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1992-03-30 第123回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月三十日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    愛野興一郎君       粟屋 敏信君    池田 行彦君       内海 英男君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       鹿野 道彦君    唐沢俊二郎君       倉成  正君    後藤田正晴君       左藤  恵君    佐藤謙一郎君       志賀  節君    戸井田三郎君       萩山 教嚴君    浜田 幸一君       原田  憲君    松永  光君       松本 十郎君    村田敬次郎君       村山 達雄君    柳沢 伯夫君       井上 普方君    伊東 秀子君       加藤 万吉君    小岩井 清君       新盛 辰雄君    関  晴正君       筒井 信隆君    戸田 菊雄君       日野 市朗君    水田  稔君       和田 貞夫君    和田 静夫君       石田 祝稔君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    児玉 健次君       正森 成二君    中野 寛成君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会 塩川正十郎君         委員長         国 務 大 臣 加藤 紘一君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 岩崎 純三君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     伊江 朝雄君         (沖縄開発庁長         官)         国 務 大 臣 宮下 創平君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 野田  毅君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣 伊藤 博行君         官房内政審議室         長         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一 大森 政輔君         部長         人事院事務総局 山崎宏一郎君         職員局長         内閣総理大臣官 高岡 完治君         房審議官         警察庁長官官房 井上 幸彦君         長         警察庁警務局長 安藤 忠夫君         警察庁刑事局長 國松 孝次君         総務庁長官官房 八木 俊道君         長         総務庁長官官房         審議官     小山 弘彦君         兼内閣審議官         総務庁人事局長 山田 馨司君         総務庁行政管理 増島 俊之君         局長         総務庁統計局長 井出  満君         北海道開発庁総 竹内  透君         務監理官         防衛庁参事官  三井 康有君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練 小池 清彦君         局長         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁施設 大原 重信君         部長         経済企画庁長官 藤井  威君         官房長         経済企画庁調整 柳沢  勝君         局審議官         経済企画庁国民 加藤  雅君         生活局長         経済企画庁物価 小林  惇君         局長         経済企画庁総合 長瀬 要石君         計画局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         科学技術庁長官 林  昭彦君         官房長         科学技術庁科学 須田 忠義君         技術政策局長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術振興局長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         沖縄開発庁総務 造酒亶十郎君         局長         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁長官官房 森   悠君         会計課長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         法務大臣官房長 則定  衛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         法務省人権擁護 篠田 省二君         局長         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務大臣官房領 荒  義尚君         事移住部長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省条約局長 柳井 俊二君         大蔵大臣官房長 篠沢 恭助君         大蔵大臣官房審 小川  是君         議官         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省理財局次 吉本 修二君         長         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部大臣官房総 井上 孝美君         務審議官         文部省初等中等 坂元 弘直君         教育局長         文部省教育助成 遠山 敦子君         局長         文部省高等教育 前畑 安宏君         局長         文部省高等教育 奥田興志清君         局私学部長         文部省学術国際 長谷川善一君         局長         厚生大臣官房長 古川貞二郎君         厚生大臣官房総 大西 孝夫君         務審議官         厚生省保健医療 寺松  尚君         局長         厚生省薬務局長 川崎 幸雄君         厚生省社会局長 末次  彬君         厚生省児童家庭 土井  豊君         局長         厚生省保険局長 黒木 武弘君         厚生省年金局長 加藤 栄一君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 山本  徹君         房予算課長         通商産業大臣官 内藤 正久君         房長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業大臣官         房商務流通審議 麻生  渡君         官         通商産業大臣官 榎元 宏明君         房審議官         通商産業省立地 鈴木 英夫君         公害局長         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         工業技術院総務 横田 捷宏君         部長         資源エネルギー 山本 貞一君         庁長官         資源エネルギー         庁長官官房審議 末広 恵雄君         官         中小企業庁計画 桑原 茂樹君         部長         運輸大臣官房長 豊田  実君         運輸省運輸政策         局次長     向山 秀昭君         兼内閣審議官         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         高等海難審判庁 杉山 陽一君         長官         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省労働基準 佐藤 勝美君         局長         労働省婦人局長 松原 亘子君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房会 近藤 茂夫君         計課長         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君         自治大臣官房総 滝   実君         務審議官         自治大臣官房審 遠藤 安彦君         議官         自治大臣官房審 石川 嘉延君         議官         自治省行政局公 秋本 敏文君         務員部長         自治省税務局長 杉原 正純君  委員外出席者         参  考  人         (日本国有鉄道 石月 昭二君         清算事業団理事         長)         参  考  人         (日本国有鉄道 杉田 昌久君         清算事業団理         事)         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ————————————— 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   筒井 信隆君     吉岡 賢治君   冬柴 鐵三君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   吉岡 賢治君     筒井 信隆君   薮仲 義彦君     冬柴 鐡三君 同月二十七日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   大内 啓伍君     中野 寛成君 同月三十日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     萩山 教嚴君   鹿野 道彦君     佐藤謙一郎君   井上 普方君     和田 貞夫君   市川 雄一君     石田 祝稔君   不破 哲三君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     鹿野 道彦君   萩山 教嚴君     越智 伊平君   和田 貞夫君     井上 普方君   石田 祝稔君     市川 雄一君   正森 成二君     不破 哲三君     ————————————— 三月二十七日  平成四年度一般会計暫定予算  平成四年度特別会計暫定予算  平成四年度政府関係機関暫定予算 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成四年度一般会計暫定予算  平成四年度特別会計暫定予算  平成四年度政府関係機関暫定予算      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計暫定予算平成四年度特別会計暫定予算平成四年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して議題とし、審査に入ります。  まず、三案の趣旨について政府説明を聴取いたします。羽田大蔵大臣。     —————————————  平成四年度一般会計暫定予算  平成四年度特別会計暫定予算  平成四年度政府関係機関暫定予算     〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  3. 羽田孜

    羽田国務大臣 このたび、平成四年四月一日から同月十一日までの期間につきまして暫定予算を編成することといたしましたが、その概要について御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げます。  暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、今回の暫定予算におきましても、人件費事務費等経常的経費のほか、既存法令等により支払い期日が到来する経費などについて、暫定予算期間中における行政運営上必要最小限経費を計上することといたしております。  なお、新規の施策に係る経費につきましては、原則として計上しないこととしておりますが、生活扶助基準等の引き上げ、国立大学の学生の増募等教育及び社会政策上等の配慮から特に措置することが適当と認められるものにつきましては、所要額を計上することといたしております。  また、公共事業関係費につきましては、新規発生災害に係る直轄災害復旧事業費のほか、直轄事業維持修繕費等について、暫定予算期間中における所要額を計上することといたしております。  地方交付税交付金年金恩給等暫定予算期間中に既存法令等により所要の支出を必要とするものにつきましては、それぞれの法令等に従い所要額を計上することといたしております。  歳入につきましては、税収及びその他収入暫定予算期間中の収入見込み額並びに前年度剰余金を計上することといたしております。  以上の結果、今回の一般会計暫定予算歳入総額は一千五十八億円、歳出総額は五兆五千二百四十四億円となります。  なお、五兆四千百八十六億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りにつきましては、十四兆三千億円を限度として、必要に応じ大蔵省証券を発行することができることといたしております。  次に、特別会計及び政府関係機関暫定予算につきましても、一般会計の例に準じて編成いたしております。  なお、財政投融資計画につきましても、一般会計に準じ、暫定予算期間中に必要になると見込まれる最小限度の額として、住宅金融公庫、国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対し、総額一千百六十億円を計上することといたしております。  以上、平成四年度暫定予算につきまして、その概要を御説明いたしました。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。  以上であります。
  4. 山村新治郎

    山村委員長 これにて大蔵大臣説明は終わりました。     —————————————
  5. 山村新治郎

    山村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長石月昭二君及び理事杉田昌久君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 山村新治郎

    山村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  8. 松浦利尚

    松浦(利)委員 きのう、群馬における衆議院の補欠選挙で、私どもは惜敗をいたしました。極めて残念だと思っています。しかし、いずれにいたしましても、今度の選挙結果は、国民景気浮揚はもちろんでありますが、それより以上に、今日起こっておる佐川、共和等政治腐敗についてさらに徹底的に解明をせよ、政治改革を徹底的に進めてもらいたい、そういう選挙結果が我が党に威しぐあらわれてきたものだと私は受けとめております。  それだけに、きょうあえて問題を提起させていただきます一、二の問題について、政府の方から的確な、そして担当大臣から明確なお答えをいただきたい、そのことを冒頭申し上げておきたいと思うのであります。  まず最初に、実は、六十三年の七月の二十三日に起こりました遊漁船第一富士丸海上自衛隊潜水艦なだしお」の衝突事故についての経過について、若干不明財問題点がありますから、その点について具体的にお答えをいただきたいと思うのであります。  御承知のように、この事件は、とうとい三十数名の命を奪った海難事故でありましたし、また、通常民間の船舶の海難事故というのは極めて多いのでありますが、対象が海上自衛隊であるという点について特異のケースだったと思うのであります。特にそれが潜水艦という自衛艦であったというところに特質があったと思うのでありますが、これが当初海上衝突予防法による避航義務、これがいずれにあったかということの法理論を中心として現場検証等が行われ、議論されるものと期待をしておったのでありますが、途中から船員義務という条項を適用する内容に変わってきたことは御承知のとおりであります。しかし、なお第一審におきましては、それでやっても「なだしお」側に、海上自衛隊側に主要な責任がある、そういう意味で、海上自衛隊の第二潜水隊群に対して、横浜地方海難審判庁勧告を行ったわけであります。そしてまた一方、富士丸近藤船長に対しては海技免許一カ月の停止処分を行ったところであります。  ところが、実は、この第一審の審判が行われておるさなかに、実は平成元年の三月の九日でありますが、高等海難審判庁長官小林芳正さん、この方が、オフレコ前提といたしまして、この衝突には船員の常務が適用になる、海上衝突予防法三十九条が適用になるというふうに述べて、これを逆転審決になるということをオフレコで流しておるという事実が今明らかになったわけであります。まだ第一審の審決が出ておらない、審査の途中であります。しかもこの前長官は、小林さんは、この審決参加はいたしておりません。そういう人が、上級審であるにかかわらず、既に第一審の審理が行われておるさなかに、これは先ほど申し上げましたように船員義務前提とした審決になるんだ、要するに横切り船の航法を適用するこういったものは除外されるんだ、逆転になるんだ、こういうことを示唆をしたのであります。これはもう既に審決長官が知っておったということが前提になると思うのであります。これがもし事実だとすれば、極めて遺憾な問題であります。  確かにこの海難審判庁というのは運輸省の外局であります。長官の任今も運輸大臣であります。ですから、行政の意思を働かそうとすれば必ず働く、動くわけであります。今までは民間船同士でありますから、行政が介入するという素地は全くない、公平に審決をすることができる。しかし、片一方に国というもの、海上自衛隊というものがここに現存しておる。海上自衛隊民間の遊船、これが海難事故を起こした場合には、行政の力、内閣の力が働くということが現実にこういう姿であらわれてきておるではないか。  これから海上自衛隊海難審判事件というのが多くなるかもしれない。浦賀水道などではもう自由に出入りをする、極めて危険だ。民間の方からも、黒い船を見たら逃げるという形で逃げまくっておるという状況だそうです。  こういう海難審判庁というものが公平を欠くものが行われるとすれば、これはゆゆしき問題だと思うのでありますが、こういう事実について、運輸大臣はどう思われますか。  そしてまた、この長官は、既にもう職を去っておられます。しかしこの小林さんが現実に、オフレコという形で、こう逆転をするということをオフレコ新聞記者団に話をしている。極めて重大な問題だと思うのです。これは運輸大臣、この点についてどう判断をされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 杉山陽一

    杉山政府委員 お答えいたします。  平成元年三月九日に小林長官新聞記者との懇談会が行われたことは承知しておりますが、当日の話の内容については承知いたしておりません。  海難審判の裁決は、審判を構成する合議体専権事項でありまして、合議体以外の意見に左右されることはありません。
  10. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今あなたの言うことが本当なんです。今あなたが言うことが本当なんですよ。  ところが現実には、その今あった、あなたが言う三月九日の新聞記者会見で、オフレコという形で、裁判記録を閲覧もしない、審理参加もしておらない小林という長官が、逆転をする、こういうことを事前に知らせておる。しかも、一審判決一はそのとおりになっておる、現実に二審判決もそのとおりになっておる。二審判決はまだ悪い。両方とも悪い、そして一審で勧告した自衛隊に対する勧告がなくなって、近藤船長だけが海技を一カ月免許停止になっている。まさに片手落ちなんです。  これは通常裁判ではない。結局、行政の一補助機関として存在をする、独立性がない、そのことを教えておるのじゃないですか。あなたは内容は知らぬとこう言っておるけれども、現実にこれから海上自衛隊民間とが衝突したときに、海難事故を起こしたときには、行政の力が働くということを教えておるのですよ。公正な海難審判ができない事実をここで教えておるのじゃないですか。これは全くおかしいのだ、これは。近藤さんはこれを東京高裁行政不服審査で申し立てている、その事実を。これは大臣、どうですか、大臣が任命される長官ですが。
  11. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私も、先生からの御質疑でこの件を御質問なさるということで、事情調査に当たりました。  大体海難審判長官ともあろう者が、そういう記者懇談会なんという、しかもその前年、これは平成元年の事実でございますけれども、昭和六十三年の七月、まだこの重大な事故が起きて半年も経過しない、審判中の案件でございますから、そのような時期にそういった記者懇談会の名目で事前記者との会合が設定されたこと自体もおかしいじゃないかと問いただしました。ところが、この記者懇談会は、毎年毎年、定例的に一年に一回行われておるという、春先に行われておるという、いわゆる海難審判庁記者の間の定例のそういった会合のようでございました。  そこで、内容に関してはもちろん知るべくもありませんけれども、そういった会合の中での雰囲気の中で、恐らくお酒を酌み交わしながらの中でのこの情報であったんじゃないかと思います。  いずれにしても、もしそれが事実であるとするならば、本当に審判の権威といいますか、こういった大事な、全く、三十数名の大きな犠牲を出し、しかも特に海上自衛隊民間船との間の重大な事故認定でございますから、これらに関してもし予見を与えるようなことがあったとすれば、それは大変重大な責任であると思いますけれども、そこまで私の調査の結果は、そういった予見的なことは一切なかった、内容についてもそういった形の確認がとれないということでございましたので、正直にそのとおりお話しするようにということを申し上げておったわけであります。今後ともこういった形に対して、いささかなりとも疑惑を持たれたということに対しては大変残念に存じております。
  12. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣が今おわびをされましたからこれ以上言う立場にはありませんけれども、しかし、防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、防衛庁長官潜水艦なだしお」艦船事故調査報告書というものを自衛隊で作成をしておられるはずです。その本文をいただきたいと申し上げましたが、本文は差し上げられない、概要なら差し上げるということで、この概要をいただきました。  しかし、この概要と二審の審決とはほぼ一致するんですね、言っておる内容が。これは高等海難審判庁海上自衛隊で、前もってこういう内容について打ち合わせか何かがあったんですか。
  13. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 防衛庁の事故調査報告書は、これは作成公表をいたしましたのは一昨年の九月十一日でございます。先生のお手元にある資料もそれを要約したものだと存じますけれども、あの事故が発生して以来、防衛庁としては、いろいろ各種の報道その他がなされておりました中で、第三者機関による公正な判断を静かに見守っていきたいという立場をとりまして、公式な事故調査報告書を、その、ある時点まで延ばしたわけでございまして、海難審判の権威ある判断というものを一つの材料にいたしまして報告書をつくったことも事実でございます。  また第二に、第一、富士丸のこの調査というものは我が方でつまびらかにすることはできません。そして同時に、海難審判という公正中立な機関に任じておられるわけでありますので、我が方の一方的な事故調査報告というわけにもまいらない、こういう事情がございまして、一昨年の九月に出したものでございまして、これは、報告書は、客観性を期する意味で公正中立な海難審判の状況も反映したものというように私どもは理解しております。  先生のお手元のものはそのような性格のものであることをまず私の方から申し上げ、そして細部につきまして御議論等がございますれば、局長の方から答弁をさせていただくことにいたします。
  14. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あのときに大変問題になりました二分間の航海日誌の改ざん等、指令等も全くこれには、なぜそういうことが行われたのか、ただ清書しただけということで、具体的になぜやってはならないそういう行為が行われたかということにこれは触れておりません。そしてまた、言われましたけれども、一方的に船長の判断、処置が不適切だった、そういう経過の書き方もしておるんです。どっちも悪いんだと、どちらかというと「なだしお」の方に非常に、何といいますか、同情的に、もちろん部内だから同情的になるんでしょうが、そういう書き方にこれはなっているんですよ。  私が心配をするのは、海難審判庁と国の行政機関が、手繰っていけば一つのところで結ばれますからね、隠そうと思えば何ぼでも隠せるんですよ、やみうと思えば。今の行政の中、枠組みの中では。どんな改ざんでもできる、どんな審決でもできるんです。こういうことで、海に働く人たちが本当に海に依存して働くという意欲が起きてきますか。海洋国日本にふさわしい海難審判と言えますか。相手が自衛隊という国の行政だったときにはおかしな力が働く。これじゃ私は、公平、公正を保つための海難審判というのはやれないと思う。  総理、これは今先ほど奥田運輸大臣が、もしそういうものがあればということで、そういうことのないように努力をする、調査もここが限界だ、こう言っておられますけれども、これは極めて大きな問題だと思うんです。内閣として小林長官等を呼んで、事実どうだったかを調査をしていただきたい、そしてその調査結果は本委員会に御報告をいただきたい、そう思うんですが、これは総理大臣責任において行っていただきたいと思うんです。海上保安庁、運輸省にかかわる問題、それと同時に海難審判庁、さらには自衛隊にかかわる問題ですから、ぜひ調査してみてください。
  15. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 ただいま両大臣から答弁を申し上げたとおりと存じますけれども、私としましても、両大臣からもう少し事情を伺ってみたいと思います。
  16. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは、海に働く人たちがすべて注目をしておる内容ですから、ぜひ総理、今言われたように両大臣からよくお聞きをいただいて、御報告をいただきたい。  委員長にもそのようにお取り運びいただきたいと思います。
  17. 山村新治郎

    山村委員長 わかりました。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 次に、官房長官、私はこの前本委員会で、渡辺郵政大臣の問題について、副総理である外務大臣とあなたに、この際、郵政大臣という職員は個人のものではない、ですから十分御本人とお話しになって自発的に辞職の道を検討されるようにされたらどうですか、こう申し上げましたが、郵政大臣には、官房長官、お話しになりましたか。
  19. 加藤紘一

    加藤国務大臣 郵政大臣とはこの委員会でいろいろ問題になりましたことを話し合いましたけれども、郵政大臣としては、みずから記者会見やまた本委員会の中で事実関係につき御説明申し上げ、また納得していただけるように努力したいということでございまして、その郵政大臣の御説明をお聞きいただきたいと存じております。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 郵政大臣にお尋ねをいたしますが、あなたは川上勝さんという方を御存じですね。
  21. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 承知いたしております。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はきのう川上勝さんに四時間お会いをいたしました。御本人においでいただきました。そして、すべてをお聞きをいたしました。これから申し上げることについてあなたが否定をするなら、川上勝さんを、本人は証人喚問に応じてよろしい、こういうふうに言われましたから、あなたの御返事いかんでは川上勝さんを証人喚問にお願いをいたしたい。本人の承諾を得てあります。また同時に、長沢秘書についても証人喚問に応じていただけるように今話を進めておりますが、ほぼそういう方向で進みつつあることを申し上げながら、あなたにお尋ねをいたします。  第一点、あなたは、中曽根内閣の官房副長官でありましたときに、東京都の横田副知事と昭和六十二年の五月にお会いになったことがありますね。
  23. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 そのようなことは全くございません。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公式記録に記載をされております。  それではさらにお尋ねをいたしますが、あなたは東京都の日本電波塔株式会社の社長さんを御存じですね。
  25. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは参議院でも予算委員会お答えしましたが、親友でございます。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 昭和六十二年の五月に日本電波塔株式会社が港区区長に要望書を提出して、日本電波塔所有の芝公園の所有地にインテリジェントビルをつくろうという構想があなたに話があったというふうに聞いておるのですが、そういう事実はありますか。
  27. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 前田社長とは知り合いでございますけれども、今具体的にそういうふうに年月、日にちまでおっしゃっていますが、私全く身に覚えはございません。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私が調査した範囲内では、港区長に要望書を日本電波塔の社長さんから提出をされたと同時に、あなたは六十二年五月に官房副長官で、横田副知事にお会いに行っておられるのです。それは彼ほど記録をあなたにお見せいたします。あったときにはどうされますか。その事実は今あなたは否定されましたが、そういう事実が記録に出てきたときは、あなたどうしますか。
  29. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 せっかく松浦先生のお話ですけれども、事実でないものは答えようがないのです。私は今まで、少なくとも事実は事実として認めてまいりました。事実でないものは事実でないと正直に申し上げてきたつもりでございます。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなたが言っておるのは何か正直そうに聞こえるけれども、調べてみるとそうじゃないから、あなたの人格は信用したいけれども、結果はそうでないんだから、だから私がくどいように質問しているんです。  それから、六十二年の五月過ぎて、六十二年の九月三十日、中曽根内閣建設省都市局長通達、都市発第九十二号で「民間事業にかかわる都市計画公園等の整備の方針について」という文書が、あなたが副知事に会って四カ月後に政府通達として出されているのです。そういう事実は、あなた御存じないですか。
  31. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 松浦先生、私は副知事にお会いしてないと申し上げているんです。申し上げていないもの青前提とされたんでは、私は非常に困るんです。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ、あなたは赤坂の料亭の「鶴よし」というのを知っていますか。
  33. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 承知しています。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなたはそこに、さっきの川上勝さん、この人も一緒に行っておりますね。それから小杉徹四さん、今の秘書官、この方も同席していますね。そこに、このインテリジェントビルに対して川崎重工業を呼ぶために、川崎重工の四人の幹部とそれから今申し上げた二人と、さらに川重興産の責任者、こういう人たちと一緒に合計九人で会合を持たれて、その席上、あなたは小杉徹四さんから原稿を渡されてあいさつをしておりますね。そのあいさつの内容というのは、あなた自身がそのときに、インテリジェントビルの問題についてあいさつをしておるでしょう。(発言する者あり)
  35. 山村新治郎

    山村委員長 お静かに。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういうあいさつをしておられるでしょう。あなた、それも否定しますか。
  37. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 川上君と松浦先生お会いになったということから川上君の言うことを、証人喚問されるそうですが、それを正直和驚きましたけれども、まずそこから——ちょっと申しわけありません、お時間をいただきます。(松浦(利)委員「いや、ちょっと待ってください」と呼ぶ)いや、私の答弁ですから。  それは、私は、川上勝君というのは、父親が亡くなりまして、私の一回目の選挙のときに父親が亡くなりました。で、兄弟二人でその後を継ぐというので、年も若かった、十五年ぐらい前の話ですから。そして、私にひとつ何とかいろいろ相談相手に乗ってくれということで私のところに来始めまして、そして私も、一生懸命仕事をやれよということでいろいろな相談相手になってきた。ところが、私が政務次官になってから、金に困った。そして私に、私が保証すれば、当時数億の金でしたが、銀行が金を出す、こういう話を持ち込んできた。私は、政治家として公人ですから、少なくとも個人の、どんなにお世話になったにしても私は政治家として個人の保証やあるいは会社の保証はできないよ、これはわかってくれよ、君たちがみんなで僕に協力して僕を当選させた、その僕が個人の保証をしたのでは、新潟県の三区の有権者の保証をみんなしなきゃならなくなる、そういう意味では困るという話をいたしまして、そこから一層私との関係が深まってきまして、そしていろいろな相談に来るようになった。お母さんも来るようになった。それこそ神信心の話までやりました。  しかし、実は少し業績がおかしいということで、再三この二人の兄弟に話をしました。で、結果的に、実は数年前になります、これは本当に口幅ったいですけれども、先生がお会いになって相手のことを全部信用される前提でこの公の場で質問されるということですから、私あえて申し上げますが、少なくとも私は最後の彼の願いのときに、私の友人から本当に無担保無保証で大きな金を借りてやった。それを半分ぐらいしか返さなかった。そして、しかも私の秘書の個人保証までとって、この秘書は今苦しんでいる。それもだまして個人保証をとって、そしてしかも今度は、私の一番大事な、今まで何回の選挙責任者をやってきたその人のところへ頼み込んで、さらにこれも大きな保証をさせて、そして私の身の周りでもそういう行為をやって、実は倒産をして行方不明なんです、私から見ますと。  先生はお会いになったそうですが、私はぜひ会わせていただきたい。本当にお願いしたい。これは、しかもみんな長同じゅう迷惑もかけて、いろいろな人たちに迷惑をかけて、そして行方不明になっているんです。私はその川上君が今どういう心境にあるのか、全く知りたい。何の私に恨みがあるのか、私は知りたい。私は全く彼から恨みを買う——長沢秘書との問題は、私の秘書と代議士との個人の感情の行き違いです。これは、私は本当に謝ってきました。しかも、彼に気の毒したと思っています。しかし川上君においては、私は彼にそのようなことを与えられるいわれはないのです、先生。  しかし、今先生からの御質問ですから最後の質問にお答えしますが、少なくともその「鶴よし」での話は、これは彼が川重商事という会社と取引をしまして、そして川重から偉い人に役員になってもらった。これは会長だったか顧問だったか忘れました、その川重商事から来てもらった人に、前から、代議士、一回あいさつしてくれ、おれが世話になっている、一度会ってくれということを前から言われていたんです。私も、実は大変恐縮ですけれども、二人のことも若干不安がありましたので、私は少し延ばしてきた。しかしながら、どうしてもというので、しかも日にちも設定しまして、小杉君もきっと頼まれたんでしょう、強く強く。そしてその日にちが設定されまして、私、先生を説得する意味で申し上げているのでなく、事実を実は今経過を思い出しながら申し上げているんです。  そこで会った人たちがどういう人たちなのか、私が少なくとも記憶の中にあるのは、その川重商事から来た、名前も忘れました、その会長か、何か相談役か顧問がということでしたが、その人に川上君よろしくということでの会合でありまして、それ、今先生おっしゃるように日本電波塔かなんかの話をするために私、秘書に、いまだかつてどんな会合でも原稿でもって会合をやったことなんてありませんよ、私、自分の会でも。とかく今まで原稿を読まずにしかられている部分が多いぐらいでして、いろいろなあいさつの中でも。私はそんな座敷では、会合で、酒の席で原稿などというもの、私の人生の中に、先生、ございません。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなたの話を聞いておると大変まじめな方に聞こえますけれども、さらにそれじゃ具体的にお尋ねをいたしますが、六十三年の五月に公式的に建設省の方の都市計画芝公園特別特許事業という形で、本当はニューメディアパーク構想というんですね、東京都では。インテリジェントビル構想じゃなくて向こうの台帳によると東京タワーニューメディア構想、こうなるんです。そして、具体的に建設計画について六十三年の四月二十七日に日本電波塔株式会社、請け負う鹿島建設、それから東京都の公園緑地計画課、こういうところが議論をいたしましたその翌月、六十三年五月からあなたは政治献金を顧問料として非常勤の顧問に、日本電波塔株式会社の顧問に就任なさって、非常勤で二十万ずつおもらいになって、郵政大臣に就任されるときまで、前月までもらっておられた。そのことは事実ですね。
  39. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 その日にちを先生は電波塔の何かと因果づけられておっしゃっておられますが、私の方は全くそういう意識なくて、要するに前田社長が私に協力をしたいということは実は前々からあったのです。しかし、私は官房副長官のときでありましたし、そして選挙の終わった直後にもありました。だけれども、私は遠慮を申し上げてきたのがついついその時期になったということでして、確かに政治献金はいただいています。それから顧問料もいただいています。それは、政治献金は前田個人からいただいているのです、先生。会社は全く関係ないのです。それはみんなそこに因縁づけておられるようですが、記事もそうでした、しかし、これは事実彼の個人の所得の中から私がいただいた政治献金であって、しかも適正に報告をして、そして今おっしゃられる顧問料はちゃんと確定申告に全部申告をして遺漏のないようにいたしております。  ただ申し上げたいことは、その何月何日に何かとかとおっしゃっていますけれども、私はそんな話、本当にそんなところで話もしたこともなければ、どなたか私から聞いたということもないと思うのです、それはしていないのですから。それはぜひ因果づけないで、そこは区別して、きちんと私の政治活動とあるいは友人との関係とは御理解をいただきたいところでございます。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなたが言われることは信じたいのですけれども、しかし実質的に、今私は川上勝さんの言っておることをそのまま信用しておるのじゃないのです。私は調査しているのです、現実に。そういう事実がある。それから、あなたが政治献金をもらったというのは、六十三年に六つの政治団体に九百万近くの政治献金を受けておられる。確かに全部報告しておられることは事実ですね。それは認めます。  さらにこのニューメディア構想について、この問題が議論される前、あなたのおられる平河町のクレール平河の六〇一号室、これは本来ですと一千二、三百万かかる内装工事だそうですが、それを丸抱えで川重興産にしてもらいまして、最近までその六百何万かの支払いをされたという事実はあるでしょう。
  41. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 松浦先生、お答えしますが、それはいわゆる川上君とそれからうちの秘書との話で、川上君が好意的に話を持ってきて、そしてその話でお願いをした。ところが、その川上君の方の話がどういう秘書との話か知りませんけれども、私はそれを聞いて、とにかく全部うちで払いなさいということで、私は一銭もほかから払ってもらっていません。その一千何百万だったのを何とかなんて言われても、先生それ困るんですよ、一方的な話で。先生はそちらの話全部信じてないとおっしゃるけれども、信じた上でおっしゃって、私に今説明を求めておられるんだろうと思うのですけれども、それは全く違います。本当に全部私の方で払っているんですから。それは困るんです。
  42. 松浦利尚

    松浦(利)委員 困るんですといっても、そういう事実があるかないかの確認をしておるだけですよ。(渡辺(秀)国務大臣「それはおかしいですよ」と呼ぶ)それはそうです。おかしくないですよ。  それでは、もう一つお尋ねをしましょう。大分に石油関連施設をつくるときに、LPGの備蓄基地ですけれども、これを昌大興産というところが、大手の下請に入りたいということで、大手の、これは何かバルブですね、大きな締める、何かそういうのを納品する資材商社らしいですが、そういう話があったときに、それを税金対象になると困るというんで、川上さんにあなた指示して、川上電機株式会社と昌大興産とで基本契約を結んで、そしてその資金について、第一回は川上さんが小杉徹四さんのところに持っていった。第二回以降は印鑑を押して、第二回、三回とはあなたのところに持っていった。そういうことをされた。あなた、そういうことを言えば、あなた自身も脱税行為その他で問題になるんだよ、私文書偽造になるんだよ、こういう川上勝さんに説明をした上で確認を求めたところが、いや、事実そのとおりです、絶対にうそではありません、こういうお話ですが、どうですか。
  43. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生、本当に全くありませんよ。私、そんな話も承知していませんよ、それは。今初めて、週刊誌のときに初めて知った話でして、大分の何の話ですか。本当に私はどこに、だれに電話をしたり、その川上という人間はどういうことでそういうことを言われているのか、これは私の不徳とはもう言いがたいです、この問題は。先生、本当に。これは絶対にありません。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今お話ししたように、川上勝さんの言われたことと大臣の言われたことは大変に、全く違っておるのです。私は、自民党の一国会議員であればこんな質問はいたしません。少なくとも郵政大臣であり、冒頭、この前郵政大臣がおいでにならないときに、私は外務大臣官房長官に、こうしたことがしょっちゅう週刊誌や新聞に出て、郵政大臣自身がいろいろこうなるのはいかぬから、事前調査をされて自発的になさったらどうか、こう申し上げたのですけれども、そういう事実がありません。  ここには、これはもう出す必要がありませんから出しませんでしたけれども、これは大臣恐らく御存じじゃありません。デルフィーという、銀座六丁目の、ニューメディア構想を実現するためにつくられた高級バーだ、こう言われておるのですが、この中に、クラブですがね、ここにおたくの秘書官の名前がどんどん出てくるのですよ、この中に。これは川上さんが持ってきた、私に示したコピーです、これは。内容は言いません。私は小杉さんそのものをどうこうと言っておるのじゃないですから。  ですから、私はこの際、これからもこういう話は逓信委員会、予算委員会、続くと思うのです、これからも。まだほかにもあるそうですからね。続くと思うのです。ですから、私はこの際区切りをつけるという意味でも、川上勝さんはいつでも証人喚問に応ずると、きのう四時間かかって話しましたが、本人は了解をしてくれました。この際、対決させるという意味じゃなくて、いずれが正しいかということじゃなくて、真実はどこにあるのかをはっきりさせて、いやしくもこうしたことが国務大臣の間で議論されないように、歯どめをかけるという意味で、私はこの際ぜひ、大臣もどこに行っておるかわからぬと言われますから、私がここにお呼びします。居場所はわかっています。ですから、本人を呼びます。ですから、ここで大臣と、事実かどうか、ぜひひとつ機会を与えていただきたい。同時に、長沢秘書も、例の入学金の問題等を含めて再三議論がありましたが、証人喚問に出られるそうですから、これも含めて証人喚問にお呼びする。大臣もたまらぬ、こんなこといつまでも言われたら。言う方もたまらぬ。聞く方はなおたまらぬと思いますよ。  ですから、打ちどめをするという意味でも、この際、川上勝さんと長沢秘書を呼んでいただきたい。一致しているんだから。大臣と私の意見は全く一致しているんですから。委員長、配慮いただきたいと思います。
  45. 山村新治郎

    山村委員長 松浦君に申し上げます。  理事会で協議をして決めたいと思います。
  46. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ、質問する側と郵政大臣意見が一致しておるわけですから、ぜひお願いをしたいと思います。  それじゃ、続いて景気対策についてお尋ねをいたします。  経済企画庁が十九日に発表されました去年十月−十二月のGNPの成長率、残念ながらマイナスになっています。一月−三月も恐らく大変に厳しい状況だ、こう言われておるのですが、本年度の三・七%の成長は困難になったのではないかと判断をされますが、経企庁長官、どうですか。
  47. 野田毅

    ○野田国務大臣 御指摘のとおり、先般発表になりました国民経済計算速報によりますと、平成三年の十月から十二月期の実質国民総支出の対前期比の伸び率はマイナスの〇・〇%ということになっております。そういうことで、現在我が国の経済は調整過程にありまして、景気の減速感が広まっておるということは御指摘のとおりであります。  ただ、まだこの一−三月の実績について今から予断を持って臨むわけにはまいらぬと思いますが、一方で個人消費については、再々申し上げておりますとおり、基本的に個人所得の環境そのものは依然として堅調でございます。消費の伸びそのものはやや鈍っておることも事実であります。また、一方で金利が昨年三回にわたって引き下げられたということが、特に年明けにかなりの金利低下ということが見られまして、そのことが一方では、住宅投資について、昨年との水準ということで見ると確かに減ってはおりますものの、年率ベースで見ますと、昨年の秋ごろを一つの底として、ことしに入ってむしろ上向きかげんの気配が見えてきておるという状況、あるいは公共投資の伸びが、御案内のとおり補正予算などの効果あるいは財投の追加などの効果もあり、それなりの下支え効果が出てきておるということなどもありまして、今の段階で結論を申し上げるわけにはいかぬと思いますけれども、おおむねその見通しに近い数字が出てくるのではないかと期待をいたしております。
  48. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長官、経済企画庁は、経済白書の言葉だと思うのですが、高い成長からインフレなき持続的拡大が可能な成長経路に移行する過程とか、そういう言葉を使い過ぎて、そしてまた逆に、これは四半期別の景気動向指標ですね、速報、これなんかをずっと見ますと、昨年の九月からずっとやはりもう指標は下降線をたどってきておるのですね。  ですから、逆に言うと、経済企画庁が余り慎重になり過ぎたために経済の動向を見誤ったと、断定はいたしませんが、そういう状況を把握しておりながら言い切らなかったのか、それとも見誤うたのか、どちらでしょうかね。
  49. 野田毅

    ○野田国務大臣 今御指摘の昨年末に出しました平成三年の経済の回顧の話でありますが、その中で日本経済の基調について述べておると思います。その基調判断として、やはり過去の高い、いわゆるバブル経済と言われましたやや行き過ぎた経済の姿から、むしろインフレのない、そして雇用のバランスのとれたそういう安定的な、持続可能な経済成長に至るいわばそういう意味での調整過程にあるということは、今日においても基調としてはそういう中にあると判断をいたしております。  ただ、その時点よりもさらに景気の減速感が進んできておるということ。それから、先ほどディフュージョンインテックスのお話がありましたけれども、このDIの一致計数で見てまいりますと、これは先生御案内のとおり昨年の今ごろでも五〇を割るとか、月々によってかなり変動があります。したがって、一回だけの数字をもって傾向値を見るわけにはなかなかまいりません。そういった意味で、いつから景気の山があり谷になったかとかという話は後で専門的に、いわゆる統計可能なかなり長い時点の統計をもとに専門的、技術的な一分野の中でやってもらうということの方がいいんではないか。むしろ、当面の景気対策などを考える上で、いわゆる経済運営の上で大事なことは、もう少し足元についての判断の方が大事だ、そういう角度から毎月月例経済報告をさせていただいておるわけであります。  そういう点で、政府の経済認識がややおくれたのではないかとかいろいろ御指摘もございます。私は率直に申し上げて、そういう御批判を甘んじてお受けをしなければならぬ側面もあると思っております。ただ、少なくともこの点は政府においてもあるいは経済界の皆さんにおいても、いわゆるバブル経済の崩壊の影響ということがかなり広範囲にわたっておるということの認識がやはりずれたのではないかということを感じております。その点は、少なくともいわゆる在庫の積み上がりということが、通常ならばそういうような消費の鈍化なりあるいは売り上げの鈍化が予測されるときにはかなり早目の対応を経営者としてもやるわけでありますけれども、基本的にそういう意味での生産調整のおくれが意図せざる在庫の積み上がりとなってきたということ、このことは否定できないと思っております。  なお、月例経済の中で減速という言葉を用い出したのが九月ごろからでありまして、もちろん一方では拡大という言葉も使っておりましたから、ややそういう意味で鮮明な表現ではなかったという感じはいたしますものの、多少そういった意味で過去とは異なった一つの経済の動きであったということがあったと私は思っております。
  50. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは、総理にもそれから経済企画庁長官にもお尋ねをしたいのですが、どうも今の景気の、不景気という言葉は使いませんが、景気がダウンをしておるのは、経済企画庁の景気の見通しに対する見誤りがなければもっと対応できる経済政策が打ち出せたんじゃないか。だから、もっと言わしてもらえば、歯に衣を着せずに言わしてもらえば、要するに政府の景気に対する認識のおくれが今日のような経済対策のおくれを招いた、不況感、不況というものを招いた、こう言っても過言ではないと思うのですが、どうですか。総理大臣、どう思われますか。
  51. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 私はそれは、率直に申して経済企画庁に対して酷だと思っております。毎日の景気というものは、経営者は毎日毎日のことでございますからその日のことをお考えですが、経済企画庁はやはり仕事の性質上、統計に基づいて過去の追跡をしているわけでございます。それで、毎日の判断も必要でございますけれども、今大体大きくどういうふうに事が動いていくかということはやはりある程度資料を固めまして判断をするという、そういう役割も私は必要であるというふうに考えておりますので、したがいまして、経済企画庁が何カ月かの統計を見て今大体こうだと申し上げていることは、事の性質上、やはり二月とかいうおくれがある。そうでありませんと、企業家の毎日毎日の判断と同じことをやるということになりますが、それは私は経済企画庁の役割では本来ないのであろうと思っております。  それで、先ほどの松浦委員の言われました、十−十二月の成長についてゼロであったということを言われましたけれども、これも、本来経済企画庁は、この予測はQEと言っておりまして、言葉が示しますようにこれは暫定数値でございます。本来この役所は、四半期ごとの国民所得というのはやはり本来ならば一年以上かかって数字を確定するわけでございますが、それではいかにも国民のお役に立たないというので、特にQEというものを工夫をしてやっておるわけでございますけれども、それでも十−十二月が発表されたのは三月でございます。これはやはり仕事の性質上やむを得ない。  私が申し上げようとしておりますのは、そういう仕事もやはり必要である、しかし毎日毎日の風向きを敏感に見取ることも必要である。私は両方必要だと思っていまして、昨年以来の景気の動向について、経済企画庁がその都度発表いたしますことがあたかも今日の景気動向であるというふうに受け取りますと、それは本来企画庁の仕事の性格とは違うのであろうと思っております。  ただ、そこで申し上げたいと思いますのは、この平成四年度の予算は、御存じのように昨年の十二月に編成いたしましたけれども、これは閣僚一致の上で、そのときの経済状況がかなり悪くなっているということを、そういう認識でございましたので、中央、地方の公共事業を初め財投など、かなり高い積み増しをいたしておりますのは、そのときの現実の経済の判断というものは実はかなり悪くなっておる、その判断そのものは政府として私は誤っていなかったというふうに考えておるところでございます。
  52. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、今度は大蔵大臣にお尋ねしますが、三十一日に景気対策を発表されますね。そうすると、来年度予算が自然成立をするとしても、恐らく参議院で採決になるでしょうが、自然成立の場合は四月十一日と、まだ来年度予算が成立する前に公共事業の七五%前倒しするとかそういったことは、景気が非常に厳しい段階ですから、それは我々もやむを得ないという気持ちはありますけれども、しかし、ルール上からいえばそういうことはあってはならないことなんですね。来年度予算がまだ成立もしない前から公共事業七五%前倒ししますとかどうだこうだというのは、私は異常事態だと思うのですよ。正常なルールじゃないと思うのですね。  ですから、そういった点をつくり出してきた理由として、私は、やはり経済企画庁の景気の見誤りがあったのではないか。総理大臣はさすがに経企庁の立場に立って物を言われましたけれども、それも一理あると思いますよ。しかし、大臣、三十一日に公共事業の前倒し七五%以上するとかそういったものについて発表なさるとすれば、その内容はどういうことを考えておられるのか。それで、そういうことについて、ルール上一つもおかしくない、これからもやるのだ、こういうふうに言われるのかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  53. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、中心になりますのは経済企画庁、こちらが中心になって今取りまとめているところでありますけれども、これは三月末ということで、明日に何とかまとめたいということでやっております。  この点につきましては、実は、この本衆議院の予算委員会におきましても、あるいは参議院の予算委員会におきましても、各党の皆さんからもやはり景気対策、これをやるべきじゃないのかということで大変強い御要請があり、またその中で、公共事業等についてもひとつ前倒しを執行すべきじゃないのかという御指摘なんかもございました。そういったものを踏まえながら、総理から、私ども集められまして、今の景気の判断についてどうだろうか、あるいはこういったものについてどう対応すべきだろうかということで、実は今、目下まだ作業している最中でありますけれども、そういった中で私どもといたしましては、実際に執行できるものがあるとするならば、それについて今準備いたしております、ずっと歴年やってきておることもあるものですから、そういったことを勉強いたして、いざ出動というときには直ちに対応ができる体制だけは整えておきたいということを申し上げてまいったわけでございまして、そんなことを中心にしながら現在鋭意検討がされておる最中であるということを申し上げたいと思います。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 三十一日に発表されるのでしょう、内容は。どうですか。
  55. 野田毅

    ○野田国務大臣 あす、経済閣僚会議を開きまして決定をいたしたいと考えております。  なお、先ほどいろいろお述べになりましたけれども、一つ申し上げさせていただきますと、基本的に我が国の経済はあくまで市場経済、経済の担い手の中心は民間であり、国民であるわけであります。そしてなお、経済というものは常夏、常春というのはあり得ない、やはりある程度、自然ではありませんが、フォーシーズンがある、そういった調整過程というものを、これは避けがたい部分があるわけであります。そういった意味で、過去においてかなりハイペースでやってきたということであるだけに落差感が大きいということも事実であります。  今そういう意味で調整局面にありますが、余りその調整が深くなり過ぎると後にいろいろ体力にも影響が出てきかねないということから、今回景気対策を考えておるわけでありまして、この景気の循環というものをやはりある程度認めていかないと市場経済というものは私は成り立たないと思っております。そのことだけ、一言付言をさせていただきたいと思います。
  56. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは総理にお尋ねいたしますが、この前、私はここで景気対策について御質問をさせていただきましたが、総理は出席しておられませんでした。しかし、そのときに、公共事業を七五%前倒しする、それからNTTとかJR等の設備投資も、民間設備投資も出動してもらう、地方自治体についても公共事業の前倒しをしてもらおうという話をしておられるのですが、いずれにいたしましても、前倒しを七五%から八〇%やりますと来年度後半に空白が起こるのですよね。その場合に、景気が回復するという見通しが立ちませんから、率直に言って先のことはわかりませんので、それで大型補正予算を組まざるを得なくなるのではないですか、こういう質問を申し上げましたら、大蔵大臣の方から、いや、それは今来年度の予算を審議中ですから、そういうことを申し上げることはいかがかと思いますという御返事だったのです。ところが、宮澤総理が自民党の顧問の皆さんにお会いになって、特に河本さんにお会いになりましたときに、私のような質問に対して、場合によっては大型補正もあり得るのではないですか、こういうお答えをなさったという新聞報道が大きく出ておるのです。  ですから、一番心配するのは、空白ができたときにどうするのだ。前倒しして空白が起こってくることは、これは間違いない事実だと思うのですね。ですから、そういった意味で補正予算をお出しになるのかどうか、その点を今度は公式の場で総理からお聞かせいただきたい、こう思うのです。
  57. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 現実の経済の状況はかなり悪うございます。経済企画庁の本来の仕事は仕事といたしまして、かなり悪うございますので、先ほど経済企画庁長官から申し上げましたように、この際、とるべき緊急策を明日なりにも決定いたしたいと思っております。  他方で、しかし、ただいま参議院におきまして平成四年度の予算を御審議中でございます。この予算は昨年の暮れに編成をいたしましたが、そのときの現状において、また今日の現状においてもそうでございますが、私はベストのものと考えております。したがいまして、これを成立をさせていただきまして、できるだけ早くこの執行を図っていきたいと考えておりますのが、先ほどからお尋ねのございます前倒しにつきましての前もっての計画であるわけでございます。  そういうことをいたしまして何とか景気の回復を早期に図ってまいりたいというふうに考えておりまして、私といたしまして、ただいま明年度の予算のさらにその補正をというようなことを申すべき段階ではございません。それはただいま予算そのものが御審議中でございますので、それが成立をいたしません段階でさようなことを申すべきことではございませんし、また、今の段階といたしましては御審議を願っております予算が最善のものと存じておりますので、これをできるだけ早く執行いたしたいと思っております。
  58. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは総理、河本さんとお話しになったのは、あれは心理的効果をねらったんですか、何ですか。
  59. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 お互い経済につきまして、殊に現在の経済状況についてはいろいろ心配をいたしておりますので、あれこれの可能性について十分意見交換はいたしておりますけれども、その結果として私がこの現在御審議中の予算の補正を云々するといったようなことは適当なことではないというふうに考えております。
  60. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、景気対策の問題で、あした発表になりますから、どういう状況か判断ができませんけれども、この総務庁の統計局からいただきました物価指数ですね。これは物価指数の資料をいただいたわけですが、これをもう見ておられると思うのですが、平成二年度を一〇〇といたしますと昭和六十三年度が九四・九、平成四年一月が一〇四・〇ですから、昭和六十三年から平成四年の一月までの物価上昇率というのは九・一%になっているのですね、物価調整減税が全然されておりませんから。ですから、六十三年度から九・一%物価が上がっておるけれども、片一方では全く所得税減税がない。  ですから、今私たちが経済効果として一番大きいのは所得税減税をすることだ。石川日商会頭も言っておられるように、今思い切って所得税減税をするという対応をすることが私は一番景気の刺激、しかも六割を占める個人消費を刺激する。これはだれでも考えることだと思うんですが、こういう所得税減税についてのお考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
  61. 羽田孜

    羽田国務大臣 物価とのあるいは可処分所得との関係でお話があったわけでありますけれども、この点につきましては、平成元年、これが前年対比で実質一・五%、あるいは二年が一・四%、三年一・九%ということで、この数年間を見ましても物価の上昇と所得、こういう中では間違いなく可処分所得が伸びているであろうということを申し上げることができると思います。  なお、所得税減税についてのいろいろなお話がございますけれども、これはもう細かくは申し上げませんけれども、御案内のとおり、先般の税制改正におきまして、最低税率ですとかあるいは基礎控除、配偶者控除、扶養控除、また配偶者の特別控除の創設、こういったことをずっとやるということによりまして、いわゆる中堅所得層の重税感ですとかあるいは負担累増感、こういったものは大幅に緩和されたというふうに思っております。  そして実際に標準世帯の所得負担の比較を見ましても、日本が三百二十万に対しまして、アメリカは二百五万、あるいはイギリスが百十五万、ドイツが百八十六万、最低税率で日本が一〇%に対してアメリカ一五、イギリス二五、ドイツ一九ということで、日本のあれは大変低くなっておるというのが現状であります。加えまして現下の財政状況というのは非常に厳しいわけでございまして、所得税の減税というものは実施することはできないであろうというふうに思っております。  しかし、ただいま総理の方からもお話がございましたように、平成三年度の補正あるいは平成四年度の今度の予算というもの、そういう中で相当大きな景気に対する配慮というものはなされておるということに加えまして、いわゆる公定歩合が三度にわたって引き下げられたということで、実際に使いやすいお金にもなっておるということで景気全体に対してはプラスになっていくであろうと思っておりますし、また、今賃金交渉等もされておりまして、決してそんな高いというものではありませんけれども、物価が低い割には着実に賃金というものが伸びているんじゃなかろうかというふうに御理解をいただき、そういったものが、個人消費というものは変なふうに落ち込まないで今日ある姿になっているんだろうというふうに理解をいたしております。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今度の春闘がほぼ終わったわけですけれども、昨年に比べて大幅にダウンしておるわけですね。ですから、この前総理が本委員会で昨年並みは期待をしたいという御発言があったことは事実なんですが、しかし、結果的に企業側の方の不況感が強くて賃上げが昨年に比べて極めて低いということは、これから個人消費に対してやはり影響を与えると私は思うのですが、経企庁長官、どうですか。
  63. 野田毅

    ○野田国務大臣 率直に申し上げて、確かに春闘の相場ということによってどの程度の所得水準の向上があるかということは経済と無関係ではないと思いますが、少なくとも、過去政府が経済見通しを立てますときの消費の伸びということとそれから春闘における賃上げ率ということとは必ずしも連動はしていない。それは、やはり中小企業の雇用者がどの程度の賃上げの水準になるのか、あるいは物価の水準がどういう形で推移をするのか、そしてまた雇用者の数がどの程度ふえていくのか、そういった要素によって異なるわけでありますので、必ずしも春闘における賃上げ率ということと消費の伸び率ということと直接的な形では出てきていないということでありますので、私どもはことしにおける春闘の結果は、まだ完全には終わっておりませんけれども、十分注意しながらも、私どもが経済見通しで見通しておりました、大体そういう線に沿って消費は伸びていくのではないか、こう思っておるわけであります。
  64. 松浦利尚

    松浦(利)委員 労働大臣にお尋ねをいたしますが、御承知のように時間外労働所得、所定外労働所得ですね、これを中心として成り立ってきた賃金構造というものから、これから時短という、千八百時間という目標に向かってできるだけ所定内におさめるという努力を労使ともにするし、政府も誘導していかれるわけですが、そうしたときには、この所定外労働というものがなくなればその分だけ所得が減るという分野も出てくるわけですね。それだけ個人所得が減るわけですよ、逆に言うと。時間が減ることはいいことだが、逆に言うと所得が減るという分についてはマイナスに作用するという分野も出てくるのですが、そういった意味からいっても個人消費というのはそう楽観視できるような状況にはないのではないか。将来展望としては出てくるかもしれぬけれども、しかし、今年度の景気を刺激するほど個人消費というものを上向きにする要素というのはないのではないかという気がするのですが、労働大臣、どうですか。
  65. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生御指摘のとおり、総労働時間の短縮がいわゆる時間外労働の短縮だけで行われるとすれば、おっしゃるように残業分がなくなるわけでありますから勤労者の現金収入はその分減るということは考えられますが、ただ労働時間短縮がいわば所定内労働時間を減らす、こういう形で行われますと、今までは通常賃金で払われていた分が今度は最低二五%割り増しになるわけでありますから、むしろそっちを考えると、現金収入は、残業は減っても、今度は残された労働の中での割り増し分がふえてまいりますから、それが相殺されるという面も出てくるわけでございます。問題は、賃金率の問題と、それから経企庁長官もおっしゃいましたように雇用数、頭数の問題でありますから、頭数は大体二%ぐらいの伸び率を予想できるわけでございます。まさに労働力不足の状況でありますから、余り首を切る、解雇できないということであって、むしろふやす。そういう数はふえてくる、こういうことがございますので、差し引き、これは春闘まだ終わりませんから何とも言えませんが、私は、個人消費についてはある程度の増を期待していいのじゃないかと考えております。
  66. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは通産大臣にお願いをしたいのですが、労働時間の方で一生懸命しましても、結局中小企業と親企業との間の受注、発注の形態を変えなければ、やはり下請の方は受注、発注に追われて仕事をしていきますので、ですから労働時間の短縮といってみても、所定内を減らせば、逆に所定外をふやさなければだめだ、例えば、何月何日までに納品せよというふうに言われれば、集中してやらざるを得ない。ですから、選別する余裕が中小企業にはないわけですから、そういった意味では大手の企業を指導していただいて、中小企業に対する受注、発注については労働時間短縮に即応できるように、しかも、所定内賃金、労働者の所得を下げないように、発注を見直すように御指導いただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  67. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 確かに、先生御指摘のように中小企業、特に下請中小企業の時短を促進するためには、発注方式の改善など親企業の協力が必要であることは当然であります。このため、昨年二月に、時短の妨げとなる発注等の抑制等を内容とする下請中小企業振興法の振興基準の改正を行い、同基準に基づいて親企業の発注方式など取引条件の改善を指導しておるところでございます。  これを受けた親企業の発注方式と取引条件の改善状況については、この調査を行い、結果を今般取りまとめました。その結果、残念ながら、全体的に見ると、改善が進んでいない実態も判明しておるため、この振興基準の遵守などについて親事業者団体に対し通達を行いました。  今後は、この振興基準の普及啓発に努めるとともに、下請代金支払遅延等防止法に基づく検査を強化し、下請取引の適正化を通じた下請中小企業の時短を促進するためにできる限り頑張ってまいりたいと思います。
  68. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに通産大臣にお尋ねをいたしますが、ゆとり社会懇談会の中間報告で、有給休暇等の取得の悪い、消化率の悪い企業についてはペナルティーを科したらどうか、どういう方法でペナルティーを科すかわかりませんけれども、ペナルティーを科したらどうかという提言も何か出ておるやにお聞きをしておるのです。ですから、そういった、今国を挙げて時短に取り組んでおるときに、有給休暇の取得もないというような企業については一定のペナルティーを科す、どういう方法がは別にいたしまして、そういうことが懇談会自体でも議論されておるぐらいですから、そういうふうなことでも考えないと、なかなかこれは実行不可能だ。社会構造の中から変革していくわけですから極めて難しい問題だと思うのですが、そういう点についての御意見を承りたいと思います。
  69. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 率直に申し上げて、ついこの間まで、これは一生懸命汗を流して働いて今日の日本を築いてきたわけでありますから、そしてこれだけの経済ができたから、今度はこの経済を生活の豊かさを優先して考えよう、世の中の方向の中で今や労働時間の短縮、これが大きなこの国が進むべき方向になっている。そういう中で私ども企業に対して指導を行っておるわけでありますけれども、こういう考え方が十二分に企業の側に一〇〇%徹底しているかどうかということになると、それはいろいろまだ、十年前、二十年前はそれとまるで違う世界観で生きてきたわけでありますからなかなか大変である。したがって、私どもは、今答弁したように企業の皆さん方にこの世の方向と、そして今宮澤内閣は、生活大国日本とゆとりのある暮らしということを目指しておるわけでありますから、その政策に協力してもらうようにあらるゆ場所で経営者の皆さん方に指導、協力を訴えておるわけでありますけれども、今ペナルティーのことについてはちょっともう少し勉強させていただかないと、どういう方法でどういうふうにしてやると今思い当たりませんが、とにかく私どものできる可能な方法で時短の促進のために努めてまいりたいと思います。
  70. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 今通産大臣からお話がございましたけれども、先生、ペナルティーということも一つの考えかもしれませんが、私たち今度時短促進法を御審議いただいて通したいと思っているわけでありますけれども、その中で、むしろ私今個人的にいろいろ内部で検討させておりますのは、ペナルティーもいいけれども、この時間短縮を促進した、実行した企業を例えば労働大臣表彰するだとか、地元では基準局で表彰していくなど、そういう形にすると、今度は横並びですから、そうすると、自分の会社はどうも時短がないけれども、隣の会社はどんどん時短が進んでいるという形では、むしろそっちの方がやり方がスマートじゃないかなという感じが一つと、それから、逆にそういう時短をしていくような、また有給休暇ができるような経営体制について積極的な融資を今後考えるべきであるということで、実はあした発表になります緊急経済対策、その中でも、時短促進についての積極的な融資についていろいろお考えいただきたいということを私たちとしては関係各省にお願いしている状態でございます。
  71. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは総務庁の方になるのですか総理府になるのですかわかりませんが、祝日と休日に挟まった平日は休みにするというブリッジホリデー方式といいますか、そういったものをもうそろそろ考えていいのじゃないでしょうか。この前もそういうのがありましたけれども、その点についてどうでしょうか。
  72. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 先生御案内のとおり、国家公務員の完全週休二日制、おかげをもちまして参議院でも成立を見たわけでございまして、ただいまの御提言、かねて論議のされておるところでございますけれども、そこまで踏み込むべきかどうか。完全週休二日制が定着をし、そして今御論議されておりました超過勤務手当あるいは有給休暇等々が今後の国民生活の中で定着をしていけば千八百時間労働時間を確保できる、そういう方向に進みつつある段階でございますので、その流れを見詰めながらただいまの御提言については検討させていただきたい、かように思います。
  73. 松浦利尚

    松浦(利)委員 検討するということですから、働きバチ日本と言われるくらいですから、できることは可能な範囲内でぜひどんどんやるようにしたらどうかと思うのですね、千八百時間に近づけるために。ぜひ検討をお願いしたいと思っています。  それから続いて、これは通産当局とのお話になるかもしれませんが電力関係について。  私は、一極集中、一極集中と言って盛んに言われて、実効が上がりません。一体国の機関のどこが地方に出ていくのかもわかりません。ですから、一つの方法として、通産大臣の福島県を例にとりますと、福島県にある原発はみんな東電です。東京電力、東京で消費するための電力を原発で供給しておるわけです。ですから、あれをもう現在の電力体制を完全に改めまして、要するに、福島の原発からはもう東京には送電せぬ、そのかわり、電力というものについては、電力の欲しいものは福島県に来い、工場でも事務所でも全部来い、そうすると、福島県で安く供給する。電力を安く供給、送電費が要らぬですから。そういう形でもして電力消費を抑えるような、東京に集中させるのではなくて電力を地方に分散させる、そういうことの方がより一極集中には効果があると思うのですよ。何も私は通産大臣の地元の選挙応援しておるつもりで言っておるのではないのですけれどもね。  いずれにいたしましても、一極集中、一極集中と言ったってなかなか直らない、どこかで刺激を与えなければ。それが一番いいのは、電力体制を改めて、そしてそういう形でする。そういう点について検討してみられるという意思はありませんか。おたくの県なんか見たらそうありたいと思われるでしょう。どうですか。
  74. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 大変御心配いただいてありがとうございます。私も、先生と一緒に商工委員会をやっておった当時、その種の質問をしたことがございます。その結果、いろいろ通産当局また関係者が相談いたしまして電源立地交付金制度、今福島県とかあるいは福井県のような電力移出県にはかなりの金額の電力移出交付金を差し上げておるとか、また、原子力発電地域のみならず、その周辺市町村にまで及んで電源立地交付金を地域振興のために、最初はかなりいろいろ使い方に制限がありましたけれども、今先生御指摘のような地域文化、地域産業、こういうものが発展するために弾力的に使えるような交付金制度を今年もかなり思い切って充実しておりますので、十年前、先生と私と相談したような話が今現実に着々と実現しつつあることを御理解賜りたいと思います。
  75. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ちょっと後の方は違うのですよ。平成四年度で電源立地交付金を五〇%ふやされるのでしょう。要するに金でつるというのは、これはいけませんよ。今原発に対して不安を持っておるのは、要するに内外の原子力発電に対するトラブル、安全に対して非常に不安がある、そういった気持ちが非常に消極的にしておるわけですね。ですから、五〇%つり上げてやるからそこでやってくれという行き方では、これは金で国民の意思を買うようなもので、私はこれは大変問題があると思いますね。  ですから、そうじゃないのですよ。そうじゃない。そんなことではなくて、要するに現金というもので利益を与えるのではなくて、そこにできたら、そこに工場やら何かが来て一極集中が分散されていくんだというところにより多くのメリットを設けるという発想に立たなければ、いつまでたったってこれは一極集中というのは直らずに、東京は電力不足だ、さあ原発をつくれ原発をつくれで、要するに原発をつくるだけのことに終わってしまって、国の大きな政策でやる一極集中は全然直らない、むしろ集中が進む。そういうことでは困るのですね。ですからこの際、こういう五〇%増額するという方針などは、私は中止してもらいたい、そう思うのです。  それともう一つは、電力会社もけしからぬと思うのですよ。やはり装置産業ですから、ピーク時に合わせて供給するだけの施設をつくらなければいかぬことは事実です。ですから、普通遊んでおっても、最大限利用するときに合わせて装置していきますから。ところが、通産省の方では二百ボルトを奨励しましたね、二百ボルトを。と同時に、九州電力も含めて各電力会社は何をやったかというと、オール電化ハウスとかいいまして、全部電気を使え、そういう政策を宣伝しておるのですね、ざあっと。通産は二百ボルト、電気会社はオール電化ハウスだ、もう家の中に入ったら火は使わない、全部電気だ。需要がどんどん拡大をしていくでしょう。それに見合っただけの装置はしていかなければいかぬ。イタチごっこだ、需要と供給の。ここにも極めて重大な問題がある。  そして今何を言うかというと、節電だ節電だ、省エネでいきましょう。今まではオール電化ハウスだといって奨励しておいて、今度は節電だ節電だ。こんなばかばかしい、何か九州電力やら東京電力やら関西電力をもうけさせてやるような政策をとり続けている。しかも、そのたびごとに税金から五〇%ずつ周辺の人にやって、安全で困る困ると言うのを、無理やりに原発を持っていこうとする。こういうことをしていったら、これは私はイタチごっこで、もうそれこそ日本すべてに原発基地をつくらなければどうにもならぬという状況になってしまうと思うのですね、どこかで区切りをつけなければ。  大体、この前も私は分科会でお話ししましたけれども、電動歯ブラシなんていうのが要りますか。行き過ぎですよ。生活大国の中で、何か総理大臣が質素倹約みたいなことをちょっと言われて、非難が出ておるようですけれども、しかし、ある意味では私は、行き過ぎはブレーキをかけなければ省エネにならないのです、これは。そういう点についての通産大臣、そして総理大臣の御見解を承ります。
  76. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ちょっとお言葉を返すようなことになったらお許しをいただきたいと思いますけれども、電源立地交付金、これはもう先生御案内のように電保税、電源多様化勘定で電力からちょうだいしておる税金を電源立地、エネルギーの推進のために使わせていただいておるわけであります。  私は、原子力発電の建設については、常に申しておりますけれども、まず二一〇%の安全性の確保である。同時に、今先生からお話があったように、大体原子力発電所の立地条件に望ましいところというのは、海岸線で岩盤の強い、いわば過疎地域が多いわけでありますから、やはり原子力発電所の建設に協力をしていただいた地域が発電所をつくったためによくなった、地域の生活環境なり経済環境なり。そういうお手伝いをできる限りしていかなければならない。息子や孫の時代まで、うちのお父さんが原子力発電所の建設に賛成してくれてよかったと言ってもらえるような地域づくりにお手伝いをさせていただかなければならぬ、その気持ちが精いっぱいございます。  そして、その気持ちをあらわすのは、これは心いっぱいありましても心だけでは地域開発にならないわけですから、それをやはりお金の面でできるだけ応援をさせていただく、あるいはそのほかのお金以外の面でも、行政でお役に立つことはできるだけ役に立たせていくということであって、お金を五〇%ふやすことが心を物にあらわしたことで、何かのとき先生も、物心両面にわたって御協力をいただきますと、こう言うわけですから、心とお金が一つであることを御理解賜りたいと思います。
  77. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それは、生活の内容は豊かに立派なものにしていきたいと考えておりますけれども、それは決して資源をむだ遣いしていいという意味ではありませんで、御指摘のように、資源をむだにすることは、むだ遣いということはいかなる場合にも許せないことであると思います。それはおっしゃるとおりと思います。  そこで、しかしそういうむだ遣いを排除いたしました上でなお我が国のエネルギー事情の傾向線を見れば、恐らくそれはやはりふえると考えなければなりませんから、それに対応すると原子力発電というものは今後とも考えていかなければならない。そのために要する交付金等々は、やはりできればふやしてまいりたいということは通産大臣の言われたとおりと私も思っております。
  78. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは技術的なことですからエネ庁長官で結構ですが、我が国でも美浜原子炉で大変な、大きな事故がありました。それで、これに対する事故報告書が出されまして、安全基準というものも出されました。ところが、今度出された安全基準というのは、今まで使用されておる原子炉についてはこれを当てはめない、これからつくられるものについてのみ技術的な改善が行われる、現在運転されておるものについては、その部分については改良をしなくてもいい、こういうことに日本のシステムは今なっていますね。当初認可されたとおりでいい、その認可されたものについて、途中で美浜原子炉等の安全問題についていろいろと基準が出されましたけれども、その部分については、ほかのものについては修正する必要がない、改める必要がない、こういうことになっておると聞いておるのでありますが、そういう事実があるとすれば、老朽原子炉についての安全対策をどうされるのか、それについてもお答えいただきたいと思うのです。
  79. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 お答えいたします。  先般の美浜の案件に関しまして私ども通産省の方で、昨年その原因究明と対応策についての取りまとめをいたしました。さらに三月の上旬、原子力安全委員会の方でおおむねその方向を御承認いただく最終報告を出していただきました。ただその中で、今先生御指摘の新しい知見なり新しい技術なりについての御指摘もいただきました。  私どもといたしましては、先生おっしゃるように、確かに新しいものについての基準を既存のものにすぐ適用するという制度にはなっておらないわけですが、今後、バックフィットと言っておりますが、そのバックフィットについて大いに、原子力安全委員会の御指摘を受けて、私どもも新しい知見なり新しい技術を既存の炉にも適用できるようにそういう努力、研究をこれから重ねてまいりたいと思っております。
  80. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産大臣、今お聞きになったとおりなんですよね。現在運転しておるものについては新しい技術の導入はやらないのです。今からどうするか研究するのですよ。ですから、安全委員会がこうしなさいというふうに出されても、それを即、現在運転されておるものに適用できるというシステムになっておらないのです。私は技術的なことは詳しくありませんからわかりませんけれども、難しいということなのかどうかわかりませんが、しかしこの問題は早急にしておかないと、問題は、古いものから古いものから事故を起こしていくわけでしょう。その点について、今お話がありましたけれども、もっと積極的に検討していただきたい、早急に手を打っていただきたい、そう思います。どうでしょう。
  81. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 安全性の確保は、先ほども申し上げましたように、私は一〇〇%、一二〇%、こう言っておるのでありますから、そのための必要なことについてはできる限り努めてまいるつもりでございます。
  82. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あと和田委員の関連質問がありますから取り急いで質問させていただきますが、またこれは通産大臣で恐縮ですが、三月の十九日に例の自主規制案を発表されましたね。九二年度も継続して百六十五万台をするというふうに御決定をなさいました。この決定をしなければならなかった背景及び目的、その意義は何だったのかということが第一点。  もう一つは、一月、ブッシュ大統領がおいでになりましたときに、あの部品の調達等についての輸入拡大策が話し合われました。これでは不十分と判断して今回自主規制の枠を発表されたのか、その二点についてお聞かせいただきたいと思います。
  83. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 日米関係を大事にするということではかかわりがあるかもしれませんが、しかし、その行っていく施策については全く別個に切り離して考えていただくことで、今回の自主規制は、既にこれは続いておったものを三月三十一日に廃止してしまうか、それとも、二百三十万台という数はもう実際のものとは大きく離れてしまっておるわけでありますから、今度は九一年の大体の輸出台数というものを基準に考えるか、若干これを減らすかとか、いろいろな選択肢があったわけで ありますけれども、その背景というものは、これは何といっても今日の我が国の自動車産業の発展は、アメリカの自由なマーケット、これによって今日我が国の自動車産業が大きく発展し、また、これから我が国の自動車産業が発展していくためにアメリカの自由な市場というものが非常に大事であることは先生御承知のとおりであります。  そういう中で、我が国の自動車産業が大きく飛躍、発展してきておるところで、御承知のようにアメリカのビッグスリーが大きな赤字を抱えるあるいは解雇者を出す、こういうような背景の中で、やはりアメリカと日本は世界の中でこれからも協調していかなければならない非常な大事な国であるし、また、しかもアメリカにとっても日本にとっても、自動車産業というものは極めて重要な基幹産業でありますから、そういう中で、アメリカの中で一部に保護主義あるいは地域主義というような声が起こってくることは、世界の自由な経済の発展のためにも好ましくありませんので、私どもはいろいろ思案に思案を重ねた結果、九一年度ベースで五%ほど減らして百六十五万台の自主規制というものを決めさせていただいたわけでございます。
  84. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これはどうも私たちわかりませんが、これはどういうものに準拠して、何に基礎を置いてこの自主規制というのを十年間も続けておるのでしょうか。これは法律的な根拠があるのか、何かに根拠を置いてずっとやってきておられるのでしょうか。
  85. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 いや、先生おわかりいただけておるとこれは思うのですけれども、これはさくい話が、三十年前までは一番いい自動車といえばクライスラーだ、フォードだ、キャデラックだ、これは我々もそう思っておったわけですから。しかし、それが三十年の時代の変転の中で、今日本から百八十万台近い自動車がアメリカに輸出されておって、アメリカから日本に輸入されている自動車は純粋なもので一万台若干、三万台という数字もありますが、これは現在生産のものが来ておるのでvそうなれば、やはりある程度お互いが、これは経済というものは、生きていかなければならないわけですから、また、日米の自動車業界、両方がともに繁栄していくために、私どもとしてこういう処置をとらせていただいたということは、商工行政のベテランでおる松浦先生、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  86. 松浦利尚

    松浦(利)委員 十年間もこうして続きますと、今不規則発言がありましたように、まさに自由貿易じゃなくて管理貿易なんですね。この二国間でこういう形が出ますと、御承知のようにもう既にECが一月の部品調達の問題について高級事務レベルでECと日本との協議をやろう、あるいは自主規制の問題についてもECと日本とやろう、こういうことで逆に、自主規制というのがアメリカだけということで我々は今まで来ましたけれども、これから政治的に見て、ECが統合されてあそこにECという大変大きなGNPを持った経済圏ができ上がってきますと、ECというのも私は看過できないところだと思いますよ。そうしたときに、ECからも自主規制、二国間協議だ、こういうふうに言ってこられたときにどうしますか。アメリカだけ管理貿易が認められて、こっちはだめだといって外交上やっていけますか。渡部さんはベテランですから、いや、そんなのはへいちゃらだ、こっちはこっち、あっちはあっち、こう言われるかもしれぬけれども、一貫性を持った外交である以上そうはいかぬと思う、何かの根拠がなければ。  ですから、その点について通産大臣、どうなんですか。外務大臣からもお聞かせください。
  87. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これはちょうどいい御質問をちょうだいいたしたのですけれども、ECとアメリカ、よく今先生のような御心配の方が多いのでありますけれども、ところが実際はECとアメリカの場合は事情が全然違いまして、さっきも申し上げたように、アメリカは我が国の自動車に対して長い間開かれた市場であったわけです。ところが、ECの方は主要な四つの国が、具体的な名前は申し上げませんが、我が国に対して厳しい輸入規制を今でもとっておる国があるわけです。ですから、これからウルグアイ・ラウンドを踏まえて自由化の方向に進んでいこうという話が行われておるところであり、しかもまだ我が国の輸入ということになりますと二十万台を超す欧州車が輸入されておるというふうに、アメリカとECは全然事情が違います。また、ECとの今後の問題は非常に大事なことでありますから、これからいろいろECと今後の問題について話し合いをして、誤解があればこれを解き、また決して、先般のビジネス・グローバルパートナーシップでもそうですけれども、ECとアメリカを我々は区別して考えておるようなものでない。広い意味のこの世界の自由を守って管理貿易とか保護主義とかそういうものを抑えていくことが日本がこれから幸せを守り世界が発展していくことであるということを、ECの皆さん方ともよく誤解のないように話を進めてまいりたいと思います。
  88. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外務大臣は結構です。  最後に、恐らくアメリカで日本製の自動車の値段が上がると思うのですね。あるいはなかなか手に入らない、アメリカの市場で日本の車が。そういうときの責任はだれが負うのですか。そのことだけ最後にお聞かせいただきたいと思います。
  89. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これも今回の百六十五万台という自主規制を決めるに当たって私どもが頭を悩ました中の一つですけれども、いろいろの総合的な調査の中で、今アメリカの持っておるビッグスリーの強い潜在力、こういったようなものの中でアメリカの消費者の皆さんにそう迷惑をかけるようなことにはならないだろうという予想のもとにこういうことをさせていただきました。
  90. 松浦利尚

    松浦(利)委員 時間が来ましたから終わります。
  91. 山村新治郎

    山村委員長 この際、和田静夫君から関連質疑の申し出があります。松浦君の持ち時間の範囲内でこれを許します。和田静夫君。
  92. 和田静夫

    和田(静)委員 まず、予算委員会にずっと継続の佐川問題について若干の御質問をいたします。  佐川グループ代表の佐川清会長が北国新聞発行の月刊誌アクタス三月号で、これは裏づけも私は持っていますけれども、インタビューに答えています。その中でこう言っているわけであります。「おれ、検察庁から言われたんだ。「佐川さん、事件のことをマスコミにしゃべっちゃ困る。」」これは事実なんでしょうか。佐川会長の発言からすると、検察は事情聴取をされたというふうに思われますが、まず法務省、いかがでしょう。
  93. 田原隆

    ○田原国務大臣 御質問が予定より早うございましたので、詳細にわたる問題でございますから、政府委員からお答えします、今来ましたので。
  94. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  いわゆる佐川急便事件につきましては、既に去る三月六日に同会社の元役員ら四名を東京地検におきまして公判請求いたしまして、今なお捜査を続けているところでございます。  今委員お尋ねの点を含めまして、捜査の秘密に属する事柄につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  95. 和田静夫

    和田(静)委員 これは余り捜査のあれには関係がないと思うのですけれどもね。同じインタビューでこうも言っておるわけです。「警察から「佐川さん、どこかに姿を隠した方がいい」と言われたんだ。」警察庁、これは一体事実なんだろうか。佐川会長は、続けて「警察、検察庁はおれがここ」——ここというのは金沢市の循環器病院のことなんですが、「ここにいることは知っている。検察庁公認で、ここにいるんだ。」こういうふうに言われているのですが、この辺はどうでしょう。
  96. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今委員御指摘の報道をされている内容等につきましては、法務当局から論評を申し上げることはいたしかねるわけでございます。
  97. 和田静夫

    和田(静)委員 これはしっかりした裏づけのある、記事だけで言っているわけじゃありませんからあれですが、東京佐川が債務保証と融資をしていることについて、佐川会長は「渡辺、あいつの独断だよ。おれに黙って勝手にやったんだ。」と言っているわけです。これは事実なんだろうか。今のような答弁になるのかもしれませんが。  さて、捜査は佐川グループに波及するのか、それとも東京佐川だけなのですか。ここのところはいかがですか。
  98. 濱邦久

    ○濱政府委員 委員お尋ねは捜査の予定等についてのお尋ねだと思いますが、これは東京地検において現在どういうことについて捜査をしており、今後捜査がどういうふうに発展していくかということ等につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。御理解をいただきたいと思います。
  99. 和田静夫

    和田(静)委員 なお捜査の進行状況と一緒に私の方もいろいろと調査をさせていただきながら論議を継続をいたしたいと思います。  そこで、原子力発電所の問題が今論議をされましたが、日本の北から南まで沿海部に今建設されているわけですが、大まかに地域的に見ますと原発は二十三カ所ありますが、この立地はどういう環境条件、地域条件あるいは基準に基づいて立地されたのか、通産省に説明を求めたいのでありますけれども、実は私は、全国的に調べているうちに一つの共通点に気づきました。  この原発の運転中のもの十五カ所中九カ所、建設中のもの七カ所中五カ所、ほかに調査中の地域四カ所に被差別部落がございます。北海道、東北のもともと部落がない地区を除くと、ほとんどの原発の近くに被差別部落が存在をすることに気づきました。私はそれを知って実は慄然としたわけでありますが、この余りのことにこれはもう偶然ではないのではないだろうかということを実は危惧をいたしまして、なぜなんだろうか。ここのところは通産省及び総務庁にまず伺いたいのでありますが、いかがでしょう。
  100. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 お答えいたします。  一般的に、原子力発電所の立地を考える際に、まずその地理的条件を考えなければいけません。  一つは、一定の面積の敷地が得られるということ、それから十分な耐震性を有する構造物を建てられる地盤であるということ、それから大量の冷却水が得られるということ、それからあと建設とか運転とか保守等を行うに当たり、物資を輸送するための道路、港湾等のインフラが確保し得ること、そういう条件がまずどうしても必要でございます。そういう条件を満たした中で、実際の立地に当たりまして電気事業者が地元と協議をして立地地点を選定する、それに対して私ども国の方で安全審査上の立場から審査をするということで今までの立地が進んでおるわけでございます。実際問題、やはり大量の冷却水が得られるということから海岸線を中心に行われてきていることは事実でございます。  それからあと、もちろん環境保全対策も講ずるという条件もございます。そういうことで、全く物理的というか、あるいは安全上あるいは地形上の配慮で立地が決められておるというのが第一でございます。  その次に、地元との話し合いで調整がついたところというところだと存ずるわけで、たまたま先生御指摘の点は偶然というか、私どもも気がつきませんでしたが、あるいは偶然そういうことがあるのかもしれませんが、全く配慮にはございません。
  101. 和田静夫

    和田(静)委員 総務庁、私が今述べたような事情は調査されたことがありますか、あるいは知ってはいらっしゃったわけですか。
  102. 小山弘彦

    ○小山政府委員 現在稼働中の原発や建設中の原発の立地周辺には被差別部落が多いという御質問でございますが、原発の立地市町村の中に地域改善対策の対象地域を含む市町村が幾つかあるということは承知しておりますが、その原発が対象地域の周辺に立地しているかどうかにつきましては、承知いたしておりません。
  103. 和田静夫

    和田(静)委員 通産省はまあ先ほど偶然であって御存じかないような話でありましたが、実は私は、原発関係者がそういう話を内密に言っていることに調査中に気づいたのであります。つまり、原発立地建設の関係者は知っているわけであります。いわば公然の秘密といいますか、知る人ぞ知るというのですか、いずれにしても知っているわけであります。通産省は本当に御存じないのだろうか、もう一遍答弁を求めます。
  104. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 私、その点の御指摘は実は今伺ったのですが、私は少なくとも今まで何回か電力の立地関係の仕事もしてまいりましたが、今御指摘を受けて初めて聞いた話でございまして、全くそういうことを聞いたこともあるいは認識したこともございません。
  105. 和田静夫

    和田(静)委員 これは二月三日におたくからいただいた全国の配置の一覧表の地図、それから配置の状況、建設状況、おたくの資料でありますが、今私が指摘したことを御存じないのならば、通産省、総務庁、両方これを御調査願いたいと思いますが、いかがですか。
  106. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、全く関係のない話だと存じますが、そういう事実関係というか、あるいは私ども偶然の一致と思いますが、そういう事実を調査しろ、すべきだという御指摘であれば、調べてみることは調べてみたいと思いますが、全く社会的にも技術的にも関係のないことだと重ねて申し上げたいと思います。
  107. 和田静夫

    和田(静)委員 総務庁は。
  108. 小山弘彦

    ○小山政府委員 ただいま通産省から御答弁がございましたけれども、その趣旨を了解いたしたいと思います。
  109. 和田静夫

    和田(静)委員 私は、なぜこの被差別部落の近くに原発があるのか、本当の原因をこれは解明すべきだという観点できよう取り上げさせていただきました。私は、一応善意でもちろんとらえて考えているわけであります。まさか被差別部落の近くに原発をつくろうとしたなどとは思いたくはない。人が嫌がる迷惑施設が弱い人たちのいるところにしわ寄せされる。それはされがちなんですね。そういうふうに解釈して一応はきょうはおきますが、実は世界的にも迷惑地域が社会的に弱い立場の人のところへつくられているケースが幾つもあることを私は知っています。しかし、それを容認していいはずがない。それが私は政治だと思っているのであります。きょうは全く持ち時間がありませんから具体的には触れませんが、結婚や魚の販売など新たな差別も実はここでは生まれつつあるのであります。ここは厳正に原因を解明して問題の解決に当たるべきであると思いますし、その意味では新しい立法が必要になることもあるでしょう。通産省、総務庁、御見解がありますか。
  110. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 先ほど申し上げたとおりでございます。
  111. 和田静夫

    和田(静)委員 調査の結果を待ってさらに論議をいたしますが、なお、もう一つだけつけ加えておきます。  原発というものは定期点検や保修というときには電力会社の社員が危険な地域に入るわけではありません。下請、孫請の社員、あるいは早い話、寄せ場の労働者が行くわけであります。組織、未組織を問わず、被差別部落出身の人も多数おります。そこで放射能被害と見られる健康問題が御存じのとおり生じているわけであります。弱い人たちでありますから、裁判もできない、少額の一時金で和解しているケースも今日出てきていますね。  本日は十分な時間がありませんので立ち入れませんけれども、世界的に見ても、ウランの掘り出し、運搬から原子炉の現場の掃除などの作業、そして破棄に至るまで社会の弱者の犠牲において成り立っております。国際環境年と言われますが、原発をどうするのかという声は日本からは上がらない。その陰で社会的な弱者にしわ寄せされる形で原発が動いている。言いかえれば社会の構造矛盾であります。社会の構造矛盾として原発が被差別部落の近くにつくられる、被差別部落の労働者や社会的弱者を利用して運転される、善意で考えてもそういうことが指摘できるわけであります。もちろん悪意であっては許されません。したがって、まず調査と問題解決への方策を立てるように私は政府に求めるわけでありますが、総理の御見解を求めておきます。
  112. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今和田先生の御質問を伺っておりまして、私も、この電源立地推進の、この国の国民生活、経済のための重要性の中でいろいろきょうまで経験しておりました。知る人ぞ知ると先生おっしゃいましたが、私は電源立地については知る人の方のつもりでおりましたけれども、全くきょうまでそのようなことは知りませんでしたからないものと私は思っておりますけれども、先生から御指摘がございましたからこれは調査はさせていただきますけれども、もとより原子力発電所の建設というものはこれからの日本のエネルギーの需要に対して、私どもエネルギーを供給する責任があるわけでありますから、この重要性は御理解いただかなければなりませんが、その建設に当たって先生からそのような御指摘を受けることのないような、まあそのようなことはないと信じておりますけれども、なお一層、念には念を入れろということがありますから、勉強してまいりたいと思います。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 ただいま通産大臣が答えられましたとおり思いがけぬ御指摘であったと思いますけれども、行政の上では十分今後とも注意をいたしてまいります。
  114. 和田静夫

    和田(静)委員 次に移りますが、JRは平成三年度中に株を上場して売却することになっていたようでありますが、これは中止をされましたね。それはなぜでしょう。
  115. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  JRの株式につきましては平成三年度中に売ってもいい準備を、諸般の準備を進める、こういうことが我々の方針でございました。それで、三年度中に売るべくいろいろ準備をしたんでございますが、先生御承知のような現在の株式市場の状況から考えまして、三年度は準備のみにとどめまして、具体的な売却はやらなかった、こういう経緯でございます。
  116. 和田静夫

    和田(静)委員 亀井正夫さん、これは元国鉄再建監理委員長で、現在は国鉄清算事業団資産処分審議会会長をされていますが、昨年十二月二十四日付の「エコノミスト」を読んでましたら、「JRも基準としては、電力会社株を標準に考えたらいいのではないかと思います。いま東京電力は三五〇〇円ぐらい。五〇〇円株だから、七倍でしょう。それぐらいが適正なのです。JRの資本金が全部で七〇〇〇億円。その七倍としても、四兆〜五兆円程度のものでしょう。」と述べているわけであります。私は正直に言ってこのインタビューの記事を読んで非常に驚きました。  参議院のときからいろいろJR問題の論議を、亀井正夫さんにも参考人として来ていただいてやった者として大変実は驚いたのであります。なぜなら、JRの資産売却がうまくできないとしますとJRの民営化がうまくいったとは言えないということになるからであります。売却額が小さいと、結局はみんな国民に転嫁されてしまうことになるからであります。国鉄がJRになって、JRの人たち、例えば住田さんなどは一〇〇%成功したと自賛をされていますが、私は、清算事業団の成果、土地と株で成果が上がらなければ成功したとは考えられないのだと思うのです。ここのところは運輸大臣、いかがでしょうか。
  117. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そのとおりだと思います。
  118. 和田静夫

    和田(静)委員 清算事業団の理事長はいかがお考えですか。
  119. 石月昭二

    石月参考人 ただいま運輸大臣お答えしたとおりだと思っております。
  120. 和田静夫

    和田(静)委員 理事長、固定資産売却実績を累計で説明してください。
  121. 石月昭二

    石月参考人 固定資産の清算事業団発足以来五年間の売却実績、平成三年度につきましてはまだ集計中でございますけれども、おおむねの見込みがついておりますので、若干不正確の面もございますが、この五年間での売却実績は二兆二千億程度になる見込みでございます。
  122. 和田静夫

    和田(静)委員 平成三年二月分までをおたくからいただきました。これは新しい数字でありましょう。そこで計算をしてみますと、一兆七千四百二十九億円という金額がおたくからいただいた昭和六十二年、六十三年、平成元年平成二年、平成三年二月分までということになるのであります。そうすると、これは土地についても極めて実績が悪いわけであります。二月までに二千八百十三ヘクタール売却ということは売却予定地の八五%にも及ぶわけでありますが、売却金額は一兆七千四百二十九億円。売却可能の土地三千三百ヘクタールの八五%を売って当初予定の七兆円の約二割の実績しか上げられなかった、こういうことになります。そうすると、あと二割の土地を六兆円で売ってやっと当初目標を達するのであるということになりますね。今日の状態の中で、清算事業団の理事長はこれを達することはできるとお考えになっているんですか。
  123. 石月昭二

    石月参考人 平成三年度の当初予算で予定しておりました私どもの土地の売却目標は一兆五千億でございました。しかしながら、御案内のように大変な不動産不況でございましてなかなか土地の売却も進まない。そういう中で資産処分審議会の緊急援言等も受けまして、運輸省を初め関係政府部内を挙げてのいろいろの御努力その他をいただきましたわけでございます。また、私どもとしましても本社、支社を挙げまして全力投球いたしましたけれども、残念ながら平成三年度の売却目標は恐らく七千八百億を若干上回る程度で終わりそうな現状でございます。
  124. 和田静夫

    和田(静)委員 いや、私が言ったのは、当初目標に達することができますか、こう言っているわけであります。これはできないということはもう明確でしょう。
  125. 石月昭二

    石月参考人 当初目標と申されますのは全体の量でございますか。(和田(静)委員「はい、全体の」と呼ぶ)全体の私どもの土地の評価の問題でございますけれども、六十二年の発足時におきましては、当時の基準地価を中心といたしまして約七・七兆円だというぐあいに評価されました。その後評価をやり直してまいりまして、最近では、平成二年度首でございます、このときは大変地価の高騰した時期でございますが、このときが十五・八兆円でございます。しかし、その後地価も下落しておりますし、また平成二年、三年はかなりの土地も売っておりますので、いずれ現在の公示地価が安定した段階でもう一遍私どもの保有土地の価格を算定したいと思っておるところでございます。  なお、私どもの土地は、面積的に申し上げますと、北海道その他が非常に多いわけでございますけれども、価格的に申しますと、ほとんどの土地が東京、大阪という大都市周辺に集中しておりますので、面積と価格の面がその意味では全然一致いたしませんので、御理解をいただきたいと思います。
  126. 和田静夫

    和田(静)委員 それはわきまえで言っているつもりです。おおむね国鉄沿線の土地が坪二十万なら、これはもう小分割して個人の住宅用地に売却した方が私は国民はよっぽど喜ぶだろう、そういうふうに思っておるのですが、とにかく国鉄再建監理委員会の答申に掲げた数字は、土地については達成できていない、また達成見通しも立たない、こういうことだろうと思うのであります。  株の話に戻りますが、JR三社の株価を、国民経済研究協会は十九兆九千四百億円、週刊ダイヤモンドは十七兆一千四百五十六億円と試算しています。私は、JR東日本の駅用地だけで、これは低く見ても、十八兆円の資産価値があるのではないかと試算をいたしました。その場合に、債務を差し引いて純資産で株価を考えますと、一株当たり三百七十九万円ということになります。ところが、先ほど紹介をしました亀井正夫さんの言うように、安く、額面の七倍で売却すると、私の計算では二兆八千八百四十億円にしかなりません。つまり、こんなことなら、国鉄再建監理委員会答申、これは私たちは鋭くすっと批判をしてきたものでありますが、その答申のレベルにも遠く及ばないわけであります。後はすべて国民に転嫁すればいい、それで一体よいのだろうか。それが政府の方針なのか。これは運輸大臣、一遍御見解を聞かせてください。
  127. 奥田敬和

    奥田国務大臣 細かい数字の面については政府委員から答えさせますけれども、基本的な話でございますから私から答弁させていただきます。  ことし、平成四年度、できればJR東、西、東海の三社の株の売却を果たしたいという基本姿勢は持っておるわけでありますが、今お話しになりましたような土地処分に関しては相当目算が狂ってきたことは事実でございます。御存じのとおり、土地バブルの、一番国鉄用地売却に対しては厳しい規制枠、これは国民的な世論の動向にも配意してのことでございましたけれども、そういったことで売却関係、土地売却あるいは株の上場が予定年度よりおくれてきたことは事実でございます。  しかしながら、今亀井さん云々の話での予想価格でございましたけれども、私たちは、市場動意にも配慮しなければなりませんけれども、今日の各JRの実績そして手持ちの資産内容等々からいって決してそういった形にはならないであろう、国民の皆様の御協力によって本当に民営公共交通を預かる機関として総力を挙げて御支援をいただけるんじゃなかろうか、今日の冷え切っている市場の中でも最も魅力のある、将来性のある形の旅として国民的評価をいただけるであろうという期待を持っておるわけであります。  土地売却に関しては、いろいろな今規制の緩和策等々も講じておりますし、自治大臣等々にお願いをいたしまして、地方自治体に優先的に先買いをしていただけるような方途も目下御相談を申し上げている段階で、今年度、売却予定のおくれた形は何としてもこの四年度において取り返したい。そして一日も早く清算事業団の借金減らしに全力を挙げたい。借金減らしに全力を挙げていくことが国民の、いわゆる国民資産、国民にかずいていただいている借金を一日も早くお返しする最善の方途であるということで全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  128. 和田静夫

    和田(静)委員 事務当局でいいのですが、今大臣の答弁の趣旨を踏まえながら、結果的に国民に転嫁される額というのはないのか、あるいはあるのか、あるとすれば結局幾らぐらいになるのか、どういうふうに試算されていますか。
  129. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  先生のただいまの御質問でございますが、私どもまだ、土地、株が今後どういうふうに推移していくかということにつきまして確たる見通しを、申しわけございませんが、今の時点では立てておりません。確かに国鉄改革の当初のときの構想といいましょうか、考えといたしましては、土地を売り、それから株を売り、その残りを国民負担にお願いするというような感じでございますが、その後において、土地も多少多目に計算できます、それから株式も額面ではなくてもう少したくさんの額で売れる、こういうことから考えますと、今の時点で株をまだ全然売っておりませんので、どういう値段がつくかがちょっと見当がつかないところでございます。そういう意味で、今のところ最後どうなるかということにつきましては確たる見通しを持っておりませんで、申しわけございませんが、先生の御質問に的確に答えることができないわけでございます。御理解いただきたいと思います。
  130. 和田静夫

    和田(静)委員 これは大変な問題点なんです。したがって大蔵省、大蔵大臣にちょっとお聞きしておきますが、国民負担が減らないばかりか、もしふえていくとすると、財政的に言って、国鉄民営・分割が成功したとは言えなくなるわけであります。大蔵省はどういう見解でしょうかね。どういう国民負担が考えられるとお思いになっていますか。
  131. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 私どもも、国鉄再建に伴うこの清算事業団の資産処分については、毎年度の予算編成の過程においても非常に注目をし、運輸省ともよく相談をして適正な処分等が行われるように一生懸命努めておるわけでございます。先生御指摘のように、この問題につきましては、株の売却、土地の売却を通じでできるだけ国民負担を少なくするというか、国民負担がないようにしていかなきゃならぬというのが私どもの使命と考えておりまして、今後の見通しにつきましては、株価、地価動向がどうなるかということが的確に見通せないものですから、正確なことを申し上げられないわけでございますけれども、今後とも国民負担ができるだけ少なくなるように、売却方法その他工夫をしながら一生懸命努めてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  132. 和田静夫

    和田(静)委員 きょうは時間がありませんから、この程度でここのところはやめておきます。  もう一つ言っておきたいのは、これは総括でも申し上げましたが、JR各社は労働委員会勧告を無視し続けているわけです。そんな会社が日本のどこにあるのだろうか。それで上場基準が満たされないということにも一方ではなっているはずであります、というふうに私は考えます。どういう指導を運輸大臣としては強められましょう。
  133. 奥田敬和

    奥田国務大臣 目下この案件に関しましては、中労委のいわゆる誠意のある調停案待ちということでございます。今JR三社に、清算事業団から解雇されたこの千四十数名の身分回復に関しましては、これはJR三社側の言い分もあろうかと思います。いわゆる一定定員数の枠の中で、そして一定資本、一定資産運用という枠の中であの民営化の発足をいたしたわけでありますから、この問題の責任問題、それこそ今中労委の調停の最大の要件事項となっておるわけでございますから、これらの経緯を踏まえまして、先生がかねて御指摘のように、この皆さんたちがつらい思いで今日まで来られておるということにも思いをかけながら、何とか結果を待っておる、その結果いかんによってはまたいろいろ御相談申し上げ、知恵も出し合っていきたいと思っておるところでございます。
  134. 和田静夫

    和田(静)委員 この問題は、もう一つ、労働大臣、私は、日本の労働法体制そのものが問われていることでもあると思うのですね。特に、労働委員会制度そのものの存在というものが一体どうなっていくのかというその帰趨さえ問われていることだと思うのです。したがって、労働大臣としてはどういうお考えをお持ちですか。
  135. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 地方労働委員会の決定は決定として、それに対して今度は中央労働委員会で今検討しているわけでございます。そういった第三者機関で真剣な打開のための道を関係者を呼んで中労委で検討していただいておりますので、私たちは非常に実は期待を込めて、うまく話し合いがつくかな、ついてもらいたい、こう思っているわけでございますけれども、きょう、あしたまでということで話をしてもらっておりますので、何とか話し合いがついてもらいたい、こういう思いでございます。
  136. 和田静夫

    和田(静)委員 国鉄の再建監理委員会は、意見書提出に当たって亀井委員長談話を出しているわけですが、それはこう述べています。「本改革案が国鉄事業を再生させる唯一の方策である。かつ国民の負担を最小限のものとする最善の方策である。」と述べているわけであります。私はこれまでのところ、そして見通し得る今後、私なりに見通し得る今後、どうも国民の負担を最小限にすることはできていない、あるいはできないと考えるほかはないわけであります。きょう論議をしたのもその一端であります。  そうすると、もし国民負担はゼロになると言うのならば民営化は一〇〇%成功したと言うのも結構でありますが、そう言えないのならば、この隣どういう見通しが立つのか、あるいはどういう試算をするのか、これはやはり、先ほど来答弁が両省からございましたが、大蔵省を含んで今のところないと言うのでありますから、ぜひ私はいろいろの想定を交えながら試算をしてもらいたい、その上でもう一度議論を煮詰める、そういうことが私は必要だと思うのでありますが、約束ができますか。
  137. 井山嗣夫

    ○井山政府委員 お答え申し上げます。  繰り返しになって恐縮でございますが、一番私ども今頭が痛いのは、株価をどういうふうに計算したらいいのか、幾らとなるかという見通しが先ほど言いましたようにはっきりいたしません。土地につきましては、今までの経験がございますので、公示価格という準拠すべきメルクマールもあるわけでございますが、株の方は大変難しいようでございまして、そこが、一回でも、先生、株が売却できまして値段がつくようになりましたらある程度の試算はできると思います。今、現時点ですぐ将来の見通しをと言われましても大変っろうございますので、株が一回売れましたところで私どもなりにきちんと試算をさせていただきたいと思っております。
  138. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 今鉄道局長お答えいたしましたように、私どもも一番難しいポイントは株だと思っております。株につきましては、ある一定の予断を持った価格を設定すること自体が売り出しに影響いたしますし、そこは慎重であらねばいかぬと思っておりますけれども、株が一遍売れた段階では、確実にやはり収支見通しを出して、どうしていくのかというきちんとした筋道を考えるべき。だと考えております。
  139. 和田静夫

    和田(静)委員 移転価格税制など基本的な問題の論議を時間の都合でできませんでした。  私の質問を終わります。
  140. 山村新治郎

    山村委員長 これにて松浦君、和田君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  141. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日笠勝之君。
  142. 日笠勝之

    ○日笠委員 いわゆるパート減税について何点かお伺いをしたいと思います。  お手元に私が仮定計算いたしました資料も届いているかと思いますし、また、総理、大蔵大臣、厚生大臣、それから労働大臣にはもう先週その仮定計算の表についてはお渡ししておりますので、簡略に説明をしながら御答弁をお願い申し上げたいと思います。  まず大蔵大臣、パート減税パート減税と言われますが、このパート減税ということは実際税の公平、公正、中立というような税理念から見てでき得ることなんでしょうか。いかがですか。
  143. 羽田孜

    羽田国務大臣 この点につきましては、もう既に何回か一緒にお話しした問題でございますけれども、現在のパート減税というのは、もう細かくは申し上げません、いずれにしましてもパート減税で一番問題になったのは逆転現象を起こしてしまうということ、こういったことに対して対処するということで百万円までのことを進めたということでございまして、これ以上やるということになりますと、まさに専門で働いて、そういったことで御婦人が働いている人たち、あるいは片働きの、何というのですか、御主人といいますか、一人御主人が働いているだけの家庭、こういったものと今度は逆に逆転になってしまうというようなことがあるわけでございまして、これ以上のことは私どもパート減税という形では考えられないというふうに思っております。
  144. 日笠勝之

    ○日笠委員 だから、パート減税ということでは考えられない、恐らくこれは所得減税をする一環の中でパートの方もその恩恵にあずかれる、こういう意味だと思うのですね。  しかし、パート減税という名前がもう市民権を得たようにひとり歩きをしておるわけですね。ですから、後ほどいろいろと御説明いたしますが、本来ならば可処分所得増加策であるとか、家計実質収入増加策であるとか、こういう名称の方が正しいんだと思うのですね。しかしながら、パート減税ということについては、実は先日の予算修正のときに野党は要求しております。中でも非常につつましやかに要求していますね。いわゆる給与所得控除を十万円上げるべきである、こういう要求でございます。この根拠というのはやはりあるわけですね。  厚生省、お伺いをいたしますが、例えば一級地にお住まいの単身の四十五歳ぐらいの方であれば、平成四年度の基準で計算をいたしますと、どれくらいの生活扶助が、借家の方であるということを踏まえてどれぐらいトータルで受けられることになりますか。
  145. 末次彬

    ○末次政府委員 御承知のとおり、生活保護基準は地域、年齢あるいは世帯の状況に応じまして必要な額を設定しております。御質問の場合の平成四年、これは暦年ベースでお答えいたしますが、住宅扶助基準と生活扶助基準を合わせました一級地域の借家に居住しております四十五歳単身者の場合の額で、年額百七万五千八百九十円になります。
  146. 日笠勝之

    ○日笠委員 生活保護の方で一級地にお住まいで借家の方であれば、百七万五千八百九十円まではこれはいわゆる非課税ですね。それに比べて税の世界に行きますと、百万を超しますとこれは課税になってくる。この辺のギャップがあるということなんですね。隣のアパートにお住まいの単身の女性の四十五歳ぐらいの方、こちらはアパートでも一生懸命パートで働いている方、これ、片一方は百万を超すと税金がかかってくる。しかし生活保護の方は百七万五千八百九十円までは非課税である。私は決して生活保護基準が高いから低くしろとは絶対申し上げません。健康で文化的な生活を保障するならば、もっと上げてもいいかもしれません。この約七万六千円ぐらいが働いている方からは税金が取られる、こういう矛盾があるから、百十万ぐらい、すなわち給与所得控除を十万ぐらい上げるべきであるという論拠にもなっておるわけであります。この点、大蔵大臣どうですか。
  147. 羽田孜

    羽田国務大臣 生活保護基準は、資産、能力その他あらゆるものを最低生活の維持のために活用して、さらに民法上の扶養義務者による扶養や、他の法律に定める扶養を優先して活用して、それでもなお最低生活が営めないというときに初めて保護を行う場合の基準でございまして、また、世帯員の個々の年齢、性別、世帯構成、居住地域等の別に生活実態に対応して設定されるというふうに承知しております。  所得税のいわゆる課税最低限ということになりますと、資産の保有状況にかかわりなく税法上定められた一定の非課税所得等を除いたフローの年間所得の大きさをとらえて担税力の有無を判断し、課税しない所得水準を定めたものであろうというふうに思っております。このように生活保護基準は、所得税の課税最低限とはその趣旨、目的等が異なるものでございまして、これは単純に比較することは適当じゃないというふうに考えます。  なお、パートの主婦の場合には、先ほど申し上げましたが、夫の所得を補うために働いている場合が多いと思われますので、その課税最低限の引き上げの根拠として単身の御婦人の生活保護基準というものと比較することはちょっといかがなものかと申し上げざるを得ないことをお許しいただきたいと思います。
  148. 日笠勝之

    ○日笠委員 理屈は貨車で後から幾らでもついてくるといいますし、しかし、現実に同じ年齢で片一方は百万を超すと課税、片一方は百七万六千円でも非課税である、これはどうしてもぬぐい切れない矛盾だと思うのですね。  そこで労働省、毎年税制改正ということで大蔵省に要望していますね。ずっとやっておるんじゃないですか。パート減税ということで。全然言うことを聞きませんね、大蔵省は。余りパワーが弱いのか、大蔵省が言うことを聞かないのか、労働大臣の方はどうですか。ことしも出したようですし、ずっと例年出しておるようでございますが……。
  149. 松原亘子

    ○松原政府委員 お答えいたします。  労働省におきましては、平成二年度、平成三年度につきましてはパートタイム労働者の非課税限度額の引き上げということで御要望をさせていただいたわけでございますけれども、このパートタイム労働者の問題どこの非課税限度額の問題は、パートタイム労働者だけの問題ではなくて、非課税限度額を超える勤労者すべての問題でもあるわけでございます。そういうことから平成四年度におきましては、勤労者の税負担の軽減を図るための給与所得控除の大幅な引き上げというのを要望させていただいたわけでございます。
  150. 日笠勝之

    ○日笠委員 平成元年度から四年連続で課税最低限度を大幅に引き上げるようにという労働省の強い要求、労働者の、働く者の強い要求にもかかわらず、四年据え置きになっておるわけですね。この間の物価上昇率も八%台、九%台とも言われておるわけでございますが、その辺をしんしゃくいたしますと、やはりこれは課税最低限を、特に野党が要求したように給与所得控除を十万ぐらい上げるというのが当然だろう、このように思います。  総理はどうですか。この課税最低限度を野党が要求したように十万円ぐらい上げるべきである。物価上昇のお話もしました。労働省からの税制改正の要望もお話ししました。また、生活保護基準の扶助額のお話もいたしました。トータルして総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  151. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 先般、消費税を創設いたしましたときに、抜本的な所得税法の改正をいたしました。これは非常に基本的な改正であったわけでございます。その結果、今日の我が国の課税最低限というのは各国に比べてかなり高くなってまいりましたし、また、最初の出だしの税率も低くなっておるということをいろいろ考えますと、財政事情が非常に余裕がございますと今おっしゃいましたようなことがいろいろ考えられるのでございましょうけれども、今の財政事情等々考えますと、私はにわかにそういうことができる状況にはないというふうに考えます。
  152. 日笠勝之

    ○日笠委員 財政事情というだけであればまだ方法もあるのですけれども、きょうはせっかく仮定計算表をつくってきましたので、これにのっとってちょっとさらに論議を進めたいと思います。  これは大蔵大臣には大変申しわけないけれども、給与所得控除を十万円上げて七十五万というふうにして計算をしても逆転現象が起きてくる。それは税の世界だけではなくて、いわゆる配偶者の扶養手当の問題であるとか、これは労働省マターだと思いますね。それから厚生省でいえば社会保険料の問題、こういう問題が、大きく可処分所得が減ってくるという一つの計算でございます。細かい計算は、先ほど申し上げました前提条件は、もうここに書いているとおりでございますので、申し上げません。  例えば、たとえ十万円給与所得控除が上がったとしましても、この表の二番目の妻のパート収入が百十万円というところを見ていただければ、確かに十万円上がりますから所得税はゼロ。まあ住民税は、課税最低限が低うございますから二千円ということで、ほぼ満額可処分所得、妻は収入に見合った分だけもらえるわけですね。  ところが、これが百十九万九千円、なぜこういうふうに百十九万九千円と設定したかというと、百二十万円を超しますと、妻はパートで働いておっても、国民健康保険とか国民年金が強制加入になってくるわけですね。保険料をどっと払わなきゃいけないということで、その手前の百十九万九千円だとどうなるかというと、お手元の三のところにございますように、税金は一万六千円少々で安うございますが、保険料はゼロでございまして、まあほぼ手取りは収入に見合った分ぐらい、これは取れるわけでございます。  ところが、百二十万を超します、百二十万としましょうか、これが四番目でございまして、百二十万になりますと社会保険料、国民健康保険と国民年金がかかってまいります。これはいろいろ計算式が複雑でございまして、特に国民健康保険はもう市町村によって格差が甚だしきものがございます。一対七ぐらいのところもございますので、中間的な、標準的なところの市町村の国民健康保険とした場合、十五万一千八百円という、突然ゼロから、千円超しただけでこれだけの納入をしなきゃいけなくなってくる。  そうなりましたところ、トータルで計算をいたしますと、何と百十九万九千円の方と百二十万の方と比べますと、後で説明する配偶者扶養手当がカットされるという条件でございますが、手取り夫婦合計が三十四万六千五百円の減になるわけですね。たった千円超しただけで、三十四万円も年間の夫婦の可処分所得が減るわけなんです。ここに問題が私はあるんではなかろうかと思います。  というのは、一つは、先ほど申し上げましたように、配偶者の扶養手当を上限なしで支給している会社が六割、上限を設けているところが四割でございますので、国家公務員の方も百二十万を超しますと配偶者の扶養手当はカットされます。ですから、国家公務員の方を想定をしてこの計算をしますと、千円の収入がふえただけで三十四万六千五百円減ってしまう、こういうふうな問題に行き当たるわけです。  それらをずっとこの分岐点まで持っていけば、幾らになれば、じゃ可処分所得がパート収入百十万円の方と同じぐらいかというと、一番最後の五にございます百六十四万円ぐらい妻はパートで稼がないと、百十万と同じぐらいの夫婦合計の可処分所得にならない。  ですから、先日の大蔵委員会でも、私は、確かに税の世界では、配偶者の特別控除を設けたから逆転現象はなくなったかもしれません。しかし、ここにございますように、ある程度の収入が一点から超しますと、こういうふうにもう大幅な逆転現象が起こってくる。じゃ、なぜパートで働くか。これは総理府の世論調査もございますように、家計を助けるため、子供の教育費が高いからそれを助けるためというのがもう五〇パー、六〇パーなんですね。  そういうことになってくると、どうしても就業調整を始めるわけです。極端に言えば、十万円給与所得控除が上がった。税金の面では助かるかもしれない。しかし、社会保険だ、主人の配偶者の扶養手当がカットされる。じゃ、ぎりぎりの百十九万九千円までにしておこう、もうここから先の給料は要りませんよ、働きませんよ、こういうふうな就業調整が行われるわけであります。出生率の低下だとか、また今現在も労働力不足と言われて、せっかく働いてもいいと言いながら、こういう逆転現象があるがゆえに調整をしていくという、これも大変残念なことになるわけです。  そこで、まず労働大臣、この配偶者の扶養手当が国家公務員の場合は百二十万を超すとカットされます。一般企業でも、最新のデータもお示しいただきながらお答えいただきたいんですが、私どもの労働省からいただいた六十一年の統計だと四割がカットされる、こういうふうになっておりますね。そういうところで、この辺の悩ましい問題を労働省は今後どのように対応されるか、お聞きしたいと思います。
  153. 松原亘子

    ○松原政府委員 先生御指摘のように、昭和六十一年の、ちょっと古いんですが、その調査によりますと、配偶者手当を支給しております企業が七六%ございます。そのうち四一%の企業は、配偶者手当を支給することについての限度を設けているというふうに答えているわけでございます。その限度額というのは、当時の額でございますので若干安くて、八十九万何千円というような段階でございます。  この配偶者手当問題というのをどういうふうに考えるかというのはいろいろな要素がございますが、基本的には企業の賃金制度のあり方ではないかというふうに思う次第でございます。パート労働者のみならず女子労働者について言いますれば、フルタイム労働者も非常にふえてきておるわけでございまして、女性の労働と賃金制度というものをどういうふうに考えるかという非常に難しい問題をはらんでいるわけでございまして、私どもは十分今後検討していきたいというふうに思っているところでございます。
  154. 日笠勝之

    ○日笠委員 労働大臣、ぜひ六十一年じゃなくて最新のまずデータを集めて研究をする、調査をする、こういうことでよろしいですか。これは労働大臣から。
  155. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生の御指摘でございますので、いろいろ研究させていただきます。
  156. 日笠勝之

    ○日笠委員 じゃ、今度は厚生省ですね。  ある日突然、千円超しただけで十五万一千八百円からの社会保険料を払わなければいけない。これは、社会保険料を払って本人にメリットが、潜在的メリットでもいいんですが、あればそれはまあやむを得ないということで支払うんでしょう。しかし、例えば国民健康保険を例にとりますと、国民健康保険の給付率は、入院しようが外来で行こうが七割ですね。ところが、これが百十九万九千円で、御主人の健康保険の被扶養者であれば、すべて入院のときは八割給付なんですね。本人がこの保険料を払っておればメリットがあればいいが、メリットが逆メリットで、ないわけなんですね。  そういうようなこともありますし、このことについてはやはり就業調整をしなくて、働いたら働いた分だけ可処分所得がふえるようなことも厚生省さんもそろそろ考えないといかぬのではないかな、かように思いますが、いかがでしょう。
  157. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 保険料の負担と給付につきましては、おっしゃるようないろいろな問題があると思うんです。  基本的には、この保険料は税と違いまして、基礎控除がないというところですから、その最低限のところだけがたんと差がつく、これはもうやむを得ないと私は思っているんです。ただ、これは何とかなだらかにしなきゃならぬという議論もありますし、おっしゃる点、もうちょっとということになりますと、自営業者とか他とのバランスがあります。そこで、私どもは、ただこれでいいとは思っておりません。したがって、何とかこれはもう少し合理的にならないかということを、厚生省内にも一つ検討会をつくりまして、今後さらに合理的にどうすればいいのかということを検討課題としてやってまいりたいと思っております。     〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
  158. 日笠勝之

    ○日笠委員 例えば国民年金も、学生の場合は、親の所得状況であるとか国公立大学と私立と分けるとか、同居と別居と分けるとか、割と学生の二十からの国民年金の強制加入も条件を設けていますね。これも一つの参考になるかと思いますので、労働省と厚生省さんにおかれましては、ぜひひとつこの悩ましい問題を積極的に解決するように、今後大いに検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  と同時に、労働省の「パートタイム労働豆事典」というのがございますね。これは働く人も雇用する側も両方の方に差し上げるパンフレットですね。これを見ますと、この税の世界の逆転現象は、配偶者特別控除ができたので、なだらかになるので解消しました、これだけ書いているけれども、先ほど言った社会保険のことは一切書いていませんね。裏を見ると、健康保険、厚生年金保険について、詳しくは社会保険事務所で聞きなさいと書いてある。冷たいですね。大体百二十万を超した奥さんが健康保険や厚生年金に入るんですか。国民年金国民健康保険じゃありませんか。だったら、これは当然国民健康保険、国民年金というのは市町村の窓口と書くべきですね。そういうことも踏まえて、もう少し社会保険のこともこの豆事典の方に、私はきちっと働く方がわかるようなそういう親切な豆事典にすべきではないか、かように思いますが、労働省さんどうですか、今後改訂する御予定はございますか。
  159. 松原亘子

    ○松原政府委員 お答えいたします。  今の豆事典は、私どもがいろいろ考えて資料を掲載したつもりでございますが、御指摘の点含めまして、企業や女子労働者のニーズに合ったような情報を掲載できるよう今後検討いたしたいというふうに思っております。
  160. 日笠勝之

    ○日笠委員 労働大臣が出てこないと、私は女性に優しいから、すぐやめますよ、この問題は。  そこで、最後にこの問題、総理、先日の野党の予算の修正につきまして自民党さんと交渉した結果、自民党の方の回答が出ていますね。こういうパート減税、パート問題については、税の世界だけじゃないよと、いわゆる社会保険の問題や雇用政策全体の問題がある、それは関係省庁の協議の場を設置すると、こうあるのです。自民党さんが出した回答は、総裁でもある総理も当然これは御存じのことと思いますね。それで私は、先ほど厚生省、労働省、できれば人事院、こういう方々が早急に関係省庁の協議の場をつくるべきである、また、つくりなさいと督励をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。回答にちゃんと出ているのですよ。
  161. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 先般、予算案に対する四党の共同修正の御要求に対して自民党がお答えをいたしましたことは、よく存じておりますし、このお答えは、もとより政府としても最大限に大切なこととして尊重をさせていただきます。  もともとこの問題は、日笠委員が御指摘のように、従来からその都度国会で御議論になり、また今までお話しのようないろんな複雑な問題を含んでおりますので、やはり一度各省庁で研究をすることがいいであろうと思っておりました。この間のそういう自民党からのお約束でございますので、各省庁の間でどういう場でいたしますか、それをまだこれから決めなければなりませんが、雇用対策、社会政策等にも関係をいたしますので、そういうことを考えながらその場を設けてまいりたいと思っております。
  162. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ平成五年度に間に合うように協議をいただきたいとお願いいたします。  それでは次に、精神薄弱者、薄弱児の方々の有料道路の割引について、建設大臣運輸大臣にお伺いしたいと思います。  今国会でも既に二、三回この問題は取り上げられたようでございます。私は、まず総理が先日の施政方針演説で、生活大国の前進と銘打って六つの指針を明示されましたね。そのうちに、その中で障害者のことについてこのように言っておられます。「本年は、「国連障害者の十年」の最終年に当たります。障害を持つ人々が家庭や地域で安心して暮らすことができるよう、完全参加と平等の理念に沿ってきめ細かな施策を講じてまいります。」このようにおっしゃっております。  そこで、特に障害者の中で精神薄弱者の方は、俗に言う知恵おくれという方でございまして、運転免許も法令・構造試験はほぼ受からない。ほとんど免許を持っておられません。そこで、やはり私がここで主張申し上げたいことは、有料道路ですね。旅客運賃の割引制度は、昨年運輸大臣の英断によりまして、JR、バス、タクシー、これは割引制度ができました。私も先日タクシーに乗ったら、個人タクシーでしたけれども、ちゃんとこういう割引証をもらうと割引をいたします。個人タクシーさんの場合、どこからか助成とか奨励金が出るんですか。出ません、全部自腹でボランティアです。本当に麗しい私はまさに光景を見たわけでございます。  ならば、国がほとんどやっておるこの公団等の有料道路、本人は免許証がないんですから、取れないんですから、せめて介護人がこれから通園、適所施設に行くというときとか、こういうときにはこれは当然有料道路を割引しなければならない、このように思いますが、先ほどの施政方針演説を踏まえて、建設大臣は、この有料道路の精神薄弱者介護者運転の場合、割引について政治家個人として、政治家としてどのようにお考えでしょうか。
  163. 山崎拓

    山崎国務大臣 有料道路の割引制度に関しましては、身体障害者のうち肢体不自由児・者につきまして既に適用せられておりますことは御案内のとおりでございます。障害者が持っております苦痛やハンディを幾らかでも軽減したいという配慮であると思うのでございます。  ただいま日笠先生御指摘の精薄者介護者に関しましても、これは障害者福祉政策全般の中で措置すべきものでございますが、有料道路制度の問題の一つとして取り上げさせていただいておるところでございます。現在、道路審議会で本件につきましても御討議いただいておるところでございまして、道路審議会の考え方がまとまりましたら、それを受けまして関係省庁とも十分協議いたしまして、せっかくの先生の御提案と申しますか御心配でございますので、前向きに対処してまいりたいと考えております。
  164. 日笠勝之

    ○日笠委員 念のために、運輸大臣どうですか。
  165. 奥田敬和

    奥田国務大臣 身障者と同じように、海陸空所管の乗り物すべてに関しましては、既に精薄者に対する、介護者に対する割引実施をいたしました。共管事項でもございますし、有料道路の方に関しては建設省と密接に連絡をとって、真剣に検討してまいります。
  166. 日笠勝之

    ○日笠委員 大変前向きな御答弁が出ましたので、最後の質問に移りたいと思います。  実は湾岸危機、湾岸戦争ということで、私たち公明党も、その九十億ドルの拠出につきましては大変苦しみながら賛成をさしていただきました。しかし、一体どこの国に幾ら使われたのかということがまだ私は寡聞にして、この予算委員会にずっとおりますが聞いておりません。ちなみにこの九十億ドルの湾岸平和基金の各国への支出済みの、拠出された金額についてまずお尋ねしたいと思います。
  167. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。  九十億ドル分の各国別支出でございますが、アメリカが一兆七百九十億円、英国が三百九十億円、サウジアラビアが百五十五億円、エジプトが百五・六億円、フランスが六十五億円、シリアが四十九億六千万円、パキスタンが十二億二千万円、バングラデシュが六億六千万円、モロッコが六億五千万円、セネガルが四億一千万円、ニジェールが二億九千万円でございます。これで総額の約九九%になりますが、残り一%が湾岸諸国の一部に支出予定でございますが、サウジアラビアが中心になって今調整中でございます。
  168. 日笠勝之

    ○日笠委員 そこで、これは私どもが賛成した理由は、武器弾薬に使われないということが条件でこの九十億ドル支出については賛成したわけですが、財務報告というのでしょうか、アメリカに一兆一千五百八十七億五千万支出された、これはどういう使途か報告を受けていますか。
  169. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 まず、アメリカの前に全体の枠組みでございますが、我が方からは御承知のように湾岸平和基金に拠出しておりまして、湾岸平和基金から各国に要望に応じて支出をしているという状況でございます。そして、我が方への報告につきましては、いずれ支払いが完了した段階で言ってまいると思いますが、その過程におきましても、我が方が拠出に当たっての幾つか条件をつけております。例えば、御承知の六項目については先方に伝えておりまして、それもアメリカ側に伝わっていると理解しております。
  170. 日笠勝之

    ○日笠委員 ですから、督励をして早く財務報告をするように、会計検査もするとなっているのですから、もう戦争終わって一年以上もたっておるわけですから、督励をしていただきたい、早く国会へ報告していただきたい、このことを御答弁聞いて私の質問を終わります。
  171. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 我々もなるべく早く御報告を申し上げたいと思っておりますし、その前提としての最終報告を早く受け取りたいと思っています。ただ、相手が多いことでございますので、先方の運営委員会が、手順としては関係各国から一応報告をとる手順になっておりますので、それを踏んで報告が参ると思いますので、参りましたらしかるべく国会に御報告したいと思います。
  172. 日笠勝之

    ○日笠委員 私の質問は終わります。
  173. 村上誠一郎

    ○村上委員長代理 この際、冬柴鐵三君から関連質疑の申し出があります。日笠君の持ち時間の範囲内でこれを許します。冬柴鐵三君。
  174. 冬柴鐵三

    冬柴委員 公明党・国民会議冬柴鐵三でございます。  先ほど日笠委員も指摘されましたように、本年は、国連障害者の十年の最終年に当たりますが、我が国におきましても、昭和五十七年に策定をいたしました「障害者対策に関する長期計画」及び昭和六十二年に策定いたしました「障害者対策に関する長期計画」の後期重点政策の総仕上げの年でもございます。そのような観点から、本日は心身障害者対策に論点を絞りましてお尋ねをしてまいりたい、このように思います。  周知のとおり、神戸地方裁判所は、去る三月十三日でございますが、進行性筋ジストロフィー症に罹患して体の自由について障害をお持ちの生徒に対しまして、身体的障害を唯一の理由として学校長は入学不許可処分とすることはできない、このように判決をいたしまして、障害者の入試合否判定をめぐる初めての司法判断を示したわけであります。  この判決が今後障害者教育のあり方に大きな影響を与えることは必至であると考えられます。この二十七日に控訴期間満了によって確定もいたしておりますので、ここで文部大臣の所見をお伺いいたしたい、このように思います。
  175. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 ただいまの筋ジスの少年についての市立尼崎高校入学問題についての判決につきましては、義務教育ではありませんから、義務教育ですと地方自治体の義務等も明定をされてきますから、例えば学校を指定するとかいろいろ直接の問題がありますが、高校の問題でございますので、具体の個別のこの案件についての判決の結果がどうであったかということについての私のコメントというものは差し控えたいと思っておりますが、先ほど日笠先生が読み上げられた総理演説の内容やあるいは国連障害者の十年の趣旨等を踏まえて考えますと、もちろん憲法、教育基本法の保障する教育の機会均等というようなことを考えてみれば、その結果については具体的なコメントはできませんけれども、私どもの考えておりますことと基本的な違いはない。文部省としては、単に障害を有するというだけの理由をもって受験の門戸を閉ざしたりあるいは不合理な、不利益な取り扱いはしない方がいいというようなことは随分指導してまいりましたから、そうしたことと矛盾はしないと思っております。  いずれにいたしましても、こういうような一件で裁判が起きて係争中であったということは大変残念でありましたが、ここで決着を見ましたことについてはほっと一安心しているという気持ちでありまして、当然、先生の御質問の趣旨に照らしてみれば、それは判決の司法判断が下ったわけでございますから、今後のそうしたハンディキャップを持った皆様方にどう対処するかという点については、広く影響をもたらすものと思います。
  176. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この判決を取り寄せまして読んでみますと、その理由中には次のような判示部分があります。すなわち、「被告ら」というのはこの学校長及びその任用者である市を指しております。共同被告とされております。「被告らは、原告には養護学校が望ましいから本校高校への入学不許可処分は正当であるとも主張している。確かに身体に障害を有する個々の児童・生徒につき、憲法二十六条に保障された教育を受ける権利を具体的にどのように実現するかについては、議論があるところであり、当裁判所も、障害を有する児童・生徒を全て普通学校で教育すべきであるという立場に立つものではない。しかし、本件に関して言えば、高等学校の学齢に達した障害者につき、少なくとも普通学校に入学できる学力を有し、かつ普通高等学校において教育を受けることを望んでいる者について、身体に障害を有していることのみで、その入学の途が閉ざされることは許されるものではない。」このように明快に、障害者がその知的能力と意思を有する限り、学齢に対応する普通学校で教育を受ける道が閉ざされないとしたものでございます。  障害者が障害を持たない者と同等に生活をして活動する社会を目指すノーマライゼーションの理念に照らしても、歓迎すべき格調高い司法判断であると私は評価をするわけでありますけれども、障害者対策の推進本部長でもあられる内閣総理大臣の御所見も伺っておきたいと思います。
  177. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 現実に行われました神戸地裁の判決そのものについてコメントを申し上げることは差し控えるべきかと思いますけれども、文部省の方針といたしまして、高校入試に当たって単に障害を有することのみをもって受験の門戸を閉ざすあるいは不合理な扱いがなされるというようなことはあってはならないことであろうというふうに考えます。
  178. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私もそう思うわけでありますけれども、しかし、理念として正しくて、それに向かって国及び地方公共団体はもとより、国民一人一人のたゆみない努力が精力的に傾注されるべき目標を示していただいたという意味ではわかるわけでありますが、現場を直接担当する学校長として、障害者を受け入れるための人的、物的体制の整備がその能力や権限を越えたときにどう対応すべきだろう、その点につきましてこの判決は、地方自治体や国の責務にまたこれを任用する地方公共団体等について判決が論及されなかったという点は、具体の事案処理に責めを負う学校長や地方公共団体を困惑に陥れる面がある、このように思うわけでございます。  すなわち、障害者を普通高校に受け入れるというためには身体障害者用の設備を整える必要があります。物的施設としては、車いす用のトイレ、スロープ、手すりが必要でありますし、教科履修のために垂直移動、上下を移動しなければならない普通高校におきましては、エレベーターの設置も必須のことになってまいります。また、人的にも、その障害の程度に応じて身辺の事柄を処理するに他人の介助を必要とする者に対しましては、介助職員の配置が必要となるわけでございます。  しかし、この被告とされた学校長には介護職員の加配権限がないのはもとより、施設整備につきましても、年間百万円程度の維持修繕費等の専決権限がゆだねられているにすぎないわけでありまして、それを超えるエレベーターやスロープの設置等ができないのはもう明らかであります。学校長としてはどうしたらいいんだろうということに逢着するわけでありまして、本件では学校長が被告とされていますが、そういう意味では真の被告は国、なかんずく障害者に対する国の文教政策であったのではないかとこのように私は考えるわけでございます。  この点についても判決は論及をしているわけでありまして、「本件高校における障害者受入れのための態勢は、十分とは言えないが、現在不十分であれば、それを改善するための方策を真剣に検討することが肝要であり、現在の設備が不十分なことは、入学を拒否する理由とはならない。」と判示しているわけであります。  改善方策を検討したり、障害者が入学してくるまでの短い時間に設備を十分に整える義務と権限はだれが持っていると考えたらいいんだろうというようなこともこの判決は考えさせられるわけでありますが、文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
  179. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 先生は大変重要な、また私どもが非常に難しいと思っております点についてずばりおっしゃられたんだろうというふうに思うわけで、例えば学校教育法の第五条に、学校の管理運営というものは設置者がやるんだ、そして法令に特別な定めがなければ、いわゆる財政というかお金の負担も設置者がするんだということが明定されているわけで、また、我が国の教育制度が非常に強い地方分権の色彩を、地方自治の色彩を持っていることも御承知のとおりでございまして、先生御指摘の件について言えば、確かに設置者である尼崎市が責任を負っておるわけでございますし、直接にはもちろん校長先生がその責めを負うということであったわけでございます。したがいまして、そういう設備等ができるかできないか、設備がないから入れられない、間に合わないというような判断ももしあったとするならば、結局はその設置者が責めを負わなければならないことになりますけれども、ただ、判決の趣旨は生かしていかなければなりませんし、弱い者を、ハンディキャップのある方々をどれだけ優しく教育の機会均等のもとで遇していくことができるかということは、日本の教育全体の大きな問題としてとらえ直していかなければならないと思っております。  そういう意味で、一般の高校に障害者が通っておられる場合には、その在学している障害者に対してできるだけきめ細かな施設的配慮をするように文部省としては指導をしてまいりましたし、いわゆる公立高校の危険改築には補助金を出しますけれども、その際に、障害者が通っておられる場合には、それらの面で実情に応じて国庫補助の対象とするように指導というかそういうふうな応じ方をしてきているわけでございますが、現に公立高校を危険改築するときに、障害者が一人もいなかった場合にはまだそこまでは手が及んでいないということでありましょうし、なかなか難しい問題と思います。  先生が、介助者が必要な場合のお話がありましたけれども、これも障害というものの種類とか程度とか実にさまざまで、個々具体に判断をしなければいけないことと思いますが、一般には介助が必要であるような重度な障害をお持ちの方は養護学校へ行っていただく、ある程度独立して振る舞える場合は特殊学級に行っていただく、そして一般と一緒であるならば普通の高校の、これは小学校も中学校も高校もでしょうが、普通のクラスで勉強してくださいということになるわけで、ノーマライゼーションということとインテグレーションということはもちろん概念が違うわけですが、統合教育をどの程度やるべきか、通級学級などということも多分きょう調査研究協力者会議が結論を出してくれると思いますが、なかなか難しい問題がございますが、結論として、どれだけ優しく対応できるかということを念頭に置いていきたいと思っております。
  180. 冬柴鐵三

    冬柴委員 私はこの種の名前を挙げるのは、私の選挙区の中でありますし、避けていたわけでありますが、先ほど文部大臣も言われましたから挙げます。  兵庫県尼崎市で問題になった事件でありましたけれども、この尼崎市では昭和三十三年に小中高等部を有する市立養護学校を開校しているわけであります。これは全国で実に八番目の学校でありまして、本日現在高等部に限っての実情を申しますと、生徒は十八名に対しまして七学級十六名の教職員を配置いたしておりまして、そのほか小中高等部の児童生徒総員六十五名に対して介助職員二十五名を配置して対応しています。すなわちマン・ツー・マン以上の障害者教育にこの市は取り組んでいるわけであります。そして市として昨年度この養護学校費として二億三千三百万円強を市で計上しているという実情がありまして、この市のとる障害者教育体制は、文部省の指導とは一致し、そしてむしろ優等生の部類の市ではないかというふうに思うわけであります。  そこで伺いたいのですけれども、法令または文部省の指導として普通学校、すなわち普通学校の特殊学級とあるいは養護学校の高等部に進路選択を迫られるわけですね。そのときに障害の程度はどのように配慮すべきものとなっているのか。これは私も学校教育法とかあるいはその施行令とか知っていますけれども、その点につきましてそのすみ分けといいますか、どういうふうな条件であれば普通学校へ行くべき、どういう場合には養護学校がいいと、こういうふうに仕分けをしていらっしゃるのか、その点について、いつも問題になります。そういうことを明快にしていただきたいと思います。
  181. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 お答えいたします。  先生も今御承知だというふうに言っておりましたが、心身障害児の教育につきましては、その障害の種類、程度に応じて適切な教育を行い、その能力を最大限に伸ばし、可能な限り自立し社会参加ができるようにすることが私ども重要だと思っております。そういう観点から、障害の程度の重い児童生徒につきましては盲聾養護学校で、これは学校教育法施行令二十二条の二でその程度が規定されております。  それから、障害の程度の軽い児童生徒につきましては特殊学級等で、この等というのは特殊学校、特殊学級あるいは普通の学級でという意味でございます。これは私どもの通知でその程度について指導をしておりますが、それぞれ適切な教育を行うこととしているところでございます。  高等学校につきましても、私どもは基本的にはこれと同じ考え方だと思っておりますが、ただ高等学校の場合には義務教育ではございませんので、先生御承知のとおりに就学指導や学校の指定の制度はございません。  それから、各学校が行う入学選抜によりまして入学者の選抜が行われておる。さらにこれまでの小中の教育の成果によってある程度本人の障害の程度が改善、克服されてきており、通常の教室で一定の配慮をすれば学習上大きな困難がない生徒もおります。また逆に、年齢が上がるに従いまして同一年齢の者との発達差が拡大する場合もあるというわけでございます。そういう意味で小中学校とはやや段階が異なるのではないか。こうしたことから一般の高等学校に入学をする者につきましては、各高等学校の入学者選抜において高等学校教育の目的、目標を達成するにふさわしい能力、適性を有するかどうか、高等学校の教育課程を履修できる見込みがあるかどうかについて個別に判断の上入学を許可しているというのが実情でございます。  ただ、その場合に、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおりに、単に障害者であるという理由だけで高校の門戸を閉ざすべきではないという指導はいたしているところでございます。
  182. 冬柴鐵三

    冬柴委員 そこが現場で一番悩むところでして、私、今からちょうど五年前の六十二年七月十六日に、この当予算委員会総括質疑の機会をいただきましてこの問題を取り上げたわけでございます。  そのとき、養護学校も随分つくっていただきましたけれども、どうも地域密着性に欠けるといいますか、大分意識として遠いんですねということを申しました。ですから、やはり目の前の普通学校に特殊学級がある以上、自分の子供をそこへ通わせてやりたいというそれが親心であろう。したがいまして、相当手数のかかる子供が普通学校の特殊学級に通うという事例が随分ふえていますという私は指摘をいたしました。したがって、一律に養護学校には介助職員を配置するけれども、普通学校の特殊学級にはその介助職員は配置はしないんだという硬直した教育法制は、教育現場には当てはまらないのではないかということを申しました。そして、もう少し柔軟な考えに立って、普通学校にも、必要な場合には介助職員を配置できるような政策に見直すべきであると強調したつもりでございます。  こういう判決、あるいは、きのうの各紙に、障害者の新入学について校内での介助を親に要求したという、こういうものが非常に大きく、これはダウン症の子供が中学校、普通学校へ入学を希望したことに対しての報道がありました。これは今文部省から法令に定められたところによって答弁されていますけれども、現実問題はそう単純ではないわけでありまして、もう少しきめ細かな介助職員の配置とか、あるいは普通学校における施設の充実ということについて文部省も取り組んでほしい、それがノーマライゼーションの理念ということに合致する教育制度ではないのかということを思うわけであります。  時間も迫っておりますので、総理のこれに対して、本当に総理自身、障害者年についてそういう政策を対策本部の本部長として指揮をとっていただいて、これは十年来ているわけでありまして、本年が最終であります。こういう大事な問題でありますので、一言で結構ですが、御答弁をいただきたいと思います。
  183. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 このたびの判決そのものが、障害児の教育制度こうあるべし、あああるべしと述べておるのでないことは御承知のとおりでございますけれども、それはむしろ当然のことであって、しかし、その判決がいろいろ示唆している問題について今いろいろお話ありました。文部大臣もいろいろお考えであろうと思いますが、にわかにどういうふうにあるべきか、いわば障害者教育法制というものをどうすべきかということは直ちにお答えできるような状態になっていないであろうと思います。  しかし、このたびの判決の示唆するところはそういう問題であるということはもうおっしゃるとおりと思いますので、いろいろお尋ねのありましたことは、貴重な御提言として受けとめさせていただきたいと思っております。
  184. 冬柴鐵三

    冬柴委員 もう一つの問題を取り上げたいと思います。これはグループホームというものの充実と発展のために質問をしたい、このように思うわけであります。  先ほど申しました予算委員会で、私は、精神薄弱者問題の最大の問題、最後の問題は、親亡き後の保障の問題である、このように申し上げたわけであります。そのときは、障害者によっては、排便はもとより、三度の食事の世話まで要する者はまれではございませんが、軽度の者でも、その親、なかんずくその母親は四六時中その世話に忙殺され、みずからの幸せを追求するいとまもなく年老いていくのが常でございます。まさに宿業としか説明がつかない境遇でございまして、しかし、このようなけなげな母親の願いも一つでありまして、私の死後もこの子が生き続けていける道を開いてほしい、私がこの子を残して安心して死ねる社会をつくってほしいと願っているんだということを申しました。  これは、このような訴えにこたえられまして、厚生省、政府は、平成元年度からグループホームと名づける精神薄弱者地域生活援助事業を創設されまして、この平成四年度の予算でも、全国四百カ所の予算措置を確保していただきました。厚生大臣初め関係担当者の御努力に対して、敬意と感謝を申し上げたいと思うわけでありますが、このグループホームの目指すところとか、そういうものを簡潔に説明していただきたい。ちょっと耳なれない言葉でありますので、よろしくお願いしたいと思います。
  185. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 まず、制度から申し上げますと、ある程度自分の身の回りのことはできるような、比較的軽度の精神障害者の方々、大体四名でございましたが、四名を一組にいたしまして一人のお世話をする人をここにつけまして、世話人をつけまして、そして共回生活をやる。つまり、障害を持った方が持たない方と一緒に地域において生活をできる、その地域社会への前提として、自立的な力を培っていくというのが趣旨でございます。  大変評判がようでございまして、おっしゃるとおりに平成元年からやりまして、年百カ所ずつふやすということで、そういう計算で四百カ所になるわけでございます。  この世話人の方々の手当その他で、一カ所につきまして二百七十万円程度国費で援助しているということで、今後ともこれはいい制度として私は伸ばしていきたいと思っております。
  186. 冬柴鐵三

    冬柴委員 確かにいい制度で、母親たちも喜んでいるわけです。ところが、これには非常な苦労がありまして、一つは、グループホームの拠点となる住居の入手ということが非常に困っているわけであります。  例えば、私が知っている池田市手をつなぐ親の会では、制度発足とともに過去三年間家探しをしました。ところが、障害者が四、五人で共回生活をするという目的なんだ、だから家を貸してほしいということを申しますと、すべて借家契約は断られてきたわけでございます。幸い、本年になって家が見つかって、今まさにグループホームを始めようというところにきているわけですけれども、この事例を引くまでもなく、三大都市圏で民営の借家をそのような目的でお借りするということは非常に困難があります。  そこで、公営住宅をぜひこのグループホームのために使えるような御配慮をお願いしたいというのが私の提案でございます。  これにはいろいろと難しい問題があることよく知っています。知っていますけれども、「障害者対策に関する長期計画」の後期重点施策の中では「ノーマライゼーションの理念に基づいた施策が推進されるに伴い、住宅問題は、一層重要性を増している。」という指摘をされた上で、障害者向け公的住宅の整備改善の促進、公的住宅への入居の推進、地域社会との融合に配慮した障害者向け住宅の整備推進等も挙げられているわけでありまして、ぜひこれは実現をお考えいただきたいと思うのですが、まず建設大臣からお願いしたいと思います。
  187. 山崎拓

    山崎国務大臣 先生はよく御承知のようでございますが、公営住宅は、住宅に困窮する低額所得の世帯を対象にいたしておりまして、精神薄弱者が公営住宅に入居いたしますためには、親族との同居が必要とされているのでございます。したがいまして、現行の公営住宅法におきましては、グループホームの入居を認めることができないというのが実情でございます。  さはさりながら、先生が強調しておられますように、精神薄弱者の地域社会における生活の自立を図ってまいりますことは大変重要なことでございますし、また、そのためにグループホームは大変有益であると考えているのでございます。  そこで、公営住宅をグループホームとして利用する試みといたしまして、いわば公営住宅法の枠外で地方自治法に基づく目的外使用許可を行うことによりまして、グループホームを試行的、モデル的に実施してみたいと考えているのでございます。具体的には、四月一日より北海道上磯町の町営住宅におきまして実施をする予定でございます。その試行の結果を踏まえまして、公営住宅をグループホームとして利用するに当たりまして具体的にどういう問題が所在するか、今後どういう対応が可能であるか、関係機関とも協議しつつ、今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
  188. 冬柴鐵三

    冬柴委員 質疑時間が終了しましたという紙でございますので終わりますけれども、どうか、この精神薄弱者の福祉増進のために、総理初め各大臣頑張っていただきたい、このように熱望をいたしまして、私の質疑を終わります。
  189. 村上誠一郎

    ○村上委員長代理 これにて日笠君、冬柴君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。
  190. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  日本における少数民族というべきアイヌの生活と権利を保障し、アイヌ問題について民主的な取り組みを進めるために北海道旧土人保護法を廃止し、アイヌ新法、仮称ですが、これの制定をという声は道民の合意を完全に得ています。政府がこの問題で十省庁から成る検討委員会を設置されたのが一九八九年の十二月でした。既に二年余りが経過した。政府の検討がどこまで進んでいるのか、端的にお答えいただきたいと思います。     〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいまお話にございました、北海道知事からアイヌ新法制定に関する要望書が提出されまして、それを受けまして、私ども政府といたしましても平成元年の十二月に、それまでに既に設置されておりました北海道ウタリ対策関係省庁運絡会議のもとにアイヌ新法問題に関する検討委員会、そのための検討委員会を設けた次第でございます。その検討委員会では、平成二年の六月末以降は北海道庁の方にも参加いただきまして、北海道からの要望の趣旨、内容等について説明を聴取するとともに、関係省庁間で議論を重ねてきているところでございます。  今後ともこの検討委員会において鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  192. 児玉健次

    ○児玉委員 その検討委員会が北海道に赴いてアイヌの皆さん方の生活の状態を調査し、そしてアイヌの方々や自治体関係者から直接意見を聞く、これが今求められていると思うのです。早期に実現をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  193. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 北海道ウタリ協会などから、検討委員会に対しまして北海道の現地を見てほしいという御要望があるのは承知しております。この点につきましては、私どもといたしましても北海道庁とも相談しながら鋭意検討しておるというところでございます。
  194. 児玉健次

    ○児玉委員 鋭意検討というのは前から聞いているのです。四月に訪問する計画はないですか。端的に答えてほしい。
  195. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 端的に申し上げまして、年度がかわりましたら、できるだけ早く実現すべく相談をしておるところでございます。
  196. 児玉健次

    ○児玉委員 私たち日本共産党は、八八年の十二月にアイヌ問題の民主的解決を図るための緊急提案を発表しました。政府にも提出して御検討を求めております。検討委員会の作業を進めるために、私どもが以前から主張してきたことですが、アイヌの皆さん方の、言ってみれば、今日組織的な、有力な結集体である道ウタリ協会から十分に意見を聞く、これまで皆さん方は再三北海道庁の関係者からは意見をお聞きになっているが、道ウタリ協会から意見を聞く、それを検討委員会が北海道にお見えになる機会に実現していただきたい。いかがですか。
  197. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 北海道へ伺いましたときにどういう形になるかというのはまだ決めておりませんけれども、ウタリ協会の方からは検討委員会に対して意見を聞いてほしいという御要望があるのは私どもも十分承知しております。したがって、いろいろなヒアリングの過程の中でそういったことも検討さしていただきたいというように考えております。
  198. 児玉健次

    ○児玉委員 明一九九三年が国連の世界の先住民のための国際年に当たります。この年に向けてアイヌ新法の制定を間に合わせてほしい、関係者の熱望しているところですが、この点について政府の考えを聞きます。官房長官どうですか。
  199. 伊藤博行

    ○伊藤(博)政府委員 この問題、先生も先刻御案内かと思いますけれども、非常に難しい問題いろいろ含んでおります。法律上の問題、場合によっては憲法上の問題も含んでおりますので、そういった問題を一つ一つ慎重に検討していかなきゃならないということで、先生のおっしゃったような時期をタイムリミットというのは、今時点で申し上げるというのはなかなか難しいんではないのかというように考えております。
  200. 児玉健次

    ○児玉委員 これは関係省庁も多いですから、それらを取りまとめる官房長官のお答えを私は求めるものですけれども、いろんな乗り越えなきゃいけない問題があるということはよく承知しておりますが、日本の民主主義の前進のためにも国際的な希望にこたえるためにもこの面での取り組みの抜本的な強化が必要だと思います。お答えを願います。
  201. 加藤紘一

    加藤国務大臣 この問題は、いろいろ憲法上の問題、法体系の問題等ございまして、各省庁にわたることは委員御指摘のとおりでございます。内閣の内政審議室長は、内閣にございまして各省庁の意見をこの問題につきまして調整している一番中核の責任者でございまして、ただいま御答弁申し上げましたように、確かに一九九三年の先住民年ということもございますけれども、そのときまでに御指摘の問題点につき意見を取りまとめるかどうかにつきまして、今この段階で明言できるまでには至っておりません。
  202. 児玉健次

    ○児玉委員 じゃあこの分野での努力の強化を改めて要請して、次の質問に入ります。  HIV感染症対策についてです。  この分野の発症予防、治療の中心になっていらっしゃる山田兼雄教授がかつて、血友病がエイズの直撃を受けたことは今世紀における医療の最大の悲劇の一つと考えてよい、こう発言されたことがあります。  新血液事業推進検討委員会の第一次報告は、極めて明確に血液凝固因子製剤について、まず国内献血による製造、供給、次に日本赤十字社で一括製造すべきである、三点目として供給の主体も日本赤十字社に限定すべきであると明記した報告書を提出しております。これは悲劇を繰り返させてはならないという関係者の決意のあらわれだと私は受けとめております。製造、供給の日赤一元化、早ければ早いほどよろしい。厚生省はこれをいつまでに実現なさるのかお答えいただきたい。
  203. 川崎幸雄

    ○川崎政府委員 血液凝固因子製剤の自給につきましては、今お話ございましたような検討委員会の報告の提言に基づきまして、日本赤十字社の血漿分画センターの製造施設を整備する等体制の整備を図ってきたところでございまして、本年の三月から、国内で製造技術のない一部の製剤を除きまして、献血による製剤の供給が図られるという見通しになってまいりました。  それで製造につきましては、報告にも指摘されていますように、同一の効能の製剤については複数製剤を確保する必要があるため、日赤以外の一部の国内製造業者にも製造をお願いするということにいたしております。  また、供給につきましても、献血由来製剤への切りかえを優先的にかつ円滑に推進するため、当面各製造事業者にお願いすることといたしておるわけであります。この措置は一元化の体制づくりを進めるに当たって経過的に行うものでございますので、今後とも提言に沿った体制の整備を図ってまいりたいと思っております。
  204. 児玉健次

    ○児玉委員 私の質問は、報告に提起されている課題をいつまでにやるつもりかという質問です。答えてください。
  205. 川崎幸雄

    ○川崎政府委員 製造につきましては、複数製剤を確保するため一部国内業者に依頼する場合がございますけれども、供給につきましては、平成五年度を目途に日赤に一元化する体制の整備に努力してまいりたいと思っております。
  206. 児玉健次

    ○児玉委員 現在HIV感染者、その家族の最も切実な願いは、発病を何カ月でも一年でも二年でも食いとめてその間に根本的な治療方法を確立してほしい、これに尽きます。  一九八八年の三月、当時厚生大臣をなさっていたのは藤本孝雄さんですが、私に対して、不幸にしてキャリアになった方々が発症しないように厚生省はその予防に全力を挙げていく、こういうふうに答弁された経過があります。  現在、研究班のもとで免疫学的な検査を受け、最新の薬剤を用いた発症予防の治療を受けている感染者は何名ですか。一九八六年にこの事業が発足した段階で厚生省は私に約百名前後だと述べたことがありますけれども、それが現在何名程度に幅を広げているか、明確に答えていただきたいと思います。
  207. 寺松尚

    寺松政府委員 先生の御質問の件でございますが、HIV感染者発症予防・治療に関する研究班たおいては、血友病患者の担当医師を全国の九つのブロックに分けておりまして、組織化しておりまして、血液製剤によるHIV感染者及び患者の発症予防及び治療の研究を行っているところでございます。そこで、血友病患者の主治医のほぼ全員がこの研究班に何らかの関係を持っておりますことから、エイズ治療等に関する知見や治療薬の提供を受けているわけであります。  それで、血液製剤によるHIV感染者及び患者のうち現在加療中の者は約千三百五十人でございます。そして、このうちほぼ全員が研究班のもとで医学的管理下に置かれ、リンパ球等の数等の免疫学的検査及び生活指導、投薬等の適切な医療を受けているものと承知いたしております。
  208. 児玉健次

    ○児玉委員 今の点は非常に肝心なことで、ただいまの厚生省のお答えは多分推定だと思いますね。私は詳細な数を聞くのは事柄の性質からも希望しません。しかし、全体として系統的に免疫学的な検査をやり、最高の水準で最新の薬剤で医師の濃厚な管理下にある患者は、感染者はどのくらいか、推定でなくある程度実態を伴った数として答えていただきたい。
  209. 寺松尚

    寺松政府委員 今申し上げましたように、医学的な管理の下にある者は千三百五十人ぐらいでございますが、その中でちょっと詳細に私どもが調べたところによりますと、先ほど申し上げましたように免疫学的な検査を受けた者はほとんど全員、それから定期的に受けている者は約八割、このようなことでございます。それから発症予防の治療を受けている者、それには生活指導でありますとかAZT、ddIの投与を受けている者いろいろございますが、生活指導はほとんど全員、それから定期的に受けている、こういうものが約八割の者が受けておるようでございます。それからAZTやddIの投与を受けている者というのが約百五十人でございます。
  210. 児玉健次

    ○児玉委員 その百五十人という数の広がりを急速に広げることが現在求められていると思いますね。その点の努力を私は強く主張します。  次に、現在の救済措置。これは当時各党いるいろ協議をしながら方向を打ち出したものですが、現在の救済措置について言えば、医療手当は関連疾病によって万八日以上入院しなければ受けられません。それから特別手当の支給は発症後です。さっき言いましたように、感染者、家族の一番切なる願いは、発症を延ばしてほしい。ところが現在の救済措置ではそのことに役に立たない。最近厚生省が発表なさった「HIV感染症診療の手引き」、この中で、いまだ発病していない「無症候性キャリアに対する指導・カウンセリング」、バランスのとれた栄養を保障する、体力の維持に努める、適度の運動を行う、そして社交の充実、こういうふうにあります。  これらの事柄について感染者の段階で国として何らかの手だてがどうしても必要だ。例えば健康管理手当、医療手当をそういう方々に支給する、こういう措置の改善を図る時期に来ているのではないかと思います。厚生大臣の答えを求めます。
  211. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 本来、国等が行います医療給付等につきましては、これはやはり病気が建前であります。キャリアというのは感染者であって、これは病気ではないということですから、そこのところはひとつ一応御認識いただきたいと思います。  したがって、発症者については国が全面的にこれらの救済措置を講じていく。ただ、キャリアでまたいわゆる病気、病気といいますか発症者になっていなくても、あなたのお言葉にもございましたように関連疾病等についてはこれは我々もやっていく。要するにこれは法的責任問題と切り離して、医薬品の副作用被害者救済制度とかいろいろありますので、現在ある制度ででき得る限りのことはやっていく。同時にまた血友病患者については、公費による負担がある。ほとんどこれで賄えるようなシステムになっておりますのでやってまいりますが、ただ、感染者ということで病気ではない、その人たちを全部医療費という形で救済するということはまず困難であるかと思います。
  212. 児玉健次

    ○児玉委員 私の言っていることを正確に聞いてほしいですね。一つは、感染者は発病前だというのはおっしゃるとおりです。しかし、発病された後の経過がどういうものかというのはあなたもよく御存じだと思うのです。そうなる前にどれだけ国として手だてを尽くすかということが問題です。  例えば厚生省は、その後の経過の中で、リンパ球CD4が五百を割った場合にAZTの予防投与を保険上認めています。これは私はそれなりの努力だと思います。そこのところを一つのメルクマールにして、CD4が五百を割った段階で例えば医療手当を支給する、こういった措置を今こそ検討すべきだと思うのですが、どうですか。
  213. 川崎幸雄

    ○川崎政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、血液製剤によるHIV感染者の救済制度は、法的責任制度と切り離して現実問題として、血液製剤によるHIVに感染された方々に対しまして、疾病の特殊性あるいは感染経路の特殊性、こういったことにかんがみまして、また感染された方々の置かれている状況にかんがみまして救済措置を講ずる、こういったことが必要と判断されまして、関係企業の協力も得まして設けられたものでございます。この救済制度は、発症予防事業が一般的なHIV感染者対策の中で行われることにかんがみまして、入院されたりあるいは日常生活に支障が出てくる等の現実の障害の発生に着目した救済を行うということを趣旨といたしておりまして、ただいまお尋ねのような手当を支給するということは困難でございます。
  214. 児玉健次

    ○児玉委員 質問にずばり答えてください。今のような態度では発症の予防には役に立ちません。  厚生省の研究班情報委員会が昨年十二月に「HIV 最近の動向 第八号」を出していらっしゃいますけれども、そこに、ある医師が「関東でも四百人前後の人が発症すると予測される。又、AZT内服等で延命し、それだけHIV感染治療のベットの確保が必要になる。しかしこ「現在の東京都内では二十ベットぐらいしか確保できないと思われる。」これは非常にひどい状況ですね。医療機関の確保という点でも思い切った措置がこの際必要だと思いますが、どうですか。
  215. 寺松尚

    寺松政府委員 今先生が御指摘になりましたように、東京方面では大体今のところ二十ベッドぐらいを患者のために用意しておるようでございますし、ほぼそれで今は足りているというような状況でございますが、今後患者がふえるということが予測されるわけでございますので、その辺の医療機関に対しまして私ども、ベッドの確保について、ちょうど関係閣僚会議も終えまして、都道府県を通じましていろいろ指導してまいりたい、このように考えております。
  216. 児玉健次

    ○児玉委員 時間のようですから、最後に厚生大臣と総理にお伺いしたいと思うのですが、今の御答弁にも関係するんだけれども、都立の駒込病院、東京大学の医科研、そういうところでスタッフの献身的な努力が行われて、HIVの臨床分野が辛うじて支えられていると思います。この面で、内科、呼吸器科、皮膚科、泌尿器科等あらゆる専門分野が結集している国立の医療センター、そこで臨床の窓口を大きく開いてほしいというのが患者、家族の熱望ですが、この点いかがかというのが一つです。  次は総理ですが、HIV感染症は日本と世界の将来に深くかかわる重大な問題だと私は考えます。不幸を最小限にとどめる、これ以上の被害の広がりを防止する、そのためには、これはすべての省庁の枠を乗り越えて政府全体で取り組むべき課題だと私は受けとめておりますが、総理のお考えを聞きたいと思います。
  217. 寺松尚

    寺松政府委員 国立医療センターの件についての御質問が出ましたのでお答えしたいと思いますが、現在国立医療センターでは、情報センターと申しまして、一つは、いろいろエイズに関します情報を収集、分析、それから研修等を行っております。  それから臨床面につきましては、今までスクリーニング検査等も千三百件ぐらいやっておりますし、それから、入院あるいは手術それから外来、その辺にも一応対応できるふうなことでございますけれども、現在のところ四人ぐらいの患者さんを治療しておることがございます。  今後は、私ども、医療センターだけではなくて国立病院につきましても、あるいは公的病院につきましても、どこでも気安くと申しますか気軽にかかれるように、こういうような体制をつくってまいりたい、このように考えております。
  218. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 この問題が各省庁を超えて政府全体の問題であるということは、御認識と私どもも一致をいたしております。  既にエイズ対策関係閣僚会議をつくりまして、エイズ問題総合対策大綱を昭和六十二年でございますか、つくりましたが、今回さらに大綱を改正いたしまして、四点にわたって改正をいたしましたが、今後とも政府を挙げての問題として対応してまいりたいと思います。
  219. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  220. 山村新治郎

    山村委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  221. 中野寛成

    中野委員 こういう報道がありました。宮澤総理が二十六日、総理の諮問機関である経済審議会の生活大国部会に出席をして、その委員と懇談をしたと。総理が施政方針演説の柱として打ち出しておられます生活大国のイメージについて、美しく簡素ということが重要である、社会資本の充実だけではなくて、ライフスタイルの見直しも視野に入れなければならない、こう述べられた後、具体例として、一つ、住宅の取得を年収の何年分でできるかなど取得する立場で分析する。二番目に、社会福祉問題で自分の周辺にどのくらい利用できる施設があるかわかる。三番目に、労働時間短縮も働く人の立場から提言するというふうなことをあいさつの中で述べられたということであります。  全くごもっともだと思いますが、同時に、私は生活大国、大国という言葉のイメージについても総理はまたそれなりにいろいろと誤解をされないようにという意味でおっしゃっておられますが、私は、この三つ、一応具体例を述べられておりますが、そのほかに物価の問題、とりわけ内外価格差の問題があるだろう、こう思うのでございます。  生活大国は諸外国に比べて物価が高いということであってはならない、こう思うわけでありまして、そういう意味では、何に比べて大国がといいますと、普通は諸外国に比べて大か中か小かということなんだろうと思います。そうすると、対外的に比較して物価がやはり日本は安いということが生活大国の一要件でなければならないのではないでしょうか。生活しやすい、暮らしやすいということの要素の一番大きなものがそこにあるように思うのでございます。  そこで、経企庁の物価レポート91というのを見ますと、平成二年の東京の物価水準を一〇〇とすると、ニューヨークは七六、ハンブルクは八〇、ロンドンは九六、こうなっているわけであります。個別に代表的なものを三つ比較をいたしますと、牛肉百グラムは、東京で三百八十三円、ニューヨークで三分の一の百十七円、ハンブルクでは約二分の一、百八十八円、ロンドンで百二十九円、パリで百六十三円。今話題になります米十キログラム、東京三千七百十六円、ニューヨーク千九百円、ハンブルク二千二百四十円、ロンドン二千四百八十四円、パリは千八百二十三円と、こうなるわけであります。  主食と副食を並べましたから、文化で比較をいたしますと、映画代、東京千六百十四円、ニューヨーク九百三十六円、ハンブルク九百五十五円、ロンドン千四百十五円、パリ千円、こうなるわけでございまして、これはどう考えましても内外価格差が是正されていないと言わざるを得ない。もちろん日本の方が安いというものもたくさんありまして、それらのことを決して無視しようとは思いません。しかし、生活の中心をなすものが高くていいということではないだろうと思うのであります。  ちなみに、昨年の今ごろ、平成三年度予算案採決を前にして、この内外価格差是正について私は質問いたしました。当時の越智経企庁長官政府・与党内外価格差対策推進本部を設置して鋭意努力しているというお答えでございましたが、その後、具体的な内外価格差是正のためのアクションプログラムがつくられたとか、いつまでにはどうするという目標が設定されたとかというお話は聞きません。  私はそういう意味で、生活大国という総理の提言の一番大きな柱にこれもまた置かれなければならないと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  222. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 御指摘のとおりと思います。  従来から言われておることでございますけれども、我が国はいろいろな意味で、例えば国民生活、いろいろ安全であるとかいう面では非常にすぐれておるのでございますけれども、ふく言われますことは、物価、殊に食べるものの値段が高いということ、それからレジャーと申しますか、ちょっとした旅行でもしようとするときに非常に高いというようなことが確かにございまして、前者にはやはり内外格差という問題がある。あるいは流通の問題であるとか輸入政策の問題であるとか、ひょっとしたら独禁法の問題であるとか、かつては大規模小売店法の問題もあったわけでございますが、まだまだそういう問題が残っておりまして、この点は幸いにして経済審議会の方で気がついておられまして、生活大国を御審議される上で、これも一つの大事な問題として取り上げていただけることになっております。
  223. 中野寛成

    中野委員 幸いにして経済審議会の方でお気づきになっておられる。政府としてはとっくにお気づきだったのだろうと思いますが、これについて別にこれ以上皮肉を申し上げようとは思いません。  それと、いろいろ比較をいたしますときの指数の出し方なのです。例えば消費者物価上昇率は、九〇年度実績で三・三%、九一年度二・九%、九二年度見通しで二・三%と、こう日本の国内で前年度に比較をいたしますと、比較的安定しているように見えるのですね。しかしながら、その中身はといいますと、実はいろいろな比較の仕方があります。  中堅サラリーマンの生活を圧迫しているものの一つの典型的な例として、子供たちを通わせる塾の費用が挙げられます。消費者物価指数では、これを補助教育費として計上されているわけでありまして、平成二年のウエートは一万分の百七と、こうあります。さあそれでは月収三十万円のサラリーマン家庭だと、その一万分の百七となれば三千二百十円という額になります。今どき月三千二百十円の塾があるでしょうか、こういう指摘をされるわけであります。また、教養娯楽費の中の書籍印刷物のウエートは一万分の百六十二とされているわけでありますが、月収二十万円の若いサラリーマンが月三千二百四十円しか雑誌や単行本などにかけていないのでしょうか。家賃は東京都区部のウエートは一万分の千六百六十とされておりますけれども、平均的な世帯、いわゆる子供が二人いる標準家庭、手取り月収四十万円としても六万六千四百円となるわけでありますが、果たしてそんなもので済むでしょうか。  というふうに、指数のとり方一つを見ましても国民生活の実態に合わない。それをもとにしていろいろな比較論が論じられるということは、まさにサラリーマン等から見ますと、政府はどういう比較をしてくれているのだ。確かにトータルとしての平均値を出すとそうなるのかもしれませんが、生活実感に全くそぐわない指数でいろいろな議論、検討がなされているということになっているのではないでしょうか。  そのことも含めまして具体的な対策を、単にこれから審議会にお任せするというのではなくて、政府、とりわけ総理から、こういう目標設定、例えばこれから三年以内にはせめてニューヨーク並みに物価を抑えますと、そういう目標を具体的にセットし、それに向かってのアクションプログラムをつくるくらいの意気込みをお示しになられてはいかがでしょうか。
  224. 野田毅

    ○野田国務大臣 もう既に中野先生御承知の上での御質問であります。  まず前段のいわゆる消費者物価指数のとり方ですけれども、御指摘のとおり、いわゆる消費者物価指数というのは平均的な家庭における消費の形態が総合的にとらえられておるわけでありますから、いわば特定の世帯とか、それぞれやはり世帯の年齢構成、家族構成等々によっておのずから家計に響く項目というのは異なってくるのは御指摘のとおりだと思います。子供が学校に行っておる家庭とか、あるいは病気がちの家庭であるとか、同じサラリーマンの場合でも、電車で通勤をするような家庭であったりあるいはマイカーで通勤する場合、それぞれそういう交通費についての公共料金の反映の仕方、おのずから異なってくるだろうと思います。  そういった点で、どうしても経済全体、消費全体を一応総合的な角度でとらえるということで今日消費者物価指数というものをとらえていかないと、なかなか経済全体の運営ということでは困難を来す部分があることはもう御案内のとおりですが、そのほかに、何かそういうような特定の生活パターンを対象にした物価指数を考えてみたらどうかというのは、私は一つのアイデアだと思っておりますが、なかなかこれも厳密に見ていくと、各人各様の消費パターンでありますから、ある程度感覚と開きがあるのはやむを得ない部分はあろうかと思います。  そういった点で、今日まで、御指摘の物価レポートの中にも一応、地域的なばらつきがあるだろういうことで、地域差指数というものを一応同時に発表をいたしておるわけであります。その点は申し上げておきたいと思います。  それから、後段の部分の、いわゆる内外価格差問題についてのアクションプログラムみたいなものを考えたらどうかという、大変御激励をちょうだいをしてありがたいと思います。私ども、先ほど来御指摘のとおり、やはり生活大国ということを目指す以上は、少なくとも消費生活というものが、物価水準が安定しておるということが非常に大事な根底的な要素であるわけでありますから、そういった点でこの物価安定ということを大前提に構築をされていかなければならぬ、これはもう御指摘のとおりであります。  さらに、現在の内外価格差をさらに縮めていくような努力をしていくことは、今日までもいわゆる政府・与党内外価格差問題の会議をやって、それぞれ少しずつ成果をあらわしておる部分もありますけれども、まだかなり問題としなければならぬ分野がたくさんあることも御指摘のとおりです。まあ我々もアクションプログラムを考えてみたいと思うこともありますけれども、基本的にはやはり為替レートの変動幅がそれを超えて大きな影響を与えるものですから、むしろアクションプログラムというものを振りかざしてやるよりも、着実に、先ほど総理から御答弁のありました、あるいは規制緩和であったり、あるいは独禁法の運用であったり、あるいは輸入市場の拡大措置であったり、あるいは土地価格の問題、公共料金の問題、それぞれの項目に沿って着実に前進をさせていくことの方がより実効性が上がるのかなと考えておるわけであります。
  225. 中野寛成

    中野委員 実は私は、この質問のぺーパーをそのままコピーして先週末お渡しをいたしております。それで、今経企庁長官は、何しろ為替など流動的な要素が多いのでという御答弁をされました。ここに、実は種を明かしますと、そういうふうにお答えになるだろう。しかしながら、経企庁が経済見通しにおいて定める経済成長率、経常収支などについても、そもそもさまざまな要因でいろいろと変わるわけであります。しかし、やはりあえて目標を設定し、そしていろいろな試算を組み、国家の経済政策や財政や予算や、決めているわけです。そういう意味では、国民生活に一番密着したものを、そういう目標設定を持たずして何の努力ができるのかと、こういうことを、実はそう御答弁になったら言うぞと、こう先に申し上げているわけでありますが、にもかかわらず、そう御答弁になりました。私は、そこに何か、大変親しい野田経企庁長官でありますが、もうひとつまだ御熱意が足りないのかなと思わざるを得ないのでありまして、これもまとめて後ほどもう一点の質問とあわせて総理にお尋ねをしたいと思います。  先週二十六日に国土庁から地価公示価格が発表をされました。これによりますと、公示地価は十七年ぶりに下落をして、特に大阪圏は全用途平均で二一・三%、東京圏も八・四%下がっているということがございました。まあ大阪などはむしろ上がり過ぎていたわけでありまして、本来、その異常なものが幾らか正常に戻ってきたということであろうと思います。  しかし、この地価が下がったことを必ずしも好意的にばかり受けとめられていないということが、私は残念であります。急激にこういう変化が起こりますときには、例えば経済的には中小企業対策など、きめ細かい配慮は必要であります。しかし、そのベースとなるものを基本的に変えてはいけないということが大事だろうと思います。地価は本来、経済にとりましてはコストであります。しかし、相変わらず地価を製品と考える風潮が実業界や金融界で現在も残っているという面を我々は見逃してはならないと思うのでありまして、ぜひこの地価が下がってきたことを、これを善と考えて、より一層それを進めていくという視点が必要ではないか、こう思うのであります。  例えば、地価高騰前の昭和五十八年当時に比べましても、地価は、東京、大阪両圏とも依然二、三倍近く、東京圏の十キロから二十キロ圏の住宅地の価格は、なおサラリーマンの平均年収の十倍程度。欧米並みの年収三ないし四倍はともかく、日本の国土事情を勘案しても、年収の四、五倍以内でという目標をこれは設定して努力をしていく必要があります。例えば、総理がおっしゃられたさっきの三つの具体例の中にも、第一番目に、住宅の取得を年収の何年分でできるかなど、取得する立場で分析するということが述べられたようでございます。そうなりますと、今後とも、やはりこの地価対策につきましては、よほどの決意を持って、しかし、そこから生まれる弊害、例えば中小企業対策等のこともまた一方では十二分に別の視点で配慮をしながら、今後ともその地価対策を進めていくということが大変必要であろうと思います。  また、この地価対策は物価にも大きな影響を与えるわけであります。ある意味では、内外価格差が大きいその一要因でもあると言えるでありましょう。そういうことなどを総合的に勘案して、今後、地価対策、また、この先ほど申し上げました内外価格差是正についての具体的な目標設定と行動、これについての御決意をお尋ねをいたしたいと思います。時間がありませんから、総理に。
  226. 宮澤喜一

    ○宮澤内閣総理大臣 それでは、私から便宜申し上げますが、まず、先ほどのお話は、確かに、殊に食べ物について我が国が高い、それで世界で一番暮らしにくい国だとよく言われるわけでございますけれども、そのよって来るところを考えますと、一つは、仮に輸入でございますと、バルクのものは別でございますが、そうでないものはやはり輸入のコストというものがかなりかかる。それから輸入政策にも問題があると思いますし、輸入されたものの流通にも問題がある。あるいは並行輸入というようなことについての、もう一つ思い切ってできていないというところがあるだろうと思います。  それから、国内産について申しますならば、まさに今、中野委員の言われましたとおり、比較生産費という問題があって、土地が高いとかあるいは土地が小さいために生産規模が小さいといったようなことから、比較生産費がどうしても高いという問題があると思います。それなら輸入したらよかろうということでありますけれども、そもそも生鮮のものはなかなか輸入では代替できませんし、また、バルクでありませんと輸入のコストがかかってしまう。そういうような意味で、我が国が置かれておりますいろいろな条件から、食べ物の価格がなかなか下がらないということが、これは現実の問題として、長年やってまいりましたが、あると思います。  実は、物価は比較的安定しているものでございますから、まあまあ安定しておれば、それはまあ一つだなと。外国との比較生産費ということをなかなか常に頭に置くということが容易なことでないものでございますから、そういう嫌いがございますので、やはりこれは、かつて越智長官が言われましたように、常に内外価格差のことは政府が頭に置いておくべき問題だと思います。  地価につきましても、総合土地政策推進要綱に従ってやってまいりました。ここでかなり地価下落の傾向が定着しつつあると思いますけれども、まだまだこれではいろいろな意味で、我が国の経済の安定のためにはもっと鎮静化する必要がある。殊に、これは物価との関連においてもそうであると思いますので、両方とも、関連におきまして政府としては最大の努力をいたしたいと思っております。
  227. 中野寛成

    中野委員 今後、問題意識につきましては、今総理から幾つかの例を挙げて御説明になりました。それらのことについての異論は我々もあるわけではございません。それを、しかし、より一層際立たせて、国民みんなが認識をして、そして具体的なプログラムに沿って実現をしていくということが必要だと思うのですね。それを政府でやはり計画を立てで誘導をしていただくということが何よりも肝要かと思うのでありまして、なお一層せっかくの御努力をお願いしたいと思います。  終わります。
  228. 山村新治郎

    山村委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  229. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大蔵大臣にお伺いをいたします。  去年の六月七日に、財団法人国有財産管理調査センターというものが設立されました。これは大蔵省が設立を認可したわけですけれども、大蔵省はこの設立について、つくりなさいと、どこかあるいはだれかに働きかけられた事実がありますか。
  230. 吉本修二

    ○吉本政府委員 経緯について若干、簡潔に御説明を申し上げます。  国有地は、現下の地価の状況等からなかなか売却できないというような問題もございまして、かねてから国有財産の中央審議会におきまして、暫定的な有効活用も図るべきではないか、こういうような御指摘もいただきました。そういうことを行うためのシステムとして、こういう国有財産調査管理センターというものがあった方がいいのではないかというような御意見がいろいろ各方面にございまして、我々としても非常にこれは大事な話であるということで、私どももそういうことで働きかけもいたしましたし、民間の方あるいは各地方公共団体も御賛同いただきまして、でき上がったというのが経緯でございます。
  231. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ここに私は登記を持っておりますけれども、この行う事業の中に、二として、「国有地等の有効利活用に関する調査研究」、あるいは三のところに、「国有財産の維持及び管理に関する事務の委託」というのが事業の中に入っております。  これは、現在、国はその受託料なり調査委託費を支払っておられますか。
  232. 吉本修二

    ○吉本政府委員 平成三年度におきまして、三件ほど調査委託をお願いしております。
  233. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 金額は。
  234. 吉本修二

    ○吉本政府委員 大体一本四百万円程度の委託をお願いしています。三本でございますから、千二百万円ぐらいの調査委託を行っております。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 正確に言えば千二百六十万円ですね。  そこで、この事業のところの三を見てみますと、一には「国から管理委託を受けた国有財産の管理」、こうなっております。そして三では、「第一号に掲げるもの以外の国有財産の維持及び管理に関する業務の受託」。こうなってくると、一だけに限らず、国有地全部に及ぶんじゃないですか。そう解釈せざるを得ないでしょう、これでいきますと。そうなるんですよ。異論がありますか。
  236. 吉本修二

    ○吉本政府委員 御趣旨に即しているかどうかわかりませんが、国有地全体につきましてもちろん調査、管理、研究を受託することは可能でございます。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この登記でいきますと、事業目的からいうとそうなります。これは大変な、私は、いずれ特権的な利権機関化する可能性があると思う、もう国有地を一手に引き受けるんですから。  しかも、去年の六月ですよ、これできたのは。それまでは一体何やっておったんですか。それまででさておったんでしょう。それを急に六月になってこういうトンネル機関をつくる、私に言わせれば。しかも、国有財産中央審議会の会長さん、兄会計検査院長さんです、この人がこの財団法人の理事長でしょう。おかしいんじゃないですか、これは。審議会の方は、いいですか、目的の中にいろいろありますけれども、審議会の中でもこういうことになっているでしょう。例えば、大蔵大臣から諮問された事項について調査審議して意見を答申する。二番目に、国有財産の管理、処分に関し必要と認める事項を建議する。答申したり建議したりする機関、審議会のそのリーダーが今度は実行機関の方のリーダーになるということはおかしいんじゃないか、これは。審議者と実行者が同一になるということは非常に問題が発生する。  もう時間が来ましたから、私は指摘だけしておきます。これは私は問題を残しておきます。いいですか、これは行政簡素化にも反する。屋上屋を重ねて、しかも一手に国有財産を引き受ける、しかも委託料をもらう。これはどういう使用をしているかというと、例えば委託され、借りて、駐車場なんかに使っておるんですよ。それで、駐車場に使っておって駐車料はもらって、しかも国からも銭もらう。何ですか、これは。だからこれは、国が出す以上は税金ですから、税金のむだ遣いになる。  問題を残しておきます。
  238. 吉本修二

    ○吉本政府委員 恐縮ですが、誤解のないようにお願いしたいのですけれども、国有地というのは有効活用しなければならないものがございます。非常にいろいろなパターンがございますが、そういう特定のものについて国の方で、どういうふうに使ったらいいかということをちょっと調査してくれという、個別に特にお願いしている話でございまして、大きく全体的に屋上屋を重ねるような形になるとは考えておりません。よろしくお願いいたします。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これでやめますが、それじゃ委託地の資料を、全国でどのくらいあるか資料を要求します。  それで、私は誤解していませんが、ハッカイぐらいしていますよ。  終わります。
  240. 山村新治郎

    山村委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして平成四年度暫定予算三案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  241. 山村新治郎

    山村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  平成四年度一般会計暫定予算平成四年度特別会計暫定予算平成四年度政府関係機関暫定予算、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  242. 山村新治郎

    山村委員長 起立多数。よって、平成四年度暫定予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  244. 山村新治郎

    山村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十三分散会