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1992-03-25 第123回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月二十五日(水曜日)     午前九時一分開議 出席委員   委員長 伊藤 公介君    理事 木村 義雄君 理事 佐田玄一郎君    理事 中山 成彬君 理事 真鍋 光広君    理事 沢藤礼次郎君 理事 吉田 正雄君    理事 鍛冶  清君       井上 喜一君    岩屋  毅君       衛藤 晟一君    狩野  勝君       河村 建夫君    小坂 憲次君      小宮山重四郎君    船田  元君       村田 吉隆君    森  英介君      宇都宮真由美君    輿石  東君       佐藤 泰介君    中西 績介君       松前  仰君    山元  勉君       平田 米男君    矢追 秀彦君       山原健二郎君    柳田  稔君  出席国務大臣         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君  出席政府委員         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部大臣官房総         務審議官    井上 孝美君         文部大臣官房会         計課長     泊  龍雄君         文部省初等中等         教育局長    坂元 弘直君         文部省教育助成         局長      遠山 敦子君  委員外出席者         自治省財政局交         付税課長    田村 政志君         文教委員会調査         室長      福田 昭昌君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     越智 伊平君   井上 喜一君     鹿野 道彦君   岩屋  毅君     倉成  正君   小坂 憲次君     後藤田正晴君   塩谷  立君     浜田 幸一君   原田 義昭君     原田  憲君   村田 吉隆君     村山 達雄君   平田 米男君     市川 雄一君 同月十一日  辞任         補欠選任   米沢  隆君     永末 英一君 同月十三日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     逢沢 一郎君   鹿野 道彦君     井上 喜一君   倉成  正君     岩屋  毅君   後藤田正晴君     小坂 憲次君   浜田 幸一君     塩谷  立君   原田  憲君     原田 義昭君   村山 達雄君     村田 吉隆君   市川 雄一君     平田 米男君 同月二十五日  辞任         補欠選任   塩谷  立君     衛藤 晟一君   原田 義昭君     森  英介君   永末 英一君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     塩谷  立君   森  英介君     原田 義昭君   柳田  稔君     永末 英一君     ――――――――――――― 三月十日  長野オリンピック冬季競技大会の準備及び運営  のために必要な特別措置に関する法律案内閣  提出第六二号) 同月二十四日  国立学校設置法及び国立学校特別会計法の一部  を改正する法律案内閣提出第九号) 同月十三日  私学助成大幅増額高校四十人以下学級早期  実現等に関する請願外二件(田口健二紹介)  (第四九六号)  同外二件(田口健二紹介)(第五一九号)  同外二件(田口健二紹介)(第五三一号)  同外二件(田口健二紹介)(第五四三号)  行き届いた教育実現私学助成大幅拡充に  関する請願三野優美紹介)(第五四二号)  同外一件(加藤繁秋紹介)(第六〇三号)  私学助成大幅増額、三十五人学級実現に関  する請願西中清紹介)(第五四四号)  私学助成大幅増額、三十五人学級早期実施に関  する請願山元勉紹介)(第五九九号)  小・中・高校の三十五人以下学級実現私学へ  の生徒急減期特別助成障害児教育充実に関  する請願小川信紹介)(第六〇〇号)  高校四十人学級早期実現私学助成大幅増  額に関する請願谷村啓介紹介)(第六〇一  号)  同(木島日出夫紹介)(第六四四号)  三十五人学級早期実現私学助成増額と拡  先に関する請願藤田高敏紹介)(第六〇二  号)  同(佐藤祐弘紹介)(第六五〇号)  同(山原健二郎紹介)(第六五一号)  教育条件改善に関する請願(辻第一君紹介)(  第六三二号)  私学助成大幅増額に関する請願小沢和秋君  紹介)(第六三三号)  私学助成大幅増額、四十人学級実現に関す  る請願古堅実吉紹介)(第六三四号)  私学学費値上げ抑制教育研究条件の改  善、私学助成増額に関する請願三浦久君紹  介)(第六三五号)  学級規模縮小私学助成拡充障害児教育の充  実に関する請願金子満広紹介)(第六三六  号)  同(長谷百合子紹介)(第六三七号)  同(不破哲三紹介)(第六三八号)  小・中・高三十五人以下学級早期実現私学  助成抜本的拡充に関する請願児玉健次君紹  介)(第六三九号)  小・中・高三十五人以下学級早期実現私学  助成抜本的拡充等に関する請願不破哲三君  紹介)(第六四〇号)  小・中・高三十五人学級実現私学助成の抜  本的強化に関する請願寺前巖紹介)(第六  四一号)  三十五人以下学級実現障害児学校充実、私  学助成抜本的拡充に関する請願金子満広君  紹介)(第六四二号)  高校三十五人以下学級早期実現私学助成の  抜本的拡充に関する請願竹村幸雄紹介)(  第六四三号)  小・中・高校の三十五人学級実現私学助成大  幅拡充など教育条件改善に関する請願菅野  悦子紹介)(第六四五号)  同(東中光雄紹介)(第六四六号)  同(藤田スミ紹介)(第六四七号)  同(正森成二君紹介)(第六四八号)  同(吉井英勝紹介)(第六四九号) 同月二十四日  行き届いた教育に関する請願竹村幸雄君紹  介)(第六七四号)  行き届いた教育実現するための条件整備に関  する請願寺前巖紹介)(第六七五号)  三十五人学級実現私学助成大幅増額に関  する請願古堅実吉紹介)(第六七六号)  三十五人以下学級早期実現私学助成大幅増  額に関する請願三浦久紹介)(第六七七号  )  小・中学校の三十五人学級高校の四十人以下  学級早期実現私学助成大幅増額障害児教  育の拡充に関する請願正森成二君紹介)(第  六七八号)  高校三十五人学級早期実現などの教育条件整  備に関する請願(辻第一君紹介)(第六七九号  )  小・中・高の学級定員縮小教職員定数増、私  学助成大幅拡充等に関する請願菅野悦子君紹  介)(第六八〇号)  新たな教職員定数配置改善計画作成、三十五  人以下学級実現教育予算大幅増私学助成  の拡充に関する請願吉井英勝紹介)(第六  八一号)  高校四十人学級早期実現私学助成大幅増  額に関する請願児玉健次紹介)(第六八二  号)  同(藤田スミ紹介)(第六八三号)  同(山原健二郎紹介)(第七一六号)  同(筒井信隆紹介)(第八五一号)  私学助成大幅増額、三十五人学級実現に関  する請願竹村幸雄紹介)(第六八四号)  小・中・高校の三十五人以下学級実現私学へ  の生徒急減期特別助成障害児教育充実に関  する請願小沢和秋紹介)(第六八五号)  三十五人学級早期実現私学助成増額と拡  先に関する請願藤田高敏紹介)(第六八六  号)  同(五島正規紹介)(第七一七号)  同(宇都宮真由美紹介)(第七九三号)  学級規模縮小私学助成拡充障害児教育の充  実に関する請願金子満広紹介)(第六八七  号)  同(佐藤祐弘紹介)(第六八八号)  同(不破哲三紹介)(第六八九号)  小・中学校三十五人以下学級高校四十人学級  実現教職員定数抜本的改善私学助成大幅  増額に関する請願山原健二郎紹介)(第六  九〇号)  教育条件整備充実に関する請願寺前巖君  紹介)(第七〇九号)  同(寺前巖紹介)(第七九四号)  小・中・高三十五人以下学級実現私学助成  の抜本的拡充に関する請願児玉健次紹介)  (第七一〇号)  同(児玉健次紹介)(第七九五号)  小・中学校三十五人以下学級実現高校四十人  学級実現教職員定数抜本的改善教育予算  増額私学助成大幅増額に関する請願沢田広  君紹介)(第七一一号)  公私立高校四十人以下学級早期実現私学助  成の大幅増額に関する請願菅野悦子紹介)  (第七二一号)  高校四十人以下学級小・中学校三十五人学級  の早期実現私学助成大幅増額障害児教育  の拡充に関する請願小沢和秋紹介)(第七  一三号)  行き届いた高校教育に関する請願佐藤祐弘君  紹介)(第七一四号)  同(安田修三紹介)(第七九六号)  新たな教職員定数配置改善計画作成、小・中  ・高三十五人以下学級早期実現私学助成の  抜本的拡充等に関する請願不破哲三紹介)  (第七一五号)  高校四十人以下学級即時実現私学助成大幅  増額教育費父母負担軽減障害児教育の充  実に関する請願菅野悦子紹介)(第七五五  号)  行き届いた教育実現私学助成大幅拡充に  関する請願山原健二郎紹介)(第七五六号  )  幼稚園の学級定数改善等に関する請願竹村  幸雄紹介)(第八五二号)  同(小沢和秋紹介)(第八五三号)  同(金子満広紹介)(第八五四号)  同(木島日出夫紹介)(第八五五号)  同(児玉健次紹介)(第八五六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第八五七号)  同(菅野悦子紹介)(第八五八号)  同(辻第一君紹介)(第八五九号)  同(寺前巖紹介)(第八六〇号)  同(東中光雄紹介)(第八六一号)  同(不破哲三紹介)(第八六二号)  同(藤田スミ紹介)(第八六三号)  同(古堅実吉紹介)(第八六四号)  同(正森成二君紹介)(第八六五号)  同(三浦久紹介)(第八六六号)  同(山原健二郎紹介)(第八六七号)  同(吉井英勝紹介)(第八六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十六日  第五十二回国民体育大会開催に関する陳情書外  一件  (第二〇号)  義務教育教科書有償化反対に関する陳情書外  三件  (第二一号)  次期学級編成及び教職員定数改善計画早期策  定に関する陳情書外三件  (第二二号)  学校五日制の早期実施に関する陳情書外一件  (第二三号)  私学助成充実強化に関する陳情書外一件  (第二四号)  義務教育費国庫負担制度堅持等に関する陳情  書外十二件  (第二  五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  八号)  国立学校設置法及び国立学校特別会計法の一部  を改正する法律案内閣提出第九号)      ――――◇―――――
  2. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤泰介君。
  3. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 まず私は、先回の私の質問以降、不登校問題について最終報告がまとめられましたので、これを踏まえて、この問題について最初にいま少し伺わせていただきたいと思います。  まず、「不登校」という用語を併記されたこと、また「「心の居場所」づくりを目指して」というタイトルについては、私もその中身を読ませていただいて一定の評価をするものですが、不登校の心の居場所民間施設であっては本末転倒であり、大変であろうと思います。そして今回の措置は、もう一度確認をさせていただきたいと思いますけれども義務教育履行の場の拡大とか、義務教育自由化の一環とは一線を画すものであり、不登校児学習権を保障するための緊急的な措置であるということを、最終報告を踏まえて、再度恐縮ですが、大臣にも確認させていただきたいと思います。
  4. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 登校拒否あるいは不登校というものが教育世界で最大の課題となっておることは、この間申し上げたとおりでございます。先日、この衆議院文教委員会での先生の御質問の趣旨、あるいは政府委員とのやりとりも大変興味深く聞かせていただいたところでございまして、その後調査研究協力者会議報告書も、三月十三日であったかと思いますが、まとめられたところでございます。  先生おっしゃるとおりでございまして、現在ちょうど負担法審議お願いをいたしておるわけですが、あるいは学校週五日制という議論もいたしておるわけですが、これもすべて、この法案は、財政的な、財源的な問題でありましょうが、我が国の世界に対して誇るべき義務教育制度という面がございまして、その根幹を守るということが私たちはまず一番必要なことであろうと思っております。子供の個性を伸ばそうとか、あるいは多様化という方向で教育を持っていこうということは、あくまでも義務教育の基礎・基本根幹の上に成り立つことでありまして、初めから柔軟性とか多様性、そうしたものが何の土台もなしにその上に立ち得るわけはないわけであります。  そういう意味で、今回の民間施設をどのように考えるかということについても、決してそれは義務教育という制度の中に取り入れるとか取り込むというような発想は全くしていないわけでありまして、その不登校という悲しい状況に陥ってしまったお子さんがいまた学校に戻ることを前提として、いや、戻れるようにするために、何らかのプラスになるならばということですべての発想をいたしておるわけですから、あくまでも民間施設というのは、そういう学校へ戻るきっかけを与えてくれるステップというふうに考えていきたいと思います。  前にも御答弁を申し上げたかと思いますが、学校というものについてこだわる必要がないのではないかという、極端な教育自由化論というのが出てきたことがございます。つまり先生がいなくても、校庭がなくても、先生という教員免許を持った人がいなくても、なに一つの部屋だってみんな学校に認めてやればいいじゃないかというような極端な自由化論というものが臨教審の当初にも見られておったことは事案でございまして、そうした考え方は私ども考え方と全く相反するものでございます。したがって、先生指摘のとおり、民間施設ということがこの報告書に書かれておりますが一それを学校にかわる何かというようなとらえ方は一切いたさないつもりでございます。
  5. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今の御答弁で、大体私の申し上げたことを確認させていただいたものと思います。  次に、この具体的な運用に当たっては、今後さまざまな検討が必要であろう、あるいは配慮することが必要であろうというふうに思います。仮に限定的な措置とはいえ、民間施設を一応は義務教育履行の場として認知するわけでございますので、私は私立の小中学校存在を忘れてはならないと考えます。といいますのは、今回のガイドライン対象となる民間施設については、その設置主体は問わないということですが、私学義務教育を行う場合はかなり厳しい設置認可の基準をクリアして教育事業を行っているわけですので、こうした点を十分に配慮した上での運用が肝要になるのではないかということを私は思うわけです。この点について伺いたいと思います。  またさらに、具体的な運用に当たって今後検討なり配慮していかなければならない問題として、どんな点を現時点で考えておみえになるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  6. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 これは当然初中局長から御答弁申し上げるのですが、今先生が前段に、私学の要件というのは厳しいのですよというお話をされました。これは当然のことでございまして、私学とこの報告書に言う民間施設というのは態様、本質の全く異なるものだというふうに考えております。  これは私よく申し上げるのですが、教育基本法の第六条だと思いますが、「法律に定める学校は、公の性質をもつものであって、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。」というのですから、これが学校法人という制度のもととなっていると思うのです。したがって、これは学校法人も公的な存在学校法人が設置する一条学校も、まさに公的な存在であるということをうたっておりますから、それと今回の民間施設というのは、もう全く本質の異なるものであるという認識は確定をいたしております。
  7. 坂元弘直

    坂元政府委員 ちょっと細かい点で恐縮ですが、私から説明させていただきます。  不登校子供にどうやって対応していくかというのは、私は基本的には学校家庭地域と一体となって第一次的には対応すべき問題だというふうに考えております。ただ、それがどうしても学校で対応できない、いろいろ専門的な職員や何かもいないということで、第二次的に対応するのは、教育相談センターや何かの公的な施設が対応すべき問題だろうというふうに私は考えております。ただ、それでもなおその公的施設にもなかなか通ってこない、しかも親御さんも、できたらほかの地域のこういうような民間施設があるのだけれども、そこにぜひやりたいというような場合に、一体それを学校側として、あるいは我々教育行政当局としてどういうふうに対応するか、評価するかという問題がこの最終報告で触れられておる民間施設の問題であろうかと思います。学校あるいは教育委員会親御さんから相談を受けたときに、その施設学校から見て好ましいものであるかどうか、その子供にとって好ましいものであるかどうかという判断をする何らかの目安を設けた方が、学校教育委員会判断をする場合も大変役に立つだろうというのが今回のこの最終報告考え方でございまして、したがって、そういう民間施設設置そのものを判定するのではなくて、その民間施設運用子供学校復帰のために役に立つかどうかという点を判断するものでございます。そういう意味で、民間施設設置自体を認定するというものではない。そういう観点から、事業運営あり方相談指導あり方相談スタッフがおるかどうか、あるいは施設設備が整っておるか、あるいは学校教育委員会家庭との連携が密になっているかどうかというような事項を参考としながら、児童状況をも勘案しまして、先ほど大臣が申し上げましたが、本人がその施設に行くことが学校復帰ステップとして役に立つという認定をするものでございます。  なお、この問題につきましては、例の、私がお答え申し上げました、出席扱いにするかどうかという点を含めまして、出席扱いにする場合の考え方等を、現在省内検討委員会を設けておりまして、その検討委員会で慎重に検討し、夏ごろまでに結論を得て、校長会とか教育委員会関係者にも十分意見を聞いて、文書なりあるいは会議で私ども考え方を各県教育委員会にお示ししたいというふうに考えておるところでございます。
  8. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 私も、この最終報告書を読ませていただいて、今の局長答弁、十分に理解するわけです。次に、その点もお伺いしたいと私は思っておったわけですが、あわせてお答えをいただきましたが、この最終報告にも、「あくまで児童生徒学校への復帰を目指して支援策が講ぜられる必要がある」このように述べられております。その点は今局長答弁されたとおりだろうと思いますが、運用に当たっては、今も局長が言われたような点を今後十分検討をしていただきたいと思います。  そして、今の答弁で夏ごろと言われましたけれども検討した結果の各県への通達は大体いつごろ出されるのか、いま一度時期的なものについて明確にお答えがいただければというふうに思います。
  9. 坂元弘直

    坂元政府委員 省内検討を夏ごろまでに終えまして、校長会とか教育委員会関係者にも意見を聞いて、遅くとも二学期ぐらいまで、秋ごろには何とか考え方を示したいというふうに考えております。
  10. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 それでは運用に当たっては十分な検討お願いをして、各県からいろいろな問題が出ないような通達の内客を検討していただきたいと思います。  次に、私は最終報告を読ませてい一たたいて、全体としては公的機関取り組み充実を求めているところに基調が置かれているように感じ取りました。しかし、不登校児四万八千人に対する公的施設の現状は現在余りにも不十分ではなかろうかと私は思っています。そこで、今後、都道府県、市町村の教育委員会の設置する教育センター等教育相談機関のソフト、ハード両面にわたっての設備充実や、現在私は百六カ所と聞いておりますが、適応指導教室設置推進、あわせて指導教室施設設備充実等を図る必要があろうと思います。このことは、民間施設ガイドラインを云々する以前の問題として、早急に取り組む必要があろうと私は考えております。  そこで、今後のこうした面への取り組みについて文部省の見解を伺っておきたいと思います。
  11. 坂元弘直

    坂元政府委員 先ほども答弁申し上げましたが、第一次的には、この問題は学校全体で、校長先生を中心に、担任の先生に任せるのではなくて、教師全体で取り組む課題である。それからその次は、公的機関をどうやって整備していくかという、先生がただいま御指摘になったところが最も重要なことだろうというふうに私ども考えているところでございます。  従来から、先生も御承知かと思いますが、私どもは、教師用指導資料作成し配付しておりますし教員の研修も実施してきております。さらに教育相談活動推進事業等によりまして教育相談体制充実、それから登校拒否等生徒指導困難校に対する教員の加配、それから登校拒否児学校復帰を支援するための、先生今百幾つと申されましたが、正確には百九でございますが、適応指導教室事業実施等を行ってきているところでございます。  今御指摘のとおり、不適応対策調査研究協力者会議におきましても、教育委員会初め国において取り組むべき種々の事柄が提言されているところでございます。文部省としましても、平成四年度予算におきまして、適応指導教室につきましては、訪問指導家族啓発事業の新たな実施を含めて、その実施箇所数を大幅にふやしていくこととして、所要の予算を現在参議院で御審議いただいておる予算に計上しているところでございます。今後とも公的機関整備という観点に立って、私どもできる限りの努力はしてまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほど現在適応指導教室設置数を百九と申し上げましたが、百六の間違いでございます。訂正させていただきます。
  12. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 私の数字が正しかったわけですね。  次に、この最終報告を踏まえて、公的機関ができないことを民間に厳しく求めているという指摘もあるわけでございますので、今局長答弁にあったように、今後公的機関拡充に向けて一層の取り組み強化を要望しながら、議題となっております本法案にかかわってお伺いをさせていただきたいと思います。  これまで義務教育費国庫負担対象経費から、一九八五年には旅費と教材費が、そして一九八九年には恩給費適用除外となり一般財源化されてきたと思います。今回提案されています法の一部改正案の内容は、一九八六年に負担率が二分の一から三分の一となった共済費追加費用を二年にわたってさらに削減し、一九九四年から一般財源化するというものです。このような一般財源化に伴う地方の義務教育費の確保については、交付税で財源措置が講じられているわけですが、その使途に制限がないだけに、義務教育費に充当される保証がないことを私は心配するわけです。  そこで、私は、その一つの指標となろうと思う都道府県あるいは市町村の教育費の基準財政需要額に対する実支出の比率、これは文部省が調査をしてみえる地方教育費調査報告書の中にある三十四表と三十五表ですが、私の手元にありますのは一九八八年、昭和六十三年度のものですが、この表にかかわって少し質問をさせていただきたいと思います。  まず、三十四表の都道府県の建築費分を含めた総額で比較した場合、全国平均で、小学校で一・一八、中学校で一・一五となっています。この数値についてはどう認識してみえるのか、伺いたいと思います。  また、県ごとの数値を見てみますと、格差といいますかアンバランスがあるわけですが、この点についてもどのように考えてみえるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
  13. 田村政志

    ○田村説明員 ただいま先生指摘のように、基準財政需要額と実支出額について乖離があるわけでございます。そこで教育費の基準財政需要額の算定に当たりましては、学校数、教職員数、児童生徒数などにつきまして、標準団体あるいは標準施設を設定した上で、種別補正でおるとか密度補正、態容補正、寒冷補正など、各種の補正を適用いたしまして、実態を見ながら、適切なものとなるように私ども努めているところでございます。しかしながら、地方団体の規模の大小、それから地理的、社会的、自然的条件は千差万別でございまして、単年度ごとについて見てまいりますと、基準財政需要額が各団体ごとの決算による実支出額とある程度乖離を生ずるのはやむを得ないのではないか、このように考えておるわけでございます。  また、単位費用の作成につきましても、国庫補助事業や地方単独事業の伸びを勘案しつつ、毎年度所要の改定を行っておるわけでございます。現在、提出させていただいております地方交付税法の改正法案におきましては、例えば道府県分の小学校費、経常経費の関係について見ますと八・二%の伸び、あるいは市町村分の小学校費の経常的な経費で、児童数を測定単位とするものについては九・二%、学校数を測定単位とするものについては八・七%、あるいは投資的経費については一五・七%ということで、単位費用を大幅に伸ばしておるわけでございます。  そこで、先ほども申しましたように、そういった実支出額と基準財政需要額の乖離といったものを常に念頭に置きながら、今後とも毎年度の算定に当たり、種々の改善を図りつつ、適切な需要算定になるように努めていきたいと私ども思っております。
  14. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 余り理解できなんだわけですけれども、この数値については、基準財政需要額が実際の収入額の七五%で計上されて、二五%のゆとりがあるわけですね。したがって、この程度の数値のばらつきについては一応やむを得ないではないかという認識に私も立っております。  とはいえ、問題なのは、この比率が一を割る県があるということなんですよ。これは三十五表の市町村の建築費分を含めた額について比較した場合も同様に一を割る県があるわけです。基準財政需要額が基準財政収入額を超える場合の不足分は交付税として交付され、その財源が保障されているにもかかわらず一を割る県があるということは、私は大変問題であろうというふうに思っています。この点について、その理由を具体的に説明していただけませんでしょうか。
  15. 田村政志

    ○田村説明員 交付税の性格論になるわけでございますけれども、まあ一般財源ということになっておる。わけでございます。  交付税法の三条の二項においては、「国は、交付税の交付に当たっては、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」ということでございまして、各団体に交付すべき交付税の額を決定する場合に用いられる基準財政需要額の内容は、各団体が予算編成する際の指針を示すものでございまして、各団体は各行政項目ごとに、その基準財政需要額相当額の歳出を義務づけられているものではないわけでございます。したがいまして、先生指摘ございましたように、需要額をにらみながらと申しますか、各団体一応そこを考慮しながら、予算作成するにつきましては、需要額以上の歳出を計上するケースもございますし、また団体によっては、そこを少し割ってほかの方に一般財源として重点を移すというところもあるわけでございます。  そこで、交付税法三条の三項におきましては、「地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、少くとも法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならない。」こういうふうに規定されておるところでございます。したがいまして、少なくとも法令により義務づけられた規模と内容は備えていただかなければならぬわけでございますので、文部省相談しながら、学校教育が円滑に実施されるよう今後とも適切な財源措置を講じてまいりたいと考えております。
  16. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今の答弁からしても、基準財政需要額は、先ほども申し上げましたが、実際の収入額の七五%で計上して、二五%のゆとりがあるわけですよ。そして、そのゆとり分を認めた上で不足分は交付税として交付されているわけです。  この観点からいきますと、基準財政需要額に対する実支出額の比率が一を割るということは、これは義務教育といいますか地方の教育を軽視しているのではないかということで、私はどうしても理解できないわけです。そうした県については、義務教育充実という観点からも、文部省としても自治省と連携をとりながら、何らかの対策を講じていく必要があるのではないかと考えますけれども文部省としてはどう考えておみえになりますか。
  17. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 先生の御指摘の中で、都道府県の教育費の基準財政需要額と実支出額の比率を調べた結果、実支出額の方が需要額を下回る県があるではないかということでございます。  今手持ちのところでは、建築費分を除いた額について比較した場合の表を持っているわけでございますが、小学校については、その比率が一を下回るところはないわけでございます。中学校につきましては一県だけ〇・九九という数値がございます。高等学校についてはやや幾つかの県がございますが、それ」にしても〇・九三以上の数値となっております。市町村の段階にまいりますと、この数よりはややふえまして、小学校については二県、中学校については三県ございますし、高等学校についてはさらに多くなってはございます。まあしかしながら、ほとんどその〇・九以上の数値、特に義務教育の段階につきましては〇・九以上でございます、若干の例外はございますけれども。そのような形で各都道府県ないし市町村の段階におきまして基準財政需要額に見合う実支出額を計上しているというふうに考えているわけでございます。  ただ、先生の御質問の背後には、恐らく義務教育費におきます国と地方の負担割合について、最近、御指摘がありましたように、幾つかの経費について一般財源化をしておる、国としての直接の負担というものは少なくなっているではないかという御指摘ではなかろうかと思うわけでございます。確かに義務教育費国庫負担金につきましては、旅費、教材費一般財源化あるいは共済費の負担割合の引き下げ等が行われるなどの改正が行われてまいりましたし、また大きな経費でもございます公立文教施設費につきましては、小中学校児童生徒数の減少等のために整備計画事業量が非常に縮小してまいったこと等によりまして、予算額が減少してきました。このために地方教育費全体に占める国の負担金あるいは補助金の割合が相対的に減少しているということは確かでございます。しかしながら、先ほど来の御議論にありますような地方交付税の措置というふうなことをきっちりと講じてまいっているわけでございまして、各地方公共団体における義務教育予算の確保に支障のないよう配慮しているところでございます。  私どもとしては、今後ともこういう措置が十分に生かされて、義務教育費の確保充実について各地方公共団体が十分に取り組まれるように指導を続けてまいりたいと考えているところでございます。
  18. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 義務教育の機会均等、その水準の維持向上は、まさに国のといいますか文部省の責任であろうというふうに私は思っています。こうした観点からすれば、こうした調査結果に基づいて、文部省と自治省が十分に連携をとり合っていただいて、そうした県について何らかの対策を講じられてしかるべきだと考えます。そうでなければ、このような調査を行っている意味が私はないのではないかと思います。せっかく調査をする以上、この調査が、義務教育充実を図るといいますか、地方の教育費充実を図る上で有効に活用されるべきだと考えるわけですが、この調査の目的について文部省はどう考えてみえますか、今とのかかわりでもう一度お伺いしたいと思います。
  19. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 この調査そのものは、先生指摘のように、各地方公共団体において教育費がどのように措置をされているかということにつきまして、基準財政需要額との関係で実態をきっちりと把握いたしまして、将来における教育費の負担の問題あるいは力点を置くべき点についての検討に資するという面があるわけでございます。
  20. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 それで、この地方教育費調査報告書の冒頭に「調査の目的」というのが書いてあります。私はそれを読ませていただきました。そうしますと、昭和四十五年度のを読ませていただきますと、かなり調査の目的が、私が申し上げたような観点で書いてあるわけです。  例えば、昭和四十五年の「調査の目的」のところを読ませていただきますと、三項目挙がっていて、その第二項目に、「地方教育費に関する経費の算定基準の改善をはかるうえの基礎資料とするとともに、合理的な経費の算定方式を開発し、教育費の効率的な使用を可能にするための資料とすること。」というふうに書いてあるわけです。それが最近の地方教育費調査報告書の「目的」を見ますと、三行余りになってしまって、「この調査は、学校教育及び社会教育のために地方公共団体が支出した経費並びに授業料等の収入の実態を明らかにして、教育諸施策を推進するための基礎資料を得ることを目的とする。」というように、調査の目的がちょっとトーンダウンをしてきているのではないかというふうに私は思うわけです。といいますのは、四十五年当時の「調査の目的」は活用の方法がきちっと書かれていたにもかかわらず、最近の「調査の目的」のところでは、それがトーンダウンをしてきていることを大変心配しているわけです。このことからすれば、文部省が調査をしているわけですので、とりわけ私が先ほど申し上げている、比率が一を割っているような県については、この資料をもとに、その改善に向けて文部省がまず私は努力すべきではないかと考えます。しかし、義務教育費国庫負担対象経費一般財源化されてしまうと、文部省の手を離れてしまうところに私は問題があるのではないかと思います。したがって私は、義務教育費国庫負担金の対象経費を安易に一般財源化すべきではない、このように考えております。  このことについては答弁は結構ですので、私の意見指摘をしながら、次の三十五表の市町村の建築費分を含めた総額について比較した場合について伺いたいと思います。  この表では、基準財政需要額に対する実支出の比率は、全国平均で小学校一・六八、中学校で一・七五となっています。三十四表とは違って四十七都道府県ともにかなり高い数値を示しているわけです。このことは市町村の実支出額が基準財政需要額を大きく上回っていることを示していると思います。なぜ都道府県の場合とこのような違いが生ずるのか、その原因について伺っておきたいと思います。
  21. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 先生指摘の際にお用いになりました表と、ただいま私の方で持っております表と、必ずしも一致していないので、数値上の比較については難しいかもしれませんけれども、建築費分を含めた総額について比較した場合の基準財政需要額に対する実支出額の比率が、一・何がしということで、一を上回っているということにつきましては、やはり各市町村におきます必要な教育関係の支出額が現実に基準財政需要額を上回っている面があるということを示していると思われます。建築費分を除いた額について比較いたしました場合には、これを含めた場合よりは比率が低くなっているわけでございます。(佐藤(泰)委員「それは結構です、わかっていますから」と呼ぶ)そういうことでございます。
  22. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今そんな答弁があったわけですが、私は、実支出額の方がかなり多いということは、一つには基準財政需要額の見方が現状に合っていないのではないか、こんなふうに思うわけです。教育費の基準財政需要額の算定が一体どのように行われているのか。私は、その見方が低いがゆえに、その数値が高くなってきていると思っておりますので、算定の仕方について、ちょっと時間がありませんので、簡単に説明をしていただけませんでしょうか。
  23. 田村政志

    ○田村説明員 算定につきましては、先ほど少し申し上げましたが、単位費用に測定単位を乗ずるわけでございます。まず、単位費用の策定でございますが、これにつきましては、毎年度の国庫補助事業の伸び、それから地方単独事業の伸びを見込みまして、先ほど申しましたように、例えば一般財源で幾ら必要かというのを見ながら単位費用を作成するわけでございます。そして測定単位につきましては、例えば学校数、学級数、児童生徒数といったものをそれぞれの単位費用に乗じている。さらに地域によってそれぞれ違いがありますので、例えば寒冷補正といったようなものを用いまして、学校先生方の寒冷地手当を支給しているところがございますので、そういうところには寒冷補正というものを乗じるような形にしております。それからあと態容補正という補正がございまして、これにつきましては、例えば調整手当、都市の地域ですと調整手当が必要になりますので、そういった調整手当の要素を見込んでいるということをやってございます。そういった幾つかの補正をかけて基準財政需要額というものを算定していくわけでございます。  ただ、これは先ほど先生からも御指摘ございましたように、基準財政需要額そのものが基準財政収入額との見込みでまいりますと、丸々全体を見るという形でなくて、ある程度、例えば七五%あるいは義務的な要素が強いものにつきましては、それ以上の算入をもって需要を見ていくという形になっております。したがいまして、先ほど御指摘ございましたように、地方の実支出額が多いというところにつきましては、例えば需要に対して非常に教育に熱心で単独の事業をたくさんやるというようなことになりますと、この実支出額が上がるということになるわけでございます。  それにいたしましても、毎年度こういう統計を文部省の方でおとりになって、私どもが単位費用あるいは測定単位といったものを毎年度見直す際に、文部省の方からお話がございまして、地方の実態を勘案すれば、こういうところの改正が必要じゃないかということをいろいろ御指摘をいただきまして、そういう御相談をしながら、今単位費用あるいは測定単位というものを毎年度実態に適切に対応できるような形で見直していっているということでございます。
  24. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 その具体的な面はわかりましたけれども、ちょっと確認ですが、その地方団体の経費を出す場合に、標準的な規模として、都道府県では人口百七十万人、市町村の場合では人口十万人を基準とするという部分もございますね。今答弁になかったわけですが、いいですね、それを確認させていただいて。——都道府県の場合は人口百七十万人を基準とする。各県の人口を調べてみますと、人口が百七十万人前後の県がかなりあるわけです。だから、標準としてその百七十万のとり方は、私は比較的妥当な人口の数値ではないかと思うのです。とはいえ、市町村の場合で言いますと、いつの資料がわかりませんけれども、私の手元にあった資料によりますと、全国で市が六百六十二、町が千九百九十三、村が五百八十一、合計で三千二百三十六の市町村があるわけです。そして、その市町村の人口は、私の愛知県においても、昭和六十年の国勢調査によると、人口が百九十四人という富山村から二百万人以上の名古屋市まであるわけです。これを十万人を標準とするということには大変無理があるのではないかと私は思うわけです。基準財政需要額の見方がこうしたことによって現状に合っていないのではないか、低く見積もられているのではないか、それがその比率の一をかなり上回った数字になってしまうのではないかと思うわけです。この点はどうでしょう。
  25. 田村政志

    ○田村説明員 標準団体を県は百七十万、市町村は十万ということで、人口規模につきましては、今そういう形で算定をしております。  その場合に、標準団体を市町村幾つつくるかというのは、今御指摘がございましたように、多数つくるべきではないかという御議論ももちろんあるわけでございますが、ただその場合は、そうしますと、逆に単位費用を各団体ごとにたくさんつくっていかなければいけない形になります。単位費用を非常にたくさんつくるということになりますと、そこも非常に複雑になるということで、単位費用と標準団体を一本にして、先ほど申しましたように、補正係数を用いることによって、それぞれ団体の規模によりまして、例えば規模が大きくなるとその分だけコストが低くなるという観点からいきますと段階補正、あるいは人口密度が高くなりますと、それによって需要の割合がそれだけ少なくなるケースも出てまいりますので、その場合は密度補正といったようなもので補正をかけながら、先ほどの決算との対比を行いながら需要を算定していくということでやってまいっているわけでございます。  需要の見方そのものにつきましては、今、少し低いのではないかという御議論があるわけでございますけれども、基準財政需要額そのものの見方については、地方財政計画を策定する際に、そこである程度の大枠が決まるわけでございます。国の予算編成と合わせまして地方財政計画を策定していく中で、地方の行政水準がどの程度であるべきかというのが地方財政計画を通じてほぼ水準が決まってまいりますので、それを受けて私ども交付税を算定するという形に今なっておるわけでございます。  したがいまして、私どもも、今後とも地方の行政の実態を見ながら、地方財政計画の策定に当たりまして、その実態、実支出額が捕捉できるように努力をしていって、それによってまた交付税の算定そのものも、地方行政にできるだけ支障がないようにしていきたいというふうに考えております。
  26. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今、補正係数について、そういった場合は調整をしているというような説明であったかと思いますが、私は、国が算定する市町村の教育費の基準財政需要額を建築費を含めた場合について比較した場合、その実支出額が全国平均で小学校で基準財政需要額の一・六八倍、逆な言い方をするとこうなるわけですけれども、中学校で一・七五倍も要するということは、基準財政需要額が大変低く見積もられ算定され、現状に合っていないのではないか、そのように今の答弁を聞いても思います。当然、基準財政需要額が低く算定されるということは、交付税措置も低く抑えられる結果になろうというふうに考えるわけです。私は、この教育費の基準財政需要額の算定の仕方を、とりわけ市町村については見直しをしてみる必要があるのではないかということを考えております。  時間がありませんので、聞きたいことを飛ばして次にいきますけれども、この問題については、一九七三年、昭和四十八年、七十一国会の七月四日の本委員会で、一九七〇年、昭和四十五年のこの資料に基づいた我が党の山口鶴男前書記長の質問に対して、当時の奥野文部大臣は、「教育費に関する調査のうちで、特に地方交付税法上の基準財政需要額とのからみの問題、各地方公共団体の間でアンバランスがあり過ぎる。」この問題については今後検討してまいりたい。「この次には必ず改善された結果が出てまいるもの、かように考えております。」というような答弁をされてみえるわけです。その結果から、教育費の基準財政需要額に対する実支出額の比率で一を割る県については、私が調べてみたところ、当時と比べて大幅に改善されているわけです。この点は私は大変評価をしますけれども、私が問題点として指摘しておりますのは、市町村の建築費分を含めた場合は、一九七〇年、昭和四十五年度と比較しても余り変わっていない、ほとんど改善されていないということなんです。例えば全国平均で比較しても、一九七〇年、昭和四十五年、小学校で一・七八、中学校で一・九九、今回、私の手元にあります昭和六十年度版では、小学校一・六八、中学校一・七五とちょっとは減少してきておりますけれども、相変わらず高い数値となっているわけです。一を割る県ほど改善が進んでいないのではないかというふうに思うわけです。したがって、これは基準財政需要額の算定の仕方に問題があろうというふうに私は思うわけです。  今申し上げた前国会とのかかわりの中で、再度この問題についてお伺いをしておきたいと思います。
  27. 田村政志

    ○田村説明員 建築費を入れて市町村の需要と実支出額を見た場合に乖離が一九七〇年よりは縮まっているもののまだあるのではないかという御指摘でございます。  私どもも、この点につきましては、文部省の方といろいろお話をしまして、なぜかというところで、最近の地方の行政の実態を見ますと、例えば小中学校といったものは木造で建築したり、あるいはかわら屋根をつけたり、あるいは時計台をそれぞれつけているということで、非常に補助基準を超える形で個性化をしたような小中学校の建設があるわけでございます。そういった実態を見まして、私どもも個性化に対応した形で、国庫補助基準はもちろんあるわけでございますけれども、各地方がそれぞれの地域の実情に即した形で子供たちのために個性的な小中学校をつくろうというものにつきましては、これはいわば補助基準を超えた形で地方団体が個性化の事業をするということで、来年度、私どもの方で個性化対応事業ということで補助基準の二〇%増しの範囲で、これにつきましては、地方債を七五%算入いたしまして、元利償還の半分を地方交付税で見る、算入するという形で来年度からスタートをさせることにしております。  そういう意味で、元利償還の半分を交付税で見るということになりますと、また基準財政需要額が底が上がっていきますので、だんだんその乖離が縮まるんじゃないかというふうに思っております。こういったことで、乖離があるものにつきましては、その原因を文部省相談しながら、検討しながらその解消に努めてまいりたい、そのように考えております。
  28. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 ぜひそういった、今答弁いただいたような方向で私が指摘した問題について改善を図っていただきたいと思います。  まだまだこのテーマにかかわって中心的な質問ができないわけですが、時間が来てしまいましたので、最後に大臣伺いますが、これまでのやりとりについての感想も含めながら、最近私は義務教育に占める国庫負担補助金の割合が年々減じてきていると思うわけです。その原因は、やはり義務教育費国庫負担金の対象経費一般財源化してきたところにあるのではないかと思っています。平成三年十二月二十日の財政制度審議会の「歳出の節減合理化の方策に関する報告」の中の「義務教育費国庫負担制度」の項を見ますと、「引き続き、負担対象等について見直しを行う必要がある。」とか、「教職員定数については、これ以上量的な改善を積み重ねるのではなくこと述べられているなど、削減の方向が打ち出されているように思います。このことからすれば、今後も義務教育費国庫負担対象経費の見直しか進められていくのではないかというふうに考えます。文部省としては、義務教育費国庫負担についてここ八年にわたって予算編成期になると事務職員及び学校栄養職員の適用除外問題が持ち出されていることを踏まえて、どう考えてみえるのか、その基本的な方針なり考え方を伺っておきたいと思います。とりわけ事務職員及び栄養職員の適用は今後とも堅持するという決意のほどを最後に例えればと思いますが、大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  29. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 事務職員、学校栄養職員は基幹的な先生方、職員でございまして、学校のいわゆる一般の教職員、そして養護教諭の皆さん、事務職、学校栄養職の皆さん方が全体で一つの学校運営をしておられるという観点から、義務教育費国庫負担制度からは絶対に外すことのできない職種の方々であるというふうに考えております。  なお、先生からいろいろ御指摘がございまして、大正七年以来この義務教育費国庫負担制度というものがあるわけでありますが、確かにこの国と地方の役割の見直しということは、時代とともにいろいろ変化する要素がありましょうから、これもまた常に見直しをすることは大切だと思っておりますけれども、先ほどの御答弁で申し上げましたように、我が国の世界に誇る義務教育、この根幹を守ってきたのもこの制度であろうと思っておりますので、いわゆる行革審の昨年十二月の答申の中でも国と地方の負担の見直しというようなことが言われておりますが、とにかくその根幹だけは絶対に守らなければならないという思いでございます。  そして、先生からの先ほどの基準財政需要額を分母として、実際の支出額を分子とした数字についてのいろいろなやりとりをまことに興味深く拝聴させていただいておりました。私の地元の台東区の上野小学校というのは超スーパー・インテリジェント・スクールでありますし、谷中小学校を建てかえましたら、これは外側かう見ますと何だろうと、すなわちお城の格好をいたしておるわけであります。逆に児童の減少は続いておりますから、そうした地域では、この数字はどの程度に出てくるのかなと思うわけでもございますのですが、私思いますが、自治省さんがなさっておられる地方交付税の制度については何の知識も持っておりませんが、ただ、教育についても、やはり需要というものを時代とともに変化させていかなければならないことだけは間違いないだろう。思いは高く暮らしは低くでいいんだというような、それもいい言葉なんですが、それを教育に当てはめて、校舎も何も最低限のものでいいだろう、昭和三十年代に求められた校舎を四十年代、五十年代、そしてまた六十年代、平成と、当然教育の環境整備に求められていく条件もまた変わっていっているだろうと思います。確かにその一・六とか一・七という数字を見ますと、市町村が大いにやる気を出しておるのかなと喜ぶ反面、やはり若干の疑問も感じないわけではありませんので、私もよく勉強してみたいと思っております。
  30. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 大変ありがとうございました。私が考えているような方向での今の大臣の御答弁をいただいて、大変力強く思っているわけです。  まだまだ尋ねたいことはたくさんございましたけれども、時間が参りましたので、以上で私の質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
  31. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  輿石東君。
  32. 輿石東

    ○輿石委員 ただいま佐藤委員とのやりとりの中で、義務教育費国庫負担の重要性が大臣からも述べられました。また田村交付税課長と基準財政需要額をめぐっての論議の中で、国と地方との負担のあり方等について若干討議が深められたというふうに思うわけですけれども、私は本法案にかかわって、まず最初に国家予算教育、文教予算とのかかわりについてお尋ねをしたいわけです。  国の歳出節減合理化方策の一環としまして、文部省一般会計予算の五四%を占めるという義務教育費国庫負担も、この整理合理化の対象とされてきたわけであります。先ほども話がありましたように、昭和六十年度には旅費と教材費が国庫負担の対象外とされ、また平成元年度には恩給費が除外されて、今回この共済費追加費用についての除外は三度目ということになるわけであります。したがって、本年度のこの国庫法案にまつわる削減額六百二十三億がそのまま先ほどからお話がありますような地方の一般財源として振りかえ額となるわけであるというふうに思うわけですけれども、今回のこの措置につきましては、共済費というもの自体が法律でその給付水準というものが保障されているという立場からいえば、その限りにおいては本法案には問題はなかろう、そう理解できるわけですけれども、今までの質疑でも明らかになりました国と地方の分担のあり方、そこが大変問題になろうと思うのであります。  そこで私は、まず大臣に、総額七十二兆円という国家予算に対して五兆三千億円余りの平成四年度の文部省予算の特徴と課題についてどのように分析をされておられるのか、その辺についてお尋ねをしておきたいと思うわけであります。
  33. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 文教予算の危機的な様相についてはたびたび御答弁申し上げたり、お願いを申し上げたりしてきたところでございますが、平成四年度予算では、文部省の所管の予算の伸びは五・二一%なのですね。国の一般歳出は四・五%だったわけです。平成三年度予算も大体同じような数字ですが、国の一般歳出が四・七%であったのに対して五・三六%、一般歳出よりは多少ましだったという状況なのですね。これはいろいろ幾つかの配慮は最低限してもらえたということなのだろうと思いますが、ちょうど今から十年前あるいは七、八年前を見ますと、シーリングが行われている中でそういう配慮が全くなされなかった。したがって、一%のベースアップで四百億円も支出増になる、そういう文部省予算に対する配慮がゼロでございますと、いわゆる人件費と物件費との比の問題ですね。つまり文部省予算に占める人件費の割合というのが、当時、昭和五十六年とか五十七年とか五十八年あるいは五十九年ごろは二%から三%ずつ高まっていって、六三%ぐらいだったものがあっという間に七五、六%に来てしまった。今でもこういう予算の組み方ですと、私学助成が結局は実質の助成率が減ってしまうとか、あるいはことしはふえたけれども、公立文教だって諸物価が値上がりをしていけばますますその量が減ってしまうとか、いろいろ難しい状況が続いていくと思いますから、文教予算全般につきましては、これは根本的な見直しを何とかお願いをしませんと、それこそ教育は金ではありませんけれども、今後の予算の編成の仕方が大変厳しいものになって、新しい時代に向かって教育の実を上げるような十分な環境整備ができないということになりかねないと思っております。  平成四年度の予算の姿については、輿石先生よく御承知だろうと思いますから、私から御説明することは避けますけれども、公立文教という部分がかつて六千億近くあったものが、平成三年度で二千二百八十八億まで落ち込んでいたものが若干の盛り返しを二百億ばかりさせていただいたというようなこと。そしてあとはフェローシップとか留学生とか科研費とかいろいろやらせていただいておるということでございます。  いずれにいたしましても、文部省予算の中に義務教育費国庫負担制度という巨大なものがあることは間違いがないし、この根幹をまた私たちは守り続けていかなければならないという責任もございます。となりますと、ベースアップが相当な支出増になりますし、そうした中での今後の予算の組み方ということについては、全政府、全国会の皆様方にお願いをし、知恵を絞っていかなければならない課題と思っております。
  34. 輿石東

    ○輿石委員 今文部大臣からお答えをいただいたわけですけれども、もうちょっと具体的に、それならば若干今回は改善をされた予算であるというふうにみずから評価をされているわけですけれども、その中で、先ほど触れました共済費追加費用一般財源化され、その振りかえ額として本年度六百二十三億あるわけですから、それが一般財源化、地方財源として振りかえられたという、その見返りとしてという言い方はおかしいかもしれませんけれども、その辺に文教予算の余裕が出てきた。そこで、本年度の予算を見ますと、公立学校施設整備費等の増額がされたことが特徴的に言われておるわけですけれども、その辺はいかがでしょう。
  35. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 お金に色がついておりませんので、浮いたというのはおかしいのですが、財政的に改善された六百億余りというものがどこへいったかという見方はなかなか難しいことだと思っておりますけれども、逆に申し上げれば、非常に厳しい財政状況ということと行革審の答申の関係も加えて、そしていわば昭和三十七年、地共済発足以前にかかわる問題と現在の教職員との関係が薄まってきているという、いわゆる成熟化ということ等をとらえて共済の追加費用一般財源化をお願いした、そういう経緯なのだろうと私なりにとらえております。それは旅費から教材費からいろいろ——また二分の一が三分の一になって、それをまた九分の二、九分の一、ゼロとしていくのかという議論になりますと、だんだん国というか文部省のやる仕事を減らしていくのかと言われますと、なかなか反論しづらいところもありますが、さまざまな観点を加えて、これならばよかろうというような形で一般財源化をお願いした。ただ、財政事情というもの、教育行政における財政事情というものとこれらが無関係なわけはありませんで、少なくとも公立文教の二百億以上の増などというものは、この法律を通していただかないと非常に厳しいものであっただろうということは間違いないだろうと思います。
  36. 輿石東

    ○輿石委員 今回のこの共済費追加費用一般財源化された経緯については、後ほど、覚書もありましょうし、財政審の報告等もあるわけですけれども、その辺でかかわらしていただきたいと思いますが、私は義務教育施設整備負担制度のかかわる問題に入ります前にお尋ねしたいことがあるわけであります。  それは、私自身にとって何としても不可解な理解できない問題として、義務教育学校の設置基準がいまだ制定されておらないという問題であります。言うまでもないことでありますけれども、我が国の義務教育は、憲法を引き出すまでもなく教育基本法学校教育法、そしてこの義務教育施設整備負担法、さらには本法案と直接かかわりがあります義務教育負担法等によって、義務教育無償の理念に立ちながら国民の権利としての教育を保障していく施策が種々講ぜられているわけであります。公立の小中学校にかかわる、その根幹にもかかわると思われる学校設置基準が制定をされていないその理由、制定できなかったのか、しなかったということも含めてお尋ねをしてみたいというふうに思うわけであります。
  37. 坂元弘直

    坂元政府委員 確かに学校教育法三条で設置基準は監督庁が定めるというふうになっておりまして、その監督庁はほかの規定で文部大臣になっておるわけでございます。文部大臣が制定します省令、学校教育法施行規則の十六条あるいは五十一条では、この節に定める事項のほかは小学校設置基準を別に定める、あるいは中学校設置基準を別に定めるというようなことで、二十二年に学校教育法が制定されたときには法令上は別個の設置基準を予定していたわけでございます。  ただ、それが今先生指摘のとおりに、設置基準としてまとまったものは規定されていないのが実情でありますが、その後御承知の義務教育のいわゆる標準法、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律や、それから義務教育費国庫負担法あるいは義務教育学校施設費国庫負担法等が制定されまして、法律そのものにいわゆる設置基準と同様の機能を果たす規定がつくられておるというようなこともあって、実質上これらが一体となって私ども設置基準としての機能が果たされているんじゃないかというふうに理解しているわけでございます。  ちょっと長くなりますが、そもそも義務教育は、もう私が言うまでもありませんが、市町村に設置義務が課せられているわけでございまして、若干の私学、国立はございますけれども、大半は市町村みずからが設置する公立学校義務教育が行われてきているわけでございます。そういう意味で、私学がかなりのウエートを占める幼稚園や高等学校等の他の学校団体と同様の設置基準を定めるという必要にも乏しかったんじゃないかというように思います。  それから、今度は公立学校の立場からいいますと、地域が過疎であろうと過密であろうと、子供が一人でもおれば必ず学校をつくるということで対応しなければならなかったということもございまして、全国一律の基準を整備することがなかなか難しかったんではないかということもございます。  それからさらに、戦後の大混乱期の中で、先生もご承知だと思いますが、我々も経験したのですが、中学校義務教育化されまして、青空教室、二部教室、小学校と一緒になって授業を受けるという状況でございました。そういう状況の中で、これは地域によって大分違いましたが、全国画一的な基準をつくるということは実態にもなかなか合わなかったのではないか。言いかえれば、当時の社会情勢の中で設置基準をつくるにもつくりようがなかったんじゃなかろうか。そういう中で、三十年代に入りまして標準法ができ、あるいは義務教育施設費国庫負担法や何かができて、先ほど申し上げましたが、設置基準と同様の機能を果たすそういう法律ができたというようなこともございまして、結局設置基準が今日までつくられなかった、つくる必要も余りなかったということだと思います。いず札にしましても、これらが設置基準としての機能を果たしまして、小中学校における教育の水準を確保するための機能は果たしてきたというふうに考えております。  なお、ちなみに戦後私立の小学校あるいは中学校が、小学校は設置された例はほとんどございません、中学校が何校があると思いますが、これは都道府県がこれらの設置基準と同様の機能を果たしている法律や何かを参考にしまして、私立の審査基準を設けて審査をしてきているというのが実情でございます。  やや長くなって恐縮でございます。
  38. 輿石東

    ○輿石委員 今の局長の御答弁ですと、やはり地域の実態や時代の要請、さまざまな要素があってこの設置基準はつくれなかった、また言葉を返すようですが、つくる必要もなかった、こういう言い方をされました。だとすれば、その理由はいろいろあったわけであります。地域の実態、時代の要請、それはいろいろ変化をする、だから全国一律の基準は設けられない、そのとおりでありましょう。しかも過疎過密が同居している実態の中で、一人でも義務教育を保障するという立場から、そういう実態に見合った基準はつくり得られないんだというふうにも聞こえるわけでありますけれども、それならばなぜ学校教育法第三条に、学校の設置基準としてきちんと——これは法律の体系からしてもおかしいと思うのであります。「これを設置しなければならない。」というふうにきちんとうたっているのであります。また、施行規則の第十六条を引くまでもなく、「小学校の設置基準は、この節に規定するもののほか、別にこれを定める。」と明文化しているにもかかわらず、別に定めてもいないということであります。その辺について法体系の整備という点からいってもおかしいのではないかと思われますけれども、その辺もう一度御意見をいただきたいと思います。
  39. 坂元弘直

    坂元政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおりに、確かに学校教育法が制定されたときは、設置基準を小中学校含めまして別途つくるということは、この法律は予想していたと思います。それが先ほど申し上げましたような経緯でなかなか二十年代はつくられてこなかったというのが実情だと思います。  それで、例えば学校教育法三条で挙げております「監督庁の定める設備、編制その他に関する設置基準」、「設備」というのは施設設備のことでございますし、「編制」というのは学級編制が典型的なものでございますが、その他教員組織などでございます。それから、「その他に関する設置基準」というのは、学校の管理運営に関する事項が入るのだろうと思います。そうしますと、学校の管理運営に関する事項というのは、学校教育法及び学校教育法施行規則の中でほぼ大体書かれておるということ、それから組織編制につきましては、先ほど申し上げましたいわゆる標準法等でちゃんと規定されておる、それから施設設備につきましては、先ほども挙げました義務教育施設費国庫負担法、これは補助基準ではございますけれども、一応負担基準ではありますが、基準として定められておるというようなことで、一応私はこの法令が予定している設置基準で盛り込む事項は学校教育法の系列及び今申し上げました二つの法律等で大体書かれておるのではないか、そういうようなことで、これに足して設置基準を現在つくるという意義には乏しいのではなかろうかというふうに感じております。
  40. 輿石東

    ○輿石委員 繰り返す必要もないと思うわけですが、今言われたこの学校教育法の第三条「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、監督庁の」今局長言われたように、文部大臣でしょうけれども、「定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」とうたっているのであります。そして今の御説明ですと、施設設備については負担法で、また管理運営についての項はその他に関する項で、それぞれ標準法等の法律にあるので、その設置をするだけの意義を見出せないというお答えであります。  私が先ほどからお尋ねしている趣旨は、二つの負担法の方へ入っているとか学校教育法施行規則の中にあるとかというふうに、法体系の問題として、そうばらばらに散在していて、この重要なものがいいのであろうかどうかということが一つ。もう一つは、公立小中学校を除いてほかの学校種別には設置基準があるわけでありますね。これは義務教育という性格から全国一律にするということが弊害を伴うというお話もありました。しかし、そう散在している法律をずっと見せていただくと、これはすべて財政的負担の観点から成り立っている法律ともとれるわけであります。教育という中身は、単に施設整備だけではなくて、教育の中身が大変問題であろう。そうすると、この設置基準の中にハード面、ソフト面両者が入っているべきであろうとも思いますし、一方では学習指導要領の法的拘束力というような問題も出てくるのであります。そうした義務教育の骨幹にかかわるとも思われるこの辺の問題について、法整備を含めて、学校の設置基準について設定をするという方向で検討される御用意があるかどうか、この問題の最後の質問にしたいと思います。
  41. 坂元弘直

    坂元政府委員 何回も同じょうなことをお答えするのは恐縮でございますが、私どもとしましては、一応学校教育法三条で言っております「設備、編制その他に関する」事項というのは、私がるる御説明申し上げましたような法体系の中で実質的には決められておるというふうに理解をいたしておりますので、改めて小中学校について設置基準を検討するというようなことは、今の段階では考えておりません。
  42. 輿石東

    ○輿石委員 私が先ほどから指摘してまいりました点について、当面はそういうもの備考えておらないという御返事ですけれども、ぜひ今後そのことについても対処をしていただきたいと思うのであります。  次に、私は学校施設整備にかかわる問題について質問をしていきたいと思うのであります。  きょうは大変時間が限られておりますし、また次の予定もあるようですから大変はしょってお聞きをしたいのでありますが、義務教育学校施設費国庫負担法の第三条に国の負担について書かれておりますが、大臣もこの点については先ほど冒頭でお話をいただきました。負担法自体の精神や意義についても語られましたけれども、この施設費国庫負担法についての概略をまず最初に御説明いただきたいと思うのであります。
  43. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 お尋ねでございますけれども、この法律は、公立の義務教育学校施設整備を促進するために、これらの学校の建物の建築に要する経費について、その必要な経費の一部を国が負担することとしまして、それに必要な幾つかの条項を定めている、そういう内容の法律でございます。
  44. 輿石東

    ○輿石委員 この義務教育学校施設費国庫負担法の第三条に国の負担についてうたってあるわけですが、この第三条、「国は、政令で定める限度において、次の各号に掲げる経費について、その一部を負担する。この場合において、その負担割合は、それぞれ当該各号に掲げる割合によるものとする。」というふうに書かれているわけですが、ここで言う「政令で定める限度」とはいかなるものか、御説明いただきたいと思います。
  45. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 政令で定めておりますのは技術的な内容でございますが、国の負担を行います場合の算定の基礎となる基準面積等を定める中身でございます。
  46. 輿石東

    ○輿石委員 その問題については、義務教育学校施設費国庫負担法施行令というのがあって、この「法第三条第一項の政令で定める限度」はというふうに書かれておるわけであります。今局長お答えは大変簡単にされたわけですが、この第一条の「義務教育学校施設費国庫負担法第三条第一項の政令で定める限度」というものをお聞きしているわけですが、ここに「毎会計年度同項各号ごとに、法第七条に規定する一平方メートル当たりの建築単価に建物の」というふうに書いてありまして、「構造の種類別に文部大臣が大蔵大臣と協議して定める面積を乗じ」以下書いてあるわけであります。この「文部大臣が大蔵大臣と協議して」、その面積をも計算をしていかなければならないという理由それについてお尋ねをいたします。
  47. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 国が負担する限度を定めますときに、基準面積とこれに乗ずるための単価があるわけでございますが、基準面積に関しましては、これは既に決まっているわけでございます。その第七条に「必要面積」というものが定められているわけでございますが、「文部大臣が大蔵大臣と協議して定める」という内容といたしましては、単価の点があるわけでございますが、この点に関しましては予算上の措置もあるわけでございまして、「協議して定める」ということの内容となっているわけでございます。
  48. 輿石東

    ○輿石委員 そうしますと、この基準単価に見合って面積を算出をしていく、この予算の構成に当たって毎年度そういう協議が行われるというふうに理解してよろしいですか。
  49. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 先ほども申しましたように、単価につきまして年々予算の編成の課程におきまして単価が定まるわけでございまして、その点において「協議して定める」という意味の内容となっているわけでございます。
  50. 輿石東

    ○輿石委員 私は、それはやはりこういう建設にかかわる問題、施設整備にかかわる問題は予算が伴うわけでありますから、当然その年度内の予算内で処理をしなければならないということは理解できるわけですけれども、そうしますと、大蔵大臣と文部大臣が協議をして決める、予算という制約がある、その協議が成立しなければ、その予算措置は行えないということにもなりますね。
  51. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 その意味といたしましては、予算編成の過程において決まってまいるというふうに考えております。
  52. 輿石東

    ○輿石委員 その編成の過程において決まってくると申されましたけれども、ちょっと理解に苦しむわけですが、もう一度。
  53. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 もう少しわかりやすく申しますと、予算の額によって決まってまいるということでございます。
  54. 輿石東

    ○輿石委員 そのようにお答えをしていただきたかったと思うわけです。だから予算の範囲内において文部大臣と大蔵大臣が協議をして、これが執行できるかどうかを決定していくというふうに理解されるわけであります。そこに私は一つの問題点があろうかと思うのであります。  と申しますのは、やはり単年度予算編成のあり方にかかわる問題だろうと思うのであります。先ほど初中局長の方から、地域の実態や時代の要請等に応じるために、学校設置基準は全国一律に設定することは難しいという答弁もあったわけですが、そういう考え方からいえば、この全国どこでも地域子供の実態に応じて施設設備整備していきたいという願いが、単年度予算編成という大きな障害にあって、文部大臣、大蔵大臣の協議で物が決まっていってしまう。もっといえば、後ほど触れたいと思うのでありますが、財政審の平成三年十二月二十日の報告にも明らかなように、その辺の方針とか、大蔵省の方針とかいうものによって、文部予算、文教予算が左右をされるという道につながるというふうに理解できるわけであります。しかし一面では、金のないものは予算執行ができないわけですから、その協議の中身も必要でありましょう。しかし、そのような問題点があるというふうにお認めいただけますか。
  55. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 公立学校施設整備に関しましては、先ほど来御指摘義務教育施設費国庫負担法、その法律の委任に基づきます政令等に基づきまして、それぞれの学校学級数に応じた必要面積を定めておりますし、またその単価については、予算上の措置をとる段階において決まってまいるという性格を持っているわけでございますけれども、風の負担率なり補助率、それからさまざまな国庫負担の対象となる建物の範囲等につきましては、明確に法律なり補助要綱なりで決まっているわけでございまして、それらのことすべてが一々その文部大臣と大蔵大臣との協議によって定まるというふうにお酌み取りいただいているとすれば、それはそうではないわけでございます。それぞれの法規なり補助要綱なりあるいは予算措置等によりまして、文部省としても、総合的な形で公立学校施設整備について、その必要な財源措置を毎年とってまいっているわけでございます。その意味で、やや御指摘の点は、私どもの考えております方向ないし法制上の措置等とは異なるふうに聞いているところでございます。ぜひこの点については御理解をいただきたいと存じます。
  56. 輿石東

    ○輿石委員 私も局長も言われるように、すべてのものがそういう形でなされているというふうには理解しないわけですけれども、やはり何らかの大蔵省と文部省との方針の違いや、大蔵省が財政事情を前面に出してきたときに大きな一つの壁があるということは言うまでもないというふうに思うのであります。  そこで私は、先ほどの佐藤委員質問にもかかわるわけですけれども、各種の負担法というものについてどうお考えになっているか。もう既に負担と補助とのかかわり等については国会でも何回か論議をされているというふうに思うわけですけれども、一体この負担法というのをどのようにとらえられているのか、その点についてお聞きをしておきたいと思うのであります。
  57. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 負担法におきましては、特に義務教育段階において、その基本的な条件整備を行う必要があるものにつきまして定めているわけでございます。義務教育費国庫負担法では教員の給与費関係、それから施設負担法では施設関係というふうに、いわば義務教育の諸学校にとって基盤的な条件整備にかかわる事項を定めるものでございまして、これについて必要な負担割合を国が負担をし、それ以外の経費については地方公共団体が負担をするという形で、国と地方公共団体の負担割合等を定めることによって義務教育水準の維持向上等に資するという性格のものでございます。
  58. 輿石東

    ○輿石委員 今負担法の意義についても若干触れられたわけですけれども、私は、基本的な姿勢として、この負担法に対してどうお考えになっているかということもお聞きしたいわけですけれども義務教育の費用について国と地方自治体との負担区分というものを整理して明確にすべきではないか、佐藤委員質疑の中でもそんなことを感じました。その辺についてはどのようにお考えですか。
  59. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 義務教育に要する経費について国と地方公共団体がどのように負担していくかというふうなことにつきましては、義務教育費国庫負担法等の法律ないし政令あるいは補助要綱等によって定まる国の負担の内容、それから地方財政措置による地方公共団体に対する財政措置あり方、これらの事柄はそれぞれ国としての責務を果たすのに必要な内容を背景としながら、それぞれの条件の変化あるいは義務教育学校における必要経費の状況等を踏まえて、それぞれの段階において定められてまいっているところでございまして、現状の負担法等の規定の内容あるいは地方財政措置の内容等において現状に即した制度となって現在運用されているというふうに考えているところでございます。
  60. 輿石東

    ○輿石委員 実情に合った負担をという言い方で締めくくられたわけでありますけれども、私はずっと質疑の中で、この負担法というものの出てきた経過や目的に照らして、できれば負担する、できれば補助するというような、予算の枠があればというような発想ではなくて、たとえ国の予算が厳しくても、文部大臣が最初に決意を述べられましたように、やらなければならないものは負担をしていくということが根幹になければ、この負担法の精神も生きてこないというふうに思いますので、そのようにぜひ取り組んでほしいというふうに思います。  大変時間が経過をいたしましたので、この問題については以上で終わらせていただきますが、何としても私は、最初にもお話をいたしましたように、平成三年十二月二十日に「歳出の節減合理化の方策に関する報告」として出されました財政審議会、財政審の報告にかかわって質問をしておかなければならないだろうというふうに思います。  この財政審の報告について、文部大臣、簡単で結構ですから、趣旨また目的等についてお話しいただけませんか。
  61. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 昨年の十二月二十日に財政制度審議会の方から「平成四年度予算の編成に関する建議」というものが出たわけでございます。その中でさまざまな財政の基本的な課題が論じられているわけでございますけれども、その中に、先生の御質問とのかかわりで申しますれば、「国と地方の機能分担・費用分担、更には地方の財政状況の推移等に応じて、国・地方間の財源調整の問題なども今後検討していく」べき課題であるというふうに指摘されているものでございます。その他さまざまの歳出の節減合理化に関する報告等も出ているわけでございますが、その全体像と申しますか、今の御議論とのかかわりで御説明いたしますと、今申し上げたとおりでございます。
  62. 輿石東

    ○輿石委員 今その中で余り触れていただけなかった問題として、これは財政審の中身を読みますと、大きく四点ほどあるわけであります。そして最も重要なことは、教育予算編成上の基本的な考え方がそこで指摘されているのであります。しかもそのことに触れて、初等中等教育に従前ウエートがかかり過ぎていた、そして初等中等教育高校教育との間の財源配分の見直しもしていかなければならないというふうに指摘をしているわけであります。また文部大臣は、就任早々に高等教育の必要性とか重要性をうたわれました。しかし、前回の文教委員会でしたか、文部大臣が、まさに今の文教予算はタコの足をみずから食いつぶして生きていくような状態だというのであります。まさに初等中等教育から高等教育予算配分をしなければならない、この枠の中でそちらへ持っていくというのはどう考えても理解に苦しむことでありますし、その初等中等教育費自体、対国民所得比率でも欧米並みとは言っておりますけれども、それならばその枠内で高等教育へも補てんをしていく、カバーしていくだけのものがあり得るのかどうか、その辺についてお尋ねをしたい点が一点あるわけであります。  言うまでもなく、我が国が今日の経済大国にまで発展をし得たものは高等教育の量的拡大であるということは、再三言われている点であります。高等教育を重要視しなければならない、しかし、初等中等教育予算の中からそちらへ補てんをしていくなどということは、あり得てはいけないことだというふうに思うわけでありますけれども、この財政審の報告にかかわって、大臣、一言お願いをしたいと思います。
  63. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 財政審のただいまの文章につきましては、不敏にして余り詳しく読んでおりませんでした。今自席に座って何ページか目を通させていただきまして、財政審にしてもあるいは行革審にしても、一般論として言えばこんな書き方になるのかなというふうな思いを持って今読ませていただいておりましたが、現実に国と地方の負担の配分、その割合についてはなかなか難しい問題が種々あることは、本日の質疑でも明らかであります。  そして、今先生指摘の、いわゆる初中教育と高等教育というものについて言えば、最近日本の高等教育の危機的状況が明らかになってきたということ、これも再三御答弁申し上げているところでございまして、このままでは科学技術立国という日本の唯一将来へ向かって生き延びていく道も閉ざされてしまうかもしれないとか、留学生が、優秀な留学生はみんな欧米へ流れて、十万人日本にやってくるとしても、二線級、三線級しか来てくれなくなるのは、高等教育施設が余りに老朽化、狭隘化、陳腐化しているからであるとか、まあいろいろな問題が取りざたされておる中で、高等教育に大いに注目をしようということならば理解できないことではありませんが、少なくとも初中教育と高等教育というものを、いわば費用というか財源で、どっちのものをどっちへ移すといったぐいのものであってはならない。高等教育を大いにやろうといって、もし初中教育のお金を移して、それで高等教育充実したら、いわば何というのでしょうか、立派な花を吹かせようという予算はいっぱい組んだけれども、芽が出て茎が出て葉つばが出たころ、花が咲く以前にもう肥料不足でおかしくなって、後から一生懸命いい花を吹かせていい実をつけさせようとしても、それは絶対できないというのは生物界の基本でございます。  そのことは人間にも当てはまるわけで、幼児教育が大切だと申し上げているのもそこに理由があるし、初中教育がうまくいかなかった者ににわかに高等教育で後から肥やしをやっても何もできないということも事実ですから、少なくとも初中教育というものと高等教育というものは両方重要で、その重要性の意味合いがやや違う。つまり高等教育については、先ほど申し上げたような今後の科学技術立国とかそういうものが期待される。初中教育というのは、とりわけ義務教育というものは、人間としての基礎・基本を、とにかく立派な日本人をつくるその基礎・基本を確保しようということですから、その意味合いが違う。両方とも大変重要で、両方とも意味合いが違うものを、その間でお金をどっちに多く回すかとかいうことは、同じ文部省予算の中でも私は考えていただきたくないと思います。
  64. 輿石東

    ○輿石委員 文部大臣からそういうような扱いはできるだけ避けるという決意が述べられましたので、ぜひお願いをしたいと思います。  時間が来たようですが、私は、経済大国まで繁栄をし得たその理由に、高等教育の量的拡大ということを言ったわけですが、その主役は何といっても私立大学、七割を超えるという私立大学にあるということも忘れないでほしいと思うわけであります。その私立大学の国庫負担率が一四%を切ってしまうのではないかという問題も一つあります。また、この私立大学の負担については、学生の納付金で五四・六%が賄われている、家計から出ている金ということであります。その辺についてもぜひ配慮をしなければならない大きな問題だろうというふうに思います。  最後に、佐藤委員質問の中で、四十八年の七十一国会で教育費の問題が出てきた。国と地方との分担のあり方についても、やはり十四年前の五十三年の第八十四国会でも論議をされているはずであります。しかし、一向に改善されているとは言い切れない。十四年、十九年たっても同じことが論議をされなければならないというこのむなしさを私はみんなで真剣に考えていく必要があるだろうと思います。  最後に、一般財源化の方向で動いているこの法律案、絶対に地方財政を圧迫しないという方向で考えていっていただきたいことをお願いを申し上げ、質問を終わります。
  65. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時五十二分休憩      ————◇—————     午後零時十七分開議
  66. 伊藤公介

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍛冶清君。
  67. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大変限られた時間になりましたので、時間節約に御協力するという意味質問の内容はもう要約して質問申し上げますので、答弁の方もひとつ要を得て、簡略によろしく。特に大臣にはよろしくお願いを申し上げます。  このたび政府から提出されました法律案義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について質問を申し上げます。  まず初めに、今回、このような改正を行うようになった理由についてお伺いをいたします。
  68. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 義務教育費国庫負担金につきまして、行政改革推進審議会答申等を踏まえまして、国と地方の機能分担、費用負担のあり方等の観点から検討を行いまして、今回共済費追加費用と退職年金、退職一時金につきまして、共済制度の成熟化に伴って、現職の教職員と共済費追加費用等との関連はほとんどなくなってきているということ等踏まえまして、今回の措置に踏み切ったところでございます。
  69. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大臣にお尋ねいたしますが、この義務教育費の国庫負担制度につきましては、これまでも旅費それから教材費恩給費、これは一般財源化されてきておりますし、今回この法律案が通りますと、共済費追加費用等についても一般財源化する、こういうことになるわけでありますが、これは私が申し上げるまでもなく、人件費は文部省予算に占める割合というのは八割を超えておりますし、これは文部省予算編成に大きな負担となり、我々から言えば、これはもう障害、障害しやございませんが、金額的にいえばこれは大変残念なことになっている、こういうふうに思うわけですが、しかしながら共済費追加費用等についての一般財源化についてはやむを得ない措置であるというふうに、全般的な財政から見るとそういうふうに考えるわけですけれども、今後の義務教育費国庫負担制度あり方については、これはどのようにお考えなのか、大臣にお尋ねをいたします。
  70. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 もう専門家であられる鍛冶先生、よく御存じのとおりでございまして、今回の共済の追加費用一般財源化というのは、まことにやむを得ないという部分がございまして、それは国と地方の負担のあり方の問題もありましょうが、正直言って文教予算の組み方の問題もあったわけでございます。しかし、これも共済の成熟ということで理解をしていただくとして、今後も義務教育というものは、日本の国の教育の背骨あるいは脊髄のようなものであって、これは確実に守っていかなければなりませんので、義務教育費国庫負担制度、この根幹に変革が加わるようなことは一切認めないという形できちんとやっていきたいと思っております。
  71. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは一般財源化するときに一番心配されることでございますが、地方公共団体に対して負担が大きくなるという可能性が非常に強いのではないか、こういう危惧があるわけです。こういう内容については午前中に各委員の方からもいろいろな御質問もあったところでございますけれども一般財源化する場合の原則的なものとして、これはもうぜひ地方公共団体には絶対に負担を強いるというようなことのないようにしなければならない、私どもとしてはこういうふうに思いますが、この点について、今回どのような措置を講じられておるのか、お尋ねをいたします。
  72. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 今回の措置は、先生仰せになりましたように、共済制度成熟化に伴って行いました措置でございますけれども、これに伴います地方財政への影響につきましては、関係省庁とも相談いたしまして、地方財政計画に所要額が計上されておりまして、地方交付税措置が講じられることになっております。その意味では、今回の措置に伴う財政上の影響というものは直接にはないものというふうに考えております。
  73. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大蔵省、自治省等とも話し合われでこういう形に踏み切っているようでございますので、そういうことのないように、これはきちっとした形でやっていただきたい、重ねてこういうふうに御要望を申し上げておきます。  さらに、本法案の施行に伴いまして、義務、養護教育等の国庫負担金の削減額というものが六百二十三億円ぐらい見込まれる、こういうふうに聞いておるわけでございますけれども、この六百二十三億という見込まれる金額については、当然これは、物件費等のいろいろな形で、今までシーリングの中で財政的に文部予算が抑えられてきた、そういうところにやはりきちんと整備をすべきであるし、重点を置いてやるべきであろう。その中で、特に公立学校施設整備の関係、これはやはり非常に重要視して、この施策を講じていかなければならないのじゃないか、こういうふうに私は思います。  これは私が申し上げるまでもなく、物件費については大臣もよく答弁などでおっしゃっておられますが、シーリングの前年の昭和五十六年のときの物件費の総額、これを一〇〇といたしますと、平成三年度は六六・七%まで落ち込んでおる。平成四年度が辛うじて少し上向きまして七二・六%まで上回った、こういう数字になっております。ところが、その中で公立学校施設整備費は、五十六年度を一〇〇といたしますと、これは五千二百九十七億というふうに概算されておりますが、平成三年度には二千二百八十八億円、すなわち四三・一%、半分以下に落ち込んでおるということですね。そして平成四年に辛うじて上向きましたけれども、これも二千五百六億、四七・五%ということで、物件費全体に占める上昇率からいきますと、平成三年度、四年度の関係からいっても、公立学校施設整備費というものは、やはり非常に低い形になっております。ところが公立学校施設については、もう言うまでもなく、やはり大変手を入れなければならない状態があっておるわけで、近年特に、私ども地元に帰りましても、これに対する増額をぜひ文部省に話をしてほしいというような声をあちこちで聞いてまいりますし、またいろいろな市町村からも、との予算増額ということについては強い要望があっておるというふうにも聞いております。  文部省として、この公立学校施設整備については強力にやるべきであると思いますが、どのようなお考えで平成四年度、さらにはこれから対応されていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
  74. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 先生指摘のように、確かに公立学校施設整備予算は、これまで児童生徒数が減少したこと、あるいは市町村の整備計画が減少してきたこと等から著しい縮減を続けてまいったところでございますけれども、今回、そういう各地方公共団体からの予算増額についての強い要請も背景としながら、私どもといたしましては努力をしたところでございます。  これによりまして、平成四年度予算におきましては、整備が急がれる公立小中学校校舎等の新増改築事業を中心といたしまして、十分な事業量を確保するために、生活関連重点化粋なども活用しながら、予算の大幅な拡充を図ることといたしまして、前年度に比べ二百十八億円増、近年にない増でございますが、九・五%増の二千五百六億円を計上したところでございます。今後とも義務教育基本である施設整備については、私どもも努力を続けてまいりたいと考えております。
  75. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 次に、学校施設というのは、単に児童生徒の学習の場というだけではなくて、発達段階にあります児童生徒にとっては、一日の大半を過ごす生活の場であるというふうにも私は思うわけでございます。そういう観点から学校施設というものを考えてみますときに、現在、非常にゆとりがないというようなことも言われておりますし、潤いもないというようなことも言われておりますが、このゆとりと潤いのある環境に整備していくということがこれからまた大きな観点の一つになってくる、こういうふうに思うわけですけれども、この点について文部省はどのような対応を考えておられるのか、またしておるのか、お伺いをいたします。
  76. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 詳しくは政府委員からお答え申し上げるべきことと思いますが、例えば今から十年前あるいはもう少し前でしょうか、二十年前、三十年前に、その時代の要請を受けてつくられた学校という建物、これは鍛冶先生おっしゃるような、子供さんたちにとってはまさに生活の場であるわけでございますが、これがそれから何十年たって、今この平成三年、四年という時点では、要求されるものも大分違ってきているわけでございますから、その辺の見直しというものは不断に進めていかなければならない。私の地元の上野小学校というインテリジェントスクールでは、何と教室がない。教室という箱がない。箱をつくらないで学校をつくるという箱なし学校というのをやって、これがコミュニティー教育だということをやっておりまして、時代とともにそうした要請は変わっていくものと思います。
  77. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 今大臣のお話のような考え方のもとに、文部省でもこれまでも幾つか教育方法等の多様化あるいは弾力化等に対応した学校施設づくりに配慮してまいったところでございます。  例えば、多目的スペースの整備にかかわります面積加算を行っておりますし、また小中学校等におきましてコンピューター教室等を整備する場合に必要な面積を加算するようにできるなど、逐次改善を図ってまいっております。  今のがゆとりに対応することでございますが、潤いに対応する中身といたしましては、人間性豊かな児童生徒を育てるという観点から、単に建物だけではなくて、学校の屋外空間を活用して、観察の森でありますとか語らいの広場でありますとか、そういう屋外教育を行うために必要な環境整備のための事業に対する補助制度を設けたりいたしましたし、また温かみと潤いのある学校環境づくりという観点から、最近は特に木材を積極的に利用をして施設をつくるというふうな形の事業も推進をいたしております。  今後ともこういうゆとりと潤いのある学校施設整備のために努力したいものと考えております。
  78. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはそういう形でぜひひとつ取り組みお願いしたいと思います。  私は、この問題を取り上げると、前に北九州市で市議会議員やっておりましたときをいつも思い出すのですが、ちょうど昭和四十年のころで学校が不足しておりました。もうどんどん建てなければ追っつかないというときで、設計費を倹約するために、もう学校の設計を全部同じにしてしまえ、そしてそれを倹約しておいて同じような学校をどんどん建てろというようなことで随分言ったことがあるのです。時代が変わってきましたから、これは今大臣答弁の中でもそういうお話がございました。教え方も変わりまずし、教育内容も変わりますし、さらには時代の進展とともに非常に地元と密着した形でのいろいろな学校施設あり方というものも、これはやっていいのだろう、こういうように思います。児童の一人一人に目を注ぐという意味で、この学校あり方施設の改善というものは、やはり重要な部分を占めると思いますので、この点についてもひとつ今後としどし進めていただきたい、こういうように御要望を申し上げておきます。  それからまた、学校施設は単に児童生徒教育の場として用いられるだけではありませんで、もう今盛んに言われておりますけれども地域における人々の学習活動やスポーツ活動の場とする、いわゆる生涯学習推進の立場からも積極的に地域へ開放していくことが大切であるし、なお一層これはやっていかなければならぬだろう。管理をどうするかとかいろいろ具体的問題は出てくるのでありましょうが、これはぜひ進めていただきたい。特に、学校五日制というものがこれから施行されてきますと、そういう中でこの学校の開放、また学校のコミュニティーの中心としてのあり方学校施設の、これは建物の内客の問題も、先ほど答弁ありましたものも含めて、学校というものは非常に大切な役割を演ずるようになると思います。そういう意味での地域への学校開放というものについて、今後さらに具体的に進めていただきたいと思いますが、この点についてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 先生指摘のとおりでございまして、生涯学習の拠点となる施設整備充実を進めていくことは、今後大変重要なことであると考えております。そのときに公立学校施設地域住民の身近な学習活動やスポーツ活動の場として開放していくことが学校の大きな役割であると考えております。特に、学校五日制が近づいているということでございますので、この点の整備ということが非常に重要かと考えております。  このために、文部省におきましては、これまでも校舎、屋内運動場あるいはグラウンド等の学校施設の開放を推進すると同時に、地域における身近な生涯学習の場として学校施設の活用を図るように指導しているところでございます。またあわせて校舎、屋内運動場及びグラウンド等の開放に必要なクラブハウス等に対し補助を行っているほか、学校開放を踏まえた設計にするように、都道府県、市町村を指導するなど、学校施設の開放に努めてまいっているところでありますが、今後ともこの方向で進めてまいりたいと考えます。
  80. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 時間の節約に御協力を申し上げて、もう最後にいたしたいと思いますが、大臣にお尋ねしたいのですけれども、ことしに入りまして、鳩山大臣になられて、委員会等いろいろなところで文部省の文教予算について質問もございましたし、それに対する大臣の決意、考え等もたびたびお聞かせをいただきました。私は、先般予算委員会がございましたときに、一般質問の中で時間をちょうだいしまして、大蔵大臣や自治大臣等にも質問する時間をとりまして、この教育予算について率直に質問をいたし、また考え方等もお聞きをしたわけですけれども、その中で、シーリングはどうしても外されないということではありましたが、大蔵大臣も自治大臣も、文教予算については、これまでにない、強力にひとつやりたい、首相もそういうふうに言っておられますし、そういう従来にない非常に強い決意で文教予算に対する取り組みというものを表明をいただいたというふうに思っております。  そういう過程を踏まえながら、これは大臣御自身が、先ほど申し上げたように、何回も言っておられるところではございますが、とにかく我々も事文教予算の獲得ということについては、文部省ともども一緒になって大蔵大臣や総理等にも迫っていかなければならないと思いますが、ここで改めてもう一度、そういう質問をやりとりした過程を踏まえながら、来年度以降の文教予算拡充に向けての大臣の決意、所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  81. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生方のそうした国会での強力な援護射撃に本当に感謝をいたしております。総理大臣御自身が既に国会で両三度、やはりシーリングというものには、そういう難しい弊害も生みやすいものがあるということ、もちろんシーリングを外すとおっしゃったわけではないけれども、シーリングというものには、例えば文部省予算のような問題点を生むということを総理が二度、三度表明されましたのも、そうした諸先生方の援護射撃によるところまことに大でございまして、考えてみれば、人づくりのお金というのは国づくりの基本であって、四百三十兆というお金がよく云々されますが、公共投資ということを本当に考えるならば、主役である人間がだめだったら公共投資も何も意味がないわけですから、未来の人間をつくるという意味では、教育は最大の公共投資というべきなのかと思うこともございまして、これからも厳しい財政事情は当分続いていくと思いますが、国会全体あるいは政府全体、懸命にお願いをしたり説得をさせていただく中で御理解を得て、文教予算のよりすぐれた、より充実した姿というものを形づくっていきたいと思っております。午前中の御質問の中にありましたように、例えば初中のお金を少し高等教育の方に回したらどうかなどというような、そういう文書がまだちらちらと目立つことがあるわけですから、そういうことでは、文部省予算というものは正しい理解を得られていないとしを言いようがありませんので、今後一層努力をしてまいりますが、文教委員先生方の御協力を心からお願いをしたいと思っております。
  82. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 以上で質問を終わります。
  83. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  山原健二郎君。
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 義務教育費国庫負担法の原点といいますか、それに帰ってちょっと申し上げたいのです。  昭和二十七年にこの制度ができました。私も当時県の教育委員をしておりまして、文部省あるいは国会へ何度も要請に来たことを覚えております。このとき衆議院の文部委員会で賛成討論をやったのが後の文部大臣の坂田道太氏でございます。彼はこういうふうに討論しております。  「憲法上重要な国民の権利であり、義務であるのみならず、わが国文教政策の根幹でございます義務教育について、国が明確に財政上の責任を負担することにより、義務教育の基礎を確立し、わが国文教の振興をはかりますことは、日本教育史上画期的な措置であります。」  「さらに学校教育上、教職員の給与費と相並びまして最も重要でございます教材費につきましても、新たに国が一部を負担する原則をここに明らかにしましたことは、義務教育無償の原則を実現し、あわせて義務教育の振興をはかる上から、まさに画期的な法案であり、わが国全教育界の要望であると思うのでございます。」  「われわれの抱いておりますところの、また野党諸君の考えておられますところの理想的義務教育費国庫負担制度が、一日も早く確立されることをここに要望いたしまして、賛成の意を表する次第でございます。」  これが坂田さんの賛成討論なんですね。私もこれをちょっと思い起こしておるのですけれども、理想的国庫負担制度確立に向けてという言葉がございますが、この言葉どおり、全国民の大きな運動によりまして、その後教員の給与費、学校事務職員の給与費、そして教材費、旅費、その次には恩給費、次には共済費、次には公務災害補償負担金、さらに昭和四十七年には児童手当、四十九年には学校栄養職員の給与等が付加されたわけでございます。これが臨調行革十年の中で次々と一般財源化されるという道を歩んでおります。坂田氏が申し上げています「日本教育史上画期的」「義務教育無償の原則を実現」こううたって賛美した義務教育費国庫負担制度が、このように臨調行革によってなし崩しにされるということについて、文部大臣はどうお考えになっておるか、最初に伺います。
  85. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 山原先生指摘のように、大正七年に給与費を国が見させていただくという制度ができて以来いろいろな経費が新たに加わっていく、そしてそれが国の財政再建あるいは行政改革という中で、いわば国と地方の役割分担を見直そうということで、また姿を変えてきて、今回もこのような義務教育費国庫負担法の改正のお願いをいたしておるという、そういう歴史を見ますと、いろいろ私も感想を申し上げたいとは思いますけれども、それは時代の変化というものがありましょう。一つは国の財政状況というものもありますけれども、国と地方との力関係というのか、あるいは当時の地方自治体の財政状況の悪さというものと現在の比較と言ったらいいのでありましょうか、相当な違いがある。そういう中で、例えば旅費、教材費、これは地方で一般財源化して支出をしてもらおうということになっていった。恩給、これも一つの時代の流れということであるのかもしれない。あるいは今回の共済、共済制度が成熟して昭和三十七年以前の方は減ってきたということもあるのだろうと思っております。  ですから、それぞれに理由があるし、それは昨年十二月の行革審の答申も、そのことは述べているわけでありますから、そんな中で自治大臣、大蔵大臣と私と三人で話し合って事柄を決めていきました。ですから、そういう意味先生にも御理解をいただきたいのでございますが、ただ強いて、あえて申し上げれば、そうしたことと文教予算文部省予算の大変厳しい状況、それは各省庁みんな厳しいと思いますよ、みんなシーリングは全部がぶってきたわけですから。それはODAとか例外はあったわけですが、そういう意味で言えば、文教予算の大変に厳しい状況というものと、それらのことが無関係でないということは、私は否定はいたしません。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 この法律によって措置した順に崩れていっておる、客観的に見るとそういう格好になっているのですよ。教材費、旅費、恩給費共済費、こうなってくるわけですから、そうすると今度は、次は事務職員、際限なく一般財源化するのではないかというように一まことに心もとない情勢にあると思いますが、私は鳩山文部大臣にもうこれ以上の負担制度の崩しは許さないという決意を持っておられるかどうか、一言伺いたい。
  87. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先ほど申し上げればよかったのですが、したがって義務教育費国庫負担制度根幹は、死守するというのは何か非常に攻められているようで嫌な言葉ですが、それは必ず守っていかなければならない。極端に言えば未来永劫と言ってもいいのかもしれません。この義務教育費国庫負担制度根幹は守っていかなければならないということは、例えばもちろん給与費は当然のことでございましょうが、共済の長期給付についても当然のことでありましょうし、そして先ほど午前中に御答弁申し上げましたように、事務職員、栄養職員は、これは学校というものの中の基幹的職員であるからして、彼ら、彼女らを外すということも絶対あってはならない、これらは必ず守ります、こう申し上げております。
  88. 山原健二郎

    ○山原委員 今決意をお聞きしたわけですが、昨年の大蔵折衝のときの当時の記事を見ますと、「学校事務・栄養職員の給与 国庫負担を廃止大蔵省検討歳出、千三百五十億円削減」こういう記事が出まして、さらに毎年のように事務、栄養職員の一般財源化のことが問題になり、自治省も「話があれば引き受ける用意がある」こういうふうに述べたことが新聞に出ているわけです。これは断じて許せない。歴代の文部大臣が事務職員、栄養職員というのは基幹的な学校を構成する人たちであるということを言ってこられたので、今の決意で結構ですけれども、同時に相当な決意がないと、これはかなり揺さぶりをかけられるということはもちろん体験済みだと思います。  それから、この間の予算委員会で塩川自治大臣が次のように述べています。「ある程度シーリングの中に泳いでいくというか、うまく切り抜けていくのには、財源のすり合わせをしていって、そういうところの一般財源化することによって余裕をつくりここう述べて、その次に、ちょうど私はこのとき聞いておったのですが、「義務教育費の追加費用一般財源化について肩がわりしましたし、それからそのほかにもまだ随分あると思うのですよこ「教育は何も文部省だけじゃなくて自治省も責任があるという観点で、文部省がやりやすいような方向に私は持っていきたい」こう述べました。要するに、もっと一般財源化を行うべきなどの趣旨だととらざるを得ない発言をしているわけでございますけれども、これについて今年度の予算編成で大蔵省から一般財源化をすべしと要求されたものは何であったか。時間の関係で私が水もちろんもう皆さん御承知のことでありますけれども、一に義務教育教科書、二に私立高等学校への補助、三に事務職員、栄養職員、四に社会教育施設、五に文化施設、このように大蔵省は名前を出して、これを一般財源化せよ、こう言って文部省に迫ってきた、こういう事実があるわけです。  そのことを考えますと、これは相当容易ならぬ事態であるということも考えておかなければなりませんし、言うならば、この文教委員会としても、そんなことはもう断じて許さない、文部大臣も許さないと言ったものをなぜやるか、これくらいの気迫を持った態度でなかったら、揺さぶりは依然としてかけられてくると思うのでありますけれども、これはきっぱりと態度を明らかにすべきだと思います。あえてもう一度御意見伺いたいのです。
  89. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 先生の激励のお言葉、感謝申し上げます。私はそういう点ではきっぱりと物を言ってきているつもりでございますし、今後もその辺の態度は鮮明にしてまいります。
  90. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうも同僚委員の皆さんから話が出ましたが、文教予算に対するシーリングの問題が問題です。人件費は増大する一方ですし、さらに経常経費は一〇%のマイナスシーリングということで、結局どこかを削らなくてはやっていけなくなる。したがってシーリングが続く限りこのような事態が続くことになると思われます。この際、文部大臣とされましても、このシーリングの枠を何とかしなければならぬという御意見を持っておるように先ほどから伺ったわけですが、この点についての態度を表明していただきたいと思います。
  91. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 財政再建という至上命題があって、そうした中でシーリングとか概算要求基準という設け方をしたのは、私は意味があったと思っておりますが、ただ、総理が答えてくださいましたように、そういうシーリングあるいは概算要求基準というものを続けることによっていろいろな弊害が起きてきて、人件費の比率の最も高い巨大な官庁である文部省において一番その弊害が著しいというのが私の認識でございまして、したがって、このような形で毎年同じようなことを繰り広げていくことには大変大きな問題がある。例えば、先ほど鍛冶先生が公立文教の数字をおっしゃっていただきましたけれども、鍛冶先生は物価上昇率は多分無視しておっしゃったのだろう。四〇%、四十何%に減っていますよ、こうおっしゃったのは、物価の上昇率を考慮すれば三分の一とかそういうことになりますね。これは私学助成も同じことですね。額は少しずつふえて、平成四年度も七十二億円増ではありますけれども、では実際の経常経費の助成率がどうなるかといえば、一般補助は伸びておりませんし、当然学生数が伸びていけば、また助成率が二二%台とかいうような数字を見せていくことでありましょう。ですから、このまま続けていくと、公立文教だって、ことしはふえたと言いますけれども、しかし、これはこのまま続けておったら、またとても需要についていけない、需要に見合ったことができない。私学助成も、私学がもう上がったりというふうなところまでいってしまわないうちに何らかの工夫をいたしませんと、えらいことになると私は思っております。
  92. 山原健二郎

    ○山原委員 時間の関係で最後の質問に入りますが、負担法から外された教材費の問題です。これは地方自治体の裁量に任すということになっておりますけれども、このために自治体においてかなりのアンバランスが出てきておることは御承知だと思います。これは私が調べた一つの人口三万何千程度の市の例でありますけれども、ここでは交付税で手当てをされている財源、これは基準財政需要額ですが、小学校、中学校合わせて千五百五十六万円なんです。ところが実際にこの市で予算化されているのは千百十万円です。だから自治体の超過負担がありますために、一般的な基準財政需要額よりかなり大きい予算が組まれなければならないにもかかわらず、やはりこういう極端に少ないという状態で出てきます。だから転校してきた生徒が前におった学校と比べて余りにも教材の整備がおくれておるということで、親からの訴えも出るというような、いわゆる不均衡、そういうものがあるわけですが、これに対しては適切な指導助言をすべきではないか、こう思いますが、この点はいかがですか。
  93. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 教材費につきましては、御指摘のように昭和六十年度から地方で一般財源措置されることになったわけでございますけれども、地方交付税において措置をしてまいっているわけでございます。  特に、平成三年三月末には新学習指導要領に対応するための標準教材品目というものを設定いたしまして、平成三年度から平成十二年度までの十年間で約八千億円の地方交付税措置を講ずることといたしております。これに対応します各地方公共団体における予算措置状況は、これは毎年度前年度を上回る措置がとられている、時間がありませんので詳細は申しませんけれども、上回って措置されているところでございます。  今先生指摘ございましたけれども、そのすべての市町村において必ず前年度を大幅に上回るということは、次のような理由で困難な場合がございます。それは、学校数、学級数の減少がある場合、あるいは前年度に集中的に教材を整備した場合、あるいは理科教材、コンピューター等の他の教材を重点的に整備した場合等が重なったような場合には、若干前年度より減少することもあろうかと思います。  しかしながら、私どもといたしましては、各学校でそろえていただくべき教材についての目安の標準教材品目を整備し、かつそれに必要な財源措置については交付税上の措置をとっているわけでございます。これらを有効に活用して、各学校において教材が十分に整備されていきますように、私ども折に触れて指導をしてまいっているところでございますが、今後ともそういう指導を続けてまいりたいと思います。
  94. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、文部省は、昨年の三月に新学習指導要領に合わせた標準教材品目を決め、そして各都道府県に通知をいたしております。教材費義務教育費国庫負担制度対象とされていたときの教材基準は、整備目標を示し、また教材費国庫負担制度の負担対象範囲を示すという機能を持っておりましたけれども、これが対象から外された後におきましては、この標準教材品目は参考基準にすぎない、こういう形になったのではないかと思います。  鳩山文部大臣は、先日、私の質問に対して、教育の機会均等の原則、全国的に均等な条件のもとで教育を受けられるということが我が国の義務教育制度の誇りだというふうにおっしゃったのです。そのとおりだと思うわけでございまして、この標準教材品目があくまで参考であって、整備するしないは各自治体の自由ということで大きな格差が出るということは好ましいことではありません。したがって、そうならないように、自治省とも調整しまして、十分な財源の手当てを行い、各自治体がやはり憲法、教育基本法の精神にのっとった対応をするように指導していただきたいと思いますが、この点、大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。
  95. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 当然学校にも個性があっていいでしょうから、例えばうちの学校はこういうことを中心に、理科とかそういう分野で何らかのことを決めてやっていくとか、そういうような特徴というのはあってもいいでしょうが、おっしゃることは、先ほど先生が読み上げられたように、私は、全国どこの小中学校へ行っても、少なくとも基礎・基本は同じだけきちんと均一の条件で学ぶことができるということ、これが我が国の義務教育の最大の特色であり、最大の美点であり、我が国をここまで押し上げてきた原動力であったと思っておりますので、ばらつきができるだけないようにきちんと指導していかなければならないと思っております。午前中の最初の佐藤先生質問で、都道府県単位で考えて一を割っているのがあるという話とか、あるいは市町村別でいくと一・七とか一・八とか、いろいろそういうお話を承りますと、やはりこういうことについてはできる限りばらつきがない状況というものをまず確保し一で、その土台の上で個性ある教育というのをやればいいと思います。
  96. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  97. 伊藤公介

    伊藤委員長 御苦労さまでした。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  98. 伊藤公介

    伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  99. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  100. 伊藤公介

    伊藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中山成彬君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田正雄君。
  101. 吉田正雄

    ○吉田(正)委員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、義務教育の重要性にかんがみ、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 義務教育費国庫負担制度については、その意義と経緯に格別の配慮を払うとともに、これまでの国会における論議を踏まえ、本制度の堅持に万全を期すること。  二 今回の措置による共済費追加費用等の一般財源化に当たっては、地方の財政運営に支障を生ずることのないよう適切な措置を講ずること。  三 教科書無償給与制度等の諸施策について、その意義と経緯を踏まえ、今後ともその維持に努めること。 以上でございます。  その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  102. 伊藤公介

    伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  103. 伊藤公介

    伊藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山文部大臣
  104. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     —————————————
  105. 伊藤公介

    伊藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 伊藤公介

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  107. 伊藤公介

    伊藤委員長 内閣提出国立学校設置法及び国立学校特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。鳩山文部大臣。     —————————————  国立学校設置法及び国立学校特別会計法の一部   を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  108. 鳩山邦夫

    鳩山国務大臣 このたび政府から提出いたしました国立学校設置法及び国立学校特別会計法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国立学校設置法において国立の大学の学部の設置、短期大学部の廃止及び国立学校財務センターの新設を行うほか、あわせて国立学校特別会計法を改正して、特別施設整備資金の設置等について規定するものであります。  まず、国立学校設置法の改正について御説明申し上げます。  第一は、国立大学の学部の設置についてであります。  これは、各大学における大学改革と教育研究体制整備の一環として、お茶の水女子大学の家政学部を改組して生活科学部を、京都大学の教養部を改組して総合人間学部を、神戸大学の教養部及び教育学部を改組して国際文化学部及び発達科学部をそれぞれ設置しようとするものであります。  なお、これらの学部は本年十月一日に設置し、平成五年四月から学生を受け入れることとしております。  第二は、短期大学部の廃止についてであります。  これは、埼玉大学及び和歌山大学に併設されている経済短期大学部を廃止し、それぞれ当該大学の経済学部に統合しようとするものであります。  なお、これらの短期大学部は、平成五年度から学生募集を停止し、平成六年度限りで廃止することとしております。  第三は、国立学校財務センターの新設についてであります。  これは、国立学校における教育研究環境の整備充実を図る観点から、国立学校財産の有効活用に関する諸業務など、国立学校の財務の改善に資する業務を行う機関として、国立学校財務センターを本年七月一日に設置しようとするものであります。  次に、国立学校特別会計法の改正について御説明申し上げます。  第一は、特別施設整備資金の設置についてであります。  これは、緊急に対処すべき課題となっている国立学校の老朽化等施設を解消するための特別施設整備事業を円滑に実施するため、国立学校特別会計に特別施設整備資金を設置するものであります。この資金は、国立学校の移転後の跡地処分収入等、特定学校財産の有効活用による多額の収入を資金として保有し、これを財源に老朽化等の著しい国立学校施設整備を特別施設整備事業として計画的に行うものであります。  第二は、借入金制度の改正についてであります。  これは、国立学校の特別施設整備事業に要する施設費を支弁するための借入金制度を創設するとともに、人口の過度集中対策に資する国立学校の移転整備のための借入金について、借入対象事業を用地の取得費から施設費に拡大しようとするものであります。  その他、この法律におきましては、以上のことと関連して、所要の規定の整備を図ることといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
  109. 伊藤公介

    伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五分散会      ————◇—————