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1992-02-27 第123回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年二月二十七日(木曜日)     午前十時四十二分開議 出席委員   委員長 清水  勇君    理事 植竹 繁雄君 理事 畑 英次郎君    理事 松岡 利勝君 理事 光武  顕君    理事 村上誠一郎君 理事 有川 清次君    理事 田口 健二君 理事 石田 祝稔君       岩屋  毅君    衛藤 晟一君       大野 功統君    金子原二郎君       金子徳之介君    木村 守男君       木村 義雄君    鈴木 俊一君       住  博司君    野中 広務君       平田辰一郎君    増田 敏男君       宮路 和明君    簗瀬  進君       柳本 卓治君    山本  拓君       山本 有二君    上田 利正君       沖田 正人君    佐々木秀典君       藤田 高敏君    松前  仰君       山内  弘君    吉岡 賢治君       鍛冶  清君    薮仲 義彦君       吉井 光照君    藤田 スミ君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         国土庁計画・調 田中 章介君         整局長         国土庁地方振興 小島 重喜君         局長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官  委員外出席者         大蔵省理財局総         務課たばこ塩事 比護 正史君         業室長         文部省学術国際 雨宮  忠君         局学術課長         厚生省社会局施 松本 省藏君         設課長         農林水産省食品         流通局食品油脂 竹本 洋一君         課長         林野庁指導部造 村田吉三郎君         林保全課長         林野庁指導部治 工藤 裕士君         山課長         気象庁地震火山         部地震火山業務 森  俊雄君         課長         労働大臣官房参 後藤 光義君         事官         建設省建設経済 澤井 英一君         局長整理課長         建設省河川局河 市原 四郎君         川計画課長         建設省河川局砂 高橋 哲雄君         防部砂防課長         建設省河川局砂         防部傾斜地保全 小川 祐示君         課長         建設省道路局企         画課道路経済調 井上 啓一君         査室長         建設省道路局有 佐藤 信彦君         料道路課長         建設省住宅局住 中澤 守正君         宅建設課長         自治大臣官房参 北里 敏明君         次官         消防庁予防課長 次郎丸誠男君         消防庁危険物規 猪野  積君         制課長         消防庁防災課長 古内  晋君         特別委員会第三 中村  信君         調査室長     ————————————— 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   菅原喜重郎君     高木 義明君 同月二十七日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     柳本 卓治君 同日  辞任         補欠選任   柳本 卓治君     小坂 憲次君     ————————————— 二月二十七日  雲仙岳災害復興に関する請願(田口健二紹介  )(第二二四号)  同(藤田スミ紹介)(第三一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 清水勇

    清水委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。光武顕君。
  3. 光武顕

    光武委員 昨年の六月三日、大規模火砕流発生によって四十名という犠牲者を出した雲仙・普賢岳、この災害は実に八カ月有余になりますが、今日なお噴煙おさまらず本日に至っております。  政府は、被災者の要望にこたえまして、これまで二十一分野九十項目にわたる施策を実施され、中でも食事供与事業あるいはまた三百三十億に達する基金の創設と、これまでの災害の枠を超える実効ある諸施策長崎県、島原市あるいは深江町の協力を得て実施されてまいったところであります。このことにつきましては高く評価されているところでありまして、心から敬意を表したいと存じます。また、全国から寄せられた義援金は実に二百億を超えまして、その善意の方々に対しまして、私も長崎県民の一人として心からこの場をおかりして感謝を申し上げる次第であります。  ところで、これまで八カ月、約二千百世帯八千人の方々が今日まで再建のめどもなく避難生活を余儀なくされておりまして、そればかりではなくて、島原半島全域にわたり住民生活農林水産業あるいは商工業など広範な被害をこうむっており、地域社会は大きな影響を受けておるわけであります。災害はいつやむとも知れず、また、仮に終息するといたしましても土石流災害の危険が残り、そのための災害対策砂防対策やあるいは災害復旧工事農地整備には数年の年月を要することになると思われます。  こうした中で、長崎県、島原市及び深江町は、このようになお続く火山活動といわば共生をするという苦渋に満ちた選択にこのたび踏み切ることにいたしたわけであります。この二月二十二日、島原市においては、水無川流域砂防計画関係者に対し提示されました。ここに建設への第一歩を踏み出し、新たな展開が今始まろうとしているのであります。本日は、こうした中で幾つかの問題点をとらえ、関係当局対策についてお伺いをしたいと思います。それぞれ各省庁におきまして、ひとつ、的確なる御回答をお願いしたい。  まず、ダム関連でありますが、今期雨季に向かって砂防緊急対策として遊砂地計画があるやにお聞きしておりますが、その進捗状況についてまずお伺いしたい。
  4. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  水無川流域につきましては、現在国道五十七号線から下流避難勧告区域に設定されまして、当区域内の作業が可能になりました。このため、当区域内の土石流の流下の可能性の高い場所におきまして、下流の人家、道路鉄道等被害の軽減を図るために緊急に遊砂地設置すべく検討を進めておるところでございます。具体的には、現在詳細な構造について検討を進めておりますが、一部用地につきまして交渉を始めさせていただいております。  以上でございます。
  5. 光武顕

    光武委員 去る二十二日に、地元におきまして長崎県がこの砂防計画を発表しまして、ただいまお聞きした遊砂地もその一部でありますけれども、この砂防ダムはまだ依然として警戒区域の中に入っているわけでありまして、直ちにこの建設を始めるというわけにはまいらないと思うのでありますが、一応この砂防ダム及び導流堤建設についてどんな順序で行うのか、また、その内容についてまずお尋ねをしたい。  特につけ加えて申し上げますならば、現地では今期雨季に備えまして、ここに私の方で基本構想という図面を、ポンチ絵でありますが、いただいておりますが、その中で、遊砂地を含むところに、この水無川砂防ダムの一番下ですが、それから導流堤建設されるということになっておりまして、特にこの雨季に備えて導流堤を急ぐべきではないかという意見も実は地元から出ているのであります。そこら辺のところを、あわせてひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  6. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  長崎県が発表されました砂防計画は、地域住民の今後の生活設計の指針として示されたものと受けとめております。また、事業開始の時期につきましては、火山活動が鎮静化いたしました後に実施するものと考えております。  そこで、火山活動が鎮静化いたしました後につきましては、土石流に対する安全度の向上を図るため、地域住民方々の御理解と御協力を得ながら、関係機関と協議しつつ砂防ダム導流堤等の施行に着手する予定にしております。その順序といたしましては、水無川赤松谷川合流点付近計画いたしております最下流砂防ダムから施行するのが効果的ではないかと考えております。ほかの砂防ダム及び導流堤につきましても、土石流に対する効果工事手戻り防止等の面を考慮の上、順次施行してまいるところでございます。  なお、先生がおっしゃいましたように、下流部導流堤を早く施行すべきではないか、こういうことでございますが、これにつきましても先ほど申しました緊急的な遊砂地設置をまず検討いたしまして、それからさらに、もしできますれば、おっしゃったような導流堤設置についても検討してまいりたい、こう考えております。  以上でございます。
  7. 光武顕

    光武委員 今お答えがありまして、この合流点のところを真っ先に、こういうことで、それから上につきましても、いずれにしましても噴火が鎮静をしない限り、終息しない限りなかなかここを建設するということは難しいわけですね。例えば雨季土石流が流れてくるといったようなことに対して、この遊砂地は実際問題として本当に効果があるのか。私もいろいろ地元の方に問い合わしてみたのですが、やはり不安が残る、こういうような話も聞くわけであります。したがって、今お話がありましたこの導流堤については、いま一度ひとつよく検討していただいて、果たして雨季に対してこの遊砂地だけでもって十分であるのかどうか、その辺の再検討もしていただきたいというふうに考えます。  それから、この雨季対策というのは特に大切なことであり、延々と雨が続きますと当然のことながら土石流、あるいはドームの崩壊といったようなことによります土石流災害考えられるわけでありますけれども、そうした雨季について十分な対策が今準備されているのかどうか、これは地元の方でも非常に不安に思っているわけであります。そういう避難対策についてどのように政府の方で考えているのか、その辺の説明をひとつお願いしたいと思います。
  8. 古内晋

    古内説明員 土石流等対策としまして、避難対策は特に重要であると考えております。  長崎県におきましては、土石流予警報装置ワイヤーセンサー監視カメラ等によります情報を的確にとらえまして、地方振興局を通じまして関係市町情報を送信するということにしております。関係市町におきましては、土石流発生危険性がある場合におきましては、防災行政無線等活用いたしまして住民に適宜適切に情報を送りまして、関係機関協力のもとに避難計画に定められました避難所へ早期避難させるということにしておるわけでございます。  消防庁といたしましては、このような態勢が徹底されまして避難対策に万全が期されますよう、今後とも県を通じて指導してまいりたいというように考えております。
  9. 光武顕

    光武委員 消防庁に再度お尋ねでありますが、実際に土石流が、例えば今遊砂地ができる。従来水無川に流れておって、その結果としての被害が起きたわけですが、現在仮の住宅施設に既に入っておられる方々、そうした方々を含めて、私は、災害が起こった場合を想定して、一つの雨季におきます災害対策について早急に具体的な計画と申しますか、そういったものを地元長崎県あるいは関係市町と打ち合わせをしてもらいたいと思うのでありますけれども、そのような計画が現在あるのかどうか、あるいはまた、そうしたお考えをお持ちであるかどうか、再度ひとつお尋ねをしたい。
  10. 古内晋

    古内説明員 関係市町におきましては地域防災計画がございまして、従来からその中で避難場所だとかというようなことは一応決めておるわけでございます。一応その地域防災計画に従いまして現在のところは避難をするということになると思いますけれども、御指摘のとおり今後どのような状況になるのかということも踏まえまして、特に雨季を控えまして態勢に万全を期さなければいけないということも踏まえまして、今御指摘のような趣旨も踏まえまして、県と相談もしまして適切な措置を講じてまいりたいというように考えております。
  11. 光武顕

    光武委員 雨季に入りますと住民の不安が一層増すわけでありますから、念には念を入れてひとつその避難対策等については十分な準備をしていただきたい、重ねてお願いをいたします。  さて、この砂防計画では、それに必要な施設用地について、移転対象者あるいは農地等土地取り扱いですね。補償だとか買収だとかいったようなことが起こってまいりますし、さらにはまた、もしそれが可能とすれば、土地有効利用を図るために、例えば導流堤の中において農地活用を図っていくといったようなことも考えられるわけでありますが、その辺はどうなっているのか、ひとつ詳しくお話し願いたいと思います。
  12. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、今回発表されました計画基本的な構想を示したものでございまして、今後施設用地取り扱いにつきましては、島原市、深江町と連絡を密にしながら、地権者方々意見等も踏まえつつ具体化すべきものだと考えております。  砂防計画を立案するに当たりまして、この土地取り扱いにつきましては、砂防ダム導流堤砂防施設用地及び砂防ダムの堆砂用地につきましては砂防施設の機能を確保するために必要な土地でございますので、用地を取得する方向検討すべきものと考えております。また、導流堤内部につきましては、これは農地として耕作できるよう土地有効利用も図ってまいりたいと考えております。この場合、農地としての相対的な評価が下がることが想定されますので、これにつきましては、その評価が下がる分につきまして補償ということも含めて検討してまいりたいと考えております。  なお、導流堤の内側にありまして立ち退きを余儀なくされる宅地を所有される方々につきましては、今後十分に相談しながら適正に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  13. 光武顕

    光武委員 この点に関してちょっと二、三詳しくお尋ねをしたいと思うのです。  この導流堤の中は、これは図がこういう図面でありますし、まだ十分練られたものでないということはわかりますが、この部分についてはこれは買収ということになるのでしょうか、それとも補償といった形になるのか。さらにはまた、これが農地として活用されるという場合に、そこの所有権だとかあるいはまた耕作権と申しますか地上権と申しますか、そうした点についてはどうなるのでしょうかね。まあ遊砂地については私が聞いておる限りでは借地というふうになって交渉しているようにお伺いしておりますし、したがって、それを含むこの導流堤内部、ここのところはどういうふうになるのか、もう一度ひとつ御説明を願いたいと思います。
  14. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  今申し上げましたように、導流堤堤敷につきましては、私ども用地買収方向考えております。中につきましては、できるだけ農地として利用していただきたいと思っておりますので、先ほど申しましたように、もしその外側の土地との価格差と申しますか、価格の差が出てまいりましたらこの分については補償をしますが、これは一種の地役権の設定みたいなものでございまして、まあ言いますれば所有権そのもの移転等には関係がないと考えております。  それから、今緊急としまして遊砂地をつくることにしておりますが、これは借地ということにしておるのは、ちょっと買収ということにいきなり踏み切るわけにはまいらないというふうに思っておりましてこういうふうな手段をとっておるわけでございまして、もし買収申し出があった場合には、これはまた前向きに検討したいと思っております。したがって、私どもは原則として導流堤内部につきましては農用地として利用が可能であるという考えのもとに現在計画検討しておるところでございます。  以上でございます。
  15. 光武顕

    光武委員 一合のお話によりますと、導流堤を必要とする土地については買収、その内部については将来農用地として活用されるということで補償をする、その上で地役権といったようなものが設定されるということなんですね。そういうことであるとして、今のお話によれば、導流堤そのもの買収と、それから農用地としては現在埋まっているので価格の差があるということですが、しからば、後の、農用地として活用することになれば、当然今埋まっているわけですね、そこら辺のところは、農地活用するための経費負担というものな一体どういうふうになるわけでしょうか、そこのところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  16. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  農地としての活用につきましての、いろいろなその他に関する経費につきましては、これはまた県の方と十分相談して今後進めてまいりたいと思います。  以上でございます。
  17. 光武顕

    光武委員 実は、買収するという地域は、例えば上木場といったようなところがあるわけですね。それで、私がお尋ねをいたしましたところ約三百戸に及ぶわけでありますけれども、例えばこの一番下の堰堤と申しますか砂防ダムから上の方にかけまして水無川流域赤松谷川流域、それぞれ買収になるわけでしょう。その中で例えば個人民有地あるいは個人家屋といったようなものがここにあります。その中で、確かに砂防ダムとして、例えばこの絵によれば水無川に沿って四つばかりの砂防ダムができるわけでありますけれども、現実問題としてここで買収がなされるところと、それから買収にかからない土地、と申しますのは、必要な砂防ダムとしての土地買収するがそれ以外は買収できないと、といたしますと、ここには恐らく買収できない土地が残ると思うのですね。この辺については建設省としてどんなふうにお考えでしょうか。
  18. 高橋哲雄

    高橋説明員 先生お尋ねは、一番下流水無川赤松谷川合流点砂防ダムから上流部のことと考えますが、私ども砂防ダムダム敷及び堆砂敷買収をさせていただきます。その他の土地につきましてはまだどういたしますか検討対象には今のところしておりませんが、この辺につきましてはまたいろいろな面で県と相談してまいりたいと思っております。
  19. 光武顕

    光武委員 国土庁にお伺いしたいのですが、上木場地区などで買収対象とならない家屋農地などが生じる、この場合、仮にAさんという、あるいはBさんでもいいのですが、買収対象から外れる、一方では三百戸に及ぶ立ち退きを必要とする対象者集団移転ということになるわけですが、その場合に、集団移転促進事業国庫補助対象といたしまして、対象要件の中に移転対象地域から全戸が移転すること、こういうふうになっているわけですね、全戸が移転すると。そうしますと、仮に買収されないといったような場合にこの集団移転促進に応じないというようなケースも考えられるのではないか。とすれば、これは実際問題として集団移転が非常に難しくなるというふうに考えられるのでありますけれども、その点についての国土庁のお考え方をお聞きしたいと思います。
  20. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、防災集団移転というのは、災害発生が予測されますような、あるいは既に災害が生じましたようなそういう危険な区域にお住まいをいただくのは問題があるということで、そういう地域から安全な地域に出ていただくというのが法律基本の建前でございます。したがいまして、私ども、やはり危険な地域に一戸でも二戸でもお残りになるということは、そもそもこういう法律をつくってわざわざ国庫補助事業としてやるという面から申し上げますと、法律基本的な趣旨にもとるという考え方でございます。少なくとも、全戸をそういう危険な区域からは出ていただくということがこの防災集団移転というものの本質ではなかろうか、私どもはかように考えております。
  21. 光武顕

    光武委員 したがいまして、出てもらわなければならないのでありますけれども、ここでは、集団移転をするということになりますと、自分土地が、人は買収できた、された、自分は何もされないといったような問題が出てまいりますから、そうすると一人でももう買収には応じませんよ、私は出ていきませんよ、こういうふうになってまいりますと非常にふぐあいが出てくるわけでありますから、それに対しての対応策を今からひとつ十分考えていただきたい、こう思うのであります。  それから、集団移転事業を行う場合に、今全体事業限度額が一千百六十万円掛ける戸数ということになっております。ところが、実際に集団移転を行ってまいりますと、超過負担と申しますか、それを限度を超えて金額が引き上がるということも考えられるわけですが、その点についてはどんなふうに国土庁としてはお考えですか。
  22. 小島重喜

    小島政府委員 今御指摘ございましたように、現在の集団移転の場合の標準額と申しますか限度額と申しますか、それは御指摘のように千百六十万ということになってございます。この千百六十万というのは、過去ずっと毎年毎年私ども基本的に物価スライドと申しますか、物価上昇度合いに応じて限度額は引き上げてきてございます。現在もそういうことでございまして、しかし一方、今御指摘がありましたように円滑にこの防災移転が行われるというためにはさまざまな面で、まあ国庫の問題もございます、あるいは地方財政の問題もございます、そういうことも総体的にひっくるめまして、県と十分相談をしながら、事業が円滑に進むように私どもはこれには最大の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  23. 光武顕

    光武委員 次に、お尋ねしたいと思いますのは、今県が避難者に対しまして実態調査をやっております。その実態調査については私も内容について拝見をいたしましたが、この実態調査目的というものは一体どういうところにあるのか、それが一点。  それから、現在その調査につきましては、東家国土庁長官長崎県知事がこの間お話し合いがあったようでありますが、三月中旬を目途に今後の生活再建復興などのあり方についてどうするかということを詰めるということになっているのでありますが、四月三日に、これまで実施されてまいりました食事供与事業も一応打ち切りという考え方がなされております。それは、一体この調査の結果とどういうふうになるのか、既に国土庁において何らかのお考えがあるのか、あるいはこの結果によってどのようなことを考えておられるのか、その点、二点お尋ねしたいと思います。
  24. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 二月二十四日から被災者実態調査を県が開始をされております。調査票のしおり等見せていただきますと、この調査は、災害が一層長期化している中で改めて被災者実態調査をして、今後の自立に向けての考え方を個別に把握し、それに対応した対策検討に資するというところに目的があるというふうに承知をいたしております。  この調査各戸訪問によって行われているわけでございますけれども、県によりましては、各被災者に対しまして、災害が当分の間継続することを想定して今後のことを考えていく必要があるということ、そして仮に噴火が早期に終息しても、土石流災害の危険は残り、砂防対策災害復旧工事農地整備等には数年間かかる見込みであるため、この間、関係する土地に住んだり農業を再開したりすることはできないといったような点につきまして御承知をいただきたいというようなふうに理解をいたしております。調査対象は、現在避難生活を送っておられます全世帯ということにされてございまして、各世帯住宅被害状況住宅確保に向けての考え方生計手段の現状やその確保についての考え方農業者、自営業者等に対しましては、職業別に事業状況や今後の再開のための計画等について調査することとなっておるようでございます。これらを通じまして、食事供与事業対象者の就業状況あるいは意欲等も把握ができるというふうに聞いております。  そこで次に、先生から御指摘のありました食事供与事業の今後の考え方でございます。御案内のとおり、今次の雲仙岳噴火災害に際しましては二十一分野九十項目にわたります対策を決定をして、被災者に対します救済、支援を政府として進めておるわけでございますけれども、その中で、特に今次の災害の特殊性を踏まえまして、かつて例のない特別措置として、この食事供与事業というものを設け、実施をしているわけでございます。事業趣旨は、かねて御案内のとおり、実施期間を六カ月というふうに定めてございますけれども被災者方々にこの期間内に新たな生活の手だてを確保していただくというところにあるわけでございます。そのための就業機会の確保等の環境整備に、これから残された期間でありますが、長崎県と連携しながら、引き続き最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。  国土庁といたしましては、長崎県が進めている調査の結果を待ちまして、食事供与事業取り扱いも含め、適切な対応を今後図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 光武顕

    光武委員 今食事供与についていろいろお話があったのですが、これは前回、私、質問の中でも申し上げましたけれども、確かにこの六カ月の間に自立という気持ちがこの施策の中にはあったと思うのであります。しかし、実際に現地で話を聞いてみますと、必ずしもそのことが十分に伝わっていないと申しますか、これはだれをとがめるというわけでもありませんけれども、実際には心理的な空白の時期に、やはりこれは災害対策と申しますか、援助というか、その一環であるというふうに受け取られているわけでありまして、四月三日をもって打ち切られるということについては、やはり現地のそうした被災者方々にとりましては、大きな苦痛を伴うものだと私は思うのでありますが、しかし一方、この六カ月の間に自立をなさった方もおられるわけでありまして、そういう方々との関係もございます。私は、少なくとも今農業者の方が一番この食事供与を受けておられると思うのでありますが、やはり手に職がないと申しますか、特に技術がないといったようなことに対する先行き生活の不安がある、そんなふうにも考えておりまして、ぜひひとつチャンスを与えつつ、一日も早い自立をお願いするということで、いま一段温かい施策をぜひひとつお願いしたいというふうに考えております。よろしくお願いしたいと思います。  基金の問題がありますが、これは従来増額につきましては、いろいろと御配慮と申しますか、将来にわたって必要とあれば自治省としても御検討いただくという御回答もいただいておりまして、今中小企業に対します貸付金等が急速に膨らんでまいっておりまして、そのための利子補給といったような問題を例の基金で賄っておりますけれども、自治省におかれましては、この実態についてよく御検討をいただき、今後基金の増額についてはぜひひとつ御協力を願いたい、このように要望にとどめておきます。  さて、島原につきましては、先ほど来申しましたように、これまで災害対策について高くその対応策評価されております。しかし、これだけでは今まで落ち込んだ島原地域をこれからダイナミックに発展、活性化させることは難しいというふうに私は考えます。関係者方々からもいろいろとお話を伺っておるのでありますが、やはり明るい展望と申しますか、将来夢を持たせるような思い切った施策が必要であるといったような要望が強いのであります。  その中で、ただいま構想が進められておりますいわゆる三県架橋、これなどもひとつ一日も早い建設をお願いしたいという声もあります。それからまた、島原半島地域にとっては道路が一番発展を阻害しておるというふうに言われておりますし、現実に私ども行ってみましても、とてもこれでは企業の誘致だとかあるいは観光を盛んにするといったようなことは難しいというふうに思うのですね。そこで何としても道路網の整備が必要だ、その中でやはり三県架橋と関連しまして、ぜひ高規格道路建設してほしいといったような要望が非常に強いのであります。そうした高規格道路あるいは三県架橋というものが実は地域におきます企業の誘致あるいは観光産業の発展、そしてそれに対する民間資本の導入ということについては起爆剤になるというふうに私は考えます。そういった意味におきまして、この高規格道路につきましては、現在の規制によりまして車の交通量といった条件の制約があるわけでありますね。しかし、それを乗り越えてこの際思い切って高規格道路建設等をひとつ進めていただきたい。三県架橋とそれもひとつ関連させまして、そのことが地域の大きな夢を持たせる、こんなふうにも考えるわけでありまして、この点について建設省、特にまた国土庁長官の御意見を承って私の質問を終わりたいと存じます。
  26. 東家嘉幸

    東家国務大臣 ただいまのお尋ねの三県架橋につきましては、九州の交通体系一体の中でも取り上げられている問題でございますし、特にまた、将来の発展に向けても私は島原、天草、長島にかかる三県架橋は重要なことだというふうにとらえております。ただ、しかし本土に向けてかけたその後の交通体系も考えていかなければなりませんので、熊本から天草にかかる高規格道路を含めて、早急に一体的に今後取り組んでいかねばなるまいというふうに考えております。そういうことでこの三県架橋の問題については今調査をいたしているところでございますので、その点については先生もう地元で御案内のとおりでございますので、今後とも鋭意建設省と協議しながら、さらに調査費を十分に、そういう実現に向けての方向で 進めていきたいというふうに思っております。
  27. 井上啓一

    ○井上説明員 ただいま国土庁長官からお答えがございましたけれども建設省といたしましても、島原半島を含む九州中西部地域の開発計画推進は大変重要なことだと認識しております。  平成元年度から平成二年度にかけまして国土庁調査調整費によりまして、各省庁とともに、当該地域を含む九州中西部地域の総合的な整備計画を作成するための九州中西部地域整備計画調査を実施したところでありまして、この中におきまして、当該ルート構想について総合的な開発計画の具体化等を踏まえまして、長期的視点から検討を進めていくということにしているわけでございます。  また一方、今般の雲仙岳噴火災害に伴う島原半島振興のために当該地域における代替路線の確保災害に強い幹線道路網の確立の重要性が高まっているということで、これらの状況の変化を踏まえまして、本ルート構想について新たな視点からさらに検討を進める必要があると認識しているところであります。  また、建設省として、平成五年度から始まります次期道路整備五カ年計画を策定する中で、高規格幹線道路網と一体となって地域の活性化を促進し、広域交流圏の形成を図る地域高規格幹線道路計画を進めていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  28. 光武顕

    光武委員 質問時間が超過しましたことをおわびいたします。  以上でもって質問を終わります。ありがとうございました。
  29. 清水勇

    清水委員長 これにて光武顕君の質疑は終わりました。  次に、田口健二君。
  30. 田口健二

    田口委員 私は、雲仙・普賢岳噴火災害について、この際、幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  雲仙・普賢岳は一昨年の十一月に噴火をいたしまして既に一年三カ月が経過をいたしました。また昨年の六月の三日、死者、行方不明四十三名というとうとい犠牲を出しましたあの大火砕流から既に八カ月、これに伴って警戒区域が昨年の六月の七日から設定をされましたが、その後十四回にわたる延長措置がとられまして、既に間もなく二百八十日目を迎えようとしておるわけであります。避難者方々も、仮設住宅だけで千四百四十五世帯、五千五百八十二名という多くの方々が今日なお過酷な避難生活を続けておるわけであります。御存じのように、普賢岳は依然として終息の見通しは立っておりませんし、とりわけ今年二月ごろからやや活発化をし、中小の火砕流が頻発をするという今日の状況にあります。私は、このように当初予想もしなかった災害が非常に長期にわたって継続をしておる、こういう状況を踏まえながらこの時点で考えていかなければならない点は次の二点にあるというふうに思っています。  第一点は、このように長期化をしていく中で、被災者に対して新たな視点を持った救済対策が講じられなければならないのではなかろうか。同時に、いっ終息するかまだわかりませんけれども、今後の復興へ向けて具体的な計画を策定をしながらその準備にやはり着手をすべきであろう。災害が終息をしてからその準備を始めるということではこれはもう遅いことになりますから、今日の段階から将来を見通した復興計画を立てながらその準備に着手する、これが今日必要になってきておるのではなかろうかというふうに思っています。そういう立場で幾つかの点をこれからお尋ねいたしたいと思います。  最初に、厚生省に仮設住宅について一、二お尋ねいたします。  今日、千五百五戸の仮設住宅が建設をされまして、昨年の十一月二十九日以降、体育館などの避難所から全員が今仮設住宅に移転をしておるわけであります。当初は、皆さんあの真夏の大変暑い盛りの体育館における避難所生活から新しく仮設住宅に移転ができるということで大変喜んでおられました。ところが、実際に仮設住宅に移って生活をしていく中で、実は新たな問題が起きてきておるわけであります。それはいわば個人のプライバシーの問題、御案内のように仮設住宅は一棟二世帯が通常の形で今入居しておるわけであります。その境目が板切れ一枚でその境になっておるわけでありますから、隣同士の話し声も全く筒抜けてあります。プライバシーは全然保障されないというような状況で、精神的な苦痛というのを非常に皆さん訴えておられるわけですね。これは同一世帯であってもそうなんです。お年寄り、子供夫婦さらには孫という三世代の同一世帯方々があの小さな二間で生活しておるわけです。ここでも、同一世帯であってもその問題が存在している。大変な精神的な苦痛を皆さん方率直に訴えておられるわけです。これは何とか解決する方法がないものか。せめて一棟一世帯というふうな入居ができないものなのか、この辺について何か解決案があればひとつお聞かせをいただきたいと思います。  なお、関連してもう一点申し上げておきますが、現行制度によれば仮設住宅は二年の期限が付されておるというふうに言われておりますが、今日の災害状況から考えまして、果たしてこの二年という期限で終了するかどうか、極めて疑問であります。二年経過した後のこの仮設住宅の取扱措置についてどのような方法があるのか、これもあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  31. 松本省藏

    ○松本説明員 御説明申し上げます。  応急仮設住宅でございますが、避難住民方々の入居の申し込みを踏まえまして一千四百五十五戸を建設いたしまして、昨年の十一月時点で全戸御希望の方すべて入居済みという状況でございます。その構造につきましては、実際上の用地、適地の確保というような現実上の制約等もございまして、先生お話しのとおり、二世帯で一棟という構造でつくられているわけでございます。  ただ、その二世帯の間の間仕切りにつきましては、基本的に防音効果のある材料を使用いたしております。建築基準法上の遮音構造、さらにグラスウールを加えまして恒久的な長屋におきます壁の基準以上の防音効果のある材料を使用しているところでございまして、そういう観点で、二世帯一棟という状況ではありますけれども、できる限りのプライバシー保護に配慮をするということにいたしているわけでございます。  そうなりますと、面積の問題というのもまた出てくるわけでございますが、火山災害噴火災害ということで、ある程度避難が長期化するということを踏まえまして、通常の場合の仮設住宅の面積、これは約二十六平米でございますけれども、これを拡大いたしまして特別基準を設定いたしているわけでございます。これは約三十平米ということで、通常の基準以上の広い面積を用意いたしたわけでございます。しかも画一的に三十平米に全世帯入っていただくということではなくて、その中でも多人数世帯の場合にはさらに広い間取りが活用できるような弾力的な工夫もいたしておるということについては御理解をいただければと思います。  なお、今後さらに住環境改善のためにどういうような工夫があるかということでございますけれども、新規に応急仮設住宅をつくるということは、これは用地等の制約もございまして現実的にはなかなか難しいということでございます。ただ、現在応急仮設住宅に入っておられる方々の中で公営住宅等に転居をしていただいたというケースが出ておりまして、実は若干の空き室が出てきているわけでございます。したがいまして、当面はこの空き室を利用いたしまして、例えば病人のおられる世帯、こういうような特殊事情のある場合につきまして、世帯分離をいたしまして広い仮設住宅への転居などを実施していくというようなことを、長崎県とも十分協議、相談をしながら弾力的に対応していくという方法を考えたいと思っているわけでございます。さらに、これから災害が長期化するといたしましても、例えば警戒区域等の解除等が仮に進んでまいりますと、空き室が さらに一層量として多く生じてまいりました場合には、多人数世帯等優先度の高い世帯から一世帯一棟というような改善措置も検討が可能になってくるであろうというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、災害の長期化に伴います住環境の改善につきましては、現地の状況を十分把握いたしまして、また長崎県ともよく協議をいたしまして今後対応してまいりたいと考えているところでございます。  それからもう一点、応急仮設住宅の供与期間が二年ということであるけれども、その後どうするのだ、こういう御指摘でございます。  応急仮設住宅の供与につきましては、そもそも第一次的な応急救助の後の自立をして生活を立て直していく段階での措置として、簡便なる住宅を仮設をいたしまして一時的な居住の安定を図るということがこの応急仮設住宅の本来のねらい、目的でございまして、御指摘のとおり最長二年間という期間が定められているわけでございます。  そういう趣旨からいたしましても、この二年間の間にいわゆる仮設でない恒久的な住居、これは持ち家でもありましょうし公営住宅でもございましょうし、いろいろな形態があると思いますが、いわゆる仮設でない恒久的な住居に移っていただくということを本来予定いたしておりますし、またそれが住民の方にとっても望ましいことではないかと思うわけでございます。さらに加えまして、これは応急仮設建築物ということで建築基準法上の制約もあるわけでございます。こういうこともございますので、現時点でその後期間延長その他のことを考えているわけではないわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
  32. 田口健二

    田口委員 今の課長の話はそれなりに理解をします。ただ、後のことで、私具体的な例を申し上げますと、警戒区域が指定解除になってそれぞれまた自宅の方に戻られる、こういう方も出てくると思いますね。ところが、あそこの現状というのは、先ほどまでの話もありましたように、雨が降ると土石流発生というのは非常に可能性が高いわけです。そうしますと、これを完全に土石流を防除するというか、そういう措置をするまでには相当の年月がかかると思うのです、これは当然のことですが、後からちょっと御質問しようと思っていますが。そうすると、皆さんが言っておるのは、荷物を全部持って帰るわけにはいかないというのですね。荷物を持って帰ってそこで土石流に遭ってまた全部家もろとも流されてしまう。何か、仮設住宅をその二年経過後もいろいろな形で利用できないか、こういう要望も出ておるんですよ。恐らくこれは県の方からまたいろいろな具体的な御相談があろうかと思いますので、その辺はひとつ弾力的に対応していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  それから、今も話がありました。確かに百二十戸ぐらい既設の公営住宅に移転をされた方もいらっしゃいますし、また今次災害によって新しく百三十六戸ほど公営住宅が建設をされているわけですが、今後の公営住宅の建設計画の見通し、これについてひとつ建設省の方でわかっておれば教えていただきたいと思います。
  33. 中澤守正

    ○中澤説明員 お答えいたします。  雲仙岳噴火によります被災者の方への住宅対策としまして、避難が長期化しておりますことを踏まえまして、中長期の対策として平成三年度、お話しのとおり百三十六戸の公営住宅の建設に着手しております。百六戸については既に御入居いただいておるわけでございまして、深江町の三十戸についても来月にはお入りいただけるというように考えております。  今後の対策につきましては、現在長崎県、島原市等で住宅確保についてのいろいろと実態調査も行っておると伺っております。とりあえず、平成四年度におきましても地元では建設をしたいという意向であるというふうに聞いております。ただ、用地等の確保について今精力的に当たっておられるということでございますので、これらの拙元の意向を十分踏まえながら公営住宅の建設を応援していきたいと考えております。
  34. 田口健二

    田口委員 次に、食事供与の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  私は昨年の臨時国会でも実はこの点を取り上げてお尋ねをしたのでありますが、先ほど申し上げましたように、長い間の体育館などの避難所生活から仮設住宅に移ったということで大変皆さん方は喜んでおられた。その直後に私参りましたら、全く予想もしなかった出来事が起こっておりました。それは、現行制度では、避難所などの場合には食事、寝具、衣服などが供与をされる。ところが、一たん避難所を出てしまうと直ちにそれらのものが打ち切られる。せっかく仮設住宅に入って喜んでおったが、もうその日から食事の供与が打ち切られた。私が行きましたときに話を聞きましたら、食事どきになったらこそっと隠れて近所の体育館に行ってそこで食事をもらって食べておる。本当に何と申し上げていいかわかりませんが、そういう事態もありまして、国会の中でもいろいろお尋ねをいたしまして、幸い国土庁の方で食事供与事業という制度をつくっていただきました。  先ほどもありましたように、しかしこれが六カ月ということでありますから、四月三日でまた打ち切られるということになる。避難をされておる方の状況をいろいろ考えましても、農業者の方とかそういう方が非常に多いのですね。普通のサラリーマンだとかいうことになれば収入の道というのもそれぞれあるわけですけれども農業をやっておられる方とかあるいは自営業の方ということになりますと、何日だったから直ちに収入の道があるというわけではないのですね。この食事供与の継続については、避難生活を送っておられる皆さん方の非常に強い要望がありますし、また地元自治体でもぜひこれは継続をしてほしい、こういう強い要望があるわけですから、このことについてひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  35. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 雲仙岳噴火災害対策といたしまして、二十一分野九十項目にわたります対策を決定して今日まで強力にこれを進めてまいっておりますが、その中で、特に災害の特殊性を踏まえまして、かつて例を見ない食事供与事業を特別措置として設けさせていただいたわけでございます。事業趣旨は、実施期間六カ月の間に被災者方々に新たな生活の手だてを確保していただくというところに要点がございます。そういうことでございますので、そのための就業機会の確保等の環境整備に、長崎県と連携しながら引き続き最大の努力を払っそいきたいというふうに考えております。  国土庁といたしましては、現在長崎県が全戸にわたりまして調査を実施をなさっておられます。その調査を通じまして、食事供与事業対象者の就業状況あるいは意欲も把握ができるのではないかというふうに伺っております。そこで、その結果を待ちまして、食事供与事業取り扱いも含め、適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。
  36. 田口健二

    田口委員 今局長の方から六カ月という問題、それから自立ということが言われましたけれども、言葉としてはわかるのですが、現状はなかなかそうはならないのですね。予想以上に災害が長期化をしておる。特に農業をしておられる方々は、これが終息をすればまたもとに戻って農業をやりたい、そういう意欲も皆さん持っておられる。なかなかここで思い切って転職ということも考えにくい。こういうさまざまな状況があるわけですから、ぜひひとつこの辺は的確に実態をつかんでいただいて、この継続については十分に配慮していただきたい、このように思っております。  次に、自治省の方に基金の問題でお尋ねをいたしますが、現行、合計をして三百三十億の基金をもってその運用をしておるわけですね。なかなか二十一分野九十項目といいましても、確かに従来の災害に比べますとかなり手厚いさまざまな措置がなされておることは事実であります。しかし、それでは必ずしも十分とは言えませんので、この 基金の活用というのが非常に大きな今役割を果たしているわけですね。今後さらに長期化が予想される。こういう中では、長崎県当局としても新たな基金による事業、助成措置なども考えていかなければならぬということで今具体的な検討に入っておるようでありますが、この辺について、地元県当局の方から要望があれば、この基金の増額について応じていただけるのかどうか、その辺ひとつ政府のお考え方をお聞きしておきたいと思います。  それから、これはちょっと基金ではありませんが同じ財政支援の問題で、特別交付税によるところの財政支援というのを非常に期待もしておるわけですね。いよいよその時期になってきつつあるのですが、私ちょっと心配をすれば、本年度というのは、例の台風十七号から十九号に至る非常に災害が多かった年でありますから、そのことによってやはり特別交付税というのが影響を受けてくるのではなかろうか、あるいは長崎県や島原深江に対する具体的な交付税措置というものに影響してくるのではないかというように大変心配もしておるわけですが、その辺の見通しなどもわかればこの機会に教えていただきたいと思います。
  37. 北里敏明

    ○北里説明員 お答え申し上げます。  雲仙岳災害対策基金、御案内のように規模は三百三十億でございます。規模を算定するに当たりましては、長崎県におきまして、住民等の自立復興支援事業地域経済復興対策事業等各事業に必要な金額を積み上げまして適切に決定をしたものでありまして、当面はまだ現在の額で対応できるのではないかというふうに考えております。  ただ、御指摘のように、災害が長期化をしておるという中で、長崎県知事の方から、事態の格段の変化などを踏まえまして事業の追加などによります基金の規模の見直しという御要望がございますれば、その時点で相談をさせていただきたい、このように考えております。  それから、特別交付税でございます。  特別交付税の配分につきましては、災害による被害を受けましたすべての地方団体、したがいまして、台風災害等も含めましてすべての団体につきまして、国の補助負担金を伴います災害復旧事業費あるいは罹災世帯数、それから農作物被害面積等を指標といたしまして配分をしておるわけでありますが、雲仙岳の噴火によります被災団体につきましては、災害が非常に長期にわたっておる、また多大の財政負担が生じておる、また警戒区域の設定等がございましてほとんど災害査定ができないという状況もございまして、現実の財政需要等の実情を十分調査をいたしまして、財政運営に支障がないように特別の配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  38. 田口健二

    田口委員 長崎県は今月の二十二日に、復興計画について地元の自治体やあるいは関係者の皆さん方に集まっていただいて説明を行っております。私も県当局から概要については伺いましたけれども、まだまだ詳細について説明を受けておらないのでありますが、このスーパーダムを中心にした復興計画について少し概要をお知らせいただきたいと思います。  具体的に言いますと、仮にこの計画が実施をされるということになれば、事業主体は一体どこになるのか。国が直轄でやるということになるのか、あるいは災害が終息をしなければこれはもちろんなかなか着手をすることはできないと思うのでありますが、着手をしてからこれらの計画が完成をするまでに一体どのくらいの期間を必要とするのか、あるいはこの計画を実施をするために当該地域内における住宅にどのくらいの影響が出てくるのか、立ち退きが必要になってくるのか、その他用地の買い上げについてはどういう基準でもってこれをなされようとしておるのか、わかる限りのところで結構ですから、その概要についてまずお知らせをいただきたいと思います。
  39. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答えを申し上げます。  長崎県が二月二十二日に発表いたしました砂防計画は、地域住民の今後の生活設計の指針としまして、発生が予想されます土石流災害から住民の生命財産の安全を確保するための基本的な構想を示したものでございます。その内容は、上流から流出いたします土石流を捕捉するための砂防ダム、それから、大規模な土石流発生いたしました場合に土砂のはんらんを防止するための導流堤設置することにしておるわけでございます。  先生の御質問の中で、まず第一点の事業主体はどこかというお尋ねでございますが、今のところ県が中心になって事業を進めてまいりますが、私どもは、建設省がいずれ直轄で事業をするときが来るのではないかというふうに考えております。  それから二点目の工期の問題でございますが、先ほど御説明をちょっといたしましたが、まず緊急工事をいたしまして、それから火山活動が鎮静化した後、本格的な工事にかかるわけでございますが、これらの施設全体が完成するまでの、完成するというか、概成すると言った方がいいと思いますが、期間は、もちろん用地の問題が順調にいきまして、また関係の機関の皆様方に十分協力をしていただきまして、おおむね十年程度かかるものと考えております。  また、用地の取得あるいは立ち退きの問題でございますけれども、この砂防計画に基づいて砂防施設関係する人家は、既に火砕流で焼失しました家屋あるいは土石流によりまして流失しました家屋を含めて約二百七十戸ございます。また、用地の取得につきましては、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱を基本といたしまして実施されることと考えております。具体的には今後の調査を待たなければならないと思っております。  以上でございます。
  40. 田口健二

    田口委員 今の答弁の中で、公共事業の実施に伴う用地買収など、あるいは家屋買収を含めてその基準で実施をされる。その中身を私はわからないのですが、そこが一番地元の皆さん方は関心といいますか、大変な危惧を持っておるところなんですね。  この前私が本委員会建設省にお聞きをしたときには、やや抽象的ではありましたが、被災後の現在の価格買収するということではない、さまざまな要素を加えて適正に算定をするといいますか、そういう答弁もあったのですよ。この辺がこれから事業を実施するに当たって地元の皆さん、関係者の皆さんと、それから県、市当局を含めていろいろと知恵を働かしていかなければならぬところだろうというふうに思っておるのですがね。もうちょっとそこのところを説明してくれませんか。
  41. 高橋哲雄

    高橋説明員 用地の取得につきましては、先生指摘のように、昨年の十二月三日の本委員会先生の御質問に私どもの調整課長がお答え申し上げております。その趣旨に沿ってまた県と十分協議して対応してまいりたいと思っております。
  42. 田口健二

    田口委員 続いて労働省にお尋ねをしたいのですが、島原の職業訓練校が再開になったということで、避難をされておる方々もよく私どもに言われるわけですね。ただ黙ってこのまま避難生活を送っていくということではやはりだめだ、何らか自立をしていくという道を我々も探っていかなければならぬ。ただ、いきなり職業転換というところまでは踏み切れるかどうか、これはちょっといろいろな問題があると思いますがね。しかし、これから相当にわたって災害が続くということになれば、仮にもとに戻って、あるいは他に土地を求めて、農業を継続をしたいという方もたくさんいらっしゃいます。それはそれにしても、やはりある程度の期間何らかの仕事を確保していくというようなことも考えますと、そういう人たちを対象とした職業訓練というのは早急に何か考えていく必要があるのじゃないか、こう私も思うし、皆さん方もそういう希望も持っておられるわけですね。その辺はひとつ労働省の方として、一般的な職業訓練というのはもちろん内容についてもあると思いますけれども、こういう被災者対象にした具体的な職業訓練の計画というものが何か考えられないものか。そして、もしそういうものを受 講するということになった場合に、これは一般の場合もあり得たと思いますが、私は炭鉱離職者の問題で三、四年前からずっとやったことがありますが、その間訓練手当といったものなどの支給が考えられないかどうか、この辺についてひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  43. 後藤光義

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  今般の災害に伴う離転職者に対します職業訓練につきましては、これまでも訓練の受講が必要な者に対しまして、希望する職種に係る職業訓練を受講していただくよう既に措置しているところでございます。ただ、先生お話にございましたように、現段階におきましては訓練を希望する方が余り数は多くございません。今後ともその早期再就職を促進する観点から、職業安定機関との連携を密にしながら、公共職業訓練施設におきまして訓練期間あるいは訓練職種等を考慮いたしまして、定員の拡大あるいは特別コースを設ける等、弾力的に対応していきたい、このように考えております。  それから訓練手当のお尋ねがございました。現段階におきましてはいろいろと検討を要する問題がございますけれども被災者方々の御苦労については十分承知しておりますので、今後被災者方々の意向を初めといたしまして現地の状況等を十分に把握いたしまして、その必要性等についてよく検討してまいりたい、このように考えております。
  44. 田口健二

    田口委員 それでは最後になりますが、今回の普賢岳噴火災害に対して、本当に全国の皆さんから大変な浄財が義援金として寄せられておるわけですね。平成四年二月七日現在で二百四億八千七百七十万一千百三十三円と、二百億を超す大変多額な義援金が寄せられておるのですが、この義援金の配分について、どういう基準でどういう形で今まで配分をされてきておるのか、国土庁の方でわかっておれば、この際ひとつお知らせをいただきたいと思っています。
  45. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生指摘のとおり、全国から寄せられました義援金は、平成四年二月十四日現在で約二百六億円になんなんとしているというふうに県から伺っております。この義援金の配分につきましては、それが適切に行われますように県の配分委員会でその方針を決めてやっておられますし、これに準じて、島原市、深江町におきましても方針を決めておやりになっておられます。その結果、平成四年二月十四日現在でありますが、被災された住民方々に直接配分をされたものが約五十億円、それからまた、県、市、町それぞれ義援金の一部を元に基金を設置し、独自のきめ細かい被災者対策事業を実施されておりますが、その額といたしまして、県で三十億、市で三十億、町で十八億というような、基金に充当されております。今後とも、県といたしましては、今度の災害では非常に広範囲にわたって多くの住民方々に影響が出ていること、それから長期間にわたりまして災害が続くことが予想されること、こういったことを考慮いたしまして、災害状況を見ながら関係市町関係者と十分協議した上で、被災者の救済のため、有効かつ適切に使わせていただく方針であるというふうに承っております。  具体には、一人一人の人的な属性に応じまして、その人が災害で死亡されたかどうか、あるいはけがを負いまして入院をされたかどうかと。いったようなことも基準としておりますし、あるいは住宅につきましては、住宅が焼かれたかどうか、そういった状況、それから土石流で流されたかどうか、その壊れた状況等々、いろいろ勘案をして配分の基準を決めて進めておられるわけでございます。
  46. 東家嘉幸

    東家国務大臣 発言を求めさせていただきまして、大変地元のことはよく熟知しておられるお二方の先生からあらゆる角度から今御質問いただいたわけでございますが、私も現地に参りまして、仮設住宅でどんなに苦労しておられるかということを涙の出る思いで激励をし、なおまた、今後の復旧、復興対策に大変期待をしておられることを承知いたしております。私も海の向こうの住民でございますから、今でもあの活動で火砕流を見るにつけ、夜ともなりますと赤い火が見えるわけです、どんなに苦労しておられるだろうといつも思いをいたしております。  そういう意味から、大変、食事の供与の問題でも不安を持っておられるかと承知いたしております。総理も善処するということを約束しているわけですから、今お尋ねのような、それは自分で自立していこうと思ってもできない人もいるわけですから、十分そこらあたりを県と協議しながら、そして早くそういう、個々に当たっておられるそうでございますから、ひとつ早急に求めていただく意見が私どもに届くようにお願いしたいと思っておりますし、なおまた、特にお願い申し上げますことは、やはり住民の声をよく聞きなさいという声が私どもへも届いてまいります。どうか長崎選出の先生方、我々にこうしたらいい、ああしたらいいということで、これはもう超党派で一堂に集まって、そして私もいつ何ときでも参りますから、どういう方法が一番ふさわしいのか、そういうことの場を与えていただきますならば私も非常にありがたいとかねがね思っておりますから、お二方きょう御質問いただきましたので、あえて私の方からもお願いを申し上げておきます。ありがとうございました。
  47. 田口健二

    田口委員 どうもありがとうございました。
  48. 清水勇

    清水委員長 これにて午前中の質疑は終わりました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  49. 清水勇

    清水委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田祝稔君。
  50. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 最初に、質問をさせていただきます前に、雲仙・普賢岳の噴火災害で被災に遭われた方、また長期間の避難をされていらっしゃる皆様に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  考えてみましたら、噴火から火砕流が起きてもう九カ月になろうといたしておりますので、本当に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  まず私は、最初に大臣の所信について、細かい点等も含めまして若干お伺いをいたしたいと思います。  先日、大臣からお伺いをいたしました所信の中で、ページを振りますと一ページ目になりますけれども、「政府といたしましては、防災に関する科学技術研究の推進、災害予防の強化、国土保全の推進、迅速かつ適切な災害応急対策及び災害復旧の実施等に重点を置いて災害対策の推進に努めてまいる所存であります。」と、こういうことを国政の基本であるからということでお述べになっていただいておりますが、このことについてちょっと簡単に、四年度の事業ということもございますので、お話をいただきたいと思います。
  51. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 お許しをいただきまして、御報告申し上げます。  来年度の災害対策といたしまして、予算に関連して御説明を申し上げました。四つほどの大きな柱に分けて申し上げさせていただいたわけでございます。  まず一つは、科学技術の研究の推進に関するものでございます。  科学技術庁におきましては、首都圏南部におきます地震活動に関する研究、それから関東・東海地域における地殻活動に関する研究、地震発生機構に関する研究、首都圏直下型地震予知のための広域深部観測施設の整備、文部省では地震予知のための基礎的研究、通商産業省では地震発生の場とメカニズムに関する研究、海上保安庁では海底地形・地質構造の測量等、気象庁では地震予知に関する研究、建設省では測地的方法による地殻変動調査などがございます。  続きまして、災害予防の強化に関するものといたしまして、科学技術庁では原子力施設等の防災対策のための施設等の整備、国土庁では災害対策の総合的推進のための調整費、中央防災無線網の整備、地域一体型街づくり推進事業、大規模地震対策等の推進、豪雪地帯対策の推進などがございます。文部省では公立学校建物の改築、補強の整備、厚生省では国立病院等における消防用通路等の施設整備、農林水産省では活動火山周辺地域農林水産業防災施設の整備、通商産業省では石炭鉱山保安確保施設整備の促進、原子力施設の防災対策のための設備等の整備、運輸省では空港における消防体制の整備、海上保安庁では巡視船艇等の整備、気象庁では気象観測施設の整備、地震観測施設の整備、労働省では労働災害防止のための教育、建設省では道路の防災対策避難地及び避難路の整備、住宅地区改良事業道路の雪害防止等消防庁では消防防災無線、大震火災対策施設、消防施設の整備などがございます。  次に、国土保全の推進に関するものとして、農林水産省では治山事業、海岸保全事業農地防災事業建設省では河川事業、ダム事業砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業、海岸保全事業等がございます。  最後に、災害復旧等に関するものとして、大蔵省では地震再保険、文部省では国公立学校施設災害復旧、厚生省では災害救助費、災害援護資金の原資の貸し付け、農林水産省では治山施設農林水産業施設、国有林林道の災害復旧事業、農林漁業災害補償及び保険、運輸省では港湾等の災害復旧事業建設省では河川等の災害復旧事業などでございます。  各省庁にわたりまして、大変多岐にわたっておるわけでございます。
  52. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今細かくお話をいただきましたが、続きまして、この所信の中で、四ページになると思いますけれども長崎県が主体となって防災地域づくり、また、地域の振興と活性化に取り組んでいくことが大事である、そして、同県を指導し、調査検討を進めていく、こういうふうなお話がございました。  これは後段でちょっと説明していただきますけれども、振興計画の一部の砂防ダム、治山ダムという計画も発表されておるようでございますが、指導し、調査検討を進めていく、ここのところは現在どういうふうになっておりますでしょうか。
  53. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 被災地域の復旧、復興につきましては、今後の火山活動の鎮静化に備えまして、長崎県が主体となり、国や地元市町村と十分連携しながら将来の防災地域づくり、地域の振興と活性化に取り組んでいくことが重要だと考えております。  政府におきましては、既に県を指導して、必要な措置については調査検討を進めておるわけでございます。この一環といたしまして、昨年十月からでございますが、国土庁において将来の被災地域復興の基礎となる安全な都市づくりについて調査検討を行うため、火山災害に対応した防災地域づくりに関する調査開始しております。本調査では、国土庁が全体の取りまとめを行うほか、各分野において防災行政を担当する建設省、農林水産省、運輸省及び自治省が共同調査主体となっており、長崎県にも参画をしていただいております。  まず、手順といたしまして長崎県が基本的な計画の案を作成いたしまして、これを基礎として具体的な調査検討を進めていくという段取りになってございますが、現在まで二回の検討委員会を開催をいたしております用地元地方公共団体の基本考え方、現在の状況等について意見交換、過去の復興事例等について勉強等を行ってまいっております。  これと並行いたしまして、当該地域復興計画の基礎資料となります災害予測図等の作成につきましても、外部に委託の調査をお願いをしているような状況にございます。
  54. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  続きまして、火山対策についても言及をされておりますが、火山対策について、活動火山対策特別措置法に基づき各種の対策を推進していく、こういうことが書かれてございます。一緒にお答えをいただきたいのですが、その次に、防災情報ライブラリーとか防災マップの整備、こういうことも積極的に進めていきたい、こういうことも所信の中で述べられておりますが、二点につきまして一緒にお答えをいただきたいと思います。
  55. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 まず最初の火山対策の件でございます。  我が国の火山災害対策は、火山災害による被害を未然に防止し、また軽減することを目的として、関係機関の連携のもとに噴火予知等に向けての観測研究体制の整備強化を図ることが一つ。二つ目に、活動火山対策特別措置法に基づく諸対策の実施を図ることなどを柱として現在推進をいたしてございます。先生かねて御承知のとおり、活動火山対策特別措置法におきましては、火山の爆発により著しい被害を受け、または受けるおそれがあると認められる地域等につきまして、避難道路避難港等の避難施設、空調設備等の降灰防除施設、ビニールハウス等の防災営農施設等の整備、道路等における降灰除去事業の実施等特別の措置を講ずることといたしております。現在、桜島、阿蘇、有珠、伊豆大島、十勝、雲仙の六の火山につきまして各種対策を推進をいたしておるところでございます。また、同法に基づきまして全国の活動的な火山について、各省庁所管に応じまして、観測研究体制、警戒避難体制の整備、治山事業砂防事業の推進等に努めておるところでございます。  次に、お尋ねのございました防災情報ライブラリーの件でございます。  国、地方公共団体を初めといたしまして、防災関係機関は防災業務を遂行するに当たりまして各種の防災情報を的確に把握し、効果的に活用することが必要でございます。しかしながら、これらの情報は、その対象とする範囲が大変広うございます。またその多くが、それぞれのセクションにおきます特定の行政課題に応じて作成されまして、各機関ごとに個別に収集、管理がなされておりまして、必ずしも体系的な整理がされていをいというのが現状でございます。そこで、防災情報ライブラリーはこのような状況を踏まえまして、国土庁防災局など防災行政関連機関の平常時におきます各種の防災行政の企画立案、日常の防災業務の遂行を支援するために、各所に分散しております防災関連情報について、その所在源等を中心に収集、蓄積、迅速にこれを提供するようにというところに目的を置いておるわけでございます。そこで、現在はまず所在源情報あるいはまた人材情報などを蓄積しつつございまして、既に利用が始められております。今後さらに防災関連情報の収集を進めまして機能の拡充を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。本事業は六十三年から本格事業化したものでございます。  次に、防災マップの整備の推進の件でございます。  防災マップと申しますのは、風水害、地震等の災害の履歴、危険箇所、避難地、避難路など地域災害に関する正しい情報を集約をいたしまして、視覚的に目で見てわかりやすいマップをつくるものでございます。この防災マップを地域住民の防災知識の普及、防災意識の高揚、発災時の適切な行動に役立てていただければ幸いであると認識をいたしております。このため国土庁におきましては、六十三年度から毎年度一から二の市町村をモデル地域として選定をいたしまして防災マップのモデルを作成をいたしております。平成三年度には鹿児島市、桜島町を対象といたしまして台風災害及び火山災害に重点を置いた防災マップの作成を進めております。平成四年度以降においても引き続き防災マップのモデルを作成する予定でございます。国土庁といたしましては、これらのモデルを充実させるとともに、各地方公共団体に おきましてこの防災マップの整備、普及を図っていただければというふうに考えております。例えば六十三年度静岡市、そしてまた平成元年度草加市、それぞれ地震、津波の関係で、そしてまた地震、水害の関係でマップをつくってございますが、増刷をいたしまして、これらは各戸に配付をされているというような状況、実績がございます。
  56. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 続きまして、雲仙・普賢岳の一番新しい情報ということでお話をいただきたいのですが、特に、消防庁の方、来ていただいていると思いますが、きょう現在の避難世帯数と、それから人員についてちょっと教えてください。
  57. 古内晋

    古内説明員 警戒区域の設定及び避難勧告に伴います避難対象世帯数でございますが、二月二十五日現在で島原市で千三百四十五世帯深江町で六百四世帯でございまして、合計いたしまして千九百四十九世帯でございます。  人員で申し上げますと、島原市で五千百六十七名、深江町で二千四百四十九名でございまして、合計いたしまして七千六百十六名というような状況になっております。
  58. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私がいただいている資料で二月十二日現在の数字と同じですが、これはその後変わってないということですね。二月十二日から前後はないということですね。はい、わかりました。今お話しのとおり約八千名の方がまだ避難をされているという現状でございます。そのことにつきまして私は食事供与事業と仮設住宅についてお話を伺いたいと思います。  二月四日の衆議院の予算委員会の席上で我が党の書記長がこの二点について御質問をしまして、まず食事供与事業につきましては東家大臣からこういうふうな答弁をいただいております。前後の話のやりとりがありまして、「これから、すべて打ち切るというようなことではなくて、自助努力によって再生できる人たちについてはやはりその自助努力をしていただく。しかし、それに対して、やはりどうしてもという問題については今後対処していくことでございます。」と。そしてさらに総理大臣は、こういう場合には、自分がベストを尽くしてもなかなか尽くし切れないということもある、そういう場合にはもとより地元の公共団体である県等の意見をよく聞きながら、どうしてもしなければならないことは前向きに対処いたさなければならない、そういうふうに考えます、こういうふうな御答弁があったわけでございます。十月四日から食事供与事業、私はこれは国土庁の大英断でやっていただいたと思いますが、実は四月三日までである。目前に、もう一月ちょっとのところまで来ております。実際には、予算措置等もしなくてはならないということを考えますと、ある程度のところで決断をしていただかなくてはならない。まだまだ山もおさまりそうもありませんし、これらのことを含めまして、今後この食事供与事業、どういうふうにされるのか。特に大臣は、これは新聞でありますけれども、二月二十二日付の西日本新聞の記事として、東家大臣は、「食事供与事業が四月三日で期限切れになることについて「現在の受給世帯の就労状況などを再調査したうえで延長を検討している」」こういうふうに閣議で述べられた。そして同じく、二十二日付の毎日新聞では「公平さを欠くことのないよう配慮しつつ延長の方向検討している」、こういうことを、これは新聞記事でございます。前段に述べたのは予算委員会での答弁でございますが、これらのことを含めまして私は、食事供与事業、いろいろあると思います、まじめに働いている方とそうでない方、全部が全部とは申しませんけれども、ややそういう方も見られる、そういう不公平、逆の意味での不公平が出てきているんじゃないかということも聞いておりますけれども、運営の方法はまた今後厳密にやっていただくところがあると思いますが、制度自体をなくしてしまうと、これはもう運営も何もないわけでして、運用の方向等はまた今後考えていただくとして、この制度がともかくあと一月ちょっとで制度自体がなくなってしまう、このことについて非常に危惧されている方もたくさんいらっしゃいますし、ぜひとも延長の方向で私はお考えいただきたい、決断をしていただきたいというふうに考えますけれども、御答弁をお願いします。
  59. 東家嘉幸

    東家国務大臣 ただいまの御質問のことについては、確かに私そのように申し上げました。特に私ども心配いたしておりますのは、狭いあの仮設住宅の中におられる方々の中で今おっしゃられたようなこと等でぎくしゃくするようなことを私たちはさしてはいけないし、今申し上げますような、やはりだれが見ても公平だな、公正にやっておられるんだなということをまた理解できるようなことで取り組んでいかねばならない。そのことで知事さんとも、早くとにかくそうした個別的な実態調査をやるということでございますから、もう期限がございませんよということで私の方からも強くお願いをしているところでございますので、三月の中旬ごろまでには御提出願えるのかなというふうに私たちは解釈をしているわけでございます。  そういうことと、総理の現地に対する視察につきましても、やはり復興、復旧計画というものが、今県と協議し、一応ガイドラインについては先般現地での説明会が建設省の方で行われております。このことをさらに詰めていく問題等もあるわけでございますから、総理の方からも私の方には再三、どうなっているんですか、私が行ける時期はいつでしょうかというようなことを求められておりますので、私は、新聞にも出ておりますように三月中旬以降にはどうしてもできるだけ早くその実現を果たしたいというようなことも申し上げております。そういうことですから、総理の御心配、またそれぞれの地元の要望を踏まえて、早急に食事供与のことも、先ほども申し上げましたように、頑張っても、自立せると言っても、そういう心理的な状況等も勘案するならば、できない状況の方もおられるわけですから、そういうことを十分ひとつ踏まえて早く出していただきたい。  そしてまた、復旧、復興計画等についても、ひとつ各関係の省庁の皆さん方とも一体的な復興、復旧計画がとれるように環境整備をしているところでございます。なおまた、私どもも、財政当局にお願いするときは、特に食事供与についてもやはり理解をちゃんとしていただくだけのことの説明がつけるようにしていただきたいということもつけ加えて申し上げておきます。  話が前後いたしましたけれども、そのように考えております。
  60. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今大臣から答弁をいただきましたが、県の調査が二十四日から行われているというふうにお聞きをしておりますので、その調査等も踏まえて、そういう要求が多いと私は思いますので、そういう要求が出ましたら、ぜひとも住民方々の意向に沿って食事供与事業の延長ということを決断をお願いしたいと思います。  続きまして、仮設住宅についてお伺いをしたいと思います。これも我が党の書記長が二月四日に予算委員会で厚生大臣に、災害救助法の関係で御質問をいたしましたので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。  私たちは当初から、この仮設住宅の建設、また、建設単価を非常に上げていただいているとか夏にクーラーを特別つけていただいたとか、いろいろな意味で特別の配慮をしていただいていることは承知をしております。その上でなおかつ、これだけの長期にわたったということで、いろいろ私たちが予想していなかった問題も出ているというふうに私は考えます。そういう観点に立って我が党の書記長も質問をしたと思いますが、そのときに厚生大臣は、大要こういうことを答弁されております。これは勘違いされたと思いますけれども、特別基準というものを設定するというふうに最初にお答えになって、それでその後で、さらにゆとりのあるような間取りにできるように弾力的に運営をしていく、こういうふうな答弁をされております。ですから私たちは、この委員会等を通して、通常の基準よりも広くとっているとかいろ いろな意味で特別基準をやっていただいていることは知っておりますけれども、それをやった上でさらにというふうな御答弁だったと私は受けとめました。議事録を細かく見たわけではありませんけれども、そういうふうな感じを持ちまして、実は地元方々も非常に喜んでいるとかそういうことも聞いております。  そういうことを踏まえまして、この仮設住宅、現状ではなかなか、いつ山が静まるかもわからないそういう状態の中で皆さんお住まいになっていらっしゃいますので、この点について今後、大臣の言われるような趣旨でどういうことができるのか、これをお答えをいただきたいと思います。
  61. 松本省藏

    ○松本説明員 御説明を申し上げます。  応急仮設住宅、現在一千四百五十五戸建設済みでございます。その構造は、二世帯で一棟ということになっているわけでございますが、まず間仕切りにつきまして、プライバシー保護の観点でどうかという御指摘がございます。防音効果がある材料を使用いたしまして、恒久的な長屋の壁の基準以上の構造を設けているつもりでございまして、そういう観点で、できる限りの配慮をさせていただいているということでございます。  また、応急仮設住宅を設置する際に、避難が、今回のケースに際しまして長期化するという可能性も考慮いたしまして、通常の場合の仮設住宅の面積を拡大して特別基準を設定いたしたわけでございます。約三十平米ということで、間取りで申しますと六畳二間に台所、ふろ、トイレ、こういうことでございまして、厚生大臣が先般の予算委員会で市川書記長に対してお答えをいたしましたものも、この特別基準の設定ということを念を入れてお答えになったものと理解いたしております。ただ、多人数世帯につきましては、六畳三間、台所、ふろ、トイレということで、さらにより広い間取りが活用できるように弾力的に運用しているということも御理解いただきたいと思います。  そして、今後の話ということになりますと、市川書記長の御質問の後、直ちに現地に応急仮設住宅一千四百五十五戸の使用状況について確認をいたしましたところ、二月七日の時点で一千四百五十五戸のうち五十三戸空き室が出たということでございます。これは公営住宅等へ転居された方が出たということでございまして、当面のところ、この空き室を利用いたしまして、病人のおられる世帯等特殊の事情がある場合には、その世帯を二つに分離いたしまして二戸分を使っていただく、あるいは先ほど申しましたようなより広い仮設住宅を使っていただく、こういうようなことを弾力的に工夫をしていくということを県とも相談しているところでございます。今後警戒区域等の解除によりまして空き室が大量に出てくるということも予想されるわけでございますが、そうなりました場合には、多人数世帯等、優先度の高い世帯から一棟一世帯というような方向で改善をするということについてもさらに検討をしてまいりたいと思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、避難生活の長期化に伴う住環境の改善につきましては、現地の状況をも県を通じてよく把握をいたしまして、県ともまた協議もいたしまして対処をしてまいりたいと考えているところでございます。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
  62. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 この二点、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  続きまして、二月二十二日に島原市で、復興計画の一環と私思いますけれども、「水無川水系に係る砂防・治山計画及び、農地復旧方針」というものが地元説明会が行われた、こういうふうに聞いております。この計画の概要につきまして、関係するところ、建設省と農林省かと思いますが、簡単に御説明をいただきたいと思います。このダムの個数とかそういうものについて、ちょっと教えてください。
  63. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答えを申し上げます。  水無川流域には、現在数千万立方メートルの火砕流堆積物が堆積しております。今後この莫大な土砂が降雨時に土石流となって流下し、下流に大きな被害を及ぼす危険性が懸念されるわけでございます。長崎県が二月二十二日に発表いたしました砂防計画は、地域住民の今後の生活設計の指針として、発生が予想されます土石流災害から住民の生命財産等の安全を確保するための基本的な構想を示したものと受けとめております。その内容は、上流から流出いたします土石流を捕捉するための砂防ダム、大規模な土石流等発生した場合に土砂のはんらんを防止するための導流堤設置することといたしております。  この基本構想に基づく砂防施設は、火山活動が鎮静化し次第、関係機関と協議の上現地調査に入りまして、設置場所、基数等について考えてまいりたいと思っております。
  64. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 ダムの個数とかそういうものはわからないのですか。
  65. 高橋哲雄

    高橋説明員 まだ、基本構想でございますので、現在の段階では砂防ダムが何基と申し上げかねるわけでございます。
  66. 工藤裕士

    ○工藤説明員 治山ダムの関係についてお答えいたします。  雲仙岳の噴火によります林地荒廃被害額、現在のところ約三百八十五億円となっているところでございます。このため、治山対策につきましては、昨年三月に学識経験者等によります雲仙岳・眉山地域治山対策検討委員会設置いたしまして、この検討委員会検討結果等を踏まえまして、土石流等による災害を未然に防止しますために、災害関連緊急治山事業によりまして、中尾川とか湯江川等におきまして治山ダム二十一基の工事に着手いたしますとともに、この眉山地区におきましては、傾斜計等の観測施設設置いたしまして観測体制を整備しているところでございます。  また、私どもといたしましては、今後におきましても、この島原地区を治山激甚災害対策特別緊急事業の実施地区といたしまして、集中的に治山事業を実施いたしますとともに、平成四年度から新たに創設することとしております火山地域防災機能強化総合治山事業の実施を検討する等、万全な治山対策を講じてまいる考えでございます。  なお、水無川流域でございますけれども、この流域につきましては、現在火砕流等の危険から工事に着手できず、また地形が激変しているというようなことから、噴火活動終息後、詳細な計画を策定いたしまして、治山ダムの設置等を行っていく考えでございます。  先生お尋ねの、長崎県が今回発表しました水無川流域の治山計画でございますけれども、発表によりますと、治山ダム八十三基、こういうように県の発表では聞いておるわけでございますけれども、これはヘリコプターによります調査とか空中写真の判読とか地形図を利用いたしまして作成したものでございまして、先ほど申し上げました雲仙岳・眉山地域治山対策検討委員会検討結果等を踏まえまして、現在までの噴火活動に伴います被害状況に基づきました現段階における治山計画、こういうように聞いているところでございます。
  67. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今回発表されましたこの計画は、島原全体の復興計画における位置づけはある意味でいえばどうなっているんだろうか、こういうことを私は考えますが、この計画の位置づけについてちょっとお願いしたいと思います。
  68. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 今次の雲仙岳噴火災害に対しましては、今後長崎県が主体となりまして、この地域全体の防災復興活性化を図ることが極めて重要な課題になってくると考えております。私どもといたしましては、そのために必要となる長崎県の計画づくりのために指導を行っているところでございます。  今般二月二十二日に発表されました雲仙・普賢岳火山砂防計画は、現在県において検討中の復興に係る計画の起点となるものでありますから、この地域の防災振興活性化に欠かすことのできない基本的な計画だというふうに理解をいたしてございます。
  69. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 今、欠かすことのできない計画だというふうにお話しになりました。この計画は非常に大きな計画であると思いますけれども、この中で、この計画説明を聞いて、やはり非常に不安を覚えている住民の方ももちろんございます。必要だと思うけれども、いざ自分の家のこと等を考えると不安だ。こういうことで、地域住民理解協力がどうしても必要であると私は思います。     〔田口委員長代理退席、委員長着席〕  その意味で、いろいろと不安がありますけれども、まず大きなものとして買い上げていただくとした場合に、その価格がどうなるだろうか、新聞を読んでおりますと、そういう御意見を持っていらっしゃる方もいますし、また、高田知事もその説明会のときに、被災農地の買い上げについては被災前の価格に近づくよう努力をする、こういうふうなこともお述べになったと新聞で私は見ました。その意味で、いろいろな不安がございますけれども、特にこの農地等買収、買い上げの価格についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
  70. 澤井英一

    ○澤井説明員 公共事業のために土地を買い上げる場合には、基本的に財産権に対する補償ということでございますので、買い上げる契約を締結するときのいわゆる正常な取引価格ということになるわけでございます。このような被災地の場合には、この正常な取引価格を算定するに当たりまして、従前の土地利用状況ですとかあるいは今後の復旧の見通しですとか、そういうことがいわゆる価格形成要因ということで入ってまいりますので、そういったことを総合的に勘案して価格を決定するということになろうかと思います。
  71. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 できるだけ皆さんが納得できるような形でこの計画は進めていただきたいと思います。  それで、続きまして、現地の農業をやっていらっしゃる方の問題として、たばこ栽培に従事されている方がいらっしゃると思います。平成三年度は災害に途中で遭われたということで価格を大分補償していただいた、七割ぐらい、まあ八割ぐらいまでですか、全損の場合はたしか七割ですか、補償していただいたと聞いておりますけれども、平成四年度については、これは契約はどうなるだろうか。なかなか現時点で見たときには、実際たばこ栽培ができるかどうかという現状だと思いますけれども、特に、平成三年度はもう結構ですから、平成四年度以降について、契約も含めて現在の状況をちょっとお話をいただきたいと思います。
  72. 比護正史

    ○比護説明員 三年度につきましては、今先生おっしゃったとおり、損害の七割ぐらいまで災害援助金という形でお払いしたわけでございます。実は、四年度、本年につきましては、これは毎年たばこの耕作につきましては、一月から二月ぐらいに耕作者と日本たばこ産業株式会社で契約を行うことになっておるわけでございます。本年につきましても、耕作の継続を希望する農家に対しましては契約を行ったということでございます。これは、島原地域におきまして三百六十六名、四百七十二ヘクタールの部分が契約されておる、こういうふうに聞いております。  それから、今後災害が起きたときにどうなるか、こういう御質問であろうかと思いますが、三年度、これは災害援助金と申しますのは、本来たばこ耕作者と日本たばこ産業株式会社で契約をしているわけでございますが、その契約の中で会社が災害援助金を葉たばこ代金の五〇%を上限として支払う、これが原則になっておるわけでございまして、それは、昨年の大変な災害というわけで、これを上限を七〇%までかさ上げしたわけでございます。これは三年度限りの措置としてしたわけでございます。したがいまして、今年度とうなるかということは、今の段階では申し上げることはできないわけでございますけれども、仮に去年と同じような大変な災害が起きた、こういうことでございますれば、もちろん実態を踏まえてまた検討する、こういうことになるというふうに考えております。  以上でございます。
  73. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 できれば特別な配慮をまたお願いをしたいと思います。  最後に長官にお伺いをしたいと思いますが、宮澤総理大臣も就任以来もう三月、もうすぐ四カ月になると思いますけれども、まだ一度も行っておられませんね。そんな意味で、ぜひとも大臣の方から、一日も早く現地に行ってくれと、まあいろいろな意味でなかなか難しい面も聞いておりますけれども、やはり一日も早くその目で見ていただきたいというように私は思いますけれども、大臣から強く首相に進言を、一日も早くということをしていただけるのかどうか、そういうお気持ちがあるかどうかだけ最後にお伺いします。
  74. 東家嘉幸

    東家国務大臣 総理の方からは、早く現地に伺いたいということは、再三私どもの方にはそういう旨の連絡がございます。本人みずからも聞いたこともございます。  ただ、見舞いだけということに相なりますれば、やはり現地の要望等もありますから、その前には、総理が行くということになれば、先ほども申し上げましたように、食事供与の問題、それから今後の復旧、復興の問題、それから移転をどうするかというような問題等で、我々ができるだけ県当局の皆さん方と協議しながらその場を早くつくりたいということで、実は高田知事さんともその旨を話をしているところでございます。まあ大分そこらあたりは詰まってきているようでございますから、早急にひとつその実現を見たいというふうに思っております。  また、先ほど、復旧、復興計画については建設省からということを言ってしまったようでございますが、実は、よく協議しながら県の方で説明会をいたしたということでございますので、訂正をいたしておきます。  以上でございます。
  75. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 一日も早く総理大臣が行かれる状態になる、このことを希望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  76. 清水勇

    清水委員長 これにて石田祝稔君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  77. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私はまず最初に、危険物の災害対策の問題についてお伺いをいたします。  消防庁に、危険物施設における最近の事故発生件数と被害状況の御報告をいただきました。私から御紹介をいたしますが、危険物施設における事故の発生件数と被害状況、一九八八年、八九年、九〇年、この三カ年を合わせまして、火災発生件数は四百三十九件、死者は十六人、負傷者は百九十七人、そして、危険物が漏れた事故、その発生件数は実に六百八十件に上っております。決しておろそかにできない数だというふうに考えるわけであります。  実は、昨年十二月二十二日、大阪府の泉佐野市の、食用油をつくる不二製油におきまして、危険物質であるノルマルヘキサンを使う抽出機が爆発事故を起こしました。長崎県出身の十九歳の青年を初め八人の犠牲者を出すという大変痛ましい事故でございました。一消防庁にまずお伺いをいたしますが、十二月二十二日十四時三十分のこの事故に至った経緯を御説明ください。
  78. 猪野積

    ○猪野説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘ございましたように、危険物災害があるわけでございますけれども、特にこの十二月の二十二日に起きました不二製油の阪南工場の爆発火災事故は、八名のとうとい命を失うという大変痛ましい事故でございまして、私どもといたしましても大変残念に思っておりまして、その再発防止に全力を挙げているところでございます。  簡単に申し上げますと、二十二日の前日にこの抽出機が停止をいたしまして、したがいまして、その翌日からその点検のために十名の者が入って点検中に突然爆発が起こったということでございます。  原因等については現在まだ調査中でございますけれども、現地の状況等からいたしまして、その抽出機の中に残存していたノルマルヘキサンに何らかの火元が着火して爆発に至ったのではないかというふうに推測されるわけでございます。  以上でございます。
  79. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 今御説明にありましたように、回転が停止をした、そして、安全ピンを取りかえても同じ状態であるために、翌日の朝八時から抽出機本体の点検に取りかかって、自然冷却、そして、マンホールというのはその抽出機の周りについている恵みたいなものですが、マンホールの開放をして、十三時五十分にその抽出機の中に二人の作業員が入ったところ、それから約四十五分後に爆発したわけであります。  私は、実はその翌日早速にその現地へ参りました。警察の方がマスクをつけまして、それから静電気を予防する特殊な服装をされて抽出機の中に入って爆死されたお二人の方を運び出す作業をしていらっしゃったわけです。私たちは現場のそばに寄れないで百メートル近く離されたところでマスコミ関係の方と立っていたわけですが、フブッシュをたくなということを何度も言われまして、なかなかの警戒でありました。危険物の災害というもの、この取り扱いというものは大変だなというふうに私は改めて痛感をしたわけであります。  私は不二製油の抽出機の定期点検を行うマニュアルの概要というのを見てみましたけれども、定期点検の内容として、溶剤パージ、つまりヘキサンを取り除く作業というのは四日間かけて行い、そして装置内より完全にそのヘキサンを除去する、そして社内検査をしてから消防署にまた立ち会いの検査を受けて次の作業にかかるんだ、こういうことになっているわけです。そういうことを考えますと、マンホールを開放して作業員をその抽出機の中に送り込むというのは、抽出機が回転停止してから、時間で見たらわずか十六時間以内のことですから、これで果たして抽出機の中のへキサンという危険物質を除去することができたのかというふうに思うわけです。  そこで、私は、危険物の規制に関する政令二十四条の十号というのを見てみましたら、ここには、危険物が残存し、または残存しているおそれがある設備などを修理する場合には、危険物を完全に除去した後に行うこと、こういうことが厳しく書かれておりますが、果たしてそういう原則に抵触しないのかどうか、お答えをいただきたいわけです。
  80. 猪野積

    ○猪野説明員 お答えいたします。  不二製油の事故の原因等につきましては現在調査中でございまして、まだ結論を申し上げる段階ではないのでございますけれども、危険物が残存している状況で修理のために点検を行ったのであれば、危険物政令二十四条一項第十号に抵触する可能性が高いと考えられます。
  81. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 同じくこの政令の中の十三号に、こういう可燃性のものが浮遊するおそれのある場所では、火花を発する機械器具、工具、履物等を使用しないことというふうに書かれているわけであります。そういうことが果たして守られていなかったのではないかと私は現場を見て思うわけです。ヘキサンが充満している抽出機というのは、ふたをあけますとそこから早速ヘキサンが出てまいりまして、空気に触れることによってそこに点火源があれば事故が出てくる、火が爆発したりするわけですから、そういうふうな点での体制というのがあれであったのかなというふうに思わざるを得ないわけでありますが、この二十四条の十三号ですね、そこのところとのかかわりはどうですか。
  82. 猪野積

    ○猪野説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、危険物政令の第二十四条の一項第十三号に、可燃性の液体とか蒸気などが滞留するおそれのある場所におきましては、火花を発する機械器具とか工具とか履物等を使用しないことということに相なっておるわけでございます。本件の場合にこの十三号に違反していたかどうかということにつきましては、これは直接の火元に関連する事柄でございますので調査結果を待ちたいというふうに現段階では考えております。
  83. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、油脂関係企業の監督指導に直接当たっておられる農林水産省からも、このとき犠牲になられた皆さんの名簿というのをいただきました。亡くなられた方八名の内訳を見ますと、修理関係の作業会社、大新作業の方が三名、あとの五名の方は不二製油の製油課の方々ですね。このとき修理にかかわった方はそのほかに、十名ということですから、保全課長と製油課の一名、こういうふうに読んだらいいわけですか。
  84. 竹本洋一

    ○竹本説明員 ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
  85. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 保全課というのは工務部に所属をする、つまりこの工場の保安、保全、特に保安面で保全、保安に関係をする部署、そういうふうに見ていいですね。
  86. 竹本洋一

    ○竹本説明員 機械施設の維持、保全に関する業務を担当しております。
  87. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 抽出機の修理にかかわっていたのはわずか十人、そして工場長や生産部長さん、工務部長さんなど関係方々は、私が参りましたときに、日曜日でお休みの日だったからいらっしゃらなかったというふうに言っておられるわけです。しかし、保全課長は参加をしているわけですから、現場が上司に報告もせずに勝手にやったなどと言えるようなものではなしに、やはり会社の組織としての対応であったことは間違いのないことだというふうに思いますので、ここにも企業の責任が問われるべきだと考えます。  いずれにいたしましても、先ほど御紹介した不二製油の定期点検マニュアルの概要を見ますと、定期整備体制、つまり定期点検するときの整備体制として、生産現場係員及び課長ほか六人、保全課三人、保安課二人、その他工事者三十五人、この中には先ほどの大新作業などが入ってくると思いますが、これだけの人が、全部で十六日間にわたって、延べ五百十七名がかわって行うのがこの定期点検だそうであります。  そういうふうに見てみますと、余りにも少人数で体制のない、そういうやり方ではないか、緊急時だからこそもっと慎重に、かつ、万全の体制をとるべきではなかったかという点で、果たして不二製油は突発的な事故に対応する点検修理の手順を示すマニュアルは持っていたのかということが疑問になるわけでありますが、消防庁、それはどうなんでしょう。
  88. 猪野積

    ○猪野説明員 お答えいたします。  この事故の原因等について、なお泉佐野市消防本部で調査中でございますが、同社には定期点検時のマニュアルはございましたが、故障等の異常時の点検修理にかかる安全マニュアルは持っていなかったというふうに聞いております。
  89. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、こういうところに非常に大きな問題があるというふうに思わざるを得ないわけです。抽出機の故障はちょうど需要期の真っ最中ですね。年末の、しかも一番忙しいときに起こりました。土曜日の夜ですね。だから日曜日じゅうに修理を済ませ、月曜から運転をしたかったんだというようなことも言われています。非常に安易な、かつ労働者の安全を無視した企業の生産第一主義が招いた痛ましい惨事だというふうに言わざるを得ないわけであります。  かつてカネミ油症事件というのが起こりました。私は、こういうふうなやり方をとっていたら、ああいう問題もまた思い出さずにはいられないし、そういう点では食の安全という立場にかなりのウエートがあるとは思いますが、しかしここでもう一度、農林水産省はこういう問題についてどのように認識をしていらっしゃるのか。また、この際、油脂関係企業への指導を徹底すべきだと思いますが、どういうふうにされていらっしゃるのか、お伺いをしたいわけであります。
  90. 竹本洋一

    ○竹本説明員 私どもといたしましても、このたびの事故につきましてはまことに残念なことだと いうふうに思っている次第でございます。  農林水産省といたしましては、事故の重大性にかんがみまして、事故の翌々日に当たりますけれども、十二月二十四日に、業界団体でございます日本油脂協会に対しまして、会員各社に安全確保の徹底を図るよう指導いたしたところでございます。油脂協会といたしましては、これを受けまして翌日の十二月二十五日に全会員に対しまして安全管理の周知徹底を図ったところでございます。
  91. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 二度と再び、こういうふうな生産第一主義に走って、労働者の安全はもとより、それがひいては食の安全にもまたかかわりが出てくるというようなことのないように、厳重な対処を私は重ねて求めておきたいと思います。  ところで消防庁、二十四条の十号の原則を徹底するためにも、私は、故障で抽出機がとまっても溶剤ヘキサンを抽出機内で撤去できるような、そういう除去できるようなシステム、これが要るんじゃないかと。普通稼働しているときは、何というのですか、次のところでヘキサンを除去するという設備が働いているわけです。ところが、本体の抽出機がとまりますので、ここのヘキサンを除去する、そういうところへ送り込むことができないでとまってしまうわけです。このヘキサンを完全に除去して修理に入るというのは非常に難しいところもあろうかと思いますし、やはり安全という点では、本体の抽出機内でこういう故障が起こったときには除去できるシステムを開発する、こういうところまで踏み込んだ対策をひとつ考えていただきたいなと思いますが、この点、いかがでしょうか。  最後に、私は最初に御紹介いたしましたように、危険物が漏れる事故が三年間で六百八十件もある。火災発生件数が四百三十九件もある。こういうことを考えますと、やはりすべての危険物取扱企業に対して緊急時のマニュアルを整備させるとともに、定期点検あるいは月ごとの点検についてもこの際指導を徹底するべきだというふうに考えます。その点を求めておきたいわけであります。
  92. 猪野積

    ○猪野説明員 お答えいたします。  前段の抽出機内での危険物のたまった場合の除去ということにつきましては、今回のケースにおきましても抽出機内で例えば水蒸気を使ったり窒素を使うというふうな形で除去することは可能でございますし、そういう除去装置がインプットされていたというふうに聞いております。ただ、そういうものを換気する十分ないわゆるパージ手順がとられなかったということであろうかということでございます。そのあたりが問題なのではなかろうかと思っているところでございます。  消防庁といたしましては、そういう意味で、この事故の直接の原因はまだ調査中でございますが、危険物施設の点検時の安全対策が十分でなかったということで大きな被害発生したものと考えられますので、事故直後の昨年の十二月二十五日に、危険物施設を有する事業所におきまして、その保安基準や作業標準などが消防法令に定められた点検修理等に係る危険物の取扱基準や当該危険物施設実態に照らし適正なものとなっているかどうか、また、実際の点検修理がこれらの基準を遵守して行われているかどうか、こういったことを総点検して安全管理について万全を期するということを指導するように全国の消防機関等に通知いたしました。また、その後各種の会議などを通じまして再発防止を訴えてきたところでございます。今後とも、定期点検指針の内容の徹底を含めまして、この種の事故の再発を防止するよう強く指導してまいりたいと考えております。
  93. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 消防庁ありがとうございました。農林水産省の方もありがとうございました。これで終わりますから。  次に、雲仙・普賢岳の対策についてお伺いをいたします。  先ほどからも、九カ月にわたる普賢岳の噴火のために大変苦労していらっしゃる皆さんの問題について質問がございました。我々がテレビで見ておりましても、きょうはどうなったか、あしたはどうなるか、そういうまさに毎日が災害という状況の中で、政府の万全の対策が求められているというふうに思います。  避難したままの方もいらっしゃいますし、既に家に帰った人も、緊急時にはいつでも逃げなければいけない中で暮らしておられる方もいる。したがって、災害対策基本法では応急対策が中心の時期、つまり被災者の救難救助その他保護を含む応急対策に属する時点、この応急対策に属する時点に今日もなおおられるということなんです。だから、災害が長期化したからもうこの辺で自立自助だというような物の考え方は、私はやはり当たらないというふうに言わざるを得ないわけであります。したがって、食事供与事業住民避難を経済的に支えているわけでありますから、普賢岳の活動が活発化している中で、これを縮小したり廃止するようなことがあってはならない、こういうふうに考えるわけでありますが、大臣いかがでしょうか。
  94. 東家嘉幸

    東家国務大臣 食事供与のことにつきましては再三にわたって答弁しているわけでございますが、やはり自立していこうという方もおられるようでございますし、また自立しようにもなかなかいろいろな事情で、あの窮屈な中におって精神的にも肉体的にも大変御苦労なさっている方も、自立てき得ない状況におられる方もおられるわけです。いろいろとあの仮設の狭い地域の中に皆さん生活しておられますから、やはりそういう方々がいろいろなことで苦情がお互いに出ないような配慮をしてさしあげる必要がありはしないかとも思っております。四月三日で切れるわけですから、そうした、努力してもできない、気持ちがあってもできない皆さん方が非常にどうなるであろうという御心配のことはよくわかっておりますから、県知事さん初め関係者の県当局の皆さんにも早く、そういう事情をよく加味しながら、ひとつ実態調査を個々におやりになるそうでございますから出してほしい。そして私たちも財政当局にちゃんと説明のつくようなことでのお願いをしたいと思っておりますから、決して、涙もないようなことの措置なんてとても、私たち現場に行って見ましてもできるものじゃございません。私は対岸に住んでいるんですから、しょっちゅうあの噴火を見ているんですから、本当に御苦労なさっているだろうな、現地に行ってもそう思いましたし、今でも思い続けておりますから、そこはひとつ私たちの気持ちを十分理解いただきたいと思っております。
  95. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 涙のないような措置はできないんだ、対岸にいるからよくわかるんだ、私はそれを本当に額面どおり実行してほしいというふうに思うのです。大臣、ぎくしゃくするようなことがあってはならないとか、だれが見ても公平さを欠くようなことをしてはならないというこの言葉が実は縮小という政策につながる言葉だから、大変心配をするわけです。だから私は、そういうまるで小さなことじゃなし、やはりでんと構えて、これはやらなければならないんだということで、縮小したり、廃止はしないということはよくわかりましたが、縮小したりするというようなことじゃなしに、でんとひとつ、苦しんでいる皆さんに心配りのある対応を継続していただきたい、このことを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。  復興対策に関連して若干確認をしておきたいと思いますが、国土庁、例えば防災集団移転ですが、移転跡地は危険地帯として買い上げる、こういうふうになっているようですが、現地の要望を見ますと、特別の助成を強く要望をしているところであります。  そこでお伺いをいたしますが、移転跡地を周辺の価格と同様に実勢価格で買い上げました福島県の熱塩加納村の事例もあるというふうに聞いておりますけれども、これは事実でしょうか。
  96. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  私ども、地方団体あるいは国含めまして通常の 場合、土地を買うという場合には当然買い取りのときの適正な時価というのが、これは世の通例ではなかろうかと思うわけでございます。そういう意味で、現在の補助対象となっております、私どもが所管しております事業につきましては、今申し上げましたような考え方に立っておるわけでございます。  お尋ねの熱塩加納村、昭和五十三年から五十四年にかけて防災集団移転事業が行われたようでございますが、その計画の中には、跡地の買い上げにつきましては国庫補助対象といいますか、国庫補助事業としてはなされていないようでありますから、恐らく村の方の単独事業としておや刀になったんではないか、かように考えております。
  97. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 建設省にお伺いいたします。  長野の地附山の地すべり災害では、急傾斜地崩壊防止工事が行われました。そのふもとの宅地は道路災害復旧、都市災害復旧事業で行われ、さらに宅地開発公社が被災者の宅地色二十五戸分、総額六億九千七百万円で買い上げました。ほぼ時価で買い上げたと聞いておりますが、これも確認をしたいわけです。
  98. 小川祐示

    ○小川説明員 御説明申し上げたいと思います。  先生ただいま地附山の災害について、急傾斜地崩壊対策事業で実施したと言われておりますが、ちょっと誤解があると思いますので、再度説明させていただきたいと考えております。  御承知のように、地附山につきましては、昭和六十年の梅雨季の異常な豪雨によって発生しまして、約三百六十万立方メートルの土砂が流出したわけでございまして、亡くなられた方二十六名それから重軽傷者四名それから人家の全壊家屋五十戸という災害が生じたわけでございます。建設省としまして、再度災害防止のために、六十年、六十一年と災害開運緊急地すべり対策事業、それから昭和六十一年から平成元年までで地すべり激甚災害対策特別緊急事業、合計約百二十六億円をもって対策を講じておりまして、平成元年までには地すべりの動きをとめます主要な部分について完成しているところでございます。
  99. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私が確認をしたかったのは確認できたわけですが、要するに住民本位の対策というものが事実として、実際国がやったということを言っているのじゃないですよ、しかし、住民本位の解決というものがなされていたということをぜひ大臣にも知っていただきたいというふうに考えましてあえて御紹介をさせていただいたわけです。  そこで、先ほど来、普賢岳に防災ダム九十基をつくるんだと報道されております内容について御説明がございましたけれども、もう一度ここで概要御説明いただけますか。
  100. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  長崎県が二月の二十二日に発表いたしました砂防計画は、地域住民の今後の生活設計の指針として、発生が予想されます土石流災害から住民の生命財産等の安全を確保するための基本的な構想をお示ししたものと受けとめております。  そこで、その内容は、上流の方につきましては、流出する土砂量、土石流を捕捉するための砂防ダムと、大規模な土石流等発生した場合の土砂のはんらんを防止するための導流堤設置することといたしております。  以上でございます。
  101. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 移転対象になるのは、住宅三百戸、農地百ヘクタール、こういうことでよろしゅうございますね。全然違いますか。
  102. 高橋哲雄

    高橋説明員 お答え申し上げます。  本計画につきましては、航空写真測量に基づく地形図に概要を得たものでございまして、詳細につきましてはまだ把握していない状況でございます。
  103. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 大臣、問題はこれからですからあれですが、しかし、私最初に言いましたように、住民本位の対策の経験というものを積極的に学んで、そうして被災者をできるだけ救済していく、これがやはり行政の民主的な発展ということになるというふうに思うわけです。ぜひそういう工場で可能な限り被災者を救済するということを考えていただきたいわけです、この計画の中でも。それで、大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。
  104. 東家嘉幸

    東家国務大臣 お答えいたします。今、住民本位のというようなこともおっしゃられましたが、私も先ほどほかの先生方からの御質問の中でも、ちょうどその地元の国会議員さんもおられましたので、ひとつ住民の声を一番身近に知っておられる先生方の意見もぜひ一緒に聞かせてくださいというようなこともお願いしておったわけでございますが、おっしゃられるとおり、こうした災害で苦しんでおられる、そしてまた復旧、復興、そして自分たちの将来の再生を望んでおられる皆さんにはやはりそうした住民本位の基本理念を忘れてはいけないというふうに私は考えておりますから、今後、県当局と鋭意協議をしておりますし、その答えも大分出つつございますし、その時期を見てまだ御報告する機会があろうかと思いますのでお願いを申し上げます。
  105. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最後に気象庁と文部省にお伺いをしておきたいと思います。  観測体制の問題について、気象庁は九二年度に雲仙岳測候所に一名の増員、福岡管区気象台にも二名の増員を要求されているわけであります。これはもうごく当然のこととはいえ、私はこの増員をもちろん歓迎いたします。それで、現在の雲仙岳は定員六名に応援を加えまして十名の臨時体制で、夜間二人の体制もとっております。そこで、雲仙岳の活動も踏まえてこの臨時の体制については来年度もその水準をぜひ維持しなければならないと考えておりますが、これが一点です。  もう一つの問題は、全国的な観点でお伺いしておきたいのですが、昨年の補正予算では雲仙岳の観測体制が強化されました。ここはいわゆる普通観測火山と呼ばれるものでありますが、恒常的に三点の地震計が設置されることになりました。今後はそういうふうなことで、普通火山は一点だという今までのやり方ではなしに、やはり火山の活動に合わせて必要な地震計の増設、整備を考えていくべきだと思いますが、この点についてお答えいただきたいわけです。  それで、文部省にお答えをいただきたいわけですが、大変苦労していただいております九州大学を中心とした十大学の合同観測班の活動、これも今のこの山の状況から見まして来年度も今と同じような観測体制の維持、継続が求められていると思います。そういう点でどういうふうにお考えか、お答えをいただきたいわけです。
  106. 森俊雄

    ○森説明員 気象庁からお答えさせていただきます。  先生指摘のとおり、平成四年度の予算につきましては、雲仙岳測候所に一名、福岡管区気象台に二名増員するということで計画してございます。今後とも雲仙岳の火山活動の監視体制につきましては活動状況に応じまして適切に対処してまいりたいと存じます。  それから、二点目でございますけれども、全国の火山についてでございますが、雲仙岳では平成三年度補正予算により観測体制が強化されつつあるところでございます。他の火山につきましても、おのおのの火山の特性や火山活動に応じて適切に対処してまいりたいということでございます。
  107. 雨宮忠

    ○雨宮説明員 御指摘のように、九州大学の島原地震火山観測所を中心にいたしまして関係大学の研究者が参加して各種の観測調査を実施してきておるところでございます。火山活動も継続しておるわけでございますので、平成四年度におきましても、これらの観測研究が継続して実施されるように必要な措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  108. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ちょうど時間になりましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  109. 清水勇

    清水委員長 これにて藤田スミ君の質疑は終わりました。  次に、阿部昭吾君。
  110. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 お許しを願いたいのでありますが、実は、歯科診療所で今治療を受けましたら、まだ麻酔が若干残っておりまして、そうでなくとも田舎のなまりの非常に強い私でありますのでお聞き苦しいかと思いますが、お許しを願いたいと思います。  今までもいろいろな御論議があったと思うのでありますが、最初に、雲仙・普賢岳の現状なお続いておりますこの災害に対して、公共施設は公の責任において復旧する、これが一つの原則、それから一人一人の被害についてはそれはそれぞれの責任、この原則を、雲仙・普賢岳のこの果てしなく先が見えない現状に対してこの原則で対応されておると思うのでありますが、しかし、もうそろそろ現地は一つの決断というものが必要な状況に来ているのではないか。東家長官はお隣の熊本県の御出身、恐らく現地の状況は私などよりもはるかに身近に深刻に受けとめていらっしゃると思うわけであります。そういう面で、今までも御議論があったと思うのでありますけれども、やはり特別立法、この決断をしなければいけない。段階に来たのではないかというふうに私は思うのであります。それがやはり現代における政治の使命、責任というものではないか、こういうふうに私は思うのでありますが、そのことだけこの雲仙・普賢岳の問題について東家長官の所信をひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
  111. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先生が雲仙災害について大変な激励と関心をお持ちのことを私ども担当大臣としてありがたく思うわけでございます。  まあ今日まで、二十一分野九十項目の枠の中でやはり最大限の住民の皆さん方の要望にこたえる今日までの事業を推進してまいったわけでございます。これはただ国土庁だけで問題が解決でき得るものではございません。私は災害対策本部長としての責任がある立場でございます。各省庁にいろいろな角度から我々もお願いをし、そして一体となってこれからの住民の将来に向けての、今日のまた苦しみを乗り越えていくように努力してまいりたいという決意は持っておりますが、そうした法的な問題になりますと決して私だけがここでとかく申し上げる筋のものではございませんし、また、そういう意見があることもよく承知いたしております。しかし、そういう立場でございますので、今後は、今申し上げました二十一分野九十項目の中で最大の取り組みをさせていただきたいというふうに思っております。
  112. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 長官の心情は私よくわかります。しかし、担当の政府の責任者として、もう壁を破って先に進まなきゃならぬところに来ておるのではないかと私は思います。今言われました二十一分野九十項目というもの、その中では、なかなか先が見えておらない今のこの果てしなく続いておる災害に対して地域住民はそろそろ限界を超えてきておると思います。そういう意味で大臣は、ぜひこのあたりで大決断をして、政府を引っ張っていく決断というものもぜひこの機会に求めたいと私は思うのであります。  次に移ります。  私、よく首都圏の高速道路を走りながら思うのであります。もし関東大震災のような規模の地震が来たときに、この高速自動車道、これは大丈夫なんだろうかなというのがしょっちゅう私の脳裏を離れないのであります。東京大地震の防災対策ということではいろいろな角度からの準備、検討対策、これが練られておることを私も承知をしております。しかし、この数年の間の一極集中、東京のこの巨大な膨張というものは、都市づくりそのものが非常にバブルな体質を持っているのではないか。方々いろいろなときに、私はこの大東京の中で一体関東大震災程度の大地震が起こった場合にどのようなことになるのであろうかということを思うのでありますけれども、平成三年版の防災白書、相当微に入り細にわたった対策というものが検討されておること、これは私もよく感ずるのであります。しかし、この白書で指摘しておみようなことで巨大地震が発生した場合に果たして十二分の対応が可能なのであろうかという思いが私の気持ちの中からいつでもこれが離れないのであります。そういう意味で巨大地震が来た場合の東京を中心とするこの地域の防災対策に対して、十数年間相当いろいろな意味で対策は進めておられるようでありますけれども、私はまだまだ不安てしょうがない。  私が言うのは、首都東京がもし壊滅的な打撃を受けた場合は、ひとり日本の国の中だけにとどまらないのであります。今の東京は国際都市であります。国際的ないろいろな分野にわたっての多方面な打撃というものははかり知れない。そういう意味で私は今の、長官のところの皆さんにおいでいただいて御説明を伺うのでありますけれども、なかなか、頭のいい皆さんのお話としてはよくわかるのですよ。これだけ膨大な人間が、ここで血の通った人間が生きているわけでありまして、これで大丈夫なのだろうかという思いは私の気持ちから離れない。長官も恐らく首都東京を中心とする防災対策については相当の御検討をなさっておると思うのでありますけれども、ひとつ東家長官のお考えを冒頭お聞かせ願いたいと思います。
  113. 東家嘉幸

    東家国務大臣 お答えいたします。  人口、諸機能が集積した南関東地域において一たび大地震が発生したときには大変な被害が生ずるであろうというふうに常々思っておることは事実でございます。関東大震災のときと異なりますことは、膨大な油を積んだ自動車、ガソリンスタンド、ガス、いろいろな角度からその火災の発生時にはどういう対処をするかというようなことについては私なりに、勉強不足のところもございますけれども、この対応については今おっしゃられるとおり、万全を期すことはとても無理な状況にあろうというふうに私は考えております。  特にまた、首都機能移転等の問題のときもそのことがよく言われることでございます。そうした頭脳を持ったいろいろな各機関がここに集中するということは大変な事態を招くであろうということ等も踏まえて、今後の防災対策についてはここで説明をし尽くせないさらなる多くの問題がございますので、今後ともこの対策については鋭意充実する方向での先生方のまた協力を得ながら進めていきたいと私どもは思っております。
  114. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 昭和五十三年に大規模地震対策特別措置法がつくられました。昭和五十四年には東海地震に対する地震防災基本計画がつくられる。南関東地域については昭和四十六年、大都市震災対策推進要綱、これがつくられておるわけであります。昭和五十八年に当面の防災対策の推進についてというものを策定され、この間、ロサンゼルスの地震、これは近代建築物の地震の場合の被害状況というものを本当に鮮烈に見せつけておるわけであります。  建築基準法の施行令の改正も行われたということでありますが、今この数年間の、例えば非常に小さな面積のところに鉛筆のようなビルが建っておる、あるいはそうかと思うと、ビルの外壁にガラスや何かの壁をずっと張ったようなビルが林立しておる、あるいはタイルのようなものを外壁に張りつけたようなビルも方々に大変ふえてきた。私がいろいろお聞きしてみますと、役所の、例えば国土庁の建物あるいは政府官庁の建物は予算でやるわけでありますから、こういうバブル経済の中で建てられたビルとかマンションとかに比べると、専門的に見ても大体倍程度の耐震度その他もしっかりしたものがあるのであります。ところが、民間の、採算性、コストというものを何よりも優先していかなければならないというところになりますと、私は、建物も全部バブルになっておるなという感じてお話を聞くのであります。役所の方の御意向を聞くと、建築基準法その他からいって一定の基準はクリアしておるけれども、しかし震度七、八、このようなものがもしやってきたときどのようになるかということはとても保証されておらぬというお話も聞くのであります。  地震というのは広範な地域を一遍で打撃をする。したがって、都市の中に空間なりそういう避難できるような場所どもたくさんあればいいのでありますが、バブルで、しかも物すごい過密で あります。これをこの十年間くらいの間に地上げ屋やその他が物すごく動いて、ますます過密都市東京周辺というのはバブル都市というものをつくり上げてきたのではないかと思うのであります。そういう意味で私は、現状の防災対策というものでバブル都市東京、この首都周辺に巨大地震が来た場合に本当に大丈夫かというと、震度六くらいまでは大丈夫だ、七、八なんてことになったときはそれはとても大変だというようなお話も聞くわけでありまして、私は実は大変心配で心配てしょうがないのであります。ぜひこのあたりにつきまして、今長官がおっしゃる防災対策はさらにさらに万全を期したいというお気持ちはよくわかるのでありますけれども、現状に対しては正確な分析、判断というものを持っておらないといけないのではないかと思うわけでありまして、ぜひお聞かせを願いたいと思います。
  115. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 我が国は、関東大震災を初め過去多くの地震災害というものを経験をいたしてまいっております。そういうことで震災対策災害対策の中で、あらかじめなかなか予兆もなく突然訪れるというようなことも含めまして、大変緊急な課題であるというふうに考えておるわけでございます。政府の震災対策は、この地震対策となりますと大変多岐にわたっておるわけでございます。今日まで中央防災会議で、先生指摘のとおり、昭和四十六年五月、大都市震災対策推進要綱、五十八年五月、当面の防災対策の推進について等に基づきまして、関係省庁、関係地方公共団体を挙げて各般の対策を講じてまいっております。  一つ、二つ申し上げさせていただきますと、まず一つは都市の防災化を推進するということでございます。都市の不燃化、公共施設あるいは建築物の耐震性の向上、避難地、避難路の整備、情報通信の拠点機能、ライフラインの供給ルートの多元化等々でございます。そしてまた、次に発災後の広域的な応急対策活動体制の整備というものも重要でございます。このために昭和六十三年十二月、南関東地域震災応急対策活動要領というものを策定をいたしてございます。各機関ごとにこの要領に従ってそれぞれの責任範囲の仕事を実施をしてまいります。さらに、毎年総合防災訓練を実施いたしまして、まさかの対策の訓練をいたします。さらにまた、重要でありますけれども、観測、研究というものがございます。地震に関しましてはもちろん予知でございますが、その実用化のため各機関で努力をしてまいっておるわけでございます。  さて、地震の中でも、人口、機能が集中をいたしております南関東の地域、これは現在直下の地震の発生可能性指摘をされておるわけでございます。そこで、この地域の地震対策、一層の充実強化を図るために、当面する直下地震対策の推進に関しまして、現在南関東地域直下の地震対策に対する大綱、仮称でございますが、その大綱づくりを進めておるわけでございます。今後とも関係省庁とともども密接な連携を図りまして、震災対策の一層の推進を進めてまいりたいと考えております。震災対策には、先生仰せられますとおり、これで十分ということはないと思います。さらにさらに各機関こぞりまして努力をさせていただきたいというふうに考えております。
  116. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 例えばサンフランシスコの地震の場合に、高速道路のけたが落っこちて車も何も全部ぺしゃんこにやられて随分被害が出ました。私は実は首都高は大丈夫かなと思いながら走るのであります。あるいはまた湾岸道路を、東京湾の下をトンネルを通りながら、大体東京湾の下を、あの道路、車三百台ぐらい走っておるなあ、仮にあれが物すごい地震で、トンネルが物すごい水圧で水ががあっと入ってきたとき、三、四百台の車、全部これだめになるなあと思ったりするのであります。今の首都高というのは大丈夫かといったら、いや、何かとめ企みたいなものをつけましたから、だめになってもけたが落っこちることはないという御説明がございました。どのぐらいのとめ金をどのようにつけておるのか知らぬけれども、私どもが見ると相当、首都高もこれで三十年もたとうとしておるのであります。本当に大丈夫なのだろうかなあと思いながら私は走っておる。とめ金なんというのは本当に大丈夫なのかどうか。湾岸道路のあの海底トンネルなんというのは、震度八ぐらいの直下型地震が仮にやってきても大丈夫と言い切れるものなのかどうか、お聞かせを願いたい。
  117. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  先生おっしゃられます首都高速の関係の高架橋でございますが、我が国の道路橋につきましては、関東大震災以来、地震の経験を生かしまして耐震設計の技術基準を定めてきております。現在の耐震設計につきましては、地域とかそれから地盤等の設計震度を用いまして設計しております。それで、マグニチュードの八クラス、関東大震災クラスでございますが、このような大地震に対しても、特に高架橋の場合には、橋脚、橋のけたがありますと、その下の支える部分でございます。これが倒壊しては問題ですので、こういった橋、橋脚、それからその地面の地下に入っております基礎部分でございますが、これらをあわせまして破壊されることのないよう、そういった被害が生じないような耐震性を十分配慮して設計されております。それから、けたの方でございますが、これにつきましても先生おっしゃられましたように、落橋防止という、単発のけたが並んでいるものについては落橋防止をつけますし、それから連続けたといいまして、けたを連続してつくるということがございます。そういった形で関東大震災級のものが来たにしても橋が落ちるといったことのないよう設計されております。首都高速についてもそういった形で行われております。  それから、水底トンネルといったお話もございますが、これについても耐震指針をもとにしまして設計しておりますので、そういった破損するといったような事態はないかというふうに考えております。それから、日常の場合にそういったものがないように、パトロールとかそれから定期的な構造物点検も行っておりますので、十分にそういう安全性は確保できているのではないかというふうに考えているところでございます。
  118. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 防災白書では、「防火管理者等の選任と防災に関する計画の作成」、こういう中で、高層の建築物あるいは地下街あるいは劇場あるいはデパート、百貨店、こういう大勢の人が利用するような特殊建築物、ここでは消防法によって防火管理者を置かねばならぬ、あるいは消防計画をちゃんと作成しておくという義務を課しておる一ところが平成二年の三月末現在で防火管理者の選任率は約七〇%、それから消防計画をつくっておるのは六〇%と言っておるわけでありますが、特に私は大勢の人がそこに集中しておるような建築物というのは大変に、一たん何かが起こった場合は大変なわけであります。したがって、せっかくこの義務づけておりますものが、実際上は七〇%であるとか六〇%であるというのは問題なんではないかというふうに思うのでありますが、これは平成二年の三月でありますから、あれから相当時間はたっております。現状の状況はどのようになっているのか。  それから、さっき私ちょっと申し上げましたが、建築基準法による、例えばこの近所の何とかというあのホテルが大火災を起こしました。人が亡くなったわけでありますけれども、あれ以降スプリンクラーを義務づけるとかいろいろなことをやってきたわけでありますけれども、全体の公共的な施設の中ではそれは相当やられておっても、意外に最近の小さな、バブルの中でつくられたようなものの中に、完全にちゃんとやられておるのかどうかということについてまだまだ問題が残っておると言う向きも多いのであります。このあたりはどういう指導、どういうような掌握をなさっておるのか、お聞かせを願いたい。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
  119. 次郎丸誠男

    ○次郎丸説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の、平成二年三月末七〇%の防火管理者の選任率、それから消防計画の作成率が六 〇%というぐあいになっておりますが、これは平成三年の三月三十一日現在、若干でございますけれども、防火管理者の選任率は七三・七%、それから消防計画の作成率、これは六一・二%というような状況になっておるところであります。  この防火管理者の選任率が低い理由としましては、その選任をされていた防火管理者が異動によりましてそのかわりがなかなか選任されないというような問題もございますし、また防火管理者として選任されるべき資格、これは一定の講習を受講すれば資格は得られるわけでありますが、そういった資格を有する者がいないとか、あるいはその防火対象物といいますか、その施設関係者の意識が低い、こういったようなことから防火管理者の選任率が低いというようなことが考えられるわけであります。また、消防計画の作成につきましても、その関係者の意識の低さというようなことが大きな点として考えられております。  しかしながら、御指摘のように防火管理者の選任あるいは消防計画の作成といいますのは、その防火対象物の防火安全対策という面では極めて重要でございます。したがいまして、私どもかねてから各消防機関において査察時にその趣旨を徹底するなど、あらゆる機会を通じまして指導を行っておるところでありますが、今後さらに指導の徹底を図り、防火管理者の選任率や消防計画の作成率の向上に努めてまいりたい。  また、第二の御質問でございますが、消防法の規定によりまして一定の防火対象物の規模あるいはその用途によりましてスプリンクラー設備等消防設備の設置の義務づけがなされておりますが、スプリンクラー設備だけについて見ますと、現在のところ設置率は九九・五%というようになっております。
  120. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 最近の社会の構造というか、その中で通信ネットワークの持っておる役割というのは非常に大きいと私は思っておりますが、同時にコンピューター化されたいろんなネットワーク体制、こういうものはある意味で言えば、地震や災害のときには一面で言うとやはり非常にもろい、そういう体質を持っておると指摘する人が多いのであります。したがって、巨大災害が起こった場合の通信網あるいはコンピューターネットワークといったようなものが、そこが直撃をされた場合に、全くこの全体が、首都東京の場合、国内のみならず国際的な意味においても大きな問題になってくると思うのでありますけれども、これは一体どのような対策を持っておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  121. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 南関東地域におきましては先生仰せのとおりライフライン、コンピューター、情報通信システム等が集積をいたしてございます。大規模な地震が発生いたしますと、これらの都市機能の阻害がされるであろうというふうに思われ、その影響は国民生活あるいは経済の混乱となって、被災地域を超えて広域的に波及するおそれ、そしてまた金融市場等を通じて世界的な影響を及ぼすこともあろうかというふうに考えます。このため、通信網等の整備の関係でございますが、まず震災時におけるライフラインの関係について申し上げます。  個々の構造物について、耐震設計等により耐震性の向上を図るだけでなく、系統多重化対策、バックアップ機能の整備、システムの自動制御化対策など、ライフラインシステムとして統一的、総合的な防災対策を現在講じておるところでございます。特に、ただいま御指摘の通信網につきましては、市外交換設備の分散、バイパス伝送路の作成、テレビ中継伝送路のループ化、伝送路のニルート化、それから非常用電源、可搬型電話局装置の配備、衛星通信の車載装置の導入などによりまして、災害時の早期復旧対策の強化が図られているところでございます。  また、コンピューターシステムにつきましても、関係省庁におきまして電子計算機システム安全対策基準など、地震対策の観点も含めた各種安全基準等を策定して、コンピューターのユーザー、企業等に対する普及啓蒙に努めておるところでございます。特に、コンピューター情報のバックアップ対策を推進するために、税制上の特例、政策金融の発動等によりましてコンピューターバックアップセンターの整備の促進を図っているところでございます。  このようなことで、今後とも機能の確保、保全のために一層対策の強化充実に努めていきたいというふうに考えております。
  122. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 以上で私の質問を終わりたいと思いますけれども、今、国土庁が中心になっていろいろな段取りをされております防災対策、しかしそうは言われても、防災対策というのはこれで万全というものはなかなかないのかもしれません。しかし、どうしても手が抜かりがちになっていくものではないかということを私は常々思うのであります。  そういう意味で、ぜひひとつ首都東京を中心とする防災対策について、十何年間やってきた、やはり十何年もたってくるとある意味の惰性も、マンネリ化もしてくる。もう一遍根底から問い直していくというような立場で取り組んでもらいたいということを希望を申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。     〔田口委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 清水勇

    清水委員長 これにて阿部昭吾君の質疑は終了いたしました。  次に、松前仰君。
  124. 松前仰

    ○松前委員 私は、昨年のたくさん発生いたしました災害の中で、台風十七号から十九号、この被害に関しましてその後の評価ということ、そしてまた、新たな対策というものはないかという点について質問をさせていただきたいと思います。  災害対策は、委員会においてさまざま要求を出して、そして、それに対する対策国土庁を中心にして立てられるわけでございますが、大体においてその最後のアセスメント、こういうところが欠けている部分がしばしばであろうと私は思うわけでございます。したがって、今回、台風十七号から十九号、この点について、これは大変特徴のある災害でございましたから、この災害について国土庁の方から、まず今回のさまざまな処置についてなされた結果、そして、それについて抜けがあるかどうかということ、問題点は残ってないかというようなことについて、まず最初に国土庁長官の方から自己評価といいますか、そういう形でまずはお話しいただきたいと思います。
  125. 東家嘉幸

    東家国務大臣 実は松前先生のおじいさんは私と同郷でございまして、ちょうど村長さんをしておられたときに、堤防決壊で、災害の陣頭指揮が過労になってお亡くなりになられた。私の地元にその記念碑がございます。そのときの助役が私のじいであったようでございます。  そういう非常に因縁深い関係がありますが、御指摘のとおり今回の台風の十七号、十八号、十九号の一連の台風による災害は近年例を見ない大きなものでございました。特に台風十九号に伴う暴風は、リンゴ等の農作物や林業関係及び水産業関係に大きな被害をもたらしたわけでございます。政府は、これらの災害に対し関係各省において緊密な連携を図りつつ、激甚災害の指定、天災融資法の発動など必要な対応策をとってきたわけでございます。被災地の早期復旧と災害対策については今後とも万全を期していかねばならないと思っておりますし、なおまた、つけ加えて申しますならば、今回の林業災害等における第二次災害が起きはしないだろうかというようなことで、特に大分の日田地方はそういう二次災害に対する防止をどう図るかということで、林野庁、防災局一緒になって今取り組んでいるところでございます。どうか今後とも、そういう災害対策については私ども担当として一生懸命取り組んでまいりますが、なかなか思うに任せない、マルの方もございますので、何分にも御協力を私の方からもお願いを申し上げておきます。
  126. 松前仰

    ○松前委員 一番最後のところで林野の問題が出されたわけでございますが、今回の災害について振り返ってみますと、御承知のように従来の台風とは違って、河川のはんらんとかがけ崩れとか死 者がたくさん出るというような、そういう災害とは違って、特に農林水産関係のところに被害が多数出た。そして青森のリンゴ、それから大分の森林のように、災害復旧をすればすぐそれで次の年から何でもなくやっていけるというような代物ではない災害が起こってきているというようなことが特徴ではないかと思っておるわけでございます。  そこで、私は国土庁を中心とした一連のいろいろな対策についてはかなりの評価をさしていただくものでございますけれども、残る問題としてどうしても二つ問題が残ってしまった。非常に難しいけれども、これから何らかの形でみんなで知恵を出して検討していかなければならぬ、そういうように思う問題が二つ出てきてしまったと思っております。  その一つは、これは雲仙の問題にもありますけれども個人補償の問題ですね。特に農林水産関係になりますと、大きな企業がやっているよりもかなり小さな農家というもの、うちで漁業をやっているというようなこともあって、自助努力でもってすべてが済むというような代物でもない。そうなると、一人一人が災害を受けた場合に一体これはどうしたらいいかと途方に暮れてしまう、そういうような問題がある。その個人補償というものを、これは、雲仙に見られるように、大変難しい問題であることは十分承知しております。だけれども、何か知恵を出さなきゃいかぬじゃないかということで、いろいろと昔から災害対策委員会やらその他のところで問題が出てきている。そしてそこに求められたのが、求められたといいますか、最後の、これしかないよというのがどうも共済制度じゃないだろうか、そういうことが感じられるわけでございます。共済の問題ですね。ひとつ自助努力、国からお金をもらうということはまずこれは難しいわけでございますから、そうなりますと現状では難しいから、もらえればそれは一番我々としてはいいわけですけれども、しかし、それだけの財源がないということはわかり切っております。それにまた過去のところまでさかのぼったら、みんな補償しなきゃいけないという問題も出てくる。そういうことも考えれば現実的じゃありませんから、そうなると、共済、保険とかそういうところが一番最後に頼りになるところじゃないだろうか。そういうのが一つ問題。  もう一つは、さっき話がありました林業の問題ですね。これは、御承知のように、一生懸命手塩にかけて育ててきた、やっと大きくなった、やっと大きくなっていよいよこれで出荷できるぞというようなところで全部倒れてしまった、今後、あと三十年待たなければいけない。そういうようなときに、その林業に携わっている人、林家は一体どうしたらいいんだろうかという、そういう問題が出てきているということ。私は、この二つが非常に大きな問題だと思っておるわけでございます。  そこで、まず最初に共済の問題でございますけれども、青森の例やらその他農林水産関係の共済、果樹の共済の問題、こういう問題がこの委員会指摘されましたけれども、この最後によりどころとした共済が、何かそれが適用できないとか、それから加入率が低いとか、そういうことがあったということ。で、それに対して委員会の中で指摘したときに、国土庁の皆さんでしたか、その問題については加入率を上げるようにいろいろ努力をしていきたいというような御答弁もあったと思うわけでございます。この辺について、その後の対応について、果樹の共済ばかりでなくて、そのほかも含めて御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
  127. 今藤洋海

    ○今藤政府委員 私の方から農業共済につきましてお答えをさせていただきます。  農業共済につきましては、昨年の災害におきましても大変加入率が低いという御指摘を受けたわけでございます。加入率につきましては、水稲等につきましては九〇%を超える高い水準になっておるわけでございますが、果樹とか畑作、園芸、こういった共済につきましては、例えば果樹につきましては二二%という低い水準にあるといったことで、私どもも、これをいかに加入促進していくかということに大きな努力を払っていかなきゃいかぬと考えておるわけでございます。これまでにも、集落ごとに共済連絡員というのを設けておりまして、農家の方々趣旨の徹底、そういったことをやっておるわけでございます。  御案内のとおり、この農業共済につきましては、零細な農家の経営を安定するといった観点から、国庫負担といたしまして掛金の五割以上をおおむね補助しておるといったことでございまして、制度としてはかなりいい制度になっておるということでございますが、さらにこれを加入促進するということで、平成四年度の予算におきましても新たに予算のお願いをしておりまして、新規の加入促進のための予算を、六千七百万円でございますが、こうしたものを活用いたしまして、農家段階におきまして十分理解を深めていただき、加入に努めていただくといったことをやるということにしておるところでございます。また、災害が起きました青森県とか長野県におきましては、現地でいろいろな地域問題点なり要望をお聞きするということも既にやっておるところでございます。そうしたことを通じまして、今後とも共済加入の促進に努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  128. 松前仰

    ○松前委員 今いろいろ御努力をいただくお話がございましたけれども、どうも今のお話を聞いておりましても、まあ加入のために一応行って話をして加入促進をしてこようやというだけの感じがするわけでありまして、私は、来年またこれは結果を聞いてみようかと思いますが、その結果、恐らくそんなに進んでいないんじゃないか、そう思わざるを得ないですね。これまでのやり方とちっとも変わっていない。ですから、これは何か抜本的に考え方を変えていかなきゃいけないんじゃないか、そういうふうに感じております。そしてまた、補助率五〇%とかいろいろ有利な条件をつけていらっしゃるわけでございますが、それにもかかわらず加入をしないということになってくる、そうして、災害が起こったときにどうしようかという話になってくるということになりますので、これはもう本当に、何か共済に加入する、本当にたくさん加入してもらえるような抜本的方策を考えなきゃいかぬ。  昔、総理府の方で検討したんでしょう、たしか、昭和四十五年ぐらいですか、この辺に個人災害共済制度というようなことを検討した。それは強制加入でございますけれども。そういうような制度を検討したけれども、しかしそれは公益性がないというようなことで否定されて、今日、自助努力、そして弔慰金程度でもっておさまってしまうというようなことになっているようでございますけれども、今、農業関係のこういうような現状が出てきたということになれば、そしてまた、これはちょっともう少し違う次元かもし札ないけれども、雲仙のような状況が出てきたということになれば、これは共済制度そのものをもう一回、強制加入も含めて、委員会の中でどなたか提案された、自治体がその掛金を負担するような、そういうようなことも含めて、抜本的な改善をしていってもらいたい。  雲仙の方は何か検討をどんどん進めていくようでございますけれども、こちらの方の共済制度についてもやはり十分な御検討をしていただけないものだろうか。長官、いかがでしょうか。
  129. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 事務的に経過を含めて申し上げます。  一般的に、自然災害により個人被害を受けた場合におきましては、ただいま果樹の共済の例がございましたけれども、そういった共済あるいは保険制度を初めとして、みずからの御努力で回復をしていただくというのが従来の姿でございます。ただ、その場合に、公的に行政側から援助をさせていただくということで、災害救助あるいはまた今お話しございました弔慰金の支給あるいは住宅融資等々いろいろ施策が講ぜられておること は御案内のとおりでございます。  ただ、昨今、大きな災害発生した場合におきまして、いろいろ問題が出てまいっているようにも思います。被災を受けた方々につきましても、生活水準は上がってまいりました。従来の対策では御満足いただけないということもあろうかというふうにも思います。あるいはまた、緊急の災害対策の増大というようなことも出てまいっておるように思います。これらに適時適切に行政側がいろいろな分野で民間ともども的確な対応を求められているのが現状ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  そこで国土庁といたしましては、各種現行制度の改善や新たな施策の必要について検討を行いまして、現行制度による救済の状況と課題、地方公共団体の意向等を踏まえまして、共済制度等の必要性あるいはまた実現可能性を含めまして研究を行うために、現在、委託調査でございますが、初動期災害対策に関する研究会を設置をして検討開始したところでございます。研究会は、岡部慶三帝京大学教授を座長といたしまして、学識経験者、行政側、そしてまた民間有識者から構成されてございます。去る一月十日、二月二十日の二回にわたりまして既に会議を開いたわけでございますのできることならば、ことしの夏ぐらいを目標といたしまして、災害対策の経緯、現状、災害対策に対する要望、指摘を整理していただきまして、今後講ずべき施策について提言をしていただけたらということで、現在進めていただくようにお願いいたしてございます。
  130. 松前仰

    ○松前委員 今のような研究会をつくっていただいたことは大変うれしく思っておりますが、ぜひともその中で早く結論を出していただいて、そして国としても個人災害についての救済ができる方向検討していただきたい。  いずれにいたしましても、自助努力でやれといったって、これは手持ちの資金がないと自助努力だってできない場合が多いのですよ。その手持ちの資金をまず欲しいというところから、少なくともそういうところでということで今回要求が随分あった。本来はもっと先のところまで欲しいわけなんですけれども、そういうことでございますから、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。  それから、林野の問題でございますけれども、先ほどお話をしましたように、三十年から五十年も一生懸命育ててきて、これでようやくお金になるぞというようなときにこの災害が起こってしまったということでございます。そこで、いろいろお金をつけていただいておるわけでございますけれども、これからこの災害の復旧といいますか、被害に遭った木を伐採して持ち出すこととか、跡地の造林とか、倒れた木を引き起こすとか、作業路を開設するとか、こういう仕事があるわけでございますけれども、大体これは十年ぐらいかかるものなんですか、その辺の事業の進め方について、それと現状は一体どうなっているかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  131. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  今先生からお話がございましたように、災害で森林の被害が激甚なものであったわけでございます。したがいまして、この復旧に当たりまして、私ども、通常の事業では難しいという判断もございまして、激甚災法に基づく森林災害復旧事業に指定をいたしまして早期の復旧を図るということをいたしているわけでございます。  この森林災害復旧事業は、その事案の性格もございまして、早期に復旧をしなければ二次災害の防止でありますとか国土の保全機能の維持回復に問題が残るということもございまして、五カ年間で計画的に処理をする、このようになっております。したがいまして、私どもこの災害の大方の部分につきましては、関係県との連携を密にしながら、計画期間内でその終了ができますように、大型機械、大型高性能の林業機械の導入でありますとか、広域にわたります労働力の調整、こういったことを図りまして、効果的あるいは効率的な事業を実施したい、このように考えているわけでございます。  それからもう一点、全体としては大分期間がかかるのではないかという御指摘もございますが、これにつきましては、この災害復旧、森林災害復旧事業のほかに通常の造林事業があるわけでございます。この制度を使いまして、関係の県あるいは市町村とも連携をとりながら、この一般造林事業等におきましても適切に対応し、早期復旧を図りたい、このように考えております。  それから、現状のこの災害はどの程度処理が進んでいるのかというお話でございますが、私ども都道府県から受けている報告によりますと、関係県で約三千五百人近い労働者がこの処理に現在当たっております。それから、大型機械につきましても、平成三年度中に三十台を超えるものが入りまして、これを使いましての復旧、こういうようなことが今なされているわけでございます。この三千五百人近い労働者の中には、県内での他の地域からの配置というのもございますが、それ以外に他県からの応援というようなことも行っておりまして、こういうことを通じまして早期に復旧を図るように努めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  132. 松前仰

    ○松前委員 今いろいろお話がございましたけれども、一番の問題はやはり人、労働者、その後片づけをする、被害の箇所を片づける、そういう働く人たちの不足ではないか、そういうような感じがいたしております。三千五百人という数字が出されましたので、知らない人は非常に多いなというような感じもする。しかし、そうではない。これはそんなに大きな数ではないし、またもう一つ、林業全体が命人手不足である。  熊本県、熊本日日新聞ございますけれども、ここでも、県内の林業労働者は昭和四十年に七千四百四十五人であったけれども、六十年には四千四百七十二人になった、こういうようなデータもある。そして、何とか林業労働者を確保しなければいけないというような育成基金などを設けてやったりして、それもうまくいかない。だから、そのほか林業労働力育成確保に関する検討会議などを開いて、今日熊本県としても一生懸命やっておるということもここに書かれておりますが、そこに見られるように林業労働者はそんなに多くないわけですね。そういう中での災害が起こった、そこに人をばっと本当は集中しなければいけない、本当はしなければいけない、そうすると今度は自分のところが手薄になってしまうというような問題もあるわけなんでございます。だけれども、何とかこれを処理しなければいけないということで、自衛隊を派遣したところ、自衛隊の人たちは使い物にならなかった、技術が全然だめであるということであったりして、やはり熟練した国有林の働く人たち、労働者の皆さんがそういうところに行かなければいけないというような現状である。  そういうことになると、どう考えても人が十分であるとは言えないのですね。ですから、先ほどちょっとお聞きしたのは、この事業は本当にちゃんとうまくいくのだろうかということ、ただただ五年間とかおっしゃっておりましたけれども、本当にそれがうまくいくかということ、ちゃんといくのだろうか、いかせるためにはどうしたらいいかということをやはり真剣に考えていかなければいけないのではないだろうか。今や人をどこかから持ってこいといったって、もう国有林の皆さんしかないのですね、残念ながら。ですから、のんべんだらりとずっと国有林の方をそこに常に派遣をしていくなんというやり方をとっていたのでは、これはなかなかうまくいかない。思い切って集中的にぼんとやって、それでまた交代してというような、私どもそれをGKOとか言っておりますけれども、グリーン・キーピング・オペレーションだ、そういうようなことで対処をしていかなければいけないのではないか、そういうことを考えて、感じておりますけれども、その人間、人の労働力、この対策について、恐らく何かお考えを持っていらっしゃると思うのですけれども、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  133. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明いたします。  林業労働力の育成確保を図ることは、先生指摘のように、林政の重要な課題であると認識をいたしております。林野庁におきましても、こうした認識のもとに、林業事業体の事業量の安定確保、体質強化、こういった問題、あるいは雇用の長期化、社会保険への加入の問題、このいわゆる就業条件の改善という問題でございますが、こういったこと、それから省力化等にも資する高性能林業機械の導入あるいは労働安全衛生の確保、それから生活環境基盤整備等の対策を総合的に講ずるということでその対処をしているところでございます。  もう一つ、先ほど先生から御指摘のございましたように、風倒木の処理を迅速かつ効果的に行っていくということは非常に大切なことでございますので、私ども、県内での応援体制でございますとか、県外あるいは国有林の職員の応援体制でありますとか、機械の導入でありますとか、こういったようなことを十分都道府県との連携のもとに行いまして、何とか早期に復旧をする、こういうことで努めてまいりたい、こう思っているわけでございます。もちろんその基本には、先ほど先生指摘の林業労働力の育成、確保にかかわる基本的な問題があるわけでございますから、こうしたことについても十分認識をし、力を入れながら、今のようなことでの災害復旧の対応をしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  134. 松前仰

    ○松前委員 今のお答えについて、申しわけないですけれども、五年間でどのくらいの人を投入してどういう形で仕事をして、そして達成できるかというような計画を、できましたら見せていただきたいと思います。それを見てからまたいろいろと御指摘させていただきたいと思っております。  そこでもう一つ、林業をやっている皆さんが国に対して求めていること、これは大変厳しいことでございますけれども、大体三十年、五十年一生懸命育ててきて、これからお金になるぞ、そしてそこから先の生活設計までされているというところでやられたということになると、これからまた三十年、五十年やらなきゃいけないですね、最初から。最初からやらなきゃいけないということになると、これはもう一生かかったってだめじゃないかということになってくる。そうすると、林業などというのはやりたくもない、こんなものはやったってしょうがない、林業意欲の減退ということにもつながってくるということになりかねない。そうしますと、林業意欲が減退しますと、さっきの人の、やはりだめだ、ふえてこない、ふえてこなければ山は守れない、環境も保全できない、こういうような格好になってくる。  ですから、そこで国に対して求めていることはこういうことなのです。要するに、これから先ずっとまた新しくやりますけれども、間伐をする時点ぐらいまで何とか国費助成の制度をつくってもらえないか、こういうことが林業をやっている皆さんの声なのです。こういう点について、非常に長い期間無収入ですから、そこに対して何とかしてやらなきゃいかぬ、私はそう思うのですけれども、その辺についてちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  135. 東家嘉幸

    東家国務大臣 私は林業と切っても切れない今日までのかかわりを持ってきているわけでございますし、ある意味では、私は専門的な立場から今日までいろいろな角度から国に対しても申し上げてきたのでございます。  先ほどから御質問の趣旨は、私ども考えていたことをそのままおっしゃっておられると私は感じたわけでございます。特に、採算性の問題で大変林業家の皆さん方はもう意欲を失っている。特にまた、私の方からむしろ聞きたいほどでございますけれども、林業の補助事業にしましても、労働賃金積算に非常に他の土木、建設業に携わる皆さん方とは格差があるわけです。これではとても林業労働者が山で働くということは無理な状況下にあると私は思っておりますし、特にまた間伐をしたまま放置している、その放置されたものが各地に暗渠をふさぎ、橋をふさぎ、ダム化し災害を起こしているという、これは重要な災害対策上にも林野庁としても対処していただきたい。そのためには、もっと国民的課題としてこれから財政的な面に大いに私たちもその点を十分理解できるように努めて、そして活性化とともにそういう防災対策も大いに取り組んでいかねばならないというふうに思っておりますので、私たちは、防災局の方にも、そういう災害的な面からもひとつ林野庁と一緒になって取り組んでほしいということをお願いしているところでございます。
  136. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  先生指摘のように、今回のような立木の育成途上における被災は、それまで長年にわたりまして育林投資をしてきました経営者にとりまして、その努力を無にするようなものでございますので、また、この再生産への取り組みを失わせるようなことになりかねないという難しい問題もございますので、私どもそういった点を十分懸念をしながらこの対策に当たっているわけでございます。  今回の対策の中で、国での高率助成ということのほかに、関係県あるいは市町村等でこれに対するさらなるかさ上げ措置も講じられているというように聞いておりますし、また自治省におきましても、特別交付税の措置もこの災害に対して講じていただいているというような状況下にあるわけでございます。いずれにいたしましても、この林業経営意欲が低下するということが起きてはならないわけでございまして、林野庁におきましても、挙げてこの努力を払っていきたい、このように考えているわけでございます。  それから、先生今御指摘のございました造林が終わった後の手入れ、下刈りとか除伐とか間伐という手入れでありますが、これについても十分助成措置を講ずるようにしてほしい、すべきだ、こういうお話がございましたが、私ども今のこの森林災害復旧が終わりました後につきましても、一般造林事業の保育、間伐の対策、それからその他の措置、いろいろございますが、三十年ぐらいまでは現行の対策でも手入れができるようになっておりますし、それから今の国会の方に出されております政府原案の中には、六十年ぐらいまで手入れの経費を出せるようにするというような一つの原案も、モデル事業で盛り込まれて出されているわけでございますが、こうしたものを活用しながら健全な森林の復旧なりあるいは林業経営者の意欲の喚起なり、こういったことに最大の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  137. 松前仰

    ○松前委員 いろいろ国土庁長官からも非常なる決意を示していただいて本当にありがとうございました。ぜひともこの森林の、林野の問題については、非常に息の長い問題であるし、人手不足という非常に大きな問題を抱えておりますから、そして環境保全という非常に大きな課題があります。いろいろな面において、これは取り残されていた部分ではないだろうかと思いますので、ぜひとも今後御努力をお願いしたいと思っている次第です。  それから、私どもいろいろ質問をするときにいつも皆様方の方からお話が出るのは、これはもう国土庁の問題じゃなくて農林水産省の問題だ、災害から外れたのだ、さっきも災害対策基本法の応急対策、こういうようなところから外れたというようなことをおっしゃる方もいらっしゃるのですけれども、これはまだまだ応急対策の一部である、時間が長いということですね。結局収入が入らないのだから、これは応急対策ができてないのだから、そういう意味において、国土庁もずっと絡んでいただいて、そして御支援をいただくという格好にしていただかないと、中心になってやっていただくということをお願いしたいと思うわけでございます。  あともう一つ、河川の問題とかいろいろお聞きしたいことがございましたけれども、ちょっと話が大ざっぱになりますので、この際これは省略をさせていただいて、建設省の皆様方、質問すると いうことでおりましたけれども、前にも委員会の中でも話が出ておりましたから、小規模河川とか大規模河川の整備状況とかそういう話をちょっとしてもらおうと思ったのですけれども、一つだけ聞きたいのは、大規模河川、中小河川、土石流とかがけ崩れ対策、こういうものが現状はまだまだ、一番最高で六〇%ぐらいしかいっていない、土石流なんかは一八%ぐらいしかいっていないというようなことでございます。そしてまた、一年間にたった一%ぐらいしか進まない。それなのに二〇〇〇年に大体概成をする。概成という言葉がよくわからないのだけれども、一〇〇%なのか七〇%なのか、その辺ちっともわかりませんが、その概成という言葉でもってすべてを逃げられてしまう。概成というのは一体何%のことをいうのですか。そのことを一言だけお答えいただきたいと思います。
  138. 市原四郎

    ○市原説明員 御説明いたします。  四全総の中で、おおむね二〇〇〇年までに、大河川それから都市の中小河川、都市の土石流対策につきましては概成を目指す、このようになっておりますけれども、ただいま申し上げました大河川だとか都市の中小河川等につきまして完全に、一〇〇%完全な姿でというわけには限られた財政状況の中ではなかなかまいりませんけれども、整備を進めていきまして、残されているところは全く無堤というわけでもありませんので、水防活動だとか応急的な対策とかを組み合わせまして、何とか大河川とか都市の中小河川について被害が大幅に減少するようにさらに整備を進めたいということで考えております。
  139. 松前仰

    ○松前委員 幾ら聞いたってこれはどうしようもない、概成ですから。これでいけば大体二〇〇〇年の概成、大規模河川は六九%かな、それから中小河川は四〇%が概成ということになるということなのですが、そんな程度では、こんなものはできたとは言えないですよね。建設省の皆さん、もうちょっと、二〇〇〇年までに大体どのくらい、どういうふうにやるんだということを数字できちっと出してもらえませんか。それを今出せと言ったって無理ですけれども、ぜひともそういう数字を見せていただいて、それでまた質問させていただきます。  以上で終わります。
  140. 清水勇

    清水委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十五分散会