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1992-02-04 第123回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年二月四日(火曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    愛野興一郎君       粟屋 敏信君    池田 行彦君       内海 英男君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       唐沢俊二郎君    倉成  正君       後藤田正晴君    左藤  恵君       志賀  節君    戸井田三郎君       浜田 幸一君    原田  憲君       星野 行男君    松永  光君       松本 十郎君    村田敬次郎君       村山 達雄君    柳沢 伯夫君       柳本 卓治君    井上 普方君       伊東 秀子君    加藤 万吉君       小岩井 清君    新盛 辰雄君       関  晴正君    筒井 信隆君       戸田 菊雄君    日野 市朗君       水田  稔君    和田 静夫君       石田 祝稔君    市川 雄一君       日笠 勝之君    冬柴 鐵三君       児玉 健次君    菅野 悦子君       不破 哲三君    中野 寛成君       米沢  隆君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会 塩川正十郎君         委員長         国 務 大 臣 加藤 紘一君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 岩崎 純三君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     伊江 朝雄君         (沖縄開発庁長         官)         国 務 大 臣 宮下 創平君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 野田  毅君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一 大森 政輔君         部長         警察庁長官   鈴木 良一君         警察庁刑事局長 國松 孝次君         総務庁行政管理 増島 俊之君         局長         北海道開発庁総 竹内  透君         務監理官         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練 小池 清彦君         局長         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁長官 藤井 一夫君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁施設 大原 重信君         部長         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         経済企画庁調整 吉冨  勝君         局長         経済企画庁国民 加藤  雅君         生活局長         経済企画庁総合 長瀬 要石君         計画局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁長官官房 森   悠君         長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         法務省刑事局長 濱  邦久君         外務省アジア局 谷野作太郎君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合 丹波  實君         局長         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省理財局次 吉本 修二君         長         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部省教育助成 遠山 敦子君         局長         文部省高等教育 前畑 安宏君         局長         厚生大臣官房総 大西 孝夫君         務審議官         厚生大臣官房老 岡光 序治君         人保健福祉部長         厚生省健康政策 古市 圭治君         局長         厚生省保健医療 寺松  尚君         局長         厚生省社会局長 末次  彬君         厚生省保険局長 黒木 武弘君         厚生省年金局長 加藤 栄一君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 山本  徹君         房予算課長         農林水産省構造 海野 研一君         改善局長         食糧庁長官   京谷 昭夫君         通商産業大臣官 榎元 宏明君         房審議官         通商産業省産業 山本 幸助君         政策局長         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         資源エネルギー 山本 貞一君         庁長官         資源エネルギー 土居 征夫君         庁石炭部長         中小企業庁長官 南学 政明君         運輸大臣官房会 相原  力君         計次長         運輸省運輸政策         局次長     向山 秀昭君         兼内閣審議官         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         海上保安庁次長 小和田 統君         気象庁長官   立平 良三君         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省労働基準 佐藤 勝美君         局長         労働省婦人局長 松原 亘子君         労働省職業安定 若林 之矩君         局長         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総 斎藤  衛君         務審議官         建設大臣官房会 近藤 茂夫君         計課長         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省行政局公 秋本 敏文君         務員部長         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 杉原 正純君  委員外出席者         参  考  人         (地域振興整備 田中誠一郎君         公団副総裁)         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ————————————— 委員の異動 二月四日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     柳本 卓治君   戸井田三郎君     星野 行男君   市川 雄一君     石田 祝稔君   古堅 実吉君     菅野 悦子君   中野 寛成君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   星野 行男君     戸井田三郎君   柳本 卓治君     越智 伊平君   菅野 悦子君     不破 哲三君   米沢  隆君     中野 寛成君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。市川雄一君。
  3. 市川雄一

    市川委員 私は、公明党・国民会議を代表しまして、当面する諸問題、総理がおっしゃられた生活大国あるいは防衛費の問題、大綱見直しの問題、また共和事件などなど、御質問を申し上げたいと思います。  本題に入る前に、昨日本委員会総理答弁された中で、米国労働者に対する発言で、米国の国内で大分批判が起きておるという報道がありますが、日米摩擦が懸念されておる中で、総理、何か釈明される点がございますか。
  4. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまの市川委員の御発言でございますが、昨日の本委員会における武藤議員の御質問に対する私の答弁につきまして、一言御説明を申し上げます。  私の申し上げました趣旨は、我が国バブル経済の行き過ぎ等々への反省にも立ちまして、私の経済哲学としまして、額に汗をして物をつくり、価値を生むことが大切であるとの、勤労についての取り組み方を申し述べたところでございます。このような勤労哲学を働く倫理観という表現を使って申しましたが、この倫理観。という言葉が誤解を生んだとすれば、それは私の本意ではございません。米国労働者を批判する趣旨では全くございませんでしたので、御説明をさせていただきます。
  5. 市川雄一

    市川委員 次に、雲仙・普賢岳の災害対策で二点御要望を申し上げたいと思います。  一点は、収入の途絶えた被災者方々、この九カ月間にわたって長い被災者としての生活、私たちは心からお見舞いを申し上げたいと思います。ただ、この被災者に対する救済事業として、現在、食事供与事業が実施されていますが、四月三日で打ち切られる予定というふうに聞いております。現在、この食事供与事業対象者は六百八十四世帯、二千五百九十四人、対象者収入のない方々とその扶養家族、こういうことになっておりますが、火山活動終息見通しが全く立ってない、こういう中におきまして食事供与事業を延長すべきである、こう考えておりますが、これについての国土庁長官関係当局の御答弁をお願いしたいと思います。
  6. 東家嘉幸

    東家国務大臣 お答え申し上げます。  その前に、この一両日また大変活発な噴火をいたしておりますが、大変長期的にわたる、こういうような予測も立ちますだけに、今の御質問のことについては大変私たちも苦慮しているところでございますが、基本的には、避難住民生活確保については本来住民自助努力によって行われるべきことでございますし、政府としてはさまざまな施策を講じてきているところでございますが、この自助努力を支援することが重要であると考えております。  食事供与事業実施期間を最高六カ月と設定したのでございますけれども被災者方々に新たな生活の手だてを確保していかねばならないことは当然でございます。そのために、環境整備長崎県と連携しながら最大限の努力を払っているところでございます。現に長崎県においては、既存の制度に加え、長崎県の災害対策基金により、事業者に対する事業再開準備助成地場産業振興事業への助成工場等の移転への助成雇用開発助成技能講習受講者等に対する奨励金支給等の措面を講じております。就業再開促進を図っているところでございますが、国土庁としましては、県における措置状況を見ながら、今後とも関係各省と連携を図りつつ、被災者就業機会確保に努めてまいりたいと思っております。  そういうことで、自助努力というものをまず我々は取り組み、その上に立って、そしてなおかつそうした問題については対処でき得るようなことでのさらなる県当局とも協議をしながら進めていきたいと思っております。
  7. 市川雄一

    市川委員 この収入がない方々、その扶養家族対象にこの食事供与事業というものが行われている。火山活動終息見通しが明確でない、四月三日に打ち切られる、これを続けてほしいという、こういう切実な声を今お伝えしたのですが、国土庁長官は何かあらかじめお役所が書いたペーパーを読んでいるだけで、大臣として、本当に困っている人たちに対する温かい心というか、そういうものが全然伝わってこない。こういう答弁被災者の皆さん納得しませんよ。四月三日に打ち切られるのです。これ、深刻なんです。どうなさいますか、御答弁を。
  8. 東家嘉幸

    東家国務大臣 ただいま御指摘がございましたが、自力の立場から考えて、やはり就業の場を与え、まず働くことの場をどう提供するかということが先に優先することだというふうに考えておりますし、今後そうした、どうしてもというような場合にはどうするのかということについては、今後の課題とさせていただきたいと思っております。
  9. 市川雄一

    市川委員 大臣収入がなくて、そのない人たち扶養家族、今食べるが食べないかという問題ですよ。自助努力というのはその免じゃありませんか。これは明快に答えてください、明快に。
  10. 東家嘉幸

    東家国務大臣 では、お答えいたします。  いろいろと今、立場から御意見もございましたが、当初私も参りましたときに、基金によるさらに協力をしてほしいというようなこともございまして、自治大臣にもお願いし、そのことについては今後さらに対処するというようなことでございました。そういうことで、今私も申し上げましたように、これから、すべて打ち切るというようなことではなくて、自助努力によって再生できる人たちについてはやはりその自助努力をしていただく。しかし、それに対して、やはりどうしてもという問題については今後対処していくことでございます。
  11. 市川雄一

    市川委員 ちょっと総理、どうですか、この問題は。  自分がみずから生きていく、そのために自分努力する、他人の力をなるべくかりないようにする、これは人間の生き方として当然だと僕は思います。しかし、天災、火砕流とか土石流で家屋を失い、職場を奪われ、今どうするかというそういう緊急の対策として行われている問題です、これは。これを一方的に四月三日で打ち切られる、これを延ばしてほしい、これは火山活動終息という見通しがない以上、やはりそこに手当てしていくというのが政治として私は当然だと思う。どうも国土庁長官答弁はわからない、意味が。総理、どうですか。明快にお願いいたします。
  12. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 所管大臣としては、すべての方々ベストを尽くしてもらいたいという、そういうふうに考えられることは当然でございますけれども、こういう場合には、自分ベストを尽くしてもなかなか尽くし切れないということがございます。そういう場合には、もとより地元の公共団体であるとか県等意見をよく聞きながら、どうしてもしなければならないことは前向きに対処をいたさなければならない、そういうふうに考えます。
  13. 市川雄一

    市川委員 前向きに対処されるということで了解いたします。  それからもう一点。被災者としての生活が九カ月に及んでおりまして、肉体的にも精神的にも非常に限界を超えた生活をしていらっしゃる。プレハブに今住んでいらっしゃるわけですが、そんなに長期に及ばないだろうという発想でプレハブ間取り等が決まっているというふうに聞いております。六人家族で二DK、七人家族で三DKこの家族の構成によって非常にまたこれは持つ意味が変わってくるわけですが、何とか、いつ終息するかわからない、したがって長期にわたるというそういう考え方で、せめて一つの建物一世帯で、まあ間取りの違いはありますけれども、使えるような、そういうもう少し住環境というものに対する手当てもぜひお願いしたいというこの二点、先ほどの食事供与事業プレハブ。これは厚生大臣所管がと思いますが、この点もぜひ、いろいろな他の問題とのバランス等はあるとは思いますが、九カ月というかなり長い被災者としての生活、しかも先行きの見通しが立たないという、こういう点を考慮に入れて前向きな行政としての対処をお願いしたいと思いますが、厚生大臣の御見解を承りたいと思います。
  14. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまの点でございますが、避難などが非常に長期化することを考慮いたしまして、通常の場合の仮設住宅の面積、これは約二十六平米でございますが、これを拡大いたしまして特別基準というものを設定いたします。そしてさらに、間取りがもっとゆとりのある間取りとするように間取りを考えまして、弾力的に運営してまいりたいと思っております。
  15. 市川雄一

    市川委員 ぜひ、この仮設住宅居住環境改善についても特段の御配慮を賜りますようお願いを申し上げたいと思います。  次に、労働時間の短縮の問題を関係当局にお伺いしたいと思います。  総理は、生活大国を目指したい、こうおっしゃられている。私ども昭和六十一年のたしか衆参同時選挙のときに、生活大国ということを一つのスローガンとして打ち出しました。その後、各党言い方は違うのですが、生活先進国であるとか、あるいは平成二年度の総選挙におきましては私たち生活者政治ということを申し上げました。結局、戦後四十六年、経済的には非常に成功した、発展した。しかし足元を振り返ってみますと、何か生活者としての暮らしにゆとりがない、実感として日本経済大国になったという、生活実感からの充実感というものを国民は感じてない、こういうことで私たち生活大国ということを言ってきたわけです。  ある人が指摘しておりますが、人間生活の中には四つの時間がある。職業人としての時間、サラリーマンであれば会社へ勤めているサラリーマンとしての時間。もう一つ社会人としての時間、市民活動に参加するとかボランティアをやるとか世界に貢献するとか、そういう社会人としての時間。もう一つ家庭人としての時間。それからもう一つは、人間個人として自分の趣味なり人間として自分自分を充実させる、あるいはリフレッシュしていく、こういう四つの時間がある。  今、日本労働者はこの四つの時間のうち、最初の職業人としての時間、ここへもうすべてを、極端な言い方をすれば取られてしまっている。長い通勤時間、往復する。しかもその通勤は非常に混雑して通勤地獄。それから会社で、朝早くから残業も含めて夜遅くまで働いている。くたくたになって家へ帰ってくる。日曜日はもう死んでいる、こう言われているわけですね。もうぐったりしている。こういう声が強いのですが、やっぱりこの労働時間の短縮というのは非常に重要な問題だと思うのですね。総理生活大国の柱の中に、労働時間の短縮ゆとりある勤労者生活の実現のためぜひとも達成しなければならない国民的課題です、こうおっしゃっておられるわけです。  そこでお伺いしますが、昭和六十三年に閣議決定されまし経済五カ年計画による平成四年度中の千八百時間達成というのは、見通しが立っておるんでしょうか、おらないんでしょうか。
  16. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生御指摘のとおり、現行の経済五カ年計画では平成四年度末に年間総労働時間一千八百時間、こういう目標を掲げたわけでございますけれども、現段階においては平成二年度で二千四十四時間でございますから、目標から二百時間ほど足りない、こういうことでございまして、あと一年間の間にこれが達成できるかどうかについては、残念ながら難しい、こういう判断を私どもはしております。  そういう状況でございますので、何としても労働時間を短縮したいということで、実はその原因をいろいろ調べてみますと、大企業においては所定外労働時間、いわゆる残業が多いんですね。それから中小企業におきましては、いわゆる所定内労働時間が結構長い、すなわち週休二日制が実行されていない。こういうことでございますので、大企業の場合にはその残業を減らすような努力をしていただきたい。それから中小企業においては、週休二日制等所定内労働時間を短縮するように努力していただく。これはともに横並びでございまして、日本企業の場合には横を見ながらやりますので、ある程度産業別また地域ごと基準を示しながらそれに沿って労働時間短縮が実行できるように、実は今国会労働時間短縮促進に関する法案を準備いたしまして、ぜひひとつ国会においても御審議いただいて通していただきたい、そういう形で何とか産業ごと、また地域ごと労働時間が短縮できるような具体的な措置を講じてまいりたい、こう考えております。
  17. 市川雄一

    市川委員 結局、ぐだぐだおっしゃっていましたけれども閣議で決定したことができないということでしょう、要するに。もっと明快に言ってくださいよ。六十三年の閣議で決定された経済五カ年計画平成四年度中千八百時間達成、できないということでしょう、要するに。そういうことじゃないですか。今度は、新経済五カ年計画でこれができるという保証がありますか。  総理、どういう決意でお取り組みになるんですか、この労働時間の短縮総理がおっしゃっている生活大国、今までの経済五カ年計画では千八百時間の達成ができなかった。これは相当の決意を持たないとできませんですよ、これは簡単には。総理決意をまず伺いたいと思います。
  18. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 労働時間の問題というのは長いこと論じられてまいりましたけれども、これが今ほど国民的な課題となったことはなかったと思います。  それは、一つには国民の中における、先ほどから御指摘になりましたような四つの時間というものについての人生との関係において、通勤時間あるいは社会人としての時間はともかく、家庭の時間、個人の時間、そういうものを大事にしなければならないという、そういう一種の生活意味とでも申しますような国民的な意識が高まってまいりまして、それがいわば生活大国一つの主張になったわけでありますが、これは、このような国民的な関心になったのは初めてと思います。給与改善の問題と時短の問題が並んで少なくとも論じられるようになったということはそれを意味しておると思いますが、同時にまた、外国から見て我が国経済なり日本人のあり方というものが、外国がしばしば我が国からの輸出で脅威を受けているということもありまして、あれは本当の先進国国民の暮らし方なのであろうかという疑問が投げかけられて、それに対しては、国民全体のみならず我が国経済人の中にもいろいろ考えなければならないことがあるという反応が出ております。  したがいまして、これから五カ年の先の日本を考えますときには、この時間短縮という、その国際化ということは恐らく我が国経済政策の一番中心の部分になるし、それはまた国民的な、労使を超えてという言葉は不適当かもしれませんけれども、そういう意味での国民的な課題になっていくであろう、こういうふうに考えます。
  19. 市川雄一

    市川委員 そこで、労働省にお伺いしたいんですが、結局、今労働大臣もお答えでございましたが、労働時間の短縮は進まない。その原因は、一つはやはり所定外労働時間、残業時間。もう一つは、中小企業においては土曜日、日曜日の休日等が、なかなか休日がとれないということなんですが、中でもこの所定外労働時間、これは非常に問題だと思うんです。特に、この所定外労働時間の中でも、賃金が払われている労働時間はまだいいんですよ。いわゆるサービス残業と言われている実態、実際は残業しているんですが残業しなかったことにされているこの実態ですね。これが非常に深刻だと僕は思うんですね、むしろ。  先日、東京労働基準局が金融機関に対して、定期監督というんですか、を行った。ちょうどこの質問の準備をしておりましたらそういう報道があった。新聞に発表された事実によりますと、金融機関八十件のうち約七〇%が労働基準法違反。そのうち労働時間の違反が十三件、これは労使協定に基づく労働時間の違反。それから時間外労働割り増し賃金で違反が二十八件。いわゆるサービス残業の、いわゆる割り増し賃金を払ってない、二十八件。こういうことが新聞で報道されておりました。  どうなんでしょう。労働省が調べた金融機関の調査では、いわゆる証券とか銀行とか、サービス残業という実態があったという認識なのか、なかったという認識なのか。あるいは女子行員が夜十時以降残業しているという事実はないのかどうか。まず労働省に伺いたいと思います。
  20. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生御指摘のいわゆるサービス残業でございますけれども、工場労働者の場合には比較的勤務時間がきちっとしておりまして、工場が動いているか動いていないかでわかるわけでありますけれども、いわゆる御指摘の金融機関だとかそういった事務方は、必ずしも労働時間が明確でないといいますか、五時なら五時で終わるべきところがそれがずっと惰性で流れるという、いわゆるだらだら勤労といいますか、そんな形で明確でない面がございまして、この間新聞にも出ておりましたような形で、いわゆるサービス残業とみなされるものが現実にあるということは私は事実であると思いますので、そういうことがないようにこれから——指摘でございますが、日本の場合には明確な労働時間というものがない場合も多いことをあえて私だらだらということを申し上げたわけでございますが、言葉が悪ければ訂正をいたしますが、時間が明確でなしにずっとやっているような状況を正して、そして限られた時間に生産性を上げるような労働慣行にぜひこれから正していきたい、そういう意味で、労働省におきましても事務方の勤務時間についてのこれからの監督を厳正にしていきたい、かように考えております。
  21. 市川雄一

    市川委員 労働大臣の今の答弁は驚くべき答弁。あなたは労働大臣になられたときにもっとかっこいいことをおっしゃっているのですは、新聞では。生活者大国の実現を目標に掲げる宮澤政権にとって労働行政は内政の最も重要な柱だ、その大臣答弁とは思えませんね、だらだらだらとこう。しかも僕が質問したのは、東京労働基準局が検査に入って調べた実態を新聞で読んだのを大臣に聞いているのですより大臣は全くそのことを無視しちゃって、何か一般論をここで気楽に述べているだけじゃありませんか。何をおっしゃっているのですか。時間外労働割り増し賃金の違反二十八件、八十件のうち。サービス残業があったということじゃありませんか、これは。それを今大臣は何とおっしゃいました。事務方の仕事はだらだらだらだら区別がつかない、そんな御認識で労働行政できますか。いわゆるサービス残業というものが東京労働基準局の調査であったんです。  さらに問題を進めますと、問題なのは、全国銀行協会連合会の末松会長は、この立入検査のときにこういうコメントをしているのです。事実があるとすれば残念だし、なくす努力が足りなかったと言わざるを得ないが、サービス残業というものが存在している認識はない。これは経営側の、言ってみれば銀行協会の会長ですよ、銀行にサービス残業というものが存在している認識がないと言う。一方で、元日経連の永野さんは、銀行が午後三時に閉まって夜の十時ごろまで残業をしているというのは理解できない、こういうふうに発言もされているのです。  労働時間の短縮はできない、残業が多い、特にその中でも、いわゆる賃金の払われないサービス残業が多いということ、これは労働者の皆さんはよく知っているのです。まず労働大臣の認識。銀行協会の会長はこういうコメントをしているのだ。どう思います。
  22. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 事実としてサービス残業とみなされる実態があることは、この間の労働基準局の調査、監督においても明らかであると私は思います。  そこで、なぜそういうことが起こったかということについては、先ほど私、言葉足らずでございましたけれども、工場の現場と違って事務方の場合には、労働時間に対する認識が、自覚が、使用者の側とそれから働いている方の場合もそのあたりが明確でないといいますか、そのときの流れでいってしまうような面もございますので、その点については、両者において明確な意識を持ってきちっと対応するということをぜひお願いいたしたいということでございます。
  23. 市川雄一

    市川委員 労働大臣はやはり実態を余り御認識になっていませんね。  例えば最近「大銀行のわれら闇を照らす」という銀行マンが編集した本が出たのですね。これはごく最近です。一週間ぐらい前に出た本ですが、この本が紹介された新聞なんです。「目標達成ができなかった渉外行員」、渉外をやっている銀行の行員ですね、「支店長の机の前で土下座させられた。「飯を食う暇があれば、仕事をせよ」と言われ一週間昼食を抜いた」「労働基準監督署の調査を恐れ、女子は午後五時から私服に着替えて仕事をさせられる。やり残した仕事は毎朝八時前からの「早朝サービス残業」」「隣人の葬儀のため休暇を願い出ると、「君は仕事より家庭の雑事が大事か。人事考課も考えざるを得ない」と拒否された」、こういうことがるる、いわゆる実際銀行に勤めている方々が長い経験から、労働時間の短縮にはサービス残業の実態というものをきちっとメスを入れて正してもらわなければ済まないということをおっしゃっておるわけです。この実態の掌握をしなかったら、行政は僕は浮き上がっちゃうと思います。  それで、この本を読むまでもなく、ちょうど労働時間の短縮ということで私も実態を聞こうということで、二、三の方にいろいろ当たって、直接今働いている方々の御意見を伺いました。ある大手銀行に勤めている女性の方、若い方ですが、大体朝七時五十分には会社に入ります、五時から、夕方の五時から六時は食事時間ですが、仕事をやっておりまして奉仕時間になっている、所定内の労働時間の上限は十四時間で、出勤状況書は自己申告が建前だが、月末に上司が日割りして書き込む、実態の時間外は二十時間。また、男性で、大手銀行のやはり東京に勤めていらっしゃる方ですが、ノー残業デーというのがある、それからノー残業ウイークというのが組合の方針で決められている、しかしほとんど守られていない。ノー残業デーというのは、残業しても残業としてつけないという意味だ、本来は、ノー残業というのは残業しないということなんですが、残業をしても残業として届けない日をノー残業と言っているのだ、組合が決めていても実態は守られていない、これが二十七歳の男性の意見。そのほか二、三人の意見も聞いてありますが、七時に会社に行くと夜十一時に帰ってくる、セブン・イレブン、こう言われているのです。  ですから、このサービス残業の実態というものにもっと労働行政が鋭いメスを入れていきませんと、幾ら総理生活大国だ、労働時間の短縮だと言っても、要するに全然実態から浮いた話をしているわけですから、何も改善されない。しかも、労働大臣はインタビューではすばらしいことをおっしゃっているのですが、何かだらだらだらというようなことをおっしゃるし、どうですか、これ、労働省として生活大国労働時間の短縮というものをやっていく以上は、サービス残業の実態に切り込んでいくという、こういう強い決意がなかったらできませんよ、これ。決意を聞かせてください、決意を。
  24. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 実はこのサービス残業のようなことがなくなるために、なくすために、昨年八月に所定外労働時間削減要綱というのを実は策定してございまして、その中でサービス残業をなくすことを目標一つに掲げてございます。そして、関係者に呼びかけておりますので、たまたま御指摘もございましたし、まさに労働時間短縮のためにはこれは大きな越えなければならないハードルである、かように考えておりますので、単に工場労働者だけではなしに、事務労働におきましても労働時間短縮が着実に進むように、これから労働省としても誠心誠意取り組んでまいる決心でございます。
  25. 市川雄一

    市川委員 そこで総理、これは非常に重要なことを指摘申し上げたいと思うのです。  いわゆる経済五カ年計画とかなんかで使われている平成四年度千八百時間という労働時間の数字でございますが、この数字は、労働省が行っている毎月勤労統計調査、いわゆる毎勤統計と言われているこの毎月勤労統計調査が一つのベースで千八百時間とか二千四十五時間とか言われているわけですが、この毎勤統計で、例えば日本の産業で一番労働時間短縮が進んでいるのはどこの産業か。すると、金融保険業なんです。今、はしなくも笑う声が出たんですが、金融保険業が年間千八百十九時間。一番労働時間の短縮が進んでいるんです。そして、この毎月勤労統計調査によりますと、金融保険業の残業時間は年間百十三時間、月平均残業時間は九・一時間、これが毎勤統計の出した数字なんです。これを銀行員の方に言うと、みんな笑うんですよ。一カ月に九二時間、一日だろうと、みんなこう言うのですね、要するに。  ということは、この毎勤統計そのものがどうこうということを私は申し上げようとしているわけではありませんでして、毎勤統計がそうした所定外労働時間の実態を正確に把握してない。例えば、金融保険が九・一時間、一カ月九・一時間というのは、先ほど労働省が金融保険に入って調べた調査からもそんなことはちょっと言えないわけでしてね。臨時行政審議会の鈴木永二会長、先ほど言おうとして名前を間違えて恐縮なんですが、鈴木さん、日経連の前会長。「銀行が午後三時に閉店してから十時まで残業するというのは私には理解できない。」こう「週刊労働ニュース」という中でおっしゃっているし、あるいは過労死の問題に取り組んできた弁護士さんのお話を聞いても、やはり実際は年間で三千時間、平均すると二千五百時間ぐらいの労働を銀行はやっているのじゃないのかと言う。  どうもこの労働省がやっている毎月勤労統計調査、これが労働時間の建前の時間しかとってないんじゃないか。建前。事業所、このとり方は恐らく通信調査。事業主、人事管理者、こういう方に調査表を郵送する、事業主とか人事管理者から答えが戻ってくる。あるいはパートの方に面接をお願いするに当たっても、事業主に聞いて返ってくる。ですから、当然サービス残業なんという実態は出てくるわけがないわけでして、届け出をされた、残業として正規に届け出られ賃金が払われる労働時間しか統計に出てこない。ですからどうしてもこの統計が実態を反映しない。実態を反映しない統計を基礎にして千八百時間にするとかしないとかいう議論のナンセンス、ナンセンスだと僕は思うのですよ、実際の労働時間と統計がかけ離れているわけですから。上げ底になっちゃっているわけですから。それをもとにして千八百時間になるとかならないとかという議論をしていても、余り意味がないんじゃないか。  したがって、この毎勤統計というもののあつ方を変えるか、あるいはもっとサービス残業というものに対する労働省のきちっとした実態調査をほかの形で調査して調べるか何かしませんと、ベースになる数字が出てこないのですよ。労働時間短縮労働時間短縮、今二千四十五時間だ、あと二百時間足りない。だけれども、そのベースになっている二千四十五時間というのが実態は三千時間であったり二千五百時間であったりすれば、これは余り労働時間短縮というものの国際比較が成り立たない。そういう砂上の楼閣というのか議論が、私は毎勤統計そのものは統計としてのやり方に間違いがあるとは思っておりませんが、しかし逆に言うと、実態を的確に把握できる別の方法の調査を併用するか何かをしないと、労働時間短縮を論じるベースの数字が正確でない、こう私は思いますが、労働大臣はどうお考えですか。
  26. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生の御指摘は私もよく理解できます。  私は、実は労働省に申しておりますのは、いろんな経済政策の目標があります。例えばGNPだとか生産額だとか貿易だとか収支だとか、いろんな経済のデータがあるが、しかし我々は、政府にとって政治家にとって一番大事なのは、まさに働く労働者方々生活の実態が的確に表現できるようなデータといいますか、それをどういうふうにとらえるんだということが最大の課題でして、実は私は日本労働関係統計というのは、世界各国と比較して比較的いい方だと思います。比較的いろんなデータがそろっておると思いますけれども、しかし今先生御指摘があったように、実際の実情と多少違い、それは聞き取り調査で実態を見ないからというお話のようでありますけれども、そういうことを踏まえて、まさに労働者生活の実態が、賃金も時間もその他いろんな条件が正確に入るような統計をどうつくる、どうとらえるかということについて、ひとつこれから真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  27. 市川雄一

    市川委員 ちょっと答弁になってないと思うのですね、今のは全然。
  28. 佐藤勝美

    佐藤(勝)政府委員 先ほど来御質問のとおり、労働時間の短縮のために所定外労働時間の短縮は非常に大きなポイントでございます。そのために労働省では、大臣告示によります所定外労働時間の限度時間についての指導を行いますとともに、昨年には所定外労働時間削減要綱を設けまして、その中でいわゆるサービス残業の削減について述べているところでございます。  それから、先生ただいまおっしゃいました毎月勤労統計調査の問題でございますが、これは御承知のように時系列的に大変歴史のあるすぐれた統計だと思っております。特にこの労働時間の記入につきましては、記入要領では、給与支払いの基礎となったか否かを問わず実際に労働した時間を記入するようにお願いをいたしているところでございます。このような記載要領に従いまして正確に記載をしていただいている限りは、信頼できる統計であるというふうに私どもは考えておるところでございます。  なお、これが信頼に値する統計であるように、調査が正確に行われますように一層努力いたす所存でございます。
  29. 市川雄一

    市川委員 統計学の議論をしようと思っているわけじゃありませんでしてね。だから先ほどから、毎勤統計は毎勤統計としての意味はある、しかし実態が進んじゃってね、実態が。結局もう、サービス残業というものがあってないように黙認されている状況は全く把握できてないわけです。そういうものを把握しなくていい——統計としてはそれなりの意味があると僕は申し上げているわけです。しかし、本当に生活大国という総理決意をして労働時間の短縮をやろうというなら、その統計は統計としつつも、別の調査方法で補完する必要があるんじゃないのかということを言っているわけです。それでサービス残業の実態をもっと的確につかむ調査をやったらどうだ、そういうことを言っている。全然答弁してないんです。
  30. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 市川先生の御指摘のように、労働の、労働者の勤務条件の実態が正確に把握できるような統計をとれるように、これからいろいろ調査し検討させていただきます。
  31. 市川雄一

    市川委員 しっかりお願いを申し上げたいと思います。  この労働時間短縮だけやっておるわけにいかないんですが、もう一つ大事な問題がございます。それは、労働大臣はもうよく御承知だと思いますが、労働基準法第三十六条、いわゆる時間外労働を行う場合、労使協定を結びなさい、三六協定と言われております。この時間外労働をやる場合に、労使でこの労働基準法三十六条に基づいて三六協定と言われる協定を結ぶ。この協定を結べば、言ってみれば無制限に時間外労働ができる建前になっているわけですね、この法律では。ただ、それじゃうまくない、労働省として何らかの指針を示したいということで、いわゆるこの三六協定に対する労働大貝の告示というか指針が示された。いわゆる俗称目安時間と言われているわけですね。  この目安時間が一週間で十五時間、一カ月で五十時間、一年間四百五十時間、こうなっているわけです。この一年間四百五十時間というのは、国際比較でいうと非常に高い時間なんですね。平成元年の、平成景気が、非常に景気がピークに達したころ、トラック輸送の人たちがこの年間四百五十時間を超えたわけですね。あとの人たちは大体四百五十時間の中におさまっているわけです。この目安時間がマキシマムに設定されているんですよ。だから、労働省が時間外労働残業を奨励しているようなこの目安時間になっているわけですね、言ってみれば。例えば国際比較でいいますと、もうよく御承知だと思いますが、フランスで百三十時間、ドイツで一年間六十時間、イタリアで一年間百時間、ポルトガルで一年間百六十時間、スペインが一年間八十時間、こういう、とった年がみんな国によって違いますけれども、厚生省の調べというか、労働省調べですか、こうある。  この目安時間の見直しですね。労働時間短縮を言うんだったら、年間四百五十時間、大体マキシマムにいったときの話であって、もっと目安時間を下げるという方向に見直しを行いませんと、先ほどの統計の話と同じで、労働時間短縮に対する労働省の姿勢が問われるんじゃないでしょうか、これをこのまま放置しておきますと。
  32. 佐藤勝美

    佐藤(勝)政府委員 ただいまの所定外労働時間の最高限度の目安時間の告示の問題でございますが、御指摘のように、ただいまの労働基準法三十六条の協定によりまして、労働組合の、あるいは労働者のチェック機能に期待をしているわけでございますが、それとともに、この大臣告示によりまして上限時間を定め、指導をいたしておるわけでございます。  この時間につきましては、法定労働時間が六十三年の基準法改正後下げられましたことに伴いまして、このまま置いておくということは適当ではございませんので、近くこの上限時間については改正の検討を中央労働基準審議会にお願いをする予定にいたしておるところでございます。
  33. 市川雄一

    市川委員 検討しますということですから、ぜひ御検討をいただきたいと思います。  次に、看護婦問題をお伺いしたいと思います。  昨年この予算委員会におきまして、看護婦不足が非常に深刻であるということをるる申し上げました。そして、厚生省が発表しておられる看護婦の需給見通し平成元年から平成六年度までの需給見通しについて、るる私の気がついた点を指摘をいたしました。その結果、厚生省の方で見直しの作業をされて、昨年十二月に看護婦についての新しい需給見通しをお立てになりました。平成四年度から平成十二年度までの計画をおつくりになった。こういう努力をされたこと、それから新しい需給見通しをつくられた、この労は歩といたしたいと思いますし、予算委員会での指摘を率直に受け入れていただいて御努力されたことは、心からその労に敬意を表したいと思います。  ただ、何点がまだ私が感ずる問題点がございますので、お伺いを申し上げたいと思います。  昨年、最近、この新需給見通しができましてから、これは大臣答弁になるのか政府委員なのか、どちらでも結構ですが、私の手元に看護婦さんから何通か手紙が来ました。昨年の予算委員会で看護婦問題が取り上げられた、厚生省が新需給見通しを発表された、じゃあ、私はこういう病院に勤めていますが、夜勤の体制が二人で万八回、二・八体制とこう言っていますが、週休二日制、これがいっ私の病院では実現するんでしょうか、こういう非常に切実な御質問が来るのですね。しかし、私がこの看護婦さんに、あなたの病院ではいつからですよなんてことは答弁できるわけはないあですけれども。  この新需給見通しによりますと、二・八体制とか週休二日制とか、後で問題にしますが四対一の基準とか、こういうことがきちんと達成できる、そういうものを勘案した需給見通しというふうに理解をしてよろしいのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  34. 古市圭治

    ○古市政府委員 ただいまお尋ねの新需給見通しにおきましては、経済運営五カ年計画閣議決定に従い、週四十時間制に伴う需要というものを見込んで計算をしていただきました。したがって、この総数の中ではそのときまでにカバーできるということでございますが、個々の例につきましてはそれぞれのところで御努力していただく、ややでこぼこが出てくると思います。
  35. 市川雄一

    市川委員 昨年この委員会でこの問題を取り上げて以来、この一年間、いろんな形で病院の方々意見を聞いたり看護婦さんの意見も聞きました。そこで昨年になかった問題がわかりました。  それは、一つ週休二日制というものをかなりこの委員会で私も申し上げました。したがって厚生省も大分御努力をされたんだと思うんです。週休二日制というものほかなり看護婦、現場看護婦さんのところで、国公立が多いと思うんですが、普及をした。このこと自体はいいんですが、逆に、土曜日、看護婦さんがいないので検査をやらない。通常、今まで日曜日、最低限の検査しかしないのですが、本格的な検査は月曜日だ。それがプラス土曜日まで検査をしない。したがって、看護婦さんの労働条件の改善として週休二日制をやる、しかし同時に、それが救急病院の場合なんかは、土曜日検査をしないということになりますと、患者が急変した場合、土日月と月曜日まで本格的な治療ができない、検査ができないかけですから、そういう意味で患者に対する治療、看護というものがある程度しわ寄せになっているのではないのかという、こういうことが一つ実態として生まれつつある。土曜日に病気になると大変だという感じがするわけでございます。  それからもう一つは、医療技術が発達して、看護学校におけるカリキュラムが非常に変わった。高度医療に伴う知識重視ということで実習時間が減った。昔は約三千三百七十五時間、今三千時間。実習時間、三分の二になった。そういうところから、ベテランの看護婦さんが、新しく看護学校を卒業して入ってくる看護婦さんに対していろいろ教えてあげなければならない。そうしないと、新しく卒業した方は一人前の看護婦になかなかならない。昔は半年でなった。今はそれがもっと年限が延びている。その分だけベテランの看護婦さんに対する負担が重くなった。こういうことが第二点目。  第三点としては、変則三交代というものが病院の中で採用するところが起きてきた。変則三交代というのは、言ってみれば準夜勤、午後四時半から零時までという従来の夜勤を午後四時から夜の十時までにする。そうすると、これは夜勤に計算が入らない。夜勤扱いにならない。手当も出ない。事実上は、十時に病院で終わるのですが、引き継ぎとか、いわゆる看護婦さんのサービス残業というのか、一時間半から二時間。病院を出るのは十二時過ぎ。これは夜勤の回数に数えられませんから、いわゆる厚生省で言う二・八ですね、二人で月八回という計算の中ですという報告が可能になるわけです。変則三交代。しかし、変則三交代で深夜勤をやる方は大変なんです。夜の九時半から朝の八時半までやらなければならない、深夜勤をやる方は。こういう変則三交代あるいは二交代というか、こういうものをとり始めた。  それからもう一つは、きょうは休みだ。時計の針の上ではきようの夜の十二時までが休みで、午前零時からは翌日になりますから休みではない、ですから夜勤をやってください。休日の夜の夜勤。午前零時から午前八時半までの夜勤。しかし、休みの日に病院へ事実上は夜の十時に出かけていくわけですから、十時ごろまでに。そして午前零時から午前八時半まで勤める。どうですか。休みの日に夜の十時から朝の八時半まで徹夜で仕事があるという前提で休みがとれますか、皆さん。そういう勤務体制が新しく生まれているのです。  これが最近、この一年間、一年間というか、最近わかったことなんですが、したがって、一方で週休二日制、看護婦さんの定着率が悪い、看護婦さんの職場に魅力がない、週休二日制をやろう、労働条件をよくしよう、これはこれでこのこと自体は間違っていないのですが、しかし看護婦の数が基本的に不足している中でやっていきますと、どうしても患者さんにしわ寄せがいってしまう、こういう問題が一方にある。したがって、この厚生省の言う需給見通し、これは単なる見通しで終わったんじゃ困る、単なる見通しては。  どうですか、平成十二年まで、確固たる裏づけがあるのかといっても恐らく裏づけはありませんと言わざるを得ないのだろうと思うのですが、どの程度の裏づけを保証できますか、この新需給見通し。十二年まで全部といってもそれは恐らく無理でしょう、見通しですから。新卒者については、学校の新増設の計画、卒業される定員の数等から考えて何年度までは何名ぐらい卒業生が見込めます、それから、ナースバンクの事業等で一回春謹婦さんをやめて戻ってくる方が何名ぐらい見込めるとか、極力裏づけのある数字でいうと、何年ごろまでならこの見通し意味を持っているのでしょうか。
  36. 古市圭治

    ○古市政府委員 現在の需給見通し平成十二年まで、西暦二〇〇〇年まで十年間を見通したわけでございますが、先生御指摘のように、非常に厳しい状況の中で、各般の施策をしていかなかったらこの需要には供給が追いつかないということは事実でございます。したがいまして、数年たちまして、必要に応じて再度また見直して、その実現状況をチェックしていくということが必要かと思っているわけでございます。  今お尋ねの当面のことでございますが、私どもは、この計画達成いたしますために、一つは養成力の拡充強化というのをやりたいということで、来年度予算では対前年比七七%というぐあいに増額を図っております。それからまた就業対策、御指摘の、約五万人の方が、五万人以上の方が新しく参画するわけでございますが、四万数千人がまたリタイアされていくということでございます。そこで、潜在看護婦さんに再就職していただくということで、ナースセンターを強化していこう、こういうことも考えております。それからまた離職防止対策というものにも力を入れて、院内保育所等を拡充していきたい、このように考えております。これらの施策を総合的に行いまして、その結果につきまして必要な時期に何度でも再チェックをしてまた対策を強化していきたい、このように思っております。
  37. 市川雄一

    市川委員 総理、厚生省が発表した看護職員の需給見通し、この表を見ておりますと、新しく看護学校を卒業する方が平成三年度に五万六千百人いらっしゃるのですね。五万六千百人。ところが、看護婦、職場をやめていく方が四万六千四百人いる。要するに五万六千人が看護学校を卒業してきて四万六千人がやめていくのですね。それから平成四年度、五万七千五百人の人が看護婦になるのです目ところが、四万七千人の人が看護婦をやめていくのです。こういう数字がずっと平成十二年まで続いている。平成十二年はどうなるかというと、六万三千八百人の人が看護学校を卒業してくる。ところが、五万四千百人が依然として退職される。  これ、まあいろんなことを申し上げようと思っておりましたが時間がなくなってきまして、要するに、この退職していく人をなくすしかないんですね、これは。看護学校を一つつくる、四十人の定員の看護学校を一つつくる。土地と建物、あるいは学校の先生含めて、やはり五億や六億はかかっちゃうと思う。実際問題、看護婦さんが学校から卒業してくるのには、計画をして六年から七年かかっちゃう。まあ厚生省では、四年だ、こう言うんですよ。一年で準備して、年限三年ですから、三年で四十人の看護婦さんが卒業してくると。だけれども一つの学校をつくってもせいぜい四十人。五億か六億かかって、しかも六、七年の年月をかけなければ四十人の看護婦さんを生み出すことができない。ところが一方では、毎年四万六千人とか四万七千人とか四万八千人、五万人、五万四千人と看護婦はやめていく。  私は、この対策が要するになおざりにされてきたことに尽きちゃうと思いますよ。看護労働というのは、女性の職場ですよ、女性がやっておるわけですね。結婚するんですよ。お子さんが生まれるんです。育児があるんです。家庭があるからどうしても職場を離れなきゃならない。ということを余り深刻に考えてないんじゃないですか、厚生省は。いや、女性だから結婚してやめていくんですという程度じゃないんですか。そういう認識である限りは、こういう需給見通しを何回立て直しても、私はできないと思いますよ。  要するに、病院、看護の職場が、結婚しても勤めたいという、あるいは勤められるという、そういう職場でなければやめていく人はなくならないんです。結婚しても、子供を産んでも、育てても、看護婦としてやっていきたいという魅力がある、同時にそれだけの、保育所があるとか、あるいは夜勤の体制がきちっと、交代がきちっとしているとか、そういう結婚して育児をしながら勤められる職場であるという条件が整備されているかどうかですよ。この認識が弱過ぎるんじゃないですか。ここで質問しますと立派なことを言いますよ、ここで何だかんだ調べた数字を並べてもう百もわかっている。しかし、ここで幾ら言って立派な答えをしたって、実態が改善されなければ何の意味もない。ですから、お役所の方は別としても、政治家として、実態を改善するというそこヘギアがかむような、きちんとした仕事をぜひお願いしたいと思うんですね。  そのために一つ提案をしたいんです。  それは、まず保育所です。保育所を整備するということです。それから、民間の病院については、保育所について助成金を出すということです。それからもう一つは、看護婦の宿舎。僕は行けませんでしたけれども、同僚の公明党の議員が幾つかの看護婦宿舎を女性議員と一緒に見ていただきましたら、もう幽霊屋敷だというゴキブリどころか、何かもうトイレと台所と一緒になっていたり、非常に待遇が悪い。看護婦宿舎の改善。今どこの企業だって、やはり若い労働力を確保するためにいろんな努力をしているんです、宿舎を立派にしたり。それからもう一つは、看護婦さんでなければできない仕事と、看護婦さんでなくともできる仕事、この業務役割をしっかり分ける、看護婦さんが本来の看護労働に専念できるようにする。これは言うべくして現場では難しい面もあるのですが、かなりうまく成功しているところもあるはずです。それから、十年なり二十年看護婦さんを勤めたら、長期の休暇を、リフレッシュする時間を、あるいは研修時間、そういうものを差し上げる。  いずれにしても、この看護婦問題というものを昨年来ずっと、現場へ行きいろいろな看護婦さんの意見も聞き、考えてきました、自分なりに。やはり行き当たるところは、このいみじくも新需給見通しが言っている、やめていく人が圧倒的に多いということですね。これは単なる結婚だけの問題じゃない要素もあります。この点についてまずどうですか、大臣、何か決意を。ありますか、どうぞ。
  38. 山下徳夫

    山下国務大臣 今細部にわたって御説明ございました。実は、私どもの子供のときを考えてみますと、男は陸軍、女は看護婦といった時代があって、これはやはり一つの、服装も子供はあこがれだったかもしれませんが、今日と比べてみますと、やはりあなたのおっしゃるように魅力がないということである。魅力がない、それから勤務が非常に厳しいということだろうと思います。ですから、例えてみましても、二・八等夜間勤務につきましても、真夜中の交代をやめることができるかどうかということも真剣に考えてみなければならぬし、今おっしゃいました幾つかの問題については、現在非常に私ども真剣に考えておりますし、長年かけて育て上げて一人前にした看護婦がやめたら再び戻ってこないということはこれは国家的損失であるということで、ナースセンターをつくりまして、いわゆる潜在看護婦の発掘を今一生懸命やって、かなり効果も上げております。  それから、施設の問題もおっしゃいました。あるいは、看護婦以外の業務をやっている、食事、配ぜんをやったり、あるいはトイレとか病院の中の掃除をやったり、そういうものは、雑役夫と申しますか、ほかの者に任せて、本来の看護婦でなければできない仕事だけをやらせるとか、いろいろこれから看護婦が何をやっているかということをもっと綿密に細かにひとつ私どもも調査をいたしまして、そして余分のことはやらせないようにするし、また、この十カ年計画も、ただ計画だけじゃなくて、毎年チェックしてみて、ことしはこれだけ計画よりも落ちたぞ、どこに原因があるか、あるいは潜在看護婦をもっと発掘しろとか、そういうことを今度真剣にやってみなければならぬ、こう思っております。
  39. 市川雄一

    市川委員 いろいろなこの新需給見通しの矛盾点というのを御指摘申し上げようと思ったのですが、そういうことをここでるる言ってもね。  まあしかし、申し上げますと、例えばナースバンクの事業強化、こうおっしゃっているのですが、ナースバンクに登録されて現実に病院に就職された方が平成元年で三百十四名、それから平成二年が二十四名、たったの二十四名。それで、厚生省の計画では、平成三年は二千二百四十名がふえると、こう見込んでいるのですよ。二十四名が突如二千二百四十になる、これは私ならずとも首をかしげざるを得ない。それから平成四年度は千七百名ふえる、平成五年度は二千名ふえる。いろいろまた言えば理屈を言うと思いますが。  もう一点。ILO看護条約を日本は批准していない。いろいろな理由があるのでしょう。将来的にはこれを批准せざるを得ないのじゃないかというふうに私は思いますし、ほかの労働者労働時間が先ほど指摘したような状況ですからILOの労働条約も批准できていない、看護条約はまして批准ができないというのが実態だろうと思うのですよ。総理生活大国といいながら、看護条約も労働条約も批准できないというのでは何か非常に悲しいですね。労働時間の短縮もできていない、労働条約も胸張って批准できない、看護条約も批准できない。非常にこれは悲しいことだ、残念なことだと思うのです。  もう一つ。批准までは理想としてもぜひやってもらいたいと思いますが、ILOがこの看護条約を決めたときに看護職員勧告というのを出しているんです。看護職員勧告、これは強制力ありません。指針です。ガイドライン。しかし、非常にいいことを言っております。交代勤務の場合、勤務と勤務の間には少なくとも十二時間以上の休憩をとるべきである、こう言っておるわけです。これ切実に看護婦さんは願っているんですよ、この十二時間というのを。午後四時半に日勤が終わった。零時から、零時半から夜勤が始まる。しかし、実際病院には十一時か十時半には行かなければならない。そうするともう六時間、日勤が終わって夜勤まで六時間しかないうちへ往復して三時間とられたとしたら三時間しかない。それでもいろいろな仕度に帰る場合がある。ですから、やはりここは十二時間、交代勤務の場合、勤務から勤務の間が少なくとも十二時間以上休憩がとれるようにすること。これは看護職員の勧告で既にもう十五年前に出されているわけです、十五年前。あるいは、いろいろもめて、人事院が夜勤は二人がセットで月八回だ、それ以上なるべくやらないようにしろと、人事院裁定というのが出ているのですが、これは守られていない。月十四回とか十七回とか。そういう意味では、私は看護労働について看護労働基準法というようなものをつくらないと、そういう強制力を持たせないと、これは幾ら厚生省が需給見通しをつくってもどうにもならないのじゃないかという気がしているのです。  そういうことを含めまして、総理生活大国だ、労働時間の短縮だ、看護婦の実態は今申し上げたような状況です。やはり生活大国と言う以上は、また高齢化社会ということも念頭に入れますと、看護婦問題というのは非常に深刻な問題です。新経済五カ年計画では、労働時間の短縮という問題は入っていると思うのですが、総理、看護婦問題というのは入っていないのじゃないでしょうか。ぜひこの点も、非常に重要な問題ですから新経済五カ年計画の中でもう少しきちっとした位置づけを与えていただいて、何らかの一歩前進の改善ができる手だてをぜひ総理の手でおやりいただきたいと思いますが、総理のお考えどうでしょうか。
  40. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま御指摘になりました全体の問題は、振り返ってみますと、かつて政府が消費税を御提案いたしまして、これが将来の高齢化社会に対応するものだと申し上げましたときに、公明党におかれて、そういう高齢化社会に対する財政面はともかく、実態面についての準備はどうなっておるのかということから、いわゆるゴールドプランというものへ政府としても考え方を展開させていったという経緯がございます。  ゴールドプランは、一応プランとしては成り立ったわけでございますけれども、その中の一つの一番大きな要素が看護婦の確保ということでございました。看護、介護という問題は一番中心の問題であって、どうやってそのいわばマンパワー、言葉は思うございますが、マンパワーを確保するかということが非常に大きな問題でございました。  先ほどから市川委員がおっしゃいましたように、毎年のいわば新規参入とやめていく人たちの差が一万人ずつというような計算をしておりますけれども、しかし、やめていく人は非常なベテランでありますし入ってくる人は新人でございますから、ただ一万人、一万人では、実は内容が違います。そういうことがあったりしますと、やはり一つはなるべくやめてもらわないようにすることを考えなければなりません。それから、一遍やめた人でもまた再就職をしてもらうことも考えなければなりません。そのためには、先ほど御指摘になりましたいろいろな実は施策が要る。保育所の設置であるとかあるいは民間保育所に対する助成金であるとか看護婦の宿舎であるとか、看護婦そのものの業務を専門化して、そしてそれ以外のものはそれ以外の人ができるような体制をとる、幾つかの御指摘がありました。そういうことをこれから整備してまいりませんと、数の上で勘定はこうなりますと申し上げただけでは恐らくはそうならない危険の方が私はやはり多いと思います。そういう点で、新しい五カ年計画が本当にそういう意味での生活大国を目指すとすれば、そういう具体的な政策の柱の上に計画をつくり上げるということが極めて大切なことでございまして、これは経済審議会にもぜひその点をお願いいたしたいと考えております。
  41. 市川雄一

    市川委員 次の問題に移ります。  これもやはり厚生省でございますが、老人性白内障の問題でございます。  結論を先に申し上げますと、七十歳を超えますと目の白髪と言われている白内障にどうしてもかかる。手術をして眼球レンズを埋めかえる、そうしますと大体手術代が、一眼、一つの日約十万円かかる。両方の目を手術しますと約二十万かかってしまう。プラスこのレンズ代が五万円ぐらいしますから、一つの目を手術します手術代が十万円でレンズのお金が約五万円。これを健康保険適用にしてほしいという声が非常に強くございます。  水晶体が白く濁ってきて見えなくなる病気、大体七十歳を超えると、もちろん個人差がありますから一概には言えませんが、髪は白くならない人もいるわけですから、大体九〇%ぐらいの人が白内障にかかる。毎年約十一万人の人が白内障で病院を訪れていると言われております。現在は技術が非常に進んで、人工水晶体、眼内レンズの埋め込み手術を受ければ視力がかなり完全に近いほど回復してくる、こういうことで、大体今、平成元年で約二十万眼の手術が行われている。地方自治体でもこの問題を非常に重要視しまして、何とか健康保険の適用をという陳情が盛んに私たちのところに来ておりますし、公明党の地方議員の方々も熱心に地方議会で発言をして、国が何らかの措置をとるまでのつなぎの措置として自治体が助成できないかということを自治体に働きかけをして、一部公費負担を実施している自治体が一県百三十市町村、自治体の数で約百三十一団体、こういう状況でございます。かなり厚生省の方にも全国から、相当地方自治体から御要請が来ていると思うのです。  確かに七十歳あるいは六十五歳、個人差があると思いますが、手術をする、十万円かかってしまう、両方やれば二十万かかる。これを何とか健康保険の適用ということが相当切実に来ているわけですが、厚生大臣、健康保険適用ということをぜひ実現させてあげていただきたいと思うのですが、大臣の今のお考えはいかがでしょうか。
  42. 山下徳夫

    山下国務大臣 私も実は白内障で、眼内レンズを入れております。昔は白内障で手術しますと、ラムネ瓶の底みたいな眼鏡をかけたりしていましたよ。それからだんだん進んできましてコンタクトレンズができましたけれども、これも非常に弊害が多い。落としたりいろいろ面倒である。ということで、私も眼内レンズを入れましてこれはいいなと実感を持っております。  ただ、白内レンズにはいろいろ値段の違ったものもありますし、いろいろ問題はあります。ですから、初めは施術料だけ入れたらどうかなと私は思っておりましたけれども、この際そういうけちなことを言わないで、これはひとつ全部やったらどうかなという、私自身そういう感じを持っております。したがって、四月一日から実施予定の診療報酬の改定のときに中央社会保険医療協議会に私の方から諮りたいと思っております。
  43. 市川雄一

    市川委員 大臣も白内障で眼内レンズを手術されたと言う。手術料だけではなくて、眼内レンズも含めて健康保険適用導入の方向で中央医療協議会に諮りたいということでございました。ぜひその方向でお願いを申し上げたいと思います。  次に、防衛問題をお伺いしたいと思います。  昨年の予算委員会におきまして、九十億ドル支援是か非かという問題がございました。湾岸戦争、湾岸基金、GCCに九十億ドルを支援する。私どもは党内でいろいろな議論を重ねた結果、政府の姿勢としてこういうことやってもらいたいと、そうすれば我々もそれなりの理解を示すことができるということを当時申し上げました。  それは、九十億ドル、当時の為替換算で約一兆二千億、全額増税で賄うというのをやめてもらいたいと。五千億は政府の経費を削減しでやってもらいたい。それから、五千億の中に防衛費を一千億含めてもらいたい。武器弾薬には使わないという方針を明確にしてもらいたい。政府がその後、海部内閣でございましたが、その方針を明確にされました。したがって私たちは、九十億ドル支援に賛成をいたしました。  そのとき防衛費の一千億一五千億は、平成二年度から二千五百億、平成三年度から二千五百億の政府予算の削減が行われて五千億の削減をした。その中に一千億の防衛費を含めた。平成三年度では、防衛費というのは、そのときも言われましたが、どうしても正面装備は金額が高いので、初年度で頭金を払う、あるいは契約をする、三年か四年かけてそのお金を年賦で払っていく。ですから、平成三年度では十億円、一千億とはいうものの十億円しか現実にはキャッシュでは削減ができなかった。  平成四年度の予算では、防衛費ではこの一千億のうち二百四十億が一応削減された。平成四年度予算に当たって、この一千億削減の効果というか、どういう影響を及ぼしたのか。それから、できれば平成五年度、六年度、この一千億はどういう姿で削減されていくのか。この点を大蔵省並びに防衛庁にお伺いをまずいたしたいと思います。
  44. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、昨年度の湾岸危機に対応する策といたしまして、防衛費におきましても一千億の削減をやったわけでございます。御案内のとおり、歳出部分としては十億円ということでございますが、この一千億は、今御指摘のように、防衛装備の調達のあり方として長期間を要する国庫債務負担行為あるいは継続費ということでございますから、これが長期に及ぶことは間違いございません。先生御指摘のとおり、二百四十億円減っておりますし、来年度はまた五百億円以上減るということでございますが、今まで国会におきまして政府がお約束をしておることは、中期防の修正の問題もございますので、この削減措置を重要な要素として、中期防の総額が二十二兆七千五百億円でございますけれども、それに結果として反映するというような答弁を申し上げてきたと存じますけれども、私は、やはりこの問題は国会にお約束したことでもございますし、それからまた中期防におきまして三年後の見直しということがはっきり明定されておりますので、この際、これはきっぱりと総額を削減していきたい、この一千億は削減をいたしますということを、これは約束どおり申し上げていきたい、このように思っておる次第でございます。
  45. 市川雄一

    市川委員 そうしますと、中期防の総額二十二兆七千五百億、このうち昨年の九十億ドル支援に当たって一千億の防衛費を削減するというこの一千億は、中期防二十二兆七千五百億から一千億削減をするという御趣旨でございますね。
  46. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 現在の中期防におきましては、この総額の範囲内、つまり二十二兆七千五百億円の範囲内で必要に応じ修正をするということがはっきり書かれてございますので、この問題に関する限りは、私どもとしては一千億を削減をきっぱりといたします。
  47. 市川雄一

    市川委員 それで、平成三年度で十億、それから平成四年度、この四月一日から始まる平成四年度で防衛予算の中で二百四十億、この一千億相当分のうちの額が削減された。昨年防衛庁から私どもが一千億どうやって削減するんですかと、後年度負担ですから平成三年度は十億円ですと。それはわかった、じゃ、平成四年度はどうなんだ、五年度はどうなるんだ、六年度はどうなるんだ、この額を明確にして一千二億円という額をはっきりしてもらいたい、こういうことを申し上げましたところ、平成三年度十億、平成四年度二百四十億、平成五年度五百九十二億。来年度は五百九十二億。それから、平成六年度が百六十億。合わせて千二億、こういう削減計画でございますということを言われました。これは間違いございませんでしょうか。
  48. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 基本的に間違いございません。
  49. 市川雄一

    市川委員 多少の数字の前後は当然あるかと思います。基本的に間違いないということで了解をいたしました。  昨年の十二月の二十四日、党首会談がございました。私たちたしか二十五分の持ち時間で、最後四、五分残って、私、総理に防衛のことをお伺いした記憶がございます。総理は、平成四年度の防衛費を削減するということは非常に難しい、伸び率は昭和三十五年以来三・八%に抑えたんです、こうおっしゃられました。しかし、よく聞いてみますと、三・八におさまったというのは一千億のこの削減があったからなんですね。二百四十億削ったから〇・五%落っこったんですよ。だから、何か防衛庁や総理努力してやったのかなと思ったら、そうじゃないんですね、これは。ある意味では去年僕らがさんざん言って、やった。  皆さんの御努力ももちろんあるんですが、それはそれとしまして、三・八%、昭和三十五年以来の伸び率に抑えた。それは抑えたことは事実だ。努力は多としたいんですが、私、そのときたしか総理にも、時間がなかったんですが、簡潔に申し上げたつもりです。確かに今の防衛費の構造からして単年度でこの金額をどうしろああしろというのは、非常に難しい構造になっていることは我々もそれなりに理解しています。ですから、今防衛費を論じるときに、平成四年度をどうするかということよりも、それも重要ですが、しかし、世界の激変を受けて日本の防衛力のあり方をどうするかという、まず基本の考え方、哲学をどうするのか、それに基づいて中期的な展望では防衛費を縮小していく、こういうものをぜひ総理お考えいただきたいというふうに私はたしか申し上げたと思う。総理は、記憶に間違いかなければ、方向としては否定しない、方向はその方向でよいと思う、しかし重要な問題なのでぜひ一回考えさせてほしい、たしかこういうお話だったというふうに記憶しておりますが、総理、今年度の防衛費をどうするかということ。それよりも、世界が大きく変わった、ソ連脅威と言っていたソ連そのものが消滅してしまった、冷戦がなくなってしまった、むしろ米国とロシアのみつ月時代なんと今新聞では言われておりますが、非常に世界情勢が激変して、冷戦のもとで考えられていたことが御破算になってきた、したがって、防衛の基本になる物の考え方をつくるときに来ているんじゃないのか。  昭和五十一年につくった、十五年前につくった防衛計画大綱、大綱にしがみついているときじゃもうないんじゃないのか。あれは冷戦下ですから、ですから新しい防衛の哲学、考え方、ヨーロッパでもいろいろなことを言われております。防御的防衛とか攻撃不可逆的防衛とか、要するに攻撃しようと思ってもできない、防御専門の防衛システムという考え方が平和学会の人たちから逆に提案されたりしている。そういう基本になる防衛の考え方、今の国際情勢に合った、それから国内の財政事情にそれなりに、中期展望に合った防衛の考え方、そして中期的には防衛費を減らしていくんだ、それで大体この規模になっていきますよ、こういうものを今私は風民に示す、あるいはアジアに示していく必要があるんではないかというふうに思いますが、総理のお考えはどうでしょうか。
  50. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 昨年末のいわゆる党首会談におきまして問題の御指摘があり、また私がお答え申しましたことも、ただいま市川書記長がおっしゃいましたほぼそのとおりでございます。  そこで、その後に考えまして、中期防は三年後に見直すという規定がそもそもございますが、ソ連邦の解体というようなことは、中期防ができましてから後の事態でございます。この国際的な急変というのも、その大きな部分は中期防以降の事態でございますから、三年後といわずに前広にひとつ再検討することが大切であろうと考えまして、防衛庁長官とも御相談の上、安全保障会議においてそのような方針を決定いたしました。それについては既に防衛庁においてその作業を開始をしたところでございます。  次に、別の問題ではございますものの、中期防そのものの中に、将来の定員、人員の確保等との関連で、防衛計画の大綱に定めております別表について、時間をかけてではございますが、検討する必要があるのではないかという問題意識がございまして、これはかなり大きな部隊の再編等々を伴う、また地域的にも影響を与えるような大きな計画であろうと存じますけれども、しかし、そういう可能性についてもやはり勉強を早く始める方がいいということで、この勉強も始めてもらったところでございます。  で、その次の問題でございますが、つまり防衛計画の大綱そのもの、これは、つくられましたときに私はその過程でたまたま外務大臣でございましたので、当時の経緯を多少存じておりますが、当時から我が国は仮想敵というものを考えずに、いわば基盤的防衛力の整備、どのような状況においても最小限度持っていなければならないものは何であるか、それを整備しようという思想で防衛計画の大綱はできておるというふうに私なりに理解をいたしております。それは確かに十五年前のことでございますので、その思想そのもの、仮想敵を設けない我が国として最小限度のものを整備するという思想そのものは、私は間違いはないであろう、国際情勢が好転してきたことは大変に幸せなことでございますけれども、それにもかかわらず最小限の基盤的なものが必要であろうという思想には間違いがないのではないかというふうに私としてはただいま考えておるところでございます。
  51. 市川雄一

    市川委員 この大綱が昭和五十一年にできました。当時の坂田防衛庁長官が記者会見をされております、東西冷戦から脱却した考え方でこの大綱を考えたと。非常に考えた人は立派なことを考えたんですね、東西冷戦から脱却したいと。ちょうどデタントの時期でもあった。ところが、考えた人は立派なことを考えたんですが、その後これを運用した方が形骸化したわけですね。まあ官房長官防衛庁長官だったわけですが。  アフガニスタンの事件が起きた。ソ連が極東での軍事力を増強した。防衛計画大綱はデタントぼけだと、防衛庁、制服内部から激しい批判が起きてきた。そして、防衛計画大綱には書かれていない、一言も書かれていない千海里シーレーンなんというのが鈴木内閣のときに、アメリカのプレスクラブでの鈴木首相の演説から始まって千海里シーレーンというのは加えられ、その後、加藤防衛庁長官のときは経空脅威ということを新たに言い出して、洋上防空ということでイージス艦の導入につながっていくわけでして、総理おっしゃるように、できたときは非常に立派なそれなりのものだったというふうに私は思います。評価はやぶさかではありません。しかし、その後運営で非常に形骸化してしまった。もうもとへ戻らないんじゃないですか。  だから、平和時の防衛力とか平和時の基盤的防衛力とか、この考え方はいいんですけれども、国際情勢が悪くなったときは強化するということは書いてあるんですが、国際情勢がさらにデタントの方向に行ったときは下方修正しますということは一言も書いてないんだ。だから、防衛力拡大はできるようには書いてあるんだけれども、軍縮の方向には何も書いてないという欠陥があるんですよ、この計画大綱は。ですから、今総理がおっしゃられたことそのものは否定する気持ちはありませんけれどもね、やはり新しい哲学が必要じゃないかというふうに思います。  そこで、防衛庁長官に伺いたいんですが、総理は本会議等で一貫して、防衛力のあり方を検討したい、場合によっては大綱別表の見直しに通ずることもあるかもしれませんということをおっしゃっています。私の理解では、防衛計画の大綱と別表というのは一体不可分、不即不離、別表だけ見直して大綱を見直さないなんということはあり得ないというのが私の理解なんです。  例えば、大綱によりますと、大綱の五というところで、大綱本文五、陸海空自衛隊の体制、体制論を書いています、かくあるべしというふうに。その体制の基本的な考え方を、例えば海の場合ですと、一個護衛隊群が常時動けるようにすること、こう書いてある。そういう陸海空の自衛隊の体制の基本の原則を、考え方を述べて、五の一番最後のところで、「以上に基づく編成、主要装備等の具体的規模は、別表のとおりとする。」と、こう述べておる。ですから、別表というのは、大綱のこの五に書かれている陸上、海上、航空自衛隊の体制論と離れて別表は存在しない。したがって、別表を直すということは大綱を見直さなければできない、こう私は理解しておりますが、もし別の理解の仕方があるなら防衛庁長官に伺いたいと思います。
  52. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 市川先生、新安全保障政策ということで、権威者としての御見解を取りまとめておられまして、その中にそれが触れられておられます。私も大変傾聴に値する意見だと思って参考にさしていただいておりますが、まず最初に、ちょっと恐縮でございますが、防衛計画の大綱の性格でございますけれども、これは一次防から四次防まで限りなく増強というか、ふえ続けてきたわけでございますね。特に三次防と四次防の関係でいいますと、二兆三千四百億が四兆六千と、倍々と来る。ここで、やはり当時の情勢はデタントでありましたから、ここで坂田さんが、今おっしゃったように、平和時における防衛力のあり方とは何ぞや、そしてまた、我が国は脅威対抗論をとりません。つまり、相手の国がいるからこれに勝つための防衛をするんだという思想ではございません。あくまで、我が国が真空状況になりますと近辺諸国の影響もございますから、基盤的な必要最小限度の自衛力を保持しようという基本的な観点で、あくまで平和国家の平和憲法に従った理念でございます。私は、大綱のこの基本的な考え方は保持すべきものと考えます。また、これから派生じてまいりますいろいろ専守防衛、軍事大国にならない、非核三原則等々の基本的防衛政策も、これは私は堅持すべきだと存じます。  したがって、先生にもうこれから申し上げる必要もないようなことでございますけれども、防衛計画の大綱というのは、幾つかの構成要素になっております。一つは、大きく分けて国際情勢の認識、それからやはり防衛構想、防衛の態勢の問題、それから今御指摘の各自衛隊の体制のあり方の問題、機能の問題、それから同時にそれが別表につながっている。さすがに先生御指摘のように、克明にその点を御指摘になりました。  私どもは、総理が申されたように、この中期防の中に、人的資源の制約等を考慮しながら防衛力全体について見直しするんだということ、これはこん今防衛期間中でございます。したがって、次期防にこれを投影させようということでございますが、そういうことを定めておるわけでございまして、これに従って、総理が先般御答弁申しましたように、これは別表の変更につながるものという、場合によると別表をどうするかという問題につながるものという御答弁がございましたけれども総理の御意図も、今市川委員指摘のように、大綱五の陸上、海上、航空自衛隊の体制が、編成、主要装備の具体的規模は別表のとおりとするという御指摘がありましたが、それは当然連動しているわけでございますので、別表の検討をし直すということは、同時にこの本文の問題に波及することは先生御指摘のとおりでございます。  したがいまして、私どもとしては、この問題、大変重要な問題でございますけれども、基本的な防衛思想、考え方というものは、これは変えるわけにはまいりません。私は、これは正しいと思っております。総理もそのような今認識を示されたわけでございます。  ただし、別表が、これからの情勢の中で軍事技術の改変もございましょう、大きくは国際情勢の問題もございます。また、大綱に述べられているように、自衛隊の隊員募集その他の人的資源の問題、これは今求人倍率が非常に高いというようなこともございまして、なかなか困難な情勢にもあります。そして、我が国としては専守防衛でございますけれども、量をただふやすというだけでなしに、やはり性能のいいもので専守防衛の機能を果たしていくということはこれから必要でございますから、私はそういう意味でこの防衛計画を見直していかざるを得ない、こう思います。したがいまして、総理が別表に及ぶということを申された趣旨は、繰り返してございますが、その特に今五番ということを、防衛計画の大綱の五番の自衛隊の体制ということについて言及されましたが、私も、当然検討の対象としてはそこに及ぶものというように市川先生にお答えを申し上げたいと存じます。  それから、もう一つだけちょっと申し上げておきますと、これはさっき、防衛計画の大綱五ですね、防衛費が増強し続けてきて形骸化しているのではないかという御指摘でございますけれども、あくまで防衛計画の別表はこれからのそういった基盤的防衛力のあるべき姿を描いたものでありまして、その後はそれに到達すべくやってまいりました。数量的には余り増強はいたしておりませんが、しかし、専守防衛といえども明治の大砲を幾ら備えておったってこれは抑止力になりません。やはり近代軍事技術の発展に伴いまして、それらに即応した近代化、合理化というものを進めていかなければ本当の抑止力になりません。そういう意味で、ある程度増強はしてきたことは、これは否めない事実でございまして、決して形骸化というような観点でとらえるということだけでは私としてはいささかいかがかなという点を申し上げたいということと、それから、千海里のシーレーンの御指摘もございましたけれども、これは何も航路帯を設けてシーレーンをやるということじゃございませんで、我が国の海上交通の確保ということは、我が国の、海上国家として、海に囲まれた国家として大変重要なことでございます、海上物資の保護、あるいは輸送船の保護、それからまた継戦能力を継続するためにも必要でございます。シーレーンというのはレーンのことだけをいうものではございませんで、あるいは港湾とか海峡とかあるいは領海、または必要に応じて公海上の安全を期するという意味でございますので、その点も誤解のないようにしていただく、市川さんはその点は重々御承知だと思いますけれども、念のため申し上げておきます。
  53. 市川雄一

    市川委員 総理、今防衛庁長官は、総理が別表の見直しに、防衛力のあり方、総理の表現はちょっと違ったと思いますが、前広に検討したい、それが別表に及ぶかもしれない、こういうふうにおっしゃられた。それで、今防衛庁長官は、別表に及ぶということは、別表と大綱というのは一体不可分の関係がありますから、はね返りとして大綱の見直しに及ばざるを得ないでしょうという認識を長官は示されたわけですね。まあ簡単に言えば、大綱をやはり見直すと。ただ、理念は見直しませんよということを言っていると思う。  ここで大事なことは、大綱を見直すということも基本的に非常に大事なことなんですが、私は一貫して党首会談以来総理に申し上げていますことは、世界が激変した、アメリカもこれから五年間で五百億ドル削減する、あるいはドイツも十三年間で四百三十七億マルク、三五%の削減、野党が反発して六百億マルクというようなことを言っていらっしゃるようですが、いずれにしても世界の情勢が激変して、防衛のあり方というものを各国ともに考えている。日本も十五年前につくったもの、その理念は理念としつつも、理念のあらわし方として今のままでいいのかという問題もありますので、やはり考え方の基本になる枠組みをどうするのかということを検討して決めて、中期的な展望では、少なくとも二十二兆七千五百億の中期防のようなものでない、もっと圧縮された方向へ防衛費なり防衛力のあり方というものが向かっていくんだということをこれをやはり示してほしいということを申し上げているわけでして、そのお考えに変わりはございませんですか、どうですか、総理
  54. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いろいろな要素を考えていく必要があると存じますのは、我が国の防衛力の大綱で考えております考え方は、御承知のように、仮想敵というものを置いていない国として最小限何が入り月かということをつくり上げようとしておるものでございますから、そういう意味では、米ソがお互いを仮想敵と考えておったいわゆる冷戦の時代にありましても、また理屈の上ではその冷戦後の時代にありましても、そういう国として最小限持つべきものを持つという思想にはそんなに影響がないはずであるという考え方が一つあろうと存じます。  他方でしかし、このたびの冷戦後の時代というものをもっと歴史的に大きなものとしてとらえるとらえ方もあろうと思います。それは全く戦争がなくなるというほど楽観的なものではないと思いますけれども、やはり非常にその変化というものは大きいんだと、こういう考え方も私はあろうと思います。それはある意味では、余りせっからに考えませんでも、世の中の流れを見ておりますと自然にわかってくることであろうと思いますので、その辺のことは、防衛庁長官におかれてもいろいろな有識者の話を聞かれる、あるいは広く世界の友好国とも話をされて、その中で日本の防衛の基本をどう考えるかということについて時間をかけながら検討をしていかれるという立場をとっていかれることがいいのではないかと、こういうふうに私は考えております。
  55. 市川雄一

    市川委員 防衛庁長官、あるいは総理に御答弁いただいてもいいのですが、仮想敵を持たない、要するに脅威対応ではないと、こう言い続けてきたんですが、実際、その方針が不動のものでなかったことは、もうこれは否定できないと思いますよ。もうソ連脅威論をさんざん言った時期もあったし、アフガニスタンがどうだと言った時期もあったわけですから。今国際情勢がおさまってきましたから、国際情勢がおさまってくると防衛庁は決まり切ったように、平和時の防衛力ですからこれ以上なくす必要はないんですと、こう言うんです。国際情勢がちょっと緊迫してくると、ソ連の潜在的脅威がどうだこうだと言って防衛費をふやすんです。これはもう、こういうことをやっていてはだめですよ。もう見え見えなんですから。もう見え見え。国民の信頼を失うだけ。国際情勢がデタント化してきて中期的な展望が見えたら防衛費は削る、そういうきちっとしたことをやっていかないと、防衛というものに対する国民の信頼を先っちゃいますよ。どうも何空二百代言の繰り返しみたいなことを言われたんじゃかなわないということを申し上げたいと思うのです。  例えば別表では、対潜水艦水上部隊艦艇数約六十隻、こうなっているわけです。大綱決定時は護衛隊群が約二千トン級の護衛艦だった、二千トン級。地方隊では五百トン未満の駆逐艇を主力にしたものなんです。今日はどうなっているかというと、同じ大綱の別表によりながら、艦隊勢力は護衛群隊では四千トン級が主力ですよ。地方隊でも二千トン級の護衛艦。同じ大綱の別表によりながら、二千トンが四千トンに変わったり、五百トンが二千トンに変わってしまった。あるいは、この同じ大綱外別表によりながら、十個飛行隊、十個飛行隊というこの枠は変えないんです。一個飛行隊の持つ飛行機の数を変えちゃうんですね。大綱には十個飛行隊と書いてある。当時は十八機だったのを二十二機にふやしちゃった、一個飛行隊十八機を二十二機。そうすると、十個飛行隊という数は変える必要ないんですよ。一個飛行隊の持っている戦闘機の数をふやしちゃえばいいわけですから。こういう手品もどきのことをやったことも事実なんです。だから余り何か、平和時で脅威対応でなくてと言われると、こういうことを言いたくなる。  私が申し上げたいことは、そういうこともありますので、新しい——まあ時間をかけて検討する、これは非常に時間をかけなきゃならない面もあると思います。新しい物の考え方を決めた、そして中期的な展望を示された。別表を新しくつくり直した。どうでしょう、この新しい防衛計画の大綱と別表を国会承認事項にしたらどうですか、国会承認事項。それは、過去にこういうことが起きているわけですよ。十個飛行隊と言いながら一個飛行隊の数を変えて、別表はそのままで実際は飛行機はふえている。ですから、シビリアンコントロールということの重要性を考えた場合に、まあ私たちは安全保障基本法というものをつくって安全保障委員会で議論をする、安全保障委員会で大綱とか別表が承認事項になるという、そういう国会の重みをつけてもいいんじゃないでしょうか。PKOで国会承認論というのは盛んに行われましたけれども、むしろ大綱とか主要装備の別表の国会承認の方が私は本来の意味のシビリアンコントロールだと思いますが、どうお考えでしょうか。
  56. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 先ほど来の先生の御質問に対して多少、まず国会承認の問題の前に申し上げたい点がございますが、私ども、国際情勢の激変というものを考えながら日本の安全をどう考えていくかということは、私ども、この国を守る自衛隊の任務を担当しております者として当然のことでございます。ただし、国際情勢の変化と申しましても、私どもは、ある程度これを定着化し、その方向性が見定められませんと、いきなり防衛力の整備を減らしたりふやしたりというわけにはまいらぬことは、市川先生御承知のとおりだと思います。  そういう点で、今の中期防は、一昨年来の東西ドイツの統一あるいは東欧の民主化等々、あるいはソ連の傾向もそのときわかっておりました。したがって、中期防の中にはそのことを織り込んでございます。これは指標を申しますと長くなりますけれども、一例だけ申し上げますと、前回五・四%の伸び率を今度は三%にした。正面装備についても、前回は七・その上昇でございましたが、今回はこれを二・三%に下方修正する。なお、平成四年度ではこれを三・七%にさらに増額して修正をいたしておりますが、こういうことは国際情勢の変化というものを十分織り込んだものと私どもは見ております。  そしてなお、先生が御指摘の先ほどの御質問でございますけれども、一千億削減しますと一六・二%正面装備を減らすことになります。それに今回の三・七%の削減を加えますと一九・九、まさに二〇%の正面装備をこの二年間において下方修正したということで、私は、これは大きな意味では、軍ではございませんから軍縮という言葉は使いませんけれども、非常に大きな縮減をやったものというように私は考えております。  したがいまして、ひとつ国際情勢の変化、これはソビエト連邦が消滅いたしましてもロシア連邦というものはございます。これは今後どういう変化を及ぼすか。また、アジアにおける情勢というものは先生御案内のとおりでございまして、るる申し上げる必要はございません。多様化した中での安全保障をどう確保するかは、ヨーロッパ正面とは大分違います。そういうことどもを考えながら、これからやっていかなければなりません。  それからもう一つ、能力向上をやったこと、これを三百代言的にやったんだと先生おっしゃられると、ちょっと私としても——まあ要するに、能力向上というものはやっぱりやってまいりませんとこれは抑止力にならぬということは、先生御指摘のとおりだと思います。  さて本論でございますが、国会承認です。  私どもは、大綱は、我が国の大綱と国防の基本方針、これは法律ではございません。三十二年につくられた国防の基本方針、まことによくできていると思います。それに沿っております。そして同時に、五十一年の防衛計画の大綱も、私は、当時として大変工夫された我が国の防衛力のあり方を定めたもの、このように思います。しかし、今申し上げましたように、この修正、見直しについて、五年間をかけて次期防に反映するようにやろうということでございますけれども、その中で別表が述べられておるのは、先生御案内のように主要な、例えば陸上自衛隊で押しますと自衛官定数十八万、基幹部隊で申しますと十二師団とか、そういう包括的な書き方をしてございます。海上自衛隊についても御指摘のとおりでございます。しかし、これらはすべてやはり改編するときには、あるいは人員を増強するときには、国会に法律という形で御承認を求めて、議論を求めております。したがいまして、ノーコントロールでこうした主要的な部隊の編成あるいは改編をやるというものではございませんし、人員も増強を勝手に行政府限りでやるというものではございません。そういう意味では十分国会のコントロールを受けておると言わざるを得ません。  したがいまして、先生が、新しい機種が出るたびにそれを法律で明定しろということをあるいは言われるのかもしれませんが、しかし私どもは、こうした問題は予算を通じて十分国会で御論議をいただきながらこれに対応してまいってきたわけでございますし、今後も私はその体制で十分シビリアンコントロールの実は上げ得るもの、このように考えておるところでございます。
  57. 市川雄一

    市川委員 大綱別表とか防衛計画の大綱というのは非常に便利にできているということです、私が申し上げたいことは。そのときそのときの国際情勢で随分うまく使ってきたことも事実ですから、これ以上申し上げませんが、したがってその経験から照らして、新しい大綱、別表をつくるときは、少なくとも国会承認事項にしたらどうかということを一応提案として申し上げておきます。  次に、PKOの問題を伺いたいと思います。  総理国会承認の問題とかいろいろ言われてきました。自公民の三党で幹事長、書記長が集まって、ずうっと議論した経緯があるのです。本当はその議論した経緯を全部ここで話しますと、かなり本当のことがわかってくるはずなんですけれども、時間の制約もありますからあえて抑制をしておきますが、今のPKO法案、シビリアンコントロールという問題が一つの焦点になっています。  まず、シビリアンコントロールということの定義の意味ですね、これが非常にあいまいだと私は思うのです。私たち防衛とか外交問題をずうっとやってきて、私なりにシビリアンコントロールというものを理解しました。それは、政治の決定に軍が従う、この原則、これが私は、シビリアンコントロールというふうにその本質を理解しておるつもりでございます。その理解からPKO法案というものを見た場合に、まず政治の決定に軍が従う、政治の決定に防衛庁が従う。日本における政治の決定とは何か、国権の最高機関たる国会での決定ですね。国会での法律、これも政治の決定だと思います、法律は衆参で審議して決まるわけですから。  それから、その法律の中にまた五原則。紛争当事国で停戦が成立している、それから紛争両当事国が平和、PKOの受け入れを合意していること、ぜひ来てください、二つの国が来てくれと同意している、もう一つ、二つの国に対して申立てあること、この三原則が、言ってみればPKOのPKOたるゆえんの原則。この三つのうちの一つが欠けてもPKOはPKOでなくなってしまう。したがって、いずれか一つが欠けたら日本の場合は部隊を撤収する。武器の使用は護身に限定する。五原則を明確にしている。しかも、それが法律の中に明文化されて入っている。法律が一つのシビリアンコントロール。さらに、その法律の核ともいうべき五項目が法律の中に入っている。  それから国会への報告義務。行政府が決定した場合は、速やかに国会へ報告して国会で審議をする。審議をするということ、これは、やはり行政府は国会意見を聞かなきゃならない。国会の大半が反対しているものを押し切ってやるなどということはできるわけがない。報告義務。さらに二年を経過したら、二年たったら、これを継続するのかしないのか、行政府だけの判断ではなく立法府と判断を共有する。国会の承認を求める、継続については。ここで初めて立法府の判断と行政府の判断が共有される。それまでは機動性とか機敏性とかという意味において五項目とか国会報告義務という歯どめで十分だ。さらに二年たったところで、継続するかしないかで立法府の判断と行政府の判断を共有する。まあ言ってみれば四重の歯どめがかかっているんですよ、これは。  しかもPKOというのは、戦わない部隊、敵のいない部隊。しかも中立国も参加しているんですよ、国会承認抜きで。中立国というのは、もう御承知のように、武力紛争には巻き込まれない、他国には武力行使をしないというのが中立国。その中立国が国会承認抜きでPKOに参加するということは、PKOの本質が、武力紛争に巻き込まれるものではない、他国に武力行使をするものではないというあかしだ、私はこう理解をしているわけでございます。  総理、この私が今申し上げたこと、総理もそう大枠では違っていないと思いますが、どうでしょうか。
  58. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 基本的に市川書記長の言われたことと違っておりません。  私どもがシビリアンコントロールと考えておりますものは、我が国におきましては、言われますように、政治の軍事に対する優先ということでございます。これは多くの民主主義国家において確保されなければならない基本的条件であると考えております。  我が国の場合におきましては、自衛隊は文民でありますところの内閣総理大臣防衛庁長官のもとで十分管理されておりますが、その内閣総理大臣あるいは内閣そのものが行政を行うに当たりまして、法律、予算の形を通じて国会のコントロールのもとに置かれております。つまり、そういう意味では、国会が法律を定められ、あるいは予算を承認せられることによって行政はその国会のコントロールのもとに置かれており、そのコントロールのもとで内閣総理大臣防衛庁長官が自衛隊をコントロールをしておる、そういう厳しいシビリアンコントロールの制度が設けられておりますことは、戦前の我が国の憲法とは全く異なったところでございます。  それで、それに加えまして、このPKOが、具体的に参加をいたしますということに際しましてさらに幾つかの歯どめを考えておりまして、それはただいま言われましたところの、一つは五原則でございます。その五原則は、繰り返すまでもないことでございますけれども、いつでも出かけられるわけではもとよりございません。国連から要請がございまして、しかも紛争当事者の間で停戦の合意ができて、その上で、ひとつぜひ来てくれろと、当事者ばかりでなくその周辺の国々も我が国の参加に同意をし要請をしているということが必要でございます。あと、そうやって派遣されました維持隊は、いずれの紛争当事者にも偏ることなく申立てなければならない。そしてまたその仕事を執行いたしますにつきましては、仕組みを設けまして国連のコマンドのもとで仕事をしなければならない。そうして、今申しました原則が満たされないときには、これは我が国の憲法の特殊性からいたしまして参加した部隊は行動を中止する、また撤収をすることができる。  それから、さらに加えまして、武器の使用は、要員が自分の生命を守るために必要な限度は許されるけれども、行きました要員がいわば部隊としての行動を確保するための武器使用ということになりますと、これは憲法上の問題を生じやすうございますからそれは許さないといったようなことを細かく法律に規定をいたしております。  しかも、それに加えまして、法律の中におきまして、そのような計画の決定または変更があったとき、また、先ほど申しましたようなことで協力業務を終了したとき等々については、国会にこれを御報告を申し上げるという規定を設けております。これは、国会への御報告を申し上げますと、国会の御意見によって今までの実施計画の内容を当然変え得る、変えなければならない場合が生じるということを想定をいたしておるわけでございます。さらに加えまして、御指摘になられましたように、二年間このような協力が続きました後、その継続について、これが果たして是であるか非であるかということにつきましては国会の御意見を承れという規定をさらに修正によって設けられまして、大変に、四重と申しますか五重と申しますか、厳しいシビリアンコントロールのもとに置かれております。  御指摘のように、この国連の平和維持活動は、戦闘行為がやみました後それを恒久の平和に導くための行動でございますから、ここで武器の使用、戦闘類似行為が発生したのでは全くこれは平和維持行動の意味をなしません。そうでない、非暴力により国連の権威と説得によってこの行動が成功裏に行われるというのが趣旨でございまして、そのゆえにノーベル平和賞を受賞した、そういう過去を持っておる行動であると存じております。
  59. 市川雄一

    市川委員 渡辺外務大臣にお伺いいたしますが、二月二日の民放インタビュー番組で外務大臣は、PKFの任務を凍結するということもどうかという、まあ直接そういう言い方はされてないと思いますが、新聞等を拝見しますと、示唆されたという、こういうふうに拝見したのですが、この示唆された真意はどういう真意なのか、それを伺いたいと思います。
  60. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 示唆したわけでは別にないのですが、そのようにとった方がおるということだと私は思うのです。向こうの質問者がいろいろ言いましたけれども、私としては何が何でもPKO法案は通していただきたい。ところが、巷間、PKO法案の中にはPKFの活動もございますから、それは頼まれて行って荷物を運んでやったり、電気をつけてやったり、電話線を引いてやったり、橋をかけてやったり、難民を面倒見たり、そういうのはいいよ、しかし、弾薬庫を守るとが武装解除に立ち会うとか、そういうようなことはちょっと最初からどうかねというような人もある。  そういうことで、しかし我々は、私の立場からすれば、そういう御意見があるにいたしましても、政府としてはいろいろ苦心、苦労をしてあの法案をつくり上げてきたわけです。したがって、ぜひとも原案どおりで、今市川委員おっしゃったように、中身は本当にノーベル平和賞を受ける団体活動に参加するわけですから、平和賞を受けるような団体活動に参加するということが悪いという、憲法違反ということになるはずがないし、国民感情からしても(発言する者あり)国民感情からしてもですね……
  61. 山村新治郎

    山村委員長 御静粛に願います。
  62. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 だから、そういうふうに思う人もあるでしょうが、大多数の方はそれは私の言うことに賛成しますよ、必ず。だから、そういうようなことで、よくわからないからいろいろ批判もありますが、ぜひともひとつ原案で通していただきたい。しかしながら、これはもう私の手を放れて国会に法案が出ているわけですから、この国会でなるべく多数の人が賛成していただいて、そして原案が通るのが一番いい、そんなわけであります。我々はお願いするだけであって、最終の決定は国会がなされることであるというように認識をいたしております。
  63. 市川雄一

    市川委員 大変不本意な事態も昨年ございました。せっかくのそのPKOの正当な理解を損ねるような、極めて不本意な残念な委員会での事態もございました。まじめにPKOを考え、国際貢献というものをまじめに考える立場から、もう何か土足で踏みにじられるような怒りを覚えました。しかしせあいろいろ考えてみて、これは衆議院というのは政党政治の場ですから、いろいろな考え方があって当然だと僕は思います。  私たちは、政策判断に誤りがあったとは思っておりません。政策判断は正しかったと今でも確信はしております。ただ、非常に、極めて残念な事態もこれあり、PKOの国民に対する理解を損ねた面もございますし、また、国民から十分な理解を得てなかったという強い反省も持っております。また、アジアの国々に対する理解をもっともっと得なければならない、こういう気持ちも強くございます。  それで、一つは、先ほど申し上げましたように国際情勢の激変を受けて、日本の防衛の新しい考え方を、哲学を決め、中期的には防衛費を縮小していく方向性を明確に示す、そのことが、日本が平和国家、軍事大国にならない平和国家だという姿勢をアジアの国々に理解をしていただく一つの私は手だてではないかというふうに思うし、同時に、日本国民の皆様にも日本が平和国家でいくんだということを、確固たる政府決意を示す一つのあかしだろうというふうに思います。  またPKOについて十分な理解をいただくための時間というものももっともっと必要ではないかというふうに、最近反省を込めて考えているところでございます。したがって、いろいろな方の意見も伺いましたところ、法律の専門家の意見も聞きましたら、凍結という、外務大臣が示唆したとかしないとも言われているこの凍結の意味ですね。どういう意味なのか。法律の専門家に聞きましたら、法体系はそのままで、PKFの任務のところだけ、別個新しい法律を議決するまでの間このPKFの任務を定めたところは行わない、簡単に言えば。ですから、この国会政府が、PKFの任務の部分を行いますという新しい法律を国会へ出す、それが衆参で議論されてその法律が議決されるまでの間PKFの部分は行わない、いわゆる凍結、そういうことをしたらどうかということを今考えております。  そして、国民の十分な理解を得る時間を置いたらどうか。我々は、政策判断としては間違ってはいなかった、だけども国民の十分な理解を得てないという反省は強く持っている、あるいはアジアに対する理解もまだ十分ではないんじゃないのか。したがって、その時間をとる、理解の時間をいただくために、PKFの部分について今申し上げたような凍結をされたらどうかという御提案を申し上げたいんですが、まあこれはもう時間が迫っておりまして、これから共和問題を伺いたいものですから、外務大臣、簡単に御答弁を。
  64. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは、先ほどお答えをしたとおりでございまして、そういうような考え方はあることは承知をいたしております。
  65. 市川雄一

    市川委員 提案を申し上げておきます。ぜひ時間をかけて御検討いただきたい、この場でいいとか悪いとか、外務大臣立場では恐らくおっしゃれないだろうと思いますので。  共和問題、ちょっともう少し早く入ったかったんですが、私どもは、新聞、テレビで承知している事実以外はほとんどわからないわけです、申しわけないんですが。新聞は丹念に読みました。各新聞をずっと丹念に拝見をさしていただきました。国会議員としてバッジをつけていることが、あの新聞で報道されているような事実であるとすれば、極めて恥ずかしい事件でございます。お正月、いろいろな会合に行きましても、やはり相当厳しい国民の批判の声がございました。  私たちは、この阿部代議士の事件、知れば知るほど怒りを感じるのは、第一次海部内閣の閣僚だったというこの事実なんですね。第一次海部内閣というのは、さんざん言われておりますから簡単に申し上げますが、竹下内閣がリクルート事件で退陣して海部内閣になり、海部内閣がスキャンダルで退陣して、そして第一次海部内閣ができた。言ってみれば政治倫理の嵐が、政治改革やるべし、断固やりますというこの内閣の閣僚なんです。で、この内閣は申し合わせをしているわけですね。閣僚は企業との癒着を慎めという。申し合わせもしている。そういう内閣の中にあって、既に閣僚になった阿部代議士は、汚職をもう同時進行で進めていた。この神経というか、海部内閣を何かばかにするようなやり方というのか、政治家として非常にその点が許せない。  そういう方を総理は宏池会として閣僚に御推薦をされたわけですが、今起訴されたという事実を含めて、総理、どういう受けとめ方で——きのうは何か友情ある助言に欠けてはいけないという趣旨発言をされたと思いますが、私は、もう積極的に総理が友情ある助言をして議員を辞職しなさいと、総理が今やれるただ一つの道は友情ある助言、それは早く議員をやめなさいと言うことではないかと思いますが、総理がきのうここでおっしゃられたことは、助言します、説得しますということなのか、保釈されて、出てきたらすぐお会いしてやるということなのか、総理、どうですか、その辺は。
  66. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 まことに残念な出来事であると考えておりますし、殊に長いこといわば同じかまの飯を食ってまいりました友人でございますので、まことに表現のしようのない残念な気持ちでおるわけでございます。もとより事態はこれから裁判によって決定せられますので、御本人が無実であることを心からこいねがっておりますが、今の段階においてこのようなことになりましたことを大変に残念に存じます。  それで、お尋ねのことでございますが、これは昨日も申し上げましたことを繰り返すようになりますが、お互い一人の議員として考えますことは、お互いの責務は選挙民から選ばれ、選挙民から信頼され、その負託にこたえて国政に従事をすることでございます。したがいまして、選挙民の信頼がなお不動のものである、また、選挙民の負託にこたえて活動ができると御本人が考えられるか、あるいはそのような条件が欠けたと考えられるかは、これは最終的には御本人が判断されるしかない、我々議員と選挙民との関係はそのようないわば神聖なものでございます。それについては余人がめったに口を入れるべきことでない、文字どおり御本人とそれを選んだ人々との関係であるというふうに考えますので、私は基本的にはこれは御本人が決せられるべき問題であると考えておるところでございます。  ただ、長い間の友人でございますから、御本人がいろいろどうしようかあるいはどういう心境であるかというようなことについてアドバイスを求められるということは十分あり得ることであって、その場合には私として、一人の友人としてそのとき自分の考えることを申し上げるべきであろう、そういう機会があるいはあるかもしれない、基本的には、しかし、これは御本人の決せられるべき問題である。大変厳しい申し方をするようでございますけれども、やはり一人の議員とそれを選んだ有権者との関係を考えますと、基本的にはそれは極めて神聖なものであって、御本人が最終的には判断されるべきものであろうと考えております。
  67. 市川雄一

    市川委員 有権者も裏切られたという思いではないんでしょうかね。ですから、余り議員と存権者というだけのとらえ方、政治家としての見識ということも一つ大事じゃないんでしょうか。  ですから、宏池会の会長として、かつて事務総長だった方であり、長年の同志である。もしあれが事実であるとすれば、これはもう政治献金というよりも何か一つ企業にたかるだけたかったというイメージの方が強いわけでして、非常に総理のおっしゃるような議員と有権者の信託関係を大事にするという、何か逃げ口上に聞こえてならないのですね。それも否定はできませんけれども、しかし、やはり政治家、国会議員全体が共有している一つのモラルのレベルというのがあるんじゃないんでしょうか。だれが考えてもこれはやめるべきだというのはやめるべきじゃないんでしょうか。そうしないと、何か国会議員全体のモラルの水準というのが極めて低くて、身勝手でという感じになるんじゃないかという気がするんですね。ですから、今総理の御答弁は、向こうが相談に来たらアドバイスをする、自分からはやらないというように承ったんですが、そういうアドバイスを自分からするということは非常につらいと思いますけれども、言われる方もつらいけれども言われる人以上に言う方がもっとつらいというふうに私は思いますが、それが総理、会長たる、宏池会会長たるリーダーとしての私はつらさを乗り越えてやるべきではないかというふうに思いますが、総理、どうですか。
  68. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御意見は十分承りました。御本人の心境を聞く機会もいずれあろうかと考えております。
  69. 市川雄一

    市川委員 十一時ごろから一時間かけて、総理が閣僚に推薦した責任、本人は閣僚になるのにお金がかかるんだ、こう言っています。それから、派閥事務総長に会長として総理が任命した責任。それからその事務総長に総裁選を補佐していただき取り仕切ってもらって総裁になり総理になった。その事務総長が共和から相当お金をもらっている。宏池会ぐるみではないのかという疑惑がどうしても抜けない。それからもう一つ、宏池会の幹部に申しわけないんだけれども多い。鈴木元首相、塩崎元閣僚。それから結局、閣僚に推薦した、派閥事務総長に任命したその事務総長の力をかりて総裁になった。議員辞職を勧めない、総理はなかなか、今までも。これからも勧めようとしない。それから宏池会の方々が多く参加している。総理御自身のリクルートの問題が、どう考えてももうつじつまが合わない。総理がうそを言っているとは思いませんが、しかしどうも、総理もまた秘書にだまされているのか。あの説明をわかりましたと言う人は恐らく永田町にいないんじゃないかと思いますね。ですから、総理御自身も三点セットの問題が不明確。こうなってきますと、総理が幾ら政治倫理の確立だ、政治改革だと言っても、正すべきことを正しませんと、どうもうつろに聞こえてしょうがない。  私の得た情報によりますと、阿部代議士は北海道開発庁長官在任中、平成元年十二月の中旬、東京・新橋の料亭において共和から接待を受け、ホワイトドーム建設などに関していろいろ請託を受けたと言われております。この席に、鈴木元総理大臣が同席した。このときは平成元年十二月ですから、鈴木元総理はバッジがついているんです。現職なんです。元議員ではない。  それで、毎日新聞のインタビューで鈴木元総理は、宴席に同席したことは認めているんですね。最初はいつごろですかという質問に、共和の宴席に出たのは、最初は平成元年の末かな、こう言っているわけです。非常にマッチするわけです。平成元年十二月半ば。この席には第一不動産の幹部も同席している、第一不動産。ホワイトドーム建設で疑惑を持たれておる第一不動産の幹部も同席している。森口容疑者からは、ホワイトドームに大手不動産会社を参入させ、関連事業を共和に受注させてほしいと頼んだと、これは言われている。いろんな新聞でもこの事実は報道されているわけです。  法務当局はこういう事実を御承知でしょうか。法務省、どうでしょう。
  70. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  新聞等で報道されている内容につきまして、法務当局から御論評を申し上げる立場にはないと思うわけでございます。
  71. 市川雄一

    市川委員 新聞だけとは申し上げておりません。  さらに伺いますが、鈴木元首相はある新聞の一月十七日のインタビューで、「一国の総理をやった者に、東京地検が事情を聴けるか」、こう激しくおっしゃっております。  これは、鈴木元首相に事情を聞くかどうかという質問ではなくして、一般論として法務省に伺いたいのですが、元首相とか元閣僚というと、何か勘弁するんでしょうか。事情聴取をやったりやらなかったりするんでしょうか。答えてください。
  72. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  この株式会社共和をめぐる阿部議員に対する受託収賄の事件につきましては、去る二月一日に起訴いたしまして、現在なお東京地検におきまして阿部被告人について捜査を続けているところでございますので、捜査の内容にわたる事柄につきましてはお答えを差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。  ただ、敷衍して御理解をいただきたいと思いますので申し上げるわけでございますが、この捜査の内容あるいは証拠の内容、捜査の手法等につきまして、これが公になりますことは、もう委員御案内のとおり、関係者の名誉、人権の保護ということはもとよりのこと、国民の信頼と協力のもとに適正に遂行しなければならない捜査、公判を含めまして、検察運営、さらには刑事司法の運営ということになるわけでございますが、現在及び将来における検察運営、刑事司法に対する支障を及ぼすことになるということでお答えを差し控えさしていただいているわけでございまして、そういう観点から御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
  73. 市川雄一

    市川委員 いや、一国の総理をやった者を東京地検が事情を聞けるか、こう言っておるわけだ。阿部君と対決する、こうもおっしゃっておるわけで、そうしたら、私の理解では、元総理であろうが元何々大臣であろうが東京地検が事情を聞くときは聞く、こう理解しているの、ですが、一般論として、元閣僚とかというと何か事情聴取に手かげんが加わるんですかと聞いたわけです。明快にあるとかないとか答えてください。
  74. 田原隆

    ○田原国務大臣 お答えします。  過去のその経歴、キャリアは、大臣であるとか総理大臣であるとか、そういうことは一切構わない。みんな厳正、公正にやるはずであります。
  75. 市川雄一

    市川委員 二月一日に東京地検、検察庁が記者会見で発表されたこの公訴事実、ここにも書かれておりますが、請託の場所は全部は書かれてないんですね、阿部北海道開発庁長官室などにおいてと。それから、現金の授受についてはほか三カ所とか、こういう書き方ですから。このなどの中に、年月日としては入っているのですね。平成元年八月下旬から同二年一月中旬ですから。  この平成元年十二月半ばの共和側が設けた宴席、北海道開発庁長官、現職です。それから鈴木元首相は、元首相ではありますが、衆議院議員の現職でございます。第一不動産も出席した。恐らく請託が行われたのではないか。もし行われたとすれば、請託を受けた場所に元首相は座っていた、こういうことになるわけでして、鈴木元首相は新聞の会見等では、ベルリンの壁の向こうから阿部君が来たら、おれは阿部君と対決するとか、いろいろおっしゃっていますが、元首相というのは極めて高いモラルの要求される方だろうと思うのです。その方が共和の起工式に簡単に出てしまったり、それからゴルフクラブの名誉理事長を引き受けてしまったり、引き受けているとかいないとか、承諾書が共和にあるとかないとか言われておりますが、あるいは宴席に簡単に呼び出されて共和と会ってしまう。やはりそこに何か、もっと阿部代議士以上のものがあるんじゃないのかなという気配もするわけでございまして、どうですか、総理、鈴木元首相から事情を聞きましたか、あるいは塩崎代議士から事情を聞きましたか。これ、やってないんじゃないですか。どうですか、総理
  76. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私としては、別段の事情を聞いておりません。
  77. 市川雄一

    市川委員 宏池会の会長、まあ兄会長、先輩に当たられると思いますが、元総理、でも宏池会の顧問的なこともやっていらっしゃるだろうと思いますし、それで、平成元年十二月中旬、新橋料亭、あえて料亭の名前は伏せておきますが、同席をされた。元首相という高い倫理が要求される。宏池会ぐるみではないかという疑いもある。そういう意味で、私は、総理がお聞きになって国会へ報告するというなら、これは証人喚問ということもどうかなというふうに思っていたんですが、総理がお聞きにならないということであれば、これは国会へおいでいただくしかないんじゃないか。堂々とここで身の潔白を証明されたらいいんです、もしないなら、と私は思います。  そういう意味でこの鈴木元首相については、名誉理事長、共和麹町倶楽部の名誉理事長就任にかかわる一億円余りの献金、授受の疑い、これが一つあります。それから、就任承諾料として一億円、阿部氏を通じて。それからまあ、共和の九州新工場竣工式、お車代云々とか、鈴木氏への献金として阿部氏が六千万受け取ったとか言われておりますが、私はその中でも平成元年のこの十二月中旬の宴席、御本人も、最初に共和の宴席に出たのは平成元年の末かな、こう言っておるわけでして、この御本人のおっしゃっておることとも一致するわけで、ここには阿部代議士が長官、現職として同席していたし、第一不動産の幹部も同席していた。請託が行われたんじゃないのか。請託が行われたとすれば、そこに同席していたんではないのか。したがって、そういう疑いを強くしているわけでございまして、この点について証人としてぜひ国会へ来ていただいて身の潔白を証明してもらいたい。委員長、ぜひこれをお取り扱いいただきたいと思いますが、お願いいたします。  総理、鈴木さんに事情を聞いて国会へ報告するという御意思はありませんか。
  78. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまそういうことを考えておりません。
  79. 市川雄一

    市川委員 先ほど宇野内閣スキャンダルを海部内閣スキャンダルと間違えて申し上げたようでございます。これはおわびの上、訂正いたします。  きのう社会党の方も塩崎代議士の土地疑惑をめぐる問題を言いました。私もこれを用意してきました。やはり元閣僚ですから、元首相、元閣僚、自分の身の潔白をここできちっと堂々とやるべきだと思いますし、また、本来なら、宏池会事務所に共和の人が出入りしているという話を随分耳にしているのです。これも本当は加藤官房長官に伺おうかと思ったのです。人が出入りしているのか、お金が来たのか、来ないのか。社会部の記者が大分追っかけている。見ている人もいる。それから、そうすると事務総長、当時だれだったのか、こういう問題もある。  そういうことも含めまして、私は、まず政治家鈴木元首相、塩崎潤元閣僚、代議士、それから総理の問題で言えば服部元秘書と松本現秘書、この方々の証人喚問を正式に申し上げたいと思います。あと、共和の元専務の田中さんとか共和元常務の大川さんというのは、その必要があれば今後検討したいというふうに思いますが、委員長理事会でぜひこれを扱っていただきたい。よろしくお願いいたします。
  80. 山村新治郎

    山村委員長 市川委員に申し上げます。  ただいま市川委員要求の証人問題につきましては、理事会において協議をいたします。
  81. 市川雄一

    市川委員 以上在もちまして質問を終わります。
  82. 山村新治郎

    山村委員長 これにて市川君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  83. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、田原法務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。田原法務大臣
  84. 田原隆

    ○田原国務大臣 昨日、山花議員から、いわゆる共和事件の捜査処理をめぐり、指揮権を発動する意思があるか否かという御質問があり、私は検察の捜査を静かに見守りたい旨お答えいたしましたが、この点について若干補充して説明さしていただきます。  私は、かねてから、検察が厳正、公平、不偏不党の立場を堅持し、適正に検察権を行使してきたものと深く信頼しており、具体的事件の捜査処理に関して、これまで私が検察の捜査処理を見守りたいと述べてきたのもこのような趣旨であって、御質問の点については、政治家としての私の良識を信頼していただきたいと思います。
  85. 山村新治郎

    山村委員長 質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  86. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ただいまの我が党の山花書記長に対する法務大臣答弁ですが、処分請訓規程については、法務大臣はあらかじめ、特に重要な事件については捜査の着手または起訴、不起訴の処分について法務大臣の指揮を受けるべき旨を一般的に定めてあるものでありまして、これに当たる場合には、具体的事件について検事総長から法務大臣に対して請訓が行われる旨規定をされているわけであります。特に国会議員を逮捕する場合は、将来の政治問題化ということを踏まえますと、極めて重要な請訓事項と言わなければならないわけであります。  今法務大臣は、我が党の質問に対する御見解で、御質問の点については政治家として私の良識を信頼していただきたい、こうお述べになりました。私は、今度の阿部事件、阿部代議士が逮捕される前後の法務大臣の新聞の談話をそれぞれ見さしていただきました。これによりますと、法務大臣は、例えば閣議後の記者会見で、閣僚在任期間中という授受で、時期、請託など立証が難しいという意見があるが、こういう記者団の質問に対しまして、捜査内容に触れる微妙な話だ、検察が独自性を持ってやっている問題で、私自身は確かにそういう微妙な問題がないことはないと談話を発表されているわけであります。いわば検察側の捜査に対するさまざまな動きに対して、いや、そう言うけれども、私自身がどうも今度の阿部議員の逮捕については、在任期間中の問題や、あるいは時期とか収賄の問題を含めて、そういう疑いがあるのかないのかはちょっとわからない、いわば検察が独自的に行う捜査に対して、極めて、いい意味で言えば慎重でしょうが、悪い意味で言えばブレー牛をかけるという状況じゃございませんか。  法務大臣、阿部代議士が逮捕された前後に、法務大臣は検察、検事総長から何らかの報告は受けていますか。
  87. 田原隆

    ○田原国務大臣 お答えします。  阿部元長官の逮捕や起訴につきましては、いずれもその直近にその旨の報告を受けております。しかし、これはあくまで報告を受けたということであって、指揮等を請訓されたものではありません。私がこの報告に対して、了承するしかないなどという指揮を発したこともありません。  以上です。
  88. 加藤万吉

    加藤(万)委員 法務大臣の本件事件直後に対する姿勢が姿勢だけに、政治家である法務大臣を信頼していただきたい、こう言われても、私ども信頼するわけにはまいりません。  同時に、いま一つ私は国会として重要なことは、たとえそれが元総理であろうとあるいは現職代議士であろうと、いわば捜査に支障のあるような状況というものを、行政機関としては法務省が当然その上位にあるといいましょうか、監督官庁として存在をするわけですから、政府の利害関係というものを無視してやるということは極めて難しい状況にあろうと私は思います。だがしかし、検察の独自性というもの、あるいは今回のような事件に対する国民の厳しい眼に対して検察が対応でき得るような状況というものを、もしも現政権の利害関係に基づいて法務大臣が、請訓に対する措置といいましょうか、妨害といいましょうか、あるいはねじ曲げたといいましょうか、そういう措置を行うとするならば、極めて私は重要なことだと思うのです。きのうも我が党の山花書記長は質問をいたしましたが、前検事総長でありました伊藤栄樹さんは、国民の知らないところでは事実上の指揮権の発動がされているという旨を著書に書かれております。すなわち、今度の場合でも私はそういう状況があったのではないか、こんなことが考えられます。  さて、塩崎代議士が三日の日に上申書を提出するという話が新聞に報道されています。上申書の内容は、法務大臣、御存じですか。
  89. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  ただいまの委員の御質問は、株式会社共和をめぐる阿部議員の受託収賄事件についての御質問、しかも捜査の内容にわたる御質問でございます。この事件につきましては、去る二月一日に阿部議員を受託収賄の罪で東京地方裁判所に公判請求したばかりでございまして、現在、なお検察当局において阿部被告人についての捜査を続けているところでございます。したがいまして、捜査の内容にわたる事柄につきましてはお答えすることができないわけでございます。  これは午前中の御質問の際にもお答えしたわけでございますが、捜査の内容あるいはその手法等につきましてお答えを御遠慮させていただいております趣旨は、正確に御理解いただきたいと思いますのであえて申し上げるわけでございますが、捜査の内容あるいはその手順等が公になりますことは、関係者の名誉、人権の保護はもとよりのこと、捜査あるいは検察運営……(発言する者あり)
  90. 山村新治郎

    山村委員長 静粛に。
  91. 濱邦久

    ○濱政府委員 現在及び将来にわたる検察運営に支障が生じてはならないという観点から、捜査の秘密に関する事項につきましてはお答えを申し上げないことで御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  92. 加藤万吉

    加藤(万)委員 内容を答えられないといえばそれまでですが、上申書の提出がいわば捜査の障害になっているのじゃないですか、検察庁は。本来ならば、塩崎代議士を含めて参考人事情聴取、さまざま措置を講じたい、あるいは講じている。その部分まで本件、累が及ぶことを避けるために、上申書をもって、まあ上申書、新聞によれば、その中には、二千万の、共和から丸紅へ渡したときに金銭の授受があったということを認めていると書かれていると言われているのです。捜査の事実上障害になっているのじゃないですか。すなわち、先は。どの伊藤前検事総長がおっしゃいました事実上の指揮権の発動という形は、こんな形で行われているのじゃないですか。  ですから、私は、やはり山花質問にありましたように、そういう状況をつくり上げるであろう処分請訓規程というものをどうしても提出してもらわなければ、国会における我々の、いわゆる行政機関として時の政府が問題を隠ぺいしなければならないことを、我々は国民の前で本来あるべき姿というものを追及する、その接点が見出すことできないじゃないですか。私は、この処分請訓規程を山花質問に引き続いて本委員会に提出していただくことを強く求めます。
  93. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  まず初めに、先ほど委員がお触れになりました上申書云々の問題でございますが、上申書の提出があったという前提で御質問になっておられるようでございますが、上申書の提出があったかどうかということも含めまして、捜査の秘密に属することでございますので、御答弁を差し控えているわけでございます。  それから、処分請訓規程についてのお尋ねでございますが、昨日、山花委員の御質問にもお答えしたわけでございますが、正確に御理解いただきますために、もう少し詳しくお答えを申し上げたいと思います。  処分請訓規程は、内乱あるいは外患というような罪につきまして、要するに、我が国の存立にかかわる犯罪あるいは経済秩序に重大な影響を及ぼす犯罪というような一定の重要な犯罪に限りまして、その事件処理について法務大臣の指揮を受けるべき旨を定めておるものでございます。したがいまして、贈収賄、贈賄あるいは収賄というような罪を初めといたしまして、一般的な刑法犯はその対象となっておらないわけでございます。  また、請訓を要する事件につきましては、罪の種類によって特定しているわけでございまして、例えば、犯罪を犯した者が国会議員であるかどうかというようなことで区別をしているわけではございません。したがって、一般論として申し上げますと、国会議員が逮捕されるかどうかというような、国会議員が例えば収賄罪について逮捕されるかどうかというようなことにつきまして請訓を必要とするというふうに規定しているものでは全くございません。関係ないものでございます。そこを御理解いただきたいわけでございます。
  94. 加藤万吉

    加藤(万)委員 前段の内乱その他についての請訓は、破防法に関する請訓処分事項としてそれがあるのですね。後半の重大な云々というところは、いわゆる政治家の逮捕によって時の政局に極めて重大な影響を及ぼすという場合には、これは当然それが適用されてくるんじゃないですか。あなは代議士という特定な、まあ職業と言っちゃ失礼ですが、身分と分けていますけれども、代議士が逮捕されることによって時の政治情勢に極めて重大な影響を及ぼす、こうなった場合には、当然指揮権発動というのはあるんじゃないですか。当たり前じゃないですか、これは。  私は、これは議論したって対立するだけですから、処分規程をぜひ当委員会に出してほしい。でなければ、これからこういう問題が起きたときに、私どもは国政として時の行政府をいわばチェックするといいましょうか、そういうことはできない、かように考えますので、ぜひ扱いについて協議をしていただきたい。委員長に要請したい、こう思います。
  95. 山村新治郎

    山村委員長 加藤委員に申し上げます。  ただいまの資料につきましては、理事会で協議をさせていただきます。
  96. 加藤万吉

    加藤(万)委員 総理、今度私、共和事件をいろいろ自分なりに調査をしまして、こんなにも醜い姿というものが人間の社会にあるものだろうかなということをつくづく感じました。それは、共和が生き体であるとき、生きているときには政治家のたかり構造が極めて強くあった。まさに遺憾なことですね。ところが、共和が死に体になることがわかるや、ちょうど死臭に群がる。ハゲタカのように、まさにあそこを食い散らし、ここを食い散らしなんですよ。和議申請段階に五十六件ぐらい共和の資産があったんです。ところが、その共和の資産が、管財人の手元に残っているのは恐らく二十六か七だろう。これは今のところまだ正確にはわかりません。すなわち、この間にとれるものはとっちゃおう、こういう動きが強かったんですね。  私の調べたある共和の資産ですが、これは和議申請直前に名義が変更されています。さらに、ある企業などは、ある企業と申し上げておきましょう、共和に債権がございました。この火の粉をかぶっちゃいけないというので、かわるべき企業がすぐ借金の返済をして共和から離れているんです。私は、その典型的な形が松山事件、松山における土地の今日社への移転だろう、こう思っているんです。あるべき姿ではないんですね。これほどまでにすさまじいのが競争社会かと思いましたら、愕然としました。そこには人の情けとか人を哀れむとかいうものがない。まさに死臭に群がるハゲタカのように、みずから手に入れるものは全部入れてしまうという、そういうものが動いているんですね。うごめき、ひしめき合っている、こう申し上げていいんでしょうか。私は、その一つに塩崎さんがかんでいるとしたならば、これは極めて遺憾である、こう思いますよ。  松山市の三番町の土地の今日社への移転の問題は、きのう山花書記長が質問しましたから、経過については申し上げません。ただ、疑問に思うのは、一体なぜあの土地に八億五千万の担保をつけて協和銀行が融資をしたんだろうか。本来坪内さんはあれを、日本債券信用銀行ですか、これを通して大体処分をする、ないしは来島さんのさまざまな負債があったんでしょうから、そういうものを処理する、なぜ協和銀行がそこにしゃしゃり出てきたんだろうか。どうもそこには協和銀行と塩崎代議士との関係というものをぬぐい去ることはできません、そして、その移転先が、質問にもありましたように、和議の取り下げが行われる、同時に破産申告が行われる、その間隙を縫って土地が移転されているのですね、今日社に。そのオーナーが、塩崎廣榮さん、代表取締役、同時にそれは塩崎代議士であろう、こう言われているわけです。こんなことがあってよろしいのでしょうかね。  大蔵省にお聞きしますが、平成三年四月二十四日に本来共和が支払うべき税に対する差し押さえをいたしておりますね。なぜこれは解除となったのですか。
  97. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 差し押さえでございます。これは、私ども国税債権の保全のために行われるわけでございますが、その反面といたしまして、国税が納付されるとかあるいは還付金が充当されるとかによりまして国税債権がなくなれば差し押さえは解除をしなければならない、こういうふうに国税徴収法で定められておりまして、本件につきましてもこの法律の規定に照らしまして適正に処理を行っておるところでございます。
  98. 加藤万吉

    加藤(万)委員 規則どおりのお話なんですよ。私はそこで大蔵省に聞いたのです。これは、共和が和議申請をするためにどの一くらいの債務があるかという報告書の中から数字を拾いました。公租公課で五億三千十一万三千百円、そのうち法人税関係、これは差し押さえをした新宿税務署というのでしょうか、これが三億五千四百十二万六百円、これだけあったわけですね。これが払われたのですか。それとも三月三十一日現在の確定申告によって、倒産したわけですから、もうもはやそれは税として納める必要はない、そういうことでゼロになったのですか。差し押さえをする条件を、具体的にこのお金がどうなったんですかということをお聞きしたんですが、今の答弁のような一般論では私は納得できません。どうですか。  と申しますのは、この差し押さえ解除と同時に土地の売買が行われているんですよ。元主税局長やられたんですからね、塩崎さんは。大蔵省と何かの話があったんじゃないかと疑うのは当たり前じゃないですか。どうでしょうか。
  99. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 個別の事案の中身についてはお答えができないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、私どもは、国税債権がまだ存在をしております限りにおきましては差し押さえの解除ということはできないわけでございます。
  100. 加藤万吉

    加藤(万)委員 僕は具体的に聞いているんですよ。法人税の三億何ぼというお金が納まったのか、それとも、確定申告でそれは本来還付金の方に回ってしまうのかこう言っているでしょう。債権者会議では、管財人が、十一億お金が戻るはずだ、ところが使途不明金が六十数億あるので税が確定してない、したがって十一億のお金がまたいわゆる管財人の手元には戻ってきません。だとするならば、税の確定はないということじゃないですか。どうですか。
  101. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 繰り返しになりますが、一般的に、私どもがまだ保全すべき租税の債権があるという状態でございましたら差し押さえの解除ということはできないわけでございます。
  102. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この点につきましては、今具体論のあれでございますが、私の方から一般論として申し上げますと、国税の納付、還付金による充当等により差し押さえに係る国税の金額が消滅したときには差し押さえを解除しなければならないと国税徴収法で規定されており、本件につきましても当該の法律に基づきまして適正に処理されておるということであります。
  103. 加藤万吉

    加藤(万)委員 一般論ですからね。一般論としてはそうでしょうよ。しかし、率直に言って、大蔵大臣、私は具体的な問題を提起しながら聞いているのですから、本来なら具体的な、三億五千万に対してどうなっているという答えがいただきたいですね。この場でなくてもよかったんですから。私は、わざわざ部屋に呼んで、どうなってるんですか、大蔵省が差し押さえ解除して、しかもその直後に今日社に土地の売買が行われているという事実はそういう疑いが持たれますよ。それに対する答えが今のような答えなんですね。一つ大きな問題点だということだけ指摘をして、次に進みたい、こう思います。  きょう、協和銀行の専務さんが私のところにおいでになりました。私が今質問する直前なんです。だれかみたいにこう、金一封でも持ってきてくれるのかと思ったら、そうじゃないですね。というのは八億五千万が根抵当でついたことに対する釈明なんです。いわゆるなぜ三億前後のこの建物、土地に対して八億五千万の金が根抵当としてつき、なお融資をされたのか、これに対する釈明でした。預金で預かっていますということです。二億六千万で売った土地以上のことは実は私ども預金で担保しております、こういう話でした。そうしますと、協和銀行はそれによってすべて、二億六千万、土地を買うために共和、キョウワ、キョウワで難しいんですけれども、共和の方へ払い、そしてそれが二億六千万で今度は、五月十七日に売れてますから、それで返してもらいました、あと残りの融資は、実はしませんでした。これも実は、うちの松浦議員から協和銀行に何回か問い合わせをして聞いたことなんです。きょうの直前にならなきゃ私どもにそういう情報が最終的に入ってこない。なぜならば、きょう質問するから、こう言ったからです。  こんな状況ではだめですよ。私は先ほど言いましたように、本来伊予銀行なりあるいはそういうところの地元の銀行を通して売買が行われるのが本来あるべき姿勢ではなかったか。なぜそこに協和銀行がしゃしゃり出たのかという疑問と同時に、そういう中身で、協和銀行と、協和銀行はその前に既に五億円金を貸しているのですが、これはデータバンクによって明らかに五億円預金担保で入っているというふうに出てます。すなわち、そのほか今の差額分、八億五千万から二億六千万を引いた約五億九千万ですか、その金も預金担保で入っているのです。こういう話でした。こういう疑惑が、前の五億円はそれじゃどこへ行ったんだろうか。運転資金だろうか、それとも塩崎さんが難しいと言われた選挙当時の選挙資金に回ったんだろうか、そういう疑惑をこれは持たざるを得ない。  いずれにしても、そういう前後の状況を考えてみますと、やはり塩崎代議士には当委員会でみずからそういう状況をきちっと説明していただく、これはきのう証人喚問で要求をしたとおりです。同時に私は、協和銀行も、きょう何も私の質問の直前になって説明をするのじゃなくて、こうこうこういうことですから、御疑念があったら国会で十分述べますと、こういう場所を我々は提供する意味においても、共和のこの金の流れ、先ほど言いましたように、日債銀が本来扱っておった物件の処理に協和がなぜしゃしゃり出たのかという、そういう疑問も含めて解明をする機会を与えるべきだ、こういうふうに思います。重ねてこれは証人として私どもは要求してまいりたい、かように思います。  さて、これはいわば倒産、和議申請、倒産、破産宣告というその段階に起きた、何というのでしょうか、人間の葛藤といいましょうか、あるいは利権の奪い合いといいましょうか、その中で起きた事件です。  残った資産があります。九州の嘉穂郡稲築町の共和の工場であります。この工場は六十三年ごろから実は建設計画がございまして、それぞれ共和があそこに工場をつくりたいということで、農地を含めて約八万五千平米ぐらいの土地の確保をする、こういう運動からまず始まりました。当然のことですが、建設の計画が申請されたわけであります。ほとんど農地であります。七、八割が農地と言っていいでしょう。当然のことですが、農業振興地域でありますから農地の転換をしなければならない。農振地域の農地転用申請が出されました。出される前から工場が、一部工場が、小さな工場が中にあったようですから、それも買収したわけですから、それと並行して共和の工場が建設をされました。この共和の工場は農振地域に建ったものですから、農政局あるいは地方自治体を通しましてその建物の排除が、撤去に関する勧告が行われた。  農政局、農林省の方にきのうちょっと言っておきましたから、聞いておりますか。
  104. 海野研一

    ○海野政府委員 お答え申し上げます。  この福岡県稲築町の共和新工場につきましては、平成元年の二月二十七日付で農地転用の許可をしたものでございますが、実はその前年四月及び九月ごろに、本件土地の一部に、隣接する共和の既存工場の鉄骨加工用の資材を置いていたという事実がございます。それぞれ地元の農業委員会と福岡県庁の指導を受けてその資材を撤去しておりまして、工場の建設ではございませんけれども、私ども十二月に福岡県庁がその撤去を確認したということを、確認をしてから許可をしておるという状況でございます。
  105. 加藤万吉

    加藤(万)委員 その結果はどうなったのですか。
  106. 海野研一

    ○海野政府委員 平成元年の二月二十七日に許可をいたしました後、その後工場が建設されまして、平成二年の三月三十一日に工事の完了報告書が出ております。
  107. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いや、私が言っているのは、勧告をされた、資材置き場がつくられたので勧告をした。ところが、その後農転が、農地転用が行われました。農地転用をするために政治家が動いたわ。けでしょう。動いた結果、今おっしゃったように、農地から転用申請が出され、同時に許可がおりた。この間、動いた政治家に数千万の金が流れた、こう言われているのですよ。  私が今聞きたいのは、勧告をしました、またそれは農振地域ですから、農振地域を勧告したけれども、その後それは、それ自身はどうなったんですか。そして、何カ月か置いて農地転用が行われるわけですね。その間、どうだったんですか。勧告はしたけれども、そのままほっぼっておいたのですか、資材置き場なるものは。
  108. 海野研一

    ○海野政府委員 本件土地につきましての順序で申しますと、昭和六十三年の初めごろ、株式会社共和から福岡県庁に対しまして、既存の九州工場に隣接した地区に工場を建てたいという意思表示がございました。福岡県庁及びこの稲築町では、ここは昔の産炭地域でございます。そこで、農村地域における農業就業者の雇用促進というようなこともございました。農村地域工業導入実施計画を作成しようということで動き出したわけでございます。現実に農村地域工業導入実施計画の協議が町長から知事に対してなされましたのが八月の八日でございます。  それで、先ほどの資材の問題でございますけれども、一回は六十三年の四月にその資材を置き、農業委員会及び県庁の指導で撤去いたしました。五月には撤去したことを確認をしております。その後、九月にもう一度資材を置いたということがございます。やはり農業委員会及び県庁が指導をいたしました。十二月の二十三日に県庁が資材が完全になくなっているということを確認しております。  この九月の件は、今の農村地域工業導入の計画について町と県、さらには農政局の間で協議が行われている最中の話でございます。
  109. 加藤万吉

    加藤(万)委員 工場をつくろうとしたところが農振地域であり、同時に、そこへ工場をつくるために資材置き場をつくった、これも農振地域ですからだめです、こう言われた。そこで、何としてでも工場を早期建設しなきゃならぬということで政治家が介在をして、その資材置き場の問題、第一回目は撤去し、二回目はさらにまたつくり、また勧告を受けて撤去し、いや、こんなことをやっておったんじゃ、これじゃとても進まないぞということで一挙に農転、農地振興地域解除の申請を出す、同時に、並行して工場建設の計画が提出をされた。農振地域が解除されるや、そこで莫大な金が流れた、こう新聞では報道しています。  さて、そのところですが、これ、総理、私は共和の工場進出については一つの特徴があるような気がするのです。それは、いろいろなことがあります。いろいろなことがありますが、その一つの大きな特徴は、過疎地域とそれからそれにかぶさっている国のさまざまな施策がありますね。例えば今の場合でいいますと産炭地振興地域、したがってここに今度は振興整備公団から金が借りられるという、低利の金が借り入れられるというそういう条件をねらっているんですよ。そういう節が見られるのです。例えば北海道の木古内町もそうでしょう。あるいは夕張がそうです。北海道の渡島半島における開発計画がそうです。九州の今の工場がそうですね。  すなわち、政治家が介在をすることによっていわばその開発に伴う資金の需要も満たされ、同時にさまざまな国の施策がかぶさっているものをみずからに有利に利用するという、そういう発想が常にあるのです。そういうことが事実関係を調べているとわかりました。すなわ一ち、普通一般的に工場が進出する場合には、企業のメリットとかいろいろこう考えて出ますけれども、そうでなくて国の施策のその条件をできる限りみずからの企業進出に有利に運ぶという発想の中からこの工場が出ているような気がしてならないのです。でありますから、さまざまな地域において共和と政治家の絡みがどうしても取りざたされてくる、こういう状況が生まれているのですぬ。  さて、そこでお尋ねをしてまいりますが、この工場をつくろうというところに政府の敷地がございましたね、政府用地が。ちょっと今資料をお配りをしていますから見ていただきたいと思うのですが、これは建設省が持っておった土地です。国有地であります。公衆用道路でございました。この公衆用道路を昭和六十三年十二月十三日、すなわち先ほどの工場進出計画、農転の問題が起きたさなかであります。建設省の用地を大蔵省に移管をしています。これは皆さんのお手元に資料はついてません。これはここに謄本がありますから事実ですから、間違いがございません。この用地を直ちに、平成元年七月の二十五日、今度は大蔵省が登記をいたしました。それは皆さんのところにある所有者保存登記であります。同月同日、共和にこれが売却をされています。すなわち建設省の用地が大蔵省に移管をされる、大蔵省はそれを宅地にする、宅地にしたそのときに大蔵省は登記をする、大蔵省が登記をすると同時に共和にこれが登記がえ、いわゆる所有者移転が行われる。こんな、スピード連いんですかね、官庁の仕事は。  まず大蔵大臣、何でこれ、宅地にしなきゃならなかったのですか。私どもよく言う里道だろうと思うのです。その前に聞きますが、この用地はここだけですか。私が取り寄せたこの土地謄本は全体の三分の一ぐらいです。ですから、後で地域振興整備公団の人にも聞きますが、地域振興整備公団の人が持ってきた——いわゆる地域振興整備公団が担保につけましたのはたくさんありますというので一覧表をいただきました。そのうちの私の持っているのは三分の一ぐらいです。  最初に聞きますが、国有地はここだけだったのですか、どうですか。
  110. 吉本修二

    ○吉本政府委員 恐縮でございますが、ただいま突然私どもこの資料をいただきまして、事実関係まだ十分確認しておりません。これから十分調べさせていただきたいと思います。  ただ、一般的に申せますことは、この資料を見せていただきます限り、全国的にいわゆる無番地、所有者不明の土地が随分発生しております。全国の財務局におきましてそれを発見しました場合には、直ちに所有権保存登記を行いまして、そしてできるだけ売り払いを促進していく、こういう手続を現在進めておるところでございます。その一環ではないかというふうに思いますが、この具体的な事例がどれに当たるか、少しく事実関係を調べさせていただきたいと思います。
  111. 加藤万吉

    加藤(万)委員 まあ一般論で、率直に言って、今までいろいろあった、昔のあぜ道あるいはけもの道と言われるものとか、あるいは昔の、何といいますか、溝と言われるようなもの、これは民有地に払い下げされることは往々にしてあることです。ですから一般論として私は否定はしません。しかし、同年同月同日、その日のうちに行われるなんということはあり得ないでしょう。  大蔵大臣、大蔵大臣は大変政治経歴も長いし、こういうことを扱われたことがあるし、私どもも時々、率直に言って御依頼を受けることがありますよ。ありますが、どんなことで見ても、御経験のあった人はわかるでしょうけれども、半年や一年はかかりますよ。建設省の用地が大蔵省に移管されて、大蔵省が宅地にかえて、大蔵省から今度は共和に行く日が一日の日に行われるというのは、だれかがやらなきゃできないじゃないですか。これは大蔵省がやられたのですか。そうじゃないでしょう。共和がやったんでしょう。
  112. 吉本修二

    ○吉本政府委員 ただいまの具体的な件は別にいたしまして、調べますが、一般的なお話で申し上げますと、例えば建設省の道路があった、それが、隣の人とかいろいろ関係者が売ってほしいという問題がございまして、そして事実上そういう話が先行いたしまして、そして事務の整理として建設省からの用途廃止、移管というのが行われ、同時に保存登記を行って直ちに売り払う、そういうケースもございます。ただいまの件がそれに該当するかは私どもちょっと存じておりませんが、一般としてはそういう場合もございます。
  113. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先ほど言いましたように、共和がこの過疎地域とか産炭地域とか、恐らくそれぞれ工場進出をされ、ないしはリゾート計画をつくられて、全国でも私はたくさんあったと思うのです、一国有地の払い下げという問題が。特に大きいものを何か聞いていませんか。わからなきゃわからないでいいです。わかりませんね。——わからないという、うなずいていらっしゃいますから。  それでは、私はこの際、要請をしておきます。  共和が関係した国有地払い下げ物件はどことどこにあるか、一遍資料として提出してもらいたい。でありませんと、これは後ほど債権者の問題も含めて大事なことになりますから、ぜひ資料としてお調べの上、私どもに提出していただきたいと思いますが、できますか。
  114. 吉本修二

    ○吉本政府委員 大きな国有地の財産についてはかなり把握しているつもりでございますが、ただいまのような里道、畦畔、水路、そのようなたぐいのものは全国で毎年度約二万件近く発生しているような状況でございます。そういうことで、事実関係を全部調べ上げるというのは大変な実は問題が事務的にもございます。  それから、個々の細かなそういう問題につきましては、一般的な私契約の問題として公にでさない取り扱いで従来やっておりますので、そういう点も御了承いただきたいと思います。
  115. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私契約でも、私は小さいものはいいですよ。共和に関する問題だけはできるはずですよ。
  116. 山村新治郎

    山村委員長 加藤委員に申し上げます。  ただいまの資料の要求につきましては、理事会において検討させていただきます。
  117. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これで理事会で相談してもらうことが二つになってしまいました。  こうしてでき上がった工場の竣工式に、鈴木前総理がお出かけになったわけですね。先ほどの質問にもありましたが、この竣工式の席上で、麹町倶楽部に対する事実上の理事長就任に対する要請がなされたと言われております。それ以前、平成元年の十二月に、森口を含め、阿部代議士を含め、鈴木善幸前総理が同席の上で、新橋の某料亭で会合が持たれたことは双方とも認めていらっしゃることであります。そして、この竣工式の後、平成二年の五月に共和から阿部代議士、そして鈴木前総理に要請状が、麹町倶楽部に理事長就任の要請がなされております。これも相当情報としては確かなものと見受けられます。その際に、一億円の金の授受があったのではないかと言われているわけであります。  さらに、五月の段階、平成二年の五月の段階で鈴木前総理は、いろいろな条件はありましたが、理事長就任を受諾をする、そういう旨が文書として出されたと言われておるわけであります。麹町倶楽部ができまして、麹町倶楽部とはレジャー施設を含めたクラブで、百八十億の金を会員権として募集する。また、募集をされたときに、塩崎代議士が一億円の会員権を持って各社を訪問し、要請をした。あるいは、阿部代議士が入院していらっしゃいました玉井病院の院長さんもこれに関与されている。新宿の水町クリニックさんもこれに参加をされている。いずれも鈴木善幸前総理との深いかかわり合いのある人です。疑問が深いですね。  私は、鈴木前総理の名誉のためにも、ぜひ私は、いやそういう事実関係がないならないということを当委員会できちっと釈明される機会を、むしろ私どもが積極的に与えてやるべきではないでしょうか。これは本人の名誉のためにもそう思います。したがって、私は、証人としてぜひ当委員会に招致をいただきたい、かように思います。  さて、この工場ですが、これに地域振興整備公団がお金を八億円貸しました。地域振興整備公団は、言うまでもありませんが、この場合は産炭地、六条地域だそうでありますけれども、この地域振興のために、当時の公定歩合二・五%程度のときに四・八五ですか、その利回りでぜひ借りていただきたいと訪問をされたということが、私ども説明にいただきました地域振興整備公団のこの資料に載っております。  八億円を貸し付ける際に、当然のことですが担保をおとりになったんでしょうね。これは地域振興整備公団、きのう総裁をと、こう私要請したんですが、総裁よりももっと一番詳しい人がおりますので副総裁にということですから、きょうは副総裁においでを願っております。今のお答えひとついただきたいと思います。
  118. 田中誠一郎

    ○田中参考人 お答えいたします。  私ども地域振興整備公団の産炭融資事業でございますが、もう先生これは御存じのとおりでございますが、石炭鉱業の不況によりまして疲弊しました地域に……
  119. 山村新治郎

    山村委員長 声を大きくお願いします。
  120. 田中誠一郎

    ○田中参考人 失礼しました。  産炭地域の振興に必要な鉱工業を営む者に対しまして設備資金等を融資するという制度でございます。  かかる観点から、共和に対する融資も、先生今御指摘のとおり、産炭地域、一六条地域でございます福岡県稲築町に鉄骨加工工場を新設するということで八億円の融資をしたわけでございます。  八億円の融資をするに当たりましては、二回に分けて実は融資をしておるわけでございます。第一回目でございますが、平成元年三月二十七日に金銭消費貸借の契約を締結したわけでございますが、建物が建ちました後抵当権の登記をいたしまして、第一回の資金交付を同年三月三十一日に行ったわけでございます。金額としましては五億六千四百万円でございまして、第一順位の抵当権を設定したわけでございます。——失礼しました。先ほど建物が建ちましたときと申し上げましたが、土地が当時共和の所有になっておりましたので、その土地に抵当権を設定したわけでございます。失礼いたしました。  その後、建物の建設が進みまして、平成二年の三月十八日に一応共和の工場の新築が成りましたので、その後共和より銀行保証の差し入れをしていただきまして、福岡シティ銀行の保証書を徴求の上、第二回の資金交付を平成二年三月二十九日に行ったわけでございます。そのときの貸付金額が二億三千六百万円でございまして、合計八億円の融資をしたわけでございます。
  121. 加藤万吉

    加藤(万)委員 経過はそのとおりですね。  そして、この登記謄本によりますと、それぞれ抵当権が設定をされていますね。いわゆる貸付決定の日ないしはその前後、前ということはございませんね、後、それぞれ行われています。  資料の2を見ていただきたいと思うのです。この2によりますと、2の乙区、一番右側の端です。これによりますと、四・八五%の利息で貸し付けをしました抵当権設定は、十一月二十二日ですよね。あなたは先ほど、お貸しをしたのは平成元年の三月三十一日、土地については全部担保をしました。違うじゃないですか。ほかのところは全部三月二十四日になっているのですよ。問題の国有地についてはできなかったのでしょう、抵当権設定が。抵当権の設定のないままお金を貸していたのでしょう。どうですか。
  122. 田中誠一郎

    ○田中参考人 第一回の抵当権設定は三月二十八日というふうに私ども記憶しておりましたが、これによりますと十一月二十二日でございますか、となっておりますが、第一回の資金交付は三月三十一日でございまして、第一順位の抵当権を設定しておるというふうに私ども承知しておるわけでございます。
  123. 加藤万吉

    加藤(万)委員 だめですよ、そんな答弁じゃ。あなたのところのこの申請書を僕は信頼しましたよ、初め。こう書いてあるのですよ。「貸し付けについては慎重に審議をし、同時に慎重に精査をした結果、この件は間違いがございません。」当時この貸付書による貸付、申し入れ、借入融資申込書によります保証人は森口五郎ですよね。当時汚職問題で疑惑があり、公判で争っている人ですよ。この企業、もう言うまでもありませんが、大変な、平成元年から二年にかけて借入金が増大したときですよ。いわゆるこの企業そのものに対しても、まあその松浦さんが代表筆頭取締ですから、これは融資の借入人の筆頭になるのは当たり前ですが、保証人は同人と森口五郎ですよね。だれが見ても一般的に言えば、青森の事件で、三沢の事件で、三千万の当時贈収賄事件で、その後判決がおりて二年有余の懲役を食い、五年の執行猶予を受けるという人間が保証人になっている会社にだれだって疑いの目を持つのは、普通の自治体だったら当たり前ですよ。公団が慎重審議の結果云々というわけには私はどうもいかない。理解できませんよ。だれかがこの場合も、先ほどの話じゃございませんが、地域振興整備公団の資金を借りれば安い金で、しかも地域振興整備公団が融資をしているんだということを大義名分に社会的にもできるということがあってやったんじゃないですか。その疑いを持たれたってしょうがないでしょう。どうですか。
  124. 田中誠一郎

    ○田中参考人 最初に訂正さしていただきますが、私が第一回の資金交付時に登記したと申し上げましたが、その登記は七万平米で、正確に申しますと七万六百三十五平米で登記したわけでございます。その後ため池等の面積の追加がございまして、先ほど御指摘平成元年十一月二十二日に再登記しておるわけでございまして、それが七万三千五百五十五平米でございます。先ほど御指摘の数字は、訂正した登記の面積でございます。  なお、先生御指摘ございましたが、本件融資につきましてよそからお話があったことは絶対ございません。
  125. 加藤万吉

    加藤(万)委員 七万何平米やったんですか。それはなおおかしくなりますよ。だって前にずうっと抵当権設定しているじゃないですか。残りのため他とかいわゆる里道とかそういうものがあったとすれば、ごくわずかでしょう。この場合この地積だけでいえば百九十一平米ですよ。だめですよ、そんな。きのう僕は言っておいたでしょう、農地転用問題についてはあした質問しますからと。しかも一番あなたがベテランだというからわざわざ副総裁呼んだんですからね。相当細かいところまで知っているから、これはきょうは質問はうまく逃げられちゃうなと僕は思っていましたよ。何にも知らないじゃないですか。何にも知らないと言っちゃ失礼ですけれども、経過を知らないまま貸し付けを行ったということになるとこれは大変ですよ。財投の金ですからね、九億円は。  さらに私は後でまだ述べたいんですが、抵当権設定は大丈夫ですか。なぜならば、先ほど言いましたように五十六、共和の資産がありますけれども、あると言われていますが、和議段階では。実際は二十幾つしかありません。今競売にこれが、土地がかかっている、かけられようとしている。したがって、その割り前からくれば八億円の担保は十分、第一担保ですから返還はできます、こういうようにおっしゃっていますが、管財人としてはトータルですからね、全国の。その中からどう分けるかという問題が生まれてくるわけですから。などを考えてまいりますと、私どもの財投の金が、今言った地域整備公団を通してやった行き先が、極めてずさんに融資をされた、こう言わざるを得ないんじゃないですか。
  126. 田中誠一郎

    ○田中参考人 ただいま申し上げましたように、第二回目と申しますか、追加面積として四千平米が担保として提供されたわけでございまして、私どもとしては、第一回の資金交付されました金額については十分な担保を徴求したというふうに考えておるわけでございます。しかし第二回目の融資に際しましては、相手方の不誠実な対応がございまして、十分な担保を徴求してございませんので、現在共和と九州リースに対しましての損害賠償請求を、訴訟事件を起こしておるわけでございます。  他方、それから第三には、当時の社長であります松浦勝利に対する仮差し押さえを実施しているわけでございまして、本人も保証債務を認諾しておりますので、その執行を行うということによって債権の完全な回収を図りたい、かように考えておるわけでございます。
  127. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、あなたを責めるとかなんとかという立場じゃないんですよ。だれかがこれやらなきゃできなかったことだ。たまたま担保を設定してみたらそこに国有地があった。その国有地に担保設定をしなければ全体の土地の確保ができませんから、融資の対象にもなりませんから、その担保設定に後で追いついた。四千平米というならば、これは先ほど言ったように百九十一平米しかないんですから、ほかにもあったはずですよね。そうすると、本来この土地台帳に出てくるのは、四月の二十五日じゃなくて、いや、融資を決定した前後、これ全部一緒、同じなんです、大体担保設定したのが。おたくからもらった資料がありますよ。それを照合してみましたよ。四千平米という平成元年の十一月の二十二日に登記したというのはこれ一本しかないのです、私の手元には。むしろ四千平米やったとするならば、それもあとどこかにあるはずでしょう。  私はこの際、委員長、今お話しの経過のとおりなんですよ、国有地をまず建設省から大蔵省に移管をし、大蔵省は宅地にかえ、これは一般論として同年同月同日あるかもしれませんが、大蔵省が登記をし、共和に譲り、さらにその土地については担保設定ができないまま融資をする。融資をしたものに対する担保設定は十一月。ほかのところは全部四月にやっているにもかかわらず、十一月の段階でやらざるを得ない。そういう中で「私どもの公金が八億円も融資をされ、しかも、第二回目以降は重大な背信行為があって」と、こう言っていますよ。「裁判問題にする」、こう言っているのです。なぜそういうことがここへ出てこないんですか、私の説明書の中に。私がわざわざ呼んで、来ていただきまして、これを信用しましたよ。ああ、なるほど、地域整備公団はこんな苦労をしながらやっているのかな、こう思いましたね。そうかなあと思って調べたらこの結果なんです。これは信用できませんよ。  私は、この際、この八億円の融資をした経過、このページで言いますと三枚目か四枚目でありますが、「審査に当たっては次の事項に関する資料を企業から提出をさせ、内容を慎重に検討した上で総合的に判断することとした。」この内容を全部出していただきたい。この資料がなければこれから先の質問はできませんよ。——今、質疑応答をお聞きいただいたとおりで、答弁をすればするほどなおさら問題の核心が、疑惑が深まるばかりなんです。しかも、答弁に相当食い違いがあります。  私はさらにこれについて、同工場の建設について、建設の経過についてもお聞きをしたかったのですが、この問題、いわゆる土地がどういう形で移転をされたのか、しかもそれに対する、工場建設に伴う資金融資がどういう形で行われていったのか、こういう疑問が晴れませんと前に進むわけにはまいりません。し質問を続けるわけにはまいりません。  そこで、残余の時間は留保をさせていただきまして、私の質問はここで打ち切らせてもらいます。
  128. 山村新治郎

    山村委員長 速記とめて。     〔速記中止〕
  129. 山村新治郎

    山村委員長 速記を起こしてください。  次に、不破哲三君。
  130. 不破哲三

    不破委員 私は、日本共産党を代表して、総理以下関係閣僚に一連の問題について質問をいたしますが、まず最初は、金権腐敗の疑惑の問題であります。  今、共和事件をめぐる疑惑が非常に大規模に進行しておりますけれども、この事件の特徴は、リクルート事件が起きた直後に、そして宮澤派の複数の議員が主役になって引さ起こした疑惑だというところに大事な点があると思います。私は、このことは、総理がみずからのリクルート疑惑が明らかになったときにその真相隠しに終始したことと無関係とは言えない、この点で、まず総理のリクルート疑惑の問題から質問をしたいと思います。  この問題が表に出たのはもう三年前の七月になりますけれども、そのとき以来、三年前の八月から十一月までは、総理は、あのリクルートの未公開株の売買は別人がやったことであって、総理宮澤事務所も関係がない、こういうことを終始、四カ月間国会で主張してきました。その別人という人物が全く関係がなくて、これが偽りのシナリオだったことが明らかになった後、総理は、三年前の十二月一日に再釈明を行って、それは間違いだったが、今度は服部秘書が個人でやったことで、これは総理とも、宮澤喜一政治家とも、それから宮澤事務所とも関係がない、こういう説明をずっとやってきたわけです。つまり、大きく言えば宮澤さんは二つのシナリオを用意されたんだが、第一の場合は、第三者である河合という人物、第二のシナリオでは、宮澤さんの秘書ではあるが個人として服部氏がやった、私は全く関係ないし事務所も関係がない、これが今まで説明されてきた内容でした。  それで、その内容を証明するために、昨年十二月に三点セットが提出をされました。ところが、この三点セットを見ると、その宮澤さんの説明が本当に、いわば根拠のないものだったということが明らかになるという性質の三点セットだったわけです。  第一に、リクルートの未公開株を売り渡しますという株式の売買約定書、この署名は宮澤喜一さんでした。それから、その未公開株を買い取るといって三千万円を振り込んだ振り込みの依頼名義人は松本秘書でした。そして初めて、最後に、五千二百二万三百円の売ったときの代金が振り込まれたときに服部秘書の名前が出てくる。つまり、三点セットの全部が、第一の文書は宮澤喜一、第二の文書は松本雅雄、第三の文書が服部恒雄と、全部名前、名義が違っているわけです。これを服部個人がやった取引の証拠だといって提出するのはまことに道理に合わないわけで、だから提出された文書についても、私は見ませんでしたが、全面公開されていないので。見た人に聞きますと、それぞれ、これはこういうわけでこういう名前になったという解説がついている。しかし、これは不当に取ってつけたような解説であって、宮澤喜一氏と二人の秘書の名前が出ている文書が三つ出されたわけですから、これはだれが考えても、常識的に見れば宮澤事務所が事務所として関係したとしか受け取りようがないわけです。  この点について、改めてこの場で、なぜ宮澤さんの三点セットが、あなた自身は服部個人の取引と説明しているのに服部個人の取引になっていないのか、その点についてもう一度あなたの説明を伺いたいと思います。
  131. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、前国会におきまして資料を整備することができましたので、御提示をいたしました資料によりまして、また私も御説明を申し上げたところでございますけれども、ます宮澤喜一と書きましたのは服部恒雄君が書いだということが明らかになっております。第二に、払い込まれました金は服部恒雄君が調達をいたしまして、松本雅雄君の手を通して銀行に払い込んでおりますが、これは現金で払い込んでおりますので、宮澤事務所の金でございますと口座間で移動をいたしますから、現金で払い込んでおることが明らかになっておりますし、当時関係の銀行の係の人が現在でも幸いにしておりまして、それはいつでもそういう状況を証明し得る立場になっております。  それから最後に、この金の受け渡しの金は、代金は服部恒雄の口座に入っておる、そういうことでございますので、事実関係は極めて明らかであると思います。
  132. 不破哲三

    不破委員 その第二の購入代金払込証明書の問題について特に伺いたいのですが、当時の銀行の扱い人が特定できる、その人は何を証明できるのですか。
  133. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 まず、支払いが現金で支払われたということ、並びにその支払いの証愚が後に出てきたわけでございますが、そこへ松本雅雄様と記名をしたのは自分である。といいますのは、いつも取引がございますから、入金でございますから、そういうふうに便宜処理をいたしました、こう申しておるわけです。
  134. 不破哲三

    不破委員 その銀行の方が自分が書いたんだというのは、宮澤さんがじかにお聞きになったのですか。
  135. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 松本雅雄君がそういう説明を聞いておるそうでございます。
  136. 不破哲三

    不破委員 私は、本当にこれは理解しがたい話だと思うのですね。前国会でのあなたの説明だと、服部秘書が、これは個人のお金だと言って三千万円を松本秘書に渡して、それで、悪いけれども個人の口座だけれども払い込みに行ってくれと言って、松本秘書が銀行に払い込んだとなっています、受け取って。——向こうから来て、要するに銀行に渡したことになっています。  ところが、その三千万円のお金をわざわざ服部秘書から頼まれて、個人のお金を払い込んでくれというときに、その松本秘書が、これが宮澤事務所の金か頼まれた服部個人の金か区別しないで三千万円、まあ宮澤さんのところなら三千万円ぐらいならばした金かもしれないけれども、しかし普通の常識からいえば、三千万円のお金を銀行に渡すのに、これはだれのお金なんだということを説明しないで振り込むはずがないと思うのですね。  それから、その銀行員が仮に書いたとしても、書いたことが正確であるかどうかということを松本秘書が、わざわざ個人で頼まれたわけですから、頼まれたとおりになっているかどうかを確かめないはずがない。事は、株式を買う、だれが買うかという問題ですからね、振り込み書の依頼人というのは。ですから、どう考えてもこれは理屈に合わない話だと思うのですが、いかがでしょう。
  137. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御質問意味がわかりませんけれども、松本君は私の事務所の出納をずっとやっておりますものですから、その三千万円でございますか、服部君から頼まれまして払い込んでくれといったときに、それは事務所の金でないことはもう極めて、松本にはすぐわかったわけでございます。
  138. 不破哲三

    不破委員 事務所の金でないことがすぐわかったのを銀行に払い込むときに、それが事務所の金扱いされているか、それとも服部個人の金として扱われているか、それを区別しないで、確認もしないというのは極めて不自然じゃないですか。
  139. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 つまり、ある意味で手足といいますか代理として払い込みの事務をいたしたわけで、事務所の金でないことはもう松本君は初めからよく知っておるわけでございます。
  140. 不破哲三

    不破委員 これは、だけれども、リクルートの株式を買うための代金が相手側に振り込まれたわけですね。それがだれの名義で振り込まれたかということは大事な問題ですよ。それが、松本秘書が意識しただけで、銀行に話をしないはずがないと思うのですね。これが第一の疑問です。  それから第二に、宮澤さんは、これは相手の銀行員が書いたんだ、そのことを証明できるということを言いますけれども、私、その点についてもいろいろな銀行の関係者から、これは不思議な話だ、そういうものは大体銀行員が書くべきものじゃないということを随分聞かされました。  それで、私、今どんな銀行でも「業務要領」があるわけですね。例えば三菱銀行でいいますと「標準手続」といって、そういう振り込み依頼書なんかが出されたときに、それに対してどう応対するかというマニュアルがあるわけです。マニュアルを取り寄せてみました。  そうすると、お金の振り込み依頼書に関しては、お客様に書いてもらう、書いていることが正確であるかどうかを銀行側は確認する義務があるということが極めて明確に明記されています。そしてさらに、そういう手続全般の留意事項について、基本的留意事項というのがこうやってありまして、その基本的留意事項には大事な項目が七項目あるのですが、五項目目に代筆の禁止ということが明確にあるわけですね。お客様から提出を受けるいろいろな書類の代筆をしてはならない。それで、代筆の禁止はさらに細かく書かれていて、そういう書類は「取引の事実を証する重要なものであり、通常の取扱いにおいては筆跡照合などは行わないがイザというときには最も有力な資料となるものである。」わざわざゴチックで書いてあるんですよ。いざというときには有力な資料となるものである。「したがって、お客様に変わってこれらを記入することは、真に止むを得ない事情のある場合を除き行なってはならない。代筆することをサービスであると誤解してはならない。」これも太字で明記されていますよ。それから、目や手が不自由でお客様が自筆できない状態にある場合は代筆も差し支えないが、必ずその場合には帳票の余白に「○○のため代筆」と記入の上末尾に代筆者が認め印を押捺し、事実関係を明らかにしておかなければならない。これが三菱銀行の銀行のこういう取引の関係者の基本的なマニュアルとして強調されている点ですね。これは秘密の保持とかいうものに並んで非常に大事な項目なんですよ。  それで、宮澤さんが提出した振り込み依頼書を見ても、別に帳票の余白にこれこれの理由でだれそれが代筆したという印もなければそれの判もない。そうなりますと、この提出された振り込み依頼書というのは、宮澤さんの説明どおりだとすると極めて不可解なことが多い、疑わしい状況にあると見ざるを得ないのですが、その点いかがでしょうか。
  141. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これも前回詳しく御説明申し上げましたし、その書類も御提示をいたしてあるわけでございます。銀行のその人と松本雅雄氏とは、長いことそれはそういう私どもの経理の担当でございますからよく存じておる仲でありますし、まあこれが恐らく出金でございますとそれはそういう注意をいたしたかと思いますが、入金でございますから、恐らく銀行の方の人もそれをそんなに神経質になることはなかったのであろう、よく知っている間柄でございますからと思いますが、これももうこの前詳しく申し上げました。
  142. 不破哲三

    不破委員 大事なことは、あなたは詳しく説明したと言うけれども、それは全部伝聞なんです。さっきも松本氏から聞いたんだと言いました。それから、長いつき合いだから信頼できると言うけれども、前の河合氏の名義でやったという話のときにも、服部秘書からの伝言をあなたは国会に四カ月にわたって説明して、服部秘書との間は長い間の関係だから信頼できるんだということを繰り返し国会で言いました。ですから、そういう疑わしい問題について伝間ではこれは我々として受け取るわけにいかないわけですよ。  例えば、あなたは松本秘書を信用されているようですが、あの三年前の八月から十一月までの間、あなたがあの取引は服部氏が河合氏に名義を貸してやったんだという説明をずっとやって、その矛盾が最後に明らかになって、あなたは結局矛盾についての責任をとられたわけですが、その四カ月の間、松本秘書はあなたに対して、その話は事実と違うんだということを言ったことがありますか、自分がその取引の当事者の一人でありながら。どうでしょう、それは。
  143. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 松本雅雄氏は取引の当事者の一人ではありません。
  144. 不破哲三

    不破委員 しかし、服部氏に頼まれて三千万円を、個人のお金を三菱銀行に払い込んだということは、明らかにその関係の事実を知っている一人ですよ。そういうことについて、あなたに全く説明をしないわけですか、秘書は。
  145. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 当初から同じ説明をしております。服部。に頼まれて三千万円を自分は払いました、一貫してそう申しております。
  146. 不破哲三

    不破委員 新しいシナリオが出てからじゃないんですよ。前の、河合氏に名前を貸したという説明をあなたが国会で何遍も何遍もやっていたときに、それとは違った事実を経験していた松本秘書があなたに、あれは違いますよという助言はしなかったかと言っているのですよ。
  147. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 何度も申し上げますように、当初かもその点は変わりません。
  148. 不破哲三

    不破委員 いや、当初は違うはずでしょう。だって、当初は松本秘書が服部氏に頼まれて金を振り込んだという話は全く出てなかったわけでしょう。一昨年の八月から十一月まであなたが国会で、河合氏に名義を貸したのだ、河合氏に名義を貸したのだと説明しているときの。話ですよ。その後ずっと答弁を聞きながら、あなたの信頼している松本秘書は、それは事実と違うということを言わなかったのですか、あなたに。
  149. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 自分が頼まれて金を払ったと言っておるわけです。
  150. 不破哲三

    不破委員 じゃ三年前の八月から十一月の間にあなたはそれを聞いていたのですか。あなたが国会で、河合という話は全く事実無根でしたと釈明をされたのは十二月一日ですよ、三年前の。その前四カ月間は、河合名義だ、河合名義だという説明を繰り返し繰り返しやったのですよ。そのときに、それを見ていた松本秘書が、それは違いますよということをあなたに一言も言わなかったのかと聞いているのですよ。
  151. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 松本を通じまして金が払われたということは、初めからちっとも変わっていないのでございます。
  152. 不破哲三

    不破委員 じゃ、河合氏に名義を貸して河合氏が全部取引をやったのですと説明したときも、あなたはあの三千万円の金は宮澤事務所で松本秘書が銀行に渡したのだということを知っていたわけですか。
  153. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 松本は、自分が頼まれて金を銀行に渡したと言っておったわけです。
  154. 不破哲三

    不破委員 奇々怪々なんですがね、そうすると。  そうすると、あなたはその話を知りながら、三年前の八月から十一月末までの間には、宮澤事務所は関係なくて、それで河合なる人物の取引だ、取引だという答弁国会でしてきたのですか。
  155. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ちょっとお尋ねの意味が私にわかりかねるのですけれども、前から申し上げておりますとおり、現金でその三千万円の金を松本が依頼を受けて払ったということは前からずっと言っておるわけでございます。
  156. 不破哲三

    不破委員 その、前というのはいつかということが問題になるのです。私が言っておるのは、リクルート事件が明るみに出てあなたの名前が出てきたのが三年前の七月。それであなたがそれについて最初の説明をしたのか八月の国会で、そこではあなたは我が事務所は関係ない、服部秘書がたまたま河合なる人物に名義を貸しただけで事務所は一切その取引に関係してないということを説明された。それが十一月の末まで続くわけですよね。それで、十二月一日の再釈明で、今までの説明は全く事実が違っていた、服部秘書が個人でやったんだと説明が変わった。その変わった段階で松本秘書の話が出てきたのだと思うけれども、私が言っているのは、あなたが第三者である河合氏なる人物、河合氏にいわば未公開株の取引の罪を全部がぶせて彼の取引だ、彼の取引だと説明していた間、松本氏はあなたに何の真実の説明もしなかったのかということですよ。
  157. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 別に松本はそれについて不思議に思っていたことはないと思います。
  158. 不破哲三

    不破委員 不思議な関係ですね。三千万円の問題をめぐる取引が問題になりながら、それで自分の事務所の宮澤喜一氏が国会でその問題をめぐって非常に苦しい答弁をしておるのを見ながら、自分が三千万円その時期に払い込んだことについて、服部氏に頼まれて払い込んだことについて何にも気にしないというのは私は大変な関係だと思いますけれども、常識的に言えば、そのときには私はそのシナリオに忠実に松本氏は行動していたと思うのですよ。  もう一つ聞きます。  最初の、河合氏なる人がリクルートの株の取引の当事者で宮澤事務所は関係がないという話をつくった責任者はだれなんですか。最初に、つまりリクルートの話が出ましたね、三年前の七月に。あなたは八月に国会説明をしました。その説明というのは、宮澤事務所は関係がない、服部秘書が名義を貸しただけだ、借りた当人は河合という人で、この人が全部取引をやったんだ。河合という人物もその話をあちこちでやりましたよね。共通のシナリオがあって、あなたも国会答弁をする、それから河合氏もマスコミで同じ説明をする。共通のシナリオがあったわけですよ。後でうそだとわかった。このシナリオをつくったのはだれなんですか。
  159. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 シナリオをつくったというよりは、服部恒雄氏から私はそういうふうに事実を聞いておったわけです。それでそれを国会に申し上げておったわけでございます。
  160. 不破哲三

    不破委員 それで、あなたが服部恒雄氏を信頼して、あなたがそのシナリオの作成に関与していなかったということを一応前提にしてですよ、あなたの説明のとおり私は言いますけれども、あなたはその服部氏の説明を信用して国会に紹介して、ずっと四カ月間頑張った。ところが、それが全く事実無根だったことが明らかになって、それで国会でそのことについてあなたは釈明したときに、こう言っていますよ。秘書から受けました報告をそのままに申し上げておりますので御信用くださいと今まで言ってきたが、最後の再釈明では、秘書の報告をもとに国会で御説明をしてまいりましたが、結果として事実と著しく相違しておりましたことはまことに申しわけない、これがあなたの再釈明だったわけですよ。  今度の新しいシナリオも、ほかのリクルートの取引と直って売買約定書の名義人は宮澤喜一、振り込み依頼書の名義人は松本雅雄、それから口座の受取人、お金の受取人だけが服部恒雄という中で、それを説明するために新しいシナリオといいますか、これは全部服部個人だという説明がつけられた。しかし、その説明の、さっき言いましたように、振り込み依頼書のつくられ方なんというのは、三菱銀行の内部のマニュアルからいってもまことに理解しがたい説明をあなたはしているんですよ。こういう大事なものなのに依頼人が、字の書ける人ですよ、松本さんは。書ける人なのに、銀行員が銀行の規則を破って、それで全部書いた。それで間違えた。それで、松本氏の方も間違えたものを全然点検もしないで、大事な三千万円の金をだれが振り込んだかという、相手方の銀行にだれが振り込んだかという大事な記録なのに、それを自分の名前になるのを黙って見ていた。どこから考えてもこれは不自然なんですよ。  この点は、一体この取引が、あなたが説明しているように宮澤事務所と関係がない、服部恒雄個人の取引なのか、それとも、あなたも連帯責任を負うべき宮澤事務所の取引なのかにかかわる大事な点なんですよ。その大事な点についてあなた説明するのに、またあなたの秘書の言っていることをそのとおり国会に紹介して、信用してくれと言っている。三年前には、秘書が言っていることを国会に紹介して信用してくれと言って、それが不行き届きだったと言ってまさに国会に陳謝されたわけですよね。  それで、私が言いたいのは、だからそういういきさつがある以上、あなたが松本秘書や服部元秘書の説明をそのまま国会へ紹介してくれても、我々としては、これで事態が明らかになったと受け取るわけにはいかない。だから、本当に責任あるところで、松本秘書あるいは服部元秘書の説明を責任あるところで聞きたい、これを私たちが前国会で要求しているわけですよ。それをあなたは、秘書が言ったことを国会へ紹介しているんだからもうこれいいじゃないか。前国会から証人喚問に対して非常にブレーキをかけている。私は、あなたが本当に事実をここで示して、そして内閣の責任者として、もう本当に過去の教訓を踏まえて清潔な政治のために頑張ろうというんだったら、そういうことを恐れないで事実を示すために、あなたの秘書や元秘書の証人喚問に応ずる措置をあなたの側でとるべきだと思うんですが、どうでしょうか。
  161. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは大事なことですからもう一遍申し上げておきますけれども、何かこの金は宮澤事務所の金ではなかったかということを何度も架空でおっしゃるわけです。そうでないということをお示しすることが今度資料によってできましたわけで、それが六十一年十月十五日の三 菱銀行に対する振り込み依頼書でございます。この振り込み依頼書には、この金が現金で領収されているということがはっきりしておりまして、宮澤事務所の取引でございますと、これは口座間の移動をいたします。わざわざこんな大きな金が現金で動くはずはないということを何度もあのとき証懸書類によって申し上げております。  これは大事なことですから、もう一度だけ申し上げておきます。
  162. 不破哲三

    不破委員 現金だから宮澤事務所と関係ないというのは、それは通用しないですよ、これは。さっき私が、あなたの説明は、銀行員が書いたんだという説明は、三菱銀行のマニュアルからいってもおかしいと言った方がよっぽど客観的根拠がありますよ。だから、そういうことを責任ある立場で明らかにするために、これが宮澤事務所と関係ないのか。たまたま服部氏が株式の約定書のときに間違えて宮澤と書き、それから振り込みのときにも間違えて松本と書き、やったのか。それともそこに書いてあるのが自然な姿で、宮澤事務所の取引であったのか。それをはっきりさせるために、実際の中心人物であった服部元秘書と、それから服部元秘書に頼まれて振り込んだという松本秘書の責任ある説明を聞きたい、当然じゃないですか。何でそこにバリケードを築いて、もうその説明を紹介しているんだから証人喚問を必要としない、そういう態度を当事者であるあなたがなぜとるのですか、それを聞きたいのですよ。
  163. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは昭和六十三年十二月当時、私が申し上げましたことが証憑書類によって証明ができませんでした、私の手元になかったものでございますから、つまり服部が消失しておったわけでございますから。その後各方面の御協力がありましていわゆる三点セットというものをそろえることができましたので、それを御提示をいたしました上で、前国会におきまして私から詳しく事情を何度も申し上げました。私としては、最善を尽くして御審議にお答えをいたしたつもりであります。
  164. 不破哲三

    不破委員 そのあなたが出した書類がさらに疑惑を生んでいるわけですから。その疑惑は私が説明したとおりです。ですから、私は証人喚問をあなたも応じなさいということを言っているわけですよ。  なお、あなたが言われた点ですが、これだけ一つつけ加えておきます。  三年前、その当時、あなたが書類が出ない出ないと言っていた時期に、ある新聞は、あれが出ない出ないと言っているのは払い込み依頼書が服部氏とは別の名義になっているからだという話も出ているということを既に三年前に紹介していたのですね。それで、出た書類はまさにそのとおりになっていたわけで、私たちはそこがいよいよ容疑を深めていると思います。  それで、しかしそれだけで結論を出すわけにはいきませんから、結論を出すために証人喚問を要求したい。これは既に前国会で要求してありますが、服部元秘書、それから松本秘書を含めて関係者の証人喚問についてよろしく取り計らいを願いたいと思います。——今の証人喚問の件、いいですね。
  165. 山村新治郎

    山村委員長 後刻、理事会において協議をさせていただきます。
  166. 不破哲三

    不破委員 じゃ続いて共和問題ですけれども総理は、共和問題が出てくると、これは司直の手に調査をゆだねてあるということをしきりに言います。しかし、ロッキード事件以来の国会の議論の中でも、司直の手にゆだねるべきいわば刑事犯罪に属することと、それから政治的道義的責任に属することとはおのずから範囲が違うわけですね。  それで、国会で採択した政治倫理綱領でも、疑惑があったときには速やかに解明する努力をするということを基準の第一に挙げていますけれども、その点は当然贈収賄の明白な犯罪になるとかいうような、犯罪にならないでも政治的道義的責任が問われるときには積極的に進んでそれを明らかにするというのが基本でしたね。ですから、その点で、この共和の問題が出てくると、総理が必ず、司直の話が出て、その結論が出てからそれに対してどう対応するかという話をされるのは、国民の目から見ると非常に不可解だと思うのです。こういう疑惑が出てきたときに、政治家があるいは政治家の集団がみずから進んでその疑惑の解明に努めるべきではないか、真相の明確化に努めるべきではないか、だれもがそう思っていると思うのです。  その点で私は伺いたいのですが、今度の共和の疑惑、私は最初に、宮澤派の複数の議員が問題になっていると言いましたが、起訴された阿部議員は、第一次海部内閣のときにあなたが閣僚として推薦された人物の一人でした。それから、今問題になっている、それに続けて問題になっている塩崎議員は、第二次海部内閣のときにやはりあなたが推薦された、閣僚として推薦された人物の一人です。それからまた阿部議員は、その後あなたが宏池会の事務総長に任命した人物でもあります。それから、今では議員ではありませんが、鈴木元首相はあなたの前の宏池会の責任者です。まさに、問題になっている人物の範囲からいっても、あなたに極めて責任、深いかかわりのある宮澤派の重要な人物が、いわばそれこそ複数で問題になっている。  しかもその疑惑は、今明らかになっている内容でいつでも、単なる一政治家の、自分選挙の資金の調達にかかわることだけではないわけですね。もうここでも何回も紹介されましたから私は詳しく言いませんが、大臣になるためには金が要るんだ、その金は派閥の領袖や他派閥にも配るんだと言って共和に資金を要請する。あるいは、今度総裁選挙があるから金が必要だと言って要請する。つまり、共和から資金を搾り出す、ひねり出す主題が、単なる自分選挙だけじゃなしに大臣になるための資金、いわば猟官資金であったり、あるいは自民党の総裁選挙宮澤派が臨む宮澤派の資金であったり、それが現実に主題になって問題になっている。  そういうことが問題になっている以上一あなたが宮澤派という政治集団を率いみ政治家であり責任者であるなら、その疑惑が出された最初から、司直の結論を待つなんという態度じゃなしに、その疑惑の全貌について解明する努力をするのは当然じゃないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  167. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そういう報道があるということを今おっしゃっていらっしゃるのであって、何かそういう、大臣をやるのに金を出したとかというようなことは、そういうことは一切私、ございません。聞いておりません。
  168. 不破哲三

    不破委員 報道があったときに、あなたは、ではそういう報道が、宮澤派に関して疑惑がある、あるいは阿部議員の言明として、自分の派の有力者の名前を挙げて、この有力者に金を配る必要があるんだという報道がされる、そういう報道を耳にして、そういう疑惑があり、現にその人物が逮捕されて捜査も受けている、そういうことを目の前にしたときに、あなたは宮澤派の責任者として、そういう事実があったかないかについて自分から進んで調査する気にはならないのですか。だれかを呼んで確かめるとか、それから自分の周辺にそういう資金が流れていないか調べるとかいうことは一切やらないのですか。
  169. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そういうことはなかったと思っております。
  170. 不破哲三

    不破委員 政治倫理綱領では、疑惑が出されたらそれについて進んで調査して、真相を国民の前に明らかにするのが政治家の務めだということを決めているのですよ。当然、そういう疑惑が出されたら、自分で調査して明らかにするのは当たり前じゃないですか。  この問題については、あなたは、では何をするつもりですか。ただ検察の結論を待って、それが出たらそれに応じて対応するということだけですか。
  171. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今、疑惑が出されたらというお言葉をお使いになったので、そこのところがあいまいなんで、出されたらと、何か新聞に書いてあったらそれをすぐ聞け、こうおっしゃるんじゃないだろうと思いますですね。私は、そういうことはないと思っておるわけです。
  172. 不破哲三

    不破委員 だけれども、例えばあなたが阿部議員を第一次海部内閣の閣僚に推薦したときに、恐らくそういうことはないだろうと思って推薦したのでしょう。しかし、現実にはあったわけですよ、それで、今逮捕によって立証された、立証されつつある阿部議員の疑惑というのは、既に去年の七月にもう問題になっているわけですよね。問題になってからもう半年以上たっているのです。しかし、あなたはそういうことが、だれかほかで調査して、紛れもない事実として出されるまでは黙っていよう、一切動くまいというのですか。それだけの、この疑惑が全国的に問題になっているのに、全国民的問題になっているのに、問題になっている当事者の集団の責任者として真相解明にみずから進んで力を尽くすつもりは全くないのですか。
  173. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 まあ、そういうふうに信ずべき理由でもありますれば、場合によっては聞くことがありましょうけれども、ただ、そういうことが昨年の七月ごろ言われたから何かしなかったかといっても、それはいたしませんですね。
  174. 不破哲三

    不破委員 例えばロッキード事件のとき、日本政治がそういう態度をとって、疑惑が出ただけでは動かない、裁判の判決が出るまで動かないという態度をとったら、ロッキード疑惑というのは解明されなかった、あのときでも。だから、金権とか腐敗とかの疑惑についての政治家の態度というのはそういうものなんですよ。だから政治倫理綱領ではそこまで、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合には」、確定じゃないですよ、「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と書いてあるのですよ。その疑惑が確定した事実になっちゃったら、政治家が解明するまでもないじゃないですか。疑惑を持たれた段階でみずから進んで真摯な態度をもって疑惑の解明に努めるというのがこの国会で採択した政治倫理綱領ですよね。その態度をみずからに照らしてみずからの行動を律しなかったら、本当に清潔な政治を目指す総理とは言えないじゃないですか。
  175. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、阿部議員からは別段そういう話は聞いておりません、その当時から。
  176. 不破哲三

    不破委員 つまり、あなたの金権政治に対する態度というのは、そういう疑惑がどこで取りざたされようが、どんなに大々的に問題になろうが、阿部議員が逮捕されようが、だれそれが事情聴取されたという話があろうが、ともかくもう紛れもない事実になるまでは一切黙っていようという態度ですか。真相解明をみずからやるという意思はないわけですね。
  177. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それとは違いますですね。いろいろなことから何かそういうことがあってはいかぬな、あるんじゃないかというようなことがあれば、それは友人として聞くことはございます。
  178. 不破哲三

    不破委員 ちょっと、総理になった最初に、リクルート事件の反省から今後こういうことが起きないように自戒に努めると言って総理になった人物の態度としては、本当に金権政治の疑惑が持たれても、それを解明するために小指一本動かそうとしないという態度であって、私は、これでは国民政治に対する信頼の回復に対して宮澤内閣が資するものはゼロだと言わざるを得ないと思うのです。  それで、その上に立ってさらに問題にしますが、リクルートといい、今度の共和といい、あるいはロッキードといい、やはりこういう金権腐敗の事実や疑惑が起きてくる根源は、企業、団体からの献金ということが横行している、これが公認されている、これが根底にあることは、もうこれだけ国民が経験を重ねれば明白だと思うのですね。  それで、大体選挙制度審議会が日本で始まった最初のころは、企業、団体献金の禁止というのは当然の目標であって、何回も確認されています。しかし、それが実際の流れに流されて棚上げにされているわけですが、私は、ここまで来たら、やはり政治腐敗を打開して本当に信頼を回復する道は、多くのほかの国々で実行されているように、企業、団体からの献金は禁止する、そして有権者個人の献金に政党の資金は依存する、こういう方向に踏み切る以外にないと考えますが、総理の見解を問いたいと思います。
  179. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 その点はこれからの政治改革で、私どもの党の中でもいろいろただいま議論が行われておりますし、またやがて各党の政治改革豚議会において御議論を願うことになっております。
  180. 不破哲三

    不破委員 各党の議論がこれからあるだろうじゃなしに、企業、団体からの献金の禁止という問題について総理の見解を聞いているんです。
  181. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今までの考えで申しますれば、企業というものも社会的な存在でございますから、政治に関心を持ってはいけないということは私はないというふうに伝統的に考えられてきていると思います。ただ、それが節度を失いますと国民のひんしゅくを買うことになりますので、おのずからそれには節度があるべきであろうというふうに伝統的には考えられてきたと思います。
  182. 不破哲三

    不破委員 よく企業が社会的存在だとか、それから政治活動の自由が当然あるはずだとかいうことが言われますけれども企業というのは営利を目的にした団体なんですよね。企業の資金というものも営利を目的にして、そのために使うことが企業の任務なんです。その企業の全力を政治活動に使うということは必ず政治をゆがめるものなんですね。だから、企業が社会的存在だということで、まるで企業が有権者の一部であるかのような扱いをしてその権利を認めるというのは、私は政治としては全く邪道に陥るものだ。  この点では、リクルート事件が起きたときに、たしか総理の私的な諮問機関として政治改革に関する有識者会議というのがつくられて、そこに参加した財界人自身が説明をしています。例えば、当時の同友会の代表幹事だった石原俊氏は、企業が議員に何のために金を出すのか、投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業政治に金を出せば必ず見返りを要求する、これは企業としては当たり前の論理だということを言っていました。それから、住友電工の会長の亀井正夫さんは、企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っている。財界人自身がそういう言明をしているわけですね。  だから単に、どんな団体だって社会の中にある以上社会的な存在ですよ、よかろうが悪かろうが。しかし、社会的存在だからということで献金の自由とかそれを認めるわけにはいかない。だから、アメリカでももう二十世紀の初めに禁止しているわけですから、私は本当に有権者である国民の、国民政治を動かすという自由を侵さないために、企業、団体からの献金の禁止ということに総理みずからが踏み切って、そういう方向でイニシアチブをとることを強く求めたいと思うのです。  それで、この問題は単に政治がきれいか汚いかという問題だけじゃなしに、今世界で問題になっている、日本経済力が豊かなのになぜ国民生活が貧しいのかという問題に私は非常に関係があると思うんです。これは先月の、十二月の党首会談でも言ったんですが、八〇年代から自民党の政治のスローガンが、キーワードになっていたものが臨調行革とそれから民間活力論あるいは突出軍拡でした。これは全部国民生活を背にした、背を向けたスローガンで、そういうことを続けてきた結果、今国民生活のあらゆる分野で世界から見ると本当に驚くようなことが生まれている、私はそのことと金権政治への反省とは不可分だと思っているんです。その点で、宮澤さんが生活大国論を唱えたのは、これは国民生活に目を向けるという点ではそういうことだと思いますが、しかし、そういう従来の金権政治と裏腹だった国民生活無視の政治に反省がないと、これは空文旬になるんですね。  それで、全部の問題を取り上げるわけにいきませんから、きょうは具体的な問題として二つの問題を取り上げたいんですが、一つは高齢者社会の問題です。高齢化社会の問題です。  高齢化社会が近い、その用意をしなきゃいかぬ、あなた方はよく言います。しかし、今高齢者の方に聞きますと、年をとってからのことで一番の心配の第一に挙げられるのは、医療問題ですよ。医療の不安がある。この問題について代表質問で、日本共産党の金子議員が医療が差別であるという問題について質問しましたら、総理は老人にふさわしい医療を確保する観点から今の制度が設けられているんだ、そういう心配はないということを言われました。しかし現実に、私はこの一点だけ聞きたいんですけれども、八〇年代に老人保健法が導入されてから後の日本の医療というのは、世界に例がないような年齢、世代による医療差別がいわば制度化されているんですね。この点を、本当に総理生活大国の柱に高齢者が生きがいを持って安心して暮らせる社会ということを本気で挙げられるのなら、この医療差別の再検討、撤回ということを真剣に吟味してもらいたいと思うんです。  具体的に言いますと、総理は差別がないと言いますけれども総理の見解を聞きたいんです、ちょっと厚生大臣の方を見ないでください。総理の見解を聞きたいんですが、今の日本の医療制度では、ある病院で七十歳以上の老人がベッド数の六割以上を占めるようになると老人病院に格下げになるんですよね。で、もう何回も質問していますが、これは明らかに医療差別でしょう。一定以上の老人を一定量以上入れられないことになるから、そうするとどんな重い病気であっても老人を病院に置いておけなくなる、七十歳以上のお年寄りを置いておけなくなる。そこから、病気であるにもかかわらず病院に入れないとか、追い出されるとか、ちょっと文明社会では考えられないような事態があちこちで生まれている。この一定以上高齢者がベッド数の一定以上を占めると病院を格下げにするという制度、これは差別だと思いませんか。
  183. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまの御質問にお答えしますが、若干御存じない面があるような気がいたします。  それは、この老人、ただ点数制だけでいかないんでありまして、大体七十歳以上の方が特別まあ老人の病院を形成しておりますけれども、何と申しますか、いわゆる俗に言う薬づけとか検査づけというのがございます。薬とか検査を中心とする一つの治療体系でございますが、しかし、お年寄りみたいに長期にわたった一つの定形型といいますか、長く入院していらっしゃる方は、そうしょっちゅう検査とかあるいは一定の薬だけをずっと用いてもなかなか治るものじゃございません。そこで、お年寄りに必要なのは介護であるとかその他いろいろ必要なものがありますから、お年寄りに向いた面、それは一般の病院よりもお医者さんの数にしても介護をする人の数にしてもうんと厚くしてございますから、総合的に御判断いただきますと、決してそういうお年寄りの病院が悪いんじゃなくて、お年寄りの長期療養に見合った点数制度にしているということでございます。
  184. 不破哲三

    不破委員 私は点数制度のことはまだ何にも聞いてないので、ちょっと答弁用紙を間違えているんじゃないかと思うんですけれども。  ともかく病院でベッド数の六割以上を七十歳以上の高齢者が占めるようになると病院が格下げになって、お医者さんの数も半分に減るんですよね、ベッドの数に対して。老人病院という格になって、もうお医者さんを配置する定数から全部変わるんです。これは明らかにそれまでなかった差別なんですよ。  それから、もう一つは今あなたが言った点数制度で、例えば同じ点滴注射をやっても、一般の六十九歳以下の患者だったら七百五十円の点数が保障される。しかし七十歳以上の人に点滴したら二百円しか保障されない。つまり、同じ治療をやっても国から出る手当てが三分の一以下に下がるわけですから、これも差別なんですね。だから、個々のお年寄りの状況に応じてそれにふさわしい介護をやるとか、それにふさわしい病院をつくってできるだけ誘導するというならわかるけれども、一般の病院にそういう足かせをはめて、一定数以上は老人を入れないとか、それから同じ手当てであっても手当てに見合うだけの保障をしないとか、そういう年齢による差別というのは老人保健法とともに初めて導入されたものであって、それが今お年寄りの医療を不安に陥れているわけですね。  それで、そういう制度に現に日本があるんだということを私は宮澤総理がはっきり見て、それが高齢化社会が近いというのにこのままでいいのかどうかということを、生活大国という看板を掲げられるのなら、その三番目に高齢者が安心して暮らせる社会と言われるのなら、私の言うことを今すぐこの場で認めろと言わないんですよ、それを再検討してもらいたい。これは本当に高齢者の苦難の種になっている、根源になっているわけですから、それを求めたいと思うんです。
  185. 山下徳夫

    山下国務大臣 さっき私が申し上げたことでおおよそ足りると思うんでございますけれども、医者が足らぬとかなんとかおっしゃいますけれども、それは、医者はなるほど一般病院より少ないかもしれません。さっき申し上げた老人というのは長期の定形型の患者でございますから、そのかわりに、例えば看護婦とか介護職員、こういうものは一般よりもうんとたくさんしてあって、それは十分その辺で保険も見ているわけでございますから、決して差別しているんじゃなくて、お年寄りに見合った療養の体系をとっておる、こういうことでございます。
  186. 不破哲三

    不破委員 何種類もあるんじゃないんです。ある病院が、現に同じ病院でも一定の、六割以上のベッドが高齢者が占めるようになると今度は老人病院扱いにされてしまって、今までは六人配置を認められたお医者さんが三人しか認められなくなる。同じ病院がですよ。そういうようになる制度に現になっているわけですから。それで総理に、その場でうなずくだけではなしに、やはり再検討、再吟味をぜひやってもらいたい。一言見解を求めます。
  187. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今の厚生大臣のお話で私もよくわかったように思います。
  188. 不破哲三

    不破委員 これでは、生活大国のスローガンというのは本当にスローガンですね、高齢化社会対策とか、心底見えたりという感じがしますが、次へ行きます。  次は労働時間の問題ですが、その総理の今の生活大国のビジョンでも、二番目が労働時間、通勤時間の短縮でした。本当に個人が自由にできる時間を保障する、これはもう今の日本の位置からいったら当然真剣にやらなきゃいけないところだと思うんですね。それで、それは国内で過労死という世界に恥ずかしい言葉が生まれるとかいう事態の根源でもありますが、同時に、今世界で国際的に日本の長時間労働が問題になっている。  例えば、これは通産省の管轄ですが、通産省が昨年十二月に出した「労働時間短縮の影響に関する研究会報告」というのを読みますと、「労働条件を競争の武器にしない」、これは成熟した国の間の暗黙の前提だ。ところが、日本は世界の秩序の中で日本だけが突出した地位にあって、長労働時間という点で、これを競争の武器にしていると言われても仕方がない、こういうことが冒頭に書かれていました。まさにそういう状況だと思うんですね。  私は、ただ労働時間が長い長いということを憂えているだけではなくて、本当に国際水準並みの時間短縮を実現する明確な方途が求められていると思います。そのためには、私は、日本労働基準法というものを、敗戦直後につくられて若干手直ししてきた段階から、今の社会条件、国際条件、労働条件に適合したものに抜本的に改定する、その中で労働時間も抜本的な制度的短縮を図る、これが大事だと思いますが、どうお考えでしょうか。
  189. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 お答えいたします。  労働時間を短縮することは、先生御指摘のように、内にあっては生活大国をつくるための重要な条件でございますし、また国際的にも、これも御指摘ございましたような経済摩擦の解消のためにも大事だ、こういうことでございまして、何としてもこれを短縮をしてまいりたい。そのためには、完全週休二日制の実施とか、それから所定外労働時間の減少だとか削減だとか、こういったことにつきましてそれぞれ、大企業の場合はどちらかといえば所定外労働時間、残業が多い、それから中小企業の場合には週休二日制がまだまだ普及してない、こういうことでございますので、それぞれの企業の実態に即しながら実行していきたい。  やはり労働時間を短縮するための条件の整備ということもございますから、これは現在、基準法のもとで大臣の告示である程度段階的に進めでございますが、これを抜本的に改正する前に、まず労働時間が具体的に短縮できるような、そういう社会的な状況を整備していきたい、そういうことで労働時間の短縮促進に関する法案を今国会で提案させていただいて、皆さんの御審議を経て、御了承を得て、何とか具体的な、実行可能な措置を講じてまいりたい、こういうことでございます。
  190. 佐藤勝美

    佐藤(勝)政府委員 大臣の御答弁に加えまして、労働基準法の改正問題につきましては、現在既に中央労働基準審議会におきまして、労働時間法制全般にわたる検討を進めているところでございます。
  191. 不破哲三

    不破委員 今、国会に提出を用意しているというのは、前国会でも政府側から解明していますけれども、拘束力がない促進法なんですよね、中小企業への勧告とか、それから大企業ではその委員会をつくらせるとか。ですから、これでは本当に短縮にならぬわけで、私は、それも、労働基準法の改正も、末永い話でやるんじゃなしに緊急の問題としてやる必要がある。その際、私は、日本労働時間の実態が国際的な実態といかに、もう驚くほどかけ離れているかについて、お互いが明確な認識を持つ必要があると思うんですね。  例えば、この一月の日米会談でも自動車問題が問題になったようですが、この自動車産業というのは、日本の輸出の中でも、企業別に見ますと輸出のトップがトヨタ、二位が日産と、輸出のトップですね。その自動車産業が、世界に例がないような長時間労働で支えられている、その大企業が。今、世界では、八時間労働をもっと短くしようということが大勢になっています。ところが日本の自動車産業では、実際には十時間、十一時間二交代というのが基本制度になっていますね。私、トヨタや日産やいろいろな実態を調べてみたのですけれども、大体二交代制ですよ。二交代制で、昼勤も夜勤も拘束時間は大体九時間、実働八時間で拘束が八時間四十五分から九時間ですね。それに対して常時一時間、一時間半、二時間という残業がついて、ひどいところでは昼十一時間、夜十一時間と、ほとんど二十四時間連続操業という体制を二交代でやっている。こういうことは世界にほとんど例がないんですね。  それで、私、最近少し世界の実情を調べてみたんですが、これはILOが去年出した最近の労働時間の変化についての報告です。自動車産業やいろいろな産業がありますけれども、それを調べてみると、例えばヨーロッパなんかでは、徹夜労働というのは鉄鋼なんかのような装置産業にはありますけれども、機械加工の工場には徹夜労働という観念はほとんどなかったのですね。なかったようです。それが最近になって徹夜労働が始まり出した。読んでみると、ベルギーのある工場が二十四時間操業になった。それは、理由は何かというと、正本の自動車産業と競争するためというのがまず理由の第一ですよ。つまり、日本と競争するために、そういう長労働時間というのが、あるいは連続操業が外国に輸出されている。ありありと出ていますね。  しかし、その場合でもそういう国々では日本のように実働十一時間二交代なんというようなことはやらないわけで、例えば、やむを得ずそういうふうな体制になっても、さっきのベルギーの場合だったら週三十六時間四十分です、平均して、労働時間が。それからイギリスでは、やはりそういう状況で連続操業を採用して、交代制の職場では週三十一時間三十分。それからフランスでは、労働協約で金属機械産業がまとまって提携していますけれども、二十四時間の交代職場だったら三十三時間三十六分。これが大体、そういう体制をしかないと徹夜労働なんかは絶対できないというのが世界の実情ですね。  ところが、日本ではもう八時間というのは空文旬になって、実際はそういう十一時間労働とか少ないところでも十時間二交代というのが、徹夜を含んで、そういう大企業で支配的になっている。私は、こういう状態は絶対に放置するわけにいかない。それに対してやはり明確な政治の回答を持って臨まないと、ただ企業状況にまつ、それから労使の自治にまつというだけでは済まない状態が現実に生まれている。そのことについて本当に抜本的な対策が求められていると思うんですが、労働大臣の見解、いかがでしょうか。
  192. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 不破先生御指摘のとおり、我が国の産業の中で自動車産業従事の労働者の年間労働時間は高い方でございます。現に、これを今の自動車の業界の中で労使が話し合いをしながら一年に百時間ぐらいずつ短縮しよう、こういう努力をしているわけでございますが、これは具体的に申しますと、二千二、三百時間の中で百時間ということは全体の労働時間の五%を毎年減らすことになるわけですね。そのことは、もう具体的に言いますと、自動車産業として従来のような生産の伸びを多少抑えなきゃならないかもしれない。逆にその従業員の立場から考えますと、その分だけ残業時間が減ってくるわけでありますから、そのあたりの収入をどういうふうに調整するかという問題もございますので、できるだけ早く国際的な労働時間の水準に近づけたいというのが私たちの思いでございますが、それが具体的に実行できるためにはどうするかということについて、最近は労使ともども真剣に取り組んでおりますし、また労働省といたしましても、単にこれは大企業だけじゃなしに下請関係企業も一緒になって話をしていかないとできませんので、そういうグループごとの指導も積極的に進めながら、できるだけ早い時間に国際的な労働時間に近づけたいということを努力しておるということでございます。
  193. 不破哲三

    不破委員 残業が長いことについて、労働者の側にという問題を第一に挙げるんですが、それはやっぱりかなり事実違うんですね。  これは、トヨタで組合がほとんど全組合員で調査した実態調査がありますが、それによりますと、なぜ残業を長くやるかという質問に対して、四四・三%が生産計画、業務計画残業が組み込まれているからやむを得ない、最初に計画があって自分の自由意思じゃないんだと答えていますし、三六・二%が定時では自分の仕事が終わらない、割り当てられた仕事が終わらないからと答えて、全部やっぱり経営のやり方に問題があるということを書いているわけですね。それから、さっきの通産省の報告書では、もう残業を前提にした生産体制を組みかえろということを言っているわけで、やっぱりそこから始めないと私は変わらないと思うんです。  それで、それをやるためには、ただそういう体制を組みなさい組みなさいと言っているだけではだめなんで、私は、日本労働基準法の一番の欠陥は、残業の上限の制限がない、つまり何時間以上やってはいけないという法的な制限がないところにあると思うのです。例えばヨーロッパを見ますと、フランスでは年間百三十時間ですよね、法律で。年間百三十時間以上の残業は認めないと法律で決められている。それからドイツでは、一日に二時間、一年三十日までと、六十時間で法令で切られている。ただ、日本では、これは法が全く無制限で、三六協定で労使が協定さえすればその範囲でよろしいということになっているわけですね。じゃ、トヨタではどんな協定になっているかというと、直接部門五十時間、月に、それ以外六十五時間。それで、特別な場合には百三十時間までと、フランスが年間で認めているのを労使で月に認めるというところまでいっているわけですよ。  だから私は、これは本当に通産省が言っているような恒常的残業を抜きにした生産システムをいや応なしに組むということをするためには、やっぱりここで国際的な踏み切りをして、もう残業の規制を、これ以上やっちゃいかぬという上限をきっちり法で決めるというところまでいかないとこの問題は解決できないと思うのですね。  今、目安時間が出ていますが、これも年間四百五十時間でめちゃくちゃに多いけれども、それも拘束力がないという状態ですから、やっぱり労働基準法の体系を考え直して、恒常的な残業はできない体制に法体系を切りかえる、これが大事だと思いますが、いかがでしょうか。
  194. 佐藤勝美

    佐藤(勝)政府委員 我が国労働基準法は、先生今言われましたように所定外労働時間の上限を労使協定で決めるようになっておりまして、言ってみれば、労働者あるいは労働組合のチェック機能に期待をしているわけでございますけれども、現在、労働時間短縮のためには、所定外労働時間を削減する、特に恒常的な部分がかなり大きくなっておるということでこれを削減することが必要でございますので、労働大臣の告示によりまして、所定外労働時間の上限時間の目安を定めて、これに基づき指導をしておりますし、また、昨年は所定外労働時間削減要綱をつくりまして、これに基づく啓発普及に努めているところでございます。  我が国の場合、景気の繁閑によります雇用量の調整をできるだけ解雇をしないというようなことでやっていく、そういう雇用慣行がありますために、所定外労働時間の上限を法律で決めるということについてはいろいろ問題があり得ると思いますが、そういう点を含めまして、現在、中央労働基準審議会で検討していただいているところでございます。  現在、今申しました告示による指導あるいはその改正、それから削減要綱による指導啓発というようなことを通じまして所定外労働時間の削減に努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  195. 不破哲三

    不破委員 それから、時間短縮をやる場合、今考える必要があるのは、えてして時間短縮が、短縮された時間の中での労働強化に結びつきやすいという点も、これは大いに考える必要があるところなんですね。それで、例えば今この点でも世界が舌を巻いているのは、自動車産業の例について言いますと、自動車の組み立てのスピードというのは大体決まっていますね、あちこちで、それぞれの工場が。比較してみると日本はけた違いに速い。それで、その過密労働というのが過労死の大きな原因になっているということもかなり広く知られている点です。  この間、トヨタの関連の職場の人に集まってもらっていろいろ聞いたのですが、例えば組み立て職場ですね、自分の仕事を、一台組み立てるのに一分三十秒と決められている、標準時間が。そうすると、汗をふくゆとりもないし、部品を落として拾うゆとりもないというのですね。汗をふくと七秒かかるそうですよ。つまり、手袋を外してこうやってまた手袋をはめると幾ら早くやっても七秒かかる。部品を落として拾うと三秒かかるというのですよ。そんなゆとりは全くないから、会社の方では鉢巻き、汗取りベルトを配給してくれて、汗はふくなということになっている。それで、こんなゆとりのない仕事をそれこそ十一時間やらされたらたまらないわけですね。  ですから私は、今時間の問題と同時に労働基準法の新しい問題としては、労働密度とか労働時間とかの標準時間というものについて、どういうように労働者の一定の保護という立場から基準を決め名がというような新しい問題が提起されていると思うのですね。これは今まで、タイプとか特別な場合にはありましたけれども、一般の作業にはないんだが、大体連続作業というのはそれに近くなっていますから、これが必要だ。  それで、質の面でも、これは日産ですが、行きましたら、もうストレート一〇〇という運動があって、一切ミスは許さない、つまり、人間が一切ミスしない労働で連続やるという運動が進められている。これをやっていったら本当にその面からも大変なわけで、私はこの規制も労働問題の新しい問題だと考えているのですが、この点について、特に労働省が時間短縮をやるときに留意してもらいたいと思うのです。  その点で一つ苦言を呈したいのですけれども、さっき労働省側から示された所定外労働時間削減要綱というこれがありますね。この中に、所定外労働時間を減らすときに、減らしても生産や売り上げが減ることのないように努力する必要があるというのが明記されているのですよ。それで、労働時間、あんなに莫大な残業を減らして定時にしても、それで売り上げは減るな、生産は減るな、それだけ生産性向上しるというのでは、これはもう今ただでさえ過度な負担がかかっている、ヨーロッパでは考えられないと言われている日本労働をさらにひどくするわけで、これは働く倫理観なんという問題じゃないですよ、日本の問題は。日本が異常なんでね、この働かされ方は。やはりヨーロッパやアメリカがノーマルな労働観があると見るべきであって、労働時間の短縮とそういう労働の過密化を結びつけるようなことは、通産の方から言うならわかるけれども労働の方からそういう指導をされたのではかなわぬというふうに考えるのですが、これはぜひ今後の行政で注意してもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
  196. 佐藤勝美

    佐藤(勝)政府委員 今、労働時間短縮を行う場合に、これは業種、規模、いろいろなケースがあり得ると思いますけれども一つは、個々の事業主が心配をするのは労働時間短縮をすれば売り上げが減るあるいは生産が減るであろうということで、自分のところだけで労働時間短縮をするということにいろいろ懸念をするというケースがあるわけでございます。  しかしながら、今まで実際にその労働時間短縮をやった企業についての研究を労働省で昨年行ったわけでございますけれども、やはり労働時間短縮をするに当たっては、設備の改善をする、あるいは時間管理を適正にする、あるいは労使よく話し合ってその結果としてモラールの向上が図られるというようなことで、実際には労働時間の短縮率を上回って生産性が向上しているという例がほとんどでございます。頭数の労働量がふえないとすると、これはやはり労働時間短縮をするには生産性を上げるしかないわけでございまして、これは過密労働を助長するというようなこととは別に、やはり現在いろいろあります不効率的な部門、この生産性を上げることによって時間短縮が可能になる部門がたくさんある、こういうことでございます。
  197. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 今、局長が申したとおりでございますが、先生、やはり労働時間を短縮するのであれば、時間当たり生産性を上げる努力も片一方でしていかないと、会社も経営でございますから、できないことだと思います。ただそのことが、時間当たり労働性が高まることが、先生のおっしゃるような人間労働のいわば非人間化というか、そういうことにつながるという御指摘であれば、それは十分注意いたしまして、やはりちゃんと人間的な労働の内容を保ちながら、しかし生産性を上げていくというのがやはり経営であり、また労働ではないでしょうか。
  198. 不破哲三

    不破委員 やはり労働行政では、生産性向上を条件にすべきじゃないと思うのですよね。労働行政なんですから時間短縮をきっちりやって、経営と生産性の問題はそれは別個の問題として考えるべきで、条件にしていたら、こんなに長い時間、絶対短くならないですよ、これは。  それからもう一つ、時間の問題で国際的な格差が激しいのは有給休暇なんです。ILOでは、一九七〇年に有給休暇条約ができていますね。日本は批准していませんが、その批准してない理由は何ですか。批准しない理由。
  199. 齋藤邦彦

    ○齋藤(邦)政府委員 ILO百三十二号条約にかかわる御質問だというふうに思います。  本条約は、最低六カ月の勤務期間を条件として、一年につき三労働週以上の年次有給休暇を与えるべきということを骨子とする条約でございます。したがいまして、我が国労働基準法は、一年の継続勤務を条件として十労働日の休暇を定めているというようなところもございまして、我が国の法制度と著しく異なっているところがございますので、今のところ批准が難しいということでございます。
  200. 不破哲三

    不破委員 今お話しの中に格差がふく出ているのですよね。ILOの条約は、六カ月勤務した者には最低三週間の有給休暇を与える、それが一九七〇年に決まっているのですよ。それから十七年後に労働基準法の改定をして、それで最低十日になったわけですね、日本が。つまり、これだけ離れているわけですよ。それで、これを批准している国も、していない国もあるけれども、しかし実態からいえば、例えばサミットに参加して出てきている国の大部分は、有給休暇の保障の数はこれを上回っているのですね、ILO条約を。  例えば、調べてみましたら、ドイツでは、連邦休暇法という法律で三週間以上の有給休暇が決まっていて、それで協約では、今大体主流は六週間になっている。それからフランスは、法で三十日と決まっていて、それに協約で追加されている。イタリアは協約で四週間程度。それでアメリカは、そういう法はないけれども、フォード社で調べてみると、一年で二週、三年で二・五週、五年で三週、十年で三・五週、十五年で四週、二十年で五週ですから、協約の規定ではかなり高いわけですぬ。  だから私は、日本はこういう法律だから批准できないんだじゃなくて、もう国際的に経済的に発達した国と言われているところでは全部その水準をオーバーしていることを日本が保障できないでいる、これをもっと真剣に考えて、この国際条約ができてから十七年もたってからできた改正基準法で国際条約の基準のはるか下というのでは、やはり世界が目をみはるのは当たり前だと思うのですよ。  しかも、さっき政府委員は省略しましたが、ILO条約には有給休暇の使い方までちゃんと決まっていて、分割してもいいが、分割した場合、三週間のうち最低二週間は連続した休暇を与えよとなっているわけですね。だから、日本のように、病気欠勤やなんかで細切れに使ったりなんかすることを認めていないわけで、まさに休暇として完全に保障せよ、まとまって与えよということまで国際主流になっているわけであります。  だから私は、日本の今までの働き過ぎと言われ過労死なんかを生んでいる労働状況を常識にして日本の今後を考えてはだめなんで、やはりこの点ではかなり、それこそ意識を変えないと、本気で世界に顔向けのできる、日本経済力にふさわしい職場の状況をつくれない。この点は、ぜひ政府も真剣に労働基準の問題に取り組んでもらいたいと思うのです。  総理、最後にこの問題で言いかがですか。
  201. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これからいわゆる生活大国になっていくということの中で、非常に大事な一つの問題であるというふうに認識をしております。
  202. 不破哲三

    不破委員 次に、米の問題ですけれども、ウルグアイ・ラウンドがかなり大詰めに来て、それで米の関税化の問題に対してどういう態度をとるかが問題になっており、もうこの国会でも随分議論がやられているわけです。政府は従来の方針のもとに対処するということで強調していますが、やっぱり私たちが心配するのは、対処した結果、最後の段階で一体どういう態度をとるのか、これが我々の心配なんですね。国会でも何遍も輸入自由化は認めるなということを決議している。それから私たちは、もちろん日本が世界でも最大の農産物輸入国なんだから、これ以上の輸入を他から強要されるいわれはないと考えている。  それで、この問題の議論をもう少し根拠を明確にするために、これは農林省に伺いたいのですけれども、今出されているドンケル案で、関税率が当初は七〇〇%、それでそれがだんだん下げられて、六年後にはその国の輸入農産物の平均で三六%程度削減というのが目安になっている。そうすると、大体六年後には関税率が四四八%になるという勘定です。  私が計算しますと、今の政府買い入れ価格が一万六千三百九十二円ですが、それで計算しますと、輸入価格は国内産の米価格の大体六八・五%ぐらいになると思うんです。そうすると、政府買い入れ価格で計算しますと、六年後にでも約一万一千二百二十八円という数字が出てきました。日本の農業の実情で今、七〇〇%なら今の値段が保証されるわけだからこれは成り立つわけだが、六年後にそこまで下がったときに、その条件に耐えられる農家が一体どれぐらいあるかというのを農林省方面では大体試算していますか。試算していたら伺いたいと思うのです。
  203. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 包括的な関税化は反対と、こういうことでありますから、試算はいたしておりません。
  204. 不破哲三

    不破委員 ただ、わざわざ試算しないでもこれは出るわけですよね。  例えば食糧庁が去年の七月に「米価に関する資料」というのを発表しています。この「米価に関する資料」を見ますと、その初めのところに、作付規模別の米の生産費というのがあるんですよ。だから、当然農林省の方針でも、大体規模が大きくなれば原価は安くなるということで国際競争力は増すということになっているんですけれども、この作付規模別の米の生産費を見ますと、例えば地代や利子を含まない第一次の生産費で見ても、六年後の輸入価格一万一千二百二十八円以下の経営というのは四ヘクタール以上の農家ですね。平均が一万五千三百五十九円の生産費で、だんだん規模が大きくなると下がってきますけれども、それでも関税率が六年後にだんだん下がっていったときに耐え得る農家というのは、規模四ヘクタール以上の農家しかない。四ヘクタール以上が一万八百六十三円、五ヘクタール以上が一万二百五十四円ですから。これは農家の数にすると一%ですよ、大体。数にすれば。それぐらいしか関税化のレールに乗っていったらかからないわけですね。これは。  だから私は、もうこれは事態は明瞭なんだけれども、関税化であろうが、一たん関税化で道を開いたら、やがてこれは下がっていくわけですから、もう数年後には日本の農業が米に関する限りは壊滅的になる。それから、部分自由化であろうが、部分に入れたらこれは必ず広がるものですから、もう今の国際競争にさらされたら大事な日本水田農業が壊滅することは明瞭なので、もう最後の大事な段取りですね、交渉に臨むに当たって、従来方針と言うんだけれども、最後の段取りもきっちり米の輸入は認めないという態度で臨んでもらいたい、このことを総理に強く要望したいと思うのです。見解はいかがでしょうか。
  205. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま農林大臣が申し上げたとおりでございます。
  206. 不破哲三

    不破委員 まだ農林大臣は言っていないのですよ。裁定していない、計算していないという話だけですから。総理の見解。
  207. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 基本的には、従来から農水大臣からお答えをいたしておるとおりでございます。
  208. 不破哲三

    不破委員 この点は、日本の農業の前途がかかわる問題、日本の食糧の安全と自然の問題がかかわる問題ですから、もう本当に性根を据えた対処を願いたいと思います。  それから最後に、共和の問題に戻りますけれども、先ほど私は、リクルート事件の関係で、総理にかかわる証人の継続の喚問の要求をいたしました。それで、共和の問題についても、今見ましたら、阿部議員もきょう保釈が決定したそうですので、共和の関係でも、先ほど総理がなかなか真相の解明に意を示されなかったことを国会がやらなきゃいけませんので、証人として関係者に出てもらって真相の解明に当たりたい。  その点で、政治家の側からいえば、阿部議員と塩崎議員、鈴木元首相ですね。これは、元総理あるいは元大臣という点からいっても今度の全体の疑惑のかなめをなす人々ですので、ぜひ証人として出て解明をしてもらいたい。それから、共和の側からいえば、やはり政界工作の中心人物だった森口元副社長ですね、この四人の証人としての喚問を求めたい、このことをよろしく取り計らってもらいたいと思います。いいですか。
  209. 山村新治郎

    山村委員長 不破委員に申し上げます。  理事会で協議させていただきます。
  210. 不破哲三

    不破委員 最後に、時間がなくなりましたので端的に伺いますけれども総理に伺いますけれども、軍事費の問題です。  やはり今の軍事費削減問題の議論のかなめは、今まで政府がとつてきた国の防衛計画あるいは自衛隊の規模拡大のレール、それが今の世界情勢に合わなくなったということを率直に認めるかどうかということが一つのかなめだと思うのですね。その点で伺いたいのですが、大体これまで日米間で日本の軍備の規模についていろいろな協議が歴史的にやられてきたと思うのですけれども、やはりその基調は、対ソ戦に際してあるいはソ連の日本攻撃を想定して、それにどう備えるかということが協議の基調だったんではなかったかと思いますが、長くこの関係の衝に当たってきた宮澤総理がその点とう振り返るか、まずそれから伺いたいと思うのです。
  211. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 問題は二つあると思いますので、今我々が持っております防衛計画の大綱、昭和五十一年につくられたものでありますけれども、これ自身は、御承知のように仮想敵というものを想定しているわけではなくて、独立した国として最小限の基盤的な防衛力を持たなければならない、そういう思想に立っておるものでございますから、ある意味ではこれは、世の中が動きましてもそう簡単に基本的な思想が動くものではないという性格を持っておると思います。  ただ、そのことが可能でありましたのは、日米安保条約がございまして、このいわゆる核の傘のもとに我が国が、いろいろな方面からの脅威に対してこれがディターレントになっていた、こういうふうに申し上げるべきかと思います。
  212. 不破哲三

    不破委員 総理は、そういう情勢いかんにかかわらず基盤的なものだということを盛んに力説してきましたけれども、例えば、あなたが書かれた「東京−ワシントンの密談」という本がありますね。あのときに、一九五三年、これは初めてアメリカとの間で将来の自衛隊の規模について相談した会議だったと思うのですけれども、そのことが説明されていて、アメリカの側からナッシュ国防次官補が、ソ連はどうやって日本に攻め入るかという話をして、だからこれだけの軍備が必要だということを提示してきた、それに対して応対したということが記録されています。  それから、これは三年前ですが、アメリカの議会の調査局が出した報告でも、例えば八〇年代冒頭のことについて、「レーガン政権発足当時、ソ連との紛争発生の場合に、西太平洋における米国の戦闘戦略に寄与する日本の能力を高めるよう求めた。」ということを述べて、その内容として、P3Cの百機の整備とかあるいは護衛艦、フリーゲート艦の七十隻の整備とかいう内容を求めたんだ、これが今、日本の方針になっているんだということを言っているわけですね。  ですから、もう事態から見れば、日米間でいわば対ソ戦略を想定して今の自衛隊の海上、航空、陸上の配備を決めできたことはこれは自明なんで、それを今になって、あれは全くそういうことと無関係だ、どんな事態に応じても必要な基盤だけの話をしていたんだと言うのは、これは通用しないと思うのですよ。  きょうは時間がありませんからこれ以上追及しませんが、例えば、なぜ日本がP3Cという対潜哨戒機を世界で最も巨大に持つ国になったかといえば、これはソ連の原子力潜水艦に備える以外には目的はないわけですからね。全部の装備がそういう形で決められているわけで、私は少なくとも、その大前提が狂ってきた以上、従来の方針にとらわれないで大胆な、もう従来計画は凍結して、大胆に自民党政治の枠内でも軍縮の方に転換する義務がある、このことを最後に申し上げて、質問を終わります。
  213. 山村新治郎

    山村委員長 これにて不破君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  214. 米沢隆

    米沢委員 私は、民社党を代表いたしまして、当面する諸問題につき政府の見解をただしたいと存じます。  まず最初に、共和事件政治改革の問題についで伺いたいと思います。  御案内のとおりに、昨年来共和事件に関連して疑惑が取りざたされておりました阿部元北海道開発庁長官が、去る二月一日、受託収賄罪の容疑で起訴されました。今国会宮澤政権発足後初めての通常国会であり、昨年来我が国経済も陰りを見せ始めたという大事なときに、予算の成立は一日でも早い方がいいという期待の中で、また残念ながらこういう国会に空白が起こるかもしれないという事件の発生は、まことに遺憾だと言わねばなりません。直接の容疑は、長官在任中共和から八千万ぐらいの金を、わいろを受け取って北海道のリゾート開発等の便宜を図ったという容疑でありますが、今回の事件は、新聞報道による限り、どうも要求型といいましょうか、たかり型といいましょうか、大臣になるには金が要る、総裁選には金が要る、派閥には上納金を納めなければならぬ等のさまざまな理由をつけて、トータル五億三千万ぐらいの金をせしめている。まあ連日報道されております内容が事実であるとするならば、まさにそのたかりぶりは何をか言わんや、あいた口がふさがらない、国民の皆さんは今や怒りや不信を超えて、あきれ返っておるという状況ではないかと思いますが、宮澤総理、今、今日、どんな御感想をお持ちですか。
  215. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先般本会議でも申し上げたことでございますけれども、同僚議員にああいうことが起こりまして、まことに残念なことでもあり、また、このようなことを国民に対して申しわけないと思っております。
  216. 米沢隆

    米沢委員 これも先ほど来各委員が取り上げておりますが、当の阿部代議士は、宮澤政権誕生の際の宮澤派の事務総長でありました。それゆえに、共和からの金が宮澤派の政治資金に流れ、あるいは総裁選挙に使われているのではないかという疑惑が取りざたされております。しかも、この共和事件は、ほかの複数の宮澤派の最高幹部の皆さんが、名前がかかわっていたとの報道もございます。いずれ、その実態の解明は司直の手によって明らかにされるとは思いますが、そういう司直の手をまつまでもなく、これほど世間を騒がせて、今おっしゃったように国民の皆さんに本当に申しわけないという気持ちがあるならば、私は、総理宮澤派の最高責任者として、この際直ちにみずからこの宮澤派にかかわる事実関係を究明し、その真相を国民の前に明らかにすることがあなたの政治的道義的責任のとり方ではないかと思います。  同時に、阿部氏がみずから議員を辞職されないとするならば、率先垂範して総理は、泣いて馬謖を切るということわざがありますように、辞職を勧告し、やはり国民の疑惑に対するまず最初の一弾としてけじめをつけることが大事ではないかと思いますが、その点に関して総理の率直な見解を求めたいと思います。
  217. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 まことに残念なことと申すほかありませんが、泣いて馬謖を切れと仰せられることについては、今朝かもも申し上げておりますとおり、結局これは御本人と選挙民との間の信頼関係であり、負託をいかにして御本人が誠実に実行できるか、あるいはできないかということにかかる問題と思いますので、第一義的には御本人が決心をせられるべき、決定をせられるべきことではないかというふうに私としては考えておるところでございます。
  218. 米沢隆

    米沢委員 その真相究明について、少なくとも宮澤派にかかわる問題がるる報道もされ、指摘をされておるわけでございますから、やはり宮澤派の総括責任者として、おい、あれは一体どうなっておるんだぐらいのことは調べがあってしかるべきであるし、そういうものにも、先ほどの御答弁を聞いておりますと、余り関心がないようなそぶりを見せておられますと、あなた自身のけじめにかかわってくるのじゃないですか。真相究明、特に宮澤派にかかわる問題等について事情ぐらいは聞かれものが今置かれておるあなたの立場じゃないかな。総裁選に使われた、本当にそうなのかね、政治資金に入ったという、本当に入っておるかねぐらいのことは聞かれて、やはり本当のことは本当のこととして善処されていく姿こそ、本当の意味政治改革をこれから語ろうとする総理の資格要件じゃないかと私は思うのです。そんなもの全然私は知りません、関心もありません、そんなことはなかったと信じておりますなんということでは、国民を愚弄すると言っても過言ではないのではないでしょうか。
  219. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 同僚の議員のことに関しまして、少なくとも法に触れるようなことがあったというふうには私はそれ以外の人々については聞いておりません。  それから資金関係につきましては、官房長官が今ちょっと記者会見で立っておりますので、お許しを得られましたら、出席いたしましたときにある程度の御報告が申し上げられるかと思いますので、ちょっとお待ちをいただきたいと思います。
  220. 米沢隆

    米沢委員 総理もこのことに関して気にはしておられるのですね。総理、気にはしておられるのですね、これは、本当に。気にはなっておるのですね。
  221. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 もとより無関心でおることはございません。
  222. 米沢隆

    米沢委員 今までこういう事件が起こるたびごとに、例えばロッキード事件が起こる、あるいはリクルート事件が起こる、政界を舞台にした疑惑が発生するたびごとに、政治倫理が言われ、反省が言われ、そして政治改革に取り組まねばならぬ、何回言ってきたことか。まさにそこにこそ国民の不信があるような気がしてなりません。政治倫理の確立、政治改革の必要性、言われながらも全然それは実現していかない。それでその間にまた忘れ去られて、また同じような事件が繰り返されて起こってくる。これが、私は国民政治を見る不信感の最初のベースにあるような気がしてならぬわけでございます。  その上、これも各委員指摘されておりますように、驚くべきことは、今回の事件が、阿部氏が政治改革を旗印に掲げた海部内閣の閣僚在任中に、そのど真ん中で、リクルートの反省もなく、どこ吹く風のていでこの事件が進行していたという事実であります。いかに金権腐敗の体質が根強く、それも日常的に構造的に根を張っているのかというこれは証拠ではないかと思うのでございます。それゆえに日本政治も、経済は一流だが政治は三流だ、四流だと笑われておる。その根源もまさにこういうところにあるのではないか。  そういう意味では、総理に一回聞きたいと思っておるのでございますが、総理はかねて保守本流を歩いてきたということを自負されておりますが、一体いつごろからこんな体質が根づき、そしていつも政治改革を叫びながらもなぜ日本政治はこの政治改革が実現していかないのか、どういうところに問題があるとお思いになりますか。
  223. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは私自身の立場からいえば、やはり政治家一人一人のモラルというところが何といっても基本であると思います。そして、政治家一人一人のモラルが、また場合によっては有権者の方にいろいろな課題といいますか、時としていかがかと思われる期待を政治家の方にかけるというようなこともまた起こってまいっておると思いますが、制度的にはいろいろ整備をされてまいりました。  しかし、何度か起こりましたこの事件を見ておりますと、やはり一つは、これは先年実行せられまして、いわゆる寄附等々の禁止、これはかなりの効果を上げてまいりましたけれども、そういうことの強化であるとかあるいは入り用な資金はやはり透明にしなければならないとか、そういう制度の整備というものがなお必要であろう。最終的にはやはり政治家一人一人の心構えの問題でございますけれども、制度的にもそれを支えるような、そういう弊害を少なくするような制度の改善が必要だというふうに考えております。
  224. 米沢隆

    米沢委員 その意味では、政治改革は待ったなしの状況にあると言ってもこれは言い過ぎではありません。  特に、先ほどから申し上げておりますように、今日まで、こういう事件が起こるたびごとに政治改革が叫ばれ、結果としては何も実らぬままにまた同じような事件が起こる。このような悪循環のわだちをどう切るかということが今国会に課せられておる本当に重大な課題である、責任である、我々政治家全体がその責任を担わねばならぬと我々は思っておるわけです。  そのためには、今国会におきまして本当に政治改革を前進させるためには、さきの国会におけるさまざまな論議がありましたけれども、その反省の上に立って、これからどういう政治改革をどういう手法でやっていくのかという全体像が総理のみずからの口から本当は発せられなければなら有いのではないか。与野党の協議にこれは任しておりますとか、今自民党で協議をやっておりますからというものではなくて、本当に今日までの金権腐敗の体質がどこから生まれてくるかというそういう論から始まって、そしてなぜ今この改革をしなければならぬのかというそういう全体像というものをもっと総理みずからの口で本当は語ってもらわないと、政治改革に関してあなたの顔がないというのが専らのこれは評判であることを自覚してもらわねばならぬと思うのです。そういう意味で、我々は、まず新しくこれからの政治改革の全体像を明示していただき、そして当面の方針と具体的なその道筋を明らかにすることが肝要だと思うのです。  特に、この際申し上げておかねばならぬのは、この前のさきの国会の失敗からいたしますと、やはりもっとより緊急性の高いもの、各党の合意を得やすい課題から着手しなければ、すべて政治改革を一体として議論をしていきますとこれは一歩も進まないというこの反省をどうしておられるかということを、まず総理に聞かしてもらいたいと思うのです。
  225. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この問題は、お互い自分自身に経験のある問題でございますから、議論をしてまいりますと、私どもの党内でも十人十色というほどいろいろな議論がございます。  実は、ごくことしになりましてから改めまして政治改革本部の会合を始めたところでございますが、昨年来これは随分もう議論をいたしておりますので、議論の方向が出ますのには私はそんなに時間がかかるまいと思っておりまして、方向が出かかった段階で、本部長、副本部長と私と相談をいたしまして大づかみの方向を決めてまいろうと思っておるわけでございます。それはもとよりその結果を政治改革協議会に御提案をいたしますが、協議会におかれましても、各党各派でおのおのの案をあるいはお持ちいただけることが期待できるのではないか。そういうところで、なるべく早い時期にお決めをいただきたいというふうに考えておりまして、私自身の案がないというのではありませんで、私の党の内部の議論の方向をちょっと今、もう何度か議論をしてもらいますと、方向が出てまいりますと思いますので、その辺で集約をいたしまして、後ほど改革協議会に御相談を申し上げたい、こう思っておるところでございます。
  226. 米沢隆

    米沢委員 先ほど申しましたように、本当に政治改革が一歩でも前進するような方向で議論が始まっていくならば、これはやっぱりトータルの政治改革像を一体としてやっていくという議論は非常に難しい、至難のわざではないか、そう思うのです。  そういう意味で、今自民党で二段階方式みたいなものが議論をされておりますが、私はまさにこの二段階方式、すなわち政治倫理法だとか、政治資金の問題とか、あるいは選挙における腐敗防止、特に公職選挙法をもっと厳しくして、下手をすると、違反すると候補者の議員資格剥奪、あるいはまた立候補制限等につながるような公職選挙法の改正等をまず最初にしていく。そしてその後、政治選挙制度の議論に始まっていく。特に、選挙制度は、この前の小選挙区比例代表制みたいなものは、まあ純粋に、理論的に皆さんは提案されたかもしれませんが、そのことが持つ、政治に与えるインパクト、それが導入された後、一体日本政治はどう変わっていくのかという、そこまでの分析が残念ながらなされないままに行われたというところに私は失敗の大きな原因がある、そう思っています。そういう意味で、先ほど申しましたように、政治倫理法や政治資金の改正法等、まず各党が合意できるものから始める。と同時に、それは、今定数是正が緊急の課題でありますが、そのこともやはりあわせて同時並行して議論をしていくという、そういう手法がとられることが一番ベストだ、そう思っておりますが、再度、総理の見解をただしてみたいと思います。
  227. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは米沢書記長がよく御存じでいらっしゃいますように、廃案になりましたのは法案三本でございますけれども、いろいろな要素が全部お互いに連関をいたしておりますものですから、切り離すという、全く切り離してしまうということはもともと難しいところがございます。しかし他方で、比較的緊急を要するものと多少時間がかかってもいいものとがあるではないかという議論もございまして、私どもの党内でもそういう意味での二段階論というのはないわけではないわけでございます。  ですから、一言で申しますと、全体のかかわり合いをよく見ながら、その中で急ぐもの、急がないもの、そういう仕分けをしていって、また協議会の御意向にもよることでございますけれども、そういう形で、しかし最終的には全体の改革を図っていく、こういうことであればそれが一番いいのではないかというふうに思っております。
  228. 米沢隆

    米沢委員 今総理のおっしゃった方式でいくならば、一番最初に何が見えできますか。
  229. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 その方式でいくと申し上げておるのではありませんで、そういうことの議論をまだ私どもの党内でやっておるものございますから、私がそれをもうちょっと集約するのに時間がかかると思っておるのです。
  230. 米沢隆

    米沢委員 答えにはなってないのでございますが、早急にまとめるための努力をしていただきたいと存じます。  次に、生活大国の問題について伺ってみたいと思います。  総理はさきの所信表明演説の中で、「国民一人一人が豊かさとゆとりを日々の生活の中で実感でき、多様な価値観を実現できる、努力すれば報われる公正な社会この実現、すなわち生活大国の実現を目指すとして、そのための六つのイメージ的な目標を挙げられたわけでございます。民社党もここ数年来生活先進国、文化先進国づくりという構想を主張してまいりましたので、この発想はまさに軌を一にするものであり、その趣旨を我々は子としますし、その意味では頑張ってもらいたい、こう思うわけでございます。  ただ、問題は、あなたの所信表明演説が終わった明くる日のマスコミ等、あるいは各党とも指摘をしておりますように、何しろスローガンは確かにいいし、これから目標とすべき問題点の所在は明らかになった。しかしながら、一体それがどのような格好でいつごろまでにそういうものを実現していこうとするのか。意思ですね、意思。それで、実現の方法、具体的な目標、そういうものが本。当は語られない限り絵にかいたもちにすぎないではないか。国民の皆さんだって、豊かな生活先進国が、これは本腰になって豊かな先進国づくりが始まったなという実感を持つことができない。これでは政治とは無縁な文学の世界であると我々は思っておるのです。一体都会の住宅をどうしてくれるんだ、通勤ラッシュどうしてくれるんだ、運賃は上げるけれども全然めどが立たないというではないか、一体何だ。豊かな、青年が誇りを持てるような農村近代化を図ろうなんといったって、一体何だ、何十年そんなことを言ってきたか。したがって、単にこういうようなスローガンを掲げられるだけではなく、あるいは、省庁別に掲げられた政策の羅列だけではなくて、もっと具体的にその道筋を明らかにすることこそ、そしてその道筋を追っていく真摯な姿勢を示されることこそ、今本当は求められているのではないのかなと、そう思うのでございます。  そうでなければ、この種の話はここの数年来、いろんなところで語られ、いろんなところで書かれてきました。しかし、本気になってこれから生活先進国をつくるんだ、生活大国をつくるんだというならば、一体従来の政策とどう違うのか、そして、従来より前進していくかどうか、そのあたりがわかるようにもっと説明をし、そして、そのための政策の位置づけ、法律の位置づけ、そして予算編成等の位置づけ等をもっと総理は具体的に示さないと、私はこの生活大国構想も、作文はいいけれども何のことかわからぬということに終わってしまうんじゃないだろうかと思うのです。いかがですか。
  231. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そういう御批判はもっともなところでございますので、先般の施政演説におきまして、この六つの角度からこの生活大国の要素を説明をいたしまして、そしてこういう六つの方向から実現を図っていきたいということを申し上げたわけでございますが、これは当然のことながら各省庁がそれに従って施策を進めていく、予算の編成並びに執行を進めていくということでございます。  同時にまた、ことしはいわゆる長期計画、五カ年経済計画の初年度に当たる年になりましたので、先般経済審議会に諮問をいたしまして、生活大国の実現のための方策いかんという趣旨の諮問を一月になっていたしたところでございます。夏前には一つの方向を審議会で出してもらえるものと思っておりますが、そしてできますれば、今年のある時期からこの新しい五カ年計画をスタートさせたいというふうに考えておりまして、それによりまして、これはやや、恐らく五年ということになろうかと思いますが、そのくらいの時間の間におきましてこの六つの要素の実現を図ってまいりたいと思っております。
  232. 米沢隆

    米沢委員 ぜひ具体的な目標を示し、そしてその目標達成のために何をするかということを常に明示しながらこれから行政の衝に当たってほしい。心からお願いしたいと存じます。  同時に、私はこの生活大国目標の実現のためには、ただ予算を積み上げていく方式だけではなくて、なぜそうなったかという、なぜGNPは世界一、二を争うにもかかわらず国民生活はこんなにゆとりがないのかという、その根本的な原因にメスを入れていかないと本当の処方せんは出てこないのではないかな、そう思っておるわけです。  例えば昨年の金融不祥事がありましたけれども、なぜ繁栄することが、なぜお金があのように人の心をむしばむような社会をつくっていくのかとか、あるいはまた、なぜまじめに努力しても報われない、報われにくい不公正な社会になってしまったのか。僕は、そういうものが本当は徹底的に、具体的に絵にかけるようなものではないにせよ、少なくとも行政を担当される皆さんの意識の中でそれが徹底的に分析されて、検証されて初めて、新たな目標がつくられても生きてくるか死んでしまうかということにつながっていくのではないのかな、そう思うんでございます。因果応報といいますが、因があって果があるわけでありまして、因をなくさずして果だけを求めても、それは前進しないのは当然のことでございます。  よく、GNPはここまで大きくなってもなぜ我が国民のゆとりある生活が実現できないのかという問いに、いろいろと答えがあると思いますが、私はもう日本がなぜこんなゆとりがないかというのは、背伸びした上につま先立って一生懸命頑張っておるという姿が今の姿ではないのかな、そう思うんです。背伸びした分だけこれはゆとりを失うことは事実でございまして、しかし背伸びした上につま先立ってこうやっておる、それが逆にGNPをたくさんつくることにつながるかもしれぬし、あるいは過当な競争を生むことになるかもしらぬし、あるいは下手な、下手といいましょうか、過当なシェア争いに逆に外国まで巻き込んでいろいろと御迷惑かける部分があるかもしれない。しかし、このできた数字だけはひとり歩きをしますから、不当に日本は金持ちの国だとか、もっと金を出してもいいのではないか、GNPを見る限りもっと出せ、もっと出せという合唱になって、逆にそういう意味では無理な難題も日本に投げかけてこられるというような様相をつくっておるのではないのかな。そういう意味で、なぜつま先立ってまでやらねばならぬのか、その部分をなぜそうなっておるかということを考えないと、本当は生活大国といっても根底から私は崩れてしまうのではないかということをよく考えるんでございます。  まあ、ややもすると今の世の中はお金がすべてでございますね。金持っておる人が一番偉いのでございます。そういう拝金主義といいましょうか利益第一主義といいましょうか、あるいは不公正の方が公正に勝つという社会、不公正の方が栄えるという社会ですね。アンダーグラウンドにあるものが表に出てきて、堂々とそれに健全な経営だと思っておるところが手までかして、金まで出して応援してやるなんというこういう社会風潮や一つの価値観みたいなものが蔓延しておる限り、幾らこのような目標を掲げてそのために一生懸命汗をかいたとしても実際の先進国なんかできょうはずがない。  というところを考えますと、やはりこの生活先進国づくりというのは一種の国民企業の意識革命だと思うのですね。価値観革命だと私は思うのです。そういうものにやはりみんなが気づいて、そして並行的に頑張っていかない限り、私は生活大国の実現というのは言うべくして逆に難しい。逆に、生活大国づくりという名目のもとに国民不在の省庁間の縄張りが始まったり、あるいは予算の上積み争いに堕してしまうおそれなしとしないというところが一番大事なところではないかな、そう思うのです。そういう意味で、企業社会のあり方あるいはまた行政のあり方、特に省庁間の権限争いの排除や機構の再編など、行政改革が常に伴っていかねばなりませんが、そういう行政改革のあり方あるいはまたいわゆる予算配分、予算編成のあり方等を含めた行政のあり方、そういうものにメスが入っていかねばならぬ、そう思うのでございます。  その意味総理に聞きたいのは、このような一つの意識革命、価値観革命というものを一体どういう気持ちで進めていこうとするのか、どこらにメスを入れたらいいのか。まあちょっと大きな質問過ぎて、語ったら三十時間ぐらいかかるかもしれませんが、簡単に答弁いただきたい。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
  233. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま御指摘のことは、私も非常に強くしょっちゅう感じておりますので比較的集約して申し上げられると思いますが、結局、明治以来、富国強兵ということがあり、欲しかりません勝つまではということもありましたし、戦後はドルを稼がなければならないという国民の一種のコンセンサスがありまして、行政がそれを主導してまいった。それは大変な効果をあらわしたのでございますけれども、気がついてみましたら実は輸出をし過ぎてよそから嫌われて、ウサギ小屋に住んでいるのではないかと言われるところになっても、長年やってきた行政の姿勢というものがなかなか変えにくい。そういう意味での意識革命、つまり行政というものが消費者の側に立つ、あるいは一般投資家と申しますか、そういったようなものに立つ、そういう意識革命というものが一つ大事なことである。そして、そのためには時として能率第一ということが失われるかもしれない。しかし、能率がすべてではないはずでありまして、能率第一の結果、米沢委員の言われるように、それが非常に不公正な結果を招いておる事例が世の中にたくさんございます。バブルというのもある意味でそういう現象でございました。そういう意味での、やはり私は、おっしゃるとおり意識革命の問題であると思っております。  幸いにして、国民の中にそういう意識の反省が生まれつつございますので、私は生活大国を実現しようといってあの六項目を挙げました中で、そういう意識革命のもとに公正な、国民の一人一人が自分自身の生活設計のできるようなそういう社会をつくってまいりたい、そういうことを申し上げておるわけでございますが、一疑いもなくこれは明治以来やってまいりました我々の大きな意識革命であもというふうに考えております。
  234. 米沢隆

    米沢委員 大変、国民の意識にかかわるという意味では余りにも難しい問題ではありますが、行政のあり方が変わってそれを見る目が変わってきますと、おのずから一つの流れができてくるのではないか。そういう意味で、その精神的な部分池大事にしながら生活先進国目標を追うという姿をぜひ描いてほしいと思っておるわけです。  同時に、今までのこのような大国の構想だとか目標が示されても、一体それが進んでいるのか進んでいないのか、数字を見ればわかりますが、なぜ進んでいないのか、進んだとしても本当にそれが効果をあらわしているのか、あらわしてないのか、そういうチェック機構がないのが日本政治の僕はマイナスだと思うのですね。確かに、社会主義国ではありませんので、余りにもがっちり目標を決めてそれがなければなんという議論はやりにくいのでありますが、少なくともめどぐらいは立てて目標を追うわけでございますから、せめてそれが徐々に効果を発揮しつつあるとか、うまくいってこの社会は本当にみんな喜んでおるとか、何かそういうものがないと、ただ五年先になってみて、やはりだめじゃないかといって大きな声を出して終わってしまったのでは、総理のこれは責任を全うすることにはならないわけでございます。  そういう意味で、できれば私は、具体的な目標をセットすると同時に、オンブズマン方式といいましょうかね、検証するシステムを何らかの形でつくっていかねばならぬ。行政だけでやると、都合のいい作文しか書きませんから、それはだめ。もっと有識者を含めて、こういう政策をしてこういう目標で頑張っているけれども一体どれくらい進んだのか、特に数字で見えない部分も分析できるように、やはり検証システムが確立されることが本当は大事なんじゃないのかな、そう思うのです。会計検査院等ありますが、これは少なくとも決めたものが正常に執行されているかどうかだけでありまして、効果だとかこれからねばならないという部分について建言できるようなものではありませんので、ぜひ検証するシステムを何か工夫してほしいな、こう思うのですが、いかがですか。
  235. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、この六つ挙げましたことの幾つかには、各行政の中に検証の物差しがございます。例えば労働時間といったようなものはそうでございますし、あるいは環境でございますれば環境基準、住宅でございますれば建設戸数、行政の中におのおのかなりめどがあるわけでございますが、もう一つは、経済審議会が今度やられます長期計画の中で毎年レビューをしていただくことになってまいろうかと思います。つまり、計画していることがどの程度達成できているかといったような、そういう長期計画立場からもそのようなレビューをしていただきたいと思っておりますし、もう一つは、つまりGNPという尺度でなく国民の福祉指数とでも申しますもの、それを生活審議会が新しくつくろうとしておられまして、これがいいものができますと、かなり今申しました、米沢委員の言っておられる諸要素がどの程度に達成されつつあるかということの目安になろうかと思います。この作業を急いでもらおうと思っております。
  236. 米沢隆

    米沢委員 ぜひ従来までのレビューのあり方ではなくてもっと心のこもった、そして次の目標に向かっておしりをたたくようなレビューができるような体制を整えてもらいたいと思っています。  さて次は、増税の問題と財政再建の問題について伺いたいと思います。  もう言うまでもなく、生活大国実現のためにはそれなりに適切な経済成長が確保されねばなりませんし、同時に健全な財政で裏づけされるということが必要であることは言うまでもありません。しかし、平成四年度の予算を見る限り、景気後退が心配される中で大幅な増税が行われるとか、そしてまたことしを皮切りに将来どうも財政再建の道が遠くなりつつあるという状況であります。  今回政府は、政府税調や自民税調ともに、これはほとんどあの年末のどたばた劇の中では実質的な審議はなかったと私は思うのでございますが、歳入不足に対応するための時限措置という意味で、公約違反の湾岸支援に限ったはずの法人臨時特別税の実施延長、そして今年度まででありました自動車の消費税率の割り増し税率の延長等で七千三百億という増税を行ったわけでございます。たしか昨年十一月末の時点では六兆円ぐらいだと言われた歳入不足が、十二月になりますと二兆二千億ぐらいにがくっと下がってしまいまして、その穴埋めのために増税を八千億しなきゃならぬといったものが、突如また五千億の国際貢献資金のプール構想で一挙に穴埋めする金が一兆三千億に膨れ上がる。そして、国際貢献税がつぶれると、一挙にまた七千三百億で結構です。一体これは何をやっておるかわけがわからぬ。全く理論もなければ理念もない。ただ大蔵省にとって都合のいい数字合わせにすぎない。どう数字を埋め合わせるか、そんなことばっかりの増税でありまして、これは国民をばかにするのもいいかげんにしてくれと言いたい気持ちでありますが、大蔵大臣、この経緯は一体どうだったのですか。
  237. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今御指摘のございました点につきましては、まさに予算編成、これを迎えるに当たりまして我々の方の作業、いわゆる大蔵省内といいますか一台所の作業といいますけれども、そういった作業のために一定の目標とかあるいは設定された条件によりまして仮定の計算をしていくという中にあって、初め相当大きなものがあったということは現実の、事実のところであります。しかし、税収動向というものがある程度わかってくるということ、また税外収入というものをどんなふうに確保できるか、そういうものをだんだん詰めていく中で、今お話のございました点についてのものを穴埋めしなければならないということのために、確かに私どもも補正予算の過程にありましても、例の湾岸のときの臨時の問題ですとか、あるいは自動車の税等につきましても、これをただそのままにするということについては、これは今御指摘があったとおり何かだまされたという印象を受けるよ、全く私たちもそういうつもりで、この問題についていろいろな意見がありましたけれども、やはりこのままただ引きずっていくということはいけないということで、ともかく失効させた上で新たにまたお願いをするということで対処したということについて、ぜひとも御理解をいただきたいと思うわけであります。
  238. 米沢隆

    米沢委員 まあ、苦しい胸の内であると思いますが、まさに我々にとっては小手先としか言いようがありませんし、それ以外の表現がありませんね。  そこで、僕は、大蔵大臣にもう一回具体的に聞きたいのでありますが、なぜ公約違反である法人特別税や自動卓の消費税割り増し税率での増税になったのか。取りやすいところから取るというだけの話か。法人税は高いといって抜本税制改革に入ったんだと思うが、結局またここにお願いして取りやすいという意味でのこういう措置なのか。これが一つ。  なぜこれが二年間の暫定措置なんだ。今年度の税収不足に対応するならば一年で結構です、これ。一年でいいはずです。なぜそれが二年の暫定措置に延びるのか。少なくとも、例えば自動車の消費税だって、もしこれから、どういう経済の運営がなされるかわかりませんが、税収にまた見通しが立つ、あるいは平成五年度の予算を議論するとき歳入にめどが立つならば、二年じゃなくて一年限り、少なくとも平成五年度からはまた消費税率を見直すという、そういう気持ちを込めた二年なのか、そこらが大事なところですね。ただ適当に、二年ぐらいの方が時間があって便利だというようなものであっては、余りにもずさんだと言わねばならぬ。できれば、本当に歳入の見通しが立つような状況になったならば、やはり二年じゃなくて一年にまた持ってくる。法人税も一緒ですね。というくらいの決意を私は語ってもらいたいし、そうなったならばそうするというぐらいのことでなければ、この二年というのはまさにずさんの上にずさんをかいたような私は増税策であると非難しなければなりません。その点について、どうですか。
  239. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この二年の臨時的な措置ということについての今御指摘があったわけでありますけれども、私ども今度の平成四年度の予算編成というものをするに当たりまして大変苦労したことを今申し上げたわけでありますけれども、そういう中にあって、どうも深刻化しておる税収の今の状況というのは、やはり平成五年にもまだ尾を引くであろうということ、これは見積もらざるを得なかったということであります。そして、今までもこういった措置というものをする場合に、おおむね二年間というものを今までの例としてやってきておるということなんかも考えながら、ともかく二年間だけひとつお願いをしようという決意で私どもはこれに臨んでおるということであります。
  240. 米沢隆

    米沢委員 二年の暫定措置の間に財政が立ち直っていけば一年でもそれは実現するというふうに、し直すということで私は聞きましたが、あと問題なのは、もしそれがうまくいかない場合に、二年たってもまだ大変だというような状況にあったときに、またぞろこれを延長するのではないのかなと。これは大蔵省のやり方ですから。という疑念と同時に、それまでの間、例えば国際貢献税の話が出ましたように、新しい増税構想みたいなものがこの二年間の間に構想がつくられて、そういうものがお化けとして出てくるのじゃないのかなという疑念と、そして、そういう増税構想が出てきたときには、どうも消費税の税率アップみたいなものが現実的な課題として出てくる、あるいは出そうという腹が、底意が大臣の中にあるんじゃないかな、この三つの疑念を払拭できない。これを、国民がわかりやすいように疑念を払拭してもらいたい。
  241. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 私ども、これからも、ただ今お願いしたものを変なふうに引きずるなんということを考えずに、やはり何としてもやらなければならないことは、予算の要するに限られた中における、あるいは厳しい中における予算編成をするに当たって、私はめり張りということを言ってきたわけでありますけれども、さらに、現在の制度ですとかあるいは補助金ですとか、そういったものなんかも見直しながら、まず何といっても歳出の削減というもの、これをやはり図っていくこと、それから、今米沢書記長の方からのお言葉の中にもありましたように、そういう過程の中にあって、やっぱり行財政改革というものをあわせて進めていかなければならないだろうと、いうふうに思っております。  そして、今消費税について、おまえ、また腹の中にあるんじゃないのかというお話があったわけでありますけれども、私ども、昨年の十月でございましたか、国会で議員立法でおつくりいただきました。あれをやっぱり定着させていくということが今最も大事なところでございまして、今私ども、この消費税をどうこういじるとかいうことについては一切念頭にないということだけを、もうこれは率直に申し上げておきたいと思っております。
  242. 米沢隆

    米沢委員 これは私の誤解であるかどうかわかりませんが、昨年十二月の参議院における大蔵委員会で、大蔵大臣は、私の在任中に税率を上げないと言えない立場を理解してほしいとおっしゃったそうな。これは本当なのかどうか。どういう意味ですか、これは。
  243. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 あのときの実は御質問は、今あなたは上げないとかと言っておるけれども私の在任中はとかあるいはこの内閣が続く間は一切上げませんと、そのことを、例えばかつて竹下首相あるいは橋本大蔵大臣ですか、あのときにそういうことを言われたけれども、まだあなたも私のやっている間は一切上げませんということを言いなさいということを言われたのです。  ただ、私はそのときに、税というものは、先ほど申し上げたように、増税というのは簡単にそんな考えられるものじゃありません。ですから、できるだけそんな増税なんてしないように、これは努めていくということであります。ただ、どうしてもこれは必要な問題というようなこともある。ただ、しゃくし定規に私の在任中はとかだれだれの間はという、そういう言い方というのは、どうも私は余り見識のあるあれじゃないんじゃないかなというふうに思うのですよなんということを率直に実は申し上げたことが、何か誤解を招いたのかなというふうに思っております。
  244. 米沢隆

    米沢委員 この消費税のアップについて、総理はどういうふうに今考えておられるか。今と言うたらちょっと問題だな、後になったら必要ですと言われたら困るので。消費税のアップについて、特にこの二年間の暫定措置がある間にいろいろ増税構想がまとめられるかもしれない、その際に有力な財源として考えることはないんでしょうねという点について見解を求めたい。
  245. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 消費税率を上げることは考えておりません。
  246. 米沢隆

    米沢委員 この消費税が決まったときの国会は、総理にとってはいろいろと思い出のある国会だと思うのですね、大蔵大臣をやめられたり。  しかし、忘れてならぬことは、ちょうど消費税の税率をどう抑制していくかということに関して、少なくとも行財政改革の推進と消費税の率の歯どめについてという、自民と民社で書記長一幹事長間でちゃんと約束事がある。それで、ちょうどこの税制特別委員会には行財政改革の推進についてという一つ決意を述べられた文章も回ってき、我々はそれを見ておる。その中にはいろいろと行財政の指示が書いてあるのですね。今私もここを翻って読んでみました。その中には少々進んだものもありますけれども、大事なところは大部分が残っておるのですね、これ。  何か僕は総理の所信表明演説を聞いて、歴代の総理大臣は行革というのを大体柱にしてかなり力んで言っておられたけれども、今度、宮澤さんの演説だけは何か行革なんか忘れてしまう内閣総理大臣ではないのかなと僕は思ったのです。もしそうであれば、一番安易な方向に行きがちな人もこの人かな、そう思ったのですが。行財政改革、特に財政の再建の道はかなり厳しいですね、五%なんというのは。その上、要調整額なんかの数字を見ると、とてもじゃないが今の勢いで今度の歳出をカットすることはできないであろうと思ったりするのです。  やはり一番の根底は行政改革ですね。いろいろ行革審の答申した中身を一生懸命頑張っておるとおっしゃいますけれども、許認可の件数なんかふえておるのですからね、逆に。そんなことを言いながら進んでおるとは僕は言わせない。もっと行財政改革も徹底的にやってもらわにゃなりませんね、これは。だから、我々民社党がよく言いますように、せめて五カ年計画ぐらいつくって行革をぽんぽんぼんぼんけったたきまくったらどうだという、これは勢いも込めて言っておるのですよ。宮澤さんになると行革はどうもへっこむような気がするんだけれども、どうなんですか。
  247. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 行政改革がまだ大きな部分がし残されているというふうに私は考えていまして、一つは中央から地方へという問題でございます。もう一つは官から民へと言われる問題であります。それから最後は許認可。この三つの一番大事な部分が実は大変にまだまだ、日暮れてとは申しませんが道遠しという感じでございますから、大事なことだと思っております。  それで、消費税のことはでございますね、確かに今税収が非常に不振でございますけれども、これはやはり日本経済の運営の仕方によることであって、日本経済がうまく回り始めますと増税なんかはしなくてもまだまだ税収は入ってくる、それだけの私は力を持っている経済だと思っておりますものですから、消費税の増税なんということは考えずに、むしろ国民経済活動を活発にして、そしてその結果として政府が自然増収をいただく、こういう経済運営を私はしていかなければいけないんだというふうに思っています。
  248. 米沢隆

    米沢委員 国債依存度を五%に抑えるなんというのは、非常にこれは難しい目標ですね。そういう意味で、安易に増税に頼るのではなくて、徹底的に行財政改革をするということで私は一生懸命頑張ってもらわねばならぬ。特に、行革、行革と言っておりますが、年末になっていつも私が思うのは、年末に何とか大会、何とか大会と各省庁ごとに全国から集めて、そのたびごとに市町村や議員の皆さんが来て何泊もして、あんなむだなことをやめずして何で行革やっていますと言えるのかなと、いつも僕はそう思うんですよ。まあ、あれは相当の地方財政の負担ですよ。迷惑ですよ。しかし何か大蔵省と予算の折衝をするときには勢いがあった方がいいというわけで、同じ人が建設省に行ったり運輸省に行ったり、回っておるわけだから、農林省に行ったり、そして数の勢いで大蔵省に向かおう。せめてこれぐらいやめてくれませんかね。建設大臣、あんな会議がないと大蔵省と折衝できないんですか、本当に。一回ちょっと聞いてみたいな。
  249. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 私は長年先生と同じような感想を持ったこともございますが、建設省に参りまして、全国の四十七都道府県あるいは三千三百の市町村がいかに社会資本の充実を強く望んでいるか、その情熱のあらわれでもございまして、その熱意に動かされる点も多々ございます。この問題の評価はいろいろあろうかと思いますが、いずれにいたしましても政治は情熱であるという観点も無視できないと存じます。
  250. 米沢隆

    米沢委員 どう否定しても中央集権の政治ですから、地方から来て説明するぐらいのことはまだあってもいいけれども、あれはいわば官製ですよね。みずからみんな集まってやろうじゃないかじゃなくて、おおい集まってくれよ、集まらぬとおまえ予算をやらぬぞというようなものが本音じゃないですか。僕は、ぜひことしの年末の予算編成の時期、もっと地方公共団体にそんなに迷惑かけないような方向をとってもらいたいと思うし、大蔵大臣、そんな大会を開いたらもう予算折衝に応じないぐらいのことを言ったらどうですか。  さて次は、時間もありませんので、パート減税についてちょっと伺っておきたいと思います。  御案内のとおり、この問題は長いこと国会の議論になってまいりました。今は主婦がパートタイマーとして給与収入及び内職収入がある場合には、現在のところバート収入が年間百万以下なら夫の所得から配偶者控除を受けることができ、なおかつ配偶者自身に所得税がかからない。逆に、百万を超えると配偶者控除は受けられずに所得税がかかるようになる。同時に、百万という前後で、企業が出しておりますいわゆる扶養手当というのか、家族手当というのか、配偶者手当というのか、そういうものが打ち切られるところが意外に多い。大体六割ぐらいの企業が六千円から一万ぐらいの扶養手当を出していますが、奥さんが百万を超えるころになると打ち切ってしまうのですね。これは結構痛いのですね。一万だと十二万ですから、年間。そういうところに百万という単位が大体あもわけですね。そして、百十万になると、百二十万に新しくなったんですが、雇用保険、雇用保険は九十万ですね、まず雇用保険にかかり出す。百二十万ぐらいになると健康保険や年金などの社会保険料がどんどんかかってくる。  そういうことになりますと、いわゆる四つのテトラショックですね、かかりまして、百万ぐらいからそれ以上稼ぐとやめた方がいい、じっとして仕事行かぬ方がいいというのが今はやっておるわけですね。労働省の調査なんかによりましても大体二、三割の皆さんが所得調整する、夫婦における合算した可処分所得が一挙に減るものですから。だから、百万前後を境にしてみんなそういうふうに出す方が多くなるものですから、そんなことならばじっとしていた方がいい。そのかわり、現在のように労働力不足の時代は経営者は年末になると大変なんですね、もう百万以上になりますからちょっと済みませんが来年まで休みます、と。  そういう意味で、やはりこのパート減税、今は百万ですが、百五十万ぐらいになることを考えてあげたらどうなんだ、生活大国と言うんだから。そしてまた、こういう皆さんが日本経済を支えていることも事実でございますから。さあ、工夫の方法がない、税金の体系的な議論をすると整合性がとれないというのがいつも大蔵省の言うことなんでございますが、あれだけ約束裏切ったり公約裏切ったりいろんな便法をとる大蔵省なんだから、本当にその気があれば私はできぬことはない。  例えば、転作奨励金のときに、あれを一時所得とみなしてがくっと減税やりますね、あんな方法をパートに適用できないのか、あるいは、所得税本法にパート所得という別の項目つくって、そこに給与所得控除あたりを、高額のものを普通の人。よりも高いものをセットすることはできないのかとか、あるいはパート労働者に控除を別につける、勤労学生控除みたいなものを加えることはできないのかとか、知恵を絞れば僕は何ぼでもある。内職者の場合には、昔は事業収入だからだめだというのを給与所得と同じょうに扱いましょうという温情も出てきた経緯がある。そういう意味で、せめて百五十万ぐらいのところを境にしてあげないと、僕は、ちょっと中小企業も困るし、パートの皆さんも年間百万で、百万あたりで一挙に出る金が多くなるというのはちょっと気の毒じゃないのかなと思うんです。整合性言えばいろいろ理屈がありましょうが、これは大蔵大臣、あなたいい男だから、ぜひそのあたりはわきまえて、パート減税百五十万ぐらいは何らかの工夫でやりましょうぐらいの約束がもらえないのかな。  同時に、厚生大臣にお願いしたいのは、いわゆる告示によって決まっておる健康保険やあるいは年金の保険料支払いを始める年収、ことしの一月に変わったそうでございますが、ここらをせめて百五十万ぐらいに引き上げてあげたら、少々はこういう年末になってパートの皆さんが所得調整をするようなことはないのではないかなと思うのですが、どちらもいい男ですから、いい答えをもらいたいなと思うのです。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 それこそ歌を歌われるがごとく非常におおらかな御質問でございますけれども、だから私も調子よくお答えができれば本当はいいのですけれども、ただ、税のところからいきますと、御夫婦でおよそ三百六十四万二千円ですか、このぐらいまでは全く所得税もかからないというところまで来ておるということからいきますと、この税の分野でこれをやるということになると、これはもう整合性がないということより、むしろ税負担の公平の面から問題があるのじゃないのかなというふうに思っております。その意味で、家族手当の問題ですとかあるいは健康保険の問題ですとか、そういった問題というのは別のおのおのの分野で解決していくべき問題で、税の問題でやるというのは私は無理があるのじゃないのかな、これを率直に申し上げておきたいと思います。
  252. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいまの所得の基準でございますけれども、これは年々所得が上がるにつれて若干は改正。してきております。逐次改立をしてきておりますけれども一つは、被保険者の保険料の負担ということもありますし、それから他の保険料負担とのバランス、例えば、他の被保険者でOLの皆さんが百二十万の所得があった場合には年間約五万円保険料がかかっている。ですから一応それと合わせなければ、これだけがずば抜けて高くなるということはちょっと余りにもバランスを欠くのじゃないかと思うのでございますが。
  253. 米沢隆

    米沢委員 その整合性の議論をすれば大変言いにくいなというところを前提にして言うたんですからね。ぜひパート所得者の皆さん方の減税といいましょうか、百万の足切りを高める努力をしてもらいたい。試算をしましても、まあ扶養手当を何ばに見るかのあれはありますが、大体一万円から一万六千円ぐらいの間で扶養手当が企業から払われておりますが、そのあたりを計算をしますと、大体百万から一挙に、超えた途端に四十万前後の金が要るのです、ばあっと。入らなくなるんですね。入らなくなると出さないかんことになりまして、したがって、百五十万以上ぐらいでないと、結局やめずに所得調整もせずに働きますということになりにくいというのが実情ですから、まあ数字だけで人生を語るんじゃなくて、もっと、先ほどだれか言ってたな、情で人生を語る、せめて助けるぐらいのことをしてもらいたいな、そう思います。  それから次は、防衛問題について聞きたいと思います。  我々は、我が国の安全と平和を守るために必要最小限度の防衛力を確保して、もってみずからの安全保障に責任を果たすことは独立国家として当然だと思っておりますし、そういう見地から今日まで我々は専守防衛、非核三原則の立場に立って、現実に必要な防衛力については徹底的な効率化、合理化に意を用いつつ、着実にその整備を図っていくべきだという姿勢を貫いてきたわけです。  近年、国際情勢が大変激変しておりまして、世界が軍縮に向かって大きく動いている中で、果たして我が国の防衛政策はこれでいいのか、従前のままでいいのかという問題が今日数多く提起されて、今国会の焦点になっていることは御案内のとおりであります。  確かにこの数年来、東西冷戦の終えんという歴史的な転換期にありまして世界的に緊張緩和が進む、軍縮の動きが加速されて、アメリカや欧州各国がその防衛政策を大きく見直して、軍縮や軍事支出の大幅な削減に乗り出しているのが今日の姿である、これは事実であります。とりわけ我が国にとりまして直接脅威といいましょうか、潜在脅威といいましょうか、ソ連邦が解体される。ソ連共産党が七十二年の歴史を閉じる。そして、北方領土に展開しておる軍事力も撤退しようという話がある。新しくできたロシア共和国も軍隊を減らすとおっしゃっておる。独立国家共同体の軍備の管理がこれからどうなるかという非常に心配はありますけれども、いわゆる旧ソ連邦の極東における軍事プレゼンスは大きく減りつつある兆しかあるということは、これは客観的な事実だと思うのです。  こういう我が国を取り巻く情勢が激変しておるのに、我が国の防衛力はそれでいいのか。これが素直な国民の私は疑問だと思うし、同時に、こういう状況なんだから防衛費は抑制的に組まれねばならぬじゃないか。ところが、見ると平成四年度の防衛費は若干といえどもふえておる。一体本当にやっておるのかなという、それがまた国民の率直な疑問だと思うのです。そういうものに私はわかりやすく説明を加えてもらわねばならぬ。  確かに、東西冷戦の終結を受けまして、核戦力が海外に展開しておる、グローバルに展開してお岩国ががばっと軍備費を削るというのは、これは逆に言うたら簡単なところが実際あるのですよ。ところが、日本のように基盤的な防衛力を、別表そのものを一挙にメスを入れて削れと言っても、これはちょっと難しいところがある。これは専門家にはわかるけれども、余り国民にはわかりにくい話ではあるのですね。だから僕、こんな話が出たら、小錦が二十キロ削みのと舞の海が二十キロ削るのとは全然違うのです、それは。舞の海は、二十キロ削られたら相撲はとれませんね。そういうところがもっと説明されねばならぬ、そう思っておるわけです。  我々は決して、軍縮が始まったから防衛なんか要らないよとか自衛隊要らないよなんていう無責任な議論にくみしようとは思わないけれども、現在の世界の激変を受けて、やはりそれなりに我が国もその情勢を的確に分析をして我が国の防衛のあり方はどうかということを考えていくことがこれからの平和国家の務めだ、こう思うんです。  その点について、今までもいろいろな議論がありまして、新聞にもちょくちょく書いてありますけれども、一回総括的に、今、日本が何を考えておるのか、どういう目標を掲げてやろうとしておるのか、その時期はいつごろになっていくのかということを総体的に、わかりやすく説明してもらいたい。
  254. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 お答え申し上げます。  大変防衛について造詣の深い、また御理解をいただいております米沢先生の御指摘でございますが、ただいま広範な問題についての御指摘がございましたので、若干お時間をちょうだいしたいと存じます。  まず国際軍事情勢の認識でございますが、これは先生御指摘のように、冷戦の終えんあるいはソ連の消滅等平和と安定への流れがあることは、もう指摘するまでもございません。しかしながら、やはり依然として多くの、例えば民族問題、宗教問題、地域問題等の不安定要因が存在していることも事実でございます。  我々はそういう認識を持っておりますが、特にアジアにおきましては緊張緩和へ向けて注目すべき動きが存在しております。南北朝鮮の国連への同時加盟でございますとか、あるいはカンボジアの包括和平の実現、調印というようなこともございます。しかしながら、無条件で安心していいかといいますと、この地域のアジアの情勢は複雑かつ未解決の諸問題が存在いたしております。朝鮮問題あるいは今論ぜられておる北方領土問題等々でございます。また、御指摘のように極東ソ連軍は、旧ソ連の解体ということもございますけれども、依然として質あ高い防衛力が現に存在しておることも事実でございますし、その成り行きがどうなるかということも私ども不透明でございまして、これはあわせて注目しなければなりません。また、北朝鮮の核関連施設の問題は今非常に議論されておりますけれども、この問題の実行性の問題、それからまた、地対地ミサイルの、スカッドミサイルの長射程化への懸念等も私ども大きな不安定要因だと考えております。  そういう中で現在我が国の防衛の基本思想はどうかということでございますが、これは今先生御指摘のように、大綱に書かれておりますことは、我が国には力の空白があってはならない、必要最小限度の自衛力を持つんだ、そして攻められたときにのみ民族の自由と独立を守るんだ、こういう体制であることは事実でございます。そしてまた、今御指摘我が国の防衛の基本原則つまり専守防衛あるいは非核三原則等々、これは申し上げるまでもございませんが、そのような立場に立っております。  ところで、今問題になっております中期防の問題とそれから防衛計画大綱の問題が議論をされておりますので、その点に分けて申し上げたいと存じますけれども、まず中期防は、これは一昨年の十二月の二十日に制定されました。しかしこれは、御案内のように当時は既に東西ドイツの統一もございましたし、東欧の民主化も進んでおりました。そしてソビエトの動向もほぼ予測し得る方向にございまして、私どもはこういう状況を背景に考えながら中期防を策定したものでございます。  そうして、東西冷戦が終えんするという国際の情勢の変化を織り込んだものとして我々は考えておりますけれども、例えば、具体的に申しますと、この中期防の防衛関係費の平均実質伸率、これは私ども数字だけで議論を云々ということではございませんが、マクロ的に見るとそれが非常に重要なことだと存じますので申し上げますが、前期中期防よりかなり抑制されております。つまり、六十一年がち平成二年までの防衛計画は全体として平均伸率実質五・四%でございましたが、今回、今行われております、すなわち平成三年度から七年度までの中期防衛力整備計画が三・〇%ということになっております。  また、いろいろの正面装備につきましても、戦車あるいは護衛艦の保有量を前期中期防よりも減少をいたしております。例えば、戦車で申しますと、前中期防では千二百五両ございましたが、千百三十六両にする、あるいは護衛艦も六十二隻を五十八隻にするというようなことどももございます。また特に、私どもは後方を非常に重視いたしておりますが、問題は正面の装備でございますが、この正面装備は、防衛庁の契約の特質として、国庫債務負担行為等によって後年度負担を求める契約方式をとっておりますが、この契約ベースの平均実質伸率を見ましても、前期中期防に対しまして大幅にマイナスとなっております。つまり、前期中期防では七・七%の上昇傾向にございましたけれども、今回の、今実施中の中期防はマイナス二・三%という下方ダウンを示しております。  そういうことでございますが、なお、その後の変化、つまり中期防を策定いたしました一昨年の暮れ以降、ソ連の昨年の消滅その地大きな変化がなお続いておりますので、この中期防の中に今までの防衛計画では規定されておりませんでした三年後に必要に応じて計画修正を行うという仕組みがビルトインをされておるわけでございまして、この点は、議論たびたびございますように、昨年の十二月二十八日の安全保障会議におきまして、総理の御指示もございまして、こういう激動しつつある状況を見きわめつつ、中期防の修正につきまして前広に所要の検討に着手してほしいということでございますので、ただいま防衛力検討委員会をつくりまして、鋭意検討を急ぎつつあるところでございますけれども、どういう点がまあ議論になるかといいますと、これは中期防自体の中で定められているいろいろ各種の事業、装備等がございますが、その優先順位をどうするか、あるいは防衛力全体の中の位置づけをどうするか等々、これを問題を提起して考えてまいりたい、このように思っております。  なお、先ほども公明党の市川書記長に御答弁申し上げましたように、この点につきましては、昨年一千億の正面装備の問題についてもお答え申し上げましたが、これははっきり今期二十二兆七千五百億円の中から削減することは予定をいたしております。  それから第二番目の大きな問題といたしましては、防衛計画の大綱の見直し論の問題でございます。  これは実は、これも中期防の中に一部触れられております。つまり、どういうように触れられておるかというと、人的な制約要因がございます。これから自衛官を募集するにしてもなかなか困難でございますから、そういう人的な制約要因等を勘案しながら防衛力のあり方について検討しょうということが、これも定められております。これも今期中期防の特色でございます。ビルトインされいるわけでございます。  そこで、今この問題につきましては、防衛庁内部でいろいろ事務的に勉強をいたしまして、本計画期間中に結論を得て、次期防にこれをぜひ反映さしたいと思っておりますが、考慮すべき要素としては、短期間ではなかなか結論を得られない問題ばかりでございます。つまり、この人的資源の制約がどういう状況に今後なるであろうか、あるいは技術水準の動向はどうなるであろうか、あるいは駐屯地のあり方等はどうなるであろうか等々、あるいは組織編成はどうなるであろうか、また対象も広範でございまして、定数、編成の見直し等も必要でございます。  そういう意味で、長中期的な観点から立ってこれをやろうということが防衛計画の中に定められておりますので、これも私どもは、これは先生はまあ専門家でいらっしゃいますからよくおわかりと存じますが、かなり時間を要する問題でございますが、やってまいりたいということでございまして、私どもは、今後の検討の結果によりましては、総理が申されておりますように大綱の別表の変更、そしてまた、大綱の別表というのはそれだけ、単独ではございませんで、本文の中にもこれに密接に関連する部分がございます。つまり、陸上、海上、航空自衛隊の体制の問題について記述がございますが、それと連動をいたしておりますので、当然そうした問題が検討の対象になるであろうということは明白でございます。総理もそう」いう趣旨で本会議等において述べられたものというように私ども理解をいたしております。  しかしながら、大綱の情勢判断あるいは別表の見直し等に及ぶことがあり得ても、先ほど申しましたように、大綱の基本的な考え方、つまり基盤的防衛力構想、これは申し上げるまでもございませんけれども、軍事的脅威に直接対抗するよりも、みずからが力の空白となってこの地域の不安定要因とならない、この基本的な理念は、あるいは防衛政策は堅持していきたいということでございます。なお、簡単に申し上げますが、包括的な質問でございますから、もうしばらく、ちょっとあれしてください。  米国や欧州やアジアの状況も申されましたね。これは確かにそうでございますが、米国、欧州の戦略的な問題、これは、米国は戦略核を中心としたグローバルな兵力削減、再編成計画です。英国もやっておりますけれども、NATOからの兵力の削減です。ドイツも統一の際の国際公約でやっておりますね。しかし、私がここで申し上げたい点は、不安定性を持っております、ただいま申し上げましたアジア等におきましては、中国あるいは韓国など、ほかのASEAN諸国も防衛費を削減している国はございません。これはあったらまた御指摘をいただきたいんですが、そういう状況でございます。  私どもはそういう観点からこれからの防衛問題を考えていきたいと存じておりますので、どうかその点は御理解いただきたい。多少長くなって恐縮でございましたが、基本的なことでございますので申し上げた次第でございます。
  255. 米沢隆

    米沢委員 宮下防衛庁長官答弁が長いので簡単にしてくれというふうに注文をつけておったのですが、まあ私も質問の仕方が悪かったのでしょう。御苦労さまでした。  いろいろと中期防等の中において二段階構えで御検討がなされておる、これは結構なことだと思います。結果的には、私は、数字がひとり歩きするのではなくて、中期防を真剣に議論した上で結果として数字は出てくるものだ。やはりこれほど世界が大きく激動する中で、我が国の防衛のあり方が真剣に根本から見直される必要があることは、これは事実でございます。今後PKO法案等が通る、また、自衛官の皆さん方が働くということになりますと、訓練のしようから装備の問題までこれは変わってくるでしょうし、あるいは現在のハイテク、近代化というものにどういうふうに対応していくのか、あるいはそれにどれだけの人間が要るのか、軍縮という流れの中であるべき姿はどういうふうに描けばいいのか。これは非常に、口で言うたら簡単でございますが、大変難しいことではあったとしても、やはり軍事大国にならない防衛力とは一体どうなんだ、あるいはまた、世界の情勢に対応して変化していく防衛とは一体何なんだ、しかし毅然として我が国は守るという気概を示すための防衛力とは一体何なんだ、まあ課題は非常に大きいかもしれませんけれども、ぜひ、防衛庁もかたくなにならず、防衛費を聖域と思わず、私は、合理化、効率化。徹底的に見直していくという目を鋭く研いで頑張ってもらいたいと思います。  それから、プルトニウムの輸送について触れてみたいと思います。  総理は、御承知のとおり、先ほどの国連安保サミットにおきまして演説をされ、旧ソ連の解体と新たな独立国家共同体の誕生に伴って生ずる核兵器の製造設備、技術の拡散防止は緊急な世界的課題だと強調されました。核不拡散と核資材の厳重管理を世界に指摘されたことは、全くこれは同感であります。  翻って我が国は、御案内のとおり、原子力発電用のプルトニウム輸送がことし秋に始まります。このため、護衛体制は、平成元年の十二月に関係閣僚打合会で海上保安庁の巡視船によるとの方針を政府は決めて、既に護衛艦の巡視船も建造されているのが実情です。しかし、その後の国際情勢の変化から、核物質の流出や核拡散の防止という厳重管理が緊急な課題となっておるのは御案内のとおりでありまして、今回の総理の国連安保サミット発言となったのもそういう理由からではなかったのかと思うのです。そういう意味で、プルトニウムの輸送は巡視船一そうだけの護衛体制で十分なのか、この際最善の護衛体制を再検討して柔軟な検討をしてもらいたいというのが私の意見です。どうですか。
  256. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 本件については、かねて、平成元年でございますかに関係閣僚間で決定をいたしておりまして、海上における犯罪の予防、鎮圧は第一義的に海上保安庁の任務である、したがいまして、海上輸送の護衛船を新しく建造する必要があるということになりました。以来、この建造をいたしておりまして、本年四月にこの護衛船が完成をいたします。  そこで、海上保安庁のこの巡視船を護衛船として充てまして、この輸送が安全かつ確実に実施されるように万全を期してまいりたいと考えております。このことにつきましては、アメリカ政府との協議において、海上保安庁の巡視船による護衛で対応するということに米側も了承しているというふうに承知をいたしております。
  257. 米沢隆

    米沢委員 核ジャックなんというのは想像されておりますか。核ジャックなんというのは起こり得ると思っていますか、起こり得ないと思っていますか、総理
  258. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、思わないことが起こる世の中でございますから、そういうことは決して起こらないというようなことを申し上げるわけにはまいらぬかと思いますが、我々としてはベストを尽くして万全を期したいと考えております。
  259. 米沢隆

    米沢委員 私どもは、核兵器の不拡散あるいはまたそういう核ジャックというものに対して対処するためには、護衛艦では非常に難しいのではないかな。何も起こらなければ、それは一番いいですよ。しかし、万一ということを考えたときに、この護衛艦そのものも、水平線は見えますが、空からは対応できない、水中から来られたらわからないというようなものでは、本当に万全を期してプルトニウムを運ぶという趣旨からしてちょっと弱いのではないか。  かねてから、これは言い続けてきましたし、今回、掃海艇あたりに自衛官の皆さんが行かれる。なぜこれ、このプルトニウムの輸送だけ自衛官の皆さんを使えないのか。完全にこれは平和目的ですね。戦争に行くわけでもない。そして、わざわざ二百億もかけて護衛艦をつくって、それも頼りない護衛をする。頼りないと言うと怒られますが、万全を期しておるということでしょうが、普通の万全の期し方もちょっと弱いのではないかという意見を持ち続けております。もう一回、そういう意味では再検討される必要があるのではないか。再度答弁いただきたい。——もう長いからいいです。長いからいい。
  260. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 簡単に申し上げます。  これは、総理が御答弁いただきましたように、プルトニウムの海上輸送関係閣僚打合会、平成元年の十二月十九日でございますが、その決定に基づきまして、補正でその護衛艦を、海上保安庁の護衛艦をつくるということでございまして、私どもといたしましては、海上自衛隊の自衛艦の派遣が必要となるような事態はないものというように考えておるところでございます。
  261. 米沢隆

    米沢委員 最後に、対ソ支援と北方領土の問題をちょっと聞かせてもらいたい。  この前、日ロの首脳会談の中では、総理は記者会見で、かなり北方領土に明るい見通しが立ったような会見をされたそうでございます。いろいろとこれから、九月のエリツィンさんの来日まで数次のいろいろな交渉事がありますが、その間で本当に前進するかしないか、国民は注視しておると思うのです。しかし、今ああいう状況でございますから、一体安定性があるのかどうかとか、だれと話をしたらいいのかとかいうようなところもあると思いますが、少なくとも、我々は対ソ支援という形で緊急的に援助しながら、そして北方領土をいい話を引き出そうというところでございますので、ぜひ、対ソ支援のあり方と北方領土をどう絡めて今外務大臣は交渉しようという腹があるのか、できれば道筋を教えてもらいたいし、どういう構想で北方領土を取り返すという算段をしておられるのか、一回聞かせてもらいたいと思います。
  262. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 もう時間もありませんから意を尽くせませんかもしれませんが、簡単に申し上げますと、北方領土、これは我が国固有の領土であります。たまさか新政権は、北方領土問題については解決済みという態度でなく、やはり法と正義に基づいて解決しようということでございますので、我々は目下額面どおりこれは受けとめていきたい、そう考えております。  もう一つは、ソ連の民主化、自由化あるいは市場経済化、こういうことは我々と同じ価値観を持つ国家として生まれ変わるということでございますので、安全保障上の問題、その他いろいろな関係がございます。これは日本だけの問題ではなくて、世界の政治経済に大きな影響を及ぼすことは間違いない。したがって、それらに対しましては、技術支援あるいは人道上の今困っている現状に対して日本としてはできるだけ応援をしてまいりたい、そう考えております。  しかしながら、何と申しましても我が国固有の領土であるという問題を避けて平和条約を結ぶことはできません。したがって、平和条約は、たまたま新政権は作業グループをつくって条約の準備交渉を始めよう、こういうようなことなので、これは進めていく。あるいは、コスイレフ外務大臣が三月にその状況を見ながらこちらにおいでになる。それから九月には中旬に大統領が日本に来るということを約束された。別に領土問題が解決したわけではもちろんございません。これからの問題でございますが、そういうような交渉の場が正式にセットされつつあるということで、粘り強くやってまいりたい、さよう考えております。
  263. 米沢隆

    米沢委員 残余の質問が残りましたが、最後にまたもとに返りますが、共和事件あるいはリクルート事件の宮澤首相に関する疑惑の真相解明のために、我々民社党も証人喚問を求めたいと思います。  まず、とりあえず塩崎代議士の喚問を求めます。そして、春名和雄丸紅会長、松井共和の破産管財人を参考人として呼ぶことを提案します。  そのほか候補者はたくさんありますが、また予算委員会理事会の方に我が党の中野議員の方から具体的な名前を提案させていただきたいと思いますので、よろしくお取り計らいをいただきたいと存じます。
  264. 山村新治郎

    山村委員長 先ほどの米沢委員質問に対して、官房長官から答弁を申し上げるとのことであります。官房長官
  265. 加藤紘一

    加藤国務大臣 共和の方から宏池会に政治資金が来ていることはございません。また、共和のお金が総裁選挙に使われたのではないか、阿部さんが事務総長であったから、という御質問の御趣旨であったようでございますが、阿部議員が宏池会の事務総長になりましたのは昨年の都知事選挙の後の四月でございまして、共和というのはそれから半年も前にいわゆる二千五百億ほどの負債を抱えて和議を申請している状況でございまして、それで阿部さんの事務総長就任後、一月して破産いたしているわけですから、そういうようなことはあり得ないことでございます。
  266. 米沢隆

    米沢委員 終わります。
  267. 山村新治郎

    山村委員長 米沢委員に申し上げます。  委員要求の証人、参考人につきましては、理事会において協議をさせていただきます。  これにて米沢君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  268. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、進民連を代表して質問をいたしたいと存じます。  今提案されております平成四年度の予算には増税分が含まれております。羽田大臣、聞いとってください。増税分が含まれていますね、五千三、四百億ですか。去年からの地価税の値上がり分を入れると、トータルで七千四百億ぐらいの増税でしょう。一方に国民に増税をお願いする場合に、片一方で議員がこっそり税金をつまみ食いしたり、あるいはダーティーな金をゆすったりしている。そういうことで国民はその増税を納得しますか。だから私は、これはこの予算審議とは切って離せない問題だ、そのように認識をいたしております。  時間が少のうございますからずばり本論に入りますけれども、私も国会に籍を置いて三十年になりますが、まあ昭和四十一年の、印象に残っている事件から言えば佐藤内閣時代の黒い霧事件、そして五十一年のロッキード事件、五十三、四年のいわゆるダグラス・グラマン事件、そしてリクルート事件、なぜこんなにこの種の事件が後を絶たないんでしょうかね。私は、大きく考えて二つあると思うんです。一つは、そういうあだ花が咲く土壌というものがある。その土壌をつぶさない限り、時間がたてばまたあだ花が咲いてまいります。その土壌とは一体何か。それは、一言で言えば政官財の癒着の利権構造であります。そこにメスを入れなくちゃだめなんです。これが土壌なんです。もう一つは、毎回真相解明が行われない。病気でもそうでしょう。胃がんの方にお医者が、ああこれは胃潰瘍だといって処方せんしたって、胃がんだったら死んでしまいますよ。それと同じように、真相を解明しなくちゃ本当の対処策は出てこない。きょうは時間がないから次にずっと今までの経過言いますけれども、そう思います。  それで、真相解明を阻んでおるものは何か。我々の体験上は、一つは証人喚問がなかなか実現しない。それは、満場一致というルールがあって、実際上難しい。御案内のとおりです。二番目に、情報公開が行われない。公務員の守秘義務あるいは企業企業秘密、そしてプライバシーというやつですね。これが今から言うやつでも出てまいりますから、だから真相解明ができない。それで真の対処ができない。それで、その途中経過を省いていきなり政治改革、政治改革といったって、何遍やったって同じことですよ。その実例を私はこの次に詳しく言いますよ。  それで、私はちょっと、本会議からかれこれきのうの質問を聞いておりまして、非常に気になる総理の御答弁がありました。きょうもちょっとそういう御答弁があったようです。きょうは公明党の市川書記長の質問に対して、いわゆる阿部議員の問題に対する質問に対してこう答弁されましたね。「もとより事態はこれから裁判によって決定せられますので、御本人が無実であることを心からこいねがっております」。私はそのとおり筆記しました。法務大臣、法務大臣もそうお考えですか。
  269. 田原隆

    ○田原国務大臣 法務省としては、そういう共和の疑いで逮捕し、現在まで捜査してまいって起訴し、それからきょうは保釈になったわけでありますが、総理のお気持ちは気持ちといたしまして、法務省としては厳正、公正にやってきたつもりでありますので、これから公判に対して臨むことになると思います。
  270. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと私、戦争のとき左の耳傷めておりますから、大きい声で言ってください。  私は、加藤委員が阿部逮捕の翌日の閣議後の記者会見における法務大臣の言われたことを取り上げられましたね。あれも非常に重大な発言ですよ。本来、総理大臣、「無実であることを心からこいねがっております。」個人ならいいですよ、あなたが友人として。あなたは総理大臣です。無実であることを心からこいねがうということは、裏を返せば検察なり特捜不信の表明じゃないですか、そうでしょう。間違いであってほしい、特捜が間違って逮捕した、起訴した、そうあってほしいということでしょう、裏返せば。こういうことは総理大臣としては発言を慎まれないと、これがいわゆる形を変えた指揮権の発動になるのです。  それで私は、今法務大臣はちょっとしおらしくおっしゃったが、先ほど加藤委員も取り上げた、ああいう考えだと、個人ならいいけれども、法務大臣として公の場でああいうことを言われたんじゃ、あなたもいわゆる陰で圧力をかけている、そう感じますよ。だから、検察の一部ではああいう発言はやめてもらいたいというあれが出ているでしょう。そういう根があるのです、そういう根が。それを今から私は事実をもって申し上げます。  それでもう一つ不破委員も取り上げましたが、もう司直の手に渡っているから真相はそこで解明されるいそれはそれだけじゃだめなんですよ、総理大臣国会には国会の国政調査権がある。かつてのロッキード事件のときどうでしたか。検察の強制捜査力とそして国会の国政調査権が車の両輪となってあの真相解明をやったじゃありませんか。つまり、証人喚問して、偽証ということで何人かが逮捕されて突破口をつくったんですよ。あれは国政調査権の成果です。だから、全部を司法にゆだねるのではなくして、国会国会でこの問題を明確にする必要がある。  しかも、私から言わせるならば、ロッキード事件の教訓としていわゆる国会法第十五章の二というものを設けて、そしてそこで政治倫理というものを新しく加えたじゃないですか。阿部さんの行為はまず個人の判断なんて、そんな悠長な問題じゃない。これは国会法に違反している。第十五章の二「政治倫理」第百二十四条の二、つまりここで政治倫理綱領及び行為規範というものを昭和六十年につくった。それを読んでごらんなさい。国会議員にとって国会法は憲法ですから、この議院手帖に書いてある。それを私はリクルートのときに初めて福岡の記者会見で公にした。そして土井たか子、当時の社会党委員長がその新聞記事を見て、代表質問で使いたいからといって言ってこられました。だから私は、この国会法に違反するんだから、国会がこれを裁くべきです、阿部議員を。総理大臣もそうだと思うんです。そういう態度でひとつお考えをいただきたい。これは要望しておきます。
  271. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほど御指摘の私の発言でございますが、阿部議員が、憲法に定められたあらゆる保護を受ける権利があるということを申し上げるつもりでございましたけれども、無実であることをこいねがっているという発言は、内閣総理大臣としては不適当でございました。撤回いたします。
  272. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 非常に素直な御答弁で、そのとおりでよかったと思います。私は、これは総理大臣発言としては、友人としてはだれでもそう思うでしょう、友人としては。しかし、そういう総理大臣として、しかも宏池会の事務総長をされておった人ですからね。お慎みになりましたから、訂正されましたから、それはもうそれでよろしゅうございましょう。  それで、私はちょっと建設大臣にお伺いしておきますが、私と同じ選挙区で中学の後輩でおめでとうございました。簡単な質問です。先輩ですから配慮しております。  各地方建設局、これは北海道を除いて八つぐらいあるのでしょう。そして、一億円以上の工事については上限がなく、地建局長の権限にゆだねられておる、それ以下は、いわゆる工事事務所長にゆだねられておる、これは間違いないですね。
  273. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先輩にお答えいたします、  地方建設局め所掌する工事等に係る契約の締結等の事務につきましては、支出負担行為担当官である地方建設局長が行うこととなっております。原則として、予定価格が一億円以下の工事、計画、調査、測量、設計等につきましては、分任支出負担行為担当官である工事事務所長にその事務が委任されております。
  274. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が申し上げたとおりで、時間が短いから、おっしゃるとおりと答弁されたらいいんですよね。それほど地建の局長の権限は大きいものがあるんです。だから、みんな建設業者は地建の局長におびえている。  それで、私は法務大臣とは言葉を交わしたことはありません。個人的には何の恨みつらみはございません。それで、法務大臣に対して検事のような質問の仕方は失礼ですから、私はそれを慎みますから、できるだけそれを考えながらお伺いをしてまいりたいと思います。  法務大臣は、かつて九州の佐伯の工事事務所長をされて、本省の河川局防災課長を綴られて、五十年七月から五十三年二月まで九州地方建設局長でありましたね。間違いないですね。ぶんと言われればそれでいいです。間違いがありますか。
  275. 田原隆

    ○田原国務大臣 間違いございませんが、その間に、もう一つ抜けておりますのは、筑後川工事事務所長をやりました。それから海岸課長をやりました。これが主なキャリアであります。
  276. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大したあれじゃありません。大事な点は合っております。  それで、私は、あなたは五回当選で大臣になられた、大した人だと思います。一番最初、三十五回総選挙昭和五十四年十月七日、このとき、あなたはいわゆる悪質な買収を行って逮捕者が十五名出ましたね。それから第三十六回総選挙、五十五年六月二十二日、このときには十六人の買収逮捕者を出しておられますね。それから五十人年十二月十八日、このときは無風選挙ですから二人で済んだ。次、昭和六十一年七月六日の総選挙、このときには買収逮捕者八人、そしてこの前の平成二年二月十八日、買収逮捕者二十四人、これは私が新聞で拾っただけです。実際はまだ多いはず。だから警察局長に数字を出してくれと、新聞も載っていることだから、国会で明らかにするときには正確な数字が欲しいから。そうしたら、なぜか出さないのですね、なぜか出さない。それ以上ですよ、あなたは。これですると合計七十名近い。あなたはこれだけでも法務大臣になる資格は、私は、ない、これだけでも、そう思うのです、そう思うのです。  そして、これだけの買収を私は大分へ行って調べましたよ。あなたがずっと、あなたの田原派がまいた一番下、下ですよ、上じゃなしに、は大体三千円から一万円まかれていますね。私は調べました。そうすると、法定の選挙費用を明らかに超えている。まずそれを指摘をいたしておきます。  では、なぜそんな選挙ができるのか。なぜ、なぜそんな選挙資金が集まるのか。あなたは世に言う金権物量選挙を展開した。これも私は全部、大分も福岡も証人を、証言をとっております。しかし、業者はこれが明らかになると地建局長からいじめられて仕事をもらえないから、名前は言いませんが。それで、九州地建のOBがずっと各土建界にばらまかれておる、天下りしている。そういうところは、福岡であっても、あなたの選挙が始まると全部行くのですよ、人と物と車と持って。それが実情です。だから私は、これは業者の弱みにつけ込んだ実質上の公務員の地位利用の選挙じゃないか、そのような疑いを持ちます。  そして、今から申し上げる、一例を挙げます、時間が少ないから。  どういうことをやられたか。あなたは、昭和五十三年二月に局長を退任されて、そして二カ月後に、社団法人九州社会資本コンサルティングセンターというものをつくられました。現在は、五十七年に九州地方計画協会に名前が変わっております。そのときあなたは、設立のときに、会長は私もよく知っています、山崎君の後援会長だったと思うけれども、亡くなられた九電の会長さんです。だから、建設のことはおわかりにならない方、名前だけ。理事長があなたです、理事長が。そして、役員十四名中建設省のOBが九名。そして、職員は三名です、全部OB。これが社団法人。仕事をもらえますか、建設業法で。もらえるはずがない一仕事を実際にしないんだから。仕事をもらったとすれば、それはすぐ下請に孫請に回すわけです。それをあなたはやられた。  同僚諸君には細かいことはおわかりにくいと思いますが、あなたはおわかりだと、後でお聞きしますから。  大分市の大分川は毎年春秋二回、いわゆる河川の除草工事をしていますね。それで、五十四年までの発注は、これは社団法人九州建設弘済会、これもOBが占めている。だから、仕事は大体もらえない。ところが、五十四年までは九州建設弘済会が仕事をもらって、九地建から、そしてそれをすぐ建設サービスという、これは株式会社、そこにすぐ孫請させる。それで、この建設サービスも問題あるけれども、これはちょっとおきます、みんな生活がかっているから。  それで、五十五年になって、まだ、あなたが国会議員だ、理事長のとき、五十五年になってなぜか九州社会資本コンサルティングセンターが仕事をとった。幾らでとったか、全部私は裏をとっているから。四千百五十万円で受けたはずです。そして、それをすぐ建設サービスに孫請させたでしょう。マージンがどのくらい、後でいいです、マージンがどのくらいあるか。一〇%なり一五%と言われている。これは明らかに建設業法二十二条の違反である。つまり、一括下請負は禁止されている。もう一つ、社団法人、公益法人ですから、定款を見ますと、こういう営利事業をやっていいというところは一つもない。論争するならどこまででも論争しますよ、資料を持ってきていますから。  だから、私は、二つの点においてあなたは重大なミスを犯している。答弁どうぞ、お願いします。
  277. 田原隆

    ○田原国務大臣 私も、楢崎弥之助先生に恨みを持ってお答えをするわけではございません。福岡に長く住んだことがございまして、先生の御令名はよく承っておるし、御立派な方から御注意を受けたということで感謝申し上げますが、第一点の私の派の選挙違反に関しては、これは私は残念なことであって、不徳のいたすことの一つだということで、これをもとに反省しながらさらに一層そういうことのないように努めたいと思いますが、第二の点以下については、私は不正はいたしておりませんが、ただし御忠告にあるようなことを踏まえながらこれからの人生いかなければ危ないぞという御主張であろうというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
  278. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その心情はよくわかります。ただ、私は公の立場から事実として注意を申し上げている。この社団法人は営利事業はできないですね。しかも、建設業法二十二条で禁止されている一括下請負をさしている。これだけでも私は問題があると思う。さっき言って、あなたは答弁すると言って言わなかったじゃないですか。  次に移りますよ、もう時間ないから。  そして、もう一つ聞いておきますが、あなた、十幾つかの後援会を持っていますね。その後援会、自治省に届けている筆頭が国土調査計画研究会、これは港区に事務所がある。福岡の事務所はどこにありますか。
  279. 田原隆

    ○田原国務大臣 私は後援会事務所については詳しく知りませんが、十幾つもあることは考えられませんが、前は福岡に一つありました。しかし、今はありません。東京に移転しております。
  280. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ところが、今あるのです。私は一週間前に電話をしてみた。いいですか。どこにあるか。福岡ですから、私の地元ですからよくわかっているのです、隅々まで。福岡市中央区天神四の五の十三天神農ビル七階、これは一室しかない、そのビルは。そして、その後援会の電話番号、これはマル秘になっている。電話帳に載ってない。調べ上げた。福岡七二二−一九四四、NTTに行って調べた。この電話はどこに置かれているか、だれが契約したか。そうしたら、もうイニシアルで、事業体をいじめるあれはありませんから、イニシアルで言います。Mという建設工業がその七二二−一九四四の契約者です。そして、その建設会社にこの電話はある、ここに。ところが、この建設会社は、別に自分のところの電話番号は七五二−〇〇二八。これは電話帳に載っている。それで、そのやみの七二二−一九四四に電話してみたら、国土調査です、何回かけてもその返事が返ってくる。つまり、国土調査計画研究会ですよ。一緒なんです。その建設会社に事務所を持っている。つまり事務所の面倒をその建設会社が見ているのでしょう。事務員の給料もそうでしょう。そういうことを、今ですよ、今の話ですよ。法務大臣がそういうことをなさっていいんでしょうかね。私は、出てきた人はこの人に違いないと思う人がある。Kという人です。あなたが初代の、さっき言った九州社会資本コンサルティングセンターの理事長をしておったときの専務理事の方です。その方がやめられて、いわゆる陰のあなたの選対の元締めですよ。もう具体的な事実を挙げて、何ぼでも挙げます。そして、なぜこの方は、なぜか佐藤という偽名を使っていらっしゃる。どうしてこのような奇怪なことが起こるのでしょうかね。それから、これも私は、法務大臣としてはこういうことをなさっておるということは、その資格がないんじゃないか、こう思います。  それから、中津のあなたの地元ですね、ここのTという総合建設会社、ここからもあなたの、Gというあなたの後援会の幹部の方は面倒を見てもらっていますね。このGという人は中津商業工業学校の校長OBさんです。もうおわかりでしょう。それで、給料をその建設会社から出させておる。よくあることですね。だからこういうことはおやめになった方がいい。並みの大臣なら言いませんよ、私は。今から共和をやり、それからさらに大疑獄と言われておる佐川事件が待っている。そういうときの総指揮官としての法務大臣としては、あなたは失礼ながら適格性を欠いておるのではないか。私は、さっき冒頭申し上げたとおり、形を変えた指揮権の発動が行われる可能性が十分あるということを私は心配しておる。  それで最後に、もう最後に、時間がありませんから最後にもう一つ言っておきます。——ええ、ゆっくりされていいです。一時間されていいですよ、答弁は。  あなたと、問題の共和との関係です。あなたと共和との関係は、私のふるさとに飯田産業というのがある。この飯田産業というのは、共和の破産、倒産余波を受けてつぶれた。つぶれる前はもう一心同体やった、共和と飯田産業は。そこにあなたの娘婿と言われるHという人が勤めていましたね。一年生議員の岩屋さんに献金が行くぐらいだから、先輩議員の、しかも建設業とは関係のあるあなたのところに献金が行かないはずはない。案の定、陣中見舞いが行っている、あなたは否定されているが。しかし、あなたとこの娘婿さんの関係から考えると、その疑惑は十分ある。終了いたしましたから、御答弁を十分なさってください。
  281. 田原隆

    ○田原国務大臣 語るに落ちるところがたくさんありますので、あえて本気になって答弁はいたしませんが、共和という会社が、名前を知ったのは私はつぶれてからでありまして、私の娘婿と称するHが二十何年間いたことは事実でありますが、現在もう、その清算業務に従事して、今度清算業務の会社からやめて、別のところへ行きましたが、だからといってそういう不正が行われておるという断定をする理由は何もございませんし……(楢崎委員「否定する理由もないでしょう」と呼ぶ)否定の方が断定よりもまだ難しいということは私も存じております。大先輩の、尊敬する大先輩が軽々にそういうことをおっしゃっていただくと私も大変迷惑いたしますが、どうぞ私はそういうことはいたしておりませんので、申し上げます。
  282. 山村新治郎

    山村委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会