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1992-04-15 第123回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十五日(水曜日)     午後一時五分開議 出席委員   委員長 武藤 山治君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 額賀福志郎君 理事 山本  拓君    理事 竹村 幸雄君 理事 和田 貞夫君    理事 森本 晃司君       甘利  明君    新井 将敬君       岩屋  毅君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    久野統一郎君       佐藤謙一郎君    佐藤 信二君       佐藤 守良君    谷川 和穗君       中山 太郎君    仲村 正治君       増田 敏男君    武藤 嘉文君       岡田 利春君    貴志 八郎君       小岩井 清君    後藤  茂君       志賀 一夫君    鈴木  久君       鉢呂 吉雄君    安田 修三君       安田  範君    吉田 和子君       二見 伸明君    渡部 一郎君       小沢 和秋君    伊藤 英成君       川端 達夫君    江田 五月君  出席国務大臣         通商産業大臣  渡部 恒三君  出席政府委員         経済企画庁国民 加藤  雅君         生活局長         大蔵大臣官房審 西村 吉正君         議官         通商産業大臣官 内藤 正久君         房長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業大臣官         房商務流通審議 麻生  渡君         官         通商産業省産業 山本 幸助君         政策局長  委員外出席者         参  考  人         (社団法人日本 青柳 忠一君         クレジット産業         協会理事長)         参  考  人         (社団法人リー 小山  実君         ス事業協会副会         長・専務理事)         参  考  人 安彦 和子君         (弁 護 士)         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     佐藤謙一郎君   田辺 広雄君     久野統一郎君   大畠 章宏君     小岩井 清君   加藤 繁秋君     鉢呂 吉雄君   後藤  茂君     貴志 八郎君   鈴木  久君     志賀 一夫君   川端 達夫君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     田辺 広雄君   佐藤謙一郎君     梶山 静六君   貴志 八郎君     後藤  茂君   小岩井 清君     大畠 章宏君   志賀 一夫君     鈴木  久君   鉢呂 吉雄君     加藤 繁秋君   伊藤 英成君     川端 達夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  特定債権等に係る事業規制に関する法律案  (内閣提出第七四号)      ————◇—————
  2. 武藤山治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  建設委員会において審査中の内閣提出地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案について、建設委員会に対し連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤山治

    武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、建設委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。      ————◇—————
  4. 武藤山治

    武藤委員長 内閣提出特定債権等に係る事業規制に関する法律案議題といたします。  本日は、参考人として社団法人日本クレジット産業協会理事長青柳忠一君、社団法人リース事業協会会長専務理事小山実君及び弁護士安彦和子君、以上三名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず青柳参考人にお願いをいたします。
  5. 青柳忠一

    青柳参考人 私は、日本クレジット産業協会理事長青柳忠一でございます。  本日は、意見陳述機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。  それでは、ただいまより、通商産業省から提出されました特定債権等に係る事業規制に関する法律案につきまして、クレジット業界を代表いたしまして意見を述べさせていただきます。  まず最初に、クレジット業界現状について簡単に御説明を申し上げます。  クレジット消費者信用とも呼ばれておりまして、これには販売信用分野消費者金融分野がございます。  販売信用とは、消費者商品を購入したり、サービス提供を受ける場合に、消費者にかわりまして販売店に代金を立てかえ払いをするものでありまして、主にクレジットカード等利用がこれに該当いたします。  これに対しまして、消費者に直接金銭を貸し付ける形態のものがいわゆる消費者金融でございまして、キャッシング等がこれに該当いたします。  さらに、支払い方法の点で見ますと、分割して返済するいわゆる割賦方式と一回払いで返済する非割賦方式がございます。  我が国クレジット産業は年々順調な伸びを示しておりまして、平成二年における新規販売信用供与額は二十六兆円になっております。これは、クレジット会社が一年間消費者向け提供いたしました販売に伴うクレジットの額を示しておりまして、昭和五十六年から平成二年までの十年間で約二・二倍に成長いたしております。  なお、これを国民消費生活との関係から見ますと、国内民間最終消費支出の約一一%、家計可処分所得の約九%を占めるものとなっております。  このように我が国クレジット産業は、国民消費生活充実に欠くことのできない産業となっており、国民経済発展のために重要な役割を果たしているものと認識をいたしております。  次に、特定債権等に係る事業規制に関する法律案業界としての考え方につきましてお話をさせていただきます。  さきに御説明させていただきましたように、我が国クレジット産業消費生活充実を通じまして国民経済に重要な役割を果たしておるわけでございますが、一方で、その事業活動を円滑に進める上で大量の資金を必要とする産業であるとも言えます。しかしながら、他の産業におきましては、CP社債発行して資本市場から直接資金を調達するいわゆる直接金融が拡大していく中で、クレジット産業CP社債発行が認められないという制約もありまして、調達資金の大部分を金融機関等からの借り入れに依存するいわゆる間接金融形態となっております。資金調達額の九〇%以上を金融機関からの借り入れに依存している状況でございます。その意味からも、資金調達多様化ということは業界として長年の懸案となっておりました。  そのため、クレジット業界としましては、CP社債等による資金調達手段とともに、米国にございます例を参考にしましてクレジット債権譲渡による資金調達手段を検討してきたのでございますが、我が国では、このような調達手段を行う場合の具体的な投資家保護に関するあり方が必ずしも明確なものとなっておりません。  今後の金融状況を見、またクレジット業界の置かれております資金調達環境を見ますと、こうした資金調達必要性はますます拡大するわけでございますが、その場合、不測のリスク投資家に及びかねないという懸念があるわけでございます。不幸にしてそのような事態になりますと、業界としても大変手痛いダメージをこうむるわけでございまして、その制度的な枠組みが整備されることが安定した資金調達環境をつくり出すものと考えておるわけでございます。  このような状況の中で、今回の特定債権等に係る事業規制に関する法律整備一つの契機といたしまして、投資家保護が盛り込まれた資金調達手段多様化が図られますことは、今後の資金調達手段一つの方向が見えることになるわけでございまして、業界にとって非常に意義があるものだと考えております。これによりまして調達コスト低減が図られることになりますれば、それを最終的には利用者に還元することが、個人消費拡充一翼を担っておりますクレジット産業にとって重要な課題と認識しておるところでございます。  ところで、最近のクレジット業界におきましては、幾つかの課題がありますので、最後にこの点について少しお話をさせていただきたいと思います。  まず、クレジット業界一つ課題といたしまして、クレジット業務に付随して行われている融資業務の問題がございます。  近年、当業界でも消費者以外のいわゆる事業者対象とした融資不動産に関連した融資業務を行う企業がふえております。それに伴って各種の問題も発生し、社会的な御批判を受けたことも事実でございます。  この不動産関連融資につきましては、昨年貸金業規制法が改正されたことによりまして、一定規模以上の残高を有する企業事業報告書提出が義務づけられるなどの法的整備がなされたわけでございまして、当業界といたしましては、これまでも投機的な土地取引等につきましては資金が流れることのないよう自粛を進めてまいりましたが、今後ともさらに土地関連取引につきましては審査管理体制充実強化に努めまして、このような投機的土地取引等資金が流れることのないよう努力いたしてまいりたいと考えております。  また、事業者向け大口融資につきましては、預金担保の貸し付けによる不正融資事件が発生し社会問題になったことを踏まえまして、当業界では融資業務についての再点検を進めてまいりました。  具体的には、業界として「クレジット業界における融資業務に関する再点検についてのガイドライン」を作成をいたしまして、その中で大口融資について融資姿勢厳正化与信体制ルール化、さらに担保についての点検の三点につきまして再点検を進めてまいりました。  このように、業界としては融資業務につきましてもいろいろと取り組んでおりますが、今後も引き続き、関係省庁の御指導を受けつつ、再度このような問題が発生することのないよう一層の厳正化に努めてまいりたいと思っております。  次に、最近の業界のもう一つ課題といたしまして多重債務者問題がございますが、これにつきまして少し御説明させていただきます。  この問題は、企業側与信姿勢の問題と消費者側の安易な利用とが結びついて起こるものと考えられますが、最近の特徴といたしましては、クレジット会社のみならず銀行中心とした金融機関のローンの利用が大幅に増加するなど複合的な債務を抱える消費者が多くなっていることが挙げられます。そこで、この問題に対応するため、当業界といたしましては、通産省の御指導を受けつつ、第一に審査体制整備、第二に社員教育徹底、第三に消費者啓発、第四に加盟店啓発、さらに第五といたしましてカウンセリング体制整備といった業界としての対応策を検討いたしまして、これが実施に向けて具体的な作業を進めておるところでございます。  特に審査体制整備につきましては、多重債務者の発生を防止するためには、まずクレジット会社個々審査管理体制整備することが必要でありまして、その整備促進するためクレジット業界としてのインフラ整備を行わなければならないという観点から、昨年十一月に基本対策といたしまして、与信精度を向上させるために、クレジット会社信用情報機関に対しまして常に最新のクレジット残高情報提供し、それを利用できるような信用情報機関への情報登録内容拡充を図るということが一つ。もう一つは、CAT、というのはクレジット・オーソリゼーション・ターミナルと申しますが、いわゆる信用照会端末機でございます。信用照会端末機等によりまして信用照会システム整備拡充を行いまして、販売時点における信用承認システム拡充していくということを決定いたしました。そして、ことしの六月から具体的な実施に向けて現在作業を進めておるところでございます。  さらに、本年三月には、一層適正な与信に努めるべく、緊急対策といたしまして「クレジットカード与信発行体制見直しについて」を取り決めまして、申込者支払い能力に適した与信限度額利用限度額を付与するよう各社の現行の与信基準見直し適正与信体制整備に努めるよう運用面の改善を協会傘下会員要請をいたしました。  具体的には、新規入会者利用限度額を引き下げる、次に、若年層に対する利用限度額をさらに引き下げる、それからいわゆる途上与信という制度を導入する、それから新規会員の募集、勧誘あり方、過度な勧誘を慎むこと等の四点を要請をいたしまして、さらに、消費者啓発実施に向けましてクレジットの具体的な正しい利用方法を広く啓発するとともに、クレジットに係る作成物及び広告媒体に、クレジット計画的利用を勧める趣旨の標語を付記するということで利用者啓発に努めることを要請いたしております。  この多重債務者問題を解決するためには、このような業界自体自助努力も当然でございますが、さらに例えば学校教育の場でのクレジット教育実施、あるいは安易な自己破産者の増加などに対応するための破産法見直しなどの周辺の環境整備もあわせて行う必要があるものと思われます。  こうした観点から、業界としては特に消費者教育としての啓発活動に力を入れているところであります。このように、業界としての多重債務問題に対しましてはいろいろと積極的に取り組んでおりますが、今後も引き続き国会関係各位の適切な御指導もお願いいたしたいと考えております。  以上をもって意見陳述を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  6. 武藤山治

    武藤委員長 ありがとうございました。  次に、小山参考人にお願いいたします。
  7. 小山実

    小山参考人 社団法人リース事業協会会長専務理事小山実でございます。  本日は、意見陳述機会をお与えいただきまして、心から厚く御礼申し上げます。  それでは、リース産業現状課題につきまして若干御説明を申し上げ、次いで特定債権等に係る事業規制に関する法律案につきまして意見を述べさせていただきます。  我が国リース産業は、その誕生から約四分の一世紀を経過したわけでございますが、リースは、企業の効率的な資金運用の実現、設備陳腐化回避等に資することから、企業の重要な設備調達手段として積極的に利用されてまいりました。このようなリースメリット企業に受け入れられまして、リース産業日本経済一翼を担うまでに成長いたしてきております。  リース産業規模リース契約額で見ますと、平成二年度で八兆四千百五十億円、リース物件購入金額は六兆五千四百二十億円、これの民間設備投資に占める割合は約八%となっておりまして、リース会社の保有いたしますリース資産残高は、昨年の九月末で約十四兆六千億円となっております。  このように、膨大な資産を抱えておりますリース会社は、物件購入資金金融機関から調達してリースするわけでございますので、リース会社にとりまして資金製造業等の原材料に相当するものでございまして、資金調達リース経営の大きなかなめとなっております。  申すまでもなく、資金調達方法には金融機関から調達する間接金融と、株式、社債などによります直接金融とがございますが、リース会社資金調達状況を見ますと、全体の九八・二%が銀行借り入れとなっておりまして、全面的に間接金融に依存している状況でございます。  この間接金融偏重を改善すべきであるとの御指摘もございますが、社債発行には幾つかの制約がございます。また、リース会社にはCP発行は認められておらないことから、その購入資金のほとんどを金融機関からの借り入れに依存せざるを得ないのが実情でございます。  さらに説明させていただきますと、リース料契約のときの金利水準に基づいて定められまして、期間中に変更しないことが原則でございます。リース会社調達資金はごく一部に長期固定資金もございますが、多くは金利変動資金でございまして、リース会社資金コストは変動するものでございます。  リース料が固定しておりますので、ユーザー金利変動リスクを負わない反面、リース会社ユーザー金融機関との間に入って金利変動リスクを負うことになります。いわば金利変動リスクバッファー機能を果たしているのがリース会社でございまして、量的、質的両面から金融情勢及び金利変動影響を大きく受けざるを得ない体質にあるわけでございます。  こういう状況にございますリース産業にとりまして、このたび特定債権等に係る事業規制に関する法律案国会提出されましたことは、長年の懸案でございました直接金融への道が開かれることになります。リース業界は大いに関心を持ち、その成立を期待しているわけでございます。  そこで、本法案につきまして若干意見を申し述べさせていただきます。  近年、金融自由化国際化の中で、間接金融から直接金融への移行は時代の大きな流れでございます。リース会社経営基盤を安定させ、ユーザーのニーズにこたえた良質なリースサービス提供を行い、リース業本来の経済的機能を果たしていくためには、資金調達源多様化し、安定かつ低廉な資金を直接調達することが重要な課題となっております。特に、今後BIS規制影響等から金融機関借り入れによる調達環境は引き続きタイトな状況が予想される中で、リース業界資金調達多様化につき真剣に検討してまいりましたが、米国例等参考にいたしまして、リース債権譲渡により資金調達を行っているリース会社が一部に出てまいっておりますのが実情でございます。  この譲渡方式によります資金調達は、リース会社資金コスト安定化低減化につながり、これによりリース料金低減等サービス充実を図り、従来にも増してユーザーに有利なリース提供が可能となるものでございます。また、資金を供給する投資家にとりましても高利回り商品となり得るものと考えております。  この方式によります資金調達は、自然発生的に生まれたものではございますが、今後相当のスピードで普及するものと思われます。さらなる飛躍、発展のためには、商品安全性に配慮し、投資家が安心して投資できるような制度とすべきものと考えられます。そのためにも、投資家保護を図り、資金調達を円滑にするためには、法規制がぜひとも必要であると考えております。  本法律施行に際しまして若干の要望を申し述べさせていただきますと、本法律案によりますと、特定事業者債権譲渡計画通商産業大臣に届け出る、特定債権等譲受業者及び小口債権販売業者主務大臣の許可を得ることになっております。  この法律施行によりまして、投資家には高利回り商品提供でき、またリース会社にとりましては効果的に資金調達が可能となるわけでありますが、この仕組みがうまく機能するためにも、ぜひ諸手続を円滑に進めていただくようにお願い申し上げる次第でございます。  最後に、リース会社業務多角化の一環といたしまして融資業務を行っておりまして、融資問題もリース業界課題一つとなっておりますので、これについて御説明申し上げます。  近年、この融資に関しまして種々の問題が発生し、社会的に批判対象になっていることは事実でございます。このような状況の中で、昨年、土地に係る貸金業者の実態を把握するための貸金業規制法の改正が行われ、貸付金残高一定規模を超える貸金業者は定期的に事業報告書提出することになったわけであります。  当協会は、土地対策趣旨を踏まえまして、平成二年十二月以降、二度にわたり土地関連融資自粛申し合わせを行い、その周知徹底に努めてきたところでございます。また、証券・金融業界動向等にかんがみまして、昨年八月、当協会内に信用リスク管理検討委員会を設置いたしまして、信用リスク管理上の問題点と今後のあり方について取りまとめたところでございます。  具体的には、リース各社における業務運営姿勢の再確認、業務運営体制見直しなど信用リスク管理上の課題を明確にし、会員各社における信用リスク管理体制の一層の充実強化を図るべく、業務運営姿勢体制見直し促進教育月間の設定と研修事業実施、反社会的行為関与の排除、委員会常設化情報交換等の具体的な活動を推進することといたしたわけでございます。  以上のように、リース業界は、融資問題につきましてもリース産業の健全な発展を阻害することのないよう取り組んでおりまして、関係省庁の御指導を賜り、今後更びこのようなことのないように適正な業務の推進に努める所存でございます。  最後に、リース事業協会は、今後ともリース事業の健全な発展に努力してまいる所存でございますので、国会及び関係省庁の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、意見陳述を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  8. 武藤山治

    武藤委員長 ありがとうございました。  次に、安彦参考人にお願いいたします。
  9. 安彦和子

    安彦参考人 弁護士安彦和子と申します。  きょう、この場にお呼びいただきましたことにつきまして、先生方に厚くお礼申し上げます。  今までのお二人の先生方は、それぞれの企業を代表されていらっしゃいますが、私の方は、一弁護士としての立場意見を申させていただきます。  弁護士の場合は、日本弁護士連合会というのがございまして、その消費者問題対策委員会というのがありまして、その委員でございますけれども、手続上、私がいろいろな消費者問題に取り組んでいるというようなことできょうここに参らせていただきました。  まず、この本法律案制定につきましては、制定自体につきましては大変いい法律ではないかと思うのです。結局は、このリース産業それからクレジット産業に対しまして、どうやら低コスト自己資金調達ができるということで自主性が高まりますし、私としては大変いいかなと思いますので、制定自体につきましては意見は述べさせていただかないということで、制定された以後にこれをどう適用しようかという適用上について意見を述べさせていただきます。  これからの意見は、消費者トラブルから見ますと、リーストラブルということにつきましては、余り今のところは数ないのです。クレジットに関しましては、国民生活センターの統計によりますと、大体四件に一件がこのクレジットにかかわるトラブルであるということですから、これから申し上げますのは、クレジット関係中心とした考えであるというふうに御理解いただきたいと思います。  時間の関係上、いろいろ御意見を申し上げたいのですが、三点に絞ってお話をさせていただきます。  まず第一点は、この法律によりまして、リース企業それからクレジット企業の方で利益があると聞いております。それは、今申し上げましたように、低コスト資金を調達できるということですから、この利益企業にとどめないで、消費者の方にもその利益の一端を還元していただきたいと思うのです。といいますのは、私はいろいろな消費者問題を取り扱っておりましていつも痛感させられることは、企業優先、企業利益あるいは企業に重点を置いた考えで、消費者利益というものが大変軽視されているのではないであろうか。アメリカにいち早く消費者主権という言葉が確立されましたけれども、日本においては言葉ばかりが走っておりまして、現実に適用するということになりますと、消費者主権というのがいかにむなしいかということを体験してまいっております。そこで、この法律利益がもしあるならば、それをどうぞ消費者の方に還元していただいて、リース料の引き下げそれからクレジットの手数料の引き下げというところに結びつけていただきたいと思います。  それから第二点なんですけれども、特定債権等譲渡をされた場合に、一体、原債務者であるリース利用者クレジット利用者立場がどうなるのであろうかということが、あとひとつ明確にされていないのではなかろうかと思うのです。その原債務者に対する債権の取り立ては、譲り受け人から従来のリース企業者あるいはクレジット企業者に委託をするということですから、債権の取り立てについては第六条でどうやら規定がなされている。それに反しまして、消費者側が権利を行使する相手については、ひとつはっきりしていないんじゃないか。例えば、割賦販売法に消費者の権利としてクーリングオフという権利があります。これは、ある一定期間であれば契約を無条件で解除できるという規定であります。それからもう一つは、クレジット契約商品を購入した場合に商品販売した会社にクレームがつけられる場合、これを抗弁権といいますが、物に瑕疵があったりあるいは会社が倒産したときにそういうような抗弁をクレジット会社にも主張しまして、それ以降のクレジット代金を中止することができる権利を言うのですが、本件で債権が譲渡された場合に、クーリングオフあるいは抗弁権をクレジット会社に主張するときに、一体どちらをすればいいのでしょうかということがまだひとつはっきりしてないということであります。  この抗弁権の行使その他の権利行使のときに一番支障を来すかなと思うのは、裁判を起こすときに消費者側が原告になる場合です。  例えば卑近の例をとりますと、ある販売会社が詐欺的手口でレジャー会員権を売りまくったのです。それで多額の金を集めまして、すぐ倒産いたしました。レジャー会員権は紙くずに終わりましたので、購入者の消費者クレジット会社に対しまして、この代金は払いたくないと言ったところが、それは関係ないということで盛んに督促状が送られてきました。そこで、消費者の方は音を上げまして、かなりの数の消費者が私のところに、何とかならないかということで依頼があったわけです。そこで裁判をいたしまして、クレジット会社を被告にして、債務不存在確認の訴えという訴訟を起こしました。  このときは相手のクレジット会社がはっきりしているからよろしいのですが、一体、こういう訴訟を起こすときに、この特定債権等譲渡した場合にどうなるのであろうかということにつきましては、この法律の運用上、譲渡にかかわらず、消費者側、最終的な、原債務者に不利益をこうむらないように運営していただきたい、これが第二点であります。  それから第三点、これは青柳先生から随分お話がありまして、業界としてもかなり多重債務の改善に力点を置かれているように伺いまして、私も大変好ましいと思っておりますが、一つ私の方から、この多重債務にまつわる問題について、やはり消費者問題を取り扱っている弁護士立場からも、多重債務についてどういう問題点があるのかということについてお話しさせていただきます。  第三点としては、クレジットに関する消費者トラブルが、先ほど私が申し上げましたように、消費者トラブルの約四件に一件がクレジットに関するものである。そして、その内容を見ますと、大別いたしますと、多重債務一つ、それからもう一つは、悪質な販売業者と業務提携をしていることについてのトラブルなのです。  それでまず、過剰な貸し付け、これに対して、特に近時問題になっているのは若年層の多重債務です。先ほど、消費者側啓発、教育などということを青柳先生もおっしゃっておりましたとおりに、私も多重債務の原因をよくよく考えてみますと、大きく分けて、消費者側の責任はどこにあるのか、それから業者側の責任はどこにあるのかということを考えたときに、消費者側はどうやら、支払い困難になるところまでは消費者の責任じゃないかなと思う。というのは、私のところに何十件もありますが、なぜあなたは支払いもできないようなカードを発行して使用したのかとお聞きしますと、ほとんどの方が、何とかなる、その何とかなるというのが非常に無計画なところもあるのですね。それから今度、払えなくなったときにどうするかというと、業者の方から払えという盛んな責め立てがありますので、後半はどうやら業者から責められて、払うために他の業者に行く、そのときに、多重債務であるということを知りつつ貸す業者がたくさんいる、こういうことなんですね。債務の内容を見ますと、極端な話、当初の三分の一弱を自分のために、後半の七〇%強を支払いのためにさらに借りたというケースがあります。最低でも三分の一程度しか使っていない、あと三分の二は払うためにというようなのが一般的傾向であります。  そういうような傾向だとか多重債務それから悪質な販売業者との業務提携についてはたくさん申し上げたいことがありますけれども、時間の関係上、とにかくこの二つの分野トラブルが大変多発しているということを肝に銘じて、今後何とかそれを改良してもらえないだろうか。本件について、この法律が立法された後に資金がどんどん流れてきたときに、こういうようなトラブルを絶対に拡大させていただきたくない。それに加えまして、従来のトラブルを逆に予防するように御努力いただきたいと思うのです。  私は、基本的な立場としまして、消費者側に加勢するということではなくて、行政と国会議員の先生方それから業界先生方とともに協力をしなければ決していい社会にはならないだろうと思っているのです。反発する、お互いにののしり合うというのではなくて、みずから反省すべきことは反省する、教育するところは教育する。お互いが反省し合い、協力し合ってこそいい社会ができるだろうと思うのです。そういう立場に立って、今後も微力ながら頑張ってまいりたいと思うのです。  以上申しまして、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  10. 武藤山治

    武藤委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 武藤山治

    武藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑者にあらかじめ申し上げます。  質疑の際は、質疑する参考人のお名前をお示しください。  なお、念のため参考人各位に申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。また、時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。
  12. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 自由民主党の逢沢でございます。  参考人先生方には、きょうは大変ありがとうございました。御苦労さまでございます。  時間が十五分ということでありますので早速質問をさせていただきますが、最初に、青柳小山両先生にお伺いをいたしたいと思います。  先ほど陳述の中で伺ったわけでありますが、とにもかくにもリースクレジット会社というのは銀行からの借り入れにその資金調達の大部分を頼っている。クレジットが九〇%、リースにおいては九八%以上というお話を伺って、改めて驚いたようなことでありますが、本法案が施行されるとコストの安い自己資金を集めることができるということでありますけれども、そのことが資金調達にどう具体的に改善をもたらすのか、あるいはそのことによって会社の経営がどういうふうに安定をするのか、そのことを伺いたいわけであります。あわせて、九〇%以上銀行から借りているのだけれども、例えば五年後、十年後あるいは二十年後、その割合が、まあ見通しということになりますか、あるいは目標ということになりますか、いずれでも結構でありますが、いささか数字のようなものでお示しをいただければ大変我々参考になるというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
  13. 青柳忠一

    青柳参考人 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げたいと思います。  クレジット会社資金調達が経営の面にどのように影響してくるかという、まず最初の御質問と思いますが、クレジット業界資金調達につきましては、ただいまもお話がございましたように、九十数%以上が金融機関に依存しているわけでございます。その意味で、この資金調達金融機関への依存度の体質を少しでも解消することができればということが私どもの多年の悲願であったわけでございます。  そこで、今回の資金調達手段によりまして、自社の保有債権を譲渡することによりまして資金調達を図るわけでありますが、それぞれの会社が健全な債権を保有するということでなければこういう形の資金調達は実質的にうまくいかないわけであります。そういう点におきまして、健全な債権の保有を高めるという努力が行われるものというふうに私どもは期待をいたしておるわけであります。そういう意味におきまして、クレジット産業の経営の改善という面におきましても従来以上に努力が行われるものというふうに考えております。  なお、将来的にどの程度の割合がこの資金調達手段によって賄われるかということでございますが、この点はなかなか難しいところでございますが、当面私どもが一応期待いたしておりますのは、もちろん現在の金融機関から借りておりますものをそう大幅に直ちにこちらの方にシフトするということは困難なことでございますが、とりあえず数年後ぐらいにおいて一兆円ないしそれより若干多いような規模になることを期待いたしておるわけでございます。さらに、将来になりますと、これは中小の業者もこういう形の資金調達に進むというようなこともありまして、次第に増加してくるものというふうに考えております。  以上であります。
  14. 小山実

    小山参考人 逢沢先生の御質問にお答え申し上げます。  これがリース業の経営にとってどういうプラスがあるかという点でございますが、これはもう先ほど申し上げましたように、リースは、かなり長い期間にわたって固定金利でリースをやりまして、調達面は非常に変動する金利ということで、経営そのものが非常に不安定なわけでございまして、しかも残念ながら、まだ日本の金融機関でそういう長期固定金利の金融を大量にやっていただけるようなところはないわけでございますので、一つでも選択肢がふえるということがリース業の経営の安定にとって欠くべからざるものであるというふうに考えておりまして、これが実現することによってまた経営面でもいろいろと活力がふえてくるのではないか、こういうことを考えているわけでございます。  それから将来の見通しを数字的に、こういう問題でございますが、これは、先生にこんなことを申し上げるのは失礼でございますけれども、いろいろ金利が、将来、先高の場合とか先安の場合とかによりましてリース会社資金調達を長短いろいろミックスいたしまして、いわゆるALMと申しますのですか、ということをやるわけでございますので、いろいろな情勢にもよりますので一概に幾らというのを申し上げにくいわけでございますが、私どもといたしましては、業界の努力にもよりまして投資家の信用を得ていけば、少なくとも数年後にはリース業界全体で一兆円程度には到達できるのではないか、その後さらにいろいろな努力によって逐次このウエートが高まっていくことを期待している、こういうことではないかと思っております。
  15. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 引き続いて青柳小山参考人にお伺いをするわけでありますが、では、この法律が制定をされ施行された後には実際どういう動きになるかということでありますが、先ほど参考人が言及された中にもそのことが含まれていたわけでありますけれども、投資家は新たな高利回り商品を選択する、その幅がふえるわけですね。また、リースクレジット会社は低コストの有利な資金調達を可能にするということで、経営の安定に資するということでありますし、銀行の方は優良な顧客が少しお金を借りてくれなくなるということでありますから多少渋い顔ということかもしれませんが、いきなり大きくシフトをするという話でもないということを今伺いました。  そこで残るは、先ほど安彦先生の御指摘にもあったわけでありますが、ユーザーの方々に対してどういう利便を提供するか、こういうところがやはり私ども考えてみて非常に大事なポイントにもなってこようかと思います。ユーザーの方が、言ってみれば安い金利で設備投資ができる、あるいはクレジットで買い物をするときにその条件が改善をされる、なかなか難しい話のようにも思うわけでありますが、そのユーザーに対する利便供与と申しますか、その部分についてどのようにお考えであるかということについて、改めてお伺いをいたします。
  16. 青柳忠一

    青柳参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  先ほど私の意見陳述の中にもございましたように、今回のこの資金調達手段によりまして、従来よりも調達コストの安い資金が調達できるということになりまして、結果的に全体としての調達資金コストが低下するということになりますれば、先ほど安彦先生からも同様の御意見がございましたが、その一端を我々のお得意先であります一般消費者に還元するということを考えなければならないのは当然でありますし、またそういうふうに実行してまいらなければいけないというふうに考えております。
  17. 小山実

    小山参考人 これまでのリース会社は、先ほど申し上げましたように、間接金融に全面的に依存しておりました。本法の制定によりまして、投資家から直接資金を調達することによりまして、資金コストがある程度下がるということが期待されるわけでございます。これはリース会社間の競争を通じまして、リース料の低下ということで、サービスの向上等種々の方法で還元されていくと思われますし、リース業界もその方向で努力する考えだろうと思っております。
  18. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 大変ありがとうございました。  それでは次の質問に移らせていただきたいわけでありますが、小山参考人にお伺いをいたします。  先ほど陳述の中でも言及をなさっておられたわけでありますが、リース業はほとんどの皆さんが貸金業も同時に営んでおられるということでありまして、バブルは崩壊をしてもう過去のものになったという表現もありますけれども、しかし、率直に言って社会の中には、リースと聞くと、ああ、あのバブルの担い手だった、そういうイメージというか印象もまだ色濃く残っておるというのは、紛れもない事実だろうというふうに思うのですね。  そこで、低コスト、良質の資金を直接調達ができる、いろいろな自己規制なり法律規制があるということでありますけれども、いわゆるお金を貸す部分にやはりそのお金が回っちゃうんじゃないか、あるいは投機的取引に再び行ってしまうんじゃないか、やはりそういう疑いと申しますか、心配が社会の中には色濃くあるということでございまして、いや、決してそういうことではないんだということを改めて強調をしていただきたい、また、そのことの防止策について言及をいただきたいというふうに思います。
  19. 小山実

    小山参考人 リース業界業務多角化の一環といたしまして貸し金業務を行っておるということは先ほども申し上げたわけでございますが、それがいろいろな問題を起こしまして社会的に大きな問題になっているということも、我々業界としても十分痛感しているわけでございまして、私どもリース事業協会といたしましても、再度にわたる土地融資についての自粛申し合わせでございますとか、それから信用リスク管理についての申し合わせ等をいたしまして、今後再びこういうことのないように監督官庁の御指導を受けながら努力していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、債権譲渡によりまして調達いたしました資金がそういう方面に流れないように何か具体的お歯どめなり決意があるか、こういう御質問だと思いますが、それはこの法律案によりますと、その債権の譲渡計画におきまして、特定債権の譲渡総額が特定事業実施のために必要な限度を超えることのないように通産省で審査をされる、こういうことになっているようでございます。また、この債権譲渡方式によります調達資金リース業以外に流用されないように、法の第十条に基づく報告徴収等も含めて、十分事後の監視をされるというふうに伺っているわけでございまして、私ども業界といたしましても、この法律趣旨を十分に尊重して実施してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  20. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 大変ありがとうございました。  今参考人から譲渡計画という言葉が出たところで、それに関する質問に移りたいわけでありますが、小口化された債権の安全性に関する情報公開の問題、これは非常に大事なテーマだなというふうに思います。まあこういうことは実際には起こらないのだろうというふうに期待はするわけでありますけれども、しかし、優良な債権は優良な債権で束ねられてしまう、そして逆に、ちょっと怪しい債権、不良な債権を多く集めて譲渡をしてしまう、こういう危険性も考えによってはなくはないなということなんですね。  そこで、小口化債権の安全性の評価ということは非常に大切でありまして、譲渡計画を出していただいて、それを通産大臣が審査をするということでありますけれども、昨日も実は通産省の方に伺ったわけでありますけれども、この審査に対して十分ないろいろな意味での情報、基本的な情報というものが提示をされるかどうかということ、そしてそのことも含めて、業界としてどう投資家に対して情報公開を担保するのかという問題について、恐縮でございますが、青柳小山参考人にお伺いをいたしておきたいと思います。
  21. 青柳忠一

    青柳参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  私どもといたしましては、投資家保護観点から、過去のリスクの発生状況あるいは商品内容について十分な情報提供することがこの法律趣旨であるというふうに理解をいたしておりまして、そういう点、業界といたしましても最善の努力を行っていかなければならないものであるというふうにまず考えております。  あわせて、今回の法律におきましては、小口債権の安全性の評価が一般投資家においてはなかなか困難であるということもございまして、事前に、先ほどお話がございました譲渡計画の届け出をいたしまして、通産省がその債権等の内容を審査していただくシステムになっているということでございます。  さらに、小口販売業者は小口債権譲受業者等に関する詳細な書面を交付することを義務づけられておりまして、譲受業者はまた投資家の求めに応じてその業務及び財産の状況につきまして書面を閲覧させる義務を持つというふうに理解をしております。そうしたことを通じまして、業界といたしましては、投資家に対して十分な債権内容に関する情報公開を行うことが必要であり、また可能であるというふうに考えております。
  22. 小山実

    小山参考人 情報公開につきましての法律の側面は今青柳参考人が申されたとおりでございますので、重複を避けるために割愛させていただきまして、リース事業協会といたしましても、法律趣旨にのっとりまして適切にその情報公開についての義務を履行してまいりたい、こういうふうに考えております。
  23. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 時間が参りましたので、幾つかまだ聞きたいこともあったわけでありますけれども、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。  どうかひとつ両業界におかれまして、自重自戒をしていただくところは自戒をいただき、また、正々堂々と日本産業発展のために頑張ろうというふうな気持ちを十二分にお持ちをいただきまして御活躍をいただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
  24. 武藤山治

    武藤委員長 和田貞夫君。
  25. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 御三人の参考人の皆さん、御苦労さんでございます。  私は日本社会党の和田貞夫でございますが、党を代表いたしまして、御三人の参考人の皆さん方にこの際御質問を申し上げたいと思います。  昨日より、本委員会に提案されております特定債権等に係る事業規制に関する法律案を審議してまいっておるところでございますが、昨日も多くの皆様方から御意見が出ておりまして、また今青柳小山参考人の方からも述べられておったわけでございますが、この法律ができて両業界に新しい資金調達の道が公にできるということ、しかもそれが銀行の貸し付けよりも低コストのものである、極めて良質な資金だということであります。  この一つの点として、せっかくできた新しい資金が、バブルで両業界に問題のある債権が、負債が滞っておるというそういう業者もあるわけでございますが、仮にそのような資金がそのようなところに回されるというようなことがおったり、あるいはせっかくの資金を本来の業務に使うというのじゃなくて、兼業をなさっておられる金融の面に、貸し付けの面にその資金が回って再びこのバブルの原因を生み出すというようなことがあってはならないと私は思うわけでございますので、この機会に、せっかくの場でございますから、この法律施行に当たって、業界国民の皆さん方に、この場でそのようなことがないということをぜひともひとつ約束をしてほしいというふうに思うわけであります。  もう一つは、先ほど安彦参考人の方からも述べられておるわけでありますが、皆様方のこの法律によるところの得た利益というものを企業の中に、業界の中にとどめておくというのじゃなくて、これも昨日来、各委員の方から行政の方に意見を開陳しておったわけでございますけれども、特にリースの料金を引き下げて中小企業の皆さんの設備投資にそういうサービスを強めるとか、あるいはカードの手数料を引き下げて消費者の皆さんに少しでも還元するというようなサービス強化の面にも二点目としてぜひとも努力をいただきたいな、こういう気持ちがあるわけでございますので、御両人の方からこれらについてひとつお話し願いたいと思います。
  26. 青柳忠一

    青柳参考人 ただいまの先生の御質問に対してお答えを申し上げます。  まず、調達された資金クレジット本業以外に回ることはないのかという点に関連いたしまして、この方式によりまして調達された資金が、ただいまお話のありましたようないわゆるクレジット本業以外のものに回るということは決してあってはならないというふうに考えております。今度の法律の六条に規定された内容を見ますと、クレジットの取扱額を超えないようにとの考え方が示されておりますし、また債権の小口化による資金調達クレジット会社の保有する資産譲渡することによって資金調達を行うものでありますから、調達後に当該企業資産はそれだけ減少し、これに伴い金融機関からの借り入れもあわせて減少するということになるわけであります。このためクレジット会社といたしましては、本業以外の業務に回す余剰資金が生まれるようなことはないというふうに確信をいたしております。  また、この資金調達方式によりまして少しでも低廉なコスト資金が調達された場合には、先ほども逢沢先生からも御質問がございましたが、これを消費者に還元していくという基本的な方向というものは当然考えなければならない、また実施しなければならないというふうに思っております。
  27. 小山実

    小山参考人 お答え申し上げます。  まず第一点の、この制度によって調達した資金がまたリース以外のところへ流れる心配はないのかという点でございますが、これにつきましては、この法律の規定によりまして譲渡計画あるいは報告徴収等を通じまして通産省で厳重に審査あるいは事後監視をされるというふうに伺っておりますし、また業界としてもこの法律趣旨を十分尊重してまいる所存でございますので、そういうリース以外のところに資金が流れることはないというふうに確信をいたしております。  また、調達コストの低下に伴って、その利益リースユーザーに還元すべきであるという点でございますが、この点につきましては、リース会社間に非常に激しい競争が日常行われているわけでございまして、その競争を通じまして資金コストの低下分をリース料の低下なりサービスの向上等種々の方法で還元されると私どもは思っておりますし、また業界も努力するだろうと思っております。
  28. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 小山参考人にお尋ねしたいと思います。  大蔵省の方も、先月末の日経新聞にも、貸金業法の改正をやって、という記事が出ておりましたが、リース業の中に、いわゆるバブル経済時代に安易な貸し出しをやった結果、利払いの滞った、先ほども申し上げましたように問題債権を抱えておる、そういう業者が急増しておるというようなことを聞いておるわけでございますが、業界としてそのような経営が悪化しておる業者というのはどのような実態にあるというように把握しておられるのか、おわかりでしたらひとつお話し願いたいと思います。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
  29. 小山実

    小山参考人 リース会社の、特にリース以外の貸し金業務のためにいろいろな影響が出ている実態を協会としてどのように把握しているかという御質問でございますが、私ども別に避けるつもりはございませんが、協会といたしましては、これは実はリース業の健全な発展を図るということの協会でございまして、この面についてそういう会員から情報をとるということが非常に難しい点もございまして、ただ新聞等でいろいろ大蔵省がお調べになった結果等を拝見して、なるほどこれは大変なことだなということを感じているというのが現状でございます。  申し上げるまでもないことでございますが、新聞等の情報によりますと、大蔵省のお調べになったところでは、九一年三月末の貸金業者二万八千の融資残高が九十八兆円、上位三百社の融資残高が約六十五兆円で、うち建設、不動産向けは約二十七兆五千億円で全体の四二%である。また、上位三百社の延滞率は、九一年三月末で三・八%であったのが九月末で九・七%になったという程度のことは知っておるわけでございまして、この三百社のうちに我が協会会員がたしか四十一社ですか入っておるという状況でございます。
  30. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 両業界共通するところであると私は思いますが、こういう場で言いにくければいいわけですが、今後ひとつぜひとも業界として努力をしてもらうことによって企業倫理をレベルアップすることに通ずるわけでございますので、業界に参加しておられるそれぞれの企業の不良債権の発生件数であるとか、あるいはどの程度の債権額があるのかというような点を把握してもらう努力をやっていただくことによって、両業界の健全な発展ということにも通ずるわけでございますので、ぜひともそのような観点に立ってひとつ努力してもらいたいな、私はこういう気持ちであるわけでございますので、青柳参考人小山参考人、ひとつお答えいただきたいと思います。
  31. 青柳忠一

    青柳参考人 お答えをいたします。  不良債権というものをどう考えるべきか、またそれを具体的につかんでそれに対する対応を考えるべきであるというお話でございます。  不良債権ということにつきましてはなかなかはっきりした定義がないわけでございまして、どういう範囲を不良債権というか。また業界といたしましては、不良債権というより遅延債権あるいは延滞債権というようなことで、それぞれの各社がそれなりの判断をいたしてやっておるという面がございます。もちろん一般的に見ますと、例えばクレジットカード等におきましては、三カ月以上の延滞があるというような場合にはまさに延滞情報というようなことでこれを信用情報センターに登録をするというようなこともございますが、なかなかそういう意味におきまして不良債権の額ということを確実につかむことは非常に難しいのでございますが、しかしながら、業界の動向がどういうふうになっているかということ等をも含めまして、そうしたもののできるだけ確実な情報業界の団体であります協会といたしましてできるだけつかむよう努力はいたしてまいりたい、このように思っております。
  32. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 青柳参考人にひとつお答えいただきたいと思うのですが、先ほどもおっしゃっておられましたけれども、弁護士安彦先生は安彦先生なりの多重債務のその原因、業界の皆さんは業界の皆さんとしてのそれなりの、なぜ多重債務が発生するのか、その原因というものをそれぞれ述べておられるわけでございますけれども、もう一度、ひとつ青柳参考人の方から、クレジット業界として多重債務の起きる原因、それがもとになって非常に市民の皆さん方が多く法律に基づいて宣告を受けて、そして自殺をされるというようなことも起きてくるし、それから大変な事態に追い込まれるという方もふえていくわけでございますが、そういう原因をしかとどのように受けとめておられるのか。あるいは、それをなくすためには業界としてどういう努力をしようとしておられるのか。一部新聞紙上で、多重債務問題多発防止の方向でクレジット産業協会一つの案を持っているというようなことも新聞には載っておりましたが、これを含めて原因をどういうふうにとらえておるのか、予防策をどのように考えておられるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  33. 青柳忠一

    青柳参考人 お答えを申し上げます。  まず、多重債務の原因は何かということでございますが、これはなかなか多重債務の原因はこれであるという具体的な提示は非常に難しいわけでございまして、単にクレジットカードの使い過ぎ、あるいは利用し過ぎというようなことだけにとどまらず、いろいろな原因が考えられるわけでございまして、日本クレジットカウンセリング協会という協会がございまして、いわゆる多重債務になりまして返済ができなくなってきたというような人たちがこのカウンセリング協会に参りまして相談をするというケースが、最近相当ふえてきておるわけでございますが、その相談者のなぜ多重債務になったか、払えないようになったかという原因の調査と申しますか、そういうようなこともカウンセリング協会としてはやっておるわけでございますが、それにも、はっきり申し上げまして各個人個人によりましていろいろな違いがあるわけでございまして、極端な話、生計費に困って借りてきたということが一つの発端になってそうなった、あるいは病気等による事故によってそういったものが出てきたというようなことももちろんあるわけでございますが、しかしまた、特に若い人たちなどにおきましては、飲食費に使う金がだんだんふえてきた、あるいは、やや高級品、奢侈品等の購入ということによってふえてきた、あるいはさらに、旅行その他等によって借り入れあるいはクレジットがふえてきたというようなことでございまして、むしろ若い人たちには、そうした生計費の関係というよりは、むしろ今私が申し上げましたような点からだんだんと借り入れがふえてくるというようなことが間々あるわけでございます。  そうした個人の支払い能力を超えた債務を負うということにつきましては、これは基本的には消費者の自己責任に帰すべき問題であるということもございますが、しかし、クレジット提供を行うクレジット産業クレジット業界におきましても、クレジットにこのような側面があるということを十分認識をいたしまして、常に健全な利用が行われるよう配慮することが当産業にとっての責任であるというふうにも考えておるわけでございます。  このようなことから、協会といたしましては、先ほども意見陳述のところで簡単に申し上げましたが、こうした多重債務者の発生防止等につきまして従前から取り組んでおりまして、特に昨年あたり、そうした多重債務者等がふえてきているというようなこともございまして、昨年の十一月、当協会理事会におきまして、具体的なこれに対する対応策といたしまして、クレジット業界におけも多重債務問題対策の実行計画というものを決定いたしまして、現在これを推進中でございます。  その具体的な内容といたしましては、先ほども少し触れましたが、与信精度向上のための信用情報機関への登録情報内容の充実、特に残高情報を登録するということでございます。これは、この六月までに金融商品についての登録を行いました。さらに、来年の六月までにその他のすべての商品についての残高情報を登録するということにいたしております。  もう一つ、先ほども触れましたが、信用照会端末機等によりまして、販売時点において信用照会システム整備してまいりまして、そうした信用承認のシステムを整備拡充していくということでございます。     〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕  次に、多重債務者防止対策の緊急対策といたしまして、特にクレジットカード発行という面につきましても、いろいろな御意見もございますので、クレジットカード発行における適正与信体制整備ということで、その運用面の改善を早急に図るということから、新規入会者の初期利用限度額の引き下げ、さらに若い人たち、若年層に対する利用限度額の設定、これは一般の人たちよりもさらに低い限度額を設定するということでございます。それからさらに、途上与信の導入、これはカードの更新というようなときに、それまでのクレジットヒストリーあるいは属性の変更、変化等を加味いたしまして、与信限度額の引き下げあるいは場合によっては引き上げというような途上与信制度の導入ということでございます。さらに、クレジットカード会員の募集に当たって過度な勧誘等を慎むことというようなことをいたしまして、多重債務者発生の防止に特にこれから一生懸命にやりたいというふうに思っているわけでございます。  また、一般的に消費者に対する広報活動といたしまして、今回新聞紙並びに雑誌等に、「クレジットはあなたの信用です。ご利用は無理なく計画的に。」という標語を掲載いたしまして、上手に計画的にクレジット利用していただくという面での啓発に努めることにいたしておりまして、近々この広報活動実施することにいたしておるわけでございます。  また、高校生等に対しまして、協会といたしましては昭和五十九年から、こうしたクレジット教育というものは若い時代にやらなければいけない、特に高校生に対してそうしたものが必要であるということから、既に八年間にわたりまして学校教育の一環としてのクレジット教育ということで、高等学校の御協力も得まして、クレジットの仕組み等を正しく理解してもらうよう、副読本の作成あるいはビデオ等の作成等によりましてその教育を先生方にお願いし、また先生方の勉強会というものも再三にわたって開催して、今日に至っております。そういうことで、今後私どもとしては、一層多重債務者の発生防止に努力いたしたいと思っております。  以上でございます。
  34. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 多重債務が原因で若い人たちが数多く破産宣告を受けているというような現象はぜひともひとつ食いとめるために、業界挙げて努力してもらいたいと思うのです。今もおっしゃっておったわけでございますが、確かに消費者みずからの安易な考え方もこれは認めざる得ませんが、業界が無選別融資をやったり過剰融資をお互いに競争してやっていくというようなそういうことをやはりひとつ戒めていただきたいと思いますし、何を差しおいてもクレジット業界の皆さん方が加盟店との契約を締結する際に、その加盟店の希望者が一体どのような経歴を持った、どういうような実態を持った者かということを的確に調査をして把握をして提携をしてもらいたいと思いますし、また、その提携後におきましてもその業態というものの追跡調査をやるということを常に心得てもらうことがその予防策の柱になっていくんじゃないか、こういうように思いますので、ぜひとも今述べられた決意によってひとつ努力してもらいたいということをつけ加えておきたいと思うわけであります。  小山参考人にお尋ねしたいと思いますが、銀行業界は昨年来より、あのスキャンダルが起こった結果、業界挙げて営業の最優先、利益至上主義というものについて反省する、そして人事考課の見直しということが業界の首脳から国民の皆さんにマスコミを通じて約束されておるわけです。そして、銀行の本来の姿に戻るということを反省の中から約束されておるわけですね。  リース業界としてもあるいはクレジット業界としても、審査体制充実促進ということも含めて、ぜひとも銀行業界と同じようなことを、バブルの一環を担われたというそういうこともあるわけですから、この際ぜひともそういうような国民の皆さんにお約束するということが必要じゃないかと思うのですが、お二人、どうですか。
  35. 小山実

    小山参考人 御指摘のとおり、リース会社金融緩和期に貸し金業務が拡大いたしまして、種々の問題が発生いたしまして、社会的に批判対象になっているのは事実でございます。  この点につきましては、我が協会といたしましても、土地対策趣旨を踏まえまして、平成二年十二月以降二度にわたりまして土地関連融資自粛申し合わせを行いまして、いやしくも土地騰貴を来すようなおそれのある融資については行わないということ、それからあと、不動産業、建設業向けの融資残高を監督官庁でございます通産省に報告をする、こういう申し合わせを行いまして、会員一同にその周知徹底を図ったわけでございますが、さらに、先生も先ほど御指摘のありましたように、例の預金担保貸し付けについての架空預金の担保という問題がありまして、証券・金融業界等でいろいろそういう動きがあったわけでございまして、それに倣いまして私どもの協会におきましても、昨年の八月に信用リスク管理検討委員会というのを設けまして、信用リスク管理上の問題点と今後のあり方についての取りまとめを行いまして、会員各社におきまして信用リスク管理体制の一層の充実強化を図るべく具体的な活動を推進してきたわけでございまして、具体的には業務運営姿勢とか体制を見直すことを促進する、それから職員の教育月間を設けるとか、あるいは研修事業実施するというようなこと、あるいは反社会的な行為に関与することを排除する、あるいは信用リスク管理検討委員会常設化いたしまして、お互いにこの種の問題について情報の交換をしようというようなことの活動を推進してきたわけでございまして、大きく申しますと、御指摘のようにリース会社リース復帰と申しますか、本業に立ち返って真剣に業務を行っていこう、こういうことをやっているわけでございます。
  36. 青柳忠一

    青柳参考人 クレジット業界におきましても、ただいま小山参考人が申し上げたと同様のことでございますが、大変金融緩慢な時期におきまして、クレジット業界の一部におきまして、先ほども申し上げましたが、事業融資を行ったというところがあることはまさに事実でございます。しかしながら、クレジット業界は本来、消費者に対する与信というものが本来業務でありまして、そういう意味におきましてまさに本業に返るということで各企業自粛自戒をしているところであるというふうに思っております。協会におきましても、この問題に関連いたしまして融資業務の再点検についてということで通産省の御指導もいただきまして、各会員に対して今後かかることのないよう十分なる注意を喚起いたしておるわけでございまして、その点については誤りなきを期したいというふうに思っております。  以上でございます。
  37. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 先ほど申し上げましたように、信用情報会社をオンラインでつなぐ通信端末機、CATというらしいのですが、これがしかし、皆さん方の方と契約しておる契約販売店の方に設置されてないところがたくさんあるわけです。それは販売店が設置したらいいんだ、販売店が悪いんだというようなことじゃなくて、やはりクレジット業界とそういう契約店と双方が分かち合って、いつも情報が正確にあなたの方が把握できる努力をぜひともやってもらいたいということをつけ加えておきたいと思うわけでございます。  そこで、安彦参考人にお尋ねいたしますが、そのようなCATの設置を完全にされた、こういうことになってもなお問題点が残りはしないかということについて、第一点としてお尋ねしたいと思います。  第二点は、クレジット契約による被害実態と先生の立場に立った予防策、被害実態をどのように把握されておって、そして、先ほども少し述べていただきましたが、もう一度ひとつ先生としての予防策をお聞かせをいただきたい、このように思います。
  38. 安彦和子

    安彦参考人 お答えいたします。  第一点なんですが、各企業にこの端末機を置いてもなお問題が残るかという点からお答えいたします。  恐らく、端末機を置くことによって、現在の状況をかなりの程度で、今のこのクレジットトラブルというものについては防げる、効果が上がると思いますけれども、なおかつ残る問題があると思います。その理由というのは何かといいますと、私、いろいろなこのクレジットトラブルを通して考えてみるときに、やはり端末機があってなお問題が解決しないのじゃないかという点を申し上げさせていただくのですが、どういうことかといいますと、業者の中に、大変多重債務に陥っているにもかかわらず貸し付けるということが行われているわけです。  実はきのうある女性から泣き声で訴えてまいった電話がありました。どういう電話かというと、クレジットとキャッシングをした方が多重債務に陥りまして、今業者が帰ったばかりだけれども、三十分ほど業者の社員二人が来て、そのうちの一人がたばこをくわえながら、返せ返せ、お金がないと言っても、お金を受け取らない限りは、子供の使いじゃないんだから立ち去らないと言って約三十分座っていた。そこで、その本人がどうしようもなくて、私は一円もお金がない。きょうとあすの食費が五千何十円があったんですって。そうしたら、その五千円をよこせと言って持って帰ったんだが、あと千三百五十円足らないからすぐ送れというようなことで帰っていったということで、半分泣きながら、声が震えるばかりの訴えがありまして、こういう訴えは、実は私のところに大変あるのです。弁護士のところにもあるのだから、どんなに本人のところにあるのかなと想像するわけですけれども、なぜこういう行為が行われるかというと、私が業者と長話してわかることは、多重債務に陥っても貸し付ける、そういうような行為をとる会社ほどカードを簡単に発行しているのですね。  カードを発行するときにどれだけのチェックをなされたのかなということで、多重債務に陥っている人にカードを発行するときに、いろいろ私がお聞きするわけだけれども、申込書に署名捺印して必要事項を書いて投函するとカードがすぐ送られてくる。そういう簡単に貸すところほど大変取り立てが厳しい。長話の中に、多重債務に陥ったってブラックリストに載っていたって返せばいいじゃないか、そんなのうちでは関係ないよと言う業者もたくさんいて、この現象は、バブル経済がはじけた後から非常に多いわけです。そこで私が感じたことは、とにかく多重債務者でも何でもいいから貸し付けるのがまず先決である、後は手荒でも何でもいいから取り立てるのが勝ちであるというふうに私の方は感じ取るわけです。  そういうわけでして、こうなりますと、本当は貸金業規制法でこういう禁止行為があるにもかかわらずやられているとなりますと、端末機で今債務がかなり多額であると知っていても貸す。者があるのではないであろうか。  そうなると何が大事かというと、先ほど消費者教育をするというのも予防の一策であるということを先生はおっしゃいましたけれども、私の方もそれは大賛成なんだけれども、その反面、企業倫理の方についても、企業の方も教育、企業教育というのでしょうか、企業倫理の向上を図ってもらわなければ本当の解決には結びつかないのじゃないのであろうかなというのは、これが私が常々思っているところの感じ方でして、実は私のところにいます事務員も、私が留守のときに業者の方からおどしかかかってきて、とうとう神経性胃潰瘍になったというようなことで、とてもたまらないからやめさせてもらいたいなんとまで言われたぐらいですから、やはり中には相当企業倫理について指導をいただかなくてはいけないので、端末機を置いてもなお残る問題があるであろうというのが私の感想でございます。  次に、多重債務の原因とそれから予防策でありますけれども、クレジット債務については、ちょっと多重債務よりも大きな幅、広い幅で意見を申し上げさせていただきますと、クレジットトラブルは、先ほど申し上げましたように二つの系列に分かれるのです。一つは、悪質な販売業者で、結局はクレジットを組まされて高額商品を売りつけられる。例えば、無料体験をしませんかなんというチラシでエステティックサロンに呼び出して、それで五十万、百万円というクレジット契約でエステ契約をさせるとか、そういうようなのがもう数限りないわけです。そこで、悪質な販売業者との業務提携、加盟店契約から発生している部分、これはどうしても、先ほど和田先生がおっしゃいましたように、提携をするときにしっかり調査をし、それから業務提携、加盟店契約の後も常にやはり調査をしなくてはいけない、これが予防策だと思うのです。  それから次に、この多重債務については、この原因をまず述べますと、消費者側が安易だ安易だという言葉は方々から聞かれますし、一部は当たっているのです。しかし、安易という言葉を余り重視してほしくないのは、一番最初にカードを発行するときになぜ発行したかといいますと、大変巧妙なあおり行為がある、巧妙な勧誘がある。  それについて私が一番胸を痛めたのは、実は昨年、平成三年度、私は、消費者教育の通信講座のテキストを書いているのですが、そのときに、昨年はクレジットに関するテキストを書きまして、前編は基礎知識、後半は若者が多重債務に陥っていく物語を書いて、そのケースを通して生徒の皆さんに感想を書かせたわけです。そうしたら、その感想の中に、この多重債務に陥る若者は非常にわかる、なぜなら、あるところに買い物に行ったら、カードを使ってみませんかと追ってくるとか、自分は要らないと言ってもぜひ使ってくれというような勧誘を受けたという方が多数いらっしゃいます。  それから、多重債務に陥っている若者のかなりの部分が高級車を持っています。なぜあなたは高級車を買ったのかとお聞きしますと、非常にそれもうまい。外車を買いなさい、今八百万円のところを半値にまけるとか、非常に格好いいとか、若者にしてみれば欲しくてたまらないような宣伝効果がありまして、そういうものについ引かれる。だから、安易という中にもやはり巧妙な宣伝とか勧誘が入っているということを御理解いただきたいと思うのです。そこで、そういうカードを一度手にいたしますと簡単に限度額内で買い物ができますので、その次に今度は、何とかなるということでカードを積み重ねるわけです。
  39. 武藤山治

    武藤委員長 簡単にお願いします。
  40. 安彦和子

    安彦参考人 私の統計によりますと、前半三分の一は本人がそういうふうにしてカードでクレジットいたしますけれども、三分の一以降は、先ほども申し上げましたように多重債務の約三分の二は業者に返すために借りている。なぜか。取り立てが厳しいからだというところも御理解いただいて、実は、実際に使った三分の一は自分であるけれども、約三分の二はそういうようなことである。それも安易といえば安易かもしれないけれども、早期に私たちのところに泣き込んでこれないのは、督促が来る、おどしが来るということで、せっぱ詰まってついつい他社に走るということになっているのが現実であります。
  41. 武藤山治

    武藤委員長 簡単に願います。
  42. 安彦和子

    安彦参考人 そういうことで、予防策といたしましては、勧誘とか宣伝文句をもう少し、先ほど青柳先生がおっしゃったようなことを現実化するまでお願いしたいというのが私の意見でございまして、基本的にはやはり消費者側、それから企業側もそれぞれに根本的に考え直さなくちゃいけない、生き方というものを考えなくちゃいけない。お金を使うという、あるいはお金を貸すという企業倫理、それから消費者の経済観念を堅実に育成するようにやはり徹底して教育し直さなくちゃいけないのじゃないかというのが私の意見でございます。  どうも失礼いたしました。
  43. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ありがとうございました。
  44. 武藤山治

  45. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私は、まず青柳参考人小山参考人の御両人に対してお尋ねしたいと存じます。  この法案を拝見いたしますと、業界としては大変多くの資金間接金融ではなく直接金融で受けることになるわけでありますが、それによる利益、率直に言わせていただきますが、金利が下がるわけでありますから、仕入れのお金、資金の配分がどちらの方向に行くかはかなり問題でございます。ところが、先ほどからおっしゃっておりますのは、青柳参考人は調達資金コストの低下によってリースクレジット料の値下げということは言及されましたけれども、今度は投資家がもうけられるかどうかについては言及されませんでしたし、この法案の中にあります譲受業者及び小口債権販売業者投資家のもうけるものについても言及されませんでした。ここに登場するのは、債務者と同時にリースクレジット会社、譲受業者、販売業者、投資家と五通りあるわけであります。一体だれに重点を置いてその利益を配分しようとされているのか、きれいごとを言っても始まらないのでございまして、どこに重点を置いておやりになるのか、先ほどからの御説明では全く明快ではございません。その辺を率直にお答えいただきたいと存じます。
  46. 武藤山治

    武藤委員長 青柳参考人、簡潔に御答弁願います。
  47. 青柳忠一

    青柳参考人 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。  先ほど私は、この方式によりまして資金調達が従来よりも低廉に行われる、その結果、総調達資金コストが安くて済むということになりますれば、全部と言えるかどうかわかりませんが、その相当部分を消費者に還元していく、いわゆる手数料の引き下げという形になってあらわれるということを申し上げました。  ただいまのお話では、投資家はどうであるか、こういうことでございますが、投資家に対しましては、従来投資家資金運用をやっておる場合よりもやはり何がしか運用利回りがよろしいというようなことでなければ実際問題としてなかなかこれをお買い求めいただけないということになろうかと思いますので、そこのところは大変難しいところですが、企業といたしましては、やはり従来金融機関から借り入れております金利等に比べまして何がしか安い、しかしそれは投資家の運用という面からいったら従来の運用よりも何がしかよろしいというところをねらった利回りが提供されるのでなければならないというふうに考えますので、それが大口定期預金等に比べて何がしかよいというようなところになりますかどうか、この辺はもう少し実際の運用の面で考えなければならない問題だと思いますが、お話しのように、消費者に対して全体としてのコスト低下という面の利益還元を考えると同時に、やはり投資家に対して一応、うまみのあると申しますか、従来の資金運用よりプラスになるようなことで考えなければいけない、このように思っております。
  48. 小山実

    小山参考人 先生御指摘の、まあこれは関係者が多数おられるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど来御説明いたしましたように、一つは、これで長期安定して比較的有利な資金調達ができれば、それはリース業界の競争を通じリース料の低下なりサービスの向上ということに還元されるであろうということを申し上げたわけですが、もう一面におきまして、やはりこのねらいの一つは、投資家にとっても有利な投資物件を提供するということにあるわけでございますので、投資家の皆さん方にとってほかの投資物件に比べて魅力がなければこの制度は何ら効果を生まないわけでございますから、そういう意味では投資家にもある程度のものは還元されるであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  あと、譲受業者と販売業者、これはそれぞれ、事業としてやられる分には若干のメリットがなければ販売業者も売ってくれないかもしれませんし、それから譲受会社、これはかなり特定業者と関係の深いところができるという場合もありますので余り大きなことは必要ないかもしれませんが、しかし、それはそれなりに、やはり健全な企業体でなければ、またそれに対する債権というものは非常にリスクがあるわけでございますから、それ相応の還元も要るということだろうと思いまして、それぞれに皆さん方がある程度収益を分け合って新たな幸せな経済発展ができることを期待している、こういうことではないかと思います。
  49. 渡部一郎

    渡部(一)委員 伺えば、みんなに全部お金を分配して、みんなが幸せに生きたいというお話ですね。結構なお話だと存じますが、さっきのお話とは大分話の中身が違いますね。こういう姿勢が問題だと私は思うのです。ということは、あなただけもうかりますよと言ってだまかしてはお金を集める、そして業界がやっていくというのは後々いい結果を招かない、私は、その意味で当業界は非常に深刻な状況にあると思うのですね。  もう一つの問題を取り上げますと、安彦参考人が力説されていましたように、多重債務と過剰与信で日本の庶民は大打撃を受けておる。その大打撃を受けている決着は、救済する方法としてはもう自己破産しかない、端的に申しますとそれしかない。皆様方が反省をなさらないならば、業界として対策をおとりにならないならば、我々は、政党として個人破産推進本部をつくって、徹底的に自己破産をして二つの業界をたたきつぶすしかない。そうしなければ皆様方は全然自分でやらないんだもの。口だけはうまいことさんざんさっきからおっしゃったけれども、僕は、この数日間、おたくの業界をいろいろ調べれば調べるほど物すごい。ということは、節度のない商売をやる癖がもう骨の髄までついてしまって、そして今度は、骨の髄までついた業界が、もうからないからというので、間接金融を直接金融に取りかえて、またもうけを獲得して、そしてまた頑張ろうというのでしょう。これはもう恐るべき背信行為と言わざるを得ない。しかも、全部やっておられることが合法的ですね。  ですから私は、皆様方が自己破産の件数がふえてきたのをじいっと見ていて、消費者教育はだれかがやるみたいに思う、小学校がやるべきだとか、中学校がやるべきだとか、高校がやるべきだとか。そうじゃないのです、自分がやるべきじゃありませんか。自分がやらないでおいて、日本政府がやるべきだとか、通産省がやるべきだとか、大蔵省がやるべきだとか、小学校がやるべきだとか、中学校がやるべきだとか、社会教育がやるべきだとか、弁護士がやるべきだとか、まあいろいろおっしゃっているのと同じことをさっきから述べておられる。深刻な謝罪と深刻な決意と、そして単に言葉でない実行をこの場で約束しなければ、あなた方は、法案は通っても社会的に葬られる存在になるのではないかと私は思うのであります。  あえて私が厳しく申しましたのは、皆様方の御決意を促したいと思って申し上げたので、言葉じりの悪い点はお許しをいただきたいと思いますが、御決意を端的に述べていただきたい。やるのかやらないのか、今後どうするのか、庶民にこれほど打撃を与えたのをどうするか、そこを端的に述べていただきたい。長い説明は必要でない。そして、現在の過剰与信、猛烈な自己破産の波をどう対処して切り詰めていくか。三年以内に正常化するなら正常化すると言ってもらいたい。そうでなかったら、我々は、新規立法をつくって二つの業界に対して処分するしかない。そのきっかけになるだろう、当委員会の審議は。私は優しく申し上げておるのですよ、これは。どうぞ。
  50. 青柳忠一

    青柳参考人 お答えをいたします。  ただいまの多重債務者の発生増加、また、個人破産者の増加に対して業界としていかに考えるのかという御質問でございます。  私も先ほどからたびたび申し上げておりますが、業界といたしましても、こうした現実を直視いたしまして、あらゆる対策を講じなければならないということで、先ほど来申し上げておりますような緊急対策を含めて、現在、実質的にこれを実施しつつあるわけでありまして……(渡部(一)委員「効き目が出てない」と呼ぶ)もちろん、これからその効果が出てくると私どもは確信いたしております。(渡辺(一)委員「いつになったら出るのか言ってない」と呼ぶ)ですから、これはもうしばらく様子を見ていただきたいと思いますが……(渡部(一)委員「いつまでかかったらできるか言いなさいよ、そんなこと言うなら」と呼ぶ)現在の状況は、バブル経済の崩壊ということも一つの引き金になっておると思いますが……(渡部(一)委員「そんなことは関係ない、いつまでにやるんだ」と呼ぶ)そういうこともありまして、今後、私どものこの緊急対策を含めた多重債務者防止対策を誠実に実施するということによりまして、恐らくここ一、二年の間に相当の効果が上がるものと確信いたしております。その意味におきまして、ぜひとも今後の効果を見守っていただきたいということを衷心よりお願いいたします。
  51. 渡部一郎

    渡部(一)委員 約束しますね。
  52. 青柳忠一

    青柳参考人 そのとおりであります。
  53. 渡部一郎

    渡部(一)委員 じゃ、どうぞリースの方も言ってください。
  54. 小山実

    小山参考人 現在のところ、我が国リース業はほとんどがいわゆる事業者向けリースでございまして、そういう意味で、消費者の過剰与信の問題というのは比較的少ないわけでございますが、ただ、将来の問題といたしましては、いずれ、特に自動車リース等を中心にいたしまして少しずつそういう消費者向けリースも行われつつありますので、そういう過剰与信とならないような業界としての対策も今後検討をする必要があるだろうというふうに考えております。
  55. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私は参考人に対してがあがあ申しましたけれども、おたくらの業界は危機に瀕しているのですよね。特にリース屋さんの方の態度はよろしくないですよ、あなた。なぜかというのは、貸金業と同じことをやっているじゃありませんか。そして、貸金業と同じようにめちゃくちゃなもうけ方をしたじゃありませんか。リースはきれいだなんていうわけにいきませんでしょう。  ですから、今現実の社会ではどういうことが行われているか。貸金業者から金を借りてパンクするとその債権はリース屋さんに渡す、リース屋さんがパンクするとクレジット屋さんに渡るというのが現実に行われる。だから、顔に向こう傷のある取り立て人がやってくると、どこどこのリース屋さんに頼めば安い金利の金を貸してくれますよと言う、そしてリースした品物をそのまま売り飛ばしてしまう。そして今度は、リース屋さんの債務が滞るとクレジット屋さんにそれを持ち込む、クレジット屋さんがまたそれを抱きかかえる。そして最後のあげくの果ては、ぐるぐる回って怖いお兄さんがおどかしにかかってくる。そんなことばかりやっているじゃありませんか。庶民がどれだけ困っているか、あなた方は現実をごらんにならないんでしょうか。  私はその意味で、業界が自己反省してそうしてやっていかれるのは結構ではあるけれども、その自己反省すると言ったお言葉がちゃんと実行されていないと鉄の輪がはまりますよ。日本政府はのろいように見えるかもしれないけれども、そして、国会議員なんというのは何にもしていないように見えるかもしれないけれども、いよいよになると速いですよ、その対策は。私は、これはおどかしているのではなくて予言をしているのです。それを深刻に反省していただかないといけない。  私は、今度の法律案の中で、問題であった比較的高い金利の金を導入して業界をここまで拡大し、開き、一つの商売を育成してこられた皆さんの御苦労に対しては、それを評価するにやぶさかでないのです。他の銀行や、ほかの業界と同じようなお金を扱えないというのは大問題だから、だからこの法案の意義はある。だけれども、皆様方が切り開いた道のところで出たたくさんの犠牲者に対して、その犠牲者が発生しつつあることについては、ひとつ今後重要な御反省をいただきたい。私は心から希望し、これ以上言うと時間突破いたしますし、あなた方ももうやりきれないでしょうから、本日は優しくこれでとどめたいと思います。  御反省いただきますように心からお願いいたしまして、私の質疑といたします。どうもありがとうございました。
  56. 武藤山治

    武藤委員長 小沢和秋君。
  57. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ではまず、小山参考人の方にお尋ねをしたいと思います。  このリースクレジットと両方の業界とも、不動産投機の資金を大量に提供して、バブルの重要な責任があるということで厳しい批判を浴びたわけでありますけれども、今後そういうことは絶対にないということをここでお約束いただけるのか。先ほど来自粛するという言葉が出てまいりましたけれども、この自粛というのは、行き過ぎはやらないという話なのか、今後もうそういうような不動産投機の資金などは提供しないという意味なのか、ひとつはっきりお答えいただきたいと思います。
  58. 小山実

    小山参考人 私ども、協会におきましては、二回にわたりまして不動産関連融資自粛の申し合わせをしたわけでございますが、特に二回目におきましては二つ内容がございました。一つは、いやしくも土地投機に関連するような融資は行わないようにするというのが第一点でございます。それから、そのあかしと申しますか、その自粛の成果があらわれているかどうかを検証していただくために、定期的に通産省に不動産業向け、建設業向けの融資残高を報告いたします、こういう申し合わせをいたしまして、それを実行しているわけでございますので、自粛するということは、今後やもないようにするという意味だと御理解をいただいて結構でございます。  ただ、全然不動産関係融資をしないのかと言われますと、例えばリースの場合にも、病院でございますとか、店舗でございますとかそういうのを、例えば土地を調達し、それから建物を建て、中に入れる設備機器をリースする、いわゆるパッケージリースと称するものがございますが、これにつきましては、例えば土地の代金はお金を貸します、それから建物の代金は割賦販売というか延べ払いと申しますか、あとの設備、什器をリースする、こういうような形をやっておるわけでございますので、全然土地に関連する融資をやらないというところまで決めているわけではないということも御理解いただきたいと思います。
  59. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私がお尋ねをしているのは、不動産投機の資金はもう提供しないと——うなずいておられるからもうそれでいいですね。  それから次にお尋ねをしたいのは、同じく小山参考人にですけれども、投機資金提供したりしたために経営が非常に苦しくなっているリース会社が随分あるというふうに伺っております。そういう中で債権を小口化して売り出す。その場合優良な債権に限ってそういうことをするんだというようなことを盛んに言われますけれども、それによってある程度カンフル剤を打ったというような効果は出るかもしれないけれども、途中で倒産をしてくるような企業も出てくるんじゃないかと私は思うのです。そうしたような場合に、不測の損害を投資家たちに与えるというような危険を今度の法案の中にはらんでいるんじゃないかと思いますが、この点どうお考えでしょうか。
  60. 小山実

    小山参考人 まず法律の運用に当たりましていろいろな規制があるわけでございまして、一つは、通産大臣に対しまして債権の譲渡計画を届け出て、それについて審査を受けるわけでございまして、それから、後また具体的に譲渡計画の確認についても資金が必要な範囲にとどめるとか、いろいろな規制があるわけでございまして、その点で十分なる歯どめがあるので、そういうことになる心配は非常に少ないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  61. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 引き続いて、小山参考人にもう一つお尋ねをしたいと思いますけれども、この法律というのは業者の人たちに非常に正直に振る舞っていただけるという信頼の上に成り立っているように思うのです。早い話が、売り出す小口債権については大臣に届け出るわけですけれども、その場合、こういうようなリスクもあるような内容を含んでおりますというようなことまで全部正直に報告をしてオーケーをもらう、あるいはこの小口化した債権を売りに回る勧誘員の場合にはこれがリスクのある債権であるということを明らかにして相手に勧誘する、私はこんなことはまず商売の常識としてあり得ないんじゃないかと思うのですよ。大臣に申請するときも、これは完全無欠な安全な債権ですと言い、それから勧誘に回るときには、そういうような大臣に届け出てお墨つきをちょうだいした間違いのないものです、こう言って売りに回るんじゃないかと思うのですけれども、そういうのは私の邪推であって、ちゃんとそういうふうに正直に言うという保証は一体どこら辺にあるのでしょうか。
  62. 小山実

    小山参考人 販売に当たりまして、契約を締結する前に開示すべき事項という規定がございまして、そこでいろいろな問題を記載するように恐らく今後省令等の段限で通産省、主務省でお決めいただくだろうと思います。それからまた、契約した後も書面でいろいろな細かい点を書くということになっておりますので、その点についての十分な監督がなされるものと思っておりますし、業界といたしましてもまた、投資家に損失を与えないと申しますか、ということを念頭に置いたこの法の精神に従いまして最善の努力をしていくつもりでございます。
  63. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 時間もありませんから、次にクレジット関係青柳参考人にお尋ねをしたいと思います。  今私がリースの方に聞いたのは本当は代表選手のつもりで聞いたのであって、あなたのところにも同じ質問をしたかったわけです。多分今小山さんがお答えになったのと同じようなお考えであろうというふうに思っておりますが、今まで私が聞いたことの中で、いや、そこのところは私の方はこうですという違うところがあればおっしゃっていただきたいということが一つ。  それから、続いて質問をいたしますけれども、先ほど来多重債務者が大量に発生した原因は何かというふうに尋ねられたときに、いろいろありますというふうな漠然としたお答えだったのですけれども、一番の責任はカードを乱発をした業界の側にあるんじゃないかというふうに私は思わざるを得ないのです。  先ほど来、多重債務者だとわかっていても貸したというふうなお話もございましたけれども、私も地元で自己破産を申し立てたような人たちの話をいろいろ聞いてみるというと、そもそもそういう深みにはまった直接のきっかけというのは、枠が余ってますよと言って借りてくれ、借りてくれというふうに言われて要らない金を借りたというようなところからきっかけがあったというふうなことも私聞いているのです。だからこれが業界の皆さんとして一番反省していただかなければならない点ではないかと考えますけれども、その点どうなのか。  さらに、もう一点お尋ねしておきますけれども、自己破産を裁判所に受理された件数が二万何千件ですか、最近非常に急速にふえて、ことしになってからもさらにふえているというのですが、一方では、これは推測すると百万人ぐらいはそういう深刻な破産状態、多重債務に陥っている人がいるんじゃないかというようなことも聞くのです。そういうのを示す数字はないかと思って探すのだけれども、どうもそういう数字はないのですよね。それで端的にお尋ねしますけれども、そういう延滞率あるいは支払い不能率というのは大体どれくらいでしょうか。想像するに、どれくらいそういう深刻な事態に陥っている人がおりますか。ちょっと三点お尋ねします。
  64. 青柳忠一

    青柳参考人 第一の点につきましては小山参考人が申し上げたごとと基本的にクレジット業界も変わりございません。むしろ事業融資につきましては、先ほどから申し上げておりますように、クレジット業界は本来消費者対象にした事業でありますので、事業融資というのは非常に少ないものであるということだけ申し上げておきます。  それから、第二の点でございますが、多重債務者がどういうふうにふえてくるか、多重債務者の原因という点でございますが、先ほど私が申し上げましたのは、確かにいろいろな原因がある、これはもちろんクレジットカードをあちこちから発行してもらってそれを使い過ぎたということが相当大きなウエートになっている面も多分にあると思います。また、銀行からの融資、ローンというようなことがきっかけになって、それの返済から始まってくるというような場合もございます。いろいろな事情がございますが、確かにクレジットカードによる使い過ぎ、利用し過ぎということが相当大きな原因になっているというふうに私どもも考えまして、その点については業界といたしましても自粛自戒しなければいけないということで、先ほど申し上げましたように、まずクレジットカードについての発行体制与信体制見直しを行うということを取り決めまして、現在それを実施いたしておる最中でございます。  そういう意味におきまして、まずクレジットカード発行それ自体をできるだけ抑えていく。従来確かにお話しのように、できるだけカードを発行しようというようなことでいろいろな機会にカードの募集をやったというような面も確かにあったわけでございます。そういうものをこの際、むしろ非常に厳重な審査を行いまして発行を抑えていく、これ自体は現在既にクレジットカード会社が相当実施いたしております。むしろ極端に言いますならば、どうして発行できないのかというようなクレームと申しますか、それが非常に多く出ているというような面が最近あらわれてきております。そういったことで、まず発行自体を自粛するということが一つであります。  それから、先ほども触れましたが、発行する場合には初期の与信限度額をできるだけ抑える。従来、ある程度高いところでもって与信限度額というものが行われていたとすれば、それをこの際大幅に見直しをするというようなことで、できるだけ与信限度額を引き下げていく。さらに、それを若い人たちあるいは学生というようなものに対しては一層引き下げるというようなことによりまして、そうした点の対策を早急に実施していくということで、現在鋭意進めておるということを申し上げたいと思います。
  65. 武藤山治

    武藤委員長 件数はどうですか、破産の件数。
  66. 青柳忠一

    青柳参考人 破産件数というのは、先ほどございましたように、二万三、四千件というふうに確かにふえてきておるわけでございますが、問題は多重債務者の数がどれくらいかということが、これはなかなか数字的にあらわれないわけでございまして、先生もおっしゃいましたように、潜在的な多重債務者の数というものはもう八十万件、百万件に近いというようなお話が新聞紙上には出ておりますが、これははっきり申し上げて別に根拠はないわけであります。そういう意味におきまして、多重債務者というものがそういった潜在的な多重債務者というものを含めてどれぐらいかということは、残念ながら私どもも数字的に申し上げることはできないわけでございます。  しかしながら、最近の個人破産者の数その他から見まして、確かに相当ふえてきているであろうということは十分に考えられるわけでございます。したがって、多重債務者の発生防止という観点での、先ほど申しました新たな対応策を真剣に取り組んでおるということで御了承いただきたいというふうに思います。
  67. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それから、青柳参考人にもう一点お伺いしたいのですが、先ほど消費者教育ということで、広告などでも無理のない借り方をしましょうというようなことを積極的にPRしたいというお話だったのですけれども、私どもがテレビで見たりするのは、このカードで借りたら割引をいたしましょうとかプレゼントをあげましょうとか、あるいは、どうかしたら一銭も持たない人でも海外に旅行に行けますよ、こういったようなコマーシャルばかりなんですよ。あなたの言われるようなコマーシャル、私は見たことないのです。だから、テレビやらでも、言われるような無理のない借り方をしましょうというようなコマーシャルをぜひ流していただきたいのですけれども、それはいかがでしょうか。
  68. 青柳忠一

    青柳参考人 先ほど私が申し上げましたことは、確かに現在の状態でまだあらわれていないではないかということはそのとおりかと思います。  これは先ほど申し上げましたが、業界といたしまして、まさに緊急対策として、この際、自粛自戒を込めて、そうした広報活動実施しようということで、業界として、すなわち協会の名前においてまずそうした広報活動をやろうということが一つございます。それは、先ほどちょっと触れましたように、実は、実際に行われますのはこの運休明けということになると思いますが、新聞紙二紙並びに雑誌三誌におきまして、私が先ほど申し上げましたように、「クレジットはあなたの信用です。ご利用は無理なく計画的に。」ということをまず冒頭に述べまして、それに対して、上手に計画的にクレジット利用しましょうという趣旨の簡単な言葉をつけまして、これを今申しましたような形で広報に載せるということに既にいたしております。  それから、各クレジット会社は同じような趣旨の、必ずしもそのとおりとは申しませんが、同じような趣旨の標語をあらゆる機会に付記していく。例えば、請求書につける、あるいは会報誌につける、さらに広告媒体においても、そうした無理なく計画的にひとつ利用してもらいたいということについての同様の趣旨のものを載っけていくということで業界としても現在進めておりますので、もうしばらく様子を見ていただきたい、かように思っております。
  69. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 安彦先生にも質問したかったのですけれども、時間がありませんので、どうも失礼いたしました。
  70. 武藤山治

  71. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 三人の参考人の皆さん方には、本日は貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  早速ですけれども、幾つかの問題につきまして、また御意見をお伺いしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのですが、先ほどもお話に出てはいるわけでありますけれども、このバブル経済の崩壊に伴いまして、融資先の倒産やら支払いの滞る債権などが急増して、ノンバンクの抱えるいわゆる問題債権が十兆円近い、こういうふうに言われるのですが、業界にいらっしゃる青柳参考人それから小山参考人から見て、この額についてどういうふうに思われるのか、そして、これからこの問題についてどのように対処しようとされるのか、まずお伺いしたいと思うのです。
  72. 青柳忠一

    青柳参考人 お答え申し上げます。  クレジット業界におきましては、先ほども触れましたが、本来消費者向け与信というものが主体でございます。それが本業であります。ただ、確かに金融緩和というようなことの動きも受けまして、事業者向け融資というものがある程度ふえたわけでございますが、しかし、それはトータルの金額としてはそう大きなものではないというふうに私ども思っております。  ただいまそういうことによるものが全体として十兆円というお話がございましたが、クレジット業界実情から見まして、一、二の関係企業におきまして、相当大きな額の、すなわち仮百億という程度の融資によって影響を受けているところは数社あろうかと思いますが、全体としてはそう大きなものではないというふうに確信しております。     〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕
  73. 小山実

    小山参考人 リース会社が抱えておりますいわゆる延滞債権と申しますか、これについての数字は私どもつまびらかにしておりませんが、いろいろ新聞、雑誌その他で見ておりまして、かなりの額があるようでございまして、非常に憂慮しているわけでございます。金融緩和期に貸し金業務を非常に拡大いたしまして、そのツケが今回ってきているということで、各社それぞれに非常に反省もし、本業復帰ということで力を入れている最中でございますので、何とかこれを円満に処理して、またリース業としての発展を続けてほしい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  74. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 先ほども同僚議員からも話がありましたけれども、私もいわゆるノンバンクと言われるところの企業行動というのは、今、世の中からそんなに信頼感を持って見られているだろうかというふうに思うのですね。これは不動産融資等の状況を見ればいろいろ考え直していただかなければならぬ話だ、こういうふうに思うのですね。そういう意味でさらに御意見ございますか。
  75. 青柳忠一

    青柳参考人 先ほども申し上げましたように、クレジット業界におきましては、いわゆる金融緩和時に相当程度の事業者融資ということを行った企業があるわけでございまして、またそういうものが確かにふえたということも事実でございます。その結果、全体としていわゆるノンバンクというものに対する評価ということについては、ただいま御指摘のとおりだと思います。その中における私どもの業界のウエートは小さいとはいいながら、やはりその一端の責任を負わなければならないというふうに考えておりますので、先ほども申し上げましたが、投機的な土地取引等に対する融資等は今後絶対に行わないよう厳重なる今後の指導もしていかなきゃならないと思いますし、また業界自体、各企業がそのつもりでこれに対処するものというふうに期待いたしております。
  76. 小山実

    小山参考人 貸し金業務につきましていろいろ問題が生じまして、社会的な問題になっているということは大変大きな問題でございまして、信頼を回復するために今後最大限の努力をしていかなければならないというふうに考えております。そのために、再三申し上げましたけれども、当協会といたしましても再度にわたりまして不動産融資自粛についての申し合わせをいたしましたし、また今後の信用リスク管理について社内体制の再点検でございますとか職員の再教育でございますとか、いろいろな点につきまして今後努力をしてその信頼回復に努力している最中でございます。
  77. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、このリースクレジット業界におきましては、リースクレジットなど本来の業務については通産省が管轄をされて、貸金業の部分については大蔵省管轄となっておりますよね。  まず一つは、こういうような行政の体制は、業界にとってはなかなかややこしい話ではないかと思うのですね。だから一つの省にまとめてほしいなというふうに思われるかどうかということが一つ。  それからもう一つは、これは業界のお二人には答えにくいのかもしれませんが、私は今回の法律案を見てもそうなんですが、通産大臣あるいは通産省の審議、チェックというのが非常に多いのです。私は、行政の介入というのがそもそも多過ぎるのではないかと思う。今回なんかは本当に非常にそういうところが多いのですね。このように行政のチェック、介入が極めて多過ぎると私は思うのですが、お二人の参考人はどのように感じられますか。
  78. 青柳忠一

    青柳参考人 第一の点の御質問でございますが、業界としての本来業務クレジット業務であります。これはまさにお話しのとおり通産省所管でございます。また、兼業として行っております貸金業は、お話しのように大蔵省所管、この両省所管というのは何かとやりにくいのではないか、一本の方がよろしいのではないかという御質問に対してはなかなかお答えしにくい面がございますが、もちろん幾つかの業態をそれぞれ各企業一つの業態だけをやっているところは最近はないと思いますね。いろいろな業態をやっているときに、それは一つの省あるいは一つの部局において所管されていろいろな御指導等を受ける方がいいんではないかということについて基本的にはそのとおりだと思いますが、しかしながら、現在の状況を見まして、ほかの業界におきましても、例えば製鉄業一つ取り上げてみましても製鉄だけをやっているというような企業はないわけでありまして、いろいろな形で化学関係その他の企業を兼業しておられる。いろいろな点におきまして、先ほども申しましたように一つの業態だけでいけるというような企業はほとんどないかと思いますね、現在においては。そういう中で、それじゃそれを全部何らかの形で一カ所で、一つの所管官庁で行政ができるかということになりますと、これはなかなかそうはまいりません。そういう意味におきまして、現在の状態、本来の業務と貸金業との所管が分かれているのはやむを得ないところではないか。  殊に私どもにおきましては、クレジット業については割賦販売法という法律があるわけでございます。それによって通産省においてもいろいろ指導されております。また、同じように貸金業につきましては貸金業規制法がございまして、これによって大蔵省が指導されておるわけでございますので、これはそれなりにやはり私どもは規制を受けなければならぬ、かように考えております。
  79. 小山実

    小山参考人 先生御指摘の、リースクレジット業は通産省所管で、貸金業は大蔵省所管であるが、これを一つにしてほしいという要望があるかというお話でございますが、これは私ども民間といたしましては非常にお答えしにくい問題でございます。ただ、青柳参考人も申されましたけれども、いろいろと企業も多角化をしておりまして、すべてその事業を一省にまとめるということは、これまた非常に難しい点もあろうかと思いますので、それぞれのところでそれぞれにやっていただくということもやむを得ない面もあるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  それから、この法律が主務省のチェックが多いのではないか、行政介入が多過ぎるのではないかという御指摘でございますけれども、私どもリース業というのは通産省所管でございますが、実は全然いわゆる法律その他の規制のない業界でございまして、非常に自由に創意工夫を凝らしながら今まで通産省で育てていただいた。ここ二十数年たちましてこれだけの業界になれたのも、ある意味では民間の創意工夫を自由に放任していただいた通産行政のおかげではないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、今度のこの問題につきましては、特に小口化して細かいのをある程度皆様方投資家に買っていただく、こういうことになりますと、これは投資家保護という大きな公益の維持のためにある程度の行政上の規制が行われるというのは、これは私どもとしてはやむを得ないというふうに考えておりまして、逆にそういうことによってある程度信頼性を担保されることによって、また評価が非常に促進されるのではないかというふうに期待しているわけでございます。
  80. 青柳忠一

    青柳参考人 つい第一点の点だけ御説明しまして、第二の点を失念いたしました。大変恐縮でございます。  ただいま小山参考人が申されましたことと基本的には私も余り変わりないわけでございますが、もちろん企業は、できるだけ自主的、自由に運営をしたいということは本来の考え方でございます。また、金融の自由化あるいは規制緩和というような大きな流れの中におきまして、規制が強化されるということは決して好ましいことではないわけでございますが、本法案につきましては、再三申し上げておりますように、従来の金融機関のみに依存しなければならなかった資金調達を、新しい資金調達一つ方法としてクレジット債権譲渡ということで、これに対する投資家保護その他の点についての必要な法的整備が行われるということでございますので、私どもとしてはこの資金調達を円滑に、そして無理なくやっていくためには、ある程度の法的規制はやむを得ないものというふうに考えております。     〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 小山参考人にお聞きしたいのですけれども、特定事業者が小口債権化する場合、いわば優良な債権が多いものやら、あるいは不良債権が多いもの等があると思うのですね。そうすると、いわば債権のレーティングといいましょうか、そういうものが必要になってくるのだろうと私は思うのですね。だから、ある意味ではハイリスク・ハイリターンの商品の存在も許さなきゃいけないのでしょうし、そう思うのですが、いかがですか。
  82. 小山実

    小山参考人 債権のレーティングという問題もあるのかもしれませんけれども、私どもが考えておりますのは、ある程度多量の債権を束ねて譲渡をするわけでございますから、そこに大数の法則と申しますか、一定の「従来のリース契約の事故の発生率という経験値のようなものもございまして、これはある程度多数束ねることによってだんだん一定の範囲におさまっていくという、だから、それについての何らかの、リスクを、ある範囲にとどまるのについて投資家に補償、補てんと申しますか補償と申しますか、というようなことをやることによって安全性が確保されるのではないか、こういうことを期待しているわけでございます。
  83. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 時間がほとんどなくなりましたけれども、安彦参考人最後にお伺いしたいのですが、本日いろいろなお話を聞いておりまして、業者に対する希望も非常にいろいろ言われたんですが、私はこう思うのです。業者ももちろんいろいろしっかりしてもらわなければいけませんが、例えば投資家保護とか消費者保護ということをいろいろ言うのですが、これも行き過ぎますと不健全な社会になると思うのです。こういうクレジットなんかを見ていると、みんなそうなんですが、本人の責任が非常に大きい場合には、それなりに本人のその責任に帰すような対処のされ方がされないと、これは極めて、社会としておかしな社会になっていく、こういうふうに思うのです。したがって、先ほど業者の事例もいろいろ言われましたけれども、そもそも多重債務に陥っている人が、いろいろ事情はあるんでしょうが、また借りょうとか云々という話も本当は反省しなければなりませんね。  そういう意味で、どんな社会にしていくんだろうかというふうに考えたときに、何でもかんでも、いわば保険みたいな格好で保護してしまうというのじゃなくて、それなりにその本人の責めに帰する部分、それはしかし、本当に大変なことになってはまずいから、それなりにこれまた救わなければならぬというふうに考えなければならぬと思うのですが、その辺の哲学みたいなものを、弁護士稼業も長くやっていらっしゃるからお伺いして、私の質問を終わります。お願いします。
  84. 武藤山治

    武藤委員長 安彦参考人。簡潔にお願いいたします。
  85. 安彦和子

    安彦参考人 済みません。  やはり自己責任ということが今の原則の基本でございますので、多重債務に陥った原因というものを、事実何が原因であったのかという、正確にそれを理解することから始まりまして、それが消費者の方に帰すべきことであれば、十分に私たちも消費者に反省するように心がけているつもりでおります。そういうことですから、何もかにも業者が悪い、あっちが悪い、法律が悪いというようなことではございませんので、その点十分理解していただきたいと思います。
  86. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございました。
  87. 武藤山治

    武藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、お忙しい中を長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。     —————————————
  88. 武藤山治

    武藤委員長 次に、政府に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部一郎君。
  89. 渡部一郎

    渡部(一)委員 委員長及び委員会の皆様方の御好意により時間をいただきました。昨日及び本日の議論を踏まえまして、本法における通産大臣にゆだねられるべき責任、投資家が負うべき責任についてお伺いしたいと存じます。  本法第三条において、特定債権等特定債権等譲受業者に対し譲渡しようとする特定事業者は、譲渡計画を通産大臣に届け出ることが義務づけられております。第四条において、投資家保護観点から問題がある場合には、通産大臣が計画の変更命令を行うことになっております。この変更命令権がいかなる効果を有するかが問題になると考えます。  第四条においては、「その他投資者の利益を害するおそれがあると認められるときに限り、」「当該計画を変更すべきことを命ずることができる。」と規定されており、譲渡計画において提出を求めるものは何か、それによりどのような場合に投資者の利益を害するおそれがあると認められるのか等の点は明瞭ではありません。例えば、計画について変更命令が行われず、その後の状況の変化により投資家に被害が生じた場合には、通産大臣に対し、変更命令の不作為により投資家に対し損害を与えたとして責任をとるのかどうか。また、行政としても、全能でなく、仮に債権小口化商品について損害が生じた場合に、すべて通産大臣が責任を負うということになりますと、無制限の無限責任をとることになります。昨日の説明では、本法の制定により通産大臣の投資家に対する責任が大きくなるということでありましたが、この点をどう考えるのかが問題であります。  一方、このような新たな投資商品であり、危険性を伴うものにつきましては、基本的に規制の態度をもって臨み、行政庁の関与することが適当な分野もあると考えられるところであります。  こうした点を踏まえますと、本法が対象とする仕組みは、基本的には投資家の自己責任にゆだねるべきであります。新たな商品ということで、法規制の適当なものもあります。特に、上述した第四条に基づき変更命令が行われ、行政庁が責任を有する場合と、投資家の自己責任にゆだねるものとの限界を明確にすべきであると考えるのでありますが、この点についての通産省の見解を整理してお示しをいただきたいと存じます。
  90. 麻生渡

    ○麻生政府委員 昨日の答弁を補足しながら、再度御説明させていただきます。  本法においては、投資家保護観点から、債権小口化商品について必要最小限のチェックを行うものであります。したがって、本法が制定されても、投資家の自己責任は最も重要な原則であり、各投資家が本法による制度の枠組みの中で、各自の判断と責任において債権小口化商品を購入することとなるものであります。  御指摘の、投資家の自己責任の範囲と国のチェック責任の範囲の限界を明確にすべきだという点に関しましては、国が行うべき責任は、無限責任ということではなく、第四条に基づく債権譲渡計画の変更命令は、届け出受理から六十日以内に行われなければならないとされていることからもわかりますように、国によるチェックは、届け出に基づき、投資家保護に明らかな瑕疵がある場合等について行われるものであります。第四条に基づく通商産業大臣の届け出の変更命令については、その発動する場合の基準を対外的に明らかにすることにより、法律の運用の立場を示して、国のチェックの責任範囲を明確にしてまいりたいと考えております。
  91. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ありがとうございました。
  92. 武藤山治

    武藤委員長 和田貞夫君。
  93. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 昨日は、本法案につきまして、提案をしてまいった背景あるいは法案の内容、法の成立、施行後の運用の問題等について質問させていただいたわけでございます。  この法案は、クレジットリース業を営む者にとって、先ほども参考人にいろいろ意見陳述もしてもらい、私たちの方からも注文も述べたわけでございますが、何としても、この法律ができることによってリース業クレジット業に低いコスト資金調達が可能になるということ、したがって、クレジット業やリース等のあり方について、この際、今後の指導面を含めてぜひとも通産省なり大蔵省の方に聞いておきたいことがありますので、以下質問をさせていただきたいと思います。  クレジットを含む消費者信用にかかわるトラブル、先ほども申し上げたわけでございますけれども、昨今、非常に社会問題化しておるわけであります。先ほど公明党の渡部委員も非常に鋭い怒りを込めて業界に自省を求めておられたわけでございますけれども、中でも、若年層多重債務者の年々の増大、それに伴って自己破産宣告者数が毎年増加をしてくる、これを見逃すわけにはならないわけであります。もちろん、この多重債務者の原因というのは、第一義的に考えると、消費者信用の問題あるいは利用者の無計画さ、自制心のなさというものが挙げられるわけでございますけれども、何としても業界が、お互いにシェア確保のために過当競争の余りに相手構わずカードを発行するという無選別融資支払い能力があろうがなかろうが分不相応の与信を与える、そうして過剰融資が今日の結果を招いておるということはだれしも否定することができないのであります。  そこで、世の中には、貸す親切、貸さぬ親切という言葉もあるわけでございますが、この実態に通産省なり大蔵省なりがどのような認識を持っておられるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  94. 麻生渡

    ○麻生政府委員 御指摘のように、近年、自己破産がふえておりますし、またその中で、若年層の比率もふえておるということは事実でございます。この背景といたしまして、消費者側の価値感の変化あるいは販売形態多様化ということが進んでおりますけれども、その中でやはり与信体制、これが十分ではないということで、貸す側に一つの非常に大きな問題があるということは事実であると認識をいたしております。  一方で、もちろん利用する側の問題もあるわけでございますが、当省といたしましては、クレジットカードの使用による自己破産問題あるいは若年層の問題、消費者保護の問題、これは非常に重要な問題であり、経済社会の健全な発展の見地からは何とかしなければならない問題であるというふうに認識をいたしておるところでございます。
  95. 西村吉正

    ○西村政府委員 基本的な認識におきまして、ただいまの通産省の御答弁と私ども共通した感じを持っておるわけでございますが、先生御指摘のように、この問題は、まず借り手である利用者の側において消費者信用の節度ある合理的な利用がなされることが必要でございますが、貸し手である業者の側においても顧客審査に当たって過剰な貸し付けを行わないよう適切な対応を行っていくことが必要であると思っております。私どもといたしましても、多重債務者問題の発生を未然に防止するため、貸金業者に対しまして、適正な顧客審査に努め過剰貸し付けを防止するよう指導しているところでございます。
  96. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 両省に具体的に対策について聞いておきたいと思うわけでございます。  申し上げましたように、若年自己破産者の平均的な姿というものを見てまいりますと、大体年齢が二十五、六歳の男性です。債務額が大体五百万円です。そして債務先が十二、三社から十四、五社。問題は、その債務額の約三分の二は利息払いのために行う借金であります。いわゆる利息の額が雪だるま式にふえていくというような現象、これは貸金業規制法ができるまでのあのサラ金地獄と全く同じの様相ではなかろうか、こういうように思います。いろいろと利用者の方、消費者の方の安易な考え方というものもあるわけでございますが、何としても業界が、先ほども参考人に申し上げましたようにい無選別融資をなくすこと、与信限度を低額に抑えること、これに尽きるのではなかろうかというように思うわけでございます。通産省、大蔵省、これについてどうお考えか、お答え願いたいと思います。
  97. 麻生渡

    ○麻生政府委員 この問題につきましては、かねてクレジット業界、日本クレジット産業協会を通じましていろいろな指導をしてまいりました。特に、与信体制整備ということは非常に重要な課題でございまして、繰り返し指導してきておるところでございます。  しかしながら、今後の問題あるいは現状を考えます場合には、御指摘のように、与信精度を向上させるということが非常に大切でございますが、その前提といたしまして、情報の収集ということが大切であります。現在、クレジット業界におきましては、情報機関といたしましてCICがございまして、ここに情報の登録が義務づけられておるわけでございますけれども、現在の情報は事故情報でございます。これを、やはり多重債務を防ぐという意味では、プライバシー保護に十分配慮する必要はございますが、配慮しながら残高情報に広げるということが必要になっております。この点につきましては、既に、先ほども御説明がございましたように、産業協会の方ではこれを広げるということで具体的な案を決定し、実施の方向に動いておりますが、私どもはその方向に一層着実に動くように指導してまいりたいということが第一点でございます。  第二点の発行限度の問題でございますが、これも発行限度を引き下げるということが必要であろうと考えておりますし、特に若年層に対しましては、それをさらに引き下げるということが必要であると考えております。この点につきましても、クレジット産業協会の方では、その方向でやっていこうということで方針を確認をいたしております。現に、信販会社を初めといたしまして、既にそのような引き下げを実施いたしておるところも出てまいりました。私どもといたしましては、この方向が具体的に実施されるということをよく見守っていき、また必要に応じてヒアリング等もやっていきたいと考えておる次第でございます。
  98. 西村吉正

    ○西村政府委員 貸金業規制法におきましては、貸金業者に過剰貸し付けを禁止しているところでございまして、具体的には、従来から、貸金業者が貸し付けを行うに当たりまして、窓口における簡易な審査のみによって無担保、無保証で貸し付ける場合のめどは、当面一業者当たりの貸し付けの金額は五十万円まで、または当該資金需要者の年収額の一〇%に相当する金額とする、そのように指導を行ってきているところでございます。  しかしながら、最近の多重債務現状からいたしますと、特定の業者からの過剰な与信ではなく、それほど多額な額ではございませんが、多くの業者から与信を受けたことにより返済不能に陥るという例が多いように承っております。したがいまして、与信限度を抑えるということのほかに、多くの者からお金を借りるという問題を解決することが必要であろうかと思います。  このようなことから、私どもといたしましては、多数の業者からの借り入れ等による多重債務を防止するという観点から、プライバシー保護に配慮しつつ、信用情報機関を積極的に活用するよう指導していっておるところでございます。
  99. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 両省の方から今お答えがあったわけでございますが、一社当たりの与信の限度額を、今も言われましたように、これを低額に抑えても、五社十社というように借り入れていけば全く効果がないわけで、そこで、今も言われておりましたように、いわゆるこの情報を把握するということが大事なことであろうと思うのですが、しかし、聞くところによりますと、この信用情報機関というのが、信販系の情報機関、サラ金系の情報機関、銀行系の情報機関等というように、まだ分散しておるわけですね。  だから、信販系の情報機関を充実させてもこれはまだ問題が解決できないのでありますから、これを一元化することによって、一体現在どんなような債務を抱えておるのか、あるいはよその店での支払いがどんな状況なのか、支払い額に無理が生じておらぬかというような個人情報を把握することによって、より一層過剰貸し付けということを防止することができるわけでございますので、この信用情報機関を、情報網を一元化する努力。  それから、CATというらしいのでありますが、この端末機を契約販売店に設置をしておらないところがかなりあるわけでございますので、これを義務化させるか、あるいは、リースクレジット業界と一体になって、完全にこれが設置できるような費用の分担等を含めてやり遂げないと、これを自主的に任せておくと効果が出ないわけでございますので、これについてはぜひともひとつ考えてもらいたいと思うわけでございますが、信用情報の一元化とそしてこのCATの問題について、今後どういうようにしていこうと思っておられるのか、ひとつこの機会にお聞かせ願いたいと思います。
  100. 麻生渡

    ○麻生政府委員 信用情報機関につきましては、御指摘がございましたように三つあるわけでございます。この三つの情報機関の間におきましては、情報交換制度がございます。  しかし、現在行っております交換の情報の内容でございますが、これは事故情報でございます。残高情報につきましては、各機関の登録されております情報内容に格差がございますものですから、まだ実現していないという状況でございます。  このため、先ほどもちょっと申し上げましたが、CICの方では、残高情報まで広げていこうということで具体的な実施に入っておるわけでございますが、このような残高情報の集積の動きに対応いたしまして、大蔵省その他の関係省庁と連絡をとりつつ、この交換制度拡充に努めてまいりたいと考えております。  またCATの問題でございますが、これは、本年の二月の末の段階で、全国に約九万台弱ほどのものが設置をされておるわけでございます。これをもっと拡充するということは、今後の迅速な信用照会を行いますために非常に重要なことであると認識をいたしておりまして、このために現在、産業界の方に要請をいたしまして、CATの倍増計画というものを推進しようということで、具体的に実施策を検討いたしておりますが、これを速やかに案をまとめまして、この倍増計画を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  101. 西村吉正

    ○西村政府委員 信用情報の活用の必要性、重要性については、先生先ほど御指摘のとおりでございますので、私どもも、そういう認識のもとに行政を進めてきておるところでございます。ただいま通産省からも御答弁がございましたが、私どもも、関係省庁とも協力しつつ、信用情報整備充実と各業態間の情報交流の促進に努めてまいりたいと存じます。  またCATにつきましても、通産省とも協力いたしまして、業者、業界指導いたしまして、その普及に今後とも努めてまいりたいと存じます。
  102. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それに加えて、先ほどの参考人意見聴取の中で両業界の代表に申し上げたのですが、各委員とも申し上げておりましたが、何としてもやはり経営者自身のモラルの問題にあるわけですから、その点は忘れないように、十分ひとつ両業界について行政指導をしてもらいたいというようにつけ加えておきたいと思うわけでございます。  ついでに、大蔵省の方にお聞きしておきたいと思うのですが、貸金業規制法ができてから次第に悪徳の業者というのは整理をされていっておると思いますけれども、まだまだ悪徳貸金業者というのはおるわけでございまして、そのような者はどちらかといえば、むしろ多重債務者ほど商売をしやすい。貸しさえすれば何とかおどかしで取り立てたらいいんだというようなやり方があるわけですね。しかもこれは大蔵省、権限外であるわけですが、出資法が仲介手数料は五%以上取ったらいかぬぞ、こういうように決めておるのを、それをむしろ、どちらかといえば活用して、駆け込んでくれば、すぐにそれに金を貸すというのじゃなくて別の業者にあっせんする、そしてあっせんをしたんだからということで仲介料を稼ぐ、こういうようなことを繰り返すわけですね。そうすると、金額が仮に一億、二億というようなことになったらこの五%というのは一体どうなるのですか。これは大蔵省の所管じゃないわけでございますので出資法改正せいというようなことは私は言うことははばかりますが、また別な意味での上限を決めておるわけでございますが、しかしこの問題から考えたら極めて悪徳の金稼ぎというようなことは御理解いただけると思うわけですが、ここらあたり何か手を打つ方法がないのだろうかということをひとつお聞かせをいただきたい。
  103. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘がございましたように、いわゆる出資法の所管は法務省と大蔵省の共管でございまして、二条の解釈については私どもが所管でございますが、四条につきましては法務省の所管というふうに理解しております。  しかしながら、私どもの立場からの理解を申し述べますならば、この金銭貸借の媒介手数料につきましては、昭和二十九年に当時の保全経済会事件というようなものを契機に出資法が制定されまして、その当時の行政上の、運用上の事実等を踏まえまして、当時の慣行に従い百分の五と定められてきた経緯があるようでございます。この百分の五という水準が高いか低いかということにつきましてはさまざまな御議論があろうかと考えられますが、最近の事例を見ましても媒介手数料の違反に係る犯罪につきましては毎年相当の件数の検挙の実績もあると聞いております。したがいまして、私どもは、この百分の五という水準につきまして、現在この条項が活用されておるという事情を拝見いたしますところから、特段に問題があるとは考えておらないところでございます。
  104. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 法的にはそのとおりだと思うのです。しかし、具体的に駆け込んで二億円を借りに行った。いやいやうちは今現金がないので隣のどこどこへ行きなさいと言うだけで、その二億円を隣に示し合わせすればいいんでしょう、これ。そうすることによってこれはどうなんですか。一千万円、利息以外に一千万円裏で山分けしてもいいわけですよ。こういうように利用されている向きもあるわけでございますから、法的にはどうであれ、こうであれ、そういう実態というものを頭に入れてもらって、きょうはこれ以上言いませんが、ひとつ貸金業規制法はせっかくできた法律でございますので、なお庶民がそういう目に遭っている、それを許すならば、利息にプラス、借金直しのために借りた利息以外にそういう仲介手数料がプラスされていくというようなことを繰り返していくのですからね。これはひとつ検討して何らかのいい知恵を出すように強く要望しておきたいと思うのであります。  あわせて今度は、そうすると利息はどうなんですか、利息は。利息は上限が決まっているわけでしょう、決めているわけでしょう。そして、先ほども申し上げたように破産宣告者がどんどん出ていくわけでしょう。破産宣告者がふえていけば、もう返済する必要がないのですからね。それでもつぶれないのですよ、これは。それほどようもうけているのかということにもなるわけでございまして、何としても、四〇・〇〇四%という利息は高過ぎると思わないのですか、安過ぎると思うのですか、ちょっとお答え願いたい。
  105. 西村吉正

    ○西村政府委員 貸金業者の上限金利は、現在の法律上は出資法第五条第二項に基づきまして今先生御指摘のように四〇・〇〇四%と定められておるわけでございます。この上限金利につきましては、貸金業規制法が制定されました昭和五十八年以前には一〇九・五%でございました。その後七三・〇%、五四・七五%という経緯を経まして、今日の本則金利、昨年の十一月から四〇・〇〇〇四%という出資法の本則に定められておる金利になっておるわけでございます。これが高いか低いかということでございますが、貸金業者、とりわけ消費者向けの無担保貸金業者の場合には、その業務内容は小口の無担保融資でございますので、貸し倒れの割合が比較的高い、またそのコストもかかるというのが現状でございます。また消費者向けの無担保貸金業者の大半が小規模な零細業者でございまして、経営努力による合理化も困難な状況にございます。出資法の今申しました上限金利、段階的に下げられてきたわけではございますが、本則金利の四〇・〇〇四%という金利の水準は、ただいま申し上げましたような状況を踏まえまして、与野党間での御議論の末、議員立法をもって決められたものでございまして、私どもこれに基づいて行政を進めておるわけでございます。貸金業者の経営努力により自主的に金利引き下げで借り手の負担の軽減を図るよう私どもも経営努力を求めてきておりまして、金融状況の動向にも左右されるところでございますが、その平均金利は実際には少しずつでも低下してきておる、このように理解しておるところでございます。
  106. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 本番ではございませんので、この点はひとつ大蔵委員会の方にでもまた寄せていただきまして、じっくりと議論をさせていただきたいと思いますので、この点はこの辺で打ち切っておきたいと思うのであります。  そこで、経済企画庁の方にひとつお尋ねしたいわけでございます。  さきに経済企画庁の方から資料をいただいたわけでございますが、このクレジット絡みの消費者問題の一つに、継続的役務取引というのがございます。これは、例えばいただいた資料の中で家庭教師派遣業、学習塾業、エステティック業というような代表的なものがあるわけでございますが、これは昭和六十年代からずっと業者がふえてまいっておりまして、毎年毎年各県の消費者センター、そして国民生活センターに集計されております被害届というか苦情相談というか、これがふえるばかりですね。昨年度では家庭教師業に対するところの苦情あるいは被害が七十五件、学習塾で百三十四件、女性を対象としたエステティックについては何と二千二百三十八件も全国で被害届、苦情相談が出ておる、こういう状況でございます。これは信用供与を受けて、途中で解約しようと思っても解約はできない、ここにこの問題があるわけであります。  例えば家庭教師の派遣業というのを一つの例にとってみますと、業者の方は初めからだまそうとしておるわけですね。いい家庭教師があるから派遣しよう、ついでにこの教材を買いなさい、いい家庭教師を派遣してくれるのであればということで契約をする、家庭教師がなかなかやってこない、教材が送られてくる。消費者の方は家庭教師を期待しておるわけです。それで一年間なら一年間の、二年間なら二年間の契約をする。カード業者は、ちゃんとその家庭教師派遣業の方に金を一括払ってしまっておる。やがてはクレジット会社から請求がどんどんやってくる。消費者の方はそのように家庭教師の派遣を期待しておるわけでございますが、その派遣業の方はそうじゃない。教材を売った代金だ、教師を派遣するのはこれはサービスだ、だから途中で解約いたしましても、この教材を買ってもらったんだからその代金はいただきます、そういう商売なんですね。だから、法的にどうにもこうにもならないというのが実態であるわけでございますが、経済企画庁、これについて一体どう考えておられるのですか。     〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
  107. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。  継続的役務取引に対する信用供与、これが途中で解約されました場合に、いろいろそれがうまくできなくてクレームという形で国民生活センターあるいは地方の消費生活センターに寄せられました件数は、先生今御指摘のとおりでございますが、例えば家庭教師でございますと、昭和六十一年度七件でありましたものが、元年度が五十六件、二年度七十八件、三年度七十五件、三年度につきましては四月十三日までに入力された件数ということでございまして、これはまだ少し残っているのではないかと思われるわけでございます。それから、学習塾につきましては、六十一年度二十五件でございましたのが、元年度六十九件、二年度九十四件、三年度百三十四件。特に多うございますのが御指摘のエステティックサロン等でございまして、六十一年度六百五十六件ございましたのが、元年度千四百六十八件、二年度千九百七十五件、三年度は、これはまだもう少し残っていると思いますが、二千二百三十八件というような数のクレームが来ておるわけでございます。  内容を見ますと、例えば美顔サービス契約して、二、三回通って解約したけれども、クレジット契約が解除できない、督促されている、あるいは、サロンが倒産したのでクレジット代金の残りは支払いたくないというような趣旨のものが多いわけでございます。  これにつきましては、このような内容の苦情が消費生活センター等に寄せられまして、それを他機関の紹介あるいは消費生活センターにおいて助言をいたしまして自主交渉してもらう。あるいは、うまくいかない場合には消費生活センターが間に入りましてあっせん解決というような手段で解決を図っておるところでございます。  私どもといたしましては、おおむねそういう形で一応処理はされているのかなというふうには考えておりますが、特に今のクレジットの支払いの問題につきましては、いわゆる割賦販売法にかかわる抗弁権の接続の問題であろう、これを役務への適用を考えられないか。割賦販売法の三十条の四で、物につきましてはそのようなことができるわけでございますので、それができないかという形で国民生活センターの方から関係方面に御要望をしているというふうに私ども承知をしているところでございます。  なお、今後ともこの問題につきましては、私どもとして関心を持ちまして、センター等を通じて状況を把握して、適切な処置をしてまいりたいというふうに考えております。
  108. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 関心を持っておるだけでは困るわけで、解決しないので、関心を持った以上は、何か法の所管の通産省の方にアクションを起こしたことがあるのですか。
  109. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、これらの問題につきましては、一応消費生活センター等で処理をされているというふうに私ども今のところ聞いておるわけでございますが、ただ、特にクレジット利用した場合においての、残りの金を払わないということについていろいろとトラブルが起こっているようでございまして、その点につきまして、先ほど申し上げたように、割賦販売法にかかわる抗弁権の接続ということが役務にも適用できないかというようなことを、現在その働きかけをしたい、これは既に国民生活センターから御要望しておりますので、それが現実になりますように、私どもとしては今後とも関係方面と御相談をしていきたいというふうに考えております。
  110. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 さっぱりわからないです、だんだん声が小さくなってきて。  後でもう一回申しますが、大臣、もう一つ、ちょっと時間もないので、これはひとつ聞いておいてください。  これは、今のような、継続してそういうクレジットを絡ませて、そういう役務提供をやって、途中で解約できないというような被害、それが解決できない。それからもう一つ、やはり何としても黙っておれないのは、このクレジットカードの業者が悪質な業者と提携する、契約するということ、これはもうどんなことがあってもやめさせないかぬ。私はこの国会の予算委員会の分科会で野田長官に質問した一つに、ネズミ講、マルチ商法、いまだにそのような業者と契約、提携している、そういうクレジット会社があるわけなんですよ。新聞にも載っておりましたけれども、ハッピーバンク、三万円の会費で二人集めたら五百十二万円もうかりまっせ、ラッキーチャンス、これも三万円で二人会員を見つけてきたら五百二十三万円懐に入りまっせ、それから高校生を対象にいたしまして、三千円の会費を納める者を二百人探してこい、それにはこういう名簿屋さんがあるからそこへ行ってその名簿を手に入れてやりなさいというようなやり方、アメリカンドリームという、さもアメリカじゃこういう金もうけした人がおるというようなことで文書で出してやっている悪徳業者、そういうことで三千円の会員を二百人集めたら一億五千万円もうかりまっせというようなことを言われたら、まあ半分でもええなということで子供心に飛びついていくわけですからね。そういうようなものとの契約はもうまかりならぬ。これは厳重に、通産省としてはせっかくこの法律ができたわけでございますので、これを契機にぜひともやはりひとつ行政指導をしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございますが、先ほど私がお尋ねいたしました継続的役務提供業、途中で解約ができないというのは、この割賦販売法に今と言われておるようにやはり欠陥があるためにそれを取り締まることができないのです。苦情があってもこれを処理することができないわけです。  したがって、解決する道というのは割賦販売法を改正をしてその苦情処理にこたえるという方法か、あるいは割賦販売法以外の、継続役務によってやっておる、被害を出しておるようなそういうものを対象にした新しい法律をつくってそういう苦情処理に当たるか、被害が出ないように防止するか、この二つしかないわけです。割賦販売法の改正をするか、新しい法律をつくるしかないわけなんですね。これをぜひとも、今お聞きいただいたわけでございますから、この機会を通じましてひとつ大臣の方から決意を含めてお答えいただきたい、このように思います。     〔額賀委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 渡部恒三

    渡部国務大臣 本法案の審議に当たって熱心な委員先生方の御意見を承ってまいりましたけれども、悪い者が悪知恵を働かしてうまい汁を吸ったり、あるいは善良な、まじめな人がばかを見るようなことはあってはならないことでございますから、本委員会先生方の御意見、また、ただいまの和田先生の御意見、十分に承って、ただいまの御意見等に対処してまいりたいと存じます。
  112. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ありがとうございます。ぜひともひとつこのことを繰り返すことのないよう、この国会で法案の改正をやれとか新しい法律を出せとか無理なことは言いませんから、次の国会に間に合うようにひとつ督励してもらって、ぜひとも次の国会で割賦販売法の改正か、もしくは新しい法律を我々に示していただくことを強く要望をしておきたいと思うわけでございます。  なお、この法案に当たりまして、先ほども申し上げましたが、せっかくできた法律によってリース業界やあるいはクレジット業界が低コストの良質な資金調達ができることになったわけでございますから、それをその企業の中でとめておく、業界の中でとどめておるというのではなくて、これを広く中小企業の皆さん方に対してリース料を引き下げる、あるいは消費者の皆さん方にひとつ手数料をうんと下げてサービスを強化する、こういうようにぜひとも法の運営に当たってひとつ指導をしてもらいたい、このように思うわけでございますが、そのこともあわせて大臣の方からお答えいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  113. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいまの和田先生の御意見、私も同感でございますので、そのような姿勢で今後指導をしてまいりたいと存じます。
  114. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 終わります。
  115. 武藤山治

    武藤委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  116. 武藤山治

    武藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定債権等に係る事業規制に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  117. 武藤山治

    武藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  118. 武藤山治

    武藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、額賀福志郎君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。森本晃司君。
  119. 森本晃司

    ○森本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特定債権等に係る事業規制に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、特定債権等に係る事業の健全な発展と投資者保護の徹底を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 本法の適用による事業資金の調達が、リースクレジット産業利用者サービスの向上に資するものとなるよう指導するとともに、特定事業者が併営する金融部門へ資金が流用されることのないよう措置させること。  二 本法の脱法行為による投資者の被害を極力抑止し得るよう、本法の規制対象となる特定債権、小口債権の政令指定に当たっては、実態に即応して迅速に行い、投資者保護に配慮すること。  三 特定債権等譲受業者事業の健全性を確保するため、譲渡計画審査等に万全を期し、また、指定調査機関の活用等により、審査等の業務効率化に努めること。なお、指定調査機関については、公正な判断を担保するための財政基盤の確立、人材の確保を前提とすること。  四 投資者の投資判断に資するための原債権に関連する情報については、リースクレジット利用者のプライバシーに配慮しつつ、可能な限り幅広く開示されるよう指導すること。  五 本法が複数の主務大臣により施行されることにより、諸手続の煩雑化がもたらされることのないよう、主務大臣間の十分な調整を図ること。  六 他法律の適用を受ける適用除外事業者の政令指定に当たっては、法令等により投資者保護の観点から業務が適格に遂行されるよう本法と同等の規制を現に受けている者に限定するとともに、これらの者の業務遂行については本法と同等の投資者保護措置が実施されるよう取り扱うこと。  七 クレジット取引に関連する多重債務者自己破産者の増加の現状に対応し、与信の適正化、クレジット利用情報交換等の諸対策の推進を指導し、特に若年多重債務者の多発防止に努めること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  120. 武藤山治

    武藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  額賀福志郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  121. 武藤山治

    武藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、渡部通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部通商産業大臣
  122. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。(拍手)     —————————————
  123. 武藤山治

    武藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 武藤山治

    武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  125. 武藤山治

    武藤委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会