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1992-02-27 第123回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年二月二十七日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 佐藤 敬治君    理事 金子原二郎君 理事 北村 直人君    理事 古賀 一成君 理事 自見庄三郎君    理事 渡辺 省一君 理事 岡田 利春君    理事 中西 績介君 理事 東  順治君       愛野興一郎君    麻生 太郎君       上草 義輝君    古賀  誠君       坂井 隆憲君    坂本 剛二君       鳩山由紀夫君    渡瀬 憲明君       岩田 順介君    緒方 克陽君       中沢 健次君    細谷 治通君       藤原 房雄君    小沢 和秋君       高木 義明君  出席国務大臣         通商産業大臣  渡部 恒三君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君  出席政府委員         通商産業大臣官 内藤 正久君         房長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業省立地 鈴木 英夫君         公害局長         工業技術院総務 横田 捷宏君         部長         資源エネルギー 山本 貞一君         庁長官         資源エネルギー 土居 征夫君         庁石炭部長         労働省職業安定         局高齢障害者 征矢 紀臣君         対策部長  委員外出席者         水産庁研究部漁 吉崎  清君         場保全課長         運輸省鉄道局幹 岩村  敬君         線鉄道課長         建設省道路局国 藤田 忠夫君         道第一課長         自治省財政局調 森元 恒雄君         整室長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十八日  辞任         補欠選任   塚原 俊平君     坂本 剛二君     ――――――――――――― 二月十日  石炭鉱業構造調整推進等石炭対策総合  的な実施のための関係法律整備等に関する法  律案内閣提出第一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭鉱業構造調整推進等石炭対策総合  的な実施のための関係法律整備等に関する法  律案内閣提出第一三号)  石炭対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  石炭対策基本施策について、渡部通商産業大臣及び近藤労働大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。渡部通商産業大臣
  3. 渡部恒三

    渡部国務大臣 第百二十三回国会における石炭対策特別委員会の御審議に先立ちまして、石炭政策に関する私の所信の一端を申し上げます。  我が国石炭鉱業に関しましては、昭和六十二年度以降、第八次石炭政策推進してまいりましたが、関係者の懸命の努力需要業界協力などの結果、おおむね所期の目標に沿って推移してきたものと考えております。しかしながら、国内石炭鉱業は内外炭価格差問題を初めとして、引き続き厳しい環境に直面しております。  このような状況を踏まえ、昨年六月に「今後の石炭政策の在り方」についての石炭鉱業審議会答申をいただいたところでありますが、当省といたしましては、同答申を踏まえ、石炭鉱業の自主的な構造調整努力に対する支援策構造調整に即応した先行的な産炭地域振興対策累積鉱害早期解消へ向けての鉱害対策などの諸対策推進に一層の努力を行ってまいる所存であります。  まず、石炭鉱業構造調整対策については、従来の合理化安定対策に加え、石炭会社等経営多角化・新分野開拓支援し、石炭鉱業構造調整の、円滑な推進を図ってまいります。平成四年度においても、石炭会社等の新分野開拓支援するための融資制度創設など施策拡充を図っております。なお、引き続き、保安確保に万全を期すことは申すまでもありません。  次に、産炭地域振興対策については、八次策影響地域等に対して重点的かつ強力に施策を講ずるべきとの産炭地域振興審議会答申趣旨を踏まえつつ、石炭鉱業審議会でも御指摘がありましたように、石炭鉱業構造調整に即応した先行的な対策を、特に現行稼行炭鉱地域に対して集中的に実施していくことが必要であります。当省といたしましては、関係各省庁・地方公共団体との連絡・協調を従来にも増して密接なものとし、産炭地域振興実施計画実効性確保するよう努力しでまいる所存であります。また、平成四年度においては、産炭地域活性化基金の造成に係る補助制度創設などの施策の充実を図っております。  鉱害対策については、鉱害二法に基づき着実に復旧を進めてきたところでありますが、昨年の石炭鉱業審議会答申趣旨も踏まえて、二法の法期限平成十四年三月三十一日まで延長するほか、復旧促進や中長期的に発生する局所的被害のための対応体制構築等に必要な措置を講じ、累積鉱害早期解消努力してまいる所存であります。  さらに、総合的なエネルギー対策の一環として、海外炭安定供給確保を図るとともに、地球環境問題を踏まえたクリーンコールテクノロジー開発国際協力などを図ってまいる所存であります。  このように、本年度からの新しい石炭政策は、その実施に当たって、諸対策を一体的・総合的に推進することが必要であります。このため、合理化法その他の石炭対策関係八法について、労働。省とも共同で一括して改正延長などを行う法案を今次国会に提出させていただいたところであります。  以上申し上げた施策推進に当たり、委員各位の一層の御支援、御協力を賜りますようお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手
  4. 佐藤敬治

  5. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 衆議院石炭対策特別委員会審議に先立ち、石炭鉱業における当面の労働問題につきまして、一言所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様方の御理解、御協力お願い申し上げます。  我が国石炭鉱業につきましては引き続き非常に厳しい環境もとにありますが、このような中で、第八次石炭政策もと、多数の炭鉱離職者が発生し、現在なお求職活動中の者は約一千四百名という状況になっております。これら未就職者早期就職促進と生活の安定を図るため、炭鉱離職者求職手帳制度の活用による再就職援助施策実施、効果的な職業訓練積極的実施など、各般援護措置を講じ万全を期してきたところでありますが、今後とも再就職促進を図るため、諸施策を強力に推進してまいる所存であります。  また、昨年六月に出された石炭鉱業審議会答申尊重し、労働省といたしましても、石炭鉱業構造調整に即応するため、石炭企業の新分野開拓に伴い、炭鉱労働者が新たな雇用機会に円滑に対応していくことができるよう、炭鉱労働者配置転換職業転換訓練等を行う事業主に対する助成制度創設などの施策を新たに行うこととしております。  このため、引き続き炭鉱離職者に対する再就職援助等対策を講じるとともに、炭鉱労働者雇用の安定を図るための対策を新たに講じることができるよう、炭鉱離職者臨時措置法改正延長を含めた法案を本国会に提出させていただいたところであります。  私は、炭鉱労働者等雇用の安定を図るため、産業政策と密接な連携をとりながら、地方公共団体とも緊密な協力関係を保ちつつ、今後とも全力を挙げてまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  6. 佐藤敬治

    佐藤委員長 次に、平成四年度通商産業省所管及び労働省所管中、石炭関係予算概要について、政府からそれぞれ説明を聴取いたします。資源エネルギー庁土居石炭部長
  7. 土居征夫

    土居政府委員 お手元にお配りいたしました「平成四年度石炭対策関係予算案概要」に基づきまして、通商産業省関係平成四年度石炭関係予算案について御説明申し上げます。  まず、石特会石炭勘定分についてでございますが、事業費総額は一千三十八億円と、昨年度比五・七%、五十六億円の増加となっております。  各項目ごとに見ますと、石炭鉱業構造調整対策費、これは従来の石炭鉱業合理化安定対策費でございますけれども、二百四十八億円、産炭地域振興対策費百十三億円、鉱害対策費四百八十三億円、事務処理費三十三億円、また、労働省所管炭鉱労働者雇用対策費が百六十二億円となっておりまして、基本的には従来からの合理化安定対策鉱害復旧対策炭鉱離職者対策等政策対象の減少に伴いまして横ばいないし減少させておりますが、構造調整支援稼行炭鉱地域への先行的な振興対策等を、答申に基づき従来からの施策に上乗せしたため、新しい石炭政策の初年度は、千三十八億円と、平成三年度を五十六億円上回る事業費額からスタートすることとしております。  以下、主な項目ごとに内容を御説明申し上げます。  一枚めくっていただきまして、第一は、石炭鉱業構造調整対策であります。  平成三年六月の石炭鉱業審議会答申におきましては、構造調整の円滑な実施観点から従来の諸措置について適切な見直しを行いつつ継続する一方、経営多角化、新分野開拓に対する支援が必要であるとの指摘がなされました。これを受けて平成四年度においては、石炭鉱業構造調整対策費として総額二百四十八億円を計上しております。主な新規、拡充施策といたしましては、従来の炭鉱整理促進に係る補助等を再編、拡充いたしまして、石炭鉱業構造調整に係る補助金五十七億円を創設することとしております。  また、石炭勘定以外でありますけれども、NEDO、新エネルギー産業技術総合開発機構出資金の余資を活用いたしまして、海外炭開発を含む石炭企業等の行う経営多角化、新分野開拓事業に対する無利子融資出資制度創設することとしております。  第二は、産炭地域振興対策であります。  八次策影響地域等重点対象地域に加え、現行稼行炭鉱地域に対して、関係道県との十分な連携もと産炭地域振興策構造調整に即応して推進することとしており、各般施策創設拡充を含め、総額百十三億円と、前年度比約四割増の予算を計上いたしております。  一枚めくっていただきまして、鉱害対策であります。  今次通常国会鉱害二法の延長等を盛り込んだ改正法案を提出させていただいたところでありますが、それに伴って新たに策定する鉱害復旧計画の着実な実施を図るための鉱害復旧事業資金補助金四百億円のほか、浅所陥没等についての恒久的処理体制構築を図るための予算創設することとし、総額四百八十三億円の鉱害対策費を計上しております。  炭鉱労働者雇用対策につきましては、後ほど労働省から御説明がございます。  歳出につきましては以上のとおりでございますが、石炭勘定の歳入につきましては、現行石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法延長を行うことにより、石炭対策の財源として引き続き原油等関税を充てることとしており、総額一千四十三億円を計上しております。  最後に、海外炭関連等石炭勘定以外の予算につきまして御説明申し上げます。  まず、海外炭安定供給確保についてでありますが、重要な石油代替エネルギーとしての海外炭安定供給確保我が国エネルギー安定供給上極めて重要であるとの観点から、海外炭探鉱に係る成功払い融資制度創設すること等の措置を盛り込んでおります。  次に、石炭生産利用技術開発等促進につきましては、クリーンコールテクノロジー・センターの創設等を通じた技術開発や国際的なモデル事業実施等により、環境と調和のとれた石炭利用の積極的な推進等を図ることとしております。  また、石炭に関する国際協力につきましては、石炭ボイラー用簡易脱硫装置開発に関する研究協力等予算拡充を行っております。  以上で当省関係石炭関係予算案についての説明を終わらせていただきます。
  8. 佐藤敬治

  9. 征矢紀臣

    征矢政府委員 お手元にお配りしてあります資料に基づきまして、平成四年度石炭勘定労働省所管予算概要について御説明申し上げます。  1の炭鉱離職者就職促進手当につきましては、日額表見直しを行い、最高日額の三・一%の引き上げを行うとともに、これに係る経費といたしまして十八億円を計上いたしております。  2の炭鉱離職者等職業転換特別給付金につきましては、これに係る経費として十億円を計上いたしております。このうち(1)の職業転換給付金につきましては、炭鉱離職者が一年未満で再就職した場合に支給する就業支度金につきまして、就職促進手当日額の百五十日分から百八十日分に増額をいたしております。  (2)の炭鉱労働者雇用安定助成金につきましては、今回新たに設ける制度でございますが、石炭企業等の新分野開拓に伴い炭鉱労働者職業転換訓練等実施する事業主に対しまして、職業転換訓練であれば対象炭鉱労働者賃金の四分の三、配置転換等であれば三分の二の助成を一定期間行うものでございます。これに係る経費といたしまして四億円を計上いたしておるところであります。  なお、1の炭鉱離職者就職促進手当及び2の(1)の職業転換給付金に係る経費は前年度に比べて減額となっておりますが、これはこれまでの閉山・合理化によって発生いたしました炭鉱離職者の再就職促進され、要対策者が減少してきたことによるものでございます。  また、3の炭鉱離職者等援護事業費補助金につきましては、雇用促進事業団の業務として職業訓練等のほか、新たに石炭企業等の新分野開拓に伴う雇用管理援助を行うことといたしており、全体で六億円弱を計上いたしております。  次に、この炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、二十四億円を計上いたしております。施策の面では、緊急就労対策事業から自立、引退する者に対する特例給付金増額を図っております。  5の産炭地域開発就労事業につきましては、その所要額として百二億円を計上いたしております。  以上、予算総額は百六十二億円でございます。
  10. 佐藤敬治

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  11. 北村直人

    北村委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま石炭政策並びに石炭業界における労働問題等につきまして、両大臣から所信をお聞かせをさせていただきましたが、所信に対しまして両大臣に御質疑を申し上げたいと思います。  まず最初に通産大臣に御質問をいたしたいと思いますが、先ほど大臣所信表明の中でも「石炭会社等の新分野開拓支援するための融資制度創設など施策拡充を図っております。なお、引き続き、保安確保に万全を期すことは申すまでもありません。」こう申しておられました。私も、平成三年六月の石炭鉱業審議会答申を踏まえ、みずから合理化、新分野開拓多角経営等に前向きに取り組んでいる石炭会社等につきましては、構造調整最終段階との認識のもと政府の方からも以前にも増して支援をするべきと考えております。また、最終段階だからこそ、なおのこと保安確保には力を入れていただきたいと思いますが、今後の保安対策への取り組み方につきまして、大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま北村先生から大変大事な御質問をちょうだいいたしました。人の命は地球より重いということであります。  石炭鉱山は新たな石炭政策もと構造調整を進めていくことになっておりますけれども、人命尊重生産を行う上での大前提でございます。仮にも鉱山保安対策に緩みが生ずることは、厳に回避しなければなりません。常に保安管理体制整備に努め、保安確保に万全を期す必要があります。  政府としても、従来にも増して災害の発生を未然に防止するため、石炭鉱山に対し適切な監督指導に努めてまいります。また、石炭鉱山の行う保安対策事業に対し、積極的に支援を行っていくほか、国みずから保安技術研究開発を行っていくなど、保安確保については万全を期してまいりたいと存じます。
  13. 北村直人

    北村委員 大臣、ありがとうございました。今、大臣のお言葉のように人の命は地球よりも重たい、大変いい言葉であり、また人命尊重を第一にお考えをいただいていること、確かに承りました。今後よろしくお願いを申し上げます。  次に、石炭会社等支援する施策拡充につきまして、具体的な取り組み方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 土居征夫

    土居政府委員 石炭鉱業審議会におきましては、石炭企業の自主的な構造調整努力、これに対する支援必要性指摘されているところでございまして、先ほど御説明いたしましたように、通産省といたしましても、政策対象生産量等々減少する中で、むしろ予算は大幅に拡充いたしまして、新分野開拓支援のための補助金、あるいはNEDOによります新分野開拓出融資のための新しい制度創設等、大幅な制度拡充を行ったところでございまして、従来の継続をいたします合理化安定対策保安対策に加えまして最大限の支援努力をしようとしておるというところでございます。
  15. 北村直人

    北村委員 ありがとうございます。今、部長の方から御答弁をいただきましたそれぞれの施策拡充につきまして、どうか一つの怠りもなく検討、そして進んでいただきたい、こう思います。  次に、労働大臣にお尋ねをいたします。  石炭会社経営多角化や新分野開拓に伴い、炭鉱労働者職業転換の問題が出てくると思います。転換を円滑に進めるための対策炭鉱労働者雇用の安定を図る上で非常に重要でございます。労働省としてもこの対策には積極的に取り組んでいくべきであると思いますが、労働大臣決意をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 今後の石炭政策基本になりますさきの石炭鉱業審議会答申におきましても、将来の合理化に備え、あらかじめ石炭企業経営多角化、新分野開拓を通じ、雇用対策を講じるよう努めることが極めて重要であると指摘されているところでございます。  労働省といたしましても、この審議会答申尊重し、できるだけ多くの炭鉱労働者の方が石炭鉱業合理化による離職を経ることなく石炭企業経営多角化等による新たな雇用に円滑移行できますように、炭鉱労働者配置転換職業訓練等措置を講ずる事業主に対し、その対象となる炭鉱労働者賃金助成等を行う炭鉱労働者雇用安定助成金創設、さらに職業訓練の積極的な実施等炭鉱労働者職業転換を円滑に進めるための対策を積極的に進めてまいる所存でございまして、そのための炭鉱離職者臨時措置法改正お願いしておるところでございますので、よろしくお願いをいたします。
  17. 北村直人

    北村委員 ありがとうございます。ぜひその決意もと、全身全霊を込めて、ひとつお願いを申し上げます。  次に、産炭地振興対策についてでありますが、石炭鉱業構造調整に即応した先行的な対策を特に現稼行炭鉱地域に対して集中的に講じる必要があるとの石炭鉱業審議会答申指摘を踏まえ、私は稼行炭鉱地域に集中的に実施していくことが必要だと思います。稼行炭鉱地域一つであります釧路市についても、他の稼行炭鉱地域と同様に今後の石炭対策もとで行われる構造調整に即応した企業誘致促進策あるいは地方財政支援策等を先行的かつ重点的に実施する必要があると私は思います。このためには、実は稼行炭鉱地域産炭の六条指定を受けてないところがあるわけであります。私はこういう稼行炭鉱地域に六条指定が必要ではないか、こう思いますが、通産省としてのお考えをお聞かせいただきたい、こう思います。
  18. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地域につきましては、先生御承知のように、六条地域、十条地域、二条地域という区別があるわけでございます。一番政策対象地域として重要度の高い六条地域につきましては各般施策が集中的に講じられているところでございますが、現在、昨年春の稼行炭鉱地域について対策の集中的な実施が必要であるとの答申にもかかわらず、稼行炭鉱地域産炭地域の六条になってない地域がございます。御指摘釧路市、それから福岡県の高田町、大和町、一市二町でございますけれども、これにつきましては、昨年来の予算要求と並行いたしまして、すべてこれを六条地域指定するように関係各省調整を進めてきております。具体的には、現在審議されております予算成立後、四月段階のなるべく早い時期にこういう方向での具体化が実現するように努力してまいりたいというふうに考えております。
  19. 北村直人

    北村委員 大変ありがとうございます。ただいま部長がお話をしたとおり、この一市二町が六条指定を行われてないわけでございます。今の御答弁では、予算が通った四月以降早い時期にこの一市二町を六条指定にするべく努力をしていただいているということでございます。私は、間違いなく春花が咲くころにはこの六条指定がいただける、こう理解をさせていただいてこの質疑を終わらせていただきまして、次に移らせていただきたいと思います。  平成三年六月の石炭鉱業審議会答申においては、九〇年代を国内石炭鉱業構造調整最終段階と位置づけ、「均衡点までは経営多角化・新分野開拓を図りつつ、国内炭生産段階的縮小を図ることが必要である。」旨うたっております。一方で、長期エネルギー需給見通しによりますと、国内での石炭需要は二〇〇〇年においては一億四千二百万トン、これは平成二年度の需要量の二割アップに達すると見込まれております。  これらの指摘を踏まえ、エネルギーセキュリティーの面から、及びまた技術力の保存という観点から、今後国内炭をどのように位置づけていくことにしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  20. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 今の北村先生国内炭の位置づけにつきまして、今言われました昨年の答申でも述べておりまして、一つは、我が国エネルギー全体としてのセキュリティーがさらに確保されつつあること等から、国内炭役割は縮小しつつあるということは言っております。しかしながら、一方では、エネルギーセキュリティー国内炭技術国際的展開のための基盤等考えあわせると、国内炭エネルギー政策上なお積極的に評価されるべき余地も残されていると書いておるところでございます。  私どもといたしましては、こうした指摘を踏まえまして、国内炭鉱における石炭技術につきまして、平成四年度予算案におきまして新たに、生産能率向上あるいはコストの低減を図るための技術開発予算を計上しておりまして、このような施策を通じまして国内炭鉱における技術力向上に対して支援を図ってまいりたいと思っておる次第でございます。
  21. 北村直人

    北村委員 ありがとうございます。  次に、近年、酸性雨による森林の破壊など地球環境問題が世界各地で顕在化しつつありますが、こうした地球環境保護問題については、今後、我が国を含め国際的に取り組んでいくことが必要と考えられます。そこで、石炭利用に際しての二酸化硫黄等排出削減に向け、世界的にもすぐれた技術を有する我が国として、国際協力に対しての具体的な対応のあり方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  22. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 石炭を利用するに際しまして、確かに地球環境への影響という問題が懸念されるところであります。ただ、やはりその経済性あるいは供給安定性という有利な面から、今後とも、我が国だけではなくて、さらに発展途上国等において重要なエネルギー源として役割を果たしていくと考えております。  我が国は、先生もおっしゃいましたが、地球環境問題に対応した石炭利用を図るために世界的にも非常に高い水準のクリーンコール・ユースをもう既に達成しております。今後さらに地球環境問題等にも対応しつつ石炭利用の円滑な推進を図るためには、さらに、排煙処理とか熱効率向上といったような技術開発推進していきたいと思っておるところでございます。  地球環境問題については、さらに、国際的な対応というものが非常に重要でございますので、国際的な協力の枠組みの中で各種の協力事業を実施していこうと考えております。具体的には、一つは、発展途上国に対してでございますが、まず、比較的簡便でかつ安価な石炭利用に係る環境対策を講ずることができるように、石炭ボイラー用の簡易脱硫装置の開発の研究をインドネシアにおいて協力して平成二年度から実施しております。それから、平成四年度からは新たに、石炭開発から利用に至る総合的な石炭利用システムの導入の可能性調査を中国等を中心に実施することとしております。  また、先進国等に関しましては、一つは、IEAにおける石炭利用技術プロジェクトヘの参加を通じまして先進国との国際協力実施しておりますし、それから二つには、平成四年度から新たに、NEDOクリーンコールテクノロジー・センターを創設することにしております。こうした関連機関を活用しまして、各国の石炭関係研究機関との情報交換とか、あるいはセミナー、シンポジウムの開催とか、あるいは国際的な研究動向調査などを実施していこうと考えておるところでございます。
  23. 北村直人

    北村委員 おりがとうございました。  予定した質問は一応これまででございますけれども、この後は、これはお答えは結構でございますが、この石炭対策について先ほど大臣から、保安確保はもう一番重要である、こういうお話をいただきました。石炭を今実際に掘っているところはだんだん少なくなってくる、そして、その炭鉱の穴で使っているいろいろな器具については特に防爆装置をつけているわけであります。火が一番恐ろしいということで、ライト一つにしても、スイッチ一つにしてもそういういろいろな防爆装置があるわけであります。ところが、そういう子会社というのは、だんだん数が使われなくなってきて少なくなってくる、そうすると、そういう子会社は会社の維持ができなくなってそれをつくらなくなってくる。そうすると、今現在石炭を掘っているところがその会社でまたつくらなければならない。いろいろな問題が実は出てくるわけであります。この保安、安全については本当に、もう言葉ではなくいろいろな施策で、ぜひいろいろな項目で施策を講じていただきたいな、こうお願いをする次第でございます。  そしてまた、今まで残念なことに閉山をしたところ、あるいはポスト八次の中で閉山を余儀なくされるところ、さらに今、釧路市太平洋炭礦のようにこれからも石炭を掘っていくであろう炭鉱について、まある炭を掘り尽くした後のこの坑道をどう利用していくかということがある意味では大きな意義があるのではないかな、こう思います。  鉱山関係ではその穴の使い方についていろいろな前向きの姿勢をとってきております。例えば、私が地元に帰りまして石炭関係の方々といろいろなお話をしましたら、今公害問題で産業廃棄物がいろいろ大変な問題になっている、それじゃうちの穴にきちっとコンクリートで埋めて、そういうところに廃棄をしていったらどうだろうかというふうな問題があったり、あるいは今医療の問題で、病院で使われて廃棄ができない注射針だとかいろいろなものをきちっと二次汚染しないような形でコンクリートでして、それを閉山したそういう穴に保管をするだとか、そういうようなことに使っていくということはどうだろうか。いろいろなことを実は炭鉱で働いている若い方々は考えておられます。ひとつそんなことも、いろいろ法律的なこと、制約があると思いますけれども、ぜひ今後この会社が生き延びていく一ところが、会社が民間企業としてはそれではなかなか経営が成り立たないであろう。そうすると、国の方はどういう援助をしてやればそういうことに乗っていけるのか、こんなことをぜひ考えていただきたい。  それからもう一つ、夢のような話であります。北方四島がそのうちに返ってくるだろう。宇宙には鉱山を探す人工衛星が上がったようであります。いろいろな歴史的な文書には、あの北方四島の海域には大変な鉱山がある、こう言われている。それじゃ、日本側の根室の方から国後に向かって石炭を掘っていったらどうだ。掘っていったら、掘っていった後にちょうどトンネルが残った、橋をかけるよりも立派な道がつくのではないか、こんなような突拍子もないような話をする方もおいでになりました。  私は、決して笑い話ではないな、日本の今の石炭を掘っていく技術、国際的に最高な技術を持っている日本、あるいは青函トンネルを掘った技術、いろいろなことを考えていったときに、もし鉱山、金脈であろうが石炭であろうがそういうものがあるのであれば、北方四島に向かって掘っていけるというのもまた大きな夢ではないかな、実はこんなことを考えて、石炭に取り組んでおられる若い人力と、ポスト八次策で決して終わるわけではない、国はいろいろな政策を考えている、そして我々もそのことを考えていこう、先ほど言った産業廃棄物の問題等々にしても生きていく道は幾らでもあるじゃないか、そして国家国民に貢献できる道というのはたくさんある、こういうことを話をしているところでございます。  ぜひそういうことにも目を向けていただきながら、後ろ向きの石炭政策ではなくて前向きの石炭政策に向かって国の予算を使っていただくのであれば、国民はそのことに税金をたくさん使ってもらうことは何ら疑問を持たないのではないか、私はこのように思うわけでございます。  質疑を終わるに当たりまして私の考えていることの一端を、ひとり言だということでお聞きをしていただいて結構でございますが、そのようなことを申し述べさせていただきまして、少し早いようでございますけれども、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  24. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これにて北村直人君の質疑は終わりました。  続いて、中西績介君。
  25. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、新石炭政策実施に向けて八本の一括法案を提出され、さらにきょう通産大臣並びに労働大臣所信表明をお聞きいたしまして、問題点について列挙しながら質問を申し上げたいと思っています。  一つは、この新石炭政策実施に当たりまして、通産大臣所信表明の中にも明らかになっておりますように、諸対策を一体的、総合的に推進したい、そのために合理化法その他石炭対策関係八法について、労働省とともに共同、一括して改正延長を行う法案を提出をした、こういうふうにございます。  私は、まずこれで疑問に思うのは、八法案一括すれば総合的に推進できるかどうかということです。ただ、形式上の問題にしか私はとらえることはできません。なぜなら、もともと私たちは、一体的、総合的に政策は立案、計画をして推進さるべきだということを主張してまいりましたし、例を挙げますと、産炭地域振興対策一つを取り上げてみましても、この目的が鉱工業の発展ということをうたっていますけれども、これには道路、鉄道などを初めとする交通網あるいは教育、文化政策、さらに福祉対策などを含めて総合的な対策がなければ産炭地振興はできないんだということを私たち主張してまいりました。しかし、従前からこの論議はいたしましたけれども、十年前も随分な時間をかけたけれども、とうとうこれは取り入れることができませんでした。  あるいは鉱害復旧考えてみましても、公共団体のいろいろな建物を初めといたしまして、これまた交通網の体系あるいは産業基盤整備あるいは農業などを含みまして、この中にはいろいろな問題があります。総合的な鉱害復旧対策というのが今まではほとんどなされなかったという欠陥があります。虫食い状況でやってきたということです。  さらにまた、合理化法については、構造的に新分野への転換などと言っておりますけれども、この問題だってやはり同じように、今まで、例えば八次策を考えてみた場合に、五山が閉山をいたしました。そのときに新しく経営改善あるいは新分野に向けての発展というものは余りなかった。  ですから、今度はそうした反省の上か何か知りませんけれども、新しい法律改正、合わせまして八本一緒にすることによってこのように一体的、総合的に推進するということを改めてうたってあるのだけれども、果たしてこうしたことができるだろうかということを私は大変危惧をいたしています。  それとあわせて、大体八法案一括束ね法案とすること自体は、私たち院の方針からいたしましても、行政が提出をする法案として近ごろこうした束ね法案が多くなってきたという傾向があるわけです。この点はやはり国会を軽視する、こうした感覚で私たちは今までとらえてきたわけであります。そうしたことからいたしまして、このような物の言い方でもって石炭問題が大きく前進をするなどということを私たちは考えることはできませんので、この一括束ね法案を提出すること自体問題があるということを指摘しておきたいと思います。これはもう答弁要りません。  いずれにしましても、この点は、私たちが今まで主張し続けてきたことは取り入れられずに、今度はこれを全部十年間で終結をするという、こうした下心があってこういう言葉を使い始めたのじゃないか、こうした危惧を私は持っております。したがって、これから後の論議の過程で、いやそうじゃないということを立証していただければと思っています。  それでは次に、所信表明を順を追って質問を申し上げたいと思います。  一つは、石鉱害答申に沿って、構造調整対策は、合理化安定策、これに加えて経営多角化、新分野開拓支援ということになっています。経営多角化については促進のための補助金をつけるし、あるいは開拓のための促進補助金等、さらにまた支援のための融資制度創設などたくさんついてきていますね。このことは私は認めます。  ただ、ここで私がお聞きしたいのは、現在までの八次策を見ましても、石炭企業のあり方は、この五年間で全くと言ってよいほど首切りだけが先行いたしまして、雇用創出が企業の側によってされたという内容は余りありません。ですから私は、こうしたことができる自信があるかどうかをお聞きしたいと思うのです。なぜなら、「石炭各社の構造調整についての基本考え方」というのが出されていまして、これを見ましても今までと余り変わらぬです。特に海外炭開発だとか、あるいは海外炭事業を初めとしあるいは販売、こういうことにはうんと力を入れるらしいけれども、ほかのところはこの文章を読んでみても従来と余り変わってないということからすると、こうした効果があらわれるかどうか、その自信があるかどうかということをひとつ私はお聞きをしたいと思います。
  26. 土居征夫

    土居政府委員 八次策における石炭会社努力不足といいますか、雇用面での先行対策が十分ではなかったのではないかというお話でございますが、これにつきまして、各社が全く努力しなかったということではなくて、それ相応の努力をしているわけでございます。今先生指摘ありましたように、ポスト八次策、新しい石炭政策もとでは、石炭会社も過去の反省に立ってさらに一層の努力をするということで、特に構造調整につきましては、事前の新分野開拓あるいは事前の地域対策雇用対策、こういったものに努力をしていくということを、石炭鉱業審議会の場でも労使一体としてやっていくのだという宣明をいたしておりまして、そういう努力支援するということで、今回の新しい予算措置、新政策ということでお願いしているわけでございます。  これについていろいろと昨年来、各社が具体的に考えておることもだんだんと明らかになりつつあるわけでございますが、それについて、特に海外炭以外については余り新味がないじゃないかというお話でございますけれども、我々はそうは思っておりませんで、相当の決意を持った新しい事業が産炭地域でなされるという、そういう雰囲気を感じておりまして、例えば先ほど北村先生からお話がありましたような、ああいう、例えば廃棄物問題等も含めた第三セクターへの取り組みとか、いろいろな新しい取り組みが地域において石炭関係者、地元の人々との間で今生まれつつあるというふうに見ておりまして、これを最大限の努力支援していきたいということでございます。
  27. 中西績介

    ○中西(績)委員 少なくとも、新しい分野に進出をする、あるいは経営多角化等考えてみた場合、景気のよいときにやらずして、景気が後退期に入ったときにやろうといったって、私は大変困難だろうと思うのですよ。そういう気持ちがあるなら、石炭鉱業、従前からもうけにもうけて、そしてそれを今度他の分野に随分投資をしたはずなんですね。ですから、そういうところでグループ組織で全部支えて、そうした体制を従来からつくってくればよかったけれども、そのことは、もうけたらほかの方に投資してしまって、今度悪いときには悪いといって逼塞してしまうという状況に今まであったわけですから、ここをどう突破するかということはこれから大きな課題ですね。特に、景気が悪くなるときに果たして投資ができるかどうかという、こうした多くの問題を抱えておると私は思う。したがって、この点、土居さんの方からうんと強い決意でやっておるようなことを今お聞きしましたけれども、より具体的な内容を聞かなければ、私たちはそれをうのみにすることはできない、こう考えざるを得ないわけであります。  したがって、この情勢がどう転んでいくかという中で、ぜひこの点についての追跡を私はしていきたいと思いますけれども、従来のような資本の側の態度では到底できないだろう、私はこう言わざるを得ないわけですから、この点ひとつ十分、まあ監視はできぬと思いますから、ぜひひとつこれを督促するという、これだけはやっておいていただきたいと思います。  それから二つ目の問題ですが、産炭地域振興対策の問題です。これは、産振の審議会答申におきまして、八次策影響地域を重点に強力施策をやっていくということが明らかにされています。それと同時に、構造調整による先行対策といたしまして、現行稼行炭鉱地域を集中的にやるということがこの中にも明らかにされています。  そこで私がお聞きしたいのは、特に今までの産炭地域問題を考えたときに、例えば資本の側の問題を一つ例に挙げますと、産炭地域の町の真ん中にどかっと座っているのは何かといえばボタ山ですよ。それは、第一、第二、第三抵当まで入って、地方自治体がこれをなかなか入手することができない、土地取得ができない、抵当権の設定があって邪魔になる、こうしたことで、今まで産炭地の振興対策にとって一番大きな問題にこのボタ山対策はなってきておりました。  こうしたことに対。して、もうけにもうけたのですから、少なくとも土地ぐらいは自治体に原価でいいわけですからどんどん払い下げるぐらいしなければならぬのに、していません。ほとんどしていません。あるところがやったというので見ますと、必ず出てくるのは何かといったら、その中をどっかと道路を通させる、あるいは周辺道路を通させることによってその土地の値段を上げさせて、結局持てる資産を拡大するということしか今までやっていないのです。これが石炭産業の実態でしょう。  ですから私は、そうしたことを考えていったならば、今ここに掲げられておる、集中的にやると言われておりますけれども、県知事から出されました実施計画の実効性確保するということにこれはなっておりますけれども、そうした問題等を含めて、果たして実効性があるのかどうか、今まで乏しかっただけにこのことを指摘したいと思います。したがって、今申し上げたようなこととあわせて、どこに問題があったのか、なぜ実行できなかったかを分析されておるならお聞かせいただきたいと思います。
  28. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地域の振興対策については、総体といたしますと実効は非常に上がってきたわけでございますけれども、地域においてはなかなか実効が上がってきていなかったということで、さらにその実効性確保するということで大臣所信表明に触れているところでございます。  具体的にこれまでどこが実効が上がらなかったのかというお話でございますけれども、特にここで申し上げているのは、計画に従来のりましたものにつきまして必ずしも実現がしていない、あるいは実現がおくれておる事項が多い。特に産炭地域対策の中では、これは産炭地域振興審議会答申でも言われておりますが、上物の工場の進出とか産業の育成ということも重要だけれども、それ以上にそのベースになっているインフラの整備が必要だ。道路の整備なり鉄道の整備なり、こういった産業基盤の整備が必要なわけでございますが、関係各省が縦割り機構になっておりますので、これを連絡調整体制をとりながら今度の実施計画ということで取りまとめさせていただいているわけでございますけれども、そういったそれぞれの具体的な公共事業関係の各省ごとの実施計画と産炭地域の計画との調整の問題で十分計画どおり実施してこなかったところがある、こういう反省を踏まえまして、そういった点についてはさらに一層努力していく、そういう所信表明になっておる次第であるというふうに考えております。
  29. 中西績介

    ○中西(績)委員 今たまたま言われましたが、産業基盤整備におくれがあるとか、いろいろ反省がなされて審議会審議されたと言われておりますけれども、先ほども私が指摘いたしましたように、交通政策、ここが大変なおくれをとっておるということ、あるいはこの地域における失業者の多さからいたしましても、福祉対策なり住民のそうした精神的なものをどう高めていくかということなしにその地域向上はないわけです。ですから、目的の中に私たちはそうした問題まで含めて入れるべきだということを随分主張したけれども、これが今までなかなか取り入れられなかった。  昨年の産炭地振興法の中におきましてもぜひ教育、文化あたりを入れるべきだということを主張いたしましたけれども、あの項目の中にある、教育というところにこれは入っているのだというようなことを――だから少なくともやはり目的としてこうしたものを明確にすべきではないかということを我々は今後も考えないと、ただ、さっき言われるように、教育ということがあれば補助金との関係になるわけでありますから、例えば外屋がどうだこうだというときに、これが補助金として引き入れられるだけになってくるわけですから、そのほかの面をこれからどう重要視するかということが大変重要になってくるわけであります。したがって、こうした点についてもう少し細かい配慮をしておくことが今極めて重要ではないかと私は思っています。  そこで、私は例をたまたま部長の方から言われましたインフラ問題、道路について挙げてみたい。  私は筑豊出身ですから筑豊地区の国道一つ考えてみましても、問題になっている道路は国道二百号、二百一号、二百十一号、三百二十二号とあります。特に、私のすぐ近くにありますから三百二十二号の例をとってみますと、十年前、私たちが産炭地振興法を論議する際に、この三百二十二号線における予算は十年の延長なのに一億数千万円で、その後の状態でいくと百年かかる予算でしかなかったのですね。建設省に相談をし、そして指摘をしながら話をする中から、ようやく十年に近いものという形で予算づけをしましたけれども、結果はやはり依然として残っています。  そこで私はお聞きしますけれども、各省庁の連絡が今まで十分でなかったということも一つの大きな欠陥であったと思うのですね。縦割り行政で全く進まなかったということ。今回の場合は、こうした、今挙げました建設省との連絡は十分とっていますか。
  30. 土居征夫

    土居政府委員 今回の産炭地域振興実施計画につきましては、昨年の法律改正によりまして従来と制度が変わりまして、原案を道県知事が作成するということで、その道県知事が作成する段階で各市町村長等の意見を十分聞いて、地元で練りに練った案を出していただく。その過程では各地域におきます国の出先機関との調整等も始まっておりまして、原案段階から国の関係各省との調整が始まっておったわけでございますが、そういった道県の原案をいただきましてから関係各省庁連絡会も三回開きまして、個別にも何度も折衝をいたしまして関係各省との意見のすり合わせをやる。それは通産省と各省とやるだけではなくて、さらに道県も市町村もまじって、例えば斜めの形で今回の実施計画については調整が進んだというのが実態でございまして、従来以上に関係各省とのそういう意見のすり合わせが進んだというふうに理解しております。
  31. 中西績介

    ○中西(績)委員 進んでおれば私は安心をするのですけれども、そこで建設省、おいでですか。  特に私が今申し上げたような各国道における状況というのは、部長答弁されましたように、縦横斜めに連絡をとってやっておるということであれば、建設省とも十分な御連絡をいただいておると思うのですけれども、いかがですか。
  32. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 お答えします。  このたびの産炭地域振興実施計画につきまして通産省から協議を十分受けておりまして、適切な連絡調整を図ってまいっております。  建設省としましても、産炭地域の振興はインフラの整備が極めて重要である、その中でも道路の整備が非常に重要であるということは十分認識しておりまして、今後ともこの連絡調整を図りながら道路整備を計画的に推進してまいりたいと考えております。
  33. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は筑豊の田川というところなんですけれども、福岡経済圏からいいますと、福岡から二つ峠を越えるのです。北九州の経済圏からいいますと、これまた峠を越えてのいわゆる盆地になっている内陸部なんです。ですから、この筑豊地区におきましても最もおくれるのは内陸部周辺がおくれていくということにならざるを得ないわけです。  ところが、例を田川にとって大変恐縮なんですけれども、田川の中におけるバイパスなりなんなりは、盆地の中におけるバイパスはできているのです。四車線になっているのです。ところが、今度出口になると、全部それが二車線です。しかも、甚だしいところでは、三百二十二号線なんかの場合には、北九州に峠を越えて入ったところなどは十トン車の離合ができないのですよ。そういう現状なんですね。だから、私は国会に出させていただいてからこのことは言い続けてきているけれども、全然手をかけぬわけですね。これは今まで産炭地振興法がありながら全く形骸化しておったとしか言いようがないのです。これは建設省にも要請をするし、さらにこうした機会があるたびごとに問題として提起をしてきたつもりです。ですから、これを一つの契機にいたしまして、ようやく実施計画案なるものが昨年十二月に出まして、そして今お答えいただいたように、それぞれが十分な御連絡をいただいて、そしてこの実地計画案に沿った産炭地振興を目指すということを言っておりますから、ぜひこれから後それに間違いのないように進めていただきたいと思うわけです。  ただ、私がここでもう一つ質問をしなければならぬのは、今度の産炭地振興法という法律はあと残りは九年ですね。ということになってまいりますと、九年内に恐らくこの法律が再度十年の延長などというのは大変困難な状況じゃないか、こう私も予測をします。そこで、振興策のためには少なくとも五年以内に道路網の整備は終える、こうした体制をとっていただかないと、今までのような伸び率でいったのではまた十年を超えてしまうという結果にしかなりません。したがって、一般対策と同じレベルでの物の発想でなしに、特別に措置をする、こうしたことをお考えいただかなくてはなりません。これはどちらか先に答弁いただきたいと思うのですが、建設省から先にいただきましょうか。
  34. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 お答えします。  ただいまこの筑豊地域の国道あるいはその他の道路網につきまして五年以内にというお話でございましたが、この地域は用地買収、道路というのは用地買収しながら工事を進めるというようなことで、まず用地買収が前提になってくるわけでございます。そういうことで考えてみますと、全国の道路どこを見ましても五年以内でできるということはなかなか現実的に難しいわけでございまして、現在進めておりますところも以前からやっておりますが、まだ用地買収も済んでないところもございます。そういうことで、これからも鋭意努力してまいる所存でございますが、地元の御協力を得ながら、できるだけ早く整備ができるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  35. 土居征夫

    土居政府委員 石炭対策、特に産炭地域振興対策につきましては、先生指摘のように、特にこれからの前半の五年間、これに対策を集中すべきだということは、石炭対策全体としてもそうでございますし、それから産炭地域対策としてもそのとおりでございまして、基本的にはそういう方向で通産省としても関係各省と相談をしてまいりたいと思っておりますし、かつ、今回の実施計画の主体であります福岡県、これも非常に、今の道路計画あるいは鉄道網の整備計画については相当の決意を持って取り組むというふうに聞いておりますので、福岡県とも十分協力していきたいというふうに考えております。
  36. 中西績介

    ○中西(績)委員 お二方の答弁、特に建設省におかれましては、全国的な今までの傾向からしまして、用地買収等を考えますと大変な事業だと思いますけれども、やはり地域の、県はもちろん関係市町村の協力をどう得るかという場合の施策として、従来よりもこれだけの熱意、決意をしてやっておるということを示していただくのはやはり予算の箇所づけになってくるんですね。そして、一応の目指す年限が、これだけ額をつければ大体の年限内でという一応の目安が立つわけですから、それを外すと今度はもう大変困難になりますよということで、地域の、今言われました地元の協力を何としてもそこに集中させるためにも、そのような皆さんの決意と腹が見えぬとなかなかだと思うんですよ。空鉄砲ではもうどうすることもできぬわけですから、この点をひとつ十分考えていただいて、重点的にやはりやっていただくということを私は強調したいと思うんですね。重点的にやるかどうかというのがやはり一つの問題ですから、この点どうですか。
  37. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 この筑豊地域の道路網につきましては、従来から直轄でも直方バイパスとかそれから飯塚バイパスとか、そういうことで工区を絞って重点的に実施しております。補助の方も呼野工区その他たくさんございますが、重点的に事業を絞ってやっておるということで、まんべんなくやっておるわけではございませんので、なおかつ地元の皆さんの御協力という意味では、直轄の方では国庫債務負担行為による用地買収ということでこれを平成元年と二年につけまして、県の多分公社だと思いますが、御協力も得ながら、言ってみれば直轄だけじゃなくて県のお力もかりながら事業を実施しているというような形で事業を進めさせていただいております。  なお、産炭地域の振興は非常に重要なことだと思っておりますので、我々も今後も鋭意力を入れて事業を進めてまいりたいと思っておりますので、あわせて申し上げさせていただきます。
  38. 中西績介

    ○中西(績)委員 ぜひこれから後も、昨年の箇所づけ等においても相当の伸び率を示したことは十分承知の上で申し上げておりますので、継続してやっていただきたいと思います。  そこで、次に鉱害問題に移りたいんですけれども、時間が制約されますので、これはまた法案のときに詳しくは指摘をしながら論議をしてみたいと思います。  次に、エネルギー政策としての新石炭政策の展開について、所信表明が出ておりますから、この点についてお聞きをしたいと思います。  産業構造調整政策としての石炭政策というのは、どうもあの右鉱害答申等から判断をいたしますと最終段階を迎えるのではないか、さらにまた、先ほど例にとりました各社の基本的な考え方等からいたしましてもそうした傾向が見受けられるわけでありますけれども、この点はどうなんですか、もう最終段階ということになるんですか。
  39. 土居征夫

    土居政府委員 石炭鉱業審議会答申にもありますように、石炭政策については、エネルギー政策の角度それから産業構造調整政策の角度それから地域振興対策の角度からレビューをされておりまして、産業構造調整政策ということでは、これはエネルギー革命が始まりました昭和三十年代以降、石炭産業は構造調整の過程にあるわけでございますが、そういった要するに環境に対しての適応を迫られているという意味での構造調整対策につきましては、これは石炭企業経営者、石炭協会の会長が石炭鉱業審議会の場でも申しましたように、労使一体としてこの九〇年代にこういう環境に対してどう適応するかという最終決着をつけたい、そういうことを申しておりまして、それを受けた答申になって、いわゆる構造調整という、そういう環境に対する適応対策はこの十年間が最後、そういう位置づけになっておるわけでございます。  エネルギー政策としての石炭政策が今後とも続くことは当然でございます。
  40. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、このエネルギー政策の中における石炭政策、特に海外炭確保ということに重点を置いて移行していく、このことを今指したのではないかと思います。したがって、先ほどから申し上げておる各社の基本政策の中にそうしたものが中心に据わっておるし、従来からのあれも余り変わっておりませんけれども、出てきておる。そこで、安定供給確保ということになってまいりますと、少なくともこの実態等からいたしましても私たちが指摘しなくてはならぬのは、海外炭ということになってまいりますと、国内における今までの高度の技術なりあるいは保安の問題等を含めましてどのようにこれから生かしていけるのか。そして同時に、今度は十年間で微増の傾向ですから、三千万トン増の供給体制をとっていかなくちゃならぬと思いますけれども、これから後、海外炭、今豪州だとかあるいはアメリカだとかカナダだとか、こういうところを中心にしておるんですけれども、そのほかのところをどこを目指していくか、こうした点についての考え方はあるんですか。
  41. 土居征夫

    土居政府委員 海外炭安定供給確保につきましては、今御指摘がありましたように豪州、アメリカ、カナダ、南ア、こういったところが現在の輸入国の大宗でございます。これらにつきましては、資源が非常に多く賦存しておりまして、今後とも供給増の中では大きな比重を占めていくというふうに考えておりまして、これから伸びる増分についても相当部分はこれらの国から調達できるというふうに考えておりますが、それ以外にも例えば中国あるいはインドネシアその他関係諸国につきましては、現実にも具体的に開発の動きもございますし、これから十年の間に供給源を多元化していく先として供給先がふえていくということも予想しております。
  42. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、クリーンコールテクノロジー開発が日本の場合には世界でも最先端を行っておるのじゃないかと言われております。さらに、私は、新技術開発とあわせて地球規模での国際協力をこれから進めていかなくちゃならぬだろう。特に、石炭需給の安定化と地球的規模の環境問題解決にどう貢献するかということが今私たちに課せられた大きな課題でもないだろうか、こう考えます。今、自衛隊派遣だけが何か貢献だというふうにとられやすいような論議がされていますけれども、そうでなしに、私はこうした環境ということを考えれば、これはもうまさに国境はないわけですから。  特に感じますのは、私九州ですから、春先になりますと黄砂が飛んでまいります。そうすると、もう一キロ、五百メーターぐらい先になりますと見えなくなっちゃう。それくらいに真っ黄色く小さな微粉、砂が飛んでまいります。特に去年の場合は多く見受けられました。ですから、例えば隣の中国がこれからますます産業発展いたしますと、持っておる石炭あるいは石油をどんどんたき始め、エネルギー消費量が増大してまいります。そうすると、必ずと言っていいほど、この処理をするだけの財政力はないということで、恐らく日本がその被害を最も受ける立場に立つのじゃないか、こう考えます。今でも、福岡の近くの背振山というのがございますけれども、その七合目ぐらいにあるモミの木の群生地、もう既に上部の方が枯れ始めているのです。そうしたことを考えますと、まさに技術開発、それに基づく貢献、このことは大変な内容を持っておると思います。  さらに、その他の圧倒的多数である発展途上国を考えてまいりますと、フロンガスの問題でこの制限をすると言えば途上国から大変なおしかりを受けるように、垂れ流しをしてきておいて後は締めるという格好になっておるわけですから、それでなしに、本格的にこれに貢献できるような、石炭開発はもちろん、こうした問題等についてどのように貢献していくのかというのがこれから大きな課題です。  予算を見ましても、七十数億つけたりなんかいたしておりますけれども、この程度ではまだまだ不足じゃないか。あるいは開発だけでいいましても、この計画、調査だけで三億円くらいの額でありますから、そうした点で私はもう少しこの点についての熱意を示していただくような施策というものを、将来どうしていくかという決意を含めてお答えいただきたいと思います。
  43. 土居征夫

    土居政府委員 石炭の利用につきましては、これは日本の問題というよりも地球全体の問題として、これから石炭の利用が非常にふえていくということで重要な問題であるという御指摘でございます。大臣所信表明の中でも触れさせていただきました日本の石炭政策としても、クリーンコールテクノロジー対策というのが非常に大きなウエートをこれから占めていくという御指摘でございまして、これも御指摘のように石炭部の関係予算は小さいわけでございますが、実はここには石炭部の関係予算しか書いてございません。工業技術院の関係その他政府全体を通じましてクリーンコール関係につきましては相当の対策を既に組んでいるわけでございますけれども、さらに一層の拡充をしていかなければいけないというのは御指摘のとおりでございまして、そういう方向でこれから努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  44. 中西績介

    ○中西(績)委員 この前新聞に出ておりましたように、あるいはまたテレビの放映がされておりましたように、メキシコシティーあたりにおきましては、高地でしかも盆地、そのために出てきておる問題は、余りにも排気ガスが激しくて、あるいは工場の排出する煙によって、もう全く周囲が見えなくなる、そのために学校が全校休校するという状況、あるいは生産工場は七割が生産を停止するという状況だってあるわけでしょう。ですから、各国々が、発展途上国がそうした形でますますエネルギー消費量を増大することは必至ですから、そうした点でこの日本が貢献するということになれば、世界の経済的な面におきましても、あるいは人間の命の関係からいたしますと、すべてにわたっての貢献度合いが目に見えるわけですね。ですから、この点だけはひとつ見落とさないように、さらに規模を増大いたしましても、あるいは金額をさらに拡大をいたしましても取り組んでいくべきではないか、こう思いますので、ぜひお考えいただければと思います。  次が財源問題でありますけれども、財源は、平成三年十二月の関税率審議会におきまして、原油関税の基本税率をゼロにいたしまして、三百五十円というのは廃止されることになり、実行税率を平成四年度から八年度までが三百十五円、平成九年度から十三年度までが二百十五円ということになっておるようであります。  そこでお聞きしますけれども、石油製品関税というのが平成四年度は二十円から五十円・キロリットル引き下げだということになっています。そして平成五年度から以降は毎年見直したという、毎年見直しが気になるわけですね。不安定な状況が出てくるのではないか、こう考えます。そこで質問ですけれども、この二十円から五十円という幅があるのはなぜなのか、これは一定の金額に固定できないかどうか、この点についてお聞かせください。
  45. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 数字は御指摘のとおりでございます。  石油製品関税というのは実は原油関税と違いまして、原油関税は御案内のとおり石炭対策の財源を目的とした財政関税という性格を持っておるわけですが、製品関税は、そういう側面もありますが、さらに石油の円滑な安定供給を図るための国内の供給体制確保を目的とした保護関税、保護関税という言葉は専門的な言葉でございますが、そういう保護関税としての機能も持っておるわけでございます。  国内で精製に使用する原油というのはほぼ全量輸入に依存をしておりまして、その原油は原油関税が課せられておるわけでございます。そうしますと、原料が割高な分だけ、その分石油製品の関税率水準を高く設定しておるわけです。今回、原油関税の方を第一段階として三十五円下げますが、それに見合った分を、いわば保護関税でない部分ですね、その分を引き下げなきゃいけないということで引き下げるわけでございますが、その三十五円じゃなくて、油種によって二十円ないし五十円と幅がございますが、これはそれぞれの油種が原油をどういうふうに負担しているかという計算式がございます。その計算式に基づいて二十円ないし五十円、平均すればそれが三十五円になるという勘定でございます。  それから、先生指摘いただきました、来年、石油製品関税の税率はさらにまた見直していくということでございますが、今申し上げました財政関税としての部分は一応今度、十年間あるいは十年以降もきちっと方針を決めたわけでございますが、保護関税としての部分は、やはり今後石油情勢に応じて検討していくべき問題でございますので、今後毎年見直しはあり得る。ただ、あり得るということでございまして、毎年そういうものを見直すということになるかどうかは今後の問題と考えるわけでございます。
  46. 中西績介

    ○中西(績)委員 今お答えいただいた幅のある事柄については、油種によってそうした問題等が出てくるというふうに理解してよろしいと思うのですが、そこで、私がこの点で毎年見直しをするということにこだわるわけでありますけれども、結局、石油の輸入量は微増傾向にあるんですが、そこでもって出てくる金額ですね、関税の額、それは、今回で言うならば約一千四十三億ですか、ぐらいの試算になっていますよね。そうすると、一千四十三億、それが微増によってふえてくるということになってきた場合に、これは量によって決まるわけでありますから、そうしたときにこれを一つのクッション材料に使って、この点を、二十円から五十円の枠というものを少し変更すること、見直すことによって、ことしと同じぐらいの千四十から千四十五億円ぐらいのところをずっと継続をしていくという、固定化しないのはそういうクッションの役割を果たさせるようなことで毎年見直しをしていく、こういうことじゃないかと私はとったんです上ね。そうじゃないのですか。
  47. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 先ほども申し上げましたが、財政関税としての部分は、私ども今後の十年間の石炭対策の必要額を計算いたしまして、それを五年単位でどの程度必要かという計算をして、それに基づいて税率を決めたわけでございます。今先生指摘の、製品関税の二十円ないし五十円、その分は財政関税としての部分でございます。この分については、そういう意味で決定というか決めたわけでございます。  そのほかの保護関税の部分は、保護の必要性というか、油種の確保必要性という点から見直しはあり得るわけでございますが、私どもとしては、今申し上げました財政関税の収入は、平成七年までの石油供給計画、それからそれ以降につきましては長期エネルギー需給見通しの数字を用いまして、数量はほぼその数字で推移すると考えておりますので、それによって、若干の増がございますが、安定的な収入が確保できる。それを例えば五年間で、多少の動きはございますが、余裕のある年あるいは若干足りない年もあるかもしれませんが、平均としては十分財源が確保できるということで考えておるわけで、先生指摘のような、私の申し上げました保護関税の部分をその目的に応じていじるということは、理屈からいってもおいと考える次第でございます。
  48. 中西績介

    ○中西(績)委員 そういたしますと、今のお話を聞いておりますと、これによって一定の財源を確保するということのクッションの役割でなくて、全体的なそうした見通しの中でということになるわけですね。この微増の傾向というのは続くのですか。
  49. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 先ほども申し上げました石油供給計画、平成七年度までの数字は、年平均〇・三%伸びます。それから、その後のエネルギー需給見通しの八年以降の数字は〇・四九%と、細かい数字でございますが若干すっ伸びる想定になっております。
  50. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、私たちが一番財源問題で懸念をするのは、あるいは危惧をしておみのは、この点が狂いが生じてまいりますと、そうでなくとも不安定な石炭政策そのものが揺らいでくるんじゃないかということを心配しておるわけですね。したがって、今のお話をお聞きしますと、微増の傾向で推移し、安定しておるということを私たちは確信をしてよろしいということにつながるわけですね。
  51. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 まさに今申し上げましたことで、あるいは先生が御質問されたとおりでございまして、私どもとしては心配がないというふうに考えております。
  52. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、労働省お見えですから、労働大臣所信表明、お聞かせ願った中で二、三の点について質問を申し上げたいと存じます。  一つは、石鉱害答申がございまして、石炭鉱業構造調整対応するために、先ほども申し上げましたけれども、石炭企業の新分野開拓に伴って、炭鉱離職者臨時措置法炭鉱労働者等雇用の安定等に関する臨時措置法とし、改正延長することになった、ということになっています。そこで、さきの質問でも明らかなように、企業主は現在までなかなか、石炭部長の話によりますと相当の決意でもってこれからやっていくということを言っておりますけれども、労働省はやはり一番困ったのではないかと私は思っています。雇用安定のための炭鉱労働者対策、これが今回の場合は可能だという、あるいは自信が持てるという、こうした点について、特に今まで、離職者だけでなしに今働いておられる労働者の皆さん含めて対策を持つということになっているわけですから、これはもう本当は早く出してもらわなきゃいかんかったですね。しかし今度改めてこうして出しておりますけれども、この点についての考え方なり、あるいは自信があるかどうかについてもお答えいただければと思います。
  53. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生の御指摘にもございましたように、石鉱害趣旨を私たち十分尊重いたしまして、できるだけ多くの炭鉱労働者の方々が、石炭鉱業合理化による離職を経ることなく石炭企業経営多角化等による新たな雇用に円滑に移行できるようにいたしたいと考えております。  そのために、まず第一に、炭鉱労働者配置転換職業訓練等措置を講ずる事業主に対しその対象となる炭鉱労働者賃金助成等を行う炭鉱労働者雇用安定助成金創設、そして第二に、職業訓練の積極的な実施等措置を講じまして、炭鉱労働者職業転換を円滑に進めるための実効ある対策を進めてまいる所存でございます。そのための炭鉱離職者臨時措置法改正お願いしているところでございます。
  54. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、新分野への配転だとか職業訓練を行う事業に対してそれぞれ助成をしていくわけでありますけれども、この部分については雇用安定計画を企業主側がつくって、そしてこれを労働大臣が、これは何と言うのですか、認定をすることになるわけです。そのときの一番の問題は、こうした計画が立てられて実際にそれが動き出してからこれは出るんですか、それとも計画を提出をすればこの部分についての助成措置がされるんですか、この点についでお答えください。
  55. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまのお話でございますが、この炭鉱労働者雇用安定助成金制度考えておりますのは、御指摘のように、雇用安定計画を事業主の方に出していただきまして、その計画の認定をいたします。それで、その計画に基づいて配置転換あるいは職業訓練、あるいは出向、関連企業への再就職あっせん等を実施した場合に、その結果を確認した上で助成をいたす、こういう考え方でございます。細部についてはまだ詰めておりませんが、基本的にはそういう考え方でこの対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  56. 中西績介

    ○中西(績)委員 二点目ですが、第八次の石炭政策によりまして炭鉱離職者が多数発生いたしました。今なお求職活動をやっておる人たちが相当数残っております。その数は所信表明によりますと約千四百人と言われております。これは「炭鉱別離職対策の現状」という集約されて出されておるのを見ますと、やはり依然としてこの第八次政策で閉山をしたというところに多く滞留をしておるというのが現状であります。就職率を見ると、その他の山も含めまして平均が六一・四%になっておるようでありますけれども、そうなりますと、この未就職の人たちの一番大きな問題は何なのか、この点についてひとつお答えいただくのと、もう一つは、こういう方々に対する職業訓練が実態として現状に合っているかどうか等を含めましてどうなのかということが問題ではないかということを指摘をしたいと思うのですが、この点についてどうでしょう。
  57. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま、第八次の石炭政策もとにおきます離職者の方の就職状況と、就職してない方についてどういう実態が、あるいは職業訓練の問題について御指摘がございましたが、第八次の期間中に合理化によりまして離職し、公共職業安定所の方に来られた方が約一万二千三百名おられます。それで、現在なお要対策人員として残っておられる方が千四百人というふうになっております。  したがいまして、その差につきましては現在までの間に就職その他で一応の解決を見たという方でございますが、就職率がただいま御指摘のような実態。その間の差はどうかということでございますが、これは現実には御承知のように雇用保険制度で失業給付を支給いたしまして、なお就職できない場合には炭鉱離職者臨時措置法に基づいて就職促進手当を支給し、あわせまして三年間の期間、手帳制度、この生活保障をしておりまして、その間になお就職ができない場合には、その期限が切れるわけでございますから、求職取り消しという扱いになるわけでございます。そういう方もこの中に含まれておるわけでございます。  それではそういう方について現状がどうかという点につきましては、これは現地の各公共職業安定所におきまして、なお引き続き就職したいという場合であれば就職活動が当然できるわけでございますけれども、されておる方もございますが、手帳制度の切れた時点で、一方では年金制度石炭の場合五十五歳というようなこともございまして、そういうことで地元で年金制度に彩られている方も相当数いる、そういう方が手帳切れというような形になっているというような実情でございます。  それから、職業訓練の問題につきましては、これは御指摘のような問題点もございますが、ただ私どもといたしましては、できるだけ機動的に現地の実情に合った形で求職者の方に適した訓練をやるという形で実施してきておりまして、これについてはそれなりに一定の効果があるものというふうに考えておるところでございます。
  58. 中西績介

    ○中西(績)委員 特に年齢的にも高い人が多いわけでありますから、現在の特にサービス業等を中心とした雇用創出をしておる部分においてはなかなか活動できないというのがたくさんあると思うのです。したがって、景気がよかった時代になおこうして残っているわけですから、この点の職業訓練を含めてどうした対応をすることが今緊急な課題なのかということをもう少し研究していただければと思います。これらについてもさらに追跡をしていただきたいと思います。  それから、就労事業についてお聞かせいただきたいと思います。  緊急就労事業の対策の中で、ある自治体で現在百五十四人おると仮定をいたしますと、二十三日の出でありますから約四万人を超える雇用創出をしなきゃならぬ、こういうことになるわけです。そうなってまいりますと、事業場所を得なくちゃならぬわけだし、そのときに必要なのは土地の取得ですね。これは、さっき建設省お答えいただいたように道路の場合の土地取得が非常に問題であるのと同様に、相当の面積が必要なんですから、この点、大変困っておられる。ということになってくると、聞いてみると三年間ぐらいの余裕がないとなかなかその対応ができないというのが現状のようです。そうなってくると、この百五十四人というのは年を経るごとに少なくなっていくわけですから、残る数が少なくなる。そうなると、土地の取得との関係、どのようにすればいいかという自治体なりの事業場所のつくりが非常に重荷になってきておるわけです。これらについて何か御論議いただいておるかどうか、お知らせいただきたいと思います。
  59. 征矢紀臣

    征矢政府委員 就労事業の実施につきましては、今先生指摘のように土地取得等の問題も含めて実施をしている面があるわけでございます。ただこれにつきましては、従来、就労事業について一定の考え方で予算の積算をし実施してきているわけでございまして、現段階で特に新しいやり方等を考えるということはなかなか困難でございます。従来の考え方の中で、ただいま御指摘のような問題も含めてこれは対処していかなければならない課題であるというふうに認識をいたしているところでございます。
  60. 中西績介

    ○中西(績)委員 したがって、これは少数になっていったときに、これから後どのようにやっていくかについてはこれからの検討課題ですか。
  61. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の点は、特に二つある事業のうちの緊急就労事業の御指摘かと思います。  この点につきましては、御承知のように石炭鉱業審議会におきまして、その答申で御指摘がございまして、そのあり方が、非常に人数も少なくなっている等の現状を踏まえて見直しをする必要がある、特に緊急就労事業についてはその終息に係る検討を行う必要があるというような御指摘がされているところでございます。ただし、その検討に際しては、就労者の方の生活実態等についての検討を十分した上で考えるべきだ、こういう御指摘がございまして、この審議会答申を踏まえまして私ども今後適切に対処してまいりたい。その際に、ただいま御指摘にございましたような規模が非常に小さくなっているところの問題も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  62. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わりますが、通産大臣、先ほどから申し上げましたように、産炭地問題というのは依然として、北海道で言うならば空知を中心にした内陸部、それから九州で言うならば筑豊を中心とした内陸部、そのほか佐賀、長崎等々挙げましても過疎地域になっているわけですね。ですから、これをどう再生をさせていくかということが極めて重要な課題になってまいります。したがって、先ほどから申し上げておるように、無理を申し上げますけれども、大体今まで三十年ないし四十年かかってやってきた。その総仕上げの時期にかかろうとしておるわけですから、やはり思い切った施策を講じていただかないと、第八次で大変な被害を受けたところだけでなしに、従前から三十年かかってなおかつそういう状況に置かれておるわけですから、何としても強力な推進をしていかないと、これは困難だと言わざるを得ないわけですね。したがって、その点についての御決意でもあればお答えをいただければと思います。
  63. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先ほどから北村先生また中西先生産炭地に対する強い熱意をお聞きいたしておりました。  私、エネルギー政策を長い間やってまいりましたけれども、いわば戦後の日本経済復興の、石炭は糟糠の妻とも言うべき産炭地の皆さんの御協力によって今日の日本の繁栄でございますから、北海道に行き、あるいは九州に行って産炭地域が過疎地域で寂しい状態になっておると大変胸が痛みます。産炭地に再びにぎわいを取り戻すような地域振興政策を積極的に進めていかなければならない。私の郷里の常磐炭鉱地域みたいにインフラ整備や企業進出が成功して、活力のある、あるいは過疎にならない地域もあるわけでありますから、今後、この産炭地域振興実施計画実効性確保して、かつての日本の戦後復興の原動力であった産炭地に新しい未来をつくっていくように力いっぱい努力をさせていただきたいと思います。
  64. 中西績介

    ○中西(績)委員 ありがとうございました。
  65. 佐藤敬治

    佐藤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  66. 佐藤敬治

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中沢健次君。
  67. 中沢健次

    ○中沢委員 一時間の質問時間をいただいておりますので、両大臣にいろいろとお尋ねを申し上げたいと思います。  その前に、石特の委員長に、地元でもございますので一言お礼を申し上げたいと思います。  石特の委員長就任後、直ちに、私の選挙区でもございますが、北海道の四区にもわざわざお越しをいただきまして、たまたま夕張地方が季節外れの大雪でありましたけれども、豪雪の中を夕張、三笠あるいは北空知、関係産炭地をお回りをいただきまして、石炭部長も同行されましたけれども、まず心からお礼を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。  さて、きょうは両大臣に対する質疑でありますが、最初の部分は主として通産大臣を中心にした通産省にお尋ねをして、後段の部分で労働大臣以下労働省にお尋ねをしたい、このように考えております。  実は私、北海道の夕張の出身でございまして、昭和六十一年の七月の選挙で初当選させていただきまして、社会党ではもう党派を超えて有名でありました岡田春夫代議士の後継ということで、おかげさまで今二期目、それなりに石炭問題も含めて頑張っている人間でございます。たまたまきょう私の所属をしております地方行政委員会が午前中にございまして、そこで一時間半、塩川自治大臣といろいろ地方の行財政問題で議論をしてまいりましたので、不本意でありましたが、午前中、この委員会におりませんでした。お許しをいただきたいと思います。  さて、通産大臣大臣に就任されまして、私も何回か地元問題あるいは政策問題でお会いをしておりますけれども、きょうは委員会としては初めてのお手合わせでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  大臣も御承知のように、第八次政策というのは昭和六十二年の四月から来月まで五年間、いろいろかりましたけれどもずっと五年間の政策が続いてまいりました。私は冒頭申し上げましたように産炭地の夕張に現在でも住んでおりまして、正直言いまして、約五年有余にわたる国会議員としての体験を通じまして、非常に残念ですけれども、同じ選挙区で、夕張で二つ、三笠市で一つ、土砂川町で一つ、四つの大変深刻な閉山を体験することになりました、空知管内にはまだ三つの山が残っておりますけれども、しかし、五年間三つの山はそれぞれ大変な縮小を余儀なくされまして、ここでも深刻な問題が発生をしている。いつもそうでありますが、ほかの石特のメンバーの方もそれぞれ同じだと思いますけれども、石炭の政策論議をするあるいは予算を論議するというのは非常に身につまされる思いを率直にするわけでございます。  まず、そのことを前提にいたしまして第一にお尋ねをしたいことは、結論から言うと、この五年間の第八次の石炭政策というのは一体何であったか。確かに通産大臣歴代にわたって、あるいは歴代の石炭部長関係者それぞれ大変な努力をされてきたということは私もよく認識をするし、理解もして、一緒になってやったこともたくさんあるわけであります。しかしながら、非常に残念でありますけれども、この五年間で全国的にも、九州ブロック、北海道ブロックに分けましても閉山が続く、大幅な合理化が続く、大量の離職者が出る。もっと言えば、産炭地の人口が本当に急速に減少している。長年住みなれたふるさとを離れざるを得ない人力がたくさん出る。私は、政治的には大変な被害を受けた石炭産業であり、産炭地の地域であり、そこに働いていた多くの関係者、つまり産業と地域と人間に対して大変な被害が結果的には出ている、これは客観的な事実でありますから否定のしょうがないと思うのです。  新政策について議論をする際に、八次政策についてやはりしっかり総括をしてこれからの新政策につないで、どういう反省をしてその補完をする新政策をどうするか、非常に大事なことだと思うのですね。ですから、あるいは午前中の議論であったかもしれませんが、この際ですからまず事実関係について、これは石炭部長で結構でありますけれども、この五年間で全国レベル、北海道、九州を分けまして、閉山あるいは生産体制の縮小、そして各論ではまた労働省といろいろやりとりがありますが、炭鉱労働者がどういう離職状況になって、再就職状況がどうなっているか、人口がどの程度減っているか、関係者努力で企業が張りついておりますけれども、これがどの程度で、その企業の受け皿でどの程度の新しい雇用がつくり出されているか等々につきまして、非常に特徴点だと思いますが、改めて五年間の事実の推移、明確に示していただきたい。
  68. 土居征夫

    土居政府委員 昭和六十二年度から平成三年度までの五年間、八次策中の石炭産業あるいは石炭政策対象の推移でございますが、まず生産につきましては、全国ベースで昭和六十二年度千二百五十七万トンの生産であったものが、平成三年度、これは計画ベースでございますが、八百二十万トンということでございます。北海道、九州内訳にいたしますと、昭和六十二年度北海道につきましては七百六十八万トンであったものが、三年度四百六十万トン、九州は四百九十万トンであったものが三百六十万トンということで、この間に生産の減少。その背景といたしましては、大手につきましては五炭鉱の閉山といったことが見られるわけでございます。  これに伴います離職者数につきましては、北海道の場合には八千三百八十七人、九州は四千四百二十一人、全国ベースで一万二千八百八人の離職者があったわけでございますが、そのうち就職者数につきましては、北海道が四千九百六十八名、九州が二千五百七十名、全国ベースで七千五百三十八名という数字になっております。  この間の八次策影響地域への新規の企業の進出状況でございますが、地域公団等によりまして把握しておりますところによりますと、北海道で百二十五企業、新規雇用者数は二千四百四十四名、九州で五十四企業一千四十一名、全国ベースで百七十九企業の進出がございまして、三千四百八十五名の雇用確保されたというふうになっております。  この間の関係市町村の人口の推移でございますが、北海道の六市一町の場合は六十二年度三十三万人ということでございましたが、平成三年度は三十万人でございます。九州の二市四町二十七万人が二十六万人、全国ベースだと六十万人弱が五十六万人ということで、四万人弱の減少になっております。
  69. 中沢健次

    ○中沢委員 これ以外にいろいろ立ち入って議論をするというか、一つの数字なんかを示しながら議論をすればいいのでしょうが、きょうは時間がありません。   さて、今具体的な推移についての数字の説明、客観的な事実の説明がありました。そこで、通産大臣にお尋ねをしたいと思います。  大臣所信表明演説、午前中あったと思うのでありますが、最初のページにこういうふうに触れられております。「第八次石炭政策推進してまいりましたが、関係者の懸命の努力需要業界協力などの結果、概ね所期の目標に沿って推移してきたものと考えております。」確かにこういうとらえ方は、私も一〇〇%否定はしません。しかし、その内容といいましょうか、具体的な中身で言うと、繰り返しませんけれども、大変いろいろな問題を産業、地域、人間に与えてきた、ここのところは私も大臣に何回かお話をしたことがありますけれども、しっかり受けとめていただいておかなければ、これからの十年間の政策展開、あるいは必要な制度予算確保についてもいささか問題が生じるのではないかと思うのです。ですから、八次政策について、所信所信として私も受けとめますけれども、内容的には非常に大きな問題をたくさんはらんでいる。  簡単に言えば、生産体制一つにしても、目標よりも大幅に落ち込んで、通産は、かつて田村大臣の時代なんかずっと続いておりますが、とにかく縮小についてはやむを得ない、しかしやり方はなだらかななだらかなソフトランディングだということでいろいろ言ってきましたけれども、結果はそうなっていない。そういう具体的な客観的な事実がたくさんあるわけでありますから、この際、そこにもしっかり目を開いていただいて、新通産大臣として八次政策については、もう少し政治家として血の通った総括があってしかるべきではないのか、私はその辺についての大臣基本的な認識、見解を改めてお尋ねをしておきたいと思います。
  70. 渡部恒三

    渡部国務大臣 たしか、これは昭和五十年だったと記憶いたしますけれども、私が通産省の政務次官をしておったときに先生の地元の夕張炭鉱の事故が起こって、早速飛んでまいって皆さん方の悲痛な、あの炭鉱で働いている皆さん方の姿にお目にかかった感動は、生涯記憶に残っております。  午前中の審議の際も申し上げたのですけれども、戦後、日本の経済の復興期に、我が国エネルギーの中で果たした石炭役割は大変大きいので、また同時に、その当時は石炭景気ということでいんしんをきわめたも一のであります。あの深い深い炭坑で働く多くの人たちの力で今日の日本の再建があるのでございますから、経済的な、また国際的な大きな変化の中で、我が国国内石炭産業というのが残念ながら、これからは言葉の表現はどういうことが正確か、これは難しいところでありますけれども、他産業といわゆるコストの点で太刀打ちできなくなった、しかし、そのためにそこで働いておる人たちが犠牲になってはならない、その地域が疲弊してしまってはならないということで、産業の国際的な大きな変化の中で、産炭地は新しい時代の流れの中に未来に希望を持っていく方向に進んでいかなければならない。  そういう、今非常に困難で難しいプロセスを歩んでおるわけで、八次石炭政策はそれなりの、私どもが意図した方向で進んできておるわけでありますけれども、これからさらに二十一世紀を展望し、今までの政策を反省しますと、今政府委員から答弁がありましたように、残念ながらその地域における人口も減っております。また働く人たちの場も減っておるわけでありますから、今後、やはり地域振興ということに大きな目標を置いて、私は先般まで地方自治体をお預かりしておりました、今、先生、地方行政委員会に行っておられたということでありますけれども、地元の市町村に対する財政援助あるいは、これはさっきも道路の問題、真剣に質問等がありましたが、石炭の大きな役割、しかし残念ながらこれからの将来ということを考えると、経済ベースということも無視してなりませんから、そういう中で産炭地域が新しい未来に向かってどう希望を持って生きていけるか、また再び若者たちが定住できるような魅力をその地域に取り戻すことができるか、そういう地域振興に大きな力を入れて、いわば前向きの石炭地域振興政策に私は取り組んでまいりたいと思っております。
  71. 中沢健次

    ○中沢委員 今、大臣の方からお話がございました。いろいろ問題があるので、これからは前向きに、しかも地域振興にも重点を置いてやりたい、そのことはしっかり受けとめておきたいと思うのです。  それで、今のやりとりにも関連をするのでありますけれども、新政策あるいは関係する予算なんかをずっと見ますと、八次政策の反省点が具体的な政策にはやや少しは生かされている、私はそれは認めたいと思うのです。しかし、一番大事なこれから向こう十年間の今残っている山の存続の問題、それから非常に小さくなった生産体制を、均衡点云々という議論は別にいたしまして、これをどうやって安定的に維持をして、結果的には緩やかにスローダウンをしていくか。私は、それに対する政策のウエートの置き方というのが少し弱いと思うのです。もっと言うと、少しどころかかなり弱いのじゃないか。  今、大臣おつしゃったように日本経済の復興のために石炭の果たした役割は大きい、同感です。しかしこれは、自由競争社会でありますから、価格競争ではハンディを背負ってなかなか厳しいのだ、私もそれは同感です。しかしそれにしても、大事な国内エネルギーであります石炭資源、この程度の生産の規模は最低限、一定程度安定操業も含めて政策的にてこ入れをして底支えをしていく。もっと言えば、これは十年間の新政策の中では、十年間すべてそういうことにはなかなかならない。では、せめて前半の五年ぐらいはそういう石炭政策基本であります山の維持存続、最低限と私思っておりますが、今の生産体制の維持、ここのとこみにもう少し政策的なあるいは制度予算的な重点が置けないのか。これは議論としては何回も石炭部長やエネ庁の長官などともやっておりますから同じような答弁しかないと思いますけれども、私はそこのところは改めて主張をしたいと思うのですよ。  問題は、今度の新政策の一つの特徴として、地域振興ということは後でまたやりますけれども、企業の新分野開拓、多角経営制度としても三百億の無利子融資、これは画期的なことでありますから率直に評価をしたいと思うのですよ。しかし、新分野開拓、多角経営ということが、私はかねてから言ってまいりました、閉山後の後始末のその種の企業起こしたとか地域振興ではもうだめだ。ですから今度は、新政策でどんどん出てきたことは評価をしたいと思うのですよ。しかし、恐らくほかの委員の方も地元でいろいろ御苦労されておると思いますが、例えば私の夕張で一昨年の三月に三菱の南大夕張が閉山になりました。三菱というのは企業的にも力がありますから、山が残っているときに受け皿の企業の立地について、非常に現実的な対処でありましたけれども、我々もお手伝いをして、今夕張にもあるいは美唄にもそれなりの新しい企業が操業している。しかし、こういう競争社会でありますから、新分野だとか多角経営という言葉、私もよく使いますけれども、実際新しい企業を起こすにしても操業をやるにしても、正直言って競争相手がたくさんいるわけでありますからそんなにうまい話なんか転がっていない。これは当たり前だと思うのですね。  しかし、そういう中で、今度の新分野あるいは多角経営ということについては私は歓迎をするのですけれども、せっかくこういう政策を出して必要な予算をそんなにつけるのであれば、私はもっと予算についても、三百億なんということを言わないで、石炭グループが希望しております例えば一千億程度、直ちに平成四年度からそれをやれとは言いません、しかし将来的な問題としてそういう課題が一つあるということと、せっかく企業がつくっても、操業をやってみたけれども半分ぐらいは操業を中止しているような業種もないわけではない。これからだってそういう状況は想定しておかなければいけないと思うのですね。そうならないために私は、石炭部ということだけではなしに、この際、通産省、場合によっては労働省も、国の省庁が挙げてそういう石炭企業の大変な努力に対して、きめの細かいといいましょうか、本当にかゆいところに手の届くような、経営についてなかなか一々言えないでしょうけれども、きめの細かい、いい意味での行政指導があっていいと私は思うのですね。  ですから単年度六十億、五年間の三百億という枠について、これはやはり必要であればどんとふやしていく、ぜひこれは大臣として決意を聞かしてもらいたいし、同時に、きめの細かい新分野開拓についての国全体としての後押しもぜひやりたい。私はそこのところは歯切れよく、できれば大臣の方からお答えをいただいておきたいと思うのです。いかがでしょう。
  72. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先ほども、産炭地振興という意味で、せっかくお金を使うのでありますから、そのお金をそのまま使っただけで終わってしまうということでなくて、将来の金の卵を産む鶏になるような使い方でなければならない、そういう意味で、金額の問題もありますけれども、そのお金を、前向きで、将来の地域振興、また働く人たちに安定をもたらさせるようなことに使っていくという、使い方の質の問題もあろうかと思います。  いずれにしても、産炭地振興の問題は、通産省のみならず関係省庁挙げて、国の政策として取り組まなければならない問題として、各省庁十分な連絡をとりながら地域振興に努めてまいりたいと思います。
  73. 中沢健次

    ○中沢委員 きょうは時間がありませんから、また法案審議等の中でも議論もしてみたいと思います。  さて、産炭地振興問題について少し具体的に指摘をしておきたいと思うのでありますが、今申し上げましたように、産炭地振興についてはそれなりの努力の跡が見られると私は思うのですね。二つ取り上げたいと思うのです。  一つは、四億五千万でありますから予算規模としてはそれほど大きな金額ではないかもしれません。しかし、新しい制度として導入したわけでありますから、これに関連してお尋ねしたいと思いますが、土砂川町にかっては工業技術院のプロジェクト、石炭部がいろいろ橋渡しをして、私も地元でありますからいろいろお願いをして、結果的には国際的にも非常に評価を受けております炭鉱の立て坑を利用した無重力地下実験センター、既に建設が終わって操業が始まっております。  昨日も地元の町長以下関係者が参りまして、石炭部長にも会っていただきましたけれども、問題は、重無力実験センターという実験機関あるいは研究機関という本体のことは、それは一つの組織があってやっているのですけれども、それに対する周辺地域、あるいは無重力実験センターをもっともっと内容的にも充実をさせる意味で、実は地元の構想でありますが無重力プラザという、例えば炭鉱館だとか見学館だとか、こういう構想が持ち上がっております。これは恐らく今度導入されました四億五千万のプロジェクト施設整備等支援調整額、これは補助対象になってくると思うのですね。  ただ、これは全国的にはその種の受け並みたいなものがこれから出てきますから、競争が相当激しくなると思うのでありますけれども、工業技術院の国家プロジェクトで無重力地下実験センターということを土砂川でやっていただいている、当時の大臣石炭部も大変な努力をされた。せっかくここまで来ているわけでありますから、これをもう少しいろいろな意味でファクターをつけるということも含めて、地元の構想についてはぜひ積極的に受けとめていただいて、まだ法案予算が決まっておりませんけれども、ちょっと気が早いかもしれませんが、こういう問題についても石炭部を中心にひとつ積極的に受けとめて、地元の期待にこたえるようにしていただきたいというのが一つ。  それからもう一つは、私の夕張は、実は午前中塩川自治大臣ともいろいろ話をしてまいりましたが、国際映画祭というものをやっております。大臣、映画が好きかどうか、私はそこまで聞いておりませんが、夕張市長が大の映画ファンで、そんなことがありまして、フランスでアボリアッツというところがあるようでありまして、そこで国際的な映画祭、ことしでもう二十年やっております。それを一つの参考例にして、炭鉱というのは非常に暗いイメージで、町づくりもなかなか思うようにいかない、イメージチェンジのためにも地域振興のためにも、この際国際映画祭を夕張でやりたい。ことしで三回目です。資料も夕張から改めて取り寄せましたけれども、大体一億七千万ぐらいでやっているんですね。国際という名前がついてのイベントでこの程度の金額でやるのは非常に大変だと思うのです。聞いてみましたら、外国から来る監督だとか俳優さんというのは、飛行機のチケットは出すけれどもあとはもう全部サービスでやってもらう。つまり、ギャラだとかそういうのは一切ない。半ば国際的なボランティア活動で支えられている。来年もやりますからぜひまた夕張にもお越しいただきたいと思いますけれども。  私の言いたいことは、そういう非常に地域振興の目玉として頑張っている、財政が大変だという中でも頑張っている、もっと言えば、通産としては、別なセクションから一千五百万の補助金はもらっているんですよ、しかし今度つくる四億五千万というのは、そういうソフトの事業についても当然補助対象にすべきである、私は基本的にはそのように押さえておりまして、非常に大事なポイントだと思いますので、あえて土砂川問題と夕張の例を引き合いに出しました。具体的に直ちにやりますという返事はなかなか言えないと思いますけれども、そういうこともしっかり受けとめて、大臣以下関係のところで、これからの問題もありますのでぜひ配慮をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  74. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地振興対策費につきましては、地方自治体が行いますソフトな事業についての支援措置、これは従来からあるものでございますので、今回それに加えましてプロジェクト施設整備等支援調整額というハード事業に対する新政策を予算要求させていただいた、これが御指摘がありました四億五千万ほどなわけでございます。  最初に御質問がありました土砂川町の地下無重力実験センター、これの研修サービス提供施設としての新施設についての対応ということでございますけれども、いずれにしても今度の新事業につきましては、やはり先ほど来議論がありましたような稼行炭鉱地域の先行的な地域対策という観点がございますので、そういう稼行炭鉱地域を優先するという要素がどうしても出てくるわけでございますが、ただ土砂川町近辺にも稼行炭鉱地域はございますし、それ自身八次策影響地域でもございますので、今後予算が成立しました後、他地域状況等も含めまして検討させていただくということにさせていただきたいと思います。ただ、この地下無重力実験センター自体は工業技術院の政策で実施しているわけでございまして、この周辺サービス提供施設の無重力プラザの事業計画も非常に多額の金額にわたる大規模なものでございます。したがいまして、工業技術院の政策の延長線上でこれを実施するという可能性も含めまして、今の御指摘の点を検討させていただきたいというふうに考えております。  夕張の国際映画祭につきましても、今御指摘がありましたようなことでございまして、ソフト事業については産炭対策石炭勘定直接の予算ではございませんけれども、千五百万程度の支援をさせていただいているわけでございます。これにつきましても、今の御指摘を踏まえまして、来年度以降につきましてさらに検討を続けさせていただきたいと思います。
  75. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、今部長から話がありました。まあ大体そういう御答弁だとは思うんですが、いずれにしても北海道あるいは空知を中心とした課題としては大きな課題でありますから、今後ともよろしくお願いしたいと思うんです。  特に、無重力の関係で言いますと、ついこの間もNASAの実験部長が現地に参りまして、大体これは国際的には初めてなんですね、約八百メートルぐらいの立て坑で十秒間の無重力の実験ができるわけでありまして、NASAの実験部長としてもこれは非常に興味のある実験装置でもある、NASAと共同実験もしたいような話もありまして、これから恐らく石炭部だけの問題ではないと思いますが、通産全体として、そういう国際的な新しい実験装置でもありますので、注目もしていただいて、ぜひまたてこ入れも改めてお願いをしておきたいと思います。  さて、もう一つ地域振興の目玉として出されておりますことにも関連をするのでありますが、もともと八次政策の最大の影響地域、私から言えば被害地域は北海道の空知管内である、これはもうだれが見ても否定のしょうがない事実だと思うのですね。したがって、空知地域全体の広域的な地域振興を図るためには、やはり北海道あるいは関係市町村でいうと五市一町ありますが、これが中心になって、相当中長期にわたる地域振興の計画をつくって、そして広域的な地域振興をやろう、そういう作業は予備的にずっと進んできていまして、今度の予算や新政策に関連をすると、初めて通産としては基金に対して三分の二の助成をする、私は大変結構なことだと思います。  地元的には今、道議会をやっている最中で、恐らく市町村議会もやっている最中なんでありますが、四十五億円の基金構想ということで今、始まっておるわけですね。ですから、単年度で通産の三分の二の補助が、ほかに持っていくところがありますけれども、総額で十七億五千万。十七億五千万はとても三分の二にならない。私は前にも聞きました。これは二年度にまたがっていくのか、三年度にまたがっていくのか、余り歯切れのいいお答えがありません。しかし、もう四年度の石炭予算の骨格が決まっている、出ているわけでありますから、地元としては通産は信頼していますけれども、この際四十五億のそういう総体的な基金の受け皿を用意をしているということについて十分把握をしていると思うし、それに必要な基金に対する補助についても単年度では到底十分ではありませんから、これは平成五年も引き続きいくんだ、この辺はもう答弁もしていただいていいのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  76. 土居征夫

    土居政府委員 御指摘がありましたように、産炭地域のうち特に稼行炭鉱地域等重点対象地域につきましては、来年度の予算要求におきまして初めて産炭地域活性化基金の要求をさせていただいているところでございまして、初年度十七億五千万の予算につきましては、現在、北海道庁と相談し、かつ地元と相談しながら、空知五市一町の産炭地域の基盤整備のための事業主体を設立するということで作業を始めておるところでございまして、この予算が成立した暁に、平成四年度の春できるだけ早い時期に設立を目指して作業を始めているところでございます。  基金の規模につきましては、国と道庁と合わせまして二十五億円弱ということでございますが、これに民間、地元等の拠出を仰ぎました形でスタートを始めたいと思っております。  この基金につきましては、現在のところ道庁とは、二年計画でさらにその拡充を図っていこうということにしておりますけれども、最終的な規模につきましては、これは来年度の予算要求段階で最終的に具体的に決めるということになっておりますが、いずれにしても、発足させてとりあえず二十五億円プラスアルファの基金で事業を始めるということに最大の焦点を当てて今作業を進めておるところでございます。
  77. 中沢健次

    ○中沢委員 わかりました。今後まだ課題がありますので、またよろしくお願いしたいと思います。  そこで、一つ具体的なことも含めて、発想をかえて問題を投げかけておきたいと思いますが、今度、企業として新分野開拓をやるときには無利子融資制度が初めて入ってくる。先ほど言ったように単年度六十億、五年間で三百億、その金額は、必要があればもっとふやせと私は言いました。問題は、今、空知を中心にした一つの広域的な地域振興のための組織をつくって、そこでいろいろやるということとのドッキングを考えるべきだと私は思います。  非常に具体的な例であるいはまだなじまないかもしれませんが、例えば炭鉱閉山になって跡地が、会社が借金して抵当に入っていますけれども、固有名詞は避けますが、例えばある市の大体中心の相当程度の炭鉱跡地が全然手がついていない。市の方で買い上げたくても、簡単に言えばなかなか金がない。あるいは会社が仮に売ろうとしても、抵当に入っていますからそう簡単に売買の話が進まないという問題がある。しかし一方では土地は非常に貴重でありまして、その土地に仮に企業を呼ぶにしても、今言ったような問題を幾つかクリアしなければいけない。やりたくても、なかなか行政サイドも金がない。  三百億というのは言うまでもなく石炭会社あるいは石炭グループが新分野開拓をするときの国のてこ入れ、この政策、それはよく私もわきまえているつもりです。一方では行政を中心にしたそういうことで、基金について今言ったようなことがある。そうすると、土地を買う、あるいは土地を中心にした開発をやるという場合は、行政と石炭関係者が仮に第三セクターをつくる、そういうふうになった場合に、やはり三百億の無利子融資を、いろいろ条件はあるんでしょうけれども、地域振興のためには大変な目玉でありますから、思い切ってこの際無利子融資の道を開いていく。そうすると、行政と企業が一体になってその莫大な土地に対する再開発の青写真がつくられて、これは理想でありますが、そこにどんと大きな企業を呼ぶ、あるいは小さな企業をたくさん呼んで雇用の受け皿、地域振興につないでいく。  私はそういうことを非常に途方もないとは思いません。やろうと思えばできる。あるいはもっと言えば、通産大臣決意をすれば、片方はNEDO予算であるけれども、片方は本省石炭部の予算でありますから、そこのところは今直ちにそうするという答弁はいただきたいんでありますけれども、大臣としてひとつ積極的に受けとめていただいて、関係のところと十分相談をしていただいて、せっかくでありますから新政策の中にそういう新しいメニューと言っていいと思うんですけれども、それをぜひひとつ出すように、特にお願いをしておきたいと思います。大臣決意のほどをちょっと聞いておきたいと思います。
  78. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先ほどから申し上げているむうに、地域振興、前向きの政策をできるだけ進めるようにしたいという考え方でありますから、そういう基本的な姿勢の中で、今先生指摘の問題も検討をしてみたいと存じます。
  79. 中沢健次

    ○中沢委員 通産大臣あるいは関係者に最後にお尋ねをしたいと思います。  午前中に自治大臣といろいろ話をしてまいりましたが、実は通産大臣もかつて自治大臣をされていた、私もよく承知をしております。実は、全国的に閉山が集中をした時期、したがって関係自治体の財政が極端に窮屈になる、それに対する交付税措置として産炭地補正という制度を昭和五十一年に導入して、今でも続いているんです。ただ性格的には、どちらかというと閉山になってもその地域に滞留をする筑豊型の自治体に産炭地補正がかなり効いておりまして、きょうも改めて資料をいただきましたが、この十六年間で実に七百億程度産炭地補正がされて交付税でいっているわけですね。もっといえば石炭予算産炭地振興予算よりも規模は大きいんですよ。しかし、もうここまで来ておりますから、僕は、産炭地補正という制度そのものは来年で終わるわけでありまして、この際やはり北海道やあるいは九州の出先の市町村のいろんな意見も聞いて、新しい産炭地補正をやるべきだ。大臣も積極的に受けとめて、内部的にも研究会をやって、関係の市町村含めて合同で研究会もやって、ひとつ早急に結論を出したいという前向きのお答えもいただいています。ただ、これはやはり石炭関係の政策、産業政策としては通産大臣が責任を持っていますので、特に通産大臣の方からも、閣議その他で自治大臣とお会いをすると思いますが、産炭地の自治体財政のてこ入れのために産炭地補正をひとつ何とかよろしく頼むと、こんなことも大臣同士の間柄でお声をかけていただいて、働きかけをぜひお願いをしたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  80. 渡部恒三

    渡部国務大臣 早速相談させていただきたいと思います。
  81. 中沢健次

    ○中沢委員 それでは、もう時間がありませんから、これから先は労働大臣労働省関係者にお尋ねをしたいと思います。  質問の冒頭に、八次政策五年間の雇用情勢について若干お答えがありました。私はもう少し細かく、炭鉱労働者が八次政策の冒頭に何人いて、閉山・合理化で何人職を失って、いろいろ労働省努力をしたけれども、結果的に依然としていわゆる要対策者が何人残っていると私は各地域別の数字は資料でいただいていますからそれは要りませんが、少なくとも全国ベースと北海道・九州ブロックベースで、改めてそのことを客観的な事実として確認もしたいものですから、これは大臣でなくて結構でありますけれども、お答えをまずお願いしたいと思います。
  82. 征矢紀臣

    征矢政府委員 お答えいたします。  昭和六十一年の第八次石炭政策実施以来、閉山・合理化に伴い北海道におきましては約八千人、九州におきましては約四千三百人、したがいまして全国では約一万二千三百人の離職者が公共職業安定所に求職申し込みを行ってきたところでございます。これに対しまして、労働省といたしましては炭鉱離職者臨時措置法に基づきまして、手帳制度基本として各種援護措置を講じながら、これまでの間に北海道におきまして約七千二百名、九州におきましては約三千八百名の方が再就職等を行ってきているところでございます。したがいまして、現在なお求職活動中の方が北海道で約八百人、九州で約五百人となっている現状でございます。
  83. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、こういうことは余り指摘をしたくないのでありますが、八次政策が始まる以前の六十一年の十一月に長崎の三菱の高島で閉山がまず始まった。これは八次政策以前の問題が一つある。そして八次政策が始まって、先ほど来言っておりますように、非常に残念ですけれども四つの山の閉山と谷山の大規模な合理化。一昨年の三月からは閉山はありませんが、毎年毎年閉山があって離職者が出る、合理化があって離職者が出る。地元の職安も含めて労働省全体でもいろいろ努力をしている、私はよく知っています。しかし結果的には、いろいろ努力を積み重ねても、この数字は、今おっしゃったのは去年の十一月の数字でありまして、依然として要対策者離職者全体の約一割いる。何もやらなくているという意味ではなくて、一生懸命やったけれどもまだいるという意味です。  全国的には雇用情勢は非常に好転をしている。一般論としては私もわかるし、北海道の札幌周辺はそういう状態であることもよくわかるのです。しかし、私の住んでいる夕張を含めて産炭地全体は、あるいは北海道の場合は職を探して札幌の方に移転をする方もかなりおりますが、そういう方も含めて、職を求めている人あるいは仕事をやる能力がある人がまだたくさんいる。これはやはりゆゆしき問題だと思うのです。これは特殊事情だということで片づけてはならぬ問題だと思うのです。  そこで、私初めて労働大臣委員会でお手合わせをするわけでありますけれども、労働大臣としては、全国的な問題ということでとらえていると同時に、この種の非常に厳しい雇用不安にさらされている一人の人間の立場として、まだ何百人もいるわけでありますから、これは本当に大変な労働行政の課題であると、私はそれを単に観念的にじゃなくて実態としてしっかり受けとめていただいて、今までも歴代の労働大臣労働省関係者は随分苦労されておりますけれども、これから新政策につながっていくわけでありますから、八次政策の一つのけじめとして、この残された要対策者に対する雇用不安の解消に向けて、決意と、少しく具体的な構想があればぜひひとつ大臣の方から直接お聞きをしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 今先生からもるるお話がございました。私も真剣に承っておったわけでございます。炭鉱離職者就職という問題は、特殊性ということは先生おっしゃいましたけれども、まさに炭鉱労働という特殊性、それから高年齢ということも加わって非常に厳しい状況でございまして、労働省としても努力をしてまいったわけではありますが、今説明をいたしましたように、北海道で八百名、九州で五百名、こういう数字の方々が依然として失業している、こういうことでございます。  労働省としては、炭鉱離職者臨時措置法に基づいて炭鉱離職者求職手帳を発給し、再就職援助施策実施しているわけでございますが、なかなか問題の解決が、やってはきておりますが残っております。私、実は残念ながらこういう石炭、炭鉱問題は全く経験がございませんので、実は労働大臣になりましてから事務局に言いまして、何とか時間的余裕ができたら、私自身ができれば現地に行かせていただいて、そして、通産大臣はもうエネルギー問題は専門家でありますから、私は全く初めての経験でありますので、私みずから炭鉱に入りまして現場を見て、またその現場でどういうふうに職業安定業務を行っているか、また再就職のための職業訓練をやっているか、私みずから確かめて十分にいろいろなことを考えさせていただきたい、こう思っております。
  85. 中沢健次

    ○中沢委員 大臣の方からかなり、私の方としては歓迎すべきといいましょうか、この際だから現場に行って炭鉱にも入って、百聞は一見にしかず、こういうお話がございました。これはぜひひとつ機会をつくっていただいて、北海道も太平洋を入れましてあと四つしか山が残っておりませんので、ぜひ早い機会に来て大臣の目でよく見て確かめて、新政策に具体的に反映をしていただくようにお願いをしたいと思うのです。  そこで具体的な内容になりますが、今言いましたように、九州はもちろん山が二つ残っている、北海道は四つ残っておりますね。その四つ残っているうち、私の選挙区にまだ三つ残っているわけです。別に具体的な答弁大臣からは要りませんが、特にその中で新政策では、先ほど産業政策の中で企業の新分野開拓という一つの新しいものが出てきた。それに裏打ちをする意味で労働行政、労働省側としては、新分野でもって新しい企業をつくったときには、恐らく新分野開拓に伴う企業からの出向だとか派遣だとか出てくると思うのですが、それには賃金助成という制度が出てきた。  中身はまた後で聞きますが、いずれにしても、空知管内を考えましても、例えば空知にはまだ八百八十四人、下請を含めて炭鉱労働者が働いている。住友の赤平では七百八十四人働いている。三井芦別では四百二十八人が働いている。八次政策で離職をしたという方の対策ももちろん言うまでもなく大事です。同時に、今山が存続をして、その山に下請を含めてまだ約二千人近い人力が北海道の私の選挙区でも働いている。正直言って、この人力は本当にうちの山が何年間存続できるのだろうか、そこで何年間働けるのだろうか、毎日毎日そういう不安が繰り返されているのが事実ですよ。私も繰り込みでできるだけ一番方とか二番方だとかに行って、石炭政策だとか予算だとか新政策の話をして、とにかく難しいけれども山の存続のために雇用の安定のために頑張る、こういうことしか言いようがないのです。  さて、一般論はそのぐらいにしますが、新政策の労働省側の目玉として、今言ったように新分野開拓に合わせてそこに出向、派遣する関係者賃金助成をする、そういう発想については私は大賛成です。問題は、賃金助成のパーセンテージが三分の二、かつては四分の三という、特定不況業種だとか特定不況地域にはその種の賃金助成をやったケースがあり、労働省制度として既に持っているわけです。私は、せっかくやるのであれば、この際若干金額がかさんでも四分の三ぐらいの助成にして、それを原案として我々が議論をしていく、やはりこれがあってしかるべきでないかな、率直にそのように考えます。  そしてもっと言いますと、これは一年限りということになっているようでありまして、新分野だとか多角経営が本当に一年間の出向ぐらいで全体としてうまくいくのだろうか、私は非常に疑問ですね。ですから、そこのところも別に我々が議論をして上積みをするということも必要でしょうけれども、この際、労働行政に責任を持っている労働省ですから思い切って、産業政策として出されてきた新分野開拓労働政策としてもそれにこたえるような、もっと大胆な予算制度を出していいのではないか、私はそこのところのお答えをぜひ聞いておきたいと思うのです。
  86. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまお話がございましたが、具体的には来年度予算炭鉱労働者雇用安定助成金制度という形で、石炭関係事業主の方が新分野開拓を行った場合、それに合わせまして炭鉱労働者の方が職業転換をする、その場合の支援する対策として考えておるわけでございます。  これは雇用安定計画に基づきましてそれを認定し、その計画に基づいて配置転換職業訓練あるいは出向、関連企業への再就職あっせん等の措置を講じた場合に、それに対して一定期間賃金助成を行う、こういうことでございますが、ただいま御指摘ございました賃金助成につきましては、私どもといたしましては過去の不況期に実施されました最大限の助成率、これをこの石炭鉱業につきましては適用する、こういう考え方で対処いたしております。  したがいまして、具体的には職業訓練の場合には賃金の四分の三を職業訓練実施期間中に助成する、こういう考え方でございます。それから配置転換、出向あるいは再就職あっせん等につきましては三分の二、これは過去の最高の額でございますが、そういう割合での賃金助成を一定期間行うという考え方で予算を積算しているところでございまして、ただいま賃金助成の期間が最大限一年間という期間も短いのではないかという御指摘もございますが、これは現在私ども、今までとってきました対策として最大限の期間がやはり一年間ということでございまして、それを踏み越えて石炭について対策をとるということはなかなか困難な面がございますものですから、過去の例から最大限の対策をとるという範囲内で予算を積算し、法案お願いしているところでございます。
  87. 中沢健次

    ○中沢委員 法案審議のときにも改めてやりたいと思いますが、私はやはり三分の二あるいは四分の三問題で言えばまだまだ意見もあるし、一年間ということでは、まあ確かに一年間という一つの時限を切るという意味ではわかりますが、この種のものというのは、どうしても多角経営というのはそんなに一朝一夕でいかない。そうすると結果的に、単年度措置であっても二年、三年、そういう必要性は特にあるということだけを指摘をしておきたいと思うのです。  さて、最後になりますが、先ほどあえて北海道の山別の従業員の数を言いました。実は下請労働者もかなりいるのです。今度の労働省説明を聞きますと、そういう新分野に伴う政策の中でそれは下請も含める、私はそれで結構だと思います。ただ、私の記憶では、山の閉山のときに、当時はたしか田村通産大臣だったと思いますが、下請労働者も大量に解雇される、ところが下請労働者というのは本雇いと違いまして非常に労働条件が不安定、簡単に言えば退職手当制度もない、これは何とかしなければならぬ、随分議論もしまして、一結果的には通産が中心になっていろいろ相談をし一でいただいて、特別委員会をつくってもらったり、いろいろな関係者の意見も聞いたりして、制度のなかった下請のそういう退職手当についても一定額を閉山交付金の中に入れて、そういう国としての財政的なてこ入れをした、こういうケースもあります。これは事実だと思うのですね。事実です。何年何月かはちょっと私、議事録を見ればわかりますが。   ですから、そういうこともこれから避けて通るわけにはいかぬ。僕らは、山の存続ということを前提にしていますけれども、最悪の事態に備えてそういうことも念頭に置いて、両大臣あるいは石炭部、労働省の担当部を含めて、そういう問題も既に過去にはあるということを改めて指摘しておきますから、そのこともひとつ念頭に置きながらこれからやっていただきたいと思います。  もう時間が参りましたからこれで終わりますが、わずか一時間でありまして、本当にさらっとした議論しかできません。言いましたように、自治省にも関係する産炭地振興策、その辺もまた踏まえていただきたいし、あと残された内容につきましては、また法案審議の中で十分やっていきたいと思います。  いずれにしても、政策的にも予算的にも、地元でもございますので大変お世話になりますが、よろしくお願いを申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
  88. 佐藤敬治

    佐藤委員長 次は、細谷治通君。
  89. 細谷治通

    ○細谷委員 私の持ち時間は大変短うございますので、端的にお答えをいただきたいと思います。  両大臣、私は三池炭鉱が存します大牟田市の出身でございます。したがいまして、国政にあずかる者の立場は当然でございますけれども、地域の住民の生の声を代表するということで、これから幾つかの点について御質問申し上げたいと思います。  まず、率直に言いまして、地域の声は、もうわがままは言わない、石炭だけで生きていく町、それは望まない、石炭もある町ということで何とかこの地域の再生を図っていこうという、こういう切なる願いでいるわけであります。まずそのことを、両大臣、責任ある立場におられるわけでありますので、どうぞしっかりと受けとめていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  ところで、通産大臣も御就任後、石炭の問題について大分いろいろお話を聞かれ、御研究、お勉強もしていただいたと思うのですけれども、まず就任のときに、日本の石炭産業は極めて厳しい歴史に直面している、名誉ある撤退の方に進まざるを得ないのではないかという発言も、新聞のインタビューに答えておっしゃっているようでございます。この新しい石炭政策もと構造調整を推し進めていく、そして、何かわかりませんけれども均衡点の達成を目指すというねらいでございますが、この均衡点というのがもし海外炭との炭価差という、まさに経済原則だけの物差しではかるということにかりますならば、現在の為替の状況その他を考えてみても、国内炭は総撤退せざるを得ないということじゃないかと私は思うのです。  しかしながら、石炭は御承知のように国内唯一のエネルギー資源であるわけでありまして、かけがえのないエネルギー資源であるわけであります。そうした総合的なエネルギー政策の中で、この石炭の位置づけというのはそれなりになされておりますけれども、石炭の中での国内炭の位置づけというものを一体どういうふうにしていくのか、そして、この石炭産業というものが地域に果たしてきた役割考えましても、今後のことを考えますと、撤退というような事態が出てまいりますと地域経済に大変深刻な影響を与えることになるわけでありまして、極めて重大だと言わなければならぬと思うのです。  率直に言いまして、十年後に三池炭鉱というのは一体あるのかな、ないのかなということを皆さんは本当に真剣に心配しているのです。もう日本の炭鉱は全部閉山になってしまうのではないだろうか、どうも今の政府通産省のお考えでは十年後には総撤退するのだということが腹のうちにあるのじゃないか、事務方の御説明なんかを聞いてみるとそう受けとめられても仕方がないような感じがあるわけです。ニュアンスがあります。こういうことでは私どもは政治の責めは果たせないと考えるわけでありまして、こういう立場から通産大臣としての国内炭の位置づけというものについての認識をいま一度お聞かせいただければと思います。
  90. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私の言ったと言われる撤退という言葉は若干誤解があったかと思います。  たしか、今思い出してみますと、太平洋戦争のときのあのアッツ島の玉砕、それからキスカの撤退というのがあったかと思いますが、つまり、石炭産業は国際経済の中で非常に厳しい状態にある、しかし、その厳しい状態の中で、そこで働く人たち、またその地域社会、この人たちに迷惑をかけないようなこれからの石炭政策、もっと積極的に言えば、今やもう国際経済ですから産業というものが全くコストを無視して繁栄するということはなかなか望めませんけれども、そういう厳しい中で過去に我が国エネルギーに果たしてきた石炭産業の役割、また将来のエネルギーの多面的な安全性といった中に存在する石炭役割、もろもろのことを考えながら、まずはやはりその地域振興、そして働く人たちの安定というものを大事にしたい、こういう意味に御理解をいただきたいと思います。
  91. 細谷治通

    ○細谷委員 先ほど私が言いましたような地域の生の声を政治の立場で思いをいたしていただきまして、そうした切なる願いがかなえられるような温かい政治というものをぜひやっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  少し具体的な話に入らせていただきたいと思いますけれども、新石炭政策下における国内炭の需給計画というものは一体どういうふうにつくられていくのかということを、これまでの計画との比較でお尋ね申し上げたいと思います。  これまでの国内炭の需給計画というのは、もちろん法律に基づきまして、石鉱害もとに置かれております需給部会の審議を経て毎年初に決定されていたわけでございます。第一義的には石炭企業とユーザーとの間の当事者間の契約に基づくとはいいましても、最終的には通産省の行政の仲介、調整というものを経ていたわけでありまして、ある意味では公的に担保されたものであったと私は考えるわけであります。  さて、今度の新石炭政策下においては、どのようにして需給計画というものがつくられるのか、すなわち生産計画というものがどういうふうにして担保されていくのであろうかということが大変気になるわけでございます。国内炭の安定操業のためにも何としても一定量の生産量確保していくということが必要になるわけでありますけれども、そのためにはユーザー側の安定取引というものが必要であります。それがどういうふうに担保されるのか、需給計画というものは一体どういうふうに今度の新しい計画では策定されることになるのか、これまでの需給計画とは違った性格になるのかどうか、その辺について承りたいと思います。
  92. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 毎年の生産あるいは需給につきまして、確かにつくるプロセスは八次策とポスト八次策はちょっと違うことになると思います。従来のやり方は、御案内のとおりでございますが、まず需要を想定いたしまして、需要ありきというか、そのもと生産計画を定める、これは石炭鉱業審議会、今おっしゃいました需給部会で通産省も関与して決めておるということだと思います。今後、基本的には同じというか、同じ場でやるわけでございますが、今申し上げましたような需要減先にありきという考え方じゃなくて、石炭業界が自主的な構造調整計画に沿った生産計画をまずつくりまして、これに対して需要業界、主として電力ですが、需要業界が弾力的に引き取り協力を行う、こういう、今申し上げました生産の計画あるいは需要の引き取りというか見通しにつきましては引き続き石炭鉱業審議会の場で審議してお話をしてやっていく、その過程では当然私ども資源エネルギー庁、通産省も関与していくということになります。
  93. 細谷治通

    ○細谷委員 ユーザーの自由裁量ということでは生産が立ち行かないわけでございますので、その面につきましては通産省の立場での、何といいましょうか、調整というものを、ぜひ今後とも強力な調整というものをお願いを申し上げたいというふうに思います。  次に、いよいよ八次の石炭政策は終わろうとしているわけでございますけれども、三池炭鉱における貯炭残高の現状と見通しということをお伺いしたいと思います。  第八次策の最終年度であります今年度末には過剰貯炭はゼロになるというのが第八次の石炭政策であったと私は存じ上げております。まず、過剰貯炭というのが現在年度末を見通してどのくらいになるのかということからお尋ねをしたいと思います。
  94. 土居征夫

    土居政府委員 過剰貯炭につきましては、需要業界協力もとでこれまで減少をしてきたところでございますけれども、ミクロ的には、三池炭の場合になかなか電力業界のかまでたきにくいという問題がございまして、全体としては減少傾向にあるわけでございますが、三池炭等を中心といたしました過剰貯炭が残っておる状況でございまして、平成二年度末には前年度に比べまして百万トン以上減少しまして百五十八万トンまできたわけでございますが、平成三年度末におきましても残念ながら百四十一万トンの過剰貯炭が残るものというふうに現在見込んでおります。
  95. 細谷治通

    ○細谷委員 先ほども言いましたけれども、八次策の最終年度においては過剰貯炭はゼロにするというのが計画だったはずであります。今お伺いいたしますと、今年度末の見通しとしてまだ百四十一万トンの過剰貯炭が残るということでございます。そうしますと、これから残された期間、企業はもちろんでございますけれども、国のレベルといたしまして具体的に一体どんな解消努力をなさっていくつもりであるのか、それをまず一点お伺いしたいというふうに思います。  これは当然、過剰貯炭を抱えるということになりますと企業負担というものは大変なものがあるわけであります。もちろん今は過剰貯炭に対する企業負担の軽減のために無利子融資というのが行われているわけでありますけれども、しかしながら貯炭管理の経費そのものは企業負担ということになっております。ちなみに平成元年度で見ますと十五億円の負担ということになっております。これは非常に石炭企業経営を圧迫しております。  私は過般の当委員会質問したことがございますけれども、これが企業の経営を圧迫し、そのことが働く労働者の労働条件にはね返っている。大臣御承知かどうかわかりませんけれども、今炭鉱労働者というのは民間の労働者に比べましてボーナスは半分でございます。例年のベアも大体半分、こういう形になっているわけですね。それはもちろん経営が苦しいわけでありますから何らかの我慢はしなければいかぬということでありましょうが、こういう状況がずっと続いているわけですね。この十五億円の負担というものも決して無視できないものであるというふうに私は思うのです。  特にお尋ねしたいのは、国の計画で今年度末には過剰貯炭はゼロにしますよという計画をつくった。これがさらに先に延びていくということになるならば、その経費の負担については私は何らかの助成措置というものがあってしかるべきじゃないか。これはもちろん企業の責任でありますけれども、国の責任というふうに私は申し上げなければならぬと思うわけであります。この辺についての御見解を賜りたいというふうに思います。
  96. 土居征夫

    土居政府委員 八次策の最終年度の平成三年度末に過剰貯炭がどうなるかということにつきましては、実は昨年六月の答申の作成の段階から、これはやはり三池炭の特性からいってなかなか難しい問題があって、ある程度の過剰貯炭は残らざるを得ないという前提で、さきの答申におきましても、「八次策の終了時点でなお残る過剰貯炭については、引き続き適切な対策を講じていく必要がある。」そういう答申をいただいているわけでございまして、石炭企業のコスト面での問題点はいろいろなところにございます。それで、今度のポスト八次策におきましても、炭価の引き下げとかあるいはこういう過剰貯炭についての特別な負担の問題、こういったマイナス面はございますけれども、それらを全部勘案しまして総合的にどういう対策を講じていくかということが昨年の答申にかけて議論をされてきたわけでございまして、先ほど来御説明がありましたような新分野開拓に対します無利子融資あるいは補助金あるいは今度の予算措置の大幅な拡充といったことも、そういった石炭企業、親子を含めた新しい構造調整に向かう企業に対する対策として、パッケージとして検討されてきたわけでございます。  今御指摘の問題についても、我々は石炭協会あるいは石炭業界各社とも十分打ち合わせをした上で、こういった問題があるけれどもこういう対策によって総合的に乗り切っていこうということで検討してきたものでございまして、もちろんこの問題だけ取り上げて見ますれば、おっしゃるように、実は今申しましたように過剰貯炭につきましては無利子融資制度をさらに継続するわけでございますから、かなりこの貯炭についての一般的な金融コストは国が対応していくということになるわけでございますが、御指摘のようにそれ以外のいろいろな管理費用がございます。こういった管理費用について企業の負担が残るという点につきましても、ただいままでここで申しましたような全体の対策のパッケージの中で、関係者がコンセンサスを得てここまで進んできたものということで御理解をいただきたいと思っております。
  97. 細谷治通

    ○細谷委員 大臣、お聞きのように年度末で、八次策は百四十一万トンという大量の過剰貯炭が残るわけです。ある意味では八次策は完了しないじゃないですか。トータルとして、パッケージで面倒見ているからいいんだとおっしゃるけれども、その結果が、私が言ったように労働者にしわ寄せが行っているのでしょう。だから、やはりこういうのを節目節目できちっと、ちゃんとした手当てをしていくということが大切ではないのでしょうか。私はそういう意味においてこの問題は、パッケージとして、トータルとして見ているからいいのではなくて、やはりこういうことについては一つ一つきちっときめ細かな対策というものをぜひお願いをしておきたい、お答えは結構でございます。  次に、炭鉱離職者雇用対策について労働大臣労働省にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど中沢委員からの質問に対しましてお答えがございまして、第八次石炭政策下における炭鉱離職者の発生状況、そして再就職状況、そして残った要対策者の数の御説明がございましたので、結構でございます。そのうちの三井三池に限って申しますならば、一体どうなっているのでありましょうか。御承知のように六十二年の六月以来、元年にかけまして、三次にわたるトラスチックな、閉山こそありませんでしたけれども、閉山に等しい生産縮小・合理化というものが行われてきたわけでありまして、全国的に見ましても最も多い離職者が発生をしております。この状況がどうなっていたか、御説明いただきたいと思います。
  98. 征矢紀臣

    征矢政府委員 三井三池炭鉱におきます八次石炭政策下におきます合理化による離職者の方々、これは約二千五百人の方が公共職業安定所に求職申し込みをされております。現在まで約二千百人の方が再就職その他を行っておりまして、現在なお求職活動中の方が約四百人という現状になっております。
  99. 細谷治通

    ○細谷委員 これは大臣にお尋ねした方がよろしいかと思いますけれども、中央はもちろんのこと、地元自治体そして石炭企業含めまして、懸命の努力で今お話がございました二千五百名の求職者のうち約半数の再就職先が確保されました。もちろん就職しなかった、就職する必要はなかったという方もおられるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、現在の段階で黒手帳が期限切れになろうとしているのを目の前にいたしまして、いまだ四百人を超える要対策者が残っているということでございます。  大牟田、荒尾地区の雇用状況というのは、トータルとしてはかなり改善はされておりますけれども、有効求人倍率という形で見ましても他の地区に比べて大変厳しい状況にあります。特に、これまでの就職者千四百名のうち約五百人というものは県外での就職を強いられている、地元を去らざるを得なかったということなんですね。本人たちの生活上の犠牲はもちろん大変でございます。それから、地域の人口流出にこれで一層拍車がかかったという結果になりました。かつて大牟田市は二十三万に達しようかという人口が、今はもう十五万を割るところまできておるわけです。これが実態であります。そして、この残された四百人の方々というのは、就職先を探すということでは、今までの方より、より一層厳しい条件だと思います。そういう意味においては、大変これからはまた御苦労いただかなければいかぬというふうに思うわけでございます。これからの新しい石炭政策の成否というものも、やはり炭鉱離職者の再就職の進行いかんにかかっているというふうに私は考えるわけであります。  そして、今般の石炭企業経営多角化、他分野への進出等言われておりますけれども、実際はなかなか難しいのです。数字を持ってまいりましたけれども、地元での石炭企業及び系列企業による新規企業の設立、そして自前による炭鉱離職者雇用というのはまさに微々たるものなんです。三井三池で見まして三社でだった約百人しかできていないのです。だから、多角経営だ、他分野へ進出だと言ってみても、実際は本当に大変な苦労が要るということだと私は思うのです。  そういう意味において、先ほど言いましたけれども、今度の新しい石炭政策が成功するもしないもやはりこの辺にあるのじゃないかと思います。そういう意味において労働大臣としての決意をお聞かせいただきたいと思います。
  100. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 まさに離職対策こそは私たち労働行政の最大の政策の一つでございまして、最重点政策の一つでございまして、努力をしてまいったわけでございますが、御指摘のようになお三井三池においては四百人のいわば仕事につかれない方々がいらっしゃる、こういうことでございまして、これまで以上に労働省としても努力をしてまいりたい、関係各省、自治体との御協力をやってまいりたいと思っておるわけでございます。その一つの方策としてこのたび炭鉱離職者臨時措置法改正お願いをしておるわけでございます。  これによりますと、できるだけ多くの炭鉱離職者の方々が石炭鉱業合理化による離職ではなしに石炭企業経営多角化等によって新たな雇用の機会につかれるように、炭鉱労働者配置転換職業訓練等措置を講ずる事業主に対して、その対象となる炭鉱労働者賃金助成等を行う炭鉱労働者雇用安定助成金創設したり、同時に職業訓練の積極的な実施を従来以上にやりたい等々のことが、何とかこの際、より積極的に進めることができるようにいたしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  101. 細谷治通

    ○細谷委員 先ほども質問の中で出ておりましたけれども、炭鉱労働者雇用安定助成金ということが新しくつくられたということでございますけれども、まだまだこの中身については不十分であるという指摘もなされておりまして、私もそう思います。ぜひこれから法案審議の中で、この辺について問題点を詰めてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、先ほど言いましたが、この離職者の雇用問題というのは新たな石炭政策の成否を決めるものであると私は位置づけております。どうか、今の大臣決意を伺いました。けれども、今後ともよろしく御努力いただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。  さて、次に鉱害問題についてお尋ねいたしたいと思います。  石炭採掘によりまして有明海の海底が陥没をいたしまして大きな漁業被害が出ているわけでございます。この問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  本問題につきまして、私は去年の三月の予算委員会の分科会で取り上げさせていただきました。その後、通産省資源エネルギー庁におかれましては、この有明海海底陥没による漁業被害救済のために、産炭地域環境整備調査研究費ということで、まだ通っておりませんけれども、平成四年度予算が成立いたしますれば助成金六千万円の予算措置を講じて陥没対策に本腰を入れていただく、漁業対策でありますけれども、入れていただくということになります。大変結構なことだと私は感謝を申し上げる次第であります。  もとより、この鉱害復旧事業につきましては、今行っておりますけれども、当事者たる石炭企業の埋め戻し、そして漁業補償にとどまることは私はできないと思います。私は、さきの予算委員会の分科会で申し上げましたのは、鉱害復旧事業として臨鉱法の対象にすべきではないかということを申し上げたわけでありますけれども、残念ながら臨鉱法の中にはこれを取り上げてもらうことができませんでした。私はそういう面におきまして大変残念だというふうに思っておるわけであります。そういう意味におきまして、今度は産炭地振興という観点から通産省でこの問題に本腰を入れていただけるようにおったということでございます。ぜひ実りあるものにするために、水産庁、県、通産省十分連携をして前進あるものにしていただきたいというふうにお願いを申し上げる次第であります。  さて、昨年の十一月に県のレベルにおきまして有明海水産振興対策協議会というのが設置されまして、この有明海の漁場保全や生産対策について調査研究が始まっているわけであります。そして、これには資源エネルギー庁、水産庁も加わっているということでございます。先ほど申しました六千万円の助成、そして県の独自の予算ということで予算措置がなされて検討が始まったわけではございますけれども、現在の検討状況について、おわかりの範囲で結構でございますので、お教えいただきたいと思います。
  102. 土居征夫

    土居政府委員 有明海の海底陥没問題につきましては、今先生指摘がありましたように、福岡県におきまして有明海水産振興対策協議会、これが設けられまして、資源エネルギー庁それから水産庁、学識経験者それから地元関係者がメンバーとして参加しているところでございまして、十一月の十八日に第一回の協議会を開催して、現地の状況の視察あるいは今後の調査計画の検討、これに入っておるところでございます。資源エネルギー庁の方からは炭業課長産炭地域振興課長が、担当二課長が現地に行きまして、その後この協議会のメンバーの方々と一緒に検討に入っているところでございまして、今先生から御質問がありました来年度予算が成立しました暁には、産炭地域振興の環境整備調査研究費、これが六千万計上されておりますが、これに県あるいは他機関の予算等も加えまして、新しい有明海における水産振興のための諸事業の研究調査を行っていく、こういう段取りになっているわけでございます。
  103. 細谷治通

    ○細谷委員 水産庁お見えになっていると思いますけれども、本年に入りましてから、県を中心にいたしまして有明海の覆土による漁場改善事業というものが計画をされております。新聞でも大々的に報じられておりまして、地元の期待は大変大きいわけでございます。有明海のヘドロに海砂でふたをする、そして有明海の水質浄化を図るということでございます。アサリ等のすみかをっくって漁獲量のアップを図る、全国でも異例の海岸環境浄化作戦だというふうに大変注目されているようでございます。県といたしましては九二年度から年間二億円の事業費でもって、水産庁の協力を得ながら共同で事業をぜひ推進したいということで計画をしているようでございます。この県の計画に対しまして水産庁としてどういう取り組み、どういう対応をなさろうとしておるのか、御見解を賜りたいと思います。
  104. 吉崎清

    ○吉崎説明員 福岡県有明海域は、ノリ養殖を初めタイラギ、アサリなどの魚介類の重要な漁場でございます。しかしながら、近年この海域におきまして底質の悪化による漁場の生産力の低下が見られるようになっております。このため、福岡県から大規模漁場保全事業として覆砂、これは土砂を海底にまく事業でございますが、これによります底質改良を実施し、漁場の生産力の向上を図りたいとの要望が水産庁に対してあったところでございます。今後、本事業の実施につきましては、福岡県と十分協議して前向きに検討してまいりたいと考えております。
  105. 細谷治通

    ○細谷委員 地元でも大変期待しておりますので、ぜひ前向きに御検討賜りたいということを要望申し上げる次第であります。  次に、三池炭鉱におきまして現在新たな合理化計画というものが打ち出されております。要員体制の見直しということでございます。これに関連いたしまして、労働者はもちろんでありますけれども、地域におきましても一体現在の二百三十五万トンという体制が維持できるのか、そして鉱山保安は大丈夫なのかという不安があるわけでありますけれども、この点についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。そして、通産省としていやしくも保安の手抜き、鉱山保安に対する不安というものが発生しないように強力な御指導をいただきたいというふうに思うわけであります。  このねらいは、もちろん新石炭政策対応いたしまして構造調整をさらに進める、なお一層効率的な操業体制をつくっていくということでございましょう。そして、中長期的な展望を開く、こういう目的のもとに、今般会社側から坑内外の操業体制の見直し等の合理化提案がなされたわけであります。  今回の計画は勤務の見直しということでありますけれども、勤務の見直しに伴う要員体制であります。これまでありました常一番の勤務を、現行では四百二十名充当しておりましたけれども、それを五十名に減らす。そして、この削減した分を三交代の勤務に振りかえていくという計画でございます。細かい要員配置の問題は、もちろん労使の問題でございますからここでは問いません。しかしながら最近、運搬事故等が軽微とはいいましても連続して発生している状況があります。今後の石炭政策、新石炭政策下の構造調整過程で仮に重大事故が発生するということになれば炭鉱経営の自己否定につながりかねない、閉山に追い込まれかねない、私はこういうことも十分考えておかなければならぬというふうに思うわけであります。  これまでは、生産に直結いたしております三交代要員のほかに、この常一番という勤務は坑道の維持点検業務を主体とする日勤勤務であったわけです。まさにこの保安確保業務というものを最大の使命にしていたわけであります。したがいまして、まずこの常一番の原則廃止、三交代化というものが保安度の低下を招くものと言わざるを得ないと思うのでありますけれども、それに対する御見解を賜りたいと思います。
  106. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 御指摘の三池炭鉱におきます常一番の配置計画の変更の問題でございますけれども、これは、私ども基本的には企業の組織、体制の問題であると考えておりまして、労使間で十分話し合っていただきたいと思っておるわけでございます。ただ、けさほど大臣からも申し上げましたように、私どももとより保安確保生産の大前提でありまして、構造調整下におきましても、保安要員の確保あるいはその適切な配置ということで十分な保安体制を確立していただくことが大事だと思っております。  そういう観点から、現在、三井三池炭鉱の提案に対しまして、九州の鉱山保安監督局で具体的な人員配置計画も含めまして調査検討をさしておるところでございまして、今後、保安面からの問題が発生しませんように適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  107. 細谷治通

    ○細谷委員 もちろん今回の合理化提案というものはこの操業体制の効率化を目指すものということでありますけれども、これは要員需給の面からも大変多くの問題を有しているということであります。  特に、この三池炭鉱では、ここ数年、百名前後の従業員が毎年定年退職していくという状況になっている。この傾向は今後とも数年続いていくということが言われているわけであります。したがいまして、ある意味では恒常的な要員不足の状況が出ているということであります。まだ平成七、八年まではこの要員の状況で二百三十五万トン体制を維持していくということが言われているが、果たしてそういうことが可能であるのかどうか。そういう慢性的な欠員状況の中で可能かどう」かということは大変不安なわけでありまして、こういう要員体制の面でも一層監督官庁としての通産省の御指導を賜って、いやしくもこの生産体制にひびが入るようなことがないように、そして保安面で手抜きが行われないようなことについて十分な御指導を賜りたいというふうに思います。  時間が参りましたからこれでやめますけれども、いずれにいたしましても、この合理化策をめぐりまして地元では炭鉱労働者を初めといたしまして地域も大変心配しておりますので、万全の体制を行政当局にお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
  108. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これにて細谷君の質問を終わります。  続いて、藤原房雄君。
  109. 藤原房雄

    ○藤原委員 同僚委員からもいろいろお話がございましたが、若干時間をいただきまして、数点について質問さしていただきます。  大臣所信表明をお伺いいたしましたが、現在の国内石炭鉱業の厳しい環境状況等についてのお話、それから昨年六月の「今後の石炭政策の在り方について」の石炭鉱業審議会答申を受けて、所要の政策について一生懸命努力をなさるという大臣のお話でございました。  二つは石炭鉱業構造調整対策、そしてまた産炭地域振興対策、諸般の状況についてのお話があったわけでありますが、後段の方に、総合的なエネルギー対策の一環として、海外炭安定供給確保を図るとともに、地球環境問題を踏まえたクリーンコールテクノロジー開発国際協力等を図ってまいる所存であります。」というお話がございました。  私は、国内炭のことについては彼ほどまた申し上げるとしまして、長期エネルギー需給見通しによりますと、八八年実績で一億一千四百六十万トン、全体のエネルギーの中の一八・一%を占めておりますものが、二〇〇〇年にはおよそ一億四千二百万トン予定し、構成比率は一七・四%、また二〇一〇年には一億四千二百万トン、一五・五%というように、石炭エネルギーが依存する比率というものは依然として今後も二〇〇〇年までの間は伸びるといいますか、その需要を見込んでおるということですね。こういうことからしまして、石炭の需要というのは、国内炭のことを見ますと非常に厳しい状況の中にありますが、エネルギーの中では石炭というのは非常に大きなウエートを占めて今後推移するだろう、こういうことだろうと思います。それだけに、安定的な供給状況というものが築かれていなければなりませんし、さらにまた、今地球規模で言われております環境問題というものに対しましても十分な配慮がなされていなければならないことだろうと思うのであります。  こういうことを考えるにつけまして、この石炭の今後の長期需給見通し、数値的にはこうなって、おりますけれども、石炭の全体のエネルギーの中で占める位置というものや今後の重要性というものにつきまして、通産省といたしましてはどのようなとらまえ方でいらっしゃるのか、概括的なお話をまずお伺いしておきたいと思います。
  110. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 石炭につきましては、まず大変豊富な埋蔵量がある、それから賦存が世界的にも非常に広い地域にあるということからいいまして、供給安定性が非常に高いという特性というか優位がございます。また経済的にも安いということもございまして、中核的な石油代替エネルギー考えている次第でございます。  数字につきましては先ほど先生指摘のとおりでございます。現在、一九九〇年度の我が国の一次エネルギー供給に占める石炭の比率は一六・六%で、石油に次いで第二のエネルギーでございます。  今後の見通しにつきましては、一昨年、総合エネルギー調査会のエネルギー需給見通しがございますが、これによりますと、やはり二〇〇〇年までに着実に増加してまいりまして、一億四千二百万トンに達すると見込まれておるわけでございまして、今後ともますます重要なエネルギー源になっていくと考える次第でございます。
  111. 藤原房雄

    ○藤原委員 石鉱害答申の中にもこの石炭の重要性についてはいろいろ言われておりますが、さらに国内炭役割ということにつきましては、それなりの評価といいますか、役割を担わなければならぬということも明記されております。一つは供給地域多角化に資するものでなければならぬということや、緊急時におけるエネルギーセキュリティーとして有効であることとか、国内石炭資源技術の保持、涵養が必要であるというようなことも「エネルギーセキュリティー」として記されておるわけであります。  確かに為替ということからいいまして、内外価格差の大きな中でありまして、今日まで関係者の最大の努力にもかかわらず、今日こういう現状の中にあるわけであります。しかしながら、この石鉱害の中にもございます国内石炭資源技術の保持、涵養という、こういうことについては現在におきましても非常に大事なことだろうと思うわけであります。これはハードの面はすぐだれもが築くことができますが、ソフトといいますか、こういう技術の酒養につきましては、なかなか目に見えないものに予算をつけてそれを保持するということは非常に難しいことでありますが、今日まで先人が築いてまいりましたこの技術を保持、涵養するということは非常に大事なことだろうと思うわけであります。  既に当局におきましては御存じのことだろうとは思うんでありますが、過日太平洋炭礦におきまして、石炭協会が設立いたしましたJATEC、財団法人石炭開発技術協力センターの釧路の研修というのがございまして、去年の暮れでありますけれども、インドネシアの方々をお呼びしまして、日本人とともに共回生活をするということの中で炭鉱技術の指導のノウハウ等いろいろ研修をしたというお話を私も聞いているわけであります。これは通産省が直接関係することじゃないのかもしれませんけれども、日本の、今日まで先人の築きました炭鉱の技術というものは、国際貢献の上におきましてやはり生かされることが大事なことだとしみじみ思うわけでありますし、これは太平洋でたまたまこういう会合が開かれて、それなりの成果をおさめたということでございますけれども、こういう形で今後もいろいろな日本の持つ技術というものを海外に生かすことができるチャンスというものはあるだろうし、またこういう形のものが持たれるだろうと思うわけであります。  地元としてはこの成果を非常に高く評価しまして、こういうことが今後も継続的にできるような仕組みをひとつ考えてもらいたいとか、ぜひまた深い理解を、バックアップをしてもらいたいということが言われておるわけでありますが、この海外に対します国際貢献の技術研修のための、研修センターとでもいいますか、こういうものに対しての積極的なバックアップということについてはぜひ御検討いただいて、ひとつ積極的な対応をしていただきたいものだ、すべきだ、こんなことを私は考えておるわけでございます。当局としましては、この問題については中身は十分に御理解いただいておるとは思いますけれども、どのようにお考えでしょうか、お伺いしておきます。
  112. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 今先生指摘国内炭技術の維持あるいはその国際的展開という点につきまして、石炭鉱業審議会答申でもやはり評価しております。文章で言いますと、「石炭生産関連技術の基盤を国内に維持することは、国際協力等を通じて今後の我が国による海外炭安定供給確保にとって。一助になるとも考えられる。」というふうに述べております。  私どももこうした同じ考えでございまして、そのために平成四年度において、新たに発展途上国における石炭開発のための総合的なマスタープランの策定と我が国における技術協力のあり方について調査検討を行うということ、それと同時に我が国石炭鉱業構造調整の一環として海外炭開発国際協力における国内炭技術の活用のあり方を検討するため、国内炭技術活用の可能性やあるいは国内研修事業等に係る調査を行う、そういう予定をしております。  今先生指摘の、あるいは地元での御要望につきましては、今申し上げましたようなそういう調査の結果を踏まえまして勉強して、今後我が国石炭技術の海外展開を図ることにしてまいりたいと思っております。
  113. 藤原房雄

    ○藤原委員 大臣、ぜひひとつまた御検討を積極的に進めていただきたい。できることでありますし、また大事なことだと思うわけであります。  時間がありませんから次に進みます。  先ほどの大臣所信の中にもございますが、個々の問題につきましては私ども今日までこの八次策の経緯の中でいろいろ申し述べてきたところでございまして、また今後法案審議もございますから、そういうところでまた石炭鉱業構造調整対策、これらのことについてはいろいろ申し述べさせていただきたいと思いますが、一点だけ、先ほど同僚委員からもお話がございましたが、今度の対策としていろいろお考えになっていらっしゃる問題の中で、石炭会社の新分野開拓支援する融資制度創設するとか施策拡充を図るということであります。非常に大事なことで閉山になってしまったら元も子もないわけで、その前にいろいろな施策を講じようということは過去のいろいろな経験の中から生まれてきたことだろうと思いますし、そうあっていただきたいと思うのでありますが、北海道の炭鉱を見ますと、いずれも都市から離れた山間地といいますか、そういうところに石炭があるということで、町ができて、そこに人が集まって都市ができておる、こういうことでありますから、そこで新しい分野開拓という、会社が何かをするということも、相当なバックアップといいますか、施策がございませんと、新分野に進出するということは、先ほど同僚委員からもるるお話がございましたように、非常に難しいことだ。  しかしながら、それは先ほど来労働大臣それから通産大臣もお話をしておりましたが、地域雇用とか地域の産業のあり方とかというのは、その石炭産業が何とか他分野でいろいろな形でそこに存続するということが最大の雇用の場の創出ということでありまして、閉山になってしまって、そしてその後の対策をどうするかということは、今日見ましても非常に困難なことであるということを痛感するわけであります。そういう点では、これらの施策をどうか実りあるものにするために最大の御努力をいただきたいと思いますし、また個々の問題については後日の委員会で申し上げさせていただきたいと思います。  次は産炭地域振興対策のことでありますが、この産炭地域の振興は、今日までの数多くの地域そしてまた八次策で閉山になりましたところ、現在稼行しているところ、いずれも、現在炭鉱があるとはいいながら、合理化で相当従業員も減っておりまして、ひところの人口構成とか市町村の持つ財政力とか、こういうことから見ますと相当な落ち込みになっていることは、現状としましては非常に厳しい状況にあることは御理解いただけると思うのであります。  そういうことからいいますと、私は八次策に焦点を合わせてみましても、このたびっくりました産炭地域振興実施計画、これは各市町村のいろいろな意見を取り入れましてきめ細かにおつくりになっていらっしゃる。ぜひこれはこのように推進をしていただきたいものだと思います。振興すべき産業とか産業基盤の整備とか、生活環境整備とか、これらのことにつきまして、それぞれの地域ごとの計画をお立てになっている。  ただ、現地へ参りまして地元の方々とお話しするときにいつも出てまいりまして、また当然だと思うのでありますが、例えば中空知の産炭地域経済生活圏、この計画を見ますと、六条市町村の平均財政力指数というのは平成二年度においては〇・二二、全国平均は〇・七五でありますから非常に低い財政力の中にあるということであります。さらにまた南空知につきましても、六条市町村の平均財政力指数というのは〇・二九という現状でございます。釧路地域は比較的安定しているかという思いもあるのですが、やはりそうじゃございませんで、六条市町村の平均財政力指数は〇・二六という、全国の〇・七五から見ますと相当落ち込んでおる、こういうことでありますから、通産省としましてもエネルギー庁としましても、この産炭地域のためのいろいろな施策をお考えいただく、ソフトの面、またそれに対する財政援助、こういうことでなさいますが、これは財政力指数ということからしますと、地域振興のことにつきましても非常な財政的な制約の中での取り組みということになるわけでありまして、住民からのいろいろ要望や、また先を見通しての施策というのはなかなか進まない。  こういうことからいいますと、財政的な面につきましての配慮、これは地域振興というのは単に資源エネルギー庁でまとめたとはいいながら、各省庁で協力し合って、支援体制を組んで地域振興に資するということだろうと思うのでありますけれども、この財政ということを中心としまして、これらのものが行き詰まることのないような強力な各省庁間の協力体制、こういうことを一義的にひとつ私は要望申し上げたいと思うのでありますが、この辺のことについての大臣の御所見、いかがでしょう。
  114. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先生指摘のとおり、地域振興という幅広い仕事になりますと、これは通産省だけでできるということではありませんから、関係省庁と密接十分な連携を保ちながら、また地元の町村に対する財政援助等、各般にわたって行われなければならないものと思っております。
  115. 藤原房雄

    ○藤原委員 この計画を立てるに当たりましては、産炭地域振興関係各省庁等運絡会議、こういうところで通産省がつくりました案を提示しまして、いろいろ検討なさった。今後の計画を進めるに当たりましても、やはり各省庁間の連絡会議というのは必要なのだろうと思いますけれども、これはどういう形で、どういうふうにお進めになるのでしょうか。
  116. 土居征夫

    土居政府委員 この実施計画のフォロー段階におきましても、これは毎年度の予算、これは各原案をつくりました道県とも協議いたしながら、関係各省で具体的な箇所づけの問題をしていくわけでございますので、そういったフォローアップをしていくということで、実施段階でやりました関係各省連絡会議も、そういう形で毎年の予算要求等、連携をとりながら今後開催されていくし、かつ、そういう各省庁連絡会議という形式上の会議を離れて個別具体的に関係各省と協議、フォローをしていくということになっております。
  117. 藤原房雄

    ○藤原委員 各省庁間の連携をということでありますが、さっきも申し上げましたように自治省の交付税という問題で、渡部大臣は前自治大臣もやっていらっしゃって専門家でございますけれども、交付税等におきましてもいろいろな施策はあるのですが、全くこれだけの急激な人口減、それを支えて町を運営するということになりますと、人口急増も大変ですけれども、急減という、一つの会社、千人からの会社が閉山になりますと、家族四人、三千、四千という方々が急に減少になる。こういうことは普通の町村にはございません。何年間の間はいいのですけれども、わずかの期間でありますから。そういうことで、交付税のあり方もいろいろ補正の仕組みがあるわけですけれども、実態的には非常に厳しい状況にあるということでございまして、ぜひそれらのことにつきましてもひとつ御検討いただきたいものだ。過去の自治大臣の御経験を生かして御配慮を賜りたい。  それから、こういう財政力ということから、どうしてもこういう時代ですからその町の特性を生かした発展計画、そういうことを計画なさるわけで、何も人がそうだから自分もそうでなければならぬということじゃないのでありますが、私どもも過日釧路へ行っていろいろお話を聞きますと、釧路は六条の地域指定には入っていないのです。かつてはそれなりの条件、入らない条件はあったのかもしれませんが、釧路もかつての漁業を中心にしての地域から、最近は公海の漁業関係の漁法というのはもう随分締め出しを食っておりまして、それに伴います加工業ということで、ひところの様子から随分変わってまいりました。  また、太平洋も確かに現在残っております稼行炭鉱の中の一つでありますけれども、合理化といいますか、そういうことの中では、ある時点で決めてその物差しではかるということからしますとそういう状況であったのかもしれませんが、最近はやはり釧路だけがどうして六条指定を受けられないのだろうか、こういうことが言われる。そういう経済状況の中にあるということであります。地域指定というのはいつでもできることじゃないだろうと思うのでありますけれども、いろいろな社会変動の中で見直さなければならない時点というのはあるのだろうと思います。そういう時点にはぜひこれはまた御検討いただく必要があろうかというふうに思うわけでございますが、この点についてはどうでしょうか。
  118. 土居征夫

    土居政府委員 御指摘釧路市は現在十条地域ということでございまして、産炭地域対策の最も対策が講じられます六条地域指定されていないわけでございますけれども、稼行炭鉱地域ということで、新しい石炭政策もとでは稼行炭鉱地域に対する地域対策の強化ということがうたわれておりまして、昨年来、予算要求の一環といたしまして、釧路市の六条指定については関係各省調整を進めてきたところでございまして、この年度末までにかけて結論を出して、予算が成立をいたした暁にはその指定を実行すべく、現在各省庁と調整を続けているところでございます。
  119. 藤原房雄

    ○藤原委員 ぜひまた御検討いただきたいものと思います。  時間がわずかになってまいりましたのであれですが、私どもは閉山になった市町村の実態をどうしても画一的に見がちですが、あれも閉山になった会社によって随分差異がある。地元からのいろいろな陳情の中には、地域環境整備といいますか、廃業したとき、閉山になりますときには、それなりの後始末をしておるところと、それだけの財政力がないためにそこまで後をちゃんとするという手段もとる余裕もないというようなところもありまして、これはやはり町の一番いいところが会社の所有する土地ということでありますから、企業誘致をするとか何をするにしましても、その整備がちゃんとしておりませんと町の発展が期し得ない、こういう状況にありまして、これはいつも申し上げていることでありますが、閉山後の地域環境整備、これらのことについてもぜひひとつまた御配慮いただきたいと思うんです。結局は、会社のしないことは地方自治体が後始末をしなきゃならぬ、こんなことになって、財政力の弱い市町村にさらにまた追い打ちをかけることに現在はなっておるわけであります。  それから、土砂川の無重力のことについても先ほどお話ございました。土砂川には八百メートルからの立て坑を利用して無重力の実験センターがNEDOの融資を受けてつくられたわけでありますが、さらにまたここの立て坑を利用しまして圧搾空気の貯蔵ガスタービン・パイロットプラントもつくられる。また、物理学者によりますと、地下気象実験室の構築にかかわる技術研究開発、雲物理現象研究会という、これまでの坑道がこういう実験をするのに大変にすばらしいところであるという学者のお話もあり、炭鉱の跡地は一体どうなるのかということがありましたが、一面からいいますと、こういうことで有効な利用の道が出てきたということは非常にいいことだと思うのであります。  これをどういうふうに生かすかということになりますと、お金のかかることであり、さらにまた無重力の実験にしましても、これを利用して新素材を初めといたしまして新しいものをつくる企業の張りつけといいますか、研究機関の理解なくして、また利用なくしてこれは無用の長物になってしまうわけでありまして、過日も委員会のときに申し上げましたが、通産省はどっちかというと企業にいろいろな面で、行政とかいろいろなことでのかかわり合いが深いわけでありますから、せっかくこういう立派なものができた、これを生かす、そういう一つの側面から協力する、応援する、こういうことについて少しくまた御努力をいただいてはどうか。  また、研究施設につきましても、工業技術院を初めとしまして、大学でも乏しい予算の中でこの実験がどのぐらいできるのか、いろいろ私も聞いておりますけれども、なかなかすばらしいと思ってもそうたびたびは使えないというようなこと等もございますが、これはまた文部省とか各研究機関等につきましてのいろいろなお話し合いの中で利用の度合いを重ねる、こういう御努力もいただかなきゃならないのじゃないか。それは、他省庁ならいざ知らず、通産省はそういう点では非常に企業とのつながりも強い、深いわけでございますので、そういう環境をひとつぜひ生かして、せっかくつくられたものが、ちょっと距離的には遠いのかもしれませんけれども、しかし今高速道路でそんな僻地ということじゃございませんし、大いに利用できるような、そしてまた近くには、空知の中核団地とかいろいろな広大な土地もあるわけでありますから、これらのことについてぜひひとつお力を賜りまして、これらのものが生かされて一つの炭鉱跡地に新しい産業といいますか、それこそ多角的なそういう活動の分野が開けていく一つのモデルをつくっていただきたいものだというふうにしみじみ思うのであります。  これは皆さん方も当然同様なお考えであろうと思うのでありますが、これは市町村に任せて、やれと言ってできることじゃございませんで、ぜひひとつ、また通産省、特に実力大臣であります渡部大臣には一つも二つもお骨折りをいただきたいものだ、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  120. 渡部恒三

    渡部国務大臣 産炭地域の振興、極めて重要な我々の果たさなければならない責任と感じておりますので、できる限りこれから努めてまいりたいと存じます。
  121. 藤原房雄

    ○藤原委員 さらに、各地域ごとに詳細なプランが出ております。そしてまた、地域でも全力を尽くしてこれらのことが成功できるようにということで、先ほど夕張の話もございましたが、赤平も芦別も三笠につきましても、それぞれの地域でこの計画にありますものが成功するようにということで進められておりますが、やはり役所としましては、単年度だけで見るということじゃないのかもしれませんが、予算は単年度主義ですけれども、それがどういう効果があるのかということで、景気のいいときも悪いときもあったり、いろいろ社会変動があるわけでありますから、何年計画でどうなるということですが、初年度は、二年度はということで、長い目で見ていただきませんと、全体的な経済効果とか、全体的な人集めを初めとしますいろいろな手段を必要とするわけでありますから、そういう点ではいろいろな面でアドバイスをし、そしてまた物事が進む、そういう中にありましても、行政的な指導はもちろんとしまして、やはり一生懸命やっている市町村の事業が成功するような方向に見ていただきたい。  まあ単年度でそれだけの効果を見込んでも、すぐ当初の計画どおりいくとは限りませんで、そういう点ではどこに問題があるのかということについてのアドバイスはもちろんとしまして、それは当然だと思いますが、その計画達成とともに、社会変動とかいろいろなことを勘案しながら、ひとつ温かく見守っていただきたい。今まで炭鉱で生きておった町が今度は新しい分野に乗り出すということでありますから、未経験の中、一生懸命知恵を絞ってやっておる。これは一年一年、この計画どおりいったとかいかないとかいってぎゅうぎゅうやられますと、なかなか窮屈な思いの中で成果の上がらない苦しさの中でもだえなきゃならぬということもあるのだろうと思います。  とにかく産炭地も何とかそこから新しい分野に生まれ変わろうという御努力をしていらっしゃることは御存じのことと思いますが、ぜひひとつそういう点では、いろいろな計画の推進に当たりましては、財政的な裏づけとともに通産省としてできる最大の御努力を要望いたしまして、私の質問にかえさせていただく次第であります。どうもありがとうございました。
  122. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これにて藤原君の質問は終わりました。  続いて、東順治君。
  123. 東順治

    ○東(順)委員 大臣、朝から長時間の審議でございまして、質問も重なるような点もございますかと思いますが、大変お疲れのところを恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  初めに、私はいつもこの産炭地振興ということで思うわけでございますが、時代の流れとともに産業構造が変化するということは当然のことでございます。しかし、その産業構造の変化のもとに、常に光の当たる地域産業、そしてまたその裏側で陰となってしまう地域産業がある。その地域産業のもとで暮らしを営む人が常にいる。したがって、この陰になっている地域産業、そしてそこで暮らしを営む人々のために、政治というものが一段と力を注ぎ光を当てていく、そういう役割があるのではないか、常々このように思うわけでございます。大臣もこの所信表明の演説の中で申されておりますけれども、細かい話になって恐縮なんですけれども、特に実施計画につきまして幾つかお尋ねをさせていただきたいというふうに私は思うわけでございます。  この所信表明の中で、「関係各省庁・地方公共団体との連絡・協調を従来にも増して密接なものとし、産炭地域振興実施計画実効性確保するよう努力してまいる所存であります。」このように演説をなさいました。「関係各省庁・地方公共団体との連絡・協調を従来にも増して密接なもの」としたい、このように強調なさっておるわけでございます。そして、「実施計画の実効性確保」したい。私もまさにそこが大きな急所であろうと思うわけでございます。  この実施計画の実効性確保するために、大きな要素として、今のこの各省庁間の連携強化ということと財源の確保、この二つが大きな柱であろう、このように思うわけでございます。従来、この各省庁間の連携強化ということはいつもいつも言われておりまして、先ほども出ておりましたけれども、さまざまに連絡会議等、いろいろな形でやってこられた思うわけでございますが、特段この所信表明で「従来にも増して密接なもの」、このようにうたっておられますが、この辺のところ、大臣といたしましてどのような御決意と申しますか、具体的にどうすれば本当に連携というものが従来にも増して密接なものになるのであろうか、この辺に私は大変な関心を持っているわけで。ございます。この点と財源の確保ということに対しまして、御決意のほどを伺いたいと思います。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  124. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今後の石炭対策、これは、前向きに地域振興ということに力を入れて、かつて産炭地として栄えた地域でありますけれども、今日国際経済の中で国内炭というものが非常に難しい情勢の中にあるわけですから、そういう中で産炭地として大きな役割を果たしてきた地域また人、これが新しい時代のニーズの中で将来に夢を持って、希望を持って生きていく、その地域にも可能性を与えていかなければならない。そういうためには、これは通産省だけの持ての力には限界がございますから、地域を発展させるということになりますと、道路交通網の問題あるいは鉄道の問題、また言うまでもありませんが、その地域の地方自治体の積極的な努力というものがまず必要とされますし、関係する各省庁とさらなる協力お願いしながら、またそれを財政的にもバックアップして産炭地域の振興に努力してまいりたいという私の気持ちでございます。
  125. 東順治

    ○東(順)委員 非常に大切な、ソフトランディングとよく使われますが、決着の十年というか、そういう段階に、大変力を持っておられる大臣が御就任なさいまして、ぜひ大臣のお力をもちまして、各省庁間の連携というところをひとつ一歩も二歩も深く、そして強く、そういう形の中で実りある今後の政策を実行していただきたい、このように思うわけでございます。  さて、今図らずも道路や鉄道と、このようなお話がございました。そこで、私は福岡県の二区というところから選出をされているわけでございます。筑豊というところが主舞台でございますが、ここで二つの鉄道の問題がいつもこれまでも問題にされてきて、また、地元の要望としても大変強いものがございます。  その一つは、小倉と博多の間に山陽新幹線の新しい駅をぜひつくってもらいたいという声と運動がもう随分昔から地元にございます。それで、今一回の実施計画の中でもこの山陽新幹線新駅の実現促進ということがうたわれております。ところが、地元から上がってきました原案と若干異なる点がございます。  それは、この実施計画におきましては、地元においてその実現を促進してもらいたい、こういう、地元においてという文言がつけ加えられておるわけでございます。地元としては、なかなか地元では手に負えないから何とか国にという形で原案を出しておるわけでございます。それを通産、国側としては、地元においてという非常に短いフレーズですけれども、極めて重たいフレーズ、言葉をつけ加えておるわけでございます。つまり、平たく言えば、ボールを投げ返したということだと思います。ここで非常に私は思うのでありますけれども、こういうときに国としてのバックアップができる具体的な施策というのは一体何だろう、そしてまた、地元がどこまで促進できればそれじゃあとは国がしっかりバックアップしようという実現可能な線が出てくるのであろうか、この辺はしかとぜひ伺いたいと思うわけでございます。この点をよろしくお願いいたします。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 土居征夫

    土居政府委員 筑豊東・中地区あるいは西地区の産炭地域実施計画におきまして、原案の調整の過程で、今先生から御指摘がございましたように、最終的には、山陽新幹線の新駅問題につきましては、「地元においてその実現を促進する。」という表現になったわけでございますけれども、これにつきましては、福岡県等地元の関係者の方々とそれから運輸省その他の関係者の方々との協議を通じまして最終的にこういう表現になったということでございまして、新駅の設置については、基本的には鉄道事業者の判断に属する問題でございますけれども、ただ一般論としては、鉄道事業者が判断するに際して、設置費用の負担の問題あるいは新駅周辺の整備の問題等についての地元の取り組み方ということが非常に大きく判断の比重を占めるというようなこともございまして、そういった点がポイントであるということからこういう表現になったものというふうに理解しております。
  127. 東順治

    ○東(順)委員 今、地元の取り組み方ということでございますが、要するに、こういうのはせんじ詰めれば費用の問題なんですね。莫大な費用がかかる。地元としても、皆さんの声というのは、新駅ができればその沿線に人口がふえてくる、そうすると地元の財政力も上がってくる、また、すぐ近くに日本一のトヨタという自動車会社も進出してきて利便性も非常に高まる。そういうことで、もう地元の思いはぜひつくってもらいたいという共通の思いがある。ところが、ではどこからお金が出るのかという問題になってきますと、ぴたっとそこで、はたと困ってしまうわけですね。そういう意味で、地元の努力云々と言ったって、結局そこに来てすべてがストップしてしまう。そして何とか財源きころがJRだからというようなことで、行きつ戻りつそこまで来ると常にとまってしまう。こういうことなので、ひとつその辺で、すげなくボールを投げ返さないで何とかできないのだろうか。  これはもう単に鉄道の駅をつくるという問題ではなくて、もう私も何度もこれまでに申し上げておりますが、やはり旧産炭地という陰となった地域の人たちを救済していく、その地域をまた浮揚させていくという大きな政治的な事業でもあるわけですから、その辺のところで、今後どのような道筋でどのような地元の頑張り方をすればいいのか、どこまで地元が頑張ればよいのか、その辺のところを石炭部長、もう少し具体的にお示しをいただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  128. 土居征夫

    土居政府委員 鉄道の駅の整備の問題につきましては、ほかの地域実施計画におきましても例があるようでございますけれども、先ほどお話しいたしましたように、地元の当該駅についての費用負担の問題等々で、地元の努力に応じて鉄道事業者が判断してそれを進めるということがあるようでございます。  いずれにしても、産炭地域対策といたしましては、これは地元の自治体等に対する財政支援対策も講じておりますので、この実施計画にのりましたこの山陽新幹線の駅の重要性に応じまして今後の対策の中で御支援を申し上げていきたいというふうに考えております。
  129. 東順治

    ○東(順)委員 大臣、鉄道ですから運輸省あるいは建設省、この辺との省庁間の連携というようなところでぜひこの問題を心にとどめていただきまして、これが実は筑豊という旧産炭地の、先ほども大臣おっしゃっていましたが、長い間日本というこの国の経済を浮揚させていくために頑張ってきた機関車的な働きをした、そして今はもう過去のものになっている、そういう地域を浮揚させていく大変大きな力になる、その象徴的なものがこの新駅というふうに私はとらえております。どうかその辺をしっかりとどめていただきまして御努力をいただきたい、このように思うわけでございます。よろしくお願いを申し上げます。  続きまして、同じく鉄道のことでございますが、今JR篠栗線及びJR筑豊本線の電化・複線化の早期事業化ということにつきまして、これも実施計画でうたわれております用地元とともに検討を進める、こうございますけれども、この問題につきましての検討といいますか現在の進捗状況、これをお教え願いたいと思います。
  130. 土居征夫

    土居政府委員 JR篠栗線の電化・複線化問題につきましては、これも産炭地域振興実施計画の中では極めて重要な事項であるというふうに受けとめておりまして、現在地元におきましては五者会議というものが開催されております。九州通産局、九州運輸局、それから福岡県、それからJR九州、飯塚市、この五者によります会議が設置されてこの検討が進められているという状況でございます。  通産省におきましても、来年度の産炭予算において、この電化・複線化あるいはそれを通じました地域振興の事業主体となる第三セクターに対する出資枠を要求をしているところでございまして、我々といたしましては、具体的にそういった第三セクターが平成四年度中に設立されるということを期待して、この検討を進めていただいておるという状況でございます。
  131. 東順治

    ○東(順)委員 沿線の人口が約三十万人、それからこれは電化・複線化が実現しできますれば、もちろん電化・複線化ということも、全面的に電化・複線化あるいは部分電化・複線化、いろいろなケースがあるわけですが、いずれにしても列車の本数がふえてくる。そしてまたスピードアップされてくる。それからまた、旧炭鉱地域というところからくる中で電車が走るということでやはりイメージアップみたいなものにもつながる。あるいはまた電車ということで低公害である。いろいろなメリットがここにあるわけでございます。  そこで、今第三セクターという動きが出ている。あるいはまた資金提供みたいなところも実現するというような方向が出ているというお話でございましたけれども、例えば第三セクターという形で会社ができて、いよいよこの電化・複線化をやっていくぞ、こうなったときに、それから先の最大の大きなポイントといいますか、それはやはり先行して用地を買収していくことだというふうに思います。これはやはり莫大なお金がかかるわけでございます。  例えば、今そのいろいろ、な試算がなされておりますけれども、仮に部分電化・複線化というようなことで見積もったときにしても、用地を先行して取得するための事業費はどのくらいかかるか、約二百十五億、このように言われております。この三分の一、程度をぜひ国として支援していただきたい、そういうことであれば、あとは県、自治体それからJR協力してやっていこうじゃありませんか、こういうような高まりまで今来ておるわけでございます。これがこの事業実現の実は大きなかぎである。こうなったときに、この財源確保というものを国が担保できるのか否か、そういったところを率直にちょっとお伺いしたい、こういうふうに思うわけでございます。
  132. 土居征夫

    土居政府委員 篠栗線の電化・複線化につきましては、先ほど申しましたように全体の事業内容についてまだ地元において確定した方針が固まっていない状況でございます。お話がございました。地の先行取得の必要性、妥当性の問題、あるいはその事業内容の問題等も含めて現在検討が続いておるというふうに承っておりまして、その財源の確保の方法につきましても今後の検討課題というふうに承知しております。したがいまして、もう少し地元の検討状況を見ながら国としても検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  133. 東順治

    ○東(順)委員 その検討が、極めて妥当なものである、はじき出した数字も妥当であるというようなことであれば、国としてもこの財源のそういう担保にやぶさかではない、こういう方向でとらえておってよいのでしょうか。いかがでしょうか。
  134. 土居征夫

    土居政府委員 基本的には篠栗線の電化・複線化という鉄道事業の問題でございますので、鉄道事業の収支の問題として基本的に回るような形になっている必要があるというふうに判断しております。これは運輸省の判断もそうだと思います。そういう中で、先行的にいろいろな対策、費用が必要であるというところをどこまで御支援できるのか。これは現在御審議いただいております来年度の産炭地の予算、あるいは今後の長期的な財源対策の中で最大限の協力をして、本件の成功に対しては御支援をしていきたいというふうに考えております。
  135. 東順治

    ○東(順)委員 最大限の協力支援をしていきたいという力強い話でございます。どうぞ今後ともよろしくお願いしたいと思います。  大臣大臣はこれまでこのエネルギー対策につきまして大変な意欲を持って取り組んでこられたというふうに伺いました。また、産炭地の視察等も、北海道なんかも行かれて大変積極的に取り組んでおられたというふうに伺いましたけれども、筑豊というところにはこれまでも一度おいでになられたでしょうか。
  136. 渡部恒三

    渡部国務大臣 何度か行かせていただいております。
  137. 東順治

    ○東(順)委員 よくおわかりだというふうに思います。どうぞ、その御理解の中で、やはり単に鉄道という問題ではなくて、旧産炭地の地域浮揚という大きな大きな問題でございますので、今後ともしっかりと、この大きな政治的命題に対して取り組んでいただきますよう心より切望したいと思います。  それから、先ほども少し出ておりましたけれども、この筑後圏の石炭鉱業についてでございます。  実施計画の原案におきましては、石炭鉱業の維持存続を図り、こうあったのですが、実施計画では維持存続という言葉が削除されております。これにつきましては先ほども、地元の大牟田の厳しい状況、人口やあるいは離職者、さまざまございまして、数字的なことは重なりますので省きますが、いずれにしても、地元としてはこれからどうなっていくんだろう、大変大きな不安の中にあるわけでございます。  例えばドイツでコールペニヒ制度というのですか、国内炭を活用して国内消費エネルギーの約三割を国内炭で賄っている、こういう制度があるというふうに知ったのですけれども、つまり、経済効率だけを求めるのではなくてエネルギー安定供給国内資源の有効利用をこうやって促進していく、こういうやり方なんかもあるんだなというふうに私は思うわけでございます。これからのベクトルとして、落ちつき方として、最終的には海外炭に全面的に移行するというような政策にどうしても私たちは見えてくるわけでございまして、それで本当によいのかという疑問が実は残っているわけでございます。地元の住民に対する影響の大きさとか、国内エネルギーの長期見通し、こういったところを考慮して、まだまだ再検討していく余地があるのではないか、このように思うわけでございます。  この維持存続という言葉を削ってしまったところに、短い言葉ですけれども、やはり非常な重たさを私は思うわけで、この辺につきましてはいかがでしょうか。
  138. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地域振興実施計画につきましては、これは原案は道県がつくるわけでございますけれども、最終的には国の計画ということで、関係各省、それからもちろん、当然原案をつくりました道県、市町村、皆さんのコンセンサスの中でこれをつくっていくということになるわけでございます。その中で、特定地域石炭鉱業の位置づけの問題も、実は全体として、国、地方ともに石炭鉱業審議会答申に基づきます今後の石炭政策の枠組みの中でこれを進めていくということでございますので、昨年の六月に出ました「九〇年代を構造調整最終段階と位置付け、」「均衡点までは経営多角化・新分野開拓を図りつつ、国内炭生産段階的縮小を図ることが必要である。」という答申の一般論、あるいはそれを受けまして昨年の十月に石炭鉱業各社がいろいろと構造調整についての各社の基本的な方向を発表しております。今話題になりました三池炭鉱地区につきまして、三井鉱山、三井石炭連名で長期的な方針を出しておりますけれども、そういった各社の方針といったものを集大成した表現になっておるわけでございまして、決して、一義的に道県が出してきた原案を単純に削ったというような性格のものではなくて、そういう関係者のコンセンサスの中で決まった方向について、最終的な実施計画の案の中で石炭鉱業についての表現を示させていただいたということでございます。
  139. 東順治

    ○東(順)委員 大臣、ここに大牟田の「NOW」という、こういう雑誌があるのです。これを見ますと、一ページ目に「会心のレース 大牟田」、全国高校駅伝で優勝したのでしょうか、こういう記事が出ているわけですね。そして、一番最後に今度は「’91ありあけレディースロードレース」、女性のマラソンの話が出ておるわけでございます。私は思います。この高校生マラソンそれから女子マラソンのページに挟まれて、この中にいろいろと今大牟田が手がけているプロジェクト、そして必死になって何とか地域を浮揚させていきたいというようなさまざまな地元の意気込み、そういったものがずっと紹介されておるわけでございます。こういう中に、何とか明るい地域を取り戻していきたい、何とか地域を浮揚させていきたいという切なる思いが本当にこの中からにじみ出てくるわけですね。それだけに、この十年が勝負だなということを切実に思っているということを私は感じるわけでございます。  地元でワールド・コール・テクノセンター構想というのが今浮かび上がってきております。これは、大臣は後に伺わせていただきたいと思いますが、この構想についての概要と今後の方向性といいますか取り組み、そういったものの説明を願いたいと思います。
  140. 土居征夫

    土居政府委員 ワールド・コール・テクノセンター構想の概要につきましては、地元の自治体からお聞きしたところによりますと、海外炭安定供給確保あるいは国際協力推進産炭地域の振興等に資するため、国内の稼行炭鉱において生産、流通、加工機能あるいは研究偶発機能、研修機能等を有します多機能センターとしてその構想を検討しているということでございます。  こうした検討につきましては、先ほどの説明にもありましたように、六月の答申におきましても、今後の石炭政策の中で国内炭技術の海外展開ということが指摘されておりますけれども、そういった構想の一環として検討されていくことが望ましいと考えておりまして、現在、産炭地振興対策予算におきまして、このビジョン策定についての支援を行っているところでございます。
  141. 東順治

    ○東(順)委員 このように、地元が主体的にさまざまにこういうプロジェクトで意欲的に取り組んでおるわけでございます。  そこで大臣、この所信の中にも、「石炭鉱業構造調整に即応した先行的な対策を、特に現行稼行炭鉱地域に対して集中的に実施していくことが必要であります。」このようにお述べになっておられます。こういうふうに、地元が壊滅的な打撃を与えられてしまう前に、今でも非常に厳しい状。泥に陥っているわけですが、何とか浮揚したい、いろいろなプロジェクトも考えていきたい、考えられるものを必死になって自分たちで知恵を絞って地域を浮上させていきたい、こういうふうに取り組んでおる。こういう先行対策みたいなことに対して大変意欲を持ってやっていらっしゃる。全国どこもそうだと思います、産炭地は。こういうことに対して、やはり国としての力強いサポートというものが私はこの十年間の政策の最大の決め手になろう、こういうように思うわけでございますが、この石炭産業、先ほどもお話がありました石炭もある町、石炭のある町から石炭もある町、この「の」と「も」の違い、これは大変大きな意味があると私は思うのです。  したがって、この石炭産業のみに頼らない産業構造、そういった町づくり、都市づくり、こういったものを目指して懸命に頑張っているそういう自治体に対する国のサポートということに対しまして、大臣、どのように思われますか。一言お願いいたします。
  142. 渡部恒三

    渡部国務大臣 合ふるさとである産炭地域の将来を真剣に御心配されておる東委員のお話を感銘を持って聞いておりました。しかも今、石炭のある町ということでなくて石炭もある町という表現の中には、過去にこの国のエネルギー源として活躍した石炭に対する限りない愛着、また現実には国際経済の変化の中で採算がとれない状態になってしまっておる国内炭の現状を率直に認識しておられる、過去に対するノスタルジア、また未来に対して力強く生きていこうという先生のお気持ち、私も心を打たれて聞いておりましたので、重点地域として今後ふるさとを豊かに発展させていくために力強く御支援をしてまいりたいと思います。
  143. 東順治

    ○東(順)委員 力強いお言葉ありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。  最後に、鉱害問題について一点お伺いさせていただきたいというふうに思います。  今、筑豊の飯塚市の上三緒地区というところの一般家屋及び農地の鉱害復旧地域、これは実は昭和三十七年以来約三十年間にわたりまして、旧三菱鉱業等の有資力鉱区が隣接した地域ということで、鉱害復旧交渉ということで折衝をしてきたんですけれども、現実は遅々として進展していない状況であるやに伺っております。この鉱区線上あるいは隣接線外上の家屋等の残存鉱害の認定、復旧の要望というものは、実は該当する地元の地域の人たちから切なるものが寄せられているわけでございます。この問題、につきまして、簡単に現在の状況と、それからまた今後の国としての取り組み、これをお願いしたいと思います。
  144. 土居征夫

    土居政府委員 昨年八月だったと思いますが、先生から国会で御指摘を受けて以来、浅所採掘地域における家屋につきましては昨年十月に現地調査がなされておりまして、これにつきましては四月ごろには結論が出される見込みになっております。  それから、四炭鉱の採掘の影響線外にあります農地、家屋につきましては、再度ボーリング調査実施することにいたしておりまして、そのボーリング調査結果についての学識経験者等の鑑定等の検討を経まして、九月ごろに結論が出される見込みでございます。
  145. 東順治

    ○東(順)委員 そのボーリング調査というのは、いつから手がけられるんでしょうか。
  146. 土居征夫

    土居政府委員 近々ボーリング調査実施するということにいたしております。
  147. 東順治

    ○東(順)委員 その結果が九月に結論が出る、こういうことですね。非常に地元としてもこの問題は長い間脳み続けてきて、また大変注目をされているところでございますので、ひとつこのボーリング調査というもの、そしてまた学識経験者の方々に依頼して最終結論を出す、大変ナイーブな問題でございますので、どうか公平かっ精査というか、しっかりとした調査をしていただきまして、そしてだれもが納得するという結論をぜひ出していただきたい。このように要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。
  148. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これにて東君の質問を終わります。  続いて、小沢和秋君。
  149. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず、大臣にお尋ねをいたします。  昨年末新しい産炭地域振興実施計画が決定をされました。今までの計画が国主導でつくられたため計画倒れに終わったという反省から、今度はまず原案を自治体につくらせ、国はそれに基づいて計画を決定する、そうすれば地元の実情や意見をよく反映した計画になるということでありました。しかし、私が関係者に聞いたところでは、県が市町村からの要求をまとめて原案をつくる段階で国の出先からいろいろ注文をつけられ、随分控え目な案にされた、それがさらに国が決定する段階でまた押さえ込まれて、もう一段後退したというふうに聞いております。そういうことでは地元の要求は随分薄められてしまったのではないか。この計画を確実にやれば十年で本当に産炭地が自立できるようになるのか、大臣、どうお考えでしょうか。
  150. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今、先生のお話を聞いておりますと、何か私どもが意欲を持ってやろうとしておる仕事に最初から水を差されるような気もしないわけではございませんけれども、まあ余り期待されておられないようでありますが、私は先ほどから申し上げておるように、産炭地域の振興は極めて重要なものである、また、かつて自治大臣としてふるさと創生事業をやった経験から、まず地元の自治体の意欲というものを大事にしなければならないという考えでこれから進めてまいりたいと思います。
  151. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、地元がどれほど熱意を持っているか、その熱意の方があなた方のそういう態度でブレーキをかけられていると思うから言っておるわけなんです。  以下、若干の点について具体的に申し上げてみたいと思います。  先ほどから出ておりますように、地元の最大の要求というのは、何といっても道路や鉄道など交通体系を整備してもらいたいということであります。  まず、道路といえば二百号、二百一号、三百二十二号などを今度こそ完全に整備してほしいということであります。特に、二百一号線は筑豊を横断し福岡市と行橋市を結ぶ幹線道路でありますが、今、庄内-田川間、田川-行橋間はいまだに路線の決定も行われておりません。この路線を一日も早く決定して整備を進めない限り、田川地区を浮揚させることはできません。福岡県の原案では、こういう事情から、両区間について「路線を決定し、その整備促進を図る。」と明記されていたのでありますが、計画では「計画の具体化を図る。」と後退しておるわけでありますが、これはなぜなのか。路線決定さえ削られたのではこの十年間にできるはずがないように思いますが、一体いつまでにこの大動脈を完成させるつもりなのか、お尋ねをいたします。
  152. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地域振興実施計画の計画自体は十年間の計画ということでございますが、そこですべての個別具体的な事業が全部プラン化されるということはしょせん無理なわけなんでございますけれども、その中で、今ございました二百一号バイパス等の具体的な路線決定等の問題につきましても、この福岡県の原案に基づきまして関係各省と協議をして、最終的に今先生指摘のあったような表現になったわけでございまして、この道路の問題につきましては、何遍も申し上げていますけれども、この地域の振興の一番基礎になりますインフラ整備の問題でございますので、現在、この実施計画で示されました方向に即しまして、その具体化の問題として今後関係各省、福岡県と十分協議をしながらこの問題についてフォローをしてまいりたい、このように考えております。
  153. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私も個別具体的なものを全部この十年間で片づけろなどと言っているわけではないんですが、私がさっき挙げたあの三つの道路というのはまさにかなめ中のかなめの話なんですよ。これが完成しなければ、筑豊の浮揚といってもこれは絵にかいたもちになるのではないかと私は言っておるわけです。  建設省にもお越しいただいておりますけれども、私が今指摘いたしました特に二百一号線の全線開通、これは筑豊の振興のためには極めて重要な意義を持っておると思います。今第十一次の道路計画の原案が練られているところではないかと思いますが、その中に庄内-田川間、田川-行橋間をぜひ取り入れるべきではないかと私は考えます。産炭地域振興を道路計画の決定に当たってどれだけ重視するのか、今の道路についてどういうお考えをお持ちか、お尋ねをします。
  154. 藤田忠夫

    ○藤田説明員 御説明いたします。  二百一号の庄内-田川間、田川-行橋間につきましてのお尋ねでございますが、この区間は先生おっしゃるとおりまだ計画が固まっていないといいますか、というような状況でございまして、ただ現。地の状況を申し上げますと、飯塚バイパスと田川バイパスが両側にありまして、その間の区間の峠の区間の路線がまだ決まっていないということでございます。地元から両バイパスを結んでくれという大変強い要望があるわけでございます。我々も十分承知しておりまして、現在鋭意調査を進めておるところでございます。  この路線を決めるに当たりましては、都市計画決定という手続を踏みたいと思っております。ただ、周辺の土地利用計画、これは用途地域とかそういうものでございますが、これと調整して一緒に決めようということで現在県の方と御相談を続けておるところでございます。したがいまして、今後できるだけ早く調整をまとめて都市計画決定の手続に入りたいというふうに思っています。  それから、もう一つの田川から行橋の間でございますが、こちらの方は現在、田川市と勝山町の市町境に仲哀トンネルというのがございまして、そこの部分につきましては四率化するという前提で、仲哀局改ということで既に平成二年からトンネルに着手しておりまして、これは実施計画の方で整備促進するということで記述されておるところでございます。  そのほかのところにつきましては、部分的に現道拡幅もございますし、それからバイパスにした方がよかろうかというようなところもございますが、これも現在調査を進めているところでございまして、周辺の路線計画と他の路線計画、関連道路等の計画と調整いたしまして、調整が終わり次第、やはりこれも部分的には都市計画というような形で計画を固めていくというような必要があるんじゃなかろうかと思っておる次第でございます。  それで、先ほどからこの計画期間内に整備完了というようなお話でございますが、この道路はどちらもまだ調査段階、都市計画決定にも至ってないということでございますので、現在のところ、可能な限り早く都市計画できるようにいろいろ県の方とも折衝してまいりたいと思っております。  事業の方はその後ということになるわけでございますが、仮に事業にかかりましても、その後、測量等、設計それから地元の協議、用地買収、こんなものがございまして、すぐ一挙に道路というのはできませんで、全国どこの道路をとってみても、十年間で国道のバイパスがどんどんできていくというような状況ではなかなかございませんので、そこのところは十分御理解をいただきたいと思いますが、いずれにしても産炭地域の振興のために私どもも一生懸命やるつもりで頑張っておりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  155. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 建設省はそれで結構です。  次に、鉄道では、JR篠粟線の電化・複線化が重要だと思います。最近、沿線のベッドタウン化が進み、筑豊から福岡市への通勤通学が増加しております。JR九州も乗客の増加にこたえて、博多駅に篠栗線ホームをつくったり新車両を投入してスピードアップ、増発などを図っておりますが、これ以上の篠栗線の改善は、電化・複線化を抜きには進みません。ところが、この問題でも計画の表現が原案より後退していることを私は大変残念に思っております。しかし、失望するのはちょっと早過ぎるようにも最近思っておりますのは、地元の動き、それから国の動きもこれに対応して起こっておることです。  どういうことかというと、さっきもちょっと話が出ましたけれども、全線の複線・電化では費用が四百三十六億円とかかり過ぎるというので、県が部分複線・電化案をまとめた、これは百六十五億円。だから、私はこれは極めて現実的な案だというふうに思っております。そこへもってきて平成四年度の予算で、地元が計画している第三セクターに地域振興公団が三億円出資するということが盛り込まれているという話も伺っております。これは、通産省が地元と一緒に篠栗線の電化・複線化に本腰を入れて取り組む姿勢を示したものというふうに理解をしていいでしょうか。これなら大いに期待が持てるわけですが。
  156. 土居征夫

    土居政府委員 先ほど来御答弁いたしておりますように、筑豊地域産炭地域振興実施計画の中で、篠栗線の電化・複線化の問題あるいは二百一号の問題、三百二十二号の問題というのは非常に基盤的な事業であるという位置づけになっておりまして、これは通産省としても産炭地域振興実施計画の中でのそういう位置づけをしておるということは事実でございます。  したがいまして、この電化・複線化につきましても、今先生指摘がありましたように平成四年度の予算で三億円の出資金の枠を用意しているところでございますが、ただ現在、地元におきましては五者会議で具体的なプロジェクトの中身を検討しておりますので、最終的な出資決定という意思決定をしたわけではございませんけれども、そういう準備をしておるということでございます。
  157. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 運輸省、お見えになっていると思います。  このJR九州を監督する立場にある運輸省としても、九州における数少ない将来有望な路線である篠栗線の電化・複線化を積極的に支持し、推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 岩村敬

    ○岩村説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、篠栗線の複線・電化は地元に大変強い御要望があることは十分承知しております。ただ、先生のお話の中にもございましたように多額の投資が必要である、地上施設のみで約百二十億ということでございまして、また、この線区について見ますと、長期的に大幅に需要増が見込めるというようなこともなかなかないということもございます。それから、国鉄が昭和六十二年に民営化をいたしまして、そのときの趣旨に照らしますと、こういった投資についてはJRがまず第一義的に判断をしなきゃいかぬということになっておるわけでございます。ただ、先ほど来出ておりますように、産炭地域の振興ということで、事業費の大半について地元の福岡県なり通産省なり、そういう公的な助成が十分に行われるのであれば、我々はJRに所要の指導を行って、この事業の推進に努めるように指導はしてまいりたいと思います。  ただ、今も申し上げましたようにJR九州、そう体力があるわけではございません、企菜体力もそうございません。そういう意味で、投資の多くのものに公的な助成がございませんと、JRを指導して経営を悪化させてまでこういう整備をせいということはなかなな言いにくいように思っております。そういう意味で、昨今、三億円の出資がございまして第三セクターをつくるという話も承っておりますが、第三セクターをつくるだけではなくて、その後の公的助成をどうするか、ここら辺が十分に固まりませんとなかなか事業には手がつかないんじゃないだろうか、このように運輸省は思っているわけでございます。
  159. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が聞いているところでは、山形新幹線を建設するに当たっては、第三セクターに対して国もかなりの補助を行ったというようなことも聞いております。そういうようなことも含めて、地元としてはぜひこれを推進したいという強い気持ちを持っておりますので、運輸省としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。運輸省、これで結構です。  もう一つお尋ねをしたいのは、現在稼働しております炭鉱の、この実施計画の中での位置づけについてであります。  福岡県の原案は、石鉱害の縮小均衡の方向を踏まえながらも、「石炭鉱業の維持存続は本圏域の重要な課題」としておりました。私どもの党の立場からはこれでは極めて不十分だと思いますけれども、国はこの程度の表現さえ認めずに、計画では、「今後は、石炭企業経営多角化・新分野開拓等により石炭鉱業構造調整を円滑に進める」とだけ記されております。なぜ維持存続という表現をもう認めないという態度をとったのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  160. 土居征夫

    土居政府委員 これは国の表現ということではございませんで、福岡県等も含めました、地元も含めた関係者のコンセンサスとして、さらに産炭地域振興審議会に諮ってこういう表現になったということでございまして、当該地域における石炭の位置づけは、最終的に実施計画で書いてある表現をもってこれから関係者が合意して進めていくという合意の結果でございまして、そういう表現になったということで御理解をいただきたいと思っております。
  161. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の話は了解できませんけれども、時間もありませんので、先に進みたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、三池炭鉱の新たな合理化の問題であります。  国内炭の各社が新たな合理化を計画しておりますけれども、いわばその第一陣として、二月十一日に三井石炭が新勤務体制を提案してまいったわけであります。これは先ほど来問題になっておりますように、常一番の人々の大部分を三交代に配転するというものであります。定年退職者の不補充などでますます深刻化する要員不足を、保安部門の要員を大幅に削って直接生産部門に集中する案であることは先ほども指摘されたとおりだと思います。こういう体制を実施すれば、今でも不十分な保安がますます犠牲にされることにならないのか、いかがでしょうか。
  162. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 お尋ねの常一番の問題でございますけれども、現在三池炭鉱から労組に示されております提案内容は、常一番制度を三交代制度との間で人員の配置がえをするといいますか、一部の者につきましては引き続き常一番制度を存続するようでございますけれども、配置がえをしたい、こういう内容だと承知しております。  この常一番でございますけれども、私のささやかな経験では、そもそも北海道の炭鉱にはございませんで、九州の炭鉱だけにある制度だというふうに認識しております。したがいまして、この常一番を廃止するあるいは縮小することそのものが保安確保に直接関係するという、基本的にはそういう性質のものではないというふうに認識をいたしております。  ただ、保安確保は非常に重要でございますので、基本的にはこの配置計画、企業の組織、体制の問題でございますので、労使の話し合いを十分していただきたい、あるいは場合によりまして保安法で決められております保安委員会、これには炭鉱労働者の方もお入りになる委員会がございますけれども、もし保安上重大な問題があるということであればそういうところで御議論をいただくというような制度も備わっておりますので、自主保安体制の確立という観点からも企業内で十分打ち合わせ、相談をしていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  163. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 さっきのお話では、九州鉱山保安監督局でも、このことについては大きな関心を持って今内容を調査し、検討しているというお話があったように思うのですが、もう一遍確認してください。
  164. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 監督部は基本的には法令に基づく指導監督をする立場にございますので、本件についても調査検討しているものと了解しております。
  165. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は先日大牟田に参りまして三池炭鉱の労働者たちから直接話を聞き、既にこれまでの合理化で坑内保安が極めて危険な状況に、なっていることを確信いたしました。  一例を挙げると、坑口から採炭現場までの主要坑道、人車や貨車が走る坑内の目抜き通り約十キロの維持に、数年前までは百人ぐらいいたが、今はおよそ二十名程度、これがもっと減らされることになる。だから、この一年くらいの間にこの主要坑道の荒廃が進んできて、炭車、人車などの脱線事故が六、七回は起こっている。中には一交代、つまり八時間以上、その復旧のため生産がとまったというような深刻な事故もある、こういう状況だと聞いておりますが、間違いありませんか。これについてどう指導しておりましょうか。
  166. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 主要坑道が荒れているのではないかという先生の御指摘でございますけれども、私ども保安を監督する立場といたしましては、九州鉱山保安監督局におきまして月一回程度の巡回検査を実施しております。保安確保上問題があればその都度監督指示書を交付いたしまして改善させておりまして、特に主要坑道について大きな問題があるというふうには報告を受けておりませんで、その都度この巡回検査の監督指導で改善をさせておるという状況にあろうかと思います。
  167. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、労働者の人たちが自分たちの体験から、そういう脱線事故が何回も起こっているというふうに言っているのは事実じゃないでしょうか。
  168. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 私、先生の御指摘に対して事実かどうかということを断定できる立場にはございませんけれども、いずれにいたしましてもこの監督局の巡回検査、先ほど申し上げましたように月一回程度やっておりまして、その巡回検査の結果を会社側に伝えるわけですけれども、そのときに労働組合の方にも参加をしていただきましていろいろな御意見を伺っているというふうに認識をしております。特に強い御意見がございましたら、当然のことながら巡回検査のときにも十分注意して検査を実施するということであろうと思いますので、特にそのようなお話が出たということを今のところ聞いておらないということでございます。
  169. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 労働災害の方も随分ふえているというふうに聞いておるのです。会社自身も去年の秋には労働者にわざわざそのことで警告を出したというふうに聞きましたけれども、その状況をどう把握しているのか、最近の災害発生状況を示していただきたいと思います。
  170. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 三池炭鉱の災害でございますけれども、軽傷以上の罹災者につきましては、昭和六十二年四十六名、六十三年が三十八名、平成元年二十一名、平成二年十二名、平成二年十三名ということでございまして、二年から二年にかけまして一人残念なことにふえておるわけでございますけれども、全体として見ますれば軽傷以上の罹災者数は減ってきておるというふうに認識をしております。  また、死亡者事故でございますけれども、昭和六十三年、平成元年、二年と各一名の死亡災害がございましたけれども、平成三年はゼロとなっておりまして、この限りではトータルといたしまして災害の発生は年々減少傾向にあるのかなというふうに考えております。なお引き続き、保安確保には万全を期するように指導監督に努めてまいりたいと考えております。
  171. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここにびっくりするような数字があるのです。これは昨年十二月十七日、会社と新分、あの労使協調の組合として有名な三池所労ですね。その第二十六回生産向上委員会の資料があります。この中に「公私傷病人員」という表が載っております。そこには十二月十四日現在、公傷で休んでいる者四十一名と記載されております。  身内だと思って出した資料なのかもしれませんけれども、労働災害で休業しなければならないひどい状態の人が四十一名もいるというのは、これはあなたの方が今出されたような数字とはおよそ一連うんじゃないでしょうか。これはけが隠しが行われているということの重大な疑いを生じさせる資料だと思いますが、これは調査をする必要があるのじゃないでしょうか。
  172. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 私ども、先ほど申し上げました軽傷以上の罹災者のほかに微傷の罹災者も含めまして報告を受けておりますけれども、この数でまいりますと六十三年百八十三名、元年七十六名、二年二十三名、三年二十二名ということになっております。
  173. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 微傷というのはかすり傷という意味だと思うのですよね。かすり傷だったら休まないのじゃないですか。ところが、組合の資料に「公私傷病人員」ということで、公傷が四十一名。これは労使の協議の資料に載っているのです。私も全言う、かすり傷の人も含めてという意味かなと思って、きのうこの資料をくれた人にもう一遍電話で問い合わせたら、いや、これは休んでいる人の数字ですよというふうに言うのですね。だから私、ここで持ち出すわけですけれども、労働省などは今けが隠しについて徹底して摘発をしろということを強調しておる。こういう重大な数字が一方で出されてきているとすれば、当然通産省としても同じようにきっぱりした決意でもう一度調査をしてみる必要があるのじゃないですか。いかがですか。
  174. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 調査させていただきます。
  175. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 労働者の皆さんから話を聞いてきたと言いましたけれども、ほとんど毎日のように、だれかがけがをしたということがミーティングのときに報告をされているという現状だそうですね。だから、いつ大災害が起こるかと心配をしている。  話は少く古いのですけれども、一昨年十月三十日、ガス爆発寸前の事故があったというように聞きましたが、御存じでしょうか。
  176. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 承知いたしておりません。
  177. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここに三池労組の一分会の「きずな」という機関紙をいただいて持ってきました。これを見ますと、一昨年の十月三十日午前十一時半ごろ、西八〇卸排気卸掘進切羽でメコファンが五分ぐらい停止をした、その間もロードヘッダーを運転して作業しておったところ、火花が出てメタンガスに引火し、ガスが一瞬にして燃えたというのです。  大体ガスの多いところですから、ファンがとまったら即時機械電源を停止して労働者を退避させるのが当たり前だと思うのです。そういうところでロードヘッダーを運転しておったことも非常に重大だと思うのです。たまたまガスが濃過ぎたために爆発には至らなかったというふうにこの新聞には書いてあるのです。まさかこれだけ配布をして公式に発表されていることに私は偽りがあるはずないと思うのです。こういう危険な状態があるということについて御存じないとすれば、これは非常に重大じゃないかと思うのですよ。  私は、北炭夕張の事故もちょうど石炭特別委員として経験をしました。あのときにも私は直前に非常に重大な事態になるのじゃないかということを実はここで質問して警告したことがあるのですけれども、本当にそういうことをまたここで警告せざるを得ないような状況が今の三池の状況じゃなかろうかというふうに、私、その労働者諸君の話を聞いて大変憂慮したわけであります。  時間も大体参りましたから、私きょうはこういうことで問題提起しておきますので、ぜひ徹底した調査と改善をお願いをいたしたい。  終わります。
  178. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これにて小沢君の質問は終わりました。  続いて、高木義明君。
  179. 高木義明

    ○高木委員 両大臣におかれましては、連日の御審議で敬意を表しております。私も両大臣にお尋ねするのは初めてでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  新しい石炭政策に向けての幾つかのお尋ねをいたします。  実は、このようなところに立ちますと、やはり何といっても私は、我が国がこれまで歩んできた戦前戦後の歴史、その中で石炭産業が果たした役割ということをどうしても忘れるわけにはまいりません。私たちの暮らしの中におきましても、鉄だあるいはセメントだ、電気だ、暮らしにおいても町づくりにおいても、衣食住とともに切っても切り離せないそれぞれの分野を支えてきたのが、言うまでもない、石炭でございました。  エネルギー革命がありましたし、多くの歴史がありましたし、その中で私は大切にされなければならないのは、国民のためにあるいは企業とともにその存続を願って一生懸命生産性に対し協力をし、合理化にもその克服に向けて努力をした方々、通常の職場でありますと、生産性を上げ働けば働くほどその産業の夢は開け、そして分配が出てくる、こういうことでありますけれども、石炭産業におきましては、海外炭との価格差等、どうしてもその限りにおいて克服できない問題がある、大変私は厳しい現実だと思っております。しかし、そういった方々が報われるためには、新しい石炭政策の中でこのことを忘れずに、そして雇用確保が図られ、健康がから取られる、そういう政策を国として責任を持つことが大切ではないかというふうに私は思うわけであります。  我が国石炭需要につきましては、御案内のとおり平成二年で一億一千八百十五万トン、その中で国内炭につきましては一千五十八万トンでございました。しかし、昭和三十五年、当時の生産量は五千二百六十万トンでございましたけれども、平成二年度には七百九十八万トン、こういう流れになってきました。今、八次策を終わり、新しい政策へと進んでおるわけでありますが、できるだけこういう歴史を、その心のぬくもりを政策の中に反映できる政治であってほしい、こういうことをまず私は思うわけでございます。  そういう中で、石炭の需要につきましては今後どういったことになっていくんであろうかということは私はぜひともこの際お伺いをしておきたい。まあ、長い審議でありましたので一部重複はありますけれども、お許しをいただきまして、総合エネルギー調査会がかつて出しておりましたエネルギーの需給見通しについて、いわゆる石炭需要が着実に増加すること、石炭供給安定性及び経済性にすぐれたエネルギーであり、今後とも石油代替エネルギーの柱として引き続き利用の円滑化を図ることが適当である、もちろんこれは海外炭を含めてのことでありますけれども、そういうことが一つのスタンスになっております。しかし、今日のように地球的規模の環境問題がクローズアップされ、そして我が国におきましてはバブル経済がはじけ、景気の陰り現象が出てきておるという今日の現状において、今我が国において石炭需要の見通しは一体どうなるのかということはぜひお聞きをしておきたいわけでございますが、その点についてまず御答弁をいただきたいと思います。
  180. 山本貞一

    山本(貞)政府委員 石炭については、今先生が言われたとおりの見通しを今のエネルギー需給見通しては述べております。すなわち、豊富な埋蔵量、賦存の広さという点から供給安定性が非常に高いということ、それから経済性の優位があるということから、中核的な石油代替エネルギー考えておるわけでございます。  二〇〇〇年の見通してございますが、現在の先ほどの数字から三千万トン程度ふえまして、一億四千二百万トンの想定をしております。  先生今需要の伸びにつきまして最近の景気等を御指摘されましたが、実は一九八七年以降日本のエネルギー需要は大変高い伸びを示しておりまして、私どもの需要想定、今申し上げましたエネルギー需給見通しては今後二十年間ぐらいは年率一・二%の需要の伸びしか想定していないわけですが、この数年年率三%あるいは五%を超える伸びを示しております。ここ最近の景気の障りで若干産業用の伸びは落ちておりますが、家庭用とか運輸用とか、そういうようなところはやはり依然として高い伸びを示して、それでもやはり三%前後の伸びが今ある、むしろ高い伸びを心配しているという状況でございます。  そういう中で、今後石炭に対する依存度というか期待も高まるという状況にございます。もちろんCO2の問題あるいはNOx、SOxの問題については十分配慮して、技術開発を進めながら使っていくということだと思います。
  181. 高木義明

    ○高木委員 そのような中におきまして、国内炭の需要について基本的に一体どう考えておられるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  182. 土居征夫

    土居政府委員 今山本長官からお話し申し上げました今後十年間の日本の石炭の需要の見通してございますが、一億四千二百万トンまで三千万トン近くの増加が見込まれておるわけでございますが、これにつきましては、具体的に国内炭海外炭ということの内訳で見ているわけではございません。したがいまして、御指摘がありました国内炭の今後の需給見通しについてどうかというお話でございますので、これにつきましては石炭鉱業審議会答申にありますように、まず石炭生産のサイドにつきまして、「九〇年代を構造調整最終段階と位置付け、」「均衡点までは経営多角化・新分野開拓を図りつつ、国内炭生産段階的縮小を図ることが必要」、これは石炭経営者の方針に基づきましてそういう方向性が出ているわけでございまして、したがって、要するにこれから十年間ふえます需要の大部分は海外炭確保によって調達されるというふうに考えております。
  183. 高木義明

    ○高木委員 この点につきまして、ちょっとくどくなるようで恐縮なんですけれども、この問題はいわゆる法律の延長というのが前提でございまして、軽々にお答えできない問題はあるかと思いますが、やはり一番関心を持たれておるところは、当面する平成四年度、来年度の具体的な需要についてどうなるのかということでありますけれども、その点いかがでしょうか。
  184. 土居征夫

    土居政府委員 国内炭に対する需要につきましては、平成四年度から始まります新石炭政策もとでは、需要が先に決まるのではなくて、石炭各社の生産計画、これは具体的には現在これから審議お願いいたします法律に基づきまして石炭鉱業審議会石炭鉱業合理化実施計画を取りまとめることになっておりますけれども、そこで具体的に石炭各社の平成四年度の生産計画が決まってくるわけでございます。そういった形で決まりました生産計画について需要業界の引き取り協力が得られる、そういう形になっております。
  185. 高木義明

    ○高木委員 では、この問題はこの程度にいたしますけれども、構造調整についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  昨年十月十五日に石炭各社から構造調整についての基本的な考え方というのが提出されております。まあ各社の内容を見てみますといろいろ出ておるわけでありますけれども、非常に厳しいところとか、あるいは胸をなでおろすところとか、地域の反応はさまざまでございます。  そういうことで、実際、これについて当局としてはどういう評価をしているのか、この点についてその評価のぐあいをお示しをいただきたいと思うのであります。
  186. 土居征夫

    土居政府委員 石炭鉱業構造調整につきましては、もちろん答申指摘された方向でございますが、その答申の作成段階において既に石炭業界から自主的な構造調整の方向が明示されておりまして、それを受けて各社が検討した結果ということでございまして、中身につきましてもまだなかなか具体的に難しい問題が残っておりますけれども、基本的な方向といたしましては、今後石炭鉱業の各社が親子一体となって構造調整を積極的に進めていこうという意思が非常に強くあらわれているものというふうに評価をいたしております。
  187. 高木義明

    ○高木委員 そういう評価に立ちまして一体国はどうしていくのか。もちろん石炭各社の企業努力、これが前提でございますが、その支援を一体いかなるように取り立てていくのかというのがまさに今重要な問題であろうかと私は思っておりますが、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  188. 土居征夫

    土居政府委員 この構造調整に対する支援策がまさに今、国会審議お願いいたしております平成四年度の予算案になるわけでございまして、先ほど来御説明いたしておりますような、石炭企業各社、これは石炭の子会社だけじゃなしに親会社も含め、さらには関連会社も含めた各社の新分野開拓経営多角化事業について新しい融資制度創設してこれを支援していこう、あるいはそれに対する補助金制度創設していこう、こういったことでございまして、そういうことで、予算ということだけではなしに、具体的なソフトの面でのいろいろな御支援も含めて最大限の支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  189. 高木義明

    ○高木委員 よろしく御対応いただきたいと強く。御要望しておきたいと思います。  次に、環境問題に関連するのでありますけれども、この石炭需要の増大に当たっては、何といっても環境問題に配慮することは言うまでもありません。しかし、石炭石油あるいは天然ガスに比べまして燃焼時の単位発生エネルギー当たりのCO2排出量が多くて、あるいはSOx、NOx、こういった排出による影響もあるという、いわば弱い点もあるわけであります。したがいまして、こういったことを克服しなければなりませんので、そのために今取り組まれております石炭を有効利用することのためにも、いわゆるクリーンコールテクノロジー、この開発にますます積極的に取り組まなければならないと私は思っておりますけれども、この技術開発状況につきましてお示しをいただきたいと思います。
  190. 横田捷宏

    ○横田政府委員 御指摘のとおり、石炭の利用をより効率的に行うといいます観点からは、クリーンコールテクノロジー開発というのが今世界的にも一番大きな課題でございまして、特に石炭を固体のままではなくて、これを液化して使用する、あるいはガス化して使用する、これによりまして、より効率的かつクリーンエネルギーに変えていくことができるわけでございます。  具体的には、例えば石炭液化につきましては、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOと申しておりますが、ここを通しまして、今大きな二つのプロジェクトがございます。  まず、歴青炭の液化プロジェクトでございますが、これは、一日にまず百五十トン程度の歴青炭を液化処理しようという実験プラントを、現在、茨城県の鹿島町の方で建設を開始いたしました。それから、これより先でございますが、豪州との国際共同プロジェクトということで、豪州のビクトリア州におきまして、そこに多量に賦存いたします褐炭を液化する。これは、一日処理量五十トンの実験プラントでございましたが、ほぼ成功裏に運転を終了いたしまして、現在、解体研究に入っておる、こういう国際プロジェクトでございます。  それからもう一つ石炭をガス化いたしましてこれを活用する面では、石炭ガスから例えばクリーンな水素をつくりまして、これを活用するといいますプロジェクト、これを現在千葉県の袖ケ浦で運転研究中でございますし、また発電の面では、ガス化いたしました石炭、これによりますがスタービンと蒸気タービンとを併用いたしますいわゆる噴流床方式の石炭ガス化複合発電パイロットプラント、これを福島県のいわき市で現在運転研究中、こういった状況でございます。  今後とも、工業技術院といたしましては、資源エネルギー庁と一体となりまして、賦存量の豊富な石炭の効率的、よりクリーンな利用という観点から、来世紀の初頭の実用化あたりを念頭に置きながら、また国際的な情報交換、共同研究などを踏まえまして鋭意推進してまいりたい、こう考えております。
  191. 高木義明

    ○高木委員 ぜひ実用化が一日も早くできまして、地球にやさしいとよく言われておりますけれども、環境対策あるいは石炭の需要拡大といったことにも寄与していくべきだと思っておりますので、鋭意お取り組みを進めていただきたいと思っております。  次に、産炭地問題に入ります。  昨年の秋から地域振興実施計画が都道府県によりましてそれぞれ提出されております。こういった実施計画の具体的な手だてについてどのようになっておるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  192. 土居征夫

    土居政府委員 産炭地域振興実施計画は今後十年間の各地域の振興の方向を具体的に示したものでございますが、これに基づきまして、平成四年度予算におきましては、石炭鉱業審議会答申あるいはその前の産炭地域振興審議会答申を受けまして、特に八次策影響地域あるいは現在の稼行炭鉱地域に対する重点的な対策を講ずるということで、傾斜的な産炭地域振興対策予算を編成させていただいているわけでございます。  具体的には、午前中来議論がありましたような新しい制度といたしまして、地域振興の中核的な事業主体の設立のための補助制度を設けるといったこと、あるいはプロジェクト施設整備等支援調整額ということで、各自治体が行いますいろいろなハード事業の支援事業を創設するといったこと、あるいは地域振興整備公団の出資金、特別低利融資制度の充実、さらには地域振興整備公団によります新規工業団地、これはまた三カ所を予算では予定しておりますけれども、この造成といったことを予算の中で現在お願いしているところでございます。
  193. 高木義明

    ○高木委員 この実施計画が十二分に生かされまして実行できるためには、ただいま御答弁ありました施策が必要な要件だろうと私は思っております。この点につきましても、万全なものとしてさらに御努力を願いたいと思っております。  そこで、それぞれの産炭地におきましては、もう言うまでもありませんけれども、自治体財政はかなり脆弱なところがほとんどと言っていいほどでございます。そういう意味で、自治省サイドからの支援も大切な大きな柱だろうと私は思っております。したがいまして、自治省サイドとして自治体支援についてどのようにお考えになっておるのか、その点についてお答えをいただきます。
  194. 森元恒雄

    ○森元説明員 産炭地におきましては、労働力人口の流出あるいは基幹産業の衰退というようなことで地域の産業経済が非常に疲弊しております用地方団体といたしましても、地域住民の生活あるいは福祉というものを確保していく上で非常に苦労しておるわけでございますが、このような産炭地域の特殊性を考慮いたしまして、かねて私ども自治省の方におきましても、地方財政に対して格別の配慮、特別の措置を講じておるところでございます。  一つは、関係地方団体の一般財源を充実する、確保するという観点から、交付税におきまして特別のかさ上げ措置を講じております。産炭地補正あるいは数値急減補正等を講じております。  それからまた、地方団体がいろいろな事業を実施いたします場合に、特に財政負担が重い、そのために事業がはかどらないというようなことがあってはいけないということから起債の充当率を引き上げる。それと、これは私どもではございませんが、関係省庁の方におきまして利子補給あるいは補助率のかさ上げ等を講じておられるということでございます。  また、地域そのものを将来に向けて発展させていく必要から企業誘致等に力を入れておるわけでございますが、その企業誘致の誘引策として、事業税、不動産取得税、固定資産税等の軽減を行いました場合には交付税で減少補てんをするというような措置を講じておるところでございます。
  195. 高木義明

    ○高木委員 ありがとうございました。  雇用問題についてお尋ねをいたします。  大臣所信表明の中におきまして、求職活動中の早期就職促進と生活の安定を図るため各般援護措置を講じ、万全を期してきており、今後雇用問題の解決に当たりさらなる努力を行うというふうに力強く述べておられます。大変心強いのであります。新しい政策下での雇用問題解決に当たりまして、再度大臣決意を、どのようなものを持っておられるのか、具体的内容ももしありましたらあわせてお教えいただきたいと思います。
  196. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 炭鉱労働者雇用対策は、私たち労働省の最重要課題の一つでございまして、従来も炭鉱離職者求職手帳に基づく各種の再就職援助措置をやってまいったわけでございますが、今後さらにこの措置を強化してまいりたい。  特に、今後、多くの炭鉱労働者の方々が石炭鉱業合理化による離職をしないで石炭企業経営多角化等によって新たな雇用に円滑に移行できるように、実は新しい炭鉱離職者臨時措置法改正お願いをいたしたいと思っておるわけであります。その中で、炭鉱労働者配置転換職業訓練等措置を講じる事業主に対して、その対象となる炭鉱労働者賃金助成等を行う炭鉱労働者雇用安定助成金の新たな創設、そして従来もやっておりますが職業訓練の積極的な実施等を通じて、先ほど申しましたように離職を経ないで円滑に新しい仕事についていただくような措置をこれから積極的に進めてまいりたいと考えております。
  197. 高木義明

    ○高木委員 ありがとうございました。  時間も残りわずかになってまいりました。せっかくの機会でございますので、通産大臣、私が先ほどから述べてまいりましたが、新しい石炭政策を進めるに当たりましての御決意をお伺いしてみたいと思います。
  198. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先ほどから高木先生の御質問政府委員から具体的な施策それぞれについて答弁をしてまいりましたが、基本的に、かつて我が国エネルギーに大きな貢献を果たしてきた国内炭、国際経済の大きな変化の中で、コストの面で、残念ながら将来、これによって働く人たちあるいは地域の振興というのが困難になってきた。そういう時代の趨勢の中で、従来まで石炭産業で働いてきた人々、またその地域の人々が将来にわたって新しい希望を持って暮らしていけるような、また発展していけるような地域振興というものを、これから私どもの及ぶ限りの力で実現をしてまいりたいと思います。
  199. 高木義明

    ○高木委員 ひとつよろしくお願いいたします。  時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  200. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これにて高木君の質疑は終わりました。      ――――◇―――――
  201. 佐藤敬治

    佐藤委員長 次に、内閣提出石炭鉱業構造調整推進等石炭対策総合的な実施のための関係法律整備等に関する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。渡部通商産業大臣。     ―――――――――――――  石炭鉱業構造調整推進等石炭対策総合   的な実施のための関係法律整備等に関する   法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  202. 渡部恒三

    渡部国務大臣 石炭鉱業構造調整推進等石炭対策総合的な実施のための関係法律整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現行の第八次石炭政策は今年度末に期限を迎えることになりましたが、今後の石炭政策のあり方については、昨年六月の石炭鉱業審議会答申にもありますように、九〇年代を石炭鉱業構造調整最終段階と位置づけ、均衡点までは経営多角化・新分野開拓を図りながら、国内炭生産段階的縮小を図るとともに、これにあわせて構造調整に即応した地域対策及び炭鉱労働者雇用安定対策並びに石炭鉱害早期復旧のための措置を講ずることが必要であります。  このため、政府といたしましては、このたび、石炭対策関係八法律を改正するため、本法律案を提案した次第であります。  次に、法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正であります。  その改正の第一点は、同法の題名を石炭鉱業構造調整臨時措置法に変更するとともに同法の目的を改めることであります。  第二点は、石炭鉱業構造調整の目標、石炭会社などの新分野開拓についての基本指針等を内容とする石炭鉱業構造調整基本計画を新たに定めることとし、加えて、石炭会社等の新分野開拓に対する支援実施に必要な規定の整備を行うことであります。  第三点は、石炭鉱業構造調整の円滑な推進の。ため、同法の廃止期限を平成十三年度末まで延長することであります。  第二に、炭鉱離職者臨時措置法の一部改正であります。  その改正の第一点は、同法の題名を炭鉱労働者等雇用の安定等に関する臨時措置法に変更するとともに、同法の目的を改めることであります。  第二点は、鉱業権者等の新分野開拓に伴う炭鉱労働者雇用安定施策を新たに講じることであります。  第三点は、石炭鉱業構造調整に即応した雇用対策推進のため、同法の廃止期限を平成十三年度末まで延長することであります。  第三に、石炭鉱業経理規制臨時措置法及び産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の廃止期限を平成十三年度末まで延長することであります。一  第四に、臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部改正であります。  その改正の第一点は、累積鉱害の最終的な解消を図るため、二法の廃止期限を平成十三年度末まで延長することであります。  第二点は、累積鉱害解消後の体制の構築であります。  第三点は、鉱害復旧促進を図るため、臨時石炭鉱害復旧法の手続きを充実させることであります。  第五に、これら石炭政策に伴う安定的財源を確保するため、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の廃止期限を平成十三年度末まで延長することであります。  第六に、石炭鉱業再建整備臨時措置法の廃止であります。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。
  203. 佐藤敬治

    佐藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  204. 佐藤敬治

    佐藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る三月四日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 佐藤敬治

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る三月四日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会      ――――◇―――――