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1992-06-10 第123回国会 衆議院 国際平和協力等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年六月十日(水曜日)     午前十一時二分開議 出席委員   委員長 林  義郎君    理事 大島 理森君 理事 金子原二郎君    理事 中川 昭一君 理事 船田  元君    理事 与謝野 馨君 理事 石橋 大吉君    理事 上原 康助君 理事 串原 義直君    理事 草川 昭三君       逢沢 一郎君    井出 正一君       伊吹 文明君    石川 要三君       石原 伸晃君    上草 義輝君       衛藤 晟一君    小澤  潔君       岡田 克也君    北川 正恭君      小宮山重四郎君    斉藤斗志二君       坂井 隆憲君    鈴木 宗男君       武部  勤君    中谷  元君       二階 俊博君    西田  司君       萩山 教嚴君    福田 康夫君       増子 輝彦君    増田 敏男君       町村 信孝君    松浦  昭君       三原 朝彦君    光武  顕君       秋葉 忠利君    伊東 秀子君       小澤 克介君    緒方 克陽君       岡田 利春君    五島 正規君      沢藤 礼次郎君    高沢 寅男君       松原 脩雄君    山中 邦紀君       遠藤 乙彦君    山口那津男君       山田 英介君    渡部 一郎君       児玉 健次君    東中 光雄君       和田 一仁君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣         外務大臣臨時代         理       宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     塩川正十郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       加藤 紘一君         国 務 大 臣         (総務庁長官)         労働大臣臨時代         理       岩崎 純三君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)          (沖縄開発庁長         官)      伊江 朝雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 宮下 創平君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      野田  毅君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷川 寛三君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 中村正三郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 東家 嘉幸君  出席政府委員         内閣審議官         兼内閣総理大臣 野村 一成君         官房参事官         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         防衛庁長官官房         長       村田 直昭君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練         局長      小池 清彦君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛施設庁総務         部長      竹下  昭君         環境庁長官官房         長       森  仁美君         法務大臣官房長 則定  衛君         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部省初等中等         教育局長    坂元 弘直君  委員外出席者         参議院議員   岡野  裕君         参議院議員   峯山 昭範君         参議院議員   田渕 哲也君         衆議院法制局長 和田 文雄君         衆議院法制局第         一部長     内田 正文君         参議院法制局長 中島 一郎君         参議院法制局第         一部長     田島 信威君         国際平和協力等         に関する特別委         員会調査室長  宮崎 正之君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十日  辞任         補欠選任   伊吹 文明君     萩山 教嚴君   鈴木 宗男君     坂井 隆憲君   西田  司君     増田 敏男君   町村 信孝君     石原 伸晃君   秋葉 忠利君     高沢 寅男君 同日  辞任         補欠選任   石原 伸晃君     町村 信孝君   坂井 隆憲君     鈴木 宗男君   萩山 教嚴君     伊吹 文明君   増田 敏男君     西田  司君   高沢 寅男君     秋葉 忠利君     ――――――――――――― 六月十日  憲法違反PKO協力法制定反対に関する請願  (木島日出夫紹介)(第四二八〇号)  同(児玉健次紹介)(第四三八五号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四三八六号)  自衛隊海外派遣反対国連平和維持活動協力  法案廃案に関する請願伊東秀子紹介) (第四二八一号)  同(五島正規紹介)(第四二八二号)  同(長谷百合子紹介)(第四二八三号)  同(伊東秀子紹介)(第四三八七号)  同外十五件(常松裕志紹介)(第四三八八号  )  PKO法案廃案憲法を生かす国際協力の実  現に関する請願斉藤一雄紹介)(第四三八  九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律案(第百二十一回国会閣法第五号)(参議  院送付)  国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改  正する法律案(第百二十一回国会閣法第六号)  (参議院送付)      ―――――・―――――
  2. 林義郎

    林委員長 これより会議を開きます。  第百二十一回国会内閣提出参議院送付国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。船田元君。
  3. 船田元

    船田委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、昨日参議院から本院に送付をされ当委員会に付託をされましたいわゆるPKO協力法案並びに国際緊急援助隊派遣法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問を行いたいと思います。  質問に入る前に、この国際協力我が国あり方ということについて基本的な認識を申し述べたいと思いますが、私たちは一昨年夏以来いわゆる中東湾岸危機というものを経験をいたしました。また、昨年の正月からは中東湾岸戦争というものを経験をしたわけでございます。その経験から得られた教訓、私は私なりに三つほどこの教訓があるもの、こう理解をしております。  一つは、冷戦が終わった、冷戦終結をした、こういいましても、それは手放しで喜べる、あるいは世界に恒久平和が訪れたんだ、こういうことで手放しで喜ぶわけにはいかない。むしろ冷戦という、たがといいましょうか、おもしといいましょうか、そういったものによって従来は抑えつけられていたいわゆる民族間の紛争なりあるいは貧富の差に基づいた地域紛争というものが、そのおもしか消滅する、こういうことによって今後多発をする可能性がある。あるいは実際にそれが起こっている。したがって、冷戦が終わったということによりまた新たな地域紛争というものが起こる可能性があちこちにあるんだということだと思います。実際の例としては、ユーゴの内戦のこともございます。また、CISの中における民族間の紛争ということもあるわけでございます。  しかし、そういう国際情勢の中でも、第二番目として挙げられる教訓は、そういった地域紛争などに対して、国連がその本来期待をされていた安全保障システム、もちろんこの中には平和維持活動もありあるいは平和回復活動ということも含まれると思いますけれども、こういった安全保障システムというのが、これまた今度は冷戦終結のおかげで、例えば安全保障理事会常任理事国の中で拒否権を発動する、行使をする、そういう可能性危険性が低くなっている。こういうことから見ても、この安全保障システムが有効に働き得るあるいは実際に働いた、こういう新たな事態が国際社会の中で生じている、これが第二の教訓であろうかと思っています。  そして第三番目の最後教訓ですが、これは国際社会全体というよりは我が国に関することでありますけれども、もちろん金や物による国際協力ということも、貿易の黒字を多く抱えている、あるいは経済的に、一、二位の地位を占めている我が国にとっては、この分野においても貢献をするということは極めて大事である。しかしながら、それ以上に国際社会からは、人による国際協力、いわゆる人的な協力、こういったことが重要であり、我が国に対して国際社会からも強く求められているんだ、こういうことが三番目の教訓としてあると思います。  この最後教訓のよい例として最近の例を挙げれば、これはもう多くの方々が実際に経験をしているわけですが、昨年、例の多国籍軍クウエートの解放ということを目指しまして行った活動、これに対して、我が国政府としては当時の九十億ドルの財政支援を行った。にもかかわらず、それも一因として解放されたクウエートの人々には余り日本というものが感謝をされていないのではないか、こういう一点。しかしながら、また一方においては紛争終結後、海上自衛隊掃海艇をペルシャ湾に派遣をした。そして一つの事故もなく三十四個でしょうか、この機雷を除去して湾岸諸国を初め諸外国から大変高い評価をいただいたということがあるわけでございます。  三つ申し上げましたけれども、このような教訓をもとにして、政府においては、既に国連の名のもとで過去二十数回紛争終結地域派遣をされ、その紛争再発防止、いわゆる平和維持のための活動を立派に果たしてきた国連PKO、しかも一九八八年にノーベル平和賞まで受賞し、国際的に極めて高い評価を受けてきた国連PKO参加協力するための法案政府の名において提出をしていただいている。このことはまことに時宜を得たものであり、また今後の我が国国際社会の中での立場あるいは国際協力あり方、これを基本的によい方向に持っていこう、そういう大きな礎として私はこの法案の一日も早い成立を期待をしているわけでございます。  PKO法案につきまして、既に前々国会から前国会にかけましてこの本院、衆議院におきましては六十数時間に及ぶ慎重な審議、そして前国会から今国会にかけましては、参議院において百時間を超える慎重なる審議を経てきたわけであります。参議院においては、自公民三党の合意に基づいて修正が行われました。その結果として衆議院送付をせられたものでありますが、既に、修正部分を除く原案については私どもは相当な審議をこれまで行ってきておりまして、その論点と政府考え方はほぼ出尽くした、こう私は考えております。したがいまして、私は、参議院においてなされた修正部分を中心としまして、発議者並びに政府見解をこれから明らかにするために若干の質問を行いたいと思っております。特に、発議者の三人の方々には、参議院での長時間の審議、大変お疲れさまでございました。心から敬意を表したいと思います。  そこで、まず岡野発議者に最初の質問をいたしたいと思います。  PKO法案については、参議院において自公民三党の提案によって、いわゆるPKO本体業務国会事前承認及び凍結対象とすること、それから三年後の見直し規定を設けるなどの修正が行われたというわけであります。これに関して一部の方々では、PKO法案は出直しにも相当する修正がなされたのだから、政府提案とは別個の新しい法案とみなして徹底審議をすべきだ、こう主張する方もいらっしゃいますが、私は、この修正政府原案枠組みを変更するものでは決してない、こう理解をしております。本修正政府原案枠組みを基本的に、根本的に変更するものでないのかどうか、岡野発議者にお伺いをいたしたいと思います。
  4. 岡野裕

    岡野参議院議員 もうこれは昨年の暮れのことになるのでありましょうか、今御審議を賜っておりますところの政府原案、これが私ども参議院に回ってまいりましたときに、当院の方で一部修正点がございました。その修正部分をひっ提げまして、私ども参議院でその趣旨説明をなされたのは、これは船田先生だったと記憶をしているところでありますが、もうあれから半年ぐらいの月日がたったようであります。  先生がおっしゃいました百有余時間にわたって審議をしてまいりましたので、半年があっという間に過ぎた、そんな感じはするわけでございますが、あのときも先生修正は、いわゆる基本部分についてはいささかも手を触れられることがなく、いわゆるPKOが閣議決定されて二年たったならば、そうして加えて、さらにその業務を継続をしようという場合にはひとつ国会承認にかけようというのが御趣旨だった、こう思うわけであります。私ども修正提案をいたしました点も、私、きのう趣旨説明をいたしました中でこんなお話をいたしました。  「この修正は、これまで行われてきたこの法律案についての審議を踏まえ、我が国として早急に有効適切な国際協力を進める体制をつくる」、これは法一条にうたわれている部分に相応するわけでありますが、その「見地から、政府原案の基本的な考え方枠組みはこれを維持しつつ、その上でこの法律案に対する一層広範な国民理解支持を得ていく」、かような趣旨で行うものである、こういうふうに申したわけであります。  先生お話がございましたように、大体大まかに言って三点でございます。  よく凍結凍結と言われるわけでありますが、自衛隊員によって行われますところの、部隊によって行われますところのPKF本体部分、これにつきまして、国会原則事前承認、閉会中あるいは解散のときにおきましては直近の国会でぜひその御承認をいただこうというようなことを提案をいたしました。  それから、凍結といいますのは、実は私どもこのPKO参加をしようというのが初めてであるわけであります。そういう意味合いでは、やはりPKF本体部分自衛隊参加して行うということになりますと、やはり外国歩兵部隊我が国でいいますならば術科部隊というような部隊になりましょうか、これが出てまいるというような意味合いで、まあテレビ報道等を見ておりますとこのPKOというようなものの理解がいささかいまだしのところがないわけではない。これはテレビさんの悪口を言うわけではないのでありますが、停戦監視だ、停戦監視というと、どうしても戦争があってそれが終わる、すると、テレビの画面はまず戦争の場面から始まってしまう。タンクがどんどん出る、ミサイルが飛んでしまうというようなのをまず映して、それから後の停戦というものの映し方が難しいのでありましょう。そういう意味合いで、国民皆様はどうしても、ミサイルが飛ぶ、そらトマホークだ、いや完全武装のというところばかり印象になっちゃう。そういう意味合いで、私どもはまずこの部分についてはPKOの、言いますならばロジ部隊後方支援等々に自衛隊皆様に御努力をいただくというようなのを見ていた。だいて、PKOPKFのありさまを知っていただこうというような意味合いで、別に法律で定めるまでの間はこの部分は実施をしないでおこうというようなことを提案をしているわけであります。  最後は、見直してあります。要するに我々、初めてであります。その中で経験を踏む外国の皆さんと、同じような国で、同じような場所で働くことを見ていただく、言うなちば同志、同僚としてやるというような経験を踏むことによりまして、いろいろの理解をより深めていただくことができるのではないかなあ、そんな意味合いで三年後の見直しというような、以上、おおよそ三点についての修正提案いたしました。  冒頭申し上げましたように、やはりこの四十数年の間、輝ける歴史を持つPKOに私どももぜひ参加をしたいという、その平和貢献の、人的貢献の理念といいますものと枠組みといいますようなもの、これはそのまま実は残して修正案ということで御審議を賜ろう、よろしく御賛同賜りますようお願い申し上げます。
  5. 船田元

    船田委員 今の件につきまして総理にも御見解を伺いたいと思いますが、今の岡野発議者の詳しい御説明があったわけでございますが、参議院における修正が幾つかの部分であった、それによって政府原案がその枠組みを根本的に変えるものかどうか、この点について総理の御見解を確認をしておきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま発議者自身からの御説明がございましたが、昨日もこの席におきまして発議者からの趣旨説明を伺ったところでございます。それによりますとこの修正案は、「政府原案の基本的な考え方枠組みはこれを維持しつつ、その上でこの法律案に対する一層広範な国民理解支持を得ていくとの趣旨で」提出するものであります、かようになっております。政府といたしましても、この修正案の内容を詳細に検討させていただきましたが、発議者の御意見のとおりであると理解をいたします。
  7. 船田元

    船田委員 よくわかりました。  それでは次に移りますが、参議院修正後のPKO法案の附則第二条というのがございます。ここにおいては本法案の「第三条第三号イからへまでに掲げるもの又はこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定めるものについては、別に法律で定める日までの間は、これを実施しない。」ものとされたということであります。これがいわゆるPKF本体凍結ということですけれども、これらの業務は、いろいろお伺いするところによりますと、各国の歩兵部隊によって行われるということが通例であって、PKOの中核的な部分である、このように言われていると私は理解をしております。  このようなPKF本体業務凍結をされても、例えば我が国としてUNTACカンボジア暫定行政機構への協力というものは果たして十分に行えるものかどうか、こういう点ちょっと私自身も心配をしているわけでございますが、特に政府外務省におきましてはどういう御見解であるか、伺いたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまのお尋ねにつきまして、いわゆる凍結が有効に行われました場合、この法案によりまして法律になりましたときに、政府がどのような業務を行い得るかということにつきましては、詳細に検討をいたしておりますので、政府委員から御説明を申し上げます。
  9. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生、いわゆる凍結ということとカンボジアの関係でございますが、その前にこの法案の方をちょっと御説明させていただきたいのでございますけれども、いわゆるPKF本体業務がいわゆる凍結されるということによりまして、それ以外の業務あるいは本体業務と複合することのない、例えば輸送一保管、通信、建設、修理あるいは医療といったいわゆるPKF本体業務を支援する業務法案でいいますと第三条三号のヌ、タあるいはこれらに類するものとしてのレでございます。あるいは被災民の救出や帰還の援助生活関連物資の配布、被災民収容施設の設置、紛争による被害を受けた施設自然環境復旧等業務ということで、法案第三条、これは法案によりますと三号のルからヨあるいはこれらに類するものとしてのレ、そういったものへの参加が可能であると理解しておりまして、実は、具体的にカンボジアということになりますと、これはやはりこの法案を成立させていただきまして、それに基づきまして、カンボジアが現実にUNTACの方あるいは国連の方と調整いたしまして具体的な業務を決めていく。ただ、私申しました今のような意味におきまして、非常に広い範囲の協力が可能であるということでございます。  ただ、つけ加えさせていただきますと、いわゆるPKF本体ということに関する凍結でございますので、いわゆる個人参加による停戦業務とか、あるいは文民警察とか選挙監視行政事務に関する指導、そういったものはおのずと可能であるというふうに理解しております。
  10. 船田元

    船田委員 今の野村さんの御説明では、PKF本体ではなくて後方支援ということ、あるいは人道的な救援活動、こういったものが当然残る、凍結があってもその部分はきちんとこれはできる、このように理解をさせていただきたいと思います。  ただ、同時に、野村審議官お尋ね二つほどしたいと思いますけれども、たしか五月三十日の自公民の三党合意事項というのがあったかと思います。その中で、PKF本体業務と複合したときにしか実施できないような業務、これは例えば地雷の除去ということと道路建設という二つのことを同時に行う、こういう業務が考えられると思いますけれども、そういった複合したときにしか実施できないもの、これは凍結というものとの関連で、これは果たして凍結になるのかあるいは凍結対象外であるのか、この辺ちょっとはっきりさせていただきたいと思います。
  11. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の三党間の合意事項にのっとりまして、今の点につきましては、六月二日でございますけれども参議院委員会におきまして私ども考え方を明らかにいたしております。まさに先生指摘のようなケース、いわゆるPKF本体業務と複合したときにしか実施できないような業務というのは、事実上いわゆるその凍結対象になるというふうに理解いたしております。
  12. 船田元

    船田委員 それとまた別の観点からいきますと、今度はその逆というんでしょうか、違う状況があるかと思います。それは、例えば施設復旧など、例えば道路建設ということを部隊として行うというときに際しまして、隊員の生命あるいは身体の安全を確保する、これはもちろん当然やらざるを得ないことでございますが、その安全を確保する中でたまたま地雷があった、そしてその有無を確認し、結果的に、偶発的に、あっ、地雷がここにあったということがわかった、そしてその地雷を処分する、こういう行為は果たして凍結対象になるのかあるいはならないのか、このことも審議官お尋ねをしたいと思います。
  13. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  一般に地雷等の処理というのは、先生御案内のとおり、法案第三条三号のこれはニでございますが、「放棄された武器の収集、保管又は処分」にこれは該当するわけでございまして、いわゆる凍結対象になるわけでございますが、しかし、いわゆる後方支援業務、第三条三号ヌからタまでに掲げる業務またはこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定める業務、いわゆるPKF本体業務を支援する業務を行うに当たりまして、隊員の生命または身体の安全を確保するため、地雷等の有無を確認しまして、その結果偶発的に発見された地雷等を処分する行為というのは、業務遂行の基礎となる隊員に対する安全配慮に係る措置としましてこれらの業務それぞれに含まれるものであり、したがっていわゆる凍結対象にはならない、これは当然のことであると考えております。
  14. 船田元

    船田委員 そういう凍結する部分凍結をしない部分、今の御答弁においてもあるいは参議院での政府答弁などにおいてもかなり明らかになっていると思います。この辺においての取り扱いを今後も誤りのないようにぜひお願いいたしたいというふうに思っております。  それから、次の問題に移りたいと思います。  峯山発議者、おられると思いますが、二つほど御質問いたしたいと思います。  その一つは、参議院修正後の第六条第七項に「基本的な五つ一の原則」という言葉が出ております。これは政府原案にはなかった言葉であります。もちろん、これまでの自公民の間での合意の問題とかいろいろな点におきまして、いわゆる五原則といったものが既に明らかになってはおりますけれども、ただ法案の中で五つの原則について言及をされた部分というのがこの修正において初めて出てきたわけでございまして、ここで改めてこの「基本的な五つの原則」、この修正部分における、これが具体的に何を指しているのか、どういう趣旨でこのことを入れているのか、このことをお尋ねをしたいと思います。
  15. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  初めに、「基本的な五つの原則」につきましては、既に政府原案の中にうたい込まれていた分でございまして、そのものを我々修正案の中で「基本的な五つの原則」として明確にそれをとらえさせていただいたわけであります。具体的には「我が個として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則」ということで明確にうたわせていただきました。  中身につきましては、一番目に、紛争当事者の間で停戦合意が成立していること。二番目に、当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が、当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国参加に同意していること、これが二番目であります。三番目に、当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく中立的な立場を厳守すること、これが三番目です。四番目に、上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は撤収することができること、これが四番目であります。五番目に、武器の使用は要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。この五点であります。  私どもは、この修正部分の五つの原則というのは、もう既に先ほども申し上げましたように原案に盛り込まれた部分でございますが、我が国PKO参加の重要な原則の総称である、こういうふうに思っております。私どもはこれによりまして、心配されているような、自衛隊が海外で武力行使をするのではないかとかあるいは憲法違反ではないかといった疑問をこの五原則で明確に否定することができる、こういうふうに考えております。  したがいまして、私どもは、参議院段階でもこの法案趣旨PKOの本質をわきまえない人たちが、武装集団を戦場に送るとかあるいは自衛隊を戦場に送るというような、意図的にそういうようなことを述べていたのでありますけれども、この五原則の歯どめによりましてそのようなことは全くあり得ないことはもう明らかであるということを申し添えておきたいと思います。
  16. 船田元

    船田委員 極めて明確な御答弁、ありがとうございました。  もう一つ、峯山発議者お尋ねをいたします。これは修正のまた一つの大きな論点となっておるわけですが、いわゆる事前承認の件についてでございます。  参議院における修正後の第六条第八項の、七日以内に議決するよう努めなければならない、この規定がありますが、「努めなければならない。」と、こうあるとおり、これはあくまでも努力目標を示したものであって、国会審議権を制約するというものでは決してない、こう私は理解をしておりますけれども、この点について峯山発議者に確認をしたいと思います。よろしくどうぞ。
  17. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 それでは、ただいまの七日以内に議決するよう努めなければならないという点につきましては、二つの視点があると思っております。  一つは、この「七日以内」という問題であります。これは私ども日本が国連の要請に対しましてどうこたえていくか、あるいは日本が国際貢献にどうかかわっていくかという問題でございまして、その七日間が少ないのかあるいは多いのかという議論は、これはどちらかといえば政策判断の問題でございまして、私ども発議者はこの国連の要請に世界の各国がどのようにこたえているかという実情を調査いたしまして、そのような中から我が国といたしましては、衆参両院合わせまして最低十四日間でございますけれども、最低そのくらいの日数がかかるというのを判断をいたしましてこのように決めさせていただいたわけでございます。  それで、もう一つの問題点は、この「努めなければならない。」という問題でございます。この点が参議院におきましても相当議論になりました。私どもは、実は社会党さんと一緒に、消費税国会のときに、この問題を、消費税を廃止する法律というのを一緒に出させていただきまして、この問題のときに、この問題で相当参議院で論議をいたしました。そのときには、要するに、税制改革協議会の答申を受けたときには、国会や内閣が所要の措置を速やかに講ずるものとする、こういうことを書いたわけであります。そうしましたところ、その問題につきまして、内閣法制局長官から、この「講ずるものとする。」というのは、要するに、憲法上、義務規定であり、やはりまずいんじゃないかという答弁がございまして、これはまずいということになりまして、私どもはそれを修正をさせていただいた経験があります。  したがいまして、今回この法案を、修正案をつくるに当たりまして、どういうふうにしたら、国会を拘束したりそういうことがあってはなりません、また同じ失敗を二度とやってはいかぬということもございますから、私どもは、この点につきましていろいろな角度から検討させていただきまして、この両院を拘束をしない努力目標にするべきであるということで、私どもはそこで、この「努めなければならない。」というのは明らかに努力目標であり、憲法にも反しない、このように私は考えているわけであります。
  18. 船田元

    船田委員 今の件でございますが、発議者からの御趣旨はよく理解いたしましたが、なお念のために、参議院の法制局長おいでかと思いますが、いらっしゃいますか。この条項については、確かに一部の方々では、違憲ではないか、こう言われておるわけですが、これは私の感ずるところ、全く誤解に基づくものであった、こういうことが先般の参議院特別委員会における参議院法制局の御答弁で明らかになった、こう理解をしています。  ここで改めて、この規定が憲法上問題になるものかどうか、念のために参議院法制局長にお伺いいたします。
  19. 中島一郎

    ○中島参議院法制局長 お答えを申し上げます。  ただいま峯山先生から御答弁があったとおりでありまして、この規定は審議期間を制限するものではございません。七日の期間内に議決するよう努力するということでありまして、その意味で、ただいま先生の御質問の中にありました努力目標という言い方もできようかと存じます。要するに訓示規定にすぎないわけでありますから、国会審議権を制約するものではない、したがって憲法上の問題はないものと考えております。  以上でございます。
  20. 船田元

    船田委員 参議院の法制局としての御見解、承りました。  私ども衆議院でございますから、衆議院法制局からも同様のことについて御見解を伺わなければいかぬ、こう思いますので、衆議院法制局おいででございますね。本院の法制局におかれましても、今の参議院法制局の御答弁について異なるところがないかどうか、御確認をいたしたいと思います。
  21. 和田文雄

    和田法制局長 お答え申し上げます。  七日以内に議決するように努めなければならないというこの文言の趣旨は、七日以内に議決するように努力すべき旨を訓示的に規定しておるというふうに理解しておりまして、したがいまして、これによって国会審議期間が七日以内に制限されるとか、あるいは七日経過した後に行われる議決が無効になるとか、こういったことはないというふうに理解しておりまして、したがって、まして憲法違反になるといったようなものでもない、こういうふうに考えておりまして、先ほどの参議院法制局長の御意見と同様に考えております。
  22. 船田元

    船田委員 衆議院法制局でも参議院法制局と同様の見解である、このように承りました。  この事前承認に関しまして、やはり外務省政府にも確認をしておきたいと思いますが、確かに前々回の国会や前回国会におきまして、本院ではこのPKO法案審議においても、国会承認をめぐるさまざまな質疑、さまざまな議論があったことは御承知のとおりでございます。これまで政府においては、特に各国と足並みをそろえて国連の要請に迅速に対処する、その必要性を何回も協調して述べられているわけでありますが、その政府側の御心配というのもある意味ではもっともなことじゃないかな、こう私は思っております。この参議院修正によって、このPKF本体業務事前承認ということの対象になりましたけれども、このことによって国連の要請に迅速に対応するということは可能だろうかどうだろうか、この点について政府の御見解を伺いたいと思います。
  23. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生おっしゃいますとおり、PKOに効果的に協力するためには、国連の事務総長の要請というものに機動的に対応する必要があることは御承知のとおりでございます。先般の参議院におきますこの点につきましての修正につきましては、このような御努力が国会において行われるのであれば、私たちといたしましては、国連との協力は何とか支障なく行い得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  24. 船田元

    船田委員 それで、田渕発議者もおいでであると思いますが、この事前承認の性格といいますか中身といいますか、そのことについて若干お伺い、確認をしておきたいと思います。  参議院修正におきましては、「平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則及びこの法律の目的に照らし、国際平和協力業務を実施することにつき国会事前承認を得る」ということとされているわけですが一その趣旨、中身について、もう一度田渕発議者からそのお考えを確認をいたしたいと思います。
  25. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 お答えいたします。  中身と申しますのは、最近特にPKO活動が多様化しております。また活動の幅も非常に広くなりつつあるわけでありまして、したがって、個々のケースについて実際の派遣が、先ほど御説明のありましたいわゆる五原則に従った形で行われておるかどうか、行われることになっておるのかどうか、また、この法律の目的に合致したものとなっているかどうかなどの観点から部隊等の派遣の可否を決することが必要、個々のケースについてその可否を決することが必要、こういう判断に立ってこの事前承認というものを行いたい、このように考えておるわけであります。  なお、もう一つ、この意図をつけ加えて言いますならば、やはり国会が議決をし、国民合意の上に立って自衛隊を送り出すことによって、自衛隊員が使命感を持つ、また安心して任務につけるようにする、そういった意味でこれは極めて重要なことだと考えております。
  26. 船田元

    船田委員 どうもありがとうございました。  もう一つ修正のポイントでございます、これは見直しということと、それから二年後の協議機関、これは三党合意のもとにやったわけでございますが、まず、二年後の協議機関ということについて岡野発議者から御見解を伺いたいと思いますが、この二年後の協議機関の設置ということが五月三十日の自公民党合意事項という中に言及されております。これは具体的には、だれによって構成され、そしてその中で何を行うか、どういう内容の協議を行うか、このことについて岡野発議者から御見解を伺いたいと思います。
  27. 岡野裕

    岡野参議院議員 私ども修正案提案をいたしましたこの三年後の見直しは、政府に見直せと言ったものではございますけれども、三党合意の中では、我が外交部会長船田先生、当然御存じだと存じますけれども、二年の段階で協議機関を設けるのである。その協議機関といいますのは、二年後でありますので、どんな構成になりますかということはまたその時点でということかと存じておりますけれども、その協議機関が対象としますところの検討の中身、これは、実際のあり方の現状を十分踏まえた上で法律の実施のあり方についてこの協議をするものである、こんなふうに承っているところであります。
  28. 船田元

    船田委員 それと非常に関連をするのが三年後の見直し、これは法律の方に修正の中で加わったわけでありますが、これは総理にお聞きしたいと思いますが、「この法律施行後三年を経過した場合において、この法律の実施状況に照らし」、政府が「この法律の実施の在り方について見直しを行う」、このように修正部分では規定をされております。総理は、この趣旨をどのように理解をされているか、具体的にはどういう目的でこの見直しをやっていくのか、それから、できれば、今岡野発議者からございました二年後の協議機関との関係はどうなるのか、その点をお伺いできればと思います。
  29. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 政府といたしましてこの規定に関しての発議者の御意思をそんたくいたしますと、この法律我が国としていわゆるPKO等について包括的な協力を行う初めての法律でございますので、未経験活動を行うことでございますから、その点について経験から学ばなければならない点が多々あるであろうということ、また、国連PKOそのものにつきましても、最近現実の態様につきましてかなり変化が見られていること等がございます。それらのことがございますので、発議者としては恐らく、この法律を一定期間実施いたしました後、その実施のあり方について見直しを行うことによってこの法律がより適切に実施されるように、それを確保すべきであるというそういう御趣旨とそんたくをいたしております。  見直しのための機関の設定につきましても、恐らく、ただいま私どもが推測いたしますような目的を達するために一番適当な機関を設けるべきである、こういう提案者の御趣旨であるというふうに理解をいたしておりまして、政府といたしましては、そのようなことが立法府の御意思となりますれば、当然その御意思を踏まえてまいらなければならないと考えております。
  30. 船田元

    船田委員 二年後の協議機関におけるいろいろな審議、そういったものをそんたくをして、さらに三年後における見直しについてもこれは当然考えられることである、非常に関係がしているということで理解をさせていただきます。  それでは、若干細かい話になりますが、国連のコマンドとそれから武器使用のことについて、これは衆議院でも長い議論がございました。また、参議院におきましても大変いろんな議論がありまして、かなり整理をされたと思いますが、若干確認の意味でこの点についての質問二つほどしたいと思います。これは主に外務省に対する質問ということになろうかと思います。  国連のコマンドとの関係では、五月十八日付の外務大臣の発言に基づいて、PKF部隊国連のコマンドのもとに置かれるということが明確になり、さきの三党の合意文書においてもそれが確認をされている、このように理解をしています。それは当然それで正しいと思うのですが、それとの関係でこれから二つ申し上げたいと思います。  一つは、国連PKF活動については、この法案をめぐる論議を通じて国民理解も随分進んできたと思いますが、いまだ一部の方々には、残念でありますけれども、武器の使用の問題との関係で誤解が若干あるように見られております。私は、本来戦うために存在するものではないというPKFの本質と、それからこの法案の中の第二十四条にあるような、いわゆる自己の生命、身体を防衛するためやむを得ないときにしか武器の使用を認めない、こういう歯どめからしても、我が国自衛隊PKFにおいて武器を使用することがあったとしても、それは決して憲法に抵触するような武力行使に当たるものではないということをこの際改めて確認をして、政府の答弁をまずお願いしたいと思います。  それにあわせまして、二番目もあわせて申し上げたいと思います。二番目の点は、国連において、この任務の遂行を実力をもって妨げられた場合、これに抵抗することも自衛に含まれるということでございますが、このような場合に、例えば国連側から武器の使用を命ぜられることがないのかどうかという点について、この法案審議の過程でも何回も議論があったところでございますけれども、再度この点につきましての政府見解を明らかにしてほしい、このように思います。
  31. 丹波實

    ○丹波政府委員 この問題につきましては先生おっしゃいますとおり、自衛隊PKF参加するに当たりまして、憲法の禁ずる武力の行使を行うことのないように法案第二十四条の武器使用に関する規定が置かれたものでございまして、したがいまして、我が国がこの法案のもとでPKF参加する場合には、武力行使を行うようなことはないわけでございます。  また、このことに関連いたしまして、国連のコマンドにより武器使用を命ぜられることがあるのではないかという御質問国会論議の中を通じて何度がございましたが、これに対しまして、これまでのPKFの本質からしてそういうことはまず考えられない、あるいは想定しがたいという趣旨の御説明をしてまいりました。もっとも私たちは、過去のPKFの状況というものを一〇〇%全部検証したわけではございませんし、また、累次申し上げてきておりますとおり、PKFはこれからも進化発展するということはあり得るわけでございますので、そういうことは過去に全くなかった、あるいはこれからも全くないということまで申し上げるつもりはございません。  しかし、ここで最も重要なことは、日本の要員はこの法案の第二十四条の枠組みでのみ行動するということでございます。
  32. 船田元

    船田委員 今の丹波局長お話では、あくまでもこれは第二十四条の、あくまでも自己の生命、身体を守るために必要最小限の武器使用しか行わない、すべてその原則でやっていくんだ、こういうお話でございました。それはもちろんそのとおりに実際にもやっていただかなければいけない、このように私は考えております。  もう一つ、同じように丹波局長に確認をしておきたいと思います。  少し細かい話になりますけれどもPKFの中には、緊急事態が発生した場合に直ちに現場に急行して不測の事態に対応できるような、機動予備隊というんでしょうか、英語でいえばフォース・モーバイル・リザーブと呼ばれる部隊参加各国の歩兵部隊の一部を利用して編成しておく例が幾つかあるかな、このように聞いておるわけでございます。このような部隊にもし参加をするというような場合には、その任務の性質上、場合によっては武器の使用を命ぜられることもあり得るんではないか、こういう議論もあるいはあるかもしれませんが、この点はPKF凍結が解除になった将来の問題とはいえ、せっかくの機会でございますので、この機動予備隊の問題、そしてもしそれに参加する場合に、果たしてこの武器の使用ということについてはどういうことになるのか、この点についても政府側の御説明をお願いいたしたいと思います。
  33. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  このフォース・モーバイル・リザーブにつきましては、先生指摘のような目的で編成されているPKFの例があると承知いたしております。また、このほか別のPKFにおきまして、違った名前のもので、例えばフォースリザーブと呼ばれているものがあると承知いたしておりますが、私たちはこのような機動予備隊的なものの実態というものを必ずしも正確に把握しているわけではありませんので、このようなものの中で先生の御指摘のような状況が起こり得るのかどうか、詳細には承知しておらないわけでございます。  しかし、重要なことは、たとえそういうことがあり得たとしても、我が国PKF参加していく場合には、先ほど申し上げましたとおり、法案第二十四条の枠組みの中で行動するということでございまして、武器使用との関係で武力行使に当たるようなことはしない、そのような行動はしないということでございます。
  34. 船田元

    船田委員 よくわかりました。  それでは、修正部分についてあるいは原案についてのことにつきましては大体以上のとおりでございますが、若干これに付随をいたしまして、国際情勢、特にカンボジアの情勢につきまして、現状がどうなっているのかということについて外務省からの御見解を伺いたいと思います。  現在、史上最大の規模ということでこのPKOカンボジアUNTACという形で活動を開始しているということでございますけれども、確かにカンボジアにおきましては四派の武装解除が予定をされております。そして、その中でポル・ポト派が、UNTAC活動をスケジュールどおり進めるに当たって果たして協力的な姿勢で対応するのかどうか。私が知る限りにおきましては、やや予断を許さぬ、そういう状況にあるように把握をしておりますが、現在のカンボジアにおける政治状況、特にポル・ポト派の動きについて、それとUNTAC活動との関連も当然でございますが、このことについて政府からの御説明をいただきたいと思います。
  35. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 御案内のとおり、現在カンボジアにおきましては、昨年の十月に署名されましたパリ協定に基づく和平のプロセスが懸命に進められておるところでございます。その間にあって、特に例の国民最高評議会、SNCの議長のシアヌーク殿下、懸命な国民和解へ向けての努力をな さっておりますし、またUNTACの側では明石特別代表が、これまたカンボジア各派の信頼関係の構築のために真剣な努力を粘り強く行っておられるところでございます。  先ほど先生からもお話がございましたけれども、そういう中でいよいよ六月十三日に停戦のいわゆる第二段階、すなわち各派の軍隊を再集結して、主要地域においてこのUNTACの管理下にこれを置きまして武装解除をやる、動員解除をやる、そういう第二段階に入りまして、ここがいわば今後の和平のプロセスで特に軍事面では大変重要なところであります。他方、お話がございますように若干の困難も伴うというところでございます。  そういう中で、これもただいまお話がございましたけれども、KR、クメール・ルージュがこの和平のプロセスに対して十分な協力的な態度を示しておらないということがまことに残念な、遺憾なことでございまして、UNTAC明石代表も、あるいはシアヌーク殿下も、この点について懸命な各派への、特にクメール・ルージュへの精力的な働きかけを行っておられます。国連においても重大な関心事になっておりますし、私ども日本政府におきましてもこれを放置できませんので、私どもなりに関係各国に働きかけまして、この和平に向けてクメール・ルージュがいま少しく協力的な態度をとるように働きかけておるところでございます。  そういう中で、国会でも御説明しておりますように、六月の末に東京でカンボジアについての閣僚レベルの国際会議をさせていただきますけれども、そういう状況で、この来るべき東京会議というのはまことにますます重要な意味を持ってくる状況になってまいりました。
  36. 船田元

    船田委員 防衛庁長官、おいでをいただいておりますけれども、この法案が成立をした場合において、このUNTACへの協力ということも当然にらみながら実際に参加協力を行う、自衛隊を中心としまして行うわけでございます。したがいまして、この協力実施までの間に、防衛庁としましてはどのような事前の準備、あるいは訓練も入るかと思いますけれども、そういったものが必要となるのであるか、この点について防衛庁長官の御見解を伺っておきたいと思います。
  37. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 本任務が与えられた場合に、自衛隊として最も有効にこの国際平和協力業務を遂行しなければなりません。  私どもは、一般論として申し上げますならば、語学研修その他、これは関心を政府案が出された段階から抱き続けてまいりまして、その準備等は着々行っておるところでございます。もちろん組織をつくったり、そういうことはいたしておりません。しかし、法案がこうした段階にまで立ち至りますれば、政府の意思あるいは院の御意思もある程度方向が定まってまいってきておりますので、私どもは、当面の問題としてカンボジア問題についての派遣ということは当然予想されるわけでありますから、これは外務省ともよく相談しながら、我が方としても法律が本院で成立させていただければ直ちに、施行をまつまでもなくカンボジアに調査団を派遣し、そしてその実情、実態、それからまた、私どもがそのニーズを決定するわけではございませんけれども、那辺に我が国の果たすべき役割があるか等々、いろいろの諸問題がございますから、調査団等を早急に派遣をいたしましてこの任務遂行に万遺漏なきを期してまいりたい、このように存じておるわけであります。  なお、恒常的には、これはカンボジアだけを目的とした法案でございませんから、あるいは北欧の訓練センター等に、将来集合教育をやる教官の訓練等のためにこの派遣も十分考えておるところでございます。  そうした恒久的な面と、それから当面のカンボジア問題に対する対策と、これを両方考えながら、当面はカンボジアにいかに対応していけるかということで調査団等も派遣しながら、同時に、それも段階的に恐らく行うことになるだろうと思います。現実的な対応をきちっとできるように、調査もし、そしてまた隊員の心構え、その他要員の選定等も十分心して、この法案趣旨に沿って対応してまいりたい、このように存じておるところでございます。
  38. 船田元

    船田委員 ひとつしっかりやっていただきたいと思います。  大体時間でございますので、発議者皆様には、本当にお疲れのところを大変理路整然とした答弁をいただきまして、ありがとうございます。心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  なお、先ほど冒頭にも申し上げましたように、国際貢献が叫ばれている中、国連の行うPKOに対してきちんとした枠組みの中で我が国参加協力をすることは、国是である平和主義、憲法の精神である平和主義に決して反するものではない、こう理解をしておりますし、むしろ憲法の前文にある「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」いわゆる憲法前文の積極的平和主義と言ってもいいものと思いますが、この精神を実現するもの、こう私は理解をしておりまして、PKO法案並びに国際緊急援助隊派遣法改正案、両案の一日も早い成立を切に望みながら私の質問を終わりにいたしたいと思います。
  39. 林義郎

    林委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ―――――・―――――      午後一時開議
  40. 林義郎

    林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  41. 上原康助

    ○上原委員 冒頭、宮澤総理お尋ねをさせていただきたいわけですが、一体宮澤首相あるいは宮澤内閣はこのPKO法案をめぐる一連の事態をどう御認識しておられるのかということなんです。  振り返ってみまして、九〇年の八月に例の湾岸戦争が勃発をして、国際貢献に対して日本がどうかかわるべきかという議論がされて、たしか十月に国連平和協力法案というものが提出をされて、本委員会で海部前内閣と、私もそのころからこの問題に関連をしてまいりましたが、結局、国連平和協力法案憲法上の問題あるいは自衛隊法とのかかわり等々で廃案になったことは御承知のとおりです。  その後、廃案と同時に、後ほど触れますが、自公民自衛隊とは別組織という合意で進められてきたわけですが、だが、出てきた代物はそうではない。全く国連平和協力法案のときと同根のような内容になって、我々は憲法上も、あるいはいうところの国連の文献、文書との関係など、いろいろ議論をしてまいりましたが、依然としてそういう疑問点は解明をされていない。また、三党の修正案なるものも提案をされておりますが、それも、けさほどのこの委員会の与党の御質問を聞いておってもなかなか、つじつま合わせ、何とか時間稼ぎの答弁のように受けとめました。  具体的にお尋ねします。  そこで、きのう、きょう、あるいは参議院の深夜国会を含めて、これはまあ委員長にもぜひ聞いてもらいたいのですが、余りにも異常事態、全くもって寝首をかくようなこの終始というものは断じて我々は承服しがたい。断じて承服しがたい。  与党は言い分があるでしょう、恐らく。与党にも言い分はあるでしょう、牛歩戦術云々については。しかし、議会制民主主義というのは、公党間の約束を守る、理事会で合意したものを実行するというのが当然の国会運営、委員会運営のはずなんですよ。それが全く無視されて、皆さんは何か野党だけをいろいろ批判するのは、これは民主主義社会で結構かもしらぬが、まずは九一年の十一月二十七日、本委員会で、衆議院で強行採決したでしょう。林委員長、あなた、こっちからあっちまで連れられていって、わけのわからぬ形で、あなた強行採決する。採決存在しないんだよ、あなた、実態はね。  さらに九二年の、この法案というものは既に四つの国会にかかっていますよ。皆さん、たしか。九二年六月五日未明にまた参議院においても強行採決。一体宮澤さんの顔は強行採決の顔ですか。あなたの議会主義、民主主義とか、あなたの人格を疑わざるを得ない、本当に。  そして、きのうに至っては議院運営委員会でも、我々はこれだけ重たい法案、これだけ国民からも、世論が二つに分かれている、あるいは三つ、四つという見方もあるだろうが、少なくとも私が冒頭に言った憲法上のかかわりとか、指揮指令の問題とか武器使用のこととか、我が国自衛隊は海外に派遣しないというのが基本方針なんだ、国の針路のはずなんだ、憲法上は。それを皆さん自公民だけが勝手に解釈して、変えられるいわれはないですよ、それは。そういうものを、本会議での趣旨説明もさせずに、議院運営委員会で強行採決をして、先ほど申し上げたように、委員会におけるそういう手品的なことをやる。  与党に手をかす野党もいかがなものかとは思うのだが、思うのですが、余りにも、PKO特別委員会での趣旨説明にしても、度が過ぎるんじゃありませんか。こういう事態についての宮澤総理の認識。あなたは、きのうのものは極めて整然と行われたと書いている。整然としなかったでしょう。官房長官、あなたは委員長が指名しない前にそこで読んで、何が何だかわからない。我々が抗議をして席を立ったら、あなたまたやり直しておったじゃありませんか。何がそれが正常か。そういうことに対する首相の見解をまず聞いてみましょう。
  42. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この法案につきましては、本院におきましても長いこと御審議をちょうだいいたしましたし、また参議院におかれましても百時間に余る審議をされました。その間、政府は誠実に御審議に対して、御質問に対してお答えをしてまいったつもりでございます。  国会の運営に関しましては、私が口を挟むべき問題ではないと存じます。
  43. 上原康助

    ○上原委員 あなたは、いつも国会の運営については私が口を挟むものでない。口を挟んでいるんじゃないですか。挟んでいるんです。衆議院の混乱は問題ないと書いてあるじゃないですか。この間の、私がさっき言った衆議院における昨年の強行採決、あれは国会のことだからと言って、与党の皆さんにあなたはいじめられて、怒られちゃって、後で修正したんじゃないですか。都合のいいときは国会のことは国会のこと、私は総理大臣でありますと居直って、それは通りませんよ。宮澤内閣進退きわまれり。支持率は、不支持は四二%。これは死に番だ。  そこで、委員長にも申し上げておきたい、本論に入る前に。  私たちは、一昨日の理事懇、きのうの理事会でも、これは確かに審議時間を云々すれば、衆議院でも先国会でやった、参議院でもまあいろいろ審議をされてきたということですが、だが、冒頭言いましたような疑問点というのは、まだまだ解明されていない、たくさんあるんですよ。それを本会議も、趣旨説明もさせないで、委員会でもそういう、ちょっと五、六時間ないし七、八時間審議をすれば強行採決をしようという、どうもそういう感じがしないでもない。  社会党のこの法案に対しての、本委員会で新たに審議をする修正案を含めて、我々が提起をしていることを明らかにしておきたいと思うのです。  自民党はどのような審議方式をとりたいのか、案があれば明示をされたいと我々は言いました。それを参考にして日程協議に入ろうと言うが、いまだに全体どういうふうにやるかは明らかにしていない、皆さんは。そして法案は、いろいろ言っておりましたが、ガラス細工どころか粘土、どろどろしたモザイクだよ、これは。  法案は根本的な修正になっているので慎重審議をやるべしである、そして総括、一般、参考人の意見聴取、締めくくりと、予算委員会並みに審議をやるべきだというのが私たちの提案でしたね。これは覚えていらっしゃるね。一人おおむね三時間以上、審議日を特定をして土曜、日曜は審議しない、こういうことでやろうという提案に対して、聞く耳を持たずにやっておる。よもやきょう六時間十分審議をすればあとは強行するということではないでしょうね。これは委員長にこの席ではっきり言っておいてもらいたい。
  44. 林義郎

    林委員長 私から上原さんの御質問に対しましてお答えを申し上げておきます。  いろいろと御意見ありましたが、理事会におきまして、上原さんも理事でございますし、いろいろと御相談を申し上げておるところでございます。実を申しまして、きょうの昼間も休憩時間中をかりまして理事会をとお願いをしておったのでございますが、残念ながらできておりません。私はできるだけ各党の御意見を、いろんな形の御意見ございますから、御意見を聞きましてやってまいりたい、こういうふうに考えておりますことをこの機会に申し上げておきたいと思います。
  45. 上原康助

    ○上原委員 林委員長も、大変お顔は優しい、ハト派みたいに見えるのだが、大体さっき言った強行採決を繰り返している間にだんだん強くなったのか人が悪くなったのか、そういう国会のルールも無視する、与野党の合意も全くもう聞く耳を持たないという態度は、私たちは承服しがたいですよ。十分審議を尽くすことを強く求めておきたいし、我々が理事懇、理事会並びに今私が我が党の主張していることについて、聞く耳を十分持っていただきたいと思います。  そこで、このPKO法案の担当大臣である加藤官房長官お尋ねをしたいと思うのです。  これは関連高沢委員が具体的にはお尋ねをいたしますが、既に衆議院の予算委員会参議院の予算委員会でも、倒産した共和からの加藤長官に対する献金問題は取り上げられました。これは会議録を読めばおわかりのとおり。あなたは、そういうことはない、しかし事実については調査をしたいというような含みの言葉もたしか答弁なさっているはず。最近報道で明らかにされていることによりますと、加藤氏に倒産共和から一千万の政治献金があったということが明確になっている、報道によると。これは単なるあれではなくして、相当この献金の証拠については、何といいますか裏づけがあると私たちは見ざるを得ない。  この事実について、PKO担当大臣、これだけ重要な法案を、もしも疑惑のあるままに私たちがこの重要な法案審議をするということは、これは国際的にも大問題。今政治の浄化あるいは政治改革を与野党挙げてやろうというときに、担当のPKO法案趣旨説明をし、担当大臣が仮に政治スキャンダルがあるようなものを解明をせずして、この法案審議というものを十分にやることはなお難しい。その意味で官房長官見解を聞きましょう。
  46. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 御指摘でございますけれども、その共和の問題とPKO審議の問題は別だと存じております。共和の問題は私個人の問題でございますので、そういう御理解で御審議を進めていただければと思います。
  47. 上原康助

    ○上原委員 私の質問には答えずに、PKOと共和の献金問題は別な問題だからと。別の問題だがあなたが担当大臣と言っているんだ、私は。担当大臣たる者がこういう疑惑を持たれたまま質疑をするのは我々としては承服しがたい面があると言うのだ。やらないとは言っていない、まだ。審議やらないとは言っていない。こういう事実の指摘に対して、報道に対してあなたはどう思うかを答えなさいと言っているのですよ。
  48. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 そのいわゆる一千万の問題、私には記憶がございません。また、私たちの方の資料で調べましても、その事実はございません。その問題につきましては、私御答弁申し上げたいと思います。ただ、これは私個人の問題でございまして、PKO問題とは違う問題であろう、こう考えております。
  49. 上原康助

    ○上原委員 これを個人の問題と言ってすりかえるほど軽い問題じゃないですよ、それは。  それでは、具体的に高沢委員に譲りますが、総理に一言聞いておきましょう、総理に。  あなたのムラの前事務総長もそういうスキャンダルで起訴されて、しかも議員も辞職をしない。また、官房長官といったら内閣の顔でしょう。スポークスマンでしょう。そういう方が、こういう疑惑があるということを新たにかなり実証できるような証拠も裏づけられて報道されておって、こういうことについて総理はどうお考えですか。
  50. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 当委員会は、政府が御提案をいたしております法案について御審議をされるための特別委員会と承知しておりますので、どうぞ法案につきまして御審議を賜りますようにお願い申し上げます。
  51. 上原康助

    ○上原委員 それは質問する権利があるんだよ、我々は。関連あるんだから、あなた。提案者じゃないですか。  それでは高沢委員に譲ります。どうぞ。
  52. 林義郎

    林委員長 この際、高沢寅男君から関連質疑の申し出がありますので、これを許します。高沢寅男君。
  53. 高沢寅男

    高沢委員 上原委員質問関連質問ということで、若干の時間やらせていただきます。なかなかこの第一委員室活気がありますので、私も上原委員と同じぐらい大きい声でひとつやってみたい、こう思います。  私もまず第一に、かつてリクルートのときに五千株の株を受け取ったあなた、そしてまた今度の共和で一千万円を受け取ったと言われておるあなた、その事実についてはこれから聞きますけれども、そういう疑惑を持たれたというこのこと自体で、あなたはPKO法案の主管大臣が一体できる、こう思うのですか。このことをもう一度私はあなたにお尋ねずみ。
  54. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 このPKO法案審議の貴重な時間において、私個人の問題で時間を使われる状況になっておりますことは、私としても遺憾に存じます。しかし、その点につきましては私の個人のことでございますのでお答え申し上げます。そういうつもりで御審議をいただければと思います。
  55. 高沢寅男

    高沢委員 まず初めに、あなたの倫理姿勢ということからお尋ねしたいと思いますが、ここにあるのは平成三年十一月十五日の参議院の、これは予算委員会です。この問題ではよく佐藤三吾参議院議員が登場されますが、これも佐藤三吾参議院議員質問です。  リクルートの献金を受けたそういう政治家の人たちの言うならば反省あるいは倫理の考え方はどうかということを佐藤三吾委員参議院の予算委員会質問をされて、あなた、加藤さん、あなたは当時国務大臣であった。あなたの見解はどうかと尋ねたのに対して、「政治的には前回の選挙」、この前回の選挙というのは要するに平成二年のあの総選挙、「政治的には前回の選挙で一応のけじめはついているというふうに思っておりますけれども、しかし、政治家個人の倫理の問題としては今後ともずっと自戒の念を持って考えていきたいと思います。」こうあなたは答えている。つまり、リクルートについて、五千株もらったことについて、既に選挙で一応決着がついたと思うが、なお自戒の念を持っていきたい、こう言われた。  ところが、その総選挙のときに、あなたはまさに共和から一千万円を受け取っていたということになるわけであって、このことの事実関係を私はこれから証明しますけれども、そういうことに対して、あなたは一体どういう倫理観を持っておられるか、まずお尋ねしたいと思います。
  56. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 佐藤三吾議員の際に私が申したのは、議事録にもあると思いますけれども一つは政治的な責任の問題、それからやはりもう一つは、政策の判断ミスが我々にあったんではないかというようなことをそのとき答弁したと思います。  そして、その一番の政治的な問題につきましては、選挙が終わって大体それは決着ついたものと思うけれども、今後とも自戒していかなければいけないという気持ちを申し上げたのでございます。やはりリクルート事件は、私にとって大変大きな経験だったと思っております。
  57. 高沢寅男

    高沢委員 そういたしますと、今度の共和事件は、恐らくまたもっと大きな、あなたにとっての経験になると私は思います。  ここで、あなたの政治家としての出処進退にもかかわるということにこの事件は必ずなる、こう思うのでありますが、以下、これからその根拠を申し上げたい、こう思います。  共和の元副社長の森口五郎氏、この森口五郎氏が、今回の共和事件にかかわる使途不明金がたくさんありました。それは、例えば貸付金であるとかあるいは仮払金であるとか等々の共和から支出された金の、それの精算の報告を破産管財人に対して提出をしたわけであります。その提出した破産管財人に対する報告は、だれに幾ら、だれに幾ら、こういうずっとリストになっております。  そのリストの中に加藤官房長官、あなたに対して一千万円、こういうふうに記載されているわけでありますが、この森口五郎氏が、この人は金をやった立場の人です、そのやった立場の人があなたに一千万円を渡したということが、しかも破産管財人に対する報告書の中で出ている。このことをあなたは一体どうお考えか、お尋ねしたいと思います。
  58. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 そういう資料があるということがこの間の新聞の報道にございましたけれども、私たちの方の資料にはそういうものはございません。また、私の記憶にはそういうものはございません。
  59. 高沢寅男

    高沢委員 私たちの方にはありませんと今言われましたが、これは我々の確認によれば、共和の破産管財人の人はこの文書を森口五郎氏から受けた、受け取ったということを認めておられるのです。このことを一体どう思いますか。
  60. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 その破産管財人の方とそういう資料との関係がどういうことなのかは、法律的には私にはよくわかりません。ただ、そういう一千万を私が受け取ったということは記憶にございません。
  61. 高沢寅男

    高沢委員 あなたは大学は法学部じゃないですか。まあうなずいたから間違いない、法学部。私は経済学部ですから、実はあなたよりずっと法律は弱いんだ。弱いけれども、ここに出てくる法律は破産法という法律です。  この破産法という法律では、ある会社が破産する、そこに破産管財人が選任される。その破産管財人というのは、裁判所の監督のもとにあって、その破産した会社の財産の管理あるいは債権者に対する債権の返済等々の仕事を行うわけであります。これはちゃんと破産法という法律で規定されている。  そして今回、森口五郎氏がこの破産管財人に提出した報告書は、まさにそういう役割を破産管財人がやるためのなくてはならない資料として提出をしたものです。この資料は今度は破産管財人から裁判所へ提出されるのです。そういう性格のこれは文書なのであります。このことはあなた、大学の法科を出られたあなたは御存じなかったのですか。いかがですか。
  62. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 法科を出ておったから全部法律わかるわけではないのでございますが、そういう詳しいことはわかりません。  ただ、我々は、先ほど高沢先生おっしゃいましたように、リクルート事件の教訓といいますか、あれに私は懲りましたから、私自身がいわゆる政治資金に直にタッチするということは絶対しないようにしておりました。したがって、そういう意味で、そういう事実はありませんし、そういう記憶はございません。
  63. 高沢寅男

    高沢委員 自分自身がそういうことにタッチしないと今言われましたが、そうすると、あなたの秘書さんとかあなたの家族の人とかというふうな人たちについてもそういうことは一切なかった、こうあなたは言われるわけですか。どうですか。
  64. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 うちの事務所には、尋ねましたが、そういうことはありませんでした。
  65. 高沢寅男

    高沢委員 先ほど言いましたように、森口氏の報告書のこの文書の性格は、つまり公的文書であるということです。決して森口氏が勝手に書き上げた私的な文書ではない。これは、裁判所につながる公的な文書の中であなたに一千万、こう書いてあるわけでありますから、この重みというものを、私は、ただここで、記憶にありませんということでは到底消し去ることはできない、こう思うのであります。  そして、その森口氏の文書によれば、それには備考欄というのが書いてある。備考欄。その備考のところに、これはあなたに対する貸し分、つまり貸し付けた金だ、貸し付ける金だ、こういう備考がついているのでありますが、あなたは森口五郎氏から金を貸し付けてもらったとか陣中見舞いをもらったとか政治献金をもらったとか、それらのいろいろな名目があるでしょうが、そういう金の授受は一切ない、なかった、こうあなたは言うわけですか。いかがですか。
  66. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 先ほど申しましたように、リクルート事件というのは大きな教訓でございまして、そういう意味で私は、政治資金というものに私自身がタッチすることはしないようにあれからしております。そういうわけですから、そういう記憶はございません。
  67. 高沢寅男

    高沢委員 それではもうちょっと進みますが、やはりこの備考欄にこう書いてある。森口五郎氏は新宿のセンチュリーハイアットというホテルであなたと会ってあなたに渡した、こういうことが備考欄に書いてある。これは平成二年の二月、森口氏のメモには平成二年の二月とある。この二月の、じゃ何日かということはまた後で触れますけれども、センチュリーハイアットであなたに会ってあなたに渡した、そこには水町というドクターが立ち会いをした。  この水町というドクターは、委員長、私の調査によれば加藤紘一さんの後援会長なのです。また、この水町というドクターは鈴木善幸さんの主治医なのです。ですからこれは、言うならば宮澤派と大変深いドクターであって、そのドクターが立ち会って森口さんから加藤紘一さんに一千万渡した。非常にはっきりと疑問の余地なく備考欄に書いてある。  あなたはセンチュリーハイアットのホテルへ平成二年の二月、行ったことがありますか。いかがですか。
  68. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 そういう記憶は定かでありません。と申しますのは、私は新宿の三つのホテル、あの区別がつかないのです。ちょっと、何といいますか、幾つか高いのがございますね。そういうところに、ああいうところにいろいろ会議がありますから行ったり来たりはしますけれども、どこのホテルにいつ何日にどう行ったかということを覚えるだけの能力はありません。
  69. 高沢寅男

    高沢委員 それじゃ、こう聞きましょうか。  そのセンチュリーハイアットというホテルとビルの建物としてはつながった形でもう一つのビルがある。そのビルは新宿の第一生命のビルです。今言ったこの水町というドクターのクリニックは、その第一生命のビルの二階にある。それとセンチュリーホテルというのは建物としては何か一つにつながったあれになっている。だから、あなたはセンチュリーハイアットで受け取ったかどうかよくわからぬと言われたが、あるいは場合によれば水町クリニックで受け取った可能性もある。それをあなたはセンチュリーハイアットとあるいは勘違いしたかもしれないというような、そういう建物の関係だということはこの際私は説明をしておいて、そういうハイアットあるいは第一生命ビルの水町クリニック、そういうところは一切寄ったことはない、行ったことはない、こうあなたは言えますか、言うんですか。
  70. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 政治家ですから、そういう新宿のあの三つの大きなホテルのどれかにか行っているということはしょっちゅうあると思います。  それから、水町氏は私の友人でありますし、ある後援会の会長でありますから、彼のクリニックには一、二度行ったことはございます。しかし、それはいつ、どのときに行ったかということを言われても、それは覚えておりません。行っていることは事実でございます。
  71. 高沢寅男

    高沢委員 先ほど言いましたように、水町というドクターはあなたと、あるいは鈴木善幸元総理宮澤派との特殊な関係がある。私たちの見るところでは、この水町というドクターがあっせんしてあなたと森口五郎氏を会わせて、そしてこの一千万の金を提供したということの中には、これは当時あなたは宮澤派の選対責任者をされている。だから宮澤派の選挙資金、こういう性格づけを持って渡したということも十分考えられる。したがって私は、この問題は加藤氏の疑惑であると同時に宮澤派の疑惑であるということもまた言うべきだと思う。  これについて宮澤総理、今の私と官房長官のやりとりをお聞きになって、この一千万の疑惑について宮澤総理は一体どうお考えか、お尋ねします。
  72. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いつも精緻な議論をなさる高沢委員でいらっしゃいますが、その最後のところはちょっと無理じゃございませんか。
  73. 高沢寅男

    高沢委員 それじゃ、当時は彼は宮澤派の選挙責任者をしていた、このことは認めますか認めませんか、総理
  74. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 私が選対責任者でございました。
  75. 高沢寅男

    高沢委員 大体常識として、選対責任者、殊に自民党の派閥は、これは選挙のようなときは金を集めて自分の派の候補者、議員に配る、これが大体自民党の派閥のあり方じゃないですか。それでもって派閥というのは成り立っているんじゃないですか。もらった覚えのある者が、みんなあるだろう。それで派閥というものは成り立っているんじゃないですか。  先般自民党の一年生議員がみんなで、この一年間どのくらい金がかかったと、一億三千万かかった。その一億三千万かかった金の出どころは、派閥からもらった、あるいは党からもらった、ほかにいろいろ企業から集めた。だから、いずれも派閥からもらったというのは必ずあるんですよ。宮澤派がこの選挙という大事なときにそういうことを選対委員長がしなかったとは私はちょっと考えられない。したがって、その親分である宮澤総理、あなたがこの問題を一体どうお考えかということを聞いたわけです。
  76. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 今伺っていますと、もとのお話がちっとも証拠立てられていないので、あとおっしゃったことはどうもお答えのしようがありません。
  77. 高沢寅男

    高沢委員 それでは、私はもう一つ挙げたいと思います。この件についてもう一つ。  この森口氏のリストには、加藤氏のほかに自民党の政治家の名前が何人か出ています。その中には既に亡くなった人もいます。現に生きている人もいます。それらの人も森口氏から金を受け取っておるということになっているわけでありますが、その中の一人である宮越という人物がこの中に、リストに出てくる。この人は、新潟四区で自民党候補として選挙に出て、前回の総選挙で落選した人です。この人が三千万受け取っておるのです。彼は三千万を受け取ったことを、この宮越氏は認めているのです。  そして彼は何と言った。これは借りた金だから、いずれお返しするつもりでいる、こう言っているわけですが、やはりちゃんと受け取ったことを認めておる。あなたと同じ自民党員の政治家が、この森口氏のリストの中で名が出て、受け取ったことを認めておる。  このことと、あなたが盛んに否認されるということの関係は、私は、人間の誠実性の問題として大変問題があるんじゃないか、こんなふうに思います。いかがですか。あなたの同じ自民党員が認めているというこのことをあなたはどう思いますか。それはその人の勝手だと言うんですかな。どういうふうに言いますかな。
  78. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 これは本当にどうお答えしていいかわからないような質問でございますけれども、私は私のことについて今お答えいたしているわけでございます。
  79. 高沢寅男

    高沢委員 ここに共和の「債権者集会における破産管財人の報告書」という文書がある。これは先ほど言いました、法制局長官も当然おわかりだと思いますが、破産法という法律に基づいて選任された破産管財人が債権者を集めた会議を開いて、そしてその債権の償還等をどう進めるか、そういうことの協議をする会議ですが、この会の報告書は当然裁判所へ報告されるわけです。  この報告書の中で破産管財人はこういうことを言っているのです、破産者は昭和六十二年八月――これは違いました。違うところを読んだ。(発言する者あり)これは国民の大いに見ているところでやっているんですよ。  こう言っています。「管財人としては、破産者の政治家に対する資金の流れを調査し、法律上返還請求が可能であるものにつき、その返還請求に着手する所存であります。」それから、その前にこう言っておる。「平成四年一月二二日自民党の阿部文男代議士が破産者副社長森口五郎より収賄したとして逮捕され、同代議士以外にも破産者との金銭等の授受が取り沙汰されている政治家名が報道されています。」  つまり、阿部文男以外にも授受の報道されている政治家がいます。ここに私は加藤官房長官が登場される、こう思うわけでありますが、そういう人に対して管財人は今度はその返還を請求する、こういうふうなことを債権者会議ではっきりと述べておられるわけです。  私の見るところでは、いずれあなたに対して共和の破産管財人から、あの一千万は返してくれと返還の請求が必ず来るだろうと私は思いますが、そのことに対してあなたはどうお考えですか、どのようにお考えですか。
  80. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 高沢先生がいろいろ個人で御推定なさることについてどう思うかと言っても、コメントのしようがございません。
  81. 高沢寅男

    高沢委員 それでは、またさらに次へ、これを具体化するために進みます。  まず、あなたはことしの参議院の予算委員会で、社会党の佐藤三吾氏があなたに質問しましたね。あなたは平成二年の二月十日にセンチュリーハイアットで森口五郎氏から一千万を受け取ったじゃないかと質問した。あなたはそれに対する、そういうことはございませんと否定の答えをされたが、その否定の根拠としては、私は二月十日は東京にはおりませんでした、これがその否定の根拠であります。そういうふうに答弁されたことは覚えておられますか。
  82. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 そう答弁いたしました。
  83. 高沢寅男

    高沢委員 その二月十日はあなたはどこにおられたのですか、それをお尋ねしたい。どこにおられたのですか。
  84. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 大分前の話でございますので定かではないのですけれども、そのとき、佐藤三吾さんからお聞きされた前後、そういう話題がございましたので調べましたところ、岩手県にいたはずでございます。――間違えました。岩手県ではなくて宮城県でございます。
  85. 高沢寅男

    高沢委員 このセンチュリーハイアットでお金の授受がやられたというのは、何か夜の十一時ごろだそうです、ですから、宮城県におられたあなたがその日の夜には東京へ帰ってくるということは十分可能ですね。私はそう思う。  それはそれとして、あと、二月の十日でなくて、いや八日か九日という説もある。それが出てきたときに、やはり官房長官、八日、九日は私は東京にいなかった、これはおとといの総理官邸の記者団との懇談であなたはそういうふうに答えておられる。だからもらってない、こういうふうなことになるわけですが、ではこの八日、九日はどこにおられたのか、御記憶ありますか。
  86. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 選挙の期間でございますので、全国飛び回っていたと思います。八日、九日につきましては、多分四国、九州方面にいたんだと思いますが、そこは今調べて、再調査いたしております。
  87. 高沢寅男

    高沢委員 私がこういうことを聞くのは、あなたの総理官邸の記者団とのやりとりで、二、三日、時間をもらいたい、こう言っているのです。その二、三日、時間をもらって、そのころ自分がどこにいたのか、東京にいなかったということを証明するためのどこにいたのかというものを調べてみる、こう言われたわけでありますが、きょうはもうあれから二日たっている。したがって、二月の十日あるいは八日、九日、そういうときにどこにいたかということのあれは、既にあなた自身調査されていると思うが、いかがですか。
  88. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 確かに首相官邸の記者会見か懇談で、三日ほど時間をいただいて調べたいということを申しましたけれども、その後いろいろ徹夜みたいな状態の後の疲れもございますし、それからもう一つ、当時選挙期間中であったので、私のスケジュールコントロールが東京の議員会館だけではなくて、選挙区の選挙事務所で行われておりました。したがって、その資料を、二年半前、特に選挙の選対本部長の本部のプレハブの住宅の中でやられておった資料をどこかかき集めて、そして正確なことを調べるというので、もうちょっと時間がかかりそうでございますので、それは時間をかしていただきたいと思います。正確にお答えしたい、こう思っております。
  89. 高沢寅男

    高沢委員 私は、この問題における官房長官の対応が、つまり、受け取っていない、受け取っていないということの証明としては、その日は東京にいなかった、これだけがその証明なんです。したがいまして、そのことを逆にすれば、ある日東京にいた、あの選挙の期間中東京にいたという日があれば、逆に受け取った可能性はそこから出てくるということに私はなると思う。  したがいまして、受け取っていないと言うあなた、要するに挙証責任、よく言われますが、証明する責任は、あなた自身の選挙の期間中のいつはどこにいた、いつはどこにいたか、この日程表を私は明らかにする、そういう責任があると思う。挙証責任。  したがいまして、私は、平成二年二月の総選挙告示から投票日までのその期間中の、あなたがいつは山形にいた、いつはどこどこにいた、いつは東京にいた、こういうふうなそういう日程表をひとつ資料としてこの委員会提出されるということを要求したいと思いますが、いかがですか。
  90. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 東京にいたら何をやっているかわからないみたいな御議論は、どういうことかと思いますよ。それで、それはいろいろ問題があったとおっしゃる方が、何日どうしていたかということを尋ねられる挙証の責任は、そちらにあるのじゃないかと思います。
  91. 高沢寅男

    高沢委員 私はこれは逆だと思う。非常に権威のある文書で、一千万を送った側の人が、送ったと言っておる。権威のある文書ですよ。それに対して、私は受け取っていない、こういう場合には、今言った挙証責任は私は加藤官房長官の側にある、こう思う。まさに倫理の問題ですよ。  しかも、あなたはさっきこう言った。東京の事務所の資料もある、選挙中の地元の山形における資料もあるから調べます、こう言っている。そして、調べて報告します、さっきそういうふうにあなたは説明された。だから、それが時間がもちろん早ければ早いほどいい。そういうあなたが自分で調べて、平成二年の二月の選挙中の告示から投票日までの間のあなたはいつはどこにいたという、私はこのリストをこの委員会提出をしてほしい、こう要求するわけですが、委員長、いかがですか。
  92. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 選挙の期間中に私がどうしていたかということを全部示さなければならぬということは、プライバシーの問題もあります。それから、政治的には本来応援に行かないべきところにも行っているというケースもあるわけでございまして、派閥の関係とか、そこまで全部言わなければならぬということは、それはちょっと困るところがあるのです。
  93. 高沢寅男

    高沢委員 いや私は、殊に総選挙さなかの政治家の行動にはプライバシーはないと思いますよ。それはあり得ないと思う。私は、総選挙さなか、殊に選挙の応援で動いておる、それは派閥の関係でぐあいが悪いと言われることはあるかもしらぬが、それは自民党の中の問題ですよ。派閥の間の問題ですよ。しかし、今、金を受け取ったかどうか、このことに関連するその資料として、このことは私はプライバシーということには決してならぬ。やはり政治家はこの場合にはもはやプライバシーはあり得ない、こう思うわけでありますが、私は日程表の資料としての提出は、やはり委員長、そのことをひとつあなたに計らってもらいたいと思います。
  94. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 さっき言いましたように、八日、九日、十日ですか、それの日程等につきましては、できるだけ早く調べて御報告いたします。
  95. 高沢寅男

    高沢委員 八、九、十については調べて報告する、こういうお約束でありますが、それはそれとしてしかと押さえて、私は同時に一全期間のそれもまた要望したいと思います。要望。
  96. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 八日、九日、十日につきましては、ちょっとまだ時間がかかると思いますけれども、できるだけ正確にお答えし、また御報告いたします。(発言する者あり)
  97. 高沢寅男

    高沢委員 主管大臣の資格があるかどうかということをやっている。  そこで、私はもう一度リストに戻りますが、森口副社長は確かにあなたに渡したと言っておる。あなたは受け取っていないと言う。これは一体どうやったら解決できるのですか。片方の人は渡したと言っておる。こちらの人はもらっていないと言う。こういう問題を、どちらが本当かということをやるには、大体、渡したという人と受け取っていないという人がここに一緒に来てもらって、そしてお互いにひとつ話をしてもらうのが一番いいんじゃないですか。  先般、鈴木善幸元総理が参考人でこの委員会に出られました。そのときに、鈴木総理に共和から阿部文男氏を通じて一億円が贈られているという話が当時あったのです。これに対して鈴木善幸氏は、そういうものは一切受けていない、また、そんなことを言われることはまことに心外である、こう言われて、そして何と言ったか。私はこのことについては阿部文男君とここで対決をしたい、こう言われたのです。阿部文男君と対決をしたい、こう言われたのです。私は、この鈴木総理の心境もわかると思う。おれはもらっていない、しかし、阿部文男君が一億を共和から預かって、おれに渡したと言われておる、ではその言われておる阿部君と本当にそういうことがあったかどうかここで対決したい、これは私はそういう鈴木善幸氏の当然の心境だと思います。  あなたは今、一千万受け取っていない、森口副社長はあなたに確かに渡した。そのことは管財人に対する報告書に出ている。管財人から裁判所に出るこういう公的な文書の中にある。すると、このことの実際の正邪を明らかにするには、ここへ、森口副社長も国会へ証人で出てもらう、官房長官、あなたも証人で出てもらって、証人と証人の間で受け取ったのか受け取らないのか、どちらの言い分が本当であるのか、これを私はやるべきではないのか。  大体、この国会では、もともと森口副社長に対する証人喚問があったわけであります。もともと証人喚問の要求はあって、今でもそれは保留されておる。あるいは阿部文男氏も証人喚問の要求があって、今でも保留されておる。あるいは佐川清氏の証人喚問の要求があって、今でも保留されておる。その今でも保留されているという中に森口副社長があるのです。そして、私たちの知るところでは、森口副社長は、これは証人喚問で呼ばれれば喜んで出ます、証人喚問で呼ばれれば私は喜んで出て、私の知っている共和事件の経過をお話をしたい、こう言っているのであります。  したがって、喜んで出たいという人は出てもらって、そして、それに対しておれはそうじゃないよという人も出てもらって、この国会の場においてひとつ証人喚問をやるべきではないのか、私はそれによってこの問題の決着をつけるべきである、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。官房長官、証人喚問にあなたは出る責任があるのじゃないですか。
  98. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 重要なPKO法案審議の際に、私ごとでこんな時間を費やしたことを本当に申しわけなく思います。  ただ私が申し上げたいのは、リクルート事件で私はかなり懲りましたので、お金には直接タッチしないように、それ以来原則を貫いております。したがって、私が受け取ることはございません。そして、その点につきまして、いろいろ今後この国会でどうお調べになるとかという点につきましては、委員会でお決めになることでございます。
  99. 高沢寅男

    高沢委員 私は受け取っていないということを、その当人が受け取っていないと幾ら言ったって、これは客観的な私は証明にはならぬと思う。一方では贈ったという人がいる、渡したという人がいる。この関係は今言いました。私は受け取っておりませんというその言葉だけでは済まない。  したがいまして、私は先ほど言いました証人喚問を委員長に要求するわけでありますが、このことはひとつ委員長、この委員会において十分御審議をいただきたい、こう思います。
  100. 林義郎

    林委員長 高沢君にお答えを申し上げます。  今、高沢さんの御質疑を私も耳を傾けてよく聞いておりました。お話の内容は、加藤紘一君に金が渡った云々ということでありますが、加藤君の方はそういったことは記憶にありません、こういうことで御返事をしておられるところでありまして、その日にちがどうであるか、場所がどうだったか、こういうことでありますが、やはりそこはこの場でやるのはどうであろうかと私は思っておるところでございます。国会におきましていろいろと議論があるところは私も承知しておりますが、この本案につきましては当委員会で議論をするのには若干なじまない問題ではないかと私は考えております。  というのは……(発言する者あり)ちょっと待ってください。御静粛に願います、御静粛に願います。特別委員会でございます。この委員会は、特に必要ありと認めて、案件または常任委員会の所属に属しない特定の案件につきまして特別委員会が設けられておるわけでありまして、当委員会におきましては今かかっておりますところの法案についての審議をするというのが私はこの特別委員会の本来の目的だと思います。したがいまして、それに関連をいたしまして官房長官の個人的な問題についてのなにはやるわけでありますから、これは全体としての問題だと私は考えますので、本委員会においてこの問題を取り上げることはどうかというふうに思っております。思っておりますが、せっかくのお話でございますから、私は今のような形で処理をしたらどうかな、こういうことをあえて申し上げたところでございます。
  101. 高沢寅男

    高沢委員 今の委員長見解表明ですが、では、どういう場でやるのが適当であるとお考えですか。
  102. 林義郎

    林委員長 お答え申し上げます。  私は、この委員長の席におきまして、どの場でやったらいいかということを申し上げる立場にございません。私は、この問題は国会の問題でありますし、政治倫理の問題としてもいろいろやらなければならないような点があると思います。正直に言ってあると思います。しかしながら、それはどこでやるかというのは国会全体でお決めになる話ではないかと私は考えておりますので、それでそのようにお取り計らいを願いたいと思います。
  103. 高沢寅男

    高沢委員 私は、このPKO法案審議の前提として、主管大臣である加藤官房長官にこの疑惑があるということから始めたわけです。したがいまして、今委員長のそういう見解表明がありましたが、このことの扱いはひとつ理事会において十分協議をしていただきたい、このことをお願いいたしたいと思います。いかがですか。
  104. 林義郎

    林委員長 委員長から申し上げますが、先ほど高沢君に申し上げましたように、私はそういった見解を持っておりますから皆さん方の御了解をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  高沢君の御質疑を続けていただきたいと思います。
  105. 高沢寅男

    高沢委員 これでもう私、関連質問のあれは終わるわけでありますが、最後宮澤総理に、先ほ ど来加藤長官のこの問題をやってきたということは、つまりPKOのこの重大な法案の主務大臣にかかわる疑惑としていいのかということでもってお尋ねしてきたわけですから、あなた、官房長官宮澤内閣のまさにかなめの人であります。かなめの人であって、この法案の主管大臣という非常に重要なポストにある。この人の今の疑惑ということについて、内閣総理大臣としてこのままに、本人は知りませんということでもって済ましていいのかどうか、この辺はあなた、総理大臣として一体どういう御見解が、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  106. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまの御質問に関する限り、加藤官房長官のこの法案の主管大臣としての適格性を疑わなければならない理由はないと思います。のみならず、この法案は内閣全体の責任において御提案をいたしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。
  107. 高沢寅男

    高沢委員 それでは、私の時間が終わりましたから、また上原委員に交代いたします。
  108. 林義郎

    林委員長 上原康助君。
  109. 上原康助

    ○上原委員 ただいまの加藤官房長官に対するこの疑惑については、我々は解明をすべき重要な倫理案件だ。しかも、それはPKO法案の主管大臣である以上、本委員会でこの問題を議論してよくないということじゃない。ぜひひとつ理事会でこの問題について協議をするように、強く求めておきたいと思います。  そこで、もう一度確かめておきたいわけですが、官房長官、あなたは予算委員会での先ほど指摘しましたようなお尋ねについてもそれを査定しておられる。リクルートで懲りだから、政治献金についてあなた自身はもうタッチしないんだ。あなた自身がタッチしなくても、あなたの秘書なりあなたの周辺の人がそういう献金を受け取ったかもしらない。否定なさったんなら、もしその事実が明確になった場合、あなたはどういう政治責任をとるのか、その点は改めて聞いておきましょう。
  110. 加藤紘一

    ○加藤国務大臣 いろいろな秘書がおりますので、全部聞いてありますけれども、その事実はございません。それで、秘書にそういうようなことがあった場合には、それなりの責任をとらなきゃならぬと思っております。
  111. 上原康助

    ○上原委員 これは今までも、ロッキード、リクルート、共和、また新たな案件として出ているわけで、そのことは、ただ私個人はリクルートに懲りだからタッチしていないと言うだけで疑惑が晴れるものではないと思う。主管大臣というよりもだ。しかも宮澤内閣の主要な閣僚でしょう。そういう方が、マスコミ報道でこれだけ問題だという指摘があるということは、十分総理を初め御本人も、このことについては重大な問題解明をする責任があるということを強く改めて指摘をしておきたいと思います。先ほどからこのPKO法案審議をしなさいということを盛んに言っているわけですが、関連がありますから、そこは御理解をいただきたいと思います。  そこで、修正案を含めて本論に入りたいわけですが、私は、宮澤総理、ここまで我が国の国際貢献はどうあるべきかというテーマでいろいろ議論をしてきましたが、冒頭申し上げましたように、参議院から衆議院に案件が修正案を含めて回付をされてきて、もしもう少し我々が主張する本会議における趣旨説明、あるいは委員会においても先ほど申し上げた審議日程等を含めて自民党与党あるいは自公民言うところの修正案をお出しになった皆さんにもあれば、できるだけ、極めて厳しい、難しい選択ではあるけれども、社会党が主張している別組織あるいは非軍事、民生、文民ということも含めて、与野党が合意形成ができる道はないのかということを最大限に模索をする努力はできるのじゃないかというわずかな期待もあったのですよ。あった。だが、それは皆さんの方からぶち壊してしまった。極めて残念ですね。  その意味で、ここまできますと、時間の範囲内で、私の持ち時間の範囲内で、修正案を含めて問題点を指摘をいたしますが、もうこのPKO法案の問題点はただしていかなければいかないこともさることながら、十分な審議時間は依然として必要でありますが、ここまできますと、これはやはり憲法にかかわる重要な案件なんですよね。  同時に、戦後四十数年、我が国は海外に自衛隊派遣しないという国是があった。憲法上もそれはできないというのが一般的な、一般的というか政府憲法解釈でもあった。こうなりますと、これは国民に信を問うに足るべき重要な案件であるという認識で私たちはやっているのですが、総理はどうお考えですか、この点。
  112. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これらの法案につきましては、既に本院におきましても長いこと御審議をいただきましたし、また参議院においてもさようでございました。再び本院で御審議を願っておりますが、幾つかの会期をかけまして両院において極めて慎重に御審議を願っておりまして、十分疑問点等についても政府としても誠意を持ってお答えをいたしたつもりでございます。  したがいまして、新たに民意に問うべきものは別に残っていない、さように考えます。
  113. 上原康助

    ○上原委員 新たに民意に問うものは別に残っていない、それは総理の御見解であって、我々残っていると言うんですよ。国民もそうおっしゃっている。これだけの重要な案件を自公民だけで決めるとは何事かというのが、今国民の怒りの声じゃないですか。  そこで、なぜ私がこのことをお尋ねするかといいますと、本論に入る前に、なぜ我々は国民投票あるいは国民に信を問うべきであるということを言うかといいますと、欧州統合におけるデンマークの国民投票の件について、総理は御存じですか。あなた、外務大臣だ。
  114. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 詳しいことはともかく、一応のことは存じております。
  115. 上原康助

    ○上原委員 それはどういう内容で、どういうふうになっているんですか、じゃ。
  116. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 一応の理解でございますけれども、いわゆるマーストリヒトによってできました条約にデンマークが加盟してよろしいかどうかということが一般に民意に問われたというふうに、詳しくは存じませんが、承知しております。
  117. 上原康助

    ○上原委員 大筋、今御答弁のとおりですね。先ほどデンマークで、今おっしゃったように欧州連合への参画についての条約の国民投票が行われているわけですね。僅差で否定されたのです、それは。国民投票というのはより直接民主主義に近いもので、ある点で、我が国には憲法改正という面では国民投票というのがあるわけですが、国の重要な方針に関する重大な決定事項については、先進欧州諸国家というのは、ほとんど国民投票か議会を解散して信を国民に問うというのが憲政の常道であり、王道なんだよ。  あなたが本当にこの問題について憲法上も疑惑がない、あるいは国民の多数が自衛隊を海外に派遣しても問題ないという判断をしているかどうかは、まさに国民に信を問うという、そのくらいの大きな政治課題なんです。選択肢なんです、これは。選択問題だ。なぜそういうこともやらないで、野党の意向をことごとく踏みにじる形でこの問題を急いで処理なさろうとするのですか。改めて御見解を聞きたい。
  118. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ヨーロッパの場合でも、国によって違いますし、おのおの判断があるのだと思いますが、例えばイギリスなどは我が国と似たような議院内閣制をとっておりますけれども、ただいまのところ、イギリスのメージャー首相はこれを国民投票に問う意思はないというふうに私は存じておりますから、それはそのおのおのの国のやはりやり方、習慣等もあるのであろうと思います。
  119. 上原康助

    ○上原委員 それはイギリスがどうのこうのというあれじゃないんだよ。イギリスは、それは重大な問題だということで、あなた、この間の総選挙やっているんじゃないですか、イギリスは。その中で議論されているんだ。  そこで、きょう私がお尋ねする点に発議者の皆さんもお答えいただきたいと思うのですが、この PKO法案が成立をしなければ解散はないとか、成立なら同日選挙ない、金丸氏見解とか、いろいろ出ていますね。また、けさほど、きのうからきょうの新聞にかけると、固有名詞を挙げると公党に失礼になってもいけませんので、どの党かは、解散に震えて何としても早目にPKO法案を成立させにゃいかぬ、だから心情上は本会議質問も必要とは思うけれども、まあ時間がないから一気がせいにやれというようないろいろな報道がなされておるし、またそういう動きは、大体国会議員ならこの衆参の動きを見ると、政局はかなり重要な局面を迎えつつあるという認識はあると思うのだね。  自公民は、この三党修正案をつくる過程において、解散問題とかそういう政局動向についてはどういう議論をなさったのか、まず公明、民社の方から、天下に明らかにしてもらいたい。本音を言って、本音を。
  120. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 そういう問題については、全く私どもは関知しておりません。
  121. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 自公民修正案に対する話し合いと解散問題とは、全く関係がございません。
  122. 上原康助

    ○上原委員 何もあなた方が全く関係ありますという答弁を僕は期待して聞いているのじゃないのです。それは、関係あったなんて言ったら人ごとだよ。たがね、(発言する者あり)もっと怒りなさいよ、もっと怒れよ。だが、公明党の答弁よりは民社の方が、まだ少し誠意がある答弁だったね。  そこでお尋ねしますが、これは何も私は作り事を言っているわけじゃないですよ。そう言うに疑わしい根拠があるから僕は尋ねているのです。今日の事態はそうじゃないですか。解散回避のために、これだけ憲法上も疑惑があり、武器使用問題、コマンド、指揮権の問題、国会承認案件、依然として解明がなされていない段階で、特定政党が解散を回避するとか解散をやるとかいうような前提で、これだけの重要問題を、しかも野党第一党の社会党を抜きにしてやるというのは我々は断じて容認できない。できない、それは。できない。  もしそうであるならば、そうであるならば法案を通さぬ前に解散するべきだよ、法案を通さぬ前に、総理。(発言する者あり)そんな無責任とかなんとか言うのなら、よく聞いておけ。王道じゃないですか。法案成立なら同日選挙はないと言いながら、一方では宮澤首相は、PKO法案成立て解散と首相は言ったと、これはどこかの委員長が言っているのじゃないですか。総理、あなたもそういうことは言わないと言うかもしれませんが、少なくとも解散問題が絡んでいることは間違いない。したがって、我々は、これは冒頭申し上げましたように、欧州諸国においても国の針路にかかわる重要な政治案件あるいは基本政策については、大変更するときはやはり国民に信を問うのが憲政の常道であり、国民もそれを期待していると思うのですよね、宮澤さん。  しかも、これだけあなた、もうずたずたにされたものを何とかつくり細工をして通そうなんというのはもってのほかだ。どうですか、この際。この際、国民に信を問うに値する問題でしょう、この国際貢献法案というのは、協力法案というのは。それを何で自公民だけで、公式の場ではそう言いながら、明らかにそれは政局絡みで進展してきたことは間違いないのです。だから、きのうのようなああいうことをやるんだよ、我々の意見を全く踏みにじって。だから法案を、本当に国民がこの自衛隊派遣についてどう考えているのか、この際あなたの政治理念に訴えて信を問うたらどうですか。
  123. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 参議院におきまして大変長いこと時間をかけて御審議をしていただきまして、その結果が修正ということで本院に送付になったわけでございますので、どうぞ本院におかれましても速やかにひとつ御審議をお願いいたしまして、成立をして、政府国連平和維持活動貢献ができますようにお願いを申し上げます。
  124. 上原康助

    ○上原委員 私がお尋ねしていることにはあなたはお答えしないのだよな。  じゃ、もっと端的に聞きますよ、単刀直入に。金丸副総裁は、通りたら解散はしないと言った。あなたは、通ったら解散すると言っている、通ったら解散したいと。法案が通ったら、成立したら解散したいと。どっちが本当なの。
  125. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そういうことを言ったことはありません。
  126. 上原康助

    ○上原委員 それはそうでしょうね。それはそんなことは言わないと言うでしょう、解散問題は。  だが、私はあえて公民の皆さんにも念を押しておきたいわけですが、解散問題と公定歩合はうそついていいというのが国会の常識なんだよ。だから、これは土壇場まで、伝家の宝刀を抜くまで総理は解散するなんて言わないはずだ。きのうだって約束守らない、あなたのムラの事務総長だって。これは野党の友情で僕は言っておくのだが、公民も、解散がないから、解散しないという約束が裏であったから、この法案を会期内で通すために一生懸命汗をかくという、裏をかかれたら後で本当に……。そういうことも政治の世界はあり得るということを考えて、この問題には対処しなければいかない問題だということを念を押しておきたい。  今の私のお尋ねに対してどうお考えか。
  127. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 いろいろとおっしゃっておりますので、お答えをさせていただきたいと思います。  上原さん、私もお気持ちはよくわかるのです。しかしながら、私ども発議者ですから、発議者の立場として申し上げますと、少なくともこのPKO法案は、私どもはこれからの新しい日本の国際貢献あり方をどうするかというふうな意味で大変大事な問題である、そういうふうに思っております。ですから、できるだけ多くの皆さん方の御理解をいただきたい、また、たくさんの皆さん方の御賛成をいただいて、この問題の審議が行われるべきである、こう思っておるわけです。  私ども公明党も、上原さん、社会党さんも入ってほしい、こう私どもは考えてきたわけです。ですから、参議院段階の審議の終盤になりまして、御存じのとおり自公民三党のいわゆる幹事長・書記長会談が行われました。あのときにも私どもは、社会党さんぜひ入ってもらいたい、私どもの書記長が申し上げまして、何とか社会党さんも御協力をいただきたい、そして御議論を一緒にやりたい、そういうふうに申し上げてきたわけです。  ですから、私は参議院のあの審議の席上に座っておりまして、しみじみと感じたのでありますが、この衆参の審議の状況を通じまして何とか国民合意を得たい、そう思いますから、結局私ども参議院修正いたしました三点は、今度のPKO法案を拡大修正しようなんてひとつも思ってない、いわゆるこの法案の中のいろいろなやることを縮小修正をしたわけです。原案の中の……(上原委員「それは後で聞くよ、質問に答えて」と呼ぶ)ああそうですか。  ですから、私どもはそういうふうに考えまして、社会党さんも日ごろからおっしゃっております、国会承認も入れろとおっしゃっていましたし、またこういう点は問題だとおっしゃっておりました部分凍結した方がいいんだろう、そうすれば社会党さんも賛成してくださるのじゃないかと、そういう点もあったわけです。したがいまして、私どもはそういうふうな意味で、できるだけ今回の問題を皆さん方の御協力を得て、憲法の問題も十分クリアをしてこの法案を見事成立をさせたい、こういうふうに考えているわけでございます。  もう一つ私はしみじみと思いますのは、結論から言いますと、日本の自衛隊をどうするかという問題に結局、終局絞られてくる、そう思います。そういうふうな意味でいきますと、この自衛隊に対するお考えは各党それぞれあって私はしかるべきだと思います。しかしながら社会党さんが、これは自分のところが反対だからほかの党の言うことは全部、我が党が言うことを聞かなければほかの法案はできないよなんという考え方はちょっとおかしいんじゃないか、私はそういうふうに考えております。
  128. 上原康助

    ○上原委員 私は、中身はまだ私の持ち時間ありますから聞きますよ、この問題点は、峯山さん。私が聞いているのは、あなたは社会党の言い分をみんな聞かなければと言うが、あなた方こそ自公民の言い分を全部聞かなければ社会党をシャットアウトしているんじゃないですか。誤解してますよね。  私が聞いているのは、これだけ議論があり、溝がある、意見の違いもある、国民の意見も二分している。国際貢献には六割以上賛成しておっても、自衛隊派遣するということには七割が反対なんだよ。調査のとり方もあるでしょう。そうしますと、峯山さん、公明党さん、あなた方、これだけの大問題を、大きな法案というものを国民に信を問うに値しないという御認識ですか。それに答えてくださいよ。
  129. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  少なくとも参議院段階におけるそれぞれいろいろな問題が提出をされました。そういうふうな一つ一つの問題につきましては、私どもは明確になったと考えております。したがって、信を問う必要は全くないと考えております。
  130. 上原康助

    ○上原委員 何かますます本音がわかるような気がして残念ですね。  そこで、さっき私がデンマーク、あるいは総理はイギリスの件を申されましたが、このPKO法案のときにもよく、スイスは永世中立国だったが国連加盟をしPKOにも賛成をしたんだ、これは外務省のお偉方がよく引用することなんだが、このスイスの動きなどを見ましても、PKOへの全面的な参加に踏み切る法案が作成をされたようですが、やはり来年国民投票にかけると言っているね、国民投票に。  だから、私たちは憲法にかかわる、しかも日本の針路に重大な影響のある政治選択肢、政治選択という課題について、政策課題については、意見が違うからというだけじゃなくして、やはり国民が本当に日本の国際貢献あり方はどうすべきなのか、自衛隊はどう位置づけるべきなのか。幾ら皆さんが五原則の歯どめをかけたとかあるいは修正案で拡大修正じゃなくて縮小修正だとおっしゃってみたところで、さっきの与党質問に対しても、基本は変わらないと言っているでしょう、総理政府も。基本が変わらないのであるならば、PKF凍結してみたところで、やはり憲法上の疑惑というものは解明されていないのですよ。  だから私たちは、これは国民に信を問うに値する法案だと言っているのです。それをただ、解散しますかしませんかと言うと、やらぬというのは当たり前でしょうかね。国民の今の認識というものは、もう本当に信を問うてごらん、どの党が言っているのが正しいのか。その点については、総理は本当にそんなに軽いものと思っていらっしゃるのですか。社会党の主張というのはそんなにでたらめな考え方だとあなたはおっしゃるのですか。それはまじめに答えてくださいよ。
  131. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 まずデンマークの問題でございますけれども、マーストリヒト条約というのは、御承知のようにヨーロッパの十二の国が政治統合するかどうかという、これは文字どおりその国のあり方に関する問題でございますから、それで国民投票にかけよう、あるいはその必要がないという議論が起こっておるのだと思います。  御審議を願っております二つ法案が、私は我が国憲法に関係があるものだと思いません。私どもは、自衛隊憲法違反だというふうに考えたことがない。どうも憲法に関係がある問題だと私は考えていないのです、そもそも。
  132. 上原康助

    ○上原委員 これはとうとう宮澤さんの本音が出たね。あなたは〔僕はもう少し御見識の高い宰相だと思っていた。違憲だと思うかどうかは見解の違いもあるかもしらぬけれども、そもそもPKO法案憲法とは関係のない法案と本当に思うのですか。そうならおれは審議できない。だめだよ、今の答弁は。冗談じゃない。
  133. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 およそ日本じゅうの出来事で憲法に関係ないなんというものはあり得ないのです。何事でも憲法に関係があります。私の言ったことは、違憲だというふうにおっしゃるから、そのことに関係がないと言っているのです。
  134. 上原康助

    ○上原委員 こう言えばああ言う。御答弁をすりかえてはいかぬですよ。あなたは今憲法とは関係ない法案だと言った。憲法学者は見て、みんな憲法と関係があると言う。じゃ、それをやりましょう、憲法と関係があるようなところを。冗談じゃないですよ、憲法と関係がないなんて。憲法と関係があるから、これだけ議論になっているのでしょう。
  135. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 誤解があるといけませんから。森羅万象日本であることは何事も憲法に関係がございます。それは当たり前のことであって、今憲法に関係がないと申したのは、違憲というようなことに私どもは思わない、こう言っているわけですから、誤解ないようにお願いします。(発言する者あり)
  136. 上原康助

    ○上原委員 もう少し元気のいいやじ飛ばしたらどうなんだ。  憲法と関係がないという総理の御認識はいささか問題だと思いますが、我々は、これは憲法の九条、あるいは皆さんがよくおっしゃるその前文と十分に関係があるし、またその疑義については解明されていない。だから、自衛隊を組織ごと海外に派遣をし、派兵への道を開こうとすることは容認できないということを言っているわけです。あなたがおっしゃることと我々が言っていることがどちらが正しいかという判断は信を問う以外にないと言っているのが社会党の主張なんですよ。この点を明確にしておきたいと思いますね。  そこで、三党の修正案の件についてそろそろお尋ねをいたしますが、憲法とのかかわりとの関係も含めてお尋ねをしますが、従来は、国際平和協力法案審議をした場合は、いわゆるPKF等の活動については憲法上疑義がある、したがって、そういったPKF活動には我が国自衛隊派遣は難しい、できない、これが憲法解釈でしたね、法制局長官。
  137. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答えいたします。  ただいまの委員お尋ねでございますが、それにつきましては、まず、昭和五十五年の稲葉先生に対する答弁書から常に話が始まっていることと存じます。  それでその際に、稲葉質問に対する答弁書では、いわゆる目的・任務が武力行使を伴うものであれば、一般的にはそのような個々の事例によってその目的・任務が異なるので、それへの参加を一律に論ずることはできないが、「当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」云々と。それに対して、「当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないわけではないが、現行自衛隊法上は自衛隊にそのような任務を与えていないので、これに参加することは許されないと考えている。」  いわゆる自衛隊法上の問題として整理している、これが五十五年の答弁書だろうと思います。それで従来、このラインでずっとお答えしてきているわけでございます。  今回の法案につきましても、そういう意味ではいわゆる五原則、もうこれは詳しくは繰り返しませんが、五原則に基づきまして、それを織り込みました今回の法案、いわゆる同意なりあるいは紛争の停止といったようなこと、それから、そういったものが崩れるようなときには撤収をするということ、さらには武器の使用について法案二十四条に書いてあるようなこと、こういうことをきちんとその枠組みでまいれば、今のような、我が国が武力の行使をする、あるいは武力の行使と一体化するというふうなことにはならない、したがって憲法違反にはなることはない、これが従来この委員会でもお答えしてきたところでございます。
  138. 上原康助

    ○上原委員 それはもう相当耳にたこができるほど聞かされた。だが、それは五原則をつけたからといって解明されていないのだよ、あなた。  五原則というのは、私はこれは誇りを持って言える、自信を持って言えるが、これは国際協力をする場合の各国の普遍的原則なんですよ、あなた。日本だけがそれをつけたから日本の憲法、平和憲法に矛盾しない、抵触しないという解釈にはならないのだよ。それはあなたたちの詭弁なんだよ、解釈改憲なんだよ。だから、その疑惑については見解の相違とかそれで片づけられる問題じゃないんだよ、あなた。しかも、自衛隊法改正したんですか、じゃ。自衛隊法を改正しなければできないというのに、自衛隊法を改正されていないのじゃないですか。憲法も拡大解釈、自衛隊法もなし崩し。じゃ、これは、憲法論争はやったって僕の能力では無理だが、法制局長官、これだけ聞いておきましょう。  あなたは、海外において武力行使をしなければ何でも合憲だと、あなたの言い方は。そういう御認識ですか。我が国憲法はそうなんですか。それは憲法のどこと自衛隊法のどこによって、自衛隊を海外に派遣しても我が国みずから武力行使をしないのだから憲法違反じゃないんだと。いつの間にか、多国籍軍後方支援に対しても国連が要請したら全部出ていって、武力行使はしないんだ、こういう発展的な構想さえ今取りざたされているわけでしょう。その面で私たちは歯どめが必要だと言っているんだよ。五原則は普遍的原則なんだよ、国連の。こういうことで、五原則をつけたからとか、その前提の四原則があるからというだけでそれはいかない。  今の私の質問だけに答えてください。あなたは、武力行使を伴わないんだから、我が国みずからやらないんだから、自衛隊がやらないんだから何でも合憲だ、そういう御認識ですか。そんな憲法解釈ってどこにあるの。
  139. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 まず一点、自衛隊法の関係で申し上げますと、今回の法案自衛隊の行動を規定しておりますと同時に、この法案の附則におきまして自衛隊法の一部改正をしまして、その間の整合性をきちんととっている、かように申し上げられると思います。  それから二番目に、いわゆる海外に出ることそれ自身の問題でございますが、これは従来から、海外派兵、これは法律用語ではございませんので、過去何回も繰り返して政府側から御答弁申し上げていると存じますが、そういう意味で海外派兵という問題が憲法九条との関連で問題になってきている、その自衛隊の限界との関係で問題になってきている、かようなことだと存じます。そういう意味で、「いわゆる海外派兵とは、一般的にいえば、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである」、これはもう繰り返し申し上げておりますのでこれ以上申し上げませんが、そのような海外派兵、これは「一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。」  他方、武力行使の目的を持たないで自衛隊部隊を海外に派遣すること、これは武力行使をそもそも問題にしております憲法九条との関係で許されないわけではないということでございまして、これは昭和四十八年当時あるいは昭和五十五年当時このようなことを何回も申し上げているということでございます。なお、四十八年、五十五年のはそれぞれ代表例でございます。
  140. 上原康助

    ○上原委員 法制局長官はいつもそこだけしか見ていないから困るんだが、武力行使を目的としないからとか、あるいは、派兵は困るけれども、派兵ではない派遣なんだと。昔は派遣と言ったのよ、軍隊の派遣と。軍隊の派遣は派兵なんだよ。それは言葉のあやであって、あなたは今、派兵も法律用語じゃないと言った。派兵という法律用語がなければ、じゃ派兵は何ですか。法律用語じゃないですか。  我が国は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」んだよ、あなた。PKFの場合は……(発言する者あり)あんな愚問なやじがあるから、あえて言いましょう。  停戦監視団については、割って入る場合もあるわけでしょう。紛争が再発したら、それを再発させないために武器使用の場合もあるわけでしょう。これは常識なんだよ、あなた。そのぐらいのPKFの原理も知らぬで、戦争はしないと。戦争をするのが目的でないことは、これ百も承知。百も承知。だが、停戦になっても、再発があるかもしらぬ。紛争再発はある。紛争再発のおそれのある場合は、軍隊は、PKFは割って入るんだよ。割って入るときは武力の行使が伴うんだよ。  これについては発議者はどう思うの。この点が憲法とのか。かわりにおいて解明されてないから、私たちは憲法上、疑義、問題があると。だから皆さんは、今やじが私の頭をひらめかした。だから皆さんはPKFを除外したのでしょう。除外というより、凍結しようとしているわけでしょう。これはまさにインチキなんですよ。あなた方は、PKFPKOというのは戦争をしに行くんじゃないと。それはそうでしょう、目的は。だが、PKFというのは、停戦監視団というのは、合意、同意ができても、今ユーゴスラビアはどうなっていますか。カンボジアはどうですか。カンボジアもドンパチやっているでしょう、また実際問題として。  そういうときは、PKF活動というのは停戦監視団ではあるけれども、再発した場合には割って入るんだよ。だから軍隊行動なんだ、それは。それについてどう解明するの。
  141. 岡野裕

    岡野参議院議員 上原先生お話、私ども修正提案をしました部分とは違う、つまり政府原案の中にある関係の部分だ、こうは存じますけれども、あえて発議者からという沖縄開発政務次官以来おつき合いをいただいております先生お話でありますので、あのときは、沖縄本島と先島間の電話料金を一通話三百六十円を三十円にまけようじゃないかというお話でありました。きょうは、先生のところからカンボジアまでといいますと私の田舎の東北からよりはずっとカンボジアに近い、それの関係の話であります。  先生おっしゃいました。PKOといいますのは、定まった概念がありません。実定法、言いますならば国連憲章の中にはございませんですね。したがって、先ほど工藤長官お話しになりましたけれども、五原則というのはもともとPKOの中にあるじゃないかというお話がありました。今までの積み上げの中では、やはり停戦合意がある、それから当該国等からの来てよいという同意があるというようなことがPKOの前提だというように概念されていることは事実でございます。  しかしながら、私どもはそういう概念だけではぐあいが悪いということで、今回政府原案にありますところの法律には、第二条のところに、武力の行使、武力による威嚇、こういうものであってはならないと。先生、条文をたくさんそこにお持ちのようでありますので、ちょっとごらんを賜れば、二条の第二項というのがございます。「国際平和協力業務」、これは本法に書かれておりますところの我々のPKO部隊が営むその行為でありますが、したがって一般論的なPKOPKFではありませんけれども、我々の「国際平和協力業務の実施等は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない。」というのが、先生、明言をされているわけであります。  そうして、一般的に概念をされているだけでは先生おっしゃるように不安だと思われる方もおいでだろうということで、先ほど来お話が出ました我々の五つの条件というものを各条項にそれぞれ明記をいたしました。  もう一度繰り返しますと、要するに停戦合意がある、それから当該国、当事者からぜひ来ていただきたいという同意がある、この二つの条件、そうして、中に入る以上は、我々のPKO部隊は申立てあらねばならない、いずれにも偏ってはならないということがございます。それから、最後 に武器の使用がありますが、あえて細かく言いませんが、四番目に中断あるいは撤退、つまり業務の終了ということがこの法律の中でうたわれているわけであります。  したがいまして、一たん停戦になったけれども、その後焼けぼっくいに火といいますか、というようなことがあって、武力行使にわたるような場面がそこに出た場合には、我々は業務を中断をする、中断をしてしばらく様子を見ておりまして、なかなかそれが火が消えないということでありますならば、私ども国会に報告をいたしております。その計画等々の変更ということになるわけでございますので、そういう手数を踏みまして中断、業務の終了を行うということであります。  中に割って入るという一般的な、まあ学術用語にありますところのPKFではなくて、我々、こういう場合にはどうだ、こういう場合にはどうだということを細かく書きおろしておりますところをぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  142. 上原康助

    ○上原委員 全く政府の答弁と同じじゃないか。何にも変わってない。
  143. 岡野裕

    岡野参議院議員 私ども修正部分に係るところでありません、政府原案にある部分でございますので、勢い政府答弁と一緒になってしまうというおしかりは御勘弁を賜れば、こう上原先生、思いますが。
  144. 上原康助

    ○上原委員 いや、いや、いや、そんなあなた、上原先生とか元沖縄開発政務次官だったと言っても、それは今の答弁は納得できません。  たがら、あなた方の認識がおかしいんだよ、それは。合意、同意、中立というのは、何も日本だけの原則じゃないんだよ。これは世界各国共通の交通信号の青と同じだよ、あなた。それをもってして、それをもってきて、平和憲法がある、さっき言った九条がある、解釈があった、五原則づけたからPKFは大丈夫だ、憲法に何も違反じゃないんだと言う。合憲じゃないんだよ、それは。違憲だよ、それは。どっちに無理がある、本当に。全くあなたは政府の言っているのと同じじゃないですか。  ですから、じゃ峯山さん、余り指名すると何か後方支援の方からいろいろあるので困るんだが、皆さんはあれですか、公民の方々は、本当にこの原則をつけたから、私が今言ったでしょう、恐らくこれだけの法案修正をして出されるというからには、相当これは国連のSOPにしても、スタンダードにしても、いろいろお調べになって、しかも自公民であなた、これから未来永劫にやるかもしらない。これはいろいろさっきあなた方の意見に賛成したらといっても、そう簡単に賛成できるわけがない。  全く、私が言うように割って入る。だから武器使用も束ねてやるとか、各ばらばらでやるとか、いろいろちんぷんかんぷんな防衛庁長官の答弁もあったんだ。本当にこれは、PKF活動を、じゃ凍結した理由は何ですか。それから、凍結という法律用語があるのかどうか。
  145. 岡野裕

    岡野参議院議員 先生凍結部分といいますのは国会承認をいただく部分と全く同じでありまして、自衛隊部隊として、先生そこに条文があればと存じますが、PKF本体部分、これに参加をする場合、これを凍結をいたしたわけでございます。  凍結をいたしましたその理由は何かと上原先生お話でありますけれども、私ども日本人は、江戸っ子というのは勝ちか負けかはっきりしろなどというようなこともありますと同時に、陰影礼賛などというようなこともあるわけでございますね。そういう意味合いで、このPKFという活動我が国としては初めてであります。戦後、一九四八年以来四十四年の間に、数えて二十七回もPKO部隊というものが編成をされ、それぞれ活動をしているわけであります。その中で八十カ国、五十万人の皆さんが参画をしている。だけれども、日本は、今までの例としましてはわずか選挙監視ぐらいなところで、三十数名ぐらいでありましょうか、その程度の協力しかいたしておりません。世界のGNPの一五%も占め、国連常任理事国にもなっているというようなことでは、まあいかがなものであろうか。なるほど湾岸、お金の貢献はしたけれども、人的の方はどうであったかというような批判というものもないわけではございません。  そういう意味で、我々としては、もう全体で五十万人も行っているのに三十何人だというのでは非常に数が少のうございますというような意味合いで、初めて参加をする、参加をするということについて経験を積む。しかもこのPKO全体の世界の歴史的動きの中では、ここ数年来、非常に大きな中身の変化というものもございます。そういうような意味合いで、我々は三年間の経験を積み内外の御理解も得る方が、この方がいいのではないかというような意味合いで、(発言する者あり)今お話が出ましたような意味合いでの凍結をして様子を見ようという意味でございます。ぜひ御理解を賜りますようお願いをいたします。
  146. 上原康助

    ○上原委員 せっかくの御答弁ですが、それはこれだけの大問題というか、野党から、野党というか我々から指摘がなされて、今私が言っているのは、あなたは勝ち負けを決めるとか、国民の間にあるいはうるさく指摘をする人々もいるから、いみじくも今ステップ・バイ・ステップと言いましたが、ほとぼりが冷めるまでは三年間くらいPKFについては温めておこう、そんないいかげんな修正案ですか、これは。  明らかに、私が今言っているようなPKF活動については、確かに武力行使を目的とするとか戦争をしに行くんじゃない、これはよく言っているね、どの党も一生懸命言っている、憲法は問題ないと。だれも戦争しに行くと言っていない。社会党だって国際貢献やるべしと言っているのです。だが、行けば、PKFの場合は、さっき言ったように、紛争停止の合意はできているけれどもやはり再発のおそれがある。再発をした場合は、ユニットだろうが、そういう行動に出るのです、それは。おそれがあるのですよ。十分に可能性があるのです。現にそういう例はたくさんあるでしょう、PKF活動について。そのことは憲法の武力行使の問題ともかかわりが出てくるから、皆さんはそういうことを隠そうとしてPKF凍結ということになっているんじゃないの。何でもっと素直に読まないの。  問題は、これだけ具体的に指摘をしてもできないじゃないですか、あなた方は。全く、じゃ、割って入るとかPKF活動の場合に、そういうおそれはないというの。断定できるの。いや、あなたじゃない、今度公民に聞きましょう。断定できるの。
  147. 岡野裕

    岡野参議院議員 先生、さっきお話を申し上げましたように、停戦合意があった、にもかかわらず、先ほど、私の表現によれば焼けぼっくいに火だというようなことになった場合には、先生、条文をちょっとごらんをいただければと存じますけれども、第八条というところで「実施要領」というのが規定をされております。  その「実施要領」の中で、これは第二項でありますけれども、実施要領の作成、変更というところで、「国際連合平和維持活動として実施される国際平和協力業務に関しては、前項第六号」、これはすぐ右にございますけれども「国際平和協力業務の中断」、こう書いてございます。その「中断」に掲げる事項に関して「本部長が必要と認める場合」を除いては「事務総長の権限を行使する者が行う指図に適合するように行うもの」というようなことで、この部分は例外になっております。  先生がおっしゃいますように、停戦合意があったけれどもまた戦いの火ぶたが切られだというような場合もないわけではないということをこの政府原案は念頭に置きながら、わざわざ「中断」というような条項を置き、我々は徹底を期するということであります。ぜひ御理解をいただけるもの、こう存ずるわけであります。よろしくお願いをいたします。
  148. 上原康助

    ○上原委員 割って入る、再発がないわけではない。じゃ、そこだけ確かめておきましょうね。中 断、撤収をするようになっているのだ。その中断、撤収の指令はだれがやるの、指揮は。その認識はどうですか。
  149. 岡野裕

    岡野参議院議員 先生、指揮だとかコマンドだとか武力の行使だとか、いろいろ問題があるじゃないかという冒頭の話がございました。そういう意味合いでは、今私が読みましたように、「中断」のところにつきましては、「前項第六号に掲げる事項に関し本部長が必要と認める場合を除きこ「事務総長の権限を行使する者が行う指図に適合するように」実施要領を定めるわけであります。したがって、除かれている部分、つまり中断を現下の態勢の中でしなければならないというような判断は、我が日本から派遣をされておりますところのPKO部隊の隊長が権限を行使ができるというようにこの法律はなっております。
  150. 上原康助

    ○上原委員 指揮権の問題まで入れるかどうかわかりませんが業務計画とかそういうものについては一切、一切というか公表されていない。また、今言う現地指令あるいは国連との関係については、これからその面の専門の我が党の方々が聞きますので、もう少し私が尋ねていることについてひとつお答えいただきたい。  あなた方は、いや、基本は五原則があるから、五原則をつけたから憲法には抵触しないんだ、違反にならないんだ、こう言うのだが、我々の認識というのは、交通信号の赤、青、黄みたいに、五原則というのは国際連合加盟のPKO活動をする各国の原則なんですよ、あなた、これがあるから、だから憲法九条――前文と言うといいところだけみんなあなた方も引用するから、そこまでは言わぬでおこう。九条と十分なかかわりがあり、抵触するおそれがあるから問題だと言っているのに、五原則をつけたから憲法と関係なくこの法律は、総理に至っては、こんな御見識の高いとか、憲法とは全く関係ないなんて、冗談じゃない。絶対、御理解くださいと言っても、それは皆さんの方に無理がある。  そこで、もう一つお尋ねしたいことは、これは発議者の御三名にそれぞれお答えいただいても結構ですが、国連平和協力法案廃案になって自公民合意をしたときには、いわゆる自衛隊とは別組織にする、こういうことでしたね。それは、いつ、どこで、どうして変わったんですか。この法案とは、その関係はどうなるんですか。
  151. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 先ほどから上原さんの御議論を聞いておりますと、本当にもうびっくりしております。もう本当に、参議院ではこういうような質問をされる人が余りいないものですから。非常に広範にわたりまして、論点がたくさんありまして、どれをどういうふうに答えたらいいのか非常に戸惑うわけでございますが、まず一三党合意の話がございました。  これは御存じのとおり、さきの国際平和協力法案、社会党さんと私ども一緒になって反対をいたしましてつぶれたわけでございますが、その後、自公民三党によりましてあの三党合意事項ができたわけでございます。あの合意事項にもございますように、私どもは、委員も御存じのとおり、湾岸戦争が起きまして、我が国が国際貢献をどうしてもしなければいけない。そして、あめ湾岸戦争のときに九十億ドルという問題も国会で議論になりました。そういう中で私どもは、お金や物だけではなしに人的貢献も何とかしなければならない、こういうふうに考えたわけであります。  したがいまして、人的貢献をするには、それじゃ、どういうふうな人的貢献をすべきであるかということをいろんな角度から議論をさせていただきました。私どもは、党内の議論はすべて公開をし、私どもの新聞にも相当いろんな角度から報道していただきました。したがいまして、私どもも上原さんのおっしゃることもよくわかりますので、できたら自衛隊を使わなくて社会党さんがおっしゃるように十分な国際貢献ができれば一番いいのじゃないか、そういうようなことも考えたわけであります。議論の途中ではそういうことがあったのも当然であります。したがいまして、自衛隊の、例えば今連合さんがおっしゃっておりましたような休職・出向はどうかとか、そういうような議論も出たわけであります。  その後、委員ももう既に御存じだと思いますが、私どもの党では、あの三党合意が出た後、約一年半かけまして世界各地のいわゆるPKOの実態を調査に参りました。具体的にはもう時間の関係もございますから申し上げませんが、十数カ国にわたりまして、それこそ十数班にわたりまして、それぞれ実態を調査いたしました。  そういうような観点の中から、日本のこれからの国際貢献あり方としては、カンボジアの状況等ももう委員十分御存じのとおり、自己完結型の、やはりどうしても何をやるにしても必要だというような議論もありますし、いろいろなことがありました。そういうような中で、日本の中でそういうようなことが完璧に実行できるのは現在の自衛隊以外にない、そういうようなことになったわけでございましで、そういうような意味で、これは自衛隊の皆さんにお願いする以外にない。そのためには、それじゃどうしたらいいかということで、先ほど御議論ございましたように、この憲法上の枠がいろいろあります。先ほど法制局長官が御答弁になっていただきましたけれども、法制局長官の御答弁を納得できないというのであれば、これはまた別問題でございますが、私どもは、法制局長官の枠の範囲の中で合憲という、いわゆるその範囲内、また自衛隊を合憲と認める私どもの範囲内で、私どもの党は議論をさせていただいたわけでございます。  そういうような中におきまして、この自衛隊別組織という問題につきましては、そういうような議論の中で、私どもは私どもの党の判断としてこういうふうにさせていただいたわけでございまして、ただ、もう一つ申し上げますと、自衛隊の組織がそのまま、全部そのままの組織でぱっと行くのではなしに、今度の法案では、平和維持隊という協力本部という本部をつくりまして、法案の中にも詳しくございますが、その法案協力隊の一員として行くわけでございまして、その点は私はいわば別組織と考えてもいい、私どもはそういうふうに判断をしているわけでございます。
  152. 上原康助

    ○上原委員 議論を展開している間に、だんだん御丁寧な答弁になったり、社会党の非軍事、文民、民生ということに御理解を示されたり、そういうまあお互い議員同士だから、かっかするところは大いにかっかして、また理解できる分野は理解を深めてやっていけば、公明党さんがそういう努力をもう少し我々と重ねていけばいいのに、余りにも……。それは公明党の事情はわかった、事情は。経緯はわかりました、経緯は。それは、本委員会でもいろいろ御専門の方々お尋ねしている点も聞いていたのだがね。だが、国民はこの点はまだ僕は納得しないと思いますよ。  これは、平成二年十一月九日、このときに僕は、さっき質問をした高沢さんと私と池端さん、三名が社会党の理事だったので、よくわかる。もう各駅停車だった、あのときは、海部総理外務省方々も。「国際平和協力に関する合意覚え書」、今度も皆さんはまた三党覚書というものをつくってあるんだよね。なぜ私が今これを問題にするかというと、「憲法の平和原則を堅持し、国連中心主義を貫くものとする。」これは立派ですね。これは社会党と全く同じ。「今国会の」、いわゆる平成二年の国連平和協力法案の「今国会審議の過程で各党が一致したことはわが国の国連に対する協力が資金や物資だけではなく人的な協力も必要であるということである。」これも我々も別に否定はしてないのです。人的貢献やるべしだ。それは、自衛隊を組織ごとに出すということじゃないのだというのが我々の見解。三番目、「そのため、自衛隊とは別個に、国連平和維持活動協力する組織をつくることとする。」  これだけ明確に皆さんは合意した。あと四つ、五つある。だのに、各国調べてみると、そういう自衛隊組織というか、そういうものを活用した方がいいという結論に達した、それで五原則をつけた、こういう言い分なんですが、この解明は国民の前には明らかにされなかった、皆さんは。「自 衛隊とは別個に、国連平和維持活動協力する組織をつくることとする。」これだけ明確にしておきながら、いつの間にかまた自衛隊を組織ごとに出すという法案になって、それがまた、いろいろ問題点を指摘されると、今度はPKFだけは凍結をするのだ。これじゃやはり二転、三転と言わざるを得ないのじゃないでしょうか、二転、三転と。  もう一遍お尋ねしますが、修正案で、PKFについては凍結した、それで二年後に協議機関を設置して三年目に見直しをする、この協議機関にかかわるのはどういう皆さんですか。それから、三年後の見直しというのは、これは法案上とか皆さんの今度の合意文書においては、自公民でやるとかやらないとかは書いてない。だが、この合意に賛同した各党でとかいう表現になっていますね、たしか。持っているから後でもしあれだったら申し上げるが、ここいらはぜひ明らかにしておいてください。  同時に、もう一点聞きますが、PKF活動を停止をする、当面の間。なぜ、問題があって、ステップ・バイ・ステップでもいいし、国民理解協力が得にくいPKF活動をやるというならば、凍結じゃなくてあっさり削除ということをやらないのはどういう意味ですか。本来なら、これだけ問題なら問題があって理解が得られないというなら、削除するのがむしろすっきりするのじゃないですか。  この今私の質問に対して、簡潔にお答えください。
  153. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 お答えします。  PKF本体活動を削除ではなく凍結にした理由は、PKF業務そのものが、一つはやはり停戦監視あるいは武装解除、こういった軍事的な業務です。これがPKO活動の非常に重要な部分を占めて宿ります。それから、その軍事的な仕事でなくても、例えば後方支援活動あるいは人道的な救援活動とか、あるいはインフラ整備等の一般的な活動にしましても、治安状態がよくないとか、あるいはインフラ整備ができていない等の理由から、やはり自救能力、自己完結的な自救能力が必要とされる。こういう観点で、やはり実際行って仕事できるのは自衛隊しかないということになるわけであります。したがって、この場合、本体活動凍結しても、それ以外の自衛隊の行う活動はできるようにしてあります。ただ、本体活動を削除してしまえば、本来のPKF活動というものが、重要な部分が欠けるということになるわけでありまして、我々とすれば、同じく国際貢献としてPKOを出すならば、やはりすべての面にわたって貢献ができるような法体系というものを整備しておかなくてはならない、そういう意味からこの部分凍結にしたわけであります。  なお、凍結の解除はどうするかということでありますけれども、やはり我々の経験を踏まえて、こういうことなら大丈夫だろうというような自信ができた段階でこれは凍結を解除する。凍結の解除は、この修正案をつくった三党が相談をして、これはもう凍結しなくてもいいという段階でその発議をする、それを踏まえて国会審議をしていただくということになるわけであります。  なお、三年目の見直しにつきましては、これは二年後に協議機関をつくるということでありますけれども、この協議機関をどういう組織でつくるかということは、その時点で検討すべき問題かと考えております。
  154. 上原康助

    ○上原委員 今は大変重要な御答弁ですね、これは。私は、今度の三党合意の文書も一読はしました。私もこれ、忙しいものだから余り勉強しないでやっているので、少し問題が十分じゃないのですが、法案には皆さんの言い分は、三党が相談してとかいうのはないんだな、これは。そうすると、今のあなたの答弁は何だか、社会党とか共産党とかあるいはその他の小会派というのは、三年後のこのPKFをどうするのか、PKO法案をどうするのかという相談からもらち外ということだな、あなた。三党が相談をして発議をして国会に語る。(発言する者あり)冗談じゃないんだ。よく聞いておけ。ちょっと待ってください。  これは国会承認問題とも関連しますが、国会承認問題、第何条がありますね。これも大問題。国会審議権を、さっき参議院の法制局のおじいちゃんまでここへ連れてきて、余計な答弁させて……(発言する者あり)失礼なら取り消す、早速取り消すよ。そんなことで一々けちつけるなよ、ちっちゃいことだ、それは。  三党が相談してというのはどういう意味ですか、三党というのは。少なくとも公党である皆さんが相談するなら、これは時代の変化もあるんだよ。政局だって変わるんだ、あなた。政党だって民社党が第一党になるかもしらぬし、これは希望は少ないけれども。社会党が政権とるかもしらぬよ。(発言する者あり)何をおっしゃいますか。それくらいの答弁だって社会党の議員はみんなできる。それは余りにも国会審議権とか、大問題なんだ、これは。三党で相談をして未来永劫に日本の国際貢献を決めるなんて、こんなべらぼうな話があるの。べらぼうというか、こんな、冗談じゃない。
  155. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 これは再修正のときの自公民の三党の申し合わせでございまして、「当分これを凍結し、その解除は別に法律で行うこと」とありますけれども、「その発議はこの法案に賛成した各党の合意を踏えて行うことそ意見が一致した。」これは、三党がもし意見が一致して、もうそろそろ凍結を解除すべきだという合意ができれば、その発議をどうするかということになるわけでありまして、もちろんこれは三党だけしかできないということではございません。社会党さんが凍結解除の発議をされることも自由でありますし、あるいは他の政党の方が行うことも自由でありますけれども凍結提案した三党としては、凍結解除の時期について一応相談して決めようという意味を三党で取り決めをしたものであります。
  156. 上原康助

    ○上原委員 私が問題だと言ったら少し変え省したね。それはわかります、それはわかる。それは三党でいつまでもやるという、そんなあなた、神よしクラブはいつまでも続きませんよ。(発言する者あり)今に社会党がいい政策を出してやるから見ておけ。  次に進みますが、今のその点は、もちろんそれは三党が修正案を出しているから、三党が密接に協議をするということは常識的にわかる。そこまではいい。だが、三党が相談して修正も決めて、また国会にも諮って、おまえらはあのとき反対したんじゃないか、そういう意味じゃないんだよな、これは。  そこで次に、この修正案の中で、参議院でも非常に問題になりましたね。修正された第六条第八項では、いわゆる内閣総理大臣国会に求めたPKFへの派遣に当たっての承認については、国会は「七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。」こう規定しているのですね。我々は、これは参議院の法制局長官なりあるいは法制担当者がどういう解釈をして、あるいはこれは憲法上問題ないんだ、国会審議権を拘束するものでないのだと言ってみたって、これは明らかに国会審議の拘束をするんだよ、あなた。  私は、きょう答弁を聞いて再度、私もきのうからのうっちゃり食わされているから、こっちも頭にきているからいろいろ批判もしましたが、それは議員同士だから、理解するところは理解しますよ。だが、あなた方も参議院ではあっても、二院構成で国会議員でしょう一御三名も。国会議員が国会審議権を拘束されて何でここまでやらにゃいかぬのかということは、これはどうしても理解できない。政府がやるなら問題なんだが、国会の、党の修正だからそれは問題ないなんというのは、これはいささか理論としては、何といいますか、根拠が薄い。根拠が弱い。これは重大な国会審議権に対する拘束。あるいは、むしろ我々からいうとこれは憲法上も問題がある、大いにある。  しかもあなた、参議院というのは良識の府でしょう。衆議院は僕みたいに声の大きいやつもいるかもしらぬけれども参議院はみんな紳士だろう。良識の府の皆さんが、幾らPKO法案を早目に通そうとか、何とか形をつけようといっても、七日間で衆議院参議院もやるという、こんなむおやなことをしちゃいかぬよ、これは。だから、これは削除しなさいと言うんです。
  157. 岡野裕

    岡野参議院議員 上原先生参議院をお褒めをいただいてまことにありがとうございますが、七日の問題と、それからその議決をしなければならない云々と先生が御理解になっている拘束の部分と、二つ問題提起がおありのようだ、こう理解をしてよろしいでしょうか。  だとすれば、その七日という方の点からお話をいたしますと、このPKOといいますのは日本だけでPKO部隊を展開をさせるというものではない、これは御存じのとおりであります。やはり、なるべく多くの国々がそれぞれ分け持って共同参加をするということであります。それで、総会または安保理の国連の方の決議がありましてから各部隊参加をするまでの間、既往の例を見ますと、卓いところは一日、二日でやりますが、一週間、二通関ぐらいかかるというのが相場でありますので、事務総長の方から日本にぜひ来てほしいという要請がありましてから、日本から来るという返事もない、来ないという返事もない、これでは国連PKOとしては非常に困ってしまうでありましょうし、日本としても要請をされたのに返事をしないということでは国際信義をなにすることにもなるというような意味合いで、先ほどの外国経験例からいたしまして七日という日を設定をいたしました。  この七日というのは、なぜ八日でなくて七日だ、六日でなくて七日だという点があろうかと思いますけれども、これは政策判断であります。治安出動等につきましても、二十日というような文字が法文に書いてあるようなものであります。こう御理解をいただければ幸せであります。  その次に、議会がみずから拘束をするのは参議院でもおかしいと思わないかというお話でありますけれども先生、また恐縮でありますが、条文を見ていただきたいのであります。先ほど来お話しを申し上げております、先生が御引用になりました六条の新しい八項であります。その一番末尾のところでありますが、「国会の休会中の期間を除いて七日以内に、後議の議院にあっては先議の議院から議案の送付があった後国会の休会中の期間を除いて七日以内にこと七日が出てきます。その次であります。「それぞれ議決するよう努めなければならない。」と、「努めなければならない。」と書いてありまして、議決しなければならないとは書いてございません。  そういう意味合いでは、これは努力規定でありますとか訓示規定でありますとかいうことでありまして、はっきり義務にならない表現を使おうということで、我々はここにありますあえて「努めなければならない。」という言葉を使いました。議決しなければならないということとは違います。よそから他律的に、おまえはこうしろと言われるわけではございません。内閣の方は求めなければならないわけで、求める方としては七日以内に議決をしろよという意味ではございません。内閣の方では、ひとつぜひ承認、不承認の議決を賜りたい、こう言っているわけです。それを受けて、国会、議会の方が自律的にこう努めようということであります。よそからではありません。努力規定であり訓示規定であるというようなことでぜひ御理解をいただきたい、こう思うわけであります。
  158. 上原康助

    ○上原委員 大分参議院でも長いこと答弁したと見えて、あっち飛びこっち飛びで核心に触れずに、何というのかね、のらりくらりとした答弁をやる術が大分うまくなっているようですがね。  それはあなたは、これは努力規定であって義務規定ではないんだ、国会ができるだけ早く議決すればいいんだ、努力しようとする規定であって義務を課してはいないと言うんだね。義務を課していなければ、何もそんなに七日とか限定をするということはいかがなものか。しかし、あなた方は、これは引用しませんけれども、一応義務規定としておったんだ、最初自公民は。さすがにそれは、法律でそういう規定をというのは立法府のこれは制約、権限制約になるよと言われて、ある筋からたしなめられてそういう規定に変えだということも僕は聞いている。だから、あなたが言うように、「それぞれ議決するよう努めなければならない。」から、これは問題ないんだと言うが、我々、問題あるんだよ、これは。問題あるんだよ。  失礼な話だが、参議院の皆さんが発議をして衆議院の我々まで努めなさいとか、とうしなさいああしなさいというのは、そんなあんた、そういうお互いに拘束することはやめた方がいいんだよ。これはもし皆さん、立法府がこういうあれを出したらどうなるの。問題ですよ。(発言する者あり)いや失礼。まあ少しは、そっち指さして言ったのに、行政府だよ、そのぐらいは勘の早い皆さん、少しわきまえなさいよ。  そこで、それは削除すべし、削除。これはやはり国権の最高機関であり国の唯一の立法機関に対して、国会を、特にこれは軍事的な問題にかかわることなんですよ、軍事的な問題にかかわること。あえて引用しませんが、「防衛出動」第七十六条、自衛隊法の。見てごらんよ、あなた。あるいは七十八条などと考えても、これは七日でやりなさいなんという、やりなさいという義務規定的な努力規定を置くということは、やはり立法府の立法権の制約なんだよ、制限なんだよ、明らかに。これは大問題。特に軍事にかかわる問題でもあり、国会みずからを拘束するということは私たちとしては絶対に納得できない。これは削除しなさい、削除。
  159. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 もともとこれは、政府原案では国会の関与を決めていない問題です。政府の権限で一つの外交問題としてPKO派遣を決めることができるという法案でした。それではシビリアンコントロールの見地からまずいのではないかというので、国会承認を我々は要求して修正をしたわけであります。  したがって、外交的な行動を行う場合に、国連の仕事でありますから他国との関係もありますから、余り我が方が国会承認に手間暇をかけておったのでは十分な効果を上げられなくなる、そういう配慮からこういう努力規定を設けたわけであります。  先ほど自衛隊法の関係のことにも言及されましたけれども自衛隊法の七十六条の「防衛出動」の場合は、これは「特に緊急の必要がある場合には、国会承認を得ないで出動を命ずることができる。」ただし、その場合は「直ちに、これにつき国会承認を求めなければならない。」こういう緊急の場合の規定がありますから、あえて期限を付しておりません。  それから、七十八条の「命令による治安出動」の場合は、これは事後承認でありまして、命令を出した日から二十日以内に国会に付議しなければならない、こういうことになっております。  ただ、PKOの場合は、国会開会中の場合は国会承認がないと派遣することができません。したがって、七日という努力規定を設けたのであります。
  160. 上原康助

    ○上原委員 それは皆さんがそういう考えというか、法律修正だと言ってみたって、これはどう考えても立法府の、立法機関の審議権を拘束するものである。だから我々としては承服しがたい、これは。ここまで一週間とかなんとかいうことを限定をするということは、国連だってあなた、ここでの答弁では、大体、何というか、仮にPKO派遣するにしても一カ月ないし二カ月、場合によっては三カ月、訓練期間を置くと六カ月かかるというような答弁もあったのだ、これは一々その会議録を挙げないけれども。何も一週間ということであたふたと立法府に対してそういう努力をしなさい、それは明らかに義務規定ですよ、皆さん。それは承服できない。削除してください。  もう一つ、例えば消費税国会の場合、一九八九年ですが、これに極めてよく類似した議論があったのですね。いみじくも参議院宮澤首相の実弟さんが、宮澤弘氏が質問をなさっている。さんざんけちをつけたんだ、社会党の共同案に、野党共同案に。野党共同案の提案の中に、国会は税制協議会の報告を受けて速やかに所要の措置を講ずるものとするという表現があったんだ。これは問題だということで、国会に報告内容に従って立法を義務づけるとは何事かと、宮澤さんよりはなお血相を変えて、あなたのきのうの血相よかったで、あれ。大物はああしてはいかぬ、大物はじっとそこに座っておかにゃいかぬ、座っておかにゃ。  それと二番目、行政府の一部附属機関の報告に対し国会が必要な措置をとる義務を負うことは、国権の最高機関である国会の自由な意思を拘束するものである。税制協議会の報告を受けてということで、税制協議会の設置に対しては、政府の一機関なんだと、しかも。そんな義務規定が何かということでそれは削除を要求され、とうとう野党共同案は修正させられたんだ。それは峯山さんも、公明党さんも知っていらっしゃるでしょう。その逆のことを今度はやって、問題ないなんて。(発言する者あり)いやいや、シビリアンコントロールの問題は別の話、これは。立法府の立法権の問題、審議権の問題を言っているんだ。何でもかんでも混同するなよ。矛盾するじゃありませんか。矛盾するじゃありませんか。
  161. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えさせていただきます。  参議院の消費税国会のときの議論は、私は当事者でございますから、よく事情をわかっているつもりであります。実は参議院の議論のときにもこの問題を取り上げられまして、要するに大変なあれで、これは憲法違反である、立法権を侵害するものである、それで、消費税のときにわかっているにもかかわらずこんなことをするとはけしからぬという御意向の質問がありました。  実は上原さん、私はこの問題について会議録もここに持っておりますからよくわかりますが、法案で私どもは社会党さんと一緒に相談をいたしまして、消費税を廃止する法律案というのを国会提出をさせていただきました。私は、社会党の久保さんと一緒に発議者の一人であります。そのときに、今読み上げていただきましたように、この第八条で「内閣及び国会は、前項の報告を受けたときは、速やかに所要の措置を講ずるものとする。」という規定を置いたわけであります。そのときは私どもは、まさかこの規定が立法府の立法権や審議権を侵害するようなものであるとは当時、社会党さんの久保さんも私も考えていなかったわけであります。  それで、実は考えていなかったわけでございますが、この消費税国会参議院の議論の中で、実は内閣法制局長官さんがお見えになりまして、その問題について内閣法制局長官が答弁をしていただきました。それによりますと、実は私どもは初め、この問題はそういう憲法上の問題はないと思ってつくったわけでございますが、内閣法制局長官さんの答弁によりますと、実はどういうふうな答弁が出たかといいますと、ここにありますからちょっと紹介をさせていただきますと、「講ずるものとする。」というこの問題について、「立法者の意思あるいは制定の経緯によりまして強弱があるといたしましても、政府の附属機関が内閣全体の意思決定を拘束する結果になる場合もあるとこそして「憲法に定める国権の最高機関であり国の唯一の立法機関である、こういうふうに定めております。その国会の機能を侵すとも読まれる」。この「講ずるものとする。」というのが国権の機能を侵すとも読まれる。「このような立法例はございませんし、また今日の憲法を頂点とする法体系の中では」こういうような「講ずるものとする。」というのは「適当ではないのではないかと、かように考えております。」こういうふうに、いわゆる法制局長官が、社会党さんと私どもと一緒に出した法案が間違っている、そのことは間違っているという判断があったわけです。  そこで私どもは、これは大変だということでいろいろと議論をさせていただきました。上原さんのように――これは憲法上問題ないという、私どもは随分久保さんと二人寄ってたかって憲法上問題はないというふうな議論をしたわけでございますが、やはり憲法上問題が、やはり法制局の答弁は我々としては、憲法の番人と言われているわけでございますからこれは尊重せざるを得ないという結論に社会党さんと私ども考え方でそうなりまして、削除をしたわけであります。  今回は、この法案をつくるに当たりまして、先ほどお話ございましたように、先ほどのような議論を根幹にいたしまして、こういう失敗を、参議院の私ども修正案を出すに当たってそういう失敗をしてはいかぬというのが基本にあったわけです。したがって、政府原案にありました、この七日以内に議決するようしなければならないというふうな意味の言葉が初めにありました、今おっしゃったとおりであります。したがって、それではやはり義務規定になるのではないかという御議論もありましたので、前の失敗を二度とやってはいかぬということで、私ども提案者が三人寄りましていろいろと相談をいたしました。  そして、この立法府を拘束しない、しかも審議権も拘束しない方法としてはどういう言葉があるかということをいろいろと専門家に、法制局の皆さんにも御相談をいたしまして、そしてこの、先ほどから何回も御答弁がありますように「努めなければならない。」という言葉にさせていただいたわけでございます。
  162. 上原康助

    ○上原委員 そこは完全に見解の違いですね、これは。(発言する者あり)いやいや、社会党の見解見解ですよ、あなた。あなた方の見解は限界なんだよ。これは立法府の権限と審議権の問題を私は言っているんだよ、あなた。全く裏返しのことをしている。  私たちは、法制局がこれは合憲だ、問題ないと言えばそれで済むかとなると、僕は立法権とか審議権というのをそんな制約されたものでないと思うんだ。政府が出す、政府が出した原案とか政府が出す法案なら、これは行政府が法制局見解を出してやっているからあれなんだが、政党の議員修正で議員さんが発議をして出すものにみずから立法府の権限を制約するというのは、これは断じて我々承服できない。(発言する者あり)してないって、しているんだよ。その点は峯山さん、御賢明なあなたが、苦しい答弁でしょう、それはあなた。(発言する者あり)冗談じゃない。いや、冗談じゃないとそっちのやじに言っているんです、あなたにじゃないからな。冗談じゃない。そこで、それはやはり削除すべし。  そこで、もう一、二点修正案で問題点を聞きますけれども、「自衛隊部隊等が行う国際平和協力業務について」というところで、たしかその一項で、PKF後方支援のうち、本体業務と複合でしか実行できないようなケースもある。しかし、それも凍結されるわけですね。複合する場合も凍結する。それはしかし法案には明記されていないんですよね。明記されていない。  そこで問題点は、「国際平和協力業務について」という文書というのは一体どういう文書を指しているのか、それが質問。もう一つ後方支援のうち、本体業務と複合してしか実行できないようなケースとはいかなるものなのか、どこでその線引きをやるのか。これは修正法律上も明確にされていませんね。  きょう、もう時間がないから、平和維持軍を勝手に維持隊に変えてみたり、いろいろ問題ある。官房長官談話でそんな、平和維持軍を、ピース・オペレーション・フォーシズをこの維持隊に変えたからといって、これもうあなた、国際慣用語ですよ。総理、あなた英語、御専門だから。それを軍と言うと問題があるからといって勝手に変えて、こんなことはあなた、皆さんにそういう権限はない。だから、今言うその本体業務と複合してしか実行できないようなケースとは一体いかなるものか。また、そうでないものはどんなものがあるのか。その区分、基準の判断はだれが行うの、だれがやるの。それをお答えください。
  163. 田渕哲也

    ○田渕(哲)参議院議員 お答えします。  複合した業務、つまり凍結されあるいは国会承認対象となっておる法案の第三条第三号イからヘまでの業務並びにこれに類するものとして政令で定める業務、こういうものについては凍結ないし国会承認が要るわけでありますけれども、問題は複合された場合、これはどういうものかというと、イからヘまでに掲げた業務とあわせなければ行えないような、それ以外の業務ですね、ヌからタまでのそれ以外の業務でもイからヘまでの業務と一緒にあわせなければ行えないようなもの、これは凍結されるということになっております。  ただし、例えばどういうものかといいますと、タイの工兵隊がカンボジアで道路をつくっておりますけれども、その辺は地雷原で、地雷の除去と道路の建設というものを一緒にやらなければこれは道路の建設ができない、こういうような場合は、地雷の撤去というのはイからヘまでの放棄された武器の撤去に当たるわけでありますから、これはできないということに、道路の建設も含めてできないということになるわけであります。  ただ、そうではなくて、もともとそこには地雷があると想定されないところに道路をつくり始めた、我が国の工兵隊が行って道路をつくり始めた。しかし、たまたま地雷が発見されたというような場合は、それをやはり除去しないと、その道路をつくる隊員の生命または安全に影響するものでありますから、そういう場合は、隊員の生命または身体の安全を確保するためにそういう業務を行う場合はこれは差し支えがない、このように決めたわけであります。  複合した業務はどういうものかというのは、今申し上げましたように業務でイからヘまで、あるいはこれに類するものというふうにはっきり規定してありますから、その範囲がどうかわからないということはあり得ませんし、それから許されるものも要員の生命や身体の安全に関係のあるもの、つまり緊急避難的なものに限られるということでありますので、その境界線は明確だというふうに考えております。
  164. 上原康助

    ○上原委員 それは口頭というか机上で、文章上そういう答弁は成り立つかもしれませんが、実際上の運用の面、あるいは臨場的に現場へ行って部隊の行動を開始をする場合に、地勢とか地形とか条件とか環境とか、いろいろ違ってくるのです。だからそれは極めて不明確になる。非常にあいまいな修正内容であるということ。  例えば、あなた、地雷の撤去、たまたまあったから片づけると。この「自衛隊部隊等が行う国際平和協力業務について」という、何か六月二日の文書があるが、この中には、「地雷等の有無を確認しことか、「等」といったら何だ。実施計画、実施要領というのは政令で定める。しかし、その政令は政府がつくるのでしょう。その内容は明らかにする面もあるし、明らかにしない面もあるのです。だから、その点は修正案の中でも極めて不明瞭なのですが、その点指摘しておきます。時間がないからいいですよ、それは。要らぬ。あなたの漫談はわかった。  そこで総理、あなたそんな喜んでおれませんよ。にやにやしておる時間ないですよ、これは。宮澤内閣進退きわまれりと冒頭言ったじゃないですか。  そこで総理、いろいろお尋ねしましたが、外務大臣がお休みになっている。外務大臣がいないのは大変寂しい、残念だ。本当もう少し、この問題については外務大臣の御発言も相当あったので。私は、やはりここまで議論をしても、皆さんは十分審議をしたじゃないかとおっしゃるでしょう。あるいはまた、いろいろ問題点を指摘しても、なかなか短時間のやりとりでみんな立派に解明しなさいといっても、そう簡単にいかないですよ、あなた。質問する方も、ただやっているのじゃないのだから。これはいろいろやったって難しい、正直申し上げて。また、そんな余裕も今度は与えてくれなかった。  しかし、どう見たってまだこれは、憲法上の問題も見解の相違と言ってしまえばいろいろあるかもしれぬが、やはり自衛隊派遣については、自衛隊法も改正しない、憲法九条の違憲との関係もある、武器使用の問題もある、指揮権の問題もある。PKFについては凍結をするといっても、その凍結する、複合する部分はどういう面かといっても、なかなかこれは後方支援との関係で不明確である。解明されない面が多いし、これは委員長、時間かけてもう少しやらにゃいけない。  私がきょう総論的にやりましたが、武器使用の問題とかコマンド、いろいろ専門家がいらっしゃるから、やらにゃいかぬ。それは法案審議のこれからの問題なんだが、これだけ日本が国際貢献を、二十世紀後半に及び四十数年やってきたものをどうするか、我が国の針路をどうするかといういわゆる国是の大転換なんですよ、私らに言わせれば。あなた方はそうじゃないと言うのだが、ある意味では戦後政治を、国是を大きく変えようとしているわけよ。  そうであるなら、私が冒頭言いましたように、私のような小物が言う言葉じゃありませんけれども、やっぱりここまでくると国民に信を問うという、憲政の常道というか政治の常道というか、野党第一党がここまで問題あると、国民もまたそのことについては国民にこの際信を問うたらどうかと言っている。僕は改めて総理のこの問題に対する、ちょっと何か、通れば何とかなるというお気持ちかもしらないが、大変失礼な言い方かもしらぬが、私はあなたの本音は、この法案が通った途端に解散断行じゃないかと思うよ。いかがですか、もう一遍。
  165. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどから上原委員から、いろいろな角度からこの法案につきまして憲法との関連でのいろいろな点を御指摘になりました。それで、これは従来何度がに分けてお答え申し上げていることでございますけれども、改めまして考えているところを、政府の所見を申し上げたいと存じます。  まず第一に、自衛隊がこの平和維持活動参加することについて、自衛隊そのものが違憲であるという、仮にそういうお立場であるとすれば、これは従来何度も申し上げておりますが、また何度も御議論のあるとおり、政府自衛隊というものは違憲ではないというふうに考えておることをまず申し上げたいと思います。  次に、国連平和維持活動そのものについての見方でございますけれども、これも何度か申し上げておりますが、もとよりこれはいわゆる国連平和維持隊が発砲をするというようなことになれば、しばしば関係者が言っておるとおり、それは交戦当事者をもう一つつくるということにすぎないのであって、発砲をするようではこの国連平和維持活動というのは失敗である。発砲をしないということ、国連の権威と説得力によってこれを行うということがこの活動本体である。それであるがゆえにノーベル賞をもらったこともあるということにつきましては御理解を得たいというふうに考えるわけでございます。  しかし、そうではございますけれども、そのような使命に対して、活動に対して我が国が参画するということにつきましては、我々の独自の憲法を持っておりますだけに、その点は幾つか留意をしなければならない点があるということがいわゆる五原則等々の形でこの法案の中に盛られているわけでございます。  その一つは武器の使用に関することでございますが、上原委員は先ほどからしばしば武力の行使ということを言っておられるわけでございますけれども、私どもは武力の行使というものと厳密な意味での武器の使用というものを分けて考えておりまして、この法案において武器の使用というものは、この平和維持活動に従事する者が自分の身に危険があったときに自衛をするということについてのみ武器の使用が認められておる。そのことは、武力の行使にわたりませんようにわざわざ国連の標準コードよりも極めて厳しく武器の使用を認められる場合を限っておるわけでございます。それは五原則の一つとして御承知のとおりでございます。これは、万一にも自衛のための武器の使用と思われるものが武力の行使にわたってはなら ないという配慮からなされておりますことは御承知のとおりでございます。  もう一つ、局面の展開いかんによって我々の平和維持活動についての参画をやめなければならない、中断をし、あるいは撤退をしなければならないということもいわゆる五原則の独特な点でございますけれども、これはもし誤りますと平和維持活動の名のもとに、相手方がだれであれ、それとの武力衝突に陥るおそれが生じますれば、これは武力の行使というふうに見られる危険がある。したがって、そういう危険はあくまで排除しなければならないという意味で、国連とわざわざ話をいたしまして、我々としては中断あるいは撤退ということを我々独自の判断で、連絡はいたしますけれども行うことがあるというふうに申しておるわけであります。  つまり、もう一度申しますならば、国連平和維持活動というのは、本来武力行使ではないわけでありますけれども、その行き着くところが、個人の自衛からさらに超えて武器が使われる危険がある、あるいはまた、平和維持活動が妨害されて、これを排除する行為が武力行使になるおそれがある、その二つのおそれを排除いたしますためにわざわざ法律にこのような規定を設けておる。  これはもう重々御承知のことでございますけれども、改めて申し上げましたゆえんは、我々の憲法に違反をするというようなことはいささかもありませんようにこの法律を注意深く書いてあるということでございまして、世論で十分な理解がないために、何か自衛隊がよその国へ出かけていく、それはかつて我が国がしたことではないかというようなことがございますけれども、御承知のように、これは交戦当事者たちがもう戦争をやめるという合意があって、それが前提である、しかも国連がその要請をせられて、後の平和の維持をするために要請に基づいて出る、その国連からの要請を我々が受けて、そのような条件が成就いたしましたときに、つまり関係者が全部これを歓迎するということ、そして平和維持活動が中立的に行われること、そういう場合にのみ、しかも、それでもそれを承諾するかしないかは我が国が独自に判断をいたすべきことでございますから、そういう意味で、過去において我が国が陥ったような過ちを犯すということは、まことに、再々、絶対にあり得ないということを十分法律に担保しであるということを重ねて申し上げたいと存じます。
  166. 上原康助

    ○上原委員 すぐ、自衛隊が違憲である、違憲でない、そういうスタンスで物を見るなら話は別ですよという言い分ですが、もちろん私も、自衛隊に対する憲法感覚、個人的にも党としても持っている。だが、そのことはさておいても、九条とのかかわりで、まだあなたがそう得々と説明しても十分納得できない。国民もそう思っている面があるから、これだけ重大に意見が分かれるものについては国民の信を問いなさいと言っているのだ、私は。それは変わりません。今総理も大事なことをおっしゃったけれども国連とも協議をしてと、国連理解も得てということでしょうね。  そこで、時間がなくなったのでなんですが、この五原則の問題とか今度のこのPKO法案あるいは修正案を含めて、これは国連にはどのように――僕は国連万能主義はとりませんが、きょうもある新聞で指摘があるように、国連もむしろびっくりしている。国連が決議したり国連が要請すれば何でも日本はやる、そういうものでないはずなんだ、我々が言う国連中心主義というのは。我々はそういう解釈はとっていない。だが、これは恐らく皆さん英訳をして国連には提示してあると僕は見ている。外務大臣、それはどうですか、総理
  167. 丹波實

    ○丹波政府委員 この問題も前に御説明申し上げましたけれども、この五原則そのものにつきましては、昨年の夏に英訳をいたしまして国連と協議したということでございまして、五原則そのものは英訳して国連にも渡してある、こういうことでございます。
  168. 上原康助

    ○上原委員 実施要領は、これは政令で定める面もあるし、まだ法案ができてない。それまですると脱法行為になるから、あるいはそれはまだかもしらないけれども。  では、その五原則を英訳をして国連に提示をした、いつ出して、だれと協議をしたのか。きょうそこまで入れませんですが、要するに、仕上がれば国連との特別協定を結ばなければいかぬはずなんだな。あなたが言う五原則、出したその英文をこっちへ資料を出しなさい。
  169. 丹波實

    ○丹波政府委員 これは昨年の八月の十四日に、国連PKO担当のグールディンク事務次長に対しまして当時の国連局の河村審議官がこの問題を協議した際に、英文で五原則を出したと申しますか、渡してあります。ちなみに、そのときの会談の要旨につきましては、昨年の国会審議の折、資料として御提出申し上げておりますが、念のため先生に再びお届け申し上げたいというふうに考えます。
  170. 上原康助

    ○上原委員 この人、頭いいのですよ、もう長年相当つき合っているけれども。あなた、私が言っているのは、その五原則を出したということをあなた方は国会で答弁しているんだよ、僕もそこは読んでいるのだよ。あなたもそれ、感づいて物を言っているのだろう、失礼だが。だから、その五原則、国連に何月の何日に出したその原文を出しなさいというのだよ。今あなたがおっしゃったその趣旨については、この間出したかもしらぬが、我々もう一遍吟味する、それが一つ。同時に、要旨も含めて五原則の英文を、原文で、国連のグールディンクかだれか知らぬけれども、その何とか審議官が、河村審議官が出したというのを、これは重大なものだ、出しなさい。文書できれいに出しなさい。これだけの法案について私は単なる五原則だけ皆さん英訳をしていないと思うのだよ。五原則だけじゃないと思う、それは。皆さんがこの法案とのかかわりにおいて国連提出をした文書を資料として要求いたします。委員長、それを取り計らってください。
  171. 丹波實

    ○丹波政府委員 昨年の十一月二十一日の日付で、この国連への説明ぶりの要旨と、それにあわせまして五原則の英語にしたものを先生の党に資料要求として既にお出しいたしておりますが、念のため再び先生にお届け申し上げたいということでございます。
  172. 上原康助

    ○上原委員 それは大事なこれからの、まあこれは恐らく廃案になると思うのですが、万一の場合に国連にどういう、国連も、日本が相当の担保者だから、政府の言うことについては、いろいろうるさい国会でああ言っているのだが、まあ適当にごまかしておけと、皆さん相談してやるかもしらぬ。これは重要なことなんだよ、あなた方。五原則というのは、僕はこれはこだわるけれども、日本だけの五原則ではないのだよ、あなた。交通信号の青赤のようなものなんだよ。それがあるから憲法違反でないという解釈自体がおかしいというのですよ。それは絶対こだわる。  それと、これは武力行使も、宮澤首相、紙コップで酒飲もうがグラスコップで飲もうが、あなた、武器を使った場合、武力行使になるんです。武器使用と、そういう話をするとまた一時間ぐらいやらなければいかぬけれども、同じことなんだよ、それも。だから、これには関係ないということにはならない。その点は、まあ今例えば悪かったかもしらぬけれども、あなたもお酒が好きというから、それで例えた。そういうような問題なんですよ、それは。  委員長、それで最後に、きょうは時間どおりにやりますけれども、冒頭に委員長に要請しましたように、まだまだ、今の武器使用の問題とか、私がそういう例えを申し上げたら、総理は今御納得いかないような表情をなさいましたが、そこで私は最後に、あと一分ありますから、冒頭も言いましたように、大変こういう緊迫した状況あるいは参議院での審議状況、本委員会での審議状況の過程を見ると、なかなか自公民方々のこれまでの姿勢というものはかたい、残念ですが。それは社会党がどうのこうのと言う前に、やはり国会というのはどういう局面であろうがどういう事態であろうが、国民合意形成の努力はやらなければいかぬですよ、みんなが。これだけ重要な問題については国民合意形成をどうするかということをね。したがって、私はこのPKO法案というのは、やはりこれだけ問題があり、今総理に何回も、まあ詰めてと言ったらあれですが、国民に信を問いなさいと言っても、なかなかそういうお気持ちには、本音はともかくとしてならない。それはまたほかの方からもいろいろあるでしょう。  だから私は、PKO参加あり方については、社会党を含めた各党協議機関を設置をして、これまで問題になったことを洗いざらいにしながら国民合意形成を求めるという政府の努力が必要だと思うのですよね。むしろ社会党に言わせれば、私に言わせれば、非軍事、文民、民生でできるものもこれまでやらなかった政府の怠慢は極めて重大なんだよ、これは。本来ならば、我が国は既に憲法の制約を十分わきまえて別組織を国際貢献チームとして設置をすべきだったのだ、あらゆる事態に対応できるように自衛隊とは別組織の。それをやらないでおいて、これだけ憲法との疑義のある、自衛隊は使いやすいからというだけで自衛隊派遣ということには、私たちはこれは同調できない。だから、これだけ意見の分かれているものについては、国民合意形成を見るために、社会党を含めた協議機関の設置というものを私はやはり政府としても考えていただきたい。これは自公民にも要求しておく、要望しておきたい。このことについて総理の御見解を聞いて、私の質問を終わります。
  173. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この法案は、何回かの会期におきまして衆議院並びに参議院において長いこと時間をかけて御議論を願ったわけでございます。もとより、その間にありまして、社会党側自身もたびたびこの法案につきましての疑問の解明にお当たりになられました。国会は国権の最高の機関でございますから、これより増した国民のいわゆる合意を求める議論の場というものはほかにはないであろう、この場において長いこと両院で御議論をいただきました、そのことこそ、国民各層を代表するこの法案についての最終的な御議論と御判断の場である、そのように私は考えております。
  174. 上原康助

    ○上原委員 私は別に、国会とは別に国民の協議機関を設けなさいと言っていないんだよ。私は先国会も言ったし、内閣委員会でも外務委員会でも指摘をしたのだが、そもそもこういうこと、こういう事態になるのは、野党第一党の社会党の意向を無視して法案を強引にやろうというところにこれだけの混乱もあるんですよ。そうであるならば、やはり各党協議機関を設置しなさい、廃案にして。それを強く指摘をして、終わります。
  175. 林義郎

    林委員長 次に、山口那津男君。
  176. 山口那津男

    ○山口(那)委員 御答弁に立たれる皆様には、連日にわたり長時間のところ大変御苦労さまでございます。改めて敬意を申し上げます。  私の方からは何点か簡潔に御質問したいと思いますが、まず、この凍結を含めた再修正の案については、何ゆえ凍結をしたのか、この点を国民皆様によく御理解をいただいて、その上で国民の議論というものを重ねていかなければならない、このまうに思います。  そこで、先ほど来何度か質問がありましたが、この凍結趣旨はどういうことなのか、この部分を実施をしないという効果を得るためには、削除をするのも同様でありますが、なぜ削除をしないで凍結という立法技術をとったのかということについて、先ほど民社党の田渕参議院議員からお答えがありましたので、大変明快によくわかりました。そこで、岡野参議院議員からまずお答えいただきたいと思います。
  177. 岡野裕

    岡野参議院議員 先生、やはりPKF本体部分というのが、過去この四十四年にわたる輝かしいといいますか、ノーベル平和賞までいただいたこのPKOの中核だ、こう思います。したがって、これを欠くというのは画竜点睛を欠くものではないかという気もしないわけではありません。我々として凍結をして削除をしなかったゆえんのものはいみじくもそこにある、こう御理解をいただきたいと思うのであります。  我々としてはPKOに最大限の努力をするということがその骨子であります。ただ、しかしながら、現下の状況を考えると、先ほど冒頭私お話をいたしました、船田先生の御質疑に対しまして。より一層広く内外の御賛意を得て胸を張って参画をするというのがよりいいのではないかというような意味合いで、あえて私どもは、別に日を定めるまでの間は、法律で決める日まではこれを実施をしないでおこう、その間に我々はより一生懸命勉強しようではないか、足らないPRもより一層充実をさせていこうではないか、やはり我々が身をもって諸外国PKOの皆さんと隊伍を組んで同じPKOの展開をするということが一番大きなPRになるのではないかというような意味合いで、削除という考え方はさらさらありませんが、当分の間これを凍結をしよう、こう考えた次第であります。     〔委員長退席、大島委員長代理着席〕
  178. 山口那津男

    ○山口(那)委員 同様の質問について念のため峯山参議院議員に伺います。  質問を繰り返しますが、なぜ凍結をして削除をしなかったのか、こういうことであります。国民皆様にあるいは近隣の諸外国皆様にどういうことを期待してこのような法的手段をとったのか、この点についてもう一度御答弁いただきたいと思います。
  179. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  私どもは今回の法案の中で、特に凍結という問題を三党合意の中で出したわけでございますが、実は、湾岸戦争が起きまして一番の大きな問題は、国際貢献我が国がどういうふうに果たしていくかという問題であったと思います。そういうような中で、先ほどから何回か議論をいたしておりますが、あの三党合意の中にもありましたように、ただ単に、憲法の枠内で、しかもお金や物だけではなしに人的貢献も何とかしなきゃならない、そういうようなわけで私どもは随分議論をしてまいりました。そういうような中で、あの後この法案が出てまいりまして、また、あのときの三党合意、そして今回の三党合意とあるわけでございますが、前回の三党合意から今回の三党合意に至るいろいろな問題は、法案が出てまいりまして、要するにその間各党がいろいろな議論をされました。  特に、例えば国会承認の問題にいたしましては、社会党さんも国会事前承認を入れた方がいいんじゃないかという御意見が出てまいりましたし、また凍結の問題につきましても、いわゆるこのPKFは、私どもの考えとは多少違いましたけれども、軍事行動あるいはそれに巻き込まれるおそれがあるのではないか、そういうふうな議論も出てまいりました。そういうふうないろいろな範囲のいろいろな御議論の中から、これからの法案のいわゆる議論の仕方あるいは修正の仕方といたしまして、やはり私どもは、与野党それぞれ政策も違いますし、いろいろな政策判断もあるわけでございますが、そんな中で御議論をして、その御議論の中で各党のいろいろな意見を取り入れるということは、これからの予算審議あるいはこの法案審議の中で非常に大事な問題である、こういうふうに私は思っております。  そういうような意味で、特にこの凍結という問題につきましては、この間参議院委員会でも御議論があったわけでございますが、社会党さんの、何といいますか、我々を攻撃していらっしゃる議員さんが、私どもに社会党の対案が出たわけでございますが、その対案は三党原案に非常に近いというお話もございまして、その意図を踏まえて、私どもはどっちかといいますと凍結ということを入れたわけでございまして、そういうようにずっと考えてまいりますと、特に時間的な問題もありまして、一つは、湾岸戦争が起きて非常に短期間にこういうようなことをやらなくちゃいけないということになった関係もありまして、私どもは、PKO活動、全体的には完璧に憲法の範囲内に入っている、こういうふうに考えておりますが、やはり国民の皆さん方やあるいはアジアの皆さん方の中には御心配の方もたくさんいらっしゃるだろう。また社会党の上原さんのように、例えば沖縄という環境もあります。そこら辺の事情も私はよくわかります。そういうような面では、何ぼ理論的には納得はできても、感情的にわからない面もあるんじゃないのか。そこら辺のところも十分考慮をいたしまして、凍結とさせていただいた次第であります。
  180. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今の御答弁を伺っておりまして、結局、凍結を含むこの参議院修正によって結果的に広い国民のコンセンサスが得られた、その凍結された部分については、これから時間をかけてこの実施の状況を見ていただいて、そして国民理解を促しながらまた議論を重ねていく。また、御丁寧に、三年後には見直しの規定というものも入れておるわけでありますから、本当の意味でこの凍結された部分、つま力国民の意見が分かれた部分といいますか、理解がもう一つ浸透しなかった部分については、これは三年後の見直しの際に十分議論を改めてすべきである。そこでの結果がどうなるかということは、今の段階ではもちろん見通せないわけでありますが。  そこで、かように私は理解したわけでありますが、一部には、国民にこの問題で今信を問うべし、こういう議論もあるわけでありますが、先ほど来の議論を伺っておりますと、ひっきょうこれは自衛隊憲法違反か否か、そういう問題に帰するわけでありまして、これが論点であれば、これはもう私が生まれたころからずうっと存在するテーマでありまして、今直ちにこれをテーマに信を問うという必要は全くないだろうと思うのですね。むしろ今、この法案の成立によって、カンボジアを例といたしまして実施をしていくことによってやはり国民に正確な理解をしてもらう、そして議論を重ねていく、こういうことが大事だろうと思います。ですから、軽々にこの論点、テーマがそれだ解散などというものは、これは逆に国民の関心をそらしてしまうおそれがある、私はそういうふうに思います。  そこで総理に伺いますが、憲法をめぐる解散の必要は私はないと思っておるわけでありますが、総理としては、このPKOに限って、解散についてどのようにお考えなんでしょうか。
  181. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この法案我が国憲法との関連においていささかも憲法に違反する疑いはないということを先ほどからも申し上げたわけでございますが、ただいま山口委員の言われましたように、殊に自衛隊そのものが違憲であるというお立場からの御議論であるとすれば、それはほぼ、国民の中におけるコンセンサスというものは、私はこれを受け入れることにでき上がりつつあると思っておるものでございますから、そういう意味での民意を問うという必要を私はなおさらに感じておりません。両院で長いこと御議論をいただきまして、また、修正等のお考えもおありのようでございます。それらをあわせますと、十分に国民を代表される両院において議を尽くされつつあるものと考えておりまして、このために民意を問うということを私は考えておりません。
  182. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、凍結されない業務につきましても、武器の携行がどういうふうになるかということは、これは関心のあるところでございます。そこでまず、法解釈上、この理論的な可能性についてどうお考えになるでしょうか。
  183. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  今回の参議院修正におきましては、武器の携行の範囲とかあるいは武器の使用そのものについては触れられておらないということでございます。したがいまして、今御指摘の武器の携行につきましては、政府原案によるということでございます。したがいまして、いわゆる凍結対象とならない支援業務自衛隊部隊参加する場合につきましても、この政府原案第六条の第四項に基づきまして、携行する武器の範囲というのは、「国際平和協力業務に係る装備」として実施計画に明記される、はっきりと書かれるということに相なります。  あと、実態について外務省の方から御説明があると思いますけれどもPKFのいわゆる支援業務ということでございまして、現実にどういった装備を、武器を携行しているかということにつきましては、さまざまなものがあるというふうに承知しております。けん銃あるいは小銃程度の装備しか携行していない部隊とか、あるいはこれらに加えて他の装備も携行している部隊もあるようでございます。現地の状況によるということでございますけれども我が国の場合も、通常これらの諸外国部隊と同じ程度の装備で任務を十分果たし得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  184. 山口那津男

    ○山口(那)委員 一般論はわかりましたけれども、このPKOの実際の歴史あるいは実態から見て、PKF本体を含めた参加の場合と、それから後方支援に限った参加の場合で、武器の携行の有無あるいはその武器の範囲、これについて実際異なる結果が出てくるのでしょうか、この点について御答弁いただきたいと思います。
  185. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生御承知のとおり、戦わない部隊というPKFの本質、きょう発売になりました文芸春秋の中で明石UNTACの特別代表が次のように言っておられます。「国連のブルーの旗は、〝錦の御旗〟であり、水戸黄門の印籠です。我々はそれを掲げるだけでいいんです。それがカンボジアに平和をもたらす。なぜなら、この印籠こそ、国際社会における権威と力の源泉だからです」と。こういう本質からいたしまして、携行の武器も非常に必要な範囲のものに限られる、こういうことでございます。  それで、PKF本体と後方に分けた場合の武器の違いというのが御質問がと思いますが、大きく申し上げて、いわゆる後方支援業務を行う部隊の武装につきましては、けん銃、小銃程度の軽装備というのが過去のPKFを見ての傾向ではないかと思います。これに対しまして、いわゆるPKF本体につきましては、そういうピストルとか小銃とかいうものに加えまして、例えば対戦車砲であるとか軽迫撃砲であるとか、あるいはUNIFILに至ってはバズーカ砲、対戦車無反動砲を持っていくというようなことでございますので、そういう中からおのずとやはりその違いというものは出てきているのではないかというふうに考える次第でございます。
  186. 山口那津男

    ○山口(那)委員 カンボジアUNTACにつきましては、この後方支援任務にどのような武器の携行が実際に実施されているか、あるいは近い将来予定をされているか、これを具体的に説明していただきたいと思います。
  187. 丹波實

    ○丹波政府委員 全部調べ尽くしたわけではございませんので、例示ということで御勘弁いただきたいと思いますけれどもUNTACの軍事部門の携行武器、装備の例としては、一般的にピストル、ライフル、小銃、自動小銃、兵員輸送車等がありますけれども一現時点で展開しております。そのUNTACの軍事部門の携行武器の態様につきまして私たちが調べた結果では、本体であります歩兵部隊とその他の後方支援部隊を比較すれば、一般的にはやはり後者の方がやや軽装備であると言うことができるのではないかと考えております。  具体的に三つ、四つ例示させていただきますと、ガーナが歩兵部隊を出しておりますけれども、けん銃、小銃、自動小銃、軽機関銃、軽迫撃砲、ブルガリアが歩兵部隊を出していますが、けん銃、自動小銃、機関銃、軽迫撃砲など、マレーシアが歩兵部隊を出していますが、自動小銃などというようなぐあい。これに対しまして、いわゆる後方支援的なもの、中国は工兵隊を四百人でございますか出しておりますが、けん銃、小銃、ニュージーランドは通信部隊を出していますけれども自動小銃、オーストラリアは通信部隊を出していますが、けん銃、小銃、それからオランダはけん銃、イタリアはヘリコプター部隊を出していますけれどもけん銃ということで、やはりおのずとそこに差は出てきているのではないか、若干なりとも差は出てきているのではないかというふうに考える次第です。
  188. 山口那津男

    ○山口(那)委員 我が国のつくる実施要領とコマンドの関係がいろいろと議論されておりますけれども国連の司令官が実際に我が国の実施要領と異なるコマンドを出したらどうか、こういう想定で議論をされる方がおられるわけでありますが、実際にそのような想定があり得るのか、現場であり得るのか、この点についていかがでしょうか。
  189. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生御承知のとおり、この法案におきましては、自衛隊部隊PKO活動参加する場合、本部長国連のコマンドに適合するように実施要領を作成または変更し、防衛庁長官は、この実施要領に従いまして日本から派遣される部隊を指揮監督し、国際平和協力業務を行わせることとなっているわけでございます。このように、国連のコマンドは、実施要領を介しまして日本から派遣される部隊によって実施されるということになっておりますので、実施要領が国連のコマンドと異なるという事態は、基本的には想定しがたいと考えております。  なお、御承知のとおり、この法案ではごく例外的に、国連と密接な連絡のもとに日本の部隊国連のコマンドの枠外で行動するに至ることがあり得る仕組みとなっておるわけです。それはいわゆる中断の場合でございます。
  190. 山口那津男

    ○山口(那)委員 実際の実施に当たって、我が国から参加する人たちが国連の司令官との関係において、五原則の枠内で行動できるように国連側あるいは司令官に対して徹底されるのかどうか。この点は十分なされるだろうとは思いますが、念のためこの点について、どのような調整あるいは徹底が図られるか、この点を伺いたいと思います。
  191. 丹波實

    ○丹波政府委員 この点につきましても、累次御説明申し上げてきておりますとおり、そもそも五原則というものの基本的な考え方はこれまで国連説明してまいりましたが、今後、法案を成立させていただいた場合には、法案の中身を国連説明したいと思っております。その中には、御承知のとおり五原則というものが盛り込まれておりますので、その過程で再び五原則の考え方については国連側に説明するということになる次第でございます。
  192. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この再修正案に対して、PKF本体後方支援が果たして明確に区別できるかどうかという点の議論がなされておりますけれども、これは具体的にどう区別するかということを言っていただいた方がわかりやすいと思うのですが、このカンボジアUNTACの例において、我が国がこの法案に基づいてどのような任務にこれから参加できるのか、これを具体的に、現時点における参加可能な任務について述べていただきたいと思います。
  193. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生の御質問は、自衛隊の行う業務との関連理解いたしますので、その業務についてのみ御説明申し上げますと、いわゆる括弧づきの凍結というものの対象になっていないものとUNTACの任務との関係で整理いたしますと、停戦監視団には参加することができます。これは部隊として参加するものではございませんで、個人単位で参加していくということでございますので、凍結対象にはなっていないということでございます。その他凍結対象になっていない自衛隊が行い得る業務といたしましては、UNTACにおきますところの航空部隊あるいは通信活動、医療活動、それから後方支援活動というものを挙げることができるかと思います。
  194. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ところで、UNTACがもう現在既に展開をしておりまして、全部で四十四カ国、現在参加をしているというふうに伺っておりますが、アジア、オセアニアも含めまして、これらの地域から現在参加している国あるいは近い将来参加を予定している国がどこかを列挙していただきたいと思います。
  195. 丹波實

    ○丹波政府委員 アジアにつきましては九カ国が派遣いたしておりまして、具体的に申し上げますと、バングラデシュそれから中国、インド、インドネシア、マレーシア、パキスタンそれからフィリピン、シンガポール、タイの九カ国です。このうち、シンガポールは文民警察のみに参加いたしております。それから、インドネシア、マレーシア、フィリピン、インド、パキスタン、バングラデシュの六カ国は軍事部門と文民部門の双方に参加いたしています。その他の二カ国は軍事部門だけに参加している、こういうことでございます。
  196. 山口那津男

    ○山口(那)委員 オセアニアについても説明していただきたいと思います。
  197. 丹波實

    ○丹波政府委員 オセアニアにつきましては、今現在私が承知しておるところでは、フィジーそれからオーストラリアそれからニュージーランド、三カ国でございます。追ってまた調査したいと思います。
  198. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今のお話ですと、パキスタンから東側のアジアの主だった国々はほとんど参加をしている。例えばベトナムですと、これは政治的事情からむしろ参加しない方がいいということになるんだろうと思います。そして、その中で日本だけが、これまでの関与してきた実績から見ると、参加していない方がむしろ不自然である、こう見られても仕方がないだろうと思うのですが、私も実際にカンボジアには二回ほど行ってまいりました。そして、昨年の七月、これはまだ和平が調っていない時期であります。そしてまた、ことしの二月、これは既に和平後、UNAMICという先遣隊が既に展開をしている時期でありました。  そこで、北朝鮮がかねてからシアヌーク殿下と非常に関係の深いところから大使館がプノンペンに設置されておりまして、シアヌーク殿下の護衛官、これが北朝鮮から派遣されている方でありました。そういう点から見ると、政治的にも北朝鮮は非常に密接な関係を持っているということだろうと思うんですね。  そこで伺いますけれども、韓国にもこのUNTACへの参加が打診をされている、こういう報道が一部にあるわけでありますが、韓国のPKO参加考え方、一般的な考え方及びこのUNTACへの参加可能性について、この点についていかがでしょうか。
  199. 丹波實

    ○丹波政府委員 過去、韓国はこの間まで国連加盟国ではなかったということが大きな理由だと思いますが、これまでPKO参加したことはなかったのではないかと考えております。  カンボジアの場合につきましても、私たちの推測でございますが、先生が今おっしゃったように、シアヌークさんと北朝鮮との関係といったようなこともあり、確かに新聞報道は一部先生がおっしゃったようなことがございましたけれども、今日までのところ、韓国がUNTAC参加するということを決めたというふうに私たちは承知いたしておりません。ただ一般論として、今後は、韓国も国連加盟国になりましたので、将来の問題としては韓国も入ってくるのではないかなというふうに考えております。
  200. 山口那津男

    ○山口(那)委員 アジアの近隣、我が国の近隣の諸国については、日本のこの自衛隊の海外派遣に対してはかなりセンシティブになっているだろうということは報道されているわけでありますが、しかし、事PKO参加に限ってはまた別個の政策的側面があるだろうと私は思うわけですね。また、一部報道によりますと、北朝鮮、中国との間にはPKO参加に対しては暗黙の了解ができている、このような報道も一部にありました。したがいまして、このセンシティブな反応とPKO参加というのは分けて近隣諸国も理解していただけるだろうと私は思いますし、また、そういう努力もしなければいけない、こう思うわけですね。この近隣諸国の反応と我が国のこれからの理解のさせ方といいますか、説明の仕方といいますか、これに対して総理はどのように認識されておられるでしょうか。
  201. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 一般的に申しまして、直接に、仮に我が国が参画いたしましたような場合に、それから受ける利益が大きいと申しますか、積極的である国は比較的その歓迎の度合いが強い、そういうことを申し上げることができるかと存じます。それからまた、別の観点で申しますと、過般の第二次大戦におきまして我が国から非常な苦難を受けた、そういう国々の場合に、過去の記憶に基づく懸念というものが表明される場合が多い。  類型的にはそんなふうに考えられますけれども、いずれにいたしましても、我々といたしまして、現実に平和維持活動に参画するというような場合には、その辺のことは十分に慎重に考え、また慎重に行動をするという、こういう基本的な心構えが大事なことであろうと考えております。
  202. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ところで、オーストリアという国は、これは永世中立国として有名ではありますが、かねてからこのPKO活動には常連として多数の参加経験があります。今回UNTACにもこのオーストリアは参加している、このように承知しておりますが、この国が国際法上みずからに中立義務を課す、国内法的なそういう規定を設けてそれを諸外国に宣言をする、一部の国ではこれを承認をしている、こういう国際法的な立場にあるだろうと思うんですね。このような立場にある国がこのPKO活動に長い間携わってきた。そして、途中で撤収をした、撤退をしたということも私は承知しておりません。なおまたUNTACにも参加をしている。こういう実績から見まして、オーストリアはこのPKO活動に対しては、軍事的な面でも、また非軍事的な面でも十分に中立という国是と違反せずに参加が可能である、こういうふうに認識しているのだろうと私なりに理解をしておるわけでありますが、この点についての御認識を伺いたいと思います。
  203. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生おっしゃいますとおり、このオーストリアは一九六〇年以降、国連PKOに積極的に参加いたしてきておりまして、今日では北欧諸国、カナダと並ぶいわばPKO主要派遣国ということでございます。御承知のとおりオーストリアは永世中立国ですけれども国連の加盟国でもあるわけでございます。  ちなみに、スイスは今日まで国連に加盟しておりませんけれども、現在まさにPKF参加するために立法しておるということもあわせて申し上げたいと存じます。
  204. 山口那津男

    ○山口(那)委員 オーストリア、スイスという永世中立国がこのPKO参加に積極的である、そしてまた、政治的に中立政策をとる国々もかねてから積極的に参加をしてきた。これはまさにノーベル平和賞を受けたということと相まって、非常に平和的な任務であり、また人道的な側面も含む、こういう活動であったと私も思うわけであります。したがいまして、平和憲法を持つ日本の立場からしても、これはむしろ積極的に参加することが国際的な信頼と地位を高める、こういうことになるというふうに思っております。  ちなみにドイツ、こちらの国はUNAMICの段階から医療、看護チームを既に派遣をいたしておりました。私の見たところでは、女性の兵士もこの中にはいらっしゃるわけですね。フランスの輸送チームの中にも女性兵士もいらっしゃいました。女性が多数参加している、こういう事実が実際あるわけであります。それからまた、ドイツは近い将来、地雷処理の車両をUNTACへ持ってくる、こういうことも言われております。  これらの活動PKO活動の一部でありながら、ドイツでこのPKO活動全般に対する参加というのが今議論されておりまして、すべてに参加するためには憲法の改正、基本法の改正が必要である、こういう議論がされておるようでありますが、この今の点に限っては、つまり人道的な活動といいますか、平和的な目的の活動であれば、これは現行法のもとでも参加を過去にもしてきたし、また現在も続けている、こういう実績なんだろうと思うんですね。ですから、この点についてドイツの与野党の根本的な対立、意見の対立はないんだろうと私は認識しておるわけでありますが、この点についてどう思われるでしょうか。
  205. 丹波實

    ○丹波政府委員 何分他国のことでございますので権威を持って御説明申し上げることはできないのですが、私の理解しておりますところでは、ドイツは、要するに与野党とも基本法を改正しなければPKO参加というのは困難だと考えておるという点では、与野党とも同じ考えだと思うのです。違いは、与党の方は、PKO参加だけのために基本法を改正するという、そういう限定するというそういう野党の立場に反対である。与党は、そのPKO参加だけではなくて、将来の国連軍とか多国籍軍参加についても含めて改正というものを論じよう、恐らくこういう考え方であろうかと推定いたしております。  ちなみに、UNTACには百五十名でございますか軍の医療団を送ることを決定して、既に送っておりますけれども、このときのドイツの政府のスポークスマンの説明は、今送ろうとしているこの国防軍の隊員、医療団は専ら後方支援の任務につくので法律上の疑念はない、こういう説明であったと承知いたしております。
  206. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今の説明のとおりだとすれば、専ら後方支援につくPKO参加であれば、これは与野党ともに意見の対立はないという結果だろうと思います。したがいまして、どのような任務に携わるかということが、これが憲法上の問題であり、また国民の関心なんでありまして、自衛隊か否かとかあるいは軍隊か否かという、そういう地位に基づく議論というのは本当の論議を誤るのではないかと私は思うわけであります。  さて、そこで、アジア諸国の多数の参加、はたまた中立国の多数の参加、そしてドイツという国の新しい参加形態の模索、こういうものを見ていきますときに、やっぱり我が国としてもぜひともこの法案を早期に成立させて、もう既におくればせではありますけれども、十分に役立てる分野がまだ残っているだろうと私は思います。その意味で早期に成立させることが最も今大事な課題だろう、このように思うわけでありますが、最後総理の、この法案の成立とそして実施に対する御決意をお伺いいたします。
  207. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほどからオーストリアあるいはまたスイスのお話ども出ておりまして、これらは、いずれにしても本来中立を維持しておる国がこのPKOには参加できるという、しておるということは、国連PKO活動というものが基本的に中立的なものである、不偏の、偏らないものであるということを証明していると思います。まことにいい例をお挙げいただいたと存じますが、そのような国連平和維持活動について、我が国としては、我が国の持っておる憲法の枠内で行動しなければならないことはもちろんでございますが、これは、そういう意味でどの観点から考えましても、武力の行使であるとかあるいはまた当事者の同意を得ないままに自衛隊が他国に出かける、そういったようなことでない、文字どおり国連の権威と中立性に基づく平和維持活動への協力であるということで、まさしく私ども我が国憲法が前文で表明しているところの我が国としてなすべき国際的貢献に当たるものというふうに考えております。
  208. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは防衛庁長官にちょっと伺いますが、自衛隊員に対するこのPKO法案趣旨あるいは制度の詳しい説明というのはまだ実際にはなされておらないだろうと思いますが、この段階で、さまざまな国内の議論がある状況で、不安を現実に抱く隊員の方々あるいはその御家族の方々は多かろうと思うのですね。しかし、これが十分な説明がなされれば私はそれは徐々に解消されていくことは間違いないだろうと思うのですが、この点の説明の仕方、そして教育の仕方について所信を伺いたいと思います。
  209. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 一部の新聞報道等によりまして、自衛隊の家族が非常に心配しているとか、いわゆるPKO一一〇番、そういうものを設置して、そこで自衛隊員の家族の不安感が述べられているというような報道がなされておりますけれども、私ども今までこの法案が出された過程におきまして、隊員にこの法案の中身を周知徹底するということは率直に申していたしておりません。  もちろん幹部の間では、こういった重要な法案でございますから認識を持っていることは当然でございます。しかし、法案がこの段階まで来、しかもまだ国会の意思によってこのような形で修正 を受けるという段階でございますし、私は、この法案はぜひお願いして通さなければならないと存じておりますから、隊員に対する周知徹底は、これはきちっとやりたいと思っております。  そして、できれば全隊員について、改めて自衛隊の合憲性、それから海外派遣の平和協力業務憲法九条との関係についていささかも疑念のないこと、それからまた派遣する際に任務それ自体が平和的な貢献であること、しかもまだPKO本体と附帯とが分けられているような点、それから隊員の処遇その他隊員の安全性の確保、そういった点についての配慮等々について、私は、できれば早急にパンフレットでもつくって自衛隊員並びにその家族に周知徹底をし、そして自衛隊員がこの崇高な任務をきちっと果たしていくんだという自信を持ってもらう。できれば、PKF国民理解が足りないというようなことが言われますけれども自衛隊員が積極的に、この国際貢献業務がこういうものであるということを各駐屯地等において一般の国民方々にも周知徹底できるようなそういう状況が非常に望ましいと考えておりますので、この点は重要でございますから、はっきりとそうさせていただきたいと思っております。
  210. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今後の活動法案の成立後実際の活動のことを考えますと、隊員の処遇についてもまだ現場ではいろいろな不安もあろうかと思います。特に自衛隊から参加される隊員に対しましては、過去そのほかの、例えば消防ですとか警察ですとか、そういう方々国際緊急援助隊等に参加をした場合の総合的な待遇と比べて見劣りがする面もあっただろうと思うのですね。これからこの二つ法案が成立した場合に、これらの待遇の改善ということについては現段階でどの程度のことをお考えでしょうか。
  211. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 この法律によりまして、国際平和協力隊の隊員につきましては御案内のように平和協力手当が支給されることになっておりますから、この職務の重要性、困難性にかんがみまして、それを十分なものにしたいというのがまず第一でございます。  それから第二は、今委員が賞じゅつ金の点についてお触れになりましたが、これは自衛隊員が警察官と同じような業務に従事して殉職した場合に、今まで最高千七百万円ぐらいしか賞じゅつ金が出なかったわけですね。ところが、警察官等は地方公務員であることもあり、国の補償措置のほかにそういった措置が加算されて約五千万円マキシマム出るというようなことがございましたから、平成四年度では枠組み、制度としてそのようなことを措置することができるようになりました。  したがって、当然これは適用されることになりますが、そのほか、例えばペルシャ湾の機雷掃海艇の場合には特殊な勤務手当というような、勤務の実態に即応して特別な手当等も考えて措置したわけでございますが、あらゆる点を考慮してこういった困難な事情に従事される隊員の不安感をなくす、また家族の人たちも安心して送り出せるという状況をつくり出すことが何より必要だと考えておりますので、そのようにいろいろこれから各省庁と協議しながら結論を得てまいりたい、こう思っております。
  212. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほど来質問にも出ておったかと思いますが、凍結される任務の範囲につきまして、PKF本体というのは法案にほぼ明記されておるわけであります付れども、これと一体性のあるといいますか密接な関係のある業務についても凍結の範囲になる、こういう政党間の合意があるようであります。この具体的な範囲あるいは判断基準についてもう少し明快に説明をしていただきたいと思うのですが、まずこの点についてPKO準備室の方からお答えいただきたいと思います。
  213. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生三党間の合意ということに触れられました。実はその後参議院におきましては、今の御指摘の点というのはどちらかと申しますとやはり法律の解釈、運用にかかわる問題でございますので、きちんと政府サイドとしまして整理した上で明らかにすべきではないかという御指摘がございました。  それを踏まえまして、先ほど上原先生が御指摘になられましたけれども、六月二日付で「自衛隊部隊等が行う国際平和協力業務について」という考え方を提示いたしております。したがいまして、それにかなり詳しく書いてございますので、ちょっと、恐縮でございますけれども、読まさせていただいてよろしゅうございますか。   自衛隊部隊等が行う国際平和協力業務について、第三条第三号ヌからタまでに掲げる業務又はこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定める業務が、第三条第三号イからヘまでに掲げる業務又はこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定める業務と複合してしか実行できないようなケースは、後者が第六条第七項の国会承認対象であり、また、附則第二条にいう別に法律で定める日までの間は、実施の対象とならないので、その結果、前者も事実上同じ扱いとなる。   我が国が国際平和協力業務として第三条第三号ヌからタまでに掲げる業務又はこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定める業務を実施するにあたり、隊員の生命又は身体の安全を確保するため、地雷等の有無を確認し、その結果偶発的に発見された地雷等を処分する行為は、隊員に対する安全配慮に係る措置であるとの見地からして同号ヌからタまでに掲げる業務又はこれらの業務に類するものとして同号レの政令で定める業務それぞれに含まれるものであり、第六条第七項の国会承認対象ではなく、附則第二条にいう別に法律で定める日までの間も実施の対象となる。 それからさらに続きまして、   国際平和協力業務を実施するに当たっては、実施計画・実施要領の作成・変更に際し、前二項今申しました点でございますが、の趣旨にのっとり、我が国が行うことのできる業務の内容及び限界並びに当該業務に係る諸事項を正確にかつわかりやすく記載するものとする。 以上でございます。  この中身につきましては、先ほど田渕参議院議員の方からかなり詳細に説明がございました。ただ現実問題として、私、触れられておらない点として補足させていただきたいのは、やはり隊員の生命または身体の安全を確保するためということでいわゆるPKF後方支援業務をやっておりましても、まさに、地雷等の有無を確認して、その結果、偶発的に発見された地雷等を処分するという行為、そのための行為は認められて当然のことであるというふうに考えておるわけでございますが、その際やはり、具体的に部隊等を派遣します場合には、どういう人が、あるいはどういう装備で行くか、持っていくかということは、これは実施計画の段階できちんとわかるわけでございまして、そういった点を、これは実施計画が閣議決定をしまして国会に報告されるわけでございますけれども、それをきちんと正確にわかりやすく記載するという点、この点をはっきりさせていただきたいと思います。
  214. 山口那津男

    ○山口(那)委員 詳細な答弁で大体わかりました。  そこで、事前の国会承認手続というのが設けられたわけでありますけれども、これは衆参両院で、つまり各院で七日以内に議決するよう努めなければならない、つまり合計で十四日以内にということになるのでしょうか、このような手続規定をとることによって、我が国の制度が国際的に使える制度、つまり国連側から見て使える制度として十分に機能するのかどうか、この点の御検討はもう既にもちろんされているのだろうと思いますが、発議者の方から、これとの関係について、なぜ七日ずつになったのかということを念のため伺いたいと思います。
  215. 岡野裕

    岡野参議院議員 山口先生のおっしゃるその辺の関係は、やはりPKOの展開をするその実態と いうようなものに即してお答えをした方が精巧であろう、したがって行政府の方がよかろうかと存じますけれども、私なりに判断をしているところでお話をしますとするならば、先ほど上原先生のときにお話をしたのでありますが、過去も非常にたくさんの部隊がもう何回も何回もPKOに行っておられる。国連の方で総会もしくは安保理の方で議決をする、それに基づいて事務総長が要請をする、要請に基づいて当該国の部隊が現地に到着をするのには大体、早いところだと一日、二日などというのもありますが、一週間、十日ぐらいなところが平均値ではなかろうかというような意味合いで、私どもは先議の議院で七日、後議の議院で七日、合計十四といいますか、先議から後議へ行く間は一日削りますので十三日だなどという計算までしているところでありますが、この辺で承認、不承認の議決を賜りますならば、外国皆様に非難を受けることなく胸を張って参画ができるというような意味合いで、政策的判断で七日というのを選んだ次第であります。
  216. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 先ほどの答弁の中で一部間違っている部分がありましたので、訂正をしておきます。  先ほど七日以内に議決するよう努めなければならないというところで、政府原案では議決しなければならないと申し上げましたが、これは政府原案ではなしに三党原案でございましたので、その点を訂正しておきたいと思います。
  217. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この事前の国会承認の規定が入ったわけでありますが、なお前回衆議院での修正で、二年ごとの承認という修正がございました。さらに政府原案の中では実施計画の決定あるいは変更ごとの国会報告、こういう制度、これはそのまま原案どおり生きているわけですね。それぞれの制度とこのシビリアンコントロール全体の趣旨から見た整合性といいますか、この点について参議院発議者の皆さんはどのようにお考えになられるでしょうか。
  218. 岡野裕

    岡野参議院議員 先生、二年後の継続の関係につきましての国会承認、これはいみじくも当院の方の修正でございますので、私よりは当然先生お詳しいだろう、こう思うのでありますけれども、今回私どもはこれでシビリアンコントロールは十分ではないかと思いましたが、参議院におきまして百五時間にわた石どころの審議を行ったわけであります。その過程の中でいろいろ御質疑に耳傾ける中で、より一層国民の広さ理解を得てPKOをつくろうという場合に、改めて新しくこの国会事前承認を原則とするというものを入れたわけであります。  ただ、この際先生お話との絡みでいいますならば、前回衆議院で御修正をいただきましたその部分は、二年経過をした役といいますものの起算点がその実施計画の閣議決定の日でありましたところ、今回私どもは、せっかく国会承認ということを初めて出す場合に、派遣前に議決をいただくことになりましたので、その符節を一にするべく、その実施計画の決定の日ではなくて、承認をいただいた日から起算をして二年、こういうふうにいたしました次第であります。
  219. 山口那津男

    ○山口(那)委員 念のため峯山議員に伺いますが、国会の報告とこの事前の国会承認の手続との連続性といいますか関係、これについて御答弁いただきたいと思います。
  220. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 お答えいたします。  私どもは、国会承認の問題は、これは非常に重要な問題でございますし、シビリアンコントロールという面から見ましても重大な問題であるというように初めから考えておりました。そういうような意味で、この国会承認だけで十分であるかどうか、あるいは前の多国籍軍参加するという問題がありましたときの問題もございまして、ただ単に国会承認というだけではこれは十分な歯どめがないんじゃないか、歯どめにならないのではないか、そういうような議論もございまして、これは法案の中にやはり法律としてきちっと歯どめを盛り込む必要があるのではないか、こういうふうないろいろな議論がございまして、要するに憲法に違反しない、あるいは憲法の範囲内でいわゆる国際貢献をやっていくためにはどういうふうにすればいいか、そういうような観点からいわゆる五原則をこの法案の中に盛り込む、そういうふうにさせていただいた次第でございます。  そういうような意味で私どもは、初め、いわゆる我が党として、まず政府PKOを実践するわけでございますから、五原則をきちっと法案の中に盛り込むということがまず第一、そしてしかもそれだけではなしに、実施計画ができましたらば直ちに国会に報告をさせるということ、そしてさらに衆議院修正の、二年後の継続の国会承認をするということ、そして事後の国会報告、終了後の報告、そういうようなものをすべて含めまして、これで十分なシビリアンコントロールが機能するんじゃないか、こういうふうに考えたわけでございますが、この衆参の議論の中で、それ以外にまだ事前の国会承認もやはり必要だ、こういう御意見も出てまいりましたので、我々といたしましては、政策判断の問題といたしまして、我々の許容範囲内でもございますし、日ごろ考えておりますことでもございましたので、この修正の中で国会承認という問題を取り入れたわけでございます。
  221. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この事前の国会承認の制度の部分は、また別な面からいえば凍結対象にもなっているわけでありまして、これからの議論を重ねて見直しの際の十分な議論を期待したい、このように申し上げまして、私の質問を終わります。
  222. 大島理森

    ○大島委員長代理 次に、東中光雄君。
  223. 東中光雄

    ○東中委員 国連平和維持活動国連平和維持軍への参加の前提となる原則として五原則ということが言われ、とりわけ参加の原則として三つの原則が言われております。紛争当事者間の停戦合意の成立、それから平和維持活動受け入れの同意、それから紛争当事者間での中立の確保ということが原則的に言われております。  この国連平和協力法もそういう立場でやられておるわけですが、今国連の特別政治委員会の中の平和維持活動特別委員会が論議をしております方向が、PKOのすべての問題の総括的見直しということで、去る六月一日に報告が議決をされております。そういう中では、この停戦合意あるいは受け入れ同意というものを必ずしも前提としないという方向の論議がなされ、提起が出されております。  報告書を読んでみますと、紛争の初期段階でPKOを展開させる必要性に国連は迅速にこたえるべきだという提案がされております。紛争停戦段階に入るんじゃなくて、紛争が始まり出した初期の段階でPKOを展開させる、停戦合意後じゃなくて紛争が始まり出したときにもうやっちゃうという、そういう提起が出されております。あるいは、紛争の起こり得る地域にPKOを事前展開するためのさまざまな選択肢とシナリオを検討をするべきであるという提起もされております。  こういう方向が、事前PKOといいますか、あるいは予防PKOといいますか、そういうことが提起をされておるわけですが、日本の代表もこの特別委員会理事として出席しておられるわけですが、こういう提起に対して政府はどういう態度をとっておられるのですか。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  224. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  このPKO特別委員会と申しますのは一九六五年に国連総会のもとに設立されまして、それ以降、PKOの問題をたくさん議論してきております。PKOのすべての問題について議論をしておる、先生おっしゃるとおりです。  それで、先般出された報告書の中にもございますが、この委員会でいろいろな意見が出たことは先生のおっしゃるとおり。例えば同意の原則というものを、必ずしもなくてもPKOをやってもいいんじゃないかという議論があった、しかしやはり同意の原則は重要だという意見もあったという記述もございます。それから、先生が今おっしゃったように、予防的な平和維持のために紛争に入っていく、そういうPKOというものを考えたらどうだという意見があったことも事実ですが、しかしそれが結論となったというふうな記述にはなっておりませんで、いろいろな議論が行われているという点は先生おっしゃるとおりだと思います。
  225. 東中光雄

    ○東中委員 そういう結論が出たとはだれも言ってやせぬのです。そういう提起があったのに対して日本政府はどういう態度で臨んでおるかということを聞いておるのに、まともに答えようとしない。  そしてもう一点、同意の問題につきましても、当事国の同意は効果的なPKO平和維持活動にとって不可欠の条件だということになっておるけれども、しかし、そうした活動の同意を求めたら、受け入れ国が同意をしない場合がある、その同意をしないということ自身が、拒否することは容認できない、国連が断固たる措置で対応すべきであるというふうな提案もされているんです。だから、停戦合意がなくても、事前に予防だといってPKOを出していくということが国連正規委員会で出ているわけですよ。そして、受け入れ合意がなくても、拒否しますと言っても、強引に行くんだということが言われておるわけであります。  そういう国連の論議の中で、日本だけは、合意がなければ、停戦合意、受け入れ同意がなければ一切やらないんだと言うたって、国連の動きは違うんです。そういう論議がされておる中で、日本政府はどういう態度をとったのか、言わないでしょう。言えないんですよ。  私の調べた範囲では、日本の代表は、予防的措置をとるのに国連が努力をすべきだ、PKOとは言ってないけれどもPKOが事前展開するという方向が提起されたのに対して、全体としてはそういう方向を支持しているんですよ。  ここでは、この国会では、一切そういうことはないんだ。これは国連での動きを日本政府がごまかしているということを言わざるを得ない。そういう点で、合意が要るんだ、同意が前提だということを言いながら、実際にはそうでない活動をしてしまうということになるということが一番問題なんであります。  現に国連の中の特別委員会、ニューヨークでやられている国連の中の特別委員会では、日本政府はそういう方向をむしろ言っているじゃありませんか。これは全く許されないことだというふうに思います。ピースメーキングあるいは紛争防止のための国連活動強化と日本政府代表は言っているんですよ。そういうことがちゃんと報告の方向で出ているんです。それを今の国連局長のようにいいかげんな答弁でごまかしているということは許されぬというふうに思います。  ところで、この法律自身でも、停戦合意がなくてもPKO派遣するということがあり得るというように法律の第三条の中に、武力紛争が発生していない場合においても、合意があれば、受け入れ同意があれば行くことがあるということがこの条文の中にありますね。三つの、停戦合意と受け入れ同意と中立という原則は原則として掲げながら、それが抜けるようにこの法律自体がなっているんです。事前PKO、いわゆる武力紛争が発生していない場合のPKOへの参加ということがあるということをここに書いてあるんですが、その点はどうですか。
  226. 丹波實

    ○丹波政府委員 PKOというものを紛争の予防に使うという問題と、紛争が未然に発生することをいかに国連として防止していくかということは、違う問題でございます。  まず後者の問題から御説明申し上げますと、国連の機能を強化して、例えば事務総長の権限を強化して、平和的に紛争というものをそもそも発生させないように努力しようじゃないかということは、昨年め外務大臣の国連演説の中でも言っていることでございまして、そういうことを日本の代表はPKO委員会で発言しておるということでございます。  それから、先ほど申し上げましたように、同意を不要とするPKOというものは、先生、既に実はUNIKOMというものが去年の春設立されておるんです。この発足に当たりましてはイラクとクウエートからの同意をとっておりますけれども、たとえその同意が取り消されましても国連は存在すると言っておるわけです。もし日本がこれに参加したとしましたならば、その時点で恐らく日本の参加の条件は欠けると思うのです。  何度も御説明申し上げてきておりますけれどもPKOといいますものは今後進化発展していくと思います。しかし、日本にとって非常に重要なのは、日本から見た場合のこの法案におきますところの枠組みが欠けたものについては日本としては参加していかないということなんでございまして、そういう意味では、同意のないPKOというものには日本は参加をしない、そういうことなんでございます。
  227. 東中光雄

    ○東中委員 同意のないPKOには参加をしない。問題は同意じゃなくて、停戦合意のないものに参加することになっておるじゃないかという質問をしたのに対して、合意のないものには参加しないという、こういうインチキ答弁ですね。まさにインチキ答弁ですよ。指摘していることと違うことを言っている。  そして、国連で提起されているのは、PKOを事前に展開させるという提案がなされておるのに対して、日本政府代表は一言も、それは反対だ、そういう方向でやるべきではないというふうなことは言っていないんですよ。そこが問題だということを言っておるわけであります。現実の国連は、この三つの原則と麗々しくこの審議では言っておるけれども、それは崩されていっているんだ。  現に今のユーゴの状態を見てみれば非常にはっきりしています。ユーゴのボスニア・ヘルツェゴビナの首都のサラエボに派遣していたPKO部隊が、あれは御承知のようにもう随分報道されていますが、内戦状態になっている。それで、ガリ国連事務総長が十三日にその部隊を撤収をさせた。その理由は、内戦激化で安全が保障されないということで撤収させたんでしょう。ところが、そのすぐ後に、十五日の日には、国連安保理事会が、この旧ユーゴ連合軍とクロアチア軍のボスニア・ヘルツェゴビナ撤退を、この国連PKFの撤退じゃなくて、内戦激化しておるその武力紛争が、停戦協定が破られて戦闘状態になっている、その部隊両方に撤退せいということを言って、そして国連部隊はその中へ入っていくということを決定している。EC側は、PKFは戦闘を収拾するために派遣されたのに、戦闘が激しくなったから撤収するというのでは役割は果たせないではないかと言っているのですよ。停戦合意は崩れておる。国連事務総長は撤退するという指示をしたけれども、戦闘が激化したからといって撤退するとは何事だといって、行けという決定を国連がしているんですよ。これがPKFの実態なんですから。それで、前線の国連の司令部が銃撃を受けているじゃありませんか。  だから皆さん、停戦合意とそして受け入れの同意が崩れても、なおPKFというのは出ていくというのが今の国連の実態じゃありませんか。その国連の実態と離れて、全く形式的な、絵にかいたような、ガラス細工のようなことを法律案でつくっておったってだめだ。この実態について一体どう思いますか。総理、どうですか。
  228. 丹波實

    ○丹波政府委員 私は、この現在のPKOと申しますのは、基本的には伝統的な原則の中で行われていると考えております。しかしながら、その例は、例えば先生御承知のソマリアにPKOが設立されましたけれども、一度はPKOの展開に合意した当事者が同意を取り消したということで国連は現在オペレーションを開始していない、そういうことにもあらわれていると思うのです。それから……(東中委員「ユーゴのことを言っているんだ、ユーゴのことを。そんなソマリアのことを言っておらぬ」と呼ぶ)いや、ですから、ユーゴの場合には、いわゆる国連保安隊というものの本部がサラエボにあって、戦闘が開始されたということで、本部の撤退が決定された。(発言する者あり)
  229. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。御静粛に願います。
  230. 丹波實

    ○丹波政府委員 それと同時に、ぜひ強調させていただきたいのは、ヨーロッパの一部の国などが……(発言する者あり)
  231. 林義郎

    林委員長 御静粛に願います。
  232. 丹波實

    ○丹波政府委員 ボスニア・ヘルツェゴビナにPKFを送ってほしいということを何度も要請したのに対して、国連は少なくとも二度にわたりまして調査団を、バンス元長官とかを送りまして、戦闘状態が続いているのでゴーゴには現在ではPKOは設立てきないという結論を出したことは御承知のとおり。一番最近のボスニアのPKFは、これは飛行場だけの、周辺の人道的な援助のために設立されておることは御承知のとおりでございます。それから、一番重要なことは、先ほど申し上げましたけれども、日本から見て五原則、特に今先生がおっしゃっておられるのは最初の三原則ですが、この三原則が充足されていないようなPKFPKOというものがもし将来できた場合、あるいは現存している場合、日本はそれに参加しないということが一番重要なんでして、国際社会がどういうPKFを例外的につくるかということと、日本がどういう原則で入っていくかということは、これは別な問題であるというふうにお考えいただきたいというふうに思います。
  233. 東中光雄

    ○東中委員 PKFPKOは、三つが、国連PKO、とりわけその中心であるPKFの前提であるというのが書いてあるんでしょう。ところが、現実の国連はどうか。事前をやろうじゃないかということを正規の機関で提起されておる。(発言する者あり)黙れ。こういう妨害はやめろ。やめろ。委員長、こういう妨害的発言を禁止してください。
  234. 林義郎

    林委員長 御静粛に。質問者以外の方は御静粛に願います。  質問を続けてください。
  235. 東中光雄

    ○東中委員 だから、そういう前提だというものが現実に違う状態で動いている。そこへ参加するかどうかは参加の条件の問題で、そんなことを今議論しているんじゃないんだよ。法律の論議をしているんだよ。法律はそういう建前になっているけれども、実際の国連平和維持軍はそうやっていないよ。論議もそういう方向じゃないよ。それをごまかしてガラス細工の論議をしておるんじゃだめですよというのが、外電の批判でも出てきているじゃありませんか。  日本の国会は何をやっているんだ、形ばかり、形式ばかり言って、実際に国連PKFが何をやっているかということについて論議をしていないじゃないかということが、ある新聞にも出ていましたね。相当大きな記事です。(発言する者あり)いや、一々そんな……。ある全国一般紙、朝日新聞だよ。君はそんなものも読んでいないのか。こういうふまじめきわまる、自民党というのは国の根本の方向を論議しているときにまじめに論議することさえできないのか。それが与党自民党の態度か。まじめにやれ。時間が短くて困っているんだ。いいかげんにしなさい。  委員長、だからこの論議はだめだ。これは実態に反した論議をやっている。こういう形で国連局長が実態を違ったことを言って、それで通っていくというような、法案を通しさえすればいいという姿勢は断じて許されぬということを申し上げておきます。  次の問題に入ります。  今度の再修正案で、御承知のように国連平和維持活動等に対する協力法案、そして国連平和維持活動への協力ということが法案の建前で、全部そういう構成になっています。ところが、今度の再修正で、国連平和維持軍への参加という法文が入りました。国連平和維持隊に参加するという法文上の文言が入りました。国連平和維持隊、PKF、従来の外務省の用法でいけば国連平和維持章に参加という条項が入りました。これは国連平和維持活動PKOへの協力という法案の体系の中へ、一切定義もなしに、国連の定義もない国連平和維持隊と称するPKFへの参加という概念が入ってきた。これは今までつくられてきたこの法案の建前と全く違った新しいものが継ぎ足しされた。  そこで聞くのでありますが、国連平和維持隊、PKF参加をするという場合は、これは今までの政府統一見解によりますと、参加はその隊の指揮下に入ってその一員として行動することである、こういう九〇年十月二十六日の政府統一見解があります。協力については同じ統一見解で、協力は「「参加」を含む広い意味での関与形態を表すものであり、当該「国連軍」の組織の外にあって行う「参加」に至らない各種の支援をも含む」と書いてある。だから協力というのは、国連平和維持軍の外にあって協力する、参加はその中に入って一員として行動するということであります。今までは協力法だったのです。ところが今度はPKF参加する、こういうことでありますから、これは重大な違い、体系的に違うということになります。どういうことを突然入れてきたのはなぜか。これは対国連との関係で、去年の八月十四日に外務省が文書で国連に対して基本方針というのを出しましたね。あの文書は英訳もついていますけれども、基本方針があって、国連平和維持隊という書き方をしていますが、ピース・キーピング・フォースという英訳もついています、への参加をするものとする、我が国はということになっているのです。だから、国連の事務当局のPKO担当のグールディンク次長に対して渡した文書には、日本は国連平和維持軍への参加をするものとするといって書いてあるのです。そして五原則なるものが書いてある。だから、この五原則を認められたら参加するんだということを約束して、グールディンクはそれで結構だと言うたというのです。  だから国連との関係では、明らかに国連平和維持参加という約束をしているのです。そして日本の国内法をつくっているときは、国連平和維持活動等への協力という違うものをつくっていたわけです。今の段階になって初めてそれが三党修正でぽっと出てきた、こういう格好であります。  だから、この法案によって、国連平和維持軍に参加をする、国連平和維持軍の指揮下に入ってその一員として活動をするというための法律なんだというふうに変わったと思うのですが、その点はどうですか。
  236. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘で、参加という言葉が突然出てきたかの指摘がございました。政府原案をごらんになっていただきたいのですけれども、実は政府原案の第三条一号「国際連合平和維持活動」、いわゆるPKOの定義そのものの中に、「国際連合事務総長の要請に基づき参加する二以上の国及び国際連合によってこ「実施されるものをいう。」ということではっきりと「参加」ということが政府原案そのものにあるわけでございます。したがいまして、その間、今回出てきた参議院修正との間で「参加」という言葉をめぐってそごがあるというふうには認識いたしておりません。  また、先ほど先生指摘の「協力」という言葉との関連でございますけれども協力とは参加のほかに物資協力等を含めたより幅広い概念である、そういうふうに理解しておるわけでございます。
  237. 東中光雄

    ○東中委員 条文に「参加」があるぐらいのことは知っていますよ。何を言っているんだよ。国連平和維持軍への参加、そんな条文どこにありますか。国連平和維持軍という、平和維持隊という言葉、その概念自体は決まってないんだと言っているじゃないですか、政府答弁でも。国連でも決まっていないと言っているじゃないですか。そういうものに参加をするというのはこの条文の中に今まで全然なかったのですよ。  国連平和維持活動参加する二以上の国及び国連という、そこで「参加」という言葉を使っているのは百も承知です。わからぬで言っているんじゃないんです。わかった上で、ここで新しい概念を入れだということを、それは国連に対して去年の八月十四日に、国連平和維持隊に参加するものとする、我が国はと書いてあるのです。そう言って英文までつけて、それで向こうへ持っていって了承を得たと、こう言っているんでしょう。それを今度出してきたのですよ。だから、これは質的に非常に重要な問題があるんだ。我々が言っているのは言葉の問題じゃないんです。概念の問題なんです。だから、条文を何とはなしに入れちゃうというようなことでごまかすわけにいかぬ。  それで、時間がないので国連軍の指揮の関係ですね、これはこの間、外務大臣の指揮問題に関しての政府の統一見解ということで発表をされました。これによりますと、その初めの方は「国連の現地司令官は、各国から派遣される部隊が、いつ、どこで、どのような業務に従事するかといった部隊の配置等についての権限を有しています。」こう書いてあるわけです。だから別の言葉で言いますと、PKF国連平和維持軍に参加をした、日本の自衛隊部隊参加をするとしますね、その部隊は、国連の現地司令官が各国から派遣される部隊、日本の部隊についても「いつ、どこで、どのような業務に従事するかといった部隊の配置等についての権限を有しています。」と書いてあるのです。この権限を、配置し、組織し、行動し、そして命令する、指令するという権限を事務総長は有しておる。これはモデル協定に書いてあるのです。その権限を有しているということまで外務大臣は言っているのです。  そこで、その権限を行使するのはだれかということはモデル協定の七項にはっきりと書いているのです。現地の国連の司令官がその権限、指揮、配備の権限を持つんだ。しかもその権限の行使はどういうふうにやるかといったら、その司令官が組織する指揮系統を通じてやるんだ、派遣された部隊に。派遣国の当局は一切その派遣された部隊にそういう指揮や指示をすることはできない、これがモデル協定の九項です。ですから、外務省の統一見解によると、派遣された部隊は実施計画の範囲内で、実施要領の枠の中で防衛庁長官の指揮監督のもとでこの業務を実施するんだと書いてある。ところがモデル協定では、国連軍の司令官が司令官の指揮系統を通じて、権限を有すると外務大臣が認めているこの権限を行使するのは現地の国連の指揮系統なんです。はっきり書いていますね。  現場へ行った日本の部隊、それは現地の国連軍の司令官、事務総長、司令官、そしてその指揮系統に従うのですか、従わないのですか。防衛庁長官、どうですか。
  238. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 これは八条で基本的に述べられていることでございまして、国連事務総長またはその権限を代行して行使する者の指図、いわゆるコマンドに従うということでございまして、このコマンドの意味を五月十八日の参議院の特別委員会で外務大臣が述べられたものでございます。しかし、そのコマンドというのは何かというと、そこに今委員が引用になりましたように、基本的な運用面あるいはその組織、運用等に関する基本的な事柄でございまして、そういった問題について適合するように実施要領を定めるということでございまして、あくまで指揮権は、総理大臣もしくは部隊として行動する自衛隊の指揮官である防衛庁長官に指揮権があるということでございまして、この点は何ら矛盾がなく、整合性があるものと私どもは考えておるわけでございます。
  239. 東中光雄

    ○東中委員 外務省、モデル協定七項及び九項ですが、配置、例えばUNTACからは今、歩兵部隊、通信部隊あるいは工兵部隊その他要請していますね、人数を決めて。それで日本から派遣するということになった、その派遣した日本の歩兵部隊であれ通信部隊であれ、それをどこへ配置をするか。今戦闘が行われたり、入ってくることをポル・ポトが阻止しているコンポントムの地域へ行くのか、あるいはどこへ行くのかというのは、これは配置を決めるのは、どこへ行くかということを決めるのは現地の司令官だと書いてあるんです。  それから、どういう編成で行くか、日本の部隊だけで行くのか、ほかの部隊もたくさん行く中で行くのか、あるいは日本の部隊のほんの一部だけが、通信隊の通信班ぐらいがついてよその歩兵部隊と一緒に行く、これはもういろんな形がありますね。  それを決めるのも、それから、その部隊がそこへ行って陣地をつくって駐留をするのか、検問所をつくって検問をやるのか、あるいは地雷をのけるのかのけないのか、そういう行動についても国連軍の司令官が持っている権限を行使するんだとちゃんと七項に、それから日本の当局はそれに対して物を言えないんだと書いてあるんですね、国連のこの諸規定。  再修正についての三党合意によると、国連の諸規定は尊重する。だからモデル協定の七項、九項というのは、そういう形で単なる権限を持っているというだけじゃないです。その権限を行使するのは国連の司令官なんだと、その国連の司令官が何でもやるのかといったらそうじゃなしに、系統をつくって、指揮系統を統制してそれでやっていくんだ、そこまで書いてあるんですよ。それに従うのか従わないのか、国連の諸規定に従うのか従わないのか。PKFへの参加ということを言うた以上は、組織の一員としてその指揮下で動くということなんだ。統一見解からいってもそうでしょう。それをやるということだったら、防衛庁長官が実施要領の枠内で指揮するなんと言ったって、これは全く矛盾することじゃないですか。二重の指揮なんというのはあり得ない。  外務省、モデル協定の七項、九項、これは守るんですか、守らないんですか。現地の司令官、国連軍の司令官の指揮に服するんですか、服しないんですか。日本政府は、その配置や行動について、どういう業務をやるかという行動についても現地の国連の司令官が指揮すると書いてあるんだから、それに派遣国の当局はいかなる指示を出してもいかぬと、そして派遣された部隊は指示を仰いでもいかぬと書いてあるじゃありませんか。その条項は守るのか守らないのか、どうですか。
  240. 丹波實

    ○丹波政府委員 何度も御説明申し上げてきておりますけれどもPKFの前提条件が崩れていない通常の状況におきましては、日本政府といたしましては、七項、八項、九項と、モデル協定でございますが、このとおり実施されるように、特に七項でございますが、実施要領を介してこういう国連のコマンド、国連司令官のコマンドというものが実施されるような仕組みというものをこの法案が用意しているということでございます。  なお、九項の点でございますけれども、これは昨年の十二月の二日に私は東中先生にまさに御説明申し上げましたけれども、このモデル協定の九項の意味でございますが、国連の側から見ますと、参加各国が複数の国でございますので、その国連司令官の指図のもとに統一的な行動をしてもらわなければPKFのミッションが遂行できない、そういう意味で、そういう統一性が確保されるために各国がばらばらに行動してもらっては困るということを確保しようとする規定でございます。日本につきましては、実施要領を介して指図というものが実施されていきますので、この九項との矛盾は生じませんという説明をいたしたつもりでございます。
  241. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから終わりますが、今の話は、指揮監督は防衛庁長官にあるということが書いてあるわけでしょう、条文に。ところが指揮は、コマンドに従うと言ったって、軍司令官がやるんだと書いてあるんじゃないですか。そういう二重指揮なんてあり得ない。これはもう決定的な矛盾ですね。国連の指揮に完全に従うならば、武力行使の問題で憲法違反になります。そして国連の指揮を排除して日本が介入していけば、それが一致しなかったら政治的作戦上の混乱を起こすということがSOPにも書いてある。それにも違反する。だから、これはもう決定的に憲法違反国連攪乱かということになってしまうそういう法案なんだということを申し上げて、これはもうやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  242. 林義郎

    林委員長 次に、和田一仁君。
  243. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、参議院修正されました 修正部分についてお尋ねしたいと考えてまいりましたが、しかしながら朝からその修正部分を中心にした論議が尽くされてまいりまして、私、聞きたいと思うことはほとんどお答えがございましたので、視点を変えていきたい、こう思っております。  ただ一つ、初めに、先ほどの御議論を聞いておりましてちょっと気になりますので、重ねて、これはダブった質問になるかもしれませんが、まずお尋ねして確認しておきたい、こう思います。  それは、先ほどの御質問の中で、この六月初めに国連のいわゆるPKOの特別委員会、ここでいろいろな報告書が出まして、このPKOあり方PKFあり方等についての議論があった、そういう内容でございますけれども、最近のこのPKO活動の態様の変化を議論した上で、当該国の同意を必要としないPKOあり方であるとか、あるいは停戦が成立していないときでも展開できるPKFが必要ではないかとか、あるいは予備的なPKOが必要であるとかいう議論があったというふうに報告をされておりますが、先ほど、この報告を踏まえて今議論されておりますこの日本のPKO法案、この法案が、こういった事態に対して我々が理解しているこの法案の五原則が私はしっかりとあると思うんですが、にもかかわらず、あたかもそれを乗り越えてそういう対応もできるんだというかのような議論があって、これは大変誤解を生むのではないか、こう思います。  私はやはりこのことは非常に大事であって、このPKO法案の基礎にある原則として、これはもう一回重ねてのことになるかもしれませんが、この五原則がある限り、このPKO法案によって、日本はそういった事態へのPKO活動PKF活動、そういうものにはこれはどういう対応ができるのか、きちっとお答えをいただきたい、こう思います。
  244. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 その点は、先ほど東中委員がその問題を御提起になって、あたかも今おっしゃいましたような疑いを持たせるような問題がここにあるので、私からはっきり申し上げておく必要があると思います。  まず、国連のその特別委員会におけるお話というのは、決して最終的な結論でもありませんし、国連の名においてそういう決定がなされたわけでもありません。私はこれを報道で読んだ程度でございますけれども、考えてみますと、一体当事者の同意を得ないで国連がそんなところへ入っていって本当に役に立つだろうか。恐らくその議論のもとというのは、戦争が起こってからでは実際遅いじゃないか、起こる前に何とかできないか、起こりそうになったらそこへ入っていってそれ以上大きくならないようにできないかというようなことをきっと――確かに理想的にはそれは結構なことだと思いますけれども、私は今の国連にそういう力はないと思います。  そして、そういうことをやれば大変な死傷者が出るだけであって、これはもう国連平和維持活動にならないのみならず、むしろそういう国連が今まで積んできた実績というものを壊してしまうことになるであろうと思いますから、あの議論は幸いにして最終的なものでもないし、国連の結論でもないのでよろしゅうございますけれども、あの方向に話が本当に発展するとは私は思わないし、また現実的な意見でもない、私はそう思っておりますものですから、先ほど東中委員の御議論を承っておりましたけれども、そういうことに事態が発展することは、私は現実的には起こりそうなことでない、いわんや今御審議願っております法案とは全く関係のないことであるというふうに存じます。
  245. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、国会の論議というものは、この法案理解してもらう国民にとって大変大事だと考えております。そういう意味で、非常に初歩的ではございますけれども、この法案の中で、まず自衛隊が必要であるという点についてお尋ねしていきたいと思います。  冷戦が終わりまして、そして湾岸戦争という大変な事態が起こりました。これに対して多国籍軍という対応があった。こういうことは非常に我々にとっても新しい事態でありまして、今まさに国際政治は大きく変化をしておる、こういうふうに考えております。世界は今新しい国際秩序づくりを模索しているというふうに思いますけれども、その中で日本の国際社会への貢献というものはどうしたことができるかが問われている、私はそう理解しております。  そういうことをめぐって、やれることは何かということで、こういう論議が連日繰り返されているわけでございますけれども、このPKOについて、自衛隊の海外派遣一つ大変これは大事な焦点であります。ハマーショルド元国連事務総長は、PKOは軍隊のする仕事ではない、しかし軍隊でなければできないことだ、こういうふうに定義づけておられることは有名でございますけれどもPKO参加する諸国はまさにそのとおりでありまして、現実に軍隊を派遣している、これが実態だと思います。  そういう中で、日本では自衛隊派遣してはならないという議論がございまして、そうした議論の中で、私は、自衛隊そのものを認められないという人は別といたしまして、自衛隊は認めるんだ、しかしながら、認めてはいるけれども自衛隊をこういった派遣対象として使うということはまずい、自衛隊でなければいいんだがな、こう考えている人が案外多いんじゃないか、こういう気がいたします。私は、そういう人々に、やはりそうではないと、この法案の考えでいるものはそうではないんだという一番大事な根拠をもう一度きちっと御説明を賜りたい、こう思います。
  246. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ハマーショルドさんが言われましたように、確かにこの平和維持活動というのは軍事的な経験がなければできないことでありますけれども、しかし、それが戦争をする軍であってはならない。つまり、発砲するということになれば、これは一つの交戦当事者に堕してしまうということでございますから、それではもう平和維持活動の本来の目的が達せられない。しかし、平和維持活動が行われる場所そのものは、今戦雲がまだ立ち込めているような、しかも戦争の後でございますから安楽な土地であるわけはない。そういうところでの仕事というのは、非常に厳しい、かつ苦しいものであることは疑いのないところであります。  したがいまして、例えばカンボジアの場合に、参加してくれる各国は六十日分のいわば糧食その他を用意してくれと申しますのは、それだけの組織力と準備がなければ、実際に役に立つ仕事ができないということであろうと思いますのできるならば、ボランティアだけでやればこういう問題も起こりませんけれども、それではこういう難しい仕事ができないということから、自衛隊であれば経験もある、組織力もある、秩序もあるというところで、自衛隊にこの際に働いてもらおう。しかし、くれぐれも、弾を撃つようになっては、これはもうその目的を達成できないというのが平和維持隊の伝統でもあり、そのようにノーベル賞をもらっているのでございますから、いわゆる武力を行使する、武力行使になる心配はないけれども、それでも我が国憲法の精神がございますから、万一にもそうならないように、我が国の場合に、武器の使用であるとか、あるいはある種の事態が起こりました場合の中断、撤退であるとかいうことをさらにこの法案の中に取り入れまして、そのようなおそれが万一にもないようにいたしておるところでございます。
  247. 和田一仁

    和田(一)委員 総理の御答弁のようなことをもっとかみ砕いて、もっともっと国民に浸透させていかないといけない、私はこう思うのです。  一九八八年にこのPKO活動に対してノーベル平和賞が与えられているということすら、私らが外で国民に申し上げると、ああそうなんですかと、そういうことは知らなかったというぐらいの理解である、私は非常に残念だと思っております。  あれは一九八八年の十二月の十日ですか、国連事務総長がこの平和維持活動に対してノーベル平和賞を受賞しました。その授賞式には、当時の事務総長と一緒に十七人のブルーベレーをかぶった国連平和維持隊員が臨んでおったという記事を拝見しております。  その授賞式のときに、時のノーベル賞委員会のエギル・アールビク委員長は、それまでに亡くなった七百三十三人の隊員たちの名誉のために黙祷をささげるように求めた後で、その授賞に際してのコメントとして、委員長はこう言ったというのですね。「犠牲となった隊員たちは、出身も違えば、経験も異なる。しかし彼らは一つのきずなで結ばれていた。つまり平和にその若さと情熱をささげる心をともにしたのである。彼らは危険を承知でその任務に志願し、そして人が支払う最も高価な代価を支払ったのだ」、こういう話をした上で授賞された。私は、確かにこれは大変な仕事だと思います、今総理がおっしゃったような危険な状態がついあったところへ行くわけですから。  さらに言葉を続けて、「挑発を前に冷静であったり、攻撃されてもなお平静であるために、国連平和維持活動の隊員、参加している人は、格別の勇気を発揮しなければ任務が遂行できないんだ。我が国連のそのPKO部隊はその試練に耐え、それを克服してきた。国際的なこの国連平和維持活動の歴史をひもとくと、本当の英雄でなければできない行為、勇敢な自己犠牲に満ちている」、こういう言葉の上にノーベル平和賞をこのPKOがもらった、これはやはり国民が非常によく知っておくべきことではないかと私は思うのです。  人は隣人のために命をささげること、それより大きな愛はないという言葉がございますけれども、まさにこういった精神を我々はもっともっとこういう物質中心の時代に国民に示していかなければいけない。さっき申し上げたように、自衛隊が必要であると同時に、それがやはり出ていくためには、こういう背景で出ていくんだ、精神で出ていくんだということを私はしっかりと理解してもらう必要があると思うのです。特に、私は、こういったことは非常に小さいうちから、将来国際人になっていく子供たちにとっても大事な教材だろう、こう思いますが、文部大臣、こういう点について御見解はどうでしょうか。
  248. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 全く先生おっしゃるとおりだと思っておりまして、私どもは心やさしくて、たくましくて、そして国際性のある日本人をつくりたいと考えておりまして、国際性があるというのは、世界の中の日本人、世界の中に生きていく日本のその国民の一人であるというしっかりとした自覚を持ったそんな青少年をつくっていきたいと考えておりまして、そのような観点で、平成元年度の学習指導要領の改訂、御承知のようにことしから小学校が新学習指導要領、来年中学、再来年高校と順次実施をいたしてまいりますが、その学習指導要領のときには、改訂時にはまだPKOという言葉は私も知りませんでした。  しかし、そのころに、世界と日本とのかかわりに関心を持って国際社会に主体的に生きる日本人としての基礎的資質を養うというそういう観点で新学習指導要領をつくってまいりまして、児童生徒の発達段階に応じて、国家間の相互の主権尊重と協力が平和の維持と人類の福祉の増進にとって大切であることを認識させよう、こういう学習指導要領をつくったわけでありまして、当然PKOのような問題についても適切に取り上げられていくことを期待をしておりますが、中学が来年から新学習指導要領でございますので、既にその教科書が今検定を終えて採択を待っている段階にあります。  したがって、どの教科書がいい悪いということを私はコメントすることは避けなければなりませんが、来年から使用されるある教科書では、「日本が世界平和に責任を果たすために、憲法前文や第九条に反しないありかたにより、国連PKO参加する道も模索されている。」と書かれております。また、もう一つの別の教科書は、「平和維持活動がはたらきはじめているいま、日本は国連への協力の視点から、武力行使を目的としない人材を派遣するなど、あらたな体制を整備しなくてはなりません。そうでなければ、日本は国際社会のなかで信頼感を保つことができなくなるおそれがあります。」こういう記述もなされておりますので、来年からは中学で具体的にこのような教科書のもとにPKOについても指導がなされることを期待をいたしております。
  249. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、これからの子供たちがやはりそういう認識をきちっと持つことが非常に大事だと思いますので、ぜひひとつその点はよろしくお願いをしたいと思います。  それから、今国連PKO一つでありますカンボジアUNTACですが、私はこの法案が成立をすれば対応する一番卑近なPKO活動だと思っておりますけれども、ここへ来てカンボジアにおけるポル・ポト派の武装解除拒否というような事態が報道されておりまして、この実態をどう政府は把握しておるのか。  また、UNTACが与えられた使命はやはり何としても計画どおり達成してもらいたいものだ、こう考えておりますけれども、このUNTACへの協力について、派遣の段取り等についてはどうなっているかをお伺いしたいと思います。
  250. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 お尋ねUNTACへの派遣の段取りの部分につきましては、別の政府委員からお答え申し上げます。  ただいまお話しのクメール・ルージュのことでございますが、御案内のように昨年秋以来、パリ協定が結ばれて以降、SNCの議長であられるシアヌーク殿下、そしてUNTACの長である明石特別代表のもとで、カジポジアにおける和平の定着に向けて懸命な努力が展開されております。そういう中で、避難民の帰還等も進んではおりますものの、ただいまお話しのように、そういう中で、パリの協定においてしかれました和平へのプロセスについて、必ずしもクメール・ルージュが十分な協力的な姿勢をとっておらないということは事実でございます。  そこで私どもは、やはり和平のためにこれは大変心配されることでございますから、クメール・ルージュの一部の停戦の違反等につきまして、私どもあるいは明石代表、シアヌーク殿下等がそれぞれ関係国に働きかけまして、クメール・ルージュがいま少しく和平に向けて協力的な態度をとるように説得をいたしております。日本政府の努力といたしましては、例えば中国政府とかあるいはタイの政府等に働きかけておりまして、国連でも同様な努力が展開中でございます。
  251. 和田一仁

    和田(一)委員 段取りについて。
  252. 野村一成

    野村政府委員 お答え申し上げます。  もう既に展開しておるカンボジアPKOでございますので、この法案の成立後、非常にスピードアップしていろいろな準備をやらないといけないかなと思っております。基本的には、いろいろな政令の制定とかあるいはその本部の中核となります事務局の設置、そういった事務執行体制の整備を行う必要がございまして、これは実はこの法律の公布の後三カ月以内に施行しないといかぬということになってございます。三カ月なんか待たないで、できるだけ早く実施できるようにやりたいと思っております。  それから後、国連といろいろな調整を行います。具体的にどこの分野でどういった協力をやるかということをよく話し合いまして、実施計画の案を詰めまして、それを国会に御報告するということ、それからあわせてその要員の確保を関係行政機関に要請いたします。これは本部長から要請するわけでございます。それからこの所要の訓練、研修といったものをがっちりと行いまして、それで派遣の段取りに至る、簡単に申し上げればそういう段取りでございます。
  253. 和田一仁

    和田(一)委員 私は余り時間がございませんので、いろいろ聞きたいことは多いのですけれども総理にもちょっとお尋ねしておきたいのですが、こういったUNTAC活動等へ派遣をするという段取りをもう考える時期に来ているという中で、一体そういう費用について、派遣の費用について、従来、自衛隊が出ていく場合に、自衛隊の国防という予算の中でこれは賄われるのではないだろうかなと思うのです。これはやはりそういう国防費を使ってやるのではなくて、PKO活動という新しい任務が与えられた場合にはそれなりの対応が必要である、私はこう考えております。現実に出ていって長期間いるということになりますと、いろいろなやりくりはあると思うのですけれども、基本的な財政措置というものはきちっとすべきだと思いますけれども、その点について総理などはどういうふうに御指示されているのか、お伺いしたいと思うのです。
  254. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 防衛庁長官がこの法律趣旨によりまして平和協力部長の要請で自衛隊派遣する場合、この協力業務というのは自衛隊法の百条の七で自衛隊の任務として規定されるわけでございますから、本来この業務にかかわる経費は防衛関係費から支出されるものというように考えております。  ただし、自衛隊員が個人として参加するような場合、これは十二条で規定がございますけれども、この場合は給与等の基礎的な人件費は防衛関係費から支出されますけれども、それ以外の経費は総理府の経費から計上されるということに仕分け王なると思います。  そして、カンボジアにもしも派遣するということでございますれば、かなり経費も要します。その場合は、私どもといたしましては、既定経費の枠内で可及的に、可能であるならばそれで賄うつもりでございますが、しかし、派遣が長期等にわたった場合は、必ずしも既存の経費だけで賄い切れないという場合は、あるいは予備費の支出、ないしは必要に応じて補正の機会等がございますれば、追加的な費用は、これは大蔵省にもお願いをして計上すべきものだと考えておりますし、また、これが長引くような場合は、平成五年度予算で、防衛関係費の中で特段の経費の配慮はすべきもの、このように存じております。
  255. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、この法案は先国会でも相当の時間審議を行いましたし、本院としての結論が出て、それが参議院に送られました。そして、この国会において、参議院においてさらに長時間かけての審議がありました。この間に、この法律に対して一人でも多くの国民合意が形成されて、理解された上で自衛隊派遣される、PKO活動ができる、こういうことが必要である、私はこう考えておりまして、そのために、それぞれの党がお互いの主張を一〇〇%でなければだめだというのでなくて、譲り合い譲り合いして合意点を見つけてでき上がったのがこの修正案である、こういうふうに私は理解をいたしております。  これは、原案を持っていた政府も、それから公明党も我々民社党も、やはり譲るべきものを譲って合意点を見出してきた、こう考えておるわけで、そのことは大変大事であるし、民社党としても試行錯誤も確かにございましたし、いろいろな軌道修正等もあったと思うのであります。それはやはり譲り合った上での合意点をつくり出したからでありまして、私はそのことは非常に大事である。  したがって、この努力ができるだけ早く実施できるようなそういう我々も努力をして、国際社会での日本の役割、一体どうなっているんだという国民の声にもこたえることにしていかなければいけないし、また、列国が期待している、日本のPKO活動を待っているそういう国々の人の期待にもこたえていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでありまして、私は、それが我々のこの審議をしながら果たすべき責任である、こう考えておりますので、総理のお考えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  256. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この法案につきまして、衆議院並びに参議院におきまして、大変に長い時間をおかけいただいて慎重御審議がございました。その間、各党各会派の御主張があり、その中から、いわば立法府の多数意見としての修正というものがなされるということでございますれば、政府としては、もとよりその立法府の御意思に対し忠実にかつ謙虚でなければならないというふうに考えております。
  257. 和田一仁

    和田(一)委員 終わります。
  258. 林義郎

    林委員長 次に、楢崎弥之助君。
  259. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 宮澤総理は博学の方ですから御存じだと思いますが、フランスの有名な作家にバルビュスという人がおって、戦争というものは戦場の前線に出ない者が決定する限り何回でも起こり得る、有名な言葉です。私もそうでしょう、もはや前線に出る年じゃありません。宮澤総理もそうでしょう。渡辺副総理もそうでしょう。加藤さんもそうでしょう。  それで、この前、五日の早朝、参議院PKO特別委員会で下条特別委員長がああいう強行採決をされました。そして、六日の朝刊を見ますと、何ですか、耳のそばで人が騒いだから、ここに新聞ありますわ、急性音響外傷による耳鳴りと軽度の難聴、全治一週間。こういう人が、もしかしたら死ぬかもしれないというような自衛隊をやるこの法案を強行採決よくしたものだなと私は思いますよ。耳鳴りがして全治一週間、笑わせるなど言いたいが、こんなことを言うとまた懲罰にかかるかもしれぬから言いませんけれども。  それでは私は、質問の第一は――今から十日間あります、会期末まで。だから、十日間用の質問を私は用意しておる。きょうは十分間ですからそのうちの一問だけしますけれども、あらかじめ十日分の質問内容を予告しておきます。  一番は、自衛隊自衛隊も人の子だから、行く人の身になってもう少し審議したらどうかというのが私の感じです。死んだときの補償はどうなっているんだ、負傷したときの補償はどうなっているんだ、あるいは危ないところに行くときの手当はどうなっているんだ、この前の掃海艇派遣のときと今度はどう違うのか、そういう点もぜひはっきりしてもらいたい。これが予告の第一番です。  二番目は、PKF凍結について。凍結される活動凍結されない活動との区別がどこでどのようにできるのか、その基準。二番目、PKF凍結する理由は一体何でしょうか。削除して、将来必要となったときに法律改正すればいいのじゃありませんか。削除と凍結とどう違うのですか。それも知りたいところであります。それから、参議院ですが、凍結の理由を野党議員が質問しましたときに、ここでも言いましたか、渡辺副総理は、三つ葉のマークだと。私は言ったんですよ、それは何だと。若葉のマークじゃないかと言ったんですよ。覚えていらっしゃるでしょう。だから、いいですか、この凍結の理由は一体何なのか。あそこの参議院の答弁は、国民理解がまだそこまでいっていないという答弁でしたね。それでは、その国民理解の度合いは一体どういうふうにしておはかりになるのですか。国民理解の程度はどういうことですか。  それから、国会事前承認について。国会承認の要否、つまり、PKFなのかどうかの判断は一体だれがして、どのような基準でなさるのですか。国会承認のための審議を行うに当たりまして、政府はどのような資料を提出なさるつもりですか。例えばさっきも資料要求があった国連と日本との間の協定、それから実施計画、実施要領、そういうものをお出しになるか。  それから、民社党は当初PKO全体への参加について国会承認を必要とするというように私は承っておったのですが、それがいつの間にPKFのみに事前承認が変わったのか。  それから、国会の閉会中及び衆議院の解散中の国会承認について。臨時国会、あるいは解散の場合は参議院の緊急集会でいいのじゃないですか、呼べば。臨時国会は一週間でできるのです、召集して。なぜそれができないのですか。  それで、きょう聞く質問はこれだけです、七日の問題です。この七日以内の議決、努力条件ですか、これは。時間がないから言いますが、七日というのは、その根拠は何か。手本があるでしょう、防衛庁の資料の中に。昭和四十年二月十日の予算委員会で、私どもの尊敬する亡くなられた岡田春夫委員が、これも亡くなられた佐藤総理とやり合いした、ここで。五カ月間やり合いした。いわゆる三矢作戦計画です。あの中に、七日間を想像させるような見本があるでしょう。宮下さん、どうですか。あるでしょう。どうなっていますか。何日になっていましたか、あれは。
  260. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 私も、三矢事件の概略は存じておりますけれども、突然のお尋ねでございまして、その七日とどういうかかわりがあるかはちょっとつまびらかにいたしませんので、後ほどまた先生に御報告申し上げます。
  261. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 こういう資料について、いろいろ資料をあのとき提出されて、争われた。その中の一つに「戦時諸法案と補正予算案の国会提出と成立」、こういう資料があった。その中に、いざというとき国会に対しては、国会の召集を行って約二週間で成立させる、こうなっているのです。こうなっているのですよ。それから、いいですか、そのために緊急なものは特別委員会を設けて審議させる、並びに、もっと緊急なものは委員会の省略を行って即座に本会議において上程、可決させる、こう書いてあるのですよ。これがいわゆる七日間の根拠である、私に言わせると。きっと知恵つけたに違いない、外務省か防衛庁が。だから私はこれは……(発言する者あり)後からゆっくり答弁してください。  それからもう一つ、海外派兵。これも三矢作戦の中にちゃんと書いてあるでしょうが。それで、いざ海外派兵するときには、別に決める要領によってこれは行う。海外派兵もちゃんと三矢作戦の中にあるんだ。だから……(発言する者あり)今からゆっくり答弁してもらう。どうぞ。
  262. 宮下創平

    ○宮下国務大臣 三矢作戦については先ほど申し上げたとおりでございまして、海外派兵とかその他、今日連動していると私は思っておりませんけれども、なお詳細、先生の御指摘でございますから、勉強させていただきます。
  263. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あと一間です。念のために、そこにせっかく提案のお三方がおられますので、ちょっとあれしておきますが……(発言する者あり)
  264. 林義郎

    林委員長 質問者以外は御静粛に願います。質問者以外は御静粛に願います。
  265. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この本、見られたことがございましょうか。これは「ヒズガインドネスムーブドピープル」、つまり自衛官の募集のパンフレット。これは見られたことはないでしょう、こういうやつを。これを見てごらんなさい。おいしいことばっかり書いてある。国の外に出るなんて書いてない。そうすると、この募集パンフレットで自衛隊に入った人は、これは詐欺的な契約じゃないかと言われてもしょうがないでしょう。契約違反でしょうが。曹以下は志願なんだ。曹以下は志願だから、嫌だったらやめることができる、退職することもできる回とうするんですか。そのお三方に聞きたい。
  266. 岡野裕

    岡野参議院議員 先生お尋ねは、私ども提案をいたしました修正部分に係る部分とは異なりますので、行政府の方にお聞きを賜りたいと存じます。
  267. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、行政府に答弁させると言っていたでしょう。この契約書やったら詐欺じゃないかと言っているのですよ。
  268. 峯山昭範

    ○峯山参議院議員 私はそのパンフレットは見たことがございませんが、いずれにいたしましても、現在の自衛隊は私どもは合憲であると考えております。(発言する者あり)
  269. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 やめます、やめます。やめますが、これは、合憲か違憲か私は聞いているのじゃないですよ。契約違反じゃないかということを言っているのですよ。募集契約ですよ、わからぬかい。  これで終わります。
  270. 林義郎

    林委員長 次回は、明十一日木曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十五分散会