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1992-04-22 第123回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月二十二日(水曜日)     午前九時三分開議 出席委員   委員長 伊藤 公介君    理事 木村 義雄君 理事 佐田玄一郎君    理事 中山 成彬君 理事 真鍋 光広君    理事 沢藤礼次郎君 理事 吉田 正雄君    理事 鍛冶  清君       逢沢 一郎君    井上 喜一君       岩屋  毅君    狩野  勝君       河村 建夫君    小坂 憲次君      小宮山重四郎君    塩谷  立君       原田 義昭君    船田  元君       村田 吉隆君   宇都宮真由美君       輿石  東君    佐藤 泰介君       清水  勇君    中西 績介君       松前  仰君    山元  勉君       東  祥三君    平田 米男君       矢追 秀彦君    木島日出夫君       柳田  稔君  出席国務大臣         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君  出席政府委員         文部省体育局長 逸見 博昌君  委員外出席者         運輸省鉄道局施         設課長     山田 隆二君         郵政省郵務局切         手文通振興課長 井口 義勝君         建設省道路局国         道第一課長   松浦  仡君         文教委員会調査         室長      福田 昭昌君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   山元  勉君     北川 昌典君 同日  辞任         補欠選任   北川 昌典君     山元  勉君 同月二十二日  辞任         補欠選任   宇都宮真由美君    清水  勇君   矢追 秀彦君     東  祥三君   山原健二郎君     木島日出夫君   永末 英一君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   清水  勇君     宇都宮真由美君   東  祥三君     矢追 秀彦君   木島日出夫君     山原健二郎君   柳田  稔君     永末 英一君     ――――――――――――― 四月十六日  幼稚園の学級定数改善等に関する請願(大野  由利子君紹介)(第一六〇二号)  同(上原康助紹介)(第一六七九号)  学校給食施設改善等に関する請願小沢和秋  君紹介)(第一六六三号)  同(金子満広紹介)(第一六六四号)  同(木島日出夫紹介)(第一六六五号)  同(児玉健次紹介)(第一六六六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一六六七号)  同(菅野悦子紹介)(第一六六八号)  同(辻第一君紹介)(第一六六九号)  同(寺前巖紹介)(第一六七〇号)  同(東中光雄紹介)(第一六七」号)  同(不破哲三紹介)(第一六七二号)  同(藤田スミ紹介)(第一六七三号)  同(古堅実吉紹介)(第一六七四号)  同(正森成二君紹介)(第一六七五号)  同(三浦久紹介)(第一六七六号)  同(山原健二郎紹介)(第一六七七号)  同(吉井英勝紹介)(第一六七八号)  行き届いた教育の実現に関する請願日笠勝之  君紹介)(第一六八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  長野オリンピック冬季競技大会準備及び運営  のために必要な特別措置に関する法律案内閣  提出第六二号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出長野オリンピック冬季競技大会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。
  3. 小坂憲次

    小坂委員 私は本日、長野オリンピック冬季競技大会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案審議に際し、自民党として質問機会を得ました。鳩山大臣には初めての質問機会でありますので、この際、大臣の本委員会における所信表明をお聞きして以来、今日までの御活躍に対しまして、一言感想と激励を申し上げたいと存じます。  大臣は、今国会における所信の中で、二十一世紀はもとより二十二世紀をも視野に入れた、国際社会で活躍できるし、貢献できる人材育成を標榜され、スポーツ振興並びに国際交流について並み並みならぬ御決意を述べられました。また、その後の委員会審議においても、みずから積極的に答弁に立ち、それぞれの課題に対し確固たる信念に基づく具体的な見解を述べられておりますことは、戦後世代の若手議員を代表する大臣の見識の高さと確かな指導力をあらわすものとして、激動する国際社会における日本の役割が問われる今日、私どもに頼もしさを感じさせるのでありまして、心から鳩山大臣による文部行政発展を御期待申し上げるところでございます。  さて、おかげさまをもちまして長野招致実現をいたしました。この機会に、皆様の御支援に対しまして心から感謝を申し上げる次第でございます。  第十八回オリンピック冬季競技大会開催地市民気持ちといたしましては、世界貢献する日本としてふさわしいオリンピックにしたい、環境と調和した二十一世紀オリンピックのモデルになるような大会にしたい、二十一世紀地域ビジョンから見て悔いのない施設整備をしたい、あるいはアジアのウインタースポーツ育成発展貢献するオリンピックにしたい等々と、いろいろと決意をし、また夢と希望を膨らませているのであります。  まず、こうした開催地市民気持ち大臣にお伝えいたしまして、具体的に質問に入りたいと思いますが、本日は審議促進の観点から、短時間の質問といたしましたので、まとめて私の考えるところと質問を申し上げますが、簡潔明瞭に御回答賜れば幸いでございます。  まず、施設建設並びに運営費に関してでありますが、名古屋オリンピック招致の際の経緯から、今回の長野冬季大会についても、国の補助は、平成元年六月六日の閣議了解で、主要な施設二分の一以下となっておるわけでございますが、東京オリンピックの際は屋内総合競技場を初め六施設札幌オリンピックではスピードスケート初め主要な四施設が国の直轄でございました。他の施設も三分の二の補助であったことを考えますと、当時の財政再建といった中での閣議了解という国の事情は十分に今も理解をしておるわけでございますけれどもスポーツを通じての民族融和世界平和への貢献といったオリンピック精神は、まさに現在の日本に求められている世界への貢献そのものでありまして、この体制整備について地方自治体に過剰な負担と責任を負わせるのは余りに過酷かと考えるわけでございます。オリンピック開催の意義は大臣所信精神にも一致すると考えますが、実質的に二分の一以上の国の支援実現するよう、主要施設はもとより仮設の施設についてもぜひとも国負担増について御検討と御努力お願いをいたします。  なお、これらの施設は、冬季シーズン中でなければチェックできない事項が多いことから、大会成功のため、何としてもプレオリンピックまでに完成する必要があります。地元議員といたしまして、党並びに準備対策協議会など政府に対し、閣議了解の見直しを含めて要望してまいりますけれども文部大臣におかれましても、ぜひとも前向きに御検討お願いいたしたく、御決意のほどをお聞かせをいただきたいとお願いを申し上げます。
  4. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 小坂先生がいわば地元ということもあって大変熱心に冬季オリンピックについて推進をされてこられた。文部省としては、スポーツを所管する官庁として当然この世紀の祭典が行われることに中心となって仕事をせざるを得ない、そういう立場にございまして、私どもは、いわば長野県民になったつもりというのか、まさに開催地皆様方の熱意と同じものを持ち合わせて仕事をしていかなければいいものはできないというふうに考えております。  そして、先生が御指摘のとおり、オリンピック招致というのかあるいはオリンピック開催をされるということは、必ず画期的な意味合いを残していくわけでございまして、東京ホリンピックにしてもあるいは札幌オリンピックにしても、世界に向けて友情の輪を広げていくという国際親善という意味では、当然の成果を上げてまいりましたが、それだけでなくて、この日本社会の歴史の中に一つの大きな区切りを残していっているわけですから、オリンピックの持つ意味の大きさというものに今さらながらびっくりするぐらいでございまして、今回の長野オリンピックも必ずそういうものとしなければなりません。  ただ、平成元年六月六日の閣議了解、なかなかいろいろなことが書き込まれておるわけで、これは政府財政再建路線を反映をしたもの、あるいは札幌のときに幾つもの施設を国が直轄で行ったときに比べて、諸般の事情も、IOCJOCも変わってきているという点もあろうかと思います。私が今閣議了解したものをどうのこうのと云々をすることは残念ながらできませんけれども、ただ、精いっぱいの努力をさせていただくということ、そして私と官房長官組織委員でございますから、いわば中に入って実情を見ていく中で政府としての協力あり方を考えていきたいと思っております。
  5. 小坂憲次

    小坂委員 時間もございませんので、まとめていきたいと思います。  次に、本年度から本格的な準備段階に入りましたので、この機会に、とりあえず次の三点につき、文部大臣並びに文部省の御担当皆様には組織委員会とともに真剣にお取り組みをいただきたく、要望だけ申し上げておきたいと存じます。  第一は、自治宝くじ収益金によるオリンピック運営費支援でございます。東京オリンピックの際は、オリンピック資金財団納付金四億二千二百万、札幌オリンピックの際には納付金四億円ということで、四年間にわたって六回の発売をいたしておるわけでございます。長野におきましても、できるだけ回数を確保して、札幌のケースのように長野県が発売主体となって全国の他の都道府県が市場提供をして協賛する等の方法を検討して、できるだけ大きな収益金運営費充実が図れるように自治省と御協議を賜りたいと存じます。  第二点目は、輸送関係でございますが、交通の便については、おかげさまで新幹線、高速道建設が急ピッチで進められております。しかしながら、外国からの輸送を考えますと、新潟空港松本空港を利用したチャーター便利用による輸送も不可欠と考えられますので、周辺空港におけるCIQ、すなわち出入国管理、税関、検疫施設を、九七年のプレオリンピックと九八年の本大会とも期間の前後を含めて、この常設化を法務省、大蔵省、厚生省等関係機関と御検討を賜りたいと存じます。  第三点目は、本案に言うところの組織委員会の職員についてでございますけれども、本法案の趣旨に基づき、組織委員会経験者専門知識のあるよい人材が多数派遣、配置されるよう、オールジャパンというような見地で政府関係機関に幅広く協力を要請し、支援体制整備につき、御協力また御努力を賜りたいと存じます。  最後に、郵政省お尋ねを申し上げたいと存じます。  本法案にあります寄附金つきはがき並びに切手発売でありますが、東京オリンピックの際は三年前、札幌の場合には一年前から発行したようであります。今回はぜひとも運営費充実PR効果増大を図るために、少なくとも三年前から発売し、競技種目別シリーズ切手発売や、白馬、志賀など絵入り寄附金つきはがき等アイデアを出して、回数を多くし、収益の拡大とPR効果増大をぜひとも図っていただきたい。また事前ムードの高揚に資することが必要だと考えております。これについて御見解を賜りたいと存じます。
  6. 井口義勝

    井口説明員 お答えいたします。  長野オリンピックにつきましては、郵政省といたしましても、スポーツ振興国際交流に資するため、寄附金つき郵便切手発行し、その準備運営及びPR協力していく方針でございます。  寄附金つき郵便切手の具体的な発行時期、種類等につきましては、ただいまの先生の御意見も踏まえまして、今後長野オリンピック組織委員会等意見を勘案しつつ適切な発行計画検討し、決定してまいりたいと考えております。
  7. 小坂憲次

    小坂委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  8. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  沢藤礼次郎君。
  9. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 私は、長野オリンピックと呼ばせていただきますが、長野オリンピック財政の問題を御質問申し上げながら、これと関連するオリンピック商業化と言われている最近の一つ特徴あるいはオリンピック憲章改正等に見られますアマ規定の削除、こういったことを踏まえながら、日本における体育スポーツあり方を検証し、今後のスポーツ方向性大臣その他文部省の方々と一緒に模索をしていきたいと思っております。  まず最初に、長野オリンピック関係について御質問申し上げますが、長野オリンピック冬季競技大会組織委員会運営経費概算について、特に収入財源についてお聞きをいたしたいと思います。  特徴、そしてまた、その収入財源の中に占める今度の法案によりますはがきあるいは切手寄附による収入、その占める割合、この点についてお聞きしたいと思います。
  10. 逸見博昌

    逸見政府委員 お答えいたします。  長野冬季オリンピック招致委員会平成三年三月に国際オリンピック委員会提出いたしました概要計画書、これでは大会開催に必要な経費約七百六十億円を見込んでおります。  その財源の内訳でございますが、主なところは、テレビ放映権料、これが最も多くて三百三十三億円、スポンサー収入三百二十二億円、宝くじ協賛金四十億円、入場券収入二十三億円等々、合計七百六十億円を見込んでおります。  それで、先生お尋ね郵便切手郵便はがき等によります収益はおおむね二億円程度見込んでおるということでございます。
  11. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 今の数字を若干私なりに分析しますと、圧倒的にテレビ放映権料スポンサー料が多いわけで、合計で全体の八六%を占めます。これは極めて特徴的な構造だと思うわけです。今お話ありました、はがき切手等による寄附収入は〇・三ないし〇・四%にすぎません。そういった意味財政的には非常に弱いなという感じはどうしてもします。そのかわりというのでしょうか、地方政府、つまり長野県と長野市の持ち出しといいますか負担補助金が三・二%、今の寄附金よりも多いわけであります。  先ほど小坂先生の御質問にもありましたように、国の助成、補助金が極めて少ないというか直接的な補助はゼロですね。こういう傾向というのは、これはどうなんだろう、これからもやはり続くのだろうか。このことをちょっと一言お聞かせ願いたいのです。
  12. 逸見博昌

    逸見政府委員 お答えいたします。  現在、例えばオリンピック参加選手等の数だけをとらまえましても一万人を超えるというふうな状況でございまして、それに要する経費、これまでよりも格段に必要とするということでございまして、開催をいたします国では、各国とも、それぞれどういった経費でもってこれを賄うかというところ、腐心のあるところでございます。  そしてテレビ放映権料収入スポンサー収入、これらが主流を占め出しましたのはロサンゼルスオリンピック大会以来のことでございますが、この傾向といいますか、こういった参加者が一万人を超えるというふうな状況のもとでは、この傾向をとどめることはなかなか難しいのではないかと思っております。
  13. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 今お答えになった部分につきましては、また改めて御質問申し上げます。  国からの援助ということにつきまして、国際的な大会長野大会の前に来年あるわけであります。これは一九九三年二月のアルペンスキー世界選手権盛岡雫石大会、この準備状況と国のいろいろな意味での援助体制がどうなっているかをお聞きしたいと思います。  その中で特に、多分建設省から来られていると思いますが、国道四十六号を軸とする輸送関連道路整備あるいは臨時駐車場等整備状況がどうであるかということ。それから二つ目は、記念はがき記念切手等、国の援助はどうなのかという点。以上二つお願いします。
  14. 松浦仡

    松浦説明員 お答えいたします。  平成五年の二月三日から十四日までの間開催されますアルペンスキー世界選手権大会期間中の大会会場への輸送につきましては、ピークの観客を一日三万人と予想しておりまして、それに対応するため四本の輸送ルード整備する計画としております。また駐車場につきましては、岩手県におきまして大会会場付近に五カ所の臨時駐車場を設置しまして、そこからシャトルバスによる輸送を行う計画というふうに聞いております。  この計画に基づきまして、現在一般国道四十六号、稲荷前バイパスを初めといたしまして、関連する国道、県道、市町村道整備を進めておりまして、大会開催前に供用が図れるよう鋭意工事を促進してまいりたいと考えております。また臨時駐車場整備につきましても、岩手県におきまして公共用地の活用や借地により対応することとしておりまして、おおむね計画どおり進んでいるというふうに伺っております。  なお、一般国道四十六号、稲荷前バイパスにつきましては、取得すべき用地の九九%の取得を終えておりますが、一部用地交渉が難航している箇所がございます。建設省といたしましては、大会開催前にぜひとも供用したいと考えておりまして、今後とも地権者理解が得られるよう最大限の努力を図ってまいる所存でありますので、先生方におかれましても、御理解、御支援お願いしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  15. 逸見博昌

    逸見政府委員 この大会には約四十カ国・地域から約八千人が参加するということでございます。そして、これに対しまして、競技施設につきましては、既存の施設を活用して開催されるということでございますし、運営費につきましても、協賛金広告料入場料収入などによって賄われるものと伺っております。ただ、特殊法人日本体育学校健康センターが出しておりますスポーツ振興基金から運営費の一部を助成するということをこのほど決定したところでございまして、七百万円ということになっております。  もう一つの件でございますが、記念切手の件でございます。これは郵政省から毎年照会を受けまして、各省庁がその所管いたします行事等記念切手発行にふさわしいものを提出いたします。郵政省でそれを検討されまして決定を見るということでございます。地元関係者等においても、これにつきましての御要望は大変強うございますので、私ども郵政省に対しまして、この件につきまして強く要望をしてまいりたいと考えております。
  16. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 道路網を初めとする基盤整備の問題については、どうぞ県の方と十分連絡をとって十分間に合うように進めていただきたいということを特に強くお願いをしておきたいと思います。  切手の件ですが、これは恐らく寄附金なしの切手だろうと思うのですね。それは県がそういう気持ちですから、それで結構なのですが、今後の問題として、さっき大臣お答えになったとおり、閣議了解というものがいつからいつまでの拘束力を持つか、私はよくわかりません。ただ、後にも触れますけれども地方にとってはかなり厳しいのです。結論は、国は出さないぞ、地方頑張れということです。そして足りない点は、広告料その他とにかく金集めをしろ、閣議了解はこういうことに尽きるわけです。これは最近のオリンピックを頂点とするいろいろなスポーツ競技大会商業化プロ化をたどっているという流れと無縁ではないような気がする。このことについてはぜひ担当大臣として、地元が過重に負担にならないように、今後努力をしていただきたいと思いますが、大臣一言お願いします。
  17. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 今の閣議了解の件は、長野オリンピック招致するに当たっての閣議了解でございますから、長野オリンピックのみに当てはまることだと思っておりますが、今先生が御指摘いただいた点は、いわばオリンピックというものの精神は大変不滅であっても、実際の開催の態様というものが徐々に変化してきていることは事実だろうと思っております。特に、例えば先生が今御指摘のように、いわゆるスポンサーからの収入あるいはテレビ放映権料というものが合わせて六百数十億が予定されているというようなことについても、東京オリンピックあるいは札幌オリンピックのときには考えられなかったようなことであって、これはIOC変化というものがJOC変化につながってきていることは当然だろうと思っております。しかしながら、そういう中で一部のスポーツではプロ参加を認める、あるいはオリンピックというものをアマチュアリズム最高大会と考えるか、あるいは世界最高競技水準を達成するというか争うような大会とするかということでは、若干理念的に幾つかの考え方があるのではないかというふうに思いますが、私は、先生指摘のように、オリンピック世界最高スポーツ大会であっても、あくまでもさわやかなものであってもらいたいというふうに願っております。
  18. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 財政問題等につきましては、後ほどスポーツ懇談会報告等を取り上げるときに、もう一度触れたいと思います。  今の問題と関連して、東京オリンピックロサンゼルスオリンピックを比較してみますと、今話題になってきております商業化プロ化という動きがロス大会を起点として物すごく加速してきたという感じがあるわけです。この認識を一緒にしたいのですけれども東京大会のときの収入概算を見ますと、国及び東京、つまり公共団体負担した額は全体の額の三四%なんですね。非常に大きな額です。その一方、今問題になっているいわゆるテレビ放映権料とかスポンサー料というのはほとんどない。チケット売り上げが一六・三%、寄附金が二九%、この国あるいは地方公共団体負担した分、援助した分、それから寄附金の占める割合、これが東京オリンピック特徴だったと思うのです。私はこの原形が本当はオリンピックにふさわしいのかなという感じを持つわけです。比較の意味ロサンゼルスを見ますと、テレビ放映権料が一挙に全体の五四・八%を占めている。スポンサー料、つまり広告料ですが、一九・五%、入場料チケット売り上げが二四・四%ということで寄附金がほとんどない。黒字が二億一千五百万ドル出ている。こういういわゆるもうかる五輪ということのスタートを切ったのがロスなわけであります。こういう傾向がそれからもずっと続いております。東京オリンピックロサンゼルスオリンピックの対比が余りにも顕著でございます。このロスのもうかる五輪というものの実態を支えたものは一体何だろうかということをどうぞ一言お願いしたい。
  19. 逸見博昌

    逸見政府委員 お答えいたします。  大変難しい御質問でございますが、ロサンゼルス大会においては、ロサンゼルス市がそれこそ公的な資金は一銭も出せないというふうな大変強い姿勢で組織委員会に臨まれたこと、こういったことが背景にございます。  それから、こういった大きな大会に大きな金がかかる、これを企業からの収入に仰ぐということ、これに着目されたのはロサンゼルス大会が始まりであろうと思います。テレビ放映権料収入その他スポンサー料収入というものも、そういったことで公的な経費よりも、主として各企業、民間の営利企業等からの御支持を仰ぐことによって主たるものを賄っていこうということに転化をした、これがその背景ではないかと思います。
  20. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 繰り返しこの問題を取り上げてまいりたいと思いますが、これと関連して、ことしのバルセロナ、そしてやがて開かれるアトランタの大会、この会場誘致に物すごい誘致合戦が行われたということは記憶に新しいところでございます。特に一九九六年の夏季大会開催地は、これはいわゆる近代オリンピックの百周年ですか、非常に記念すべき大会だということで、アテネが名のりを上げてアトランタと対抗したといういきさつがございます。この当時の新聞記事から引用しますと、アテネといえば近代五輪オリンピックの発祥の地である。五輪が米ソ冷戦など国際政治のはざまで揺れて存続が論じられたとき、常に代替地としての候補地として浮上してきた都市でもある。あるときには恒久的な開催地に固定してはどうかという案もあったほどである。したがって、五輪世紀のスタートを切るにふさわしい最も有力候補地だと言われておった。それがアトランタに決定した。そのときのアトランタに関するある新聞の記事でございますが、今回六つの都市が立候補した背景には、もうかる五輪という背景がある。アトランタが最終的に勝利をから取ったのも、米国には五輪最大のスポンサーである三大テレビ網、そして同市には有力スポンサーの本拠地、コカ・コーラでありますが、これがあることと無関係ではない。そして、その結果については、これもある新聞からの引用でありますが、アトランタを選んでアテネを見限ったことは、五輪の性格が変わったと同時に、国際政治の流れも変わってきたことの象徴と言えるだろう、こういう記事がございます。  したがって、ロスでもって性格が大きく変わった、それがアトランタを選んだということにおいて、さらにそれが鮮明に浮かび上がったという感じがいたします。アテネとアトランタ、どちらがふさわしかったのだろうかという感想をお持ちでしょうか。大臣、どうですか。
  21. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 実情が詳しくわかりませんから、軽々にお答えできることではないとは思いますが、アテネというギリシャ時代の最大のポリス、そこにオリンピックの芽生えがあったとするならば、またいろいろな形でオリンピックはアテネに時々は里帰りをすべきものではないか、そのように考えるわけであります。  先生から先ほどから御指摘の点については、それは私も専門的に研究しているわけではありませんからよくわかりませんが、ただ、いわゆる不易と流行という言葉があったとして、不易すなわち変わらざるもの、変えてはならないものと流行というのでありましょうか、臨教審でもいろいろと話題になった、そういう不易と流行という言葉がありますが、どんなことがあっても、どんなケースであっても、そのオリンピックの基本にある精神、変えてはならない、変わってはいけない不易の部分というものをあくまでも大切にしていくようなオリンピックでなければいけないと思います。
  22. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 この問題は、今大臣お答えになったとおり、非常に微妙など申しますか、私自身も迷うことが多い大きな命題なんですね。私は、第一線で高校体育を実践している、指導している昔の仲間といろいろ話をしたのですが、どうもやはり金がかかる、練習するにしても、あるいは遠征するにしても、そういったものときれいに手を切れと言われてもなかなかできない実態があるという訴えも聞きます。しかし一方では、これも後ほど触れますが、とうとうとして商業化プロ化が進んでいる。これはこのままいったら一体どこまで行くのだろうか。こうした場合にオリンピックの影響がアマチュアスポーツ、アマチュア競技の大学競技あるいは高校、中学校、小学校のいわゆる体育にどういう影響を及ぼしていくんだろうか。その影響はじわじわと出てきているのではないか、こういう憂いがあるわけです。  ここは私たちは、結論を先に申し上げるようですけれども、こういった世界的な流れと、守らなければならないオリンピック憲章、あるいは後で出てきます日本体育協会が制定しておりますスポーツ憲章、こういったものをどこまでどう守るかということ、これはやはり将来を担う青少年、子供たちのことにかかわる問題ですから、徹底的に真剣に関係各機関が、これは世界の趨勢だ、金のかかるのはやむを得ないというふうな流され方じゃなくて、一歩も二歩も踏みとどまりながら論議をするという空気をつくっていかなければおらないだろう、これを実現する役割が文部省であり私たちではないかというふうに考えているわけです。  そこを後でまた触れますけれども、次の質問に移らせていただきます。  オリンピックの歴史を見てくるということが私は大事だなと思うのです。全部のオリンピックを見るわけにはいきませんが、特にその中で特徴的なオリンピック史、オリンピックの歴史ということから拾い上げてみますと、ナショナリズムとコマーシャリズムというものが浮かび上がってくる。ナショナリズム、いわゆる国家主義、政治が入ってくる。コマーシャリズムは今既に問題になっております商業主義あるいは金の問題です。  政治の方、ナショナリズムからいうと、これは一番鮮明に思い出されるのは一九三六年の十一回ベルリン大会、例のヒットラー、ナチス・ドイツの国威宣揚の場として極めて有効に働いだということが思い出されます。それから第二次世界大戦という政治の波を受けまして、一九四〇年、一九四四年の東京大会、ロンドン大会は中止になった。これも政治とオリンピックとの関係を考えさせられる出来事でありました。近くはミュンヘン大会でテロ事件があった。イスラエルの代表団十一名が犠牲になって、会期が一日延期になったということがございました。それからモスクワ大会はもっとはっきりしていまして、アフガン侵攻で日本、アメリカ、ドイツなどのボイコットが行われて日本の選手が参加できなかったという、これも政治にオリンピックが動かされたという顕著な事例だろうと思います。その揺り返しに二十三回ロサンゼルスオリンピックてはソ連、東欧、キューバ等十四カ国が不参加になりまして、これも極めて残念なオリンピックになった。  こういったことを背景にしながら、しかし一九八九年のマルタ島における米ソ首脳の会談を契機といたしまして冷戦時代が終わる。一九九〇年にはドイツ統一が行われるという、いわゆるオリンピックの歴史におけるナショナリズムあるいは政治というものの影響、その変遷がどういうふうに今現在来ているんだろうかということを考えた場合に、いわゆるステートアマと言われる国家で丸抱えの選手養成ということは、いわゆるステートアマ時代は一部の新興国を除いては消えて、少なくなっていくんじゃないか。そしてそこに出てきたのがコマーシャリズムだという感じを免れない。そこにはコマーシャリズムと結びついてオリンピック至上主義あるいは金メダル至上主義といふうなものが出てくる。こういったナショナリズムの変遷とコマーシャリズムの台頭というものをどうとらえるかということが私どもオリンピックを評価する重要な起点だろう、ポイントだろうと思います。  私は大臣にお聞きしたいのは、こうしたオリンピックの歴史における政治の影を背負ったナショナリズム、そして今度は急速に商業化プロ化していくコマーシャリズム、この二つの極の間に何かの道を、あるいは指標を探ることができないのか。その基本的なスタンスというふうなものを、先ほどお答え願ったと思うのですけれども、もう一度お願いします。
  23. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 ただいまの沢藤先生の御質問というか先生の話られるオリンピック史というものを聞かせていただいて、これを契機にひとつ私どもも大いに勉強をさせていただいて、オリンピックというものについては一定の哲学というもの、オリンピック精神というものは十二分にわかっているつもりではございますが、オリンピック開催あるいは運営の態様等を考えますと、そこにも一定の哲学を持っていきませんと、今先生が御指摘のように、いろいろな波に大きく揺り動かされていく。政治の波というものは、ここのところはしばらく冷戦終結で余り大きなものにはならないかとは思いますが、先生が御指摘をされたいわゆるナショナリズム的なものの後退が逆にコマーシャリズムの台頭を生んだという今のお説を伺って、なるほどな、先生の分析力あるいはその畑眼というのものに恐れ入った思いがいたします。  そういう中で、我々が何も考えないでいきますと、これは本当に進むべき道がわからなくなってしまうということにもなりますので、ちょうどいい時期に長野オリンピック冬季大会開催をされますので、それに向かっていろいろと哲学的な部分を、先生は今基準というふうなこともおっしゃいましたが、そういうことを含めて考えていきたいと思います。
  24. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 象徴的なことが幾つかあるのですけれども、アテネかアトランタかあるいはその他の四カ国かという誘致合戦に対しては非常に多くのマスコミの方が批判的な記事を書かれております。パーティー、プレゼント、二つのPが乱れ飛んだ、こういう指摘があります。そして決定で敗れたアテネその他の候補地は白けぎみにテレビマネーと金権にやられたとコメントしているのですね。こういったことはやはり一つの反省の材料だろうと思います。これは指摘にとどめておきます。  もう一つ、私はブランデージさんという方を非常に懐かしく思い出すのですけれども、ミスター・アマチュアと言われたのだそうであります。それで札幌オリンピックのときにオーストリアの名選手のカール・シュランツ選手を選手村から追放しているのですね。結局、彼は滑る広告塔だ、つまりメーカーのものを身につけて、メーカーのために動いているということで滑る広告塔、そういうふうな決めつけ方をして、理由は何ですかと新聞記者に聞かれて、証拠はオリンピック憲章だといったんかを切ったというミスター・オリンピック、ミスター・アマチュアリズムの名前にふさわしい逸話がある。ところが、その後のキラニンさんあるいは現在の方、こういう記事がございます。先日のアルベールビル冬季オリンピックIOC委員は防寒コートを全員同じものを着用した。これは四年前のカルガリー大会日本の協賛メーカーからサマランチ会長が提供を受けたものであります。開会式ではマーク入りのコートを着た会長が広告塔になって論議を呼んだという、こっちは会長自身が広告塔になったという指摘があるわけです。私は、このことについてはこれ以上論議しませんし、大臣から御感想を求めませんが、やはりブランデージ時代というものとサマランチ時代というものとが余りにも違う様子というのですか、あるいはオリンピックあるいはプロとアマ、そういったものの姿を今後私たちがいろいろ検討し話し合うときの一つの材料として提起をしておきたいと思います。  次に進みますが、金メダル至上主義、メダル至上主義という言葉があります。あるいはプロ化、あるいは既に過去のものになりつつあるステートアマの問題、こういった問題の延長線に出てきたのが日本における報奨金制度でございます。これはいろいろ論議がございました。オリンピックでメダルを獲得した選手に報奨金を出す、金メダル三百万円、銀メダル二百万円、銅メダル百万円、こういった決定に対してJOCの中にもいろいろな論議があったという報道がございます。かっての金メダリストの清川さんがメダルの持つ重みだけでも十分だと言われた、これにも説得力があるという記事も見ます。  それから、いろいろな論議の中でこういった報奨制度というものは一体どういうことか、こういう疑問が出てくるのですが、こういったJOCの打ち出した報奨金制度、これについては文部省なり国なりがいろいろ事前の相談あるいは意見聴取を受けたかどうか、お聞きしたいと思います。
  25. 逸見博昌

    逸見政府委員 選手等に対します報奨金につきましては、財団法人日本オリンピック委員会が本年の二月に開催されましたアルベールビル・オリンピック、それから七月に開催されますバルセロナ・オリンピック、このメダリストに順位に応じて報奨金を支給するということを決定されたわけでございますが、これは文部省と関係なく、財団法人日本オリンピック委員会独自の判断として御決定になったものでございます。  文部省といたしましては、こういったことをお決めになった以上、この報奨金というものが選手の国民の期待にこたえる活躍に結びつくこと、そして多くの国民の納得のいく形でこれらが見られること、こんなことを期待しておるところでございます。
  26. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 この報奨金制度については、今のようなお考えももちろんあるわけであります。報奨金を受けた選手の一人に私の郷里出身の人がいますけれども、大変喜んで励みになったというふうな声もございます。これはこれで一つの見方かもしれません。しかし、同時に次のような見方もあるわけです。「選手たちとて報奨金めあてにがんばるということは多分ないだろう。名誉に付随するボーナスという感覚だろうか。心配なのは、金銭感覚がずれてくること、それがはびこることだ。」これが心配だという社説が一つございます。それから、先ほど触れました清川名誉委員、自分の現役時代五輪メダルを手にしたが、メダルの重みで十分に報奨されており、現金では大きな感激は受けない。最近の世界スポーツ界で金銭感覚のバランスを失った事件が多発しており、こうした風潮が日本に及ぶ心配があるとして導入には反対だったという記事があるわけです。こうした二つが、一つの報奨金制度をめぐって際立った意見の対立があるということは事実であります。  古橋さんは、報奨金制度は今度の冬季大会それから夏のバルセロナということにして、その後は検討したいという意味の発言をなさっているようですが、これについては、体育局長、どういうふうなお感じを持っていますか。
  27. 逸見博昌

    逸見政府委員 今先生が御指摘になったとおりでございまして、とりあえずこのバルセロナまでとしようということで御決定になったものと伺っております。
  28. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 この問題はこれで終わりますが、まだほかにもいろいろなケースがあるわけですけれども、こういう報奨金、こういう問題については、先ほど申し上げたように、これから真剣に検討していかなければならないと思うのですが、頂点を目指す一つの報奨制度というものと、その陰に地方スポーツ、都道府県で行われているスポーツを支えている財政的な問題、選手養成制度、選手養成の実態、そして第一線で大変苦労している指導者と選手たちというものに思いをいたさないと、ピラミッドの頂上を高くすることにのみ目を向けますと、その材料はピラミッドの下の方から持ってきて積み上げるというふうな格好にならざるを得ない。そういう一つの大きな問題として、地方に対する、あるいは各競技の最前線で苦労している人たちに対する思いやりというものを、こういった制度を進めると同時に、これはきちんと手だてしなければならないと思うのですが、このことはどうでしょう。
  29. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生がおっしゃりたいことはよくわかりまして、率直に申し上げて同感の部分が多いわけでありますでこのオリンピック参加される選手の方々をできるだけいい条件で育てていくということが一番大切であろうと思います。先生指摘のようなステートアマを日本の国で養成するという、そういう思想ではないと思いますが、競技スポーツ力の向上のためにできるだけの努力をするということ、これは幅広い、すそ野も含めて全体的ながさ上げを図っていくというのが一番大切なことだろうと思います。  ただいまの報奨金のことについては、これは大いに励みになっていると思っておりますし、体育局長がお答えしたように、文部省と直接やりとりをした事柄ではないのでありますが、ただし、正直申し上げて、私のところに、あの報奨金制度にあなたは関係がありますか、あなたが決断して金額を決めたのですか、そうであったならばあなたを許しがたいと思う、こういう声が幾つか寄せられた経緯があるのです。それはオリンピックでメダルをとった方々はもうそれで十分じゃないか、オリンピックというのは、そういうさわやかなものであるべきでないかという意見を強固にお持ちの方から、そういう意見幾つか寄せられたことに関しては、正直言って私もよく考えてみなくちゃならぬことだなと思っておるということ、これは確かでございます。
  30. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 この問題は、締めくくりにもう一度、基本論議のところで触れたいと思いますので、先に進ませていただきたいと思います。  こうした、私は先ごろまでは、オリンピックはアマチュアスポーツの頂点だというのはだれもが疑いのない受け取り方だったのですが、さっき大臣が言われたように、アマチュアスポーツ最高峰ということよりも、最高の競技というふうに変わってきていることは事実として認めざるを得ません。これはプロの導入もありますし、それから報奨金、金を受け取ってもいいという流れが出てきていますから。そういった意味では、これも論議が分かれますけれども。  ただ、そのような動向なり傾向なりが、オリンピックを頂点としてあこがれているスポーツマンあるいはスポーツ愛好者あるいは国民全体にどういう影響を及ぼすだろうかということに、私たちは気を配らなければならないと思うのです。ある人の指摘ですけれども、金銭感覚のバランスを失うということが怖い、それがアマチュアスポーツの中にもじわじわ入ってくるということが怖い、こういうことを言っておるわけですね。それから、やはり商業主義というのでしょうか、あるメーカーのものを身につける、あるいは運動用具として使う、その商標が写真に写るように振る舞う。ある距離競技の選手は、自分がレースをして勝ったスキー、板というのですか、その板じゃなくて商標の見える新しいものを立てて記者会見に臨んだという記事もある。となると、やはりこれは、それはそれで問題だということだけじゃなくて、スポーツ参加している人たちあるいは愛好している人たち、その周辺の人たちというふうに金銭感覚のバランスを失うことが浸透してくるということを私たちはどこで防ぐか、ここは一生懸命頑張らなければならないなという実感を持っているわけです。  残念ながら、それと無関係ではあり得ない、今申し上げたような動きと無関係ではあり得ないと見られる事件あるいは現象が幾つか最近でも出てきているわけであります。例えば大阪商大の入試漏えい事件もそうでありましょう。それから有名なスポーツ人による賭博の問題もございました。非常に残念だったと思うわけですが、最初に、入試問題を起こしました大阪商大、大商大の事件について、文部省はどのように把握をしてどのように対応しているか、お聞かせを願いたいと思います。
  31. 逸見博昌

    逸見政府委員 今この問題をどうとらまえて、ここにどう対応するかという御質問でございます。これにどう対応するかというのは、実は体育局所管ではございませんので、私も一体現在の大学運動部の成績至上主義と言われておるもの、どう見ておるかということにつきまして簡単に申し上げてみたいと思うわけでございます。  大学におきます運動部活動、これは当然学生生活を豊かにいたしますし、生涯スポーツの実践力を身につけるということ、また我が国の競技水準を向上させるということでも大きな役割を果たすものでございます。したがいまして、私どもは今後とも運動部の活性化、これはぜひ図ってまいりたいと考えておるところでございます。ただ、一部に勝利至上主義もあるということも否定できないところでございます。そして、さらには運動部を強化して大学の知名度、イメージアップを図りたいというふうな、ちょっと誤った方向での大学の向上を図ろうとされるようなところも一部にあるというふうな指摘もございます。  そういった状況でございますので、私ども大学におきます体育スポーツ充実に資しますため、平成四年度から新たに大学におきます体育スポーツあり方に関する調査研究、こういったものを開始したいと考えております。これはまた大学設置基準が改正されまして、大学におきます体育あり方が問われておるという状況の中でもございますので、ちょうどタイミングがいいのではないか、この調査研究を充実あるものにしたいと考えておるところでございます。
  32. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 この問題を、大商大問題を取り上げた新聞の社説、幾つか拝見したんですが、見出しか非常に象徴的だったんです。「スポーツ強化でゆがんだ入試」、スポーツを強化したい、これが大学の経営あるいは商業主義に無関係ではない、有名になるための一つの有効な手段である、そのためにはということで、結局は入試がゆがめられたという指摘がございます。「見逃せぬ大学産業化の風潮」という見出しもございました。今申し上げたように、大学それ自体が経営主体重点になっている、そのために踏み越えてはならない部分まで踏み越えているんじゃないかという指摘であります。したがって、こういった大学経営の困難さと、それを改善しようとするいろいろな努力については、これは私どもも認めるにやぶさかじゃないわけでありますけれども、しかしそのことが、先ほどから繰り返して申し上げていますように、どういう影響を及ぼすのか、こういうことをやはり強く考えなきゃならない。この指摘に見ますと、特に大学スポーツはアマチュアスポーツ最高峰という見方がなされている。その原点に立ち返るべきではないかという指摘がございます。  それから、競争社会、エリートを養成して、高校から有名大学、そして有名会社というエリートコースというのは、もう一つ別にありますね。これは普通言われているエリートコース。そしてそれと並行する形の、バイパスというのでしょうか、有名な大学のチームに入って、そしてスポーツということによって有利な就職を実現するという、いわゆるそういうスポーツのエリート主義、これはやはり大学のスポーツにとっては果たしてプラスだろうか、どうなんだろうか。競争社会ということがあるわけですけれども、この競争社会には確かにいろいろな不公正というか、そういったものが存在するけれども、不公正とか不公平が競争社会には確かに存在するけれども、しかし、せめて世代から世代への倫理観を引き継ぐ教育の場では、経営よりも公正を大事にしなきゃならないんじゃないかという指摘もある。このことについて一言脚感想をお願いしたい。
  33. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 私立大学のいろいろな実態を考えてみれば、やはりそれぞれ知名度を高めたいというふうに考えるのは当然だろうと思いますし、またスポーツ世界で我が大学の運動部の活躍というものを期待するのも当然のことであろうと思いますが、それらが行き過ぎた結果を幾つも生んでおるということは、これは何も今先生指摘の最近の例だけでなくて、私どもの学生時代からその萌芽は見られていたようにも思うわけであります。  ただ、ある大学関係者と懇談をしたときに、うちの理事長たちはもう運動部の強化ということにのみ専念をして、そちらの方にばかりお金を持っていくから、いわゆる理科系の研究費がなくて困るわという真剣な嘆きを聞いたことがありまして、そういうことになりますと、大学とは一体何かという根源の問題にも立ち至ってまいりますので、行き過ぎは決して認めるわけにはいかない。  ただ、それぞれの大学がスポーツ世界でも切磋琢磨して、好ライバルとして努力し合うことはすばらしいことでございますので、その辺の線引きというのは明確にできるかどうか難しいと思いますが、よく見詰めていきたいと存じます。
  34. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 今のお答えのとおりなのですが、ただ入試漏えい事件は、これは少なくとも犯罪なわけですよ。境界線の問題じゃないですね。やはり大学のあり方を全体的に論ずる一般論もありますが、手段としてとられた入試漏えいということは、これはあってはならないことだ。これはひとつ今後、大商大だけではなくいろいろな大学と意見を交換し合いながら、こういう不祥事が起こらないように、その方向性について努力をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  次に、犯罪とは全く別な問題ですけれども、今申し上げた選手を養成したい、強い選手を集めたい、そして競技成績を上げたいという熱意というものと高校野球との関係はどうかという面について、今後触れてみたいと思うわけであります。  先ごろ春の選抜高校野球大会が終わったわけですが、私は例年注目しているのは、どういうチームが出てくるんだろうな、どういう戦いぶりをするんだろうな、どういうチームが勝ち残るんだろうなということを見ているわけですけれども、これはよしあし、いい悪いという意味で申し上げているんじゃないから、その辺は誤解のないようにぜひお願いしたいのですが、第六十四回選抜高校野球大会出場校三十二、この中に幾つかの際立った特徴があるのです。この特徴はプラスなのかマイナスなのか、あるいは問題点があるのかないのかということもやはり検証してみる必要がある。  一つ特徴というのは、夏の大会は各県代表ということで、北は北海道、南は沖縄からわっと選手たちが集まっできます。この選抜高校は、私が東北に住んでいるからひがんでいるととられては困るのですが、東北、北海道は、三十二チームのうち、合わせて三チームです。そして、その他は余り詳しく言いませんが、一つの都道府県から二チームが選ばれている都県は七つあります。  これは、地域的にバランスをとることは難しいかもしれない、選抜という性格からいっても。しかし、とすると、選抜というのは一体どういう目標でやるのかな。平等な機会ではないな。そして気候的なハンディがあって練習の成果があらわれていない時期の春の大会というのは、一体どういうことなんだろうな、こういうことを考えさせられるわけです。  それからもう一つは、ベストエイトに残った、もちろん八チームですが、全部私立てあるということも一つ特徴だろうと思う。そして、そのベストエイトの中で他県からの転入選手を抱えていないチームが一チーム、あとは全部他の都道府県から選手が入ってきている。登録選手の中に登録されているというチームが七チームあるわけです。この現象はどう――先ほど二つ言いましたように、地域の問題とそれから今申し上げた他都道府県からの選手が入ってくるということ。入学は自由ですから、どこに入ってもこれは当然なわけですよ。だから、あるお父さんがこう言ったそうです。東大に入れたいために灘とかラ・サールに入れる、それとどこが違うんだ。なるほどと私ははたと立ちどまったわけですが、ただ待てよという気が今でもしないわけじゃない。同じに論じていいんだろうかということ。  そして、これはついでというのは変ですが、先をちょっと言いますと、マスコミの責任もあると思うのです。特定のスポーツ、特定のイベントにわっと筆が集中する、電波もそうでしょう。もう大会中数時間惜しみもなく電波を使っているということ。そしてその中で、やはり有名選手というものがクローズアップされてくる。まだ精神的に未熟な段階の子供たちですから、当然その影響に振り回される子供もあるのです。私の知っているのでもわっと言われてしぼんでいった。スポーツだけでしぼんでいけばいいんだけれども、人生そのものまでしぼんでしまうというケースもないわけじゃない。そういったスター選手気取りをさせるようなマスコミを中心とした周囲の空気というものを、これでいいのだろうかと思う。この辺、ひとつ御感想をお聞かせ願いたい。
  35. 逸見博昌

    逸見政府委員 感想と申しますより、まず実態をちょっと御説明申し上げますと、例えば春の選抜大会、これについて見ますと、この数年、例えば五年ばかりとりましても、だんだんと一般的な傾向としては公立よりも私立の学校が多く参加するケースがふえております。これに対しまして夏の選手権大会、この方は過去五年とりますと公立と私立とが大体半々ずつぐらい、このような比率が維持されておろうかと思います。  この甲子園の大会は、県同士の大会ではなく、あくまで各個別の学校ごとの大会、こういうことでございますので、各県から一校ずつということでなく、例えば特定の県に本当に秋の大会で優秀な成績をとったものが複数校あれば、そこから複数校出ることもやむなしというのがこの選抜大会の特色であろうかと思います。  選手権大会、夏の方はそれと異なりまして、各県の代表という形で出てまいりますけれども、それはしかし、あくまでも各校の代表としての戦い合いを行うということが基本になっていようかと思います。  私ども、先ほど先生もおっしゃいましたように、能力を適正に最大限に生かしたい。自分はスポーツが得意。その中で野球が得意であるという場合に、野球の本当に強い学校に行きたいと思うのは、子供たちも当然の理であろうと思います。ただ、そのために行き過ぎたこと。例えば高等学校側が行き過ぎた関与を行う、生徒に対しても行き過ぎた好ましくない、ゆがめた進路指導等を行っていく学校があるというふうなことがあれば、これは大変困ったことで、常に節度ある対応が望まれるということであろうかと思います。  このためにも、私どもも、その都度といいますか、こういった国会等で御指摘いただく都度、実は高等学校野球連盟に対しまして、もっと適正な運営についてということで御指導申し上げておるところでございますが、高等学校野球連盟におかれましても、これは平成二年度でございますが、各県の高等学校野球連盟に対しまして、健全な高校野球を育てるためにということで通知を出しておられます。この通知がきちっと守られることを期待したい。あくまでも高等学校側、高校野球関係者の主体的な取り組みに期待したいと考えておるところでございます。
  36. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 高校野球の問題はそろそろ締めくくりたいと思うのですが、確かに学校としての、特に経営にいろいろ直面なさっている私立の学校の苦労もわかりますし、野球でもって頑張りたいという子供たちの意欲をかなえさせてやること、これも私は大切なことだと思います。  甲子園に常連のチームというのがありますね。そことぶつかる全くの、何といいますか力のないチームの人の話を聞いたことがあるのですが、いわばぶつかって力を試すということにも我々は意義を感じているというけなげな言葉が返ってきました。これもまた一つのアマ精神だろうと思います。そういったことを是認しながら、ただ幾つかの問題点を、実は私数県の高校野球関係者から電話その他でいろいろ聞いたのですが、その中で指摘されたことを項目的に申し上げておきますので、今後の話し合いなり検討の問題としてつけ加えていただければありがたいと思います。  一つは、やはり公立ては厳密に学区制を守っている。東京からどこか別なところに入ってくること自体もなかなか難しい、父母の転任でもない限り。そういったことで公立の生徒たちの側から不満みたいなものが出ているという学区制の問題があります。  それから、いわゆる日常の練習とか学校における野球の練習の問題に関連して、こういう事例が出されたのです。年間の試合数、百試合やっている。通常の高等学校の一年間の授業その他のあれからいいますと、私はやはり二倍になっているのじゃないかなという感じがするのです。この百試合というのは、恐らく日曜日一日三試合くらいやっていなければ百試合にはなりませんよ。そういうことの過酷さは一体どうなんだろうか。  それから、これは私もおやっと思ったのですが、ある高校関係者がある有名な野球の強い学校に会議で行った。午前中だった。そうしたら校内放送が始まった。野球部の皆さんに告げます、午後は雨になりますから、今すぐ練習を始めてください。これは事実です。そういう空気が広がることを恐れているということがありますので、これはひとつ今後いろいろ話し合うときの材料にしていただきたいと思う。  大学野球との関係も、有名大学から有名選手をコーチに招聘して、もちろん報酬は出す。そこで有名大学の野球部と有名高校の野球部との間の連携が出て、そこで当然セレクションの配慮が行われているということも公然とささやかれているのです。したがって、大学側のスポーツあり方が高校に影響しているという見方も当然成り立つわけです。この辺も注意していただきたいと思います。  さて、この締めくくりに、私はこういう論文にぶつかりました。日本高校野球連盟の会長の牧野さんの文章であります。この方は、選抜高校、春の大会についてまず触れて、この時期というのは例年天候が不安定で、大会運営上告労が多い。やむなく雨の中でも決行する。これはアマだからということで、高校野球だからということで割り切って決行する。心中はつらい、こう書いています。  それから、選抜に出たある学校の人から聞いたら、あの時期というのは学年末、学年初めでしょう。生徒自身も大変だし応援団も大変だ、学校自体もきりきり舞いだという声がある。このことも一つ指摘をしておきます。  そこで牧野さんは、こういうことを強調しているのです。「そこで、私が強調したいのは、学生野球協会や日本野球連盟など国内のアマ野球関係団体が、それぞれ連携をとり合って、指導の一貫性を持つようにしてほしい」、そして具体的には、小、中、高、大学、社会人に至るまで、それぞれの年齢にふさわしい指導をするべきだということを言っておられるわけです。例えば小、中学生には、激しい練習よりも基礎的な面に重点を置くべきだ。そしてスポーツに親しむ、苦しむのじゃなくて親しむということを重点にすべきだということをおっしゃっています。また、高校生時代は人間形成がテーマになる、これを忘れてはいけない。甲子園は球児にとって大きな目標ではあるが、目的ではない。甲子園を目指して努力する日常の練習に意義があり、そこに高校野球の目的があるという指摘をしているのです。  私は、年齢に合った指導ということは、数多くの別な競技団体の方からもお聞きしております。私の娘も中学校時代に非常に極度なテクニックを要する競技に参加しまして、入院二、三回やって、とうとうひざを壊してしまったという例があるのです。ですから、中学校時代における基礎的なものということは、この強調はすごくよくわかる。私は、高校教師の体験からすれば、やはり高校生は人間形成の時代だ、この指摘も全くそのとおりだと思う。そのことを大切にする、それぞれの年齢に合ったスポーツ指導を心がけてほしいというこの牧野さんの提言をぜひ生かすように今後ひとつ御努力を願いたい。このことについて一言だけお願いしたいと思います。
  37. 逸見博昌

    逸見政府委員 先生今御指摘の指導の一貫性、それから年齢にふさわしい練習、大変貴重な御意見であろうと思います。  日本の場合に、いわゆる学校教育の場ですべてスポーツマンを養成する、基礎を培うということでございまして、小学校は小学校で、中学校は中学校で、高等学校は高等学校でそれぞれ日本一になろうあるいは県大会で優勝しようというふうなことで励むものですから、それぞれの年齢で精いっぱい活動させる。そうすると、これは野球というものを考えた場合、例えばどの年齢でどの程度どこを鍛える、どの年齢ではどこまでという一貫性が恐らく必要とされるものであろうと思います。そういった意味からも、日本の場合には学校教育の場だけではなくて、もっと社会体育、それが充実いたしまして、クラブ指導、クラブの場で一貫した指導が受けられる、こんなふうな体制を今後はしいていくことがこれにこたえることになるのではないかと考えるところでございます。
  38. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 次に、これもよしあしを論ずるのではなくて、マラソンの代表選手の選考経過について非常に多くのマスコミが取り上げ、多くの人々がそれに関心を向け、多くの意見が沸騰した、異常なほどであります。是か非か、こっちがいい悪いという論議ではなくて、このこと自体、選考のあり方について点検、改善を加える必要がありはしないかという考えを私は持っているのです。  そのことに一言お答えを願うわけですが、特に指摘の多かったのは、選考基準がどうもはっきりしない、あいまいである、複数の大会がごちゃまぜになっているのじゃないだろうか。特にマラソンの場合は、別人マラソンあり、福岡あり、東京国際マラソンあり、琵琶湖あり、それから選手権があり、世界選手権があり、そういった中からどこをどう焦点を絞りながら決定していくのか、それが明確でないという指摘と、決定以前にある結果を予想させるような役員の発言があったのではないかという、この二つに世論といいますか指摘は絞られているような感じがするわけであります。  そこで、私がお聞きしたいのは、AかBかということではなくて、マラソン以外の競技は、代表を決めるときにどういう決め方をしているのだろうか。水泳なんか割にすんなりこの前決まったようですが、他の競技はどうなのだろうか、これをちょっとお聞きしたいのです。余り詳しくなくて結構ですけれども
  39. 逸見博昌

    逸見政府委員 それでは三つばかり例を挙げて御説明いたします。  マラソン以外の陸上競技でございますが、例えば選考競技会の名称といたしましては四つございまして、世界陸上選手権大会、第九回アジア陸上選手権大会、春季サーキット大会、これは全国七会場で行われるものでございます。それから第七十六回日本陸上競技選手権大会、この一から四までの成績を踏まえて、選考委員会理事会、評議会の順で決定をしていくということでございます。  それから、水泳の場合でございますが、全日本水泳競技選手権大会、この一つに絞りまして、選考競技会の成績を世界のランキングと照らし合わせまして、選考委員会によって決定するという仕組みでございます。  それから、柔道の場合でございますが、これも男女別でございますが、全日本選抜柔道体重別選手権大会、女子の場合には全日本女子選抜柔道体重別選手権大会、この選考競技会の成績を踏まえまして強化委員会において決定する、こんな仕組みがとられております。
  40. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 マラソン以外の陸上の例をちょっと調べてみたのですが、四百の高野さん、五十キロの今村さんですか、この方は去年の選手権大会でいわゆる八位以内入賞、あるいは十位以内でしたか、入賞。これでぱちっと決まったのですね。つまり、ああいうことであれば、あの時点でマラソンもある程度輪郭が明確になったんじゃないかと思うのだけれども、選手層の厚いマラソンではなかなか一発勝負というのは難しいという、これもわかるような気がします。また今朝の新聞を見ますと、有力な人が飛び出したといいますか、記録を出しましたね、日本最高タイ記録。どこまでどうするかということになりますと、これは切りがないのだけれども、少なくともマラソン選考のこれからの課題として、基準を事前にある程度明確にする、事後になってころころ変わっている印象があったのですよ。こういったことが必要ではないか。そして委員の方はやはり言動にも慎重であるべきではないかという二つの点について私は主張したいのですが、いかがでしょうか。
  41. 逸見博昌

    逸見政府委員 お答えいたします。  今回のマラソンの選手決定におきましても、日本陸連におきましていわばあらかじめ定まっておりました所定の手続によった検討を経て決定に至ったものと聞いております。ただ、結果としてこういった世上を騒がすというふうなことになったわけでございますので、もっともっと適切な方法があるのではないかということでございます。  そこで、陸連そのものにおかれましても、今後選考方法についてより一層適切なものとなるよう検討したい、こういうふうに内部で言っておりますので、私どもその検討の結果に期待をかけたいと思っておるところでございます。
  42. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 一つ指摘一つの感想を申し上げて、この問題は終わりたいと思うのですが、この問題はかなり長い間、新聞、週刊誌等々が大変な取り上げようだったですね。マスコミとしての使命ということだろうと思うのですけれども、ここに見出しを二つ三つ持ってきました。「ドタバタ選考 ゴールも不透明」「女子マラソンの「死闘」に決着」「潜在力より実績重視」「松野明美の落選を巡るマスコミ界のバカ騒ぎ」というマスコミもいた。やはりすごく傷つきやすい年齢の人たちですから、当人たちはたまらなかったと私は思うのですよ。本当はぞっとした中でこういった問題は進行して決着して、しかも真剣に討議しながら、世間の声も聞きながらやってほしかったなと思うのです。  ただ、その中で、いろいろな投書がある中で、私が救われたなと思うのは、こういう投書にぶつかったのです。これが本当なのかなと思うのですが、決まった、ところが補欠に回された谷川真理さんのコメントに心を打たれた。一度はオリンピックの夢に近づきながらとうとうだめだった。しかしそのコメントは、「補欠に選んでいただいて素直にうれしい。立場をよく理解して、いつでも走れるようにあと四カ月、肉体、精神面のトレーニングに励んでいきたい」とのコメントには心洗われる思いがする。恨みがましさも過度の自己主張もない謙虚なコメントが、かえって今回のマラソン代表選手選考について多くの問題を示唆しているのではないか。市民ランナー谷川さんの今後の活躍を期待し云々、こうあるのですね。私は、こういったいわゆる国民というのですか、庶民という言葉は使ってはいけないのだろうけれども、そういう人たちが見ているということ、感じているということ、そしてその感じをもってこれからもスポーツに当たっていくんだということの事実を重く受けとめてほしい、そのことを指摘して、次の問題に進ませていただきたいと思います。  時間がどんどんたっていきますので、次は、今までいろいろやりとりさせていただいたのですが、これらを全部総合して、スポーツとは一体何だろうか、体育とは何だろうかという問題にちょっと触れてみたいと思うのです。  スポーツ体育という言葉がありますね。文部省の設置法の第五条の第五十何号がに、こうこうこういうものをつかさどるといいますか所掌事項がある。そこにはたしか「体育スポーツを含む。)」というふうな文章があるのです。  そこで一つお聞きしたいのは、体育スポーツの定義を含めて、どうとらえたらいいのかということ、まずそれだけお聞きします。
  43. 逸見博昌

    逸見政府委員 文部省設置法第五条に言いますところの体育スポーツの関係でございますけれども体育は学校教育としての体育社会教育としてのスポーツ及び娯楽としてのスポーツのほか。にプロスポーツまでを含む大変幅の広い概念でございます。それに対しましてスポーツといいますのは、このうち社会教育としてのスポーツ、娯楽としてのスポーツ及びプロスポーツをいう、こういったふうに従来から考えてきているところでございます。
  44. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 プロ野球をスポーツと見るかどうか、一言
  45. 逸見博昌

    逸見政府委員 今私が申し上げました定義ではスポーツでございます。
  46. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 そういうことになるだろうと思うのですが、ただ、後でもちょっと触れますが、体育憲章を見ますと、大変体育というものに考えさせられる。第一条、第二条というのがあるわけですけれども、それに照らした場合、プロ野球をプレーする人とそれを楽しむ人を分けて考えた場合に、特に私などは、こういう年になりますと、プロ野球というのはうちに帰ってごろ寝をしながらテレビで見るもの、これは体育なんだろうかと自問自答してみるのです。  そこで、いわゆるするスポーツと見るスポーツ参加するスポーツと見て楽しむスポーツとがあるような気がするのです。メガホンを持ってウェーブを起こして観客席で一生懸命楽しんでいる人たち、立ったり座ったりだから、これもスポーツかなと思うのだけれども、どうもその辺が今私たちを取り巻くスポーツ環境は、見る、楽しむ、つまり参加しない部分までもひっくるめてスポーツ体育だと言っているのではないかなという気がするのです。むしろそこは娯楽、レジャーというところとの関係はどうなのかな。これはどうなんでしょうか。お考えがあったらお聞かせ願いたい。
  47. 逸見博昌

    逸見政府委員 先生みずから定義されておりますとおり、やはりスポーツというのは自分の体を動かすということでございますから、見る人はスポーツを楽しむという立場の方ではないかというふうに考えております。今後高齢化社会、そして余暇時間の増大という中で、いろいろな世論調査等の結果を見ましても、するスポーツと同時に見るスポーツにも大変な関心があるということがわかるところでございますので、その両面にわたって私ども行政施策を着実に進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  48. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 アマチュアリズムというのはどういうことなのだろうか。アマとプロの違いはどうなんだろうか。線がはっきり引けるかどうか。そのことについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  49. 逸見博昌

    逸見政府委員 アマチュアという言葉でございますが、本来あるものを愛好する人のことということでございます。スポーツの場合は、スポーツを職業としたり生計の手段としないということを意味しておる。スポーツ世界では、例えば金銭や物質的な利益を目的としてスポーツを行う、これはプロである。そういったプロフェッショナルを排除して、プロよりもアマチュアの方が価値が高いというふうな考え方をとること、それをアマチュアリズムというふうに呼ぶわけでございます。このアマチュアのスポーツにこそスポーツの真髄がある、アマチュアのスポーツこそ真のスポーツである、これがアマチュアリズムということだと思っております。
  50. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 それを含めて次の問題に移っていきたいと思います。  オリンピック憲章が制定されてから、幾つかの先例と申しますか変化をたどってきたわけです。これをどう評価するかということも一つの大きな作業になると思うのですね。アマチュアという言葉が消えたのほかなり前だったと思うのです。九八一年なのかあるいはもっとさかのぼった一九七四年なのか。いずれにしろオリンピック憲章からアマチュアという言葉が消えた。そして事実上報酬を受け取る団体あるいは選手が少しずつふえてきた。そして決定的になったのは、一九九〇年、東京で開かれたIOC総会、報酬禁止を規定する規定が削除になった。そしてプロ参加がここで公然と認められたにも等しいということになるわけですね。ここはどうなんでしょう。この解釈ですね。全くのプロと、それから報奨を受けるということとの違いはあるのかどうか、ちょっとそこをお聞かせ願えませんか。
  51. 逸見博昌

    逸見政府委員 最初に大臣からの御答弁の中にもございましたように、最近のオリンピックというものについての考え方、これはアマチュアリズムという立場が少々変わってまいりまして、現在における最高の技能者、それを集めた最高大会である、こういったものをオリンピックとしようというふうなことで、ここ数年推移してきてまいったのではないかと思うところでございます。  ただ、先ほど大臣も申されましたように、私どもの立場といたしましては、本当のオリンピック精神といいますか、たとえプロオリンピック参加をいたしましても、そこで競技する場合には、一個人として、それこそ自分の持てる能力、力、これまで鍛えたものを最大限に発揮をする、そしてお互いにわざを競い合う、力を競い合うということではないかと思います。そこにはいささかも金銭的な動機、物質的な利益を求めるという動機はあってはならないということではないか。そして本当にそういったものなく戦う姿、そういったものにすがすがしい感動を覚えていくということがオリンピックの本当の精神ではないかと思っております。
  52. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 そこで今度は、さっきから大臣池おっしゃっておられるように、オリンピック最高大会を目指している。これはサマランチさんのいつも言う言葉で、最も多くの人を集めたい、最も強いアスリートを集めたいというふうなことで、最高大会。したがって、プロもアマも境界線がなくてもいいのじゃないかというのがサマランチさんの考え方ですね。恐らくオリンピックはそういう流れで当分といいますか、行くのかなという気はするのですよ。  ただ、それともう一つの憲章、スポーツ憲章との関係はどうか。日本体協で制定しているスポーツ憲章ですね。これは、例えば第二条に「アマチュア・スポーツマンのあり方」という規定がありまして、「スポーツを愛し、楽しむために、自発的に行う。」「競技規則はもとより、自らの属する団体の規則を遵守し、フェアプレーに終始する。」そして「相手を尊重しつつ、自己の最善を尽くす。」ということ。そして、その次なんですが、「スポーツを行うことによって、自ら物質的利益を求めない。」「スポーツによって得た名声を、自ら利用しない。」ということが第二条にあって、恐らくこれは変わっていないのじゃないかと思う。変わっていますか。変わってないでしょう。――変わってないですね。  そうしますと、その後に競技者規程作成のためのガイドラインというのが続きまして、その中で、解釈がどうもはっきりしないのですけれども、「本会の加盟競技団体は、次の者をアマチュア競技者として登録できない。」次の者はアマチュアじゃないよといって、(a)(b)(c)(d)(e)(f)とあるのですが、「プロ選手又はプロ・コーチとして登録されている者、又は契約している者。」これはだめですね。「加盟競技団体の事前了承なく物質的便益を受けた者。」これは裏を返せば、物質的便益を受ける場合には、事前了承を受けなさい、それならいいですよということになりますね。それから「自らが、自分の氏名、写真又は競技実績を広告に使うことを許した者。」これは登録してはいけませんよ。「ただしここでも救っているわけです。「当該競技団体の承認を得ればこの限りではない。」とある。  つまり、これはもう完全にしり抜けですよ。しり抜けといいますか、前段で申し上げた第二条の「自ら物質的利益を求めない。」「名声を、自ら利用しない。」ということを、この競技者規程作成のためのガイドラインの具体的な面で救っている、条件つきながらも。このことについての理解文部省としての解釈はどうなんでしょう。
  53. 逸見博昌

    逸見政府委員 体協が従来のアマチュア規定を廃止いたしましてスポーツ憲章を定めたということでございますが、それは、一律に、例えば文部省あるいは我が国の立場でどうこうということではなく、各競技団体の自主性を尊重して、各競技団体が国際の団体のそれぞれの連盟の規程に準拠して定める、こういうふうなことを受けてお決めになったものでございます。したがいまして、国際スポーツ界の状況等、現状を踏まえて慎重に検討し制定されたものでございますので、私どもそれなりに尊重していくべきものと考えております。
  54. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 そこで、ちょっと論が重なり過ぎているというのですか、オリンピック憲章の場合は、オリンピックの性格がこうだ、サマランチさんはこういう考え方でやっている。したがって、ある程度のプロ化、あるいは報酬を受けるということもやむ在得ないのではないか。しかし、オリンピックではない国内のスポーツ、運動の大きな指針であるスポーツ憲章までそこまでいかなければならないのか。  ということは、今の局長のお答えからいいますと、結局オリンピックだけじゃないよ、国内競技も、すべてのアマ競技も、そういう解釈がある競技団体があったり、そういう背景があれば、これは歯どめはききませんよ、こういうことでギブアップしているように聞こえるのですが、どうですか。
  55. 逸見博昌

    逸見政府委員 ギブアップということではございませんで、世界の趨勢を見ながら現時点におけるあり方を真剣に検討された結果こうなったということでございますが、基調として、基本として、先ほど私申し上げましたとおり、アマチュアリズムというもの、これが本当に根底になければならない。いかにプロオリンピック参加をいたしましても、そこでは金銭目的あるいは物質的な利益が目的ではなくて、まさに自分のこれまでに鍛えたその成果を発揮する、そういった場として戦い合うということでなければならない。この精神はいささかも変わっておりませんし、体協等においても、新しいスポーツ憲章のもとでも、その精神はいささかも変わったものではないというふうに考えておられると思います。
  56. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 こだわるようですけれどもスポーツ憲章の第二条は変わっていない。しかし、途中の、六十何年でしたかの改正を経て、競技者規程作成のためのガイドラインという中で結局それは事実上許容している。そこはどうも二律背反的な感じを持つのです。私たち、特に教育の場における体育に携わっている者からすれば、スポーツ憲章というのは、やはり学校体育参加している教師も児童生徒も包んでいると解釈する。そのときにすとんと来るのは第二条。しかし、だんだん見ていくと、プロもいいんだそうだよ、報酬を得てもいいんだそうだよということになった場合に、学校体育あるいはそれを包む日本のいわば国民の取り組んでいる体育あるいはアマチュアスポーツというものに対するイメージが変わってこざるを得ないんじゃないかな。そういったことが先ほどちょっと問題にしました幾つかの事例の底流にあるんじゃないか。金銭感覚とか経済的な基準で物を考えることとか、そういったことについての心配とかあるいはやはりどこかでその辺をとめなきゃならないなという気持ちは、局長お持ちですか。
  57. 逸見博昌

    逸見政府委員 先ほど私が申し上げましたこと、もう少し詳しく申し上げますと、日本体育協会スポーツ憲章、これを制定するに当たりまして、三つの視点を強く持っだということが前提にございます。  まず一つは、アマチュアスポーツ発展のための精神を基調とする。これが第一原則でございます。二つ目が、体協加盟の各競技団体及び都道府県体育協会の意向を十分尊重するということが二つ目。それから三つ目が、国際オリンピック委員会や国際競技連盟の規則に対応できるよう考慮する。こういった三つのことを基本方針としてこの憲章を決めていこうということにしたわけでございます。  そういったことでございますから、これまでのアマチュアスポーツ発展を期するというこの基調、これはいささかも変わっておりません。しかし、片一方では大きな国際的な流れがございますから、これとの調和をどこで図っていくかということで出されたものが現在のこのスポーツ憲章でございますので、基調にはアマチュアスポーツ精神、これは厳として残っているということを私は申し上げたいと思います。
  58. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 これ以上は続けませんけれども、二つの面があるということだけはやはり認めなきゃなりませんよね。それをどうバランスをとっていくか。そしていかにしていわゆるアマチュアリズムというものを守っていくかということに、その方向に向けて努力をしていただきたいということと。関係団体ともやはりいろいろな意見交換を通じて、子供たちあるいはスポーツ人がわかるように、そしてまた奮い立つような方向で御検討願いたいということを申し上げて、この項目については終わりたいと思います。  私は次に、スポーツ懇談会について触れたいのですが、中曽根さんが非常に熱心でスポーツ懇談会を設置された。この性格と報告の内容の問題点ということを一口に質問し、お答え願いたいのですが、ロサンゼルスオリンピックでもって金メダルが少なかった。メダルの数は、東京、第三位、十六個、メキシコ大会は十一個、第三位、しかるにロサンゼルスでは六位、十個しかとれなかったというふう在ことで、モントリオールは金メダル九個ということになるわけですが、何か金メダルが少ないぞという意気込みをにじませてスポーツ懇が設置されたと私は見ているのです。しかも、そのスピードたるや百メートル競争並みのスピードで、一九八七年の四月に臨時教育審議会の第三次答申でスポーツ振興のための懇談会を設けるという提起があった。たった半年後に、同じ年の十月に懇談会が発足した。そして、たった半年後に、一九八八年三月三十一日にスポーツ振興懇談会の報告が出されたというこのスピードぶり。これは恐らく次の大会をねらって、視野に入れての作業だったと私は思うのです。  ただ、気になる点は、「わが国スポーツの現状と問題点」という出だしの部分でメダルの数を並べたということなんですね。国別に見た我が国の順位は、東京大会が三位だった、メキシコ大会は三位だった、ロサンゼルス大会では、ソ連、東独などが参加しなかったにもかかわらず第六位だった、こういうメダルの数、金メダルの数でもって分析がスタートしまして、結局それを後追いするような形でステートアマに対するあこがれが「選手・コーチヘの支援」という文章の中に、「外国では」という言葉で、ステートアマを一つの典型として、こうこうこういう打ち込める体制ができているんだ、我が国の場合はというふうな指摘が出てくる。  それから、「スポーツ振興に関する方策」というところでは、功労金を出しなさい、出すべきだ、顕彰を充実させなさいというふうなこと、そういうことが、評価を高めよということが出てきていますし、学校教育の中では一貫したスポーツ教育指導を行えるような、東独、東ドイツのような制度というものが欲しいんだという指摘もなされています。  そのほかありますが、もう時間があと十分ということですので、若干省略させていただきますが、これらを通していきますと、結びの部分に出てくる、生涯スポーツを基礎としたクラブ制度を実現する必要があるというふうな、すそ野を広げるということに関しては、何か取ってつけたものだなという感じがするのですね。そして振興基金の制度についても、明らかに商業化というのでしょうか、広く民活を利用しなさいというふうな趣旨が出ている。いわゆる冒頭に問題にしましたロス以降のオリンピックの趨勢というものと極めて酷似している方向性が出ているわけです。  このスポーツ懇談会の経過、非常にスピードアップされたこの経過、ねらいというものは、私が指摘した、やはり金メダル主義なのかな、そういう指摘が当たっているかどうか。新聞の見出し、「反省忘れたメダル至上」「健康維持に参加の時代」であるから「底辺広げる努力が必要」である。ある新聞、「戦前のスローガン間く思い」というふうなことが出ている。こういう指摘なり御感想に対して、局長のお考えをお聞きしたいと思います。
  59. 逸見博昌

    逸見政府委員 この援言が出されました背景でございますが、この援言の中にもるる書いてございますとおり、近年のオリンピック等で世界競技水準が大変著しい向上を示している。その中で我が国はどうもその点で見劣りがする。したがって、それは端的に申せばメダルの数ということにも響いてくるわけでございますが、そういったメダルの数云々というよりも、まず世界競技水準、その著しい向上を見ておる中で、我が国のそういった期待は本当に適切なものかどうか、こういったことの反省の上に立ちまして、それじゃ、さて本当に競技力の向上ということで選手を鍛えるためには多額の選手強化策、強化費、海外遠征費などが必要である。こういったものを賄うためには、それこそ公費、国費、市町村費ということだけでは極めて不適切である。したがって、ここに書いてありますとおり、国や公営企業からの助成だけではなくて、広く経済界、その他民間からのより一層の支援が不可欠であるということになって御提言が出たものでございまして、決して金メダル至上主義、金メダルをこれによってとれというふうな御提言ではないというふうに私ども受け取っております。要するに、選手強化策、本当に世界の強国に伍して強化していくためには、それこそ大変な資金が必要である、そのためには国費等では不十分である、こういった背景から民間等の御協力を仰ぐということが不可欠である、こういった御提言につながったものでございます。
  60. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 そろそろ締めくくりたいのですが、これは大臣にお聞きしますが、御要請申し上げながらお聞きするわけですが、資金にかかわる問題がやはりいろいろな問題の根底にあるわけです。それをどういう形で現実のものにするか、あるいは捻出するかという方法論は幾つかあると思うのです。私はコマーシャリズムに走り過ぎることもやはり弊害が予想される。さりとて、選手個人がきゅうきゅうと苦労するということも、これも大変だろう。やはり主軸になるべきはスポーツ振興基金じゃないかと思うのです。国がもっと思い切って出す。企業ももっと出せますよ。今度のバルセロナでカテゴリー別で参加することに決まったある企業企業参加のための金は三十億とも四十億とも言われているのです。自分の広告を使いたいためにバルセロナに参加する。そういった中でやはり企業ももっと気前よくスポーツ振興基金に出してほしい。自分の会社の宣伝になることには一生懸命になる、冠大会もやる。そうじゃなくて、やはり社会責任といいますか、社会観念ということも考えながら、政府ももっと出す、もっと出すように大臣頑張ろう、スポーツ振興基金を軸にして、これからはスポーツ振興財政的な基盤を強化したい、してほしい、これが一つです。  もう一つは、いわゆるスポーツの二つの方向ということを申し上げました。ステートアマ的な国威発揚、新しい形の金メダル主義というものも実は本当は好ましくない。さりとてコマーシャリズムとステートアマ的な二つの間に第三の道があるのではないか。それはやはりスポーツ参加人口をふやす。いわゆる生涯体育、生涯スポーツあるいはレジャーを含めて、余暇を含めて全体的に国民が自分で体を動かす、健康を維持する、そういう方向を目指すべきではないか、こういうことについてお考えをお聞きしたいと思います。
  61. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 まずスポーツ資金に関してでございますが、スポーツ大国を目指していくためには、いわゆる競技スポーツと言われる分野においても、あるいは生涯スポーツと言われる分野においても、お金が当然かかるわけで、施設設備の整備にもお金がかかる、選手の育成強化にもお金がかかる、そういうお金を国が相当程度用意することができれば、それが一番いいわけであります。今まで体協あるいはJOCに対していろいろ予算を組んでまいりましたけれども、これではとてもというような金額であったことは否めない事実だろうと思うわけでありますが、そういう中でスポーツ振興基金というものを設けて二百五十億、民間から今一応四十三億ぐらいが集まったとしても、まだ二百九十億台で三百億には到達をしない。私も幾つかの企業には実はお願いをして歩いているわけでございますが、飛躍的に今それが拡大するという空気には残念ながらないと思います。これは地道に努力をしていくべきでありまして、本来国が、予算が潤沢でどこへっけたらいいかわからないようにお金が余っているという高度経済成長時代の大蔵官僚のような心境の方がいる、そんな時代であればスポーツには合うんとお金を出せるのでしょう。それが一番いいと思います。しかし、とても今日本の我が国の財政状況は、そういう条件のもとにありませんので、スポーツ振興基金ということを考えて、民間の資金の導入の仕方としては、これが巨額のものに育つとするならば一番いい形であるということは、私は沢藤先生と考え方は全く同じでございます。冠大会もいいと思います。しかし、その冠大会というのはあくまでも企業というものがもっと生々しい形で登場するわけでございますから、一番いいのはスポーツ振興基金であることは間違いないというふうに考えております。  それから、先ほどから先生がきょうのテーマとしておっしゃっておられる、いわばステートアマ的なものとコマーシャリズムとの、何というか一つの時代の変遷で、ステートアマが滅んでコマーシャリズムの台頭というような先生一つスポーツに関する歴史観のようなものはよく勉強させていただいたわけですが、私が東京オリンピックの開会式に券をもらって行きまして、国立競技場というところに生まれて初めて入った昭和三十九年、そのときに電光掲示板に「ザ モスト インポータント シング イン ジ オリンピック ゲームス イズ ノット ツー ウイン バット ツーテーク パート」というクーベルタン男爵の余りにも有名を言葉が出て、高校一年でしたけれども、ああこの英語はわかるなと思ってじんと感動をした。先ほど先生がおっしゃったブランデージさんに対する尊敬の気持ち、私はサマランチさんという方も立派に大変な仕事をしておられる方と御尊敬申し上げておりますが、正直言って先生と同じようにブランデージさんという方は偉かったんだなという思いをアマチュアリズムという観点で私が抱いていることも事実でございます。  このメダルをとるということは至上主義であってはならないのはよくわかるのですが、ただ余りに弱くてメダルに何にも手が届かないような状況ですと、スポーツ大国化という意味で国民のスポーツヘの関心というものがわかない。先般のアルベールビル・オリンピックで、今までのトータルと同じ七個、金一個、銀二個、銅四個という七個のメダルをとったことが国民のウインタースポーツに対する興味の増大あるいは参加増大ということには必ず役に立つというふうに考えまして、目的はあくまでも国民全体が体を動かしてスポーツを楽しんで健康になっていくことだろうと思いますが、そのためには、やはり国際的な競技力も高くて、話題性があって、みんなが興味を持つような競技水準にトップの方にはあっていただきたい、そんなふうに思います。  答弁が長くなって申しわけありませんが、最後に、先ほどから先生は私に答弁を求められませんでしたので、体育局長を指名されたのに私が出ていくのはなんだと思って控えておりましたが、私の考え方は、またよく勉強しなければいけません、きょうの先生のいろいろなお話を糧として勉強していきたいと思いますが、やはりアマチュアというものとプロというものは、オリンピックの今一つの流れについては、これを見守っていき、また我が国のIOC参加される方々が日本意見をもっと積極的におっしゃればいいと思いますが、少なくとも、その国内において、この人はこの大会においてはアマチュアだけれども、こっちではプロ的だといってはじかれるというようなことは絶対にあってはならない。やはりアマチュアというものとプロというものはどこかできちんと区別されませんと、それは青少年、スポーツを楽しみ、これからスポーツを大いにやっていこうと意欲を燃やしている青少年に対しても決していい影響はないと思うわけでございます。その辺はこれからよく勉強してきたいと思いますが、あくまでもどこかではきちんとアマチュアとプロというものが区別されなくてはいけないので、グレーゾーンが非常に広がるようなことがあれば、私は教育上よくないと思います。
  62. 沢藤礼次郎

    沢藤委員 一つだけ要望申し上げて終わりたいと思います。  私はメダルという考え方を否定しているのではなくて、メダル至上主義に走るべきではないということの指摘ですから、お間違えないように。  それから、最後にスポーツ憲章、これはぜひこれからの指針にしたいのですが、「スポーツは、人々が楽しみ、よりよく生きるために、自ら行う自由な身体活動である。さわやかな環境の中で行われるスポーツは、豊かな生活と文化の向上に役立つものとなろう。スポーツをする人は、美しいスポーツマンシップが生まれることを求め、健康な身体をはぐくむことを目的とする。」これがスポーツ憲章の第一条、目的でありまして、これを大事にするようなスポーツ行政をお願いしたいということで、この問題について締めくくらせていただきます。  ちょっともう一つだけ、予告編なんですけれども、特殊教育、特殊学校という、特殊という言葉はどうにかならないかという声があります。念のため全国社会福祉協議発行の「現代社会福祉事典」を見ましたら、ノーマライゼーションという言葉の中に、どのような児童、障害者であっても特別視せず、基本的に普通の人間として接する、つまり特殊なものとして見ない、障害を持った人も持ってない人も一緒になってこの社会なんだというのがノーマライゼーションなんだ。それからいうと、特殊教育、特殊学校という言葉、これはもう一度検討してみていただきたいということを申し上げて終わります。どうもありがとうございました。
  63. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  清水勇君。
  64. 清水勇

    清水委員 今同僚の沢藤委員からオリンピックあり方あるいはスポーツにおけるアマチュアリズム等について総括的な質疑が行われておりますから、私の場合は長野オリンピック競技大会にほぼ限定をしてお尋ねをしたい、こう思います。  ただ、その前に基本的なことでいささか鳩山大臣所信を承っておきたいのでありますが、今私の手元にオリンピック憲章の抜粋がございます。第一条のオリンピック運動の目的によれば、要約をして申し上げると、スポーツを通じ相互理解の増進と友好の精神にのっとって若人たちを教育し、よりよい、より平和な世界建設協力をし、国際的親善をつくり出す、これは要約をして申し上げているわけですが、そういうふうに規定をされております。  そこで、九八年の長野オリンピックについては、文部大臣の許可のもとに昨年十一月二十七日組織委員会がつくられた。この組織委員会長野大会準備運営の全責任を負う。私もスポーツ議連の副会長をやったりあるいは長野オリンピック特別委員会の副委員長を仰せつかっておりますので、去年この会に出たわけでありますが、その際、レセプションの席で鳩山さんからごあいさつがございました。お役人の書いた原稿は早々にやめて、今もちょっと触れておられるけれども東京オリンピック大会の感動的な場面を通してあのときに受けたエネルギーが今日まで自分には持続をしている、何としても長野オリンピック大会は成功を期さなければならない、オーバーな言い方をすれば、そのためには何でもやる、こういうような調子のごあいさつがあったわけでありますが、どうもそうした御決意に比べると、主として財政的な面が強いわけですけれども政府の腰の入れ方がいささか弱いんじゃないかな、ひがみかもしれませんが、感じております。  そこで、この機会に改めて文部大臣としての鳩山さんの決意のほどを基本的に承っておきたい、こう思います。
  65. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先ほど小坂委員の御質問にもお答えをしたわけでございますけれども、また先生が今御指摘されたレセプションでの私のあいさつも、決して私は格好いいことを見えで言ったわけでもありません。私は本心を申し上げております。いささか口は滑りやすいタイプかどば思いますが、そういう傾向はありますけれども、決してうそを申し上げたつもりはないのです。やはり日本で三度目のオリンピックでございますし、それこそ数十年に一度、早くても十数年に一度というものでありましょうから、そういう意味東京オリンピックもあるいは札幌オリンピック日本の国家としての歴史あるいは社会としての発展の歴史の中で、何というか、一つのターニングポイントというか、オリンピックによって国力もあるいは国民の意識もうんと段違いに向上したということをみずからの青少年時代の体験から感じておるものでありますから、これだけ豊かになって、日本がどれだけ立派なオリンピックをやって世界に見せてくれるだろうかという世界的な関心は、いわば国際貢献というようなスタンドポイントからも見られているかもしれない。しかし、この長野オリンピック平成十年がやはり必ず何かの国民の意識の大きな変革とか社会がこれから発展していく上で大変大きなプラスの効果を生むことは間違いない。本当の先進国というか経済大国として世界の一流選手を招く最初の機会でもあろうと思いますから、そういう意味では国際的にどういう印象を得るかということだけでなくて、国内的にも飛躍と発展の絶好の機会だと思っておりますので、私も御協力をさせていただくに際しては、例えば長野市あるいは長野県というような方々がもちろん招致にも最も熱心であられたし、今も一番燃えておられるとするならば、私も長野市民になったぐらいの気持ちでそれはやっていきたいと思っております。  他方、平成元年閣議了解の方をよく読んでみますと、なかなか厳しいことが書いてあるのも事実、そういうことを決めていったのも事実だし、また財政再建と国家の財政状況ということもございますので、あのような閣議了解がなされているんだなと私なりに理解をしておりますので、あの範囲内でできるだけのことをやるというふうに、私は今のところは考えているわけでございます。
  66. 清水勇

    清水委員 大臣の前段の御決意のほどはまことにその言やよし、こういうふうに承らせていただいたわけでございますが、どうも後段の他方というところからやや消極的な感じがにじんでおる、こういうふうに伺います。平成元年六月六日の閣議了解のあることは私もよく承知をしております。しかし、あそこで言う財政再建ということは、つまり特例公債を発行しているという状況をにらんで言っているわけでありますから、もう平成二年度以降は特例公債は発行ゼロという状況を迎えているわけですから、そういう点もひとつ念頭に置いて、今述べられた大臣決意がよく生かされるように、よく生かされるという意味は、長野大会に向けての準備運営の万全を期するという点で生かされるように特に期待を申し上げますが、何か言われることはありますか。
  67. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 閣議了解でございますから、私の一存でどうこうできるものでないことは先生御承知のとおりだと思います。私はこの書き方を何度も読んでおりまして、完全にわかるような気もしますし、何かちょっと一部どういう趣旨なのかなと、解釈に若干範囲があるかなと思われる部分もなきにしもあらずでございます。先ほど体育局長から御答弁申し上げましたように、あるいは沢藤先生のきょうの質問の大きなテーマでもございましたが、IOC自体のいろいろな運営について方針の変化とか転換のようなものがあって、あるいは時代の流れというものもあって、今回もいわゆるスポンサーとか放送の権利の問題で六百五十億ぐらいの金額が見込まれているという東京札幌時代と全く大きな変化があります。それが運営の大部分を賄うことになろうかと思いますが、もちろんアクセスの問題とかいろいろな点があろうと思いまして、国が直接直轄で設備をつくるというようなことはできないことと思いますけれども、この別紙で決定した閣議了解の中で、この辺の解釈がこうであればもっとはるかにやりやすいんだというようなことが真剣に討議されて、私も組織委員の一員ではあるわけですが、そして何かこの辺はこういうふうに読み取れないかというようなことがあれば、私どもオリンピックに全面協力をする姿勢として、内閣の一員として内閣全体にお願いをするというようなことは考えております。
  68. 清水勇

    清水委員 さてそこで、今後具体的に大臣に御相談をするということが起こってくると思いますが、ひとまずこの場としては、まず第一点に国の財政支援の問題に絡めて少し具体的にお聞きをしておきたいと思います。  札幌オリンピック大会は一九七二年、今からちょうど二十年前になるわけでありますが、この札幌大会の際には、体育局長、真駒内の競技場以下国が直轄整備をした競技施設というのが幾つかあったわけですね。幾つありましたか。
  69. 逸見博昌

    逸見政府委員 大倉山のジャンプ競技場、真駒内のスピードスケート競技場、真駒内屋内スケート競技場、真駒内バイアスロン競技場、この四つでございます。
  70. 清水勇

    清水委員 四カ所だということでございます。  今大臣からは、二十何年か前のあの時期とは様相を異にしているんだよ、国の経済的な力もあるいは自治体の力も変わってきている、オリンピックをめぐる情勢もかなりさま変わりをしてきている、こういう意味合いで、主として大会運営費に触れて、例えば大会運営に七百六十億ぐらいかかると試算を出しておりますが、そのうちの六百五十億ほどは放映権であるとかスポンサーに依存をする、こういうことを予定しているわけです。その前に、オリンピック大会を行うたくさんの競技施設をどう整備するか、これにかかわる道路等のアクセスをどう整備するか、これは大会運営費とは違うわけですね。つまり放映権で賄うとかスポンサーで賄うという大会運営費とは違うんですよ、これは。  そこで、例えば札幌の場合には、今体育局長言うように、直轄で四つの主要な施設整備した、そのほかにも直轄外の競技施設整備については、国は三分の二の補助を出しているわけです、三分の二。ところが長野大会については、閣議了解等を通じて、いわゆる直轄施設はつくらない、全部そっちでおやんなさい、そういうふうに突っぱねておいて、なおかつ競技施設整備を自治体等が進める場合、補助率は二分の一以内というふうに、札幌と比較をすると著しく均衡を欠く措置をとっている、これはいささか当を得ないのではないか。  ですから、私がここでお尋ねをしたいことは二つあるわけですけれども一つは、せめてメーンの競技施設くらいは直轄整備ができないか。実はスポーツ議連の中の長野オリンピック特別委員会委員長は、今大蔵大臣をやっている羽田さんだ。私は副委員長という立場で、そこにいる小坂さんなんかも一緒にやっているわけなんだが、これは別に長野県の人たちだけで委員会をつくっているわけじゃない、国会全体の立場で相談をしているわけですが、せめてメーンの施設くらいは国が直轄整備をしてはどうか、これが一点。  それからいま一つは、直轄以外の施設整備に対する補助、二分の一以内と言っておりますけれども、以内ということは以内なんであって、二分の一ということを保証しているわけじゃないと読めば読めないこともない。しかし、文部省ではおおむね二分の一確保という立場で進めていこうとしておられるわけでありますが、この辺のところもきちっとならないかという点をお尋ねいたします。
  71. 逸見博昌

    逸見政府委員 お答えいたします。  先生も御指摘のとおり、今から二十年前が札幌オリンピックでございます。その当時とは、例えばオリンピックを取り巻く状況も違う、あるいは国の力、地方公共団体財政力も違っておるというふうな御指摘がございました。まさにそういった状況が変わったということ、これが、今申し上げましたように、メーン施設直轄でやることができない状況になっておるということ、補助率も残念ながら二分の一以内というふうな形で閣議決定を見ておるというふうな背景でなかろうかと思っております。  もう少し具体的に申し上げますと、例えばオリンピックを取り巻く状況と申しますと、札幌の当時は、スポーツを通じて国際社会におきます我が国の国際的な地位、これを確立しようというふうな、まだまだ大変積極的な、燃えておった時代ではなかろうかと思います。それに対しまして現在では、さまざまな国際競技大会、もう日本でたくさん催されております。オリンピックとしては三つ月でございますが、国際競技なりもしておるというふうな状況一つあろうかと思います。だからそういう補助率を少なくする、あるいは直轄施設ということに直接結びつくわけでもございませんが、そういったふうに当時とはオリンピックにかける国の意気込み、そういったものに変化があるというふうなことは指摘されようかと思います。  それから、もっと現実具体の問題といたしましては、やはり当時とは国と地方財政状況が違っておる。国が相対的に財政的に大変弱い立場になっておるということがあろうかと思います。私ども文部省の予算につきましても、補助金たくさんございますが、補助率を当時から比べましてぐんぐん減らされておるものもございます。一般財源化が迫られたものもございます。というふうな状況でございますので、国の財政状況地方との関係において相対的に大変地位が低下しておるということはあろうかと思います。  それから、もう一つでございますが、地方公共団体が二十年前とは異なりまして、スポーツ施設等を独自におつくりになるというふうなことが大変進んでまいっております。ということで、それを具体的に例えば申し上げますと、札幌のときには、先ほど申し上げました直轄四を含めまして十四施設を実はオリンピックのためにつくっておるわけでございます。ところが今回、長野オリンピックのために私ども補助いたしますもの、これは新設と全面改築含めまして八施設でございます。というふうなことで、地方公共団体において、その施設等も大分整ってきているというふうな状況、こんなふうなところも一つございまして、メゾン施設直轄でやることができない、補助率も二分の一以内ということを確保するのが精いっぱいということで、閣議了解の中で決定していただくのが精いっぱいだったわけでございます。  ただ、この二分の一以内ということの運用につきましては、先生御案内のとおり、一番厳しい運用を今迫られておりますのが私学助成でございます。二分の一以内で五〇%は補助というところでも、今十数%にまず下げられております。これを払いい例として挙げておるわけじゃございません。二分の一以内ということであれば、そんなことがあってもやむなしというふうな今の国家財政状況でございますけれども、私どもこの長野オリンピック施設については二分の一以内、これは二分の一でなければ絶対だめだという大変強い姿勢でもって大蔵との折衝に臨みまして、二分の一ということをアイスホッケー場でございますか、平成四年度の予算で獲得できたというところでございます。
  72. 清水勇

    清水委員 今体育局長の答弁の中で、甚だ残念ながら、こういう言葉がついていたわけでありますが、もしそういう心境であるならば、幸い力のある鳩山文部大臣がついているわけですから、やっぱり積極的に残念でないような方向へ努力をされるというのがあなた方の責務ではないか、こういうふうに思いますので、この点は強く注文をつけておきたいと思います。  さてそこで、さっきも触れられた大会運営費なんですけれども、これはとらぬタヌキの皮算用というような失敬なことは申しませんが、いずれにしても、テレビ放映権料が三百三十三億とかスポンサーが三百二十一億出してくれるのではないかとか、合わせて七百六十億という数字が出ている。これはあくまでも試算であって保証されておるものではない。札幌大会の場合には、御承知のように、大会運営費についても三分の一の補助をつけているわけですね。そこで私は、閣議了解との関連で、さらにここで札幌並みに三分の一の補助が出せないかなどということを改めて申し上げるつもりはございませんが、さてそれとの関係で、大会準備のためにはいろいろな施設をつくらなければならない、費用がかかる。そういう観点からいって長野オリンピックの成否というのは、単に長野県とか長野市の問題ではなしに、今や我が国そのものが問われるわけですね。大臣も言われるとおり、我が国がオリンピックを通じでどれだけの国際貢献ができるのか、これも問われていると思うのです。PKOについてどう貢献をするかという議論はおきまして、とにかく最も平和的なオリンピックという機会に、やはり相当な力を入れてしかるべきものである。ところが国は財政事情を口実に、さまざまな補助の面で著しく札幌大会時代とは均衡を欠くような措置しかとれない。もしそうだとすれば、ある程度の補完的な手段として、大会準備に必要な費用を捻出をする一助として、例えば国がかかわっている農水省の競馬であるとか、通産省の競輪であるとか、運輸省の競艇であるとか、こういうものに特別レースを組んで、そしてその収益の一部なり全部なりをそうした施設整備等の大会準備に充てる、こういうことがあって当然じゃないか。特に札幌大会の際に法制化をされた特別措置法によれば、当時は専売公社であるとか国鉄であるとか電電公社というものを通じてさまざまな広告事業等を行わせ、かつその収益金の全部もしくは一部を大会準備に充てるという措置が講じられた。住宅公団を通して選手村等必要な住宅についても便宜供与を図っている。ところが今度は全くない。そういうことを勘案をした場合に、少なくとも今申し上げたような競馬等の特別レースといったものが組まれてしかるべきではなかろうかと思うのですが、どうでしょうか。
  73. 逸見博昌

    逸見政府委員 先生指摘の競輪等の公営競技は、それぞれの根拠法令等に定められ九回数以外に特別枠で競走を行って、その収益を特定の事業に充てることができる、こういう制度があることはそのとおりでございます。そこで、この特別枠での競走を開催するためには、各省庁所管の法律でございますから、手続的には特別の省令を制定してもらったり、所管大臣の承認等が必要であるということでございます。ただ、競技場の数だとか競技選手の数というものも限りがございますので、なかなか色よい返事はもらえないわけでございますけれども、私ども所管官庁と十分に調整を行いまして、理解協力を得る努力を積極的にやってまいりたいと考えております。先生のみならず組織委員会からも具体に私どもの方に御提言もやがて出てまいろうと思いますけれども、そのときに関係省庁とも十分相談してまいりたいと思っております。札幌に出て長野には出ないというふうなことにはならないように全力を挙げたいと思います。  それから、もう一つでございますが、三公社等がこの法律に触れられていないではないかという御指摘でございます。これはオリンピック特別法の当時には、この三公社がまさに公社であったわけでございます。ということで、特例措置を財政上認めるためには法律に明記しなければならないということでございまして、現在はこれは特殊会社になっております。(清水委員「そこのところは私は聞いていない」と呼ぶ)ということで、三公社につきましても、私ども別途努力するつもりでございます。
  74. 清水勇

    清水委員 今局長が最後に言われた部分は、札幌当時は専売公社等、公社時代ですからこういう便宜を回らせたじゃないか、ところが、今回はそういうことはないわけですから、せめて競馬などはいかがでしょうか、こういうことを申し上げたので、その点は私の言葉が足りなかったら、この際補完的に申し上げておきます。  そこで大臣、今局長も言われたわけですけれども、既に組織委員会ができる以前から、大会準備のための費用の捻出等について国の各方面にわたる理解協力を仰ぎたいということで、県なり市なりが中心となって俗に言う招致委員会というようなものをつくっていたわけであります。その当時から今のようなことは要望をしておりましたが、確かに局長が言われるように、組織委員会として近々に正式に要請をされるだろうと思います。色よい返事が得られるかどうかといった御懸念を局長が述べておられましたが、ここは一番、関係の大臣文部大臣のお立場で、その辺よく調整を図って、これが実現するように御努力をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  75. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生の御提案は一つの立派なアイデアだと思っておりまして、考えてみると、閣議了解平成元年のものでございますから、もう約三年を経過しているわけでありましょうか、なかなか厳しい内容で、先ほど申し上げましたように、これをどう読むのか、今先生がおっしゃったようなことまで禁じているとも私は思わないのでございますが、いろいろな読み方についてはまだ教えてもらわなければいけないのかもしれませんが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、例えばこの閣議了解の読み方にしても、今先生のお話の競馬というような御提案に関しましても、これから組織委員会でもいろいろな検討をしていくことと思いますが、先生のように大変熱心な方々がまた超党派でやっておられるというお話も承りまして、そういう議会内での大勢の皆様方の動きというものが内閣全体を動かすというような形が一番望ましいわけでございます。そうでなければ私はとても、お願いはできても、私自身の力でこの閣議了解の読み方を決めるパワーはありませんので、そんな点で先生の御提案もぜひ超党派で幅広く運動を進められたらよろしいかと思うし、それがまた実現の道が開かれつつあるというような状況になれば、もちろん私も全面的に御協力するために関係大臣と折衝するとか、そういうこともまた考えるときが来るかと思います。
  76. 清水勇

    清水委員 次に、競技施設のことについて若干お尋ねをしたいと思います。  私も閣議了解なる文書を持っているわけなんですが、その中では施設等の整備は簡素を旨としてやれ、こう書いてある。これはこれで結構だと思うのです。そこで長野大会についても、この間行われたアルベールビルの大会などを参考にしながら、また同時に施設の将来の管理とか運営といったところに思いをはせて、差し支えのないものは、その一部を仮設で整備をする、こういうことを考えているわけですね。ところが困ったことには、仮設の施設については国は補助金を出さないよ、こういうわけなんです。だめだというのです。しかし、考えてみれば、オリンピックなんというようなときには大勢のお客さんが国内外からおいでになる。けれども平素はそんなにお客さんが来るわけでもない。となれば、いわゆる観覧席などというものは、これは三割とか四割程度のスペースは仮設で賄うというのが常識なんです。ところが、これは補助はだめだよ、こう言うのです。となると、二分の一の補助がもらえる恒久施設をつくることの方が財政的にいえば楽になる。ところが、それをやれば閣議了解で言う簡素という趣旨に反する結果になる。こういうどうも納得のいかないような措置の仕方というのはいささか問題ではないか。したがって、仮設の施設についても、その費用をトータルすれば巨額になるわけですから、こういうものに対しても補助対象にする、こういうことができませんか。
  77. 逸見博昌

    逸見政府委員 私ども競技施設補助いたしております対象は、大会終了後も社会体育施設として引き続き利用計画のある恒久的な施設、これに対する補助ということでございます。現在、社会体育施設整備補助金、こういった中から支出しておるわけでございますが、これは今申し上げましたように、オリンピック施設としてつくられる場合には、オリンピックとして使われた、終わればそれを直ちに壊してしまう、撤去してしまう、こういった臨時的なものは対象とし得ない、こういったことでございます。  先生、簡素であるということでおっしゃいましたが、なるほど簡素ではございますけれども、臨時のものという別の観点からとらまえまして、恒久的か臨時のものか、その臨時のものというのは、現在の補助制度上対象にならない、し得ない、こういったことでございます。残念ながら今の体育施設整備補助金、これの一環としてはお出しすることができないということでございます。
  78. 清水勇

    清水委員 局長、そもそも閣議了解事項なるものは、物によっては超法規的な内容のものも含まれているのですよ。ですから、現在の制度ではとおっしゃるのは、そのとおりなんです。私も百も承知で聞いているのです。しかし、閣議了解で超法規的な内容を込めたあれこれの方針というものがうたわれているわけですから、その中で、できるだけ簡素にしなさいよ、それにこたえようとすれば、今私が申し上げたような状況だから、この点はここで幾ら議論しても始まらぬと思います、それは閣議全体で決めていることでありますから。そこでこの点も、局長はもとより鳩山大臣におかれても、一つ検討課題としていささかの御検討を煩わしておきたい、これは希望をしておきます。  さて次に、オリンピックは確かに九八年の二月に行われるわけでありますが、実はその前の九七年の二月にプレオリンピックが行われる、これは御存じのとおりです。ですから、競技施設等はプレオリンピックまでに整備がされなければならない、こういうわけであります。したがって、文部省を初め政府全体としても、プレオリンピックに間に合うような施設整備、それに必要な事業費配分の優先的な対応、こういうことをやってもらわなければならないと思っておりますが、どんなふうにお考えをいただいておりますか。
  79. 逸見博昌

    逸見政府委員 オリンピック競技大会を円滑に運営いたしますため、大会に使用される競技施設をテストする目的をもって前年にプレオリンピックが行われるわけでございます。  そこで、地元組織委員会等の関係者から私どもに今伝わってまいっておりますところでは、一九九八年の二月にオリンピックが行われるわけでございますが、一九九六年、平成八年の秋ごろをめどにこの施設整備を完了したいというふうなことで御意向が出てまいっております。私どももこのプレオリンピックが行われることは大変大切なことであろうと思っておりますので、計画が一年ばかり短くなるわけでございますが、それに対応できるように全力を挙げたいと思っております。
  80. 清水勇

    清水委員 いずれにしても、九八年の長野冬季オリンピックの成否はプレオリンピックの成否にかかるわけです。今局長からしっかりした答弁をいただきましたから、これ以上は言及をいたしませんが、ぜひ組織委員会等で希望する九六年秋には施設整備が終わるように、間に合うように、これは特段の配慮をお願いしておきたいと思います。  さて、今のことに関連をするわけなんでありますが、運輸省おいでですね。  いろいろと御心配を願って、軽井沢から長野までのフル規格による新幹線の整備が開始されている。欲を言えばプレオリンピックに間に合えば一番いいわけですが、なかなかこれはそうはいかないだろう。いずれにしても、九八年のオリンピックまでには長野駅までこれが開業されなければ、これも一つの国際公約になっているものですから、うまくない。  さてそこで、私も非公式にはたびたび運輸省の皆さんと議論や相談を重ねておりますけれども、今の見通しとして、少なくても九七年の秋口、もっと詰めて言えば九月ごろまでには長野駅までの整備が完了する、つまり営業開始というときを迎えることができるということが非常に望ましいのだろうと思いますが、運輸省としてはどういうふうな見通しを持っておられましょうか。
  81. 山田隆二

    ○山田説明員 お答えいたします。  北陸新幹線の高崎-長野間が現在工事中でございますが、御存じのとおり、まず高崎-軽井沢間につきましては、平成元年六月に工事実施計画の認可をいたしまして、同じ年の八月に着工し、現在鋭意工事を進めているところでございます。現在工事の総延長の約八割の用地が既に確保済みでございます。またトンネルや橋梁、高架橋等の工事につきましては、既に着手しておりまして、現在工事の最盛期を迎えているところでございます。  次に、軽井沢-長野間についてでございますが、これは昨年の八月に工事実施計画認可をいたしまして、同年の九月に着工いたしております。現在ほとんどの地区におきまして地元の説明会を終えておりまして、用地買収等に必要な測量を開始しております。また本体的な工事についてですが、五里ケ峰トンネルを初めとする主要なトンネルにつきまして本格掘削のための準備を現在しております。  こういうことで、今後は地元皆様方協力が大変必要になるわけでございますが、その協力を得つつ、認可の日からおおむね六年ということで、六年後の完成を目指して工事の進捗を図ってまいる所存でございます。  以上でございます。
  82. 清水勇

    清水委員 工事の認可のときから六年というと、私がさっき申し上げたように、九七年の九月ごろまでには、間に合うというとおかしいが、完成というふうに理解をしてよろしいですか。
  83. 山田隆二

    ○山田説明員 お答えをいたします。  おおむね六年といいますと先生のおっしゃるような時期になるわけでございますが、何分にも大変工事の内容が多うございまして、用地買収の進捗のぐあいとか大きな工事の進捗のぐあいとかございますので、月とかいつごろになるかと明確に今の段階では申し上げられませんが、おおむね六年ということでの努力をしていきたい、こう考えております。
  84. 清水勇

    清水委員 その点は、せっかく目標に向かって御努力をいただきたいと思います。  次に、建設省からおいでだと思いますが――見えていますね。高速道路については、既にかなりの部分進んでおるわけでありますから、余り心配はないと思うのですけれども、例えば、長野県、長野市あるいは山ノ内町、白馬村、こういったそれぞれ競技施設を持つ、あるいは選手村を持つ等々の自治体の俗に言うオリンピック関連道路というものを、これは非常な数なのでありますが、鋭意事業化をして取り組みつつあるわけでありますが、これも先ほど私申し上げたように、プレオリンピックまでにこれらのオリンピック関連道路の整備ができるということが最も望ましいわけなのでありますが、現在、関係自治体などとの間でヒアリングをなさっておられるということもあるのかもしれませんが、どういう見通しを持っておられますか、お尋ねをいたします。
  85. 松浦仡

    松浦説明員 先生からお話ありました長野オリンピック開催につきましては、建設省としても積極的に協力してまいりたいというふうに考えておりまして、特に御指摘ありました長野と首都圏を結びます高速自動車道、それからまた長野市から競技会場になります志賀高原とかあるいは白馬村に連絡する道路等につきましても、地元協力を得ながら、できるだけ早く整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  まず、長野県内の高速自動車国道でございますが、これにつきましては、関越自動車道の上越線及び中央自動車道の長野線の整備を進めておりまして、このうち関越道の藤岡インターチェンジから佐久のインターチェンジ間の七十キロと、それから中央自動車道の豊科インターチェンジから須坂のインターチェンジ間五十九キロにつきましては、平成四年度、今年度の供用を考えております。  また、関越道の佐久のインターチェンジから更埴ジャンクションの間の四十七キロ及び須坂インターチェンジから北の方へ向かいます中野のインターチェンジの間十一キロにつきましては、現在用地買収及び文化財の調査等を進めるとともに、一部既に工事にも着工しておりますが、平成九年度までに供用を図るというのは非常に厳しい状況にありまして、早期に家屋移転とか、あるいは文化財の調査を進める必要がありますので、引き続き地元皆様協力を得ながら、鋭意整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから次に、一般国道の十九号の七二会から長野市の青木島の間、また国道二百九十二号、これは志賀高原に行く道路でございますが、中野市の夜間瀬から山ノ内町の蓮池の間、また主要地方道の長野大町線等、オリンピックの競技会場と選手村や各施設を連絡する道路があります。これは非常にたくさんありますが、これらにつきましても、それぞれ事業主体が国、県、市町村ということになりますので、できるだけ緊密に連絡をとりながら、間に合うようにやっていきたいというふうに思いますが、中でも国道十九号の長野の南バイパスの笹平改良のように、今年度から事業着手するところがございます。これについては、今から地元説明、用地買収ということになりますので、これは地元の皆さん方の協力がなければできませんので、建設省としても頑張ってまいりますが、ぜひ先生方も御協力いただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。  それから、供用につきましては、できるところから供用するということを考えていまして、九年までにすべてということではございませんが、できるところから供用してまいりたいと考えております。(発言する者あり)
  86. 清水勇

    清水委員 今ちょっとそこで御発言がございました。口がうまいというのではなしに、真剣に取り組んでおられるのだろうと、私は常に善意に物を解釈するたちでございますから、ひとつこの点は、県なり地元協力すべき、当たり前のことでありますから、これはこれで対応できるように努力を尽くしたいということを申し添えておきます。  さて、最後になりますが、先ほど沢藤委員質問に答えて、いわゆるスポーツ基金のことに大臣が触れておられました。言うまでもなく、基本的にはスポーツ振興、なかんずくアマチュアリズムとの関係で積極的な振興を図るという点で言えば、一般会計で必要な額をカバーをしていく、賄っていく、これが正当なあり方だろうと思うのですが、今日その一助としてスポーツ基金を設置をしている。しかし基金そのものが小幅なものですから、果実も勢い小さくならざるを得ない。そこで、足らざるものを補うという意味合いで、サッカーをめぐって最近物議を醸すような発想が出ているようでございますが、基本的にこのスポーツ振興に力を尽くすんだと言われているが、財政事情との関係でどうも不如意である、そこでやむを得ず基金に依存をしてみたり、その他のギャンブル性を持つものに依存せざるを得ないといったようなことがありますと、やはりその辺から政策そのものが歪曲をされていくというようなことが起こりはしないか、こう思わざるを得ないわけでありまして、我が国は経済大国を謳歌をしている、が、しかし文化小国だとかスポーツ小国だとかいろいろなことが反面では取りざたをされていることもまた事実。そういう点からいって、オリンピック関連でもそうなんでありますが、ないそでは振れないということで、残念ながらという言葉がたびたび出るわけなんでありますが、そうならないように、より積極的なスポーツ振興のための予算というものを今後どう確保していくか、こういう点で大臣決意のほどを承って終わりにしたいと思います。
  87. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 我が国が経済大国として今日のような経済的な発展や繁栄を享受してくるまでのいろいろな歴史の中で、オイルショックもあったでありましょうし、戦争の、敗戦の焦土の中から立ち上がっていく時期もそうであったでありましょうが、そういう中で日本人は非常に経済的なことについてはたけておった、そして勤勉でもあった。ですが、残念ながら、予算というものを組んでいく中で、例えば経済成長の著しかった時期に、本来ならばもっとスポーツ関係とか文化関係に予算がついておればよかった。そうであるならば文化小国とかスポーツ小国と言われるような批判も受ける必要はなかったのかもしれないわけでありますが、どういう行きがかりか、例えば文化庁の予算が一般会計のどれくらいだというような数字もよく発表させていただきますけれどもスポーツ関係、文化関係はどうも民間活力に依存することが多くて、余り予算の上で大きなパーセンテージを占めないで今日まで至ってしまったわけで、これを一気に解決をするというのは、財政当局を説得するのも正直なかなか容易ではありませんし、バブルもはじけて、いわゆる財政的には、もちろん特例公債の既に発行したものも巨額のものが残っておりますし、そういう意味財政再建を続けていかなくてはならない。既定の経費をむしろ削減をしますというようなことが続いておりますものですから、体育関係、スポーツ関係の予算を三倍にします、五倍にしますということはとてもかなわぬ状況であったがゆえに、バブルの影響もあったかと思いますけれども、補正予算を組むというようなときをねらってスポーツ振興基金を、芸術文化振興基金も同様でしたが、設けることに成功いたしたわけでありますが、それが民間からの寄附がいま一つでございまして、合わせて三百億を切っておりますから、そうしますと、低金利時代ですとどの程度の金利であるかということは容易に想像がつくわけで、それはスポーツ振興基金が一千億ございます、二千億ございますというのであれば、それはもう事情が全然違うわけでございますが、そういうような状況にございます。  そういうことを察知して体協やJOC皆様方が、長野オリンピックもあるし、そのためのいろいろな選生育成等もやりたいということだろうとは思いますが、その前にアジア大会とかユニバーシアードもありますが、そういうことも関連して、ぜひこの選生育成のためにトトカルチョというようなものを導入したらどうだろうか、こういうことで各党をお回りになったということで、文部省はあくまでも申立てスポーツの所管官庁ですから、この辺は大いに勉強だけは積んでおかなければならないが、長野オリンピック成功のための一つの方法なのかなというふうな感想は持っております。
  88. 清水勇

    清水委員 終わります。
  89. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  平田米男君。
  90. 平田米男

    ○平田(米)委員 きょうはそれぞれ長野オリンピック地元先生方がおいでいただいて、もっとお金を出しなさいという趣旨の御質問が多々ある中で、私は、地元じゃございませんものですから、もう少しちょっと冷静な目でこのオリンピックを見てみたい、こんな思いがございまして、そういう観点で少し御質問をさせていただきたい、このように思うわけでございます。  長野冬季オリンピックが、地元の方々にとっては三度目の正直といいますか、やっとの思いで招致ができました。大変お喜びであることは私にとっても同慶の至りであるというふうに思うわけでございます。それぞれの地元先生の御努力また関係者の御努力によってぜひとも立派な大会実現していただきたい、このようにも私思っております。ただ、今回のオリンピック招致に当たってさまざまな問題点も指摘されておることも事実でございまして、そういう問題は今後日本オリンピック招致するに当たってやはり十分考えておかなければならないことなのではないか。また日本招致するばかりではなくて、IOCあり方あるいはオリンピックあり方について我が国としてもそれなりの意見を言っていかなければいけないのではないか、このように私は思います。  そういう意味で、招致運動についての問題点を若干お伺いしたいと思うわけでございますが、今回の長野オリンピック招致に当たって長野オリンピック招致委員会が活動されたわけでございますが、その招致運動に使われた金額というのは幾らでございましょうか。
  91. 逸見博昌

    逸見政府委員 私どもが把握いたしておりますところでは、総額十九億六千万でございます。
  92. 平田米男

    ○平田(米)委員 十九億六千万。伺うところによりますと、このオリンピックを行うのに競技施設運営費だけで約二千百億円かかる。関連の公共事業を入れますと、それの二倍、三倍になるのではないかと思うわけでございますが、その施設費と運営費二千百億円に比べて一%という意味では大きいのか少ないのかよく私はわかりませんが、スウェーデンのエステルスンドは三億四千万円、アメリカのソルトレークシティーは六億三千万円の誘致運動資金を持って長野と競争をした、こういう報道があるわけでございますが、この辺についての事実認識はいかがなのか。また、この数字を見ますと、圧倒的に長野が多額な金を使っている、これについてどのようにお思いになるのか。まず数字の確認だけしていただいて、それについて大臣から御所見をいただければと思います。
  93. 逸見博昌

    逸見政府委員 先生今具体の数字を挙げられたわけでございますが、私どもこの数字は実はつかんでおりません。
  94. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 激戦だったん尤なという印象を受けるわけで、正直言って数字を知りませんでしたものですから、今十九億という体育局長の数字を聞いたときには、私は随分多いなと思ったのです。四、五億かなと思っておったわけですが、それはソルトレークシティーやもう一つ先生が御披露になったところがそういう五、六億というような金額だったということであるとするならば、ちょっと多いなという印象はやはり否めないところがございまして、また招致運動にそういうふうにお金がかかるということは問題で、やはり政治改革みたいなのが必要なのかなという印象も正直言って持ちます。
  95. 平田米男

    ○平田(米)委員 大臣から率直に御意見を承ったわけでありますけれども、ソルトレークシティーに比べましても約三倍の費用を使っておるわけでありますが、一体中身は何なのでしょうか、十九億円使った中身は。これはおわかりになりますか。
  96. 逸見博昌

    逸見政府委員 ここでは大きく五つに科目が分けでございます。一つ目が渉外活動費、これは海外、国内の招致活動、IOC関係の会議費、視察調査等の経費でございます。それから広報費、IOC提出資料作成、広報資料作成等でございます。それから競技施設費、専門委員会費、調査等の経費でございます。それから会議費、これは総会だとか実行委員会経費でございます。それから一般の事務費。  以上でございます。
  97. 平田米男

    ○平田(米)委員 金額はわかりますか。
  98. 逸見博昌

    逸見政府委員 それぞれ渉外活動費が、私が把握しておるところでは十億八千八百万、広報費が七億一千八百万、競技施設費二千八百万、それから会議費千九百万、事務費が一億七百万でございます。
  99. 平田米男

    ○平田(米)委員 要するに、渉外費の十億、これがまさにIOC委員日本に招待して現地を見ていただく、どうもこれは現地を見ていただくだけではなくて、何か報道によりますと京都の観光もしていただいた、こういうことのようなんですが、その辺は事実でしょうか。
  100. 逸見博昌

    逸見政府委員 私どもはつまびらかにいたしておりません。
  101. 平田米男

    ○平田(米)委員 答えにくい質問かどば思いますが、これは事実のようでございます。要するに、こういうお金をかけてIOC委員を接待づけにして、そして招致運動をするというのは最近のはやりのようでございまして、ますますそれがエスカレートしてきている、これが実態ではないかというふうに思います。  それで、国際オリンピック委員会は、八八年の十二月に「立候補都市の金銭に係る行為の制限について」という通達まで出しておるわけでございまして、「IOC委員の立候補都市への訪問は三日を超えてはならない。」二番目に「贈り物は二百ドルを上限とする。」それから「パーティーに呼べる委員は一回十人以内とする。」と過熱の自粛を訴えておるわけでございまして、IOCも十分理解をしておるわけでございますが、しかし、この通達を忠実に守っていたならば競争には勝てない、同額の裏金がなければとても無理なんだ、こんな話まであるわけでございます。長野がどうであったか、私は真相まではよくわかりませんが、しかしこの金額からすれば、そういう嫌いがあると言われてもやむを得ないではないか、こんなふうに思います。これからのオリンピックはお金持ちの国しか招致ができない、いやお金持ちの都市しか招致ができない、こんなことも言われております。  これまでも同僚委員からスポーツと金あるいはスポーツアマチュアリズムということでお話がありましたが、アマチュアリズムの頂点と思われていたオリンピックがまさに金権の競争である、こういう実態を示している。日本は経済大国でありますから、その金の力に物も言わせて誘致をから取ったと言われたならば、大国の名をまさに辱めることになるのではないか、こんなふうに私は思うのですが、もう一度大臣、御感想がありましたらば。
  102. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先ほどからの支出と収入、支出の方が十九億幾らというのは、長野オリンピック招致委員会という組織体のものだろうと思うのですが、この組織体は民間の組織、民間団体であろうと思います。しかしながら、このオリンピック実現をすれば、組織委員会という法人もでき上がるわけですし、そこに国家公務員を派遣した場合に、これはもうまさに国家的な行事ですよということの法律案審議を今お願いをしているわけでございまして、非常に公的な色彩の強いものでありますから、その招致委員会は民間団体であっても、成功すれば、もう大変に公的な意味を持つわけですから、当然準公的団体というふうに少なくとも自意識を持つべきであろうと思ったときには、今先生から御指摘されたのは、私は初耳で初めて読みましたが、三日以内の訪問とかパーティーは十人以内というようなのは初耳でございますが、そういうものをきちんと守って、できるだけお金をかけなくてもオリンピックを呼べるというような実績を今後目指していくべきではないだろうかと率直に思います。
  103. 平田米男

    ○平田(米)委員 IOCに対して我が国としてどう主張できるかということはよくわかりませんが、やはり日本にも委員が見えるわけでございますので、こういうことがないように、やはりIOCとしても努力していただきたいし、IOC日本委員も心していただきたいというふうに思います。  また、文部行政の中でもこういうことが繰り返されないように、ぜひとも文部省としてもできる範囲内で御努力をいただきたいと思うわけでありますが、もう一度何かいかがでしょうか。
  104. 逸見博昌

    逸見政府委員 先生先ほどIOC自体が何か自粛の通知を出しておるという御指摘ございました。実は長野オリンピック決定後、当然でございますが、ことしの二月、アルベールビルでまた第九十八次のIOC総会におきまして招致活動に関する新規定を定めております。それもほとんど先生がおっしゃったのと重複いたしますけれども、簡単に読み上げますと、「IOC総会など各種会議に代表を派遣する場合は六人までとする」「IOC委員への贈り物は二百ドルを超えない」、約二万五千円でございます。「IOC委員を訪問する際は、IOCへの事前報告が必要」である。それから「立候補都市訪問は一回限りで、原則として三日以内とする」「航空券はIOCが用意する」、こんなふうなみずからの自粛措置あるいは開催立候補国に対する呼びかけをいたしておるところでございまして、今後より適正な招致活動ができるものと考えておるところでございます。
  105. 平田米男

    ○平田(米)委員 この話はこの程度にしておきまして、今度競技施設のところに入りたいと思うのです。  ボブスレーとリュージュという競技があるそうでございまして、ボブスレーというのは鉄製のそりに二人ないし四人が乗って氷の坂を下りましてそのスピードを競う。リュージュというのは一人ないし二人だそうでございまして、同様にそりだそうでございますが、このボブスレー、リュージュの施設で、今回用地費を含めて四十六億円の予算を組んでおるわけでございます。札幌にも、札幌オリンピックをやったとき同様にボブスレーとリュージュ別々の施設をつくっておるそうでございますが、ボブスレー、リュージュをやる競技者の数というのは日本は余り多くない、こういうことで、その後余り使われてはいないのではないか。新たに長野につくったならば、また二つにもなってしまって、ますます施設として多過ぎるのではないか、こんなような御意見を聞くわけでございますが、札幌における施設の使用状況あるいはそのランニングコスト、それから長野における設置、先ほど四十六億円と申し上げましたが、その後のランニングコスト、そしてオリンピックが終わった後の使用頻度といいますか、そういうものがわかりましたらば示していただきたいと思います。
  106. 逸見博昌

    逸見政府委員 まず、リュージュの方でございますが、年間の維持費が平成三年度で千六百五十万ということでございます。利用の方でございますが、延べ六百名、十二の大会が開かれて平均五十選手、六百名が利用しておるという状況です。  それから、ボブスレーでございますが、千五百メートルのコースを八百メートルに縮小して利用しておるということでございますが、年間の維持費が平成三年度約一千万円でございます。利用延べ者数は九百六十名というふうに把握しております。
  107. 平田米男

    ○平田(米)委員 長野の方の予想されるランニングコストはわかりませんか。あるいは使用頻度。
  108. 逸見博昌

    逸見政府委員 長野の方のランニングコストはまだ未定でございます。
  109. 平田米男

    ○平田(米)委員 札幌建設費は二つで七億一千万円というふうに聞いております。それは二十年も前でございますから、今の貨幣価値とは違うと思いますが、七億一千万円のものをつくって、今両方で毎年二千六百五十万円かかっている。今度四十六億円のものをつくるとなると、どの程度の維持費がかかるのか。これは比率からいきますと莫大な金額になりそうでございます。しかし、使用者は延べにして合わせて札幌だけで千五百六十名ということになるわけでございまして、これはスキー場とかそういうものに比べられないと思いますし、またスケートリンクなんかとは比べられないかとは思いますが、しかし使用頻度、使用者数としては余りにも少ない、極めて少ない、こんなふうに思います。  実は、このボブスレーの施設については、札幌の既存の施設を使ったらどうか、こういう意見も出ておるわけでございまして、またIOCとしましても、都市開催という原則はあるけれども、それが広域にわたってもいいし二国間にわたってもいい、こういう考え方も示して、その札幌施設を使うことを認めるような方向で意思を表明しておるような状況にあるわけであります。約二千百億のうち四十六億といえば、大きいといえば大きいし、小さいといえば小さいのかもしれませんが、しかし、その後のランニングコスト、これは地元の自治体が負担をするわけでございますし、自治体が負担するということは、結局は県民、市民の方々が負担をされるということを考えますと、できるだけ合理化をする必要があるのではないか。特に閣議了解精神からするならば、どこまでも盛大にやるけれども、しかし経費はできるだけ切り詰めてやる、これが考え方と私は理解をしておるわけでございますけれども、そういう観点からすると、このボブスレー、リュージュの開催札幌でやった方がいいのではないか、こんなふうに思うのですが、それについて文部省はどのようにお考えでしょうか。
  110. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 ボブスレーとかリュージュにつきましては、私も余り詳しくないわけで、先生のお話を承ってなるほどと思って聞いておりました。ただ、そうしたボブスレー、リュージュ、日本人には決してなじみが深いとは言えない。しかし冬季オリンピックの種目であるということなんでございますが、財団法人長野オリンピック冬季競技大会組織委員会、ちょっと妙な言い方になりますが、これは私もメンバーなんです。文部大臣としては、その組織委員会からは何の報告も受けておりませんので、現時点では長野市周辺ですべてを実施する計画であろうと考えております。  いずれにいたしましても、変更という、札幌開催というような御提案が出されましたけれども、もしそういうようなことであれば、その組織委員会とあるいは競技施設を提供する長野市等の地元、そしてIOCと三者協議を行うことになるであろうと思っておりまして、今のところは何の報告も受けておりませんので、まだそういう話は具体化していないと認識いたしております。
  111. 平田米男

    ○平田(米)委員 じゃ、この新聞報道は間違っているのかもしれませんが、津田正長野冬季五輪組織委員会事務総長は、平成四年二月二十一日アルベールビルで記者会見をいたしまして、「招致計画の内容に基づいてやるのが原則と考えるが、後利用の問題もあるので、内外の専門家に現地を見せて意見をもらいたい」、ボブスレー、リュージュのコースについて、そういう発言をしておるわけでございまして、やはりこれについて文部省としてもきちっとした考えを持たれる必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  112. 逸見博昌

    逸見政府委員 これはあくまでも組織委員会が自主的、主体的に御決定になることでございます。ただ、先生の御提言も私は一つの立派な御提言というふうに考えますので、組織委員会等からもし私どもに御相談があれば、先生の御趣旨等をよく伝えるようにいたしたいと思います。
  113. 平田米男

    ○平田(米)委員 先ほどから、お二人だったと思いますが、委員の方からスポーツ基金のお話がございました。大臣から答弁で、これまで約四十三億円、民間から目標額百億のうち四十三億円集まってきたというお話でございますが、どうもこれは分割払いで入ってくるという話でございまして、現時点までに今幾ら入っておるのでしょうか。
  114. 逸見博昌

    逸見政府委員 二十億でございます。
  115. 平田米男

    ○平田(米)委員 これは平成二年の末に法案が成立をして、それから活動をされたわけでございまして、平成三年ときょうまでということで約一年と四カ月間、文部省の方々の大変な御努力によってこれまでの成果を上げられたのだろうと思うのですが、今のバブルの崩壊等も考えますと、経済状態を考えますと、これから急速に伸びるというようなことはなかなか難しいんではないか。今後も御努力をしていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、どうもこれは全部大企業、ほとんど金融機関あるいは若干のメーカー、そういうところに働きかけをしておいでになって募金をしていただいた、こういう実態のようでございます。私は前の法案審議のときにも申し上げたのでございますが、やはりスポーツ振興というのは、一部の企業、特に大会社が出してやるのは、本来のあり方ではないと思っておるのです。国民こぞってスポーツに対する関心を持ち、それに対して国民大勢の方々から寄附をいただいてスポーツ振興基金というものが成り立ってこそ、スポーツ振興基金が単に金集めではなくて、国民の中にスポーツ振興の意識を高めていただいて、そして国民自身もスポーツに励む、参加をする、こういう形になっていくのではないか。今スポーツをされる方々は何人いるかというのはちょっとカウントできないと思うのですけれども、ほとんどの方はやはりスポーツは好きでございますし、やりたいと思っている方が多いと思います。人口一億二千万のうち一億人ぐらいはスポーツ人口ではないかというふうに思いますので、まずそのスポーツをやりたいと思っている一億人ぐらいの方々に働きかけてこそ、本来の国民が支えたスポーツ振興基金というのができ上がるのではないかというふうに私は思います。  それでその際にも、例えば緑の羽根とか赤い羽根募金と同じような発想で青い羽根募金などというような国民全般にかかわる募金活動の創設ができないでしょうかということを提案させていただきまして、保利国務大臣からは、「今後このスポーツ振興基金が動き出しまして、そしてまずでき上がって、その上でそうした幅広い国民の参加というものが得られるようないろいろな資金の集め方についての検討というのをしてまいりたいこういうふうにおっしゃっておいでになりますし、また野崎政府委員からは、「広く一般の、特に個人の方々からも御協力を仰ぐ、そういうことが国民全体によるスポーツ振興に取り組むというようなこと」については、「私ども全くそのとおり考えておるわけでございます。」「いろいろな個人を対象といたしました寄附金募集の方法等も考えられると思いますので、この点につきましては、スポーツ振興基金寄附金を募集しております日本体育学校健康センターにおいて現在鋭意検討中でございまして、私どもといたしましても、日本体育学校健康センター一緒になって真剣に取り組んでまいりたいこういう答弁をいただいております。  それから一年以上だっておるわけでございますが、これは保利大臣の御発言のようなことを考えますと、百億集まらないと始まらないということになるわけでありますが、しかし、それを待っていると何年かかるかわからないという状況にも今なっておるのが事実なわけでございまして、トトカルチョというのもそれなりの考え方であるかとは思いますけれども、しかしまずやるべきは、私が御提案をさせていただいたような国民全般にかかわる寄附金募集運動ではないのかな、こんなふうに思うわけでございますが、この寄附金活動を創設されるお考えはございませんか。
  116. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 平田先生から二度、三度とこういう御提案をちょうだいいたしておりまして、文部省あるいは日本体育学校健康センターにおいても、これは真剣に検討をいたし、検討をさせていかなければならない。そうしますと、保利大臣と同じ答弁になってしまうかもしれませんが、これはどういうことが可能であるのか極めて前向きに考えていきたいと思っておりまして、およそ先生は青い羽根を想定されておられるというふうに承りましたけれども、例えばそういう形で個人から寄附を募るということになりますと、これは単にお金が入るということだけでなくて、その寄附をした側の意識の高まりということが、例えば言葉の上で言えば、日本スポーツ大国化に大きく寄与するだろうというふうに考えるわけでございます。  正直申し上げて、スポーツ振興基金が、民間から今実際に入っているのは二十億、四十三億までの約束はできておるということなのでありましょうが、いろいろお願いをして歩きますと、一つは、同時期に例えば芸術文化振興基金にだれだれ文部大臣から頼まれてあれしたので、そっちが先だったものでなどというふうに言われる場合があります。あるいは望み大きくやっておりますと、どうしても三千万、五千万、あるいは一億という単位で物を考えてしまいますね、大企業に、スーパー大企業お願いに行きますから。でも、そういうところでも、正直言って、例えば一千万とか五百万という金額ではだめなんですかと言われるケースも結構あるのですね。ですから、この際やはりそれぞれの企業のいろいろな意識もあろうと思いますが、先生おっしゃるように、個人からもそういうふうな寄附をいただくということであるならば、会社も、大企業で一億円、二億円ねらいで歩くというのじゃなくて、もう幅広く、すべての会社で善意のある方からちょうだいに歩く、お願いに出向くというくらいの姿勢でないと、スポーツ振興基金の今後の基金の積み増しというものはなかなか厳しいのかなと実は思うところがございますので、先生の御提案はまことに意義あるものでございますので、よく考えていきたいと思います。
  117. 平田米男

    ○平田(米)委員 終わります。ありがとうございました。
  118. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  木島日出夫君。
  119. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。私は長野県選出の議員でございますので、山原健二郎委員からお譲りいただきまして、本日のこの質問に立っているわけであります。しかし長野県選出といいましても、委員長と同じように長野県の南の方でありまして、私の選挙区内はオリンピックが直接行われるところではありません。比較的冷静な立場から、立派なオリンピックを成功させたい、一県民として、また一国民として、立派な長野オリンピックを成功させたいという立場から、幾つかの点について質問をしていきたいと思っております。  最初に、文部大臣にこの長野オリンピックをどういう理念で成功させるかという点についてお聞きしたいと思っております。私の方から三つの理念を挙げたいと考えておるわけであります。先ほど来、オリンピックの商業主義の問題とかアマチュアリズムの問題がありましたが、私の方からは、一つは、オリンピック憲章にある平和の祭典としてのオリンピック、二つには、やはりオリンピック憲章にあるわけですが、自然環境との共生、自然保護の問題、それを全うしたオリンピックの成功、もう一つは、簡素な、地域住民に負担のかからない、そういう意味で簡素なオリンピックという、三つの理念で成功させたいなと思っているわけであります。  オリンピック憲章の基本原則の第三項にこうあります。これは平和の問題ですが、「オリンピック精神の目標は、スポーツをあらゆる場で、人間の調和のとれた発育に役立てることにある。また、その目的は、人間の尊厳を保つことを大切に考える平和な社会の確立を促進することにある。」まさにオリンピックの目的は、平和な社会の確立てあるとうたわれているわけであります。今度の長野オリンピック会場のそばには、かつての大戦の末期につくられようとした松代大本営の跡地もあるわけであります。長野オリンピックをこのオリンピック精神の目的どおりに平和の祭典として成功させるためには、何よりも平和憲法を持つ我が国が平和国家に徹しなければならないと考えるわけであります。  二つ目の自然保護の問題であります。自然とオリンピックとの共生という理念であります。手元にオリンピックの宣伝チラシを持ってきているわけですが、ここにも長野オリンピックのスローガンに「地球時代の美しい冬季オリンピック」という言葉が掲げられております。長野冬季オリンピック招致運動の経過の中で、自然保護の観点から、男子の滑降競技を、志賀高原の岩菅山から、これをやめて白馬の八方尾根に変更したという経過があったことは、文部大臣も御存じのとおりだろうと思います。さきのフランスのアルベールビルのオリンピックでは、自然保護に非常に細心な注意が払われた。高山植物アンコリを保護するため男子滑降コースが本当に屈指の難コースになった。それもいとわずに大変貴重な高山植物を守っだということが指摘をされております。私もそのことをテレビで見ました。今回の長野オリンピックにつきましても、男子滑降会場は変わりましたけれども、新たに長野市には、ボブスレー、リュージュの会場をつくらなければならない。また白馬村には、原野を切り開いて、クロスカントリー、バイアスロンの競技場をつくらなければならないという問題があるわけでありまして、自然保護を優先するオリンピックにこれから準備の段階でしていきたい、そのために文部大臣としても最大限努力をしていただきたいなと思うわけであります。  第三は、住民の負担と犠牲を最小限とする簡素なオリンピックという理念であります。これは既に他の委員からも再三指摘されましたが、私、時間の許す限り、あと細かく質問をしていきたいと思うのです。平成元年六月六日の閣議了解で、国の負担に一応の了解があるわけでありますが、現実に自治体からの意見をお聞きいたしますと、非常な負担地方自治体にかかることは事実であります。後で詳しい数字を開示いたしますが、地元住民の負担を重くしない、軽減する、そういう観点から、ぜひ閣議了解を前向きに再検討していただきまして、札幌オリンピック並みの国の援助長野オリンピックについても賜りたいと思うわけであります。  概括三つの理念について私の意見を述べさせていただきましたが、まず文部大臣長野オリンピックをどういう理念で成功させようとしているのか、御意見を賜りたいと思います。
  120. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 まず平和の点でございますが、これはスポーツが平和の礎になるというのはしばしば見られる現象でございまして、逆に言えば、オリンピックが政治の波に洗われて満足すべき成果を上げることができなかった幾つかの例も見出すことができましょうが、当然、現在は冷戦後という状況にございまして、我が国がどのようなオリンピック開催するかというのは、国際貢献という観点からも注目をされているところでございますので、この長野オリンピックは、日本スポーツ大国化という意味で大変大きな意義を有するものでありますが、そうではない、世界にむしろ発信をするという点では、平和を発信するというか、このオリンピックが平和の役割を大きく果たすことを期待をいたしております。  それから、先生が御指摘になった第三点の簡素という点については、これも意義はよくわかるわけでありますが、先ほどから何度も御答弁申し上げましたように、平成元年閣議了解というものについては、私自身がこれを変更する力は持っておりませんので、読み方としてどういうふうに読めばもっと国が協力できるというような点がございましたら、皆様方で、先生方で御議論をいただくとか超党派でお考えいただくとか、あるいは組織委員会の方と相談をさせていただくというようなケースが生じれば、私はオリンピック担当大臣として政府の中でいろいろとお願いをして歩くということもやっていこうかと思っております。  環境問題、自然保護とのことでございますが、これも、長野県は日本で最も自然の美しいところでございまして、しかも今まで余り開発の進んでいなかった地域にも各種施設をつくるということで、これが自然と調和しなければ、このせっかくのオリンピックに傷がつくということでありましょうし、長野オリンピック組織委員会の方も自然にやさしいというか自然と調和する冬季五輪をやるというかたい決意を持っているように承っておるわけでありますが、一つ気になることがございます。  それは、私の専門のチョウの分野で、ギフチョウとヒメギフチョウという二つの美しい小型のアゲハチョウが日本に分布しております。片方をリュードルフィアヤポニカ、片方をリュードルフィアブジロイと申しまして、リュードルフィアラインというのがあって、東北日本と西南日本、東北日本はヒメギフチョウ、西南日本はギフチョウというすみ分けをいたしておりますが、たまたまその分布が重なる、混飛、両方が一緒に飛ぶ地域が全国で四カ所か五カ所かございまして、その一カ所がいわゆる白馬周辺であります。この白馬には、そういう影響とは別なんですが、ギフチョウのイエローバンド型という縁毛がすべて黄色になった極めて美しい遺伝型が発現するので著名でございまして、自然保護運動家が今回の長野オリンピックがイェローバンドを滅ぼしておるということを相当厳しく言っておりますので、私は正直言って時間があれば現地視察をしてきたいと思っております。
  121. 木島日出夫

    ○木島委員 ギフチョウに関する大変すばらしい御意見を開陳していただきました。  実は、今白馬村に九十メートル級ジャンプと七十メートル級ジャンプの会場がつくられていますね。そこがそういう小動物の生息に非常に重要な地域である、そんな件も指摘されていたという地域なんです。ぜひ貴重なかけがえのない自然を守るという立場に立って、現地調査を含めて、これから委員会とか対策協議会ですか、そういう場で文部大臣には努力していただきたいと思うわけであります。これは答弁は求めませんが、自然保護の問題について一つだけ指摘をして、検討願いたいと思うわけであります。  実は、ボブスレーとリュージュの会場が長野市の飯綱高原に新設されることが予定されるわけでありますが、その予定地域のもうちょっと高いところに京急がゴルフ場を建設しようとしているわけなんですね。その地域には実は七万年の歴史を持つ逆谷地という地名の高層湿原があるわけであります。尾瀬でもたかだか数万年でありますが、七万年の蓄積を持つ高層湿原があるわけですね。またその地域はお隣の牟礼村という小さな村の水道の水源地帯でもある。また下流の、浅川というのですが、これは天井川で、長野市内に大きな災害の危険も心配されているということがあるわけでありまして、ボブスレー、リュージュの会場、そのための駐車場とこういうゴルフ場とがセットになった場合には、自然保護の面で大きな心配を地元住民はしているわけであります。これからでありますから、ぜひともそういう点にしっかり目配りをしていただくようお願いをしたい。  それからもう一つは、これはアルベールビルのオリンピックでも問題になったそうでありますが、ボブスレーとリュージュの会場をつくるのは、氷の壁をつくるわけですね。そうすると、あれだけの大量の氷をつくるための凍結剤による大気汚染とか水汚染という問題がやはり出てきたらしいのです。長野とアルベールビルはどちらが気温が低いかちょっとわかりませんが、あれだけの大きなボブスレー、リュージュの会場をつくるというのはなかなか大変な仕事です。科学の進歩もあるでありましょうけれども、そういう点も心配の種でありますので、こういう環境問題について、特に文部大臣の方で主管大臣として目配りをしていただいて、環境庁とも連携をとりながら進めていただくようお願いをしておきたいと思います。  残った時間はあとわずかでありますが、閣議了解の見直しを求めたいのですけれども、既に清水委員あるいは小坂委員地元委員からも同じように見直しの要望が出ております。これはもう超党派だと思うのですね。加藤官房長官を会長にして十八省庁でつくられた長野オリンピック冬季競技大会準備対策協議会、これに文部省は事務次官ですか、入られておるわけですね。ぜひ主務大臣としてそういう会議などにも働きかけをしていただいて、見直しをお願いしたい。  一つ具体的な地元の声を披露したいと思うのですが、今現に白馬村で七十メーター級、九十メーター級、二つのジャンプ台が建設中であります。九十メートルジャンプの方は長野県の施行、七十メートルのジャンプ台は白馬村の施行であります。七十四億の金を投下して今つくられているわけでありますが、問題はやはり後の利用の問題なんですね。オリンピックが終わった後どうなるんだろうか。今これだけのジャンプ台は札幌の大倉山にしかない施課ですね。恐らくアジアではそこだけだと思うのです。その二番目のものが白馬村にできる。  地元の白馬村の幹部からお聞きした話なのですが、オリンピックが終わった後、この二つのジャンプ台の管理運営をきちっとやろうとすると、恐らく一年間に八千万から一億はかかるのではなかろうか。これを長野県と白馬村がどのように管理費を持つかはこれから協議することになるのですが、これがどんなに大きな負担かといいますと、白馬村というのは人口わずか八千七百人なんですね。年間の財政規模は非常に小さくて、平成四年の一般会計でいきますと四十九億五千四百万ぐらいの財政規模なんです。この村がこれだけの大きな管理費を将来にわたって負担しなければならないというのは、本当に大変なわざであります。しかもこれは、もしそういうことになりますと固定資産税は一銭も入ってこない。競技人口は、七十メータージャンプ、九十メータージャンプというのはほとんどいない、ほとんどやれないということで、恐らく年三回ぐらいしかこの会場は使われないのではなかろうかという予想をしているのですね。そうすると収入なんてほとんどない。札幌の場合は、私も昨年法務委員会の視察で札幌へ行ったときに、真夏でもあそこへ入れているのですね。大倉山ジャンプ台を入場料を取って見せているわけです。わずかでもそういう収入は見込めているわけなんですが、白馬村の場合には、札幌のような大都市と違いまして、観光客を入れて入場料収入ということもそんなに当でにならないという切実な状況があるわけであります。  先ほど指摘いたしました平成元年六月六日の閣議了解の「別紙」の二によりますと、「新設する施設の将来にわたる管理・運営については地元の責任と負担を主体として行われるものとすること。」という言葉なんです。そうしますと、「地元の責任と負担を主体」ですから、全部地元でやれという言葉ではないので、大いに国が、客体でもいいですから、お金をどんどん出してくれれば客体でも結構なんで、こりジャンプ台の後の管理運営費の国の負担をぜひやっていただきたいと思うのです。ひとつ御答弁をお願いしたい。
  122. 逸見博昌

    逸見政府委員 先生指摘の白馬村におきまして平成二年度から建設中のジャンプ台、これはオリンピック開催いかんにかかわらず、地元地方公共団体、すなわち白馬村において自主的に起債事業として着工に踏み切ったというふうに承知をいたしております。ここの悪名高い閣議了解でございますが、これは補助金でもって新設をされた施設の将来にわたる管理運営の問題について言っておるわけでございまして、これにも該当しないということでございまして、先生の御期待に沿うことは極めて困難であるということしか言えない状況でございます。     〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕
  123. 木島日出夫

    ○木島委員 先ほど来他の委員からも指摘されておりましたが、札幌オリンピックにおきましては、大倉山ジャンプ競技場はか三つの施設が国施行で、全額国負担でやられているわけですね。それとのバランスから考えてもぜひ、特例をつくればいいわけですから、オリンピックのためにこれだけ地元自治体が負担するわけですから、そして将来永久にということになるわけですから、特例をつくっていただきたいなと思うわけであります。  清水委員から指摘されておりました仮設工事の問題、これは先ほどの答弁ですと、仮設工事については全然国は出さないんだという答弁です。出す仕組みもないんだ。また例の、今いみじくもおっしゃいました悪名高き閣議了解でも、仮設については国は負担することにはなっていないということをおっしゃいますけれども札幌オリンピックの場合には、組織委員会施行の仮設工事費については国が補助率三分の一でやはり補助を出しているんですよね。これはもう特例をつくれば、仮設費だから出せないなんという理屈はなくなるわけですから、仮設工事はずっとこれからですから、ぜひそういう特例をつくられますことを心からお願いいたしまして、文部大臣は大変謙虚に力がないとおっしゃいましたが、いや、力はあると思うので、しっかり力を発揮されて、そういう閣議了解を変えていただきますよう心からお願いいたしまして、最後に所見をもう一度お願いいたしまして、終わらせていただきたいと思います。
  124. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 今のところはこの閣議了解の範囲を出るようなことはできないし、やるわけにはまいらないわけですが、ただ文章も読み方で多少の幅があるのかなと見えるような部分もありまして、この辺をこう解釈してくれたらもっといいのだがというような点を御議論をいただいて御相談をいただければ、私が閣議了解を変える力はありませんが、官房長官と二人で、組織委員会のメンバーでもありますので、いろいろと政府内でお願いをする、お願いに歩くということはいたしたいと思います。
  125. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  126. 中山成彬

    ○中山(成)委員長代理 柳田稔君。
  127. 柳田稔

    柳田委員 この長野オリンピック、いろいろと御質問がありましたけれども、私は別な観点から御質問させていただきたいと思います。  国民はいろいろなスポーツをやっているわけでありますが、反面、大分体の弱いといいますか、骨が弱くなったとか、体力がなくなったとかいう子供たちもふえているということを考えれば、スポーツをもっとしてほしい、そして体を強くしてほしい、将来の日本を支える子供たちですから。そういうふうに考えますと、ちょうどこのオリンピック日本選手が頑張って日の丸を上げるということにでもなれば、お、我々もやろうか、子供たちがそういうふうに思うんじゃないかと思うのですけれどもオリンピック参加することに意義がありと言われておりますが、反面、日本国民としては日の丸を一本でもたくさん上げてほしいなという気がするわけであります。非常にその辺の考えは難しいと思うのですけれども、選手の強化、そしてできるだけいい成績を上げていただきたいと思う気持ちからなんですけれども、この選手の強化についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせを願いたいと思います。     〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先ほどどなたかの御質問に対してお答えをいたしましたように、オリンピックのクーベルタン男爵の有名な言葉は、確かに大きな意味を、永遠に不滅の意義を持ち続けるとは思いますけれども、ただ、スポーツで一番大事なことは、体を動かしてさわやかな汗をかいて、それが楽しくて、そして健康になるということだと私は思っておりまして、スポーツ大国というのは国民のできるだけ多くが老若男女を問わず体を動かしてスポーツを楽しんで健康になるということであろうと思うときに、いわば競技力の最高水準、つまり我が国の最高水準にある人たちが世界の選手権とかオリンピックで活躍をすると、そのいわゆるすそ野も広くなるというか、底辺も厚くなるというか、範囲広くスポーツが普及するというのは一つの公理、定理のようなものだろうと思いますので、したがいまして、当然その選手には少してもいい活躍をしてもらいたい。アルベールビルの壮行会で私は同じことを申しまして、メダルが一個とか二個とかと言っているけれども、そんなけちなことは言わずにいっぱいとってくれ、こうお願いをしましたら、予想以上の七個ということになったわけで、そのオリンピックの選手の強化ということについては、ことしのバルセロナもそうでありましょうが、当然長野オリンピックに向けてもできる限りの予算等を通じてやっていきたいと思っております。
  129. 柳田稔

    柳田委員 お答えできる範囲だけで結構なんですが、具体的にどのようなことをやっていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。
  130. 逸見博昌

    逸見政府委員 具体的な選手強化につきまして、長野オリンピック、これからまだ先随分時間がございます。平成十年、この開催に向けまして、素質のある選手を早期に発掘する、そしてジュニア期から一貫した育成を図るということが大切であろうと思っておるところでございます。  この観点から、平成四年度の一般会計予算では二つの事業を実施しております。ジュニアの育成強化を図るため実施する強化対策、合宿等に必要な経費、これは六千八百万円、それから各都道府県が都道府県体育協会等の協力を得て中高校生を対象とする強化合宿、コーチの配置等を行う競技力向上ジュニア対策事業補助、一億三千七百万、これを計上しておるところでございます。また先ほどから出ておりますスポーツ振興基金、これからの助成につきましても、中長期的な観点から行われます優秀なジュニア、それを対象とした助成、これに重点を置いて配分をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  131. 柳田稔

    柳田委員 私の場合は持ち時間が大変少なくお願いしましたので、質問は用意してあるのですけれども、大分時間も経過しておりますので、長野オリンピック、ぜひとも大臣がおっしゃったとおり、一つや二つ、そんなけちなことを言わず二けたぐらいを目指すぐらいの覚悟でぜひとも頑張っていただきたいと思います。ただし、環境問題ということもありますので、その点については十分留意をして、今後とも文部省としても御努力お願いしたいと思います。ありがとうございました。
  132. 伊藤公介

    伊藤委員長 ご苦労さまでした。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  133. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出長野オリンピック冬季競技大会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  135. 伊藤公介

    伊藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中山成彬君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田正雄君。
  136. 吉田正雄

    ○吉田(正)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     長野オリンピック冬季競技大会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、次の事項について特段の配慮を行うべきである。  一 オリンピックが、スポーツ発展を通じて諸国民の健康増進に資するだけでなく、諸民族の相互理解を進めるとともに世界平和に貢献してきたものであることにかんがみ、長野オリンピック冬季競技大会への国による援助その他の効果的な支援に最大限の努力を行うこと。  二 競技力の向上に励むスポーツ選手は、スポーツを愛する広範な国民の模範となり、ひいては国民のスポーツヘの関心を高めるものであることにかんがみ、国は、生涯スポーツ振興はもとより、競技スポーツ振興についても、財政その他の支援に努めること。  三 オリンピック憲章からアマチュアリズムが除かれたことや、オリンピック商業化指摘されること、さらにサッカーのようにワールドカップをよりハイレベルの競技会とする国際的・時代的認識が生まれていることなどを踏まえ、競技スポーツあり方及び国・自治体の競技スポーツヘの関与のあり方につき、継続的かつ総合的な研究に努めること。  四 日本体育協会や各競技スポーツ連盟が、スポーツを愛好する国民を広範に組織する団体であることにかんがみ、その運営や役員選考等に当たっては、国民各層の意見が反映できるよう配慮すること。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  137. 伊藤公介

    伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山文部大臣
  139. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと考えております。ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  140. 伊藤公介

    伊藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 伊藤公介

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  142. 伊藤公介

    伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会