○杉原
政府委員 幾つかお尋ねがございました。
まず第一点は、地価公示の七割程度を目途に
平成六年度評価がえをしようと言っているんだけれども、本当に実行できるのか、
負担の面あるいは
事務手続の面からの御懸念かと思います。
この
平成六年度の評価がえにおきまして評価の均衡化、適正化を図ろうといたしました最大の
目的は、現在の固定資産の評価が
市町村によりまして余りにもばらつきがございます。一部を除きましてまたその水準が極めて低い、こういうことがございますことに対しまして、
固定資産税の評価もいわば公的な評価でございますので、公的な評価制度そのものに対する
国民のやはり不信というものがかなり増幅している、これが土地対策上もいろいろな難点になっているというようなことがあったと思います。評価に対します不信はひいてはやはり
固定資産税そのものに対する不信ということになってまいりますと、
市町村の住民税と並びます最大の根幹税制であります
固定資産税そのものが揺らぐということになりましては大変なことだろうと思っています。したがいまして、まずその
固定資産税の評価、それによりまして
固定資産税そのものに対します住民の信頼を
確保する、それによって
固定資産税制といったものをしっかりしたものにしていきたい、これが最大のねらいでございまして、増税あるいは増収といったものをねらったものではないわけでございます。そういったことで、
平成六年度地価公示といったものを物差しにいたしまして、七割程度に評価をしつつ均衡化、適正化を図るという
方針を立てたわけでございますが、昨年来、
地方団体とも十分な意見交換を交わしてまいりました。
地方団体の方からも、ぜひ全国一律にやってくれといった要望もございまして、そういった点を踏まえまして、このような
基本方針を立てたわけでございます。
それと、先ほど少し御懸念がございましたように、評価そのものを均衡化、適正化するということ自身が眼目でございますので、増税、増収をねらったものではございませんが、この評価の均衡化、適正化に伴いまして税
負担が急激に変動するといったことになりますと、大変住民が不安感を持ちます、納税者が不安を持ちます。そしてまた、それが
市町村の当局といたしましても不安感となってきまして、評価そのものにつきまして本当に均衡化、適正化が図れるだろうかという心配がございますので、これにつきましては、まさに当
委員会の特別決議もございましたように、税
負担につきましては徹底的ないわば配慮を加えるといったことをいたしまして、決して急激な税
負担増といったような不安を抱かないような形をとりたいと思っておりますし、また、その
方針で
地方団体とも十分相談してまいってきておりますので、その面からの不安はないものと思っております。今後とも、十分
市町村とも意見交換を行いながら進めてまいりたいと思っておりますので、評価の均衡化、適正化といったものは十分達成可能であろうと思っております。
それからいま
一つ、
事務的な手続の面で大変ではないだろうか、こういうお尋ねがございました。
地価公示の七割程度といいましても、まさに御指摘ございましたように、地価公示地点数は現在一万七千点ほどしかございません。そのほかに
都道府県の地価
調査などが二万三千点くらいございますので、こういった面ももちろん活用いたしますけれども、さらに標準地、全部で四十万点ぐらいございますので、足らざる部分は
市町村におきまして鑑定評価を求めてまいる必要があるわけでございます。また、ぜひそうしていただきたいということで指導しておりますけれども、従来の評価がえ作業におきましても、
市町村といたしましては、精通者価格といった形で不動産鑑定士を初めといたします精通者に評定を求めてきたということもございます。また、今後、
都道府県の段階で、鑑定評価導入に際しまして、この鑑定士の方々の
地域分担でありますとか作業スケジュールなどにつきましても十分調整を行いながら、いわば組織的、
計画的な取り組みをしてまいりたい、かように
考えております。執行
体制の充実強化についても、
地方団体にお願いしているところでございます。若干
事務手続が増加することはあると思われますけれども、過度なものというふうにはならないものと
考えております。
それから、
負担の
関係で、特に小規模住宅用地を例におとりになりまして、
負担緩和
措置をとるべきである、こういう御意見がございました。
現在も、
固定資産税におきまして、住宅用地につきまして二分の一でありますとか四分の一でありますとかいった
特例措置を講じておりますし、上物の新築住宅につきましても、
一定の条件のもとに二分の一軽減といったような
措置を講じております。先ほど申しましたように、六年度の評価がえの結果、それが直接、税
負担にはね返って大変な税
負担の激変ということになりましてはこれは大変なことでございますので、まさに当
委員会の特別決議もございますし、税制
調査会の答申にも触れておられますように、住宅用地を中心にいたしまして、軽減
措置のさらなる拡充といったものを今後十分
検討してまいりたい、かように
考えております。
ただ、評価がえが実際にスタートいたしますのはことしの七月一日の地価
調査をいわば待ちましてからでございますので、たまたま現在、大都市を中心にしまして実勢価格が下がりつつあるような報告も受けておりますけれども、本当にこの評価がえの結果、どの程度一体評価上昇になるのかということをよく踏まえまして、それによりまして具体的な
負担の調整
措置といったことを、十分また各方面の御意見もお
伺いしながら、
検討してまいりたいと思っております。
したがいまして、この評価がえの結果、ちょっと御指摘ございましたように、
市町村間に大変
財政格差が拡大するのではないだろうか、こういう御懸念がございましたが、まだ具体的な内容が現在未定でございますので、現時点で税収の偏在がより拡大するかどうか定かではございません。ございませんが、いずれにいたしましても、そういったさらなるいわば
財政格差といいますか、それが拡充するといったことのありませんように、そういった点にも十分配慮しながら、
負担の調整
措置につきまして今後適切な対応をしてまいりたい、かように
考えております。