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1992-03-06 第123回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月六日(金曜日)     午前九時四十五分開議 出席委員   委員長 武藤 山治君    理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君    理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君    理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君    理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君       甘利  明君    新井 将敬君       岩屋  毅君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    佐藤 信二君       斉藤斗志二君    鈴木 宗男君       田辺 広雄君    谷川 和穗君       中山 太郎君    仲村 正治君       増田 敏男君    武藤 嘉文君       森  英介君    大畠 章宏君       岡田 利春君    加藤 繁秋君       後藤  茂君    鈴木  久君       常松 裕志君    安田 修三君       安田  範君    吉田 和子君       権藤 恒夫君    二見 伸明君       渡部 一郎君    小沢 和秋君       川端 達夫君    田川 誠一君  出席国務大臣         通商産業大臣  渡部 恒三君  出席政府委員         公正取引委員会 矢部丈太郎君         事務局取引部長         経済企画庁調整 吉冨  勝君         局長         通商産業大臣官 内藤 正久君         房長         通商産業大臣官 渡辺  修君         房総務審議官         通商産業大臣官 榎元 宏明君         房審議官         通商産業省通商 岡松壯三郎君         政策局長         通商産業省貿易 高島  章君         局長         通商産業省産業 山本 幸助君         政策局長         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         通商産業省生活 堤  富男君         産業局長         中小企業庁長官 南学 政明君         中小企業庁計画 桑原 茂樹君         部長         運輸大臣官房総         務審議官    土坂 泰敏君         兼貨物流通本部         長         運輸省海上交通 和田 義文君         局長事務代理         労働省職業安定 伊藤 欣士君         局次長  委員外出席者         外務省北米局北         米第二課長  佐々江賢一郎君         国税庁課税部法 濱田 明正君         人税課長         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫 大川 義清君         課長         農林水産省畜産 石井 達郎君         局衛生課長         労働省労政局労 播   彰君         政課長         自治大臣官房企 牧之内隆久君         画室長         商工委員会調査 山下 弘文君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   鈴木  久君     日野 市朗君 同日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     鈴木  久君 三月三日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     川端 達夫君 同月六日  辞任         補欠選任   岩屋  毅君     森  英介君   梶山 静六君     鈴木 宗男君   鈴木  久君     常松 裕志君   江田 五月君     田川 誠一君 同日  辞任         補欠選任   鈴木 宗男君     梶山 静六君   森  英介君     岩屋  毅君   常松 裕志君     鈴木  久君   田川 誠一君     江田 五月君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する  臨時措置法案内閣提出第二六号)  伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二九号)  特定中小企業集積活性化に関する臨時措置法  案(内閣提出第三〇号)      ――――◇―――――
  2. 武藤山治

    武藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田辺広雄君。
  3. 田辺広雄

    田辺(広)委員 おはようございます。ただいま発言のお許しをいただきました自民党の田辺広雄でございます。きょうは朝早くからこうして皆さん方の前で、百二十三国会における提案されました議案につきまして御質問をさせていただきます。  先般、通産大臣所信表明演説の中に、「対外不均衡の是正に配慮しつつ、内需を中心とした景気持続的拡大を図ることが求められて」いると言及されました。米国を初め世界の国々が不況に沈んでいきます今日です。そして、日本も日一日と不況に落ち込んでいきます。今日ほど通産行政の重要なときはないと私どもは考えております。  一月七日、日米首脳会談が行われ、そしてグローバルパートナーシップが、行動計画が発表されました。今回の予算議会は、もちろんこの計画行動計画がいかにその対応をされるかということが大変重要な問題だと私は考えております。特に、行動計画の具体的な進捗状況はどうなっているのか、これはもう既に宮澤総理の訪米の際にもブッシュ大統領から問いかけられたことであります。また、アメリカ政府の強い関心事でもあり、米国国民ひとしくこれに大きな刮目をいたしておるところであります。  一月末、ニューヨーク、ワシントンを訪ねる機会がありました。ことし十一月大統領選挙が行われるという思惑もあろうかと思いますが、日本バッシングは大変なものであります。特に労働者皆様方は、アメリカ不況日本がもたらしたものである、また自分たちの失業のおそれはすべて日本のおかげであると言う。また政治家の諸君にも日本の立場はわかると言っていただき、またマスコミも一部、米国景気後退日本に転嫁すべきではない、基本的な国内問題であるから米国自身が断固として取り組んで初めて堅実で持続的成長を回復できると言っていただける方もございます。しかし、日本への圧力は強まり、異常と言うべきだと思います。ブッシュ政権攻撃にも及び、野党の保護貿易への道をまっしぐらに進んでおるように思われます。このときに、日米首脳会談成果のいかんが今後の米国政界への大きな転機ともなりかねません。また、日米貿易発展、ひいては世界貿易秩序づくりの上からも大切なことだと思います。しかし、この場合は、特に日米関係を考えるべきであり、日米の友情に大きな亀裂を生じかねないだけに、日本のみの利益を考えないで、米国利益のみを考えないで、相互協力し、相互利益を得ることが大切だと私は考えております。今回提案をされました輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法こそ、その一環であると思います。  したがって、この場合、お尋ねを申し上げます。これまでの輸入拡大策実施状況及びその効果はどうであったか、また、本法の制定と従来の輸入拡大策との関係はどうなっていますか。大臣につきましては一番最後に御質問申し上げますので、このことをまずお尋ねをいたしたいと思います。関係の各位に御答弁をいただきます。
  4. 高島章

    高島(章)政府委員 これまでの輸入拡大策等本法関係とのお尋ねでございます。  我が国は、これまでもいろいろな輸入拡大策展開してまいりました。その代表的な一つが、御案内のような製品輸入促進税制でございます。そして、輸入はふえ、黒字解消が徐々に進んできたわけでございますが、御高承のように、最近の動向にかんがみますと、なお一層の輸入拡大が必要だと考えているわけでございます。  このような観点に立ちまして、新たな輸入促進策をこの法律案に盛り込んだものでございますが、この措置と、先ほど申し上げましたような他の輸入促進策とが相まちまして、全体の輸入拡大効果が上がっていくものと考え、期待しているわけでございます。  お尋ねございました、この法律案に基づく措置でどの程度輸入拡大効果があるかというような点につきましては、実は数字ではっきり申し上げるということはなかなか困難でございますけれども、この法律の中に盛られておりますいろいろな措置、すなわち輸入促進地域を整備いたしますれば輸入品物流円滑化されますし、また輸入ビジネスは容易になるわけであります。さらに、特定製品輸入事業の支援によりまして、輸入品調達力が強化されるといった効果が期待されるところでございまして、こういうことが相まちまして相当程度輸入拡大が図られると考えている次第でございます。
  5. 田辺広雄

    田辺(広)委員 ただいまの御答弁にございますが、輸入拡大ということは、これはもう一つ二つの問題でなしに、あらゆるものをまとめてきて初めてその成果が上がると私は思うのですが、その中に、今までいろいろ言われておりました問題で、内外価格差という問題が、実はその解消が大変大事ではないだろうかというようなことを考えながら、二、三点、輸入拡大についての考え方お尋ねをしたいと思います。  大臣も言われておりますように、豊かさを求める、ゆとりを求めるというのがことしの通産行政の大きな目玉になっておるわけでございます。しかも私どもは、いつも言われますことは、これほど日本経済大国になったにもかかわらず、国民一人一人の豊かさが実感できない。これはどういうことかということがよく言われます。  私は、これはやはり日本物価が、生活品物価が高いからではないか。しかも、高値で安定をしておるというところに問題があると思うのです。そうしたことを、その物価をある程度安定させ、また下降させるというために、一つの大きな効果としては、やはり輸入品だと思うのです。輸入品価格が安ければ、そのように日本国内物価水準もやはり下がっていくのではないか、こういう大きな役目を持っておると思います。  しかし、先般、通産省の発表を見ますと、どうもそういうようなぐあいにいってない。年々、下がるよりか、むしろ内外価格差というのが広がっていっておるのではないかというようなことを思います。それは、私どもが昔から外国崇拝という物の観念と希少価値、それから奢侈品として当然高いのは当たり前だという物の考え方から、私どもがこうした生活にそれを諾々としてのみ込んでおる、こういう心理的な面もあって阻害をしておると思いますが、日本商品米国では安い、そしてまた米国商品日本では高いという、こう結果が出ておるのです。通産省としてはどのようにこれを取り組んでおられるのか。  また今年の所信表明の中に、通産省内外価格差を是正するという項目にしましても、たった二行で片づけられておる。しかも、その資料平成二年の十一月の資料を三月の始めに発表しておるというようなことで、果たして十分なことができるだろうかということを私は心配しますので、重ねてお尋ねを申し上げます。
  6. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 通産省では、これまで主要な消費財につきまして、日米共同価格調査を含めまして、数次にわたりまして内外価格差というものを、御指摘の問題につきまして実態把握に努めております。全体としては改善傾向にはございます。しかし、なお一部の輸出品につきまして日本の方がアメリカよりも高いというものもございますし、また輸入品につきましても、特にブランド品中心日本の方が高いというものも見られます。  御指摘のとおり、最近、平成三年三月に調査をいたしました。この内容を見ますと、日本製品についての大部分では日本の方がアメリカよりも安いという結果でございますけれども、一部の製品については日本の方が高いものがございました。例えばカメラとか電話、その他ございます。また米国製品につきましては、当然でございますけれども、ほとんどの品目について我が国価格の方がアメリカよりも高いというわけでございますけれども、一部の商品につきましては我が国価格アメリカよりも相当に高いというものもございます。化粧品なんかにこれが多く見られました。  こうした価格差要因でございますけれども、第一は、我が国消費者のいわゆる高級品志向というものがあろうと思います。また第二は、それを背景とした供給側価格設定についても問題がある。第三番目には、流通段階商慣行。第四番目には、地価が高いということで、コストが高くなるという問題もあろうかと思います。  通産省では、こうした状況を踏まえまして消費者懇談会を開催し、消費者に対して情報提供、啓発を行う、あるいは業界説明会を開催しまして、企業に対し、実態等についての情報提供を行う等の対応を行っております。今後とも継続的な価格調査消費者への情報提供産業界の適切な対応の要請、そして御指摘のように、より消費者志向型の産業構造の実現、そして輸入拡大というものが重要であると思っております。  なお、価格調査につきましては、現在実施中でございまして、来月にも新しい調査を発表いたす予定でございます。
  7. 田辺広雄

    田辺(広)委員 今御答弁いただきましたが、具体的にどういうところにメスを入れるべきかということを考えながら私もおりますが、私の自分の心の中にちょっと疑問とちゅうちょを抱きますのは、輸入拡大をどんどん図るということに力を入れてまいりますと、国内流通革命的なことまで考えなければいけない。しかも、外国から安いものが来たら、国内産業に対して大きな影響を与えるというようなことを一方考えるわけなのです。今はそのことを考えるべきではないと私は思いますけれども、先般行きまして、ヒルズさんに会いましたときにもうすぐに言われることは、日本アンフェアだ、我々がやっておるようにあなたたち市場開放しなさいということを強く求められるわけでございまして、考えてみれば、自分自身に財界また経済界流通について疑問を抱く面もあります。  そこで、一つはやはり流通の問題が大きな輸入促進阻害をいたしておるのではないかというようなことも思いますし、またその流通機構が非常に複雑だというようなことも私は思うわけです。中に、系列の問題がございますが、戦後、日本は財閥を解体した、そして解体した後はどうしたかといいますと、外資導入という大きな外圧がかかってきて、国内産業を守るためにその企業構造が、どんどん合併が促進をされて、自分企業発展のためにいろいろ系列化を図ってきた。その系列化国内の我々にとっても一つの何といいますか、この会社はこの下請企業がおさめておるんだから、この会社の品物はこの企業が全部買わなければならぬとか、お互いの中で交換物流をするような、そういう厳しい自然の流れというものがあるのです。それがやはり輸入品を入れてくる一つの大きな阻害になっておるのじゃないかと思います。しかし、このことが今まで日本経済を支え、世界の中の日本と言われる基をなしたのですから、あながちそれを悪というふうには申し上げることはできませんが、幾らか緩めるということを考えないと、これ以上輸入促進しようと思いましても、大臣が、また総理幾らお話をされましてもなかなかこれは受け入れられる状態ではないだろうというようなことも思います。重ねて、その流通機構の問題、系列化の問題、また大きな輸入阻害になっておる問題について具体的にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  8. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のように、流通構造あるいは商慣行といったものも現実、先ほどお話がございました内外価格差一つの大きな要因ではないかというふうに考えております。政府与党内外価格差対策推進本部というものをつくりまして、その決定に従いまして平成二年六月に商慣行改善指針というのを策定いたしました。また、リベートあるいは返品等商慣行に関する改善指針を策定しまして当省所管業界団体にも周知をいたしておるところでございます。  また、この問題につきましては特に大店法の問題が大きな焦点でございます。これにつきましては本年一月三十一日より、出店調整処理期間の短縮、出店調整手続明確化地方公共団体独自規制の抑制、千平米までの輸入品専門売り場に対しての大店法調整を不要とする特例措置、こういうものを内容といたしました大店法の改正、それから輸入品専門売場特例法の施行、こうしたことを既に実施いたしております。こうした形で流通につきましては漸次改善の方向に向かうというふうに考えております。  また、先生指摘系列問題でございます。これにつきましては、御指摘のように系列によって我が国市場への輸入が妨げられている一因ではないかという指摘があることも私ども存じております。しかしながら、内外価格差の存在と系列と言われるいわゆる長期的取引については明確な関係があるというわけでもございません。御存じのように、系列というのは長期的な取引関係ということでございますれば経済合理性も当然あるわけでございます。ただ、これがややもすれば閉鎖的に運用されるのではないかということでございます。これにつきましては、既に先般系列関係に関する内閣官房長官談話というのを出しまして、系列につきましては、それが安定的取引ということについては効率的な事業活動という面から合理性はあるけれども、しかし同時にそのグループ内取引を先行させ反競争的取引慣行を生起させる、そういうことになりますればそれには政府として懸念を持つということで、そういうことがあってはならないという指導をするということでございます。  こうした御指摘のような流通問題あるいは系列を含むそこに何らかの形でもって全体の自由な動きというものを阻害するという事態もございますれば、それはおっしゃるような日本物価問題あるいは輸入拡大についても障害になるということで、これについては通産省としては従来からアメリカ指摘を待つまでもなく種々の対策実施しているという段階でございます。
  9. 田辺広雄

    田辺(広)委員 もう一つお尋ねを申し上げますのは、そういう我々の努力にもかかわりませず、また一方においては輸出をすべき相手国の方が日本国内における特約店機構を設けて、そこからより日本へ入らない、輸入をさせない、しかもそこは高い値段でそれを売っている、独占的な利益を確保するためにその機構が残っておる、したがって物の流通というのが一カ所から絞られてくる、こういう問題もあると思うのです。これはもう日本の問題でなしに相手国の問題だと私は思いますので、その点についてはどこまで御調査をいただいておるのか。  先般車の問題でちょっと自動車会社の方へ参りましてお話をしておりましたところが、私どもは責任の車の数だけは買わなきゃならぬ、しかしなかなか自動車自体流通機構にも難しさがあって、私どもはある特約店からそれをいただいてそれを自分のディーラーに売っていくんだというようなことも言っておられました。またもう一つは、向こうの方でお話をされましたのが例えば車の流通の問題ですが、私ども左ハンドルより右ハンドルに変えるべきだという主張を重ねておるわけですが、向こうの方はむしろ左ハンドルにしておけば日本人外国の車に乗っておるんだという一つの喜びが感じられて、そのためにお金を高く払ってもいいんだという気持ちがあるんでしょうと言って私どもにそれを問いかけられまして、全くこれは向こう方々自体の物の考え方にも間違いがある、もっと広く、多く車を売ろうとすればやはり日本交通道路状態等に合わせた右ハンドルに切りかえるべきではないか、こういうことを申し上げましたら、そうでしょうか、むしろ左ハンドルの方がいいんじゃないですかというような観念的なものもまだ残っておるように思いますので、その辺についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  10. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 御指摘のとおりだと思います。」ある面では、例のいわゆるバブル時代高級品志向というときには左ハンドルの方が日本人若者たちに非常に喜ばれたということもございました。御存じのようにアメリカやヨーロッパで日本会社がつくっている車もございます。それをいわゆる逆輸入いたしますとこれが左ハンドルになるわけでございます。かえってその方が若者中心に喜ばれるという状況もございました。しかしそうした状況では大量には売れないということでございまして、最近では逆輸入の場合にも日本に合った右ハンドルに直すというようなことも相当行われております。そういうことで私ども先生指摘のように、日本である程度大量に売るということになりますれば日本市場に合ったあるいは日本消費者に合ったような趣味のものをつくって提供するということが何といっても大事であるというふうに思っております。
  11. 田辺広雄

    田辺(広)委員 ありがとうございました。なかなかこの問題は一つ二つの問題でということは先ほど申し上げましたとおりでございますので、今後ますますお互いお話をしながら、また私どもが聞いた話、経験をしたことをもとにして輸入拡大に取り組んでいかなければならない。このことが先ほど申し上げました日米関係を正常化させることであるし、ひいては世界秩序をつくることだ、こう考えておりますので、私ども大きな気持ちを持ってこれから対処しなければならない、こう考えております。  続きましてもう一つ対内資本の問題でございますが、我が国が置かれております最近の国際経済情勢にかんがみますと、外資系企業事業日本により円滑に投資が行われることが非常に重要だと考えられる。しかし外資系企業我が国事業を行うに当たって一体何が具体的に障害になっているか、また今度のこの法案はそれに対していかなる措置を講じようとしてみえますのか、お伺いをいたしたいと思います。
  12. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 私ども外国系企業からいろんな話を聞いております。例を挙げますと、最近在日米国商工会議所、これが昨年六月に報告書を出しました。その中で外国系企業日本に進出する場合の問題点は何だろうかということで、困難だと挙げる順序に従いまして幾つか項目を挙げております。第一が、ビジネス展開上の高いコストというのが一番多うございます。二番目が人材雇用の困難ということでございます。三番目がビジネス展開上の複雑性というのが挙がっております。四番目が黒字転換までの長期間の必要、期間が長く必要だということが挙がっております。その他たくさんありますけれども、主要なものはそういうところでございます。  こうした内容につきまして、私どもまず展開コストがかかる、あるいは黒字に転換するまでに長期間要するというような点に着目いたしまして、税制上の措置あるいは国の機関による債務保証、さらには開銀等特別融資というような制度を準備いたしております。また、人材雇用の困難あるいはビジネス展開上の複雑性といった問題につきましては、国の機関である産業基盤整備基金、これが出資しまして、特別な会社をつくって、これによって合言いました雇用の問題あるいはビジネス複雑性についてのいろいろなコンサルトに応じよう、あるいはジェトロによる情報提供の充実をしようというふうに考えております。こうした措置によりまして、外国系企業我が国における事業実施円滑化され、相互交流促進されることを期待いたしておるわけでございます。
  13. 田辺広雄

    田辺(広)委員 そこで、今お話がございましたいろいろな問題がありますが、今対策を立てられております中に、私は、基本要綱の中で、二ページの三項、「特定製品輸入事業」という項目の次のページの始めに「特にその輸入促進することが必要かつ適切なものとして政令で定めるものの輸入」というのは一体どういうものを指すのか、お教えをいただきたいと思います。
  14. 高島章

    高島(章)政府委員 今考えておりますのは、半導体の製造装置とかあるいは工作機械でございます。特に、貿易摩擦が激しくなりまして、その輸入拡大が特に必要なものというものを考えているわけでございます。なお、今後いろいろな情勢の判断に応じましてそういった品目の追加も考えてまいりたいと思っております。
  15. 田辺広雄

    田辺(広)委員 今の品目を決められる基本的な姿勢というのは何かということは、例えば外国からこの物をひとつと言われたものがなるのか、それともその入ってくることが日本のためにもなるのだということのどちらかなのか、これをひとつお聞かせいただきたい。
  16. 高島章

    高島(章)政府委員 お尋ねのポイントから申し上げますれば、両方入るだろうと思われます。いずれにいたしましても、外国との関係で問題になる輸入拡大を必要とする品目でございますが、それは相手国のいろいろな要請、さらには日本みずからが輸入促進を図るべき品目であるということの認識が大切であろうと思います。
  17. 田辺広雄

    田辺(広)委員 いろいろ御質問にお答えをいただきましてまことにありがとうございました。  そこで、最後に大臣に基本的な姿勢をお伺いをいたしたいと思います。  今いろいろ申し上げてまいりましたこの日米貿易摩擦というものは一日も早く解消すること、このことが我が国にとっては大変重要な問題であることは言をまちません。したがって、本法による輸入促進とかまた外資企業事業円滑化のほかにも目に見える取り組みが重要だと私は考えております。  また同時に、一月七日の日米首脳会談によってお話をされました問題のグローバルパートナーシップにおける行動計画に示されておりますいま一つの問題は、ここに法案として出てきておりますが、そのほかにもコンピューターの調達だとか紙製品だとか板ガラスだとか半導体だとか自動車及び自動車部品というようなことがまだまだ今後の取り組みにおいて大変重要ではあろうかと思いますし、その基本的な今後の取り組みの考え方をひとつ大臣からお聞きしたい。同時に、そのことがまた国内産業に及ぼす影響についてのその対策もひとつあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
  18. 渡部恒三

    渡部国務大臣 田辺先生世界の平和のためにまた世界の経済における日本の置かれている大変大事な立場を御心配され、特にその中で日米関係というものが今さまざまな厳しい状態になっておることを御心配なされ、その改善のために御努力を賜っておることに心からまず敬意を表したいと存じます。  日米間においては、従来から、日米貿易委員会また自動車部品MOSSフォローアップ協議等さまざまな場において意見交換や協議が行われてきておりますし、また、こうした中で、ブッシュ大統領訪日の機会に両国間の経済関係を円滑かつ健全に運営していくための行動計画が御指摘のように取りまとめられました。今後、こうした日米間のさまざまな意見交換、協議の場を活用しながら行動計画のフォローアップに努めてまいりたいと存じます。  また、最後に御指摘ありましたが、これらを進めていく上では、国内経済と当面の景気、これも大変重要な前提になりますので、昨日も総理から私ども経済関係の閣僚が呼ばれまして、いろいろ意見の交換を行い、本日九時からの閣議においても、当面の経済問題についてできるだけ不況にならないように、内需の拡大というのが国民生活のためにもまた先生御心配の日米の経済摩擦を改善するためにも重要でありますから、これらについてできるだけきめの細かい政策を弾力的にこれからも続けてまいりたいと存じます。
  19. 田辺広雄

    田辺(広)委員 大臣にお伺いしました先ほどのグローバルパートナーシップの行動計画について、今後どのような実施計画を立てられておるか、そのことをお聞きしたいと思います。
  20. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今御指摘のグローバルパートナーシップ、これは私が昨年大臣就任後、直ちにこのことの重要性にかんがみて産業界皆さん方に呼びかけ、またブッシュ大統領の訪日の際に幾つかの具体的な行動計画というものを示したわけでありますけれども、これらのものがこれから両国の信頼のためには一つずつ着実に実現されていかなければなりませんから、先ほどから政府委員答弁しておるようないろいろの方法でこれからその実現に努力をしてまいりますが、今御審議をいただいておるこの法律も、これを前進させていくために極めて重要な法案でございますので、できるだけ速やかにこれを成立させていただくようにお願いをいたしたいと存じます。
  21. 田辺広雄

    田辺(広)委員 ただいま大臣から答弁をいただきまして、了解はさせていただきますし、また、本法案につきましては、私は当然賛成をすべきだと考えております。  そこで、まだそのほかにいろいろ例のパートナーシップの問題で具体的な日にち、月が書いてあるものがありますので、できるだけこのことは守っていくということが日米の信頼関係を築く上において大切だと思いますから、特にアメリカは今大変な選挙を控えてみえますので、それぞれ政府当局においても大変な神経を使っていると思いますから、どうぞ約束は約束として、また努力目標などと言わないでしっかりと果たしていただきたいということを申し上げておきます。  それから、最後にお願いを申し上げておきますが、最後の質問ですが、時間がございませんが、一つだけ今まで長い間私の関係してまいりました中小企業対策についてお伺いいたします。  それは何でかといいますと、おとといの朝ちょうど私が起きましたときにニュースでやっておりましたが、トイザラスというスーパーが実は今月の三十一日に第三号店が開店をされる。おととしですか、日米構造協議の一番の大きな課題は何といっても大店舗法の改正、このことが大きな問題でありました。そのために政府も千六百二十億というようなお金を計画して、中小零細企業の小売屋さんを助けようということで大変な御努力をいただいてまいりましたので、感謝もいたしておりますが、今いろいろ輸入の問題も考えながらお話を聞きますときに、アメリカにとってみれば、ブッシュ大統領日本へ見えたときに、その開店にまで一国の大統領が行ってお祝いの言葉を述べる。もし日本で、例えばユニーさんだとかいろいろスーパーへ、大臣が行ってあいさつをしても変ですが、総理が行って演説をやったらこれは大変なことになると思いますが、それまでされる。私は、一面では見事だというふうに思いながら、それぐらいの気持ちで零細企業を救ってやっていただきたいということを私は思っておるのです。  それには、今までいろいろな特定商業集積の問題、商業集積の問題等ありますけれども、まだ一月三十一日からようやく法律が施行されるわけでございます。したがって、私どもが考えておりますいろいろの対策をしていただきましても、肝心な大店舗の許可は早まってまいりました。一年になりましたが、その施策というのはこれは一朝一夕ではできません。町づくり、市づくりでもって町を改造するところまでいかないとその効果がない。同時に、もう一つ言えますことは、この大店舗法の改正によって、商業集積、特定商業集積の利益を得るのは、そこへ大店舗が来たからそれをやるのでなしに、全体の小売屋さんのあり方ということでできておりまして、本当にそこへ大店舗が来たからといって、五キロ圏、十キロ圏の商圏の中におる小売屋さんは、具体的には何が一体助かったか。個店対策としてお金を借りるだけなんだというようなことを考え、また、今までは商調協でいろいろ交渉が直接できましたけれども、もう今やただ言われることを説明を聞いて、そして泣き寝入りをするだけだというのが現況の小売屋さんのあり方だと私は思います。まして今やトイザラスの第三店舗ができる。  私も一時はこの輸入対内投資事業税制改革、また免除についても反対をしておりました。なぜ入ってくるのが税金がただで、我々が苦労しておる小売屋さんは死んでいくのにだれも助けてくれないのかという気持ちも持ったわけでございますが、そうばかり言っておられませんから、きょうは対内の輸入をひとつ促進しようということも考えながら、では小売屋さんをどうして助けるかということも、私は大きな立場から大臣にもますますそのことをお願いしたいし、これ以上大店番を改廃するというような言葉はないであろうと思いますが、そのことを、決意のほどをひとつ大臣からお聞きを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 渡部恒三

    渡部国務大臣 改正大店舗法が施行されることによってそれぞれの地域の商店街あるいは中小企業先生大変御心配をちょうだいいたしておりますが、これらの中小企業あるいは零細商工業の皆さんが困ることのないような措置をとっていくことは極めて重要なことで、昨年の補正予算でも、また今年度の予算でも、中小企業関係の予算、先生の力強い応援等を賜って、十一年ぶりの伸び幅で確保をいたし、また先生の大変な御支援のもとに税制等の改正、また商店街の振興等の施策がこれから進められようとしておるところでありますから、きょう先生がおっしゃられたことを私もよく承りました。し、また、関係する政府委員の者も今ここでよく聞いておりますから、重々先生のお心に配った施策を進めてまいりたいと思います。  また、最後のお尋ねである、さらにこの大店舗法を廃止するというようなことを今考えてはおりません。
  23. 田辺広雄

    田辺(広)委員 ありがとうございました。
  24. 武藤山治

    武藤委員長 加藤繁秋君。
  25. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 加藤でございます。  最初に、大臣が十時半に出るのですか――そうですか。では、ちょっと最初にお伺いしたいと思いますが、国際的な直接投資が幅広く交流が深まったり、あるいは国際的な貿易が大変広がってきている、そういう中で、先ほどから言われているように特に日米間では貿易摩擦が大きくなっている。したがって、一部にある保護主義や地域主義を克服しながら、国際的に調和のとれた経済の発展をしなければいけないという課題が今あるわけでございますね。したがって、そういう中で今回の法律は、貿易の黒字拡大傾向をとめるということ、そして対内直接投資事業活動の水準が低いのを何とか上げたい、こういうことを目的にして出されたということで、先ほどそのために大変重要な法案だとお答えなさったのですが、そうしますと、そういう二つの課題をやるために、この法律というのは根本的解決に向けた法律として考えていいのか、それともまた別に次々こういう法律が出てくるということなのですか。それはどっちかということをお伺いをしたいと思います。
  26. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今、本法案についてのお尋ねがございましたが、近年国際的な貿易、直接投資等の幅広い相互交流が進展する中で、各国間に存在する不均衡を背景に、国際的に今先生御心配のような保護主義、地域主義的な動きが出ておることは、自由主義の発展のために大変心配であります。  他方、我が国の貿易黒字は再び拡大傾向を示し、対内直接投資による事業活動の水準も低いものにとどまっており、国際的にもこれを懸念する声が高まってまいっております。  このような状況のもとで、我が国としては国際的な要請にこたえ、輸入促進と対内直接投資による事業実施円滑化を図ることにより、国際経済交流の進展を促進することが急務であります。  本法律案は、こうした観点から、港湾・空港地域における輸入促進基盤施設の整備等を初めとした輸入促進に寄与する事業等を支援するとともに、対内直接投資による事業実施を円滑に進めるための措置を講じたものでございます。この法律を通していただくことによって、私どもの目的を達成させるために全力を尽くして努めてまいりたいと思います。
  27. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 今のは法律の提案説明に載っていますので、そういうことを聞きたかったのではないのです。今回の出された法案が問題解決の基本的なものなのか、それとも次々出てくるものなのかということをちょっとお聞きしたかったのですけれども、それははっきり答えられなかったので不満なんですが、いずれにしましても、そういうものを解決していこうということはあると思います。先ほど言われましたようにUSTRの貿易障壁の年次報告とかあるいは在日本アメリカの商工会議所、そういう報告書を見ましたら、いろいろ日本に対する参入障壁について出されていますね。それに対して通産省は一応回答はしている。例えば、自動車についてはこうしますとか、ガラスについてはこうするとか、対策を出していますね。いずれにしても、出しているにもかかわらず、依然として米国から参入障壁の問題を言われる。特に、きょうの日経新聞なども出されていますね。どうしてなんですか。通産省としてはもう対策済みなんだということなのに、次々とアメリカからは参入障壁があるということを言われているということは、一体どこに原因があるかということについてお伺いしたいのです。
  28. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変難しい御質問でございます。私ども自由主義によって戦後最も大きな恩恵を受けておる国でありますから、市場開放についてはできる限りの努力を今日まで続けておるつもりでございますけれども、なかなか次から次といろいろの問題が出てまいって、私どもとしてはもうこれでできる限りのことを努めておる、こう思っても、次から次とまた先生指摘のような問題等が出てまいります。基本は一千億を超える貿易黒字、その中でも日米の間の貿易黒字が大変大きな部分を占めておるわけでありますから、やはりいろいろまたアメリカ側からも要望が出てまいると思いますけれども、これらについては自由主義経済を守っていく、日米関係をさらに改善させていくという基本的な方針のもとに対応してまいりたいと存じます。
  29. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 私、今の通産大臣の答えは答えになってないというか、率直に申し上げますと、貿易黒字を減らすというために何をしたらいいかというのがはっきりしてないのじゃないかというような気がするのですね。ですから私、一つ日本がもっと開放的だという印象を与える、このために何ができるのですか、ないんじゃないですか。あったらお答えしてほしいのです。そして、こうやったら黒字が減らせるということが今通産省の中ではっきりしているかどうか。一つの方向としては、もうかればいい、企業がとにかく利益が上がればいいというのじゃなしに、例えば今週休二日制とか春闘が闘われていますので、もっと労働分配率を上げて、企業の分配を働いている人の方に向かわせる、こういうことも一案だというふうに私は思うのですよね。だから、一体そういう黒字を減らすということについて、通産省はこれだったらできるんだという、その方針があればお聞かせ願いたいと思います。
  30. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今先生から御指摘のあった時短の問題、これもまさに国際社会における日本というものが注目されておる中で、さらにまた、この内閣は平和大国日本というものを掲げておるわけでありますから、大変大事な問題であるということで今これを進めておるところであります。なかなかこれですぐに一千億ドルの黒字が解決できるのか、明確な答えを出せと言われてもなかなか難しい問題でありますが、先生指摘のようなお考えの中で、私どもはグローバルパートナーシップをさらに強く産業界にも呼びかける、また日米間のさまざまの問題があればそれを取り除くために一つ一つ努力をしていく、また当面するウルグアイ・ラウンド、これを成功させるために、私どもは先般、御承知のように一千品目の関税を撤廃する、さらに六千五百品目についてのオファーを行う、これらが実施されれば欧米、まあアメリカ、ECと申し上げた方がいいかもしれませんが、これらの国より我が国の関税ははるかに低くなるはずでありますから、そういった努力を積み重ねて目的を達成するように努めてまいりたいと存じます。
  31. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 予算委員会へどうぞ。  ちょっと不満なんですが、政府委員の方にお伺いしたいのですが、それじゃ、これまで日本は貿易立国でやってきたのですが、今回の輸入促進に関する法律をつくりまして、輸入基地をつくっていくという中で、輸入拡大が一体どれぐらいできるというふうに見込んでおられるのかお聞きしたいと思います。
  32. 高島章

    高島(章)政府委員 先ほど来お尋ねございました輸入拡大策につきましては、大臣もお答え申し上げましたように、実はいろいろな面で施策の充実を図ってきたところでございます。製品輸入促進税制もございますし、さらにはジェトロのいろいろな地道な活動等もあるわけでございます。  今お尋ねございました輸入基地の関連でございますが、具体的にどういう数字が輸入拡大として見込まれるかということにつきましてはなかなか難しゅうございます。ただ、現在さらに輸入拡大を図るために何が必要かということの一つのポイントは、輸入貨物の流通円滑化されることでございます。この法律案は、輸入促進地域を各地に設定いたしまして、輸入貨物の荷さばき、保管、加工といったための施設を整備いたします。そうすることによりまして、輸入貨物の円滑化を図ろう、流通円滑化を図ろうということでございまして、輸入品流通円滑化が図られますれば、数字として申し上げられないのは残念でございますけれども、ただ相当程度輸入拡大が、今必要な課題が解決されることによって期待されると思っているところでございます。
  33. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 その輸入基地の問題でございますけれども通産省は全国で十数カ所数年間でつくる、こういう方向を考えているらしいのですが、例えば今東京一極集中とか、県では県都に集中するとかいう問題がありますけれども、その地方自治体の中で、地域経済の振興という観点から――通産省はそういう観点がないと払お聞きしたのです、質問を取りに来た方から。経済的な振興を観点としてやるのですかという質問をしたいと言ったら、いやそんな観点はない、こうおっしゃったものですから、もしそういう観点がないという立場に立って、地方自治体がぜひ地域の経済振興という観点からこういうことをやりたいというふうに言った場合に、どういうことを考えているのかということをお聞きしたいのです。
  34. 高島章

    高島(章)政府委員 地域振興は通産省の施策としても非常に大きな柱でございますが、この法律案におきます輸入促進地域という場合の指定につきましては、この法案の第三条に規定されているとおりでございまして、その地域で輸入貨物が相当程度流通し、あるいは流通することが見込まれるといったような要件を見まして選定をすることになっているわけでございます。こういった輸入基地といいますか、輸入促進地域の設定によりまして、輸入するに関連いたします施設、事業が集積をいたします。そこに金、物、人が集まってまいります。そのことは、今先生指摘になりましたまさに地域振興に資するということになろうかと期待しております。
  35. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 輸入促進というのはもう今や天の声というふうに言ってもいいと思うのですが、しかし、この今回の法案に予算の限りがあるわけで、十二億だというふうに聞いているわけでございますが、そうしますと、都道府県で地域輸入促進計画をつくって、補助は要らない、しかし、この輸入促進計画は認めてくださいというふうに言ったときに、それをどういうふうに扱うか、お聞きしたいと思います。
  36. 高島章

    高島(章)政府委員 私ども輸入促進地域につきまして、この法律案に基づくいろいろなインセンティブを考えているわけでございますが、都道府県によっては御指摘のようなケースもあろうかと思います。ただ、いずれにいたしましても、予算面で十分なことができません場合でも、税制その他いろいろとこの法律案が持っております支援措置がございますので、そういったものは当然ながら都道府県の計画が承認される段階において適用されることに相なろうかと思いますので、都道府県の計画の承認申請を待ちまして、幅広くその地域の重要性も考えてまいりたいと思う次第でございます。
  37. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 そうしますと、この輸入促進計画の申請が行われれば、その計画に基づいて、そこは総合保税地域に指定されるかどうか、お聞きしたいと思います。
  38. 高島章

    高島(章)政府委員 この法律案輸入促進地域の認定は、あくまで都道府県の計画ができ、その申請がなされるということがまず第一歩でございます。一方、関税法の改正案が今国会で御審議いただくことになっておりますが、そこに盛り込まれております重要なポイントは、今御指摘の総合保税地域の制度でございますが、この法律案と関税法改正案とは輸入拡大という意味では非常に同じ方向を向いた、期待したものでございます。この計画の承認申請がなされました段階で、あるいは計画を承認した段階で、大蔵省の方にも通知をすることになっておりまして、その地域において総合保税地域の許可を受けるということを別途大蔵省の方で諮っていただくことによりまして、その許可の要件に合致いたしますれば、その地域におきまして、本法律案による支援措置と、関税法改正案に盛り込まれております新しい措置とが相まちまして、輸入拡大の重要な基地になることを期待しているわけでございます。
  39. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 そこで、その総合保税地域についてお伺いしたいのですが、一つのエリアを決めてそこに貨物が輸入したり出る場合に、その中は一応、手続きが簡単であるというところですね。その地域というのは、飛び地になるときがあるのかどうか。一つエリアを決めればもうそのエリアから全然離れないのかどうか、飛び地が認められるのかどうか、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  40. 高島章

    高島(章)政府委員 中心に考えておりますのは、ある程度の広い地域に指定をいたしまして、総合保税地域の指定を受けまして、その中で個々の税関長の許可を受けることなく荷物の流通円滑化されることを期待しているわけでありますが、さりとて、そこの中だけでは保税の効果が十二分でないという場合には、もちろんそこから離れたところにも保税地域の許可は可能でございます。
  41. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それでは、次に運輸省にお伺いしたいのですが、今回の問題は、運輸省とか農水省、自治省、通産省の四省ですね。そういう中で、特に運輸省のこの貨物の動きというのが私は決め手になるような気がするわけでございますが、運輸省として、国際貨物の動きのあり方について、今後のビジョンをお聞きしたいと思うのです。
  42. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 国際航空貨物の需要というのは、特に輸入面が大変な勢いで伸びているわけでございます。運輸省といたしましては、港湾と空港を所管をいたしておりまして、この輸入インフラを適正に整備することによって輸入需要の増大に対応していかなければいけないというふうに考えております。  具体的には、港湾、空港とも長期計画を定めまして、それに基づいて整備を進めているところでございますが、港湾につきましては、昨年の十一月に新しい第八次の港湾整備五カ年計画を決定したところでございます。この中で、先生仰せられました国際貨物につきましては、計画期間中に外貿コンテナターミナルと多目的の外貿ターミナル、これを総延長で約三十キロ整備をするという計画にしておりまして、いわゆる効率的な物流体系の形成を新しい計画の最重点というふうに考えて取り組んでいるところでございます。  また、空港につきましても、同じ時期、昨年の十一月に新しく、これは第六次でございますが、空港整備五カ年計画を決定いたしました。この中で、国際航空貨物につきましては、成田、関西、こういったところの貨物ターミナル地区の整備を進めるだけでなくて、現在地方におきましても地方空港の国際化が進展をいたしておりますので、地方空港におけるこういった貨物ターミナル地区の整備、これも風際航空貨物需要に適正に対応できるように整備をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  43. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 先ほど、通産省の方に聞きますと、この法律によって輸入拡大相当数見込まれる、こういう回答があったのですが、そうしますと、現在の国際的な輸入の貨物量、これはプラス相当量になるわけですね。そうしますと、輸入基地が新たに承認された、そうなりますと、ここには相当数部分は行ってないわけなんです。したがって、運輸省として、新たにふえたものをここに、例えば船便をこちらに回すとかあるいは飛行機便をこちらに回すとか、そういうような行政指導をやるおつもりですか。それはどうですか、
  44. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 将来の計画を決めるに当たりましては、マクロで日本の経済、国民生活の向上、そういうものの将来ビジョンを考えまして、それに対応するいわゆるハードのインフラの整備、これをやっていくということで考えておるわけでございますが、具体的にそれではどこの港、どこの空港にどれだけの荷物が入ってくるかということになりますと、これは端的に申し上げて、各年度の予算編成を通じて具体化を図っていくわけでございますが、またそれと同時に、例えば航空でありますれば、これは二国間協定に基づきまして航空協議をいたしまして、需要に応じた路線の開設ということは進めていかなければいけないと思っておりますが、いずれにいたしましても、具体化をした段階で各地域ごとの需要に適切に対応できるように、ハード、ソフト両面から努力をしてまいりたいと思っております。
  45. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 この輸入基地ですが、運輸省は何か九カ所を考えているらしいですけれども通産省は十数カ所で、自治省は三十五カ所何か考えているらしくて、ばらばらだそうでございますが、このばらばらなところで全部、例えば最大は三十五カ所ですね、この三十五カ所がもし申請されたら、自治省も認めているんだから恐らくこれは認めるのだろうと思いますけれども、そういう三十五カ所のところに、例えばある都道府県が輸入促進計画をつくった、そして自分のところには、ANAならANAと契約して、一カ月に一回国際的な荷物を運んできます、もしそういうふうに要請があったときに、それを運輸省として認めるかどうかです。一番少ないから運輸省にお聞きしたいのですが。
  46. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 この法律に基づきますいわゆる輸入促進の拠点は、まずやはり都道府県が地域の実情なり将来のことをお考えになってお決めになって申請を出されるものと考えておりまして、私ども、現時点でそれが何カ所であるというようなことを決めておるわけではございません。あくまでも都道府県側の申請を待って対処をいたしたいと思っております。  また、先生今仰せになりました、具体的な航空会社の名前なども出たわけでございますが、やはり、例えば航空でありますれば、結局その空港とその目的地との間に航空需要がどれだけあるかということ、それからその二国間の協定がどうなっておるかということ、そういうことを踏まえて、具体的な需要に応じた航空協議をしながら航空路線の開設を進めていく、こういう段取りになろうかと思います。
  47. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 そういう輸入基地をつくるということ、輸入拡大を図るということ、そうなりますと当然これは通関、検疫、検査、計量という公的な手続が必要になるわけでございますが、特に最近ではポストハーベストとかいろいろ問題ありますけれども、きょうは農林水産省にお伺いしたいのですが、食料品とかあるいはその他のもので、病害虫の問題ですね。そういう検疫に対して一体どういう対策を講じようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  48. 大川義清

    ○大川説明員 植物検疫は、海外からの病害虫の侵入、蔓延を防止するために実施しております技術的な措置でございます。この検疫を円滑かつ的確に実施するために、植物の輸入ができる港を指定しまして、かつこれに必要な要員の配置等を行いまして検査をしておるところでございます。  現在、主要海空港九十八カ所に設置されました植物防疫所、これには支所、出張所含めますけれども、九十八カ所に設置されました植物防疫所において、七百六名の検査官が植物防疫法に基づき輸入植物等の検査を実施しております。  本法律によりまして輸入促進地域が設置されました場合には、輸入貨物の流通円滑化という本法の趣旨を踏まえまして、輸入植物等の実態に即しまして植物検疫体制の充実を図っていく所存でご熟す。
  49. 石井達郎

    ○石井説明員 私どもの動物検疫におきましても、植物検疫と同じように、外国から輸入されます動物、畜産物を介しまして、家畜の伝染性疾病が我が国に侵入することを防止するという観点から、動物、畜産物の輸入できる港を指定しまして、これに必要な要員の配置を行い現在対処しているところでございます。  現在、主要の海空港に検疫所の本所一カ所、支所五カ所、出張所十七カ所を設置いたしまして、二百二十三名の検査官が家畜伝染病予防法に基づき所要の検査を実施しているところでございます。  なお、本法が成立しました場合には、輸入貨物の流通円滑化という本法の趣旨を踏まえつつ、植物防疫と同じように、引き続き動物検疫体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  50. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 そういう検疫とかあるいは検査体制をぜひ強化していただきたいと思います。  次に、公的助成の意味についてお伺いをしたいのですが、今回輸入促進の整備事業というのがやられるわけで、それは第三セクターでやるらしいのですが、その第三セクターでやる場合に、どうして第三セクターをつくってやらなければいけないのかということですね。こういう輸入基地というのは、例えば需要さえあれば民業でも十分対応ができるのです。問題はそういう貨物が来るかどうかだということでございまして、そういう輸入促進整備事業というものをつくってそこに公的助成をしてやらなきゃいけないという理由ですね、お伺いしたいのです。  というのは、その第三セクターをつくる場合その事業が建物をつくる、建物をつくったらその建物、倉庫なら倉庫をつくったらそれをだれかに賃貸ししてやるのか、それとも第三セクター独自でその営業をちゃんとやるのか。どうもこれまでの経過から見ると賃貸しするんじゃないか。賃貸しをするとなりますとその第三セクターはいわば不動産業と同じ内容になってしまうわけでございます。そうしますと、そういう不動産業をやるということに対して公的助成をあえてこの際やらなきゃいけないという理由が明確ではないというふうに私は思うので、ぜひともその辺お伺いしたいと思います。
  51. 高島章

    高島(章)政府委員 御指摘輸入促進基盤整備事業を行う者といたしまして第三セクターを想定しているわけでありますけれども、その理由は、この促進基盤整備事業が公益性がございますし、また実はこれからいろいろつくり上げていくわけでございまして、採算性の問題もございます。そういったことが考えられますので、実は第三セクターを想定しているわけでございます。  先ほどおっしゃいました民業との関係でございますけれども、むしろこの事業によりまして整備されます施設は結局はその民業の方々のプラスになるということでございます。すなわち、倉庫業者等の輸入貨物を取り扱う民間事業者の利用に供される施設でございまして、先ほどの建物の例で申し上げますれば、そういうところに入られて実際の民業をむしろ発展していただく、そういったものの基盤を提供するということでございますから、むしろ輸入貨物の流通円滑化を通じましてそういったいろいろな民間の事業者の方々を支援していくことになると思っておるわけでございます。
  52. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 そうしますと、この第三セクターは建物を建てると後は賃貸しをするということですね。そしてその賃貸しすることによって民業を応援する。そのときにその賃貸しをする相手、これは恐らく大手の会社になるんじゃないかと思うのです。あるいはそのときにどういう条件をつけようというふうに考えているかどうかお伺いしたいのです。  そしてまた、そういういわば不動産の管理というふうに第三セクターはやはり中心業務がなるわけでございまして、そういうことに対して都道府県が一生懸命になってその輸入促進計画をつくらなきゃいけないんですかというような疑問もあるわけですが、その点についてお伺いしたいと思うのです。
  53. 高島章

    高島(章)政府委員 実際に支援をし、民業を拡大してもらう方々は大企業だけを考えているわけでは決してございません。この法律案の中にも中小企業事業団の高度化融資等の面で融資条件の優遇を考えておりますし、さらには中小企業信用保険の特例措置等も考えておりまして、いずれにいたしましても資金面、信用の面で弱い立場にあります中小企業の方々も一緒に輸入基盤整備事業の恩典を受けられ、そして実際に貨物の流通でいい仕事ができますように支援をしてまいる所存でございます。
  54. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 中小の会社もまあプラスになるようにしたいということですが、そこでちょっと労働省にお伺いしたいんですが、現在港湾で働いている人たち、この人たちに今回の問題が影響を与えるのではないか。つまり、新しい法律ができて、輸入基地が拡大されるとかあるいは別のところへ移るとか、こういう場合については当然機械化といいますか省力化というものが図られるわけですね。そうしますと当然これまで働いていた人が雇用の不安という、先ほど通産省の説明はそこに働く人もプラスになるんだ、こういうことですが、労働省としてそういう不安についてプラスになると予想しているかどうか、そうでないと考えているのか。あるいは不安になると予想すれば対策は一体どのように考えているかお伺いしたいのです。
  55. 伊藤欣士

    ○伊藤(欣)政府委員 一般的に申し上げまして、省力化、合理化といいますのは、いわゆる作業内容改善されるとか単純労働分野が縮減するとか技能が高度化するというようなことを通じまして労働者の地位の向上、雇用改善につながる可能性を有するものである。また、今後労働力の供給が制約されることが非常に見込まれておりますし、また昨今港湾におきます人手不足が指摘される中にありましては、具体的な人手不足に対する有効な方策にもつながるものであるとも考えられるわけでございます。  しかし、先生指摘のように、省力化、合理化という場合に具体的な事例として雇用に影響があるのではないかというような点につきましては、労働省といたしましても、十分労使間で話し合っていただくことはまず前提ではございますけれども、労働省といたしましてもその影響については十分注意をさせていただきたいと思っておるわけでございますし、また省力化、合理化等を進める際に、例えば従来の労働者の方々、働いておられる方々に新たな技能の習得が必要となるというような場合につきましては、職業訓練の実施等に対しまして援助を行うなど、雇用の安定に十分配慮してまいりたいと思っておるわけでございます。
  56. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 今の答弁は大変あれですけれども、実は二十年前に港湾においてコンテナ化というのが進められたと思うのですが、そのときにやはり同じやりとりがありまして、コンテナ化になりますと人が減らされる、どうするのか、そのときの回答が今言われた回答と全く同じなんです。つまり当時は、人手不足なんだ、そして船が一週間も海で待っている、したがって今回こういうことができれば、コンテナ化になればそれが解消できて非常にうまくいくんだ、こういうような回答があったのです。  ところが、実際は二十年前と比べてそこに働いている人は半分になっているのです。したがって、今言われたような答えだけではなしに、これもまた実際、じゃ今から十年たったときにそこに働いていた人がまた今から半分になる、こういう状況になったときに一体どのように責任をとるのか。つまり、おたくは回答だけすればいいのですけれども、働いている人にとればこれはもう命の問題ですから厳重にやってほしいということで、先ほど通産省が言いましたけれども、中小やこれまで働いている人もそこに参入できるように、例えば何割はこれまで働いている人、中小を入れるとか、そういうふうにぜひ努力をしていただきたいということですが、その点についてはどうでしょうか。
  57. 伊藤欣士

    ○伊藤(欣)政府委員 従来港湾労働につきましては、技術革新の中で先生指摘のように労働者、働いておられる方々の数も非常に減少していることは事実でございます。そういう中で、また港湾荷役におきます波動性というものの中で、労働者の方々の雇用の安定を図るという観点から常用化というような形での施策も進めてきているわけでございます。  この法案の成立によりまして、輸入量の拡大の可能性が非常に高いということで、労働行政におきましてもその労働力の確保ということが一つの課題と考えておりますけれども、反面、先生指摘のように、場合によっては現に働いておられる方々の雇用の面でも大きな影響があるのではないかというような点につきましても、十分御指摘を踏まえまして、先ほど申し上げましたように省力化、合理化、本法の施行の実行の段階で十分注視し、必要に応じて労働省におきましても適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
  58. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 それだけじゃなしにぜひやってほしいことは、これからの懸案になっているILOの百三十七号条約の批准ですね。これは第百十六回の参議院の運輸委員会の中で江藤大臣も、これはできるだけ早く進める、こういう回答をいただいているし、同時に物流二法のときの参議院の附帯決議にも、速やかに批准をすべきだ、こういうふうに書いているわけでございますが、今言われているように雇用不安とか、今回のように新しくシステムが変わるというような場合について、そういう港湾労働者に対しては影響が大きいもの ですから、このILO百三十七号条約の批准をぜひとも早く決めてほしいということ、これについて回答をいただきたいのでございますが、そういうふうに言いますと必ず、ただいま専門小委員会でやっています、こうお答えになると思うのです。しかしその専門小委員会というのは、何か翻訳で難しいから一年間に一回しか開かない、三年間で三回しかやってないのです。そうなりますと、十回やったら十年かかる、その間に働いている人は次々やめさせられていくという、したがってぜひとも批准に向けて期限を切っていただきたい。例えば半年後とか一年後とかこういうふうに期限を切って、ぜひともこれについてはやる、そういう決意のほどをお聞きしたいと思います。
  59. 伊藤欣士

    ○伊藤(欣)政府委員 お答え申し上げます。  ILO百三十七号条約の批准につきましては、先生指摘のとおり懸案事項として総理府に置かれております港湾調整審議会において公労使三者構成の専門小委員会で御議論をいただいているわけでございます。ただ、この条約につきましては、関係者の意見の調整というのが非常に重要でございますし、また国際条約にかかわる理解というものが一致しない場合につきましては今後の問題というのはなかなか難しい面が出てくるのではなかろうか、そういうことで御議論をいただいておるわけでございますけれども、ただ時間をかければというようなものではないと思うわけでございます。いろいろアメリカであるとかドイツであるとか関係外国状況等の資料の整備というようなことで時間がかかっておるわけでございますけれども、行政といたしましてもできるだけそういう資料の整備を行いまして、御議論が進んでいきますよう努力いたしたいと思います。
  60. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 今のではちょっとよくわからないものですから、できるだけ早く資料の整備をするというのは大体どの程度の時間を考えているのか。これは無期限ということじゃないでしょう。ですから例えば一年とか半年とか、二年とか三年とかかかると、おたくは優秀なんですからわかると思いますので、ぜひそのめどを聞かせていただきたいのです。
  61. 伊藤欣士

    ○伊藤(欣)政府委員 何度も繰り返しになるようでございますけれども、現在総理府において設置されております港湾調整審議会の小委員会におきまして専門の先生方、労使の代表の方を含めて御議論をいただいておるわけでございます。そういう中で、我々行政、事務局といたしましても先生方の御審議がはかどるよう最大限努力させていただきたいと思います。
  62. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 不満ですけれども時間がありませんから、この問題については労働委員会とかその他でまた後ほどいろいろ質問をさせていただきたいと思います。  最後に、対内投資円滑化ということについてお伺いをしたいと思うのです。  対内投資をやるというのですが、どういう業種の性格を持った外国資本を助成しようとしているのか。今回この法律の要件は余りにも漫然としているような気がするのですが、具体的に認定基準、それをぜひとも示すべきではないか。そしてそういう認定基準を示したら、企業に対してどういう資料を出さすのか、その基準に対して。そして何を審査するのかということについてはっきりとしなければ、この出されているような今回の要件というのは抽象的なような気がするのですけれども、ぜひともその点についてお伺いしたいと思います。
  63. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 お答え申し上げます。  先生お尋ねは、本法に基づきまして税制等の特別措置を講ずることになっておりますけれども、その対象でございます特定対内投資事業者の認定の仕方についての御質問でございます。  この特定対内投資事業者の助成をすることといたしました背景を簡単に御説明したいわけでございますけれども、御案内のように、外資系企業我が国に入ってくる際に数多くの困難がございまして、特に初期コストの負担に対応しなければならないといった問題があるわけでございます。また一方、我が国企業は今日まで自由貿易の秩序のもとで発展してきておりまして、世界経済の重要な担い手になってきておりますけれども、双方向で、技術の面あるいは知識の面から世界経済の活性化というものに対して交流を、貢献をしなければいけないという要請に迫られているわけでございます。そういった全般的な情勢に対応いたしまして、今回の特定対内投資事業者の選定を考えていかなければならない状況にございます。  具体的には、先生指摘のように二条の五項に各要件があるわけでございますけれども、まず、第一号に書いてございます国際経済環境と調和のある健全な発展を図れる事業ということがございます。この点につきまして、今申し上げましたような観点から総合的に、かつ実態をよく見てこれを選定し、支援をしていくということに相なるわけでございます。  二号は消費者のニーズの充足にどの程度寄与しているかという問題であり、三号は先ほど申しました知識交流の問題でございまして、これをより具体的な形で御指摘のように国民の皆さんに明らかにしていくということで、政令でその内容を明らかにしていきたいと思っております。  具体的には、基本的には一定の業種の名前を掲げるということでやっていきたいと思います。一つのイメージでございますけれども、その内容といたしまして批現在検討中のところでございますけれども、自動車あるいは自動車部品製造業、あるいは工作機械製造業、半導体製造業、そういったものがこれに含まれてくる、このように考えているところでございます。
  64. 加藤繁秋

    ○加藤(繁)委員 時間が来たから終わります。どうもありがとうございました。
  65. 武藤山治

    武藤委員長 安田修三君。
  66. 安田修三

    安田(修)委員 それでは、通産大臣がお見えになってから大臣質問の方に入りますので、質問の順序をちょっと変えて質問いたします。  初めに経済企画庁の方。  これまでの大型景気は何よりも民間設備投資が主導力となってきたというのは皆さん方も既に述べておられるところであります。そこで、経済成長の成長寄与度からしますと、国民総支出の六〇%近くを占める個人消費が成長の四〇%程度であったわけでありますけれども国民総支出の二〇%程度にすぎない民間企業の設備投資が実は四〇%程度の寄与度を示したというところに、どちらかといえばバランスを失ったということが言えたわけでありまして、私たちからいたしますと、国民生活よりも産業活動優先にした内容の成長であったということをこの数字面からしたら示していたのじゃないだろうか。  そこで、その設備投資は今二けた増から正常な伸びに戻っておることは経済企画庁の経済運営の中にも述べられておるとおりであります。このときに当たって、内需主導の安定成長を続けるために、設備投資の鈍化に対応した、それにかわった成長を支える他の最終需要をどのように拡大するか、これが最大の課題であります。  そこで皆さん方の中に、あるいはまた政府、あるいはまた与党の中からも金利の引き下げ、金利引き下げという問題はどちらの方からも出てはおりますけれども、いろいろな観点が出ておりますけれども、しかし要は、せんじ詰めますと、一つは、生活関連公共投資拡大ということが最終需要拡大の中の重要な決め手になってくるのではないか。もう一つは個人消費の拡大。この二つを柱にした最終需要の創出がなければ日本の経済は従来のパターンから転換でき得ない。そういう点ではことしは大事な節目のときになってきたのではないかと思うわけであります。  しかし、これらのことを見ますと、さらさらっと経済企画庁の経済運営の中にも出てはおりますけれども、しかし、それに見合う施策の展開ということになりますと、私は、政府のことしの予算面それから施策の面からして希薄ではないだろうか。公共事業の前倒し、それもよろしい。あるいはまた住宅の増設、これもよろしい。いろいろありますけれども、しかし住宅増設になりますと、そんなに大した数にはなってこない、かなめの方はだんだん消えていく。それから所得の方になりますと、経済企画庁の経済運営の中にも余り触れてはいない。こういう点で私は皆さん方に、ここらあたりの手薄な点をどのように考えていらっしゃるか、お聞きしておきたいと思います。
  67. 吉冨勝

    ○吉冨政府委員 お答えいたします。  先生指摘の最終需要の重要性というのは次のような文脈で考えております。  現在我が国の経済は、完全雇用状態を維持しながらインフレのない持続可能な成長経路に移行していく、その中での調整過程にあります。その調整過程の中で景気の減速感が大きく広がっているわけですから、政府としましてはその移行を円滑にするために、減速過程が企業家などの心理を大きく冷やすことのないように、景気に十分配慮した政策を行う必要があると考えております。  そういう中で平成四年度の予算編成は、御存じのように公共投資については思い切った政策を、国・地方を通じて最大限の努力を払っております。また金融面では昨年暮れの第三次の公定歩合引き下げが実施されて、財政、金融の両面からそうした措置が講じられていることは先生御存じのとおりかと思います。政府としましては、まずこうした景気全体を支えていくことができるような平成四年度予算の早期成立を期待しておりますし、それとともに、今申し上げました金融政策の効果の浸透を注視してまいりたいと考えております。  そういう中で、先生指摘生活関連公共投資それから消費支出の重要性でありますけれども、まず消費支出につきましては、何といいましても引き続き物価の安定を図りながら、消費者の消費需要の基礎になります雇用者所得の安定した増大が必要かと思います。新年度の経済見通してはこの雇用者所得が六%で伸びるというふうに考えております。と申しますのは、現時点で、減速の中で依然として雇用者数の伸びというのは、一月の数字をとりましても、前年同期比で二・五%増、十二月では三%前後になっておりますので、そういう堅調な雇用者数の伸びに支えられて雇用所得が全体として堅調に伸びる。したがって、政府の見通しとしましては、消費の実質の伸びが新年度には三・七%程度になるというふうに考えております。  他方、平成四年度予算の編成に当たりましては、公共事業の配分に当たって、これも先生御存じのとおり生活関連重点化枠などを通じて環境衛生、住宅、下水道、公園などの国民生活の質の向上に当たっております。この生活関連重点化枠というのは、ことしは昨年に比べて二千億円の追加をしておりまして、これはSII、日米構造協議の中での四百三十兆円をそうした生活関連の充実に充てていくという中長期の施策にも見合ったものとなっているかと思います。  そのようなわけで、予算の編成につきましても、また個人消費につきましても、先生の御要望にこたえるような形になっているというふうに私どもは考えております。
  68. 安田修三

    安田(修)委員 いろいろな公共投資生活関連投資関係でいろいろ述べられております。今地方の方にかなりシフトしている感じがするわけですけれども、実際はなかなか思うようにそのとおり動くかどうかということは、ちょっと現実困難な面もあるんじゃなかろうかと思うのでございます。とにかく、ちょっと抽象的な面が多いんじゃないですか。経済企画庁ですから理論面中心のことが主力ではあるけれども、しかし全体的にどうでしょう。経済運営の統括官庁として、ぎゅっと引き締めるというものが余りないんじゃないですか。今数字面も民間と非常に議論のあるところです。しかし、私は、世界の中の日本として牽引車になっていかなければならぬという点では、皆さん方が数字を出しておられる三・五%の実質成長、これはそれでいいとして、ただ、そのためにはちょっと物足りない面があるんじゃないですか。どうですか。実際、経済企画庁として本心はどうなんですか。
  69. 吉冨勝

    ○吉冨政府委員 公共投資関連の生活関連枠は、四百三十兆の「公共投資の機能別分類」というのを見ましても、八〇年代の生活環境・文化機能に配分されます割合が五〇%台の前半ですけれども、毎年毎年の予算編成を通しましてこれを一九九〇年代の十年間では六〇%程度に上げていくということをうたっておりますし、先ほど申し上げました予算の内容はそのようになっておりますので、これは極めて具体的な数字ではないかというふうに思います。  それから、先ほどの、今回の減速過程で非常に重要な特徴は人手不足という中での減速でありますので、時間短縮を伴いながら雇用者数が伸びている。したがって、この雇用者数の伸びに見合った所得の伸びがあるので、先ほどのように六%を優に確保できる所得の伸びが消費を支えるというわけで、こうした企業の時間短縮に伴った雇用者数及び所得の伸びという、市場経済に根差した消費の増大というのが最も望ましいということで、これをあえて刺激するような政策が現時点で必要であるというふうには考えていないということでございます。
  70. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、次に通産省の方に入りますが、直接、法の中身をちょっとお聞きいたします。  今度の法律案の中で、法第二条第五項、「特定対内投資事業」というのが出ておりますけれども、三つの要件をここで実は示しております。そこで、具体的には政令で定めることとしておるわけでありますけれども、この政令の具体的な定めはどのようなことを指していくのか、ひとつお聞かせいただきたい。
  71. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 政令でございますが、現在具体的にどのようなものにするかは検討中でございますので明確にこの業種ということを申し上げることができないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、検討の段階で申し上げますならば自動車あるいは自動車部品、工作機械、製造業あるいは半導体製造業といったものがこれに含まれてくる、このように思っております。
  72. 安田修三

    安田(修)委員 どの場合でも政令で定める場合に皆さん方は今検討段階、こういうことが最近特にはやっているわけですけれども、検討段階で国会に出して審議しろと言ってもどだい無理なんですよ。皆さん方は既にそういうものはちゃんとシフトをしいてしまって、あとは詰めをどのようにするか。業界との関係とかというのは私は残っているのだろうと思うし、今おっしゃった日本の戦略産業と言えるような自動車ですとかあるいは半導体関係というのは当然それは私たちも想定できる。ただ、その中でやはり国会にはもうちょっと具体的なものを私は示して、そして後から詰めが成った段階でそれはまあというのはわかりますけれども、余り漠然としたのはちょっと法案の審議には私はなじまないと思う。しかし、最近の政府関係は、どの法律を見てもこういうのが大はやりでございます。私は大変遺憾だと思うのです。そこで、これは政令は、この法が決まったら大変どの程度期間で決められますか。
  73. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 この法律を御審議いただきまして成立いたしましたならば、六カ月以内に施行するということになっております。全体的に急いでおる事業でございますので、できるだけ施行後早急に政令をつくりたい、このように思っております。
  74. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、第三条「地域」というのがあります。そこで輸入促進基盤整備事業及び輸入貨物流通促進事業に関する措置は、三つの要件に該当する地域となっておるわけですが、一つは港湾・空港地域。私たちの解釈でも、法で定められた港湾・空港地域だな、こう思います。  さてそこで、「輸入貨物が相当程度流通しこということが書いてあります。流通の見込みも含めて、この「相当程度」とはどの程度の尺度を指すのだろうか。この点ひとつお答えいただきたい。
  75. 高島章

    高島(章)政府委員 それぞれの地域によりましていろいろ状況は異なるものでございますから、具体的に数値幾らということをもってあらわすことはまことに困難でございます。ただ、一つだけ申し上げられますのは、本法による措置が講じられますればきちっとした効果が見込まれる、効果がちゃんと出てくるということだけの貨物の流通量というものを考えておりまして、施行はしたけれども効果というものははっきり見られないというような場合は「相当」とは言えないと考えております。抽象的でございますが、具体的な数値につきましては難しゅうございます。
  76. 安田修三

    安田(修)委員 私、これは後から聞いても先に聞いても一緒なんですけれども、そこで、特に最近よく言われるのですけれども、いろいろな施策があるたびに一体効果がどの程度あるか。テレビでも最近よくやっていますね。いろいろなことを政府も言うけれども行政効果としてはどの程度上がるのか。私たちもやはり議員として聞かれます。それをやったらどの程度とういう形になるんですかと。それは国民が税金を納めておるのですから、金を使われた以上は効果がどうであるかというのを知りたいというのは当然の権利であります。今度の場合もいろいろな財政措置等がございます。一体これによって輸入促進なりあるいはまた直接対内投資というのはどの程度ふえるのか。例えば大体百億ドルの残高である対内投資というのが百五十になるのか二百になるのか。しかし、それは理論値あるいは当初の想定したものと実際の現実とは違う場合がありますけれども、行政当局としては、まあこの程度効果はあるかなというものは、おおよそそういう量的なものはなければならないと思うのですね。今度のこの相当のという場合でも、皆さんにすればなかなかはかりがたいでございましょうが、まあまあおおよその基準というものはあるのかな、あるいはまたないのかな。見込めるというのがありますので、将来性ということを考えますので、そこら辺がなかなかあいまいでありますが、どうですかね。今相当の、それらが見込めるということであれば、じゃ今度の措置によって、これは輸入促進なり対内直接投資のためにいろいろな施策が総合されなければ、実際の行政効果というのははかりがたいのですけれども、全体の中の一環としてこれをやれば、大体総体にはどの程度の行政効果が望めるのであろうか、何かそんなものを皆さん考えておられますか。
  77. 高島章

    高島(章)政府委員 定量的なお答えは実はまことに難しゅうございまして、この法律案に基づく措置によってどの程度具体的な数値になるかということは、まことにお答えすることが難しゅうございます。どうしても定性的なお答えにならざるを得ないわけでございます。ただ一つだけはっきり申し上げられますことは、今まで諸般の輸入拡大策を講じてまいりましたけれども、今さらに輸入拡大措置の追加が必要になる、その中で大切な点は、輸入貨物の流通円滑化をどうして図っていくか、そこにどういう政策の厚みを、つけていくかということでございまして、その輸入貨物の流通円滑化を図るというために、この法律案に基づく諸措置を考えさせていただいているわけでございます。このことによりまして、輸入品物流は円滑になりましょうし、それから輸入ビジネスというものについてはもっと促進が図られるかと期待されます。さらにいろいろな輸入品の調達をしようということもふえてまいりますので、そういうものの効果がすべて重なり合いまして、今一番緊急を要しております輸入貨物の流通円滑化が図られるということの効果が期待されているわけでございます。     〔委員長退席、竹村委員長代理着席〕
  78. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、法第四条に地域輸入促進指針という、五つの事項について指針を定めることとしております。具体的には地方自治体その他が行う中に目標の設定などというのが書いてあるわけでありますけれども、さて指針の大綱ですね、これをお聞かせいただきたい。
  79. 高島章

    高島(章)政府委員 法案の第四条に五つ指針の事項を掲げておりますが、今後主務大臣によりましてすぐに検討に入らせていただく予定でございます。具体的にはこういう以下のようなことを考えております。  まず第一号でございますが、これにつきましては、本法案の第三条各号に定めます要件を初めといたしまして、輸入促進地域の設定に当たっての具体的な指針であります。  第二号の内容は、輸入促進地域におきます輸入貨物の流通量の見通しといったものの地域輸入促進計画の記載事項でございます。  第三号は、支援の対象とすべき輸入促進基盤整備事業及び輸入貨物流通促進事業の概要を考えております。  第四号でございますが、輸入促進地域において地方公共団体などの整備をいたします国際見本市会場などの国際経済交流の促進に資します施設の整備の方針でございます。  最後の第五号でございますが、これは地域の中小企業事業機会の増大等の地域輸入促進計画の記載事項ということを考えているわけでございます。
  80. 安田修三

    安田(修)委員 それでは、大臣がお見えになりましたので、法案の方はちょっとこれで途中中断しまして、初めに大臣に質問しようと思ったことをひとつやりたいと思います。  大臣、私はこれはいい意味で言うのですけれども大臣の中には事務方の答弁だけ読んでいらっしゃる方と、それからそれを離れた見解、まあ全部離れるという意味じゃなくして自分の持ち味を言いながら答弁される、よくおしゃべりされる、おしゃべり大臣という、これはいい意味ですよ、毛針で言うようなそういう大臣と違って、いい意味のおしゃべり大臣、こういう方が何人か従来からもいらっしゃるわけですけれども、その中の一人が渡部通産大臣。そこで、そういう意味でぜひひとつ持ち味を生かした答弁をこれからもやっていただきたいものだと思います。  そこで私は、初めにお尋ねするのですけれども、「平成四年度通商産業政策の重点」という通産省の政策を読ましていただきました。私、感心したのですが、ここには司法以外はあらゆることが網羅されている感じがあります。通産省日本国を背負っているのじゃなかろうか、頼もしくもあり、こういうことを論議しておると楽しいなという感じもするほど、いろいろなことが書いてあります。  そこで、初めに二、三、ここで述べられていることについてお聞きしたいわけでありますが、この中に「第二 ゆとりと豊かさを実感できる社会の実現」というのがありまして、その中の2ですけれども、「我が国国民が生きがいを実感し、真の心の豊かさを永続させることは二十一世紀に向けた最大の課題の一つである。本課題の解決のためには、人間的価値を核とした産業社会の実現に向けて、多面的かつ積極的な施策の展開を図る必要がある。」こう述べられております。具体的施策として東京一極集中の是正と地域の活性化その他挙げられているわけでありますが、なかなか大上段にこうした方針が掲げられておりまして、特にゆとり、豊かさ、一極集中の是正、こういう点等が述べられております。私は、ここでまずこの「人間的価値を核とした産業社会の実現」ということですけれども、いろいろな言い方がありますが、ここらあたりで一体どういうことを通産省として大臣は方向づけをしておられるのか、この意味をお聞かせいただきたい。
  81. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先生御承知のとおり、戦後の我が国の経済、戦争が終わって、この東京も廃墟になって、国民全体が飢餓の中から豊かさを求めて、そのためには経済の繁栄、こういうことでひた走りに走ってまいりました。気がついてみたら、今や日本の経済は、国民皆さん方の努力によってアメリカあるいはヨーロッパ、これらの先進国に遜色のない経済に繁栄をしてまいりました。経済企画庁等の統計を一つ一つとってみれば、あれも世界の中で一番、これも一番というようなのが出てきたわけです。ところが、世界じゅうの国から日本は金持ちになった、こう言われ、数字の面でもそういうものが出ておりますけれども、残念ながら国民の皆さん一人一人が、今この国が頑張って豊かになったことの実感を毎日毎日の生活で味わっていただいているだろうか。都会の人は交通渋滞のいらいら、あるいはサラリーマンの方は、外国に比べて食べ物が高いとか、それぞれ毎日毎日の生活の中での御不満がございます。こういうものを一つ一つ取り除いていって、経済も豊かになった、そのために毎日毎日の我々の一人一人の生活が豊かになったということを実感していただけるような経済社会、具体的には、先生方の熱心な時短の問題もありますし、また一極集中というものが、今までは東京の工場の集中だったわけですが、これは地方に分散しておりますけれども、業務機能が一極集中しておりますから、これらを思い切って地方に分散していくとか、内外価格差を是正していくとか、一つ一つの努力によって、この国は経済も豊かになったけれども、そのために毎日毎日の私たち生活が豊かになったということを実感していただくような、人間を大事にする、当然のことでありますけれども、経済政策ということを考えております。
  82. 安田修三

    安田(修)委員 おっしゃるとおりなんですけれども、しかし私、そういう抽象論というのは、まあこういう場ですからそれはそれでいいんでしょうが、具体的に施策に出る場合にはどうすべきかということがやはりかなめになっていくんだろうと思うのです。  そこで私、きょうはこのことを議論するのが主ではございませんので、率直に言いますと、例えばこの中に述べられている一極集中を是正する。そうすると、その前段に豊かなゆとりという問題が出てくる、結果論としてそれは出てくるんでしょうけれども。そこで、私は、首都移転の問題から、いろいろなものが提言されたり、出ております。東京の一極集中というのはなかなか単純にいかないということは、皆さん方も研究したりとか、我々もまた興味があって、なかなかそう簡単に、少々の機関の移転やその他では解決できる問題ではない。それはいろいろな角度で、これだけ人口が集中し、それからまた金融もこれだけ集中しという角度でいきますと、難しい問題がたくさんあります。私は、率直に言って、通産の場合に、例えば今第二国土軸とか環日本海の国土軸とか各地で言われておりますが、思い切って、余り何兆円というでかい企業でなくても、せめて一兆円程度企業、いわゆる事業収入、年度の事業を一兆円程度やるような企業、一兆円というと大分でかいですね、それくらいの企業が東京から本社機能をぽいと持っていく、福島に持っていくとか日本海のどこかへ持っていくという、それくらい通産が財界と話し合って手を打つようになったら、これは一遍にいわゆる一極集中が是正されてきますよね。それに伴うアクセスその他の整備も必要ですから、公共投資も当然必要になりますけれども、まあそれは簡単に数年でできるとかというものではございませんが、そのようなことがなければ、日本の場合はなかなかできがたい条件が整い過ぎている。そういう点では、私は、通産の方も、今までのように、つくれ、それ物を出せという時代が変わったんですから、その方面はそれは建設省、この方面はどれということじゃなくして、通産自身がそろそろそういう問題を考えていく時期だ、皆さんの中にも考えはあるんでしょうけれども、そういう点もやはりぶち上げる時期じゃなかろうかと思いますが、どうでしょうか。
  83. 渡部恒三

    渡部国務大臣 民間の企業に対して、私どもがこうしろとかああしろという指図はできませんけれども、現在の東京の地価の高騰、また交通の渋滞、こういったものを考えますと、今度法律案もお願いをしておりますけれども、地方に受け皿を、しっかりした受け皿をつくっていけば、これは先生指摘のような大きな企業が、本社機能を含めて地方に移転していくというような将来の可能性は十二分にあり得る、そのためにこそ私ども政策を進めていかなければならないと考えております。     〔竹村委員長代理退席、井出委員長代理     着席〕
  84. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、輸入促進、それから対内直接投資の問題が今度の法案の中に出てきておるわけであります。  そこで私は、貿易関係で、昨年一年間の通関統計で七百八十二億ドル、これは皆さんの資料に提出されているとおりでありますが、国際収支統計速報では一千三十三億ドルという非常に大きい数字になって上がってまいっております。このうち六三%が実は自動車の黒字だ、こういうことになります。これに対して、輸入車約二十万台のうちアメリカ車は三万台。そして、このうち半分はホンダ・アコードの逆輸入だ、こうなりますので、向こうにすれば大変かりかり、こうなるんでしょうが、私たちとすれば、皆さん方の中にもよく論争があるように、アメリカ企業の売り込み努力が足りないじゃないかとか、こういうことになってまいります。いずれにしましても、八〇年以降自動車の輸出というのは、百六十八万台の自主規制から始まって、二百三十万台の自主規制という国際カルテルが行われた。そのおかげで、日本企業もやはりもうかりましたし、アメリカのビッグスリーも非常に大きいもうけをやったわけですね。ただ、日本の場合は、是非論はいろいろありますが、とにかく内部留保、設備投資にどんどんかけていった、ビッグスリーの方はMアンドAの資金に回したりその他、余り設備投資に回さないで大変使われたのではないか、こう言われております。そこで、そのことが結果的にアメリカの自動車産業のいわゆる衰退を招いでしまったのではなかろうか、こう言われておるわけであります。  貿易摩擦の中で、日米間で特に自動車が主な原因でありますから、その点だけをとらえてみた場合に、一つは、今言ったようなアメリカ自体のこの原因、もう一つは、世界的な平均を上回る日本の長時間そして過密労働、あるいは賃金、福利関係の低さ、そして下請たたき、こうした原因を除去しなければならないのじゃなかろうか、こういうふうに思います。よくアメリカのことを陰で言いますので、向こうにすぐ発言をとらえられてがたがた言われますが、私は、率直に向こうと表で話し合えば向こうの人たちもそんなに腹を立てる必要はない。陰言でこちらが言うものだから、すぐ外電で伝えられて、誤解もあれば、さわりだけ言われて問題も出てくる。そういう点で私は、やはりパートナーである以上はしっかりした主張を言って、そしてまた、日本国内の事情についても早急に改善していかなければならない。そういう点で、通産大臣は三日の日に、ホンダが米加の自由貿易協定のあの五〇%免税の部品をやってないじゃないかという問題が起きたことにつきまして、アメリカの関税局の問題が起きたことに際しまして、早速大臣は閣議後の記者会見で談話を発表して懸念を表明しておりますが、これらを含めまして、いわゆる日本のこうした貿易不均衡について、特に自動車問題でどのような対処を、まあ部品輸入とかいろいろなことは今度ブッシュ大統領が来られたときにもやっておりますが、基本的にはもっと言うべきところには言ってきちっとすべきではないだろうかということ、そういう点でひとつお聞きしたいと思います。     〔井出委員長代理退席、竹村委員長代理着席〕
  85. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御指摘日米貿易関係、大変な黒字我が国はなっておるわけでありますが、また、その中で自動車が大きな比重を占めておる、先生指摘のとおりでございます。  日米関係は極めて重要でございますから、先般のブッシュ大統領の訪日の際も首脳会談を成功させなければならないということで、それぞれの立場の方がそれぞれの認識の中で御努力をいただきました。その一つとして、自動車業界皆さん方が行動目標を立てたいわゆるアクションプランがあるわけですけれども、これはもとよりアメリカ業界皆さん方も努力をしていただくという前提の中の努力目標でありますけれども、誠実にこれが実現されるように見守っていかなければならないと思います。  それからまた、今先生指摘のあったように、アメリカ側が間違ったことをもししているというようなことであれば、これは私どもは毅然たる態度で言うべきことは言っていかなければなりませんから、我が国アメリカお互いの繁栄のために私どもは言うべきことは言う、なすべきことはなすということで対応してまいりたいと存じます。
  86. 安田修三

    安田(修)委員 次に、これはちょっと大したことでもないのですけれども国民の祝日に関する法律というのがございます。第三条には「「国民の祝日」は、休日とする。」ところが、自動車業界の大手の中に、週休二日制の中に全部繰り入れて、祝日は休まない、勤労感謝の日であろうが何であろうが休まないという会社がありますね。そうしますと、系列下、部品納入、全部これは同調しておる。私はこれは大変不思議だと思うのですね。これは労働省が本来この法の省なんでしょうけれども、通産としてはやはりこういうのは気をつけてもらって、きちっと国民の休んでおるときに大手経営者のところが休んでいないというのは、これはでかい影響があるんですよ。ぜひこれは行政指導というよりも話し合いをしてもらいたいと思いますね。これはどなたさんでも結構ですよ。
  87. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 年末年始でございますとかゴールデンウイークでありますとか、あるいは夏休みの期間中に関連するところにつきましては、自動車メーカーといたしましては、下請企業はいろいろな自動車メーカーに物を納めておりますから、そういう下請企業にも配慮いたしまして、メーカー各社の工場部門の休業期間をできるだけ重ねて、そうすると下請企業も同時に休めるというようなところで一方で努力をしておるところでございます。他方、そういったゴールデンウイーク等から外れるような祝日の一部につきましては、そういう片方で長期休業を促進するために一方で振りかえておりますので、労使間で決定をされました年間労働日数の範囲内で祝日を長期休業に絡めて振りかえるというような試みも、そういうケースも確かにあるところであります。  自動車産業におきましては、いずれにいたしましても労働時間短縮の重要性については労使とも十分に認識をされておるものと思いますし、現にいろいろな努力が積み重ねられているところであります。今後とも労使による一層の取り組み強化を図っていかれることを我々としても強く期待をしてまいりたいと思います。
  88. 安田修三

    安田(修)委員 労使が当然決めることですけれども法律で決まっているものを日本の戦略産業の大企業が知ってはいないで休んでいないというのは、これはいかぬですよね。だから、やはりよそ様からも言われるわけですよ。しゃばじゅう休み、休日だったら、今じゃ自動車は通らないのですから。にもかかわらず一生懸命働いておるのは、ほかから見ても余りいい格好じゃないですね。これは通産行政としても、皆さんの本職の方の仕事じゃないですけれども、やはりこれだけ貿易摩擦ががたがた言われているときですから、祝日は法律でちゃんとつくってあるのだから国の法律をきちっと守ってやっていけ、そして、あとの年末年始だってそんなに長いこと休んでおるわけじゃないのですから、週休二日制全部織り込んで、そしてあとそこへたたき込んでおるだけですから、やはりぜひ注意を喚起してもらいたいと思います。  さて、時間がなくなってまいりましたので、せっかく自治省からお見えですからちょっとお聞きします。  第十五条で地方税の不均一課税に伴う措置、それから第十六条で国及び地方公共団体事業を支援するために必要な資金の確保と融通のあっせん、それから第十八条で地方債についての特別の配慮をするということでいろいろ決めております。具体的に国及び地方団体はどのようにするのかお答えいただきたい。
  89. 牧之内隆久

    ○牧之内説明員 第十五条の地方税の不均一課税に伴う措置についてでございますが、地方公共団体が、輸入促進基盤整備事業促進するというために当該施設を取得する者に対します不動産取得税なりあるいは固定資産税につきまして、優遇措置をとったという場合に、それに伴います減収分の一定部分につきまして、地方交付税によりまして補てんをしようというものでございます。具体的な対象になります地方公共団体、それから対象となります施設等につきましては自治省令で定めることといたしておりますが一基本方針の内容等の具体化を踏まえながら詰めてまいりたいというふうに考えております。  それから、十六条に、地方公共団体事業を支援するために必要な資金の確保と融通のあっせんに努めるというふうに書いてございますが、これは、公共団体が持っております制度融資等を活用いたしまして、事業者に対する貸し付け等を行う、そのことで事業を支援していこうということを想定いたしております。  また、十八条に地方債についての特別の配慮の規定がございますが、これは地方団体が、先ほど御説明ありましたように、輸入促進地域につきまして見本市会場等の国際経済交流施設を整備しようといったような場合、あるいは輸入促進基盤整備事業を行います第三セクターに出資をしようといったような場合に、起債の申請があった場合にはできるだけこれに配慮していこうという趣旨でございます。
  90. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、それでは第十六条の場合、これはふるさと財団の適用があるのかどうか、それから第十八条の場合に地方総合整備債の特別分の適用をやるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  91. 牧之内隆久

    ○牧之内説明員 ふるさと財団につきましては、ふるさと財団の要件が、雇用がたしか十人以上ですかとか、事業の規模とかといったような要件がございます。そういうものの要件に沿って申請があり、各金融機関等との融資のあっせんができるというようなことになれば、対象になり得るものというふうに思っております。  それから、特別分の扱いにつきましては、いわゆる経済交流施設等につきましては、地域づくり推進事業の一環として位置づけたいと考えておりますので、地域総合整備事業の中の特別的な取り扱いの対象として考えてまいりたいということでございます。
  92. 安田修三

    安田(修)委員 そこで、輸入のために整備しなければならぬものとしていろいろ要望してある中に、例えばCYヤード、コンテナ用クレーンの設置、薫蒸倉庫の設置、通関手続の迅速化、これは場所の関係もひっくるめてですが、指摘されるわけですが、今度の施策によって、輸入促進基盤整備事業流通促進事業にはこうしたものは含まれるのかどうか。そしてまた、通関のために必要な各種の職員、先ほどもちょっと質問ありましたが、厚生省それから農林関係にまたがります。先日ちょっと資料をいただきましたら、この間の、去年の日米構造協議のときに使われた資料だそうでございますが、かなり厚生省関係も農林省もふえております。しかし、これぐらい輸入がふえると、職員が多くなければ、通関手続というのは簡単にいきませんので、そういう点で、特に日本の場合は食品関係輸入はもう大国でありますので、そういう関係ではどのようにされるのか。本来、各省を呼べばよかったのですが、この程度でありますので、通産ではどのように掌握しているかということでお聞きしたいと思います。
  93. 高島章

    高島(章)政府委員 この法律案は、先ほど来申し上げておりますけれども、第三セクターなどが輸入貨物の流通円滑化のために必要な施設を整備する際にこれを支援するとともに、この施設を利用する事業者、これは中小企業も入りますが、そういった事業者をも支援するものでございます。したがいまして、御指摘の各種施設につきましても、第三セクターなどが整備するものでありますれば輸入促進基盤整備事業の対象として支援の対象となり得るものでございます。また、地方公共団体等が整備すべき施設につきましては、先ほどもございました本法律案の第十七条にございますが、地方公共団体等は整備の促進に努めるということになっておりますので、今後こういった地域におきまして整備が進むことを期待しているわけでございます。  それから、二つ目の御質問の人員の問題でございますが、あるいは実際の輸入手続、審査の迅速化、円滑化の話でございますけれども、これにつきましては関係省庁と常に連絡を取り合っておりまして、具体的には輸入手続関連省庁連絡会議というのがございますが、そういった場を頻繁に開くことによりまして、現在の問題をうまくクリアできますように関係省庁に常日ごろいろいろ御要望を申し上げているところでございます。
  94. 安田修三

    安田(修)委員 それじゃ、時間が来ましたから終わります。
  95. 竹村幸雄

    ○竹村委員長代理 常松裕志君。
  96. 常松裕志

    常松委員 私は、港湾倉庫など海陸物流の結節点で働く労働者、あるいは港湾運送事業と、このたびの輸入促進政策とのかかわりについて御質問をいたします。  さきの日米首脳会談において、アメリカの強い圧力によって宮澤総理は貿易黒字の削減を約束させられ、その具体化の一環として今回審議されています輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法が上程されたものと理解をいたしております。  さて、貿易の最前線といいますか、貿易の活性化に欠かすことができないのが港湾であります。国際間の商取引なり貿易、輸出入に港湾を抜きに考えることはできません。どのような場合でも、島国である日本においては港湾あるいは空港を貨物は必ず通過いたします。そしてそこには港湾労働者が必ず働いています。今回政府の指導により輸入促進しようというわけですが、貨物が拡大されると当然そこに働く労働者が増加するだろうというのが一般的な見方のようでありますが、どうもそうではないのではないかというように私には思われます。むしろこの法律によって港湾労働者の職域が狭められ、雇用不安をも招きかねないおそれがあるのではないか。しかしそんなことは断じてあってはなりません。外国雇用拡大のために国内雇用が脅かされるようなことがあってはならない、このような立場から御質問をいたします。  まず第一に、法案の第二条で、輸入促進基盤整備事業の行われる地域とは「港湾又は空港及びその周辺」とされておりますが、「周辺」とはどこまでを指すのか、通産省にお伺いをいたします。
  97. 高島章

    高島(章)政府委員 お尋ねの「港湾又は空港及びその周辺の地域」の範囲につきましては、輸入貨物の流通の観点からの港湾または空港との密接性、どの程度つながっているか、それから当該港湾または空港からの距離、さらには所要時間、どの程度時間がかかるかといったような点を勘案いたしまして総合的に判断をしてまいりたいと思います。  ただ、具体的な輸入促進地域の選定は都道府県の計画の承認申請を待って行うべきものでございまして、あくまでそれぞれの地元におきまして地方自治体が十二分に御勘案になろうかと期待をしております。
  98. 常松裕志

    常松委員 次に、輸入促進基盤整備事業のプロジェクトは具体的にどういう内容なのか。また、整備地域の管理運営の主宰者はだれになるのか。相当数の当該事業というのが法案の中にありますが、その当該事業とはどのような業種がそこに参入するのか。  また、第三条では「輸入貨物流通促進事業」と書かれておりますが、それは何を指しているのか。「輸入貨物が相当程度流通しことなっておりますが、具体的にはどのような基準を想定しているのか。また、第三条三号に「輸入促進相当程度図られると認められること。」とありますが、具体的にどのような内容を考えておられるのか。  同時に、この指定地域では輸入品貨物以外も取り扱うのかどうか、通産省お尋ねをいたしますが、時間の関係もありますのでひとつ、ぜひ手短に御答弁をお願いいたします。
  99. 高島章

    高島(章)政府委員 まず、輸入促進基盤整備事業とは、第三セクター等が輸入貨物の荷さばきとか保管、加工等の事業に要する施設を設置及び運営する事業をいうわけでございます。それから、輸入促進地域全体を管理運営する主体というものは存在をいたしませんけれども輸入促進基盤整備事業の主体である第三セクターに加えまして、当該地域施設内で事業実施する輸入貨物に関連する事業者、大手も中小もございますがこういったものが中核的な役割を果たすものと考えております。それから、輸入促進地域内におきます事業というのは、輸入貨物の蔵置、加工、展示または運送という事業を想定しているところでございます。  それから二つ目のお尋ねでございますが、第三条第二号に「輸入貨物が相当程度流通しことございますのは、本法に基づく措置を講ずることによる効果が見込まれるだけの貨物の流通量が必要であるという趣旨でございますし、また同条第三号の「輸入促進相当程度図られると認められること。」につきましては、地域の選定に当たりまして相当程度輸入促進が図られることが必要であることから、港湾、空港の貨物取り扱いの能力の状況、既に当該地域においてどの程度輸入が行われているか、輸入促進基盤整備事業を利用すると見込まれている事業者が実際どの程度存在しているかといったような要素を総合的に判断して定めた趣旨でございます。  それから、最後のお尋ね輸入促進地域では輸入品以外の貨物はどうかということでございますが、この法律案の趣旨、それから輸入促進基盤整備事業の「定義」におきます「輸入促進に寄与すると認められるもの」との規定から、施設において取り扱われる貨物は当然輸入品中心ではございますけれども、その地域におきまして輸入品以外の貨物を取り扱うことが全く否定されるものではございません。  以上でございます。
  100. 常松裕志

    常松委員 輸入促進基盤整備事業の参入業種についてはどういうことを想定しているのですか。特段の限定はしていないということなんでしょうか。
  101. 高島章

    高島(章)政府委員 輸入促進地域内におきます事業は、輸入貨物の蔵置、加工、展示または運送の事業を想定しているところでございます。
  102. 常松裕志

    常松委員 港湾運送事業法では港湾の定義の中で水域については規定をしているところでございますが、陸域については規定がございません。本法案により海上貨物の荷扱いを行う物流ターミナルでございますが、これは港頭地域に整備をするのか、あるいは内陸地にも整備をするのか、この点運輸省にお尋ねをいたします。
  103. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 港湾運送事業法の適用のある港湾につきましては、港湾運送事業法の第二条におきまして、先生仰せのとおり「その水域は、政令で定めるものを除くほか、港則法に基づく港の区域をいう。」というふうに規定されておるわけでございますが、陸域につきましては明文の規定がございません。したがいまして、社会通念上の港湾の陸域、そういうものになると考えているところでございます。  一方、現在御審議をいただいておりますこの法律によりまして支援の対象となる海上輸入貨物、これを取り扱う物流ターミナルにつきましては、その効率性から考えまして港湾で整備をすることが適当と考えておりまして、その旨をこの法律に基づきますところの地域輸入促進指針で明記することにしたいと考えているところでございます。都道府県はこの指針に従って地域輸入促進計画の申請をなさるということになりますし、主務大臣はこの指針に基づいて申請の出された計画について承認を行うことになるものでございます。  運輸省としては、こういった考え方に基づきまして、港湾における物流ターミナルの整備を進め、港湾全体の活性化に取り組んでまいりたいと思っております。
  104. 常松裕志

    常松委員 通産省お尋ねをいたしますが、通産省も同じようにお考えと、この海上貨物の荷扱いを行う物流ターミナルについては今運輸省からの御答弁のとおりというふうに御理解してよろしいですか。
  105. 高島章

    高島(章)政府委員 通産省といたしましては、運輸省の御答弁のとおりでございます。
  106. 常松裕志

    常松委員 この法案の第四条の地域輸入促進指針に従って整備される海上貨物の施設におきましては、コンテナのデバンニング、荷さばき等の作業が行われることになる、また想定されるわけでありますが、それについては港湾運送事業者が行うことになるというふうに私どもはこの法案から理解をいたしておりますけれども、そういう理解でいいのかどうか。また、したがって当然港湾運送事業法の適用になるというふうに私ども理解をいたしておりますが、それでよろしいのかどうか。運輸省にお尋ねをいたします。
  107. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 地域輸入促進指針に従いまして計画が作成され、申請が出てそれが承認をされる、その計画に基づいて整備される物流ターミナル、ここで行われますいわゆる港湾運送行為につきましては港湾運送事業法が適用になるものでございます。したがいまして、港湾運送事業者が行うことになるというふうに考えております。また、こういった施設について、施設の中でコンテナのデバンニング行為を行うことも考えられるわけでございますが、その場合には港湾運送に該当すると考えております。
  108. 常松裕志

    常松委員 そういうことできちっと御指導いただきますと、この法案によりまして港湾労働者の職域が狭められることになるのじゃないか、そういうおそれを持っていたわけでありますが、その点についてこうした指導がきちっと行われるならば、ある程度そうした疑問も晴れてくるわけであります。しかし、こうした大きな物流施設ができますと、そこに輸入貨物が集中することになります。その輸入貨物が集中する場合に、新しい貨物だけではなくてそれまで別の施設で扱っていた貨物がシフトされることにもなるのではないか。そうなりますと中小の港運事業者の仕事が奪われることになる、そんな心配を私はいたしておりますし、恐らくそうなるのじゃないかなと思っているところでございます。  そこで、そうした影響を受けるであろう中小港運事業者が例えば協業化をして物流ターミナルに参加することができるようにすべきではないか、今のままでいくとこの物流ターミナルに参加することができるのは大手の大企業だけじゃないかなと思われるわけでありますが、そうした中小企業の方々に対する支援につきましての運輸省の御見解を承ります。特に中小の港運事業の基盤強化のためにこの際運輸省はどうした措置を考えているのかということも、あわせて御答弁をお願いいたします。
  109. 和田義文

    和田政府委員 お答えを申し上げます。  本法によります物流ターミナルの整備支援は、急増いたします輸入貨物に対応してインフラの整備を促進するものでありますから、既存の港運事業者の現在の取扱量そのものを大幅に減少させるとは考えられませず、むしろ当該施設の設置によりまして港湾そのものが活性化し、ひいては既存の港運事業者もその恩恵にあずかるものと考えております。しかしながら、先生指摘ございましたように、既存の港運事業者への影響が全くないわけではないと考えられますことから、施設整備に当たりましては、関係港運事業者及び関係労働組合と十分に話し合った上で整備を図るよう指導してまいりたいと思っております。また、中小事業者が物流ターミナルにも参加できるようその経営基盤の強化を図りますため、引き続き事業の協業化、集約化等を図ってまいりたいと考えております。  中小企業が大宗を占めます港運事業物流の変化に対応していくためには、協業化、集約化等によりその経営基盤の強化を図る必要があると私ども十分考えております。このため、従来から港運構造改善促進財団を通じた港運事業、はしけ事業等の集約、合併への助成、中小企業対策関係法による事業転換対策等によりまして経営基盤の強化を推進してきたところでございますけれども、今後とも、港湾運送近代化基金による中規模物流センターの共同整備に対します低利融資、港湾運送用荷役機械の共同整備に対する低利融資、物流情報システムの共同開発整備に対します補助または低利融資、こういった制度を積極的に活用することなどによりまして、港湾運送事業の協業化、集約化等を図ってまいりたいと考えております。  さらに、なお一層の実効が上がるような措置についても十分勉強してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 常松裕志

    常松委員 運輸省は、こうした本法によってむしろ既存の海運事業者もその恩恵にあずかるのではないか、こういう御答弁がございましたけれども、私はそうは思えないのです。現実に港湾事業におきましては中小の皆さんの仕事がどんどん奪われている、あるいはそこで働く皆さんの職域はどんどん狭まってきているというのがこの約二十年間の動きであります。したがって、今局長からは現に行っている中小企業対策について御答弁がございました、そしてまた今後については勉強していきたい、こういうことでありましたけれども、しかし私は、この法律の及ぼす影響などから考えて、先ほど申し上げましたように、外国雇用の機会の拡大のために、我が国における中小企業やそこで働く方々の職域が狭められたり雇用が縮小するというようなことは間違ってもあってはいけないわけでありますから、したがって、今勉強するというお話でしたけれども、これは本気になって一生懸命勉強してもらわなければいけない、こう思っているのですが、いかがでしょうか。決意をひとつ聞かせてください。
  111. 和田義文

    和田政府委員 先生指摘の点につきましては、私どもも非常に心配もし、またバックアップもしていきたい、こう思っていますので、まず勉強から始めますけれども皆様方の期待に沿えるよう頑張っていきたい、こう思っております。
  112. 常松裕志

    常松委員 まず勉強から始める、それは実行のための勉強、こういうことで理解をいたしますので、ひとつよろしくお願いいたします。  次に、港湾地域の整備に当たりましては、従来港湾整備に関する緊急措置法に基づきまして、港湾整備五カ年計画によって各港に設置されておりまする港湾審議会で関係者の審議を経て実施されております。今回の輸入促進地域の指定に当たりまして港湾管理者の意見を尊重するということになっているわけでありますが、港湾地域の整備につきましては、港湾審議会あるいは関係事業者や関係労働組合、地域住民などの意見も広く聴取をし尊重していくべきだと考えているわけでありますが、この点につきまして運輸省の御見解をお伺いをいたします。
  113. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 地域輸入促進計画でございますが、これは輸入貨物を取り扱う施設の整備などを支援する計画でございまして、都道府県が地域の実態なり将来の展望を考えましてお決めになるものでございます。  その場合、輸入促進基盤整備事業などが行われますのは港湾と空港の地域でございますので、ここを管理している港湾管理者、空港管理者の意見を聞いていただくということは、これは必要なことであると思うわけでございますが、それ以外にどういう関係者の意見を聞くかということにつきましては、やはり都道府県が第一義的に御判断になることであるというふうに思います。  私どもとしましては、都道府県が必要に応じ有識者などの御意見を聞いて適切な御計画をおつくりになるものと期待をしているところでございます。
  114. 常松裕志

    常松委員 それは審議官、港湾審議会の意見を聴取をしなければならないような場合は、それはそれで結構ですよ。しかし、そうでない場合だってあり得るわけですよ。先ほど申し上げましたように私は、この法律は運用の仕方を間違えますと外国雇用のために日本雇用が脅かされるという可能性もあるというふうに心配をしてこの審議に参加させていただいておりますから、今の御答弁では極めて不満でありまして、やはり港湾審議会等の意見を聴取することのないような事例の場合に、やはりその関係事業者とか労働組合とかあるいは地域の住民とか、そういう意見をどうやって聞くんですか。聞かないでどんどんやっちゃうというのですか。それに耳を傾けるような指導もしないで全部自治体に任せます、こういうことなんですか。
  115. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 県が地域輸入促進計画をおつくりになるときに、計画の作成のために必要ないろんな方の御意見をお聞きになって適切なものをおつくりになるという手順をお踏みになることだと思います。その限度でいろんな方の御意見が反映されるものになることを期待しているわけでございますが、やはり、いつだれにどういうふうに御意見を聞くかということについては、基本的に、やはり県の御判断で適正な手順で進めていただくのがいいではないかというふうに思っているわけでございます。
  116. 常松裕志

    常松委員 そういう期待の中に、今申し上げましたような関係事業者や労働組合の方や地域住民の方々も運輸省の念頭には入っているというように理解してよろしいですね。
  117. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 私どもとしましては、今先生が仰せになられましたような方々の御意見を聞くということが適切な計画につながっていくものであるというふうに考えているところでございます。
  118. 常松裕志

    常松委員 ありがとうございます。  次に、港湾労働条件の改善雇用対策実施をするためには、港運に係る認可料金等の法令遵守を図ることが関係者の重要な課題となっています。これに対する運輸省の見解を、この際この法案からちょっとあれかもしれませんが、運輸省の見解をお尋ねをいたします。  同時に、この認可料金の法令遵守に対しては荷主もまたこの法令を遵守をしてもらわなければなりません。荷主や荷主団体への指導をどんなふうに行うのか。この点につきましては通産省お尋ねをいたしますが、まず運輸省から御答弁をお願いいたします。
  119. 和田義文

    和田政府委員 運輸省といたしましては、港湾運送事業の認可料金の遵守が港湾秩序の安定と港湾運送事業の健全な発達にとって極めて重要であると認識いたしております。また、平成元年の貨物運送取扱事業法の成立に際しまして、衆議院運輸委員会及び参議院運輸委員会における附帯決議におきましても港湾運送の認可料金の遵守について求められたところでもございます。  運輸省といたしましては、これらを踏まえまして平成二年二月、社団法人日本港運協会に対しまして、認可料金の遵守について同協会会員事業者に対する指導を要請いたしますとともに、関係者の意見を聞きつつ、その推進方針について協議するための機関といたしまして、同協会内に全国港湾並びに港運同盟の代表者から構成されます委員会を設置するよう要請したところでございます。この要請によりまして、同年四月、協会内に料金完全実施特別委員会、これが設置されておりまして、認可料金の完全実施に向けて労使の協議が続けられているところでございます。  運輸省といたしましては、今後この特別委員会やまた業務監査、こういったものを通じまして、港湾運送事業者への指導のほか、なお一層の対策を強化してまいりたいと考えております。
  120. 高島章

    高島(章)政府委員 港湾の運送事業の運賃料金に関しましては、これはあくまで運輸大臣の認可にかかわるものでございます。この認可料金というのは、基本的には、やはり港湾運送事業法の仕組みを通じて守られるべきものであると我々は認識をしているわけでございます。  ただ、今御指摘ございましたように、認可料金が守られるためには荷主側の理解、協力も必要だということにつきましては、通産省といたしましては、今後とも運輸省と連絡を密にいたしまして、適切に対応を図ってまいりたいと思います。
  121. 常松裕志

    常松委員 重ねてお尋ねいたしますが、運輸省といたしましては現在この認可料金がきちっと遵守されているというふうにお考えかどうか、やはり荷主に対して港運業者の方々、ともすれば弱い立場にありますから、この認可料金が必ずしも適切に遵守されていないというふうに私どもは理解をいたしているところですけれども、そうした状況についての認識はいかがでしょうか。
  122. 和田義文

    和田政府委員 認可料金の遵守状況についての御質問でございますけれども先生指摘のように、現在認可料金が十分守られておるという状況ではございません。その実態につきまして、私ども必ずしも十分に把握しておるわけではございませんので、現在昨年の料金改定の実施状況につきまして調査をやっておるところでございまして、そういった調査を十分やりますとともに、今後とも荷主、船社、こういった利用者サイドにつきましても、十分御理解を得るように私どもとしても努力していきたい、こういうふうに考えております。     〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 常松裕志

    常松委員 通産省にお伺いいたしますが、運輸省の見解といいますか、この認可料金の遵守状況についての運輸省としての認識は、今御答弁があったとおりだと思いますが、私どもも全くそうなんです。ひとつ通産省にお願いですが、それが実態でありますから、通産省が一生懸命努力してきていますこういう法律が成立をして新しい物流ターミナルができる、そうすると、先ほどから言っておるように、またそっちにみんな荷が打っちゃうんじゃないか、そういうおそれを抱いているということは、恐らくもう今までの質問で御理解いただいていると思いますから、先ほど運輸省と十分連絡を密にしてというお話がございましたけれども、やはり荷主さんの理解というのが非常に大事ですから、どうですか、通産省は荷主さんの方々にそういった状況について通産省としてもきちっとお話をしていただけますか。
  124. 高島章

    高島(章)政府委員 荷主側の協力を得ることはまことに大切でございまして、御指摘のとおりでございます。我々としては、その都度その都度重要な大切な情報を関係方面に十分に流してまいりたいと思いますし、また港運に直接の御所管の運輸省とは十分連絡をさせていただきまして、運輸省の御意向は十二分に我々としては承って仕事をしてまいりたいと思います。
  125. 常松裕志

    常松委員 ひとつ通産省の格段の御協力をよろしくお願いいたします。  次に、ILOの港湾労働条約が昭和四十八年に採択をされましてから約二十年間を経過をいたしております。ところが、二十年たってもまだこの条約は批准をされておりません。先ほども同僚の加藤議員から労働省に対して御質問を申し上げたところでございますけれども、この批准、港湾で働く労働者の皆さんは、いつ批准されるのか、こういうことで政府対応を見守っているところであります。二年前の物流二法にかかわる審議に際しましても、実はこの条約批准を速やかに行うようにとの附帯決議が行われたところでございます。運輸省、いかがですか。現在二十年たってもまだ批准されていないというような状況について、労働省の御見解は先ほど加藤議員がお尋ねいたしましたから、運輸省の見解をひとつお尋ねいたします。
  126. 和田義文

    和田政府委員 先生指摘のILO第百三十七号条約は、港湾におきます技術革新が進行する中にありまして、港湾労働者雇用及び所得の安定を図るため、常用雇用化の促進、登録制の導入などを内容といたしまして昭和四十八年に採択されたものでございます。ILO百三十七号条約の主管官庁は、御承知のように労働省でございまして、労働省では、同条約の内容については港湾労働法、労働安全衛生法、その他の関係法令によりおおむね実施されているものと考えられておりまして、本条約の批准につきましては、条約の内容につきまして港湾関係者間に、例えば一番目としまして、適用範囲について六大港のみでよいのか、二番目といたしまして、常用労働者の登録制について届け出措置で十分か、また三番目といたしまして、雇用生活保障の責任者としての関係者に船社、荷主が含まれるか等の点について理解の相違がありますことから、批准に向けて関係者間の共通の理解の形成に努める考えであると伺っております。  本条約につきましては、港湾調整審議会専門小委員会において検討しているところでありますけれども、運輸省といたしましては、労働力不足問題は重要な問題と認識しており、この解決のために港湾労働者の労働条件の改善雇用の安定を図ることは重要であると考えております。このような観点から、今後とも労働省と密接に連携をとりながら努力してまいりたい、こう思っております。  また、運輸省といたしましては、港湾労働者雇用の安定については、従来より、安定した港湾運送サービスの提供にとって重要であると認識しており、労働省とも協力いたしまして、また港湾運送業者の御理解も得まして、港運料金認可に当たりましては、港湾労働安定基金、港湾労働法関係付加金、港湾福利分担金等を料金に付加して収受することを認めております。これらの資金を原資といたしまして、港湾労働者の年金助成、転職資金交付、生活助成、職業訓練助成等の港湾労働者雇用の安定対策を講じてきたところでございます。今後ともこれらの制度を利用いたしまして、港湾労働者雇用の安定に努めてまいりたいと思っております。
  127. 常松裕志

    常松委員 ILO百三十七号条約に関する労働省の理解については大変不満があります。それを運輸省にうのみにされては困るわけでありますが、こういった点については、まだ参議院等でも審議をしていただくといたしまして、雇用安定対策についてもう少しだけお尋ねをいたしますが、今お話がありましたような港湾労働者の年金制度ですが、実際には現在まだ適用になっていない事業者もございます。そういった点まで拡大をすべきではないかというふうに思いますが、その点について、運輸省はいかがお考えでしょうか。また、港湾労働者雇用安定のための措置として、港湾労働安定基金制度が設けられているわけでありますが、この基金がどうも枯渇をしているようですね。そういう話を聞いています。制度の目的と維持を図るためにはこの基金の引き上げを実施すべき時期に来ているのではないか、こんなふうにも考えているわけでありますが、あわせて運輸省の御見解をお尋ねをいたします。
  128. 和田義文

    和田政府委員 港湾労働者年金制度の原資となります港湾労働安定基金につきましては、元請トン数一トン当たり三・五円を認可料金に付加しているところは先生御承知のとおりでございます。ただ、しかしながら、港湾労働者年金制度につきましては、全国港湾及び同盟港湾との間で締結いたしました港湾労働者年金制度に関する協定書、これに基づきまして確立されたものであります。したがいまして、基本的には労使問題であると認識いたしておるところでございます。したがいまして、この問題、範囲の拡大でございますとか引き上げ、こういった問題につきましては、まず、労使の間で十分に話し合っていただくことが適当であると考えております。  運輸省といたしましては、基金の拠出のあり方につきましては、基金の創設された目的の達成状況、資金の具体的使途の状況さらには港運事業者及び船社、荷主の負担力等を勘案しながら、適時適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  129. 常松裕志

    常松委員 適時適切に対処してまいりたいということでございましたが、私が指摘をいたしましたようなそうしたことについて、ぜひひとつ運輸省も理解をしていただいて、理解をした上での適時適切な御指導、このような理解をいたしますので、よろしくお願いいたします。  この法案、実は平成八年五月二十九日までに廃止するということになっておりますが、法案が廃止されても物流施設が残るわけでありますが、またその利用する事業行為等も継続をしていくわけでありますが、こういう時限立法にこの法案がなっておりますが、そうした残っている施設と、あるいはそこで残されている事業などとの関連、ちょっとだけこれをお答えください。通産省、どうぞ。
  130. 高島章

    高島(章)政府委員 この法律案に基づきます施策というのは、貿易、投資の両面におきまして、今非常に緊急を要する、緊急に実施することが必要だということでございまして、そのために限時的性格、時間を限った性格のものであることから、臨時措置法になっているわけでございます。この法律は御指摘のように平成八年までとなっておりますけれども、それ以降どうするかということにつきましては、その時点におきます貿易、投資分野をめぐります国際経済環境の状況を踏まえて、適切に対処してまいりたいと思っております。
  131. 常松裕志

    常松委員 最後になりますが、私の御質問に対して、通産、運輸両省から懇切な御答弁がありました。その御答弁がそのとおりに実施をされることを強く期待をいたしております。  それで、今から二十年前にコンテナ化が実施をされまして、先ほど申し上げましたILO百三十七号条約などもそれを契機にしてつくられたわけでありますけれども、実は今度のこの輸入促進地域あるいは物流ターミナルは、海上貨物がコンテナになっているということが前提になっていなければ恐らくつくられない施設だろうと考えています。したがって、それによるところのさまざまな影響が出てまいりますから、労働省はいつまでもこの条約の批准を延ばすのではなくて、一刻も早く批准するように努力をしてもらわなければなりませんが、この点の論議はまだ残っています。  また、保税地域における、この物流ターミナルが保税地域になるわけでありますが、そういうところでの仕事の変化ということについても、きょうは私の方から取り上げることができませんでした。こういった点につきましては、また引き続き参議院等でも十分御審議をいただいて、それらを通して港湾で働く方々や事業者の方々がこの法律案に対する危惧の念がすっきり晴れるようにひとつ御努力をいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  132. 武藤山治

    武藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十六分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十五分開議
  133. 武藤山治

    武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安田範君。
  134. 安田範

    安田(範)委員 ただいまから輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法案につきまして、質問をさせていただきます。  法案内容に入ります前に、本法案を提案するに至った背景と申しまするか、これらにつきまして若干お尋ねをしたい、かように考えるわけでございます。  一つは、今回の法案というものは、貿易ともう一つ投資、こういう二つ状況になっているわけでありますが、この二つに分かれた法案の中身でありますけれども、子細に読んでみますると、なかなか難解な内容、こんなふうな状況を感ずるわけでありますが、ただこの法案が提案をされるということにつきましては、私どもも今日の国際貿易の収支の不均衡、あるいはまたもう一つアンフェアじゃないかという国際的な指摘、こういうものもありますから、そういう面で日本も何とか大至急これらの問題に対応していかなきゃいけない、こういうことで出されたものというふうには考えているわけであります。  とりわけその背景としては、数字的に申し上げますれば、ずっとしばらくの間下降を示してまいりました日本の貿易黒字というものが平成四年度には九百六十五億という大変な額になろう、あるいはまた一方では一千億ドルを超えるのじゃないか、一千百億ドルになるのかな、こういうような背景がありましたり、あるいはまた一万対内投資、対外投資、こういうバランスを見ましても、アメリカが一・〇でしょうか、あるいはイギリスが一・七、さらにドイツの方では二・二、それに対して日本は二十・五、大変な不均衡が今出ているわけでありますから、この対外・対内投資等についてのバランスを何とか確保したい。こういう背景はよく承知をいたしているわけでありますけれども、それにしましても、直接的な動機というものは何といっても一月のブッシュ大統領の来日、こういうようなことでグローバルパートナーシップ、こういうような形の投資なんかもありまして、そういうものを背景にして出されたのだろう、こういうふうに私ども受けとめておるのですけれども政府としましては、これらについてどの辺を本当の腹の中ということで提案したのか、まずその気持ちをひとつ明らかにしていただきたい、かように思います。
  135. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今安田先生から御指摘がありましたように、企業の国際化が進んでおり、その中で世界経済の相互依存度はますます深まっております。そういう中で日本は、先生指摘のように貿易黒字が一千億ドルを超すのではないか、まさに世界の中で非常に大きないろいろの批判、要望等を受けておるわけでございます。しかし、経済というものは成長していかなければなりませんから、輸出を抑えるというよりは輸入拡大するという積極的な対応によって世界経済での日本の責任を果たしていく、こういう基本的な考え方でお願いをしておるところでございます。
  136. 安田範

    安田(範)委員 大臣答弁されましたように拡大均衡、こういうことで考えておられるというそのことについては十分理解をするのです。ただ、今回の法案を出した背景というものは、率直に申し上げますると、何かこう即物的な、ブッシュ大統領が来られて、いろいろ議論があって、まあ数字上は確かに対日投資というものは非常に少ない、これは閉鎖的だ、こういうような指摘がありましたり、あるいはまた、貿易そのものにつきましてもどんどん黒字がかさんでしまう、こういうことについての指摘があって。ともあれ何かしなければならないな、こういうようなせっぱ詰まった気持ちで今回の法案が出されたのかな、率直に言うとそんな気がしてしょうがないわけです。  と申しますのは、やはりこの法案を出すことによって、私どもお聞きをしたいのは、当面の問題として、この法案によってどの程度の言うなれば実効が上がるのかな、こういう問題が一つあります。それともう一つは、空港、港湾なんかの問題もあるわけでありますから、そういう面では中長期的に一つ考え方をこの法案にあらわした、こういうような考え方もあるのかなというふうには思うのです。ただ、この法律案は、もう提出者でありますから御案内のように、平成八年五月二十九日、こういう時限的な法律でありますから、そういうことを含めて考えましても、なかなか提案をした真意というものははかりかねている。即物的な、言うなれば、言葉は悪いんですが、とりあえず誠意を見せておこうではないかというような形なのかな、こういう印象も強いんですけれども、そこらのところを、中長期的な貿易黒字あるいは対日投資、こういうものもひとつ御説明の上で、それからこの法案の審議に入らせていただきたいな、かように考えます。どうぞよろしく。
  137. 高島章

    高島(章)政府委員 私の方から、貿易面につきましてお答えを申し上げたいと思います。  この法律案によってどの程度さしあたって輸入拡大するかということにつきましては、これは定量的にはまことに難しゅうございますが、定性的に申し上げるならば、ボトルネックになりかねない輸入インフラを整備することによりまして、輸入貨物の流通円滑化が図られる、そのためにいろいろなところで輸入ビジネス拡大されるということ等から、輸入拡大が期待されるものと思っておるわけでございます。これまでいろいろな輸入拡大措置を講じてまいりました。製品輸入促進税制、あるいはジェトロのいろいろな活動等々ございますが、これらの施策にプラスいたしまして、やはり今問題になっております輸入貨物の流通円滑化というところに施策の重点を置かせていただいたわけでございます。  これから中長期的にどうかということでございますが、これも数量的には非常に予測は難しゅうございます。為替の問題あるいは原油価格の問題等の見通しも難しゅうございまして、数字的にはお答えが困難ではございますけれども、こういったこれまでの輸入拡大措置に加えまして、この法律案に基づきます施策を充実させることによりまして、不均衡の是正に大きな力が発揮できるものと確信をしているわけでございます。
  138. 安田範

    安田(範)委員 御答弁いただいたわけなんですけれども、結局海外の指摘ということで今日までいろいろやってまいった、こういう経過はありますけれども、とりわけ投資の分野であるとか、あるいはまた初期の大きなコスト負担による投資リスクの増大だとか、さらに人材確保の困難さとか、たくさんの問題はありますけれども、今回特にこの法律内容とかかわりが、かかわりというよりは法律で何とかこの辺を解決していきたい、こういう内容というものは、空港、港湾、その他の輸入インフラの整備、こういうことに尽きるんだ一ろうと思うのですね。そういう面からしますると、さっき安田修三議員からも指摘がありましたけれども、そういう面で今数字的にはなかなか発表するのは困難だという話はありましたが、国民の側からしますると、ある部分は、数字そのものが正確な数字がどうかは別にしましてもある程度は、この程度効果を期待しているという形のものが出てよろしいのではないか。これは一般の国民レベルで物を考えた際には、そういうものが期待されている、こう理解をすべきなんじゃないの。かな。したがって、これは一月、二月、そして今三月の初めでありますから、それぞれ省庁の皆さんが大変な御努力をなされて短期間のうちにこの法案をまとめられる、こういうことで非常な努力があったということについてはよくわかるのですけれども、やはりその努力の中に実効をどの程度期待しているか、そして、これを国民に明確に、ある程度概括的にも提示ができる、こういうふうな背景というものを話す必要があったんじゃないのか、率直に言うとかように考えられるわけであります。  これはなかなか答弁できないという話なんですけれども、もう一遍、その輸入あるいはまた対日投資、こういうものについてどの程度の期待をしたいか。あるいは長期的でも構いません、こういう面について、若干説明をしていただけばよろしいのではないかと思います。
  139. 高島章

    高島(章)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、定量的なはっきりとした見込み、見通しということは難しいわけでございます。ただ、現在、不均衡というものの存在のために保護主義とか地域主義といったような動きが非常に強まっておりますので、我が国といたしましては、この対外不均衡を是正するという強い決意を世界に向かってメッセージを発していくということが必要であううと思うわけであります。従来よりも、他の先進国に例を見ない規模でいろいろな輸入拡大策展開してまいりました。そういった輸入拡大策とこの法案によります施策の追加によりまして、輸入拡大効果は従来以上にも上がるものと期待し、また、そのための努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
  140. 安田範

    安田(範)委員 なかなか納得しかねるような答弁なんでありますが、諸外国と比較をして今日までも輸入拡大につきまして相当の努力を払ってまいった、特に外国と比較をして、輸入拡大のそれぞれの法的な、あるいは行政、金融やそういうものも含めてなんですけれども、そういう面で世界に先駆けていろいろなことをやったけれども、なおかつ貿易黒字、こういう状況になってきているのが現況だ、こういうふうに今の答弁で受けとめさせていただきます。ただ、私ども考えますのに、そういう形でいろいろな努力をしても、なおかつ外国からは、いろいろな形での、排他的であるとか、あるいはまた日本自己中心といいますか、そういう形での批判が強い、そういうものが結局払拭できないまま、今度別な形で何かの決意を表明しなければならない、今の言葉で申し上げまするとメッセージを送るという話なんですけれども、そういうことで今回の法律ということになったのかなというふうに思うのです。そこのところは、私ども、今回の法案についてなかなか理解しにくい部分がある、こういうふうに理解をいただきたいと思うのです。  というのは、例えば投資の部分におきまして、空港あるいは港湾、こういうところの輸入インフラを整備をする、こういう形になってきているわけなんです。それでは今まで、今日まで、今の御答弁のようにボトルネックになっていて、いろいろな輸入貨物の滞留がたくさんあって困ったとかそういう事実があって、それを解消する一つの問題解決、そのためにこの法案が提出されたんだ、こういうふうにきちんと整理がされて私どもに説明があればわかるのですけれども、今日の、例えば空港なりあるいは港湾なりの輸入関係でのインフラというものがそれほど不足をしていたのかな、それほど不備であったのかな、こういう疑問を持たざるを得ないのですね。したがって、その辺の、今日までの言うなれば現況というものと、これができた後の状況、こういうものを比較をするとどうなのかな、この辺についていかがお考えがお聞かせをいただきたいと思う。
  141. 高島章

    高島(章)政府委員 御指摘輸入貨物でございますが、どうしても東京等のところへ集中をしてまいっておりまして、これから輸入のインフラが各地で整備されることによって、むしろバランスのとれた輸入促進地域国内に整備されるということを期待しているわけでございます。いろいろ海外の輸入状況国内輸入状況の比較等も行っておりますが、やはりアメリカ等との意見交換の場では、日本輸入インフラを整備することによりまして、輸入手続がより迅速化、円滑化されることを強く期待されているところでございます。ちなみに、輸入協議会という場がございますが、この場等におきましても、海外の経済人からも強く要請をされておるところでございまして、そういう要望等、そして今後の日本輸入拡大のために必要な施策の重点等勘案いたしまして、この法案に基づくような施策の遂行が必要だと考えた次第でございます。
  142. 安田範

    安田(範)委員 アメリカとの意見交換の中でそういう話が出たという話なんですけれども、これじゃ説得力に乏しいのではないかと率直に言わざるを得ないと思うのですね。現状がどうなのか、国内輸入インフラがどうなのか、そういうところから出発をすべきなんで、外国から指摘があった、その指摘はまさにそのとおりなんだという認識であって、それをもとにしてさらに整備をするということならば話はわかるんですけれども、その辺がどうもすっきりいたしません。したがって、その辺をきちんと御答弁いただければと思うのです。これは港湾、空港ともにひとつお聞かせいただけるとありがたいなと思うのですがね。
  143. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 輸入貨物は近年大変な勢いで航空貨物、海上貨物とも伸びてまいったわけでございます。それに対しまして、運輸省では計画的な空港、港湾の整備を通じて対応をしてきておるわけでございますが、今後の展望をいたしますと、さらに急激な需要の増大というものが予想されるわけでございます。したがいまして、新しく去年の十一月に策定いたしました空港、港湾それぞれの五カ年計画がございますが、この中で、例えば港湾でありますれば効率的な物流体系の整備、空港につきましても、関西空港、成田空港の貨物ターミナル地区の整備、その他の地方空港の貨物地区の整備、こういったようなことをさらに重点にやっていかなければならないと思っておりますが、今回はそういったことに加えまして、さらにこういう公共事業以外に輸入貨物を取り扱うターミナル等の施設の整備を進めて、より貨物流通円滑化を図る、それによって輸入促進を図っていく、そういうふうにしていく必要があるというふうに私どもも考えております。
  144. 安田範

    安田(範)委員 空港だけじゃなくて港湾もお聞きをしたのですが、答弁していただけませんか。
  145. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 港湾におきましても、大変な勢いで輸入貨物は伸びておるわけでございまして、これからの港湾整備五カ年計画、第八次五カ年計画と申しておりますが、それの一番の重点の対策というのは、実は港湾のコンテナターミナルの整備、それからもう一つはコンテナ以外に穀物や雑貨を扱いますいわゆる多目的ターミナルの整備、こういったようなことを重点にしておりまして、計画全体で、計画期間中にそういうターミナルの水際線の延長を約三十キロふやすということを目標に取り組んでいるところでございます。
  146. 安田範

    安田(範)委員 どうもただいまの答弁ではちょっと納得しかねるのですが、今の答弁では、大変な勢いで輸入が伸びているという話なんですね。そう答弁されましたね。それが、この今日の貿易のバランスの数字から見ますると、そういうものがさっぱり見えない、率直に言いますると。九一年、九二年の実績からしましても、大変な黒字の増加という状況が今数字上明らかになってきているわけですね。今答弁されたように、物すごくという話なんですが、それほど具体的に外国のものが入ってくるとすれば、やはりその貿易収支黒字なんていうものがそれほどふえなくて済むのじゃないのかな、こういうふうな一般的な印象を強くするわけなんですけれども、ただいまの答弁内容でよろしいのでしょうか。
  147. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 言葉が適切でなかったかもしれませんが、ちょっと数字で御説明をさせていただきますと、定期コンテナ貨物量の輸入の伸びの率を逐年申し上げてみたいと思いますが、これは昭和六十年に対前年八・七、六十一年は一六・五、六十二年は二一・九、六十三年は一七・三、平成元年が六・二、平成二年は四・一、こういうような経緯でございます。  他方、航空貨物につきまして同じようなことを申し上げますと、六十年が対前年一二・五、六十一年は二九・六、六十二年が二四・九、六十三年は二〇・五、平成元年は九・九というようなことでございまして、趨勢としてかなりの伸びがあるし、今後も見込まれるのではないかというふうに考えておりますということを申し上げました。
  148. 安田範

    安田(範)委員 法案を提案しているわけですから、何とかその法案を成立させたい、これはもう当然政府の方の提案者側としては当たり前の態度だと思います。それはそれで十分理解をするわけなんですけれども、やはりこの質疑等につきましてはきちんとした正確な答弁をしていただきませんと、なかなか理解に苦しむということになりますし、余計なことまで質問することになりますので、これはひとつ政府の方としても十分今後の問題として留意をしていただきたい、かようなことを指摘しておきたいと思うのであります。  それで、私は、今回の輸入拡大、貿易の問題と、もう一つはインフラの整備ということで法案が出されておりますけれども、実際にこれらの事業をやってどの程度問題の解決、言うならば貿易不均衡の是正の問題とかあるいはまた排他的だというふうなそしりを解消する、こういうことに結果として役立つのかな。さっき申し上げましたように、質問もいたしましたが、数字としてはなかなか答弁は困難ということがありましたけれども、やはりそういう面考えますと、今までも随分いろいろやってきているわけですね。これは大臣御承知のように、最近におきましても製品輸入促進税制、これは九〇年の四月だと思いましたが、それから日本開発銀行や日本輸出入銀行等による輸入関連低利融資制度の充実強化、さらにまた税制、金融面での支援策、そしてまた市場アクセスの一層の向上のためということで、工業製品は千四品目の関税撤廃と、さまざまなことがやられてまいってきている。今お話しいただきましたように、結局インフラがどうなのかとか、あるいはボトルネックになってどうなのかという議論だけでは問題が解決しないのじゃないかな、こういうふうにもう非常に強く思うわけなんですよ。これは、産構審ともう一つ輸出入取引審議会の合同答申ですか、あの答申の中にも随分詳しく記載をされておりますから、皆さんよくよく御承知と思うのですけれども、やはりそれはインフラの整備も必要だと思うのです。さらにはまた、いろいろな政策としての手当てというものも必要だと思います。しかし、もっともっと必要なのが、そういう法制度あるいは投資という形でやるものよりもさらに重要なのは、やはり日米間の、あるいは日米以外の外国も含めてなのでありますけれども、今日の日本の実情は閉鎖的ではありませんということ、さらにはまた、排他的なんという気持ちは全く持っていませんよということ、そういうことをより強く諸外国に理解をしてもらうことが最も大切なのじゃないかと思うのですね。あつれきといいますか、障壁の問題等々の文書もいろいろ見させていただいてはおりますけれども、やはり何か日本の今日までの企業慣習と申しまするか、あるいはまた労働もしかりなんですけれども、そういう各般の日本企業努力あるいは今日までの国民全体の努力、こういうものについての諸外国の認識というものは非常に薄い。特に、変な話ですけれども、働きバチだとかウサギ小屋だとかなんとかという話まで出てくるのですね。それがいいか悪いかは別にしましても、いずれにいたしましても日本の今日の経済的なありようについての理解の度合いというものがまことに希薄だ、こういうことを一つ指摘をしてよろしいのじゃないかと思うのです。  これは外務省もそうでしょうし、特に貿易関係ということになればこれは通産省中心にならざるを得ませんから、そういう意味では、やはり貿易不均衡の問題をいかに解決するかということは、ただ単にインフラの整備だとかなんとかということじゃなくて、それも必要かもわかりませんけれども、それ以前の問題として一層担当省として努力をする必要があるのかな。とにかく親日家と言われる人たちだけじゃなくて日本はもう極めて近い国になっておるわけでありますし、同時にまた、経済には国境はない、こういう今日の世界的な状況もあるわけであります。さような面におきましては、まずは日本の今日の、物をつくって輸出をする、こういう一つのプロセスと申しますか、そういうものをさらに一層強烈に外国にも理解をしてもらうだけの努力というものが必要なのだろう、こういうふうに思いますけれども、その辺はいかが考えられるか、まずは答弁してください。
  149. 高島章

    高島(章)政府委員 御指摘のように、海外から対日輸出につきましていろいろな指摘を受けておりますが、そういった指摘された問題に対しましては一つずつ我が方としてはきちっと対策を立ててきているところでございます。例えば基準・認証制度に対しましては、ガット・スタンダード・コードを遵守するということだけでございませんで、企画の内容や認証制度が貿易の技術的障害とならないものとするように対応に努めてきております。  また、最近のこの日米貿易収支不均衡というのは、御高承のとおり、その大宗は米国の財政赤字とマクロ経済要因に起因するものではございますけれども、これを補完するものといたしまして、日米構造問題協議の場では日米双方の構造問題を取り上げ、取り組んできているところでございます。具体的には、大店法の改正とか商慣行改善指針の策定、さらには、先ほど来申し上げておりますが、各種の輸入拡大策の推進をしてきたところでございます。今後とも、内需拡大等のマクロ経済政策、輸入拡大策と合わせまして、貿易の障害となりますような構造問題に対処して貿易の拡大均衡に向けて最大の努力を傾注していく所存でございます。  なお、我が国の諸施策、現状等につきましては、ジェトロが海外に事務所をたくさん持っておりますが、例えばそういうところが常に海外の皆様方への現状の広報活動に力を入れているところでございます。
  150. 安田範

    安田(範)委員 大変失礼塗言葉を使いますけれども答弁を聞いておりましてもなかなかむなしい感じなんですよ。ジェトロが一生懸命やっておることもある部分は承知をいたしておりますし、また貿易局を中心にしましていろいろな今日までの外国から指摘されている条件を解決するために努力をしているという話があるのですけれども、しかしなかなかそれらの問題が解決されないというのが今日の状況だと思うのですね。随分長いですよ、この話は。しかしさっぱり解決されない。結局また、一月のブッシュ大統領との会談、こういうものから今日の法案が出てまいる、こういう経過をたどるわけなんですけれども、その辺について努力はしているしているとは言いながら、やはり外国ではそれを受け入れていない、理解をしていない、こういうことが結末として今日の状況になってきているというふうに考えざるを得ないのですね。  そういう面からひとつお聞かせをいただきたいのですが、私が申し上げましたのは、そういう手だても必要でしょうけれども、さらに通関の問題、あるいは検疫、輸入手続の円滑化、迅速化、縦割り行政の弊害の除去、こういうものもグローバルパートナーシップの中で指摘をされておりますけれども、今申し上げましたような状況、通関、検疫、輸入手続の円滑化、迅速化、あるいは縦割り行政の弊害の排除、こういうようなことも言われているわけなんで、この辺についての努力をされた結果というものがもしありましたらひとつ御説明をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  151. 高島章

    高島(章)政府委員 御指摘のとおりでございますが、輸入促進を図りますためには、輸入にかかりますいろいろな検査、審査といった問題につきましていろいろと改善を図っていく必要がございます。一つ一ついろいろな手続の緩和とか簡素化ということの推進が必要なわけでございます。通産省としましても、御指摘のとおり当省だけでできる問題ばかりではございません。したがいまして、いろいろな各省も一緒になってこの問題に対応できます場がございます。例えば輸入協議会の運営とかあるいは各省庁が入っておりますけれども輸入手続の関連省庁連絡会議といった場を活用いたしまして、その場で関係各省が連絡調整を密にいたしまして輸入にかかります検査、さらには審査の円滑化のための条件整備に努めているところでございます。
  152. 安田範

    安田(範)委員 余計なことなんですけれども、これは大臣にお聞きをするわけでございませんけれども、やはり運輸省だけの問題じゃなくて、これは関連四省庁あるわけなんですけれども、真剣になってやろうと思えばこれらの法律も一カ月半ないし二カ月でできるな、こういう努力の結晶が今回の法案なんだろうと思うのですね。必要に迫られ、そしてみんながやらなければいけないということで集中した場合にはこういう法案も可能だということの証明があったと思うのです。  一々具体的には申し上げませんけれども国内のいろいろな問題、中小企業問題もありますしたくさんの問題があります。労働関係の問題等々もあります。あるいは条約の批准の問題につきましてもそうなんですけれども、なかなか踏ん切ってやろうとしない。しかも町題によっては一年、二年さらにかかるという問題もあるわけですから、そういう面からしますると、皆さんの能力というものはこの法案にあらわれるごとく大変立派なものがある。やる気になればできる、こういうことを再認識させていただくといいますか、これからに期待をしまして、やればできるんだな、こういうことを認識させていただきたいというのが私の今回の提出に至るまでの所感であります。ひとつ今後の問題としてしっかり頑張ってください。  さらに、法案の中身について若干お聞かせをいただきたいと思うのですが、この輸入促進基盤整備事業、あるいは輸入貨物流通促進事業二つに分かれると思うのですが、率直に言うと、端的にこれは異質の事業と言うことが可能がなと思うのです。一つは貿易、さらにもう一つ投資的な事業だ、こういうことでありますから、これを一本にまとめたというのは実は法律内容を難解にしているというふうに言わざるを得ないのじゃないかと思うのです。この法律が施行される、そうしてかかわる者として、施行されますれば自治体、特に都道府県でありますが、都道府県から市町村に至るまでこの問題については大変なかかわりを持つわけですね。さらにはまた、民間もしかりです。第三セクターということになれば民間もかかわり合いを持ってくるわけですね。したがってやはり、法律というものは二つに分けるなら分けるということですっきりした形で、理解しやすい、わかりやすいような法律にすべきではなかったのかというのが大変な強い印象であります。これは印象は別にしまして、今後の法案作成等について幾分か参考になればという気持ちを持つわけでありますが、これはひとつ申し述べておきたいと思うのですね。  それで、これからこの法律が施行されるということになりますると、もちろん事業の主体としてはこれは都道府県がかかわってくるわけですね。都道府県が促進計画というものをつくらなきゃならない。その促進計画をつくるためには市町村の意向を十分にお聞きをする、こういうことになるわけですね。そして、同時にまた第三セクターも設立をする、こういう形に進展をしていくんだと思うのですが、そういう意味では、今回の法律を提案するまでにそれぞれ都道府県の意向というものを打診したことがあるのかどうか、これについてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  153. 高島章

    高島(章)政府委員 この法案作成に至りますまでには、関係省庁のみならず都道府県の皆様方から、その現状、それからそれのための改善策等について十二分にお話を承りまして、そのお話、御意見に基づきましてこの法案の整理、準備をさせていただいたわけでございます。
  154. 安田範

    安田(範)委員 なかなか違うところで説明を聞きますると、余り直接は都道府県の意向は聞いておりませんみたいな説明も受けたこともあるのですけれども、そういうことならそういうことで理解いたします。  ただ、そういうことで十分な説明をされたということになりまして、考えますのに、幾つかの参考の文書で見ますると、都道府県も高い関心を示している、こういう表現が随所に使ってあるわけですね。大体日本列島の中でどのくらいの、都道府県の数にしてどのくらいの都道府県が関心を示しているのか、これが一つ。  もう一つの問題といたしましては、考えております、言うならば整備事業の港湾なりあるいは空港なり、事業の基盤ですね、どこにつくりたいとか、そういうことがある程度想定されているのかなというふうに思うのですが、一説によると、空港、港湾を含めて数十カ所みたいな話もあるし、そうじゃなくて十数カ所なんという話もありますし、ちょっと具体的に把握しにくい今日の状況があるわけですね。もうちょっと、今この法案が通った後の事業拠点といいますか流通拠点、これを幾つぐらいに焦点を合わせているのか、これをちょっと答弁していただけませんでしょうか。
  155. 高島章

    高島(章)政府委員 具体的な箇所あるいは箇所数につきましては、各都道府県の計画が出ましたところで、申請がございましたところで法律に基づきます要件等を勘案して考えてまいりたいと思っております。その際に、その計画がどの程度熟したものであるかというようなところが重要なポイントの一つかと思われます。  ただ、現在までのところ、御質問にありましなどの程度の地方自治体が希望しているかということにつきましては、我が方に接触、連絡がありました範囲だけで申し上げますと三十カ所を超える数になっております。ただ、具体的にどこの場所を指定するか、承認するかということは、これからの各都道府県の申請を待って慎重に対処してまいりたいと思っております。
  156. 安田範

    安田(範)委員 大体その点については了解しましょう。  そういうことで、具体的にこの法律施行後仕事をやっていくということになりますると、まず第一には地域輸入促進指針というものを政府で出さなければいけないわけですね。これがないと都道府県が取り組めない、こういうことに相なろうと思うのですね。したがって、その指針はいつごろまでにきちんと整備をして提出できるのか、これが第一点。  もう一つは、都道府県はそれを受けて整備計画をつくりますね。この整備計画というものは市町村の意向を踏まえてということになるわけでして、この整備計画はいつごろまでに線引きをして求めていくのかな、これが一つですね。  もう一つ、第三セクター設立、この時期はどの時期に考えたらよろしいのかな、ここのところをひとつ御説明いただきたいと存じます。
  157. 高島章

    高島(章)政府委員 この法律の施策は、緊急を要するということで短期間に集中的に行われることを期待しているわけでございますから、その根本になります御指摘の地域輸入促進指針というのはできるだけ早く速やかに策定したいと存じておりまして、本法案を所管いたします四省で相談をいたしまして、そのように早く策定できますように努力してまいりたいと思っております。  地方自治体、都道府県の計画の時期等につきましては、具体的にいついつまでという明快なものはございませんけれども、各自治体におきまして計画がどの程度熟されているかということも勘案されるわけでございますけれども、我々としては、繰り返しになりますが、施策の緊急性にかんがみできるだけ早い計画申請を期待しているわけでございますし、その関連で第三セクター等の実際の事業を行われる方々の計画も、より早く、そして充実したものができることを期待しているわけでございます。
  158. 安田範

    安田(範)委員 いずれにしましても、都道府県でつくられる促進計画、この計画が承認をされた後ですか、第三セクターができるのは。承認される以前としても、準備しておいてよろしい、こういう話になるのでしょうか。ちょっとそこのところを説明してください。
  159. 高島章

    高島(章)政府委員 必ずしも都道府県が先、第三セクターが後ということでございませんで、そういった事業を行いたいという方々の動きが既に見られているところもございます。その順序はどちらでなければいけないということはないと思います。  いずれにいたしましても、都道府県そして第三セクター等々が一体となりまして輸入インフラの整備に努めていただくということがこの法律案の趣旨でございます。
  160. 安田範

    安田(範)委員 時間がありませんから余り多くを申し上げられなくて残念なんですけれども、この法律は、今日の国際貿易の関係で必要だということについては理解を示すわけなんですが、ただ、法律が本当に生きるのかどうか、効率よく運用されるのかどうか、この辺については非常に実感として懸念をせざるを得ない。なぜならば、今日、中小企業、あるいは大企業もそうでありますが、大変な、政府では不況という言葉は使っておりませんけれども、やはり不況感というものは現実の問題として持っている。同時にまた、これから外国の諸製品がどんどん日本に需要があるというような判断というものはなかなかしにくい状況になってきているのではないかと思うのですね。伝産法なんかに見られるように、やはり日本国内の固有のもの、古来のもの、こういうものを尊重するような風潮というものが非常に我が国内で起きつつある。かつてのブランド志向なんというのはだんだん薄れてきているという今日の状況もあるわけですから、そういう面から考えますると、なかなか期待するような効果というものはあらわれるのかどうか、さらにまた第三セクターに民間が入ってくるのかどうか、こういうことについても大変な懸念を持たざるを得ない。こういう背景があろうかと思うのですね。  したがって、そういう意味では、今後の問題としてぜひ実効あるような形で、精いっぱいやはり政府側の努力によって都道府県やあるいは民間の人が協力できる、こういうような形で今後活動といいますか流れてくれるようにこれは期待をいたしたいものだな、かように一つは思うわけであります。  時間がありません、最後になってしまうかもわかりませんけれども内外無差別の原則というのはありますな。いろいろな中小企業その他制度上の問題としてもあるいは政策上の問題としても、やはり内外無差別の原則、こういうものが一つあるわけでして、そういう面からしますると、今回のものは平成八年を限度ということの法律でありますけれども国内の中小企業と比較しますると、非常に優遇された法律内容、こういうことがあるわけですね。したがって、今日の経済情勢からしますると、中小企業は大変な思いをして今日いるわけでありますから、そういう形からいたしまして、まさに国際的に何か貢献をしなきゃならない。ということはわかりますけれども、中小企業の人たちにあれはちょっと行き過ぎだろうというような批判が持たれないような、現存の中小企業に対する施策というものはやはりしっかりやっていってもらいたい、このことを最後に申し添えまして、私の質問を終わりにさせていただきます。大臣に一言だけ所信を述べていただければと思います。
  161. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御趣旨に沿って中小企業に十分配慮し、また積極的に中小企業発展を図ってまいります。
  162. 安田範

    安田(範)委員 終わります。
  163. 武藤山治

    武藤委員長 二見伸明君。
  164. 二見伸明

    ○二見委員 他省庁の方が見えておりますので、質問の順番を入れかえまして、外務省と運輸省と公取にまず最初にお伺いをいたしたいと思います。  最初に外務省に伺いますけれども――まだ来てない。じゃ公取は来ていますか。それでは公取に一点お伺いしたいのですが、宮澤総理ブッシュ大統領との会談でもって自動車の問題が話題になりまして、日本が二万台引き受けるといいますか、約束を、約束というのか義務というのか目標というのかよくわかりませんけれども、そういうことが一月にありましたですね。これから恐らくメーカーはそれぞれその自動車を販売することに具体的になっていくわけですけれども、私は二万台の輸入というのは、アメ車が大変日本人の好みにも合い、性能もよく、すばらしいのであれば、ニーズに合えば買うけれども、なかなかニーズに合わない場合は買いませんね。そうすると、メーカーの方では系列あるいは下請、そうしたところに半ば強制的に、表面からはわからなくても半ば強制的に自動車の購入を押しつけるということもあり得るのではないかというふうに思います。もしそういうことをやれば、これは明らかに独禁法違反だと思いますけれども、その点についての公取の御見解と、そうしたことが起こらないようにどういうようなチェック体制ができるのか、それをまずお尋ねをいたしたいと思います。
  165. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  行動計画におきましては、日本の各自動車メーカーが米国車の販売拡大を支援する用意がある旨発表したことが示されておるわけでございますけれども、この支援の中身は、具体的には自動車メーカーが各社のショールームに米国車を展示するなど、販売機会の拡大にみずから努力するということ、それから個々のディーラーが独自の経営判断によって米国車を販売するということを前提にしたものであるというふうに承知しておるわけでございます。  公正取引委員会といたしましては、我が国市場が閉鎖的、排他的ではなく、対外的に開かれていることが輸入促進に資するというものでありますから、このためには独禁法の有効、適正な運用が肝要であると考えております。  自動車メーカーによる輸入車の販売につきましては、これから商談が始まるところもあると聞いており、その販売形態もまちまちになると思われますので、御指摘のような問題が実際に生ずるおそれがあるかどうか、今の段階ではわかりません。  したがって、仮定の話になりますけれども、仮にメーカーがディーラーに対して押し込み販売をするとか抱き合わせ販売をするといったような行為を行うことがあれば、国産車であろうと輸入車であろうと独禁法上問題になるおそれがありますので、このような行為に対しては、公正取引委員会としては、法律に基づいて厳正に対処していく考え方でございます。  チェック体制につきましては、こういう行為が行われて公正取引委員会の方に報告があれば、法律に基づいてしかるべき措置をとっていくということになると思います。
  166. 二見伸明

    ○二見委員 ありがとうございました。公正取引委員会、結構でございます。  それから、運輸省ですか、外務省は来てませんね、まだ。見えてますか。じゃ、運輸省と言ったから運輸省にするか。  今回のこの法律、これは運輸省も共管になりますね。それで、輸入促進するために輸入インフラの整備をしなきゃならぬ、具体的に空港とか港湾とかそういうところも整備しなければならないということになっております。現在航空貨物は成田に八五%程度が集中しておりますけれども、今回の輸入インフラ整備に伴って、この貨物が成田に集中する一極集中がもっと分散する効果というのが出てくるのかどうか、その点について運輸省、空港を整備する、港湾を整備する立場からどういうふうにお考えになりますか。
  167. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 仰せになりましたように、成田に八五%に近い貨物が集中しておるわけでございますが、これも航空貨物の近年の趨勢をずっと見てみますと、集中の度合いというのは少しずつ下がってきておりまして、逆に言いますと、成田以外の空港のシェアがまた少しずつ高まってきておるという趨勢は見られます。私どもとしましては、今後とも成田に集まってくる貨物が適正に処理できるような貨物ターミナル地区の整備などは引き続きやっていかなければいけないと思っておりますが、こういった地方における国際化の進展、それに対応した地方空港の貨物ターミナルの整備、こういったことについても力を入れてやっていかなければいけないと思っております。  次に、この法律との関係でございますが、この法律は、各地に空港、港湾における輸入促進の拠点をつくっていく、それを支援をするという考え方でございます。したがいまして、この法律によりましてそういう各地に輸入促進の拠点が整備され、そこに輸入貨物がまた流れてくるということになれば、そういうことを受けて今の集中傾向というのはさらに改善される効果が生まれるのではないかということも期待をしているところでございます。
  168. 二見伸明

    ○二見委員 運輸省では空港整備五カ年計画とか港湾整備五カ年計画というのが既にありますね。それで事業を進めてきている。今度この地域に指定されたところに空港がある、これは我々から見れば優先的にここには予算がつけられるというふうに理解するわけです。ほかと同じようにやるのであれば、指定して輸入インフラを整備しようとする意味がないわけですから。そうですね。その点については、いわゆるこうした整備五カ年計画というのは、この法律との関係で、その部分には集中的にやる。しかもこの法律は四年間ですからね、平成八年までしかない、八年までの暫定法ですから。そうなると、指定された空港、港湾に対しては手厚い予算を運輸省としては担保しているというふうに理解してよろしいですか。
  169. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 空港、港湾の五カ年計画は、五カ年間におきますところのこれら公共投資の全体のトータルを決めたものでございます。具体的にどういうふうな整備をしていくかというのは、これは毎年度の予算を通じてその都度具体的なプロジェクトを確定し、金額も決めていくわけでございます。運輸省といたしましては、こういった五カ年計画に基づいて毎年の予算編成を進めていくに当たりまして、地域輸入促進計画、これが決まっておる場合には、その計画の円滑な達成ができるように適切に対処してまいりたいと思っております。
  170. 二見伸明

    ○二見委員 ありがとうございました。  恐らく今の御答弁は、我々普通の言葉に直すと、そういうところには予算を手厚くして円滑にということだから、四年間できちんと整備できるように配慮しているというふうに理解したいと思いますが、この理解が間違っていたら答弁してください。間違ってなかったならば結構です。
  171. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 地域輸入促進計画が円滑に達成できるように最大限努力をしてまいりたいと思います。
  172. 二見伸明

    ○二見委員 運輸省、結構でございます。  外務省ですね。日米関係というのは、非常に険悪といいますか、厳しい状況になっております。私は、日米関係というのはこれからも大変大事な関係でありますから、議会での発言等々は、余り過激な発言、誤解を招くような発言だけは絶対してはいけないというふうに思います。また、日米間に起こっているいろいろな摩擦、問題は冷静に沈着に、そして理性を持って対処すべきだろうというふうに思いますが、そうしたことを踏まえながら、あえて申し上げたい点があります。  これは既に新聞でも報道されておりますけれどもアメリカの司法省は反トラスト法を外国の違反にも適用するための準備をしている、バー司法長官がこういう発言をいたしております。これは、この考え方は一九九〇年の春ごろからアメリカ国内で検討されていたようでありまして、アメリカ企業の進出を阻害したり、アメリカ製品輸出がしにくくなるようなカルテル行為、それも適用の対象にしたいということで、数週間以内に結論を出すというような報道が出されております。私はこれは大変遺憾な行動だというふうに思いますが、その後これはどういうような状況になっておりますか。
  173. 佐々江賢一郎

    ○佐々江説明員 お答え申し上げます。  先生今申されましたとおり、最近アメリカの司法省が、米国企業輸出を制限する外国での反競争的な行為に対しまして、アメリカの反トラスト法の適用について、今この法適用を自制しているという方針をとっておるわけでございますが、この見直しを行っているということを対外的にも、また日本政府に対しても明らかにしております。  この件につきましては、外務省としては、米国の司法省が司法長官の発言どおり現行方針を変更して、米国企業輸出を制限する外国での反競争的な行為に対しても米国の反トラスト法を適用するということになりますと、国際法上の問題を惹起しかねないという深刻な問題であるというふうに考えておりまして、このような司法省の方針が実施されて国際法上許されないような米国内の法の域外適用に当たる、こういうことになり得るということに対しては深刻な懸念を有しておりまして、そのような懸念を米国政府に伝達をし、申し入れをしております。かつ、その際に、本件については米国政府の慎重な対応を要請したいという申し入れをしているところであります。  この件につきましては、我が国としては他国の主権を侵害するような管轄権の域外適用は国際法上認められないものであるというのが原則的な立場でございます。それから、各国の競争当局というものが自国の市場の反独禁的な行為に対してそもそも基本的には責任を持って対処するということが基本であるというふうに考えている次第であります。
  174. 二見伸明

    ○二見委員 もしこれがそのとおりになるとすれば、これはまさに主権侵害だというふうに思いますけれども、その域外適用ということに対して、アメリカはこれは他国の主権を侵害する行為だという認識はしているんでしょうか。
  175. 佐々江賢一郎

    ○佐々江説明員 アメリカ政府は、これは特定の国を対象に置いたものではないとしつつ、その具体的なケースをもって特に適用するということを今言っているわけではありません。そういう方針について近々見直しをして発表したいということを言っておりますので、具体的にどういうものになるのか、さらにアメリカ政府の公表します方針を見てみないとさらに具体的な対応というのは判明しがたいところがあるわけでございますけれどもアメリカとしては、少なくとも日本政府がそのような考え方を有しているということについては十分理解しているというふうに考えております。
  176. 二見伸明

    ○二見委員 これは特定の国をターゲットにしてないということのようですけれども、やはり何となく日本をターゲットかな、日本を明らかにターゲットにした域外適用ではないかという感じを私受けるわけですけれども、外務省としてはこれはどう受けていますか。
  177. 佐々江賢一郎

    ○佐々江説明員 少なくともアメリカの司法当局は明示的にそうではないということを公に言っておりますし、また我が方の申し入れに際しまして、アメリカ側は日本とか特定の国を念頭に置いたものではないというふうにはっきり言っておりますので、当面はそのようなアメリカ政府当局の言っていることを額面どおり受け取りたいと思いますが、他方で、実際上この問題が出てきますときに我が国だけがその例外であるというふうに考えてはいないということは容易に想像し得ることであります。     〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕
  178. 二見伸明

    ○二見委員 いずれにいたしましても、アメリカがもしそういうことに踏み切ってくると、日米関係にやはりこれは決して好ましい影響ではないというふうに私は思います。アメリカ政府にも、これは日本の主権を侵害することになる、しかも、これは恐らく日本だけではなくてEC諸国からもアメリカに対する反発は当然出てくると思います。どうか毅然とした態度でアメリカ政府には物を申していただきたいことをお願いをいたしまして、外務省に対してはこれで結構であります。  それでは本題に入ります。今回のこの法律案の提出のねらい、その効果に対して通産大臣お尋ねいたしますけれども、この貿易不均衡の改善を期待するとするならば、私はこの法律が不要だというわけじゃありませんよ、これで貿易インバランスを改善するんだということになると、その効果としては二階から目薬程度かなという感じを受けますけれども大臣の御感想はいかがですか。  さらに、輸入促進ということになりますと、例えば国内のいろいろな整備の問題もあるけれども、むしろもっと大きなことがあっていいのではないか。例えば今は円安になってきていますね、百三十一円、百三十二円。アメリカ景気が少し持ち直しそうで日本が下降ぎみだという、そうした条件もあるのでしょうけれども輸入促進するためには、むしろこうした法律以前に日本経済を円高に誘導していくというような努力が必要なんじゃないだろうか。また日本輸入促進できるような内需拡大というかそうした国内景気対策、経済政策の方が一番基本となるものではないかというふうに私は思いますけれども、円高の問題を含めて、冒頭に通産大臣の御見解を承りたいと思います。
  179. 渡部恒三

    渡部国務大臣 二見先生の御質問、後の方から申し上げてまいりますと、先生指摘のとおり、やはり総合的な意味で円は緩やかな方向で円高の方向に向かっていくことが望ましいと考えております。また輸入促進というためには内需拡大がこれは何よりも大事なことでありまして、新聞等で報じられておりますように、きのう宮澤総理のところに私ども関係する閣僚が集まりまして当面する景気対策等についてきめ細かい相談をし、またきょう閣議において総理から関係閣僚に内需拡大のために、景気をよくするために努力してほしい旨の要望がございました。と同時に、既に私はこの職についてから、何といっても今日企業が国際化していく中で世界経済の相互依存度は深まるばかりでありますから、その中で日本が一千億ドルを超す黒字というようなことでは、世界全体に果たす役割ということを考えると、グローバルパートナーシップということで、日本企業に対して輸入促進あるいは海外の投資促進等を呼びかけ、多くの主要企業から非常に積極的な協力をいただいておるところでございますが、そういう中で今回輸入インフラのための法案を御審議賜っております。もとより、これによってすべて一千億ドルの貿易黒字が一挙に解決するというようなわけにはなかなかまいりませんけれども、この法案に対する、この政策に対する地方自治体等の大きな関心というものを考えますと、この法律を成立させ、これを施行していく中でかなりの効果を上げることができると思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  180. 二見伸明

    ○二見委員 この法案の有効期間平成八年五月までですね。そうすると、九四年しかないわけですね。大変忙しい、慌ただしい法案なんだけれども期間が非常に短いというのはどういうところに理由があるのですか。
  181. 高島章

    高島(章)政府委員 この法律案によります輸入促進措置は、貿易面におきまして我が国と諸外国との間に不均衡が存在している中で、今すぐにできるだけ早く実施することを目的とするということでございまして、そういった意味で限られた期間に集中的に施策の効果を上げるべく、限時的性格を有する臨時措置法ということにさせていただいたわけでございます。先ほど大臣の御答弁にもございましたように、各地方自治体でも本件につきまして非常に熱心に現在検討していただいておりまして、そういった動きがこの短期間の間に実りがあるものになるよう我々としては精いっぱい支援をしてまいりたいと思っております。
  182. 二見伸明

    ○二見委員 恐らくこの質疑はあったと思いますけれども、承認される地域の最終的な数と、承認に際してどういう基準で承認をするのか、これをお示しいただきたいと思います。  私は伺うところによりますと、政府は十数カ所承認したいと聞いておりますが、全国では四十以上の自治体が我が方に我が方にというふうに手を挙げていると聞いております。四十幾つもの手を挙げている中から十とか十五とかという数に絞り込んでいくのはどういう基準によるのか、逆にむしろそれだけ四十なら四十幾つかの自治体が手を挙げているのであれば、可能な限り認めたって悪くはないのではないかというふうに思いますが、そこら辺の御判断はどうなっておりますか。
  183. 高島章

    高島(章)政府委員 具体的な地域の選定に当たりましては、もちろん都道府県からの計画の承認申請がなされるということが大前提でございますけれども、その計画がこの法律案の第五条にございます各基準に該当するかどうかを審査した上で決定をしてまいりたいと思います。  御指摘のように今北から南まで非常に多くの地方自治体がこの地域の設定に熱意を持っておられるわけでございますけれども、今具体的に何カ所ということについては考えを決めているわけではございません。各地区地区いろいろ熱意はございますけれども計画の熟度といいますか、どの程度煮詰まったものになっているかということが一方では肝要でございまして、そういった状況をよく踏まえました上で法律に基づきまして適正に選定作業を行ってまいりたいと思っております。
  184. 二見伸明

    ○二見委員 そういたしますと、まず数ありきではなくて、基準に合うような計画であれば、これは承認をするにやぶさかでない。十とか二十とか、まず数があるんじゃないのだ。その基準に合うようなものがあれば、それは例えば二十になるか二十五になるか、手を挙げた四十幾つの自治体が全部基準に合致していれば、極端なことを言えば全部認めてもいいんだということになりますか。今熟度とおっしゃったけれども、熟度が十分であれば数には制限がないというふうに考えてよろしいですか。
  185. 高島章

    高島(章)政府委員 先生指摘のとおりでございます。  ただ、熟度と申し上げますと、その具体的な内容としては、地域をどこにするかという問題もございまして、これは現実的な具体的な計画というものの作成が必要でございますので、それぞれの都道府県ではかなりいろいろな面での御努力が必要かと思っておりますが、基本的にはまず数ありきということではございません。
  186. 二見伸明

    ○二見委員 この法律は、四大臣の所管になりますね。まず国として指針を出さなければなりませんけれども、残るわずか四年の間に集中的に事業を行おうというわけですから、ガイドラインというのは相当早い時期に出さなければ対応し切れないのだろうと思います。四省所管でありますだけに、かなり早い期間調整ができて公表できるものなのかどうか、その点はいかがですか。     〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 高島章

    高島(章)政府委員 この法律案の作成過程におきましても、四省協力いたしまして速やかに提出の段階にこぎつけさせていただいたわけでございます。最近におきます国際環境の厳しさということにつきましては、関係省庁、皆さん同じ認識でございますので、この法律の基本になります地域輸入促進指針というものの作成等に当たりましても、できるだけ速やかに四省庁で策定をしてまいる所存でございます。
  188. 二見伸明

    ○二見委員 この地域の広さというのは、大体具体的にどんなイメージなんですか。この程度の広さが必要だとかいう具体的なイメージなどがございますか。
  189. 高島章

    高島(章)政府委員 輸入促進地域は、港湾または空港の機能が存在していることがこれはもう大前提でございますが、そこで輸入促進基盤整備事業、さらには輸入貨物流通促進事業が行われることが適正な地域でなければなりません。原則といたしましては、市町村単位で設定する方針を立てております。  輸入促進地域におきます事業内容は、輸入貨物を取り扱います相当数の事業者の事業の用に供される施設の設置と管理を行う事業でございますが、その規模ということにつきましてはそれぞれの地域によりましていろいろな差があるであろうと考えております。
  190. 二見伸明

    ○二見委員 本法輸入促進地域、それから大蔵委員会で審議される新保税地域、この関係はどういうことになりますか。この法律輸入促進地域と指定されれば、それは無条件に新保税地域に指定されるのか、これは法律は別ですからね。それとも、輸入促進地域に指定されたけれどもまた新たに新保税地域としての指定を受けなければいけないのか。理論の上からいけば、輸入促進地域に指定されても新保税地域に指定されないことも理論上はあり得るわけなのだけれども、そこら辺の整合性はどういうことになりますか。
  191. 高島章

    高島(章)政府委員 御指摘の関税法の改正案におきまして総合保税地域制度が新たに設けられることになっておりまして、現在国会で御審議をいただく予定になっていると伺っております。この新しい総合保税地域制度というのは、今御指摘ございましたように、輸入促進というこの本法律案と共通の目的を持っているというぐあいに私どもは承知をしております。この法律案に基づきます輸入促進地域が関税法に基づきます総合保税地域の基準に適合して、そして許可を受けますれば、このインフラ整備と保税制度の活用が相まって輸入促進に一層の効果が期待されるわけでございますが、あくまで御指摘ございましたように法律、制度としては別建てでございます。ただ、同じ目的を持っているということから、この法律案第五条八項におきまして、地域の輸入促進計画の承認申請があった場合またはその承認をしました場合には、主務大臣はその輸入促進計画を大蔵大臣に通知するということになっております。これによりまして、大蔵大臣、税関長の方は必要に応じましてその計画を申請しております。あるいは承認を受けました都道府県に対して指導助言を行うとともに、関税法上の許可申請がなされた場合は速やかに処理されることを期待しているわけでございます。  私どもといたしましては、大蔵省と十二分に協力をいたしまして、この両制度が有機的な連携をとっていきますように努力をしてまいるつもりでございます。
  192. 二見伸明

    ○二見委員 先ほど運輸省からインフラの空港、港湾整備について意見を伺ったわけでありますけれども、インフラ整備、この輸入促進の場合はインフラの整備とあわせて行政手続面の合理化というのが必要ですね、通関手続だとか検疫だとか。ところが、海外から指摘されていることは、我が国輸入関連手続は縦割り行政の弊害で煩雑過ぎる、こういう指摘があるわけであります。これを機会に簡素化、迅速化を進めることが必要であります。当然それなりの人員の手当てもしなければならないだろうと思います。これは通産だけでどうこうできるわけではないけれども、恐らく検疫であれば、大蔵、農水等々関係省庁あるわけですね。それに対して、人員の増も含めて、それから手続の簡素化も含めて通産省としてはどういう働きかけをしていくのか。そこが相変わらず煩雑で人がいなくて時間がかかるのでは、インフラは整備された、この品物は流れていきませんね。そういう点については関係省庁にどういう働きかけをされていくのか、関係省庁はどういうような態度でいるのか、御答弁いただきたいと思います。
  193. 高島章

    高島(章)政府委員 先ほど来申し上げております輸入インフラがハードということに表現させていただきますれば、今先生指摘の点はまさにソフトの面での輸入インフラということに相なるのだろうと思います。両方が相まちませんと本当の意味での輸入促進、地道な輸入促進は図れないわけでございます。輸入の検査、審査の手続はまさに御指摘のように通産省だけではございませんで、各省非常に広くまたがっております。したがいまして、関係省庁が一堂に会しましてあるいは必要なときには関係省庁が連絡を密にいたしまして、一つ一つ問題になっております輸入手続上の問題を解決していくことが必要だと思っておりますし、その努力は日々重ねているところでございます。  具体的には、輸入協議会という組織がございますが、これは内外の経済人に関係省庁の局長の入りました会合でございますが、この場で内外から出てまいります。そういった問題の解決につきまして、関係省庁に通産省からも積極的に働きかけをしております。さらに、具体的個々の簡素化、迅速化の問題につきましては、輸入手続関連省庁連絡会議というのがございまして、これはほとんど全省庁を網羅しておりますが、この場におきまして一つ一つ問題の解決に努め、この場は頻繁に開催をさせていただいておるところでございます。
  194. 二見伸明

    ○二見委員 空港なり港湾なりがまず整備された、それから行政手続面でも簡素化された、品物が今度流れるわけですね。そこから今度は拠点都市といいますか、東京とか仙台とか拠点都市に流れていく。この間のインフラ、いわゆる道路とか他の交通機関になると思いますが、これはもちろん通産省の所管ではないけれども、今後、そうした空港なりその指定された地域と拠点都市を結ぶアクセスの話は当然建設省なりなんなりにしなければならぬと思いますが、そういう点については通産としてはどういうような立場でいるわけですか。
  195. 高島章

    高島(章)政府委員 拠点だけではおっしゃるように効果は十分でございませんで、拠点と拠点を結ぶというところに新しい政策の充実が必要でございます。通産省としては関係方面、関係省庁に十分働きかけをしていくことになるわけでございますし、その努力をいたしますが、この法律案の十七条には施設の整備という条項を用意させていただいておりまして、「国及び地方公共団体は、」「必要な港湾、空港その他の施設の整備の促進に努めるものとする。」という規定を置かしていただきまして、その実効が上がるように期待をしているところでございます。
  196. 二見伸明

    ○二見委員 それから、この法律案に則してもう二、三お尋ねいたしますが、特定製品輸入事業に対する金融措置が今度盛られております。産業基盤整備基金の円滑な業務体制を確保することが必要なのでありますけれども、特に、今回はこれまで経験のない輸入促進関連業務が加わることになったわけでありますが、円滑な対応が可能なのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
  197. 高島章

    高島(章)政府委員 御指摘のように産業基盤整備基金は今回新たに輸入関連の業務をふやすわけでございます。したがいまして、その新しい事業につきまして支障のないよう円滑な業務遂行ができるようにすることはもちろん第一でございますが、基金はこれまでにいろいろ施策を実施して債務保証の経験さらにはその他の基金としての活動の実績、集積がございます。そういったものを十分に活用しながらこの基金が今回の施策の充実に十二分に役立っていくと我々は期待し考えているところでございます。
  198. 二見伸明

    ○二見委員 輸入業者に対して基金は債務保証をすることになりますね。その際、輸入業者にとっては審査基準は緩やかな方がいいし、財政の健全性維持という面から見ると、これは厳格な方がいいということになりますが、この兼ね合いが大変難しいのだろうと思う。思うけれども、余りこれは厳格になり過ぎると、このせっかくの債務保証という仕組みが機能しなくなるんじゃないかと思います。兼ね合いの問題もあろうかと思いますが、そこら辺の審査基準や手続はどのように考えられておりますか。
  199. 高島章

    高島(章)政府委員 条件、審査基準につきましては、これから財政当局と十二分に打ち合わせをいたしまして一万遺漏なきを期したいと思っておりますが、御指摘ございましたように、本来債務保証を受けることによって輸入インフラに役立つ事業ができますように、単に厳格な、厳密な審査ということだけでそういった事業者の活動のマイナスが生じないように心してまいりたいと思っております。
  200. 二見伸明

    ○二見委員 それから、基金の債務保証の対象製品というのは、当面、工作機械と半導体製造装置が指定されることになっておりますが、これは財政面から考えて、機動的な追加指定というのは可能なんでしょうか。それとも、工作機械と半導体製造装置に今後とも限定してしまうのか、この点はいかがですか。
  201. 高島章

    高島(章)政府委員 工作機械と半導体製造装置だけに限っているわけではございません。現在はこの二つを考えているわけでございますが、その他の製品につきましても、外国との通商関係状況とか、それから新たな製品の取引形態等から債務保証の必要が認められるに至ったその段階で、この債務保証の対象とするか否かは検討してまいりたいと思います。いずれにしろ、制度上、当然に二品目に限るといったものではございません。
  202. 二見伸明

    ○二見委員 これは特定の国に偏るようなおそれはありますか。
  203. 高島章

    高島(章)政府委員 現在考えておりますこの二つの品目についてまず申し上げますが、工作機械につきましても、単に米国、ヨーロッパということだけではございませんで、アジアの国、他の地域からも輸入されておるわけでございます。また、半導体製造装置も米国だけでございませんで、ヨーロッパ諸国からも我が国輸入をされております。こういった製品の重要性、それから、各国からの輸入取引の現状にかんがみますと、相手国のいかんを問わず輸入促進すべきものと考えられるということで、本法による債務保証を考えているわけでございまして、あくまで特定国だけを考えた制度ではございません。
  204. 二見伸明

    ○二見委員 これは外資系企業に対する支援措置がありますね。これに対していろんな支援措置があるのだけれども、地価の高騰や人材確保難で事業活動に困難を強いられているのは国内の中小企業も同じでございまして、これは外国から日本に参入してくる企業だけではない。もちろん、外国企業日本に参入してくる場合には、日本に今まである中小企業とは違っていろいろハンディがありますね。取引銀行がないとかノウハウがないとか、いろいろなハンディがあるから、優遇措置をしなきゃならないのはわかるけれども、ではこれが、逆差別と言うと少し言い過ぎかもしれないけれども、そうなりますと、また国内でいろんなあつれきが起こってくるのではないかと思います。その点についてはどういう配慮をされるつもりですか。
  205. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生御高承のとおり、国際的に保護主義あるいは地域主義というのが大変強まっております。そうした中で、日本における外資系企業事業活動が非常に低い水準にとどまっておりまして、国際的にその拡大が要請されている状況でございます。日本が国際的に果たすべき責務として必要不可欠な措置を講じようというのがこの法律でございます。外資系企業日本において事業実施をする場合におきまして、第一に日本市場の実情につきましての情報が不足いたしております。また第二に、内外ビジネス慣行の相違ということがございます。また第三に、人材確保、特に外資系企業に向くような人材確保が大変難しいという問題がございます。さらには四番目に、地価の高騰によって初期コストが大変高いというようなことがございまして、日本企業に比べまして大変困難な状況にあるというふうに考えております。  こうした状況のもとで、この法律は具体的な支援措置を一定の外資系企業に対しまして講じるということで、ただいま申し上げましたような外資系企業の当面する困難な状況を少しでも減らしていこうという観点でございます。そういうことを考えますと、我が国企業に対して不合理な差別となるというようなことはないというふうに考えております。
  206. 二見伸明

    ○二見委員 この措置によって、日本でも東京への一極集中、企業の一極集中が言われているんだけれども、やはり外国から日本に進出してこようとする企業も一極集中の傾向にありますか。この法律を適用することによって一極集中から地方への分散ということも可能になってまいりますか。どうでしょう。
  207. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 御指摘のように、とりあえず外資系企業日本に来る場合に、そのオフィスその他は東京というのがあり得ると思います。しかし、現実には外資系企業日本で工場をつくるとかあるいは販売拠点をつくるということになりますと、いかにも東京というのはエストも高いということで、恐らく地方分散するかと思います。しかし、それと同時に、いろいろな意味での拠点として東京というのもこれも無視できないということで、私ども、両々相まって進めていきたい。その際に、いわゆる本格的な工場あるいは販売拠点等々はできるだけ地方へという方針でございます。
  208. 二見伸明

    ○二見委員 私は、外資系企業日本国内のあらゆる地域で事業活動を活発化させることは、我が国経済にとっても有益なことでありまして、これを機に一層対日投資意欲を促すことが必要だというふうに考えております。しかし、これはわずか四年間という短い期間の特別措置ですね。この点を日本に進出しようとする外国企業に周知徹底させませんと、いや、こんなはずではなかったなんということになりますと、要するに情報のギャップといいますか、それで変なトラブルが起きても困るわけですね。そういう点は、周知徹底については万全を期していただきたいと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  209. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 この法律が限時法となっておりますのは、早急に外資系企業日本における投資を進めたいという観点からでございます。先生おっしゃいましたように、そうした期間が限定されているということを考えますと、これに対する周知徹底は非常に重要でございます。私ども、この法律が成立し次第、日本内のみならず海外、アメリカ、ヨーロッパその他の地域全体にわたって、ジェトロその他の機関を使いまして、周知徹底を図りたいというふうに考えております。
  210. 二見伸明

    ○二見委員 もう一つ、これは東南アジア、いわゆる開発途上国と日本との間で綱引きという現象が起こりますか。東南アジアでも積極的に、特に先進国の企業を誘致したい、そういう意欲はありますね。日本もどんどんいらっしゃいと、こういうふうにあるわけですね。そうすると、日本としては善意で日本に来られるようにしているんだけれども、結果として東南アジアと日本との間のトラブルということも全く予想できないわけではありません。その点についてはどういう配慮をされますか。
  211. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  外資系企業日本投資をしようという場合に、恐らく日本市場への販路の拡大あるいは日本の高い水準の技術を利用しようというようなことが目的ではないかというふうに考えられます。これに対しまして、御指摘の東南アジア等の発展途上国に進出する場合には、もちろんその国の市場への販売ということもございますけれども、それとともにその国の豊富な労働力というものを使いたいということが大きな目的であろうというふうに考えております。そういうことを考えますと、両者の投資というものは、その目的あるいは意図というのは必ずしも同じではないというふうに考えておりまして、こうした施策を講じることによりまして発展途上国への投資というのが妨げられるということはないというふうに考えております。
  212. 二見伸明

    ○二見委員 あと一、二点お尋ねをします。  この外資系企業を支援するために、新しい政府系の会社をつくりますね。これはいろいろな研修だとか、いろいろな事業をするわけでありますけれども、既存の民間コンサルティングがあるわけですね。それと、この民間のコンサルティング会社との事業調整、この点についてはどうでしょうか。あるいはまたジェトロとの事業調整お互いにお客さんの奪い合いということになるのか、それとも補完関係がきちんとでき上がっていくのか、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  213. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 今お話にありました新しい支援会社事業でございますけれども、確かに先生指摘のとおり、新しい会社が行う事業が民間が行っております事業と同様のものが存在するということは承知をしているところでございます。しかしながら、対内投資事業者を対象といたしまして、特に外資系企業が必要としております支援事業を総合的に行っている事例は民間のコンサルティング会社その他では見当たらないわけでございまして、これはやはり対内投資事業者の数が余りございませんためにこのような総合的な支援事業が独立の採算に乗りにくいといったような事情があるのではないかと思う次第でございます。  また、ジェトロとの関係でございますけれども、御指摘いただきましたように本支援事業とジェトロが行います事業との間で競合関係を持たせることなく、むしろジェトロの力をおかりしまして、ジェトロと連携協力のもとにきめ細かいサービスが可能となるような所要の効果が上げ得るように指導してまいりたいと思っております。
  214. 二見伸明

    ○二見委員 ちょっと私不勉強だったのだけれども、この会社というのは、この法律は四年間で終わりですね。平成八年で終わりだけれども、それ以後もこれは存続するわけですか。もし存続するとするならば、恐らくこれは本店というのかな本社というのかな本部というのは東京だと思うけれども、大阪とか福岡とかあるいは仙台とか札幌とか、そういう地方の中心拠点にはブランチを置くことになりますか。
  215. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 産業基盤整備基金の出資を受けて設立されますので、本法の終了後も存続することになります。それから各ブランチ等でございますけれども、これは業務の状況発展ぶりに応じまして考えていくことになろうかと思います。
  216. 二見伸明

    ○二見委員 それから、この会社が機能を果たしていくための人材だとか資金の確保は大丈夫なのかどうかということと、この会社は大体いつごろ発足することになりますか。
  217. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 まず出資でございますけれども、これは対内投資事業者との提携を求めることになります我が国企業など、対内投資事業者の支援に賛同する人々から出資を仰ぐことを検討してまいることになろうかと思っております。  それから人材等でございますけれども、支援事業実施に必要な知見を有する方々が関係方面にたくさんおられますので、積極的に募集をいたすことによりまして極力早期に、本法案施行後できるだけ早くこの会社の設立に努力してまいりたいと思っております。
  218. 二見伸明

    ○二見委員 外国企業日本にどんどん輸出しようという場合には、やはりそれなりに外国企業の努力も必要だと思います。輸入インフラを整備しても、輸出国の企業日本のユーザーの要請にこたえられるような製品を安定的に供給する輸出努力が伴わなければ輸入量の拡大にはつながりません。ですから、日本人が今どういう品質のどういうものを欲しがっているか、そうした状況というものを外国にやはり提供しなきゃなりませんね。そうした、日本市場で今こういうことが売れ筋だよとか、こういうことに今嗜好が集まっているよとかいうそういう情報の提供は日本としても支援しなきゃならぬと思いますが、それはこの新しい会社もそういうことをやるのか、それはむしろジェトロや何かに任せてジェトロの方でやるのか、あるいはジェトロもやるしこの会社もやるしということになるのか、その点はどうでしょうか。
  219. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 ジェトロも現在先生指摘のような仕事をやっておりますが、その内容はどちらかといいますと概括的なと申しますかその業界の全体的な状況を幅広くデータを集めておられるということでございます。またそういう情報は企業にとりましてまず最初にアクセスする場合に非常に大事な情報でございまして、引き続きジェトロはそのような情報を集めていくことになり、また御利用いただくことになると思います。会社の方は、そういった情報を受けて、さらに個々の企業の実際の取引に役立つような個別の情報をジェトロと連携をとりながら提供していくことになろうかと考えております。
  220. 二見伸明

    ○二見委員 以上で終わります。
  221. 武藤山治

    武藤委員長 小沢和秋君。
  222. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この法案は、一昨年の日米構造協議や過日のブッシュ大統領来日を機に出されたアクションプランなどで対米公約になっているものであります。しかし私は、そのような公約を日本政府が行ったこと自体がそもそも不当なことだったのではないかと考えます。  そこで、まずお尋ねをいたしたいのは、アメリカ政府は事あるごとに日本市場は閉鎖的だと攻撃して、本法案を初めとして日本にいろいろな約束をさせているわけでありますが、本当に日本が閉鎖的なのかどうか、関税障壁やあるいは非関税障壁それぞれについて実情を簡単に御説明いただきたいと思います。それが先進各国の状況と比べてどうかということについても御説明ください。
  223. 高島章

    高島(章)政府委員 我が国市場はこれまでの幾つかの貿易自由化、市場アクセス改善策、さらには外為法の改正の結果、貿易、投資の両面におきまして、現在世界で最も開かれた市場一つであると考えておるわけでございます。  御質問ございました他国との比較を申し上げたいと思うわけでございます。  まず鉱工業品の平均関税率について見ますと、一九八〇年ベースでございますが、我が国が二・七%、米国四・三%、EC四・六%でございまして、いずれも我が国は低いものでございます。また、非関税障壁につきまして比較をさせていただきますが、我が国は一九六三年に百五十五品目ありましたのが、その後の残存輸入制限品目の縮小努力によりまして現在は十五品目を残すのみということになってきているわけでございます。ただ、海外におきまして、我が国市場に対する理解が残念ながら十分だということはまだ言えない面もございまして、今後、積極的に我が国市場の実情につきまして周知に努めますとともに、外国製品及び外資系企業我が国市場へのアクセス支援等を通じまして、開かれた我が国市場についての理解を得てまいる所存でございます。
  224. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今のお話で、日本が最も開かれた市場になっているということは明らかだと思います。  次に、日本輸出ばかりに熱心で、余りアメリカ製品を買おうとしないというような印象が広く振りまかれておりますけれども、この点も本当はどうなのか。今まで私は、輸出相手国での生産とを加える形で比較をしてみたら、日本国民アメリカ製品購入量の方が、アメリカ人の日本製品購入量よりはるかに多いとは承知しておりました。この点はブッシュ大統領も、日米間では国民一人当たりの相手国製品購買額は日本人の方が多いというふうに認めているわけでありますが、この機会にお尋ねしたいと思いますのは、その両方をあえて加えなくても、最近では輸入量だけでも日本の方が一人当たりで多くなったというふうに聞くのですが、いかがでしょうか。
  225. 高島章

    高島(章)政府委員 平成三年版の通商白書に指摘をしているところでございますが、米国人一人が日本から輸入する額が三百六十ドル、日本人一人が米国から輸入する額が三百九十五ドルということでございまして、お話ございましたように、米国人一人当たりの対日輸入額よりも日本人一人当たりの対米輸入額の方が大きくなっていることは事実でございます。いかに日本が今輸入大国の道を歩んでいるかということの一つの証左でございます。ただ、これは全輸入品目を入れた数字でございまして、製品類だけを取り出して比較をいたしますと、米国の一人当たり輸入額が三百五十八ドル、日本の一人当たりの輸入額が二百四十五ドルとなっておりまして、事製品類に限って申し上げますと、なお米国の一人当たりの輸入額の方が大きいということは言えるだろうと思います。
  226. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、あえて製品だけということでそういうふうに卑下する必要はいささかもないのではないかと思うのです。  次に、政府我が国の対外投資と対内投資がアンバランスだと大変心配しておられるわけであります。確かに我が国の対外投資、特にアメリカヘの投資は八五年を境に急増しておりますが、これは、日米貿易不均衡を解決するために、日米両国共同して円高・ドル安を強引に推し進め、さらにアメリカでの現地生産、直接投資を要求した結果ではありませんか。その直接投資アメリカの生産や消費、雇用をふやす役割を果たしたことも否定できないのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  227. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 我が国からアメリカ等海外への直接投資は、御指摘のように、プラザ合意による円高等を背景としまして、一九八〇年代の中ごろから急速に拡大しております。一九九〇年には投資残高で約二千億ドルを超えるという状況でございます。こうした海外直接投資による我が国企業事業活動というのは、現地において雇用の創出、それから技術移転等を通じて、進出先の経済に大いに貢献しているというふうに思っております。
  228. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ところで、そのアメリカに進出した我が国企業の売上高経常利益率はどうなっているのかをお尋ねいたします。それは、アジアに進出した日本企業利益率、海外に進出した日本企業全部の平均利益率と比べてどうかお尋ねします。
  229. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 私ども調査によりますと、アメリカ、アジアにおいて事業を行っておる日系企業の売上高利益率は、それぞれマイナス〇・一、三・〇となっております。また、全地域では一・〇ということでございます。  一方、我が国において事業を行っているアメリカ企業の売上高利益率は五・三%、これは日本国内日本法人全体の二・七%よりもかなり高こうございます。
  230. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が聞かないことまで答えてくれましたけれども、今の話でも明らかなとおり、アメリカに進出をした我が国企業は赤字を出しているわけですね。マイナス〇・一ということはそういうことだと思うのです。だから、経済的に有利とかいうことでなく、政治的にとにかく進出する必要があるということでアメリカに進出したことが、日本企業にとってどれほど重荷になっているかということが、ここにはっきりあらわれていると思いますので、もう今私が質問するまでもなく、逆に日本に進出をしているアメリカ企業の方は非常に有利な利益率を上げている。だから私は、この両方の対照をしてみれば、非常に問題ははっきりしているのじゃないかと思うのです。むしろ、日本の方が非難されるのじゃなくて、アメリカの方が非常に有利な商売を日本国内で現にやれておる。そして、中にはコカ・コーラあるいはシックとかパンパースとか、こういうようなアメリカ系の企業のように、もう日本国内でその分野では圧倒的なシェアを誇るような企業も幾つもあらわれている。だから、日本市場が本当に閉鎖的だったら、こんなことは起こり得ないのじゃな いでしょうか。いかがですか。
  231. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先ほど申し上げましたように、外資系企業アメリカ企業ととりますと、売上高の経常利益率は五・三%ということで高こうございます。この点につきましては、外資系企業、特にアメリカ企業につきましては、一般的に短期間に一定の収益を上げるということを基本的な経営方針としている場合が多いわけでございまして、既に我が国に定着し成功している外資系企業についても、そうした方針によって経営が行われているんじゃないかというふうに思うわけでございます。  一方、立ち上がり時期にある外資系企業について見ると、大きなコスト負担により十分な収益が上がらずに、赤字企業の割合も高こうございますし、また、我が国市場から撤退するという事例も多うございます。また、そうした困難な状況を見て日本への参入を戸惑うということが多く見られるわけでございます。  そうした状況を見まして、私ども、現在日本から海外に出ている企業日本に入っている外国企業、これが二十対一というふうに大変アンバランスになっており、これに対してアメリカ、ヨーロッパからも、これに対する日本市場がいかにも、法律的な問題ではないけれども非常に入りづらいんだということを言っております。ハンディーが高いということを言っております。  したがって、この法律では、そうした立ち上がり時期にある一定の企業に対しての助成、税制上の特例というようなことを支援として講じようということでございます。
  232. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここで大臣お尋ねをしたいと思うのです。  在日米国商工会議所が行った米国企業へのアンケート調査結果では、対日直接投資に障壁はないが四五%、投資環境は好ましい、問題ないが八二%に達しております。なぜ、アメリカ政府日本市場は閉鎖的だという攻撃に対してこのような数字なども挙げて堂々と反論をしないのか。アメリカ企業の大部分はカナダやECなどに関心を持っていてそっちの方に投資をしておる。日本で経済活動をしようと関心がないことについてまで日本の責任をとらされるのではこれはかなわないと思うのですが、いかがでしょうか。
  233. 渡部恒三

    渡部国務大臣 先生指摘のとおり、我が国市場開放に対する熱意は進んでおりますから、我が方が指摘されるようなフェアでないというような点については、我々は、アメリカと言わずすべての国に対して我が国の立場、フェアなものはフェアと堂々と常に申し上げております。
  234. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、そういうことを言っているというにしては、ますます非難がむしろ時とともに高まっているというのが今の状態ではないかと思うのですね。  大臣にもう一つお尋ねしたいと思うのですが、もちろん私は、いわゆる偏狭なナショナリストでもないつもりですし、日米間の貿易投資のアンバランスがこれでいいと思っているわけでもありません。私たちは、日本側の異常な国際競争力の根源になっておるのが長時間労働やあるいは大企業による中小企業いじめなどであって、こういう点を至急改めさせることこそバランスを回復する根本的な方策だというふうに考えております。私たちのこういう考え方からすると、本法案は残念ながら的外れで、アメリカの要求に屈服してこのような法案をつくっても、問題の解決にほとんど役に立たないのではないかというふうに思うのです。  けさからの質疑の中で何人かの委員の方が、本法案がどれぐらい輸入増やあるいは外資導入の増加に貢献するかというようにお尋ねになった際、数字では示せないというような話が出てきたんですけれども、これは私は、実際上この法案が余り役に立たないということの告白じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  235. 渡部恒三

    渡部国務大臣 最初の、我が国の経済体質、これを今宮澤内閣も、生活大国日本ということに向けて時短の問題とかいろいろ取り組んでおるわけでございますから、先生のお考えと共通するものもございます。  ただ、結論はちょっと早過ぎると思うので、これは、現実に一千億ドル前後の黒字が出ることは厳粛な事実でありますし、今や、急速に進んでおる企業の国際化の中で世界経済全体の相互依存の度合いは深くなっておりますし、そういう中で世界経済における日本の果たすべき役割はますます多くなっております。アメリカのみならず、これはすべての国が日本への参入を強く望んでおもわけでありますから、今回、我々が常に唱えておるグローバルパートナーシップ、世界の国が、みんながお互いに積極的に経済を発展させていく、その自由な経済で最も恩恵を受けて今日がある日本が積極的に市場開放の努力をしていかなければなりません。今御審議をお願いしておる法律はまさにこれを積極的に推進するものであると思いますので、どうぞ先生、御賛同をいただくようにお願いをいたします。
  236. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そこで、法案内容について検討してみたいと思うのです。  本法案のように、輸入をふやし外資を積極的に導入していくためにいろいろな優遇措置を講じている国が、先進国の中でほかにありましょうか。
  237. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 他の先進国において、こうした輸入促進あるいは外資系企業の支援のための法律をつくっているところはないというふうに承知しています。  しかし、日本を取り巻く現在の状況、国際的な保護主義とか地域主義という動きが非常に強まっている、それから、我が国の場合に、膨大な貿易黒字を抱えている、それから、先ほど言いましたように内外の不均衡、二十対一という不均衡がある、しかし我が国市場というのは各国から見て非常に魅力的である、そういう状況でございますので、そうした状況、すなわち国際的な声というものを勘案しまして、国際的な責務としてこうした形での支援を講じようということでございます。
  238. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 次に、運輸省にお尋ねをしたいと思うのですが、この法案で一番力を入れておりますのは、輸入促進地域における基盤整備事業だと思うのです。空港、港湾やその周辺地域に倉庫や流通加工施設等を、都道府県を中心に第三セクターをつくって整備を進めていこうという考え方だと思うのですが、実際にこれらが不足しているために輸入に影響が出ているところがあるか、あるとすればどこどこか、あるいは、近く重大なネックになりそうなところがあるのか。この実態について御説明をいただきたいと思います。
  239. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 輸入貨物が急増したことに対しまして、空港、港湾の整備、あるいは、今仰せになりましたような倉庫施設の整備などを推進して対応してきておるわけでございますが、例えば、一時期成田におきまして、これは六十二年から六十三年にかけてでございますが、非常に滞留状況というのが生じたことがございます。そのために道路上で荷さばきをするというようなことまで生じたわけでございますが、こういったことに対しましても、その都度それなりの対応をして少しずつ改善を見てきております。  ただ、将来のことを考えますと、さらにやはり日本輸入貨物がふえていく、また、そうしていかなければならない日本であると思いますので、それに対応した空港、港湾の整備あるいは倉庫その他の整備は引き続きやっていかなければいけないというふうに考えております。
  240. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、だから、将来のことは私ももちろん考えなければいけないと思うのですが、今のお話からすると、今そういうようなネックになっているところはない、ごく近い将来にそういうネックになりそうだということが予期されているところもないというふうに聞こえたのですが、そうですか。
  241. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 現時点でいわゆる輸入インフラがネックになっているというふうに私どもは認識をしておりませんが、このまま放置して、将来の貨物需要にたえられるということではない、引き続き貨物の流通円滑化のための諸対策輸入インフラあるいは貨物の総合ターミナル、こういったものの整備を進めていかないと、やはり将来そこがネックになるおそれがあるというふうに心配をしております。
  242. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、今そのことがネックになっている、あるいはもうごく近い将来にそういうネックになるということが予想されないとすれば、この法律というのを急いでつくって、今後四年間の間にも緊急にそういう整備を図っていこうという、その緊急性、必要性という点、余りよく理解ができなくなるのですがね、その点、いかがでしょう。
  243. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 輸入貨物のこれからの急増ということを考え、また急増していかなければいかぬということを考えた場合には、緊急に輸入インフラの整備に全力を挙げて取り組む必要があるというふうに認識をしております。
  244. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 どうも私の質問に的確に答えていないように思うのです。どうも先ほどからの運輸省の答弁では、ごく近い将来にそういうネックになりそうな、緊急にどうしてもすぐ整備をしなければならないというところは、今まであなた方の努力によってないような状況に今なっているというふうに私は聞こえてしょうがないのですがね。もう一遍、その点をお尋ねします。
  245. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 輸入貨物が従来もふえてきたわけでございますが、それに対して非常に問題になった時期もありましたけれども、その都度対応はしてまいりました。しかし、これからのことを考えた場合に、さらに努力をしていかなければやはりこれからの需要増には対応できない、そういう意味で緊急性がある大事な仕事であるというふうに考えております。
  246. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、先に行きましょう。  通産省は、今後四年間に全国で十数カ所くらい整備を考えているというようなお話でしたけれども、どういうようなところを整備しようというお考えなのか。その中で、特に急いで整備しようとしているのはどの辺が、できるだけ具体的な御説明をいただきたいと思います。
  247. 高島章

    高島(章)政府委員 具体的な地域の選定につきましては、都道府県から計画の承認申請がなされました後、この計画がこの法律に基づきます各基準に該当するかどうかということを審査した上で決定をしていくことになっております。したがいまして、その輸入促進地域の具体的な設置地点につきまして、今現在、具体的に数、場所についてはまだ申し上げられる段階ではございません。あくまで都道府県の承認申請を待ちまして決定をしていきたいと思いますし、その際には、それぞれの地域におきます計画はどの程度煮詰まったものであるかといった点は十二分に検討対象として選定作業を進めてまいりたいと思っております。
  248. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 しかし、先ほども、成田がこの前大変な状態になったことがあるというようなお話もございましたし、私が説明を聞いても、成田に圧倒的に、八五%ですか、航空貨物が集中をしておる。だから、整備を進めていくとすればこの辺からやるということになっていくのが常識的な話ではないですか。
  249. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 成田に八五%近い貨物の集中があるわけでございますが、趨勢を見てみますと、成田の集中はやはり少しずつ緩和する傾向にございます。その分、地方空港の国際化というものが進んでいるわけでございまして、したがいまして、私ども、これからの航空貨物の施設整備というものを考えた場合に、成田に集中しております航空貨物、さらにこれは増加をしていくことが予想されるわけでございますが、それに対応すること、これはまず第一に大事なことであると思いますが、それと同じように、地方にこれから伸びていく、現に伸びつつある航空貨物需要、これに対応する施設整備についても同じように力を入れて進めていかなければならない、こう考えておるところでございます。
  250. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、今の日本経済の体質からすると、成田をまたそうやって整備をすればさらに貨物が成田に集中するというような傾向を強める可能性もあるのではないか、その点では一極集中をあおる結果にならないかということを大変心配するわけであります。  しかし同時に、この法案の成立を促進するために全国の四十二の都道府県が協議会をつくったということですけれども、この計画に乗ろうとするラッシュが起こってあっちこっちで膨大な投資を行うということになるというと、今までもしばしば起こったことですけれども、そういう投資はしたけれども輸入貨物がさっぱり入ってこないで大変な負担だけが将来残る、こういうようなことになってもならないと思うんですね。その辺はどういうふうにお考えになりながら取り組んでいかれるのか、もう一度お尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  251. 土坂泰敏

    ○土坂政府委員 空港に限らずでございますが、いわゆる交通施設の整備に当たりましては、輸送需要の増大というものを的確に見通しまして、これに必要十分な施設整備をするという考え方対応してきております。これからもそういうことで、むだな投資というようなことがないように十分注意をしながら、しかし必要なものはきちんとやっていくということでやらしていただきたいと思っております。
  252. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  253. 武藤山治

  254. 川端達夫

    川端委員 いわゆる輸入促進法について、若干の御質問をさしていただきたいと思います。  この法案の目的が、日本の貿易黒字がどんどん拡大していく、あるいは対外直接投資の不均衡を是正をしよう、貿易黒字の不均衡も是正しよう、そういう現状に立ってされたものであるということは十分理解をいたしますし、そういう施策をとっていかなければならないというふうに認識をしております。  また、日米首脳会談の経過を踏まえましても、そういう対策が必要であるということの中で出てきたということでは評価をするものでございますが、昨年の貿易黒字等々、いわゆるバブルの象徴とも言われましたけれども、金の輸入あるいはオイル価格、絵画、自動車等々の特殊要因によって随分変化をした、むしろ減額になったというふうなことも発表されておりますが、これからの見通しとしての黒字基調というものをどのように見ておられるのか。  それと同時に、先ほど来きょうの委員会でもいろいろと議論がされておりましたけれども、この貿易黒字あるいは対外投資の不均衡というものに対して、この法案効果というものをどのように見積もっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  255. 高島章

    高島(章)政府委員 まず最初に、最近の黒字状況についてお答えを申し上げたいと思います。  九一年の四月からことし九二年の一月で統計を見ますと、御指摘のような品目すなわち金、絵画そして自動車の輸入は前年同期比で四十三億ドル減少いたしました。これは通関收支黒字増加額二百六十四億ドルの約一六%ということでございまして、これが特にいわゆるバブルと言われているものが崩壊したことによる高級品の輸入減少ということの数字でございます。ただ、こういった高級品の輸入の減少を除きましても、我が国の貿易黒字は大幅に増加をしてきております。  これは一つ輸入面で見ますと、原油価格が前年に比較いたしまして反騰いたしました。その前の湾岸戦争のときに値上がりをいたしました原油価格が下がりましたために輸入価格が減ったこと、さらに輸出面で見ますと、前年に比べまして円高によりますドルベースの輸出価格が上昇したというところが大きいわけでございます。  今後、調和ある対外経済関係を形成するためには対外不均衡の改善を図ることが重要でございますけれども我が国といたしましては内需中心の経済成長ということはこれはマクロ政策として最も大切でありますが、この法案に盛られているような輸入拡大策も含めましてこれまでの幅広い輸入拡大に努めることが肝要であろうと考えているわけでございます。  それから、二つ目に御質問ございましたこの法律輸入拡大効果でございます。具体的にどの程度かということにつきましてはこれは非常に困難でございますが、先ほど来の答弁に重なるわけでございますけれども、現在重要になっております輸入貨物の流通円滑化するということによりまして輸入品物流円滑化されていく、それから実際に輸入ビジネスが楽になっていく、さらには輸入品を調達するという力が強くなっていくというような効果が見込まれるわけでございまして、これまでの輸入拡大諸策と相まちまして相当程度輸入拡大が図られるものと期待をしているわけでございます。
  256. 川端達夫

    川端委員 効果が見込まれるということは十分理解をいたします。ただ、それなりにいろいろな施策で貴重な財源を使うということも含めますと、それなりのやはり見込みというものはあるべきではないか。効果が見込まれなかったらやる必要はないわけですし、当然ながらやはりそれなりの見積もりというのはあるのではないかなと思って先ほど来の議論を聞いておりましたけれども、一方でこういう一生懸命やっているという努力の姿勢が見えるということは事実でありますのでそういうことを念頭に置いておられるのかなというふうにも思えてくるので、結果としてやはり後々のことを含めますとそういう実施を、これが法案として実行された後の部分での動向も含めて見ていただきたいし、また機会を見てお教えをいただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  この法案輸入促進につきましては、いわゆる周辺の整備というハード面の整備がかなり中心でありますし、同時にそれに伴う金融の支援ということであります。受け皿のそういうハードの機能を拡大し整備をするということは当然ながら大変大事なことでありますが、やはり問題は、もう一つの大きな側面としては国民のいわゆる消費というものに関して、これは産業界も含めて個人消費も含めて、欲しい物が入ってくるのかどうかということにかかるのではないか。  先般来、年明け早々に自動車の問題が、これに直接関係あるわけではありませんが、国民的に非常に関心を持った議論になりました。そのときにマスコミを通じていわゆるいろいろな方の声という中には、アメリカの車は余り欲しくない、ドイツの車は欲しい、数字もそうあらわれているというふうなことがありました。今回のこういう環境整備をしていくということは当然でございますが、相手国にとって、日本市場がどういうものを求めているのか、どういう消費者動向あるいは産業のニーズがあるのかということに対するバックアップというのですか、そういうものがされないと、幾ら空港や港湾整備をして道路がよくなっていらっしゃいと言っても、だれも買わない物が来てもだれも買わないわけですから、そういう側面に関してはどういう御認識とどういう手を打とうとしておられるのかということをお知らせいただきたい。
  257. 高島章

    高島(章)政府委員 我が国輸入拡大のためには、まさに御指摘のとおり輸出国側の努力ということが最も大切でございます。そういった努力につきまして、いろいろな機会に我が方としても輸出側に伝えているわけでございます。今、輸出国側におきましても実はいろいろな輸出拡大のプログラム、計画がスタートをしております。米国、英国、フランスそしてEC等が対日輸出拡大のためのプログラムをつくりまして今具体的な地道な努力をしておるところでございますが、こういった諸国の動きにつきましても我々としては支援を、今までもしてまいりましたし今後とも続けてまいる所存でございます。  少し具体的にお話を申し上げます。現在、輸出側の努力を支援するためにジェトロから二十八名に及びます専門家を欧米各国に長期の派遣をいたしまして、そこへ長く滞在をいたしまして、どういうものが日本輸出可能であるか、ビジネスにつながるかという手伝いをしておりまして、これは各地で非常に好評でございます。また、発展途上国に対しても同様な専門家を派遣しておるわけでございます。さらにまた、ジェトロの例でございますが毎年二百名程度ビジネスマンを海外から日本に招聘いたしまして、日本市場理解のためのセミナーを開き、日本市場の情報を的確に伝えているところでございます。こういう人たちのいろいろな個々の努力が対日輸出拡大につながることを期待しておりますし、具体的には一つ一つ地道な成果が上がっていることも事実でございます。日本市場全般についての情報、ニーズに即した輸出国側の輸出努力が実りますように、ジェトロの事務所等からも常日ごろ各地へ情報を提供しているところでございます。
  258. 川端達夫

    川端委員 それともう一つ輸入促進策として平成二年の四月一日から輸入促進税制が導入されたわけですけれども、大蔵省おいでをいただいていると思いますが、この輸入促進税制はこれでちょうど二年経過をするわけですが、その実態について、わかることがあればお教えをいただきたいのですが。
  259. 濱田明正

    ○濱田説明員 お答えいたします。  国税庁におきましては、先生ただいま御質問のような実態を把握するような計数を現在のところ取りまとめておりません。そういう状況でございますので、その点御理解いただきたいと思います。
  260. 川端達夫

    川端委員 それは、取りまとめるのに例えば技術的に非常に難しいから今後とも取りまとめる予定がないのか、時間的に取りまとめる予定はあるが、今のところまとまっていないのかはどうでしょうか。
  261. 濱田明正

    ○濱田説明員 法人につきまして毎年二百二十万件強の申告がなされているところでございます。大変多くの法人が申告をしておるわけでございまして、その全法人につきまして、例えば輸入促進税制としての割り増し償却あるいは税額控除あるいは準備金の適用状況を個別に調査しましてその計数を取りまとめることは、膨大な事務量を要することになるわけでございます。したがいまして、現段階では取りまとめを行っていないというところではございます。  ただ、今先生の御指摘もございましたけれども、全数調査ということは大変難しいかと思いますけれども、標本調査という形で輸入促進税制の適用状況を税務統計として把握するといった方向で今内部的に検討を進めている、そういった段階でございます。
  262. 高島章

    高島(章)政府委員 製品輸入促進税制の減税額については、今国税庁の方からお話があったとおりでございますが、実は我が方が関心ございますのは、そして御質問の趣旨もそういうところにもあろうかと思いますけれども輸入拡大効果が上がっているかどうかということだと存じます。  我が方で調べておりますが、導入初年度、平成二年度でございますが、我が国製品輸入総額は、その前の年の千七十八億ドルから千二百二億ドルまで、約一二%増加をいたしました。そのうち、この製品輸入促進税制の非対象品目、対象になっていない品目の輸入額の増加は八%でございましたけれども、一万税制の対象品目は一八%に上がっておりまして、この新しい税制輸入拡大のために相当効果を上げているものと我々は考えているわけでございます。
  263. 川端達夫

    川端委員 ありがとうございました。そういう意味で総合的にいろいろな角度から、今回の法案もそうですが、諸施策をとられる中で、見積もりが難しいというお話でございましたが、適切なるフォローというものをお願いしたいというふうに思っております。  さて、次にいわゆる対日投資の問題でございますが、日本貿易振興会が外国企業にいろいろ調査をして、外国企業指摘をする対日投資阻害要因というものを報告しておられます。それは、外国企業指摘をする対日投資阻害要因ということで、一つは優秀なスタッフの採用ができない、二番目が官公庁へのアクセスが困難、三番目が業界の協調的体質や系列取引などがある、こういうふうな指摘をされております。  今回の法案の中では、優秀なスタッフが採用できないというふうな問題に対しては、いろいろ採用に対してのあるいは教育に対しての機関をつくろうということで盛り込まれているように思うのですが、かねがね日米構造協議等々でも再三指摘をされている、いわゆる官公庁へのアクセスが困難であるとか業界の協調的体質や系列取引等々に関しては、構造協議を受けていろいろやっておられるという中で、今日時点での取り組みについてごく概要お知らせをいただければと思います。
  264. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のようにジェトロの指標でそういった指摘がされているということは承知いたしております。この法律に基づきます支援措置につきましても、こうした課題を踏まえまして、外資系企業による我が国市場での事業が円滑に行われるようにということを努めてまいる所存でございます。  具体的に申し上げますと、この法律におきまして、十八条で政府地方公共団体外資系企業に対して必要な情報の提供、助言等を行う旨を規定いたしております。また、第十九条で関係円滑化を図るとともに外資系企業取引関係にある民間企業等の理解と協力を得るように努めるというような規定も置かれております。通産省といたしましては、こうした規定も十分に活用いたしまして、先生指摘の点に取り組んでまいりたいと思っております。また、地方公共団体等に対しましても周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
  265. 川端達夫

    川端委員 次に、外資系企業動向も通産省の方でいろいろお調べをいただいているのですが、最近の傾向として、通産省外資系企業動向調査によると、一九八五年以降いわゆる合弁ではなくて一〇〇%外資の法人が増加してきている。そして、八八年からは過半数がいわゆる一〇〇%単独出資という形での外資の参入が見られるということのようでありますし、その解説として、一つは、今までは技術の提携等々含めて日本企業外国企業がいわゆるジョイントベンチャーという形で、資本で参入をしてくるということが、最近では日本企業が力をつけてきて、外国企業とダイレクトな競合関係に入ってきている。だから、もう日本と一緒にやろうということではなくて、要するにダイレクトに一〇〇%外資で日本市場に参入してくる、こういうケースで、逆に合弁なんかできなくなってきたということの中でこういう結果が出ているという指摘と、もう一つは、外国企業がもう日本と競合するのを前提にして、日本を生産、販売の一つの拠点として進出してきたというふうな分析も書かれております。そういう環境ということなのかどうか、いわゆる最近とみに合弁が減って、一〇〇%出資のダイレクト投資がふえてきたというものをどういうふうに分析しておられるのか。同時に、そういう一〇〇%出資の企業にこれからももっと来てくださいということで、いろいろ支援をしていこう、優遇していこうということは、要するに日本企業とダイレクトに競合関係にあるところとして進出してくるところに支援をするということは、まさに逆に日本にいる競合会社としては、敵に塩を送るというのを通産省が一生懸命やるのかということになりかねないわけですし、あるいは今まで進出してきた外資の企業どこれから進出しようとする部分では、また差別がつくんではないかというふうな問題も当然ながら起こってくるわけですけれども、そういう部分に関してはどういう整理をしてこの法案を考えてこられたのか、御説明をいただきたいと思います。
  266. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のとおり、通産省調査によりますと、近年外資系企業、これは外資比率が五〇%以上の企業調査でございますけれども、この形態につきましては、外資比率一〇〇%のものが若干増加しているというのは事実でございます。しかしこれは数%程度でございまして、これが定着した傾向であるかどうかということにつきましては、必ずしもまだ明確でございません。もうしばらくその状況を見る必要があるというふうに考えております。  一方、外資系企業日本企業との関係につきましては、合弁企業設立以外にも、取引関係あるいは技術提携等も考えられるわけでございますので、外資比率一〇〇%の企業は一概に我が国企業と競合関係にあるというふうには即断できず、多様な側面があるというふうに我々は考えております。  また、そうした外資系企業我が国との間で逆差別が出るのではないかという御指摘でございます。これにつきましては、外資系企業については実際に我が国に参入する場合に、市場にいての実情が情報不足でなかなかわからない、内外ビジネス慣行の相違がある、あるいは外資系企業にふさわしい人材の確保が難しい、あるいは地価高騰等によって初期コストが非常に高くなるという事情がございまして、なかなか外資系企業にとってはハンディが高いという状況であります。そうした状況を踏まえて、今後我が国外国との調和ある国際交流が進むようにということで、この法律を提案しているわけでございます。
  267. 川端達夫

    川端委員 大臣、御苦労さんでございます。ありがとうございます。  これも一つのバブルの象徴、崩壊するということで出てきた事象かとも思いますが、二月二十四日の日経の夕刊に、婦人家庭欄ですから御記憶にあるかどうかわかりませんが、いわゆる外資系企業がある時期非常にふえた。特にこの記事は外資系金融機関ということで、見出しは「高給の夢泡と消え肩たたきのあらし 信賞必罰ルールを痛感」ということで、ある時期非常に外資系の金融機関がふえて、そして非常に高給である、給料が高いということで、この記事でも、「高給とスマートなイメージで若者の人気を集めた外資系金融機関。三-四年前、この業界では会社を変わるごとに年収がハネ上がるという出世物語が当然のように語られていた。」ということで、ある外資系証券会社調査部に日本の証券会社から転職した三十一歳の人は、「手取りで軽く百万円を超え、月に五十万円は貯金できた。接待用にとカードを渡され、三十万円まで使ってよいと言われた」こういうすごい会社に移ったということだったのですが、いわゆるバブルがはじけまして、「半年が過ぎ、株価下落がはっきりし始めると状況が一変した。業績不振の日本法人を縮小する狙いで、親会社から”進駐車”が来たのだ。新しい人事担当者は三十そこそこの若さだったが「二年以内に黒字にならなければ撤退」と宣言し、日本人幹部全員をあっさりと解雇した。」こういう会社であった。そして、「評価が低いのでボーナスは少ない」等々、いわゆる米英型の評価が信賞必罰というような部分で、雇用も、当然ながらすぐに首切りになる。これは、おのおののケースは個々の労働協約の問題ですからこれが云々ということではないのですが、初めにやはり日本商慣行雇用慣行というものとは随分違うなということだと思います。  そういう意味で、特にこの事象自体労働協約上の問題としては問題がないわけですが、通産省の肝いりでいろいろな外資の会社に来てくださいと言ってやるときに、そういうところへわあっといろいろな人が一生懸命職を求めて行ったら、調子いいときは給料がよかったけれども、悪かったら悪いで、左前になったら会社はすぐつぶしたとか首になったとかいうことが例えば起こりますと、外資系企業そのものに対する信用というものもあるということでは、来られる方に日本商慣行あるいは雇用慣行というものほかなりいろいろと調整をして理解をしていただかないと、せっかくのことがまずくなることもあり得るのではないかというふうに思います。  そういう意味で、この法案ではいろいろなそういう情報サービスもやろうということのようでございますが、初めに、せっかく労働省の古来ていただいたので、参考までにこういう外資系等の企業でそういう労働協約とか雇用上の問題とかいうことに対するいろいろなケースワークというか、そういうようなもの、特に最近は多いとか、そういう御認識はございませんか。
  268. 播彰

    ○播説明員 お答え申し上げます。  私どもかねてから、日本に来られる外資系企業が円滑な労使関係と適正な労務管理をしていただいて、このことによって日本の勤労者が生き生きと働いてもらうことも確かでございますが、もう一つ企業活動自体が円滑にいくことも大事である、こういうことで多国籍企業日本に進出してくる企業の労務管理についてはかねてより気を配ってきたつもりでございます。  私ども、統計的には先生の御指摘のようなトラブルを外資系企業については網羅的にはとってございませんが、労使紛争が労働委員会あるいは裁判事例として係属したものは、各都道府県の労政機関を通じて把握してございますが、二十件を下回るくらいでございまして、私ども日本企業と比べても、労使紛争に限られますが、外資系企業についてそうは深刻なものが特に多いというような認識は持ってございません。
  269. 川端達夫

    川端委員 そういう側面も含めて、この法案では産業基盤整備基金を用いて、いわゆる市場の開拓に関する調査、先ほどお聞きしたことですね、それから、従業員の募集にかかわる情報の提供、取引のあっせんあるいは従業員の研修等々を行う会社に出資をしよう、そういうものをつくろうということでありますけれども、そういうここに書いてある部分の、特にいろいろな情報という部分では民間の調査機関あるいは人材会社、それからジェトロ等々の公的機関で既にいろいろ幅広くやっておられる部分におのおのでいえばオーバーラップする、それを国の肝いりで一カ所でおやりになろうということでございますが、国としてそういうものを情報を提供してやろうということになるときに、実態として相当難しいなというのがイメージとして感じるのですけれども、これは質問というよりもいろいろ困難はあると思いますが、ぜひともにここの部分が裏打ちも含めて信用の部分も含めてきっちりできないと、相談に来る人もいなくなるし、実際に来なくなるのではないかということで、ひとつ決意も含めて御説明をお願いをして質問を終わりにしたいと思います。
  270. 榎元宏明

    ○榎元政府委員 先生指摘のように、情報提供事業というのは、外資系企業日本国内における事業活動円滑化のために極めて大事な手段でございます。  現在、さっき御指摘いただきましたように、民間におきましても一部国内の業者を相手にすると同時に、あわせて外資系企業の方々を相手にするといったような形でこのような事業が行われているのは御指摘のとおりでございますけれども、専ら対内投資事業者を対象といたしました、そしてこれらの方々が特に必要とする支援事業を総合的な形で行っている事例は存在しないのでございまして、そういった形で仕事をまとめますとまだまだマーケットが小さいということで、採算性に乗りにくいといったことからこのような状況にあるわけだろうと思っております。そういったことでございますので、今回この法案によりまして産業基盤整備基金から出資を行うということでてこ入れをしようとするものでございます。先ほど御説明させていただきましたのですけれども、ジェトロとの関係は非常に重要でございまして、ジェトロのお力をかりながらきめの細かいサービスができますように努力をしてまいりたい、このように思っております。
  271. 川端達夫

    川端委員 終わります。ありがとうございました。
  272. 武藤山治

    武藤委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  273. 武藤山治

    武藤委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。
  274. 逢沢一郎

    ○逢沢委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合を代表して、輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法案について、賛成の討論を行うものであります。  御承知のように世界経済及び世界貿易は、第二次世界大戦後、ガット、IMF体制のもとで、世界各国の相互依存関係を深めながら発展してまいりました。各国の相互依存関係の深化は、貿易のみならず、投資も含めて一層の広がりを見せてきております。こうした中で先進国を中心として世界経済の発展活性化に向けた政策協調が進められ、多角的な自由貿易体制の維持強化のための努力がなされているところでありますが、その一方で対外不均衡が顕在化し、保護貿易主義の高まりや地域主義的な動きが目立つようになってきております。こうした状況が長期化すれば、今後の自由な国際経済秩序構築の動きに障害となることも懸念されております。  世界経済は、現在、米国を初めとして必ずしも順調とはいえないため、各国とも回復を図るべく努力しているところでありますが、そのテンポは極めて遅いものがあります。こうした中で、我が国経済も、昨年来、内需の伸びの鈍化が見られ、これを反映して輸入の伸びも鈍化し、貿易収支、経常収支の黒字が増加を示しており、我が国をめぐる不均衡が再び拡大する傾向にあります。こうした不均衡が米国等各国との経済摩擦を激化させ、相手国内で我が国を目標とした保護主義的な動きを助長することも心配されております。  一方、直接投資についても、我が国は対外直接投資が著しく増大している反面、対内直接投資は伸び悩みの状況にあり、欧米諸国に比較して極端に低い水準にとどまっております。  今や、自由な国際経済秩序のもとで発展を遂げ、国際経済社会の中で大きな位置を占める我が国にとって、対外不均衡の改善に積極的に努力していくことは、世界経済の安定的発展に向けた責務であり、また、我が国が国際的に調和のとれた発展を図っていく上からも積極的に対応すべき課題となっております。  本法案は、こうした状況を踏まえて、従来から取り組んできている拡大均衡のための諸般の対策に加え、その一環として、当面の課題となっている外国製品及び外国企業我が国市場への参入促進を図るための環境を整備する措置を講ずるために提案されたものでありまして、その内容は、港湾・空港地域における輸入促進基盤施設の整備等を初めとした輸入促進に寄与する事業等を支援するとともに、対内直接投資による事業実施を円滑に進めるための措置を講じようとするものであり、時宜にかなった適切なものであると考える次第であります。  私は、主として以上の観点から、本案に賛成の意を表明するものでありますが、最後に、政府に対し、引き続き内需中心の経済運営を推進しつつ、一層開かれた経済社会の構築を目指して努力することを求め、討論を終わります。(拍手)
  275. 武藤山治

    武藤委員長 小沢和秋君。
  276. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、本法案が、アメリカ政府の要求、日米構造問題協議長終報告とさきの日米首脳会談で合意された行動計画を具体化したもので、国民の要求とは無縁なものであることです。  我が国市場は、鉱工業品に対する平均関税率が二・七%と、米国の四・三%、ECの四・六%に比べてはるかに低いことに示されているように先進国の中で最も開放されています。在日米国商工会議所が行った米国企業へのアンケート調査結果では、対日直接投資の障壁はないが四五%、投資環境は好ましい、問題ないが八二%にも達しています。  日本市場は閉鎖的などという実態無視のアメリカ政府の要求と、外圧を利用した我が国企業の要求を実現する本法案を到底認めることはできません。  反対理由の第二は、貿易不均衡の真の原因にメスを入れず、輸入促進、対日投資拡大を名目に、大手商社、物流業者のための大企業本意の産業基盤整備を図り、民活補助金や産業基盤整備基金からの出資、NTT無利子融資、国・地方税の減免など、至れり尽くせりの優遇措置を講じるものであることです。  日米貿易不均衡の真の原因、アメリカ側の国内産業空洞化政策、日本側の長時間労働や下請中小企業いじめを土台にした大企業の異常な国際競争力にメスを入れない輸入促進、対日投資拡大では不均衡問題が解決しないことは、この間の経過が事実で示しています。  反対理由の第三は、輸入貨物の首都圏、大阪などへの集中をさらに進め、地方の振興にはつながらないことです。  我が国輸入航空貨物取扱量は、成田空港に全体の八四%、大阪の伊丹空港と合わせた二大空港に九五%と極端に集中しています。  本法案による輸入促進基盤整備事業でまず優先的に整備されるのは、成田空港の貨物センターとなっている原木、関西国際空港の臨空タウンなどとなるでしょう。港湾では、横浜港や大阪南港などとなるでしょう。そうなれば輸入貨物がこれらの空港、港湾にこれまで以上に集中することは避けられません。地方では、仮に基盤整備事業だけは行われても輸入貨物はふえず、地域の振興にもつながらない危険性が大であります。  以上の理由により、本法案に反対の態度を表明し、討論を終わります。
  277. 武藤山治

    武藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  278. 武藤山治

    武藤委員長 輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  279. 武藤山治

    武藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  280. 武藤山治

    武藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、額賀福志郎君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。和田貞夫君。
  281. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ただいま議題となりました附帯決議につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 輸入促進地域の整備を円滑に進めるため、主務大臣間の密接な連携の下で各省の施策の一体的な活用を図ることとし、本法施行後速やかに地域輸入促進指針を公表するとともに、地域輸入促進計画の承認を行うよう努めること。  二 「輸入促進基盤整備事業」の地域指定に当たって、海上貨物の荷扱いを行う物流ターミナルの設置については、その効率性から考えて港湾に整備することが適当であるとの観点から、必要な措置を講ずること。  三 地域輸入促進計画の作成に当たって、都道府県が関係者の意見に十分配慮するよう努力すること。  四 海上貨物の荷扱いを行う物流ターミナルにおいて行われる港湾運送事業について港湾運送の認可料金が遵守されるよう運輸省は港湾運送事業者の指導に努めるとともに、通商産業省は運輸省との連絡を密にし、適切な対応を図ること。  五 港湾労働者雇用の安定を図るため、ILO第一三七号条約の批准に向けて、できる限り速やかに必要な条件整備に努めること。  六 輸入関連の各種行政手続の簡素化・迅速化を図るとともに、本法に基づく輸入促進措置の推進に当たっては、各種の輸入拡大策との一体的実施により、その効果を上げるよう努めること。  七 本法に基づく支援措置等は、臨時的なものであることにかんがみ、限られた期間内に十分な効果を上げるよう円滑に推進するとともに、外国企業等への積極的な周知活動に努めること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  282. 武藤山治

    武藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  額賀福志郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  283. 武藤山治

    武藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、渡部通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡部通商産業大臣
  284. 渡部恒三

    渡部国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。     ―――――――――――――
  285. 武藤山治

    武藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 武藤山治

    武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  287. 武藤山治

    武藤委員長 次に、内閣提出伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案及び特定中小企業集積活性化に関する臨時措置法案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。渡部通商産業大臣。     ―――――――――――――  伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を   改正する法律案  特定中小企業集積活性化に関する臨時措置法   案、     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  288. 渡部恒三

    渡部国務大臣 伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国には、全国各地に、伝統的な技術または技法を用いて伝統的工芸品を製造する数多くの産地が存在しており、国民生活に豊かさと潤いを与える産業として、従来よりその振興が図られてまいりました。さらに、近年、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現が緊要な課題となっている中で、我が風の歴史や風土に培われた生活文化の結晶として各地に伝えられている伝統的工芸品の重要性がますます高まっております。  しかしながら、現在、伝統的工芸品産業は、従事者の減少や高齢化、需要の停滞、伝統的な商品のみに依存してきたことによる産業活力の低下等 の事態に直面しており、このままでは、近い将来に、多くの伝統的工芸品産業が衰退、消滅するおそれがあります。  この法律案は、かかる事態を踏まえ、伝統的工芸品産業の振興に関する法律を拡充し、伝統的工芸品産業の維持、発展を図ろうとするものであります。  次に、この法律案内容について、概要を御説明いたします。  第一に、伝統的工芸品産業の振興の基本的な方向について通商産業大臣が基本指針を策定することとしております。  第二に、この基本指針を踏まえて、伝統的工芸品を製造する事業者またはその組合等が、販売協同組合と共同して実施する需要開拓事業、伝統的工芸品等を活用した新商品の開発または製造の事業伝統的工芸品産業に対する支援事業について計画を作成し、それぞれ通商産業大臣の認定を受けることができることとしております。  第三に、認定を受けた計画に基づく事業に対する支援措置として、産業基盤整備基金による出資、中小企業信用保険の特例措置税制上の特例措置等を規定することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。  次に、特定中小企業集積活性化に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国中小企業は、事業所数の約九九%、従業員数の約八〇%と、我が国経済において極めて大きな地位を占めております。特に、産地、企業城下町等の中小企業集積は、地域中小企業の自律的発展の基盤として極めて重要であるのみならず、社会、文化面でも地域の発展を担う重要な存在であります。  しかしながら、近年、消費者ニーズの多様化、技術革新の進展等中小企業は厳しい環境変化に直面しております。  地域中小企業が自律的発展を図るためにはその基盤たる中小企業集積がこうした環境変化に対処し、地域や伝統にはぐくまれた技術等を活用しつつ、新分野進出や高付加価値化を行うことにより活性化することが不可欠であると考えております。  政府といたしましては、中小企業近代化審議会での審議結果を踏まえつつ、中小企業集積の活性化を図る措置を総合的、体系的に実施するための法律案を作成し、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明いたします。  第一に、特定中小企業集積活性化のための基本的事項について通商産業大臣が指針を策定することとしております。  第二に、この指針に基づき、都道府県が特定中小企業集積を対象として計画を作成し、通商産業大臣の承認を受けることとしております。この計画には、活性化促進する措置を講じようとする特定中小企業集積、当該特定中小企業集積に係る特定分野、支援事業内容等を記載することとしております。  第三に、通商産業大臣の策定した指針及び都道府県の作成した計画に基づき、個別の中小企業者が特定分野への進出に関する計画を作成し、都道府県知事の承認を受けることとしております。また、組合等がその構成員の特定分野への進出の円滑化を図るための計画を作成し、都道府県知事の承認を受けることとしております。  第四に、承認を受けた計画に基づく事業については、中小企業信用保険法、中小企業投資育成株式会社法及び中小企業団体の組織に関する法律特例措置等を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
  289. 武藤山治

    武藤委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十一分散会      ――――◇―――――