受けておりません。
  434. 古堅実吉

    古堅分科員 そういう態度はまことに重大です。防衛施設庁だからわからぬということではありますまい。環境分科委員会も開かれて今日に至って重大問題となり続けておるということなだけに、しかもこういう質問をしますということを事前にお伝えしてあるだけに、答えられないということは、政府がその問題について対アメリカとの関係で明らかにし切れていないということを意味せざるを得ないと思うのです。長官、そういう態度でいいとお考えですか。そのこと自体が問題だと思いませんか。
  435. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 いろいろ具体的な事実の言及がございまして、私も拝聴いたしておりましたけれども、本件汚染の問題等は、米側の基地内においても我が方の法律が基本的に適用になるわけでございますから、これらの点は日米間で極力詰め、そして事実関係について不明な点は、努力をされてもあるいはその回答が得られなかったというような事情もあったかもしれませんけれども、できる限り事実を明確にして、そしてその対応をきちっとしていかなければならないもの、このように存じております。
  436. 古堅実吉

    古堅分科員 これだけ重大問題となり、幾人からも外務委員会あるいは分科会、そういう中で質問を受け続けている、しかもまだ解明されない、そういうことについて長官、直接基地にも立ち入って、この問題についてもっと事実関係を正確に解明して必要な対処を急ぐということが求められておると思うのですが、どうお考えですか。
  437. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 ただいま部長の方から説明いたしましたように、ただいま本件につきましては事実の収集、米側からの情報の提供に努めている段階でございます。環境分科委員会におきましても、詳しい情報を提供してもらいたいということを私どもの方から申し、米側も提供するというふうに答えております。  したがいまして、その結果を待ちまして、それでもなおかつ立ち入りをしなければいけないという事情になるかどうか、まずとにかく情報を収集して判断をしてみたい、かように考えておるところでございます。
  438. 古堅実吉

    古堅分科員 その結果じゃなしに、既になまぬるい。もう立ち入りを求めて、そういう事実関係を解明するため積極的にやらなければいかぬというときなんですよ。  沖縄県の方は知事名で去る二月十四日に立ち入りを求めています。しかし、まだ返事が来ていません。みずからの問題としてこの問題を真剣に明らかにしようと思えば、すぐさまに立ち入りなどの方法をもって事実を解明せぬといかぬという方向に行かなければいかぬと思うのですよ。なぜ、かくもへっぴり腰にならざるを得ないのですか。何か理由がありますか。政治的な判断にかかわる問題が多かろうという人もおります。長官から御所見を承りたい。
  439. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 決して、政治的に何か特別の問題があって日米間で立入検査ができないというような事情ではございません。ただ、環境分科委員会が開かれましたのは、三月五日でございました。それから徐々に米側からも情報が提供されつつあるわけでございますので、その結果を我々は待ちたいということを申し上げておる次第でございます。
  440. 古堅実吉

    古堅分科員 環境庁にお聞きします。  環境分科委員会の協議の中で、一九八六年のPCB漏出事故が発生する前からPCBの処理に米側からの問題提起があったということを聞いています。それはいつの分科委員会でのことなのか、どういう問題が提起されたのか、御説明ください。
  441. 小澤三宜

    ○小澤説明員 これまでの環境分科委員会で行われましたPCBに関しますやりとりの概要についてお答えしたいと思います。時の経過に沿いまして御説明いたします。  まず一番初めは昭和五十二年でございますが、アメリカ側から、日本におけるPCB廃棄物を取り扱う施設、いわゆる処理施設ということだと思いますが、その存否につきまして照会がありました。日本側の回答といたしましては、日本において廃PCBを処理する施設はなく事業者が保管している、そういう状況について説明をしております。  次が昭和六十年でございますが、アメリカ側から、基地内に設置されている日本製のPCBトランスの基地外への撤去について、日本側に協力を求めるということがございました。  それから次は昭和六十一年でございますが、これは日本側からの説明ですが、PCB廃棄物を取り扱う施設というものが日本にはないということで、米軍自身でPCBトランスを保管していただきたいということを説明しております。それで、この説明の中で、保管に当たりましては、我が国の国内の事業者が行っておりますのと同様に、適切な保管施設によって飛散、流出あるいは地下浸透しないように保管願いたいという要請をしております。  次が昭和六十二年でございますが、アメリカ側から、PCBの長期の保管というものがアメリカの国内法で禁止されているということから、PCBトランスを日本側で保管してもらいたいという要請がございました。  次は昭和六十三年でございますが、日本側から、アメリカ側のそうした要望に沿うということは非常に難しいという回答をしておりまして、アメリカ側において引き続き適正に保管または処分をするように要請をしております。  その次が平成二年でございますが、アメリカ側は、日本製のPCBトランスをアメリカに持ち帰って処分をするということにつきまして、米国の環境保護庁の許可を申請していたけれども、ようやく許可になる運びになったということで、公式の承認がおりた段階でアメリカに送付したいという表明が行われております。  以上でございます。
  442. 古堅実吉

    古堅分科員 昭和五十二年、一九七七年になりますか、そのころから日米間でPCBの処理の問題をめぐっていろいろとやりとりをしている、そういうことが今のように具体的に明らかになりました。  ところで、このやりとりをしているさなかに一九八六年のPCB漏出事故というのが起きたということは、この経過は今の説明を受ければ余りにも明らかであります。そのやりとりの中で起きたPCBの汚染事故そのものについては何の説明もなかったと言うんですか。そんなはずはないじゃないですか。なかったんですか、あったんですか。
  443. 小澤三宜

    ○小澤説明員 環境分科委員会におきましてそのような話はございませんでした。
  444. 古堅実吉

    古堅分科員 まことにばかにされた、子供扱いされた環境分科委員会というふうに申しても返す言葉もありますまい。処理についてこれだけのやりとりを一回ならず数回にわたってなされている、しかも重大なこういう事故が一九八六年に起きた、それについて、いまだに日米合同委員会のしかるべき委員会にそういう報告も対処についての話し合いもなかったということ自体が、心底なかったというんであれば、これはまことにもって日米の合同委員会環境分科委員会というものが、アメリカ側からどのように子供扱いにされたものであるかということを意味するものであるし、日本政府の側がそれを隠しているなどとかいうふうなことだというのであれば、それそのものもまことにもって重大だと申さねばなりません。  アメリカ側からこの処理の問題について話し合いが持ちかけられたときに、そのような状況をつかんで、日本政府がアメリカとの関係でアメリカの責任においてこれをきちっとやるように、アメリカにその責任で撤去させるとかいうことについての政府の側のしっかりした態度があれば、この問題の事故を発生させずに済んだというふうにも思います。そういう面で、今回起きたPCBの汚染問題についての政府の態度と相まって、これだけ重大な問題にかかわる日米間の話し合いで、政府の側が真剣にそれを撤去させるなどという態度がなかったのではありませんか。振り返ってどうであったのか、そこらあたりについて御所見を伺っておきたい。一体どれだけのことをしてきたんだ。
  445. 小澤三宜

    ○小澤説明員 従来の記録といいますか、それによりますと、環境分科委員会におきましてアメリカ側から要請が行われましたことに対しまして、日本国内におきましても、PCBの廃棄物の処理施設というものが、こうした用途に使えるものがない、そういう現状が現実にあったわけでございまして、そうした状況をよく説明いたしまして、適正な保管をされたいというようなことをお願いしてきたわけでございます。
  446. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 本件のような問題は環境問題でございますので、日米間の協議の場といたしましてはやはり環境分科委員会が中心になるものであろう、こう考えます。私どもは、この環境分科委員会の協議等を踏まえまして、関係省庁とも連絡を密にして、調整を図りながらこうした問題に対処してまいりたい、かように考えております。
  447. 古堅実吉

    古堅分科員 環境庁長官はおられません。国務にかかわっては全体の立場から対処するという立場もおありでしょう、それで防衛庁長官にお伺いします。  この問題をめぐって国民、特に直接汚染の事態が起きた沖縄では重大な関心を持ってその対処を見守っています。立ち入り、そういう調査の方法さえも考えないままに時を過ごすということはもはや許されない、こう思います。その問題について、政治的な立場でも問題解決を早めるという立場から立ち入りの問題について検討されるお気持ちがあられるかどうか、そこをお聞きしておきたい。
  448. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 立ち入りの問題につきましては先ほど施設庁長官から申し上げたとおりでございまして、事実関係を米側に求め、そしてその究明、対策を環境委員会等できちっとすべきことは当然だと存じます。なお必要があればという施設庁長官の答弁でございますが、私も基本的にそう思います。きちっとしたそういう日米間の検討の場があるわけでございますから、精力的にこれに取り組む、そして、その上でさらに必要があれば進んだ手続をとっていく、こういうことであろうかと存じます。
  449. 古堅実吉

    古堅分科員 時間も少なくなりましたので残された質問をいたしますが、次はP3Cの沖縄海上自衛隊基地への配備に伴う関連の送信所建設にかかわる問題です。  御存じのようにこの問題が起きてからかなり年月がたちます。現地は沖縄県北部の本部町です。地元の人々がそれに断固として反対してまだ建設に及んでいません。その状況について、送信所の建設される概要、必要な面積、用地の取得がどの程度までいったのか、そこらあたりを簡単に御説明ください。
  450. 三井康有

    ○三井政府委員 お尋ねの本部に建設予定のASWOCの送信所でございますけれども、必要な建設工事としましては通信局舎、これは面積が約九百五十平方メートルを予定しておりますけれども、これの建設を平成四年度の中で予定をさせていただいております。それか石、これとともに鉄塔の新設を計画いたしております。それから、その他進入路等の附帯工事も計画いたしておりまして、以上申し上げましたことを合わせまして、契約ベースでございますけれども、約十三億円の予算を要求いたしておるところでございます。
  451. 古堅実吉

    古堅分科員 用地の取得はどうなってます。
  452. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  用地の取得につきましては百十九名の方々、八八%の方々の御同意を得ております。面積にいたしまして二十七万五千平米、八八%であります。これらの方の理解を得まして賃貸借契約を締結いたしておりますが、残る十六名の方、三万六千平米の土地所有者についても理解と協力が得られるよう、現在懸命に努めているところでございます。
  453. 古堅実吉

    古堅分科員 那覇基地へのP3Cの配備が昨年で完了しまして、実際ASWOCの建設完了とともに運用は進んでいるというふうに聞いています。本部町のこの送信所ができなくても運用はなされているというふうに理解できますが、そのとおりですか。
  454. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 ASWOCの施設につきまして既に運用が平成二年度から開始したということでございます。送受信所をつくる必要があるということで、受信所は平成三年度末からその運用を開始しまして、送信所についても現在整備を進めているという状況でございます。
  455. 古堅実吉

    古堅分科員 時間が参りましたので……。  米ソの超大国を頂点とする冷戦構造というのは、ソ連邦の解体によってなくなりました。政府はこのP3Cの配備関連施設などについてもソ連の脅威を云々して進めてきたし、全体として基地の強化を図ってきました。しかし、そういう理由さえもなくなってしまったのです。そういう中で今までの言い古されてきたような言い分、延長線上でこのようなことをあえて引き続き強行するということ自体が情勢にも見合わぬし、時代錯誤的な政治の進め方と申さねばなりません。国民の血税にかかわるものをむだ遣いしていると言っても過言ではありますまい。しかも、地元でそういう切実な反対の運動がある、それをもじゅうりんしようという立場も踏まえて……
  456. 池田行彦

    池田主査 古堅君に申し上げます。約束の時間が過ぎておりますので、質疑を終了していただきたいと思います。
  457. 古堅実吉

    古堅分科員 ですから、その建設の計画を直ちに撤回すべきであるというふうに強く申し上げて、終わらせていただきます。
  458. 池田行彦

    池田主査 これにて古堅実吉君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井光照君。
  459. 吉井光照

    吉井(光)分科員 本日は長官には早朝から大変御苦労さまでございます。私が最後の質問のようでございますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  まず、私はせんだっての福島における自衛隊機の事故原因についてお尋ねをしておきたいのです。  御承知のように、去る三月二日に航空自衛隊百里基地を飛び立ったRF4E偵察機が偵察飛行訓練中に、福島県の山村に墜落し乗員二人が死亡する事故が発生をしたわけでございます。この墜落機は田んぼに突っ込んだ後に国道でバウンドをし、機体は広範囲に飛散をした。そして周辺の約百三十戸が停電をしたほか、一時は山火事になったわけですが、間もなく鎮火をいたしました。幸いに数十メートル離れたところに点在する民家や住民を巻き込む大惨事にはならなかったわけですが、そのおそれも十分あったと思われる事故でございます。  そこで、機長は飛行時間四千四百時間のベテラン、現場空域の気象状況もやや雲があったものの飛行には支障がなく、指定された高度も遵守していたし、墜落機からは事故直前まで正常な無線交信があったと言われております。したがって、機自体のトラブルの可能性、それから低高度訓練との関連などの面からこの事故原因の究明に当たっているようですが、これが究明されたのかどうか、まずお尋ねをしておきたいと思います。
  460. 小池清彦

    ○小池政府委員 現在、鋭意事故調査中でございます。事故発生後直ちに航空自衛隊の航空事故調査委員会が調査を開始いたしております。
  461. 吉井光照

    吉井(光)分科員 究明中ということでございますが、それでは、現在百里基地には同型の偵察機が十四機配備をされております。当面、同機種の飛行を中止をしていらっしゃるようですが、今もそれがずっと続いているのかどうか。また、この事故原因が究明されるまでは飛行訓練は中止されると言っておられますが、それとも原因が究明されなくてもある程度期間が経過するならば訓練が再開されるのかどうか。  また、自衛隊機の墜落事故は、昨年四月、福岡県の芦屋町でT1ジェット練習機が墜落をして乗員二人が死亡した事故や、また同年七月にブルーインパルスが編隊飛行中、二機が同時に海中に突っ込んで二人死亡するなど、昨年一年間だけでも四件発生をして、そして犠牲者も六人に上っております。いずれもまだ事故原因の究明がなされていないということですが、究明の見通しはどうなのか、また事故関連機の飛行訓練はいつから再開されるのか、お尋ねをいたします。
  462. 小池清彦

    ○小池政府委員 RF4Eの数でございますが、十四機ございましたのが、一機このたび墜落をいたしましたので十三機になりました。  そこで防衛庁といたしましては、事故発生後直ちにこのRF4E十三機の飛行を停止いたしまして特別点検を実施いたしました。また、乗員に対しまして現在安全教育を実施中でございます。また、墜落した機体は警察から引き渡しを受けましたので、現在調べておるところでございます。そこで安全教育も十分に行いまして、またこの事故機につきましても様子がわかりましたところで飛行の再開につきましては検討をいたしたいと考えております。
  463. 吉井光照

    吉井(光)分科員 芦屋町での事故、これはどうですか。
  464. 小池清彦

    ○小池政府委員 昨年起きましたのは、昨年三月に起きました浜松沖でのT4の墜落事故が墜落をいたしました最初の事故であったと記憶いたしております。そこで、そのT4の事故につきましては、近いうちにその調査結果が発表できる見通しでございます。今鋭意作業の詰めを行っておるところでございます。何分にもパイロットが二人とも死亡しておりますので、事故原因を究明するのに難渋いたしましたけれども、近い将来発表できると思います。
  465. 吉井光照

    吉井(光)分科員 こうした墜落事故以外にも、例えば二月二十六日に民間機と自衛隊機が滑走路を共同利用しておるところの名古屋空港で、離陸しようとした自衛隊の訓練機と、それから管制の指示を勘違いした軽飛行機との間で数十メートルのニアミスがあった、こういうことが運輸省の調べでわかったわけですが、こうしたいわば事故と紙一重の出来事について自衛隊では把握されていないのか。もし把握していらっしゃるのであるならば、昨年一年間でこうした事件が何件発生をしているのか。  ともかく、いずれの墜落事故についても事故原因が究明されていないようであるならば、一刻も早い究明努力と、それから事故データの分析等によってこの航空機事故の抜本的な安全対策の見直しが必要であると思うわけでございますが、この点についてどのような取り組みをされているのか。  また、米軍岩国基地にも米軍機と海上自衛隊の飛行機が配備をされて、これも高度な訓練が頻繁に実施をされているだけに事故発生件数も非常に多く、今までに三十一件の墜落とそれから落下物等、合計で六十五件に及んでいるわけでございます。これはもう岩国に限らず、航空機事故が起こるたびに岩国市民を初め山口県民は非常に敏感になっているわけでございまして、こうした安全対策について非常に強い関心を持って注目をしているわけでございますが、この点についてひとつもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  466. 小池清彦

    ○小池政府委員 先生最初におっしゃいました名古屋空港の事件につきましては、自衛隊機には全く非はございませんで、民間機が管制官の言うことを勘違いしたために起こったものでございます。したがって、自衛隊機がニアミスを犯したわけではないわけでございます。  そこで、自衛隊機が起こしたニアミスでございますけれども、過去一年間に自衛隊機が起こしたニアミスは皆無、一件もございません。なお、これは昭和六十二年八月以来起こしておりませんで、昭和六十二年に二件起きておりますが、その前はまた起きておりませんで、昭和五十八年に二件起きておる。その前が昭和五十五年に一件起きておるというような状況でございまして、現在で申しますと、昭和六十二年八月以来自衛隊機はニアミスを起こしていないということでございます。それが一つのお尋ねであったと思います。  それから、自衛隊機の安全対策の見直しが必要と考えるかどうかという点でございますけれども、先生おっしゃいますように、最近自衛隊機の墜落事故が比較的多いことは事実でございます。私どもも頭を痛めております。防衛庁といたしましては、現在全力を挙げて安全教育を実施いたしております。また、事故の原因の究明に全力を挙げておるところでございまして、その事故調査の結果に応じまして、さらに安全対策を講じてまいりたいと存じます。  なお、今までも防衛庁はこの航空安全には殊のほか意を用いてきたものでございまして、航空管制用のレーダーでございますとか、あるいは航空保安施設等の整備には大いに意を用いまして、また航空従事者の教育等各種の安全対策を推進してきておるところでございます。  また、昭和六十一年に事務次官を長とする自衛隊航空関係事故防止対策委員会を設置いたしまして、防衛庁挙げて事故防止に取り組んでおるところでございまして、ただいま申し上げました委員会は大変有効に機能いたしております。そのような次第でございまして、また先生の御指導も賜りながら、航空安全のために原因の究明等全力を挙げてまいりたいと存じます。  次に、岩国のお話でございますが、岩国につきましては、自衛隊サイドから申しますと、この基地の航空管制は米軍が一元的に行っておりますので、したがいまして、安全上の問題がその点においてないというふうに私どもは考えております。やはり管制が一元化されておるということが何よりも大切であると考えております。さらに、これに加えまして、岩国飛行場における安全のための連絡体制がございまして、米海兵隊岩国航空基地周辺地域航空事故防止連絡協議会というものが設けられておりまして、米軍、海上自衛隊、それから防衛施設庁、山口県、岩国市、警察、消防、海上保安庁、これらの間で協議を行っておるところでございます。  また、米軍と海上自衛隊の航空機運航関係者の会議をおおむね毎月開いておりまして、また、展示飛行等の特別な飛行がある場合には互いに連絡通報を行う等、安全のための緊密な連絡調整に努めておるところでございますが、先生のお言葉も外しまして、私ども岩国基地における安全対策にはなお一層意を用いてまいりたいと存じます。
  467. 吉井光照

    吉井(光)分科員 安全対策には非常に気が使われているようでございますが、そこで、岩国基地の密集地上空訓練と、それから航空法についてでございます。  既に御承知のとおり、この米軍岩国基地は西側に民家、そして川を挟んで東側に石油コンビナートを初め工場群が密集をする地域でございます。したがって、基地上空で飛行訓練を行うことは一歩間違えれば大惨事の危険をいつもはらんでいるわけでございますが、去る二月十三、十四、十五、十七日、この基地所属のTA18ホーネット戦闘攻撃機が基地の上空でいつもとは違う急上昇、それから宙返り、横転、背面飛行など、いわゆる曲技飛行まがいの訓練をしていたと言う人、それからビデオにもこれを撮っている人、現に岩国市にも市民から飛行コースがおかしいじゃないか、このような問い合わせがあったということでございます。  これを重視した岩国市では、早速県を通じまして外務省に確認とそれから安全対策について照会をしたところ、外務省からは、二月下旬からシンガポールで行う飛行機の性能を見せるための展示飛行訓練なのでアクロバット飛行ではないし、安全面でも主に滑走路上空で飛行したし、パイロットも二千時間以上のベテランである、こういう説明があったようでございます。  しかしながら、実際は何が展示飛行であって何が曲技飛行かは区別は非常に難しいわけでございまして、まあ、たとえ展示飛行でもまた曲技飛行と大差のないほど高度な操縦技術が要求されて、反面、大惨事を招く事故の危険性においては何ら変わらないわけでございます。その意味で三月二日、岩国市は基地に地域住民に不安を与えるような訓練は実施しないよう要請したのに対しまして、基地側は安全に気をつけてやっていきたい、こういう回答がありました。  本来、航空法第九十一条第一項によりますと、自衛隊機が人やそれから民家の密集地上空などで曲技飛行や訓練をする場合は運輸大臣の許可が必要、また、法的には義務を負わないけれども、実際には飛行区域の地元自治体にもお知らせという形で事前通告がある。しかしながら、在日米軍機の場合がこうした曲技飛行等を行う場合には航空法特例法により航空法第九十一条第一項の適用は受けないわけであります。  岩国市はこの点に関しても外務省に照会したところ、三月四日、外務省からは次のような回答があった。  一、「航空法第九十一条第一項の曲技飛行については、運輸大臣の許可が必要である旨定めているが、航空法特例法により米軍機には適用されない。」  二番目として、「関係地方自治体を含む日本側へ届け出または事前通報を義務付ける法令等はない。」  三番目として、「一般国際法上、接受国の同意を得て駐留する外国軍隊は、接受国の国内法令を尊重すべきものとされている。したがって、我が国の法令を尊重しつつ、公共の安全に妥当な考慮を払って、活動すべきことは当然であり、米軍もこの点には、十分に留意しているものと承知している。」  しかし、同じ基地内で自衛隊機は運輸大臣の許可がないと訓練ができなくて米軍機は自由だとすると、航空機事故の起こる危険性は極めて高く、安全性に大きな欠点があることにはならないのか。先ほどの御答弁で管制塔が一つであるからということでございますが、防衛庁は米軍との間で相互に、同時期に訓練飛行する場合の安全対策、これはもう絶対間違いないと言えるのか、この点いかがですか。
  468. 大原重信

    ○大原政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のとおり、十三、十四、十五及び十七日に展示飛行が行われたということは承知しているところでございます。私ども施設庁といたしましては米軍の運用について承知する立場にはございませんが、念のために外務省に問い合わせしましたところ、米軍は安全には最大限の考慮を払って行ったという回答があったというふうに伺ったところでございます。  いずれにいたしましても、地位協定の規定にございますように、米軍は公共の安全に妥当な考慮を払わなければならないという立場にございますので、当庁といたしましては、今後とも米軍に飛行の安全について十分考慮するよう求めてまいる所存でございます。
  469. 吉井光照

    吉井(光)分科員 次に、岩国基地の沖合移設についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、この沖合移設計画は、七三年度から調査が開始をされまして、来年度までの調査費が約二十五億円の多額に上るわけでございます。来年度予算でも沖合移設を前提とする環境アセスの取りまとめの調査費として二億八百万が計上をされたわけでございますが、本年八月の概算要求時には沖合千メートルに移すA案で方針が決まる、このように地元では大きい期待を寄せているわけでございます。  ところが、防衛費削減の話でにわかに移設実現はまだ流動的な要素がある、こういう空気も市民の中にあるわけでございまして、二十年来の悲願を目前にして、この期に及んで今さら何をというのが地元民、県民の素直な声でございます。また、航空機騒音もエスカレートするばかりで、二月二十四日から昼夜五日間にわたり行われたところの米空母艦載機の着艦訓練は、最近の着艦訓練の記録回数を大幅に上回った。そして、受忍限度を超えた着艦訓練と言われた昭和六十三年秋の訓練をも上回るものであった。したがって、もう限界の極に達しているということでございます。したがって、この際こうした住民の不安を一掃する意味で、以下の三点についてひとつお尋ねをしたいと思います。  まず一つは、この岩国基地そのものの存在意義というものに、今までの考え方に変化はないのか。二つには、沖合移設計画は当初の計画どおり変更なく着々と進んでいるのかどうか。そして三つ目には、ことし八月の概算時でA案でいくのかどうかを決めるとの認識でいいのかどうか。このスケジュールは、私たちは県民に対するところの約束であったはずでございます。この三点についてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  470. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 まず第一点目は、岩国基地の存在意義と申しますか、そういうものであろうかと思いますけれども、これにつきましては、これは御案内のように在日米軍及び自衛隊にとって極めて重要な基地でございますので、この意義は今後とも変わらない、かように考えております。  それから、沖合移設計画については整々といっているのかという問題につきましては、御案内のとおり現在の計画は、A案、B案につきまして平成元年から平成四年までをかけましていろいろな観点からこれを調査して決めるということになっております。それで、平成三年度までは予定通りの予算をちょうだいしておりますし、ただいま御提案申し上げております平成四年度の予算におきましても、二億八百万円の調査費をお願いしているところでございます。  それでは、これを本年の概算要求までに結論を出すのか、地元の希望しているA案で結論を出すのかどうかという点につきましては、実はまだこの最後の調査費でございます平成四年度の予算が御審議をいただいている段階でございますので、その予算を成立させていただき、調査を行いまして財政事情その他のことをいろいろ勘案した上で判断をすべきものだと思います。したがいまして、現時点において何月にどのように決めるということはまだ申し上げられる段階にございません。
  471. 吉井光照

    吉井(光)分科員 いずれにしろもうこの問題につきましては私も何回となくここで質問をさせていただきましたし、それこそ市民もことしこそは、こういうことで非常に大きい期待を寄せているのも皆さん方もう御承知のとおりだと思います。したがって、ぜひとも市民や県民が希望するところのA案でひとつ実施をしていただくようにくれぐれもお願いをしておきたいと思うわけでございます。  そこで、防衛庁長官お尋ねしておきますけれども、今国会の重要課題の一つとなっているところの防衛費削減問題、これにつきましては、三月二日の衆議院予算委員会総理が中期防衛力整備計画に関連をして、できるだけ急いで見直したい、このように答弁をされて、そして早ければ九三年度予算の中で防衛費の削減をする方向で努力することを改めて表明をされたわけでございますが、この防衛大綱の見直し及び中期防の見直しとその時期は九三年度に可能かどうか、ここでもう一度お伺いをしておきたいと思います。
  472. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 二つ問題がございまして、中期防の三年後見直しにつきましては、これを前広に検討するということで総理の御指示もございまして、今鋭意防衛力検討委員会を設けまして検討中でございます。しかし、中期防におきましてはこの三年後見直しを明定しておりますし、なかなかこれを一年繰り上げるということになりますといろいろの諸要素もございますので、前広に精力的には検討はいたしますが、今はっきり申し上げるわけにはまいりません。  私としては、一年繰り上げということになりますと、概算要求時までに中期防の全体の見直しをやらなくちゃいけないということに理論的にもなりますので、その点は計画どおりいたしたい、こう思っておるところでございます。総理のおっしゃったのは前広にひとつ検討してほしいということでございますから、私どもその趣旨に沿ってやらせていただいているところでございます。
  473. 吉井光照

    吉井(光)分科員 最後にもう一点だけ。  ちょっとこれは技術的な問題かもわかりませんが、基地の問題についてお尋ねをしておきたいのです。  例えば岩国基地が沖合に移設されたとして、そして地元では現滑走路を今度は民間として使いたい、このような意見が非常にあるわけですけれども、先ほどからいろいろと話も出ました民間とそれから米軍とが共同使用、滑走路は違うわけでございますけれども、一つの空港をそのような格好に使うということが可能なのかどうか、ちょっと技術面で教えていただけたらと思います。
  474. 藤井一夫

    藤井(一)政府委員 ただいまの岩国の滑走路の問題につきましては、現在A案、B案二つの案について実施の見通し等について種々検討している段階でございますので、具体的に、技術的にそういうことは可能かどうかということをお答えする段階にないのでございますけれども、いずれにいたしましても私どもの計画におきましては、民間空港と共用するということを前提にこの移設問題を検討しているわけではない、要するに米軍と自衛隊が使う基地を沖合に移設をするかどうかという観点か一つ検討をさせていただいております。
  475. 吉井光照

    吉井(光)分科員 終わります。ありがとうございました。
  476. 池田行彦

    池田主査 これにて吉井光照君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十二日午前九時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十一分散会