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1992-03-05 第123回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月五日一木曜日)     午後一時二十分開議 出席委員   委員長 竹内 勝彦君    理事 片岡 武司君 理事 久野統一郎君    理事 前田  正君 理事 柳沢 伯夫君    理事 上野 建一君 理事 近江巳記夫君       井出 正一君    岩村卯一郎君       岡島 正之君    浜野  剛君       原田 義昭君    古屋 圭司君       増田 敏男君    北川 昌典君       北沢 清功君    小松 定男君       永井 孝信君    山下八洲夫君       辻  第一君    和田 一仁君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         建 設 大 臣 山崎  拓君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   塩川正十郎君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 岩崎 純三君  出席政府委員         警察庁交通局長 関根 謙一君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       賀来  敏君         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       堀込 徳年君         運輸省航空局長 松尾 道彦君         運輸省航空局技         術部長     松本 健治君         海上保安庁次長 小和田 統君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         警察庁長官官房         審議官     太田 利邦君         警察庁刑事局捜         査第一課長   深山 健男君         文部省高等教育         局医学教育課長 喜多 祥旁君         自治省税務局府         県税課長    林  省吾君         特別委員会第一         調査室長    中村  信君     ————————————— 三月二日  トラック運輸安全確立等に関する請願(金子  満広君紹介)(第三五二号)  同(辻第一君紹介)(第三七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      —————・—————
  2. 竹内勝彦

    竹内委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川昌典君。
  3. 北川昌典

    北川(昌)委員 交通事故による死者が三年連続一万一千人を突破という憂慮すべき事態が続いておりますけれども、こうした事態を打開するために、死者をなくするためにそれぞれの担当大臣が積極的な施策を展開していただいておることに対しまして心から敬意を表すると同時に、さらに今後ともこの減少に向けての御尽力をお願い申し上げながら、質問をいたしたいと思います。  まず第一点といたしまして、信楽高原鉄道事故に関連しての質問でございます。  四十二名のとうとい命を奪い、さらには六百十四名の負傷者を出すという、鉄道事故でもまれなる大惨事が昨年の五月十四日に起きました。あれから十カ月が今経過しようといたしております。そういう中で、遺族を初め被害者皆さん方は一日も早い事故原因調査結果を待ち望んでおられます。また、これは事故に遭った関係者だけでなくて、第三セクター、いわゆる転換鉄道のそれぞれの関係者、さらにはまた国民もこの調査の結果に注目をいたしているところでございます。  既にといいますか、事故後直ちに運輸省調査検討会を結成されました。また、警察庁捜査本部を設置されまして、それぞれの立場原因調査捜査に着手されているところでございますけれども、いまだにその結果の報告がなされておりません。十カ月を経ようとしております今日、この事故原因調査状況はどうなっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  4. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答えを申し上げます。  まず、昨年の五月でございますか大変残念で悲しい事故が起こり、それ以降私どもといたしましては事故原因分析調査を徹底的にやっている最中でございますが、具体的に申し上げますと、五月の事故直後に信楽高原鉄道JR西日本両社に対しまして一種の保安監査をやらしていただきました。その後も引き続きまして関係書類あるいは記録類、それから関係者供述等をとりまして今分析をやっておるところでございます。  やや具体的に申し上げますと、信楽高原鉄道の場合におきましては、運転関係従事員教育訓練がきちっと行われていたかどうか、指揮命令系統がはっきりしていたのかとか、あるいは当日の要員配置とか、その人たちがどういう行動をとったかというようなこと、さらに事故列車出発までに、特に信号がうまく出なかったということでございますので、代用閉塞というかわり保安方式をとらなければいけないわけですが、それをきちんとやったかどうかというような点につきまして、これは人的な要素が非常に多うございますが、事情聴取などを含めまして、今徹底的な究明をしているところでございます。  現段階における非常に概略的なことを申し上げますと、印象といたしましては、その信号故障していたときにかわり運転方式をとるべきその取り扱いの点でどうも不適切な点があったというふうに推測をしているところでございます、なお、この事故で一番重要な役割を果たしたと思われる方が亡くなっていらっしゃるということもありまして、若干調査に難しい点もあるところでございます。  それから。もう一つのポイントといたしましては、信号機がどうも正常に動作していなかったのではないだろうかという疑いもございますので、省内に調査検討会をつくりまして、専門家を交えまして信号保安システム調査をやっているところでございます。  この信号保安設備関係につきましては、現地調査を既に三回以上やっております。それから、本省ベース検討会を四回実施したところでございますが、ここの調査におきましては、信楽高原鉄道信号保安システム設計上どのような機能を果たすことになっているのか、それから信号関係継電連動装置あるいは軌道回路などの関連機器がございますが、この施工方法に誤りがなかったかどうか、あるいは実際にやってみた場合にどのように具体的に作動するのか、こういうような点につきまして相当量の情報といいますか資料の収集をいたしましたので、今この整理分析をやっているところでございます。  今後さらに補足的な調査を進めまして、一日も早く事故原因を明らかにしたいと思っております。
  5. 深山健男

    深山説明員 お答えいたします。  本件事故につきましては、これまでの捜査によりまして、事故当時、信楽高原鉄道列車信楽駅の出発信号が赤から青にならないために手信号による代用運行出発したこと、一方、JR列車は、このような場合には本来小野谷信号場出発信号が赤を現示し、停止すべきところ、青であったためそのまま進行したこと等が判明しているところであります。このことから、閉塞装置信号装置との連動システム及び信号システム設計施工等作動状況あるいは優先でこなど関連する操作状況信号故障の際に用いられる代用運行方法などにどのような人為的なミスがあったかを明らかにするため所要の捜査を行ってきたところでありますが、現在部外の専門家鑑定を依頼しておりまして、その結果を待っている段階であります。  なお、鑑定書の提出には若干の時間を要する旨報告を受けておりますが、いずれにいたしましても、警察といたしましては、今回の事故重大性にかんがみ、この種事故再発防止のため、その事故原因を徹底的に究明することが肝要であると考えておりまして、できるだけ早くその結論を出すべく鋭意捜査を進めているところであります。
  6. 北川昌典

    北川(昌)委員 今信号機お話が出ましたけれども、やはり最初から信楽駅発の列車が赤信号のために出発できなかった、十一分おくれた、これが事故につながる大きな要因だと言われておりますけれども、今そのことについて調査を進められておる、こういうことでございます。  そこで一つお尋ねいたしますが、これは新聞報道でございますから確認をいたしたいと思いますけれども、この新しい信号システムを開始する直前に何か信号回路の一部変更をした、しかもそれが無届けであったということのようでございますけれども、これが事実かどうか。  さらに、無届けであったということは、運用する前に工事検査がされてなかった、こういったことも考えられるのではないかと思うのですけれども、この回路変更信号システムのトラブルに関係はしていないのか、そこらあたりはどのように調査されているのでございましょうか。
  7. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生今おっしゃった信号回路変更と申しますのは、あるいは報道でありましたいわゆる方向優先でこの話かと存じますけれども、これは一般的に単線区間でおくれなどが出た場合に整理するためにあちこちで使われているシステムでございまして、この信楽高原鉄道でもその方向優先でこは使われていたわけでございます。これがいつの時点でどういう形で取り入れられているか、それからそれがこの信号回路故障といいましょうかふぐあいに何か一種の悪さをしたといいましょうか影響をしたのではないかという報道が確かになされまして、私どももそれを含めまして、これは実際に具体的に検査の対象であったか、いつの時点届けをすべきである、それからそれに対して両社責任関係といいましょうかがどうであったか、この優先でこの回路が具体的にどういう機能を果たすようになっていたかということも含めまして、今まさに調査中でございますので、もう少し時間をいただきたいと思います。
  8. 北川昌典

    北川(昌)委員 信号回路の中で、小野谷信号場シグナルが、最初は青、黄、赤、こういう三種類になっていたのが、途中といいますか開始時点では黄と赤に変えられたということもお聞きしておりますけれども、これはこの工事とは全く関係ないのかどうか。
  9. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生おっしゃいましたのは、途中のすれ違う駅の小野谷信号場信楽から貴生川駅に行く方の信号が、普通は信号は赤、黄色、青という現示を黄色と赤だけの現示にした、こういうことでございます。すれ違う場合は、これは小野谷信号場では必ず信楽から来た列車はとまって、逆に貴生川から来る列車優先的に通過していく、そういうシステムになるものですから、貴生川の方に行く列車が要するに青で突っ走ってもらっては困るということで、場内に入るときには減速してもらう、そういう意味黄色、または向こうから列車が来たときは赤ということで、それはある意味安全サイドに働くような機能になっているわけでございます。そのこと自体安全サイドで問題はないんですが、そこの機能がまた先ほど言いました回線の配線とか、この上で何か問題がなかったかということも一応可能性としてあり得るわけでございますので、その辺も含めまして今勉強して、細かくやっているところでございます。
  10. 北川昌典

    北川(昌)委員 方向優先でこの問題でございますけれども、これは亀山CTCセンターにあるということでございますが、亀山CTCでてこを引いた関係で、それが信楽駅まで影響が及んだ、こういうようなことも考えられるという意見の方もいらっしゃるわけでございますけれども、そこあたりは、調査の結果としてはどうなんでしょうか。
  11. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生今おっしゃった優先でこといいますのは、通常は一定の区間に限って作用するようになっておりますので、本件の場合は、通常小野谷信号場信号優先側に働かせればそれで済むわけでございますので、通常の場合は信楽のさらに先の駅まで影響するということはないと聞いております。しかし、可能性はゼロかと言われるとそこは問題でございますので、ちょうどそういう報道もございましたので、それも含めまして、今まさにいろいろなケースを想定して勉強しているところでございます。
  12. 北川昌典

    北川(昌)委員 これは滋賀県警捜査実験をした結果、亀山CTC優先でこを引きますと信楽駅のシグナルが赤に固定した、こういうふうな事実が判明したというふうにもお聞きしておりますけれども、そこあたり警察としてはどのように解明されておるか。
  13. 深山健男

    深山説明員 先生指摘のように、亀山CTC、これの優先でこがいろいろな意味事故につながったのではないかという面での捜査も現在行っているところでありますけれども、現時点におきましては、まだ事情聴取、さらには操作が具体的にどうなされた場合にどういう作用をなすのかといったことの鑑定を行っている段階でありまして、結論を得るには至っていないということであります。いずれにいたしましても、この点も含めて総合的に判断してまいりたいと考えております。
  14. 北川昌典

    北川(昌)委員 検査の結果、そういうことがあり得るという判断はされておるわけですね。例えば上り方面列車が二列車続けて出た場合に、これが信楽駅の信号影響するという結果が出たというふうに聞いておりますけれども、そういった事実はあったのかどうか、捜査実験段階で、検証の段階で。
  15. 深山健男

    深山説明員 御指摘の点につきまして新聞報道があることは承知いたしておるところでありますけれども、そのような結果になるかどうかにつきましては、御承知のとおり現在まだ専門家の方で鑑定いたしておりますので、その結論を私どもとしてはまだ入手してないという段階でありますので、そのように断定するのはどうかというふうに考えるわけであります。  いずれにいたしましても、そのようなことの可能性というものはあるわけでありますので、含めて検討してまいりたいと考えております。
  16. 北川昌典

    北川(昌)委員 それぞれ鋭意調査を進められているようでございますけれども、先ほども申しましたけれども遺族皆さん方はやはり一日も早い調査の結果を待っておられるのです。これは何も補償要求とかそういう意味でなくて、責任がどこにあるとかそういう意味でなくて、原因は何だったのか、このことに非常に関心を持っておられるわけでございます。そのことによって亡くなった皆さん方の霊が浮かばれる、こういう気持ちもおありのようでございます。そういう意味では、遺族皆さん方遺族会が結成されておりますが、これまでJRそれから信楽高原鉄道との話し合いが三回ほど持たれているようでございますが、その大半が事故原因について会社側へただすということのようでございました。それだけこの原因についての事実関係を知りたいというお気持ちを十分お酌みとりいただきまして、できるだけ早く、一日も早くこの調査そして捜査結果が出ることをお願い申し上げたいと思うのです。  できるだけ早く、一日も早くというお話はございましたが、運輸省それから警察庁の方から、めどとしては大体いつごろになる予定でございましょうか。
  17. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  二つ問題がありまして、一つは、先ほど言いました人的要素につきましては、私どもは任意でございますけれども事情聴取は一応残っていらっしゃる方についてはほぼ終わっております。あとはそれを整理しまして、補足的なあれをやってまとめようと思っております。  それから、信号システムの方はかなり専門的な知識、経験等が必要でございますので、私どもとしては何とか一周忌といいましょうか、そこまでにまとめだけはやりたい。原因をそれ以降どういう形でまとめて公表するかは別としまして、機械的なところのものはそれぐらいをめどにまとめたいと思って今努力しているところでございます。正式にいつ公表できるかというのは、ちょっと今のところ、何月とかいつまでにということは具体的には申し上げかねますので、よろしく御理解ください。
  18. 深山健男

    深山説明員 先ほど来申し上げておりますように、現在、鑑定最終段階というふうに理解いたしておりますので、いつという日にちはちょっと特定しかねますが、近く結果が出るものと期待いたしておるところであります。
  19. 北川昌典

    北川(昌)委員 これは、ほかにも三十五の第三セクター転換鉄道がございますけれども、今後のこういった安全対策一つの大きな教訓とするという意味もございます。そういう意味では、今お話がございましたように、一周忌前までにはどうぞぜひ結論を出していただくように御努力方お願い申し上げたいと思います。  次に、遺族被災者に対する補償進展状況でございますけれども、四十二名の死者負傷者が六百十四名、この補償交渉は、命や体は金では買えませんけれども、やはり償いの一つの手段でもございます。そういった面で、補償交渉はどのようになっておるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  20. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  大変悲しいことでございますが、お亡くなりになった方あるいはけがをなさった方が、先生今御指摘のように四十二名の方が亡くなり、延べで六百十四名の方が負傷されておるわけでございます。  私ども運輸省といたしましては、事故の当初から信楽高原鉄道、それから関係するJR西日本に対しまして、とにかく誠心誠意、一日も早く交渉が成立するよう全力を尽くしなさいという指示をいたしまして、両者が相談しまして、昨年六月からご被災者相談室というところに七十名ほどの人間を専属でつかせましてやっております。きょう現在で、お亡くなりになった方四十二名、そのうち職員が五名おりますので実質は三十七名でございますが、その方のうち三名の方とはやっと示談を成立させていただいております。それから、負傷された方につきましては、六百十四名のうち四百七名の方、約三分の二の方とは示談が成立されております。  信楽高原鉄道JR西日本とも非常に一生懸命やっておると私どもは見ております。例えば、当面のいろいろな緊急措置お金、お葬式を含めましたそういう費用、それから入院費、具体的な補償費、これにつきましては当初はJR西日本が全額一種の負担をしておりましたが、そういう形で、決してそういう責任がどうこうということで補償交渉に遅滞を来すことのないよう厳しく指導して、今見守ってやらせているところでございます。
  21. 北川昌典

    北川(昌)委員 もう十カ月になりまして、今のをお聞きしますと負傷者の方はかなり進んでいるようですけれども、亡くなられた方の点が非常におくれておると言ってもいいのじゃないかと思うのですが、難航しているというのが本当でございましょうか。この理由はどこにあるのでございましょうか。把握されておりますか。
  22. 井山嗣夫

    井山政府委員 私、直接交渉に当たっておりませんので詳細は伺っておりませんが、当初は、亡くなられた方の御遺族の方で、やはり気持ち整理がつかないということで、そういう具体的な補償交渉に入りたくないというのがかなり長い期間あったようでございます。まあ大変あれでございますが、実際に具体的なお話ができたのは昨年の秋ぐらいからというふうに聞いております。その間、例えば再開するに当たっても、まだ自分たちとしては気持ち整理がつかないうちに、十二月に再開したわけですが、運行再開はしてもらっては困るということで、若干感情的なあれもあったやに聞いておりますけれども、やはり一人一人の命の大切さから考えますと、そう簡単にお金に換算してしまうというのもなかなか御遺族気持ちとしても大変だしというようなことがありまして若干おくれぎみだと思いますが、いずれにいたしましても誠心誠意、情理を尽くして交渉に当たらせるように指導いたします。
  23. 北川昌典

    北川(昌)委員 この前、遺族会皆さんとお会いしたことがあるのでございますけれども、そのときにお伺いしましたお話では、また会社側遺族との話し合い議事録も見せていただきましたが、補償交渉に入る前に、何としてもこのJR西日本社長、角田さんでございますかの謝罪をしてもらいたい、申しわけなかった、済まなかったという謝罪を要求されておるようでございます。当然のことではないかと思うのです。これに対しまして社長は、話し合いの場にも顔を出したこともない。また、合同慰霊祭のときも慰霊の辞を述べておられますが、この中にもおわび一言も入っていない、こういうことのようです。そしてまた、労働組合との労使安全協議会ですか、その中で労働組合側がともかく謝罪すべきではないかという話を出したところ、謝罪すればどういうことになるのかわかっているのか、こういうことで謝罪を拒否されたというふうに聞いております。こうした社長のかたくなな態度遺族気持ちを逆なでして、硬化させているのではないかと私は思うわけでございます。  事故責任がどうあっても、その責任とは別の問題として、人間として、お客は京都駅でJR列車に乗車されてそして信楽駅に向かわれたわけですから、その中で不幸にして信楽鉄道の線路の上で事故に遭われたわけでございます。乗り物JR乗り物でございますから、したがってそういう面ではそのJR社長として被災者おわび一言もあってしかるべきではないか、これが人間の道ではないかと私は思うのでございますが、このことについて運輸大臣は、もしそういう立場であったらどのようにお考えになるのか、お聞かせいただきたい。
  24. 奥田敬和

    奥田国務大臣 本当に大変な大惨事で、これから続く第三セクターでの鉄道運営の将来に当たって、もうこれは反省とかなんとかというとてもそういう表現ではできないくらいの大惨事で、私たちとしても、これらの補償手当てを含め、今後の事件究明の決定を待ちまして、もう一人でも亡くなられた御遺族皆さんとの間で、お金の面で解決すべきことではありませんけれども、最大の形で補償するようにということを、もう当事者の高原鉄道自体はその力がありませんから、滋賀県並びにJR西日本に対してもこのことに関してはきつく話しているところです。  JR西日本社長にもとかく今先生が御指摘なさったようなことがあるやに聞いておりましたから、本人にも、信楽鉄道原因究明がもう近くなされるであろう、その後の遺族補償に対しても、原因は西日本になかったとかなんとかということ は別にしても、今あなたが御指摘されたような人道的な見地からいっても被災者に、特に命を落とされた御遺族皆さんに対して、JR西日本社長としてそういった形において態度をあらわすべきではなかろうかということを言いました。本人も、もう全くそのとおりだ、私も今、一周忌というような機会を待たず、その前にもそういう機会があったらぜひそう言って心から追悼の気持ちをあらわしたいと思っておりますということです。  JR西日本としては本当に今一生懸命に、被災者相談室を開設もし、今ほとんどの交渉に当たっているのはJR西日本関係職員がやっておるという形の中で、この被災補償に関してあるいはこういった交渉に関しては真剣に対応しているということだけは御理解願いたいと思います。
  25. 北川昌典

    北川(昌)委員 担当者は本当に真剣に日夜を問わず一生懸命頑張っていただいておる、このように聞いておりますが、やはりトップに立つ社長さんの気持ちが、信頼関係が今壊れておるわけなんですね。信頼関係を戻して、それから進むようにひとつよろしくお願い申し上げておきたいと思います。  次に、運行再開が十二月八日にされたわけでございますけれども、その点で、この会社経営面でも今後大変多難なことではないだろうか、このように思いますし、再びこうした事故が起きるとこれはまた大変なことになるわけでございますので、安全対策に万全を期さなければならない。しかし、経営的には非常に厳しい。そこでやはり国の支援というものも当然必要だと思うめですが、これについては、運行再開後どのような支援態勢がなされておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  信楽鉄道は、十二月八日と記憶しておりますが、再開をいたしました。まず、事故防止対策ということでは、今回のあれは信号機故障が間接的といいましょうか引き金になっているということもありますので、私どもとしては、いわゆるポイントの切りかえなどを行わない非常にのっぺらぼうの一本線を一列車だけ往復する、すれ違いなどのダイヤは組まないということで運行再開を認めたわけでございます。もちろんその前提には施設面それから人間の教育の面で再点検をいたしまして、徹底的に安全確保を図った上でやっております。それから、JR西日本などからも技術の専門の方あるいは運転手さんを特に出向させまして、てこ入れを図ったわけでございます。  それから、信楽高原鉄道の今後の運営に対する支援といいますか、これにつきましては実は滋賀県が全面的に応援をするということで、バックアップをしていただくということになっております。もともと免許をいたしますときに、この鉄道発足のときに、なかなか経営が大変だということはわかっておりましたので、県からと、それから国から当時一キロ当たり三千万というお金を出しまして、これを基金にして赤字を埋めるというようなことでやりました。さらに、赤字が出れば株主である県などが補償いたしましょう、こういうお約束をいただいてスタートしたわけでございます。したがいまして、県としましても全面的に応援していただいております。  それから、国として直接これに現金といいますかお金を差し上げて応援する、この鉄道だけにするということにまいりませんので、私どもとしてはこういうことを今考えております。それは平成四年度の予算に二つポイントがございまして、一つは、いわゆる第三セクター一般でございますが、技術レベルのアップのための専門家を派遣いたしました講習、それから巡回指導といいましょうか、これの予算を三千数百万とっておりまして、同額を地元の方でも負担していただいて、そういう第三セクター鉄道の技術レベルのアップを図ろうとしております。  それからもう一つは、中小の民鉄、これは第三セクターを中心とするものでございますが、今までも近代化投資について補助金を出しておりますが、その中で特に安全対策投資に係る分につきましては補助の額及び率のアップを図りまして、お金がないから安全対策の投資ができないということにならないようにということで、これも来年度の予算に組み込んで御審議をお願いしているところでございます。
  27. 北川昌典

    北川(昌)委員 今お話がございましたように、信楽鉄道はもちろんのことでございますけれども、三十五の転換鉄道、そのうち二十八になりましたか、それが本当に赤字で苦しい経営、厳しい経営を強いられております。そういう中で事故が起きることに対しては大変これは問題でございますので、こうした第三セクター安全対策に向けて今後さらなる国としての支援をお願い申し上げておきたいと思います。  最後になりますけれども、この前の委員会でもちょっとやりとりがあったわけでございますが、青はとまってはならない、これが大鉄則だ、こういうお話でございました。確かにそうだと思うのですが、信楽鉄道事故関係してだけ言わしてもらうならば、これはJRだけの鉄則であって、信楽鉄道皆さん方はその鉄則を十分認識されていなかった、これではなかろうかと私は思うのですね。と申しますのは、これはもう報道もされましたけれども、赤で青に変わらない、そこで慌てて手動で青にされましたね。そして、そのときに信楽皆さん方はどう考えたかというと、JR信号所で待機してもらえるものだ、そのように考えて、手旗信号を持って二人が駆け出した、こういうふうな経過があるわけなんです。ということは、こっちが赤でも向こうは青なのか赤なのかわからない、直進するかわからないけれども、とまってくれておる、待機してもらっておるという先入観があるわけですね。ということは、この乗り入れの際にいろいろ協議したときに、安全対策に対して十分な打ち合わせ、指導といいますか協議がなされていなかったことになるのではないかと私は考えるわけなんです。そういった点で、こういう乗り入れの場合についてはJRだけが鉄則を知っておってもいかないわけで、やはり相手側が十分認識をできるような対策、安全対策には念には念を入れる、こういうことが鉄則ではなかろうかと私は思うわけなんです。今後第三セクターへの乗り入れはあり得ることなんでございますので、この教訓をぜひ生かしていただいて、安全対策には十分な取り組みを、指導と教育をしていただくことをお願いしておきたいと思います。これは答弁要りません。  交通事故とあわせて大変気になるのが航空機の故障の増加でございます。運輸省調査によりますと、平成元年に百二十八件、二年に百四十七件、三年に百八十四件の異常運航があったという報告がされております。こうした異常運航は事故につながる極めて危険な状態ではないか、このように思いますけれども運輸大臣はこの実態をどのように認識されておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  28. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 お答えいたします。  先生今御指摘の異常運航でございますけれども先生の御指摘のとおりの件数が平成三年度に発生しております。この異常運航につきましては、我が方航空機が離陸後に機材等の故障によりまして出発した空港に引き返したりあるいは何らかの原因で目的空港を変更した、こういったものの統計でございます。  この件につきましては私どもも大変重大な関心を持って見ておるところでございますけれども、これらのふぐあい等の内容につきましてはほとんどが軽微な内容のものでございまして、航空機の運航に直接影響を及ぼすというものではございません。しかしながら、今先生指摘のように、やはりこういうふぐあいの事故を防止するということが未然に大きな事故を防止するという意味では大変重要であるというふうに私どもも認識しておりまして、こういったふぐあいが発生しました都度、私どもといたしましてもこれらの原因につきまして航空会社に対しまして徹底的に追及して、そして所要の措置をとるよう指示をしておるところでございまして、これからもこういったことを通じて航空機の安全の確保につきまして万全を期してやっていきたいというふうに思っているところでございます。
  29. 北川昌典

    北川(昌)委員 今お話を聞いておりますと、大したことはないように受け取れる御答弁でございましたけれども、これはそう簡単に、余りのんきに考えておっては大変なことではないかと思うのです。昨年の故障だけでも、ANAの飛行機が高度九千三百メートルのところで胴体壁の落下とか、ドアに亀裂が起きたとか、あるいはオイルが漏れてエンジンが一つは動かなかったとか、走行かじの故障とか、これは本当に簡単に考えられるべき内容ではないのではないか。やはり利便さと危険が同居しているようなことになり得るわけでございますので、そういうのんきといいますか簡単な考え方でなくて、本当に一件も事故を起こさない、こういう心構えで、この航空機事故というのは一度万一のことがございますれば大惨事になるわけでございますので、そこらあたりひとつ心を引き締めて安全対策をとっていただきますように要望いたしまして、大変質問を残しましたけれども、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  30. 竹内勝彦

    竹内委員長 以上で北川昌典君の質疑は終了いたしました。  次に、上野建一君。
  31. 上野建一

    ○上野委員 私はきょうは主として、主としてというよりもすべて自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律を中心にしまして、自転車の駐車場、駐輪場とも言っておりますけれども、これの整備に相当な力を注がなければならない段階に来ているのではないか。したがって、この今ある法律も時間がたっておりますし、この自転車も急激に台数が多くなっている点、それから都市化が進む中で一層手軽で便利な乗り物だということで自転車がますます利用される、こういうことになってきておりますので、この対策は極めて緊急である、こう考えられます。  そこできょうは、この法律の欠点ももちろんあるわけですけれども、それと同時に、実態として、自転車の駐輪場の拡大によって放置自転車を何とか少なくしたい、こういうことで御質問をしたいと思いますので、どうか前向きに、積極的な考え方をぜひ当局の皆さんからお聞きしたい、こう思うところであります。  まず、この駐輪場、自転車駐車場を強く求める地方自治体などから、今の自転車の対策をやる場合に、総合的な交通体系においては自転車の位置づけが明確じゃないんじゃないか、こう言われておりますが、この点はどのように受けとめておられるのか。また、この法律を直すとすれば、自転車の位置づけというのはどういうふうになるべきなのかをまず最初にお伺いしたいと思います。
  32. 賀来敏

    ○賀来政府委員 御指摘のように、現在、自転車は国民の足として、六千九百万台もの多くの自転車が稼働しているところでございます。このような自転車を現在の我が国の国土において、また動的なものとしてどのように位置づけをするかというのは大変重要な問題であることは御指摘のとおりでございます。特に駅前等に大量に置かれている自転車の問題というのは、既存の都市の実態とこの増大している自転車の調和をどう保つかということは、地方自治体からも御指摘がありますように、また先生の御指摘にございましたように、大変重要な問題と考えております。  いろいろと問題点はございますが、私どもといたしまして、関係省庁、また自治体等の御意見を十分に承りまして、検討しなきゃならぬ段階に当然来ておるところでございます。特に関係省庁、関係業界等の御意見をいただきながら、現在、研究会を設けて進めているところでございまして、まだ確定的な方針というのは出ておりませんが、大変重大な問題であると理解しているところでございます。
  33. 上野建一

    ○上野委員 それではせっかくですからこの際、研究会をやっておられるということなんですが、その研究会はいつごろ結論を出されるのか。お役所は大体審議会とか研究会とかそういうものをやって、そこに自分たちの考え方も十分に入れて、それを前面に出して次の提案をする、こういうことが多いわけですので、そうすると研究会が早く終わってもらわないと結論が出ない、こういう感じがしますが、その中身は一体どの程度まで、何が問題なのかお伺いします。
  34. 賀来敏

    ○賀来政府委員 お答えいたします。  現在、研究会を引き続き開催し、おおむね四月中旬ぐらいまでには何とかまとめたいということで、学界の先生方、また専門の先生方の御尽力を仰いでいるところでございます。  それで、幾つかの問題点はございますので、最終的にはこれから固まるわけでございますが、まず自転車を安全に利用していただくために、一つは自転車に安全に乗る教育とか、あるいはまた自転車が安全に整備されているかというような問題、いわゆる安全利用、もう一つはやはり御指摘のように自転車の駐輪場の整備がいかにあるべきか、またもう一つはそのような自転車の道路環境がどのように整備されるべきかというようなことがございます。さらにまた、現に放置されております駅前等の自転車について撤去だとか、いわゆる最終的には処分とか、またそういうようなリサイクルの問題とか、そういうような問題についてどのように法的に整備するのが望ましいかというような問題もございます。  大変自治体が困っておりますのは、駐輪場を設置する場所がなかなか見つからないので、それぞれの役割で応分の協力をいただきたいというようなことも出ておりますが、今申し上げたような問題点、その他幾つかの問題点等がこれに含まれまして、その結果を得て関係省庁あるいは業界等々といろいろと調整をして、何とか前向きにして国民の利便を図りたいという願望で進めているところでございます。  以上でございます。
  35. 上野建一

    ○上野委員 大体一生懸命やろうとしていることがわかりますので、その次の段階で、この際、今ある法律は大変いいことが随分書いてあります。大体この言っておることの言葉どおりに行われていれば問題ないのですけれども、問題は経済的な保証、それから今も出ましたが、場所、そういうものの保証、裏づけがない法律で、こうありたい、こうすべきであるという精神的な法律になっている点が多いのですね。  そこで、これは何といっても今お話がありましたように六千九百万台、六千九百万台ということは国民の一・八人に一台という割合になるんだそうですが、大変な数で、これが今もなおふえ続けているという現状です。そして、そのうちの八分の一強が放置されている。そして、その放置が交通安全に大変な障害になっている。駅前のひどいところなんか人間の通るところが駐輪場になっていまして、人間がくねくね曲がらなければ駅に入れないというような状態であります。  そういうことですのでこれを何とかしなきゃならぬわけですが、放置物件を排除するためには駐輪場をつくらなければ、幾ら追っ払ってもハエを追うようなもので、追ってもすぐまた集まってくる、こういうことになりかねませんし、また、日本の物質的な豊かさというのか、これは本当はおかしいと思うのですけれども、新しい自転車でもなくなるとすぐまた新しいのを買ってもらえるというような子供さんたちの傾向もあるようですし、余り捜したりしない、なくなっても捜さないというような傾向も強いと聞いております。そんなことを考えますと、放置自転車を何とかしなきゃならぬわけです。  そこでこの法律を見ますと、「自転車駐車場の整備に関する全般的な施策が有効かつ適切に実施されるよう必要な配慮をしなければならない。」こういう国及び地方公共団体の責務になっております。しかし、責務はそういうふうに書いてあるんですけれども、具体的な問題になると、土地がない、金がないということになってなかなかできない、こう思います。  そこで、今も鉄道その他にもいろいろ土地を出させているというお話でした。これは第五条のところに、「地方公共団体又は道路管理者から鉄道用地の提供について申入れがあったときは、鉄道事業者は、その事業との調整に努め、当該鉄道用地の譲渡、貸付けその他の措置を講ずることにより、当該自転車駐車場の設置に積極的に協力しなければならない。」こうあります。そして、事実、協力はしているようでありますけれども、しかし、今までのような協力の仕方ではどうにもならないというのも実態だと思うのです。したがって、この点について運輸省はもっと積極的に鉄道用地の提供をすべきではないか。私どもも専門的にはよくわからぬ点ももちろんありますけれども、普通の目で見て、ここに駐輪場をつくってもいいのに何でやらないんだろうと思うところが相当あります。したがって、その点を運輸省はもっと積極的にやるべきだと思うけれども、どう考えているのか、また積極的にやる気があるのかどうか、この点をお伺いします。
  36. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、民鉄それからJRとも、駐輪場にこの自転車法に基づきましてかなりの鉄道用地の提供を申し上げていると思います。昨年の三月末現在の実績でございますが、具体的に公共団体等に御提供申し上げているのが全国で、これは大体大都市及びその周辺が中心でございますが、千八百五十カ所で五十四万五千平米と聞いております。これは東京ドームの十二倍、汐留の貨物跡地の二・五倍というかなり広い面積だと思います。これらの土地は、地方公共団体の方に無償あるいは非常に安い賃料でお貸し付けをしているというのが実態でございます。そのほかに、鉄道事業者が自分で経営している、お金をいただいてやっているというのも含めますと、全部で六十二万平米の土地が駅周辺で自転車の駐輪場に利用していただいている、こういうことでございます。  そこで、私どもといたしましても、従来からあいている土地といいましょうかがあればできるだけお貸ししろということで、個別的にも御相談があればJRなり民鉄と御相談をさせるとか、あるいは一般的な機会をとらえた指導をしております。そういう意味ではかなりやっているつもりでございますが、地元の自治体の方からもう一息協力をしてほしいという御要請があることも事実でございます。  そこで、現実申しまして、駅周辺の土地というのは非常に高こうございまして、簡単に、何といいますかただで貸すとかいうこともしにくいのでございますが、例えば高架化をしましたらその下というのはあくわけでございます。そういうところに新しく駐輪場をつくる余地はできるわけでございますので、そういうところが高架化をした機会をとらえまして、自治体に積極的に御協力申し上げるようという指導は今後とも続けてまいりたいと思っております。
  37. 上野建一

    ○上野委員 運輸大臣、せっかくの機会ですからお伺いしますが、今鉄道局長は相当協力している、こういうお話ですが、全国的に見るとドームの十倍であろうと汐留の二倍半であろうと大した面積じゃないのですよ。鉄道の用地の中ではほんのわずかですから、これはもちろん自転車のあふれているところが特に要望されるわけですけれども、この際運輸大臣から少し大号令をかけていただいて、地方自治体に行くと必ずあそこをやってもらえればというのがあります。だけれども鉄道の事業者の方は、いや、あれは将来これに使うとか工事が大変だとか、いろいろな理由を並べてお断りしている場合もかなりあるのですね。ですから、そこのところをひとつ運輸大臣、今は一般の車の方の駐車場と自転車の駐車場、両方どもを本気になってやらないと、これは都市計画も何もめちゃくちゃですし、それから交通安全も本当に大変だ。現に、自転車が事故を起こしている場合、自転車対車、自転車対人間とかいろいろありますけれども、その事故もどんどんふえているのですね。全体の事故の大体一〇%が自転車の事故だ、こう聞いています。そういうことも考えますと、この駐車場を整備するために鉄道事業者にもう一歩進めてやれということを運輸大臣から号令をかけてもらいたいのですが、どんなものでしょう。
  38. 奥田敬和

    奥田国務大臣 自転車は近距離交通の手段として、これはもう本当に庶民に欠かせない足になっているわけですし、そういった意味合いで、一義的にはこれは地方自治体なり、大臣もお見えになっておられますけれども道路管理者、そういったことであろうと思いますけれども、今先生の御指摘のあったように鉄道事業者、これはもう密接不離といいますか、駅の周辺まで自転車で来るという一つの欠かせない手段になっていることも事実ですから、法的にどう義務づけるかは別として、今日までは積極的に協力してまいったと思いますが、私から大号令をかけいということになれば、幾らでもかけます。また、局長が答弁しておりましたけれども、確かに東京ドームの何倍であろうが、そんなことは大したことじゃないと思いますから、当然もしそういった形での提供用地があれば、積極的に協力して提供するように号令をかけます。  と同時に、放置自転車、これの対策をきちっと、これは警察当局も含めてですけれども、主のない放置自転車の処分方法等々もあわせて考えないと、無秩序な形での駐輪場という形を何とかこの際駅の周辺から是正してまいりたい。関係省庁の大臣ともよく御相談申し上げて、呼びかけます。号令をかけさせていただきます。
  39. 上野建一

    ○上野委員 積極的な御答弁をいただいて、どうもありがとうございます。  そこで、今も放置自転車の問題がございましたが、放置自転車を片づけるには今の法律じゃだめだ、時間がかかってしょうがない、こういうふうにも言われているのですが、どういうふうにすればいいんでしょうか。その考え方を聞かせてもらえませんか。
  40. 賀来敏

    ○賀来政府委員 現在大量に放置される自転車には、所有意思が明確な、これは毎日通勤に使って夕方帰るとかいうような場合はそういう形なのですが、中には二、三日とかあるいは一週間、極端な場合には数カ月もほったらかしになってくるという状態になりますと、明らかにだれが見てもごみというようなものは問題がありませんが、外見上使えそうで、だれが見てももったいないというようなものを強制的に撤去をすると、所有者とそれを撤去した人との関係で、所有者のものを勝手に撤去したということで財産権の侵害になりますので、いろいろな法律上の問題が結果的に生ずるわけでございます。したがいまして、所有の意思のないものとある程度の段階で認定できるような法的な制度が手当てできましたら、駐輪場の設置者の処理はやりやすくなるわけでございます。それは既存の法律あるいは民法、遺失物法、もろもろの法律の体系上、自転車を処理するにふさわしいような法的な検討を加えまして、最もふさわしい形の法的な手続がなされればいいかと思います。  現在は、事実上、地方自治体が条例によって一応対応しているという実情でございます。
  41. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、この法律の第四条の三項に「放置物件の排除」というのがありますけれども、これは「放置物件の排除等に努めるものとする。」こうありますけれども、そうすると今の各県とか市などにある条例ではどのようになっているのでしょうか。排除するために、例えば期間とか、どういう状態のとき放置しであるものを撤去するとか、例えば道路の上に置いてあるものは新しかろうと古かろうと撤去できるのではないですか。そこら辺のところはどうなんですか。
  42. 賀来敏

    ○賀来政府委員 大変デリケートな問題でございますが、現在、法的にできる問題では、四条三項の関係で申し上げますと、明らかに捨ててあるというものは処理が可能でございますが、外見上使えるようなものでも長く放置されているような場合には、条例の制定の仕方も地方自治体によって若干異なりますが、多くはとりあえず動かしまして、そしてそれを広く公示しまして、それで一定の期間にとりに来ない場合には実質上処理できるものとみなして処理しているわけでございます が、そこら辺の問題がより専門的な見地によって検討をされた場合に法律上まだ十分でないという問題が残っておるということで、地方自治体が悩んでおるのは実情のようでございます。
  43. 上野建一

    ○上野委員 そうしますと、もうちょっと法律を直さなきゃならぬ点があるということは間違いないようですね。  一方で、駐輪場を一生懸命つくる、しかし依然として放置されておったのではいかぬわけで、もちろん駐輪場もつくらないでただ排除だけをしようとするのもいけないけれども、並行してやらなければなりませんから、そうするとそれも先ほどの研究会のテーマであろうと思いますが、放置自転車を適切に排除するための方向を考えていただきたいし、具体的に地方自治体と相談しながらぜひいい方向を出してもらいたい、こう思います。  そこで、駐輪場も単に公共団体だけじゃなくて民営でもつくれるようにしなければならぬと思いますが、その場合に、一般の車の駐車場の場合は、施設については優遇、優遇というのは固定資産税を減免しています。それから、不動産取得税もそうですし、法人税もそうなっている。しかし、駐輪場の場合にはこういうものが一切ないわけですね。そうすると、民間でつくろうと思っても、駐車場ならつくるけれども、駐輪場の方は民間ではやらない、やれないということになりかねませんので、これはできるだけ早い機会に自転車の駐車場についても車と同様にやらなければならぬのじゃないだろうか、そう思いますし、特に自転車駐車場は、固定資産税を用地も対象にしなければいかぬのじゃないか。自転車の場合は施設は余りないですね。もちろん全然ないわけじゃない。場所によっては二階建てもあります。いろいろありますが、その場合には、自転車の駐車場というのは主たるものは用地ですから、用地に対する固定資産税、不動産取得税、法人税などを安くしてやらなければいかぬのじゃないかと思うのですが、この点は自治省でしょうか、お答えいただきたいと思うのです。
  44. 林省吾

    ○林説明員 お答えをさせていただきます。  不動産取得税と固定資産税についての御質問でございますが、現在これらは都道府県及び市町村の基幹的税目となっておりまして、非課税の特別措置につきましては特に公共性の高いものに限り設ける、こういうことにいたしております。  お尋ねの駐輪場につきましては、現在、自転車駐車場に関する研究等を行う全国的な民法法人がございまして、この法人が各地域におきまして地方公共団体の補助を受けて設置した自転車駐車場の用に供する家屋と償却資産につきましては、その事業の公益性にかんがみまして、不動産取得税二分の一、また、固定資産税につきましては、その課されることになりました年度から三年度間二分の一とする軽減措置を既に講じております。  お尋ねの民間の駐輪場一般の整備に特例措置を講じることにつきましては、税負担の公平性の確保の見地から考えまして慎重にすべきであると現在考えております。したがいまして、御質問の民間の駐輪場が取得する土地につきましても私ども同じように考えておりますので、御理解賜りたいと思います。
  45. 上野建一

    ○上野委員 ちょっと最後のところがわからなかったのです。よく検討する、いや、検討中なんですか、それともこれから積極的にやるというのか、最後のところがごちょごちょとわからなかった。
  46. 林省吾

    ○林説明員 失礼いたしました。  現在、制度がそういうふうに民間の駐輪場一般を対象にした制度にはなっておりません。したがいまして、御質問の土地につきましても、現在は慎重に考えているところでございます。
  47. 上野建一

    ○上野委員 慎重に考えているというのはやらないという意味ですか。そうですね。いいですか。わかりました。  大臣、国家公安委員長は自治大臣でもありますので、この際、両方の面からで結構ですから、民間の駐輪場、いわゆる自転車駐車場、これはやはり車の方の駐車場みたいに税金をまけてやる、こういうことでないと促進されませんので、鉄道用地だけに頼るというのももちろん限界がありますので、それを促進する意味で、一般の駐車場と同じように対処すべきじゃないか、またそこまで来ていると思うのです、いわゆる自転車の方にはバイクも入りますから。そういう意味で、ひとつやるということをお答えいただきたいと思います。
  48. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 今課長が答弁しております中で、税の公平を期すため、こう言っておるのですが、税の公平を期すためには民間の駐輪場を無差別に減免税措置にすることはできない、こう言っておるのでございますが、それを裏から見ますと、やはり本当に公益的に設置するものとして、そういう要請のもとでできるということであるならば、それなりの方法を考えてやるべきだろうと思うんです。しかしながら、土地の値上がりのために一応一時的に駐輪場にして小遣い稼ぎにでもしておこうかとか、そういう不特定な形の営業をされておる場合、税を減免するということは不公平になるんだ、こういう点があると思うんです。でございますから、そういう点について、経営の主体がどうであるかということと、駐輪場の管理状態というものと、それから地域との関係というものをどうするかということ等を煮詰めた上で、それはやはり必要あるものだと私は思いますけれども、そういうことであるならば考慮する必要があるのではないか、このように思います。
  49. 上野建一

    ○上野委員 大変適切な答弁をいただきまして、もちろん不公平になってはいけないわけで、そこら辺のところはぜひ検討いただいて、それじゃどういう場合なら免除できるのか、これは当委員会の小委員会でも並行的に議論させてもらいますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。  そこで、これは建設省の方になるんですが、私は建設委員会でもちょっと申し上げた経過がありますが、今一般の車の駐車場の建設が進んでいますので、これはもちろん場所によりますけれども、自転車の方も並行的に置けるように、もちろんそれには多少料金もかかるということもわかりますが、やはり併設する、これからつくるものについては自動車だけじゃなくて自転車も考える、こういうことで進められないものかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  50. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先ほど来の御議論を承っておりまして、自転車駐車場と申しますか駐輪場の積極的整備は必要なものと痛感いたしていた次第でございます。既に普及率は二人に一台以上と認識をいたしております。  従来、建設省では、駅周辺等の路上における放置自転車の解消のために、昭和五十三年度以降でございますが、各種補助制度及び融資制度を創設いたしまして、地方公共団体の実施する自転車駐車場整備及び民間による自転車駐車場整備を推進してまいりました。そこで、平成四年度からは、さらに街路事業による補助制度を拡充いたしまして、ただいま申し上げました従来の駅周辺に加えて、中心市街地における自転車駐車場の整備についても推進してまいりたいと考えているのでございます。  御指摘のございました駐車場の整備にあわせた駐輪場の整備につきましては、自転車の利用特性や駐車場の整備地などを勘案しながら、積極的に推進してまいりたいと存じます。
  51. 上野建一

    ○上野委員 それぞれ大変積極的な御意見をいただいておりますので、私どもの当委員会の小委員会も話が大分進んでくるだろうというふうに思われます。  そこで、最初にも申し上げましたが、法的な整備もしなきゃならぬという段階だと思います。そういうことなので、これは総務庁長官にお伺いしたいのですが、お伺いというよりも決意のほどをお聞きしたいのですが、研究会を今やられている、こういうことですから、その進行の度合いにもよりますが、それを促進する中で、さらに私どもの議会の自転車問題の小委員会の議論も並行的に、各党一致しておりますので、進んでくると思います。それらの上に立って法的な整備を進めなきゃならぬ段階に来た、こういうふうに思います。  例えば十二条には、「国及び地方公共団体は、民営自転車駐車場事業の育成を図るため、当該事業を行う者で必要と認めるものに対し、資金のあっせんその他必要な措置を講ずるものとする。」こうあるのですが、しかしこの中身は、先ほどお話がありましたように、それぞれまだ不十分な点、また地方自治体に任せられている点、あるいは国は援助はするけれども税金上の問題があったりいろいろしておりますので、資金のあっせん、税の問題、さらに主体者の問題、それからもう一つは、この法律の中にもございますけれども、防犯登録を受けるとか、これもしかし受けなくてもいいわけで、防犯登録を受けるためにはどういうふうなそれを推進する団体が必要かというようなこと、これも大変難しいようです。私どもも聞いてみますと聞くほど難しくなってくる。それぞれ商売との関係もありますし、それじゃ防犯協会がやればいいかというと必ずしもそうはいかない。商売の方を妨害することになりかねない。こんなことでありますので、そこら辺を含めて、はっきりといろいろ不備な点が出てきておりますので、総務庁長官の在任中にこれはひとつ法の改正のところまで何とかやってもらいたいな、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  52. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 予算委員会がございましておくれましたことを冒頭におわび申し上げます。  確かに自転車の放置問題あるいは自動車の駐車場問題等々は大きな社会問題になっておりまして、まさに一刻もゆるがせにできない状況にある、このように認識をいたしております。また、各自治体等々からもその旨の要請やら陳情等も承っております。  ただいま先生から御提言のございました融資制度の問題あるいは補助金の問題、税制上の問題、さらには防犯登録等の問題等々、いずれも難しい問題であると同時に各省にまたがる問題等でもございますので、これからも関係省庁と、総務庁といたしましては総合的調整の任に当たる立場にありまして、十分連絡を密にしながら、御提言のございました点について検討を加えていきたい。ただ、在任中にできるかどうか、微妙な問題もございますので、努力だけをここでお約束をさせていただきたい、かように思います。
  53. 上野建一

    ○上野委員 ぜひ御答弁のあった点についてそれぞれの省庁で努力をされますように再度お願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  54. 竹内勝彦

    竹内委員長 以上で上野建一君の質疑は終了いたしました。  次に、山下八洲夫君
  55. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 昨年の一月一日施行の道路交通法、それから同じく昨年の七月一日ですけれども改正保管場所法というものが施行され、現在一年強なりあるいは八カ月ぐらい新しい法律のもとで法運用がなされているわけです。それなりに一定の大きな前進もあった、私はこの両改正案は大変よかったなというふうに一方では考えておるわけです。  同時に、もう一方ではそれこそ第二次交通戦争、これも昭和六十三年でございますが一万人台になりまして、その後平成は一万一千人台。また、この両法改正でできればこの一万人を割っていく、このような成果が出るとなお喜ばしいことだというふうには私は当然考えているわけでございますが、何といいましてもやはり死亡事故をなくしていく、この点にあらゆる角度から全員が努力しなくてはいけないだろうというような考え方も当然皆さんと一致するわけです。  そういう中で、総務庁が昭和六十三年七月に「大都市における道路交通円滑化対策について」、このようなものを出されました。これは簡単に申し上げますと、このエキスというのは、都市における駐車違反は目に余るものがありますので、何とか道路事情を少しでも円滑化していきたい、あるいはまたバス等の大量交通機関も、あるいはまた一方では緊急自動車の通行にも支障を生じさせない、このような環境をつくっていこうではないか、これが一番ポイントではないかなというふうに思うわけです。そういう中から、道路交通円滑化対策を受けまして、先ほど申し上げました新道交法あるいは新車庫法、こういうものも法改正がなされて今運用されているということだと思うわけです。この「円滑化対策について」を読みますと、まだまだいろいろな問題点がたくさんあるわけでございます。  そういう中でまず総務庁にお尋ねしたいわけでございますが、今日までどのような成果が上がっているのか、具体的にあればそのことを例示しながら一度御報告いただければ幸いだというふうに思う次第です。
  56. 賀来敏

    ○賀来政府委員 お答えいたします。  御案内のとおり、昭和六十三年の「大都市における道路交通円滑化対策について」の決定によりまして、各省庁鋭意努力をいただいておるところでございますが、この内容は、御案内のとおり、一つは道路の交通容量をどのように増大するのかということと、もう一つの柱は道路交通の需要の軽減対策をどのように進めるか、さらに、必要な調査研究の推進というようなことで成り立っておるわけでございます。その後、この決定を契機にいたしまして、関係省庁でいろいろ努力いただいておるところでございます。  その評価というのはなかなか難しいかと思いますが、相当な努力をいただいております。例えば、御指摘でございますが、警察庁の場合には違法駐車の排除であるとかあるいは交通管制の高度化であるとか、また運輸省におきましては新バスシステムの都市における導入であるとかバス事業者に対する働きかけ、建設省におきましてもいわゆる渋滞対策の緊急実施計画のもとに交差点の改良あるいは立体化というようなところを働きかけていただいておるところでございます。  さらに、この六十三年の対策が一つのベースになりまして、その後、平成二年の五月にこの円滑化対策の中でも特に先んじてやらなければならぬ駐車対策を強化するということで、「大都市における駐車対策の推進について」の申し合わせがなされたのも御案内のとおりでございます。具体的には御指摘の道交法車庫法の改正、さらに建設省所管の道路法、駐車場法の改正、附置義務駐車場の設置基準の見直し、さらにまた事業として、駐車場の誘導あるいは案内システムの整備というようなことが行われております。  いずれにいたしましても、御案内のとおり、大都市の渋滞問題、駐車問題、まだまだ多くの問題を残しておりますので、引き続き関係省庁と十分に連携を密にして、一歩でも前へ進むように努力してまいりたい所存でございます。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  57. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 「短期的施策」でありますとかあるいはまた「中・長期的施策」、こういうものがいろいろとそれぞれ提起がなされ、また当然努力をされていると思うんですが、やはりこれを見まして、私の認識が間違っているのか、もう少し努力していただきたいなと率直に思うわけです。例えば「道路工事方法の改善」、こういうものについてきちっと方針を出されているわけでございますが、大体年度末になるとそこらじゅう道路をほじくり返しているというような状況。これはすべて総務庁の責任じゃないわけでございますけれども、当然、都道府県でございますとか市町村とか、いろいろなところにも大きな責任があるわけでございます。  あるいは時差通勤対策、東京のラッシュというのはもう大変おものでございまして、「時差通勤通学対策について」、最近ではフレックスタイムなんかをとっている会社もありますけれども、これはかなり古い、四十年の十月に出されているわけでございます。この中ではかなり具体的に、各省庁とかあるいはそれぞれの重立った市役所でありますとか、そういうところは時差通勤をやりなさいというような方針がきちっと出されているわけでございますが、どうもそういう状況に現在なっていないんじゃないか。せっかくこのような立派な対策が出されているわけでございますから、もっともっとこれを積極的に生かしていただきたいということをまず要望しておきたいと思います。御答弁は結構でございます。  そこで、新道交法あるいはまた新車庫法がこの間施行されまして、それなりに成果を大きく上げている中で、私がやや気になっている点について若干質問させていただきたいと思います。  まず最初に確認だけさせていただきたいわけでございますが、道交法から見まして、歩道のない一般道路は車が優先して通る道路なのか、あるいは歩行者が優先なのか。特に、幹線道路は大体歩道がありますけれども、一本、二本裏へ入りますと、大体歩道のない商店街というのがたくさんあるわけでございます。そういう道路はどちらが優先なのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。
  58. 関根謙一

    ○関根政府委員 歩車道の分離してない一般道路におきまして、車と歩行者とどちらが優先権があるのかとのお尋ねでございます。  道路交通法には直接これについての規定はございませんが、その第十八条第二項におきまして、車両は、「歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。」旨の規定がございまして、これの違反に対しましては三月以下の懲役または五万円以下の罰金が科されることとされております。他方、歩行者につきましては、そういう歩車道の区別のない道路におきましては、「道路の右側端に穿って通行しなければならない。」旨の規定があるのみでございまして、これの違反についての罰則はございません。こういったところから判断いたしますと、さらにまた道路交通法の七十条にございます車両等の運転者の安全運転の義務に関する規定等をあわせ考慮いたしますと、自動車の運転者の側に歩行者に対して注意をすべき義務がより強く課せられている、このように判断できようかと存じます。
  59. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 車両の方につきましては罰則規定までございますし、またそういう今の御答弁をお伺いしておりますと、私自身は歩行者が優先だ、このように判断をしても間違いではないだろうというような気がいたしました。  そのようにいたしまして、後ほどこれは関連してくるわけでございますが、警察も大変な努力をしながら、駐車違反の取り締まりにつきまして警察なりの重点取り締まり方法を考えて、今日一生懸命人手のないところを行っているということは承知しているわけでございますが、その辺どういうところをまず重点取り締まりをしているのか、彼ほどお答えいただければと思います。  同時に、今申し上げました歩道のない一般道路、こういうところに本当にたくさん乗用車が駐車をしているのですね。この東京周辺だけでも大変なものだと思います。例えば、私は余り東京の地理は詳しくないのですが、幹線道路が比較的取り締まりが厳しくなった。そのために幹線道路から一本外れた裏通りと申しますか、言葉は悪いのですけれどももう一つ奥の通りあるいはその次の奥の通り、そういうところに、えてして東京のようなところでも、歩道のないあるいはガードレールもない、このような道路が実に多いわけです。気休め程度にたまにはここから内側は歩道だよとさあっと白いペンキでラインを引いた道路は見かけるわけでございますが、そういうところはもうお構いなく道路の左側には駐車場がわりに軍がとまっている、こういう状況になっているのをよく見かけるわけです。そうしますと、歩行者と車は左と右と違うわけでございますが、右側を歩けといっても、左側を歩くにいたしましても道路でいいますと車の内側を歩かないといけない、そういうスペースがない、どうしても道路の真ん中へ出ざるを得ない、こういう状況がたくさんございますので「このようなところをより一層重点的に取り締まるのは、一方ではまた安全面でもいいのではないか。あるいはまた道交法、新車庫法、このような法律ができた中でもなお有効に働いていくのではないかなというふうに考えるわけです。ですから、私としてはそういうところをぜひお願いしたい。  それから二つ目は、公共交通の路線バス等の走っている道路も重点的に取り締まりを行っていただきたいなというふうに思うわけです。一番顕著にこの付近で私がわかりますのは、九段宿舎に住んでおりますから、国会図書館の裏を真っすぐ渡っています河道路というかちょっと知りませんけれども、あそこはバス道路で、新宿の方へバスが通っていくわけですが、あの両側に大体いつも車が駐車しておりますね。ですから、バスが行きましてその外側へ停止しますとずらっと後ろへ車が数珠つなぎになりましてすぐ渋滞をしていく、このような環境でございまして、大型同士が来るとなかなかすれ違いができない、このような状況でございます。それでなくても公共交通というのは交通弱者の足を守っている交通でございますので、そういうところをより重点的に取り締まっていただきたいというふうに私は考えているわけですが、その辺につきましてのお答えと同時に、今日までどのようなところを重点的に取り締まってきたか、お答えいただきたいと思います。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 関根謙一

    ○関根政府委員 一昨年、道路交通法と自動車の保管場所の確保等に関する法律を改正していただきまして、昨年の一月一日から道路交通法、七月一日から自動車の保管場所の確保等に関する法律のそれぞれ改正法を施行しておるところでございます。問題は施行の管理というところにございまして、限られた人員で非常に広範な行政対象に対処していくためには、最も効率的な措置を講ずる必要がございます。そこで、私どもといたしましては、抽象的に申し上げますと、悪質性、危険性、迷惑性の高い違反から重点的に取り締まりを行い、かつ公平を旨として対応するということを方針としているわけでございます。  ところで、その悪質性、危険性、迷惑性の高い駐車違反とはではどのようなものをいうかというところがお尋ねの点であろうかと存じます。私どもの考え方は、基本的には、まず交通流の確保の妨害となるような駐車違反、これは何としてでも排除したいという考えで、幹線道路を中心に取り締まりを行っております。その次に、生活交通の妨害となるような駐車違反、これは緊急自動車の通行を妨げるおそれがあるようなところでございまして、団地周辺道路等における通行の確保を目的とするものでございます。三番目に、交通の危険となるような駐車違反でございまして、これは交差点の中でありますとかその周辺における駐車違反を排除するように努力をしているところでございます。そして最後にと申しますか、この点特に大事でございますが、公共輸送機関の優先通行を確保できるようにするための違法駐車排除方策、なかんずくバスレーンにつきましては特に重点的にその違反を取り締まるように努めているところでございます。  そのような方針でございまして、このような方針のもとに、それぞれの都道府県警察がそれぞれの都市における重点的な区域を定めまして、その区域に、私ども標語風に申しておりますが、一点集中、大量投入、巡回方式で排除するように努力をしておるところでございます。しかしながら、昨年施行いたしましたばかりであり、まだ私どもの措置もふなれでございます。考え方は以上申し上げましたとおりでございますから、もうしばらく見守っていただけるとありがたいと存じます。
  61. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 正式な言葉はちょっと私知らないのですけれども、歩道のない道路に白線が引いてある。これは多分、ここは安全のために歩行者が歩きなさいよということだと思うのです。あの上へ、もう何も関係ありませんから車がびしっと並んでいるのですね。そうしますと、道路の真ん中を歩かないと歩行者は歩けないのですよ。夕方の五時半、六時というのはサラリーマンの帰りのラッシュ時だと思うのです。その時間帯に赤坂見附から交番のあります、あれは田町通りというのですか、あれを入っていけば一番よくわかると思うのです。両側にびしっと並んでおりますから、正直言いまして人間の歩く状態じゃないですよ。 そういうことを考えますと、歩行者の通行を妨げ過ぎているんですね。妨げているのじゃなくて、妨げ過ぎている。ですから、これは直接警察でもないですし、また建設省でもないんですけれども、歩行者を守るために、ああいう白線ではなくて、最近は町並みに合ったきれいなフェンスがございますから、ああいうところにガードレールをつければいいんじゃないかと思うのです。道路にも出れるようにたくさん空間をつくって、車がとめられない程度のガードレールをつくっていけばいいのです。そうすればすぐ守れると思うのです。だからそういうことをぜひ、公安委員長は一方では自治大臣でございますからね。ああいうところは大体国道でもないんですよ。都道でもないと思うのです。多分区道あたりが一番多いのじゃないかと思うのです、直観的に言いまして。そうしますと直接的な指導はできないですから、自治大臣としても、建設省はやはり国道の道路管理者でございますから、県やら市に対しても、指導とまではいかなくても、一定の方向性を出すことができるのではないかと思うわけです。  それから、時間が余りありませんから急いでいきたいと思いますが、せっかく歩道がありましても、あの歩道の高さは十二、三センチでございますから、車が半分くらいすぐ乗り上げたり、ひどいのになるとそっくり歩道の上に乗り上げた車をよく見かけるのです。大体、警察というのはちょっと親切だなと思うのです。私は田舎に住んでおりますから、田舎の警察というのは駐車違反があったらすぐぺたっと張っていくのです。東京の駐車違反というのは、大体一回りして、二十分ぐらいは猶予期間を与えるのです。あんなことしなくて、もうぺたっと張っていけばいい、私はそう思うのです。実にその点、ユーザーに対して早く逃げなさいよと一生懸命道路に時間を書いていかれるでしょう。ああいう苦労をやめまして、もうとまってたら、運転手さんがいなかったらすぐぱっと張っていく、そういうぐらいもうちょっと厳しく行えば少しはまた解決していって、円滑な交通体系も守られていきますし、またそのことによって安全性も高まってくるのではないかというような気がしますので、ぜひ努力していただきたい。  それから、これは建設省、答弁は要りませんけれども、ガードレールをできればたくさんつける、こういう努力をぜひしていただきたいというふうに思うわけです。  そこで自治大臣、地方に一番影響があるのは国家公安委員長であろうと思います。ですから今申し上げました、特に地方の都市だって同じなんです。特に地方で申し上げますと、市長さんが苦労しまして、狭い商店街の道を一生懸命市の大変小さな財政で買収をして広げてしまうと、そこが片側は駐車場に変わってしまう、不法駐車場に変わってしまう。ですから私は時々冗談に言うのです、あれは片側にとめてもう一車両ぐらい通る広さだからいけない、かえって道路は狭い方がいいなとよく冗談を言うのです。そうしたら後ろでクラクション鳴らされますから不法駐車はないのです。ですから、これから交通弱者の安全を確保するためにはぜひそういうところへ目配りをしていく、またそのようなところに目配りした町づくりをしていく、こういうことが大事だと私は思うのですが、せっかくお見えですから、自治大臣の感想をお聞かせいただきたいと思います。
  62. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 今御質問の中に二つございまして、一つはいわゆる生活道路ですね、山下さんのおっしゃるのは。生活道路における歩行者安全の確保、そのためにガードレールをつけて一定の歩道を確保してやったらどうだろうということ、それは私も賛成ではございますけれども、私は地元でそういうような問題に当たりますと、ガードレールに面しているところが車を出したりするものですから、それは困るとかなんとかいって絶えずトラブルが起こってなかなかガードレールがうまいこといかないという点がございまして、そこで苦慮しておるというようなことが多いと思うのでございます。特に、商店街なんかですと案外区切りはっくのでございますけれども、少し住宅地のまじっているところなんかそういう点がなかなか難しいようなことを聞いておるのですが、これは一段の努力をしていただいて、そういうことから道路の安全性を確保していただく、これは結構だと思っております。また、地方行政の財政の中にも、そういうようなことは基準財政需要額の中に見込んでおりますので、積極的にやっていただければと、こう思っております。  それからもう一つお尋ねの駐停車のことでございますが、これは実はそこに住んでおる人にしましてなかなか難しゅうございます。御存じのように駐車禁止区域と停車禁止区域とは違います。問題は、停車禁止区域のところに駐車をしてほっぽらかしておるというのが実は一番処置が悪いことでございまして、したがってもちろんこれはきつく取り締まらなければなりませんが、一般のところも駐車禁止区域に指定してしまおうということは地元と話がつかないところが随分ございますし、それだけに、そうであるから駐車禁止区域に指定したところだけは集中的に徹底した駐車違反行為を取り締まれるような、もちろん停車禁止区域で駐革なんてもうとんでもない話でございますから、それは強化していくべきだと思っておりますが、要するに車というのは便利なものでございますから、この便利さと取り締まりとの関係をどこで妥協していくかという、これは非常に現実に即した問題として苦慮しておるところでございます。
  63. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 今大臣から前向きな御答弁をいただきましたから心強く思うわけでございますが、今、便利とおっしゃいました。確かに便利なんですね。便利だから自分の一番近いところにとめようとするのです。しかし、革というのはある面では便利だけれども、いざとなったら不便だぞということもユーザーに教えないといけないと思うのです。ですから、確かに駐車場は東京、大都市部は足りないかもわかりません。あいていても、そうではなくてすぐ自分の一番近いところにとめる。私は最近、会館課にちょっと冗談を言ったのですが、雨降りになりますと議員会館のあの屋根の下のところへ車をどんどんとめていってしまうのです。簡単に言いますと、あれはぬれたくないから駐車してはいけないところへとめていくのです。  だから、車というのは、自分自身が一方では加害者でもあるということは私も認識しているのです。ですから、よほど気をつけないといけないと思うのですが、そういう意味で、あれだけどんどん違法駐車をする、目に余る違法駐車をするということは、一方ではこの間の道交法の改正で、駐車禁止にいたしましても駐停車禁止にいたしましても、反則点にいたしましても反則金にいたしましてもかなり大幅にアップしまして、道交法のいろいろな罰金制度の中では比較的飛び抜けていると言ってもいいと私は思うのです。それくらい強化されたというところでは評価しているのですけれども、まだまだそういう点では最初の念頭にあったほど効果が上がっていないのじゃないかなというような気も私はするわけです。これは取り締まればいいというものでもないのです。私は、そこへとめちゃいけないという啓蒙活動の方が大切であることは十分承知いたしておりますが、今かなり高いと言っておりますけれども、もっと上げてもいいのじゃないかな、反則点ももっと高くしたっていいのじゃないかなというふうに思うのです。  大変失礼な言葉を使って恐縮なんですが、今、道路はよくなった、車はよくなった。ですから、車というのはスピードがすぐ出るのですね。すぐスピード違反するぐらいのスピードが出てしまうのです。高速道路なんかでは、巡航速度といいますか、前の車に合わせた方が安全性を保てる。そうすると二十キロ、三十キロ、すぐスピードオーバーしてしまう。しかし、スピード違反で一応検挙される、こういうこともあるのですね。だけれども、このスピード違反というのはある面では過失的なところもあると思うのです。助手席の方と一生懸命おしゃべりしながらついメーターを見るのを忘れて走ってしまった、前の車につられて行ってしまったというのもあろうかと思います。しかし、本当に言葉は悪いのですけれども、駐車違反というのは目的犯みたいな気がしてならないのです、ここは違反ですよというのがわかっていてそこへとめて、極端な言い方をしますとキーロックをして離れていくのですから。  それと、東京の例えば赤坂にいたしましても銀座にいたしましても、一坪一千万とか二千万とか大変な土地でしょう。車一台、たった一時間でも二時間でもあそこを占有しますと、三坪なり四坪を占有しているのですから、その付加価値から見ますと東京なんかの反則金というのはまだまだ安いのではないか、だから平気であれだけとめるのじゃないかというふうに一方では思ったりする。私は田舎だからひがみ根性かもわかりません。田舎へ行くほど駐車違反はないのですね。  ですから、法のもとの平等というのがありますけれども、例えば政令指定都市といいますか、そういう大都市と県都ぐらいのところともっと田舎と駐車違反の反則金あたりはバランスを考えるのも、そろそろ時期的に来たのではないかというふうに考えたりするのです。その辺のことを、今回の道交法の改正で前よりもよくなっていることは承知した上で、その辺につきましての感想はいかがでしょうか。
  64. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 そのことはつい数日前に警察庁の中で話し合ったことでございます。二年前でございますか割に上げまして、今かなり、駐停車の禁止区域だったら反則金は二万円ぐらいになっているのですか……(山下(八)委員「一万八千円です」と呼ぶ)そうですね、それをもう一段上げたらどうだということを検討しておるところです。しかし、この前上げでまた日が浅いものですから、そうそうやると、何かそれを目的に駐車違反の取り締まりをしているように誤解を受けてもいけませんので、適当な時期に上げるべきだと思っておるのです。  といいますことは、こういう傾向があるのです。今地価が、評価額が高くなりましたから固定資産税なんか大変なものでして、そこへちょっと大きいまとまった駐車場をつくりますと、地価税がもうほとんどかかってくるのです。ある東京都の人の計算では、私もびっくりしたのですが、一台当たりのコストが物すごく駐車場にはかかってくるということがわかりました。そうすると、そんな高い駐車場の料金を払うのだったら、五回や六回ひっかかっても無断駐車の方が得だという計算も成り立ってくるのですね。こういう計算を、横着なことをさせたらいかぬ、そのためにも検討すべきではないかということ。  それから同時に、罰則だけ、取り締まりだけではいかないと思うのです。今まで酒酔い運転、酒気帯び運転というのは、あれは風邪引いたようなぐらいのことしか思ってなかった。いわば道徳犯的な感じもなかったのですが、最近はスピード違反、特に酒酔い違反ということをやりました場合、もう道徳的な犯罪と言うほど一般世間に認識されるようになってまいりましたので、私は、駐車違反というものは道徳犯的な、反社会的な行動であるという風潮ができてくるようにそれを高めていきたい、そう思っておりますが、そのためにはやはり地元の協力というものをお願いしたいと思っております。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
  65. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 ありがとうございます。  新車庫法のことでちょっとお尋ねしたいと思います。  一つは、新車庫法ができる前に車庫飛ばしというようなこともよく見受けられたのですが、この新車庫法が実施をされてからそのようなことが今日でもあるのかないのか。  それから二つ目は、結局、自動車を買うときには印鑑証明が要るんですね。当然売るときもそうです。ですからそのときには、例えば個人でいいますと大体現住所に印鑑登録しております、それしかできませんから。そして、そこで車庫を二キロ以内で確保して購入をする。例えば私は千代田区に住んでいて、千代田区で二キロ以内に車庫を確保して自動車を購入した。そして、都合によって住民票を港区へ移しまして、山下八洲夫は港区へ引っ越していった。だけれども免許証の住所も変更しない、そして車庫の住所も変更しない、こうしますと警察でチェックできないのですね。では、免許証書きかえをするときに住民票が要るか、要らないのです。だから幾らでも更新はできるのです。では、自動車を購入した場合、例えば千代田区の現住所で購入して今度は港区へ移りましても、一たん購入してしまえば、これは地方税ですから、都税を都に納めればいいということで、何ら差し支えないのですね。そうしますと、結局、一方ではそのような実際の居住地と違う場所で最初買って、居住地移動をしてしまう、これはチェックすることはできないのですね。  それで、道路運送車両法の十二条には、「自動車の所有者は、登録され」、いろいろなことが書いてありますけれども、登録されました所有者の住所を変更した場合には、十五日以内に運輸大臣変更登録の申請をしなくてはならない、これはいいのですけれども、それを受けまして百九条に罰則規定があるわけです。「二十万円以下の罰金に処する。」だけれども、現実にはベッドタウン化したところにはもう今日でも他県ナンバーの車がいっぱいとまっているのですね。これを何とか網をかける、このような措置をそろそろ考える。せっかくいい新車庫法ができたわけでございますから網をかける、こんなことをしたらいいと思うのですが、現実的に陸運局は岐阜県には二カ所しかないのです。去年お世話になりまして、ようやく十一月に一カ所できましたが、岐阜県には二カ所しかないのです。ナンバーを変えるというのも、これは大変な作業になることも事実なのですよ。だから、ユーザーだけが悪いということにもならないのです。  その辺につきまして、警察は今申し上げましたことでチェックできるのかできないのか、今日どういうチェックの仕方をしているのか、ぜひ教えていただきたいと思います。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 関根謙一

    ○関根政府委員 お尋ねは二点でございます。  一つは、改正保管場所法の施行以後車庫飛ばしは依然としてあるのかとのお尋ねでございます。昨年の車庫飛ばしの検挙状況は、年間を通じまして八百五十件、八百二十九人でございますが、この改正保管場所法の施行以後、つまり七月以降で見ますと、八百五十件のうちの六百十七件、八百二十九人のうちの七百八人が施行以後でございます。  どうして施行以後車庫飛ばしの検挙が活発になったかという点でございますが、これは青空駐車の取り締まりが改正前に比べて容易になりまして、そこで青空駐車の検挙をいたしましたところ、どうして車庫がなくて自動車が買えたのかということでたどっていきまして車庫飛ばしにたどりついたということからでございます。ただ、昨年の七月以降に車を買った方でありますとか、この新しい法律の適用を受けるものの車庫飛ばしのケースは比較的少ないということで、かなり改正法の効果があったのではないか。まあこれは半年しかでございますが、そういう印象を持っております。  それから二点目の、車庫を変えたり住所を変更した場合のチェックの方法があるのかとのお尋ねでございます。これも改正保管場所法の規定で、保管場所標章、いわゆるシールを張るという仕組みを設けさせていただきました。これは自動車を買った方が運輸当局の方に登録をする際に警察署長の車庫証明が必要でございますが、その車庫証明を差し上げる際にシールも差し上げるというものでございます。そしてそのシール、保管場所標章と称しておりますが、この保管場所標章は自動車の所在地を表示する区市町村名とこのシールを発行した警察署長を明記するようにされております。これらが手がかりとなりましてその車の所在地が明らかになるということを想定いたしまして、それでその所在地等を変更した場合は届け出の仕組みになっておりますが、その所在地がどうも実際のところとシールのところでは違うあるいはシールが張ってないということでありますと、それを手がかりにして都道府県の公安委員会の方でチェックをいたしまして、確かに保管場所がその届け出たところにないということであれば、その車の運行供用の制限の措置を講ずることができるというような仕組みが一応設けられております。今のところこの仕組みを適用した例は一件ぐらいあったのかなという気がいたしますが、このような仕組みがあるということを御報告申し上げます。
  67. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 運輸省と建設省、お越しいただきまして、時間がなくなったものですから本当に恐縮でございます。今の件は私自身も宿題にしながら、もうちょっと研究してみたいなというふうに思っているのです。  最後に一点だけ、恐縮ですが質問させていただきたいのです。  新車庫法ができまして夜間の路上駐車が四割減ったとか、随分そういう点では成果が全国的には上がっているようです。前に新車庫法の法案のときに議論をさせていただいたわけですが、軽自動車は届け出制でございますね、許可制ではなく。そして、さしあたって東京二十三区と大阪にだけ適用しようではないかというふうになって、それが今実行されているわけです。私はそのときに申し上げたのです。大体、法律というのは日本じゅうに適用されて、そして大阪市と東京二十三区は土地が高い、車庫が持ちにくいということで、激変緩和で例えば三年間猶予しますよ、これが本当の姿じゃないかなという質問をさせていただいたわけです。そういう中で、二十三区にしましても大阪市にしましてもあるいはこの影響でいろいろな都市もかなり違法駐車も減ってきておりますし、また、車庫を確保しようということも進んできていますのでこの辺は大変ありがたいというふうに思っているわけですが、最後に申し上げたいのは、それだけ成果が上がっておりますから、例えば名古屋市、ここに名古屋の方がいらっしゃって恐縮なんですが、名古屋市でございますとかあるいは横浜市でございますとか、大きな都市たくさんございますね、できれば政令指定都市あるいは県都ぐらいまで、せっかくの軽自動車の届け出制ではございますけれども、この車庫法を適用していくということをぜひしていただきたいと思いますし、またすべきだというふうに思っております。その考えを伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  68. 関根謙一

    ○関根政府委員 車庫法の軽自動車に関する届け出制の適用地域の拡大についてのお尋ねでございます。  この適用区域は政令で定めることとしておりますが、その定める基準は、違法駐車の実態の高いところからという考えで、東京、大阪から適用するということとさせていただいております。効果はかなりあるように私どもも考えておりますが、その地域の拡大につきましては、今後それぞれの地域の交通の実態、世論の動向等を踏まえまして、コンセンサスが得られれば地域を拡大する方向で検討させていただきたい、このように考えます。
  69. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 どうもありがとうございました。
  70. 竹内勝彦

    竹内委員長 以上で山下八洲夫君の質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは予算委員会開催でございまして大臣お抜けになるわけでございますが、予算委員会優先ですから、それは了承します。  陸上交通、特に死者の激増、負傷者の激増、本当に各大臣も同じ気持ちで心を痛めていられると思います。国会の我々といたしましても、何とか無事故、絶滅を願っておるわけです。さらにまた鉄道等が、信号事故もございました。また航空機も、最近はそんな大きなことがないから安心しておりますが、かつての一二三便を見ましても、私はちょうど一二五便に乗っておりました。それだけに、当時私は運輸の部会長で、運輸の理事をやっておりました。ですから、翌日は真っ先に現地に入りました。対策副本部長で私は入ったわけでございます。帰りまして直ちに運輸省に申し入れ、また緊急質問もいたした。そのことを今思い起こすわけでございます。そういうことで、陸海空にわたっての交通安全につきましては、本当に身を賭してお互いに頑張っていきたい、このように思うわけでございます。きょうは陸上交通をやりますが、飛行機の問題でまず最初一つ聞きたいと思います。  ハイテク機のボーイング747−400型、それから同じ型でボーイング767−300等の破断事故が相次いでおるという報告を受けておるわけでございますが、これにつきまして、非常に心配なものですから、お伺いしたいと思います。
  72. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 先生お尋ねの件、きょう報道されている件かと思います。実は747−400と767−300でございますけれども、それにはGEのCF6型というエンジンが搭載されております。それで、報道されました件は、昨年の末でございますけれども、全日空それから日本航空でございます。これはいずれも767−400でございます。これが、飛行中でございますけれども、エンジンの振動を示す計器に振れが出たということで、これにつきまして着陸後エンジンの点検をいたしましたところ、今先生指摘のような、これは高圧の圧縮機の第一ブレードといいまして、大きなファンがあります。その後ろのくびれたところの中にあるブレードでございますけれども、それが破断したというトラブルが発生しております。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 我が国の航空機で、この種の飛行機が何機あって、エンジンが幾らあるかということを報告をいただきたいと思います。
  74. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 ただいま日本航空におきましては747−400が十六機運航しております。それから、全日空におきましては、同型のダッシュ400でございますけれども、これが六機運航しております。それから、同じく全日空で767−300は二十二機が運航しておる、こういう状況でございます。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう事故、そういう心配な点が出てきたわけでございますし、緊急総点検をしなければいけませんが、どういう措置をとっているのですか。
  76. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 これにつきましては、昨年末こういう事態が発見されまして、直ちに航空会社におきましては同型のエンジン、これは先ほどのCF6型でございますけれども、全部につきまして点検をいたしております。これは総数にいたしますと百三十二台になりますけれども、これを点検をいたしておりまして、点検をいたしましたところ、やはり当該ブレードのところに傷あるいはがたがあるというようなものが十数台発見されておりまして、それにつきましてはすべて交換をいたしまして、新しいものと取りかえておるというところでございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにいたしましても、一つのことが重大事故に結びつくというのが、航空機に始まらず、自動車にしろ、すべてに通ずるものだと思います。そういう点で、これを一つの契機としてさらに十分な整備点検には力を入れていただきたい、このように思うわけでございます。  これにかんがみ、航空機のそういう問題についてはどういう指示をしておるのか、今後どういう対策をとるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  78. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 お答えいたします。  この当該エンジンにつきましては既に製造しておりますアメリカのGEの方に送って、原因究明をいたしております。それから、航空会社の方においてもこれの調査をいたしております。  それで、まだ原因調査中でございますけれども、まずこのエンジンの原因が、どうも息衝突後の影響があってこういうことが起こっておるのではないかということでございますので、息衝突があった後には必ずエンジンの点検をするというようなことを各会社においてやっていくということで、対策をとっているところでございます。  また、あわせて、一般的に航空機のこういったようなふぐあいがあったものにつきましては、そのふぐあいが発生の都度直ちにそういう対策をとっていくということでやっておりまして、今後も引き続きそういうことで航空の安全に万全を期していきたいというふうに考えております。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 やはり何事もなれということが一番怖いわけであります。ですから、あの前の大事故を常に日々思い起こして、そしてこの整備点検につきましてはひとつ万全を期していただきたい、これを特に強く要望いたしておきます。  それでは陸上の問題に入りたいと思いますが、先般私は日本医科大附属病院の救命救急センターに行ってまいりました。これは日本一ですね。私が行っておるときにもトラックの下敷きになった七歳の女の子が運び込まれてきた。母親なんて言葉もありませんよ。本当に緊迫した空気がございました。それから、以前に私は何カ所かほかも見に行っております。それは、そこで頑張っているというよりも闘っているんですよ。闘っている医師、看護婦さん、これは真剣勝負ですよ。あの生々しい現場を見たら、本当に事故の絶滅を我々は真剣にやらなければいけないと思いますよ。交通事故なんというものはそんな簡単な傷じゃないんです。外傷だけじゃないんです。内臓だって肝臓、腎臓。もう一人、私が行ったときに二日前に運び込まれた青年、普通なら死んでいると言っていました。肝臓そして腎臓破裂ですよ。九死に一生を得たということを先生が言っていましたけれども、すさまじいそういう人命救助の闘いが行われているわけです。ですから、皆さん方、一回見に行った方がいいと思いますよ。知らない間に惰性に流れている。一万人以上が三年続きました、何とかしなきゃいけません、異口同音に言っていますよ。それをなくするためにどうするのか、関係各省は真剣な取り組みが私は必要だと思うんですね。  それで、一つは、いわゆる警察庁報告は二十四時間以内の死亡でとっているんですね。これで何十年やってこられた。今どれだけの死者が出ておるか。聞きました一番新しいのは、三月四日現在死者数千八百四十一人、恐らく昨年度に比べて十数%増ですよ。このままでいけばどうなるんですか、これ。去年よりも十数%上がっているんですよ。正確な報告警察庁は持っているでしょう。報告してください。きょう現在あるいはきのう現在でどうなんですか、何%増ですか。
  80. 関根謙一

    ○関根政府委員 三月四日現在で亡くなった方、二十四時間以内に亡くなった方が千八百四十一人。昨年の同期までの間に比べまして二百十六人の増。一三・三%増でございます。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 今局長から御報告がありましたように、去年よりも二百十六人多い、一三・三%もアップしておる、これは非常事態ですよ。水野さんが長官のときに非常事態宣言をお出しになったのですよ。それから真剣に皆さん取り組んでいますけれども、それは原因はいろいろと分析されて対策を立てておられると思いますけれども、現実はこういう状態なんです。こういう厳しい現状をどう認識されているか、まず両大臣からお伺いしたいと思います。
  82. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 今先生おっしゃるとおり、平成三年だけを考えましても道路交通死者数が一万一千百五人、全く悲しい、痛ましい、人命尊重の面から見ましても残念な出来事である、一つはそのように受けとめております。それがゆえに、第二次交通戦争に突入した、一刻も早くこの問題に対応し、処理をしていかなければならない。そうした考え方から、平成三年に第五次交通安全基本計画というものを策定いたしまして、少なくとも最終年度の平成七年には一万人を割りたい、そうした願いを込めて基本計画の策定をいたしたところでございます。  そういう考え方をもちまして、もろもろの事情を厳しく受けとめながら、官民一体となりましてこの問題に対応し、特に総務庁といたしましては交通安全に対する総合調整の任に当たる、そんな立場から関係官庁と緊密な連絡をとりまして目的達成に向かって最大限の努力をいたしていきたい、そうした決意で取り組む所存でございます。
  83. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいま近江先生が救急救命病院の現場を御視察になられまして、そのときにお受けになりました強い印象と申しますかショックをお話しになったのでございます。私も承りまして、漫然と交通安全と申しますか交通事故対策について考えておりましたことを反省をいたしました次第でございます。  平成元年から三年にかけまして一万一千人を超える死者を出しているという統計の数字がございますが、数字は他のいかなる事故発生数よりも多い、圧倒的に多い数字でございまして、まさに緊要な我が国の政治における課題であると改めて認識をいたしました次第でございます。  御案内のとおり、平成三年度を初年度といたします第五次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画等におきまして、歩道や自転車道の整備、交差点の改良、道路照明灯の設置等を引き続き推進することにいたしておりますが、新たに自転車駐車場等の整備を重点的に進め谷など、交通安全対策を強力に推進してまいりますことを改めてお誓い申し上げたいと存じます。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 交通事故死者ですが、各ドクターにどうですかと聞いてみたんです。そうすると、二十四時間以内で死んだ人は確かに統計に入っておる。ところが、実際は交通事故が引き金になって亡くなる人が三、四倍あるとおっしゃっている。三、四倍ですよ。そうなってきたらこれは一体どうなるか。それは明確なデータをとってないからわからないですよ。現場でそうやってやっておられる方は、交通事故が引き金となって、あとはいわゆる呼吸困難だとか肺炎を起こしただとか、とにかく引き金になって、私ら医師から見た立場で三、四倍ぐらいは亡くなるんじゃないか。そうなってきたら、これは四、五万人の人が死んでいるということになるんですよ。大変なことだと私は思うんですね。  ちなみに統計は、日本は事故発生後二十四時間以内の死者なんです。フランスは六日以内の死者なんです。イタリアは七日以内の死者なんです。アメリカは三十日以内の死者なんです。西ドイツは三十日以内の死者なんです。オランダも三十日以内の死者なんです。イギリスも三十月以内の死者なんです。これだけの幅を持ってやっているんですよ。ですから、我が国だってこういう幅を持って統計をとれば、これの何倍になるかわかりませんよ。これは恐ろしいことですよ。ベトナム戦で多くの方が亡くなっていますけれども、そんなもの比しゃないですね。これはすさまじい交通戦争ですよ。犠牲者が出ている。負傷者だけでも八十万ですよ、年間。これはえらいことですよ。  ですから、警察庁は長年の間こういう二十四時間の統計をとっているんだから、その統計は統計で私はいいと思うんですよ。同時に、フランスは日数今申し上げたでしょう、少なくとも一週間ぐらいの幅を持って別の統計をダブルでとるべきだと私は思うんですね。そうしないと、世界各国の死者数と合わせてと言ったって、これは全然合いませんよ。その点については今後検討されますか。
  85. 関根謙一

    ○関根政府委員 先生指摘のように、警察庁交通事故統計は警察行政目的のために作成したものでございまして、交通事故死者のとり方は二十四時間以内に亡くなった方についての数字でございます。これは、警察として重大な事故が発生した場合に直ちに交通安全対策を講ずる必要があるところから、速報性を重視するという考え方でそのような統計作成を行っているものでございますが、国際比較という点等につきましては確かに不便でございます。一定の計算式で各国との比較をやっているわけでございますが、交通事故に起因する死者数を正確に把握するという観点からは、必ずしも適切な方法ではないということを考えております。  そこで、国際比較をする際の必要性等も考慮をいたしまして、従来の警察行政目的のための速報性という配慮から二十四時間以内の統計作成を行う必要もございますが、それに加えまして、比較的長い時間帯で交通事故に起因して亡くなった方についての統計を別途作成する方向で検討させていただきたい、このように考えます。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が今申し上げた一番短いのはフランスが六日でしょう、あとは七日、三十日でしょう。ですから、こういう国際比較を十分検討されて、国際的にきちっとできる、それをぜひ早急に考えていただきたいと思うんです。これは局長が責任を持って検討しますということをおっしゃったわけでございますので、ぜひこれをやっていただきたい、このように思います。  それから、交通事故なりなんなりで今申し上げたようないわゆる内臓破裂、外傷、外科といったってそれはもうさまざまな分野がある。当然内科医も循環器系統で入らなければならないでしょう。これは大きなチームをつくるんですよ。そういう日本一の病院ですら、そういう患者の激増に加え、もう疲労こんぱい、そういうぐらいの戦場ですよ。ましてや地方のそういうところへ行くと、それだけのベテランのドクターからナースが、あらゆる部門のそういうチームを組んだ体制がきちっとできているか、それができておらなければ運んでも助からないんですよ。そうでしょう。十あるそういう原因を二つぐらいふたしたって、あとの八つができなければどうなりますか。したがいまして、この充実ということは物すごい大事なんです。  ところが、全国に今百九カ所ある。動いているのは百六カ所ですよ。これだけ交通事故が激増しているのに百九カ所ぐらいでできるか。また、問題はその中身です。本当にそういう救急医療のドクターの養成ということは物すごい大事になっている。ところが、全国の医学部八十大学、その中でこの講座があるのは十校ですよ。それぞれドクター卒業したって、それはもう現場に入ったって卵でしょう、皆さん。その中で皆鍛えられて成長していくわけですけれども、少なくともこれだけの今や交通戦争と言われる中で、大学の講座もそんな医学部の中にないという形でいいんですか。少なくとも全医学部にそういう講座を置くのは当たり前じゃないですか。人命を救助してくれる、処置してくれる医者に勉強をしておる中でそういうことをしっかりやってもらわなければどうなるんですか。そんなもの卒業してから社会で勉強してくださいと言うんですか。こういう現状ですよ、医師養成の状態が。これに対してどう思いますか、文部省。
  87. 喜多祥旁

    ○喜多説明員 お答えいたします。  近年、救急医療の重要性が非常に高まっておりまして、医師の養成課程において救急医学に関する教育の充実というのが強く求められておりますことは、先生指摘のとおりでございます。昭和六十二年九月に文部省が取りまとめました医学教育の改善に関する調査研究協力者会議の「最終まとめ」におきましても、救急医学は今後要請が高まる分野の一つとして位置づけられておるところでございます。  各大学におきましては、この「最終まとめ」に沿って教育内容の改善に取り組んでおるところでございまして、救急医学につきましては、大学医学部で救急医学講座という名前で設置されておるのは十一大学にすぎませんが、他の大学医学部におきましても、外科学でございますとか麻酔学などの臨床講座が中心となりまして授業や実習を行っておるところでございますし、また附属病院の救急部が中心となりまして臨床教育を担当するという形で、救急医学の教育を実施しておるところでございます。  文部省といたしましては、救急医学に関する教育の重要性にかんがみまして、平成四年度予算案におきましては、一大学に救急医学講座の設置と、救急部がまだございませんでした三国立大学附属病院に救急部の設置を計上いたしておるところでございます。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 百九カ所ある、それを今後どういう計画で増設していくんですか、まず。厚生省、どういう計画になっているんですか、救命救急センターの増設は。——厚生省は来てない。それじゃ、厚生省はちょっと漏れておったんで、これはまた別の機会にします。そういうふうに、ここに総務庁長官もいらっしゃるわけですから、全部ひとつ厚生省なり文部省なりとよくきちっと話してもらいたいと思うんですよ。そして、本当に中身を充実していただきたいと思うんです。  それと、いわゆる救急のそういう患者、これは交通事故の人だとか高齢化社会を控えて高齢者が倒れるとかいろいろございますが、救急車が現場に到着するまでの四分問、これが一番大事なんです。救急車が現場に到着するまで平均四分四十八秒です。応急処置に八分、病院への搬送に八分六秒、これは全国平均、消防庁調べです。要するに本当にもう何分の闘いなんです。心臓が停止から三分間、呼吸は十分間放置すると生命の再生は困難と言われております。交通事故でも一緒なんです。  私はそこで人工呼吸法を学んできた。私は今、救急患者があれば、気道を確保して、とまった心臓を、教えてもらった方法でできますよ。例えば手で押すのでも、皆さんこないして押したらええんやと思っているでしょうが、違うんですよ。そんなことをやったら肋骨が折れるんです。手を引き上げてここでやるんですよ。しかも、この骨の、みぞおちから指何本という微妙な感覚で、それで心臓が動くんですよ。皆さん、そういうことを自分でした人ありますか。ここにいる政府委員の中で人工呼吸あるいは心臓マッサージを勉強した人、ちょっとちなみに一遍手を、挙げてください。見たのと違うんですよ、自分でやった人です。——いないでしょう。これが実態なんです。ですから助かる人だって助からない。何でもないの、こんなもの教えてもらってやればすぐ覚える。大体、頭を上へしたらいいのか下へしたらいいのか、それすらもわからぬでしょう。それで人の命を助けますなんて言っておったって仕方ない。みずからが勉強しなきゃいけない。それを私は訴えたいんです。蘇生法です。  ですから、こういうことは学校なり教習所なりでどんどんやるべきなんです。例えばドイツなんかは、救急箱は全部法的に車に積みなさい。そして、いわゆる救急法の講習を全部義務づけているんですよ。我が国の教習所はそういうことをやっていますか。救急箱を積ましてますか。これだけの交通戦争があって、どうしてそういうことができないんですか。ドイツ並みにこういうことを絶対やるべきだと私は思うんです。免許の更新時におきましても再教育をしているんです。徹底してやってますよ。医者だけに、あるいは救急救命士も我々がやかましく皆さんに主張をしてやっとことしの四月に誕生しますが、わずか五、六十名でしょう。どれだけがカバーできるんですか。ですから、そういう教育をきちっと入れるべきである、また救急箱もきちっとすべきだと私は思いますが、それについてはどう思いますか。
  89. 関根謙一

    ○関根政府委員 私どもドライバー教育の方に携わっている立場から申しまして、運転者の方々に一応の救急手当ての方法を身につけていただくことはぜひとも必要であると考えております。そのための仕組みを幾つか工夫しているわけでございますが、今回、教習所における教科書として使っております「交通の教則」の普及版の中で、「応急手当」の部分の記述を改正いたしました。従来の負傷者の観察、寝かせ方、簡単な止血方法等に加えまして、気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ等についての記述を加えたというものでございます。  さらに、ことしの四月から、更新時講習等を含めまして、運転者教育のために使うことができるように映画をつくりました。「生死を分ける五分間」と題する映画でございますが、これは救急専門医の方々につくっていただいたものでございまして、交通事故現場における応急手当でのやり方が目で見てわかるというものでございます。  こういったことは、実地に行うという点から申しますとまだまだ不十分でございますが、救急救命士の方々の養成の状況等諸般の条件が整いますれば、逐次西ドイツ並みに、そういう応急手当てを身につけていただくような仕組み、システムを設けることができるように努力をしてまいりたい、このように考えます。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、とにかくこの事故をなくすためにどうしたらいいかをずっと書きとめてきて、今持っているのは何十項目もある。こんなもの一つのことを聞くだけでこれだけ時間がかかっているんですよ。だから、政府委員の人もたくさん来ていただいていろいろ聞こうと思ってますけれども、聞く時間がありませんよ。これからどんどん交通委員会委員長に開いていただいてやっていきたいと思います。  あと何点かたげ聞きたいと思いますが、皆さん、車で走っておって、夕暮れどきに無灯火の自転車がどれだけ多いですか。特に最近は子供たちが皆塾通いしてますが、ほとんど無灯火です。危ないことこの上ないでしょう。年寄りもそうです。本当に灯をつけている自転車なんてありませんよ。  この間この「SJ」という新聞を私がちょっと見ておりましたら、わずかな間、点灯していた自転車は百九十二台中四十八台。要するに四十八台ですから約五分の一ですよ。五分の一、五台に一台しかつけてない。あとは全部無灯火。いろんな事故一つ一つ分析したら山になりますけれども、これは道交法において灯火をつけなきゃいかぬとなっているでしょう。それじゃ、そういう無灯火ではんばん走っている人に対して警官が注意をしているか。している人もあるでしょうが、ほとんどはそこまでやっていません、はっきり言って。皆さんが町へ出たらわかるでしょう。例えば、交番があって、無灯火でどんどん走っている自転車に警官が、それじゃ君、いかぬやないかと言っているか。そうでしょう。これは警官一人の手ではどうしようもない問題もあります。町ぐるみ、学校ぐるみ、あらゆることでやらなきゃならぬ問題です。こういう一つ一つのことから真剣にやってもらわなきゃ困るんです。  この自転車の無灯火のことにつきましてどういう感想をお持ちか、また今後どうされるのか、どういうふうにそれを徹底させていくのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  91. 関根謙一

    ○関根政府委員 道路交通法では、確かにその五十二条におきまして、「車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところによりこ「灯火をつけなければならない。」旨の規定がございます。自転車もこれに該当することは当然でございます。  警察といたしましては、この規定のあるなしにかかわりなく、道路上にある障害物を自転車に乗っている方が確認をするという点でも困難であるばかりでなく、そもそも自転車自体が一種の交通弱者でございまして、その自転車を他の車両が発見をするということでも困難でございます。そういった点で、自転車を保護するという立場からも、夜間無灯火で走らせることに対しましては十分警告をするように指導してまいりたい、このように考えます。ただ、無灯火であるから検挙というケースもないわけではございません。これは無灯火によって事故を起こされた結果でございます。基本的な方針としてはつけることが安全である旨指導してまいりたい、このように考えます。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 例えばリフレクター、反射板、後方とペダルにそういう光り物をつける、これだけでも随分確認が違うのです。前方、走るときには灯火が必要なんですね。ですから、そういうことの徹底をしっかりとまた言ってもらいたいと思うのですよ。学校教育の場においても、あらゆることをどうしたらいいか。  ところが、そういう教育一つするにしても、私は時間があったら何ぼでも言いたいのですけれども、要するに交通事故の人、道路環境、車両、この三要素でしょう。その中で人に関するそういう問題について、交通安全思想の普及徹底を充実しますと第五次交通安全基本計画におきましてもうたっているのです。うたっておって、それで予算面を見ますと、平成四年度の陸上交通安全関係予算、総予算額一兆四千億、この中で交通安全思想の普及予算は何とたったの三億五千四百万です。そうでしょう。こういうような時代おくれのことをしておって、ちゃんとしますなんて言ったって言葉だけなんですよ。もっと必要な予算はうんととればいいんです。人の命を守るためにはうんと予算を組めばいいんです。これからそういう方向にうんと変えてもらいたい。それを特に要望しておきます、もう時間がありませんので。  最後に、ダンプの問題だけお聞きしておきたいと思いますが、非常に事故も多いわけでございますし、法改正もあり、自重計の問題もあるわけでございますから、これについてどうするか、それだけお聞きして、終わります。
  93. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  ダンプのことと申されたのですが、トラックの過積載という考え方から、自重計の考え方を述べさせていただきたいと思います。  先般、平成元年の十二月に貨物自動車運送事業。法の制定がされたわけでございますが、そのときに積載重量計の装着に関しまして附帯決議があったわけでございますが、これを受けまして、私ども大型トラックの積載重量計の調査研究委員会というものを発足させまして、現在ストレインゲージあるいはマット方式、そういう積載重量計の調査研究、実用に供し得るものの開発に当たっているところでございます。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういうように法改正も成り、いろいろ義務づけもされているわけですから、過積載による非常にこれもまた重大事故が多発しておりますので、十分ひとつ注意していただきたいと思います。  いずれにいたしましても、これはとうとい人命を守るための施策でございますし、お互いに、我々議員もそして政府の方々も一体となって、今後方を合わせて絶滅に向かって進んでいきたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  95. 竹内勝彦

    竹内委員長 以上で近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  次に、和田一仁君。
  96. 和田一仁

    ○和田(一)委員 昨年も一万一千人を超えた、ことしも超えるのではないか、もうそうなれば連続四年一万人を超える死者である、これは戦争の話でも何でもなくて、我が国における交通事故死者数ということでございます。先ほど来こういう事態がなかなか改善されない、ことしもどうもピッチが速いという見通しの中で、もう非常事態宣言をすべきではないかという意見も出ましたが、私も全く同感でありまして、やはり国民全体に交通事故の悲惨さを喚起していくという、交通の当事者だけでなく国民全体の取り組みにぜひ持っていかないといけないな、こういう感じを今強くいたしております。  そこで、これを平成七年のうちに何とか一万人以下にしようという基本計画、先ほども御説明ございました。こういう中で努力されていることはわかるのですけれども、その中で、最近、減らない数字の中でふえつつある傾向、どういうものがふえているのだ、こういうことを調べてみないといけないと思うのですが、それを基本計画の中で見ますと、やはりこれには一つの傾向があるというふうに示されておりますが、それをちょっと教えていただきたい。
  97. 賀来敏

    ○賀来政府委員 特に死亡事故が減らないというのは基本的にどういう傾向があるかという御質問でございますが、まず、第二次交通戦争と言われる現代の基調は、ことしも同じ状況がさらに厳しく続いておりますが、我が国のモータリゼーションというのはまさに真っ盛りと申しますか、車の総量がバイクを含めまして七千九百万から約八千万台、国民の人口一・六人に一台という相当な数の車があるということ。また、六千二百万人を超える国民総ドライバーということ。洪水のごとくあふれておる車の数、それに加えまして自転車も先ほど御指摘がありましたように六千九百万台という、まさに道路に車や自転車があふれている状況でございます。  一方、車の値段というのは、高いと申しましても二十そこそこの方がポケットマネーで買えるぐらいの時期になっておりますので、若い人も車に乗っておられるということで、比較的精神的にも、場合によったら技術的にも未成熟な方が高性能な車に乗られるということで、若者を中心にしていわゆる自動車に乗車中の事故がどんどんとふえてきている状況でございます。  もう一つの大きな特徴は、我が国は世界にもまれなる高齢化社会、しかもその高齢化の進展が超スピードで進みつつあるということで、六十五歳以上の方、さらには七十歳以上の方のいわゆる交通事故死者が多い。その多くは歩いていて車にはねられる。さらに、自転車に乗っていて車にはねられる。さらに一つの傾向といたしましては、自動車乗車中の高齢者の事故もふえつつあるというようなことがございます。この辺の問題がかなりの勢いで特徴づけられまして、ここ数年の事故死者の数を押し上げているところでございます。  特に若者の場合は、自動車に乗車していてマナーと申しますかモラルがなってないと申しますか、一人前にスピードは出すのでありますが、シートベルトをせずに死んでいる人が大変多いという特徴がございます。  それともう一つは、車の性能がよくなっている。また、高速道路が延長され、しかもスキーに行ったり夜間に走ったりするのでありますが、自動車の運転技術がその速さについていかないために、結果的には正面衝突したり単独の事故を起こしたり、高速道路で大きな事故を起こすというような痛ましい事故が出てくる。それに対しまして、車のふえ方というものに対しましての救急という面、もろもろの対応する面がその勢いに対応しているかというと必ずしも十分でない、そういうところに事故の多発が出ております。  それに加えまして、土曜日、日曜日のいわゆる週末の活動が活発になっておる。さらに、我が国の物流もまたレジャーも二十四時間化になりつつあるということで、夜間の事故がふえておる。こういうことが現在の事故の大きな特徴になっている。それに対する対応ということになろうかと思っております。
  98. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今おっしゃられたそういうこと一つ一つが非常に増加の傾向にあるということで、この五カ年基本計画の中に目標年度である七年ごろの予想が出ているのですね。「道路交通事故の見通し」というのがありまして、ここでは今の交通状態を考えて、正確にはいかないでしょうけれども、自動車走行合キロ数の伸び、こういったものを見ると、これは今おっしゃったような事故がふえつつある中で計算すると、一万三千五百人ぐらいになるだろう。とてもじゃないけれども、一万人台を何とか割りたいという傾向ではない。まさに今おっしゃったような方向でふえつつある、こういうことなんですね。こういう痛ましい事故を起こすのが非常に現象的に濃く出てくる。そういうものへの重点的な対策を考えていかないといけない。ひとつそういうことをきちっと、こういうものがふえているから何とか少なくしようというのと同時に、国民全体の意識をさっき言ったような交通非常事態宣言というようなことで高めるというものが両々相まって目的は達成されるのではないかと思うのです。  きょうは時間が少ないのでこの前の続きで少しお尋ねしたいことがあるのですが、たしか去年の今ごろの委員会で私はナンバーレスの車のことをお尋ねした記憶があるのです。これは最近またふえているような気がしてなりません。五年計画の中にもスピードの出し過ぎの対策を立てるためのいろいろな新装置等が導入されているということを伺いましたけれども、そういうせっかくの装置、それから今まであったオービス、こういうものを活用して取り締まろうとしても、ナンバーがない車というのは取り締まりに非常に時間がかかると思うのです。したがって、これは何とかした方がいいのではないかという指摘を私はしておきましたけれども、その後何か実態の調査をなさったということも聞いておるのですが、どういう傾向でしょうか。
  99. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  昨年の二月に先生からいろいろ承ったわけでございますが、その結果を受けまして夏に、昨年の六月十五、十六でございますが、東京、名古屋、大阪の三地区におきまして、前面の自動車登録番号標を取り外している自家用車の調査をいたしました。総数五万六十九件中三百十五台、〇・六%の割合になっておりました。
  100. 和田一仁

    ○和田(一)委員 今の数字は多いとお思いですか、少ないなとお思いですか。どうでしょう。
  101. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 千台に六台ということになりますので、しかも場所によっていろいろ差がありますが、車の車種等も見てまいりますと、ちょっと多いかなという感じを持っております。
  102. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私も毎日町を軍で走っていて、最近またふえているなという感じがします。これは明らかに私が去年指摘したときよりはふえている。私のこの目で見て知る範囲ではふえている。ですから、調査なさった時点から数字的にはまたふえている傾向にあると私は思うのですが、これは一種の流行ですね。これは調査されたらきっとその車はスポーツタイプの車が多いということだと思うのですが、大体スポーツタイプの車を乗り回す傾向は若い人に多い。さっき言った事故の増加の一つの傾向の中に、若者、乗車中、そしてシートベルトを締めていない、こういうことが指摘されましたけれども、この若者が好んで乗るスポーツタイプの車にナンバーレス、それは前の方だけなんですが、ナンバーレスの車がふえている。三地点で調査していただいて、やはり東京が多い。東京から流行がずっと広がるのですよ。これは間違いなく広がっていきます。ですからこれは至急に対策を立てていただかないといけないな、こう思うのです。  そもそも運輸省が車にナンバープレートをつけろと言う意味合いは一体何でしょう。
  103. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  自動車の登録番号標の役割ということになると思いますけれども、民事的または行政的に自動車を特定するために自動車の前面及び後面の見やすい場所に自動車ナンバーを義務づけているということでございます。
  104. 和田一仁

    ○和田(一)委員 車を特定するためにつける。したがって、それはすぐ視認しやすいような大きさときちっとしたものでないといけないということなんだろうと思うのです。ところが、事故というのは、さっき交通のマナー、モラルとおっしゃったけれども、マナーも悪ければモラルも悪い。マナーが悪いというのは違反にならないかもしれないけれども、モラルのない運転などというのは、大体規則を守らないのがモラルがないのですから、そういう意味ではまさにこういうものを放置しておくとマナーやモラルはどんどん低下していくと思うのです。そういうことのないように第一線で一生懸命努力している交通の警察官、こういう人たちがナンバーのない車を見てあるいはとめて、今どういう注意をしているのですか。そして、その注意によって改まるとお思いでしょうか。
  105. 関根謙一

    ○関根政府委員 ナンバープレートを取り外した車につきましては、取り締まりの公平性を害するおそれがあるばかりでなく、ひき逃げ事件でありますとか自動車を使用した犯罪の捜査を困難にするという面もございまして好ましくないという立場から、そういう車が違反を犯した場合にはとにかく一生懸命検挙をするというふうに努力をしております。しかしながら、要するに法律に罰則がないというものについては、これは警察としてはいかんともしがたいというところでございます。
  106. 和田一仁

    ○和田(一)委員 取り締まりに好ましくないということ、そして現実に何か違反を起こしたときにやはり影響がある。取り締まりに影響があるということならば、それはないようにしなければいけない。しかし、せっかくナンバーのない車をとめたりしても、罰則がないのでそういうときには何にもできない、こういうことなんですね。  大臣、道路運送車両法でナンバープレートはつけられているのですけれども、見ますと、前と後ろにつけろと書いてあるのですよ。それで、後ろにだけ封印をつけろと。封印をつけたのを外すと罰則がある。前はつけろと書いてあるのです、きちっと。しかし、それには封印がないのですね。これは封印がないものだから、外しても罰則の対象にならないのですよ。これはこの前も言ったのですが、規則の中で決まっています。八条、「封印の取りつけは、自動車の後面に取りつけた自動車登録番号標の左側の取りつけ箇所に行う。」ナンバーがあるとここへこう封印するようになっている。この八条を変えて、「封印は、取りつけた自動車登録番号標の左側の取りつけ箇所に行う」とすれば、二カ所つけるのですから、両方とも左の上につければいい。「自動車の後面に」という文字だけとればそれは罰則の対象になるのですが、どうですか。
  107. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私も大変不勉強で、当然義務規定があって、罰則規定も当然あると思っておったのですけれども、若者間でこんなナンバーレスの形で流行していくという風潮の中で、このままやはり見逃しておいておくということになると、本当に何か車社会のいわゆるマナーとかモラルの基本の問題に触れていくような気がします。したがって、今警察庁の方からもお話がございましたように、関係省庁間でひとつこの御指摘に沿って法改正も含めた形で検討をしたい、そう思います。
  108. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ぜひひとつそういう方向で急いでいただかないと、今風潮として、いや、これは知らなかったけれども、取り締まり全然平気なんだってねということではやっているんですから、やはりやっちゃいけないんだということがわかれば、若者全部がそんな法を無視する連中ばかりではないので、改まっていくと思うのです。ぜひ急いでいただきたい、こんなふうに思います。  昨年、上野で、横断歩道上で暴走族に注意したら、おりてきて、袋たたきに遭って、そして鉄パイプで襲われて、重体で、二日に死んだのですね。その連中も特定するのに非常に骨を折った。要するにナンバーがなかったのと、それから中には折り曲げて見えないようにしていた。これは、私は意識的にそうやっている連中はいると思うのですね。デモやるのに白いマスクをかけて自分の顔を隠さなきゃデモもできないというのと同じ心理で、おれは初めから暴走やるんだ、だからなるべく特定されたくないんだという心理につながっちゃうんですね。そういう暴走族が善良なドライバーの間を走り回って、そして巻き込むような事故まで起こしている。そういう意味でも、こういうことはいけないんだということを罰則の上から、できるなら早くしていただきたい。ぜひひとつその点について急いだ検討をお願いしたいと思います。  それからもう一つ、先ほどもいろいろお話を伺っておりまして、なるほどなるほどと思って聞いていたのですが、事故の傾向の中で、やはり運転技術の未熟ということが指摘されました。車の性能はよくなる、道路はよくなる、そして若い人たちが乗って走り回る、そういう若者の乗車中の事故というのは確かに運転技術の未熟さにあると思うのですが、日本のドライバーが持っている免許証の九十何%は教習所で教習課程を経て、そして技量的にはよろしいという認定のもとに免許がおりているわけですね。この今の教程、カリキュラムでそういうことは防げないのか。今のカリキュラムをやっていればいいんだと思っているのか、いや、こういう傾向があるならこの教習カリキュラム全体をもう一遍見直してみよう、こういう気があるかどうか、お答えいただきたいと思います
  109. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  ことしに入りましてから死亡事故が非常にふえておりますが、その理由の一つに、若者の死亡事故がことしになって急にふえているという事情がございます。特に一件で二人以上の死者を出すというような形態の事故がふえております。  また、その若者、十代の若者でございますが、この人たちの教習所での成績を見てみますと、非常に優秀な教習生でございまして、最短コース、二十七時限で卒業しているという方が多いわけでございます。極端な例を一例申し上げますと、ことしの一月十九日に兵庫県下で発生しました交通事故でございますが、高校生、十八歳でございます。一月七日に免許を取得いたしまして、一月十九日の夜間にお母さんの車を借り出しまして、同級生五人と一緒にドライブに出かけまして、スピードを出し過ぎて有料道路からはみ出し、下に転落いたしまして四人が死亡したという事故がございます。この高校生も二十七時限で教習課程を終わっている人でございました。ということで、今の教習所のカリキュラムが現在の車の性能でございますとかAT車の普及ぶりでございますとか、その他いろいろの客観的情勢から考えまして適当であるかどうか、もう一度検討する必要があると考えております。  従来からいろいろ工夫をしてまいったわけでございます。しかしながら、特に必要と考えられますのは、危険予知についての教育でございますとか危険回避の手法についての教習、さらにパニックに陥った際の行動の要領、こういったことはぜひ教習課程で身につけておいていただく必要があるのではないかということで、今専門家の方々にも御相談しながら、教習課程の見直しを前提といたしまして、いろいろと研究をしている段階でございます。
  110. 和田一仁

    ○和田(一)委員 いつお決めになった教則本というかカリキュラムで現在やっているかよくわかりませんけれども、今の御答弁で問題点が指摘されたと思うのですね。  私は、昔のダブルクラッチを踏まなければギアのチェンジができないような時代の教則のまま来ているんじゃないかな、こんな感じがします。もう今は非常に性能はよくなっているし、馬力は大きくなっているし、まあ成績のいいのが事故を起こしたとおっしゃったけれども、今の若者は車を転がす技術などというのは免許証を取りに行くころには大体もうわきまえているんですね。どこで練習するか知らないけれども、とにかくもう車は運転できるのですよ。だから、こうやれば動くんだという教則ではなくて、車の運転はできることを前提にして、危険なときはどうするんだとか、そういうことをしっかり身につける教則をつくってもらいたい。  早い話が、今はとんとパワーブレーキ、パワーハンドルですよ。エンジンがとまらないものと思い込んでいる。そして、軽く踏めばブレーキはぎゅうっときくけれども、エンストを起こしたときのパワーブレーキというのはどんなにすさまじいものか。全然きかないのです。ハンドルを切りつつ、カーブしながらエンストを起こしたらハンドルというのはこんなに重たいものかということをどこかで経験させなければ、そういうときにパニックを起こすのです。何をやっていいかわからなくなっちゃう。  それからもう一つは飛び出し事故で、普通に走っていても生活道路はどんなことが起きるかわからない。そういう道路状況が悪いところで飛び出されたときに本気でブレーキが踏めるかどうか、こういうことは教則にはないのですね。附則か何かで特別にやっているだけで、原則としてやっていないのです。ダミーをぽんと飛び出させて急ブレーキを踏ましたら、免許証を持っている人でも大概ひいちゃうんです。そうでなしに、車はぶっ壊してでも人はひかないんだというぐらい思い切って急ブレーキが踏める、そういう体験を身につけておくと、飛び出したときはおっかないんだということが自然と身につくんですね。  それから、いわゆるコントロールがなくなったときの状態というのはどういうのかわからない。高速道路がどんどん発達して、雨の中でも高速で走っている。ここで一遍スピンを起こしたらどんな状態になるか、ハイドロプレーンというものはどんなにすさまじいものか。こういうことは体験して初めてわかるのですが、その体験が全然ないままに免許証をもらって、性能のいい車に乗って、さあカーブへ入った、いつしりが滑り出すかわからない。そんな経験したことないから、百キロでも平気で急カーブ切る、それでスピンが入っちゃう。これは雨が降ってなくたって、タイヤの路面のグリップの限度というのがどういうところで越すんだということを体験していればわかるんですよ。その体験の教習が全然ない。  そういう意味で、そういう場所や設備をつくるのはなかなか大変かもしれませんけれども、簡単な、ダミーが飛び出して急ブレーキを踏ませるとかいうようなことはやれるんですから、こういうことからぜひ身につけさせていただきたい、私はこういう気がしてなりません。ぜひひとつそういう方向で御指導を賜りたいな、こういうふうに思うわけでございます。  それからもう一つ、最近AT車がふえてきて、限定免許が取れるようになりました。同じことなんですけれども。これはカリキュラムを、AT車は普通のマニュアル車と違うのでまず構造をしっかりわきまえてもらうことが大事ですが、なぜああいう免許を特別につくるのかの議論をしたときに、AT車の事故が非常に単純なミスで起きる、つまりブレーキとアクセルの踏み間違えだ。ブレーキを踏むところをアクセルを踏み込むとあの車はエンストもせずにすっ飛んでいっちゃうんですよ、ギアチェンジがないんですから。そういう意味では、そういう構造を知ると同時に、もうきちっと教えているでしょうけれども、ブレーキを踏みながらエンジンをかけるということから始まるのですが、問題はブレーキを踏むところなんですよね。世界じゅうの自動車の構造は右足でアクセルを踏む、そして今までの教習は全部右足でブレーキを踏ませていた。これを、アクセルは右足だけれどもブレーキは左足だと初めから教える。踏み間違えは絶対起きないです。それは構造上そうなってないんだというならば、自動車メーカーに交渉して、ブレーキペダルを左足を軸に踏めるような位置に少し動かしてもらう。そして両足でも踏めるように、右足も緊急のときには踏めるように、しかしふだんは左足で踏む、これを教えれば、一番初めからこれを身につければ、ほかの車を運転する必要のない免許証なんですから、踏み間違えの心配はまずないです。このことをお考えいただいて今の教習が決まったのか、そんなことは全然念頭になかったのか。専門家の、F1を運転するようなドライバーなんかの意見を聞いたかどうか。その辺、今のままでいいかどうかも含めてお答えいただければありがたいと思います。
  111. 関根謙一

    ○関根政府委員 現在は、AT車のブレーキをどちらの足で踏むかという点につきましては、いわばパニックに陥った場合にとっさにどっちの足が出るかということも考慮しながら判断をされているように聞いております。しかしながら、先生の御提案もございますので、もう一度専門家の方々に伺ってみたいと考えます。
  112. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ぜひひとつ、これは私だけの特別の運転法ではない。現にAT車を長年運転している人あるいはプロのドライバーで、その方がはるかに安全だ、アクセルを踏んで足を離してブレーキを踏むよりは、左足が初めからブレーキの用意をしている方が何分の一秒か早いんだ、その何分の一秒かが命を失うか何かにつながるんだというぐらいに言われておりまして、ぜひ検討していただきたい、こんなふうに思います。  お忙しいところを済みません、もう時間がなくなりました。もうこれで私はやめなきゃいけないのですが、申し上げましたように、そういう施設についてはやはり設備のお金もかかりますのですが、そういう意味では行政が少し考えて、そういうことがどうしても必要だとあらば、そういう施設に対して何か特典を考えるということも含めて対処していただかなければいけない上私は思うのですね。  公安委員長、せっかくおいででございます。安全というものは何にも増して大切だ、毎年毎年一万人以上の死者を出すような交通事故を何としても減らしたい、これはこの委員会全体の切なる願いでございますが、安全というものは非常にコストの高いものだ。安全であればばかばかしいと思うが、一たん事故を起こしたことを考えれば、このコストというものはあらかじめ覚悟をして負担しなければいけないものだ、私はこう思っております。公安委員長、ぜひそういう意味で全国の安全のためにお力をいただきたい。  最後に一つだけ。公安委員会が駐車違反を決める場合に、片側二車線までなく一車線半ぐらいの道路、よくあるのですが、ここは、見てますと、すり抜けられる余裕があるとみんな駐車しちゃうのですね。ところがある道路で、こういう道路を見たのですよ。そこの公安委員会は、車は道路の一番左端を通るように、そして少しゆとりのある部分を両方から割いて、真ん中にゼブラゾーンをつくった。そうすると、左へもしどうしてもとめなければならない人がとめても、そのゼブラゾーンを注意しながら行けば渋滞せずに行くのですね、真ん中が少しあくものですから、ゼブラゾーンで。そのかわり自分は流れの真ん中へとめているということがわかるから、やはりとめにくい。両方の道路の真ん中へ駐車するわけにいかないから、非常にその道は流れがいいのです。最高裁と国立劇場の裏の道、さっきもどなたか言った道かなと思うのですが、あの道はまさに両側駐車。真ん中を一台が辛うじて向こう側へこうやりながら通っていく。あの道なども真ん中をゼブラゾーンにしちゃって、そして両側を主に通す道にする。真ん中に駐停車禁止のゼブラゾーンを入れると、これはとめられなくなっちゃうという思いがするのですが、そういう小さな工夫も凝らしてやっていただきたい。そういうものは、全国やれば金がかかる、安全装置も金がかかる。私は、安全にはコストがかかる、こう思っていますが、いかがでしょうか。
  113. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 まず最初の、交通事故死一万人を割れということでございますが、確かに第五次五カ年計画の最終目標の平成七年には事故死一万人を割る、そのようなつもりで鋭意努めておるところでございまして、要するに安全を守るためには施設も大事でございますし、取り締まりも大事でございますし、より以上に安全交通の教育が問題だと思っておりまして、その三者を組み合わせて、これから一層の努力をしてまいりたいと思っております。  それから、今御提案がございましたのはたしか隼町、あの通りでしょうね、あそこでしょうね。そういういろんなことを実験的にやってみたらいいと思います。ただ頭の中で考えるのじゃなくて、やってみればその反応が何か出てくる。それをまたとらえて、さらに研さんを重ねていくということが必要だろうと思いますので、一つのいただいたアイデアとして下の担当の者におろしていきますので、検討させます。
  114. 和田一仁

    ○和田(一)委員 終わります。
  115. 竹内勝彦

    竹内委員長 以上で和田一仁君の質疑は終了いたしました。  次に、辻第一君。
  116. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、きょうは空の問題、航空管制の問題でお尋ねをいたします。  第六次空港整備五カ年計画は第五次空港整備五カ年計画の一・六六倍の大規模計画とされ、成田空港二期工事、羽田空港沖合展開、関西新空港開港に全力を挙げるとともに、大館能代空港、新北九州空港の着工、静岡、琵琶湖、神戸、石垣などの新規空港計画、地方空港のジェット化を一層推進する計画など、総額三兆一千九百億の事業が盛り込まれておる、このように認識をいたしておりますが、そのとおりでしょうか。
  117. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 このたび、昨年の十一月に第六次空港整備五カ年計画を閣議決定をいただきまして、ただいま先生指摘のとおり、いわゆる三大プロジェクトの最優先課題、それから地方空港の整備をあわせて積極的にやるということで、三兆一千九百億の規模でスタートさせていただきました。
  118. 辻第一

    ○辻(第)委員 航空需要の伸びは、国際旅客で見ますと、二〇〇〇年には八八年の一・七八倍から二・一三倍、国内旅客では一・八九倍から二・一三倍、運政審の答申でこのように予測をされ、成田、羽田、関西の三大プロジェクトができ上がると、羽田では現在の一日五百六十回、年間十九万回の離着陸が、一日六百三十回、年間二十三万回、また成田では年間十二万回が二十二万回へと大幅にふえる見通し、このように聞いています。  また、運輸省は、こうした新しい航空交通の安全対策として、管制処理能力の向上を図るために、航空交通流管理センター、システム開発評価センター、関西広域レーダー進入管制所、洋上航空路監視レーダー、エプロン管理システム等の整備を進めておられる、このように聞いているわけでございます。  ところで、これらの計画を予定どおり推進するためには、さまざまな問題の解決が必要だと思います。その何点か、航空管制官の養成と確保の問題、航空管制官の労働条件の改善の問題、また米軍や自衛隊の空域の再編の問題、こういう問題についてお尋ねをしたいと思います。  さて、昨年の五月に仙台空港で空港に進入中の民間機と小型機が、また昨年三月と六月には羽田空港で離陸滑走中の航空機の前方を横切る、こういう事例もありました。いずれも管制ミスでないことは明らかであります。また、運輸省の全運輸省労働組合が「第十二回ニアミスアンケートの調査結果」というのを発表されました。これでございます。御存じだと思うのです。このニアミスということについてはいろいろ定義があるようでございますが、管制官が管制間隔に関して、これは大変だと感じた異常な状況、もっと平たく言えば冷やっとした、こういう状況、こういうものをニアミス等ということで調査をされたということでございまして、千三百八人の管制官から回答が寄せられて、過去一年間に二四・六%の管制官が先ほどのような状況を経験された。四人に一人が冷やっとする経験を持たれたということであります。また、所沢の東京管制部では何と三七・二%が同様の経験をしておられる。空の安全にとってはまことに憂慮すべき事態が続いているというふうに考えるのですが、こうした状況をどのように運輸省は受けとめておられるのか、お尋ねします。
  119. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいまの御指摘の中で、いわゆるニアミス問題でございます。  航空法上、機長の報告義務があるニアミスというのがございますが、今先生が御指摘の点は、航空交通が非常にふくそう化しておりまして、管制官が管制間隔に関しまして、今大変だなというふうな御指摘をいただいたわけでございますけれども、そういう状況が幾つか出ておるのもそのとおりでございます。ただ、その状況が直ちに大きな問題になるというふうには考えておりません。しかし、今の御指摘の点におきましては、運輸省としても従来から積極的な、ニアミス防止という立場からこういったいろいろな保安施設の整備を図っていきまして、こういう間隔が将来の事故につながらないよう十分気をつけてまいりたい、このように考えております。
  120. 辻第一

    ○辻(第)委員 しかし、やはり非常に重大な事態という認識を持つわけでございます。  そこで次に、航空管制官の養成の仕組みはどのようになっているのか、お伺いいたします。
  121. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 御指摘の航空管制官の養成でございますが、二つございまして、運輸省の航空保安大学校におきまして、大卒程度の研修生、それから高卒相当の学生、この二種類を採用いたしておりまして、研修生につきましては六カ月、学生につきましては二年間の教育訓練を経まして現場の官署に配置いたしております。現場の官署に配置された後は現場で訓練するわけでございますが、これで必要な資格を取っていただきますが、空港官署のふくそうする交通量によっていろいろ異なってきておりますけれども、おおむね二年半ぐらいで実地経験をやっていただいて一人前の管制官に育っていく、このように考えております。
  122. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうなりますと、二つのタイプがあるようでありますが一学生さんから行かれる方ですと最低五年近くかかるのではないかと思います。そういうようなことで、管制官の養成、確保という点は一定のスタンスの計画が必要ではないか、そういうような内容だと思うのです。  関西新空港がスタートするときには三百人程度の管制保安要員、そのうち管制官は百人程度が必要と聞いています。このほか、今後、成田でも羽田でも管制官の増員が非常に重要だと思います。仕事の量が大幅にふえる。三大プロジェクトができ上がると、先ほども申しましたが、羽田では現在一日五百六十回の離着陸が六百三十回になる、成田では年間十二万回が二十二万回と大幅にふえる、こういうことです。一方、だんだん定年退職と申しましょうか、退職される方もかなり出てくるのではないか。それから、時短が今大きな問題になってまいりました。週休二日制、労働時間の短縮も非常に大事な問題だと思います。  そこで、今は航空保安大学校で最大限百十人の養成というふうに聞いているのですが、これで今後増大する管制官の需要を本当に満たし切れるのか、こういう懸念を私は持つわけでございますが、現在の養成の状況はどうなのか。それから、管制官の養成、確保について、平成五年度、平成六年度など今後数年間の計画と見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  123. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今御指摘のとおり、三プロの整備に伴って管制官の数の確保が大変大きな課題でございます。当面、平成四年度予算案でございますが、関西新空港が二年半後の平成六年夏の開業を考えておりまして、そのための準備要員として二十九名、それから成田空港の管制官についても来年度二十名の新規増員が認められました。私ども、今後の増員の確保につきましては、関係省庁と十分調整しながら、必要人数の確保について平成五年度以降も引き続き努力してまいりたいと思っております。
  124. 辻第一

    ○辻(第)委員 正直言いまして、大体それで局長が願っておられるだけの分は認められているんですか。
  125. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 来年度につきましては、準備要員ということで、これで何とか対応できると思いますが、平成五年度以降の数字につきましては、定員確保の問題も大変各省庁大きな課題でございます。私ども、やはり空の安全の立場から、必要な要員の確保に全力を挙げさせていただこうと思っております。
  126. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十二分の対応をしていただきたいとお願いをいたします。  航空管制官の皆さんは、マイクを持っての仕事が一日六時間と聞いております。二時間マイクを持って十分から十五分の休憩がある、そして四交代制、五日サイクルで仕事が続くということですね。ですから、夜勤明けは別にして、連続して二日の休みはとれない、そういう仕組みといいましょうかそういう職場だ。通常の管制官の労働時間は週四十時間でございますので、計算をしてみますと、年間五十二週として二千八十時間になります。年休は大体一定の年限がたちますと二十日あるようでございますが、現実平均十一・六日しかとれていないというのが、これは全運輸省労働組合の調べでございますが、実態のようであります。そうなりますと、実際の労働時間は年間二千時間弱ということになりますね。今政府が打ち出しておられる年間千八百時間、これとはかなりの隔たりがございます。  そういう状況の中で、この管制官の方の仕事は大変なんですね。ほかにもいろいろ、私は看護婦さんの問題を近くやるので勉強しているんですけれども、皆それぞれ大変なんですが、管制官の皆さんも、子供が入学してから卒業するまでの六年間に子供の運動会に出られたのは一回だけや、こういうことも承るのですね。交通機関の安全の業務に携わる方の宿命として、正月や夏休みなどは一層忙しい、お休みがとれない、こういう状況であります。私もこの交通安全対策特別委員会関係で、管制室というんですか、何カ所か見せていただいた。羽田は二度か三度見せていただいたんですけれども、大変な仕事ですね。本当にこれは大変な仕事だな、絶対間違いが許されぬわけですね。本当にすごい集中力が必要ということであります。  そこで、こういうものもあるのですね。労働科学研究所というところで調査されたようでありますが、航空機との交信時間が管制官の業務時間の四割を超すと心拍数と血圧が上がり、六割を超すと他のことを考える余裕がゼロに近づく、こういうデータもあるわけでございます。それで、一九八四年ですけれども羽田で調査をされたところ、最高交信時間率が九〇%、こんな方もおられたということでございます、最近もやはり相当の交信時間だと思うのですけれども。  そういう中で、いろいろな状況も含めて、四交代で夜も多いとか、ストレスの多いお仕事だな、大変なお仕事だなというふうに思います。総務庁からは、運輸省も言っておられるでしょうけれども、年休はとってくださいよということになっても、実際はなかなかとりにくい、そういう職場の体制だと思うのですね。羽田で一日五百六十回が六百二十回にふえるとか、今週休二日制というのがどんどん施行されてきているのですが、あるいは女性の管制官もふえられて産休でございますとか育児休業、そういうことも当然出てまいります。こういうことを見てまいりますと、仕事量の増大に見合う増員のほかに、交代要員として別途に一定の人手を確保する必要があるのではないか、このように考えるのですが、こうした代替要員としての別途の一定数の要員確保について運輸省はどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。
  127. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 先生、現場を御視察いただきまして、管制官に対する非常に温かい思いやりをいただきまして、大変感謝をいたしております。  私ども、航空交通量の多い官署でございますが、管制官につきましては、例えば副主任の配置をやっております。それから、レーダー担当管制官の業務を支援するために、担当区域内の航空交通流の把握をしつつ関係機関と調整してまいるいわゆるレーダー調整席というのをつくっておりまして、こういった管制官も配置いたしまして、とにかく安全の確保に落ち度のないように全力を挙げております。今後航空交通量がふえてまいりますし、時間の短縮問題もございます。いずれにしても定員確保の問題は大変でございますけれども、安全の確保は一番大事でございますので、引き続き努力をしていきたい、このように考えております。
  128. 辻第一

    ○辻(第)委員 端的に申しますが、ダブルウォッチ体制とかいうのがあるようでございます。これについて私はぜひやっていただきたいな、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  129. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいまちょっと附属で申し上げたわけでございますが、いわゆるダブルウォッチ体制という立場から、航空交通量の多い官署には副主任を配置いたしておりますし、それからレーダー調整席という格好での助言をする管制官をダブルウォッチをさせておる、こんな状態でございます。
  130. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ運輸省としては御尽力いただいておるようでございますが、さらに管制体制の充実、安全の確保、それから労働条件の改善、そしてそのためには管制官の増員確保が重要な課題であるというふうに思いますので、一層の御対応をいただきたい。お願いをして、次に移ります。  次に、空域の問題でお尋ねをしたいと思います。  第六次空港整備五カ年計画が進み、航空需要の伸びが進みますと、先ほど来申しておりますように、国際旅客は二〇〇〇年には平均しますと八八年の約二倍になりますね。国内旅客でも約二倍。これは運政審の答申の予測でございます。さらに、三大プロジェクトが完成いたしますと空域の再編が避けられないという状況だと思います。殊に米軍の横田基地、自衛隊の百里基地、それから成田空港、羽田空港のまさに錯綜する関東上空は関東複雑空域、このように呼ばれているようでございます。第六次空港整備五カ年計画の中でも、静岡空港の計画には自衛隊の空域との調整が避けられない、このようにも認識をいたしております。それで、今後の我が国の航空政策の発展のために、世界情勢の変化、米ソ関係の変化や世界的軍縮の機運など国際情勢の変化を考慮し、これまでの米軍や自衛隊の空域の削減、現行空域の思い切った見直しと再編が必要だ、このように考えております。  そういう状況の中で、空域の調整をめぐる米軍、自衛隊とのこれまでの折衝の内容といいますか経過といいましょうか、そういうものについて簡単にお答えをいただけたらと思います。
  131. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 これからの民間航空の発展に伴いまして、諸種の自衛隊あるいは米軍の空域との調整が必要になってまいります。  今御指摘のまず米軍との空域調整でございますが、特に最近の大きな課題でございますいわゆる横田空域でございますが、先般二月に在日米軍との確認ができまして、所要の手続を経て、六月には削減した格好で運用できるようになりまして、大変感謝いたしております。  また、自衛隊につきましては、空域調整で日本と中国あるいは日本と韓国との経路短縮を図るために、九州の西側に設定されております自衛隊の訓練空域の一部につきまして時間で分割する方式を御了解いただきまして、現在そういう方式で運用いたしております。  今後とも引き続きそういう方向で、必要な段階で随時協議してまいりたいと考えております。
  132. 辻第一

    ○辻(第)委員 それで結構なのですが、私はもうちょっと過去形の折衝の内容や経過という意味だったのですが、それは結構です。  私も一九八五年の四月に運輸委員会で当時の西村航空局長に横田空域の削減というのですか、そういう問題でお尋ねをしたら、横田空域の削減が必要です、こういうふうにお答えになりました。米軍と折衝していく、こういうふうにも答えていただいたわけでありますが、そのとき私は松山空港と米軍岩国基地との関係の問題もお尋ねをしたわけでございます。今局長からお話がありましたように、一昨日の朝日の一面にそのことが載っておりまして、あっと私も驚くといいましょうか一定の感慨があったわけでありますが、米軍が横田空域を一部削減をする、返還をする、こういうことでございます。これはやはり画期的なこと、全部なくしてもらわなければいかぬわけですが、一部の削減で画期的だと言うとちょっとまた語弊もあるのですが、まあしかしこれまでは羽田、それから米軍、それから東京ですか、何回も管制を切りかえなければいかぬという、とにかく羽田から出る飛行機は大体全部米軍の空域を通らないと出られないということだったようでありますが、それがまず米軍の空域を通らずに行ける。これは地上にとっても機上にとっても安全上にとっても非常に大きな出来事だなというふうにも認識しておるわけでございます。  そういう中で、去年の六月三日の運政審答申の「幹線旅客交通システムの構築の基本的方向について」の中でも、「関東や関西空域をはじめとする航空交通の集中する特定の空域や主要な航空路等においては、航空交通量が著しく増加することが予想され、空域容量が不足する恐れがある。また、今後の新空港の整備についても、空域面での制約により、空港機能影響を及ぼすことが懸念される。 そのため、関係機関とも協議をしつつ、効率的な空域利用に向けての調整、空域の再編成等を進めることにより民間航空に必要な空域を確保し、増大する需要に対応する」、こういうふうに指摘をされております。  また、運輸省の中村事務次官は昨年十一月二十八日に、第六次空港整備五カ年計画に総合的な調査が盛り込まれた首都圏第三空港について、「横田が使えるのなら大変結構だ。そう希望したい」、こういうふうに述べられたと新聞の報道にありました。  そこで、横田基地を民間空港化し、首都圏第三空港の話がありますが、運輸省はどう考えておられるのか。時間がありませんので一緒に、関東空域の抜本的な見直しについてどのようにお考えになっているのか。これは横田基地、百里基地との関連であります。それから、全国的に米軍及び自衛隊の訓練空域の変更について、その見通しについてどのようにお考えになっているのか。それから、横田は一部返還をされた、大きな成果があったわけでありますが、岩国はどうなのか。それから、さらに言えば沖縄の嘉手納についてはどうなのか、お伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  133. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 まず、御指摘の第一点の首都圏の空港に関連する横田基地返還の問題ですが、私どもは、二十一世紀初頭におきまして、羽田が将来沖合展開で完成いたしましても近い機会にパンクするという予想を立てておりますものですから、今から本格的な調査を行いたいと思っておりまして、平成三年度からスタートしております。これは既存空港の活用も含めて勉強したいと思っております。ただ、横田基地の活用問題につきましては、現に米軍がお使いになっているわけでございますので、直ちに運輸省がこの問題について言及するのはいかがか、このように考えておるわけでございます。  それから、空域の再編で、特に関東空域については先生指摘のとおりでございまして、私どもは将来の航空交通容量に対して一生懸命部内作業をやっておりまして、必要な調整は今後積極的にやっていきたい。今般の横田空域の削減もその一環でございます。  それから、御指摘の岩国関係でございますが、将来、例えば島根県に新しい空港を建設中でございますので、これを運用するためには一部岩国の空域の削減もお願いしたいと思っておりまして、具体的に勉強いたしております。近い機会に恐らく具体化される、このように考えておるわけでございます。  それから、嘉手納については今すぐはなかなか難しいのではないかな、こう思っております。  それから、全国にある米軍あるいは自衛隊の問題でございますが、例えばシベリア上空が今一つの大きなメーンのルートになりますので、日本海における防衛庁の訓練空域との調整問題など、近い将来は調整が必要になるのではないかなというふうに考えておるところでございます。
  134. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど来いろいろとお尋ねをいたしましたが、最後に運輸大臣にお尋ねをいたします。  この空域の再編に運輸省としては大変御努力をいただいて、成果も上がっているという状況でございますが、さらに空の交通安全を何としても守るために重要な課題だと思うのですが、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  135. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先ほどから先生の御質疑を通じて大変感銘を受けておったわけでありますけれども、一九八五年、現在羽田沖合展開の工事を進めておりますけれども、横田の空域開放ということについて最初の御指摘があったようでございます。それから九六年を経過してようやく、私らにとってみれば画期的という言葉で表現いたしたいわけですが、そういった形の交渉が成功いたしました。恐らく六月ごろから新たな形の開放された空域で、将来の羽田沖合展開の結果、ようやく増便にたえ得る体制、こういうことができるようになったと喜んでおります。  なお、自衛隊なり米軍と今後の交通需要の増大に絡みまして対応していかなければならぬことがまだいっぱいあるわけですが、先生の御質疑の中で管制官に対する温かい御配意を聞いておりまして、全くそうだな、一番ストレスの多い神経を使う業務に携わっておられる方々の今後の増員対策、それに時短に伴う代替、休養という形を考えていくときに、今の増員体制で果たして十分可能なのかどうかということもあわせて今後の大事な課題として検討してまいりたいと思っております。
  136. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうもありがとうございました。
  137. 片岡武司

    ○片岡委員長代理 次に、前田正君。
  138. 前田正

    ○前田(正)委員 自由民主党を代表して、最後に質問をさせていただきたいと思います。  我が国の交通事故は、今国の各省庁を挙げて安全対策、そしてまた地域は地域あるいはまた職域は職域あるいはまた家庭においての安全運動に取り組んでおられる方々の大変な努力によって順調に減少してまいったのであります。しかし、自動車の交通量の増大により数年前から再び増加をし始め、交通事故の死亡者は三年連続して一万人を超えてしまうというふうな状況であります。  そこで、平成三年中の交通事故の発生状況並びにまた死亡事故の特徴について調べてみましたら、まず、シートベルトの着用率の年々の低下に伴って、シートベルトの非着用、すなわちシートベルトをしていない人の死亡者数というものが増加しているということであります。その事故の中には、当然シートベルトを着用しておれば助かったのにというふうなものが必ずあるはずであります。  そこで、シートベルトの着用は、昭和六十二年だったと思いますが、法律で義務づけられているわけでありますが、実際の着用率はどれくらいか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  139. 賀来敏

    ○賀来政府委員 お答えいたします。  いわゆるシートベルトの着用率でございますが、警察官が交通安全運動の際に把握しているシートベルトの着用率と、もう一つは民間のJAIFがここ二年ほど把握しておる数字と若干異なるかと思います。それで、シートベルトの着用について警察官が把握しておる着用率はまた警察庁から報告があろうかと思いますが、民間のJAFが把握した最新の数字は、全国平均五五・五%というような数字にまで平成三年は落ちておるということで、平成二年と比べましてもやはり落ちておる、六一・六%から五五・五%まで落ちておる。警察官が交通安全運動の際等に把握した数字はもう少し高レベルですが、これは制服の影響がと思いますが、実態はそういう状況でございます。
  140. 前田正

    ○前田(正)委員 警察庁として、シートベルトの完全着用により全国でどれぐらい事故による死者が救えると考えられておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  141. 太田利邦

    ○太田説明員 平成三年中の自動車乗車中の死者数は四千六百七十五人でありまして、その死亡者のうちシートベルトをしていなかった者が三千五百七十七人、約七七%になります。問題は、このお亡くなりになられた三千五百七十七人のシートベルトを着用しておられなかった方のうち、もしシートベルトを着用していたら助かったのではないかと思われる率がどれくらいかということですが、これはなかなか、実ははっきりしたことは申し上げられないのですが、私ども現場で事故処理に当たります警察官が、車の破損状況とかあるいは事故の形態とかあるいは乗員の被害程度、衝突時のスピード等を勘案しまして、経験則的に多分この人がシートベルトを着用していたならば助かったであろうという数字を警察庁で集めておるのですが、それによりますと約千四百三十一という数字が各県から報告がありまして、要するにシートベルトを着用していなくて死なれた方がもし着用していたならば、そのうちの四〇%が助かったのではないかというふうに考えられます。
  142. 前田正

    ○前田(正)委員 昨年のシートベルトを着用しておらない者に対する取り締まり状況というものは一体どうなっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  143. 太田利邦

    ○太田説明員 平成三年中にシートベルトの装着義務違反で取り締まりました件数は、百三十六万七千九百五十六件であります。前年に比べまして三十八万九千八百二十一件、三九・九%の増加となっております。  法制化された以降の取り締まりの件数の傾向を見ますと、総件数で昭和六十二年に比べて平成三年は約二倍、高速道路だけでも約五倍というふうに取り締まりの数は増加いたしております。
  144. 前田正

    ○前田(正)委員 シートベルトですが、私も運転免許証を持っており、運転をするわけであります。しかし、なかなか自分でも、頭の中ではシートベルトをつけなければならぬということはよくわかっておるのですが、近くまでということになりますとシートベルトをついつい忘れるといいますかしなくてもいいだろうというふうなことをよくやるわけであります。  しかしながらこのシートベルトは、先ほどいろいろ聞いてみますと、事故に対する安全性というものが高く評価をされているわけでありますけれども、例えば私は以前ちょっとハワイヘ旅行したときに、あれは多分国産車であったと思いますが、ハワイのトヨタの車の運転席のドアの上のところに、乗ってドアを閉めると勝手にベルトがずっと走って体に巻きつくというふうなシステムがあって、私はこれはいいなと感じたことがあります。さすれば、乗れば必ず勝手にシートベルトが巻きつくわけでありますから、全然意識しなくてもそのままできるというふうな方法もできますし、またあるいはシートベルトをしなければエンジンがかからないとか、今のあのすばらしい自動車をつくる日本の技術であれば、そのシートベルトが義務づけられておる以上、そういう装備というものも私は十二分に考えられると思うのです。そういうふうなことから、シートベルトの着用の促進のために国としてどのような方策を考えているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  145. 賀来敏

    ○賀来政府委員 御指摘のように、シートベルトが大変重要なものであるということは多くの国民の皆様方に御理解をいただいておるところでございます。しかしながら、シートベルトが交通事故の被害軽減に役に立っているという一般的な知識を持っているということと、自分が自分のためにあるいは家族のために、また相手のためにもシートベルトを確実に着用するということはどうも直結しないようでございます。面倒くさいであるとか、ほんの近くだからいいだろうというようなことがドライバーあるいは乗務する人の心理にあるように思われます。しかしながら、シートベルトというのは、たとえ近くに行ってもあるいはまたスピードが七キロぐらいのほんののろのろしたような状況でも、一たん衝突いたしますと、自分の体の重さというのを七キロぐらいのスピードでも食いとめることが人間はできないという一つの物理的な限界がございます。したがいまして、一人一人の方がシートベルトをする。しなければならないという結論だけを理解するだけではなくて、何のためにシートベルトをするのか、シートベルトをしなければならない本質というものを小さいときから自然にはぐくんでいくということが必要なのじゃないだろうか。若者に急にシートベルトをしなさいと言うのではなくて、小さいときにお母さんがチャイルドシートを使っていくような生活様式をとっていく、もちろんみずからもシートベルトをするというような、国民一人一人が正しい知識を身につけ、そしてそれを実行していくという教育の基本のようなことを丁寧にやっていかないとなかなか難しいのじゃないかというように感じております。それで、まず家庭から、あるいは学校、学校以前のもうちょっと小さい段階、あるいは地域、あるいは職域、そういうようなところから草の根的にやっていかなければならぬ。  シートベルトも、全国着用率は五五%という、これが高いか低いかということでありますが、私の出身県である関西の某県ですと四〇%ぐらいでございますし、あるいは京都、大阪ですと三〇%ぐらいということで、七〇%を超えているような県もあれば三〇%ぐらいの県もある。地域差もありますし男女差もございます。そういうような意味で、意識を高めるためにもう少し科学的にあるいはまた制度的に見直していく必要があるということで、上から押しつけるというようなやり方ではこれは限界がある。そういう意味で、官民一体となった対応が必要である。もちろん警察での現場の指導取り締まりも最も有効な手段であろうと思います。  そういう意味で、総務庁といたしまして、警察庁とかあるいは運輸省その他関係省庁、さらにシートベルトに関係するような自動車の販売店あるいはメーカー、いろいろなところに、キャンペーンをやるような団体にも呼びかけまして協議会を設けて、一回ぽっきりではなくて、今後自主的にシートベルトの着用が進むようなキャンペーンをどういうように持っていったらいいかということで、政府としてももっと切り口の違うようなキャンペーンを進めるべく研究いたしております。例えば、近く行われます春の交通安全運動でございますと、今ポスターを作成しておりますが、若い方に理解をいただくためにF1のスターであった方などに全面的な協力をしていただき、若い人に関心を持ってもらえるように、またなぜそういうものが必要なのかというような関心を持ってもらえるような切り口で、関係の方々の御理解をいただき、また、マスコミあるいはまたもろもろの協力をいただくようにしておりますが、いずれにいたしましても、なぜシートベルトが必要なのか、警察が取り締まるから必要というのでなくて、みずからのために必要だというような形の取り組みをぜひとも一生懸命やってまいりたいと思いますので、よろしく御支援のほどをお願いいたします。
  146. 前田正

    ○前田(正)委員 いろいろお話を聞きましたけれども、これは運転手の自覚、モラルの問題という大変難しい問題であろうと思いますが、そういった意味で、できれば自動車メーカーと一遍よく検討してもらって、シートベルトが自動的にまつわりつくようなものができれば非常にいいなと私も思っておりますので、ぜひまた検討いただきたいと思います。  次に、先ほどもお話が出ておりました青少年の自動車乗車中の死者が非常に増加しておるということであります。一昨年、初心運転者期間制度というものが施行され、今日一年以上がたつわけでありますけれども、現在の実施状況及び効果について一遍お尋ねをいたしたいと思います。
  147. 太田利邦

    ○太田説明員 運転免許取得後一年間をいわゆる初心運転者期間と言っておりますが、これが施行になりました平成二年の九月それから十月、この二カ月間に新規に運転免許を取得した三十八万人について、この初心運転者期間をどのような状態で経過したかという調査をいたした結果があります。それによりますと、初心運転者講習の受講対象となった者、要するにこの初心運転者期間中に一定の違反を行った者、これが全体の三十八万人のうちの七・四%でありました。それでさらに、受講しなかった音あるいは受講後にさらに一定の違反を行った者、これは再試験の対象となるわけですが、それが全体の一・二%でありました。その結果、再試験の不合格者、また既に免許を取り消された者が全体の〇・七%、約二千八百人ということになりました。  この効果でありますけれども、平成二年の九月、これが施行になりました九月に新規に免許を取得した者が一年間、平成三年八月までと、それからまだ施行していなかった平成元年の九月に新規に免許を取得した者が平成二年八月までにそれぞれ死亡事故をどの程度起こしたかあるいはその他の事故をどの程度起こしたかということをトレースして比較してみますと、死亡事故発生率では、新規に取得した者千人当たり〇・〇四ポイント法施行後減少いたしておりました。また、死亡事故以外のその他の事故率につきましても、新規取得者千人当たり〇・六七ポイントの減少を見ておりました。したがいまして、それなりの効果があったと考えておるわけでありまして、今後とも、正しい知識、技能の定着を図るための初心運転者講習の充実など、この制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
  148. 前田正

    ○前田(正)委員 それから、我が日本、我が国は今高齢化時代の到来と言われております。さらに年々御老人が非常に多くなる状況の中で、先ほどもいろいろ話が出ておりました高齢者の事故死者の増加について一体どのような政策を考えておるのか、再度お尋ねをいたしたいと思います。
  149. 賀来敏

    ○賀来政府委員 高齢者のいわゆる平均寿命がどんどんとさらに伸びておるということは御案内のとおりで、国勢調査の平成二年の数字でございますが、現在全国で六十五歳以上の方は一千四百八十八万人ということで、全人口の一二%という状況でございます。一方、一年後と申しますか昨年の高齢者の死亡事故は二千八百三十四人、これは全死亡事故の二五・五%、人口比の倍以上になっておる、ここに大きな深刻な問題がございます。  それで、高齢者の問題と申しますのは、従来は高齢者が町の中あるいは村もあれなんですが、歩いておられた方が一方的に車にはねられたということで、弱者が強者である車にはねられて気の毒だ、そういうのが今から二十年ほど前の典型的な傾向だったと思います。しかし、今や高齢者は一昔前よりもちろんお元気でございますので、元気に歩いておられる方もおられますし、自転車に乗られる方、バイクに乗られる方、中には少数ですが自動二輪に乗られる方、もちろん自動車を運転される方もどんどんふえております。今四十代の方々はほとんど免許を持っておられますから、四十、五十の方は十年後、二十年後にはオールドライバーでございますので、高齢者の交通事故の背景がどんどん年々変わっていくということでございます。  それで、政府といたしまして、昭和六十三年に高齢者の交通安全総合対策というものを樹立して、高齢者安全意識の醸成、あるいは高齢者に対する交通安全教育等の推進、道路交通環境の整備、高齢者にソフトなという意味でございます。しかし、高齢者の交通安全教育というのも、事故の形態がどんどん変わってきますと、専守防衛というものでなくて、みずからが活動する高齢者というような観点を徐々に加味していかなければならぬという状況でございます。したがいまして、今後の高齢化の進展あるいは高齢者事故の増加、また、今申し上げましたようにひたすらはねられるというものからドライバーとしての問題も出てきますので、高齢者の事故の質的変化というようなものを十分長期的な展望をしながら、ふえる交通事故、これから進展する高齢化社会という中で、高齢者政策の全体の中の体系づけというようなことを考えながらいろいろと対策を打っていかなければならぬ。そういう意味で、私ども関係省庁あるいは専門家の御意見を聞きながら、研究会を設けまして、その結果を見まして、予算とかあるいは施策、またキャンペーン、そういうようなものをおくれないように樹立してまいりたいと考えております。  以上でございます。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 前田正

    ○前田(正)委員 高齢化時代となり、特に最近、昨年から、きんざん、ぎんざん、百歳、百歳と言う方がおられますが、ああいった方々が町を多かれるにおいて、やはり大変に危険が多いというふうに思っておりますので、こういった対策を十二分に考えていただきたいと思います。  それから、交通事故は何の予告もなく発生をし、一瞬のうちに家庭の幸福を奪い、職場に大きな損害をもたらす非常に悲惨なものであります。真に効果的な交通事故防止対策を進めていくためにも交通事故分析が不可欠であります。それも人と車と道路といった観点からの総合的な事故分析を行うための機関として交通事故総合分析センターの設立を進めておられると聞いておりますけれども、具体的にいつごろ設立をされるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  151. 太田利邦

    ○太田説明員 いろいろ御支援をいただきまして、財団法人交通事故総合分析センターの設立準備室を中心に鋭意作業が進められてきたところでありますが、既に本年二月十日に設立発起人会が開催されまして、本日、警察庁運輸省及び建設省の所管する財団法人として設立の許可がなされました。近日中に設立登記がなされる予定と聞いております。また、事務所を錦糸町の近くに設けまして、三月九日には事務所を開けるということを聞いております。今後諸準備を整えまして、平成四年、本年の十月ごろにはマクロの調査分析業務の開始がなされる見通してありますし、平成五年四月ごろからはミクロの調査分析業務が開始される見通してあります。  以上であります。
  152. 前田正

    ○前田(正)委員 それから次は、駐車場の問題であります。  道路交通法及び自動車の保管場所に関する法律の一部が改正されまして、駐車問題に対する社会的取り組みが非常に活発になってきております。しかし、依然として駐車場の絶対数が不足していることも否定できないと思われるのであります。そのために、最近、駐車場料金が全国的な規模で非常に急騰し始めました。首都圏では前年より少ないところでも一〇%、多いところでは四〇%も急上昇しておりますし、私どもの選挙区内の近畿圏でも、少ないところで前年度よりも大体五%、多いところで二〇%、非常に上昇しております。これは需要と供給の関係であろうと思うのですけれども、国としても駐車場整備のために努力する必要があると思われますが、平成四年度の予算において駐車場整備のためにどのような対策を講じておられるのか、まずお尋ねいたします。
  153. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  私どもも駐車場整備には特に力を入れておりまして、いろいろな方策の組み合わせで平成四年度も臨もうと思っております。それは、まず何よりも建物の中に附置義務によって駐車場を確保していただくということで、これは三十二年に駐車場法ができまして以来、昨年も強化をしていただきました。それから、四十八年に有料融資事業で駐車場ができるようにいたしましたが、これもこの平成四年度において予算を大幅に確保するように努力しております。さらに、昭和六十年から道路開発資金の制度で、民間で駐車場を整備する際に低利融資ができるようにもいたしました。これも大幅に資金を確保するように平成四年度は考えております。さらに、昭和六十二年にはNTT・A型の資金であるとか民間都市開発推進機構による貸し付けといったようなものも導入いたしました。こういうものも全部平成四年度には強化いたしますが、何よりも特筆すべきことは、昨年、交通安全事業におきましていわゆる補助制度を認めていただきました。商業系の地域の共同駐車場への補助制度あるいは公営住宅の駐車場への補助制度も平成三年度に創設をお認めいただきました。こういうものを一層使って平成四年度実施していこうと思っております。  その予算的なものを申し上げますと、有料融資事業で二百六十億円、交通安全事業で百五十億円、道路開発資金で二百四十億円、合計六百五十億円で約一七%増でございますが、こういうものでやっていこうと思っております。ただ、これを漫然とするのではなくて、今まであったものは、駐車場案内システムの整備を一層推進するということで、過去の経験からこの案内システムを導入いたしますと二割ぐらい利用率が上がるということもわかっておりますので、これも平成四年度一層高めようと思っておりますし、駐車場整備に当たって民間の土地を買ってやることはなかなか不可能に近うございますので、道路とか公園の地下空間を使おうということで、この平成四年度には河川局と一緒になって私どもの中でこういう委員会をつくって、河川地下空間を活用した駐車場整備についてもあわせて探り、そしてもろもろのそういう公共空間を使ったものについて平成四年度一層努力してみたいと思っております。
  154. 前田正

    ○前田(正)委員 余り時間がないものですからなかなか質問ができないのですが、あと二点だけ一緒にまとめて最後に質問をいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。  今お聞きしまして、駐車場整備の中で民活を利用する施策というのは大変よいことだと思っておりますし、これらはぜひ推進をしていただきたいと思っております。  これは私どもの選挙区内で話があったのですが、最近は住専地域における駐車場建設ができるようになったことは大変に私も喜んでおるところであります。しかし、地域住民の全員の同意を得ることは非常に難しく、住んでいらっしゃる方の中には車を持っていらっしゃる方と持っていらっしゃらない方があります。持っていらっしゃる方は当然駐車場建設については賛成をされますが、持っていらっしゃらない方はこんな住居地域に駐車場をつくるということについて反対があります。したがって、全員の同意が得られないために、なかなかその地域に駐車場が建設できないという大きな悩みが一つございます。  それからもう一つは、最近は駐車場の建設機械といいますか設備のパーキング機械がいろいろ出回ってまいりました。ごく簡単な二段式パーキングからかなり大規模なパーキング設備まであるわけでありますが、これが果たして構築物なのか建築物かということでいつも問題になるわけであります。これも私どもの選挙区内のある方でありますが、例えば建築の規制のある都市計画道路の予定区域においての建築物、これは木造等々の二階建て程度のものならつくれるという規定があるわけでありますけれども、自治体に聞きましたら、いつこの計画道路としてやるのかというと、まだ五年先とか十年先とか、予算ができるか全くわからないということで、そこへ立体駐車場を建設しようと思ってもなかなか建築ができないという現状であります。したがって、そういう特殊な地域におきましては、駐車場建設については特に例外的に認めるという方法はできないだろうか、こういう二点をお尋ねいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  155. 立石真

    ○立石政府委員 初めに、住居地域の駐車場建設についてポイント的にお答えいたします。  建築基準法では、先生指摘のように、住居系地域におきましては一定規模以上の自動車車庫につきまして規制されているところでございますが、この規制は良好な居住環境の確保を図るという考え方に立っておりまして、この観点からは必要なものだと私たちも思っております。しかしながら、住居の環境を害するおそれがない場合におきましては、都道府県知事等が許可した場合に、この規制を超えた自動車車庫の建築が可能となっているところでございます。  建設省におきまして、モータリゼーションの進展に伴いまして現行の規制の範囲内にはおさまらない車庫の建築が必要になるということを考えておりますので、位置とか規模、構造、そういう一定の条件を満たします自動車車庫については許可制度を積極的に活用していきたい、そしてこれによって車庫をつくりやすくしたいということで、一昨年十一月に自動車車庫に関する許可準則を定めまして、都道府県知事等に通知したところでございます。この許可に当たりまして、法制度上は利害関係者の出席のもとに公開による聴聞会を開催することを必要としているところでございまして、全員の同意を得るということは必ずしも必要ではないわけでございまして、都道府県知事等が住居の環境を害するおそれがないと認めた場合には、全員の同意がなくても許可できる措置になっております。許可準則を活用して、ますます駐車場が活発にできるようにしていきたいと思っております。  またさらに、昨年の十二月の建築審議会の答申におきまして、モータリゼーションの進展に対応した建築物の用途制限の合理化を図るべきであるという指摘がなされております。こういうような指摘を踏まえまして、現在、都市計画法及び建築基準法の改正を検討している段階でもございますが、さらに適切な対応方策を検討してまいりたいと思っております。
  156. 前田正

    ○前田(正)委員 ありがとうございました。  もう時間でございますので、これで終了いたします。
  157. 竹内勝彦

    竹内委員長 以上で前田正君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十三分散会