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1992-04-15 第123回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十五日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 竹内 勝彦君    理事 片岡 武司君 理事 河村 建夫君    理事 久野統一郎君 理事 前田  正君    理事 柳沢 伯夫君 理事 遠藤  登君    理事 北川 昌典君 理事 近江巳記夫君       加藤 卓二君    金子原二郎君       小坂 憲次君    坂本 剛二君       原田 義昭君    星野 行男君       増田 敏男君    村田 吉隆君       簗瀬  進君    北沢 清功君       小松 定男君    永井 孝信君       細川 律夫君    山下八洲夫君       草野  威君    辻  第一君       吉井 英勝君    和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   塩川正十郎君  出席政府委員         警察庁長官   鈴木 良一君         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       賀来  敏君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       堀込 徳年君         建設省道路局長 藤井 治芳君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部防犯企画課         長       津和 孝亮君         建設省都市局街         路課長     市ケ谷隆信君         特別委員会第一         調査室長    中村  信君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   井出 正一君     簗瀬  進君   岩村卯一郎君     村田 吉隆君   岡島 正之君     小坂 憲次君   二階 俊博君     星野 行男君   浜野  剛君     金子原二郎君   古屋 圭司君     坂本 剛二君   近江巳記夫君     草野  威君   辻  第一君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     浜野  剛君   小坂 憲次君     岡島 正之君   坂本 剛二君     古屋 圭司君   星野 行男君     二階 俊博君   村田 吉隆君     岩村卯一郎君   簗瀬  進君     井出 正一君   草野  威君     近江巳記夫君   吉井 英勝君     辻  第一君 同日  理事近江巳記夫君同日委員辞任につき、その補  欠として近江巳記夫君が理事に当選した。     ————————————— 四月七日  トラック運輸安全確立等に関する請願(三浦  久君紹介)(第一〇五三号) 同月十日  トラック運輸安全確立等に関する請願(佐藤  祐弘紹介)(第一二一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件 理事補欠選任  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第六〇号)      —————・—————
  2. 竹内勝彦

    竹内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。
  3. 河村建夫

    河村委員 おはようございます。それでは、本日最初の質問に入らせていただきたいと思います。  まず、激増を続けております交通事故死対策についてでありますけれども、春の交通安全運動が本日まで、こういうことになっておるわけでありますが、ことしに入りましてきのうまでの死者数、報告を受けましたところ、三千六十八人ということで、前年比三百十四人多い、一一・四%の増であるということであります。この十二日に三千人を突破というニュースが流れたわけでありますが、昨年に比べてこれは十一日早い。この調子でいきますと一万二千人を超えていくのではないかということであります。これは昭和四十九年以来最悪のペースで進んでおるというお話であります。昭和六十三年から四年連続、ことしで五年連続ということになるわけであります。たしか平成元年交通対策本部から交通事故非常事態宣言が出ておるわけでありますが、これはまさに出っ放しという状態でございます。  昨年、第五次交通安全基本計画が策定をされまして、一九九五年、平成七年の死者数を一万人以下にするという方向が立てられておるわけでありますが、まさに第二次交通戦争といいますか、激化の一途をたどっておる現状であります。昭和四十五年の一万六千七百六十五人というのが最高値でありますが、これは大変だということでいろいろな試みがなされて、努力をされて、昭和五十四年には八千四百六十六人、半減をしておるわけであります。この努力、この成果は一体どこへ行ったのだろうかという気もするわけでございます。  このような厳しい状況背景はいろいろ考えられると思うわけでありますが、自動車免許取得者増大をいたしております。そういうこともあるとは思いますが、警察当局としては、この死傷者の大変な激増に対して、この原因をどのように考えておられるか、まずお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  4. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、ことしに入りましてから交通事故死者数は昨年に比べましてさらに増勢を示しておりまして、私どもも憂慮しているところでございます。  その原因でございますが、運転免許人口が六千二百万人を超え、また自動車保有台数原動機付自転車を含めまして八千万台に達するなど、いろいろな客観的事情もございます。さらに国民生活の夜型化でございますとかレジャー志向というような生活パターン変化等もございまして、交通事故がふえる背景をなしているものと考えます。  そこで、私どもが考えております対策でございますが、まず第一に、交通事故原因を精密に調査分析いたしまして、その成果交通事故対策の手法を開発することに役立てたいというのが一つでございます。それから、関係機関団体に御協力をいただきまして、いろいろなシステムを設け て、官民一体となった事故防止仕組みを構築するようにしたいと考えております。  一例を申し上げますと、例えば、現在幾つかの市で違法駐車防止条例といったような条例を制定していただいておりますが、これなども違法駐車防止ということで、ドライバー規範意識を高めることに役立つものと考えております。さらに自動車販売店関係団体で、現在、自動車販売店協会交通安全対策推進協議会といったものをつくっていただいておりまして、ここで、自動車ユーザーであります個々のドライバーに対しまして、シートベルト着用でありますとか、いろいろな交通事故防止について働きかけを行うというような仕組みもっくっていただきつつございます。  そういうような事故分析システムづくりとあわせまして、そのほかに運転者教育充実交通安全施設整備、それに私ども取り締まりを加味いたしまして、とにかく何とか交通安全基本計画に示しております平成七年に交通事故死者数を一万人以下としたいというその目的を達成するよう努力したいと考えております。
  5. 河村建夫

    河村委員 次に、交通事故死対策そのものについて、もう少しお伺いをしたいと思うのであります。  ともかくこれだけ交通事故死がふえた、この増加に歯どめをかけるということが大変な国民的課題になってきておると思うわけでありますけれども、このたび、このような厳しい交通事故激増状況に対して緊急的な対応を要するという見地から、運輸大臣の諮問に対する運輸技術審議会からの答申がこの三月三十一日に出されたところであります。私もこの答申を読ませていただいたわけでありますが、人、車、環境、特に道路の面でありますが、総合的な対応必要性があるということでありまして、私はこれを読んでいてはっとしたというかぞっとしたというか愕然としたといいますか、そういう言葉がある。それは、事故の中で棺おけ型事故激増、いわゆる車を運転していて死ぬ自動車乗車中の事故ということでおりますが、交通事故死の約四〇%、昨年が一万一千百五人でありますから、そのうちの四二%、四千六百七十五人が、車を運転していて、車が棺おけに早変わり、こういうことになっておるという事実であります。  そしてこの答申で、特にこうした棺おけ型事故への対策を配慮されまして、十二年ぶりに自動車保安基準の大幅な見直しをするということになっておるわけであります。正面衝突事故が一番大きいわけでありますけれども、これを実際に実車による前面衝突実験義務化するとか、さらに居眠り等危険な状態になりつつあるような場合の警報装置を研究しろとか、こういうことも指摘をされておるわけであります。さらに、後部座席にも三点式のシートベルト義務化しなさい、あるいはシートベルト着用の場合の警報装置をつけなさい、こういうものの義務づけがうたわれておるわけであります。  それで、このシートベルトの問題はこれまでも言われてきておることでありますし、私、昨年の今時分の委員会でも一度指摘を申し上げておりますが、このシートベルト着用率が非常に落ちているということが死者増大の大きな要因になっておるという指摘がなされておるわけであります。かつて、シートベルト義務化された当時は一〇〇%近い着用率であったものが、なぜこういうふうに落ちていったのだろうかということ、これはどのようにお考えになっておるか、お伺いをしたいと思うわけであります。  それからもう一点、エアバッグがやはり衝突等による死を防ぐ大きな効用がある、こう言われておるのですが、今回のこの答申では、この装備拡大が望ましいという点にとどめられておって、義務化までうたっていない。これはコストの面とかいろいろあるのかもわかりませんけれども、これはこういう事態になった以上もっと急ぐべき問題ではないか、このように思うわけでありますが、この二点についてお伺いをしたいと思います。
  6. 賀来敏

    賀来政府委員 ただいま御質問いただきました二点のうち、とりあえず一点目のシートベルトの件につきまして御説明申し上げたいと思います。  御案内のとおり、シートベルトは、昭和六十年にまず高速道路、その後六十一年に一般道路に義務づけがなされまして、その一年後ぐらいの昭和六十二年の十月には、御指摘のように九〇%の後半という極めて高い、一〇〇%近い着用状況で推移しておったわけでございます。その後徐々に減ってきた、いわゆる低下してきたというのも御指摘のとおりでございます。  いろいろと考えられますが、法律が制定され、国民的なキャンペーン、また意識の盛り上がりというようなことでそういう高い着用が続いておったかと思いますが、人間というのは緊張感がなくなるとどうしてもなれが出てくるということで、総理府の調査によりますと、ごく近い距離だから大丈夫だろう、あるいは面倒くさい、また心理的に窮屈だから、こういうようなことが徐々に着用率の低下してきている国民皆さん方の心理的な理由であろうかと思います。  しかしながら、御案内のとおり、この種のシートベルトというのは着用して初めて効果の生ずるものでございますから、着用する人の心理のいかんを問わず、やはり自分の命は自分で守るんだという意識を盛り上げる、そしてシートベルトがいざというときに本当に自分の命を助けてくれるんだという正しい理解を持っていただく、そういう意識をいま一度盛り上げる、正しい理解をしてもらうようなキャンペーンを繰り広げなければならないと考えております。  これはやはりそれぞれのドライバー皆さんが、家庭とか地域とか職域で、みずからの命はみずから守るんだという国民として当然のことを正しく理解していただくということと、もう一つは、やはり行政面あるいはまた警察指導取り締まりという両面が相まって、その目的が達成されるものだと思います。特に若者が横着してシートベルトをしないという実態でございますので、私どもも春の交通安全のキャンペーン等では、若者に焦点を合わせてその対策を練っているところでございます。これは官民一体となってやらなければならぬということで、シートベルト着用推進協議会を一月に設け、今後プログラムを練って、それぞれの所要の対応をやっていかなければならぬ。  それと、先ほど運輸省の方の安全基準お話がありましたが、今後、後部にそういう装備が一〇〇%整備されるとなりましたら、後部指導をどうするか。また、諸外国でシートベルト等をより適切に着用しているような国などの、国民意識の違いもあろうかと思いますが、そういうようなものも広く勉強して、国民皆さんの御理解をいただくような官民一体となったキャンペーン推進したいと考えております。  以上でございます。
  7. 堀込徳年

    堀込政府委員 お答えいたします。  シートベルト着用率が低下していまして、乗車中の事故がふえていることは大変残念なことでございます。ただいま総務庁の方からお答えがありましたけれども、私どもの方でも、先ほど先生からお話のありました運技審答申におきまして、シートベルト着用のときに警報する装置を新たにこのたび義務づけるということを打ち出しております。  それから、御指摘エアバッグでございますが、前面衝突の際の乗員保護という意味におきましては大変有効でございます。しかしながら、エアバッグがちょっと何かにぶつかっただけでも作動してしまうとかいうことになったり、いたずらされて作動してしまうと困るということで、その作動するセンサーというものが前方に限られてございますので、自動車の二次的な衝突あるいは側面衝突、それから追突されたときにはセンサーが働きませんので、そういう意味ではその効果というものがある程度限られてしまうということでございます。現在、御説明いたしましたように、乗員保護のためにシートベルト着用するのが一番効果的と思われているわけでございますが、エア バッグはこういったシートベルトを補完する乗員保護装置として有効であると位置づけられているところでございます。  先ほど先生から御指摘がございましたように、このたびの答申の中で、新たに実車によります前面衝突試験ということも課すことになりましたので、自動車全体の衝突安全性というものが向上するということでございまして、今言ったエアバッグの限られた有効性等を含めまして、義務づけとはしませんけれども乗用車等につきまして、お客さん、ユーザーのニーズがあった場合には装備が可能となるよう供給体制整備を図るべきであるという答申をいただいておりまして、こういう線に沿って私ども指導してまいりたいと思っています。
  8. 河村建夫

    河村委員 特にシートベルト着用しない限りは何ら効果を発揮しないわけでありまして、私の伺ったところでは、事故死者のうちの約八割が非着用であったという結果が出ておるようであります。そして、着用しておればそのうちの四〇%は命は救えたのではないかということでありまして、それからいきますと、昨年だけでも三千五百人ぐらいは命が助かっておったのではないかと思うわけでありますので、このシートベルト着用については、今義務化はされておるわけでありますけれども、さらにもっと厳しい対応が必要ではないか。  先般、特別委員会の視察で東名の上から見ておったのですが、どうもプロのドライバー、特に大型トラック、そういう人たちシートベルトをしているように見えなかったわけでありますから、一回全面的な見直しをやって、この対応を図っていただく必要があろう、このように思いますので、これは要望いたしておきます。  次に、これは人の問題でありますが、運転する側の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。  先ほどお話しのように、国民免許時代でございまして、免許自動車学校自動車教習所で大多数が取るわけであります。今回の道路交通法の一部改正でも、自動車教習所の位置づけというものをもっとはっきりしていく、明確にするということになっておりますが、何といっても交通事故を起こさない優秀なドライバーといいますか安全に対する心構えのしっかりした運転者をつくっていく、これが第一だと思うわけでありまして、そういう点から、自動車教習所の責任はますます重大である、このように考えております。  運転技術をしっかり教え込むことは当然でありますけれども、同時に安全運転に必要な知識といいますかそのための技能といいますか、あるいは危険予知あるいは危険を回避するための技能、そういうようなことをしっかり教え込んでもらわなければならぬ。一歩間違うと車が凶器になり、そのまま棺おけにもなるんだというこのことをしっかりたたき込んでもらわなければいかぬと思うわけであります。そういう面で、その教習カリキュラムあたりももっと見直していただく必要があるのではないか。  こういうことも踏まえて、ドライバー育成について、せっかくきょうは公安委員長がお見えでございますので、お伺いしたいと思います。
  9. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 確かに、安全運転に対する認識を高めるために、各方面から全面的に見直さなければならぬと思いますが、御指摘ございました教習所教習カリキュラムも、安全確保の面からも検討すべき点があるのではないかと思っておりまして、警察当局にもそのことの示唆がおりておるように聞いております。
  10. 河村建夫

    河村委員 十八歳から免許を取れるということでありまして、特に地方の中小企業なんかは車の免許が就職の条件になっている。そうなりますと、自動車学校あたりは、十七歳の生徒もたくさんおるわけで、皆入れて、十八歳になれば順番に試験を受けさせる。ともかく成果を上げたいということで、免許が要るんだということでどんどんやるわけでありますが、生徒の方も免許を取りたい一心で、ともかくそういう技術とか技能知識だけはやるのですが、肝心の基本的な安全意識とかマナーとかいう点が不足しておる面が多々見られるわけでありまして、この点にひとつもっと注意点を置いて、ドライバー教育育成をやっていただきたい、このように思います。  最後の質問になるかと思いますが、交通事故調査分析センターのことでございます。  今回、この道路交通法改正が通ればいよいよスタートということになるわけでありまして、この分析センターの設立に当たって関係各位皆さんに大変な御努力をいただいているわけでありまして、心から敬意を表したいと思っております。運技審答申にも、効果的な交通安全対策推進には、人、車、道路環境の三要素に対する対策が、「科学的かつ総合的な事故調査分析に基づき、合理的な役割分担を図りつつ、有機的な連携をもって総合的に実施されることが必要」、このようにうたわれておるわけでありまして、この観点からも、この分析センターの果たすべき役割、また期待というものは非常に大きいものがあろうかと思うわけであります。  そこで、今後の交通事故防止対策に供するという観点から、国家公安委員長に、この分析センターのこれからの活用等についての見解を伺いたいと思うわけであります。
  11. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは御存じのように、交通事故を多角的、多面的に、しかも科学的に分析して、事故原因が那辺にあるかということ、それからそのデータを正確に分析することによりまして、それの改革への手がかりをつかもうということでございます。  私たちも今まで交通事故発生の現場でその事故原因の探求をしておりましたけれども、よって来るところの真因を尋ねるという意味からいきまして、この分析センターのこれからの作用といいますか及ぼすところの影響は大きいと期待しておりますので、ぜひ立派なセンターとして活躍してくれるように、しかもこれが官民共同でやっておるというところに大きい意義があると私は思っておりますので、そういう官民共同効果というものも十分に発揮できるように指導してまいりたいと思っております。
  12. 河村建夫

    河村委員 ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思うわけであります。  そこで、若干細部にわたるわけでありますが、財政運営面の問題なのでございます。資料もいただいたところでありますけれども基本財産百億円となっておるわけでありますけれども、この点については自動車工業会等業界団体寄附によるのだ、こういうことになっておるわけであります。寄附ということになりますと、百億ということになりますとなかなか大変な金額で、特に今景気の下向き等も言われておるわけでありまして、これは果たしていつまでに集められるのか、そしてその見通しについてどうであろうか、このように思うわけでありますが、この点はいかがでございましょう。
  13. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、交通事故総合分析センターがその目的を十分に達成するためには、基本財産充実が必要でございます。財団法人でございますから、その果実をもって事業を運営できるようになるということが理想でございます。私どもその基本財産としては百億円というものを考えているものでございまして、現在、自動車工業会損保業界を初めといたしまして、交通事故に関心をお持ちの各業界の方々から浄財を仰ぐということを考えているところでございます。期間は平成十年までの七カ年計画でございまして、平成四年度、今年度においては十二億八千万ほどの基本財産への充当を予定している、これはもう既にできました財団法人交通事故総合分析センターの方の活動ということになってまいりますが、そのように伺っております。  そして、その見通してございますが、これは現在御提案中の道路交通法の一部を改正する法律案を今国会で御可決をいただきますれば、法律上の地位というものが確立されまして、この財団法人に対する寄附についても税法上の恩典がいただけ るという仕組みもございますので、そうなりますれば、十分に見込みがあると考えております。
  14. 河村建夫

    河村委員 もう一点でありますが、収支予算関係であります。約五億四千万円、これも事業収入あるいは寄附金収入、こういう形で上がっておるわけであります。これの具体的な見通し、さらに国としての予算措置はなされているのかどうか、これもあわせてお伺いをしたいと思います。
  15. 関根謙一

    関根政府委員 お尋ねの五億四千万円の内訳でございますが、委託事業、これは私ども警察庁建設省その他の団体からの委託ということでございますが、これに関する受託収入といたしまして約二億八千万、それから補助金ということで運輸省の自賠責再保険特別会計から五千万円ほどを予定しております。さらに自工会等業界から二億五千八百万ほどの運用財産としての寄附金を仰ぐという予定でございます。いずれも十分見通しを持った予算でございます。
  16. 河村建夫

    河村委員 分析センターを大いに活用して、国民的課題になりましたこの交通事故撲滅についてとにかく全力を挙げていただきたいと思うわけでありまして、毎年一万人死ぬんだという大変な時代になって、車と我々の社会、これは切っても切り離せない関係にございますので、全力を挙げて取り組んでいただかなければならぬと思うわけであります。特に自動車立国の日本としては、毎年一万人の人柱を立ててでもやっておるんだというふうな指摘もされておるわけでありまして、この問題にひとつ全力を挙げて取り組んでいただいて、成果を十分発揮していただいて、今のこの時点でどういうふうな対応をするか、さっき官民一体という話がございましたが、これは本当に国民挙げて警鐘を乱打すると同時に、成果を上げる対策を大いに練って実行に移していただきたいと強く要望いたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  17. 竹内勝彦

    竹内委員長 次に、永井孝信君。
  18. 永井孝信

    永井委員 国家公安委員長、きょう現在の交通事故死亡者数、昨年と比較してどうなっておりますか。把握されていますか。
  19. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 昨年に比べまして人数にして約三百人ぐらい多いように聞いておりまして、率というか事故のスピードが十日前後例年より早い、つまり交通事故はことしになってから何か異常なスピードでふえておるということは、当局から聞いております。
  20. 永井孝信

    永井委員 昨年は久しぶりに前年に比較をして少し死亡者数が減りまして、少しは光明が見えたかなと思ったのですけれども、大変なスピードでふえてきている。このままいきますと、恐らく一万二千人の大台から一万三千人に行くのではないかと危惧されるわけですね。いわば非常事態に置かれていると思うのですが、取り締まりに当たられている警察庁の皆さんは、この現状に対してどのように今考えていらっしゃるか、あるいはどのように緊急対策を講じられているか、お聞きをいたしたいと思います。
  21. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、非常に交通事故死者数がふえております。緊急対策についてのお尋ねでございますが、この事故死者数の増加をまず国際的に見てみますと、これも世界的な傾向でございまして、現在恐らく地球上で七十万人から百万人近い人が交通事故で毎年亡くなっているのではないかという推計がございます。いずれの国も、非常に交通事故の問題は大問題だということで、事故減らしに努力をしているところでございまして、地球環境の問題、エイズの問題と並ぶ三大問題の一つという認識で取り組んでいると聞いております。特に西ドイツなどでは運転免許制度をいじりまして、従来運転免許の期間はほとんど無期限であったものに、有効期間を導入するということでありますとか、それから事故分析努力とかいろいろやっていると聞いております。ということで、どこの国もまだ確固とした事故防止についての決め手のノウハウというものは開発されていないように思いますが、私ども今回設立をさせていただきました財団法人交通事故総合分析センターにおける分析成果事故防止のために活用いたしまして、交通事故防止のためのノウハウを見つけ、それを施策に反映させたいと考えております。それが大きな背景でございます。  お尋ねの緊急的な手当てということになりますと、これはそれこそ三Eの原則とよく言われますが、まず取り締まり、ローインフォースメントの充実ということ、それから運転者教育を中心といたします教育、それと交通安全施設整備ということになろうかと思います。いずれも対症療法的なものでございます。  まず、取り締まりの方は、悪質、危険、迷惑性の高いものの取り締まりということをしばしば言っておりますが、これは違法駐車の取り締まり、それから交通の流れを乱す違反の車の取り締まり、そういったところに重点を置いて取り締まりを行っております。  それから、運転者教育という点では、まず何よりもシートベルト着用していただくということで、これはそれこそ自動車業界を初め官民一体となってその努力をしているところでございます。現在、交通安全運動期間中でございますが、交通安全運動期間の中でも、シートベルト着用ということは一番大きな広報課題ということで取り上げられております。  それから、最後の交通安全施設整備ということでございます。これも道路管理者等と一体となりまして、危険箇所における各種の交通安全施設整備を図るということで努力をしているところでございます。  いずれにいたしましても、必ずしも決め手になるというものではございません。大きくは今回御提案申し上げております道路交通法の一部改正法案の思想でございます事故防止のための原因調査分析の充実、それから自動車教習所を中心といたします運転者教育充実、それから無謀運転の取り締まり、この思想が隅々にまで行き渡れば、必ずやこの増勢に歯どめをかけることができる、このように確信しているところでございます。
  22. 永井孝信

    永井委員 今も御答弁がありましたけれども、なかなか交通事故死亡者数を減らすという決め手がつかみにくい。もちろん道路構造の関係もあるのでしょうけれども、要はドライバーがその気になって安全運転を心がける以外に決め手はないと私は思うのですね。言うはやすくして行うは難しいことでありますが、これからも積極的に安全運転指導面に力を入れてもらいたい。取り締まりも大事ですけれども安全運転指導面をあらゆる機会をとらえて強めてもらいたい、こう要望しておきたいと思います。  そこで、この交通事故調査分析センターの設立に関してでありますが、この委員会で私自身も数回そういうものの設置を求めてまいった経緯がございます。今度その設立を見て、道路における危険防止、あるいは交通の安全と円滑を図るための調査分析、かつ各行政機関のデータを総合的に集めて事故のメカニズムを解明することが可能となってきたのではないか。このことについては非常に意義深いものがありますし、高く評価をしておきたいと私は思うわけであります。しかし、国の直接の権限が及ぶ認可法人ではなくて、なぜ財団法人としたのか、この辺のところをまず冒頭に御説明を願いたいと思います。
  23. 関根謙一

    関根政府委員 今回の財団法人交通事故総合分析センターの設立に当たりましては、当委員会の諸先生方の一方ならない御指導、御鞭撻、御協力のおかげでございまして、まず心からお礼を申し上げたいと存じます。  そこで、その法人の性格を認可法人ではなくて財団法人とした理由でございますが、これも永井先生のお尋ねに何度がお答えしているように存じますが、要するに官民一体となった分析体制づくりということでは、財団法人という形で基本財産を民間に仰ぎつつ、その運用財産等について国、公共団体その他のところからいろいろ協力をするという仕組み、これこそまさに官民一体となった仕組みであるということで、一番ふさわしいのではないかという理由からでございます。認可法人ということでありますと、金額国が出資である上 に、国策的な性格を帯びてまいります。そのようなものが果たしてこのような情勢下における官民挙げての事業を行うためのシステムとしてふさわしいかどうかということについての反省もございました。  国によってはこの種のものはさまざまでございます。国立のものもございます。先生御存じでありますように、ドイツのBAST、連邦道路交通研究所と訳されておりますが、これは連邦の機関でございます。アメリカの同種の業務を行う機関も、アメリカの政府がつくったものと聞いております。他方、スウェーデンのボルボ社でありますとかドイツのBMW社が行っております事故分析等は、純粋に民間のものでございます。そのほか、イギリスなどにおきましては大学でこの種の事業を行っていると聞いております。  これらに比べますと、我が国のものはまさしく官と反すべての関係者が力を合わせてつくるというシステムでございまして、これは世界どこにもない我が国独自のものと考えております。このような仕組み事故分析を行い、その成果をまた官と民で享受しながらそれぞれの施策に役立つようなことができれば一番望ましいと考えるわけでございます。  以上がお尋ねの認可法人としなかった理由の一つでございます。
  24. 永井孝信

    永井委員 御説明を聞いていますと非常にいいことずくめになっているのですが、過去にこの委員会でこの分析センターを設置してはどうかという提言をしたり、あるいはそのことについていろいろ質疑をしてきました過程では、その文脈をずっと見てみると、当初は政府の認可の特殊法人という流れがあった。今局長はそのように現状を説明されましたけれども、当委員会の審議の経過からいくと、必ずしも財団法人を意図しておったわけではないと私は思うのですね。  たまたま昨年の九月二十六日の委員会で私がそのことについて再度質問しましたら、公益法人の設立ということを本年中に行いたい、作業を進めている、こういう御説明がございました。だから私は、公益法人ということになるとそれは財団法人なのですねと確認したのです。そのとおりでございますとそのときはお答えになった。財団法人ということになると事故の分析を行う上においてより効果が出るのか、あるいはその逆のことになっていくのか、その辺のところを確かめたいという趣旨の質問をしたのでありますが、その当時の御答弁を議事録で見ますと、必ずしも私の質問に対して明確にお答えになっていない。  ですから、いろいろ理由は存在するのでありましょうけれども、本来もともと特殊法人として意図しておったものが財団法人になってきた、その財団法人の方が官民一体で力を合わせてより大きな成果を上げられる、こう説明されるのですが、どうもそこが私は今までの経過からいってすっきりしない。何かほかに理由があったのではないか、こう思うのですが、もう一度お答えください。
  25. 関根謙一

    関根政府委員 特殊法人ということで当初構想していたところ、途中から財団法人に何かの理由で変わったのではないかとのお尋ねかと存じますが、私ども総合的な交通事故分析体制の確立ということを考えました当初の段階は、平成二年の六月におきます当委員会での附帯決議がそのきっかけの一つでございます。その中で、官民一体となった協力のもとだったかと存じますが、そういう交通事故の総合的分析体制の確立を図るべしという趣旨の御決議であったかと存じますが、そこから官民一体となった分析体制の確立ということでいろいろ考えまして、現在のような財団法人構想というものを持ったわけでございます。  特殊法人、つまり当初から国家が全額出資、国策として行うといったような思想は私どもにはなかったように思うのでございますが、あるいはそのように、誤解と申しますと大変失礼でございますが、受け取られるようなことを私どもの方で申し上げているとすれば、それは本意ではございませんので、私どもといたしましては、当初から現在のような性格の分析システムを構想していたということで、御理解を賜りたいと存じます。
  26. 永井孝信

    永井委員 その辺のところはすれ違いもありましょうからこれ以上申し上げませんが、それでは具体的な中身についてお尋ねしていきたいと思うのです。  この交通事故の分析などを行っている組織として、警察庁あるいは運輸省建設省、それぞれそれなりの組織を持っていらっしゃるわけですね。総務庁や消防庁、自動車安全運転センターあるいは自動車事故対策センター等がそういう形として具体的に存在しているわけでありますが、警察庁、運輸省建設省にかかわるデータ、三省庁以外のいろいろなデータもクロス分析をする必要があると思うのでありますが、その協力体制はできているのですか。
  27. 関根謙一

    関根政府委員 交通事故総合分析センターは先ほど申しましたような性格の財団法人でございまして、その所管の役所といたしまして運輸省建設省と私ども警察庁が当たるという構想でございます。しかしながら、その分析センターが行います活動そのものの中には、交通事故一般に関する総合的な調査分析という考えがございまして、可能な限り各種のデータを利用させていただくという考えでございます。それと、その分析センターの監督官庁がどこであるかということとはひとまず別と考えております。  ただ、それぞれの活動内容がそれぞれの行政機関の公益目的に資することが極めて明らかであって、深く立ち入って監督する必要があるという段階でありますれば、監督官庁として参加していただくこともやぶさかでないと考えているところでございます。
  28. 永井孝信

    永井委員 関根さん、ちょっとよくわからないのですけれども、私が聞いているのは、この三省庁以外もいろいろな組織を持っていらっしゃる、その組織からいろいろなデータなども提供を受けてクロス分析をする必要があると私は思うのですが、この協力体制はできているのかと端的に聞いているわけですよ。  「財団法人交通事故総合分析センター」というパンフレットがありますが、このパンフレットの中身を見ますと、交通事故のデータは警察庁、運転者のデータも警察庁、道路のデータは建設省、車両のデータは運輸省、その他のデータとなっているわけですね。その他のデータというところで、この三省庁以外が持っているいろいろなそういう組織からいろいろな資料の提供を受けたり、いろいろな交流をやったり、いろいろなことをやって分析をすることができるようになっているのかどうなのか、このことを端的に聞いておるのですよ。
  29. 関根謙一

    関根政府委員 どうも失礼いたしました。  すべてのデータを利用させていただくように仕組み上つくられていると考えております。
  30. 永井孝信

    永井委員 交通事故調査についてでありますが、この交通事故調査研究をするといいますか分析をするメンバーは、どういうメンバーが中心的な役割を果たすのか。例えば医師がいるとか心理学者がいるとか工学関係の人がいらっしゃるとか、あるいはその他の専門家、こういう参加が見込まれているのかどうなのか。これは非常に重要なことだと思いますので、その内容について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  31. 関根謙一

    関根政府委員 この財団法人の機関の一つとしての調査研究委員会に、今先生の御指摘になりました各分野の学者の方々を初めとする学識経験者の方々の御参加をいただくということを考えております。その方々の御指導のもとに運営を図るということでございます。
  32. 永井孝信

    永井委員 幅広く人材を集めて効果あらしめるように、これは当然のことでありますが、あえてここで触れておきたいと思います。  そこで、交通事故に関する知識の普及あるいは交通事故防止に関する意識の啓発、こういうものを進めていくために、分析結果、調査研究成果を定期的または時宜に応じて提供するということになっているわけですね。この法律案の内容はそう なっています。その提供するという具体的な方針をお示しを願いたいと思います。
  33. 関根謙一

    関根政府委員 この分析センターの研究成果というものは広く各界の方々に御利用いただきたいと考えておりまして、そのため定期刊行物等あるいは求めに応じてということで御提供できようかと存じます。  しかしながら、この御提案中の法律案にもございますように、ここには若干の制約がございます。それは個人のプライバシーにかかわる事柄でございますとか、要するに生データみたいなものを直接求められるということについては、この目的以外には使われないようにしたいということでございます。  そういう法律上の制約を考えておりますが、それを除きまして、広く成果を提供したいと存じます。その提供の方法はいろいろあろうかと存じます。
  34. 永井孝信

    永井委員 この前、いつだったか忘れましたけれども、当委員会でこの交通事故の分析関係について私が質問しましたときに、関根局長は、その分析した成果をもとに行政機関等に安全対策について一定の提言を行うことなどを検討しておりますという趣旨の答弁をされたわけですね。しかし、法案の中を見ますと、提供はあるけれども、提言ということは一切触れられていないのですね。提言がなくて分析センター成果というものが本当に発揮できるのだろうかと疑問を持たざるを得ないのですが、どうでございますか。
  35. 関根謙一

    関根政府委員 この法律で規定をさせていただくこととなります事項は、財団法人交通事故総合分析センターの中で特に法律上チェックを要すると申しますか、国民の権利義務に深くかかわりのある事項として法律上の定めを必要とするという事項に限られております。本体は財団法人交通事故総合分析センターというものでございまして、この法律案で掲げられておりますのはその一つの側面、一つの機能、それについての規定でございます。  各行政機関等に対する提言等につきましては、特に明文の規定はございませんが、財団法人としての活動として当然行うべきものと私ども理解しております。
  36. 永井孝信

    永井委員 次に、この財団の基本財産関係についてお尋ねしたいと思うのであります。  基本財産は七年間で百億円とするというスケジュールが立てられているわけですが、間違いないですね。予定どおり達成できるのだろうか。関根交通局長はさきに当委員会で、政府に対して予算要求している旨の答弁を私にされたのです。どの程度の予算要求をするかということは別でありますが、政府に対して予算要求するという趣旨の答弁を私に対してされたことがございました。財団法人では今言われたように政府がすべて出資するわけにいかぬわけですから、勢い補助金ということにならざるを得ないわけですね。  だから今回も政府の方は補助金だけだと思うのでありますが、ここに私も資料を持っておりますが、ちなみに平成四年度の基本財産は十二億八千万円となっていますね。政府の自賠責特会から五千万円を予定し、道路特会から二億円を予定しているというふうになっているわけでありますが、まだその関係については確定していない、このようにも漏れ承っているわけであります。そのほかは自工会、損保協会、あるいは運輸、建設関係団体から拠出してもらうということになっている、あくまでも予定である、こういうふうに聞いているわけでありますが、この基本財産の内容を改めてここで具体的に示してもらいたいと思います。     〔委員長退席、近江委員長代理着席〕
  37. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  基本財産は、先ほども申し上げましたように、その果実によって事業を行うことができるようにということで、果実を生む資産でございます。その基本財産と、もう一つ運用財産と申しますか、実際にそれを使いまして事業を行うための資金というものがございます。お尋ねの、私ども予算関係でございますとか補助金等は、その運用財産の方に組み入れることを考えております。  そして、基本財産の方でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、今回御提案中のこの法律案を御可決いただきますれば、そこで特定公益増進法人という形になり、この特定公益増進法人に対する寄附金は税法上の優遇措置が講じられるということで、寄附がしやすくなるという環境が整うわけでございます。その段階で十二億八千万ほどの基本財産を充当していただくという考えでございまして、十分見込みのあるものと聞いております。
  38. 永井孝信

    永井委員 具体的には、本年度はそれでは基本財産は、拠出先予定団体となっておりますが、自動車工業会を初めとして損害保険協会、JAF、運輸関係団体では軽自動車検査協会ほか、建設関係団体では道路協会ほか、こうなっていますが、この基本財産についてはどこまで目途が立っているのか。  あるいは運用財産と言われましたけれども、国の補助等、運営費への補助等、これは運輸省の自賠責特会の五千万円は確定をしておりますが、警察庁の調査委託費五千五百万円、建設省調査委託費、これは道路特会から二億円、それぞれいまだに確定をしていないわけですね。事業は発足するが、基本財産運用財産はどこまで実際に目途が立っているのか。これによって事業の進め方が変わってくるわけでありますから、その辺のところを明らかにしてもらいたいと思います。
  39. 関根謙一

    関根政府委員 この交通事故総合分析センターの実際の活動は、本年十月ごろからマクロ分析業務を開始し、平成五年度当初からミクロ分析業務を開始すると私どもは承っております。そのための各種の経費に充当するための運用の、この財団にとっての収入、予算の方でございますが、これは私どもは十分見込みのあるものと承っております。  それから、基本財産への充当分でございますが、先生指摘の幾つかの団体、企業から総額にして十二億八千万円ほどの充当が仰げると承っております。いずれも見込みのあるものと聞いております。
  40. 永井孝信

    永井委員 ではもう一回確認しますが、この十月から具体的に本格的な事業が始まっていくわけですね。基本財産は七年間で達成予定でありますから、今局長答弁のように見込みがあるということならばそれは素直に私どもは承知をいたしたいと思いますが、今後の事業について資金的に心配ないのか、これはどうですか。
  41. 関根謙一

    関根政府委員 基本的には心配はないと考えております。ただ、これからいろいろな事業でありますとか、さまざまな新しい需要等も考えられようかと存じます。そういったさまざまな需要に応じて、またその都度考える必要があるということはあろうかと存じますが、当面、私どもの構想段階での事業は、この資金計画で十分に賄えると考えております。
  42. 永井孝信

    永井委員 それでは次に、この分析センターの要員配置、これはどのような内容になっていくのか。例えば、官民一体と言われましたね。では官の方からも人材を求めることができるのか、あるいは民の方はどういう形になるのか、あるいは全員新たな人を採用してやるのか、この辺の要員の配置について説明してください。
  43. 関根謙一

    関根政府委員 基本的には、研究機関でございますので、いろいろな専門家に集まっていただくという構想でございまして、その人材は官と民から仰ぐという考えでございます。自動車の構造等についての専門家でございますとかいろいろな学問分野での専門家といったようなものは、民から仰ぐこともあろうかと存じます。それから道路の構造の方の問題でありますとか交通事故あるいは運転者教育指導の問題等については、官の方から得るということもあろうかと存じます。現在のところでは、そういった人たちに集まっていただくことを構想しております。
  44. 永井孝信

    永井委員 では、その官も民も含めてでありますが、その専門的な人をそこに集めたい、これは当然なことでありますが、その場合、民の関係で 例をとりますと、民間のそういう自動車会社であるとかいろんな関係の企業から出向のような形で来てもらうのか、あるいはそうではなくて、その企業の関係は一応勤務関係、雇用関係を整理して職員として採用するのか、その辺はどうですか。
  45. 関根謙一

    関根政府委員 基本的にはもちろんこの財団法人の職員として採用することとしたいと考えております。当面、暫定的な段階で、出向というような形をとる場合もあろうかと存じます。
  46. 永井孝信

    永井委員 今御質問申し上げましたことは、お金の面と人の面なんですね。基本財産は民間からかなりの部分を集める。出資団体の側からすれば、出資はしたが、自分のところの不都合なデータは公表されたら困るという問題が起きてきはしないかと私は心配をするわけです。あるいはデータそのものを公正、公平に公表していかないと設立目的に反すると私は思うんですね。  最前の私の質問に対して守秘義務にかかわることが答弁されました。個人のプライバシーにかかわる問題であるとかいうものについては、これは法律上守られなくてはいけない、だから個人のプライバシーあるいは生データは目的以外に使わないように制約をしていく、こういう趣旨の答弁がございました。個人のプライバシーは当然なことでありますが、その守秘義務を盾にとって不透明なことがあってはならぬと思うんですね。これは今からスタートするわけですからあえて私は厳しい言い方をしますけれども、こういうものはちゃんと委員会で厳しくやっておきませんと、あいまいにやったままでは後々そんなはずじゃなかった、こうなるものですから私は言うのですが、不透明なことがあっては断じてならない。よって、すべての情報がオープン化されなくてはいけない、私はそう思うんですね。これがまず第一の絶対的条件だと思うのです。  あるいは関係要員が、今局長が答弁されましたように、センターとして採用される場合もある、あるいは民間の企業から出向で受け入れる場合もある、こういうことになっていくわけですね。では、お金だけじゃなくて、人も自分のところの専門家を出向させた、そこでいろんな分析をした、それが結果としてもとの企業に問題を提起するようなことになったのでは困るということがあって、データが公表されない、こういうものが生のデータとして公表されない中に、制約条件の中に入ってしまうということになったら大変ですから、その辺の関係はひとつきちっと対応してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  47. 関根謙一

    関根政府委員 先生の御指摘のとおりかと存じます。この種の機関は、この交通事故の総合分析センター、我が国では初めてでございますが、諸外国には例が幾つもございます。諸外国の例をも参考としつつ、この分析センターの設立目的に適合するように運営していただくよう、建設省運輸省、私ども、監督官庁の方で十分に注意をしてまいりたいと存じます。
  48. 永井孝信

    永井委員 要は、分析センター一つ成果としてデータが出てきた、これはあくまでも安全上必要なものとして調査内容が公表されてこそ初めてこのセンターの設立趣旨に合致する、私はこう思います。いささかも出資の関係とかあるいは要員の関係で本来の趣旨が曲げられるようなことがあっては断じてならぬ、このことは非常に大事なことだと思いますので、非常に厳しいようですが、私は重ねてここで提起をしておきたいと思うわけであります。これはこれ以上答弁は要りません。  その次に、この法案の中で道交法一般関係についても今度改正案が出されておりますから、これについてちょっと質問をしてみたいと思うのであります。  近年、免許証を取得するについて、合宿教習というものが非常に多くなっていますね。資料を見ましても、合宿教習というものがかなり数がふえてまいっておりますが、その実態はどうなっているか、ちょっと説明していただけますか。
  49. 関根謙一

    関根政府委員 指定自動車教習所が行う合宿教習と指定外の自動車教習所が行う合宿教習とございますが、指定自動車教習所が行う合宿教習は年々ふえてきております。平成二年の数字で二百六十六校が合宿教習を行っております。それから、指定外の方の合宿教習も多うございます。ということで、合宿教習の卒業生の数は、普通免許で約十万人ぐらいに達しているというところでございます。
  50. 永井孝信

    永井委員 この合宿教習というものがいいことか悪いことか、その評価はいろいろ分かれると思うのであります。自動車教習所に対する行政指導というものは警察庁がされているというふうに私は承知をしているんですが、この合宿教習そのものについて、警察庁はどのように行政指導をされているのですか。
  51. 関根謙一

    関根政府委員 合宿教習か否かにかかわりなしに、指定自動車教習所につきましては、現在の法律の規定に適合するように、教習時間、教習時限、教習内容を十分満足させるようにし、かつ検定を適正に行うようにという指導をしております。これは合宿教習であろうがそうでなかろうが同じでございます。  指定外の自動車教習所に対する指導でございますが、これは現在までのところ直接の法律上の根拠はございませんでした。今回御提案を申し上げておりますこの法律案で初めて、自動車教習所一般に対する指導助言、さらに監督ということを公安委員会が行うことができるように、システムをつくっていただきたいというものでございます。  しかしながら、指定外の教習所について合宿教習の弊害があるかどうかについてのお尋ねかと存じますが、これは最終的には、指定外の教習所の場合には、公安委員会技能につきましても学課につきましても試験を行いますので、その段階ですべてがチェックできるという考えからでございます。
  52. 永井孝信

    永井委員 合宿教習というのがいいのか悪いのか、随分と私どももかつて議論したことがございました。二十日間で免許が取れます、そのトータルの費用がこれだけです、よく電車のつり広告にも出たりチラシが入ったりしている。今は世の中忙しい時代ですけれども、やはりある一定の時間をじっくりかけて、本人がじっくりと研修を積むということで初めて私は優秀なドライバーができると思うのです。私ども昔の人間がどうかわかりませんけれども、二十日間で取れますとか二週間で取れますということになりますと、粗製乱造になっていくような気がしてならぬわけですよ。そういう先入観があってはいけないのかもしれませんけれども、合宿教習に対しては警察庁がきちっと行政指導をされているということでありますから、そう心配は要らないのかもしれません。  しかし、合宿教習によって免許証を取った者と一般の教習所免許証を取った者と、例えば交通達反の発生率というものは分析をされたことがありますか。
  53. 関根謙一

    関根政府委員 統計をとってみたことがございます。合宿教習に来る受験者と申しますのは、大体若者でございます。他方、そのような一定期間集中的に、夏休みの期間等を利用して合宿教習をすることができないような方々、これが一般の教習になるわけでございます。  そこで、合宿教習を受ける人ということになりますと大体若者ということになってまいりますので、多少その点は割り引く必要はあろうかと存じますが、数字を見てみますと、百人当たり事故率でございまして、合宿教習の方が二・八人であるのに対して、一般教習の方は二・一人ということで、合宿教習の方がやや高うございます。
  54. 永井孝信

    永井委員 二・八と二・一ですから、数字だけ見るとそんなに大きな差はないと思うのですが、しかし、差のあることは事実ですね。やはりこういうことを、せっかく事故分析センターもつくられるわけでありますから、いろいろな面で広角度に研究がされるんでありましょうけれども教習所教習のあり方についても、やはり根本的に見直すべき時期に来ているのではないか。少なくとも粗製乱造をしてはならぬ。車が粗製乱造であっては困ると同じように、運転する者も粗製乱造で あっては困る、こう思いますので、この教習に対する指導については、合宿教習のあり方を含めて慎重にもう一回検討してもらいたい、こういうふうに私は要望しておきたいと思います。  ところで、仮免です。今度の法改正によって、仮免は教習所の所在地を管轄する公安委員会に対して申請をすることができる、こうなりました。しかし、仮免はできるけれども免許自分の住所地でないとできない、これはどういうことなんですか。
  55. 関根謙一

    関根政府委員 仮免と本免許の手続上の違いについてのお尋ねでございます。これは仮免許の性格によるものでございまして、仮免許は、路上教習を行うため六カ月間という非常に短い有効期間を持っ暫定的な性格の免許でございます。そうでありますので、教習生の便宜を考えまして、その教習所の所在地でも仮免許を受けることができるようにしたいということで、法律改正をお願いしているところでございます。  これに対しまして本免許の方でございますが、こちらの方は、国民にとっての便宜、それから行政事務処理の効率化というその二つの理由から、住所地主義ということを原則としております。こうしていても仮免許と違ってそれほど大きな問題を生じないと考えますのは、この本免許の場合には、学科試験教習所で受けるのではなくて、住所地を管轄する公安委員会の所轄下にあります運転免許試験場で受けるのが通例でございますので、この原則でさほど不便を生ずることはないということと、各種の便宜に資するという利点もあるということで、この原則を崩さない、こういう考えでございます。     〔近江委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 永井孝信

    永井委員 この仮免許を受けるまでに教習所に通うのほかなり日数がかかります。教習所で定めているカリキュラムを全部消化しようとすれば、かなりの日数がかかるわけですよ。その日数のかかる自動車教習所の所在地は自分の住所地と違っておってもいい、学科試験を受けて免許を取るのは現住所でなければいけないという理屈がどうも私はわからぬわけですよ。教習を受ける場所が自分の住居地と離れたところにある、その教習所に入って、一カ月なり二カ月なり三カ月なりかかって教習を受けるわけですよ。その方が本人にとっては便利が悪いはずなんですね。今コンピューターで全部処理されているのでありましょうけれども、仮免が教習所で取れるのなら、仮免を取ったところの公安委員会で本免許を取ったっていいんじゃないですか。なぜそれができないのか。  局長の言っていることは私は逆じゃないかと思うのですね。教習自分の住んでいるところで受ける、しかし、本免許を取るのはそこではちょっとぐあいが悪くて、自分の仕事先で取るとかいうことはあり得るかもしれないけれども、長い時間をかけて教習するところは住所地以外だ、そこで仮免許は取れますよ、本免許自分の住所地ですよ、それは学科試験をそこの所轄の警察署あるいは公安委員会でやるから、これは理屈が合わないのじゃないですか。どっちでもいい問題かもしれないけれども、やはり法律改正をするからにはきちっと整合性を持ってもらいたいと思うのですね。
  57. 関根謙一

    関根政府委員 あるいはお尋ねの点につきまして私の理解が誤っているかもしれないと恐れますが、とにかく運転免許証は住所地を管轄する公安委員会で発するという原則がございまして、それはその住所地を管轄する公安委員会試験を行いますので、そこで取っていただくということでございます。  これに対しまして仮免の方は、これは技能の方は指定自動車教習所の修了証明書で取ることができまして、学科の方も比較的簡単に、そこに公安委員会試験を担当する職員が出向いて試験を行うというような比較的簡易な方法もございます。  これに対しまして本免許の方は、これは技能はございません。と申しますのは、この今問題となっております仮免の関係、これは指定自動車教習所が中心なものですからそうなるわけでございますが、したがって学科試験だけを試験場で行うというものでございます。その学科試験は住所地で受けてくださいというのが原則でございます。
  58. 永井孝信

    永井委員 いや、説明される原則はわかっているわけですよ。どうも納得ができないと言っているわけです。長時間かける教習所は住所地以外で、学科試験だけ受けて免許もらうのは住所地でなければいかぬということ自体が僕にはわからぬわけですよ。公安委員長、そう言っているけれども、わからぬわけですよ。今コンピューター時代だから、極端なことを言えば、仮免が住所地以外で取れるのなら本免許だって取らせたらいいではないか。どうしても住所地でなければいかぬというのなら、仮免だって住所地でなければいかぬということにすればいいじゃないか。整合性がないと私はこう言っておるのですよ。これはこれ以上、時間がありませんから答弁要りませんけれども、やはり法律をつくるからには、みんながなるほどと思うように納得がいかないと、後の委員質問するかもわかりませんけれども、どうも私自身は納得ができません。このことは強く言っておきます。  その次に、この教習所関係について、高速道路教習についてちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、高速道路はどんどん発展してきて今五千キロを超えたわけですね。しかし、高速道路の走っていないところもあります。しかし、免許証を取れば、例えば一つの島で、その島に教習所があるかどうかわかりませんが、教習所があったとしますね、その教習所免許を取った、そこにはもちろん高速道路は存在しない、しかし、その免許証を取れば高速道路を幾ら走っても構わないのです。法律上は何の制約もないのです。ところが、高速道路の研修はしていないものだから、ちょっと間違えば大きな事故になるということだってあり得ると思うのです。  現に、高速道路における死者数は昨年も五百人の大台を突破しているわけです。もちろんそれには大型トラックの追突事故とかいろんなことがありますよ。あるけれども、五百人を突破しているのです。しかし、高速道路の近くにある教習所は、仮免取ったら高速道路で研修をさせるというカリキュラムを組んでいるところもあるのです。  そして、「交通安全基本計画(中央交通安全対策会議)からの抜粋」という資料がありますが、これで見ると、この高速道路についてこう書いてあります。「自動車教習所教習に関し、」云々で、「高速教習及び夜間教習の積極的推進を図ること」、こういうふうになっているのですね。しかし、教える側にすれば、仮免を取った人に運転させて、幾ら教習だといってもそばに乗るのは怖いという強い意見もあるのですよ。だから、これはどのようにすればいいか、これは宿題として私はここで申し上げておきますから、これは答弁要りませんけれども、宿題として預けておきますから、ひとつ高速道路の研修のあり方について、カリキュラムの立て方を含めて研究をしてもらいたいと思うのです。今ここで答弁求めたってどうせまともな答弁は返ってこないと思いますから、そのようにひとつ注文をつけておきたいと思う。  同じく、この教習所の資質向上ということがありますから、簡潔に労働条件の関係について申し上げておきますが、警察庁が教習所については行政指導をされているわけですね。その行政指導によって、指定教習所の場合は五十分の教習、十分間の余裕時間といいますか、そういう教習以外の時間を設けているわけですね。五十分、十分、五十分、十分となっている。ところが、教習所においては、すべての教習所とは言いませんけれども、その十分間は休憩時間として扱うというところが非常に多くなってきている。ところが、実際教習に当たる教える側の労働者は、十分なんてほとんど休んでいないのです。教習したものの書類上の整理とか次の準備とかでほとんど休息になっていない。ところが、この十分間を休息時間として扱っていくものですから、結果的に実働時間がどんどん延びてしまう、労働強化があるということで、この間も、他の同僚議員でありますけれど も、労働省を相手にこのことを質問したら、それはやはり勤務時間とみなすべきではないだろうかという趣旨の答弁がされています。  これは教習所で働く労働者にとっては非常に大きな問題になっておりますので、せっかく警察庁が行政指導をされるとすれば、十分間のインターバルについては明確に労働時間として扱うような方向で指導してもらいたい、こう思うのですが、これはだんだん時間がなくなって、一言でお答えください。
  59. 関根謙一

    関根政府委員 インターバル十分間を労働時間であるように扱ったらどうかとのお尋ねでございます。それぞれの教習所におきましていろいろこの十分間の使い方に差異があるようでございます。御指摘のように、これは労働時間であると考える方が妥当だというところも当然ございますし、そうでないところもあるようでございます。そこで、私どもといたしましては、指導員等に過重な時間外労働を課するということになりますと、教習の中身に影響を及ぼし、教習効果にも悪い影響を及ぼすというおそれがありますので、労働時間の問題につきましては、従来からその改善について関心を持っていたところでございます。  そこで、ただいまのお尋ねの点でございますが、個々具体的なケースを見ながら、労働時間と認められる場合には当然労働時間として取り扱うように指導していきたい、このように考えます。
  60. 永井孝信

    永井委員 ありがとうございます。  その次に、原付の技能講習について同僚議員からもお尋ねがあろうと思いますが、ちょっと聞いておきたいと思うのです。  技能講習を義務化をするということはいいことだと思うのですが、講習ではなくて、やはり技能試験を課すのが本当ではないかと思うのですね。これも私、一方的に問題提起しますけれども技能講習というのは今までも随分やられているというふうにデータが出ているのですが、どこまで本当に技能講習になっているのかどうか。そんなこと言ったら失礼だけれども、非常に私は疑問を持っているのですよ。講習をする場所も違うし、一定の水準でやるということも、たとえマニュアルがあったとしてもそのとおりになっていないと私は思うのですが、やはりやるからにはきちっとした技能試験をやるべきが本来の筋ではないかな、こう思うのですね。  もう一つは、義務化をして、技能講習を受けないと免許を与えないことができますよ、こう法律改正はなっているのです。ではここで問題を、私がへそを曲げて質問しているわけじゃないけれども、普通免許を取れば原付は自動的に免許がおりるのですよ。四輪車ですからひっくり返りません。四輪車の運転はできるけれども、自転車によう乗らぬ人はたくさんいるのですよ。その人が原付の免許を持つわけだ。ここが私は非常に矛盾だと思うのです。かって免許制度がどんどん変わってきたときに、バイクに乗っておった者に自動二輪の免許を自動的に与えた、自動二輪の免許を持っている者には無試験で四輪車の普通免許を与えたという経過も過去にはありました。今でもそうなんですよ。普通免許を取れば抱き合わせで原付の免許をもらえるわけです。僕も長いこと運転していますが、原付なんて一回も乗ったことない。自転車は乗りますよ。自転車は乗るけれども、原付なんてさわったこともない。さわったこともないのに免許を持っていて、原付の二輪車を買ってきて、正直言って操作もわからぬ、そういう矛盾があるのですよ。  だから、原付の講習を義務化することはいいことだけれども、やはり原付の免許を与えるからには本来は技能試験をやらないと、これだけ原付がふえてきて、交通事故のもとになっているわけです、どっちが悪いかは別にして。一言で答えてください、このままでいいのか、これからも研究する余地があるのか。時間がありませんから長いこと要りません。
  61. 関根謙一

    関根政府委員 これからも十分検討してまいりたいと存じますが、まずその前にお尋ねの試験と講習との違いでございます。  試験は、技能、適性、知識等が、交通事故を起こさずに、この車社会で安全に他人に迷惑を与えることなく車を操作することができるという水準にあるということを確認いたしまして、その人に初めて車の操作を認めるということで、一つ技術基準を前提とし、それに合格するという検定の仕組みを前提とするものでございます。これに対しまして講習は、そのような複雑な仕組みではございませんで、その操作になれていただくということを本来のねらいとするものでございます。  原付と自動二輪以上の車との間には、操作についても、困難性、危険性等についてまだ若干差があろうかと存じます。それと、従来、原付につきましては学科試験のみで技能試験がなかったということで、それを補うべく任意の講習というものがあったという前提がございます。こういった条件を前提として、免許を持った方々がすべて原付の操作にスムーズになれていただくようなシステムづくりということで、第一段階と申しますか、まず技能講習を義務化するということを考えたわけでございます。  先生指摘の矛盾につきましては、技能講習が義務化されるということで一つシステムができてまいりますれば、その過程でさらに検討することとしたいと考えます。
  62. 永井孝信

    永井委員 次に、行革審で、国内の各種制度・基準を国際的視野で見直しているという現状があるのですが、その中で、大臣、世界の中の日本部会というのがありますね。この世界の中の日本部会では、五月下旬の部会報告に向けて今作業中だと聞いているのでありますが、利用者からの根強い要望もあるということから、自動車の車検制度を簡素化するとか運転免許有効期間を十年、これは新聞に書いてある。有効期間十年、車検の整備項目を削減、こういうことが検討されているやに聞いているのです。ユーザーのいろいろな要望がありますから、その要望を聞いていくのは当然のことであります。ましてこの車検なんかはもっと長くていいんじゃないかと私は盛んに言ってきて、当委員会でいろいろな議論があって初校は三年間になったのですが、行革審のそういう方向は非常にいいと私は思うのですが、どういうことになっていますか。
  63. 堀込徳年

    堀込政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、臨時行政改革推進審議会の世界部会におきまして、車検についても、現在、審議が行われているところでございます。  運輸省といたしましては、車検につきましては、先ほど来問題になっていますように、交通事故がふえておるあるいは環境が悪化している、さらには暴走族の不正改造というようなものもある中で、車検の果たす役割はますます高まっているということ、また、諸外国と比べましても、車検の周期であるとか内容はほぼ同様でございますので、現行の車検制度はおおむね妥当ではないかと思っております。しかしながら、行革審における今後の審議状況あるいは安全、公害面の影響等を考えながら、さらに考えてまいりたいと思っております。
  64. 永井孝信

    永井委員 再度お尋ねしますが、行革審の議論の中で、整備不良が原因事故は全事故の〇・〇五%という数字が出てまいっております。今車両の性能が極めていいんですよ。車両の性能がいい中で、車検、六カ月点検、法律で決められております。それはやるにこしたことはないかもしれませんけれども、それだけ過度な負担をユーザーにも与えるわけですから、この車検の期間あるいは車検の内容を含めて、積極的に改善をする余地があるのではないか、私はこう思います。  もう一つは、これは警察庁に聞きますが、運転免許証は今三年更新です。昭和から平成になった過渡期において、勘違いで、ぼんやりして免許証が切れた人を随分私は知っています。必ずしも三年でなければいかぬということはないんじゃないかと思うのですが、両方から一言ずつお答えください、車検と免許証。
  65. 関根謙一

    関根政府委員 運転免許制度の方から先にお答えをさせていただきたいと存じます。  運転免許制度は、基本的には交通事故を防止するための制度でございます。交通事故を防ぐためのシステムはいろいろございますが、その中の基本でございまして、運転者技能知識、適性をチェックいたしまして、危険運転者を排除するというのが本来の目的でございます。  この有効期間の問題は、このチェックをどのような間隔で行うのが一番事故防止にふさわしく、かつ国民の負担との関係でバランスのとれた期間であるかという問題かと存じます。第三次行革審の世界の中の日本部会の中でも若干議論がございましたが、ヨーロッパ諸国などで免許証に有効期間を持っていないという国も幾つかございましたが、最近、ここ数年の間にいずれも免許の制度を厳しくするようにしております。ということで、運転免許の制度をいじるということであれば、それが事故防止に役に立つのかどうかというところが本来の考え方の基本をなすべきものであろうかと存じます。さらに運転免許の更新ということの副次的な効果といたしまして、運転者教育と情報提供を行うという機会に利用するということでありますとか、交通法規の違反者をその機会に見つけて排除するというような機能もございます。  ということで、私どもの考え方は、運転免許制度をいじるのであれば、それが事故防止に役立つ制度という観点からでございます。そのような制度もないわけではない。この期間を多少延長することが事故防止に役立つというシステムも可能かと存じます。オーストラリアの一部でメリット制という仕組みを導入している州があると聞いております。そのような免許の有効期間を優良運転者に限り若干延長するということで事故防止に資するというような仕組みがあれば、それもとり得る一つの考え方であろうということで、現在、検討中でございます。
  66. 堀込徳年

    堀込政府委員 お答えいたします。  車検について行革審でいろいろ見直しが今進められているわけですが、御指摘整備不良車両が〇・〇五%である、そういう意味ではやり過ぎでないかということにつきましても、審議会の中で審議されているところでございます。私ども、この点は車検の制度があるから逆に少なくて済んでいるのですと諸外国との差について御説明しておるわけでございます。ただ、なかなか理解されませんで、審議の中で過剰なものがあるということでございますので、ユーザーの負担の軽減に配慮しつつ、また安全面で後退することのないよう、技術的にまた専門的にさらに検討を続けてまいりたいと思っております。
  67. 永井孝信

    永井委員 運輸技術審議会がこの問答申を出しましたが、これは十二年ぶりなんですね。この中に、自動車乗車中の事故であるとか高速走行時の事故であるとか、トラック関係あるいはいろいろな問題点が顕著に出てきていることはもうこの委員会でも何回も議論されてきたことでありますが、今回十二年ぶりにこの審議が行われて答申された。何で十二年間もほっておかれたのか、何でこの審議会が開かれなかったのか、私はこれも不思議でならぬ。有名無実になってしまう。  しかし、それはそれとして、この答申の中身を見ると、車の性能改善などを含めて安全上幾つか指摘がされているわけですが、その中身は既にメーカーの方が実施をしているものの後追い型になっているような気がしてならぬわけです。マスコミの報道も大体後追い型というふうに分析をしておりますが、かつては運輸省がメーカー等に対して非常に高度な技術などを含めて指導をしてきた経過がありますね。今は逆転をしてしまっているんじゃないか。だから、運輸審議会で答申はされましたけれども、もっと運輸省の主導型でこの安全対策というものが進められるようにならぬものか。悪い言葉で言えば、後追い型ばかりやっていると業者から運輸省がなめられてしまうわけですよ。業者になめられたらしまいですからね。ちょっとその辺のところを一言だけ答えてください。
  68. 堀込徳年

    堀込政府委員 お答えいたします。  まず、答申が十二年ぶりということで、この間何をしておったんだという御指摘でございますが、おっしゃるとおり十二年ぶりでございます。前回五十五年にいただきまして、そのときにも幾つかの項目をいただいたわけでございまして、この間私どもそれの実現化に当たってまいったわけでございます。それともう一つは、この間交通事故によります死者数というのは横ばいないし微増できたわけでございまして、怠慢とあれば怠慢かもしれませんが、そういう実情の中で従来の答申を踏襲してきたわけでございますけれども、ここに来まして第二次交通戦争とも言うべき厳しい事態に直面しておりますことから、私ども自動車の構造面の安全性の向上をさらに図りたいということで、一昨年の十月に改めて「自動車安全確保のための今後の技術的方策について」の御諮問をし、御答申をいただいたわけでございます。  それで、ただいまのとおり、後追いではないかということでございます。御指摘のとおり、今回の答申に含まれている後席三点式シートベルトであるとかハイマウントストップランプあるいはエアバッグ等については、新聞にも報道されておりましたけれども、既に自動車メー力ーにおいて開発され、実用に供されているものでございます。  私ども車両の構造面で規制をする場合には、緊急性によりまして、直ちに規制するものと、それから事故の実態、諸外国の動向あるいは研究開発の進捗状況を見まして、自動車メーカーに御指摘のように前広に行政指導をし、普及開発に当たっているものがあります。そういうものの規制による効果というものを見きわめながら後から規制をしていくというものもあるわけでございまして、今回の答申におきましても、四十六項目につきまして方向づけされていますが、規制は十六項目、その他は推奨、研究等々になっているわけでございます。これらの中には、過去の答申の中で、前回の答申においても、三点ベルトは研究項目として指摘されているところでございますし、またエアバッグあるいはハイマウントにつきましても、行政指導でしてきたものを、このたび改めて規制項目とすることが適当と判断されたということで、今回の答申において義務づけがされたものでございます。もちろん乗用車の前面衝突であるとか高速のブレーキというものは全く新しく、後追いでなしに規制をした項目でございます。  それから、業界指導といたしましては、先進安全自動車ということで、現在の技術の粋を集めて何ができるかということで、二〇〇〇年を見越した技術指導ということで、そういう自動車の開発を今進めています。こういう技術開発によりまして、安全技術の研究開発を推進して、メーカーのレベルアップあるいは研究開発の促進を図っているところでございます。
  69. 永井孝信

    永井委員 時間がなくなりましたので、準備しておったすべての質問ができませんでしたけれども、最後に一つだけ提起をしておきたいと思います。  何回も当委員会で私が指摘をしてきましたダンプカーのマル販問題であります。マル版というのは運輸省が認可をするわけでありますが、これは一人一車がほとんどでありまして、そのマル版の認可を与えるについての資格要件、いわゆる砂利の販売業、そういうことでやっているものはほとんど皆無に近い。全部が運賃で輸送業務に当たっている。これがダンプカーの過積みなどを引き起こしてくるわけですね。  ダンプカーのそういう問題について何とか指導を強化しようということから、協業化を図ろうということで、総務庁は毎年補助金を出している。国民の税金を使って補助金を出している。しかし、協業化はほとんど進んでいない。これでは補助金のむだ遣いということになってしまう。これについてひとつ、もうここでは余りやりとりする時間がありませんけれども総務庁としてきちっと対応してもらいたい。補助金を出す以上は、たとえその金額が少なかろうと、年間にこれは二千万ちょっとですからね。総務庁平成三年度に二千四百三十九万七千円、運輸省が二千六百万円、これだけ補助をしておるのですから、補助してお る以上はその効果を求めるべきだ。いつまでたっても効果が出てこないということでは補助金のむだ遣いになるということを一つ指摘しておきたいと思います。  大臣、ダンプカーの問題だけじゃなくて、トラックの無謀運転とかいろんな問題を当委員会でも私は随分指摘してきました。全日本トラック協会の会長、どなたか御存じですか。加藤六月さんですよ。日本バス協会の会長は金丸信さんですよ。国会議員ですよ。国会議員の人がそういうトラック協会の会長とかバス協会の会長をやられるのはいいですよ。やられるのはいいけれども、トラック協会で言うと、交通安全ということに関してはいろんな問題が提起されているけれども、行政指導をしてもなかなかそのことが効果を上げてこない。同じ自民党の議員さんですから、公安委員長、会長に直接言ったらどうですか、行政指導を守ってくれと。これは大物ですから、行政官庁の局長や課長では歯が立たぬでしょう。大臣、ひとつきちっと、同じ自民党ですからね。今まで私は、きょうは時間がありませんから中身は言いませんが、何回も何回もこのトラック問題についても交通事故をなくす立場から指摘をしてきた。行政指導してもなかなか守られない。一番親分にちゃんとやってくださいよ。最後にそれだけお聞きして、終わります。
  70. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 さっきおっしゃいました両協会の会長は、それぞれ国会議員が就任しておりますが、これはそれぞれの団体の自主的な判断で適当と思われて選任されたことであると思いますし、ましてや会長であるそれぞれの政治家がみずから押し込んでいったものではないと私は心得ております。  つきましては、せっかく国会議員でもございますから、国会議員の立場からもやはりその団体指導をしていただくようにこちらの方もお願いいたしたいと思っております。ただ、団体が国会議員の威力をかさに着ているということは、私はそれはないと思っております。むしろこちらの方から逆に、会長を通じて下に浸透していくようにすることの方がより効果的ではないか、私はこう思っております。私としても努力してまいりましょう。
  71. 永井孝信

    永井委員 委員長、どうもありがとうございました。きちっとやってくださいよ。
  72. 賀来敏

    賀来政府委員 大変僭越でございますが、御指摘でございますので、少しお答えをさせていただきたいと思います。  ダンプカー協会等いわゆるダンプ事業者についての御指摘につきまして、いつも先生からるる御指導を賜っているところでございます。いわゆる一人一車ということで、零細企業で、いろいろと過積載等問題が多いということで、ダンプカー事業者の協業化について先生の御指摘のように指導を図っているところでございます。  御案内のとおり、昭和五十四年から政府の方で国庫補助を交付しているところでございます。参考までに、昭和五十四牛以降、数は少ないわけでございますが、おおむね百件ほどの協業化が促進されている事実がございます。また、ダンプ関係交通事故死者は、この補助金の対象になりました昭和五十四年に二百八十七人亡くなっておりましたのが、平成二年では百七十九人の死者ということで、補助金がさらにもう少し機能すればゼロに近づくのではないかと思います。大変難しい分野でございますが、一生懸命努力したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  73. 永井孝信

    永井委員 時間をオーバーして済みませんでした。終わります。
  74. 竹内勝彦

    竹内委員長 午後零時五十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      —————・—————     午後零時五十分開議
  75. 竹内勝彦

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小松定男君。
  76. 小松定男

    ○小松委員 まず最初に、交通事故調査分析センターに関連してお伺いしたいと思います。これは午前中に永井委員からも質問がありましたが、多少関連して質問をいたしたいと思います。  この分析センターについては、基本財産と運用資金の二つの面で資金の導入があるわけでございますが、最初に、そのうちの運用の問題について特に私は質問させていただきたいと思います。これはやはり公正な分析と公表が約束されなければならないことは言うまでもございません。そういう立場で、この運用について、年間の運用資金計画というのはどのくらい立てているのか。職員、総人員、まず一つ目はこれらについて伺いたいと思います。  それから二つ目は、このセンターの運営についての運営委員会的なものを持たれないのかどうか、この点もあわせて伺いたいと思います。
  77. 関根謙一

    関根政府委員 交通事故総合分析センターの年間の事業規模、人員等についてのお尋ねでございます。  平成四年度、今年度におきましては、約六億円程度の規模の業務を考えておりまして、設立の目的を達成するため、逐次業務を拡大していく予定でございます。現在はいわばその準備段階にあるわけでございまして、職員の数も約十名程度でございます。本年十月くらいからマクロ分析業務を開始し、さらに平成五年度、来年四月くらいを目途にミクロ分析業務も開始する予定でございます。そういたしますと、研究者を中心とする組織でございますが、将来的には六十名程度の体制を考えております。  それから、運営委員会のようなものをつくってはどうかとのお尋ねでございます。私どもも、この総合事故分析センターが非常に幅広い影響を持つ研究機関であるという性格にかんがみまして、いろいろな学識経験者のお知恵をかりて運営を図りたいということで、調査研究委員会という運営委員会を内部に置くことを考えております。
  78. 小松定男

    ○小松委員 もちろんそういったこれに携わる学者等の運営委員というものも必要だと思うのですが、例えば、この種のセンターのいろいろな運営をするに当たっての委員会というのはあるのですけれども、それ以外の委員というか、そういうものの意見というものは運営委員会としては考えてはいないのでしょうか。
  79. 関根謙一

    関根政府委員 この財団法人の運営に参画していただく組織といたしましては、当然のことながら、まず評議員会がございまして、ここには関係各方面の有識者の方々に参加をいただいております。もちろん学識経験のある方も入っていただいております。それと、研究者を中心といたします調査研究委員会というものを内部に置くというものでございます。  あわせて、この総合分析センターは、研究機関という性格にかんがみまして、いろいろな大学の研究機関との交流も図るということを考えておりますので、そういった機会を通じて、いろいろな方々のお考えを組織の運営に反映させることができるものと考えております。
  80. 小松定男

    ○小松委員 今までも事故の分析というのはそれぞれがいろいろな立場で行われてきたと思うのですが、それでも成果が十分上がらないということで、今回こういったことになったのだと理解しているのです。  そこで、これのいわば研究成果、これは先ほどもいろいろ指摘がありましたように大変大切なことだと思いますし、十分な成果を上げなければならないと思います。そういう意味では研究された資料の活用なんですが、活用については具体的にどういうふうなことが考えられるのか、その点ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  81. 関根謙一

    関根政府委員 まず第一に、この財団法人の設立目的でございます交通事故の抑止というための手法の開発といったようなことに利用できようかと存じます。その交通事故抑止のための手法開発と申しますのは、監督官庁でございます運輸省建設省、私どもはもとよりでございますが、そのほかいろいろな民間の団体、企業、地方公共団体 等さまざまなところで、それこそ官民を挙げて取り組んでいる最中でございますので、そういう交通事故抑止に関係のある方々に、まずその研究の成果を活用していただきたいと考えております。  それがらさらに、広く一般国民の方々に交通事故の実態を知っていただき、事故防止を図っていただくことでありますとか、運転者教育のために運転者教育の機関にその成果を利用していただく等、さまざまあろうかと存じます。
  82. 小松定男

    ○小松委員 そこで、今回提案されている中で、これを読みますと、警察庁及び都道府県警察は、分析センターに必要な情報、資料を「提供することができる。」というふうになっているわけです。これを裏返すと、提供しない場合もあるという解釈もできると思うのですが、提供するということがなぜはっきりとうたえないのか。このあたり何、か理由があるのか、伺っておきたいと思うのです。
  83. 関根謙一

    関根政府委員 立法技術的な問題についてのお尋ねでございます。条文に即してお答え申し上げたいと存じますが、一項と二項がございます。百八条の十六でございますが、一項は「警察署長はことありまして「提供することができる。」それから二項は、先生指摘になりましたとおり、「警察庁及び都道府県警察は、」「提供することができる。」という表現でございます。これはそれぞれ条件といいますか要件がございまして、一項の方では「分析センター事故調査を行うために必要な限度において、分析センターに対し、」「提供することができる。」という書き方でございますし、二項の方も「分析センターが第百八条の十四第三号に掲げる事業を行うために必要な」というような条件がついております。このような条件に適合するものであれば提供することができるという考えでございまして、このような法律の要件に反するような事項であれば提供することができないというほどの趣旨がと存じます。
  84. 小松定男

    ○小松委員 これは、後に出てくる情報管理、あるいは職員の遵守事項、役員の秘密保持義務などがありまして、先ほど永井委員指摘したように、このことが、もちろんプライバシーの問題ということを中心にしてのこの項は理解できるのですけれども、一方では情報公開をぜひ広めてもらいたいということからしますと、ややもするとそのことによってそれが制約されてきて、十分な情報が出されてこないというような懸念があったと思うのですが、私もこの法文を見まして、先ほど指摘したようなことを含めてちょっと気にかかっている点もありました。したがって、この点については、後のこともありますので、別に答弁は要りませんけれども、十分配慮してこれの運営に当たるべきじゃないかなという気がしておりますので、その点を強く求めておきたいと思います。  そこで次に、これも先ほどのことに関連した仮免許の問題です。私もこれは当初余り考えてなかったのですが、ただ一点だけちょっと気になったことがあるものですから、この場でちょっとお聞きしておきたいと思うのです。  仮免許教習所のある公安委員会で与えられる、本免許は現住所だ。かつて、私の経験でいきますと、免許証というのは各警察で支給されるのじゃなくて、例えば免許センターみたいなところにわざわざ行って、そこで支給されておった時代もあったのです。しかし、コンピューター時代になりまして、地元でそれが支給される、こういうことに変わってまいりました。あのとき私らも、随分これは不合理じゃないかということで、実際にその該当者から見れば、そのためにわざわざ遠くの方まで行かなければならない、時間も随分ロスがあるということで指摘をしたことがありましたが、そういった点は今日のそうした進歩によりまして随分改善されていることが現実にあります。そうしますと、この本免許だって、先ほどの指摘じゃないけれども、やろうと思えばできないこともないんじゃないかな、一方で私はそういう気がしているのです。  ただ、どこにそれの問題があるのか、この点はいろいろあるのかなというので、私なりに推測している点もあるのです。しかし、今そこは言いませんが、もしそういった余り大した不都合な点がなければ、今日のこうした進んだコンピューター時代の中ですから、むしろそういう該当する人たちに便宜を与えるという意味も含めて、この点は一本化した方がいいんじゃないかという気もしますので、何か特に不都合な点があれば、それもあわせてお聞きしておきたいと思います。
  85. 関根謙一

    関根政府委員 運転免許証につきまして原則としてその申請者の住所地主義をとっておりますのは、先ほども申し上げましたように、国民にとっての便宜と行政の事務処理の効率性とを考量いたしまして定められているものと承知をしております。しかしながら、たびたびのお尋ねでございます。他のいろいろな行政の実例でございますとか諸外国の例等、さらにもっと研究してみたいと存じます。  確かに、現在、いろいろな高度の科学技術の発達等がありますので、あるいは先生方の御指摘のような条件が整うことが近い将来見込まれるということがあるかもしれないということもございます。決してこだわるつもりはございませんので、なるべく国民の便宜に沿うように、しかも行政目的が達成できるようにということの調和を求めているところでございますので、その調和を求めた結果が先生の御指摘のようなシステムであれば、それに従うべきであろう、このように考えます。
  86. 小松定男

    ○小松委員 ぜひそういう立場で前向きにこれは検討していただきたいと思います。  次に、消音器を備えていない自動車、原付自転車の運転禁止の項なんですが、これは非常に結構なことだと思います。今日の暴走族の実態を見たときには、全くこれは市民が迷惑を受けていることだと思います。したがって、この点についてはぜひ推進を図るべきだということでございますが、今実際の暴走族の実態、これはどういう傾向になっているのか。あれほどいろいろと問題になっていながら、なかなか暴走族というのは減っていないということも伺うのですが、これらの増減の傾向、それから地域的、季節的な変動もあるのだと思うのですが、このあたり推計的にわかっていれば、ひとつ答えていただきたいと思います。
  87. 関根謙一

    関根政府委員 まず、暴走族の最近の数的な傾向でございますが、グループ数は少しずつふえております。しかしながら、構成員の数は毎年余り変わっておりません。大体三万五千人前後でございます。数は変わっていないのにグループがふえているということは、暴走族のグループが小集団化しているということを示すものかと存じます。  毎年取り締まっているのになぜ減らないのかとのお尋ねでございます。平成元年以来、平成元年平成二年、平成三年、この三カ年間、確かに毎年十万件以上の暴走族を検挙しておりますが、数はなかなか減りません。その理由でございますが、これは構成具の新陳代謝というとちょっと変な表現でございますが、非常に若い、十五、六歳ぐらいで入ってまいりまして、十七、八歳から八、九歳くらいで引退するというようなグループでございますから、常に新しい人たちが入ってきて、前にいた人がいなくなるということで、検挙してもなかなか減らないということがあろうかと存じます。  それから、地域的、季節的な点で何か変化があるのかとのお尋ねでございます。地域的ということは、例えば都市部は多いが田園地帯は少ないというような傾向があるのかとのお尋ねかと存じますが、都市部ではそれぞれ暴走音を発するような形態の暴走行為がございますし、山間地方ですとローリングというようなことで技術を競うような暴走行為がございますし、それから閑散とした広い道路なんかではゼロヨン行為といいますか、一定の距離を限ってその間にだれが一番速くその距離を走破できるかというような暴走行為等もございまして、それぞれの地域によって形態は多少違いますが、それぞれに暴走族が存在するというように考えております。  それから、季節的変動の点でございます。確か に昔は夏場が一番多かったのでございますが、最近は正月の日の出暴走などというようなものもございまして、初日の出暴走でございましたか、余り季節的な変化が見られなくなってきているというような傾向もございます。  いずれにしても、どのような地域であれ、どのような季節であれ、一般の国民生活にとって非常に迷惑な行為でございますので、今回御提案申し上げております法律を契機といたしまして、なお一層国民生活の安定を図るためにこのような行為の取り締まりを強化してまいりたい、このように考えております。
  88. 小松定男

    ○小松委員 そこで、この暴走族問題は、一般市民生活に大変大きな迷惑をかけていることは事実でございますので、この点についてはいろいろな角度から取り締まりも強化しなければならないし、またそのための人員の問題も考えなければならないことも含まれていると思うのですが、その点もあわせて考えなければならない問題だと思います。  もう一つは、今回提案されております消音器の義務違反の問題なんですが、この義務違反をした場合にはどの程度の罰則が考えられているのか、この点をちょっと伺っておきたいと思います。
  89. 関根謙一

    関根政府委員 二万円以下の罰金ということを考えております。
  90. 小松定男

    ○小松委員 ですから、これが重いか軽いかという問題はいろいろとあると思うのですが、これによって、やはり罰則というものが余り軽い場合には、果たしてどこまで効果があるのかなという気もするのです。  この点について、今後このことによってどれだけ成果が上がるかどうかも見なければなりませんけれども、そういうことをあわせまして、例えば消音器を備えている場合でも、あのかなりの数の車が一度に噴き出しますと、現在の単車あるいは車、そういうものでも物すごい騒音を発することはもう事実だと思うのですが、そういった点の対策も考えなければならないのじゃないかなという気がするのですが、この点についてはどういうふうに考えていますか。
  91. 関根謙一

    関根政府委員 お尋ねは二点かと存じます。  まず、その二万円以下の罰金ということでどの程度の効果があると考えるかという点でございますが、今の道路交通法は六十二条に整備不良車両についての規定がございます。これは現在適用されている条文の規定でございまして、こちらの方は、そういう消音器を外すなどの道路運送車両法関係の法令の規定に違反して、その結果交通に危険を及ぼし、または他人に迷惑を及ぼすような結果をもたらすような車両を運転してはならないということで、この場合には三月以下の懲役または五万円以下の罰金で、比較的重い罪でございます。  ただ、この規定が適用しにくい点がございますのは、その消音器を外すという形式的な法令違反に加えて、実質的な要件として「交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼす」という効果もあわせて生じさせないとこの罪に当たらないという点でございまして、そのために消音器を外しているだけでは取り締まることができませんで、あわせて音をはかるということがございました。それでその音をはかる。音を基準にして取り締まるということが非常に難しいものですから、今回のような改正をお願いしているわけでございます。  この結果、現在お願いしております消音器を外すという行為だけで検挙ができるということであれば、それの結果、またさらに音をはかってみたら六十二条の規定にも違反するということになれば、これは法律上吸収関係に当たると理解しておりますので、その六十二条の方の規定が適用されることになりまして、かなり重い罰になる、このように考えております。そういうことで、かなりの効果が期待できるものと考えております。  それから二点目の、では消音器を備えたバイクが多数集まって走行している場合どうかとのお尋ねでございます。  こちらの方は、現在、共同危険行為といったような規定でございますとか、その他それに伴いますいろいろな、信号無視ですとかスピード違反でありますとか、いろいろな規定の適用が可能でございます。消音器を備えている以上、それ自体が法令違反になるというものではございませんが、その通行の方法が、そのように他の国民の方々に迷惑を及ぼすあるいは交通に危険を生じさせるという結果を伴いますれば、そのような規定を適用して取り締まるということでございます。
  92. 小松定男

    ○小松委員 塩川公安委員長、せっかく見えておりますのでちょっと政策的にお聞きしたいので、局長じゃなくて、委員長にこの暴走族問題についてお聞きしたいのですが、これはやはり取り締まる側の警察官もある意味では身の危険も相当あるわけなんですね。ですから、一般の市民が手を出したために殺されちゃったり、そういう事件も起きているわけです。したがって、この暴走族対策というのは、一般市民生活の安全を図るためにもかなり重要な一つの仕事だと思うのですね。この点について、今私が何点か質問したことをくるめて、公安委員会としてこの暴走族対策というものを今後どういうふうに考えていくか、委員長の見解を今ちょっとお聞きしたいなと思っていたのですが、よろしいですか。
  93. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど局長が答えておりますように、消音だけをとりましたらああいう答弁になると思うのです。  私は、暴走族は暴力団だと思っておるのです。ですから、暴力団としての対応を同時に考えないと、グループ全体をそういうふうに指定してしまうぐらいの、暴力行為というのはどこまでの適用を見ますかわかりませんが、私は実質は暴力団だと思っております。ですから、暴力団もしくはその予備軍でございますから、そのつもりでやはり警察的な配慮も必要ではないか。  ただ単に交通上の問題だけを見ました場合に、非常に危険な状態でもあるし、また平常に運転しているときは何の事故もないのでございますし、取り締まりの対象になりませんし、それが一たんスピードを上げて暴力的行為、消音であろうがあるいは走行であろうが、そういう行為に出たときに初めて取り締まりの対象になるという厄介なものでございますから、私は、平素の集団活動そのものの中に暴力団的なものとしての認定をする必要があるのではないか、そういう認識を持って対処していくべきだと思っております。
  94. 小松定男

    ○小松委員 どうもありがとうございました。ぜひひとつ対処を十分されていただきたいと思います。  次に、一点だけ身障者の運転に関連しての問題で質問したいと思うのですが、現在、障害者が例えば高速道路それから有料道路を通行する場合には、五割の割引券が発行されているのですね。ただこれは非常に手続が、役所へ行って、いろんな申請を出して、そしてつづった券をもらって、その割引券で通行する場合は有料道路の窓口のところに出している、そういうやり方を今やっているのですね。ところが、今日の進んだコンピューター時代の中では、最近は非常にカード方式なんかもいろんな意味で取り入れられておりますが、そういう制度を設けてあるのですから、それにもう少し親切心を持たせて、障害者手帳はもちろんみんな持っているわけですから、それと今言ったように定期というのですか、何かそんなような簡便方式の形での割引券というものが、なくなると一々役所に行って申請を出して、そしてそのつづり券をもらってきて、それをまたやっているということで、中には字を書くのも不自由な人もいるということも伺っているのですが、このあたりもう少しそういう簡便、簡易性というか、そういうことにできないのかどうか、このあたりをお聞きしたいと思うのです。
  95. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生指摘の有料道路通行料金の割引制度の適用でございますが、確かに先生指摘のように、現在は福祉事務所におきましてその割引措置の対象者であることの確認をしていただきます。それが先生指摘の身体障害者手帳への押印という形でございます。そして料金所 において、その手帳の提示とともに割引証を提示していただいておるのが現状でございます。その理由はいろいろありますが、他の利用者の理解と協力をいただけるようにするという考え方から、無制限な利用の抑止とか対象車両の確認あるいは割引による料金と徴収料金との厳正な照合、こういったようなことで、御理解と御協力をいただいてきております。  しかし、そういう場合においてもいろいろと負担が軽減されるようにということで、簡素化には努めてまいっておりました。昭和五十五年には、実は各有料道路ごとにばらばらに割引証というのを交付しておりましたが、これは幾ら何でもということで、全部の有料道路に共通に使えるように、共通券という形に割引証をいたしました。さらに元年には、割引証にもたくさんの記載事項がございますけれども、これをさらに減らして簡素化いたしてきております。  また、枚数も原則としては六十枚、一回の申請で六十枚というのは往復で一カ月分というのが一つの物の見方でございました。ただ、そうはいいましても、複数の有料道路を通行するようなこともございましたりするものですから、一回の申請につきまして、応用動作として、百二十枚とか百八十枚とかいうようなものをお出しさせていただいている過去の事例はございます。  ただ、今先生指摘のように、確かにもっと簡素化できないのか、せっかくそういう方々にやるのに親切がもっと行き届くようなことはできないのかということで、実は私ども検討いたしております。いろいろな案が今考えられておりますが、まだそういういろいろな角度からの検討をさせていただいている段階でございまして、今後とも関係機関と協議しながら、利用者にとっても便利で、かつ他の方々にも御理解と御協力をいただけるような、何かほかの人たちから見ておかしいじゃないかということにもならないような形のものをつくり出してみたいと思っております。
  96. 小松定男

    ○小松委員 ぜひひとつそういった形で今後十分検討していただきまして、障害者の人たちのそういう面での便宜を図っていただきたいということを強く要請して、次に進みたいと思います。  次は、やはりこれも交通対策に関連してなんですが、特に市街地の大型店進出に伴っての交通対策について伺いたいと思うのです。これは何々デパート、いろいろな大きいスーパー、そういうものができますと、出入り口だけではなくて、一方の県道なりあるいは国道なりというものが、一車線ぐらいはそこに入るために並んでしまうということが至るところで見受けられます。したがって、そのために正常に通る道路が非常に使えないということがありまして、運転の経験があればわかると思うのですが、これが非常にいらいらもするし、また通過をするためにロスの時間もあるわけですが、この点についてはぜひ、これは建設省にも関係するのですが、これが進出する場合のそういう条件というものも、都市計画とともに道路交通アセスというのですか、私が聞いたところによりますと、環境アセスというのはよくやるのですけれども、交通アセスというのはまだ余り言葉としてもなじんでないんだということをこの間言っていました。しかし、これも今大変大きな問題になっておるわけです。したがって、この点とういうふうに対処されるのか。具体的に困っている事例がたくさんありますものですから、この際伺っておきたいと思います。
  97. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、確かに大型店の進出によりまして、当該施設の周辺に駐車あるいは入るまでの間の停車といいますかで渋滞が生じている場合があることは十分承知しております。  私ども、大型店が進出するなどの際に沿道が開発される場合には、道路管理者といたしましては、道路占用許可申請あるいは道路法二十四条に基づきまして取りつけをする場合の工事申請などの段階で、当該道路及び利用交通への影響という観点から、例えば、駐車場出入り口の位置だとか構造のあり方、あるいは出入り交通の多い場合には、駐車待ち車両が道路の本線上に滞留することのないよう適切な付加車線の設置、こういったことについて、開発事業者に対して指導を行っております。  その具体的な事例を一、二申し上げますと、例えば尼崎市の、固有名詞はあえて避けますが、Aという商店の大店舗では右折の立体交差をつくっていただくとか、あるいは船橋市のある大店舗では左折レーンをつくっていただくとか、こういった事例がかなりいろいろなところでございます。  さらに、建設省としては、平成元年度に道路開発資金によりまして、大規模な建築物の建設に伴います交通対策に対して低利の資金を貸し付けるとともに、周辺道路整備を重点的に行う沿道大規模建築物関連交通対策支援制度、何だか舌をかみますが、そういうものを創設いたしました。要するに、建築主と道路の管理者とが一緒になってそういうものをうまくするような制度もつくらせていただいて、まだ具体的にこれによってでき上がったものはございませんけれども、こういうものを今PRしながら、道路管理者、建築許可担当者等関係機関から成る交通対策委員会等をつくっていただいて、こういうものをうまく活用していただくような指導をしているところでございます。  しかし、こういう大型店の進出に当たっての混雑はもう現実にあるものもございます。そこで、抜本的な対策といたしまして、先生が今御指摘なさいましたように、その進出の前にやらなければいけない、やるのが一番効果的でございますので、周辺道路網に交通混雑等の大きな影響が生ずるような場合には、道路と開発計画との調和を図る観点から、開発計画の交通への影響を評価するいわゆる交通アセスメント、こういうものを行って、そして左折レーンあるいはもっと広い道路をつくって、そこにとまるようなものをつくるといったようなこと、あるいは入り口と出口を変えさせる、そういうような分散の仕組みをつくってもらうといったようなことを、交通対策を講ずる制度について検討しております。例えば、恐らくこれから大問題になると思いますのは、中央卸売市場等々がこれからさらに集約化されてまいりますが、こういうものなどについては、私どもそういうものに対して規制とか何かとかいう観点ではなくて、一緒になってうまくいくような方法、そういう形でこういう交通アセスメントの方策をこれから勉強させていただきたいと思っております。
  98. 小松定男

    ○小松委員 これは二つに分けて指摘したいと思うのですが、一つは新しく進出してくる、この問題についてはぜひ法的にも当然そういうものを組み入れるようにしてもらいたいということで、これは新しくつくるのですから、やろうと思えばできないことはないと思うのですね。それが一つです。  それから既存のものを、これは実態調査するとわかりますけれども、もう既にできている地域が非常に今問題が激しいのですね。したがって、この点について実態調査をして、改善させるものは改善させるように何とかならないのか。ところが一たんできてしまうと、そういう実態でもなかなかこれが、当事者の良心、判断、そういうものにゆだねる場合が多いということも聞いているのです。法的にはなかなか、わかっているんだけれどもそれが実行できないんだ、こういうようなことで、現実に各地域とも大変困っております。  私なども実は所沢に住んでおりますが、所沢でも大きなデパートがあります。あるいは浦和でもどこでも、埼玉は都市部にたくさんあります。みんなどこへ行っても、その近辺へ行けばわかりますように、車の流れが悪くなっていることはもう事実です。中には歩行者にまで妨害になっているような大型店もあります。しかし、これも一たんできてしまうと、改善命令を出すということは実際問題としてはなかなか難しい、相手側にその気になってもらわないと難しい、こういうようなこともあるようでございますので、これからつくるものはもう当然法的にきちっとやってもらう。そ れから、今までの既存のものについては、できるだけ速やかにそういうことの起きないような改善命令なり、改善をやはりすべきではないかなというふうに思っているのですが、この点についてもう一度答えていただきたいと思います。
  99. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生指摘のとおりでございます。私ども実は既存のものについても踏み込んでみたいというふうに考えております。  ただ、その踏み込み方が、今先生おっしゃったように、歩道でも通行する人が危険になるぐらいの場合ですと、例えば交通安全対策事業道路管理者側が提供し、そのかわりお客さんもそこに入りやすくなるんだからということで、私ども先ほど申し上げました道路開発資金による低利融資を提供して、少し相手が、建築主の方といいますか経営者の方も協力しやすいように仕組みを提供しながら一緒にやる。その際に、もちろん道路管理者だけではできませんから、交通管理者である所轄の警察の方々も御一緒になって、委員会なりそういうものをつくりながら、具体的なそういう検討をしてみたいと思っておりまして、これから少しそういう既存のものについて、どうやったら実効が上がるか研究させていただきたいと思っております。
  100. 小松定男

    ○小松委員 ぜひこれはそういうことで進めていただきたいと思います。  それに関連して、バイクとか自転車がやはり通行人あるいは車の通行の邪魔になったりしておる例があるわけですが、この点についてお聞きしますと、バイクの場合は道交法によってということもあるようですが、自転車の場合はなかなか道交法から見る取り締まりあるいは改善といいますかが難しいという感覚になっているようです。ところが、実際には自転車も道交法にも抵触するようなことも言われていると思うのです。バイク、自転車の駐輪対策、この点についてもどういうふうに対処されるか、この際伺っておきたいと思います。
  101. 市ケ谷隆信

    ○市ケ谷説明員 大型店等大量の自転車駐車需要を発生させる施設に対する自転車駐車施設の義務づけについてのお話だと思いますが、地方公共団体が附置義務条例を制定することによりまして現在対応しておりますが、建設省といたしましてもこのような条例の制定が重要であると認識をいたしております。このため、街路事業といたしまして自転車駐車場の補助を行うに当たりましても、公共団体に対しまして公共側と民間側の適切な役割分担等を定めました自転車駐車施設整備計画の策定を義務づけますとともに、附置義務条例を制定するように強く働きかけているところでございます。今後とも、公共によります自転車駐車場の整備とあわせて、附置義務条例の制定を促進するために積極的に地方公共団体指導してまいりたいと考えております。
  102. 小松定男

    ○小松委員 もう一つ、これは警察庁になるのかな、自転車も道交法に抵触するのでしょうか。この点ちょっと伺っておきたいと思います。
  103. 関根謙一

    関根政府委員 道路交通法上の違法駐車についてのお尋ねかと存じますが、違法駐車の車両の中に自転車も道路交通法上含まれます。
  104. 小松定男

    ○小松委員 これは大変PRが悪いのか、自転車だからということで道交法とは別に一般的に考えられているのかわかりませんが、こういうお話もあるのですよ。これは笑えない話ですが、今駐輪場問題でいろいろと各自治体で放置自転車なんかを処理しているのですけれども警察官が交番まで行くのに自転車に乗っていって、そして道路のところに置いておいたら、それが結局片づけられてしまって、それで後で職員に何とか勘弁してくださいということで謝りに行った。やはり道交法に自転車が、バイクや何かは当然そうだと思うのだが、大方の人は自転車というのは何か別じゃないのかなと思う。自転車は、右を走ったり左を走ったり、あるいは信号無視とは言わないけれども、とにかく自由自在に行くのです。そういう点からすると、警察庁はPRが少し足りないのじゃないかなと私は思っているのですが、このあたりはどういうふうに考えていますか。
  105. 関根謙一

    関根政府委員 自転車の整理と申しますか秩序ある自転車交通の充実を図るという観点からは、道路交通法のほかに自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律というのがございまして、これに基づく条例もございます。そのようなことから、必ずしも道路交通法のみで自転車についての対策を講じるとは限らないという意識が人々の間に広くあるということは事実がと存じます。その結果といたしまして、ただいま先生から御指摘いただいたような事例も生じたものと考えます。  そこで、私どもといたしましては、現下の自転車交通と申しますか自転車を利用する交通秩序の充実を期するために、さらに一層研究を進めまして、現状によりよく適合するような新しいシステムが可能かどうか検討を進めてみたいと存じます。
  106. 小松定男

    ○小松委員 時間も迫ってまいりましたので、あと一点だけ質問させていただきたいと思うのですが、今バイクなり自転車問題というのは、最近の利用がだんだんふえておりますので、それなりの問題が起きていることは御承知のとおりであります。したがいまして、駐輪駐車場というのもかなり必要性があるのですが、私がここで一点だけ問題を絞ってお聞きしたいのは、例えば駅前の公園とか駅前広場、そういうところにどうしてもそういうものをつくりたいといったときに、最近は地下にそれをつくる自治体も出てきているのですね。ところが、かつて建設省からは、地下につくる場合には、例えば上に樹木がある場合はそれにいろいろ配慮しなければならないということで、一時好ましくないというような意見が出たときもあるのですね。ところが最近は、そうは言っても土地がありませんので、そういう有効利用のためにはやむを得ないじゃないかということにもなっているのだろうと思うのです。その点、そういう公園とか駅前の広場の地下駐輪駐車場についての考え方、これは推進していく方向でいいのかどうなのかということを聞きたいのです。  それから警察庁の方には、地下の場合は防犯の面から非常に問題も考えられないこともないのじゃないか、私もそう思うことがあるのですが、このあたりからどうなのか、あるいはそういった点が十分加味されれば今後推進を図っていくのか。この点、建設省警察庁の考え方を聞いておきたいと思います。
  107. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 我が国の自転車の保有台数は、今現在六千九百万台。二人に一台。さらにこれから複数保有ということで、現時点で見ましても、駅周辺に限ってみましても約八十万台の自転車が放置されているというようにお聞きしております。私ども、街路事業あるいは交通安全事業等によって、駅周辺や中心市街地において自転車駐車場の整備推進しておりまして、平成四年度におきましては、街路事業によって自動車駐車場を整備する際に、従来の駅周辺に加えて、中心市街地においてっくる場合も助成するということで、助成対象枠をふやしてきております。  さらに、その実施に当たって、先生指摘のように平面では場所がなかなかとりにくうございますし、また平面ではもったいないということで、土地の利用面からも問題がございますので、道路、公園等の公共空間の地下を活用して、あるいは地下鉄の駅舎とか自動車駐車場等と一緒になってつくる、こういったようなことは積極的に対応したいということであります。  実例を一、二申し上げますと、公園の地下を活用した例としては、福岡市の天神自転車駐車場の千五百台を街路事業でやっておりますし、地下鉄の駅と一緒になってつくったものとしては、大阪市の歌島駅の地下に、これは特定交通安全事業で八百五十台のものをつくっております。さらに、自動車駐車場と一緒になってつくったものは、例えば豊橋市で、これも交通安全事業で千台の自転車駐車場を、自動車駐車場は二百台ですが、千台ということで地下一階につくっております。こういうものの要望が各地から多々ございますので、これらに対しては積極的に対応したいというふう に思っております。
  108. 津和孝亮

    ○津和説明員 地下に設置する駐輪場、駐車場における防犯対策のお尋ねでございますが、地下はやはり人目につかないとかあるいはいろいろ死角があるとか、大変閉鎖性が強いところでございます。盗難その他の犯罪の防止上、十分な管理体制が必要というふうに考えているところでございましで、地下駄単場等の設置に際しましては、照明等の防犯設備の設置あるいは連絡手段の確保、管理者の配置といったような防犯管理体制に十分配慮するよう指導をしてきておるところであります。これまでも設置者等に対しましては、個々具体的なケースに応じまして指導助言をしてきておるところでございますけれども、今後とも防犯対策に遺漏がないよう、できるだけの手を尽くしてまいりたいと考えております。
  109. 小松定男

    ○小松委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  110. 竹内勝彦

    竹内委員長 次に、細川律夫君。
  111. 細川律夫

    ○細川委員 私は、まず最初にお伺いをいたしますのは、新設をされます第百八条の十四に規定をされております分析センター事業に関してでございます。  この分析センターにおきましては、一般には交通事故原因等の調査研究になるわけなんですけれども、この交通事故の大きな原因となっておりますスピード違反、これについていろいろお聞きをしたいと思いますけれども、まず、当然ながらこの分析センターでは、事故が起こった場合の車のスピードの問題あるいは運転者のスピードを出していたその心理状況、そういうことを調査あるいは分析をするであろうというふうに思いますけれども、その交通事故原因となるスピードを制限速度よりも多く出すそのスピード違反、これについての調査あるいは分析、こういうことがこの事業の中に入るのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
  112. 関根謙一

    関根政府委員 分析センターが行います事業の中の一環といたしまして、いろいろな項目についての調査分析をいたしますが、その項目の中にスピードという項目は当然に入っているものと承知をしております。しかしながら、このスピードのとらえ方という点では、あくまでもこの交通事故総合分析センターの設立目的が、事故防止目的とするという観点でございますので、そのような観点からスピードについての調査項目を立てて、それについての調査分析を行うということかと存じます。
  113. 細川律夫

    ○細川委員 ちょっと説明の最後の方がよくわからながったのですけれども、じゃ端的にちょっと質問をいたしますけれども、スピード違反を今現在でもいろいろ取り締まりで摘発をしておりますけれども、このスピード違反、速度違反があるかどうかというその機器といいますか機械、こういうこともこの事業の中に含まれるのかどうか、これについてちょっとお聞きをしたいと思います。
  114. 関根謙一

    関根政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、交通事故総合分析センターの設立目的が、交通事故原因となる事象をいろいろな項目を立てて調査分析をするということでございまして、その中に事故を起こした車がどのくらいのスピードで走っていたかということは当然に入るということでお答えを申し上げた次第でございます。  ただ、先生ただいま御指摘の点は、これはいわば一種の犯罪捜査の食器材としてのスピードの取り締まりの食器材の研究について、これが分析センター事業、業務の中に入ってくるのかどうかとのお尋ねかと存じます。そうでありますと、このような事業分析センターの設立目的に入っておりませんので、この分析センターでは行わないということになろうかと存じます。
  115. 細川律夫

    ○細川委員 この第六章の三の一番最初の第百八条の十二というところに目的のようなものが書いてありますけれども一この分析センターというのは、「交通事故の防止及び交通事故による被害の軽減に資するための調査研究等を行うことにより道路における交通の安全と円滑に寄与することを目的として設立」をする、こういうふうにちゃんと規定をされているわけでありまして、スピード違反などの取り締まりというのは、これはもう交通事故をなくすためにやっている、こういうことをずっと言われておりますから、当然これは入るのじゃないかと私は理解するのですけれども、いかがでしょうか。
  116. 関根謙一

    関根政府委員 非常に広い意味では、確かに先生のおっしゃるとおり、スピード違反取り締まりのための装備資器材の開発ということも交通事故の防止を図るという目的に入ってくるかと存じますが、ただこれは、交通事故の防止及び交通事故による被害の軽減に直接資するための調査研究というほどの意味でございますので、とにかく何らかのつながりがあるからそれはすべて業務の対象となるというのは、ちょっと広過ぎる解釈ではないかなという印象でございます。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
  117. 細川律夫

    ○細川委員 この目的が直接かあるいは間接か的なところで、これは解釈の違いだ、こういうふうに御答弁をいただきましたので、次に進めてまいりたいと思いますけれども、交通三悪と言われておりますスピード違反について、どういうような取り締まり方法が今行われているのかをまずお聞きしたいと思います。
  118. 関根謙一

    関根政府委員 お答えを申し上げます。  私ども取り締まりの基本的な考え方は、悪質、危険、迷惑性の高い違反に重点を置いて取り締まるというのが基本的な考え方でございまして、これをスピード違反の場合に当てはめてみますと、特に交通の流れを乱すような無謀な運転でございますとか、非常に危険な走り方をするスピード違反を重点として取り締まっているということでございます。したがいまして、軽微なスピード違反につきましては警告にとどめるということを旨としておりますから、最近ではスピード違反の検挙件数は、駐車違反の検挙件数に比較いたしまして、漸減している傾向にございます。
  119. 細川律夫

    ○細川委員 私が質問をいたしましたのは、スピード違反についてどういう方法で今やっているのかということでお聞きをしたのです。もちろん科学的ないろいろな方法を取り入れてやっておられるはずなんですけれども、この方法が三種類ぐらいあるというふうに聞いておりますけれども、それについてお聞きをしておきたいと思います。簡単で結構です。
  120. 関根謙一

    関根政府委員 スピード違反の取り締まりの方法は、装備資器材の種類によりまして、三通りほどございます。  一つは、定置式速度測定装置と称する速度をはかる装置によりまして、場所を確定いたしまして、そこで人がこれを操作いたしまして、スピードの違反状況を測定してチェックするという方式でございます。  それからもう一つは、パトカーに積みまして、それで速度を測定する機械がございます。これによりまして、車に乗りながらスピードをチェックするという方法がございます。  それから三番目に、自動速度違反取り締まり装置、俗に自速機と略称しておりますが、よく高速道路の倍もなどに立っておりまして、自動的に一定の速度以上の車をセンサーが感応した場合にこれをキャッチするという仕組みでございます。  以上、三通りの方法を使ってスピーード違反のチェックをしております。
  121. 細川律夫

    ○細川委員 その三通りの中で、これから定置式のレーダーによる速度違反取り締まり装置についてお聞きをしていきたいと思います。  これは世間ではネズミ取りというふうに言われておりますけれども、このネズミ取りによる方法で検挙された人数というのを教えていただきたいと思います。
  122. 関根謙一

    関根政府委員 私どもの統計では、どの方式でスピード違反を検挙したかについての分類項目がございませんので、スピード違反全体の検挙件数は、昨年中約二百六十三万件ございますが、その中でどの速度測定装置がどのくらい検挙に資することとなったかについては不明でございます。
  123. 細川律夫

    ○細川委員 このレーダー式の取り締まり装置によりまして検挙された者が、実はこの装置、機器によって値の出たそういうスピードは出していなかったというようなことで、正式裁判を申し立てた件数はおわかりでしょうか。わかったら教えてください。
  124. 関根謙一

    関根政府委員 まことに申しわけございませんが、私ども掌握してございません。
  125. 細川律夫

    ○細川委員 統計がとられていないようですけれども、これから私が質問をしていく上においても、どれくらい申し立てがなされているのかが重要なこともおわかりになるかと思いますので、ぜひそれは統計としてとっていただきたいというふうに思います。  そこでお伺いしますけれども、このレーダー式の速度取り締まり機が採用されましたのが一九七一年というふうに聞いております。既に二十年を超えるわけなんですけれども、この間、レーダー式の取り締まり機でスピード違反として検挙されまして、正式に裁判になって、被告人が無罪になったという件数はどれくらいあるのか、教えていただきたいと思います。
  126. 関根謙一

    関根政府委員 最近三年間の数字を手元に持ち合わせておりますが、平成元年が無罪または公訴棄却の件数で二件、平成二年二件、平成三年二件という数字でございます。
  127. 細川律夫

    ○細川委員 今お答えいただきましたのは、平成に入ってから六件ということをお聞きをいたしました。私の方の調査では、これまでによく知られている判例などで出ております件数では、二十七件という件数になっております。スピード違反で検挙されて正式の裁判になり無罪になった件数が、この数が多いか少ないかという点についてはいろいろな評価があろうかと思いますけれども、日本の警察あるいは検察の方々というのは、捜査能力というのは大変優秀でございまして、一般事件などでも裁判になって無罪になるということはまずほとんどない。九九・幾らまで有罪になる。無罪になるというのは本当にもう微々たる数でございます。そういうことからいたしますと、私はこの無罪の数というのは大変多いということで注目をしなければいけないというふうに思います。  特にまたその中で無罪判決のあった、私の知る限りの二十七件の中でも、無罪になった理由なんでありますけれども、一番多いのはどういう理由がといいますと、検挙された人の運転した車でなく、別の車と間違って機械に値が出た、こういう他車誤認の疑いというのが一番多いわけでありまして、この二十七件中でも十六件がそういう他車誤認の判決になっております。  このレーダー式の装置が採用されましたときにいろいろ問題点なども指摘をされたわけなんですけれども指摘された問題が的中をしているように私は思いますけれども、他車誤認ということがなぜ起こるのか。その原因及びこういうことが起こらないようにする具体的な方策について、簡単にちょっと説明してください。
  128. 関根謙一

    関根政府委員 固定式レーダー速度測定装置ではかります場合に、まず速度が法定基準を著しく超過していると認められる車両について感知しまして、感知をしたことを合図する係の人がおります。それからその車をとめる係の人がございます。合図する人ととめる人の間の連携の不備というようなこともあろうかと存じます。もちろんそのような場合には他の通行車両がある場合でございますので、そちらの方をとめてしまうというようなことかと存じます。  いずれにいたしましても、そういう人為的なミスによることが多いと考えられますので、今後は取り締まりに従事する警察官に対しまして、その装置の機能、特性、運用方法等について十分理解をした上でその操作に当たってもらうよう、十分に注意をしてまいりたいと存じます。
  129. 細川律夫

    ○細川委員 今お答えをいただきましたのは、機械の操作の誤りによってそういうような結果が出ている、こういうことであります。  もう一つ別の事件での無罪について御紹介をしたいと思いますけれども、これは機械そのものに問題があるのではないかということでございます。時間がありませんから一つだけ紹介したいと思いますけれども、昨年、平成三年の五月二十三日に東京高裁で無罪となった事件がございます。これは制限速度四十キロのところで九十三キロという測定値が出た事件でございます。この事件は、判決の内容なんかによりますと、対象そのものを誤認したものでもなくて、また機械の、機器の取り扱いのミスもない、また機器に故障があったわけでもない。結局、レーダーで表示をした九十三キロという値がどういう過誤によるものか明らかでない、誤ってこういう数値が出ている、こういうことで無罪になっているわけでございます。  したがって、これから見ますと、この機械そのものにおかしいところがあるというようなことではないと思いますし、これは判決もNHKのテレビなんかで大きく取り上げられた事件でございます。この点についてどういうふうに警察庁の方は受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。
  130. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘の東京高裁の判決は、私どもも十分反省しなければいけない材料として検討させていただいておりますが、ただこの判決文の読み方で、「本件レーダーに九三キロメートル毎時と表示された速度測定結果がいかなる過誤によるものであるかは明らかではないが」というこの部分の理解の仕方でございますが、やはりこれも当時の担当の者たちの、例えば合図があってからその現場に行ってとまれという指示をするまでに何秒かかったかという点についての疑問でございますとか、さまざまな人の行為についての疑問を前提とした上での判断かと存じます。必ずしも機械そのものが疑わしいというふうには理解しておりませんが、いずれにしましても、私どもは十分反省をし、今後さらにその取り締まりの方法についても十分検討すべき課題を与えられたものとして、重く理解をしております。
  131. 細川律夫

    ○細川委員 同じような無罪の事件、これはちょっと古くなりますけれども昭和五十六年十月三十日に広島高裁の岡山支部で出ております。このときは制限時速四十キロのところを八十三キロというように測定値が出たわけなんですけれども、しかし、その検証をやってみますと、ちょうど現場というのは坂道でありまして、当該自動車は旧型の保冷車でありまして、これはどんなにアクセルを踏んでも四十キロしか出ない、それが八十三キロも測定値に出たということで無罪になっておる事件なんです。こういう例なんか、あるいは先ほどの東京高裁の事件なんかも考えますと、機械そのものに問題があるのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございます。  そのほかにもいろいろ紹介したい事件の判例もございます。もう時間もございませんからはしょりたいと思いますけれども、先ほど御紹介しました東京高裁の事件を担当いたしました弁護士の方が、こういうレーダー式の問題について強い要望を出しておりますので、ちょっと御紹介をしておきたいと思います。このように要望しております。   レーダ方式が採用された当時と現在では、交  通状況をはじめ車両の物理的特性や空間の電波  環境汚染の度合が大きく異なり、またレーダ物  理上の知見に関する市民や訴訟関係者の水準は  大きく発展しました。メー力側証人もレーダ事  件の法廷で、レーダ方式が誤測定を惹き起こす  ことを一部認めるようになり、メーカ自身も  「取扱い説明書」には記されていない〔新しい  注意事項〕を警察に追加説明しているという状  況もあります。かくしていまやレーダ使用には  いろいろな方面から疑問符がつけられていると  いっても過言ではありません。   申すまでもなく、これ以上のレーダ冤罪の発  生を抑えもことは焦眉の課題と言うべきであり  ますが、その目的を達成するためにはこれまで  にメーカが講じている程度の対策では到底達成  し得ないことは明らかだと私たちは考えます。こういうふうに担当弁護士などは言っているわけ であります。私もそのとおりだと思いますし、ぜひこういうスピード冤罪をなくすように、またネズミ取りと言われておりますのが隠れてやるようなことで、警察のやり方はどうも陰険だとかいうようなことも言われているような、一生懸命やっておられることはそれはよくわかりますけれども、しかし、そういうふうに国民皆さんあるいはドライバー皆さんに思われることは不本意なことだろうと思いますので、ぜひこの際、このレーダー方式を今後使用することについて検討をしていただくということを私はお願いするわけでございます。この点について、最後に一言見解をお願いしたいと思います。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 関根謙一

    関根政府委員 いろいろな御意見があるということは私どもも十分承知しておりまして、さらに性能がよく、操作のしやすい資器材が開発されることを望んでおります。しかしながら、それが現在ない段階で、しかもこれだけ交通事故が多発しており、その原因のかなりの部分が無謀運転によるものという事態にかんがみますと、現在の取り締まりの方法というのはやむを得ないこととして、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。  そして、資器材の性能についてでございますが、先生がただいま御指摘になりました六十二年の判決では、その食器材そのものについての判断として、「本測定機は、正しく設置、使用され、正常に作動している限り、車両の実速度より高い速度を表示することはないことが実証されているということは、一応是認できる。」と判示をしておりまして、性能そのものは、正しく操作する限りは、正しい結果をもたらすという判断でございます。私どももそのように考えておりまして、操作、取り扱いの仕方、その食器材の設置の場所、角度その他、実際の速度が十分に正しく資器材に反映されるように運用をするよう努めてまいりたい、このように存じます。
  133. 細川律夫

    ○細川委員 これで終わりたいと思いますが、そういうことでいろいろな問題がございますが、冒頭に申し上げましたように、この交通事故調査分析センターの中の事業一つとして、だからこういうこともぜひ入れていただきたいんだ、だから新しい取り締まり方法を考えていただきたい、これが私の意見でございます。  以上で終わります。
  134. 竹内勝彦

    竹内委員長 次に、遠藤登君。
  135. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 一つは、午前中からいろいろ指掛をされておりましたのですが、この分析センターは既に財団法人として発足をされた、それは本法の通過によって、成立によって公安委員会調査分析センターとして指定をしていく、こういう内容になるわけでありますが、世界で初めて官民一体的な立場で事故撲滅に向かっての調査分析センターを設置する、このことにかける国民の期待というのは非常に大きいものがあろうかと思います。本来的にはこれは国の機関としてやるべきではないかというふうに考えておる者の一人でありますが、そういういろいろな状況を勘案して、官民挙げて事故撲滅に立ち向かう、あるいは総合的、科学的見地から立ち向かうということでありますが、その機能とかその効果とかその活用などについて、遺憾ない成果の発揮に大きな期待を寄せられるわけでありますので、午前中からいろいろ指摘がされたことについて、特に業界とのかかわりの中で、差しさわりや支障がいささかもあってはならないというふうに思いますので、十分な配慮を運営の面でも要請したいと思います。  それから、法的には三省庁共管ということになっているわけでありますが、道交法上は警察庁、いわば国家公安委員会が分析センターを指定をしていく、こういうことになるわけであります。これは総務庁にも交通安全対策室などが設置をされておったり、それぞれの三省庁以外にも深いかかわりがあるわけでありますので、そういう機関との連携について、午前中もちょっと質問はあったんですが、改めてどういう対応をするのかお聞かせをいただきたい。
  136. 関根謙一

    関根政府委員 交通事故総合分析センターにつきましては、御指摘のとおり、世界で初めての官民一体となった研究機関として発足をさせていただきました。その監督官庁は、運輸省建設省警察庁、三省庁でございます。その財団法人交通事故総合分析センター目的を達成するためにいろいろ業務を運営していく上で、ある種の局面、ある種の機能については法律上の規制が必要であるという分野がございます。その部分をとらえまして、交通事故調査分析センターとして道路交通法上に規定を置かせていただいたというものでございます。  このシステムは、まずこの財団法人交通事故調査分析センターと指定をするということと、それからその事業の中身について規定をし、さらに遵守事項、それから分析センターへの協力、特定情報管理規程、秘密保持義務、こういったところがいわば法律事項の主たるものでございまして、財団法人交通事故総合分析センターがその目的を達成するために事業を行う上で、特に個人のプライバシーの保護でありますとか、警察からの情報提供によって得られた情報、これはこの法律案が成立いたしますと百八条の十七という規定になるわけでございますが、ここで特定情報と名づけております。この特定情報は個人のプライバシーに密接にかかわり合いのある情報であるという理解で、その取り扱いについては特定情報管理規程というものを定めて、それで扱っていただきたいというようなシステムを設けさせていただいているというようなものでございますのでございますので、これは運輸省建設省警察庁の三省庁の共管の法人でございますが、法律事項としては、主として警察が担当している分野について必要な規制を設ける必要があるという観点から、道路交通法上のみでの手当てをお願いしているものでございます。  それから、総務庁を初めとしていろいろな団体調査分析を行っておりますが、その成果とこの財団法人交通事故総合分析センターとの関係についてのお尋ねでございます。  この財団法人交通事故総合分析センターは、いろいろなその種の公的機関あるいは民間機関あるいは諸外国の機関の成果も十分利用させていただいて、真に交通事故の抑止に資するような成果を上げることが使命でございます。そのようなシステムになっておりますので、本来の目的を達成するようにそれらの機関とも十分連絡を図って運営をしていただくように指導してまいりたい、このように考えます。
  137. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それから、センターの運営あるいは調査研究のやり方について、それぞれ検討委員会あるいは専門者の会議的なものを設置をして対応する、あるいは陣容などもやがて六十人ということで対応するということであります。ドイツあたりの対応をお聞きをしても、医学的な分野からの対応、これは午前中も心理的な分野で永井先生からの指摘もあったのでありますが、医学的な分野からの科学的な分析、調査というのは極めて重視をしていかなければならぬのじゃないか。そういう意味で、調査研究、調査分析に当たっての対応の方向などについてどんなお考えを持っていらっしゃいますか。
  138. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のように、諸外国の例を見ましても、調査の段階では必ずしも十分に医学的な知識を持っている方々が調査に参加している例ばかりではないというように理解をしておりますが、しかしながら、分析の過程に入りますと専門的な医学的知識を持った方々が参加されておられます。ということで、私ども財団法人交通事故総合分析センターにおける分析の分野におきましては、そのような知識を持った方々の参加を期待しているところでございます。
  139. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それらの面についても十分重視をして対応していただきたい。  原付関係に関して端的にお聞かせをいただきたいと思います。講習状況は各県対応でまずまずな状況がありますが、簡単に状況報告なんというのはできないと思いますが、時間がありませんから要約して、各県の原付の講習の実施状況、それか ら現行制度の問題点をどのように把握されて今回の義務化につながったのか、その点も明らかにしていただきたい。  それから、講習の義務化によって予測される成果などについてもいろいろ検討を加えられてきた経過があるのではないだろうか、その点についてもお聞かせをいただきたい。  それから、講習費用もそれぞれ各県条例によって異なってきた経過もあると思いますが、これからの義務化に伴う講習費用のことなどについてどのような措置あるいは指導をするのか。  それから、それぞれ公安委員会が今までも任意であっても委託されてきている経過がありますが、講習の実施主体あるいは委託対応あるいはその場合の委託料などについて、どういう考え方に立って対応されようとするのかということをお聞かせをいただきたい。
  140. 関根謙一

    関根政府委員 幾つかの点につきましての御下問でございます。  まず、現在各県で行われている原付技能講習の実情はどんなものかとのお尋ねの点でございますが、平成三年中の数字で申し上げますと、原付免許試験、これは技能試験がございませんで、適性検査と学科試験だけでございますが、それの合格者が五十二万人ほどございます。その中で原付技能講習を受けた人、これが五十四万人余りということで、一人で二回受けている人等が入っております。受講率で一〇三・二%でございます。全国六百九十七カ所で約二万回ほどの講習回数で講習を行っているものでございます。実施主体は都道府県交通安全協会が主でございます。その下に二輪車安全運転推進委員会という専門部会がございますが、この交通安全協会の中の専門部会が指導をしているというのが実情でございます。  この現状についてどういう問題点があったために義務化するということに至ったのかとのお尋ねでございますが、まず、現在の技能講習は、法律上の根拠を持たない任意の講習でございます。しかしながら、学科試験を受かったのみで原動機付自転車を操作することは実際上ほとんど困難ということで、その操作、基本走行等は少なくとも習っていただく必要があるということで実施をしているものでございますが、この内容が必ずしも統一的な内容ではないという点が一つ問題点としてございます。  それから、直接、任意の講習としていてはぐあいが悪いという事態が生じましたのは、平成二年十一月七日に、神戸地裁におきまして、この原付技能講習を理由といたしまして講習手数料の返還を求める訴えが提起され、その判決がありまして、県側が敗訴したということがございます。これは、原付講習は本来任意のものでありますが、原付免許を受けようとする人が、原付講習を受けないと免許がもらえないというような事態に立ち至るような状況下に置かれたためにやむを得ず講習手数料を払った、したがって、講習手数料を払う法律上の根拠はないのであるから、その払った講習手数料を返せという訴えでございまして、裁判所の方も原告側の主張を認めたということでございます。この場合は、原付技能講習に法律上の根拠がないということが問題になったという事案でございました。  そのような主として二つの理由、さらに大きくは原動機付自転車について運転技能を習熟していただき、交通事故の抑止に資するように運転をしていただきたいという念願もございまして、今回原付技能講習についての法定化をお願いしている次第でございます。  それから、それでは義務化するとどういういいことがあるかという点についてのお尋ねでございます。まず一つは、義務化する理由となりました法律上の問題を解決できるというところがございます。それからもう一つは、実際上の問題として講習に質のばらつきがなくなるということで、高度の講習を行うことができるという期待がございます。そして、それら二つの結果、実際に交通事故抑止につながるという期待もございます。そこら辺が義務化することの成果ではなかろうかと私どもは考えております。  それから、義務化した場合の費用についてのお尋ねでございます。これは、現在もそうでございますが、大体実費程度の手数料と申しますか費用と申しますか負担金と申しますか、そのようなものをいただいて、それを講習という形で研修者の人に還元をしたいと考えております。実費を計算する項目としては、人件費、教材費、車両費、備品等のほかに会場の借り上げ代みたいなものも含まれようかと存じます。  それから、委託についてのお尋ねがございました。確かに公安委員会が講習を行う主体でございますが、公安委員会が十分に信頼し、その技術的能力、知識、識見等について任せてよろしいと考える団体があれば、そこに委託をすることが行政事務の合理化という観点からも便宜でございます。そこで、任意という形でではございますが、現にこの講習を行っております交通安全協会というものがございますので、恐らくそういった機関あるいはその専門部会の方に委託をするということになるのではなかろうかと存じます。委託の手数料は県の方で財政措置を講じていくことになろうかと存じますが、要するに技能講習を十分に行うことができる程度、そのために必要な額といったところになろうかと存じます。
  141. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 事故防止観点から非常に重要な課題だとは思っております。たた、本法施行は六カ月以内ということになると思いますが、当面混乱が起きないように準備、PRその他十分慎重に対応していく必要があるのではないかというふうに思います。  次は、自動車教習に関する規定の整備ということもありますし、安全運転センター業務についての必要な配慮、これは指導員の資質の向上ということにつながるものだとは思いますが、それらの点。  それから、指定教習所と非公認の、いわば非指定の教習所の実態、あるいはそれらに対する対応。あるいはこれは、公安委員会としては指定教習所を指定している、こういうことになって、公安委員会の範疇には指定教習所きり入らないということになっていくのだとは思いますが、しかし、非指定の教習所も極めて重要なかかわりを持つことになりますから、この指導者の講習に対しての対応あるいは講習料の問題なども出てくると思いますけれども、簡潔にお聞かせをいただきたい。
  142. 関根謙一

    関根政府委員 今回お願いをしております法律案におきましては、運転者教育充実を図るという観点から、自動車教習所に関する規定と、自動車教習所と指定自動車教習所との関係、さらには自動車安全運転センター自動車教習所との関係についての規定を置かせていただくこととしております。  そこで、第一点目のお尋ねでございますが、この法律案を成立させていただきました上では道路交通法第九十八条という規定になりますが、そこの四項で、公安委員会は、自動車安全運転センター自動車教習所における職員の研修その他「職員の資質の向上を図るための措置について、必要な配慮を加えるよう求めることができる。」というような規定がございます。その「配慮」とは何かというお尋ねかと存じます。  これの中身といたしましては、一つは、この自動車安全運転センターには、昨年の五月に茨城県の勝田市にオープンをいたしました中央研修所がございます。その中央研修所における指導、研修の中身といたしまして、自動車教習所の職員の研修のためのコースを設けるということも配慮の一つと考えております。それから、したがいまして自動車教習所の職員の研修のためのカリキュラムも策定していただくということも配慮の一つかと存じます。その他、中央研修所自体ではありませんで、中央研修所を包括する自動車安全運転センター自体の問題でございますが、こちらの方の調査研究課題として、自動車教習所教習水準の維持向上に資することとなるような調査研究を行っていただくというようなことも、この配慮の中身 になろうかと存じます。  それから、二点目のお尋ねでございます指定教習所と指定外の教習所との実態はどうかとの点でございます。  平成三年十二月末現在の数字で申し上げます。昨年末でございますが、指定自動車教習所の数は千五百三十九校と申しますか二百三十九所でございます。それから指定外の自動車教習所は二百七十一校、二百七十一所でございます。平成三年中の卒業者の数は、指定自動車教習所では二百五十万余りでございます。それから指定外の自動車教習所、このうち実態がわかっております全国自動車運転教育協会傘下の教習所教習生で、運転免許試験に合格した者の数が二万六千人余りでございます。  それから三点目は、指定自動車教習所と指定外の教習所との間での指導について差があるのかないのかというお尋ねであったかと存じます。  今回お願いをしております道路交通法改正案に基づいてお答えを申し上げますと、基本的には指定外の自動車教習所と指定自動車教習所との間に差異はないという考えでございまして、自動車教習所一般についての定義規定と申しますか、それを括弧書きで規定し、さらにその設置者、管理者に一定の努力義務を課するということとしております。それからさらに、自動車教習所は一定の事項を公安委員会に届け出ることができることとし、その届け出をした場合には幾つかの特典といいますか、公安委員会からいろいろな役務の提供を受けることができるということで、その一つが公安委員会からの必要な指導助言であり、もう一つがただいま申し上げました安全運転センターに対して配慮を求めることができるという点でございます。そして、指定自動車教習所は、届け出自動車教習所の中から一定の設備基準等の基準を満たすものについて公安委員会が指定をするということで、一つの体系をつくらせていただいているということでございます。  指定自動車教習所の指定が行われる場合には、これは現在もそうでございますが、技能試験免除その他の特典はございますけれども、公安委員会からのいろいろな役務の提供を受けることができる地位という点につきましては、基本的には指定自動車教習所も指定外の自動車教習所も同様であるという理解でございます。
  143. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 時間が来ましたのですが、暴走族対策関係で、特に先ほども指摘されたように、消音器の問題、ナンバープレートの問題、しかもその消音器の場合を含めて改造部品が販売されているということで、これは一定程度の規制を加えていく必要があるのではないかというふうにも思います。  それから、百キロのスピード制限があるのですが、バイクを初め、二百五十キロも三百五十キロも出るような車は規制をしていく必要があるのじゃないか。競走車じゃないのでありまして、それは別枠にしても、この点は一定のいろいろ配慮をしていく必要があるのじゃないかというふうに思います。  消音器の欠陥の取り締まりの基準というのは、現場の警察官に非常に裁量権というのが与えられてくるということでありまして、この取り締まりの強化というのとあわせて、人権的なものにも一定程度配慮をしていく必要があるのではないか、あるいはその基準というものを設定をしていく必要があるのではないか、こういうふうにも思っておりますので、十分御検討いただいて、対応していただきたい。  時間がありませんから、これは私のことで要望申し上げますが、おかげさまで山形新幹線が七月一日開業。それで今、山形−福島間の踏切の完全閉鎖の問題が問題として出ておりまして、これは関係市町村と十分話を詰めていただいて、最善の対策を考えながら御配慮をいただきたいということを強く要請をさせていただいて、終わります。
  144. 竹内勝彦

    竹内委員長 次に、近江巳記夫君。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず、交通事故総合分析センター関係についてお伺いしたいと思います。  警察庁、運輸省建設省、各省は従来からそれぞれの目的に応じまして統計をとられております。交通事故統計分析は警察庁、自動車事故調査解析は運輸省事故多発地点等の事故特性分析ということにつきましては建設省等々各省でやってこられたわけですけれども、今までどういう効果を上げてこられたのですか。各省、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  146. 関根謙一

    関根政府委員 財団法人交通事故総合分析センターは、三月五日に設立されまして、初年度といたしまして三月三十一日まで準備活動を行い、第二年度目、平成四年度として現在その事業を進めているところでございますが、何分にもまだ準備活動の最中でございます。今回お願いをしております法律を制定させていただきますれば、そこで初めて法律上の地位が明確になりまして、そこで基本財産に充当していただくことができる各種の寄附金でございますとか運用資産のための寄附金充当等が期待できるということでございまして、今はそれを前提としてさまざまな準備を行っているという段階でございます。実際に分析活動に入りますのは、本年十月からマクロ分析、ミクロ分析につきましては平成五年の四月、平成五年度からというところでございます。  しかしながら、委託事業の方につきましては、少しずつ委託をしていくということを前提に、幾つか努力をしているというのが現状でございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 私、きょうは草野委員と時間を分けておりますので、短時間しかありません。私が聞いていることと答弁とちょっと違うのですが、要するに関係各省で今までいろいろそういう解析もされてきた、そういうことがどれほど大きな効果があったのかということを聞いたわけなんです、それは後で関連してまた答えてもらえればいいのですけれども。  私が聞きたいのは、総理府交通安全対策室が、十五年前、昭和五十二年度、五十三年度にわたって「交通事故総合調査手法に関する調査研究」ということをなさっているのです。ここにおきましては、分析センターをぜひっくりなさいとか、手法についてはこうしなさいとか、実に的を射た報告書が上がっておるわけです。十五年間も放置してきた政府の責任を私は問いたい。今日、一万人以上の交通事故死が何年続いているのですか。ことしはこのままいけば一万二千人をはるかに突破しますよ。負傷者からいけばもう百万人になろうとしておる。総務庁も含めて四省庁、私はこの責任を問いたい。なぜ今日まで、設立にこんな十五年間も時間がかかったのですか。我々は絶えず本委員会において、私もやり、また同僚委員も、各党の議員もそのことを今まで言ってきたわけです。今回これを出されることについてはいいことなんですよ。いいことなんだが、余りにも時間の経過が長過ぎる、これについて反省の弁をひとつお聞きしたいと思う。
  148. 賀来敏

    賀来政府委員 反省の弁ということでございますが、事実関係を少し整理させて御答弁させていただきたいと思います。  ただいま先生が御指摘になりましたのは、当時総理府の交通安全対策室が、今から考えてみますと極めて先見的なものだと思いますが、昭和五十二年と五十三年におきまして、「交通事故総合調査手法に関する調査研究」を当時の日本交通科学協議会に委託して、専門家の先生方に基礎的なものをおまとめいただいたところでございます。  これにつきましては、一つは、先生も御案内だと思いますが、我が国の調査分析はどうなっておるか、さらには国際的な観点から調査分析がどうなっておるか、望ましい調査分析の基本構想はどんなものが考えられるかということと、五十三年には一部草、人身事故、医療面を含めまして、さらに道路環境等につきましてサンプル調査をして、およそこういうことだろうということの、当時のものといたしましてファーストステップと申しますか、初歩的な、初期的、第一段階的なものでございますが、立派な提言をいただいたのは事実でございます。  それで、その後十五年間放置しておるのではないかという御指摘でございますが、ここで指摘されましたのは、いわゆる総論的に、調査手法の作成であるとか、専門家の育成であるとか、事故追跡調査システムの確立てあるとか、データバンクの確立等々ございます。しかし、よくよくこれを見ますと、極めて学問的、専門的な有識者の御提言でございまして、まだまだ行政の具体的な調査分析あるいは基礎的な研究が必ずしもその時点では進んでおらなかった。その後、例えば先生の御専門の方の救急医療の分析の調査等について五十七、八年にもなされておりますし、またいわゆるコンピューターシステム整備推進によって免許取得者あるいは事故情報についてもかなりデータベース化が進んでおりますし、また車両面でもファイル化が進んでおるということ、まだ道路面では今なお研究開発しなければならぬところがあるようでございますが、十五年、長いようでございますが、それぞれの分野で進んでいったわけでございます。  総務庁といたしまして、各省庁の施策が推進されるようにということで、総合調整官庁といたしまして、第三次、第四次、今回の第五次においても総合調査の施策を推進する必要があるということで、いわゆる交通安全基本計画にも組み入れていただきまして各省庁の御努力をお願いしたところでございます。また、行政監察等におきましてもその種の推進を勧告等していたところでございます。  今回ここまでたどり着いたということで、大変遅かったということで、おしかりは重々反省するところでございますが、よろしく御支援いただきたいと思います。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 弁明ということでお聞きしたわけでございますが、道のりは余りにも遠かった、その間にとうとい人命が、交通事故死がこれだけ激増してきておる、それはすべて政府の責任であると私は強く申し上げておきたいと思います。  総務庁一つの企画、そういう中心の部分にいらっしゃったわけですね。今回は国家公安委員長が中心となってこの法案提出ということになったわけですが、国家公安委員長、今の弁明をお聞きになって、遅すぎたと私は声を大にして申し上げたのですけれども、大臣はどういう感想をお持ちでございますか。
  150. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 確かに遅い。私も、ちょうど昭和五十二、三年ごろだったかと思いますが、この問題が出ておったことをよく知っております。役所の縄張りがあってこんなことになってしまうのですね。本当にその点はあわせて反省しなければいかぬと思います。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣の極めて率直な御感想をお聞きしまして、そういう反省をされたわけでございますので、このセンターが、子供が生まれるわけでございますしっかり充実したものにしていただきたいと思うのですけれども、同じ子供を産むならなぜ特殊法人にしなかったかという、そういう非常に強い思いが私にはあるのです。それについてはどうですか。
  152. 関根謙一

    関根政府委員 確かに、このような大きな問題について対応をしようとする総合的な研究機関の設立につきましては、国が全面的に出資し、国策として行うべきだというお考えも十分あろうかと存じます。そして、国によっては、国の基金で全面的に設立されている同種の研究機関があることも重々承知しております。他方、純粋に民間の研究機関が同種の研究活動をやっているという国もございます。我が国は、そういった国々に比較してみますと、本当に官民一体となったシステムということで、これは国際的にも非常に珍しい例ではないかと存じます。  そのようなシステムを考案させていただいたにつきましては、平成二年六月におきます当委員会での道交法、自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部改正の採決の際に伴います附帯決議において大きな示唆があったことでございます。それらのいろいろなアイデアをいただき、本当に国を挙げて交通事故の抑止に取り組むためのシステムとして、今のような姿が一番我が国にふさわしいシステムではなかろうかということで、このようなシステムをとらせていただいた次第でございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 官民挙げて一体となってやる、非常に自画自賛されているように私は聞こえるわけですけれども、珍しいということは何かといえば、世界各国、中立、公正さを原則とするわけですから、ですからどうしたって国の機関としてそれだけ力を入れてきているわけなんです。何もやり方がこういうことだからいいなどということは、今後どうなるか、私たちは本当によくそれはチェックしていきたい、このように思うのですね。  そういう意味におきまして、先ほど申し上げましたいわゆる中立性の確保、これは本当にできるのですか。百億の協力を仰ぐわけでしょう。その点が非常に心配ですよ。できたけれども都合の悪いことについては公表を避けるとかいろいろなことが、今後そういう動きが出てくると私は思うのです。そういう中立性、公正さという点について疑念はないのですか。どういうように今後されていくのですか。
  154. 関根謙一

    関根政府委員 財団法人交通事故総合分析センターは、三省庁が監督官庁として、その目的に資するように当財団法人が業務を行うべく、十分に監督をしていくこととしております。  さらに、その業務の内容がそもそも非常に科学的と申しますか学問的性格の研究機関でございます。問題はその成果たる研究結果をどのように設立目的に資するように利用するかという点で、あるいはいろいろ御疑念があるというおそれがあろうかと存じます。その点は、諸外国の例もございますし、いろいろな立場から御注意をいただくような内部的な調査研究委員会みたいなものもございますし、いろいろシステムとしてそのような特定のものの利益のために研究成果を利用するということのないように工夫が凝らされているように存じます。しかしながら、最終的には疑いのないように運営をしていただくよう、監督官庁として十分注意をするということが求められるどころかと存じます。十分に注意してまいりたいと存じます。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 分析センターとしてデータをどんどんとらなければいかぬわけですけれども、三省庁以外も、民間を初めほかの省庁も、非常にそういういろいろな関連のあるものは調査もし、研究もされておるわけですね。できる限りのデータをそこに集中しなければならない。そうした場合、三省庁以外の関係各省あるいは民間等、どういう協力体制が得られるのですか。協力体制は法案の中に明記されていますか。その点はいかがですか。
  156. 関根謙一

    関根政府委員 その協力を求めるシステムというのは、財団法人交通事故総合分析センター、いわば本体の方にそのように仕組みが置かれているというように理解しております。法律案の方は、財団法人交通事故総合分析センターの活動の一局面、一つの機能について、法律で特に規律をする必要があるという分野についての規律をお願いしているということでございまして、これはあくまでも本体たる財団法人交通事故総合分析センター一つの機能、一つの局面についての規律でございます。いろいろな団体あるいは行政機関、さまざまなところでお持ちの事故分析に資するような資料というのはなるべく一つに集めまして、総合的な分析を行うことにより、広く多くの方々にその利益を還元するようにしたいというのが、本体たる財団法人総合分析センターの方の趣旨、目的でございます。そのように機能していくことと期待をしているところでございます。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 調査分析のそういう体制につきまして、この勧告なり第五次交通安全基本計画等におきましても、いろいろな学者の起用ということを言っているのですね。工学、医学、心理学等の専門家の活用、そういう必要性を言っておるわけでございますが、そういう方はどういう形で参画していくことになるのですか。
  158. 関根謙一

    関根政府委員 学識経験ある方々は財団法人の評議員という形で参加していただくという形と、 この財団の特殊な運営機関といたしまして調査研究委員会を設けまして、ここで調査及び分析についての学問的な見地からの御貢献をちょうだいする仕組みというものを設けております。さらに、実際に現場的な業務を行います調査の担当者、分析の担当者、こういった現場的な分野におきましても、工学、医学、心理学等の知識の深い方に参加をしていただくように考えているところでございます。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 この分析結果を定期的あるいは時宜に応じて提供するということになっておるわけでございますが、具体的にどういうようにされるのか。公安委員会としてはこういう調査分析結果というものを詳細に国会に報告してもらわなければいけないと思うのですが、どのようにお考えでございますか。
  160. 関根謙一

    関根政府委員 財団法人交通事故総合分析センター調査分析、研究等の成果につきましては、定期刊行物なりその他いろいろの手法等を通じまして、広く交通事故防止に資する活動をされる方々を初め関係機関団体に提供するよう考えているところでございます。さらに、一般的な運転者に対する交通事故についての知識の普及でございますとか、そういった点についての工夫もしてまいりたいと存じます。  それから、国会への研究成果の報告という点でございますが、これも必要があればと申しますか、定期刊行物等につきましては当然に御報告申し上げることになろうかと存じますが、その他何か報告の仕方についても工夫をしてまいりたい。このように検討してまいりたいと存じます。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 大いにそれは工夫して、十分報告できるようにしていただきたい、強く要望しておきます。  それから、秘密保持義務を規定しておるのですけれども、具体的にどういうものが対象になるのか。また、公表できるものとできないもの、どういうことを基準に考えておられるのですか。
  162. 関根謙一

    関根政府委員 プライバシーに関する事柄ということで、例えば身体的特徴でございますとか、同乗者がどういう人であったかとか、どこから出てきて何の目的のために運転していたかとか、そういったたぐいはすべて公表することを差し控えさせていただきたいと存じます。  それと、警察庁がいわば交通事故についての事件の捜査の過程で集められたものであって、それが交通事故の抑止のための分析の対象となり得るものというようなものもあろうかと存じます。そのようなものにつきましても、分析センターに対して、そのようなたぐいの情報あるいは資料を提供することができるというような仕組みを置かせていただくこととしております。それにつきましては特定情報と名をつけまして、その特定情報について管理規程を分析センター内でつくっていただき、その管理規程に従ってその情報の使用と管理の仕方の適正を図っていただきたい、このような考えでございます。  原則的には、研究の成果と申しますか、広く一般の方々に利用していただけるような成果そのものは、すべてオープンにしたいというのが私どもの考えでございます。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 国家公安委員長のさっきの答弁も非常に明快におっしゃっていましたので、私もちょっと明快に言いますけれども、この人事の問題も、考えてみますと、これは公務員の天下りの形ばかつになる危険性があるんじゃないかと私は思うのですね。そういう点、学識経験者なり何なりを本当に十分生かせる体制をとる必要があると思うのです。その辺についてはいかがですか。
  164. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘のとおりだと存じます。ただ、学識経験のある方の中に、たまたま交通事故の分析について行政機関の職員であった者というものもありますので、特にそういう人を排除するという必要はないように理解をしております。
  165. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 仰せのとおり、これはやはり官民あわせての一体となった運営でございますから、仰せいただいたことをよく相談いたしまして、そういう弊害の起こらないように、といいましてもやはり中心になっていくのは官であろうと思いますけれども、しかし民の意見も十分吸収できるような、そういうシステムには当然させていくように指導していきたいと思います。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、先ほども同僚委員質問をされておりましたけれども、今日これだけ科学技術時代と言われておりまして、日進月歩で、いろいろな測定機器にしましても前進しているわけです。そういう点で、先ほども二十七件のそういうものの測定による誤差といいますか、他車両との誤認あるいは誤測定というものからそういう判決も出ておるというお話もあったわけです。そういう点で、やはり機器の開発、そしてまた測定のあり方、本当に一〇〇%的確にいける方法を努力しなきゃいかぬ、私はこのように思っておるのです。そういうことで、そういう機械の誤認原因の解明をされておるのかどうか、あるいはそういう測定方法自体、人がこれまたその機械を操作するわけですから、そういう人の操作のやり方であったりとか、そういうことがこういう判決に基づいてきちっとフォローアップされておるのですか。
  167. 関根謙一

    関根政府委員 お尋ねの点でございますが、判決等を見てみますと、機械の設定の仕方あるいは操作の仕方について、機械の性能等の認識に若干欠けるところがあったために、一定の方向からの進入に対して特にプラスに誤りの数値を出す、つまり本来ならば四十キロぐらいで走ってきたものがもっと高いスピードとして記録されてしまうというようなことがあるという御指摘をいただいております。そこで私どもといたしましては、十分に事前に幾つかチェックをしていただきまして、確かにその記録が実際の速度とおりを表現するということを何度かチェックして、確かめた上で実際の取り締まりに当たってもらうような指導をしております。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長のお話では、いろいろな誤差が出ないような適正配置また操作の仕方、おっしゃるとおりそれは当然であり、大事なことなんですね。  同時に私は、機器の開発ということについて、今これができているからそのままいけばいいんだ、そうじゃなくして、絶えず新開発に努力していただくということが大事だと思うのです。今後分析センターであらゆるデータ等も収集されてくるわけですけれども、これはそういうことがあくまでもベースになってくるわけですから、ですからその辺の正確さというものが非常に大事になってくる。その辺を私は非常に心配するわけです。  したがいまして、今後関係各省におかれまして、そういう科学的究明をしていく上における機器の開発、また運用、操作のあり方等々、これは三位一体となった取り組みが一番大事だと私は思うんですね。そういう点につきましてもう一度お答えいただきたいと思います。
  169. 関根謙一

    関根政府委員 マンパワーが不足している現状におきまして、人の力によらずに、装備資器材の充実を図って人の活動以上の成果を上げることができれば、それが私どもの行政の理想でございます。そのような観点から、現在の科学水準の粋を集めたそのような装備資器材を開発すべく、いろいろ努力をしているところでございます。私どもの中にも交通管理技術協会といったような団体がございますが、ここでは例えば新しいタイプの速度感応型の車両感知器の開発でございますとか、それから自動車の運転のシミュレーターでございますか、そういったようなものの開発もしてもらっております。  いずれにしても、そのような補助的なもののみならず、実際に捜査ということで国民の人権に深くかかわり合いのある分野においては、特に正確な客観的事実を反映するような、そのような食器材が求められていることは重々承知しておりますので、なお一層その分野において努力をしたい、このように存じております。
  170. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど二十七件の判決ということで答弁があったわけですけれども、これを考えますと、私はこれは氷山の一角だと思うんですよ。要するに無罪を主張する、そうすると検事は、恐ら く裁判にかければ大変な時間もまた金もかかるとか、いろいろなことを現場においては言っておられるわけでしょう。そうすると、みんなこれだけの忙しい世の中ですよ、自分としては納得できないけれども罰金代も仕方ないなと、恐らく泣き寝入りのような、不本意でありながら済ませておるケースが無数にあると私は思うのです。ですから、この二十七件の重みということを本当に皆さん方はずっしりと受けとめて、今局長が、今後そういうマンパワー初め機器の開発等、人権にかかわる問題であるだけに、慎重にやるとおっしゃったこと、これは政府を代表しておっしゃっているわけですから、重々深くこれを肝に銘じて前進していただきたいと思うのです。国家公安委員長、御感想をひとつ。
  171. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私どもも時々ネズミ取りにひっかかりますので、そのたびごとに本当にそんなにあったかなと思ったりすることもよくあります。やはりこれにかわるものを早急に開発していかなきゃいかぬと思うんですね。ネズミ取りというのはイメージが暗いです。といってこれにかわるものがないものですから、これを中心にしてスピード違反の取り締まりをやっておるわけですが、できるだけそれにかわるものにして、それだけに、やはり納得さすように現場現場では努めていくべきだと私は思います。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうように、人権の深くかかわる問題でございますので、ひとつ慎重にやっていただき、正確を期していただきたい、そのように思うわけでございます。  それから、原付免許技能講習は非常にいいと思いますが、一つは、警察庁が新たにしっかりしたカリキュラムをお出しになるのかどうか、それから将来は技能試験にすべきじゃないかと思うのですが、その二点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  173. 関根謙一

    関根政府委員 原付技能講習のカリキュラムにつきましては、短時間で、最も効率よく、しかも必要な事項を習得していただくようなものを、今いろいろ検討しているところでございます。
  174. 近江巳記夫

    ○近江委員 私、将来は講習だけじゃなくして試験にすべきはどうかと言ったんですけれども、それはまた後で答えてください、もう時間がありませんから。  それから、うっかり失効の問題でございますけれども、六カ月なんですね。失効期間が五カ月になりますと、あなた、忘れていますよと本人に通知してくれる県があるんです。非常にこの県は優しいですね。免許保持者に対して心を配っている。こういうことは全国的にやるべきじゃないですか。私はこのことを公安委員長にお聞きしたいと思うのです。さらに、免許の更新期間の延長についてはどのようにお考えか。また、うっかり失効期間も、六カ月になっていますけれども、延長されるお考えがあるのかどうか、その辺ひとつお聞きします。
  175. 関根謙一

    関根政府委員 まず、うっかり失効の直前に通知があるようなシステムについてのお尋ねでございます。これは交通安全協会がその交通安全協会の会員に対するサービスとして行っているものでございますが、なおそのような注意喚起の方法について何か方法があるか、改めて検討してみたいと存じます。  それから、うっかり失効の期間の延長という点でございます。これは現在六カ月でございまして、三回目の誕生日が過ぎてしまった後六カ月間は、その間に免許の申請をすれば技能試験免除で免許を得ることができるという仕組みでございますが、その六カ月が一日でも過ぎてしまいますともうどうにもならないということで、改めて初めから技能試験、学科試験、全部受けていただくという仕組みでございます。  しかしながら、最近、海外旅行でございますとか、これは会社の命令で行けと言われたようなやむを得ない海外旅行でございますとか、いろいろな理由から、いかにも気の毒だという例が幾つかございますので、そのような真にやむを得ない人たちを救済できるような規定を置かせていただけないでしょうかというのが今回の改正案をお願いしている理由でございます。  それから、運転免許の更新期間の延伸の問題についてのお尋ねでございます。先ほどちょっと触れさせていただきましたが、免許の更新制度あるいは免許制度そのものは、本来が交通事故を防止するための基本的な制度でございまして、その期間といいますのは、その運転者技能知識、適性をチェックして、危険な運転者を排除するために必要な期間という、このような理解でございます。  そこで、延伸した場合に、なおそれが交通事故防止に資するというようなシステムがあれば、そのようなシステムを採用することは交通事故の防止に資することになりますので、そうであればそれを検討したいということで、現在オーストラリアなどで行われておりますメリット制というものを研究しているところでございます。  しかしながら、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、現在、世界じゅうで交通事故死者数が七十万人を超えているという数字がございます。近く百万人に達するであろうと言われております。そこで、世界じゅうで今交通事故防止の手法の開発、発見に非常に努力をしている過程でございます。したがいまして、交通事故の抑止に資するという方向での改正、期間の延伸ということでありませんと、ちょっと世界の動向、動きに反することになるのではないかということで、いずれにしましても、交通事故抑止につながるようなメリット制というものがあればということで、今検討しているところでございます。
  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう質問時間が終わります。  最後に、大臣初め各省庁の皆さんにお願いしておきますが、交通弱者の方々に対する点字ブロックあるいは信号、あるいは歩道におきますいろいろな雑然とした物もございます。それがまた大変な事故にも結びついておるわけでございますので、十分なひとつ配慮をしていただく、力を入れていただくということを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  以上でございます。
  177. 竹内勝彦

    竹内委員長 次に、草野威君。
  178. 草野威

    草野委員 三十分ほどでございますけれども質問の機会を与えられたものでございますので、ただいま議論になっております事故分析センター、それから運転免許関係、この二点につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。  分析センターにつきましては、ただいままでいろいろな角度からの議論がございました。今回、この分析センターがスタートすることになるわけでございますけれども、ただいまも交通局長から、官民一体となった我が国にとって非常にふさわしい組織になるだろう、こういうような意味お話もございました。私も、このセンターは世界的にもトップクラスの分析センターになるのではないかと大きな期待を寄せている一人でございます。あとはこのセンターの運用のいかんにかかってくるわけでございますけれども関係者の皆様方の御努力を心から期待をしているものでございます。  そこで何点かお伺いしたいと思いますが、御承知のように現在、第二次交通戦争、このように言われまして既にもう四年目に入ったわけでございまして、本年もまた余りよくない状況のようでございます。昨日現在の交通事故の死者は三千六十八人ということで、昨年同期に比べましてプラス三百十四人、一一・四%の増、こういうような非常によくない状況になっているようでございます。また、このまま推移してまいりますと、平成七年度におきましては死者が一万三千五百人にも達するのではないか、こういうような予測も立てられているわけでございます。  そういう中でこの分析センターの設立てございますけれども、率直に伺いますが、このセンターの設立によって、基本計画の目標である死者一万人以下、本当にこれが達成されるのかどうか、どのように皆様方はお考えになっておられるのか、もし達成できるとすれば、その時期はいつごろに めどを置いていらっしゃるのか、まずこういう点についてお伺いしたいと思います。  あと、この運用面につきまして若干まとめてお尋ねをしたいと思いますが、このセンターの本格的な業務の開始時期等につきましては、マクロの面ではことしの秋、またミクロ面の調査分析体制については平成五年度からだ、こういうような御説明もございました。  そこで、細かいことで恐縮でございますけれども、大事なことでございますので伺っておきますが、このミクロの調査分析体制に入った場合に地方拠点というものができると伺っておりますけれども、この地方拠点の数、それから位置、これはどうなっているでしょうか。それから、調査チームが何班か編成されると思いますが、その調査チームの編成内容。それから、センターでいろいろ分析が行われるわけでございますけれども、データの項目数、データ量。  それからもう一点、基本財産百億円の点でございますけれども平成三年度に一億一千万、平成四年度に十二億八千万円、このようになっておりますけれども、これをこれから七年間で百億円を集める、こういうようなお話でございますけれども、今後の収入の年次計画はどのようになっているか、お示しをいただきたい。  以上でございます。
  179. 関根謙一

    関根政府委員 まず、交通安全基本計画で政府の目標としております平成七年中の死者数を一万人以下に減らすという考え方についてのお尋ねでございますが、私どもは達成できると確信しております。一つには、昨年、百二十二人でございますが、一昨年に比べて事故死者数が減ったということがございますが、これはいろいろな新しいシステムを導入し、その結果そうなったように考えます。  そこで、今回さらにまた、新しいシステムといたしまして、事故分析体制の確立ということがございますし、また、地方公共団体での条例制定の動き、それからいろいろな業界、特に自動車販売店業界における交通安金対策推進協議会設立の動き等、新しいシステムをつくって、それこそ国民挙げて事故防止に取り組もうというシステムづくりが少しずつ進んでおりますので、そのようなものとあわせて、従来の私ども取り締まり努力でありますとか、さらに今回法律でお願いしております運転者教育充実、こういったこととあわせて何とか達成できるのではないかと考えているところでございます。  それから、分析センターの運営につきましてのお尋ねでございます。  まず、地方拠点の数、場所等についてのお尋ねでございますが、これは平成四年度以降に、平成四年度の後半一カ所ということで、これは平成五年度からミクロ分析に入るということからで、そのように考えているものでございます。それから平成七年度以降に二カ所目を地方拠点として置くこととしたいということであります。地方拠点、これは調査のチームでございます。西ドイツの例は先生大変お詳しゅうございますが、西ドイツの例なんかでも四、五人のチーム、特に学生なんかが中心になっているようでございますが、我が国では専門家四、五名で一個班、一カ所で二個班、二チームぐらいのもの、そういうものを二カ所に置きたい、このように考えております。  それから、調査項目ということでございますが、これは国によって本当にいろいろ細かいものからあるわけでございます。西ドイツのハノーバー医科大学の例でありますと、事故一件当たり約二千項目について調査をするということのようでございます。これは、地形でありますとか、こういうものについて図面を添付するということになりますとぐっと減ってまいりますので、私どもの方は若干の工夫を凝らして、当初は数百項目程度からということを考えております。これは諸外国の例に倣いつつ、一番事故の実態の解明に資するような項目ということでいろいろと検討をしてまいりたい、このように考えます。  それから、財政計画についてのお尋ねでございます。何分にもこれはまず法律をつくっていただきまして、特定公益増進法人ということで、この財団法人に対して基本財産としての寄附金を提供する場合に税制上の特典を得ることができるような仕組みをつくっていただくことが前提でございますが、そのようなことを前提といたしまして、平成四年度が十二億といった程度でございます。以後大体その程度かあるいはそれ以上ということで、七カ年計画で百億ということを考えているところでございます。
  180. 草野威

    草野委員 一九七〇年、我が国は交通安全基本法を制定いたしました。また、西ドイツにおきましても、同じ時期に独自の対策を立てた。これを契機として日本の交通事故がかなり大きく減少した、このように言われております。我が国のこの基本法の場合には、国、地方公共団体、またドライバー、車のメーカー、歩行者に至るまで、それぞれの責務というものをかなり明確にしたという実態がございまして、これがかなり大きな成果を上げた一つ原因になったのではないかと思います。今交通局長からお話がございまして、一万人以下に抑えることについては確信を持っておると明言をされまして、私も非常にこれは力強く感じました。ただ、このセンターが短期的にどこまで成果を上げることができるか、そういう面については若干心配な面がございます。  しかし、そういうお話の一方、本格的な業務が開始されるまでに、例えば地方拠点は今のところは二つ考えている、一カ所は平成五年からだけれども、二カ所目については平成七年だ、こういうようなお話でございましたけれども、先ほど申し上げた交通事故の予測によりますと、平成七年にはこのままの状態でいけば一万三千五百人の死亡者が出るんだ、こういう異常事態になっているわけでございますので、これからのこの運用に当たりましては相当に力を入れて取り組んでいただきたい、このことを御要望申し上げておきたいと思います。  なお、細かい点で大変恐縮でございますが、収支予算書を拝見いたしますと、平成四年度に事業収入で二億八千万円、寄附金収入で二億五千八百万円入ることになっております。まだ事業をろくすっぽ始めないうちから事業収入が本当に入ってくるのかどうか。寄附金も、これは一体どこから入ってくるのだろうか、わかりません。  それから、国の補助金収入、これは国家公安委員長にも大臣の立場として大いにひとつお願いしたい点でございますけれども、四年度の予算を見ますと、運輸省関係だけが五千万円ということでございまして、建設省その他から全然入る予定になっていない。こういうことについても、これは一体どういうふうになっているのか、御説明をちょうだいしたいと思います。  あわせて、この情報の提供の問題でございますが、先ほど来御説明ございましたけれども、一般に広く提供する、こういうふうになっておりまして、先ほどの御答弁を伺いましても、できるだけすべてをオープンにしていきたい、ただしプライバシーの関係だけを除く、これは当然なことであろうと思います。  そのプライバシー関係を除いたデータの提供でございますけれども、プライバシーに関係しないもので、もしかしたらこういうものは公開することはできないよ、こういうものがありましたら具体的にお示しをいただきたいと思います。その理由は、国民がだれでも交通問題についてはチェックできるように、これからはそういうような体制になっていなければやはり我々にとってはいけないのじゃないかと思うのです。例えば、毎日洪水のように車が流れておりますけれども、そういう数多い車の中で本当に安全な車はどの車なんだろうか、これは国民が非常に関心のある点でございまして、安全な車を購入する判断基準、こういうものもやはりこれからの情報の提供によって非常に参考になってくるのじゃないか、このように思います。  そういう意味におきまして、ユーザー自身が交通安全についてもっともっと関心を持ち、発言力 を持っていく、そうしないと抜本的な対策は望めないのではないか、このように思います。そういう意味で、情報公開の基準というものを、この際、明確にお示しいただきたい。よろしくお願いいたします。
  181. 関根謙一

    関根政府委員 まず、この収支予算書の中で、事業をやっていないのに事業収入を予定しているのはおかしいではないかとの御趣旨のお尋ねでございます。これは、マクロ分析、ミクロ分析というような事業はまだでございますが、少しずつ調査研究を始めていくということで、幾つかの事項についての委託業務というものが現在検討されつつございます。そういうことで、これは十分に見込みのある予算であると考えております。  それから、情報提供についてのお尋ねでございます。私どもは、先ほど来しばしば御報告申し上げておりますように、この財団法人交通事故分析センターの設立目的が、交通事故の抑止のための原因調査分析し、その成果を広く提供することによってその設立目的に資するというところにある点に着目をいたしまして、その調査分析の成果はできるだけ広い範囲の方々に利用していただきたい、このように考えております。しかしながら、生データ、未加工の直接のデータ自身は公開することを控えさせていただきたい、このように考えております。その他は、大体世界の同種の研究機関の例に倣っていろいろと基準を検討してまいるように指導してまいりたい、このように存じます。
  182. 草野威

    草野委員 次に、運転免許関係についてお尋ねをしたいと思います。  まず、教習所の問題でございますが、今回の改正におきまして、自動車教習所の法的地位が明確になりました。初心ドライバーに対する教習所の果たす役割というものはますます重要になってまいろうと思います。改正道交法におきましては、教習所指導員の資質の向上や教習水準の維持向上などを明確に定めております。今後の警察庁におきましての指定校以外の届け出教習所に対する指導助言のあり方、方針、こういうものについてお伺いをしたいと思います。これが第一点です。  それから次は、仮免許の住所地主義の変更ということでございます。これは将来的には本免許についても教習所の所在地を管轄する公安委員会が発給できるようにしたらどうか、この点についての御見解。  それからもう一点は、上位免許でございます。大型自動二輪、普通二種免許、大型二種免許等の上位免許の取得に当たりましては、現在、公安委員会の管轄する運転免許試験場で試験が行われております。これらの車には、高度な技術または経験というものが要求されるわけでございます。したがいまして、上位免許技能試験につきましては、今後も現在行われているような運転免許試験場で試験を行う、こういうような形態を続けた方が交通安全という面から見るとよりよいのではないかと思いますが、以上三点について御答弁をお願いいたします。
  183. 関根謙一

    関根政府委員 まず、指定外の自動車教習所に対する指導助言のあり方についてのお尋ねでございます。  現在までのところ、指定外の自動車教習所につきましては、教習水準の向上でありますとか教習員の資質の向上等につきまして、公安委員会の方で十分役務の提供をしていたとは必ずしも言えない状況にございました。しかしながら、自動車教習所というものが持つ車社会における地位、なかんずく運転者教育についての柱であるという立場を十分に尊重いたしまして、今回このような法律改正を御提案申し上げまして、自動車教習所、これは指定自動車教習所、指定外自動車教習所をあわせてでございますが、公安委員会の方で教習水準の維持向上あるいは教習員の資質の向上に必要な指導と助言を行うことができるようにしたい、こういう考えでございます。具体的には、さまざまなお尋ねに対するお答えでありますとかいろいろあろうかと存じますが、特に自動車安全運転センター中央研修所において、自動車教習所の職員の方々に研修の際の便宜を図ってもらうところが大きな利便の供与ということになるのではないかと考えております。  それから二点目の、仮免の場合に、住所地主義の原則にとどまらず、自動車教習所の所在地の公安委員会も、仮免許に限りその公安委員会が発することができるようにするというそのシステムを本免許についても適用したらどうかとのお尋ねでございます。  先ほども御答弁を申し上げましたが、これは運転免許の申請手続及び交付手続についての問題でございまして、基本的な考え方は、国民にとっての利便性と行政事務処理の効率化というその二点の調和を求めるというところにあろうかと存じます。本免許についても住所地主義とあわせてそのような教習所所在地主義というものが可能かどうか、あるいはそういう要望がどの程度強いのかどうか、さらにそれが国民にとっての便宜性あるいは行政事務処理の効率性に資することになるのかどうか等も含めまして、今後検討させていただきたいと存じます。  それから三点目の、上位免許については現行のような仕組みの方が交通安全に資するという点ではすぐれているのではないかとのお尋ねでございます。  確かに、この種の操作の難しい車両あるいは特に慎重な運転と高度の技能を要する車両の運転につきまして、そういう技術水準に達しているか否かという点を他の機関にゆだねることになるとすれば、それはかなり高い水準の機関にゆだねるということになろうかと存じます。そのようなことが可能かどうかということも含めまして、検討させていただきたいと存じます。
  184. 草野威

    草野委員 最後に、もう一問お伺いをいたします。  交通事故の際の応急処置の問題でございますが、交通事故の死亡者の減少を図るためには、事故発生を未然に防ぐ一方、事故発生から救急車が到着するまでの間に負傷者に対し適切な応急処置を行うことが極めて有効であろうと思います。  消防庁の調べによりますと、これは全国平均の数字でございますが、救急車が現場に到着するまでに五分七秒、現場の応急処置が九分、病院への搬送が八分六秒、合計で二十二分十三秒、約二十二分かかっているという調査がございます。中でも、救急車が現場に到着するまでの四分ちょっとの時間が最も重要だ。この間に適切な応急処置を施さなければ救えるはずの今も救えなくなってしまう。道交法第七十二条では、運転者に対して、交通事故が起きた場合の措置として、負傷者への救護義務を定めておりますけれども、現実には負傷者への救護はほとんど行われていないのが実態でございます。  このような現状から、運転者全員が正しい救護知識技術を習得できるようにするために、道交法の改正を提案させていただきたいと私は思います。  まず第一点は、運転免許取得の条件として公的医療機関で救急法を受講させ、その修了証明書を取得要件とさせるとともに、ドライバーに救護法の習得を義務づける。第二点は、運転免許証の更新の際に救護法の実技講習を行い、ドライバーの救護知識技術の向上を図る。三番目に、安全運転管理者、教習所指導員等に対して救護法の講習を行うとともに、教習体制を整える。  以上でございます。いろいろ問題がございますが、時間がないので、この点につきまして簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  185. 関根謙一

    関根政府委員 応急処置についての知識をすべてのドライバーに持たせるようなシステムを考えてはどうかとの御提言でございます。先生のしばしば御指摘になる人命尊重という立場から非常に大事な点であろうかと存じます。  私どもといたしましては、今先生御提言ありましたようなシステムが現在直ちに可能かどうかということも含めまして、実は昨年八月に、運転者に対する救急教育のあり方に関する調査研究委員会という研究会、救急法を専門とされる教授の先 生方を中心とした専門家、実務家の集まりでございますが、ここでそういう実技を各ドライバーに教えるためのシステムとしてどういうものが必要であり、かつ現実的であるかということについての研究をお願いしております。その答えがことしの夏ごろ得られると聞いておりまして、その結果も参考としながら、大きな流れとしては先生指摘のような流れなのではないかということも十分に念頭に置きつつ、さらに検討を進めさせていただきたいと存じます。
  186. 草野威

    草野委員 この問題につきましては、警察庁だけでなくて、厚生省、消防庁その他いろいろな省庁との連携また協力もしていただかなければならない面がたくさんあろうかと思います。  時間があれば大臣にこの問題についてお尋ねしたかったわけでございますが、時間が過ぎましたので、きょうはこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  187. 竹内勝彦

    竹内委員長 次に、辻第一君。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  188. 辻第一

    ○辻(第)委員 道路交通事故死者数は、一九八八年に年間一万人を突破いたしまして、その後連続して一万一千人を上回る深刻な事態となっております。政府は八九年十一月に第二次交通戦争突入の非常事態宣言を出しましたが、その後も事故は減らず、ことしに入っても、最近の数字では、四月十二日現在三千三人、三百四人ふえて一一・三%の増ということでございます。深刻な事態であります。  こういう状況の中で、ことしの三月発足いたしました財団法人交通事故総合分析センターを、国家公安委員会の指定する交通事故調査分析センターとして指定することについてお尋ねをいたします。  分析センターは、「道路交通の状況運転者状況その他の交通事故関係する事項について、その原因等に関する科学的な研究に資するための調査」を目的としておりますが、こうした仕事は本来民間団体に任せるべき事柄ではなく、国が責任を持って行うべき仕事だ、こういう意見もあります。私もそう思うのです。また、国民のプライバシーに関するデータが民間団体に提供されることにつきましても問題があろうかと思います。また、分析センターの運営資金面について問題があると思うのです。自動車工業会から出資金五十億円ということでございます。これでは、分析センターの活動としては、自動車工業会の都合の悪いことは指摘しにくいというようなことが起こるのではないか、こういうことでございます。  そこで、国家公安委員長にお尋ねをいたします。分析センターの活動について、本来なら国が責任を持って行うべき仕事ではないかと考えるのですが、見解を伺いたいと思います。  さらに、分析センター国民のプライバシーを守るためにどのような措置をとられるのか、お答えをいただきたいと思います。  それから、自動車工業会から百億の出資金のうち半額の五十億出資を受けるというふうに聞いているのですが、これでは分析センター自動車工業会に対して自由に物が言えるのかどうか、分析センターの公正が保たれるのかどうか懸念を持つわけでありますが、どのように対応されるのか、お尋ねをいたします。
  189. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私から一番と三番についてお答えいたしまして、二番目は交通局長から答えるのがいいと思います。  一番目の国の責任でということでございますが、それは国の責任でという考え方も私は否定するものではございませんけれども交通事故が起こりますのは、非常に多種類の原因が複合しておるものでございます。それだけにいろいろな民間の知識も入れる必要があるだろう。民間の人たちも参加しやすいようにするということで、公益法人で設立しようというねらいがあると思います。その公平性を期すということ、辻さんの一番心配しておられるのはそこだろうと思いますので、この運営につきましては鋭意公平性を、そして公共性を維持するように十分な力づけをしていきたいと思っております。  それから、業界からお金をもらっているから業界に遠慮してしまって物を言えないんじゃないかということでございますが、それほどけちな気持ちにはなっておらないのでございまして、要するに業界からも出捐金をお願いしたというのは、やはり一つは、先ほども申しましたように、民間も参加しやすいという体制をとりたいということでございました。主体は、やはり自動車の構造とかその運行そのものに一番大きい原因がございますので、自動車関係に大きい負担をかけたということでございましょう。しかし、これとても自動車業界の自発的な意思というものは尊重してのことでございますので、あえてこちらが強権的にそれを持っていったというものではないということでございます。したがって、そのことは事実ではございますけれども、これによって我々が精神的にあるいは政策的に何ら制約を受けるものではないものということは確約できると思います。
  190. 関根謙一

    関根政府委員 二番目のお尋ねにつきましてお答えを申し上げます。  役所から分析センターにデータが流れることになりますが、それで国民のプライバシーを守るためにどういう措置を講じているかとのお尋ねでございます。実はそのプライバシーを守るという必要性が、この交通事故総合分析センター道路交通法上の調査分析センターとして指定するようにさせていただきたい理由の一つでございます。この法律案をもし通していただきますれば、道路交通法の百八条の十六、百八条の十七、百八条の十八という規定になる部分でございますが、まず百八条の十六というところで、警察庁及び都道府県警察警察署長が持っております交通事故の発生に関する情報その他の必要な情報を、「国家公安委員会規則で定める」という制限の中ではございますが、それを財団法人分析センターに提供することができるという仕組みが置かれております。そして、こういう官庁から提供されたデータを特定情報と名づけまして、その特定情報の管理及び使用につきましては特に厳しい基準を設けて、管理、使用を図ってもらいたいという趣旨で、第百八条の十七で特定情報管理規程というものを設けることとしております。そしてこの職員にはさらに、当然でありますが、守秘義務が課されることになりますが、この特定情報管理規程によらないで特定情報の管理、使用を行った場合には、国家公安委員会は、その役員または職員を解任すべきことを分析センターに対して命ずることができるという仕組みを設けて、この特定情報管理規程が守られるように、担保規定を置くこととしております。  このようにシステムとしてプライバシーを守るための規定が置かれておりますが、そのほかに、そもそもこの財団法人交通事故総合分析センターに対しましては、運輸省建設省警察庁三省庁で民法の規定によります監督を行うこととしておりまして、こちらの方で、その業務の運営上個人のプライバシーを侵害することのないように、この法律の規定とあわせて、十分注意をするように図ってまいりたい、このように考えております。
  191. 辻第一

    ○辻(第)委員 我々の懸念が十分解消されるように、御努力をいただきたいとお願いをします。  次に移りますが、運輸省にお尋ねをいたします。  今、労働者の最も大きい課題の一つは時間短縮であり、週四十時間、週休二日制などの労働条件の改善ではないかと思います。交通・運輸の分野では、長時間過密労働の問題が大きな課題であります。私は、タクシーそれからトラック、観光バスの労働者の長時間過密労働や労働条件の改善、交通安全の問題をこれまで取り上げてきたことがありましたけれども、きょうは一般バスの運転者の問題でお尋ねをいたします。  一般バス事業というのは、その公共性も含めて、一年三百六十五日の仕事でございます。しかも、早朝から深夜にわたり、大変苦労をいただいております。また、地域や乗客にいろいろな要望もあり、その対応も大変だと思っております。そ ういう状況の中で、運転手さんは大型の車両にたくさんのお客さんを乗せて、しかも大体ワンマンカーだと思うのですが、誘導なしにダイヤどおりの運行が求められておるということでございます。もちろん都市では渋滞の問題もあろうと思いますし、あるいは気象の変化、道路状況の問題、いろいろな難しい問題もあろうと思います。そういう点で、肉体的にも精神的にも非常に、肉体も神経も使われる、そういう仕事の内容だと思うわけでございます。しかも最近は人手不足という状況もあって、長時間過密の労働が広がっているのではないか、こういうふうに認識をいたしております。  そういう状況の中で、道交法では第四章「運転者及び使用者の義務」の第六十六条で、過労、病気など、「正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」とし、また運輸規則の二十一条で、過労防止を考慮した勤務時間を定めなければならない、「疾病、疲労、(中略)その他の理由により安全な運転をすることができないおそれがある運転者事業自動車に乗務させてはならない。」「疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、交替するための運転者を配置しておかなければならない。」このように過労防止における事業者の責務を明確に義務づけております。また、労働安全衛生法では第三条で、事業者は労働者の安全と健康を確保する責務を明らかにしております。  しかし、現実はなかなか事業者の責務が遵守されていないのではないか、労働基準法や自動車運転手の労務改善基準の最大拘束時間もなかなか守られていないのではないか、こういうふうに考えております。そういう中で、次に述べますような深刻な事態が起こっているわけであります。言うなら、運転手が長時間過密な労働の中で突然亡くなられる、いわゆる過労死という状況が起こっているということであります。私はこれから三例申し上げますが、一例は、労働条件のことを私も詳しく調べておらないので、ちょっと過労死かどうかということはわからぬのですけれども。  一例は、近鉄バスの八尾の営業所であります。大臣の地元にありますが、ここのAさんという四十九歳の運転手さんは、ことしの一月三日の十四時三分、勤務時間中に亡くなりました。関係者の証言によりますと、Aさんは十二月三十一日の十時に出勤をし、二十二時十分に退出をされている、一月一日は五時に出勤し、二十二時に退出をされている、一月二日は五時に出勤し、十九時に退出をされている、三日は五時半に出勤をし、十三時に容体が悪化をし、そして十四時三分に亡くなっておられる、こういうことであります。  亡くなられる日の前三日間は、案は四十三時間十分の拘束時間となっておるわけでございます。協定の約一・六倍の拘束時間と聞いています。しかも、亡くなられた当日の早朝、Aさんは持病のぜんそく発作があるのだけれども、正月で人手がないので呼吸困難を押して乗務をされた、そして亡くなられる前、八尾駅で下車をされたときにはもう立てない、壁にしがみついて肩で息をされていた、こういうことであります。  なお、Aさんの奥さんは当日十時に会社に電話をされて、夫が早朝ぜんそくの発作を起こしているので交代要員を配置してほしい、このように依頼をされておったわけでありますが、どうも交代の人がなかったようでありまして、奥さんが電話をされた四時間後亡くなっておられるわけであります。こういう事例ですね。  そしてもう一つは、私の地元の奈良交通の運転手さん、四十三歳でありますが、この方はことしの一月二十五日午前六時二十分、営業所の宿直室で亡くなっておられたわけです。この方は繁忙線区を抱えております生駒営業所勤務で、亡くなられる前日の一月二十四日二十三時過ぎまで勤務をして、宿直室で休まれた。翌朝午前五時二十分の勤務時間になっても起きてこられないので、同僚の方が起こしに行かれるともう亡くなっていたということであります。もちろん救命救急センターへ送られたけれども、もう亡くなっておられたということでございます。業務上必要な仮眠中の死亡ということでございます。  この日以前も早朝から夜遅い勤務が続いておって、関係者の証言では、三晩は家に帰っておられないというふうなことでございます。また、協定で残業は七十五時間になっているけれども、実際は百五十時間くらいしておられたのではないか、こういうことでございます。この方の日ごろの健康状態は至って良好で、たまに風邪で休まれる、そういう程度だったということでございます。この二人は本当に長時間過密の労働の中で亡くなられたということだと思うのです。  もう一例は、青森県の下北交通バス、これは三月二十日の朝日新聞に載っていたのですが、三月十六日午前七時五十分ごろ、青森県下北郡大畑町の国道二百七十九号線を約十五人の客を乗せて走行中の路線バスの運転手四十六歳が突然意識不明、下車後間もなく亡くなられた。運転手さんの異常に気づいた乗客がブレーキをかけて事故には至らなかったものの、もし乗客が気づかなかったら、あるいは自動車の扱いがわからなかったらがけから転落をして大事故になっていただろう、こういうことでございます。  この方のことについては、長時間過密労働云々ということは私はちょっとわからぬのですけれども、こういうことが起こっておるわけでございます。まだ中年の若い方がかけがえのない命を失われたわけでございまして、大体勤務時間中に亡くなられておるわけです。もしこれが乗車中であればどうなったのかな、本当に交通安全上もゆゆしい問題だと思うのです。  こういう深刻な問題だけではなしに、過労という状態が交通安全の上では大変な問題だということはもう言うまでもないことだと思うのですね。こういう一般バスの運転手さんの長時間過密労働、それは時期にもよりますし、その地域にもよりますし、私は都市部と農村部とか地方とはちょっといろいろ条件が違うかもわからぬと思うのですが、こういうことが今日の人手不足の中で起こっておるのではないか、そういうふうに思うのです。  運輸省はこの問題をどのようにとらえておられるのか、それからこういうことを何としてもなくしていかなければならない、そのために具体的にどういうふうに対応をされるのか、お尋ねをしたいわけであります。運輸省も第一線の例えば陸運支局なんかに行きますと、本当にこういうところに直接タッチをされている方というのは極めて少人数なんですね。言えば仕事はもう無限にあるのです。私はもう何回もそういう職場に行ってお話をし、なにしておるのですが、そういう難しさもあります。労働基準監督署も人手不足でなかなか難しい問題もあろうかと思いますけれども、やはりこの問題はゆるがせにできない問題でありますので、運輸省としては十二分の対応をとっていただきたいと思うのですが、御答弁をいただきたいと思います。
  192. 堀込徳年

    堀込政府委員 お答えいたします。  過密過疎の中で、多数のお客さんを定時で運ばなければならないという路線バスの運転手にとりましては、大変な労働過重が出ているわけでございます。したがいまして、過労や健康状態に起因する事故を防止するというのは、私ども大変重要なことだと思っておるわけでございます。  近年の健康状態に起因する事故状況を見ますと、報告があったものでございますが、平成元年から見ますと、元年に二人、二年に三名、三年に五名というようなことで、表に出た数字ではそういう報告がございますが、まだ潜在的には多くの数があるんじゃないかと思っております。したがいまして、過労運転あるいは健康状態に起因する事故を防止するためには、やはり適切な勤務時間あるいは乗務時間の設定、それから十分しっかりした点呼の実施、あるいは疾病、疲労のおそれのある運転者に対する乗務の禁止、あるいは交代運転手の適正配置、さらには休息施設の整備等、そういう事項を遵守させるとともに、運転者に対し て定期的に健康診断の確実な実施というものをやることが不可欠であると思っておるわけでございます。これまでも、運転者に対する運行管理の研修でありますとか事業者監査の機会をとらえまして、バス事業者に対する指導監督を行うとともに、また、自動車事故対策センターというのがございまして、こちらの運行管理面の指導ども徹底しているところでございます。  御指摘の三件のうち、初めの近鉄と奈良交通の件につきましては、現在、近畿運輸局で詳細調査中でございます。その対応を見て、またいろいろな手当てをしてまいりたいと思います。  それから、青森に起きました件につきましては、いろいろ調べてみますと、過去四回定期健診を受けているわけですけれども、心電図検査結果においては、左室肥大という診断があったにもかかわらずそういうことであったということでございまして、こういうことについてはさらにまた慎重に対応してまいらなければならないと思っております。
  193. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変恐縮なことを言うのですが、本当に真剣にやってくださいよ。これはいろいろお尋ねをし、要望した。なかなか進まぬですね、一般的にタクシーの人。そういうことで、第一線の方、本当に少ない人数で大変ですけれども、本当に真剣に対応してください。お願いをします。  次に、建設省にお尋ねをいたします。  ことしは国際障害者年の十年目の年なんですが、建設省は、藤井局長は優しい道路づくり、こうずっと唱えておられるのですが、殊に交通弱者への優しい道路づくりということにいろいろ御努力いただいているんですけれども、もっともっと御努力をいただきたい、こういうことでございます。視力障害者や聴力障害者あるいは身体障害者、殊に車いすや松葉づえ利用の障害者にとって、安心で快適な道路づくりを進めていただきたいと思うのですが、私ども地元では奈良国道工事事務所にいろいろ毎年お願いをする、毎年二回くらいお願いするときもあるのかもしれませんね。時には国道工事事務所長さんや維持出張所長さんですか、そういう方も一緒に現場へ行っていただいて、一緒に見ていただいて、またいろいろ教えていただく、またこちらも要望する、そういうことも繰り返して行ってまいりまして、いろいろ御対応をいただいて一定の前進をしているんですが、しかし、全体から見ますとまだまだ大変な状況でございます。  もう端的に言います。道路の勾配の問題です。スロープの問題ですが、これは建設省に聞きますと、斜めの道、斜路は一二%を超えてはならない。運用としては、斜路の勾配は小さいほど望ましい。目安は八%以下、五%以下、こういうふうなことを聞いているんですが、奈良国道の関係の四カ所の地下道のスロープは一二%なんです。車いすの人がこれではどうにもならないので、改善してもらえないかというようなことであります。私は、建設省として、このスロープの改善にもっと尽力をいただきたいなということが一つ。  それから、視力障害者なんかの点字ブロックもおいおい整備をしていただいているんですが、しかし、これも大局的に見ますとまだまだということでございます。特に今、視力障害者などが言われるのは、せっかく点字ブロックをつくっていただいても、その上に物がある、一番多いのは放置自転車のようでありますが、これをもっと何とかならないものか。これはいろんな省庁にまたがって関係があると思うのですが、まず本当に障害者に優しい、安心して歩いていただける道づくりの問題、今具体的には二つの問題を言いましたけれども、そのことも含めて、御見解を賜りたいと思います。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  194. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 今先生から非常にありがたい御指摘をいただきました。今までになくだんだん道路整備もいろいろな形で進んでまいりました。進んでまいりますと、よりその利用の形が変わってまいります。そういうことで、特に障害者の方が安心してといいますか出たくなるというか、何か道路が悪いといろんな点でおっくうになってしまう、こういうことがあろうかと思います。また、高齢者なども安心して何か外に出たくなる、こういうようなことが非常に重要だと思っておりまして、その一つの障害はやはり歩道橋、地下歩道、こういったところに端的にあらわれているかと思います。  確かに、先生指摘のように、補助者によって押し上げてもらうことによって車いすが登坂できる勾配は一二%というのが一応の、過去の実験とかいろいろな方々のお知恵でそうなっております。私ども、これは一二%だから一二%にしなきゃならないという気持ちは全然ございません。特に車いすが自力で上がれる勾配というのは一応八%、これはアメリカでの障害者法に基づくいろんな実験でも大体八%、こういうことでございます。  そこで私どもは、これからつくる場合にはそういうことを十分考えてなるべく緩やかにしたい。ただ、残念ながら、緩やかにするとなれば、歩道橋にしても地下歩道にしてもかなりの土地を必要としますので、ここら辺の御理解を十分得られるだけの時間はかけさせていただきたいと思っております。  でき上がってしまったものをどうするかというのが実は一番頭の痛い問題でございまして、もし可能ならば、要するにでき上がったものを直す方を先にするか、それとも今まだ足らないから足らない方を先にするかということが実は頭の痛い問題でございますが、これは個別の問題として対応させていただきたいと思っております。そういう意味で、奈良県内に幾つかの箇所があることも十分承知しております。これらには具体的に対応さしていただこうと思っております。  点字ブロックにつきましても、車いすが通るときに電柱も邪魔になる、ましていわんやいろんな物、路上に置く物が邪魔になるということで、私どもの職員が常日ごろパトロールをいたしまして、店舗の方々、その他の方々にこれはどかしてくださいというようなこともお願いしております。また、そういうことをこういう交通安全週間であるとかあるいはいろいろな機会を通じて周知徹底しておりますけれども、こういう地元の方々とのいろんな集いがございますので、今後ともあらゆる集いを通じてこういうことにみんなに協力していただく。言ってみれば、ちょっと偉そうなことを言って恐縮でございますが、国民参画型の道路管理、道路使用ができるように、私どももこれからも指導してみたいと思っております。たまたまきょうは地建局長が全部集まっておりますので、早速きょう私からも先生からの御指摘を伝えたいと思います。
  195. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が参りました。ありがとうございました。
  196. 竹内勝彦

    竹内委員長 次に、和田一仁君。
  197. 和田一仁

    ○和田(一)委員 きょうは道交法の改正でございますけれども、私どもこの交通安全対策特別委員会の審議を通していろいろ申し上げてきたことは、幾分がは今度の道交法の中に改正としてあらわれているんではないか、こういうふうにも思います。私どもすべてが専門家とは決して申せませんが、私が申し上げたことも今度の中に生かされているな、こんな感じがいたしまして、委員会の議論が積み上がることが少しずつでも交通安全のために前向きに成果を上げている、こういうふうに感じて、きょうの一日の審議も、ぜひこれからの面に向かって実りあるものにしていただきたい、こんなふうに思います。  道交法の改正点そのものについては、朝からの御質問でほとんども質疑が尽くされているような気がいたしまして、重複は避けていきたいと思うのですが、一番初めに、やはり交通事故死の問題です。昨年も一万人は超しましたが、昨年はどうやら対前年比よりはマイナスだった、こういうことで、幾らかこのまま下降線に向かっていけるかなという思いが年末にはありました。それは一つには、初心運転者期間制度というものもようやく成果を上げてきたかな、あるいは車庫法等に よって違法駐車等も少なくなってきた成果かな、こんなふうに、このまま少しずつでも減っていくかなという期待があったのですが、先ほど来のお話によりますと、きょう現在では逆にふえている。どうもこのままいけば今までの最高の年に近づくようなふえ方だ、異常だ、こういうふうな数字ですが、原因は端的に言ってどういうことか、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  198. 関根謙一

    関根政府委員 御指摘でありますように、昨日までことしの交通事故死者数は昨年に比べまして一一・四%ほどふえております。原因としてまず考えられますのは、十代の若いドライバー人たちが友達と一緒にドライブに行きまして、無謀運転の結果事故に遭うというパターンがことしは多いということでございます。複数事故が比較的多いということも一つ原因がと存じます。
  199. 和田一仁

    ○和田(一)委員 少しでも事故を減らそうということで、この道交法では新しくそういう事故防止のために役立つようにということで分析センターを指定しよう、こういうことですが、これについては先ほど来いろいろ御質問がございまして、これは官と民の一体となった我が国独特のいいシステムだ、こういうお話でした。ぜひこれは自負するようなユニークなシステムとして活用していただきたい、こう思うのですが、今拝見しますと、これがどんなふうに成果を上げるのかちょっと二、三お聞きしたいと思うのですけれども、この構成の人員の問題です。これはいろいろな仕事がある中で、調査が大変な仕事だと思うのですね。独自に事故原因調査をなさるということですが、調査についてどのぐらいのスタッフを用意していって、どれくらいの人数でやるのか、そういう点については御承知かと思うのですが、まずお知らせいただきたい。
  200. 関根謙一

    関根政府委員 最終的な姿というものを描いてみますと、調査チームが四つほど、一チーム四、五人ということで、二十人ぐらいの体制で、千件以上の事故現場に出向きまして、調査を行うということを考えております。これは諸外国、例えば西ドイツの場合でも、大体ハノーバー医科大学の周辺で、行くことができる地域内での交通事故に限って出向いて調査をするということでございまして、数が多いから正確かというと、必ずしもそうとも言えないものでございます。むしろ科学的根拠、学問的水準の高い調査と分析ができることを期待しているというものでございます。
  201. 和田一仁

    ○和田(一)委員 一チーム四人から五人というお話で、四チームですか。そのチームの構成ですけれども、科学的に調査できるということになりますと相当の専門家が、この四人か五人というのは専門家で構成されるわけですね。こういう方が現場に飛んでいって、今千件とおっしゃったけれども、四チームで千件というと、一チーム二百五十件、毎日一件ずつぐらい処理しないとこの数にはならないと思うのですが、そういう計算でこれはおやりになるんでしょうね。調査されるのは、これは要するに現場へ飛んでいって、現場でどういう事態であるかを把握して、そして関係者の主張などを聞いたり、また物理的ないろいろなデータを集めるということなんで、同時にそういう場には警察官も行っていると思うんですね。警察警察で独自に事故調査をなさっているが、そういうのと一緒にやるんですか。それともそういう独自の調査能力を持っていて、自前のデータをやはり自分たち自分たちでとる、千件もとれば相当のデータになるということで、それをおやりになる方針なのかどうか、その辺はどうでしょう。
  202. 関根謙一

    関根政府委員 まず、事故が発生したということは警察が先に知るわけでございますので、当然、警察官が現場にいるということを想定しております。その場合、いろいろなケースが考えられますが、場合によっては警察官の捜査活動あるいは救助活動等とあわせつつ、必要な調査資料の収集に当たるということもあろうかと存じます。また、被害者の方が入院をされているというような場合に面接に行かれるというようなこともあろうかと存じますが、そのような場合には警察官立ち会いということはなかろうかと存じます。  いろいろなケースが考えられますが、いずれにしましても、諸外国の同種のケースも参考としながら、事故調査分析の体制をつくった趣旨に一番合うように活動することを期待しておりますし、そのために警察機関がお手伝いをするということも、可能な限りそういう方向で指導をするようにしてまいりたいと考えております。
  203. 和田一仁

    ○和田(一)委員 これだけの基本財産を集めて、そして新しく設立してやる、それを国として指定して、その成果を何とか生かしていこうというのですから、それには積極的な協力もあると思うのですが、これは今三省庁が持っているデータ以外に、やはりこういうナショナルセンターみたいな仕事をする分析センターが欲しがるという場合には、そういうところにも協力をさせる、そういう行政指導はなさるのでしょうね。
  204. 関根謙一

    関根政府委員 全国に一を限って情報を集めるような仕組みを考えておりますので、我が国の機関、団体のみならず、国際的な交流も図りつつ、可能な限り交通事故原因分析に資するような、業務に役立つ材料を集めるようにしたい、このように考えております。
  205. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、このセンターに本当に効果を上げてもらうためには、集めたデータを分析して集積したものがどうフィードバックされるか、これが一番大事だと思うのです。原因もよくわかった、分析したらこういうことだったというのがわかっただけでは設立の意味がない。やはりその結果を行政がどうフィードバックしていくかということだと思うのです。  そういう意味では、各三省庁はそれぞれそのつもりでおられると思うのですが、交通安全の総合的な調整機関として総務庁があって、安全室まであるのですが、これにかかわっている度合いからいうと、どうもほかから見て少ない。どうしてちょっと距離を置いているのでしょうか。
  206. 賀来敏

    賀来政府委員 お答えいたします。  御案内のとおり、この交通事故総合分析センターにつきまして、これが発足し、着々と今後成果が上がるものと期待しているところでございます。  これにつきまして、総務庁と御案内警察庁、運輸省建設省分析センターを所管されている三つの官庁との距離の問題についてお尋ねでありますが、この分析センター財団法人として所管される官庁は、人と道と車について今まで持っている基本的なデータをまず第一歩として連結し、そしてこの三者の分析を総合的にやる形で発足する、そういう趣旨でこの分析センターが発足されたというように聞いており、またそう理解しております。これはかねてから政府としていわゆる総合的な観点からそういうものを創設するのが望ましいという趣旨に沿っておりますし、今後この分析センターがさらに業務を広げられるような場合もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、この三省庁のみならず、医療だとか救急だとか教育だとか、いろいろのデータをこの分析センターの果実として、うまくいい対策につながるようなものができましたら当然公表していただけると聞いておりますし、またそういう種類の委託につきましても、体制が整いましたら十分に委託を受けるというふうに聞いております。したがいまして、総務庁の機能といたしまして、関係省庁の交通施策につながるようなものをこの分析センターが引き受けていただけるものであり、また、この三省庁が総合調整官庁である総務庁の要望等を聞いていただきましたら、十分に機能するものと思っております。  このほか、この種の分析センターにつきましては、私どもが予想しておりますのは、各都道府県からいろいろ分析の要望も来ると思いますし、また、幾つかの省庁にまたがるような民間団体からの要望、委託等もございます。そういう件につきまして、できるだけ競合することなくしかも効果の上がるような分析をお願いできるように事前に官庁間の相互調整をし、この三省庁の管理、指導が徹底するように十分な調整をしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  207. 和田一仁

    ○和田(一)委員 委員会でこういうものは必要ではないかという議論の結果こういうものが出てきましたので、私たちが願っているのは、こういうものを中心にして、総合的な調整をしながら実を上げていただきたいということでありますので、その辺をよく御理解して御努力をいただきたい、こう思います。  細かいことをもうちょっと伺いたいのですが、この委員会でいろいろ申し上げたことが今度の改正案の中に生かされているので、この前も私はナンバーレスのことについて申し上げましたら、今度の改正の中でそれが取り上げられております。ナンバープレートを表示していない自動車の運転については免許の処分事由にするというふうに私は理解しておりますが、具体的にはこの処分はどういうふうになりますか。
  208. 関根謙一

    関根政府委員 ナンバープレートを外すという行為で道路運送車両法の規定に違反するような場合、実は違反しないものも現在あるのでございますが、その場合には道路運送車両法の規定を道路交通法の規定とみなしまして、道路交通法違反として点数を付する、行政処分の対象とするという考えでございます。  なお、現在のところまだ道路運送車両法上罰則適用になる部分となっていない部分につきましては、運輸省の方でそちらの方向で御努力いただけるように承っております。
  209. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうではなくて、この対象になった場合に、今おっしゃったように道交法の中で取り締まっていくというふうに私は理解したのですが、そうすると具体的にこれは点数でやるわけですが、何点ぐらいの対象になるのでしょうか。
  210. 関根謙一

    関根政府委員 まず、道路運送車両法違反ということで、刑罰がございます。したがいまして、取り締まる場合にはそういう違反行為ということで取り締まりますが、あわせてその運転者に対しまして行政処分点数を付するという考えでございます。  その点数をどの程度にするかという点でございますが、これは同種の違反との比較考量等もございますので、慎重に、かつ行政目的を達成することができるような適正な点数を考えたいと思っております。
  211. 和田一仁

    ○和田(一)委員 まだ決まってないというのでしょうか、それともちょっと公表しにくいという、どっちなのでしょうか。やはり今、法案がそういうふうに変わるんだよ、今度の道交法でそうなるよというのがわからないと、私はこの前も申し上げたのですが、やはり何もないから流行みたいに外しているのですよ。外すことによって特定されたくない、特定されなければ少々無謀な運転をしてもいい、無謀な運転が積み重なっていけば事故につながる。そういうことからいっても、いや、そうじゃないんだということがきちっと外したがっている人たちにわからないといけない。だから、言わない方がいいのか、そんな低い点ならあれの方がいいという配慮があるのかどうかわかりませんけれども、それはきょうはおっしゃってはいただけないですか。
  212. 関根謙一

    関根政府委員 点数は政令で定めることになっておりますが、まだその政令案についての構想がございませんし、関係省庁の御理解をいただくまでの案すら持っていない段階でございます。しかしながら、同種の違反についての基準というものはございますので、そこら辺を参考としつつ、しかも行政効果のある点数ということを念頭に置いて作成してまいりたいと考えております。
  213. 和田一仁

    ○和田(一)委員 行政効果のあることを考えたいということで、わかりました。  私、この前も運輸省の方にそういう対応をきちっとすべきだということも申し上げておきましたが、ついでに申し上げたいのですが、マフラーを外している車とかナンバーレスの車とかと同じように、車両法では違反になるのではないかと思うような、俗に言うシャコタン。車高が非常に低くしてある、ばねを抜いているのですね。ちょっとした凹凸のところではおしりから火を放って、シャシャっとデフをコンクリートにすって火花を散らしながら走るような車。大体こういう車は、ハンドルを見ていても、非常に遊びの少ないハンドルになっている。ちょっとハンドルを切ればビャーっと一、二メートル横に飛び出すような極めてシャープなハンドルをつけている。そういラシャコタンの車とか改造した車に対して、交通安全運動の期間中に何かやっていますか。
  214. 堀込徳年

    堀込政府委員 お答えいたします。  シャコタンとかいろいろな改造は、最近、暴走族を中心にして多いわけでございまして、私ども春秋の交通安全運動とか、あるいは一昨年から不正改造防止の運動を展開していまして、そういう機会に街頭に出まして、そういう改造がないように、さらにはまた、整備工場等においてそういうことが行われたということがわかった場合には、厳重に処分するというようなことで対応しておるところでございます。
  215. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今度の改正の中で原動機付自転車技能講習が義務づけられたわけですけれども、私は当然だと思うのです。原付自転車なんという名前がおかしいぐらいで、性能からいえばもうバイクとほとんど変わらないくらいの性能を持っている。そういうものの免許証が今まで非常に安易に取れるということから、乗り回して事故が多いという傾向もあると思うのですね。今度の改正でそこまでするならば、私はこれを実技の検定にすべきではないかという思いがあるのですが、それはいかがでしょうか。
  216. 関根謙一

    関根政府委員 検定と絡ませた制度と申しますと技能試験ということになるのではないかと存じますが、まず試験と講習の違いという点、試験ですとまだちょっと厳しいという感じでございまして、現在、講習ということで原動機付自転車の操作になれていただく、なれていただいた上で路上に出ていただくという段階を構想しているところでございます。徐々にということを考えております。
  217. 和田一仁

    ○和田(一)委員 なれも非常に大事で、経験が非常に大事だと思うのですね。私は教習所の法的な位置づけも少し前へ進んだかなと思っているのです。ここへ立つたびにいろいろ申し上げておりますけれども、要するに交通のルールというのは法規だけではないと思うのですね。法規は一つのルールですが、同時に物理的なルールもあると思う。そういう物理的なルールを無視すれば、幾ら法規を守っていても、これは事故につながる。  また同時に、もう一つ運転者の生理的なルールがあると思うのですね。そういう意味からいうと、私は高齢化社会というものを考えて、今高齢者の事故が非常にふえているというけれども、今は歩行者かもしれない、被害者かもしれない。しかし、高齢者のドライバーがふえも時代がもう来ている。そういう人たちは、リタイアした後、どうしても自分で車を運転しなければならない。局長さんなんかも、終われば役所の車はつかない、自分で運転しなければいけない。そうなったときに、老後を交通事故でおかしなことにしては、せっかくの楽しかるべき老後が悲惨なものになってしまう。  この高齢者ドライバー対策をそろそろ考えるときだと思うのですね。外国ではもうそういういろいろな手当てをしております。ぜひそういう意味で、ある年齢、統計で見ると大体七十歳ぐらいから急激に事故が多くなっているというふうに私は承知しておりますが、そういう年齢を科学的に調査をしていただいて、その年齢になったらもう一回講習、試験をなさる。カリフォルニアあたりではもうそうしている制度があって、そのために高齢者の事故が減っているというふうにも聞いておりますので、そういうことがこれからは必要じゃないかと思うのですが、その点はどうか。  それから、これは普通の人の高齢者のドライバーですが、職業ドライバー、公共の運送機関に従事する高齢ドライバーに対して何かチェックしているかどうか、これをお聞きしたい。普通の交通機関であれば会社側が管理をしておりますね。 バスにしても何にしても、そういうところはきちっと会社が管理している。ハイヤーにしてもそうだと思うのですが、個人タクシーについてはいかがでしょう。
  218. 関根謙一

    関根政府委員 お尋ねは二点かと存じます。一つは、一般的な高齢運転者に対して何らかの施策を講じているかとのお尋ねでございます。先生指摘のように諸外国ではこの点大変熱心でございまして、特にここ二、三年ぐらいの間に、従来免許の更新制度を持っていなかったイギリスでありますとかドイツでありますとか、こういった国々で、高齢運転者に限り非常に短い更新期間を置いた免許制度にシステムを変えるということを行っているようでございます。そういったことも参考としつつ、今後我が国の免許行政、免許が何しろ事故防止の基本、一番の原点でございますので、その制度をもう少し検討してみたいと考えます。  それから、職業ドライバーについてでございます。これも諸外国の場合には、職業運転者については特に厳しい免許制度に現在変更しつつあるというように聞いております。我が国ではまだそこまでいっておりませんが、それら諸外国の動向等も参考としながら、免許のあり方というものについてもう一度検討してみたいと考えております。
  219. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この委員会で私いろいろなことを申し上げて、そしてその中で、ああおもしろいアイデアだなというようなことは積極的に取り上げていただいているのですが、私はこの前も教習所教習カリキュラムについて徹底的に見直しをしてほしいということを申し上げたら、なるほどだ、検討しますという御答弁があったのですが、検討はどうでしょうか。
  220. 関根謙一

    関根政府委員 先生からしばしば御指摘をいただいておりました現在の教習所のカリキュラムは、現在の交通実態、自動卓の性能その他に適合していないのではないかとの点を十分参考とさせていただきまして、今回、教習カリキュラムの全面見直しを行うべく検討しているところでございます。これは、今回御提案を申し上げております法律案運転者教育一つの柱としておりますが、その一環として全体的な見直しを図りたいということでございます。まだ内容までは、細かいところは公表する段階にはございません。
  221. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間になりましたのでこれで終わりますが、カリキュラムの見直し教習所のあり方等についても、また機会があったら、意見がございますので、ぜひひとつ申し上げたいと思います。  きょうはありがとうございました。
  222. 竹内勝彦

    竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  223. 竹内勝彦

    竹内委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  道路交通法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  224. 竹内勝彦

    竹内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  225. 竹内勝彦

    竹内委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表して久野統一郎君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。遠藤登君。
  226. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 それでは、恐縮でありますが、ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、最近における交通事故の実情にかんがみ、特に次の事項につき万全の措置を講ずべきである。  一 関係各省庁は、分析センターが円滑かつ適正な業務の運営が図られるように配慮すること。    また、関係各省庁においては、有機的な連携のもとに、分析センターによる事故分析成果を活用すること。  二 国家公安委員会は、分析センターに対し、その業務の運営に際して個人のプライバシーの保護には万全の配慮をするよう指導すること。  三 国家公安委員会は、分析センターの運営の指導に当たっては、本法改正における当委員会の審議内容を十分配慮するとともに、適宜その活動内容等について報告すること。  四 国家公安委員会は、自動車教習所運転者教育に果たす社会的役割の重要性にかんがみ、教習水準の維持向上及び職員の資質の向上について適切な指導監督を行うこと。  五 最近の都市部における駐車場不足が依然として深刻な状況にあることにかんがみ、良好な都市交通環境整備を図るため、駐車場の整備を一層促進すること。   右決議する。  本附帯決議案の趣旨につきましては、法律案審査の過程におきまして種々議論され、委員各位には十分御承知と思いますので、その詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  227. 竹内勝彦

    竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  228. 竹内勝彦

    竹内委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。塩川国家公安委員会委員長
  229. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして大変熱心な御討議をいただき、厚くお礼を申し上げます。  政府といたしましては、審議過程における御意見並びにただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、交通安全対策推進に万全の措置を講じてまいる所存でございます。  今後とも御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  230. 竹内勝彦

    竹内委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 竹内勝彦

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      —————・—————
  232. 竹内勝彦

    竹内委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 竹内勝彦

    竹内委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事近江巳記夫君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十七分散会