○後藤
委員 今私がそう申し上げたのは、実は
金属鉱業が抱えている問題というのは大きく分けて三つあるだろうと思うのです。
一つは、これは田んぼで種をまいて肥料をやって、そして自然環境に恵まれて作物ができる、こういうものではないわけです。地球は長い間かかって、四十億年五十億年かかりながら私たちに大変有用なメタルをつくり上げてくれている。ところが、これは掘ってしまいますと、鉱量がなくなると、
鉱山は閉山をしていかなければならない。したがって、一定の
産業を維持していくためには、限られた
資源あるいは恵まれない
資源でありますけれ
ども、どうしても
探鉱をしていかなければならない。今は確保しているけれ
ども、その次のところ、その次のところというのをあらゆる努力を払って
探鉱していかなければならぬ。その
制度は、資金的には、予算的には十分ではありませんけれ
どもつくられている。この
探鉱をさらにこれからも努力をしていくということがないと、減耗
産業ですから、
鉱山はもうなくなるわけであります。
それからもう一つは、厄介なことにその製品というものは、銅、鉛、
亜鉛、ベースメタルと言われておりますけれ
ども、これもロンドンのLMEであるとかあるいはPPの
国際価格で決まっていく。したがって、比較的品位の高い良質の銅、鉛、
亜鉛を仮に出したといたしましても、
国際価格が乱高下いたしますので、
価格が下落してしまいますと立ち行かないわけですから、あすからでも閉山の憂き目に遭っていく、売れば売るほど赤字が出るということになるわけでありますから、こういうものに対して
価格を安定させるための何らかの
制度が必要であろう、これが二つ目の問題として
金属鉱業にはあるわけであります。もう一つは、きょうも議題になっております
坑廃水、
鉱害の問題です。これは先ほ
ども申しましたが、長い
歴史の中でどなたかが
鉱山を掘っておった、そこで汚染をしておる
鉱害もあるわけだし、それから、自然環境の中で汚染をしておる、重金属を水に溶かしてそれが汚染をしているという
坑廃水の問題、もちろん
鉱山を稼行いたしますと、そこから出てまいります
鉱害もあるわけです。
大きく分けまして、これからは常に
探鉱を怠ってはならない。しかし、それは大変リスキーな
産業でありますから、
企業としてよほど内部蓄積を留保しており、あるいは減耗
産業としての租税控除をきちっとしてもらったとしてもなかなか手が出しにくいですから、これはやはり国が
探鉱を進めていく。それからまた、
国際価格の乱高下に対しまして、
価格が上がったときにはひとつ
拠出させようじゃないか、
価格が下がったときにはその
基金から出動しようじゃないか。そして、鉱脈がまだたくさんあるあるいは品位も比較的高いというものをみすみす閉山に追い込まないようにしていくという
制度もできている。そしてこの
鉱害問題です。これは今初めて私たちが気がついた問題ではないのですね。
私は今これを申し上げますのは、五十三年に尾去沢へ行ったときに、たまたま尾去沢で閉山式にぶつかったのです。山崎団長以下、そこで
鉱山長と労働組合の
委員長が涙ながらに、私たちは尾去沢というのが発見されたのは千数百年首なんです。そして、長くあそこで尾去沢
鉱山として
地域にも大きな
影響を持ってきた。これを今閉山する。こういうことがもう二度とないようにしてもらいたいということとあわせて、実はこれから閉山はするが、あと尾去沢の
鉱害の
処理のためにこれからは半永久的にしていかなければならないのだ。こういう訴えを受けまして調査団は、日程にはなかったのですけれ
ども、急遽尾去沢の
坑廃水の
処理場に行ったのです。そして帰りのバスの中で、どうだ、これは全部
鉱業権者が
負担をしていくべき性格のものかというと、いや、実は自然汚染というものもあるし、また、古い
歴史を持っている
鉱山であればあるほど他人の汚染もある。何とかこれは私たちの
負担が軽くなるようにできないだろうかということでバスの中で協議をいたしまして、先ほど申しましたような
制度が確立をされてきた。
繰り返しになりますけれ
ども、
金属鉱山というのは減耗
産業ですから、そういった
探鉱を繰り返し進めていくということと、それから
価格安定のための
制度をつくり上げていくということと、それからそこから発生する
鉱害というものに対して、これは単に一
企業の責任ということを超えて大変大切な
資源でありますから、しかも地球が何十億年もかけてつくり上げた
資源を私たちは使わせていただいているわけですから、そういうものに対して当然随伴して起こってくる
鉱害に、もちろん
企業もPPPの原則でやらなければいけませんけれ
ども、国がバックアップ態勢をとるということが必要なわけです。そのことが構造的にわかっているわけですから、冒頭
大臣に申し上げました、この
法律案を見てどういうお
考えをお持ちになられたかと
質問したのは、そういう構造を持っているものに対して私たちの
対応というのは余りにも遅い。そのために、せっかくの
資源がまだ残ったままで閉山をしていかなければならないという
状況が生まれてきているということを私たち政治家としては心しておかなきゃならぬ。
例示的に申し上げますと、あの小坂の内の岱が、黒鉱の、国際的にも黒鉱という言葉が国際語になっておるような、そういうすばらしい
鉱山も、これは去年でしたか閉山になったわけです。あるいはこの三月三十一日で釜石の銅の
鉱山の部分は閉山になっている。そうすると、
日本は銅鉱石を掘るところがもうなくなる。鉛、
亜鉛だけになってしまう。私は今も鮮やかに覚えているのですけれ
ども、明延の
鉱山に入ったときにすずの鉱脈を見まして、あるいは内の缶の金びょうぶのような黒鉱を見ましてすばらしいなと思ったのですが、そのすずの鉱石もそのまま閉山で埋められてしまうわけですね。
こういうことを何とかできないかというのが実は私の思いなんです。
大臣ひとつ、
答弁書にはそんなことはないでしょうから、
大臣のお
考えをちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。