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1992-03-06 第123回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月六日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    粟屋 敏信君       井奥 貞雄君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       唐沢俊二郎君    倉成  正君       後藤田正晴君    左藤  恵君       志賀  節君    戸井田三郎君       浜田 幸一君    原田  憲君       福永 信彦君    松永  光君       松本 十郎君    村山 達雄君       井上 普方君    伊東 秀子君       加藤 万吉君    小岩井 清君       新盛 辰雄君    関  晴正君       筒井 信隆君    時崎 雄司君       水田  稔君    和田 静夫君       石田 祝稔君    鳥居 一雄君       冬柴 鐵三君    児玉 健次君       辻  第一君    吉井 英勝君       中野 寛成君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会 塩川正十郎君         委員長         国 務 大 臣 加藤 紘一君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 岩崎 純三君         (総務庁長官)         国 務 大 臣 宮下 創平君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 野田  毅君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 東家 嘉幸君  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         総務庁長官官房         審議官     小山 弘彦君         兼内閣審議官         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         経済企画庁物価 小林  惇君         局長         経済企画庁総合 長瀬 要石君         計画局長         科学技術庁研究 井田 勝久君         開発局長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁長官官房 森   悠君         会計課長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         国土庁大都市圏 西谷  剛君         整備局長         国土庁地方振興 小島 重喜君         局長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         法務大臣官房長 則定  衛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         法務省人権擁護 篠田 省二君         局長         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務省アジア局 谷野作太郎君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省経済協力 川上 隆朗君         局長         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合 丹波  實君         局長         外務省情報調査 七尾 清彦君         局長事務代理         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融 江沢 雄一君         局長         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部省学術国際 長谷川善一君         局長         厚生大臣官房老 岡光 序治君         人保健福祉部長         厚生省社会局長 末次  彬君         厚生省保険局長 黒木 武弘君         厚生省年金局長 加藤 栄一君         厚生省援護局長 多田  宏君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 山本  徹君         房予算課長         農林水産省経済 川合 淳二君         局長         農林水産省構造 海野 研一君         改善局長         食糧庁長官   京谷 昭夫君         通商産業省通商 岡松壯三郎君         政策局長         通商産業省立地 鈴木 英夫君         公害局長         資源エネルギー 山本 貞一君         庁長官         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         気象庁長官   立平 良三君         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省婦人局長 松原 亘子君         労働省職業安定 若林 之矩君         局長         建設大臣官房総 斎藤  衛君         務審議官         建設大臣官房会 近藤 茂夫君         計課長         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省住宅局長 立石  真君         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省行政局公 秋本 敏文君         務員部長         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 杉原 正純君         消防庁長官   浅野大三郎君  委員外出席者         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月六日  辞任        補欠選任   池田 行彦君    福永 信彦君   戸田 菊雄君    小林 恒人君   和田 静夫君    時崎 雄司君   日笠 勝之君    鳥居 一雄君   藤田 スミ君    吉井 英勝君 同日  辞任        補欠選任   福永 信彦君    池田 行彦君   小林 恒人君    戸田 菊雄君   時崎 雄司君    和田 静夫君   鳥居 一雄君    日笠 勝之君   吉井 英勝君    辻  第一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 政治改革政治倫理の問題について今まで質疑を行ってまいりました。そのことを踏まえて、まず官房長官にお伺いをしたい、そういうふうに思います。  去る二月の二十五日に鈴木善幸総理参考人として、塩崎潤代議士証人として、本委員会にそれぞれ召喚なり招致をして意見をただしたわけであります。その際に明確になってまいりましたのは、塩崎潤代議士は八九年の六月の十二日に丸紅の春名会長と会談をして、共和をよろしくという意味の御発言になった。そして七月には議員会館共和から二千万円の金をちょうだいした。そして二年四カ月に至って、どうも周囲が状況が悪いということで阿部事務所を訪れて、これを返した。この間に修正の所得の申告は行われておりますが、いわゆる裏金だということも本人もおっしゃっております。この二年四カ月間懐に入れて、発覚をするという状況になり、環境が悪化するという状況から、その上に立ってお返しになっておる。このことを国民から見れば、一たんもらったものを、表現は非常に当たらないかとも思いますけれども、庶民の言うには、金をちょうだいをして、後でわかったら、三年たったら返せばそれでいいのか、そういうものなのかというようなことを素直に端的に私ども質問をし、立ち往生させられる場合もしばしばあったわけです。  鈴木総理は善意の預かり金という表現をされました。しかし、このようなことはもうこりごりだ、このことを踏まえて政治浄化にこの国会で十分にやってほしいという要望意見もあったわけであります。私どもは、今私が申し上げましたように、二年四カ月もたって返す、あるいは三年もたっても返せばいい、そういうものではないと思うのであります。国民から見て政治改革というのは、注意深く、我々はこれらの点について国民の側に立って、我々の行動というものを処していかなきゃならぬと思います。  こういう一連の動きというものについて、官房長官は、政治的に道義的に国民信頼を得るという政治家行動として正しかったと思うのか、それとも疑問と思うのか、極めて遺憾であると考えておるのか、明らかにしてもらいたい。
  4. 加藤紘一

    加藤国務大臣 塩崎先生及び鈴木総理の、証人として、また参考人としての御発言についてそれぞれどう考えるかということでございますが、ともにこれは院の御決定によって行われたものでありますので、その具体的内容について政府が評価したりコメントしたりするということはすべきではない、こう思っております。  ただ、それぞれ政治家でありますので、どう思うかという意味で御質問あったのだと思いますけれども、非常にその点は難しい御質問でございますけれども、かつて同じ宏池会というところに属しておりました同僚議員の一人として申し上げれば、それぞれ証人として、また参考人として誠心誠意お答えになったと思いますし、それからまず塩崎先生は、国民に大変な御迷惑をかけたことをおわび申し上げるということを率直に言われておりますし、また鈴木総理質疑の中で、みずから深く反省するという言葉をお使いになっておられますので、政治的道義的な責任を深く感じながらその点をおっしゃったのだろうと思っております。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 加藤さん、端的にお尋ねをします。  いいことではなかった、あのような行為は私は悪い、そういうふうにお考えですか、そう思うと。端的に言ってください。
  6. 加藤紘一

    加藤国務大臣 それぞれの先生方が、うかつであったとか、それからそれぞれ反省しているということをおっしゃっておりますので、その言葉を私たちも率直に受けとめていきたいと思っております。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 政治家というのはなかなか素人にわかりにくい遠回しな発言ですけれども、それでは法の番人であります、この委員会でよく御答弁をちょうだいしております法務大臣に法の番人として、いわゆる法の盲点もあろうかと思いますけれども、法律をつかさどる者として、二年四カ月間懐に温めておる、状況が悪くなった、返せばそれですべて終わり、そういうふうに国民は見ていないのです。法人大臣としては、その点について法務からの観点、好ましいことではないと思うかどうか、その点について政治的道義的な立場に立ってもあえて付言してお答えをいただきたい。
  8. 田原隆

    田原国務大臣 野坂先生お答えいたします。  法務大臣政府一員でございまして、したがいまして、院でお決めになった、院の事柄について本来コメントできないというのが、加藤長官と同じような立場でございますが、ただ政治家個人としての考えもお聞きしたいということであろうと思いますが、政治家個人としての立場で申し上げますと、一般政治家は、国民意見を代表する立場にあることを十分自覚して、良心と責任感をもって自己の行動を律すべきものである、こういうふうに思っております。いやしくも国民信頼にもとることのないように努めなければならないと考えておりますが、その政治的道義的責任の有無については基本的にはそれぞれ各自が判断すべきものであって、法務大臣として、法の番人であるからといって、同僚、先輩の議員証言等についてコメントするのは妥当でないというふうに考えております。加藤長官と同じように、もしも御本人たち反省その他のことをされておるならば、そのとおりと思うわけであります。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 僕は、二人の答弁を聞いて非常に残念に思っております。お二人が反省をするの弁があればそれはそれでいいのではないのかと。国民は、二年も三年も懐にぬくめておいて、それを返せばいいという政治家の態度を非常に憎んでおるんです。政治不信がさらに増大することだけは間違いないんです。この辺は理非曲直を明らかにして、好ましくない、あしきことである、こういうふうに明確にすべきだと私は思うんです。  この際、自治大臣もおいでいただいたんで、せっかくでありますからお尋ねをしなきゃならぬと思うんですが、先ほど、ケン・インターナショナルの前の社長の水野健さんというのが脱税の疑い等で逮捕されております。これは、国家公安委員長はよく御存じだと思うんです。これは茨城カントリークラブの実質的なオーナーですね。この水野健さんから、御親戚ではないと思いますけれども、自民党の水野清さんに八八年の十二月一千万円、九〇年の二月に五千万円、それぞれお渡しになっております。九一年の九月に、水野さんは、どうもこの茨城カントリークラブは五万人の会員で千二百億円も集めたそうだ、そういうことから、これについて返還をするという措置をとっておられます。これは、政治資金規正法にも載ってはおりませんが、これも鈴木善幸さんと同じように預かり金だと言っておる。  で、私は、当時、去年の九月の十七日でありましたが、吹田愰という方が自治大臣でした、国家公安委員長だった。自治大臣としては調べることはできないが、国家公安委員長としてならば調べてこの委員会で御報告を申し上げる、こういう御発言をちょうだいしております。自治大臣はやっぱり継承すべきものだと思いますが、こういう点についてはどのようにお考えであろうか。そして、あわせて、先ほど加藤長官なりあるいは田原大臣からお話をちょうだいしたように、それらの点についてはどのように見ておるのか、この点についても明確にしておきたい、こういうふうに思うわけであります。その点、明らかにしてもらいたい。
  10. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 水野代議士が、茨城カントリークラブでございますか、水野健という方でございますか、この方との関係につきましては、私も実は野坂さんと同じ程度のことしか存じておらないんです。具体的に調査すべき案件等は私のところにまだ来ておりませんので存じておりません。でございますから、世間で言われておることが何か週刊誌等で報道があるなどいう程度しか知らないものでございまして、もしそれが何か刑罰に関するものであるとするならば、そういうことが明確になってまいりました場合はそれ相応の処置があるだろうと思いますけれども、今のところは、私は公安委員長といたしましても警察当局からその報告もまだ受けておらないというのが実情でございます。  それから、さっきお話ございました預かり金の問題についてでございますけれども、これは社会常識から言うたらいろいろと解釈の方法あるだろう、おっしゃるような解釈も私はあると思いますが、しかし、要するに政治資金報告書という形式張ったことから言いますならば、これは収入でもなければ寄附ではない。やっぱり預かったものは預かったものということでございまして、それ以外の処理はないだろうと思っております。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 私が納得できるような答弁にはなっておりませんけれども、あえて進めたいと思うんです。  政治家はやっぱり清潔でなきゃならぬ、綱領にも書いてありますが、政治信頼が第一だということは常々閣僚皆さんからお聞きをします。しかし、現在の国会状況を眺めてみて、不信の度というものは高まっておるんではないか、こういうふうに思います。そういう意味で、証人参考人は出されました。したがって、どうしても阿部さんや森口五郎さんに来てもらわなければ、迷惑のかかった人や国民から納得を得る政治不信払拭のためにはどうしてもこの証人喚問は必要になってくる、私はそう思うんです。  で、この点については、官房長官証人喚問というものはやっぱり必要になってくるなど私は思うんですが、あなたはどう思いますか。院の問題で、委員会の問題であるから私は別ですというようなことではなしに、あなたは官房長官としてどう思いますか、政治家として。
  12. 加藤紘一

    加藤国務大臣 その証人喚問をするかどうかにつきましては、これ、まさに本当に院がお決めになることで、政府の方からすべきだ、すべきでないということを言うことは越権になると思います。  また、ここで政治家個人としてどう思うかということでございますが、ここはやはり個人意見を述べる場合では余りないんじゃないだろうかと。私が答弁する場合には先生官房長官としてお聞きいただいておりますし、私も官房長官として答えなければならないのでないかと思います。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、第百二十三回国会の劈頭に代表質問等で、阿部文男氏を辞職勧告決議案を提出する場合もある、こういう発言がありました。そういうような場合には加藤さんはそれに賛成をされますか、反対をされますか。これはあなた一人の問題ですから。
  14. 加藤紘一

    加藤国務大臣 その時点にならないとわからないと思いますし、それからまた、ここでそういう仮定で個人意見を申し上げるのは本当にどうかと思うんですけれども
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 今まで阿部さんが九千万円の収賄罪起訴をされておる、検察は法廷維持はできると確信をして起訴をしておる、その人に辞職勧告決議案が出た、そういう場合でも遅疑逡巡していずれかの選択かわからない、こういう状態です。わからないようであればやっぱりわかるようにこの予算委員会としてはやらなきゃならぬ、こういうふうに思うんです。  で、委員長に申し上げますけれども理事会で、この喚問については本委員会で誠心誠意やらなきゃならぬと。それは全容解明がまず必要であると。二番目は、再びこのような事件が起こらないためにもそのような措置が必要であるということが満場一致で確認をされております。しかし、閣僚皆さんですらどっちにすべきかということがいまだにわからないということになれば、もはや、証人喚問をして真実を究明して、最悪の状態のときにはそれぞれの皆さんが胸にすとんと落ちるようなそういう論議をやっていかなければならぬと思うのであります。本人のためにもであります。したがって、このような発言状態から見れば、あえて証人として、委員長が先頭に立ってやらざるを得まい、こういうふうに考えるのでありますが、委員長の御見解はいかがですか。
  16. 山村新治郎

    山村委員長 野坂委員に申し上げます。  委員長といたしまして、与野党理事皆さん協議をいたしまして、全力を尽くしてやってまいります。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 全力を尽くして証人喚問を実現をするというふうに確認していいわけですね。
  18. 山村新治郎

    山村委員長 与野党理事皆さん協議をいたしまして、全力を尽くしてやってまいります。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 もう一遍付言をして、副総理が非常に円満な顔をしてにこにこしておられますので、お尋ねをします。  愛知議員ですね、この方も一九八一年の七月の総選挙前に、東北佐川グループの複数の方が御本宅を、私邸を訪れて二千万円献金をされております。きのうは一日かかって愛知さんの関係後援会を調べてまいったわけでありますけれども、二千万円というのは記載されていない。したがって、新聞も相当大きく取り扱っておるわけでありますから、これもまたやみからやみへということになるんではなかろうかと心配します。  私は、政治家として、きょうも我が党の安恒さんが借入金五百万円を超して佐川急便の関係グループ会社から金をお借りになっておる。ことしの十二月三十一日が期限でありますが、お返しになっておる。預かり金でも借入金でも、やはり透明度が私は薄いだろうと思います。法的には問題がないだろうと思うのですが、このような状況の中でこのような措置というのは、愛知さんの問題にしても非常に問題がある。この際、やはり明確にして、与野党を通じて十分議論をして政治浄化を徹底的に図っていく、そのために政治倫理法あるいは。政治資金規正法等はこの国会で明確にして、そして国民の信にこたえなければならぬ、そういうふうに私ども考えるわけであります。  それらの点について総括をして、預かり金の位置づけ、借入金の問題、そして政治浄化なり当面する、やらなければならない政治倫理法あるいは政治資金規正法改正をして国民の期待にこたえるべしというふうに思うわけでありますが、それらを総括をして、きょうは副総理渡辺さんに、食言をしないで、きちんと御答弁をいただくようにお願いをして、次に進みたいと思います。
  20. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 政治改革の問題につきましては、今、与野党間で鋭意協議中でございます。私が内閣一員として与野党間で協議している中身に予断を与えるようなことをここで申し上げることはいかがなものか。協議について鋭意努力をしていただきたいということを申し上げるだけであります。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 十分な答弁とは思いません。しかし、非常に、余り出過ぎたことはということが考えられ過ぎて、不十分な答弁でありますが、次に進みたいと思います。  たったこの間、証券・金融スキャンダル問題で特別委員会設置をされて議論がされ、証券取引法改正をされたわけであります。そして、損失補てん問題についてはこれが規制をされたわけでありますが、同僚松浦議員質問をいたしましたけれども、いわゆる飛ばし行為というのが盛んにある、これは、会社は知らないが、営業マンがそれぞれ仲介をやっておる、こういう、松野さんですか、御答弁をちょうだいしておるわけです。これは兜町等では従来から宇宙遊泳というような言葉を使ってそれが公然と行われておるというふうに聞いておるわけですが、その点はどうかということが一点。  そして、これらの問題をおつかみになったのはいつごろで、どのような時期から始まっておるのか。この点について調査を先月から始められておるようでありますから、その調査の概要について御報告をちょうだいしたいと思います。
  22. 松野允彦

    松野(允)政府委員 御指摘の、最近報道されております飛ばしてございますが、宇宙遊泳という言葉もマスコミなどでは使われております。私どもも、そういう記事が出て、いろいろと証券会社にそういう事実がないのかどうかという点を調査あるいは報告を求めているわけでございますが、何しろ営業マン個人行為であって、しかも企業がいわば財テクで出ました損失を表面化させないために、企業間の直取引で有価証券を売買するというような取引、それに個人的に営業マンが仲介したというようなことでトラブルになっているわけでございます。こういうトラブルは、私どもはもちろん、その証券会社自身も十分把握できていなかったというところが真実、本当のところでございまして、こういう問題が表面化いたしましたのは、さきの国会証券取引法改正していただきまして、損失補てんというのを禁止をしたわけでございます。その結果、あいまいな処理ができなくなったということでこういう問題が表ざたになったわけでございます。  私どもも、損失補てんを繰り返すというようなことは絶対避けるべきだ、やはり不明朗な処理をすることなく、法令に則して適切に処理をすべきであるというような指導をしてまいっているわけでございまして、そういう結果、こういう企業と企業間の直取引への仲介ということでトラブルになり、それが訴訟になり、あるいは調停手続をするというようなことになっているわけでございます。そういったことを通じて、こういうトラブルが表面化し、あるいは透明度が増す、公開、公といいますか、透明な中で解決が図られるということになってきたわけでございます。その限りにおいては、証券市場のあるいは証券取引の透明性を向上させるという意味では一つの解決の道ではないかと思うわけでございますが、しかし、いずれにいたしましてもこういうトラブルが起こったということは、非常に免許会社としては好ましくないと言わざるを得ないわけでございます。  こういう問題がいつからかということでございますが、今申し上げましたように法律改正が行われて損失補てんができなくなったということになりまして、透明な解決を図らざるを得なくなった、そういうことで訴訟にもなりあるいは調停に移るということで、明るみに出てまいったわけでございまして、私どもも、証券会社もそうでございますが、個人行為ということでなかなか把握できなかったものがこういう形で表面化してきたというふうに考えているわけでございます。  こういう問題につきましては、訴訟になりました場合には、私どもはその訴訟の当事者に証券会社がなった場合には報告をとることになっておりますので、訴訟になったものにつきましては報告をとることによって把握できるわけでございますが、それ以外のトラブル、民事調停に移行する以前あるいは訴訟以前のトラブルの段階につきましては、これは我々としても必ずしも実態を把握できない面がございます。証券会社そのものも、個人行為ということでございますので完全に把握しているかどうかという点は必ずしもはっきりしないわけでございます。  私どもとしては、各証券会社に対して、こういうような問題が起こったことにかんがみて、やはり企業とその企業の担当の営業マンとの関係というようなものを考え、もしそういうようなものが潜在化して、個人行為とはいえ仲介的な行為が潜在化してトラブルのもとになるようなものが存在しているというようなことになりますと、これは企業としても大変大きな問題ではありますし、私ども証券行政上も看過できない問題でございます。各証券会社に対しては、企業との取引内容についてより一層厳重なチェックをする、これは営業マンを通じ、あるいは直接取引先企業に対して照会をするなどして、こういうようなものが潜在化していないかどうかという点について十分なチェックをするように指導し、こういったもの、いわばバブルの残滓のようなものでございますが、できるだけ早期に全貌をつかみ、それに対して公正な、法律に即した処理が行われるということが必要だということで指導しているわけでございます。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 一つは、これは会社も知らない個人行為だ、個人が仲介をしたんだ。しかし、仲介をされた側に立ては、証券会社を代表するものとして取り扱う。それは信頼関係もある、三百億も四百億もやっておるという現状から見れば会社は逃げることはできないだろう、こういうふうに思いますが、その点はどうなのか。  この宇宙遊泳といいますか、飛ばし行為は従来から行われておるが、バブル経済の残滓であるというようなお話がありました。損失補てんができなくなったから飛ばし行為で何とか上がらないかと思ったけれども、ちょうどサラ金みたいなもので、次から次へといってとうとうパンクした、だから訴訟になった。訴訟になればわかるけれどもそうでなければわからないということではないではなかろうかと思うんですね。証券局としては、それらについて警告を発して調査をして報告を求める、顕在化したものだけではなしに潜在化しておるものについても、会社がそれぞれやっていけば、個人は何億何十何百億とそういう仲介をしたということになれば、そのまま自分で処理するということは極めて現在の経済情勢から見て不可能であろう、こういうふうに思うわけです。  したがって、二月の二十日過ぎから今日までやってこられたその実績は、例えば具体的に四大証券及び準大手を含めて十四社、これについては現在何件あって、何百億程度あるいは何千億程度把握をしておるのかということをもう一度明らかにしてもらいたい。
  24. 松野允彦

    松野(允)政府委員 確かに、御指摘のようにこの行為個人の仲介行為会社に無断で行った行為ではありますけれども、あくまでも証券会社営業マンが企業との取引を仲介をしたわけでございまして、企業側から見れば、それは証券会社が行ったという認識を持つのは当然でございます。また、そういうことにつきましては、証取法あるいは一般の民法上も証券会社がその営業マンの使用者としての責任を問われるということは当然のことでございまして、そういったことで訴訟あるいは調停になった場合に、証券会社がいわば損害賠償責任を負ってその損害賠償責任を認めたというようなことになっているわけでございます。  それで、こういった問題、先ほど申し上げましたように非常に潜在化しているという問題はございますけれども、私どももできるだけその全貌を明らかにするように努めているわけでございましで、各証券会社にそういった問題が潜在化していないかどうか十分調査をして報告をするようにということを求めております。  この問題は、もちろん個々の営業マンのモラルの問題でもございますけれども証券会社として使用者責任を問われるということになりますと相当の損害を受けるわけでございますから、企業防衛上も当然潜在化しているものがないかどうかという点について十分調査をする、それを我々に報告をするようにということを要求をしているわけでございます。  それから、お尋ねの件数でございますが、これはいわゆる飛ばしといいますか、企業間の直取引の仲介をめぐってトラブルになり、それが訴訟になっているケースだけというのはなかなか現在まだ把握されておりません。先ほど申し上げましたように、一般的に訴訟の当事者に証券会社がなった場合には報告を求めることにしておりまして、その一般的な訴訟の中には、いわゆる飛ばしに伴うトラブル以外に、個人投資家との間での例えば無断売買とか、あるいは言った言わないというようなたぐいのものもございます。そういうトラブルに基づいて訴訟が行われておりますものを含めて把握をしているわけでございますけれども、それは昨年の一月以降の報告分で申し上げますと、ことしの三月までで全体の証券会社で二百三十五件の訴訟が行われておりま」して、その金額は三百十四億九百万円ということになっております。  それで、これは今申し上げましたように、必ずしも全体がいわゆる飛ばしということではなくて、訴訟全体でございますのでいろいろなものが含まれております。この中でいわゆる飛ばしというものがどの程度あるのかという点については、私どもまだ正確に把握をしておりません。そういう状況でございまして、ただ、先ほど申し上げましたような株式が低迷している状況下で損失補てんが行われなくなったということで訴訟案件がふえてきているということは言えると思います。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 これらの、現在政治については不信、そして証券業界についても不信感、一連の政治、経済ともにそういうよどみのある状況があるわけでありますが、銀行にしても、最近では東海銀行と佐川問題等が顕在化をしてくるという一連の証券・金融業界ではそのような不信感が強いわけでありますが、言うなればこれによって大衆投資家は証券参加から遠のいていくのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。これらの一連の証券・金融のスキャンダル問題あるいは飛ばし問題、こういう状態が起きておるというのは、やはり政府の指導監督の責任も十分にあるというふうに私ども考えるわけでありますが、それらの点についてはどのように考えておるのか、大蔵大臣に伺いたい。
  26. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 お答え申し上げます。  免許企業でございます証券市場で再びこういう問題が表面化してきておるということ、そして、先ごろ来のいろいろなトラブルが起こったということにつきまして、大変私どもも監督官庁にある立場として遺憾に存じております。  いずれにいたしましても、金融市場あるいは証券市場というのは、この市場経済の中において最も信頼されなければならないものであるということからいきましても、やはりこういったものが信頼され、そして活性化されるということが経済の大きな発展につながるということでございますので、私どもといたしましても、今これから御審議をいただこうといたしております証券取引法を初め、そういったもろもろの整備をすると同時に、これは私どもが行政でどうこうするというだけではなくて、それぞれの者がやはりみずからの倫理観というものを持つと同時に、やはりその会社あるいはその協会、こういったところめ一つの自主ルールというもの、これをきちんと確立していくことが大事であろうというふうに考えておりまして、ともかく一日も早い信頼回復のために我々がさらに努めてまいりますことを申し上げたいと存じます。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 努力をして改革をして、そして業界の活性化を図るようにしなければならぬ。今まで、やはり一言で言えば甘かったということが言い得るだろうと思います。この間、あなたの前任者である橋本さんはその責任をとっておやめになりましたけれども、たまたま定期異動と一緒になったわけでありますが、けじめは減俸その他をやられたけれども、もっと官界も大蔵省も襟を正して、これらの問題については早期に大掃除をして出直すという態勢を図ってもらいたいということを要求をして、次の質問に。  けさの新聞に、運輸大臣、「運輸省、監査日漏らす」というのが出ていますね、毎日新聞に。ごらんになりましたか。  これらについては、監査は四、五日前に通知があって、そして徹夜で出勤簿とか運転日報とかそういうものについては整理をして、口頭で、朝礼の時間が短い、この程度の指摘で終わった。やはり銀行なりはそういう監査は非常に厳しくて、突如としてこれらの監査をやられる。そういうことでは監査の意味がないじゃないか、こういうことを新聞は伝えておりますね。それらについては、政治の緩みあるいは経済界の弛緩、そしてまた今、時の問題である佐川急便のこのような運輸省の態度というのは許されないものではないのか、こういうふうに思うわけでありますが、佐川急便は運輸省の所管である。これらについての考え方なり認識なり、それらについては大臣としてはどのようにお考えですか。
  28. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 けさの毎日紙上での記事を引用されての御質問だと思います。  早速、事前に漏らしたという件について当時の担当の責任者から事情をお聞きいたしました。そのときの場合には、事前通告をしたということは事実であります。  ですけれども、このときやろうとした目的は、いわゆる佐川が不当な、グループ内からの精算料を過大に取っておる、その精算料のパーセントが当時二一%くらいの精算料というか、そういった形をとっておるという実態が非常に労働の過重につながり、労働条件にも非常に厳しいしわ寄せがあるといった時点を実は調査しようというのが目的であったようであります。したがって、事前に通告したのは、ヒアリングの段階で各系列会社から十数%の精算徴収があったという事実をもう既に把握しておって、そして今度は各企業に、責任者がきちっと対応してほしいということで事前通告をしたけれども、そのことによって監査の内容が曲げられたとかという問題ではなかったということでございます。  で、抜き打ち監査の場合と通告監査の二通りございまして、その平成元年の監査の場合には、いわゆる精算料徴収の実態把握という点に重点があったための監査であって事前通告を許可した、責任者が対応しなさいということでやったということでございました。したがって、その点であれば私も、それはそれなりで理由があるなということで対応については了承したような次第でございます。  しかしながら、労働時間の実態、そういった形の問題点というものを把握するために抜き打ちする場合も当然あり得る。もしそういう時点のときに事前に通告して帳簿の改ざんどか出勤時間の改ざん等々が行われたということであれば、これはやはり許せない行為であったと思いますけれども、この毎日新聞の記事の報道する限りにおいての内容調査においては、事前通告は妥当であった。それにしても、実際の実態調査に、精算金調査の実態についてインチキしたり帳簿を改ざんしたりしても、もう既に実態の把握が努められておったわけですから、むしろ、責任者対応をきちんと求めるためには事前通告しても、私は、上司の判断として、責任者の判断としては誤ったものではない、そういった形で了承いたしました。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 労働条件、労働時間の問題、精算金徴収の問題、それらに対する対応はそれとして、事前通告は妥当であったというようなことは問題であろうと思いますね。そういうことは必要でない。そのために改ざんをするという行動が起きておるわけですから、それらについては十分留意をしてもらいたいと思うわけです。  そういう意味で、佐川急便は初任給が百二万円だというのですね。とても大した金だと思うのです。国会議員並みですね。そのかわり労働が違う。だから、それらについての労働時間は通称二十四時間労働とも言われておりますね。そういうことだからやはり新しく、新陳代謝が激しい。したがって、退職金は払わぬで済むというような格好が出ておるというふうに私たちは承知しております。したがって、それらの運転日報なり、それらの労働条件の一番の基礎ですね、そういうものが改ざんされていくということになれば、これは妥当なものかどうか、検査というものが整々と行われたかどうかということについては非常に疑問があるわけですね、特にうわさの会社ですから。あれだけもうかる流通会社があるだろうかと思うほど金が飛び散っておるわけですから。まあ奥田さんはもらっておられるかもらっておられぬか定かではありませんが。  そういう意味で、やはり正確に調べて、労働条件の問題なり、今やアメリカやECからも労働時間の短縮は、ただ単に国内問題ではなしに世界各、国から指摘をされておるところでありますから、そういう面で、豊かな暮らし、ゆとりのある暮らしというのは一体どういうものかという意味で、さらに徹底監査をして御報告をちょうだいしたい。今まで監査をした結果というものについても、関連をする佐川急便問題でありますから、我々にその結果を御報告をちょうだいしたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  30. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 現在、中核グループ六社による合併の申請が行われている段階でございますけれども、今先生が御指摘になったような問題点等々を公正に、厳正に調査してまいりたいと思っております。  先生の、そういった過当労働と申しますか、そういった形の実態把握も従来努めてまいりましたけれども、さらに精査した上で検討してまいっていこうと思っております。(野坂委員「御報告いただけますか」と呼ぶ)もちろん御報告させていただきます。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、片方は随分金がたくさんある会社、今度は気息えんえんの会社お話をさせていただきたいと思うのですが、いわゆる地方のバス会社ですね。全国に今乗り合いバスの事業をやっておるのは約三百五十八社ありますね。このうち赤字の会社というのは二百七十一社、そのもの自体は赤字だけれども、いろいろなことをやって埋めて黒字を出しておる会社が八十二社、こういうことになっております。昭和六十一年、民営の場合だけを申し上げますが、赤字経常損益は百八十九億九千六百万です。約二百億。しかし、平成二年の現在では、赤字会社というのは五百三十七億三千七百万円の赤字です、単年度で。随分赤字ですね。運輸省としては公的輸送としてバス輸送をやっておる。生活路線の場合はそれを補てんをしておる。こういう格好で、それでも運輸省のそういう補助金によってようやく運営をしておるというのが私は実態ではないかと思うのです。  私どものところの会社も、時間外にはいわゆるサービス残業というか歩合給というか、例えば宝石とかゾリンゲンですか、ああいう包丁とか背広の五万円程度から三万円程度のものを売って、そしてそれを補てんをしておる。なかなか容易じゃない。  最近、ちょうど退職のピークを迎えてまいりまして、毎年やめる。一遍に払えない。赤字が出てまいりますから、土地を売り、社屋を田舎の方に移してその差額で退職金を払う。一年間で払えないから七年間ぐらいの月賦になるのです。一千万円あるとしても年に百三十万円程度しかもらえない。ということになると、家を建てようと思っても現実問題なかなか難しくなってくる。こういう労働者の立場ですね。会社も払おうと思うけれども、財産を売ってもなかなか払えない、こういう状況なんです。  それが全貌でありまして、一つ伺いたいのは、いわゆる過疎バスの維持の対策のために去年は、去年といいますかことし、平成三年度は百五億円、その前は百二億円だったですね。今度はその路線バスのところの赤字だけで出したものは、十億ばかり補助金は足らなかったのですね。みんな削られたわけですね、上限がありますから。それに比例配分されている。ただでさえ気息えんえんなのにこれを切られると、これはもう容易じゃないということが一点言えると思います。ことしは百七億二千二百万円にしてもらってそれなりに奥田さんに対して、感謝をすべきではないのに今までが余りにも苦しかったからまあ感謝をする格好ですね。もうちょっとやはり上げなきゃならぬ、こういう状況であります。累計としては六百四十四億八千万円の赤字を出しております、全体で。約四分の三は赤字なんですから。  そういう状況でこの生活路線を維持するための――運輸省の役人さんに聞きますと、会社に補てんをする必要はないんだ、足を守るために我々はやっておるんだ。そのとおりだと思うのです、まさに御説ごもっとも。しかし、足を守るためには会社を売らなきゃならぬ。会社が倒れたら足は守れぬという相関関係を持っておるという状況です。現状としてだんだんだんだん便数を減らすんですね、人が乗らないから。さらに厳しくなってくる。というのは、乗るのは年寄りが多い。若い人たちはモータリゼーションで乗って出ますけれども、持って帰らぬですからね。勤めておる町、そこに置いて、だからバス以外にないという結果になっておるというのが現状です。このことが一点と、これについてはどう考えるかということが一つ。  それから二つ目は、厳しいそういう競争上にもまた輸送機関は立っておるわけです。最近は遠いところまで、遠隔地まで貸り切りみたいなもので運んでおりますけれども、路線で。この路線免許についても相当数お客様が多いところ、ひとりでそれを確保しておることが一番いいですけれども、しかし全体的にも競争させて、ある程度そちらの方にもお客を回すというので複数になってもいいところがあるのではなかろうかということを私は聞いております、具体的にも。そういう点については十分にお考えをいただいて対処をしてもらえないかということが二点目。  三点目は、すべての財産を売り尽くすというようなのがバス会社の中で非常に多い。土地はたくさん持っております。したがって、全部の社を回って聞いてみますと、この十年間あれば、運営がうまくいけばそれは立ち直ることはできる、それが一番しわ寄せになってきておるのは退職金だというんですね、相当まとまっていますから。もらう方も一遍にもらいたい。我々は、バス協会は一体どうだろうというふうに見ますと、バス協会は百億円くらいですね、積立金が。軽油引取税の返戻金がありますね。それはありますけれども、使えば一遍に終わっちゃうという状況で、これも運営が難しくなってくる。  運輸省の所管の中で、造船業基盤整備事業協会というのがありますね。それは政府が十億円、日本開発銀行が十億円、民間が五十三億円というふうに出して、いわゆる運転資金その他についてもそれらを回して――なかなか銀行が貸してくれない、やかましくて。そういう状況から考えて、これでやっていこうという格好が大きく出ております。あるいは、鉄道の場合は鉄道整備基金という格好で、これは設備の方ですけれども出されておる。  そのような方法でバスの存続維持体制というものをやはり考えてもらわなければならぬという事態に来ておるのじゃないだろうか。この十年間という時限でもいいではないか、そうすれば退職その他のピークは終わる、そうすれば整々といくのじゃないかということを考えるわけですが、それらについて提言をいたしますけれども、運輸大臣は運輸省の立場に立ってどのようにお考えか。バスや列車、そういう点については、きのう華やかに整備新幹線の何百億の話をしましたけれども、きょうはランクが下がりまして、非常にわずかな中でも厳しい状況で県民、住民の足が守られなくなりつつあるということを十分お考えをいただいて対処してもらいたい。補助金の引き上げあるいは基金の設定、そういう点についてお考え方を聞きたいと思うのであります。
  32. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 また細かい数字の面については政府委員から補足させることもあると思いますけれども、今御指摘の点について私から答えさせていただきたいと思います。  確かに、地方の過疎バス路線を維持するために、各地方のバス会社の経営状況というものは決して楽観視する状況ではなく、先生の御指摘のように厳しい内容の面が多いということもよく承知いたしております。ことしの予算に関しまして少ないじゃないかという御指摘もございましたけれども、ことしは、先生もお示しになったようにこの過疎バスの補助金として百七億二千万円、前年度比二・一%の増を、実は大蔵との折衝においても厳しいシーリングの中でございましたけれども、増額をから取ったわけでございます。これは前年、前々年と比べますと一・三%の伸びであったものを二・一%まで持ってまいりましたから、これなりにそういった面で努力したということは御理解願いたいと思うわけでございます。  決してこれで満足したわけではございません。むしろ今回の折衝においても、一般シーリングの枠を越えて大蔵大臣とも厳しくやり合ったわけでございます。したがって、この補助金枠をふやして、地方の過疎バス運営に支障を来さないようにするために、今後とも不断の最重点項目として、金額の問題もさることながら、最重要施策として今後とも努力してまいるということをお答えできると思います。  第二点目の、複数化によってその路線免許に、地域地域の特性、事情で、そういった点において柔軟な免許というか認可の方向で努力したらどうかということは、もし先生の御指摘なり御指示があれば、そういった形の地域路線に対してはできるだけ前向きに要望に沿うように検討してまいりたいと思います。  第三点目の、退職金に絡むそういった補助金の制度でございますけれども、これも先生から既に御指摘がございましたように、バス協会を通じての利子補給なりの制度もございます。また、石油なんかのいわゆる払い戻しの税を生かした形での開銀融資の面もございますのですけれども先生の御提案の一番大事なところは、いわゆる基金をつくってやるべきじゃないか、鉄道なんかが民営化に伴って整備基金があったように、基金をつくり上げてやってもらうことで過疎バスの路線、足を守っていくという方向に持っていったらどうかという御提一言でございます。  私たちも、基本的には大変ありがたい御提案だと思います。しかし、これの実行に当たりましては、地方自治体、府県、そういったものとも共同してやはりやらなければなりませんし、今日も自治省なんかのお力で、地方の路線バス運営に関しては非常に前向きに、交付税対象なりの中でこの問題をやっていただいておる関係もございますから、そういった基金制度が、どういう形でやったら一番いいだろうか。御提案を踏まえて検討させていただきたいということでお答えにかえます。
  33. 水田稔

    水田政府委員 大臣からお答えいたしましたので、私からは簡単にお話をさせていただきたいと思います。最後のところで、現在の制度の問題だけちょっとだけお話をさせていただきたいと思います。  現在、こういう融資の関係を中心とした制度につきましては、開発銀行の設備資金についての低利の融資制度があります。それからもう一つは、今先生から、あるいは大臣からもお話しいたしました運輸事業振興交付金を活用した制度がございます。この制度では、設備資金だけではなくて、つなぎの融資も含めたものについて、資金をあっせんするとか利子補給をやっておるわけでございます。先生御指摘のとおり、これをもう少しうまく活用するなり、もっと拡大した制度ができないかということでございますので、よく勉強させていただきたいと思います。
  34. 野坂浩賢

    野坂委員 運輸大臣なり運輸省から御答弁をいただきましたが、やはりよって来るところは、大蔵大臣、どうもあなたのところですね、削るところは。何百億の話じゃなしに、十億か二十億、社会党は九十八億円増額せいということを提案しておりますが、十分御勘案をいただきますように要請をして、あなたの一言を聞いて、次の質問に移りたい、こういうふうに思っております。善処いたしますと言えばいいんです。
  35. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 各過疎バスあるいは、これは民鉄欠損補助と一緒に始まった制度だと思いますけれども、いろんな知恵を出しながら、ある程度お客さんが乗るような努力、これを自治体なんかもやってくださっているところもあります。こういった中で、やはり住民の足を確保するということは、これは大変大事なことであろうと思っております。十分運輸省の方とも話し合っていきたいというふうに存じております。
  36. 野坂浩賢

    野坂委員 防衛庁長官お尋ねをします。  東西の冷戦構造というものは終結をした、こういうふうに判断をしておりますが、その点についてはどうか。  二点目は、世界の潮流というのは、平和の潮流がうねりを生じておる。ただ、これから起きるというのは地域紛争、民族的な対立、そういうようなものに終わるだろうと思いますが、概して平和の潮流は大きくうねりを生じつつある、こういうふうに認識をしてよろしいのかどうか。二点目は、もしそうだとすれば、これからの防衛計画大綱というものはどのような方向に進むのか、お伺いをしたいと思います。
  37. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お答え申し上げます。  まず、国際情勢、軍事的な視点からの認識いかんということでございますが、御案内のように、東西冷戦が終えんいたしまして、世界の平和と安定への流れが強くなってきておることは、これは私ども大変歓迎すべきことだと存じます。しかし、その中にあっても、混乱した旧ソ連の状況、あるいは中東における流動的な要素とかいろいろございます。そしてまた、旧ソ連のことは一々申し上げませんけれども、核兵器の技術の拡散問題等も今注目されているところでございます。  同時に、私どもとして考えなければならないのはアジア・太平洋地域の状況でございますけれども、ヨーロッパ正面と違いまして、アジアにおきましては、いろいろ好ましい動きももちろんございました。韓ソ国交樹立てございますとか、南北朝鮮の国連同時加盟でございますとか、あるいはカンボジアの問題、包括和平の成立等々ございますけれども、この地域は非常に情勢が複雑でございまして、同時に、朝鮮半島の問題や北方領土等の未解決の問題もございます。そういう点で、また、極東地域の旧ソ連軍の状況等も私は決して安心できる状況ではない、このように思います、特にまた、北朝鮮の核関連施設の建設の問題、あるいは地対地ミサイルの長射程距離化の研究開発の問題等々、不安定な要素もございます。  御案内のように、二月二十五日にチェイニー国防長官から米国防報告書が出されておりますけれども、この中でも、基調的には世界的規模の脅威は消滅したと、いわゆる消滅宣言を出しておられますが、しかし、地域的な脅威というものは逆にクローズアップされてきているのではないかという基本的認識を示しておられますが、私どもも、大体そのように感じております。したがって、冷戦が終えんしたからといって、直ちに、我が国の防衛費、これをどうこうということに直ちにはつながらないと思うのでございまして、特に、国際化の流れがやや中期的に安定した状況のもとで、我が国の防衛というものをきちっと考えていくということが私は必要ではないかと存じております。  そこで、第二番目の防衛計画の大綱の見直し等々の問題でございますが、現在行われております中期防衛力整備計画、これは実は一昨年の十二月二十日につくられておりまして、当時、東西ドイツが統一したり、ソ連邦の動向等々、趨勢としてはもう予見し得るものでございました。それらの情勢を踏まえまして中期防を策定したわけでございまして、一々数字的なことは申し上げませんけれども、この中期防は、額はふえておりますけれども、平均伸率からいっても、前のが五・四%ぐらいが三%になっておりますとか、特に正面装備、これにつきましては、前中期防が上昇傾向、七・七%の増であったけれども、これを二・三%マイナスにしていく、下方修正にしてありますね。そういうことどもがございまして、今の中期防は抑制的なものだと私は考えております。  そして、その中において平成四年度の予算づくりというものを位置づけをしておるわけでございますが、この伸び率も過去、昭和三十五年以来三十二年ぶりの低い率である。伸び額も千六百五十八億というのは、これは十二年ぶりの低い伸び額です。当時、十二年前には防衛費が二兆二千億くらいでございますから、それよりもさらに下回っているという事実は御認識をいただきたいと思うのでございますが、そういう状況でありますが、ただし、このつくられた中期防後に大きな変化がありました。昨年はソ連邦の消滅その他もございます。したがいまして、この中期防の中には二つのことがビルトインされております。  一つは、中期防の見直しでございます。これは、三年後に中期防自体を総額の範囲内で必要に応じて修正するということでございまして、私どもはこの方向に沿って、総理の御指示もございまして、前広に検討委員会を今つくって検討をいたしておるところでございます。  それからもう一つは、もっと長期的な、中長期的、中期的な問題でございまして、自衛官定数が、なかなかこれは充足等ができません。したがって、人的資源の面で非常に制約がございますね。そういった面を含めた防衛力のあり方については本中期防期間中に見直しをする、検討するということが書かれてございます。したがって、今の中期防は平成三年から平成七年まででございますから、この間に大綱に基づく中期防の、特に自衛官定数を含む防衛力のあり方についての検討を行って、その結論を得て、次期防にはこれを反映させるということが制度的にも書かれておりまして、私どもは、当然その必要性を認めておるわけでございまして、二段構えで今検討をいたしておるところでございます。
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 防衛計画大綱の水準には既に達しておるのですよね、現在。これから、今お話があったように、下方修正をする、中期防衛計画の期間は平成七年までだ、平成七年までに人員その他は下方修正を実現をする、火器その他も兵員が少なくなってくれば下方修正をするということでありますから、ポスト中期防以降よりもこの中期防の中でそういうことは具体的にする、こういうふうに理解していいのかということが一点。  それから、前広にやると、よく前広米審というようなことを田名部さんはやりますけれども、事前にそういうことをやって、検討の時期を繰り上げるということですか、それとも、検討の時期を繰り上げて具体的な実施事項も繰り上げると。それは、宮澤総理は、今、あなたが毎年見直しをやっておるんだからそんなにいいじゃないかと言ったら、今の国際情勢から見て早期に実施すべきであるということでありますから、この中期防には後年度負担の問題等もありますが、それは一年繰り上げて実施をするのか、検討はいつ、何年繰り上げるのかということについても明確にしてもらいたいということが一点。  時間がありませんから、二点目は、陸上自衛隊は今定員十八万人ですね。現員というのは十五万三千人ですね。それで目標率というのは、充足率の確保の目標というのは十五万三百人ですね。海上自衛隊は、いわゆる四万六千五百二十人の定員に対して四万三千三十一人確保すればいい、こういう充足率になっておる。いわゆる航空自衛隊は、四万七千九百六十七人を四万四千八百四十九人の充足率に。大体現状の人間もこの程度ですね、充足率というのは。それを踏まえてやっておられると思うのですが、これについて、今の現状の確認、今申し上げましたように、その確認どおりではいつごろから実施するのか、下方修正は。これは、防衛計画大綱にも陸上自衛隊は十八万人ということは明確にしてありますが、海上や航空自衛隊は、これは機数であって、人間の数は載っていないわけですから、それらについても明確にしてもらいたい。
  39. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、現在の中期防に二つのことが書かれておるということを申し上げました。一つは、中期防自体の修正でございますね。それからもう一つは、ポスト中期防後の問題、つまりこれは防衛計画の大綱に及ぶべきものという答弁をこの席でも繰り返しておりますが、その問題と、二つがございます。  それで、先生は重点を特に中期防の修正、見直しの点に置かれているというように私お伺いしましたが、これは、防衛力整備検討委員会を早期に発足させまして、前広というのは、要するに結論の前広ではございませんで、今直ちに検討に着手するということを意味しておりまして、私どもとしてはなかなか、これは前倒しということになりますと、平成五年度予算に反映させるということになりますと、まあいろいろこれは防衛の中で主要事業、装備等もございまして、これらの検討がかなり長時間を要します、率直に申しまして。したがって、まず五年度、一年前倒しで実施するということになりますれば、まあこれは予算技術上の問題でございますけれども、概算要求までに全容が明らかになりませんと五年度予算でどうするということもできませんし、そういうこともございますので多少時間を要します。したがって、私どもは中期防に、計画に定められた三年後の見直し、つまり六、七年の予算に反映させたい、こう原則的に考えておるところでございます。その点で、時期の問題は、第一の問題でございます。  第二点は、充足率の問題にお触れになりました。確かに陸上自衛隊は十八万人と大綱別表に書いてございます。そして、現在の中期防でも、その本文の中に十五万三千人を限度とすることが書かれています。これは特殊な表現でございます。今までの中期防にはなかったものでございますが、現実に充足その他を考えまして、この中期防期間中は十五万三千人以上にはならないよ、しないよということが書かれております。しかし、現実には、今先生がおっしゃられたように、さらにそれを下回っておる。それで、現在の充足率について先生御指摘、数字を交えて御説明がございましたが、確かに海上自衛隊は九三・五%、航空自衛隊は九四・五%、陸上自衛隊は八四・五%という充足率になっておりまして、私どもはこれを基礎に今の予算その他を、人件費等もはじいて計上しておるわけでございます。  そこで、その防衛計画の大綱の別表にまで及ぶ本計画期間中の検討の点についてでございますけれども、今直ちにその内容について私はここで言及することはできません。つまり、例えば十八万人体制をフルに維持することは、これは当然考えておりませんが、これが例えば十五万人に定員を減らしますとどういうことが起きるかといいますと、組織、装備、編成その他を全部変えていかなければなりません。そういう意味で、そういう一つとりましてもなかなか時間を要しますから、これはこの中期防期間中に検討をいたしまして、そしてそれを次期防に反映させていきたい、こう思っておるわけでございまして、陸上自衛隊の定員の減というもの、大綱における減というものも大きな課題になることはもう当然だと存じております。そのような角度でこれから検討をさせていたたきだい、こう思っております。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、定員の問題については、今後ろから激励をされておりますけれども、言うなれば、前年度との定員比較表を見ても、二千七百四十六億五千二百、こういうことになっていますね。一したがって、この予算の定員というのは、法定の定員数ではなしに実人員を掛けて予算が出されておりますね。だから、去年と同じなんです。したがって、そのとおりの予算措置であれば、今度も簡単にそれは定員が削減できるのじゃないのかと私は思いますね。言うなれば、陸上自衛隊は十八万というふうに書いてありますけれども、航空自衛隊なんか書いてないですね。何個隊、何個隊という表現ですね。一個隊が大体十八機だったですね。今や二十二機という一個隊にもなっておるのですね、四個隊は。あるいは二十機ということになっておりますね。ほとんどそういう格好になって、事前に人数は制限しないで、機数でやる。だから、戦車にしても、七四式と九〇式は違ってくる、二人も。そういう姿でだんだんだんだん内容充実と言いながら拡大してくる。この辺で、下方修正をするということを明確にしたのですから、いわゆるこの中期防の中で十分やれるじゃないかというふうに私は思います。その予算の定員数と予算の計算はそんなに難しいものではないということは、この予算書を見ても、明らかであるということが一つ。  それから、防衛庁長官、僕がいつも不思議に思うのは、ことしも、三年前に出した、定員数の増を出していますね、内閣委員会に。八百五十人ばかり、防衛二法で。現状はこれなのに、またこの人数だけをふやして、がちゃがちゃやる必要はないじゃないか。現状こういうことで下方修正をするというのに、八百五十人も定員をふやしていかなきゃならぬ、それはまあ機数の関係だというような格好で、やらないことを空回りをさせる必要は全くないじゃないかというふうにいつも思うのですよ。意味がない、けんけんがくがくやる必要が。現実にあなたが充足率は、もう目標が十五万三百人ですからね。そして四万六千五百人の四万三千人が目標なんだと、やめていくから。だから、これでいいんじゃないかという状態のときに、また再び定員増の防衛二法案を出されるということは納得できにくい。この点についてはどういうふうにお考えですか。よくわかりませんが。
  41. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど充足率をちょっと私一ポイント間違えまして、陸が八四・五と言いましたが八三・五、それから海が九三・五が九二・五、空が九四・五が九三・五ということでありますから、これだけ修正させていただきます。  それから、先生、陸上自衛隊十八万人ということは大綱に書かれておる、定員はほかは海空ははっきりしておらぬ、こうおっしゃられたわけでありますが、これは定員は国会の承認事項でございまして、これはもう設置法その他、自衛隊法等できちっと定数が書かれておりますから、それは明確になっております。その中で充足率をどうするかという問題でございまして、ただいま申しましたような充足率で予算を組んでおる、このことが第一点でございます。  それから、先生おっしゃられた点で^第二番目は、防衛庁設置法等で八百何十人の定員増を出しているではないか。これは実は平成元年と平成二年度の二年にわたりまして出したものの合算を今先生御指摘だと思います。これは、今の中期防は平成三年度からでございまして、本中期防期間中は増員はしないという大体私ども方針ておりますが、これは前中期防のときに出されたものでございまして、何かといいますと、陸上自衛隊ではございません。海上、航空であります。それは、飛行機とか艦船を近代化いたしますと乗員の数も変わってまいりますので、その分だけの増員をお願いしてきた、今までそういうケースでございますが、これはただいま安全保障委員会におきまして継続案件となっておりますので、私どもは前中期防期間中の問題でもございますし、これをぜひとも御理解を得て成立させていただいた後でその後の問題を処理させていただきたいな、このように思っております。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 それは、成立してもいいし成立させなくてもいいというような法案ですよね、言うなれば。現状の定員から見れば、八百五十人というようなものについては全く論外だ、そう思わざるを得ないわけです。したがって、中期防の中で、世界の情勢、今あなたと私は意見が一致したように、全体の流れとしては平和です。その担保をアメリカでもソ連でも行う、若干他の国々では装備を強化するところはありますけれども、大勢として、日本はその平和の担保を自衛隊のいわゆる軍縮方向というものを大きく出さなければならぬ。したがって、我々も全体では中期防で五千億円のいわゆる減額、今回は二百三十四億円を出して、皆さん方に、国民皆さんに御理解をいただきたい、これがいわゆる軍縮、平和の担保であるというふうな認識をしておりますので、そのような方向で御検討をちょうだいをしたいというふうに思うのであります。
  43. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ちょっと社会党の修正案にお触れになりましたが、私どもとしては現在出しておるものがベストであると考えておりますので、その御理解はいただきたいと思います。  それから同時に、私が先ほど申した点で先生と完全に意見が一致しているかどうか、国際情勢の認識、軍事情勢の認識について一致しているかどうかという点でございますが、私はやっぱり極東のアジアにおける問題等も御指摘もいたしましたし、地域的紛争の可能性も指摘いたしました。そして同時に、我が国の防衛力を考える場合には、基盤的な防衛力構想に立っておりますから、諸外国、特に超大国の軍縮と我が国の場合とは趣を異にしている点だけは御理解いただかなければならないと存じます。当委員会でも、小錦と舞の海のあの体重差で、同じように軍縮しろと言ったって無理だという御指摘も一部の委員からございましたけれども、私もそう思います。そういう基盤的な防衛力構想に立っておる我が国の現状でございますから、その点は十分理解を賜らなければいかぬ、このように思います。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 東京二十三区からの一極集中排除の問題ですね。これについては特に通産大臣の渡部さんにお伺いをしたいというふうに考えておりましたが、時間が来ておりますので、分科会の方でゆっくり三十分間やらしてもらうということで御理解いただきたいと思います。  農林大臣に最後にお尋ねをしますが、きのう我が党の戸田菊雄さんの質問の最後に、あなたは、足腰の強い農業にして、農業の展望を開いて、魅力ある農業を確立をする、こういう御答弁で締めくくられました。私もそのとおりだと思うのですが、その中身がよくわかりません。中身については、この際伺っておきたいと思うのですが、今一局集中問題で新拠点都市、新拠点都市問題については御案内のように十年で見直す、しかも知事が命令をして、決定をして、政府には通知をするだけだ、それで地方分権を、固める、こういうことを言っておるわけですね。で、あなたの場合は、例えば昭和三十六年に農業基本法ができて、その実態調査をしたときに、自立経営農家が果たしてできておるのか、専業農家がどの程度になったのか、あるいは十一条にあるように、果樹と畜産は生々発展をするであろうという基本法は、それとは逆な方向を出してきたということを一つ一つ検討してみると、十年かかったらやっぱり見直すと、通産省が言っておるように。いつも足腰の強い農業あるいは展望が開ける農業、魅力ある所得の多い農業と言うけれども、現実はあなたが言っておることと正反対の方向を歩いておる。そういうことが一点です。  そして、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉については、既に出した。したがって、これは関税化の輸入自由化は反対である、米は。こういうことが明確にされておるわけでありますから、その点の見通しは、英国の新聞等は、ことしは年内無理だ、アメリカもまだ出さない、ECも削減反対のやつを出した、こういうことを言っておるわけです。それらの見通しと、日本は厳然として外務大臣は手のうちは見せられぬと、それは交渉事だということだけれども、所管の、主管である農水大臣は、一貫して、日本の農業を守るためにも、このいわゆる国別表の提出と同時に各国に働きかけて日本の主張をぜひ通してもらわなきゃならぬ、こういうことを聞いて私の質問を終わりたい、いわゆる見直し論。
  45. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 関税化につきましては、もう何回もお答え申し上げておるとおりであります。今後とも我が国の立場というものを踏まえて努力をさしていただきます。  それから、どんな構想を持っておるかというのは、今新しい食料、農業、農村ということで省内で検討いたしております。まあ大体の私のこれは感じとして受け取っていただきたいんでありますが、何といっても生産性を上げる、閣議でも五〇%カロリーベース、決定いたしておりますので、それに向けて努力をいたしたいということと、そのためには担い手をどうするか、新規参入も含めて稲作等の土地利用型の農業というものを積極的にやっていきたい。そのためにはやっぱり経営感覚、意識あるいは管理能力、このことがはっきりしないと、やっぱり努力目標というものを持ってやっていただけるようにいたしたい。  それからいま一つは、農地を、もう本当にいい農地は一つの区画として残していきたいということと、一方では条件の不利な農地、これをどうするかということで、今どういうふうにするかというのは検討しておりますので、まあ大体そんな方向で農地というものをきちっとしていきたい。それからいま一つは、生産ばっかりではなくて、生活関連の社会資本を整備したい。それから、多様な就業機会、農業に関係するものをいろいろ取りまとめて、林野の方も、漁業、そういうものを全部一体として多様な就業機会をつくって若い人たちを定着をさせたい、そんなことを今検討しておりますので、大体の方向はもうこの春先までにお示しできるんではないか、感じとしてはそういうことで進めておりますということで御了承いただきたい、こう思います。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたのでこれでやめますけれども、我が党も今の農業の現状を憂えて、画一的な農業政策ではもはや生きていくことはできないと、したがって地域を中心にすべきだという立場から、地域農業振興法なり中山間地帯の特別措置法とか、あるいは青年就農助成法とか、そういう三つの法案をこれから出していきます。十分政府も御検討いただいて、これからの農業というものはどうあるべきであるのか、十年後の農業は一体どうなっておるのか、そういうところは通産省に負けないように明確にして、これからの農業基本法をもう一遍目を通していただいて、これからあなたがおっしゃる足腰の強い農業の素地を明確にここ数年の間につくり出す、そういう方向で御努力をいただくように要求をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  47. 山村新治郎

    山村委員長 これにて野坂君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  48. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、まず第一番に、同和問題について質問をいたします。  福岡県におきまして、福岡県の職員が差別チラシをばらまいたという事件が実はあるんですな。これはまあどこですか、毎日新聞でこういうように大きく取り上げられておるんです。やはり憲法の基本的人権の問題からいたしましても、まだまだこういう意識が、あるいは差別事件が残っておるというのはまことに私は残念至極に存ずるのであります。どうもこれはちょっとひどいようですな。福岡県のみならず、佐賀県であるとかあるいはまた大分市とか、それから北九州というような公団住宅にまでチラシをばらまいて、差別文書をばらまいておる、まことにゆゆしき事柄であるし、それがまた地方公務員だ、こういうんですな、これは。これはひど過ぎる。今まで私どもも一生懸命ともかくこの差別問題につきましては努力してきたんだけれども、今ごろになってまだこんな事件が起こっているのかと思って、私も唖然とすると同時に、もっともっと教育をといいますか、国民の意識の改善を図らなきゃならぬ、こう思うんでございますが、まず第一番に、人権局を持っておる法務省、法務大臣来られていますかね、どういうようにお考えになって、どういう処置とられます。
  49. 田原隆

    田原国務大臣 お答えします。  本件は、本年一月中旬から大分市内で御指摘のようなビラがまき込まれた等の情報があって、その後調査を行ってまいりましたところ、一月初旬から下旬にかけて、北九州など十数カ所で公団住宅に、あるいは民間アパート等にビラが大量に配布されたということが判明した事実でありますが、本件は、私ども人権擁護の立場におる者から見ると全く看過できない事案である、こういうふうに考えております。  そこで、現在、北九州市、福岡県などとも連携をとりながら、行為本人、その他の関係者からの情報収集、現地調査を鋭意行っておりまして、そして、まあ法務省はこの人権問題については啓発というのが仕事でございますが……(井上(普)委員「啓発だけだろうか」と呼ぶ)啓発。啓発が設置法上の仕事の内容になっておるんですが、関係機関と連絡をとりながら、ビラが配布された地域を中心に、もう本当に一生懸命令啓発に努めておるところでございます、まことに残念なことでございますけれども
  50. 井上普方

    ○井上(普)委員 いや、法務大臣、まことに残念だけでは済まぬと思うんです。法務省にも人権局というのがあるんでしょう、どこでも。啓発だけでいいんだろうかなと、法務省の立場としては。どうなっているんです。もう少し法務省は毅然とした立場でやっていただかなんだら、こういう事件がどんどこどんどこ起こってくれば法務省は啓発だけで済むんだろうか、こう思うんですが、どうです。
  51. 篠田省二

    ○篠田政府委員 お答え申し上げます。  この同和問題につきましては、憲法に定めております基本的人権が侵害されているという状況でございまして、これは非常に重大な問題であるというふうに受けとめております。  ただ、法務省の所管といたしましては、今大臣からも答弁ございましたように、啓発という立場から法務省はやっておるわけでございまして、各所管の省庁で全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
  52. 井上普方

    ○井上(普)委員 しかし、法務省、第二次答申が実は出ているわけですね、今。これは磯村さんが地域改善対策協議会というんで「今後の地域改善対策について」という意見具申が総理大臣のところへ出されている。その中に「差別事件について、司法機関や法務局等の人権擁護のための公的機関による中立公正な処理を更に推進するとともにこと、今までともかく力がなかったということですよ。これを第三者機関が言われているんだ。「人権擁護委員を含む人権擁護機関の充実、強化に今後とも努めるべきである。」こういう答申が出されているんですね、内閣総理大臣に。啓発だけじゃ済まぬですよ。これはどうです。
  53. 田原隆

    田原国務大臣 私も初めて法務大臣になりましたときに、この問題を勉強したときに、先生と全く同じような感覚を持って、強制力をもって連れてきてどうこうするということができないのかという質問もし、勉強したんですが、今の法律では啓発というのが最高だということでございますので、それじゃ啓発をどういうふうにやっているんだと。すると、いろんな関係機関と話し合い、来てもらったり乗り込んでいったりして粘り強くやっていると。これは憲法に定められた問題のあれをするためには、これが初めにして最後であるというのがこの啓発というんだそうでありますが、私も最近この法律の、少なくとも設置法の建前からいくとそうなってしまうということを感じております。
  54. 井上普方

    ○井上(普)委員 私と同じ考え方で法務大臣は取り組んでこられたけれども限界がある、こういう話だけれども、まだまだこういうのあるんですよ。内閣総理大臣に対して地域改善対策協議会から答申が出ているんですね、これは。これは平成三年十二月十一日、答申が出ている。その中で、特に「司法機関や法務局等の人権擁護のための公的機関による中立公正な処理を更に推進するとともに、人権擁護委員を含む人権擁護機関の充実、強化に今後とも努めるべきである。」という答申が出ているんです。だから、これに対して法務大臣は一体どうするかということをお伺いしておるんですよ、この答申を受けて。
  55. 田原隆

    田原国務大臣 お答えします。  私も同感でございますので、充実に努め一生懸命やろうと思っておりますが、ただし強制力をもって、そしておまえは、こっち向いておるやつをこっち向けと、そういうのは人権問題の処理にはできない仕組みになっておりますので、啓発というわかりにくい言葉でございますけれども、これは一生懸命やるしかないと思っております。
  56. 井上普方

    ○井上(普)委員 一生懸命やると言ったって、答申がこういうように出ているんだから、擁護機関の充実強化に今後とも努めるべきであるという、第三者機関からですよ。第三者ってこれは何ですか、総理大臣が任命したところだから。それが答申出しているんだ。だから法務省もこの答申に従って行いますぐらいのことは言ったっていいんじゃないですか、どうです。
  57. 田原隆

    田原国務大臣 その答申の精神を酌みまして頑張っていきたいと思いますが、例えば予算におきましても、ことしはかなり定員とかあるいは必要経費につきまして、従来よりも相当の配慮ができる予定に、本案を通していただければ、予算を通していただければできるように、大分従前よりは相当改善していけつつあると思います。
  58. 井上普方

    ○井上(普)委員 これは何ですな、予算一体どれだけふえておるんだと言って聞いたって、今資料お持ちですか。(田原国務大臣「いや、持ってません」と呼ぶ)持っていませんでしょう。だからまた分科会でその点についてはお伺いすることにいたします。  続いては自治大臣だ。  地方自治体の役人がこんなことをやっているんですな。これはもうあきれて物言えない。どうお考えです。
  59. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 仰せのとおり人権を尊重して公務を執行する公務員がこういうことをやっておるというのは、私も聞きまして、心外でございます。早速知事が懲戒処分をされたというのは当然のことだと思っております。
  60. 井上普方

    ○井上(普)委員 この知事の懲戒処分が三分の一減俸、三カ月なんですよ。もうともかく、まあ五千枚とも七千枚とも言われるんだが、ビラを各戸のポストにほうり込んだり家の中へほうり込んで、しかも三県にまたがってやっているんですよ。まあ奥田知事が処分したんだけれども、三分の一の減俸で三カ月ですよね。もう少し厳重なこともあってしかるべきかと私は思う。しかし、知事さんがとられたんだけれども。  そこで、こういうような事件、私はお伺いするんだが、先ほど言った答申の中に「今後における施策の重点課題」というのをわざわざ書いてある。その中の第二番目にですね、行政、教育、企業、民間団体等の各団体が「こうした変化を踏まえてそれぞれの役割を十分果たしていくことが肝要である。」そしてまた、そういうような機関は研修ということをやらなきゃいかぬ、こう書かれているんですね。どうです。そしてまたさらに、終わりごろには「したがって、行政職員の研修を更に充実するとともにこということが書かれている。私が言っておるんじゃないんですよ。総理大臣がともかく委嘱した協議会がこういう答申を出しているんですよ。どうです、どうします。
  61. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 その事件がございましてから直ちに全国の都道府県の総務部長会議を開催いたしまして、自治省としては厳重に、こういうことの再発の起こらぬように、ないように強く通達、総務部長会議でいたしましたし、研修につきましては、過去もう十何年にわたりましてずうっと続けてきておるんですが、これを一層強化するということをしております。そしてまた、自治省の研修機関はもちろんのことでございますが、自治大学等、そういう機関を通じてもこの徹底を図っていきたいということで努力しております。
  62. 井上普方

    ○井上(普)委員 私も、今までかなり行政機関の職員に対しましては研修をやっていると思う。しかし、やっているんだけれども、まだまだ足らぬと私は思う。だからわざわざこういうことを、「行政職員の研修を更に充実する」ということを新しく磯村さんは、答申は答えておるんです。ですから、これは大臣も大阪の御出身でございますから十分おわかりだろうと思いますから、さらにひとつ研修を強化していただきますようにお願いいたす次第であります。  さらにもう一人、だれだった。ああ総務庁だ。  総務庁長官おられますな。こういうような答申を受けまして、総務庁としてはどうします。この磯村答申をどういうように具現化していくか、この点ひとつお伺いしたいと思うのです。
  63. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 先生御指摘のとおり、同和問題は憲法に保障されました基本的人権にかかわる重要な問題である、このように認識をいたしておりまして、御案内のとおり、昭和四十四年から二十三年間にわたって特別措置法に基づきまして諸般の施策を熱心に進めてまいったところでございます。そしてただいま地対協の昨年十二月における意見具申の中でも物的事業、非物的事業、進捗はいたしたけれども、物的事業の面においてもまだまだ仕事が残っておるし、非物的事業についてはさらに一層啓発あるいは広報等々に努めて、差別はある程度解消はされたけれども、依然としてそのような事件が引き続き起こっておる、したがって、今御指摘のように、啓発あるいは関係職員の研修等々に十分力を入れるべきである、こうした意見具申をちょうだいいたしておるところでございまして、これに基づきまして懸命に努力をいたしていきたい、このように考えておったやさきに今のような事件が、しかもかつて福祉にかかわった職員から起こってしまったわけでございまして、私どもは知事さんと同じように大きなショックを受けました。重大な問題であると受けとめております。したがって、これから国、地方自治体、国民が一体となって啓発の問題等について強力に推進をいたしていきたい。そのため、地対財特法、この法案も既に今国会に提出をいたしておるところでございますので、その成案を見ましたならば懸命に、御趣旨に沿うよう、差別をなくすよう努力をいたしていきたい。二十一世紀に差別を残してはいけない、その気持ちを踏まえて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  64. 井上普方

    ○井上(普)委員 この意見具申の最後にこういうことが書いてあります。今総務庁長官がおっしゃったようなことが書いてある。それは、「同和問題は憲法に保障された基本的人権の問題でありこ特にここからが大切ですが、「二十一世紀に差別を残してはならないという固い決意をもってこ六五年に出されました「同対審答申の同和問題を一日も早く解決すべきであるという精神を受け継ぎつつ、国、地方公共団体、国民が一体となった取組みに力を尽くすべきである。世界を挙げて人権問題が強調される中で、国民の人権意識が国際的にも注目を浴びている。国民の一人ひとりが人権問題について一層理解を深め、自らの意識を見つめ直すとともに、自らを啓発していくことが求められている。同和問題の早期解決に向けて、改めて国民的課題としての展開が重要である。」というのが最後の締めくくりになっておるのであります。  すなわち、一九六五年に出されました同対審の答申というものを、これをさらに尊重しながら、国、地方自治体あるいは個々人が進めるべきである、そういう立場に立って私どもは基本法というものを実は提出し、要求をいたし続けておるのであります。このことを総務庁は十分に体してざらなる御努力をお願いいたしたいと存ずるのですが、総務庁の御所見を承りたいと存じます。
  65. 小山弘彦

    ○小山政府委員 ただいま先生から御指摘のございました、あるいは御説明のございました意見具申につきましては、私ども今後の地域改善対策行政を推進するに当たっての基本的かつ最も重要な柱として受けとめている次第でございます。  部落解放基本法のことに関することでございますけれども、現行法失効後の措置につきましては、ただいま申しましたその意見具申で述べられております。この地域改善対策は永続的に講じられる性格のものではない、できるだけ早期に目的が達成され、一般対策に円滑に移行することが肝要であり、その措置は限時的なものとすべきとの御指摘をいただいております。  私ども政府といたしましては、この意見具申を尊重いたしまして、今国会に現行地対財特法の一部改正法案を提出したところでございます。これまで二十三年間にわたりまして三たびの特別措置法に基づく関係諸施策の推進の成果としまして、同和地区の生活環境や住民の生活実態、これは相当改善されてきております。恒久法である基本法を制定する必要はないのではないか、このように考えている次第でございます。
  66. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、そんな役人の答弁は必要じゃないんだよ。大臣が当然この考え方を私は申し述べてい。ただくものだと思っておったのです。いつの間にやら知らぬのがぴょこっと出てきて文章読んで済むような問題じゃないから言っているんです。我々は基本法の制定をひとつ強く要求いたしておるのでありますが、大臣の御所見を承りたい。と同時に、この意見具申に対し、すなわち六五年の同対審の答申に対してどのような御認識を持って今後臨まれるのか。これは、政治家ですからね、あなたが総務庁という役所を預かっておりますが、国務大臣なんだから、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  67. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 昭和六十一年の地対協の意見具申そして昨年の地対協意見具申、(井上(普)委員「前は答申だ」と呼ぶ)答申そして意見具申と二つあるわけでございますが、中身に多少の表現の違いはあるにいたしましても、いずれにいたしましても、一般対策に移行することが肝要である、このために上記の措置は時限的なものとすべきである、こうした御提言をいただいておるところでございます。したがってこの点については、先生は、人権尊重である、そのために国民的課題として基本法を制定すべきじゃないか、こうした御提言があったところでございますけれども、今まで地域改善対策に取り組んできた地対協の方々は、時限法とすべきである、しかも、基本法等をつくりまして差別を固定化すべきではない、私どももそのように考えておるところでございます。差別を固定化すべきではない、その点から時限法で対応していきたい、このように考えておるわけです。
  68. 井上普方

    ○井上(普)委員 どうも総務庁長官と私どもとの意見は大分食い違っておるのであります。特にこの意見具申といいますか、これ、総理大臣がともかく求めたやつですよ。その最後を読んでいただきたい、もう一度。熟読玩味して、そして対処していただきますよう強く要求いたしておきます。時間がございませんのでこの程度にいたしますが、いずれ分科会においてもっと掘り下げた質問をいたしたいと存じます。  続きまして、実はこの間の総括質問の際に大変どうも御迷惑を皆さん方にした。といいますのは、公共投資について、一体どういうような考え方であのアメリカとの構造協議に臨んでおるのかというようなお話をしましたら、どうも虫眼鏡で見なんだらわからぬような数字ばかり言いまして、どうも私にはわからなかった。とうとう、大変この予算委員会には申しわけないんだがストップしてしまった。私はストップさせるようなつもりはさらさらなかったのだけれども、せざるを得ぬようになってしまった。まことにこれは私としても不本意な話なんです、本当の話。私はもっともっと総理大臣と、総理政治哲学あるいはまた国政に対する基本的な姿勢というものをまだまだ論議してお考え方を聞きたかったんですよ。  ところが時間がああいうようになったんだけれども、どうも私は、経済企画庁というのは学者集団みたいに思われてしょうがないんだな、あの数字を聞いてみると。あるいはまた、公共事業と公的資産形成との間の考え方を考えてみたら、公的資産形成をした上で、その上へもって土地代を一五%足していく、これは反対に考えてもいいんじゃないか、公共事業は幾らなんだ、その中から土地代を差し引いていくという考え方の方が合理的なんじゃないかな、そうするのが本当じゃないかなという気もいたすんですよ。どうでございます。
  69. 野田毅

    ○野田国務大臣 先般、いろいろ私どもの対応の不手際もありまして、いろいろ御迷惑をかけたことを申しわけなく思っておりますが、その後、具体的ないわゆる公共投資という概念あるいは国民経済計算ベースにおける公的資本形成という概念あるいは通常言います公共事業という考え方、それぞれについて局長から詳しく御答弁申し上げたところでありまして、先生もう十分そのことを御承知の上での今のお話だと思います。  率直に申し上げて、もう十分御承知だと思うんですけれども、いわゆるGNPを計算していきますこちらのベースの方は、先般も申し上げましたが、ある種の国連の統計における一つの国際的な計算の仕組みの約束、一つのルールにのっとってこれは計算をしておる。この中にはいわゆる土地代とかそういうものが入らない。一方で公共投資というのは、大ざっぱに言えば、それにプラス用地費等を加えたものということになる。ただ、さらに非常に事務的な話なんですが、大変膨大な地方団体における単独事業の細かな中身まで一生懸命統計を積み上げて、その中でそれを振り分けて公共投資というようなものを実は計算をしておるものであるものですから、率直に申し上げてなかなかその辺がわかりにくいという御指摘は、まさにそういう部分はあると思います。  ただ、これは必ずしもいわゆる四百三十兆という公共投資の総額、これがいわば対米関係ということだけじゃなくて、むしろ日本が今日までいろいろ社会資本の整備を進めてきたわけですけれども、いよいよこれから残された今世紀の間に、さらにこれは日本独自の国内の問題としても、いわば活力がある間というと語弊があるかもしれませんが、そういう今世紀の間に少なくとも欧米に遜色のない程度の社会資本の整備を進めていきたいというような事柄、あるいはまた一方で、日本の経済の運営のあり方としても、少なくとも内需を中心としたインフレのない着実な発展ということを期していかなければいけない、そういうような角度から閣議了解においていわゆる公共投資総額ということを決めたということは御案内のとおりで、それを引用した、SIIにおいてそういう表現をしたということなんです。  その点で、いよいよこれから新しい経済計画をつくっていく上で生活大国ということが非常に大事な中心テーマになっていく、その中で社会資本の整備ということが非常に大事なテーマになっていくという中で、よりわかりやすい何らかの表現の仕方を我々もさらに検討していかなければいかぬというふうに考えております。
  70. 井上普方

    ○井上(普)委員 まあある程度わかったような、わからぬようなものなんですよ。公共事業のそんな国際的な取り決めがあるんなら、公共投資の中から土地代を引いた方が計算もしやすいですよ。私は、反対に考えてもいいと思うのです。ただ土地代、土地代いってあなた方は一五%品さないかぬのだ、こう言うんだけれども、一体宮澤さんは今何言われてますか。具体的に、何ですか、社会資産の倍増も言っておる。その中で一番言っているのは何だといったら、下水道と公園でしょう。公園といったら、あなた、ほとんどがこれまた公共事業、公共投資だけれども、土地代が九〇%以上要るんじゃないですか、これは。  そういうようなことを考えると、どうも私は、あるいは土地にしましても、この間も言いましたが、これからも聞きますが、汐留と虎ノ門との間で九千億円要るんですよ。日本はちょっと違うんやということを、こんな土地代にほとんど食われるような公共事業なんだ、しかも公園をこれから中心にして大きなテーマとして考えているんだから、そうするならこれは公的資産形成の中にも、他国とは違うぞということはやはり言うべき必要があるんじゃないかと思うのですが、どうです。
  71. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘がございましたように、公共投資基本計画におきましても、まさに日常生活に密接に関連する施設の充実という見地から、公園、下水道の整備ということを重視していることは御指摘のとおりでございますし、また、これらの事業の実施に当たりまして用地費、補償費がそれなりに必要であるということは、また御指摘のとおりでございます。しかしながら、公。的固定資本形成という観点から申しますと、これまた大変恐縮でございますけれども、国の経済をはかる物差しといたしまして、先般申しましたように国連が採択した国民経済計算体系という基準、こういう中にありまして経済の大きさをはかるという観点から計算をしているわけであります。  一言だけ申し上げさせていただきますと、そういう中で土地は、これは例えば個人から国などへ単に所有権が移転をするというだけでありまして、そのことによって生産過程で新たに価値が生まれる、付加価値が生まれるということではない。個人なり企業から国に単に所有権が移るということでありますので、国全体として見ますと差し引きその点ではゼロであるという観点から国民経済計算におきましては土地代が入っていないということでありますが、公共事業の実施に当たりまして用地費、補償費が重要な役割を果たしていることは、もとより御指摘のとおりだと考えております。
  72. 井上普方

    ○井上(普)委員 もう答弁要らぬけれども、一言言っておきます。ロンドンヘ行ってごらんなさい。さくをしまして、錠がかかった緑のところというのがたくさんあるんですよ。これは公園にいっているんだ、私有地だ。そういうような国なんだ。それと、日本のように全部国で土地を買うてやる国とは、ちょっと考え方が違ってきてもいいんだと私は思う。これは統計のとり方で、国連の申し合わせでこうこうなりますなんて言っても、日本みたいな土地の高い国ありますかよ。当然国連に対して、実はこれは違うぞ、うちの国はこうこうだということは言わなきゃいかぬと私は思うのですが、答弁しますか。
  73. 野田毅

    ○野田国務大臣 公共投資基本計画は、まさに先生御指摘のようなことが大事でありまして、やはり土地代を含めた額でないと、率直にそういうものは意味がないわけですね。ところが一方で、いわゆるGNP統計の方は土地代がないわけですね、これはこれで別途あるわけですから。したがって、GNP統計の中で、IGベースでふえたからうまくいっているんだというわけにはいかない。やはり土地代を含めたところで公共投資というものを考えていくということを、私は、まさにそういう意味からも、先生の御指摘のような大事な一つの概念であると思っております。
  74. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、日米構造協議だというようなことで国の予算までともかく縛られるというのは、主権の問題だとして反対なんだ。これは再三私は申し上げておる。しかし、こんな約束して毎年毎年フォローアップ委員会なんという、こんな厚いものをつくらされて、たまったものじゃない。  そこでお伺いするのだが、アメリカはあの当時、去年、おととしでしたか、メートル法を約束したんだから、メートル法をこういう成果がありましたと盛んに中山太郎外務大臣はここで強調せられた。どれくらいできておるのかいなと思って、実は見たのですよ。このフォローアップ委員会、何ら成果がないのですよ。これ、ここに書いてある。このアメリカからの答弁、三十ページ目に書いてある。何もないのですよ、これ。やろうと努力していますぐらいのところ。ほかにも何か、これで、フォローアップ委員会で貯蓄率の問題あるいはまた投資の問題等々たくさん書いてあるけれども、何ら成果が上がっていないのですよね。どんなところがアメリカが成果が上がったんでしょうか、ひとつお示しを願いたいのですが。どなたでも結構です。どうぞ。
  75. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 率直に申し上げまして、先生御指摘のとおり、日米構造協議でアメリカ側がいろいろ政策意図を表明したことの中に、まだまだ私どもから見て十分やっていないと思われる点がいろいろございます。ただ、他方、アメリカ側の措置の中であるいは特に政府行動の中で、構造協議のいろいろな政策意図表明に沿ってやってきたという面も幾つかございます。  例えば今の御指摘のメートル法でございますが、連邦と、これはメートル法の場合は州の権限によるところが非常に多いものですから、私どもはまず、州と連邦との十分な会議をよくやってほしい、よく連絡、よく相談してほしいということをしょっちゅう言っておるわけでございます。そこで、連邦と州との会合をアメリカは何遍も開催することにした。そういう会議を少なくともスタートさせた。それから連邦政府の中におきましても、各省がばらばらでは困りますので、各省の連絡、連邦政府の中の各省庁でございますね、各官庁がばらばらでやろうとしてもできませんので、メートル法採用に当たっては、まず統一的な各省のメートル法採用に関する、各官庁がそれの一つのガイドラインと申しますか、そういうものをつくってもらいたいということを日本側からいろいろ要望、希望して、それが採択されたというようなことがメートル法については言えると思います。
  76. 井上普方

    ○井上(普)委員 ほかにありますか。
  77. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 メートル法以外の点でございますか。これは非常にたくさん項目がございますので、一々申し上げるのも時間がかかりますけれども、一つだけ例を申し上げますと、例えば反トラスト法の問題でございますが、このアメリカの反トラスト法の中に国際的なジョイントベンチャー、共回生産をやる場合に制限が、なかなか今までの反トラスト法ではそういったものをやる際に非常に厳しいという点がございましたので、それを緩和してほしい、国際的なジョイントベンチャーがよりやりやすくなるようなふうにしてほしい、こういうようなことがございまして、この新しい法案をアメリカ政府が、連邦政府がようやく議会に提出しましておる次第でございます。
  78. 井上普方

    ○井上(普)委員 見ますと全部、ともかく州が州がでしょう、今のメートル法一つとっても。そうですね。まだ成果が何にも上がっていないのですよ。反トラスト法にしても、提出したで、議会が但言うかわからぬ、こういうような話で、どこも成果が一向に、アメリカは日本にたくさん要求し、日本も多少は要求したのだけれども、成果が上がっていない。ところが、日本だけは忠実に四百三十兆円も投資する、公共事業をやるのじゃといって書いて、これは対外公約だといって平気で言うようになった。まことに困ったことだと私は思っておるのです。共同の土俵の上で、パートナーシップであればパートナーシップとして、一方的にたたかれる分ばかりじゃ話にならない。私は、反米でも何でもない。しかし、これは国民の間から、今もう反米感情あるいは嫌米感情、厭米感情というのはどんどん起こってくるのは当たり前の話なんですよ。  しかも、それで外務大臣、これは日本で、議会が通らぬからひとつこらえてくれ、議会が物すごく反日になるからと言っておどしをかける、皆さん方、そんなこと言いますか。うちの、日本の政府は、自民党政府だけれども、議会が反対するからというのは何ぐらいでしょう、お米の食管法ぐらいのものでしょう。あと言ったことは、二国間で申したことはないと私は思うのですよ。  それはともかくといたしまして、ともかく余りにもどうも、さあ、かつてのドイツのブラントさんは、アメリカヘ行って、いつまでも西ドイツを占領地と考えてもらっては困るということをきつく言ったそうです。あるいは議会でも言ったそうです。これくらいの気概を持ってひとつやっていただきたいことを強く要望いたしておくのであります。  それから、この中に書いておって、ちょっと私も、去年、おととし問題になりまして、そして、汐留の利用につきまして、具体的に書いてあったのです。何もそのときに決まっていなかった。ところが、そういうものだから、そうかいなと言って聞いたのだけれども、その後どうなっていますか、国土庁長官
  79. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 昭和六十二年に国土庁、建設省、運輸省により、汐留地域の整備計画を取りまとめておりますが、現在、それをもとに具体的な事業のための計画に入っているところでございます。
  80. 井上普方

    ○井上(普)委員 都の街路の都市計画事業は、都市計画を決定しているのです。しかし、区画整理事業の都市計画決定はまだなんですよ、現在。これを今やっておるというのを役所の方から承りましたが、これは今度、この計画、地図を見ますと書いてあるけれども、とてもじゃないが、さっきも、この間も言いましたが、四谷から新宿までの間、二十三年かかったのですよ、街路を広げるのに。これで今度は、そこを、虎ノ門と汐留との間だけ、これで九千億円要るのですね。できますか、そういうことは。私は、これはちょっと無理だと思う、約束しておるけれども。だから、日本政府も相当なものだといって私は言うんだ。こういうような、できることを、もうこれ以上は私は言うのをよしますけれども、これはあなた、今まだ区画整理事業の都市計画決定に努力中ですよ、四年の早々に。これが問題なんでしょうが。  土地さえできたら道路をやるのは簡単にできるんだ。区画整理というのは、新橋は一回区画整理をやっているのですよ。何年かかったと思います。私が代議士に出てきたときから、私が出てきて十年ぐらいしてようやくできたんです、あれは。だから恐らく二十五、六年かかったんじゃないですかしら、あのビルなんか。そんなのを御努力なさるおつもりだろうけれども、またまた御存じのとおり品川駅を新幹線の発車駅にしようかとかいって旧国鉄の中でがたがた言うとるのです。こんなのでも関係してくるんですよ。軽々にこういうようなことを、アメリカが強いからということで、できることでも難しいことでも、約束すべきじゃない。  私は、日本という国は信義を守って世界から畏敬せられるような国にならなきゃならぬと思うんです。私は何も汚職問題とかは皆さん方に追及しません。しかしながら、私は、信義のある国として世界の各国から畏敬せられるような国にならなきゃ、資源のない日本なんだ、こういう国にしたいと思うんです。ところが、この間も言いましたが、宮澤さんの麗しき国日本をつくるというあの本を読んだら、倫理観に対してこういうことは一切書いてないから宮澤さんにちょっと質問してみた。まあ皆さん方、いじめるというようなお考え方があったかもしらぬけれども、私は世界から畏敬せられるような国にならなきゃ。そしてまた日本は何をいっても地政学的にはアジアです。だからやはり中国とも朝鮮ともあるいは朝鮮半島とも、こういうところにも畏敬せられるような国にするには、やはり日本としては信義があるんだ。  それは価値観を同じゅうする国だといってアメリカやということを総理は言いよりますが、しかし本当に価値観を同じくするのは、文字は同じように使った日本でもあるし儒教精神というのは日本にも伝わっているんだし、価値観それ自体は日本と中国あるいは東南アジアとが文化的にも近いんじゃないかと私は思っておるけれども、まあこんな総理大臣おらぬところで、言うたってしょうがない。で、この程度にいたしますけれども、しかし、どうです、本当にできますか、この汐留は、十年間で。自信がある役所は手を挙げて説明してください。
  81. 西谷剛

    ○西谷政府委員 自信があると断言することはできませんけれども、国土庁としましてあの計画を推進する立場にございます。  先ほど大臣から申し上げましたように、区画整理事業の都市計画決定ということで現在準備中でございますが、これはあの地区の内部の基盤を整備するということで、そう難しい手続ではなかろうかと思います。  ただ、その区画整理が終わりましてその上を立ち上げていくという仕事がまたさらに一はい、建物を建てていくということが残り、それについてはまだ別途再開発計画などを立てなければならないという段階でございますが、いずれにせよ事業を推進していく第一歩が踏み出せた、こういうふうに考えております。
  82. 井上普方

    ○井上(普)委員 これは十年間でやるというんですよ、日米構造協議は。これから虎ノ門と汐留の間、環状二号線ですか、このほかにも環状四号線等々があるんですよ。できますか。私はとてもじゃないができないと思う。こういうようなことを言いよったら時間ございませんので、この程度にさしていただきますが、ともかく他国と交渉をするときにはできることをおっしゃいなさい。その場その場のことをやりよったのでは信義にもとりますよ。同時に、はっきりしたことをともかくやられるように強く要求いたしておく次第であります。  たくさん言いたいことがあるんだけれども、次、ODAをひとつ。  先日もちょっと触れました。ODAは、御承知のようにこれは各省にまたがっておって、四省がともかく共管、主なことになっているんだけれども、私は、このODAというのは人類愛、こういうところから低開発国に対して援助するんだということを聞いておったんだが、どうもこのごろ違う。もう私が申し上げるまでもなく、エジプトにオペラハウス、オペラの劇場をつくってみたり、価するんだと言って聞いたら、いや、あそこは戦略的に重要でございますのでということで実は私は終えたことがある。この間バンコクヘ行きまして、行ったら歴史博物館をつくっておる、ODAで。経済援助と何ら関係ないじゃないですか。必要ならこの予算をおとりなさいと言うのです、私は。どうでございます、大臣。
  83. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 ODAはいろいろ目的がありまして、一つはやはり人道的な援助……(井上(普)委員「だけだったんだ」と呼ぶ)最初はそれでございますが、しかしその次は、やはり人道的援助といっても、それは、ただ食糧が足らぬから、医療が足らぬからというだけで応援していくというわけにいきません。やはりその国が自分で立ち上がってもらわなければならないということの援助ということで自助努力を支援する。それから我々としては、応援するからにはやはり我々と同じような、人権も尊重し民主化もするという国を応援して、そういうふうにつくっていく。それから兵器やなんかをどんどんつくったり売ったりするようなことはだめよ。欠格条項の一つに、完全ではないけれども、まあ制限的に考えているわけです。  それからもう一つは、やはり何といっても外交目的あるいは日本の政策の推進という観点から、どこの国でもODAについては戦略的な、軍事戦略じゃありませんよ、戦略的な支援というものもやっているのは、これは世界各国共通、どこでも実はやっているんです。  そこで、井上先生の言いたがるのは、今言ったオペラハウスだとか歴史博物館だとか言うが、これはやはり文化の支援ということで、日本文化のみならずその国の文化に対する協力ということも取り入れられてきたということで、まあ何でエジプトにそんなことをやるんだねという話もありましょう。しかしこれは、エジプトが日本とアラブとの関係でいろいろ問題があったようなときなども、アラブにおける非常にまあ取りまとめ役といいますかね、アラブにおいて大きなやはり力を持った、しかもイスラエルとの問題等においても穏健派、簡単に言えば穏健派、こういうようなこともこれあり、細かいいきさつは知りませんが、そういうような点から支援といいますか協力をしたものと認識をいたしております。  委細もし必要あれば、その経過について事務当局から説明をいたさせます。
  84. 井上普方

    ○井上(普)委員 大臣、今初めて戦略的に、これは軍事じゃないですよ、世界戦略的な考え方でODAをやるというのはお取り消しになる必要があると私は思うんです。あくまでもこれは人道的な観点から経済援助をやるということで、全部今までそれできました。その上、海部内閣のときに四つの条件が加わりました。そこまでは私は存じています。  それはかつて今から十五年ぐらい前に、ニューデリーでインドの国会に出席いたしたことが私はあります、人口会議で。その際にドイツのシュミットさんが演説しました。そのときに、経済援助を受けている国が軍備拡張に走るなんというのは一体どうなっているのだということを堂々と演説しました。ブーイングがわあんとわいたのです。わいたけれども、シュミットさんは堂々とそのことを主張し、何を言っているかということを申したのが私の記憶にとどまっておるのです。明確にこれはやらにゃいかぬ。  今度、四つの、まあ人権問題については私異論がございますが、ここで人権問題を入れたことについては、これはアメリカの要請だろうと思う。しかし、これはいろいろ考え方が各国各国にあるのだから、それは人権問題を入れることについては私は問題ありと思いますけれども、三つの条件については私も賛成です。しかし、戦略的な配慮から経済援助をやるというのは、これはお取り消しになっていただかなければいけませんよ。どうです。
  85. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 戦略の戦という字がぐあいが悪いんでありまして、そういうような意味で言っているんじゃなくして、政策目的の遂行、国連などでも我々がいろいろな提案をするときに、例えば通常兵器の移転について登録制度をやろうじゃないか、そういうようなときに、まあ御賛成をいただくためには、例えばですよ、例えば、直接取引じゃありませんが、友好関係を持っているということは必要なことなんです、これは。だから、外交のカードとして友好関係を促進するというようなことは往々にあるのです。ただ、今までは、特に米ソの対立が激しかった時代には、NATOの地域にまで我々は応援をして、まあ何というかな、東側の勢力拡大を防ぐ応援をしたということも事実あるんです、それは。だけれども、今度は米ソの問題というものがそういうふうなことで対立が終えんするという方向に向かっていけば、いわゆる戦略的なように思われがちなものは消えてくるということは言えるだろう。でございますけれども、政策目的の遂行といういわゆる戦略、戦う戦略じゃないですよ。そういうことではやはりODAというのは、それは活用されることを全く否定されたのでは困る場合もございます。
  86. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、それはトルコの援助のときにもそういうことがございました。あれはあるけれども、大使がですよ、オペラが好きだから、それでオペラ劇場をつくるというようなことが行われているんじゃないですか、エジプトに。いいですか。そういうようなことをやられたのではたまったものじゃないです。そのお金は、あそこの学校をつくり、医療施設をつくる。まだまだ不足なんだから、そういうものに使ったんだったら私何も辛さない。オペラハウスをつくる、エジプトに。日本の駐在大使が大変オペラが好きだからやったなんというのは、もう恥ずかしくって物も言えない。  歴史博物館つくっている。タイに歴史博物館つくる、援助をすること、私は構わぬと思う。しかし、それは経済協力と別な面で予算をとっておやりなさいと言うのです。ともかく何でもODAにくっつけたらええわということでやっておる。しかも国民にはわからない、ODAがどんなものに使われているか。今一兆七千億になったんですね、ODAの金は。これが国民の目には全然わからず、そしてまた、今まで外務省でありますというと、援助した国の主権を侵害するんだからと言って、どんなものをつくっておるか、どうしておるかもわからないのが実情じゃありませんか。少なくとも野党にはそういうような説明ない。これじゃ困る。  私は、まだまだODAをふやしていって、そして日本の国際的地位といいますもの、評価というものを高めていかなきゃならぬと私は思っています。しかし今、一般会計で一兆七千億、八千億でしたかにも膨れ上がってきて、一兆七千億の事業をやるというようなときに、内容について我々がチェックできないというのは、これはいけぬ。もう限界に来ましたよ、大臣。アメリカは、この間も副総理はおっしゃっていました、外務大臣は。アメリカみたいにチェックしておったんではちょっとぐあいが悪いわ、こうおっしゃっていました。それもあるでしょう。しかしながら、納税者である国民には少なくともわかるようなことに、不正に使われてないぞ、住民の生活向上に、あるいは産業基盤を育成するためにつくっているんだということを明確にできるようにひとつしていただきたいのですよ。その制度を今まで外務省は、いやいや、援助を与えたら向こうにもう渡してしまったんだから、向こうの主権を侵害しますから我々は調べるわけにまいりませんと、これ一点張りで今まで来たじゃありませんか。一兆七千億にも上がったんだから、もうここいらで日本としては考えなきゃいかぬ時期が来た、こう思うのです。どうですか。
  87. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 ODAの予算は税金から出ておるわけでありますから、財投といいますか、それも一部あるでしょう。ですから、これはまず有効に使われなければならない。それが本当にその国の民生安定に役立ち、国も国民も日本に対して好感を持ってもらえるように使わなければならない、これは間違いのないところでございます。かつては、やはりややもすると政府に対する援助だ、昔ですよ、そういうふうな考え方がなきにしもあらず。したがって、総枠で幾らというようなことをやっておった時代もございます。その結果が、非常にその使われ方についての調査とか点検とか、そういうのが不徹底なためにいろいろ問題が起きたということもこれは事実です。  私は、大蔵大臣になりましてから、内政干渉をするわけではないが、一件ごとの査定、それをやるようにということを大蔵省に言ったわけです。結局、向こうからいろいろプロジェクトを出して持ってきますが、そうすると総枠で何千億円と、何年間でやりたいという一つの目安ですな。しかし、そいつは向こうが優先順位で持ってくるわけですから、極力下の順位を上にしてというようなことをやると向こうの立場はありませんし、やはり優先順位は尊重する。しかしながら、経済効率からいったってこんなのはつくらなくてもいいじゃないかというようなものは、フィージビリティースタディーその他から見ておかしいものは、それはもう注文つけて差し返すとか、それはもっと規模を小さくしろとかいうようなことをやるようにしてきておるはずです。今でもそうなっておると思いますよ。  そこで、要はそういうことでできるだけフィージビリティースタディー、世界的に権威のある、本当にそのプロジェクトが役立つものかどうかということをやはり客観的にわかるようななにを出せ、出してくれということをやっておりますし、それから、うんと大きなものになると世界銀行との相乗りみたいなものもありますから、そういうのほかなりの調査をやっておりますので、日本が独自に調べるわけにもいかないからそういうものを信用するとか、いろいろ専門家の意見は十二分に聞いた上で採用している。しかし、相手政府意見を全く無視して、順序ひっくり返してこっちだけの都合でやるというようなことももちろんやりません。相手政府反省反省を求めるというのは言い過ぎかな、もう一遍再検討をしてくれませんかというような場面は時々あるんです。だから、そのような趣旨に沿って今後もむだにならないようにきちっとやっていきたい、そのように考えております。
  88. 井上普方

    ○井上(普)委員 それはあなたが大蔵大臣になってからかも、いや、後ですよ、タイの歴史博物館は。(渡辺(美)国務大臣「前のやつ、それ以前の話だから」と呼ぶ)いや、あなたがやってから後でつくったんです、その歴史博物館は。(渡辺(美)国務大臣「歴史博物館は知らない」と呼ぶ)それは知らぬでしょう。  そういうしうなことでございまして、ともかく私も行って、実はエジプトのオペラハウスは有名なことだからこれは別にしましても、やはりやっているんです。だから、そういうようなのは別の予算でやりなさいと言っていんるで、私はやったらいかぬということは言ってないんですよ。それはインドネシアの電力は、三一%は発電量が日本の経済援助もしくは借款によってできている。あるいはまた、マレーシアは一九%だということも聞いています。それは、そのためにインドネシアにしてもマレーシアにしても大きく経済的に発展しつつあることもこれまた私は存じています。こういうようなことを私は否定しているんじゃない。だから、民生の向上安定、そのためにお使いになるのは、私は、これは大いにやることは結構だと申しておるんです。ただ、日本の税金がどういうように本当に使われたんだかどうかというのは、マルコスにおいても、もう私が言うまでもございませんけれども、そのときには主権があるんだからといって、会計検査院がともかく行っても向こうは拒否する、あるいはまた総務庁が調べようとしても、それに対しては拒否を日本の大使館の方がやるというような事実がないでもないんですよ。これじゃ困る。こういうことを明確にしていた。だく方法をお考えなさいと私は申しているんです。そうでなければ、一兆七千億以上になるこういうような、これは日本では一兆七千億です。しかしながら、向こうにとっては大変な金なんですからね、低開発国は。だから、そういうことをひとつ私は強く要求いたしておきます。  一時から本会議がありますので、五分前には必ずやめますから、しばらくあとお聞き願いたいと存ずるのであります。  実は私、どう考えてもおかしいなと思うのは、毎年毎年貿易黒字があるけれども、その貿易黒字の金というのは一体どこへ行っているんだろうということが不思議でならぬのですよ。これは経済企画庁長官あるいはまた大蔵大臣、どんなところへ行っておるのか、ひとつ、あなたお考えあったら知らしていただきたい。この間も大蔵省に、アメリカの国債を一体日本人は、日本の方は何ぼ買うたんだと聞きましたら、いや、それはわかりませんとこう言うのですよ。ところが、アメリカの国債が発行になるというと、新聞報道によるというと、アメリカの国債をもっと、何ですか生命保険会社だの機関投資家に買うてくれ、もっと入札に加えると言っておるというのが、しかも三〇%、四〇%は日本の機関投資家が買っているということを聞いている。新聞に出ておる。しかし一体どれだけあるんだろうと言いましたら、いや、それは数字はわかりません、こうおっしゃるんですな、大蔵省は。一体とないなっているんですか、ひとつお伺いしたいんですが。
  89. 江沢雄一

    ○江沢政府委員 先生お尋ねの対外証券投資の統計上の取り扱いでございますが、私どもは国別の分類をしておりまして、アメリカの市場向けに日本の投資家がどれだけの投資をしたかということは把握をしておるのでございますが、その内訳、米国市場からの取得債券のうちどれだけが株でどれだけが債券で、しかも、その債券のうちのどれだけが国債であるか、債券には国債、地方債、社債といろいろございます。これは統計の問題といたしまして、日本からの資本移動の状況をとらえる必要があるということと、同時に、報告をどこまで詳しくして負担を負わせるかという両方の平仄をとらなければいけませんので、私どもは、今のところは国別の証券投資というところまでしかとらえてはおりません。したがいまして、先生御指摘の、アメリカの国債をどれだけ買ったかということを統計上申し上げるわけにいかないということを御理解いただきたいと思います。
  90. 井上普方

    ○井上(普)委員 新聞によると、どうも機関投資家に大蔵省が圧力かけて、ともかく入札に加えろ、大体二〇%、三〇%、時によったら四〇%も買うた。私が言っているのは連邦債ですよ。それが、売り買いもあるでしょう、金利差があれば売り買いもするでしょうが、おおよそぐらいはわかりそうなものだな、あれだけ陰で行政指導をしているんだから、それくらいあってもおかしくないなと思うんだけれども、まあ統計上というか、学問と違うんだから、ここは。学問で言う場所じゃないんだから、その点はひとつ明確に、また後ほどこれは分科会のとき聞くわ。ちゃんと用意しておいてください。  それから、時間がないから、私はもう一つ私にわからぬことがある、大蔵省。ファイナンスというやつだ。実はファイナンスというのを私初めて聞いたのは、昭和四十六、七年ぐらいに住宅金融というファイナンスができたんです。ほう、こんなともかく高利貸しかできたかいな、こう思っていた。ところが、その後どんどこどんどことファイナンス、ファイナンスというのができてきた。  もう簡単に言いますよ。ファイナンスというのは一体何なんだ、これは。銀行の預金金利と貸出金利の差が三%だのあるいは二・五%になったものだから、少なくなったんで、銀行が子会社づくって、そこから高金利でもうけるためにつくったのがこのファイナンスじゃないですか。そしてこのファイナンスというのをよく聞いて、この間うちも証言を聞いておるというと、預金証明によって金を貸すという、私は、こんな制度というのは日本にはなかったと思うんですよ。定期預金の通帳があったら、その銀行から当然金は借りれると思っていた。そうするのがルールだと思っておったら、預金通帳が要るというのは、預金証明が要る、あるいは納税証明が要るというのは、まあ土建屋が資格を取るときに出すぐらいのものでそうなかったんだが、こんなんで金融をやられておるというのは、この間うち、去年から見てそれはびっくりしたのですよ。こんなことをやらしておる。  このファイナンスというのは免許ですか、あるいは登録なんですか。それから一つ教えてもらいたいのだが、どうなっているのです。
  91. 土田正顕

    ○土田政府委員 今委員が御指摘のファイナンスという言葉は、私どもがむしろノンバンクと言っておることではないかと思います。これは、私どもの方の整理では貸金業規制法上の貸金業者でございまして、これは登録を必要とすることになっております。
  92. 井上普方

    ○井上(普)委員 登録でやっている。しかもその登録は、ほとんど銀行が後ろについて貸している。子会社だ。結局、銀行が高利貸しやったらぐあいが悪いものだから子分に、子会社つくって高利貸しやっているんだよ、これは。間違いないのだよ、これは。それを登録だけでやらせていて、しかも、今度見てみるというとえらいようけ何ですな、これはきょうもちょっと雑誌見よるというと、第二地方銀行系統のが物すごくともかく赤字を出して、ノンバンクというのが破産すれば、都市銀行、地方銀行がともかく破産しそうなというようなことまで書いてある。どうするのです、そういうようになったら。都市銀行が破産し、これは銀行は免許制度だから大蔵省当然責任ができてくる、どうするのです。もしノンバンクが破産してそれが地方銀行にまで、あるいは都市銀行にまで及んでくるようになったらどうなるか。ひとつ銀行局の考え方を承りたい。
  93. 土田正顕

    ○土田政府委員 このノンバンクというものは、一般的には、わかりやすく申しますと、預金などを受け入れないで与信業務を営む会社であるという性格を持っております。それで、この中には、確かに委員御指摘のような銀行系のものもございます。しかし、それだけではなく、例えばメーカー系の会社とかそれから独立系とか、いろいろあるわけでございます。  これにつきましては、本委員会で一昨日もいろいろ詳細な御議論があったところでございますが、このノンバンクの融資業務はいろいろなものがございまして、その中には、例えば銀行が直接行うことになじまないようなものもあるわけでございます。ただ、近年、ノンバンク全体の貸付金が非常に急速に増大をいたしました。その残高は、平成三年三月末で九十八兆円に達しておるというふうに私どもは見ております。このような質、量両面において、ノンバンクの融資業務が金融システムの中で相当重要な役割を果たしできたということは事実でございます。この点につきまして、一昨日の御議論にもございましたように、バブルのころに一番問題になったのはノンバンクではないか。それで、その大きさは現実に九十八兆の金融が行われておる。それからかなりのものが不動産業者に行っておるとか、焦げつきの問題があるのではないか。それからさらに、先ほどちょっとお話もございましたが、不祥事件のときによくこのノンバンクが関係の話として出てくる。このようなことで、その位置づけをきちっとするということも考えるべきではないかという御意見もちょうだいしておるわけでございます。  その点につきまして、私ども従前から、貸金業規制法関係につきましては、与野党関係議員の方々によって熱心に議論されまして、立法ないしは改正がされてきたという経緯もございますので、今後なお立法府の御意見ども拝聴しながらその取り扱いを考えてまいりたいと思っております。  なお、最後に、ノンバンクの業績が悪化した場合にそれが金融システムに及ぼす影響をどう考えるかという御指摘がございました。この点につきましては、確かにバブル経済崩壊の過程において、一部業種の業績が悪化しているようなものがノンバンクにはね返り、さらにそれを通じて金融機関の不良債権の増加につながるという問題も懸念されるわけでございますが、私どもは、当面、各金融機関が有する収益力や内部留保などを考えれば、金融システム全体に懸念が生じることはないと考えておりますけれども、なお今後、この点につきましては、金融機関の経営の健全性を確保するということを眼目にいたしまして、ノンバンクの動向などについても引き続き注意をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  94. 井上普方

    ○井上(普)委員 時間が参りましたのでこの程度に終えておきますが、ノンバンクというようなものをともかく届け出で認め、そして高利貸しを認め、それに銀行が、資本が入っていくというようなことを認めてきた大蔵省の責任というのは重いのですよ、これは。第二地方銀行と言われるようなところでは、もうともかく危ないのが大分あるらしい。そうすると大蔵省は、おまえ合併せいということで大きなところに合併させようとする。大きな銀行は、ともかくこんな不良債権抱えておるところは嫌じゃと言って断るけれども、大蔵省の圧力には屈しざるを得ぬというようなこともあるらしい。あるとは断定しませんよ。それはいろいろとあると思うけれども、預金者にとってはたまったものじゃない。要は預金者だ。これの保護のためにさらなる努力を大蔵大臣、お願いしたいと思うのですが、どうです。
  95. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 経済を安定させる基本は、やっぱり金融等が信頼されているということが重要であろうと思っておりますので、よく我々も注意してまいります。
  96. 山村新治郎

    山村委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  午後二時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十分開議
  97. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  98. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最初に、外務大臣にお聞きをいたしたいと思います。  きょうは、主として地方行財政と国にかかわる問題についていろいろお聞きをしたい、こう思っております。そこで、PKO法案が今参議院で継続審議になっているわけですが、このPKO法案の中における選挙監視行動に対する我が国の貢献問題、さまざまな論議をされておるわけであります。地方団体から、かつてナミビアの独立支援のグループ活動として選挙監視要員の派遣が二十七名ございました。当時、総理大臣は竹下元総理でありますが、総理は、我が国では地方議会における選挙、年間に数千回行われ、しかもそれに対してはベテランもそろっておるので、ぜひ国連の平和維持活動に対する協力をしたい、こういう提案がございまして、現実にそれが実行されたわけであります。  外務大臣、どうでしょうか。PKOの、これからカンボジア問題などたくさん我が国の人的支援について出てくるわけですが、地方公共団体のこういう地方公務員、いわば地方職員ですね、これらを例えば選挙監視活動、あるいは自治体病院の医師、看護婦などを含めまして医療活動の救援などという問題を想定をされて、PKO法案というのが今、国会議論をされている、こう理解してよろしいのでしょうか。それとも外務大臣、どういうような見解をお持ちか、お聞きをしておきたいと思います。
  99. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 このカンボジアのPKO、UNTAC、これは今言われておるところは二万六千名とかというような膨大な今までにないような大がかりなものを出そうということでありまして、そのうち半分以上が軍の関係といいますかPKFを含めたPKO活動をする方、それ以外の数千名の方が別な活動となるのでございましょうが、いずれにいたしましても、ナミビアの場合は非常に短い期間であったということと、それから二十数名というような少人数であった。今回日本に対してどういうような御要望があるのかまだはっきりしたことはわかりませんが、仮に数百人単位ということになって、しかも一年とかそれ以上とかというようなことになりますと、身分の関係とかいろいろな事故の起きたときとか統一的なこともやはり考えていかなければならないので、それはPKO法案ができてその中に組み込まれてやった方が非常にやりやすい、こういうふうに言われておるわけです。  委細につきましては、極めて技術的な問題でございますから、国連局長から説明をいたさせます。
  100. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  ナミビアのときは、先生おっしゃいましたとおり、一二十七人の要員が派遣されまして、そのうちの二十一名が地方公務員であったわけです。これらの方々は一時的に退職されまして外務省員という身分を取得されて現地に行かれた、こういうことでございます。  現在国会にお願い申し上げておりますこのPKO法案の考え方は、その第十一条の中で、いわゆるPKO活動の選挙監視とか行政監視に当たるようなものの事業につきましては、十一条で、当該国際平和協力業務に従事することを志望する者の中から採用するという表現がございまして、もし地方公務員の方がこれに志望される場合には、地方公務員という身分をやめましてこれに志望してこられて総理府で採用される、そういう手続を経てこの要員になるという手続が考えられてございます。したがいまして、本人の意思に反して連れてこられるとかそういうことは、全然この建前にはなっておりません。
  101. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それでは自治大臣、きょうは自治大臣と本音で少しく話をしたい、こう思っております。  きのう私は自治大臣質問に対する答弁をお聞きをいたしておりまして、なるほど今年度、平成四年度の国家予算と地方財政とのかかわり合い、あるいは地方財政計画とのかかわり合いはこういう特徴があるのかなということを実はつくづく感じた。しかも、平成四年度の地方財政計画は、極めて私は、平成三年度とはまた一味二味違った趣を持った特徴点を持っている、こう思って聞いておりました。  例えば、教育関係の共済費の一般財源化についてきのう御答弁がありました。教育予算が少ないならば一般財源化をして少しく教育予算にゆとりを持ったらどうか、こんな趣旨の御答弁のようだったように私はお伺いしたわけです。極めてこれは大臣、私はそういう発想があると思うのです。私もそういう面では賛成をする部面があるわけです。  ところが、そのままですとこれは大変な誤解を生む要素を持っていると思うのです。きょうは財政局長や自治省のお偉い方も見えていますが、恐らく大臣の答弁を冷や冷やして聞いておったんではなかろうか、こんな気がするのです。私も実は、大臣それでいいんですか、えらい懐の広い話をされますな、地方財政はそれほど豊かですか、こう切り返したくなるような、実は誤解を生むような答弁のような感じがいたしました。  私は、確かに国と地方との財政を一つのものに考えて、今どこに国民の豊かさ、ゆとりというものを求めるとするならば、地方財政の分野にその分野が少しくある、これは否定をしません。しかも、国の財政が今日、中期展望に見られますように一兆五千億円もの国債を償還するという、まさに率直に申し上げて不可能な状況の中のようなことを中期展望に求められる。  しかも、国の予算は、自然増の問題やあるいはこれから我が国が国際的な役割、例えば環境問題一つとってみても相当の財政負担を設けるということになれば、国の財政の中に食い込む余地というのは極めて少なくなるだろう。そういう面では、国、地方を含めて国民のいわば租税全体の負担という面から見ても、その余裕、ゆとりを設けようとするならば、多少なりとも吸収でき得る財源状況は地方団体にあるのかな、そういう気がしないわけでもございません。  しかし、だからといって一般財源も含めて、一般財源化することによっていわば国の財政をそこだけに吸収するというだけで過ごしてしまいますと、これはやはり何といいましょうかそれほど余剰財源があるのかという話になってしまうわけでございます。  大臣、私はそういう意味も含めてこの際、やはり地方にそれほどまでに財源をある意味においては移転をするといいましょうか、とするならば、これは地方における分権という問題が並行的に論議をされていきませんと、いわば画竜点睛を欠くといいましょうか、すばらしい竜の絵はかいたけれども生きて見えないという形に見えるんじゃないでしょうか。きのうの答弁に関連しての大臣の、グローバルな問題ですけれども、所信をひとつ聞いておきたい、こう思います。
  102. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 きょう、加藤先生からの質疑があるということを聞いておりまして、私も実は大いに期待しておったのでございます。ということは、加藤さんは御承知のように非常に地方行政を愛していただいておりますし、それだけにまた非常に勉強していただいて詳しいことでございますので、ぜひひとついろいろな御示唆もあればと思っておったところでございまして、きょうは各局長も皆一緒に参りまして、地方行政の実態をこの場でいろいろな角度から明かしていただくことを大いに期待しておるところであります。  さて、先ほどの御質問の中にもございましたように、地方財政の将来をどう見ておるかということでございますが、私は、ちょっとその前に一分ほど時間をいただきまして、地方行政に対する一般国民並びにこれに関係しておる地方公務員の考え方も、考え方を変えるべきときだろうと思うのです。  といいますのは、今までどうしても中央官庁の出先機関のような延長の上に立っての地方自治体というのがどうもこびりついておるようなことでございました。が、しかし、世の中がこれだけ進んでまいりましたら、国と地方というものはやっぱり別個のものであって地方は独立したものであるということの意識を強く持たなければ、地方の自治ということはなかなかこれ以上の進展は進まないのではないか。そこの意識の転換がまず第一だろうと思っております。  それを裏づけて保障していくためには分権が必要だと思っておるのであります。そして、分権を可能にするということになりますと、そこにはやっぱり地方自治体に関係する者なりあるいは住民の意識が十分必要でございまして、いわば中央からの隷属した指令とそれから機関委任事務をこなしておればいいというそういう自治体ではなくなってきた。自分で創意工夫しなければならない自治体になってきた。  それに火をつけたのはいみじくもふるさと創生事業であった。これが一つの転機になりまして、おれたち考えて自分らの自治体をつくろうとなってきた。ちょうど潮どきはいいときに回ってきたと思っておりますのでございますから、おっしゃるように地方財政の仕組みを変えていくという場合、構造を変えていくという場合に、どうしても分権問題、おっしゃるとおりだと私は思います。これとの並行がなければ実際の実は上がってこないと思うのでございます。  かねてからのずっと長い間にわたります懸案で三、四年かかってまいりましたけれども、基準財政収入額、地方財政の収入の構造は大いに変わってきたと思っておりまして、これはそれなりの基盤ができてきたと思うのであります。そういたしますと、これからは基準財政需要額をどのようにこれに対応し、変化し、この構造を収入と合った構造に変えていくかということ。その構造を変える過程においても、私は、いわば権限と申しましょうか、仕事の、業務の内容、分担といいましょうか、これは大いに検討すべき時期に今来ておる、このように思っておりますのでございますから、切り離しての問題ではないという意識を持っております。
  103. 加藤万吉

    加藤(万)委員 基本的なスタンスの面では全く私は大臣と認識を一つにするのです。確かに今、意識の転換という問題がございました。  実は私は、この質問総括でやりたかったのです。なぜかと申しますと、実は各大臣も含めまして、それから私ども、失礼なお話かもしれませんが議員皆さん方も含めて、今年度からは国と地方との財政調整という、ある意味においては財源調整ですね、それを一歩踏み込んでいわば財源、財政のシステムの転換、その意識を持ちませんと、この平成四年度予算の国と地方との財政のかかわり合いという問題がくっきりと浮かび上がってこないのです。  そういう意味では、きのう大臣がおっしゃった一般財源化をするということは、実は同時にこれからの事業、これは後ほど御質問させていただきますが、例えば福祉基金一つとってみてもそうですね。市町村段階では去年度の大体倍額ぐらい出ていますね。これはやっぱり高齢化社会に向かって福祉というもののスタンス、が市町村に移ってくる、そこが実行段階になってくる、そこに財源も当然のことですが担保されてくる、そういう形になってきたのですよ、この認識を統一をしませんと、厚生大臣は今うなずいていらっしゃいますけれども、その認識を統一しませんと、大蔵省は余剰財源があるぞ、こう言っている、自治省の方は、いやことしも、平成三年度の場合ですが、六千三百億財源不足が起きておる、この意見の食い違いだけになっちゃうのですね。  そうではなくして、平成四年度からはいわば今までの財源調整という段階から、地方と国との財政の仕組みの転換がこの中に含まれているよ、ただし今年度の場合にはそれによって法律改正という問題は余り起きておりませんけれども、しかしやがて起きてくるでありましょう。例えば国庫市出金を一般財源化する場合には、法律改正が当妹必要になってくる場合も起き得るわけです。そろいうことを理解をしませんと、国庫支出金が一概財源化するのはけしからぬという議論で実は級わってしまう議論なんですね。ここに私は、私どもを含めて認識の転換をしなければならぬのではないか、こう思っているのです。  そこで大臣、基本的なところですからいま一歩突っ込んで聞きますが、今言ったようなスタンスというものは、今比較的地方に財源的な余力といいましょうか、あるいは吸収する力があるからやるのでしょうか。それとも、私はそうではない、財源不足の場合でもこれはそういうスタンスでやりますよ、いわゆる財源不足額が出た場合でもそういうスタンスでやりますよ、こうなりませんと交付税の三二%の是非の論議になってくるのですね。財源が地方は豊かだから三二%切れという議論になりますし、もしも財源不足でもなお、大臣がおっしゃったような地方が主体になってこれからやっていくんだということになれば、財源不足の場合には交付税をアップしようじゃないか、こういう議論になってくるわけですね。その辺はどのように大臣は認識されていらっしゃるでしょうか。
  104. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、先ほども申しましたように構造的に変えるときだと思っておりますのでございますから、確かに財源の多少によりましてそのスピードは違うにしても、向かう方向は同じだと思うのです。といいますことは、これから国と地方自治体との役割分担はより以上明確になっていかなければならぬし、極端な表現でございますけれどもいたしますと、国の機関というものはいわゆるスタッフ機関、企画機関であり指導機関であり監視、監督機関である。実施する機関は地方団体にこれからだんだんと肩がわりして、任じていくべきではないか。そうでない限り、東京の一極集中主義を排除するなんといいましても、これはうたい文句だけになってしまいます。地方の特色を生かすということは事実上不可能なことになってしまいます。  ですから、中央省庁はそういう指導と監督の機関を中心として運営する、地方は実施するということになるんではなかろうか。また、そうなければならぬ。ましてや国は、これから産業政策、安全保障問題と国際問題等非常に大きい問題を抱えておりますときに、同時に地方自治体の隅々に至ります事業までの実施機関としての役割を本当に果たしていけるだろうか。それでは膨大な政府ということを考えざるを得ないんではないか。それはやはり自治体に任していくべきである。そこに自治の尊厳といいましょうかいわば本旨というものが生かされてくるのではないか、私はそういう考えでございます。  したがいまして、この機会に、つまりこの機会ということは今財政にはずみがついたこの機会に一挙にそういう方向に向かって、まあ時間的にかかるでしょうが、方向はそういうふうに見定めていきたい、こう思っております。
  105. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、今自治大臣と私のやりとりをお聞きになったと思うのです。私は、今各市町村の首長さんにも意識の転換が必要な時期に来ていると実は思っているのです。なぜかというと、先ほど自治大臣がおっしゃいましたように、今まで中央に対してやや従属的、隷属的地方団体という立場が非常に強かったわけですね。その結果は補助金というものに頼った地方財政計画をつくるという、そういう発想だったわけです。  それで、去年の、平成三年度の補正予算で例のごみ処理場問題が補助金から一般財源化する、いわゆる交付税にカウントされるという方向になりまして以来少しく様相は変わりましたが、今年度、平成四年度予算はそういう面では極めて随所に変わった様相、例えば地方単独事業なんかでも十四兆円ですからね。これなんかも非常に変わった。いわゆる国でいけば、国は国債の発行とそれから国の公共事業投資とは大体ツーペイになるくらいのお金ですが、地方の場合には起債額が大体四割から六割ぐらいでしょうか、の間で起債を行うということになるわけでして、例えば自主財源を含めて十四兆円の事業をこなす、こういうことになるわけですね。  いわば、今までは中央に対してやや従属的、地方でいけば金目の問題でいけば補助金を当てにしながら地方財政を仕組んでいく、地方財政計画を組む、こういう方向だったのですが、公経済というものを地方と国とが同じスタンスの中で賄っていく、あるいは国民の期待にこたえていく、そういう事業計画を行うという、まさに、今までは言葉の上では車の両輪という言葉がありました。私は、車の両輪じゃなくて、今までは前輪駆動型、後輪が地方自治体だと、こういう話をしていたんです。  しかし、名実ともに、平成四年度以降はしばらくの間、これはまあ長期的に何十年ということはないでしょうけれども、少なくとも中期的にはここ二、三年国の財政規模がこういう状況になるだけに、景気の動向とか含めて、地方に、まあ今大臣は実施機能というものを地方に移すと、こう言いましたが、実施機能だけではなくて、そこにみずから求める施策も含めて起きてくる、そういう意味で国と地方との財源調整というものを考えていかなくちゃいかぬ。  例えば、後ほど出てまいります八千五百億円の交付税の減額問題にいたしましても、八千五百億円というのは初めから八千五百億円ありきじゃ困るんで、いろいろな地方の財政需要を積み上げた結果として八千五百億円の金が今地方では余裕財源として、余裕と言っちゃおかしいですね、余裕という言葉を使うと怒られちゃいますから私余り言いませんけれども、いわばそれだけのものを先送りしても可能な、地方の財政需要を満たすだけの財源措置ができる、こういうように理解されてこの八千五百億円ができたものだと私は思いますけれども、少なくともそういう意味で車の両輪が名実ともに平成四年度から出発をすると言っちゃおかしいですが、出発の兆しか強くなった、こう私は見ているのですが、大蔵大臣どうでしょう、この見解についてお聞きをしておきたいと思います。
  106. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 ただいま御指摘のございました、確かに特例措置のこの八千五百億円、これは従来からあれいたします地方と国との貸しと借りなんという言い方なんかもあったんだと思います。しかし、先ほども一番初めに加藤委員の方から御指摘のございましたように、今度の福祉関係費というもの、これを基金というのを特に大きく積み上げたというようなこと、まあそのほかの細かいことを挙げますと一つずつ、幾つかの問題があると思いますけれども、そういった方向も、今お話がありましたようにやはり地方の、何というのですか、仕事の分担といいますかあるいは地方の主体性とか、そういったものもやはり方向づけられているものであるというふうに私も思っております。  特に、例のふるさと創生というのを自治省さんの方でお始めになりましたけれども、これあたりを何か契機にしながらやはり地方自治体が、今までは分権とよく言ったんですけれども、余り受け皿の方はまだそれほどしっかりとしたものはなかった。しかし、最近では非常にそういったしっかりした考えを持たれると同時に、また地方自治体にも非常に人材なんかも集まるようになってきておるというようなことがございまして、私は将来の一つの方向というものはこういう中にもあらわれて、予算の中にもあらわれておるなということをやはり私も同感として感じております。
  107. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治大臣、先ほど私は画竜点睛を欠く、こう申し上げましたが、まあ点睛の部分がはっきりまだ見えてこない面が幾つかあるのです。例えば交付税ですね、地方交付税。これは、私はやはり地方の自主財源であるという原則にまず足を置くべきだと思うんですよ。  それで、これには、どうでしょう、今まで国税の収納会計に入りまして、それが一般会計からこの特別会計に入るという、こういうシステムですね。そうじゃなくて、これは地方の自主財源だから、この中で、これを含めて、地方の税収も、地方税も含めまして自主財源としてトータルでまず考え、その中から財政需要額を差し引いて、そして最後にどのくらいの国との財政調整ができるか、こういう発想に立つ。とするなら、一般会計から特別会計へ入れるのじゃなくて、収納会計から直に私は交付税会計に入れて、そしてその後で、いわば地方で需要を満たした段階で、さて大蔵省と財源調整をどうすべきかという、そういう原則に立つべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  108. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 交付税の直入問題でございますが、これは随分長い間の経過がございますので、私は今即答でそれは結構でございますということをなかなか言い切れない問題でございますが、やはり検討に値する問題であることは事実でございまして、自治省並びに地方行政関係者はこのことについては長年にわたりまして要望を持っておることは事実でございますが、大蔵の方としてもやはり財政管理上のこともございましょうしいたしますので、なおこれは十分に双方とも検討していく問題だと思っております。
  109. 加藤万吉

    加藤(万)委員 まあ地方財政確立元年という言葉は余り適当ではないかもしれませんけれども、私はやはり交付税というものは、常に多い少ない、減額だ、率を下げるべきだという議論になる根拠は、そこを国と地方との調整財源にしているところから僕は出発すると見ているのですよ。それを断ち切るにはやはり一遍これは全部地方にまず、特別会計に入れた上で今言ったように地方の需要というものを満たした上でどうするかという、結果としてどうするかという話でなければどうしても、これは後で言いますが、十七兆余、今年度は地方に配る金というのは少し国の財政のこの状況から見て多過ぎるのじゃないか、こういう議論がどうしても出てきちゃうんですね。  ですから、私はそこをまず原点に返って、まずこれは地方の団体の金だよ、しかし国がそういう状況ならばという、そういう財政調整のスタンスにするのが正しいと思うんです。私はこれはもう前から言っておることなんですが、ひとつ今検討に値する課題だ。御案内でしょうけれども、地方制度調査会あたりでもこういう意見が出ていますし、私はここ四、五年は多分地方の財政収入構造から見てそういう変化、いわゆる前のような財源不足を生ずるような変化というものは、国との比較の問題で、ないと思いますので、ぜひそう長い期間ではない財間で御検討いただきたい、かように思います。  さてそこで、今年度の地方に交付される、本来交付される金額、交付税の。交付税と言ってしまうと例の三二%になりますから、前年度から大臣覚書等によって平成四年度に地方に交付されるべきお金は幾らですか、これは財政当局からお聞きしましょうか。――言っている意味がわからぬといけませんから、私の方で申し上げましょう。  平成四年度に本来地方交付税として来るお金、それと平成四年度に加算されるべき額、これは地方交付税の減額が八千五百億、それから平成四年度に加算される額が三千三十五億、それから同じように加算される額が二千九百二十九億、合計て本年度の地方に交付される金は十七兆一千二百六十四億、これは間違いないですか。
  110. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 失礼いたしました。  今御指摘のように、国税正税の一定割合に今までの国と地方とのお約束で今年度地方交付税として加算すべき額を本来算入するとすれば、御指摘のような数字になろうかと思います。
  111. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵省、これは財政当局、いいですか、お聞きをしますが、大蔵省が今年度地方財源の余剰財源は二兆三千六百二十五億、こう言っておられますね。これは恐らく私の言ったことが間違いなければ、八千五百億と三千三十五億、それから例の二百八億ですね、今年度加算されるべき額、この合計額で今二兆三千六百二十五億になるわけですが、なぜ二千九百二十九億という額を外されたのですか。
  112. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 先生御指摘のとおりでございますが、これはいわば特例加算ということで、自治省と話し合いの結果これを加算する必要がないということでこれを落としたものでございまして、その意味で余剰財源のところにカウントをしていないということでございます。
  113. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それはおかしいじゃないですかね、大蔵大臣。だって三千三十五億だって今年度加算されるべき額でしょう。二千九百二十九億だって今年度加算されるべき額でしょう。それを後年度に送ったということでしょう。後年度に送っだということは、結局大蔵省としては先ほど言いましたように二兆三千六百二十五億でなくて二千九百二十九億円を足した分が本年度の余剰ではないか、こう見たのではないですか。
  114. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 これにつきましては、いろいろ議論があることは承知しておりますが、先ほど先生が御指摘になりましたうちの、要するに加算ずみ額として三千三十五億円を後年度に繰り延べ、片っ方についてカウントしていませんのは、片っ方はいわば法定加算としてこれは法律上平成四年度に加算することが定められている額でございますので、これについては法律上それを後年度に繰り延べるということでございますが、その二千九百につきましてはそれを加算するということが特定されているわけではないということでこれを外しておるということでございます。
  115. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治省の答弁と違うじゃないですか。自治省は、だって、さき二千九百二十九億も含めて平成四年度に交付されるべき額だ、こう言ったのじゃないですか。十七光何ぼ、これは間違いありません、こう言ったでしょう。
  116. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 私の御説明がちょっと舌足らずで恐縮でございましたが、国と地方との間でお話し合いをした結果で、既に交付税法で法定上平成四年度に加算される額というものと、それからまだそういう法律上の加算ということではなしに両省間でのお話し合いで。決めているものという二つのものがあるわけでございまして、法定加算の分について今の大蔵省の御説明は、既に金額が確定しているものでございますからそれをカウントしたというふうに私は理解しているわけでございます。
  117. 加藤万吉

    加藤(万)委員 法定加算であろうと両省の覚書によるものであろうと、いわゆる二千九百二十九億円を含めて、平成四年度の地方に本来交付すべき金は十七光何がしてあるという数字なんですよ。私は、余剰財源にひっかけて少し大蔵省といじわるな質問みたいなことをしたのですが、問題は十七兆、今の金を加算した全部の額ですね、十七兆一千二百六十四億円をベースにして、地方基準財政需要額はどのくらい必要だったか、ここから議論を出発してほしいというのが私の実は言いたいところだったのです。  というのは、大蔵省の方は、先ほども言いましたように二兆三千億余が余剰財源だ、こう言っていますが、自治省の方は、これは自治省の「昭和五十年度以降の財源不足額とその補てん措置」という資料が出ていますが、これでも、平成三年度は、先ほどちょっと言いましたけれども、財源不足額は六千三百億ある、こう言っているのですね。この六千三百億円不足額があるというのは、例の補助金がカットされている面がありますから、それらを込めてという話でしょうけれども、大蔵省の方が二兆三千億余剰財源があり、自治省の方は六千三百億円財源不足がある、こういうスタンスでお互いに話し合っていきますと、下の方でいくと、先ほど言いましたように、地方に財政的なゆとりがあるかないかという議論になってこないのです。自治省の方は財源不足額があるぞ、こう言っているんだから、財源不足額に対して八千五百億円も減額するのはけしからぬ、こういう議論になっちゃうのですね。大蔵省の方は、先ほど言いましたように二兆三千億プラス二千九百二十九億と私は思うのですが、そういうものがある中で、余剰があるから八千五百億円頭から取ってもよろしいんだ、こういう話になっちゃうんですよ。  ですから、そういう意味では、私は、財源余剰というものについての自治省と大蔵省が、私ども国会議員の目から見、あるいは首長さん、それぞれの首長さんから見ても、なるほどこういう面でこれからは地方に財政的な吸収というものを要請されてくるのかなという、そういう合点がいくような方向性というものを資料の面でも出してきませんと、下から見た目では、自治省の言い分が正しいのか大蔵省の言い分が正しいのか、どうも大蔵省は自治団体をまたいじめているんじゃないか、こういう発想しかならないのですね。との辺は、財政局長、どういうようにお考えになりますか。これは両省どちらでも、主計局長でもどちらでもいいですから御答弁いただきたいと思います。
  118. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 地方財政に余剰があるかどうかという問題につきましては、やはり見方によっていろいろとあるわけでございますけれども、地方財政を担当している私ども立場から見ますと、それぞれこの今回やりました措置というものが将来の財政の健全化のために役立つもの、あるいは当面必要な財政需要を賄うためのものだというふうに考えているわけでございまして、そういう観点からは、財政の余裕があるということを地方財政の立場から言えるような段階ではないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  119. 加藤万吉

    加藤(万)委員 主計局長
  120. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 私ども、自治省との折衝でいつも考えておりますのは、もちろん地方財政のことでございます。地方財政の収支見通しては、先ほどから先生がおっしゃっておられますように、地方税が四・一%確実に伸びる、それから歳出面でも、行革審答申の趣旨に沿ってもちろん厳しい抑制は図りつつ、片方で投資単独事業で一一・五%と、昨年度を上回る伸びを見込んだり、高齢者福祉や社会資本整備のための所要の支出を見込んでいる、そういういわば地方財政計画上の歳入歳出の差額、それは十分に満たした上でなお余剰が二兆三千六百二十五億あるという状況は、これは厳として存在しているんだという考え方でございます。
  121. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、ここまで来ると今度は政治家の話にせざるを得ないのです。私はせんだって暮れの予算編成段階で大蔵省に赴きまして、地方に財源余剰があるから云々という話があったときに、率直に言って、国の手詰まりのような財政の歳入、そして自然増を含めた歳出構造から見て相当難しいでしょう、しかし地方にはそれを受けとめる、吸収する力があるかもしれません、こう言ったのです。そう言いましたら、社会党の議員で、地方にそれだけの財源に余裕が、余裕があるという言葉はまた使っちゃいけないのですけれども、認めたのは加藤さんだけですと、こう言うのですよ。今事務方がおっしゃった二つの意見は、率直に言って相対立する全く距離の違うお話なんです。しかし、政治家として今国民にゆとりと豊かさを与えるとするならば、国の財政支出が極めて困難なときに、どこでそれを充足していくかといえば、率直に言って私は地方財政の中で見ていく以外にない。これは先ほど大臣とやりとりしたとおりなんです。  さて、そこで問題は、今自治省がおっしゃったような立場で一体地方財政を見るのか、それとも大蔵省の立場で地方財政を見るのか、ここは極めて重要なところなんです。大臣はこれはどっちをおとりになりますか。これは自治大臣にお聞きするのは少し酷な話かもしれませんけれども
  122. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、実は具体的な数字については、本当は、交付税が本当に幾ら手取りあるのか私自身わからないのです。というのは、長年の貸し借りがありまして、交付税額で単純に算定しまして、本年度の交付税総額はこれだけだということ、これは加藤さんがさっきおっしゃるように、わかってくるのですね。ところが、そこからさらに貸借を長年積み重ねてきていますから、その分の差し引き勘定を一々やっていくのがちょっと技術的に過ぎてしまって私ちょっと十分にわからぬ。  けれども、おっしゃるような争点があることは私はわかっています。今加藤さんの質問はよう私わかっておりまして、そこはどちらに重点を置くかと言われたら、これ今ちょっと多少、私はこっちですと旗を上げるのはちょっと難しい状態ですが、しかしおっしゃる二つの考え方があることはこれはもう事実、私はそれは率直に言うとそうなんだ、そこの調整が実は難しいんだなということは意識しております。
  123. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私はこう思うのです。おっしゃったように二つの意見があるのです。ただし、地方財政から見れば、例えば超過負担の問題を含め、あるいは現在それぞれ自治体が、補助金と超過負担との関係、あるいはこれから仕事をしようという関係における補助金と実際に支出する実行的な額との関係、これは地方財政計画の決算とそれから財政計画との乖離、これを見ていただけば歴然とするのですね。いわゆる地方財政の決算ベースから見ますと、大体三兆円から四兆円近く決算では多いのです。地方財政計画は少ないのです。なぜ少ないかというと、実態はこうなんですよというのは決算に出てくるわけですね。ところが、地方財政計画ではそれが三兆円近く少なくなるものですから、結局大蔵省から見ると、いや三兆円ぐらいの金が余っているんじゃないか、地方財政から見ると、いやおれの方は決算から見れば実はこれだけの乖離があって、地方団体はこれだけの実際的な金を支出しているのですよ、こういうことになるのです。  そこで、その接点を見出すとするならば、本当の意味で地方財政の需要額は積み上げているか積み上げていないかが問題なんです。ですから地方財政というものを、いわゆる決算ベースに合わせると言ってはおかしいですが、それとはなるべく乖離のないような、例えば超過負担のところは解消する、あらゆる面で解消していく、そういう結果として地方財政にゆとりがあるかないかということを比較されれば、これはおのずと答えが出てくることなんです。ここが私は非常に大事だと思う。そこを基点にして先ほど言った十七兆円の、いわゆる本来平成四年度に交付されるべきあるいは地方に加算されるべき額を加えて、十七兆円の中で地方財政の需要額はこうこうこうなりましたと、こういうようになっていかないと、せっかく先ほど大臣が、基本的なスタンスで私とそう意見が違わないと私はお褒めをしたつもりでいるのですが、それが実際的な面ではいわゆる画竜点睛を欠くような形になってくるということを実は申し上げているわけです。  そこで、八千五百億円の減額措置ですが、どうでしょうか、これは、八千五百億円というのは大蔵省でいえば、例の交付税特別会計の国の負担分のうちの合算額が今年度は八千五百億円ですから、それを地方の減額として負担をしてもらいました、こうなっていますね。しかし、実際は国が国庫から幾らお金を出すかという面で見ると、先ほど、国庫負担の一部地方への一般財源化の問題を含めていきますと九千九百八十億ですかになるのですね。約一兆円です。まあ一兆円と言っておきましょう。初めに一兆円ありきじゃなかったのですか、これは大臣、ざっくばらんの話。事務方はいろいろ言いますよ。八千五百億円と国庫支出金の分を一般財源化したのとは全然性格が違うのですと、こう言いますけれども、本当は国から出るお金は一兆円減らしたかったんだというのが本音のところじゃないのですか。どうでしょう。
  124. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 その前に一つ御了解いただきたいと思いますのは、当年度に入ってまいります交付税算定額そのものがその年の交付税として活用できるという、今加藤さんの考え方はそうなんですが、それは私は一概には言い切れない。といいますのは、交付税だって長年の貸し借りございますから、過去においてそれだけの需要を満たしてきたのですから、地方の需要を。ですから、それは一概に言えないから、やはり銀行から借りているのと同じような考え方に立つとするならば、差し引き幾ら使えるかということ、ここもやはりつかんだ上で交付税というものを考えなきゃならぬだろう、こう思いますのが一つです。  それからもう一つ、初めに一兆円ありきとおっしゃいますけれども、これは大蔵が初めに一兆円ありきと言っておったので、我々はそんなことは言ったことは全然ないのです。そんな余裕も実はございませんし、あれもしたい、これもしたいという予定は立てておって、財源に余裕はあるというようなことは一言も言っておりませんが、何だかんだといろいろと折衝してまいりまして、偶然の積み重ねのような格好がああいう形になってきたということでございますが、私どもそれは八千五百億円に落ち着くまでにも随分と折衝いたしましたけれども、まあああいう形になった。でございますから、そう頭から疑いをかけて、余り何でも知り過ぎているとそういうことにかかわってくるので、もう素直にこれはひとつ見ておいていただきたいと思うのです。
  125. 加藤万吉

    加藤(万)委員 知り過ぎているというのじゃなくて、大臣、素直に見て、例えば国保の事務負担金が八百七十億、義務教育の共済費の追加費用の六百二十億、千四百九十億ですよね。それと八千五百億、すなわち地方に転嫁を、地方の一般財源化したものが千四百九十億と八千五百億足せば、素直に見て、これ九千九百九十億円じゃないですか。一兆円ですよ。  ですから私は、いわゆる大蔵省と自治省とが折衝した結果として出た偶然の数字ですというのではなくして、初めにどうも一兆円ありきじゃないかという見方をするのがかえって素直な見方だと思うのです。私は、それならそういうふうに話をされた方がむしろいいと実は思うのです。でないと、あとの国保の一般財源化とか義務教育費の一般財源化という問題が素直にすとんと落ちてこないのです。いや、国の方が財政が大変ですから、この際地方団体から一兆円ほど金を出してもらいたい、ついては、交付税については八千五百億円先送りしてくれ、千四百九十億円については今年度一般財源化してくれ、こういうように素直にとった方が私はいいと思うのです。  そのかわりに、一般財源化をする以上は地方にそれだけの権限を与えてほしい。これはきのうも大臣の答弁にちょっとあったような気がしますが、義務教育費の国庫負担分を地方に今度は変えていきますね、共済費の追加費用分、地方への追加費用六百二十億円、変えますね。これも、学校の今度は建設、いわゆる学校の増改築、建設にかかわる問題を大蔵省と話をした結果、この部面は地方団体で一般財源化しましょう、こういう話になったんでしょう。  それらの、裏のことは別にしまして、いずれにしてもそういう形で一兆円の金が今年度は地方財政と国との関係でこの財源調整をしましたよと、したがって、それに伴って、地方財源に伴って地方への権限というもの、ないしは地方の独自的な、創意的な事業というものが拡大していきますよ、こういう認識を持たした方が、今の地方行財政を扱っている首長さんを含めて納得がいく、私はこういうふうに思っているのです。  さて大蔵大臣、ここで聞きますが、去年ごみ処理問題について補助金の一般財源化というのをやったんです。これはそれなりに、私ども今のごみ処理の需要から見て処理機能、そういうことをするのは結構だろうという判断を持ちました。  ここで一番原則的にひとつ大蔵大臣にお聞きをしておきたいのは、国庫支出金の中には国庫負担金と国の補助金と二つあるわけですね。今度の場合に、この国保の事務負担金は国の負担分ですね、国庫負担分です。国庫負担金とそれから補助金との性格の違いはどういうふうに理解されていますか。
  126. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 地方公共団体に対します補助金につきましては、平成元年度十二月二十日の行革審の「国と地方の関係等に関する答申」というところで、「地域の主体性を高めるためには、国と地方の機能分担を見直し可能な限り地方公共団体への事務権限の委譲等を進めることに併せ、その費用負担についても、事務の主体が費用を負担するという原則を尊重していかなければならない。」ということで、「この見地からは、補助金等について、地方公共団体の自主性に委ねるべきものにあっては、その廃止や一般財源化等が進められなければならない。」というふうに指摘されておるというふうに承知しております。
  127. 加藤万吉

    加藤(万)委員 塩川大臣、ここもひとつ大臣、塩川大臣にお聞きしておきたいのです。  というのは、国庫負担金の一般財源化という問題は、これから無限大に起きてくる問題なんです。今までもありました。この事業は地方に定着しているから、例えばたしか保健事業などの事務費ですかね、保健婦さんの費用などもありました。補助金というのは、地方団体が行って、それに対して国が補助をするために出すお金なんです。国庫負担金とは、本来国がやるべき事業に対して国が負担する分なんです。要するに、私どもは地方の裏負担とかいろいろな言葉を使いますけれども、地方団体では。本来国が負担してやるべき事業を一般財源化をするということは、国がやるべき事業を地方がやるということになるのです、言葉をかえて言いますと。ですから、これから無限大に、無限大と言ってはおかしいですが、今国庫負担金のうちの国庫支出金ですね、国庫支出金の、何項目あるかわかりませんけれども、これから起きてくるときに、どこが限界なんだろうか。塩川大臣はきのうは、義務教育についてはこれはもう一般財源化して、国の教育関係の、例えば資材関係ですか、給与に大変食われているわけですから、少し余裕を持ったらどうかというお話もありましたけれども、これから国が本来負担すべき金が一般財源化されるということは無限大に拡大する可能性があるわけです。一体どの辺に限界を置くべきなんでしょうかね。
  128. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 国から地方団体に対して支出されるお金の中には、御指摘のように国庫負担金といわゆる奨励的な補助金というものに分けられるかと思いますが、この国庫負担金は、御指摘のように、国と地方とで責任を分担し合いながら仕事をしていくというような性格から、国としてある意味では義務的にこの経費を負担するという性格のものでございますから、一般的な奨励的な補助金のようなものとは性格が違うことは御指摘のとおりでございます。  ただ、国庫負担金につきましても、やはり社会経済情勢の変化というようなものを考えまして、地方に定着したもの、あるいは、国と地方との間である程度事務事業として、地方団体としてもうこれはひとつ地方の仕事として定着させていいではないかというようなもの、そういうようなものにつきましては、これはやはり聖域としないでこれを見直していくということはこれからもやっていかなければならないのではないかと思うわけでございます。既に昭和六十年度におきましても、義務教育の国庫負担金のうちの旅費とか教材費を一般財源化いたしましたが、これは御指摘の国庫負担金に相当する部分でもございます。  そういうようなこともございまして、この地方の事務として定着しているかどうかというような問題、あるいは、国と地方との責任度合いというものが社会経済情勢に応じて地方にもっと自主性を持たせて仕事をさせていった方がいいのではないかというような観点から、地方の責任をもっと大きくしていくというような観点から、やはり国の負担分も少なくしていくということもあり得るのではないかと思うわけでございます。  それを限界をどこに持っていくかということは、これはなかなか難しい問題でございますが、やはりこれは一つ一つの負担金の性格というものを毎年毎年見直しまして、これは関係省庁もございますから、その関係省庁ともよく話し合いをしながら、この定着状況というものを見きわめながら一般財源化というものを進めていくべきではないかと思うわけでございます。  先ほど来お話しのとおり、地方自治というものはやはり国の補助、負担金というものでいろいろの制約を受けるということは、これは好ましくないわけでございまして、自主性、自律性を確立して分権を推進していくというためには、国庫補助金、いわゆる奨励補助金のほかに、負担金の分野におきましても一般財源化できるものは、これは地方の立場としても努力して一般財源化の方向で検討していくというぐらいの努力はこれから必要なんではないかなという感じがしているわけでございます。
  129. 加藤万吉

    加藤(万)委員 限界がなくなってくるんです。今地方で、国の機関委任事務ないしは団体委任事務を含めますと、国の事業の七割方地方でやっておりますね。そうなってきますと、本来国が奨励的にやるものは地方のそれぞれ事業ですから、これにはいいでしょう。しかし、本来国がやるべきもので、しかも地方に定着してくるということになると、七割方地方でやっているわけですから、限界なくなってくるのですよ。個別の一つ一つの判断によらざるを得ない、私は結果的にはそう思いますが、しかし、この辺は厳格にこれから国庫負担金の部面、国庫の負担金の仕分けというものを厳密にしませんと、まさに地方が全部やっていること、それは定着化したんだ、あるいは地方になじんだということで一般財源化される。一般財源化されることによって、先ほどの話に戻るわけですが、十七兆、本来地方が平成四年度ならば交付されるべきお金が、そういうものは一般財源化したんだからということによってそこに食い込まれて、超過負担分とか、地方が本来自分で自主的、自律的にやろうという事業が削減をされる可能性というのが非常にある、ここが大事なところなんです。  ですから、私は、少しくどいようですが、八千五百億円もそういう下からの積み上げによって結果としてこれだけの今年度は余裕がある、現実問題として超過負担を全部解消するなんてことはできないでしょうから、今年度の限界はここまでですよ、したがって地方の基準財政需要額はここまででした、結果的に今年度はこれだけの、地方には財源の余裕があります、ならば国との財源調整をやりましょうか、こういう話ならわかるんですが、そうではなくして、きのうの塩川大臣の答弁ではございませんが、国が文部省予算なら文部省予算の中で、いわば給与費以外には財源がなくてきゅうきゅうとしておるならばおれの方に持ってこいよ、懐を広くしただけで一般財源で受け入れてまいりますと、この限界が無限大に広がる可能性があるわけです。  ですから、そういう意味では補助金と国庫負担金の区分というものは、このあたりいま一遍明確に認識をしながら個々の個別ケースに当たってもらう、このことは極めて重要だというふうに思いますので、改めてお願いをしておきたい、かように思います。  厚生大臣、いよいよゴールドプラン計画が始まりまして、市町村が主体になりまして平成五年度からこれは実施計画、プランをつくるわけです。このゴールドプランを十カ年戦略という名前を使ったんですね。先ほど、午前中の質問で、戦略というのはどうも戦いの意味で余りよろしくないんじゃないかなんて議論がありましたが、戦略というように位置づけられた意味はどういう意味なんでしょうね。
  130. 岡光序治

    岡光政府委員 言葉遣いでございますから感じの点がございますけれども、新しいそういうような状況を設定するという、チャレンジを込めたそういう意味で戦略という言葉を使ったつもりでございます。例えば、がん撲滅のためにも戦略という言葉を使いましたが、それと似たような感じでそのような言葉を使ったつもりでございます。
  131. 加藤万吉

    加藤(万)委員 この場合の戦略、私は今あなたがおっしゃったとおりだと思うんですね。がん撲滅も戦略、ゴールドプラン計画も戦略。戦略という中には私はこういう意味が含まれているというふうに思うんです。それは、全国民が参加する事業、そういう意味が含まれていると思う。  例えば、老人ホームを一つこうつくりましても、そこにショートステイをこうつくる、デイの施設をつくる。そしてその地域の、例えば在宅老人に対する介護の教育をやる、あるいはボランティアの人を集めて老人ホームの実際にお年寄りを見ている介護のことを研修しながら次の問題に、地域的にもそれを発展させてもらう。そういう意味で私は戦略というものの意義があるんじゃないか。いわばこれからの高齢化社会に向かって、単に施設の増床あるいは増設あるいはこのホームヘルパーの増員なり待遇改善をしても、それでもなおこれからの高齢化社会に向かってはまだまだ在宅で困っている家庭もたくさんある。それに対しては、今度は地域のボランティアがどう参加するかといういわば全国民的な対応として高齢化社会に立ち向かおう、こういう意味が多分にこの中には含まれておる、こういうふうに私は理解しているんですが、いかがでしょうか、大臣。
  132. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 私も厚生省へ参りましてまだ日が余りたっておりませんので、おっしゃる趣旨はよくは存じておりませんが、少なくとも今おっしゃる趣旨はよくわかるんでございますが、厚生省としては着実にこれを実施するよ、責任を持って厚生省がやっていくよという趣旨でございまして、厚生省が対外的にその責任を明らかにしていくというような、従来の一つの物事をやるよりももっと重みを持った意味だと、非常に抽象的宣言い方かもわかりませんが、そういう意味においては先生のおっしゃる意味も包含している、こういうふうに解釈してもいいんではないかと思います。
  133. 加藤万吉

    加藤(万)委員 高齢化社会に向かった個別問題についてちょっとお願いしますが、自治省のこれは事務方の方にお聞きしますが、十カ年計画のために市町村が今計画策定の段階に入っています。去年度から調査の段階に入りまして、今年度からは実施計画をつくるという段階に入っているのですが、これは交付税の単位費用に入っていますか。というのは、昨年度からもう調査に入っているのですが、昨年度は交付税の単位費用に入っていませんでしたね。私の聞くところが間違えでなければ大体一市町村、まあこれは単位にもよるでしょうけれども、人口にもよるでしょうが、大体千五百万から二千万前後の年間の調査費がかかっている、こういうように聞いているのです。単位費用に入っていますか。
  134. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘のように、計画策定費につきましては明年度の地方交付税の基準財政需要額に算入いたしております。
  135. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度のゴールドプラン計画をある専門家に私見ていただきまして、さてこれで今後十年後起きるであろう日本の高齢化社会人口に対して今の対応よりもすばらしくよい状況になるだろうか。例えばボランティアにいたしましても十万人をつくっていくという計画ですね。そうなってくると今よりも、今ボランティアの人がこんな少ないのに、今度十万人になればすばらしくなるな。しかし加藤さん、何か忘れてやしませんか。それは高齢者人口もふえるんですよ、こういう話をされたんです。高齢者人口がふえたのとボランティアの員数が同じだと一人当たりのボランティアの員数は同じ在んですよ、高齢者一人に対するボランティア人口は同じなんですよ、こう言われまして、なるほどそういう見方もあるのかな、こう思いました。  十カ年計画というものは私はなかなかこれを達成するのは容易なことではないとは思いますけれども、しかし、それをしてもなお高齢化社会の人口に対応するだけのものが、今よりも恵まれた状況の中でお年寄りが生涯を暮らすということにならないのではないかという心配を若干持ったのですが、これは厚生省のどなたでもいいですから、この十カ年計画が起きた場合、現状よりもどのくらいすばらしい状況がこの目の前に見えてくるんでしょうか。
  136. 岡光序治

    岡光政府委員 特に在宅対策に力を入れておりますので、在宅対策の中でヘルパーさんの仕事について取り上げて申し上げますと、例えば今の段階ですと三万人余りでございます。平成十一年を目標にしまして十万人にしたい、三倍強にしたい、こう考えておるわけでございますが、大体自分のうちで寝たきり状態になっているお年寄りに対しまして週四回から六回程度ヘルパーさんに行ってもらえるようになるのではないだろうか。現在のところはヘルパーさんを置いていない市町村さえあるぐらいでございまして、週一回程度がせいぜいのところでございまして、そういう意味では、おっしゃいますようにお年寄りの数がふえてまいりますが、サービスの内容はかなり厚くなるんじゃないだろうか。  あわせまして、例えば在宅でのお年寄りに対しましてヘルパーさんだけで対応するのではなくて看護婦さんにも行ってもらう、あるいはかかりつけのお医者さんにも往診をしてもらおうじゃないかということで、保健の仕事も福祉の仕事も一緒くたにしまして在宅にアプローチをしようじゃないか、こういうふうな発想をしているわけでございます。
  137. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治大臣、いよいよ市町村がこれ実行段階に入っていくわけですね。今度福祉基金、積み立てを三千八百億ですか、いたしましたですね。去年の大体倍。これからは市町村の財政需要が物すごく膨らんでくると思うんですね、この面で。私は、これは五十九年度と平成元年度切比較をしてみたんですが、大体老人福祉費関係で普通会計の決算ベースですが、市町村で六〇%の増加、それから都道府県で五二%ですね。純計で五七%、約六割近く五十九年度から元年度までの間に伸びが多いんですね。いわゆるお年寄りの福祉の関係は市町村ないしは地方団体に寄りかかる面が非常に多くなってきた。  しかし同時にいま一つは、やはり国の、それに、呼び水と言ってはおかしいですが、補助対象も含めまして財政力も、同質とは言いませんけれども並行的に相当伸びていかなくちゃならぬのじゃないか。この間、国の財政の伸びは三七・五%なんですね。この財政力、国と地方との老人福祉費関係に対する財政支出のギャップといいましょうか、これをどういうように理解されますか。
  138. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 社会福祉関係の国の支出ということになりますと、やはり国全体の基準に合致するような、いわばナショナルミニマム的な要素の部分が支出の対象になるという感じが強いわけでございますが、最近ではやはりそれ以上に、地方の実情に応じたいろいろな福祉施策というものが多くなってきているという感じがするわけでございます。そういう意味からいきますと、先ほど来の一般財源化の話ではございませんけれども、国の補助事業あるいは負担事業というようなものと並行いたしまして地方の単独施策というものを、ハード面だけではなしにやはりソフト面でもかなり充実していかなければならないのじゃないかという感じがしているわけでございます。  そういう意味から、今年度の地方財政計画におきましても、先ほど御指摘の地域福祉基金三千五百億を計上いたしましたが、それ以外におきましても、福祉系統の単独施策がやりやすいようにということで社会福祉系統の経費について地方財政計画上一〇%の伸びを確保いたしまして、これを地方団体の独自に行えるような、そういう福祉経費に充ててもらおうということで、これを基準財政需要額に算入することにいたしているわけでございます。
  139. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方団体の負担が拡大をしますね。私は、同時に社会福祉系統の国の予算の拡大というものも並行的に求めていかなくてはいかぬ、こう思っているのです。  例えば、これは数字的には少しく厚生省の数字と合わない点があるかもしれませんが、例えば五十人の老人ホームの、基準的なホームでありますが、ショートを入れてデイサービスの併用の場合に、国の基準面積は前年度までは千九百八十八平米だったですね。今年度はどうなるのですか。これは今度拡大をしますね。一人当たり三・何平米になりますから、基準平米はどのくらいになりましょうか、後で厚生省からちょっとお聞きをしたいと思うのですが、しかし実態は三千十八平米になっているのですね。それから総事業費の、この今の施設に対する国庫負担分は二億一千八百万、そして県費で補助しているのはこれで約半分強ですから、一億四千九百万ぐらい、合計で三億六千七百万円ぐらい。ところが、実際にこの施設をつくるとなると、大体十二億から、土地代が入りますと十四億、土地代が高いところですと十四億以上になるようですが、いわゆる国と県との負担で三億六千万、それに対して自己資金と地方団体で、これに対する補助を含めて持つのが十二億、国、県の負担分は約三〇%前後なんですね。  今度の改正でここはどうなるのですか。実態に近くなりますか。
  140. 岡光序治

    岡光政府委員 入所定員五十名の特別養護老人ホームで申し上げますと、先生おっしゃいました平成三年度で全体で千九百八十八平米余りでございますが、平成四年度では二千百七十四平米余り、約百八十六平米の改善を見込んでおります。単価にのきましても、公立文教並びでの改善をやっておりますのですが、おっしゃいますように実情と相当差のある部分もございます。特に、都道府県で相当建設費用についての差がございまして、今事例で挙げられましたが、十億をオーバーして実際の経費がかかっているケースもございます。その辺は、私ども事業内容のチェックと同時にやはり実勢をよく反映した上で対応を考えなきゃいけないんじゃないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  141. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実勢とこの補助単価ないしは対象面積の乖離の問題は、先ほど自治省の財政局長は、地方自治体でその面をカバーしますという措置を地方財政では行っていると言いますが、地方団体でそれを補うという額は、実勢に極めて近い額になりますか。それとも大変な乖離がありますか。
  142. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 国の補助対象あるいは負担対象になって施設を整備するという場合には、本来はその必要な経費というものは十分な補助対象としてやっていただかなければいけないと思うわけでございますが、やはりそういう施設をつくるに当たりまして、一部で地方の独自な施策を入れていきたいというような分野があった場合には、最終的に完成した場合に、その補助対象の部分以上に経費がかかってくるという場合もあろうかと思います。それから、純粋の超過負担という問題もあるかもしれません。  その辺は一つ一つの分析を通じないとなかなかわからない問題でございますので一概には言えないと思いますけれども、私どもはそういう経費、地方が独自でできる経費というものを頭に入れて、地方の単独施策を行えるようなハード面、ソフト面の事業費の充実ということを考えているわけでございまして、超過負担の問題は、これは別の問題としてまた調査をして、調整をしていかなきゃならぬ問題だ、こういうふうに考えております。
  143. 加藤万吉

    加藤(万)委員 超過負担の問題を含め、私は実勢価格にできる限り近い形、しかもそれが地方団体で出した場合には、まあいわば地方財政、その地域の自治体の財政の許す限界ぐらいまで自治省はぜひ認めてやってほしい、こう思いはず、個別審査に当たっては。  と申しますのは、都市部においては、御案内のように、これからも老人ホームは大変必要ですし、そこを拠点にして地域の老人対策、福祉関係全体の戦略的な拠点にもなるという意味もあるわけですね。特に、都市部では土地が非常に高いですから、恐らく土地の補助を出している市町村は極めて少ないと思うのですね、老人ホームなどに。これを、いやそれはもう地方財政としては出し過ぎですよ、ないしはそれを抑制をするということになりますと、本当の意味での十カ年戦略というものが成り立っていきませんから、この辺は十分配慮してやってほしい、こう思います。  ホームヘルパーさんの、今度労働条件が大変よくなりました。しかし、これは概算要求の段階と予算決定の段階で大分日当、賃金について差が起きましたが、これはどういう理由なんでしょうか。
  144. 岡光序治

    岡光政府委員 特に常勤のホームヘルパーさんの勤務状態考えまして、概算要求の時点につきましては、同じような条件にあるという対象を選びました。それが養護老人ホームで働いている寮母さんでございまして、その給与を参考に概算要求額を決めました。それで、財政当局といろいろ折衝をしたわけでございますが、従来の補助金は、ヘルパーさんの働いている態様に応じまして、介護型と家事型というふうに分けまして、二本立ての手当になっていたわけでございます。実態はその介護型、家事型だというふうな仕事の区分けをできないで両方の仕事をやっているじゃないか、むしろ手当を一本化して、その上に上積みをしたらいいじゃないかということで、手当の一本化をした上で百万円の上積みをしまして、三百十八万円という手当単価を決めたわけでございます。  これは私ども一つのポイントでございまして、実態は、ヘルパーさんの働いておるこれまでの経験等を勘案をしまして、実情に照らした上でその配分を決めよう、したがいまして、三百十八万という単価を設定しておりますが、弾力執行いたしますので、ケースによっては四百万円も超えるような、そういう手当を保障し得るものだというふうに考えておりまして、そういう意味では概算時点で考えた寮母さんの額が三百七十六万でございますが、そういったものはカバーできるというふうに考えております。
  145. 加藤万吉

    加藤(万)委員 常勤ヘルパーさんの退職金制度を今度とるようになりました。非常にいいことだと私は思います。  せんだって大阪府下の市町村を調査していただいた資料が私の手元に参りました。この大阪府下のヘルパーさんの賃金を、例えばその府下における市の職員なり町村の職員の給料と比較をして、どのくらい経常経費の部分の人件費がアンプするんだろうかという試算をしてもらいましたところが、〇・九%しかアップにならない、いわば地方財政、それぞれの市町村でホームヘルパーさんの給料を市職員並みに直しても、実は地方団体がそれほど過重な負担にはならないという結果が出た、こういう話がありました。  私は、この際やはり常勤ヘルパーさんの給料を、その地域における市町村の職員の給料、これを対象にしてアップをする、そのくらいのロードがかかっているのではなかろうか、実際の問題として、その人たちの労働の内容、質から見て、そういうふうに思うのです。  これは自治省にもお聞きしたいのですが、そういう意味でホームヘルパーさんのこれからの賃金の上昇について、折衝するというか、あるいは来年度の予算においての大蔵省との折衝というものは不可能じゃないと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  146. 岡光序治

    岡光政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、平成四年度の手当単価はかなりの改善を図られておりますが、なお先生おっしゃいますように、実際に働いているホームヘルパーさんの実情を把握をいたしまして、そういったものを十分勘案しながら今後も対応していきたいと思っております。
  147. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 従来、ややもすればホームヘルパーと家政婦とごっちゃにした嫌いがありまして、家政婦というのは、これはあるじの命令に従って家事の手伝い、家事に従事する者、ホームヘルパーももちろん家事の手伝いもしますが、本来はこれは人、お年寄りを対象とする、家政婦の方は物を対象とするという、私はかなり違うと思うのです。したがって、そういう任務というものをもっとはっきりさせるためには、それ以前にひとつやはり技術の向上といいますか研修もやる、そして地位を高めて、おっしゃるようなふうにずっと上げていかなければならない。そこで初めて家政婦とホームヘルパーの区別がついてくる、そういう方針を私はやっていきたいと思うのでございます。
  148. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実はそのことを次の段階で質問をし要請をしようと思ったのです。大臣から答弁がありましたから。  私は、どうでしょうね大臣、思い切って全国のホームヘルパーさんの、常勤のヘルパーさんを、選抜でもいいですから例えばスウェーデンあたりに研修をさして、日本の場合にはお年寄りがいてホームヘルパーさんが来ると、介護という限界を超えて、今おっしゃったように植木鉢の手入れから何からいわゆる家事労働的なものとして理解する分野がないわけではないのです。したがって、私は、そういう意味で、社会的地位を、ホームヘルパーというものの地位を高めるという意味も含めて、やはり海外研修などというものもこの際取り入れてみたらどうか、こう思うのですが、大臣、どうお思いですか。
  149. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思います。  御参考までに、ホームヘルパーの平均年齢が四十八歳であります。家政婦は五十六歳。比較的にホームヘルパーは若い人が多いし、これからひとつやはりそういう先進地を視察したり、国内において研修をやったり、技術の習得をやった上で差をつけていく。そういう意味においては、おっしゃる点よくわかりますから、努力したいと思います。
  150. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自治大臣、私は今特養老人ホームの問題とホームヘルパーさんの問題を取り上げてみました。これは一つの事例です。  そのほか僕は、基準財政需要額の中でこの際改定しなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。今言ったのは、超過負担も今後考える、それから地方団体が本来負担をしている部面で、先ほど言いましたように地方財政計画、これは基準財政需要額でずっととっていきますから決算との乖離が起きるのはこれは当然かもしれませんが、これをなるべく近くするという意味では、その差は地方団体がそれぞれ財政負担をしているわけですね。したがって、地方財政計画もできる限り決算額を見て地方財政基準計画をつくり、そして大蔵省との財源調整をするというこのスタンスをまずつくってもらいたいということを、その事例として今特養老人ホームの問題あるいはホームヘルパーさんの問題を取り上げてみました。  どうでしょうね、これは例の行革審の答申以来、本来ならかくあるべきだったという姿が幾つか改善されないまま今日に至っているものがあるのですね。今度は消防署の職員は増員になりました。これも基準から見ると非常に少ないのですね。それから、今清掃事業が大変大きくなりまして、御承知のように当時は清掃事業は運転手一人、乗務員が二人、こうなっておったのですが、今は二・六人ですね。いわゆる一・六人しか標準都市における清掃事業の乗員を認めていないのです、基準財政単価で。そうですね、たしか二・六人ですね。どうでしょう、これも三人ぐらいに、あれは昭和五十七年だと思いましたけれども改正があったのは。五十八年ですかね、改正があったのは。そこに戻して基準財政需要額をつくっていくということを考えられてはいかがでしょうか。そういうものがありませんと、一番最初の議論に戻るのですが、国の方は、地方は余剰財源があるんじゃないか、地方は、いやそうじゃない、財源不足はまだあるんですよという話になってしまうので、この点の改善についてはいかがお考えでしょうか。
  151. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御提案をされました点は、私たちも十分心得ていきたいと思っております。  そこで、先ほど一番この質問の冒頭にございましたように、基準財政収入額と基準財政需要額をどういうぐあいにして相マッチしたものにするかということ、その分の乖離がございますので地方財政に余裕があるかないかとかいうような議論が出てくるのでございますが、実はよく考えてみますと、全く余裕はない状態でございますが、その一つとして見ますことは、私は、先ほど来お話ございました団体委任事務だとか機関委任事務、これのいわゆる基準財政需要額における算定が非常に押し込んだ形でしてあるものですから、それ以上の分は全部地方の超過負担になっておるのですね。これが決算に出てくるということがあります。  一方、自治体の仕事を見ていますと、今やもう固有の事務なのか団体委任事務なのかもうわからぬ、そのこと自体がもう固有の事務になってきております。ただ、機関委任事務の中に、一部はまだ依然として機関委任事務で、先ほどおっしゃったように国庫負担制度でやっているところがあります。ここなんかは全部一回、国と地方との分野の見直しをぜひやってもらいたい、これには行革審、同時に、その行革審で検討される前に地方制度調査会なんかでこれはぜひひとつ取り上げていただきたいし、また大蔵の方にえらい余計なこと申して恐縮ですけれども、財政審なんかでこの交付税問題を研究、と同時に、地方分権の問題もやはり検討してもらいたいなと思うたりしております。そういうようなものが相まって、先ほどの御質問の問題ににたえていける、こう思っておるんです。  それからもう一つは、新しい時代を迎えるようになってまいりまして、私は、市町村の果たす、住民との間に果たすサービスの中身が変わってきておるように思います。これはやっぱり新しい財政需要というものを開拓していかにゃいかぬのです。例えば駅前整備計画など一つとりましても、これは地方自治体におきましては、もともとランクの低いというのか、地方財政需要としては余り見てなかった分野、特に交通関係なんかはそうでございますし、そういうものの新しい財政需要というものをどんどんとこれから、いわば開拓といいましょうか、掘り起こしというんでしょうか、こういうようなものをして、これはやはり市町村の財政事務であるということを位置づけていかなきゃいかぬのじゃないか、こう思っておりまして、そういう意味からいいまして、地方財政には当分の間、決してそう余剰があるなんというようなことは言えないんではないか、こう思っております。
  152. 加藤万吉

    加藤(万)委員 質問を終わりますが、大蔵大臣、ぜひ私はお願いしておきたいのは、いたずらに交付税率が高いとか低いとかという問題ではなくして、一体これからの日本の公経済というものはどういう関係で賄っていくのか、同時に、その中から起きてくる住民の需要というものに対してどこで充足をしていくのか、その結果として交付税のあり方がどうあるべきか、こういう道筋の中で財政審あたりでも討議をしてほしい。でないと、何か国の財政の中で、十七光何がしという金になりますから、もしまともに出せばですね、そういうものが目立ち過ぎちゃって、それだけに目をとられる議論はぜひとも避けてほしい、かように思います。  大蔵大臣の所見をひとつお聞きして、終わります。
  153. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 ただいま自治大臣の方からもお話がございましたように、国と地方との分担というもの、こういったものをきちんと一つの方向づけをしていく、そういったことをやっぱりそれぞれの審議会等で勉強していただくということが大事であろうし、そういった中で一体どんなふうに国が負担していくのか、そういったことをやっぱり明確にしていくことが、納税者といいますか、皆さんの理解を得られることであろうと思っております。
  154. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  155. 山村新治郎

    山村委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。  次に、鳥居一雄君。
  156. 鳥居一雄

    鳥居委員 以下引き続きまして、南関東地域の地震対策につきまして取り上げて御質問してまいりたいと思います。地震の予知研究、それからさらに発災に至るまでの手だて、こういう観点から取り上げてまいりたいと思います。  科学技術の進歩によりまして地震の予知につきましてはかなり進んできていることが、現在さまざまな角度で確認をされていると思います。測地学審議会では、昭和四十年以来、第一次地震予知計画から始まりまして、現在第六次地震予知計画が進行中である、こういう状況の中で、まず科学技術庁長官に伺いたいと思います。  内閣にできました地震予知推進本部長、こういうお立場でもありますし、特に全国十カ所あります特定観測地域、その中で特に目が離せないという地域が観測強化地域ということで、これは既に東海、また南関東、こういう観測強化地域の指定が予知運におきましてなされております。昭和四十五年南関東、昭和四十九年東海、こんな状況でありますが、特に首都圏、南関東地域における懸念される地震、これを考えましたときになかなか観測というのが難しい地域である。一つは都市型のノイズ、もう一つは堆積層が関東ローム層という非常に厚い複雑な軟弱な層がある、こういう状況の中で現在の予知観測の基盤、これをどういうふうにまずごらんになっていらっしゃいますでしょうか。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
  157. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  ただいま委員御指摘のように、首都圏で発生が懸念される地震でございますが、マグニチュード七クラスの直下型地震、この予知がどうか、こういう御質問でございますが、この地域、今お話があったように大変厚いローム層に覆われております。それから、その地震が地球深くの断層で発生いたします上に、社会経済活動のノイズが多い、こういう悪条件が重なっておりましてなかなか観測が難しいということでございまして、現状で申し上げますとなかなか予知は難しい、こういうふうに言わざるを得ない、こういう状況でございます。
  158. 鳥居一雄

    鳥居委員 長官、現在の観測体制、これをどういうふうにごらんになりますか。これで十分であるとお考えでしょうか。
  159. 谷川寛三

    ○谷川国務大臣 先ほどもお話がございましたが、政府としましては、測地学審議会の建議されました第六次の地震予知計画に沿いまして、国立大学とか国の研究機関等の緊密な協力のもとに地震の観測、予知の研究を実施中でございます。そうして、地震予知計画に述べられておる「長期的予知に有効な観測研究の充実」とか「短期的予知に有効な観測研究の充実」「地震予知の基礎研究の推進と新技術の開発」、これを図るべく積極的に地震予知の研究に取り組んでまいる所存でございまして、私は、今の研究体制で、そうして今申しましたような研究を真剣にやってまいりますので、まあ予算の関係等もありまして、理想的にまいらぬことは本当に残念でございますけれども、十分やっていけると思っております。
  160. 鳥居一雄

    鳥居委員 研究陣は短期的予知が難しい、難しいと。で、確かに関東ローム層、都市型ノイズ、非常に観測の障害になっていることは事実でありますが、何といいますか、地震が起きる地域、地震によって全部癖があり、特色がある。したがいまして、今懸念されている首都圏直下の地震というタイプにつきましては、どうしてもノイズを克服するあるいは関東ローム層に挑戦をする、こういう形で観測をしなければならない。気象庁が今マグニチュード三以上、これに観測体制をしているわけでありますが、懸念される首都圏直下の地震をつかまえるためにはマグニチュード一・五、微小地震をつかまえなければ全く地殻の構造あるいは破壊の状況についてはわからない。したがって、研究陣としてはこの第六次地震予知計画の中で何とかしてこの微小地震について設備をしていきたい、こういう状況だと思うんですね。  資料を実は用意い、たしましたので、委員長、ぜひ配付をお願いいたします。
  161. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 どうぞ、お配りいただいて結構です。
  162. 鳥居一雄

    鳥居委員 資料1をごらんいただきたいと思うのですが、現状、内側のラインです。南関東の直下の地震観測につきましては現状、内側のライン、さらにすべてをカバーしようという外側のラインがありますけれども、これは二千メートル級の観測井十二本、さらにGPS十二カ所、それからケーブル式の海底地震計、これの一セット、これができ上がって初めてつかまえることができるということじゃないのですか。
  163. 谷川寛三

    ○谷川国務大臣 いただきました資料にちゃんと書いていただいておりますが、首都圏の直下型地震予知を進めるためには、どうしても広範囲にわたりまして深層部の、今お話がありましたように、データをとることが重要でございまして、平成三年度から着手をいたしましたこの三千メートル級の深層観測施設の整備につきましては、本当にすぐやればいいのですが、今穴を掘っているところでございまして、五年度には微小地震をキャッチする地震計を三千メートルの底に据えつけることができると思っておりますが、そういうようなことによりまして着実に予知を進めていきたいと思っております。それから、これまた資料に書いていただいておりますが、二千メートル級の深層観測セットにつきましても早急に整備をするようにやっていきたい、こういうふうに思っております。  いずれにしましても、予知は最大の防災だと言われます。できるだけ早く首都圏直下型の地震の予知を可能にするような体制を整備していきたい。先生の御指摘の旨も外しまして、努力していく所存でございます。
  164. 鳥居一雄

    鳥居委員 今科学技術庁でお持ちの計画というのは、この整備後の外のラインになるまで平成十年、八年かかるという計画をお持ちです。これは今懸念される切迫性、予知連の元副会長力武東大名誉教授によりますと、確率計算によると、マグニチュード六以上というこういう計算で、一九九〇年代の十年間に地震が発生するであろう確率というのは四〇%である。静岡県を中心にした東海地域、これは確率計算すると四〇%である。したがって、南関東、東海、懸念される地震というのはどういう前後関係なのかというのに対して、全く五分五分である、こういう状況なわけです。  したがって、この防災というのは、短期的予知を完成させることによってこうむる被害を最小限にとどめる、こういう国家事業だと思うのです。観測井、のんびり構えて平成十年にようやくこの外の線になるというのは、これはいかがなものか、こう思うのですが、速やかにやるというお考えは、この速やかにというのが平成十年完成を目指すということでしょうか、あるいは少なくとも向こう三年ぐらいでこの描いている外側の線まではマグニチュード一・五の微小地震をとらえられるようにするという、こういうお考えでしょうか。
  165. 谷川寛三

    ○谷川国務大臣 平成四年度の予算につきましては、もう概算要求が済みました後へ私参ったものでございますからなんでございましたが、また次の概算要求のときに練り直しをいたしまして、できるだけ早く整備するようにいたします。  実は私も、終戦直後の南海の大地震で肉親を二人失っておりまして、もう地震の予知につきましては、本当に真剣に事務当局に指示をしまして、勉強しているところでございますしかと受けとめてやりますから、よろしくお願いします。
  166. 鳥居一雄

    鳥居委員 実は昭和五十六年に防災に関する研究開発基本計画、これが向こう十年をめどにということででき上がりました。この中で「とくに、首都圏においては深層観測施設を整備し、地殻活動の観測研究を行うとともに、各種観測による直下型地震の予知手法の開発を行う。」と、十年めどに完成させるという目標が、これは昭和五十六年の閣議決定です。あれから十一年たちました。今まだこの内側の線をうろうろしているという状況は、いかにもお寒い限りだと思うのです。これは一つは、シーリング制度というのが国家的な事業であるはずの観測事業の障害になっている。第一義的にはもちろん科学技術庁の庁内でこの研究開発にどういう力点を置くのかということなんだろうと思うのです。しかし、これは向こう、平成十年まで八年かけてやらなければならないというような形であったとすれば、これは要請にこたえるわけにはいかないんだろうと思うのですね。  私は、内閣にあります地震予知推進本部、この活動に注目いたしました。これはどういう活動をやっているのか。予算が通りますと、昨年の場合にも四月二十五日に地震関係の省庁が集まりまして、どんな予算が通ったのか一覧表にまとめる。で、次の年度の予算要求の時期になりますと、八月になりますとどんな要求をするのか取りまとめをする。これが何か非常にお寒いものを感じるのです。強力にひとつこの観測体制の基盤をつくるということにぜひこたえていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  167. 井田勝久

    ○井田政府委員 私も事務局長をしているところで、ちょっと御説明申し上げさしていただきます。  今先生の御指摘の地震予知推進本部でございますが、毎年予算の前に集まりましていろいろ検討いたしまして、各それぞれ分担がございます、その分担がどうかということで検討いたしておりまして、それで足りない分はどうするかと申しますと、科学技術振興調整貸、これを用いまして首都圏直下の地震のいろいろな研究をいたします。特に平成三年度からは首都圏直下地震の予知手法の高度化、さらに高度化してまいる、こういうような総合研究をいたしておりまして、こういうことで各省庁の協力とそれから総合的な取り組みと、こういうことで推進本部としては首都圏の地震予知の観測研究の推進というものを図っているところでございます。
  168. 鳥居一雄

    鳥居委員 今おっしゃった振興調整費というのは約百五億円、そして、その中で特に首都圏のこの深層観測井あるいはVLBIという新しい観測手法に向けるというのがわずか一億七千万というオーダーです。ですから、この機会にもし振興調整費をもって研究開発に当たるんだということであれば、めり張りをきちんとしていただきたい、こう思うのですけれども、いかがですか。
  169. 井田勝久

    ○井田政府委員 ただいま御指摘のこの振興調整費、単年度では一億、御指摘のとおりでございます。五年計画で全体で六億ぐらいということでございます。そういう意味で、今関係省庁それぞれの概算要求の中で地震研究を進めているわけでございまして、私どもとしてはそれをいかに応援していくかということが推進本部の役目でございまして、そういうことで関係省庁の予算をこの推進本部では大いに応援していきたい。科学技術庁が中心でございますが、科学技術庁は一生懸命みずからふやさなきゃいかぬということで、昨年度は二十数%、二一%ちょっとになろうかと思いますが予算をふやしたところでございまして、そういうことでみずからもふやしつつ関係省庁にも頑張ってもらうように今後とも一生懸命やっていきたい、このように考えているわけでございます。
  170. 鳥居一雄

    鳥居委員 長官、この平成三年から平成十年までの期間に百五十九億円をかけて内側の線から外側の線に持っていこう、こういう計画です。この平成十年までの目標を前倒しに検討して、なるべく早い段階で基盤をつくり上げる、こういうお考え、明確にひとつお述べいただきたいと思うのです。
  171. 谷川寛三

    ○谷川国務大臣 そのときどきの財政事情もありますから、なんでございますが、私も、とにかくできるだけ早く予知の体制整備を進めていかなきゃならぬ、こういうことを考えておりますので、また大蔵大臣とよく相談をいたしましてそのようにやっていくように努力をする所存でございます。
  172. 鳥居一雄

    鳥居委員 南関東地域の被害想定調査というのを国土庁のもとで調査をされました。驚くべき実態です。これはペーパーになっておりますが、マグニチュード七・九の地震が首都圏を襲ったと想定いたしまして、ケース一、ケースニ、ケース三、冬の夕方、冬の深夜、秋の正午、そして調査の結果、マグニチュード七・九に襲われ、死者がケース一で十五万人、負傷者が二十万三千人、一番少ないという冬の深夜で死者が八万三千、負傷者が十二万人、あるいは建物の倒壊、焼失棟、罹災世帯、まことにもって悲惨な結果が出ておりますが、国土庁長官、どういうふうにこれを受けとめていらっしゃいますか。率直な御感想を伺いたいと思います。
  173. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先生には国土行政大変各般にわたり御協力いただいておりますが、とりわけ今お尋ねの被害の防止と軽減をどう図るべきかということについては、大所高所から今日まで御指導いただいておりますことを厚く御礼申し上げます。  南関東地域では関東大震災以降大きな被害をまだ受けた経験がございません。しかし、諸機能が今日これだけ集中しております大都市は大きく変化しております。現在、この地域は当時と異なりライフラインの普及等、高層ビルの出現、また、大変なガソリンを積んだ自動車の交通の過密化等、現代の大都市特有の災害の発生、拡大要因を大きく抱えていること、今御指摘のとおりでございます。  このため、南関東地域の地震災害は極めて重要であり、従来から都市防災の推進、なおまた防災体制の強化及び防災意識の高揚、地震予知の推進等、各般の対策を推進してきているところでございますが、こうした中で、御指摘のとおり、南関東地域直下地震の発生はある程度の切迫感がございます。したがって、事前対策に重点を置いた対策の一層の充実強化を図るため、現在関係省庁との間で南関東地域直下の地震対策に関する大綱に従って鋭意進めているところでございますが、発生後の応急活動体制に万全を期すため、昭和六十三年十二月に南関東地域震災応急対策活動要綱を中央防災会議で決定されておりますが、今日御指摘のとおり今後とも関係各省一丸となってこの地震対策の充実を図らなければ大変な問題を生ずるであろうという認識の上に立って、鋭意今後とも進めていかねばならないと肝に銘じているところでございます。
  174. 鳥居一雄

    鳥居委員 それで、今国土庁長官も述べられたのですが、要するに発災後どういう対応をするかというのは極めてよくできていると私どもも見ております。しかし、発災までの打つべき手だてというのは一体どうなっているのか、これはまことにもってお寒い限りだと言うしかないと思うのです。  小学校、中学校の校舎は発災後重要な拠点になります。また、防災白書の中でも指摘されておりますけれども、災害弱者、これを何とか救援しなければならないという意味から、小学校、中学校の耐震性というのは極めて重要であります。  文部省は、南関東地域の六都県市について小学校、中学校の耐震性補強、改築、これがどのくらい進んでいると考えていらっしゃいますか。
  175. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 先生御指摘の南関東地域の公立小中学校施設という観点でいきますと、これは私が今確認しております数字は埼玉、千葉、東京、神奈川の教育委員会に確認したものなのでございまして、先生の今おっしゃった六都県市とぴったり一致しているものであるかどうかの自信はないわけですが、建築基準法改正以前の古い建物ということを考えますと、昭和五十六年以前に建てられたものが約五千三百ございまして、そのうち実は耐震診断を実施したもの、実施中のものを含めて千四百七十。そうした中で、これでは危ない、改築、補強が必要だと判定をしたものが百七十で、そのうち実際に改築、補強を既に終えたものが八十校だというふうな数字を得ております。
  176. 鳥居一雄

    鳥居委員 文部大臣、今資料をお配りしたのですが、これをちょっとごらんいただきたいと思うのですが、この資料2ですが、この数字、鳥居一雄調べでありますが、大臣のおっしゃった数字はこれですね。
  177. 野崎弘

    ○野崎政府委員 お答え申し上げます。  大臣の申し上げた数字というのは今先生のお調べになった数字の合計の数字でございます。
  178. 鳥居一雄

    鳥居委員 私の調査によりますと、昭和五十六年を一応区切りにいたしまして、昭和五十六年の構造基準が厳しくなった以降の建築を別にいたしまして、それ以前のもの、これが一応耐震診断の対象になる、そうして耐震診断をやった数、つまり診断率、これを見てみますと、東京都が五五・九%、診断ができたのが半分、埼玉県は全く小中学校の耐震診断ゼロ、千葉県が八・六%、神奈川が九・五%、政令指定都市なものですから横浜市が三五%、川崎市が一・四%。  こういう状況を文部大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  179. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 私が先ほど御答弁申し上げた数字を鳥居先生の調べられた都道府県別に分けた数字で見ますと、この余りのばらつきの大きさというものに愕然とする思いがいたしまして、この辺は直下型地震というのでありましょうか、そういう可能性、危険性のある地域であるというならば、相互に各都道府県や各市が連絡をとり合うべきものと思いますし、必要があれば文部省が連絡役をやるべきかなとも思います。
  180. 鳥居一雄

    鳥居委員 中央防災会議のメンバーのお一人ですよ、発災までに打つべき手、これをきちんとすべきじゃないかと思うのです。一定の基準を持ち、必要であれば調査をし、調査の結果、この通達なり調査なり、その結果財政支援が必要な分量が一体どのぐらいなのか。東海地方の場合には、大震法によりまして財政特別措置がとられているわけですけれども、南関東にはないわけです。必要なのか必要でないのか、これもおかしな話なんですが、国土庁としては定量的に数字が見えない、したがって対策の打ちようがない、こういう形になっておるわけですね。ですから、文部省としては、小中学校六都県市、一定の基準をもってすぐ調査に当たる、こういう必要性、お認めになりませんか。
  181. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 きょういただいた資料等を私なりにも真剣に精査させていただいて、そして文部省の中でも議論をさせていただいて、これからどういう方法を講ずべきであるか、よく勉強し、検討し、結論を出してまいりたいと思います。
  182. 鳥居一雄

    鳥居委員 建設大臣に伺いたいと思うのです。  避難地、避難路、この避難地については都市局長名で通達を出されています、昭和六十一年。そしてこの通達で、半径二キロメートルという範囲内から人が集まる、そういう想定で一人当たり一半永、理想的には二平米であるけれども、やむを得ない場合には一人当たり一平米、これを基準にして避難地をつくるように、こういう指導です。六十一年の通達です。ですから、六都県市については目標が設定されますし、進捗状況というのが掌握できるはずです。現在どこまでいっていますか。
  183. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先生の御指摘のとおり、大規模な地震災害から都市住民を守るためには、避難地及び避難路の確保が極めて重要でございます。そういうところから都市局長の通達が出されたのでございます。  その避難地として機能するのが都市公園と考えまして、都市公園の整備を積極的に推進してまいっているのでございます。いわゆる南関東六都県市における都市公園面積は一万一千二百ヘクタールでございます。これは一人当たり三平米ということになります。今後さらに平成三年度から第五次都市公園等整備五カ年計画に入りますが、より一層整備を推進してまいりまして、避難地確保に努めてまいりたいと存じます。
  184. 鳥居一雄

    鳥居委員 都市局長通達は、行政の地方自治体に対しまして、こういう目標でこういうふうにと非常に具体的です。ですから、その目標に従って現在とのぐらいまで進んでいるのか、こういう掌握をぜひする必要があると思うのです。何カ所、何平米できればいいのかという点で押さえないと、進捗状況が見えてこない、こういうことだと思うのです。  例えばこれは建設省の資料でありますが、東京二十三区の避難路、一番下にあります、今お渡しした資料なんですが。基本計画は七百三十キロメートルで、要整備の延ベキロ数が三百二十キロ、十カ年計画でつくろうというのが百八キロ、単純に計算しても三十年かかるということです。こういう対応のおくれと申しますか、ひどい状況であります。ぜひ御検討いただきたいと思います。  厚生大臣、わかりやすい指標として災害弱者、災害弱者施設対策がどこまで進んでいるのか、一つの指標として養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、保育所、この耐震診断がどういうふうになされているのか、そして補強工事、改築工事がどのくらい進んでいるのか、私は関心を持ちました。いかがでしょうか。
  185. 末次彬

    ○末次政府委員 大規模地震対策特別措置法に基づきます地震防災対策強化地域として指定の行われております東海地域につきましては、御指摘のように施設ごとに耐震診断を行いまして、その結果に基づきまして順次耐震補強、改築を行っております。  御指摘のございました南関東地域については、この地震防災対策強化地域の指定がございませんところから、この特別措置としての措置は実施しておりません。ただ、社会福祉施設の整備につきましては、もちろん入所者の安全の確保あるいは防災の観点から、老朽化いたしました施設の改築を優先的に実施いたしております。この民間の施設がこうした老朽改築を行います場合には、一定の要件で優遇措置を講じておりまして、この南関東地域につきまして、六十二年度から平成三年度までの間、御指摘の施設につきまして、五十八カ所につきまして改築を行っております。
  186. 鳥居一雄

    鳥居委員 対策が進んでいるとは言える数字ではないと思うのですね。事前に厚生省としても都道府県にどんなぐあいか調査されたようです。しかし、五十六年以前の建物に着目をし、そして耐震診断を行い、その診断の結果補強が必要であるものを計画化し、そしてこの対策を進める、こういう着眼が全くなかったと言っていいんだろうと思うのですね。  大臣、今後こういう着眼で厚生省所管の事業につきまして災害弱者対策を進めると、御決意のほどを伺いたいと思います。
  187. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほど政府委員から、南関東地域におきましては五十八カ所において耐震の対策を講じてきたと言っておりました。私もこれは何かどの程度の範囲がよく、ただ箇所数はそう聞いたのですが、わかりませんが、いずれにいたしましても、地震防災対策の強化地域に入っていないということは、諸般の施設をやるについてもやっぱり条件等についておくれをとるということでございますが、今申し上げましたように、それはそれとして今日まである程度やってきましたけれども、両々相まってこれは進めなければならぬな、そういうことでございます。
  188. 鳥居一雄

    鳥居委員 大震法に基づく強化地域、これはある意味で補助率のかさ上げがある、こういう期待はあるのですが、極めて大きい指定の効果というのは、緊急整備計画を指導するという強力なものがあるわけです。したがいまして、同じ観測強化地域にありながら、四〇%という非常に高い数字が示す地域でありながら対策に大きな違いがある、これは極めて問題だと思うわけです。  したがいまして、国土庁、国土庁長官、現在大綱を作成中だと言いますけれども、この大綱に期待をしていいんでしょうか。
  189. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 被害の防止、軽減を図るためにはあらかじめ、施設等の整備の計画的重要性というものを痛感いたしておりますが、私がいろんな角度からお聞きするところ、今の状況では、先ほども申し上げますように一層の重要性にかんがみ、関係各省庁と真剣にさらに推し進める必要がある、私はかように思っております。
  190. 鳥居一雄

    鳥居委員 ぜひこの対策強化に向けまして、御検討を各省庁ともお願いをしたいと思います。  最後に、都市ガスの大爆発事故が本年早々ありました。地震対策上も、延焼によって非常に大きな被害が出ております。二月二日の地震のときには表面加速度二百ガルで自動遮断装置が働いた、都市ガスの。これはマイコンメーターの威力というのが極めて大きいことの証明だったわけでありますが、ガス爆発事故の悲惨さというのは、十八センチメートルある鉄筋コンクリートをぶち破りまして、隣に住んでいる人が被害を受けて即死、こんな状況です。ともかくマンションの十一階に住んでいた人で、隣近所の全壊が五戸、半壊が四十戸、車にまで被害が及んで十八台というような悲惨な爆発事故がありました。  これを再発防止するためにはマイコンメーターの普及しかないなというのが実は結論だと思っております。中小のガス事業者に対して、どのようにマイコンメーターの普及、これを図っていくのか。通産省としてどういう取り組み方をされるのか、最後に伺っておきたいと思います。
  191. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 今先生御指摘のガス事故につきましては、警察で今原因調査中だというふうに聞いておりますが、先生御指摘いただきましたように、マイコンメーターというのは地震の感知とか、あるいはそういう流量を感知してとめるというような大変効果のあるものでございます。一ただ、現時点、使い出してからまだ十年もたっておりませんで、さらにまた、一部有効でない面もございます。例えば異常な流量に対してとめるのに多少時間がかかるとか、そうなると生ガスの場合はまだ機能しないという点もございます。そういう意味で、まだ義務づけてはおりませんが、今先生おっしゃいましたように非常に保安確保上有効なものと考えますので、私どもとしては今後この設置の指導は強く進めてまいりたいと思っております。現時点で、中小ではまだ一五%程度の普及率でございます。今後努力をしてまいりたいと思っております。
  192. 鳥居一雄

    鳥居委員 関連質問がありますので、私の質問はこれで終わります。
  193. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 この際、石田祝稔君から関連質疑の申し出があります。鳥居君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石田祝稔君。
  194. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私はちょっと年金のことでお伺いをしたいと思います。  まず最初に二つの例を申し上げたいと思います。  一つは、私の友人の例でありますけれども、昭和五十四年の四月の一日に民間企業に入社をいたしまして、それで厚生年金に加入をいたしました。そしてその後、気の毒なことに五十四年の五月の十一日が初診日で脊髄の病気にかかりました。そして昭和五十四年の六月に病名が確定をいたしました。その後、昭和五十五年九月三十日に会社を退社をいたしまして、翌年の昭和五十六年の十月に身体障害者の二級の認定。そして障害年金の裁定の請求をいたしました。これが一つの例でございます。  そして二つ目の例といたしまして、これは相談を受けた例でありますけれども、女性の方で、昭和五十六年の三月に高校を卒業。そして同じく民間企業に入社をいたしました。その後、職場の人間関係等の問題で五十六年の五月に発病。五月が初診日ということで現在に至っております。内部疾患ということを聞いております。  この二つの例で、両方とも厚生年金保険に加入をいたしておりましたときの障害で現在に至っておるわけであります。  まずお聞きをしたいのですが、このお二人に関しまして障害年金が出るのかどうか、これを教えていただきたいと思います。
  195. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 お二人の方の例を引かれたわけでございますが、当時は現在と厚生年金の制度が違っておりまして、六十年の改正の前と後で取り扱いが違いますが、これはいずれも改正前の法律でございますので、初診日が厚生年金に加入されましてから六カ月以内の方におかれましては、その後障害等級に該当するような障害になられましても年金の支給対象にはならないわけでございます。
  196. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それではもう一度確認をいたしますけれども、全く同じ状況で、例えばそれぞれ十年後に同じような病気になった。つまり昭和五十四年の方は昭和六十四年、平成元年と計算をしていただきまして、五十六年の方は平成三年という、六十一年法改正の前後ということで確認をしたいのですけれども、全く同じ状況であっても現在では保険が出るということでしょうか。
  197. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 その十年後ということでございますから、昭和六十四年ないしは平成元年、それから平成三年、こういうことになりますので、昭和六十年の法改正の後でございますのでその規定は改正になりまして、六カ月の期間、そういう除外の期間がなくなりましたので適用になるわけでございます。
  198. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 このように、昭和六十一年の年金法の改正の前後で、全く同じ状況でありながら、同じように年金の掛け金を掛けておりながら残念ながら年金が受けられないという方がいるわけであります。そして現在、これらの方に年金、またその年金保険での救済措置はないというふうに私は聞いております。  このことにつきまして、実は前にも質問をされている方がいらっしゃいます。ちょっと読み上げてみたいと思いますけれども平成元年の十二月に同じような質問をされている方がいらっしゃいまして、このときに当時の厚生大臣がこういう答弁をされております。ちょっと読み上げてみますと、「社会保険方式のもとでその救済が可能なものかどうかについて今後検討していくという意味で私は検討してみたいということを言いましたが、私の基本的な理念の中に、私個人の理念の中に、この自由経済社会の中でお互いが公平な土俵の上で競争することができるという状況を確保するということが国の大きな責任の一つである、ちょっと中略をいたしますけれども、「そういう意味で真剣に検討すべき課題の一つであるということは今でも私は同じであります。」こういうふうな大臣の答弁がございます。  ですから、あれから三年になろうとしておりますけれども、そのときに厚生大臣、もちろん今の山下大臣とは違うわけでありますけれども、検討をする、検討課題である、こういうふうな話も実はあったわけでありますけれども、大臣、そのことについてお願いします。
  199. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 戸井田厚生大臣、今おっしゃったとおり、非常に困難な問題を含んでいるけれどもその救済が可能かどうかということ、社会保険方式のもとで可能かどうかということについては検討してみたいという一つの問題意識を示されたのでございますが、私も全く同感でございまして、この問題については今後さらに問題意識として、戸井田大臣が言われたようにひとつあらゆる角度から検討していかなければならぬなと思っております。
  200. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今大臣も、ある意味で三年前と同じ答弁なわけなんですね。ということは、この間具体的にどういうことをやられておったのかということが私は甚だ疑問であります。その間、無年金で、障害になられた方、これは本当に働けないとかそういう状態になりましたら、これは福祉の部門の問題ではありますけれども、少なくともそういう方々は御自分が年金を実際掛金として掛けておった、そういう中でそれがもう時間的に前後しただけで自分たちはそういう保険での救済は受けられない、こういうふうな矛盾を感じながらずっと来ておられるわけであります。ですから、私は、この面はぜひとも、二年間ないし今までずっと検討ということで来ておるわけですけれども、前向きに一歩でも二歩でも進めていく形で考えていただきたいと思います。  それで、この無年金障害で全国で御苦労されている方が実際どのくらいいるのか、これを厚生省が把握をしているかどうか、その数についてちょっとお伺いしたいと思います。
  201. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 年金を受給していない方でございますので、私どもの方では年金を受給しております方を把握するのは比較的容易でございますが、正確にはまだ把握するには至っておりません。  また、障害者の方で年金を受けていない方がどういう事情ないしはどういう理由によって受けておられないのかという点の把握が極めて難しいわけでございますので、そういう意味では障害無年金者の数については現在のところ把握してはおらないわけでございます。
  202. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 それでは、これは先の問題になりますけれども、大臣もちょっとお聞きをいただきたいのですが、具体的にこれは、例えば今後厚生省の枠の中でやろうとかいろいろお考えあると思うのですけれども、実態がわからない限りこれはどうしようもない問題であると思うのですね。ですから、やるやらないというのは、これはまた政治上の判断とかいろいろあると思いますけれども、その実態の把握について私は努めていくべきではないかと思います。  今、正確な数はわからない、いろいろ難しい問題もあろうかと思います。例えば内部疾患、精神的に障害があって働けないとか、いろいろな人権上の問題もあると思いますけれども、具体的に数の把握という観点でお伺いをしたいのですけれども、今後どういう形でやっていかれるのか。
  203. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 先ほど申し上げましたように個々にお尋ねしてやるというのは大変難しいわけでございますので、そういう事情は御理解いただきたいわけでございますが、今後、推計をして把握するということも含めまして、何らかの方法で把握できないかどうか研究してまいりたいと思っております。
  204. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはぜひとも研究をしていっていただきたいと思います。  私は、昭和六十一年の法改正というものは障害者の人にとって非常に有益な改正であると非常に評価をしております。しかしながら、その遡及ができないということですからその六十一年の前後によって、さっきから申し上げておりますように非常に大きな差が出てくるということ、これはぜひとも考えていただかなくてはならないと思います。社会保険の建前等も、これはもちろん私は理解をしておるわけでありますが、このさかのぼり適用ということ、このことについて、何年間か区切るかどうか、これはまた別の問題でありますけれども、六十一年以前の方に何らかさかのぼって適用ということが考えられないかどうか、これは保険原理とも非常に絡むと思いますけれども、この件について、ちょっと答弁をいただきたいと思います。
  205. 加藤栄一

    加藤(栄)政府委員 先生御存じのとおり、公的年金制度は、我が国の場合は保険料を拠出していただきまして、ある程度の拠出をいただいた方につきまして年金給付を行う、こういう社会保険方式をとってきておりまして、それによって収支バランスをとり、安定した運営を確保していくわけでございますが、このような改正を行いました後、その障害の状態になったそのときそのときの障害年金の支給要件に該当されなかったために障害年金がもらえなかった方々は確かにおられるわけでございますが、字義どおり後になってからさかのぼって救済するということは、考え方といたしましては大変難しい問題でございます。  ただ、大臣も平成元年の十二月に答弁しておられますように、社会保険方式のもとでそのような救済が可能かどうかにつきまして、現在のところ。具体的な回答を見出すには至っておりませんが、検討してまいりたいと思っています。
  206. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 じゃ、この問題で最後になりますが、大臣に御答弁いただきたいと思います。  私は、先ほど平成元年の当時の戸井田大臣の答弁を引きまして大臣に御感想をいただきましたけれども、現時点におきまして、山下厚生大臣としてのこの問題に関する御見解、またどういうことをこの問題について認識をされておるのか、最後に意見をちょうだいしたいと思います。
  207. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 基本的には社会保険方式という現在の保険の仕組みの中では救いがたい状態にあるということで、本当にこれは困ったものだな、率直に申し上げてそんな感じがいたしております。戸井田元大臣もそのことについて見解を示されたし、一つの問題意識を示されたと思います。したがって、それから継続して、いろいろこの問題は事あるごとに厚生省としても問題になっておりますし、検討はされておりますが、現行制度を変えな。いでそのままの状態ではなかなかこれはできにくいということでございますから、制度をどういうふうにいじればできるのかというような点まで掘り下げてひとつ検討しなければ、現行制度ではできないんだなという、そんな感じがいたしておるわけでございます。
  208. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これはぜひとも今後の問題として、改めて角度を変えてでも御検討いただきたいと思います。  続きまして、雇用保険関係からちょっとお聞きをしたいと思います。  今国会で、労働保険の保険料の徴収等に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案、これが提出になったというふうに聞いております。この雇用保険関係の徴収料の問題では、一昨年、平成二年の三月に、我が党は、近年の景気拡大で雇用保険の積立金が平成二年度末でおよそ三兆円、正確に申しますと二兆九千七百八十四億円と大幅に膨らんでいることから、雇用保険料の引き下げをそのときに提案をいたしました。さらに、そのための労働保険徴収法の一部改正案を提出をいたしまして、予算委員会等においても主張してきたわけでございます。今回我が党の主張を入れていただきまして、雇用保険料の引き下げを内容とする法案を今国会に提出をされたというふうに聞いております。  具体的に、今回の保険料徴収の引き下げ等によって恩恵をこうむる人、この人はどういう人たちが対象になっておるのか、またその人数ですね、そして、具体的に幾らくらい、それぞれの収入階層、所得階層によって軽減になるのか、そのことを簡単に教えていただきたいと思います。
  209. 若林之矩

    ○若林政府委員 今回の法律の改正によりまして、賃金を得ております労働者三千二百万がその対象となるわけでございます。  それから、今回の保険料率は、現在労働者に係ります雇用保険料率は賃金の千分の五・五になっておるわけでございますけれども平成四年度につきましては、労働大臣の告示、これは本年二月十日に出されておりますけれども、これによりましてこの料率が千分の一引き下げられております。したがいまして、平成四年度は千分の四・丑となることになります。また、平成五年度以降につきましては、今国会で御審議いただくことになります。ただいまの法律が成立いたしますれば、さらに千分の〇・五引き下げられまして、千分の四となるわけでございます。  このような保険料率が引き下げられました場合には、労働者一人当たりの年間保険料負担の軽減額でございますけれども、例えば年間賃金が四百万円の方、これは平成四年度四千円、平成五年度以降六千円ということになります。年間賃金が六百万円の方につきましては、平成四年度六千円、平成五年度以降九千円ということになるわけでございます。
  210. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 済みません、ちょっと答弁抜けていると思いますが。対象になる方の人数はもちろん聞きましたけれども、常用労働者だけですか、パートとか臨時の方とかは入っておりませんか。
  211. 若林之矩

    ○若林政府委員 これは常用者に関します雇用保険制度、短時間労働者に関します雇用保険制度双方でございますので、パート労働者も対象になるわけでございます。
  212. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今詳しく人数等をお聞きをいたしましたけれども、雇用保険、平成二年度末で約三兆円、またさらに三年度末では三兆数千億円というふうにも積立金がなるように聞いております。私は、この雇用保険を単に料率をそれぞれ引き下げる、国の補助率を引き下げるということだけではなしに、別の角度でこの雇用保険の積立金というものを活用していった方がいいのではないか、そういうふうに実は考えるわけであります。  それで、これは新聞の記事からではございますけれども、記事の内容等確認かたがた御質問いたしますが、二月の十七日の日経新聞にこういうふうに出ておりました。「育児・介護休業中の所得保障 労働省、再び検討 雇用保険部会二十六日から協議」、こういうふうに書かれております。これは、育児休業法の制定の過程で、この雇用保険の中の積立金を利用して何かできないかという話も一時ございまして、そして雇用保険の中の三事業を利用してできないだろうか、こういうふうな話も実はございました。ここに書かれている記事をちょっと見てみますと、「四月から施行になる育児休業法は所得保障措置が盛り込まれていないため、無給では休業を取得しにくい」として、労働組合などから雇用保険制度を利用した休業給付について検討するよう、強い要望が出ている。これで二月の二十六日から会議を開いて、九二年度中に報告をまとめる、こういうことが出ておるわけでありますけれども、実際こういう線に沿って検討がなされておるのかどうか、確認をしたいと思います。
  213. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生の御指摘のとおり、育児休業中の所得保障問題につきましては、この四月一日から実施されるわけでありますが、私の選挙区、山形でございますが、その御婦人の方々なんかがお見えになりますと、育児休業はありがたい、だけれどもその間収入がなくなってしまうと困りますから、その点は何とかならないのでしょうか、こういう率直な御意見も私のところに参りますし、またいろいろな方々からこの問題について、育児休業は立派なことだけれども何とかならぬか、こういうような御意見があることは事実でございます。  現実に育児休業をやっておるところが既にあるわけでございますけれども、それはやっておられる会社によっていろいろ差がございますが、会社の判断で何らかの措置を講じていらっしゃるところがあることも事実でございます。  ただ、いわゆる雇用保険というものができました経緯を考えてみますと、それをいろいろな形で直接、従来もともと対象にならなかったことにそのお金を使えるかということについては、実はいろいろな議論がございまして、実は今般、中央職業安定審議会の雇用保険部会というのがございますが、その雇用保険部会において雇用保険制度のあり方に関して、基本的な問題についての御審議をこれからお願いをすることになっておりますので、労働省といたしまして、また私といたしましても、その審議会でいろいろな議論をしていただくということで、その御議論の推移を今見守っているというのが現在の立場でございます。
  214. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そうすると、この九二年度中に出される審議会の意見を見て考えたい、こういうことですか。
  215. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 いろいろな御意見を多方面から承って、どういうような形に審議会でおまとめになるのか、その御議論の方向を見守っていきたい、こういうことでございます。
  216. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 実はこの育児休業中の所得保障の問題は、例えば、ことしの四月一日から育児休業が全体的に導入をされて、そしてそういう中で実際にやってみてどういう問題が起きるかということではなくて、実はもう導入の時点からやはり、先ほど大臣もみずからお話しになられましたように、やはり育児休業中の所得保障というものが大きな問題であろう、こういうことは制度を実施する前から実は言われておる問題でありますので、この件についてちょっとお伺いをいたしますが、平成三年、去年の三月五日に、婦人少年問題審議会の建議というものが出ております。「育児休業制度の確立に向けての法的整備のあり方について」、こういう建議でございます。その中でこういうことを述べられております。  「育児休業制度を着実に定着させるという観点から法制化を考える場合に、現時点で真に必要なことは、育児休業の取得を法的に保障するための基本的な枠組みを作ることである。」これはできたわけですね。「更に、実効性の確保を図ることも重要であり、今後、制度が将来的に我が国社会にしっかり根付くよう、労使及び行政がその必要性を十分に認識しながら育てていくことが期待される。」こういうふうな建議として出ておるわけであります。  そして、ここで言われているように、基本的な枠組みはこれは確かにつくっていただきました。ですから、大きな枠はつくっていただいたわけでありますけれども、そのときに実効性の確保を図っていく。先ほど言われましたように、つくっていただいたのはありがたいのだけれども、実は所得保障がない、こういう観点からは、つくっていただいても使えないとか、育児休業がとりづらい、いろんな問題が私は出てくるんじゃないかと思います。これはもう建議の段階で既に指摘をされております。  そしてさらに、建議の中でこういうことも言われております。これは労働者側の意見だと思いますが、「休業期間中の労働者の経済的援助については、一方で安心して育児休業が取得できるよう産前産後休業に対する出産手当金などと同程度の六割相当の所得保障を労、使、国三者で負担する新たな基金制度で行うべきであり、仮に、今、一定の方向を定めることが困難な状況にあるとしても、将来を展望して引き続き検討を行い、できるだけ早い時期に、一定の結論を得るべきであるとの意見がある。」これはもちろん労働者側ですから、他方、ノーワーク・ノーペイということも言われております。また、他の労働者とのバランス、こういうことも建議の中では言われておるわけでありますけれども意見としてともかくも導入の前から、枠組みをつくっても実効性が大事だよ、こういうことは言われておるわけであります。  それで、この実効性を確保するということで、私は今後どういうことがあるんだろうかと考えております。その中で、これは厚生省の管轄かと思いますけれども、お金の問題とともに、例えば、子供さんを二人持っている、その場合に、上の子供さんを保育園とか保育所に通わせて、そして下の子供さんが生まれるということで育児休業をとる。そのときに育児休業をとると、今まででしたら、上のお子さんは保育所から、お母さんが家にいるんだからということで退所させられる、こういうことがありました。これは今回厚生省の決断で、そういう人たちも理由があればそのまま通ってよろしいと、こういうことを、継続を認める、そういう入所枠も拡大をした。これは私は、ある意味で言えばこういう実効性の確保、その部分で非常に大きな要素ではあると思います。こういう形で厚生省も関係するところでそういう形でやっている。  ですから、私は最後に、やはりまだまだいろんな問題があろうかと思いますけれども、育児休業を制度として実効あらしめる措置、このことについて労働省はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  217. 松原亘子

    ○松原政府委員 先生御指摘のように、育児休業法の実効性の確保というのはいろんな面があろうかと思います。まず何よりも、育児休業法に基づいて必要な労働者が確実に育児休業がとれるということが一番重要なことだというふうに私どもは思っております。そういうことから、育児休業を労働者の権利として規定いたしました育児休業法の内容を周知徹底させるということが第一だというふうに考えておりまして、全国の婦人少年室において機動的な相談指導を行うということ、そのための行政体制を整備するということをやろうといたしているわけでございます。  また、育児休業法の目的といいますのは、育児のためにやむを得ず仕事をやめなければいけないという人がそういうことにならないように、継続して雇用を維持し、そして育児が終わったらまた復職できることを確実にするということにあるわけでございます。したがいまして、円滑に職場に復帰できるということもこの育児休業法の実効を確保するという観点からは重要だというふうに考えておりまして、このため、来年度の予算に、育児休業中の労働者の職場適応性ですとか職業能力の維持回復を計画的に講ずる事業主に対して奨励金制度を創設するということをお願いをいたしているわけでございます。
  218. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 周知徹底とか情報、また復職の確保とか、いろんな形で私は、それはもちろん大事であろうと思いますけれども、先ほどから何回も私申し上げますし、労働大臣も言われたことでありますけれども、やはり最終的には、育児休業中に収入がないと食べていけないということは事実でございますから、その間やはり何らかの収入の手当てというものがないとこれはなかなかとりづらい。そういうときに、やはり収入の面からも産休明けで働かざるを得ないとか、これは通常考えればそうなっていかざるを得ないということは私はわかると思いますが、これは先ほど大臣も言われましたように、審議会の答申を待って検討していきたいということでありますが、この育児休業制度を実効性あらしめるための給与保障、所得保障というものは最大の課題であるというふうに私は思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  219. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生おっしゃるような御意見、私もいろんなとごろで受けておりますし、私なんか農村の方が多いものですから、そうすると、おしゅうとさんが一緒にいらっしゃる嫁さんがいらっしゃるわけですね。ですから、育児休業はいいんだけれども収入がなくなって、だから、おしゃうとさんに子供さんを預けてどこかパートとかそんなことはできないかというようなお話もあるわけでありますが、今局長が申しましたように、やはり育児に専念をしていただく。逆に、その育児のために仕事と両立てきないという、そういういわば核家族といいますか、そういう方々を主として対象にしているわけでございますので、まず四月一日からいよいよ施行になるわけでありますので、現在の形でまずできるだけ普及をしていただく、実効を見る、その上で、片や今申しました審議会、雇用保険部会のいろんな議論も経ながら、またいろいろ考えさせていただく。  ただ、もともと雇用保険という性格がございますので、おのずからその雇用保険の性格の中での議論ということになると思いますが、御意見はしかと承りました。
  220. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ぜひとも全力を挙げて実効性あらしめるようにお願いをしたいと思います。  続きまして、ボランティアの活動についてお伺いをしたいと思います。  これは次の世代、次代のキーワードはボランティアである、こういうふうに言う人がいるというふうに聞いております。また、生活大国というものを志向していく中で、当然生き方としてそういう流れに対して何かしていくのではないか、何かできるのではないか、こういうことを私は考えていかなくちゃならないと思います。そして我が党は、そういう観点から生活大国ということを申しておりますので、昨年末に、生活者の政治実現推進の一環としてボランティア活動の促進をするため、党内にプロジェクトチームを設置をいたしました。また委員長がみずから、本年一月の衆議院本会議で、高齢化社会到来に先立ち、ボランティアの必要性について、促進法的なそういうものを推進する立場質問をそのときにいたしました。残念ながら確たる答弁はございませんでしたけれども、もとよりボランティア活動というものは、本来市民一人一人の自発性、また自主性のもとに成り立っていくものでありますから、こういう自主性、自発性を最大限に尊重していく、そういう中で国または地方公共団体が側面的な役割、また奨励的な役割を果たしていくことが私は重要ではないか、こういうように実は考えております。  ここに東京ボランティア・センターというところのパンフレットがありますけれども、この中に「ボランティア活動の四原則」というものが載っております。一つが、自主性、主体性、そして二番目が、社会性、連帯性、そして三番目が、無償性、無給性、そして四番目に、創造性、開拓性、先駆性、この四つが載っております。この中で私は、四つありますけれども、端的に言いますと、無償で、要するに見返りを期待しないで他人のために行う活動である、こういうふうに実は思うわけであります。  そこでお伺いをしたいと思いますけれども、こういうボランティアをやっている方はもともと自発性でやっているわけですから、財政的に、いろいろもらいたいとか、そういう給与的なものをもらいたいという気持ちはありませんけれども、中で一番心配しているのが、ボランティア活動中の事故なんですね。ボランティア活動中における万一の事故に対して何か保険制度みたいなものをお願いできないだろうか。給与とかそういう対価を要求するものではないけれども、万一のときの事故だけが心配である、こういうことを実は言われておるわけであります。  現在このボランティア保険というものが社協を中心に、シャキョウといっても社会党、共産党ではありませんが、全国社会福祉協議会というものですが、保険というものがあると聞いておりますけれども、これの加入状況についてお伺いしたいと思います。
  221. 末次彬

    ○末次政府委員 御指摘のとおり、全国社会福祉協議会でこのボランティア保険を実施いたしておりますが、加入状況といたしましては、個人で活動しているボランティアの方が六六%、グループで活動しているボランティアの方が七八%程度加入しておられると聞いております。
  222. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これは平均してたしか六九%、約七割ぐらいの方だと思います。  これで、私はきょうぜひともお願いをしたいと思うのは、これは個人加入なんですね、この保険は。ですから、ボランティアをやる方がそれぞれ入らなくちゃならない。入ったときには、このボランティア保険、A型、B型というのがありまして、掛金が年間三百円とか五百円。これは私は個人で負担していただいてもそんなに負担にならない金額だと思いますけれども、あくまで個人が申請をして入らなくちゃならない。その手続をとらなくて何かボランティア活動中に自分が事故に遭う、また相手に対して傷害を負わせた、そういうときには何もないということなんですね。  ですから私は、こういう個人として入るということではなくて、ボランティア活動中であるということが証明をされれば、これはもう国でそういう部分をカバーしていくというのがいいんじゃないか、制度として。ボランティアということですから、余り口を挟むとかそういうことではなくて、制度として万が一のときはバックアップしますよ、だから十分に皆さん能力を発揮して、創造性を発揮してやってくださいよ、国は表には出ないけれども、万が一のときには応援できる体制だけはつくりますよと。ですから私はこれを国で、できたらこの保険ということをカバーをしていただきたい、こういうふうに思いますけれども、この点につきまして御意見を伺いたいと思います。
  223. 末次彬

    ○末次政府委員 ボランティア保険そのもの、先ほど申し上げましたように非常に自主性を重んじるということで、その活動自身を把握するということは公の立場ではなかなか難しいという点がございます。したがいまして、保険事故そのものの認定、確定というものと国の助成というものを結びつけることは非常に難しい点がございます。  したがいまして、厚生省としましては、このボランテイア保険につきまして加入促進を図るということが非常に大事だろうと思っております。そのため、社会福祉協議会がこのボランティア保険に加入するという情報提供活動に対して、現在助成を行っているところでございまして、今後ともこのボランティア保険の普及促進が図られますように、社会福祉協議会の活動を支援してまいりたいというふうに考えております。
  224. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ここにボランティア保険のパンフレットのコピーがあるのですけれども、ここで言う「ボランティア活動中」ということで「無給で、自助活動でない」、自分のためではない活動、これを全部認めているわけなんですね。ですから、ある意味で言えば非常に広い範囲で今ある保険自体がカバーをしておるわけですから、特に契約を結んで厳密にということは私は必要ではないと思います。  先ほどから申しますようにボランティアというのは個人で自発的にやるものですから、国として、自発性自発性ということで国の制度の外なんだ、手を出さない方がいいんだという、悪い意味で国の制度の外だからという考え方ではないかと思うのです。ですからこの部分が、先ほど言いましたように、ああしろこうしろとかリードするのではなくてバックアップをしていく、こういう姿勢でこの保険のことはぜひお考えをいただきたいと思うのです。  この問題で最後にちょっと大臣に、ボランティアをバックアップする環境整備についてお伺いをしたいと思います。
  225. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今のボランティア保険につきましては、お話のとおりでございまして、これは国が制度化して入れ入れと言うわけにまいりませんので、社会福祉協議会とか、そういう側面的に私ども今後とも努力をしてまいります。  なお、いろいろお話がございましたように、ボランティア活動というのは本来民主的、自主的に行われるものでございますので、振興法を制定するということが果たしてなじむのかなということで、私どもとしては今のところこれを直ちにそういう方向に持っていくということは考えておりません。  ただ、このことについても、厚生省は何らかの形でボランティア活動に側面的に援助をしろというお言葉でございますし、この問題につきましても、そういう面からは私どもまた御協力できると思っております。要するに、それは一つの国民への参加の呼びかけという点はひとつ強くやっていって、そして、今までもやってまいりましたけれども、高齢者の介護のために頑張っているこの方々に対して国民全体がもっと認識をし、広く高齢者の介護のためにまた一人でも多くの人が参加するように、今後とも広く呼びかけていきたいと思っております。
  226. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続きまして今度は、最近よく言われておりますフィランスロピーとかいう企業の文化活動、この面について、ボランティアと若干関係する部分がございますので、税制の面からちょっとお伺いをしたいと思います。  大蔵省にお伺いいたしますけれども、特定公益増進法人というものがございます。この特定公益増進法人というものは文字どおり公益増進法人で、いろいろな審査を経て国から認められるわけでありますけれども、これは現在幾つぐらい認められておるのか教えていただきたいと思います。
  227. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 特殊法人につきましては二十三、あるいは民法法人が七百七十七、学校法人が千百七十七、社会福祉法人が一万三千四百二十三ということでございまして、一万五千四百というふうに承知しております。
  228. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 これで、私の同僚議員が大蔵委員会でもお尋ねをしたというふうに聞いておりますけれども、例えば社会福祉法人となりますと、これは社会福祉法人何々会士か全部わかるわけですね。しかし、民法法人の七百七十七ですかある法人、特定公益増進法人ということで各省庁が認定をしているようでありますけれども、実は寄附をしたいと思ってもわからない。そしてある意味で言えば、自分が寄附をしたことがそういう公益増進に本当に使われるのだろうか。ひょっとして自分が寄附をしたことによって悪い方に使われたらこれは困る。だけれども、自分が例えば会社で事業活動をしながらそこまで詳しく調べる余裕はない。そうなったときに、国の、各省庁の判断で公益増進法人というのを認めておるようでありますけれども、そういうふうに、ある意味で言えば一回審査を受けている、ある意味では心配のないところというふうに考えられる、そして税制上の優遇も受けられるということで、この特定公益増進法人はどういうものがあるのか、どういうところが認定されておるのか、これを知りたいという声が最近ふえているというふうに聞いております。  ですから私は、このリストをできるだけ早く公開してもらいたい。また、何か冊子にでもしていただいて、みんなの目につくところでお役に立てるように冊子にでもしてもらいたいと思いますが、この点いかがでしょうか。
  229. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 御指摘のございますように、まさに寄附をしたい、しかしどこに寄附していいのかということがなかなかわからないという声があることは、私どもよく承知しております。まさに情報提供というのは一つの重要な課題であろうと思っております。  ただ、この特定公益法人のリストにつきましては、民法法人の場合には、個々の特定公益法人の認定は当該法人の主務大臣ということになっておりましたり、あるいは都道府県の所管します法人の場合には都道府県知事が行うということ水なっておりまして、大蔵省として全体をまだ知り得る立場にございません。ただ、今御指摘がございましたことは、やはり重要な一つの課題であろうと思っておりますので、各省庁七十分連絡をとって、その方向に向けて努力をしたいということを申し上げておきたいと思います。
  230. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ぜひとも早くお願いしたいと思います。  最後になりますが、個人の住民税の件でお伺いをしたいと思います。  現在、この寄附等の行為において、個人住民税、所得割分ですけれども、これの寄附をした場合の所得控除の対象を拡大してもらいたい、また、最低限度額の引き下げを行ってもらいたいということが要求として出てきております。現在のところ、個人住民税で寄附金控除の対象になるものは、御自分が住まれている住所地の都道府県共同募金会または日本赤十字社のその都道府県の支部に前年中に行った寄附に対して個人住民税の減税がある。ですから、この二つしか個人にとっては認められておらないということでありますが、これは税のことですけれども地方税でございますので、自治省来ていただいていると思いますが、この対象の拡大について今後どういうふうにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  231. 杉原正純

    ○杉原政府委員 個人住民税の寄附金控除につきましては、今御指摘がございましたように、極めて限定された場合だけ寄附金控除が現在認められているわけでございます。実は、個人住民税、既に御案内のとおりでございますけれども、ちょっと所得税と性格的に異にいたしておりまして、地域の費用を、能力に応じてではございますけれども、できるだけ広く浅く住民の方に負担分任していただきたい、こういう思想のもとの税でございますものですから、寄附金につきましても、本当に寄附した人が住んでいる住所地のところで寄附先の団体が公益増進事業をやっていただけるかどうか、そういったその辺の地域性、因果関係といいますか応益関係といいますか、それがはっきりしないということで、従来寄附金控除を個人住民税では取り入れていなかったわけでございますけれども、しかし、昨年度から新たにその応益関係、地元地域性といいますか、その応益関係がはっきりするものにつきましては、住民税といたしましても寄附金控除を新たに認めるということで、お説のように現在二つの団体につきまして対象にしているわけでございます。  個人住民税の方、今申しましたように、制度といたしまして創設したばかりでございますので、今後具体的な事例に即しまして、その法人の公益増進事業の中身でございますとかそれの地域との関連とか、そういったことにつきまして個々具体的に検討してまいりたい、かように考えております。
  232. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 済みません、ちょっとオーバーしますが、最後に。ちょっと待ってください、同じ方に質問でありますから。  それで、控除額として十万円というバーがありますね。これのバーをちょっと五万円とか一万円、所得税一万円ですけれども、これを引き下げられないかというふうに私思いますが、この十万円のバーの引き下げについて今後どうお考えなのか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  233. 杉原正純

    ○杉原政府委員 今の十万円につきましても、御指摘のように所得税と差がございます。これは先ほども申しましたように、住民税の場合、できるだけ幅広くたくさんの納税者の方に薄くでも税負担をしていただきたいといったようなことが主たる目的からそうしておりますけれども、しかしこの点につきましても、寄附の実態でございますとか、寄附金控除に関しますいろいろな方面の御意見など今後伺いながら、必要な検討を怠らないようにしてまいりたいと思っております。
  234. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 どうもありがとうございました。
  235. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 これにて鳥居君、石田君の質疑は終了いたしました。  次に、筒井信隆君。
  236. 筒井信隆

    ○筒井委員 時間が十五分しかありませんので、きょうは大蔵大臣に最初、預かり金あるいは預託金についていろいろ教えていただきたい、御見解をお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。  預託金、預かり金に関して、もちろん一般論の形ですが、三つの形がいろいろな形で問題になっておりまして、一つは、口ききあるいは仲介の謝礼として例えば二千万円を受領した、この場合の税制上の取り扱い、それから二つ目は、指導、援助を受けたからお納め願いたいとして持ってきた一千万円を例えば受領した場合、この場合の税制上の取り扱い、それからもう一つは、ゴルフ場を建設してゴルフ会員権販売収入が一千二百億円ほどあった、この場合の税制上の取り扱い、この三つの形についてお聞きをしたいと思います。  最初に、口ききあるいは仲介の謝礼として例えば二千万円受領した場合でございます。  預かり金とか預託金として税制上取り扱っているのは、これは当初から後日返還することを予定しているものでございまして、返還を予定していない限りはこれは預かり金あるいは預託金とは言えない。とすれば、これは個人の所得になるか、あるいは会社であれば法人の所得になるか、政治家であれば個人所得があるいは政治資金上の届け出になるか、いずれかしかないわけでございまして、当初から返還を予定していない金である限りそのいずれかでございますから、まず一つ目にお聞きしたいのは、それほどこの問題は難しい問題ではなくて、特に専門家から見れば、次の申告期限までに判断して申告できる問題ではないか、何年間も悩んで申告をしない、それほど難しい問題ではないのじゃないか、この点をまずお聞きをしたいと思います。
  237. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 謝礼というようなことでお受け取りになったということであれば、それは当然、そのお金の性質によって例えば雑所得になりましたり、あるいは事業所得になる場合もあろうかと思いますが、その受け取られた年の収入金額になるべきものと存じます。
  238. 筒井信隆

    ○筒井委員 その収入が返還予定ではない収入、つまり預かり金ではない収入について、例えば二年後でも一年後でもいいのですが、返還した場合の取り扱いですが、返還した場合、返還金の受領者に対する贈与という取り扱いになるのでしょうか、どういう扱いになるのでしょうか、その点をお聞きしたいと思います。
  239. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 そういったお金を後年になってお返しになったということでございましても、その間に債権債務という関係がないということであれば、それは全く別のことでございますから、そのお返しになった方の課税関係には影響を及ぼさない。  一方、それを、どういう方がその返還を受けられたかによって違いますが、いずれにしても何らかの形で収入あるいは贈与を受けた、そういうような形になろうかと思います。
  240. 筒井信隆

    ○筒井委員 受領した人は、少なくとも寄附あるいは贈与になるかと思うのですが、そういう場合、もちろん贈与税あるいは法人との関係であれば寄附の関係のいろいろな税金がかかってくるわけでございまして、そういう贈与等の事実が国税庁の方に、国税局の方に明らかになった場合、当然その点は税務関係、もし申告していなければ調査をする、必ず調査をするということが言えると思うのですが、その点とうかということと、相手によってそれをほうっておくということでは全くない、必ず申告されていなかったら調査をしてその税務関係をはっきりさせる、この点を確認をしたいと思います。
  241. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 私ども、課税の公平に関する情報につきましては日ごろから注意を払って収集をしておるところでございまして、その課税の公平のために調査が必要であるということであれば調査をいたします。
  242. 筒井信隆

    ○筒井委員 私が聞いているのは、申告されていない限り、申告されていなくてそれを国税庁の方でその事実を知った限り、必ず調査をするのではないかという質問なんですが。
  243. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 調査をいたす必要があるかどうかというのは、その個別案件について具体的に判断すべき事柄であるというふうに存じております。
  244. 筒井信隆

    ○筒井委員 預かり金でないことがはっきりした、そして返還をしたのが先ほど寄附あるいは贈与という形になる、それを申告されていなかった場合には必ず調査するのではないかという質問でございまして、贈与であることがはっきりしているのに申告されてない、この場合に、個別案件ごとに調査するかどうか考えるんじゃなくて、必ず調査するのではないかという重ねての質問でございました。
  245. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 私ども、課税上のいろいろな有力な手がかりがある場合に必ず調査をするということでは必ずしもございません。調査の必要がある場合には調査をするということでございます。
  246. 筒井信隆

    ○筒井委員 しつこいようですがもう一度確認しますが、前提条件をつけているわけでございまして、一般的に調査するかどうかを聞いているとすれば今の答えで結構だと思うのですが、贈与であることがはっきりしてかつそれが申告されていない、こういうことを前提にした場合に、それを前提にその事実を国税庁がとらえた場合には必ず調査する、こう言えなければおかしいんじゃないんでしょうか。その前提条件、明確な三つの条件を前提にした限り必ず調査する、この点を確認したいと思いますが。
  247. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 私ども適正な納税を確保するための手段としては、必ずしも調査だけではございませんで、いろいろな手段を持っておるわけでございます。  したがいまして、先ほどの繰り返しになりますけれども調査をしなければそれがどうしても確保できないということであれば、調査の必要があれば調査をいたしますが、必ず調査もするということは申し上げられないわけでございます。
  248. 筒井信隆

    ○筒井委員 そうしたら、今のお答えは、寄附、贈与があれば、そしてその事実を国税庁の方でとらえていれば必ず課税をする、この点ならば必ずそうであるということが言えるわけですか。
  249. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 その点につきましても、課税ということになりますとその他もろもろの状況が絡んでくるわけでございますから、必ず課税に至るということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういう材料があれば我々は関心を持ってフォローいたす、そういうことは申し上げられると思います。
  250. 筒井信隆

    ○筒井委員 二つ目の形ですが、指導、援助を受けたからお納め願いたいとして持ってきて、例えば一千万円を受領する。提供者側は差し上げるつもりで持ってきて差し上げたつもりであって、受領者側は保管したつもりである。受領者側は保管したつもりであれば必ずこれは預かり金になるんでしょうか。私はそうでないと思うんですが、やはり客観的に判断するんじゃないんでしょうか。その点、お答え願います。
  251. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 預かり金になるかどうかという問題でございます。  これは当然、委員がおっしゃいましたように、実態に即してもろもろの事情を総合勘案して判断することになろうと思います。
  252. 筒井信隆

    ○筒井委員 だから、受領者側が保管したつもりであるだけで預かり金になるのではなくて、差し出した提供者側の意思も確認した上で客観的な判断を国税庁側で最後はする、こういう理解でよろしいですね。
  253. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 委員のおっしゃるとおり、最終的な判断は事実に即して、実態に即して行うことになろうかと思います。
  254. 筒井信隆

    ○筒井委員 そうしますと、預かり金と受領者が主張していたとしても必ずしもそれは直ちにその主張に国税庁が従うわけではない、客観的に判断するわけでございまして、その預かり金と本人が主張している事実があって、それが所得なのかどうか、収入なのかどうか、客観的にやはり判断する必要がある。そして、本人が申告していない、こういう場合もやはり調査等の方法をとって、先ほどの表現で言えばフォローする、こういう行動をとるということになりますね。
  255. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 私どもといたしましては、適正公平な課税の実現に必要と思われる行動をとるということかと存じます。
  256. 筒井信隆

    ○筒井委員 二年後に返還した場合、これは税制上流動負債になるんではなくて固定負債になると思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
  257. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 いずれにいたしましても、これが何らかの形で負債性を持っておる、つまり預かり金であるということでございますれば、課税上の取り扱いには差異を及ぼさないと存じます。
  258. 筒井信隆

    ○筒井委員 どっちかを聞きたいんですが、まあよろしいです。  三つ目の、ゴルフ場を建設してゴルフ会員権販売収入、これが最近刑事事件が起こった例ですが、一千二百億円が入ってきていた。これはもちろん預かり金ですから返還することが予定されている、こういう理由で、しかも長期ですから固定負債となる。非課税の取り扱いになっているわけでございまして、これ、基本的にはこういう取り扱いでやむを得ないかと思いますが、しかし同時に、ゴルフ会員権販売収入というのが、実態の問題としては必ずしも返還されていないという実態がある。ゴルフ会員権を買った人がそれを手放したいときにゴルフ場の方に返還を請求するかというと、そういう例はたまにありますけれども、全体から見たらほんの一部、ほとんどは、ゴルフ場会員権市場が成立しておりますから、市場でゴルフ会員権を販売する。市場でゴルフ会員権を販売する限りはゴルフ場の返還ということが必要になっていないわけでございまして、形式的には返還することが予定されている預かり金、固定負債でございますが、実質上の多くの場合は返還される例は少ない。そうしますと、形式的には預かり金だけれども、多くの場合にそうではないということが多いんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  259. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 委員御指摘のとおり、実態といたしましては、そういった預託金が返還されるというケースは非常に少ないものというふうに承知をいたしておりますけれども、私どもといたしましては、やはりこのゴルフ場側が返済をしなきゃならないという債務を負っておる性格のお金である以上は、課税上の取り扱いといたしましては債務である、したがってそれは課税の対象にならない、そういう扱いをせざるを得ないものと考えております。
  260. 筒井信隆

    ○筒井委員 実質課税の原則というのが税制上もあるというふうに聞いておりますが、それは別に帰属の関係だけではなくて、こういう場合にもやはり実質課税の原則というのは当てはめて考えるべきじゃないでしょうか。
  261. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 債務として現実に返済されるという状態は変わっておらないわけでございますから、いかに実質課税といいましても、そこまで踏み込むということは無理であると私どもは存じております。
  262. 筒井信隆

    ○筒井委員 それから、その非課税の場合、もちろん全体がそういうふうに形式的には返還することが予定されておりますから、ゴルフ場の建設費を大幅にオーバーして、今度の事件のように大幅にオーバーして会員権を販売してたくさんの販売収入があった、そういう場合もやはり非課税になるわけでございまして、こういう非課税の巨額資金が入る税制上のうまみというのが、今ゴルフ場建設ラッシュの一つの、今というか以前からですが、大きな理由になっている。  確かに、税の、大蔵省から見た場合でも、どこから見た場合でもそうですが、形式上は、少なくとも法律上は預かり金ですからなかなか直接もろに課税することができないかと思いますが、しかし、先ほど申し上げました、またお認めになられましたように、実質的にはなかなか返還される例というのは少ない。この形式と実質の、何といいますか、はざまを利用したやはり巨額資金を集める方式になってしまっているんではないか。何らかの対策を考える必要があるかと思うんですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  263. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 確かに今委員御指摘のように、非常に巨額なお金を集められるというようなケースがある場合もあるというふうに報道されておりますけれども、それに対して対策を考えるといたしましても、私ども税制の立場考えるということには限界があるように存じます。
  264. 筒井信隆

    ○筒井委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  265. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 この際、小岩井清君から関連質疑の申し出があります。筒井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小岩井清君。
  266. 小岩井清

    ○小岩井委員 私は、地球温暖化問題について、最初に質問をいたしたいと思います。  九〇年の十月に、地球温暖化防止行動計画が出ております。この地球温暖化防止行動計画によりますと、目標として、一として、「二酸化炭素の排出抑制のため、官民挙げての最大限の努力により、本行動計画に盛り込まれた広範な対策を実施可能なものから着実に推進し、一人あたり二酸化炭素排出量について二〇〇〇年以降概ね一九九〇年レベルでの安定化を図る。」と第一点なっております。第二点としては、「上記①の諸措置と相まって、さらに、太陽光、水素等の新エネルギー、二酸化炭素の固定化等の革新的技術開発等が、現在予測されている以上に早期に大幅に進展することにより、二酸化炭素排出総量が二〇〇〇年以降概ね一九九〇年レベルで安定化するよう努める。」と、この二点が行動計画の目標として決められております。  この前に、その六月に総合エネルギー調査会の見通し、これにおいては、一九八八年度から二〇一〇年までの間のGNP弾性値については〇・四二と決めていますね。それからさらに、その前提となっているもの、〇・四二という前提となっているものについては、このGNP、経済成長率について一九八八年から二〇〇〇年までは四・〇%ですね。二〇〇〇年から二〇一〇年までを三・〇%といたしております。八八年から九〇年度、もう過ぎたことでありますけれども、GNP弾性値は〇・八五であります。最近のエネルギー消費実績を踏まえた上で二〇〇〇年における需給見通しを達成するためには、GNP四%の成長を、前提を変えない場合には、変えれば別ですよ、変えれば別ですけれども、変えない場合には、一九九〇年度から二〇〇〇年度までのGNP弾性値は〇・三四程度にしなければならない、こういうふうに言われていますね。ということは、どういうことかといえば、おおむね一九九〇年レベルで二〇〇〇年以降CO2の排出を規制するということですから、ということになると、このエネルギーの長期需給見通しですらもう既にその目標を大きく上回ってしまっている。  したがって、お伺いをしたいことは、この地球温暖化防止行動計画の確実な達成の必要性があるということ、第一点ですね、必要性があるということ。しかし、それに伴うエネルギー制約、これにはこの今言ったエネルギー総合調査会ですか、エネルギー調査会並びにエネルギーの長期需給見通しと整合性について大きく狂ってきているんじゃないか。あわせて、我が国の持続的経済成長ということを日米首脳会談、東京宣言で約束しましたね。この点からいっても整合性について大きく問題があるんじゃないか。この関連についてどう考えていくのか、要するに、地球温暖化防止についてどう考えていくのか、この点をそれぞれ担当大臣から伺いたいと思います。
  267. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 御指摘の地球温暖化防止の取り組みに当たっては、地球温暖化防止行動計画にも述べられておりますように、技術による問題解決等を通じて経済の安定的発展との両立を図っていくとの基本的な考え方に立って、さまざまな施策を実施することが必要であると考えております。  現在通産省といたしましては、一つ、省エネルギーの推進、非化石エネルギーの導入促進等を初めとする総合的エネルギー政策の実施、二つ、二酸化炭素固定化、有効利用の技術などの革新的技術開発の実施、三つ、発展途上国への環境、エネルギー技術の移転の促進などに取り組んでおります。このような経済の安定的発展との両立という考え方が、日米共同宣言にある我が国経済の持続的成長と矛盾するものではないと考えておりますので、御了承賜りたいと思います。
  268. 野田毅

    ○野田国務大臣 今通産大臣からも御答弁ありましたけれども、いわゆる持続可能な経済成長、こういう表現でありますが、これは基本的に中長期的に物価及び雇用の均衡ですね、物価の安定そして雇用の均衡を維持しながら持続可能な安定的な成長を図っていく、こういうことを頭に置いて表現されておるわけであります。同時に、中長期的に見まして、今の地球温暖化防止ということ、こういう環境面の制約、資源エネルギー面の制約、そういったことをいわば前提にした、そういう環境制約ということを前提にしながら、それと経済成長とをうまくバランスをとってやっていく、こういうことでありますから、基本的に私どもが持続可能な安定的な成長ということを言う場合には、当然のことながらそういう環境面のいろんなものを、いわば技術革新だとかあるいはそれぞれのいろんな省エネの努力であったり、そういうことを加味しながら実は達成していく、こういうふうに認識をいたしておるわけであります。
  269. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 委員御指摘のように、一昨年の十月に地球温暖化防止行動計画というのを十一省庁集まって関係閣僚会議決めました。その線に沿って今いろいろな努力がされているわけでありますけれども、我が国は、石油危機以降も省エネルギー対策ということで、経済成長をさせながら二酸化炭素の排出量の抑制、経済成長というのを行ってきた実績がございます。地球温暖化防止行動計画は、このような経験を踏まえて、持続可能な開発の考え方に沿って経済の安定発展との両立を図るということで進めていくわけでありますけれども、やはり近年のエネルギー消費が増大している等の状況もございますから、やはりなお一層の努力、いろいろなことが必要だと思いますけれども、これを達成するように各省庁で決めた温暖化防止計画に沿ってやっていくべきものと存じております。
  270. 小岩井清

    ○小岩井委員 きょうはこの点で時間をとるつもりは余りないのですけれども、いずれにしても、持続的な経済成長を図っていくということになれば、この地球温暖化防止行動計画の現状、一九九〇年レベルに二〇〇〇年以降安定させる、この点について大きな矛盾が出てくるんじゃないか、今現状そうなってきつつありますから、この点については機会を改めてこれは質問をしたい、議論をしたいというふうに思います。  続いて伺いますけれども、国連環境開発会議がありますね。これについての対応方針を伺いたいのですが、まず第一点は、環境分野での世界貢献の必要性、この点が第一点です。第二点は、地球環境憲章制定の必要性があるのではないか、これが第二点目であります。第三点目は、地球温暖化防止条約交渉の基本的対応について。この点について、三点伺いたいと思います。
  271. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 まず地球サミットのことでありますけれども、この地球サミットは、人類生存の基盤である地球環境保全を目的として具体的な方策について国際的な合意をつくろうという会議でありますから、まさに画期的な会議であると同時に、それに向かって今準備会議がいろいろ開かれておりますけれども、なかなかいろいろ意見が世界じゅうございまして困難もございます。しかしながら、これを目的を達成し成功させるということが至上命題であろうということで、今いろいろな準備会議に、日本政府といたしましても政府を挙げて具体的ないろいろな提案を持って臨んでいるところであります。  この中で、今先生御指摘の地球憲章の制定ということもあるわけでありますけれども、今ちょうどニューヨークで地球憲章等についての準備会議が開かれております。何回か開かれてまいりましたし、またこれからも何回か開かれてサミットヘ向かうということになりますが、その中で、我が国といたしましてもいろいろな意見を出し、具体的なことを話し合いながら、地球憲章の制定に向けて、今努力をしているところでございます。  また、地球的規模の環境問題に関する懇談会という諮問機関がございまして、そこにもいろいろまた考え方を出していただくようにお願いいたしまして、今対処方針を持っていろいろやっておりますが、地球サミットにはこの地球憲章をどうしてもつくり上げるということで、各国で調整を図っていくということだと思います。  それから、気候変動枠組み条約における取り組み方という御質問だったと思いますが、気候変動枠組み条約は、今ちょうど御質問になられていた我が国の行動計画とやや似た計画で国際的な合意はできつつあるのでございますが、まだまとまり切ったところまではいっておりません。過去五回の交渉を行いまして、成文化について、ちょうどこの間準備会議が終わったところであります。また四月にやろうということにしたわけでありますけれども、大体その考え方がまとまってまいりました。  そして、傾向といたしましては、やっぱり大きな国であり白人の方の国の方たちは、割と、オゾン層が減って紫外線が入ってきて、そして皮膚がんの多発が起こるんではないかというようなことに大変力点を置かれまして、オゾン層の削減をとめようということは非常に各国一致して熱心でございます。ところが、アメリカのような非常にCO2の発生量の多い国が、まだなかなか私どもだとかECの考えておりますようなレベルまでこの考え方が近づいておりませんので、そこいらを今論議をしているところでありますけれども、御案内のとおり、CO2の発生量の四分の一はアメリカであります。日本はいろいろこれだけの経済活動をし、世界のGNPの一五%も生産しておりますけれども、CO2の発生量は世界の中の四・七%しか発生してない。エネルギーとしては非常に効率よくなっている国でございます。そこで、アメリカがこのCO2の削減目標を、私どもが言っております二〇〇〇年に一九九〇年のレベルでおおむね安定させようということに近づいてきていただけませんとなかなかその合意が見られないということで、今苦労をし、EC、日本等がアメリカに向かいましてもいろいろお話をし、お願いをしているようなところでございます。  まだ、五回目の会議を終わり、次の会議は四月ということでありますから、それまでいろいろな話し合いがなされてまいりますが、イギリスが昨今、今まで二〇〇五年までに一九九〇年のレベルでと言っていたのが、どうも二〇〇五年よりもっと近づけようと、私ども考えに寄ってくるようなところもございますので、これからいろいろ話し合いをし、まとめ上げていかなければいけない。そして、我が国の行動計画にありますように、二〇〇〇年にはおおむね一九九〇年のレベルで安定をさせる、それから先の削減ということはまたその先に話し合っていくというような方向でまとめてまいりたいと思っているところでございます。
  272. 小岩井清

    ○小岩井委員 CO2の排出について、二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化させる、削減はその先だというふうに言われましたね。これは、アメリカがまだそこまで来てない、イギリスは近づいてきている。これはどうしても成功させなきゃいけないというふうに思うんですね。その辺の見通しは現在つきつつあるんですか。それとも非常に困難なんですか。その辺のところを伺いたいと思います。
  273. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 これは外務省にもお願いいたしまして、国際交渉でありますから、いろいろ努力しているところでございます。  見通しをと言えば、なかなか今どうであろうということは申し上げられる段階でありませんけれども、やはりこれが何とか合意に達しませんと、このUNCEDを行いましても、気候温暖化防止、気候変動枠組み条約とUNCEDでは申していますけれども、その大きな柱である条約ができないということになりましたら、これはUNCEDが何やったんだということになってくると思うんですね。そういう意味で、何とか合意にこぎつけなければならないものと思っております。
  274. 小岩井清

    ○小岩井委員 今後の努力を期待をいたしておきたいと思います。  続いて、以上のCO2の排出問題、これは削減にいけばいいわけでありますけれども、安定化をさせるということでありますが、それとも関連をいたしますが、エネルギー政策について伺いたいというふうに思います。  昨年のことを思い出してみますと、エネルギー需給に多大な影響をもたらす多くの問題が起きた一年だったというふうに思います。第一は、湾岸戦争、この勃発による石油及びLPGを初めとする石油製品が逼迫化をした問題であります。第二は、関西電力美浜原子力発電所二号機の事故発生、これに端を発した原子力発電の本格的な安全性に関する論議が昨年はありました。三点は、電源構成の多様化、とりわけ夏季の電力需要について、これについて非常に電力需要が伸びて非常に危機的状態、これの緩和策としてのコジェネレーションあるいはガス冷房の普及等、対策の重要性が認識されるようになってきた。廃棄物発電、太陽光発電、燃料電池あるいはコジェネレーション、さまざまな電源からの余剰電力の逆潮流、これについての制度化が政府の審議会等でもようやく本格的に論議されるようになったことだというふうに思います。四番目は、先ほども質問申し上げましたけれども、本年の六月に予定されている国連環境と開発会議、地球サミットですね、これに向けて、地球温暖化対策あるいはCO2排出抑制のたおの国際貢献が我が国の喫緊の課題として浮上してきた、こういうふうに思うわけであります。CO2の排出抑制については、エネルギー利用の形態に直結するだけに、エネルギー供給構造のあり方が改めて強力に検討される必要が高まってきているのではないかというふうに思うわけです。そういうことがエネルギーについて昨年一年言えるんじゃないか。  冒頭、この地球温暖化防止計画のことも質問いたしましたけれども、これらを踏まえて一つ一つ伺いたいと思いますが、今、昨年起こったことを申し上げました。  今度はエネルギーの需給実績ですね。これは平成二年度ですけれども、最終エネルギー消費、原油換算三・四億キロリットル、対前年比三・八%増、一次エネルギーの総供給は原油換算五・二億キロリットル、対前年度化石・三%増、極めて高い増加率を示したというふうに思います。一次エネルギーの総供給量は改めて五億キロリットル台に、大台に乗っだということが一言えると思いますね。一方、このように我が国のエネルギー需要の増高が続く、こういう中で、我が国のエネルギーにおける石油依存度、これは、安価な石油価格、内需拡大によるエネルギー需要の堅調な増加傾向を受けて、昭和六十年度の五六・三%を底として五年間連続上昇してます。そして、平成二年度、先ほど二年度のエネルギー需給実績と申し上げましたけれども、五八・三%になっておった。  それでその年、平成二年六月に策定した長期エネルギー需給見通しですね、これについては、一次エネルギー総供給量目標値について西暦二〇〇〇年に五・九七億キロリットル、二〇一〇年に六・六六億キロリットルとしているわけですね。それで、エネルギー供給の構成としては、原子力発電については西暦二〇〇〇年に五千五十万キロワット、二〇一〇年に七千二百五十万キロワット、天然ガスについては西暦二〇〇〇年の目標値を六千五百万キロリットル、二〇一〇年の目標値を八千万キロリットルとしています。既に大臣御存じのとおりであります。  昭和五十五年の石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律、これは代エネ法と呼ばれていますけれども、それ以来十年経過しています。石油代替エネルギーの主要な柱というのは、原子力発電も含まれますが、石炭、天然ガス、そして未利用エネルギー、新エネルギーということで、種々導入促進策が図られてきましたね。それで、長期エネルギー需給見通しとの関連で、この代替エネルギーを積極的に導入する、そういう政策として進めているわけでありますから、その後のこの政策上の位置づけとあわせて、導入の将来的見通しですね、この点について伺っておきたいというように思います。長々申し上げましたけれども、これが第一点です。
  275. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 お答えいたします。  先生今御質問の、あるいは御指摘いただきましたエネルギー需給見通しの最近の状況、おっしゃったとおりでございます。見通しにつきましても、私ども、一昨年の総合エネルギー調査会の見通し、あるいは十月の代替エネルギー供給目標、そのような数字でございます。  現状、御指摘のように、一九八七年以降エネルギー需要の伸びがかなり高い伸びを示しておりまして、一九九〇年につくりましたエネルギー需給見通し、その後、かなり実績は高いところへ来ておるのは事実でございます。二〇〇〇年までの最終エネルギー需要見通しは、この見通しによりますと年率一・四%、それから二〇〇〇年から二〇一〇年までは一・〇%と想定しておりまして、その一・四、十年ぐらいの伸び率、年平均一・四に対して、最近の一九八八、八九、九〇で見ますと、大体三%あるいは五%を超える伸びを示しております。  一方、供給の方でございますが、石油については先ほど御指摘のとおりでございます。代替エネルギーとして石炭、原子力が大きなものでございますが、おおむね想定したより石油、石炭はちょっとむしろふえている。それから、原子力の供給につきましては、二〇〇〇年の五千五十万キロワットという目標に対して、今のスピードは若干そこまで一年くらいあるいはおくれるかというスピードでいっております。新エネルギーの供給につきましても、実際の供給目標に比べると、今の時点、まだ数年しかたっておりませんが、若干想定を下回っている状況でございます。  ただ、今後私どもとしては、省エネルギーの努力をするなり、あるいは代替エネルギーの供給、特にCO2を出さないエネルギーを中心に技術開発と導入促進を図る、制度の改正を図るというようなことも含めて努力をしておるところでございまして、今後そういう方向での見通しは全くないというわけではございませんで、努力をしている最中と申し上げたいと思います。
  276. 小岩井清

    ○小岩井委員 資源エネルギー庁長官から現状のエネルギー情勢について御答弁いただきました。エネルギーの長期需給見通しをかなり上回っているというふうに、そういうふうに理解していいのですね。今努力をしている。  これはエネルギーの長期需給見通しに修正を加える必要はまだ出てないのですか。とすると、今度、先ほどの地球温暖化防止行動計画ですか、これとの関連で非常に大きな問題が出てくるし、その辺のところ、どうですか。
  277. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 今、一九九一年暦年ぐらいまでの実績は出ておりますが、それでいきますと確かにちょっとかなりオーバーシュートとしておるわけですが、二〇〇〇年まであと九年ございます。そういう意味で私どもとしては今後、先ほど申し上げましたような各般の努力をして、民間の方々にもお願いをして、需要の抑制というか需要を落とすような努力、供給について代替エネルギーあるいはCO2を出さないエネルギーの供給に努力する、官民挙げて努力するということで、今後そういう努力をしていく。  総合エネルギー調査会の需給見通しというものは、見通しという言葉ではございますが、総合エネルギー調査会でも位置づけておりますが、これは官民ともに最大限努力をして達成すべき目標である、いわばまあ、素直にただ見通しただけじゃなくて、先生御指摘の地球問題あるいはエネルギーの将来の安定供給という点を考えて政策的にこうあるべきであるという姿を描いて打ち立てられたもの、そういう位置づけでございますので、私どもとしては、この総合エネルギー調査会の見通しを今後、今後というか、今すぐ変えるとかそういうような性格のものじゃないと考えておるわけでございます。
  278. 小岩井清

    ○小岩井委員 見通してはなくて目標だということでありますから、その目標に向かってこの施策を進めていく、こういうことになると思うのですね。かなり無理がきているんだなというふうに私自身感じますけれども、まだあと九年あるそうでありますけれども、少し見守っておきたいというふうに思います。  続いて伺いますが、エネルギーの需給動向で、これは先ほど申し上げましたけれども、電力の需給動向とその対策ですね、特に夏のピークについて電力の危機と言われておりますが、ことしの夏の電力の需給ですね、最大電力なども踏まえながら、その見通しについてはどうお考えになっているか、これを伺いたいと思います。
  279. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 実はことしの夏の見通しは、今電力会社が施設計画の大詰めの作業をしておるところでございまして、私どもも見通しを今立てつつあるところでございますので、明確な数字をちょっと持ち合わせておりません。  ただ、御案内のとおりでございますが、一昨年は非常に猛暑ということもございまして、特に東京あるいは中部地区で電力需給が非常に逼迫したということがございました。それに対して昨年は、それに対して私どもも電力会社も十分な用意をして対応しようとしておったわけですが、幸いと申しますか、涼しい夏ということもございまして、比較的伸び率が、最大電力の伸びは小さかったわけでございます。それを踏まえましてというか、ことしまた、どういう温度になるのかということはまたお天気次第ではございますが、私どもとしては十分な準備をして対応をしたい。電力会社にもそのように要請しておりまして、例えば休止火力を復活するとかあるいは夏季補修調整をするなり、あるいは試運転電力を活用するなり、あるいは電力会社の融通を活用するなり、いろんな努力をしていくというつもりでおります。  ただ、大ざっぱに言いますと、大体従来、平均すればというか、ここのところの電力、最大電力の伸びは年間五、六百万キロワットぐらいはあるだろう、それに対応して基本的には電源開発、電源立地の促進を図るのが基本的な施策だと思っておる次第でございます。
  280. 小岩井清

    ○小岩井委員 電力のことについて御答弁いただきましたが、続いては湾岸戦争の折に石油の需給と石油の価格が大変問題になってまいりまして、あわせてLPGについての、これが一番危機を迎えるんではないか、LPGの需要はあるけれども、供給はできなくなるんじゃないかというふうに言われた時期がありました。  その折に、私は商工委員会でLPGの国家備蓄の必要性について質問をしたことがあります。その国家備蓄の必要性についてはそのように受けとめていただきまして、その後国家備蓄について施策を進めているというふうに思うんですけれども、必要性とあわせて現段階において国家備蓄についてどうお考えになっているか、伺いたいと思います。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  281. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 LPGの備蓄につきましては、石油備蓄法によりまして輸入会社に輸入量の五十日分の備蓄を義務づけておるところでございます。民間備蓄でございます。そういう意味で国家備蓄は今ないわけでございますが、今先生御指摘の湾岸戦争時の経験を踏まえまして、今御指摘のような国家備蓄の必要性という点についても論議がございまして、先生からも御指摘をいただきました。  私ども、昨年十月から石油審議会の石油部会液化石油ガス分科会におきましてこの問題について今御審議をいただいておりまして、その国家備蓄が必要かどうか、あるいはその技術的な問題点、そういうことも含めて今御検討をいただいておるところでございます。五月ごろには報告がいただけるんではないかと思っておりまして、その御報告をいただいて検討を進めたいと思っておる次第でございます。
  282. 小岩井清

    ○小岩井委員 報告を受けてから対応するということでありますが、この点については報告が出てきてさらに施策が進められることを期待をいたしておきたいと思います。  CO2の関係で、環境負荷が少ないということになればLNG、天然ガスということも一つの大きなエネルギー源になるわけでありますけれども、この重要性についてにわかに今クローズアップをされてきているというふうに思います。  これは、地球環境保護対策の上から、SO北を全く含まない、CO2も石油に比較して約三〇%低い。したがって、地球温暖化防止を図りながら石油代替エネルギー利用を促進をする、その上で天然ガスはまさに理想的な特性を備えているというふうに思います。政府でも総合エネルギー調査会の中にガス基本問題検討小委員会設置しているということを承知いたしております。天然ガス供給基盤の整備、中小都市ガス事業者の天然ガス化の推進、効率的なエネルギー利用のためのガス供給体制のあり方、これらを審議をしているというふうに聞いております。同小委員会の検討課題、あわせて検討状況、この点について具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  283. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 今、先生御指摘の総合エネルギー調査会のガス基本問題検討小委員会でございますが、昨年六月から会議を開いておりまして、現在までもう七回の小委員会をやっておりますし、かつ欧米等に調査団も派遣しております。今、先生が御指摘ございましたような項目、政策についてどうあるべきかということを御審議いただいておるわけでございます。すなわち、天然ガス供給基盤の整備について、あるいは天然ガス導入のエネルギー政策上の位置づけについて、あるいは需要家サイドから見た天然ガス供給の意義と課題等、いろいろな天然ガスの問題について広い範囲から検討をしていただいておるわけでございます。その中の重要な問題として、今御指摘がございました天然ガスの供給基盤の整備ということについても活発な検討がなされておるところでございます。
  284. 小岩井清

    ○小岩井委員 今、ガス基本問題検討小委員会、それぞれその課題について活発な検討をしているというふうに答弁ありました。この検討の経過を見守りたいというふうに思います。  LNGについて、天然ガスについてはサハリンにも天然ガス、非常に多くの埋蔵量があるというふうに聞いているんですけれども、そのことは一応さておいておきまして、全国規模のLNG、天然ガス輸送パイプラインというのがこれは必要になってくる、必要になってくるというよりも必要だというふうに思いますけれども、この点について、必要性どう認識をされているか、認識をされているとすればどう具体的に進めていくか、この点についても伺いたいと思います。
  285. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 この天然ガスパイプラインにつきましても、今申し上げましたガス基本問題検討小委員会で検討がされております。その中でいろいろ検討課題があるわけですが、やはり今、先生御指摘の全国的にパイプライン網を張りめぐらせるという点につきましては、やはり需要密度あるいはコストということになるわけですが、コストという点からなかなか難しい問題もあるという指摘もございます。それから需要密度の高い例えば東海道につきましても、これはただ、東海道であればさらに敷設コストが高くなるという問題、あるいは道路、河川、鉄直との権利調整の問題、あるいは個人の土地との権利調整の問題等、なかなか難しい問題もあります。  ただ、御指摘がありましたように、LNG、天然ガスの意義づけというのは今後高まると思いますので、そういう意味でいろいろな角度から検討をするということでございまして、民間等でもいろいろなアイデアなり構想が打ち出されております。それも含めて先ほどの審議会の小委員会で検討を合していただいている段階でございます。今後、具体的な構想というところまではまだ私どもも来ておらない次第でございます。
  286. 小岩井清

    ○小岩井委員 まだ具体的な構想にまで来ていないということでありますが、具体的な構想にまで検討を高めていただきたいということを要望いたしておきます。  今、資源エネルギー庁長官の御答弁にもありましたけれども、LNG、天然ガスの重要性は高まっているというふうに御答弁がありました。この利用を図る、促進を図る上で高度利用形態という、ただ単に生でガスを使うだけではなくて、高度利用形態、コジェネレーションシステムとかあるいはリパワリングシステム、さらにガス冷房、天然ガス自動車、この普及についてはこれは喫緊の課題ではないかというふうに思うのです。天然ガスの高度利用形態、これについて当局、資源エネルギー庁の考え方について伺いたい。  あわせて、電源の多様化の観点から、コジェネレーションシステムやリパワリングシステム、この普及によってもたらされる経済的メリット並びに普及促進を図る上での課題についてどのように認識をされているのか、伺いたいと思います。
  287. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 今先生御指摘の天然ガスの高度利用、まさに御指摘のとおりだと思います。コジェネレーションで電気と熱両方を同時に得まして非常に効率を高めるというようなことができます。あるいはリパワリングで電力の供給をふやすと比較的安くふやすことができるというような、いろいろな使い道、あるいは天然ガス自動車というような形もあり得ると思いますし、さらには燃料電池等の使い方、いろいろな形があると思います。  私どもも、それにつきましてはかなり経済的にもうペイするものもありますけれども、まだやはり経済的にペイしないという問題がありますので、そのための、導入促進のための施策を講ずる必要があると思っておりまして、例えば燃料電池であれば燃料電池を、公のところというか人がたくさん来られるところに導入する場合に三分の一の助成をするというような仕掛けを平成四年度予算案で入れておりますし、それからもう一つの課題というか問題は、コジェネレーションの場合等は生じた電気を電力会社に買ってもらう、あるいはその先にさらに一般系統、電力の系統と結びつけるという必要というか、ありますが、そのためにいろいろな基準、技術的な基準もつくらなければいけません。  そういうような努力なりあるいは電力会社が購入する際の基準を公表するといったようなところも審議会等で議論をして、電力会社にも努力をしていただいているところでございます。
  288. 小岩井清

    ○小岩井委員 廃棄物発電についての社会党案、前回、以前出しましたね。巷間伝えられているところによると評価もいただいているようでありますけれども、この廃棄物発電とも同じになるわけでありますけれども、コジェネレーションとかリパワリングシステムから発生した電力の逆潮流、これは電力の会社に買電をしてもらわなければならない。ですから、社会党案は買電義務をそこに載せたわけでありますけれども、その点について、新聞報道ですけれども、新エネルギー発電、太陽光あるいは風力、燃料電池から発生した電力について、電源を商用電力系統と連系させる場合の技術要件ガイドライン策定を本年末までに行うとしているということでありますけれども、余剰電力の購入について電気事業連合会、電事連ですね、九電力社長会において、新エネルギーを導入した需要家から余剰電力についてことし四月から新たに買電する、こういうことが報道されております。  まず最初に、この点が事実かどうか伺っておきたいというように思います。
  289. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 結論は先生のおっしゃるとおりでございます。  ちょっと御説明申し上げますと、新エネルギー型の分散型電源に係る余剰電力につきまして、昨年六月の電気事業審議会の電力基本問題検討小委員会の中間取りまとめにおきまして、電気事業者が購入条件メニューを作成し、提示して積極的に購入を進めていくべきであるという提言がされたところでございます。  この中間取りまとめを受けまして、電力業界は、先ほど御指摘ございましたように本年一月新エネルギー型の分散型電源に係る余剰電力について購入条件メニューを作成すると公表しまして、それで本年四月から積極的に購入する方針を発表をいたしました。現在、電気事業連合会におきましてその内容の具体化を進めているものと承知しております。  また、その際の逆潮流する場合の技術的要件に係るガイドラインの整備につきましては、当省におきまして従来の検討日程を大幅に前倒しいたしまして、平成四年度末までを目途に現在検討を進めております。ただ、このガイドラインができないと電力会社が逆潮流を認めないということではございませんで、このガイドライン策定までの間におきましても、四年度中でも積極的に個別対応する旨を電力業界は公表しておるところでございます。
  290. 小岩井清

    ○小岩井委員 買電メニューについて作成ができた、ガイドライン作成前でも買電をするということで、これは新エネルギー開発について、この点がきちんと解決でき札ば新エネルギーの開発が大きく前進をするのではないか、政策的に、この点についてはどうでしょうか。
  291. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 御指摘のとおり、非常にいい方向にというか行くと思います。西ドイツ等ではあるいは法律で義務づけたりというのも、あるいは先ほど先生おっしゃった社会党のごみ発電の案、前国会でございましたでしょうか、等でもございますが、先ほど申し上げました電力会社の方針では、例えば太陽電池の電気あるいは風力発電の電気につきまして、電力会社が売っている価格と同じ、その当該需要者に売っている価格と同じ値段で買おうということを出しております。これは世界でも最も進んだというか、発電する側、発電する側というか新エネルギーを発電される側に最も有利な方向でございまして、西ドイツは法律で定めましたが、九〇%と言っておりますし、アメリカの場合はアポイデッドコストと言っておりまして、その時点でそのマージナルなところの電源コストということになりますので、恐らく、コストということになりますと、売り値の六割とか五割とかいう値段で買うよということを法律で定めております。日本では、その点電力会社あるいは先ほど申し上げました審議会の答申を受けまして、世界に先駆けた積極的な方向が出たものと私は考えております。
  292. 小岩井清

    ○小岩井委員 非常に前向きに進んでいるということで評価をいたしたいというように思います。  先ほども新エネルギー発電、太陽光発電、風力発電、燃料電池あるいは廃棄物発電、それとあわせて天然ガスを原料としたコジェネレーション、あるいはリパワリングシステム、この普及については、今申し上げた新エネルギー発電と同じように電源の多様化に資するというふうに考えているんです。このシステム、リパワリング並びにコジェネレーション、このシステムについての普及は、これは新エネルギー開発に必要不可欠だというふうに思うのです。  そういう面で、これについての普及をさせていく誘導策について、この点について伺いたいと思います。
  293. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 先ほども申し上げましたが、一つはいろんな意味での技術開発を私どもNEDOを通じましてやっております。  それから、まず電力会社の買電あるいは逆潮流という点について積極的に対応するというようなことを進めておりますので、それによりまして今まさに先生おっしゃいましたリパワリングあるいはコジェネレーションその他につきまして今後、現時点がなり進みつつございますが、ごみ発電も含めてかなりのスピードで促進が図られるというふうに考えております。
  294. 小岩井清

    ○小岩井委員 積極的に推進をしていただきたいということを要望いたしておきます。  先ほども夏季の電力需要の逼迫の件を申し上げましたけれども、昭和五十五年の代替エネルギー導入指針において、夏季の電力供給の制約の緩和策が出ていますね。これについては熱源をガス冷房にかえて普及をさせていくという重要性が認識をされているわけですね。電力業界においても冷房分野における電気とガスの相互補完的な関係、この構築が表明されるようになってきておりますが、しかしガスの冷房については新築の大規模ビルにおいては約五〇%、全体での普及率は平成二年度で一四%強ですね。まだ不十分で普及する状況に至っていない。今次の税制改正の中でエネ革税制、これは通称でありますが、創設されたほか、財投等政策的な誘導策が準備されておりますけれども、さらに制度の拡充が望まれているわけでありますが、ガス冷房の今後の位置づけと抜本的な拡充策について、これも伺いたいと思います。
  295. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 ガス冷房の普及促進、まさに今先生御指摘がございましたように、電力の夏季ピーク需要の伸びの抑制あるいは電力、ガスの双方の季節間の負荷平準化に資するものと考える次第でございます。昨年六月に取りまとめられました電力基本問題検討小委員会中間取りまとめにおきましても、ガス冷房の普及促進が検討される必要があると指摘をされたところでございます。  当省といたしましては、現在のエネルギー状況を踏まえまして、まず一つはガス冷房の特約料金制度の拡充、これはガス会社から申請がございまして、そういう方向で認可をするということ。それから予算、税制、財投。今御指摘がございました予算におきましては、例えば非常に小さなガス冷房についてもペイするようにというか、音も静かで効率のいいものができるように今技術開発の予算を四年度予算でもお願いをしております。それから税制につきましても、先ほど御指摘がございましたエネ革税制の中でも考えておりますし、それから財投につきましても、開発銀行あるいは中小公庫等の融資について特利融資をお願いするというようなことを考えておりまして、今後さらにガス冷房の普及促進に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  296. 小岩井清

    ○小岩井委員 それでは、実は時間の関係で通告の順序を変えておりましたけれども、かなり時間的ゆとりがございますので、国際協力の推進について伺いたいというふうに思います。  先ほど、地球温暖化防止についてのCO2の排出抑制これらについて、その点については日本は先進的だというふうに思いますね。それはもう率直に評価をしなければいけないわけでありますけれども、燃焼技術だとか公害防止技術だとかあるいはエネルギー関連の技術供与について、これは必要性があるというふうに思うのですね、世界に貢献をしていくという点で。この必要性と具体的な対策について、これをお伺いしたいというふうに思います。
  297. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 我が国のエネルギー、第一次オイルショック、第二次オイルショックの経験を経て、いろいろ今先生からも御質疑があり、政府委員からも答えておりましたけれども、かなり国際社会で私は環境問題等を含めて進んだ技術を持っておると思いますから、これは今後地球規模で環境問題が議論されるとき、我々の役所として、国際貢献の分野でこのエネルギー問題こそ極めて重要なものであるという認識で今後政策を進めてまいりたいと存じます。
  298. 小岩井清

    ○小岩井委員 通産大臣から御答弁をいただきまして、積極的に推進をしていくということであります。ぜひそのようにしていただきたいと思います。  それから環境ODA。環境ODAの拡充についての考え方、この点についても伺っておきたいと思います。
  299. 八木橋惇夫

    ○八木橋政府委員 環境ODAに対する方針についての御質問でございますが、環境対策に関連するODAに関連しまして、環境庁は主として技術協力に関する部門を担当しておるわけでございますが、我が国の特色といたしまして、今まで公害防止等で多くの経験を積んでまいりましたし、またすぐれた技術、人材というものもその中で育ててまいりましたことから、やはり開発途上国に対する環境分野での協力というものは我が国として積極的にやっていくべきではないかというぐあいに考えているわけでございます。そういうことから、環境庁におきましては、タイ、中国、インドネシア等における環境研修センター設立への支援を行っておりますし、またUNEPがやっております技術協力に関しても大いに積極的に協力をするというようなことを考えております。  さらに、先生質問の環境面における協力一般についても、環境庁としてはこれは積極的に取り組む必要があるということで、目下中央公害対策審議会及び自然環境保全審議会に「地球化時代の環境政策のあり方」ということで諮問を今している最中でございます。そこでの考え方も得まして、私ども、これからの時代におけるODAではやはり環境政策というものに積極的に取り組む必要があるというふうに考えておりまして、そこらにおける御意見も踏まえながら、関係省庁と連携をとりつつ、また密接な協力関係を行いながら、ぜひ環境協力を積極的に進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  300. 小岩井清

    ○小岩井委員 国際協力の推進の必要性について、一点目は、燃焼技術、公害防止技術並びにエネルギー関連技術供与の必要性について伺いました。二点目は、この環境ODA拡充についての考え方を伺いました。  それを踏まえて、国際的な環境保全のために国際基金、この問題について対応を積極的に進めていくべきではないかというふうに思うのでありますが、この点について伺いたいと思います。
  301. 八木橋惇夫

    ○八木橋政府委員 先生御指摘のように、環境問題を解決するためには、開発途上国において環境問題を解決するための、先ほど申し上げました技術協力とともに、やはりその資金調達をどうするかということが重要な課題であるというぐあいに認識しておるわけでございます。  我が国は、平成元年度と二年度で、この二年間で三千億近い規模の環境分野における政府開発援助を実施してきたわけでございますが、地球環境を保全し、開発途上国における持続可能な開発を実現していくためにはやはり相当規模の資金が必要であるという指摘がUNCEDの事務局からもなされているところでございますので、やはりこの問題は地球サミットにおける重要な課題の一つであるというぐあいに私ども認識しているわけでございます。そういうことから申し上げますと、やはりこの議論は、具体的な対策にどの程度の資金が必要であるかということを十分検討した上で、そういった資金を国際的にどのように集め、またどのように供給していくかという国際的なメカニズムを確立し、その上で我が国はどういうふうに協力していこうかということを決めていくことが大事ではなかろうかというぐあいに考えるわけでございます。  そういうことで、四月に、これは竹下元首相がUNCEDの要請に基づきまして地球環境賢人会議といったようなものを開かれるということも予定されておりますし、また、現在ニューヨークで地球サミットの合意形成に向けていろいろ準備会合が開かれているわけでございます。そういうような国際的な枠組みをどうするかということを前提といたしまして、その中で我が国としてはどういう貢献をしていくかという段取りで検討してまいる必要があろうかというぐあいに考えております。
  302. 小岩井清

    ○小岩井委員 資金調達はどうするか、相当程度資金が必要だということでありますね。この点について、三千億近いものを出しているというふうにありました。これは三千億円ですか、三千億ドルですか、どっちですか。答えてください。
  303. 八木橋惇夫

    ○八木橋政府委員 先ほど申し上げました数字は、ここ二年間日本が提供した環境分野のODAということで、三千億円でございます。
  304. 小岩井清

    ○小岩井委員 この環境保全のための国際協力というには、三千億円ですね、極めて低い数字だと思うのですね。この点大蔵大臣、どういうふうに評価されますか。非常に低い数字だと私思いますけれども。  先ほど来、環境問題についての国際協力の必要性について質問してまいりました。それからCO2の削減についても先ほど来質問してまいりましたけれども、さらに国際的にこの協力の必要性についてもそれぞれ答弁はそのとおりだということでありましたけれども、それにしては三千億円、少ないのではないかというふうに思いますけれども、財政当局の考え方を伺っておきたいと思います。
  305. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今ここでこの評価というのを問われますとあれでございますけれども、今、しかしお話をずっとお聞きしながら、やはり環境問題というのは本当に来るところまで来ているという感じ、これを私ども率直に感じた次第でありまして、よく我々としてもそういった点を踏まえながら対応をしていきたいというふうに思っております。
  306. 小岩井清

    ○小岩井委員 国際協力の推進の必要性ということになれば、先ほども環境庁は外務省を通じてアメリカのCO2削減の問題を話をしているというふうに言われましたけれども、これは外務省の責任は非常に大きいと思うのですね。この国際協力の必要性について、外務大臣からひとつ御答弁いただきたいと思います。
  307. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは非常に重要なことでありまして、環境問題というのはともかく一国だけでは防きようがないという大きな規模のものになりつつあるわけでありますから、国際協力の面において十分に今後とも考えていかなければならないことだと考えております。
  308. 小岩井清

    ○小岩井委員 副総理・外務大臣並びに大蔵大臣からお答えをいただきました。そのように積極的に進めていただきたいということを要望いたしておきます。  先ほど、これまた国際的な問題の中でエネルギーについての需給動向の中で、石油問題について質問を後に回しておきましたので、伺いたいと思います。  国際石油の需給と価格動向、現状と見通しについて伺いたいと思います。
  309. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 実は、最近の原油価格動向につきましては、御案内のとおりと思いますが、OPECの原油生産が高水準に保たれてきたこと、あるいは需要が、比較的暖冬ということもありまして、あるいは世界的な不景気というか、そういうこともございまして落ちついておりまして、需給自体は比較的安定的に最近は推移してきております。  ただ、原油価格は市場で決定されるものでございますから、将来の価格動向というのを見通すことはなかなか難しいわけでございますが、一つはやはりこれからさらに不需要期に向かうということ、あるいは現在のOPEC産油国による大幅な減産が見られないということを勘案しますと、需給に特段の問題は今後短期的には生じないかな、ただ、もちろん不測の事態が生ずれば別でございますが、生じない限り当面急激な価格上昇ということは考えにくいところでございます。  ただ、短期的にはこのようなことでございますが、長期的には世界のエネルギー需要がやはり発展途上国を中心にしてかなり今後伸びていくということを考えますと、それからもう一つは、石油の中東依存度というのが今二六%ぐらいという試算でございますが、それがIEAの見通しによりますと、二〇〇五年で三八%にまで上がるという見通しもございます。そういうことになりますと、やはり石油の長期的な需給というのは非常に問題をはらんでおるということが言えるかと思います。石油の需給が即エネルギー需給全体にも影響することは御承知のとおりでございますので、今後長期的には私どもも非常に、長期的な安定供給という点については今から大いに努力をする必要があると考える次第でございます。
  310. 小岩井清

    ○小岩井委員 長期的に若干懸念があるということでありますが、短期的には問題はないということでありますが、短期並びに中長期の見通しの中で重要な点は、クウエート並びにイラクが市場に復帰する、そしてOPECの供給調整の問題との関連でこれはどういうふうになっていくのか、この点について伺いたいと思います。
  311. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 二月の十二日から十五日でございましたでしょうか、OPECの閣僚監視委員会がございまして、OPECの生産数量二千二百九十八万バレル・パー・デーということに決めたわけでございます。ただ、これに対しては、サウジあるいはイランが国別の枠については同意をしてないというようなこともございまして、そのとおりきちっと守られているという状況にはあるいはないかもしれません。現時点、明確な確認はできておりませんが、そういう状況で推移をしております。  その中で、湾岸戦争の影響がございましたクウエートにつきましては、やはりまだ生産は現時点八十万BDぐらい、それからイラクにつきましては四十万BDぐらいということでございまして、それ以前に比べると、やはり相当大きなダウンを両方合わせて、ちょっと正確じゃございませんが、三百万BDあるいは三百五十万BDぐらい下回っておるわけでございます。それに対して、御案内のとおり、サウジを中心に増産をして、むしろ全般的には供給が十分あるという状況に今あるわけでございます。
  312. 小岩井清

    ○小岩井委員 湾岸戦争の当事国であったクウエートとイラクの問題について今御答弁いただきました。  それから、この石油の需給並びに価格動向の、これは見落としてはならない点では旧ソ連、旧ソ連の石油生産が決定的に減少してきている。この問題については、これは国際石油需給あるいは価格動向にどう影響してくるのか、この点についても伺いたいと思います。
  313. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 お答えいたします。  ソ連は、実は一九八八、九年ごろは千二百五、六十万バレル・パー・デーぐらい生産をしておりました。それが現在では、きちっと表へ出ているというか、IEA等の数字では、一九九一年では千四十万BDぐらいに落ちておりまして、恐らく現時点では九百万バレル・パー・デー台というか、一千万BDを相当下回っているのではないかと想定をしております。  一方、需要の方が、ソ連経済の状況もございまして、需要がやはり百万BD以上あるいは二百万BDぐらい落ちているように見受けられますので、それともう一つは、外貨を獲得するという必要性から、言葉はよくないのですが、飢餓輸出という言葉はよくないのですが、相当輸出の方へ回っているということもございまして、輸出の数量は、今申し上げました生産の減ほど落ちてはおりません。ただ、それでもやはり一時三百五十万BDぐらい輸出していたものが、やはり二百万を切っているというような状況にあると思います。そういう意味で、ソ連の石油の国際石油情勢の中に占める位置づけというのはかなり大きなものがございます。今後の見通しもなかなか難しいわけでございますが、ちょっと狂えばかなりマージナルなところできいてくるという面がございます。  ただ、幸いというか、先ほど申し上げましたように、現時点では需給がむしろ緩んでいるという状況でございますので、ソ連の輸出の減というのは、今後ともあるいはあると思いますが、それほど大きな影響を短期的にはもたらさないのじゃないかというふうに考えております。ただ、長期的には、やはりソ連の石油の生産、輸出動向というのは石油情勢を見る上に非常に重要なファクターだと存ずる次第でございます。
  314. 小岩井清

    ○小岩井委員 エネルギー全般について質問してまいりましたが、この地球温暖化防止行動計画に見られるように、CO2の排出を削減していかなければいけない。削減するよりも安定化、当面ですね。一九九〇年レベル、二〇〇〇年以降安定させるということでありますから。  ただし、それには経済成長を落とすわけにはいかない。持続的に経済成長はさせていかなければいけない。そして、CO2削減をして、地球環境、わけても国内の環境を守っていかなければいけない。とすれば、環境重視の、先ほど言いました新エネルギーあるいは未利用エネルギーを含めて環境重視のエネルギー対策を推進する必要があるんじゃないか、これが第一点。それからさらに、これは質問いたしませんでしたけれども、省エネルギーも推進をしていかなければならない。  こういうことで、この環境を守る、地球温暖化から守っていく、CO2安定化、さらに二〇一〇年以降は削減をしていかなければならないだろうと思います。ということとあわせて、経済成長を持続的にしていくための環境重視のエネルギー対策の推進あるいは省エネルギー、こういうことで、きちっと調和をさせていく施策の推進を要望いたしておきたいと思います。  これで終わります。以上です。
  315. 山村新治郎

    山村委員長 これにて筒井君、小岩井君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  316. 山村新治郎

    山村委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。  平成四年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検   査院、内閣総理府(ただし経済企画庁、環   境庁、国土庁を除く)並びに他の分科会の所   管以外の事項  第二分科会は、法務省、外務省、大蔵省所管  第三分科会は、文部省、自治省所管  第四分科会は、厚生省、労働省所管  第五分科会は、総理府(環境庁)、農林水産省所   管  第六分科会は、総理府(経済企画庁)、通商産業   省所管  第七分科会は、運輸省、郵政省所管  第八分科会は、総理府(国土庁)、建設省所管 以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  317. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、一分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  318. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次いで、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  319. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、明七日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時七分散会