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1992-05-13 第123回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十三日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 原田 義昭君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    大野 功統君       河村 建夫君    北村 直人君       小林 興起君    古賀 一成君       鈴木 恒夫君    深谷 隆司君       細田 博之君    真鍋 光広君       松岡 利勝君    森  英介君       石井  智君    上田  哲君       川島  實君    田中 昭一君       武部  文君    松原 脩雄君       山下洲夫君    鳥居 一雄君       山口那津男君    菅野 悦子君       高木 義明君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君  出席政府委員         大蔵大臣官房審 金子 義昭君         議官         大蔵省理財局次 吉本 修二君         長         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房審 金澤  薫君         議官         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長  委員外出席者         参  考  人         (日本電信電話 児島  仁君         株式会社代表取         締役社長)         参  考  人         (日本電信電話 澤田 茂生君         株式会社代表取         締役社長)         参  考  人         (日本電信電話 井上 秀一君         株式会社取締         役)         参  考  人         (日本電信電話 和田 紀夫君         株式会社理事労         働部長)         参  考  人         (国際電信電話 市原  博君         株式会社代表取         締役社長)         参  考  人         (国際電信電話 奥田 量三君         株式会社代表取         締役社長)         参  考  人         (国際電信電話 山口 武雄君         株式会社常務取         締役)         逓信委員会調査 辛島 一治君         室長     ————————————— 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   今枝 敬雄君     北村 直人君   古賀 一成君     細田 博之君   山本  拓君     河村 建夫君   田並 胤明君     川島  實君   山下洲夫君     石井  智君   吉岡 賢治君     松原 脩雄君   坂井 弘一君     山口那津男君   中井  洽君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   河村 建夫君     山本  拓君   北村 直人君     今枝 敬雄君   細田 博之君     古賀 一成君   石井  智君     山下洲夫君   川島  實君     田並 胤明君   松原 脩雄君     吉岡 賢治君   山口那津男君     坂井 弘一君   高木 義明君     中井  洽岩     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  正本電信電話株式会社法等の一部を改正する法  律案内閣提出第八二号)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第六  四号)      ————◇—————
  2. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社及び国際電信電話株式会社出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森英介君。
  5. 森英介

    ○森(英)委員 自由民主党の森英介でございます。  それでは、NTT法KDD法に関連しまして質問をさせていただきたいと存じます。  まず、昭和六十年の電気通信制度改革では、電気通信市場競争原理導入されまして、複数の新規事業者参入が実現しております。サービス提供に当たって切磋琢磨する環境が創出されたことによりまして料金の着実な低廉化がもたらされたと高く評価をしているところでございます。また、改革後、NTT在り方に関する政府措置が策定され、電気通信市場における公正有効競争の一層の促進、また経営向上等のための措置が講じられてきております。こうした電気通信制度改革後七年経過した現状をどうお考えになっているか、大臣の御所見を承りたいと思います。
  6. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  森委員質問いただいた課題は、本日御審議をいただくNTT法のいわゆる基本的ベースになる御質問でございますので、若干時間をいただきますが、私の現状に対する考え方等を申し述べたいと思うわけでございます。  御承知のように、今お触れになりましたが、六十年に電気通信事業分野への競争原理導入と、いわゆる電電公社民営化を柱とする電気通信制度改革を実施いたしたわけであります。この改革は、工業化社会から高度情報社会に向けて大きな転換期を迎えようとしている時代においては、電気通信事業がいわゆる豊かな国民生活の実現、産業経済活性化のために先導的役割を果たすことが期待されていることを踏まえて、二十一世紀高度情報社会を形成していくためには電気通信事業の一層の活性化効率化を図ることが非常に大切なことである、こういう基本的な考え方から行われたわけでありまして、言うならば、当時は若干の異論のあったところですが、大方のいわゆる同意の中で、大きな流れの中でこれが実現していった というふうに思うのです。  その後、電気通信市場には多数の新規事業者参入いたしまして、その数は第一種電気通信事業者七十社、あるいはまた第二種電気通信事業者が千社を超えて、我が国世界的に見ましても米国と並んで最も競争体制が進展した市場を現在形成しているということであろうと思います。また、競争導入による電気通信市場活性化によって市場も非常に着実に拡大をしている。いわゆる高度情報社会という時代と相まちまして、しかもまだ経営営業努力、こういうものと相まって市場規模は非常に大きくなってきている。金額的に見ますと、第一種電気通信市場は六十年の五兆一千五百億、二年には六兆三千二百億円になっているわけです。第二種電気通信市場は四千四百億から一兆二千九百億円に拡大しまして、日本産業分野活性化に大変な貢献をしてきたと思っておるわけでございます。  制度改革以降、各事業者経営努力光ファイバーを初めとする急速な技術革新によりまして国際料金長距離料金自動車電話料金などあらゆる分野において電気通信料金は今着実に、森委員がおっしゃるように低廉化している。国民利用者の利便が非常に大きく向上したというふうに私は高く評価をいたしているわけでございます。  以上、申し述べましたように、六十年の制度改革趣旨は着実に実現してきている。この目的趣旨に沿って極めて順調にきていると言っていいと思うのです。今後の政策展開に当たりましては、競争市場の一層の活性化のために、平成二年のNTT在り方に関する政府措置に基づいて公正有効競争の推進を今後とも図っていくことが必要であるということがまず第一点でありまして、第二点としては、NCCは引き続き設備投資が必要であり、各社がその経営基盤を確立するになお時間を要するというふうに認識をいたしております。  一方、いわゆる独占状態であったNTTKDDは、今申し上げたように、競争が進展する中で、その経営状況においてはこれまでにない厳しい面も出てきております。このため、一層の経営努力によって基幹的電気通信事業者としての国民利用者期待にこたえていただきたい。また、その御努力労使一体でやっていることも私はよく承知しているところでもございますし、その期待にどうぞひとつこたえていただきたいと考えているわけでございます。  今後とも電気通信事業社会経済において重要な役割を果たしていく公共性の高い事業であることを踏まえて、二十一世紀光ファイバーネットワーク時代を展望し、お互いの切磋琢磨の中で電気通信事業者経営向上サービス向上が実現するよう、政府としても格段の努力をいたしてまいりたい。  以上、今日のこの七年後の現状を私はまず総括的に申し上げましたが、大方、当時抱いた期待感の中で今日推移している。しかし、競争相手が出てきたわけですから、当然今までの公社時代と同じような考え方でいけば競争に負けてしまうということでもありますし、そこで今日見られる労使一体の極めて理想的な形が、このNTTという国家的あるいはまた世界的な規模企業というものを非常にエネルギッシュに支えながら順調な国民利用者に対するサービス向上にも努められて、技術革新にも努められて非常に努力をしておられる。成果が上がりつつある一方、そういった周辺の環境面における厳しい状況にも対応した合理化活性化、そういう方向に向かっても努力しているということについては私は評価をしつつ、今最後に申し上げたように、我々も大いにこれからひとつ御援助あるいはまた一緒にこの目標を完遂するために、成果をあらしめるために努力をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  7. 森英介

    ○森(英)委員 ただいま大臣の大変力強い御所見を承りまして、非常に意を強くした次第でございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。  また、きょうはNTT児島社長、またKDD市原社長両社経営陣皆様方にわざわざお出ましをいただきまして、ありがとうございます。  まずNTT児島社長にお尋ねを申し上げたいと思います。  高度情報化社会に向け、内外電気通信は大きく発展を遂げるものと考えております。その中でNTTの果たす役割としては次のようなことがあるのではないかと考えております。  まず第一に、ISDNを初めとする国内電気通信網の構築、また時代の要請に対応する新サービス開発。第二に、電気通信分野における国際化への対応、そして国際社会への日本への期待に応じた技術協力等の施策。また第三に、技術立国日本において重要な役割を果たすハイテク分野先端技術開発等研究開発等であります。このようにNTTには今後も電気通信産業全体の発展に主導的な役割を果たす企業として大きな期待が寄せられているわけでございますけれども、NTTを率いる社長としての今後の抱負並びに御決意を伺いたいと思います。
  8. 児島仁

    児島参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘の点、私ども大変重要なことだと思って、そういった目的に合致するようにただいま運動を展開しておりますけれども、第一点の国内ネットワークの整備でありますが、これは御指摘のようにISDN中心として非常にインテリジェンスを持った交換機回線ネットワークというもので、大きく日本経済効率化発展のために利用していただきたいと思っております。これはもう既に例えばISDN回線を四千数百店に展開して非常に経済効率化を図っているような実例もございますし、さらに力を入れてこの高度化に邁進したいと思います。この高度化をして、それを実用に供しておるということは、実は日本国内において毎日世界に見本市を提供しているようなものでありますから、これはぜひ力を抜かずに今後とも研究開発と同様にやっていきたいと思っております。  さらに、今ネットワークに非常にインテリジェンスを持たせて運営するためには、第三点目で御指摘のありましたように、研究開発は何としても避けて通ることはできません。現在、毎年のように経費と人員を増強しつついろいろな開発をやっておりますが、おかげさまで世界に冠たる特許を毎年幾つも取っておるような状態であります。一つの大きなねらいとしましては、五年後ぐらいを目指して、もうちょっとかかると思いますが、世界に冠たる新しい交換機をつくり上げて、世界に負けないものをつくり上げれば、世界の商戦の中でも、NTTにはお金は入りませんが、日本産業界には入ってくるというふうなこと等も目標にしながらやっていきたいと思っております。  それから、これと関連するわけでございますが、国際問題でありますが、今有力各国国内で、はっきり申し上げますと、お金をためて国際戦略に乗り出してくるという格好でございまして、特に目覚ましいのは、イギリスのBT、それからアメリカはAT&Tを中心として分割されましたオペレーティングカンパニーも大変な力を持ちまして出てきております。東南アジアも既に彼らのターゲットに入っておりまして、各国に物すごい勢いで刺さり込んでおりまして、一例を申し上げますと、インドネシアのわずかの拡充計画についても二十四カ国ぐらいエントリーしているというような格好でございます。私どもこういった状態を見ますと、交換機とかマイクロチップとか、単品売りも大変重要なのでありますが、やはりネットワークそのものを構築して、その国に提供して、恒常的にその国とのコンタクトをつないでいく中で利益も得ていくとというふうな道をたどらなければならないと私は考えるのでありますが、NTTも微力ながら、政府の御指導をいただきながらそういった道を求めるべきではないかということで現在勉強中でありますし、かつ一部の国とは接触中でございます。  以上、お答え申し上げました。
  9. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。  次に、KDD市原社長にお尋ねいたします。  国際通信事業における競争状況、そして事業 運営現状、さらに、そのような状況下での事業運営方針と今後の展望についてお伺いいたしたいと思います。
  10. 市原博

    市原参考人 KDD市原でございます。お答えいたします。  国際通信市場につきましては、昨今の内外経済動向影響を受けまして、昨年来、市場全体の動向成長率は少し鈍化の傾向でございます。しかし、世界経済国際化によりまして国際通信需要そのものは基本的に拡大傾向にございまして、さらにこれが多様化高度化していくものと見ております。国際通信競争導入されまして、国際通信の中でも国際電話サービスにつきましては、競合他社に対して、導入当初、急激なシェア移行がございましたけれども、料金格差の是正、そして多彩なサービス展開を図ってまいりました。しかも、社内では経済合理化を推進した結果、最近ではシェア移行傾向はやや安定化方向に来ております。  KDDといたしましては、今後ともお客様に非常に便利で使いやすい料金の設定については引き続き努力をいたしてまいりますが、それ以上に、最も使いやすい国際通信サービス多様化に力を入れまして、これからも健全な事業運営をしてまいりたいと思っております。おかげをもちまして、こういった社内経営努力の結果、今期もほぼ予定どおりの収益を上げることができたわけでございます。今後は営業部門強化、そしてKDDが現在まで長年培いました技術力をもちまして、より使いやすい多彩なサービス展開を図って、世界のあらゆる国に対して通信ができるよう今後とも頑張ってまいりたいと思っております。  国際通信の場合は、相手側設備を使います関係上、相手国通信業者との協調が大変大事でございまして、今後とも友好関係を保ちながら国際通信の円滑な運営努力してまいりまして、KDDに与えられました社会的使命を十分果たしていきたいと考えている次第でございます。どうもありがとうございました。
  11. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。両社とも競合がいよいよ厳しくなっていく中で大変御苦労も多いかと存じますけれども、日本基幹産業としてますます頑張っていただきますように御期待申し上げます。  次に、NTT法等の一部を改正する法律案につきまして幾つかの御質問をしたいと思います。  今回の法改正は、一つは、NTT及びKDD両社についての外資規制緩和しようとするものであり、また一つは、NTTが行うエクイティーファイナンス円滑化を図ることを内容とするものでございます。  まず、外国人に対してNTTKDD株式を開放することにした基本的な考え方についてお伺いいたします。
  12. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、昭和六十年の改革以降ちょうど七年がたちまして、この間、内外の変化の状況は大変著しいわけでございます。  一つ国際化ということで、これは我が国全体の国際化が進展いたしまして、NTT及びKDD自体も今までの資金調達あるいは資材の調達、この調達先、あるいはこうしたものを大幅に海外に求めている、あるいは現地の子会社をたくさんつくって海外における活動強化に努めているということで、国際化への対応が非常に著しくなってまいったという点が一つございます。  同時にまた、海外における事情でございますが、ちょうど六十年当時、電気通信競争原理を入れておりましたのはアメリカイギリスぐらいでございましたが、その後、ECの統合を控えてヨーロッパの多くも国営から次第に競争原理を入れる形になりました。あるいはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった国々も日本と同じような構造の改革を進めておるわけでございまして、同時にまた、既に資本を開放しておりますイギリスとかアメリカといった主要な電気通信事業者日本株式市場に上場するといった傾向も六十年代に入ってからのことでございます。  こういうような状況に照らしまして、今後こうした国際化対応するためには、これまで現行法の定めておりますような、NTTKDDとも、両社株式について外国の所有について一切認めないという現行制度については見直しを行い、そして外資に対して門戸を開く、同時に、これに伴って資金調達多様化を図る、こういったことを可能にして、我が国先進国の一員として国際化にふさわしい体制をとることが必要であろうと考えて今回の御提案をさせていただいておる次第でございます。
  13. 森英介

    ○森(英)委員 今回のNTTKDDに対する外資規制緩和は五分の一未満までとしております。この点については内外法規制等参考にして決めたものと考えますが、具体的にはどういう考え方、論拠に基づいて決定されたかをお伺いいたします。
  14. 森本哲夫

    森本政府委員 今回の法改正では、外資規制について緩和はいたすが五分の一未満にする、こういうことにいたした理由でございますが、NTTKDD新規参入があるとはいえ、これまでの実績を踏まえまして依然として基幹的通信事業者として、NTT日本国内全域に、あるいはKDDは全世界対地ネットワークを維持しておるわけでありまして、依然としてこの競争時代にあっても基幹的通信事業者としての役割は大変大事でございます。  その場合に、NTTKDD経営について、外国影響力について過度に影響を受けるということについては、何らかの措置を講じて経営自主性を図らなければならぬと考えておるわけでありまして、具体的な水準につきましては、先生案内のとおり、我が国放送事業については通信と並んで非常に重要な分野でございますが、これについては五分の一未満にしておる、あるいは有線テレビジョン放送についても同じでございます。それから、通信世界で最も自由化の進んだアメリカでも連邦通信法によりまして、電気通信事業者向け無線局の免許に関しましては外資の比率を五分の一に制限している、こういう実態もございましたので、内外の情勢を総合勘案いたしまして今回のような御提案にさせていただいた、これが理由でございます。
  15. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。  また、今回の改正では外国人NTT及びKDD役員になれないという規定を設けております。このような規定を設ける理由についてお聞かせいただきたいと思います。
  16. 森本哲夫

    森本政府委員 会社役員と申しますのは、会社経営上の重要な事項に関しまして関与をするわけでございますので、さっき申しました外国からの影響力に対して我が国KDDNTTともども基幹的通信事業者として経営自主性を確保するというためには、役員就任についても外国人について制限を加えるということが適当であろうと判断した次第でございます。  この点、諸外国の事例もいろいろ調べてまいりました。アメリカにおいてもイギリスにおいても、やはり電気通信事業者外国人役員就任については一定の制限が課されておりますし、また先ほど申しました放送関係事業者日本のでございますが、これについても同様の制約が現在ございますので、こうした事態を総合判断いたしまして御提案をさせていただいたという次第でございます。
  17. 森英介

    ○森(英)委員 どうもありがとうございました。  また、今回の改正国際化時代対応しまして両社株式外国人にも開放するというもので、大変意義があるということは十分理解できるわけでございますけれども、この内容に対して海外反応はいかがでございましょうか。
  18. 森本哲夫

    森本政府委員 実は、この法律案を策定いたします際に、非常に今後の日本通信のあり方にかかわる重要なことでございますので、御案内のとおり、かねてから電気通信に関する重要事項審議いただく郵政省諮問機関でございます電気通信審議会というところに諮問をお願いしておったわけであります。これは去年の九月に答申をいた だいたわけでございますが、その後、この内容について我々も検討する一方、私どもとしてはこの答申を踏まえていろいろ法改正を検討したいということを、既に外資導入を認めておりますアメリカイギリス電気通信主管庁がございますが、ここらのところと常時いろいろ定期協議もいたしておりまして、こういう場を活用いたしまして説明もいたしておるわけでございまして、幸いと申しますか、今回の法改正考え方については特段の意見というか異論というものは出ておりませんで、全体としては肯定的な反応があったもの、こういうふうに受けとめているところでございます。
  19. 森英介

    ○森(英)委員 次に、後段のエクイティーファイナンス円滑化について御質問いたします。  現在、株式市場状況は大変厳しいものがあるわけでございますけれども、こうした点を踏まえましてエクイティーファイナンス円滑化のための措置の持つ意義についてお伺いしたいと思います。
  20. 森本哲夫

    森本政府委員 現在、株式市場NTTエクイティーを容易に行えるかという点については、これはとてもなかなか簡単にできる状態じゃない、厳しい状況であるということはひとしく認められるところでございます。ただ私ども、今回の法改正は、今後市場状況次第によってNTTがこうしたエクイティーファイナンスを実施しようとしたときに、法律上いろいろ制約があったりして機動的に行えないようなことのうらみというものがもしあるとすれば、これはこの際十分検討しておく必要があるということで、エクイティー円滑化が図られるように、円滑に実施できるように措置をしたものでございまして、エクイティーのありようについては、今後の市場状況、同時にまた、今回外資規制緩和ということもあわせて行っておりますので、そうした面でこの改正措置が適切に生かされるように期待をいたしておるということでございます。
  21. 森英介

    ○森(英)委員 では、エクイティーファイナンスは、毎年多額の設備投資を必要とするNTT資金調達多様化を図り、また経営効率化に資するものであると考えますが、さきの緊急経済対策に対応したNTT設備投資の前倒しの内容はどういうものか、これについてお伺いしたいと思います。
  22. 児島仁

    児島参考人 先ほど先生から三点の御指摘を受けましたことに対して答弁をさせていただきましたが、三つの措置をやるためには大変なお金がかかるわけであります。御存じのとおり、今年度、来年度大変財務は痛むのでありますが、それにもかかわらず今年度一兆九千六百億円という史上最大の投資を計画いたしました。これは、資金的にも大変でありますが、工事の消化という点でも大変であります。実は、私どもはメーカーあるいは工事業者等と生産調整あるいは工程調整をやるのでありますが、私どもの計画としては当初からかなり前重にしておりました。それで、一気に前倒しということはかなり技術的に難しゅうございましたが、ほぼ数百億円ないしはできれば七、八百億円までいきたい、それぐらいのものは前半の方に倒していきたいということで進捗を図り、かつ、先ほどの目的に照らして効果的であるようなものにしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  23. 森英介

    ○森(英)委員 以上で私の質問を終わらせていただきますけれども、本日の御答弁、郵政省、そしてNTTKDDのお話を伺いまして、今回の法改正がまことに時宜を得たもので、また極めて妥当な法改正であるというふうに理解いたします。これからNTTKDD日本基幹産業として健全に育っていくために、このような法改正に至るまでいろいろと努力をされました関係者の皆様方に敬意を表して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  24. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、大木正吾君。
  25. 大木正吾

    ○大木委員 大体、通信事業に対しましては在来から非常に国民の生活なり国家の安全という問題もございまして、国内的な規制、特に国際的な規制は厳しかった状態なんです。事業法十一条にそういったことが書いてございますが、そういった面から、今森委員質問にもございましたとおり、今回こういった開放をすることについては私も原則的には賛成でございます。  ただ、一つこの間に伺っておきたいことは、NCCグループはたしか会社発足当時から三分の一以内で規制の緩和といいますか、外資を入れておった経過がございます。しかし、NTTKDDの場合には、KDDはもっと古いんですが、七年前に私も参議院の逓信委員長をしておりまして、そのときに通信主権問題あるいは公共性問題、具体的には国の安全と国民生活、そしてインフラストラクチャーと基盤的な問題、そういう点を含めて、相当七年前には警戒的であったわけですが、それから今日までの事情につきまして、先ほどのことと多分同じかもしれませんが、当初は非常に厳しかった、今日は緩和しよう、五分の一緩和しよう、こういった話になったんですが、それに至ります経過、世界の流れは極めて速いですから、もう一遍森本さんの方から教えていただけますか。
  26. 森本哲夫

    森本政府委員 先生今御指摘のように、伝統的に通信というのは国営、しかも独占で行うというのが世界の潮流でございました。この理由は、やはり今御指摘のように、社会全体を支える基盤であるということ、あるいは国の神経系統として国の安全にも深くかかわる、さまざまな理由でこうした経過で行われてきたんだろうと思うのであります。  我が国も明治以降百年余国営、独占でやってまいったわけでございますが、世界各国が次第に競争原理を入れたということで、昭和六十年の改革に当たっては、新規事業者に対しましては一定の外資開放を認めよう。これは日本先進国としてできるだけ開かれた社会であるという必要がある、しかし同時に伝統的な考え方、つまり国の安全にもかかわる非常に重要な問題であるので、外国影響力からできるだけ独立する必要があるというようなことでございまして、そうした観点から外資については、新規事業者については三分の一未満とする、こういうことでスタートをさせていただいた次第でありまして、NTTKDDについては御指摘のような形で今日参りましたものの、民営化後既にもう七年経過いたしました。先ほど申しましたように、内外NTTKDD自体の活動の仕方、あるいは電気通信産業全体の世界じゅうの動向というのに照らしまして、日本も従前の形のままの体制をいつまでも維持するのはかたくな過ぎではないか、通信分野でも世界に広く開かれたそれ相応の体制を組む必要があるということで今回御提案をさせていただいた、こういう次第でございます。
  27. 大木正吾

    ○大木委員 森本さん、NCCの中の三社、これにはどれくらい外国株式その他資本が入っていますか。現状はわかりますか。
  28. 森本哲夫

    森本政府委員 NCCと申しましても、御案内のとおり、さっき大臣が申しましたように約七十社ございます。この中で、例えば代表的な例を申しますと、衛星を行う事業者が三社ございますが、そのうちの一社、日本通信衛星という会社には、さっき申しました三分の一未満ということに即応しまして、アメリカのヒューズ・コミュニケーションズという会社がちょうど三〇%の資本参入をしまして、二位の株主になっておるわけでございます。あるいはまたKDD海外通信事業に対する新規参入に二社入りましたが、このうちの一社でありますIDC、国際デジタル通信については、ケーブル・アンド・ワイヤレスが一六・一八%、それからアメリカの地域会社でございますパシフィック・テレシスという会社が九・五二%、それからアメリカの証券会社でありますメリルリンチという会社が二・四%等々、外資が約二九%近く入っておるような状況でございます。その他たくさんの海外からの資本参入が、この外資規制の範囲内でたくさん参入をしておる、こういう状態にございます。
  29. 大木正吾

    ○大木委員 大体、現状からしまして、今度株式 を開放した場合に、NTTKDD、特にNTTの場合、急激に外国の株主が入ってくるかどうかということはちょっと余り期待といいますか、そんなに大きな変化がないか、あるいはじわじわ入ってくるかという問題になろうと思いますが、そういった時代といいますか、国際化時代でございますから、ぜひこういう法案については、私に言わしめれば二年ぐらい前にやってもよかったという感じがしているのですが、いずれにしても賛成の立場をとっているわけでございます。  問題は、そういった中で最近、ちょっとこれは直接関係がないかもしれませんが、ウルグアイ・ラウンドで新しい問題が提起されておりまして、アメリカが十二カ国に対して国内あるいは国外の電話を全部、結局完全自由化という途方もない要求をぶつけてきているわけです。米の問題等もあれしていますから大統領選挙後にならないとはっきりしませんでしょうが、少しはったりといいましょうか、そういった感じもせぬでもないのですが、とにかく世の中の動きか世界的に速いですから、こういったものは最終的には日本アメリカの交渉等に二、三年後に引き続いても困るという心配等も持ちながら、やはり注意しておく必要があるというふうに感じているのですが、通信局長、その感じはどうですか。
  30. 森本哲夫

    森本政府委員 お話ございましたウルグアイ・ラウンドでは日本にとって米の問題が大変重要な形にはなっておりますが、同時に、並行いたしましてこのウルグアイ・ラウンドではサービス貿易の多国間の協定をつくろうという作業が今一生懸命行われておるわけでございますが、このサービスの中の大きな分野が御指摘電気通信の問題でございます。  この問題に関しまして、アメリカは従前から、アメリカ市場世界に開けておる、にもかかわらず他国はまだ閉鎖的だということで、他国に対して市場をぜひ開放してほしいという主張をかねがねやっていたところでございますが、最近に至りましてアメリカは、ウルグアイ・ラウンド交渉しております中のECとかオーストラリアとかカナダとか、我が国を含めて十二カ国に対しまして、国内の長距離事業あるいは国際通信事業に対しては制限なく参入することを認めろ、こういう要求が出てまいりました。これが満足できない場合には、電気通信、今申しましたような国内の長距離だとか国際通信について最恵国待遇の例外にしたい、その問題に関してこのウルグアイ・ラウンドの終わった後、数年間自由化交渉をやりたい、こういうことを言っております。  最恵国待遇の例外というようなことは、本来こういう多国間の協定の中では最小限にとどめなければならない、いわばバイの話を持ち込むことになるわけでございますので、こういう事態ではガットの基本理念に真っ向からぶつかる問題でございまして、先ほどから話が出ておりますように、我が国自体としては、御案内のとおり、世界の中でも開放が一番進んだ国だという事態になっておりますので、特に我が国状態に関しまして米国の主張との関係で問題になることはない、我が国自体が非常に異常だというような形で問題になるということにはならぬと考えておりますが、先ほど申しましたように、やはり世界貿易を律することになりますこのサービス貿易のあり方については、やはり今後の交渉を通じて、こうした提案にならないように、全世界がコンセンサスが一致できるように、日本としても大いに努力をしてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  31. 大木正吾

    ○大木委員 大臣には通告してなかったんですが、ちょっと伺いますが、とにかく自動車がべらぼうに出ていきましたね。ことしも一千億余りの輸出量ですね。黒字が九百億。こういう中で、品物の区別はもう完全にないですね。要するに、インバランスの総額によって押しつけてきますから。社長がおられて失礼ですけれども、現にNTT本社ビル、これの一番の契約の親元はアメリカです。日本国内幾つかの大プロジェクトをアメリカがしゃにむに持っていっているわけですよ。同時に、部品の関係なんかも自動車業界でありましたね。  そういう点で、私も通信局長がおっしゃることはわからぬことはありません。ありませんが、総体の金額で、品物は何でもいいんだという形でもってインバランスをなくそうと言ってきたときの姿を、先ほど児島社長がおっしゃったんですが、立派な研究施設をつくってやるという話もありましたけれども、そういったこと等も関連させながら、相当縦横無尽にやってくるアメリカさんということを頭に置きながら、大臣はもう相当経験者でございますから、これに対する何らかの将来の防止策といいますか、やはり通信というものの持つ国民生活、インフラストラクチャー、基盤、産業基盤とか活性化の問題とか、あるいは国内的な危機の問題とかたくさんございます。そういう点で、譲れない一線というものはやはり譲れないということがあるわけですから、これは今のうちから十分に腹構え、同時にウルグアイ・ラウンドの成り行きを見ながら、最終的には末日の二国間協議に追い込まれる、こういうふうに私は判断しますので、大臣のお気持ちを聞いておきたい、こう考えております。
  32. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、実は日米関係の貿易摩擦あるいはまたインバランスの問題は、郵政大臣就任しましてから、もちろん就任する前から認識は若干いたしておりましたが、より一層その感を深くしたのであります。郵政省あるいはKDDNTTは大変に率先した、国策に沿ったといいましょうか、努力をしていただいておりまして、もう日米関係のある意味では見本的ないい形になっているわけですね。アメリカの方から見ますと、今大木委員おっしゃられるとおりでして、しかしそれでもなおかつ総体的に見ると、という論理で攻めてくる。  しかし、私は今回ブッシュ大統領が見えたときも、それに随行される人たちも郵政省にお見えになりました。つい先ごろは、ヒルズ代表が実は初めて日本郵政省に見えたわけです。私もちょっと意外な感がしました。おいでになることは大変な歓迎で、しかも今御質問にありました、まさにこのウルグアイ・ラウンドというものを考えたときに、これはヒルズ代表が来ることは絶好の好機だと思いまして、私はヒルズさんに、今局長が答弁いたしました例外問題ということについて、ヨーロッパを含めて日米、米欧そして日欧、この三極の関係を円滑にしていかないとウルグアイの解決あるいはまた打開策あるいはまた索引力はないのではないか、特にそれは電気通信、このサービス分野がその役割を果たすべきだということで、実は私はヒルズさんに三極テーブル会議をやろうということを、非常にびっくりしておられましたが、突然しょっぱなに御提案申し上げたんです。その意図はまさに大木先生が今御質問された一面がある。大変恐縮ですが、すべてとは申しません。しかしその一面を踏まえて、私は先般ヒルズさんにそういう提案をし、今現在ECと郵政省でそのことを詰めて、アメリカからの回答を待っている、こういう次第であります。  しかし、おっしゃられるとおりで、これから日米関係のインバランス問題における進展の度合いというのは、想像していっても想像しにくいような不透明性がありますね。かといって、国際化時代ですから、国際化は言うまでもなく国と国との境をなくすることですから。しかし我々は厳然として日本列島の中に生活をし、そして世界最高の高齢化社会の中で世界最高の高度化社会をつくり上げよう、こういうわけですから、そこはやはりお互いプロセスの段階として、おっしゃられるように我が国の利益あるいはまた国民の利益を守る。もちろんそのことがある意味においては世界有数の、国の基幹産業であるNTTKDDに結果としてはプラスになるかもわかりません。しかしそのことのためということではなくて、目的はあくまでも国家間、国民間の中から、守るべきものはきちんと守っていかなければいかぬ。それはお互い国家を形成している上において、これは国の指導者同士としてわかり得ることだ、理解してもらわなければならぬことだ、私はそう思って、 これからも一層の理解を深めるために努力をいたしてまいりたいと思っている次第でございます。ひとつよろしく御指導をお願い申し上げたいと思います。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  33. 大木正吾

    ○大木委員 大臣の発言でぜひ今後とも三者間の話等も進めてもらいたいと思います。  それに絡んで、今度の株で、株式の発行株数に関しまして大変な配慮をいただいたことについて大蔵省なり森本さんにもお礼を申し上げておきます。そのことはさておきまして、エクイティーファイナンス資金調達問題について少し伺ってみたいと思います。  これはさっき森本さんから御回答がありましたとおり、現在の資金事情というのは若干景気が底打ちをしたという閣議の決定等もございまして、底打ちをしたけれども、しかしまだら模様もあり、同時にどれぐらい上がっていくかということはまだ見当がついてないわけですね。そういった中で、国内的にも国際的にも資金がある程度エクイティーに対して、NTTの株なりあるいは債券等を引き受ける市場ができるかどうか、これは非常に難しい問題で、法的に準備しておきませんと間に合いません。その点ではまさしく大変な御苦労を願ったと思っていますが、この問題について、大蔵省の側から今後の見通し等について若干のコメントをちょうだいできたら助かりますので、大蔵省からの御答弁をお願いできましたらと思います。
  34. 金子義昭

    ○金子(義)政府委員 最近の資本市場状況を見ますと、御指摘がありましたように確かに株式市場は非常に低迷しておりまして、いわゆるエクイティーファイナンスと言われますような、例えば企業の時価発行増資というのは非常に困難な状況にございます。他方、いわゆる社債市場というのが別途ございまして、確かにエクイティーファイナンスの方は相当低迷しておるわけでございますけれども、その株価の動向に左右されないもう一つの安定的な資金調達手段であります普通社債の市場を見ますと、そのウエートが非常に高まってきております。例えば平成三年度におきます内外市場を通ずる普通社債の発行額は七兆九千億程度に上っておりまして、過去最高の水準になっております。この結果、エクイティーファイナンスと普通社債を両方通します資本市場における企業資金調達額の合計額を見てみますと、平成三年度には十四兆二千億円、これは平成二年度、前年度に比べまして三七・七%の増加になっておるわけでございます。それ以外にも、このような長期資金の調達に加えまして、企業による短期の資金調達手段でありますコマーシャルペーパー、CPと言っていますけれども、そういう発行も増加しておりまして、企業による多様な資金調達が活発に行われているところでございます。  大蔵省としましては、企業資金調達の手段というものが重要でありますので、普通社債とかCPの重要性にかんがみまして、いろいろ諸規制、諸慣行の見直し、撤廃に積極的に取り組んでおるわけでございます。今御指摘のように、NTTも社債を発行したり、あるいはことしの三月にはコマーシャルペーパーをも発行したようでございまして、今後ともそういう市場を通ずる調達というのは続くのじゃないかと思います。ただ、確かに株式市場が低迷しているのは問題でございまして、早くそれが活性化され、企業資金調達に寄与することを期待しているわけでありまして、私たちとしてはそういう企業の資本市場を通ずる円滑な資金調達が可能になりますよう、今後とも努力していきたいというふうに思っております。
  35. 大木正吾

    ○大木委員 これはいろいろぐるぐる回るのですけれども、NTTといたしますと、先ほど児島社長もおっしゃったとおり、やはりアメリカに比べてディジタル化なり光ファイバー関係の全国ネットワーク、こういった面について若干のおくれがありますよね。そういったことを郵政省の方から御指導いただきまして一生懸命努力しているわけでしょう。一兆九千億円前後というのは、これは恐らくここ二、三年間変わらぬだろうと思いますね、そのことが結果的には日本国民に対するサービス、情報通信サービスが非常にいろいろな各種の商品を含めまして多彩なサービスができる状態になっていきますし、国際競争に勝てるわけですね。  そうしますと、今の大蔵省の答弁、わからぬことはありませんが、やはりバブルの影響を受けた後塵がありますので、ただ社債ですと金利関係、問題はここですよね。そして株式が、仮にもし皆さん方が百六十五万の個人株主に対しまして本当に、国民共有の資産という意見ももちろんございますけれども、生で損をしたのはやはり百六十五万人の個人株主プラスアルファの法人関係ですから、その方々が平均して百八十八万の株を買わされまして、そして現在六十四万ぐらいにあるという場合に大体三分の一ですね。他の株との関係を見ていきましても、他の株の場合には、最近若干ダウ平均は戻してきていますから大体五〇%前後。NTTの株の場合は三分の二が消えちゃっているわけですね。  そうすると、この本筋はディジタル化を急ぐといういわば国際的な使命というか、国民的な使命というNTTの立場、同時に、資金に金利がたくさんぶら下がってくるもので無理をしている、こういった状態ではやはり大変だと思うのです。そうすると、株の問題についても早くエクイティーができる状況にしてあげなければいけない、こういう問題が返ってきますね。そういった問題について再度大蔵省から御意見を聞きたいし、社長、申しわけないのですが、ディジタル化等に関します今後の資金のいわば活用状況といいましょうか、あるいは資金をつくる構想等がございましたらお聞かせいただけますか。
  36. 金子義昭

    ○金子(義)政府委員 ちょっと一般論で恐縮でございますけれども、確かに株式市場の低迷というのはいろいろな意味で問題だと思います。  ただ、株式市場の低迷の要因というものを考えてみますと、これはいろいろなことが挙げられるのではないかと思います。例えば、昨年の損失補てん等の不祥事の結果、証券市場に対する信頼、特に個人投資家の信頼が失われているということとか、あるいは昭和六十二年から平成元年度までの間に大量のエクイティーファイナンスが行われまして、その結果、株式の大量の供給ということが市場の圧迫要因になっていることとか、あるいは株式の投資魅力が十分でないのではないかとか、それに景気的な面での企業業績の悪化や何かがあるとか、いろいろな要因が挙げられるかと思います。  私どもといたしましては、このような状況対応いたしまして、証券業界あるいは発行企業等の市場関係者とともに、例えば証券会社の適正な営業体制、あるいは投資勧誘の確立によって信頼を回復しますとか、あるいは株式投資魅力を何とか向上できないかということで配当政策の見直し、これは利益配分ルールというのが証券業協会によってつくられていますけれども、そういう見直しを行うとか、あるいは今国会に、金融・証券市場における取引の公正性、透明性を確保すること、そういうことによりまして投資家の信頼を回復するとともに、金融・証券市場における競争を促進し、市場活性化を図る等の見地から法案を御提出しております。三月末から四月にかけましては、株式市場活性化策を盛り込んだ緊急経済対策等の策定も行われておりまして、いろいろできる限りの努力はしてきておるわけでございます。  私どもといたしましては、こうした一連の措置が相まって、現在低迷している株式市場が早く活性化されることを期待しているわけでありまして、株式市場における資金調達というのが十分行われないという異常な事態が早く解決されますように、引き続き今後とも努力を続けたいというふうに思っております。
  37. 児島仁

    児島参考人 お答え申し上げます。  まず資金調達の問題でございますが、私どもも一兆九千六百億円の投資をするときにまず第一に考えますのは、内部資金からのひねり出してございます。もちろんこれで足りませんので外部から 手当てをするわけでありますが、国内債、国外債をやっておりますが、つい先日もヨーロッパで九千三百億ぐらい発行させていただきましたが、外国では大変評判がよろしゅうございまして、プライムレート以下で即日完売という格好であります。  したがって、資金調達では、今まで社債という形での資金調達ではおかげさまで順調にやってまいりましたが、ただ先生指摘のとおり、やはり金利であります。プライムレートで安いとはいいながら、プライムレート自体が動くわけでありますから、できるだけ金利の安いものを調達したい。その場合にエクイティーファイナンスというのは非常に有効でございますが、これは先ほど来御説明がありますように、現在の市況では到底不可能かと思います。しかし、あの手のものはタイミングが絶妙であるということが大事なんでありまして、エクイティーファイナンスをいかなる場合にでも打ち得るという体制をつくっていただくのが、私どもとしては大変ありがたいと思っております。  これは資金調達の話でありますが、その資金はどこへ流れていくかということですが、一兆九千六百億のうち御指摘のディジタル化にはほぼ数千億、もうちょっと大きいと思いますが、かかっております。これは郵政省の御指導もありますが、私ども自身としても、このディジタル化を早く完成しないことには新サービスというものがなかなか打ち出していけないということで、平成九年までに予定どおり一〇〇%まで持っていきたい。一部ローカルが残るかもしれませんが、やっていきたい。そのためには最低五千億、理想的であれば七千億を打っていくということです。  交換機は実はそう大したお金じゃないのでありまして、交換機をつくっても、交換機がディジタル交換機として働いてもらうためには線路をそれらしくしなくちゃいかぬ。線路の方に大変お金がかかるわけでありまして、しかもこれは面として出ていくものですから、工事量も非常に複雑で面倒だということです。しかし、いずれにしましても、これは私どもの使命として重大なものとして考えておりますので、何としてでもこれは六年間でやり抜いていきたいと思っています。  そういった場合に、また戻りますけれども、何としても安い資金で経営を圧迫しない。これを打ち抜いていきますのに残念ながら、今まで元本の返済もやってまいりましたが、今年度以降はまた借り増しになると思いますが、借り増しにもかかわらずこれはやり抜きたいと思っています。ですから、借り増しになるような状態であればあるほど、金利負担の軽減というのは重大な問題でありまして、将来エクイティーファイナンスが早くできるということに大変期待を持っているものでございます。どうもありがとうございます。
  38. 大木正吾

    ○大木委員 これは私を含めての反省事項かもしれませんけれども、六十一年に初めて株式を発行しましたときに少しく当時の理財の局長さんと次長と話をしたことがございます。そのときに、二十万株の競争入札をやったのですね、他に例がなかったものですから。そうしたら、百十九万七千円という値段がついたのですが、これは当時取り上げましたから余り言うことないのですが、ちょうど中曽根さんの民活の時代でございまして、割合に地価もじわじわと上がり始めたときだったのですよ。ですから、むしろ私にしてみれば、せめて九十万前後に、何とか少し低目に見てやったらどうですかと助言したことがございましたけれども、公式に百十九万七千円といういわば競争入札した価格でやりました。そのときまだそうでもないのです。その後どんどん荒れてくるのですが、どうでしょう、大蔵省が五百六十万株を保有する、そして現在残存五百万株あるという状態ですね。  そして、こういう状態が続いて、これは後ほどまた社長にも伺いますが、例えばデータとか移動体が今度新しい会社になります。割合にそういう部分の方がある意味では将来新商品が開拓できまして、魅力がある部分なんです、仕事の中で。それがNTTの本体から離れていく。一〇〇%資本が入っていきましても、離れた場合に、社長は決意がおありでしょうけれども、私たち外部から客観的な立場で見ていますと、いいところが別の会社になってしまって、中に赤字の一〇四とか市内とかそういったのが残ってしまって、この株は、もう六十万に返ってきましたけれども、また四十万ぐらい、五十万前後に下がってしまって、紙くずかということにもなりかねませんので、そういった面で、イギリスのBT株ですね、これは政府が押さえていないのですね。監督官庁じゃないのですね。あそこの場合には、現在一千二百万の国民の個人所有によって成り立っていますから、国民の監視のもとに完全民営でやれる仕組みになっているんですね。これからNTT会社の組織機構あるいは株問題等を考える場合、その辺をもう一遍勉強のし直しをする必要があると私は思うのですね。  ですから、ああいうふうな百五十万株とか、割ってずっと売却してきましたことが、しかも大きな一千万株以上のものを置いておいて、そしてやってきたことはよかったかどうかという問題とか、きょうここでは余り深い議論いたしませんけれども、組織機構なり現在の行政監督あるいは政府の保有株とかそういったものが果たしていいのかどうなのか。これは本当に電気通信審議会の方々に相当多角的に検討してほしい問題だと思って、BT株と比較しますと、イギリスの場合には、当初、八四年の民営化当時、個人株主が二百万人ですね。五年、六年たちました八九年の調べ、三年前ですが、一千二百万人の個人株主がおりまして、しかもこれは優遇措置がたくさんございまして、おもしろいのですが、小規模の申込者ほど先に株を割り当てる、こういうことも書いてありまして、電話料金の勘定書の値引きとかいろいろな株主優遇一策が盛り込まれているわけですね。しかも、ずっと見ていきますと、約七、八年間になりますけれども、売った株の売却価格と、要するに結局時価の方が下がった例は全くないというのです。本当に信頼されて、完全民営でやっている、こういうふうになりますから、これは少しく参考になる話なので、ぜひ今後ともに勉強をお互いにさせていただきたい、こう考えている問題点なんです。  そこで、大蔵省に、少しこれは嫌みになって申しわけないのですが、ちょっと申し上げさせていただきます。  きょうは松野さんいないので、ちょっと担当はかわいそうなのですけれども、実は私の手元に、これは株式新聞の八七年十月二十二日付ですね。このど真ん中に「すべての道は…NTT」という見出しで、四大証券と当時の市場課長が霞が関ビルの密室で、要するにちょうどバブルが少しく調子が狂ってきまして下がりかかったときなんです。ブラックマンデーなんかがありまして、国際的に乱高下が激しかったときですよ。普通ならもうちょっと下がるべき株が下がってない状態が出てきておりまして、当時の国家予算の中に四兆何千億ですか、ここにも資料がございますが、ちゃんと一般会計に当時の予算で四兆九千七百二十五億組み込まれておりまして、こういう状態ですから株主が税金と同じみたいな感じになっちゃうんですよ、これでいきますと。ですから、そういったことを考えていった場合に、大蔵省、私、大蔵委員会に当時おりまして、松野さんをやっつけていた中の一人ですからね。それで株が今こんなにがさっと下がっちゃっているから、おまえ、やり過ぎたんじゃないかと言われれば、これは困っちゃいますから余り言えませんけれども、要するにNTTの株がこういったような状態で来たということと同時に、これは五月九日の日経新聞に、信州大学の小野さんという教授が書いている中で、別にNTT株だけが云々じゃないということになりますが、要するに市場の目安の一つとして、NTT株に関して売り出し額に見合った配当が維持される、あるいは規制緩和が必要、こういうふうにして、株はいろいろございますけれども、何百種ございますが、証券市場内でNTT株を見る目ですね。  私はきょうの質問のために証券業協会と二回話 をしまして、四大大手の株式部長さんとあそこの協会の専務理事と話をしましたけれども、ここでもって余り言いにくいことは言いませんけれども、そういった点等を考えていきますと、きょう出ておるこの「エコノミスト」にも児島社長の話も出ていますね。大分勇気りんりんと社長、話をされていますので、このことを全部繰り返しはいたしませんが、とにかくNTTの株問題が自民党の政調会長の森さんのところに宮澤さんから挙がっている課題とか、それから証券業協会の渡辺会長が話したときの問題とか、大臣は立場がございますから余りNTT株の扱いの結論の部分につきまして賛成とすぐに言えないことはわかりますよ。しかし、そういった状態ですから、やはり少しく〇・七五%も金利を下げましても、大体金利が下がった、戦後の株の動向は余り詳しくは調べてございませんけれども、金利が下がったら株は少し上がるというのが大体今までの流れですよね。そういう中でもって今度は逆にがくんと下がったでしょう。ああいったものはいろいろな周辺の経済事情もございますけれども、まずそういったことを考えたときに、やはりNTT株というものを、せっかくエクイティーファイナンスの条項を入れていただいたのですからなるべく早くそういったことはできるようにする。そのためには株価に魅力がなくては引き受け手がないわけですね。ですから、その辺のことにつきましてもう少し質疑を繰り返していきますが、大臣、感想があったらひとつ何か聞かせてくれますか。
  39. 吉本修二

    ○吉本政府委員 いろいろ御指摘がございました。弁解がましいことは申し上げるつもりはございませんが、売却の当事者の立場で若干コメントというか御説明をさせていただきたいと思います。  御指摘のとおり、昭和六十一年、一般競争入札という形で百十九万七千円という値段がついて売り出されたわけでございます。それで、我々、国民共有の、全体の財産という国有財産の売却というものは何よりも国民全体の方々にとって公正で透明性がある正しい売却方法でやるべきだという大哲学、大鉄則がございます。そういうことでやらざるを得ない。それで、結局最も正しいやり方というのは、当時まだ市場に上場されてございませんから、やはり一般競争入札しかないということで実施せざるを得ないし、またそれでやってきた。そういう形で公正に形成された価格であるということをまずぜひ御理解をいただきたいと思います。  その後、おっしゃるとおりの市場の活況の情勢、低金利時代、全体としての経済の上昇傾向という中で、市場全体がずっと上昇していった。NTT株もまさにその将来性を買われ、技術力を買われて大きく伸びていった、それがその後低迷に転じた、こういうことでございますけれども、株価の全体の動きというものを今つらつら反省してみますと、NTT株自体にとっての問題もいろいろあると思いますけれども、全体として大きな株価の動向というのを眺めますと、現在の時点で、例えばNTTと全く同じような傾向をたどっている株というのが、同じように八割以上のピークから下落を遂げているのが、信託銀行の株であるとか証券会社の株であるとか東電の株であるとか、同種のものもかなりございます。それからまた、ピーク時から現在までに大幅に下がっている値下がり率がNTTの株を超えるものが千二百のうちの百社近くもございます。こういうような全体の状況であるという点も事実でございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  なお、株式の売却に当たりまして若干のコメントがございましたけれども、私どもは証券市場というものに関しまして市場関係者に対し意見照会や情報収集ということを適宜行っていたことは事実でございますけれども、株価操作とかあるいはそういうような観点に受け取られかねないような要請を証券会社等に対し行ったことは一切ございません。あくまで売却時点の市場実勢を尊重して売却してまいった、こういうことをぜひ御理解いただきたいと思います。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 大木正吾

    ○大木委員 そういったことを言い返されますと、私は少なくとも三十銘柄くらい持ってきてグラフにして株価論争、市場論争をやりたいんだ、本当のことを言ったら。あなたが言っているみたいに、例えば銀行株が下がりました。そうしたら、BISの規制もありましょうし、同時に隠しておったといいますか、じわっと乗っけておった株を持っていた部分がリスクが起きたからああいうふうになったんでしょう。また銀行株も盛り返してきている。NTTの株の場合には、ちょっと一般の完全民営の銀行株や証券会社の株やあるいはメーカーの株とは違うんじゃないですか。そこのところをこっちは言っているわけで、あなたの言っているように、株の問題というのを別の席でやりましょうよ、本当に。私は大蔵委員会におったんですから、ちゃんと株の問題のときにやっておったんですから。  とにかくそういった一般論で、一般の株がずっと下がってきているからNTTもそうだと言えますか。ダウ平均が三万八千円、現在一万八千円台ですよ。大体弱く見ても四割強の力を持っています、平均株価でもって。NTT株は三分の一じゃないですか。しかも、NTT株の売却益を国家予算にちゃんと四兆九千億、これは一番高い時期で二百五十五万売ったときですか。そして、三百十八万前後のときに若干アメリカのブラックマンデーとの関係もありまして下がり始めた。そのときのことを僕らはみんな知っておるけれども言わなかったんだよ。要するに大蔵省の当時の市場課長、きょうは名前は出しませんよ、それと株式部長、大手四社が話し合って、NTT株は、買っているところになるべく半年か四カ月くらい持ち続けてほしいと言ってあなた方やったんじゃないですか。きょうこんなことを言いたくなかったけれども、あなたがわかったようなことを言って抗弁するから言いたくなるんですよ。そういった問題について、だからこそここに、きょうの「エコノミスト」にいたしましても、あるいは大臣はこれはもう賛成はできなかったとあえて申し上げましたけれども、宮澤さんだってこう言っているでしょう。これは日証協の会長の発言ですよ。同時にここにあります、非常に僕らも共鳴を受ける論文といたしましては、さっき申し上げた信州大教授の論文ですよ。どれを見たって、国民が読んだ場合にはなるほどこういう問題かということがわかってくるんですよ。  だから問題は、そういったことが今すぐできる、できないじゃないのですよ。要するにそういったことを参考にしながら国民政府NTTに対する不信感を回復しなければ、せっかく森本さん苦労してつくっていただいた第二のエクイティー問題についても生きてこないし、NTTは一兆九千億円以上の投資支出、大変なんじゃないですか。だから、そういったことを考えてこっちは問題をソフトに提起しているんだから、余り変な抗弁しなさんなよ。そういうことをおっしゃるのだったら、株の問題でずっとやりますか。だったら、資料を持ってきてやりましょう。そういうことでは困るんです。もっと冷静に考えて、エクイティーが生かされる方法でやることがNTT世界に伍する立派な情報関係の大企業として生きていける道じゃないですか。皆さん方もそのことを監督していくことが責任じゃないのですか。そういったことを聞いているのですから、ほかの株と同じような状態ですよということでもってここで言われて、こっちは引き下がれませんよ。
  41. 吉本修二

    ○吉本政府委員 NTTの株を中心として株価全体に対して国民の信頼を回復するような措置を講じていって、そしてそういう資金調達の場を拡充していくということは非常に大事である、そういうことにこれからどうやって取り組んでいくかということが大事であることは十分肝に銘じているつもりでございます。
  42. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お話を承っておりまして、株価の問題ということを大木先生おっしゃっているよりも、むしろ本当のところもう一つ深いところに問題提起があるのではないか、あるいはまた今日の状態をどう打開するかというところにもう 一つの問題提起があるのではないかというふうに承っておりました。  それで、先日も一部報道されましたが月例経済会議の席上で、私はこの株価のいわゆる数字の面だけでNTT株というのを論じてもらっては困る、総体的な分析の中でNTTとしての企業の将来性あるいはまたこれからの国策として国が三分の一株を保有する責任上どういうふうにこの企業を育てていくのかとか、そういうもう少しマクロ的な議論をして、その上で、株の価格が今現在こういう状態になっている、政府として、幾ら自由経済市場における証券市場というのが問題だとはしながらも、先ほどおっしゃっておられるような問題点も指摘されている。  現実に私のところに、正直申し上げますけれどもかなり抗議の手紙が参りますよ、これは本当に。何かどうも郵政大臣NTTの株を決められるのじゃないかみたいな、そういうふうに一般的に思われるんでしょう。NTTの株券は、所管は大蔵省ですからね。だけれども、業務上監督しているNTTに対しての郵政省の責任というのはあるわけですからこれはやむを得ないとしても、かなり関心度は高い、しかも一面期待感もある、こういうことですから、この問題につきまして総理が与党の政調会長にいい知恵がありませんかとおっしゃった問題点はまさに我々にもすべて問題提起をしていることであり、政府内でもう少し意見の交換をしまして、そうしてこういうことは与党だけで決められるものでもない。私はやはり国民合意の中で、国民の持っている財産である、国家財産であるNTT株というものに対する政治全体の責任として解決をしていくということ、あるいはまたいい方向を見出す、まあ解決という言葉はちょっと語弊があると思うのですが、いい方向を見出していくということが大切なことではないのかな。  財政法があることも承知しておりますし、あるいはまた先ほど申し上げた証券市場が自由市場であるということも承知しておりますし、現在大蔵省が株を保有しているという現実面、そういう中で私どもは何かいい知恵がないか、あるいはNTTにどういう努力をしてもらうかということを総合的に検討してまいりたいと思っておりますので、今日の段階では、私自身の考えは個人的にはありますが、これはきょうは御容赦いただきまして、何とかいろいろな大勢の皆さんの御意見を聞き、そしてまた研究をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  43. 大木正吾

    ○大木委員 株の話は最後に少しやりますが、今ちょっと中断いたしまして、これは森本局長にお伺いいたしたいのですが、今国会の直前の二、三日前に資料が配られまして、附則二条に基づく措置、これが配られてございますが、これについて私たち、たしか本年の二月か三月かの一般質疑の中でも大臣にお伺いしたことがございます。NTT自身が平成二年の、きょうお見えでしょうか、前大臣のときには指示を受けて、そしてずっと要員の合理化問題とか料金の問題その他幾つかやってきているわけでございますが、総括的に森本局長にお伺いいたしたいのは、NTT努力、こういった効率化努力あるいは経営合理化努力、そういった面について総体的にはどのように評価されておられるわけでしょうか。
  44. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほど冒頭の質問で、大臣電気通信改革以降、全体としての俯瞰について、改革後の状況を総括する答弁をさせていただいたところでございますが、その中でNTT努力をどういうふうに評価しているのかというのが御質問かと思うのでございます。  改革自体のねらいが、先ほど大臣からも申しましたように、要するに従前の独占の時代でそれなりに効果が上がったことは十分あるとしても、今後の日本の情報化社会の構築には競争原理を入れて、その中で国民に安くて多彩なサービスを提供するというのがねらいだったろうと思うのでありまして、そうした趣旨合いで、NTTが民営化以降これまでの七年間、毎年要員の合理化あるいは事業所の統合だとか、あるいは保守拠点などを整理統合するとか、そういう大きな合理化も行ってこられたところでございますし、また市外料金についても、例えば東京−大阪間などでございますが、当時四百円、今回既に二百四十円と六割のレベルになっておるわけでございますし、そうした意味でNTTがこうした大きな改革の中でされた努力は、私はそれなりに評価してしかるべきものと考えるわけでございます。  特に、先ほども財務の話もございましたが、導入直後の最近までの活性化した市場の中で、NTTとしても借り減らしを行われるなど、相当財務体質の改善も図られてきたと思うわけであります。先ほどから話がございますように、ここへ来て競争の進展が見られると同時に、経済全体が停滞、減速をする。こういう中でNTT経営状況が、収入は伸びてはおるものの費用がそれを上回る。そういう意味で増収減益傾向に入っておるということは大変重大なことだろうと思っておるわけでございまして、今日までの努力を無にしないために、また基幹通信事業者としてさもにその地位を確保していただくためには、今後さらに徹底した合理化、同時に、例えばアメリカの通話量なんかは日本の通話量の三倍ぐらいあるようでもございますし、そうした各種の需要の喚起という施策もこれからまたいろいろ真剣にお考え願うことにもなるのだろうと思っておりますが、いずれにしましてもそうしたさまざまな努力の中で安定した経営をぜひひとつ確保していだだきたいものと期待をいたしておるところでございます。
  45. 大木正吾

    ○大木委員 これは社長に伺いたい問題なのですが、東京−大阪の結局市外の競争はまさしくサバイバル状態です。一種関係、NCC関係とのお話し合いがあと一年余りの間に接続関係を含めてスムーズに進行するのか。今度は料金格差が二十円から十円に詰まりますね。そうすると、相当NCC関係の方でも頑張る動きが出てきますとまさしくサバイバルですから、またNTTが下げるかどうかという問題も起きてくるかもしれませんが、そういった点等を含めて、見通しといいましょうか、これから皆さん方、賞与は若干返上するとかあるいは課長以上の月給は上げないとか、そんなことまでやられておりますけれども、私も現場を、郵便局も電話局も回ってみまして、端的に申し上げて、大手町のあの関東総支社あるいは関東郵政局ですね。一遍行きますとわかりますけれども、昼間に電灯の数を調べていったらNTTの総支社は三分の一ですね。エレベーターは半分ストップしています、郵政局の方はぴかぴかしていますがね。そういった状態等を見ていきましても、一つの現象にすぎませんけれども、やはり相当な厳しい合理化をやっていることは間違いがない。それはそれでいいと思います。  ただ問題は、そういったサバイバル競争関係がさらに激化した段階で、私自身も最初新聞で拝見してびっくりしたのですが、三千人の新しい職員の採用を千人に少なくするとか、いろいろなことがございますが、そういったことをして、では通信研究所なんかにいい技術関係の研究者を揺れますかということも逆に聞きたいのですけれども、そういうところを含めて、競争関係の中でこれから合理化なり効率化できるもの、同時にどうする御決意がどうか、その辺について伺わせていただけますか。
  46. 児島仁

    児島参考人 民営化を始めましたときの理由はたくさんあると思いますが、そのうちの何点かを申し上げますと、やはり独占はいかぬのだ、競争状態導入しなければいかぬ、その競争は公正であって、その公正な競争を通して国民に、ユーザーの方々に利便を与えていく。端的に言いますと値下げであります。と同時に、競争を激化させることによってNTTに一種の緊迫感を与えて効率化を促す、こういうことだったと思うのです。それの進展度合いが現在どうであるかということでありますが、これについては、私から相当やったということも言うべきかどうかわかりませんが、かなりの合理化も進んできておると思います。  問題は、最初この競争状態を激しく日本の国につくるというのは、当時の状態からして喫緊の要 事であったと私も考えております。ただ、ここへまいりまして競争が非常に激化してまいりまして、私どもの財務も大変傷んでまいりました。したがって、今後の競争のあり方をどう認識するんだ、どう理解するんだというところにもう一度議論をやっていきませんと、この競争は不透明な世界の中でぐちゃぐちゃになってしまうという感じがあります。  一つだけ申しますと、私ども、明治以来全国でネットワークを持っておりますから、どんなに片田舎の町にも線を引いております。ところが、新しく参入された方は自分の資金力と営業力あるいは技術力、そういったものを見てこの区間にだけ営業を展開する、その接続点から先はNTTネットワークにお任せだ、もちろん料金をいただくわけでありますが、そういう格好であります。したがって、非常に簡便にして効率的な設備を特定の区間に打つだけであります。しかし私どもは、そういったことを接続した場合に、NCCのお客さんも完全につながなければいけませんし、私ども五千五百万の、二つの任意のどの加入者でも瞬時につながなければいかぬということでありますから、全国にネットワークを面的に張りめぐらして、かつこれを維持し抜くという義務があると思います。したがって、そういったユニバーサルサービスをやるという義務があり、もうからぬからといって撤退のできない企業と、みずからの判断に基づいて営業区域を設定し、あとはジョイントしていくという両者間の性格は、根本的に違うものがあろうと思っております。そして、根本的に性格と使命あるいは義務というものが違っておる者同士の間の競争というものは一体どういうものであるべきであるかということは、ちょうどここら辺でもう一度論議をさるべき時点ではないかと思っております。私は、競争はそこまで、相当進展をしたと思っております。  問題は、先ほどの問題にも返りますが、そういったユニバーサルサービスをコンスタントに維持し続けるということは、私どもの営業のためでもありますけれども、ニューカマーズの方々の通話も完全につなぐということでありますから、これに設備投資を惜しむことはできないわけでありまして、設備投資を打ち抜いていくということは国際的にも重要な問題であります。そのためには私ども、国際化に向けてもあらゆる面から私どもの体力をつけていかないと、結果として非常に貧しいことになってしまう、国全体の通信は貧しいことになってしまうというふうに思います。したがって、多大の恩恵を与えてほしいということは申しませんが、やはりユニバーサルサービスをコンスタントにかつ恒久的に打っていく我々の使命、義務に対して何らかの手当てをしていただく。例えばどうしても合理化だけでは絶対に埋まらない基本料の世界でありますとか、合理化でしばらくは少しは改善できますが一〇四の世界、これも合理化という格好では到底できない、そういったものを抱えておるわけでありまして、そういったものを抱えておる企業との競争のあり方ということを考えていただきたい。  さてそこで、それにしても先はどうなのかということでありますが、競争相手の皆さん方の会社は先ほど言いましたような状態でありまして、かなり競争力は高いと思っております。私どもは先ほど申しましたような状態競争力は弱いと思っております。しかし、弱いからといって価格競争を放棄いたしますと、ユーザーは完全にニューカマーズの方に行って、一遍行ったお客様を取り返すには三月、半年かかるのでありまして、現在もやらしておりますが、大変なことであります。しかも、ユニバーサルサービスを末端のところまで完全につなぎ切るという義務がある以上、体力を失ってその義務を放棄するような格好になるのは国民のためにならぬと思っておりますから、何とかその辺を確保しながら競争業者とも話し合いをしていくべきだ、私ども自身も。その中でアクセスチャージの問題とかその他の工事の負担金の問題とか競争についての考え方、基本理念、公正ではあるけれども、それならリーズナブルな競争でいこうということは同業者との間で語っていくということも我々の義務だと思っております。同時に、国家的見地からいろいろな御判断をいただくのも大変私どもにとってはありがたいし、またその時期に来ておるのではないかというふうに考えております。  いささか真正面の答えではございませんけれども、以上、お答え申し上げます。
  47. 大木正吾

    ○大木委員 この前の一般質疑の際にも大臣にお願いしてございますし、同時に局長にもお願いしてございますからこれ以上深く聞きませんが、ぜひ国民のための情報通信社会の構成という問題と国際的なものをにらみ、同時にNCCとNTTとは基盤が違いますから、その辺のことなども頭に置いていただきまして、何らかの方向性というものをぜひ御協力というか御指導願っておきたいと思います。  私、もう一遍株の問題に返りますが、その前に、さっきちょっとお話があったかもしれませんが、児島社長にもう一つ伺っておきます。  データなりあるいは移動体通信等が、あれは一〇〇%NTT出資だと聞いておりますけれども、ああいうものを別の会社をつくっていくということについて、世間の一般の方々が、もし百六十五万人の株式を持っている個人株主等が見た場合には、NTTは一〇四は大赤字だし市内も赤字だし、いいのは全部別の会社になってしまう、こういうふうにしか見ませんので、その辺について新しい、要するに今グループ企業経営なんて大分はやっていますけれども、そういった面で克服できる、あるいは活性化方向性について、もし何かお気持ちがありましたら伺いたいのです。
  48. 児島仁

    児島参考人 お答え申し上げます。  事業分野を追っていきますのに二つの道があると思います。大きな会社を構成して、そこのスケールメリットと総合力を生かしていくというやり方と、もう一つは機能別に会社を分割して、そこに一種の連帯を組みながら効率化を図っていく、この二つの道があると思います。今私どもがねらっておりますというか、実行しておりますのは後の方でございまして、これは政府の御指導もあり、私どもの考え方もあって、むしろ巨艦一艦で進むよりは艦隊方式というか船団方式の方が効率化によかろうという判断に立っております。  そこで、今お話のありましたデータとか移動体通信とかもうかる部分だけは出ていくじゃないかということですが、それは一面正しいと思います。しかし、私どもの社内にこれを抱え込んでおりまして今のような業績を上げられただろうか。例えばデータ通信でありますが、出すときには、非常に経営規模も大きいですし、ユーザーの獲得あるいは資金の調達で私は不安を感じておりましたが、十分にやってのけております。したがって、今あの会社からも中間配当を含めてきっちりした配当をいただいております。しかも、将来上場ということになればキャピタルゲインも入りますから、何らかの格好で本体の株主さんにもお返しできることになっていくだろうと思います。したがって、せつな的には今なかなかメリットは出ないのでありますが、中長期的にはこれは非常にいいことになると思います。ですから、大いに太ってもらいたいと思っております。  同時に、移動体通信も同じことだろうと思っておりますが、ただ、本体はやせたままなのかという疑問は残ると思うのです。しかし、本体もやせたままではないと私は考えております。先ほど申しましたように、基本的な経費を賄うような義務のための基本的な料金についてはある種の御理解をいただきたいと思っておりますが、それ以外に、先ほど森本局長もおっしゃいましたように、通話を増していくというのは新サービスをどんどん打っていかなければいかぬ。  先ほどの繰り返しで恐縮でありますが、ディジタルネットワークを早目に完成をしていろいろな多彩なサービスをやっていく、これが一日に一回しか使わないお客様に二回使っていただくことになるというふうなこと等を引き起こしまして、アメリカ並みまでは生活慣習も違いますので行ける かどうかわかりませんが、本体それ自体が豊かに太っていくということは志向しなければいかぬ、またそれは可能だと思っております。そういった本体も大きくなりつつ、利益も増しつつ、かつ周辺の会社とも資本、人事といったものを含めて連帯を組んでいけば、総合力としては、かじ取りは大変だと思いますが、かじ取りさえうまくいけばむしろ総合力発揮にいいのではないかと私は確信をしております。
  49. 大木正吾

    ○大木委員 おっしゃるお気持ちはよくわかるわけです。問題は総合力という中身ですね。これについてはぜひこれからも御研さん願っておきたいという気がいたします。  それから、BTの場合には、イギリスの場合には配当がよくて、発行以来ずっと四・六%が続いていますね。これは証券市場の連中ともしょっちゅう会うこともあるのですけれども、全体が今の株の売買益でもってもうけていくというシステムからだんだん配当に切りかえさせていく、預金の金利あるいは年金、同時に株による配当、そういったものがずっと整合しまして老後生活を支えていく、こういうシステムに日本社会が、十年後か何かわかりませんけれども、だんだん変わっていかなければいかぬという問題が、これは会社自身、恐らく今度のバブル問題等を含めて、本業で生きてきた会社は余り影響を受けていない、しかしバブルに突っ込んだ会社ほど危ない会社ですから、そういった面からして反省も多くございますから、必ずそういった状態に到達しますので、一〇〇%NTTの資本が入っている会社ですから、総合力を生かす方法として、そういった株の配当が当然NTTには返ってくるんだという問題が、相当NTT自身の総合力の中に組み込まれていくことを、きょうは株の問題を中心に話をしておりますので、お願いをしておきたいと考えている問題点です。  さて、問題は最後に入りますので、これは私の方から勝手なことを申し上げることが多くなってしまって申しわけなく思いますが、KDD社長さんにもおいでいただいているわけでございますが、ちょっと議論が前後して申しわけございませんが、競争会社との関係で二三%ですか、料金格差ができたということは新聞か何かで拝見したことはありますけれども、現状はどうなっていらっしゃるわけですか。
  50. 市原博

    市原参考人 お答えいたします。  平成元年にITJ、IDCがKDDよりも料金の面におきまして二三%、これは三分間料金でございますが、低いレベルでサービスを開始いたしました。現在ではこの料金格差はかなり解消されておりまして、平成元年の十一月以来、四回に分けまして値下げを実施いたしました。そして競争力をつけてきたわけでございまして、対地によって異なりますが、一部の香港その他の地域を除きまして、料金格差は一・五%程度に是正されております。したがいまして、これによりましてお客様も非常にKDDサービスも使いやすくなってほぼ順調な競争状態に入っていると思います。したがいまして、国際通信の場合は、先ほども申し上げましたように外国との関係がございまして、相手側の方も新しいサービス展開努力いたしております。これからは新しいKDD技術力を動員いたしましてサービス競争に入っていきたい、こういうふうに考えております。
  51. 大木正吾

    ○大木委員 社長、私が一番心配いたしますことは、さっきウルグアイ・ラウンド問題で大臣に御答弁いただいたんですが、対日本、日米関係という問題の中で、個別に今度入っていきますと、割合にNTTよりはKDDの方が完全自由化がしやすいという問題がどうも出てくる心配が、感じなんですけれどもそういう感じを持っておりますので、ぜひ郵政省の方と、そういったウルグアイ・ラウンドに行かれる方々がいられますので、連絡を十分とられて、動向等については御注意願っておきたいということが私のお願いでございます。  あと、非常にデリケートなことをこれから申し上げますので、答弁の方は余りはっきりしたことはもちろんちょうだいできないということで……。  最初に共有財産と個人株主問題について、どなたかさっきもお話があったんですが、そういうことはとっくに、もう七、八年前からやっていまして、ある意味では全電通の機関紙なんかが共有財産という言葉を初めて使ったんじゃないですか。それで、この前NTTという会社をつくったときに、共有財産がずっと国会のあの委員会では皆さんが言うようになったんですね。そのことはわかり切ったことなんですが、共有財産とおっしゃるけれども、じゃ一億二千万の方々はNTTに対してどれだけの権利があるかという問題は数字的には余りはっきりいたしませんし、数字的に極めてはっきりしていることは、百六十五万人の個人株主の方々、法人等を含めるともっと多いわけですが、この方々が目に見えて相当多額な損害を受けている、百二十万ぐらい損害を受けているわけですから、そこのところに視点を置きながら、私自身が考えました幾つかの株式対策的なことを、他の方の意見も相当に入っていますが申し上げてみたいと思いますので、ちょっと時間をいただきたい。  一つは、大蔵省の松野証券局長がおっしゃった中で、要するに株の額面を小さくしていけばという話がございます。これは、私から言わしめれば、現状からすれば風通しといいますか流れはよくなるかもしれませんけれども、株価対策にはやはり非常に地味なものであって、全然効果がないとは申し上げませんけれども、余り効果はない、こう考えています。  それから、盛んに自社株保有問題が業界等でも議論されているようでありますけれども、NTT株との関係を余り考えない立場でもって商法上のことを考えていきますと、やはりこれは少しく緊急避難的なものに過ぎまして、また株式市場というものに対してまずい問題を起こしてもいけない、こういう感じがいたしますので、これには余り賛成ではありません。  それから、渡辺外務大臣がおっしゃった額面一万円株のお話も、松野さんと大体同じような趣旨でございますから、これも株価には余り影響ないだろう、こう考えています。  それから、さつき申し上げたデータ通信の株は二十万株しかないんですね、社長。そうしますと、百六十五万人の方々で分ける方法はありませんから、これもだめであって、対策にはならない。それから同時に、こういったことをやっていきますと、ある意味では損失補てんという面で、例えば残っています五百万株の大蔵省保有株、残存株の中から百六十五万株を額面でもって分けていくなんて暴論もたしかどこかの新聞に出ていましたけれども、これは明らかに損失補てん型でございまして、違法的な行為がつきまといますからなかなかできない。  公的支援による、これは郵政省の方々、特に貯金関係の方々に申しわけないのですが、集めた貯金の八割以上は言えば大蔵省の方にいくわけでございますから、大蔵省の方から出していますいろいろな政府関係金融機関の方に株を何株か持ってもらうとか、そういった方法も考えられないではありませんが、しかしリスクが伴う問題でございますから、最近、ここ四、五年間の株式市況の状況等からしましてそう簡単に政府関係金融機関といえども引き受けてはくれないだろう。  そういったこと等をずっと点検してまいりますと、総理が、宮澤さんが自民党の森政調会長に指示されました分貴方式ですね、減資方式ですか、額面株でもって、二千五百億円でNTTに引き受けていただいて、そして売却したときには売却益は国に納付することになるでしょうけれども、そういった方法をとりまして、大臣、こうじゃないですかね。結局、NTTが発足しました六十年前後は、ある意味では港区でビルが建ったり土地が上がったり、株もつられてどんどん上がっていきましたね。ああいったときにスタートしてますから、やはり資本金そのものが、ちょっとNTT関係者から聞いたんですけれども、何かしっかりした財務諸表から割り出した資本金高になってい ない、七千八百億円となってますけれども、そういうことがわかったのです。そうしますと、言えば株価から逆算したかもしれない、こういう感じもするのですね。一千五百六十万株掛ける五万ですからちょうど七千八百億円になるわけですね。  そういった面で考えていきますと、問題は、政府が残存して持っちゃっている五百万株です。あるいは三年間ずっと塩づけでもって、五十万株売ろうとしても売れないわけですよ、大蔵大臣が一生懸命苦労しましても市況が悪いですから、売れば売るほどまたNTTの株は下がるという問題が出てきますから。そういった面で考えていきますと、民活最盛期、バブルの発生期等との関係からしますと、資本金の減資ということの方が今日段階ではとらるべき方向だろうと思うし、外国の方に言わせますと、NTTは民間会社とはいうものの、特殊会社という言葉もつきますけれども、やはり大変な行政監督を受けているし、同時に大蔵省に株の足元、根っこを抑えられておりますから、そういった問題なり、あるいは言えば影のごとくつきまとってます分割問題、これが消えない限りはなかなか株は正当な市場流通機能を持たないだろう、これが大体証券界の大御所連中の言う話なんですね。  ですから、そこまできょう話はできませんが、とりあえずの問題としましては、やはり保有株、大蔵省の残存株ですけれども、残存株五百万株をとりあえず形をつけてあげれば、エクイティーファイナンス問題についてもめどが立つというような感じもいたしますので、これは大臣、答弁要りません。とにかく私どもなりそういったいろいろな方々の意見を聞いた中での最大公約数といいましょうか、そういった感じでもって問題をとらえておりますので、ぜひこれから慎重な御検討を郵政省といたしましてもあるいは政府といたしましても、本当に大臣が宮澤さんの意見に対しまして慎重で臨んでいるのは知ってますから、そういったことはよくわかりますし、そういう点を含めて——ただ、私ここでもってはっきりしておきたいことは、国民共有の資産だという言い方でもってばっさり切られますと、百六十五万人だけじゃないのですよ。NTT株に対する政府の信頼を失ったら、この問題は、渡辺さんもさっきおっしゃられましたけれども、とにかくNTT郵政省を含めて国の信頼が、百六十五万人を頂点としまして証券業界全体に広がっている、こういうふうに見なきゃいけないでしょうね。そうすると、やはりこの問題については、せっかくのエクイティーと同時に、NTTが国際的任務、責務を果たすためにも、何らかの解決策を政府なり与党なり、野党も時には知恵に乗りますから、そういった中で考えていただくことが今日的に極めて大事な問題と考えておりますので、ぜひ参考に聞いておいていただきたい、こう考えております。大蔵省、何か所見がありますか。
  52. 吉本修二

    ○吉本政府委員 先ほどしかられましたのでございますけれども、しゃべりますとしかられるような話になりますのですが、一言だけ御説明をさせていただきたいと思います。  私どもも、現在、全体として株が低迷、NTTの株価も低迷しているということで非常に心配をいたしておりますし、各方面から御批判があるということも十分受けとめて、非常に苦悩しているところでございます。何よりも投資家の信頼を回復して、株価が上昇していただくということが必要ではないか。そのためにはNTT自体が魅力のある会社になっていく、業績も回復していただくというのが何よりも大事であろうかというふうに考えておるということだけ申し上げさせていただきます。
  53. 大木正吾

    ○大木委員 終わります。
  54. 谷垣禎一

    谷垣委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  55. 谷垣禎一

    谷垣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭一君。
  56. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法律案について、私どもは、この法改正についてはおおむね賛成の立場でございますけれども、なお改正趣旨あるいはNTTKDDを取り巻く当面の環境などについて若干の質問をさせていただきたいと思っております。  まず第一に、私どもは民間移行の際に外資規制の問題についてはいろいろと議論をした記憶がございます。いろいろ議論のあったNTT株式について、今回、外資規制を削除する、NTT株式日本国民などに限って所有することができる、これを削除するという提案でございますが、提案の説明としまして「国際化の進展にかんがみこということになっているわけですが、今回外資規制緩和するという改正について、もう少しより具体的な理由を冒頭お聞きしたいと思います。
  57. 森本哲夫

    森本政府委員 外資の問題につきまして、当時と今日とが相当内外の様子が変わっているという点でございますが、これが背景にあるわけで、とりわけ国際化という点でNTTKDD自体が、当初、民営化直後と今日を比べますと、具体的にいうお話でございますけれども、例えば民営化前五年間平均では、NTTの外債の平均起債額は四百億円ちょっとでございましたが、この六年間ならしますと、平均千七百億くらい海外での起債額がございます。あるいは海外からの資材調達なんかも、計算いたしますと、一億四千万ドルぐらいなのが現在はこの数倍の六億六千万ドルでございます。そんなふうに変わってまいっておりますし、海外事務所の設置あるいは海外会社の現法化というものもNTTKDDとも大変様子が変わっております。そういう意味で、NTTKDD自体が相当積極的な海外進展を行うという点が一つございます。  それから、今度は日本海外から見てどうなっているかという意味合いでございますが、これは朝ほどにも御説明申し上げたのですけれども、日本電気通信改革当時、法律提案いたしましたのは昭和五十九年のことでございました。このころ、通信についての自由化を図っていたのはアメリカイギリスだけでございましたが、今日、もう御説明の要もないくらいすっかり様子が変わっております。とりわけECあたりも、統合を控えまして、こうした問題について各国に対して指令を出しまして、競争原理導入あるいは事業体と行政との分離、こんなこともいろいろ入ってきておりまして、様子がすっかり変わっておりますし、それから、外資導入いたしておりますアメリカ通信会社、BTのような電気通信会社、これが東京の市場において、一部市場でございますが、これはたくさんの会社が上場して取引がなされている。こんな状況にもございますので、NTTKDDについて、従前の枠組みではなくて、新しい海外発展に応じ、日本の現下の置かれた情勢に対応するような改正をお願いするのが至当であろう、こういうことで提案をさせていただいたわけでございます。
  58. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 先ほども申し上げましたように、会社法制定の際、外資規制を行う理由として、いろいろお聞きしたわけですけれども、私の記憶では五つぐらいあったのじゃないかと思っております。  その一つは、NTTが電電公社の業務あるいは通信ネットワーク設備、人員、そういうものすべてを受け継ぐ基幹通信事業体であることから、我が国国民生活経済活動の発展に重要な役割を果たすインフラであるという側面を持つ。二つ目は、非常災害時や国の安全にかかわる事態が生じた場合、重要な通信の確保が特に要請される、そういう事業体であるということ。三つ目は、電話などの基本通信サービスをあまねく全国に安定的に提供する義務を負っている、そういう事業体であるということ。四つ目は、電気通信分野の実用化技術や基礎的研究開発などを担う国際的使命を求められている事業体、しかも、電気通信技術 は今後の宇宙開発や原子力、バイオテクノロジーなどの先端技術とともに国家戦略に結びつく、そういう重要性を持っている。五つ目としては、そういう立場からこうした外資規制措置については国際的にも認められている。こういうふうにお聞きしてきているわけです。  したがって、局長が今言われたことについて私は理解するわけですけれども、新しくNTTが発足した以降、今申し上げましたような状況について今日どういう変化、変動が起きておるのか、こういう点についてもう少しきちんとお答えいただきたいと思っております。  あわせまして、KDDの場合も、KDD発足以来ずっと外資規制が行われてきた経過がございますが、そういう中で、今日この規制緩和という問題についてKDDとしてはどういうふうに受けとめておられるのか、今日まで問題点を生じたことがあるのかないのか、こういう点を含めましてもう少し具体的にお聞きしたいと思います。
  59. 森本哲夫

    森本政府委員 現行会社法が提案されましたときに、外資について導入を認めない理由につきましては先生が今幾つかお挙げになったわけでございますが、私どもとしては、この事情の基本的な枠組みには変化はない、依然としてNTT我が国の基幹的通信事業体として国家の安全あるいは全国民の基本的な福祉、こうしたものに大きな役割を果たしている事実にいささかの変更もないだろうと思っております。  ただ問題は、最後の御指摘のように国際的にも認められているということが、先ほど申しましたように、国家独占で他の民間参入を許さないというシステムが、各国でも今後の情報化の構築のために情報を伝達する手段としての電気通信が社会のありようまで変えてしまうかもしらぬ、そうした大きなインパクトを持つのをいつまでも国家独占に置いておくことが果たして国家の発展のために必要であろうか、こういう点についての思いがいろいろ出てまいりまして、具体的なあらわれになっていると考えるわけでございます。  そうした状況の中で、さっき申しましたように、NTTKDDの対外対応が極端に様子が進展していることと、海外全体の進展に合わせて、いつまでもNTTKDDについては外資は一切認めないという枠組みでは今後の日本発展の上でも必ずしも好ましい形ではないではないか、こういう視点で今回の御提案をさせていただいたわけであります。ひとえにその後の状況の変化に対応して、しかしなお、基本的な役割指摘は、それはおっしゃるとおり、変わりはないという認識でおるわけでございます。
  60. 市原博

    市原参考人 外資規制に関しまして今まで何か問題が生じなかったかという点でございますが、大部分のKDD通信相手事業者は長らく独占で来ておりまして、そういった意味で特別問題は生じなかったわけでありますが、漸次、最近は電気通信自由化、民営化が進んでおりまして、そういった意味合いから、今次法改正につきましては、KDD海外に対しまして開かれた企業のイメージという印象を与えるという意味におきまして大変時宜にかなった改正だろうというふうに受けとめております。
  61. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 NTTはいかがですか。
  62. 児島仁

    児島参考人 私どもも現在時点では特段のトラブルはございませんが、一つだけ、民営化されましたときに、外国での資本市場から金を借りなければいけないというので、電電公社からNTTに変わってもこういうふうな方針とこういう運営の形態でまいりますということをインフォメーションミーティングという形でヨーロッパの四カ国で報告会をやったことがあります。そのときのスピーチの後の質問は、幾つかありましたのですが、必ず出てまいりましたのは、何でNTTの株は外国で買えないのかということが非常に激しくありました。しかし、その後そういった言い方は現実の問題としてはもうなくなりましたが、先ほど来一部申し上げておりますが、日本の国自体が、日本電気通信産業自体が国際化戦略の中で活動していかなければいかぬという場合に、やはり将来は株の持ち合いでありますとか、あるいは外国の株は日本が買えても外国からは買えないというふうなことはいささか、イコールフッティングというふうな言い方がいいのかどうかは知りませんが、そういったことからいってもまずかろう。いずれにしても、我が国NTTの株も開放しておるのだという言い方は何かにつけて好都合だというふうに私は考えております。
  63. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 今回の外資規制緩和では、株の保有限度は二〇%、五分の一、こういうことになっているわけです。電気通信事業法によりますと、NTTなどを除く第一種電気通信事業者の場合は、外資規制の比率は三分の一、こういうふうになっていると思います。この第一種電気通信事業者外資規制三分の一という点についても、国際電気通信条約や日米友好通商条約からしてもこれは認められておることでありまして、特段おかしいと思わないわけです。また第一種事業も、先ほど申し上げましたように、同じように国民生活経済活動を支える基本的なインフラであることには変わりはないわけでありまして、そういう意味ではそういう規制がなされてきたと思っているわけですが、この第一種電気通信事業者については電気通信事業法で三分の一、今回のNTTKDDの枠は二〇%、五分の一、こういう差が数字の上でついているわけですが、この点についてどういうふうに理解をされておるのか、ここのところをもう少しお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 森本哲夫

    森本政府委員 この問題は、先ほど先生が御指摘のように、なぜ現行会社法制定当時に外資を入れなかったかという問題とリンケージがあるのだろうと考えるわけでございまして、確かにたくさんの新規事業者参入したとはいえ、これまで明治以降百年の余にわたって国内のありとあらゆる地域に日本電気通信網を構築しておる現状、そしてまたKDDも長い歴史の間で全世界ほとんどとの対地が接続ができる、こうした他の事業者に比べて格段のネットワークの濃度といいますか、密度といいますか、大変濃い事業になっておるわけでございます。そういう意味では、やはり我が国の安全なり国民の福祉という意味には他より格段の重みがあるということは否定できないわけでございます。  そういう意味で、私どもとしては、一種事業並みの形で外資を開放するのではなく、特に国民生活に重要な影響を同様に持っております放送事業につきましては、御案内のとおり五分の一未満あるいはCATVについても同じ規制をいたしております。できるだけ海外に開放するという精神と同時に、外国からの影響力の排除をする、この点の調和という形で、今申しました諸先例にもかんがみまして現在の提案にさせていただいている、こういうことでございます。
  65. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 言われることはよくわかっておるつもりですが、三分の一と五分の一という場合にどこがどう違ってくるのですかね、これは。株の多い、少ないだけですか。何か法的に、例えば商法との関係などで何か問題点がある、こういうことになるのですか。理解をしてないわけではないのですけれども、そこのところをもう少しお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 森本哲夫

    森本政府委員 NTTKDDを除く一種事業者が三分の一の水準にいたしたには、やはり幾つかの理由があるかと思います。  一つは、現在電波法外国性について、外国人は免許を持てないという仕組みにいたしておりますが、三分の一未満であれば許すという形になっております。そういう意味で、電気通信事業を営むのに無線局の免許はなくしてやれるのは例外でもございますから、そういう点の考慮が一つあると考えます。  もう一つは、商法上、今御指摘ございましたように、三分の二というのは、特別決議で各種の議決権の行使について三分の二が特別の意味合いを持っているわけでございますので、そうした意味合いで特別決議を阻止しないで済むという意味で三分の一というのを一つの基準として当時この法律制定をお願いした、こういう状況にございます。  今回、NTTKDDについては、これと同水準と考えるには余りにNTTKDD両社役割は、冒頭御指摘のように大変重要であろうからして、なおかつ国内法制、それからアメリカの法制についても御案内のとおり五分の一未満という形にもいたしておりますので、国際的な相場と申しますか、外資開放の水準としてこのくらいであれば著しくその門戸を狭めているという非難にはならないであろう、こういうふうにも考えた次第でございます。
  67. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 よくわかるのですが、ではもう一つのサイドからお聞きをしたいのです。  NTTKDD外資規制のあり方について電気通信審議会から答申が出されているわけです。その中で、規制緩和については、今議論になっております外資の比率と外国人役員就任制限によってNTTKDD、今言われるように極めて重要な位置にある両社経営自主性、それから我が国の安全というのは大丈夫である、こういう判断に立っていると思いますが、さらに加えて答申では、英国の例にならいまして、国の安全の確保のために必要な場合、政府電気通信事業者に対して所要の命令を出せる、こういった具体的な個別の対応措置のあり方について検討を示唆しておるのではないか、こういうふうに審議会の答申を読んでいるわけですが、この点について、どういう検討結果になったのか、お聞きしたいと思います。
  68. 森本哲夫

    森本政府委員 今回の法案を作成するに当たりまして審議会の答申をいただいたわけでございますが、御指摘のように、この答申では、今の外資比率なり役員就任制限というふうな形でひとまず経営自主性なり国の安全性というものは確保されると考えられるけれども、これとは別に、英国におけるような、国の安全の確保のために命令が出せるとか、個別な事態に関する措置の必要性について十分検討しろ、こういう御指摘をいただいたわけでございます。私どもとしては、この答申を得た後各般にわたる検討をしてまいったわけでございますが、結論を申せば、英国のような事例で、さらに現法律の上に重ねて特段の法的措置を含める必要はないものと判断したわけでございます。  理由を申し上げますが、いざ非常事態というときには、先生案内のとおりでございますが、現行事業法第八条で、天災、事変その他の非常事態が発生し、あるいはまた発生するおそれがあるときは、災害なり秩序の維持のために必要な事項内容とする通信を優先的に電気通信事業者は扱わなければならない。郵政省令で定める公共の利益のために緊急に行う通信についても同様だ、こういうことにもなってございますし、あるいはまた、有線電気通信法でも、郵政大臣は、有線電気通信設備を設置した者に対して、いざ緊急事態というときに必要な通信を行い、あるいは通信を行うための設備を他の者に使用させ、あるいは接続することを命ずることができる等々の緊急事態に対する必要な措置というのが現行法で数多く確保されておるわけでございます。これに改めてもう一段重ねる必要は、現時点での想定の上ではなかなか想定しがたいことでもございますので、これは現行法令の範囲内にゆだねてよかろうか、こういうふうに考えた次第でございます。  もう一点、外国からの投資のあり方でございますが、五分の一までとした場合に、特定の者、これは何と想定するか非常に難しい話ですが、特定の外国の勢力といいますか特定の法人なりが集中的な取得をする懸念も、なおこの答申の線に沿って検討したわけでございますが、現在この電気通信事業法は、NTTKDD、新しい法制、それからNCCを含めてでございますが、外為法の適用がございます。この場合は、外国人投資家による一〇%以上の株式取得については今審査が可能になっておるわけでございます。そうといたしますと、このNTT法KDD法において外資比率を規制した上でなお一種の集中排除と申しますか、重ねてそういうことを外為法以上に規制することの可否についても検討したわけでございますが、できるだけ開かれたものにして、なおかつその中で外国影響力をできるだけ排除するという精神ならば、これ以上重ねて措置は不必要であろう、こういうふうに考えたところでございます。
  69. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  それでは、次の状況を少しお聞きしたいのですが、ガット・ウルグアイ・ラウンドに関連する問題です。  いろいろマスコミ情報などによりますと、アメリカが関税貿易一般協定、いわゆるガットの事務局に対して、日本、韓国、ECを含めた十二カ国を対象として、国際電話それから国内長距離電話の通信分野自由化を要求してきているという記事が最近幾つか見受けられるわけです。その要求内容は、国際、国内ども長距離電話サービス事業者数を制限しないということや、長距離電話サービスの提供を外国企業にも認めるとともに外国からの投資を完全自由化するということ、それから外資を含めた新規の付加価値通信網、VANなどですが、そういう業者が公衆回線網を持っている既存の電気通信事業者日本の場合にはNTTだと思いますが、これと自由に接続できるというような問題であると認識をいたしております。アメリカは、これらの要求が認められなければ、日本、ECなどに対する最恵国待遇適用を取りやめて、米国市場への進出を規制する、こういうことを表明しているという記事があるわけです。この点は新ラウンドでは我が国としては米の自由化と並ぶ頭の痛い問題となるのではないかな、こういうマスコミ報道などもございますが、これらをめぐる情勢と、これに対する今後の対応、展望などについて、まず大臣の方から少しお聞かせをいただきたいと思います。
  70. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ウルグアイ・ラウンドにおけるサービス分野の交渉は、今田中先生がおっしゃったような情勢であるわけですが、アメリカがECを含めて十二カ国に対して最恵国待遇の例外扱いにという、片っ方ではウルグアイを成功させよう、片っ方ではこういう問題提起というので、ECを初めとして非常に強い反発をしているわけです。  電気通信市場の開放という問題については、我が国と米国との関係は非常にいい形になっている。二国間においては、ほかの分野から見ますとむしろ模範的な分野、これは私が言うのではなくて、アメリカの方でもそう言っているわけであります。そういう中でアメリカの最恵国待遇義務免除の範囲を最小限度にすべきだということで、先般、四月二十七日にヒルズ代表が初めて我が省においでになられましたが、そのときに、日本アメリカとEC、この三極がサービス貿易交渉における基本電気通信の問題と政府調達交渉を一緒にして、パッケージにして議論をする次官クラスの会合をやろうではないですかという問題提起を私はいたして、現在アメリカでも検討してもらい、またECにも投げかけて、ECでも今検討してもらっている最中であります。そういう中で、ウルグアイ・ラウンド全体としては我々のサービス分野が比較的うまくいっている、これをエネルギーにし、また、これを牽引車にしてウルグアイの交渉というものを全般的に成功裏に持っていきたいという私の考え方をヒルズ代表にお伝えしている、今そういう段階であります。  電気通信事業における日米間の状態というのは、おかげさまで、先輩の皆さん方が大変な努力をしてこられた、そしてまた、NTTKDDにおいても、あるいはまたそのほか通産省の関連する企業関係、非常に御努力をしておられることに私はこの機会に敬意を表しながら、なお一層の協力と御努力をひとつ期待をしたいと思っておる次第でございます。一生懸命頑張っていきたいと思います。
  71. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 今アメリカからの要求の点について郵政大臣からの御見解をいただいたわけですが、逆の立場といいますか、電気通信事業国際化ということの中で、今回「電気通信事業における国際化の進展にかんがみこということで、このことを主要な要因にして外資規制緩和を行 う、こういう提案になっているわけです。  確かに企業活動のグローバル化、ボーダーレス化などに伴って電気通信分野の国際市場が非常に大きく変化をしておりまして、東欧あるいは旧ソ連あるいはアジア、アフリカなどには米国や欧州、AT&TあるいはBTなど含めましてこういう電気通信事業者通信サービス運営を含めて進出をしておる、こういう状況になっておるわけです。特に移動体通信であるとかVANであるとかあるいは端末機などについては国際的、世界的に競争が激化をしておるという状況になっておるというのは、いろいろ御見解をいただいたとおりであります。  こういう状況の中で、我が国の場合、法によりまして国際通信事業者と国内通信事業者が明確に区分をされているという点がございまして、例えば我が国NTTなど電気通信事業者外国へ進出をするということについて非常にしにくい、そういう状況のままになっておる面があると思うわけですね。国際市場という目で見れば、こういう状況の中では取り残されていくという可能性があるのじゃないかな、こういう新聞記事なども最近非常に目にするわけです。  国際市場の最近の変化に対応していくことを私どもはもう少し真剣に考えなければいけないのじゃないかなという気が実はするわけで、目的達成業務だけじゃなくて、本来業務についても必要になってきているのではないかな、こういう考え方も私は持つわけです。世界に進出をしている我が国企業国際化に一層対応していくためにも、ある意味では電気通信事業者役割もまた考えなければならないのじゃないかな、こういう考え方を持ったわけです。特に新聞などでもこういう意見をよく目にするわけですけれども、この点につきまして、先ほどから局長なり大臣からも国際化問題について御見解をいただいておりますけれども、もう少しこの国際化にどう今後対応していくのかという点について、郵政省並びにNTTなどからも少し御意見をいただきたいと思います。
  72. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 おっしゃられるとおりでございまして、我が国国際化あるいは国際貢献に資するという観点からいたしますと、電気通信分野において積極的な国際交流を行っていくことは非常に大切なことだ、しかも日本を代表する企業会社規模としても、あるいはまた電気通信分野においてはまさにリーディングカンパニーという非常に大切な国家的な位置づけの中にNTTはある、私は定例の記者会見でも実はそう申し上げてきたのです。その企業が、例えばKDDがあるがためにNTTが国際活動をやってはならないということにはならないのであって、これはまたそういうように法律上読む必要もないわけです。  ただ、KDD分野NTTが全く同じように侵していくというか、同じようなことをやっていくということは問題があると思いますけれども、NTTの持っているこれまで蓄積してきた技術、これはもうハードの面、ソフトの面、あらゆる面において世界に冠たるこれまでの蓄積があるわけでありますから、私はそれらを世界に貢献する日本国際社会に貢献する日本企業という立場から大いにひとつ役立ててほしいという気持ちを以前から表明をしてきたところでございます。  NTT法KDD法に定める国内、国際電気通信事業という業務の区分を尊重すべき制約は法の予定しているところであるけれども、それぞれの事業者海外における国内電気通信に参画することは現状の段階においても可能である、まだこれからの国際化時代対応した各事業者の取り組みはむしろ期待を申し上げているということを私はこの際はっきりと表明させていただきたいと思っております。
  73. 児島仁

    児島参考人 今、大臣から大変力強いお言葉をいただきまして、私もうれしく聞いておりました。  私どもの方の状況をちょっと申し上げますと、まず国際戦略というものを電気通信事業者の範囲でとらえるか電気通信産業としてとらえるかということでございますが、産業としてとらえますと、例えばけさ方も申しましたが、単なる物品の売り渡しということがあると思います。それから、一部システム、例えばNECさんなんかは過去何十年にわたって相当努力してまいりましたマイクロウエーブの建設とか、個々の場面では大変な輸出もしておりますし、技術の協力もやってきております。一方、私どもの方の通信業者としましても、ちょっと今手持ちの資料がないのですが、政府からの要請に従いまして諸外国から訓練生をたくさんに受け入れまして、これは世界の百国近くになるのではないかと思います。タイなんかは一番多いのでありますが、中南米のホンジュラスとか、そういったところは数十名の人になっております。こういった人を訓練してお帰しするのですけれども、この人たちが帰った後、これは外国企業の名前を申し上げるのはちょっとまずいと思いますが、ある外国企業がそこである電気通信事業をなさろうとするときに、その人が全部引き抜かれてしまってその国には残らない、外国会社に行ってしまう、それでその国でやるというふうな非常に残念なこともあります。  いろいろなことを申し上げますが、いずれにしても、今我々として考えていますのは、NTTとして考えていますのは、先ほど大臣もおっしゃいましたように、国際通信の領域で仕事をやろうと思っておりません。国と国とを結び、あるいは国の都市と都市とを結ぶ通信KDD固有の仕事でありまして、私どもはむしろ、最近非常に呼びかけがあります外国に出ていって、そこのネットワークなり電話局をつくってくれ、しかも、つくった後職員の訓練もやり、過去NTT発展してきた経緯に従って、資金調達をどうやるのか、会計制度はどうするのか、あるいは料金の構造はどういうふうにつくるのがいいのか、それからファイナンスはどうするのだということも含めて、電話局を丸ごと運営してくれというふうな話があります。一番簡単なのは、それよりも簡単なのは、例の自動車電話でありますとか携帯電話をあるブロックあるいはある州について丸ごとやってみないかというふうなことがあります。  したがいまして、私どもはそういった意味で、訓練をして出しております。その国の人力と、これはKDDさんとの協力でありますし、場合によってはメーカーさんとも御一緒、あるいは商社とも一緒に行くべきだろうと思う。外国に進出します場合に、そういったネットワークでありますとかシステムづくりというときに外国の資格審査がございまして、資格審査の第一発目にふるい落とされるのは、ネットワーク業者、つまりNTTのようなコモンキャリアがそのチームの中に入っておりませんと、これはほとんど落ちてしまいます。  けさ方申しましたインドネシアも、二十四カ国が国内の電話局をやらせてくれ、電話会社をつくらせてくれということを言っていますが、そのうち十二カ国はキャリアを仲間に持ってないので、これは一次審査で振り落とされました。したがいまして私どもは、NTTの利を増すということもそうでありますけれども、国としてやはり日本の国に何らかの利益をもたらすという場合に、NTTも旗だけは立てさせていただいて、そこで旗を立てればむしろNTTは帰ってきてもいいんだ、NTTだけが利益を独占しようとは思わない。そこで契約がとれれば国全体として日本お金が入ってくる、あるいは将来技術的にも、あるいは民族的な友好の上にも役に立つんだ、そういった働きをしていきたいというふうに考えておるわけであります。今大臣からもそういった点も含めたお話だと思って、私、拝聴しておりましたのですが、これにはお金その他人員の余裕も必要なんでございますけれども、そういったものを何とか工面をしてぜひやっていきたいという決意でございます。
  74. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間がありませんからこれでやめますが、郵政大臣NTT児島社長意見はきっちり合ったというふうに理解をいたしますので、今後も積極的な御検討をお願いしておきたいと思います。  次に、エクイティーファイナンス改正が二つ 目にございます。NTTが円滑にエクイティーファイナンスを実施できるように、当分の間、政府がその三分の一を保有しなければならない発行済み株式の総数にNTTが発行する新株の増加数を算入しない、こういう提案だと思います。  三つぐらいお聞きをしたいんですが、ここで言う、「当分の間」という文字が入っていますこの「当分の間」という意味をもう少しお聞きをしたいというのが一つ。それから、算定の方法について今回特例を定める考え方についてもう少しお聞きをしたい。それから、政府保有が三分の一以下になっても経営安定のための議決権の確保などについて問題を生じることがないのかどうなのか、この辺の検討はどういうふうになされておるのか、簡単にこの三つをお聞きしたいと思います。
  75. 森本哲夫

    森本政府委員 現行の政府保有三分の一という理由は、基本的にNTT公共性、先ほどから議論になっておる重要性にかんがみまして、NTT経営が特定の者に支配されたり、あるいは株主権が乱用されることのないよう、政府が安定株主として会社経営の安定と適正な事業経営を確保する、こういうねらいで三分の一が決められたと承知をいたしております。同時に、この三分の一という比率については、さっき商法上の問題もございましたが、株主の構成のいかんにかかわらず政府として容認しがたい特別決議、これは三分の二が要るわけでございますが、これに対して排除ができるという数でもあるわけであります。  そこで、現にこういう形でやってまいったんですが、御質問の順序とはちょっと順序不同になるかと思いますが、ただ、こうやってまいりますと、NTTエクイティーファイナンスをやりたいといって新しく株数をふやすということになりますと、ふえた分の三分の一もまた保有義務がかかるわけでございます。それに対しましてどうするかと申しますと、政府があらかじめ予算措置を講じるとか、あるいは所属がえを行うとかいうような形で株式を新規に政府が保有する必要があるわけでございまして、こうした形のまま置いておきますれば、エクイティーファイナンスNTTが適時にやりたいというときに予算措置が前提だということで非常に機動性が十分いかない、こういうことで今回こういう措置をお願い申し上げておるわけであります。  そこで、「当分の間」算入しないということにいたしました理由というのは、一つはやはりNTTの今の株式の分布状況といいますか保有状況と申しますか、そうした現状から見て三分の一の議決というのが十分可能な期間というふうに考えるわけでございます。特にまだ、けさほどから議論がございましたように、政府がこれからの売却予定で持っている株が既に五百万株も残っておるわけでございまして、これの議決権については当然のことながら保有義務との間と同じ議決権行使になるわけでございますので、こうした事情を考えまして「当分の間」というふうにお願いを申し上げたわけです。  最後に、万が一、三分の一切れたら、こういう御指摘でございます。  私どもも、現下の情勢でそういうことを考えにくいと思うのでありますが、仮に具体的に減ったとしましても、その減りぐあいがどんなぐあいかということを考えますと、現下のエクイティーファイナンスが、たくさんの企業がやっております中身というのは、規模の大小はございますけれども、六年間当たりで株数が一番ふえたところでも、大手のところでございますが一二、三%、年に二%ぐらいの見当でございますし、少ないところなら六年間やっても、東京電力だったら二%ぐらいでございまして、エクイティーがやれるからといって無制限にやれるものでもないという実態がございます。つまり、そんなに急激には株数はふえてまいらないだろう、三分の一に影響を与えるような意味合いでですね。あるいは従業員持ち株会等が大株主になってございますが、だんだんに長期安定株主がふえているというようなこともございますし、一方また、非常にたくさんの株主が分散をしておるという事態もございますれば、三分の一、全株主が全員出席してこの議決権を行使するという事態も現実には考えにくいわけでございますので、いずれにしても、こんな意味合いで、当分の間これを切っても三分の一保有を決めた趣旨合いを大きく逸脱することにはならないであろう、それよりはエクイティーファイナンスの機動性を確保したい、こういうことでお願いをしておるわけでございます。
  76. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 わかりました。  あと、株の点についてもう一つお聞きをしたいのですが、NTT株式千五百六十万株については、NTT法第四条二項に基づいて三分の一以上に当たる五百二十万株は政府が保有することになっているわけですね。売却可能な株は千四十万株で、既に市中に五百四十万株が売却され、今後の売却計画は、二百五十万株について毎年度五十万株程度を計画的に売却することを基本にして、残り二百五十万株については当分の商売却を凍結する、こういうことになっていると理解をしているわけですが、この今まで売却をした株、国庫に収入として入ったお金会社法の第五条との関連になると思いますが、少しお尋ねをしたいわけです。  この点は電気通信改革三法に対する議論の際にもかなり議論をなされたことだと思います。衆議院の逓信委員会の附帯決議の中でも、電電公社の資産形成の経緯と衆議院逓信委員会における審議の経過にかんがみて、国民にとって有効であり、かつ疑惑を招かないような方法で行う、こういう決議がございます。また、議論の中でも政府見解が明確に出されておりまして、国民共有の資産であるということにかんがみて、国益にかなうように今後十分配慮するという意味の政府見解がございます。  そこで、今まで売却された金額はおおむね十兆円ぐらいになるのではないかと思うのですが、このお金が、今簡単に申し上げましたけれども、この趣旨に基づいてどのように使われてきたのかということです。それから、今後における株の売却の考え方について少し見解をお聞かせいただきたいと思います。これは、大蔵省から来られていると思いますから、お願いしたいと思います。
  77. 吉本修二

    ○吉本政府委員 お答え申し上げます。  NTT株式につきましては、民間活力を導入して事業経営の一層の活性化を図るという民営化の趣旨にかんがみまして、まず昭和五十九年七月に漸次売却していくという方針を明らかにいたしました。御案内のとおり、第一回、昭和六十一年秋、一般競争入札によって売却。それから昭和六十二年並びに昭和六十三年、既に上場後でございます、市場の実勢価格をもとにいたしまして、それぞれ百九十五万株、百五十万株を売却いたしました。したがって、売却いたしましたのが総額五百四十万株ということに相なり、総額売却益というのは約十兆円、こういうことでございます。  その後、漸次売却ということであったんでございますが、平成元年度、二年度におきましては、証券・金融市場動向等を総合勘案いたしました結果、円滑な消化が困難ということで売却を見送った次第でございます。  なお、これに対しまして未売却五百万株の売却方針が非常に不透明感を与えるということで指摘が一部の関係者からございまして、大蔵省といたしましては、平成二年十二月に民営化の着実な進捗に資するということで、二百五十万株を毎年度五十万株程度ずつ計画的に売却する、残余の二百五十万株は当分の商売却を凍結する、こういう方針の明確化を図ったところでございます。平成三年度におきましては、その計画に基づいて市場動向をずっと注視してまいったわけでございますが、御案内のような市場環境でございますので、本年二月売却を断念いたしました。平成四年度におきましては、予算において処分限度数として五十万株の授権を得ております。ただ、売却時期等具体的な売却の進め方につきましては、今後の株式市場状況等に十分配意しながら円滑な売却を図れるよう検討してまいりたいと考えております。  なお、御指摘のございました総額約十兆円、十兆八百二十七億円になりますが、その売却をどういうふうに使ったか、こういうことでございますが、まず御指摘のございました最初のいろいろな方面に活用するということを踏まえまして、昭和六十年に売却可能分については、国民共通の負債でございます国債の償還財源に充てるということで整理基金特別会計の方へ帰属いたしました。それから、三分の一の五百二十万株につきましては、産業投資特別会計におきまして、そこの配当収入を通じて通信事業を初めとする産業政策に活用する、こういうことで仕切りを行ったわけでございます。  売却の方は、国債整理基金特別会計でございますが、同時に国債整理基金売却益につきましてもさらに昭和六十二年に当面国債整理基金の運営に支障が生じない範囲内で一時的にNTT無利子貸付事業に活用するということで、社会資本整備特別措置法というのが制定されましてそれに使う、こういうことに相なったわけでございます。現在、平成四年度予算で計上しておりますが、それを含めましてこの総額約十兆円に上る売却益のうち約五兆八千億円をこの無利子貸付事業に充てておる、こういう結果に相なっております。  ただ、いずれにしましても、このNTTの無利子貸付事業は、この売却収入を一時的に活用して行うものでございますので、これの貸付金につきましても最終的には国債の償還財源に充てられる、こういうことに相なっているものでございます。
  78. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 もう少しお聞きしたいことがございますが、時間が参っておりますので、最後の質問を申し上げたいと思います。  株にかかわりまして、私は株は全く素人でございますが、半値八掛け二割引ということがあるそうで、バブルの崩壊でこういうのがほかにもたくさんありますけれども、NTT株もそういう状況で、これはどんな株でも高値からここまで下がれば下げどまるということだと聞いておるわけです。そういう意味では、私どももNTT株を所有している方からいろいろ意見の提起が率直に言ってたくさんございます。  このNTT株の低迷につきまして、二、三日前に売り出されましたある雑誌でNTT児島社長は、株価低迷の理由は、一つ経営状態が必ずしもよくないからだ、利益が減少していることについては責任を感じていると、こういうことです。それから、三年後の分割問題が一体どうなるのか、この点がやはり不鮮明だからだ、もう一つは、NCCとの競争がどこまで続くのか、こういう点もいろいろあるだろう、したがって、こういう問題がある程度明確にならなければ株は不安定のままではないかという御趣旨の発言がございまして、それ以前に政府がアクションをとれば事態は変わるだろう、簡単に申し上げましてそういう意味の発言がございます。  確かにNTTの九二年度の経常利益は二千五百から二千七百億ぐらいではないか、それぐらい落ち込むのではないか、こういうふうにお聞きをいたしておりますし、これは資本金七千八百億で売上高六兆円の企業にとってみればかなり大きな問題だということは理解ができるわけです。一方、設備投資などは九二年度で一兆九千六百億で、ISDNに対する設備投資など、かなり大規模な今後の電気通信事業発展を期そう、こういう意欲がかなりあるわけです。  時間がございませんので、以下の点についてNTTあるいは大蔵の考え方を少しお聞きしたいのです。これは本日の議論の論旨の本旨ではございませんけれども、株価低迷の要因をどう分析されておるのか、今後どういうふうに見通しておるのか。特に最近マスコミでは、政府として何らかの手を打つ、宮澤首相が党の役員に示唆をしたとか、例として、例えば政府保有分のNTT株を現在の株式を持っている方に無償または額面で割り当てるとか、あるいはNTTデータ通信株式を株主に優先的に割り当てるとか額面で分割するとか、いろいろ新聞記事などもございますが、政府として何らかの手を打つお考えがあるのかないのか。これはなかなか難しい質問だと思いますが、今後のNTT株の先行きについて一定の御見解をお聞きしたいと思います。  同時に、NTTそれからKDD社長さんも来られておるわけでございまして、今後の事業展開の特徴それから経営に対する基本的な意欲などを最後にお聞かせいただきたいと思います。
  79. 吉本修二

    ○吉本政府委員 平成二年の年明け以降株式市況全般が軟調に推移してまいりました。その中でNTT株価につきましては、NTTの業績悪化というものも最近重なってまいりまして、大変下落傾向をたどっている、そういう御指摘がございます。今後それがどういうふうになっていくかというようなことにつきましては、いろいろ言われているようでございますけれども、株式市場に予断を与えることにもなりかねないということもございますので差し控えさせていたただきたいと存じます。  なお、NTT株の魅力を回復する、投資家の信頼を回復する、これは大変大事なことでございますので、そういうことのためにNTTに対し株主への利益還元策を行うべきではないかという声があることは承知しております。当省としても株式の売却当事者としての立場からこの魅力向上策については関心を有しているところでございます。この問題は基本的にはNTTがその経営状況等にかんがみまして自主的に判断すべき事項であることは申すまでもございませんが、NTTが株主への利益還元策を実施されるということであれば、政府としても、平成二年三月の政府措置というのがございますが、その趣旨にかんがみまして、こうしたNTTの意向を十分配意していくべきであるというふうに考えております。
  80. 児島仁

    児島参考人 先ほど先生から三点に要約をされまして私どもの株式の低迷の原因を解明されたわけでありますが、私はその条件は今も変わっておらぬと思っております。それに加えて、全体の株式市場の低迷ということが加わっておる。ただ、そういったものについて平たく言いますと、てこ入れということがあり得るとすれば、それは政府がやることが可能であることと、それから私どもがやることが可能であることの二つに分かれると思います。  私どもがやれることではいろいろございますけれども、一、二申し上げますと、例えば無償交付、これは非常に有効だと思います。それから、アメリカに比べますとまだ低いのでございますけれども、配当を上げていくということ等があると思います。ただこれも残念ながら、御指摘のように現在の財務状況の中ではいささか暴発的行為でありまして、非常に残念でありますが、近々にこれがやれるというふうな状態にないと思います。  いずれにしましても、今大蔵省の方からもお話がありましたように、私どもとして今やれることは、やはりこういった状況の中でもできるだけ業務の改善をやり、収支の改善を図っていく。差し当たっては、今料金競争ということになっておりますが、さらにサービス競争等でお客様の奪還を目指す。大変激しい言い方でありますが、そういったことで、あるいは需要を増していくというふうなことで全力を傾けて、少なくともNTTは頑張っておるし、また頑張っていけば先が見えるというふうなところまでは固有の努力としてやらなければならぬ義務だというふうに考えております。  お答えになっていないかもしれませんが、以上で御勘弁願いたいと思います。
  81. 市原博

    市原参考人 国際通信の需要につきましては、成長率は少し鈍化しておりますけれども、依然として国際通信の需要は増加の傾向にございます。  特に太平洋地域におきまして、現在光海底ケーブルが敷かれておりますが、これからの新しい映像通信、あるいは高速度通信に対しまして、ディジタル回線の必要がますます高まっております。ことしの秋には二番目の光海底ケーブルが完成する予定でございますが、それをもちましても今後の太平洋横断の国際通信事業を賄うには十分でご ざいません。一九九五年には、現在一万回線の海底ケーブルの容量が質においても、量においても、速度においても向上させなければならないということで、一九九五年の時点では十二万回線の光海底ケーブルを建設する予定になっております。そして、さらには韓国あるいは中国との間の光海底ケーブル、そして東南アジアにあります光海底ケーブルの充実を図りまして、お客様の需要にこたえていかなきゃならない、こういうことでございますので、KDDといたしましても、お客様のニーズの多様化に十分こたえていくよう設備投資も十分頑張ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  82. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 法改正趣旨に基づきまして、NTT並びにKDDの御健闘をお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  83. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、鳥居一雄君。
  84. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃ資料を用意いたしましたので、配付をお願いしたいと思います。
  85. 谷垣禎一

    谷垣委員長 鳥居委員からお申し出の件、配付することを許可します。配付してください。
  86. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ただいま議題になっております法律案につきまして、質疑を続けてまいりたいと思います。  外資規制緩和という一つのねらいが改正点にあります。それで、この規制という問題の背景を考えましたときに、確かに国際化が進展をしております。国と国との間の境目というのが非常に垣根が低くなる。そして一方におきましては、固有の通信主権、電気通信政策が我が国にもあるわけです。この兼ね合いをどういうふうに郵政省としてはお考えでしょうか。国際化という流れの中で、外資の規制というのは緩和方向が必然であろうと思います。そして三分の一、五分の一、この点につきましてもぜひ御説明をいただきたいと思います。
  87. 森本哲夫

    森本政府委員 通信と申しますのは、本来的に国境を越えていく性質のものでございまして、通信主権というお話にございましたが、世界各国通信が円滑にいくようにということで、御案内のとおり国際電気通信条約というのがございます。その中で、現在結んでおります通信条約の前文にも、「各国に対してその電気通信を規律する主権を十分に承認」する、こういう条約を各国が結んでおるわけでありまして、つまり、各国電気通信のあり方をどう決めるかは自分の国の判断によって決める、こういう合意のもとで現在、電気通信ネットワーク世界に構築されておるわけでございます。  そういう意味で、その状況の中で各国外資についての導入をどう考えるかというのは、この条約に従いまして各国の判断による。そういうことで、私ども先ほどから御説明申しておりますが、競争原理を入れる際に、基幹通信以外はできるだけ門戸を開いたものにしようということで、三分の一規制という格好でスタートいたしましたし、その当時投じておりましたNTTKDDについても、その後の海外との交流状況、進展状況を考えまして、今回の御提案をさせていただいたわけでございます。  そういう意味では、外資をどういうふうに導入してまいるかというのはひとえにこれからの時代、あるいはその置かれた環境、こうしたものを総合判断して対処する性質のものであろう、こういうふうに考えておるわけでありまして、今回御提案申し上げましたのは、現下の情勢に照らしてみましてぜひこういう措置が必要であろうと考えておるわけで、よろしく御審議のほど賜りたいと考えておるわけであります。
  88. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 先ほど来ウルグアイ・ラウンドにおけるアメリカの五項目の要求、これが俎上に上がっております。四月の段階で、サービス貿易交渉でアメリカ側は、電気通信に関して五項目の要求を日本初めEC各国、十二カ国に対して要求を突きつけた。この五項目の中身を見てみますと、かなり厳しいという受けとめ方をされたはずでありますし、四月以降どんな交渉をされているのか、ぜひ伺いたいと思います。  また、今後譲るべきは譲るとしても、この線はいわゆる通信主権の問題であるという線があるはずだと思うわけです。それで九〇年の六月、EC委員会において、ECは基本サービスについては独占を決定しておりますから、ECとしては譲るべくもない。しかも、アメリカ側の要求というのは、最恵国待遇を外して二国間交渉において、スーパー三〇一条をちらつかせながら要求をから取っていこうというかなり厳しいものだと思うのです。いかがでしょうか。
  89. 森本哲夫

    森本政府委員 確かにアメリカ提案というのは、このウルグアイ・ラウンドの精神に大変もとるといいますか、非常に重大な提案だろう。実はこれは三月の段階で出されたものでございまして、通信だけに限らず海運でありますとか金融でありますとか、あるいは弁護士事務であるような法律サービスであるとか、合わせて九分野が今電気通信を含めてやっておるわけでございますが、先ほどお話ございましたように、この電気通信のみならず、ほかの分野に関しても、基本的な考え方として最恵国待遇の例外に扱いたい、こういう提案でございます。  御指摘がありましたように、ECについては、とりわけテレコムに関します限りは、指令を出しまして、各国の独占を認めた上で競争を入れよう、こういう発想でございますから、なかなかアメリカの要求には即応しがたいということもございます上に、その最恵国待遇の例外というのは本来多国間の場合は最小限にすべき性質のものでございますので、この問題については、特段四月以降会合というわけには、まだ開かれておりませんが、各国といろいろな非公式の連絡をいたしておりますし、先ほど大臣も申し述べましたように、ヒルズ代表が来ましたときに、大臣から、ひとつアメリカにも、もう少し具体的な突っ込んだ話をしようじゃないか、ECとの三極会合をやろうじゃないかという提案もいたしたわけです。何とかこのウルグアイ・ラアウンドが成功いたしますように、我々としてもあとう限りの努力をしてコンセンサス形成のところへ持ち込みたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  90. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 五項目の中の特に二番目に相当する部分が、外国企業国内長距離電話と国際電話サービスを手がけることを認めるということなんです。全面開放ということですね。これはもう論外だと思いますが、この点どうですか。
  91. 森本哲夫

    森本政府委員 二項目に限らず、市場参入できる事業体の数は無制限にしろというのも一項目目にもございますし、それから、御指摘のような、外国資本が丸々一〇〇%でも参入して可なりという主張もございます。確かに、全体としては、現下こういうことを、しかも最恵国待遇の例外、これを認めない限りは例外にするという要求というのは、先ほども申しましたように非常にガット精神には合致しない方向であろう。  私どもとしては、今回もお願いいたしましたように、あるいは自由化以降とっておりますできるだけ海外に対して開放するという政策、これは世界の中で米国と並んである意味で最も進んだ法制になっているという自負もいたしておりまして、そのこと自体についてアメリカと個別の話でいろいろ議論をしなきゃならない、あるいは問題があるというふうには考えないわけでございまして、むしろ基本的な、さっき申しましたような形で、自由なサービス貿易のありようについて、この最恵国待遇の例外というようなことを言わないで到達できるコンセンサスというものをぜひひとつ努力して見つけてまいりたい、こう思っているわけであります。
  92. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ぜひひとつ、相手のある交渉でありますし、しかし、通信主権、また我が国としての電気通信政策、これを踏まえまして交渉に当たっていただきたい、こう思います。  それで、法案にかかわる基盤に当たるわけでありますけれども、附則二条に基づく講ずべき措置、そしてその推進状況につきまして報告が出されました。一点お伺いをしたいと思います。  この前書きに、「諸措置の中には、具体的な措 置の導入、実施までにまだ相当の準備を必要とするもの」がある、また、「効果が現れるまでにはまだ数年かかるものもある」、これは何を指しておりますが。どういう状況になっておりますか。
  93. 森本哲夫

    森本政府委員 先生指摘の講ずる措置の推進状況というのは、平成三年に決定しました政府措置についてのその後の進捗状況を明らかにする必要があるということで、ことしこれで二回目提出させていただいたところでございます。  これは全体は二十数項目にわたる非常に数多い分野にわたり、大変広い範囲になっておるわけでございます。いずれにしても、我が国通信政策全体の根幹にかかわる大変重要な問題だと考えておるわけでありますが、この二十数項目につきまして、政府としては一生懸命推進しているつもりでもございますし、とりわけ政府措置の直接関連事業体でありますNTTにおいてもその趣旨を十分理解し、積極的に取り組んでいただいているところでございますというふうに私どもも認識しているわけでありまして、特に、御案内のとおり、長距離・地域事業部の分離というのはこの四月一日に入ったばかりでございますし、また、この七月一日にはNTTの移動体事業の発足ということも予定をされておるわけであります。  ただ、ここの二十数項目にわたるその他の残余の仕事については、今先生指摘のようにすぐにはその効果があらわれないものがございます。例えば一、二例この中で申し上げますと、先ほども議論になりました中長期のディジタル化計画でございます。これはNTTにとっても大変重大な問題だという理解で現在進めておられますが、何にしても、ディジタル化全体が完了するのは平成九年の末という計画に相なっておるわけでありますから、まだ時間のかかることでもございますし、また、接続の円滑化だとか研究開発成果の普及であるとかいうようなものも時間も当然ございますし、先ほど申しました事業部の問題とか、あるいは移動体の部分だって形が整ったわけでございますから、その効果が本当に定着したり、国民の生活に直接はね返って実効あるような形になりますのはまだ確かに幾ばくかの期間を要しよう、こう考えておるわけでありまして、全体として公正競争の基盤でございますので、引き続き着実に進めてまいりたい、こう思っておるわけであります。
  94. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、その講ずべき措置、これを一覧してみますと、一つ料金体系のあり方というのが根本的に検討されるべきである。  郵政省としては、昨年来近距離通話の在り方に関する調査研究会というような研究会を設置された。六十年四月からざっと七年経過したわけでありますけれども、この七年の経過、今日的にNCCが参入をし、長距離部門におけるシェアを考え、NTTとして現在競争状態をどのようにごらんになっていますでしょうか。NTTにぜひ伺いたいと思います。
  95. 児島仁

    児島参考人 ただいま平成三年度が終わったばかりでありまして、いわゆる市外通話の競争状態シェアの数字はまだ出ておりません。したがいまして、丸々一年以上前の平成二年度の末では、これはもう御存じのことかも存じませんが、利益率も非常に高いし、利用度も高いという東京−大阪、東京−名古屋というようなところは既にもう五〇%に近いものが向こうさんに流れています。恐らく今年三月の先年度末ではまあ最低五〇%台まではとられている。私どもの方が小さな会社になってしまっているということであります。  それはそれでありますけれども、実は私どもの収入は大体ざっと丸めて六兆円ございますが、そのうちの五兆円の世界というのは収支がとんとんもしくは赤字ということであります。水揚げは五兆円あるけれどもそのコストが五兆五千億かかっておるということであります。唯一、一兆円の水揚げのところで利益が大きく立っているということでありまして、その利益が唯一と言ってもいいくらい大きく立っているところで競争が入っておるわけでありますから、私どものダメージは企業全体としては相当大きい。  ただ、その数字のとり方もいろいろございまして、全体の市外通話のうちの一二%である、あるいは二〇%である、あるいは大都市は五〇%であるというふうな言い方がいろいろありますけれども、それを金額に引き直して私どもの財務の圧迫度というものを見ますと、非常に強いインパクトになっておる。しかも、現在の流れではお客様は毎日のように流出していく、しかもこれはテンポラリーにかけるということではなくて、電話機そのものを買いかえてセットをしてしまいますと自動的に向こうさんの回線に流れるということでありますから、一遍そういうセットをされますと、一人一人、一軒一軒歩いてこれを奪回するというのは大変難しいことであります。今回の料金値下げでこの流れはとめたいと思いますし、またあわよくば一部のお客様にはぜひ帰っていただきたいということで、いろいろな戦略あるいは戦術を練っておりますが、しかし現在の状態では相当の競争状態になっておる。しかも、ローカルは実際独占に近い状態でありますけれども、フリーになりました市外通話の領域では大変激甚なる競争になっておる。  繰り返して恐縮ですけれども、ほかのところはほとんどとんとん、もしくは赤字の世界でありますから、それが財務全体に対しては強烈なインパクトになっておる。競争は十分に成熟したというふうに考えておるわけでございます。
  96. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 資料なんですが、平成二年度における市外通話、市内通話、基本料金、公衆電話、番号案内、こういう言ってみれば種類別の収支がまとまっております。これが直近の資料だと思いますが、ぜひ御説明を願いたいと思います。
  97. 井上秀一

    ○井上参考人 今先生の方でお配りになられたこの資料は、毎年、サービス別といいますか、市内、市外、基本料とかサービス別に、郵政省電気通信省令に基づきまして一定の計算をしましてこういう収支を出しているものでございます。これは平成二年度の数値でございますが、この数値をもとに料金の収支構造のアンバラというものを御理解いただこうかということでつくった資料でございます。これは、先ほど先生のお話にありましたように、郵政省が今近距離通信料金についていろいろ検討会をしていただいています。そして、この中に単に近距離だけではなくて全体のこういう料金の問題があるということでNTT料金改定の考え方みたいなものを出させてもらいました。そのときに、こういう状況になっているという資料でございます。  ここにちょっとわかりにくく数字が出ていますので簡単に御説明しますと、下の方が経常利益ベースということでございまして、事業活動をしますと、当然お金を借りて金利を払っております。こういうものを入れた数値でございます。そして、上の方の数値がいわば事業活動だけの数値で金融費用等が入っておらない数値でございます。  経常利益ベースで見ていただきますと、市外通話で大体九千四百億くらいの利益を上げておる。片一方、右の方にずっと赤字の部分がございます。市内、基本料、公衆電話とございます。市内については今の金利負担を含めますと大体八百億、それから基本料は二千三百億というような形でこういうふうに赤字がございまして、大きな赤字の部分は、先ほども社長から御説明したようになかなか難しい基本料金、番号案内、こういうものが大きなものになっております。この金利の計算については、そこに書いてございますように、固定資産額比でNTTで計算して営業費ベースの上に足し込んで、いわばトータルとして料金として回収すべき費用という形で出しておるものでございます。
  98. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうしますと、収支構造のアンバランスを是正する、こういう考え方に基づいて見直しの方向というのを主張されているはずでありますが、どういう見直しをお考えですか。
  99. 井上秀一

    ○井上参考人 その際に出した資料の中にもそれを述べさせていただいておりますが、端的に言いまして、NTT料金というのは独占時代の電電公社時代料金をそのまま民営化のときに引っ張り込んだという料金でございます。したがって、 トータルでうまくいけばいいという料金でございましたので、いわば市外通話、ここは競争で非常に大変になってきておるのですが、この利益で右の方の市内だとか基本料金といういわゆる基本的なインフラのところを賄っていくという料金になってございます。  これについては我々としても経営改善をしながら、当然市外についていろいろなコストダウンも図りながら、それからトータル的にもコストダウンを図りながら、新しいサービスを生みながら、料金値下げというものは当然やりますし、今後もやっていくという形でございますが、今後競争をうまく進展させていく、さらにパイを広げていくとトータルの料金値下げができる。しかも、先ほどいろいろ話題に出ておりました将来の高度サービス電気通信全体の発展、こういうもののためには、この制度的な枠組みも、いわばコストにある程度基盤を置いた、コストをそれぞれについて賄えるような仕組みが一番いいのじゃないか、その中でコスト競争をし、サービス競争をしていくという仕組みが必要じゃないかということで、それぞれについて基本的にコストに忠実といいますか、コストに基盤を置いた料全体系に見直していくべきじゃないかという提言をしておるわけでございます。
  100. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この数字は、例えば番号案内五十八億円の収入に対して損失が二千二百七十三億円、こういう二けたもオーダーが違うというような状況ですね。市外通話、市内通話。市外通話の方は一兆四千五百一億の売上高があり、そして利益として五千百三十一億円。市内通話一兆五千七十五億円の売上高。四月一日から事業部制が始まりまして、来年の六月ごろ事業部制に基づく収支が開示されるということでありますが、この図表によると市内通話、市外通話という立て分けになっていますけれども、県間通信、県内通信という姿に置き直した場合にかなり違ってまいりますか、それともどんな感じですか。
  101. 井上秀一

    ○井上参考人 先生のおっしゃったように、ことしの四月から長距離事業部と地域事業部というのをつくりました。これは、いわば県をまたがる通話、通信につきましては長距離事業部という中に入れる。県の中に終始する通話、この中には市内もございますし、県の中のいわゆる今まで言った市外、こういうものと両方ございます。こういうふうな形で分けて、長距離事業部と地域事業部をつくりました。  これをなぜつくったかというと、新規事業者との競争のイコールフッティングといいますか、これを形を同じにしていこうという形が一つと、あとは長距離の事業部、地域の事業部によって経営をしっかり見ていこうじゃないかという形でつくったわけでございますが、当然今の区分けによりますと、今度の長距離の部分は、いわゆる県外ということで長距離の部分を含んで一番もうけの多いところでございます。それから地域の方、近場の方は、どちらかというと同じ市外でもなかなか収入が伸び悩むというところでございますが、数字をきちっと出すというのはこれからの作業でございます。来年の決算の時点ではこういう長距離、地域の数字が出る。こういうふうに二つの数字があるのは一体どういうことだ、それも御質問趣旨に入っているのではないかと思いますが、料金については市内、市外ということですね。  今三分十円でかけられる市内とその他の料金というのを基本的にどうしていくかという問題がございますが、これについては、こういうサービス別の収支状況をもとにいろいろな議論がされていくというふうに我々考えております。いわば事業者間で接続料金ということでやりとりしているわけでございます。これについては、今度できました長距離、地域から出る料金は、当然のこととして地域のコストを賄えるものにしてもらわないといかぬ。これについてはうちの長距離も同じように負担する、向こうのNCCさんも同じように負担するというような形で使っていただくといいますか、こういうような形で、イコールフッティングの形でつくり上げられる。そのためには、地域と長距離のコスト分析といいますか、収支のアウトプットがきちっと出ていくことが必要だろう。ただ、料金についてはこういう形でいろいろな議論ができますし、さらにこれに基づいて過去いろいろな料金上の問題が提起されております。例えば、一番小さな単位料金という部分を広げるのか広げないのか、こういうものも含めまして今後いろいろ議論されることになると思っておりますが、またしていただこうと思っておりますが、それについてはこのサービス別の仕組みの収支状況、これが非常に基本的には議論の素材になっていくものと我々は考えております。
  102. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵政省として、この収支構造のアンバランスの御感想を伺いたいと思うのですが、この収支の状況をどういうふうにごらんになりますか。
  103. 森本哲夫

    森本政府委員 サービス別の収支分計上いう問題については、電電公社時代には十分明確ではなかったわけでございまして、競争が入って以来、NTTが全部の領域についてサービスを提供しているわけでございますので、長距離だとか無線呼び出したとかそういう新規参入が行われる分野、あるいはそうでなくて、さっきから出ておりますようにローカル網といいますか市内の分野、独占になっている分野、こういう区分けが公正競争の上で大変重要だろうということで、部門別の収支状況、収支区分ということについて大変一生懸命やってまいったわけであります。  ただ、一つといいますか、基本的に大きな問題がございますのは、こういうサービス部門別の収支分計というのは、なかなか一般企業では行われてないわけであります。そういう意味で、しかし最近セグメント別会計というような形で細かな収支区分をやろうという動きはありますものの、まだ一般には定着していないわけでございます。しかし、今申しました状況の中で、競争が入っている実態を明らかにするという意味で、大変苦労をいたしながら電気通信事業会計規則という省令を制定いたしまして、NTTにお願いして六十年度から電話、専用、無線呼び出しというふうに役務別に、それからさらに同じ電話でも市内、市外の細目別に営業に関する収入、営業に関する費用といういわゆる営業損益というものを具体的な作業に入って徐々に開示をしてまいっておるわけであります。  問題は、さらにもう一つ、営業に直接関連しない収入、費用であります営業外損益、例えば金融費なんかが代表例でございますが、これをどうサービス別に配賦するか、これは一般企業にもない、そういう事態でございます。したがって、省令にもまだ定められないでいるわけでありまして、先ほどNTTからの話がございますようなものは、一種NTT一つの資産だというふうにしか受けとめられないといいますか、そういう性質のものであろう上思っております。私どもとしては、コストという点は、こういう格好でどれだけの部分にどういうふうにかかっているかということは、ぜひひとつ次第に明らかにしなければならない、そういう意味では長距離事業部も大きなよすがになる、こう考えております。  ただ問題は、今申しました、基本的にどういうセグメント別に分けるのが至当かという点についてコンセンサスが得られなければならないということもございますし、それからコストといった場合に、本当にそれが合理化努力であるとかあるいは販売促進努力であるとか、そうしたものをすべて糾合した上のコストなのか。ただかかったという実態では、これはなかなか意味をなさぬだろうと思いますので、そうした意味で、とりわけ今後の独占分野にはコストを合理化しようとするインセンティブというのは非常に働きにくいわけであります。競争であればいや応なしに結果的に働いて、料金水準になったりコストになったりはね返るわけでございますが、こうした面で、いずれにしても大いに努力をしてこれからデータをきちっと整備をしたい、今こういう状況にあるということを、ちょっと中途半端でございますけれども、状況を御説明申し上げました。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  104. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それで、附則第二条に基づき講ずべき措置の推進状況、この中に、いわゆる内部相互補助の防止、こういう項目がありますね。考えてみますと、公社時代の電話料金のあり方、いわゆる総括原価方式ですね。もちろん適正費用と適正報酬を前提として、効率的なもとにおける適正費用、適正報酬、そして内部相互補助については明らかにしていくのだ。その当時の、公社時代における、独占のもとにおける料金のあり方、今日全く変わっていない、こういう状況が今この数字だと思うのです。  つまり、市外通話における競争のある、いわゆるNCCが参入してきている部分、競争のある部分におけるNTTの黒字分が、いわゆる独占市内通話、基本料金、公衆電話、番号案内、この赤字を埋めている。こういう状況の中で、公正競争というのは一体何なんだろうかということになってくるのだろうと思うのですね。この数字はそういう問題を提起しているのだろうと思います。  内部相互補助の防止、これは一体何ですか。内部相互補助というのは何を指しているのですか。長距離通話、いわゆる県間通信、県内通信、これを立て分け、イコールフッティングにしようというのは、今度POIを県内一カ所、NCCと同じ条件にするんだ、将来いわゆる地域通信事業本部と長距離通信事業本部を分離するんだという考え方が前提ですか。あるいは内部相互補助というのは何なんですか。
  105. 森本哲夫

    森本政府委員 先ほども申し上げましたように、今この競争というのが他の、例えば秋葉原で大手のメーカー、百年前からやっているメーカーに対して、去年設立された会社が新製品を並べて対抗し合うというふうなものではございませんで、入っている競争が部分的である。同時に、競争分野、非競争分野があるわけですが、その競争が、非競争分野であるローカル分野にいわば乗っからないと競争分野が成り立たない。例えば、自動車電話にしても長距離にしても、いわゆる市内の黒電話に接続をして初めてサービスが可能になる、こういう性質のものでございますので、先ほども申しましたように極めて特異な市場構造になっておるわけでございますので、ここを、収支状況をできるだけ役務別に明らかにする必要があるということで今進めておりますし、先ほども申し上げましたように、その収支状況の中で、公正競争の上で、いわば内部で応援し合うというか、そういう内部相互補助の防止というのが競争の上で非常に大事なことだ。  つまり、利用者によって利用のあり方は違うわけでございますから、そこのところがいいかげんなコストの割り振りによってやっていますれば利用者間に不公平が生じるという問題もございますし、競争条件の上でも十分好ましからざる事態も出てまいる状況でございますので、先ほどから述べましたように、こうした内部相互補助の防止ができるように収支区分を明らかにしてまいる。ただ、今ちょうど、まださなかにある。とりわけ難しいのは、金融費用等の営業損益外の部分をどう配賦するかというのが今後大きな問題になってこようかと考えておるわけであります。いずれにしても政府措置にも載っておることでございますので、できるだけ新しく出発する事業成果にも寄与いたそうと考えておりますので、鋭意努力をしてまいりたいと思っておるわけであります。
  106. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 県間通信、県内通信、MAを越える、しかし県内である、こういう立て分け方を今度の事業部制でとるわけですね。これはNCCに対しても、県内POI一カ所、NTTの長距離部門、これに対する接続とNCCの接続と同じ条件だ。そうすると、県内の足回りということについて料金の設定をしなければならないという前提になっている話だと思うのですね。これはいつ決めるのですか。
  107. 森本哲夫

    森本政府委員 御指摘の長距離通話に関しまして、各事業者がそれぞれNTTとの接続をどういうふうにするかということで、これまで正直申して事業者ごとに対応がまちまちの形でやってまいりましたが、ここへ参りまして、先ほどのNTTの長距離事業部と地域事業部との区分というような形で、先生先ほどから力説のとおり、原則として地域と長距離との接点は県内一つという形で整理をしてまいろうということで今合意がNCCとNTTにできまして、現在これで進めておるわけであります。  そうなりますと、今までの料金のあり方が変わってまいる、いわばスルーの料金といいますか、一本通しの料金がNCCとして設定可能になるという状況にもなりますので、ここの問題についてはPOIの整理をしながら、平成六年と申しますからあと二年たった四月、約二年でございますが、この時点から接続の問題について整理をし、新たな料全体系を設定いたそうということで現在進めているという状況にございます。
  108. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この接続条件がNTTの長距離部門とNCCとイコールフッティングである、そういう環境をつくることは極めて大事だと思うのですね。けれども、これは分社化ということとは全く違う話だと思うのですね。この分割によるデメリットというのは極めて大きいと私は言わざるを得ない。ISDNを構築する、新しいディジタル網の構築に当たっても、分社化というのは、あるいはまた研究開発の上でもたれが研究するのかという非常に重大な問題が残ってしまう、そういうふうに私自身受けとめております。NTTとしてはこの点はいかがでしょうか。
  109. 児島仁

    児島参考人 分割問題の話でございますが、分割問題については私の立場からは意見を差し控えた方がいいと思っておりますが、先ほど来、森本局長からお考えを申し述べられましたが、それをなぞってむしろ説明させてもらった方がいいと思います。  原価主義に徹して、しかも内部相互補助をさせないんだということは、数年前、民営化の際に大変学界でも論議をされました。内部相互補助を許さないということは、これは直ちに原価に忠実な料金に変えなければならぬということであります。しかし、現実の問題はそう簡単にいかぬわけでありますから、内部相互補助禁止という言葉は学界から急速に消えて現在に至っております。しかし、私どもとしましては、あるところで大きくもうけて、あるところで大きく損するというのも商売の一つの道でありますけれども、私どものようなインフラ的なものについてはできる限りコストに忠実な料金を設定していただくべきだろうと思っております。ただ、先ほど御指摘がありましたように、それは今あるコストを割り振るのじゃなくて、合理化された後のコストを本当のコストとして見なさい、これについては私ども努力を重ねていくつもりでございます。  それからもう一つ、コストの中で金利というのは明らかにコストそのものでございまして、各企業で借金をしていないところは日本でだった一社あるそうでありますが、それ以外は必ず資金を動かしておりまして、資金には金利がつきものであります。この金利は区分けとしてはもちろん営業外収支でございますけれども、これはコストそのものでございます。これをどう配賦するかというのは大変重要なことだと思いますが、私どもの、先ほども言っております膨大なる建設資金の八五%から九〇%は市内のローカル網に投じておるわけであります。これがあって初めて市外通話も接続が可能であるということでありますから、私どもの立場としては、使ったお金に金利がつくわけでありますから、そういった資産に対して金利を配賦するというのが妥当だろうと考えております。もしこれを収入費とかなんとかということになりますと、それは負担能力の問題でありまして、コストとは外れてまいると思っておりますので、この点はよく意見の調整をさせていただきたいと思います。  なお最後に、触れないと申しましたが、今のPOIを一つにするというのは、イコールフッティングの上で大変明快でありますし、その場合には我が社の長距離事業部が市内部門に払う足回り料金とニューカマーズが払うのとは同一であるべき だろう、また、それはそういったことのためにやっておるのだろうと私は理解しております。しかし、それは最終的に分割あるいは分離と申しますか、そういうものの第一歩だというふうに私も考えておりませんので、ただ、これは三年後に論議されることでありますが、現在時点ではそれはそれのワンステップである、節目であるというふうには私も考えてはおりません。
  110. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 KDD国際電話の二国間の決済でいわゆる計算料金があります。それで、前にこの委員会でも論議したことがありますが、我が国における指定事業体という立場で対地国との間で計算料金の交渉を行う、そういう大事な役割を今日までKDDとしておやりになってこられたわけですね。従来、官報に公告の形で、対地国との間に合意ができ上がりますと公告を出す、そして決済のときの、あれは何とかSDRだったでしょうか、そういう形の表示がなされる。二国間でありますから、通数に差がある場合に、相手国との間の発と着の差を二分の一にして相手に払うかもらうか、このときの掛け算をする基数が何とかSDRという計算料金でありますが、競争原理導入されて公告が出されなくなったと伺いましたが、そんなことはありませんでしょうか。
  111. 奥田量三

    ○奥田参考人 御説明いたします。  ただいまのお尋ねは、国際電話中心とする国際通信料金についての私ども日本側と外国側の通信事業者の間の決済についてのお尋ねかと存じます。  まず、先ほど先生、指定事業体ということをおっしゃいましたが、国際通信料金の決済の問題につきましては、指定事業体というような観念ないし制度はこれまでも存在していなかったし、現在も存在していないと私は了解しております。それで、日本国際通信事業者がKDD一社でありましたときは、当然のことながらKDDが相手の事業体と交渉をして決定した決済料金そのものによって決済が行われるということでございますが、日本よりも先に例えばアメリカ等では複数の国際通信事業体ができてきた。そういう時点で、一国に複数の国際通信事業体がありますときに事業体ごとに外国と交渉して決済料金を決めるということになりますと、力関係とかあるいは取引、場合によっては資本関係、そういったことでいわば政策的な、恣意的な決済料金が設定されるということはいずれの国にとりましても利益にならないということで、一つの国の国際通信事業体につきましては決められた決済料金をすべての事業者について適用する、統一計算料金と申しておりますが、こういうやり方がアメリカあたりから発生しまして、今世界的に行われております。我が国においてもそういう形でやられているということでございまして、現実には、これまでのところ最も古くから国際通信事業をやっております、トラフィック的にも一番大きい私どものKDDが主となりまして外国事業体と交渉し、決定された決済料金がそのままKDDを含む我が国の三つの国際通信事業体に適用される、こういう仕組みになっております。  なお、先ほど官報等での告示というようなお話がございました。これは大分以前、特に金本位制に基づく固定相場制というような時期におきまして、これは御存じのITUというのが一つの基準をつくりまして、一定の金の量目というものを観念的に単位といたしまして、それに基づいて国際決済料金のスタンダードを決める、さらにそれが各国利用者からちょうだいする収納料金にも関係してくるという時代がございました。そのころは確かにそういう事情もございましたけれども、御承知のように為替相場が毎日毎日フロートするようになったということ、それからいま一つ各国のそれぞれの通信事業体が利用者からちょうだいする収納料金、これは各国がそれぞれ自分で決める、さらに各国の中で、現在我が国でもそうでありますとおりKDD新規参入の他の二社との間では利用者からちょうだいする料金がばらばらになってきております。そういったことからいたしまして決済料金利用者からいただく料金の関連性も切れてしまいました。そういうことから、そういった国際計算料金の公示というふうなことは事実上意味がないというようなことで、競争開始以前からそういった公示というようなことはなくなっているというような状況になっております。  なお一言つけ加えますと、この国際決済料金との関係で申しますと、かつては我が国外国から国際決済で受け取り超の国でございましたが、二、三年前から日本の発信の電話量がふえてまいり、我が国は払い超の国になってきております。年々、私どもも新規参入の二社の方も対外決済の支払いというものが相当な財務の圧迫要因になってきておりまして、私どもKDDも、今までのいきさつからいたしまして、口幅ったいようでございますが、先頭に立ってそういった支払い超の国との関係の決済料金については引き下げをするように常時努力をいたしておりますし、ぼつぼつそういう成果も上がってきている、こういう状況でございます。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、計算料金を対地国との間で折衝するという意味において、指定事業体というのは、これは私の認識の違いで、そうじゃなくて、その国を代表する国際通信事業体ということで、政府のお墨つきを持ってCCIRであるとか事業体同士の国際会議で折衝する、そういう役割というのは昔も今も変わってないだろう、こういう意味で申し上げたわけなんですが、わかりました。大変厳しい状況にあるのだろうと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  113. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、菅野悦子君。
  114. 菅野悦子

    ○菅野委員 今回の法改正の二つの柱というのは外資規制緩和エクイティーファイナンス、これにあると思うのですけれども、実は、これは一昨年既にNTTの株価対策として議論されているということなんです。  例えば一昨年の十一月二日付の日経新聞なんですけれども、これには「NTT株 売却計画明確に 外国人保有 CB発行も 自民が株主対策」という見出しで、NTT株式に対する信頼を回復するための株主対策ということで、五百万株の市中売却計画、それから外国人株式保有の解禁、それからエクイティーファイナンスを認めることを固めた云々というふうに報道されておりまして、そしてその年の十二月十七日に郵政省と大蔵省で外資規制緩和エクイティーファイナンスについて合意がされている。その前に、大蔵省については毎年五十万のNTT株の放出ということを発表していたというふうな経過があるわけです。  それで、この法案の提案理由ということなんですけれども、国際化などは挙げていらっしゃるのですが、今言いました、この経過に見られるようなNTTの株価対策ということが発端であるというのは明らかだと思うのですけれども、その辺の提案理由は全くないのですね。それはなぜ触れられてないのかなと率直に不思議に思うのですけれども、その点はどうしてなのでしょうか。
  115. 森本哲夫

    森本政府委員 今回の法律改正案というのは、今お話にも出ましたが、平成二年の十二月十七日、この時点で私どもの方でNTT株式の扱いについて郵政省考え方を発表したわけでございます。この中身は二つございまして、一つ外資規制問題を電気通信審議会で検討したいということ、それからエクイティーファイナンス、この二つの問題でございました。これは年が明けて電気通信審議会諮問をいたしまして、平成三年の秋に答申をいただいたものを検討しまして今回法案提出をさせていただいた、こういう経過をたどっておるわけでございます。  今株価対策という問題がございましたが、NTT株式外国人保有の問題というのはかねてからいろいろ議論がございまして、特にNTTからの要望も、これはもう平成二年の夏ごろからも出ておりまして、規制緩和の意味を含めまして郵政省としても検討を重ねてきたのでありますが、さっき申しました平成二年の十二月の時点で、民営化後五年を経た段階で、現行の外資規制のあり 方はひとつ審議会に諮って再検討しようという意思決定をしたわけでございます。同様にまた、エクイティーファイナンスについてもNTTから、今後の市場においてぜひ円滑な資金調達をしたい、しかしこれが、さっきも御説明申し上げて御理解をいただいているところだと思うのでありますが、三分の一政府保有の問題があるものですからいろいろやっかいな問題が生じるということで、この円滑化方策を検討していこう、こういうことで検討して十二月の時点で発表したわけでございます。  いずれにしても、当時、株価が二百万とか三百万のころから比べれば確かに退勢の傾向にありまして、世間の議論は確かにありましたが、ちょうど平成三年度の予算編成期を迎えておりまして、大蔵省でも、売却予定株式についての売却方針を発表するという話がございました。私どもも、かねてこうやって検討しておりましたが、世間の関心を集めているだけに、では、この時期にひとつ私どもとしても発表させていただこうということで、こういう経過を踏んだわけでございます。これは株価対策という視点でやったわけじゃございませんで、お聞きのとおり、あくまでも電気通信行政の政策の問題ということで郵政省としては取り組んでまいったつもりでございます。こうした措置が今後のNTT経営向上であるとか国際化への対応に大変寄与するものだ、こういうふうに理解をしておるところでございます。
  116. 菅野悦子

    ○菅野委員 それでは、私疑問に思いますのは、その一昨年の時点では郵政省さんの態度は必ずしも積極的でなかったわけなんですね。当時の報道を見てみますと、九〇年十一月二十四日付の読売なんですけれども、そこでは、「郵政省は「外人の株保有禁止や、政府の三分の一保有義務は、全国あまねくサービスを提供するNTT利用者の利益などを裏付ける措置。見直しはNTTのあり方の根本にかかわる問題」と法改正を拒否する構えだ。」というふうになっております。また、同じ年の十二月十八日付の朝日では、NTT外資規制緩和エクイティーファイナンスについて、「いずれもNTTが株価テコ入れ策として自民党などに実現を要望していたが、郵政省は、大蔵省などとの協議で反対していた。」というふうになっているんですね。  この一年半の間に反対から賛成に変わっていらっしゃるのかな、そうしたら、どうして変わったのかということを当然疑問に思うわけで、その辺をちょっとわかるように御説明いただけたらと思うのです。
  117. 森本哲夫

    森本政府委員 さっき申しましたように、こうした問題を検討するさなかに、株価の面から、今国内の邦人だけに許されている保有をもっと解禁すれば株が上がるのじゃないか、そういう意味合いでのその新聞紙上におけるような議論があったことは確かでございます。私どもとしては、さっきからるる御説明申し上げておりますように、昭和五十九年の法改正ででき上がったこういう現状を株価の視点でむやみにちょうちょうする性質のものではなかろう。これは日本国際通信政策、大きな国際化への対応をどう考えるかという問題で判断すべきであって、株価の視点でどうこうするような性質のものではない。そういう意味でいろいろ検討をしたり、海外の事情を調査いたしたり、いろいろなことをやっておって、そうしたことの結論をさっき申しました平成二年十二月に、やはりこれは十分検討してみるに値する問題ではないかという確信を得たわけでありまして、そういう意味で発表をし、次の段取りに移っていったということでございます。
  118. 菅野悦子

    ○菅野委員 やりとりしておっても時間が余りありませんからあれですが、この法案は、我が国通信主権を守るという点で、また事実上、政府の保有する株式を三分の一以下にして、高い公共性を持つNTTへの公的関与をさらに後退させるというふうな点でやはり問題があるのではないかと思いまして、これは私どもとしては賛成できかねるなというふうにも思うわけなんです。  法律の構成といたしましても、NTT株式の三分の一は政府に保有義務があるとしながらも、その同じ法律の附則でしり抜け条項といいますか、こういうふうな手法もいかがなものかと思うわけなんですね。  そして、この法案提出に至る経過についても、スタートとしては、さっきも言いましたように、もう公然といろいろな新聞の報道にありますように、NTT郵政省、大蔵省などで、自民党も含めて株価対策という形でスタートしでやってきた。ところが、提案理由はその辺が全然、はっきり盛り込まれていないという点では、国会と国民に対して非常に不誠実な態度ではなかろうかということを指摘しておきたいというふうにも思うわけでございます。  それから、続いてNTTにお聞きしたいと思うのですけれども、今問題になっています株価との関連もあるわけなんですが、NTTの将来像をどうするかということにつきまして、国民にはなかなかわからぬということがあるわけなんですね。特にこれは、社会にとっては神経系統とも言うべき電気通信ネットワークとその事業をどうするかという問題ですから、国民生活に非常に不可欠な、不可分の問題でございますから、その辺でお聞きしたいなと思うのです。  朝からいろいろやりとりを聞いておりまして、お答えの中で、今後は全体としては艦隊といいますか、船団方式でそれぞれの分野を分離、独立したような形で進めていく、そういう方向を何かおっしゃっていたように思いますので、そういうことなのかなということなんですが、今後、分離、子会社化、分社化といいますか、これをどの辺までお進めになるつもりかなということをちょっとお伺いしたいと思うのです。例えば電力、建築部門、あるいは電報業務、公衆電話業務、情報案内業務、電話料金の請求、督促などの営業業務、故障受け付けを含む保守業務とかいろいろあると思うのですけれども、どの辺まで分割なさるつもりなのか。とりわけ、一〇四の番号案内などにつきましては情報案内事業部としてスタートされているようですが、この辺も含めて分離、分社化ということを考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  119. 児島仁

    児島参考人 私どもの会社目的でございますけれども、最初に御質問ございましたが、連合艦隊方式でいこうとも一艦巨砲主義でいこうとも、やはり私どもの使命は、まず、インフラ部門についてはできるだけ安くて壊れにくいサービスを提供していく、これは一貫してやっていこうと思っています。もう一つは、日本経済世界でも大変やきもちをやかれるぐらい強いということは、いろいろな手法を使っておるわけでありますが、最近、コンピューターあるいはコンピューター間の通信の利用方法というのは非常に高度化してまいりまして、しかも、それがコストにできるだけはね返らないように使わせてほしいというのがあります。これは私どもがこたえていかなければならぬ特殊なサービスといいますか、ハイなサービスです。これは技術開発を含めてぜひやっていきたいと思います。と同時に、そういったものも含めて、基本的な研究開発もやはり世界の一流としてやっていかないことには、先ほど来話がありますように、事業運営だけで主権を守るといっても、実は技術の面から突き崩されるということがあります。外国の機械を買わざるを得ない、輸入せざるを得ない。そのためには、やはり世界に冠たる技術力というものを維持していくことが主権を守る基本的な姿であろうと思っています。ですから、この三つをやりたいと思っています。  さて、そういった事業目的に対してやっていくときに、分社化というのを現在やっておりますが、これはけさ方も、その事業運営に二つの考え方があろうかと思いますという御答弁を申し上げましたが、私は分社化というのをやっていくべきだろうと思っております。これはちょっと繰り返しになりますので簡単に申し上げますけれども、機能を独立した会社にして充実をさせて、そこに自由と独立の精神を養い、かつ責任を持って運営してもらうということの方が効率的であり、かつ人事 的にも資本的にもきっちり結びついて、先ほどの三点の目標を共同して達成していくということをしていきたいと思います。  そこで御質問の、今、日程に上がっているのは電力と建築部門の分離はあるようだけれどもその後どうかということでありますが、正直申し上げて、その後の分離計画というものは現在ございません。ただ、正直申しまして、二年、三年前には、NTTの名においてNTTが現実に手を染めてやらなければならぬ仕事というのは基本的には一体何なのだということで事業の総まくりをいたしました。この部分についてはNTTの名においてNTTの職員の手でやっていかなければいかぬというものと、これは独立、分離会社でやらせた方が効率的なものであろうということで、企業務を洗ったのは事実であります。その中で、一〇四を含みますオペレーティング部門もありますし、その他の販売関係のものもございます。しかし、それらを並べた中で、現時点では電力と建築のものまではやるべきであろう。そのあとのものについては、やらないということは現時点で言えないのでありますけれども、近々やるという決定はしておりません。私自身、社長としてその他のものを、これは緊急に切り出していかなければいかぬというものを私としても持っておりません。  お答え申し上げました。
  120. 菅野悦子

    ○菅野委員 先ほどそれぞれNTT事業の中で、コスト性の問題がいろいろ出ておったわけなんですけれども、とりわけ一〇四の番号案内などにつきましては、非常に公共性の高い、NTT事業の中でもとりわけサービス性といいますか、その点では際立っておりまして、採算性とか利益第一ということで考えるとこれはなかなか大変な分野ではなかろうかというふうに思っているわけなんです。  その点で、四月二十二日に児島社長が記者会見でおっしゃっておられるのですが、番号案内の五十円への値上げと深夜の業務を中止するという方向を打ち出していらっしゃる。この中で社長がおっしゃっているのは、値上げの収入がふえるというよりも一〇四を回すケースを値上げによって抑止する、これは毎日新聞が書いていますし、それから読売では、仮に五十円にすれば、収入がふえるより利用件数が減ることで人件費を減らせるというふうな言い方をなさっていらっしゃると報道されているのです。この論理でいきますと、利用者が一〇四をかければかけるほど値上げになるといいますか、値上げによって利用を抑制するというお考えなのかなというふうに思いまして、一〇四は三十円に有料化されたのですけれども、確かに一時的には大分利用が落ちたらしいのですが、東京、大阪など大都市部ではまた有料化前に復帰しているという状況が戻っているという状況がありまして、やはりこのサービスというのは非常に求められているのだと思うのです。不可欠になっているのだろうと思うのです。  そこでお尋ねしたいのですが、内部では一回当たり百円で採算がとれるように合理化を進めると言われているようなんですけれども、社長のお考えとしては、どんどん値上げして抑制しようかなというふうなお考えなのかどうか、その辺をお尋ねいたします。
  121. 児島仁

    児島参考人 ただいま五十円、あるいは夜間の取り扱いの廃止ということを象徴的にお話しになりましたが、その背景について簡単に申し上げたいと思います。  先ほど午前中にも御質問にお答えした中で、市内を三分間十円でかける、その領域だけはおかげさまで大変に合理化が進んでまいりまして、先ほど鳥居先生の御指摘の数字もございましたように、金利は大きゅうございますが、非常に小さく縮んでまいりました。ただ、どうしてもその合理化という格好では解決できない問題が二つあるというふうに申し上げまして、その一つは基本料、これは電話をつけるときのコストと料金をいただくようなランニングコスト、これは到底、制度かあるいは料率を変えないといけないという世界だと思うのです。もう一つは一〇四なんでございます。ただ一〇四の場合は、全く合理化が行き届かない世界だとはやはり考えておりませんで、私どもNTTとしても努力の限りを尽くすべきであろうと思います。  その中で一つ申し上げましたのは、通話を分析いたしますと、夜中はほとんど料飲食店の番号案内が多うございます。これは緊急というよりはちょっと別の種類のものではないか。となれば、私どものオペレーターの方に二十四時間泊まっていただくよりは、やはり夜間は寝てもらうという格好で、このサービスはカットできるのではないかということを、いささか断定的に書かれてしまいましたが、これは勉強しなければいけない。五十円というものも、郵政省の御指導もありまして、ただで番号案内を自分で検索できる機械も随分配りましたのですが、利用度が非常に低うございます。そういったものを持っていらっしゃる方もかけていらっしゃるということであります。これは、少々お金が高くというと大変失礼な言い方でありますけれども、いささか禁止的な意思の働くような金額というものもあり得るべきじゃないかということを考えて、ああいう発言になったわけでございます。  しかも、今番号案内だけに従事している女子職員が一万八千名ぐらいおりますが、これはコンピューターとの取り組み、端末との取り組みでありまして、仕事も非常に単純で疲れることもあると思います。私は、そこで人を減らして、これを首を切るということではなくて、ほかの仕事にシフトしていく。トータルで今採用も減らしておるわけでありますから、どこかで給源を生み出して必要なところに回していくというのは非常に大事なことでありまして、そういったことを意図しておるということです。  それから最後にもう一つ申し上げますが、百円取りたいということではなくて、今二百円プラス・マイナス・アルファぐらいのコストがかかっておりますが、何とか合理化で、機械を全部入れかえるということも含めて百円ぐらいのコストにならぬものだろうか、それをねらっていきたいという意味で百円という数字が出ておるのであります。  以上、お答え申し上げました。
  122. 菅野悦子

    ○菅野委員 私、先日大阪の情報案内センターにお伺いいたしまして、中をいろいろと見させていただいたのです。その際に感じたことなんですけれども、オペレーター、今はコミュニケーターと呼ぶようなんですが、本当に大変過密な仕事をなさっているのですね。今も社長は疲れているようだとおっしゃっておりましたが、一人のコミュニケーターが六十分の間に取り扱う件数というのが七十三・八回。一回当たりの問い合わせで、住所、名前を聞いてコンピューターで検索して案内して、そしてちゃんとお答えするので、そういうふうな作業をNTT等の資料でも、平均四十二・二秒で私の行ったところはやっていらっしゃるということで、それにもかかわらず現場では、あと一秒、二秒、三秒、何とか秒単位でもっと縮まらぬかとかいうふうな、取り扱い時間を削れ、そういう指導がされているということもありますし、どこを削るのかなと現場を見ている私たちにしてはすごく思うのですけれども、そういうふうな状況になっている。  番号案内というのはコンピューターで検索する作業ですから、いわゆるVDT作業なんですね。これは労働者の健康を守るという観点から労働省の方もガイドラインを定めてやっているわけなんですけれども、この中でこのVDT作業については作業休止時間というのを設けることになっているのです。作業休止時間に二つありまして、もう釈迦に説法がとも思いますが、連続作業時間一時間について十ないし十五分という作業休止時間と、それから連続作業時間内において一、二回程度の小休止を設けるということが言われているのです。この作業休止時間は、作業を中断して体を動かし、簡単な体操を行うことができるというふうにそのガイドラインにきちっと書いているのですけれども、私は四階、五階、六階、すべての階 をずっと見させてもらったのですが、実際体を動かしてリラックスタイムをとっているというふうな人はだれも見受けなかったのですね。  それでお尋ねしたいのですけれども、NTTとしてこの小休止についてどんな御指導をなされているのかなというのをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  123. 和田紀夫

    ○和田参考人 お答え申し上げます。  NTTにおきますVDT作業に関しましては、労働省の指針を踏まえておりまして、さらに社内に専門の医師の皆さん方によるプロジェクトを設けまして、その答申に基づきまして一連続作業時間あるいは作業休止時間というものを内規で決めておりまして、それに基づきまして遺漏のない対処をしておるところでございます。  先生今御指摘の二つ目の小休止についてでございますが、労働省の指針の中では、間断ない連続的なVDT作業を専ら行う場合には作業中に一、二分間の作業休止時間を設けなさい、こういうふうになっております。私どもの電話番号案内業務につきましては、断続的にトラフィックが入ってくる、呼びが入ってくるという特殊性がございます。したがいまして、社員自身の工夫によって体をリラックスさせることが可能でありますので、決められた時間にセットはいたしておりませんが、各事業所におきまして作業従業者に対しましてVDT教育の中で具体的なリラクセーションの方法について指導し、対処しておるというのが現状でございます。  お答え申し上げました。
  124. 菅野悦子

    ○菅野委員 そこなんですよ、本当に。実態は、断続作業だと言いますけれども、処理時間を一秒でも短く、こういうことになっておりまして、レシーバーをつけておりますから、あいたらすぐぱっと入るのです。私たち見ましたら、待呼というのが回数が出るのです。それは皆さんもおかけになったらわかるように、一〇四を回してもなかなかかからないという状況があるように、大体満杯なんです。ですから、レシバーをかけている間はずっと、ぴっと入る。三秒答えなかったら注意が来るという状況ですからね。ですからそういう点では、ずっとかけっ放しで、しかも指導としては必ず手はキーの上に置いて待っておけということですし、今も言いましたように六十分に七十三・八回の案内をこなしているという状況ですから、実際は、とてもじゃないけれども、自分自身、それぞれが独自の判断で小休止、リラックスタイムをとってという状況ではないという状況なんです。指導自身が、応対が一、二秒、もうちょっと短くならぬかというぐらいの指導をやっているわけなんですから。私たちも聞きました、これでいつ小休止できるのですかと。座っていて、はい、一〇四でございます、でちょっと背伸びするのもリラックスできるのじゃないですかみたいな、そんな応答になっているのです。  ですから、これでは労働省の言う、「VDT作業の労働衛生実務」という本に書いている小休止にはなっていないということが実態ではないかというふうに思うのです。ここに書いているのは、小休止は一、二分程度のものということになっておりまして、時間も定めないで作業者が自由にとれるようにすることが肝要であるということですから、自分の判断で作業者が自由にとる、これは実態としては、とてもじゃないけれどもそうなっていないということを御理解いただいて、天下のNTTですから、このガイドラインに沿った御指導をぜひやっていただきたいということをお願いしたいのです。小休止については、時間を定めないで、作業者が自由にとれるようにすることが肝要であると書いております。この点どうでしょう。労働省のガイドライン及びこの解説、これを遵守していただけるのかどうか。労働省の方では、それぞれきちっと全国的に、特に大阪、東京ではこれで研修をしていますというふうにおっしゃっておられましたけれども、その点いかがでしょうか。
  125. 和田紀夫

    ○和田参考人 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、労働省の指針に基づきまして、私ども内規で決めておりますとおり遵守してやっていきたいと思っております。
  126. 菅野悦子

    ○菅野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それから、これは質問というよりもぜひ聞いておいていただきたいなと思うのですけれども、そのときに、行ってみたら、旧西情案の社屋なんですが、休憩室が男女共用になっていたのです。もちろん、女性が圧倒的な職場ですから女性がいっぱいいるのですけれども、その中に男性の方も入れるようになっています。えっ、両方、男女一緒なんですかと言ったら、いやいや、男性は管理職だけですから、こういうふうにおっしゃっておられましたけれども、NTTさんの中に男女共用で使うような休憩室があるということ自身が問題ではないかというふうに思いますので、ぜひこれは別にしていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  それから、あわせてぜひ言っておきたいのです。  かつて電電公社の時代に電話交換手で大量の頸腕障害が出まして苦い経験があるわけなんですけれども、この大阪西情案の健康アンケートでも、目が疲れるという人が八四%、視力が低下したという人が四四・六%、かすむという人が三四・九%。半分以上が、腕がしびれるとか、手首とか指がしびれるとか痛いとか言っております。だから、やはりVDT作業に起因する症状が出ているなということを率直に感じるわけなんです。社長はこの番号案内につきましては四、五百億円設備投資をしてぜひ合理化をというふうな御意向のようでございますけれども、労働者の健康を犠牲にしてまでの合理化ではなかろう、労働強化ではなかろうと思っておるのですけれども、その点はどういうふうにお考えか。時間がございませんので簡単にお願いしたいと思います。
  127. 児島仁

    児島参考人 かねてから私は労働強化による合理化というものは邪道だと思っております。合理的な考え方に基づいて合理的な手段をもって能率を最大に発揮していただくということをずっと考え続けておりますので、先生の御趣旨をよく頭の中に入れて今後運営していきたいと思います。
  128. 菅野悦子

    ○菅野委員 あと一分ありますので最後にもう一つだけお聞きしたいと思いますのは、大きな社会問題になっておりますダイヤルQ2の問題なんです。  これは、日本弁護士連合会がことしの三月十三日に意見書を出しております。この内容を具体的に繰り返せないのですけれども、加入者がNTTに利用を申し込んだ場合にのみ利用できるようにして、かつ暗証番号を導入するとか、料金回収代行業務は手数料を得て行う債務回収業とも言えますのでNTTとしてやるべきでないのではないかとか、NTTからIPに対する加入者情報の通知の廃止とか苦情処理体制の整備などのことが言われているのです。日弁連という社会的にも権威のある法律団体からダイヤルQ2についてそういう抜本的な改善を求めたらどうかという意見書が出されたわけなんですけれども、この点につきまして社長はどうお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  129. 澤田茂生

    ○澤田参考人 お答え申し上げます。  簡単に必要な情報を入手できるということで私どものダイヤルQ2というサービスを提供いたしたわけで、このメリットというものを生かすようにということでいろいろ工夫をいたしました。  しかし、先生指摘の日弁連からの意見書もございまして、それまでにも番組についての苦情、御意見等をたくさんいただいたことも事実でございまして、私どもこれを受けましていろいろな対策を実は講じてまいりました。  例えば、利用したくないという方にはその電話番号を、そこからはダイヤルQ2はかけられないようにブロッキングするとか、評判の悪い「ツーショット」というようなものはやらないようにするとか、「パーティーライン」というようなものが余り変な形で使われないように料金の上限額を制限するとか、子供がたくさん使ってという問題もございましたので、おたくの場合高額になっているけれどもダイヤルQ2でそういう問題はござ いませんかというようなことを、注意喚起のためにも御通知をするというようなこともございます。いろいろお客様の御意見も受け入れる体制も整ってきたわけでありますが、日弁連の御意見の中にもございましたいろいろな改革案もひとつ参考にさせていただくということでございますけれども、ジャンル別の利用規制ができるようなことも私どもなりに検討いたしております。  私どもといたしましては、このダイヤルQ2というのが、だれでもいつでも利用できる、そして情報社会の中である意味では価値のあるものとして発展していくように育ててまいりたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  130. 菅野悦子

    ○菅野委員 改善をしていただきたいと思います。  終わります。
  131. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  132. 谷垣禎一

    谷垣委員長 本案に対し、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  135. 谷垣禎一

    谷垣委員長 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。渡辺郵政大臣。     —————————————  電波法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  136. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における電波利用の増加等の状況にかんがみ、電波の適正な利用の確保に関し郵政大臣無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用の財源に充てるために免許人から電波利用料を徴収することとするとともに、電波有効利用促進センターの業務に電波の有効かつ適正な利用の促進を図るための情報の収集及び提供の業務を追加する等のための所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、電波有効利用促進センターの業務として、無線局の周波数の指定の変更に関する事項、電波の能率的な利用に著しく資する設備に関する事項その他の電波の有効かつ適正な利用に寄与する事項について情報の収集及び提供を行うこと等を追加することとしております。  第二に、免許人は、電波利用共益費用の財源に充てるために免許人が負担すべき金銭として、電波利用料を納付しなければならないこととし、無線局の区分に応じてその額を定めるとともに、前納、督促等について所要の規定を定めることとしております。  第三に、地方公共団体が開設する消防用の無線局等については、電波利用料を減免することとしております。  第四に、政府は、原則として、毎会計年度の電波利用料の収入額の予算額に相当する金額を、予算で定めるところにより、電波利用共益費用の財源に充てるものとするとともに、必要があると認められるときは、前年度以前の各年度の電波利用料の収入額の決算額に相当する金額を合算した額から前年度以前の各年度の電波利用共益費用の決算額を合算した額を控除した額に相当する金額の全部または一部を、予算で定めるところにより、当該年度の電波利用共益費用の財源に充てるものとすることとしております。  以上のほか、所要の規定を整備することとしております。  なお、この法律は、平成五年四月一日から施行することとしておりますが、電波有効利用促進センターの業務追加に関する改正規定は、公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  137. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会