○網岡
委員 答弁の中身については正確におっしゃらないと、インフォームド・コンセントの基本にかかわることの発言になりますので。
今おっしゃった終末治療における問題は、これはまた別の意味でアメリカやスウェーデンや、そういうところはもうきちっとやっているのでございます。これから
日本では論議をされていくことだと思うのでございますが、私個人の考え方でいけば、そういうところも含めてきちっと説明と同意を得ていく、こういうことがやはり必要じゃないかというふうに思っているところでございますが、それはこれからの課題ということで、後に譲るといたします。
そこで、三番目の問題として
お尋ねをいたしますけれ
ども、アメリカはもとより、スウェーデン、デンマーク、イギリス等におきまして、
患者の基本的な権利は
法律によって定められておるのでございます。
例えば、きょう資料を取り寄せたところでございますが、アメリカのニューヨーク州法によりますと
患者の権利章典ということで、約十七項目にわたって細かく
患者の権利というものが明記されているところでございます。その中で私
ども非常に特徴的なものとして評価をしたいと思っているものがございます。それは
患者の権利章典の十五番目に、「無償で自分の
医療記録を閲覧する権利。自分の
医療記録のコピーを合理的な代金で取得する権利。あなたがその代金を支払えないという理由だけでコピーを取ることを拒否することは出来ません。」こういうふうに極めて具体的に定められておるわけでございます。
そこで、こういう
法律がアメリカでもありますし、スウェーデンでもありますし、デンマークでもありますし、イギリスでもあるということで、
患者の基本的な権利というものが、生命の尊厳、人間の人権の問題というような言葉だけではなくて、
患者の権利を守るために極めて具体的なことが出ておるわけでございます。例えばこの十五番目の自分の
医療記録を閲覧する権利、そしてコピーをする権利というものを
日本でもしやったとしたら、これはほとんど
医療の側に保管をされまして、結局開示されないことになるわけでございます。もしそれをやろうとすれば、裁判で判決を得て開示をする、こちらへ渡すというようなことになるわけでございまして、このことからいいまして、アメリカやスウェーデンやデンマークやイギリスというところの
患者の基本的権利というものは、非常に大きなものがあるわけでございます。
とりわけ一番大事なことは、
医療記録に対するアクセス権というものが最近これらの国々において明確に
規定をされてきているところでございますが、
日本の場合、先ほどの三つの壁に象徴されるように密室性ということの象徴的なもので、やはり自分自身の
病気の資料ではあるんです。それは、言うなれば網岡なら網岡のプライバシーの問題であって、本来私自身が開示を迫ることのできる権利であるのでございますけれ
ども、
日本の場合はそれが認められずに、裁判をしなければ開示することができない、こういうところになっているために、
医療にまつわるさまざまな事件が次から次へと起こっているわけでございます。しかも、それは
患者の側に立ちますと、非常に厚い壁の中で、結局
患者が泣き寝入りをしなければならないという事例が幾つかあるわけでございます。
そこで
厚生省に
お尋ねをいたしますけれ
ども、外国で既にこういうような形での
患者の権利というものが保障されつつあるわけでございますが、
日本では一体いつごろになったら——インフォームド・コンセントですらまだ先のような話でございますけれ
ども、私は今度の
医療法の
審議の中で、このインフォームド・コンセントだけは、近い将来に頭を出すような何らかの方向がどうしても必要だというふうに考えているところでございます。そのことが
一つと、もう
一つは、この
医療記録に対するアクセス権について、将来
厚生省は一体どういう考えてこれに取り組もうとされておるのか、その時期も含めて御答弁を願いたいと
思います。
〔粟屋
委員長代理退席、
石破委員長代理
着席〕