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1992-04-14 第123回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十四日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中島  衛君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       佐藤謙一郎君    田邉 國男君       谷  洋一君    中谷  元君       森田  一君    山本 有二君       遠藤  登君    小川  信君       北川 昌典君    北沢 清功君       小林  守君    山口 鶴男君       山口那津男君    吉井 光照君       吉井 英勝君  出席国務大臣         自 治 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         警察庁警務局長 安藤 忠夫君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治大臣官房総         務審議官    滝   実君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君         自治大臣官房審         議官      石川 嘉延君         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省行政局公         務員部長    秋本 敏文君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 杉原 正純君         消防庁長官   浅野大三郎君  委員外出席者         総務庁長官官房         地域改善対策室         長       荒賀 泰太君         国土庁地方振興         局山村豪雪地帯         振興課長    及川 勝也君         法務省入国管理         局総務課長   佐々木高久君         大蔵省主計局主         計官      原口 恒和君         厚生大臣官房政         策課長     小沢 壮六君         厚生大臣官房老         人福祉部老人福         祉計画課長   中村 秀一君         厚生省健康政策         局看護課長   矢野 正子君         厚生省社会局保         護課長     酒井 英幸君         厚生省保険局国         民健康保険課長 辻  哲夫君         林野庁指導部計         画課長     田中 正則君         林野庁指導部造         林保全課長   村田吉三郎君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     佐藤謙一郎君   渡瀬 憲明君     山本 有二君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     森  喜朗君   山本有二君      渡瀬 憲明君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二五号)      ――――◇―――――
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増田敏男君。
  3. 増田敏男

    増田委員 発言のお許しをいただきましたので、これから三十分間いただいた時間に御質問を申し上げるわけでありますが、要領よく簡明にお答えをいただきたい。欲をかいていっぱい並べましたので、初めにお願いを申し上げたいと思います。塩川大臣を初め関係の皆さんには引き続いて御苦労さまでございます。  それでは質問に入ります。  現在、地方団体においては、地域の特色を生かした自主的、主体的な地域づくり推進や、多極分散型国土形成のための諸施策推進住民生活関連をした社会資本整備、あるいは地域福祉の充実、快適な生活環境整備等施策を積極的、総合的に展開しており、豊かさの実感できる地域社会をつくろう、こういう大きな目標を掲げながら住民が誇りと愛着の持てるふるさとづくり全力を尽くしておられる、このように理解をいたしております。  そこで今日も引き続いた経済成長期にあるとしたならば、何の問題もなく、まことに結構な話ではあったわけであります。現実は、バブル経済がはじけ、株価も低下を続ける等、景気の厳しい減速が報道をされております。平成年度においても法人税が一兆八千億円も減額をされ、またGNPも十月から十二月期の実質成長率マイナス成長となってしまったわけであります。大臣平成年度経済見通し及び地方税見通しがどのように推移していくとお考えになっておられるのか、これが一点。  また、中長期的に見ると、今後の日本経済はかつてのような高度成長はしばらくの間は望めないだろう、私の私見であります。実質成長率平成年度見込みで三・七%、平成年度で三・五%と見ているようですが、経済構造が変化をし、はっきりと低成長時代に入っていると認識をいたしておりますので、これらの達成もなかなか難しいと思われます。結果的に平成年度税収見通しは国も地方も厳しくなるであろうし、このまま推移をすれば平成年度経済税収は厳しいものになると思います。  そこで、今後予想される低成長下において、地方交付税を含めた地方財源の確保はどのようなお考えでまた進めていかれるとお思いになりますか。今回の経済対策において、地方財政としてどのような対策を、浮揚策をやっておりますが、講じたのか。  一遍に申し上げましたが、どのような方針で臨まれるのか、お伺いしたいと思います。
  4. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 経済の予測につきましては、私は専門家でございませんので、閣議等におきまして経済企画庁長官なりあるいは大蔵大臣が表明しておりますことを申し上げますならば、日本経済のファンダメンタルは非常に堅実であるんだけれども、しかし非常に膨れ上がったバブル整理状況が非常に深刻な心理的作用を来して、整理段階にさらに一層の萎縮性をもたらしておる、そう思われる。したがって、まず経済活性化をもた らすことが経済成長を確保する主要な点であるという意味のことを決めております。  その一つとして、公経済が果たすべき役割を非常に強く意識いたしまして、それがために公共事業増額、さらには地方財政におきましては単独事業とか起債の増額を図って、公経済によるところの経済刺激を積極的にやっていこう、そして同時に在庫調整をできるだけ速やかに行い得るように金利調整をしていこうということを政府として決めておるわけであります。  私たち認識といたしましては、予想外経済の停滞が厳しいということを認識いたしましたがために、政府並びに地方自治体におきまして予算執行前倒しを積極的に進めていきたい、こう思っております。きょうも閣議におきまして大蔵自浄両省大臣から発言いたしまして、前倒しを施行するについて補助対象事業の早期決定なり、あるいは事務手続簡素化を進めてもらいたいということを要請いたした次第であります。  それから、平成年度税収についてでございますが、増田さん御心配しておられるように、私は相当厳しい状況になると思っております。現に、その一つの例ではございますが、例えば利子配当課税に対します源泉課税でございますが、この分も利息の利率の低下からいわば収入減になってくることは当然でございますし、その他法人住民税並びに事業税等も厳しい状態だろうと思っております。それらに対しまして、私は、いわば萎縮した予算執行をするのではなくして、それなりに減収に伴うものは他のいろいろな手段をもってカバーしていって地方行政活性化を維持していきたい、こう思っております。  どういう方法でやるかということはそれぞれございましょうしいたしますので、そのことにつきましてはそれぞれの団体と協議していきたいとは思っておりますけれども税収の減が直ちに地方自治体行政萎縮にならないように全力を挙げて努力するということを申し上げたいと思っております。
  5. 増田敏男

    増田委員 御答弁をいただいた考え方は、基本的には同じであります。私も、経済の基礎的諸条件は健全であり、同時にまたそれを信じて国内需要伸びを図っていってほしいな、こういう願いを込めながら、言うなれば豊かさが実感できる行政の進めをしっかりと願いたい、こう思うところであります。  そこで、この問題を申し上げたのは、私たちは何十年に一遍というような大きな転換の時期が今来ているのではないか。新しい経済の枠組みが二十一世紀を展望しながら今つくられつつあるのではないか。そこで、日本輸出依存と言われてきた、これを内需という方向へどうしても転換を図りながら、言うなれば世界の中の愛される日本としての経済の進展を図っていかなければならない、こういう考え方を持っております。そこで結論的には、厳しい時代が来る分かれ道だ、しっかり頼みますよというのが申し上げたかった点であります。考え方が、見方が同じでありますので、引き続いて御努力を願いたいな、こう思います。  二番目に、平成年度地方財政計画において地方交付税を、八千五百億円を国に貸すことにいたしました。その経緯理由根拠については何度もお話を大臣からもお伺いしました。地方交付税地方団体の固有の財源であり、今後、量的にも質的にも多様化し高度化する地方団体財政需要に対処するためにも、また地方財政運営安定性計画性を確保するためにも、現行の交付税率を堅持すべきだと思います。  そこで、いろいろの経緯理由根拠については説明をお聞きいたしましたから、このことはもう結構でございます。問題はこれからでございまして、来年以降も安易に国に貸すようなことがあっては大変だ、またそういうことがあってはならない、こういうふうに思いますので、改めてここでお尋ねをしておきたいと思います。
  6. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度地方財政対策につきましては、既にいろいろな機会に申し上げましたとおりでございまして、国と地方との財政協力関係ということを踏まえて八千五百億円を地方の方から減額して国に貸したわけでございます。今後の問題といたしまして、今御指摘のように、安易に国に貸すというようなことがあってはならないという点につきましては、私どももよく肝に銘じて今後の地方財政運営をやってまいらなければならないと思っております。  それぞれの年度におきましてただいま御指摘のような経済状況財政というものは非常に敏感に反応するものでございますので、地方財政におきましてもこれからいろいろな厳しい局面が出てくるかと思います。そういう中で明年度以降、地方財政が支障なくしかも地方財政需要に十分こたえられるような財政計画をこれから組んでいかなければならないわけでございますので、その点をよく検討した上で毎年度毎年度地方財政計画をきちんと策定していく、こういうことでやってまいりたいと思っております。
  7. 増田敏男

    増田委員 時間の関係がありますので、簡明に要領よく御答弁をいただきたいと思います。  そこで次に移らせてもらいますが、今年度いろいろな地方単独施策がつくられましたが、その中に地方特定道路整備事業というのがございます。地方団体は緊急に整備したい道路幾つもあるわけであります。ただ国庫補助金の枠が厳しく、なかなか進まないというのが実際でございまして、この施策は、補助事業単独事業を組み合わせたものであり、まことによい方法だ、このように当面考えておりますが、地方団体反応はいかがでしょうか、これが一点。  それから、どんどん枠を広げてもらいたい、広げるべきだ、こういう考え方を持っておりますけれども、この場合との点が課題となるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  8. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度事業の中に地方特定道路整備事業という制度を、単独事業公共事業効果的に結びつけるということで、この仕事を効果的に行うような仕組みをつくったわけでございます。これは事業所管省庁地方自治体が一体になって緊急に整備しなければならない道路について行っていきたい、こういうことでやったわけでございますが、私どもが今聞いている範囲では、地方団体反応も非常によろしゅうございます。非常に評価していただいているというふうに考えております。  しかし、この制度がこれからうまく運用するかどうかという点については、まだいろいろな未知数がございます。例文は、地域において緊急に対応しなければならない課題にこたえて地方団体の要望がきちんと満たされているかどうかという点が、まだ始まったばかりですのではっきりつかめておりません。あるいは、地方団体財政需要道路整備との間の関連というものも、もう少しはっきりしていかなければならぬだろうというようなこともございまして、こういう運用上の問題について、これから地方団体意見もよく聞いてまいらなければならない。そういう中で、今後この事業の枠を拡大するかどうかという点も関係省庁と御協議していきたいと思っております。
  9. 増田敏男

    増田委員 引き続いて頑張っていただきたいと思います。  そこで次に入りますが、ただいま御答弁をいただいたこの事業以外にも幾つもの地方単独施策をつくっておるわけであります。大臣にこれからお尋ねするのですが、市町村長がこれらを利用してよい町づくりをしなければ何の意味もない、このように実は考えております。私は首長経験者としてその日常の姿を承知いたしておりますので、通達や何かをいろいろいただいてもなかなか目が通らない。したがって、何とか市町村長に対するPRをさらに充実する方法がないものか、このように考えておるのですが、よい方法があるかどうか、何を検討しているか、お願いをしたいと思います。
  10. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 おっしゃるように、なかなか首長さんとか議員さんに自治行政につきまして個別の事業等理解していただくことは難しい。そこで今回、こういうようなものをつくりました。  これは、先生方全部にお配りいたします。単独事業とは何なのかということでございまして、これはこういう漫画を入れましたりして、非常にわかりやすく書いてあります。従来の文書は全部課長補佐が書いていますので法律文言ばかり書いておるのですが、これはそうじゃございませんで、民間の人が書いたものでございますから非常に平易に説明してございます。手続はこういうぐあいにしなさい、こういうものが事業対象になっておりますというようなものを書いてございますので、これは全部先生方にお配りいたしたい、各市町村にもお配りしていきたいと思っております。  それからもう一つ、私が、大臣並びに局長が対談をした話を、その言葉を文章にしまして、各自治体に、首長議長あたりに全部お配りしたい。その話を手紙で見てもらう。  こういうことにいたしまして、通達文書じゃとても理解してもらえない、さっきおっしゃる道路事業なんかでも、これは手続が非常に厄介になっております。もう少しこれを簡素化いたしまして、もっとやりやすいものにやりますが、建設省と自治省の間で合意をした珍しいケースでございますので、とりあえず試行錯誤ながらまずスタートさしてもらいたい。そして、実際やってみましたら、先ほど局長言っておりますように手続が非常に難しいので、これをもっと簡素化したい、こう思っておりまして、努力いたします。
  11. 増田敏男

    増田委員 ここから見ても大変興味をそそるようなものでございますので、いつごろ配られるかどうかわかりませんが、完成をしたらできるだけ早い時期に配付を願いたいな、こう思います。  そこで次に質問を移させてもらいますけれども住民に身近な行政を行っているのはもちろん市町村であります。事務事業の見直しにより、権限が市町村長に移譲されたりもしておりますが、特にこれからの高齢化社会に対する対応や特定都市への集中考えれば、地域づくりという観点からは市町村政はますます重要になっていく、このように考えております。そうした状況の中ですから地方交付税配分市町村を重視すべきではないか、もう少し重視していってもらいたいな、こう欲を出すのですが、大臣としてはいかがでしょうか。あるいは事務方でも結構です。
  12. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のように、住民に身近な市町村行政というのはこれからいよいよ重要になってこようかと思います。そういうこともございまして、平成年度のただいま御審議いただいております交付税法におきましては、普通交付税算定に当たりまして市町村基準財政需要額をできるだけ伸ばすような措置を講じさせていただいているところでございます。  この改正法案を前提にいたしてみますと、ことしの普通交付税伸びは、道府県分は〇・五%程度の伸び、それに対しまして市町村分は一二%ぐらいの伸びということで、市町村にかなり傾斜的に配分を予定いたしております。そういうことで、これからも市町村財政需要を的確に見込むように努力してまいりたいと思っております。
  13. 増田敏男

    増田委員 ぜひよろしくお願い申し上げたい。  欲をかいて言ったという意味ではないのですが、これには裏があるのです。首長時代に、何としても町づくり基本都市計画だ、したがって都市計画を広げようというので、都市計画事業を三カ所やっていたのを六カ所ふやしまして一遍に九カ所にしました。ところが、交付税算定というのはなかなかそういうわけにまいりません。その都市人口基準ですから、事業の量や事業の箇所がふえたからふえる、こういう仕組みにはなっていないわけであります。したがって、それらを踏まえながら今私の方から、市町村への交付税はどうだ、こういうことを申し上げたわけなんで、ぜひそのことを念頭に置かれて頑張っていただきたいな、こう思います。  次にまた進めさせてもらいますけれども、東京の一極集中を是正するためには、各地域における地域振興ふるさとづくりが当然必要であります。ふるさと創生ということで一市町村一億円以来自治省が力を入れている地域づくりは、何としても現在地域振興基本という形になっております。  そこで、地域づくり推進事業は引き続いて頑張ってもらいたい、こう思うのですが、平成年度から平成年度までの事業と聞いております。本年が四年度ですから、平成年度以降、来年以降は一区切りになって改めて、こういう形になっておりますので、来年以降、平成年度以降はどうするお考えなのか。これまでの実績を踏まえてさらなる展開をしていくべきだ、こう思うので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  14. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 結論を先に申しますと、地域づくり推進事業は継続してやっていく、こう思っております。ただその場合に、今まで一億円のふるさと創生事業からずっと地域づくり推進事業と一連の事業をやってまいりました。そこで、これが地方活性化ふるさとづくり、あるいは自主性形成にどれだけの効果があったかということの効果評価といいましょうか、それを一回きちっと各府県ごとにとらせてみたいと思っております。その上におきまして、さらに府県意見を聞いて、どういう方向性をつけていくかということ等を検討した上で地域づくり推進事業を、新しい段階におけるスタートを切らせていきたい、こう思っております。
  15. 増田敏男

    増田委員 ぜひ引き続いて頑張っていただきたい、お考えのように進めていただきたい、こう思います。  そこで、大きな問題というよりは基本的な問題を今度は離れて、身近な具体的な問題を二つほど、もう時間が来ますのでお願いするのですが、一つ保護司関係です。もちろんそう言えば、関係法務省です、うちの方ではありません、こういうのが紋切り型な答弁になってくると思いますが、犯罪を犯した者の更生を助け、また犯罪の予防のための啓発活動のために保護司が実際委任されておるわけであります。その保護司地域社会の安定のために果たしている役割民生委員と変わらないだろう、このように私はとらえているところであります。  ところで、民生委員に対しては地方団体からそれなり処遇支援がなされておりますが、保護司非常勤国家公務員ということで、市町村からは制度としての支援は受けられません。強いて言えば、表立っての支援はいただけない、こういう実際があるわけであります。国の事務地方事務の区分という区切りについては、もちろん私にも理解ができます。ただ、地域社会において保護司が果たしている役割から考えますと、市町村も何らかの支援が、このように思うところであります。  そこで、これはざっくばらんに、万全でありません、検討してみてもらえないか、どうしても検討がうまくいかなかったら、こういう発言があったということを、また機会をとらえて私の方は呼んでやりますから、伝えておいてもらいたいな、こういうふうに思うところですが、いかがでしょうか。
  16. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは後で事務方の方からまた説明すると思いますが、私も実はこれを体験したことがございますので、このことはよく知っております。つきましては、保護司活動について市町村がどのことをお手伝いができるかということは、新しい宿題として、以前からございますけれども、一応よく検討してみたいと思っております。
  17. 増田敏男

    増田委員 いよいよ時間がなくなってきました。あと五分です。  次に、自分が経験をしてきた問題を一つ出すのですが、私は消防団員の職に三十年ほどありました。もちろん団長も十五年ほどしていたのですが、そういった関係から、近年の消防団の姿を見ながら、これは弱ったことだな、かといって常備消防で対応するのには何としてもこれはお金がかかる、世の中がどんどん変わる、若い人が少なくなる、どういうふうにやったらいいだろうというような考え方お尋ねをするわけであります。  消防団員の減少、高齢化が進んでおります。昔 に比べてその処遇も少しではありますがよくなってきつつあるわけであります。そういう中で、住民の生命、財産を守るという崇高な理念を掲げながら消防業務に取り組んでおられる、また取り組んでいこうというような方々の何しろ活性化の問題が一つ。それから、若返りが何とかできないか、こういうことをここで問題提起をしてみたい。同時に、何か方法があったら、そういう方法自治省あるいは消防庁市町村と真剣になって考えるべきじゃないのかな、このようにとらえてお伺いをいたすところであります。  若返り活動強化についての何か考えがありますか。これについてお願いいたします。
  18. 浅野大三郎

    浅野政府委員 非常に大事な問題でございます。我々も実はかなり前からいろいろと検討もしておりますが、これという決め手が残念ながら今のところまだないというのが実情でございます。  例えば女性消防団員の加入でありますとか、それからいろいろな施設整備面ではできるだけのことはやっております。それからサラリーマン化の問題がありますから、ここのところもどう考えるか、いろいろやっておりますが、今後さらに一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
  19. 増田敏男

    増田委員 すっきりした答弁が出るお尋ねではありませんので、引き続いて頑張ってもらいたい。お願いを申し上げます。  それからもう一つ消防関係のところでお願いをしておきたいのですが、これは答弁は不要です。頑張っていただきたいと思いますが、警察職員についての週休二日制の話は過日聞いた覚えがあります。消防職員についてはその週休二日制の話は実は私は記憶に今ございません。御案内のとおりの職務の性格から、特別の配慮がなされなければ、消防職員処遇というのは週休二日が実施になった場合に一般の公務員との問題が出てくるだろう、こういうふうに思いますので、これは消防庁の方へ、そっくり長官の方へお返ししますから、ぜひ万全に進むように努力をしてもらいたい、こういうふうにお願いをいたします。  時間がありませんので、どうしてもこれはやっておきたいという問題が一つあります。それはやはり消防庁関係なんですが、震災対策についてであります。  さっき申し上げました消防団員に入ったころ、今から二十年ぐらい前だと思いましたけれども、東大の地震の関係の博士から、実は有史以来の首都圏における記録に残る地震は六十九年ごと前後十三年間に発生しているんだ、こういうことを聞きました。ひどく私は感銘をいたしまして、以来今日まで、六十九年周期説というものを頭に描きながら、市長時代にも震災対策あるいはまた地震対策に取り組んできたところであります。  そこで、私の方でお尋ねしたいのは、ざっくばらんな話なんですが、東海地震についてはテレビ、ラジオあるいは新聞等の報道で実はよく承知をいたしております。そこで、東京、東京湾、千葉、神奈川、埼玉、この首都圏における直下型の地震に対しては余り聞きませんので、これらの対応は大丈夫なのかな、しっかりやってもらいたいな、こういう点が一点あるわけであります。したがって、答弁の時間ないですから、その辺をしっかりやってください。  それともう一つは、その震災対策に対して、私も自分がやってきた経験上申し上げるのですが、行政が一生懸命取り組みます。そうすると、一時的には大変関心が続いていきます。すぐそれが忘れた形となって継続になりません。したがって地方団体としては、あるいは国としても、ぜひ間断なく警鐘を鳴らしていくべきだ、そして避難方法、情報の伝達方法など、注意の喚起、啓発はもちろん継続してやっていかなければなるまい、このように考えます。  時間終了いたしましたという紙が参りましたので、答弁は要りませんから、しっかりと震災対策考えてください。いずれ機会がありましたら、また大いに議論いたしましょう。  終わります。
  20. 中島衛

    中島委員長 谷村啓介君。
  21. 谷村啓介

    ○谷村委員 まず、経済対策といいますか、経済見通しについて、先ほども増田委員の方からお触れになりましたけれども、私の方からもちょっと触れておきたいと思うのであります。  三月十九日に経済企画庁が発表した一九九一年十-十二月期の国民所得統計によりますと、GNPの実質成長率は前期比〇・〇四六%のマイナスとなっておるわけでありまして、年率換算で〇・二%のマイナス成長になっていることは御承知のとおりであります。これは、消費税導入という特殊事情のあった一九八九年四-六月期を除けば、約六年ぶりのマイナス成長であります。政府平成年度経済見通しである三・七%の実質成長率を達成するためには一-三月期には年率六・六%の成長が必要、こう言われておるわけでありますが、現在の景気の状況から考えれば、これはほぼ達成されなかったと考えてもいいと思うのであります。その後の金利引き下げ等の処置にもかかわりませず、連日株式市場は非常に低迷をいたしておるわけであります。  そこで大臣にお伺いいたしますけれども大臣は現在の経済状況及び平成年度経済見通しについてどう認識をされていらっしゃるのか、その点が一つであります。平成年度経済成長三・五%も実際は難しいのではないか、こういう悲観的な考えもあるわけでございますが、いかがでしょうか。  また、三月三十一日に決定された緊急経済対策においては、地方財政としてどのような対策を講じられておるのか、これもあわせまずお伺いをしておきたいと思うのであります。
  22. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まず、平成年度経済をどう見るかということでございますが、先ほど増田委員にお答えいたしましたように、政府閣議等におきまして一つ意見が集約されておりますことを見ますと、現在、バブルの崩壊に伴って、実際的に取引額の縮小は行われておるけれども、しかしながら経済の基礎的条件、ファンダメンタルは堅実なものがある。しかも消費経済については落ち込みはそれほど大きくないのではないか。ということは、雇用状態が非常に堅実でございますので、消費経済についての大きい不安はないけれども、設備投資等についてなお促進をしていく必要があるのではないか。そのためには何としても在庫調整を急がなければならぬというのが政府認識でございまして、そのために、まず内需の一層の喚起を図るべきだということでございます。  そういうことから見まして、一般の公共事業等、投資的経費に属するものの前倒しを行って景気を刺激していこうということが決定いたしました。おっしゃるように、三月三十一日の経済閣僚会議の席におきます緊急経済対策というものの一番の中心はそこにあるわけでございました。  したがって、私たち自治省といたしましては、平成年度予算上、単独事業を一一・五%増を見込んでおりますし、起債等につきましても相当大幅な増額を見てまいりました。七五%の配分を上期においてぜひ実現していきたいと思っております。そのためには、まず第一に、毎月単独事業並びに公共的事業執行状態の状況を報告を求めるということにしておりますけれども、六月の末を一つの時期といたしまして、単独事業等の配分についてのいわば検討をいたしたい、こう思うたりしておりまして、予定しております七五%の前倒しをぜひ上半期において実現いたしたい、こう思っております。  なお、御心配のございます地方税収の減収をどうするのかということでございますが、これに対しましても、私たちは、事業執行の面においては支障のないように何らかの財政措置を講じていきたいと思っております。  なお、緊急対策で議論がございましたように、前倒しを余り極端にしていくならば下半期の景気維持についてどうするかということでございましたけれども、今政府ははっきりした方針は出しておりませんけれども、それについては、下期に対する追加措置等も考えながら、上半期における前倒しをとりあえず先行して実施してくれという強 い要請があるということでございます。
  23. 谷村啓介

    ○谷村委員 景気の見通しについては、自治大臣の方は割合楽観的なんですね。ファンダメンタルの面についてはまずまずだろうというお話がございました。しかし、きょうあたりのテレビを見ますと、やはり雇用状況、新しく採用する状況については大企業の方はかなり変化が起きておるというような報道もあるわけでありますから、この点私はここでお尋ねしようと思いませんけれども、そういう非常な不安材料があるということは明らかであろうと私は思っておるわけであります。  さて、今もお触れになりましたが、公共事業前倒しという問題であります。  ところで、公共事業というと、とかく各省庁が発表するいわゆる補助公共事業ばかりが目を引くわけでありますけれども公共事業の中には、地方団体が国の補助を受けて行う補助公共と、先ほども冊子を見ましたけれども地方単独で行う単独公共というものが実はあるわけであります。  そこで伺いますが、まず、補助公共事業地方が単独で行う公共事業平成年度の金額の割合は一体どういうふうになっておるのか、また、その推移はどうなっておるのか。さらに、とかく補助事業の陰に隠れがちでありますが、地方単独事業地域経済に果たす役割はどのようなものであると御認識であるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  24. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 まず、平成年度地方財政計画におきます投資的な経費のうちの補助事業でございますが、これが八兆六千六百十六億円、それから地方単独事業は十四兆七千九百七十二億円ということで、補助と単独はおおむね四対六ということになっております。  最近の地方財政計画ベースで申し上げますと、補助事業につきましては、平成年度が八兆二千九百二十一億円、平成年度が八兆二千五百九十一億円、それから平成年度が八兆四千八百八億円ということで、余り伸びはよくないわけでございますけれども地方単独事業について見ますと、平成年度が十一兆二千七百五十七億円、平成年度が十二兆六百三十八億円、平成年度が十三兆二千七百二億円ということで、かなり地方単独事業の方が大幅な伸びを確保しているところでございます。  これはやはり、最近の地方団体の自主的、主体的な地域づくり、あるいは、住民に身近な社会資本整備というものを図るためには、むしろ補助事業よりも単独事業というものを重点に仕事をしていこうという地方団体の意欲というものがここに反映されているというふうに考えるわけでございまして、現実に決算を見ましても、普通決算の状況を見ましても、平成年度以降は計画を上回る地方単独事業の実績が確保されているというのが実情でございます。  それから、地方単独事業は、そういうことで量的にも、一つ一つ団体事業は小そうございますが、全部合わせますと、今申しましたように補助事業をはるかに上回る事業量になるわけでございまして、そういう意味から、地域経済に果たす役割は極めて高いものだというふうに考えられます。  ちなみに平成年度を見ますと、平成年度の国民経済計算上、公的固定資本形成の中で地方が受け持った分が全体の公共投資のうちの七六・七%という高い率でございます。しかも、この中の約六割が地方単独事業ということでございますので、地域経済に及ぼすいろいろな影響というものほかなり高いものだというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  25. 谷村啓介

    ○谷村委員 御承知のように、平成年度の地財計画では、地方単独事業は大幅に伸びております。一一・五ということでありますが、しかしこれを、先ほども単独事業の難しさといいますか、平易に、そのためにわかりやすくというもので大変意味があると思いますけれども、実際に地方団体予算化しなければ意味がないわけでありますから、そういう予算措置状況というものは一体どうなっておるのか。まだつかみにくいかもしれませんが、把握されておる範囲内でお知らせいただければありがたい、こういうふうに思います。
  26. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度地方財政計画は、今申し上げましたとおり、地方単独事業は一一・五%の伸びを確保したわけでございますけれども、現実に道府県の普通会計の予算状況を取りまとめたところでございますが、都道府県分についで見てみますと、都道府県分地方単独事業費は合計で六兆三千百十二億円で、前年度に比べまして八千四百八十九億円、一五・五%という高い伸びになっております用地方財政計画が一一・五でございますので、一五・五%の伸びというのはかなり高い伸びだというふうに考えております。  なお、市町村の分につきましては、現在都道府県で調査中でございますのでまとまったものはございませんけれども、私ども機会あるごとに、単独事業、積極的に取り組んでほしいということをお願いしておりますので、恐らくこの一一・五%という率を上回る率が確保できるんじゃないか、こういうふうに期待をしているところでございます。
  27. 谷村啓介

    ○谷村委員 おっしゃるように、地方団体も積極的に対応をしておるようであります。これからも適切な指導をぜひともお願いしておきたいと思うのであります。  ところで、かつては地財計画と決算との間に乖離があり、地財計画どおりに地方は仕事をしなかった時代が実はあったわけであります。地方単独事業について、決算と地財計画との乖離は近年どのようになっておるのか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  28. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のとおり、地方単独事業につきましては、昭和六十三年度までは単独事業の決算額の方が地方財政計画を下回っていたということがずっと続いたわけでございますけれども、六十三年度を境にいたしまして、いわゆるふるさと創生事業というようなものが一つの触発剤になりまして、単独事業、積極的に地方団体が取り組んでいこうというような意欲が見えてまいりました。平成年度におきましては地方財政計画を多少上回ったわけでございますが、平成年度におきましては地方財政計画計上額を約一兆二千億ぐらい上回ったということが、決算統計の上から明確になりました。
  29. 谷村啓介

    ○谷村委員 今お聞かせ願いましたように、最近の状況というものは極めていい状況だというふうに言ってもいいと思うのであります。  このように、地方団体が地財計画以上に仕事をしている、ならば、それに応じた財源措置を大いにやらなければならぬということでありましょう。言い方を変えれば、地財計画の規模が小さ過ぎて仕事ができない、こういう悩みがあるいはあるのではないか。地域生活基盤を整備することはもちろん、内需拡大のためにも、今後地方単独事業をさらに大幅に充実し、地方がやりたい仕事をできるように、そういう配慮を十分にしていくという時代ではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  30. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 私どもも、非常にありがたいことに、この地方単独事業、各地方団体が一生懸命取り組んでいただくことによって地方財政計画の規模が小さくなっちゃった、もっと拡大すべきだという御意見がたくさん出てくることを実は期待をしているわけでございまして、そういうものを受けて、この地方単独事業の規模の拡大を今後とも積極的にやってまいりたいと思います。  特に、ふるさと創生事業という地域に密着したいろいろな公共投資をする必要があるということ、あるいは公共投資の十カ年の計画の四百三十兆円というものを達成するというためにも、地方単独事業をもっと積極的にやっていただくという必要があるわけでございまして、それを受けて地方財政計画も近年二けた台の伸びを確保させていただいておりますので、これを今後とも積極的に私どもも取り組んでまいりたい、そして、地方が自主的、主体的に投資活動ができるように地方単独事業の大幅な拡充を図ってまいりたいと思っております。
  31. 谷村啓介

    ○谷村委員 事業量をふやすということも極めて大切だというふうに思いますが、先ほどもございましたように、地方団体が消化しやすいように自治省は、いろいろな方策あるいは事業のメニュー等を用意されておるわけでございます。その内容について、特徴的なものを簡単に御説明願えればありがたい、こういうふうに思います。
  32. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ただいま御指摘のように、地方が単独で仕事をしようと思っても、いろいろな陸路があってできないということが出てきてはぐあいが悪いわけでございますので、私ども段階で、地方単独事業をやりやすいようなそういう仕組みというものを、できるだけ環境づくりという面におきましてもやっていかなければならない。  先ほども申し上げました道路整備につきましても、地方単独事業補助事業というものを効果的に結びつけることによって、事業効果を単年度で発揮させるというようなことを関係省庁と御協議いたしました。  あるいは電線類の地中化などを考えてみますと、これも電力あるいは通信というようなことで、それぞれの関係省庁関係してまいりますので、地方団体が勝手にやりますといろいろとあちこちにぶつかる面が出てくるわけでございますが、そういうぶつからないような話し合いを中央のレベルで行うことによりまして、地方ができるだけやりやすいようにするということで、電線類の地中化ということも今回お話し合いをいたしました。  あるいは河川事業について、河川の公共事業とあわせまして河川敷の環境を整備していく、こういうことも河川管理者との間で話し合いができませんとなかなかうまくいかないという点もございますので、こういう河川の環境整備というようなものも今回関係省庁とお話をいたしますとかということで、関係省庁とお話し合いをすることによって、地方団体がスムーズに仕事ができるような措置をこれからも考えてまいりたいと思っております。
  33. 谷村啓介

    ○谷村委員 それでは次に、交付税問題について御質問いたしたいと思います。  昨年は五千億の減額がなされたわけでございますが、その法案の審議に際しまして当委員会では特に決議を行ったということは御承知のとおりであります。その中身は、簡単に言いますと、地方交付税は、地方固有の財源であることにかんがみ、国の財政事情の都合によってその税率の変更は行ってはいけませんよということが一つでありました。第二は、いわゆる附則三条に基づく特別措置については、その慎重かつ適正な運用に努めること、こういう意味の決議をつけまして政府案に賛成したことは御承知のとおりであります。また、昨年十二月の委員会でも各党から、交付税の変更、交付税額の減額は行わないように大臣の方にも厳しく実は申し上げたことは覚えていらっしゃると思いますが、我が党としましても、地方交付税地方団体の固有財源である、国の都合で一方的に減額をしないようにということを自治大臣に直接実は申し出も行ったところであります。  しかし残念ながら、今回の交付税法及び予算において八千五百億円もの交付税の減額がなされておるのでございます。  そこで、大臣に伺いますが、まず地方交付税の性格を、この何回かお尋ねしておるのですが、どうお考えになっておるのか。国が地方にかわって徴収する税であり、地方団体の固有の財源であること、これはもうはっきりしておりますし、当委員会でも幾度か確認をされてまいったわけでありますが、大臣、この考え方に変更はなかったのですか。いかがでしょう。
  34. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、国が地方にかわって徴収する税であるという認識です。
  35. 谷村啓介

    ○谷村委員 そうすると、いろいろあったでしょうけれども、やはりどうして八千五百億円もの金額を減額されたのかという率直な疑問が起こるわけであります。  地方団体固有の財源なら地方が使うべきであるということははっきりしておるわけであります。国に貸すためのものではないということもはっきりしておるわけでありますが、その点については大臣、いかがでしょう、もう一回お聞かせいただきたいと思います。
  36. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 交付税には過去におきましていろいろな国と地方との間の貸し借りがあったことは御存じだと思っております。ここにベテランの大先輩でございます山口先生もおいででございますが、その時分にはいろいろと国に借り入れをしてやってきた当時がございました。そういうことで、要するに交付税地方財源であることは、これはもう事実でございますけれども、そのときそのときの経済の実態に応じまして、国と地方との公経済がうまくいくようにバランスをとる必要がある場合にそれぞれの貸借関係を結んできたということがございました。  しかし、これは決していいことではございませんで、ただ臨時急施に行った措置であろうと思うのでございますが、今回はそういうことにならざるを得なかったことは残念でございますけれども、以降こういうことのないようにできるだけ努力して、お互いが均衡ある財政運営ができるようにいたしたい、こういうことを思っております。
  37. 谷村啓介

    ○谷村委員 いつもそういうお答えを聞かせていただいておるわけでありますが、来年もございますから、幾つかの点について改めて確認をしておきたいと思うわけであります。  まず第一は、これはよく議論になりますが、地方財政に余剰があるとお考えなのかどうか。そして、余剰があるから減額したのではないかというようなことを言われますね。大蔵省は地方財政に余剰があるというキャンペーンを張っておりましたことは御承知のとおりであります。そのキャンペーンからいうと、八千五百億円まで圧縮したんだからいいじゃないかという議論もあるわけでありますが、しかし本来からいいますと、先ほども大臣がおっしゃるようにノーマルな状況ではないことは明らかだということでございますね。それから、大臣公経済のバランスという言葉をお使いになりましたけれども、そういう面もあるにしても、私は、やはり原則からいうと問題があるということははっきりしておると思うのですが、自治省も、余剰があるから、国の方に今まで借りがあったから貸したんだというふうなお考え方なのか、余剰という点に力点を置いて御説明願いたいと思うのであります。  まだまだ地方財源が幾らあっても足りないという状況ではないでしょうか。私どもはそういうふうに思っていますしたい仕事があるのに財源が足りないということはやはり地方では言えると思うのですね、道路にしろ福祉にしろ。地方財政計画を圧縮して交付税額を小さくしている、こういう点がやはりあるというふうに私どもは思うのです。地方財政に余剰があるから国に貸したとすると、これは大変な間違いだということははっきりしております。大蔵省が言うように、これは後で大蔵大臣に対する質問もございますけれども、余剰があるから減額した、もちろんそうではないということでございましょうが、もう一回確認のためにお答えをいただいておきたいと思うのであります。
  38. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方財政におきましては、今後の財政需要考えてみますと、先ほど来お話しの社会資本を積極的に整備していかなければならない問題、あるいは、高齢化社会を迎えましてゴールドプランを達成していかなければならないというようなたくさんの課題があるわけでございます。  そういう意味財政需要がこれからたくさん出てくるという問題が一つございますし、五十年代に財源が不足したときの借入金というものもかなりございます。ことしの末では恐らく七十二兆円近くになるのではないかということでございますから、これの返済の問題も出てまいります。また、地方財政というのはただ一つ団体ではございませんで三千三百の自治体から成るわけでござ いまして、その中のほとんどの団体財政力の乏しい団体でございます。こういうようなことを考えますと、地方財政が余裕のある状況にあるというようなことは決して言えないのではないかと考えております。  しかし、平成年度におきましては、国庫当局における税収の厳しい状況などを踏まえまして強い協力要請もございました。それで、国と地方との間は密接な財政関係があるということを考えてみますと、この協力要請に対して地方団体として、財政としても御協力をしなければならないという点もあったことも事実でございます。  ただ、その場合には地方団体が当面する財政需要にこたえられたかどうかという点がまず問題でございまして、この点については、平成年度地方財政対策において地方単独事業の充実、あるいはソフト面における地方の福祉施策の充実などの点について遺漏のないようにした上で国に対する協力ということを行ったわけでございまして、決して今御指摘のように地方財政が余裕があったから、余剰があったから行ったというものでないことははっきり申し上げることができるわけでございます。
  39. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に、今回の減額は後年度八年間にわたって返してもらう、こういうことになっておるわけであります。交付税年度間調整という説明もあるわけでありますけれども、何も大蔵省との間で調整をする必要は私はないのではないか、大臣おっしゃるように交付税地方団体のお金ですから、すべてを地方団体に交付して、地方団体がそれぞれ年度間調整を行えばよいのではないか、本来私はそんな性質の金ではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  40. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方交付税は御指摘のように地方の固有財源ということで、国税の一定割合というものにリンクさせてそして中長期的に財源を保障する、こういうことで国と地方の安定的な財政関係を確立しようということでございます。国税の一定割合ということでリンクしているものでございますから、この交付税の総額とそれから単年度地方財政状況というものとに多少ずつのずれがあるということは、これはやむを得ないことであろうかと思います。  そういう点について、交付税年度間調整をどう考えていくかという点は、これは交付税制度ができて以来の古い論議でございますけれども基本的には今までの考え方は、地方団体のレベルでこの年度間調整を行うことがいいのではないかということでございましたけれども、国と地方との財政関係に応じてこれを調整するということも、これもこの交付税制度ができて以来その都度行われてきたことも事実でございます。  これを制度化するということになりますと、これはいろいろ問題がございますが、毎年度毎年度地方財政対策におきまして、国と地方との話し合いによりまして、どういうふうに交付税の総額を最終的に決めていくかということを決めてもらって、それを法律に毎年度出しまして、それで法律で御審議いただいてこの交付税年度間の調整と申しますか調整が行われるということでございまして、制度的な年度間調整ということを私ども今意図しているわけではございませんで、その都度の財政状況に応じて、法律によって御審議いただいてこの交付税の総額というものをお決めいただく、こういうことで運営をしてまいりましたことを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  41. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に移りますが、昨年五千億の減額を行った際に、私どもは今後このようなことのないようにぜひひとつその点はきちんとしてもらいたいよ、こういうふうに申し上げましたことは先ほども取り上げたとおりであります。確かに、交付税は引き下げということにはなりませんでしたけれども、八千五百億円もの金が減額されたことは事実であります。地方団体が自分の金を使いたいのに国の都合でカットされるということは、実はこれはもうたまらないことでありまして、このような状況なら国は来年以降も恐らく、先ほどの税の見通し等の問題を考えますと、交付税率のカットをまたまたしかけてくる、これはもう大いに考えられますね。私どもは、地方自治を守るために、そういう安易な交付税のカットには反対を、絶対に、そういう立場をとっているわけでありますし、そのような安易な姿勢に対しては、衆参両院を通じて断固これからも反対することを実は申し上げておきたいと思うのであります。  そこで大臣、私からの提案でございますが、交付税を国の都合でカットされないためにはどうすればいいのかという問題がやはりあると思うのでありますが、これはこの際、交付税を一般会計を通すことなく特別会計に直入をしたらどうだろうか。  この交付税の特会直入論は古くて新しい問題でありますが、従来から地方団体自治省地方制度調査会などが提案をしてきたという経緯があるわけでありますが、いまだに実現をいたしていないのであります。地方交付税が国の一般歳出でなく地方団体固有の財産であることを明確にするためには、いわゆる国の一般会計を通さずに直入すべきだ、これは私はそうだと思うのですが、そうすれば、仮に大蔵省に貸すにしても、一たん交付税の総額を特会に入れてそこから八千五百億円が一般会計に出される、そういう姿がはっきり実はわかるのであります。  いかがでしょう、大臣
  42. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 交付税の直入問題は、私が初めて国会に出ました、当時昭和四十二年でございますが、その時分から議論がずっと続けられておりました。その前に私たちは直入の立場に立ちましての議論を進めておりましたけれども、一方、衆議院、参議院の議員の中におきましては、やはりそれに反対される勢力も実はあったわけであります。  そういう中で今日に至るまで直入問題が未解決のままに放置されてきておりますけれども、私たちもそれは直入をいたしたいという気持ちは持っております。しかし、そこに一つ問題事が起こってまいりますのは、そういう事態になった場合に、交付税を構成しておるところの税目の変更というものがなかなかしにくいのではないかということが一つ。それから、税率の変更ということもなかなかあり得ない、難しい事態になるということ等も考えられます。  私たちがずっと過去において経験いたしましたことは、交付税の税率も最近はこれで安定いたしておりますけれども、以前におきましてはやはり変更のあったときがございました。そういうことは今後とも避けていかなきゃならぬということは、これは確実なことでございますが、税目につきましては若干追加もし、変更もしてきておるところでございます。  そういう点をいろいろ多角的に考えてまいりますと、要は、交付税をいかにして安定させて、そして地方の固有財源として利用していくかということでございまして、その間に一つ問題になりますのは、何遍も私答弁させていただいておるのですが、いわば地方財政の収入の仕組みと申しましょうか、構造と規模が変わってきたのにかかわらず、地方財政需要をそれに伴うて変えていかなかったという、そこが最大の問題点でございまして、私はこれからの交付税問題を考えます場合に、二面的に、つまり交付税を安定確保するという方法をいかにして制度的に位置づけるかということと同時に、交付税をいかにして地方団体に活用していくかということとあわせて考えていきたい、こう思っております。
  43. 谷村啓介

    ○谷村委員 直入論については御指摘のような問題も実はあるわけでありますし、その他の細々した問題で整理すべき問題もございますから、私はここでこれ以上特会直入論については触れようと思いませんが、幾つかの問題があるにしても、それは解決できないような問題ではないというふうに思いますね。  したがいまして、今後こういうふうな問題も含めて、やはりこれはきちんと追求をしていく問題だし、こういう時代になればなるほどこの直入というものの必要性というものが私は出てくるので はないか、こういうふうに思いますね。最初からぱっとカットされちゃって八千五百億円がどこへ行っているのかわからないというような、地方財政から見ればですよ、そういう姿ですから、国のように、国から見るとそれが入っていないと全体の姿はわからないという反論もございましょうけれども、そこら辺はそこら辺として整理できる技術的な問題だというふうに私は思っておるわけでありますが、この問題はそれ以上深入りをすることは避けましょう。  さて、次の問題に移りたいと思います。次は、地財計画について御質問をいたします。  平成年度の地財対策、地財計画の内容については、昨年の地方交付税法の審議に際しまして当委員会は、先ほど述べた交付税額の確保のほかに、地方財政が当面している課題について幾つかの決議をいたしたところであります。また、我が社会党としても自治大臣に対し、より細かく申し入れも行ったところでありますが、これらの事項の実現状況について確認をしたいと思うのであります。各テーマについては我が党の同僚議員が今後追及をする、質問をするということになっていますので、主な事項に絞って伺いたいと思うのであります。  まず、高齢者対策等、福祉問題については地方自治体が当面する最重要課題であります。福祉のための施策はどういうふうに充実をされたのか。また、地域の問題であるとともに地球規模の問題となっている環境保全対策についてはどのような取り組みが具体的になされておるのか。事前に若干の御説明は受けておりますけれども、この際公式な委員会で改めてお尋ねいたしたいと思います。
  44. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 まず福祉の関係でございますが、高齢者の関係、高齢者対策につきましては、高齢者保健福祉推進十か年戦略、いわゆるゴールドプランが平成年度で三年目を迎えるわけでございまして、国の予算におきましても国庫補助金はかなり増額が図られております。それを受けまして地方財政計画におきましても、国庫補助事業に伴う地方負担額は全額地方財政計画に算入をいたしております。と同時に、地方が単独で行う福祉施策につきましても地方の実情に応じて実施できるような経費ということで、ソフト面の社会福祉関係の経費について前年度に比べて一〇%の増加、約二千四百億円の増額をしたわけでございます。と同時に、高齢者の福祉対策活動推進あるいはマンパワーの確保などを行うための地域福祉基金を積み増しをするために、三千五百億円の基金費を新たに設けたところでございます。  それから環境問題につきましても、今御指摘のように、従来の産業公害型の環境問題から、廃棄物の問題とか、生活雑排水の問題とか、あるいは排気ガスの問題とか、いろいろな問題が今環境問題として出てきているわけでございまして、こういう問題に地域としても取り組んでいく必要がございますので、この環境問題に対応できるための経費といたしまして、全体で千七百億円の環境保全対策費を計上いたしました。これまでは公害対策費として六百六十七億円を計上いたしておりましたが、これを改組いたしまして、これをやめて千七百億円を計上したということで、実質的には一千億の増額になっているわけでございます。  それぞれの単独施策が行い得るような経費、福祉につきましても今の環境の経費につきましても、こういう形で、地方財政計画で額を確保したものを基準財政需要額に的確に算入するために、交付税の単位費用改正の中に盛り込んでいるところでございます。
  45. 谷村啓介

    ○谷村委員 御説明をいただきましたが、特に福祉問題等のサービスを充実する、そのためには職員の増というものが絶対に必要となってくるわけであります。地財計画においては福祉、保健、環境関係の職員は何人増員をされているのか。  何といっても保健福祉サービスは人がまさに基本であり、財源を措置するだけでは真の福祉にはならない、これは御承知のとおりでありまして、政府は行革、民営化路線を進めてまいったわけでありますけれども、必要なところにはやはり職員をふやすことがぜひとも当然のごとく必要であります。この点について大臣はどのようにお考えか、お答えいただきたいと思うのであります。
  46. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 大臣の御答弁の前に計数的なところを申し上げますと、平成年度地方財政計画におきましては、福祉関係職員といたしまして千四百六十一人、これは社会福祉施設の関係、あるいは措置権を市町村に移譲する措置権移譲、あるいは在宅福祉関係の職員の増ということで、合計千四百六十一人の増員を図っております。それから、保健関係の職員として三千百七十人、環境関係の職員、これは清掃施設の関係でございますとか、あるいは廃棄物の減量化対策関係の職員として八千九百三十四人、これだけの増員を行ったところでございます。
  47. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど実数を申し上げましたように、ゴールドプランが実施されまして三年目でございますが、それに呼応する対策は講じてきておるところでございますが、なお今後とも一層その充実を図っていきたいと思っています。
  48. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に、国庫補助金の一般財源化についてお尋ねいたします。この一般財源化はどの程度進んでおるのか、これもお答え願いたいと思うのであります。  地方財政の自主性を高めるためには国庫補助金の一般財源化とこれに合わせた権限の移譲、これはいつも言われている問題でございますが、これまでも実際にはなかなか進みづらいというか、進んでいなかったということでございます。最近ようやく少しずつ一般財源化が進んでおるように思うのでありますが、今後とも積極的にこの問題は進めるべきだというふうに思うわけでございますが、大臣、いかがでしょう。
  49. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 最近の国庫補助負担金の一般財源化の状況を申し上げますと、既に御案内のとおり、臨時行政改革審議会の答申などもございまして、地方行政の自主性、自律性を図る、あるいは行財政運営簡素化、効率化を図るという観点から国庫補助負担金を整理合理化していく、その中の一環として一般財源化を積極的に進めるべきではないか、こういう考え方が出ているところでございます。  平成年度におきましても一般廃棄物処理施設につきまして補助対象の重点化を行ったというようなこともありますが、平成年度におきましては、義務教育費の国庫負担金のうちの共済費の追加費用、あるいは、国民健康保険の事務費負担金のうちの人件費相当分とか助産費補助金というようなものの一般財源化をいたしましたし、それから、公立小中学校の大規模改造の事業についても補助対象を重点化いたしまして、できるだけ単独で行えるように一般財源化を進めてきたところでございまして、こういういろいろな措置を関係省庁と協力しながら一般財源化に向けて積極的に進めてきているところでございます。
  50. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御質問された点がいわゆる交付税財源余裕論と非常に密接に関係したところでございまして、しかも、これを解決して一般財源化を積極的に進めようといたしますとどうしても各省庁との間の権限問題に関係してくるところでございます。  私は思いますのに、中央政府は、各省はいわば企画、統制、指導する、指導官庁であると同時に業務の実施官庁でもあるわけでございまして、その実施官庁の持っております。務というものは委任事務として地方に任され、その中におきます権限というものはこの際地方に分権すべきである。そうすることによって、交付税におきますところの余剰財源問題というものは大幅に解決されていくんではないか、こう思っておりまして、平成年度予算に際しましても、文教関係並びに先ほど局長言いましたように厚生省関係の若干の部分は一般財源化していくことの計画は立ったのでございますけれども、なお今後一層建設関係、厚生関係等におきますところの一般財源化について協議を進めていきたい、こう思っております。
  51. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に、国庫補助金について言えば、 補助負担率の暫定期間が平成年度で切れるのであります。当然補助率はカット前の水準に復元するのが基本でありますが、一方で、地方団体の自主性を高めるために補助金の一般財源化を進めているのでありますから、単純に補助率を復元するということだけでなくて、地方団体の自主性を高め、先ほど大臣がお触れになりましたが、また複雑な制度簡素化するといった、そういう観点も必要だと私は思いますが、いかがでしょうか。
  52. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国庫補助負担率につきましては、例えば公共事業などの建設関係については暫定補助率ということで、現在は六十一年度水準に復元した上で五年までの暫定措置が講じられているところでございます。  この補助負担率をどういう形で体系化していくかという点については、関係省庁と今連絡会を設置いたしまして検討を続けているところでございますが、今御指摘のように、この国庫補助負担率というものを見直すに当たりましては単に復元ということではなしに、地方の自主性を強化するという立場から国庫補助負担金のあり方というものをよく見直して、そして検討していくという観点が必要ではないかというふうに考えているところでございます。  現に、福祉とか教育等の経常的な経費につきましては、平成年度に新しい補助負担率を決めてもらいまして、これに伴った地方負担の分は国のたばこ税の一定割合を交付税に加算するというような形で、経常経費についての国庫補助負担率については一応の決着を見ているわけでございまして、公共事業の補助負担率についてはどういう観点からこれをやっていくか、事業量の確保という問題もございましょう、また、地方の自主性を確保していくためにこの一般財源化との関係をどうしていくかという観点、いろいろな観点を総合的に考えながらこの問題については論議を深めていきたい。  それにしても、これは自治省だけではなかなか難しいわけでございまして、公共事業を担当している関係省庁とよくお話し合いをしながら、この点について煮詰めていかなければならないと思っております。
  53. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に移りますが、平成年度は国の予算伸びが二・七%、地財計画の伸びは四・九%と上回っているわけであります。それなりの評価はできるのでありますが、今後生活大国を実現するために、内政を充実すれば当然国より地方予算規模の伸びが大きくなるわけですし、国庫補助金の一般財源化を進めればその分だけ国の予算伸びが小さくなる。地方の負担がふえる分だけ地方予算伸びが大きくなるはずであります。  そこで私が気になりますのは、かつて行革審が地方財政伸びは名目成長率以下にすると述べておりますが、この考え方はいかがなものかというふうに思うのであります。  今私が申し上げたような事情や、今後増大する高齢者福祉の担い手が地方団体であること、さらに、質疑の冒頭に指摘しましたように一公共事業の大半を地方が行っていること、さらに加えれば、地方単独事業に内需の牽引車としての役割を期待されていること等考え合わせますと、ただ機械的に地方財政をGNPの伸び以下にするというのは、暴論か財政を知らない者の主張にすぎないというふうに思うわけであります。行革審の提言は、財政再建のために何が何でも予算を伸ばさないという単純な発想の時代の産物であると思えるのであります。  ところが、実際はどうでありましょう。地方自治省主導のもとに地方行革をまじめなほど実行してまいりました。組織の見直し、人減らしを大幅に進めてきたことは御承知のとおりでありますし、地財計画も伸び率を抑えて、したい仕事もせずに巨額の借金返しを熱心に優先してきたという実情があるのであります。一方、国は、もちろん国鉄改革等の問題等もありましたけれども、歳出の見直しについて私はやはり不熱心であるというふうに思いますし、借金も繰り延べするだけという状況であったように思えてなりません。さらにその上に、交付税を減額するという地方財政への押しつけだけで切り抜けようとしておるということ、こういうふうに実は思えてならないわけであります。  不必要なまでに行革をまじめに進めてまいって財政の健全化を進めた地方財政に対して、国に協力するために歳出を抑えよというのは、これはやはりちょっと身勝手な面もあると思うのでありますが、巨額の借金の大半を返し終わったこれからこそ、生活重視の行政を進める、地方自治体の抱えている財政事情に応じて地財計画をつくるべきだというふうに思うのであります。初めから伸び率を設定して、その中に抑え込むべきではない、そういうふうに私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  54. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それはおっしゃるとおり、私は、無理やりその年の経済成長率以下に地方財政計画伸びを抑える、それは私、反対であります。そういうことはない。  しかし、ちょっと誤解もあると思いますので、これを読みますと、行革審ではこういうふうに言っております。中長期的に見て財政の健全性を確保し、国民負担率の増大を抑制するため、国と同様地方財政についても適度の経済成長率が維持されることを前提に、こう書いております。したがって、平成年度につきましては、この適度の経済成長率を維持されるためには地方財政を伸ばしてくれてもいいという、むしろ伸ばしてくれ、そういうことになっておるわけでございまして、そのことを受けまして、先ほど申しましたように、単独事業並びに起債の充当率を上げてでも起債を増額しよう、そういうことを計画しておるわけでございますので、決してこれにこだわっているものじゃございません。  しかし、行革審が言っておりますように、国民の総負担額、公的負担の抑制というものを絶えず忘れてはいけませんよということ、これは私は、やはり国民サイドに立った場合、重要な課題であろうと思いますので、この精神は忘れてはならぬと思っておりますが、そのときそのときに応じた財政計画を図っていくべきだということは当然であります。
  55. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に、国民健康保険財政についてお伺いしたいのであります。  まず、最近の国保財政状況について御説明を願いたい。特に、一般会計からの財政支援は幾らぐらいになっておりますか。
  56. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度の決算でございますけれども、後ほど申し上げます財源補てん的な一般会計からの繰り出し金を調整いたしました再差し引き収支で見てまいりますと、全体では五百八十五億円の赤字になっております。赤字団体だけを見ますと、赤字団体が五百二十二団体、赤字団体におきます赤字額が二千四百六十二億円ということになっております。前年度に比べますと、赤字団体が百団体減っておりますし、赤字額も二百五十八億円減少しているということでございますけれども、今申しましたように、国保財政の赤字というものほかなりまだ巨額なものが残っているということでございます。  それから、御指摘の国保会計の繰り出し金でございますけれども、いわゆる財源補てん的な繰り出し金が約三千二百三十九億円ということで、前年度に比べまして二百三十億円の増加になっております。こういうことで、地方財政から財源補てん的な意味の繰り出しというものが相変わらずふえているというのが実情でございます。
  57. 谷村啓介

    ○谷村委員 四年度予算には財政安定化支援事業が新しく計上されておるわけですね。この事業のねらいといいますか、その点について御説明を願いたいと思うのであります。
  58. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国保財政の安定化支援事業でございますが、平成年度地方財政計画で初めてこれを計上したわけでございます。これは、現在の国保事業というものが地方財政を非常に圧迫している、それから個人個人の保険料の負担というものを全国的に見ますと、地域間で保険料の負担 が非常に格差があるというような事態が問題になっているわけでございまして、地方財政の立場から見ましても、この問題をそのまま放置しておいていいのかどうか、こういう問題がございます。  御案内のように、国保財政というのは国費と加入者の保険料で賄うというのが基本的な考え方であるわけでございますけれども、保険者でございます市町村の責めに帰すことができないいろいろな特別な事情が介在するわけでございます。  例えば、その地域においては被保険者の中に低所得者の数が非常に多い、これは結果的には保険料負担が少なくなるわけでございまして保険財政が非常に難しくなる、あるいは、病床数が他の団体に比べて非常に多いというような場合には給付費が他の団体に比べて多くなっているというようなことがございまして、こういう問題は保険者でございます市町村の責めに帰すことができないのじゃないか、こういう点については一定の基準に基づいて一般会計からの繰り出しというものをある程度制度化する必要があるのじゃないか、こういう考え方から今回国保財政の安定化支援事業ということで一千億円の額を地方財政計画に計上させていただきました。  そういうことで、ただいま申しましたようにこの支援事業というものは、現在行われている国費と保険料で賄うという国保財政基本原則というものをまず守るということを前提にして、地方財政措置としてやむを得ずやらなければならないという点に着目してやったものでございまして、先ほど申し上げましたような平成年度で約三千億以上の繰り出しか行われておりますが、この繰り出しを一般的に追認しよう、こんなような気持ちでやったものではないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  59. 谷村啓介

    ○谷村委員 今お答えを聞いておりましても幾つかの疑問が残るんですよ。それは、今も局長おっしゃいましたように、国保というものは元来国と保険税で賄うということが建前、原則ですね。なるほど今おっしゃいますように実際は、三千億からの赤字といいますか、一般会計からの繰り入れがあるわけですね。これは地方財政からの繰り入れなんですね。これは安定資金というのも実は結局交付税で措置するということでありますから、おっしゃるように例えば特殊な事情があるぞ、一方ではたくさんの病床を持っておるところだとか低所得者が多いというふうな、一般には入れられないような事情があるところという御指摘もあるわけですけれども、それがあるにしても、それを本当に地方交付税措置ですべきものなのか、あるいは、原則をきちんと守らせて国の方に加算をさせるべきものなのかという、議論は分かれるところだと私は思いますが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  60. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 仰せのとおり国民健康保険財政というものは、基本的には国費と保険料で維持していくべきものであるという観点から見ますと、地方財政の立場からこの経費を支援するということは、一方的に見ますと、確かにおかしいのではないかという議論が出てくるわけでございまして、私どもは、そういうこともございまして今まで地方財政からの支援というものには非常に慎重になっていたわけでございます。しかし、最近の状況を見ますと、財源補てん的な一般会計からの市町村の補助というものが三千億を超えているという事実も見逃すことができない。これは現実に他の地方財政、本来ならばこの三千億のお金は地方行政に使うべきお金が国保の方に行ってしまっているわけでございますから、そういう意味からいって、地方財政に非常に大きな影響を及ぼしているということも見逃すことができない。  そういうことを考えたときに、地方財政支援できる範囲あるいは支援できる理屈というものは最大限考えてどこだろうかということで中で議論をした結果が、今申し上げましたように低所得者層が非常に多いというところ、これは保険料が入らないわけですから、国費と保険料で賄うといってもなかなか保険料がそれだけ負担できない、そうすると結果的こま、保険料をそれだけ確保するためには今度は他の保険者の保険料がその分ふえてしまう、保険料負担が多くなってしまうということにもなるわけでございますから、保険料に他の団体と格差が出てしまう、こういう問題も出てくると思います。それから、病床数が多いという地域については、給付費が多いわけでございますから、給付費が多いのを保険料だけで行うということになれば他の地域に比べて保険料がふえてしまうという実情を考えてみますと、こういう観点からの地方財政からの支援というものはやむを得ないのじゃないかなということで今回一千億の額を計上したわけでございます。  いろいろ御批判があることも十分承知いたしておりますので、その御批判をよく承りながら、今後の地方財政の立場からの国保に対する考え方というもの――これで決着したというものじゃないわけでございまして、これからいろいろな形での議論が出てきます。また、医療保険の一元化とかというような問題、一番大きな問題もこの後には控えているわけでございますから、それまでの間の地方財政からの関与というものをどういう形でやっていくかということ、これをこれからも私ども模索してまいりたいということでございます。
  61. 谷村啓介

    ○谷村委員 おっしゃるように、出す際の出し方という問題もあるように私は思いますね。三千億あるんだ、一千億は措置して、そうすると二千億残るというようなことになるわけですが、一体この措置は単年度の措置なのか。しかし国保会計というのは、本来年寄りが多いし、低所得者が多いし、赤字になる性質の保険でありますから、もともとこの問題というものはずっと続くというふうに思うわけでありますが、私はその点は、単に地方交付税措置だけでなくて応分の負担というものを国の方にもさせるべきではないか。そこにメスが入らないとこの問題の解決といいますか、地方の方にせっかく使えるお金があって――ほかの事業に使えるお金なんですね、そのお金は。そうでしょう。それをそのまま国保会計につき込んでいくというような――好転するような状況、条件がないわけですから。もっともっと高齢化するわけですから。そうでしょう。  そういうことに思いをいたすときに若干の危惧を実は覚えるわけですから、そういう点についてはいかがでしょう。私は、国保の会計の健全化というものについて反論、異論を挟んでいるのではありませんよ。そういう心配はありはしないか、こういうふうに言っているんです。
  62. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国保の財政健全化については、過去におきましても、老人保健法の制定でございますとか、あるいは加入者按分率を引き上げていって現在一〇〇%になっているわけでございますが、こういう形での他の保険からのいろいろな調整と申しますか、そういうものもやったわけでございます。そういう結果が一部赤字が減ったという先ほどの統計結果にも出ているんじゃないかと思いますけれども、国保の財政状況というものはそれだけでやはり完結、これで大丈夫だというところにはまだ来てないことは事実でございます。  今御指摘のように国費をもっと充実すべきだという問題もございましょう。あるいは他の保険との調整という問題をもう少し考えていくべきじゃないか。雇用保険においては最近は黒字のところが大分あるというようなことでございますが、それとの関連というものも考えていかなければならない。また、給付率そのものも国保は他の保険に比べて悪いわけでございます。そういうようなことで、医療保険全体の一元化の問題、そういうようなものの中で国保をどう位置づけていくかという問題もあろうかと思います。  実は、今度厚生省においては国保問題について社会保険審議会という保険の審議会をたしか新しく改組いたしまして、国保も審議会で議論していただく場が明年度からつくられるということも伺っております。そういうところで財政問題も含めてこの国保問題についての御議論をもっと深め ていただくように私どもも期待しているわけでございまして、決して今の段階のものが万全だというふうに考えておりませんし、そうかといって、この一千億は今年度限りということではなかなかいかないと思いますから、これは当面の間は継続せざるを得ないと思いますが、抜本策の解決というものではないというふうに理解いたしております。
  63. 谷村啓介

    ○谷村委員 次の質問に移ります。  消防庁お見えですが、まず、私は岡山市の出身なんで、岡山市の消防費の予算、また決算と、普通交付税基準財政需要額、それはそれぞれ幾らになっているのか、数字をお教え願いたいと思うのであります。
  64. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 岡山市の消防費でございますが、平成年度の決算額で申し上げますと、決算額が四十一億円で一般財源がそのうち三十九億円ということになります。これに対します交付税基準財政需要額ですが、五十億円ということになっております。それから平成年度につきましては、まだ決算がとれておりませんので予算段階で申し上げますが、歳出額としましては四十六億円、そのうち一般財源が四十三億円でございまして、これに見合う基準財政需要額は五十三億円というようになっております。
  65. 谷村啓介

    ○谷村委員 平成年度で見ると、交付税措置が約五十三億円、予算が四十六億円、平成年度交付税五十億、決算ですがこれは四十一億、こういうことになっているわけですね。  何回か国会でも過去調べてみますと取り上げられておる問題なんですね。こういうふうにせっかく交付税措置をしたものと実際に使われておる額との間に大きな乖離があるというのは、岡山市だけではないというふうに思いますね。全国的な数字も調べてみておりますけれども、消防行政という非常に大切な行政にかかわらず、なぜこういうふうに大きな開きが出るのか。過去の議事録を調べてみましてもその辺については明確なところは出ていないというふうに思うのでありますが、全国的な傾向と、なぜそんなことになるのか。もちろん、交付税ですから、別にひもつきじゃありませんからという理屈はありますけれども、それにしてもなおという疑問がわくわけでありますが、いかがでしょう。
  66. 浅野大三郎

    浅野政府委員 ただいま御質問の中で御指摘もありましたとおりの交付税の性格がございます。標準団体を頭に置いて需要額をはじいているということと、片一方、予算を組みます場合はそれぞれの実態に基づいて組むということがございますものですから、なぜ違いがあるかということを的確に申し上げることはなかなか難しいのでございますが、私どもといたしましては、消防の仕事というのは非常に大事でございますから、これにつきましては消防力の基準というようなものも示させていただいておるわけでございますから、そういうものも頭に置いて消防力充実のために努力するように常に理解を求めておるというところでございます。  それから全国的な傾向でございますけれども、これは団体によりまして、需要額を上回っているところ、下回っているところ、両方あるようでございますが、すべてをトータルして計算いたしますと若干需要額を下回っているというようなところが現状でなかろうかというふうに思っております。
  67. 谷村啓介

    ○谷村委員 先ほども増田委員の方から消防団の問題についても御質問がございました。都市都市でそういう消防団活動にかかわる人々が大変少なくなっている、田舎は田舎でまた過疎で若者がいないというようなことで、婦人消防団だとか子供まで駆り出しての消防団活動というようなことがやられておるわけであります。それを挙げるまでもなく、やはりこれは大変重要な行政でありますから、私も岡山市に住んでおりまして、完璧な消防行政が、あるいは人員等、行われているものかどうか、これは私も十分には精査しておりませんけれども、ちょっとした感じでは、まだまだするべきことがあるんじゃないか、こういう気がいたしますね。  したがって、今後この交付税についてもっともっと指導を強めていかれる必要があるんじゃないか、こういう気持ちで実は質問をしておるわけでありますが、いかがでしょう。
  68. 浅野大三郎

    浅野政府委員 交付税の性格ということもございますものですから、私どもといたしましては、別途消防力の基準という形でお示しさせていただいているものがございますものですから、そういうものを十分理解した上で消防かの充実をやるように、こういう指導を従来やっておりますし、今後ともさらに指導をやってまいりたい、こう思っております。
  69. 谷村啓介

    ○谷村委員 時間も迫ってまいりましたから次の質問に移ります。森林対策についてお伺いしたいのであります。  山村地域が過疎化と高齢化が進行しておる。そのために地域社会というものがもはやがたが来ておるといいますか、そういう状況になっておることはもう御承知のとおりであります。去年でありましたか、社会党内に森林対策特別委員会というのがございまして、私もそのメンバーでございますが、いろいろなところの森林を視察をして、同時に村々あるいは町々の視察をしておるわけでありますけれども、山村の荒廃、とりわけ森林の荒廃というものが、国有林も財政難でなかなか手が届いておりません。民有林の方も後継者不足等あるいは手不足で管理が行き届かないという状況になっておるのであります。こういう問題に対して地方自治体としてどう対応したらいいのかという大変悩みの多い問題でもあるわけであります。  ただ、その集落を見ますと、一つは昔から鎮守の森に象徴されるように森林という問題と、それから稲作という問題が、いわゆるヒューマンリレーションというか集落の中心になってずっと来ておる。いまだにそうなんですね。一方がそういう状況になり、一万また米の状況もよくありませんから、したがって今のような過疎状態というものを加速させておるということは私が指摘するまでもないところでありますが、地方行政として一体どうかかわられるのか。現場の町長さん、村長さん、何とかしてくれよというような意見も実は強いわけでありますが、いかがでしょう。
  70. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 従来から自治省としては、例えば過疎債であるとかそれからいろいろな起債を認めまして、それによりますところの措置をしてまいりました。これを制度化、どうしていくかということは問題がございまして、まだ確定したものではございませんが、私は、市町村が、国有林の中で自分の地域の環境を保全する出とか、あるいはまた観光に適するもの、あるいは水源涵養に適するもの、そういういろいろな目的別に見まして国有林の払い下げを受けたらどうだろう、そして市町村の責任でそういうものを管理していくことを考えたらどうだろう、こう思うのです。したがって、国有林全体をするのではなくて、自分の町づくりのためにそういうようなものを維持していくということをやってくれたら、相当私は環境は変わるのではないかと思うたりいたします。  そういうことから、いわば山林業者への刺激にもなっていくと思うたりいたしまして、私、地方自治体として今どういうぐあいにしておるかという、その思惑は知りませんけれども、私たち過去やってまいりました過疎債だとか山の保全債であるとか、そういう事業債だけのことではできない、追いつかないような感じがしております。
  71. 谷村啓介

    ○谷村委員 国土庁も山村振興のためにいろいろ努力されておりますが、どういう方策を講じているか、時間がありませんから簡単に述べてください。
  72. 及川勝也

    ○及川説明員 国土保全、水源涵養、自然環境保全、こういう関係で国土庁は各省の御協力をいただきまして山村地域の振興対策を講じておるところでございます。  特に、昨年山村振興法を改正していただきまして、法の目的に山村における森林等の保全ということを力強くうたっていただいたということもございます。そして、新しい項目といたしまして は、いわゆる第三セクターということでございますが、そういう山村地域の保全を中心とした第三セクターをできるだけ設けるように制度を置きまして、税制制度なりある程度の財政措置なりを講じまして、今後山村地域活性化なり定住なりの促進に努めるという措置を講じて現在推進しているところでございます。  なお、御案内のとおり、新山村農林業振興対策というのがこの法律に基づきまして今年度から新たな対策として講じられたというようなこともございます。  以上でございます。
  73. 谷村啓介

    ○谷村委員 林野庁も山林の疲弊している問題については責任もございますし、大変苦慮されておるところでございますが、具体的にどういう特徴的な方策をやっていらっしゃるのか、この点についてもちょっとお触れ願いたいと思うのであります。
  74. 田中正則

    ○田中説明員 先生御指摘のように、林業をめぐる状況というのは大変厳しくなっております。採算性の低下、あるいは労働力の減少、高齢化、はたまた機械化あるいは基盤整備の立ちおくれといったようなことで大変苦慮しているところであります。また、国産材そのものも外材に比べますと、供給面で量的なまとまりでありますとか、あるいは生産コストの面で大変な競合状況にありまして、これまた苦慮しているようなところであります。  このような状況に対処しまして、我が国の林業、森林の振興を図るという観点から、民有林、国有林を通じました流域管理システムの確立といったものを基本といたしまして、林道とか造林などの生産基盤の計画的な整備でありますとか、あるいは高性能機械の開発、導入による林業生産性の向上、また就労条件の改善などによる林業労働力の確保、あるいは国産材の低コスト安定供給体制の整備といったような各般にわたるものを総合的に推進することによって、森林、林業の活性化を図るべく努力をいたしているところでございます。
  75. 谷村啓介

    ○谷村委員 時間があとわずかになっておりますから、自治省の方にお尋ねしたいと思うのであります。  先ほどもお話しをいたしましたように、山村へ入ってみますと、村の面積のほとんどが山林であるというところも実はあるのです。今もそれぞれの皆さん、省庁の方がおっしゃったように、あるいは自治省としても過疎債であるとかいろいろな手を打ってきたわけでありますけれども、そういう縦割りの行政と、さっき私ちょっと触れましたが、後継者対策にいたしましても、集落を維持する、村を維持するというような観点から見ましても、一つはやはり文化がそこにないとか、いろいろな面で今の過疎状態というものをさらに加速させておるということでありますから、市町村首長が何かそういうことで特定せずにいろいろな、それこそふるさと創生論ではありませんが、そういうところに視点をぴたっとつけた行政というか、仕事というか、そういうものができるような財政措置というものができないだろうかという質問をたびたび受けます。ある町長さんでしたか村長さんでしたか、森林交付税というようなことを提唱されている方もあるようでありますけれども、そこまで限定をせずに何らかの財政支援というものができないか、こう思えてならないわけであります。  これは単に地方行政だけの責任ではありませんけれども、例えば「森と人間の物語」という小澤林野庁長官がお書きになっている本を見ましても、森林の持つ意味役割といいますか、大きく言えば地球環境というふうなことでございますが、例えば水源酒養機能、土砂流出防止機能、土砂崩壊防止機能、保健休養機能、野生鳥獣保護機能、酸素供給大気浄化機能等々を挙げて、それを換算してみると年間総額三十二兆五千九百億円の価値のあるものを実は創出しているんだ。私はこの数字が的確な数字がどうか知りませんけれども専門家のお書きになっているものですから信頼せざるを得ないわけですが、実は日本の森林はそれほどの大きな役割を持っている。それに対して一体どうするのかという大きな問題でありますから、自治省だけではどうにもならない問題でありましょう。  ただ、そういうふうに縦割りの行政と同時に、そういう環境保全もする、今の時代的なニーズでもございますし、まさに地球の問題でありますから、そういう意味での役割というものを、今のせっかく国に貸す金があるのなら、大臣、そういうものにひとつ、例えば環境保全基金というようなもの、あるいは森林を、先ほど国有林のお話でございましたが民有林も必要ならば――不在地主が多いんですね。もう都会へ出てしまって、森林は荒れっ放しなんです。そういうものをどういうふうに始末するかというような、例えばそういう民有林を購入する際の費用であるとか、あるいは環境保全基金というような、例えばそういうふうなものを少々の金額でなしに積んでやるというようなことが一体できないのかどうか。私は、今日的な課題であるだけにぜひともひとつそういう問題というものを考えていただきたいな、こういう気がいたしますが、いかがでしょう。
  76. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のように、山林の問題は今や環境の問題、それから地域活性化の問題、いろいろな観点からこの問題が論じられなければならないということでございまして、それぞれの省庁で一生懸命頑張っているわけですがなかなか思うようにいかないということで、山村地域における林業の振興、あるいはその地域の集落を活性化するためにどうしたらいいかというようなことについて、国土庁と林野庁と自治省とで検討会をつくりまして、少し勉強しよう、実は現地にも何回か行きましていろいろと今勉強をしているところでございます。これが直ちに特効薬として出てくるかどうかわかりませんけれども明年度予算編成に向けて幾つかの目玉ができないか、それから、もっと中長期的な方策として何かできないかということで今鋭意検討を進めているところでございます。  その中には、御指摘のように森林の持ついろいろな機能、環境機能というものをどういうふうに保全していくか、そのために公的な資金というものをどういうふうに充当していくべきかという問題もございましょう。それから、森林労働者の方々をどう確保していくか、それがひいてはその地域の人口の流出、高齢化を防止するための施策にもなるというようなことで、その地域の振興の問題、林業の振興の問題、そういうものを総合的に何かできないかということで今鋭意検討を進めておりますので、この結果を踏まえて明年度は何か施策ができないかということで検討いたしております。
  77. 谷村啓介

    ○谷村委員 もう時間が来ましたから、大臣、今の問題について一言だけ。
  78. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、林業を産業として考え過ぎておったのです。そうじゃなくて、人間と森林との関係というものを考えると、私は先ほど申しましたように、地方自治体でその森を管理していくんだというそこへ一回戻らなければ、環境債だとかなんとか、事業をいろいろやるにいたしましてもしにくいのではないか、そのためには一回村へ戻していくということが必要だろうと思います。
  79. 谷村啓介

    ○谷村委員 ありがとうございました。
  80. 中島衛

    中島委員長 この際、暫時休憩いたします。  なお、本会議散会後、直ちに再開いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十九分開議
  81. 中島衛

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北川昌典君。
  82. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 地方交付税問題についてお尋ねしたいと思います。今までの質問とかなりダブる面もございますが、お許しいただきたいと思います。  御案内のとおり、私が申し上げるまでもございませんけれども交付税財政調整制度の中核として昭和二十九年にスタートしたものでございまして、地方自治体の円滑な行政運営と安定した発展を促すために必要欠くことのできない自治体の固有の財源でございます。自治体の首長さんたちもそういう立場で交付税に対処されているわけでございますけれども、この交付税に対する基本的な性格について自治大臣はどのような御見解をお持ちか、まずお尋ねしたいと思います。
  83. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地方交付税は、御承知のように地方の共有する固有の財源であるということでございますから、したがいまして、国が地方にかわって徴収しておる税である、そう私は認識しております。
  84. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 昨年、一昨年ごろから大蔵省は、地方財政余剰論を展開してアドバルーンを上げながら交付税率の引き下げを主張してまいったと私は思っております。それに対しまして、地方団体の皆さん方が地方交付税率の堅持の総決起大会を昨年開催をされました。大臣もこれに出席されたと聞いておりますけれども、この首長さんを含めた地方団体の決起大会は、何としても交付税率を堅持したい、同時に、地方自治体財政は余剰がないんだ、苦しいんだ、こういうお気持ちでの大会であつだろうと思いますけれども、この大蔵省の地方財政余剰論に対して大臣はどのような御見解をお持ちでございましょう。
  85. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地方財政に余裕があるということはこちらから一言も言ったこともございませんし、当然のことでございまして、余裕は実はございません。それにもかかわらず八千五百億円を貸借関係で貸したということはこれはいかがなことかという議論がその次に展開されてくる御質問だと思うのでございますが、実は地方財政に全く余裕がないといえば余裕はないのでございますけれども、しかし融通し得るものがあるのかということになって、無理やりに融通を理論から考えるならば、これは国と地方との間におきますところの今までの多角的な、そして長年積み重ねてまいりました貸借関係等を見ました場合に、やはり公経済の両輪の一つとして、地方も国も円滑にその財政運営をするためには、そこに何らか地方自治体として工夫をいたしてもいいのではないかということでございました。  そこで、実は地方財政としても当然償却していかなければならない財政特例債であるとかそういうものを一応再検討いたしまして、いずれ少しの余裕を繰り延べることによって余裕をっくっていきたいというものの積み重ねをずっとしてまいりましたのがたまたま八千五百億円程度ということになってまいりまして、その分を地方と国との貸借関係の原資に充てようということでございますが、これは余裕があってということではなくして、無理やりつくり出していった財源であるということを私たちは思っております。
  86. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 自治省は、余裕があるという数字は、今までも書類を見せていただきましたけれども、出ていないわけでございますけれども大蔵省が編さんしたものかと思っておりましたらそうではなくて、大蔵省の幹部の皆さん、担当者が編さんした平成年度の「国の財政」という本がございますけれども、これを見てみますと、地方財源の余剰が三兆六千九百億円と見通しております。これが地方財政の余裕論とか富裕論につながっているのではないかと私は見るわけでございますけれども、先ほど申しましたように自治省財源不足の額として三年度見通しは六千三百億円の額を計算いたしております。この間にかなりの差があるわけでございますけれども大蔵省の見通しの余剰とそれから自治省の不足分を比較してみますとかなりの差があるわけですけれども大蔵省と自治省のこうした内部的な見通しが異なるということについては、若干私は奇異に感じるわけですけれども、この点、自治省としてはどのようにお考えになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  87. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 基本的な考え方は先ほど大臣から御答弁のとおりでございますが、大蔵省が、大蔵省の立場として書かれたものの中に財源余剰という形で、例えば今の八千五百億円の特例措置でございますとか、あるいは臨時財政特例債の償還基金を一兆一千八百八十二億計上したとか、こういうようなものをとらえて、これは地方財政財源余剰だ、こう言っているようでございますが、単年度地方財政だけを見た場合に、仮に地方財源が不足するという事態のもとではこういうことはできないであろう、これは事実だと思います。  ただ、そういう意味で言っているとすれば、それはある程度理解はできるのでございますが、先ほど来申し上げましたとおり、地方財政は中長期的にもこれからかなり財政的にお金のかかる事業がたくさんあるわけでございますし、借入金そのものも相当額ございますし、国の財政と違って地方財政というのは三千三百の自治体の総合的なものでございまして、そのほとんどの団体地方交付税がなければ財政運営ができない、こういうような団体ばかりでございますから、そういうようなものを一つ一つとってみますると、これで財源余剰があるのかということになれば、私どもはそれは財源余剰ではないんだと言わざるを得ないわけでございまして、そういう見方の相違というのは国庫当局と私どもの方とで違いはありますけれども、私どもはあくまでもそれは財源余剰という立場で今回の特例措置を講じたというふうには理解をしていないということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  88. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 私は素朴に考えるわけですけれども、もう一つ大蔵省が言う地方自治体の金余りというのは借金からも出てきておるのではないかと思うのでございますけれども、国の借金が百七十四兆円、これは累積でございますけれども地方自治体の借入残高が七十二兆円、その差百兆円でございますけれども、これを見る限り地方の借金は少ないわけであります。しかし、借金の借入残高だけを見て国は苦しいとか地方は裕福だ、楽だ、こういった大蔵省が言うこの理論はおかしいのではないかと私は思うわけであります。  自治体は、一千万人の都市から五百人未満の小さな町村まで、三千三百の団体日本列島に散在しておるわけでございます。その中には、税収五%未満の町村が百三十九団体、さらに五%から一〇%、いわゆる一〇%未満が六百五団体、合わせまして一〇%以下が七百四十四町村にも上っておる、地方の弱小町村というのはこれだけ厳しい状況にあるわけであります。さらにまた、平成年度の不交付団体を見てみましても、三千三百のうちにわずかに百七十二団体、それも関東、東海、近畿の大都市圏に集中をいたしております。したがって、大多数の大都市圏以外の市町村は、国の制限を受けながら起債を起こす。今各町村のあれを見てみましても、公債費負担率が一五%以上の自治体が四割以上にも上っております。  こういう大変苦しい財政運営を行っているのが現実の姿ではないかと思うのですけれども、自治体の借金をトータル的に見まして、個々の借金の累積というものを見ないということは、これは自治省ではなしに大蔵省がそういう見解を持つならば間違っておるのではないか、私はこのように思うわけでございます。そういう面からいきますと、制限がある程度ない国債発行と制限を受けながら借金を起こしていく自治体とのその内容はかなり異なるというふうに考えるわけですけれども、こうした実態を無視してのというか、実態というものに合致しないような地方財政富裕論は成り立たない、私はこのように考えるわけですけれども、この国債残高、地方自治体の借金、この点について、これが借金が少ないから自治体は富裕だということが言えるのかどうか、この点についてどのように御理解いただいているのか、お教えいただきたいと思います。
  89. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御案内のように、国の借入金残高は平成年度末で百七十四兆円になると言われております。これはいわゆる公債残高の見込みでございます。他方、地方財政全体で見てみますと、借入金の残高は七十二兆円ということで、こ の内訳といたしましては、平成年度末の普通会計の地方債の残高見込み、それから交付税の特別会計で借り入れている分がございますし、また公営企業会計の中で将来普通会計で返さなければならない借入金の分、この三つを合わせまして七十二兆円ぐらいになるというふうに予測をいたしております。  この数字だけ見ますと、御指摘のように百兆円も借入金が違うから地方の方が楽ではないかというお話が出るわけでございますが、今御指摘のように、三千三百の自治体の総合の数値だけをとって比較をするということはある意味ではナンセンスではないか。今御指摘のように、公債費負担比率が高い団体が相当数占めているとか、あるいは地方税収の占める割合が低い団体が非常に多いとか、あるいは交付税に頼らなければ財政運営ができないという団体が非常に多いというようなことを考えてみますと、単純に地方財政一つにまとめて、国と地方との借入金の残高が百兆円違うから地方は楽だ、こういう議論にはならないのではないかという気がいたします。  また、税収の構造にいたしましても、地方財政全体の中に占める税収のウエートとそれから国の財政の中に占める税収のウエートとでは、これはもう全然違うわけでもございますし、単純に借金の額だけでこれを判断するというのはいかがなものかなという気がするわけでございます。
  90. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 九二年度、今年度予算につきましては、自治大臣を初め自治省の皆さん方の大変な御努力もあったと思います。また、地方団体の運動もあったと思いますが、交付税率には手をつけさせなかった。とはいうものの、地方財政事情は無視されて八千五百億円の特例減額、こういう措置がとられたわけでございます。  先ほどから大臣いろいろと御説明いただきますので内容的には十分私も理解しておるつもりでございますが、ただ、この八千五百億といいますと長野県の一年間の予算に匹敵する額でございまして、一口に八千五百億といいますけれどもかなりの額でありますけれども、こういう金を国へ、貸したとはいえ、このことは地方財政を圧迫する、こういうことになるわけでございます。交付税率は引き下げなかったわけでございますけれども、私、実質的には交付税率を引き下げる措置がとられておるというふうに私なりに考えるわけです。特に地価税それから法人特別税、これらは交付税にはね返ってこないわけでございますから、当然のことながら実質的には、地価税とか法人特別税、こういったものは、交付税率を下げたに等しい、こういうふうに判断をいたします。そういう中での八千五百億円の減額でございますから、貸してございますから、地方にとってはなかなか納得できない部分もあるところでございます。  くどいようでございますけれども、一方で税制、特例措置によって交付税率を引き下げたに等しいことが行われながら、なおかつ八千五百億円を地方自治体から、取り上げていくと言うと語弊がありますが、借りていくというこのことについて、財源配分上からいっても本当に正しいことなのかどうか、そこらあたりをもう一度大臣にお聞かせいただきたいと思います。
  91. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これはもう私たちにとりましてまことに残念なことでございますのでございますから、一刻も早く国も健全財政への切りかえに積極的に取り組んでくれると同時に、我々といたしましても、地方財政の中の財政需要というものを十分に見直しまして、交付税地方財政の基幹として作用するよう、その需要を確保しながら地方発展のために尽くしていきたいと考えております。
  92. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 この八千五百億円につきましては、二年据え置きの八年、十カ年で返済をする、こういう約束のようでございますが、これは信用していいものかどうか、大変危惧するところでございます。昨年の交付税特例加算の約束二千五百四十五億円、これも先送りになっております。また財政再建の際カットされた補助金につきましても、復元がされないまま、若干はありましたけれども、今日に至っておりますし、一部の引き下げは恒久化された、こういう状況にあるわけでございまして、そういった面からも、この八千五百億円の返済が守られるかどうか大変危惧するところでございますけれども大蔵との約束の中での、確実に返済される、約束が守られるものかどうか。どうなんでしょうか、これは。
  93. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度におきまして、かねてから法律で決められました法定加算額のうち一部はまたさらに先送りをしたということにつきましては、御指摘のとおりでございまして、平成年度の特例措置で国に貸した分の四千五百億の四年度に返してもらう分、これはきちんと返してもらったわけでございますが、それ以外の国と地方との間で約束した分の加算については、これを翌年度以降にまた繰り延べたという措置を講じたことは事実でございます。  こういうものも含めて、今回の八千五百億円も翌年度から十年間の間で、大体同じぐらいの額になるような金額に分けまして、分割で十年間で加算をしてもらうということを今御審議の交付税法の中に書き込んでいるわけでございます。これは、これからの十年間を考えてみた場合に、中長期的な見地から地方財政の方にいろんなお金が要るだろう、これを安定的に財源を確保するという観点からこういう措置を講じた方がいいだろうということから、今回の八千五百億についてもあわせて法律の中で書かせていただいて、六年度から十三年度までの間に大体均等になるような金額にして法律に規定させていただいております。法律に書いた以上は、これは私どもは最終的にはきちっとお返しいただく、これを前提にして法律に書かせていただいているわけでございますので、この点について、決してこれを国に免除するというようなことは考えていないところでございます。
  94. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 自治省の方を信用しないわけではございませんけれども、実は時事通信社の「官庁速報」に「大蔵省主計局の言い分」として載っておるものがございます。それをちょっと読んでみますと、こういう記事でございますから、談話ではないのですけれども、二足の経済成長を前提にすれば、地方財政財源余剰は構造的なものとして完全に定着したのではないか。つまり平成年度以降にも財源余剰が発生することになるだろうし、当然特例減額という方式も引き続きとられるであろう。そうなれば特例減額八千五百億円を国の一般会計から返済するということには将来ともならず、棚上げになるという見通し」、こういうふうに語っておられるわけですが、そうなりますと、この前から八千五百億の性格も出ておりましたけれども、昭和五十九年の交付税の特別措置の中で振り分けられました、国が返済しなければならない償還計画に基づいた額が、ことしの四千六百六十六億円、利子が三千八百六十四億円ですか、これを合わせて八千五百億円に大体なるわけなんです。  そうなりますと、この「主計局の言い分」からいきますと、ことし借り入れた八千五百億円は将来とも棚上げにする、それで平成年度は五千七十六億円ですか、これに利息もつけてまた減額しますぞという言葉がこの発言の中に、これは正式なコメントではございませんから想像で言うとおかしいのですけれども一つの報道記事でございますから、言葉が隠されておるのではないか、こういうふうに私は思うわけでございますが、そういった点、どのように御感想をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
  95. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ただいまの報道記事につきましては、将来地方財政見通した場合に構造的に黒字が定着するような御意見もあるようでございますけれども、なかなか財政というのは長期的な展望に立つということが難しゅうございまして、これからの財政というものを考えた場合にも、ちょっと経済が落ち込んでまいりますと税収が一度に悪化してくるということがございます。  現に昭和五十年代の状況を見てみますと、景気の後退というものが税収に相当はね返ってきた、それが地方財政を非常に悪化させた要因になって おるわけでございます。たまたまその後、景気が回復して税収も順調だった時期があるわけでございますが、やはり経済はある程度循環的に動くということを予想いたしますと、いいときばかりは決してないわけでございまして、そのいいときを基準にして、その伸び率で伸ばしていけば、これは黒字に定着するということもあるかもしれません。決してそういう楽観的なことを予測することはできないのではないかと思います。  そういう意味で、過去においていろいろな形で地方財政も借金をしてまいりました。それを何とか今返済をしなければならぬということで苦しんでいるわけでございますから、そういう見方は私どもはしていないわけでございます。  ただいま御指摘の、そういう時期に多額に借り入れました地方財政の借入金のうちの約半分を、国が最終的に五十九年度しょってくれたわけでございます。このしょってくれた分の返済額あるいはその利子負担額が今回の八千五百億に大体近い額だという点は御指摘のとおりでございますけれども、だからといって、この額を毎年毎年国に対してお貸しをするということを別に約束したわけでもございませんし、毎年度毎年度地方財政計画がどういうふうに計上されるのかということをよく見きわめた上で国との関係というものを考えていかなければならないということでございますので、決して、今回やったこの八千五百というものがただいまの国の返済額に見合ったから来年もそれと同じだというふうには私ども考えていないということを御理解いただきたいと思います。
  96. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 自治省はそうお考えではないとは思いますが、大蔵省のねらいはそこあたりに私はあるのではないか。峰めゆめ油断してはならない問題ではなかろうかというふうに考えたので御質問したところでございます。  やはり今お話がございましたように、バブルがはじけまして、国の税収も、法人税とかあるいはまた不動産関係さらには証券関係、減収が既に起きているわけですけれども、同時に地方税も、法人税を中心にしまして減収状況が起きてまいるわけでございます。来年度は国も地方も大変苦しい財政を強いられると危惧されるわけでございますけれども、そういう中でやはりまた来年度も、今局長はこの返済とは別だ、こうおっしゃるけれども、国としてはまたよこせ、こういうことが出てくる可能性というものは十分あり得ると思いますので、何としてもこの特例減額につきましては、率を引き下げることはもちろんでございますけれども、この特例減額は今度限り、こういう気持ちを持って今後臨んでいただきたい。それが地方財政を守る、そして今後の大変厳しい地方自治体行政をつくり上げていくことにもつながるわけでございますから、そのことをぜひお願い申し上げたいと思いますが、その点について御意見ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  97. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 先ほども申し上げましたとおり、地方財政の今後の見通し考えた場合に、収入面におきましては地方税収入というのがこれからの景気の動向に非常に大きく左右されてくる。交付税の場合も国税収入に非常に左右されるわけでございますから、財政収入においては決して楽観できない問題がございましょうし、他方、歳出面におきましては、先日来大臣からもお話しのとおり、地方財政需要というものはこれから非常に大きくなってくる。それを十分見直さないで圧縮したままにしておくということは、これは地方財政が健全でなくなるということにもなるわけでございますから、歳出面におきましては的確に財政需要を捕捉していく。それで歳入面においてはなかなか現段階で十分な見通しが立たないということになりますと、毎年度毎年度地方財政計画を策定する上ではやはり相当難しい局面が明年度も出てくるのではないかという気がいたしております。  そういう意味で、まず地方財政が健全に円滑に支障なく運営できるということを基本にいたしましてこれからの地財対策というものをやっていかなければならないというふうに考えております。
  98. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、地財計画と決算の関係についてお尋ねしたいと思います。  よく言われておりますが、地財計画の歳出規模と決算の額というものがかなり乖離しておる。これは地財計画そのものが実態と合っていないのではないか、よくこう言われるわけでございますけれども、この状況は、平成年度では無理ですが、二年度とうなっているのでしょうか。
  99. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方財政計画と決算との比較でございますが、現段階では平成年度のものが一番新しくなっております。平成年度の決算は出たばかりでございますので、まだこの分析が行われておりませんが、この平成年度の普通会計の決算と地方財政計画を単純に比較いたしますと、九兆九千五百六十三億円、約十兆円決算の方が上回っております、単純に見ますと。  ただ、この中には年度途中の補正の要素で伸びたものとか、あるいは繰り越しなどによって必然的に生ずる開きといいますか、そういうものがございますので、そういう要素を除きまして分析をいたしますと、平成年度段階では決算は地方財政計画を三兆一千二百四十七億円上回っております。約三兆一千億上回っておるということが分析の結果わかりました。  これは一つには、地方財政計画というのはいわば理論数値、地方団体三千三百を一つのものと仮定してその標準的な水準で地方行政を行う場合にどのくらいの経費がかかるか、それに対してどのような歳入があるかというのを理論的に積み上げるわけでございますので、どうしても個々の三千三百の自治体の財政とぴったり一致するというわけにはなかなかいかない、この点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。と同時に、先ほども申しましたように、地方財政計画は当初ベースで行うということがございます。ですから、年度途中でいろいろ出てきた問題、あるいは税がかなり自然増収が出る年というようなことになりますと、その分はどうしても開きが出てくるという性格上の相違というものはどうしても出てくるわけでございます。  そういう要素を全く除いていろいろ考えてみますと、やはり地方財政計画というものが実態と遊離してしまっては意味がないわけでございます。しかし、単純に実態を追認するということもこれはいかがなものかという問題もございます。そういうことで、地方財政計画を組む場合に、決算との分析を常にやりながら、標準的な水準というものをどういうところに置くのか、そういうことを頭に入れながら、その上でこの乖離というものをできるだけ小さくしていくという努力をしていかなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  100. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 確かに当初予算ベースと決算ではその年々の状況によっても違ってくるだろうということはわかりますが、それにしても、やはり三兆円というのが全体の五%ぐらいになりますね。ちょっと乖離が過ぎはしないかという感じを私どもはいたしますし、これはぴたっと合うということはまたなかなか神のなせるわざ以外にないと思いますけれども、やはり計画と実態というものが近づくようなものにしていっていただくことが、本当に市町村のいろいろな指標になっていくのではないか、このように考えますので、その点、これは御要望として申し上げておきます。  この乖離の中にもいろいろな原因が、既にもう分析されておると思いますけれども、あると思うのですが、例えば職員数で計算をしてみましても、計画に計上された職員数は二百五十一万六千人なんですが、これを給与実態から拾ってみますと、三十万人多い二百八十一万人ということで三十万人の乖離があるわけですね。  それにさらに、臨時職員数で見ましても、これは計画上で見ますと、間違っておったらごめんなさいですが、私が見た資料では五千四百五十四人ぐらいになっておると思うのですけれども、ここあたりが、実数はこれはわかりません。臨時職員の定義というものがどうなっているのか、私もわかりませんので拾うことはできませんが、東京都 内のある市で、職員数八百人、その市で臨時職員が在籍しておるのが二百五十人とか、こういうふうに聞いております。全国三千三百の市町村で一人ずつ雇用しても三千三百人なんですね。これが六千ぐらいで、五千四百何人でこの臨時職員というものが計上されている。ちょっと私は実態と全くそぐわないのではないかと思いますけれども――失礼しました。東京都内のある市では臨時職員三百五十人ということでございます。非常に行政需要も多くなっておりますので、臨時職員で対応しなければならない部分もあります。ただ、この臨時職員の定義といいますか範囲がどこまでなのか、それがちょっと私もわかりませんので、ただ数字的にだけ申し上げればそういうことになっております。  それから、臨時職員の賃金でございますが、これも計画上は四千六百三十円になっておるのではないかと思います。それもちょっと誤差があるかもしれませんけれども、実際自治省でお使いの臨時職員の賃金はどのぐらいのものでしょうか。各省でお使いの臨時職員、四千円か五千円ぐらいで今臨時職員が来るでしょうかね。そういった問題がありますが、そこら辺ちょっとそれだけ教えていただけますと……。
  101. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方財政計画と実態との乖離をただいま職員数という観点から分析していただいたわけでございますが、私どもが調査した結果を申し上げますと、平成年度でございますが、平成年度の給与実態調査によりますと、普通会計の職員が二百八十二万一千人でございます。それから、地方財政計画で計上した人員というのが二百五十一万五千人ということで、単純に比較いたしますと三十万六千人の開きがございます。この中には、財政計画で見積もる人件費のやり方と実人員との間のやり方の違いというものがございます。  それは一つは、例えば保育所の措置費でございますとか老人施設の措置費だとかというようなものは、その措置費の中に職員費というものが入っているわけでございます。それで単価が決められているということでございますので、そういうものは地方財政計画上は職員費の中に入っていないわけでございます。一般行政経費の中のそれぞれの保育所の措置費なりあるいは老人の保護費というような中に入っているということで、計上のやり方の違いがございます。  それから、建設事業につきましては、御案内のとおり、事業費支弁の職員というのがたくさんおります。これも地方財政計画上はそれぞれの投資的経費の中の事務費の中でカウントしているという関係がございまして、職員経費の中ではその分が抜けてしまっている。  そういうようなものもございまして、それらを、今申し上げましたものというようなものを足しますと、二十五万六千程度はそういうものでカウントできるのじゃないか。実質的に見ますと、今の三十万六千と二十五万六千の差の五万人ぐらいが、実際の実態調査で出てきた職員数とそれから地方財政計画ベースでとらえた職員数との差になってくるのじゃないかと思っております。  こういう開きがどういう理由で出てくるかという点でございますが、例えば教員なんかの場合に、法令で定められている基準、私どもは法令に定められている基準に基づいて、義務教育の教職員数だとか高校の職員数とかというのを積算いたしますが、実態はそれよりも多く採用しているという場合もあろうかと思いますし、今御指摘のような臨時職員というような者が、短期の臨時職員は別にしまして、十二カ月を超えるような比較的長期の臨時職員というような方々がおられるかもしれません。この辺のところの分析が十分行えませんけれども、現実の問題としてその程度の数字の開きが出てきていることは事実でございます。  それで、定期的にではございませんけれども、何年かに一回ずつそういう職員数の分析をいたしまして、そして実態に合わない点については規模是正と申しますか、職員数の規模是正をやっております。そういうことで、実態にできるだけ近づけるような努力は現在もしているわけでございますが、今後ともそういう点についての努力はしてまいりたいと思います。  ただ、一方では、行政改革という立場から、いろいろな事務の合理化などによりまして職員数を極力抑制していくべきだという、そういう要請もあるわけでございますので、単純に実人員というものを追認していくのがいいかどうかという点、この点はやはり十分分析をしながら必要なものを規模是正していくということが必要ではないかと思っております。  それから、臨時職員の数の問題につきましてはちょっと私ども数を把握しておりませんので、ただいま御指摘の点についての御答弁ちょっとできかねるわけでございますが、賃金水準につきましては、交付税の単価などは大体四千二百円から四千三百円ぐらいと承知しておりますけれども、これが、国の予算単価などもそういう数字で積算をしているというようなこともございまして、大体そのくらいの金額で積算はいたしているわけでございます。  この辺の点については実態をよく分析いたしまして、やはり余り低いということであれば直していくべきだと思いますが、全国一律の単価ということでございますので、かなり地域的な格差もあろうかと思いますので、その辺をよく勘案しながらこの点については検討してまいりたいと思っております。
  102. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 職員数の問題については行革の中での抑制というものもあり得るでしょうけれども、ただ、行革で職員を減らす、補充とかああいう形でやっていきますが、行政需要は伸びていくわけですね。どんどんどんどんふえていくわけですから、当然のことながら臨時職員を――一方では自治省からこうじいっと締められておりますから、なかなかふやすことができない、もう臨時職員で対応せざるを得ないというのが地方自治体の今の実態でございますから、行革絡みとはいえ、そこらあたりは本当に住民サービスのことを考えるならば、職員の問題についても一定の線というものを出していただく、検討していただくことが必要じゃなかろうか、このように思います。これは一つの要望として申し上げておきますが。  それから、平成年度から老人福祉法の一部改正が行われます。特別養護老人ホームの入所決定等についてその権限が町村に移譲されることになっておりますが、これに伴うところの職員の増員はどうなっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  103. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 老人福祉法などの一部改正によりまして、特別養護老人ホームなどの入所決定権などが県から町村に移譲することになるわけでございます。これが平成年度からでございますけれども、これを円滑に移譲を行うために事前の準備も必要でございますし、また、在宅福祉に関する事務量も増加してきたというようなこともございまして、地方財政計画上は、平成年度におきまして六百二十人の増員、それから平成年度におきましては千百六十四人の増員を行っております。また、平成年度から事務が移譲されるわけでございますので、平成年度におきましても厚生省とよく御協議をして、この点について遺漏のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
  104. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 ことしで千百六十四人ということでございますから、ある程度増員は図られたと思いますけれども、全国に二千六百の町村があるわけでございますから、仮に一人ずつ担当しましても二千六百人、単純計算しますと。一人じゃ足らぬところもございますね。二人平均にしますと五千二百人ということになると思うのですけれども、こういった最終的といいますか、本当に権限移譲に基づいて町村で図らなければならない職員、どういうふうにお考えになっておるのか、計画としてお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  105. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 仰せのとおり町村の数二千六百で、それぞれ一町村一人ずつでも二千六百人とい うことになるわけでございますけれども、小規模の町村などにおきましては必ずしも事務量が一人という形になるのかどうかという問題もございます。そういうことで、事務量の増加に伴う所要人員を規模別に想定いたしまして積算をしたものでございます。  そういうことで、関係省庁とはよく御相談をしながら事務の遺漏のないようにこれからも努めてまいりたいと思いますが、平成年度におきましてもそういう意味から、平成三、四年度の増員にプラスして何とか検討をしなければならないのではないかというふうに考えております。
  106. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 同じようなことでございますが、ゴールドプランでホームヘルパー十万人を一つの方針として出されております。これは大変すばらしいことであると思いますが、現実的に増員の方法とか、いつまでにこの十万人を達成する、こういった対応はどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。
  107. 中村秀一

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  ホームヘルパーの十万人の計画でございますが、これにつきましては、平成年度を初年度といたします高齢者保健福祉推進十か年戦略、これを政府の方で定めさせていただきまして、十万人という目標を定めたところでございます。こういう目標を掲げましたので、財政当局並びに自治省とも御協力を図りながら十万人の達成のために努めているところでございます。  また、ホームヘルパーにつきましては、いわゆる福祉、医療、保健のマンパワーの中核でございまして、その確保が急務になっておるということでございまして、平成年度予算におきましては、このマンパワー確保の一環といたしまして、ホームヘルパーの処遇の改善を図ったところでございます。このような処遇改善、すなわち手当の引き上げでございますが、こういうものを図りましてホームヘルパーの確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。  目標十万人と掲げておりますので、平成年度から、計画に従いましてホームヘルパーの増員を図っているところでございます。
  108. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 計画があることはわかっていますが、計画に従って増員を図っておる、今現実にどのような計画でどのように進めていかれるおつもりかとお聞きしたわけですから、その点、後で結構ですが、あわせてお聞かせいただきたいと思います。  特に、このホームヘルパー確保も大変難しい問題だと思います。確かに、各町村によってホームヘルパーの身分の取り扱いというものも非常にまちまちなんですね。あるところでは市の職員として、これはごくわずかですけれども、雇用しているところもあります。福祉協議会で雇用しているところもございます。そういったところはある程度賃金というか身分の安定もあるわけですけれども、ただ臨時的雇用、一年更新で何年もホームヘルパーの仕事をしておる、賃金は上がらないわけですね。そういった状況で雇用されておるところもあるわけでございまして、もう全国的にまちまち。先ほど賃金の改善等行うとおっしゃったわけですけれども、そういったものを含めてどのようにお考えになっておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。  そして、こういった点は厚生省がどんなにお考えになっても自治体がやらなければ進まないわけですから、やはり指導を十分徹底していただくということが大事だと思いますので、その点を含めてお聞きしておきたいと思います。
  109. 中村秀一

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  最初に計画の件でございますが、申し落としましたが、平成年度を初年度として平成十一年度までに十万人という計画で進めさせていただいております。平成年度、例えば三万五千九百五人というような計画を立てましたが、実績といたしまして三万八千九百四十五人という数字が出ております。平成年度につきましては、四万人を超えまして、平成年度予算では、四万六千人という計画を設定させていただいております。  それから、ホームヘルパーの身分のお尋ねでございましたが、ホームヘルプ事業につきましては、市町村事業として実施いただいているところでございますが、ホームヘルパーの雇用形態につきまして、市町村みずからお雇いになるか、あるいは特別養護老人ホームなどを経営する社会福祉法人、あるいは市町村の社会福祉協議会、そういったところに委託をするという件につきましても、法律上明記されておりまして委託可能となっております。  実態といたしましては、約六割の市町村が委託をするというような形態をとっておりまして、私どもといたしましては、それぞれの市町村の置かれている地理的な条件、都市の規模、市町村の規模、あるいは雇用の情勢、そういったものを考え合わせて、地域の実情に応じて適切な雇用形態をとるべきではないかというふうに考えておりまして、私どもはその地域地域で最もふさわしい雇用の形態を図っていくべきだ、こういうふうに考えております。  なお、常勤かパートかにつきましても、常勤ももちろん必要でございますが、早朝から夜間まで切れ間なくホームヘルプサービスをするというようなことを考えますと、パート的なヘルパーさんもかなり必要ではないかというふうに認識いたしておりますし、国際的に見ましても、北欧などでは八割から九割は非常勤のヘルパーというような状況でございますので、そういうホームヘルパーのあり方としては非常勤もかなりふさわしいのではないか、こういうふうに考えております。  なお、一年雇用の問題などにつきましては、雇用主の事情というようなこともございますでしょうし、特に市町村が直接お雇いになるというような場合につきましては、むしろ地方公務員上の問題ではないかと私ども認識いたしております。  いずれにしても、地域の実情に応じまして適切なホームヘルパーが確保されますよう、引き続き処遇の改善を初め業務の効率化等について十分指導してまいりたいと思っております。
  110. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 そういうことで、ホームヘルパーの確保に厚生省としては頑張っておられるわけですが、自治省としては、財源措置としてはお任せください、こういうことになるわけですよね。
  111. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ホームヘルパーの待遇問題などにつきましては基本的には国庫補助金制度でございますから、この国庫補助金の裏負担というのは、これはきちんと措置をしなければならないと思っておりますけれども、それだけではなしに、地方財政の立場で措置のできるもの、それから地域の実情に応じて地方がやらなければならない、単独で行わなければならないものを実施できるような財源というものを、地方財政計画でもこれから十分見ていかなければならないと思っております。  明年度地方財政計画におきましても、そういう観点から、地方の単独福祉を行うための経費を一〇%伸ばしているとか、あるいは地域福祉基金の積み増しのために三千五百億円を計上するとかというようなことで、地域の実情に応じた福祉施策ができるような、そういう措置をこれからも考えていかなければならないと思っております。
  112. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 今までいろいろ論議してきましたように、かなりの乖離がある、実態と計画が合わないといった面もあるようでございますが、今後はさらに、環境の面とかあるいは福祉の面で地方自治体の需要というものはどんどんふえてくると思います。それがすべてということにはなりませんけれども、そのことによって基準財政需要額の幅を大きく拡大していくということが必要ではないかと思います。そのことが今度は地方自治体の、市町村の自律性を促し、自主性も高めてくると思うわけでございまして、そういった点から地方財政計画と実態の格差を是正する、さらには地財計画の規模を大きくしていく。そうすれば大蔵省が言われるような地方財政富裕論というものは、そういう批判はなくなるのではないか、このように考えますが、そういった面で時代に合った 需要を拡大していくということについて、いかがでございましょうか。
  113. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方財政計画と実態の決算との差というものを、いろいろなそれぞれの性質といいますかがございますから、そういう要素を除いた上で実態と計画というものをなるべく合わせていくという努力は、毎年毎年続けていかなければならない問題だと思っております。特に今後の問題といたしまして、地方が自主的にいろいろな施策が行える財源、ハード面、ソフト面における地方の単独施策が行えるような財源というものは積極的に確保していくべきものではないかと思っております。  そういう趣旨で、平成年度地方財政計画におきましてもいろいろな努力をいたしましたが、こういう努力を今後とも継続をいたしまして、そして、市町村あるいは都道府県財政需要というものを的確に捕捉していく、こういう努力を続けていきたいと思っておりますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  114. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、国民健康保険財政についてお尋ねをしたいと思います。  本年度予算で、国保財政に対しまして、安定化支援事業、助産費の改善等について交付税で一般財源振りかえの措置が行われておりますが、その理由としては、自治体が国保事業悪化のため一般会計から三千億から四千億円の繰り出しをしなければならない状態にある、こういうことでございまして、やむを得ない措置ということのようでございますが、本来国保事業につきましては税と国庫負担金で運営されるのが基本となっておるわけでございます。この基本が崩されて、国の責任である負担金を交付税で肩がわりする、このことについてはやはり問題があると考えるわけですけれども、特に地財法第十一条の二との関係を含めてどうお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  115. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国民健康保険の財政状況は、やはり市町村全体の財政に非常に大きく影響するようないろいろな問題が出てきております。そういうことを踏まえて国保財政をどう考えていくかというのは、やはり地方財政の立場からも考えざるを得ない時期に来ているのではないかと思うわけでございます。  今御指摘のように、国保というものは基本的には加入者の保険料とそれから国費で賄う、これがやはり基本的な原則であろうかというふうに考えるわけでございますけれども、この国保財政を圧迫しているいろいろな要因の中には、保険者でございます市町村の責任ではなかなか解決できないような問題がいろいろございます。例えば、その市町村におきます加入者の状況が低所得者層が非常に多いというような問題、そういうことによって保険料収入が非常に少ないというような問題がございましょう。あるいは、病床数が他の市町村に比べて非常に多いというようなところにおきましてはどうしても給付費がふえてくるという問題もございまして、そういう保険者でございます市町村の責任では何ともできないような点に着目いたしまして、今回は地方財政からも一定の支援をするべきではないかということで、地方財政計画上一千億円の支援事業を計上させていただいております。この点については、これが行われたから国保財政基本原則がこれで覆るというふうに考えるものではございませんで、先ほども申しましたようなやむを得ざる理由によって地方財政からも一定の支援をせざるを得ないということでございます。  そういう意味から、これからの国保問題については、単に国保だけの問題ではなしに医療保険全体の問題の中でこれをどう解決していくかという問題もございましょうし、国の支援措置もこれでいいのかという問題もございます。あるいは他の医療保険からの調整という問題もいろいろと検討していかなければならない問題もあるだろうということで、国保の問題についてはこれからも多角的に検討をする必要があろうかと思います。  そういう過程の中で今回一定の範囲内で支援措置というものを考えたものでございます。当面の措置ということで、ことし限りということじゃございませんが、これで解決ということではなしに、これを踏み台にして国保財政というものを健全なものにしていく、そして、加入者である被保険者の保険料の格差も、地域によって今のような格差というものが是正されるような制度関係省庁ともよく御相談しながらやっていかなければならぬのじゃないか、こういうことでございます。
  116. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 もともと国庫負担率は四五%であったわけですが、財政再建のときに三八・八%に引き下げられた。それがずっと続いてきているわけです。負担率が下がったがゆえに税率を高くする、税を上げる、こういうことが今度は収納率を悪くするという悪循環を生み出して国保財政の悪化、こういうことになってきているのが今日の姿だと思うのですけれども、そういう点からいくならば、やはり国の責任においてやらなければならない国民健康保険事業でございますから、当然のことながら負担金を引き上げていく、老人保健、医療法との関係もございますけれども、従前の四五%まで引き上げていく、このことが国の責任としてあるべきではないか、このように考えるわけですけれども、この点についてどういう方針をお持ちなのか、お尋ねしたい。
  117. 辻哲夫

    ○辻説明員 ただいまのお尋ねにつきましてお答え申し上げます。  国民健康保険についての国庫負担でございますけれども、五十九年に国庫負担に関する改正が行われたことは事実でございます。この場合におきまして、高齢化というものをにらみまして、高齢化にふさわしい負担構造をつくるということで退職者医療制度を導入いたしまして、そのようなこととの関係で国庫負担の負担率が下がったものでございますけれども、これはあくまでも高齢化へ向けての合理的な負担制度をつくるという観点からでございまして、その後も、老人保健法を改正いたしましたり、あるいは低所得者に着目いたしまして平成年度は保険基盤安定制度を確立して、これにつきましては国庫負担を拡充をいたしまして、国庫負担についても鋭意努力してまいっております。  そのような観点でやっておりますけれども、今後の課題といたしまして、地域によって保険料にいろいろ格差がありましたり、地域によって財政力に差があるということに伴ってさまざまなことが起こっていることも事実でございまして、今後平準化という問題に取り組むと同時に、国保の財政に一番大きな影響を持っている高齢化に対する対応ということで、特に十カ年戦略を推進するなど、保健、医療、福祉を総合的に見るというような観点から国保をバックアップしていくというような観点で考えておるところでございます。
  118. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 その負担金を上げるお考えはないかどうかです。
  119. 辻哲夫

    ○辻説明員 基本的に、国保も社会保険制度である以上保険料を主たる財源とすべきであるということを考えておりまして、基本となる国庫負担の比率は給付費の二分の一が一つの限度であるというようなことから、国庫負担率の引き上げは考えておりません。
  120. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 今のお話を聞きますと、国庫負担率は引き上げない、国保の料金を上げる以外にない。こういうことになりますと今後ますます国保の運営は厳しくなる、こういうことになろうかと思うのですけれども、今そういうお話でございましたけれども、今後の問題としてこれは残しておきたいと思います。  要は、これは国が責任を持ってやらなければならない事業なんですよね。それを加入者の負担を上げるとか、あるいは交付税をこちらの方に回すということはどういうことかというと、今度は不交付団体のところの皆さん方との差も出てくる、こういう状況なんです。したがって、やはり根本である国庫負担金を上げて、それによって正常化をしていく、これが正しい姿ではないかと私は思いますので、その点を指摘しておきたいと思います。  それから、特に、今もちょっとお話がございま したが、今一番健康保険税で問題になっております、あるいは加入者の不満なのは、地域によって保険税に格差がある、こういうことでございます。  全国的に調べてみましても、一世帯当たりの税金が、北海道のある町では二十八万五千二百円、こういう町があります。それから沖縄では一世帯当たり三万四千円、こういう村もございます。その格差、何と八倍以上になるわけでありますけれども、これが本当に国が責任を持ってやっておる事業なのか、大変疑わしくなるような気がしてならないし、そのことが多くの皆さん方の不満であります。これは同じ県内でも言えることでございまして、きょうは申しませんけれども、やはり一・五倍から二倍、隣の町に住んでおりまして、ある事情があってほかの町に移る、ところが保険税が一・五倍ぐらい高い、同じブロックの中でもこういう格差があるわけなんです。  こういったものをある程度平準化していくような施策というものもとらなければ、私は本当に国民健康保険の責任というものが果たせないのではないか、それが首長さんたちの一番悩みの種でもある、このことを申し上げておきたいと思います。こうした格差の是正についてはどのような方針をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  121. 辻哲夫

    ○辻説明員 保険料の格差についてのお尋ねでございます。  御指摘のように、市町村ごとに保険料の額に格差があることは事実でございます。この場合、格差をどのように評価するかということについてはさまざまな見方があろうかと思いますが、同じ医療費でしかも所得も同じであるといった同じ条件でありながら市町村が異なるということで格差があることは合理的ではないという観点から、合理的に格差を是正していく、すなわち平準化が必要であると考えております。  これにつきましては、平成元年十二月に試案というものを厚生省としても出させていただきまして、具体的な方法としては、一つは応益と応能が全国でまちまちでありますので、この応益と応能というものをバランスを整えながら、保険料賦課の形というものを全国的に同じような形に整えながら、しかも調整交付金の見直しを行いまして、基準負担率とその当時は呼びましたけれども、どの市町村でも一定の基準負担率程度にとどまるように、こういった試案を出させていただきました。  これにつきましてさまざまな問題点がございまして、例えば応益割については市町村ごとに非常に賦課率の格差があるとか、それから、非常に医療費が高い地域がある状況のもとで見直しますと、結果的に低い医療費の地域に行っている調整交付金を高いところへ回すといったようなことが必要になるわけでございますが、その点についても高医療費の今の現状のもとで合意が得られるかといったような問題が多々ございまして、現在検討を行っているところでございます。  しかしながら、平準化というものは非常に重要なテーマであるというように考えておるわけでございまして、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
  122. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、公共投資基本計画について若干お伺いしたいと思います。  四百三十兆円が平成年度から十二年度までの十カ年計画で実施されるわけでございますけれども、このため既に国の各種公共事業の五カ年計画が改定されております。下水道におきましては五カ年計画で毎年二三%ずつの増加、また港湾整備計画では二九%の増加、こういった改定もなされているわけですけれども、こうした公共投資の計画が進む中で国と地方の負担はどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  123. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 公共投資基本計画そのものにつきましては、これは今後の公共投資の枠組みを総合的に示すということで、個別の分野での具体的なものはないわけでございますが、総体でともかく十年間で四百三十兆円ということで、あとの具体的な姿は、今御指摘のような各種の公共事業関係の長期計画で決め、そしてそれを踏まえて各年度予算で決めていく、こういう仕組みになっておるわけでございます。そういうことから見て、この四百三十兆円というものがこの十カ年で投資される場合に、国と地方で幾らずつ分担するかというようなことがこの基本計画そのものからは明確には出てこないわけでございます。  ただ、それでは地方団体役割は一体どの程度かというのがそれだけでははっきりわからないので、私ども自治省だけで独自にいろいろ地方団体の決算統計などを分析して推計したわけでございますが、この四百三十兆円が決められる前の十年間、過去十年間の公共投資のうちの地方団体が実施した事業費の割合は、おおむね公共投資全体の七割程度、約七割は地方団体が公共投資を実施したと考えられます。それから、負担した経費でございますが、これは全体のおおむね六割程度を地方が負担したんじゃないか、こういうふうに分析しております。それから、過去十カ年の公共投資の中で地方団体が行った事業のうちの単独事業の割合というのが、公共投資全体の割合の中の四割ぐらい、公共投資全体の四割程度を地方単独事業でやったんではないか、こういうような分析が過去十年間の分析では出ております。  したがいましてこれが一つの目安ということになろうかと思いますが、さらに今後の公共投資のあり方を考えてみますと、住民に密着した、いわゆる生活関連施設というものの整備に重点を置くべきだということが強く言われております。これらの仕事は、やはり住民に身近な都道府県市町村の仕事になるということが多いわけでございますので、この過去十年の先ほど申し上げましたような数字をさらに地方の方が上回ってくるんじゃないかな、こんな感じが実はしているわけでございまして、そのための財源の確保、それから毎年度毎年度地方財政計画におきます補助事業地方負担の確保、あるいは地方単独事業の確保については、こういうこともよく頭に入れながら毎年度分析をし、確保していかなきゃならないというふうに考えているところでございます。
  124. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 四百三十兆の負担区分でいきますと、四、六とか七、三ということのようですけれども、最終的にいろいろな利息とか経費等を含めていきますと、この四百三十兆がどのくらい十年間の中でなっていくというふうに試算されておるのでしょうか。そこまでされていないですか。
  125. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 まだ計画が始まってから二、三年ということでございますので的確なことは申し上げられないのでございますが、たしか公共投資基本計画が決められる十年前の投資規模が二百六十兆円ぐらいだったというふうに記憶をしておりますが、その二百六十兆円を次の年で四百三十兆円にするということですから、毎年度がなり伸ばしていきませんと四百三十兆円という額は確保できないんじゃないか、こんな感じが実はしております。  それで、現実にこの基本計画が決められて以後の国の補助事業伸びはそれほど大きなものではございませんで、むしろその分を地方単独事業を大幅に伸ばすことによってそれをカバーしているというのが実態じゃないかなという感じがいたしておりますが、これからの経済の動きというものがどういうふうになってくるかということがなかなかつかめませんので、ともかくやれるときに地方もやっておくという趣旨で、先ほど来のこの地方単独事業の確保というものもこれから伸ばせるだけ伸ばして地方団体にやってもらおうかということで、ことしも一一・五%、昨年は一〇%伸ばしてもらいました。そういうことで頑張っているところでございます。
  126. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 次に、これはこの法案ではございませんけれども自治省の方も共管になっておりますので、質問というよりもむしろ心配することについて二、三申し上げて、また御答弁をいただきたいと思うのです。  実は地方拠点都市法が今国会で論議されている わけですけれども、確かに多極分散を進める上においての一つの促進法案というふうに理解するわけですが、確かにそういった面では極めて必要な法律であるし、実のあるものにしていかなければならないものだとは思っております。  ただ、東京二十三区のビジネスを移転促進をする、こういうことのようでございますので、全国的に長い日本列島、北海道から沖縄まであるわけですが、九州とか北海道に二十三区のビジネスが果たして行くのか、交通上の問題等含めてそこら辺が心配なんです。すばらしい環境整備、施設ができましても、それに入るものがおらなければこれは後で地方に負担を残すだけ、こういうことになることが極めて心配でございますので、そこあたりの後の、指定を知事がして、国が認可をして整備ができた、果たして二十三区のビジネスが行くかどうかということについてのきめ細かないろいろなことがないと非常に厳しいのじゃないかと思うのです。  実は昭和三十八年ごろでしたか、新産都市法ができまして、全国各地から指定を受けるための陳情合戦もありますし、運動もあったわけです。私、宮崎県でございますが、日向新産都市というのができました。これまでに八千億くらい金は投資をされておりますけれども、実際造成された団地面積が、これは二、三区は除いて四区までありまして百五十九ヘクタール、その中でもう二十年以上たちまして立地した面積が六十一ヘクタール、今未立地面積が何と九十七ちょっと、百ヘクタール、こういうことで、ペンペン草が生えたという記事も載ったことがありますけれども、あれだけ鳴り物入りで、また県民挙げて運動して指定を受けてつくった新産都市がいまだにこういう状態、かなりの会もつぎ込んでおります。  これと同じような状態が地方拠点都市の中で出てくるとこれはまた大変だと思いますので、これは命令して行くわけじゃございませんからなかなかあれでしょうが、きめ細かな、本当に希望をとるとか、出ていくところが四割とかあるというふうにお聞きしておりますけれども、そういったところが本当に北海道とか九州とかいう希望があって、そこにこういう施設と受け皿をつくるということになればいいのですけれども、最初から受け皿はつくるがどうなるかわからないという形では大変厳しいのではないかと思うのですが、そこあたりどのようにお考えになっておるのか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  127. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 お答え申し上げます。  提出している法案は二つの目的がございまして、一つ地方拠点都市地域整備、もう一つが産業業務施設の再配置ということでございます。したがって、仮に産業業務施設の再配置そのものについて余り期待どおりに進まないとしても、地方拠点都市地域整備そのものに意味があるという構成になっておるということをまず申し上げておきたいと思います。  次に、産業業務機能の再配置そのものにつきましては、各種の誘導促進策を含めまして通商産業省の主として所管されるところでございますが、私が知り得る限りにおいて申し上げてみますと、今回産業業務機能の再配置ということをテーマの一つといたしましたのは、最近の東京一極集中という現象の大きな原因の一つがやはり業務機能の集中あるいはこれに伴う業務人口の集中ということにあるということでございまして、可能な限りこれを地方に分散していく、そのためには地方の受け皿としての拠点都市地域整備は必要であるだろう、こういうふうに考えたわけでございます。  この具体的な産業業務機能の再配置につきましては、過度集積地区から地方拠点都市地域のうちの拠点地区というところに持っていくのが主眼でございますけれども、この過度集積地区というのはとりあえず東京二十三区というふうに考えておりますが、この移転しようとするものにつきまして移転計画をつくり、それを通商産業大臣及びその施設を所管する大臣が認定をする、その認定されたものについては各種の助成措置を講じて実効が上がるようにということを考えておりますが、御指摘のように確かに日本全国のそれぞれに立地条件を異にしておりまして、なかなか一色にいかない問題がございます。私どもとしては、抽象的に言えば、やはりそれぞれの地域の特性を踏まえていろいろな特色を持った地域整備をして、それに見合ったような業務機能が移転することを期待するというのが本筋だと思います。  おっしゃったように東京から遠いということは、問題としては交通、通信の問題であろうかと思います。この場合、交通といいましても業務機能でございますから、物資の輸送などという問題ではなくて、せんじ詰めればいずれも情報の問題に帰着するのではないかというふうに考えます。この法案でも四十三条でございましたか、指定地域につきましてはその電気通信の高度化を促進するための施設、具体的にはテレビ会議の施設等でございますけれども、そういうものにつきまして、通信・放送機構というところの業務の特例、具体的には出資等ができるというふうな規定でございますけれども、そういうものも盛り込んでおりますし、またこの法案から離れますけれども自治省におきましてもかねてから、地域衛星通信ネットワークでございますとか地域の情報拠点施設の整備とかいうものにつきまして、これを促進するような施策を講じておりまして、情報の地域間格差の是正には努力をしているところでございます。  地方拠点都市地域におけるいろいろな機能の集積というものが進んでまいりますと、そこはそれなりに情報拠点としての力も蓄えてくることになりますので、全国的な情報ギャップの是正にも役立ち、いい循環が始まることを期待しているところでございます。
  128. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 私、これに対して水を差すという意味じゃなくて、やはり慎重なきめ細かないろいろな点を考慮に入れた今後推進を図っていただきたい、こういう意味で申し上げているわけですが、もう一つ問題があるのは、今おっしゃったように整備をしていきますが、その地域は確かに人も集まっていきますし、整備もされるし環境もよくなっていきます。ところが、新産都の例で申しわけございませんけれども、あそこに日向・延岡新産都ができました。どうなったかといいますと、その周辺の町村は人口が半減をして、そしてその指定地区だけが人口がふえていく。またそこに一極集中が起きたわけですけれども、そういう現象も今まで起きてきているわけですから、減少が起きないような周辺地域への対策というものも計画を進める中では十分配慮していただく。これは地元がやることですから、指導というものをお願い申し上げておきたいと思います。申しわけございませんが、後で一緒にお願いしたいのですが、これは意見として申し上げておきますので、ひとつ。  時間がございませんので一つ申し上げたいと思いますが、昨年地対協の具申が出されまして、これに対しまして、これは委員会が違いますが内閣委員会で総務長官が、二十一世紀に差別を残してはならないというかたい決意を表明された、こういうふうに聞いております。  そこで、総務庁おいでいただいておりますのでお伺いしたいと思いますが、二十一世紀に差別を残してはならないということはいろいろな十分な配慮をしていくということでございまして、それぞれの関係団体からも出てきておりますけれども、総務長官はその中で、できるだけ早い機会にしっかりした調査を実施したい、とう述べられておるようでございます。二十一世紀に差別を残さない、部落の完全解放を達成しよう、こうしょうとするならば相当のしっかりした調査が必要になってくると思うのでございますが、中には未指定地区などもあるようでございますけれども、こうした未指定地区も調査に加えなければ二十一世紀に向けた抜本的な解決にはならない、このように思うのですけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。総務庁にお尋ねいたします。
  129. 荒賀泰太

    荒賀説明員 お答えをいたします。  調査についてでございますが、最近では昭和五十年、六十年に実態の把握を行っております。昨年十二月の地対協の意見具申を尊重いたしまして、全国的規模の調査をしかるべき時期に行うというのが政府の方針でございます。調査を行うに当たりましては、調査結果の客観性を保証できる実施体制、方法等につきまして慎重に検討する必要がございます。その検討に早期に着手をいたしまして、種々の条件整備をした上でできるだけ早期にしっかりした調査を実施したい、これを長官が答弁をいたしておるわけでございます。  ところで、この全国的規模の実態調査の対象地域でございますが、私ども地域改善対策という特別対策が行われている、事業が行われてきた地域、すなわち対象地域、これは指定地区でございますが、この対象地域の実態を把握することを目的といたしておるわけでございます。したがいまして、いわゆる未指定地区が仮にあるといたしましても地対財特法上は一般地域でございまして、これについては、地域住民の合意でありますとか選択、あるいはそれを受けた地方公共団体の意向によりまして地域改善対策事業を実施しないということとしてきたこれらのいわゆる未指定地区について、調査対象とすることは考えておらないわけでございます。  また、この地対協の意見具申におきましては、調査は、これまでの地域改善対策効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握するためのものであるということとしておるわけでございますが、これからいたしましても、いわゆる未指定地区について調査することは考えておらないわけでございます。  なお、いわゆる未指定地区からの事業の要望がありました場合には、一般対策の中で対処してまいるという考え方でございます。
  130. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 さらに、この事業につきましては短期間に集中的に実施しなければならないこともあるわけですけれども、そうなりますと地元の自治体の財政も大変厳しくなるわけでございます。そういった事情を考慮して地方交付税配分において十分な配慮が必要だと思うのですけれども自治省としてこの点についてはどのような配慮をお考えでございましょうか、お尋ねしたいと思います。
  131. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の地対財特法の期限切れを控えましていろいろと関係省庁で御協議をいただいたところでございますが、最終的には、既に御可決いただきました地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、この一部改正が既に国会で成立をしたわけでございますが、その中で現行五十五の地域改善対策特定事業の一部見直しを行いまして、今後も引き続き実施することが特に必要と認められる四十五事業、このうち四事業平成年度以前に着手したものに限るということになっておりますが、この事業につきまして法的措置を講じていただいたわけでございまして、この法的措置を講じられた事業につきましては高率の国庫補助制度などの財政上の特別措置が継続することとされたわけでございまして、この事業にかかわります地方負担額は全額地方債を充当いたしまして、その元利償還金の八〇%を普通交付税基準財政需要額に算入する、これは従前どおりのやり方でございますが、この算入するという従前どおりの地方財政措置を講ずることにしているわけでございます。  自治省といたしまして今後とも、関係地方団体財政運営に支障がないように適切に配慮していく方針でございます。
  132. 北川昌典

    ○北川(昌)委員 終わりたいと思いますが、警察庁それから消防庁せっかくおいでいただきましたけれども質問の時間がございませんでしたので、おわびしたいと思います。  どうもありがとうございました。終わります。
  133. 中島衛

    中島委員長 小谷輝二君。
  134. 小谷輝二

    ○小谷委員 緊急経済対策地方自治体の対応につきまして大臣に少々お尋ねしておきたいと思います。  平成年度地方財政計画においては、地方単独事業の大幅な増額、また社会資本整備の促進、地方の景気対策の面からも非常に期待されるところでございます。自治大臣としては、経済対策閣僚会議の緊急経済対策を受けて、各地方自治体に対し、単独事業前倒し等それぞれの指示をされたと思うわけでございますが、地方自治体の中には、経済的にも財政的にもまた能力的にも非常に弱小団体も多いわけでございます。先週には大阪府は知事が八〇%の前倒しを行うよう指示した、このようにも報道されておりますけれども、私は、大府県とか、それが非常に経済力のある、財政力のある、また事業執行能力を持った自治体はいいとしても、非常に弱小な自治体に対してどのように配慮されておるのか。地財計画の地方単独事業が決算額では下回るというふうな事態もかつてはあったわけでございますから、ほうっておいたのではこの景気対策は失敗するのではないかな、こういうことも懸念されるわけでございます。  この点について、大臣はどのように対処されるおつもりですか。
  135. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほども説明いたしましたように、昨年つまり平成年度、二年度におきまして、単独事業が予定よりも上回っておる状況でございますし、その分はむしろ大都市圏におきますよりは地方において積極的に取り組んでおるということを聞いております。したがって、おっしゃるように、これ一番問題は、アイデアと行政能力なんですね。推進していく能力が一番問題だろうと思っておりますが、そういう点につきましての一層の啓発、指導というものを今後とも継続してやっていきたいと思っておるところです。
  136. 小谷輝二

    ○小谷委員 上半期で七五%以上契約をするようにということでそれなりに対応がされていくものとして、下半期あと二五%ということになるわけですが、これはそのままほうっておいたのでは、ちょっと下半期えらいことになるのではないのかなという気がするわけでございますが、これはどう対応されますか。
  137. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これはまだ交付税の審議が終わっておりませんので私からとやかく申す筋のものではございませんが、政府全体として取り組んでいます姿勢を見ますならば、前倒しか計画どおり進行し、そしてなお下後半期においても景気状況等が追加措置を必要とするということであるならば、時期を見て適当な追加措置をするであろうということは政府として考えておるところであります。
  138. 小谷輝二

    ○小谷委員 過日、自民党の有力者の方々からも、追加措置として地方自治体が一体となって第二弾、六月の地方議会の定例会にでも、単独事業、補正を組んだらどうか、このように指示したらどうなのか、そうでないと、上積みしていかないと景気対策は非常に問題が残るのではないか、こういう意見の発表がございました。大臣、どうお考えですか。
  139. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 六月に補正ということは、ちょっと私はまだそれは時期尚早じゃないかと思っておりますが、いずれ六月には、一応前倒し状況が、どのように計画され着工されてきておるかという実情を地方自治体について調べたい、県単位を中心にして調べたい、こう思っております。  その場合に、非常に前倒し執行状態が遅いところに対しましては一段の指導を強化すると同時に、その見通しによりましては、消化を強く推進しておるところに下半期分を回していくとかいう、そういう調整措置も六月の結果を見て考えていかなければならぬのではないか、こう思っておりますので、できれば六月までに各自治体におきましては着工へのいわば手順をつけておいていただきたいということを強く要請しておるところであります。
  140. 小谷輝二

    ○小谷委員 地方財政計画をもう一回見直して、そして新たに単独事業を一〇%ぐらいアップしたらどうなのか、それから、六月が無理なら九月定例会にでも、地方議会でも計画を進めるように自治省の方は指示をしたらどうなのか、こう思うわけですが、いかがですか。
  141. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それも先ほど申しましたように時期というものがあろうと思いますが、私は、直ちに地方財政計画そのものを見直すよりも、起債で対応できるものはまず起債の対応を通じて行ってもいいのではないか。あるいはまた、単年度予算執行ではなくしてゼロ国債のようなああいう考え方に基づきまして経年度事業として考えていく方法もあるのではないか。いろいろな多様な追加支援というものがとれるのではないかと思っております。  しかし一番オーソドックスなやり方といたしましては、やはり補正を組むということが、そのやり方が一番オーソドックスであろうと思っております。まだ今の状況では、そこへ行くまでに、もっと早く、それよりも以前に単独事業執行そのものを督励するという段階に今あると思っております。
  142. 小谷輝二

    ○小谷委員 先ほどからいろいろ議論のございました交付税の特別減額措置について、なぜこんなことが連続して行われるのか、いろいろな角度から質問をしたいと思っております。  先般、二月にこの地方行政委員会で本年度地方交付税の特例減額八千五百億円について、そのいきさつ、理由等を質問いたしました。そのとき塩川大臣は、一つは、大蔵の方としては国の財政は非常に苦しい、その中で所要額を確保するために地方財政の方から一兆円の応援をしてくれと申し入れがあったこと、二つ目には過去に交付税の貸し借りを国と頻繁に行い、地方財政も苦しいときは借入金をしていること、三番目には、当初は半分ぐらいと思っていたが大蔵の泣きが強くなって八千五百億円になったこと、また、地方財政はやはり依然として苦しいのであるが減額せざるを得なかった、おおむねこのような答弁があったわけでございます。  「平成年度予算及び財政投融資計画の説明」という資料が大蔵省から出ておりますが、今回国会に提出されておるこの資料には、「地方税及び地方譲与税が相当増加すると見込まれるため、元年度、二年度、三年度に引き続き、大幅な財源余剰(二兆三千六百二十五億円)となり」云々とあるわけですけれども、大幅な財源余剰があるということを予算書の説明に明確に書いてあるわけです。この文書大臣は御存じですか。
  143. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 知っております。
  144. 小谷輝二

    ○小谷委員 二月の地方行政委員会大臣は、地方財政はやはり依然として苦しいのであります、財源があればあれもしたいこれもしたい、十分に予定があった云々と言われている。一方、大蔵省の国会提出予算説明では、大幅な財源余剰とある。地方財政の現状認識というものについて、自治大臣答弁大蔵省の考え方がこれほど大きな開き、大きく違っておるわけでございますが、その根本的な原因は何であるか、これは大臣どう思いますか。
  145. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは物事を右から見るか左から見るかの違いだと実は私は思っております。だって、二兆数千億円と言っておりますけれども大蔵の方から見ましたら、私らの方から言うと、例えば臨時財政特例債ですね、はっきりした数字は忘れましたけれども、残高が六千数百億円残っておりますね。これは一刻も早く償却すべきであるというプレッシャーがかかってきておるので、これは当然財政需要だと見込んでおるし、そしてまた一方におきましては土地開発基金であるとか地域福祉基金、これも当然の地方財政の、財政の健全化だけではなくして地方財政需要だと見ておりますが、こういうものに対しましては、大蔵の方は、国も十分あるときだったらそれもいいだろうけれども、国が苦しいときだから、それはおまえ、こっちへ回してくれや、そういう気持ちを持っておるのだろう、それを彼らは余剰財源と見ておるのだろう、こういうことを私は思っておるのです。そこは物の見方によって違う。  でございますから、何も対抗的に議論を進めるのではなくして、十分に説明をし、将来におけるところの展望というものをちゃんと示しながら話をしていく必要があると私は思っております。
  146. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣は、昨年の大臣の所信に対する質問に対して、「大蔵省を教育しなければいかぬ」、こうおっしゃって、頼もしい自治大臣として我々も大きな期待を持っておるところでございますが、地方財政の現状認識、これほど大きな違いがある。今こそ自治大臣大蔵省を徹底的に教育をすべきときではないか、教育すべきではないか、こう思うわけですが、大臣、いかがですか。
  147. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それはちょっと言葉が上についておりまして、地方交付税率を下げろというようなことを言ってきた場合には、私は大蔵に対して交付税の何たるやを一回教育すると。大蔵はやはり賢いですから、そんなこと一言も言ってきていません。ただひたすらに、何とか国も地方もうまくいくように資金の調整を、融通を通じて調整をしてくれぬか、この一点張りでずっと来ておりまして、結局は八千五百億円相当額貸してくれということに落ちついたということでございます。
  148. 小谷輝二

    ○小谷委員 二年連続で行われたわけでございます。また、あさっては大蔵大臣質疑がございますので、大蔵大臣にも直接いろいろな角度から質問したいと思っておりますけれども、今までのことはともかくとして、この特例減額は今年度限りですか。来年度もこのことは行われますか。大臣、いかがですか。
  149. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは国と地方との財政平成年度とういうふうになるかまだ見通しがわかりませんのでいかんとも答えがたいところでございますけれども、私は、現在のような状況で推移するとするならばこういうことは避けていきたい、やはり交付税基本に立った運営をいたしたい、こう思っております。
  150. 小谷輝二

    ○小谷委員 交付税の税率を変える云々ということ、これはそういう意見があるならば教育するということでございますけれども、少なくとも、八千五百億あたりごぼっと抜かれる、これは内容的には何ら変わりませんよ。  いずれにしましても、地方交付税の特例減額、これは平成年度の一般会計予算書をぱっと見てみましてもどこにも載ってない。予算書にはただ、五十四ページに交付税の差し引きした金額、十五兆七千七百十八億八千万円、こうあるだけだ。交付税総額から特例減額された八千五百億円は数字にも出てこない。どこにも明記されていないのですね。しかも、平成年度の一般会計予算の参照書というのですか、要するに説明書の中にちらっと書いてあるだけ。また一般会計予算書を見ただけでは、交付税特別会計から八千五百億円借り入れしたという内容も全然出ていない。わからない。何でこんなわかりにくい――しかも、これだけ大きな金が地方の固有財源から国の一般財源に繰り込まれておるのに、予算書のどこにも書いてない。ちらっと違うところに、参照書というところに説明の一端として載っておる。こんなことがなぜなされているのですか。どうですか。
  151. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 予算書のつくり方等につきましては、私ども所管でございませんので明確なことは申し上げられませんが、一般会計の予算書というのは非常に包括的に計数を掲げているということで、その具体の説明は一般会計の予算参照書で受ける、こういう形で予算書そのものができているのではないかというふうに考えるわけでございます。  その場合に、予算参照書を見てみますと、ここでは交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づいて計算した金額云々を特別会計に繰り入れるという形で、法律の規定に基づいてそういう繰り入れを行うということが明確にされているわけでございます。この法律の規定に基づくということは、その予算関連法案はただいま御審議いただいている交付税法、それからこの特別会計法の改正案でございますので、そういうことで予算書、予算参照書、それから関連法案、こういうものを一つの形にすれば明確になるという趣旨でこういう整理がなされているのではないかというふうに考えているわけでございます。
  152. 小谷輝二

    ○小谷委員 交付税の特別会計を見てみましても、予算書の中に八千五百億円は出てきません な。交付税の特別会計というのはどういう目的で何のために設置されたのか。これは説明を受けるまでもございませんけれども、特会法第一条に「経理を明確にする」、これが基本的に大きな目的の一つになっておるのです。明言されておる。そこで交付税の特別会計の予算書には、特例減額八千五百億円は全然明記されていない。わかりにくい。経理を明確にするという特会法の目的から見ても、これでは特別会計そのものを明確にするということ自身から全く遠のくのではないのか、矛盾してくるのではないのか、こう思いますが、いかがですか。
  153. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 特別会計法の設置の目的は、御指摘のとおり交付税あるいは譲与税の配付について、一般会計だけで経理するといろいろと複雑になってしまうから、一たんそれを切り離して特別会計の中にこれを計上して、それで一般会計から受け入れた分がどういう形になるか、あるいは錯誤や何かで地方団体から返還されてくる分が幾らあるかとかいうようなことで交付税の歳入総額がどうなってくるか、それを特別会計で借り入れをしているからそれの利息をどうするか、残りは地方団体配分しょうかというような、交付税の全体の姿をこの特別会計の中で明確に経理しようという趣旨で交付税特別会計法ができているというふうに理解をしているわけでございます。  ですから、御趣旨のように、減額をされた場合にはその減額された内容が特別会計法というようなものから明確に出てこなければいけないのではないかという点は、これはもう御指摘のとおりでございます。この特別会計法というのは、もう先生も御案内のとおり、これは実体法でございます地方交付税法と裏腹の関係にございますので、地方交付税法で明確にされたものをそのまま特別会計法で受け入れているという、ちょっと法技術的に見るとわかりにくい点は確かにあるわけでございますが、論理的に見ますと一応整合性がとれているというようなこともございまして、このやり方そのものが特別会計を設置したことと、何といいますか矛盾するというような、そういうものではないのではないかという気がしております。  しかし、御指摘のようにこの法律の内容、それを特別会計でどうするかというような、このやり方等についてはなかなか一覧的にわかりにくいという点は、これは御指摘のとおりでございますので、もう少し私どもも工夫をせねばいかぬなという感じを持っております。
  154. 小谷輝二

    ○小谷委員 地方交付税は、大臣も先ほど答弁がございましたように、国が集める地方の固有財源、このことで大臣のお考えもはっきり明確なわけでございますけれども、私は、ただ単なるそんなことだけではないと思うのです。  これは、国と地方との事務分担、費用分担、これを合わせて国と地方財源配分、こういう前文があっての財源配分でございますから、その都度その都度借りたり貸したり、余っておるからどうするこうするというふうな性格のものではない。あくまでも地方固有財源であって、本質的にはあくまでも特別会計に入った交付税と譲与税の総額は地方配分しなければならぬ、これは明確なわけでしょう。それを引き抜いて、それを貸しました、また八年間でぼちぼち返してもらいます、これでは余りにも固有財源の本質、なぜこのように固有財源として配分をされたのか、配分をされた理由には、事務分担、それに対する費用分担、こういう明らかな地方と国との配分があって、それを基礎にして配分されたものですから、矛盾するのではないか。いかがですか。
  155. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 仰せのとおり、この交付税というのは、基本的には国税正税の一定割合そのものをもって地方交付税とするということでございますので、これを減額したり増額するということは、これは基本的な考え方としてはいろいろ問題があろうかと思います。  ただ、この交付税法の中にも、附則第三条の規定にございますように、そういう形で定められた交付税の総額というものの安定的な確保を図るために、一定の特例措置を講ずることを可能にしているわけでございまして、現に、現在は貸した形になっておりますが、以前には、国税正税の一定割合だけでは足らないというときには、これに一定の額を加算するということもやったわけでございます。基本的には、仰せのとおりの基本額というものがあるわけでございますが、これを中心にいたしまして、毎年度毎年度の国と地方財政のバランスというものから一定の特例措置というものが講じられるような、そういう根拠を法律そのものも置いているわけでございます。  これを受けて毎年度検討した結果は、これをまたさらに交付税法、法律ではっきりとして、それを御審議いただいてその可否を判断していただく、こういう形でやらせていただいておりますので、この辺も御理解を賜りたいと思います。
  156. 小谷輝二

    ○小谷委員 私が今まで質問をしたのはこれを言いたいから質問をしてきたわけだ。ほかのことは関係ありません。なぜかといえば、これは大臣、私が申すまでもございませんけれども地方交付税大臣おっしゃるように、要するに、地方にかわって国が地方の固有財源である税金を集めるのだということですから、あくまでも地方の固有財源であるというこれを明確にするためには、国の一般会計を通すことなく、すなわち消費譲与税を初めとする一般譲与税、これは国税の収納整理資金、ここから特別会計に直入していますね。したがって、これは明確にきちっと予算書に総額は出てくる、それの配分も明確に出てくる、これをきちっと入れれば、一般会計を通すことなくこれは直接交付税特会に繰り入れれば、今まで質問した、要するに不明確であり予算書にも出てこない、そんなことはなくなる。ちゃんと交付税の特会から国の一般会計に八千五百億円を貸し出した、一般会計には交付税特会から借り入れをこれだけしましたと、こうなるのです。それがならない根本はそこにある。  したがって、この地方交付税総額を特会へ全額直接繰り入れる、このことについては今まで長い間、自治省関係の皆さん方の悲願とするところでもあり、述べられたことでもあり、また、地方制度調査会その他各審議機関からもそのことは指摘されてきたところでもあり、またそうすることがより地方自治体の自律また主体性というもの等から見ても明確になるのではないのか、こういうふうに思うわけですが、大臣、これは大事なことですから、どうでしょうか。
  157. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そうすれば、すぱっとして気持ちいいと思います。しかし私もずっと思い出しておるのですけれども交付税ができました当時、国税の付加税みたいな格好になって国税として徴収した、あの当時を私思い出しますと、国税の徴収は大変厳しい徴収をしておりましたけれども地方税がなかなか徴収できなくて、滞納率は莫大なものに地方はなっておった、それが地方財政を破壊に瀕するというような状態がございまして、そういう状態の中で地方平衡交付金というものが地方交付税に振りかわっていったと、私はその当時をそう思っておるのです。そういう経緯があってこれは国税としての徴収をするという手続をしたと思うのです。  この交付税の長い経緯を見てまいりますと、おっしゃるように私は直入を願っておるのですけれども、直入をすることによっていわば国と地方との関係の責任は明確になるかもわかりませんが、そのかわり、国も面倒を余り見ないように薄情になってくるのじゃないか、地方も薄情になってくるのじゃないかと思うのです。先ほど社会党の山口先生もおられましたが、ちょうど昭和四十二、三年ごろ、私も一緒にやりましたときには、直入を一生懸命運動した一人なんです。そのときには国会の中でどういう議論があったかといいますと、結局そういうふうにしてしまったときには、地方が困ったときにはどこから金を借りるんだ、どこに融通をつけるんだということ。あに図らんや、その時分、大変地方の方が借り一方だったのです。それから五十四年のときも一六兆円近く交付税で国から借りているのじゃないかと思うのです。  そういう経緯が実はございましたので、この直入という問題が我々としては悲願ではあるけれども、なかなかそこに行きにくい事情がありました。しかし、小谷さんのおっしゃるように、これを明確にするのには当然そこへ行くべき問題であろう、こう思っております。  しかし、一方から見ますとそんな経緯があるということと、それと同時に、この交付税の中身も、時々刻々と言ったらえらい大げさでございますが、時代によって変わってきております。今正税になっておりますけれども、以前はずっと三税でございましたし、その以前はたしか二税であったと思うたりしておりますが、それから率も、一番最初始めましたときには二二%から始まったと思うのです。私はちょうど国会へ出ましたときに、その時分に、三二%を取った取ったと言って、もうえらい喜んでやったのです。やったけれども、同時に、そのときには物すごい借り入れをしなければ地方財源が貯えないというような状態であった。  こういうことを思い出しますならば、私は、これからも国と地方との間の財源調整というので非常に難しい過程はたどっていくであろうけれども、この交付税の一番趣旨といたしますことは、地方財政に必要な資金を確保する場でもあるということも忘れてはいかぬのではないか、こう思っております。何も弱気で言っているのではなくて、積極的な運用の面から見ても、私はそう思っておるところであります。
  158. 小谷輝二

    ○小谷委員 確かに、かって地方交付税特別会計が非常に赤字で交付税が貯えないときには国から借りたこともある。これは交付税法、法律から見ても、税率を見直せばいい、ごく簡単なんだ、私はそう思う。連続して赤字が続く場合、法律に明確ではないですか、これはその点は考えるべきである。  これは大臣自治省の職員の皆さんが最もわかりやすく生活に当てはめて話しておりましたけれども、一生懸命働いて月給をもらって、本来は自分の持つべき自主財源というのは毎月何ほどある、だけれども給料は全額我が家の一般会計、大蔵大臣は女房、そこから、毎月手を出して頼んで頭を下げて、もらわなければいかぬ。そこで今月あなたこれだけですよと言われたら、どうにもならぬ。本来は自主財源であるけれどももらわなければいかぬ、一般会計から。自主財源でなくなる、法律的に。自分はやはり財政需要がなりある。例えば、マージャンで負けた金を払わなければならぬとか、一杯飲み屋払わなければならぬとか、何ぼでも払わなければならぬ需要はあるけれども、頭からこれだけ押さえられたら、もらう方ですから。これ直接繰り入れられたら頭を下げぬでもいい、それで自分で賄える、どうなとできる。  この話は、これはわかりやすくて切実な話で、一番大蔵省教育するのにわかりやすい話ではないか、こう思う。いかがですか、大臣
  159. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは、こちらサイドから見るとまさに一番わかりやすい話だと思います。  また一方、私、何も大蔵にひいきするものでも何でもございませんよ、冷静に見まして、大蔵の方から見ますと、交付税はなぜ一般財源から外しておるかということ、国の予算の中を見ましても、大枠見まして、一般財源とそれから地方交付税、国債費ということを分けておるわけですね。つまり、国としては、初めからこれは違うのだ、国の金ではないのだという意識はちゃんと持って予算を組んでおるということでございますので、そういうことから見ますと、国としては、いや、これは交付税はちゃんと地方のものだ、国にカウントしてませんよ一切めから、ということで、ですから、いわば女房のポケットから出すのではございませんで、初めからこれはもうおとっつぁんの小遣いだということを予定をしておりますということをちゃんと向こうは明確に出しておるのではないか、私は向こうの方から見ると、そう見えてくるということを思います。
  160. 小谷輝二

    ○小谷委員 きつい女房と一緒で、しょっちゅう削られて毎年借金だらけで困っているのが一生懸命働いておるお父ちゃんではないかということのようでございます。  次に、特別とん税、とん譲与税のことについて、ちょっと質問をいたします。  昨年の十一月に地方行政委員会で特別とん譲与税について質問をいたしましたが、時間がなかったので、この機会に改めて質問をいたしたいと思うのであります。  まず、特別とん譲与税、これはどのような経緯で設立、創設されたのか、また、その仕組みと税率はどのようになっているのか、また、昭和三十二年に創設以来税率の推移はどうなっておるのか、御説明いただきたい。
  161. 杉原正純

    ○杉原政府委員 まず、特別とん譲与税の創設の経緯でございますが、船舶に対しまして固定資産税というのは当然償却資産としてかかっているわけでございますが、日本の船舶に対してはもちろん固定資産税がかかるわけですけれども、入港いたします外国の船舶に対しては固定資産税がかかっていない。こういうことで、内外の船舶所有者の間で、固定資産税ということだけをとりますといわば税負担に差がある、競争力に格差が生ずる、そこで固定資産税を何とか軽減すべきでないか、こういう御議論が一方にございました。  それから他方、明治三十二年から創設されたと聞いておりますけれども交付税たるとん税、これは外国船籍であろうと国内の船籍であろうと、等しく入港一回当たりといいますか入港の都度税を取る。そこは平等に取っておる。しかし、それが諸外国に比べますと日本のどん税の負担が比較的低いまだ上げる余地はあるのではないだろうか。  こんな御議論がございまして、その両々かみ合わせまして、まず、外国貿易に従事する船舶に対します固定資産税の負担を、それまで三分の一という特例は設けられたものの、それで課税しておりましたものを、六分の一ということで半額に軽減するという措置を講じますとともに、それによって地方団体の、特に市町村のですが、市町村の減収を生ずるわけでございますので、その減収の補てんをするという必要もこれあり、こういうことで、他方、先ほど申しましたようにとん税関係の負担水準は諸外国と比べましてまだ低くて上げる余地がある、こういうこともございまして、とん税の税率アップに合わせまして特別とん税というものを昭和三十二年に設けられまして、特別とん税につきましては、ただこれは、今申しましたような固定資産税の身がわり的な部分もございますものですから、全額を開港所在市町村に交付する、こういうことで特別とん譲与税として三十二年にやはり設けられたわけでございます。  それで、次なるお尋ねの税率でございますが、昭和三十二年に今申しましたような形で特別とん税及びそれを原資といたします譲与税が設けられました当時の税率は、外国貿易船の純トン数、一トン当たり十円ということで、もちろん一年分を一時納付する場合はトン当たり三十円といった特例がございますが、原則として一トン当たり十円、こういうことで税率が設定されまして、その後昭和三十九年に倍の税率であります二十円に、これも一年分一緒のときにはトン当たり六十円という特例がございますが、原則二十円、こういうことに引き上げられて今日に至っているわけでございます。
  162. 小谷輝二

    ○小谷委員 大臣、いろいろ地方からも要望もたくさんありますから全部御存じかどうかわかりませんけれども地方で港を持っているこういう自治体、ここから、昭和三十九年に税制改正された、それがそのまま現在まで何もさわらずにほうってあるわけです。港湾の施設整備にしても、物価の状況から見ても、三十九年というときから今日まで何一つさわられていない、こんなものはどこの制度にも全然ないわけです。このような要望、陳情が港を持っている自治体から出ていることを御存じですか、大臣
  163. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いや、私は寡聞にして存じておりません。
  164. 小谷輝二

    ○小谷委員 せめて陳情ぐらいよく見てやってください。  いずれにしましても、これは三十二年に創設されて、三十九年に、外航、よその国の船ではなしに日本の外航船舶、外国へ行く船、要するにこれの所属する港、ここに固定資産税を払っておった、これを固定資産税をなくした、免税にした、非課税、そのかわりにということで要するに十円のを二十円にし、一年間で三十円のを六十円にしたという経緯があるように思っております。そうですね。  いずれにしましても、これはまるっきり国が徴収してそのまま全額それぞれの市町村配分をしている、こういう余り類のない税制でございまして、これは実質上この法律、税を所管する責任のある省庁はどっちなのか、これはいかがですか。
  165. 杉原正純

    ○杉原政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、特別とん譲与税の原資になりますのは特別とん税でございますが、この特別とん税そのものは形式的には国税でございます。ただ、お話ございましたように、実質的には全額地方へ行くわけですから、国がかわってとん税とあわせて徴収しているわけですが、実質的には地方財源でございますけれども、形式的にはあくまで国税という位置づけになってございます。  したがいまして、その所管ということになりますと、特別とん税法の所管ということの大蔵大臣であろう、第一義的にはそういうことであろうと思っております。
  166. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは地方税地方譲与税、地方に全部入る財源であったとしても、これは大蔵省の所管ですね。では、要するにこれの税率を変えたり、この法律を一部改正するその責任省庁はどこなんですか。
  167. 杉原正純

    ○杉原政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、あくまでも第一義的には大蔵大臣にあるものと理解しております。ただ、徴収された特別とん税の全額が譲与税という形で地方団体の自主財源ということで譲与されるわけでございますので、当然その税率の見直しとかいうことをする場合にありましては、大蔵省、自治省、十分協議の上、関係省庁等とも、関係機関とも協議がございましょうが、そういった協議を通じて行われるものというふうに考えております。
  168. 小谷輝二

    ○小谷委員 自治省として、地方自治体財源ですから、これは知らないとは言えませんね。今まで三十九年から何年ですか、二十八年、こんな長い四半世紀以上の期間ほっておいたという理由は何ですか。
  169. 杉原正純

    ○杉原政府委員 仰せのとおり、昭和三十九年に現在の特別とん税の税率が定められて以来、今日まで二十八年になりましょうか、据え置かれております。これにつきまして、先ほどちょっとお話ございましたように地方団体の要望等もございまして、関係省庁とも折衝いたしたりして検討はしてまいったわけでございますが、とん税の税率ももちろん三十九年以来据え置かれております。とん税と特別とん税というのは、いわば一緒に賦課徴収されているわけでございます。そこは一定の比率で、とん税の税率だけを変える、あるいは特別とん税の税率だけを変えるというわけにはまいらないだろうと思いますので、そこはとん税のことも考えなければいけないと思います。  それと、三十九年以来据え置きでございますが、昭和三十九年に固定資産税が非課税になりました。なりましたが、その後昭和五十年に、余りにも非課税というのはおかしい、こういうこともございまして、十二分の一という特例ではございますけれども、また課税に固定資産税を戻しております。それは現在に至っております。  それと、昭和五十二年に創設されました入港料という制度がございまして、これがその後数次にわたり段階的に引き上げられてきております。これはそれぞれの条例で決めるわけでございますが、この入港料が段階的に上げられております。  それと、やはり五十五年に設けられました港湾環境事業整備のための負担金制度、これもその後設けられていたりいたしますものですから、いわば総合的な負担金あるいは税といったもの、固定資産税も含めまして総合的な負担のあり方といったものを検討する必要があろう、こんなことで今日までまだ結論が得られないという状態であることは事実でございます。
  170. 小谷輝二

    ○小谷委員 とん税は国税ですから、国税とのいろいろな関連性で特別とん税、これは地方税ということであろうかと思いますけれども大臣、いずれにしましてもこれは地方自治体から毎年長い間要求が出し続けられてきたものです。両省にまたがっている関係か、これは自治省の方も、地方財源でございますから、ひとつ大蔵省ともよく連携をとって今直ちに見直すべきではないかと思う。いかがです、大臣
  171. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私もその認識は非常にございませんでしたが、今お聞きしまして、とん税、特別とん税、なるほどそんなに長いこと据え置いたのかなという感じがございますが、よく検討いたします。
  172. 小谷輝二

    ○小谷委員 先ほどから国保財政安定化支援事業ということで、今回一千億円の国保財政安定化支援事業が創設されておるわけでございますが、この創設の経緯理由、また国保の赤字額、赤字団体数、一般会計からの今までの補てん額、それから国保財政の現況について簡単に御説明をいただきたい。
  173. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度地方財政計画で国保財政安定化支援事業を創設したわけでございますけれども、これは、従来から国保会計に対して市町村財政が多額の繰り出しをしているということで、そういう面での地方財政に対する圧迫があるということ、それから、地域間の保険加入者の保険料の負担に非常に格差があることが指摘されているということもございまして、基本的にはやはり、国保財政は国費と保険料で賄うべきものであるという基本的な原則を踏まえながら、しかし一方では、保険者である市町村の責任では何ともしがたいというような特別な事情に基づくものにつきまして、地方財政から一定の支援措置を講じなければならないのじゃないだろうか、こういうことがもともとのこの事業考えた動機でございます。  そういう意味で、具体的には、被保険者である加入者である人たちの中で低所得者層が非常に多いという地方団体の場合、あるいは、その地域ではいろいろな事情によって病床数が非常に多いということのために給付費がかさんでいる、こういうような団体がございますので、こういう団体について、一定の客観的な指標に基づいて一般会計からの一定の繰り出しというものを今回せざるを得ないのではないか、こういうことで一千億円の支援事業地方財政計画に計上いたしまして、これを交付税基準財政需要額に算入することにしたものでございます。  国保財政の現況につきましては、決算のとり方が省庁によっては違いますけれども自治省においてのつかみ方でまいりますと、平成年度の決算におきましての状況は、いわゆる財源補てん的な一般会計からの繰り出し金というものを調整した後の再差し引き収支で見ますと、全体で五百八十五億円の赤字となっております。これは全団体でございます。  それで、赤字団体だけ拾いますと、赤字団体は五百二十二団体、赤字団体の赤字額は二千四百六十二億円という金額になっております。この赤字額は前年に比べますと二百五十八億円減少しておりますし、また赤字団体数も百団体減少しているという状況ではございますけれども、ただいまの数字をごらんのように、国保財政は引き続き厳しい財政運営を余儀なくされているんではないかというふうに考えるわけでございます。  それで、国保会計の一般会計からの繰り出しについて分析いたしますと、いわゆる財源補てん的な繰り出し金の額は総額で三千二百三十九億円という額になりまして、前年度に比べて二百三十億円の増加になっている、こういう実態でございますので、先ほど申し上げました地方財政からの一定の支援措置というものを今回やらせていただく ことにしたものでございます。
  174. 小谷輝二

    ○小谷委員 国保関係というのは基本的には国の制度であって、保険料と国庫負担金、一部患者の診療負担、これで賄うべきものである、こう認識をしておるわけでございます。  それで、なおかつ今までは、この国保財政について赤字を生じた場合に、地方団体の一般会計から補てんをすることは好ましいことではない、補てんをすべきではない、こういう自治省基本考え方であったわけですが、この点はいかがですか。
  175. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国民健康保険は、仰せのとおり、基本的には国費と保険料で賄うということで運営がなされるべきものだというふうに私ども理解をいたしております。そういう点から申しますと、地方の一般会計から国保財政に繰り入れるということは、基本的にはこれはやるべきではないというふうに考えておりますし、そういうことで市町村に対して今まで指導をしてきたことも事実でございます。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、このすべきではないと言っております一般会計からの繰り出しか三千億を超えるという状況でございまして、この中には、やはり保険者である市町村の経営努力ではいかんともしがたい、そういう要素でやむを得ず一般会計から出している分野というのがやはりあるんじゃないだろうか。それについてまですべて一般会計からの繰り出しというものを否認するということは、逆にこの国保財政というものをゆがんだものにするんじゃないかという気持ちもございまして、平成年度から、先ほど申し上げましたようなことで支援措置を講じたものでございます。  したがいまして、これは当面の措置ということで、四年度限りということではございませんが、やはり当面の措置ということでやったものでございまして、基本的にはやはり国費と保険料でこの国保財政がうまく回っていくということが基本的には望ましい姿ではないかと思います。  そのためには今まで国の方でも、老人保健法を制定したり、あるいは他の保険との関係でいろいろと調整をするとかというような形での努力はあるわけでございますけれども、四千万人を超える国保の加入者そのものの内容が最近高齢化してきている。そしてまた他方では、加入者の方々の所得水準が全般的に下がってきているというようなことで、国保保険料は十分に入ってこないというような非常に厳しい状況に置かれているわけでございまして、最終的には、これは医療保険の一元化の問題と絡めて総合的に検討すべき問題であると思いますけれども、当面そういう形での支援地方財政としてもやらざるを得ないということで措置を講じたものでございます。
  176. 小谷輝二

    ○小谷委員 今地方財政をかなり圧迫しているのは国保であるということはもう周知の事実であろうと思いますし、今までは地方の自主性、自律性を確保し、地方分権を進めていくには国庫補助負担金等を一般財源化していくということが非常に進められてき、望まれてき、また言われてきたわけでございます。  そこで、一つは、国保制度については、医療保険制度の中の国保のあり方、国と地方との役割の分担、そういうものを含めて抜本的な改革を検討すべきものではないかという点。それからもう一つは、地方の自主性、自律性を確保するために一般財源化が必要であるとするならば、それに見合う財源と権限の移譲をあわせて行うべきではないか。この二点、大臣、いかがですか。
  177. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国保におきまして今回、国保事務費のうちの人件費とそれから助産費補助金の分につきまして一般財源化したわけでございます。これは、通常と申しますか、これまで私どもが進めております国庫補助負担金の整理合理化の一環といたしまして、この人件費を一般財源化し、助産費の一般財源化をしたわけでございまして、これはそれぞれの事務地方事務として同化定着しているというようなことを踏まえて実施したものでございます。  一般財源化をする場合には、仰せのとおり、地方の自主性、自律性を確立するためにということを踏まえて一般財源化すべきであるということは御指摘のとおりでございまして、基本的には地方の自主性、自律性を高めるという観点から一般財源化を行うべきだと思っております。  ただ、国民健康保険につきましては、事務の性格からいたしますと、これはいわゆる団体事務ということになりまして、既に地方事務として行っているということで、これ以上の国からの権限移譲ということは基本的にはないわけでございまして、そういう点での一般財源化に伴う事務の移譲というものは今回は行われなかったわけでございますが、基本的には先ほど申し上げましたような地方の自主性、自律性を確立するための権限の移譲というものを伴った一般財源化というものが望ましいことは、これは間違いないわけでございます。  ただ、こういうことを一般財源化することによって、それじゃ厚生省というか国の国保に対する責任はなくなっちゃうのかということになりますと、これまた問題でございます。やはり国民健康保険というものは国の制度として全国的に一元的に運営されているものでございますから、この制度の企画立案というものは、これはあくまでも国が実施をし、そしていろいろな問題についての解決策というものは、やはり国が責任を持っていろいろと検討していただくという点は今後ともやっていただかなければならないわけでございますが、具体的な事務運営につきましては地方事務として既に同化定着しているものだ、こういうふうに理解をしているものでございます。
  178. 小谷輝二

    ○小谷委員 要するに、こういうふうに一般財源化が進むならば、これはいっそのこと権限も責任も全部地方に移譲してしまう、こういう基本的な考え方が将来は必要ではないか。負担だけ押しつけて権限は依然として中央で集権的に持っているという形はとるべきではないのではないか、こういうように思うわけであります。  大臣基本考え方をお聞きして、終わりたいと思います。
  179. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほども湯浅局長言っておりますように、国保に関しましては、もう既に団体委任事務として地方行政の中、地方自治体自身がやっておりますので、権限の問題は私はそんなに大きい支障を来すものではないと思うのですが、ただ、財政調整能力というものが自治体に全然ないものですから、この点については国との間に一層の権衡を図っていく必要がある、こう思っております。
  180. 小谷輝二

    ○小谷委員 終わります。
  181. 中島衛

    中島委員長 小林守君。
  182. 小林守

    ○小林(守)委員 引き続いて質問をさせていただきます。  地方財政の現状につきましては、六十八兆円を超える多額の借入金の残高を抱えているところであります。一方、財政需要の面では多極分散型国土の形成による地域格差の是正、さらには豊かさが実感できる生活関連社会資本整備、さらには国際化、高齢化社会への進展に対応する地域の社会システムづくり、さらに地球環境問題にかかわるような環境保全対策などが求められており、このような重要政策課題のための多額の財政支出が強く求められている現状であります。  このような国民生活に直結する行財政需要の増大に的確に対応していくためには、中長期的な観点から引き続きその財政構造の健全化を推進するとともに、住民に身近な行政はできる限り住民の身近なところで対応できるよう、国から地方への権限と財源の移譲を進めながら地方の自主性、自律性を強化し、地方の一般財源の拡充強化を図る必要があると考えております。  そこで、午前中からさまざまな地方交付税の問題につきましてそれぞれの委員質疑をされておりますけれども、重ねて、まず最初に交付税特会への直入問題について私の方からもお聞きをしたいな、そのように思っているところでございます。  先ほど小谷先生の方から示唆に富んだユーモラスな例え話が紹介をされたわけでありまして、大変イメージをめぐらせながら聞かせていただいたわけでありますが、私はむしろ、一般会計、大蔵省を家父長的な意識の強い亭主に例えまして、奥さんを特別会計の自治省に例える、そんなふうに見た方がよいのではないかな、そんなふうに思っておるところであります。時々生活費を値切ってくるようなずる賢いおやじというような感じがいたしておりまして、時々、年に一度特に仲が悪くなるわけでありますけれども、しかし亭主もさる者、けんかをしてはどうにもならぬということで、なだめたり謝ったりおだてたりして、何とか、じゃ、率は下げないけれども借金させてくれという空証文を出しているような関係ではないのかな、そんなふうにイメージをしたわけであります。  先ほど大臣の方のお話の中にも、やはり夫婦の間で貸し借りがはっきりしてしまうと仲が悪くなるというか冷たい関係になってしまうのではないかというようなお話があったわけでありますが、私の方の今の例え話で言うならば、近代的な夫婦であれば、奥さんも主婦業ということでありますから、一たんは生活費全部をうちに入れてそこから小遣いをもらう、亭主の小遣いは小遣いできちっともらう、それが夫婦円満の姿ではなかろうか、そんなふうに思ったところでございます。  そこで、一連のお話の中で大臣は、地方交付税地方団体の共有の固有の財源である、国が地方にかわって徴収をしている税であるというふうなことを明確におっしゃられたわけであります。そういう観点に立って、毎年予算編成時期の前後になりますと、大蔵省周辺あたりから、マスコミ等にリークされるのだとは思いますけれども交付税率の削減論が持ち上がってくるわけであります。いずれにしても、今日の国会情勢、また地方団体の意向等を見まするならば、この税率削減というのは通らないということで、それでは、転んでもただでは起きないというような感じで、特例減額とかいうような形でやってきているのではないかなというふうに思えてならないわけであります。  この点に関して、大臣のお考え等については十分お聞きいたしましたので、きょうは大蔵省からも来ております。明後日大蔵大臣の方に我々の方の理事からも相当きつく厳しくこの問題については追及されるとは思いますので、きょうはリハーサルのようなつもりでお聞きをしたいと思います。  大蔵省はどういう理由交付税の特会への直入の制度化について応じようとしないのか、それについてお聞きしたいと思います。
  183. 原口恒和

    ○原口説明員 御指摘の、地方交付税を一般会計からの交付税でなく、一般会計を通さずに交付税特会に直入した方がという御議論については、長くそういう御議論があるということは十分承知しておりますが、現行の制度につきましては、二十九年度地方交付税制度創設以来とられている制度でございまして、また、十五年に創設された配付税制度のもとにおいても同様の取り扱いがなされているものでございまして、これを変更することは、国の予算制度あるいは会計制度に大きな影響を及ぼすものであり、極めて問題が多いものと考えております。  現行制度につきましては、地方交付税を一般会計予算に計上することによりまして、歳入面では税負担の状況、また歳出面では中央と地方相互間の財源配分状況、そういったものをそれぞれ一覧性のある姿で示すことによりまして、国・地方を通ずる財政運営の総合的調整を行うための有効な資料を提供するとか、あるいは、これらの状況に対する理解と判断を求めることを容易にするといったような面ですぐれた長所を持っているものと考えておりますし、また、交付税特会へ直入するとなりますと、交付時期についても、実際に収納したものしか支払えないといったような、地方財政に与える影響も多いということもございまして現行制度を今までとっておるというふうに理解しております。
  184. 小林守

    ○小林(守)委員 大変すらすらと言われているものですから、どう受けとめて問題を考えていったらいいか迷うものですから、少し時間を、説得的に話していただきたいと思うのです。  一つは、私、今お話を聞きまして、これを特別会計に入れますと大きな影響を及ぼし、極めて問題が多いというようなお話がございましたので、なぜ大きな影響が出、極めて問題が多いのかということについて、再度お聞きしたいと思います。  もう一つは、確かに一般会計の方から見るならば、交付税特会への交付税という形で出てくるわけでありまして、一般会計の方から見れば一覧ができるというような、地方と国との全体的な税収構造が見えるんだというようなお話がありましたが、実際に、では消費税なんかについても、消費譲与税というのはもう直接入ってしまっているわけですね。それから地方譲与税、こういうものについても一般会計を通らないで入っているものがあるわけでありまして、そういうこと宣言いますと、全体の歳入構造とか財政状況というのを見るのに、一般会計のほかに例えば特別会計というのだって相当国の財政構造の中には大きなウエートを占めているわけであります。一般会計の倍ぐらいの特別会計というのがあるわけでありますから、税財政構造が一覧ができるという論理もどうもつじつま合わせのような話にしか聞こえてならないわけでありまして、不十分ではないのかな、そのように思いますし、もう一つ、最終的に交付税特会へ直入した場合に収納実績に応じて交付するということになりますと各地方団体にいろいろな影響を与えるというようなお話でありますが、実際今日においても、現在の制度の中でも借入金とか何かは四月なら四月に間に合うようにとりあえず国の方で借り入れてやるとか、そういう制度はやれるわけですね。  そういうことでありますから、特会に直入することによって大きな影響が出たり、地方自治体にとっても不都合な状態が生じるという問題については、これは技術的に解決できる問題であって、むしろ特会直入論、今まで皆さんお話ししていた中ではやはり地方の固有財源であるということを明確にできる、そういうところに力点が置かれたことでありますから、なおかつ、衆参の国会決議とか委員会決議とか、さらには地方制度調査会の答申とか意見具申の中にも明確にそれが出されているわけでありますから、大蔵省はまさに国会、立法機関に向かってその正当性というか、反対している、応じられない理由というものを明確に出す必要があるんだと思うのですね。  今のお話ではちょっと納得できませんので、もう一度お願いしたいと思います。
  185. 原口恒和

    ○原口説明員 お答えします。  先生のおっしゃるように、いろいろな特別会計あるいは地方固有の譲与税といったものもございますが、何せ現行の交付税というのは一般会計においても非常に占める規模が大きゅうございますし、これによって、国と地方交付税あるいは補助金を通しての全体の財政の姿ということを、やはり一覧性のある姿で示すということは極めて重要な問題ではないかと思います。  また、もう一点の交付時期の問題でございますが、やはり、それぞれの交付税特会の財政状況にもよりますけれども、一般的に今まで収納時期にかかわらず交付税特会の状況を見ながら繰り入れをするということによって地方財政の安定的な運営にも資するところが大きかったというふうに認識をしておりますので、この点についても、借入金というようなことになりますとまたその利子負担の問題等いろいろな問題が出てまいりますので、この点についても一つの大きな要素になるのではないか、かように認識しておる次第でございます。
  186. 小林守

    ○小林(守)委員 不都合の中で納得できるというか確かにさもありなんというようなことについては、例えば借り入れの利子負担の問題等のお話がありました。それ以外の問題についてはほとんどクリアできる話ではないのかなというふうに思い ますが、利子負担の問題について、これだけ自主性、主体性を重んじ、みずからの創意工夫によって住みよい地域づくりをしていこうというように自覚し、自立しつつある地方自治体からするならば、その固有の財源をみずからができるだけ管理をしていくというのですか、そういうことになるわけでありますから、大蔵省との話し合いの中で、例えば、今まではそういうことでやってきたけれども、今度はそちらの方で借りたり返したりするという仕組みをつくるんだということになるならば、じゃ利子は自分で持ちなさいというようなお話になるんだろうと思いますが、それはそれで、これは地方自治体地方交付税特会の中で覚悟を決めてやるならやろうじゃないかというところまで考えてもいい問題だろうと思うのですね。  そういうことで、やはり少なくとも交付税特会直入ということを例えば制度化するということになりますと、税収が厳しいときに、財源不足のときにどうするかという問題は確かに心配な部分はあるわけでありますけれども、しかしながら、そのことによって、少なくとも昭和五十年代に税率を変えるという運動があったにもかかわらず長期安定、財源確保というような意味で税率の変更についてはなされなかった。そしてここ二、三年の間税率を変更しようというようなしかけをされてきているわけでありますから、これについては一定の歯どめをかける必要があるのではないか。  少なくとも税率の変更については、もちろん交付税法の六条三の二については生きているわけであります。直入制度にしたとしてもその六条三の二は全く影響を受けていないわけであります。気分的な問題、感情的な問題でそういうことはもう応じられないということになろうかどうかはわかりませんけれども、少なくとも法的にはかかわりなく生きている条文でありますから、どうしても足りない状態のときには税率の変更ということはあり得るでしょうし、また、何年か連続して財源が余剰だというような状態がもし出てくるような時代があるとするならば、それは税率の変更ということもあっても仕方がないのではないか。そういう形で、お互い変なもたれ合い的な関係というものではなくて、一つの契約関係的なものに変わっていくべきなのではないか。それがまさに地方の自主性や自律性をより高めることになるのではないか、そんなふうに強く思っているところです。  次に、例えば昭和四十四年、四十五年、そのころの時代にこの問題が大きく沸騰いたしまして、衆参の地方行政委員会においてまさにこの趣旨の委員会における附帯決議を出されているわけであります。もう既に二十年近くたつわけでありますけれども、なぜ今日までこれが実現されてこなかったのか。逆に言えば、国会議員が、立法機能を持つ国会が附帯決議をしているということです。これは重く見ていただかないとおかしなことになるのではないかというふうに私は思います。確かに我々の方でも附帯決議というのは非常に便利なもののように使われている面もあろうかと思いますが、別の面ではやはりこれは国会議員の、地方行政委員会委員の総意ということになります。そういうことでありますから軽んずべからずということになります。  そういう点で、それではその衆参の附帯決議については、大蔵省や自治省はどこまで努力したかどうかわかりませんが、間違っていたのか。国会議員が附帯決議をした、これについて全く変更がなかったという理由をいういろ、先ほど自治大臣もおっしゃいました。しかし附帯決議はしているんですね。国会議員がこの委員会の中で附帯決議をしたというこの重みというのは、これは行政府が簡単に、難しいからできなかったのですとか、本来そういう形で済まされる問題ではないんだろうというふうに思うのです。この問題について、間違っていたのかな、附帯決議の中身がまずかったのかな、そういうことになってくるわけでありますから、これらの問題について自治省及び大蔵省に御見解を伺いたいと思います。
  187. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 昭和四十四年、四十五年に当地方行政委員会におきまして附帯決議の中に、交付税特別会計への直接繰り入れの措置というものの実現に努力しろということが盛り込まれていることは、十分私ども承知をしております。そういうことで、自治省あるいは地方財政の立場からは、地方交付税の性格を明確にするという観点からもこの特会直入というのが望ましいのではないかということでお願いをしてきたところでございますけれども、なかなか全体の意見の一致を見ないということで実現に至らないわけでございまして、もちろん国会の附帯決議というものは非常に重いものでございますので、私どもとしては引き続いてこの問題について努力をしてまいりたいと思っております。  この直入に伴いましていろいろな問題点が出てくることもこれまた事実でございますが、それらの問題についても、地方地方の独自性を守るというためには、ある程度の負担を覚悟するということまでも踏み切らなければこの問題はなかなかうまくいかないということも御調のとおりでございますので、私どもとしては今後とも努力してまいりたいと思っております。
  188. 原口恒和

    ○原口説明員 当委員会におかれまして地方財政の立場から特会直入についての決議がなされておることは、我々も十分承知しておりますし、また重く受けとめておるところでございます。ただ、先ほども御説明申し上げましたように、国の財政制度とも密接に関連する事柄であり、その観点からの問題があるということで実現していないものというふうに認識しておりますが、いずれにしてもこの問題については、関係省庁意見を交換しながら慎重に検討すべき課題と承知しております。
  189. 小林守

    ○小林(守)委員 このような歴史的な背景並びに国会の委員会における決議とか地方制度調査会における何回にもわたる答申と意見具申、お聞きしましたところ地方制度調査会というのは総理大臣の諮問機関なんですね、総理大臣の諮問機関に諮問をして答申をいただいた、これを尊重するのは当たり前の話ですよ。あえて言うならば、これ自身も無視されてきたと言わざるを得ないわけでありまして、このような経過を見ますると、行政府の優位の姿というか、そういうものがありありと出ているのではないか、そんなふうに思いますし、中央集権的な発想から抜け切れないのではないか、そんなふうに強く思っているところであります。  さらに、地方への権限の移譲というようなものが行革審等におきましても強く叫ばれ、またパイロット自治体構想なども打ち出されて、これがこれからの大きな課題になっているところであります。考え方ですけれども、例えば八千五百億円のお金を特例減額という形で国に貸したわけでございますけれども、逆に考えるならば、それだけ国が仕事があってお金が足りないのだということに考えるならば、それじゃ国の中で本来ならば地方に任せてもいい仕事はないのか、国と地方事務配分の問題で考えていくならば、八千五百億円分の仕事で地方に任せてもいいようなものが随分あるのじゃないでしょうか。そういう観点から、例えば補助金の交付税への一般財源化というような観点からも十分考えられるものではないのかな、そんなふうに思います。そういう観点も踏まえて、さらに論議を深めていただけばありがたい、そのように思っております。  時間の関係で次に移りたいと思います。  今回の地方交付税また地方財政計画の中で特に評価できます点は、社会福祉や環境保全対策、このようなところに相当の拡充措置が導入されたことであるというふうに思っているところでございますけれども、特にマンパワーの確保というものが社会福祉の充実、そういった観点から欠かせない問題であります。  一つ例として、看護婦不足対策などが大きな国民的課題になっているわけでありますけれども、マンパワーの確保対策の二環として、今回地方団体からも強い要望のあった公立の看護大学等、短大も含むわけでありますが、これの施設整備に対 する財政支援措置が新たに講ぜられることになったわけであります。看護婦養成を図るために極めて重要な措置とも考えておりますので、その内容について具体的にお聞きしたいと思います。
  190. 滝実

    ○滝政府委員 公立の看護大学等の施設整備財政支援措置でございますけれども、ただいま仰せのように、施設整備につきましてはゴールドプランの目標達成のかぎを握る、こういうようなことで大変重要な問題でございますので、今回財政的な支援措置を講じよう、こういうことにいたしたわけでございます。  中身は、地方債と地方交付税を組み合わせて財政支援をする、こういうことでございまして、具体的には平成年度から実施されております地域福祉推進特別事業というのがあるわけでございますけれども、この例にのっとりまして、ただいま申しましたように地域総合事業債、それから、それの特別分を許可するとともに、その元利償還金と事業費の一部を交付税措置を講じるということで財政的な支援をしよう、こういうものでございます。
  191. 小林守

    ○小林(守)委員 わかりました。  それでは、従来から同じような趣旨のもとに、厚生省所管で看護婦等の養成所に対しまして、その施設整備費の事業が、補助事業でございますが行われているわけでございます。引き続き平成年度も継続されているわけでありますけれども、競合するようなことはないのかどうか。さらに、お聞きしますところ、公立の看護婦養成所の施設整備では地方団体が相当の超過負担を生じているというふうに聞こえてくるわけでありますけれども、この点について厚生省にお伺いをいたしたいと存じます。
  192. 矢野正子

    ○矢野説明員 お答えいたします。  国民に適切な医療を提供していくためには、資質の高い看護婦が必要であるということにつきましては言うまでもありません。そういうこともありまして、養成力の拡充に努めているわけでございます。  このために、国といたしましては、従来から公立の看護婦養成所を含めまして看護婦等養成所の整備について補助を行ってきておりますが、今お話がありましたように、平成年度予算におきましては、施設整備対象の増加それからまた単価の改善等を踏まえまして、医療施設整備費の増額を図ったところであります。そしてさらに平成年度予算におきましても、生活関連重点化枠によりまして、医療施設等施設整備費の大幅増額を図ってまいりました。  御指摘のように今後とも看護婦養成所の整備に対する補助の充実に努めたいと思っておりますし、看護婦職員の養成力の強化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  193. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは今度は自治省の方にお伺いしたいのですが、今回新しく設けられました公立看護大学等に対する交付税地方債の措置につきましては、従来は厚生省所管になっているわけでありますけれども、公立の看護婦養成所、例えばそういうものをつくるというようなものについても自治省の方の交付税の措置が適用されることになるのかどうか。もちろんこれはどちらか選択ということになるのでしょうが、公立の場合、補助金をもらってやるのと、それから交付税単独事業ということになろうかと思いますけれども、都道府県段階等におきましては選択ができるという感じもするのですね。その辺についてのお考えを示していただきたいと思います。
  194. 滝実

    ○滝政府委員 今回の公立の看護大学、短期大学に関する特別支援措置と申しますのは、従来こういう大学に関しましては国庫補助金制度がない、こういうこともございまして今回の支援措置に踏み切ったわけでございます。ただいま厚生省からもお話がございましたように、看護婦の養成所につきましては既に国庫補助金制度があるものですから、したがって、今回のこの大学等に関する財政支援措置は厚生省所管の補助金制度対象となります看護婦等養成所の施設につきましては対象とはしない、こういうことにいたしているわけでございます。
  195. 小林守

    ○小林(守)委員 厚生省の方の養成事業整備事業の補助要綱を見ますると、地方団体の公立の看護婦養成所も市町村はできるんですよね。ですから、確かに市町村でこういう看護婦養成所をつくろうというようなところは今までなかったのかもしれませんが、制度的には公立にもできるというふうに理解していいんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  196. 滝実

    ○滝政府委員 公立てございますから、県立の場合でも市町村立てもそれは両方とも適用になるのでございますけれども、あくまでも私どもの今回の支援措置は学校教育法に基づく大学ないしは短期大学、こういうことでございますので、それ以外の一般的な学校ということになるわけでございますが看護婦等の養成所施設については今回の対象とはしていない、こういうことでございます。
  197. 小林守

    ○小林(守)委員 その区分については理解いたしました。  それで、今度は一般的な動向、今後の方向ということでお聞きしたいのですが、国庫補助負担金等の整理合理化、一般財源化というような動向の中で、地方財政の自主性や自律性を高める観点に立ちまして、地方債や交付税財源措置をする、このような――今回交付税で行おうとする方向と一般財源化の方向と、それから従来のようなパターンの補助金交付による事業推進、そういうことを考えますと、例えば補助の場合は事業費の何分の一とかという形で、それから補助対象事業はこういうものですよというような区分がありまして、非常にわかりやすいのです。  しかし交付税の場合は、例えば事業費の七五%に起債を許可して後年度財政力に応じて元利償還金の三〇から五五%に交付税措置をしますとか、事業費の一五%に当該年度地方交付税措置をしますとか、そういうことなんですが、全体的に見ますると、要は補助金と同じような性格ではないか、そういうふうに素人目に見ると感じられるわけなんです。  ただ、財政支援措置の中で、補助金の場合は用地費取得についてはだめなんですね。しかし、今日の状況からいうと、用地費なんかの取得が極めて困難な課題として地方団体なんか抱えているわけでありますけれども交付税の方では校舎等の施設整備費及びその用地費について対象になるというようなことになっていますので、そういう点では、やりやすいと言うとおかしいのですが、受け入れやすい制度ではないのかなという感じがするのですが、この二つの制度について、私の感じではそれほど補助金制度と違わないのではないかというような印象を最初受けているわけなんです。  よく見ていきますと、ちょっと違うかなというところも感じられるのですが、メリットとかデメリット、そういうことも制度間のものはあるのだろうと思いますが、今後のあるべき方向考えていく場合に、基本的には一般財源化が望ましいということを我々も言っているわけでありますから、どうなのかなということを、これについてはそれぞれ自治省とそれから厚生省に、けんかをしないような観点でお話を承りたいと思います。
  198. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今の問題は、地方財政からの支援措置の基本的な問題にもつながる問題だと思うのでございますけれども地方がいろいろな仕事をしていく場合に、その仕事に対応して一般財源をどのように配分していくべきかという基本的な問題があろうかと思います。  交付税という総額が決まったときに、その交付税が一体どういう形で分配されるのが一番公平かという問題だと思うのでございますが、その場合に、従来はどちらかというと人口とか面積だとかというような静態的な指標を使ってその財政需要というものを測定しておりまして、それに基づいて地方交付税というものが配分されたわけでございますけれども、そういう面が一方にあると同時に、特に投資的経費の場合を見ますと、投資的経費の場合には、この静態的なものだけではなかなか捕捉できない、もっと動態的な財政需要という ものを交付税でも捕捉すべきではないかという議論が従来からあったわけでございます。  そういう中で、それじゃ具体的にそれぞれの自治体の事業費というものを基礎にして基準財政需要額算定していったらどうか、こういう趣旨から、まず手始めには国庫補助事業の裏負担、地方負担を基礎にして、これを交付税基準財政需要額に算入する、これがまず出てきた。それからさらには今度は、地方債を発行した場合に、その地方債の元利償還金の一定割合を基準財政需要額に算入していく。これは最初は辺地債でございますとか過疎債というようなものから出発したわけでございますが、そういう形で動態的な財政需要を捕捉していったらどうだろうか。  こういうような一連の考え方があったわけでございまして、これからのこの地方財政需要というものを測定する場合に、単に静態的な財源保障ということであれば、これは人口とか面積だとかというような画一的な指標で配分することもいいわけでございますが、もう一歩進んで、それぞれの自治体の個性ある地方自治の運営というようなものを財政需要に反映させるとするならば、これはやはり今やっているような地方自治体事業というものをとらまえて、それを財政需要として捕捉していく、これが必要なんじゃないか。  こういう趣旨から、最近では、地方単独事業を積極的にやってもらうためには、今申しましたような地方債と地方交付税というものをうまく組み合わせて、それによって事業をやっていただくということが望ましいのじゃないかということで、地方単独事業についてはそういう事業をいろいろと今検討して事業化しているというわけでございます。  したがいまして、基本的にこれは国庫補助金とは性格の違うもので、国庫補助金というものは、国がいろいろなメニューをつくって、このメニューに合ったものをどうぞ申請してくださいということでございますが、この地方単独事業というのは、あくまでも自分たち考えて必要だと思うものを決めて、それで事業化したものを国が財政支援をしていくということでございますから、全く発想が逆でございます。  そういう意味からいって、結果的に見ますと、交付税が補助金みたいな形で運用されるのじゃないかということでございましょうけれども、これはやはり制度仕組みというものが全く逆の立場からつくられている、こういうことをひとつ御理解いただきたいわけでございます。
  199. 矢野正子

    ○矢野説明員 看護婦等の養成所につきましては、その性格は非常に広域的な性格を有しておりまして、やはり地域のバランスを考慮して、その偏在とかあるいは重複投資とか、そういうものが生じないように調整しながら整備しておるというのが現状でございます。また、看護婦養成所につきましては、今は公立のお話でございますが、民間立養成所もたくさんございまして、それらとの関係も考慮しながら一体的に整備していかなくてはいけないということを考えますと、今御指摘のような一般財源化とか単独事業とかということにつきましては、なじまない面、それから問題もいろいろあろうかというふうに考えております。
  200. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは、時間の関係で次に移ります。  生活保護行政について、厚生省にお伺いしたいと思います。  まず、ここ数年間の被保護人員の数や世帯数の動向について、その理由もあわせてお伺いしたいと思います。
  201. 酒井英幸

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  最近の保護動向でございますが、昭和五十九年後半以降減少傾向で参ってきておりまして、最近の状況を申し上げますと、平成年度で約百十万の被保護人員で、世帯数で六十五万余でございます。平成年度で百一万四千余でございまして、被保護世帯数で六十二万程度でございます。一番最近の状況で、これは平成三年十一月のデータを持っておりますが、九十三万八千人の被保護人員で、世帯数で申し上げますと五十九万七千といった状況でございます。  その理由でございますが、保護の動向は一般的に、いろいろな経済社会的要因、それから福祉関係施策がどの程度整備されてきたか、あるいは制度の運用がどうであるかといったような複雑な要因の影響の結果なんでございますけれども、最近の状況といたしまして私ども思っておりますのは、一つはやはり景気がおおむね好調で推移してまいったことに伴います雇用情勢等の安定といったこと、それから、障害者世帯にかかわるわけでございますが、障害基礎年金制度あるいは特別障害者手当といった制度が導入されたといった諸施策の充実が図られてきていることも挙げられる。そういうことに加えまして、各都道府県、市あるいは各福祉事務所において保護の適正実施ということに関する取り組みが一層推進されてきているといったことも要因であるというふうに考えております。
  202. 小林守

    ○小林(守)委員 今最近の動向についてお話しをいただきました。平成年度現在では被保護人員が約百一万人、世帯数で六十二万世帯ということでありまして、全体的な減少傾向の中にあって、被保護者の個別的な実情、これらについては極めて複雑かつ困難なケースがふえているというふうにも言われているわけであります。  このような減少傾向の中にあって、残ったというのは語弊がありますけれども、今日の対象者というのを見ますると、極めて困難な、複雑なケースが多いというふうに言われているわけでありますが、このような実態をどう把握されておりますか。また、このような困難なケースに対応するために事例集などもつくられている、そういうことも聞いておりますけれども、その理由などはどういうことにあるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  203. 酒井英幸

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、被保護世帯の減少はあるのでございますけれども、確かに私ども見ますところ、ハンディキャップを負った世帯の割合も増加しているのではないか。例えば、高齢世帯の八六%あるいは障害世帯の七割といった方々がひとり暮らしという状況になっております。数年前と比べるとこの割合が高まっておるということなんでございますが、こういう方々につきましては経済的な基盤も弱い場合が多いわけでございますし、日常の生活能力も十分でないといったことが多いわけでございますので、例えば頻繁に世帯を訪問するとか、あるいは世帯の生活実態をよく把握して相談、助言を密にやるといったようなことの必要性が高い世帯であろう。また、施策処遇を実施していくに当たって、そういう世帯に対しては広範囲にわたる関係諸機関との協力連携ということも必要であるわけでございまして、そんな多様なニーズに対応するきめ細かい援助を行う必要があるというふうに考えております。  また、今御指摘の事例集でございますが、平成二年にケースワーク事例検討集というものを私どもの監修で作成いたしまして、処遇の一層の向上といったことでそういうものを作成して、関係諸機関との連携を強化しながら仕事をしていくというようなことをやっておるわけでございます。
  204. 小林守

    ○小林(守)委員 例えば具体的な例を挙げてみますると、数年前には札幌で母子の餓死事件が起こったりしております。また、新潟県の新津市では、生活保護担当の現業員と言われるケースワーカーに対する暴行事件が発生をしておるというようなことで、生活保護行政に携わる人たちは大変な状況の中で頑張っておられるわけであります。  問題は、よく言われることですけれども、ちょうど十一年前、一九八一年十一月に厚生省の方から「生活保護の適正実施の推進について」という、有名な適正化通知というふうに言われるわけですが、これが、一つ理由は暴力団関係者の不正な受給というようなことが社会問題化して、それに対してやはり社会的な公平などを確立しなければならぬというような観点に立って、保護の適正化実施という形で強力に進められたわけであります。しかし、一面では過度な適正化に及んでし まったというような形で、本来ならば生活保護を受けるべき対象の人がなかなか寄りつくことができないというような非常に厳しい環境になってしまったということもあるわけであります。いろいろ調べられるとか根掘り葉掘り聞かれるとか、そういうことによって、本来ならばその人は当然対象者であるにもかかわらず、どうしても役所へ行けないとか、そういう極めて残念な状況も出てきて、例えば母と子の餓死事件などが起こってしまったというようなこともあるわけであります。  一方、担当職員につきましては、こういう問題に毎日悩みながら、しかし生活保護行政のよって立つ根拠であります憲法二十五条の精神を支えにして頑張っているのだろう、そのように思うわけでございます。  そこで、先ほどもお答えがありましたけれども、このような被保護人員や世帯数の大幅な減少傾向の中にあって、国の方の国庫支出についても、節減合理化と言っていいかどうかはわかりませんが、相当財政支出は節減されているというふうに言っていいのだろうと思います。平成元年から四年度あたりまでの当初予算ベースでどのような実態にあるか、お知らせいただきたいと思います。
  205. 酒井英幸

    ○酒井説明員 お答え申し上げます。  生活保護費負担金の予算額でございますが、平成年度は一兆一千億余でございまして、対前年の金額の数字を申し上げさせていただきますが、平成年度は前年比で三百四十二億余の減でございます。平成年度は三百六十三億余でございます。さらに、平成年度予算におきましては百五十二億円余の減というふうになってございます。
  206. 小林守

    ○小林(守)委員 今お話を前もって計算しておいたのですけれども、合わせますとこの三年の間に八百五十九億円節減になったというか、財政支出が節減されたと言っていいのだと思います。  そこで自治省にお伺いをしたいと思いますが、今日までの生活保護行政については、適正化のやり過ぎだというようないろんな角度からの批判もあるわけでありますけれども、県や市の福祉事務所に働いているケースワーカーのやはり今日までの適正化通知以来の非常に苦しい、苦渋に満ちた努力の結果というか、そういう結果でもあるのではないか、そのように我々は見ているところであります。  しかし、今度の地方財政計画の中で、人員計画等の中で見てみますると、極めて残念なことに、ここ数年の生活保護世帯の減少に関連して、地方交付税上の生活保護現業員いわゆるケースワーカーについて、平成三年、平成年度と見直され、減員されてきているのであります。確かにこの減員の根拠というかこれにつきましては、社会福祉事業法第十五条に規定がありまして、保護世帯当たりの現業員基準が法定されているわけであります。しかし、これはあくまでも最低基準でありまして、これを下回ってはいけないという話でありますから、我々としては当然現場の実態に合った適正な人員配置が望まれるということでありますけれども、実際にはそうではなくて、生活保護世帯が減少したんだからケースワーカーも減らすんだというような、非常に短絡的な、我々はこういうのを霞が関の論理というように言いたいと思うのですけれども、そういう傾向にあるわけであります。  先ほども申しましたとおり、現場にありましては、保護世帯の減少、それにあわせまして困難なケースが多くなっている。そして何度も申しますように、保護世帯の減少が即ケースワーカーの減少につながっては身もふたもないというような声も聞こえるわけであります。  そこで、生活保護、ケースワーカー等の福祉の職員数に対する交付税措置は、単に機械的に最低基準を当てはめるのではなくて、このような今日までの現場の実情、努力を踏まえて行うべきと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  207. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 地方交付税における生活保護の現業員の配置の問題でございますが、これにつきましては、実態も踏まえまして慎重に検討して、適切に対処してまいりたいと存じます。
  208. 小林守

    ○小林(守)委員 時間の関係で次に移りたいと思います。  次は不法滞在の外国人の医療費の問題を伺いたいと思います。  実は、この前の三月十日の地方行政委員会におきまして私が取り上げた問題の続きであります。そのときは時間の関係もありまして十分な論議というかができずに終わったわけでありますけれども、この問題というのは極めて難しい問題でもございます。しかし、極めてまた重大な重要な問題だとも考えますので、今後とも折に触れて継続して、行政の方の歩みと合わせながら私も取り組んでいきたいなと思っているところであります。  それで、前回厚生省の亀田説明員の答弁では、不法滞在の外国人で医療費支払い能力のない方の医療費問題についてでありますけれども、医療機関は医師法によって診療拒否ができないわけであります、そういう場合に、不法滞在の外国人が入院をして治療をしたということになった場合に、その費用の問題についてはどういう方法があるのか、いろいろ勉強していきたいというような趣旨の答弁をいただきました。  それから少なくとも一カ月以上たったわけでありますから、どのような勉強をされてきているのか。それから、ただ一人で勉強されているわけではないかと思います。いろんな方々、関係者も含めて検討や研究がなされているんだろうと思いますけれども、また他省庁との協議なんかもやっていかなきゃならない問題だろうと思いますが、勉強の状況というか、検討状況についてお聞きをいたしたいと思います。
  209. 小沢壮六

    ○小沢説明員 三月の本委員会におきまして先生から御指摘をいただきまして、出席の説明員の方からさらに検討したいという御答弁を申し上げているわけでございますが、それでなかなか的確なお答えができなくて大変恐縮なんでございますが、その際も申し上げたわけでございますが、不法滞在外国人の医療の問題、基本的に、医療費を社会保障として補てんをするということはどうしてもやはり不法滞在を容認、助長するというようなことにならざるを得ないという意味で、大変困難ではなかろうか。  ただ、御指摘のように、まさに医療機関が危険負担を負っているといいましょうか、そういう実態になっているわけでございますので、別の面から申し上げますと、医療機関のいわば貸し倒れというような形になっているわけでございますが、そういう不法滞在を容認、助長するという結果にならず、かつ、その医療機関の貸し倒れを何とか軽減できないか、あるいは救う道がないかということで省内でいろいろ勉強をしているところでございますが、現段階でまだ的確な結論が出ていない。例えば税制り問題で貸し倒れという点に着目して何か考えられないか等々の議論はしているところでございますが、大変恐縮でございますが、今の段階でまだ的確な答えが見つかっていないということでございますので、引き続きさらに勉強させていただきたいというふうに思っております。
  210. 小林守

    ○小林(守)委員 それでは、この問題について自治省にお聞きしたいと思います。  お話があったように、不法滞在者といえども医療を拒否はできない、しかし保険もなく、前回質問しましたけれども、行旅病人及行旅死亡人取扱法というのがあるのですが、これも私は少し解釈を広げていけば十分できるのではないかと思ったのですが、いろいろな概念規定の問題もありましてこれも適用できないというようなお話を承ったわけなんですけれども、ただ、そういう方が実際に公立の病院、医療機関に入院をしたとが入ってきた、治療を受けに来た、治療した、その場合に、公立の機関はどのような処理の仕方というか、お金がもらえない場合にはどういう処理の仕方があるのかどうか、処理の仕方といっても金が入ってこない前提の上での話なんですけれども、最終的に帳簿上はどんなふうになっていくのかということをお聞きしたいと思います。
  211. 石川嘉延

    ○石川(嘉)政府委員 患者からどうしても診療費を取れないという場合には、とりあえずは病院として未収金という形で計上いたしますが、最終的にどういう方法にせよその未収金が回収できないという場合には、損失金として当該病院の会計で負担をせざるを得ないということになっております。そういう事例はまだ余り多くないようでございますが、幾つかの病院でそういう事例も現実に発生をしているというふうに私どもも聞いております。  公立病院というのは、御案内のように独立採算というのが原則でございますので、今後このような事例がふえてくれば、病院の経営上も無視できないものでございますし、私どもは、公営企業を担当する者としては大変憂慮しておる状態でございます。
  212. 小林守

    ○小林(守)委員 間違いなくこういう事例は起こってくるはずでありますから、起こらないことを望むのですけれども、今日の現実は起こってしまうということでありますから、憂慮しているというだけではなくて、自治省もやはりこの問題については知恵を絞って厚生省と協議しながら何らかの妥当な措置というか、あり得るかどうかもちょっと定かではないのですけれども、やはり見出していただきたい、そのように考えております。  それから次に、法務省に伺いたいと思います。  前回、大久保説明員が答弁された問題について継続して伺いたいと思うのですが、前回、入管法違反者としての不法労働者、不法残留者に対しては退去強制手続をとっていますが、入管施設の「収容中の者が病気にかかっていると認められる場合には最寄りの病院などで治療を受けさせております。」こう答弁しているわけです。  そこで、そのような際に、その方が支払い能力がない外国人であった場合、これはどうするのでしょう。それから、そういう場合、受けられないのでしょうか。この辺についてお伺いをしたいと思います。
  213. 佐々木高久

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  入管局の収容施設に収容中のいわゆる不法就労者でございますが、そういう人が病気になった場合に、その費用というのは各自の負担でございます。ただし、本人がお金を持っていないとか、そういう場合には、国費より治療費を出しております。(小林(守)委員「国でですか」と呼ぶ)はい。国費で出しています。
  214. 小林守

    ○小林(守)委員 ありがとうございました。時間が来てしまいましたので、国費で出しているということは、これは極めて重要なことでありますから、後の機会にまたお聞きをしていきたいなと思います。  ありがとうございました。
  215. 中島衛

    中島委員長 小川信君。
  216. 小川信

    ○小川(信)委員 それでは、本日の最後、打ちどめで一時間ほどおつき合をいただきたいと思います。  今日は二つほど大きな課題でいろいろ質問させていただきたいと思います。  まず最初に、具体的、当面的なもので御質問させていただきますが、きょう林業白書が発表されたわけですけれども、けさほど谷村委員の方から山の問題についていろいろ質問されましたけれども、私も、角度は変えまして、山の問題について具体的な問題について御質問し、御提案をさせていただきたいと思います。  御承知のように、昨年の十七号、十九号台風、特に十九号台風で、全国各地で森林被害が非常に大きく出てきております。極めて深刻な打撃が生じておるというような状況ですけれども、この問題について、林野庁、どのように状況を把握しておられるのか。そして、特に北九州、熊本、大分、このあたり、集中的に被害が出ておりますし、それから私のところの山口、広島、さらに飛んで石川県、秋田県というふうに日本海側が被害が出ておりますけれども、こういうふうな台風被害の復旧対策について、あわせてお尋ねをしたいと思います。
  217. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  昨年の台風十九号等によります林野関係の被害につきましては、四十四都道府県で約二千百五十億円の被害が出ております。このうち、立ち木の倒伏あるいは折損等の森林被害は、三十道府県の民有林で約千二百三十九億円、それから国有林関係で百九十五億円、合わせまして千四百三十四億円と、全体の被害額の約七割を占めるような大きな災害になっているわけでございます。御指摘のございました北九州地区が特にこの被害が激甚でございまして、例えば大分県が五百四億円、それから福岡県が三百九億円、それから石川県が百二十億円、それから熊本県が百二十五億円というような被害が各県で出ているわけでございます。  この復旧対策でございますけれども、梅雨ときを迎えまして二次災害の防止、あるいは国土保全機能の維持回復等の観点から、これを緊急に行うことが重要であるわけでございます。  林野庁といたしましては、被害が特に激甚な大分県、熊本県、福岡県などの諸県につきまして、激甚災害法に基づきます森林災害復旧事業を実施することとし、五カ年間で計画的に復旧することとしているわけでございますが、この的確な実施を期するために、県内あるいは県外からの応援体制、それから通常の伐採の作業から被害木整理の作業への振りかえ、あるいはその作業の効率的な実施をするための大型林業機械の導入促進等の対策を、現地の実態に即しまして講じておりまして、早期復旧に努めているところでございます。
  218. 小川信

    ○小川(信)委員 今おっしゃったような状況ということではありますが、現実、九州の日田を中心とした大林業地域、これは福岡、大分、熊本を含めてですけれども、計画どおりに復旧が進んでいない。これはまず第一が、人手がない。だれでもいいというわけではないということなんですね。九州の日田の例を聞いてみましても、自衛隊の皆さん方が応援に行かれたけれども、普賢岳では相当の威力を発揮されたけれども、森林復旧の、倒れた樹木を伐採し、搬出する、これについてはなかなか自衛隊の皆さん方でも思うようにいかないというような現実、熟練した専門的な森林労働者、これが不足しておるというような状況で、なかなか計画的に進んでいないというようなこともあります。  それから、山口のような地域の被害は、これは御存じかと思いますが、非常に規模が小さいのが各地に散在した形で発生をしておるというようなことです。一番大きいところで、林野面積が二ヘクタール、平均して〇・二ヘクタールですから、二反歩くらいの面積のが各地に散在して発生しておる。そういうようなところで、杉やヒノキを中心に、四十年から五十年の杉、ヒノキが途中で折れるとか根こそぎ倒れるとかいうような被害が出ておるということです。  そういうふうなことなので、計画的に復旧ということをいろいろやられておりますし、また、林業関係者の方々も努力しておられるのですが、一番心配しておる問題は、森林の所有者の方々の意欲の減退というものが非常に起きておるということです。もう今さら復旧経費を負担してまで、無理してまでもとに戻さなくてもいいではないか、在村の方もおられるでしょうけれども、不在村の、そこの地域に住んでおられない方々もおられるわけですね。  そういうふうなことを考えますと、森林所有者が事業主体となって復旧作業を進めるといってもなかなかできないのが現実ではないかと思います。復旧造林とか被害木の整理とか、平成三年から五年かけてやりましょうといっても、所有者である方々、事業主体がもうその気を失っておるというようなところが相当たくさんあるのではないかと思いますが、これに対してどのように御認識されておるか、林野庁の認識を聞かせていただきたいと思います。
  219. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明いたします。  激甚災害法に基づきます森林災害復旧事業対象になりますのは、先ほど冒頭申し上げました被害額の八割を超える部分がカバーできる形になる と思っております。ただ、これの対象にならない地域の被害につきましては一般の造林事業、一般の公共事業で復旧を図っていきたい、こういうことで、指定になった地域、そうでない地域を含めまして今対策を講じているという段階でございます。  先生御指摘のように、今回のような激甚な森林被害は、それまで長年にわたりまして育林投資をしてまいりました森林所有者の努力を無に帰するような形のものでございますので、林業経営意欲の低下が懸念をされるところでございます。  林野庁といたしましては、先ほど申し上げました激甚災害法の適用によります被災森林の早期復旧でありますとか、あるいは森林所有者等の負担を極力軽減するための各種の助成措置、保険制度の活用によります損失の補てん、林業基盤整備資金あるいは農林漁業施設資金等の低い金利の融資制度の活用、それから、被害を受けました立ち木の有効活用、こういった措置を総合的に講じまして、林業経営意欲の低下がもたらされることのないよう努力をしているところでございます。  それから、先生御指摘のございました不在村地主者等で林業経営意欲が低い森林所有者がおるわけでございますが、こうした方々が持っております森林につきましては、公的機関によります分収方式での復旧造林の推進検討いたしたい、このように考えているところでございます。また、復旧後の被害地の下刈りだとか保育という作業が残るわけでありますが、こうした作業あるいは間伐の経費等につきましても、一般公共事業、あるいは間伐促進強化対策、これは非公共事業でございますが、こういったものによりまして助成をいたしまして健全な早期復旧に努めたい、このように考えております。
  220. 小川信

    ○小川(信)委員 お気持ちはよくわかるのですが、山間地域、そして被害を受けた山間地域は、森林保険といいますけれども、現実に山口県なんか二割ぐらいしか加入していないということなんです。これはちょうど青森県のリンゴがほとんど果樹共済に加入していなかったのと同じようなことで、余り実効も上がっていない。それから、分収造林といっても受け手がなければこれはできないし、それから公共事業、間伐でも、森林組合に作業員が既に払底しているというような状況で、被害林の復旧までということになると非常に難しいのではないかと思います。  言うなれば、復旧意欲をなくした森林の所有者の方々の持っておられる森林というのはそのまま放置されて、山自体が荒廃するのではないかということが非常に心配されるわけです。  しかし、被害を受けて放置された森林、山というのはどこかの自治体の地域の中にあるわけです。それも中山間地域というものを抱えた力の弱い自治体とか力の弱い森林組合、そしてそこの住民が結果的にその山を守り、いわゆる管理をしなければ、二次被害、三次被害が出てくる危険性がある。ことしの梅雨をどう乗り切るのか。それから、今からちょうど乾燥期になりますと山火事が発生する時期になりますが、去年倒伏したような既に相当乾燥しておる木がずっとそのまま放置されておるというところに山火事でも発生したら、この対応というのは私は大変だろうと思うのです。消火のために上がる道も、倒伏した木で覆われておるというようなこと等を考えると、今から市町村がこれをどう管理していくかということは大変大事だと思います。  当面昨年の台風災害についての復旧経費に対して特別交付金で対応されたわけですけれども、今からこれをずっと、復旧という形になると思いますが、相当長期間自治体が実質的に管理をしなければならなくなると思いますが、これについて財政的な援助措置というものを考える必要があるのではないかと思いますが、その点、自治省としてお考えはございませんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  221. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 林業の問題につきまして、きょうも実は閣議におきまして農林水産大臣から、林業白書にあわせまして山の復旧ということを非常に強く訴えておられました。私はこの際に、農林水産省なり地元の人たち、あるいはまた地方自治体が山に対する考え方を変えてもらわなければいけないのではないか。要するに、山林というもの、山林業になっておる。地方交付税のいわば測定対象あるいは単位を見ましても、林業に対する投資的経費、それから経常経費、林業として出ている。こういう林業、産業として山を見ておる間は、おっしゃるようなことがどうしてやっていけるかということは、他の産業のものとのえこひいきをつくってまいりますし、またこれが民有林であるか国有林であるかによって違ってくると私は思います。  午前中も、私は自分の考えとしてでございますが、これはもう広く訴えておるのでございますが、なかなかその反応は出てきてもおりませんけれども、私は二つあると思います。一つは、やはり地元で森林組合を中心とした管理育成をする、いわば業としてやる組合を育てていくということが大事だろうと思います。それからもう一つは、山を、森林というものを自分らの地元のものだ、そしてこれが文明をつくってきたものでございますから、山の文明が我々の文明の基礎、原点でございますから、そこをきちっと守る。涵養水源あるいは自然環境だとかそういういろいろな要素がございましょう。災害防止、そういうようなものは地方自治体が関与できるようにしなければいかぬ。  そのためには、意欲のない山林経営者は売ってもらったらいい。高くてはそんなものはとても買えるものじゃございませんが、そこらは指導するか何か措置をして、地方自治体に移管していくべきじゃないか。そのためには自治省も何とかしろとおっしゃるならば、これは公有地拡大の考え方に立ってでもできることだと思うのです。もちろん国有林についても同様の考え方ができる。  そういうおらが村の山だという意識を持ってもらわないと措置しにくい。今の山林業的な考え方だけではこれはなかなかできないんじゃないか。しかし、小川さんがおっしゃるように、現在のまま放置しておけば二次、三次の大きい災害が起こってくると思いますので、これは当事者は一刻も早く急ぐべき対策ではないかと私は横目で見ております。本当はそう感じております。
  222. 小川信

    ○小川(信)委員 大変意を強くする御答弁をいただいたのですが、確かに、交付税を見ますと市町村段階ではその他産業経費の中に林業が入るという、まさにその程度だというようなことで、業としても余りウエートを高く見てない。まして今大臣がおっしゃるような公益的な機能というのもあるんだという位置づけはまだまだ不十分だったと思うのです。きょうはちょうどことしの林業白書が出された日でもあるだけに、特にただいまの大臣の御発言は非常に貴重な発言だと私は思いますし、実は私も、こういうふうに放置されている山林を自治体が買い入れて自治体の責任で管理してもいいんじゃないか。  昔のことを考えると、山というのは地域の公有財産だったという性格が非常に強いんですね。入会権があって利用はみんながする。山そのものの所有というのはみんなのものだという公的な性格があったということを考えると、自治体が買い入れて、そしてきちんと管理をする。これは地域の緑を守ることにもなるし、それから森林が持っている、山が持っている水源涵養の機能とか土砂の流出防止機能とか景観保持機能とか、こういう機能を守るということになって非常に意義のあることではないかと私は思います。せっかくの大臣の御発言、ぜひ実現できるように強く私も要望させていただきたいと思います。     〔委員長退席、福永委員長代理着席〕  とはいいながら、当面たくさんの民有林があります。民有林がきちんと管理されること、このためにはいろいろな施策がありましょうけれども、やはり民有林、山を持っている方々が山に入って山を守りされることが一番大事だと私は思います。そういうような意味から林道をきちんと整備する。いわゆる基幹林道とか大規模林道とかいう のは補助事業でおやりになるでしょうけれども、実際山の中に入っていく道ですね、山道といいますか、これをきちんと整備する、開設する、そして保守管理するというのはやはり自治体の役割になるのじゃないか。  そういうふうなことを考えると、交付税の積算の基準単価の中にも、需要額の中へ、実質市町村が面倒を見るわけですから、もっと思い切ってこの林道の延長、面積とか、林道開設経費とか、こういうふうなものを交付税の中で思い切って見ることが必要じゃないか。実は去年の二月の地方行政委員会で私が質問したときに、林道はわかるけれども公信力がないからなかなか難しいんだという御説明がありましたけれども、林野庁の方でまとめておられる林道の延長なんかでもあるわけですから、まずそこからでもやっていくとか、そして新しく開設するものに対して交付税を見るとか、やり方があるだろうと思いますが、その辺もあわせてもう一つの提案として、ぜひ実現をしていただきたいということで提案をいたしますが、いかがでございましょうか。
  223. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今御指摘のように、これから山林を維持していくためには林道というものの機能が非常に大事であるということは、実は私どもの方もいろいろと山林振興のために現地も最近幾つか見せていただいて、御意見も伺ったのですが、やはり林道、それも今御指摘のように大きな林道から分かれていくいわば作業道と申しますか、そういうものを網の目のようにつくっていくことがこれからの山林を振興するために非常に重要なものだというお話も伺っております。  こういう経費をこれからどういう形で見ていくかということは一つ課題ではないかと思っているわけでございますが、かって過去におきまして、この林道の延長というものを交付税基準財政需要額算定するときの数値に使いましてやったことがあるのでございますけれども、実際にそれぞれの市町村がどこまでそれを管理しているのか、台帳が完備していないというようなことがございまして、実際に補正のために林道の延長を使ってみたところがいろいろな不都合が出てきたということがございまして、かつてやったことを一度やめたわけでございます。今は、やっていないわけでございます。そういう問題意識は今あるのでございますけれども、それをどういう形で維持していくかということも含めてこの問題は検討させていただきたいと考えております。     〔福永委員長代理退席、委員長着席〕
  224. 小川信

    ○小川(信)委員 一応山の問題はこの程度にさせていただきますが、林野庁がおいでのようですが、林道の問題については、やはり林野庁としても、市町村が管理すべき林道はこうだというものをきちんとはっきりするようにしていただくことが、自治省の御努力にこたえることにもなるかと思いますので、よろしくその辺も御努力をいただきたいと思います。  では、次の問題に移ります。  地方単独事業の問題を中心に御質問させていただきたいと思いますが、まず第一に、今政府は、どうも景気が悪くなったということで、景気回復対策として補正予算を組む必要があるのじゃないかとか、所得減税をしたらどうかとか、投資減税も必要ではないかという提案がされておるようなことが新聞紙上にも出てまいっておりますし、現実、景気回復対策検討されておられると思います。  それから、ついこの間ですか、元総理であり大蔵大臣経験された竹下さんが、これは地元での発言でしょうけれども地方議会で地方単独事業の補正を先に決めてしまえ、そして後で国が起債を認めたら相当地方単独事業をやれるじゃないかというような御発言をしておられます。  私は、地方がこういうことをやりたいからおれらはやるよということを地方議会でどんどん決めて、その後追いで国がそれを起債なり交付税で見てくれてどんどんやっていけば、これこそ本当にまさに地方の自主性尊重の地方単独事業になるのだろうと思いますけれども、景気回復対策でそういうような一連の発言がありますけれども、今回の景気回復対策地方自治体がどういう役割を果たさなければならぬのか、また役割を期待されておるのか、それから、景気の減速そのものが地方自治体財政にどのように影響を現実に及ぼすのか、このあたりをどう見ておられるのか、ちょっとまずお聞かせいただきたいと思います。
  225. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方単独事業につきましては、最近におきましては事業の規模も、全体として見ますと国の補助事業をはるかに上回る規模になっております。ちなみに平成年度財政計画を見ましても、補助事業の約五割ぐらい上回ったところで地方単独事業の額が決まっているわけでございまして、恐らくこの規模を地方自治体は確保するのじゃないか、それを上回るところで確保するのじゃないかというふうに見込まれるわけでございます。  そういうことを考えますと、規模的に見ましても、もう国民経済の中で地方単独事業というものの位置づけを無視することができなくなってきているのじゃないか。さらに、地方単独事業というのは三千三百の自治体がすべて事業化するわけでございますから、そういう意味で大企業がやる仕事とは違って、全国的に末端の地域まですべて事業を実施するという意味地域経済に及ぼす影響というものが非常に大きいのではないか、こういう感じがしているわけでございます。  そういうことで今回の財政計画でも一一・五%という高い伸び率を確保させていただいておりますが、これを地方自治体が積極的にやっていただくように機会あるごとにお願いを申し上げまして、その予算を確保してもらったわけでございますが、たしか三月の半ばごろでございますが私の名前で、この地方単独事業地域経済活性化のために機動的に実施していただくように、まず内簡でお願いをいたしました。それからさらに、三月の三十一日には緊急経済対策において国の公共事業等もあわせましてこの事業前倒しを実施していただくということを決めていただいて、それも直ちに官房長の名前で各自治体に積極的な対応をお願いするという文書も差し上げまして、さらに、きょうは公共事業前倒しか正式に閣議決定されましたので、本日付をもちまして事務次官名で、単独事業も含めまして七五%を超える前倒しを上半期にやってほしいということも御通知申し上げました。  そういうことで私どもお願いしておるところでございますが、既に自治体、都道府県限りでございますが、相当の数の都道府県がそういう本日の通知をする前に前倒しについて内部決定をするというところも出てきておりまして、各府県でもこの問題について意欲的に取り組んでいただいているというふうに理解しているわけでございます。
  226. 小川信

    ○小川(信)委員 景気回復対策を講じていかなければ来年度等々地方庄治体の財政、いろいろな影響を及ぼすでしょうけれども平成年度の投資的経費、財政計画によれば七・六%の伸びになっておりますね。これは公共投資基本計画が年率六から七%ということですから、大体その枠の中で伸びてきておるということで計画的な伸びであるだろうと思いますが、その中で今お話しの地方単独事業費は十四兆七千九百七十二億円で、対前年比一一・五%増になっておる。非常に大きい伸びです。私も、景気対策ということを念頭に置かなくても、一割以上の伸びですから、大きい伸びだと思いますが、そして歳出に占めるこの事業の割合が一九・九%、約二〇%ですね。  昭和六十年の一六・六%以降すっと少しずつ伸びてきておるということですけれども地方財政計画の中で、今から先、地方自治の中で自治体のいろいろな事業をやっていく中で、地方単独事業というものの位置づけと役割もあるでしょうけれども、今一九・九%、約二〇%を占めておるこの歳出、適正なところはどのあたりというふうに、またどの程度まで地方単独事業を伸ばしていくというような長期的なお考えをお持ちなのかどうか。結果的にふえてきたのか、計画的に、長期的な計画の中でこの程度、例えば三〇%と、私は三 〇%程度がちょうどいいところじゃないか、限界ではないかというふうに思いますけれども、そのあたり、いかがなものでしょうか。
  227. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方財政計画を策定する段階におきまして、いろいろな経費を積み上げていくわけでございますが、今仰せのように、投資的経費のウエートを最終的に何%に持っていくためにこの伸び率を幾らにするというような、そういうやり方は、実は私どもまだしていないわけでございます。  やはり地方自治体の仕事というものは、ソフト面、ハード面、両面にわたって非常に多岐にわたって仕事をしているものでございますので、投資的経費だけをにらんでやっていくということになりますと、これまたソフト面がなおざりになってしまう。特に教育、福祉、それから、これから出てくる環境の問題とかというような問題は、投資というよりむしろソフト面の経費がかなり大きなウエートを占めてくるのではないかと思いますので、一概に何%が適当かということはなかなか難しいのではないかと思うわけでございます。  ハード面におきましては、今御指摘のような四百三十兆円という公共投資基本計画がございますので、これを十年間でともかくやっていく、やっていくためには地方役割というものが極めて大きいわけでございますから、そういうことを念頭に置きながら、この地方単独事業を含めた地方の投資的経費というものを拡充していかなければならない、こういうことでございます。
  228. 小川信

    ○小川(信)委員 四百三十兆円と公共投資基本計画等々あわせて考えてみると、私が申し上げたあたりが一つの限界といいますか、到達点になってくるのじゃないか。それ以上超えると、今ソフトの面なり他の事業との関係のバランスが崩れてしまうというようなことは私はあるだろうと思いますけれども、そういうふうに際限なく拡大をしていけということではもちろん私もないと思います。必要なものを必要な地方団体が取り組む、そしてそれを取り組みやすい仕組みをつくることが必要だということだろうと思うのですね。  そういう意味で、ことし新規のものとして取り上げられた都市生活環境整備特別対策事業、これがございますが、事業費千五百億円を予定をされておられます。  電線類の地中化問題とか都市環境緑地、駐車場、駐輪場、こういうふうなものが計画の中で挙がっておりますけれども、これは必ずしも景気対策としてやられたのではなくて、快適な都市環境づくりということを前提に計画的におやりになったと思いますが、例えば駐輪場、駐車場を駅前につくるというのは、非常にやりやすい、そう投資的な金額もかからなくて、国鉄事業団の用地をできるだけ安く買って、そこにコンクリートかアスファルトを敷けば駐輪場ができるわけでしょうけれども、電線の地中化の問題、これは電力会社か電電公社、こういうふうなものの電線を、市街地域とか景観保持地域とかいうところを電柱をなくするということでしょうけれども、これは相当大きい公共事業になってくるし、本来電柱を移すのは地方自治体の仕事じゃないはずでしょうけれども、これをあえてやろうということですけれども、こういうふうなものの推進、いわゆる地方団体が必要とする事業か、地方団体が取り組みやすい事業であり仕組みなのかどうかという気が一つするわけです。  それから、もう一つの問題として気になったのは、地方特定道路整備事業地方特定河川の環境整備事業ですね。これは二年間に期間を限定されておられる。それと同時に、これは建設省との関連で、建設省との協議、了解、補助事業一体の中でやるということですけれども、これが年度を限定したような形でやることがどうなのか。もっと長期的な事業化を図る必要があるのではないかというような感じがするわけですけれども、この点、いかがなものでしょうか。
  229. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今年度地方単独事業を円滑に実施するためにいろいろな制度仕組み考えたわけでございますが、そのうちの一つに、今御指摘の電線類の地中化事業というものを取り上げてみたわけでございます。  これは今御指摘のように、従来はどちらかというとこういう事業というのは、電力会社とかあるいは通信関係をやっているいろいろな会社というものが直接事業主体になって、みずからの設備投資という形で行ってきたのが今までのやり方であったと思うわけでございます。  しかし、いろいろと都市の環境整備というものを考えてみた場合には、電線類が地中化されることによって、例えば道路から電柱がなくなる、それは単なる景観がよくなるということではなしに、通行空間がこれによって確保できる、あるいは、電線があるために火災のときの消火活動が非常に支障があったというようなことが聞かれるわけですが、こういうことが、地中化をすることによって消防活動が非常に円滑化されるというようなことを考えますと、この電線類の地中化というものは、単にそれを敷設した企業体の利益で行うというものではなしに、公共性のある効用が発揮されるのではないか、そういう点に着目して、これを自治体の事業として取り上げるということも必要になってきているのではないか、こういう観点から今回この問題について取り組んだわけでございます。  幸い道路管理をしております建設省、それから電力関係を所管しております通産省、それから通信関係を所管しておる郵政省、それぞれ所管官庁が協力いたしまして、自治体がこういうものを実施するに当たってはこれは協力をしながら自治体がやりやすいように、ひとつ御協力しましょう、こういうことでこの制度が仕組まれたわけでございます。  これは、単純に地方団体だけがやろうとしますと、恐らくそういう関係省庁とのいろんな衝突があったと思いますけれども、今回はそういう事前に関係省庁の間で調整をした上で、それから財源措置も決めた上で自治体にやっていただこう、こういうことで今回の制度を仕組んだものでございますので、これは自治体の仕事として、もちろん全部やるということはなかなか難しゅうございますけれども、必要な地域に必要なだけこういうことをやっていただくように自治体にお願い申し上げたいというふうに考えておるところでございます。  それからもう一つの、建設省との間でことし合意いたしました地方特定道路、それから地方特定河川等の環境整備につきましては、これは地方自治体がやはり単独で道路をいろいろ整備しようと思いましても、道路を直接所管している省庁あるいは河川を直接所管している省庁がいろいろな形で道路管理上の問題、河川の管理上の問題でぶつかってまいりますと、単独事業をやりたくても実際にできないというようなこともございます。  そういうことで、今回は補助事業単独事業というものをうまく効果的に組み合わせることによって、地方自治体もどうしてもここのところを早くやりたい、あるいはここのところを公共事業に合わせて河川整備の環境整備をしたい、こういうところをうまく組み合わせて仕事をしていただこうということでこの事業をやったわけでございます。  御指摘のように、これは当面二年度間の事業としてやったものでございますが、これをこの二年間でやめようという気持ちは実は私どももございません。ただ、この二年間を一応やることによってどういう問題点があるか、果たして自治体が希望しているとおりこの単独事業ができたかどうかという問題、こういうものもこの二年間で事務的な問題も含めていろいろ問題点が出てくると思うのでございますが、そういう問題点を洗い直した上で、これを継続する場合に改めるべきものは改めていく、こういうつもりで二年間の措置として今回はお願いをしたものでございます。  これはいろいろ自治体からも評価をいただいておりますので、それ以後もぜひとも継続したいと思いますが、継続するためのむしろ手続なり、あるいは自治体が本当にやりたいところができるか どうか、そういう占用の保証の問題とか、こういうようなものを十分取りつけた上で継続をしたいなということで二年間の暫定措置にしたものでございます。
  230. 小川信

    ○小川(信)委員 非常に新しくつくられた事業で中身、もう一つわからない。ただ表題を見、概要を聞けばすばらしいと思うのですけれども。  若者定着促進等の緊急プロジェクト事業がありますが、これは先ほどから話の出ておる山村地域とか過疎地区とか、いわゆる辺地、離島とか半島とかいうようなところで、若者を定着させるための働く場をつくっていこうやないかということです。確かに結構なんですけれども、具体的に思いどおりにやれるのかどうなのか。結局、何か若者が集まって遊ぶような箱物みたいなものができてはい終わりですというような形で、実際若者がおらないじゃないかというようなことになりそうなんですが、その辺もう一つ突っ込んだ考え方を聞かせていただきたいと思います。
  231. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 過疎地域だとか豪雪地帯だとか離島だとかいうようないわゆるハンディキャップを負った地域というものの中で若者に定住してもらうということは、これは大変な問題でございますから、なかなか一朝一夕に名案がございません、正直申し上げまして。  ただ、これはほうっておけばいよいよだめになってしまう。何とかこれをするためには、私どももそうでございますが、地方自治体みずからがどういうことでその地域を振興して若者を定住させるかということをやはり考えていただかなければならないだろう。そういうためにもこういうシステムをつくってみて、それでどういう形の事業が出てくるかということを私ども正直に言って期待をしているわけでございます。  若者が定住するための産業施設を整備するとか、あるいは若者が楽しめるようなレクリエーション施設を整備するとかと一口に言いましても、それが果たしてどの程度の効果が出てくるということは、これはやってみなきゃわからない点もございまして、これをつくるに当たりましてはそういう意味の議論もしてみたわけでございます。しかし、何もしないでただ議論だけしていても前へ進まない。やはり枠をつくって、それで自治体の人たちにも、そこの住民の人たちにも参加してもらって、いろいろな議論をしてもらって、その中からいい案が出てきたらそれをこういう事業支援をしていく、こういうような気持ちで今回これをやらせていただくことにしたわけでございます。  そういう意味では、ちょっと不謹慎かもしれませんけれども、こういうものをやったらどうか、ああいうものをやったらどうかということをこちらから示すというよりも、むしろふるさと創生のときと同じようにそれぞれの自治体で、一体自分たちの村で若者を定住させるためにはどういうものが必要かということを住民の皆さんの間でよく議論をしていただいて、その上ででき上がったものを支援したい、こんな気持ちでいるわけでございます。
  232. 小川信

    ○小川(信)委員 お話を聞いてみればわかるわけです。ですから、ここにいただいた資料の計画の対象となる事業、こうなってきますと、なかなか大変なんですね。この中にありますように産炭地、中沢先生の地元の夕張のようなところもあるし、それから新潟県の松之山みたいな積雪、豪雪地帯のようなところもこの事業対象になってくるわけですね。  しかし、産炭地と豪雪の僻地とはまた違うわけなんですね。この事業というものはこういう事業対象になりますじゃなくて、計画、例えば一億円出します、これで若者定着のことをおやりなさい、そのうちの七千万円は地方債ですよ、起債ですよ、こういうふうなことがかえっていいんじゃないかというようなことで、対象となる事業でくくることによって勢いがいかなくなって、先ほど申し上げたように地方団体が必要とする事業地方団体が取り組みやすい事業仕組みということが、せっかくのものが外れてしまうのじゃないかというような気がして御質問したのですけれども、具体的な実施の中で、ひとつ御検討をさらにいただければというふうに思っているわけでございます。  次に、先ほどからもお話が出ておりました景気回復対策の緊急経済対策で、予算成立後の公共事業前倒ししようということで通達も出したということでございますけれども自治省地方自治体をどのように御指導されるのか。  地方単独事業、今から計画を立ててやっていく、地方にはそのほか補助事業公共事業もあるでしょうけれども地方単独事業を中心に公共事業を拡大していくということは、それなり地方自治体にとって厚みのある住みよい地域ができるということでいいと私は思いますけれども、景気対策の一環で前倒しをする、さらにこれをふやすということになったときに、地方団体、いわゆる県、市町村が本当に対応する能力があるのかどうかなんです。総定員は絞られておりますし、今度土曜日は休みになってくる。それから、サービス労働はもう絶対だめですよと基準局は厳しく言っておるわけでしょう。時間外勤務手当というのは予算市町村、県はもう枠が縛られておるから、やったらやっただけ出しますよということはないわけです。  現実そういうふうな状況の中で職員を増員せずに、特にこういうふうな公共事業、新しい事業をしていく上には、企画関係の職員も必要でしょうし、それから開発部門を担当する人も必要でしょうし、具体的な設計は、現場の管理監督をする技術職員、こういう者がおってこそやれるわけですけれども、これらについての手配というものをどのように自治省は、指導――前倒し公共事業を拡大していくという中で、これらの問題についてあわせて指導なり、方向づけなりをされなければいけないと思いますが、このあたりいかがでございましょうか。
  233. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方単独事業につきましては、先ほども申し上げましたとおり、地方財政計画でかなりの伸びを確保させてもらいましたので、まずその事業量を確保してもらおうということで、この財政計画を策定した段階で総務部長会議あるいは財政課長会議地方課長会議というようなものを通じまして、この二・五%の伸び率というものを勘案して、積極的に地方単独事業予算化をしてほしいということでお願いを申し上げました。  その結果、都道府県段階での状況が最近出ましたけれども、これは一一・五%を上回る率で予算化が行われたということが判明したわけでございまして、恐らく市町村につきましてもかなり積極的にやっていただいているんじゃないか。そういう意味からいって、全体として二・五%を上回る単独事業予算上は確保できたんじゃないかなという感じがいたしております。  恐らく、予算をそれだけ確保したということは、その段階でそれぞれの自治体においてその人員をどう確保していくかということを当然考えながら予算化をしていただいたというふうに私ども理解しております。人員的な手当てというものは地方財政計画上は今年度はいたしておりませんけれども、この投資的経費につきましては、事業費支弁の職員の給与費というものはそれぞれの投資的経費の中に組み込まれているわけでございますから、事業費がふえればそれに伴う事業費支弁の職員費というものはふえていくわけでございますから、そういう中で一定の整理をしてそれぞれの自治体で対応してくれているのではないかというふうに考えているわけです。  さらに、これを国の景気対策と歩調を合わせていただいて上半期に前倒しをしていただくということで、あらかじめいろいろな御通知を申し上げた結果、各自治体ではこれを七五%を上回る率で対応していこうという団体がもう既に幾つか出てきております。そういう団体もそういう手当てをした上でそういう決定をしていると思いますから、自治体のそれぞれの段階においてそういう体制づくりを含めた前倒しということを当然やって いただいているというふうに考えております。  私どもはそれを踏まえて、今後の財政計画検討するに当たりまして、それぞれの自治体で行いました実績というものを踏まえて、計画と実績が開かないようによく注意をして地方財政計画上措置をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  234. 小川信

    ○小川(信)委員 そうなりますと私が心配なのは、職員増員は、予算的には投資的経費の中でいわゆる時間外勤務手当とかなんとか、人夫賃とかいうような形で入っている、用人費という形で入っているのですけれども、柱になる技術職員とか企画職員は、ちょっとふえたから一、二年来てやってくださいよというものじゃないんですね。そういうふうな人たちは結局労働が過重になってくる、しわが寄ってくるということになってくるだろうと思うのですね。そういうふうな手当てがどうなっているのかということ。  それから、七五%前倒しするということになりますと、理屈からいいますと下期は二五%しかないということですね。そうすると下期を二五%で済ますのか。前期にはっと集中して雇用したような人たちを、下期は用事がないからやめてくださいよ、それから発注した業界にとっても、前期に全部やってください、後期は何もありませんよ、こういうふうな形になったら、地方市町村等が発注する小さな事業というものを受ける小さな土木業者とか建設業者とか、いろいろな関係する民間業界の人、業者の人は非常に混乱するだろうと思うのですね。そういうふうなことまで配慮していただかなければ、私は本当にきめの細かい景気対策のための七五%前倒しにならない。特に地方単独事業ということで市町村が中心になってやっていくということになると責任は市町村にあるわけですから、その辺を考えていただきたい。  本来、地方単独事業というようなものは、それぞれ地方の自治体が独自の計画によって実行される事業であるということ、これは先ほど基本的にそうおっしゃったのです。ですから本来国の景気対策で左右されるようなものではないはずなんです。そういうふうなことを私は思いますけれども、そのあたりいかがなものだろうか、お考え方を聞かしていただきたいと思います。
  235. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 地方単独事業の計画、あるいはどういう事業をやっていくかということは、地方自治体がみずから決めてそれを私ども支援していくという体制でなければいけないと思っております。おっしゃるように、一つ一つの自治体で見ますとそれほど大きな事業でないかもしれませんが、先ほど申し上げましたように全体を合わせますと、地方が行っている国からの補助事業をはるかに上回る事業規模が地方単独事業なわけでございますから、これを国民経済上の見地から全く無視するというわけにはいかないと思うのですね。特に、景気が後退してきているというようなときにはこの地方単独事業というものも協力してもらって、景気浮揚のために一翼を担ってもらうということを考えていただくというのは、地方単独事業がこれからどんどん膨れていくということを考えますと、そういう御協力ということはやはりこれからやっていかなければならないのではないか。しかしその場合には、御調のように職員の体制の問題でございますとか、あるいは地域のそういう建設労働者の確保の問題とか、あるいは建設資材が本当に確保できるのかどうか、いろいろな問題があると思います。  今回の契約の前倒しにおきましても、関係省庁におきまして、そういう資材の問題あるいは建設労働者の問題、こういうようなものもいろいろと検討していただきました結果きょうの閣議決定になったというふうに理解をいたしておりますので、全体的な姿としてはそういう配慮は当然行われているわけでございますが、具体のそれぞれの自治体に行われます仕事について、そこまでの配慮を十分やっていただかなければいろいろ混乱が出てくるということで、それぞれの自治体にもよくその点についてはお願いをしていきたいというふうに考えております。
  236. 小川信

    ○小川(信)委員 私は、地方単独事業というものは地方自治体にとって大きな事業であると同時に、やはり地方自治体の自主性、主体性を発揮する一番中心になる事業だというふうに思いますので、ひとつさらに重視をしていただきたいと思います。  これは嫌みのようなことに聞こえるかもしれませんが、この冊子の中にもありますけれども、これは調査室がつくられたんですけれども地方拠点都市地域整備事業費というのがこの資料に挙がっておりますね。まだ法律はできていないんですけれども、中身は未定という形で挙がっております。これができたときに自治省は法律が成立したら具体的にどのような内容での対応をされるのか、未定という形で挙がっておりますけれども、その内容がわかれば教えてもらいたいと思います。
  237. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 この地方拠点都市整備していく上では、今おっしゃるように国の補助事業を、公共事業を重点的にこういう地域に充当していただくという問題と同時に、やはり地方単独事業というものも相当大幅に拡充していかなければならないだろう、そして都市の基盤というものを整備していく必要があるんじゃないかと思います。  そういう意味から、自治省が持っております政策手段でございます地方債でございますとか地方交付税を有機的に活用することによって、そういうお役に立てるものがかなりあるんじゃないかと思いますので、そういう点について、これから関係部局と御相談をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  238. 小川信

    ○小川(信)委員 平成年度ふるさと創生関連施策という中に挙がっておりましたのでちょっとお聞きしたんですが、今からこのもう一つの法律ができた時点で今おっしゃるようなことをやっていこうというお考え方だと思いますね。そういうことでございますね。  最後に大臣地方単独事業というのは、先ほどからお話しのように地方自治体にとっては非常に大きな、そして自分たちの創意と工夫で無限の可能性のある事業だというふうに私は理解をするし、そして交付税地方債という本当の意味で自主的な、自分たち財源で自由な発想でやれる、こういうふうな事業ですけれども地方自治体の自主性尊重という意味で、この事業というものを私はさらにいい意味で拡大、発展させていかなければいけないというふうに思っておりますけれども大臣のお考えを聞かしていただき、終わりたいと思います。
  239. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まさにおっしゃるとおり、地方の独自性を生かす事業として積極的に取り組んでまいります。
  240. 小川信

    ○小川(信)委員 終わります。
  241. 中島衛

    中島委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 中島衛

    中島委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  243. 中島衛

    中島委員長 次に、連合審査会開会の申し入れに関する件についてお諮りいたします。  ただいま建設委員会において審査中の内閣提出地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案について、建設委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 中島衛

    中島委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、建設委員長と協議の上、追って公報をもってお知 らせすることといたします。  次回は、来る十六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十二分散会