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1992-03-02 第123回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月二日(月曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    粟屋 敏信君       井奥 貞雄君    池田 行彦君       小澤  潔君    越智 伊平君       狩野  勝君    唐沢俊二郎君       後藤田正晴君    志賀  節君       戸井田三郎君    萩山 教嚴君       浜田 幸一君    原田  憲君       福永 信彦君    松浦  昭君       松永  光君    松本 十郎君       村山 達雄君    柳沢 伯夫君       井上 普方君    伊東 秀子君       加藤 万吉君    小岩井 清君       新盛 辰雄君    関  晴正君       筒井 信隆君    日野 市朗君       水田  稔君    和田 静夫君       石田 祝稔君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    児玉 健次君       菅野 悦子君    中野 寛成君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会 塩川正十郎君         委員長         国 務  大臣 加藤 紘一君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 岩崎 純三君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     伊江 朝雄君         (沖縄開発庁長         官)         国 務 大 臣 宮下 創平君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 野田  毅君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一 大森 政輔君         部長         内閣総理大臣官 石倉 寛治君         房管理室長         公正取引委員会 梅澤 節男君         委員長         公正取引委員会         事務局官房審議 植松  勲君         官         公正取引委員会 糸田 省吾君         事務局経済部長         公正取引委員会 矢部丈太郎君         事務局取引部長         公正取引委員会 地頭所五男君         事務局審査部長         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁行政管理 増島 俊之君         局長         総務庁行政監察 鈴木 昭雄君         局長         北海道開発庁総 竹内  透君         務管理官         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練 小池 清彦君         局長         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         経済企画庁調整 吉冨  勝君         局長         経済企画庁物価 小林  惇君         局長         経済企画庁総合 長瀬 要石君         計画局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術振興局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁長官官房 森   悠君         会計課長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         法務大臣官房長 則定  衛君         法務大臣官房司 濱崎 恭生君         法法制調査部長         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         外務大臣官房外 英  正道君         務報道官         外務省アジア局 谷野作太郎君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省経済協力 川上 隆朗君         局長         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合 丹波  實君         外務省情報調査 鈴木 勝也君         局長         大蔵大臣官房長 篠沢 恭助君         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵大臣官房審 小川  是君         議官         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融 江沢 雄一君         局長         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房長 野崎  弘君         厚生大臣官房総 大西 孝夫君         務審議官         厚生省社会局長 末次  彬君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 山本  徹君         房予算課長         農林水産省経済 川合 淳二君         局長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業大臣官 榎元 宏明君         房審議官         通商産業省産業 山本 幸助君         政策局長         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         中小企業庁長官 南学 政明君         運輸省運輸政策         局次長     向山 秀昭君         兼内閣審議官         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省労働基準 佐藤 勝美君         局長         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総 斎藤  衛君         務審議官         建設大臣官房会 近藤 茂夫君         計課長         建設省建設経済 伴   襄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君         自治大臣官房審 石川 嘉延君                 議官         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     福永 信彦君   越智 伊平君     萩山 教嚴君   越智 通雄君     狩野  勝君   左藤  恵君     松浦  昭君   古堅 実吉君     菅野 悦子君 同日  辞任         補欠選任   狩野  勝君     越智 通雄君   萩山 教嚴君     越智 伊平君   福永 信彦君     池田 行彦君   松浦  昭君     左藤  恵君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、まず最初に、宮澤総理と申し上げるよりも宮澤先生政治姿勢について、冒頭お尋ねをしておきたいと存じます。  当初、四〇%を超えておりました内閣支持率が今日半分以下に低下をしておるわけであります。先般、私は、鈴木総理参考人にお呼びをいたしましたが、宮澤内閣支持率が低下しておる最大理由は、国民期待をしている、いわゆるリクルート事件あるいは共和事件等々、どうも宮澤総理個人政治姿勢がはっきりしない、問題を隠そうとしておるのか、国民のために解明しようとしておるのかが、実は国民にはっきり映らないのであります。  鈴木総理が、紆余曲折はありました、しかし、御本人勇気決断を持って、最終的には参考人にここにおいでになった。その理由は二つあると言われている。その一つは、自分とかまの飯を一緒にしてきた宮澤さん、あなたを助けてやろうという、そういう思い一つあったと、こう言われている。もう一つは、巷間、宏池会に金が行ったとか、鈴木さんのもとに金が行ったとか、いろんなことが言われている、自分自身汚名を挽回したいという思いを込めてここに来ておられたと思うのです。あの八十一歳の高齢の姿を見たときに、言われたことのすべてが私は正確だとは思わない、しかし、あの努力、あの気持ち、それは国民期待に沿っておるのじゃないですか。  あなたは、総理官邸で静かにあれを見ておったそうだ。黙して一つもあなたは言葉は発しなかったという。どう思いますか、あれを見られて。あの姿を見てあなたはどのようにとられましたか。お答えいただきたいと思うのです。
  4. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 委員会のお求めに応じまして、鈴木総理がここで参考人として誠意を持って御質問に答えられた。いわば議会の子として長い間育ってこられました鈴木さんの議会に対する尊敬の念、それがあの御意見にあらわれておったというふうに拝聴いたしました。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、党の調査したあらゆる資料をここに持ってきている。鈴木総理は、上申書に書いた一千万円以外は全部拒否された。しかし、阿部代議士を通じて、共和森口副社長あるいは首を切られた関係者皆さん方があらゆることを言っている。選挙運動で一億数千万を宏池会に納めるために金をくれといって森口に言ったと言う、金を渡したと言う、一億円を森口阿部を通じて鈴木さんに渡したと言う。言われる方はたまったものじゃない。参考人で一生懸命ここでそういう事実はないと否定しても、阿部森口を通じて一億円、麹町の名誉会長に就任するお礼として一億円渡したのだということを言われている。渡ったかどうかはわからない。あの方はもらわなかったという。しかし、疑いは晴れない。本当は、自民党総理総裁なんだ。自民党がこうした悲痛な八十一歳の鈴木さんの気持ちを代表して、その汚名をそそいでやるべきなんだ。そういう主張一つも出てこない。刑事被告人が何だかんだと言って、今までも証人喚問を見送ってきた。  私は、最後にこの問題に決着をつけた自民党理事皆さん勇気に敬意を表する。覚書事項政治姿勢が確認された、与野党問で。「自民党理事」とわざわざ名前を打っておる。自由民主党ではない、自民党理事だ。何て書いてあるか。「現在問題となっている証人喚問については、たとえ刑事被告人といえども慎重に人権上の問題、司法権関係を配慮した上その実現を計る」と、こう言っているんだ。「計るものとする」んだ。証人喚問実現に向けて本委員会はさらに努力を引き続いて行うということを確認したのです。  総理、この前の参考人はあれで終わったのではない。鈴木さんが阿部と対決してもいいという気持ちをここでるる言われた。それを受けて、与野党通じて共和問題を本当に解明しようとする勇気と自信があるなら、隠すのではなくて、一定の枠をはめた、司法権関係を配慮した上、阿部さんという人の人権に配慮した上、行政当局と我々が相談をして阿部代議士証人にあなたは応ずべきなんだ。  法務大臣、あなたにまずお尋ねをする。この政治姿勢の問題について自民党理事が我々に提案をした。これを素直に読んでいただいて、障害をつくるのではなくて、阿部被告の、与野党を通じての要求なんです、これは。与野党を通じてですよ。自民党も入れてですよ。そのことについて法務大臣の、被告人人権司法権関係を配慮した上で証人喚問に応ずるように、法務大臣勇気決断をしてもらいたい。お答えをいただきたいと思います。
  6. 田原隆

    田原国務大臣 お答えします。  先日来の御議論の中でお答えしましたのは、被告人を呼んだ場合のいろいろな問題点を事務的に御説明申し上げ、陳情申したということでありましたが、そのときも申し上げましたように、院で御決定いただき、国会で御決定いただいたものについては素直に従うという前提でそういう問題点を御説明申し上げたわけでありますから、国会でお決めになればそれに従うということは考えております。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今法務大臣国会の方でと、こういうお話でした。常任委員長も入れてこの文章上の表現に、克服されればいいということだと思います。阿部代議士証人喚問には、我々は国民期待にこたえる上からも、あるいは鈴木総理の御期待におこたえする上からも、証人喚問実現を何としても図っていただきたい。我々は、常任委員長を含めて、国民にこの文章は約束をした文書であるということを確認いたしたいと思います。委員長の御配慮を望みます。
  8. 山村新治郎

    山村委員長 松浦委員に申し上げます。  理事会での申し合わせどおり誠心誠意委員長として努力いたします。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに宮澤総理、あなたが、リクルート関連の野党共通して証人喚問をお願いをしている松本さん、服部さん、あるいはファーストファイナンス小林さんについては、総理自身証人喚問おいでにたることについてブレーキをかけておるというようなことが巷間言われておるのですが、そういう事実がございますか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この問題につきましては、前国会以来お求め資料提示をいたし、また私自身誠意を持ってお答えをいたしてまいりました。事実関係は明らかになったと信じております。もとよりそのようなことを私は何もいたしておりまぜんが、しかし、今後ともお尋ねがございますれば、もとより誠意を持って私自身お答えをしてまいるつもりでございます。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総理、あなたのその言葉があなたに疑いの目を持つんです。あなたが何にも事実がなければ、だれが証人に来ようとそういうことは関係ないんじゃないですか。  あなたは大蔵大臣をこの前おやめになった。それも一つの責任のとり方だったんだ。あなたが大蔵大臣をやめられたままなら、何もここでリクルートの問題をあなたにいろいろ質問したり証人喚問要求なんかしない。あなたがそこに座っているのは、総理大臣じゃないですか。宮澤個人じゃないんだ。あなたは総理大臣宮澤さんなんだ。あなたが総理大臣でなければ、私たちはこんなむだな質問はしませんよ。国民を指導する立場にある人が、当然一〇〇%完全という人間はこの世の中におりません。しかし、少なくとも総理疑惑の目で見られたときに、政治は進まないのです。  あなたは、おれは正しいんだ、おれは正しいんだと言っておられる。それを私たちも信じたい。しかし、あなた自身国会でくるくるくるくる七遍も八遍も答弁を変えてきた。松本さんという名前がここにちゃんと書いてある。それは、いえ、これは銀行の人がたまたま書いたんですよと幾ら言ってみても、本人を呼ばなければ本人が書いたかどうかは確認できぬじゃないですか。そこにあなたの政治姿勢の間違いがあるんだ。せっかく鈴木さんが勇気決断であなたの内閣を救うためにここに出てこられた。それを受けて今度はみずからの疑惑をあなた自身の手で晴らすべきですよ。私どもはあなたが言うことを信じたい。そうであってほしい。しかし、現に国民皆さん方は、全部とは言いませんよ、たくさんの国民があなたをそういう目で見ているんだ。それを証人喚問という手続を経てあなた自身疑いを晴らすことに何のちゅうちょが要るんですか。もっと積極的に証人喚問に出てもらって、おれの言っていることは本当だろう、国民皆さん、おれを信じてくれとあなたは言うべきですよ。あなたは総理じゃないですか。何でその勇気決断がないんですか。  きのうのテレビを見ていました。あなたも見られたでしょう。我々が一生懸命政治腐敗問題を与野党通じてやっている。茶番劇だと言うんです、国民はこれを見て。ロッキードからリクルートから共和から佐川から、いろんな事件が次々次々と出てくる。その都度その都度適当にお茶を濁して終わらせてしまったツケが今回ってきているのです。私どもは今政治改革を真剣にしなきゃならない。しかし、その政治改革の前段には、総理自身の、あなたの疑惑を一〇〇%晴らすべきですよ。  その答えは一つです。この政治姿勢の中で与野党で合意したこの文書の中の証人喚問、この証人喚問の中には、リクルート関係松本さん、服部さん、ファーストファイナンス小林さんもこの中に含まれておるということが同意されているのです。総理予算委員会証人喚問求めたときには、あなたは積極的に政治家宮澤として、あるいは総裁である宮澤代議士として、我々の主張に応ずべきです。予算委員会要求に応ずべきだと思います。総理の、本当意味であなたの御見解、御返答を承りたいと思います。
  12. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 昭和六十三年暮れに私が大蔵大臣辞任いたしましたのは、ただいま松浦委員が言われましたような理由に責めを負ったものでございます。おっしゃいますように、そのことはそれで終了いたしておったということであろうかと思いますが、しかし、その後首班指名の栄に浴しましたので、私は所信表明におきまして、私自身からこの問題につきまして十分誠意を持って御説明を申し上げるということを自分表明をいたしました。それに従いまして、当委員会において、当時欠けておりました必要な資料を整え、御提示を申し上げますとともに、それにつきまして誠意を持って前国会以来御説明を申し上げてきたところでございます。今国会においてもまた御説明を続けてまいりました。今後ともそういうお求めがあれば私自身誠意を持って御説明を申し上げてまいりたいと思っております。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総理、さっきから言うようにあなたが言われることを信じたい。客観性がないんですよ。どういう客観性がありますか。それが国民の不評を買うんですよ。本格政権だと思ってみんな期待をしている。その国民期待にこたえてあげなきゃいかぬでしょう。その出発点であるあなたの政治姿勢に問題があるのです。なぜ客観的にそういうあなたが発言をしておる事実を裏づけるような証人喚問の招致にあなたは抵抗されるんですか。だから私たちはまた疑うんですよ。みずからが言っておることが正しければ何物も恐れぬのじゃないですか。だれが出てこようと恐れぬのじゃないですか。  あの八十一歳の鈴木総理を例に出しては悪いけれども、あの人はここに来て堂々と自分自分説明されたんだ。おれが言っていることが間違っておったら阿部と対決してもいいと言っているんだ。あなたはどうですか。あなたの言っておられることを私たちは信じたいんだ。みんな信じたいんだ、与野党ともに。しかし客観的なものがないから、その客観的な裏づけのために証人喚問が必要じゃないですか。犯人捜しをしようというんじゃないんだ。国民に対して、そういうものをどうかやって解明しよう、国民期待にこたえようというのが証人喚問なんだ。総理がそういうふうに言われれば言われるほど疑惑が深まるだけじゃないですか。あなたの言っておられることを信じるためにも、私は具体的な問題として予算理事会で確認をし合った証人喚問、このことに応じていただきたい。改めてお答え求めます。
  14. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この問題につきましての客観性ということにつきましては、従来からいわゆる三点セットというものが客観的な資料であるというふうに御質問の中でずっと言われておりまして、その三点セット昭和六十三年の段階において欠いておりました。客観性が欠けておったということが、私が引責をした一つ理由でございますが、その後幸いにしてこの資料を全部整えることができましたので、それを御提示をいたし、私がまた自分自身で御説明を申し上げてまいったわけでございまして、そういう意味で、当委員会が従来から考えておられました客観性につきましては、私の御答弁とあわせまして十分事実を申し上げ得たというふうに考えております。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 我々がせっかく与野党を通じてまじめにこうした国民期待におこたえをしよう、自民党理事皆さんを含めて大変御苦労があったことも私たちお聞きをしています。しかし、今国会最大の目標である政治改革政治浄化、我々予算委員会が必死になって努力をしてきた終着が、与野党を通じてのこの文章なんです。しかし、あなたはこれに対して抵抗をする。あなたが永遠に、政治家宮澤あるいは総理大臣宮澤さん自身が、これからもリクルートの影を背負って私はいきますというならそれで結構。しかし、国民があなたの政治を信頼しなくなったらおしまいじゃないですか。あそこで結構だと言う人もおる。結構だといってやじっている人がおる。ああいう不まじめなやじが出るからあなたが救われるのかもしれない。(発言する者あり)
  16. 山村新治郎

    山村委員長 御静粛に願います。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 しかし、問題は……(発言する者あり)
  18. 山村新治郎

    山村委員長 御静粛に願います。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、まじめにあなたに聞いている。いや、本当に、本当にあなた自身政治改革をしようとするなら、まずみずからが、国民のこうした疑いにこたえるべきじゃないですか。客観的に、証人喚問に応ずべきじゃないですか。証人喚問が進まない最大のガンは、あなたですよ。あなたが応じようとしないところに問題があるんですよ。もう一遍お答えください。どうしてもだめだというなら、委員長、配慮してください。
  20. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御疑問の点は、今後とも誠意を持って私自身お答えを申し上げてまいりたいと存じますので、御理解を得たいと思います。――私といたしましては、資料も御提示いたしましたし、誠意を持って御説明をしてまいったつもりであります。今後ともそういう所存でございますけれども、もとより委員会の御決定には当然に従うつもりでございます。(発言する者あり)
  21. 山村新治郎

    山村委員長 御静粛に。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総理、いやあなたのその御答弁をいただくのに大変な時間がかかりました。私は、もっとそれは、総理自身こうしたことは自分で解決しなければ、そしてそれを客観的に証明をしていかなければ、国民は信頼しないと思うんです。ぜひ、そういう意味で、予算委員会の合意について慎重に、今言われたように配慮していただきたい。ぜひ、三名の方を証人に出していただいて、みずからの御主張の正しさを国民の前に明らかにされるよう期待をいたします。  それでは、続いて、証券問題について質疑を進めていきたいと思います。  まず、これは事務方の方にお尋ねをいたします。  あの証券不祥事のときに、大蔵省、証券局は国民から大変な批判を受けました。私も、証券特でいろいろなことを議論をさしていただきました。そのときに、小口投資家に対しては個人責任が強調され、大口投資家については、やってはならない損失補てんというものがやらされていた。結果的に、損失補てんは処罰の対象になるということで証取法の改正が早期に行われて、挿入されたのです。  ところが、証券トラブルというものが現に起こってきている。それは、飛ばしという方法が行われている。しかも、これが各証券にわたってすべて行われている。あるいは一方では、法律が改正された後、ニギリの約束をして、その利回りの保証をするためにリベートが行われている、手数料を割り引いてお客さんに補てんをしておるというケースが行われている。このトラブル解決金として約百億円近くが全国であるだろう、こう言われているんです。  これも、あのときに個人投資家が全部証券市場から去ってしまった。一日の取引が二億を割ってしまっている。もう大変な状況、市場は冷え切って。こういう状況が生まれてきて、一体大蔵省はどういう検査をしてきたんですか。あなた方は私たちに、もう二度とこういうことは起こらないと約束したはずなんです。ところがまた、こういう証券トラブルが起こってきて、表面化して、慌てて検査をする。検査の結果を見なければわからない、こう言う。  これについて、大臣は御就任になったばかりです、継続性を持っておる事務方はどうですか、局長さん、証券局長さんの方は。どういうふうに思われます、こういうことは。あなた方がなめられてしまっているのじゃないですか、証券会社から。野村証券を営業停止にした。営業停止したはずの野村証券がこういうことをやっておるというのはどういうことですか。大きな証券会社がこういうことをやっておるのはどういうことですか。あなた方は、この前も私が指摘して、不評を買った。しかし、あなた方が大口証券会社からなめられておるのじゃないですか。だからこういうことをやるんだ、平気で。どうですか、答えてください。
  23. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 今御指摘のありました、最近明らかになっておりますいわゆる飛ばしと言われている問題でございます。これは、企業が、財テクで失敗をしたといいますか損失を、含み損を持った有価証券を、その企業の決算期前にほかの企業に移しかえるというような取引であるというふうに聞いております。  で、こういう取引は企業間で直接行われる行為でございまして、それに証券会社の営業マンが伸介をするというようなことが行われたわけでございます。こういう行為は、財テクが盛んでありました時期から、株価が低迷をしたということでこういう問題が起こってきたわけでございまして、ただ、この仲介行為と申しますのは、証券会社の営業マンが全く会社に無断で、会社の帳簿の外で行っている行為でございまして、証券会社そのものもこれを把握することができなかったという事情がございます。私どもも前回の諸問題の際に特別検査を行ったわけでございますが、その特別検査の過程でこういったものを把握することが、残念ながらできなかったわけでございます。したがいまして、行為そのものは、株価が、株式市場が好調だった時期から二年ぐらい低迷時期にわたってこういう問題が生じたわけでございますが、営業マンが全くその会社の知らないところで仲介行為を行っているというようなことでトラブルになりまして、証券会社が、その営業マンのいわば使用者責任というものを問われて訴訟になり、あるいは調停というようなことが行われているわけでございます。  いずれにいたしましても、免許会社におきまして、たとえその営業マンが会社に無断で個人的にこういう行為を行ったといたしましても、それがトラブルとなり、かつ訴訟問題にまで発展するというのは我々としても非常に残念なことでありますし、また、こういうことは、本来営業マンの教育、あるいは証券会社の内部管理、牽制組織というものを完備することによって防ぐことができなければならないような性格の行為だというふうに思うわけでございます。  昨年来一連の問題が生じまして、証券市場に対する投資家の信頼感が非常に失われているわけでございまして、現在株式市場が低迷をきわめておりますのも、その証券市場に対する投資家の信頼が回復されてないという点にあるわけでございまして、そういう時期にまた、個人行為とはいえこういったようなトラブルが再発し、たくさん発生し、証券会社の営業マンの営業姿勢あるいは営業マンに対する教育が不十分であるというような点を中心にして、さらに投資家の証券会社あるいは証券市場に対する信頼というものが回復できないということは大変残念、まことに我々としても残念でありますし、また遺憾なことでございます。  証券会社に対しましては、先ほど申し上げましたように、役職員の教育あるいは内部牽制、管個体制の強化を指示いたしておりますし、また、訴訟になっている分も一部ございます、そういう事実関係をよく調査いたしまして、もし仮に、証券会社の営業マンに、証券取引法に触れるような、先ほど御指摘のありました利回り保証の問題とかいうようなことがございましたら、厳正に対応したいというふうに思っているわけでございます。     〔委員長退席 中山(正)委員長代理着席〕
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなた方自身宮澤内閣の足を引っ張っているのですよ。今局長が言われたような小さなことまでは大蔵大臣は把握できない、大臣が一々行ってチェックすることはできない、総理だってできない。あなた方が真剣にやらなければだめなんだ。あのときに私たちはこういう指摘をしたのです。あの証券不祥事は証券業界と株式発行企業、大蔵省と証券業界のもたれ合いから起こっておるんだ、こういう指摘をしたはずなんです。直っておらぬじゃないですか。宮澤内閣が、証券市場の活性化、資金調達のためにもっと活性化しよう、どういってこ入れをしようとしても、こういうことが続々出てきたら、個人投資家は証券なんかに見向きもしませんよ。まさに、個人投資家の証券市場への回復は、大蔵省の証券局の国民に対する信頼回復以外にないんだよ、これは。あなたは今、これは個々の営業マンがやったことだから、証券会社自身も見る側もチェックできなかったと、こう言っておられる。それはそのとおりでしょう。しかし、なぜもっと厳しい姿勢をとろうとしないのですか。  一つの例を申し上げましょう。私は、東急電鉄株の、百二十五条の人為的な株価操作についてどうするんだということを厳しくここで指摘をした。具体的な事実を出してまで証券局に追及をした。結果的に百二十五条は何にもならないでしょう、今度の改正では。これについては何の手入れもない、何のあれもない。ただ、これからはもっと積極的に百二十五条を使いましょうと言うだけ。東急電鉄株があれだけ騒がれた。暴力団とのつながりもあった。本州製紙、香港の業者が入ってきて、いろいろな仕手筋と組んでの株価操作があった。しかし、これらについても行政処分はあったが、何らのこれに対する問題の解決は出てきていない。暴力団とのつながりも不明確のままだ。これでは、どんなに宮澤さんが頑張ってみても、証券市場が回復するはずはないじゃないですか。ただここで、それは私たちの目の通らなかった、これから検査をして厳しくします、そういうことぐらいでは問題の本質は解決しないんだ、もっと深いんだよ。もっと前向きの積極的な答弁をなさったらどうですか。どうしようと思っているのか。検査した後、こういう事実がはっきりしたらどうするのか。  あなた方も把握しておられるでしょう。東京地裁一九九一年以降分、野村証券十五件四十億七百万、山一証券八件十三億四千万、大和証券五件二十億五百万、日興証券三件四億三百万、こういったものが次々裁判に出されているのですよ。もうあなた方が検査する前に裁判がどんどん出る、進行する。報道されるたびごとに疑いを持つんだ、あなた方に。局長とうされますか。今のような答弁は修正なさるんですか。あれでいいですか。
  25. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 御指摘のように、現在トラブルが起こり、訴訟になっているケースがふえております。これは、私どもは、そういうトラブルが起こりましたときに、むしろ証券会社に対しては、不明朗な処理をしないで法令に則した適正な処理をするようにということを指導しているわけでございます。  それで、前回の国会で証取法を改正していただきまして、損失補てんを証取法上の禁止とし、罰則をかけるということにしていただいたわけでございます。その関係で、不明朗な処理ということを行いますと、これは損失補てんに該当いたします。そういったことから、むしろ訴訟なり調停手続というような形で表に出て明らかになって解決が行われる、あるいは公の場で議論が行われるというような方向を指導しているわけでございまして、むしろそういうトラブルが表に出ることによって不透明さをなくし、証券市場の透明性を高めるということが必要ではないかというふうに考えているわけでございます。  それから、御指摘の株価操作の問題でございますが、これは百二十五条につきましては、専門家を中心にしていろいろと議論をしていただいたわけでございますが、証券会社が行います例えば東急電鉄株のような行き過ぎた大量推奨販売行為につきましては、百二十五条ではなかなか取り締まれないということで、今回、証券取引法改正案でお願いしております中に、そういう行き過ぎた大量推奨販売行為については証券取引法で禁止行為とするという内容を織り込んでございます。それによって、こういう証券会社が行き過ぎた大量推奨販売行為を行わないように、証券取引法で禁止をするということにしたいというふうに思っているわけでございます。  また、暴力団の関係も御指摘がございました。この点につきましても、暴力団新法が施行されたわけでございます。協会を中心にして、できるだけ暴力団の、証券取引行為に入ってくるのを排除するということで業界が申し合わせをし、その実行に移っているわけでございます。必要な場合には、当然取り締まり当局の協力も得るということでございます。  いずれにいたしましても、今回のこの明るみに出ました行為、これは先ほど申し上げましたように、多分に営業マンの個人行為ということではございますけれども、しかし、やはり免許企業として決して適切な行為だということではございません。そういう観点から、私どもも法律に触れる行為がありましたら、それは厳正に対処いたしますし、仮に法律に触れないといたしましても、免許会社としての営業のやり方、あるいは管理体制あるいは教育というようなものについて、さらに一段と指導を強めてまいりたいというふうに思っております。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、今局長からお聞きになったように、この際、司法当局の手でどんどん公になって市場における透明性がばあっと出た方がいい、もううみを徹底的に出した方がいい、そういう御主張です。そうすると、具体的にそのことについて大臣も、どんどんこういうトラブルは司法当局の手で、あるいは民事訴訟等で明るみに出ることを期待するという御答弁の確認と、さらに今度の最大のネックは、今度の証券等特別監視委員会、これが正式名称かまだ定かではないとは思うのでありますが、この問題について私たちが疑念を抱くのは、大蔵大臣の任命になっている、これはむしろ国民の側からしてみれば総理大臣任命にした方がいいんではないか、こういう意見が圧倒的に強い。その最大理由は、大蔵省そのものの姿勢について国民がやはり疑念を持っている、こういうことが出てくるから。しかも、今も言われたように、検査機能があるにかかわらず、もうどんどんこういうのは手がつかぬから司法でやってくれ、こういう御意見ですね。そうなれば、この際、総理大臣の任命にこの委員をなさることが賢明だと思うんですが、その点どうでしょう。
  27. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、免許企業でございます証券会社におきましてこのようなトラブルが発生したこと、これはまことに残念なことであります。そして、今御指摘がありましたように、こういう問題があったという中から、いわゆる個人投資家、一般の大衆の方の投資家というものが市場から離れておる、これが今株価の低迷というものをもたらしている一つの大きなものであろうと思っております。その意味ではやはり市場の信頼というもの、これを一日も早く取り戻さなければいけないということで、先ごろも、証券業協会あるいは取引所の代表の方、こういった方々の努力というものについてお話をお聞きすると同時に、やはり一日も早くこの信頼というものを取り戻してもらいたいということを実は申し上げたところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、今局長の方からもお話し申し上げましたように、検査といっても一応の限界があるということ、それから、いつまでもそんなものを隠していられてということじゃいけないということ、あるいはそれによって損失を受けた人たちがただ泣き寝入りということだって問題があったのでしょう。そういう中で、調停機関あるいは裁判所等を通じながらこういうことが明るみに出て、そこできちんとした話し合いが行われているということは、私は、過去において行われたものについてきちんとそういう中で明確になっていくことはやはり大事なことであろうというふうに思っております。  それから、今お話がございましたように、じゃ今後一体これをどうするのかということでありますけれども、御案内のとおり、私どもの方でも、国会等の御指摘もいただきながら、審議会でずっと御議論いただきましたことをもとにいたしまして、行政における検査・監視体制の整備をするとか、あるいは自主規制機関、これは証券業協会あるいは証券取引所の機能強化ですとか、または通達というものをできるだけ法令化していこう、あるいは処罰の実効性を高めるための措置をしていくとか、また、今お話があったような行き過ぎた大量推奨販売、こういった行為を禁止するとかいうことについて今度法改正をお願いをいたそうとしておるところでございますけれども、今そういう中にあって、監視体制の委員長あるいは委員というものについて、これは総理大臣のところに置いたらどうだということでございましょうけれども、これは私は理屈を申し上げるわけじゃありませんけれども、各省に置かれますところのこういった機関の委員長というのは、各省の所管大臣がこれは任命するというのが常になっております。確かに、総理府以外に置かれながら委員の任命というのが総理大臣になっておるものもございますけれども、これは幾つかの省庁にまたがるもの、こういったものにおいてそういうことがなされておりますけれども、あとは各省庁であります。  しかし、今度の場合には、そういった疑惑を解くために、本当国民に信頼されるものにするためには、監督官庁の長があれするのは問題があるぞという御指摘であろうというふうに考えるわけでありますけれども、この任命に当たりましては、単に私ども大蔵大臣が任命するというだけではなくて、両議院の同意を得ることということがございますし、また、職権を独立して行使すること、あるいは一定の場合を除きましてその意に反して罷免されることがないこととされておりまして、大蔵大臣から個々の職務遂行について指揮監督、こういうものを受けない独立の立場であるということでございまして、しかもまだ、この委員会は合議制の機関でありまして、委員についての身分保障があることから、その独立性ですとかあるいは中立性というものは十分に担保されているものであろう、私どもは機能させるものであるというふうに信じて、このことを今お願いを申し上げておるところであります。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総理、それぞれ大臣からのお話がありました。やはり我が国にとって、これだけ証券市場が冷え切っておる、個人投資家がなかなか戻ってこない、大変重要な問題だと思うのです。これは看過することのできない重要な問題なんです。  総理、今、私は総理のもとに置いた方がいい、こういう提案をいたしまして、大蔵大臣は、いや、大丈夫だ、こういうふうな御意見でありますが、私はしばらくの間は総理が手元に置かれた方がいいと思う。総理自身はどう思われますか。
  29. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはいろいろ検討をされた結果であるように承知しておりますが、行政としては大蔵省以外の他省庁にわたることではないということ、それから人事が両院の同意大事になっておるということ、その他委員についての独立性がたくさんに法律で付与されているということから、ただいまの御審議いただいておりますような形で弊害はない、むしろそれが比較的妥当なやり方ではないかという、そういう結論になったものでございます。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この問題は非常に重要な問題です。恐らく常任委員会でさらに掘り下げて御議論があると思いますが、この際、もう一つ大蔵大臣お尋ねをしておきます。  先ほど東急電鉄株と本州製紙株の問題について局長の方から御答弁がありました。確かに、証取法五十条で過剰な勧誘等があったときについての行政罰というものは厳しくする、こういうお話でございました。しかし、この株価操作というのは素人にとっては極めて大きな問題なんです。集中的にあるいは大量に宣伝をしあるいは販売をする、こういったものは、行政罰としての五十条、そのことはわかります。しかし、これはあくまでも行政罰なんです。しかし、そういうのは犯罪なんだ。後で我が党の小岩井さんが独禁政策で法人に対する刑事罰が見送られたことについて厳しく御指摘があるでしょうが、これについても、こういうことはやはり刑事罰に該当するんだという基本姿勢がなければ、私は問題の本質の解決にはならぬと思う。  大臣、当面は先ほど言われたことだけれども、こういう状況がさらに続くとすれば、当然刑事罰というものも想定せざるを得ないと思うんですが、そういう点についてどうお考えになりますか。
  31. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 松浦委員の御意見、私どもは承っておきたいと思っておりますけれども、私どもは、今度証取法の改正をすることによりまして、この大量推奨販売等につきましてこれを禁止するというこのことを加味すること、これは私は相当な効果を呼ぶものであろうと思っておりますけれども、今後また御議論をさせていただきたいと思っております。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから、トラブル解決金という問題ですね。これは恐らくこれからも、定義もなければ何にもないのですね、これは。大蔵省に報告する義務もない。ただ、証券市場の中で、トラブル解決ということが行われて、個人間の取引について何かあったらそこでぱっとやってしまうという、それが推定百億円近くあるというのですが、こういったものについてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  33. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 確かに、御指摘のようにトラブル解決金というもの、これは従来はあるいは証券会社の雑損等で処理されていたわけでございますが、前回の損失補てんを法律で禁止をいたしました関係上、そういうトラブル解決金というようなあいまいな形で処理をするということが法律上できなくなっております。  現在、したがいまして、トラブルが起こった場合に、それが証券会社の営業マンの違法な行為あるいは不当な行為、さらには不適切な行為というようなもので起こった場合には、証券事故という扱いにいたしまして、その証券事故を証券業協会に届け出を出す、それで大蔵省がそれを確認するという手続を新たにことしの一月から設けたわけでございます。したがいまして、これからはそういうトラブルが起こった場合に、それに対して今申し上げたような証券事故に該当するかどうか、つまり営業マンの違法な行為で行われたか、あるいは不当な行為、さらには不適切な行為、例えば言い違いとか聞き違いとかいうようなものも含めまして、証券業協会に証券事故として届け出を出してきちんと処理をするという体制を整えておりますので、今後はそういう不明朗な形での支出ということは行われない、またそれをやると損失補てんに該当するということになろうかと思います。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、そうした問題について二度と再び起こらない、個人投資家が早く市場に参加をして、市場が平常に戻ることを我々も期待をしております。ですから、ぜひ二度とこうしたことが起こらない努力を積極的にお願いをしたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、防衛問題についてお尋ねをいたします。  総理、私はここに一九九一年九月の「新防衛論集」というのを持っております。これは国会図書館からお借りをしてきました。この中で、かつて防衛問題の極めて中枢におられた内閣官房安全保障室長の佐々さんという方がおられたことは、これは有名な方ですから御記憶にあると思うのですが、この方が防衛学会特別講演「日本は湾岸戦争への対応から何を学ぶべきか」という、そういう演説をされて、この「新防衛論集」の中に編集されているんです。この人はこの中で何と言っているかというと、要は今まで我が国はむちゃくちゃなことをしてきたと。よく書いてあるのですね。今まではもう法解釈なんかでもむちゃくちゃなことをやってきた。むちゃくちゃなことをやってきたが、もう限界だ。  そうすると、お尋ねをしますが、内閣の中にあります官房安全保障室長というのはどういう位置づけになる方でございますか。極めて重要な位置にあると思うのですが、お答えをいただきたいと思います。これは防衛庁じゃなくて官房長官じゃないですかね。
  35. 加藤紘一

    加藤国務大臣 内閣官房には外政室、内政室、それから安全保障、この三つのテーマにつきましてそれぞれ担当の室がございます。佐々さんはそこの安全保障関係室長をなさったことのある方でございます。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この官房室長というのは、この前ここで、前の池田防衛庁長官から私は既に御答弁をいただいているのです。今の官房長官の御答弁以外にどういう位置づけになるかという、どういうことをするかというのは、ここに前の池田防衛庁長官からお聞きをしているのです。極めて重要な位置づけにあるのです、この人は。その人が、やめたからおれは気楽になったということで言っておられちゃ困るんですよね。大体そんなことだというやじがありましたが、そういうことで防衛計画が決められたらたまったもんじゃないですよ。  ここに書いてあるのに、今言ったようにむちゃくちゃなことをしてきた、もう限界です。そんなむちゃくちゃなことを今までずっとしてきて我々に議論させたのですか。我々は一体むちゃくちゃなことを議論させられてきたんですか、知らぬから。内部事情を知らぬ者に対しては侮辱ですよ、これは。与党の人たちは笑っておるけれども、与党の人も含めて我々は議論させられてきた、防衛問題を。こんなでたらめなことを平気で言って、しかもこんな「新防衛論集」の中で堂々と言ってのけている。どう思いますか、これ。
  37. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 佐々君は私も存じ上げておりますが、最終的には安全保障室長、元の国防会議事務局長という立場でございますから重職であることは御案内のとおりでございます。彼が「新防衛論集」でどのようなことを述べられたかは今松浦先生から初めて払お聞きしたものでございますから詳細は存じ上げておりませんけれども、今まで愚弄していたとか勝手なことをして中期防をつくっていたとか、そういうことはございませんので、前後の脈絡その他全体を判断しなければ私としては何とも申し上げようがない、こういうことでございます。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は前後の文脈のことを言わなかったのは、前後の文脈のことを言ったらなお困ると思ったから言わなかっただけ。読み上げましょうか。読み上げます。「日米安保条約による集団安保体制を採るという方針、これで今まで来てしまいました。今度初めて国連が出てきた。ですから日本にとっては国連協力を想定しない自衛隊法ができていたわけです。そのまま今まで教育訓練に関することとか、情報収集に関することとか全部条文解釈でやってきました。九条と関係ないと言いながらやってきた。今度の掃海艇も九十九条にある海上の交通安全のための機雷の除去だと言って行ってしまった。無茶苦茶な解釈でここまで来ましたが、もう限界です。」  これを読み上げたら、前後の文脈を言えばますますおかしくなるでしょう。今まで私たちは掃海艇の問題については反対だ、賛成だ、いろいろ議論してきた。しかし、出す方がもうむちゃくちゃだということを、ここで提案しておるじゃないですか。そのときはもうむちゃくちゃなことだったと言っているのですよ。知らぬから我々まじめに議論しておるんだ。一番中心の当局者があれはむちゃくちゃだと言っているんです。何ですか、これは。しかも、笑って済まされることじゃないでしょう。防衛問題というのは日本の将来の運命がかかってくる問題なんだよ。ただ一官僚がでたらめなことをやって、ああ、与野党ともに適当に済んだ、よかったよかった、これじゃ防衛問題済まされぬでしょう。どうやって責任とるんですか。我々与野党議員がみんなお粗末だと言えばそれでおしまい。それじゃ我々が責任をとらなければいかぬ。しかし、実際はそうじゃないでしょう。我々は内情を知らされずに、国民も内情を知らされずにやらされてきたんだ、ここまで。しかも、我々は出されたことをまじめに議論してきたんだ。与野党を通じてまじめに議論してきたんですよ。ところが、やめた途端にどうですか。しかも「新防衛論集」にそういうことを堂々と載せられて、一体どういうことを我々これから議論すればいいんですか。政府が出すことはみんな疑ってかからなきゃいかぬじゃないですか。笑い事じゃない。笑って済まされることじゃないんだ、これは。どうしますか、総理
  39. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ただいまお伺いした限りでは、私もそのように存じます。それは私どもは今までまじめに考えてまいりましたし、現在もそんなむちゃくちゃなことはやっておるとは思っておりませんから、それは佐々個人の見解だろうと存じます。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総理総理。それじゃ、これは佐々個人の問題である、こう言っておられるけれども、この人が重要な安全保障室長であったことは事実です。しかもこの安全保障室長というのは総理大臣が任命される人だと思いますね。こういうことをやめた後言われて、一体国民にどういう印象を与えると思いますか。私は佐々さんを呼んではっきりした態度をとられることを、やめられたといえども佐々さんについてどういうふうに総理はお考えになりますか。こういうことは、また起こる可能性がありますが、どうやってこれを防ぎとめますか。
  41. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 もとより政府がむちゃくちゃなことをしたとは思いませんし、国会におきまして厳正な御審議があったことは、これは申すまでもないことでございます。したがいまして、佐々氏がどういう立場からそういうことを言われたかつまびらかにいたしませんし、その湾岸危機とかあるいは九十九条等々の決定がなされましたときに佐々氏がそういう決定をする立場におったとは私は記憶いたしておりません。既にやめていたんでしょう。既にその決定が行われる前に退官をしておる人でございますので、どういう見解を持たれるか存じませんが、それは決定に参画した人の意見ではございません。
  42. 松浦利尚

    松浦(利)委員 安全保障室長はこうした問題に対応しておられるんですよ。国の防衛政策にかかわってきておられるんですよ、あなたは何か他人事のように言っておられますけれども。いや、だからシビリアンコントロールというのはこうした問題についても隅々まで行き渡らぬといかぬのじゃないですか。あの人はやめた人ですから、いや大した職務についておらぬかったからです、それで済みますか。それで済むならそれで結構ですよ、あなたのお考えですから。それは松浦の発想が間違っておる、これは佐々さんがかかわったことじゃないんだ、そういうことは全然関係ありません、やめた人も言うことです、そういうことで済まされるんですか。日本の防衛というのは、おるときだけが、やめた後は何を言ってもかまわぬ、こういうことを勝手に言って国民を惑わす、そういうことがこれからも続いてもいいんですか。それならそれで結構ですよ。もう一遍御返事承ります。
  43. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私が申し上げましたのは、その九十九条等についての決定がなされたときには佐々氏は既にもう退官をしておった人でございますから、その政府の決定に携わった人ではないということを申し上げておるのでございます。
  44. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いや、本人が安全保障室長で現実に今までむちゃくちゃなことをしてきた、その中枢におった人ですからね。だから、そういう考え方ならこれ以上は水かけ論ですからもうやめますよ、もう議論してみても仕方がありませんから。その程度の内閣官房安全室長だ、総理なんかも別段ノータッチで、適当にやっておって、後済んだら国民を惑わして回る。我々は、それをまじめに受けて、あなた方に警告を発して、こういうことのないように努力をしてもらいたい、こう言おうと思ったら返事がない。そういう返事は全くないまま、いやそれは関係ありません、いやそれはやめた人ですから――いいです、もう。もういいんだ、いいんだよ。それだけ聞こうと思ったんだから。いやいや答弁求めてませんよ。いや、総理がいいと言うんだから、もう勝手だからいいと言うんだから、何も答弁しなくていいじゃないですか。要りませんよ、そんなの。そんなの、答弁をもう総理が言われたもの、要りませんよ。別段もらわなくたって結構です。そういうものだということがわかりました。だから、次にまた論点を進めます。  これは実は、再三私はこの予算委員会でこの「陸戦研究」という本、これはこの前の予算委員会でも私は厳しく指摘をいたしましたが、これは自衛隊の陸自あるいは海自、航空自衛隊、その幹部の、将来統幕とか各セクションの長になる人たちの幹部学校で読まれておる「陸戦研究」という本なんです。我々は手に入りません。この図書館にもありません。これは宮下さんにお願いをして私は毎月読まさせてもらっている、あそこしかないから。これは感謝しますよ。これをオープンにしてくれた宮下さんに感謝します。今までは全然見させてくれない。この中に大変なことが書いてあるんです。  私が今から事実を申し上げます。  一九九〇年一月号に、幹部学校の磯部一尉という人が、イラン・イラク停戦に自衛隊を国連軍事監視団に参加させたらどうかという主張をしているのです。そして、将来国連平和維持軍参加を真剣に考えるべきときが必ず来るという主張をしている、この人は。そうしたら、現実的に今PKO関係の継続審議が始まっていますね、大分後になってね。  それから、一九九〇年の六月号、ペルシャ湾浮遊機雷の処理に自衛隊の派遣を佐藤二尉という人が主張している。そのとおり自衛隊の掃海艇が派遣された。そのとおりなんです。それから、国際緊急援助としてC130Hの利用をこの佐藤二尉は主張した。そして、政府専用機を自衛隊管理に移して避難民の輸送に充てたらどうかということも一九九〇年六月に佐藤二尉が主張したんです。そうしたら、そのとおりになったんです。  いいですか、そういうことがこの前指摘をしたように――いや、皆さん方笑っておられるけれども、「陸戦研究」、後で読んでください。ぐずぐず言わぬで後で読んだらいい。読みもせぬどって言うな。  「陸戦研究」というのは、少なくとも将来の自衛隊を背負って立つ幹部の人たちなんだよ。そういう人たちがやってきたことがどんどんこういう形で実現をしてくる。これはいいことだ、こう言っておられる。そのことは、制服軍人の主張が政界を動かしておるという事実もこの人は認めておるのだ。いいですか。いや、予言をしたのはまさに的確に予言をしているわ。いいですか、「降戦研究」というこの本の中に書いてあることを正直に言っている。  それじゃ、次にこれにどういうことが書いてあるか。外務大臣お尋ねをいたしますが、尖閣列島と竹島というのは現在どういう外交上のものにあるのですか、尖閣列島と竹島。お答えください、どういう位置づけですか。
  45. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 事実関係を条約局長から説明させます。
  46. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 尖閣列島、竹島ともに我が国の固有の領土でございます。歴史的にも法的にも我が国の固有の領土であるということは、我が国がこれまでもいろいろな機会に明らかにしているところでございます。  ただ、両者の現状におきますところの違いでございますが、竹島につきましては、残念ながらこれを韓国が占有しているということでございます。まあ不法占拠と申して差し支えないと思います。ただ、尖閣諸島につきましては、我が国が現在も有効にこれを支配しているということでございます。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは私は政治の問題だと思いますね。ところが、この「陸戦研究」で制服組の人たちはどういう見方をしているかというと、我が国の防衛体制の問題点が指摘されている、この「陸戦研究」の中で。限定侵攻を防きがたい体制に我が国はある、我が国は限定侵攻に対する抑止機能が欠落している、その最大の地点は竹島と尖閣列島だ、こう言っているんですよ。外務大臣はこれは外交の問題だ、こう言っている、片一方では。あくまでもこれは外交的に、平和的に解決しなきゃならぬと思っている。ところが、将来幹部になる人は、この竹島やら尖閣列島のことを例に挙げて、限定侵攻に対する抑止機能が我が国は欠落しておる、こう指摘しているんですよ。いいですか。そのために彼らはどういうことを言っているかというと、緊急展開部隊が我が国に必要だ。これは阿部三佐がさらに指摘している。緊急展開部隊が必要だ。特に日本の場合は空中機動師団、こういうことに編成がえをしなきゃならぬと指摘しているんですよ。  あの人は盛んに若いって私をやじりよるけれども、こういう人たちが自衛隊の編成をするような資格はないんだ。知らぬから、戦争なんかは。いいですか。こういう問題について宮下さん、シビリアンコントロール、コントロールと言うけど、あなたも経験者、私も経験者。結果的にこういう軍部の台頭がだんだんと政治を席巻してしまったでしょう。東条英機の番記者が東条英機に、何でこんなに陸軍をどんどんふやしていくのか、こう聞いたら、東条英機が、坂道を転げ出した石はもうおれにも防ぎとめられないんだと言ってしみじみと述懐したということが書いてある。もう東条英機すらとめられないんだ、制服が独走しだしたら。そういうものを食いとめるのは、若いこういう将来の日本を背負って立つであろう制服組にこういうことを、あたかもこれは制服組が理論的に勉強していいことだ、いいことだと言ってずっと許しておったら、政治不信を呼び、いつの間にかこういう方向に政治を引きずっていこうとするんだよ。どうですか。
  48. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 「陸戦研究」につきましては、私から申し上げるまでもございませんけれども、これは自衛隊のOBそれから幹部自衛官等々が個人的な、私的なサークルとして陸戦学会というものをつくっておりまして、これは各省庁でもございます、防衛庁も例外ではございませんが、そういう陸戦学会がありまして、会員の研究等の成果を掲載したり、広く国防に関する論文等を紹介し、啓蒙するというような意味で発行している会誌でございます。  それから、先生今御指摘の阿部という富士学校の教官、三佐でありますが、私も先生から事前に通告がございましたからその論文はつぶさに拝見をいたしました。なるほど今先生のおっしゃられるように「限定侵攻を防ぎ難い体制」だ、私もこれはある意味では本当にそうだと思うんですね。それから、「我が国は限定侵攻に対する抑止機能が欠落しているといってよかろう。(竹島・尖閣列島を想起して頂きたい)」こうなっておりまして、今外務省の方から答弁ございましたように、竹島、尖閣列島は我が国の領土であるということで島嶼と同じ意味、島ですね、同じ意味でこの文脈全体を見ますと、緊急展開能力が必要じゃないかという提案をしております。この点はヘリコプターその他によって緊急展開能力を持とうというわけでありますから、専守防衛の立場をとっている我が国の立場に何ら背馳するものでは私はないと思うのでございますが、ただ、今一般的に旧軍の時代を引用されまして、こういう方々のそういう研究自体が野放しになっていくとシビリアンコントロールに影響を及ぼすのではないかという先生の御質問でございますが、私はこう考えます。  こうした私的なもの、OBあるいは自衛官等がこういう私的な研究会をつくってやられることは私はいいと思っております。しかし制約がございます。それは、我が国の基本的な防衛政策、つまり専守防衛でございますとか非核三原則等の枠内で自由な発想、研究に基づいてそういうことをまとめられることは、私はむしろいいのではないかとさえ思います。これは先生とあるいは見解を異にするかもしれませんが、私はやはりシビリアンコントロトルというのは、いろいろな意味で、まあ国会のコントロールでありますとかあるいは政府内部の安全保障会議あるいは防衛庁内部におけるシビリアンコントロールの体制その他いろいろ何層にも今構築されておりまして、旧軍のようなことになるわけはございませんので、個々の隊員がそういった基本的防衛政策の中で見解を述べられることについては、私は別にそれはとがめることじゃなく、むしろそういうことを抑圧していきますと、そのことが潜在的な、何といいますかね、内向的になりましてシビリアンコントロールにかえって欠けるところがあるのではないか、こう思うわけです。  そしてまた、そういう方々が幹部になられた場合に政策形成過程はどう行われるかといいますと、必ずそのユニホームの方だけで政策決定が行われるわけではございません。御承知のとおり統幕議長あり各幕僚長あり、そして内局がございまして、そういう協議の中で防衛庁としての政策決定がなされていくわけでございますので、重々そういう心配はないのではないかというように私は考えております。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今言われたように何を研究しようとそれは自由だ、こういうことですから、さらにこの「陸戦研究」の中の、これは七月号に書いてあることについてお尋ねをいたしますが、今この理論集の中で議論されておるのは、専守防衛から脅威の抑止ということになっているのですよ。脅威をどうやって抑止するか。もう時間がありませんから結論だけを申し上げますと、「脅威の排除」で「万が一、顕在化しそうになった以降は、国土、国民、国家等に対する被害を最小限度にすべく、「緒戦必勝」を第一義に、努めて国土の前方で、努めて、早期に脅威を排除」せよ、こういう議論もしておるんですよ。これは認められますか。我々は外交ルートを通じて審議を一生懸命やっておるのに、専守防衛という枠組みを超えて、脅威があれば、専守防衛どころか脅威を排除せよ、緒戦必勝、相手の危ないところをたたけ、こう言っているんだ、これは。認められますか。そういうことは、いや制服軍人がやる卓上の空論だ、シビリアンコントロールが働いておるからようございますよ、どんどんやりなさい、そういうことで済まされますか。あの人たちは兵器を持っておるんですよ、武器を持っておるんですよ。政治に信頼がなくなったとき、どうしますか。  私は自衛隊を信じます。しかし過去の歴史はそうじゃないので、だから私たちはシビリアンコントロールというのが軽々であってはならぬ。佐々さんが言うように、もうでたらめなことをやってきた。でたらめをやってきたことを我々は笑って済ましている。与野党通じてでたらめなことをここで真剣に議論してきたけれども、やめてみたら我々でたらめなことを議論させられておった、知っておるのは向こうの人たちだけ。最終的にこういうことまで、行き過ぎたそういう研究まで、しかも幹部学校で行うことについて自衛隊は寛大ですか、防衛庁長官は寛大ですか、宮澤内閣は寛大ですか。それならそれで結構です。お答えいただきたいと思います。
  50. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど先生に申し上げましたように、私は、むしろそういうことをきちっと議論をしていただいて出していただいた方がいいと思っておる立場を先ほど申し上げたわけでありますけれども、我が国はあくまで専守防衛でございます。今御指摘の論文等も、これは専守防衛の範囲内で、しかし余り受動的であっただけでは、やはりもしか攻撃があった場合に専守防衛の実を上げられないという趣旨を申し述べたもののように私も解しました。したがいまして、先生おっしゃる御心配は、まあ旧当時代のああいうことを思い起こしながら今後の御心配をなさってのことだと存じますが、新憲法下における体制というものは旧当時代と全く違っておりまして、あらゆる面でシビリアンコントロールの実が行き渡るようになっておるというように私は思っておりまして、このことはきちっと守っていかなければならないと思います。
  51. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は宮下長官の言われることを決して否定はしないんです、そのとおりだと思うんです。しかし、ここで言葉のやりとりをしておる間に制服の将来幹部になろうという人たちがこういう研究をずっと続けていく、そのことを私たちは知らない。たまたま「陸戦研究」というのを防衛庁長官、私に貸して見せていただいたから私は毎月毎月勉強できるのだ。しかし実質的にそういう問題について心配だから、そういった意味では、私はこの際シビリアンコントロールを働かすという意味でも、あらゆる問題について議論の素材をここに提供してもらいたいと思うんです。  そこで、これはお願いですけれども、こうした問題を含めてずっと予算要求等の積み上げがなされるんですね。そうすると、自衛隊の場合には陸長という言葉がありまして、陸上自衛隊長期防衛見積もりというのがあるはずなんですよ。我々は目にすることができません。あるいは統幕が決める統合長期防衛見積もりというものもあるはずです。それから中期能力見積もりというものもあるはずです。こういう内容は今私が言ったこととは無関係だ、そういうものを背景にしては予算というものも成り立っておりません、長官はそう言うかもしれぬけれども、我々はそういうことについて不信感を持つんですね。この人たちは、コントロールがある、あると言うんだけれども自民党だけこういうものを見ておられるのかもしれません、我々野党は全然見ておりませんからね。ですから、こういう問題について見せていただけるでしょうかね。
  52. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 ただいまの自衛官の見解等が直ちに政策形成に反映するものではございません。それらがいろいろの議論がございまして、その中で幕僚長あるいは統幕議長等を通じて集約され、そして最終的には内局との調整、あるいは内局指導のもとで行われることも多いわけでありますけれども、そういうことによって我が国の防衛政策というものは政策形成されていくわけでございまして、いきなりそういう個々の自衛官の見解が直ちに政策に反映するものというようには考えておりません。そしてまた、先生のおっしゃられるように、こういったことが直にするようなシステムもございませんから、私どもは、シビリアンコントロール、先ほど申しましたように、きちっと守っていくという立場で臨みたいと思います。  なお、統幕の見積もりあるいは陸海空それぞれの見積もり等もございますが、これは決められた政策形成あるいは中期防の中で具体的にどう年次、年次を展開していくかということで、責任ある立場としては当然なやり方であると私は考えておりまして、決して個々の自衛官の今申されたような意見を直ちに反映するものではないことだけははっきり申し上げておきます。
  53. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは、今長官の言われることを私はそのとおりお受けをいたします。  ただ、私の言っていることもぜひ、総理を含めて各閣僚は、おまえは古いやつだと言われるかもしれない、私は。しかし、私は心配でたまらないんです。それは、心配でたまらないというのは、こういったことがすぐ実行に移されるとは思わないけれども、しかし先ほど言ったように、「陸戦研究」の中で書かれたことが現実的に法律やらあるいは政府の政策となってあらわれてくるんです。将来ここに書いてあることが現実味を帯びて出てきたときに、我々自身が気がつかなかった、戦前ね、我々はそのとき気がついておけばよかったんです、そのときの政治家が。しかし、そのときの政治家が抵抗する人がおらなかった、一部おられたけれども。だから、そういう意味で、私は、ただ、小さなものでも芽を摘んでおく、大切なこうした問題については、不安があるときには。あるいはその真意をただしていく。そういうきめ細かな詰めが本当意味でシビリアンコントロールに必要なんじゃないですか。言葉のやりとりじゃないんです。どうです、総理。私の思っていることについての総理自身のお考えもお聞かせください。どうぞ長官、先で結構ですよ。
  54. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほども先生に御答弁申し上げましたように、それらの所論はいずれも我が国の基本的な防衛政策の枠内のものと私も拝見をいたしまして感じました。したがいまして、例えば非核三原則をやめるとか核兵器を持てとかいうような所論でございますれば、これは国の基本的な政策に背馳するわけでございますから、私どもとしてはこれは許すわけにはまいりません。そういう基本的政策の中での議論だと私は理解いたしております。また、今後も先生のような御心配、私も当然そういう心配は持っております。しかし、そのような心配は今のところはない仕組みになっておるということだけはっきり申し上げておきます。
  55. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いろいろ研究があることはそれでよろしいんだと思いますが、ただ何々二佐とか何々三佐とかが言っておられることがすぐ防衛庁の方針になるわけではありませんし、いわんや政府の決定になるわけでもありませんので、その点は御心配ないと思いますが、ただ、長官も言われますように、防衛の考え方の基本というものをよくみんながわかって議論をしてもらうということは大事であると思います。
  56. 松浦利尚

    松浦(利)委員 わかりました。  これ以上申し上げませんが、ただ「脅威の排除」で「「緒戦必勝」を第一義に、努めて国土の前方で、努めて、早期に脅威を排除する。」こんなところまで議論され始めますと、もうそれは、制服軍人だから、あなたが言われるように、許されるからいいんだ、シビリアンコントロールが働くからいいんだというだけでは済まされないような状況が生まれてくるんじゃないかということを私はお聞きをしておるんですが――いや、自衛隊の皆さん御苦労さんと言いますよ。自衛隊の皆さん御苦労さんと申し上げた上で、今言っていることの危惧を申し上げておきます。  次の問題に入っていきます。  それでは、次はODAの問題について、外務大臣、それから総理、大蔵にお尋ねをいたしたいと思うんですが、実はこの前ラハマットさんという方がおいでになりました。これはインドネシアの方がおいでになりまして、これは陳情に来られたんです。これは、コタパンジャンというところに、有効貯水量十億トン、発電容量十一万キロワットの水力発電をつくるという、我が国の海外経済協力基金百二十五億円、既にインドネシアに貸し付けています。さらに近く百七十五億円の借款が予定されておるんですが、これの水没予定住民、立ち退き予定者が一万六千人とも二万二千人とも言われているんです。  これは、来られた人たちの話を聞きますと、実はこれは内政問題、インドネシアの内政的な問題も含まれておりますから言われたことをそのまま申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにしてもせっかく日本が援助してあげる、莫大なお金を援助してあげるにもかかわらず、その犠牲者であるインドネシアの被害を受ける住民の人たちが各省庁も図られたし、私どものの部屋にも来られたんです。この点について、具体的にどういう契約内容になっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  57. 川上隆朗

    ○川上政府委員 インドネシアのコダパンジャンのダム建設にかかわる御質問でございますけれども、スマトラ島のリアウという州及び西スマトラ州の中間あたりに建設予定をいたしておりまして、先生御指摘のとおり、十一万四千キロワットの発電所、それからダムの建設にかかわる土木工事並びに関運送電線の建設、変電所の新設、拡張ということでございまして、円借款につきましては、先生からもお話ございましたが、既に百二十五億円という第一期分、それから第二期分といたしまして百七十五億円強でございますが、それぞれ供与、交換公文の締結という意味では供与済みでございます。  この点につきまして、ただいま御指摘のように、住民の移転という問題を含みます環境問題ということが生起しておりまして、これにつきましては政府としても重大な関心を持って見守っているという状況にございます。
  58. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは「エコノミスト」にこのラハマットさんが記者の方としたこれを読みまして、ちょっと涙が出まして。これでどういうことを書いてあるかというと、この人は指導者なんですね、言うなら、日本でいえば区長さんぐらいに当たる方だと思うのですが、この人が「この服にはポケットがありません。」と言うんですよ。「イスラム教の伝統的なリーダーはワイロは受けとらない、という象徴です。」と言う。この服にはポケットがないんだ。だから、私がここで言っておることは、私のときにそう言われましたけれども、命がけなんだ、こう言うんですよ、ここに来たのは。  それで、ここに書いてあるとおり読み上げますと、この人は何かこう、ひもを三つぐらい頭に巻いていますね、向こうの人は。三つ垂らしておるんですが、一重目は人々の意志をあらわす、二重目はイスラム教を信仰する、三重目は政府をあらわしているんだ。このひもを解けば一本になるんだ。そういうことを前置きしてこの人が言われたのは、実は立ち退きについても補償についても全然具体的な話がされておらぬのです、一方的な話ばかりで、私たちには具体的に、この人は区長さんぐらいの人ですから、その人に話がない、こう言っておられるのです。インドネシア政府に言えば怒られる。大もとの援助国である日本に来ておられるのです。各省庁もずっと回っておられるから、各省庁みんな聞いておられるはずです。こういうことが、約九千五百億円、来年度予算に計上されておるODA、これを援助してやっても、政府は喜んでも、国民は喜ばない。相手の政府が喜んでも、相手の国民は喜ばない。こういうことがあったんじゃ、何のために援助をしておるのかわからなくなると思うんであります。  ですから、私はそういう前提に立って具体的にお尋ねをします。  インドネシアで、私は本に書きましたが、インドのナルマダ渓谷ダム計画のときにやはりこういう問題があって、政府は今度のインドネシアにおけるコタパンジャンの問題については何らかの措置を講じられたはずでありますが、その措置はどういう措置だったのか、前車の轍を踏まないようにされた内容について具体的にお答えいただきたいと思うのです。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 川上隆朗

    ○川上政府委員 御指摘の点でございますけれども、先ほども申しましたように、住民移転等を含みます環境問題につきまして非常に大きな関心を有しておりますが、移転等を円滑に行うための必要な措置というのは、これは言うまでもなく、すぐれて相手国政府の内政上の問題でございますが、我が国といたしましては、円借款供与の種々の過程におきまして相手国政府と十分に協議しながら、その中で相手国の立場を確認していく、とる措置を確認していくという基本的な立場をとっております。  このような立場から、ただいまのこのダムの案件につきましても、我が国政府といたしましてインドネシア政府に対しましてできる限りの働きかけを行ってきておるわけでございます。具体的には、住民移転の問題を含みます環境問題につきまして、インドネシア政府に対して適切な配慮を行うよう種々の機会をとらえまして要請し、インドネシア政府側が具体的な措置をとるということについて確認してまいっておる次第でございます。
  60. 松浦利尚

    松浦(利)委員 インドネシア政府の内政干渉にわたらぬ範囲内で具体的にお尋ねをいたしますが、インドのナルマダ渓谷の苦い経験を踏まえて、住民からの同意書を必ず取りつけてもらいたい、住民の納得ずくで補償を解決してもらいたいというようなことはインドネシア政府に対してお話しになられたんですか、どうですか。
  61. 川上隆朗

    ○川上政府委員 ただいま申しました確認措置の中身につきましては、御指摘のとおり、移転地の確保の問題等の住民移転にかかわる問題それから補償基準等の問題が中心でございますけれども、さらに、野生動物の保護にかかわる措置等につきましても含めまして、相手国との交渉の過程で、こちら側から要請し、先方から確認をいただいている次第でございます。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは口約束ですか、口頭ですか、何か文書によってちゃんと明記されておるものですか。
  63. 川上隆朗

    ○川上政府委員 本件につきましては、交渉の過程におきまして、討議の記録という形で、文章の形に今申しました内容のことをいたしておる次第でございます。
  64. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今言われたように、住民から同意書を必ずとる、住民の納得ずくで補償問題を解決する、あるいは希少動物の移転地を確保する等々については議事録、会議録ということでお互いに確認をした、こういう御返事だと理解をいたしますが、それじゃ、このとおり実施されておらないという苦情は、我々のところに来ておりますけれども、そういう問題について、あなたの方にも行かれたと思うのですが、それについてはどう判断されますか。
  65. 川上隆朗

    ○川上政府委員 討議の記録の中身の話についてでございますけれども、先ほども申しましたように、住民の移転等の問題、補償措置等の問題でございまして、具体的に何をどうしろという細かいところまでは書いてございませんが、全般的に、先ほど申しましたように、相手の内政干渉にならないような限度におきましてきちっと討議の記録の中で確認してきたということでございまして、このことにつきましては、単に文書の上で相手から確認を取りつけたということのみならず、いろいろな交渉の過程において繰り返し繰り返し先方にも要請をしてきておるところでございます。そのようなラインに従いまして、インドネシア政府といたしましても、我々の理解するところでは、最近に至るまで非常に大きな努力がこの点について図られておるというふうに理解いたしております。
  66. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外務大臣、これは日本の国はこれから世界で最大の援助国になっていく、経済大国として当然のことだと思いますね。しかし、せっかく援助してあげても、それが国民から逆に反日感情みたいな感じで、直接我々のところに苦情が来る。苦情が来るというよりも、もうどうかしてくださいという悲痛な叫びが届けられてくる。しかし実質的には、今御報告があったように、今までのインドの経験を踏まえて、それぞれ会議録、議事録の確認をお互いにしておられる、これは一歩前進だと思うのですね。  しかし、今後の問題は、援助をしてあげて、こういう確認書の上に立った援助であるはずなのにそれがうまくいっておらない、インドネシアの国内で、というものに対してどうやってこういうものをチェックするのか。相手を信用しないということになれば外交上の問題が出てきます。しかし住民からは逆に、援助してやった日本が批判を受ける。フィリピンなんかその典型的な例があらわれてきていますが。そういったことを考えてくると、せっかくこういうふうにしておっても、相手、受ける側の方の内部的なことで我々が批判を受けるということでは、これは国民はたまったものではない。こういうものについて、約束をしたことがそのとおり実施されておるかどうかというチェックの問題について、どういう方法をすればいいのか、大臣の方からもし御見解があればお聞かせいただきたいと思うのです。
  67. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは非常に難しい、実は頭の痛い問題なんです、実際は。それじゃ反対者が一人でもできないかというと、日本国内だって県道をつくるというときに、みんな町は賛成なんだが地権者の一部は絶対反対だと建設省まで反対運動に来る。それじゃ、反対者があるんだから補助金出すなど言えるかどうかという問題と似たようなことがありまして、問題は程度問題でもございましょう。どこかでダムができれば、日本だってやはり最後まで反対という人はあるわけですから、他国にもあっても不思議はない。しかし、これが余り極端なことであれば、今松浦委員の言ったように、では何のためにやったのだ、国を挙げて反対みたいなところへ援助したのかという話になってくる。  第一は、やはり基本的にいろいろな合意をすることが一つ。それから、やはり基本的にそういう方向で相手国が努力をしてもらうということが二つ目だろうと私は思います。  結局、援助するに当たって、フィリピンなどでいろいろ批判のあった援助があったことも事実なんですが、じゃ、アメリカのようにたくさんの人を送り込んで、設計の段階から、それから施工から落札から竣工検査から経済評価から全部日本がやるかということになると、これまた国によっては、アメリカだから文句はないが、日本が行けばこれは経済侵略だとか、やれ内政干渉だとかという話になってくる。これはまた行革の観点からそんなにたくさんに人はふやせない、悩みがいろいろあるのです、実際は。ですから、そこらのところはこれからいろいろ皆さん方の御意見も聞いて、原則的には相手政府を信用する以外にはないのですが、考えられるような問題についてはあらかじめ、こちらの条件とは言いませんが、こういう線でやってほしいというようなことはもちろんつけ加えていきたいと考えております。
  68. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産大臣、これは直接的な、ダムというのは、発電というのは。通産大臣は何か今の外務大臣について御意見ありませんか。
  69. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 外務大臣が申し上げたのに特に加えることはございません。
  70. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは総理もぜひお聞きいただきたいと思うのですが、アメリカなどに比べましてこれだけの援助大国になりながら、これは決して外務省の肩を持つつもりで言っておるわけじゃありませんが、どうですか、やっぱりこれだけのお金を援助するわけですから、出先の方のチェック体制とかそういったものの陣容が不足しておるのだろう七思うのですよ。お聞きをしたら、もう並み大抵のことじゃないですね。現地に行ってすぐ帰ってきて、一人で四つぐらいのプロジェクトを持ってふうふう言ってやっておられるのですよ。きめ細かいことがなかなかできない。  私は、人をふやせということは全体的には言いませんけれども、必要なところには人をふやしたらどうですか。今度のこの問題だって、現地に調査に行ったのはほんのわずかですよ。四日ぐらいしか行けない。なぜ行けないかと聞いたら、人がおらぬのです。それは行政改革も重要でしょう。しかし、これほど日本の外交にとって中心課題であるODAの問題については、通産等とも外務ともよく話していただいて、もっと増員して陣容を強化したらどうですか。これはもう総理決断しかないと思うのですが、どうですか、それは。
  71. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、これだけODAが急に大きくなってまいりましたので、確かに人は足りないと思います。それはおっしゃるとおりだと思いますのですが、ただ基本的には、やはり相手方の政府の立場というか、その考え方を尊重するというのがこれが基本でございますから、その相手方の政府の考え方がごくごく自然に無理なくつくり上げられておるかどうか、構成されているかどうかということは、ふだんからのつき合いとか、それからプロジェクトによっては、悪くない意味でいろいろ商社であるとかメーカーであるとかいうことが関係しておる場合がございますから、その人たちを通じても相手国の政府の立場というものが、大体民意をうまく反映しておるかどうかということは心がけておりますとかなりわかる場合が私は多いと思いますので、そういう意味での幅広い相手国側との接触も私は要るだろうと思います。一つ一つのプロジェクトということに限定しますと、とてもそれは一人いても三人いてもやり切れるものじゃございませんから、やはり相手国政府とのそういう接触というのも大事なんじゃないかと思います。
  72. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総理が言われることは、一般論としては決して否定しません。それで結構ですが、ただ具体的な問題として、このことが逆に言うと、せっかく援助してやって、それで住民の反発が広がって、反日感情がわあっと広がっていくというようなことにならないように配慮するのも外交手段でしょう。そのためにはODAの人がもう少しふえて、こういう問題が起こったときには現地に行って調査をする、そういうような即対応する体制というのが今日本にはないのですよ。だから、言われているようにインドネシアならインドネシア、援助相手国に任せ切りになってしまうので、こういったトラブルがあることを気がつかない。はね返ってくるのは日本ですから、だからそういった意味でもう少し外務大臣あるいはODA担当各省庁の大臣の御意見を聞いていただいて、こうした問題を排除する、隆路をチェックしていただいて、それでもっとちゃんとした、人員なら人員をちゃんと配置する、そういう計画性のあるODAというもののあり方を検討してもらえぬでしょうかね。もうだめですか、総理
  73. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 理想論を言えばそれは松浦委員のおっしゃるとおりなんですが、幾らたくさんふやしても、それは日本の役人がぞろぞろ何十人もそこに泊まり込みで監督するなんということは、やったら大騒ぎになりますから、逆に。やはりそれは相手政府をしてちゃんとこういうふうにやってくださいという程度の視察とか調査に行くというようなことは時々やっていい。しかし、それにしても余りにも人数が少な過ぎるじゃないか、これも事実。したがいまして、大蔵省の理解も得ながら、外務省の人員等についてはできるだけ配慮をしてもらっておる。一挙にはできませんが、そういうことを着々やっておりますし、また協調融資をすることが多いのですね、これは。世界銀行だとかADB、アジア開発銀行とか、そういうところからたくさんの人が行っても、国際機関ですから、日本の政府の人が行くのじゃなくて国際機関が行って監督することは、その割に内政干渉みたいなことは余り言われないのですね。したがって、そういう人たちの調査だとか何かをきめ細かく聴取をして、むだのないようにもちろんするとか、いろいろなことはそれは一緒に創意工夫をしてやってきておりますし、今後もやっていきたい。基本的にはもう少し人はふやしてもらいたいというのは事実です。
  74. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総理、大変お疲れのようですけれども、これは将来に向かって大変大きな我が国の外交の柱なんですから、ですから、そういった意味ではやはり外務大臣も、今人の問題にも触れて言われましたけれども、アメリカなんかはチェックして、言ったとおりしてなければ援助を打ち切るのですね。そのプロジェクトを打ち切るのですよ、アメリカなんかは。そういう厳しい対応をしているのですよね。だからそういうことも参考にしていただいて、ぜひ前向きに御検討いただきたいというふうに思います。  もう時間が終了いたしましたので、私の質問は終わります。
  75. 山村新治郎

    山村委員長 これにて松浦君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  76. 中野寛成

    ○中野委員 まず、政治倫理の問題についてお尋ねをいたします。  共和事件は、先日、塩崎議員の証人喚問鈴木総理参考人招致が行われました。ただ、本来こういう内容のことを行いますときには、金を出した人、運んだ人、受け取った人、それぞれの立場の人をお呼びしてその真相を聞いていく、そのすり合わせによって真相が浮かび上がってくるというのが本来のやり方であろうと思います。先般は金を受け取ったとされる人たちだけをお呼びして証人喚問等をしたわけでありますから、そこには一方的当事者だけしか私どもお尋ねをいたしておりません。全容を解明するために、金を出したとされる人、運んだとされる人、これらを含めまして、根幹をなす証人喚問等が行われますことを再度要求をいたしておきたいと思います。これは、理事会の申し合わせに沿って行っていただきたいことをこの際強く要求をいたします。  次に、佐川急便事件につきましては、現在司直の手により真相解明が行われているところであります。それとは別に、行政としてこの事件を反省し、うみを出し切る必要があると考えるのであります。ちなみに、元松山佐川急便社長の浜田洋祐氏の証言によりますと、政界工作をしたのは、省庁ににらみをきかせ、各種の便宜を図ってもらい、摘発の際も罰則をほどほどにしてもらうためであると申しているようでございます。その政界工作のために行われたとされる金の流れ等につきましては、今後これまた証人喚問等を通じまして、司直の解明とともにあわせ全容の解明を図っていきたい、こう考えておりますが、きょうは政府に対する質問でございますので、以下、行政に対して疑いを持たれておりますことを幾つか指摘をいたしまして、お尋ねをいたします。  まず、次のような疑いが指摘されております。これは、今日まで報道されたこと、以前にこの佐川問題について衆参両院で質問がありましたこと、そして最近同業他社の人たちがしきりに、こういう問題があるといろいろな形で直接、間接に私どもへ指摘をいたしますこと等を集大成をいたしてまいりますと、こういうことが言えます。  運輸省。路線類似行為、区域外営業、事業用の貸し渡しなどの道路運送法違反の長期間放置。大量増車の認可等の便宜。例えば八〇年代の十年間に全国区域トラック増加が一四五・六%、しかるに、佐川主管企業はその倍以上の三九七・四%になっている事実。  次に労働省。これは男女を問いませんが残業時間、それから女子の就労に関する過重労働等のいわゆる労働基準法違反の見逃し。  次に警察庁。集配送の際の駐車違反、スピード違反を前提とした運行計画等の道路交通法違反の見逃し。例えば、これは同業他社の人から直接私が聞きましたところでも、あそこの会社の集配送のトラックはまさに傍若無人である、我々ならあんなところに絶対とめることはできないのに、こういう重言もあります。また、東京-大阪を深夜二時出発、朝六時到着、四時間。どうして東京―大阪が四時間で運行できるのか、これらの問題が指摘をされております。また、何か問題が起こったときにやくざを使う、暴力団を使うということなどから、そういう方向への資金提供もまたあったであろうと指摘をされております。  建設省。トラックターミナル用の土地取得や農地からの転用の便宜。例えば市街化調整区域内の開発行為は都市計画法により原則禁止されておりますが、転用により地価がすぐに三、四倍にはね上がるという現実がありました。  農林省。農林中央金庫からの八十五億円の融資の転貸し、農林中央金庫法違反、融資審査のずさんさ等が指摘をされております。  そのほか、公正取引委員会の、不公正な取引、独禁法違反、これを見逃したのではないかとか、郵政省が電波法違反を見逃しているのではないか等々指摘をされているわけであります。  このすべてを今短時間の間に聞くことは不可能でありますが、私は、この際、各省庁が、このような疑いが過去なかったか、現在も継続されていないか、そしてまたそれらのことが今後適正に運用されるように、まずみずから襟を正すという自浄作用がきちっと働いているかどうか、これらのことがなされなければならないと思います。  代表的に二つの省からお伺いいたます。運輸省、警察庁。
  77. 水田稔

    水田政府委員 お答えいたします。  運輸省関係で二点ほど御質問があったわけでございます。  まず最初が、佐川急便グループの路線類似行為、区域外の営業、事業用の貸し渡し等の道路運送法違反行為を長期間放置したのではないかという質問でございます。それからもう一点が、佐川急便グループの大量増車を認可したということについて、佐川急便グループに特別に便宜を図ったのではないかということでございます。  まず最初の点でございますが、運輸省におきましては、道路運送法のもとにおきまして、佐川急便グループの御指摘のような路線類似行為等の秩序維持違反行為につきまして、関係機関等の通報を踏まえつつ全力を挙げて監査を実施し、違反行為に対する厳正な行政処分を実施してきたところでございますが、それにもかかわらず違反行為を繰り返してきたということが大きな問題になっておりまして、まことに遺憾なことだと思っております。  なお、トラック業界におきましては、従来からこういう事業者の輸送秩序違反行為ということが問題になっておりまして、先般制定されました貨物自動車運送事業法におきまして、社会的規制の強化を図るという観点から、こういう秩序違反行為に対する指導等を行います組織も設置するということになっておりますので、こうした制度を活用して今後とも輸送秩序の確立に向けて一層の取り組みを行ってまいりたいと思っているところでございます。  それからもう一点、大量増車に対する便宜の問題でございますが、私どもは、増車につきましては、四十五年六月に局長通達等を出しておりまして、車両の収容能力が不足しているような場合あるいは車両使用停止処分以上の行政処分を受けて一定期間が経過していないような場合、こういう場合を除きまして直ちに認可を行うべきだという指示をしておるわけでございます。したがいまして、具体的な増車事案につきまして、各運輸局におきまして、このような基準に基づき適正に処理を行ってきておるというふうに思っております。  佐川急便グループにつきましての増車でございますが、特に特別な便宜を図ったわけでもございません。適正に処理されたというふうに理解をいたしております。
  78. 関根謙一

    ○関根政府委員 警察の取り締まり方針についての御疑念でございます。警察の道路交通達反に対する取り締まりの方針は、交通の安全と円滑を図るという見地から、悪質、危険、迷惑性の高い違反の取り締まりに重点を置き、かつ公平を旨として行っているところでございます。したがいまして、特定の車両について特に他の車両に比較して厳しく取り締まったり、あるいは特に取り締まりを緩やかにするということは、公平な取り締まりという見地から絶対にあり得ないと確信しておりますが、しかしながら、そのような風評があるということについては反省すべき点もあろうかと存じます。公平らしさということも十分念頭に置きまして取り締まりを実施してまいりたい、このように考えます。
  79. 中野寛成

    ○中野委員 例示として二つの省庁からお答えをいただきました。例えば佐川の社員の重言として、駐車違反なんて怖くない、会社で面倒見るから道の真ん中でも何でも一番近いところに車をとめる、こう言われておったと、会社から。こういう証言もあるわけでありますし、同時に同業他社の運転手の証言を聞きますと、いやあさもありなんと、もう目に見えてそういうことがあったと、こう言うわけでございます。  それで、こういう疑いを持たれること自体問題でありますし、これはひとり佐川急便事件にとどまらないと思うんであります。あらゆる行政にやはりこのような不公平や便宜が図られておったとするならば、これは政治不信を買う一番基本になることだろう、こう思うのでございまして、私は、今申し上げたことを単に佐川について調べてくださいと申し上げているわけではなくて、いかなる会社であろうともそういう便宜が図られるというようなことがあってはなりません。今後十分にこれを契機として御反省もいただき、また御注意をいただきたいということを申し上げたわけであります。  これは総理か官房長官から、トータルとしての政治姿勢としてお答えをいただきたいと思います。
  80. 加藤紘一

    加藤国務大臣 中野先生御指摘の観点から、行政の公正さということはいろんな角度から指弾されないように注意しておかなければならない問題だと思います。今の御指摘の観点を踏まえて、十分に政府部内の方でも徹底したいと思います。
  81. 中野寛成

    ○中野委員 次に、景気問題についてお尋ねをいたします。  民間信用調査機関が十一月十三日にまとめました十月の全国倒産状況によりますと、負債総額一千万円以上の企業倒産は、前年同月比六五・八%増の千七十一件、八七年十月一千六十四件以来、四年ぶりに一カ月千件を超えたと報道されております。十一月は千百九件とこの数を上回りました。単にバブルがはじけたというだけではなくて、製造業、販売業などの倒産も目立っております。これを称して、不況型倒産が五〇%を超えたというタイトルもつけられているわけであります。  ちなみに国民所得統計では、民間住宅投資伸び率が一九九〇年十月-十二月期からずっとマイナス、そして民間設備投資伸び率は、一九九一年四-六月期がマイナスとなっております。新車新規登録台数伸び率は平成三年に入ってマイナス続き、全国百貨店販売額も東京地区の十二月は前年同月比マイナス二・四%。日銀の集計では、製造業の経常利益の伸びも平成二年度はマイナス一・二%で、三年度もマイナス一二・九%と予想をされております。  このような事態の中にあって、経企庁の表現、通産省の表現、それは役所によって、経済学は心理学だとも言われますから、役所の方が、とりわけ経企庁がこれからの景気は厳しいと言えば、国民はみんな厳しくなるんだと思って財布のひもを締めてしまいます。そのことの意味合い、政治効果的な意味合いはよく承知をいたしておりますけれども、しかしながら、だからといって甘い予想だけを言っておりますと大変なことになります。予想は楽観的でも対策は厳しくするというのが、当然政府の経済運営の要請であろうと思います。通産省、経企庁から、その基本的なスタンスについてお答えをいただきたい。
  82. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今、大変中野先生からいい表現を承って、予想は楽観的でも対策は厳しくということで、予想の方をされるのが経済企画庁、対策をするのが通産省でございますから、まあ私は、昨年の十一月から景気の実態に直接触れ、また経済に直接責任を持つ立場から、景気の問題を終始今日まで心配をしてまいりました。  まあいろいろ表現とか統計とか、これは今先生から御指摘の点ありましたが、企業を経営する者にとっては、昨年よりも売り上げが減って在庫がふえれば、これは当然生産も減らして在庫調整をしなければなりませんし、また中小企業の皆さんにしても、今御指摘のとおり残念ながら売り上げが鈍化し利益率が減っておるわけでありますから、これは不況感を持たれるのは当然のことであって、そうなれば最終的には、これは働く人たちにも国の税収にも影響しできますし、また日本の国の今日、世界に置かれておる立場の責任ということを考えますと、今残念ながら黒字がどんどんふえておりますけれども、しかしやはり経済は成長をしていかなければなりませんから、これは輸出抑制よりも内需拡大ということによってこのことを解決するということを考えると、やはり何としても政府部内の統一見解である三・五%の成長はなし遂げなければならないということで、実態を直接産業界と接触しいろいろお聞きしながら、真剣に今対策を講じておるところでございます。
  83. 野田毅

    ○野田国務大臣 今概略、通産大臣から申されたわけですが、まあざっくばらんに申し上げまして、このところ景気の現状は、今るる御指摘ございましたように、あるいは需要の側面あるいは特に業況感等々をとってみますと、かなり減速感が広まっておるということだと率直に感じております。  ただ、予想とそれから対策のお話がありましたが、予想、まあ無責任な予想というわけにいかぬと思っておりますが、要するに現状の景気の情勢に対する的確な冷静な判断をどう表現をするかということについては、御案内のとおり政府として経済関係の各省庁それぞれ、月例経済報告という形で私どもの方から公式には出させていただいております。その中で、よくごらんいただきますとおわかりだと思うんですが、このところ景気の現状に即して表現を少しずつ実は変えてきております。それで、今のところの判断は、この二月の月例で申し上げましたとおり、基調としてはいわゆる雇用の均衡を維持しながらバランスのとれた成長経路に移行する調整過程にある、こういう認識でありますけれども、現状はその減速感が広まってきておる、こういうことだと思います。そして、ざっくばらんに申し上げて、経営の前線に立っておられる産業界の皆さんは、マインドの方はさらにこの減速感、いわゆる下振れがしておるのではないかというふうな感じを抱いております。  ただ、そういう中で問題は、この後、先に向けてどう持っていくかということでありますけれども、その際に悲観的な材料だけをずっと並べ立てていわゆるワーストシナリオをずっと並べ立てて大変だ大変だというようなことだけではないのではないか。先ほど御指摘もありましたけれども、例えば住宅投資で見れば、対前年同月で比べれば確かに二けたのマイナスだとかいうようなことはあるのですけれども、しかし傾向値として見ると、昨年の九月、十月、これは年率ベースでは大体百二十六、七万戸ペースでありましたが、十一月、十二月に入って百三十万戸ペースになる、そしてことし一月に入りまして百三十八万戸の年率になってきておるという、まあいわば減少傾向ではあるけれども下げどまりの傾向が明らかになってきておるのではないかな。いずれ間もなく自動車の売り上げも出てくると思いますが、一月は確かに対前年で若干マイナスでありますけれども、これもマイナスの度合いがずっと低くなってきており、対前月、まあ一カ月だけで見るわけにいきませんが、乗用車についてもやや下げどまりの気配があるのではないか。二月の統計はまだでき上がっておりませんけれども、前半の数字を見ると堅調な姿も報告も聞いておるわけであります。  そういった点で、さらに今予算審議をお願いを申し上げておりますけれども、少なくとも今度の予算編成は、御案内のとおりかなり景気に配慮した予算編成をやっておるわけでありますから、少なくともこの予算が極力早く執行されていくというようなことになれば、公共投資ということがいわば下支え効果を発揮するであろう。あるいはまた設備投資についても、もちろんいろんな面で業況判断がよくないというようなことから、いわば最近のところ下方修正ぎみでありますけれども、これも一つは背景として、いわゆる労働力不足といいますか、まあ労働時間短縮というようなこともこれあり、省力化、合理化投資へのどうしても根強い意欲があるということも事実であります。そして、業況感がよくなっていくということになれば、これも改善され、上方修正をされていくことになるのではないかな。当面やはり非常にこの業況感がよくないのは、少なくとも、率直に申し上げて、昨年ぐらいまでは営業利益は一けた増益であるが、いわゆる経常が二けた増益であった。しかし、今度の三月決算は逆の現象が出てきている。いわば、営業利益が一けた減益であるけれども、経常の方が二けた減益になってしまっておる。そういうこの三月決算を目前にした、いわば経営者の皆さんが大変頭を痛めておられるということが、私はある程度影響もしておるのではないかな。  そういうことを考えますと、我々、御指摘ありましたように、現状認識について甘いだの遅いだのいろいろ御指摘もあったのですけれども、少なくとも極力最新の情報を、いわゆる最新の数字をしっかり手に入れ、そして経営者の皆さんやら産業界の皆さんのいわば皮膚感覚を極力我々もヒアリングを行いながら、それらを総合して判断をしておるつもりであります。そういった点で、先行きについて、私は率直に申し上げて、今こういうような環境の中で悲観材料だけを並べ立てていろいろ言うということは、必ずしも全体としての企業マインドなりあるいは消費者マインドなりそういったものにとってプラスであるかどうかということは、やや懸念を感じておる次第であります。
  84. 中野寛成

    ○中野委員 悲観材料を並べることに私も決して賛成ではありません。逆にしかし現実を踏まえまして、悲観材料を並べるのではなくて、期待感を持たせるような対策をむしろ大いにクローズアップさせるということは大切であります。  そこで、これは各省庁にまたがりますから総理にまとめてお尋ねをしたいと思いますが、公定歩合の問題。これは、日銀総裁の判断はどうも遅い、大蔵大臣はオールマイティーだから日銀総裁の首をすげかえてでもやれと乱暴なことをおっしゃる方もいるようでございますが、しかしそのことは別にいたしましても、去年の公定歩合の下げ方は小刻み過ぎたのではないのか、やり方によってはもっと効果が発揮できたのではないかという指摘もあります。もっと下げるという、我々もそういう気持ちを今持っています。  また、公共事業の前倒し、別に予算を早く上げれば早く執行できるんだからと自民党さんから言い出しそうに聞こえますが、これはその他のもっと重要な問題において予算審議がおくれたことを大変私どもも残念に思いますが、それはさておきましても、公共事業の前倒し、場合によっては一年間だけではなくて再来年の分もやるぐらいの気持ちというものを持っていってはどうかという考え方があります。また、昭和五十七年度が中小企業対策費二千五百億円、しかし平成四年度予算によりますと千九百五十億円と大幅に減っております。これらのことも踏まえまして、やはりもっと金融政策や財政運営について基本的に臨機応変の対応ができる、またそれをやるという政治姿勢が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  85. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 業況感につきましてはただいま経済企画庁長官からもお話があったとおりでありまして、私どもも、いろんなその指標というものを見ながら分析しておるわけでありますけれども、それと同時にやはり私どもは、お金というものは一体どんなふうに浸透しているのか。これは各財務局等を通じながら聞き取り調査なんかもやっておりますし、また経企庁あるいは日銀も、そういったことをできるだけ新しい情報をつかむように努力されておるということで、私ども、そういったものを意見交換しながら、適切に対応していきたいというふうに思っております。  なお、公定歩合につきましては、もう御案内のとおり、昨年三次にわたってその対応をしてきた。小刻みということでありますけれども、今現在の水準、実際に貸し出していく水準というものにつきましては割合と下がってきておるということで、また長期、短期についても下がってきておるということでございまして、これが実際に設備投資ですとかそういったものに使える範囲にあるという実は理解も受けておるところであります。しかしなおかつ、地方なんかにもそういったものが行き届いているのかどうか、こういったものは常々やはり十分注意しながら見守っていきたいということを申し上げておきたいと思います。  なお、予算の前倒し、あるいはもう平成五年度の分までやるぐらいのつもりでやれというお話でありますけれども、いずれにいたしましても、これは与党がということより政府といたしましても、これは先ほどからいろいろとお話がある中に、どうしても景気というものはやはりマインドというものがあるということを考えましたときに、この予算というものが年度内にきちんと成立さしていただくということ、これはやはり大事なことであろうと思っております。そして私たちは、この執行面に当たりましては、これが適切に執行できるように、その準備といいますか、そういったものの対応はこれからもおさおさ怠りなくやっていくということを申し上げておきたいと思います。
  86. 中野寛成

    ○中野委員 ここで本当はこのテーマについて総理からお聞きしたかったのですが、私の持ち時間がたったあと三分しかないのです。まことに残念でありますが、もう一つお尋ねいたしますので、トータルとして総理お答えいただきたいと思います。この予算のあり方であります。  防衛費の問題について先般来多くの議論をいたしておりますが、例えば防衛費の論議をいたしますときに、私も見直しを早くやるべきだと思うのであります。なぜかといいますと、国際情勢に的確に対応する。日本国のイメージというものは、いかに早く的確に対応するかによってイメージが決まるのでありまして、遅くなればいかにいいことをやっても国際的評価を受けません。  また同時に、防衛費の問題は、日米間を中心にいたしまして、国際貿易関係にも影響を与えます。国内の生産体制にも影響を与えます。防衛庁、とりわけ自衛隊内のいろいろな対策にも影響が当然ながら出てまいります。財政運営と経済体制全体に大きな影響力を及ぼすことも事実であります。言うならば、防衛予算の見直し等については、一刻も早くやるべきであります。国際情勢の変化にすぐ対応できるということが、また外交及び防衛の要請でもあろうと思うのであります。それをいつまでかかって見直ししようとされるのか、それがもう一つはっきりいたしません。  私どもは、幾ら削りなさい、中期防を見直してこれこれを目標に削りなさいと、金額を先に申し上げるやぼなことはいたしません。むしろしかし、こういう状況下にあって、周辺諸国の防衛体制等を見定めながら、どういうあり方をすべきかというのは、これは臨機応変に対応できる能力があって初めてそれらのことが許されると思うのであります。まして、日本が防衛費については削減傾向にあるという姿をはっきり見せることによって、PKOとりわけ自衛隊の海外派遣等についての内外の理解というものは、安心度が高まって理解度が深まるということにもつながっていくであろう、こう思うのであります。そういう意味では、景気対策も、そしてこの防衛費の見直しも、まさにいかにスピーディーに臨機応変に、信念を持ってリーダーシップを発揮してやるかということにかかっているわけであります。  一点、防衛費につきましては、平成四年度予算のカットにもし間に合わないといたしましても、遅くとも平成五年度予算には明らかに数字となってあらわれるということが必要であろうと思いますが、トータルとして総理の御答弁をいただきます。
  87. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先生のおっしゃられるとおり、そういう視点に立たなければなりませんが、ただ、現在の中期防は、一昨年の十二月につくられましたが、この国際情勢の変化等を十分踏まえたものであることも御案内のとおりでございます。伸び率も低いし、正面装備の契約量も低いし、また保有量も低いし、いろいろな面で抑制的なものになっております。このことだけはまず前提でお考えをいただきたい。その上に立って、中期防では三年後の見直しを掲げております。そして当委員会におきましても、その見直しにつきましては総理からの御指示もございまして前広に検討を開始せよということでございまして、私どもとしては、防衛力検討委員会を庁内に設けまして鋭意検討しているところであります。  しかしながら、この問題は、いろいろの中期防の各種主要事業について検討を要しますので、そう簡単にできません。そして、今先生おっしゃられるとおり、五年に反映するということであれば、基本的には概算要求、つまりことしの八月までに全容を明らかにする必要があります。しかし、防衛庁内部としては、当然六月ごろまでにははっきりした見通しをつけなければなりませんので、なかなかそう簡単に前倒しということもできないのではないかなと、私は、こうした問題はやはり慎重に、しかしまあ今先生がおっしゃられたようにスピーディーにやる必要もある、そういう視点で十分対処してまいりたいと、こう思っております。
  88. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 防衛費の問題につきましては、今防衛庁長官の申し上げましたことは、要するにおっしゃることもよくわかりますので、与えられた状況のもとでできるだけ急いでひとつ見直しをやってみたい、こういうことを申し上げたと思います。まあ、ぜひそうしてもらいたいし、そういたしたいと思っております。  それから、景気の状況、予算全体の執行につきましては、私も御指摘の景気の現状につきましては心配をいたしておりますので、できるだけ早く予算の成立をひとつ認めていただきまして、その執行につきましてもいろいろ工夫をしてまいりたいと思っております。
  89. 中野寛成

    ○中野委員 終わります。
  90. 山村新治郎

    山村委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  91. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、けさ新聞を見ておりまして――大蔵大臣質問するのが珍しいから座を外されたのかどうか知りませんが、けさ私、新聞を見まして、一部の新聞ですけれども、「担保除く残額公表」ということで、全銀協が不良債権ディスクロージャーですね、これの基準案を示したという報道を読んだのであります。もちろん、これは金融制度調査会に諮られて、そして答申を得て大蔵大臣が判断をされることであろうと思いますが、私もこれはプロじゃございませんので、素人に教えるような気持ちでお考えを承りたいのですが、これが本当にディスクロージャーされたら大変なことになるのじゃなかろうかと私は心配をするのであります。  こういうことを書いてありますね。全銀協が銀行の不良債権の実態を公開する問題で、三月一日までに情報開示、すなわちディスクロージャーの基準案を作成、各銀行に示した、そして、六カ月以上金利返済が滞っておる不良債権総額から担保を差し引いた額青九三年三月期決算から公表する、こういう内容であります。  で、これは数字が間違っておったら私は訂正をしていただきたいと思いますが、いろいろ私も民間データを調べてみました。民間調査機関のデータによりますと、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行を合計した不良債権額の推定は、約二十六兆円から二十八兆円と思われます。過去十年間の不良債権償却額は一兆四千億円程度と推定をされております。すなわち、現在の不良資産額は過去十年間の二十倍の償却を必要とすることになります、この数字がそうであれば。それで、金融機関全体の不良貸出総額は四十二兆円から五十六兆円ぐらいになるのではないか、これはデータのとり方によっても違うでしょう。  こういう状況の中で全銀協が不良債権をディスクロージャーするということについて、私は、これは大変な事態が起こるのではなかろうか、その辺は十分大蔵大臣も答申を見られて判断されることであろうが、今の段階について私が心配をしておることについてどのように思われるか、御見解を聞いておきたい。
  92. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 数字につきましてはまた担当の方から申し上げさせていただきますけれども、今御指摘のございました、きょうのたしか朝日の朝刊だったと思いますけれども、これにつきましては、全銀協の経理専門委員会というのがございまして、この会長行が一つのアイデアとして示したものであるというふうに聞いております。  不良資産の定義ですとかあるいは担保の評価方法など、技術的に検討すべき点がまだ残されておるということでございまして、いずれにいたしましても、近々設置されることになっております金融制度調査会、これの作業部会での議論、これも踏まえる必要があろうと思っておりまして、今後とも関係者の間で検討が続けられていくものであるというふうに私どもは理解をいたしておるということであります。
  93. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その経過はわかっているのですよね、こういうふうになるんだと。私が心配しておることについてどう思われるでしょうかということを、まあ今の段階で言いにくいかもしれませんけれども、私素人ですから、教えていただきたい。
  94. 土田正顕

    ○土田政府委員 その間の事情その他について御説明を申し上げます。  この金融機関の経営内容のディスクロージャー、いわば開示でございますが、これはやはり金融の自由化、国際化の進展に伴いまして銀行業務が拡大、多様化する、その結果、今までのような開示内容では十分な情報開示が果たせなくなってくるということで、ここ数年、年々このディスクロージャーの内容を拡大してきておるところでございますので、今後の問題といたしましていろいろございます中に、不良資産の内容をどの程度公表するかという問題がいわば宿題として残ってはおるわけでございます。ただ、この問題はいろいろと技術的な問題もございますので、委員がまさに御指摘のように、金融制度調査会あたりの議論では、作業部会などを開いて今後検討していったらいいんではないかというような議論も出ております。  ところで、御懸念のような、内容が悪いのにディスクローズしていいのかという御心配の点でございますけれども、これはまず第一に、何兆というような金額について私ども確たるデータその他をマスコミから聞いているわけでございません。私どもはもちろん不良貸し出しの金額については実態把握に努めておりますし、今後も決算ヒアリングなどを通じてその状況把握に努めてまいりたいとは存じますが、ただし、今不良資産と言われておりますものは、例えば利息がかなりの期間払われないようなものとか、そのようなものを一般的に言うようなことが多いようでございます。これは人によってさまざまな解釈で言っているようでございますが、片一方で、償却というのは、そのような不良資産の中でいよいよ、例えば会社が倒産をするとか、倒産をした後でその担保権を実行して、なおかつその回収不能なものがあるとか、そういうものについて最終的にいわば損失が確定した場合に、これを金融機関の経理を健全なものとする観点から、その部分について償却を立てるということでございまして、常識的には、その不良債権なり不良資産の額に対するはるかに小さな割合が後年度において償却されることになる、そのように大体考えて大過ないかと思います。  ちなみに、そのような不良債権の金額そのものについて、私どもは、現在申し上げるべき数字はございませんけれども、ただいま御指摘にありましたような何十兆円というようなものを金融界の関係者で想像もしていないというようなことは、やや雰囲気的な話でございますが、申し上げることができるかと思います。  いずれにいたしましても、この全銀協会長行がアイデアとしていろいろ出しております背景の考え方は、これは全銀協の会長が記者会見などでも申しておりますように、不良債権の規模も増加はしておりますけれども、金融界としてマネージできないような状況に至っているとは考えておらず、憶測により無用の混乱を招く懸念もあり、きちんと説明できる状況を早くつくるべきであると思っておるという、そのような観点から検討に取り組んでおるものであるというふうに私どもは了解しているところでございます。
  95. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いずれにいたしましても、昨年の金融・証券問題、これはまことに、羽田大臣の前の問題ですけれども、私は、あの原因をつくった犯人、犯人と言ったら言葉は悪いですけれども、原因をつくった人は、やはり日銀と大蔵省の見通しの甘さだった、このように率直に言わなくちゃならない、そういう認識に立たないと本当の景気回復は出てこないのではないか、そのように私は思います。  それで、四日の日に内外の経済問題の集中審議があるようですけれども、それと連動する意味で、先ほど民社党の中野委員がおっしゃった景気対策、景気回復策について、私も賛成であります。私は、はっきり物を言う方が好いておりますから、余り飾りません。バブル経済のもたらした弊害、これはもちろん払拭しなくちゃいけませんけれども、再燃防止に、十分警戒し、あるいは気配りをすることも必要不可欠であります。しかし、そうだとしても、景気後退という事実は、これは現実じゃございませんか。それは、大蔵大臣が景気が悪い悪いと言われたら、それは大変なことになりましょうけれども、それは私は求めませんよ。しかし、庶民の感覚として、実際に経済の前線にある方の認識は、私はそうだと思うのです。それで、私は、成長することが適切な水準に戻ることは何よりも今日必要ではないか。  結論の方を先に申し上げますと、景気回復のためには、もう簡単に言って二つ、あるいはもう一つつけ加えれば三つあるかもしれません。一つは、先ほども中野委員が触れられました金丸副総裁の日銀総裁首切り発言、これは論外です。これは論外ですけれども、金丸副総裁の景気回復についての強調されておる内容は、私は傾聴するに値する、このように思うのであります。昨年末の第三次公定歩合引き下げの効果をじっと見守るばかりではだめだ、私は、その時期を失するのではないか、こういう心配があります。いま一度この利下げの問題について、これは率直に、もちろん日銀の政策委員会がやるでしょうけれども、政府も国会も論議をするときに来ておるのではなかろうか、このように私は考えます。  それともう一つ、バブル経済への反省は、もちろんその上に立たなくちゃなりません。しかし、株価低迷の増幅をこれ以上許しておっていいかという問題であります。これを看過してよかろうか。補てんを受けた大企業、もう去年やりました。それとは裏腹に、一般の投資家、庶民投資家、特に老齢年金でやっていらっしゃるお年寄りの方々の株による損失というのは目を覆うものがあります。大変な陳情やあるいは苦情が私のところにも参っております。したがって、この際、適切な第四次の公定歩合の引き下げ、それから節度ある株価回復措置が配慮されてしかるべきではなかろうか。もう結論を先に申し上げておきます。  お考えをお伺いしたい。
  96. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 景気の動向等につきまして、あるいは現在の状況についての判断につきましては、先ほども経企庁長官の方からるるお話があったわけでございますけれども、私どもも、確かに全体的に、景況感といいますか、こういったものが減速しているというその感じ、あるいはそういった心理というものは非常に広がっているということについて、私どもも率直に認めるところでございます。  ただ、問題は今、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、住宅建築の申請の戸数等をこうやって見ておりましても、このところ少し下げどまりというものがやはり出てきているんだろうというふうに思っております。ですから、現在の状況というのは、単に後退というよりは、やはり景気の循環的なその中における、例えば在庫なんかの場合にも調整の過程にあるということでありまして、その点では、一つのインフレなき持続可能な成長、これに移行する調整過程にある、要するに私たちはこんな判断をいたしながらしております。  ただし、私ども本当に一体どうなのかということがございますから、私どもは、例えば財務局というのが各地域にございますから、こういった皆様方に、実際に地方の中小企業あるいは零細企業というのがどういう状況にあるのか、あるいは、資金を使おうとしても実際にその資金を得ることができないのか、こういった問題についてやはりきちんと把握しておいてもらわぬと困りますということで、それぞれその皆さん方は作業いたしております。また、日銀は日銀、あるいは経企庁さんなら経企庁さんの方でも、やはり相当細かい実は現時点における調査というものも、聞き取り調査等をやりながら、また相互に連絡をして、それぞれが機動的な対応をしていこうという態勢にあることを率直に申し上げておきます。  そして、ただ三次にわたるところの公定歩合の引き下げというものを見守るということではなくて、実際に現状どうなのか、本当に貸出金利は一体どうなっているんだろうか、こういったものをきちんと把握しながら、そして、先ほど申し上げましたように、本当にそれが隅々まで行き届いてないのかどうか、そういったことを見守り、そして実際はどうなのかということを判断しておるということでございまして、私どもも今度はこういった問題に対しても、そういった状況というものを的確に判断しながら、機動的に対応していきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、今の予算の前倒し等というお話があったわけですが、いずれにいたしましても、これはもう改めてお願いを申し上げるわけでありますけれども予算を一日も早くひとつ通過さしていただきたい。というのは、この予算の中には、もう各委員の皆様方もお認めいただいておるように、いろいろな不満はあるけれども、やはり景気には配慮した予算だなという実は御指摘をいただいておるところでございまして、この景気に配慮した予算がやはり一日も早く通過する、そうしますと、各企業の皆さん方国民皆さん方もこれに対する理解というものが深まってくるであろうということで、これをぜひとも早く通していただきたい。そして、私どもは、これが通ったならば、それをやはり適切に機動的に対応できるような対応をしていきたいと思っております。  なお、株式市場につきましては、もう今御心配いただいたとおりでありまして、今度のような、今飛ばしなんという言葉が出てきておりますけれども、ああいうものがまだその残滓としてあるということについて、私どもも憂えなきゃならぬし、残念であるわけです。そして、やはり一日も早く証券市場というものに信頼を取り戻して、今御指摘がございました個人投資家の方々ですとか、あるいは機関投資家の方々も、やはり胸を張って投資ができる環境がないと、何か株に手を出すことが悪いことだみたいにとられてしまうということになると、これはやはり資本主義、自由主義経済に対して物すごい悪い影響を与えてしまうということを私たちもよくみずからに言い聞かせながら、信頼が取り戻せる、取り戻すために、精力的にやはり働いていかなければいけない、かように思っております。
  97. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 予算を早く上げることに私は決して不賛成ではないのであります。ただ、税金を納めるのは国民ですから、政治に対する信頼がなくてはだめだ、それを我々は言っておるので、今いいじゃないですか、順調に行っているから。またまずいことがないように、ぜひお願いします。  ちょっと総理のお考えを聞いておきますが、何か経済団体からも公定歩合の問題について陳情があったようでございます。公定歩合と解散問題は事実を言わないでもいいというようなことを聞いておりますが、総理はノーコメントだったようですけれども、どうでしょうか。
  98. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いろいろ注意して各方面のお話を伺っておるわけでございますけれども、今大蔵大臣が言われましたこと、委曲を尽くして説明をされましたが、大体私はそれに尽きておるのではないかという感じを持っております。
  99. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次は、ちょっとまた愉快でない問題に入らざるを得ないのであります。  二月四日の私の質問に対して法務大臣からいろいろクレームがついたようであります。私が選挙のことをまず申し上げたのは、こういうことが過去あったことを思い出していただきたい。私はあのときも申し上げた。私が記憶しておる中では、昭和四十一年のあの佐藤内閣時代の黒い霧から始まってずっと続いたスキャンダル、四十一年のその黒い霧事件のときに、実は翌年の四十二年の四月、政治資金の規正等の改善事項について、いわゆる審議会が、第五次選挙制度審議会がこういう答申をしているのです。昭和四十二年です。「当面緊急に措置すべき事項に関する特別委員会」を設けました。そして答申をした。名前はこういう名前です。「政治資金の規正等の改善に関する件」、これが答申です。「政党は、議会制民主政治の基盤である。政党の活動は、公明正大で、かつ、清廉潔白でなければならない。また、民主国家における選挙は、明るく正しく行なわれなければならないことも当然である。しかるに、昨今、政治資金をめぐって国民疑惑を招くような事態が生じ、また、総選挙においては買収、饗応等の悪質犯罪があとを絶たなかったことは遺憾に堪えない。」これは私が言っておるのではなしに、この答申が昭和四十二年に出しておる。だから、私はそのことをもう一遍指摘をしたのであります。  これはお互い自戒しなければならない問題。だから、この前も言いましたが、何回やっても真相を解明しないから、手当てだけを先行するから、私は、いわゆるざる法になってくるのではないか。これは今度は宮澤総理も真剣に政治改革ということを言っていらっしゃいますから、その経過を私は見守りたい、このように思うのであります。  それで、私が意図するところは、法務大臣大臣の役職ですから反省をしていただきたい点があるから、戒めてもらいたいところがあるから、あえて私も好きじゃないが、この前ああいうことを指摘をしたのであります。  それで、ちょっと私、この前法務大臣が最後に答弁された言葉があります。ちょっと私わかりませんので、もう一遍意味を聞かせていただきたいのですが、こういうことを答弁の冒頭言われました。最後の方ですよ。思い出してください。「語るに落ちるところがたくさんあります」これは日本語では、語るに落ちるところがありますというのは、私が落ちるのじゃなしに、あなたが「語るに落ちるところがたくさんあります」という意味ですか、これは。どういう意味なんでしょうか。
  100. 田原隆

    田原国務大臣 お答えします。  その前に、もう一度お聞きいただいて、趣旨をお聞きして、警告を発するというような意味とか、いろいろな選挙違反の件とかよくわかりました。  それから、ただいまの「語るに落ちる」というのは、どうも私、言ったような気がしますが、適切でなかったら、その表現は変えさせていただきます。
  101. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと私、意味がよくわからないから、法務大臣が語るに落ちられたのかなと私は思ったものですから。  それから、その次にあなた、こうおっしゃった。「あえて本気になって答弁はいたしません」。これは一体どういうことですか。あなたは本気になって今まで答弁していなかったのですか。もしそうだとすれば、大変な侮辱じゃないですか。何かこの前二月四日の私の質問に対して、国会法第百十九条を挙げた方がおったそうです、「無礼の言」。無礼の言とはこういうことを言うのですよ。まじめに答弁していないということじゃないですか、これじゃ。どういう意味でしょうか、これは。あえて本気になって答弁しないというのはどういう意味ですか。
  102. 田原隆

    田原国務大臣 速記録をとっていませんので、読んでいませんので、細かい点は記憶がございませんが、私は、御質問のあった中で相当事実に反することがございましたので、本気になってお答えしたのですが、ただ、先生が時間の大半を先生の方でお使いになって、私は答弁する機会がございませんでしたので、後で残った時間でといったら、これは本気でやったら相当かかるから、一分ぐらいしかなかったので、そういうふうに申したような記憶があります。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、それならよくわかります。おっしゃるとおり、答弁に時間費やされたら私は一問しかできませんよね。それでああいう形になるのはやむを得ぬ点があろうと思います。  それからもう一つ、私御注意しておきますけれども、私が十幾つか法務大臣は後援会を持っておられますねと言ったら、あなたは「十幾つもあることは考えられません」と答えておる。私は裏づけのないことは言わないように心がけておるのです。もしお疑いならここへ出しましょうか。ごらんになりますか。十二ありますよ。自治省に届けられた印刷物です、これは。
  104. 田原隆

    田原国務大臣 詳しい数字は私知りませんが、先生のおっしゃる数字に間違いないと思いますが、ただ、私がそのとき勘違いしましたのは、各町村に私を後援する団体がありまして、それを全部いわゆる普通の俗に言う後援会と同じように考えて自治省に届け出して、そして東京の後援会等から必要な資金を送って、そこで受けて払っていたという小さなやつを入れるとそうなるということで、私は、先生がおっしゃったのは、大きい後援会が、いわゆる何と申しますか、集金的な後援会が十幾つもあるというふうにおとりになったかと思って、私も質問の予告いただいておりませんで、突然聞かれたので、そういう点、勘違いがありましたことはおわび申し上げます。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 わかりました。私は、自治省に届けられて印刷になっておることを根拠に申し上げたのであります。共和法務大臣とのお金の問題については、森口共和副社長が証人として出てこられればはっきりしますので、それまで保留をいたしておきます。  それから、二月二十五日、鈴木参考人に対する私の質問に対して懲罰動議が出されております。私は、御存じない方もあろうと思いますから、一応、山村委員長に以下のような書簡を回答として出しております。   去る二月二十五日の鈴木参考人に対する私の  質問に関し、予算審議のさなか御迷惑をおかけ  していることに深くおわびを申しあげます。   私の質問中、中川代議士に触れた部分につい  て中川代議士より抗議をうけ、陳謝、訂正の申  出がありました。その際、私は「もし事実でな  ければ二十八日の委員会冒頭、陳謝、訂正す  る」旨お答えをいたしました。   誤りがあれば陳謝、訂正することは当然であ  り、私はそういうことにこだわる人間ではあり  ません。   しかし、再度情報提供者に確かめたところ、  現在の段階で訂正する必要はないと判断し、中  川代議士にもお伝えいたしました。   この点の黒白につきましては、野党が一致し  て要求している森口共和副社長、阿部文男代議  士の証人喚問実現すれば、おのづと明確にな  る問題でありますし、それらの証人喚問実現ま  で、本問題の処理を保留されますよう委員長の  御配慮をお願い申し上げます。   なお、中川代議士御本人は将来を嘱望される  青年政治家であり、御本人を傷つける意図など  毛頭、私にはございません。   その点、私の意図に反し、御本人に迷惑をお  かけしたとすれば、おわびをいたします。これが私の心情であります。  ただ、いいです、私も何回か懲罰動議を受けましたから、なれておると言えば悪いですけれども、そう大げさには考えておりません。いずれはっきりする問題ですから。ただ、こういういわゆる疑惑問題、疑獄問題、スキャンダルの解明の最中にこのような動議が出されるということは、私は、事実を隠ぺいしようという企てがあるのではないか、あるいは言論を封殺しようというそういう意図があるのではないかということを思わざるを得ないのです。もしそうでなければ幸いであります。いずれその時期が来ましたら、一身上の弁明は時間に制限がないそうですから、洗いざらい私はすべてを明らかにいたしたい、このように申し上げておきます。楽しみにしておっていただきたい。(発言する者あり)それは、もしそうであったら私は謝るとさっき言ったとおりです。
  106. 山村新治郎

    山村委員長 不規則発言に答える必要はありません。御静粛に。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは、今からお伺いすることは、実は関係されておる方がこの答弁される大臣席にたった一人しかおられないものですから。山下厚生大臣です。いえ、山下さんが主役でないことはわかっているのですが、ほかに聞く人がおらないものですから、山下さんを通じて実態を解明したい、そういう気持ちでおりますから、運が悪かったと思っておってください。  まず、株式会社五大という会社を御存じでしょうか。
  108. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 承知しております。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どういういきさつでお知りになったのでしょうか。
  110. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 この間もそのことを聞かれましたけれども、最初だれに紹介を受けたか、私、はっきりいたしておりませんが、たしか東京で紹介を受けたと思います。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、だれから紹介を受けたという御記憶はないわけですね。
  112. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 はい、ありません。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次にお伺いをいたしますが、株式会社五大のパーティーが私のふるさとの福岡でありました。昭和六十二年十月十七日であります。これは、株式会社五大の福岡支店の開設パーティーであります。そのとき、山下大臣総務庁長官だった、このように思います。SPがついていらっしゃった。SPの名前もわかっております。このとき、あなたのほかに政治家が参加されておりましたか。
  114. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 同じことを私は前もどなたかからお尋ねがあったのですが、それも、いたのかなあという程度で、よくはっきりしないのですよ。仰せもうかなり前のことでございますし。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ここに写真がございますからちょっと見ていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。御記憶がなかったかもしれませんが、ちょっとぼけておりますけれども、大体輪郭ではっきりわかると思います。中央の女性の後ろにおられるのは、今はこの前落選されておりますが、当時はバッジがついておったと思いますけれども、福岡四区選出の尾形智矩代議士ではございませんか。
  116. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これはぼけておりまして、おっしゃればそうかなとも思う節もありますけれども、これははっきりとしておりませんね。まあ、おっしゃれば、あるいはそうであったかもしれません。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は大多数の人にこれをお見せしたら、大体尾形さんだとみんな言いますね。真ん中に写っておられる女性の方は有名な女優の芸能人の方ですね。まあ、これはどうでもよろしゅうございます。それで、これは関係があるから、私はこれをお伺いしておるのですよ。  次に、この社長は参加されておるから、株式会社五大の社長はだれか御存じですか。参加されておるのですから。
  118. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 もちろん社長は出席していましたから。ただ、今ここで直ちに名字は浮かんできませんが、言われればそのとおりだという程度の名字の記憶はございます。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 西尾知幸という方ではなかったかと思いますが……。
  120. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 それで思い出しましたが、たしか西尾という名字だったと思います。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この西尾知幸という方は共和グループの一つであります共和五大の取締役もされておりますが、御存じですか。
  122. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 それは昭和六十二年だったと思います。共和と五大が一緒になったというのは、五大が経営が苦しくなって、それよりずっと後に一緒になったということを聞いておりまして、そのときは全く共和関係なかったというふうに私は聞いております。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 次に、平河経済研究会という任意団体、お聞きになったことございますか。
  124. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 それだけの名前ではちょっと浮かばないのですが、責任者、何といいますか、代表者とかわかれば、あるいはまた想起するかもしれません。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは、二十五日の塩崎証人喚問のときに塩崎証人は確認をされました。  御記憶がないのならば申し上げますが、会長が塩崎潤代議士。副会長があなたです、山下徳夫代議士、同じく阿部文男代議士。常任理事、先ほど申し上げました共和五大株式会社の取締役でありかつ株式会社五大の社長である西尾知幸という方、並びに中川秀直という、これは今は落選されておりますけれども、当選四回、広島二区選出です。それから先ほど申し上げました尾形智矩前代議士ですね、そうなっています。  で、ここに、後ほど申し上げることに関係がありますから、これもちょっと山下代議士に見せて。――ただいま申し上げた平河経済研究会の役職の名刺です。もし山下大臣が御存じないとすれば、これはだれかがこっそり印刷したのかもしれません。で、どうでしょうか。
  126. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これは、私は全く印刷いたしておりません。だれかが私の名前をお使いになったとしか思えません。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 わかりました。私もそういう気がしております。しかし、これがあるいは重大な犯罪に発展する可能性がある。それを私は今から明らかにしたいと思うのですが、平河経済研究会というのは、塩崎証人がこの先ほど申し上げた尾形という人と一緒に話し合ってつくったと証言をされたんですよね。証言をされた。だから塩崎代議士は御存じのはずです。大体、やっておられる方は税金の相談、つまり税金について脱税とかなんとかクレiムがついたときにまあ解決してやると、簡単に言えばそういうことでしょう。そのお礼は当然行くと思いますけれども。  ところが、これは私は確かめたのですよね。確かめた。果たしてあるのかどうか、そういう返答が返ってくると思ったから。今もあるんですね。中央郵便局第二集配課、ここに行って台帳を調べてきました、課長さんの立ち会いのもとに。そしたら、そこのTBRの三〇六号にあることになっておる。これはTBRの管理人に聞きましたら、ありますと、こうなんですね。隣の三〇五がいわゆる共和五大の事務所。中はうっぽんぽん。一つの部屋。うっぽんぽんてわかりますか、博多弁で言う。中は壁がないんです。それをうっぽんぽんと言うんです。つまり同じところにあるということですね。同室にあるということです。だから、事務所も全部共和五大が面倒を見ておったと、まあこういう仕掛けになるわけであります。  で、私は、どういう事件が起こりかけておるか、これを今から明らかにしたいと思います。これを見せてください。――私がなぜ心配し、あるいははかられたのではないか、例えば山下大臣がですね。それが今からわかると思います。  ここに一通の要望書が出されております。読み上げます。   私は、あなた方が良く御存知の株式会社五代、代表取締役西尾知幸、共和五代株式会社、代表取締役甲斐下好基の両名に別紙明細の有限会社三恵工業所の手形十通、額面合計、八千七百万円を詐欺同然に持ち去られたものであります。  当初、西尾に手形の借用を依頼され、その際、あなた方の名刺さっき見せましたあの名刺です。あなた方の名刺を示されあたかもあなた方の政治資金調達のために必要であるかのごとき説明がされました。しかもその場所は平河経済研究会事務所と同室の共和五代株式会社の事務所であります。  西尾はこれらの名刺を示した後、手形の決済については、あなた方を含めて責任を持つし決して振出人に対して不利益なことを生ぜさせることはないと明言いたしました。よって私は、有限会社三恵工業所に依頼し約束手形十通を西尾知幸に渡したものであります。ところが、手形の決済金を用意するという約束は最初の期日七月五日の決済の時から全く履行きれず、当方はやむなく、自己資金により有限会社三恵工業所の手形を決済して参りました。  その間、西尾には再三、再四、決済用資金を用意するよう交渉致しましたが、今日に至るまで全く用意されず当方が決済した資金も全く弁済されないまま最終の手形の期日十月五日を目前にしておる状態であります。  私は、西尾知幸本人よりも、あなた方を信頼して手形を渡したものであり、私は当初よりあなた方への政治資金を一時的に融通したものとの認識をいたしております。  ところが、今日、西尾は当方の損害に対し、全く弁済の意思は無いとさえ思える行動をとっております。  以上の情況から、今回の手形の件は、当初から西尾とあなた方との共謀の上の計画的手形詐取欺事件ではないかと疑いを深めているものでありますと同時に西尾知幸の悪徳漢ぶりを身にしみて解りました。  また、私は手形の決済の為奔走致しました際に西尾の裏面を確認することができましたので申し添えておきます。  西尾はかつて下関において金珠年なる人物に税務調査が入りそうなどの情報を得るや早速、金珠年に会い「税金のことなら塩崎代議士にまかせたら良い。自分は塩崎代議士と非常に懇意である。しかし成功報酬は一億五千万円だ」と持ちかけ、後に一億五千万円を受け取っている。  今回の手形の件についても当方の手形のみならず各方面から多額の手形を詐欺まがいに集めているようである。  このような人物を平河経済研究会常任理事として、あたかもあなた方の代理人であるかのような行為を許していることは、あなた方の明らかな監督不行届であることは間違いないところであります。  よって私は、あなた方が西尾知幸に対して直ちに債務を弁済するべく指導されるよう要望するものであります。着しその措置が取られず事態が改善されないならば、私は今回の事件を西尾知幸とあなた方との共謀による手形詐取事件と断定せざるを得ず、その上は刑事事件としての告訴は勿論のこと報道機関等へ、実情を暴露し、西尾知幸などの政治ゴロ詐欺漢やその暗躍を許したあなた方への社会的制裁をも辞さない決意であります。  この要望書が届いた後、最終手形決済日、十月五日までに何らかの措置がとられないならば計画通り、刑事告訴等の処置を取りますので申し添えておきます。   平成三年九月二十八日     福岡市博多区三筑       西日本鉱業株式会社          代表取締役 渕上 良晴  平河経済研究会   会  長 塩崎  潤殿   副会長  山下 徳夫殿    〃   阿部 文男殿   常任理事 尾形 智矩殿  追 この要望書は名宛人各自に各々送付しておりますので念のため。 こう申し添えてあった。最後にこの八千七百万円の明細が添えられております。このあて名の方々にはみんなこれが行っておるはずです。  ところが、回答がないという。恐らく回答がないというのは、秘書さんかだれか知りませんがどこかでとまっておるんでしょうか。恐らく山下大臣のところには行ってないのかもしれない。だから返答がおくれておるのかもしれないが、出した方はそうは思わない。  そこで私は、この陳情を受けましたときに、しばらく待ちなさい、真相が明らかになるまで待ちなさい。そこで、私はあえて御本人の希望どおり、この実情をマスコミに暴露すると書いてありますから、そして誠意ある回答がないときには告訴すると書いてあるから、私はここに今山下大臣に差し上げましたから、恐らくほかの方々も御存じないかもしれないから、関係者御相談の上その対処方を、締めくくり総括質問の前までに御返事をいただければ、私はこの差出人といろいろ御相談をいたしたい。恐らく御存じないんじゃないか。そうすると、この西尾という人は大変な方だと私は思うわけですね。その今私が申し上げた関係者、御相談して回答なさるかどうか、しかと御返答を承っておきたい。
  128. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほどから御答弁申し上げましたように、平河研究会というその会自体を私は記憶もいたしておりません。また、そういう団体が研究会らしい会をやったということも私は一度も聞いたことがございません。それから、先ほど申し上げましたその名刺も、私は自分で印刷したことは全くそれはありません。そういう状況でございまして、どういうことでこういう文書がつくられておるのか、ただ、国会議員だった人の名前も出ておりますけれども、私にとっては甚だ迷惑な話でございますし、この点を明らかにいたしておきたいと思います。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私の想像するところも恐らくそうだろうと思いますが、ただ、塩崎証人は平河経済研究会の存在を確認されました。そのことは申し添えておきます。だから、十分御相談をいただきたい。
  130. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これは塩崎君が会長になっておりますよね。やはり一つの会がある以上は、やはり会長は全く知らないということはないはずでございますし、まあ副会長も二人いますよ、ほかに役員もいるはずでございますから、これは連名でどういう形でどういう名刺を印刷したかということは全く私の関知せざるところでございます。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、御相談の上しかるべき回答をされたがいいのではないか、そう申し上げておるのです。よろしゅうございますね、それは。約束されましたね。  これも二月二十五日、塩崎証人に確かめたところでございますけれども、この西尾という人は、小倉にあります東映会館、あの映画館、そこの敷地です、これを九億円で買収した。これは売った人が証言をしました。その物件を塩崎代議士がひろぎんファイナンス、これは広島銀行頭取、橋口という方ですが、これは大蔵省出身ですよね。ひろぎんファイナンス、広島銀行と全く一体です。この九億円の物件を担保として約五十億ないし六十億円融資をさせられております。現在の残高は三十二億七千八百四十三万円、まだ残っておる、この事実はこの前の証人喚問のときに確かに塩崎証人はひろぎんファイナンスにお願いしたと答弁をされました。  これは私は、大蔵大臣、九億円の物件で五十億という融資は過剰融資でございませんか。大体普通は庶民段階では物件の担保の、担保力のせいぜい七割ぐらいでしょう。これはやはりおかしいと思われませんか、どうでしょう。  そうすると、当然これも世の中の常識ですが、こういう融資のあっせんをしたときは、普通は三%あるいは五%の世話料が行く、こういうことも私はこの平河経済研究会という名で行われておるとすれば、山下さんは御存じない話でしょうけれども、世の中ではこれが通っておるのですよ、通っておる。  それから、この機会ですからもう一つ私ははっきりしていただきたい問題がある。医療法人の誠潤会城北病院、これは茨城県東茨城郡常北町というのですか、石沢というところにある病院ですが、この病院は沖縄での事業展開に当たって、老人病院ですけれども、西尾氏から阿部文男沖縄・北海道開発庁長官をよく知っておるので紹介する旨の話をされた。上記病院の手形を株式会社福富の社長の駒切という方を通じてやはりお金を詐取されておられます。ここにデータがありますので、去年の十二月末に今言いました病院は和議申請を東京地裁に行っておる、約九億五千万。こういう事件が代表的に起こっておるから、しかもあなた方が利用されているから、この点は私ははっきりされたがいいのではないか。むしろあなたに同情しますよ。もしこれが御存じなかったら、はっきりさせたがいい、そう思います。あなただけ聞くのは私も申しわけないんだけれども、あなたしか聞く人がいないものだから、よく聞いておっていただきたい、このように思います。  結局私は、どうもこの前の証人喚問、塩崎証人を喚問しましたが、共和との関係はいろいろ野党質問しましたが、あの程度ではない、もう一遍やはり来ていただかなければいかぬのじゃないか、あるいは野党が一致して要求しておる森口共和副社長やあるいは阿部文男代議士に来てもらわぬと、本当のところがわからないのではないか、こんなに名前が出ておるのですから、そういう感じがして、これはほかの野党も要求されておりますから、ぜひ理事会で検討していただきたい。  なお、一言申し添えますと、今この西尾という人は資金繰りに困っておられまして、そうして阿部、塩崎、尾形各氏に対し、苦いろいろ金を出しておる、返してくれと要求されておる。もし返さないようならば、何もかにもばらすと言って脅迫しておるそうですよ。内輪もめというんですか、これは関係者が証言をしておるところですから、重ねてこの件は明白にされたがいい、このように思います。
  132. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほどから幾つかの例を挙げられまして、私が非常に熟知しあるいはまた何らかの役割をそれらの人たちとの間に果たしたかのごとき印象を与えられるような御発言でございますが、さっきからしばしば申し上げておりますように、一切存じておりませんし、また五大が共和と合併したことはずっと後日になって聞きましたし、合併してから一度も私は五大とは会ってもおりません。  ただいまの沖縄ですか、その病院の問題につきましても、今三人の名前を並べてこれらに金を出したとか出さないとかというお話でございますが、それにも私の名前は出ておりませんが、全くもう私の知らないことでございます。  きょう言われました一連のことについて、私は、すべてのことについてそういう立場であるということをこの際はっきりいたしておきたいと思います。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 山下大臣の立場はよくわかりました。それだけに余計明白に、ほかの方と御相談されて対処されたらいい、このように思います。  次に、佐川問題と関係がございますけれども、実は何日前になりますかね、十四、五日前になりますか、ある新聞に載りました。これは私がちょびっと話したことが載ったので、その後追いをしておるのではないということだけ申し上げておきます。  九州運送というのが福岡にあります。これが佐川の系列会社であります。設立は古いんですね、非常に古い。代表取締役は吉岡正則という方であります。これが同じ役員をしておる、代表、社長です、もう一つの会社がある。長崎第一運送株式会社。社長はどっちも吉岡という人です。この長崎第一運送株式会社にその久間章生代議士が取締役として、非常勤だそうですけれども入っておる。ここに私は登記を持っております。新聞の報道するところによりますと、役柄上、取締役を辞任されたと、これは新聞に載っておりました。私は、やっぱり疑問が残る。これは九州運送の内部からの告発であります。  この九州運送の路線、ここにありますけれども、これは当局からいただいた図面であります。この路線が、一つは福岡、長崎経由大和町、これは御存じでしょう、佐賀の鳥栖の付近ですね。その大和町線。もう一つは、福岡、東京都経由相線、この二つ。この二つの路線について、本省の許可があったのが平成二年十二月二十五日、そして地元の九州運輸局の認可があったのが翌年平成三年十一月十二日。  このとき久間章生は御案内のとおり運輸族でありまして、平成元年運輸委員会理事であり自民党交通部会副部会長、自民党運輸局長平成二年自民党交通部会長、自民党運輸局長平成三年自民党運輸局長、交通部会副部会長、そして平成三年十一月八日から現在まで衆議院運輸委員長ですね。まさにその本省の許可のとき、それから九州運輸局の認可のとき、全部その認可と関係のある部署におられた。そして随分協力されたという証言があります。(山下国務大臣「私がですか」と呼ぶ)いや、あなたの顔ばっかり見て済みません。どこ向いていいかわからぬから。済みません。  それで、運輸大臣はどなた。後で調べていただきたいと思いますが。それで私は、もしそういう認可と絡んでおれば、これは一つは職務権限の問題が起こる。そしてそこに金銭が動いておれば、これは大変なことになろうと思います。  もう一つ申し上げておきますが、こういうこともおやめになったがいい。田原さんの場合もそうですけれども、秘書を関係のある会社の社員の名目にして給料だけ出させるというようなことはおやめになったがいい。その例がいわゆる久間代議士の地元の秘書さんですよね。お一人がこの長崎第一運送株式会社の非常勤の取締になっておられる。名前は言いません。Tという名前の方です。地元の久間さんの秘書です。それで、久間さんの事務所は駅の前にあります。私も見ました。もう一人同じTという頭文字の秘書さんがおられます。この秘書さんもこの長崎第一運送株式会社から給料をもらっていらっしゃるんじゃないか。  もしそれが事実ならば、これは私は単に九州大栄運輸興業株式会社の取締役をやめただけでは済まない政治的道義的問題が起こるのではないか、このように私は思いますので、これは運輸大臣の方でしかるべくお調べをいただきたい。どうでしょう。
  134. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 質問の御趣旨に沿って調査してまいります。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それから、こういうスキャンダルのたびに常連と言うと悪いが、失礼ですが名前の出てこられる方がおられます。私は、リクルート事件のときに中曽根元総理のいわゆる世界平和研究所、これを問題にしました。そして、リクルートから多大の寄附を当てにしてつくられた。ところが、リクルート事件が起こって金が集まらない。最初は、何ですか相当二百億円ぐらいの寄附を用意されておったらしいが、なかなかそうはいかない。今日では約四十六億と基金が集まったのが言われておるんです。その中に佐川マネーが五億円入っておる。これは公明党の草川さんの質問のときに、運輸大臣が寄附要請に行かれたことははっきりいたしておりますが、金額は避けられましたですね。  私が言いたいのは、この世界――済みません。郵政大臣の間違い。済みません。済みません。余り変わるからよく覚えぬのですよ。  それで私は、この世界平和研究所がつくられるとき、総理、こういうことを問題にしたのです。この世界平和研究所はもちろん中曽根元総理が設立を呼びかけられたんですけれども、「実施に関して関係行政機関は必要な努力を行う」。たかがと言っちゃ悪いが、財団法人としては異例の閣議了解があるんですよ、この世界平和研究所は。リクルート事件のときも私はこれを問題にしたんです。これはおかしいではないか、閣議は何でこういうことを、協力を閣議了解するんですか。だから、これは普通の任意団体と違う。自民党内閣にとっても、これは関係があるから。  私は、問題の佐川マネーが入っておるとすれば、この際この閣議了解を考え直す必要があるのではないか。つまり、世界平和研究所というのは、これはこの際、私は元総理が解散をされた方がいいのではないか、そのように思いますが、この閣議了解が行われておる平和研について、どのように総理はお考えでしょうか。
  136. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 事情がつまびらかでございませんので、調べましてお答えをいたします。
  137. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 こういうことは一つ一つはっきりしていったがよかろう。そのときの閣議に宮澤総理はおられたかどうか知りませんけれども、はっきりしておっていただきたい、このように思います。  次に、今佐川事件はまだ全貌が、いろいろと書かれておるけれども実はよくわからない。要するに、中野委員もちょっと取り上げておられたけれども、もう常識にわかる直貸ししたやつ、それから保証したやつですね、それでキックバックしたやっ、もう金額がばらばらですね。  大体要素はわかっている。四つばかりの要素があるのはわかりますよね。一つは、いわゆる路線に絡む運輸の問題でありましょう。一つは、労働基準法に絡む、いわゆる労働省の問題でありましょう。一つは、過酷な労働をしておるから事故が多い、これがなぜか表には余り出ていない。これは警察との関係がありましょう。それからもう一つは、ターミナルですね、これは建設省の関係が出てくるでしょう。だから、非常に多岐にわたっておる。  で、私は、その中で一つ、きょう証人としてお考えをいただきたい方がございます。それは平和堂グループと佐川急便の関係についてであります。  通常、平和堂グループと言われておるのは、平和堂、平和堂不動産、ギャラリー平和堂、住友開発、私が知っておるのはこの四つです、通常、平和堂グループと言われておるのは。で、私が資料を持っておりますが、多大のお世話を佐川急便からこの平和堂グループは受けておられます。私が調べただけで四百三十四億円ありますけれども、しかし四百九十億円と普通は言われておるようであります。そして、そのキックバック分から政治家に流れておるのではないかということがしきりに言われておる。  で、私はこの平和堂グループで一つのキーパーソンと思われる方がおられるような気がしてなりません。まず、住友開発株式会社、社長はもちろん松沢さんです。取締役に平尾久太郎という方がおられます。株式会社平和堂、これも社長は松沢さん、取締にやはり平尾久太郎という方がおられます。株式会社ギャラリー平和堂、これも社長は松沢泰生、ここでは監査役に平尾久太郎という方が入っておられます。平和堂不動産株式会社、これも社長は松沢泰生さんであります。取締は鯨岡久太郎となっておりますが、これは平尾久太郎さんと同一人物である。養子に行かれた関係があって、こう名前がなっておりますので、この方は全貌を知る立場にある方でありますので、私は、この方を証人としてひとつ喚問をしていただくように理事会でお諮り願いたい、このように委員長にお願いをいたしておきます。  私は時間がこの前なくて言い得ませんでしたけれども、何といいますか、もうテレビもみんな見てますから知ってますが、こういう事件が起こって、もう普通は怒るんですね、庶民は。ところが、その街頭の声を聞いてみると、もう怒りを通り越してあきれ果てている、そういう感じですよね。何回こういうことをやれば済むのか。  私はもう一遍、その轍を踏まないためにここで同僚諸君と一緒に考えてみたい、このように思います。  というのは、先ほど申し上げたんですけれども昭和四十一年に黒い霧事件が起こって、さっき申し上げたとおり、大体すぐ何とか委員会、何とか審議会におろすんですよね。この四十一年のときは第五次選挙制度審議会にあれして、それでそのもとにさっき言った「当面緊急に措置すべき事項に関する特別委員会」というものを設けて答申を、そしてその答申は先ほど一部を読みました。ところが、今言っておることと同じことをこの四十二年の答申でも書いてあるんですよ、実は同じことを。「政党の政治活動の公明化を図り、選挙の公正を確保するためには、選挙制度全般について検討を加え、すみやかに政党本位の選挙制度を確立する必要があり、政治資金の規正等に関する改善もその一環として行なわれなければならない」。同じことを何度言やいいのかと言いたいほどあります。そして、ずっとある中で、こういうことがありますね。「政党は、できるだけすみやかに近代化、組織化を図り、おおむね五箇年を目途として個人献金と党費によりその運営を行なうものとし、当審議会は差し当り、次の措置を講ずべきものと考える。」と言って、具体的なあれがざあっとあるんですよ。昭和四十二年に、五年間をめどとして個人献金に切りかえなさい、こういう答申がもう既に出ている。  そして、この答申を受けて佐藤内閣は改正案を取りまとめました。そして五十五回国会に提案をいたしましたが、与野党の意見が対立したまま審議未了、そして今度は昭和四十三年の五十八国会、四十四年の六十一国会、手直しをした改正案が提出されましたけれども、これもさしたる議論もないままに廃案となった。  そして、昭和四十九年七月の第十回参議院選挙、これは金権選挙と言われましたね。これを契機にして昭和四十九年七月三十一日に、衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会に小委員会が設けられた。ここでもまた同じことです。また小委員会をつくる。そして、この小委員会は七十四国会及び七十五国会においても引き続き設けられました。昭和四十九年十二月末にちょうど三木内閣の三木私案が公表された。そして立法化が進められ、そして政治資金規正法の一部改正の選挙二法の改正案が国会に提出されて、七月四日に可決をされたのです。そして、それからまた二、三年たって改正して、でき上がったのが今日の政治資金規正法なんです。  役に立ちましたか、これが。役に立ったでしょうか。個人は百万円までは名前は出ない。元総理は五千万円リクルートからもらった、五十の後援会に分けた。佐川マネーについては、古い総理大臣が一億もらわれた、それもざあっと細分化して表に出ない。何度こういうことを繰り返せばいいのか、私はもう本当にそう思うのです。同じ議論を、私もずっとタッチしていあすからわかるのですよ。羽田さん、わかるでしょう。何回こういうことをやればいいのですかと言いたいのだ、私は。しょせんやはり、好まれるかどうかは別として、真相を解明しないからです。  どこに問題があるか。つまり、政治と金の問題はつきものです。与党も野党も一緒ですよ。額が違うだけです。問題は、簡単だと思う、金の集め方と使い方です。それをきちんとする、もう簡単なことです。それをプロがやっぱり法制化して、与野党どうせお話しになるでしょうから、ぜひ今度こそはこういうことが起こらないようにやっていただきたい。これは私のたっての願いです。  総理大臣の決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  138. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 なかなか熱意あるお話を聞いておりまして、私たち政治改革を非常に新しい決意で取り組んでおりますが、おっしゃるように金だけの問題だけではだめだということでございまして、したがって、金の入りと出を明確にするということはおっしゃるとおりだと私は思います。  そのためには、やはり選挙の制度とこれは非常に密接に関係しておりますので、ぜひその関係を話し合っていただきたい。そういうことは結局は政党間の間で話をしていただかないと、政府はこれがベターだと言って出しましても、この前十分な御審議もいただかずして廃案になってしまったこともございますから、どうしてもこれは政党間で事前に話し合いをきちっとしていただいて、それでこの基本を決めていただいた上で、おっしゃるようにその枠組みが決まりましたら、自治省の方でいろいろな諸制度として提出させていただいて、もうすぐに改めるべきところは勇猛果敢に改めていきたい、こう思っております。もう御熱意のほど、確かに承りました。
  139. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 総理に最後にお伺いをいたしますが、たしか三月中旬をめどにということを私は総理になられるときに政治改革について言われたような気がするんですよね。それが一つの公約的な意味を私は感じた。その三月中旬をめどとするのは今どういうことになっておるのでありましょうか。
  140. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 自由民主党といたしまして精力的にほとんど連日議論を続けておりまして、成案を得たいと考えております。そして各党協議会、各党もいろいろ案をお持ちでございますので、そこで御協議をいたしまして、速やかに各党の御同意ができましたらひとつ法案化をしていただきたい、法律化をしていただきたい、こういうふうに私ども努力をただいまいたしておるところでございます。
  141. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 三月中旬というのはどうなったんでしょう。
  142. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私どもの作業をする都合もございますので、そのころには各党協議会をひとつお開きいただけないかということを私どもで各党にお願いをしようと思っておる、そういう日でございます。
  143. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その可能性について総理はどう思われていますか。
  144. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私どもの党内における討議は相当進んでおります。協議会がその日あるいはそこらで開かれますかどうか、これは各党にお呼びかけをして、そうお願いをいたしたいと思っております。
  145. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 各党じゃないんじゃないですか。野党は今一生懸命、ほとんどまとまっておるやに私は聞きます。問題は与党の中にあるんじゃないでしょうか。自治大臣、どうですか。
  146. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 これは仰せのとおり、与党の問題も非常に大きいウエートを占めておること、当然でございます。が、しかしながら、これは先ほども申しましたように、ちょうどこの政治問題というのは与野党とも話し合って基本を決めていただかないと、要するにこの前提出いたしました三点法案も、結局は野党の方々と十分なすり合わせせずして、自由民主党並びに政府との間でこれは最高の方策であると言って提出したものでございますけれども、やはりお気に入らなかった、こういうことでございまして、それで私たちも詳細に調べてみましたならば、接点は確かにあるんでございます。それは、一つ昭和六十一年の五月の国会決議がございます。あれを焦点にしていただいてお互いが話し合いの糸口をとっていただいて、私はこの際に、選挙の制度とそれから政治資金と、そして政党のあり方とそれから党並びに国会の改革、一連の改革としてぜひこの機会にもう国民の信頼にこたえるように改正していただきたい、このことを強く望んでおるところであります。
  147. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これでやめますが、ぜひ国民の納得する改革案を仕上げていただきたい、これを要望して質問を終わります。
  148. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほど来この要望書のこと、それから何とかいう会社のこと、あるいはもう一つ何かありましたね、病院の問題、これらの問題についていろいろ御質問なさいました。あなたはベテランですから、それは、あなたが虚偽のことに基づいて言ったとかいうような言い回しはされなかったかもしれません。しかしながら、これはやっぱりテレビも入っています。記者諸君もたくさんいます。報道された場合に何か、あなたは当たり前のことを質問されても、よって来る影響というのは私にとっては大きな問題なんです、それは。質問答弁だけでは済まされない問題が残ると思います。したがって、私は本来ならばもっと確証をつかんだ後にこういう公的な場ではおっしゃるべきである。  しかし、まあ、それはそれでいいでしょう。私もあなたから聞かれたことをちゃんといたしますから。もしも、あなたが私に対して何らかの疑念があったような御質問に私は受け取ったんです。ですから、それがあるとするならば、やっぱりいつかの日にはちゃんとしてもらわなきゃ、ただ言いたいほうだい言われたら、ダメージはこっちが受けるわけでございますから、もしもそうでなければ結構です。そうでなければ結構です。
  149. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は別に言いたいほうだいのことを言った覚えはさらさらないです。私は陳情を受けた内容をお伝えしたんですから、そうあなたはいきり立たれない方がいいんじゃございませんか。別に他意はございませんから、事態が明確になればよろしゅうございますから、ぜひ関係者で御相談いただいて回答をされたらいいんではないかとさっきから何遍も言っておるんです。
  150. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今の言いたいほうだいというのは取り消させていただきます。
  151. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 終わります。
  152. 山村新治郎

    山村委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  この際、小岩井君及び井上君の残余の質疑を順次許します。小岩井清君。
  153. 小岩井清

    ○小岩井委員 先日の当委員会に対して、独占禁止法に関する刑事罰研究会報告書提出のお願いをいたしておきましたが、きょう確かに平成三年十二月十八日付の研究会報告書を受け取りました。ありがとうございました。  この点に関係をいたしますが、この報告書に直接入る前に伺っておきたいことが数点ございます。最初にその点を承りたいというふうに思います。  アメリカの独占禁止法制について、シャーマン法、クレートン法、連邦取引委員会法で、これは三つの法律で構成されているわけでありますけれども、二月の二十一日、ウィリアム・P・バー司法長官はシャーマン法の管轄権について、アメリカ司法省、国際的事業活動に関する反トラスト執行ガ木ドラインの脚注百五十九を激発し、変えることによってシャーマン法の域外適用を日本を対象として道を開くために通商代表部並びに国務省とも協議し、数週間以内に決定すると発言したと伝えられています。まず最初に、このことについて事実確認をいたしておきたいと思います。
  154. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 お答え申し上げます。  このアメリカの反トラスト法の運用の変化につきましてはいろいろな報道が流れておりますが、先生がおっしゃいました点につきましての最近の一番確かな発言としまして、アメリカ人自身の発言として言われておりますのは、米国司法長官が一週間ほど前、もう少し前になりますが、テレビ番組で大体次のようなことを言ったことでございます。  それは、従来米国におきまして反トラスト法を運用する際に、米国の消費者の利害にかかわるようなことについて外国の企業が何か反トラスト法に反するようなことをやっておるという場合に、米国の消費者の利益のためにそういった反トラスト法を活用するという方針であったけれども、今後は米国の輸出利益を守るために米国の反トラスト法を活用するという趣旨のことをそのテレビ番組で言ったということでございます。  その後これにつきましては私どももいろいろ確認しておりますが、従来からいろいろ検討しておりまして、アメリカが従来はアメリカの消費者の保護のために外国の企業の行為を反トラスト法でいろいろ監視するという考えでありましたのが、アメリカの輸出利益、このためにも、輸出利益を阻害しているような外国のことにつきましても反トラスト法を適用することを検討している、こういうふうに言ったものと了解しております。
  155. 小岩井清

    ○小岩井委員 今の答弁、正確じゃないんじゃないですか。私、このワンオンワンのジョーン・マクラーレンさんとアメリカの司法長官のウィリアム・P・バー氏の対談の内容を一問一答持っています。外国のじゃないんでしょう、日本のじゃないんですか、正確にこれ。
  156. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 確かに一部の報道には、日本も含め外国のという報道があったのは事実でございますが、日本だけについて考えているということは、例えば議会における証言におきましてアメリカも否定しております。
  157. 小岩井清

    ○小岩井委員 この一問一答の詳細、英文でも日本文でも持っているんですよ。あなたの答弁、正確じゃありませんね。  申し上げておきます。この点について、このバー司法長官発言に対する、事は日本の主権に関することでもありますから、これは宮澤総理の見解を伺っておきたいと思います。
  158. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 先生御案内のとおり、もし米国の今の言っておりますことの真意が、米国の反トラスト法というものを言ってみれば域外適用するというようなことでありますれば、これは国際法上非常に問題を惹起しかねない深刻な問題であると思います。  したがいまして、日本政府としましては、もしそういったような方針であるとしますれば、当然アメリカ側に厳重な注意を喚起しなくちゃいけませんし、また同時に、従来からこの種の検討がある程度行われておるというニュースもございましたので、今回のそういった番組と申しますか、記者会見と申しますか、記事の前にも、日本政府から日本政府の立場というものは累次米国側に申し入れております。
  159. 小岩井清

    ○小岩井委員 これはワンオンワンのジョーン・マクラーレン氏の発言で、このくだりの中に、これは日米関係を傷つけることと思いませんか、そして日本に報復的な法令を供給することになると思いますかという質問のくだりがあるんですよ。それについてバー司法長官は、それは私の領域ではない、私は法律をそこに書いてあるように実施しなければならない、こう答えているんですね。それは外務大臣、事実確認いたしておりますね、いかがですか。
  160. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 具体的な細かいやりとりについては聞いておりませんが、いずれにいたしましても、要するに域外に自国の法律を適用しようというようなことについては、我々はそのまま容認するというわけにはいきませんので、米国政府の慎重な対応を今後とも要請をして、要求をしていきたい、そう考えています。
  161. 小岩井清

    ○小岩井委員 外務大臣の御答弁をいただきましたけれども、発言は二十一日なんですよね。ですから、二十一日からもう十日たっています。注意を喚起するというふうに事務当局も言いました。  今外務大臣の御答弁をいただきましたけれども、具体的に、しかも数週間以内に結論を出すと言っているんですね。そう悠長なことじゃないんじゃないかと思うんですけれども、どういう対応をなさったのか、具体的に答弁してください。
  162. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 いろいろな機会にいろいろなルートで注意を喚起してきているわけでございますけれども、先生が具体的にというお話でございましたので、あえて申し上げれば、先日、日本とアメリカの間に構造協議と申しますか、SIIと通常言っておりますが、それが二十六日に行われましたけれども、その機会にいろいろな日本の政府の関係者がワシントンに参りましたので、その機会をとらえまして先方の当局にも日本側の懸念ということを伝えておる次第でございます。
  163. 小岩井清

    ○小岩井委員 構造協議だけですか。ですから悠長に対応が遅いと言っているんですよ。というのは、事は日本の主権に関することで、司法長官は通商代表部と国務省と協議をしていると言うんですね。外交ルートに乗せて何も話してないじゃないですか。そういう点どうなんですか。
  164. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 外交ルートという意味でございますけれども、大使館ということでございますれば、累次私どものワシントン大使館が先方ともコンタクト、いろいろ接触しておりますが、最近、実はこの問題につきましてはやはりアメリカ側の真意というものを十分確かめる必要もあろうかと思いますので、そういう意味で日本側の立場を伝えると同時に、アメリカ側の考え方が一体何なのか、これをやはり確かめるという、双方あわせまして政府としましてアメリカ政府といろいろ接触している、こういう状況でございます。
  165. 小岩井清

    ○小岩井委員 一部報道で、域外適用について政府はOECDで反対表明するという報道がなされていますけれども、これは事実ですか。
  166. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 御案内のとおりに、OECD、経済協力開発機構におきましては、競争政策につきましての委員会がございます。この委員会が、たしか私の記憶ではことしの春に会合を予定しておりますので、そういう場におきましてもこの問題を取り上げたい、日本としましてはこういった問題につきましても当然議論があってしかるべきだ、こういう考えております。
  167. 小岩井清

    ○小岩井委員 一応経過についてはそのとおりだと思いますけれども、これは先ほど、独占禁止法に関する刑事罰研究会の報告書のおくれとも関係が私はあると思うんですね。というのは、日本市場の閉鎖性をなくして日本市場に参入を目指して、日本の独占禁止政策の改善を求めて、日米構造協議、フォローアップなどでこれは政府間合意をしているわけです。その結果、課徴金の引き上げに続いて、刑事罰をカルテル抑止の水準にまで引き上げるということで合意をしているわけですね。しかもそれは、フォローアップでは、昨年の私刑事罰研究会の結論を出して法制化に取り組むということになっていたわけです。ところが十二月の十八日の発表ができないで、しかも今日までできないで、私が提出要求して初めて出てくる。独占禁止法改正の作業が決定的におくれている、日本国内の経済界、経済官庁、自民党の抵抗でめどすらつかないということに対するアメリカ側のいら立ちのあらわれがこの司法長官の発言に来ているんじゃないか。これは違いますか。この点お答えいただきたいと思います。
  168. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 先生御指摘のとおり、率直に申し上げまして、日本の独禁法の刑事罰の問題と申しますか、その運用がどういうふうに抑止的に有効に働くかということにつきましては、確かに先生おっしゃいますとおり、アメリカ側から従来、SIIの場などを通じましていろいろ意見が言われております。また、御指摘のとおり、日本側としましてもその問題に真剣に取り組まなくてはいけないという方針で来たわけでございます。  ただ、これは、実は先生の前で恐縮でございますけれども、はっきり申し上げますと日米間の問題だけではございません。広く、例えばさっき先生がおっしゃいました経済協力開発機構、これで毎年日本の経済政策についての審議が行われておりますが、その中で日本経済についてのリポートが出ております。その中におきましてもその種のことが言われておりますので、言ってみれば国際的な、各国ともいろいろ競争政策を議論していく中で、日本としても有効な競争政策というものをつくっていくことが、また実行していくことが日本経済のためにいいことではないか、こういう国際的ないろいろな、エキスパートも含めましてそういう意見が非常に広くあった、こういうふうに理解しております。
  169. 小岩井清

    ○小岩井委員 私は、今具体的に御指摘申し上げましたけれども、独占禁止法の改正の作業がおくれている、したがって、アメリカの独占禁止法制、三つの法律があるわけですけれども、シャーマン法の域外適用をするこれは口実にされる。日本の法制作業がおくれている、改正作業がおくれている、だから域外適用が必要なんだというそういう口実にされる危険があるのではないかというふうに思いますけれども、この点いかがですか。
  170. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 今回のアメリカの司法長官の、これはテレビのインタビューであったようでありますけれども、シャーマン法の域外適用に関する発言、今日までの経緯は、それから日本政府の対応は、先ほど来外務省当局がお答えになったとおりでございます。  ただ、公正取引委員会の判断といたしましては、今回の域外適用の問題というのは、一九九〇年に米国司法省が従来の一九八八年ガイドラインの見直しを行うという作業を表明いたしておりまして、その延長線上にある話でございます。したがいまして、この今回の域外適用の話と今我が国の国内で調整を急がさせていただいております刑事罰の引き上げの問題については、直接私は関連はないと思っております。
  171. 小岩井清

    ○小岩井委員 まあ、関連がなければ幸いでございますね、そのように申し上げておきます。しかしそういう動きがあることは事実ですね。  それで、梅澤公取委員長が今御答弁いただきましたから、引き続いて梅澤委員長に伺いますけれども、昨年の十二月十八日に発表される予定であった独占禁止法に関する刑事罰研究会報告書、ようやっときょう日の目を見ましたね。大変長かったですね。最初にこの内容の説明求めます。
  172. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 かなり分厚な内容でございますので、要点だけかいつまんで申し上げます。  一つは、我が国の企業刑事法制上、両罰規定というのがございます。これは、独占禁止法に限りませず、各種の企業刑事法制に共通している制度でございますけれども、刑罰、刑事訴追を行います場合に、行為者である自然人、個人の罰金の水準と法人事業者等の罰金の水準が同額になっておる、これがいわゆる両罰規定でございますが、これを今日の段階で見ますると、独占禁止法の場合一番重い罰金刑はカルテル等の五百万ということでございますが、非常に大きな企業がカルテル行為を行って刑事訴追を受けた場合に、例えばその会社の重役等の罰金が最高五百万、もしくは自由刑としての懲役三年という規定がございますが、仮にそういったカルテルが行われた場合に、その会社自身の刑罰を問う、刑事責任を問うという必要があった場合にやはりこれが五百万という水準が上限になっておる、これはいかにも低いという判断がまず一つ述べられております。  それから二番目でございますけれども、これは先ほど言いましたように、我が国の企業刑事法制に共通する仕組みになっておるわけでございますが、この両罰規定の考え方につきましては学説あるいは判例等でさまざまな意見、考え方があるようでございまして、研究会では専ら純学問的にいろいろな考え方を一つ一つ検討されまして、結論として、いかなる学説、立場に立とうとも、今日の時点において個人の罰金の水準と法人等の事業者の罰金の水準を切り離すということについては十分妥当性があるという学問的な検討事項についてかなりの紙幅を割いて述べられております一同時に、この結論の御報告は、同時進行的に行われております法務省の法制審議会の作業の中間的な御結論の方向と符合するものであるということもつけ加えられております。  そこで、こういった考え方に立って現行の独占禁止法の罰金、法人事業者等の罰金の水準を引き上げるに当って、この報告書では、独占禁止法ではいろんな行為類型についていろんな罰条がございますけれども、今回においてはカルテル等を中心とする八十九条の罪に限定して、つまり五百万円という罰金刑が規定されております。その条項に限定して大幅な引き上げを行う。その場合に、個人の現在の五百万なり自由刑はそのままの水準でいいけれども、法人等事業者については大幅に引き上げるべきであるということで、引き上げの対象範囲を具体的に限定されております。  そこで、どういった水準にまで引き上げるべきかということでございますが、研究会の御報告では、基本的には法人等事業者の資力と個人従業員等の行為者の資力格差が一つの目安になるであろうという点が一つ。それから二つ目といたしまして、米国等と違いまして、我が国の独占禁止法ではカルテルに対する措置といたしまして課徴金の制度があるわけでございますが、課徴金の制度と刑事罰を総合的に判断していかなる水準がよいのか。三つ目は、諸外国の各種の法制とのハーモナイゼーション、こういった点を総合的に勘案して、御結論といたしまして、現在の五百万円という罰金の水準を数億円の水準に引き上げる必要があるというのが御結論になっております。
  173. 小岩井清

    ○小岩井委員 ただいま説明いただきましたが、両罰規定、事業者に対する罰金刑の上限と従業者等の行為者に対する罰金刑の上限を切り離す、これは学問的に妥当性があるということですね、ということの結論だと。  しからば、公正取引委員会としてはどういうふうに見ますか。
  174. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 私どもは、この問題に対する対応が必要であるという判断で昨年の一月から作業を始めていただいたわけでありますけれども、何と申しましてもこの企業刑事法制の基本にかかわる制度の問題でもございますので、まず学者、専門家の意見を十分伺って、その検討の結果に従って法改正に向けて努力をするというのが私どもの考え方でございますので、この報告書の趣旨を体しまして、現在各方面と調整させていただいておるところでございます。
  175. 小岩井清

    ○小岩井委員 両罰規定切り離しについては、その趣旨を体して各方面と調整をしていると。しからばカルテル、八十九条に限定して大幅に引き上げる、この点についての公正取引委員会の考え方はどうですか。
  176. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 先ほど申しましたように、独占禁止法では各行為類型、これは実体法違反のみならず、各種の手続等についても手続違反の場合のいろんな罰則の条項がございますので、この研究会の考え方では、公正で自由な競争の秩序を守るという法益から考えた場合に、法第八十九条に規定しているカルテル等の行為、これは私的独占を含みますけれども、市場の実質的な支配という意味で競争秩序の実質的な侵害度が非常に強い。で、各国の法制も現在のところカルテルを中心にして規制を強化しておるという状況でもございますので、この八十九条に限定されたという考え方は私どもも十分理解し、またそのとおりであろうと考えております。
  177. 小岩井清

    ○小岩井委員 そのとおりだという御答弁いただきました。私どもは、今社会党で独占禁止法プロジェクトで検討いたしておりますが、不公正取引についても、これは事業者に対する刑事罰を考えるべきだというふうに今検討いたしておるわけであります。その考え方と違うようでありますが、その点を指摘をいたしておきます。  上げる限度に数億円ということがありますね。数億円についての考え方、これについても公正取引委員会としては妥当だと思っていますか。
  178. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 報告書の中では具体的な水準を考える場合の第一のメルクマールとして、法人等の事業者と個人従業員とを比較する場合にどういう物差しがあるかということを議論されまして、  この報告書にも述べられておりますけれども、具体的には各種の統計をお使いになりまして、資本金一億円以上のいわば重役クラスの方の年収ないし純資産と、資本金一億円以上の企業の経常利益ないし純資産との比較、つまりストックとフローの両面の計数格差を求める作業をされておりまして、百数十倍ないし九十倍という数字をまず挙げられております。そのほかに先ほど申しましたように、課徴金の存在というものをどのように評価するかと。  研究会の御議論の中では、そういった総合的な判断でこの水準というものを決めるべきものであろうから、計量的に、一義的に具体的に幾らでなければならないという回答が出るものでもない。しかし、そういった総合的な判断として考える場合に、今の五百万円の水準を数億円という範囲、少なくともこの範囲で引き上げるということが妥当であるということで、研究会の数億円という表現をとられたものと理解をいたしております。
  179. 小岩井清

    ○小岩井委員 かなり幅の広い報告書ですね。一億円は数億円とは言いませんから、二億円から九億円までの幅があるというふうに思いますね。  ですから、その点について、これからこの報告書をもとに法制作業が進められるんですか。進められるかどうかですね。あわせて、独占禁止法改正案は今通常国会に提案をされますか。その点について、これは官房長官ですか。
  180. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 これはたしか前回、委員の御質問に対してもお答えしたところでございますけれども、この報告書の趣旨にのっとる考え方によって今各方面と調整作業を進めさせていただいております。今国会に政府提案の形で御提出申し上げたいというのが私どもの強い念願でございまして、ただ、これは現在まだ調整中でございます。ただ、特に与党等におかれましてもこの問題についていろんな角度から現在真剣に議論をしていただいておりまして、いましばらくその時間の猶予をちょうだいしたいと考えております。
  181. 小岩井清

    ○小岩井委員 刑事罰研究会の報告書を委員会に提出をして、内容が明らかになりました。それに基づいて法制作業を進めて提案をするという答弁がきょう出ると思っていたんですよ。まだ提案をするかどうかわからないんですか。提案しない場合もあるんですか。
  182. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 ただいま申し上げましたとおり与党においても大変真剣にこの問題を今議論していただいておりまして、現在調整の作業を進めておるところでございます。したがって、現時点におきまして私どもの立場から必ず提案する見込みがあるとかないとかと言うことは、まさに今調整作業の最中でございますので、これはお許し願うことにいたしまして、私どもは、党の方も非常に真剣に取り組んでいただいておりますので、何とか実現する方向で努力を続けておるということでございます。
  183. 小岩井清

    ○小岩井委員 これは与党と調整をしている。自民党総裁宮澤総理ですよね。これは政府として、対アメリカの日米構造協議並びにフォローアップで国際公約だと、これは認められていますね。それをみずから総裁を務める自民党でまだ提案するかどうか結論出ない、こういう事態をどうお考えになりますか。
  184. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 かなり思い切った変革でございますから、改正でございますから、自民党の中で十分議論をまたしなければならないということで、公取委員長もその辺は十分に議論をした上でひとつ賛成をしてほしいと言っておられまして、私としても委員長のように、これは議論をいたしました末にひとつ了解点に達して御提案をいたしたいという、委員長のそういうお立場は私としても十分に了解をいたしております。
  185. 小岩井清

    ○小岩井委員 提案をいたしたいということで了解いたしておきます。必ずしてください。  今の、先日から一連のこのやりとりで公正取引委員会の独立性、中立性が維持できない、独立性、中立性に非常に疑義があるというふうに指摘を申し上げましたけれども、梅澤委員長、お言葉でございますがという、こういうふうに答弁があったけれども、私はそういうふうに見ているのですよ。というのは、梅澤委員長自身一生懸命やっているし、非常に大きな成果も上げているというふうに見ます。しかしやっぱり限界があるなというふうに感じたのですよ。それは委員の構成を見てみますと、委員長は大蔵省出身ですね、梅澤委員長。それから、公正取引委員会の事務局長も大蔵省出身なんですよ。あわせて委員四名のうち大蔵省と通産省と外務省と法務省の出身者、これは全部関係省庁の出身者で固められちゃっているんですよ。したがって身動きとれないんじゃないか。経済界からも、経済官庁からも、与党からもがんじがらめになっちゃって、しかも、みずからそれぞれ関係省庁の出身だという、それでにっちもさっちもいかないという状態なんじゃないですか。この各省庁の利益代弁者的委員の構成について変えるべきではないかというふうに思いますけれども、これは公正取引委員会委員長は答えられませんね。任命権者の方で答えてください。
  186. 加藤紘一

    加藤国務大臣 小岩井先生は昨年末の委員会でもいろいろこの問題を討議されて、議事録を私も読んでおりますので、また同じ答弁を繰り返すといろいろいらいらされるんじゃないかなと思いますけれども、やはり独禁の運用という意味では、経済行為であるというのと、準司法手続であるので法律の知識を必要だというこの部分は、どうしても変えられない重要な任務なんではないかなと思います。したがって、今の構成の中で大蔵それから法務それから通産、こういうところから出てまいるということはある種の必然性があるのではないかな、こんなふうに思っておりますけれども
  187. 小岩井清

    ○小岩井委員 これは商工委員会質問をしたときには、官房長官出ていらっしゃらなかったですね。あれは前官房長官でしたか、出ていらっしゃらなかった。今初めて官房長官答弁を聞きました。その折にも、委員の構成を変えるべきだ、ということは、公正取引委員会が独占禁止法の目的を遂行するために、しかもきちんと機能させるために、活性化させるために委員の構成を変えるべきだ、それは独立性、中立性を担保するためにそうすべきだ、経済官庁出身者は委員長と事務局長にはふさわしくないんじゃないか。大蔵省は特にですね、大蔵大臣そこにいらっしゃいますけれども。ということで、これは、独占禁止法の権威である学者、これは委員長を。それから、事務局長公正取引委員会プロパーで構成をして、あとそれぞれ関係省庁並びに民間からも登用する委員構成にすれば、今のような独立性、中立性に対する疑義については出ないんじゃないか、こういうふうに考えているのですが、いかがですか。
  188. 加藤紘一

    加藤国務大臣 その辺はいろいろ御議論があるだろうと思います。現実の経済活動というものについてかなり生き生きとした知識を持つという意味も必要でございますし、大変な御議論があるんじゃないかなと思います。  小岩井先生が今おっしゃった点、それから前回の委員会でおっしゃった点を読ませていただきますと、いわゆる公取プロパーの人というものが少なくともこの五人の委員の中に一人はいてもいいじゃないか、それでなければ活性化しないしというような御趣旨があるんじゃないかなと思いますが、一般論としてはそのとおりだろうと思っております。  ただ、その一般論の中で、具体的にしゃ現在の人事配置がどうなっているのかねというようないろいろな御議論もあろうかと思いますが、現在の公取出身の佐藤徳太郎さんというのは、我々は公取出身の方だ、こういうふうに思っております。
  189. 小岩井清

    ○小岩井委員 私は固有名詞まで挙げるつもりは全くありませんでしたけれども、今おっしゃった方は大蔵省出身と申し上げておきます。  時間が迫っておりますから……。  私ども日本社会党は、独占禁止法について違法行為を抑止し、排除し、実効性が高まり、より運用が積極的になるように、今独占禁止法についての改正案を検討いたしております。今刑事罰研究会から出てまいりましたけれども、法人処罰の強化、そして報告書並びに御答弁にもありませんでしたけれども、不公正な取引方法を用いた場合についての刑事罰の新規導入、それから今官房長官から御答弁もいただきましたけれども公正取引委員会の独立性の強化として、委員会の中立性を担保するための委員の任命基準を独占禁止法に明記するということ、さらに公正取引委員会の調査権限を強化するということ、違反事件の専属告発の変更、一般人による告発請求を定めるということ、そして今東京高裁だけである裁判管轄についてこれを変更するということ、以上六点を検討いたしております。これを内容とした独占禁止法改正案を党内総合政策調査会並びに法案審査会の手続を経て今国会に提出する予定で社会党は検討いたしております。  いたずらに批判し、反対するだけではありません。国際的整合性、国際的要請、国際的批判にも十分たえるし、しかも日本の独占禁止政策が運用の実効性を高めて生き生きとしていくような内容になっていると確信を持って、今法制化に取り組んでおります。先ほど提案するかどうかわからないようなあれでしたけれども宮澤総理の御答弁では提案をされるという、最大努力をされるということでありますから、それを信じております。願わくば政府案が提案をされて、そして堂々と四つに組んだ議論をいたしたい、このように考えております。  そのことについて、今刑事罰の強化以外のことを申し上げましたけれども、全部ひっくるめて今申し上げました内容についての見解を求めておきたいと思います。
  190. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 大変たくさんの項目の御議論でございますので、また機会を改めまして基本的な私どもの考え方を御説明申し上げなければならないと思いますが、不公正な取引方法に対して刑罰を導入するという問題につきましては、政府ないし公正取引委員会として、法制上基本的に見解を異にするものでございます。  委員の任命基準の問題につきましては、公正取引委員会からお答えできる範囲外の問題でございます。  それから調査権限、専属告発、一般人の請求、専属管轄等につきましては、御指摘の点につきまして将来司法制度全般とのかかわりで検討されなければならない問題点も含んでおると存じますけれども、今御提案になりました点につきまして、当面政府として制度を改正する、そのための現実的必要が生じておるというふうに考えておりませんし、提案の部分によりましては現行法制でも、委員が追求されております独占禁止法の厳正、適正な運用について十分現行法制を活用できる分野もあるということを申し上げたいと思います。
  191. 小岩井清

    ○小岩井委員 まだ具体的に提案をしてあるわけでありませんから、政府案とあわせて堂々と議論をできる機会をぜひ今国会でおつくりいただぎたい、このようにお願いをいたしておきます。  終わります。
  192. 山村新治郎

    山村委員長 これにて小岩井君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。経済企画庁長瀬総合計画局長
  193. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 先般先生からお尋ねを賜りました公共投資に関連いたしまして、御説明申し上げたいと思います。  まず、公共投資の概念でございますけれども、公共事業に係る予算に関連いたしましては、国の一般会計、特別会計、財政投融資あるいは地方公共団体の予算などがあるわけでありますが、これらは各年度の歳入歳出や投融資の計画を定めるものでございますけれども、それぞれ国なり地方公共団体ごとに作成されておりますので、補助金などの部分について重複があるという事情があるわけでございます。  そこで、公的固定資本形成でございますが、これは公的な主体がある期間に投資をいたしました金額でございまして、一九六八年に国際連合の統計委員会が採択いたしました国民経済計算体系によりまして、世界各国が共通の約束で推計をいたしているものでございます。公的主体間で重複がないように調整されたものでございますが、ただその際、土地につきましては、これは経済活動の成果として生まれたものではないという考え方に基づきまして、公的固定資本形成には用地費を含まないということが国際連合の国民経済計算のルールの一つとなっている次第であります。  次に公共投資でありますが、これはただいま申しました各年度の公的固定資本形成に用地費、補償費等を加えたものでございまして、公共投資基本計画に言います十年間の公共投資総額、おおむね四百三十兆円もこの概念によるものでございます。  そこで、先生から平成二年度のこれらの額がどうなっているかという点についてもお尋ねを賜りました。平成二年度の公的固定資本形成につきましては、平成二年の見通し段階では二十六・三兆円でございましたが、現時点では実績といたしまして二十八・六兆円でございます。  この二十八・六兆円の内訳といたしまして、公的住宅〇・九兆円、公的企業設備五・七兆円、一般政府二十一・九兆円となっております。この一般政府、三つに内訳が分かれておりまして、中央政府三・三兆円、地方政府十八・六兆円、社会保障基金〇・一兆円となっている次第であります。  そこで、お尋ねのございました公共投資の実績額についてという点でありますけれども、これは各省庁が、各都道府県なり市町村等のデータを調査いたしましたものをヒアリングすることによりまして各公共投資実施機関の事業実績を把握いたしました上で、先ほど申し上げました国民経済計算でありますとか、あるいは地方財政統計年報等のさまざまな統計も勘案しながら作成するということとしているものであります。これらの作業は膨大でございまして、また、勘案すべき統計がすべて整理されるのは二年後となるために、公共投資実績の取りまとめには年度終了時から二年程度を要するというような事情がございます。したがいまして、平成二年度の公共投資の実績額につきましては、現時点において確定した数字はないわけでありますが、あえて一つの参考として申し上げさせていただきますならば、現時点での平成二年度の公的固定資本形成の数字、先ほど申しました二十八・六兆円に過去の用地費、補償費等のおよその比率でございます一五%を加算したものを計算いたしますと、およそ三十三兆円ぐらいというふうになると考えております。  以上でございます。
  194. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は今まで、決してとめるというようなつもりで聞いておるのじゃございません。わからない点がたくさんあるわけなんです。一体公共事業四百三十兆円というような約束をアメリカとしたということについては、私は日本の主権の上からいってもおかしい。しかし、あの当時の状況からするならばやむを得なかった、自民党・政府とすればやむを得なかったんだなという感は私はいたしますけれども、国自体としてはあんなのやるべきじゃない。  しかも、公的固定資本形成というものはもう我々より先にアメリカにいっておる。恐らくこれは報告は閣議にも出たのだろうと思うのですよ、去年のフォローアップ委員会の第一回では。しかし、国民にはそういうことが発表されない。公共投資は幾らだと言えば、二年後でなければ発表できない、一体どうなっているんだというのが私の趣旨でありますが、私はともかくきょうはこの予算委員会におきまして宮澤さんのお考え方を実は承りたいので、この問題につきましては一般質問に後々残すといたしまして、宮澤総理に対してお伺いいたします。これは後ほど申し上げます。  宮澤さんの「美しい日本への挑戦」というのがともかく最近の作品でございますな。一番新しいものだと私は見て、これは二回ほど読みました。ところが、まことに言いにくいような話、一番ともかく――この中に私も賛成する面もたくさんございます。しかし、一つ私がこういうところはどうしても抜けているなと思うのは、日本の政治に対して、政治浄化に対してどういうような考え方を宮澤さんは持っておるのだろうかということは一行も書かれていないのです。これも私は決して、佐川問題だのこんな共和事件が起こって申すんじゃございません。政治のあり方とすれば、一体政治に対する腐敗というものに対して国民がどう考えるだろうか、大衆はどう考えるだろうか、ここを中心に物事を考えなければ、政治というものは私は成り立たないと思っておるのです。したがって、あなたの「美しい日本への挑戦」という本を拝見いたしまして、これがないのは大きな欠点だな、宮澤さん本当に考えているのだろうかという感がするのです。一番嫌なことですけれども宮澤さん、どうでございますか。総理
  195. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはごもっともなお尋ねでございます。実はその本は、高坂さんと二人でつくりましたのは数年前でございまして、その後出版社の要請によりまして再版をいたしたものでございまして、確かにその中に政治改革、目下の一番大事な問題については触れておりませんことは御指摘のとおりでございます。
  196. 井上普方

    ○井上(普)委員 要するに、これは十一月に書いているのですよ、十一月に。はしかきにあなたは新装版に当たってということで書いておられるのです。それにも実はその言葉が書いてございません。大体このとおりだとお考えになっておられるとへ私は実に残念に存じておる次第であります。  宮澤さんとひとつ話をいたしたいのは、実は生活大国をつくるんだ、こういうお話でございます。まことに結構な話です。そこで、いろいろこの本を承るし、また昭和四十七年、五十五、六年の宮澤総理の著作も実は拝見いたしました。そうしますと、端的に申しまして、土地については公共財であるという御認識をお持ちになっておる。特に、私もそれからそこにおられる渡部通産大臣も一緒につくりました土地利用計画法につきましては、高く評価されているのですね、四十七年には。しかしあなたは、この本の中にも、あるいはまた、すべて土地については公共財として考えておるのだというならば、公共財として土地を考えるならばもう信託制度だとかそんなのは要りませんから、一体どういうように国は土地に対して政策を展開するんだということをひとつお示し願いたいと思います。土地に対する公共財としてのあなたの政策の展開は一体どうあるんだ、もう総理ですからね、お考え方があるだろうと思うので、ひとつお伺いしたいのです。
  197. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 土地が公共財である云々ということについて私が最初に申しましたのはもう多分二十年近くなるかと存じますけれども、ただいまこういう立場でこの一つ一つの、個々の政策についてそのまま申し上げることは差しさわりがあろうと思いますので、基本的にどう考えてまいったかだけをお聞き取りいただきたいと思いますが、結局我が国のような場合、殊に大都市におきましては土地の、無論所有権というものはこれは重んじなければならないわけでございますけれども、その利用につきましては、これは公共の福祉のためにはという憲法の考え方のつまり適用を受けてもやむを得ないのではないか。もとよりそれは正当な対価を払うというのが憲法の考え方でございますから、所有権は大切にいたしますが、利用権というものはその上に別個のものとして考えられてもいいのではないか。いわゆる、かつてドイツの法律で申しましたような権利の上に眠るということが、大都市における土地の所有者については我が国なんかの場合だんだん許されなくなるのではないかという、考え方としてはそういうことを考えてまいりました。  これがそのまますぐに立法になったわけではございませんでしたけれども、しかし土地利用計画法というようなものがその後立案されましたり、ある程度この考え方は我が国の法制の中にも入ってきた。私は、今の立場で一つ一つのことをこうあるべしと申し上げるのは適当ではございませんが、基本的にはそういう考え方に立ってまいりました。
  198. 井上普方

    ○井上(普)委員 私は、総理が長年首相の座を求められてやってこられて、念願の総理の座を占められてさぞかし土地に対する考え方、政策を具体化するだろうということを期待いたしておったのであります。まだ成立してから間もございませんけれども、ぜひとも土地に対する考え方、宮澤総理大蔵大臣のときに、土地の問題につきまして土地立法とほかの法律との整合性がないじゃないかというので国会がとまったこともございますわな。こういうようなところを私は申し上げて、あなたがどういうように展開するだろうかと私は期待もしておるのであります。  ですから、あえてあなたが総理になられたがゆえに土地政策が大きくといいますか、所有権は認めるにしましても公共の福祉というもの、まあ公共の福祉ということを申しますとそれは二十九条関係、私も存じております。しかしながら、ともすれば公共事業といえば、これは役人の考えた事業が公共事業になっているようなんです。だから、公共事業というと土地取得というのが非常に難しくなってまいりましてなかなかできないというのが実情じゃないかと思うのです。でありますから、公共の福祉についての考え方も明確にしながら、事業を進めていかなければならないと思うんですよ。  例えて申しますならば、日米構造協議の中に汐留等の開発が具体的に示されています。しかし、汐留と虎ノ門との間に都市計画ができましたのは、これは戦災復興都市計画事業なんです。八百メーター、九百メーターです。やろうとしますと九千億かかるというんですよ。また、東京都でやりました四谷から新宿の間までのあの道路拡幅は二十三年かかっているのです。こういうようなことを考えますと持っておる者もたまりませんよ。そこで、公共福祉とは一体どういうような考え方でいくんだ。そしてまた、ここで約束しているんですから十年間でやるということを、具体的に汐留の問題は。これは大変なことじゃないか、とてもじゃないが十年でできぬぞと私は見ています。まあおやりになっていただいたら結構。  こういうような問題がありますので、私は、土地の問題についてのあなたの考え方というのはある程度わかります、わかるし、そうあるべきだとは思いますけれども、利用権と所有権とをどういうように考え、分けていくんだということを具体的に話していただかなければなかなか難しい。そこであなたに、あえて総理に対して私はお伺いいたしておるのであります。いかがでございます。
  199. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そういう私が二十年近く考えてまいりましたこととの一つの関連は、ただいま私は公共の福祉と公共事業の公共という言葉を必ずしもイコールに考えておりませんので、その点は申し上げておきますが、公共の福祉のために土地を利用し得るということは、本来から申すならば、そのために土地の収用ということがあり得るという、理屈の上ではそういうことに、少なくとも戦前と申してはおかしゅうございますけれども、むしろ各国と申しておいた方がいいかもしれません、しかし実際に、現実にはそのことはなかなか容易なことでありませんで、結局説得ということで円満裏に解決をしていく。そのために時間がかかる、あるいはかなり現実には単価も上がっていくというようなことをお互い長いこと見てまいっております。  これは、法制論は別といたしまして、現実の問題としてはそうなってきたことはやむを得なかったこととは存じますものの、やはりそういう意味では、これは公共の福祉のためであるという考え方をもう一遍再確認しておくことが、いろいろな意味で大事ではないかという思いはするわけでございます。
  200. 井上普方

    ○井上(普)委員 そのとおりだと思うのです。例えば戦災復興都市計画事業をやって四十年たってもまだ道路ができないというような現状があるんです。その土地所有者は非常に難儀しています。こういうように難しいからといってほっておいてもしょうがないので、そこらは勇断を持ってお考え願いたいと思うのであります。  日本の土地という問題は、これは、笠信太郎さんが昭和三十五、六年ぐらいに「花見酒の経済」というのをお書きになりました。そのことをこの宮澤さんの御本の中で、池田総理をつくったときに笠信太郎さんが来られて、あの人は売ったい人だから、あなたは寛容と忍耐でもって、そういうスローガンでいけというようなことを言われたということがこの御本に書いてありまして、興味深く実は読みました。しかし、そのときに必ず笠信太郎さんは「花見酒の経済」のことをおっしゃったと私は思います。それが現在もやはり生きておると思うのです。日本の経済がこう大きくなったのも、これは、土地の担保によって銀行が大きくなる、ところがまた土地の値上がりがして担保が大きくなって、また金が貸し出しができるというような面で、日本の経済が復興した一つのファクターにはなっておると私は思います。しかしながら、そのために住民は住宅地がつくれなくなっておることも、一番困っておるのは国民だということもお考え願いたいのであります。それはまさに、笠信太郎さんの地本主義というのはいけないぞよというあの説と軌を一にするものでなかったか、私はこの御本を拝見しながらそう思ったのであります。  それはともかくとしまして、時間がございませんので、次に移らしていただきます。  この中で、下水道についてはおくれておるから下水道はやらにゃいかぬと書いてあります。それから道路について、社会資本の充実、資産形成をやらにゃいかぬということも書いてある。私はそのとおりと思います。  実は、この下水道の計画について私は思い出があるんです。昭和四十二年、私が出てまいりましたときに建設大臣が保利茂先生でございました。まことに立派な方でした。でございまして、あの方の非常な御努力と人格によって、片仮名書きであった都市計画法という法律を実は今の法律に直したのであります。そのとき私はこの審議に、一年生でございましたが参加さしていただいて、そしてあの膨大なる都市計画法というものができた。そのときの主な理由は、このまま行ったならば都市というものはスプロール化する、これは防がにゃいかぬ、だから都市計画区域と調整区域というのをつくるんだ。それじゃ値段は上がるぞと、都市計画区域の中の。いやそれはやらさぬようにいたしますというお約束でございましたけれども、現状は御存じのとおり格差ができてきているんです。特にそのときに、これは当時、保利先生はそういうようなお方ではございませんけれども、あと十年したら公共下水道は実は六〇%となる、普及さします、昭和六十年には一〇〇%近くまで実は公共下水道はできます、こういうのでつくられたのが、理由一つがあの都市計画法なんですよ。ところが、都市計画、現在ではどうでしょう。おくれにおくれています。なぜかといいますと、私なりに考えたことを申し上げて、ひとつお考え願いたい。  下水道を実はやるといいますと、下水道というのはでき上がった姿が土地の上にあらわれぬのです。みんな道路の下通るんです。ですから、政治家というものは形にあらわれぬものは余り力を入れないんじゃないか、それが大きな原因じゃないかと、私は私の地元を見ましてそう感じます。だから、今のようにおくれにおくれておるんじゃないかと私は思う。この本を拝見しますと、ジャン・バルジャンの話も出てきました。当時、私も保利先生にジャン・バルジャンの話も申し上げたことがあるんです。しかし、おくれているのはそこなんです。形の上にあらわれぬから成果があらわれぬという政治家がなきにしもあらずであります。これは全部が全部とは申しません。そのために下水道というのは非常におくれて、六〇%を切っておる。昭和六十年には一〇〇%に近いと言ったのだから、だからもう少し補助金を上げるとか、あるいは地方自治体に対しまして手厚い手をしなければ、公園というのは、これは予算の全部が土地の金ですわな、土地にかかる金なんです。ところが、下水道に関する限りは、事業費の、土地の用地費というのは五%に満たないんですよ。あと全部ともかく工事費でやれるものですから、経済効果としては非常に大きいんです。だから、ここらのあたりのなにをひとつお考え願ったらどうでしょうか。――いや、もう建設大臣要りません。総理大臣のお考え方、特に下水道についてはお考えになっておられるから、この点をひとつ私は、あなたの考え方としてはもう少し、ほかの補助金等々の関係もございますが、そこに私は、先ほど申しましたようなところに、形にあらわれないというところに原因があると考えますのでお伺いをいたす次第であります。
  201. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 建設大臣をお煩わせしないでとおっしゃいますのは、いわば大まかな考え方を言ってみろとおっしゃっていらっしゃる意味思いますが、確かになかなか下水道の仕事が進捗いたしませんでしたが、ここに参りまして私が拝見しておりますと、住民の希望も非常に高い、殊に流域下水道のようなこともございまして、かなり国会議員の皆様方も熱心に推進をしておられるように私は拝見をしております。それは大変結構なことだと思いますが、ただ、それに対してなかなか、この生活関連の施設のための公共事業費のいわゆるシェアを伸ばそうとしておるんでございますし、生活関連の二千億というような別枠もつくったりいたしておるんでございますけれども、もう一つ十分に下水道なんかが伸び切らないという感じは、私素人でございますが、自分なりに実は感じております。  ただ、これは以前と違いまして、住民の方からも、したがって、政治におられる皆様方からもかなり下水道についての御関心が高くなっていると段階から、共和森口氏から阿部議員に託して鈴木元首相に一億円が届けられたのではないか、このような趣旨の報道を行っています。そういたしますと、当然にこの一億円の帰趨についても捜査の対象とされ、このたびの中間報告の内容をも構成する事項である、私はこのように理解するわけでありますが、法務省の確認を求めておきたい、このように思います。
  202. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  去る二十五日に私の方から、東京地検において行われましたいわゆる共和事件の捜査結果の御報告を申し上げました。その中で、検察当局は、共和から阿部議員に対する資金の流れの全体について必要な捜査を尽くし、その結果として起訴に係るもののほかに訴追するに足りるものは認め得ませんでした、また、阿部議員に係るもの以外の犯罪の成否についても、捜査収集した証拠に基づき種々検討したものの、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足りるものは認められませんでしたというふうに御報告いたしました。  今お尋ねの、起訴されていない具体的事実関係につきましてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、去る二十五日の法務当局からの御報告につきましては、先ほど委員御指摘の内容の御報告を申し上げたということでございます。
  203. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この一億円の帰趨につきましては、我が党の草川議員のほか、自民、社会の各委員質疑者も尋ねられたところであります。  当日の朝刊、朝日新聞がこれにつきまして非常に詳細な具体的な報道をされたこともありまして、質疑者も非常に具体的な尋ねをいたしております。一九九〇年、平成二年四月、阿部代議士森口副社長が五千万円ずつを入れた紙袋二つを持参して、鈴木元首相の事務所のあるビルの前まで行き、そこから先は阿部議員が一人で鈴木事務所へ持って上がっていった、このような報道を引用されて、その趣旨、具体的に問われたのに対して、鈴木参考人は、そのようなことは全くない、全面的に否定をされているわけであります。その上で、機会があればその点を阿部氏とはっきりさせたいと思っている、また捜査によって明確になることを願っているとも述べられているわけでありまして、この点について翌日の新聞も、鈴木元首相に渡そうとした一億円はどこへ消えたのか、鈴木氏の参考人質疑の結果、残された最大のなぞがこれなどの趣旨の解説記事を掲載していますが、この感想は、当日の参考人質疑の模様をテレビ画面で見た多くの国民ひとしく抱いた最大の疑問点ではなかったかと思うわけであります。一億円という金額の点からも、授受の目的に照らしても、まさに共和事件の根幹をなす疑問点と言っても過言ではないと私は思うわけであります。  ところで、刑事局長の報告は、この大きな疑問には直接的には答えられませんでした。そこで、一般論の形で伺うわけでありますが、刑事訴訟法二百三十九条二項というところですが、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」このように定めているわけであります。そこで、検察官が贈収賄事件の捜査の過程で、一億円という多額の横領事件または一億円にも達する所得の不申告という所得税法違反の犯罪事実を認知した場合、この規定はどのように働くのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  204. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  委員今御引用の刑事訴訟法二百三十九条第二項は、御案内のとおり、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と規定していることはそのとおりでございます。  で、刑事訴訟法における告発とは、これももう委員十分御存じのとおり、被害者その他の告訴権者、犯人それから捜査機関以外の第三者が捜査機関に対して犯罪事実を申告して、その犯人の訴追を求める意思表示であるというふうにされていると考えております。検察官は捜査機関でございますから、お尋ねの条項は今委員お尋ねのような事例には関しないものであるというふうに考えております。
  205. 冬柴鐵三

    冬柴委員 さて、もし阿部議員がこの一億円を鈴木氏に渡すことなく自己のために領得をされたという事実が捜査の過程でわかったということになれば、これは仮定の問題ですけれども、横領罪、刑法二百五十二条一項が成立する疑いが非常に濃厚になってくるわけであります。検察官としては、これを知りながら放置できないことも、これは明らかであります。  こういう観点に立ちまして、過日のその刑事局長の中間報告を子細に読んでみますと、このように書かれています。資金提供の全体につき、捜査を尽くしましたが、贈収賄罪、また政治資金規正法違反につきましてはと、この二つの罪名を注意深く限定、特定しながら、「いずれも訴追するに足りるものは認め得ませんでした。」このように述べていられるわけでありまして、他の犯罪、すなわち横領罪や所得税法違反の犯罪の成否には一切論及をしていられない。この点は今後の捜査や調査にゆだねられていると私はこの報告の中から理解をしたんですが、その点について御確認をいただきたい。なるべく短く。
  206. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  先般の御報告で申し上げましたのは、ちょっと明確にさせていただきたいと思うわけでありますが、「株式会社共和から阿部議員に対して多額の資金が提供されたとの報道等をも視野に入れ、株式会社共和から阿部議員に対する資金提供の全体につき、贈収賄や政治資金規正法違反の点を中心として、捜査を尽くしました」というふうに御報告したつもりでございます。  それから、「阿部議員に係るもの以外の犯罪の成否等」につきましては、「東京地方検察庁におきましては、この点につきましても、贈収賄や政治資金規正法違反の嫌疑の有無を中心として捜査収集した証拠に基づき検討を続けました」というふうに御報告したつもりでございます。
  207. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それじゃ、国税庁長官お尋ねをしたいと思います。  阿部議員に対する資金提供は本件のこの一億円を含めてでありましょうが、五億円を超える、このような報道があることは周知の事実でありますが、そのうち、贈収賄で検察が立件したものはわずか九千万円にすぎません。この中間報告は九千万円を超える部分について、政治活動に関する寄附とは認めがたいということも言っていられるわけであります。そうしますと、政治資金としての非課税扱いは受けられないわけでありますから、国税庁として、この新聞報道やあるいは法務省の中間報告も視野に入れ、適正課税のために国民の納得する措置を今後阿部議員にとることがあると理解していいのかどうか、その点についでお答えをいただきたい。
  208. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 個別にわたる事柄は答弁を差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論といたしまして、国税当局といたしましては、納税者の適正な課税実現という観点から、常にあらゆる機会を通じまして課税上有効な資料の収集に努めております。国会での御議論あるいは新聞等における記事等もこの資料の中に入っておるところでございます。
  209. 冬柴鐵三

    冬柴委員 それぞれ立場がありましょうけれども、これは国民注視のところでありますので、納得のいく措置がとられるものと確信をいたしておるわけでありますが、次の問題に移りたいと思います。  これは総理にお伺いしたいんですが、このたびの参考人質疑におきまして、閣僚への猟官運動のことが大きな論点になりました。これにつきましても、我が党の草川議員、自民党委員からも取り上げ、質問をされました。これに対して鈴木元首相は、今までの内閣で組閣に当たって入閣のために工作がなされるとか、陰で猟官運動的な動きがあると伝えられることがあった、しかしながら、ということで、自分はそういうことは経験をしてないしという否定をされるわけですが、その前段はそのように、そのようなうわさが流布され