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1992-05-12 第123回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十二日(火曜日)     午前九時三十分開議 出席委員   委員長 谷垣 禎一君    理事 川崎 二郎君 理事 佐田玄一郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 原田 義昭君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 大木 正吾君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    今枝 敬雄君       大野 功統君    狩野  勝君       古賀 一成君    鈴木 恒夫君       深谷 隆司君    真鍋 光広君       松岡 利勝君    森  英介君       山本  拓君    石井  智君       上田  哲君    北川 昌典君       鈴木  久君    田中 昭一君       田並 胤明君    武部  文君       山下洲夫君    石田 祝稔君       鳥居 一雄君    菅野 悦子君       中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君  出席政府委員         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房審 金澤  薫君         議官         郵政大臣官房人 谷  公士君         事部長         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         郵政省郵務局長 早田 利雄君         郵政小電気通信 森本 哲夫君         局長         郵政省放送行政 小野沢知之君         局長         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長  委員外出席者         郵政大臣官房資 江川 晃正君         材部長         会計検査院事務 坂井 一輔君         総長官房審議官         逓信委員会調査 辛島 一治君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   中井  洽君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     中井  洽君 同月二十二日  辞任         補欠選任   田中 昭一君     大畠 章宏君 同日  辞任         補欠選任   大畠 章宏君     田中 昭一君 五月十二日  辞任         補欠選任   小林 興起君     狩野  勝君   田並 胤明君     石井  智君   山下洲夫君     北川 昌典君   吉岡 賢治君     鈴木  久君   坂井 弘一君     石田 祝稔君 同日  辞任         補欠選任   狩野  勝君     小林 興起君   石井  智君     田並 胤明君   北川 昌典君     山下洲夫君   鈴木  久君     吉岡 賢治君   石田 祝稔君     坂井 弘一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第五  六号)(参議院送付)  お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五七号)(参議院送付  )  日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法  律案内閣提出第八二号)      ――――◇―――――
  2. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  郵便法の一部を改正する法律案お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
  3. 松岡利勝

    松岡委員 松岡利勝でございます。  私は、かねてから逓信委員会に入らせていただきたいと非常に強く念願をいたしておりました。おかげさまで念願をかなえていただきまして今国会から所属をさせていただくことになりまして、大変感謝を申し上げておりますと同時に、日夜郵政行政の推進に大変御奮闘なされておられます大臣初め関係の各位に心から敬意を表する次第でございます。今後ともひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  それでは質疑に移らせていただきます。  まず最初に、今回の郵便法の一部改正ということでございますけれども、これは第三種郵便物制度適正化、こういった観点からこの改正が目指されたというふうに承っておるわけでございますが、端的に申しまして、今回改正趣旨といったものをまず最初にお伺いしたいと思うのでありますが、よろしくお願いします。
  4. 早田利雄

    早田政府委員 御承知のように、第三種郵便物制度は、国民文化普及向上に資すると認められます定期刊行物郵送料につきまして安くいたしまして、購読される方の負担軽減を図るということによりまして、もって社会、文化の発展に資するという趣旨で設けられたものでございます。そのような趣旨から、第三種郵便物につきましては、他の郵便利用者負担のもとに、特に低廉な料金、安い料金というふうにされておりますところから、やはり利用者負担の公平を確保するという点、そしてまた第三種郵便物趣旨を維持するためにも、制度につきましてはこれを厳正かつ的確な運用が必要だというふうに認識しているところでございます。  このような観点から郵便法改正いたしまして、第三種郵便物認可をいたしました定期刊行物がその条件を備えているかどうかということにつきまして的確に把握できるようにするとともに、また円滑な事務実施に資するために指定調査機関を設けようというのがこの法律案改正趣旨でございます。
  5. 松岡利勝

    松岡委員 そこで、次にお伺いいたしますが、昨年末、第三種郵便物の取り扱いについて会計検査院の方から御指摘があったということでございます。その御指摘のあった内容、さらにまた郵政省としてそれにどう対応されていこうとされておるのか、さらにまたその第三種郵便物年間認可件数、そしてまた現在認可を受けている定期刊行物の数年間認可取り消し件数、この点についてちょっとお伺いいたしたいと思うのであります。
  6. 早田利雄

    早田政府委員 昨年末、会計検査院から第三種郵便物制度につきまして改善意見表示を受けたわけでございますけれども、大きく分けまして三点ございます。  その第一点目といたしましては、第三種郵便物として差し出される定期刊行物の中には、商品の販売等を主な目的とする定期刊行物というように思われるものがございまして、内容的に第三種郵便物制度趣旨に沿わない、こういうふうに思われるものが二十七件あるということが第一点目でございます。  第二点目といたしまして、第三種郵便物として差し出される定期刊行物、これは今後もますます多種多様化していく、そしてまたふえていくだろうというふうに予想されておりまして、これらに対応した認可後の監査等を十分に行うということにつきましては、現在の体制ではますます困難になっていくのじゃなかろうかというのが第二の指摘でございます。  そして、そういうことから、第三点目といたしまして、認可後の監査体制を見直しする、そしてその整備を図るということと同時に、定期刊行物ごとに出す局、引受局を限定いたしまして、引き受けたときの検査充実を図るということの方策を講じまして、そして制度の適切な運用を図らなければならない、こういう御指摘でございまして、郵政省といたしましてはこの指摘趣旨を踏まえまして、まず会計検査院と同じような観点から、指摘を受けました二十七件の定期刊行物を初め疑義のあるものにつきまして改めて点検を実施しているところでございます。  そしてまた、認可後の監査などを十分行うことができるようにするため、定期監査実施あるいは指定調査機関調査業務を行わせることなどを内容といたします郵便法改正を現在お願いしているところでございます。また、引き受け時の検査を十分行うことができるように定期刊行物ごと引受郵便局を限定するための郵便規則改正につきましては現在検討中でございます。  そしてまた、年間認可件数、現在の認可の数ということにつきましては、最近大体四百件から五百件程度毎年認可しておりまして、平成二年度を例にとりますと四百二十九件ということになっております。そういうことで、第三種郵便物認可を受けております定期刊行物というのは年々増加しておりまして、平成二年度末現在で一万四千七百四十件というふうになっております。一方、認可取り消し件数、これは、私ども監査の結果取り消すということよりも、発行人の側の廃刊といいますか、それからまた自主的な認可の取り下げというのが大半でございますけれども、毎年二百件から三百件程度平成二年度に例をとりますと二百三十九件ということで、平均いたしますと大体二百件程度毎年ふえていっているという状況でございます。
  7. 松岡利勝

    松岡委員 第三種郵便物認可を受けますためには、郵便法郵便規則、そういったものがありまして一定の条件を具備することが必要とされておるわけでありますが、今回の改正によりましてこの現行の認可条件を変えることになるのかならないのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思うのであります。
  8. 早田利雄

    早田政府委員 今回の郵便法改正目的につきましては、先ほど申し上げましたように、第三種郵便物監査体制整備充実を図ろうとするものでございまして、第三種郵便物認可条件につきましては郵便法の第二十三条第三項にいろいろ規定がございまして、例えば「毎月一回以上号を逐って定期発行するものである」とかいうような規定があるわけでございますけれども、この規定につきましては一つ変更しておりません。またこれに関連いたします郵便規則第二十条の二という規定があるわけですけれども、これにつきましても改正はいたしておりません。そういう意味では認可条件につきましては従来と変わらない、ただ監査体制整備充実を図る、こういう趣旨でございます。
  9. 松岡利勝

    松岡委員 その点はよくわかりました。  そこで、今回の法改正によりまして認可後の定期刊行物について定期監査を行うこととなる、そういうわけでございますけれども定期とはどのような期間を予定されておられるのか、また、これまでの監査方法とこれから以降の監査方法、そこについてどう違うのか、その差異、そういうものについて明らかにしていただきたいとお願いいたします。
  10. 早田利雄

    早田政府委員 今回の改正によりまして定期監査を行うことになるわけでございますけれども、第三種郵便物認可をいたしました定期刊行物監査方法につきましては、これまでは、第三種郵便物認可条件を具備しているかどうか、認可条件に合っているかどうかということを確認するために、発行の都度、その号を出された都度すべての定期刊行物につきまして見本を郵政局郵便局提出をいただいておるわけです。そのほか、現在の規定では、必要があると認めた定期刊行物につきまして、その都度発行状況、例えば発行部数に関する報告であるとか、私どもの第三種郵便物認可条件といたしまして八割以上の有料購入者がいるというのが一つ条件になっておりますので、そういう有料で販売されていることを証明する資料、このような資料等提出を求めるというふうにしていたものでございます。  それで、今後は、発行の都度すべての定期刊行物につきまして提出を求める、出していただくということについては今までどおりでございまして、そのほかに、先ほど言いました随時にといいますか必要があると認めたときの監査につきまして、定期ということで定期的に、当面は一年に一回程度を予定しておりますけれども、必要な報告であるとかまたは資料提出というものを求めたい、こういうふうにしているところでございます。  今回の改正によりましても認可条件変更はないということを先ほど御説明申し上げたわけでございますけれども、そういうところから、認可条件を備えているかどうかということを確認するという監査内容につきましては従来と同じでございまして、内容については一つ変更はないというものでございます。  また、定期監査の周期というのを当面一年に一回ということを予定しておるわけでございますけれども、これは、一つには資料等を出されます発行人の方の負担を考えたということ、そしてまた私ども郵政省側におきます事務負担も考慮いたしまして、そういうところを総合的に勘案した結果、当面一年に一回というようにしたわけでございます。
  11. 松岡利勝

    松岡委員 それでは次に移りたいと思いますが、資料提出がなかった場合や、また、監査の結果、条件を具備していないと判断された場合、そういった場合もあると思うわけでございますけれども、そういう場合、その認可を取り消すことができるということになっておるわけであります。その場合の取り消しはどのような手続で行うことになるのか、さらにまた、一番の問題でありますけれども、抜き打ち的に突然取り消すといったようなことがないように運用すべきであるし、またそうでなくてはならない、こう思うわけでございますけれども、この点につきましての郵政省のお考え方をちょっときちっと伺っておきたいと思うのであります。
  12. 早田利雄

    早田政府委員 現在、第三種郵便物認可をした刊行物認可条件を具備しないというふうに認められるときにはどういうふうな手続をとっているかということを申し上げますと、まず、その発行されている方、発行人の方に、具体的にどの条件が具備していないのか、例えば発行部数規定の数ないとかあるいは定期発行されていないとか、そのような具体的にどの条件がだめかということも含めまして連絡をいたしまして、発行人の方にできるだけ速やかな改善を求めているということでございます。そういうことで、次号あるいは若干の猶予期間を置きまして、なおそれでも改善されない場合、その場合には、さらに予告といいますか、このままでは認可取り消しますよという予告をいたしまして、そしてそれでも条件を具備されない場合に認可取り消しという手段に訴えておりますので、今御指摘のような抜き打ち的に突然取り消すといったことは現在までも やっておりませんし、今後の問題につきましても、今回の郵便法改正後におきましても、第三種郵便物認可取り消しに当たりましては、今までと同じような手続実施する予定でございまして、今後とも適切な制度運用に努めてまいりまして、少なくとも、その抜き打ち的に突然取り消すといったようなことのないようやっていきたいというふうに思っているところでございます。
  13. 松岡利勝

    松岡委員 その点は十分よろしくお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、第三種郵便物制度適正化といいますか、そういう観点での今回の郵便法の一部改正、この点について、ちょっと私なりに総括的にお尋ねをしたいわけでございます。これはぜひ大臣にも御答弁お願いしたいわけでございますが、まず、今回の郵便法改正につきまして、日本新聞協会からもある種の懸念といいますか、問題提起がなされておるわけでございます。  実は、私は熊本地元でございますけれども熊本日日新聞、これは地元紙でございますが、大変熊本では有力な新聞でございます。そこの社長永野社長とおっしゃるわけでありますけれども地元でも大変徳望の高い方でございまして、私も日ごろ大変御尊敬申し上げておる、そういった方でございます。先般お見えになりまして、新聞協会で御懸念をされておる、そういった観点から、同じようなお話を私もいただいたわけであります。  そこで、その新聞協会の御懸念といいますのは、もう既に大臣も御存じであろうと思うのでありますが、今回の改正が、第三種郵便物制度監査を通じましてあたかも新聞郵政省監督下に置くような、そういう内容であるのではないか、これは新聞発行の自由にかかわる重大な問題だと思うのです、一言で言いますとこのようなお話も私地元熊日永野社長からも承ったわけでありまして、そういった懸念というのは、これはやはり大変問題でございます。  そこで、そういった懸念について、今回の郵便法改正趣旨といったものがどういうことなのか、ひとつ大臣から、こういった御懸念に対しましての考え方というものの御答弁お願いしたいと思うのでありますが、よろしくお願いいたします。
  14. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  この郵便法改正は、今郵務局長からるる御説明を申し上げたり、あるいはまた改正点について、その内容は今委員が御指摘をされたことにお答えをしているとおりでして、それ以上のものもありませんし、それ以下のものもないということでありまして、この法案は、第三種郵便物認可を受けた定期刊行物がその条件を具備しているかどうかについて監査を適正に行おうとするもので、今までもやってきたことを言うならば整理をしよう、こういうことであるわけでして、第三種郵便物制度の適正な運用を図るための措置である。  郵政省としては、一般の普通料金を払っている人たちのある程度負担の中で第三種郵便物というのが賄われているわけですね。ですから、そういう実態から考えてみますと、利用者あるいはまた国民に対して、こういう適正な、今おっしゃるような過度な監査はいけませんけれども、またできるはずもありませんね。それは、報道の自由、表現の自由、言論の自由という憲法に基づいた精神に反して政府がその憲法を踏みにじるようなことはあるまじきことですし、またあってはなりませんし、またできもしないことですね。しかしまたそういう懸念を与えることもよくない。これは十二分に私どもが注意をして、しかしながら、今申し上げた利用者負担の中で行われているという制度であるから、当事者として、行政機関としてはその責任を果たす必要がある、そういう範疇における問題であるということを、ぜひひとつ地元のその徳望高い新聞社社長さんには御説明お願い申し上げたいと思うわけであります。  今までの第三種郵便物認可条件を何ら変更するものでない。私どもとしては、新聞郵政省監督下に置くとか、あるいはまた言論新聞発行の自由、表現の自由を侵すというようなことを毛頭考えない、また考えていないことでありますということを申し上げながら、協会がそういうことを指摘していることについて、全く当たらないことだ。私は、公式にも非公式にも何回かお会いしております。そのときもよく申し上げてあります。したがって、こういう御指摘を受けたことはちょっと私としても残念だと思っておりますし、その私の気持ちも伝えてあります。
  15. 松岡利勝

    松岡委員 御趣旨はよく承りました。  そこで、重ねてお願いでございますけれども、やはりそういった御懸念があるということに対しましては、今後とも、この法改正後、また法改正審議の過程を通じまして、その間におきましても十分関係のところに御理解いただくように、郵政御当局のまた特段のそういう御配慮もお願いをしておきたいと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。  次に移りたいと思いますが、現在、地球環境ということが非常に世界的に叫ばれておりますし、大変な課題になっております。こうしたときに、今回のお年玉付郵便葉書等に関する法律の一部改正を行う、そしてまた地球環境保全事業にも寄附金配分ができるようにするということでございますが、これは大変時宜にかなったことだと思うわけでございます。  そこで、具体的にはどのような団体にその配分をすることになるのか、また寄附金はどの程度の額をどのような方法で募ることになるのか、この点についてお伺いをいたします。
  16. 早田利雄

    早田政府委員 今お尋ねございました地球環境保全事業を行う団体といたしましてはいろいろございまして、先生もよく御承知だと思いますけれども、例えば森林資源保全のための植林事業であるとか、オゾン層の保護に関する調査研究であるとか、あるいはまた省エネルギーに関する研究開発等さまざまな事業を行う団体があるわけでございます。  具体的に、じゃ、私ども法改正が終わりました後に、集めました寄附金をどのような団体配分するかにつきましては、実はこれは配分申請を受けまして、そしてまた当該団体の行う事業を所管する省庁の意見ということも踏まえまして決定するということになっておりますので、現段階でどの団体にというようなことは現在では言えないというのが実態でございます。  そしてまた二点目の、寄附金をどういうふうにして募集するのかという募集の方法につきましては、私ども実はこの寄附金つき広告つきはがきというのを再生紙で調製しようというふうに考えております。そして企業からの申し込みによりましてこれを発行いたしまして、寄附金を一枚につき四円をつける。実は広告つきはがきというのは、企業から十円いただきまして、四十一円のものを、本来は三十一円ですけれども印刷代その他に五円ということで、お客様には現在三十六円でエコーはがきを売っておるわけですけれども、それを四十円でお売りしまして、その差額の四円につきましては寄附金という形でいただきまして、これを集めて先ほどの地球環境保全を行う団体寄附をしたい、こういうことでございます。  実際どれくらい集まることになるのかということにつきましては、これはまだやってみなければわからない部分があるわけでございますけれども、先ほどお話し申し上げました広告つきはがきにつきましては、最近におきましては年間約八千万枚程度発行されております。そういうことからいきますと、仮に三割が先ほどお話ししました寄附金つき広告つきはがきというふうになった場合には約一億円の寄附金額になろうかというふうに思います。  実際に、じゃ、企業等の反応はどうかという点でございますけれども法改正はこれからでございますけれども、既に企業からの照会も受けておりますし、相当関心も高いということから、現在、今まで広告つきはがきとして御利用いただいている企業の方の相当程度広告つき寄附金つきはがきの方に振りかえるのじゃなかろうかというふうに予想しておりますし、またこれまで御利用のなかった企業等からも新たな申し込みがあるというふうに私ども予想しておりますし、この施策についてはさらに周知に努めたい、かように思っておるところでございます。
  17. 松岡利勝

    松岡委員 先ほども申し上げたわけでありますが、大変時宜にかなった意義の深いことでございますので、十分御成果上がりますようにひとつお取り組みをお進めいただきたいと思います。  次に移りますが、地球環境保全のための寄附金をつけた広告つきはがき、これはまた趣旨に合わせて再生紙を使用する、こういうようなお考えのようでございますが、その調達コストはどういうことで見込んでおられるのか、また古紙供給量、またこれの確保状況、品質、そういったものについては大丈夫なのかどうか、その点についてお伺いいたします。
  18. 江川晃正

    江川説明員 調達コストのことでございますが、高くなる要因と安くなる要因とございまして、それを相殺すると結論的にどのぐらいかというふうに申し上げますと、用紙だけの議論でいくと一〇%ぐらいは高くなるのではないかと予測されます。  どういうことかといいますと、高くなる要因の方は、生産効率がちょっと落ちたりいたします。それから、損紙率、紙が損失されていくという部分がある。そういうようなのもマイナス要因になりますが、古紙を使うわけですから、純生パルプバージンパルプと言っておりますが、そのパルプを使わないわけです。その部分が安くなる方にききます。そういうことで、引き算いたしますと、まず企業努力ども含めますと、先ほど申しましたように一〇%ぐらいになる。しかし、それは用紙そのもの議論でして、はがきとしての製品になりますと、製造のための労務費とか事務費とかその辺が共通になりますから、それがもう一つまた安くきいできます。結論的にはがきとして仕上がる段階になりますと一〇%よりはもう少し、我々としたら四、五%のアップで済むのではないかというふうに計算しているところでございます。  それから二つ目の古紙供給量の確保はどうなのかということですが、今回我々が郵務局で計画しておりますこのはがき発行するに当たっての必要な紙のトン数、それは七十数トンとかそのぐらいなんですが、それの四割ぐらいを古紙を入れようというふうに考えますと、四、七、二十八で三十トン切るぐらいになります。今世の中で回収されております古紙の量が二百九十万トンとか、それから、ちょっと率の悪い上質紙の古紙回収が百二十万トン弱とか、それを両方使うわけですが、そういうことでいきますと、年間でそれだけ回収されているわけです。その中でのわずかといいますか、三十万トンぐらいの話ですから十分ありますというふうに言えると思います。  それから、ではその品質はどうかということですが、今実は品質につきましては郵政研究所などでいろいろなメーカーの古紙を調査しているところです。紙の強さとか厚さとか印刷適性だとか、あるいは機械にかけますから機械にかけたときの紙粉、紙の粉ですが、そういうものが出る出ない、ジャミングを起こしやすい起こしにくい、そういう部分、いろいろ調査しております。十分対応できるというふうに中間的な評価を得ているところでございます。
  19. 松岡利勝

    松岡委員 それで、最後の質問に移らせていただきたいわけでありますが、去る四月十五日から十七日までの間に東京におきまして、もう御案内のとおりでございますけれども、竹下元総理、海部前総理、さらに経団連の平岩会長、こういった方々のホストのもとで地球環境賢人会議が開催されておりまして、そして六月の地球サミットに向けて最大の懸案となっております資金問題が討議をされたわけでございますが、郵政省とされましても、国際貢献の立場から広告つきはがきに限らず寄附金つきの記念切手、こういうものを発行し、地球環境保全について啓蒙するとともに、広く寄附金を募って地球環境保全事業を支援する、そういうようなことを御検討なさってはどうか。これはそういったことをちょっと申し上げて、大臣、この地球環境問題に対してどのようにお考えになっておられるかお伺いして質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  20. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  平成四年度におきまして再生紙で調整した寄附金つき広告つきはがき発行いたしまして、地球環境保全事業を行う団体を支援するということにいたしております。  郵政省としましては、地球環境問題に対して、これはもう国を挙げて、政府を挙げて、あるいはまた地球的規模でということにもなっておりますし、当然我が省として強い関心を持ち、できるだけの協力をいたしたいと思っているところでありますが、地球環境保全に資するための、今委員がいろいろ御指摘されましたが、寄附金つき切手を発行するについては、国民の関心度といいますか、そういうものにやはり結びつけていかないと、こちらだけの気持ちでもいけませんので、ぜひ相まってこの関心度を高め、今後、おっしゃられるようないい、ある意味における貢献策といいましょうか、そういうものができるように前向きに大いに検討してまいりたいと思っております。  いろいろ示唆に富んだ御提言もありがたく、お礼を申し上げながら答弁といたします。
  21. 松岡利勝

    松岡委員 それでは、これにて質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  22. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、上田利正君。
  23. 上田利正

    上田(利)委員 きょうは、郵便二法の逓信委員会、我が委員会の審査に当たりまして、忙しい中を自治省からもおいでいただいておりますし、また会計検査院からもおいでをいただいておりまして、冒頭、感謝を申し上げる次第でございます。  先ほど松岡委員からも御指摘がございましたけれども、今回の郵便二法、とりわけ郵便法の一部改正法案、これにつきましては日本新聞協会あるいは日本機関紙協会から意見具申もございまして、実は私のところにも、これらにつきましての要望なり疑義なりがたくさん寄せられてきております。先ほど大臣からも、松岡委員の質問に対しまして御答弁がございましたけれども、これらの要望、疑義が来ておりますから、これを踏まえてこれから私は何点かの問題点について御質問をさせていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、大変忙しい中をおいでいただきました会計検査院にまずお伺いをしたいわけでございますけれども、昨年でございますけれども、今回会計検査院が第三種郵便物につきまして調査をなされました。調べますと、会計検査院は、第三種郵便物だけではございませんけれども、昭和五十五年、ちょうど今から十年前に郵政省に調査に入られまして、いろいろと精査をなされたようでございます。そして改善意見表示どもされたようでございますけれども、十年前に調査をやっていただきながら、なぜ今回特にこの検査実施することになったのか、実施をしなければならない事例でも何か発生したのかどうなのか、動機及び理由についてまずお伺いしたいというのが一点でございます。  二つ目の問題は、検査観点もあわせてお伺いしたいわけでございますけれども、昨年末、会計検査院が第三種郵便物についての調査に入られて、その調査の結果をまとめまして、渡辺郵政大臣に対しまして改善意見表示を行っておられますね。この意見表示の、たくさんあると思うのでございますけれども、その概要について、時間の関係もございますから概要について二つ目にお伺いをしたい。二点をまずお伺いをいたします。
  24. 坂井一輔

    坂井会計検査院説明員 お答えいたします。  第三種郵便物につきましては、昭和五十五年に調査をいたしましたけれども、その後十年余りが経過いたしまして、郵便物を取り巻く情勢もかなり変化してきております。特に、商品カタログ等のダイレクトメール、これの郵便物全体に占めます割合が年々高くなってきております。ところが、いわゆるダイレクトメールが第三種郵便物として差し出されているものが見受けられましたので、当会計検査院におきまして第三種郵便物実態がどうなっておるか、それからまた、認可をした後の監査体制がどういうふうになっているかというふうなことを調査をいたしました。  検査観点といたしましては、郵便法あるいは郵便規則にこの第三種郵便物の法定条件が定められておりますけれども、この法定条件に沿って、認可というよりもむしろ認可をした後の見直しといいますか監査が適正に行われておるかどうかというふうな観点から調査をいたしたわけでございます。  調査の結果でございますけれども、東京郵政局ほか二郵政局におきまして調査しましたが、調査をした中で、これはどう見ても商品の販売を主たる目的としたものでありまして第三種郵便物に該当しないというふうなものが二十七件見受けられました。このような事態を生じましたのは、主として地方郵政局等におきますところの、先ほど申しましたように、認可後の監査体制整備されておらないことが主たる原因であるというふうに認められましたので、郵政省に対しまして、第三種郵便物につきまして認可後の監査体制というものを見直し、その整備を図るなどして適切な制度運用を図っていただきたいということで改善意見を表示したものであります。
  25. 上田利正

    上田(利)委員 今会計検査院審議官の方から御答弁いただきました。  そこで、渡辺郵政大臣にお伺いをしたいのでございますけれども、今会計検査院から指摘がございました。言うなれば、十年前にやって時間も経過している。そういう中で、特にカタログ等をダイレクトメールで商品という形でやっているものを第三種郵便物として、これは言葉は悪いかもしれぬが、悪用しているというのですね。そういう実態がある。なお、認可するけれども、してもその後のフォローをしていない、監査体制が十分でないということで、会計検査院としては大臣に対して改善意見表示を行った。こういうことでございます、コンパクトに申しますと。  したがって、大臣にお伺いしたいのは、今度の法改正郵便法の一部改正法案は、言うならば、会計検査院意見表示をされましたけれども、それを踏まえながら今度の法改正を提案してきたのかどうか、この点をちょっとお伺いしたいのでございます。
  26. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  前段の松岡委員質疑を前提とされて上田委員は質問に入られていますので非常にお答えしやすいわけですので、前提は取り除いて申し上げさせていただきますが、しかしせっかくのお尋ねでありますから、若干ダブる面もあります、郵務局長の先ほどの答弁と。  現状、現実というものがこの制度趣旨にそぐわない利用がなされているということが今の検査院の指摘にもあるわけでして、定期的にこの条件の具備状況について監査を行うこととして、認可監査に必要な調査について指定調査機関に行わせることができるように監査体制というのを整備する。今までのままでいい、あるいはまた今までやってきたことの繰り返しか何らこの第三種郵便制度というものに抵触しない、こういうことでなくて、やはり日々これ新たで、しかも私先ほど申し上げたように、一般の利用者負担の中でこの第三種郵便制度というのが行われているという現況を考えますと、これはやはり両者相まって姿勢を正しながらこの制度を正しく活用さしていただくということが大切だろうと思うのですね。  そういう意味で、何も監査を強化する、あるいはまたとりわけ飛び抜けた監査制度というものをつくり上げるというのじゃなくて、今までのことを見直す、監査機関というものを整備するというような、むしろ円滑にこの制度を運営するための手段である、こう考えていただきたいと思うわけでございます。当然、今会計検査院の十二月の指摘意見表示がございましたが、その点について意見を求められているわけでありますから、私どもとしてはこの意見を踏まえて今回の法律案提出したわけで、何らそのほかに意図はないということを御理解賜りたいと思うわけでございます。
  27. 上田利正

    上田(利)委員 大臣、わかりました。私が考えていたことと同じ形で今度の法改正を行って法案として提案してきたということですから、よくわかりました。  そこで、会計検査院にもう一度お尋ねいたしますけれども会計検査院は先ほどのような意見表示をされましたけれども、その中で、調査の結果、第三種の郵便物としての法定条件を備えていないのではないかという疑義があるということを先ほども審議官の方から御答弁ございました。その疑義のある定期刊行物が相当数見受けられ、二十七件ぐらい、三郵政局でも出ましたということでございますけれども、疑義が見受けられた、相当数という指摘があるわけでございますけれども、この疑義のある定期刊行物はどのような態様のものかについてちょっとお伺いをしたい、こう思うのです。
  28. 坂井一輔

    坂井会計検査院説明員 お答えいたします。  本院の調査の結果でございますけれども、第三種郵便物としての法定条件に関して疑義があるといたしました定期刊行物の態様でございますが、商品の販売等を主たる目的としているものでありまして、一つは通信販売業者等が発行するものでありまして、服飾、雑貨、電気機器等の商品の広告を主な内容とするもの、カタログ誌でございます。それから二つ目は、広告代理業者が発行するものでございまして、毎号広告主をかえまして、その広告主の商品の広告を主な内容とするカタログ誌等々であります。
  29. 上田利正

    上田(利)委員 私が想定しましたような形の中でのさまざまなカタログなどが、言うなれば第三種郵便物として悪用といいますか、されてきておる、こういう実態会計検査院検査の結果明らかになった。  そこで郵政省お尋ねをいたします。先ほど大臣の御答弁の中にもございました。なぜ第三種郵便物を低廉でやっておるのか。しかもそれは、一種、二種含めて郵便料全体系というのは決まっておるわけですから、郵政事業というのは官業ではありますけれども独立採算制で運営がされてきておる、特別会計でやられてきておる。だから第三種について、これは国の税金か何かで安くするということならばいいのでしょうけれども、そうでない。一種、二種の人たちも一緒になった中で郵便料金というのが全部決められて独立採算になっているという大臣答弁がございました。そのとおりだと私も思うわけでございます。  したがって、それだけに第三種郵便物を悪用されては郵便体系そのものが崩れてしまうということになると思うのであります。これはきちっとやっていただかなければならぬ、そのための第三種郵便物でございます。したがって、第三種郵便物認可を受けた人たちが、今会計検査院の調査の結果明らかになっておりますけれども、やはり信義を重んじてもらわなければこの第三種郵便物制度そのものが崩壊してしまうということになると思うのでございます。したがって、そういうものを私自身も前提にしながら、以下郵政省に、局長にお伺いいたしたいと思います。  二つございますけれども、その第一は、今回の改正のポイントは、先ほどから申しておりますように、第三種郵便物の悪用を防止するために第三種郵便物認可を受けた定期刊行物について定期的に、かつ厳しく監査を行うという形が法案の中で出てきております。そのための指定調査機関大臣も先ほど申しましたように、指定調査機関を新たに設けまして、郵政省のチェック機能、権限を強化する、こういう趣旨と受けとめております。大臣も、指定調査機関もそんなに特別に云々ではないですよと、こう言っているのですけれども、日本機関紙協会やあるいは日本新聞協会を含めまして、今までどおりでいいのじゃないかという意向もあるのです。その信義を重んじて、第三種郵便物の法を守ればいいのじゃないかという意見具申なども日本新聞協会やあるいは機関紙協会から出されておるわけでございまして、どうも私も、この点が権限を強化するのではないかという懸念一つあるのでございます。  それから、日本新聞協会が特に言っている問題でございますけれども、この法律案というのは、報道機関を郵政省の監督のもとに結果的に置くようなものに発展をしていくのじゃないか、そういうおそれがなきにしもあらずだ、したがって、そういう中では新聞発行の自由を侵害しかねない重大な問題として日本新聞協会としてはとらえなければならない、こう言っておるわけでございます。例えば、先ほども申し上げましたように、認可の時点でチェックを行うわけでございますけれども、余り監査体制その他をやらなくても、認可するときに今よりも厳格なチェックをして、それで法を守るのだ、そして認可をする段階で、例えば私流に考えれば、誓約書を出させる、その誓約書のとおりその法を遵守しているかどうかというふうなことで、二年サイクルあるいは三年サイクルぐらいでもう一度更新をするというような形を工夫していくならば悪用防止を十分防ぐことができるのではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。したがって、日本新聞協会が言っておられますような新聞発行の自由を侵害すると言われるような制度を設けなくてもよいのではないか、こう考えるのですが、郵政省考え方をまず一つお伺いしたい。これが一つ。  それから二つ目は、時間の関係もございますから一緒に聞いておきますけれども、第三種郵便物と認定するか否かは、郵便法第二十三条三項の基準で、御案内のように公共的な事項を報道するものであるかどうかで、本来ならばあの三項を適用して決めればいいのですけれども、直接の判定と、こういうふうにしていただければいいのですけれども、先ほどからお話がありましたようなカタログとかという形の中で第三種郵便物を悪用する。悪用するというのは、言うならば広告を唯一の認可基準といいますか、判断基準といいますか、そういうものにしておるからではないか。広告でなくて、日本新聞協会などでは、公共的な報道であるかどうかというこの事項を判定基準にして、広告の量などで判定しなくてもいいのではないか。広告の量で判定するからああいうような商品販売のカタログも第三種と、こうしてくるのじゃないか、中身で判定すればいいのじゃないか、こう言っているのですけれども、この二点について郵政省の見解を賜りたい、こう思うのです。
  30. 早田利雄

    早田政府委員 先ほどから大臣からもお答えをしておりますように、今回の改正につきましては、第三種郵便物制度趣旨を維持するためということで適正な監査を、認可後の監査をするというために監査体制整備を図ろうということでございまして、先ほどからも申し上げておりますように、監査内容がこれによって大きく変わるということではなくて、何ら変わるものでもございませんし、私ども新聞協会が言っておりますように新聞発行の自由を侵害するというようなことにはならないというふうに思っております。  そしてまた、今お尋ね認可時点での厳格なチェックをすればその後それでよろしいんじゃなかろうかという点につきましては、現在もそれなりに私ども厳格なチェックをしているつもりでございますけれども定期刊行物につきましては、発行の都度その内容が変わるものでございまして、認可時点のチェックだけではその後の条件の具備状況につきましては確認することは困難であるというふうに私ども思っております。  そしてまた、郵便法あるいは郵便規則を守るという誓約書の提出をさせるということにつきましては、確かにそのことによりまして発行人を心理的には拘束するものではございますけれども、法的には何ら拘束するものではございませんし、その後も認可条件が具備されているということについての保証はないというふうに思っておりまして、したがって、やはり認可後も適切に監査していくことが必要だというふうに思っております。  また、更新制度を設けるということにつきましては、認可時点のチェックだけで、じゃ二年あるいは三年の再更新時期までもつのかということについての疑問もございますし、また、二年あるいは三年ごとに認可を更新するということにつきましては、かえって発行人の方にも負担がかかるんじゃなかろうか。また、私どもにとりましてもそれなりの事務負担が大きいというふうに思っておりまして、やはり私どもといたしましては、認可後の監査につきましては条件の具備を監査するためには絶対に必要なものだというふうに思っておるところでございます。  そしてまた、公共的な事項そのもので判断すればよろしいんじゃないか、なまじ広告掲載量で判断しているからいろいろ問題が出てくるんじゃなかろうかということにつきましては、仮に公共的な事項の報道であるかどうかということにつきまして、広告の掲載量ということではなくて記事の内容に立ち入りましてその公共性を判定するということになりますと、そのための明確な判断基準を作成するということは大変困難なことではなかろうかというふうに思っておりまして、その決め方いかん、またどうやりましてもむしろかえって郵政省が検閲をしているというような批判を引き起こすんじゃなかろうかというふうに思っております。  また、第三種郵便物制度趣旨からいたしまして、先ほどからも御説明がございましたように、他の郵便物利用者負担のもとに安い料金を適用しているということにつきましては、やはり負担される側の国民の理解というものがなければならないだろうと思いますけれども、公共的な事項を報道することを目的部分が、じゃ一〇%でもいいのか、残りの九〇%が広告であってもそれでよろしいのかということになりますと、私ども、五〇%を超えるような、広告の掲載量が五割を超えるような定期刊行物までを他の国民利用者負担のもとに安い料金を適用するということにつきましては、国民の皆様の理解が得られないというふうに思っておるところでございます。  定期刊行物につきましては、発行の都度その内容を変えるものでございまして、認可時点のチェックだけではその後の条件の具備状況を確認するということにつきましては困難ではなかろうか、かよう思っておるところでございます。
  31. 上田利正

    上田(利)委員 郵政省の見解を賜りましたけれども、それではちょっとお伺いします。  今、日本新聞協会加盟の新聞社数とその新聞数、新聞社の数と加盟の新聞の数。それから二つ目が日刊新聞紙全体の一日当たりの発行部数。それから三つ目が第三種郵便物として差し出されている日刊新聞紙の一日当たりの通数。それから四つ目が日刊紙全体の発行部数に占める第三種郵便物の差し出し割合。この四点について、ちょっとわかりましたらお尋ねしたいのです。
  32. 早田利雄

    早田政府委員 私どもの方では確たる資料がございませんでしたので、日本新聞協会の方に先ほど先生御質問の点につきまして聞いたところでございますけれども平成三年三月時点では次のようになっているというふうに聞いております。  日本新聞協会加盟の新聞社の数につきましては百十四社、新聞の数は百二十五紙というふうに聞いております。そしてまた、日刊紙全体の一日当たりの発行部数につきましては約五千二百万部ということでございまして、そのうち第三種郵便物として、郵便として差し出されております日刊新聞の一日当たりの通数は約三万四千通というふうに聞いております。そういうことからいきますと、日刊新聞紙全体の中で郵送されているものの割合といいますのは〇・〇七%というふうに聞いておるところでございます。
  33. 上田利正

    上田(利)委員 四点で今局長から御報告ございました。  そこで、ちょっと今計算をしてみたのですけれども、百十四社で百二十五紙、一日の総発行部数が五千百八十万部、そのうちの第三種で郵送しているのは三万四千部だ、あとは駅売りであるとか新聞配達少年が新聞を配ったり、こういう形がほとんどということになると思うのです。一万分の七ということですね、割合とすれば。  今計算しましたのは、この三万四千部を百二十五紙で割ってみますると、一組当たりが約二百八十部なんです。これを第三種で郵送しますと三十五円でございますけれども、第三種でなくなりますと二百五十円、一種になりますから。そうすると、差し引き二百十五円余計に新聞社は経費がかかるわけでございます。しかし、この二百十五円が一組当たり二百八十部、約三百部弱でございますけれども、これでやりまして二百十五円高くなるけれども、一日どのくらい新聞社が経費がかかるかといいますと、二百十五円掛ける二百八十部で今計算しましたら約六万円。六万二百円という数字が今出ますけれども、約六万円ですね。  そうすれば、新聞、日刊紙の広告の本当に小さい一行ですね。甲州ではめめっくちょという言葉を使いますけれども、目の中にも入らないということでございます。そういうことなんです。にもかかわらず、大臣郵政省から答弁ございました。そこで、日本新聞協会がこれでどうして広告がと、こうなるのか。六万円ぐらいだったら、広告の自由で、何も第三種なんかわしか経営者だったらやりませんよ、一日六万円ですから。そして五〇%だ、六〇%だ、何だっていいんだ、自由にやればいいんだから。そうでしょう、わしか経営者だから。  ところが、だんだんと見ましたら、これは自治省にお伺いを、選挙部長おいでいただいています。大変ありがとうございました。私の勘では、これが、第三種が問題であるのじゃない、六万円が問題じゃない、こう思う。問題は、この公職選挙法が、ここにございますけれども、公職選挙法の百四十八条三項の一号のロというのがありますけれども、ここで第三種郵便物認可のあるものでなければ、いわゆるこの選挙運動に関し報道及び評論を掲載する自由を得られないということになる。選挙法百四十八条は、選挙運動の制限に関する規定ということでありまして、これはだめだけれども、特に第三種を持っているものについては、これは報道及び評論を自由にできる。また、私どもが立候補した際のあの経歴であるとかあるいは政策について新聞広告へ載せることができる。これは第三種でなければできないということになる。  そうすると、どうも日本新聞協会が問題にしているところはここの公職選挙法の百四十八条ではないか、こうも思うわけでございまして、言うなれば郵便法、第三種郵便の、安くしかも広く国民に、社会的にも文化的にもそれをみんな受けてもらおうということで安くした制度だ。公職選挙法のためにつくった郵便法じゃないのですね。ないものをなぜここへ、公職選挙法に引用されたのか。これがあるから邪魔者になって、日刊紙が選挙の評論もできない、何にもできないなんといったら日刊紙の価値はなくなっちゃうのですよ。だから、なぜこれをここへ引用したのか、まずこれを自治省にお伺いしたいと思います。
  34. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 やや沿革的な説明になるかと存じますが、新聞紙とか雑誌につきましては、社会の公器としての性格にかんがみまして、昭和二十五年の公職選挙法の制定のときに、一般の選挙運動の規制に対する特例といたしまして選挙に関する報道、評論の自由を保障することとされたわけでございます。ところが他方で、いわゆる選挙目当ての新聞等が乱発されるというような事態等、種々の弊害が生じてまいりましたことから、これらの新聞等を排除いたしまして選挙の公正を確保するために昭和二十七年に公選法の百四十八条に第三項を追加するという改正がなされたわけでございます。そして、選挙運動の期間中につきましては、一定の要件を具備した新聞紙、雑誌に限って選挙に関する報道、評論を掲載することができるというふうにされたところでございます。  その際に、この第三種郵便物認可のあることということがその要件の一つとして規定されたのでございますが、これはこの認可があれば、先生御承知のとおり、これは「毎月一回以上号を逐って定期発行するものであること。」「掲載事項の性質上発行の終期を予定し得ないものであること。」さらには「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」こういったような条件を具備する定期刊行物として認められることになるわけでございますので、いわゆる選挙目当ての新聞等とそうでないものとを区別する客観的かつ合理的な基準であると考えられたことによるものであると承知しているわけでございます。
  35. 上田利正

    上田(利)委員 ここが重要なところでございまして、選挙部長がおっしゃいますように、昭和二十五年に公選法が出た。そのときには公職選挙法の百四十八条の第三項は、御答弁いただきましたようになかったわけですね。それを不正がたくさん出てどうにもならない、公正な選挙ができないということの中で、昭和二十七年になりまして第三項を入れた。これはわかるのですけれども、入れたにしましても、これは第三種郵便物のところだけ私申し上げておりますけれども、各月で号を追ってということももちろん条件の中にありますし、新聞であれば月に三回はやらなければならぬ条件もみんなありますけれども、問題は、私が言っているのは、「第三種郵便物認可のあるものである」、どうしてもここがひっかかってくるわけなんですね。  実は、第三種郵便物認可の判断基準というのは広告の量だということになっているわけです、もう大臣答弁されておりますように。すなわち、広告が全体の印刷部分、いわゆる紙面の五〇%以下であることが必須条件となっておる。自治省が選挙報道の自由を認めるかどうかの判断に当たって、みずから判断をせずに、第三種郵便物認可の判断基準となっている郵便規則にその判断をゆだねていること自体が、ここが問題なんです、自体が日刊新聞等の選挙報道の自由を根本的に阻害をしているんじゃないか、こう私は思うのです。どうしてもここがそう患うのです。  ですから、自治省にもう一度ここのところを聞きたいのです。これがあるから新聞の自由が阻害されるのです。新聞というのは広告を幾らやろうといいのです、そんなものは。しかしこれが、第三種というものが入ったから結局新聞の自由、選挙の自由な報道ができない、あるいは評論ができない、これでたがをはめられているのですから。ここをもう一度明確にしてもらいたい、こう思うのです。
  36. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 先ほども申しましたが、いわゆる選挙目当ての新聞とそうでないものを区別する必要があるわけでございますが、その要件といたしましてはやはり客観的かつ合理的なものでなければならないと考えているわけでございます。そこで郵便法第二十三条第三項の規定、これは先ほども申しましたようにいろいろ要件があるわけでございますが、その規定趣旨に照らしまして、この第三種郵便の認可を公選法上の選挙の報道、評論ができる新聞の要件の一つとすることにするということにしたといたしまして、そのことをもって新聞紙とか雑誌の選挙に関する報道、評論の自由が阻害されているということではないと考えているわけでございます。  なお、第三種郵便の認可につきましては、御指摘郵便規則に定める基準が適用されることになるわけでございますが、これは、郵便規則に定める基準は、郵便法第二十三条第三項の趣旨を踏まえた具体的な運用基準であるというふうに私どもは理解をいたしているわけでございます。
  37. 上田利正

    上田(利)委員 吉田選挙部長さんから再三の御答弁をいただいておるのですけれども、御答弁の中にもございましたように、法律というのは客観的かつ合理的なものでなければならない、そういうものを基本にしながら種々検討した結果、昭和二十七年にこういう法改正を行った、選挙目当ての新聞であるのかそうでないのか、この区別をはっきりするためにはこれしかなかったんだということなんですけれども、しつこいようですけれども、日刊新聞にとって第三種の郵送の費用、さっきも早田局長から聞きましたけれども、私のさっきの試算で見ましても一日六万円程度。したがって、新聞社指摘しているのは、日本新聞協会指摘しているのは、第三種で安く、本当に郵便法郵便規則規定した、一般よりもずっと安くして、そしてそれが社会的に文化的に貢献するようにということでこの法が、郵便規則が定められた、第三種郵便制度が出たわけなんです。ところが、今言ったように、一番見ようという、影響のある日刊新聞、一日に五千万部以上も出ているわけですから、これ以上のものはないのです。それをみんな見ることができるわけなんです。  しかしそれを、昭和二十二年にこの法律を制定したころには、恐らく山間僻地や何かに郵送が多かったでしょうけれども、今は都市化が進んで、みんな駅売りかいわゆる配達だ、こうなっている。そういう状況の中で、第三種郵便物、数が少ないのにもかかわらず結局これが重要視されるということは、何といったってこの選挙法がひっかかるからだと思うのです。だから私自身は、公職選挙法の百四十八条第三項、この追加しましたこれをもとへ戻して、これは公正な報道だ、重要な報道だということで許可ができるような、自治省自身の手によって選挙法を決めて、そしてそこでそのような選挙目当てで出るようなものについてはいろいろな罰則やその他、あるいは監視なり監査なりということで、地方自治体もこれはやるということにして、法改正をしていただかない限り、結果的には郵便法に全部これがかかってきてしまうのですよ。選挙に関係ない郵便法が結果的には選挙法で問題になってくる、こういうことになるわけですから、自治省として法改正をしていただくように、最後に、私自身そういう考え方を持っていますが、どうでしょうか。
  38. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 選挙運動期間中に選挙に関する報道、評論を掲載できる新聞紙、雑誌の要件につきまして、第三種郵便の認可にかえまして新たに別の基準を設けようとする場合におきましては、その基準として選挙目当ての新聞とそうでないものを区別する観点から見て適当なものがあるかどうかということ、また個々の内容にわたらずに客観的かつ一律的に判断ができるようなものがあるかどうかということ、そしてさらに要件に該当する新聞紙等であるかどうかを外見上、一見明白に識別できるようなものがあるかどうかといったようなさまざまな点につきまして、十分研究をしていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  39. 上田利正

    上田(利)委員 難しい問題があることは、だからこそ楽な道で郵便規則を引用してしまったと思うのです。問題点として出しておきますから、ぜひひとつ自治省としても検討を進めてみていただきたい、こういう要望だけ申し上げておきます。もう時間がございません。あと二、三分になってしまいました。  日本新聞協会から出ておる問題でございますけれども、いわゆる非営利団体である労働組合等の機関紙について、今回の法改正により第三種の認可を取り消すとか規制を強化するといった考え方は絶対あってはならない、こう思うのです。大臣も先ほどそのようなことはありませんというようなことを言っておられましたけれども、絶対あってはならない。また、有料発売性の監査を盾にしまして、これは八〇%をクリアしているかどうかということを見るわけでございますから、それを盾にして購読者名簿を出させるとか、おまえのところは八〇%有料であるのかどうなのか名簿を出してこい、あるいは読者のうちを訪問して、あなたは金を払ってこの機関紙を読んでいますかとか、こういうことを目的意識的に実施して、憲法で定められた結社の自由や言論表現の自由、ひいては個人のプライバシー、こういうものが侵害されることがあってはならない、こう思うのでございますけれども郵政省考え方をひとつここで明確に確認しておきたいと思います。
  40. 早田利雄

    早田政府委員 第三種郵便物認可条件を定めた規定につきましては何ら変更するものではないものでございますので、規制を強化したということにはならないというふうに思っております。  今回の改正のもともとの発端になりましたのが、先ほど検査院の方からも説明ございましたように、カタログ誌等が第三種郵便物制度を巧妙に利用することを防ぐためにそういうものについての認可後の監査につきまして適正かつ厳正にやるということを主たる目的としておりますので、今お話のございました労働組合等の機関紙あるいはその機関紙誌等につきましての監査を特に強化するというようなことの考えは一切ございません。  また、有料発売部数を証明する資料につきましても、例えば直接販売の場合には領収証の写しでも結構でございますし、委託販売の場合には書店からの写しでも結構でございますし、私どもは購読者名簿の提出を義務づけているものではございません。ましてや、有料発売性確認のために入手いたしました講読者名簿等を他に盗用するというようなことが絶対にあってはならないというふうに思っておりますし、今後とも個人のプライバシーの保護につきましては、指定調査機関の役職員等につきましても秘密保持の義務を課すとか、いろいろな形で万全を期しているところでございます。  監査といいますのは、先ほども言いましたように、第三種郵便物制度趣旨目的を維持するために、条件を確認するということのためにやるわけでございますので、その実施に当たりまして、結社の自由であるとか、言論表現の自由あるいはプライバシー等を侵害してはならないことは当然のことだということで、今後ともそういう方向でやっていきたいというふうに思っております。
  41. 上田利正

    上田(利)委員 早田局長答弁を確認して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  42. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、武部文君。
  43. 武部文

    ○武部(文)委員 私は、今回提案されましたこの二つの法案については賛成の立場でございますが、以下第三種の問題も含めて、特に郵便事業について郵政省の見解を求めたいと思います。  料金改定が行われましてから十一年目に入ったわけでありますが、郵便特別会計がどうなっておるか、前回の委員会でここでやりとりをしたわけですが、その際に、平成四年度の予算は赤字を計上されている。しかも相当額が大きいのでありますが、さらに決算になるともっと厳しい状況が生まれてくるように思います。したがって、もう間もなく出ると思いますが、平成三年度の決算の予測、これを最初にお伺いしたいと思います。
  44. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 郵便財政の問題でございますので、私からちょっと御説明をさせていただきます。  今先生お話しいただきましたように、郵便事業の損益につきましては、五十六年から十年間関係の皆さん方の大変な御尽力によりまして黒字を維持してまいったわけでございますが、前回にもお話をいたしましたように、平成三年度につきましては非常に厳しいものがあるというふうに考えている次第でございます。  平成三年度の損益の見通しにつきましては、現在決算を取りまとめている段階でございまして確たる計数で御説明を申し上げることは難しゅうございますけれども、現時点での収益あるいは費用の動向について御説明をさせていただき。ますと、まず収益面でございますが、この収益の大宗をなします郵便業務収入でございますが、この三月末の概算で一兆七千二百六十億円というふうになっております。これは前年度に比べまして四・六%の伸びでございます。この増加状況は、平成二年度のときには七・三%、対前年増加率が七・三%でございましたので、この四・六という数字はかなり鈍化をしてきているということは収益面でも言えるわけでございます。これは最近における経済の減速傾向というふうなことを反映いたしまして、郵便の利用の伸び率自体がもう昨年度を下回っているというふうなことが一つございます。  それからまた、前回にもちょっと御説明をさせていただきましたけれども、収入印紙の売りさばきに伴う手数料収入がやはり前年度の伸びでなくて前年度の絶対額を割っている、それより少なくなっているというふうな状況もございます。こういったことで、収益面でかなり厳しいものがあるということでございます。  一方、費用でございますが、費用につきましては、御案内のように仲裁裁定で三・三六%というふうなことで、これに要する経費が必要でございますが、そのほか、業務量の増加あるいは人手不足等に伴う賃金、集配運送費がかなり大きく増加をしてきているというようなことでございまして、こういったことからトータルして考えてみますと、損益の圧迫要因が非常に多いということで、平成三年度の郵便事業損益は赤字になるということは、これはもう当然避けられないということでございます。  ただ、その赤字幅についてでございますが、現時点で、先ほど申しましたように、今作業をやっている最中でございまして、これをはっきりと申し上げることはまだできないわけでございますが、私どもといたしましては、今申しましたような収益、費用の動向から勘案しますと、どうも三けたの赤字になるのではないかというふうなことを懸念をしているという状況でございます。
  45. 武部文

    ○武部(文)委員 そこで大臣、ちょっとあなたのお考えを承りたいわけですが、郵便特別会計は、人件費が約八割、これは通説でございますが、郵便物はどんどん増加をいたしまして、平成三年度の推定の郵便物は二百四十億通に達するだろうと言われておるわけでございます、特に注目すべきことは、第一種郵便物、封書ですね、これが四八%にも達しておる。この伸びが非常に大きいのです。四八%、約半分が第一種郵便物、封書です。  そこで、この通数を考えてみますと、年間郵便物の数は、世界一はアメリカ、日本は第三位。ところが、三位の日本とアメリカとの間、人口は倍半分ですけれども、アメリカの方は八倍あります。しかし、伸び率から見ておると、日本の郵便物というものはどんどんふえていくだろう、こういうことが予測をされるわけであります。なかなか定員はふえないし、臨時職員を増加するにしても人件費が低ければやってこない、さらに、週休二日制で定員は要る、人間は要る、そういうような状況になってくるわけですが、この間の委員会で郵政省側から、平成四年度は一種、二種については、郵便料金は値上げをしない、こういう明白な答弁がございました。しかし、今経理部長からお話がございましたように、平成三年度の決算、間もなく出るでしょうが、三けたの赤字ということになれば、これは大変な事情だ、こういうことがおわかりだろうと思います。したがって、今後の郵便特別会計は一体どういう方向をたどるだろうか、こういう点について大臣の見解をひとつ聞かしていただきたい。
  46. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  今山口部長から報告いたしましたように、現在作業中とはいいながらも、三年度の決算見込みが三けたの方向ということは、これからの郵便会計において非常に大きな問題を提起しているという認識はいたしていることをまず申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。  お客様に信頼される安定した業務運行を確保しながらサービスの向上をし、そして郵便の利用は拡大して、しかも収入の確保を図っていく、しかも労働時間が短縮する、こういう事態の中でありますから、業務量の増大に対応した効率的な事業運営を図るために一層の努力をいたしていかなければならないと思うわけでありまして、郵便の事業損益の状況から見ますと、四年度において改定を行う状況には今のところはないと認識を、実は参議院の方でも答弁をいたしてきたところでございます。  しかし、精神訓話でいくわけにまいりません。精神論だけで現状のこの厳しい状況というのを果たしていつまで続けられるかということと、今委員の御指摘の、この財政のこれからの状況というのをどういうふうに認識していくのかということを兼ね合って考えてみますと、なかなか難しい問題であり、重大な問題、あるいはまたそういう認識をいたしているところでございますが、いかんせん三年度の決算がまだ出ないということでございますので、前々から武部先生のいろいろな御指摘あるいはまた御指導いただいてきているところでございますけれども、今の状況では、先ほど申し上げた見解を私としては申さざるを得ないのでありますが、五年度以降具体的に何年度まで料金改定をしないで済むのか、あるいはまた何年度にする必要性が生ずるのかということは、全くもって、恐縮ですが、今の段階ではちょっと見通しとして責任を持ってここで先生のお尋ねに答えられる状況でないことはどうぞひとつ御認識をいただきたい。  しかし、状況厳しいことを踏まえ、しかも郵便会計というのは、これは先生、少なくとも健全であるべきだと私は思います。そこにあってこそ初めて、この今日まで築き上げてきた労使一体の効果が上がり、あるいはまた生活の安定確保、将来に不安のない方向性というのは約束されているというふうに思いますので、必ずしも赤字会計、赤字予算が健全であるということはないのでありまして、どういう時点でどういうふうに考えるかということをよくよく状況判断をし、冷静に分析をしてまいりたい。今日の段階では、以上のようなことでひとつ御容赦を願いたいと思うわけでございます。
  47. 武部文

    ○武部(文)委員 大臣の見解はわかりました。  これから郵便特別会計の中の具体的な問題をお伺いしたいと思います。  先ほど来、第三種郵便物の問題についてやりとりがございました。この際、第三種郵便物の原価収支、これはどんなふうになっておるか。これは二年度はもうはっきりしておると思いますので、三年度は恐らくまだわからないと思いますが、二年度だけでもいいですから、収支はどうなっておるか、ちょっとこれだけお伺いします。
  48. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 三種郵便物料金につきましては、もう御案内のとおり、政策的に低く設定をしているということでございますので、収入が原価を償っていないというのは、これはそういう性格のものであるというふうに考えております。  そこで、平成二年度の計数を用いまして第三種郵便物の原価について試算をしてみたわけでございますが、原価、コストにつきましては一千六十九億円というふうに私ども見ております。それに対しまして収入の方が六百九十八億円ということでございまして、差し引き、このケースでいきますと三百七十一億円の、政策的な配慮で持ち出していると申しますか、赤字になっている、こういうふうなことでございます。
  49. 武部文

    ○武部(文)委員 平成二年度、三百七十一億が赤字、わかりました。  そこで、先ほど上田委員とのやりとりの中で聞いておったのですけれども日本新聞協会の数字を先ほどお述べになりました。〇・〇七という数字が出ておりましたが、一日当たり三万四千通の三種の差し出しだ、こういうことでございました。私は、ちょっとこれは数字に問題があるように思うのです。というのは、いつかも話したことがございますが、山間僻地や離島では、第三種郵便料金の切手を張った新聞が僻地の郵便局に相当数出されておる事実を我々は知っておるわけであります。特に冬、豪雪、台風、そういうものが来るときには大量にどさっと来る、これはもう明白な事実でございます。そういうことが行われるのもゆえなしとしないと思いますけれども、前の郵政大臣の深谷さんが山陰の田舎の山の中の郵便局に視察に行かれましたね。そのときに、毎日郵便物の中に新聞を配達しておるのでびっくりしたということを新聞に発表しておられました。それが事実なのです。そのとおりであります。一日に大体二百五十通程度郵便物を持って出る山間僻地の郵便局の半分近いものが新聞だということも、これまた調べてみればおわかりのとおり出てくるのです。  ですから、そういう現実があることを十分承知の上で、私先ほどの数字を聞いておって、全国で百二十五紙ですか、三万四千通しか一日に第三種が差し出されておらないというのはこれはちょっと疑問に思うなということを直観的に聞きました。ですから、ここで具体的な数字は言いませんが、やはり三種というものがどういう状態に置かれておるかということは、郵政省としてはひとつ何かのチャンスにきちっとしたものを調査をしておかれる方がいい、こういうふうに思います。これは手間暇、時間もかかることですから簡単にはできぬと思いますけれども、やはり現実というものはきちんととらえておく必要がある、このことだけは特に三種の問題として申し上げておきたいと思います。  そこで、三種の問題でもう一つ。  郵政審議会が答申を出しておる中にも、この料金のことについてやはり審議会は見解を出しておりますが、大臣の諮問機関でございます郵便の基本問題に関する調査研究報告書、これは六十三年ですから三年ちょっと前に出た研究会の報告書の中にも「第三種郵便物料金は、基本的には、それぞれのサービスの社会的意義などを考慮しつつ、取扱いに必要な個別の費用のほかに郵便システム維持のための共通の費用の一部を相応に負担するよう料金を設定することが望ましい。」こういうちょっと靴の上からかくような表現で出されておりますが、やはり料金に触れておりますね。しかし、第三種の料金を変えるということはこれは大変なことですから簡単にはできないことです。しかし、現実にこの第三種郵便物というものを隠れみのにして、先ほど来いろいろお話があったようなことが行われておることも事実です。したがって、監査ということは十分気をつけてやっていただきたい。別に料金を上げろというのではなくて、不当な郵便物については取り消すということは当然のことですから、そういうことをこれを機会にぜひやっていただきたいと思います。これは要望であります。  私は、郵便会計の中でちょっときょう問題にしたいのは小包のことであります。  この間、四月の中旬に全国紙の中にこんな記事が載っておりました。「人気ありすぎ」「人手確保、難しく」「「ゆうパック」事業を縮小」、こういう見出してございました。ごらんになった方もあると思いますが、人手が不足する、あるいは預かり荷物の集荷場に困る、昔と違うのですから。したがって、そういうことで集荷場のいわゆる局舎の問題ですね。採算も悪化しておるとか、ゆうパックは宣伝活動を抑制して事業規模を徐々に縮小の方針、こう書いてあるのです。なるほど郵政省の小包というのは昔は非常に評判が悪くて、遅くて、高くて、壊される、これが郵便局の小包だったのですよ。今は全く違います。その点は、速くて、安くて、安全だ、こういうふうに全く逆な評価ですよ。それだから、ゆうパックがどんどんふえてきておるということに私はつながっておると思うのです。  ふるさと小包というのがまたどんどん驚異的な伸びで、六十一年に四百二十一万個だったものが五年後には千八百六十万個、実に四・五倍に伸びておるのですね。そして重くなったし、大きくなったし、取り扱いも大変だしというので、いろいろな困難があることは私も承知しております。今出されておる小包は年間三億五千万個、三年度が四億を超しておるというような推定の数字を聞いておるわけであります。民間の宅配の全部の業者の扱いが十一億ちょっとですから、そう考えますと、一つ郵政省が扱っておるのが四億を超すというようなことは驚異的な伸びだと思うのです。民間の伸びは一けた、郵便局の伸びは一六%、こういう伸びですから、確かに今のままでいくと大変なことになると思うのですが、私はここで料金について非常に疑問を持つことがあるのです。  そこで、平成二年度の小包の収支、それから平成三年度の小包の収支見通しがわかれば、簡単でいいですから述べてください。
  50. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 郵便小包の収支でございますが、これにつきましては各種のサービスの改善を行ってまいりましたし、また職員の皆さんにも随分営業努力というふうなことで頑張っていただきまして、取扱物数がただいま先生おっしゃられましたように大変大幅に増加してきているというふうなことでございますが、収支の方は必ずしも順調でございませんで、平成二年度につきましては原価が一千四百五十億円に対しまして収入が一千四百二十三億円ということで、二十七億円の赤字になっているというふうに私ども見ております。御案内のように、平成二年度は総体では百二十五億の黒字でございますけれども、小包につきましては二十七億の赤字になっているのではないかというふうに見ております。これは物数の伸びによる収入の伸びというのは当然ございますけれども、それを上回る労働力不足に伴う非常勤賃金の増加でありますとか、集配運送費の増加というふうなことが原因であるというふうに考えておるところでございます。  そこで、平成三年度はどうなんだ、こういうお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように平成三年度の決算はただいま取りまとめ中でございます。したがいまして、確たることを申し上げるということは不可能でございますけれども、たびたび申し上げておりますように平成三年度の郵便事業全体の損益が赤字になるということでございますので、小包の収支につきましてはさらに平成二年度より悪化をするのではないかというふうに見ているということでございます。
  51. 武部文

    ○武部(文)委員 それならば、具体的な数字でちょっとお聞きをいたしたい。  東京から出された郵便小包が北海道に送られる場合に、民間のクロネコヤマトと比較をしたらどんなに差があるかということをここで申し上げます。  三キログラムのもので、北海道の場合には一個で二百六十円郵便局の方が安い。八キログラムでは二百三十円郵便局の方が安い。十二キログラムでは二百七十円安いのであります。ところが沖縄になりますと、同じ三キログラムでクロネコヤマトよりも郵便局料金は六百七十円安いのであります。八キログラムでは九百五十円安い。十二キログラムでは実に千三百円も安いのであります。これは一体どういうわけでこういうことになるのか、私は大変疑問に思ったのです。  いつか沖縄に行ったときに、ここは宅配便は余りありません、郵便局へみんな持っていく、こういう話で、確かに那覇の郵便局へ行ったときに小包が山のようにありました。それで、ここはたくさんですねという話をしているうちに、どうも料金のことにあるようにも思ったのですが、調べてみると、今言ったように十二キログラムだったら千三百円も安いのです。一体こういう低い料金で航空運賃代に届くだろうかという心配さえ出てくるのでありますが、なぜこのように極端に差があるのか。そのほか、資料によりますと、全部でこれは安いのです。例えば大阪に行くものも安い。どこも安いけれども、この北海道と沖縄は極端に低い。特に沖縄に至っては、これは問題にならぬですよ。これは恐らく郵便局へみんな持ってきて、宅配便はないと言ってもいいくらいだと思うのですが、どうしてこんな金額になっておるだろうかなと。安いにこしたことはないのです。安いにこしたことはないけれども、赤字になってまでやる必要はないので、せめてすれすれのところぐらいな料金にしたって国民の皆さんに怒られるはずはないと思うのですが、このような料金はどういう原因でこういうことになっているのだろうかな、ちょっと聞かせていただきたい。
  52. 早田利雄

    早田政府委員 今先生から民間宅配便との料金格差のお話が出ましたけれども一つには、私どもの郵便料金の小包の場合には地帯を三つに分けている。沖縄も九州と同じように東京からの場合第三地帯になっているということ。それに対しまして、民間宅配便の場合には八つから十二区分ぐらい非常に細かく分けているというようなことから、どうしても遠隔地にあてて出します場合の料金格差が生じるということが一つと、それから私ども、小包の場合には昭和五十八年度以来何度か料金の引き下げをやってきておりまして、民間宅配便も六十三年ごろ見直しをして引き下げをしたわけですけれども平成二年に至りまして、労働需給の逼迫であるとかいろいろなことから百円程度料金値上げをしているというようなこと、そしてまたそういった関係から、特に重量の重いものにつきましてはより格差が拡大しているというようなことから、遠くて重いものについては非常に大きな格差が出てきているというのが実態でございます。
  53. 武部文

    ○武部(文)委員 理由はやはり何らかあるようですけれども、これはちょっと私は常識を外れておるような金額になっているのじゃないかなと思うのです。ですから、いろいろ料金政策はございましょうから、一概にすぐ上げろとか一緒にしろとか言うつもりはございません。  ただ、私たちの郵政省は、持ってきたものは全部引き受けなければならぬのですね。民間のように、ちょっとこいつはぐあいが悪いからといって拒否したり引き受けを制限したり停止したりするようなことはできないのですよ。持ってきたものはみんな受けなければならぬ。しかも、今ごろは食品がございますので、そのためにこれは急いで送らなければならぬ、それが郵政省の運営の中でも相当大きな負担になっているように思います。したがって、この小包料金は今のところ二十七億円という赤字の話がさっきございましたが、そうすると、さっきの新聞に出たあれと今の話がちょっと合わぬようになるのですね。  ですから、もうどうしても小包を、人手の確保が難しいし預かり場所もないし採算も悪化しておる、こういうことで引受制限をしたり宣伝をやめるというようなことを言うならば、その前にある程度料金は改定してでも、国民が信頼をして郵便局に持ってくるわけですから、やはりこの事業は縮小しないでやってほしいなという気持ちを持つわけでございます。ただ、沖縄の料金のことだけ申し上げましたけれども、全般的に確かに宅配よりも低いです。これはまあいいことだと思います。いいことだとは思いますが、ちょっと極端過ぎるじゃないかという点もございますので、検討を加えられたらいかがかなということをひとつ要望として申し上げたいと思いますが、いかがですか。
  54. 早田利雄

    早田政府委員 私どもゆうパックの事業につきまして縮小するということを決めた事実は一切ございませんで、特に年末の繁忙期等におきましては、先生御指摘のように局舎の問題、要員確保の問題、いろいろ問題はございますけれども、それなりに現在のところおおむね順調に業務運行を確保しているところでございまして、今後ともサービスの提供等に努めまして利用者の期待にこたえていきたいというふうに思っております。  今御指摘の郵便小包の料金の検討につきましては、実は小包郵便物料金につきましては郵政審議会に諮問した上省令で定めるというふうになっておりまして、小包料金の決め方につきましては、郵便法の中で、小包郵便物というのは小型物品の送達ということで、国の独占ではございませんで民間の業者と競合して行われているというようなことから、「小包郵便物に係る役務の提供に要する費用、物価その他の経済事情を参酌して」定めるというふうになっておるわけでございます。したがいまして、小包郵便物料金につきましては、小包の平成二年度の原価収支が二十七億円の赤字になったこと、また今御指摘のように民間宅配便との間に相当の料金格差が生じていること等から見ましても検討の必要があるというふうに思っております。私どもといたしましては、本年七月ごろには確定するでありましょう平成三年度の決算、そしてまた小包郵便物の原価収支等を見て具体的に検討を始めていきたいというふうに思っております。
  55. 武部文

    ○武部(文)委員 はい、わかりました。  それではもう一点、今度は郵政事業の週休二日制の問題について。  いよいよ五月二日から実施に入ったわけでございますが、確かに郵政省郵政事業の中では三事業ございまして、いつかも申し上げておるように、貯金、保険、郵便と三つあって、同じ局舎の中におるのに他の者は週休二日制、郵便関係の者はそうでない、そういうようなことがあってはならぬということを申し上げてきたわけでありますが、今回の週休二日制について郵政省としてはいわゆる問題点のある郵便部門、これについてどういう実施に向けての計画を考えておるのか、労使の間でそういう話し合いはどのように進んでおるのか、この点をちょっと大要を述べていただきたい。
  56. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  一般職給与法適用の国家公務員が御指摘のように五月から完全週休二日制を導入するという事情がございまして、こういう状況を踏まえまして関係労働組合と交渉いたしまして、先月末、可能なところから逐次実施をしていくということで合意をした次第でございます。その結果、全体を申し上げますと、本省それから地方郵政局等の非現機関、それから逓信病院、郵政研修所等の施設等機関、それから郵便局の共通部門、総務課等でございますけれども、それから総合定員配置の集配郵便局のうちの約半数の郵便局、二千局ぐらいございますけれども、この郵便局、これらにつきましては、それぞれ必要な準備期間を経ましてこの五月から七月までの間におきまして完全週休二日制を実施していくということが一点でございます。  それから、御指摘の残されました、これは総合定員配置の集配郵便局のうちの約半数の局、それから単独定員配置局の郵便部門でございまして、これらの部門の職員につきましては、現在四週七休制で実施しておるわけでございますが、これらが四週八休ということでは残るわけでございますので、これらの職員につきましては、昨年末の関係組合との労使の合意に基づきまして、組合とお互いに知恵を出し合いまして平成四年度内には何としても完了させるという方針でございますので、これからその実施時期、さらに実施のための具体的施策につきまして鋭意詰めていきたいと考えておる次第でございます。
  57. 武部文

    ○武部(文)委員 やはりばらばらになってきたわけですが、それは確かに郵便部門というのはいろいろと難しい問題がございまして一挙にはできないだろうということは私も承知しています。  ただ、週休二日制というものを実施するのに、基本的な方針として、ここで答弁がございましたように、定員はふやさぬ、サービスは落とさぬ、それで週休二日制を実施する。私は手品みたいなことができるかと言ったら、参議院では軽わざみたいなことができるかと言って、議事録を見るとやはり発言があったようですね。定員はふやさぬ、サービスは落とさぬ、週休二日制はやる、そんなことが一体どうしてできるのだろうかというふうなことを言ったことを今でも記憶しておりますが、なかなかそれは難しいのですよ。そんなことできっこないのですよ。  ですから、合理化の問題というのは確かに必要でしょうけれども、今、人件費が八割を占める。特に郵便事業で、機械化や合理化を今までやれるものはどんどんやって、もう限界に来ておるというのが我々の実感なんです、認識なんですよ。これ以上のものが一体どこから生まれるんだろうかというようなことを考えると、それはなかなかそう簡単には出てこないと思う。そうなれば、一体どうするかといえば、やはり労働時間の短縮のために、この限られた労働時間の中でそれをやりくりするしかない。そこで早出だ、遅出だ、深夜勤だ、十六勤だといろいろなことが出てくるのですよ。配達の度数は、今のところは一度地域がほとんどになっちゃいましたけれども、二度地は言ったってできない。そうすれば、土曜の休配はどうするのか、そういうところに焦点を絞っていかない限りは、この一番多数を占める郵便の週休二日制というのは実現は不可能だと思うのであります。  今考えられておることは、やはり夜勤の勤務時間を長くしたり、早く出るのを今よりもっと早く出てこい、帰るときはもっと遅く帰れ、なるほどそうなればある程度のものは浮かんでくるでしょう。そうなれば、週休二日制というのは、少なくともゆとり、豊かさとか生活大国とか、そういうために労働時間短縮に日本がおくれてはならぬというので踏み切った制度ですから、そのために、週休二日制をやるために勤務時間の中で重労働になったんじゃ意味ないのです。これは本末転倒なんです。それが一体郵便の部門の中でどうしてできるだろうか。これは知恵を絞っていかなきゃならぬということをさっきもおっしゃったけれども、そのとおりだと思うのです。一体何が想定されるかということは出てこないのですよ。今のところはカラーシステムの問題が私は一つ出てきたなということを思いますけれども、これとて一年ぐらいかからなきゃ結論が出ない、それまでにどうするのか、こうなってくるのですよ。  ですから、週休二日制のために、かつて言ったことがなかったけれども、土曜の配達をやめたらどうか。週休二日制という制度がどんどん地についてくれば、商店だってそれに符号して休んでくる、事業場もみんな休む、そこで土曜日に配達をしなくてもいいじゃないか、こういう理論が当然出てくると思うのです。問題は、土曜、日曜のものが月曜日にどさっと来ればまた重労働たということになるから、それをどうしてカバーするかということになるのです。それが知恵の出しどころだと思うのですが、少なくともこの土曜休配というのは郵便事業百二十年の歴史の中で初めてのことですから、そう簡単にはできないと思いますが、私は、実験局ぐらいを一、二局でもつくってやってみたらどうか。実験をしてみて、いけなきゃもう中止でいいのですよ。だけれども、やってみて、やれるところからやったらどうだという意見も当然出てくると思うのです。  ですから、ほかの部門の連中は毎日一緒に出ておって、みんな帰っちゃうのに、休んでおるのに、郵便の連中だけが出てがらんとしたところでやっておるというのは、これは現場の第一線に働く管理者の皆さんにとっては苦痛だと思うのですよ。何でうちばかり出ておるのか、こういうことになるのですよ。崩れますよ、バランスが。人事管理だってなかなか難しくなってくると思う。どうぞひとつこういう点は最重要課題として、週休二日制の問題、郵便の諸君というのは、雨が降ったって雪が降ったって出なきゃいかぬでしょう、そういう連中の労働時間のことをぜひ考えてほしい、このために最大限の努力を私は郵政省に要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 もう武部先生のおっしゃられる御意見は身にしみているわけでございます。  ただ、今御案内のとおり、この五月から実施をいたしております週休二日制、まさに非常に理想と現実の中でこれは苦しんでいるという実態ですが、しかし、大変な組合の皆さんの、現場の皆さんの御理解、協力で、何とか国民の期待するサービスの低下にならないようにという大変な使命感と責任感で今日話し合いを続けて、そして一応のめどを立てられるところは立て、実施できるところは実施する、こういうことにしているわけでございます。しかし、将来性の問題ということになりますと、今先生がおっしゃられた問題意識というのは、我々としても持っていないわけではございません。  しかし、何としても今の段階では、国民がせっかく週休二日ということで二日間休めるな、それで、休んだ日に郵便が来なくなったな、こういう現実というものの理解、了解というのがどういうふうに得られるか。あるいはまた、御案内のとおり、今の郵便会計の問題もこれあり、いろいろな総合的な角度から検討させていただきまして、絶えず続けて勉強させていただく。  ただ、おっしゃられる、現場の皆さんに過重の労働あるいはまた過重の負担あるいはまた仲間意識の疎外感、こういうことにならないようなできるだけの措置を講じてまいりたいと思いますので、これからもひとつ御指導をいただきながらですが、何とかもうしばらくの時間をいただいて、まずは週休二日の完全実施の方向に努力をさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  59. 武部文

    ○武部(文)委員 週休二日制の問題は要望ですから、ぜひ郵政省として真剣に一日も早く実現するようにお願いをしておきたいと思います。  最後になりましたが、一つだけ、現場の職員の声を皆さんにお伝えをして、お答えをいただきたいと思います。  郵便局の現場の職員の中でこういう声があります。大口利用者料金別納を行いますときに大量の切手で納付される、こういう例が非常に多い。また、莫大な量を切手で持ってくる。現場の職員にとってこれは大変なことでありまして、消印それから切手の保管、処分、こういうものに大変な手間がかかる。同時に、切手にかかったところの印刷代や管理の手間、そういうようなものから、これはむだじゃないかという声が非常に多いわけですが、郵政省としてこうした問題について今後どういうふうにしていこうと考えておられるか、これを最後にお伺いをして、私の質問を終わります。
  60. 早田利雄

    早田政府委員 今お話ございました料金別納に係る郵便物料金を切手で納めるということにつきましては、大変いろいろな問題がございまして、いいことは一つもございません。切手の消印も管理も大変ですし、さらにそれを焼却するということもございますし、また、今お話もございましたように、切手代、印刷代、そしてまた、省資源が叫ばれておるときに、その問題も重要な問題だ、無視できないというふうに思っております。  実は昨年から、料金を別納される場合にはできる限り現金で納付していただきたいということで、いろいろな機会に大口利用者の方々にも要請しているところでございまして、それなりの改善効果も出てきたわけですけれども、まだまだ進まないというのが現実でございます。  今後の問題につきましては、今後は、現在、料金別納制度につきましては切手または現金ということで、料金後納につきましては現金のみというふうにしておりますけれども、例えば料金を割り引く郵便物につきましては現金による納付に限るとかいうようなことにつきましても検討してまいりたい。もちろん、通信販売の代金の支払い方法として切手が使われているとか、あるいは郵趣品として買われた方が退蔵されている切手があるとか、いろいろな問題があることは百も承知でございますけれども、そういうふうな方向で、現場の職員にとりましてもむだなことをしているということのないように、また、経費の面でも省資源の面でも大変大切な問題だというふうに思っておりますので、今後真剣に検討していきたいというふうに思っております。
  61. 武部文

    ○武部(文)委員 終わります。
  62. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、伏屋修治君。
  63. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今提案されておりますこの二法案は、参議院先議ということで、三月二十七日の参議院の本会議で全会一致で可決された法案でございますが、私、妙なことを思うわけでございますが、参議院の逓信委員会での審議の過程においては余りそれほど問題視もされなかったのに、参議院の本会議で可決された途端に突如新聞協会が大きな懸念を持ちまして郵政大臣に申し入れをした。各紙一斉に四月六日の夕刊でその問題が取り上げられておるわけでございますが、第三種郵便物の取り扱いということでございまして、そこへ焦点がまいりますので、質問も重複する面もあるかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。  新聞協会の申し入れの大きな柱は、やはり何といいましても大きな懸念を持っておられることは、報道機関が郵政省監督下に置かれるのではないか、こういうようなことが一つあると思いますし、あるいは公共的な報道の判断というものの広告量の問題、これが大きな二つの柱になっておるのではないかと思いますが、その点につきまして、新聞郵政省監督下に置かれるのではないかという最初懸念に対して大臣はどのようにお考えになっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  64. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたが、憲法の精神、最も大切な言論表現、報道の自由、もちろん基本的人権もございますが、いわゆるこの種の今日のこの法案にかかわる問題、あるいは新聞協会にかかわる問題として一番大切な分野について、協会としてその問題を表に立てて御懸念されるということの意味は非常によく理解できるわけです。しかし私どもは、逆に行政機関として少なくとも憲法の精神にのっとり、法の精神にのっとって行政をやらせていただく以上は、この行政に沿った制度、その制度が遵守されているかいないかということは、これはまた国民の立場からあるいはまた利用者の立場から、公平感があるかないかというものもきちんと精査していかなければならない責任があるというふうに思うのです。  そういう意味において、私は利害相反すると思いません、お互いに。考えも相反すると思いませんが、ただしそういうふうに申し入れを受けた私といたしまして、実は私が大臣に就任する前からこの種の話はあったようでありますが、これにかかわるほかの問題点としてあったようであります。しかし私はきちんとその都度お会いをして、公式、非公式にもお会いをして、自分の考え方を申し上げ、あるいはまた御理解をいただいてきた。しかも今日ああいうふうに最終的にまとめられて私あてに出された内容につきましては、私は協会の責任者にそのようなことは全くあり得ない、また考えてもいないし、また今の日本の健全な民主主義の発展している過程からいたしましてもできるはずもないということをよく説明をいたして、その件はこれは伏屋先生、完全に理解をしていただいていると私は実は思っております。  しかし国会の場でありますし、またそういう御懸念が出たことでもありますから、先ほどから絶えず私は、あるいはまた政府委員も誠心誠意答弁をいたしているところでございまして、これからもそういう懸念の起こらないように行政を進め、サービスを進めてまいりたい。かつまた我々といたしましては、今度の改正は少なくとも今までの制度の領域よりも出るものではないということをもう一度申し上げさせていただいて、答弁にさせていただきたいと思います。
  65. 伏屋修治

    ○伏屋委員 新聞協会の方も理解されておるということであればいいと思います。  それで、次の公共的な事項報道という郵便法第二十三条第三項第三号に言われるところの公共的な報道であるか否かの判断というものを広告量に置いておるという理由ですね。それとまた、広告量以外に判断する尺度はないのか。仮に、広告量を尺度としない場合に、その公共的な報道か否かを判断するためには報道の中身に対する検閲的な懸念までが起こってくるのではないか、こういうふうなことを思うわけでございますが、その三点について御答弁いただきたいと思います。
  66. 早田利雄

    早田政府委員 公共的な事項を報道するということにつきましてはどういう形でやっているかというのにつきましては、郵便規則の第二十条の二におきまして、一つには会報であるとか会誌であるとか社報であるとか、そういう団体発行するもので、当該団体または団体の構成員の消息とか意見の交換等を主な内容とするものでないということと、今お話しございました広告が全体の印刷部分の百分の五十を超えるものでないこと、この二つの基準を設けましてやっているところでございますけれども、仮に、広告掲載量によらず、郵政省が記事の内容に立ち入って、公共的な事項の報道をしている、あるいはそれを論議しているかどうか、そういうことを目的としているかどうかを判定するということになりますと、そのための明確な判断基準というのは、先ほど自治省の方からもお話がございましたように、なかなか作成することは困難だというふうに思っております。  また、第三種郵便物趣旨、大勢の国民利用者の方々の負担のもとに安い料金を適用しているというようなことからいきましても、たとえそれが公共的な事項を目的とするものであっても、九〇%あるいは九五%までが広告であったというようなものを安い料金で配る、しかもだれかの負担においてということにつきましては、私は国民の理解が得られないというふうに思っておるところでございまして、そういう意味では、広告量以外に判断する尺度はないのかということにつきましては、それ以外に客観的にかつ合理的に判断する基準、そしてまた明確な判断基準というのは難しいのじゃなかろうかというふうに思っております。  また、先生からも御指摘ございましたように、広告掲載量によらず郵政省みずからが記事の内容に立ち入りまして、公共的な事項の報道をしているのかあるいは論議しているのか、そういう目的を判定するということになりますと、そのための客観的でかつ明確な判断基準を作成することが極めて難しい現実の中では、報道に対する検閲ではないかというふうに批判されるおそれが十分あるものというふうに思っております。
  67. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この法改正趣旨の中にもございますが、郵便事業に対する国民の信頼及び郵便事業の健全経営を確保する、こういう立場から今局長答弁等々もあったと思いますけれども、やはり第三種郵便物というのは、さっきの委員の御質問にもありましたけれども、一種、二種の郵便利用者負担によって成り立っておるということから考えれば、当然国民の信頼をかち取るためにも適正な運用を確保していかなければならぬ、このように考えておるところでございます。より一層の御努力をお願いしたいと思います。  次に、この法案によりますと、定期的な監査と特別監査というものがあるわけでございますが、その違いはどういうところにあるのか、あるいは特別監査を行う理由、大臣が必要と認めたとき、そのときは具体的にどういうときがそのときに当たるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  68. 早田利雄

    早田政府委員 これまでの第三種郵便物監査につきましては、発行の都度提出を求めます見本と、そのほかには随時に監査をするということしかなかったわけでございますけれども、今回の改正によりまして、定期監査と特に必要があると認めるときに行います臨時の監査というもの、二つの種類を設けたわけでございますけれども監査を行う趣旨あるいはその内容につきましては、いずれも定期刊行物郵便法の二十三条第三項の条件を具備しているかどうかということについての監査を行うものでございまして、趣旨内容につきましては同じものでございます。  私ども定期監査につきましては、現在のところ、当分の間、当面一年に一回というような形で実施を予定しているわけでございますけれども定期監査のほかに郵政大臣が特に必要があると認めるときに行う臨時の監査というのは、発行の都度提出されます定期刊行物、そういうものを調査する中で条件具備に疑義が生じた場合等に、特に必要があるときに行おうというようなことで設けたものでございまして、一般的には発行の都度出されます定期刊行物の調査と定期的に行います定期監査、この二つで十分ではなかろうか、特に必要があるときに行うというようなことで考えておるところでございます。
  69. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その定期刊行物の調査、監査を行う場合、例えば日刊紙などは一日ごとにやるのか、あるいは毎月決まった日に発行されたものを調査するのか。また、一回ごと、規定に違反しておれば認可を取り消すのか、一カ月ぐらいで見て、ある程度の幅を持たせてあるのか、その辺についてのお答えをいただきたいと思います。
  70. 早田利雄

    早田政府委員 第三種郵便物制度趣旨からいたしますと、広告掲載量等の監査につきましては原則としてその発行の都度行う、そういうものではなかろうかというふうに思っておりまして、現在、その発行の都度発行人から提出されます刊行物の見本によりまして監査をしているところでございます。  しかしながら、日刊新聞につきましては、今先生からもお話ございましたように、地域ごとといいますか、地方版ごとに掲載内容が異なるとか、また広告掲載量が異なるとかいうようなことで、発行の都度広告掲載量等の監査を行うというのは実態的に大変難しい面がございまして、そういうところから、私ども現在、発行人の方から一カ月間の発行日ごとの広告掲載量の報告を受けまして、その平均広告掲載量によりまして監査を行っているところでございます。  そしてまた、一回の違反で認可を取り消すのかという点につきましては、一般的には、第三種郵便物認可をした刊行物認可条件を具備していないと認めたときには、発行人にその旨を伝えまして、一定の猶予期間を設けて次回発行までに改善を求めるというようなことをいたしまして、なお改善されない場合に初めてその認可を取り消すという措置を講じているところでございまして、直ちに取り消すということではない。もちろんケースによりまして、最初から改善する意図がないということが明らかであり、そのことを公言しているというようなケース、また悪質なケースにつきましては一回でも取り消すことはあり得ると思いますけれども、現実の問題として、では今まで一回で取り消したケースがあるかという点につきましては、そういうのはほとんど例がないというのが実態でございます。
  71. 伏屋修治

    ○伏屋委員 現在の日刊紙の中でももう既に広告量が五〇%を超えておるところも見受けられますし、広告洪水と言われるくらい広告がたくさん新聞の中にあるわけでございますが、そういうものが今のようなことで事足りるのかな、まとめて広告掲載量の報告を受けて、それで事が処せられるのかどうなのかということもちょっと疑問に思うのですけれども、ますます広告量はふえるのではないかなという懸念を私自身持つわけでございます。  きょうの朝日新聞、毎日新聞、けさ会館へ来て見ましても、ブランケット判というのですか、新聞の大きい別版で婦人用のセシールが大きな宣伝を入れておりますし、というようなことからしますと、東京あたりはあれぐらいでおさまるかなという思いをするのですけれども、私のように地方へ参りますと、新聞の中にある広告というのはすごいものなんです。そういうものからしましても、百分の五十というのを決めたのが、これは昭和四十一年ですか、百分の四十から百分の五十になったのが。これがまたいろいろな面で百分の五十が百分の六十というような形になっていかないとも限らないので、その辺を心配するわけですけれども、そういうような広告を、広告量で公共的な報道というものを判断するということであるならば、あくまでも百分の五十なら百分の五十というものを厳格に守っていかないといけない、このように私は考えるわけでございますが、そういうようなことを無視して日刊紙が広告量をさらにエスカレートしていくような場合には、これを直ちに認可を取り消すとか、あるいは猶予措置を講じて一応勧告をするとか、そういうふうな措置はどういうふうにお考えになっておられますか。
  72. 早田利雄

    早田政府委員 日刊新聞につきましては、地方版ごとに掲載内容が異なりますし、私ども、一カ月ごとに発行人の方から発行日ごとの広告掲載量の報告を受けておりますけれども、一部の日刊紙の地方版、特に東京版等につきましては広告掲載量が五〇%を超えている日があることは承知しておりますけれども、全体的にこれを加重平均いたしまして、それで平均したものという形で計算いたしますと超えていないというふうに認識をしているところでございます。  仮に、全体の広告掲載量が超えているというふうに認められる場合には、他の刊行物認可条件を具備していないと認められたときと同様に、直ちに認可を取り消すことなく、発行人に対しまして改善を求める等の是正措置を求めまして、それがなされない場合に初めて認可取り消しを行うというような形でやっていきたいというふうに思っております。
  73. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほどのどなたかの御質問の中でございましたが、会計検査院が三点にわたって郵政省に対して申し入れをしておるわけでございますけれども、販売業者というのですか通販業者が発行するカタログ雑誌、これを見ますと、商品の販売を目的とする定期刊行物と読者に商品情報を伝えるための広告を掲載している定期刊行物、この境目が非常に難しいと思うのですが、その境目の辺の判断はどのようにしておられますか。
  74. 早田利雄

    早田政府委員 第三種郵便物運用に当たりましては、一般的には商品の販売とかそういうものを目的とした広告につきましては、第三種郵便物認可条件に言う広告というものに該当するという形で取り扱っているところでございます。  一方、情報誌、これは広告そのものを再構築いたしまして掲載した刊行物、例えば、個別の名前を挙げて恐縮ですけれども、週刊住宅情報であるとか、こういうふうなものにつきましては、「定の条件を満たす広告につきましては昭和六十二年から第三種郵便物認可条件に言う広告には該当しないという形で、法令に基づく広告と同じような扱いをしておるところでございます。  具体的には、どういうものにつきましてそういう条件に当たる広告というふうに言っているかといいますと、三つ条件がございまして、この三つの条件をすべて満たす場合には第三種郵便物認可条件に言う広告には該当しない、こういう認定、扱いをしているところでございます。  一点目は、広告そのものに対して購読者の方、読者の方が対価を支払うものであることということが一つと、それから、広告の分野が特定の分野に限られている、要するにいろいろな広告がその中に出ているということではなくて、住宅なら住宅、求人なら求人、映画情報なら映画情報というような形で分野が限られておりまして、かつ、その分野が毎号、今月は映画を載せて来月は住宅を載せるというようなことではなくて、逐号的に継続して掲載されるものであるということが二点目でございます。  そしてまた三点目といたしまして、そのような広告が少なくとも二者以上の広告主によって提供されていること、映画の場合で言いますと、松竹系、東宝系とか、いろいろな広告主の方が提供されていまして、そこで購読者がその情報の中から、どこから購入するか、どこからサービスの提供を受けるかというようなことが選択できる内容になっている。この三つの条件をすべて満たす場合には第三種郵便物認可条件に言う広告には該当しないという形で、情報誌という形で現在も第三種郵便物認可をしているところでございます。  このように、広告のうち、今申し上げましたものにつきましては、例外的、限定的に情報としての価値を認めまして、第三種郵便物認可条件に言う広告に該当しないというふうに判断しているものでございます。
  75. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次に、この法案の中に指定調査機関というものがあるわけでございますが、大臣が指定する者に、指定調査機関郵便物認可あるいは監査に必要な調査を行わせるということでございますが、どういうところを対象に考えておられるのか。また、それを全国的に、都道府県にそれぞれ置くのか。また、その調査機関に対して委託費というものはどれぐらいのことを考えておられるのか。また、その指定調査機関というものが具体的にどういうような内容で調査をし、その方法はどういう方法をとり、記事の内容まで及ぶのかどうなのか、そのあたりはどうお考えですか。
  76. 早田利雄

    早田政府委員 まず、指定調査機関はどういうところにさせるのかということにつきましては、改正されます郵便法第七十五条の二の規定によりまして、調査業務を行おうとする者、これは公益法人に限っておりますけれども、そういう人たちの申請を受けて行うということになっておりまして、現段階では具体的にどの機関が指定されるかということを申し上げることは困難な状態でございます。調査機関の指定につきましては、職員あるいはその調査業務実施方法その他の事項につきましての実施に関する計画が、調査業務の適正かつ確実な実施に適合したものであること等の指定基準を踏まえまして適正に指定してまいりたいというふうに思っております。  次に、全国に一つなのか、各都道府県に置くのかということにつきましては、なるべく定期刊行物件数が多いところに設置するということが業務の実施上最も効率的というふうに私ども思っておりますけれども、そういう点でいいますと、全体の認可件数の約六割が首都圏に集中しておりますので、当面東京都内に事務所を有する者に調査業務を行わせることができれば最もふさわしいのじゃなかろうかというふうに思っております。将来的には、他の道府県におきましても、認可件数等の必要性を勘案いたしまして調査機関を置くこともあり得るというふうに考えておりますけれども、当面は東京といいますか、首都圏にということができればというふうに思っております。  現在、委託費というのを出すようにしておるわけでございますけれども平成四年度につきましては、一億四千百万円というものを予算措置しているところでございます。  四点目に、調査の具体的な中身あるいは方法、記事の内容まで及ぶのかという点でございますけれども、調査機関には、認可の申請または監査にかかります定期刊行物条件を備えているかどうかという判断に必要な調査であって省令で定めるものにつきまして行わせるということを予定しております。具体的には、第三種郵便物認可の申請がされた場合あるいはその監査をする場合に、発行人から提出されました定期刊行物あるいはその資料等を、郵政省提出がございますので、私どもの方から指定調査機関に提供いたしまして、定期刊行物発行状況であるとか、あるいは定期刊行物の広告掲載量であるとか、あるいは有料発売性といいますか、八割以上の方が購入されているかどうか等一定の事実の存否につきまして調査を行わせるということにしているところでございます。  具体的な記事の内容にまで及ぶのかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、広告というもので一律的にやっておりますので、記事の内容について、公共的事項を報道するあるいは論議するかどうかの調査を行っているものではございませんし、今後も指定調査機関にそのような調査を行わせるということは考えていないところでございます。
  77. 伏屋修治

    ○伏屋委員 もう一つ会計検査院から指摘されております定期刊行物ごと引受郵便局を限定して、その引き受け時の検査充実を図るように検査院から指摘されておるわけでございますが、その点についてはどのような運用改善を行おうと考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  78. 早田利雄

    早田政府委員 会計検査院指摘の中で、引受郵便局を限定するということにつきまして意見表示を受けておるわけでございますけれども引受郵便局と申しますのは、発行の都度定期刊行物、要するに見本でございますけれども、それの提出を義務づけている郵便局に限定するということによりましてどんな利点があるかといいますと、郵便局で、明らかに第三種郵便物としての条件を具備しない定期刊行物につきましては、その時点におきまして第三種郵便物としての引き受けを拒否しまして、適正化を要請できるということでございます。  それから二点目には、現在臨時増刊というような形で、一号、二号、三号のほかに臨時という形で大量に出されているカタログ誌等があるわけでございますけれども、そういうカタログ等を掲載内容とする臨時増刊号の差し出しを防止できるというようなことを検査院の指摘の中で挙げられておりまして、私ども、引き受け時の検査充実が図られるという観点からそのような意見表示があったものというふうに思っております。  郵政省といたしましては、こういう指摘を踏まえまして、第三種郵便物引受郵便局につきましては、原則として、発行の都度見本の提出を受ける郵便局に限定いたしまして、引き受け時の検査を十分行うことができるようにしたいというふうに考えておりまして、現在そのための郵便規則改正につきまして検討しているところでございます。
  79. 伏屋修治

    ○伏屋委員 これは別の問題になりますけれども、昨年の十月から運用が開始されました書留情報システム、その運用状況がどうなっておるのか、スムーズに運行されておるのかどうかお尋ねしたいと思います。
  80. 早田利雄

    早田政府委員 昨年十月から運用開始しました書留情報システムにつきましては、当初、無集配特定局を中心に引き受けたとかあるいは着否照会等に、若干事務のふなれ等もございましてトラブルがございました。しかし、その後順次解決いたしまして、現在では順調に行っておりまして、さらにシステムの充実を図るため、今年度以降無集配特定局にも着否照会だとか送達証の作成ができます端末機等を配備する予定でおりまして、現在ではお客様からの照会に対しましても、従来は一件照会されますと三十分ぐらいかかっておったわけですけれども、二十秒程度で回答できるというふうに非常に喜ばれているところでございます。
  81. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最後に、これはお願いになるかもわかりませんけれども、書留通常郵便物のうち、一般書留、それから簡易書留というものは受領証に相手先の氏名が記入されておるわけでございます。それでだれに出したとかということが後でもわかるわけでございますが、現金書留については損害要償額が記入されているのみで、相手先の氏名が後で見てもわからない。こういうような受領証に相手先の氏名がわかるような配慮がなされてもいいのではないかな、このように思うわけでございますが、そのあたりはどうお考えですか。
  82. 早田利雄

    早田政府委員 今お話がございました現金書留封筒の受領証につきましては、実は平成二年の十二月に一部様式を改正しておりまして、必要に応じ受取人の氏名等を記入できるメモ欄を設けたということで、実は私も、じゃあちょっと見せてくれと言って見せてもらったわけですけれども、私が見ましても大変わかりにくいということでございまして、御指摘を受けましたとおり、現金書留封筒の受領証に受取人名の記載があればお客様の控えとしても役立ちますし、また、先ほどお話し申し上げました書留情報システムの着否確認の照会にも大変便利だということで、今後早急に受取人名の記入欄を設ける方向で様式の改善を検討しております。
  83. 伏屋修治

    ○伏屋委員 一層の御配慮をよろしくお願いいたします。  終わります。
  84. 谷垣禎一

    谷垣委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十五分開議
  85. 谷垣禎一

    谷垣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田哲君。
  86. 上田哲

    上田(哲)委員 最初に一点だけ、国会中継専門放送局について大臣の見解をただしておきたいのであります。  この国会中継専門放送局をつくるべしというのは私の長い間の主張でありまして、国会質疑も続けてまいりました。最近この議論が高まってきたことは歓迎いたします。これは言論の自由、放送行政の基本にかかわる問題でありまして、放送法の基本の精神にかんがみて放送の実施主体がどこか、きょうはこの一点だけ確認をしておきたいのであります。当然政府や国会にかかわるものではなくて、極めで中立的で公平な機関を主体とする放送局でなければならない、当然のことと思いますが、大臣の御見解を承りたい。
  87. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 上田先生にお答え申し上げますが、この放送法第一条、いわゆる目的に定まっております不偏不党、真実及び自律が保障されて、放送による表現の自由が確保されるべきであるという、この放送法第一条ということがあくまでも放送法の基本的な精神であると承知いたしております。  現行放送法は、こうした観点から、放送の実施主体としてNHKあるいは放送大学学園及び一般放送事業者(民放)などを規定いたしておるわけで、国が放送の実施主体となることはこの放送法では予定していないということであろうと思います。国が放送の実施主体となることについては放送体制の根本にかかわる問題でございますので、郵政省として、この問題につきましては具体的に提示された場合には極めて慎重な検討が必要だというふうに認識をいたしております。御理解をいただきたいと思うわけです。
  88. 上田哲

    上田(哲)委員 念を押しておきます。  つまり、行政府や立法府がこの放送局の主体となることはないということですね。
  89. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 現時点では、全体の状況から見まして慎重な検討を要するとしかお答えがなかなかできにくいという状況でありますが、これは言うならば内閣の法制局であるとか、あるいは今私が前段申し上げた目的に沿う憲法問題との関係、そういったことを慎重に検討を要する事項である。まあ、結果的には上田先生のおっしゃられるようなことを踏まえて、結局は問題が提起された場合にはこれは研究、検討してみなければならぬ。問題が提起される前にそれはだめよと言う権限も、まだ、いわゆる三権分立の議会で今話し合われているわけでありますから、そこは今の段階で私の立場から、言うならば門前でお断りするということでもなかろう、またその権限も今の段階ではないのではないか。立法府の最高機関である国会における委員会での審議、そしてそこに出された結論を見て、そしてひとつ勉強、検討、慎重に対応したい、こういう気持ちでございます。
  90. 上田哲

    上田(哲)委員 大変これは不満でありまして、話にならぬ。立法府が考えているなんということもそもそもおかしいのでありまして、これはちょっとお勉強いただかなければならぬ。当然これは放送法の精神に立つのが当たり前のことなのでありまして、放送法の精神に立ては、立法府や行政府が放送局をつくる、国営放送をつくるなんということは考えられない。だから、これはもう一刀両断そういうことはないというのが当たり前のことです。しかも、このイニシアチブをとるのが国会であるというのもおかしな話であって、行政の主体はどこにあるかということになりますから、これは言うまでもないことだと思いますが、きょうはこれが主題でありませんから後に譲っておくことにいたします。いずれにしても、当初の、最初に述べられた見解を大事にしていきます。よろしいですね。(渡辺(秀)国務大臣「はい」と呼ぶ)はい、結構です。  さて、きょうの本題、郵便法の問題でありますが、今回の郵便法改正は第三種郵便物監査を通じて新聞発行の自由にかかわる重大な問題、こういう指摘があります。また、第三種郵便物への規制を強化して弱者を圧迫し、本来の三種の趣旨をゆがめるという懸念もあり、これらの疑義をたださなくてはならない。私はこの疑義をたださない限りにわかにこの改正案に賛成はできません。この立場で議論を進めます。  まず、郵政大臣はこの改正案によって新聞報道にかかわる言論の自由を抑圧するごとき意思がいささかでもあってはならないと信じます。そこで、まず第一に、改正案の趣旨において言論の自由を尊重しなければならないとお考えになっているかどうか、第二に、図らざる結果においても新聞言論の自由を侵さぬようにしておかなければならない、そして第三に、その事前事後の自由の保証のために十分な実効的な措置をとるという決意をあわせ持たれるかどうか、三点について克明にお答えをいただきたいと思います。
  91. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 上田先生に御指摘をいただくこと自体が非常に我々の方の事前の説明というかあるいは理解を得る努力がいささかどうであったかという反省も私はいたしております。しかし現実に、新聞協会の方で指摘されましたような郵政省言論、報道の自由を抑圧するというような意思は毛頭ございませんし、また行政機関としてまさに憲法にもとるようなことはできるはずもないのでありまして、これはこの場をおかりして私は明快にそのような意図によるこのたびの法律改正お願いしているのではないということをどうぞひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。  もう一つは、私といたしまして、実はこの問題は昨年の春から若干三種についての問題提起新聞協会からなされてきたというふうに承っておりますが、大臣として新聞協会の責任者あるいはまた協会の代表される人たちと会ったのは恐らく私が最初であろうと思います。私は誠心誠意今回の問題について御説明をいたしましたし、それから今申し上げたような趣旨を明快に御説明をしながら御理解を得た。いわゆる言論、報道の自由を拘束し、あるいはまた行政機関のもとに監察権を置くようなそういう意図ではないということについての理解はいただいているというふうには実際私個人としては思っております。  これからそういうようなことの誤解を招かないように、そしてこれからの実際面において、指定調査機関というのを設けながらも、そういう今心配される、懸念されるような事態にならないように十分に注意をしながら、またそういうことの起こらない、公正な、しかも今まで行ってきたことと変わらない監査といいましょうか、それを行うわけでありますので、そのことをよく理解を賜りたいと思っておる次第でございます。今後ともそういう批判を受けることがなく、問題を、あるいはまたこの第三種の制度体制を維持していくためにも、私どもとしては誠心誠意事に当たってまいりたいと思っております。
  92. 上田哲

    上田(哲)委員 各論については順次お伺いいたしますから、まず原則をきちっとしておきたい。大臣の発言は、いささかも新聞言論の自由を抑圧する意図はないのだということを言われたので、私はもう一遍各論の前に三点を個別にしっかり確認をしておきます。  繰り返しますが、今改正案の趣旨において言論の抑圧の意図はない。第二に、図らざる結果においてそのような事態が生じないようにする。第三に、そうした不測の問題については実効的な措置を速やかにとる。この三点を確実に、具体的に一つずつ確認をしていただきたい。
  93. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今おっしゃられたとおり、全くそれに間違いないということを申し上げさせていただきます。
  94. 上田哲

    上田(哲)委員 さて、この問題は、第三種郵便の規制についての法改正を舞台にして新聞の第三種認可、それから新聞の選挙報道の自由、それから新聞の広告量の規制、これらが三つどもえに絡まることの複雑さが本質だというふうに考えます。私は、新聞という社会の公器がその表現の自由と法規制とのはざまの中でどのような活動体でなければならないかという問題だと理解をいたします。私自身言論の自由を守る従来の立場からこれを大変重視するのであります。きょうの質疑はそのことであります。  さて、具体的に。日本新聞協会は今回の改正言論の自由を侵害する危険があるとして改正に反対をしています。既に大臣にはお渡ししてあるけれども、ここにざあっといかに新聞協会社長会、理事会等々がそういう立場の討議を進めてきたかというのはあらかじめごらんをいただいておりますから、これはここで一つ一つ言うことを省きますけれども、四月の十四日には新聞協会の中江会長と渡辺大臣が面談されたということなどもあるようであります。つまり、全国の新聞がこぞって一つ法改正に反対をする、これは大変異例なことだと思うのですが、こういう動きに対して大臣はどんな感覚でおられますか。
  95. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 四月の十四日に、先ほど申し上げましたが、公式に中江会長以下新聞協会の皆さんがお見えになられました。私はそのときに、今まさに上田先生おっしゃいましたように、三種にかかわる問題と言論の自由を監査するような、あるいは新聞郵政省行政機関のもとに監督するような、そういうことと一緒にされては困るということで、先ほど申し上げた言論、報道の自由を侵すようなことを郵政省はいささかもやるはずもないし、また、やるべきことでもないし、やれることでもない、それはぜひひとつ理解をしてほしいということを本当に丁重にかつ真剣にお話を申し上げまして、このことは私は理解いただいたと実は、上田先生、思っているのです。  今回の郵便法改正で、今ここにございますように、私はこのことは国会ではっきり私から答弁しますよ、そんなに御心配ならば。だけど、本当は三種のことでむしろ御希望があっておいでになったのじゃないですか、そのこととこのことは区別して、第三種に関しては私ども言い分がありますということで、私は国会で、マスコミというものを大事に考えていく、民主主義議会制度の中で、私の信念と私自信の政治家としての考え方も織りまぜてよくよく御説明し御理解をいただいた、このことは確信をいたしております。ただ、個別の問題ですから、三種の問題、どうせ後でしょうから、その問題とはまた別の問題として取り扱っていただいたし、御理解を願ってきたところでございます。今後も、もし誤解があるならば、私はいかようにもその誤解を払拭すべく努力をするつもりでございます。
  96. 上田哲

    上田(哲)委員 感想を一言承りたいのは、全国の新聞が一緒になってこんな形で反対するというのはちょっと今までないことなのですよ。これは大変なことだなという御認識がどうかということ。
  97. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 事実それは、そう言われますと大変なことだと思います。しかし、私はそんなことにどうして一体、正直申し上げまして怒られるかもわかりませんけれども、論理飛躍したのかなという感じもいたしました。これは私の正直、率直な考えです。いわゆる今までと違うことをやるというのじゃないわけです。今までやっていることを、制度を精査するというだけでして、新しくはみ出た権限を要求しているわけでもないということでありますから、そこはわかってほしいですよということになっておりまして、地方の新聞社長さんまでが、実は午前中質問がありまして、非常に人望局い方だそうですが、御懸念をしておられるとおっしゃいましたので、それはひとつぜひそのことは理解をしてもらいたいというふうに、そこも丁重に御答弁を申し上げたところでございます。
  98. 上田哲

    上田(哲)委員 今改正案の採決はもう間近に迫っているわけでありますし、参議院先議で、しかも全会一致賛成法案としてここまできているわけですから、もはやあいまいな質疑は許されないと私は考える。しかも全新聞が一致して、郵政と見解が大きく相隔たっているということを国会としてはどうしなければならぬか、これは非常に重大な問題です。問題点をしっかり掘り下げて明快にしなければならないという意図から、私は、次に日本新聞協会にその見解を文書で提出してもらうことを求めました。新聞協会からは、社長会、これは理事会と称するわけですが、理事会の総意をもって、ここに文書がございますから、これをそのまま読み上げて、掘り下げた討論をしていただきたいと思います。数点ございます。読み上げます。  日本新聞協会は、昨年九月、十二月、定例理事会で第三種郵便物の広告量規制の撤廃を求める基本方針を決定し、これについて郵政大臣に申し入れている。   昨年九月、中江協会々長が当時の関谷郵政大臣に要望書を提出。とくに本年四月、今回の法改正にあたって、これは従来の新聞協会の要望の方向を背馳するとして協会長から大臣あてに『見解』を提出した。   しかるに、四月六日の当協会の見解提出についても、郵政大臣からは直接回答はなく、逆にこれを無視して、突然、郵便法の一部改正案を国会に提出しあたかも新聞郵政省監督下におくような挙に出た、大臣はなぜ誠意ある回答を示さなかったか。これは行政の基本姿勢にかかわる重大問題であり、民意を無視した郵政大臣の政治責任は重い。新聞界の不信の全ての原因は郵政大臣の不誠意な態度にある。 これ、そのとおりの文章なんですが、いかがですか。
  99. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私、そのときにも実は申し上げたのです。会長も交代されまして、そのかたがたお見えになられたのです。公式にお会いするのはきょう初めてですよ。しかし非公式にも私は話を承っておって、いわゆる第三種の問題については、新聞協会の言われる問題点を、私もなった早々にありましたので、勉強してみましょう。そういうことで、そこに出てくるような激しい私に対する表現に何でなるのかということが実は私は納得いかなかったのですね。  それで私は、率直にそのときも実は申し上げたのです。相当私も語気鋭く申し上げました。誠心誠意お互いに話し合って、これから勉強していこうじゃないか、私は逃げるんじゃないですよ、だからお会いしているのだということで話し合って、そしてそのことがもとで、先ほどから先生心配しておられる言論の自由、報道の自由を郵政省監督下に置くような、あるいはまた監視下に置くようなことを考えられるはずもないし、できるはずもないじゃないですかと言いながら、笑い顔で話をして、発表される前に見えるのだったら私もちょっとあれだったのですが、発表された後見えたものですから、私は非公式に、今まで私自身の誠意を何にも理解してないことには私は不満ですよ、しかし、だけどそれはもういいと、文書を出されたことは。しかし、きょうここで皆さんがこうやっておいでになった以上は理解をしてお帰りになってください、しかも言論の自由、報道の自由を圧迫したりあるいはまた干渉したりという意図は毛頭郵政省としてはないということだけははっきりしてくださいということで、新聞協会としても、そのことは私が否定したというふうに新聞で発表されたので、私はこれは少なくとも理解していただけている、こう思っております。そこはひとつ上田委員にも、最近ここ何週間かは正直言いまして会っていませんが、この何週間かの間に急に新聞協会の態度が変わったというならこれは別ですけれども、そうでない限りにおいては、御理解をいただいておる、こう思っております。
  100. 上田哲

    上田(哲)委員 また次に読みます。   郵政省は『郵政省新聞を監督する』という指摘は当たらないとしている。   新聞協会が今回の改正で問題にしているのは次の二点である。  ①郵政大臣による定期監査権と特別監査権条項の新設(郵便法改正案第二十三条の三)  ②指定調査機関条項の新設(郵便法改正案七十五条の二)   郵政大臣新聞等の定期刊行物監査権を持つだけでなく、指定調査機関定期刊行物の調査権を与えるのが今回の郵便法改正案の最大の狙いであり、今回の郵便法改正案は、これらの郵便規制の規定法律に格上げして一段と強制権を与えると同時に、郵政大臣法律上の監査権を付与し、指定調査機関まで新設しようという大改正である。   特に監査権についての改正案は、定期監査が一種の義務条項になっている。郵政省事務当局は新聞協会に対して「新聞は無関係」と説明しているが、この条文では「新聞は無関係」ということはあり得ない。 こう書いてあります。いかがですか。
  101. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 後で局長から答弁させますが、基本的には今までやってきたこと以上の法律改正ではない。今までやっていたことを、制度を整理する。そういう意味で、これは御存じのとおり会計検査院指摘をされたという事実を踏まえて、行政機関としては国民に責任ある立場としてこれを無視するわけにはいかない。そこでこの制度の精査をし、あるいは整理をするという意味だというお話をそのときも申し上げた次第でございます。  あと、詳細にわたって局長から答弁させます。
  102. 早田利雄

    早田政府委員 ただいま定期監査につきまして御指摘があったわけでございますけれども、これまでの第三種郵便物認可をした定期刊行物監査につきましては、実は一つには第三種郵便物としての条件を具備しているかどうかということを確認するために、発行の都度すべての定期刊行物につきまして見本の提出を求めております。そのほかに必要があると認めた定期刊行物につきましては、発行状況、私ども郵便法条件の中に阿部以上発行するというようなものがございますので、そういう発行状況発行部数に関する報告であるとか、有料で発売されていることを証明する資料等提出も、これは従来からも求めていたところでございまして、改正後の法律におきましては、従来どおり発行の都度すべての定期刊行物につきまして提出を求めるほか、監査を厳正、的確に実施するために定期にということで、当面は一年に一回程度を予定しておりますけれども、必要な報告、必要な報告といいましたのは、先ほど言いました……(上田(哲)委員「わかった、そういうのはいい」と呼ぶ)はい。ということでやっておるわけでございまして、今回の改正によりまして認可条件変更は一切ないということから見ましても、条件の具備を確認するという監査内容につきましても従来どおりでございまして、この法律改正によりまして規制の強化という指摘は、私は当たらないというふうに思っております。
  103. 上田哲

    上田(哲)委員 そういう質疑はしたくないのです。私は、議論を最終段階で明快にするためにわざわざ新聞協会の最高責任の文書をここに携えて、その内容について具体的な答えを一つ一つ要求しているのだから、この法改正についての一般的な説明はもういい。だから絞って、例えば定期監査は一種の義務条項となっているので、郵政当局は新聞は無関係と言うが、無関係ではないではないか、こう新聞協会は言っているのです。そこをどうかということに絞って簡潔にお答え願いたい。
  104. 早田利雄

    早田政府委員 先ほど申し上げましたように、定期監査につきましては従来やっていたものを定期にやるということでございまして、私ども新聞につきましても当然定期監査の対象になります。ただ、その際に求めます報告または資料提出につきましては特段の負担がかかるものではないというふうに思っております。
  105. 上田哲

    上田(哲)委員 議論はあるでしょう。  次に進みます。読みます。   三種指定が選挙報道の唯一の規準となっている。これは質的におかしい。全国で日刊新聞は朝夕併せて毎日七千万部発行されているが、郵送部数は三万部程度である。三万部の郵送部数に対する監査、調査によって七千万部の新聞をコントロールしようとしているのではないかといわれてもやむを得ないではないか。これが社長会の見解なんですね。  抽象的な話じゃ困るから具体的に聞きます。これは私の見解で聞きます。  第一に、これは自治省にぜひ伺っておきたいが、確かに新聞の選挙報道に関しては、唯一の規制というものが三種認可になっているわけですから、その担当官庁として、選挙報道の自由と公選法上の規定のはざまの問題、これは非常に難しいと思います。民主主義社会の根幹に触れる見解が問われるところだと思うのですね。これについてどういう見解をお持ちなのか。とりわけ、この三種認可という基準だけをもってこうした問題を整理していこうという考え方、見識あるいは哲学は何かということを伺いたい。
  106. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 選挙報道と公選法上の関係の問題でございますが、新聞紙とか雑誌は、その本来の使命でございます報道、評論によりまして国民の正しい批判の資料を提供するという、いわば社会の公器としての役割を持っていると存じます。したがいまして、選挙に関する報道、評論の自由を保障することが重要であると考えているわけでございます。しかしながら他方、選挙の公正を確保するというためには、いわゆる選挙目当ての新聞等についてはこれを排除することも必要であると考えているわけでございます。  このために、公職選挙法では百四十八条一項で報道、評論の自由を保障しつつも、選挙期間中においては一定の外形的な要件を満たす新聞紙、雑誌に限って選挙に関する報道、評論を認めることとしているところでありまして、この趣旨に従って現在の法律が構成されておりまして、新聞、雑誌がこの趣旨に沿って社会の公器としての役割を十分果たしていただくよう期待をいたしているものでございます。
  107. 上田哲

    上田(哲)委員 新聞の使命は言論の自由に尽きる、選挙もまたこの例外ではないというのは一つの原則であります。同時に、それが放縦に流れていいのではないから、一定の枠内というかレベル以上というか、そういう中での自由というものが内外ともに検証されつつ進まなきゃならないということも当然なことだと思います。元来言論の自由は法規制になじむものではありませんし、同時に、報道側の見識というものも常に自己検証さるべきだということになると思うのです。  国民の知る権利にどうこたえるか、一票を投ずる人々の判断を豊かにするためにどのような情報を提供するかということは、民主主義社会の一つの当然な努力の方法であるし、同時に、テレビを例にとればですが、当選確実の打ち間違いなんというのもあるし、いわゆる新聞を含めたアナウンス効果というものが当落を左右するということも出てくる。非常に難しい問題だと思う。官僚の答弁としてはそれ以上は出ようがないのですが、国務大臣として現在の選挙報道というものについてどのような見識をお持ちか、あえて問うておきたいと思います。
  108. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 国務大臣と、こう言われますと、やはり形式的な答弁というか決まった答弁を申し上げざるを得ないわけであります。  すなわち、新聞における選挙報道については、公職選挙法に沿って現在適正に行われているものと私は認識をいたしております。選挙報道のあり方、先生のお考えについて私が政治家としての感じは私なりのものは一つございます。ありますけれども、やはり国務大臣として、今この民主主義制度の中における自由選挙が行われている、その報道あるいはまたその言論というものは、今日現在、適正に行われているということを言わざるを得ないと思うのです。  あとのいろいろな選挙上における報道の個々の問題につきましては、これは方法論はいろいろまた意見のあるところだと思いますが、今日まで健全な報道が行われていると私は認識し、今後もまたそのように行われていってほしいと期待をいたしておるわけであります。
  109. 上田哲

    上田(哲)委員 ぜひ、より高いレベルに向かってということにここはしておきましょう。  自治省、二番目の問題を確認しておきたいんだが、まさに、新聞の選挙報道を支える基準というのは三種認可に尽きる、いわば唯一絶対の基準であります。したがって、一つの仮説として逆に確認しておきたいのだが、新聞が三種を外れるということになった場合は、選挙報道はできないことになりますか。
  110. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 御指摘の選挙報道との関係で申し上げれば、現行法上、第三種郵便の認可のあるものであることは、公選法の第百四十八条第三項第一号の要件の一つとなっておりますので、この認可がなければ選挙期間中には選挙に関する報道、評論はできないということにされております。
  111. 上田哲

    上田(哲)委員 第三にもう一つ、今の三種認可条件は、新聞の広告量が五〇%ということになっています。仮にこのパーセンテージが変わった場合には、公選法百四十八条三項一号の考え方そのものに変更はあり得ますか。
  112. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 御指摘郵便規則に定める基準は、まさに郵便法第二十三条第三項の規定趣旨を踏まえた具体的な運用基準であると理解をいたしております。そして、この郵便法第二十三条第三項に定める認可の基準は三つほどございますが、いわゆる選挙目当ての新聞とそうでないものとを区別する上で客観的かつ合理的なものであるというふうに考えておりますので、そのようなことで現行公選法を、現在適正にこれが働いているというふうに考えているわけでございます。
  113. 上田哲

    上田(哲)委員 大事なことなんですよ。端的に聞くから端的に答えてください。これは非常に大事なことなんだ。  第三種郵便の認可の基準であるものの一つ、広告が五〇%を超えないものということになっている現在の五〇%が変更された場合、この場合に唯一の基準としての公選法第百四十八条三項一号の考え方を変えることはあり得るか、明確に答えてください。
  114. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 仮定のお話でございますし、まさにこの郵便規則郵便法規定を受けての運用基準だろうと思いますので、その趣旨を受けてこの規定がつけられて、それで運用されていることでございましょうから、そういう限り、物の考え方について特に変える必要はないのではないかと考えております。
  115. 上田哲

    上田(哲)委員 明快になりました。これは非常に明快になったので、今後に問題の幅がいろいろと発展をしていくだろうというふうに思います。今はこれ以上そこは挿しません。  そこで、そうした問題にも関連してくるのでありますが、また読みます。   新聞協会が要望しているように郵政大臣はなぜ、第三種郵便物の広告量を国際的に通用するものに改めないのか。ちなみにアメリカは全く規制していないし、ヨーロッパでは、英仏は紙面の三分の二まで認めており、紙面の五〇%という規制は先進国で日本だけである。   しかも、広告量の規制は省令である郵便規則で定められている。きわめて官僚的手法ではないか。 こう読んだのですが、いかがでしょうか。
  116. 早田利雄

    早田政府委員 外国の制度と我が国の第三種郵便物制度の比較でございますけれども、アメリカ、イギリス、フランスにおきましては、確かに御指摘のように日本よりも広告掲載量の制限が緩やかでございます。しかし、アメリカ、イギリスにおきましては、日本のように安い第三種郵便物料金を設定しておりませんし、また、アメリカにおきましては、国の会計の方から一部補助金が出ている、こういうこともございますので、そのことをもって日本の広告制限量と諸外国の広告制限量、それが国際的であるかどうかという比較はいかがなものであろうかというふうに思っております。
  117. 上田哲

    上田(哲)委員 五〇%論というのがこの根底にあるのですよ。その五〇%というのが日本の線なのです。この五〇%というものは、さっき言ったように、規制と自由が三つどもえになって今さまざまな議論を呼ぶことになっている。五〇%の接点の火花なんですよ。そうすると、アメリカだ、ヨーロッパだという話がここに提起されておるのは、五〇%論をどう考えるのかということになりますね。つまり、五〇%を動かすというような考えはあるのかないのか。これはひとつ大臣
  118. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 この第三種郵便というのは、御案内のとおり、一種、二種の皆さんのいわば負担の中で行われていると言っていいと思うのです。そういう意味では、基本的に、この第三種制度を維持していくのには、そこにいわゆる適正さがなければいかぬ、言うならば、その一種、二種の皆さんに理解してもらう、納得してもらえるものがなければいかぬだろう。そこに設けられた基準が、今までいろいろ改定されてきて今日五〇%になっているということだと思うのです。  ですから私は、今日の段階で、情報を売る、言うなら新聞はそういうことだと思うのですね。情報を活字にして販売する。この広告が半分以上になったときに、広告を売るというようなことになってはおかしいのではないかというところで、半分半分、フィフティー・フィフティーだなというのでこの五〇%を基準にして、業界の皆さんよ、何とか努力してくださいよということで、先ほど御指摘をいただいた監査あるいはまた報告を受けながらお互いに今日までやってきたものであるわけです。たとえ量が少なくとも。  ですから、今日の段階でこの五〇%を動かす意思があるか、こう問われますと、私は、まあ大体これは半分半分だから、外国の例がこうだからということで日本の基準を変えるということはいかがかという感じもいたしますが、今日の状況の中では、この制限をまるで撤廃をするというような意思は今のところ考えておりませんし、あるいはまた五〇%を、これはもう、ひとつ七〇%にしますからどうぞ広告を大いに出してやってくださいということを申し上げる意思もございません。やはり新聞新聞としての品位と品格と、そしてそういう公平さと、それから今ある制度というものに対して自信と誇りを持って私は遂行していただきたいと。私は広告の面で申し上げているのですが、お断りしておきますけれども、それ以上のことを申し上げるそれだけの権限も私にはございませんし、広告の意味ではそういうことでひとつ判断をしてほしいというのが今の心境であります。
  119. 上田哲

    上田(哲)委員 実務的に幾つかの議論があるのですが、つまりそこは法律ではなくて省令である、郵便規則であるという問題が今後もやはり議論の対象になるだろう。  それでもう一つは、先ほども出ましたけれども料金体系の問題ということがあります。そこで、これも読みます。   仮に料金体系に問題があるとしても、その改革に手をつけなかったのは郵政省の怠慢である。   なぜならば、郵政審議会は昭和四十年に第三種郵便物を①週三回以上②月三回以上③その他、と発行形態によって区別し、料金差を設けるよう答申している。それを三十年近くもなぜ放置しておくのか。答申を無視しておいて、それを理由に、新聞界の要望を拒否するのは筋違いもはなはだしいではないか。 こういう非常に厳しい表現があります。いかがですか。
  120. 早田利雄

    早田政府委員 御指摘のように、過去の郵政審議会の答申におきまして、何回か第三種郵便物につきましてはできるだけ直接的な経費を賄うような料金にしろという答申を受けております。それに基づいて、私どももその趣旨に沿った形で料金につきましては改正してきたところでございます。ただ、今料金の格差をそのままにして広告量の制限を緩和することにつきましてはいろいろなシフトの問題が起こるというふうに思っております。現在広告郵便で出されたもの、カタログ小包で出されたものが第三種郵便物になるということになるわけでございますけれども、それでは今御指摘のように、新聞協会が言われるように、広告量の制限を緩和するために料金格差を是正する、端的に言いますと、もっと料金を第一種料金に近づけるということになるわけですけれども、そうなったときに果たして今の第三種郵便物利用者の皆様方が納得していただけるかどうかという点も考えなければならない問題であろうというふうに思っております。  現在、広告の割合が五〇%を超えるというような刊行物につきましては、悪用しておるカタログ誌等につきましては五〇%を超えるものがたくさんあるのは会計検査院指摘のとおりでございますけれども、一般的に言いまして、五〇%を上回る、あるいは五〇%を上回るような広告を載せるそれだけの需要がある定期刊行物につきましては、私どもそれほど多くないというふうに思っておりまして、五〇%の広告制限量を緩和するために料金を第一種にさらに近づけるということにつきましてはむしろいろいろな問題が出てくるのではなかろうか、これについては非常に難しい問題だというふうに思っております。
  121. 上田哲

    上田(哲)委員 新聞協会は最後にこう言っているのですよ。   新聞界の郵政省に対する不信はきわめて根強いものがある。行政の基本は官民の相互信頼である。郵政省の態度は官僚の横暴さをむき出しにしたものであり、許すことはできない。   この際、郵政大臣はその責任で郵政省国民無視の行政姿勢を転換して、郵政省新聞界と  もっと話し合いを行うべきである。私は大体今質疑の中で問題点は出たと思うのです。しかもその問題点は双方の立場としてはかなり隔たっているということも認めなければならない。  しかし、双方の意見がどういうふうに隔たっていようと、あるいはそのゆえにこそ、民主主義社会の新聞という社会の公器がどうあらなければならないか、その社会的意味での法規制のあり方とはどうなければならないかという議論の放棄はできない。しかし、私は必要以上には踏み込むまいと思っているので、したがって公式な新聞協会理事会、つまり社長会ですね、理事会の文書を具体的に読み上げる形で国会論議の役割が果たせないものか、こう思ったわけですが、ここに最後に書いてあるように、ぜひひとつ新聞界と徹底的な話し合いをしてもらうことではないでしょうか。その決意を伺いたい。
  122. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは先生、私ちょっと今までの新聞協会がずっとやってきた先生のお持ちのその資料を見まして、やはり一番は平成二年から始まっているわけですね。まずその五〇%を撤廃せよ、全部なくしてしまえ、こういうことからの出発なんです。  それで、もう一回申し上げますが、私が就任いたしましてから、これは別に差し支えないことですからね、まさに公正中立なマスコミの関係の問題ですから。私は内々訪ねてこられてお目にかかって、それは日本ではいわゆる撤廃は無理よという話もしているのですね。そこのところはある程度わかっていただいたと思ったところが、今度我が方からこの郵便法改正案を出したということで、おっしゃるとおり、事前のこういう法律を出しますよということに対する理解、それは何ら言論、報道の自由を監督するようなものでもないということの事前のおっしゃられる話し合いがあるいは足りなかったのかなという感じを私は率直に申し上げて反省をいたしました。そのおいでになったときも御心配かけて申しわけないということを申し上げたのはまさにそこなんです。しかし、先ほど来申し上げておりますように、私の考え方というものあるいはまた郵政省のこの法律改正を意図するところはまさにそこではないと。新聞協会が強烈に指摘して、まるで私は一〇〇%誤解だと申し上げたのですが、そういうようなことではないということも少なくともわかっていただけたと。  しかし、こうやって今日、午前中から上田先生に至るまでこの問題について与野党を問わず郵政省にその確認をされるということは、私はさらに確かなものとして新聞協会もこれは理解していただける、非常によかったなと実は思っております。今後、おっしゃられるように報道機関との、新聞協会との話し合い、十二分にこれからさせていただくつもりでございますし、そして私なりの考えもさらに付加して、今まで答弁申し上げたことの範囲の中でさらに私の考えを申し上げながら御理解をいただき信頼関係を回復して、せっかくの第三種の恩恵にあずかっている人たちのためにも、これはこの制度を確かなものとしてみんなで守って理解をして前進をさせていただきたい、こう思っておる次第でございます。
  123. 上田哲

    上田(哲)委員 御発言を評価いたします。ぜひ話し合いをしていただきたい。明るいところで大いに郵政省が考える公器のあり方、新聞が主張する自由のあり方、これをゆくりなく議論していくということを受け入れていただいて結構です。いささか国会の任務もそこにあろうかと思うわけであります。期待をいたします。  最後に、もう一つの大きい問題は、この三種というものが持っている社会的任務、つまりグッドポリシーとしての任務がある。三種は赤字だから厳しくするという理屈にはならない、赤字であってなおやるべきだという社会的任務があるわけで、私は三種は基本的に切り捨ての論理ではなくて善用の論理でなければならぬということを確認しておきたいのです。  具体的な事例で詰めておきたいと思いますが、この場合は特にいわゆる社会的弱者といいましょうかそういうものを念頭に置いた方がわかりやすいと思います。ある団体が三種の制度によってやっと通信ができる、しかし今お金がない。そうすると、一三種の条件である定期発行は何とかして続けているが、郵便局へ持っていって郵送してもらうまでには至らなかったという場合。ちゃんと定期発行しているということがあれば取り消しの対象には全くならない。このことをきちっと確認しておきたいと思います。
  124. 早田利雄

    早田政府委員 第三種郵便物につきましては、発行の都度第三種郵便物として郵送していただかなくても、定期発行されていればこのことをもってその認可を取り消すということはございません。ただ、今先生も御指摘ございましたように、定期刊行物であるというところから定期発行されていることが必要条件でございますので、その証明といたしまして発行の都度見本の提出が求められている、また私ども求めている、こういうことでございます。
  125. 上田哲

    上田(哲)委員 特にこれは規定上確認をしておきたいのでありますが、三種の認可基準の中には郵送は条件となっていませんね。ここをしっかりしておかなければならないと思います。
  126. 早田利雄

    早田政府委員 一般第三種につきましては、郵送は条件になっておりません。
  127. 上田哲

    上田(哲)委員 わかりました。したがって、一生懸命出していれば切手がなくてもそれで認可取り消しということなどにはならない。  さらにもう一歩具体的に伺います。毎月出すべきものは出しているが、郵送代もなかったしそのほかの費用も苦しいという場合。大変具体的に聞きますけれども、例えば形状、あるいは印刷形式、あるいは色彩、こうしたものが一定でなくても、例えば活版印刷がワープロになったということであってもそれをきちんと出しているということになったら、それは三種の認可を取り消される理由にはならない、よろしいですか。
  128. 早田利雄

    早田政府委員 ただいま御指摘のような程度変更がなされた場合につきましては、私ども認可条件変更には至らないということで、これをもちまして認可を取り消すというようなことはございません。
  129. 上田哲

    上田(哲)委員 結構であります。  繰り返しますが、言葉はよくないのですが、社会的弱者、三種の制度のためにこうした通信、交流がやれるという人たちにとっては今回の改正はかなり不安の種になるわけであります。今具体例を幾つか挙げましたけれども、その根底の原理としてはさっき私は切り捨てではなくて善用を考えるべきだと言いました。同時に、郵政省側からも恩恵ではなくて、言うならばこれも大事なお客様という認識であるべきではないかと思います。その見識、方針、姿勢を弱者のために思いっきり述べてください。
  130. 早田利雄

    早田政府委員 実は第三種郵便物制度と申しますのは、郵便創業明治四年のときからできておりまして、ことしで百二十一年目を迎えたわけでございますけれども国民文化の振興にも大変大きく貢献しておりますし、生活の中にも密着しているということで、いろいろ電気通信メディアの発達等ございますけれども、やはり情報伝達手段はございますけれども定期刊行物の果たす役割、特に今御指摘のような郵便にその多くの手段を頼っておられる方、その方たちにとりましては現在の第三種郵便物制度というのは大変有用なものであろうというふうに思っております。そういう意味では、今後とも私どもこの第三種郵便物制度につきましては維持をすると同時にさらに発展させていきたいと思っております。
  131. 上田哲

    上田(哲)委員 そこはしっかり頼みます。  さて、今回の問題は、言論、出版、表現の自由と社会的規制の問題という非常に大きな問題を含んでおりまして、私は、ここにまるで郵政対全新聞という関ケ原の合戦のような形ができたというのは決して理由なしとしないと思うのです。これもまた日本の社会、文化あるいは言論というものの発展の形態と見ていかなければならない。そういうふうに考える立場でありますから、ぜひ、先ほど大臣が明快に約束をされましたから、今声を上げている新聞側と十分に胸襟を開いて話をされて、あるべき姿というものに一歩でも近づかれるように。具体的な問題を提起しておきましたので、努力されることを心から要望します。最後に大臣の決意。
  132. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 まことに上田先生からの各面にわたる御指摘、それから新聞協会が心配をしている点も先生からかわりに述べていただいたり、我々の方もかなり今までの経緯も御報告できましたし、あるいはまた私自身の考え方も申し上げることもできましたし、郵政省として新聞協会と何も事を構えるということではなくて、私が先ほど申し上げたこの第三種郵便制度という制度をいかに正しく守っていくか、それにはその制度を支えている人たちの理解も必要である。そしてまた、それがなければ困るという新聞協会のみならず一般国民、例えば選挙法との問題、そういった絡みの中でこれらの問題が単純な一面からだけの議論でなくて総合的な、総体的な言論、そして報道の自由が約束される中でこれが前進して、上田先生おっしゃるように前進の中で解決していくというふうにこれから努力いたしてまいりたいと思っておる次第でございますので、よろしく御指導をお願い申し上げたいと思います。
  133. 上田哲

    上田(哲)委員 終わります。
  134. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、菅野悦子君。
  135. 菅野悦子

    ○菅野委員 私も郵便法の一部改正案についてまずお伺いをしたいと思うのですが、第三種郵便を悪用するということにはもちろんきちんと対処していかなければなりません。同時に、今までずっと論議されておりましたように、第三種郵便というのは新聞とか雑誌などの定期刊行物を対象にした、そういうものであるだけに、今回法改正に当たって、言論表現の自由あるいは思想、信条の自由にかかわった疑問、それからいろいろな不安や要望が寄せられております。私のところにも、機関紙協会初め各種団体あるいは新聞協会などからいろいろと来たわけなんでございますが、この点では、この間の論議の中でも、本来規制とか監査の強化などは毛頭考えていない、そんなつもりはないというふうな御見解であったというふうに思うのですが、あわせてちょっと突っ込んでお聞きしたいのは、読者名簿の提出の問題でございます。  これまで第三種の認可申請に当たりましては、郵便局の窓口で読者名簿の提出を求められるということが多いわけなんですが、それは発行部数の八割以上が有料で販売されているということを証明する資料としてそういう提出が求められているわけなんです。ところが、この問題なんですが、どのような新聞や雑誌を購読しているかということにつきましては、特に政党の機関紙とか労働組合とか各種団体あるいは宗教団体などが発行するこういう定期刊行物、これを購読しているかどうかというのはまさに思想、信条、信教の自由とのかかわりでも高度なプライバシーの問題だというふうに思うわけなんですね。申請する側の発行者であります新聞社や雑誌社あるいは各種の団体発行人として読者名簿を第三者に提出するということは、一般的にはプライバシーの問題を考えるとやるべきではないというふうに思いますし、発行人の側から見ると、これは顧客リストという性質も持つものでありますし、もっと言えば企業秘密というものでもあるんじゃないかというふうにも思うのです。  そこで考えるのですけれども、今回の法改正に当たって、郵政省定期監査するということになるわけなんですけれども、これまでは申請時以外は特別なときだったのが、これから毎年のように資料が窓口に提出されるということで、読者名簿の提出を求められるということになるのではないかと思うのです。そうなりますと、逆に考えまして、郵政省としても非常に大きなリスクを背負うことになるのではないかなというふうにも思うわけなんです。読者名簿、安易に提出を求めると、それこそ万一ですけれども、漏えいしたりというふうなことが起こった場合、もちろん郵便法で守秘義務というのがあるわけなんですけれども、当該職員などをこの法律で処分しました、ごめんなさいでは、ちょっとこれは済まなくなると思うのです。そういう点では、これは大変な事態にもなるということも考えられるわけなんです。ですから、読者名簿などは、それでしか有料性が証明できないという本当に特別な場合を除いて、一般的に安易に出しなさいという形で提出を求めるというふうにはすべきではないのではないかと思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  136. 早田利雄

    早田政府委員 有料発売性の問題につきましては、八割以上に発売しているということが確認できる資料であれば何でもよろしいわけでございまして、例えば直接販売の場合には領収証の写しであるとかいろいろなものがございます。先生御存じだと思いますのでそれ以上申し上げませんけれども。  そこで、今御指摘ございましたように、購読者名簿の提出につきまして、私ども従来からも発行人の方に強要しているというようなことは一切ないわけでございますけれども、そのような形で発行人の方に映ったとするならば大変な問題でございますし、強要しているようなことは私どもはないと思っていますけれども、今後はさらにそういうふうな誤解を招かないように十分指導もしていきたいというふうに思っております。
  137. 菅野悦子

    ○菅野委員 本当に、逆に一般の国民の側から見ましても、あなたは○○新聞購読していますかなんて突然問い合わせが来ましたら、何でそんなことを知っているのかなということで気味が悪くなるんではなかろうかと思いますし、逆に聞いた側も、いや、これは第三種郵便の認可条件を具備しているかどうか、それを確認しているんでございますというふうに言っても、これはなかなか理解していただけないというふうなことであるのではないかなと思います。しかも、たくさんある読者の中で、この間の論議の中でもありましたけれども、実際に郵送しているというのは非常に少ないわけですから、そういう点でも、第三種郵便のこの問題にかかわってそういうことを尋ねているんだということを理解してもらうのは本当に困難だろうというふうにも思うのです。  ですから、そういう点で、第三種郵便が特別の低料金でのサービスということですから、その条件を具備しているかどうかということをきちんと監査するというのはもちろん郵政省の責任であるということはあろうかと思いますけれども、本当にその業務が言論の自由とか思想、信条の自由、個人のプライバシーという、基本的人権という非常に重要な課題と密接にかかわっているだけに、そのことを自覚して絶対にそれを侵すことのないようにということでぜひ進めていただきたいと思うのです。そこで、ぜひそのことを本省から現場の窓口まで、そういう仕事なんだということを徹底していただきたいというふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  138. 早田利雄

    早田政府委員 第三種郵便物認可あるいはその監査に当たりまして適切に運用いたしまして、今後とも言論、出版の自由あるいは思想、信条の自由、プライバシーの侵害というようなことのないようにさらに現場を指導していきたいというふうに思います。
  139. 菅野悦子

    ○菅野委員 それでは続きまして、郵政省が所管しております逓信病院の看護婦さんの問題についてお聞きをしたいと思うのです。  きょうは看護の日なんですよね。今国会でも看護婦確保法というのが審議されていますように、今看護婦不足の問題というのは非常に切実で深刻な問題になっております。なぜそういうことかということなんですけれども、とりわけ看護婦さんの労働条件の過酷さ、これが今日の看護婦不足の大きな要因になっているということは異論のないところだと思うのです。  そこでお尋ねしたいのは、逓信病院の看護婦さんの労働条件についてであります。郵政省はこの点につきましてどのような認識でいらっしゃるのか、お伺いしたいと思うのです。
  140. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申します。  逓信病院の看護婦も含めまして郵政職員の労働条件につきましては、基本的に民間に準拠するという考え方で労使で話し合って内容を決めるということになっておりまして、昨年の例で申し上げますと、仲裁裁定で基本的な原資の額が決められましたので、それを労使で話し合って配分をする。その際には、一般職給与法関係の国立病院の看護婦さんの俸給等も参考にしながらいろいろ考えているところでございます。
  141. 菅野悦子

    ○菅野委員 私もこれまで逓信病院の看護婦さんの労働条件につきましてはときどき郵政省と話をしてきたのですけれども、常に他の公的病院などと比べても遜色がないというふうに言ってこられたわけなんですね。  そこで、具体的にお聞きをしたいと思うのですけれども、いわゆる週休二日制についての問題です。  これは六月一日から実施を目指しているということのようです、本来、全体的には五月一日ということなんですけれども。ところが、実際はどうも逓信病院の場合についてはその差は一カ月ではないようなんですね。厚生省所管の国立病院などにおきましては、正式には今言いましたように五月一日から週休二日ということになっておりますが、事実関係ではことしの一月から試行で週休二日に入っていたということがございます。また、文部省所管の国立大学附属病院では、昨年の四月中旬から試行に入っていた。逓信病院はその点で他の国立病院と比べたら半年、あるいは国立大学附属病院などと比べたら一年以上も実際にはおくれをとっているということなんですけれども、どうして郵政省、逓信病院だけがこのように出おくれたのかなというふうに率直に疑問に思うのです。この点、どのように御認識なさっていらっしゃるのでしょうか。
  142. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 逓信病院の職員につきましては、現在四週六休でやっておるわけでございまして、これにつきましては、ただいま先生御指摘のように国立の病院等では試行その他の方法で一部実施しておったということはあったと思いますけれども、私どもとしましては、従来は国家公務員の基本でございました四週六休というところを実施しておりまして、他の郵便局等で一部試行はございましたけれども、逓信病院については、やはり郵便局の職員の健康を預かってもらっておるという観点で全体的に考えていく必要があるのではないかと思っておったわけでございます。  しかし、今般、五月以降は国家公務員の週休二日制については四週八休が基本となりましたので、この際、実現可能なところから逐次実施していくということで関係組合とも合意が成り立ちまして、五月からではなくて六月からになりますけれども、これにつきましては部内的な準備と、それから土曜の外来閉庁を行うということがございますので、利用者の方への周知ということで若干の時間がかかるということで、五月からは実施できませんで六月からという運びに、扱いになったわけでございます。
  143. 菅野悦子

    ○菅野委員 御説明聞いていても、まともに御返答いただいていないなというふうにも思うわけなんですが、やはり時短に取り組む姿勢としては非常にいかがなものかということを率直に指摘せざるを得ないと思います。  看護婦さんの労働条件の問題で最大のネックは夜勤であろうと思うのですね。つい最近発表されました日本看護協会の退職看護婦へのアンケート調査というのがございますけれども、この調査の中でも、看護婦として働きたいと思いながらも育児と夜勤の両立ができずに無理だと考えていらっしゃる方が四七%もいるわけなんですね。ですから、看護協会でも、結婚、出産しても職場を離れないような待遇改善、これが必要だ、このことなしにやはり看護婦不足という今の状況改善できないんじゃないかというふうに言っておられますけれども、夜勤問題が今日の看護婦不足の解消のかぎだと言われるゆえんがここにもあろうかというふうに思うのです。  ところが、逓信病院の夜勤の実態というのは、この点でも他の公的病院と比較しても大変多いというふうに聞いているのですけれども郵政省はどのように認識しておられますでしょうか。
  144. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 現在、逓信病院の看護婦の午後十時以降に勤務いたしますいわゆる夜勤、私どもでは深夜勤と言っておりますけれども、この回数は月に平均して四、五回でございます。個人別にも、昭和四十年に人事院判定で一応の目安として適当と示されました八回を上回ることのないよう、勤務の編成に当たりましては配慮をしておるところでございます。  他の国立、公立病院の状況でございますけれども、具体的に責任を持って御答弁申し上げられる立場ではありませんが、基本的には私ども実態とそれほどの差はないものと認識しております。ただし、病院によりましては、勤務の組み方といたしまして、私どもは午後十時が基本的な交代の時間でございますけれども、若干十時をずれておりますが、夜中の十二時で交代する勤務を含んでおられる病院もかなりございまして、そういうところもあるものですから、一律の比較というのは困難だろうと思うのですけれども、それほど大きな差はないものというふうに認識をいたしております。
  145. 菅野悦子

    ○菅野委員 今の御認識は非常に問題だと思いますね。平均夜勤回数が四、五回、それは今おっしゃったように十時までのいわゆる準夜、これを含めてないですね、それなら。
  146. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 含めてございません。
  147. 菅野悦子

    ○菅野委員 本当に問題だと思います。だっておたくの「東京逓信病院職員服務表」の中には、これは十時からの分も「夜勤」と書いてありますよ。そしてそれ以降の分ですね、それは「深夜勤」になっていますよ。ですから、この「夜勤」と書いてある十時までの分を夜勤に入れていない。そしてその回数をごまかしているというのが今の実態じゃないのですか、はっきり言いまして。  昨年の六月、一カ月間の夜勤回数について郵産労の逓信病院支部が調査した結果があるのです。これは、調査したのは病棟の看護婦さん二百五十人、婦長を除いて、これほとんど全部ですよね。この平均夜勤回数というのは九・七回になっているのです。二十五年前の人事院判定では二。八、いわゆる夜勤は月に八回以内ということすら守られていないというのが実態なんですよ。  ちなみに国立病院の場合は、この東京地区にある十二の国立病院の平均は八・七五回、逓信病院は月に十一回以上というのが全体の三五%にも上っているということがあるわけなんです。何と月に十五回夜勤をやっているという人が四人いるのです。休日が六日あったとして、大体三日に二日は夜勤、これが逓病の看護婦さんの一部の状況なんですよ。こんな状態で他の公的病院と比べて遜色がないとか、あるいは本当にみずから「夜勤」と書いているいわゆる十時までの準夜ですね、準夜勤、これを除いて、そして四、五回でございますなんというふうな答弁をここでぬけぬけとなさるというのは、やはりこれは大問題ではないかというふうに私は思うのですね。  これは、十時に準夜が終わろうが夜勤に変わりない。なぜその十時なのかということなんですけれども、逓信病院の場合は全部時間が一般病院より早いのですね。前にずれているのですよ。例えば準夜に入る時間が他の一般病院より早くて午後二時五十五分とか一時十五分になるのです。深夜勤の労働時間がそのかわり長くて、午後九時三十分から午前八時四十五分、十一時間を超えるという拘束になっているのです。また、日勤の場合は七時半、これまた早いんです。要は、シフトが少しずつずれているだけなんですよ。  だから私、本当にお尋ねしたいのですけれども、実は昨年、予算委員会の質問のために大阪の病院の夜勤を体験させてもらいました。どこが一番大変か、夜勤でもこの準夜なんですよ。言っていらっしゃる十時までのこの勤務なんです。結局、夜患者さんが寝る前のいろいろな仕事がここに集中するのですね。ですから、はっきり言って、この人たち部分というのは全く休憩もとれていない。逓信病院の場合もそうですけれども、そんな状況なんですよ。そして、十時に引けたとしますわね。帰るのは十一時になります。子供さんはどうしているか。もうほとんど寝ていらっしゃるでしょう。あなたは今これを夜勤の回数に入れておられませんでしたけれども、子供にとってお母さんのいない夜であることは変わりないのです。それでもこれは夜勤でないとおっしゃるのですか。質問いたします。
  148. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  まず呼び方の問題でございますけれども、私ども勤務の種類の呼び方としましては、十時までのものを夜勤、十時以降のものといいますか夜中の十二時にわたるものを深夜勤という言い方をしておりまして、ただ、先ほどの人事院判定では、それらを含めて夜勤という言い方をしておるわけでございます。  その人事院のおっしゃる夜勤の趣旨でございますけれども、これにつきましては、釈迦に説法であるかもしれませんけれども、その後、昭和五十二年三月に徳島大学の医学部附属病院について出ました人事院の判定の中で、通常の準夜勤に相当する勤務を中勤と称して午後三時三十分から同十時までとする方式は、夜勤回数を月四、五回程度とすることも可能であり、夜勤回数が多いための看護婦の不規則な生活を相当程度緩和することができ、かつ深夜時の交代勤務に伴う通勤の困難等も解消し得るものであるということがその判定の中に述べられておりまして、この趣旨から考えまして、人事院が適当と考えておられます夜勤回数八回といいますのは、私どもの言っております深夜勤を指しておるのではないかというふうに考えるところでございます。しかも、この徳島の例で挙げられております勤務の仕方と申しますのは、先生も御指摘のありましたように、まさに私ども逓信病院でとっておる勤務の組み合わせの仕方であるわけでございます。
  149. 菅野悦子

    ○菅野委員 そういう人事院の判定の中身とか、その十時までというところで夜勤の回数の二・八の線を引いていらっしゃるということは、それはそのとおりでしょうけれども、しかし、そこに働く看護婦さんの夜勤がこんな労働条件ではとても大変なんだというふうな意味で、一般的に考えられる夜勤ということの中には、当然御認識としてはこの十時までの夜勤も考えていただいて当然ですよね。そういうことを踏まえて、今の逓信病院の看護婦さんの状況ですけれども、夜勤の回数を含めて、おっしゃっている十時の準夜勤も入れて平均夜勤回数九・七回。二・八、確かにぎりぎりのところでは、いわゆる狭い意味の二・八では入らないかもわかりませんけれども、具体的な大変さの問題で、この逓信病院の看護婦さんの労働条件、その大変さの実態、夜勤の回数の状況の中での大変さというのはどの程度の御認識を持っていただけているのか、この点を重ねてお伺いしたいと思うのです。
  150. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 逓信病院におきましては、看護婦さんだけでなくてその他の職員ももちろんそうでありますけれども、特に看護婦の皆様については、職員あるいはその家族のためにその健康の保持、疾病の治療と、大変重要な役割を果たしていただいております。しかもその労働の内容というものは、おっしゃるように交代制の不規則な勤務を含んでおりますし、夜勤を含んでおりますものでありますから、なかなか大変なお仕事であるということは私どもも十分承知をいたしております。  しかし、この看護業務の特殊性から申しまして、そういった夜間の勤務ということが避けられないということも事実でございますし、その状況につきましては私ども平素から心がけておるわけでございますけれども、他の病院の状況等も十分勘案しながら、全体的な改善ということにはもちろん心がけてまいりますけれども、具体的に現在この勤務について、これを減回するということは現状では困難かと考えております。
  151. 菅野悦子

    ○菅野委員 この間いろいろとやりとりしてまいりましたので大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、逓信病院と他の公的病院との比較、若干の、一時間ほどの時間のずれは準夜についてあるわけなんですけれども、問題は大変な状況にあるということで、他の公的病院と同じようになればいいということにはもちろんとどまりません。言うまでもなく、今まで比較してきた公的病院の労働条件、夜勤の回数でも、看護婦さんが結婚して子供を産んで働き続けるということはとてもできない。もうそれは何とかせんとあかんという状況にあるわけなんですが、あえて言えば、全体を引き上げなければならない中でも、逓信病院はもっと低いところにあるというのが率直な状況なんです。  そういう中で、看護婦不足の問題、本当にこれは大変な状況になっておりまして、看護婦さんが集まらないために病棟閉鎖というところに追い込まれた病院も出てきているわけなんですけれども、それで看護婦確保法案というのが審議されているさなかでもあるわけなんですけれども郵政省は逓信病院という大きな病院の経営者でもございます。その点で看護婦さんの労働条件、特に夜勤をいかに少なくするか、いかにそれを急いで改善するかということは非常に重要な問題だろうというふうに思うのです。とりわけ人事院の月八回以内というのはもう二十五年前の話なんですから、そういう点で夜勤をいかに少なくするか、急いで改善してほしいというこれらの声にぜひ郵政省の責任でこたえていただきたいというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  152. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいまお答えいたしましたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、一般的に看護婦の皆さんの労働条件改善ということについて十分配慮していくべきだろうということは私ども重々わかっておりますけれども、今具体的に御指摘のこの夜勤回数につきましては、少なくとも人事院の申しております夜勤回数というものについては、私ども考えておりますのは、十時ということを境目として考えておるというふうに理解しておるものでございまして、この内容について今具体的にこれを改めるということは私どもとしては困難だろうと考えております。
  153. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今人事部長が申し上げたとおりでございます。
  154. 菅野悦子

    ○菅野委員 逓信病院、政府の機関である郵政省の所管する病院の中で、十時か十一時か、この一時間の単位だけでそれが本当に二・八の本来の十時までという、そこのところを逃れていて、そして回数が少ない少ないというところでごまかすというのは、私はこれは非常に問題だというふうに思うのです。ですから、これは今後ともやはり労働省も含めてこの問題を引き続き聞いていきたいというふうに私は思うのです。もしそういう態度をずっと続けておられるということになると、これは大問題ではないかというふうに思うわけです。  それでお聞きしたいのですが、六月一日から逓信病院でも週休二日に入るというふうにされておりますけれども、それだけではなくて、なかなか勤務状況が大変というのは現実問題としてあるわけなんですけれども、この辺を何とかより改善するという措置をとろうと思えば、やはりどうしても人員の確保が必要になるのではなかろうかというふうに思いますが、どのような措置をとられるつもりか、この点はいかがですか。
  155. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答えします。  今回の完全週休二日制の実施につきましては、現行の予算定員の範囲内で実施するという政府全体としての統一的な考え方があるわけでございます。したがいまして、今般の措置のための要員措置ということではございませんけれども、今回の時短実施に当たりましては、この際あわせて全体的な業務や要員の見直しを行うということで取り運んでまいりました。この見直しに伴いまして、必要と認められます要員につきましては措置する考えでただいま準備を進めております。
  156. 菅野悦子

    ○菅野委員 それは何人ですか。
  157. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 一応の目安は今持っておるわけでございますけれども、まだ正式に決定をいたしておりませんので、この場で申し上げることについては御勘弁をいただきたいと思います。
  158. 菅野悦子

    ○菅野委員 逓信病院では、昨年から十八人の過員措置をとっておられるようなんですけれども、それでもさきに述べたように、夜勤というのは準夜を入れて平均九・七回、十一回以上の人が三五%という、他の国立病院と比較してみてもとんでもない過酷な夜勤になっているわけなんです。ですから、何人か定員を、十四、五人ふやすというふうな話も若干漏れ承っておりますけれども、この過員措置、配置されている人を定員にするということだけでは私は実質変わらないのではないかというふうに思いますので、ぜひ積極的、前向きに大いに努力をしていただきたいというふうに思います。  夜勤の問題でいいますと、今も逓信病院独特の勤務スタイルになっておりまして、いわゆる午後十時までの夜勤を夜勤回数に数えないというふうな非常にひどいこそくなことをはっきり言ってやっておられるわけなんですけれども、その逓信病院ですから、二日連続の深夜勤という夜勤シフトがあるようです。  ある看護婦さんの場合なんですけれども、この方は三人の子供さんを持っていらっしゃって、一番下の子供さんが二歳というときの夜勤なんですが、連続深夜に入ったときの生活です。夜九時に自宅を出て、深夜勤を終え書類整理などをして帰宅したのが午前十時。その後一時間ほど仮眠をした後に子供を保育園に迎えに行く。それからは子供の相手をしながら仮眠をするけれども寝られずに、この日の睡眠は二時間で、また夜九時から出勤する。翌日は勤務明けの日だったので、三人の子供がおりまして仮眠すら満足にとれずに、結局家事、育児に当たる。結局この看護婦さんがまともな睡眠をとるのは、深夜勤の前日に午前七時に起床して以来九二日と半日以上たった後の午後十一時、こういうことなんですね。それまでほとんど寝る暇がない。六十四時間の間に一時間程度の仮眠を三回とっただけという状況があるのです。だから、いろいろあなたおっしゃっているけれども、そういうふうな逓信病院の十時までの準夜を夜勤に数えないようなシフトというのは、こういう形で連続深夜の勤務スタイルをつくっているわけなんです。  こういう状況で、子供を産んで働き続けることはできへんでしょうが。そうなると、本当に今言っている看護婦不足の深刻な状況、だから労働条件、夜勤を何とかせなあかんというふうな全体の流れに全く逆行しているのだ、ここをぜひしっかりと御認識をいただきたいというふうに私は思うのです。ですから、この連続深夜という勤務形態は他の病院では見られないものなんです。逓信病院独特のものなんです。だから、そういう点で私はぜひお願いしたいのですけれども、この連続深夜、こういうスタイルというのはぜひ改善していただきたいというふうに思いますし、夜勤が減るようにしていただきたい。この夜勤というのは、おっしゃっている十時、準夜も含めた夜勤です。そうして、全体の労働条件改善のために、政府が所管する逓信病院なんですから、ぜひ先頭に立って改善の努力をしていただきたいというふうに重ねてお願いしたいと思うのですけれども、最後にその決意をお伺いしたいと思うのです。
  159. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今お話しのございました個別の事情につきましてはなかなか大変でいらっしゃると私も思いますけれども、しかしこの変則の交代制勤務、日勤、夜勤、深夜勤という勤務を循環する服務につきましては、一般的に深夜勤を連続するということはないようには組んでおるわけでございますけれども、勤務の割り方といたしまして、やはりそういう勤務も出てこざるを得ないという状況にございまして、これは私ども逓信病院だけではなくて、一般的に交代制勤務を組んでいるところでは現状では避けがたいものではないかというふうに考えております。  しかし、そのことはそのことといたしまして、全般的に看護婦さんを含め職員全体の労働条件改善ということについては、私ども、一般的な世の中のレベルということも十分見ながら努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  160. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、全体としては本当に努力をしていただかなければならないということを強調しておきたいと思いますし、私も引き続きこの問題はぜひ今後も質問をしていきたいというふうに思います。  終わります。
  161. 谷垣禎一

    谷垣委員長 次に、中井洽君。
  162. 中井洽

    中井委員 最初に、お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。地球環境保全を図るための事業を行う団体を加えようとする、こういう目的で大変結構なことでございますが、ボランティア貯金の中で寄附をいただいておる団体を見ますと、かなり地球の緑、森林を守る、こういう運動をボランティア的におやりになっているところヘボランティア基金からの寄附が行っております。これらと随分重なる可能性もありますか。こういう団体と重なる可能性がありますか。
  163. 早田利雄

    早田政府委員 お年玉法によります寄附金の場合には、NGOではなくて財団法人あるいはその辺の法人格のある団体に限っておりますので重なりません。
  164. 中井洽

    中井委員 私も国会の環境委員会、もう十二年ほど引き続いてやっておりまして、昨今地球環境ということが世界の政治の大きな課題になってきた、大変結構なことだと考えております。しかしこれは、きれいごとを言うのとやるのとまた別なんです。大変変な話でありますが、地球環境保全ということを考えるならばがきを減らすのが一番いいんです。一番協力になります。はがきをふやし続けるというのは資源をつぶしていくことであり、そういったところの矛盾というのもお互い考えるべきだ。それはお互い自分たちの生活にもあると思うのです。  そういう意味で、例えばはがき再生紙を使う、古紙を使う、こういったものをふやす方が、お金をほうり込んでいくよりも実際的な地球環境保全に役立つと私は考えております。郵政省の方で、はがき古紙を使う、あるいは現在使っているならふやしていく、そういう発想があるのかどうか、お尋ねをいたします。
  165. 早田利雄

    早田政府委員 実は私ども、他の用紙その他につきましては相当数再生紙を使っておりますけれどもはがき再生紙を使いますのは、実は今度の法律に基づきましてやろうとしております寄附金つきはがきが初めてでございます。  私ども昨年、郵便分野における再生紙の活用の在り方に関する調査研究会というものを開催いたしまして、その中でも、どういう形で官製はがき再生紙を導入する方策がいいのか、いろいろ議論をいただいたわけでございますけれども、総論的には、再生紙を活用したというのは大変よろしいのですが、実際に購入の段階に至りますと、同じ値段でしたらどうしてもそうでないものを買うというのが、残念ながら日本の今の行動でございます。現行のはがきと比較しまして、色の白さであるとか手ざわりであるとかいろいろな点で劣りますので、一律的にこれを官製はがきに導入しても少し難しいんじゃなかろうかというようなところから、今回ちょうど広告つきはがきというものを利用いたしまして、従来はがきは四十一円でございますけれども、これを四十円で、要するに、四円は寄附していただきますが、一円は安いという形で購入のニーズを喚気いたしまして、実際に使っていただいて、そしてお客様の反応を見ながら、かつ、そういう方向へ誘導しながらすべてのはがき再生紙はがきを導入するというのが最終的な方策としてよろしいのではなかろうかということで、今後とも再生紙はがき利用動向であるとかお客様の反響等を勘案しながら、すべての官製はがき再生紙を導入するべく、また慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  166. 中井洽

    中井委員 普通の新しい紙でつくった官製はがき再生紙でつくった官製はがきと、費用的にはどのくらいの違いがありますか。
  167. 江川晃正

    江川説明員 紙だけの議論で申し上げますと、結論から申し上げますと、普通の紙に比較しまして一〇%ぐらい高くなるのではないかと見込んでおります。ただ、製品としてのはがき段階にまでいきますと、労務費とか事務費とか申しますのは共通になりますから、その辺がコストダウンの方向にきいてきまして、我々の予測、業者との見積もりの段階で把握している段階では、四、五%の増になるのではないかと見ております。
  168. 中井洽

    中井委員 もう一つ環境の面でお尋ねをいたしますが、郵政省は膨大な自動車あるいは二輪車をお使いでございます。この中で、ディーゼル車というのはあるのですか。
  169. 江川晃正

    江川説明員 ございます。(中井委員「どのくらいです」と呼ぶ)ちょっと私、今ここで資料を持ち合わせてございませんので、正確な数字、持ってございませんが、ただ、あることは確かであります。(中井委員「かなりありますか」と呼ぶ)そうですね、ちょっと、何百台のレベルかと思います。
  170. 中井洽

    中井委員 大臣、小さなことで恐縮なのですが、過日、環境の委員会でディーゼルトラックの規制、これもかなり業界含めてバランスのとれたことをやろう。しかし、これは世界で初めてであります。東京、大阪、横浜・川崎、この三つぐらいの地域でやりまして、十年ぐらいかかっての効果だというところでございます。しかし、それでも世界に先駆けてやる。ガソリン車はもう世界一排気ガス対策をやっておるわけでございます。  私はその委員会でも申し上げたのですが、四トン以下のディーゼルというものをガソリン車にかえてください、こういう法律なんですね。かえなさいではなくて、かえてください、こういう法律であります。官公庁、特に東京都が持っている都バスとかそういうのもいっぱいあります。郵政省も、数百台であろうとディーゼル車をお持ちであります。費用的に日常の経費が少し高くなりますが、こういったディーゼル車も耐用年数が来たものからガソリン車にかえていただく。あるいは、ディーゼルの中でも副室式噴射というのがございます。これの方が排ガスがうんと少ない。そういったものにかえていただく。環境対策をせっかくお考えいただいて、地球環境ということにお金を出すというのなら、この機会に、古紙利用だとかそういったことに気配りをしていただく、こういったことを要望したいと思いますが、いかがですか。
  171. 江川晃正

    江川説明員 環境保全のための答申みたいなのがございまして、郵政省も、現に使っております自動車について直ちに当てはまるかどうかいろいろ調べております。  それで、我々の基本的スタンスは、環境汚染にならないように物事を採用していこうというスタンスておりますが、今先生おっしゃいましたように、ディーゼルの中でもちょっとメーカーの側が直さなければいけない部分、直してもらわなければいけない部分があったりしまして、にわかには採用できないという部分もございます。(中井委員「ガソリン車にかえればいい」と呼ぶ)そういうこともありますが、我々今、採用するに当たっては、非常に公害の少ないものを選ぼうというスタンスで選んでおりますが、ディーゼルにつきましては、メーカーの側に変更部分お願いしつつ対処しようとしているところでございます。
  172. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 個々の問題はそれぞれございますが、基本的に、今中井先生のおっしゃるように、環境問題というのは、一つ一つ本当にできるところから実行していくべきであるというふうに思います。郵政省として目の届く範囲あるいはできる範囲から地球環境保全のために大いに努力していく、積み重ねの努力をいたしてまいりたいと思っております。
  173. 中井洽

    中井委員 郵便法の一部を改正する法律案に関してお尋ねをいたします。実は、この法律についても最初に環境面からお尋ねをしたい、このように考えております。  熱帯林を守る、地球の緑を守る、こういうことで、日本は何で一番紙を使っているのだというと、私は新聞紙だと思うのです。毎日毎日発売される新聞。この新聞は営業でありますから部数をふやしていく御努力をされる。これはこれで結構なことであります。しかし、この新聞のページを減らす方法というのはないのか。地球環境、熱帯林を守るということでキャンペーンを張り、一番御熱心にやっていただいているのも新聞だ。しかし、これもまた自己矛盾があるわけであります。そのときに一番問題になりますのは、第三種郵便物として引き続いて認可を受けていこうと思ったら五〇%以上広告があってはならないという一項であろうか、このように思います。私が言うまでもないと思いますが、新聞新聞紙代と広告代と両方で成り立っているわけです。広告をふやさなければ新聞の経営もうまくいかない。広告をふやそうと思ったら五〇%規定がありますから、もうどんどこ私どもが余り読まないページをつくられて、そしてその五〇%だということで広告をふやしていく。この規定があるがゆえに新聞の紙がふえていくのだと私は常に思っているわけでございます。  そういう意味で、この間からマスコミの皆さん方からいろいろなお話をいただいておりますが、私は違った観点から見ているわけでございます。五〇%以下でなければならないということもよくわかりますが、そういう地球資源を守るためにどうなのだろう。日々発売されている新聞が第三種郵便物とされることは結構だとみんな思っているわけでありますから、そこらのところを少し柔軟に地球環境という面から考えていただく、そして同時に、まあまあ広告はどれだけとるけれどもページ数は減らしていただく、そして地球環境を言われているようによくしていただく、こういう方法はないのかと私は思います。率直な質問で恐縮ですが、大臣、お考えを聞かせてください。
  174. 早田利雄

    早田政府委員 私から答えさせていただきます。  この間ある新聞に載っておりましたけれども、読者からの投書、広告が多過ぎるのじゃなかろうかという読者のものに対しましてある新聞社の答えでございますけれども、そこの中を読んでおりますと、新聞紙面に占めます広告量の割合は新聞社によって異なってはいますけれども、記事の量はあらかじめ曜日ごとに決められているというふうに書いてございました。そういうことからいきますと、広告量の制限が増ページにつながるということはないのじゃなかろうかというふうに思っております。むしろ記事の量が決まっているとの新聞実態から考えますと、広告の量の制限を緩和すればかえって広告量はふえるのじゃなかろうか、増ページになるのじゃなかろうかというようなことも考えるわけでございます。
  175. 中井洽

    中井委員 僕はへ理屈を言うためにこういう質問をしているのじゃないのです。法案も賛成しますけれども。あなたのところは地球環境だ、そのためにお金も出しますと言ってやられるのだから、これは大変結構なことだ。そして日本は一番環境対策をやっている。やっているけれども、アメリカとともに一番資源を消費している。それを少しでも再生できるように、あるいは減らせるように努力していくのが日本の環境対策の世界に対する姿勢だ。それを減らしていただこうと思ったら、一番熱心にキャンペーンされている新聞に御協力いただいて減らしていただく。  僕はもう五、六年前、環境委員会で、新聞が盛んに割りばしのことを取り上げたから、それは違うと言った。書いている新聞だ。だけれども、その新聞は、経営をやろうと思ったら広告をとらなければならない。例えば三分の二広告があって、三分の一記事だったら、今のページは二ページ、三ページ減らせるじゃないですか。毎日あれだけ膨大な数出ているのですよ。記事枠を減らしてということはちょっとおかしい。広告をとらないとやっていけない。だから、その半分だという規定を外してやれば何でもないじゃないかというのが私の理屈であります。あなたの言っているのは、何かそれに対してへ理屈垂れているみたいな感じがしてしょうがない、大変失礼だけれども。  大臣、いかがですか。
  176. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 非常に角度の違ったところからの問題提起で、私、なるほどなと実は今感じながらお聞きしておったのですが、では、さればといって五〇%の枠を外した場合に、一体本当にページ数が減るのかねという問題と、それから第三種としての一つの基準というものをなくした場合に与える影響度というのと、おっしゃられるように環境保全ということ、これはもう先生は御自分でおわかりの上で質問しておられるのですが、なかなか兼ね合いは難しいことだなと思いますね。しかし、私は実は、大変卓見だと思って注意をしてお聞きしておりましたことは、少なくとも環境保全という問題に対しての我々の意識というのは、大変恐縮ですけれども、そういう角度からも考えていくぐらいな発想でないと環境保全という問題は解決しない。これは自動車のモーター、我々も電気モーターを電気自動車というようなものの開発まで大いに努力したものですけれども、あるいはまたフロンガスですね、そういったいろいろな問題まで研究した経緯もございます。ともかくそういうことをいろいろ考えていくべきだ。  しかし、今の段階でお答えを申し上げたいことは、五〇%という今の第三種に対する広告の基準はひとつ御理解をいただきまして、もう少し勉強させていただきたい。先ほどもお答えしたのですが、この状態で話し合いを続けさせていただきたい、こう思っています。
  177. 中井洽

    中井委員 本年度の郵便予算で、この間も委員会でお尋ねをしたのでありますが、三年度が急に赤字になったということであります。金額的には、先ほど質問があったかもしれません、まだ出てないのかもしれません、このペースでいきますと本年度四年、どのくらいの赤字が出るとお考えでしょうか。
  178. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 御説明申し上げます。  三年度の損益見通しにつきまして、現在決算の事務の取りまとめということをやっておりまして、三年度の数字も現時点で確たることは申し上げられないというふうなことでございます。  先ほどもちょっと御説明させていただいたこととダブりますけれども、現時点で私どもが考えておりますところをちょっと御説明させていただきますと、まず収益面でございますが、収益面につきましては郵便業務収入が三月末で一兆七千二百六十億円というふうな形になっておりまして、前年度に比べまして四・六%の増加でございます。これが前の平成二年度には元年度に比べて七・三%の伸びでございましたので、かなり収入の面で落ちているということがございます。それから特に、普通は前の年よりみんな伸びているのですが、印紙の売りさばき手数料は前年を割っているというふうな状況にもございまして、収入面がなかなか厳しいということでございます。  一方、費用の方でございますが、費用につきましては仲裁裁定で三・三六%というふうなことでその経費が必要でありますほか、たびたび申し上げておりますけれども、業務量の増加あるいは入手不足等に伴う賃金でありますとか集配運送費の増加が著しいというふうなことで、これが収益を圧迫しているという要因でございまして、平成三年度につきましても、毎度申し上げておりますけれども、赤字は避けられないというふうなことでございます。ただ、確たることでは申し上げられませんけれども、現在作業をしている中で、私ども、今御説明申し上げましたような動向からしますと、どうも三けたの赤字というふうになるのかなということで懸念をしている、これが平成三年度、今やっておる作業でございます。  それで、今の先生からのお話は、さらにことし四月から始まった四年度についてどうか、こういうお話でございますけれども、これにつきましては、私ども、予算として現在四百三十億ということで見通しを立ててスタートをしているということでございまして、現在の時点ではひとまずはその数字ということで、まあもっと努力によって小さくしていかなければいけないと思っておりますが、ひとまずその数字で合成り行きを見詰めているというふうなことで御了解いただきたいと存じます。
  179. 中井洽

    中井委員 今回の法改正で第三種郵便物認可あるいは監査というのが第三者機関に委託されるわけであります。それで、このことによって人間がどのくらい浮いたりあるいは費用的に助かったりということではない、それともやはり人間的にはかなりの余裕が出てくる、人員的にはかなり余裕が出てくると考えていいのですか。
  180. 早田利雄

    早田政府委員 今回の第三種郵便物監査指定調査機関に調査事務を委託いたしましての分につきまして新たに余剰が出るということではございませんで、今の定員といいますか職員では十分やれなかった分を委託という形できちんとやろうということでございますので、そのことによって余剰が出るという形にはなりません。
  181. 中井洽

    中井委員 それでは逆に、この指定機関でこれだけの、一万五千件ですか、認可やら検査をやっていこうとしたら、大体どれくらいの人が要る、どのくらいの人があれば十分この検査体制というのはやっていけるのだとお考えでしょうか。同時に、その指定をされようとする機関にはそういう人が、あるいは訓練をした、なかなかこれは中身が難しいですが、それらを検査するだけの人というのが本当にいるのか、そういったことをお尋ねいたします。
  182. 早田利雄

    早田政府委員 私ども、今回の指定調査機関で一万五千件の認可に伴います仕事であるとかあるいは定期監査に伴います仕事につきましては、まだ確たる形では計算しておりませんけれども、およそ二十人程度でよろしいのじゃなかろうかというふうに考えております。今の段階ではまだどういう団体指定調査機関にするかというのは確たるものではございませんので、要員をどう確保するかというところまではいっておりませんけれども、総力を挙げまして立派な人材を確保したい、かように思っております。
  183. 中井洽

    中井委員 この第三種郵便物一万五千件、年間どれぐらい出されているのか私も詳しい数字は把握しておりませんけれども、例えば会計検査院報告でも、まあこれとこれとチェックしていけばどれぐらいの増収になるという計算が出されております。もし第三種郵便物がないとして、普通の郵便として今の第三種郵便物が出されたとしたらどのぐらい増収になるのですか。
  184. 早田利雄

    早田政府委員 第三種郵便物につきましては、この間の会計検査院の二十七件につきましては計算すれば十七億という数字が出ておりますけれども、あれも仮にそれをそのまま出していただければという計算でございますので、第三種郵便物であるから出しておられるというところもございますから、果たしてそれをやめた場合にど丸くらい増収になるかということにつきましては確たる数字はないわけでございますけれども、ただ、第三種郵便物としてどの程度の収支に原価計算上赤字が出ているかという数字はございますが、どの程度増収になるかというのはなかなか難しい……(中井委員「単純計算でいいですよ、幾らですか」と呼ぶ)今十五億通第三種郵便物を扱っておりますので、これをどう計算するかということはいろいろございますけれども、ちょっと計算をさせていただきます。――いろいろと計算をしているところでございますけれども、大体六分の一から四分の一ぐらいでございますので、正直言いまして第三種でなくて普通でいただければ四倍から五倍になるということでございます。(中井委員「幾らですか金額、いや幾らだと聞いておるだけですから」と呼ぶ)十五億通でございますので一千二百億ぐらいではなかろうかというふうに思います。
  185. 中井洽

    中井委員 別に無理やり言うわけじゃありませんが、それだけの金額をサービスするだけの価値があってしておるわけですからこれはいいわけであります。  しかし、この第三種郵便物、それだけ料金サービスをしている三種郵便物が本当に明くる日配達を日本じゅうするという体制の中でやらなければならないのかということについては、私は、この間も委員会で申し上げたけれども、ぼちぼちと御検討なすってもいいのじゃないか、このように考えております。郵便事業が黒字で幾らでも余裕あるならいいですが、去年、ことしと赤字になってまいりますと、大体累積の黒字を食いつぶしていく方向、二年ぐらい先にはもう本当に累積黒字もなくなる、そういう状況の中であります。しかも、郵便物は数%といえども大変な量がふえておりまして、人手不足の中で都会等は配達の方を確保するだけでも大変だ、あるいは郵便局はアルバイトの方を確保するのも本当に大変だというような状況であります。それが第三種郵便物だけを、まあ第三種郵便物だけということではないでしょうが、一番多い配達物でやらされておる、それもその日のうちに届ける、明くる日届ける、こういう無理な体制じゃなしに、値段の分だけ配達、サービスが少しおくれる、こういったことも私は許されてもいいと考えております。そういったことを含めて、これは第三者機関に指定あるいは検査の方は権限はお移しになっても、こっちの配達の方は郵政本省でありますからお考えをいただきたい、このように考えますが、いかがですか。
  186. 早田利雄

    早田政府委員 御指摘のように、今郵便の仕事は非常に夜の仕事が多くなっておりまして、深夜勤の問題等も私ども重要な問題だというふうに思っております。そういう意味では、できるだけ仕事を平準化するといいますかならすということで、いろいろな形で料金割引等も活用いたしましてそちらの方面へ誘導しているわけでございますけれども、実は第三種郵便物につきましては現在そういう料金割引的なもので誘導する方法はないわけですけれども、私どもそれぞれの発行人の方にお願いいたしまして、東京都内の場合でいいますと、既に半数といいますか約五割の発行人の方に御協力いただきまして、若干の余裕を持ちまして配達するということによって夜間の作業から昼間の作業になるという形の作業方法をとらせていただいております。今後とも発行人の方にその辺のところにつきましては十分御理解をいただきまして、さらに平準化し効率化して仕事を十分にやっていきまして、健全な事業財政に貢献したい、かように思っております。
  187. 中井洽

    中井委員 終わります。
  188. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  189. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、郵便法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  190. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、お年玉付郵便葉書等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  191. 谷垣禎一

    谷垣委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 谷垣禎一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  193. 谷垣禎一

    谷垣委員長 日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。渡辺郵政大臣。     ―――――――――――――  日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法   律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  194. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 日本電信電話株式会社法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近の電気通信事業における国際化の進展にかんがみ、外国人等が日本電信電話株式会社及び国際電信電話株式会社の株式をその議決権の五分の一未満の割合の範囲内において所有できるようにするとともに、これに伴い両会社その他第一種電気通信事業者の株券等の保管振替制度利用に関し所要の規定整備するほか、日本電信電話株式会社の資金調達の円滑化に資するため、当分の間の措置として政府が保有しなければならない当該会社の株式の数の算定方法の特例を定める等するものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず、日本電信電話株式会社法の一部改正内容でありますが、その第一は、会社(日本電信電話株式会社)の株式は日本国民等に限り所有することができるとする規定を削除することとしております。  第二に、会社は、日本の国籍を有しない人、外国政府またはその代表者及び外国の法人または団体により占められる議決権の割合が五分の一以上となるときは、外国人等の氏名及び住所を株主名簿に記載してはならないこととしております。  第三に、会社は、保管振替機関から実質株主の通知を受けた場合には、外国人等議決権割合が五分の一以上とならないように記載することができる株式以外の株式については、実質株主名簿に記載してはならないこととしております。  第四に、会社は、その発行済み株式の総数が変動することとなる場合においても、外国人等議決権割合が五分の一以上とならないようにするために必要な措置を講じなければならないこととしております。  第五に、外国人等議決権割合の公告について所要の規定を設けることとしております。  第六に、日本の国籍を有しない人は、会社の取締役または監査役になることができないこととしております。  第七に、当分の間、新株の発行等による株式の各増加数は、政府が常時保有していなければならない会社の発行済み株式の総数の三分の一を計算するときの発行済み株式の総数に算入しないものとしております。  以上のほか、所要の規定整備を行うこととしております。  次に、国際電信電話株式会社法の一部改正内容についてでございますが、先に御説明いたしました日本電信電話株式会社法の一部改正(新株発行を伴う資金調達の円滑化を図るための措置等を除いて)とほぼ同様の改正内容といたしております。  次に、電気通信事業法の一部改正内容についてでございますが、その第一は、第一種電気通信事業者は、保管振替機関から実質株主の通知を受けた場合には、外国人等議決権割合が三分の一以上とならないように記載することができる株式以外の株式については、実質株主名簿に記載しないことができることとしております。  第二に、外国人等議決権割合の公告について所要の規定を設けることとしております。  以上のほか、所要の規定整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案提出いたしました理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
  195. 谷垣禎一

    谷垣委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、明十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会      ――――◇―――――