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1992-05-13 第123回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十三日(水曜日)     午前十時六分開議 出席委員   委員長 武藤 山治君    理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君    理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君       甘利  明君    新井 将敬君       岩屋  毅君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    梶山 静六君       金子原二郎君    久野統一郎君       佐藤 信二君    佐藤 守良君       斉藤斗志二君    田辺 広雄君       谷川 和穗君    中島洋次郎君       仲村 正治君    増田 敏男君       武藤 嘉文君    与謝野 馨君       大畠 章宏君    岡田 利春君       加藤 繁秋君    後藤  茂君       鈴木  久君    安田 修三君       安田  範君    山内  弘君       吉田 和子君    権藤 恒夫君       二見 伸明君    渡部 一郎君       小沢 和秋君    川端 達夫君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         通商産業大臣  渡部 恒三君  出席政府委員         通商産業大臣官 内藤 正久君         房長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         工業技術院総務 横田 捷宏君         部長         資源エネルギー 川田 洋輝君         庁公益事業部長  委員外出席者         文部省初等中等         教育局中学校課 福島 忠彦君         長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   鈴木  久君     吉岡 賢治君 同日  辞任         補欠選任   吉岡 賢治君     鈴木  久君 同月十三日  辞任         補欠選任   奥田 幹生君     金子原二郎君   梶山 静六君     与謝野 馨君   中山 太郎君     中島洋次郎君   仲村 正治君     久野統一郎君   安田  範君     山内  弘君   江田 五月君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     奥田 幹生君   久野統一郎君     仲村 正治君   中島洋次郎君     中山 太郎君   与謝野 馨君     梶山 静六君   山内  弘君     安田  範君   阿部 昭吾君     江田 五月君     ————————————— 本日の会議に付した案件  計量法案内閣提出第七五号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 武藤山治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  参議院送付内閣提出計量法案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  3. 大畠章宏

    大畠委員 日本社会党大畠章宏でございます。  ただいま議題となりました計量法案について質問をさせていただきたいと思います。この法案につきましては既に参議院において審議が行われたわけでありますが、その論議経過を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。  この参議院の方の議事録によりますと、今回の法改正についての趣旨が種々大臣の方からも述べられているわけでありますが、一つは、「計量単位について国際的な整合を図るための措置を講じ、第二に、一定水準製造品質管理能力を有すると認められた指定製造事業者製品については検定を免除する制度を導入するなど、計量器に関する規制の一層の合理化を図り、第三に、計量器の校正に用いられる計量標準を国から産業界に確実に供給し、かつ、国とのつながりを対外的に証明する制度を創設する」としている内容でございます。また、いろいろ計量単位を扱う業界、検定などに従事する機関への影響なども十分考えて、円滑な制度の運営に努めるとともに、国民へのPR活動も積極的にしてまいりたい、特に、国民生活の安定及び消費者利益の保護についても十分配慮してやっていきたいという趣旨の説明が大臣よりあったと伺っております。  こういうものを踏まえて、幾つか私も御質問をさせていただきたいと思います。  最初に、今貿易問題でいろいろ日本アメリカの間の論議が進んでいるわけでありますが、アメリカあるいはヨーロッパでの計量単位標準化日本と同じような形で進んでいるのかどうか、こういうことをお伺いしたいと思うのですが、議事録によりますと、イギリスではEC理事会指令に基づいて一九九九年までにメートル法化をすることを既に決めているということ。それから、アメリカでは一九九二年の九月までにメートル法化するということだということでありますが、私も議員の仕事に入る前に、図面を引き製品をつくる産業の中にいたわけでありますけれども、アメリカに輸出するときにはいわゆるインチねじを用い、生産ラインを変えた経験があるわけであります。今アメリカから日本に輸入されてくるそういう製品について一体どういう状況にあるのかなと思うのですが、日本からアメリカに対してどのような形で計量といいますかそういうものに対する国際的な標準化を促すように求めているのか、その実態についてお伺いをしたいと思います。
  4. 熊野英昭

    熊野政府委員 計量単位につきましては国際的に国際単位統一するという動きがいろいろなところで進んできております。しかしながら、ただいま先生指摘のありましたように、その中で実はアメリカイギリスあるいは場合によって日本が若干おくれているところがあるわけであります。しかしながら、アメリカにおきましてもメートル法移行についていろいろな努力を始めておりまして、メートル転換法という法律をつくりまして、連邦政府物資調達等につきましては原則として一九九二年九月末までにメートル法化する。言いかえますと、アメリカ会計年度は十月に始まりますので、アメリカ会計年度九三年度以降におきまして、九二年十月以降におきましてはメートル法化するということで、少なくとも政府としての政府調達等については着実にそういう動きを進めているところであります。  ただ、民間メートル法化が進んでいるかということにつきましては、必ずしも十分な状況ではないと思っております。ただアメリカ政府としては、例えば先般も、ちょうど自動車部品及び自動車ハイレベルMOSS協議で参りましたファーレン商務省次官に対しまして、このことを私からも、ちょうど参議院審議の日でありましたので、参議院審議の御意向も踏まえながら強くアメリカ政府お願いをしたわけでありますけれども、アメリカ政府民間に対する勧奨を、大統領諮問機関でありますところの輸出協議会において、民間においてもメートル法の採用を強くエンカレッジをしているということでございます。それから、御案内だと思いますけれども、日米構造協議の場におきましても、アメリカに対しまして常に、メートル法の推進がアメリカ経済国際競争力を強めるためにもアメリカ経済国際化のためにも重要であるということを日本側から種々指摘をしてきておるわけであります。こういった我が方の主張も受けまして、先ほど申し上げましたようにアメリカ政府としましても民間へのエンカレッジも進めておりますし、あるいは大統領行政命令を出しまして各省庁でメートル移行プランの作成を実施するとか、あるいは十月十日をメートルの日と決めてその前後にメートル週間というふうなものを設けてPRに努めているとか、各種の努力をしてきているところでございます。  それからECにつきましては、原則ECは、大陸の方は既に国際単位系が完全に導入されておりますけれども、ヤードポンド法を持っているイギリスが遅いわけでありますけれども、イギリスにつきましても、EC指令に基づきまして一九九九年末までにはメートル法化をするということで進んでいるように承知をしております。
  5. 大畠章宏

    大畠委員 現状についてはわかりましたけれども、いずれにしても今、日米構造協議等情報を伺っていますと、常に日本は守勢に立たされている、そういう感じもするわけでありまして、言ってみればEC一つ経済圏をつくり、そうするとアメリカカナダとの間の障壁を取り、かつ日本との間の障壁を取って、アメリカカナダ日本という共通の市場を形成しようとしているのだと思うのですが、いずれにしても私は、日本として言うべきものは言う、こういう姿勢も大変重要だと思いますし、特に単位系については、私も小学生のころに尺貫法からメートル法学校教育も切りかわっていろいろ混乱をしたことも記憶しておるのですが、先ほどの話ではありませんけれども、世界的な流れ統一した単位のもとにともに生活しようじゃないかという一つ流れがあるわけでありますので、これについては厳しくアメリカの方にも、この構造協議あるいはその場を通じて日本として物を申していく、そういう態度を今後とも継続してお願いをしていきたいと思います。特に、日本でつくる製品は大体メートル法でありますが、アメリカ製品ではやはり相変わらずインチヤード法的な製品も目立ちますし、そういう意味から、日本からの製品とあるいはアメリカ製品との交流という意味からも、ぜひもっと強い通産省からのアメリカ政府に対する交渉の場での要求といいますか、姿勢を期待しておきたいと思います。  次に、いろいろ先ほど申し上げましたとおり、この法案計量単位系変更、これが国際的背景にあること、それからいろいろと世界的なことを考えながら、今回の計量単位系の、それからいろいろと国民生活あるいは世界に対する配慮をしながらやるんだという基本方針大臣から出されているわけでありますが、これから少し法案内容確認しながら具体的な課題について御質問をさせていただきたいと思います。  法案内容確認でございますけれども、最初に、いずれにしても指定製造事業者というのが新しく導入されるわけでありますが、この指定製造事業者というのはどういう要件を満たす場合に指定されるのか。この件についてまず最初にお伺いしたいと思います。
  6. 熊野英昭

    熊野政府委員 指定製造事業者制度と申しますのは、最近の計量器に関します製造技術でありますとかあるいは品質管理能力の向上といった実態を踏まえまして、一定水準品質管理能力を有する製造事業者製造いたしました計量器につきましては、検定を免除しようという制度でございます。  したがいまして、ただいま先生の御質問にございました指定製造事業者指定をするに際してはどういう要件がということを申し上げますと、その指定製造事業者製造いたしますところの計量器の適正を確保するために、まずその製造事業者工場あるいは事業場におきます品質管理方法通商産業省令で定めますところの基準に適合すること、これは九十二条第二項に定めております。それから同様に、工場あるいは事業場におきます品質管理方法につきまして、都道府県もしくは日本電気計器検定所検査または指定検定機関調査を受けることを指定要件としております。これは九十一条第二項に定めておるところでございます。それから、指定を受けました指定製造事業者製造する計量器が経常的に適当なものであることを担保するために、技術上の基準に適合して、通産省令で定めますところの検定公差器差が超えないようにすること、あるいは検査をちゃんとやって、その検査の記録を保管することというふうな義務を課しておるわけであります。また、行政側としては、必要に応じ報告徴収を求めたりあるいは立入検査をしたりする権限もございます。
  7. 大畠章宏

    大畠委員 それから二つ目には、この法案の中で比較検査制度というのを廃止するということがございますが、これはなぜ比較検査制度というものを廃止するに至ったのか、その背景について理由をお伺いしたいと思います。
  8. 熊野英昭

    熊野政府委員 現行法におきまして、比較検査という制度を持っております。これは検定対象となる計量器につきまして、検定に用います基準器とそれから製品器差を精密に測定いたしまして、検定合格証印とともにその計量器器差を明記した、いわば成績書ともいうべきものを交付する制度でございます。ところが、この比較検査制度利用実態実績を見てまいりますと、アルコール濃度計量に用いるところの酒精度浮ひょうにつきましては相当の利用実績がございますけれども、その他の直尺でありますとか等につきましてはほとんど利用されていないというのが実は現状でございます。そこで、新法におきましては、酒精度浮ひょうにつきましては経過措置を設けまして当分の間は比較検査を引き続き行うこととしながら、制度そのものにつきましては、既にこの制度の使命も終えたということで、今回廃止をしたいというふうに考えているものでございます。
  9. 大畠章宏

    大畠委員 それで、次に、今回の法案の中に新たなものがあと二つあるのですが、指定計量証明検査機関並びに指定定期検査機関というのが新たに指定されています。かつ、その前の、計量証明機関政令で定めるという事象がございますが、従来はきちっとした機関が明記されておったのですが、これを政令で定めると変更した理由と、具体的にどういうものを考えておられるのか、さらにはこの指定定期検査機関というものについても、定期検査機関を前は明記したのですが、これをまた政令で定めるというふうに変更しておられますけれども、これは具体的にどういうふうに考えでこのような措置をとったのか、いろいろあわせましてお伺いしたいと思います。
  10. 熊野英昭

    熊野政府委員 まず計量証明検査制度について申し上げます。  計量証明検査というのは、計量証明事業を行う者が使用します計量器につきまして定期的に検査を行い、計量証明事業に対する信頼性を確保しようとするものでございます。この計量証明検査というのは、貨物の運送で質量を正確にはかることと、それからもう一つ環境関係で、大気の濃度でありますとか騒音とか振動とか、そういうものの測定をする、そういうのを計量証明審査対象としているわけでございます。  今回この検査周期政令事項としたわけでございますけれども、これは特定計量器技術進歩でありますとか使用状況に応じまして周期をいわば適時適切に制定し、あるいは改正していく必要があるというふうに判断をいたしまして、今後検査周期を定めるに際しましては、特定計量器が有しますところの技術的な特徴でありますとかあるいはこの計量証明使用実態等を踏まえまして、その特定計量器それぞれに応じて技術的な観点から適正な検査周期を定めたいというふうに考えております。  それで、この計量証明につきまして、指定計量証明検査機関という制度を今回この新法では設けることにしております。この指定計量証明検査機関制度と申しますのは、先ほど申し上げましたような計量証明検査需要が大変ふえてきております。そういった需要増大にかんがみまして、都道府県知事計量関係技術の蓄積を有する民間機関、民法上の公益法人でございますけれども、これを指定いたしまして計量検査を行わせることができるようにしようというのがこの指定計量証明検査機関制度でございます。これによりまして、これらの機関の専門的な知見を活用して計量証明検査需要に適切に対応していくことが可能となると思っております。  具体的に都道府県知事がどういう法人指定するかということになるわけでありますけれども、例えば機械電子検査検定協会という財団法人がございますけれども、こういうものが候補としては考えられますし、そのほか都道府県にございますところの計量関係団体等対象として想定をされるところでございます。  それからもう一つ定期検査制度及びそれとの関係指定定期検査機関についての御質問があったと思いますけれども、この点についてお答えをさせていただきます。  定期検査制度は、取引または証明における計量の用に供しますところの特定計量器のうち、適正な計量実施を確保するために特に正確性を定期的に検査する必要があるものにつきまして検査をしようとするものであります。  この定期検査対象計量器につきましては、現在現行法では質量計及び皮革面積計対象としておりますけれども、今後の新法におきましてもそういうものを対象とすることになろうかと現時点では考えております。  その検査周期につきましては、現行法では市部は毎年一回、それから郡部は三年に一回というふうに規定をしております。これは使用頻度とかそういうことに違いがあるということに着目してそうなっているのだと思いますけれども、今後の対応といたしましては、質量計につきましては、計器使用頻度に照らしましても郡部市部を特に区別する合理的な理由はもはやなくなっていなと思いますし、他方計量器精度も大変向上してきておりますので、現時点検査周期については二年程度に統一したらいかがかというふうに考えているところでございます。それから、皮革面積計につきましては、今後なお勉強をさせていただいて検査周期を決めたいというふうに考えております。  それから、この定期検査を行います指定定期検査機関のことでございますけれども、これも定期検査需要増大、それから定期検査対象計量器増加といった、いわば需要増加対応いたしまして、都道府県知事あるいは特定市町村の長の円滑な検査実施を図るために、知事あるいは市町村長がその指定する者で定期検査を行わせることができる、指定する者を指定定期検査機関と呼ぶことにしているということでございます。  この制度の導入によりまして、この指定定期検査機関専門的知見を活用いたしまして、都道府県知事あるいは市町村長業務負担を軽減することが可能になるのではないかというふうに考えております。  この指定検査機関としてどういう機関指定されるかでありますけれども、これはただいま申し上げましたような仕事内容に照らしまして、いわゆる公益法人対象になろうと思いますけれども、具体的には都道府県知事あるいは市町村長が今後その団体指定を検討していただくことになろうと思います。例えば、先ほど申し上げましたけれども、都道府県にございます計量関係団体等が想定されるところでございます。
  11. 大畠章宏

    大畠委員 ただいままで、ちょうど大臣がおられない間に、参議院でのこの計量法に対する質疑内容、いわゆるこの計量法がどういう趣旨で今回提案されたのか、大臣答弁内容についてもいろいろと読ませていただきました。また、今この法案内容について若干わからないところがありましたのでいろいろ確認もさせていただいたところでありますけれども、要するに、今回の法案改正は、一つ単位系変更、これは国際的な状況から単位系を国際的に統一しようという一つ動きであります。そしてもう一つは、いわゆる計量検定に対する方法を変えようという内容であります。  私は、ちょっとこれは通産大臣にお伺いしたいと思うのですが、この計量検定、私は日本製品世界製品に比べてその品質が非常に高いというのも、日本のこの検定制度、例えば一メーターだったら一メーター、一ミリは一ミリ、そういう単位統一が非常に図られている、どこでつくったとしても非常に精度のいい製品ができているから、結局はその品質の方に及び、それが長年の諸先輩方努力日本製品品質が高いということで評価されていると思うのですが、今回の法改正流れを見ますと、どうも生産品がたくさんになってきた、したがってなかなか十分な対応現状の体制でとれないので、民間企業能力を生かしながらたくさんの手を煩わせながら、何とか今の検定が必要な製品がふえているものに対応しようという趣旨だと思うのです。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、通産省としてこの計量検定に対してどういう感覚を持っていらっしゃるのか。私が懸念しているのは、いわゆる現在の状況を踏まえて、民間活力的なものを応用しながらとにかく対応していけばいいんだ、そういう形で非常にこれまでの日本計量に対するたがが緩んでしまうのではないか。今までは非常にきちっとした考えを持ってやっていたのだけれども、それを民間に移管する、そしてだんだん移管すれば、たくさんになれば、当然監視の目といいますか、通産省考えていると同じような形で果たして本当に正確な検定が行われるのかなという懸念をしておるのです。例えばメートルの問題、あるいは電力計とか水道ガス、いろんな検定があるのですが、通産省として、そういうたくさんの製品が出てくるのはこれは時代の流れですから、しかしながらこの検定というものに対して一つの筋と考えを持っていなければならないと思うのですが、通産大臣計量検定というものに対するお考えがありましたら、お伺いしたいと思います。
  12. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、計量は、学術分野産業分野を初め広く国民生活基本となり、社会制度を維持する基盤となるものでございます。したがって、計量制度根幹となる計量単位を定め、基本的な計量標準を設定するなどの業務は、まさに国の基本的な責務であると考えております。また、計量器については、適正な計量器の供給を確保するために、計量法において検定制度を設け、国、都道府県特殊法人日本電気計器検定所等検定実施しております。  以上のような計量関連業務の中で、計量単位統一基本的な計量標準の設定については、国が行うべき制度根幹となる業務でございますけれども、今先生からお話しのように、個々の検定業務については、民間における計量関連技術の動向などを踏まえながら、これは適切に民間機関の活用を行っていくことが必要であるというふうに私どもは考えておるものでございます。  このような観点から、今回の法改正においては、従来、電力量計騒音計などの一部の計量器検定に限られておりました指定検定機関制度をすべての計量器対象とする制度に改めるとともに、一定水準製造品質管理技術を有する計量器製造業者に対し検定を免除する指定製造事業者制度を導入するなどの措置を講ずることにいたしたわけでございます。
  13. 大畠章宏

    大畠委員 そういう御答弁でございますが、一つ考え方と思うのですけれども、大臣の冒頭にありましたとおり、いわゆる計量検定というのは大変重要なものである。その基準が、例えば国の基準が一個違った、それが十機関におろされ、それがまた十機関からそれぞれ五十機関になったら、これは大変なところに誤りが行ってしまって、その先でまた検定されたものが世の中に大量に出るということになると、日本じゅうが大混乱になるということも考えられます。そういうことから、従来の日本では、検定というものを一本化して、必ずそこで統一した検定をして製品世の中に出すんだという一つ考えがあったと思うのですね。これは私は非常に優秀な考えだと思うのですが、それが世の中状況からなかなか対応し切れないということから、今回少し民間の方の手をかりたいということなんです。  今大臣からいろいろお話がありました。そういう考え一つだと思うのですが、通産省として、そういう民間の手をかりるとしても、最大限の努力をして、日本国内製品というのは均一な製品消費者の手に渡るというそういう基本的な精神はぜひ持っていてもらわないと困ると私は思うのですね。先ほどの長さの問題、一メーターという単位の問題から、あるいはガスや電気、水道、まさに消費者の手に伝わるメーター関係のものもたくさんありますので、今の大臣の御答弁にもありましたけれども、そういう精神を踏まえてもう一回、今回はこういう方向だけれども、日本国内製品については通産省が責任を持ってその一個一個の製品が従来に変わらない精度あるものにしていくんだという、そういう精神でぜひ今後ともやっていただきたいと思います。  大臣、そういう観点から、この今の趣旨はよくわかるのですが、もう一度通産省として、この計量検定、あるいは一つ一つ日本製品、あるいはまた一つ一つの電気、ガス水道、そのメーターは本当に大変生活に密着したものですから、基本的にそういうものに対する精神をちょっとお伺いしたいと思うのです。     〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕
  14. 渡部恒三

    渡部国務大臣 まさに先生指摘のとおり、計量検定が厳正公平で、いささかもこれは過ちがあってはならないことは、公平な社会、また今日の経済生活の中で最も大事なことでありますから、この制度改正によってより公平厳正にこの基準が守られて、いささかも国民の皆さん方に御迷惑をかけないようにしてまいる所存でございます。
  15. 大畠章宏

    大畠委員 そういう大臣のその精神のもとに今回の法案が施行されると思うのですが、それでは続いて、次に具体的な幾つかの、この法案を施行した場合の問題点、課題についていろいろお伺いしたいと思います。  最初に、この法案を施行して、検定所、そして製造メーカー、そしてまた消費者とあるのですが、一番最初にこの影響を受けます検定機関に対する影響についてお伺いをしたいと思います。例えば、今電気、ガス水道、いろいろなメーター検定機関がありますが、既存の機関の代表として日本電気計器検定所を取り上げて、今回の法案を適用したときに、この検定所に対してどういう影響があるのかという観点で何点かお伺いをしたいと思います。  一つは、今の時代の流れ、あるいは時代の状況に応じて今回法改正をするんだということでありますが、現在の日本電気計器検定所というところは、これまでの日本の機器の精度向上、あるいは消費者の手に渡る商品一つ一つ計器精度の中立性、公正性を保つ上で大変重要な役割を果たしてこられました。そういうことから、技術者の方の能力ですとかあるいは技術的な経験、これがたくさん蓄積されておるのですが、現在のこの社会の変化の状況に応じて、この日本電気計器検定所の現在の技術蓄積、能力というものを一体どう生かしながらこれからのこの検定所に対する体制の充実強化を図ろうとされているのか、その点からまずお伺いしたいと思います。
  16. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  日本電気計器検定所は、御指摘のとおり電気計器検定業務を行うことに加えまして、高度な技術能力及び公正、中立性を有す、計量制度根幹となる型式承認の承認行為及び基準器検査実施主体としての業務を行ってまいっているところでございます。この検定所は、ただいま申し上げましたような業務実施を通じまして、世界でも有数の電気計器関連の技術、研究レベルを達成するに至っていると認識をいたしております。一方、計量器のエレクトロニクス化が進んでおりまして、検定所の技術が他の分野に応用されるケースが増大をいたしておりまして、検定所の有する技術、ノウハウに対するニーズは著しく高まってきているという認識も持っております。  こういう状況の中で今回の計量法改正が行われるわけでございますが、法改正の中におきましても、検定所の新たな業務といたしまして、精密計量対応した計量標準供給とか指定製造事業者指定に係る品質管理検査が法定をされたところでございます。今後、検定所が現に有しております先ほど来申しました電気の計量に関する高い技術、ノウハウといったものを活用しながら、積極的に業務の拡充強化を図っていくことを期待いたしておるところでございます。
  17. 大畠章宏

    大畠委員 ほかにも既存の検定協会等もありますけれども、既存の機関についても、現在の情勢を考慮しながら、ぜひこれまでのノウハウ、技術、経験、能力等を十分生かせる分野での拡充を求めていくようにお願い申し上げたいと思います。  それから、今回指定製造事業者というものが指定されます。これは従来日本電気計器検定所検定を依頼していたメーカーが先ほどのような要件を備えればこの指定製造事業者という指定を受けて、日本電気計器検定所検定を依頼しなくても済むという制度になるわけでありますが、この日本電気計器検定所指定製造事業者との位置関係といいますか仕事上の関係というのはこれからどういうふうになるのでしょうか。
  18. 川田洋輝

    ○川田政府委員 日本電気計器検定所は、先ほども御説明申し上げましたとおり、検定業務に加えて、高度な技術能力及び公正、中立性を要する計量制度根幹となる型式承認あるいは基準器検査を一元的に実施しているものでございます。  「方、指定製造事業者制度が今回新たに導入されるわけでございますが、これは最近の計量器に係る製造技術品質管理能力の向上を踏まえて、一定水準品質管理能力を有する製造事業者製造した計量器について検定を免除するという制度でございます。したがって、検定の部分について一部影響があるということは御指摘のとおりでございますけれども、先ほども申しましたように、従来からの型式承認行為あるいは基準器検査といったもの、さらに加えて今回新たに計量標準供給あるいは指定製造事業者指定に係る品質管理検査が法定をされたところでございますので、計量に係るこういう状況変化の中で、私ども、この日本電気計器検定所は今後とも引き続き国に準ずる機関としての役割を果たしていくという期待を持っているところでございます。
  19. 大畠章宏

    大畠委員 要するに、指定製造事業者指定はするけれども、今後とも、言ってみればその指導監督機関としては日本電気計器検定所が当たる、適正に公正に、中立性を保ちながらの、指定製造事業者というのがその製品検査をしているのかどうか指導監督に当たる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  20. 川田洋輝

    ○川田政府委員 日本電気計器検定所が今後とも日本の電気計量に関する諸般の動きの中で中核的な役割を果たしていく、最も大切な役割を果たしていくという点については御指摘のとおりでございます。しかし、事業者に対する指導監督というような言葉になりますと、国に準ずる立場として高い立場からの適正な計量についての役割を果たしていく。ということについては今後とも変わりがございませんけれども、一方で民間活力を活用した規制の合理化という点も踏まえての指定製造事業者制度の導入というのはあるわけでございますので、言葉の使い方ではございますけれども、中核的な役割を今後とも果たしていくということでは変更はございませんが、検定制度についての規制の合理化は行われる、こういうことだと認識をいたしております。
  21. 大畠章宏

    大畠委員 今のお話でわかるのですが、これまで電気メーター、電力メーター等について論議をさせていただいていますが、日本電気計器検定所というものが日本の電力メーター計器検定をずっとやってきた。ところが、その検定所ではなかなか応じ切れないぐらいの市場が出てきたのでそれを民間の方に少しずつ委託をする、そういうのがこの趣旨だと思うのです。その日本電気計器検定所というのが公的な機関に準ずる位置づけだというお話が先ほどありました。そして、大臣からの答弁で、とにかく消費者の方にそういう公正な中立性のある機関を通したと同じような形での商品が渡るように十分な配慮をしていきたいということであれば、私は現在まで日本電気計器検定所というのがやってきた役割をその地域に幾つかの製造所ができた場合にはそれは委嘱するけれども、それをだれが見るのだといったら国が直接見るといってもできる相談ではありません。そういうことから見ると、その地域のセンターとして計器検定の相談窓口といいますか、事業所の方でも、困ったときにはあそこへ行けよ、あるいはその話を聞いてたまにはその製造所に行ってきちっとやっていますかと言う、そういう関係をとこかでとらなかったら大臣の言ったような形の運用にはならないのではないですか。そこら辺を明確にしてこないと、さあお願いしました、あとは中間的ですがそういうものではなくてまあまあやっていくのです、そういうあいまいな感じだとすれば、末端から消費者にわたる製品品質保証というのは本当にきちんとできるのかどうか。そこら辺の系統は、指示命令系統ではありませんけれども、監督し、製品がきちっといくのだというのをどうやって国は、通産省確認することを考えておられるのか。そのルートがちょっと見えないのでお伺いしているのですが。
  22. 川田洋輝

    ○川田政府委員 電気の計量というのは非常に大切なものでございますので、私どもこれは従来からも今後とも電気の計量が適正に行われることというのは大切なものとして守っていくことはいささかも変わりございません。  そういうものを進めていく中でどういう体制で進めたがいいかということでいろいろな論議をいたしておるところでございまして、その際に、先ほども申しましたように技術的、定型的な業務である検定業務につきましては、民間品質管理能力が最近非常に高まってきておることなども考え合わせると、一定の品質管理能力がある民間事業者についてはこれを任せていいのではなかろうか。それの方がむしろ合理的かもしれないということで、ただ計量についてはやはり大事な型式承認とかあるいは基準器検査さらには先ほど来申し上げている標準供給とかあるいは指定製造事業者を新たに導入すると、やはりそれに対する検査が要るとかいうようなことについては国の分身である日本電気計器検定所の力を十分活用していきたい、こういうことは先ほど来申し上げているところでございますけれども、そのほかに私先ほど申しましたように、電気計器をめぐるいろいろなニーズというのは高まってきておるわけでございますので、電気計器検定所が有しておりますいろいろな潜在的力をひとつ拡充する、拡大する方向で考えてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  23. 大畠章宏

    大畠委員 いずれにしても、この日本電気計器検定所というものが、その地域社会、十六支部といいますかがあるということでありますが、そういうところを中心として、その地域の電気計器検定の、今中核というお話がありましたけれども、まさにその地域から生産される製品品質の中立性、公正性を確保するための中核のものであるという位置づけで今後とも考えていきたいということでありますから、そういう位置づけでぜひ今後ともお願いしたいと思います。  それから、そういうことになってきますと、作業量というのが実際問題として出てくると思うのですね。今までそういう作業をしていた、いわゆる検定の作業をしていたものが民間に委託されるということであれば、その作業量が減ってくると思いますが、その作業量というものをどういうふうに見ておられますか。先ほど、新しい役割を求めるという話もございましたけれども、トータルとしてどういう作業量になる見込みなのか、そういう件についてお伺いしたいと思います。
  24. 川田洋輝

    ○川田政府委員 この指定製造事業者制度の導入に当たりましては、製造事業者品質管理体制の整備の状況について詳細な検討が必要でございますことから、計量器ごとに施行の日から五年を限度として適切な準備期間を設けるということに相なっておるところでございます。したがって、法改正をお認めいただきますと、そこからある一定期間、五年を限度というのはかなり長い期間がと存じますが、十分な品質管理体制の整備がどう進んでいくかということの見きわめがついていくわけでございます。したがって、現時点で、どのくらいの指定が現実に行われてくるか、品質管理方法が一定の基準に達している事業者というのがどのくらい出てくるかというのは、実は明確ではございません。したがって、日本電気計器検定所検定の面にどれくらいの影響が出てくるかということは必ずしも判然としないわけでございますけれども、私どもとしては、五年を限度とする準備期間内の諸般の動きを見きわめれば、おのずと検定にどの程度の影響が出てくるかというのは判明するのではないかというふうに思っております。片方で、業務の拡充というものも同時に必要でございます。これは先ほど来申し上げているところでございます。そういったものが相まって検定所の業務量がどうなっていくかということに相なろうかと思います。
  25. 大畠章宏

    大畠委員 この新しい時代に対応した法改正というものももちろん重要でありますが、その法改正をしたときに、一体現実社会の中でどんな混乱が起こるか、どんな状況が想定されるのかということを十分考えて法施行はしなければいかぬと思うのです。したがって、今答弁がありましたけれども、五年という話でありましたけれども、いずれにしても、現在動いている機関に対する影響というものを十分考えて、混乱が起きないように状況を見ながら、わっとやるんじゃなくて徐々に、その機関状況を想定しながら、状況を見ながら法の施行をしていくというのは、私は大変重要だと思うのですが、そういう既存の機関状況混乱というものを十分想定しながら施行する、そういうことに理解してよろしいんですか。
  26. 川田洋輝

    ○川田政府委員 先ほどもお答えさせていただきましたとおり、今後の準備期間というものもあるわけでございます。主としてこれは、製造事業者の方の品質管理状況がどうなるか、そして指定を受けて以降がどうなっていくかということがポイントになろうかと思いますけれども、当然私どもとしては、既存検定機関がそれによってどういう影響を受けるだろうかということも見ながら、いろいろな調査研究を続けていくということになろうかと思います。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、現在日本電気計器検定所が有しております潜在的力をいろいろ発揮してまいりますためには、何と申しましても、当事者の努力ということが必要な側面が非常に大きゅうございます。したがって、役職員一体となっての業務拡大への努力というものも片方で必要かと思っております。そういうものも見ながら、私どもとしてはいろいろなことを考えていく必要があるだろうというように思っているところでございます。
  27. 大畠章宏

    大畠委員 それは当事者の努力というのも、もちろんこれは一番基本だと思うのですが、いずれにしても、今回の法改正で、聞くところ、三〇%ぐらいの作業量が影響を受けるんじゃないかということを懸念する声もたくさん聞こえできます。そうなりますと、今のお話では当事者の努力と言うのですが、やはりその法を施行するときの配慮というものがなければ、あなたのところで頑張りなさいよ、ごそっとやって、あとは穴埋めについては自分で努力しなさい、これは余りにもちょっと無責任な形になってしまうと思いますので、ぜひそういう混乱が生じないように法を施行していくということ。そしてまた、もう一つお願いしたいと思うのですが、今働いている方々が、そういう意味で大変雇用不安というものを抱いております。これに対して、今のお話では自分たちで頑張れと言う。そんなことでは私は非常に不十分だと思いますので、その法の施行とそれから雇用不安というものをどういうふうにとらえながら今後やろうとしているのか、そこら辺をもう一度お伺いしたいと思うのです。     〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 川田洋輝

    ○川田政府委員 先ほど来申し上げておりますとおり、日本電気計器検定所、今までに非常に立派な仕事をしてきていただいた結果から生じている力というのは、非常に高い水準にあるわけでございます。したがって、新たな社会の情勢の中で、検定面の規制の合理化は行われますけれども、国としては、新たな業務もいろいろお願いをしているわけでございます。計量標準供給業務とかあるいは指定製造事業者指定の際の検査とかいうような、新たな仕事お願いしているところでございます。さらには、持っております力を発揮しての業務拡充ということをいろいろお考え願いたいということも考えておるところでございます。私としては、むしろ、現在求められているニーズから考えますならば、日本電気計器検定所の将来展望というのは、非常に拡大発展していける時点に今あるのではないかというように思っておるところでございます。  もちろん、御指摘ございましたように、今回の法改正による影響につきましては、我々、諸状況を慎重に見守りながら、適正な運用に努めてまいりたいというように思っております。
  29. 大畠章宏

    大畠委員 なかなかこれは明確に答えづらいのかもしれないけれども、先ほど大臣から、国民生活に不安を与えないように、混乱を生じないようにこの法の施行には十分注意していくという話がございました。私は、既存の機関についても、これまで一生懸命日本計器精度、あるいは国民の生活に影響するものについて一定の品質精度を保ちながら努力してきた、そういう機関に対する不安を与えるようなことがあってはならないと思うのです。ひとつ大臣のこの法施行に当たる、既存の機関に対する雇用不安とかあるいは仕事上の不安なんかが起こるようなことがあってはならぬと思うのですが、どういう決意でこの法を施行されようとしておるのか、そこら辺についての御所見をお伺いしたいと思います。
  30. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御心配のないように対処してまいります。
  31. 大畠章宏

    大畠委員 心配しなくていいような体制を、今してまいりますということでありますので、ぜひ今の大臣答弁趣旨に従って、この既存の機関に対する配慮をしながらの法施行をするというふうに理解をしたいと思います。  それから、この法施行をいたしますと、いわゆる大きな企業と中小企業があるわけですが、その企業間の格差というのが出てくるのじゃないか。ある機関指定製造者に指定されて、あるところは指定製造者にならない、そうすると、どうもいわゆる企業競争、企業間の自由競争の間に格差が出てくるのじゃないかという心配もあるのですが、こういうものに対してどういうふうに考えておられるのか。また、この中小企業に対する配慮からも、これまでどおり日本電気計器検定所に依頼をしなければならないという危惧があるわけでありますから、そういう中小企業に対しても、どういうこれからの企業間の格差ができないような配慮をしていこうとしているのか、そこら辺に対するお考えをお伺いしたいと思います。
  32. 熊野英昭

    熊野政府委員 まず、指定製造事業者制度を導入するわけでありますけれども、この指定製造事業者制度は、先ほど来御説明申し上げておりますように、一定水準品質管理能力を有する事業者でありますならば、大企業であろうと中小企業であろうと全く差別なく指定を行う制度でございます。その指定基準となりますところの一定水準品質管理というのは、これも先ほど御説明申し上げましたとおりでございますけれども、具体的には製造工程ごとの製品検査、最終段階における基準器等を用いました最終製品検査、不合格品の適切な処置、検査記録の保存といったものを予定しているわけでございますから、これらはいずれもちゃんと仕事をやっていただく中小企業でありますならば、特に対応が困難であるというような事項は含まれていないというふうに考えておるわけであります。  それから、他方、指定製造事業者としての指定を契機といたしまして、最新の検査設備の導入を必要とするということも出てくると思います。そういう品質管理体制の整備に積極的に取り組もうとされます中小企業に対しましては、中小企業金融公庫の融資でありますとか、そういった既存の中小企業施策がたくさん用意してございますので、こういうものを積極的に活用していただければというふうに考えておるところでございます。  それから、そういった配慮から、地域的な配慮もすべきではないかという御指摘があったと思いますけれども、計量制度は国の骨格をなす基本的な制度でございますから、御指摘のとおり、計量法に基づきますいろんな業務については、中小企業を初め国民一般がその便益に浴するべきであるというふうに考えているわけであります。そのために、日本電気計器検定所などの政府の関連の機関におきましても、各地に支所を設け、現に利用者の。利便を図っているところでございます。また、全国の都道府県には計量検定所が設置されておりまして、それぞれの地域に対する行政サービスをきめ細かく行っております。今後ともこういった政府関連機関あるいは都道府県の施設、市町村の施設等々活用していくことによりまして、国との連携を一層密接に行いながら、計量行政というものが広く全国国民一般に浸透するように努力をしてまいりたいと思います。
  33. 大畠章宏

    大畠委員 時間が迫ってまいったのですが、あと二つほどお伺いしたいと思うのですが、一つは、この指定製造事業者制度における検査というのは全数検査なのかということと、それからあと、一回使用した計器の定期的な検定があると思うのですが、その期間を一年、三年から二年にというような話が先ほどございましたけれども、そういう検定の結果というものをどういう形で公表し、行政、国民へ知らせるような努力をされようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  34. 熊野英昭

    熊野政府委員 指定製造事業者制度における検査は、これは指定製造事業者製造した計量器につきましては、原則として全数検査及び検査記録の保存を義務づけていきたいと思っております。なお、計量器検査の具体的方法につきましては、計量器それぞれの特性もございますので、そういった特性を踏まえまして、計量器ごとに具体的な方法でありますとか基準を定めていくことになると思います。指定製造事業者制度は、先ほど来御議論のございましたように、国の検定にかわるものでありますから、その信頼性が万が一にも損なわれることのないように、適切な方法基準を国の方で定めてこれらに対応していくことが大事であるというふうに考えておるわけであります。  それから、そういう意味では、計量行政が信頼されるようにいろいろPRというか、状況を随時フォローしていくことも大変大事だと思っております。そういう意味で、都道府県等におきます検定実施状況とか、あるいは定期検査結果等についても都道府県の方から随時私どもが聴取するとともに、必要に応じ立入検査制度を活用いたしましたり、報告徴収制度を活用いたしましたりして、直接に製造事業者のところの実態を把握することも可能になっております。そういうことで、そういうあらゆる仕組みを活用しながら、通産省といたしましても、計量法の施行状況について実態把握に努め、適正な実施が行えるように確保していきたいと思います。仮に、例えば検定の不合格の多いような事業者がありましたら、それについては積極的な改善指導を行う、そういった行政的な対応も適切にやっていきたいと考えております。そういった結果を、例えば統計資料等で整理をして公表したらどうかという御指摘もあったかと思いますけれども、そういう点も踏まえまして、国民検定制度のあり方を十分に理解していただくようなことをいろいろ知恵を絞っていきたいというふうに考えます。
  35. 大畠章宏

    大畠委員 実はあと文部省に、本来は、教育に対する、いわゆる受験ですとかそういうものに対する単位系変更に伴う影響等についてお伺いしようと思ったのですが、時間がなくなってしまいました。福島中学校課長には大変申しわけないのですが、次回にいろいろまた御質問させていただきたいと思います。  大変ありがとうございました。
  36. 武藤山治

    武藤委員長 和田貞夫君。
  37. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 限られた時間でございますので、質問の方もひとつ簡単にさせていただきますので、答弁の方もできるだけひとつ短く、わかりやすくお願いしたいことを前もってお願いしておきたいと思います。  今回のこの計量法改正というのは大改正でございまして、計量行政審議会の答申に基づいてなされておるわけでございますが、この計量行政審議会答申の「第十 その他」の項で、「国、地方公共団体等の役割」、「計量行政審議会の委員の任期」、そしてその次に「わかりやすい計量法への努力」ということが書かれておるわけですが、いわばわかりやすい計量法への努力がこの法改正にどのように生かされておるかということが私はまずお聞きしたいわけでございます。  計量法の体系は複雑だ、関係政省令を含めれば数千条に及んでおる、そのためにわかりにくいという批判があった。「計量法は、商取引、国民生活の安定という広範な目的を目指したものであり、技術的専門性が高いことや、規制内容の厳密さの必要性等からある程度規制内容が複雑になることはやむを得ない面もあるが、同時に法令条文の簡素化に努めるとともに、平易な説明資料を作成する等「わかりやすい」計量法に向けての努力が必要であろう。」こういうふうに明確化されているわけですね。そのとおりにこの改正案がなっておるのかどうかということをまずお答え願いたい。
  38. 熊野英昭

    熊野政府委員 計量法国民生活全般に関係する法律でありますから、審議会の答申にございますように、わかりやすい法律にすることが何よりも重要であるということで、私どもとしてもそういう立場から法律改正作業を一生懸命行ってきたところでございます。そういう観点で、例えば全文改正という形をとりまして条文の整理でありますとか簡素化でありますとか、あるいはわかりにくいところを書き直すというふうな法律の意図を明確にするような努力も可能な限りやってきたわけであります。しかしながら、何としても内容が極めて技術的、専門的なところもたくさんございますし、それから、法律である限りは、やはり規制をする場合にはその内容を厳密に規定する必要もございますので、どうしても法律が複雑にならざるを得ないという面もあるのは御指摘のとおりだと思います。  したがいまして、重要なことは、法律の施行に当たりまして内容をわかりやすく説明し、特に一般の国民の方には関係深いところを十分に御説明をし、また、一般の国民の方には直接必ずしも関係ないけれども業界等で非常に関係の深い技術的な問題等についてはそういう対応ということで、いずれにいたしましてもそれぞれの関係者に向けて内容を周知していただくよう徹底したPR活動が重要であろうと思っております。それからなお、そういうことも考えまして一年半の施行期間をとっておりまして、その間にできるだけPRに努めてまいりたいというふうなことを考えておるわけであります。
  39. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それはそれとして、法の改正がなされたのだからユーザーや消費者に啓蒙するのは当然のことでございますが、私がお尋ねしておるのは、この答申に基づいてできるだけわかりやすい、できるだけ簡単な法律になっておるかどうかということをお尋ねしておるわけですね。確かに現行法は本財から附則、附則に次ぐ附則、それにまた附則ということで、それに省令、政令ということで、答申にもうたわれているようにまことに長ったらしい数千条、どこをどう見たらいいかわからぬというようなこと。そういう点からいいましたら、例えば本則が現行では二百三十九条であったのが百七十九条に圧縮されておるということ、あるいは附則の方は附則に次ぐ附則というのがあったけれども、附則として三十七条に縮小されておるということ、これは確かにその面では評価されるわけです。  ところが、条文がそのように圧縮され、極めて平易化されて縮小されておるのだけれども、問題は、この本則並びに附則に政令あるいは省令というところにゆだねておるところが現行よりも多いわけです。それじゃ条文が少なくなっても、改正法を見たら政令による、省令によるというようなことを繰り返していたら、この法律は現行よりもむしろわかりにくい法律になっておるんじゃないかというように私は思うのですよ。そのような点は答申に基づいて平易にわかりやすいというようなことと逆行しておるんじゃないですか。お答えいただきたい。
  40. 熊野英昭

    熊野政府委員 先ほど来申し上げておりますように、計量法は規制の内容が非常に専門的であり、また技術的な面も多うございますので、今回の法案におきましても計量器技術基準を初め、技術的な事項でありますとか手続的な事項については政省令へ委任をしております。これは、技術革新が大変速く進むわけでありますから、こういった技術革新の進化に的確に対応し機動的に対応できるようにという趣旨でそういうふうな対応をしているわけであります。ただ、先ほど来御指摘のようにその政省令をこれからつくっていくわけでありますから、これをいかにわかりやすく、和田先生指摘のような点を踏まえて政省令自体の書き方についてもできるだけ易しく、わかりやすく整理をしていくことが重要であろうと思っております。  なお、政省令に委任するうちで重要なものにつきましては、その改廃に当たりまして計量行政審議会に諮問することになっております。したがって、その諮問の段階におきましても計量行政審議会の委員の御意見等を踏まえ、また委員の中には計量そのものの専門でない例えば消費者団体の代表の方々も入っていただいておりますし、あるいはマスコミの代表といった直接に計量の専門家ではなくてもそういう方々からも御意見をちょうだいしてわかりやすい政令や省令をつくっていくことにできるだけ努力をしてまいりたいと思います。
  41. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 確かに、言われたように政令、省令にゆだねざるを得ない、そういう面もあるということは十分わかっているわけです。しかし、私が言っているのは余りにも多いということ。しかも基本にかかわるところが、従来本則の中にうたわれておったのが政令にゆだねる、省令にゆだねるというようなことになってくると、これは法案の作成の基本国民向けのものじゃなくていわゆる役人向けのものになって、法律の立て方というのは後退をしておる、民主主義に逆行しておる、そういう法案の立て方じゃないかということを私は指摘したいわけであります。しかし出てきた法案であるわけでございますから、今局長がお答えになったように政令、省令も計量行政審議会の相談を得てできるだけわかりやすいようにしていくということは結構なことでございますので、そういう面に当たりましては消費者の皆さんや  ユーザーの皆さん、あるいは学者の皆さん、実際にこの法律を使いこなすことができるようなことになるようにそういうそれぞれの立場の人たちの意見を十分に聞いた上で政令、省令の作成に当たっていただきたいということを一つお願いをしておきたいと思うわけでございます。  法案に対しまして苦情ばかり言うたりけちをつけるということだけじゃないわけでございまして、評価をすべき点はやはりあるわけです。今回。は特定計量器というように名称が使われておりますが、従来計量器については登録制であったのが届け出制というようなことで行政の面で簡素化されておる面、あるいは特定計量器製造する事業者に対しては検査を行う義務、現行ではなかったのが検査を行う義務というのを課しておるという点、あるいは違反者に対しては、これも現行法でなかったのが改善命令を行う措置を法文化しておるというような点、あるいは販売事業者についても遵守事項を法制化しておるというような点、これも現行になかった点でありますが、そういうように現行よりもやはりいいところもあります。これは評価したいと思うのです。  ところが、そういうようなことをたどってまいりますと、現行よりも具体に悪くなっているところが、先ほどの政省令以外の問題として挙げさせていただくならば、例えば現行の百四十一条で、定期検査のことについては、いわゆる法定計量器定期検査は市の区域内については年に一回、市以外の区域については三年に一回というように法律の中で明文化されておる。それが今度の改正案では政令というようなことでゆだねておるために、一体何年に一回検査をするのかということが法律の本則を見る限り明らかでないというような、そういう点がございます。あるいは計量単位が、今回は国際単位と非国際単位に条文を分けてはおりますけれども、現行法では計量単位というのはという定義、その定義を本則の上で明らかに規定しておる。ところが、肝心かなめの計量単位というのを法文に書かないで、これも政令の中にゆだねられておる。法律を見る限り計量単位というのは一体何だということはわからない。こういうような点は、これは愚痴を言わざるを得ないわけです。余りにも政令、省令が多いということだけでなくて、肝心かなめのこういうようなところを政令、省令にゆだねておるという点は極めて不親切じゃないか。答申に基づいたわかりやすい法律に改正しなくちゃならないにもかかわらず、これが非常に答申どおりになっておらないということを私はあえて指摘したいわけであります。  そういうことはかり言っておりますと、時間がもう大方半時間近くたってまいりますので、ほかのこともやはりおしゃべりをしたいわけでございますから、それはひとまず置いておきまして、次に一つお尋ね申し上げたいのは、現行省令では非国際単位使用状況、あるいは国際単位統一に向けて、これを一体その使用状況の中で、これからどういうように具体に統一に向けて進めていこうとしておるのかということをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  42. 熊野英昭

    熊野政府委員 ただいま和田委員の方から御指摘のございました、計量単位が法律でわからないということであったのでありますけれども、ちょっと御説明をさせていただきますと、法律第二条におきまして、「この法律において「計量」とは、物象の状態の量を計ることをいい、「計量単位」とは、計量基準となるものをいう。」ということで、例えば「物象の状態の量」というのは、長さでありますとか質量でありますとか時間でありますとか温度でありますとか、それから電圧とか、あるいはいろいろ、放射線の放射強度でありますとか、そういうのを物象の量と申しておりまして、それに対応する計量単位は、例えば長さについてはメートルというところまでは法律の別表に書かれてあるのでございます。ただ、ではメートルというのは一体どういう定義にするかということは、技術的にも大変難しゅうございますし、現に時々、非常に正確に申し上げますと国際的にも定義自体が変わっていったりしているわけであります。そこで定義は政令に任せていただいたわけでありまして、長さという物象の状態の量、その計量単位メートルである、あるいは質量という物象の状態の量、その計量単位はキログラム、グラム、トンとするというふうに法律の中で定めさせていただいているわけであります。  そこで、そういう単位を、いわゆる非SI単位からSI単位統一へ向けてこの法改正お願いしているわけでございまして、どういう進め方をしていくかという御質問でございますけれども、いろいろ現在これを二十八単位につきまして漸次法定計量単位から削除していくわけであります。それにつきましては、それぞれの使用頻度でありますとか、計量機器の耐用年数等々あるいは使用の実態等に対応いたしまして、三年組、五年組、七年組という猶予期間を設けまして、その間に漸次そういう非国際単位を法定計量単位から削除していくことになっているわけであります。それで、そういったものを法律とかあるいは省令等にありますものも、この間に漸次政府部内で関係省庁と協議しながら、改正等をしていくつもりにしておりますけれども、現時点では法律でそういうものが使われておりますのは二法令ございます。それから政省令体約二十ぐらいの政省令にそういう関係のものがあると承知をしております。  いずれにいたしましても、その実施に当たりましては、関係省庁、それからそれを使います国民の皆様あるいは特に専門的なものにつきましては関係業界の皆様に十分御理解をいただきまして、順次そういうことを進めていきたい、こういうふうに考えております。
  43. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 念のために一つお尋ねしたいんですが、現行省令で今お尋ねいたしましたような非国際単位を使っておる法律は、通産省だけでなくて、他省庁含めて二本しかないんですか。
  44. 熊野英昭

    熊野政府委員 私どもが調べたところによりますと、現時点でわかりましたのは、法律では高圧ガス取締法、電気事業法という通産省の法律が二法ございます。それから、政令関係で申し上げますと、通産省関係の輸出貿易管理令、それから他省庁の建築基準法の施行令でありますとか消防法の施行令とか、そういった他省庁のものを含めまして二十の政省令があります。それからその中にダブって使用されているものがございますから、使用例でいきますと約三十ぐらいの使用例があると思います。いずれにしても告示とか細かいところについてはまだ調べておりませんので、詳細はこれから把握してまいりたいというふうに考えております。
  45. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、統一作業の完了というのは極めて時期が早くできますね。
  46. 熊野英昭

    熊野政府委員 先ほど申し上げましたように、非SI単位を削除してまいりますのは、それぞれの特性に応じまして三年、五年、七年という期間を設けておりますし、法の施行までに一年半の施行期間を設けておりますから、その間に順次対応をしていく必要があろうと思います。十分それは対応できるというふうに考えております。
  47. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、それで結構でございます。  今回のこの検定制度の見直しに伴って、先ほど大畠委員の方からも例えば電検の方に影響がある点をとらまえて十分に議論をしてもらっておったわけでございますが、やはりこれは各般にわたって影響を及ぼすということになりはしないか、こういうように思うわけであります。今回特に指定製造事業者制度というのが創設されることによりまして、すべての届出製造事業者指定製造事業者になれるのかなれないのか、おのずから分かれてこようと思うわけでございますが、全般的に見てこの業界というのは中小企業が非常に多いわけなんですね。そうすると、その資力も人材も十分でないというようなところが指定製造事業者から取り残されていく。そうすると、従来はすべてが指定検定機関検定を受けておったのが自前でできるところはできるということになりますと、例えば同じように用意ドンで製造しておっても指定製造事業者の完成品とそうでない届け出の事業者の完成品とが検査の日付が違ってくるというような点で、市場にその製品流れたときに、消費者の手に届くときにおかしいな、どうかなというようなことで、指定を受けない届出事業者に被害を与えるとかあるいは損失を与えるとかというようなことになりはしないかということを憂うものでございますが、そういう点があるのかないのか。もしも万が一そういうことがあるとするならば、指定を受けられない製造事業者に対しましてはどういうような支援策を含めた対応考えておるのかということをひとつお答え願いたいと思います。
  48. 熊野英昭

    熊野政府委員 指定製造事業者制度と申しますのは、先ほど申し上げましたけれども、一定水準品質管理能力を有する事業者でありますならば何ら企業規模に関係なく指定を行うことにしておりますので、中小企業であるからといって不利な取り扱いを受けることはあり得ないというふうに考えておるわけであります。  それでは具体的にその指定基準となる一定水準品質管理とはどういうことかと申し上げますと、製造工程ごとの製品検査、最終段階におきます計量基準器等を用いて製品検査を行う、あるいは不合格品について適切な処置、それからそういう検査をした記録をちゃんと保存しておくといったことでありますから、これは計量器をつくっていく過程で当然に多くの企業で現にやっておられるわけでありますから、中小企業でも特に対応が困難だというようなことはないと思います。したがいまして、中小企業でも十分この指定製造事業者制度の適用は対応していだだけるものと思います。また、そのために例えば検査設備の納入等が必要であるという場合には中小企業金融公庫の融資制度等を積極的に御活用いただければと思っているわけであります。  他方、例えば非常に数が少のうございまして一品生産で行うような計量器もございます。そういうものについて一般的に指定製造事業者制度を受けるのは面倒であるとかそういうこともあり得るわけでありますけれども、今回の法改正におきましても毎個検定制度は引き続いて残してあるわけでございますから、指定製造事業者指定を受けないで一個特定のものについて検定を受けるという対応も中小企業によっては可能なようになっておりますので、そうい一つ対応をしていただくのもケースによっては一案かというふうに考えておるわけであります。
  49. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 九十二条によりますと、届出製造事業者の中から指定をして指定製造事業者にするというその指定基準というのは、これまた通産省令にゆだねておるわけでございますので、どういう基準かということは定かでないわけであります。しかしその基準に基づいて指定されるわけでございますが、この計量器検定というのは我々市民にとって、国民にとって、計量器というものは私たち消費者の生活を守っていくということを原則にして今日まで行政が行われてきたというように思っておるわけです。それが指定製造事業者によって内部的に検査するというようなことで、検査の結果万が一不良計器が市販に回って消費者が被害を受ける、そういうようになった場合に救済策というのは考えておるのかということが一つ。そして今回の改正によりまして、従来から基準器検査、型式承認、検定行為は一元化した行政が行われておったわけでございますが、これが崩れることになる、そこに何か問題が起こってこないかという二つについてちょっとお答え願いたいと思います。
  50. 熊野英昭

    熊野政府委員 指定製造事業者指定する規定は、先ほど先生指摘のとおり九十二条第二項にございますように製造事業者工場とか事業場における品質管理方法通商産業省令で定める基準に適合することと、その品質管理方法につきまして都道府県知事日本電気計器検定所検査あるいは指定検定機関調査を受けることを指定要件としているわけであります。したがいまして、そういう前提を受けて指定製造事業者になりましても、なった後も今度は製造する個々の計量器の適正を担保するために、その計量器通産省令で定めますところの技術上の基準に適合して、かつ器差検定公差を超えない、それから原則として全数検査をいたしましてその記録をちゃんと保管することということで、万が一にも不良なものが市場に出回らないような対応をしているわけであります。  しかしながら、それだけでは必ずしも一〇〇%でないということで、随時報告徴収を行いましたりあるいは立入検査を行って指定製造事業者実態をフォローしていくという仕組みも設けているわけてあります。それでも万が一にも不良品が出ました際には、当然立入検査もいたしますし、その上で改善命令を出すなり、あるいはそういう改善命令等で対応しないというようなことになりましたら、九十九条に基づきまして指定製造事業者指定を取り消すというようなことになろうと思います。  こういった各面の法制によりまして指定製造事業者製造する計量器の適正は十分に担保されるというふうに考えております。また、私どもそれから都道府県等と協力をして十分な監督体制をやっていけば御懸念のようなことは生じないように対応していけるというふうに考えているわけであります。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
  51. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 せっかく法が改正されて消費者に被害を与えるということのないように、万々その面での監督指導というものをひとつ強めてもらいたいということを申し上げておきたいと思うのであります。  そしてあわせて、指定を受けない届出事業者がこの法改正によって大きな被害を受けて損失をこうむるとか、あるいは倒産をするとかいうようなことのないように、これらの業者は、今日まで計量行政について、あるいは日本産業の発展について、あるいは消費者の生活を守るという、そういう立場に立って貢献をしてまいった業者であるわけでございますから、この法の改正によってそういうことのないように、万が一そういうような資金面や人材不足によって大きな格差が生じてきて、そして大変なことになってくるというような問題が起こってくれば、ぜひとも支援策を含めて十分な対応を図っていただきたいということを、この機会にひとつ意見として申し上げておきたいと思うわけでございます。  その次に、計量器の生産に当たっておる中小企業の皆さんにはそういう対応策を考えていただきたいということを今意見として申し上げましたが、法の改正に基づきまして、これは大企業も中小企業も、あるいは個人事業者もあるいは一般市民も、いわゆる法律の改正の影響を受けるわけでございますが、特に中小企業者のユーザーの皆さん方が、従来使用してまいりました計器が変わるわけでございますから、その交換等をやらなくてはならぬ。そういうことで、安価な計器の場合はスムーズにいけると思うわけでございますが、高価な計量器と交換しなくてはならぬ、こういうようになった場合に、その円滑化のために中小企業に対してどのような対応考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。     〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
  52. 熊野英昭

    熊野政府委員 今回の計量単位改正に当たりましては、中小企業者の御意見、あるいは中小企業者団体からもヒアリングをいたしましたり、あるいはアンケート調査等をいたしまして、十分に御意見をお聞きをして改正作業を行ってきたところでございます。  また、今回のこの計量単位改正に際しましては、国際単位系以外の計量単位を付しました計量器を現に使用しているユーザーが、当然円滑に対応しなければいけないので、そういった計量器の耐用年数でありますとか、あるいはその計量単位がどのくらいの頻度で、非常にたびたび使われるものかどうかといった使用頻度等を考慮して、先ほど来申し上げておりますように、三年、五年、七年という猶予期間を定めているところでございます。したがって、こういう猶予期間の間に順次新しい方向に対応していただけるようにということで、この期間を定めたわけであります。  また、場合によっては、計量器を新たな単位に合わせるように調整しますとか、あるいは換算表を整備して対応するとか、あるいは物によっては計量器の買いかえ等を行う必要があろうと思いますけれども、そういう際には、中小企業者におかれましては中小企業金融公庫の融資を御利用いただけばいかがかというふうに思っております。それから、特別償却の対象にもなっております。  いずれにいたしましても、そういったことをまず十分に御理解をしていただいて、早目にそういう対応をしていただく必要がありますから、そのためにはやはり改正内容等を十分に御理解をしていただくよう、的確なPRをやっていくことが大事ではないかというふうに思っておりまして、パンフレットの配布、講演会等々、あらゆる機会をとらえて周知徹底を図っていきたいと思っております。
  53. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 計量器検査実施状況をこの資料に基づきまして拝見いたしますと、検定対象計量器はいろいろ種類があるわけでございますが、量からいうと、簡単な計量器を含めまして、何といっても都道府県実施しておる検定個数というのは圧倒的に多いわけなんですが、しかし大事な計量器検定は、何といっても日本電気計器検定所、先ほど大畠委員も話しておりましたように、この日電検というのは圧倒的にこの検査が多いわけであります。  したがいまして、日電検だけじゃございませんけれども、特に日電検がこの法の改正によって大きな影響を受けるという結果になる。先ほどの議論を聞いておりますと、それはやむを得ないことであって、日電検自体が創意工夫を施して。収入を上げていくようにやるということもどうだということを言っておられたわけでございますけれども、法を改正して、そして収入が減ってくれば、おまえら努力して勝手にやれ。これはちょっとそのままいただけないというように私は思うわけなんですね。  だから、日電検が今日まで果たしてきた役割、先ほど部長も明瞭にお答えいただいておった。法の改正がなされて、民間の方に、いわゆる指定製造事業者の方に検査の実務というものをゆだねるということになっても、やはり日電検のノウハウというものを十分に活用しなければいかぬ。あるいは、これからもなお、今日までもそうであったけれども、それ以上に、新しい技術の開発等について日電検に頼っていかざるを得ないということも言っておられたわけなんですね。ただ、収入の面だけ勝手に努力してやったらいいんだということは、どうも私はあの質問を聞いておって、いただけないと思うのですが、もう少し人情味のある、原因をつくったのはあなた方なんですからね。だから、具体にそういう収入減については、こういうこともひとつ考えているんだというようなことを一言あってしかるべきだと私は思うのですが、どうですか。
  54. 川田洋輝

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げているところで、繰り返しになる部分もあって恐縮でございますが、今回の法改正によります指定製造事業者制度の導入によりまして、検定という業務がある程度合理化する可能性というのは否定できないということだと思っております。  しかしながら、電気計量根幹となるいろいろな仕事は今後ともこの検定所に続けて担当していただくわけでございますし、今回の法改正では、さらに精密計量対応した計量標準供給あるいは指定製造事業者指定の際の品質管理検査というのが新たな業務として法定化されたところでもございます。電気計器をめぐるいろいろな状況変化というのは非常に大きいものがございます。先ほど私エレクトロニクス化というのも一つ申し上げました。こういうことで、現在までに電気計器検定等の業務を通じて高い技術水準を有するに至っておりますこの検定所が、こういう状況あるいは法律改正の中でひとつ積極的に対応していただいて、今後とも業務の一層の効率化、活性化を図っていただいて、事業の健全な発達が図れるように我々も期待しておりますし、そのために必要があれば応援もしてまいりたいと思っております。
  55. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これからも積極的に日電検を十分活用していかなければいけないのだから、ひとつ温かい眼で見詰めていただいて、協力を惜しまないという態度で接していただきたいということを強く申し上げておきたいと思うわけでございます。  計量行政は、計器製造、それに伴うところの検査検定、そして消費者にできるだけ迷惑がかからないように公正な取引、公正な尺度で公平を図っていく、そういう計量行政も一つでございますが、もう一面は、計量器を使って消費者がそれに満足しておるか、消費者に十分公平を期する商取引が保証されておるかというような監督指導、立入検査を含めたそういう計量行政というものも、もう一面あるわけであります。  昨年度の東京都の計量検定所の資料を拝見いたしましたし、さらには国民生活センターあるいは全国の各都道府県の消費生活センター、いろいろと消費者からの苦情が寄せられる中で、小売業の商品量目不足の苦情が案外多いわけです。これは計量器によるところの計算間違いではなくて、私自身が経験したわけでございますけれども、ある百貨店へ私は文房具を買いに行ったわけです。これは計算機の打ち方が間違ったのですが、何品かを出したらカチャカチャとやった。私は割合計算が得意でございますので、持っていったものは大体頭に入っておるのですよ。レシートを見ますと金額が違うのです。少なかったら黙っておるのですが、多いわけなんですよ。(笑声)これは文句を言わなければいかぬということで文句を言いましたら、非常に申しわけないということで、打ち方というのが間違っておったわけです。  計量器もやはりはかり方というのがあるわけです。升をごまかしたら目がつぶれるよというふうに私たちは子供のときにお米屋さんや塩屋さんのところでよく言われたわけですね。そういう量目不足というのは、小さな店舗じゃなくて大型のスーパー、百貨店というところにかなり量目不足があって、市民の苦情がそういうふうに寄せられておる、こういう資料が出ておるわけです。  確かにその原因というものは、風袋量を全く無視しておる、あるいは自分が店で使っておる機器の余りにも過信し過ぎであるというようなところから起こってきておる問題であるわけでございますが、そういう苦情というものが出てこないために、そういう計器を使って、機器を使って販売をしておる小売業には、やはり大型店を含めて十分。に指導、監視、監督をやるという行政をこの法の改正に伴ってやっていく必要があるのではないか。何も簡素化していくということだけが能ではなくて、市民の生活、消費者の生活を守っていくためにはそういう計量行政というものは強化すべきである、私はこういうように思うわけでございますが、お答えいただきたいと思います。
  56. 熊野英昭

    熊野政府委員 計量法におきましては、お肉でありますとか野菜とかお魚といった消費生活に大変関連の大きい物資につきましては、一定の誤差、これを量目公差と呼んでおりますけれども、一定の誤差のうちで計量をしなければいけないということを義務づけております。ただ、それにもかかわらず、必ずしもそうでない結果が立入検査の結果等で出ております。例えば、非常に多いケースでございますけれども、必ずしも悪意はないけれども風袋を引き忘れるといったケースもあるわけでございます。  そういうことでございますので、立入検査制度を活用いたしまして実態を把握すると同時に、そういった業者に対しましては改善指導を行うとか、あるいは計量関係団体を通じまして商店街の皆様方に対する研修会といったものを行って、正確計量の思想の普及に厳に努めているところでございます。  今回の改正におきましても基本的に同じような規制を引き継いでおりますけれども、さらに一層それが円滑に行われますように、量目違反に対しては、現在法律上は罰則しかなかったわけでありますけれども、今度は、その前に法律上の勧告とか公表とか改善命令といった手続もつくりまして、罰則の適用までいかないでも、法律上の改善命令あるいは勧告、公表といった制度も使いながらより実効のある取り締まりと申しますか、量目不足といった事態をなくするような措置を講じていきたいと考えております。
  57. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間がありませんので、意見だけ申し上げておきたいと思うわけでございますが、水道メーターそれから電気のメーターガスは液体とかいろいろでなんだと思うのですが、電気と水道というのは統一的なメーターにしていくことが可能ではないかと思うわけでございます。きょうは時間がございませんので、議論はまたの機会に譲りますが、ぜひとも検討課題にしていくべきではないか、こう思うわけでございます。  それからもう一つの意見は、今一生懸命に機構産業局長にお答えいただいてこんなことを申し上げるのはどうかと思いますが、従来、消費者に近い行政というのは、例えば消費経済課、消費者の苦情を受けたり訪問販売業などを主管しておる課ですね、あるいは物価対策課、これは産業政策局です。これが、消費者の行政に非常に近い計量行政だけなぜ機械情報産業局の所管になっておるのかというのがちょっとわからぬ。あわせて、これだけ大事な行政だということを言いながら、機構を見てみましたらその長は課長じゃなくて室長なのですね、これもちょっとわからぬ。時間がありませんので、そういう疑問を持っておるという私の考え方はひとつ参考にしていただいて、そういう点はまた時間がありましたら別の機会に議論してみたいと思うわけでございます。  最後に通産大臣の方にお答えいただきたいわけでございますが、十分な議論はできませんでしたが、極めて遠慮ぎみに質問させていただいたところでございます。  今回の法改正に基づきまして、ユーザーや消費者への周知、普及の徹底というのは、一日たりとも計量というものなくして生活はできないわけでございますから、先ほども局長言われておりましたが、法が改正されればわかりやすい資料に基づいて周知徹底するということがぜひとも必要ではないか。  それから、これも先ほど申し上げたわけでございますが、既存の検定機関、特に日電検に与える影響というのは非常に多いし、各自治体の検査機関の職員に与える影響もまた非常に大きいわけなんです。そういうような点についても、この法の改正によってどうするかということをぜひとも考えてもらわなければいかぬ。  あるいはこの法の改正によって新しい機器に取りかえる、交換する、そういう場合のユーザーである中小企業者に対しまして、先ほどもお答えいただきましたが、十分な配慮をいただかなくてはならない。  そして、貨幣制度と同じくらいの生活の基本になる法律だということを自負しておられるわけであります。それであればひとつそれなりの、今日まで果たしてまいりました計量器産業界の、特に中小企業の、法の改正によって指定を受ける届け出業者と指定を受けない届け出業者の格差が開いていって、そして損失をこうむるというようなことのないような対応策というものもぜひとも必要であります。  あるいは、先ほども申し上げましたように、計量行政の緩和面というものは必要でございますが、さりとて市民の生活を守る、消費者の生活を守るということになるならば、検定検査というものを厳格に置く、あるいはソフト面の計量行政というものをもう少し積極的に行って、少なくとも消費者の方から量目不足等によって苦情が出てこないような、そういう配慮をこの法の改正によってぜひとも強く要請したいと思うわけでございます。これらの点についてひとつ通産大臣の決意のほどを伺って、質問を終わりたいと思います。
  58. 渡部恒三

    渡部国務大臣 和田先生の御質問、また政府委員答弁、今聞かせていただいておりましたけれども、大変重要な御指摘を幾つかちょうだいをいたしております。まさにこれは我々の毎日毎日の生活、また消費者にとって、販売者にとって、生産者にとって公平で安心して暮らしていくために極めて重要な尺度、尺度というとまたこれ法改正したことにならないわけでありますけれども、(笑声)こういうふうに非常にこれは難しいもので、先ほどからわかりやすくなければならない、これはもう本当に当然のことであります。ところが、役所のつくる法律というのは、私たちがわかり切ったことでも、法律になると、読むとわからなくなるのが普通役所の法律でありますから、複雑多岐にわたり専門的、技術的な大変な法律を全文改正によってできるだけわかりやすくつくったこの努力先生に御理解を賜りたいと思います。  また、先生から御指摘の、この機関で働いておられる方が安心してこれからまた新しい仕事に希望を持っていただく、またこの法を成立させていただいた後は国民生活公平に、さらに新しい時代のニーズに対応していくように、先生のきょうの御趣旨を十分に尊重して今後対応してまいりたいと存じます。
  59. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 終わります。
  60. 武藤山治

    武藤委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後零時三十三分開議
  61. 武藤山治

    武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤茂君。
  62. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣にまずお伺いをしたいのでありますが、計量法の法律を読んでみますと、目的の定義に、「計量基準を定め、適正な計量実施を確保」する、こういう目的の規定があるわけです。計量基準を定めるというのは、後ほどまた質問の中で触れてみたいと思うのですけれども、国際度量衡の総会で、学者や専門家やあるいは技術者が長年にわたって論議をしていきながら国際統一基準というものを計量単位について決めていく、こういうことでありますから、これは私ども素人がその単位呼称をいいとか悪いとか、おかしいとかおかしくないとかと言うことは、こちらにそういう知識もないわけですから大変難しいと思うのですね。  この計量法、非常に分厚い法律でありますけれども、これを見ておりますと、こうした計量基準を定めていくということと、それから適正な計量実施を確保する、これはやはり私は、その基準を定めたものが、これが実施をされていく場合に、経済的に、社会的に、国際的にどういう影響を与えていくか、それに対して法律でそういう枠組みをきちっと整理をしていきながら、時間がかかるものは時間をかけていくし、直ちに実施をするものは実施をしていくし、いずれにいたしましても、適正な計量というものは進めていかなきゃならぬわけでありますから、このことについてはやはり立法府の大きな責任であろうと思うのです。これが混在と言ったらおかしいですけれども、二つのことがこの中に規定をされておりますので、どうも読んでみておりましても非常に混乱をしてくるといいますか、大変扱いが難しい、そういうように私には実は読めるわけであります。  そこで、たしか五十三年の計量法改正のときに私はこのことも申し上げて、どうだろうか、少し法律案の整理をしてみたらどうだ、つまり技術的に、先ほども言いましたように国際的な総会において十分に議論をしていって、そしてメートルであるとかあるいはグラムであるとかリットルであるとかということを決めていく、もっと難しい言葉がいっぱい出てきておりますけれども、これはこれとして大きく問題がなければそれはもちろん立法化するなら立法化するとして進めていく、それからそれが与える影響あるいはそれを実施する上における問題点、こういうものを法律できちっと整理していくというような二本立てにするか何か法の整備をしていかないとわかりにくいのじゃないか、国民の皆さん方にも。あるいはこういう経済界におきましても大変わかりにくいということがあるのではないか、こんな問題意識を持っているのですけれども、大臣、今度計量法改正案を提案されまして勉強されて、この点についてどういうお考えをお持ちであるか、まず最初にお伺いをしておきたいと思います。
  63. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御指摘計量法、これは我々の生活にとって極めて重大なものであり、しかもこれが正確に、公正に行われるということが国民生活にとって極めて重要。私、今先生の話を聞きながら思い出しておったのは、昔悪い政治の代表とされたのが、悪代官が升を農民から米を取り立てるときにごまかすとか、あるいは私は東北でありますけれども、太閤検地というもので東北の農民が苦しめられた歴史が残っておりますけれども、そういう意味で、計量法というのはまさに重要な法律でございます。これが度量衡制定以来百年の歴史を今年は迎えたわけでありますけれども、この間何遍かの改正が行われ、また変遷が行われ、また経済、生活のニーズも変わっていくに従ってさらに複雑になり、専門的になり、技術的になり、昔は土地の広さをはかるとか物の重さをはかるとか、これが今ではガスとか電気とかこういうものの測定が生活に最も深いかかわりのあるものになってきたとか、非常に大きく変遷をいたしてまいりまして、この百年を記念して、国際化の中に生きていく、新しい時代のニーズの中で生きていく、国民生活を公平、公正にしていくために、今回大変な苦労をして改正法案をまとめたことは、先生に御理解をいただけると思います。  先ほどからの質疑でもこれは、わかりやすく、わかりやすく、こういう話であります。これも全くそのとおりでありますけれども、まだ私などの過去の固定概念というものが、一遍に捨ててしまうというのは大変難しいわけであります。しかし、これは新しい時代に生きていくためにどうしてもやらなければならぬものでありますから、したがって、政府も苦労に苦労をして全文改正、できるだけわかりやすく、そして国際化の方向に向かって、整合性を求めて今回の法案の御審議をいただいておるわけでございます。  今後これを実施していく上でも、これは大変困難な多くの問題が我々の前に立ちふさがっておると思いますけれども、これらを克服していくことによって新しい時代が生まれてくるのでありますから、先生にもそういう御理解でこの法案の御審議を賜りたいと思います。
  64. 後藤茂

    ○後藤委員 先ほど、計量基準を定めてそれが及ぼす影響等についてという二つの目的をこの法律は抱えているということで、大変わかりにくくなってきてしまっている。だから、この法律を勉強していく上において、そういう計量単位については、これはもう除外するわけじゃないですけれども、一応別に置いて、これを実施をしていく場合にどういう影響が出てくるのか、それに対してどういう法整備をしていくのかということがこれから読んでいく上においても大切じゃないかなと思いながら私は勉強してみました。  そこで、一九六〇年ですか、国際度量衡総会が決議をいたしました。その後、一、二小さな会議等もあったかに聞いておりますけれども、ことしは一九九二年でありますけれども、一九六〇年から約三十年間、何回か法改正がされました。しかし、昭和五十三年から約十三年間そのままにされてきているわけです。もちろん、この間いろいろ検討をなさったと思いますけれども、国際度量衡総会の決議がされたもので、今までの改正、そして今回の改正でどの程度までこれが法整備がされてきたのか、あるいは積み残されているものは一体どういうことなのか、この辺の経過を局長の方からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  65. 熊野英昭

    熊野政府委員 我が国におきましては、他の海外諸国と同様に、ただいま先生指摘ありました一九六〇年の国際度量衡総会において決議をされました国際単位系を、計量法上の法定計量単位として既に昭和四十一年の法改正から導入をしております。したがいまして、それ以後、改正をいたしました際にも、その時点でSI単位系に追加されたもの等がございましたら、そのときどきに応じて順次導入を実はしてきております。したがって、SI単位系の導入という意味では完了をしているわけでございます。  問題は、一方で従来からSI単位でない非SI単位系が使用されている分野もあるわけでございます。そういった計量単位というのは、実は併用を認めてきた分野がこれまであるわけでございます。できるだけ併用を認めながら、その間でSI単位への移行を実際問題として進めてくるということが行われまして、最近におきましては、産業界での国際単位系、SI単位系の採用が着実に進展をしてまいりましたし、それから規格の国際標準化も大変進んでまいりましたし、それから経済があらゆる面でグローバル化というか国際化も進んできている。それから実態上我が国の中でSI単位の定着が相当程度進んできたということでございます。そういう中で国際単位系の導入がおくれておりますアメリカとかイギリス国際単位系の導入に向けていろいろ努力をしてきている。新しい法律を出したり、そういうことになってきております。  そういういろいろな状況を踏まえまして、実は今回の改正におきまして、経過措置を設けながら非SI単位を法定計量単位から削除していく。二十八単位につきまして、三年、五年、七年という経過期間を設けながらこれを法定計量単位から削除していくということで、そこが今回の改正のポイント。そういう格好で、最終的にはできれば今世紀いっぱいに国際単位系への統一を行いたいというのが今回の単位に関するところの改正の眼目でございます。
  66. 後藤茂

    ○後藤委員 経過措置が行われますけれども、その経過措置、三年、五年、七年くらいで、なおまた十分にその非SI単位を法定単位から外してし、まうという形をとらないということになっていきますと、今世紀末までにそういうことが大体できるような見通しを持っていらっしゃるのか。もしそれができないと、さらにこの経過措置を延期をしていくというようなお考えもあるのかどうか。その点をお伺いをしたいと思います。
  67. 熊野英昭

    熊野政府委員 経過措置につきましては、計量単位の使用の状況でありますとか頻度、実態、どのくらい使われるか、あるいは計量単位改正に伴う影響でありますとか、あるいは使用されております計量機器の耐用年数とか、いろいろなことを十分勘案しながら、他方計量行政審議会の場におきましても、産業界の方、学術界の方等のいろいうな御議論をちょうだいし、また学術会議等にも諮りまして基本的な御賛同を得まして、またその中で、先ほど申しましたように、それぞれの状況に合わせて三年、五年、七年という猶予期間を設けたわけであります。したがって、私どもその間にいろいろな啓蒙、普及のための努力も必要でございましょうし、国民に向けてのPRその他いろいろやりながらSI単位への移行は図れるものと基本的には考えているわけであります。  しかしながら、万一それぞれの猶予期間で国際単位が定着しないで、その猶予期間が終了した時点におきまして一律に旧単位の使用を禁止するということが非常に問題がある、あるいは事実上困難であるというふうな判断がされた場合には、期限と使用されるべき分野を限定した上でさらに猶予期間を延長することができる等の措置を実は今回の法律改正の中に規定を設けさせていただいて、万が一の事態にも対応できるようにしているわけであります。しかしながら、あくまでもできればその猶予期間内にそういうものが定着するような努力をまずはやっていきたいというふうに考えております。
  68. 後藤茂

    ○後藤委員 この法律を策定する過程で日本学術一会議に照会をいたしておりますね。日本学術会議では問題点の指摘はどういうところにあったのか、教えていただきたいと思います。
  69. 熊野英昭

    熊野政府委員 昨年、計量法に規定いたしますところの計量単位につきまして学術会議の方に御相談を申し上げました。それに対しまして学術会議の近藤会長の方からお答えをちょうだいいたしまして、基本的に異議はない、ただ産業界実態、学界の実態に合わせて猶予期間等を設けるというようなことをしてほしいという趣旨のものがございまして、私どもの方からそれに対して、特に細かい点を申し上げますと、重量キログラムの取り扱い、電界の強さ、電力密度の扱いというところでお答えを申し上げているところでございます。
  70. 後藤茂

    ○後藤委員 今触れられました重量キログラムについては、土木とか土質工学の分野では猶予期間とあわせて併記を認めることなどの措置を希望している、つまり併記を認めてほしいということが学術会議からの回答の中に触れられているやに聞いているわけでありますけれども、ここのところをもうちょっと御説明いただけますか。
  71. 熊野英昭

    熊野政府委員 まさに猶予期間の中におきまして、猶予期間という意味はSI単位をできるだけ使用して対応していくということでございますけれども、その間には、例えば併用していってSI単位と非SI単位の換算関係が十分に国民の中に浸透していくとか、そういう意味でこの猶予期間の間併記をされることは当然認められるわけであります。当然、併記でなくて非SI単位を使用されることもこの猶予期間は認められるわけでありますけれども、統一に向けてできるだけ国際単位系統一をするという法の目的に照らして考えますと、できるだけこの期間にむしろ併用とか何かをやってSI単位を普及させていただくことを産業界等にもお願いをしてまいりたいと思います。
  72. 後藤茂

    ○後藤委員 歴史をひもといてみますと、メートル法が各国の条約締結に入っていったのが一八七五年といいますから百二十年ぐらい前になるわけですね。フランスで国際的な計量、計測単位の設定を議会に提案したのが一七九〇年というわけですから約二百年ぐらい前、それよりもポンド、ヤード等はもう少し古い歴史を持っているのではないかというようにも聞いているわけでありますけれども、世界各国それぞれいろいろな努力をして非常に古い歴史の中でつくり上げてきているわけですから、メートル法が確かに国際的でしかも系統的、合理的なすばらしい計測単位であるということは今日国際的にも皆認めてきている。しかし、これを実際に使っていくということになりますと、後ほどまた大臣にもお伺いしたいのですけれども、私たちも日常的に古い尺貫法といいますか度量衡の方の頭がこびりついておるものですからなかなか置きかえが難しい、それはアメリカにおきましてもあるいはイギリス等においても同じ面があるだろうと思うのです。それが学術会議における答申の中においても、併記せざるを得ないものもありますよ、それからまた猶予期間についても延期することも考えておかなければなりませんよということが回答の中に触れられてきたのではないかな、こういうように推測をするわけであります。  そこで、通産省としては計量行政審議会に一昨年の八月に諮問をいたしまして、昨年の八月に答申を得ているわけでありますけれども、この中で、こういった併記の問題あるいは猶予期間等の問題について特徴的な意見がもしございましたら、お聞かせをいただきたい。
  73. 熊野英昭

    熊野政府委員 個々の細かいところは直ちに御紹介することはできませんけれども、計量法、その中で御審議をいただきました単位においていろいろな過去の長い歴史でありますとか、それから現実に利用されてそれが定着している状況にできるだけ配慮していく必要でありますとか、あるいは現に使用されております計量器をかえていかなければいけないとか、当然のことながら単位を変えていく、統一をしていくためにはある種のそれに対する対応が必要でございますから、そういうものに十分対応しながらやっていくことが必要であるというふうな御指摘であったと思います。  したがって、それらを踏まえまして、先ほど来申し上げておりますように、施行期間についても一年半という大変長い期間を設けまして、法改正内容国民に周知徹底できる期間を設けたわけであります。さらに、その上に猶予期間というものを設けまして、それぞれの単位実態に即して猶予期間を設けて、その猶予期間の間できるだけそういう対応をしていって、それで国際単位系統一していく、万が一そういうものが終了してもなお現実の問題として非常に大きな問題があるというときには、その時点で、期限それから分野を限定した上でありますけれども、その猶予期間の延長ができるような規定も設けたということで、そういう計量行政審議会での御議論等も反映しながらやってきたわけであります。
  74. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣、土地建物の場合、私たちはやはり何坪というような、あるいは大きさ、広さ、高さ等の判断も昔の尺貫法の単位で計算する方がしやすいという年代の者がまだ相当残っていると思うのですね。それが今日でも、例えばテレビなどは、今はインチということを余り言わなくなりましたけれども、しかし何型、十四型だとか十八型だとか、そういう型になっているのはインチがそのまま残っていると見ていいと思うのですね。あるいは自動車のマイル表示、アメリカ等はそうであります。あるいはボクシング、特にプロボクシングなどでは何パウンドといって、相撲ではキログラムでいっておりますけれども、パウンド、ポンドという言葉が使われている。あるいはヨットにおいてもフィートでありますし、ゴルフ等でもヤードがそのまま併記されて使われている。こういうように長い歴史の中で形づくられてきた、人間の感覚なりあるいは感性でこういうようにならわしてこられた単位呼称は、私は取引なり証明なりということでない限りはやはり併記を考えていくことをもう少し置いてもいいのじゃないか。例えばゴルフ場に行きますと、何メートルとヤードが併記されているとかということのようでありますけれども、そんなことは文化の問題とも絡んでくるわけであります。  大臣、どうでございましょうか、こういったことについて、一応法律で国際的な単位をきちっと整理をしていくということとあわせて、そう大きな実害がない取引なり証明なりということで、これが大きくそごを来していくということでなければ、その併記というものに対してもう少し緩やかな形をとってもいいのではないかと思いますけれども、これはいかがでございましょうか。
  75. 渡部恒三

    渡部国務大臣 これは後藤先生、大変に難しいお尋ねであります。  私なんか非常に頭が古いので、毎日時代劇と時代小説ばかり見ているものですから、やはり昔の尺貫法、度量衡、そこから抜け切れませんけれども、それはあくまでノスタルジアで、やはり新しい時代がどんどん進んでいく、若い人がどんどん生きていく、そしてもう一国主義が成り立たない国際化の時代ということになると、これは新しい計量法の精神にのっとった感覚に皆さんなっていかなければ、経済社会というものが公平を期して生きていけないということでありますから、この法の趣旨国民の皆さん方に徹底していくことは極めて大事であります。  同時に、やはり我々は古い歴史や伝統や文化、これは残していかなければなりません。その歴史や文化の中には古いそういうものがあるわけです。先生は文学者で、先生の顔を見ると「わが心の有本芳水」を思い出すわけですけれども、私は文学者ほどでなくても、小うた一つ歌うのでも、「惚れて通えば百里も一里」、こう言えば小うたになりますけれども、「惚れて通えば四百キロも四キロ」では、これは小うたにならないわけですから、そういう歴史や文学の中でノスタルジアとして残っていくのは当然のことであります。  今ゴルフ場の話、たまたま出ましたけれども、ですから私なんかまだやはり土地なんか一坪、こう言ってしまうのですね。それで何・何平米、こう括弧書きにしてあるわけですが、これが今度は逆に新しい計量が書かれて、場合によっては歴史民俗館とかそういうものに、昔はこういうふうに呼んだというようなことがこれからもいろいろ出てくるのは、ふるさとを残す、思い出を残すということで、これは残っていくと思います。やはり酒を飲んでも、斗酒なお辞せずなら、これは言葉になりますけれども、一・八リッターですから、十八リッターの酒をおれは飲めるなど言っても余り酒豪のような感じがこれはこないわけです。  当然のこと、我々のやはり過去があって現在が一あり、そして未来があるわけですから、やはり古き、とうとき、美しきものを守り保ちながら、しかしまた、新しい未来を創造していかなければならないのが我々の生きとし生けるものの使命であります。  先生の心情は、全く私も先生以上に同感でありますが、しかし同時に、やはりこの計量法の精神と、新しいこれからのさらに複雑になっていく社会経済の中で、公正公平な経済、消費というものが行われるためには、徹底してこの新しい計量法国民の皆さん方に理解していただく必要があると思います。
  76. 後藤茂

    ○後藤委員 現在、尺貫法の単位の併記の問題で尺相当目盛り付計量器が認められた。最初、あれは全部認めないという形であったのが認められてきた。こういう歴史的な経過なり、あるいは文化というもので、どうしてもそういう併記的な尺相当目盛り付計量器も認めざるを得ない、こういうことはひとつ念頭に置かなければいかぬと思う。  昨年の台風で安芸の宮島、国宝の社殿が倒壊をいたしました。今修復をしているようですけれども、この間、ある本を読んでいますと、なかなか宮大工がいないし、それからああいう社寺仏閣等は、あるいはいろいろな古い建物は今日のメートル法での建築でなされてないわけですね。計量法改正で、昔の尺貫法で建てられたこういうような建物がもう一度そのまま原形復旧をしていくということになりますと、新しいものをつくるなら別ですよ、古いものをそのままやっていくという、その一つはそういう技術を温存していかなければならない、そのためのいろいろな道具というものは、やはり私は必要じゃないかと思うのです。  ですから、今のこの併記あるいは尺相当目盛り付計量器のようなものが今後も考えられていくのか、いや今世紀末にはそんなものは全部もう外してしまっていくんだということになるのか、こういった点を局長からちょっとお考えをお聞かせいただきたい。
  77. 熊野英昭

    熊野政府委員 計量法上、法定計量単位の使用をお願いしておりますのは、取引、証明の際には法定計量単位を使用する、これを第八条で規定をさせていただいておるところでございます。したがいまして、まずそれ以外の、趣味でありますとか学術でありますとか文学でありますとか、そういう中で非法定計量単位が使用されることを禁じているものでは何らないわけであります。そこは、その法律で扱っている分野、そういうものである。  ただ、法定計量単位統一ということが大変いろいろな意味で、国際的な意味もありますし、それから学術であるとか科学技術の発展の基礎であるとか、いろいろなことを考えたときに、その統一をする意義も大きいわけでありますから、そういう観点からできるだけいろいろな分野において法定計量単位に使用が統一されていることはやはり望ましいことではないかなと一方では考えているわけです。  現実に、いろいろなスポーツでありますとかの例を見てみましても、例えばヤードポンドでもともとできましたラグビーであるとかサッカーにつきましても、現在すべてメートル法で少なくとも日本では、国際連盟の規約もそうなって行われている。あるいは先ほど先生の引用のございましたボクシングにつきましても、体重別のクラス分けはキログラムで行われている。ただ、何ポンドというその呼びかけみたいなのほかねての慣習によってやっているというのが実態のようでございます。それから、和裁なんかは昔は鯨尺で行われていたわけでありますけれども、最近の和裁学校のテキストを見てみますと、八割以上はメートル法で既に行われるような実態になってきております。ただ一部には、それと同時に尺貫法の尺寸を併記しであるようなケースもございますというようなのがいわば実態でございます。  尺相当目盛り付物差しというのは、そういう実態において、木造建築でありますとかあるいは和裁でありますとか、そういった尺や寸を現実に使っていろいろやっておられる分野の要望にこたえて、かつ計量法趣旨の範囲内でということで、私どもの先輩が知恵を出して考え対応であろうと思います。したがいまして、現在でも、例えば土地の広告等を見ますと、何平米括弧何坪というふうな括弧づきの併用等が行われる。これは私ども特にそれに異議を唱えておるわけではないわけであります。したがいまして、要するに実態がどういうふうに進んでいくか、それとあわせて混乱のないように、方向は出しながら時間をかけていろいろ定着を図っていく。単に法定計量単位に対して、例えば法律上は違反行為があったとしても直ちに罰則を適用するというふうなことではなくて、まずそういう場合にも誤解でありますとかあるいは理解不十分な点もありますから、そういうことについて根気強く御説明を申し上げ、そして理解を進めていただいて改善をしていただく、そういう対応をしながら、一言で申し上げますと、時間をかけてそういうことに対応していく必要があろうと思います。  他方、繰り返しになりますけれども、いろいろな遊戯でありますとか、スポーツでありますとかあるいは音楽でありますとか、そういうものに伝統的なものが使用されることを私どもはとやかく、それをして法律上いいとか悪いとかということを言っているわけではございません。
  78. 後藤茂

    ○後藤委員 そうすると、局長、こういう例の場合はどうでしょうか。  「通産ジャーナル」、これは通産省の方で出している雑誌でありますけれども、「通産ジャーナル」のことしの四月の号にホテルオークラの後藤達郎社長がこういうエッセーを書いているのです。そのエッセーの中で、創業三十年を迎えてたくさん外国からのお客さんに大変利用していただいているということを、最後の方に「些細なことではあるが、外国人客より客室の秤の表示にキロとポンドを併記してくれとの要請があるが、現在。これは法律によって禁止されている。ゴルフ場がヤードで表示されていることでもあり秤の方も併記ができるよう当局のご配慮を」お願いしたい、こういうエッセーが書いてあるわけです。これはホテル側であの目盛りにちょっと括弧してポンドを入れ込むということは一体どうなのか。それから、もしメーカーがホテルオークラから注文を受けて、外国人のお客さんが多い、そしてキロ表示じゃなしにポンド表示の方が自分の体重がわかるという要望が大変強いので製造元にそのホテルが併記したヘルスメーターを注文したとしますね、これは一体どうなっていくのか。  こういったことに対するきめ細かな配慮というものが、私は単にヘルスメーターだけではなしに、ヤードポンドを使用している国々の人々は、ちょうど今大臣が、いやもう平米と言うよりも坪の方がよくわかる、いろいろな点の換算ができやすいという世代の人と古い歴史、つまりメートルより以前からの歴史を持っている国々の方々というのは、やはりはかりに乗ってみて、そしてすぐに自分の体重が幾らだというのがわかるということとそうでないというのは、これはやはり国際的な交流がこれからもどんどん深まっていく中で、しかもいろいろなサービスということを考えていきますと、ここで犯罪行為を犯しているわけでもないしあれだけれども、一体この二つの点、局長、どうなっていくでしょうか。こういうものは一切もうだめだということなのか、いやそういう特別注文の場合には、別にそれをまた販売するわけじゃないのだから、したがって、顧客に対するサービスとして認めていくことも考えなければならぬということになるのか、こういう点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 熊野英昭

    熊野政府委員 まず、ゴルフ場のヤード併記について私どもは何ら注文をつけているわけではございません。ヤードのものもございますし、メートルのものもございます。それから両方書いてあるところもあるということでございます。これは法律上何らそれについて強制をしているものはございません。  そこで、今後藤先生から御質問のございましたのは、計量器についてどうかということでございます。計量器というのは、計量法の中で大変重要な地位を占めているわけでございます。したがって、ポンド単位を付したヘルスメーターにつきましては、仮にキログラムと併記であっても現在国内での販売は禁止をされております。一般的に、併記をした計量器の販売をどうするのか、認めるのか認めないのかということは、計量単位統一という観点から考えますと、計量器でございますから、大変影響の多い問題であると思いますので、慎重に検討しなければいけないというのがまず第一の点でございます。しかしながら他方で、外国人旅行者の増大等により、ホテルオークラの社長が私どもの「通産ジャーナル」にエッセーを載せられましたように、ホテルのヘルスメーターについて、キログラムと同時にポンドを併記したものが置けたらいいのになというような御希望がいろいろなところにあるということも事実でありますし、私どももそう承知をしております。  そこで、第一に申し上げました計量単位統一に与える一万の影響と現実のそういう御要請をいろいろ考えながら今後慎重に検討させていただきたいというのが目下の立場でございます。一言で申しますと、一方で、例えばアメリカなどに対しましても、ヤードポンド法から早くメートル法に移るべきであるという主張を正本国政府としてもあらゆる場で呼びかけをして、国際単位系統一を図ろうとしているわけでありますが、それに逆行するようなことになってもまたいけないわけであります。しかし、一方で現実のそういう御要請もあるわけでありますし、アメリカ人やイギリス人の場合にはヤード、ポンドで、体重であればポンドでという習慣になっているわけでありますから)そういう現実の御要請にはどうやってこたえていったらいいのか、その辺をまた先生のいろいろな御意見などもちょうだいしながら検討させていただきたいと思っております。
  80. 後藤茂

    ○後藤委員 今申し上げましたように証明なり取引なりはきちっとしていくべきだと思います。思いますけれども、それを悪用するとかあるいはまたせっかくのメートル法をもとに返してしまうというようなことにはだんだん定着してならないと私は思うのです。我々の世代は、今申しましたように尺貫法で育ってきておりますから、なかなか理解しにくい面もございますけれども、この歴史を尋ねて見ても、約二百年前くらいからこういうメートルの方向に入ってきて、日本でもメートル法が一本化したのはたかだか三十年くらいであります。そういたしますと、こういったことに余り短兵急にしていかないで、しかも取引、証明ということについては厳しくはしていきますけれども、サービスなり文化なり、こういったものについてはもう少し緩やかな対応をしていってみても逆に戻っていくということはないのじゃないかなという感じが私はいたしますので、「通産ジャーナル」にこのエッセーが出ておって、こういう要望を出しているということは、この社長も計量法改正というものをにらみながら発言をしているのじゃないかなと思いながら今実は紹介をしてみたわけです。  そこで、大臣、私はこの法律の目的を見て、本当におもしろいと言ったら大変失礼ですけれども、経済立法の目的としては少し違うのですね。どこが違うかといいますと、「経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする。」となっているわけです。「文化の向上に寄与する」というのは、ほかの経済立法というのは大体国民経済の発展にとか、こういう経済の発展にとか、こういうようなことが大体目的に決まり文句でうたわれているのですけれども、この計量法については、「文化の向上に寄与する」ということが目的の項にきちっと明記されているわけですね。これは私は大変重要な問題だと思う。この言葉、つまり文化という言葉が入ってきたというのは、きのう、きょう初めて全く計量器のない社会からメートル法ができて、そして今日これは国際的な統一基準として決めていくのだということじゃなしに、人類四千年、文化の歴史の中で、各国がそれぞれにつくり上げてきた文化というものが一方にある。それを今度、メートル法でより系統的に合理的な単位としてつくり上げていくということを浸透させていくためには、そこに歴史的な文化と近代的な計量との相克があるだろうと思うのですね。ですから、私は、ちょっとこれは異例の、「文化の向上に寄与する」というこの言葉が「目的」の項に明記されたのではないかと考えるものですから、大臣、その点はいかがでございましょう。
  81. 渡部恒三

    渡部国務大臣 どうも先生質問、難しい質問ばかりで、計量法、これは市民生活や商取引の安定を図る観点から、取引または証明に用いられる計量単位統一することを目的としておりますが、しかし、我が国の伝統や文化の発展に寄与するものでこそあれ、これを阻害することがあってはならないという考え方。もとより、計量単位統一という観点からは、日常生活においても極力法定計量単位を使用していただくことが好ましい、これは当然のことでありますが、しかし、先ほどから先生からお話がありましたように、すぐれた文学、歴史、伝統を理解する上で、歴史的な単位に知識を持つことも極めて重要である。これはちょうど古典や漢文におけると同様、学校教育に期待するところが大でありますが、計量行政の運用に当たっても、過剰規制を行う等により、我が国の伝統、文化の発展を阻害することのないよう、日ごろ国民各位の御意見を十分承りながら運用をしていかなければならない、こういう基本的な考えが、今先生指摘のような目的になっておるものと存じます。
  82. 後藤茂

    ○後藤委員 私がちょっと御指摘申し上げました、法律の「目的」の「文化の向上に寄与する」ということが、この計量法がつくられるときに一体どういうことを言わんとしてきているのか、このことを私はお聞きをしたい。大変歴史的な、新しい法律をつくるけれども、歴史的な慣習なり文化なりというものを損なわないで、むしろそれも発展をさせていくということを忘れてはいけないよというのを「目的」の項に明記したのではないかというように私は思うわけですね。  例えば、一里は一時間に人間が歩くことのできる距離であるとか、あるいは一ひろというのは両腕を広げた長さであるとか、現にひろという名をつけた千尋であるとか、そういうような地名なんかも今日でも残っているわけでありますし、坪というと、畳二枚だということでやればすぐにぴしゃっとわかるわけですし、あるいは一合というのは、何か調べてみますと、一度に渇きをいやして飲み干すことのできる水の量だ、これはやはり人間のすばらしい知恵だと思うのですね。  こういうことと、それから、何回も申し上げますけれども、局長は、そういう趣味であるとか文学であるとか、こういうことは別だ、それを文章に書くなりあるいは使うなりには、特にこの法律のどうこうということではないというように言われたのですけれども、私は、こういうようなのはこれからも残していかなければならない。  単に、宮大工さんが神社仏閣あるいは古い建造物等を修復していく場合に、恐らく、今日のすばらしい大工道具というものをもちろん使うでしょうけれども、その基礎になる尺度というものはやはり古いものだろうし、それに対する道具というものもこれからも温存をしていかなければならぬものもあるだろうと思うのですね。そういうところにきめ細かな配慮が必要であろうと思うのです。  先ほども、惚れた何とかで一里もどうとかということを大臣が答えておられましたが、私もこの本を書いてみまして、実は有本芳水と私の「生まれた家はわずかに五里」、五里と書いたのです。この文調全体からいきますと、明治から大正にかけての時代背景ですから、五里の方が合うのですけれども、しかし五里じゃわからぬ人がいるだろうから、「五里、二十キロほどの道のりで」という二十キロ青つけたのですよ。若い人は、二十キロというと大体車で二十分か三十分ぐらいだな。こちらは、五里というと大体五時間ぐらい歩いたらそこへ行けるなという認識があるわけです。  あるいは、自民党の国対委員長梶山さんなんか、酒を飲むとよく歌う、船頭かわいやどこかの沖で一丈五尺の櫓がしわる。大きな声で一丈五尺の櫓がしわる、こう言うのです。一丈五尺というのはどのぐらいの長さかというのは、私たちはわ一がりますけれども、今の若い人はわからない。  しかし、こういった文学だとかあるいは文化とか歴史とかというものはこれからもやはり残していかなければならない。それは文学、趣味の段階で認めるということじゃなしに、もう少し政治的には手だてがあってもいいと思うのです。それは国際的な取引だとか証明とかということは、何回も申し上げますように、国際度量衡総会で決められたそういう単位をきちっと進めていくということと、一方、人間がそれぞれの国土、風土、歴史、習慣の中で、その人間の知恵でつくり上げてきた尺度なりあるいは度量衡なりというものは、ばったばった切って捨てるということが、果たしてこれからの人間の心を豊かにしていく上においでいいのかどうか、そういうことを計量法質問をするのにちょっと調べておりまして感じたわけでございますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  83. 渡部恒三

    渡部国務大臣 心情論としては、私は後藤先生と全く同じでありますから、そのとおりでありますと、こうここまで出てくるのですが、しかしそれではこの法案を提出した大臣になりませんので、やはり新しい時代に合わせて、また国際化に向かってこれから大きく進んでいく日本が、計量百年を記念してこの法律をつくった以上、この基準というものが国民全体の人たちに理解していただき、そしてその生活に溶け込んでこれが活用されていくように、これから趣旨の徹底を図っていかなければならないのが私どもの責任でございます。  ただ、先生のおっしゃるとおり、そういう経済とかなんかの変化と別に、我々が過去に対するノスタルジア、これはまた大変な大きなロマンでもありますから、今先生の御本、私も読ませていただいたのですが、五里と書いていらっしゃって、括弧して二十キロ。これはいずれ今度は二十キロという方が正文で、括弧して昔は五里、こういうふうにいずれはなっていくんじゃないかと思うのですが、そういう意味で、歴史というものは極めて大事ですし、しかも古い度量衡も、またその前の聖徳太子以来のこういう歴史というものの尺度というものは本当にうまくできているものなどがありますから、そういうものが我々の文化や歴史や伝統の中にこれからも残っていくのは当然のことでありますけれども、しかし同時に、この法案をつくっていただく趣旨というものは、これからの国民生活の中に、この法律の趣旨を十分に皆さん方に御理解していただき、これを毎日毎日の日常生活に生かしていただくような徹底を図っていかなければならないことも御理解を賜りたいと思います。
  84. 後藤茂

    ○後藤委員 もう時間がなくなりましたので、ちょっと局長簡潔にお答えいただきたいのですが、アエラの四月二十八日号に「電子体温計が生む低体温児騒動」こういうのがある。それから、大阪経済大学の西山助教授ですかからたくさんのデータをちょうだいしたのを見ましても、水銀式についてはすべて検査が行われているわけですけれども、そうでない電子体温計の特に予測式の誤差が非常に大きい、そのことが国民の医療なりあるいは健康、生活の面に大きな影響を与えているということが大変センセーショナルに報道されているわけですが、この点について今度の計量法改正でどういうようにしていくのかということが一つと、それから四月二十二日の新聞に出ておったのですけれども、耳に三秒入れて体温がはかれる、そういう体温計が開発されて、これが市場に出るということが新聞に報道されておりました。資料を見てみますと、大体人間の体温というのは舌の下、わき、それから直腸のところ、直腸のところが一番よく実態を指し示すようでありますけれども、こういうように言われているときに今度耳に入れて体温が三秒ではかれる、非常に便利ではありますけれどもこういったものが本当に健康状態をきちっと誤差が大きくなくてできるのかどうか、若干疑問も持つわけでございます。  局長、こういったことに対して、これは簡単で結構でございますから、今まで電子体温計については検査が放置されておったというふうに聞いておりますけれども、JIS規格だけでやられておったのですか、これが今度とういうようになっていくのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  85. 熊野英昭

    熊野政府委員 電子体温計につきましては、従来検定対象から除外されておりましたけれども、今回の法律改正ではただいま先生指摘のような問題点も考慮いたしまして、電子体温計の実測機器について検定対象にしていったらいかがかというふうに考えておるわけであります。ただ、電子体温計というのは実測をしたものを延長するものでございますから、何というか式で延長するソフトの分野は直ちに私どもの検定対象ということにはならないかと思います。
  86. 後藤茂

    ○後藤委員 一つ要望だけ申し上げておきたいのですが、こういう体温計の場合、医療機関が使う場合はやはりきちっとした検査とそれから誤差基準というものが厳しくされていかなきゃならぬと思います。しかし、私たちが目安として、例えば万歩計なんかはそうでありますけれども、少々狂っておっても大体の目安としてこのぐらい歩いたということがわかればいいようなものはそう厳密にしなくてもいいと思うのです。ただしその場合に、えてして家庭に入ってまいりますと、あるいは私たちが日常使いますと、それを正しい目盛りであるというように認識しがちでありますから、こういうものについては目安計みたいな何か表示があったらこれは目安だということにもなると思うのですね。その辺が整理をされてないのが混乱のもとではないかなというような気が私はいたします。  そういったところを行政の面で厳しく把握をして対応策を講じていただきたいということを御要望申し上げて、特に、何回も繰り返しになりますけれども、一つの国際的な統一基準というものをつくることに対しては全力を挙げて努力しなければならぬ。と同時に、人間がずっと生きてきた長い歴史の中でつくり上げてきたというものはそれなりに大変な知恵をつくり上げてきているわけでありますから、こういうことをどのように温存し、保護し、また発展をさせていくかということも一方配慮していく必要があるのではないかということを特に大臣に御要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 武藤山治

  88. 渡部一郎

    渡部(一)委員 計量法案につきまして、今回の改正の目的、並びになぜこの時期に改正が必要なのか、その背景理由についてまず伺いたいと思います。  と申しますのは、計量法、度量衡制度統一というものは原則として強大な国家権力の激突の中に生まれるものでありまして、中国におきましては秦の始皇帝の中国国家統一のときに流血の惨の後にようやく統一が行われたという歴史的経緯がございますし、アレクサンドロスの中央アジアからインドに至る大征服のときにようやく度量衡制度統一が緒についたことがあるわけでもあります。世界の人類が共通の制度を持つということは、あらゆる発展、あらゆる行政、立法、司法組織、人類の交流の基礎になる事業でありますから、大切なことは十分わかっているわけであります。それを戦争なくしてこうした制度統一改正していくというのは人類の偉大な前進というべきであります。その意味では非常にすばらしいのではございますけれども、改正法を拝見いたしますと、いささか拙速に過ぎたというふうに感じられるところもあるし、あるいは本当に合意ができているのかと疑わしいところもあるし、なぜこの時期なのかということも今までの審議の中を通しては理解しがたい点もありましたので、もう一度まとめてお答えをいただければありがたいと存じます。
  89. 渡部恒三

    渡部国務大臣 お尋ねの今回の法改正の目的でございますが、経済社会の変化に対応し時代に即した計量制度の構築を行うため、国際化技術革新への対応及び消費者利益の確保の三つの視点に基づいて広く計量法全般にわたり見直しを今回行うことになったものであります。  具体的には、第一に、計量単位について国際的な整合を図るため、計量法上取引、証明に使用することが認められておる法定計量単位原則として今世紀中に国際単位系統一するもの。第二に、最近における工業生産技術の向上を踏まえ、製造、修理、販売事業者に係る登録制を届け出制とするとともに、計量器検定については型式承認制度を活用することにより、一定水準製造品質管理能力を有すると認められた指定製造事業者製品については検定を免除する制度を導入するなど、計量機器に関する規制のさらに一層の合理化を図り、先端技術分野を中心とした高精度計量対応するため、工業製品の生産に欠かすことのできない計量器の校正に用いられる計量標準を国から産業界に確実に供給し、かつ、国とのつながりを対外的に証明する制度を創設することといたしたものであります。  今回の改正案は、計量行政審議会、日本学術会議など広く関係者の意見を踏まえて御提案申し上げておりますので、改正対象となる計量単位を取り扱う業界、また検定等に従事する機関への影響等も踏まえて、十分に円滑な制度の運営に努めてまいるつもりでございます。  先生御心配のように、国家権力というもので計量が行われるということは大変に大きなもので、かつての独裁政治の時代であればこれは大変な問題でありますが、今のような、いろいろの民意をお聞きしながら、計量百年、度量衡、この時期に、今日の複雑にして多岐にわたる、また新しく大きく変化するニーズにこたえていくために今回行ったことを御理解賜りたいと思います。
  90. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ただいまおっしゃいました三点の中で、特に消費者保護の観点からどういう点が強調されておるのかという点が余り明法ではないのであります。といいますのは、消費者の立場からいいますと、今回の改正内容というものが、法案審議中の点もございますが、まだ余り周知徹底されていない。むしろ、非常に奇妙な法だ。例えば、体重は今後ニュートンと言うのだぞ、君は今後ニュートンではかると九百ニュートンだぞなどと言われて私はびっくりして、ただでさえ目方が重いのに、九百などという単位であらわされたら生きている値打ちがないなどというようなろうばいが起こる。こういうのは一つの例でありますが、消費者にとってのショックが、お上からまた何かすごいことが来たなと思われないようにするためには、周知徹底するためのPRあるいはパブリシティーというのが非常に大切なことはおわかりいただけると思うのであります。  ところが、どうやら今回の改正内容の周知徹底のための予算を大してお持ちでないように見えるわけであります。幾らぐらいの金額でどれぐらい徹底されようとしておられるのか、正直に告白していただいた上で全く少ないことをお認めいただくなら、今後においてこれを充実すると明らかにしていただきたいと思うのであります。
  91. 熊野英昭

    熊野政府委員 まず、消費者の立場にどういう点から配慮して見直しを行ってきたかということについて二、三御説明をさせていただきたいと思います。  例えば、政令指定いたしました商品の販売における計量、商品量目と言っておりますけれども、商品量目について違反をした者に対しまして、現行の規定では罰則だけで担保されているわけでありますけれども、もう少し実効性を上げるために勧告でありますとか公表でありますとか改善命令といったふうな制度を導入いたしまして、実効ある取り締まりというか実施が行われるように対応をしております。  それから、いろいろ先ほど来出ておりますような、例えば電子体温計の規制対象への追加等も、今後政省令の制定あるいは制度の運用の中で対応していきたいと思っているわけであります。  あるいは計量単位の見直しということが今回の法改正の眼目の一つになっておりますけれども、その場合におきましても消費者の立場というか一般生活者の立場ということを念頭に置いて対応しております。今回の計量単位改正におきましては、実は産業界で用いられているものが非常に多うございまして、私どもの日常生活に直接使用されておるようなものはほとんどございませんので、そういう意味での影響は比較的小さいものと考えております。  なお、見直しに当たりましては、例えば栄養関連分野におけるカロリーといった単位につきましては、国際単位系には属してない単位でございますけれども現にこれだけ国内外で広く使われているというような分野に限って、つまり栄養の分野に限っては法定計量単位として存続をさせるというふうな配慮もして利用者に配慮をしたつもりでおります。また、先ほど来申し上げておりますように、国際単位系への移行に当たりましても三年、五年、七年という猶予期間を設けましてその間に必要な対応あるいは周知徹底、PR等を進めていくということで利用者との関係を考慮した次第であります。  そこで、もう一つの御質問の周知徹底というかPRについてどうするのだということでございます。これまでも既にできる限りのPRのいろいろな取り組みを始めているわけでありますけれども、予算措置として申し上げますと、国の一般会計において約一千万円を計上させていただいております。それから地方公共団体においていろいろやっていただくことも大事でございますので、地方公共団体においてもPR費用を計上していただいておりまして、約九千二百万円となっております。  さらに、計量思想を普及するための計量協会でありますとかあるいは関係業界等の御協力も得まして、そういうところのPR活動もやってまいりたいと思います。具体的に予算を計上しておりますのは、社団法人日本計量協会、社団法人日本機械工業連合会に、合わせまして四千六百万円の経費を計上していただいて対応していただく。  ただ、産業界対応というのは必ずしもそういう予算ということではなくて、例えば自動車工業会においては自動車各社がそれに対応して既にいろいろ勉強を始めておられますし、ほかのいろいろな関係団体においてそれぞれが勉強していただく。そういうものは必ずしも予算に直接出てくるようなものではございませんけれども、この計量法が通りましたら、一年半の施行期間を設けてその間にいろいろな対応をしていく、さらには法定計量単位統一に向けての最長七年の猶予期間の間にいろいろそういう対応をしていきたいというふうに考えております。
  92. 渡部一郎

    渡部(一)委員 同僚の議員が今の話を聞いておられたら驚かれたと思いますが、一千万円ですとビラが何枚まかれるのか。渡部大臣は苦労しておられる衆議院議員の同僚でございますから大臣に後でお聞きになるとよろしいと思いますが、一回の参議院選挙の各地域の選挙区のポスターにいたしましても、一回やったら一千万円なんというので終わるポスターはあり得ない。一回で七千万とか一億とかそういう単位でお金が消えていくわけであります。しかもそれがどれくらい徹底されるかというと、日本の四十七都道府県の中の一地域において二週間徹底されればまあいいと見なければならない。それを五回も十回も、ひどい場合は二十回も行うことによってようやく徹底してくるわけであります。  人の名前のような簡単なものでさえそうでございますと、一千万というのはどういう意味があるのか。これは悪いけれどもお浸しに振りかけるゴマ程度のものであります。これでは全体としては単なる刺激をするというかポーズを示すだけの予算でしかあり得ない。これが日本の政治を庶民をして不可解ならしめる理由になるのであります。ですから、今のようにテレビとか週刊誌とか新聞とかいう巨大なマスメディアのある中における一千万というのは、そういうものがないときの一千万とは全然レベルが違う。  したがって、中小企業者それ自体からも、とんでもないことが起こりそうだという意見が今ようやく出始めておりますし、今産業界に対する影響が多いのだというふうにあっさり言われましたが決してそうではなくて、国民に対して情報を一部だけ流せば全部済むようなものではなく、改正計量法の大きな意義を考えるならばもうちょっと何とかした方がいい。今の局長の御答弁は、私に言わせれば適当とは言いかねる。現在、予算中でありますから現在の予算を直ちにけしからぬとか少ないとか言うのは大蔵省の聞こえもあるので、あのような複雑な言い方をしないと将来の自分の前途は真っ暗だと思われたのかもしれないが、適切でない。ともかく金額的に少な過ぎる。これは担当官にお答えさせるのは余り適当でないと思うので、大臣、政治的な御判断を一言お述べになってここは締められた方がよかろうと思いますが、いかがですか。     〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕
  93. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先生指摘のようにまさに大きな歴史的な改革が行われる、これを広く国民の皆さん方に周知徹底し、知っていただくことが大事でありますから、それが一千万円の費用でできるなどと考えておる者はおらないと思います。ただ、この法案を成立させていただければ、これは当然政府全体がその行政の能力をフルに活用して、また、当然経済界の皆さん方も、あるいはそれぞれの団体等にも御協力をいただいて周知徹底させていただくものであり、しかも猶予期間等もあるわけでありますから、一千万円でこの難しい計量法改正法案内容国民の皆さん方に知っていただけるというような意味の予算では決してないと存じておりますけれども、今後必要とあれば先生趣旨を十分に心の中に入れて必要な措置をとってまいるつもりでございます。
  94. 渡部一郎

    渡部(一)委員 では次に参りまして、次もなかなか難しいことを言いますよ。  英米におきましてはヤードポンド法が用いられるなどSI単位への統一は必ずしも行われておりませんのに、日本は広くメートル法の貴公子と言われるほど忠実にこれを実行してきたわけであります。特に私どもが釈然といたしませんのは、飛行機とかロケットとか、世界の先進的な科学技術工場におきましてヤードポンド法が用いられてくる。そうすると、例えば米国から飛行機を日本が分割受注をした場合にも、治具工具という巨大な金額のかかるものを全部ヤードポンド法で直さなければならぬわけであります。それはもう公然たる事実になっているわけであります。  ところが、先進的な部分がヤードポンド法でありますと、幾ら後の方でメートル法と騒いでも、自転車はメートル法だよと言っても、飛行機がヤードポンドで飛んでくるときに下を走っている自転車がメートル法では、いつまでたっても工業規格というのは統一されないのであります。それを許容しているのはだれなのか。それは日本の優秀な科学技術であります。日本人はメートル法をヤードポンドに直すための特別の計算機を大量に所有しておりまして、向こうの設計図を直ちに読みかえをいたしましてメートル法に直してやるくらいのことは造作もない、あるいは両方の治具工具を動員してやることも造作もないというようなやり方でやっているわけであります。しかし、それは過重な負担を我が国経済にも与えました。  ところが、日本はそれで克服したのですが、発展途上国、今ようやく先進技術諸国の水準に迫ろうとしている中進国の産業界におきましては、この日本の態度ぐらい邪魔になるものはないのであります。つまり、米欧諸国と交渉しようとすると必ずヤードポンドで来る。そのヤードポンドのやり方に文句を言おうものなら、日本を見ろ、日本はこれでちゃんとやっておるじゃないか、何がメートル法だ、こういうことになるわけであります。つまり、世界は二重投資の不合理にあえいでいるわけでありまして、これは日本のような両方の苦しみを味わいながらそれを克服した、力のある経済界を背景に持つ政府が、強力な発言権を持つ者がそういう中小国家の産業群を背景として言わなければいけなかった、もっと強烈に言わなければいけなかったと思うのであります。  ヤードポンド法が随分直ったというふうに今御説明をしようとペーパーを探しておられるのは明らかにわかるわけでありますが、現実はそうでない。しかも、軍需産業にかかわる部分においてこのヤードポンド法がさわれないような状況になっておることは大臣もよく御存じだろうと思うのであります。軍事というものは一般産業界に対してさらに超克した強力な政治権限を持っておりまして、軍需上の必要があるというので号令されますと、改正計量法もヘチマも、システムもみんな飛んでしまうわけであります。世界的なペレストロイカの状況の中にありまして、日本はむしろヤードポンド法統一された改正計量法の国際協定の方向に向かって一歩前進させるために努力をすべきではないのか、努力をすべきではなかったのかと私は本当は言いたいのでありますが、それはちょっと横にどけておきまして、今はこんな変な仕掛けになっておりますからこれを今後において努力すべきだと思いますが、いかがでございますか。
  95. 熊野英昭

    熊野政府委員 先生よく御存じのとおりでございますけれども、一九六〇年の国際度量衡総会におきまして国際単位系、いわゆるSIが決議されまして、世界じゅうで国際単位系の導入をしてきているところでございます。ただ、アメリカ及びイギリスヤードポンド法を依然としてとっておりまして、国際単位系の導入がおくれているということは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、そのアメリカメートル転換法という法律をつくりまして、連邦政府の物資調達業務あるいは許認可業務につきましては、原則として一九九二年の十月以降、すなわちアメリカ会計年度で一九九三会計年度以降においては国際単位系に移行するということで進めております。さらに、大統領行政命令等を出しましてそれぞれの政府機関において移行のスケジュール等を明らかにするように。しておりますし、あるいは輸出協議会という大統領諮問機関におきましても民間に対してメートル法の採用を強くエンカレッジをする、流すということをやっております。ただ、連邦政府のように民間で直ちに進まないことも事実であろうと思います。しかしながら、私どもも、アメリカのいろいろな関係者が来る際に、あるいはアメリカの、世界最大の検査機関でありますULといったような、メートル法の普及に非常に大きな役割を果たしておるようなところの人たちについても、いろいろメートル法の重要性を議論しているところでございます。     〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕  それからイギリスにおきましても、ECは全体として既に理事会指令国際単位系の採用を決定しております。そして、ドイツでありますとかフランスでありますとか、言うまでもないわけでありますけれども大陸系のEC諸国は既に国際単位系の導入を完了しておるわけであります。イギリスにおきましても、一九九九年までに原則ヤードポンド系単位を廃止するという予定で対応してきているところであります。  そういうことでございますので、私どもとしてもいろいろな機会をとらえて、そういった国際会議、国際度量衡総会等においても国際単位系の国際的な統一の重要性を主張し、あるいは個別のバイラテラルな関係においても、従来から御説明しておりますようにSIIといった協議の場で、日本政府としてアメリカ政府に、一日も早い国際単位系統一アメリカのためにも必要である、アメリカ産業や経済の競争力強化のためにも必要なのではないですかということで強く言っているようなわけであります。  御指摘のように、例えば航空機の分野については現実としてヤードポンド系が圧倒的な支配をしておりますから、今回の法律改正案におきましても、その点については暫定的にそういうものを採用することにしておりますけれども、あらゆる機会をとらえて国際単位系への統一を私どもも努力をしてまいりたいというふうに思います。
  96. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それはまずいですよね。というのは、戦闘機に乗っている兵士たちが、何フィートで考えてただいま高度六千フィートと言っているのか、あるいはこの高さが三千メートルと言っているのか、かなり違うわけですね。そこへ、そういう単位系になじんでいないような操縦士でありますと、瞬間的な事故が起こるときに、フィートで言うのかメートルで言うのか尺貫で言うのかが頭の中で余り混在していますと、こうした種類のものはよろし。くない。先進的技術の分野であればあるほど、そういう部分とくっついているのはまずいのです。後発的な部分はよい、レベルの低いものならよいけれども、それがひどくまずい状況にあるのではないか。原発の初期の事故を私が調査しておりましたときに、アメリカのウェスチングハウスから買いました原発の設計図は、日本の電力業界が購入したのでありますが、これもヤードポンド法で書かれておるわけであります。ヤードポンド法で書かれております上に、日本側はねじをメートルねじでやりたいのですが、ただ、そこのところは、ねじぐらいはいいだろうと思っていたら、ヤードポンドのねじにしなければならないというので、土壇場でねじを全部作成し直したという大騒動をやったことがある。ところが、依然として部分品の供給についてそのしこりが残っておりまして、原発の中身はヤードポンド法なのであります。そうすると、事故が起こるときに、ヤードポンドでやられている工場群と、横にあるメートルでやられている工場群との間には、かなりの落差というか、仕事上の落差がある。こうしたものは、ひどく危険なわけであります。そしてくだらない事故が起こるわけですね。もうちょっと普通では想像できないような初歩的エラーが発生する。したがって、我が国としては、こうした問題は、第一に日米貿易摩擦、隠れたる貿易障壁であるとがんがん言う必要がある。その貿易障壁だけではなくて、産業に対する重大な打撃であると言わなければならない。そして、このようなことについての国際的な非協力というものは、国際間の公正に対して甚だまずいのではないかとがんがん言う必要がある。今伺っていると、国際会議か何かで、君の方は早くやってよという程度の話はされているようであるけれども、これは日米貿易摩擦の交渉のときの重要アイテムとしてこちらから取り上げるべきテーマなのではないかとまで私は思うわけでありまして、私は、日本の悩める技術者の声を時々聞く一人でございますので、ぜひもう少しきちんとした技術交渉というものを、計量外交というものをぜひともしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  97. 熊野英昭

    熊野政府委員 ただいま先生の御指摘のように、航空に関するものにつきましては、まさに現にヤードポンド法のものが圧倒的な状況にありますから、その中でメートル法を強制するということは大変不都合を生ずるおそれがあるということで、当分の間、暫定的にヤードポンド法単位の使用を認めてきておる、これは我が国のみならず、欧米等についてもそういう状況に航空の分野についてはなっているわけであります。  他方、アメリカに対してヤードポンド法からメートル法への移行というのは、先ほど来申し上げておりますように、あらゆる機会をとらえて申し上げておりますし、日米構造協議という現在日米政府間での最も大規模ないろいろなことを協議をする場において、日本側からアメリカに出しているツケの一つとして、実はメートル法の採用をアメリカ側に出しておるわけであります。アメリカ側もそれを受けまして、いろいろ先ほど御紹介を申し上げましたような対応をやってきているという状況でございます。今後とも、必ずしもまだ十分でない点もあると思いますので、あらゆる機会をとらえてやっていくつもりでおりますし、先日、参議院で同様の御指摘を受けまして、たまたま私、その日、参議院審議の日に別途日米自動車関連のハイレベルのMOSS協議をやっておりましたので、アメリカ側の計量担当は商務省でございますが、商務省のファーレン次官に対しても、そういう日本での、参議院におけるいろいろな御要請、御注文等を十分紹介して、アメリカにおいても対応を早めてくれというようなことも言っているような次第でございます。
  98. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私は、そこまでお話が進んだなら申し上げますけれども、ヤードポンド法でつくられた飛行機はもう買わなければいいのですね。旅客機につきましては、英米だけがつくっておるわけではない、高性能の旅客機をフランスもつくっておるわけでありますね。ヨーロッパには航空機製造メーカーはたくさんあるわけであります。様子はわかりませんけれども、ソビエトの飛行機も旅客機はなかなかのものであると聞いておりますから、これ以上待たされるのだったら、もうヤードポンド法の品物は買わぬよ、買ったままで捨てるならいいけれども、買って修繕しなければ危険なそういう品物については、ヤードポンド法を今後何年以内にちゃんと直してくれなければ、その品物は買えませんというぐらい、これは強制をしなければならない時期に来ているのではないか。そのためのツケが我が国の航空事故に反映しておる、あるいは原子力発電事故に影響している、その他微妙なる先進的科学技術に影響しているとなったら、これは情けないというよりも、政治の怠慢と言わなければならぬと思いますが、どうです。
  99. 熊野英昭

    熊野政府委員 航空分野につきましては、とにかく現実を申し上げますと、ヨーロッパ各国もこの分野についてはヤードポンド法を採用しているように承知しております。現に例えばエンジンの推力は五万ポンドとか、そういうふうなもので国際的にもあらゆるものが行われているという状況にございます。
  100. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは、そろそろメートル法による飛行機を日本がつくる段階になりましたね、これは。それで、航空機産業に対して日本が離陸させないで随分アメリカに対して遠慮しているわけでありますから、この辺で渡部大臣からひとつ新規の方針でも出していただいて、いつまでも変な飛行機が来るようじゃ買えない、我が国は断固全部取りかえてメートル法の飛行機を飛ばしてみせると国際会議で一発おどかしていただく、これがまたよろしいのではなかろうか。私はお勧めしておきたいと思います。ただ、今この場で御答弁をされないで、後で一括して御決意を承りたいと思うのです。  ただ、私の言うことは正論でしょう。私の言うことは完全な正論です。ただ皆さんが小さい声で言っておられたことを私は大声で言ったにすぎない。この議場に残るほどの声で言ったにすぎないのであります。  それからその次ですが、今度は逆の話です。科学や産業の分野での計量単位統一というのは必要であるにもかかわらず、我が国の古い計量単位に対する敬意というか、尊敬がなければこれはうまくいかないということは逆の面で申し上げなければならぬと存じます。それは例えば、かつて尺相当目盛り付計量器の販売を認めさせた永六輔氏の経歴がある。この人は、文化人でありながら計量単位に大変熱心であって、鯨尺を使えないで、あるいは曲尺等を使えないで、指物師、あるいは建具師あるいは和風建築師たちがひどく困っていることを取り上げて、徹底的に時の担当官を責め上げたわけであります。しかもテレビを使い、新聞に評論を書き、随筆を書き、この人はやわらか  いタッチで攻撃されたために、この人に対しては妥協を政府は当時されたいきさつがあるわけであります。私は、この問題に対する最高権威であると思います。ところが、私たちの脳の中に何が入っているか。秤とか尺貫とか、意外に入っている。だんだんそれは変化するとしても、それというものを同時に庶民の生活では使えるようにしておかないと、ひどい混乱が起こるわけであります。  今回の場合は、産業に対するものとしてひどく中心的な処置が行われておりますから、この分野については余り言わなくてもいいのかもしれませんけれども、私はこの中で、非法定計量単位の使用禁止とぽんと書かれているところにひどくがっかりした感じを抱くわけであります。これを罰則だとか、計量法違反だとかというのでとっちめますと、ひどく変なことになるのではないか。例えば、法定計量単位における表示をした上で非法定計量単位を付してやるぐらいのところであるならば、それはもう認めるべきだし、その方が、変換時期に当たって一千万円などという少金額のPR費でありますならば、何も徹底しないのがもう明らかだ。  そうすると、こちら側にはエルグの商品がある、こっちにはジュールの機械がある。エルグとジュールを同じ機械に両方書いておけば両方変換できるのに、変なものがついておるぞ、エルグとは何だ、これは罰金であるぞ。おまえの方は何事か、猶予期間三年を過ぎているではないか。そこへ直れ、お白州に座れ、今こそ通産省がおまえの首を切ってくれるぞと言わんばかりの法律でありますと、どういう騒動が起きるか。これは庶民の変化のスピードというのを無視したものではなかろうか、こう思うわけであります。  この点いかがでございますか。非法定計量単位を付して売買するのまで取り締まるなんというばかなことを言わなければ、両方書いているうちに自然に人類はなじんでくるのであり、それこそ実物教育なのであります。しかも、余りうるさいことを言わないうちに静かに転換していくことは明らかではございませんか。そこのところをどうお考えでございますか。厳しくやりますか。それともそこのところは甘目にやりますか。私は、永六輔さんを動員してもう一回通産省にけんかを売ってもそれはようございますよ。だけれども、そういう大騒動をいつもやるというのは余り適切なことではないのではないか。変化は徐々に起こる、その徐々に起こるのを含むのが行政の仕事と言うべきではないかと思いますが、いかがです。
  101. 熊野英昭

    熊野政府委員 法定計量単位統一することにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、三年、五年、七年という期間を設けて、それぞれの単位の使用実態、あるいは計量器の耐用年数等もいろいろ考えながらそういう案をつくっているわけであります。したがって、この期間に例えば併記をしたようないろいろな器具等が出ることは予想をされるわけであります。  他方、伝統的な単位というか、伝統に対する敬意を失わないことが大事であるという御指摘は、ただいまの先生の御指摘もありましたし、先ほど後藤委員の方からも同じような御指摘があったと思います。それはそれで大変重要な視点だと思いますけれども、取引、証明ということと、一般的な文化でありますとかスポーツでありますとか、そういうものはまた別でありますし、さらに、計量器ということになりますと、これは法定計量単位統一に大変大きな影響を持つわけであります。したがって、計量器についてどういう規制をするかということは、当然そういう観点から慎重にならざるを得ないという一方の立場があろうかと思います。  しかしながら、まさに現実いろいろ使われているもの、それでそれは時間をかけてやはり定着を図っていく必要があるわけでありますから、そして事実、一九六〇年に決められました国際単位系につきましても、導入はしておりますけれども、そのときに従来からありました非SI単位系の使用を直ちに禁止をするということではなくて、併用をずっとこれまでも続けてきたわけであります。そういう期間にだんだん定着をしてきたので、この際、国際単位系に時間をかけながら統一をしていこうというのが今回の趣旨であることを御理解いただきたいと思います。  そこで、ルールとしては、取引あるいは証明における計量単位の使用については法定計量単位を使用していただく。法定計量単位以外のいわゆる非法定計量単位の使用は罰則をもって取り締まるというふうに法律上担保されているわけでありますけれども、実際問題として申し上げますと、法の運用に際しましては、違反があった場合でも十分な理解がない場合もありますし、あるいは誤解に基づくものもありますから、まずは気長に改善のための指導をやっていくとか、基本的にはそういう気持ちで対応していくことが必要であろうと思います。要は、ケース・バイ・ケースということになろうかと思います。  それから計量器の併記の問題につきましても、少なくとも尺相当目盛り付計量器というような形で、その二つの考え方に対する一つ考え方を提起しておるわけです。  それから先ほどホテルにおいてポンドとキログラムを併記したような体重計はどうかという御指摘がありましたけれども、これについても、そういう計量器という重要性にかんがみまして慎重に対応しなければいけないという一方の立場と、しかし現実にそういう要望もあるし、使う人、例えば外国から来た人が使う、そういう現実に対してはどう対応するかということで、これから慎重に勉強し、検討をさせていただきたいと思っております。
  102. 渡部一郎

    渡部(一)委員 これは法務委員会風に議論すると、今の局長の答弁は的確ではないのですね。なぜかというと、法律はできる、罰則は厳格なのができる、それによって罰するだけの権限は省に担保する、だけれども実際的には慎重に対処する。つまり、言外に言っておられるのは、処罰をしない、処罰はしないのだけれども、尺相当目盛り付計量器のようなことを言っておられるということも十分には考えられるけれども、それを認めるような言い方はしないで、なおかつ慎重に対応するという表明をされたのですね。恐縮だけれども、こうなると、これは法律ではないな。これは何というのか、徳川時代のお白州の裁きに似ていて、人情味がかげんされている表明を今されたわけですね。だから法律のとおりにやると、めったやたらと日本国民を処罰しなければならぬ。権限を一応与えろ、その上で、処罰をするときは局長がお目こぼしをしたところだけは許してやるぞという権限を与えろとおっしゃっていることを意味しているわけだ。我が国の法律はルール・バイ・ザ・ローという。ルール・バイ・ザ・ローというのは法律に基づいて権限を与えるということなんですね。法律の権限を与え過ぎておいてそれを執行しないという形でバランスをとるというのは余り的確ではないな。これは法律のつくり方がまずいな。大臣、これは難問ですぞ。こういう答弁でいくとなると、これは厳しい。私はちょっと困ってしまったな、これは。  委員長、ここのところで恐縮でありますが、この問題の深刻性は委員長はよく御存じであると存じます。委員長、実際の法律の権限の論争としてはしかるべきものがございますが、私が申し上げましたように、処罰だけで対応することは余り適切でない。また、局長が言われたように、それに対して慎重な態度をとりながら粘り強く指導していくという立場は悪い態度ではないと思う。ただ、法的根拠がない。今の答弁は法律ではないからです。したがって、仕方がありませんので、後ほど委員会で決議文をつくられるということを承っておりますが、その中にこの部分を記載していただいて、いたずらに罰則権限をもって進行させるのではなく、度量衡に対する国民の理解と認識を深めるため慎重な態度をもってこれに当たるというような意味合いの文案を、各議員の御賛同が得られるならば書き込んでいただくということを提議したいと思いますが、委員長の御返事を賜りたいと思います。
  103. 武藤山治

    武藤委員長 大変難しい提起でありまして、もうきょうは採決まで理事会ではスケジュールを決定しております。したがって、今の附帯決議の中にあなたの希望するようなことを挿入することは物理的にも大変困難であると委員長は認識いたします。  したがって、もう少し局長と話を詰めてみて、もう少し議論を進めてみてもらって、その辺のことを、先ほどの答弁を撤回するのか修正をするのか、局長の意見を伺ってみたいと思うのが委員長の見解ですが、いかがでしょうか。そう進めてよろしいですか。
  104. 渡部一郎

    渡部(一)委員 結構でありますのでは、論戦を進めさせていただきますが、時間内にうまく終わればよろしいのですが。  局長、では三つに分けて申しましょう。まず、尺相当目盛り付計量器のように、この改正計量法でいく表示以外に、古い非法定計量単位による表示もあわせ持ったるような計量器具について、直ちに罰則を適用することなく慎重に指導する、つまり、裏側で言えば両方書いてあるなら余り罰しないよというのを言外に含んだ、そういう言い方はできますか、できませんか。
  105. 熊野英昭

    熊野政府委員 取引または証明に用いる計量単位ということで法定計量単位を使用した場合に、例えば参考値として括弧書きで非法定計量単位を表記するというようなことは、計量法違反とはならないというふうに考えております。ですから、例えば九十九平米、括弧三十坪というふうに書くのは計量法違反ではないというふうに考えております。  それから、今先生が具体的に例を出されましたのは計量器の問題でございます。尺相当目盛り付計量器という計量器の問題で、尺相当目盛り付計量器については、まさに目盛りがついておりまして、三・三分の一メートルであるとか、しかるべきところへそういう印をしているものを尺相当目盛り付計量器と呼んでおりますけれども、これはそういう形で、具体的な図面まで示して、そういうものが計量法の違反にならないということで現在認められて、相当程度生産もされているわけであります。そういうものが具体的に要請に基づきまして、先ほど一つ例を申し上げましたのは、ヤードポンド法を併記した、併記の仕方は実はいろいろあると思うのですけれども、併記をした体重計をどうするかということが、現に御要望が一方であるわけであります。これも、一つは併記の仕方等の問題ではないかというふうに考えておりますけれども、なお慎重に勉強をさせていただければと思います。
  106. 渡部一郎

    渡部(一)委員 これは、併記をした場合は処罰する必要はないのじゃないか。というのは、正しい表記が既に一つ、この法律に基づく表記があるわけだし、それに解説的にもう一つの表記があったとしても、処罰すべき内容ではないのではないですか。あなた、慎重に検討して、あなたがそこで慎重にとおっしゃるから、私もこの法案を慎重に検討して、次回に引き延ばさなければならない。さあ、どうします。
  107. 武藤山治

    武藤委員長 熊野機械情報産業局長。明快に答えてください。
  108. 熊野英昭

    熊野政府委員 併記の場合に、全く同等の併記と、それからこちらが主でこちらが従というか、先ほど申し上げました括弧つきの併記でありますとか、併記といってもいろいろあり得ると思います。したがいまして、こちらが法定計量単位ということで、そういうことで統一を進めていくというものにつきまして、それに対して参考値のような併記の仕方ならばそれは許されるのではないか。(渡部(一)委員「括弧つけるとか、ちょっと小さ目につけるとか」と呼ぶ)はい。そういう考え方に対応し、それで現に、ちょっと計量器の問題ではございませんけれども、先ほど例として申し上げましたように、九十九平米、括弧三十坪、こういうものは認めているところでございます。計量器の問題というのは、繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、大変重要でございます。一個一個のものじゃなくて、それで計量思想の普及とかいろいろなことが行われますので重要でございますけれども、先生の御指摘の点も十分私理解をしておりますので、そういうことをまたいろいろ御意見を伺いながら、具体的な問題も含めて対処してまいりたいと思います。
  109. 渡部一郎

    渡部(一)委員 今の御答弁でほぼクリアしたと思います。ですから、余りややこしいこと言わぬでも済みますよ。私も慎重に、質疑を引き延ばすとは申し上げなくてもいいのかなと思いますけれども、もう一言、そうすると今後は慎重に私の意見を考慮してとおっしゃいましたのは、今後の政令とかあるいは行政指導とか、あるいは業界に対する直接の指導において今の討議で交わされた部分のような部分を反映してやるんだ、こういう意味でございますね。くどいようですが。
  110. 熊野英昭

    熊野政府委員 先ほど私の答弁中に先生から、参考値、例えば括弧とかちょっと小さくしてとかいう御発言があったと思いますけれども、そういう形で知恵を出していくことができるのではないかというふうに思っております。
  111. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ありがとうございました。そしたら、最後の一問に移りたいと存じます。  次に、指定検査機関制度について申し上げるわけでありますが、この指定検査機関制度につきまして、市川市に住む八幡計器の青柳信太郎さんという小規模な計量器メーカーの方から陳情がありましたので、読み上げたいと存じます。   新法では、検定証印に製造年月が記入されるとあるが、そうなると、流通の段階で、買い控えがまず起きます。そして、在庫になっているものも返品となってしまいます。それでなくとも、ここ数年小規模メーカーの製品は、業界大手製品に押されている一方です。中小メーカーにとどめを刺すようなことはしないでください。 という陳情であります。  これは何を言っているかというと、指定検査工場になっていない計量メーカーの場合には、従来どおり一品ずつの検定を受けることになるのではないか、こう思っておるわけですね。したがって、検定工場を持っている方で申しますと、これは次から次へと新しい検定の日の入ったものが並べることができる。中小業者の方は、自分の方でつくったものを人のところへ持っていくわけですから、どうしても時間がずれてしまう。たださえ見込み生産をすると、商品在庫を抱えて金融的にも圧迫されている上に、このような立場で差をつけられるとひどく困るのだと言っているわけであります。つまり、検定マークに月日が入っていると、古い商品の方に押しやられてしまう。最近は余りにも計量器のたぐいが日進月歩でありますために、古い計量器というものは大体買わない、人が。一年もたったものなんかだれも買わない。体温計でもそうですね。そうすると、どんどん小規模業者、零細業者の方が圧迫されてしまう。現在でも大規模業者が侵入してきてそういう傾向が起こっているのに、期日という面でひどく圧迫されるのではないかという切なる陳情であります。  私は、一般的な産業の前進の中において優勝劣敗が起こるのはやむを得ないことではあると思いますけれども、中小零細企業に属する計量メーカーの立場を思いますと、これに対してある程度こたえなければいけないのではないかと思います。というのは、日本計量器メーカーは、計量器メーカーではありますけれども、そこから巨大な自動機械業界をつくり上げたのはこの業者からであります。そして、ごく初期にはひどく貧しいレベルでありながらひどく高級な、大企業が思いもつかないような計量器あるいは計量器を組み込んだ自動機械をつくり上げることによって我が国の中小企業を非常に前進させた輝ける業界だからであります。  したがって私は、この中にありますが、計量法の議論の中で、指定検査機関になれるような実力を、小さいけれども実は持っているというところについては早くなれるように優遇をしてあげる、あるいはそういう規模も小さくてあれだけれども内容はしっかりしているなというのを育成するための誘導措置をつけるということは、今度の通産行政でカバーすることがあってもいいのではないか、つまり、指定工場または指定検査機関が自分の社でつくったものだけは先に検査して、中小企業から戻ってきたものは先に検査しないよなどという意地悪をしないような何かの通達その他は出してもいいのではない。かなどなどと、私は頭の中で描いているわけでございますが、御担当の方はどうお考えか。この御答弁は直接その業界の方がごらんになると思いますので、優しい御答弁お願いしたいと思います。
  112. 熊野英昭

    熊野政府委員 指定製造事業者制度の仕組みは、一定水準品質管理能力を有する事業者でありましたら大企業であろうと中小企業であろうと小企業であろうとその指定を行うものでございます。その品質管理能力を判断する中身というのは、製造工程ごとにちゃんと検査をしたりあるいは最終段階において製品検査をしたり、不合格品の処理についてちゃんとやるとか、あるいは検査記録の保存といったことでございますから、ただいま先生がおっしゃいますようなちゃんとやっている企業でありましたら企業の規模にかかわりなく対応できるような内容であると思います。したがって、指定製造事業者制度を活用していただくことは十分可能であると思います。  しかしながら他方、例えば大量生産でないものをつくっている、比較的一品生産的なものをつくっているような場合には、指定製造事業者制度よりは検定制度対応したいという方もおられると思います。そういう意味検定制度も残してあるわけでございます。  先ほど申し上げましたように指定製造事業者制度を入れることによって都道府県の今まで検定に費やしていたエネルギーはかなり節約をされますので余裕が出てまいりますから、そういう検定についてはむしろ迅速に行えるようになるのではないか。それから検定は、場所についてはその工場へ行って検定をすることも可能でございますし、そういう意味でいろんな検定対応もできる。さらには、ただいま先生の御指摘もございましたように事前にいろいろその方法を指導するということも、計量関係については従来から計量法のもとで各都道県の計量検定所等におきましても実態を十分把握をしておりますので、そういうところからどういう対応をするのが最もいいのか指導もできるのではないかと思いますし、私ども通産省としても各都道府県に対して、そういう法改正ができました暁にどういう対応の仕方があるかについては十分事前に指導できるようなことをやってまいりたいと思います。
  113. 渡部一郎

    渡部(一)委員 では最後に大臣、ただいまの御答弁に対するお立場も含めまして、先ほどから私がいろいろ申し上げました件につきまして総括的に大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  114. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変格調の高い学識と極めて専門的な先生の博学な御質問を傾聴しておりましたし、また私はその先生の御質問答弁しておる政府委員を信頼いたしております。
  115. 渡部一郎

    渡部(一)委員 はい、結構です。
  116. 武藤山治

    武藤委員長 小沢和秋君。
  117. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 昨年十月の「経済政策情報」という雑誌によりますと、「計量法を全面改正することにしたのは、日米構造協議で米国政府から日本基準・認証制度の閉鎖性を批判されたのがきっかけ」と書いてあります。関係者の話では、日米構造協議の中でアメリカ側は、アメリカから輸出する計量器についてはフリーパスさせよと要求したと聞いておりますが、これは事実か、事実とすれば全く不当な要求だと思いますが、日本側はこれにどう対応したのか、アメリカの要求がこの法改正に何らかの形で取り込まれているのかどうか、まずお尋ねをいたします。
  118. 熊野英昭

    熊野政府委員 一般的に諸外国から日本基準・認証制度についていろいろな注文がアメリカのみならず出ていることはございます。そういう一環として計量器の問題も例として出ていないわけではありません。しかしながら、ただいま御指摘のありましたような日米構造協議において特にその点をスペシャライズしたということは私の知る限りはございませんし、他方、この計量法改正というのは、既に一昨年の夏に計量行政審議会に諮問をいたしまして、一年間いろいろな観点から慎重な審議をしていただいて、昨年の夏御答申をちょうだいし、その答申に基づいていろいろ法改正作業をしてまいっているわけであります。その法改正の眼目になりますところは、まず第一に法定計量単位国際単位系への統一ということでございますので、必ずしもこの法改正がいわゆる基準・認証問題を中心としたものでないことは言うまでもございません。
  119. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この法案の附則の中に、輸入品についてヤードポンド法の併記を認める条文があります。法案が全体として国際単位に移行する措置を決めている中で、わざわざこういうことを新たに認めることは明らかに全体の流れに逆行していると思います。これもアメリカの圧力によった結果ではないかと思います。  そこでお尋ねをいたしますが、アメリカでは今なおヤードポンド法を使用しており、国際単位への移行では先進国で一番おくれております。日本政府としては、こういうアメリカからの不当な要求を認めるのではなく、アメリカこそ国際単位に早く移行し、世界的な計量単位統一動きに積極的に加わるよう厳しく言うべきだったのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  120. 熊野英昭

    熊野政府委員 我が国は、輸入拡大ということも大変重要な政策課題として、通産省もそのためのいろいろな努力を行っているわけでありますから、仮にもこれが輸入障壁になるようなことは避けなければならないという観点から配慮をしている点はございます。  他方、国際単位系への移行について、アメリカあるいはイギリスといったヤードポンド法の国に対して、私どもとしても、早くメートル法というか、国際単位系に移行するようにいろいろな場をかりて要請をしているところでございます。  現に、アメリカにおきましては、メートル転換法という法律をつくりまして、連邦政府物資調達等につきましては、原則として一九九二年の九月末までに、言いかえれば、一九九二年の十月以降におきましては、メートル法連邦政府としては使うようにということを既に法律をつくっているわけであります。民間におきましても、アメリカ民間においてヤードポンド法からメートル法への移行が着々と進んでいるというのは言い過ぎかもしれませんけれども、アメリカ政府としては、大変な熱意を持ってそういう民間に対してエンカレッジをしているように承知をしております。  それから、イギリスにおきましても、EC指令というのがございまして、それによって、イギリスも一九九九年末までにヤードポンド法原則として使用しないようにということで対応しているものでございます。  私どもといたしましても、特にアメリカに対しましては、国際的な統一ということは大変重要な意味を持ちますし、またアメリカの経済や産業にとっても必要であるということで、日米構造協議という場におきまして、メートル法化の必要性を強く訴えて、日本側からアメリカ側に対する注文の一つとして言っているところでございます。先ほど来申し上げておりますようなアメリカ側の努力も、私ども日本側のそういう要請も踏まえながらやっているものと理解をしているところでございます。今後とも、引き続きそういう働きかけをやってまいりたいと思います。
  121. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、特定計量器検定合理化の問題でお尋ねをいたします。  本法案によって、従来の一品ずつの検定制度から型式承認と、信頼できる製造事業者に対する検定免除を骨格とした制度に段階的に移行することになります。  私も、製造技術品質管理の向上によって、全部を検定しなくてもよい時代になってきているとは思います。しかし、だからといって、国の基準に適合する品質管理を行っていると一たん認められた製造事業者は、よほどのことがない限り、その後公的なチェックが一切ないということでは、行政の責任放棄になりかねないのではないでしょうか。少なくとも、年何回か抜き打ち的にサンプル調査を行う程度のことはやるべきだったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  122. 熊野英昭

    熊野政府委員 指定製造事業者制度と申しますのは、最近におきます計量器製造技術でありますとか、品質管理能力の向上といった実態を踏まえまして、一定水準品質管理能力を有する製造事業者製造した計量器については、検定を免除するという制度でございます。  そこで、まず指定製造事業者指定する際には、当然そういう計量器がつくれる能力ということを見る必要がございますので、指定に際しましては、あらかじめそういう品質管理能力をチェックすると同時に、指定をされた製造事業者は、通産省令で定めますところの基準に適合した品質管理方法を採用すること、それからその品質管理方法につきまして、都道府県知事、もしくは日本電気検定所の検査、または指定検定機関調査を受けることをあらかじめ指定要件にしているわけでございます。  さらに、指定されたものがちゃんと計量器の適正を担保されますように、通産省令で定めますところの技術上の基準に適合し、器差が省令で定めます検査公差以上にならないようにという義務も設けておりますし、それから検査をちゃんとして、それからその記録を保管するといった義務づけをしているわけです。その結果として、不良な計量器が市場に出回らないような措置を講じているところでございます。  しかしながら、そういう状況をフォローアップするために、法律上も第百四十八条におきまして立入検査、それから第百四十七条に報告徴収を規定をしておりまして、こういう制度を活用いたしまして、不正行為がないように指定製造事業者を監督し、万が一にも不正の状況あるいはそういう懸念がある場合には改善命令を出すとか、適正な運用に努めていく必要があろうかと思っております。
  123. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今最後に言われたとおり、この法案では届出製造事業者に対し報告をさせたり、その工場に立ち入って検査したりすることができるようにはなっております。しかし、気になるのは、「この法律の施行に必要な限度において、」とわざわざ限定をしていることであります。これはよほどの問題が起こったときにだけ発動するという意味ではないのでしょうか。  私は、検定を免除しても、そこで製造される計量器信頼性について国が最終的には責任を負うべきことは、法改正の前でも後でも変わりはないはずだと思うのです。サンプル調査もどうもやらないということのようですけれども、そうであればなおさら、立入検査などは少なくとも毎年一回くらいはやらなければ責任を持てないはずではないでしょうか。立入検査の頻度についての考え方をもう一度明確にしていただきたい。
  124. 熊野英昭

    熊野政府委員 立入検査については、第百四十八条におきまして「通商産業大臣又は都道府県知事若しくは特定市町村の長は、この法律の施行に必要な限度において、」云々という規定を設けております。これは、こういう法律における立入検査等の例文というか、どの法律でも設けられているような規定の規定ぶりに倣っているところでございます。  その心といたしましては、過度な行政介入になってはいけませんし、また行政負担が著しく過度になってはいけないのでそういう趣旨がここに書いてあるのだろうと思います。  報告徴収にいたしましても、立入検査にいたしましても、具体的にどういうふうな頻度でやっていったらいいかということは、この法律施行まで一年半ございますので、その間にそれぞれの計量器の特性でありますとか、使用の実態でありますとか、あるいは都道府県等の行政負担等の問題、いろいろあると思います。それらを十分踏まえまして、運用基準を検討してまいりたいと思っております。
  125. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 局長にお願いしますが、私が聞いているのは、非常に簡単に答えられるように開いておるのですよ。もっと簡単に答えてください。  問題が起こらない限りは立入検査はしないのか、あるいは問題がなくても定期的に検査をするという考え方に立っているのか。後の方だとすれば、どれくらいの頻度でやろうと考えているのか、ここをもうずばっと答えてください。
  126. 熊野英昭

    熊野政府委員 必ず決めてやるのか、それとも必要に応じてやるのかということは、ケースによっても、先ほど申し上げましたように、計量器の特性とか、その使用実態、いろいろあると思いますので、なるべく問題の起きないように実態に即して対応していきたい。その運用基準はこれから検討させていただきたいと思います。
  127. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 はっきりしませんけれども、時間がないから次の質問をします。  この検定合理化が、都道府県計量検定所の業務にどういう影響を与えるのかお尋ねをします。  大企業中心に信頼できると認められた工場でつくられる計量器検定を免除されることになれば、都道府県検定所の検定件数は大幅に減り、それに連動して手数料収入も落ち込むのではないかと思います。先ほどは大した影響がないように答弁されたように思いますが、私はそんなはずはないと思うのですが、数字的にはっきり答えていただきたいと思います。
  128. 熊野英昭

    熊野政府委員 今回の法律改正におきまして、新たな行政ニーズに対応するために、指定製造事業者制度でありますとか、あるいは型式承認の対象計量器の拡大等の創設を片や行ったところでございます。こういった新たな行政ニーズに対応するための業務につきましても都道府県が重要な役割を果たしていただくことを期待しておりまして、例えば指定製造事業者指定に当たりましては、検定等を通じて蓄積されました行政能力を活用するために、品質管理状況について先ほど来御説明をしております実地検査都道府県が行うことにしているわけであります。また、型式承認につきましても、通商産業大臣の承認権限を政令で定めるところにより都道府県にも委任できるといった仕組みも設けておりまして、今後都道府県の整備状況をにらみながらそういうことも検討していきたいと考えております。したがいまして、従来やっていた仕事、新しくやる仕事、両々相まって全体として効率的な計量行政が、その業務が行えるようなことを目指していきたいと思っております。
  129. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が伺ったのは、検定所の検定件数が大幅に減り、それに伴って収入も落ち込むのではないかと聞いているのですよ。もっとずばっと答えてくださいよ。さっきからごちゃごちゃ言っているでしょう、あなた。
  130. 熊野英昭

    熊野政府委員 検定業務に伴う手数料の収入はある程度減るかもしれませんけれども、ただいま御説明申し上げましたように新たな行政ニーズに対応した業務お願いするということを考えておるわけでございます。
  131. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ふえる業務もあるというお話でしたけれども、それは検定件数の大幅な減少などに比べればわずかなものだと私は思うのです。私は、地元の福岡県や東京都の検定所の方々からも話を聞きましたが、皆この点を指摘して将来への不安を訴えておりました。こういう不安にこたえるためにも、先ほど申しました工場への立入検査回数をはっきり規定するとか、大臣の権限になっている型式承認を知事に委任するなど、検定所の人たちがやりがいを感ずることのできる仕事を確保し、新しい仕事についての研修の機会を積極的につくったりする必要があるのではないかと思います。  さらに、改正案でも適正な計量実施についていろいろ定めておりますが、東京都の検定所などではその実効性を高めるために包装商品の買い取り検査をしたり、事業者と消費者による試買審査会を行ったりしております。ここに都の計量検定所が都民向けに発行したパンフ「くらしと計量」というのを持ってきましたけれども、こういうような取り組みも高く評価して各府県に広げていくべきではないか。今後の検定所の業務の拡充についてお尋ねします。
  132. 熊野英昭

    熊野政府委員 ただいま委員の御指摘にございました型式承認につきましては、百六十九条におきまして通商産業大臣の承認権限を政令で定めるところにより委任できる規定がございます。先ほども申し上げましたように、こういう仕組みも今後都道府県の体制整備の状況を踏まえながら対応していきたいと思っておりますし、それから、都道府県計量行政における重要な役割にかんがみまして新しい仕組みのもとで業務能力とやるべきことについて、それぞれの県の事情もあると思いますので、いろいろ御相談をしてまいりたいと思っております。
  133. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここで大臣にお尋ねをいたしますが、私は、国が今後はより高い計量標準の開発や供給に特化していくのであればなおさら都道府県検定所を重視し充実していかなければならないはずだと思うのです。ところが、今まで述べてまいりましたように、従来より業務量が減ることがはっきりしているのに新しいそれに見合う量の業務内容がはっきりいたしません。しかも重大なのは、本法案では従来のように都道府県検定所を置くことが明記されておりません。これでは都道府県検定所を設置する法的根拠がなくなるとして職員の方々が不安を感じるのは当然のことだと思うのです。大臣の口から今後も検定所を重視し充実していく方向であることを明言していただきたいと思いますが、いかがですか。
  134. 渡部恒三

    渡部国務大臣 都道府県は、現行計量法及びその前身である度量衡法の時代から一貫して計量行政の中心的役割を担っていただきました。計量法に規定されておる検定定期検査などの計量機器に対する規制業務や商店における商品量目の適正化などの消費者関連業務など、計量行政の重要な下柱となるべき業務はいずれも地域住民の日常生活に密接に関与をするものであります。その意味で、計量行政を進める上で地域の行政主体として都道府県は今後とも一層重要な役割を担っていただくことになります。
  135. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、この法改正を機に規制対象となる計量器を見直すというふうに伺っております。今家庭での健康管理上大きな関心を持たれている電子体温計や家庭用血圧計、ヘルスメーター指定とその公差の見直しなどについてどうお考えか伺います。
  136. 熊野英昭

    熊野政府委員 ただいま御指摘の電子体温計につきましては、実測式と予測式と二つございます。その予測式についてはいろいろ御議論があるところでございます。この電子体温計というのは、実測ではなくて、一分間なら一分間はかりましてそれでそれを延長して予測をするという仕組みになっております。こういった予測方法というのは銘柄ごとにもいろいろ差がございますので、ある程度測定結果に誤差が生ずるということは実はございます。  ただ、先生御経験がおありだと思いますけれども体温計というのは、はかる時間、はかる体の部位、それから何分問ぐらい続けてはかるかとか、あるいは測定をする専門家等々によっても違いますのでなかなか一概には申し上げられないところがありますけれども、今度は、そういう状況にありますけれども現行法対象にしておりませんでした電子体温計についてもこの法律改正に際しまして、今申し上げたような問題点にも配慮しながら、実測機能については新たに検定対象とすることを予定しておるところでございます。
  137. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 公差のことに触れたついでに家庭用電気、ガス水道などのメーターの公差についてもお尋ねをいたします。  きのういただいた資料では、いろいろ条件がついておりますが検定公差でプラス・マイナス二ないし四%、使用公差でその一・五倍ないし二倍程度となっております。その基準は、一番古いガスメーターでは二十年以上前につくられております。最近の目覚ましい技術の進歩を考えれば、これらの公差は大き過ぎるのではないか。使用量が四%も多く出るようなガスメーターを何年も取りつけられた家庭はそれだけ余分にずっと支払わされることになります。電気、水道でも同じことです。もっと厳しい公差に改めるべきではないでしょうか。
  138. 熊野英昭

    熊野政府委員 公差につきましては、検定公差と使用公差とございます。この検定公差計量器ごとに定められておりまして、それぞれの計量器の特性に応じて定められております。それから、使用公差は使用中のものでございますから検定公差よりも緩やかなものになっているということでございますけれども、いずれにいたしましても、消費者利益とかあるいは計量器製造技術、それからまた国際法定計量機関における公差の検討状況を踏まえまして適宜見直しをしていく必要があると思いますので、今回の法改正を期しまして、計量器技術水準も大幅に上昇しておりますから、これらを踏まえて国際法定計量機関における最新の検討状況等々を見て、これから十分所要の見直しを行っていきたいと考えております。
  139. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 最後に、計量研究所等に関係して幾つかお尋ねをいたします。  今回の法改正により計量研究所の業務も大きく変更され、私の地元九州など三支所が縮小廃止の対象になっていると聞きました。そうなれば職員が遠隔地に配転される等の問題が早速起こりますが、関係者に不当な犠牲が押しつけられないような十分な配慮をお願いしたいと思いますが、その点どうなっておりましょうか。
  140. 横田捷宏

    ○横田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、九州、大阪、名古屋に計量行政関係の三つの支所がございますが、今お話のありましたような廃止縮小について具体的な検討をまだ行っているわけではございません。計量法の具体的な施行に伴います。務が今後どう変わってまいりますか、この辺を今後十分検討いたしまして、組織のあり方につきましてもそれと対応して検討してまいりたいと思っております。いずれにいたしましても、そのような際には地方支所の職員の方々の処遇等につきましても十分配慮して検討してまいる考え方でございます。
  141. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 昨年八月の計量行政審議会答申によりますと、「信頼性の高い各種の計量標準に対する需要増大に対して、これら機関」、というのは、計量研究所や電子技術総合研究所のことでありますが、「これら機関からの標準供給は、必ずしも十分に対応しきれていない状況にある。」と指摘し、その原因の中で、「行財政の改革に伴う人員、予算の確保等国の機関としての限界」が挙げられております。いわゆる行財政改革によって国立研究機関としての責任を満足に果たし得ない状況が生まれているということであり、まことに重大だと思います。  私は昨年三月十五日にも本委員会で、大学を含め国立研究機関が行財政改革により毎年人員、予算を削られており、本来の任務を果たし得ない深刻な状況になっていることを指摘いたしました。当時の中尾通産大臣答弁で、その改善のため全力を挙げることを約束されました。その後一年余りたちますが、どう努力され、どう改善されたか、この機会に報告をいただきたいと思います。
  142. 横田捷宏

    ○横田政府委員 計量研究所を初めといたします計量行政に関係いたします国の機関は、限られた予算、人員の中ではございますけれども、最大限の努力を払っていただいているものと思っております。  予算、人員等につきます平成四年度の予算の状況でございますが、その当該部分だけということではございませんで工業技術院、研究所全体につきまして申し上げてみたいと思いますが、研究開発予算は総額で百五十億円、前年比五・九%の伸びでございます。人員の面では、平成四年度の工業技術院全体の新規増員が十一名でございます。これらはいずれも近年におきましては五年ぶり、三年ぶりの伸びということで、関係方面の支援を得て実現したものでございます。
  143. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 確かに私も努力の跡は見られると思います。昨日いただいた資料では、人員ではここ数年、毎年三十五名くらい削られ、この十年では研究所全体で三百八十名も減らされておりました。それがことしは二十六名減となっております。研究予算も、一番基礎的な人当研究費は平成二年度、三年度と各一万円増が四年度は一・五万円増、海外の学会等への出張旅費は、これは工技院全体ですが約八百万円増と改善されております。しかし、これはやはりわずかな改善であって、根本的な解決とはほど遠いわけであります。私は、大学や国立研究機関に他の行政機関と同じ行財政改革や定数削減を押しつけてくること自体がそもそも誤りであり、これをやめさせることを含めて今後の一層の努力が必要だと思いますが、最後にこれを改善する決意を伺って終わりたいと思います。
  144. 横田捷宏

    ○横田政府委員 実は先日、大臣のお力もございまして科学技術政策大綱が閣議決定されまして、研究開発予算あるいは人の面でも格段の配慮が必要であるという方針が出されてございます。工業技術院といたしましても、行財政全般の厳しい状況ではございますが、試験研究所の予算、人員の拡充に努めまして、さらに一層の努力を重ねてまいりたいと思っております。
  145. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  146. 武藤山治

    武藤委員長 川端達夫君。
  147. 川端達夫

    ○川端委員 大臣、よろしくお願いいたします。  いわゆる我が国の度量衡の制度に関しては、非常に大きな歴史的な転換ということで、一般には昭和三十四年、土地建物について昭和四十一年にいわゆる尺貫法からメートル法に転換をしたということがありました。  ちょうど今相撲をやっておりますが、きょうのある新聞の相撲欄に二百五十キロ対二百キロの対決と書いてありました。小錦と曙のことですね。恐らく尺貫法が廃止をされたときに、当時、六尺、四十貫のお相撲さんというのは我々子供心に利多分このぐらいのお相撲さんだ、そのときにいきなり身長百八十センチ、体重百五十キロと言われたときには、感じとしてはまさに外国人力士がやっているような戸惑いと混乱が、別にお相撲だけではなくて、社会全体にあったというふうに思います。今、小錦が六十八貫目、曙が五十三貫目、合計百二十一貫の対決なんて言ってもだれもぴんとこないというぐらいに、この三十数年の中で随分戸惑いと混乱を持ちながら、今日においてはもう本当に実感する、体感する部分においても物差しが変わった。これはそれまでの混乱と戸惑い、不便を感じながらやらざるを得なかった。いわゆる日本の経済を中心とした物差しを世界の物差しに統一しなければいけない、それが工業を中心とする日本の発展に不可欠であるということでやられたことだというふうに私は理解をいたしております。そしてそれは、各級のいろいろな方の努力の中で今日の経済の繁栄を見るに至ったその非常に大きな一つの要因であった、日本製品を尺貫法で売っていれば恐らくこんな経済はなかったということだというふうに私は思います。  そういう意味では非常に大きな意義があったというふうに思いますが、さて今回法案として出てくる部分におきましても、やはり一つ計量単位変更という、SI単位にかえたいということでございますが、いま少しぴんとこないというのですかね、一般社会から見ますと、例えば一キログラムのものを持ち上げる力が一重量キログラム、一キログラムフォースであるというのはわかりやすいです。ところが、一キログラムのものを持ち上げる力が九・八ニュートンだと言われると、なぜ、何だそれはということに感じとしては今なります。同時に、例えば一グラムの水を一度C上げる熱量が一カロリーというふうに我々は習いました。いろいろ糖尿病等々でカロリー制限をしている方は、御飯一杯きょうは少し控えておこうか、何カロリーだからとやっておられる方が、一カロリーは四・ニジュールだからと言われるととんでもない混乱を起こしてしまう。まあ今回は栄養に関しては据え置くということでありますが、熱量でいえばそういうことをやろう。一キロの重量のものが一平方センチに載っているのが一キログラム・パー・平方センチという圧力の単位であるというのが、いやいやこれからはこれが九万八千六十六・五パスカルと言いなさいと言われると、もう一つどうしてなのかなという思いを率直には受けると思いますし、新聞報道でもそういうふうな観点で書いている部分がたくさんあります。  別の見方をしますと、現実には我々日常生活で例えば同じ圧力の単位を実に使い分けをして、いわゆるこの普通の状況の中での大気圧を一気圧、一アトムというと。今言いましたような一キログラム重量の一平方センチという圧力の単位もある。高気圧、低気圧というのはそれを基準に高いか低いかでいっている。ところが台風が来ると気圧でいうかというとそうではなくてミリバールでいう、九百五十ミリバールの台風、かなり大きい台風が来るなと言う。血圧をはかるときには百八十ミリメートル水銀柱という単位を使っている。同じ圧力でもいろいろな単位を使い分けしているというのも現実である。そういうときに、ただ単に科学技術あるいは計量を商売とするような部分、そして国際的な経済的な取引ということであっても、現実にはやはり我々の一般生活に今や尺貫法が全く実感として通じないと同じように、そういう変化をもたらすことは間違いのないことであります。そういうときに、このような今回の改正というものが経済的な側面ということ以外で、国民にも理解と協力を得なければいけないという部分でどのようなメリットというか必然性というのをお考えになっているのか、簡単にいま一度お聞かせをいただきたいと思います。
  148. 熊野英昭

    熊野政府委員 計量単位を国際的に統一するということは、経済の発展でありますとか学術の振興、科学技術の発展、いろいろな上でのやはり基礎になるものだというふうに思います。我が国も、ただいま先生御発言のございましたように、メートル法をいち早く採用することによりまして工業製品の規格化を通じて生産性の向上あるいは産業経済の発展に大きく寄与をしてきたというふうに思います。  そこで、国際単位を何にするかということでありますけれども、これは、国際的に計量単位統一する機関といたしましてメートル条約の加盟国が中心となりまして国際度量衡総会におきまして一九六〇年に国際単位系という単位系を決議したわけであります。つまり日本も含みまして世界じゅうで国際単位としてこれを使おうじゃないかと、いろいろな観点から考えてそういうものが決議されたわけであります。  それで、その国際単位系は既に昭和四十一年の法律改正において導入をし、それ以後漸次導入はされておりますけれども、非国際単位系を使用できないようにしようということじゃなくて両方の併用を今までは二十数年やってきたわけであります。今回の法律改正におきましては、この二十数年間に大変実態としても定着をしてまいりましたし、それからいろいろな日常生活等におきましても、尺貫法についてまだ一部は残っておりますけれども、いろいろな分野においてメートル法は、先ほど例が先生から指摘されましたように、いろいろ進んできているわけであります。そういう実態を踏まえまして、今回の法改正におきましては国際単位系への統一を図ろうということにさせていただいているわけであります。
  149. 川端達夫

    ○川端委員 必要性というのはそれなりに理解をするのですが、やはり非常に不便になる、不便というかいろいろ戸惑いを生じるということと同時に、やはり先ほど来いろいろな質問でもありましたけれども、一つの物の考え方という部分に、国民生活としてもこれは長い目で見れば結果的には随分変わってしまうという部分は、やはり物差しをかえるということはあるわけですから、そういう部分で国民の皆さんに国際的な経済のというのと同時に、御協力を願うときの意義というものは私はもう少しわかりやすく実感できる部分として、後で触れさせていただきますが、工夫をしていただきたいというふうに思っております。  同時に、これはやはりそういうだけの影響を各方面で与えてくるわけですが、きょうずっと議論になっておりましたけれども、そういう経済において国際化の尺度に統一していくという長年の課題を今回思い切ってやろうというときに、先進国のいわゆるヤードポンドを使っている国ということでアメリカイギリスがよく例にとられます。アメリカがことしの十月ですか、イギリスが一九九九年までにSI単位系に移行するというふうにおっしゃっておりますが、実態として本当にこの中身というものは、こういう言い方をされますと、ことしの十月でアメリカは切りかえるのだというと、何かアメリカ世の中全部かわるのかなというふうに、一挙にはならなくても、尺貫法を我々がかえたような国民の中に大きな波紋を起こしつつずっと移行していくということが起こるのかなというふうに思うのですが、実際はこれはどのようにかわるというふうに予想しておられるでしょうか。いろいろな意味日本国民生活を随分変更しながらかえていってきている中で、国際社会の中で経済的にと言いながら、一方でアメリカイギリスが全くかえていなければ意味がないのではないかという説得力がなくなる話になるので、アメリカイギリスは実際にどのくらいに、どのように変わると認識をしておられるのかお聞かせいただきたい。
  150. 熊野英昭

    熊野政府委員 まずアメリカでございますけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように、メートル転換法という法律をアメリカはつくりまして、連邦政府機関における諸業務、例えば物資調達でありますとか許認可に関する業務といったものにつきましては一九九三会計年度から国際単位系に切りかえるということをしているわけでございます。したがって、一般の民間におけるものがヤードポンド法メートル法になるということでは必ずしもございません。したがって、アメリカ政府としても民間におけるメートル法をいろいろエンカレッジをする、大統領諮問機関でございます例えば輸出協議会においてそういうエンカレッジをしているような努力は一生懸命しておりますけれども、現実は必ずしもそういう状況にないことはおっしゃるとおりでございます。  それから、イギリスにつきましては、一九九九年末までにこちらの方は一般的に、原則としてというのがついておりますから、もちろん幾つか例外は残ると思いますけれども、原則としてはヤードポンド法をやめていわゆるメートル法に移るということを決めてイギリス対応しております。
  151. 川端達夫

    ○川端委員 ということで、アメリカにおいて、連邦政府にかかわらない民間ベースにおいては先の展望が全然ないという状態ではないかなというふうに思います。いろいろ日米間で経済の問題ありますけれども、やはり世界でそういうものを統一していこうという、そして日本もそれなりの努力を図り、なおかつ現実にはその分において相当の負担をしているという部分では、いろいろな機会に政府はおっしゃっていただいているとは思いますが、先ほどの質疑にもありましたけれども、期限を切ってそれ以後そういうものはもう輸入をしないというぐらいの強い態度で私は日米間において強くそういう交渉をしていかれるべきだというふうに思います。具体的にはどのようなことを考えておられるのかも含めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  152. 熊野英昭

    熊野政府委員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、イギリスはまず一九九九年末までにEC指令に基づきまして漸次ヤードポンド法を廃止していくという方向で進んでおります。アメリカにつきましては、そういうことで連邦政府関係業務につきましては九三会計年度からメートル法が採用されることになっております。そこから先、民間のことにつきましては、我々もぜひ必要であるということで、既に日米構造協議日本側からアメリカに対して出しております要求の重要な一項目としてそういう指摘をしてきております。それから日米構造協議の場以外におきましてもあらゆる機会をとらえましてこの必要性、それから先般参議院でこの計量法審議をいただきました際にも一生懸命働きかけるべきであるという御指摘を得ましたのでそういうことも踏まえて、日本の国会の状況等も紹介しながらアメリカ側に努力を要請してきているところでございます。そういうことで、アメリカ輸出協議会でありますとか、メートル法の日というのを昨年の十月十日から、九一年十月十日をもって計量の日ということでPRも始めておりますし、その前後一週間をメートル週間というふうにしてやっているとかいろいろそういう民間への努力もしております。  それから先般、ULというアメリカのみならず世界最大の検定検査機関がございますが、この検査機関の幹部が来日されました際にも、アメリカにおける民間メートル法への移行状況等について私どもいろいろ議論したところでございますけれども、やはりアメリカ経済国際化していくためにはメートル法化が必要であるということをだんだん産業界、経済界も認識をしてきておるということを言っておりました。
  153. 川端達夫

    ○川端委員 いろいろな日米間のいわゆる経済摩擦と言われる部分においても、一般の国民感情からいうとかなりアメリカが、本来政府の立場でいかがかなと思うことも含めて随分いろいろおっしゃるなという受けとめをしているというふうに思います。しかし、この単位メートル法に関して言えば、アメリカにもっと強い姿勢で求めていくことがやるべきことではないかというふうに思います。重ねてお願いだけ申し上げておきたいと思います。  さて、計量単位の見直しについては、通産省の所轄部分だけでも関係法改正、あるいは政令等、省令等でいいますと数え切れないほど手直しを加えなければいけないというふうに伺っております。これは当然のことだというふうに思っておりますが、通産省所管以外でも、例えばきょうは文部省に来ていただいたのですが、見直しの趣旨からいえば当然ながらそういういろいろな、重力の単位であるとか、圧力であるとか、熱量であるとか、その他もろもろの単位を変えていこう、そういう物の考え方に物差しを変えていこうということであれば、当然教育の現場においてもSI単位に基づいた指導をしていかなければいけないというふうに思います。  私はたまたま大学でそういう工学系の勉強をさせていただきましたが、大体計算問題がやり方は正しいけれども単位を間違って零点というのはしょっちゅうあることであります。単位の問題というのは常に頭を悩まされた問題であります。そういう分で、例えば今は学校の教科書で、先ほど申し上げましたように一キログラムの物を持ち上げるのが一キログラムの力だ、書くのは一重力キログラムと書く、これを重力という。これは割にわかりやすい話なんですが、一キログラムの物体に一メーター・パー・平方秒の加速度を生じる力を一ニュートンということは概念的には加速度も含めるとなかなかわかりにくい話なんですね。  同時に、化学の分野でいいますと、化学で一番初めに習う一つに、アルカリ性、酸性そして中和という言葉が出てまいります。ある濃度の、例えば苛性ソーダの水溶液にある濃度の塩酸水溶液を何cc加えると中和されるでしょうというのがよく問題にあります。これのときに出てくる概念が、ノルマルという、規定という概念があります。今回の改定でも、これはモル・パー・立米に変えるということになっています。そういうことになりますと、学校の教育というものに対してこの概念をどのように整理をしてやられるのか。これはある期限を切っていつからか一斉に変えないと、大変な混乱を起こしてしまうのではないか。受験の問題もあります。そういう分で文部省の初等中等教育局、高等教育局、それぞれにどのような問題が生じると考えておられるのか、そしてどのような対応をしようと思っておられるのか、いつごろからやろうと思っておられるのかということについてお聞かせをいただきたい。
  154. 福島忠彦

    ○福島説明員 尺貫法のときもそうでございましたが、私ども基本的には、教育の場におきましてもこういう国際的な動きあるいは国内法の動き、こういうものを教育の場でフォローするということが基本的には必要だと考えております。そういうわけで、私ども、五月から六月にかけまして全国でブロック別に教育課程講習会というのをやるわけでございますが、その場におきましてこの法改正動きあるいは国際的な単位につきまして、そういう動きにつきましては説明するつもりでございます。  しかし、今先生指摘のように、では入試にどうするかあるいは教科書でどうするかとか、いろいろな教育としての問題はまた別にあると思います。まさに今おっしゃった趣旨のことを、文部省の理科なんかの教科調査官というのがございまして、そういう専門家を中心にこれをどういうふうに教えたらいいのかというふうなこと、あるいは教科書でどういうふうにこれを書いていけばいいのかということ、現在まだまさに検討会を設けてやっている最中でございまして、できるだけ早くその結論を得て、この法改正につきまして私どももフォローしていきたいと思って今一生懸命やっているところでございまして、できるだけ混乱が学校現場で起きないように一生懸命やっていきたいと思っているわけでございます。
  155. 川端達夫

    ○川端委員 ぜひともによろしくお願いしたいと思います。  重力だけを教えるというときには、一キログラムの物を持ち上げる力で一キログラムというのは簡単なんですが、ニュートンを導入しようと思うと、これは重力加速度ということで加速度の概念を教えないと理解ができないという部分で、私はこれをどうされるのかなというのは非常に懸念をいたしそおります。そういうものは後でしか習わないときに単位だけ先行して入ってくるということがいかがなものかということで、慎重かつ混乱のないようにということを御要請申し上げておきたいと思います。  時間が非常に限られていますので、いろいろあるのですが、この法案が上程をされました日かその翌日に私はテレビを夜遅く見ておりましたら、いわゆる男女のニュースキャスターがおられる報道番組でこのことを紹介をされました。そして終わり際にその女性キャスターが、ああそうするとキログラムがニュートンになるのですね、私の体重は四十五キロだから九・八倍した体重で四百三十二ュートンというのですかね、男性キャスターは六十五キロだから六百ニュートンというのですかねという話をされて、番組は終わりました。とんでもない間違いをしているなと思って見ておりました。  一月十七日の朝日新聞の「天声人語」には、「小錦関は二六二キロ。それが「二五六七ニュートン余」となる。」と書いてあります。十日たちますと、「天声人語」で「読者から手紙を頂いた。「小錦の体重は、本当に二五六七ニュートン余となるのですか。」」と質問をいただいた。「そうはならない。小錦関は、今の体重を維持し続けるなら、依然、二六二キロである▼重量キロをニュートンで表せばという例え話のつもりだったが「重量と質量の区別が厳密でない」とも指摘された。」要するに間違えたのですね。という部分で、重量と質量というのは大変ややこしい概念でありますので、こういうことで、私はテレビでも間違って報道されたのを見ました。新聞でも間違っている。そういう意味で、この周知徹底というものは相当しっかりやっていただかないと、これは専門にその商売をする人だけの話だということではなくて、今言いましたように、教育現場にも及んでくる。そしてこういう単位自体がやはりニュートンだ、パスカルだという、私は、低気圧、高気圧という言葉が低パスカル、高パスカルというのかとまで思うくらい、いわば単位というのはそういうものなんですね。という部分で、こういう広報というもの、業界に対する広報以外に一般の人に対するそういうことに関しては、どういう御配慮をしておられるのか。現に報道でも、ほかにもいろいろありますけれども、かなり誤解をしているんじゃないかという報道がされていることも含めて、御認識と御見解を賜りたいと思います。
  156. 熊野英昭

    熊野政府委員 ただいま委員指摘のような、質量と重力を混同したいろいろな新聞報道等があったことは事実でございまして、体重はあくまでも質量でございますからキログラムであるということで問題ないわけであります。  そこで、今の「天声人語」の件とか、それぞれ私どもが気がつきましたものは十分に説明をいたしまして、訂正の記事を出していただいたり、あるいは別の記事を出していただいたり、努力をしております。ただ従来、必ずしも私どもとしても十分なPRが行き届いていないために、そういう間違った、あるいは誤解に基づく報道がなされたことは大変残念だと思っておりまして、逆に災いを福とすべく、そういう機会をとらえて、マスコミにおいてもこういうPRをやっていただく機会だということで逐一対応してきておりますし、またこれからもやっていきたいと思っております。  それから同時に、先ほどそれだけの予算ではというふうに御批判をいただいたわけでありますけれども、あらゆる機会を利用いたしまして、パンフレットでありますとか、あるいは講演会でありますとか関係各省のいろいろな機会にもそういう普及をやっていただきたいと思いますし、特に教育現場における教育が大変重要だと思いますので、文部省にはまたよろしく私どもからもいろいろ御協力をお願いしていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、ただいまの例えばニュートンの問題につきましては七年間という猶予期間を設けておりますので、一年半の施行期間と合わせますと八年半あるわけでございます。この間にできるだけいろいろな地道なPR活動をやりながら、その定着というか移行が問題なく行われるように最大限の努力を行っていきたいと思います。
  157. 川端達夫

    ○川端委員 時間がほとんどなくなりましたけれども、最後に一点、この法律を施行することによってやはり産業界でいろいろな見直しを迫られるというのは出てくるというふうに思います。  現に新聞でも、日経産業新聞の一月二十五日に通産省の機械情報産業計量行政室長さんが質問に答える形で「産業界にはかなり影響がありそうです。製品のサイズや強度の基準となる単位が変われば、ものによっては設備を変更する必要もあります。」こういうこともお述べになっております。  そういう部分で、特に中小企業に関してはいろいろなこの部分に伴う助成というか補助、援助を見ていただくべきではないかと考えておりましたが、特段にこのことだけでということではなくて、いわゆる一般の中小企業の支援の枠内でということのようでございます。  もう時間がありません、省略して、そういうことでありますが、そういうことであるならば、この法案、こういう法律ができてということでのいろいろな業者に対する周知徹底のことは図られると思いますが、その際に、あわせてそういう中小企業に対しては、こういう支援もありますから、この場合必要であれば御利用くださいという、そのPRというか周知徹底もあわせてお願いしていただきたい。  同時に、この部分ではいわゆる指定事業者制というものに関しては、やはり既存の中小と大きいところの格差を固定化するおそれもあるのではないか。そういう部分では、お金の面だけではなくて技術的な支援あるいは情報サービス等々に関しても、このことに関連をして育成強化も図っていただきたいということをお願い申し上げたいと思いますが、それをあわせて御要望も含めて申し上げたいと思いますので、御見解をいただいて終わりにしたいというふうに思います。
  158. 熊野英昭

    熊野政府委員 今回の改正は、産業界の御意見も十分にお伺いし、また中小企業団体等の御意見も伺って対応をしてきているところでございます。  そういう意味で、猶予期間の設定に当たりましても、例えばそういう機械の計量器の耐用年数等も考慮に入れまして、産業界としてのコスト負担が最小限になるような配慮もしてきたつもりでおります。他方、既にJISにおきましては相当程度この計量単位が普及してきておりますので、実態としては相当進んでいる面もございます。  いずれにいたしましても、中小企業の計量器製造する製造業者の側、それからこの計量器を使用されるユーザーの側、中小企業の場合、両方あろうかと思います。その両方につきまして、いろいろ計量器の調整であるとか換算表の整備であるとか、あるいは計量器の買いかえ、それから製造業者側におきましては製造設備を物によって入れかえなければいけないとか、そういうこともあろうかと思いますので、中小企業金融公庫の融資でありますとか特別償却の税制といった利用可能なものを総動員して、ただいま先生指摘のように、いろいろな普及のためのパンフレット、周知徹底を図る際に、対応の際には、こういう制度も利用していただけますよ、こういう制度もございますよというふうなことも含めて周知徹底を図ってまいりたいと思いますし、同時に、これから施行までの期間あるいはその猶予期間の中において、都道府県等を通じてきめ細かく対応する、いろいろな対応の仕方についての御相談にも乗っていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、できるだけ混乱のないように、移行に際して、中小企業の実態を踏まえながら努力をしてまいりたいと考えております。
  159. 川端達夫

    ○川端委員 ありがとうございました。  終わります。
  160. 武藤山治

    武藤委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  161. 武藤山治

    武藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  計量法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  162. 武藤山治

    武藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  163. 武藤山治

    武藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、額賀福志郎君外五名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、民社党及び進歩民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。和田貞夫君。
  164. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     計量法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 計量単位国際単位系への移行措置について、その趣旨内容等を国民の各界・各層に周知徹底し、国民生活及び経済社会活動に無用の混乱を生ずることのないよう最大限の努力を払うこと。  二 「指定製造事業者制度の運用に当たっては、既存の検定機関、ユーザー等に与える影響及び一般消費者の利益保護に十分配慮すること。また、外国製造事業者への本制度及び型式承認制度の適用について積極的に対応すること。  三 「指定製造事業者制度の導入等の新たな措置に伴い、影響を受ける計量器の中小製造事業者が適切な対応を図れるよう支援すること。  四 「指定検定機関」、「指定定期検査機関」等の指定に当たっては、公正・公平な業務が確保されることを前提として行うとともに、当該指定機関の監督に万遺漏なきを期すること。  五 型式承認、検定の有効期間及び定期検査周期の設定に当たっては、計量器の適正な機能の維持、一般消費者の利益保護に十分配慮すること。  六 主として一般消費者の生活の用に供される特定計量器について、適正な機器が供給されるよう万全を期すること。  七 計量標準に関する国際協力に積極的に対応する等計量分野における国際化の推進に努めること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  165. 武藤山治

    武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  額賀福志郎君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  166. 武藤山治

    武藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、渡部通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部通商産業大臣
  167. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。(拍手)     —————————————
  168. 武藤山治

    武藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 武藤山治

    武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  170. 武藤山治

    武藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十五分散会