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1992-05-13 第123回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月十三日(水曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 三野 優美君    理事 山内  弘君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       木村 守男君    久野統一郎君       塩谷  立君    萩山 教嚴君       御法川英文君    光武  顕君       山口 俊一君    山本 有二君       石井  智君    小川  信君       木間  章君    貴志 八郎君       渋谷  修君    堀込 征雄君       松本  龍君    平田 米男君       薮仲 義彦君    辻  第一君       米沢  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君  出席政府委員         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      伴   襄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         議     員 木間  章君         議     員 谷村 啓介君         議     員 菅  直人君         文部省高等教育         局専門教育課長 若林  元君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   小林 新一君         自治省行政局行         政課長     蓼沼 朗寿君         自治省行政局公         務員部公務員課         能率安全推進室         長       遠目塚昭三君         自治省財政局交         付税課長    田村 政志君         建設委員会調査         室長      杉本 康人君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   石井  智君     田並 胤明君   貴志 八郎君     左近 正男君 同日  辞任         補欠選任   左近 正男君     貴志 八郎君   田並 胤明君     石井  智君 同月十三日  辞任         補欠選任   島村 宜伸君     山口 俊一君   野田  実君     御法川英文君   石井  智君     堀込 征雄君   貴志 八郎君     小川  信君   伏木 和雄君     平田 米男君 同日  辞任         補欠選任   御法川英文君     野田  実君   山口 俊一君     島村 宜伸君   小川  信君     貴志 八郎君   堀込 征雄君     石井  智君   平田 米男君     伏木 和雄君     ————————————— 五月十二日  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案木間章君外三名提出衆法第一〇号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案内閣提出第七二号)  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法  律案木間章君外三名提出衆法第一〇号)      ————◇—————
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び木間章君外三名提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。山崎建設大臣。     —————————————  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法   律案内閣提出)     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  今回の地価高騰に対応した金融税制等の総合的な土地政策一環として土地利用計画制度充実を図る必要があるとともに、最近の都市化進展に対応して、良好な市街地環境整備し、都市の秩序ある発展を図ることがますます必要となっております。  この法律案は、このような状況にかんがみ、適切な住環境保護等を図るための用途地域制度整備公共施設を備えた健全な市街地整備とあわせて土地有効利用等を図るための地区計画制度の拡充、市町村都市計画に関する基本的な方針創設、計画的な市街地整備を図るための開発許可制度改善技術開発進展等を踏まえた防火に関する規制適正化を図るための木造建築物に係る制限合理化等を行おうとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  まず、都市計画法改正についてであります。  第一に、現行の三種類住居系用途地域を七種類に細分化して、既存商業系工業系の五種類用途地域とあわせて十二用途地域とするとともに、特別用途地区中高層階住居専用地区及び商業専用地区を加えることとしております。  第二に、公共施設整備を伴った良好な市街地整備を図りつつ、土地有効利用を促進するため、地区計画制度を拡充し、容積率最高限度当該区域の特性に応じたものと公共施設整備状況に応じたものとに定めることができることとするとともに、地区計画区域内の総容積の範囲内で、当該区域を区分して容積率の特例を定めることができることとしております。また、市街化調整区域内においても地区計画を定めることができることとする等の措置を講ずることとしております。  第三に、市町村は、住民意見を反映させるため必要な措置を講じた上で、当該市町村都市計画に関する基本的な方針を定めることができることとしております。  第四に、開発許可制度について、自己の業務用開発行為についても道路等に関する基準を適用する等の措置を講ずることとしております。  次に、建築基準法改正についてであります。  第一に、今回の都市計画法改正とあわせて、新たに設けられた用途地域に招ける建築物敷地構造建築設備及び用途に関する制限等について定めることとしております。  第二に、都市計画区域外の一定の区域においては、地方公共団体は、条例で、建築物またはその敷地道路との関係容積率等に関して必要な制限を定めることができることとしております。  第三に、防火、準防火地域以外の区域において、木造三階建て共同住宅建築を可能とする等木造建築物等に係る規制緩和を行うこととしております。  第四に、文化財保護法に基づく条例その他の条例により現状変更規制及び保存のための措置が講じられている建築物特定行政庁が指定したもの等については、建築基準法令を適用しないこととしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 古賀誠

    古賀委員長 次に、木間章君。     —————————————  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法   律案木間章君外三名提出)     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  5. 木間章

    ○木間議員 おはようございます。  何分にも初体験でありますので、先生方の御叱正をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ただいま議題となりました日本社会党護憲共同進歩民主連合共同提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、いわゆるバブル経済の膨張に伴って地価が暴騰し、地方ではリゾート開発に伴って環境破壊が進行し、大都市においては都心商業地域や隣接の住宅地域中心事務所ビル建設目的とした地上げが行われ、住民が追い出されるといった事態が頻発いたしました。  こうした事態を引き起こした原因の一つとして土地利用制度の不備が指摘され、都市計画法等改正が、金融土地税制改革と並んで地価対策の三本柱とされたのであります。  また、こうした自然環境生活環境悪化に対して、住民地方自治体が立ち上がり、自分たちの町は自分たちの手でつくるという強い決意で、自前の条例開発指導要綱乱開発を防ぎ、住みよい町づくりを目指して行動しております。こうした住民自治体の動きを国の法律制度でルール化し、支援していくことも緊急な課題であります。  この法律案は、以上申し上げたような認識に立って、地価対策として土地利用制度改革を行うとともに、町づくり権限をできるだけ基礎自治体である市町村に移譲することを図り、そのために所要措置を講じようとするものであります。  次に、その要旨を申し上げます。  第一に、近年のモータリゼーションの発達に伴い、都市計画区域指定要件を見直し、日常生活圏の現況及び推移を勘案して、指定することとしております。  第二に、町づくり基本指針となるマスタープランを拡充し、都道府県マスタープラン都市基本方針として独立した規定に位置づけたほか、市町村マスタープランについても、個別具体的な都市計画基本事項を定めるものと明確に位置づけております。  第三に、市町村計画決定権限を拡充し、都市計画決定については都道府県知事権限を縮小し、市町村権限に改めたほか、都道府県知事の定める都市計画のうち主要なものについては、市町村議会の議決を経た原案に基づくこととするほか、関係市町村との協議を義務づけるとともに、原則として都道府県知事の承認を要しないものとしております。また、地方議会についても、その権限を拡充しております。  第四に、住民参加手続を拡充し、土地に関する権利を有するもののうち、その三分の二の者の賛成により当該区域地区計画を定めることを発議できることとしているほか、都市計画案に対する意見書の取り扱いに関する規定整備することとしております。  第五に、現行用途地域を細分化して十四用途地域としたほか、特別用途地区については政令による種類の限定を廃止し、具体的に都市計画で定めることとしております。  第六に、開発許可制度を見直し、開発許可の対象となる開発行為駐車場等を加えること、国等の行う開発行為についても当該地方公共団体との協議を義務づけるとともに、技術基準について地方公共団体条例により制限を付加できることとしております。  第七に、以上のような都市計画法改正に伴い、建築基準法についても所要改正を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)
  6. 古賀誠

    古賀委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。
  7. 古賀誠

    古賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩山教嚴君
  8. 萩山教嚴

    萩山委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、都市計画法及び建築基準法の一部改正について、建設大臣並びに関係の皆さんに御質問をいたしたいと思います。  今や全国的に都市人口が急速に増加し、都市時代を迎えていると言われております。そして、二十一世紀には国民の七割以上が都市に住むと見込まれるなど、今後その傾向はますます高まっていくものと考えられます。このような都市化流れの中で、自分たち都市をどう発展させていくのか、現代に生きる私たちの知恵の絞りどころだろうと思うわけであります。  ここで我々の目を現在の都市問題に転じますと、一方では、東京への人口や諸機能一極集中が一層進行しております。職住遠隔化住宅取得難など、問題が生じております。他方では、地方都市において地域経済地域社会の担い手の減少や若年層の流出などに対応して、その活性化必要性が高まっておるわけであります。  地方活性化については、今国会提出されている地方拠点法案において、地方自主性を尊重しながらその自立的な発展を図るための制度提案されておりまして、本委員会においても十分論議の上可決され、さらに参議院で今審議中だと思うのであります。  問題はもう一方の方、いわゆる土地問題と呼ばれるものでありますが、特にさき地価高騰をきっかけに、大都市地域都心部において業務ビル等住宅地への無秩序な進出により、住宅地地価上昇住環境悪化を招くなどの問題が発生いたしました。このような問題にどのように対処するかであります。  政府においても、この土地問題に対処するため、総合的な土地対策一環として本法案を作成し、今国会提出されたわけでありますが、本委員会において私が一番初めに質問をいたすわけでありますので、まず法案趣旨並びに土地対策としての位置づけ、そしてさらに法案の随所に盛り込まれておる重要事項について、順次お伺いをいたしたいと存じます。  最初に、本法案背景目的及びその概要についてお伺いいたします。  さきに生じた土地問題については、政府におきましてさまざまな施策が講じられましたことは事実であります。鎮静化傾向が見られておるところであります。私は、この土地問題を根本的に解決するためには、金融上などの措置だけでなく、都市における土地利用そのもののあり方を考え直す必要があると思うのであります。この法案は、こうした目的を持って提出されたものと思いますが、本法案提出背景及び目的、並びに、土地問題を解決する上でどのような措置を盛り込んでおられるのか、御紹介いただければ幸いだと存じます。
  9. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、今回の地価高騰におきまして、大都市地域中心業務ビル等住宅地への進出によりまして、住宅地地価上昇住環境悪化を招き、かつ都心部空洞化といった問題が発生したのでございます。御指摘のとおりでございます。  そこで、今回の都市計画法及び建築基準法の一部改正は、このような問題に対処いたしますために、従来とってまいりました金融税制等の総合的な土地政策一環といたしまして土地利用計画制度充実を図りますとともに、最近の都市化進展に対応いたしまして、良好な市街地環境整備し、都市の秩序ある発展を図ることをねらいといたすものでございます。  具体的な措置はどうかということで御質問でございましたが、まず第一点は、住環境保護住宅確保を図るための用途地域制度等整備を図っております。二点目は、公共施設整備を図りつつ、土地有効利用を促進するための誘導容積制度創設を図っております。第三点は、市町村都市計画に関する基本的な方針、いわゆるマスタープランでございますが、これの創設提案いたしておるのでございます。第四点は、都市計画区域外におきまして、条例により建築制限を適用する制度創設いたしておるところでございます。  その他改正点ございますけれども、以上の点が主なところだと存じます。
  10. 萩山教嚴

    萩山委員 大臣答弁の中で、次に質問する中でもう既に答弁されたものもありますけれども、重ねて私は懇ろに質問をいたしたいと存じます。  本法案の目玉となる政策でありますが、用途地域制度整備誘導容積制度創設についてお伺いいたしたいと存じます。  適正な地価水準が形成されるためには、適正な土地利用による正常な需給関係確保されることは不可欠であります。御存じのとおりであります。そのためには、国土利用政策土地税制土地関連融資規制土地取引規制などの土地に関する各般の施策を総合的に実施していく必要があると存じます。都市計画建築規制制度についてもこうした総合的な施策一環として、土地の適正かつ合理的な利用実現を図っていくことを通じて、適正な地価水準実現に寄与していくことが必要であると考えておるわけであります。このようにしてまいりますと、都市計画制度といたしまして対応を図る課題といたしましては、大きく二つに分かれると思います。一つには、適正な用途規制を行うことによって適切な住環境保護を図ることであります。もう一つは、土地有効利用を促進し、住宅宅地の供給を促進することであります。  そこで、まず第一に用途地域整備についてでありますが、今回用途地域制度がほぼ二十年ぶりに見直されたわけであります。今回の改正は、さき地価高騰背景として、大都市地域中心とした住宅地区オフィスビルなどが入り込み、住環境悪化等を招いたとの反省から、住居系用途保護するため用途地域を細分化すると聞いておるわけでありますが、細分化された用途地域は、それぞれどのような地域に指定され、どのように土地問題の解決に資することになるのか、御見解をお示しいただきたいと思うのであります。  二つに、都市中心市街地の問題についてでありますが、特に大都市地域中心市街地では、既存住宅が取り壊されて事務所建設される例が多く見られるところであります。こうした地域では、夜間人口が急速に減少し、地域コミュニティーの継続が困難になっております。御案内のとおりであります。大都市地域中心市街地は、従来、住宅商店事務所工場などさまざまな機能混在いたしております。職と住が近接した地域として形成されてきたものでありますが、こうした地域において職と住が近接した住宅を相当量確保することが都市構造上最も望ましいと考えるわけでありますが、中心市街地住宅確保のため、どのような施策を講ずることにいたしておるのか、教えていただきたいと思います。  三つに、誘導容積制度創設についてでありますが、誘導容積制度は、都市土地有効利用を促進するための制度として創設するものであるというふうに伺っております。私は、都市内の土地有効利用を一層進めることが重要と考えております。その場合に、道路公園等施設を伴ったきちんとした町づくりを行っていただきたいと考えております。そこでお伺いいたしますが、本制度はどのような地域で実施しようとしているのか、本制度を活用することによってその地域がどのように生まれ変わるのか、誘導容積制度の運用に関するビジョンをお示しいただければ幸いかと存じます。
  11. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま三点のお尋ねがございましたが、私から二点につきましてお答えを申し上げます。  まず、用途地域制度でございますが、基本的な趣旨は先ほど大臣答弁の中にあったとおりでございまして、現行用途地域が八種類ございますが、それを四種類ふやしまして十二種類に細分化しようとするものでございまして、その基本的なねらいは、適切な住環境保護等を図るという観点に立っておりますので、八種類が十二種類でございますが、実質は住居系用途地域が細分化されるということでございます。  具体的に申し上げますと、商業系工業系用途地域現行のままでございまして、住居系用途地域が、現在三種類ありますものを四種類ふやしまして七種類にするという提案でございます。そういうことにいたしまして、基本的な考え方といたしましては、現在住居系の三種類用途地域で許容されておりますものにつきまして、よりきめ細かくそれを七分割するということでございますので、基本的ねらいは、きめの細かい用途規制によりまして住環境保護を図る、別な言葉で言いますと、できるだけ用途混在を避けていくという考え方でございます。  そういう観点に立ちまして、最も基本的な事例で少しイメージを申し上げてみますと、現在の住居系の三種類のうち二つは第一種住居専用地域、第二種住居専用地域ということで、どちらかといいますと住居専用地域ということになっておりますから、そういう意味では、基本的な住居環境保護という点ではすぐれた用途地域制度と思っておりますが、もう一つ住居地域といいますものは、工場につきましての用途制限してございますけれども、それ以外の用途につきまして、店舗とか事務所等につきましては、住宅とあわせまして広く混在を許容しておるものでございます。これは我が国都市発展からいいましても、そういった実態を見ましてそういったものを住居地域として指定しておりますが、これが近年の地価高騰背景の中で事務所等進出を許し、住環境悪化したといった反省の根本になる一つでございますので、ここにつきましてこれを三種類に分けまして、第一種住居地域と銘打っておりますが、従来の住居地域の中で大規模な店舗事務所の立地はできないようにする住居地域制度を設けたものでございます。  ほとんどはそういったことで規制の強化でございますが、この住居地域の中にはもう一つ、準住居地域という制度も設けてございます。これは、今回の改正の中ではやや制限緩和につながるわけでございますが、といいますのは、従来住居系では認められておりませんでしたいわゆる自動車の関係展示場とかサービス工場などが時代流れに即応いたしまして住居系地域でも必要とされますので、そういったものを立地しようとしますと商業系用途地域に塗りかえないとできないということでございましたので、それを住居地域のままで塗りかえられるような形として準住居地域という提案もしてございます。大体そういったようなのが、用途地域に関する基本的なものでございます。  それから、お尋ねの第三点目の誘導容積制度でございますが、これにつきましては、本来土地の有効・高度利用が必要とされているにもかかわらず、道路等公共施設が不十分であることから低利用にとどまっている市街地等がたくさんあるわけでございます。我が国大都市では、特にその既成市街地の中にいわゆる木造住宅密集市街地木賃アパートも含めました密集市街地が多く存在しておりまして、容積率は結構高い容積率が定められております。こういったものにつきましては、その地区内の道路等公共施設が整いました良好な市街地として形成されていく過程で、土地有効利用されるような仕組みが必要なのではないかということで、今回誘導容積制度を設けた次第でございまして、そういう意味におきますと、特に東京等にあります低層、高密な木造住宅密集市街地が区画、道路等整備された形で整然とした町に整うということに誘導容積制度を使うこととなる、こんなイメージを持っておるところでございます。
  12. 立石真

    立石政府委員 第二点の部分について御答弁いたします。大都市中心市街地における住宅確保方策についてでございます。  先生指摘のように、大都市地域既成市街地におきましては、住宅商店事務所あるいは工場などさまざまな機能混在しておりまして、職と住が近接した地域として形成されてきたところでございます。しかしながら、御指摘のように都市の成長につれて、さらに特に近年の地価高騰背景といたしまして、こうした地域住宅事務所に転換するなどによりまして、夜間人口が減少し、コミュニティーが維持できなくなるような状況が見られる地域も多くなってきておるところでございます。  今都市局長の方から御答弁したところでございますが、用途地域制度細分化等によりまして住宅確保あるいは住環境保護というようなことを進める一方、これらに加えましての措置を今回の改正においても考えているところでございます。従来から、市街地住宅総合設計制度用途別容積型地区計画等の活用を通じまして、これらの地域においての住宅確保に努めてきたところでございますが、今回の改正案におきましては、中高層階住居専用地区制度創設していきたいと考えております。この制度におきましては、大都市中心市街地などにおきまして住宅確保するために、建築物の低層階は各用途地域目的に応じた利用を許容する一方で、中高層階におきましては、原則住宅以外の用途制限する、そういうような新たな特別用途地区として設定しようと考えているところでございまして、大都市中心市街地等における住宅確保のための制度充実を図ってまいりたいと考えております。
  13. 萩山教嚴

    萩山委員 私は自民党を代表してやっておるわけでありますから、三十分という時間が限られております。そして、政策立案も私がつくったものじゃなくて、自民党の中でこういうものをやろうじゃないかということでやっておるわけでありますが、どうぞ簡潔にお願いいたします。何とか最後は大臣答弁で締めくくりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次の質問に移りますが、そのほか今回の改正によって都市計画制度建築規制制度を用いた適切な土地利用の誘導策のうち、私が重要と考える事項について若干の御質問をいたすわけでありますが、まず開発許可制度の見直しについてお伺いいたします。  近年、人口の欄密化した市街地におきまして、デパートやホテルのように多数の者が利用する施設が、周辺地域に交通渋滞等の弊害を生じさせている場合があります。開発許可制度目的である良好な市街地の形成のためには、このような弊害が生じないようにする必要があると思われます。今回の法案でも、開発許可技術基準について、自己の業務用開発行為にも道路に関する基準を適用されることとされておりますが、これによりどのような効果が期待されるか、お聞かせ願いたいと思います。  二つ目に、近年において無許可で開発行為を行った違反者が多くおるわけでありますが、脱法行為により監督処分の適用を逃れる悪質な事例が見受けられます。規制の実効性を確保して都市計画法目的を達成するためには、監督処分を強化してこのような事例に対処すべきだと考えられます。今回の法案でも監督処分の充実を図るようでありますが、具体的にどのような見直しを行うのか、お聞かせ願いたいと思います。  三つ目に、近年リゾートブーム等を背景として、従来は大規模な建築物がほとんど見られなかった農山漁村において、集中的に大規模な高層のリゾートマンション等が建設される地域が見られます。こうした地域については、基本的には都市計画区域を指定して適切な規制を行うべきでありますが、地域のあり方全体を検討するゆとりを与えないほど急速に大規模な建築物が集積する場合もあります。そうなってまいりますと、防災、環境、景観等さまざまな面から問題が生ずることとなります用地方公共団体が、こうした状況に適切に対応して建築活動を誘導することができるような方策を確立すべきだと考えますが、御見解をお願いを申し上げます。
  14. 伴襄

    ○伴政府委員 三点御質問ありましたが、最初の二点、私から御説明させていただきます。一つは、道路に関する基準の適用でございますが、これはデパート、ホテル等の多数の利用者を有する自己業務用施設につきましては、大変周辺区域に交通渋滞等を生じておりますので、自己用の開発行為でありましても、そういった多数の利用者を生ずることが予想されますような業務用土地利用につきましては、従来適用されなかった道路に関する基準を適用しようというものでございます。これによりまして、開発区域内の敷地が接します道路の幅員が不十分な場合には、必要な道路整備を開発者の方で適切に行っていただいて、交通支障を防除しようというものでございます。  それから二つ目でございますけれども、監督処分の問題でございますが、現行法では、違反行為者から違反物件を譲り受けた者につきましては、監督処分の対象とされておりません。そこで、無許可で開発行為を行った者が監督処分を受けた後に、これを免れるために違反物件を第三者へ譲渡するという悪質な事例がしばしばありますので、そこで今回、都道府県知事が監督処分を行った場合には、その旨を標識を設置することによって公示をする、そして、もしその違反の事実を知って譲り受けた者に対しても、使用停止等の監督処分を行うようにしようというものでございます。
  15. 立石真

    立石政府委員 第三点についてお答えいたします。  先生指摘のような大規模なリゾートマンション等が、従来は大規模な建築物建築が想定されなかったような地域において、無秩序に建って土地利用を混乱しているという事態があるのは、何らかの措置をとるべきだと考えているところでございます。今回の改正案におきましては、都市計画区域外につきましても、そういうような土地利用の混乱が生じている地域につきまして、政令で定める基準に従いまして、地方公共団体条例によりまして建築物あるいは建築物との敷地が接している道路との関係容積率、高さ等について、必要な制限を定めることができるように措置していきたいと考えているところでございます。
  16. 萩山教嚴

    萩山委員 次にお伺いいたしますが、現行基準法においては建築物の防災上、構造上の安全性という観点から、建築物用途あるいは階数、規模、立地等に応じて、その構造について制限が行われております。こうした建築基準法のいわゆる単体規定について今回改正が行われるようでありますが、特に本日は、木造住宅に関する建築規制が今回の改正でどのようになるのかをお伺いいたしたいと思います。  我が国においては、古くから木造住宅が数多く建築されております。このことからもわかるように、国民の木造建築に対する愛着、憧憬は根強いものがあると思います。こうした中で今回、準耐火構造、準耐火建築物といった分類を新たに創設することによって、防火性能等の安全性を確保しつつ、木造建築物がより広く建築できることになるとすれば、非常に好ましい事例ではないかと思うのであります。ついては、今回の改正趣旨と内容について、安全性の確保の方法も含めてお伺いいたしたいと思います。
  17. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、我が国は木の文化の国と言われるように、国民の木に対する愛着は非常に根強いものがあると考えております。特に、近年でございますが、木造建築につきましても技術開発が進んで、工夫をすれば防災性あるいは防火性の面からもかなり機能の高いものが生まれるというような状況になっております。そういうものを背景としまして、木造建築物の規模あるいは階数の範囲について、建築規制を合理化すべきであるという声も高まってきているのが最近の動きと考えております。  これらにこたえまして、建設省におきまして木造建築に関する技術開発に積極的に取り組んできております。その結果、木造建築につきましても、例えば柱とかはりは木造ではあるけれども、それらを石こうボード等の不燃性の材料で被覆すればかなり耐火性能も強いというような技術開発もできてきております。こういうものを背景といたしまして、今回の建築基準法改正におきましては、木造建築物でも耐火性能の高いものについては、準耐火建築物として位置づけることにしております。これを行うことによりまして、例えば準防火地域におきましては、木造事務所店舗等は五百平方メートル以下というように小規模なものしか建てられないことになっておりますが、改正後は、準耐火建築物であれば千五百平方メートルまで可能になる。あるいは、木造の共同住宅につきましてはこれまで二階建て以下と制限されてきておりますが、改正後は防火地域、準防火地域以外の地域においては三階建ての共同住宅も可能となるなど、これらのことが可能になるような制度改善を図ろうと考えているところでございます。
  18. 萩山教嚴

    萩山委員 先を急いだばかりに少し時間が余ったようでありますが、最後に建設大臣、ゆっくりと御答弁をお願いしたいと思います。  この法案は、これまで政府が取り組んできた土地対策の総仕上げとも言えるものであろうと私は思います。国土庁がことしの三月に発表した公示地価によりますと、最近の地価の動向は鎮静化傾向を見せてはおりますが、なお高水準にあるとされております。土地問題が完全に解決したわけではありません。この法案にかける私の期待はまことに大でありますし、自民党のかける期待も大なのであります。もちろん大臣も、期待は大であろうと私は思うわけであります。どうぞこの法案の適切な実施に向けて取り組んでいかれる御決意を最後にお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと存じます。
  19. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま先生が御指摘をされましたように、確かに地価鎮静化傾向にございますが、なお不十分であると存じます。とりわけ住宅確保に関しまして、いわゆる勤労者の所得の、年収の五倍程度で入手できないかというのが一つの目標となりつつあるわけでございますが、そういう観点からいたしますと、もう一段の引き下げが望ましいと考えるのでございます。  先生が言われましたとおり、昨年の一月に政府土地政策要綱を打ち出しまして、金融税制等の対策を講じてまいったわけでございますが、さらに今般の法改正都市計画法並びに建築基準法改正を通じまして、総合的な土地政策一環となしたいと考えているところでございます。この法案の成立によりまして、さらに適切な土地利用規制、誘導を図ってまいりまして、地価の問題に関しましても効果を出したいと考えているところでございます。  今後、関係省庁やあるいは地方公共団体とも密接な連携を図りつつ、所期の効果を上げるように全力を尽くしてまいる所存でございますので、何とぞ本法改正につきまして、与野党挙げまして特段の御配慮をお願いいたしたい、かようにこの際お願いを申し上げるところでございます。  ありがとうございました。
  20. 萩山教嚴

    萩山委員 どうも、質問を終わらせていただきます。
  21. 古賀誠

    古賀委員長 次に、石井智君。
  22. 石井智

    石井(智)委員 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案が、政府案と社会党・護憲共同、進歩民主連合の共同提案という形で二本が出ております。そういう中で、いろいろと両者を比較をさせていただきながら、私なりに今回考えてみたわけですが、今日的な社会問題を踏まえると、やはり大きく問題点をとらまえているのは、木間先生提案をされている方ではないかなというふうに強く感じておるわけでございます。そういう点を踏まえながら、ひとつ現在の問題点というものをお聞かせをいただきながら、どちらがいいのかみんなが判断できる材料、私自身が判断できる材料を得たいという思いで質問をさせていただきたいと思います。  我が国において、都市計画の基本法ともいうべき現行都市計画法が昭和四十三年に制定されてから、既に二十数年を経過したところでありますけれども、今日の我が国都市状況を見てみますと、東京への一極集中、自然や農地の乱開発住環境悪化など、都市問題は解決されず、むしろ深刻化しているとさえ言える状況にあります。また、我が国都市は欧米諸国と比較しても、都市基盤整備のおくれや土地利用混在などが顕著であり、美観、快適性、安全性、どれをとっても決して満足すべき状況ではないと言わざるを得ないのではないかというふうに私は思うわけであります。今後二十一世紀を見据えて都市づくりを推進していくためにも、この際都市計画制度について抜本的かつ根本的な改正を要すると考えられるのであります。我が党としても、都市計画制度のあり方は非常に重要な国政上の課題と考えて、基本的な施策に立脚した望ましい都市計画法改正案を対案として、木間先生中心提案をされているところであります。  そこで、議案の審議の冒頭に当たりまして、幾つかの基本的事項についてお尋ねをしてまいりたいというふうに思うわけであります。  まず第一に、政府側の都市問題や都市計画課題に関する現状認識、問題意識を明らかにしておきたいというふうに思うわけであります。政府案を提案する背景となった現下の都市状況をどうとらえておられるのか、またそれについてこの政府案というのはどのように解答を提示しようとしているのかということについて、大臣の御所見を賜りたいと思います。
  23. 山崎拓

    山崎国務大臣 全般的に申しまして、都市化時代を迎え、東京一極集中が進行いたしておるのでございます、ために、東京におきましては住宅の価格が高くなっておりますし、また職住が近接化ではなくて遠隔化いたしておりまして、一時間から一時間半も通勤時間を要する、その人口が四〇%に及ぶといった事態も発生をいたしておるのでございます。そのような都市化に伴いますもろもろの悪条件を克服するということが、一つの社会政策上、都市政策上の課題ではないか、かように考えるわけでございます。とりわけ、近時地価の高騰を招来いたしまして、そのことによってさらにただいまの悪条件が強まっておりますし、住環境悪化あるいは都心部空洞化といった問題を招いているわけでございます。  そこで、今回の都市計画法並びに建築基準法の一部改正は、ただいま申し上げましたような問題に対処いたしますために、昨年の一月以来、政府といたしまして総合的な土地対策を講じてまいったわけでございますが、金融あるいは税制等の対策を先行してやってまいりましたけれども、さらに今般の改正によりまして土地利用計画制度充実を図り、最近の都市化進展に対応して良好な市街地環境整備し、都市の秩序ある発展を図りつつ一層の地価の鎮静を図る、こういったことを目的といたしまして、この法案提案いたしました次第でございます。
  24. 石井智

    石井(智)委員 次に、対案を提案されました木間先生に、提案をされたお立場からの都市問題に関する基本的な御認識についてお伺いをいたしたいと思います。
  25. 木間章

    ○木間議員 我が国は、明治に入りましてから近代国家として発展を続けるわけでありますが、そういった中で国民生活も大きくさま変わりをしていっただろう、こう思っております。そうした経過の中で、大正八年に大もとであります都市計画法が誕生いたしました。これは、先生方御承知のとおり片仮名の法律でありまして、長らく住環境整備する、あるいは土地問題を処理してきた法律でありますが、近年に至りまして、経済社会が目まぐるしく変革を遂げました。  そういう中で、昭和四十三年に大改正が行われまして今日を迎えておるわけでありますが、それ以降二十数年ぶりの大改正でございます。その間、これまたいびつとも言えるような局面も随所に出てまいりまして、今度の大改正に到達するわけでありますが、私たちも近年、とりわけ大都市地域における土地問題というのは猶予できない課題であろう、そういう立場から昨年来、私ども建設部会が他の皆さんにも呼びかけましてこの改革案をまとめるに至ったのであります。  さて、都市問題に対する私どもの基本認識でございますが、まず第一に、都市計画区域外とされている地域におきまして、地価高騰やいわゆるリゾート開発ブームの中で環境問題が生じてまいりましたが、にもかかわらず有効な開発、建築行為の規制が行われてきませんでした。従来、都市土地利用の進行や活発な建築活動が想定されていなかった都市計画区域外用途地域の指定のない地域も、バブル経済の影響により開発が進行するなど、さまざまな問題が生じるに至っておりまして、適切な土地利用規制の方策を講ずることが必要であると考えたのであります。  さらに、都市市街地内部では、現行用途地域制度事務所などの業務系用途住宅地を侵食し、地価の高騰や住環境悪化を生ずるに至りまして、都心部人口住宅の減少、中堅勤労者の住宅取得の困難化など、職住遠隔化が進んだのであります。このような地域においては、住環境保護を図るための地域の実情に応じたきめ細かな用途規制が必要であるのであります。  また、用途地域制度を初め、現行都市計画制度は、住民参加の規定に乏しく、市民にとって身近な問題となっておりません。都市問題を考える上で、生活者の利益を守る観点から、都市計画決定などについて住民参加の場を拡充する必要がある、このように私どもは認識をしておるのであります。
  26. 石井智

    石井(智)委員 私は、今日の都市問題は、地価問題に代表される土地問題と切り離すことができない、こういうふうに考えておるところでございます。特に今回の政府改正案は、総合的な土地対策一環として行うということでありますので、土地対策、とりわけ地価対策という観点からお伺いを申し上げたいというふうに思います。  今回の改正は、例えば誘導容積制度創設など容積率を引き上げ、土地高度利用を促進するための措置を含んでおりますけれども、これは地価を抑制するのではなく、むしろ地価の高騰を再び招きかねないのではないかというおそれを強く感じさせるものとなっていると思うわけであります。そのような心配はないのか、政府案は地価の抑制に効果があるのかどうか、勤労者が容易に住宅を取得することが可能となるような考え方になっているのかどうか、そのあたりどういうふうにお考えいただいているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 市川一朗

    市川政府委員 地価問題を考えます場合に、大都市におきまして、我が国の場合特にそういう指摘があるわけでございますが、やはり需要に見合った宅地の供給が不足しているという、需給バランスの問題があるというふうに私どもは認識しておりまして、この数年来、都市計画法の一部改正等も含めまして、そういった意味での土地の有効利国策によります住宅宅地の供給促進ということによりまして住宅価格の安定を図るという政策展開が、本院の御議論を経た法改正の中でも種々提案されてきたと私ども理解しておるわけでございます。  今回新たに創設することといたしております誘導容積制度につきましても、基本的にはそういう観点に立っておりまして、土地有効利用を図る必要があるとされているところにつきまして、道路等公共施設が不十分なために現実には低利用のままにとどまっておる。そこで、そのまま無理をして有効利用を図ろうとすると粗悪な市街地が形成されていく。そういったようなところを、何とかして良好な市街地を形成しつつ、かつ土地有効利用を促進するためにいかにあるべきかということで、誘導容積制度を御提案申し上げたわけでございまして、確かにその誘導容積制度が適用され、ある容積率に応じた土地有効利用が図られるということになりますと、その土地についての価額の問題は、若干上がるというような問題が起こり得るかもしれませんが、基本的にはそういった土地有効利用が促進されまして、トータルとしての住宅床等の供給が増加することは、都市全体で見た場合の住宅価格の安定につながる、結果として適正な地価水準の形成にも資する、そういう考え方に立っておるわけでございます。(発言する者あり)
  28. 石井智

    石井(智)委員 政府案の内容を見てみますと、基本的には大都市対策であるというふうな感が否めないわけであります。従来より、都市計画において大都市部を中心として各種施策が講じられてまいりましたけれども、その結果、東京への一極集中の加速などの問題を引き起こしたのではないでしょうか。国土の均衡ある発展を図るためには、地方都市活性化が必要であり、地方においてそれぞれの地域の特色を生かしたゆとりと潤いのある魅力的な町づくりを行っていくためには、都市計画制度の果たす役割は極めて重要であると考えるわけであります。  今国会には地方拠点法案提出されて可決をされたわけでございますが、今三野先生お怒りでございますが、その拠点法とちょっと矛盾するところがある感がいたしますけれども、地方自主性を尊重して、その自立的な発展を図るための制度提案されたところでございます。都市計画制度についても、国の関与をできるだけ少なくして、地方が創意工夫を生かしつつ自主的に都市計画を策定して、実行し得る制度としていかなければならないのではないかと思うわけであります。その観点から、都市計画制度について一層の権限移譲が必要と考えますけれども、いかがお考えでしょうか。
  29. 市川一朗

    市川政府委員 国土の均衡ある発展を図るために地方活性化を図ることは、先生指摘のとおり極めて重要であると私ども思っておりまして、その際、地方自主性を尊重いたしまして、ゆとりと潤いのある魅力的な町づくりを推進していくということが極めて重要であると私ども認識しておるところでございます。  現在の都市計画制度につきましては、先ほど木間先生の方から御紹介がございましたとおり、昭和四十三年の現行都市計画法の制定前は、都市計画は国が決定するということになっておったわけでございますが、これを決定権はすべて地方にゆだねるということにいたしまして、原則は市町村、それから広域的、根幹的なものについては都道府県知事ということになったわけでございます。その際、知事が決定する都市計画のうちに、代表例は国道等の国の利害に重大な関係を有するものでございますが、そのほかに、大都市圏等国土政策に重要な意味を有する区域というのも入っておりますけれども、そういった場合を限定いたしまして、その点につきましては知事決定の際、建設大臣の認可を要するということにされたわけでございます。  こういった基本的枠組みの中で、しかし先ほど申し上げましたような都市計画につきましてのいわゆる地方自主性の尊重という観点から、権限配分につきましてできるだけ市町村への権限移譲等に努めてまいってきたところでございまして、必ずしも十分ではないという御指摘と受けとめる次第でございますが、私どもといたしましても、今後とも一層権限移譲等には努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  30. 石井智

    石井(智)委員 けさの朝日の解説でも、この都市計画法改正が国民的に大きな関心を呼んでおるという意味での解説がなされておりまして、思い切った地方への権限移譲の提起が、主宰者としてしておるわけでございます。そういう点で、さらなる地方への移譲というものが必要ではないかなというふうに思っておるわけでございます。  また、だれもが自分の住む町を誇れるような、そんな町づくりを進めていく上で、都市計画における住民参加は必須の要件であるというふうに思っております。都市計画制度の民主的な運営という観点から地方議会の関与が望まれるところでありますけれども、このため我が党の案においては、現在必要に応じて行うとされている公聴会などの開催を義務づけたり、都市計画地方議会の議決を経て決定する仕組みを提案をしているところでありますが、その趣旨、内容についてさらに菅発議者に御説明をいただきたいと思いますと同時に、政府として御見解を大臣に賜りたいというふうに思うわけでございます。
  31. 菅直人

    ○菅議員 ただいま石井委員の方からありました質問といいますか、地方議会の議決を必要とするという改正案を私どもの提案に盛り込んだということは、まさにこの改正案の非常に重要な柱の一つというふうに考えております。  今ちょうどこの質問の前に都市局長の方から、現在でも都市計画というのは原則的には市町村にもう権限がおりているんだ、こういうふうな答弁があったわけですけれども、確かに法律を見ますと、例えば都市計画法の十五条などに「市町村」という言葉が原則的には入っているわけです。しかし実際にその内容を見ておりますと、市町村が決めるということは、行政と地権者との間で話し合って決めているという側面が強くて、議会というものが直接関与をするという仕組みになっておりません。また、県が決める問題は、これは先ほどもお話がありましたように、まさに機関委任事務という考え方になって、いわゆる地方自治体の長である知事というよりは、国の出先機関のいわば代行を行う知事という考え方になっておりまして、都道府県議会というものは全く関与がなされない仕組みになっております。  確かに、都市計画審議会などに議員が何人か参加をしている例はありますけれども、それはあくまで、これは言い過ぎかもしれませんが、一種の議会に対するガス抜き的な要素としては機能しているかもしれないけれども、議会そのものがきちんとした手続で責任を持つという体制にはなっていないわけです。そこで、私どもの提案をしたこの法案では、そういった今の建前、市町村権限がおりているけれども、実質的には市町村という意味は行政であり、県という意味は国の出先であるという実態を根本的に変える必要があるというのが、この改正の中身になっているわけです。  具体的に申し上げますと、市町村が決める都市計画マスタープラン等について、市町村議会が議決をもって決定をする。あるいは都道府県が行う決定についても、自分の市町村にかかわるような問題は、市町村議会が議決をもって原案を作成し提出をする、そういう形になっているわけです。さらには、そういった市町村の決定したものについて、従来は知事の承認ということがあったわけですが、市町村の中だけで決められる問題についてはもう知事の承認は必要としないという改正も含まれているわけです。こういう形によって何が起きるか。まさに、先ほど石井委員の方から朝日の解説といいましょうか社説が指摘をされましたが、都市計画というものは一体だれが決めるのだ。例えば国の外交方針を各自治体が勝手に決めるというわけにはいかないかもしれないけれども、自分たち町づくりはまず自分たちで決めるのだという、その原則がこの改正によって初めて実現をしてくる、貫かれるというふうに考えるわけです。  同時に、議会の決定ということは、場合によっては非常に手間がかかる場合もあると思うのです。しかし、例えば東京都などで見ておりますと、議会が関与しないで早く決定したけれども、その後三十年間工事がとまっていて全く動かないなんという例は、本当に枚挙にいとまがないわけでありまして、そういう点では、議会というものはある意味では住民の声を議員あるいは政党が代表しているわけですから、手間がかかってもそれで決めたことは、その後の実行過程では逆にスムーズにいくはずだと考えられるわけです。  同時に、いわゆる住民参加、市民参加も、行政に対する参加というのはなかなか直接的にはやりにくいわけですけれども、そういう議会が決定にかかわることによって、議員を通して、あるいは議会の公聴会とか参考人とかを通して参加が非常に容易になる。そういう点で、いわゆる今までの建前上の分権的な都市計画というのに、本当に魂を入れることになるというふうに考えて提案をした次第であります。
  32. 山崎拓

    山崎国務大臣 ただいま社会党案についてのお考えも述べられたところでございますが、都市計画町づくりの基本をなすものであり、できるだけ地域住民の声が反映されるべきであるということにつきましては、基本的な認識として一致いたしておるのでございます。ただ、現行都市計画の決定手続でそのことが満たされていると、私どもといたしましては考えているのでございます。  既に石井先生がみずからおっしゃいましたように、都市計画法に基づきまして必要に応じ公聴会等を開催することができますし、また、必ず都市計画の案を縦覧いたしまして住民意見を直接聞くことといたしておりますし、また都市計画地方審議会の議を経るということになっておるのでございます。実は私は、県会議員をいたしておりますときに都市計画地方審議会のメンバーになったことがございますが、与野党の議員がほとんど漏れなくこの都市計画地方審議会に参加をいたしておりまして、議会の意向は、私の判断では十分に反映される仕組みになっている、そういう経験を持っているところでございます。  でございますから、現行都市計画手続で民意を十分に反映させることができると考えておりますので、都市計画の円滑な策定というもう一方の大事な観点もございますので、ひとつ今提案をいたしております内容でお認めをいただければと考えているところでございます。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  33. 石井智

    石井(智)委員 今、このところを本当にもう少し議論を深めておきたいなという気がいたしますけれども、政府案はこれで十分民意が反映をされる案になっておる、これでは不十分じゃないかという、完全に二分をされた形での民意の反映の方法論というのか、そのあたりが大きくどうとらまえるのかというところで、本当はもう少し議論を深めておきたいなという思いがありますけれども、あといろいろ聞きたいことがございますので、次に移らせていただきたいと思います。  政府案が、果たしてその目的である総合的な土地対策として十分に実効あるものであるかについて、政府案の大きな柱とされている用途地域の詳細化と誘導容積制度創設中心お尋ねをしたいと思います。  まず初めに、用途地域特別用途地区制度について尋ねたいと思います。用途地域制度については、現行住居系用途規制が緩やかであるため、住宅地事務所進出をして結果的に住宅の追い出しを招いてしまったとの反省から、住居系用途地域として新しく四地域を追加することとしたと理解しているところであります。用途地域を詳細化することについては一定の評価はできると思いますけれども、問題はその内容であります。  政府案においては、新たに追加することとしている四地域のうち、二地域は従来より規制緩和するものであります。すなわち、第二種低層住居専用地域については従来の第一種住居専用地域を、また準住居地域については従来の住居地域緩和した内容のものであります。また、一番規制の厳しい第一種低層住居専用地域においても、いわゆるワンルームマンションの建設が可能であり、良好な二戸建て住宅地環境保護を図ることができないなど、規制内容は不十分であろうというふうに思うわけであります。  今回の地価高騰において住宅地環境を守ることができなかったことの反省を踏まえれば、より厳格できめの細かい用途規制を行うことができるようにすることが必要ではないかというふうに考えますけれども、建設省はどういうふうにお考えをいただいてこの案をまとめられたのか、伺いたいと思います。
  34. 市川一朗

    市川政府委員 御指摘ございましたように、今回の法改正で御提案しておりますのは、適切な住環境保護を図るという観点から、主として住居系用途地域につきまして細分化することと、あわせまして特別用途地区につきましても、新しいものを創設することとしておるものでございます。その中で、二種類規制緩和ではないかということでございます。  最初に御指摘ございました第二種低層住居専用地域でございますが、これは現行の第一種住居専用地域二つに分けましたので、第一種は現行のままでございますが、第二種が小規模な店舗の立地を認めることといたしましたので、そういった意味におきましては、これは緩和と言えると思います。  ただ、これはもともと発生的には、住居系のところで考えられます店舗等は、大体は上か奥の方に人が住んでおりまして、それで前でお店をやっておるという、そういう兼用店舗型を想定しておったわけでございますけれども、御案内のとおり昨今コンビニエンスストアとかそういったものが普及をしてまいりまして、そういったものが住居地域でも欲しい、高層のものでなく低層のままであればそれでもいいのではないかというような状況が出てまいっておりまして、それを認めようといたしますと、一気に少なくとも第二種住居専用地域ぐらいには塗りかえませんと、そういったものができないわけでございます。私どもといたしましては、第二種住居専用地域に比べればかなり厳しいことになる。要するに、細分化いたしましたので、どちらのサイドからそれを評価するかということになろうかと思いますので、ただいま石井先生のサイドでの御指摘からすれば、やはり緩和であるということは一応言えると思いますが、第二種住居専用地域の方に来ざるを得ないという観点からしますと、それは規制強化であるというようなところで、言い方はなかなか難しいわけでございます。  それから、もう一点お尋ねございました準住居地域、この御指摘の部分でございますが、これは現行住居地域では認められておりません自動車関連施設、主として自動車サービス工場とか自動車展示場等、これはマイカーの浸透によりまして必要になってまいりましたものでございまして、この部分につきましては、沿道等におきましての需要という観点から新たに設けたものでございますので、規制緩和という形になっていることはそのとおりだと思う次第でございます。  それから、第一種住居専用地域につきまして、ワンルームマンション等の規制がなされてないという問題があるのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、確かに第一種低層住居専用地域住居環境保護するためには、もう少し厳しい規制をした方がいいのではないかという議論もあったわけでございますけれども、いわゆる共同住宅を排除するということにつきましては、建て方が共同住宅形式であるということをもってそれが必ず低層住宅地環境に悪影響を与えるとは言えないのではないかとか、あるいは最近三世代同居住宅といったものがいろいろ普及してまいっておりまして、そういったものと共同住宅とを実務的な面で区分するということは現実には非常に難しい面もあるとか、そもそも共同住宅といいますのは、我が国都市部におきましてはかなりの割合で普及しておりますので、それを排除する形の用途地域制度は、仮にメニューとしてそろえましても現実にはちょっと適用できないのではないかというようなさまざまな議論をした結果、私どもといたしましては、そこのところはとらなかったところでございます。
  35. 石井智

    石井(智)委員 次に、二点続いてお伺いをしたいと思います。  用途地域制度改正が効果を発揮するためには、改正された用途地域地方自治体が的確に指定するか否かにかかっているというふうに思うわけであります。先ほども具体的に挙げましたように、従来より制限緩和される新たな用途地域創設されることにより、指定される用途地域が緩い方に流れていくということを防ぐ保障があるのかどうか、このあたりをひとつお伺いをし、この点についてどう対処されようとしているのかということ。  また、仮に用途地域の指定がうまく行われても、その効果が発揮されるためには、他の用途への変更を防止するための担保が必要ではないか、こういうふうに思うわけであります。特に最近、マンションとして建築された住宅が途中で事務所として使用されるという現象が多く見られることも踏まえまして、用途違反を許さず厳しく取り締まることが必要であるというふうに思いますけれども、このあたりの対策というのはどういうふうにお考えいただいているのでしょうか、あわせて二点お伺いします。
  36. 市川一朗

    市川政府委員 お尋ねのうちの前半の部分につきまして、私の方からお答え申し上げます。  確かに御指摘ございますように、細分化いたしましても、それが厳しい部分もあり緩和されている部分もありますが、それを現実にどう都市計画決定用途地域を指定するかによりましては、所期の効果が上がらないということになるおそれはあるわけでございます。それから特に、緩和といいますか緩い指定の方に走る傾向ということも、現実には否定できない部分もあろうかと思います。  こういった問題につきましては、やはり基本的にはそれぞれの市町村及び県、地方公共団体におきまして、自分たちの町を立派なものにしていくんだというコンセンサス、それから近年の地価高騰に対します厳しい反省、そういったような観点に立ちまして、必ずや都市計画決定の手続の中で私どもがねらっております所期の効果が達成される、それ以上のすばらしい効果が達成されるように、各地方公共団体の皆様方は努力されるものというふうに期待しておるわけでございますが、私どもといたしましても、国の立場で余り過度な関与にならない範囲内におきまして、できるだけ適切な指導をしてまいりたいと思っているところでございます。
  37. 立石真

    立石政府委員 御指摘のとおり、用途地域改正の効果を発揮するためには、用途違反を厳しく取り締まって遵法的な状態をつくっていくことが重要な課題だと思っております。  まず、違反を取り締まる前の前提となるわけでございますが、違反建築を防止することが必要だと考えております。三点ございますが、第一点は、特定行政庁が監視体制を強化いたしまして、日常の窓口指導を強化し、あるいはまた定期的、計画的にパトロールを行って実態を把握していく必要があること。第二点は、違反防止週間あるいは関係業界等を通じた国民一般への啓蒙活動の推進を図っていくこと。第三点としましては、建築を担います建築士の資質の向上とか建築事務所の業務の適正化、こういうものを通じまして技術者、専門家への指導を徹底していくこと、こういうような総合的な行政を進めていく必要があろうかと考えております。  そして違反につきましては、違反が発見された場合には、この是正を厳しくしていく必要があろうかと考えておるところでございます。特に用途違反につきまして、日常のパトロールを強化して用途違反の発見に努めていくということが重要でございますし、さらに違反の事実が判明した場合には、使用制限等の厳しい是正措置を積極的に行っていくことが適切であるというように考えておりまして、今後一層特定行政庁に対しまして指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。
  38. 石井智

    石井(智)委員 次に、用途地域制度関係をして、特別用途地区の拡充について伺いたいと思います。  用途地域規制は全国を対象とした制度であり、地域の実情に応じたきめ細かい規制を行うことにはどうしても限界があるものと考えておるわけでございます。したがって、特別用途地区制度を活用して、地域の特性に応じた用途規制を行うことが重要と考えるわけであります。しかし実際には、特別用途地区について、面積にして全用途地域の約二%しか策定しておらず、その活用は決して十分とは言えないのであります。これは、現行特別用途地区は、その種類法律、政令により定められており、地方のニーズに必ずしも合致していないからではないでしょうか。むしろ、その活用を推進するためには、法律、政令による種類の限定をなくすことの工夫をして、地方自治体地域の実情に応じ必要な特別用途地区を自由に定めることができるようにすることが有効ではないかというふうに考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  39. 市川一朗

    市川政府委員 建築物につきましての用途制限につきましては、財産権に対する制約であるということで、それは合理的な範囲内において行わなければならないというふうに考えられております。もう少し申し上げますと、それはいわゆる権利義務としての受忍の範囲の規制でありまして、結果としてその用途制限を受けましてもそれは補償はしないということになっておりますので、その限りで制約には一定の限界があるということが法律論としてなされておるわけでございます。したがいまして、用途地域制度につきましても、その種類制限の内容が法律で明確に規定されまして、その制限の合理性が担保されている必要があるということでございます。  それで、特別用途地区につきましては、そういう基本的な考え方のもとで、法律によりまして、またそれに基づく政令によりましてその種類を列挙し、地区目的、性格を位置づけまして制限を行うことの妥当性を担保した上で、その範囲内におきまして地方公共団体条例で具体的に規制を強化したり緩和することが可能であるということにされておるものでございまして、ただいま御指摘ございましたように、法令によるそういった種類の限定を廃止するということをいたしますと、財産権に対する制約といいますか、制限の合理性を担保することなく用途地域内の制限の強化または緩和ということになるわけでございまして、法律論としても非常に難しいというふうに私どもは認識しておるところでございます。
  40. 石井智

    石井(智)委員 次に、政府案の土地対策の大きな柱の一つであります誘導容積制度と、これに関連する容積率の問題についてでございます。  政府案の目玉として盛り込まれている誘導容積制度は、詰まるところは有効利用を促進させるための施策であります。このような土地高度利用のための施策をこれまで政府が講じてきたことが、地価の高騰を招き、東京への業務機能の過度の集積をもたらしたのではないかというふうに考えるわけでございます。東京都区部でも、指定された容積率の約四割しか実際には使用されていないにもかかわらず、慢性的な交通渋滞が生じていることなどからも、大都市部などにおいて指定されている容積率そのものが過大であり、既に公共施設容積率とのバランスが崩れているということが明らかではないかと思うわけであります。  このような現状から考えますと、誘導容積制度によるこれ以上の有効利用の促進は、地価の高騰を再び引き起こして都市の過密化を促進させ一環境の一層の悪化をもたらすだけではないかというふうに思います。本当に必要な施策は、既に過大に指定されている容積率を見直して、引き下げる方向で行うことがいいのではないかというふうに考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  41. 市川一朗

    市川政府委員 今回の誘導容積制度を御提案申し上げました基本的な考え方でございますが、とりわけ大都市地域におきまして、住宅宅地の供給や良好な都市環境の形成を図る上におきまして、道路等都市基盤施設整備を図りながら土地の有効・高度利用を促進するということが重要であるという認識の上に立ちまして、今回誘導容積制度を御提案申し上げた次第でございまして、この制度によりまして、公共施設が不十分なままで市街化が進行することを防ぐとともに、地区内の公共施設整備を図りながら土地の有効・高度利用が促進され、良好な都市環境の形成が図られるというふうに考えておるものでございます。  なお、現在指定されている容積率につきましては、長期的に計画された都市施設整備水準と整合性を持って定められているものでございまして、この数字につきましてはいろいろと御議論もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、決して過大な容積率決定にはなっていないというふうに思っておるところでございます。
  42. 石井智

    石井(智)委員 今回の政府案におきましては、誘導容積制度創設とあわせて容積の移転が自由に行えるような制度が設けられており、問題が多いのではないかというふうに考えているところであります。この容積の移転については、地区計画制度の中で行うものとされておりますけれども、地区計画住民の合意のもとに作成されるものであります。そのため、実際に容積の移転を行うに当たっては、土地の所有者の間で容積の売買が行われるようなことになるのではないかという危惧があります。さらには、容積率を上乗せするために地上げまがいの反社会的行為が行われる心配があるのではないかと危惧するところであります。この点について、建設省はどのようにお考えをいただいているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  43. 市川一朗

    市川政府委員 容積の移転というテーマでございますが、地区計画によりまして、現在用途地域で指定されております容積の総量の範囲内におきまして、詳細に地区内の容積の配分を行うことができるような内容の提案でございます。  これにつきましては、ただいま先生からも御指摘ございましたように、土地所有者間の合意によって行われるわけでございますが、基本的には地区計画で決めるわけでございまして、その地区全体が良好な都市環境の形成が図られるように、地区内の容積率設定に関しましてめり張りをつけることがプラスになるという場合に運用されるわけでございまして、具体的な計画基準もしっかりと示すことによりまして、それが適切に行われるように措置することによりまして、いい町づくりにとりましていい武器になるというふうに思っておるところでございます。よろしくお願い申し上げます。
  44. 石井智

    石井(智)委員 最後に、都市の周辺部における土地利用規制について、幾つかお尋ねをしておきたいというふうに思います。  近年の地価高騰をきっかけにして、都市計画規制の及ばない地域規制の緩い地域において、リゾートマンションの建設など無秩序な開発行為建築行為が盛んに行われており、居住環境悪化自然環境の破壊などの問題が生じている例が随所に見受けられるわけであります。このような問題に対処するため、本法案においても措置が講じられているので、逐次質問をしてまいりたいというふうに思います。  現在、リゾートマンションなどの建築規制を行うなどのために、自治体が独自で条例を制定して開発行為建築行為を規制しておりますけれども、これは都市計画制度建築規制制度が経過ぎて十分に対処できないためと見られているわけでございまして、緊急避難としての措置ではないかというふうに考えております。しかしながら、さきの朝日の論調にも出ておりましたが、先般の山梨県の景観条例において、裁判所の判決は自治体措置が違法だというふうにされております。今回、都市計画区域外における建築物規制自治体条例により行えることとなると聞いておりますけれども、従来のこのような条例に法的措置そのものの位置づけが与えられることになるのかどうかということ。もしそうでないとしたら、この問題をどう基本的に解決していかなければならないのか、このあたりの問題点についてどう掌握されて対応されようとしておるのか、伺いたいと思います。
  45. 立石真

    立石政府委員 御指摘のように、最近地方公共団体におきまして、町づくりに関して都市計画法建築基準法に基づかない地方独自の条例を制定する事例が見られていることは承知しているところでございます。これらの条例は、地域の特性に対応いたしまして個性ある町づくりを図る、こういうような面から一定の効果があるともちろん考えているところでございますが、その一方、建築物に係る制限等を伴う場合に、もの根拠や制限等の内容が適切なものであるのかどうか、そういうことについても種々の議論があることも事実であるというように認識しております。  今回の改正案におきましては、建築基準法に新たに規定を設けまして、都市計画区域外におきましてもリゾートマンションなどの無秩序な建築が行われて土地利用の混乱が生じているような状況、こういうものに対応するために、地方公共団体が政令で定める基準に従いまして条例で必要な制限ができるように措置したいということでございまして、この規定に基づきまして条例を定めた場合には、建築基準法に基づく制限でございますので、当然建築確認の対象として規制をしていくということになるわけでございます。  なお、建築基準法等に基づかないで、つまりこういう体系とは別のものとして地方独自で定める条例あるいはこれまで定められている既存条例、そういうものにつきましては、今回の改正とは関係なく、その範囲に今回の改正が変更をもたらすものではないというように考えているところでございます。
  46. 石井智

    石井(智)委員 また、本制度においては、地方公共団体条例は政令の基準に従って定めるとされておりますけれども、政令の内容によっては、実効の上がらない制度となる可能性が非常に大きいというふうに思うわけであります。そこで、主にどのような内容を政令に定めることを予定をしているのか、お伺いをしたいと思います。地方自治体が、地域の実情に応じて建築形態や用途制限について自由に定められるような基準にすべきだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  47. 立石真

    立石政府委員 政令で定める基準といたしまして現在考えておりますのは、建築物またはその敷地道路との関係、いわゆる接道義務でございます。それから容積率建築物の高さ等に関して定めたいと考えておりますが、これに従いまして地方公共団体条例でどの程度の制限ができるのか、どの範囲で制限できるのか、そういうようなことがわかるような基準としたいと考えているところでございます。  具体的な基準を策定するに当たりましては、今回の地方公共団体条例による制限が、都市計画区域といいますのは一体の都市として総合的に整備、開発、保全する必要がある地域となっておりますが、都市計画区域の外ということになりますので、先ほどのような無秩序な建築活動の規制をすることを目的としているところでございますので、都市計画区域内の用途地域の指定のない区域制限との均衡を配慮するということがこの際かなり妥当な線ではないだろうかというように考えておりますが、地方公共団体の要望等を十分に聞きまして、また検討していきたいと考えているところでございます。  なお、それでは地方自治体が自由に定められるような、そういう基準にしたらどうかという御指摘がございましたが、先ほど都市局長の方から、特別用途地区についての制限がどこまでできるかということについて基本的な考え方が述べられたというように考えているところでございますが、建築基準法による建築規制というのは、補償をしないで財産権を制限するという制度でございますので、建築制限をするに当たっては、制限をするだけの合理的な必要性がなくちゃならないし、また権利制限の内容あるいは対象区域をどこまでにするかという限定の仕方、さらにはこれらを担保するための手続規定整備、こういうものについて適切なものとしなければならないと考えているところでございまして、制限内容を定めるに当たりまして、こういう合理的な必要な範囲についての基準を国として政令で定めていきたいと考えているところでございます。  また、権利制限の内容を政令で明確に定めることによりまして、市街地環境上の問題が生じている地方公共団体におきまして、できるだけ早くこれらの制度を活用して規制を実施するようにということも、今後必要な事項だと考えておるところでございます。
  48. 石井智

    石井(智)委員 さらに、建築行為のみの規制にとどまるのは不徹底であり、建築行為以外の開発行為をも規制できるような都市計画区域の拡大が必要ではないかというふうに思うわけであります。このために、我が党の対案においては、都市計画区域指定要件の見直しを行うことができるというふうにしておるわけでございますけれども、この点について発議者の御説明をお伺いをいたしたいというふうに思いますのと、あわせて建設省の考え方も伺いたいと思います。
  49. 木間章

    ○木間議員 御質問のとおり、建築規制だけではなく、開発行為規制が行えることが望ましいと考えております。政府案では、都市計画区域外建築規制については提案をしておりますけれども、私たちの代案は、こうした地域についても都市計画の手法で対応できるように、都市計画区域指定要件改善したものでありまして、計画と規制関係が明らかであることと、建築規制だけでなく開発行為規制が行えることになるなどの点で政府案よりもすぐれておるだろう、このように理解をしておるところであります。
  50. 市川一朗

    市川政府委員 木間先生の後の答弁はちょっとやりにくいのでございますが、都市計画区域指定要件につきましては、御案内のとおり現在、都市計画法第五条でそういう規定がなされておるわけでございますけれども、その中で、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全することが相当な地域といたしまして、例えば中心市街地に三千人以上の人がいることとか、あるいは温泉その他の観光資源等もあることからかなり多数の人がそこへ集まってくるというようなところにつきましても、トータルとして都市計画区域に指定することができることとなっております。  しかしながら、そういった都市計画区域に指定されてないところでのリゾートマンション等の問題もございますので、今回、その都市計画区域外におきます規制もできるように建築基準法改正もするということによりまして、現行制度の中で十分現下の情勢に対応できるというふうに私どもは判断しておるわけでございまして、私どもの考え方といたしましては、現行法の中で、都市計画区域として指定する必要があるところにつきまして、法律上の要件に該当しないために都市計画区域に指定できないというところはまずないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  51. 石井智

    石井(智)委員 次に、用途地域の指定されていない区域についての規制について伺いたいと思います。  都市計画区域内においても、例えば未線引きの都市計画区域用途地域の指定がなされていない区域については、規制が緩いことから、住環境確保が図られていないところも見受けられるわけであります。本法案においては、特定行政庁が指定した区域については、原則四〇〇%の容積率を二〇〇%まで引き下げることができるなどの規制の強化がなされておりますけれども、二〇〇%といえば、延べい率が七〇%として三階建てのビルなど中高層マンションの建設が可能な数字であります。より実効ある制度とするためには、もっと低い容積率、例えば低層住居専用地域並みの容積率の指定も可能とするべきではないでしょうか。なぜ二〇〇%にするのか、その根拠について伺いたいと思います。
  52. 立石真

    立石政府委員 今回の改正案におきまして、従来は大規模な建築物建設がほとんど予想されない、あるいは建築物がどんどん建って市街化が進むとは思えない、そういうような用途地域が指定されていない区域につきまして、四〇〇%の容積率を二〇〇%に引き下げることができるようにしたいと考えているところでございますが、これは、これらの区域におきましてはこの四〇〇%というのをフルに利用するような建築活動がだんだんと出てき、そういうことによりまして周辺の低層建築物との間で日照問題等摩擦が生じる、あるいはまた交通の局所的な混乱の問題が生じる、さらには周辺の低層住宅等の建築物とのバランスが悪くなる、そういうものを勘案して決めようとしているところでございます。  じゃ、なぜ二〇〇%というようにしたかということでございますが、現在用途が比較的混在しております住居地域とか近隣商業地域あるいは準工業地域容積率は、その下限が二〇〇%というようになっているところでございまして、まだどういうような市街地になるか、将来どう格好がつくかということがわからない地域、白地の地域でございますので、これらと同等の二〇〇%にしておいたらどうかということが今回の提案の理由になっているところでございます。  用途地域の指定のない区域といいますのは、今申しましたように市街化の程度が低い区域であるわけでございますが、土地利用の方向についてどういう土地利用に持っていくか、こういう明確な位置。つけが行われていないわけでございますので、そういう土地利用の方向をつかめないままに容積率のみを低くするということになりますと、それはやはり過度な制限になるということもございまして、この辺十分慎重な審議が必要なのだろうと考えているところでございます。私たち考えるところでは、用途地域の指定のない地域容積率等を厳しく抑えたいということであるならば、やはりそれは都市計画としてどのような土地利用に持っていくのかということを計画的に考えて、つまり土地利用の方向を明確に位置づけていく、そして用途地域を指定する、そういうことによって権利の制限を行うことが妥当なのではないだろうかというように考えているところでございます。
  53. 石井智

    石井(智)委員 私は、この二〇〇%という数字を国が法律で決めてしまうのではなくして、地方自治体地域状況を見ながら、自由に容積率を設定することができるような制度にすることが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。  そこで、影の大臣木間先生、それから建設大臣に御見解を伺いたいと思います。
  54. 木間章

    ○木間議員 四〇〇%、二〇〇%という二つ容積率だけでは、自治体地域の実情に応じて建築物規制を行うことは不十分であろう、このように考えております。私たちの代案では、都市基盤が未整備であるような、また地域の将来像を定めることができないような用途地域の指定のない区域にあっては、全国一律に商業地域並みで規制するのではなくて、地方自治体地域の実情に応じて建築物規制を行うことのできるように、低層住宅地と同じような程度まで容積率を指定することができる、このようにしておるのであります。
  55. 立石真

    立石政府委員 容積率制限は、先生御承知のように建築物の密度の制限ということでございますが、どういうような市街地についてはどの程度の容積率にするのが適切であるかということを、都市計画の中で定めているところでございます。先ほど申し上げましたように、土地利用の目標が定められていない区域ということでございますので、そういう特性を踏まえますと、現在の二〇〇%とするというあたりが妥当なのではないだろうかというように考えているところでございますが、この問題につきましては、さらに慎重な検討が必要だとは考えておるところでございます。
  56. 石井智

    石井(智)委員 政府の案は、いわゆる土地対策としての当面の課題にこたえるための改正というふうに受けとめておるところでございますけれども、そのような限定をされた改正ではなくして、国と地方との関係のあり方の見直しなどを行い、地方分権の立場に立ったいわゆる幅広い改正を行う必要に迫られておるのではないか、こういうふうに依然と思っておるわけでございます。  そういう点でのさらなる大幅な改正について手がけていただけるような早急な対応をお願いして、時間も参りましたので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  57. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 松本龍君。
  58. 松本龍

    ○松本(龍)委員 山崎大臣、木間影の大臣、大変御苦労さまです。  昨日の読売新聞に、住宅土地問題に関する世論調査が載っておりました。その中で、「政府土地対策に満足をしているか」という質問に対して七八%が不満を持っている、東京圏ではそれが八八%と言われています。「今後も、土地を持っている人と持っていない人との間で、資産格差が広がっていくと思いますかこという問いに関しては、六一・五%が「そう思う」というふうに答えております。さらに、バブル経済の崩壊で土地住宅の値段が下がってきたが、マイホームの夢が近づいたと思うかという問いに関しては、「思わない」という人が六九%、東京圏においては八〇%がそういう数字が出ています。そして、私ここが非常に大事な問題だと思うのですけれども、持ち家を取得することが人生の目標の一つと思うかという問いに関して、「思う」という人が五一%、「思わない」という人が四六%、しかもこれは九〇年六月調査によりますと「思う」人が五五%、「思わない」人が四二%という数字で、これが縮まってきている。つまり、九〇年という非常にバブルが頂点といいますかはじけそうな時期の調査よりも、持ち家を取得しようという人が少なくなっているという実態が、きのうの新聞のアンケート調査で明らかになったわけであります。しかも、この中で持ち家志向が二十代、三十代、四十代で逆転をしています。前回は二十代だけだったのが、持ち家を取得したいという人が、二十代、三十代、四十代では「思わない」という人の数字の方が上回っている。  ここは非常に大事な問題だと私は思うわけですけれども、つまりバブルがはじけて今日、そのバブルの時代に若い人たちはいわゆる高級車や海外旅行、いわゆる一点豪華主義に走っていってしまった。しかも、持ち家の取得の年代層を見ますと、恐らく住宅局長御存じたとは思いますけれども、三十代半ばから四十代ぐらいが非常に持ち家を取得したいという年齢が多かった。つまり、当時の三十代半ばから四十代といいますと団塊の世代であります。つまり、団塊だけとは言いませんけれども、そのときにちょうど土地が高騰してきた、マイホームの夢が絶たれてきた。この社会的な影響といいますか非常に大きい、その責任は非常に大きいというふうに私は考えています。さらに、子供たちに与える影響も甚大でありましょうし、また逆に言いますと、したたかな青年たちもしっかり育っているということも言えると思います。  その中で、不動産融資の総量規制が行われ、さらには地価税の導入が行われてまいりました。私は、過去二年数カ月間国政にありますけれども、金融あるいは税制の措置は、柔道でいいますといわゆる「効果」の役割を果たしたけれども「わざあり」とはいかない。大臣は柔道の専門家でいらっしゃいますけれども、「効果」の役割は果たしたけれども「わざあり」とはいかなかったのじゃないか。私は二年前、土地の高騰のときにいつも考えておりましたのは、用途の純化強化をしなければいけないのじゃないかということを考えてまいりました。私のような都市問題の素人でもそういうことを考えてきたわけですけれども、今度の都市計画法改正あるいは建築基準法改正は、いかにもおくれたなということは否めません。  そういった中で、この数年来続いてきた規制緩和、民活に対する反省土地の高騰に対する責任の所在を都市局長はどういうふうに認識をしておられるか、まず冒頭お伺いをしたいと思います。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま先生の方から、最近の世論調査の結果につきまして御紹介があったわけでございます。私もこの世論調査の結果につきまして、問題の重要さをかなり感じながら聞いておったところでございます。  私どもといたしましては、従来から、特に都市問題の中でも大都市地域住宅宅地問題の解決というのは極めて重要な課題であるという基本的な認識に立ちまして、いろいろと取り組んでまいっておるところでございますけれども、御指摘のように必ずしも完全な成果を上げておらないところでございまして、特に昨今の地価高騰によりまして事態はいよいよ深刻化したわけでございます。したがいまして、今後総合的な土地対策の中で、ただいまの松本先生からの御指摘は私どもに対する力強いお励ましの言葉と受けとめまして、いわゆる構造的な対策としての土地利用計画制度充実こそ、長期的な観点に立ちました大都市地域中心とする都市住宅宅地問題の極めて重要なかぎを握るものということで、一層一生懸命取り組んでまいりたいと、厳粛な気持ちでいる次第でございます。
  60. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お話をお伺いをしたわけですけれども、やはり「わざあり」の効果ということになると、土地問題あるいは都市計画の問題が非常に大きなファクターを持っているというふうに私自身も考えています。  さらに今、これからの土地問題に対して規制の強化が必要である、今までの規制緩和から強化が必要であるというふうに私は認識をしているわけでありますけれども、規制の強化をやっている、ここが規制の強化なのだというところを、今回の法案改正の中で端的に指摘をしていただきたい。もう法案を私は読ませていただきましたので、ここここが規制をしているのだというところがあれば、端的に御指摘をしていただきたいと思います。
  61. 市川一朗

    市川政府委員 一規制の強化といたしまして、用途地域の細分化につきまして御提案しておる中におきまして、幾つかの規制の強化を図っておる点が第一点でございます。それから第二点目は、都市計画区域内外におきます建築行為に対します規制の強化を図っております。それから、誘導容積制度につきましては、最終的には土地有効利用促進を図っておりますが、いわゆる暫定容積率を決めることによりまして、道路等公共施設地区内の公共施設整備が進まない限りは、現行定められておる容積率どおりの建築物建築も認められないという意味におきまして、私どもそれも一つ規制の強化であるというふうに思っておる次第でございます。
  62. 松本龍

    ○松本(龍)委員 先ほど石井委員の方から質問がありました第二種低住専の話ですけれども、これ考え方によっては緩和型だというふうに受け取れないこともないと思います。従来、いわゆる第一種住専の中で百五十平米以内の店舗は、言ってみれば建築基準法の四十八条の別表二の中でいわゆる申請をして、審査会をして例外的に認められていた部分があったというふうに思いますけれども、そこのところはそういう実態であったか、まずお答えを願いたいと思います。
  63. 立石真

    立石政府委員 一般的には、用途地域規制の中では制限されている用途でございますが、低層住宅地環境を損なわないということであれば、建築審査会の議を経まして許可がされることになっているところでございます。
  64. 松本龍

    ○松本(龍)委員 そういったときに、今回の第二種住専は、言ってみれば店舗を許容する。どういう店舗か、これから政令で定められると思うわけでありますけれども、言ってみれば混在型の用途と言えなくもないと私は思っています。そういった意味で、運用面でこれから非常に問題が起きてくると思うわけでありますけれども、これが三年以内というごとになっていますけれども、これが非常に難しいだろう。本当にやろうと思えば現況の調査からしなければなりませんし、言ってみれば調査費や人材の確保あるいは農地との整合性、いろいろな面でこれから大変な苦労があると思うわけでありますけれども、都市局長、そういったところはどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねをいたします。
  65. 市川一朗

    市川政府委員 御指摘のとおりの面があるわけでございまして、今回の新しい用途地域制度法案として成立させていただきました場合におきましては、地方公共団体それぞれの立場で、まず基礎調査をしっかりと行う必要があると思っております。それから原案の作成、決定手続等相応の準備期間が必要でございまして、特にそういった基礎調査等に要する期間も最大限考慮いたしまして、事務手続はできるだけ早くやるというような観点から、法施行後三年以内に移行するということにした次第でございます。
  66. 松本龍

    ○松本(龍)委員 地方の声を聞きますと、なかなかそういうわけにはいかないというのが実情であります。そのことは申し上げておきたいと思います。  これから三年以内という今のお話も含めまして大臣お尋ねをいたしますけれども、やはり中曽根民活以来、規制緩和の方向は私は依然としてあるというふうに感じています。そういった中で、市町村レベルにおいて厳しい用途への変更、つまり緩和型ではなく厳しい用途への変更は、地域住民のコンセンサスあるいは都市計画審議会等々非常に困難があると思います。そういった中で、一種住専は例えば第一種低住専の方にシフトしていくような指導をされるのか、地域の特性多々ありますけれども、何かそういった中でこうやりなさいというふうな指導をされるのかという点をお尋ねをいたします。本来の用途を細分化した、強化をしたということは、言ってみれば規制を強化したというふうに私は感じているわけでありますけれども、そういった中で、本当に規制強化の細分化が実行されるような方向にこれから果たして行くのかということも含めて、大臣の御答弁をお聞きをいたします。
  67. 山崎拓

    山崎国務大臣 松本委員は、従来の土地対策、総量規制でございますとかあるいは地価税も含めておっしゃったと思いますが、柔道でいえば「効果」にすぎないのじゃないか、今度の法改正で「わざあり」をとれ、合わせて一本としたいところでございますが、いずれにいたしましても、総合的な土地政策一環として、土地利用計画制度充実を図るために本法案提出させていただいた次第でございます。したがいまして、今後地方公共団体におきまして、新しい用途地域創設目的に照らしまして的確な指定がなされて、法改正の所期の効果が得られますように、厳正に指導してまいる所存でございます。
  68. 松本龍

    ○松本(龍)委員 規制緩和あるいは民活が、今回の土地高騰あるいはさまざまな人たちの夢を砕いてきたというふうに私は認識をいたしています。  そういった中で、用途の問題に関してはこれくらいにとどめますけれども、最後にちょっとお聞きしたいのですけれども、用途でさまざまな議論があったと思うのですけれども、カラオケボックスとかミニシアターなど、用途に指定をされていないものが出現をしたということが、今回の改正一つの要因ではないかということもあると思うのですが、そういった中で、リストアップされていない用途の出現ということに対して速やかに対応ができるのか。そういったシステムをこれからつくらなければならないと私は思うのですけれども、どういうことを考えておられるのか、お聞きをします。
  69. 立石真

    立石政府委員 実際の市街地の中におきましては、いろいろな建築物が、かつ時間を経ますと相当変化して出てくることは、御指摘のとおりでございます。  今回の改正に当たりましても、例えばカラオケボックスもそうですし、あるいは場外馬券売り場の問題等も含んでおりますが、こういうものに対して現段階で考えて必要な制限をしていく必要があるということで、建築基準法のいわゆる別表の規定の見直しを行っているところでございます。こういうものに制限がされている場合には、その例外的な措置等については弾力的に、四十八条によって許可等によって立地ができるようになるわけでございますが、またその逆に、これらの規定につきましては、地方公共団体におきまして必要な条例等による制限も付加できる、あるいは緩和できる規定も設けられているところでございます。これらが地域の特性に合って、それぞれ対応できるものと考えております。  さらに、特に業態の変化の著しい工業関係のものにつきましては、今回の別表改正の中においても弾力的な扱いができるような規定を設けているところでございます。
  70. 松本龍

    ○松本(龍)委員 条例によって担保ができるというふうにおっしゃいましたけれども、実際そうはいかないというのが現状だと私は思っています。  さらにお聞きをしますけれども、市街化調整区域においても地区計画を定めることができるというふうになっていますけれども、これは市街化調整区域というのは、市街化区域はおおむね十年以内に市街化になるというところでありましょうけれども、市街化調整区域の中で地区計画を定めるということがどういうイメージを持っておられるのかが非常にわかりにくいといいますか、市街化予備軍といいますか、一定の要件を満たしておればそういったものができるというふうに受け取ればいいのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  71. 市川一朗

    市川政府委員 現行制度の中で、市街化調整区域におきましても一定の条件のもとで住宅市街地の開発等は許容されておるわけでございまして、現実には既に既成市街地もございますし、それから開発事業が進んでおるところもございますし、これから開発が行われるということで確定されておるところ等もあるわけでございます。もちろん、線引き制度の基本的な考え方のもとでございますので、極めて限定的、制約的でありますが行われるわけでございまして、そういったようなところでの町が整然としたものとして整備されるようにということで、限定的な意味ではございますが、地区計画を定めてそれを誘導するという制度の適用が必要であると判断したところでございます。
  72. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私は、市街化区域市街化調整区域の線引きはある程度役割を果たしているというふうに思っているわけでありますけれども、実際、社会経済の情勢の変化によって非常にその線引きが意味をなさないという地域も出てきている。十年でなかなか市街化できないというところもありましょうし、計画策定からまた実行の段階で非常に厳しいものがあるということもあると思います。  そういった中で、今回法案の中にありますように、都市計画に関しては基本的な方針創設をうたっておりますけれども、私はこのことに関してばいいと思うわけでありますが、しかし、果たして市町村がそういったマスタープランを書くことができるのかというところに非常に疑問を持っています。つまり、まだまだ中央に多くの権限が残ったままで市町村にさあマスタープランを書け、つまり道路や下水道、大きなインフラ整備や事業に関しては国や県に権限が残されているのに、こういった状況マスタープランを書きなさいということができるのかということを懸念しているわけでありますけれども、そういった意味において、それをどう担保していくのかということを含めて、都市局長の見解をお伺いいたします。
  73. 市川一朗

    市川政府委員 今回御提案申し上げております市町村都市計画に関する基本的な方針についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、それぞれの市町村町づくりのビジョンを具体的に定めるものであってほしいと思っておる次第でございます。  具体的な都市計画決定をする前提といたしまして、自分たちの町や村が将来どういうふうになるのかという姿をあらかじめマスタープランという形で提示しておきまして、それで具体的な都市計画事業等を行っていくということが、現在でもそういった努力をしているところはございますけれども、なかなかそういう努力がなされておらないところもあるというところから、その必要性につきましていろいろな御要望もございましたので御提案しておるところでございまして、基本的には市町村自主性が十分発揮されたマスタープランでなければ意味がないというふうに思っているわけでございます。  ただいま御指摘ございましたように、かなり枢要な部分については国や県が押さえておって、市町村がどの程度自主的なものがつくれるのかということでございますけれども、そういったものが仮に国道であり県道であったとしても、あるいは国の施設、県の施設があったといたしましても、トータルとしてその町や村がどうあるべきかという観点からは、やはり市町村の主体性が確保された中で町づくりとして具体的にビジョンが決められていかなければならない、また、そういったものでなければ意味がないという観点に立ちまして、私どもも懸命にそういった方向で努力していきたいと思っておる次第でございます。  端的に申し上げまして、国の計画等につきましても、市町村におきましてはそれを与件として受けとめてつくっていく計画と、ある程度こうあってほしいという要望も含めた計画と、両面あっていいのではないかなと私は思っておりますが、それはかなり具体的なマスタープランづくりの中で、それぞれの市町村の中で十分な議論を重ねながらコンセンサスを得ながらつくっていくという意味におきましては、それぞれの市町村でそれぞれの特色を持ったマスタープランでもいいのではないかなというふうに思っておる次第でございます。
  74. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お答えになりましたけれども、市町村が自主的にマスタープランをつくらねばならないというのはこれは当たり前の話で、まさにそれはもうおっしゃらなくてもいい。これは地域住民あるいは市町村がしっかり合意のもとで、住民参加のもとでつくらなければならないというのは当然の話でありまして、それをどう国や県が担保できるのかという質問をしたわけであります。  そういった中で、ドイツなどではBプランがあります。今言われましたようにイメージプラン、実施プランという考え方もありましょうが、そういった意味で私は、これからそういう権限移譲が非常に重要ではないか。今各方面からも、地方の分権あるいは権限移譲ということが言われています。さらに財政的な担保も含めて、建設大臣、今お話をしましたさまざまな問題に対してどう対処をされるのか、御見解をお尋ねいたします。
  75. 山崎拓

    山崎国務大臣 市町村マスタープラン当該市町村そして住民の希望や考え方を反映したものになる、自主的なものになるということは当たり前のことだとおっしゃいましたが、私も当たり前のことだと思うわけでございます。ただ、国と地方が利害が反するということはございませんで、地方発展のために国の施策も当然遂行されていくべきでございます。  ただ、地方マスタープランをつくりますときに、ややもすれば自己完結的なものになる可能性もあるわけでございます。例えば、国道は非常に広域的にわたっておるわけでございますから、その地域だけが国道の機能を阻害するような、計画の中にぶつかっちゃうというようなことも理論的にはあり得ることでございまして、そういうことがないように、日ごろから地方自治体におきましても当然国の施策とマッチするものをつくっていくんだと今都市局長答弁いたしましたけれども、そういうことではございますが、理論的にはそういうこともあり得ることでございますので、国の広域にわたる施策それから地方発展を願った夢のあるマスタープランとが、その調整が十分に行われるように十分配慮してまいりたいと思っておるのでございます。  なお、財源の問題は、これは別途、都市計画のみならず他の分野におきましてもいろいろと行革審等で審議されておるところでございまして、私は、極力地方分権を進めるべきではないかという先生の基本的な考え方には賛成でございます。
  76. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今言われました国と地方が利害が対立をするということがあったら、これはもう非常にゆゆしき一大事でありまして、いわゆる利害が対立するということではなく、権限が対立する、あるいは法的な体系の中で、市町村がこうありたいというところが法によってできないという事態がさまざまなところで生じている。そういった中で、一方ではマスタープランを書きなさいといいながら、実は書いたマスタープラン法律あるいは今の法体系の中で、建築基準法あるいは都市計画法の中でできないという事態が今各地で起こっているという状況を踏まえて、私は申し上げたわけであります。  そういった意味で、この市町村マスタープランあるいは地方の独自性のことに関しては、最後の方でじっくり時間をかけて申し上げたいと思うわけでありますけれども、今の都市計画のあり方は、住民参加の方法がなかなか確立をされていないということは言えると思います。都市計画審議会の答申でも、最後の方に述べられておりますけれども、今までの都市計画住民参加というと、言ってみれば開発の計画がぼんと出されていきなり突然知らされるというスタイルが多かった。また、行政の方としても、言ってみれば知らせず、聞かせず、争わせずというふうな感じのやり方が多かったわけでありますけれども、やはりこれからは民主的に、計画の段階で住民が参加できるシステムづくりが私は要ると思います。  なぜ都市計画がうまくいかないかということを考えてみますと、今計画と実施が非常にかけ離れている。つまり計画の段階で時間をかけるのか、実施の段階で時間をかけるのか。つまり、住民のコンセンサスをしっかり入り口の段階で時間をかければ、実行の方でスムーズにいくというふうな民主的なルールが必要であるというふうに私は思っているわけでありますけれども、公聴会はあくまでも義務規定ではない。意見書は出すけれども、それに対して市町村はなかなかそれにこたえてこないというふうなシステムがあります。  そういった意味で、社会党、社民連が出した案の方では議会議決が必要だというふうなことで、私は政府の方では、そういった地方自治体に対する能力論、いろいろなところでまだまだというふうに感じておられるのだと思いますけれども、都市計画はトラスチックに変えなければ、そして権利と義務をやはり地方の議会やさまざまなところに持たせなければ変わってこないというふうに私は思っています。計画なければ開発なしという都市計画の基本的な認識のもとで、私が申し上げました自分たちの手でつくるという都市計画のあり方について、都市局長はどうお考えになっておられるか、御答弁をお願いいたします。
  77. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画は、何といいましてもそこに住み、働く方々、住民の方々の総意のもとでつくっていくことが最も重要であるというふうに、私どもも思っておる次第でございます。  現在の手続等につきまして、十分ではないのではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、そういった住民意見を十分に反映させるという形での手続を担保しながら都市計画をスムーズに実行に当たらしめるという意味におきまして、現行制度一つの限界点なのではないかというふうに思っているところでございます。ただ、私どもといたしましては、そういった都市計画法に基づきます都市計画の体系といいますか、そういう法定手続の問題のほかに、自分たちの町は自分たちでつくっていくんだ、そういったしっかりとした自覚というものがやはりこれから強く求められていくというふうに思っている次第でございまして、必ずや我が国の将来は、そういった展望におきましては明るいものがあるというふうに見通しておるところでございます。
  78. 松本龍

    ○松本(龍)委員 やはり住民参加の手続が極めて民主的なルール、環境アセスあるいはアメリカで、導入されている財政アセスメント等々ありますけれども、そういった手法をどんどん取り入れられて、まさに情報公開をされて、住民の意思がしっかり反映をできるシステムをこれからつくらなければならないというふうに私は認識をいたしております。そういった中で、今までは密室の中で行われてきて、ある日突然ゴルフ場の計画ができてきたというところも多々ありますし、そういった住民の不満も聞こえできますので、そういった意味において、これから民主的なルールが確立されなければならないというふうに認識をしているところであります。  それでは、先ほど石井議員もお尋ねになりましたけれども、誘導容積制度の問題に移りたいと思います。  そもそも、容積率の二〇〇、三〇〇、四〇〇とかいろいろな数字がありますけれども、この数字、私はなかなか理解しにくいというふうに思っています。東京容積は今五〇%使い切ってないというふうな、正確な数字は私は知りませんけれども、そういう状況であります。これを例えば一〇〇%使い切ると東京はどうなるかというふうなことを私は心配しているわけでありますけれども、逆に言うと、もう過度に飽和状態に来ている。むしろ東京のようなところは、ダウンゾーニングが必要なんだというふうに私は感じています。  そういった意味で、きのう建設大臣答弁では、ダウンゾーニングの検討も今しようかと思っているというふうな発言をされましたけれども、地価容積率は必ずしも連動しないというふうに宮澤総理はきのうお答えになりましたけれども、都市局長、五〇%未満である東京が、今インフラやごみや産廃や道路や交通の問題で大変な状況にある。こういったことをかんがみて、地価容積率と連動はしないというふうな総理の答弁、あるいは自分自身のお考えをどういうふうに持っておられるか、お尋ねをいたします。
  79. 市川一朗

    市川政府委員 現在の東京におきまして、御指摘のように、定められている容積率はかなりまだ使われてない状況にあると思います。  これにつきましては、現在定められております容積率は、長期的な観点に立ちまして整備される公共施設整備状況もにらんだ容積率の決定になっておるわけでございまして、私どもといたしましては、土地の有効高度利用を図るという観点からは、できるだけ容積率を高く使うべきであるというふうに決められております地区内の土地につきましては、やはりそれ相応の有効・高度利用を図るべきであるという考え方を持っておりますが、ただ一方で、公共施設等の整備がおくれているままでそういったようなことが進むということに対する懸念も持っているわけでございまして、少なくとも今回御提案申し上げております誘導容積制度は、そういった観点に立ちまして、一度暫定容積率というようなことで抑えた形をとりまして、それから公共施設整備と見合った形での土地の有効・高度利用を図るという御提案を申し上げているところでございます。  この制度だけでは必ずしも十分ではない面もあるわけでございまして、御指摘のようにごみ処理の問題その他いろいろな各般にわたる問題点があるわけでございますので、やはり現実の都市運営という観点からにおきましては、ただ無秩序にそういったものが有効・高度利用が図られればいいというわけにはいかないという面があろうかと思いますので、今回のような制度提案をきっかけといたしまして、地方公共団体東京都あるいは特別区におきましても、真剣な御議論もお願いしたいと思っているところでございます。  それから、地価容積率関係につきましてでございますが、これは確かに容積率がダウンされました場合には、その土地地価がその面におきまして下がるということが現象として起こり得る面もあろうと思いますけれども、基本的にはその都市内におきます住宅宅地の需給の問題が背景にあるわけでございまして、地価問題を考える場合にそういった供給面、需要面との需給バランスの問題が無視できない面だと思っておりまして、そういう意味におきまして、容積率の上げ下げがトータルとしての地価水準にとりましてどういったような状況になるのかということにつきましては、極めて慎重な検討が常に必要であるというふうに思っておる次第でございまして、今回の土地の有効高度利用を図るという政策は、少なくとも大都市地域における住宅宅地供給促進という観点も念頭に入れてございますので、そういった意味におきましては、適正な地価水準確保という観点からは、むしろ有効に働くというふうに思っておるところでございます。
  80. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私は、誤解をしないでいただきたいのは、暫定容積率のことに関しては非常にいいアイデアだというふうに思っているのです。そういった中で、指定容積あるいは目標容積率があって、そこにボーナスが出てくる、容積移転ができるということに対して非常に懸念を持っているわけです。つまり、容積率というのは設定をされますと、これは抑えるためにあるのか、使い切るためにあるのかというところが、やはり土地を買った人やディベロッパーに対しては非常な価値判断の基準になってくるわけです。そういった中で、都市計画というものはやはりここは抑えましょう、ダウンゾーニングをしましょうというところ、使い切るんじゃないですよ、この数字はただ上限なんですよということをやはり言わなければならない。  しかも今度の容積移転というものの考え方は、容積移転はどのような基準でなされているのか、あるいは適正配分の際の容積割り増しの上限はどの程度考えているのか。あるいは一律のこうした規制緩和をすれば、かつて中曽根民活のようなバブルの風が吹いたときに、土地だけではなく容積の地上げのような事態を起こす可能性があるんではないか、さまざまな懸念を持って私は質問したわけです。言ってみれば、暫定容積という考え方は非常にいい考え方だけれども、その上にボーナス、そしてそのボーナスがつくときのプロセス、システムがなかなか見えてこない、どういう決定がなされるのかということが見えてこないということに関して、非常な懸念を抱いているわけです。そういった観点から、もう一度局長の御答弁をお願いいたします。
  81. 市川一朗

    市川政府委員 誘導容積制度につきまして、暫定容積率を定めまして、それから目標容積率を定めるわけでございますが、その場合、地区計画で対応する。その地区計画を定める際に、その地区内につきまして、現在、現行用途地域の中で定まっている容積率の総量という問題があるわけでございまして、その総量を超えるテーマと超えないテーマと一つあると思いますが、今回の容積率の適正配分の基本的な考え方は、容積率の総量の範囲内におきまして、その地区内の容積率の配分につきましてめり張りをつけるという考え方でございますので、私どもといたしましては、基本的にはその容積率が乱に走るということはない。むしろ、その地区計画に従ってできた町は、将来のあるべき姿から見まして極めて良好な都市環境のもとで整備された市街地として誕生するというふうにねらっておるところでございます。  それから、容積率はもともと最高限度を定めておるものでございますから、基本的には、その容積率の範囲に抑えるという考え方が原点にあることは御指摘のとおりだと思います。
  82. 松本龍

    ○松本(龍)委員 それじゃ、いわゆる目標容積率は指定容積率を超えないというようなことは断定ができるわけですか。
  83. 市川一朗

    市川政府委員 地区計画制度の中に、二年前の、あるいは三年前かもしれませんが、都市計画法改正の際に用途別容積地区計画というものを創設させていただいておりまして、これは基本的には、主として都心部におきまして住宅を建てる場合に、そういった住宅に関しまして容積率の上乗せができるような地区計画制度でございます。この制度誘導容積制度の組み合わせによりまして、結果としてはそういった容積率現行容積率よりも高いものとして設定することは制度上できるというふうに考えております。
  84. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私は、容積の適正配分や容積移転の考え方は、いわゆるアメリカの容積移転の趣旨制度と全く異なって、いわゆるTDRの考え方とは異なって、そのあり方について論議が非常に未成熟だというふうに思っております。今回、この容積移転の考え方はとるべきではないという考え方を、とりあえずここで申しておきたいと思います。  先ほど私、ちょっと触れました地方の問題にこれから移りたいと思うわけでありますけれども、建設大臣、地元のことであります。粕屋郡の志免町、ことしの二月でしたか、マンションが建つ、そういったときに水を供給をしないということでマンション側が提訴しまして、いわゆる水道法十五条、さまざまな論点によって町が敗訴したわけであります。水の問題というのは、これから事福岡に限らず、全国的な規模で非常に大きな問題になってくるだろうというふうに考えています。  さらに、地方が今どういう悩みを持っているかということを考えてみますと、言ってみれば今の法体系の中で、建築基準法都市計画法の手法では対処し得ないから、やむを得ず自治体が独自に条例を制定した部分であるとか、さらには地方政府としての自治体は、従来のように行政が一方的に定める指導要綱としてではなく、条例すなわち議会の議決を経ているわけでありますから、私は極めて民主的なルールでつくられているというふうに考えています。政府や裁判所あるいはさまざまな機関は、これまでもこれらの手法を違反としてきた部分があるわけでありますけれども、もしこれを違反とするならば、国がそれにかわるような有効な手法を提示をしなければならないというふうに私は認識をしているわけであります。  そこで建設大臣、五十三年の水不足のとき、福岡市は大変な思いをしたわけであります。五十三年の五月から五十四年の三月まで、六時間給水をピークとして連続二百八十七日間の制限があった。御存じのとおりであります。そういった中で、これはまさに志免町という一つ自治体の問題に限らず、さまざまな自治体が抱えている問題ではないかというふうに思うわけでありますけれども、判決文にありました水道法十五条、厚生省きょうお見えだと思いますけれども、この裁判の判決が妥当であるかどうか、お尋ねをいたします。
  85. 藤原正弘

    ○藤原説明員 お答えいたします。  この福岡県志免町のマンション等への給水拒否につきましては、福団地方裁判所での一審判決が出された後、町が控訴しているところであります。その推移を厚生省としても見守っているところでございますので、この件に関する直接のコメントは差し控えたいと思いますが、一般論として申しますれば、水道事業については水道法第十五条によりまして、当該事業の給水区域内での給水義務が課せられております。この給水の拒否といいますのは、正当な理由のある場合、つまりかなり限定された特定な場合にのみ許されるものである、このように考えております。
  86. 松本龍

    ○松本(龍)委員 水道法は昭和三十二年に制定をされたわけであります。そのときの事情と、まさに社会情勢あるいは経済情勢が大きく今変動してきたということはさまざまなところから指摘があるわけで、ある大学の教授のお話によりますと、我が国は歴史的に水に即した土地利用が行われてきたし、そうあるべきだ、しかし戦後逆転し、水源がなくても人が住むところは行政がどこでも水を供給しなければならなくなった、人々が住む場所に行政がすべて面倒を見るという水道法の精神は、今の情勢から見ると極めておかしいというふうなことが述べられているわけでありますけれども、これは非常に難しい問題であると思います。  私は、水道法十五条を変えるべきだ、改正すべきだというふうな認識に立っておりますけれども、都市局あるいは住宅局、これは厚生省だけの問題ではない。つまり、町づくりをどうするかという問題に非常にかかわっているというふうに考えています。つまり、建築確認は県あるいは国にある。そういった意味で、水は市町村に任せられている。小さな権限しか市町村はないのに、大きな法の中でそれが担保されてこない。先ほど言いましたように、市町村マスタープランをつくれつくれと言いながら、例えばこういう住宅をこういう制限のもとで町をつくりましょうといっても、それがなかなかマスタープランの中で、法体系の中で担保できないという状況が志免を初めとしてさまざまなところで起きているわけであります。そういった中で、この水道法の問題も含めて、都市局と住宅局の御見解をお尋ねをいたします。
  87. 立石真

    立石政府委員 志免町の件については厚生省の方からも御答弁があったと思いますが、判決で言っておりますのは、町が通常の努力を怠らない限りマンションヘの給水は不可能ではなく、今回の拒否は正当な理由に該当しないというように判断しているものだと存知しております。私たちのところからは、果たして水道法上の問題でこういうことが正当なのかどうか、そういうことについては判断できないところでございまして、これは水道法上の方で解決してもらいたい問題だと思っております。ただし、それでは都市内の土地利用に当たりまして、どういう建築物を認めあるいはどういう建築物制限するかということにつきましては、都市計画法建築基準法の両法の体系の中でも相当いろいろな措置が講じられることになっていると考えております。  仮に、例えば大規模なマンション等の建築を禁止しようとすることであるならば、用途地域制において低層住居専用地域を指定することもできるわけでございます。また、こういうものが入りにくいような容積率、建ぺい牽制限をかけることもできると思っております。さらに、詳細な計画でございます地区計画等の地区レベルのきめ細かな町づくり制度を活用して、きちっとした都市計画建築規制を行うこともできる。あるいはまた、住民建築協定のような制度も活用することができるというように考えているところでございまして、もし大規模なマンションを排除するといいますか、大規模なマンションを規制したいということであるならば、これらの手続を活用することによって、相当独自の町づくりを図ることができるというように考えているところでございます。
  88. 市川一朗

    市川政府委員 基本的な考え方はただいま住宅局長答弁したことと同じでございますが、若干一、二補足させていただきますと、この志免町は福岡市を含めます福岡都市計画区域、広域な都市計画区域の中に入っておりまして、線引き対象でございまして、現実に線引きもなされておりまして、当該マンションの計画地は志免町の市街化区域内で用途地域が準工業地域でございますから、用途地域上はマンションが認められるものでございます。  したがいまして、町といたしましてそういったものの立地は規制したいということでありますならば、やはりただいま住宅局長答弁申し上げましたように、しっかりとした用途地域の変更等も含めた都市計画の変更をやるか、あるいは別途の地区計画の策定とか、そういった都市計画的な手続によって対応することも可能な問題ではないのかなというふうに思っておる次第でございます。
  89. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今言われましたように、ここは市街化区域です。それで、逆線引きをするか、用途を変更するかというふうなさまざまな、今住宅都市の方から話があったわけでありますけれども、極めてそういうことが難しい。つまり、志免のことに限りませんけれども、さまざまな市町村が非常に過疎化で悩んでいる、そういったときに、これは志免のことではありませんけれども、ディベロッパー来てください、開発してくださいというふうなことがあって、はたと気がついたら水がなかったというふうなこともこれから大いにあり得を。そういったときに、逆線引きをしなさい一用途の変更をしなさいと言うだけで、それで担保ができますよというやり方が町づくりとしてやれるのか、実際運用としてやれるのかということを、非常に私は疑問に思っています。  先ほど住宅局長言われましたけれども、まだ給水余力があるというふうに判決ではありました。しかしながら、市町村マスタープランをつくるときに、水のフレームや人口のフレームを入れながら、これだけ住宅を許容すればこれだけ水が足りないということをしっかり書き込んだときに、それをしっかりと担保するような都市づくりをこれからしていかなければならないと私は思います。つまり、ここが上限だ、水のマキシマムだとしたら、ここで水道の供給をストップするといわゆる都市は破裂してしまうわけです。ですから、そこまであるタイムラグの中で市町村が計画を策定する、そういった策定したものをどうにか担保していかなければならない。それがさまざまな地方で起こっている町づくりや、住民が参加をしていろいろ村おこしをしたり町おこしをしたりするときに、国が保障していく、国がそれに対してどうバックアップしていくかが非常に大きな問題だというふうに私は考えているわけであります。  この水道法の問題、都市計画の問題、この志免の問題は非常に大きな問題を抱えていますけれども、そういった中で都市計画町づくりマスタープランと連動させて水の問題をこれからどうするかということで、建設省あるいは厚生省としっかり協議をするというふうな状況が必要であるというふうに、私は認識をしています。そういった中で、今お話をしました点につきまして建設大臣、どういうふうなお考えをお持ちであるか、お尋ねをいたします。
  90. 山崎拓

    山崎国務大臣 志免町は私にとっても地元でございます。先生にとっても地元でございますから、お互いに関心の深いところでございますが、本件に関します限りは、御答弁申し上げましたとおり、一水道法上の問題であると存じます。  ただ、今後どうやって対処したらいいかということで政府委員の方から、これは例えば用途地域で低層住居専用地域に指定する等の方法があるじゃないかということを申し上げたのでございますが、先生の基本的なお考えは、市町村でしっかりしたマスタープランをつくらせるということが本法の改正の中に含まれているんだから、その際にこういう問題が起こらないように措置できるように指導しろ、こういう御趣旨ではないかと受けとめさせていただいた次第でございます。  まことにごもっともなことでございまして、新しい町ができていきますときに、水道のみならずさまざまな行政需要が発生をいたすわけでございまして、それらの行政需要に的確に対応できる体制をとりつつ、立派なマスタープランができるということが必要であろうと思います。そのためには、最後に御指摘がございましたとおり、各省庁と十分連絡をとれる体制が必要かと存じますので、御趣旨を体しまして今後対応してまいりたいと存じます。
  91. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私は、こういうときに国がしっかり指導しろということではなくて、つまり国は最小限の関与をしていきながら、そういったときにはしっかりバックアップができるようなシステムをつくらなければならない。この問題は、私は志免の問題で言いましたけれども、これは志免だけの問題ではない。福岡市の問題あり、全国各地で、例えば神奈川の真鶴町でありますとか山梨の清里等で、景観条例のことに関して県が敗訴をしたということもあります。そういった中で、これを担保できる、つまり条例法律を上回るという非常に難しいような状況がありますけれども、そういった町づくり、極めて民主的に住民が合意をしてこういう町づくりをしようといったときに、それが実現できるような方策をこれからの都市計画町づくりの中で考えていかなければならない。私は、関与をしろと言っているのではなくて、そういった、状況をつくり出していかなければ、これから地方の反乱あるいはさまざまな問題が起きてくるというふうに思っています。  先ほど言いましたように、大臣もおっしゃいましたが、この水道法の問題、それと都市計画をきっちり連動させて、関係各省鋭意協議に入られて、これからの町づくりに支障のないような状況を少しでも知恵を出し合ってとっていただきますように最後にお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  92. 古賀誠

    古賀委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ————◇—————     午後一時二十分開議
  93. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川信君。
  94. 小川信

    小川(信)委員 それでは一時間ですけれども、私、地方行政委員会のメンバーの一人でございますが、きょうはいろいろ御無理を申し上げまして差しかえで、都市計画法にかかわる問題についていろいろと御質問させていただきたいということでございます。  まず第一に、私、都市計画法を読んでみまして一番特徴的なものとして思ったのが、法律の第三条の二項で住民の責務というのか責任というものをうたっておるのが、この法律一つの特徴ではないかと思います。これは、住民が法に基づいて都市計画の適切な遂行に協力する責務を担うということを明記しておるということです。言うなれば、この法律によって、都市計画を進めていく上でその地域における住民が協力する責任がある、こういうふうな位置づけにされておるということです。それだけに、都市計画を策定していく段階では、その過程においていろいろなところで住民の参加を明確にする必要があるのではないかと思いますし、また、都市計画法に基づいて行われます都市計画事業というものは相当大きい拘束力を持っておる。  例えば、都市計画事業の認可をもって土地収用法に定める事業の施行の認定の告示とみなすというようなのが、都市計画法の第七十条にもあるわけです。そういうふうなことは、いわゆる土地収用法の適用が都市計画事業の認可でそのまま行われるのだというようなことは、片一方で住民の責任を強く求めておるというようなこと。そのほか、都市計画事業の認可をもってそれぞれ特定の法律の許可、認可にかえるというようなものが、例えば墓地、埋葬等に関する法律とか土地区画整理法とか都市再開発法とかいうふうな中で行われておるというように、非常に大きい強行的な力を持っている法律だということです。私は、そういうふうなことを前提にしてこの都市計画法改正というものを考えてみなければならないというふうな感じがしてならないわけです。  先般来、私、生産緑地法の一部改正の議論のときにしても、また、このたびその生産緑地法が具体的に施行される過程において、それぞれ関係する委員会で発言をしたこともございますし、また先般、拠点都市整備法等の連合審査でも御質問しましたけれども、いわゆる町づくりといいますか、そういうふうなものは常に住民の参加というものが必要であるということと同時に、長期的な全体的な土地利用計画といいますか国土利用計画というものが根底にあって行われるものではなかろうかというふうに思っております。ですから、国土全体の利用計画の一部として都市計画というものがあるというふうに思いますし、また、国土利用計画との関係というものと都市計画というものがどのような関係にあるのかというようなことが、この法律の中身では十分理解できないんじゃないか。例えば、国土利用計画法に基づく国土利用計画、そして市町村計画、土地利用基本計画、こういうふうなものと都市計画との関係はどうなっておるのかということについてまずお尋ねをしたい、このように思います。
  95. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画は、ただいま先生からも御指摘ございましたように、健康で文化的な都市生活と機能的な都市活動を確保するという観点から都市計画目的実現する必要があるわけでございまして、そういう観点におきまして、国及び地方公共団体都市計画の適切な遂行に努めるとともに、住民も公的主体の措置に積極的に協力することが必要であるという観点に立ちまして、住民の責務という規定が設けられておると私ども理解しておるところでございます。  もう一度この点につきまして平たく申し上げますと、公共の福祉と私権の保護という非常に難しいテーマを両立させる形で、健康で文化的な都市生活を確保するための都市計画目的実現という観点に立ちますので、そういう意味合いにおきまして、都市計画の決定におきましてはできるだけ住民の方々の参加を求めまして、住民の総意の中でよりよい計画を定めていくということが求められておる次第でございます。  そういう意味におきましても、住民の方々の意見を反映させる手続といたしまして、都市計画の決定、変更に際しまして、公聴会の開催、案の公告、縦覧、意見書提出都市計画地方審議会の付議等を経ることとされているところでございまして、これらの規定が果たして十分であるかどうかということにつきましてはいろいろと御議論があるわけでございますが、公共の福祉と私権の保護という観点の両立という意味合いにおきましても、また都市計画住民の総意のもとで円滑な事務が執行されるという観点におきましても、大体現行の法体系がちょうどのところではないかというような感じを私どもは持っておるわけでございますが、なおこの点につきましては、いろいろと御議論もあるところであると認識しておるところでございます。  それで、都市計画と国土利用計画とのいろいろな関係でございますが、いわゆる国土利用計画法に基づく国土利用計画につきましては、全国計画と都道府県計画と市町村計画の三つがあると承知しておりますが、このうち全国計画と都道府県計画は、都市計画との関係でいきますといわゆる上位計画といいますか、都市計画はこれらの計画に適合したものでなければならないということで、都市計画法でも第十三条第一項というところで、国土計画または地方計画に適合したものでなければならないというふうにされておるわけでございます。  それから、市町村計画につきましては、市町村の議会の議決を経て定められるということになっておりまして、これは都市計画法第十五条第三項に、市町村建設に関する基本構想に即して都市計画は定めなければならないということになっておりまして、その基本構想の中の一つであるというふうに認識しておるところでございまして、都市計画の具体の決定に際しましては、こうした長期的な観点から定められます国土利用計画と連係した計画内容でなければならないというふうに基本的な考えを持つと同時に、法律上もそういう位置づけになっておるというふうに理解しております。
  96. 小川信

    小川(信)委員 今いろいろお話がありましたけれども、私、逆ではないかと思うのですね。国土利用計画法に基づいてつくられる市町村計画の一部として都市計画があるのではないか。今のお話では、都市計画構想の一部として国土利用計画法に基づく市町村計画があるんだ、こういうふうなお話ですけれども、逆ではないか。国全体の土地利用計回があって、そしてそれぞれ県の計画があり、市町村の計画がある、そのそれぞれの計画の中で都市計画というのがある。国土利用計画の中には、農業地域として農業振興の計画、そういうふうなものもあるのではないかと思います。  重ねて聞きますが、発想が逆ではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  97. 市川一朗

    市川政府委員 私の御答弁ちょっと不十分だったかと思いますが、いわゆる国土利用計画といたしまして全国計画、都道府県計画、市町村計画とありまして、そういった計画の中で、御指摘がございました農振地域等も含めました農業的土地利用のあり方とか、そういったものもその国土利用計画の中で、三段階に分かれますけれども決められておるわけでございますが、具体の都市計画を決定いたします場合には、そういった国土利用計画に即して都市計画を決めていかなければならないというふうに、私どもも理解しておるところでございます。
  98. 小川信

    小川(信)委員 そういうふうな理解の上に立って行われる都市計画というのは、いわゆる法律を見ますと、やはり都市的な機能というものを開発していくということがどうも前提になって都市計画というものが考えられ、そして限られた都市的な地域都市地域をどのように効率的に使うか、利用するかということが発想の原点になっておるのではなかろうかと思うのです。  そういうふうな中で、例えば法の二条の中で、これはもういつも取ってつけたようにあるのか、現実そのようなお気持ちがあるのかわかりませんが、「農林漁業との健全な調和」というのが入っておるわけなんですね。都市的な地域を想定し、その地域の中で農林漁業と健全なる調和を図るような都市計画というのを現実にどのように考えておられるのかというのは、私は昨年の生産緑地法の一部改正についても、また先般、具体的に施行されるということで土地特で質問したときにもいろいろ御意見がありましたけれども、これは取ってつけたような仕組みになっておるし、健康で文化的な生活、こういうふうな面についても必ずしも十分この計画の中で生かされておるのじゃないのじゃないか。まあ一言うなれば、都市的な機能としての土地の合理的な利用をどのように図るかということが最重点に行われて考えられておるのではなかろうかというふうに思わざるを得ないのです。  やはりここに法律に掲げてあるように、農林漁業との健全な調和と、そしてそこに住む住民が健康で文化的な生活が営めるような仕組みを考える、そういうふうな状況の中でその限られた土地の合理的な利用をどのように図っていくかという整合性のあるものでなければならないと思いますが、このたびの改正案についても必ずしもその辺がはっきり見えないのですけれども、その辺いかが認識されておられるか、聞かせていただきたいと思います。
  99. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画法第二条に都市計画の理念がありまして、「都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活」の確保云々と書いているわけでございまして、ただいま取ってつけたような規定ではないかという御指摘がございましたけれども、これは決してそのようなものではなくて、極めて重要な基本理念というふうに私どもは認識しておるわけでございます。  と申しますのは、我が国都市は、その発展の歴史等によりまして、ヨーロッパの都市と比べますとやはり都市的な土地利用と農業的土地利用とが混在した実態を持っておるというところから、いわゆる都市計画区域を定めまして都市土地利用整備を図る上におきまして、現実に存在いたします農業的土地利用の行われている区域をどうするかという問題がまず基本的にありました。そのために、御案内のとおり市街化区域市街化調整区域という線引き制度現行都市計画制度の根幹になっておるわけでございまして、したがって、その都市の中で主として農業的土地利用が営まれているところにつきましては、ある程度まとまったところにつきまして、それは市街化調整区域ということで線引きいたしましてそこで農林漁業が行われやすくする。それからそのほかに、さらにその他のいろいろな手法を使いまして保全措置を行う。それで、そういった議論の中で、さらに市街化区域に定められた中でなお農業が続けられておるところで、なお長期的に農業継続の意思のある方々に対してやはり新しい制度が必要だろうということで生産緑地制度というのが提案されたというようなことでございまして、こうした一連の法体系の根幹の中に、この「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」という基本理念が横たわっているというふうに私どもは理解しておるところでございます。
  100. 小川信

    小川(信)委員 私は、個々の問題を言うのじゃなくて、全体的に調和の図れるような都市づくりということをやはり都市計画法の中ではっきり出す必要があるのじゃないかと。しかし、法律を見る限り、このたびの改正の中身を見ても必ずしもそうではないのじゃないかということなんです。  今局長がおっしゃった市街化調整区域というのは、そこで農業をやってもらうために市街化調整区域があるわけじゃないのでしょう、市街化を抑制するためにあれはあるはずなんですね。ですから、そういうふうな点をきちんと整理されないと、市街化調整区域にせずにあれは農振地域にすればいいのですよ、もしそれなら。だから、そうでない、市街化調整区域については農業をやるためじゃないのだ、しかし大きい一つ都市的な機能を持っているエリアの中で緑が必要だ、農業も必要だ。けさでしたかテレビがやっておりましたし、いろいろあるのですけれども、やはり市街化される地域都市的な機能の中に、窓をあげれば田や畑があることも潤いがあっていいのだという人たちもおるわけですから、そういうふうな意味での調和ということでしょうが、私はそれをきょうは特に言うのではなくて、どうもその辺をきちんと整合性のある仕組みとして考えていただくことが必要では。なかろうかということを申し上げたわけでございます。  それで、次にお尋ねをしていきたいと思いますのは、都市計画法の第二章の第一節というのに「都市計画の内容」ということでずっとたくさんいろいろなものが書いてあります。今お話があった市街化区域とか調整区域、これは整備、開発、保全の方針都市計画で定めますとかということから、地域地区というものの位置づけ、促進区域というものはどういうふうなもので計画の中でどのように定めるのか、遊休土地転換利用促進地区というものはどういうふうなものか、都市施設というものはどういうものか、市街地の開発事業どこれの予定区域というものはどうか、地区計画住宅地高度利用地区計画都市計画基準都市計画の図書、建設省令で定める方法で表示しなさいというところまで、極めてきめ細かく書いてあるわけなんですね。なぜここまで法律の中で書かなければならないかというような感じがしてならなかったのが、この法律を読んでの私の感じです。  同時に、基本になるのは都市計画に関する基本的な方針の問題です。基本方針は公聴会等住民意見を聞いて、住民意見を反映してつくれ、こういう法律になっておるのですけれども、ここではこの基本方針は議会の議決は必要としておりませんですね。基本構想は議会の議決を経でつくられる、基本方針は公聴会等住民意見は聞くけれども議会議決は特に求めていない、この辺はどのような考え方でこのような使い分けがされておるのか、聞かせていただきたいと思います。
  101. 市川一朗

    市川政府委員 市町村建設に関する基本構想と申しますのは、地方自治法に基づく基本構想等をいうものでございまして、これは市町村全体の人口、産業、土地利用等に関します各種施策の長期的な方針を定めるものでございまして、今回御提案申し上げておりますいわゆるマスタープランと言われるものに関しましては、これに即さなければならないということになっておりますが、この今回の創設されることになります市町村都市計画に関する基本的な方針、いわゆる都市計画マスタープランにつきましては、市町村地域住民意見を反映させつつ具体的な町づくりのビジョンを明らかにしていくものという考え方に立っておりまして、そういった具体的な町づくりのビジョンに基づきまして具体的な都市計画決定がなされていく。別な言い方をいたしますと、提案される都市計画の案が自分たちの町の将来とのかかわり合いにおいてどういう位置づけになるのかということが明確にわかるような、わかりやすい市町村マスタープランをつくるということが、今回創設をお願いしております市町村都市計画に関する基本的な方針でございますから、個別には、その後都市計画で決定していく前の段階でその市町村の具体的なビジョンを示すということでございますので、いわゆる都市計画決定よりもある意味で重い位置づけになります議会の議決ということを義務づけない方がいいのではないかという観点でこういった兼ね合いにいたしまして、ただし基本的な枠組み等につきまして、議会の意思等とのかかわり合いもはっきり位置づけておくべきであるという考え方から、議会の議決を経て定められておりますいわゆる地方自治法に基づく基本構想等には即して定めるべきであるというふうに、法律上も規定したところでございます。
  102. 小川信

    小川(信)委員 今局長がお話しですけれども、どうもその辺がよくわからぬのですけれども、基本構想は地方自治法に基づいてその議会の議決を要するということで、総体的な全体的な長期的なものをつくっていくんだ、だから議会議決が要るんだ。しかしマスタープランと称する基本方針は、もっと詳細な具体的なものであるから、住民意見を聞けば議会の議決は必要ない。これは、都市計画地方審議会等々の審議があるんだろうと思いますからですけれども、しかしここで議会の議決というものを、いわゆる先ほどの御答弁の中なり説明の中にも、住民の意思というのを十分反映するんだということであれば、公聴会をやった上で、住民から選ばれた議員で構成している議会の議決というものを、議会での具体的な審議というものが最も地域住民の意思を代表するものであるのではなかろうかと私は思うのですね。  どうもそういうふうなものを意識的に省略をされるということは、やはりなぜ省略をするのか、なぜその手続をとらないのかということについてはなお理解ができないわけですけれども、議会の議決を必要としない客観的、具体的な理由を、なぜなのかというあたりを、もっとこれは説明いただきたいと思います。
  103. 市川一朗

    市川政府委員 具体的な、都市計画決定手続を経て定められますいろいろな都市計画があるわけでございます。その都市計画につながるような、できるだけ具体的なマスタープランでなければマスタープランをつくる意味合いが薄れてくるという認識に私どもは立ちまして、利害の調整等は都市計画決定手続の中で最終的にはしっかりとなされるわけでございますから、そういった意味合いにおきましては、マスタープランはまだ法定手続という観点では、そういうプロセスとしては少し緩やかなプロセスのままにしておいて、しかし十分住民の意向もその中に描きながらデッサンをかいていただく。できるだけ内容が具体的なものであってほしいという意味合いから、国の制度として議会の議決を義務づけるということはしなかったわけでございますが、現実にマスタープランを定める際に、市町村等におきましてどういったような形で住民の総意を反映させるかということにつきましては、いろいろと創意工夫があってしかるべきだと思いますが、法律上の手続として議会の議決を義務づけるということは、やはりマスタープランとして非常に具体的な内容のものを盛り込むということに関してどうかなというふうに考えた次第でございます。
  104. 小川信

    小川(信)委員 行政の立場、政府の立場でどうかなと思われるのかもわかりませんけれども、やはり町づくりですから、自治体そのものが自分たちの意思によってこれをつくっていくというのが本来の基本的なものなんですね。ただ、今の局長の御答弁で言えば、自治体の議会の議決を経るようにしたら、相互の利害が相対立するとか、利害関係があってまとまらぬから議会にかけたら大変だ、議会にかけたらハチの巣をつついたようになって都市計画なんというものはつくれぬ、基本方針なんてつくれないから議会の議決はしないんだというように、私は聞こえたわけです。  というのは、現実問題として、例えば例でいきますと、市街化区域にするのか、市街化調整区域にするのか線引きをしますね。この線引きについても、現実、相当利害が対立して難しいというのが現場ではあるのは私もわかります。市街化区域に入れてほしいというのと、あれから外してほしいという、いろいろなところがあるでしょうし、それから、例えば第一種とか第二種とかいうような地区指定、これも、私のところは商業地域にしてくれとか第一種住居専用地域にしてほしいとかいう、この利害というのは私はあるだろうと思うのです。というのは、極端に言えば、どちらかに入ることによって、個人の資産としての土地の値が上がったり下がったりすることだってあるわけですからね。  だから今おっしゃるようなことになるのかとも思いますけれども、やはり地方自治体とそして地方自治体議会というものをもっと信用するということが、制度を運営をしていく基本にあっていいんじゃないかというふうに思うのですね。自治体というものを信頼する。国なり都道府県段階まででなければ、それから先へ任せたら大変なことになるから余り任せないというんじゃなくて、信用する、信頼するということが必要ではなかろうかと思いますが、その辺、もう一度聞かせていただきたいと思います。
  105. 市川一朗

    市川政府委員 私の答弁がちょっと信用していないというふうに受けとめられたとすれば、私、答弁の仕方がまずいことを反省する次第でございますが、やはり都市計画は、基本的には案をつくるのはすべて地方公共団体でございまして、市町村都道府県知事が案をつくるわけでございます。国の関与があるといいましても、ごく特定のものにつきまして、知事が決める場合に大臣が認可するというだけでございますから、私どもの都市計画制度は、それぞれの地方公共団体におきましてよりよい町づくりとして、こういう形であるならばうまくいくのではないか。  その場合、その背景としてありますのは、冒頭で申し上げましたように、都市計画は相当程度の財産権の制約を伴うものでございますから、やはり法律上のきちっとした根拠があることが公共の福祉のもとでの財産権の制約というもので、現行憲法上一つの制約というふうになっておりますので、都市計画法上、都市計画の内容による財産権の制約はやはり法律でしっかり定める必要があるということで、現行都市計画法もいろいろと細かい規定がされておりますが、しかしそういった中で、できるだけ市町村が自由闊達にやっていただきたいという基本的な考え方はいささかも変わっていないつもりでございますので、どうかひとつよろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  106. 小川信

    小川(信)委員 やはり法律の中で、私法律を見て思うのは、物すごくきめ細かく設定されている、言うなればがんじがらめになっているという意味に普通の言葉で言えば言うわけですけれども、そういうような中で、自治体地域住民の創意と工夫を生かし自主的につくり上げていきなさいといっても、こういうふうな法律制度の中では非常に制約をされてくるだろうと思うのですね。  私は、ですからこういう法律をせっかく改正するの一なら、そういうふうな規制緩和して、自由闊達な議論の中で市町村自治体自分たちの町の将来がつくりやすいような方向に法律改正をしていくことが、この法律改正の現時点における大事な役割ではなかろうかと私は思うのですけれども、現実提案されておるものは、言うなればちょっと問題が出たようなところにこう薬を張るような法律改正になっておって、今時点、行革審等も含めて国全体で求められておる地方への権限の移譲というような意味が非常に大きい政策課題、政治的課題になっておるし、世論になっておる時代の法改正としては、私は極めて納得いかないものがあるし、せっかくのこの機会をなぜ政府はみすみす逃して従来と変わらないような仕組みを踏襲されるのかわからぬわけです。  というのは、今も局長おっしゃいましたけれども、都市計画で本来市町村が自主的にやっていくべきものでしょうけれども、国や知事等とかに制約されて、相談したり認可や許可をもらわなければならないもの、報告しなければならない項目というのが約二十項目ありますね。都市計画区域の指定ということですけれども、知事が都市計画区域を指定するにかかわる建設大臣の認可、都市計画区域を変更、廃止する場合の建設大臣の認可、国の利害に重大な関係がある都市計画区域の指定または都市計画の決定、変更にかかわる建設大臣の指示、こういうようなのが都市計画区域の指定についてはあります。さらには、知事または市町村が所定の期限までに正当な理由がなく都市計画区域の指定等について変更措置をとらない場合の建設大臣の代執行、こういうふうなものがある。まさにこれは、市町村の自主的なものというのが何にもないのです。そして先ほどからおっしゃるようなものがある。  都市計画の決定についても同じようなことです。都市計画事業の施行についても同じです。都道府県都市計画事業の施行にかかわる建設大臣の認可、市町村都市計画事業を施行する場合の知事の認可、何もかも全部建設大臣と知事に聞かなければ都市計画法という法律は動かないようになっている。市町村の独自でやれるものというのは何にもないわけです。こういうふうな法律というものが本当に町づくりになるのかどうか、その辺を私は非常に心配をするわけですけれども、これが大体二十項目あります。  これは先般の行革審で、こういうようなものは問題があるから見直すべきではないかといって指摘を受けていることではないかというふうに聞いておりますが、これは大臣いかがでしょか。こういうものは、思い切ってこういうふうな国や県の制約を外して、市町村の自主的な判断でやれるようなものをもっと広げていくべきじゃないかというふうな感じがしますけれども、どうもこのたびの法改正はその方向にいささかもなってないというような感じがしてならぬのですが、いかがでしょうか。
  107. 山崎拓

    山崎国務大臣 昭和四十三年の現行都市計画法の施行の際に、従来国が行っておりました都市計画の決定をすべて市町村及び都道府県知事が行うこととされまして、知事の定める都市計画のうち、国の利害に重大な関係を有するもの等について建設大臣の認可を要するものとされたのでございます。  このような都市計画における権限配分につきましては、従来より適宜見直しを行ってまいりましたが、今回の改正案におきましても、市町村マスタープランといたしまして市町村都市計画に関する基本的な方針創設することといたしておりまして、市町村の主体的な町づくりの推進に資するものと考えている次第でございます。今後とも、地方公共団体の主体的な町づくりを推進する観点から、適切な権限の配分見直し、それに見合った財源の確保等に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  108. 小川信

    小川(信)委員 私は、先ほど申し上げたようなたくさんの地方自治体市町村都市計画をつくり、そしてそれに基づいていろいろな事業をやっていく上での制約というものがあるわけですから、これをやはり少しでも少なくしていく方向での法改正というものを考えていただきたいというふうに思うのです。  私は、なぜここまでしなければならないかと思ったのが、例えば都市計画を決定した場合、建設大臣にこういうふうな中身ですよというのを示して送るわけですね。図書というのですか、これなんかを見ますと、建設省令の定める中身で表示して出しなさい、こういうふうなことまで書いてあるわけですけれども、なぜそこまでしなければならないのかというようなこと等も感じたわけです。とにかく、地方自治体権限を移譲するよう。な仕組みでの法改正というものを政府がこのたびの改正の中で取り上げてないというのは極めて遺憾だ、このように私は思わざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。  次に、具体的なことに入りますけれども、このたびの法改正の中でちょっと気になったのがあるのですが、先ほどもちょっと出ておりましたが、市街化調整区域というのは本来市街化を抑制する区域だ、これは法律の第七条三項で示されております。局長は農業をやるところだ、こうおっしゃったですけれども、法律では市街化を抑制する地域、こういうふうになっておりますが、ここで地区計画を定めることができるようにされておるわけですね。調整区域、市街化を抑制する地域での地区計画というのはどういう計画を考えておられるのか。本来市街化を抑制するところ、そして現況のままで置かれておるところであるわけですね。そこでの地区計画というものをつくることができるようにあの改正案にありますが、何を計画を立てるのかということです。その辺をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  109. 市川一朗

    市川政府委員 市街化調整区域は、都市計画区域全体の計画的な市街化を図るために、市街化を抑制すべき区域として定められるものでございます。しかしながら、その市街化調整区域内におきましても、一定の条件のもとで開発行為建築行為は許容されているところでございまして、極めて制約的ではございますが、開発行為建築行為によって都市土地利用が現に行われている、あるいは今後行われることが確実な土地区域はあるわけでございまして、そういったようなところで詳細な土地利用規制を行いまして、良好な居住環境の維持、形成を図る必要性はもともと基本的にございまして、その辺の手当ては都市計画法上もあるわけではございますけれども、必ずしも十分ではない。むしろこういったところにつきまして地区計画を策定いたしまして、現在の町がよければそのままで、それからこれからできる町につきましてはよりよい居住環境が形成されるように、地区計画で担保していくということが必要である、大体そういう要請も高まってきているという観点から御提案申し上げている次第でございます。
  110. 小川信

    小川(信)委員 都市計画法ができたのが昭和四十三年でございますけれども、法律の中に市街化区域市街化調整区域というのがありますね。市街化区域というのは、おおむね十年間で市街化をするということですね。四十三年から十年ということになると、昭和五十三年にはその区域内は全都市街化されていなければいかぬはずですね。市街化された上で、さらにもっと市街化を広げなければならないから調整区域に手を伸ばしますというならわかりますけれども、どうも今の御説明を聞いても、抑制するべき地域でも、特定の場合は建造物なり施設なり、また公共的な施設でもつくらざるを得ない、いろいろなものがあるだろう。例えば学校をつくるとか、それから公共的な施設をつくるとかいうようなことが起こることもあるでしょうけれども、そこまでを想定して、万やむを得ず調整区域に必要だからつくらざるを得ないというところを想定して、ここに地区計画を定めることができるとするのか。  私が心配するのは、こういうところに地区計画ができるよということを出すことによって、市街化調整区域乱開発される危険性があるから言っておるわけですよ。市街化調整区域地区計画都市計画の一部として計画ができるから、ここが今から開発されるところになるのだよというような認識になって、乱開発がされたり地価上昇したりするというようなことが起こり得るのではないかというようなことを考えると、やはり市街化調整区域は市街化を抑制するところであって、ここは現況を保全するのだということをあくまで貫き通すことが、調整区域として法律に定められた基本的な考え方じゃないかと私は思うのですが、その辺はいかがでございましょうかね。ここで計画を立てるというのは、私はどうも納得いかない。それは計画を立てた方がいいという気持ちも若干ありますけれども、このままでやったら私は変な開発にされるのじゃないかというような感じもしてならぬわけですけれども、その辺いろいろ議論があるところですけれども、私は、建設省の考え方をもう一遍聞かせていただきたいと思うのです。
  111. 市川一朗

    市川政府委員 既に先生御案内と思いますが、調整区域につきましても開発許可の許可基準の中で、都市計画法第三十四条の中に、ある一定規模以上の開発ということは許容されておるわけでございまして、そういったような開発がなされる際に、地区計画という制度で計画的な網をかぶせましてそれで開発を許容するということが、やはりよりよい町づくりとしてはすぐれているのではないかというのが私どもの判断でございまして、先ほどの先生のお言葉をおかりしてお答えを申し上げるならば、基本的には万やむを得ずというような考え方背景にあって今回、制度提案しておるというふうに御理解いただきたいと思う次第でございます。
  112. 小川信

    小川(信)委員 先ほどからお話しのように、調整区域というのは開発を抑制した地域ですから、現況のまま保全されておる。もちろん公共的な事業、道路とか下水だとか、こういうふうなものの開発は進められておるだろうと思いますが、そういうところを将来展望して考えていくのは、これは都市計画の中じゃなくて、先ほど申し上げた国土利用計画法に基づいての市町村計画の中で、将来こういうものをどうするのか、現状はこうなのだが将来どうするのかというふうに位置づけていくということの方がやはりいいのじゃなかろうか。というのは、乱開発規制をするという意味で計画化をするという考え方、計画を立てるという考え方と、もう一つは、計画地域にしたことによって地価が高騰したり開発が乱開発になっていくという、両方の危惧があるということで私はお尋ねしたわけですけれども、この辺は十分御検討いただく必要のある課題ではなかろうか、このように思っております。  それから一次の具体的な内容としてお尋ねしたいのは、地区計画制度の拡充の一つとして、地区内の土地所有者等の全員の合意によって地区整備計画を定めることを要求することができるというふうに定められております。これは土地所有者等ということですからいわゆる地権者ということでしょうけれども、地権者全員の要求で地区整備計画を定めることができる、こういうふうになっておりますけれども、この意図をまずお聞かせいただきたいと思います。どういう意図によってこういうふうなものを定められたのか、どういう考え方なのかということです。
  113. 市川一朗

    市川政府委員 今回設けました地区計画の要請制度でございますが、これは関係権利者の合意が調った時点におきまして、その当該地区地区計画を策定したいという場合に、その策定手続に関しまして直接的な効果を持つものではございませんが、市町村にその地区計画の策定を要請する。そういたしますと、要請を受けた市町村は、当然に地区整備計画の案を作成し、決定していくように努めることが期待される、こういったようなことでございまして、いわゆるその地区内の関係権利者の基本的な考え方が、都市計画決定手続という行政実務の中で明確に生かされていくようにと考えて設けたものでございます。
  114. 小川信

    小川(信)委員 そこで、もう一つ確認をしておきたいのですけれども、「全員の合意によりこと、こういう表現になっておりますね。全員ということは、十人からおれば十人が十人、百人があれば百人が百人という意味での全員だと、こういうふうな認識でおられるわけですか、その辺を聞かせていただきます。
  115. 市川一朗

    市川政府委員 当該地区関係権利者が合意しているから、それで地区計画を決定するように進めてほしいということを市町村に要請するわけでございまして、それを受けた市町村が、その地区に行ってみましたら結構反対者がいたということでは要請の意味がないのではないかということで、全員合意ということにしたわけでございますが、そもそも地区計画は要請がなければできないということでもございませんから、市町村関係権利者との協議の中で必要と思って地区計画決定手続を行うという場合には、それは全員合意でなくても説得しながらやっていくということはありますが、要請制度でございますので、やはり一人たりとも欠けない全員合意がいいのではないかと考えた次第でございます。
  116. 小川信

    小川(信)委員 考え方としては、地区の計画制度を拡充してやりやすいようにしていこうという中で、全員というのが現実の仕組みの中で確かにいいと思いますし、要請だから、みんなが頼むのだから、みんながやりたいというのだからひとつ計画を立てましょう、やりましょうということですから、それはわかりますけれども、法律として全員の合意というのが、そして行政の制度として本当になじむものかどうか。私は立場を変えて思って、こういうことが書いてあるけれども、本当にどうなのかというような感じがして確認したのですけれども、もう一遍確認いたしますが、これは地権者全員の合意ということでやるということですね。
  117. 市川一朗

    市川政府委員 なかなか難しいお尋ねでございますけれども、現在の都市計画法の中で、わりかし動いている制度として特定街区という制度がございまして、これは霞ケ関ビルとかあるいは新宿の副都心等も含めまして全国でも大分あるわけでございますけれども、そういった制度も全員合意ということになっておりまして、その全員合意というのはなかなか難しい面もございますけれども、しかし都市計画というものがそもそもそういう住民の合意のもとで行われる町づくりという意味におきましては、全員合意に達するような内容でやっていくということも一つのやり方ではないかと思っておる次第でございます。
  118. 小川信

    小川(信)委員 法律も全体的には相当強行的な仕組みになっておって、土地収用法も適用できるような部分もあるかと思えば、全員合意だというようなことがある。私は、全員合意だというのは、あくまで地域住民の民主的な意思の総結集ですから結構だと思います。そういうふうに、この都市計画法のこのたびの改正は、やはり地域住民の合意、そして地域住民の創意工夫によって自分たちの住む町を将来ともどうしようかということを計画化していくということが基本であっていいんだと私は思います。そういうふうな意味で、本来都市計画というのは自治体固有の仕事であり、自治体住民みずからがこれに参加して行うということが私は当然だと思います。そういう意味で、このたびの法改正は、私たち社会党も改正案を出しております。  きょう、たまたま朝日新聞の社説にも「都市計画自治体の手に」ということでいろいろ書いてありますけれども、「地味で専門的な都市計画分野では初めての野党案も出されており、豊かさを求める時代にふさわしい成案を期待したい。」という社説があります。  これは社会党と社民連とで共同提案を皆さん方でやられたわけですけれども、そこで私は、今まで政府に対していろいろお尋ねしたわけですけれども、やはり先ほどから私がかねがね言っておるように、都市計画というものは、本来自治体固有の役割でやるべきものだ、そのためには、地域住民が、自治体の中におる住民が参加することができるんだ、参加して計画をつくり、その計画に基づいていろいろな活動をやっていくためには、自治体に、地方団体に権限を移譲するということが必要ではないか。どうも今の都市計画法というのは、やはり建設省と知事と、いわゆる都道府県なり国に権限が集約されておるというような感じがしてならないわけです。  社会党案の提案をきのうされたわけですけれども、社会党案が、野党案というのは、対案というものは、どちらかというと、私が願っておるところを非常に重視されておるように受けとめたわけですけれども、その辺について、対案を出された社会党の谷村議員の方から、その辺のお考えを聞かせていただければと思います。
  119. 谷村啓介

    ○谷村議員 小川委員にお答えいたします。  市町村への権限移譲について、社会党と社民連が出しております案についてどう考えておるかという点でありますが、まず第一に、基礎自治体である市町村権限を拡充する点でありますが、現行法におきましては、東京などの三大都市圏の地域における都市計画について、都道府県知事権限で、かつ、国の認可を要するものが多いのであります。例えば、これらの地域においては、政府のこのたびの改正で詳細化を提案しております用途地域に関する都市計画も、都道府県知事決定で国の認可が必要なのであります。社会党案では、これは行き過ぎであるというふうに考えまして、他の地方圏における都市計画と同じ程度まで、国や都道府県が関与する範囲を縮小しよう、こういうふうにしておるわけであります。また、市町村が定める都市計画については、原則としてすべての都道府県の承認を要するとしております現行規定を見直しておるわけでありまして、同一の都市計画区域内の市町村と調整を要する場合を除き、原則として都道府県知事の承認を不要というふうにいたしておるのであります。  第二点でありますが、住民の参加を図るため工夫した点でございますけれども、自治体は公聴会の開催など住民意見を反映するための措置を必ず講ずるべきである、こういうふうにしましたほか、都市計画の案の縦覧に当たって、縦覧期間の延長、意見書の処理について報告書の作成、その報告書に対する再度の意見書提出など、都市計画の決定手続における住民参加の規定を拡充いたしておるわけであります。  また、特に住民に身近な地区計画については、地権者の多数の同意を得て住民から発議できるような制度を設けて、より一層主体的な住民の参加を促すようにいたしておる、こういうことでございます。  以上です。
  120. 小川信

    小川(信)委員 大変明快な御答弁をいただきまして、私はそういうふうな考え方でこのたびの法改正が進められるように期待をしております。  言うなれば、町づくりというのは、これは市町村にゆだねるんだという基本的な考え方をまず持つということです。私は、先般の地方拠点都市整備法なんというのはその発想に近づいてきているわけですから、その前にできたこの都市計画法なんかでも、それに近づけるような法改正をすべきだと思います。とにかく地方自治体自主性というものを最大限に尊重するような法律にしてほしいというのが、地域住民の願いであると私は思います。  その辺で、自治省、いかがでございましょうか、自治省に少し頑張っていただきたいと思うのですが、自治省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  121. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 行政事務につきましては、できるだけ住民に身近な地方公共団体で処理されることが適当であると考えております。したがいまして、国から地方への権限移譲をできるだけ多くいたしまして、また、国の関与等もできるだけ少なくいたしまして、基礎的地方公共団体市町村の行政の充実を図っていくということが重要であるというふうに考えております。とりわけ今日におきましては、地域活性化、個性豊かな地域づくりあるいは町づくり、こういうことが求められておる時代でございます。したがいまして、そうした町づくりに必要な事務とか権限、これはできる限りその現場の方へおろしていただければというふうに考えております。  以上でございます。
  122. 小川信

    小川(信)委員 私は、今の自治省の行政課長の御説明は、自治大臣のかわりとしてここにおいでになって御発言されたというふうに理解します。  そういうふうなことで、この法律、今からさらに審議が重ねられましょうけれども、こういう部分はもう地方市町村に移譲してもいいじゃないかというものを議論の中で整理していただいて、自治省の方からも意見を言ってもらって、どんどん権限の移譲をこの法改正の中でやっていただきたい、私はこのように強く求めたいと思います。  そうでないと、新しく今から出てくる法律との整合性なんというのはなくなってしまうのではないですか。例えば地方拠点都市整備法、これと都市計画法とではちぐはぐになっておる、あるいは市町村が計画を出して知事が承認するということですが、ほとんど知事に任せていく、これはがんじがらめになってくる、そんなことではやれないのではないかというような気がします。  この辺は最後に申し上げますけれども、先ほど社会党、社民連の皆さん方でつくられた対案というものが出されております。それに対しての基本的な考え方、谷村さんの方からも御答弁、お考えが示されました。さらには自治省からの見解も出された。最後に、この法律を本当に住民のものにするために、そしていろいろな識者の方々が言っているように、町づくり計画というのはもう市町村にゆだねるべきだという意見、こういうようなものを受けて、大臣はどのようにお考えになるのか、最後に御見解を承って質問を終わりたいと思います。
  123. 山崎拓

    山崎国務大臣 町づくりに関しまして、当該市町村が主体的にやるべきものであるという基本認識におきましては、先生と私は変わりはございません。ただ、現行都市計画法のもとでも、ほとんどすべての都市計画決定上の権限市町村あるいは都道府県にゆだねられているところでございまして、特に国との利害が重複いたしますわずかな分野におきまして国の承認を必要とする、そういう仕組みになっておるところでございます。  加えまして、今回の改正都市計画の基本となりますマスタープランづくりを市町村にお願いするという仕組みを設けたところでございまして、一層町づくりが地元住民の手にゆだねられるということが大勢として進んだものと考えているわけでございます。  地方分権という考え方は、私も進めるべきだということに。おいて先生とのお考えは一致していると思いますが、地方分権は非常に幅広い分野にわたっておりまして、行革審等で御検討を煩わしているところであると思います。都市計画におきましても、この新しい改正法の運用等を通じまして一層地域住民の声が反映されるように努めてまいりたいと存じます。
  124. 小川信

    小川(信)委員 終わります。ありがとうございました。
  125. 古賀誠

    古賀委員長 次に、堀込征雄君。
  126. 堀込征雄

    堀込委員 私は、都市計画法改正、それから、それに対する対案が出されているわけでありますが、今、小川委員質問の最後にありましたように、突き詰めてみれば、これからの建設行政を従来どおりの建設省を中心としたそういうことで進めるのか、あるいは地方分権を進めながら、市町村の末端の意向を踏まえながら進めるのか、そういう立場の違いだというふうに思うわけであります。  そこで最初に、ただいまも小川委員質問に対して答弁ございましたが、もう一度大臣の姿勢についてお伺いをするわけでございます。  御存じのように、政治改革論議なども今与野党協議が毎週のように開かれて、日本の政治をどうするかということで議論が行われているわけであります。その議論の直接的な契機は、確かに金権政治がはびこったり、あるいはそういう金権政治を正すということを契機として始まったというふうに思うわけでありますが、今はやはりその議論は、金権政治をなくすということとともに、二十一世紀に向けて、政治も、経済も、行政も、冷戦構造以後の展望をどういうふうに見出していくのか、どういう体制をつくっていくのか、そのシステムをどういうふうにつくっていくのかというところに議論が大体合いながら展開をされてきているのではないか、こういう感じを受けるわけであります。  そういう意味では、そういう金権政治の従来型の政治の温床になってきた背景一つに、私は各省庁の縦割り行政というようなものがやはりあったのではないか、建設行政だけではなくして、あったのではないかというふうに思うわけであります。やはり建設行政などを見ても、中央省庁の予算配分にそれぞれ関連業者が一喜一憂をするとか、あるいはいわゆる族議員というようなことで、地元の陳情によっていろいろ後押しをするとか、そういうことによって予算獲得のために一生懸命走り回る、その先頭に議員が走る、こうした姿があったと思うわけでありまして、こういう構造はやはり正していくことが今日求められているのではないか。つまり、二十一世紀に向けて分権自治を進めて、政治改革、やはり今国会で議論をしていますが、これはどうしてもやって、そして、その次は思い切ってそういう縦型行政を正していく、改めていくということが大まかな議論の方向ではないかというふうに私は思うわけであります。  大臣、政治改革論議の中で大変御苦労いただきましたし、お考え方も私ども承知をしているつもりでありますけれども、そういう議論を視野に入れながら、引き続いて建設行政において分権を進める、そういう考え方でよろしいのかどうか。あるいはまた、そうではないのか。あるいは断固として今の霞が関行政のシステムを守るということであっては、やはり二十一世紀の政治は開けないというふうに思いますが、そういう絡みで大臣考え方をまずお伺いをしたいと思います。
  127. 山崎拓

    山崎国務大臣 制度というものは必ずさびついてくるものでございます。また同時に、時代は必ず進展をするものでございます。情勢は変化するものでございます。そういう意味におきまして、政治の制度あるいは行政の制度につきまして常に洗いがえを行っていくということは必要なことだと考えているわけでございます。  行政につきまして、行政改革がこの十年間強力に推進されてまいったと確信をいたしておりますが、それでも、なおかつ絶えざる改革は必要であると思います。その精神は先生の精神と私も同じだと申し上げさしていただきたいのでございます。その中で、縦割り行政の弊害、この点につきましては、かねてから指摘されてきたところでございまして、私もそういう弊があるということを認めざるを得ないのでございます。  そこで、今国会に拠点都市整備法案が出されておりますが、この法案におきましては、六省庁の大臣が主務大臣になりまして、お互いに連携をとりつつ、かつ、他の省庁の大臣協議大臣になっていただきまして、縦割りではなく、横の連携プレーで新しい多極分散型国土の形成を目指そう、こういうことで、先生方にも、各党にも御指導と御鞭撻をいただいているところでございます。  そういうことでございますから、一つの方向といたしまして、地方の振興、そのための地方分権の推進、これは行政改革一つの大きな柱として立てられていると確信をいたしております。先ほど申しましたのですが、ただいま臨時行革審の中でこの問題は大きく一つのテーマとして取り上げられているところでございまして、その答申も待ちましてさらに一層新しい時代に備える体制をとってまいりたい、そのことを申し上げておきたいと存じます。
  128. 堀込征雄

    堀込委員 それでは、そういう考え方でぜひお進めをいただきたいと思います。  そこで、今国会冒頭に宮澤総理が施政方針演説をやったわけでありまして、そのうちの一つの柱が生活大国づくり、こういうことでございました。生活大国という場合は、やはり国民の、生活者の現場の生活条件をどう改善していくのかという視点が必要だろうというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、やはり地方分権などを進めながら、きめ細かい、生活に配慮をした行政が行われる必要があるのではないか、そういう体制をつくる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、そういう前提に立ちまして、ひとつ私は建設行政について、そういう意味から日ごろ少しく疑問に思っている点があるわけであります。  予算配分において補助事業などは幾つもあるわけであります。私も実は議員になって大変驚いたわけでありますが、これはほかの省庁にもかなりありますけれども、いずれにしても、道路改良だとか河川改修など、現場へ行ってみますと、実にきめ細かく細かいところまで国の予算がついておりまして、そのことによって地方の事業も行われている、こういう実態があるわけであります。  そのために、市町村の事業計画が県へ上げられる、そして県、市町村、関連業界含めて陳情合戦が繰り広げられる、こういう実態があると思うわけでありまして、私は今の予算のあり方あるいは税のあり方からいってある程度はやむを得ない実態だろうというふうに思うわけであります。しかし、二十一世紀の政治というようなことを展望すると、やはり放置しておくべき問題ではないのではないか、やはり正していくべきは正さなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そういう意味で、今回の都市計画法改正は、用途地域整備だとか所要改正がなされておりまして、そういう意味では、宮澤総理が提起をした生活大国づくりへ一歩でも接近するというような視野も含まれているんだということ、けさ以来答弁を聞いておりますと、あるわけでありますけれども、実際にもう少しやはり一歩踏み込んでほしいというのが私の考え方でありますし、それから、実際にそういう法律に基づいて行われる予算なり事業費なり、そういうものについて、やはりもう少し地方自治体の意思が尊重されるような仕組みを考えていくべきではないか、こういうふうに思うわけでありまして、問題は、こうした法について具体的なそういう事業がどういうふうに行われていくのか、予算配分がどういうふうに行われていくのか、そういうことをどういうふうに改善をしていくのかという問題もあるというふうに私は思うわけであります。  そういう意味で、思い切って補助事業を、細かい箇所づけをしないで、例えばメニュー化をして市町村に任せちゃうとか、あるいは、例えば今の補助事業というのは立候補主義といいますか、手を挙げたところが、声の大きいところへ行くと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういうところもなきにしもあらずでありまして、そういう意味で、そういう建設行政全体について、この法案の分権化の思想とともに、そういう行政のあり方についても検討し、正していくべきではないか、こういうふうに私は思いますが、いかがでございましょうか。
  129. 市川一朗

    市川政府委員 実効性ある計画の実現のために国の補助事業のあり方につきましていろいろと先生の方から御指摘があったわけでございまして、基本的な考え方といたしまして、私どもも同じような考え方を持っておると思う次第でございます。  特に今後、事業の重点的なあるいは機動的実施を図ることができる補助制度確保する上におきまして、補助事業に関します事務手続の簡素化とかあるいはいろいろと統合化を図るあるいはメニュー化を図るといったようなこと、これは従来から建設省におきましては特に意識的に進めてきておるわけでございますけれども、今後とも一層その推進に向けて努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  130. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひそういうことで努力をいただきたいと思うのです。  そこで、社会党、社民連提案の対案がございます。本当にスタッフのいない中で御努力をいただいたことを、敬意を表したいと思います。  しかもその発想が、根本的な思想として、地方分権の時代、生活者中心時代というものを見据えながらこの法律がつくられているという意味で、心から賛同するわけでありますが、ただいま私が御質問申し上げましたように、現在の国の事業は、やはり建設事業に限らず、今のような利権政治を生みやすいと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、そういう縦型の仕組みというのがあるというふうに思うわけであります。そういう意味で、私は、社会党、社民連提案の今度の法案、そういう意味では、民主性と自主性というようなものが担保されて、日本の行政機構を正していく意味でも、非常によく理解できるわけであります。  問題は、ただいまと同じ質問になって恐縮でございますが、要するに、こういう自主性なり自治権を担保した法律をつくっていく、その場合に、具体的にそれにつれて行政改革や予算や事業の配分もそういうことに向けて改革があわせて進められなければならないのではないか、こう思うわけでございますが、対案提出者の影の大臣の方から、ひとつその辺の見解について御答弁をいただきたいと思います。
  131. 木間章

    ○木間議員 敗戦後、憲法の中にも地方自治制度が明文化されまして、地方自治法も制定をされて今日を迎えておるところであります。一時期、三割自治だという表現がなされておったことも記憶をしておるところでありますが、最近はこの三割自治もなかなか言葉になってこない。それは、一方では、住民自治を進めようといろいろ政府の方で努力をされて高まった面もあろうと思いますが、依然としてやはり行政、財政とも自治能力は極めて狭められておるところであろう、こう思っております。  したがいまして、今度の対案を提出するに当たりましても、私ども一番そこを心配をしてきておるところでありますが、ただ、今度の法改正、率直に先生もお認めいただいておるように、積み残した部分であるわけであります。本来、都市計画権限は、基礎自治体であります市町村固有のものである、こういう議論が私どもの中にありまして、そういった意味ではぜひ早くそういったものの整備もやろう、こういうことでおるわけでありますが、第一に税制の改革によりまして自治体の独自財源を強化することであります。それは、道路、公園など都市施設整備をするにいたしましても、基礎自治体が自由濶達に行われるという保証でなくちゃならぬと思いますし、第二に、都市施設整備土地利用規制について関連する法律改正をして、自治体において総合的な政策が立案できるようにしていかなきゃならぬのであります。  そういった意味では、今度の私どもの代案は、自治権をある程度確保しようという面では一歩前進であると自画自賛をしておるところではございませんけれども、しかし、次の段階では、必ず、行政、財政全般についても基礎自治体がやれるように、そういうふうに向けてこれからも精進を続けますので、ぜひまた皆さんの深い御理解を賜れば幸いであります。  よろしくお願いします。
  132. 堀込征雄

    堀込委員 大変ありがとうございました。ぜひそういう発想でまたこの法案についても与野党の御理解をいただくように御協力をいただきたいと思います。  そこで、これからの都市計画都市政策について、どうしても地方自治体なり住民の意をくみ上げたものでなければならない。そういうことになりますと、特に都市と農村、農地の問題といいますか、そういうものをどういうふうに考えていくのか、あるいは農地、林地含めた問題を考えていかなければならないという意味で、農業、農地制度に関連をして、若干御質問をしてまいりたいと思います。  過日、生産緑地法の改正がなされました。申請の受け付けがなされたわけでありますが、この申請状況、大まかに御説明をいただきたいと思います。
  133. 市川一朗

    市川政府委員 生産緑地の申請の状況でございますが、まだ完全に完了してございませんけれども、現時点の申請状況から見まして、おおむね三三%前後の農地が生産緑地に指定されることになるのではないかと推測しております。
  134. 堀込征雄

    堀込委員 そうなりますと、大都市圏の十一都府県の、東京都の区部を一市として計算しますと百九十六市、この生産緑地申請率がおおむね三分の一、三三%である。約五万二千ヘクタール弱の市街化区域内農地の大体三分の一でありますから一万六千ヘクタール余り、これが生産緑地、残りの三万五千ヘクタール余りが宅地化を希望した、都市利用を希望した、こういうことになるだろうと思います。  私は、これで一体どのくらい建設省が計画的な宅地行政として期待をした宅地転換ができるのかどうかという点について、改めてお伺いをしたいわけであります。  大都市法に基づく三大都市圏における住宅の供給基本方針の計画によりますと、平成十二年度までに首都圏で四百三十一万戸ですか、二万七千五百ヘクタールの宅地、それから近畿圏で百九十万戸の住宅、一万一千二百ヘクタールの宅地、中部圏で八十三万戸の住宅、七千六百ヘクタールの宅地、こういう供給目標があるわけであります。仮に今生産緑地に申請のなかった三万五千ヘクタール余りがそのまま宅地化をされる、こういうふうに期待をしますと、大体平成十二年までの供給計画の目標の八〇%ぐらいが達成をされる、こういう数字になるわけでありますが、この辺はどういう見通しを持っていらっしゃるでしょうか。
  135. 伴襄

    ○伴政府委員 お答え申し上げます。  今、三大都市圏では、平成元年時点で、宅地並み課税対象の特定市の市街化区域内農地以外に町村の農地がございますので、合わせて六万四千ヘクタールあると思っております、市街化区域内農地が。これを対象に三大都市圏で住宅宅地供給方針を決めまして、そこで農地も含めて計画的な宅地化を促進しよう、こういう計画をしておるわけでございますが、一応そこではおおむね一万三千ヘクタール程度の宅地供給が可能だ、そういうふうに見込んでおるわけでございます。  その計算は、西暦二〇〇〇年までの今後十年間に農地のうち約四割、二万八千ヘクタールが農地から他の用途に転換されるであろう、他の用途もいろいろありますので、そのうちの六割に相当する一万六千ヘクタールが住宅建設目的として転換されるだろうというふうに考えておりまして、それは住宅になる農地全体でございますから、そこから必要な主な公共施設の用地等を引きますと、大体八割掛けになりまして、おおむね一万三千ヘクタール。だから一万三千ヘクタール程度の宅地供給が可能と思っておりまして、これはこれから十年先までの話でございますので、これまでの宅地化の速度とか現在のいろいろな施策の効果を勘案して、こう考えております。  現在、先ほど都市局長から答弁がありましたように、地方公共団体によって保全する農地と宅地化農地を分けて検討しているわけでございますけれども、総体的に見れば、この一万三千ヘクタールという農地が宅地化されるというこの見通しは、ほぼ妥当なものかなというふうに考えておるところでございます。     〔委員長退席、北村委員長代理着席〕
  136. 堀込征雄

    堀込委員 こだわって恐縮でありますが、今度の申請を検討してみると、幾つか問題があるわけであります。  今転用される農地四万一千ヘクタールのうち一万六千ヘクタール、そのうち公共用地を引いて一万三千ヘクタールしか実は宅地の期待がないという答弁があったわけでありますが、一つは、私はこの今度の申請を見まして、ある調査によりますと、都府県によるばらつきがある。例えば東京都の申請は七〇%以上が北多摩地区に集中をしている、こういうふうにお聞きをしております。この地域は、やはり野菜だとか花の生産だとか植木など、かなり専業的農業経営がなされている地域だというふうにお聞きをしているわけでありまして、そういうところは申請が高かった。  それから二つ目には、比較的固定資産税あるいは都市計画税の低額な地域東京でいいますと、四十キロ以上離れた圏域以外で指定面積割合が比較的低かったという調査結果をお聞きしているわけであります。これは生産緑地の指定を受けずに農業経営をやっていこう、こういうあらわれではないかというふうにも思うわけであります。  それから三つ目には、これから大規模開発の計画のあるような地域、こういうところでは、申請面積が非常に低いということもお聞きをしているわけであります。例えば、新空港建設構想のある愛知県の知多半島だとか、あるいは万博開催構想のある瀬戸市周辺だとか、あるいは大規模開発構想のある東京都の秋川市ですか、この辺は非常に申請が低いというような実態だというふうに実はお聞きをしているわけであります。  そういうことを見ますと、建設省がねらったように、必ずしも生産緑地法、うまく宅地化へ誘導していける税制なり制度であったかというと、ややちょっと疑問視せざるを得ないのではないかというふうに思うわけであります。  それから、これは全国農協中央会の調査でありますが、宅地化を希望する、先ほど答弁では四万一千ヘクタールですか、三分の二、二万八千ヘクタールとおっしゃいましたか、いずれにしても、大体三分の二だと四万一千ヘクタールがほかの用途になるわけでありますね。生産緑地申請をしなかった土地ということになるわけであります。大体、この調査によりますと、生産緑地申請はしないけれども当面農業を継続しようという農地が四三%だというふうにお聞きをしているわけであります。そして、都市的活用を図る面積は当面全体の二五%ちょっと上ぐらい、三〇%弱ぐらい、こういうこともお聞きをしているわけでありまして、そういう農家の意向を見ますと、これは果たして、今答弁ございましたようにうまく宅地化へ誘導できるのかどうかという点について、やや懸念を持つわけでありますが、いかがでございましょうか。
  137. 伴襄

    ○伴政府委員 先ほどの都市局長答弁等にありました三割というのは、生産緑地に指定になるものでございまして、生産緑地に指定にならないものは全部が宅地化するかというと、そうではなくて、例えば農業を継続していくというものもございます。それも御指摘のとおりでございまして、七割の農地が宅地化を選択するものと今予想しておりますけれども、これらの中には、当面営農を継続したい、こういう意向のものが相当量含まれているというのは今御指摘のとおりかと思っております。  それからまた、農地としてはやめるけれども、例えば住宅でなくて駐車場とか倉庫等とか、そういった業務系の土地利用が行われることもあるというふうに思います。したがって、直ちに住宅建設が行われるというのは必ずしも多くないと思いますけれども、当面住宅地域として利用されない農地であっても、その七割の生産緑地でない土地、それについては、逐次転換が図られるのじゃないかというふうに考えているところでございます。  建設省としては、引き続き、区画整理事業とか地区計画とかといった手法がございますので、そういったものを積極的に活用いたしまして、計画的な宅地化を図るというようなことをやりたいと思っておりますし、それから良質な賃貸住宅を何とかみずからつくっていただきたいということを我々政策としては考えておりますので、例えば農住利子補給制度とかあるいは土地担保賃貸住宅融資制度といったような制度がございますので、こういったものの活用とか、それから税制も、良質な賃貸住宅については特別措置ができておりますので、そういったものを駆使しながら、そういう良質な賃貸住宅建設、極力住宅の用地として生み出すような努力をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  138. 堀込征雄

    堀込委員 そこで私は、そういう方向に向かうことはいいわけでありますが、この生産緑地法によってせっかく新たな生産緑地以外の地区がうまく計画的に宅地化しないで乱開発に向かうのではないかということを非常におそれるわけであります。  農家の意向調査、例えば先ほどの全国農協中央会の調査によりますと、転換する土地のうち駐車場への転換というのがトップでありまして、大体半分程度を占めています。それから今答弁ございましたように、その次が賃貸住宅、これが大体二〇%程度、貸し店舗、貸し倉庫が一〇%から一五%程度、そのまま売却してしまいたいという売却希望が一〇%程度、こういうことになっておるわけでありまして、必ずしも生産緑地法が、税制という強権といいますか、そういうもので実行された結果、計画的な宅地供給という期待される方向に行っていないのではないか、あるいはせっかく生み出された土地乱開発利用されるのではないかという点を恐れるわけであります。  しかもこの転換のトップの駐車場というのは、要するに、転換するものがないから、更地のまま、そのまま駐車場にしておこうということでありますから、これはそういう駐車場が大部分だろうというふうに思うわけでありまして、これは相続のときは必ずその土地が切り売りされるとかいろいろな現象が起こることは、火を見るよりも明らかだというふうに思うわけであります。  しかもこの生産緑地の申請に当たって、一つは、土地所有者に対する宣伝不足もあった、あるいは開発会社や不動産業者のかなり執拗な転換勧誘もあった、こういうふうにお聞きもしております。また、これに対する取り組みの差も自治体によって相当あった、こういうふうに聞いておるわけでありまして、せっかくの農地転用が計画的な町づくり、宅地化に役立っていくのかどうかという点で、私は少しく心配をしているわけでありまして、何とか乱開発防止策を、せっかくの法律によって土地所有者の意思が示された土地があるわけでありますから、講ずるべきではないか、あるいはこの申請を、少し幾つかまだ問題があったように聞いておりますので、九三年度以降も受け付けるというような措置を講ずるべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  139. 伴襄

    ○伴政府委員 せっかくの貴重な土地でございますので、私どもも何とか、もちろん乱開発にならないように計画的な宅地化ということで進めたいと思っております。現時点の、今の農地を所有しておる方々の意向はそうかと思いますけれども、一つは、十年間というタームを見ていただきたいということと、それから、駐車場の理由というのも、多分、当面駐車場ということにして、投資が少ない利用の仕方でございますので、駐車場にして様子見をしているという傾向もあるのではないかなという気がいたします。いずれにいたしましても、きちんとした計画的な開発あるいは利用というようなことに心がけたいというふうに思っております。
  140. 市川一朗

    市川政府委員 後半の部分でございますが、先生御案内のとおりでございまして、平成四年の、ことしの十二月三十一日までに生産緑地地区に指定されたものは農地課税、それ以外のものは農地課税にならないということで、これは、四月一日から既に施行されております税法が特別に経過措置を設けてそういうふうになっておるわけでございますので、少なくとも行政上の手続のおくれのために生産緑地地区の指定がなされないことによりまして、農地所有者の方々が税法上不利益をこうむることが起きたのでは大変なことになるということで、今督励しておるところでございまして、また一方、都市計画で生産緑地地区を指定いたしますので、やはり都市の今後の動向も説明し切れなければいけませんので、それぞれの都市単位で総合的に一括して行う必要があるというところから、何とかことしじゅうにということで今取り組んでおるところでございます。
  141. 堀込征雄

    堀込委員 実は今答弁ございましたように、主として税制の面で、保全すべき農地と、農家の資産的土地保有をなくしながら三大都市圏の勤労者の住宅建設の欲求にもこたえていこうというところに趣旨があったというふうに理解をしているわけであります。この申請は個人の選択、個人の申請によってなされたわけでありますが、今もこの都市計画法で議論ございましたけれども、実際に生産緑地法を施行し、その申請手続などをする場合に、市町村は、ここは緑地で残したいとかここは転換をしたいとか、いろいろな構想を持っておるにもかかわらず、実際にはそこは農家の意思によって不動産業者へ売られてしまうとか、いろいろなケースがやはりこの生産緑地法の経過によっても出ているという実態があるやにお聞きをしているわけであります。  市町村の先買い権などがあるわけでありますけれども、実際に、市町村の財政の問題だとかあるいはそういう間隙を縫ってディベロッパー、不動産業者の皆さんがいろいろ攻勢をかけるというようなことがありまして、やや無秩序な土地政策になるのではないかというふうに心配をしている市町村もあるというふうにお聞きをしておるわけでありますが、この制度利用して、新たに市町村としてこういう町づくりをするんだという計画をしたような市町村がありましたら、一つはお聞きをしたい。  もう一つは、市民農園の問題でありますけれども、せっかく市民農園法ができて、潤いのある町づくりを進める、そのために市民農園を活用していこう、憩いの場として生かしていこう、こういうことで進められてきたわけでありますが、御存じのように、農家から無償で農地を提供してもらう、市民に無料でその農地を貸し出す、そのかわり農家には固定資産税や都市計画税を免除する、非課税扱いにする、あるいは課税してもその税額について補助金や奨励金を出している、市町村いろいろ知恵を出しながらやっているというふうに思うわけであります。  ところが、生産緑地法で今度は保全する農地と宅地化する農地というものが区分をされた。東京都の場合などは、お聞きをすると、引き続き非課税措置を講ずるんだというふうにお聞きをしているわけでありますが、世田谷、練馬などはこれからもそういうものをふやしていきたいという意向を持っているというふうにお聞きをしています。  しかし一方で、自治体の運営する市民農園、この生産緑地法によって閉園せざるを得ない、あるいは縮小せざるを得ないというところもあるというふうにお聞きをしていますし、そういう意味で、せっかくの市町村の潤いのある町づくりという視点に少し問題が出ているのではないか、こういうふうに非常に恐れるわけでありますが、こういう点について建設省としてどういう指導をなさるおつもりなのか。  また、市町村以外の個人の市民農園については、もうこれは税の減免や助成がないためにさらに運営が厳しくなる、こういうふうにもお聞きをしているわけでありますが、これに対する対処方針ございましたら、あるいは指導方針なりありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  142. 伴襄

    ○伴政府委員 御質問の前半の、市町村が計画的宅地化のための措置を講じている事例という点でございますが、例えば神奈川県では、都市農地の計画的な土地利用を図るための計画を策定する市に対しまして補助金を出すといったようなことをやっている制度ができております。また、大阪府では、農地所有者等によってまちづくり協議会というのをつくることを指導いたしまして、そこで計画づくりをするというのに補助する、あるいは、市町村整備とか賃貸住宅建設に対して助成を行うといったようなことで、これを緑住タウン支援事業と言っているようですが、そういったものを推進しているといったようなことで、各地方公共団体におきましても、地域特性に応じた計画的市街化のための施策を推進しているというふうに承知しているところでございます。  建設省も、こうした取り組みを大いに支援いたしますとともに、今後とも地方公共団体あるいは農協等の関係機関と密接な連携をとって、都市農地の計画的な宅地化を推進してまいりたいと思っております。  なお、財団法人都市農地活用支援センターというのができておりまして、これは農林省、国土庁、建設省の共管の法人でございますが、公共団体と農協とあるいは住宅公団等で出資してつくった財団法人がございまして、そこで計画的な宅地化等の問題につきましてもいろいろ支援する財団法人ができておりますので、こういったところも大いに活用を図っていきたいというふうに考えております。
  143. 市川一朗

    市川政府委員 市民農園の点でございますけれども、私どもも、今後の豊かな都市生活確保という観点では、市民農園制度我が国でも極地でいい制度であって、これは大いに普及されていくべきであるというふうに考えておりますが、ただいま御指摘ございましたように、今回の税法改正等によりまして、現在提供されております市民農園につきましていろいろと動揺が生じておるということも、私ども承知しておるところでございます。  したかいまして、今後の進め方といたしましては、やはりいろいろな形のことが考えられますので、できましたらいろいろな方法をとりまして、市民の方々が直接親しむことができる市民農園の提供ということにいろいろと御協力いただきたいと思っておるわけでございます。  例えば、一番考えておりますのは、生産緑地に指定された農地につきまして農家の方々が、相続税の問題もございますので、その辺もよく工夫しながら、農家経営型市民農園というようなことも提案として今出ているようでございますが、そういったいろいろなことを考えてやっていく、あるいは都市公園制度の中でも、今回の税制改正の中で借地方式による都市公園についての税制が相当優遇されるようになりましたので、そういった借地方式に御協力いただくといったような形で、都市公園制度の中でもそういった市民農園的な形態のものを考えていくといったようなこと。  その他まだまだいろいろアイデアはあると思いますけれども、いろいろなものを駆使いたしまして、要は市民農園の提供あるいは拡大ということにつきまして、建設省としても一生懸命頑張っていきたいという考え方でございます。
  144. 堀込征雄

    堀込委員 せっかくの制度でございますから、乱開発につながらないように、計画的な宅地化が進むような指導をぜひいただきたいと思います。生産緑地法はそういうことで、都市計画上三大都市圏の問題として一つの事例としてあったわけであります。  そこで、三大都市圏以外の市街化区域内農地というものが実は九万八千ヘクタールぐらいある、こういうふうにお聞きしているわけであります。断っておきますけれども、私は決して農地を資産的価値として保有する農家を弁護しようとは思いませんし、開発業者型農家などを弁護しようとする気持ちはないわけであります。  しかし、これから住みよい町づくりを進める、そういう意味で、都市と農村の共存あるいは農業のある町づくりというような視点で町づくりが進められていくべきではないか。そういう意味で、市街化区域内農地というのは今もって農業生産上も大事な点もございます。あわせて、環境保全機能だとか、公害、災害の防止機能だとか、今答弁ございました市民農園だとか、都市住民の憩いの場としても、あるいは多目的な保留地機能としても大切だというふうに考えるわけですし、そういうふうに言われています。公園整備等が不十分なまま市街化が進んでいるという状況も、都市によってはあるわけでありますから、ますますこの市街化区域内農地の存在を重視しながらこの対応を考える必要があるというふうに思います。  そういう意味で、今三大都市圏の問題は生産緑地法としてお伺いをいたしましたが、残されたと言ってはあれですけれども、全国に散在をする市街化区域内農地九万八千ヘクタール余りですか、この保全策なりあるいは活国策については、どういうお考えを持っていらっしゃるでしょうか。
  145. 市川一朗

    市川政府委員 我が国都市におきましては、住宅宅地不足という問題がある一方で、都市内の緑地、オープンスペースが著しく不足している、そういう状況があるわけでございまして、なかなか難しいテーマを抱えておるわけでございます。ただいま御指摘ございました市街化区域内農地の賦存量につきましても、次第に減少している傾向にございます。こういった問題につきまして、三大都市圏の特定市につきましては、数年来秋改正等でいろいろ御議論がなされ、ただいまのような状況になっておるわけでございますけれども、それ以外の市街化区域内農地につきましても、そういった不足する緑地、オープンスペースという観点から、これをどういうふうに確保していくべきかということが極めて重要な課題であると私どもは認識しておりまして、基本的には、全国の各都市計画区域におきまして長期的な緑地の確保計画として緑のマスタープランを定めておる次第でございます。こういった緑のマスタープラン充実も図りまして今後取り組んでいく必要があるわけでございます。  実は、生産緑地制度そのものは、三大都市圏だけに限定されておりませんで、全国の市街化区域内農地にすべて適用できるような制度になっております。ただ、税法上の問題がああいう形で仕切られておりますので、話題といたしましてはほとんど特定市に限られているわけでございますが、今後はこういった生産緑地制度の活用ということも含めまして、腰の据わった緑地行政という中で真剣に議論されていくべきものというふうに理解しておる次第でございます。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  146. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、国土庁が実は平成二年に「大都市居住者の郊外・地方移住に関する調査」というのをやられております。首都圏の居住者を中心に調査を行っていますが、仕事をかわっても地方に移転して地方で働きたい人だとか、退職後地方で暮らしたい人だとか、あるいは今働いている企業が地方に移転して、そちらで暮らしたいというようなことを希望する人が、実は四二・三%あったという調査結果が出ております。つまり、地方圏居住志向の高まりがかなり出てきているのではないかというふうに私は思うわけでありまして、そういう意味で、地方都市づくりについて、やはり地方の創意性を生かした町づくり、そういう欲求に合わせたような対応が必要ではないかというふうに思うわけでありますが、今申し上げましたように、地方の場合、農業者と非農業者といいますか、そういう混住社会になっている都市がもうほとんどでございます。この問題をどうするかということが極めて重要なことではないか。  率直に申し上げまして、都市計画と農振法という問題があるわけでありますが、この関連などは今後調整していくとか、何か手をつけていくというような考え方建設省の方はおありですか。
  147. 市川一朗

    市川政府委員 現在の都市計画制度の中で、そういう農振法との関係につきましてもかなり具体的な調和規定も設けておりまして、両制度の実施運用に当たりましては、従来から農水省と密接な連携をと力ながら行ってきているところでございまして、基本的には、市街化区域と定められた区域につきまして農水大臣協議が整ったものにつきましては農振地域の指定はしないとか、そういったようなことで調整しております。  それから農山村地域につきましても、一体の都市として総合的に整備、開発、保全する必要がある区域につきましては、都市計画区域に定めて線引きを行って、開発許可等によりまして土地利用規制、誘導を行っているということも御案内のとおりの基本でございまして、そういったようなやり方で今後都市と農村を含めた町づくりがうまくいくのかどうかというお尋ねでございますけれども、数年前、農水省と共管の法律で農村集落整備法という法律を出しまして、その中で、いわゆる農業的土地利用度の高い農村の集落におきます都市整備も一緒になって図っていこうという制度を設けたところでございます。  基本的には、そういう観点に立ちましたいろいろなアイデアといいますか提案というものを考えながら、時代流れに即しまして、先ほど建設大臣の御答弁がございましたように、やはり時代に的確に合うような形で適宜見直しを行いながら対応していくという基本的な考え方は持っているつもりでございますが、では、今どういう具体的なアイデアを持っているかということにつきましては、少し弱い面もあろうかなというふうに思っているところでございます。
  148. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、建設省の方はそういう見解でございますが、農水省お見えだと思いますのでお尋ねをするわけでありますが、どうしてもこれからの都市計画は、今申し上げましたように、農業などの混住化社会、農村社会がそうなっているということを含めまして、農村計画制度などとあわせて考えていく必要があるのではないか。そういうことをもやはりやっていかないと、農水省の立場としても、農地がスプロール化をするとか、せっかくの農業生産基盤が崩れるとか、こういう問題があるんだろうというふうに思うわけでありまして、そういう意味で、まあ諸外国にもいろいろな例はあるわけでありますが、農水省の方は、日本の地方都市が、特に農村社会が混住化社会になっているという現状にかんがみて、この都市計画法に対応するような農村計画法とか、あるいは都市計画法と農村計画法をあわせるようなそういう計画制度が必要だというふうに私は思うわけでありますが、農水省の方はどうお考えになっておりますでしょうか。
  149. 小林新一

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  農村地域の農地、森林、集落区域などを総合的に整備、管理していく必要性につきましては、かねてより十分認識しているところでございます。このため、これまでも農村計画制度につきましてはさまざまな検討を行ってきております。  その成果につきましては、農振法、土地改良法の改正、さらには集落地域整備法の制定というような形で具体化されてきているところでございます。また、農村地域生活環境整備を進めるため、農業生産基盤の整備と農村生活環境整備を一体的、総合的に実施いたします農村総合整備事業、あるいは立ちおくれております農業集落排水施設整備する農業集落排水事業等々の推進に努めてきているところでございます。今後とも、これらの法制度、また事業によりまして、活力ある農村地域の総合的な整備に努めてまいる所存でございます。  御指摘のいわゆる農村計画法の制定につきましては、土地利用にかかわる各種制度や各省庁の所管にわたる事項と密接に関係していることもございまして、中長期的な課題として検討してまいりたいというふうに考えております。
  150. 堀込征雄

    堀込委員 日本の都市はよく、諸外国の都市と比べでどうも雑然としている、どこの都市へ行ってもかなり画一的で特徴がないとかいろいろ言われていますし、ゆったりとした風土がないのではないかというようなことも言われるわけであります。生活大国づくりと言われていますし、あるいは、経済大国だと言われながら、都市公園の面積が少ないとか、インフラの整備がおくれているということがよく言われるわけであります。  そういう意味で、諸外国、特に旧西ドイツの都市では、よく都市計画と農村計画がマッチをして、本当に景観のいい町ができているということもお聞きをしているわけでありまして、そういう意味で、これから農村の集落が混住化社会を迎えて、そういう景観からいっても、暮らしやすさからいっても、いい町づくりが求められているのではないか。確かに、旧西ドイツの場合は連邦制の国でありますから、日本とは違うかと思いますけれども、そういうことを大いに参考にすべきではないか。しかも、私ども農業分野から見ても、ドイツの農業というのは、アメリカやイギリスの大農場制と違って、極めて何か日本と似ている面もあるわけであります。  そういう意味で、私は、今対案が社会党、社民連、一緒に出されておりますが、ぜひ、今建設省と農水省から答弁がございましたが、いわば都市計画の世界と農村計画の世界と、そういうものをあわせて進めていくことが、これから町づくりに必要ではないか、本当に住みよい都市づくり、緑の潤いある町づくりに欠かせないことではないかというふうに思うわけであります。  どうも、今両省から御答弁をいただきましたが、連絡をとりながら、調整をとりながら進めていらっしゃるようでありますけれども、何とかこの縦割り行政ではない考え方と手法が必要な時代に来ているのではないか、こういうふうに思うわけでありまして、計画的な町づくり、計画的な宅地供給あるいは計画的な緑地保全、市街地と農地との調和などが必要というふうに思うわけでありますが、こうした調整を対案提出者の方々は特にどういうふうに進めていこうというふうに考えていらっしゃいますか。  それからまた、提案者のお一人であります特に菅先生は、ヨーロッパの都市政策などについても、あちらこちら書物で非常に見識の広い論文を私も拝見をさせていただきましたので、あわせまして、諸外国の例なども引き合いに出しながら御答弁をいただければ大変幸い。でございます。
  151. 菅直人

    ○菅議員 堀込委員の方から、農村地域の問題を含めての都市計画のあり方あるいは縦割り行政のこういった問題での問題点ということに対する見解を伺われたわけですが、若干話が戻りますけれども、私は、一つには、先ほど来堀込委員質問をされておりました生産緑地の問題を含めて、日本の都市計画の大きな間違いは、長期に営農すべき農地を市街化区域内部に取り込んだということに、いろいろな意味での間違いがあったというように思っております。  つまり、これは私が言うまでもありませんけれども、都市計画法の線引きという考え方は、まさにスプロールを抑えるという考え方であって、逆に言えば、調整区域に、長期にといいましょうか、営農を続けるべき農地を位置づけて、十年以内に開発をすべき、市街化すべきところを市街化区域内にするという、その都市計画の原則があったわけであります。  しかし、かなり古い時期でありますけれども、その内側に大量の長期に営農する農地を取り込んで、しかも、農地法の原則を例外規定にして宅地転用をフリーパスにした、届け出だけでできるようにした。ここに、一つの日本の、まさに農地と宅地の最も大きな、線引きをしたはずのところに、大きないわば政策的な誤りというか、その時代における誤りがあって、それをいわば一部手直しをしているのが、今回の三大都市圏における生産緑地、つまり、生産緑地という線引きをすることによって、再度長期に営農すべき農地は生産緑地にいわば位置づけるという、そういうことになったと見るべきだろうというように思っております。  同時に、今御質問のありました、農村地域といいましょうか、いわゆる大都市地域でない地域土地利用について、私なども、農地である間は農林省、宅地に変わった途端に建設省ということになって、それをまたがる計画というものが非常に立てにくいという実態を、何度か他の委員会でも指摘をしたことがあります。  そういう問題をどのような形で解決していくかということは、基本的に二つ考え方が必要だろう。  一つは、やはりそれをまたがるような計画、制度というものを考えなきゃいけないのではないか。それは例えば、都市農村計画法とでもいうべきか、あるいはもっと大きく、土地利用計画法というものを大きく置いて、それに都市計画法建築基準法やあるいは農地法や農振法や、場合によったら林野の法律もすべてかぶせる。今の国土利用計画法が、残念ながら、そういう位置づけを目的として持ちながら、実効性が、都市計画との連動などがないわけで、そういう機能を果たしていないということから考えて、そういうすべての土地に絡んだ法律をいわば上位置念でまとめていくという土地利用計画法といったようなものが必要なのではないかというのが第一点であります。  それからもう一つは、まさに先ほど来堀込委員が特に力を入れて主張もされていた、いわゆる中央官庁が物事を決めるというのではなくて、自治体自身が決めるということだと思います。つまり、一つ自治体には当然農地もあれば、宅地もあれば、農振地域もあれば、農用地域もあれば、場合によれば市街化区域市街化調整区域もあるわけであります。そうすると、それを縦割り行政の中で同じ自治体が、こちらは建設省の領土、なんて言うと怒られるかもしれませんが、こちらは農林省の領土なんという、そんな形にされて左右されているというのがある部分の実態ですから、自治体自身がそれらをまたがる計画を自主的に立てて、自主的に実行できるということが、一つ大きな問題だと思います。  そういった点で、先ほども議論に出ました行革審などで、細川新党などもいろいろと言われておりますが、パイロット自治体構想の中でも、農地転用の問題を自治体権限をおろせといったようなことも報道されております。しかし、農地転用ということだけで土地利用が語れることでないことは明らかでありまして、まさに今回私どもが提案をいたしました新しいこの都市計画法の中では、基本的に自治体マスタープランを立て、そしてそれに沿った土地利用を、場合によったら県などに対しても原案を提案をするという形で、あるいは知事の承認が必要がないという形で、自分たち自治体自分たち利用を決めることができる、これはまだ都市計画法ですから農地にまでストレートには広がっておりませんが、先ほど来議論がありますように、地方自治法における基本構想ときちんと連動させることによって、自治体主導の、農村地域のそういった土地利用というものが、自主的なやり方が実現できるのではないか、そのように考えております。  諸外国の例については、若干時間が延びましたので割愛をさせていただきます。
  152. 堀込征雄

    堀込委員 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、ぜひそういう方向で、いずれにしましても地方自治体を主体にしながら住民参加の計画法になるように、今の菅先生答弁のとおりに、しかも都市と農村の問題を含めて解決できるような都市政策が進められるように要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  153. 古賀誠

    古賀委員長 次に、平田米男君。
  154. 平田米男

    平田(米)委員 きょうは午前中から、議論の中心といたしましては、都市計画権限市町村に与えようというスタンスでの御質問が大変多かったわけでございまして、大臣も基本的にそういうお考えである、こういうようなお話をされました。  豊かな生活というのは住宅から始まるということで、今政府もその対策を新たに考えようというお話でございますが、住宅というのは一軒だけで機能するものじゃありませんので、やはり町の中にあってこそ住宅でありますし、都市機能充実してこそ立派な居住環境、または住宅というものが確保できるというふうに思うわけであります。自分の家は自分でつくるのが基本でございますが、もちろん公営の賃貸住宅というものもありますけれども、そういう住まいは自分が考える、そして考えてつくるという発想からするならば、それと不可分の町も住民が考え、住民がつくっていく、これが基本だろうと思うのですね。しかるに、一日本の都市計画法というのはそういう形にはなっていない、今の法体系から見ると、そう言わざるを得ないというふうに思うわけであります。  大臣も、地方に分権をして、住民が、市町村がというお考えなのに、法律はなかなかそういう形にはなれない、なっていない。今回の改正でも、それなりの前進はないわけではありませんけれども、根本的な原則を変えるというところの革命的な、抜本的な改正という評価は、やはり難しいのじゃないかなというように私は思います。  今、日本の都市が非常に画一的になっているとか、あるいは都市環境として悪い原因、余りよくないと言われている原因は、さまざまなものがあるかと思いますが、やはり地方町づくりの意識がない、あるいは能力がない、あるいは、さらにその前提となる権限がない、こういうことが理由として挙げられているわけであります。  何で地方権限がないのかというのは、これは単に都市計画だけの問題ではなくて、自治体そのものを国の体制の中で中核として置いてなくて、国の統治機構の一部局である、基本的にこういう取り扱いをしているわけでありまして、そういう国の統治の大原則の中であるわけでございますから、都市計画法だけ地方分権をするということは、建設省だけ突出をするということなので、なかなかできないのだろうと、私はある意味ではそう見ておるわけでございます。  その基本の地方分権、国のあり方を、今までと、富国強兵でやってきた明治以来の中央集権的な国家体制を地方分権に変えるというのは、何も都市計画法だけでできるものではありませんで、その根本になる国家間あるいは行政間、地方自治体間というものの大変革が前提になければならない、こんなふうに私は思っております。ここで大前提の論争をしても、余り大きな成果は上がってこないということも私も認識をしておるわけで、(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そうでもないという議論もありますが、これまで長い間同じような議論を繰り返されながら、しかし少しずつしか前進がなされない、これが現実でございます。  そういう中で、私は現行の、あるいは今回の改正される都市計画法の中で、いかに実質地方分権化させていく、市町村都市計画権限を実質与えていく、また、与えるためには、地方自治体がそれなりの能力を持たなければいけないわけでありますが、能力を持つための対策を立てていくということが、実効性ある施策として必要ではないか、こんなふうに思うわけであります。  それで、大臣は、市町村都市計画をするのが基本ではないかというようなお考えを述べておいでになるわけでありますが、現行及び改正案の中で、市町村が各自治体都市計画を自主的に行うことのためにどういう施策を持つのか、また、そのためにそういう権限市町村が振るうために、国としては一建設省としては、どのようなバックアップといいますか、姿勢でおいでになるのか、その辺、まず、抽象的なことで結構でございますが、お答えをいただければと思うのです。
  155. 山崎拓

    山崎国務大臣 マスタープランの問題でございますが、市町村がみずからの都市計画をつくる、そのことは当然じゃないかということは私も申し上げました。その点について基本認識は一致しているということも申し上げたわけでございますが、現状がそうなってないとは申し上げていないのでございまして、都市計画はすぐれて地方の手によってつくられている、現状でもそのように考えているのでございます。都市計画審議会、市町村審議会あるいは県の審議会等にほとんどゆだねられておるわけでございますから、計画そのものは地方の手によってつくられていると私は考えておるわけでございます。  ただ、以前に、さきに御議論がございましたとおり、例えばその実施に当たりまして財源がどうなっているかというような問題は確かに存在していると思いますが、計画自体は地方の手によっているというのが基本である、このように考えておるのでございます。  そこで、今回の法改正におきましては、冒頭にちょっと申し上げかけましたが、市町村マスタープランをみずからの手によってつくっていただく、そのマスタープランをいわば土台といたしまして都市計画がつくられていくべきである、そういう新しい改革が盛り込まれている。このことは非常に大きな前進ではないかと考えているところでございます。そういった意味で、一つの大きな前進として受けとめていただければ幸いでございます。
  156. 平田米男

    平田(米)委員 恐らく、マスタープラン市町村につくらせるということは今回の改正の一歩前進だというふうに私も理解をしておりまして、それが大臣おっしゃるように、市町村が現実に今市町村都市計画をやっているかどうか、またやる能力があるのかという、私はそれに対しては非常に疑問を持っております。それはやっているところもあるでしょうし、能力もあるところもあるかと思いますが、それは非常に限られているのではないかと思います。  で、計画なければ開発なしというこの原則というのは、土地利用において極めて重要だと思うのです。今回の改正は、一つは税制・金融と並んで土地利用規制を強化して地価高騰の抑制といいますか、再度地価の暴騰を起こさせない、これが大きな主眼になっておるわけであります。その主眼とは一体何かというと、結局計画なければ開発なしというこの原則を打ち立てることが大きな柱になってくるだろうと私は思います。もちろん、用途区分の専用化、詳細化ということも当然必要でございますけれども、その前提としてやはり計画がないところには開発をさせないということがなければならないと思うわけでありますが、その方策として今考えられているのは、用途区域あるいは地区制度地域地区制度というのがあるわけでありますが、もう一つ地区計画制度というのが昭和五十五年からあるわけでありますけれども、市町村がこれを十分に駆使すれば、私は市町村都市計画というものが実質行われている、行われていく方法として有効なものだろうと思うわけでありますが、しかし、遺憾ながらいまだに用途区域の一・三%しか地区計画は行われていない、こういう状況にあるわけであります。  地区計画制度についてはおいおいお伺いするといたしまして、今回いわゆるマスタープラン市町村都市計画に関する基本方針については、これは作成を義務づけしていないわけでございます。これについては、我が党の吉井議員が代表質問でその理由についてお伺いをしました。大臣は、義務づけはしていないけれども、しかし、全市町村にやっていただくように指導をしていく、こういう答弁をされたと思うわけであります。再度、なぜ義務づけをしないのか、まずこの辺からお伺いをしたいと思うのですが。
  157. 市川一朗

    市川政府委員 今回御提案申し上げております市町村マスタープランでございますが、法律上は「市町村都市計画に関する基本的な方針」ということでございまして、これにつきまして私どもといたしましては、都市計画を定めるすべての市町村においてこういったものは定めてもらうようにしていただきたいということは、基本的にはそういう考え方を持っているわけでございますけれども、これを法律上、そういうマスタープランを定めなければならないというふうに法定化しなかったのは、やはりこのマスタープランというものの持つ性格が、都市計画の基本に据えるものではございますけれども、いわば私権の制約を直接伴うとかそういったものではございませんで、市町村が将来の都市のあるべき姿というものを描いて、それをマスタープランとして定めて、それに基づきまして具体的な都市計画を決めていく、そういう姿でございますので、すべての市町村でそういうマスタープランを定めることを義務づけるというところまではちょっと難しいかなと思った次第でございます。  基本的な考え方としては、全国の市町村の中で都市計画を定めるところにおきましては、やはりこういったマスタープランを定めるようにしてほしいという考え方は持っておるところでございます。
  158. 平田米男

    平田(米)委員 僕は端的に、それは市町村の権利なんであって、義務じゃないから、義務として規定する必要はないんだという発想の方が正しいんじゃないかと思うのですよ。どこまでいっても市町村権限がある、市町村が本来自分の町をつくる一番の中心者、権利者なんだという発想からすれば、義務化をしない、そういうとらえ方をしなくちゃいけないんじゃないかと思うのです。やはり国が市町村都市計画について口を出すというような発想だから別の考え方が出てくるわけであって、私はどこまでいってもこれは権利なんだという考え方をすべきではないかというふうに思うのです。  それは建設省としてそういう発想を持っていただきたい、これが一つなんですが、しかし、もう一つ、逆に言いますと、これは義務化をするとどうなるかといいますと、例えば地方交付税の積算のときに、これは義務化されていますと、きちっと積算をする義務が地方自治の観点から出てくる。自治省の責任として出てくるということになるんじゃないかというふうに思うのですね。これはどうも自治省、建設省、いろいろお話を伺っても、その辺がはっきりしない。  今都市計画について地方交付税がどのような積算をされているかというふうに聞きましたら、マスタープランというのは大体自分のところでやれればいいですが、なかなかやれないので、外部に発注をする、あるいはいろいろな相談に乗ってもらうということが必要なわけでありますが、その委託費として三百七十万円という金額になっておるそうでございまして、一つのプランをつくってもらうのに年間三百七十万円ぐらいの費用では到底できるものじゃないわけであります。どうもその辺が極めてあいまいもことしておって、権利なんだったら権利なんだ、権利として自治省としても、義務化はされていないけれども、きちっとした予算化をするというような方向を出せなくちゃいけない。  もう一度建設省に、それから自治省にもお伺いしたいのですが、まずこの義務化をしないというのは、まさに市町村マスタープランをつくるそのことは、市町村の権利なんだというとらえ方、これでいいのかどうか。建設省もそういう考えかどうか、これについてお答えいただけませんか。その後で自治省に伺います。
  159. 市川一朗

    市川政府委員 市町村マスタープランでございますから、定めるか定めないかは市町村が自主的に判断をして定めるということで、基本的にはそういう位置づけになっておるわけでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、都市計画というものを定めていく上におきましては、やはりそういう市町村全体の都市計画に関するマスタープランをあらかじめ持っておりまして、それに基づいて具体の都市計画を決めていくということが、あるべき姿として非常に望ましいのではないかというふうに考えておりまして……
  160. 平田米男

    平田(米)委員 権利かどうかということですよ。
  161. 市川一朗

    市川政府委員 ちょっと権利とかそういった講学上の分析は私は苦手なんでございますが、定めるか定めないかは市町村が主体性を持っているという意味では、市町村の権利と言ってもいいのではないかというふうに思う次第でございます。
  162. 平田米男

    平田(米)委員 そういう前提とすると、自治省にお伺いしたいのですが、今回マスタープランをつくるに当たって、施行は成立してから一年以内で決められるそうでございますが、このマスタープランの費用について地方交付税の関係、どのような配慮をされるお考えですか。
  163. 田村政志

    ○田村説明員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、法律上義務づけられていないという点では、その面に着目してのストレートな算入ということは今の仕組みではなかなかできないわけでございますが、ただ、標準的な行政、多くの団体がほとんどやっているということになりますれば、それをとらえて基準財政需要額に明確に算入するということが可能であろうかと思います。  具体的に、今都市計画行政にかかわる経常的な経費につきましては、交付税の中で都市計画費の経常経費ということで、平成四年度、今御審議いただいております地方交付税法の中で一五・五%ほど単位費用を伸ばして、地方団体が都市計画を積極的に推進できるようにしております。そういう経常的な経費の中に包括的に算入をしておる。地方交付税は御存じのように一般財源でございますので、その中で各地方団体がそれぞれ必要な歳出に充てていただくということで措置をしておるところでございます。
  164. 平田米男

    平田(米)委員 自治省、建設省はすべての市町村につくってもらいたいという方向でございますから、今おっしゃったような基準に当てはまるのかどうか、その辺明確に答えていただけませんか。
  165. 田村政志

    ○田村説明員 ただいまのところは法律上全部つくるという形になっておりませんので、全部に入れるということはできないわけでございますが、ただ、考え方としては、標準的な行政になれば、ほとんどの団体がやっておるようになれば、きちんと入れられるということと……
  166. 平田米男

    平田(米)委員 だから、今標準的な行政になるかどうかを聞いているわけです。
  167. 田村政志

    ○田村説明員 それは今の段階で、建設省のこれからの御指導あるいは地方団体の考え方もあると思いますので、それを見つつということになるわけでございます。ただ、だからといって、財源が足りないかということにはなりませんで、今申し上げましたけれども、単位費用の算定上相当大幅に伸ばしてありますので、その中で各団体がやっていただいて、さらにそれが定着してきた場合には、もっと具体的な形、明示的な形で算入をしていくという考え方でございます。
  168. 平田米男

    平田(米)委員 今回一応マスタープランをつくる権限を与えられたわけでございますので、財源というのをきちっとしていただく必要があると私は思うのです。今までみたいに、コンサルタント料を三百七十万円しか積んでいないということでは、なかなか厳しいものがあると私は思います。義務化してないから、ああいう自治省のお答えになってしまうわけでございまして、その辺、建設省と自治省とよくお話をしていただいて、実効性ある、単に指導して、やれやれと言うだけじゃなくて、やれる環境、お金というものをきちっと与えていただきたいというふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  169. 山崎拓

    山崎国務大臣 この財源の問題につきましては、ただいま先生からの御提案でございますので、よく検討させていただきたいと存じます。  地方には地方の自主財源もございますので、この点が、国が予算措置をいたしますことがどういう意味を持つのか、そのことも含めまして、よく検討させていただきます。
  170. 平田米男

    平田(米)委員 次に、地区計画制度についてお伺いをしたいと思います。  地区計画制度は昭和五十五年に制度化をされたわけでありますが、用途地域面積のうち、一・三%しか平成三年三月現在行われていないということでございまして、今度もまたメニューがふえまして、誘導と適正配分とさらに調整区域までできるようになったわけでありますが、どんどんメニューをふやしてはおるのですが、確かに件数は割合とふえてはおりますが、しかし面積比からいくと、なかなか遅々として拡充されない、拡大されないという状況にあります。  その原因については、平成三年十二月二十日出されました建築審議会の答申によりますと、一応五つぐらいの理由が挙げてあります。  建築規制上の直接的インセンティブがない、それから二番目に、策定が義務づけられていない、三番目に、地区施設整備手法が不十分である、四番目に、地域住民の理解が不十分である、五番目に、建築行政の執行体制が不十分であるというふうに言われております。  今回、建設省も地区計画に力を入れようということで、地区計画に関する改正は幾つかなされているわけでありますが、肝心の、拡充をされない、停滞をしている理由に対して、的確な対応がなされていないのではないか、こんなふうに私は思えてなりません。  なぜ、こういう的確な対応をしないのかどうか。まず一つ、インセンティブを与える方策がないと言われておるわけであります。たしか、今度誘導容積率制度化がされておるわけでありますが、これも非常に要件が厳しくて限定されておりまして、これを全地域に行う、例えば全地域にダウンゾーニングする、地区計画ができたところだけ全部容積率をアップしましょう、この誘導容積率制度を全地域に広げれば大変インセンティブを与える手法かもしれませんが、しかし、つくった制度は非常に限定してしまっている。特に必要があるという、こういう限定をしてしまっているわけでありまして、まずこのインセンティブを与えるということについてどのような方策をお考えなのか、現改正でできなければ、次に何をお考えになるのか、御答弁いただきたいのです。     〔委員長退席、金子(原)委員長代理着席〕
  171. 立石真

    立石政府委員 まず地区計画制度についてでございますが、地区計画は、地域に、地区に即しまして具体的に権利の規制等も行う、そういうものに通じる計画でございますので、どうしても、こういう制度が一般化していくためには、地域住民が理解をしていくこと、そしてまた、そういうものを理解をさせるべく執行体制も整うこと、そういうことが必要でございますので、普及していくにはなかなか時間がかかるものだと思っておりますが、最近は非常に地区指定が急速に進んでいる状況にございます。  ちなみに、地区数で申し上げますと、平成元年三月時点には四百十件でございますが、その後五百三十二件、平成三年には六百九十三件というように、従来は年間百件くらいずつふえておったものが百五十件以上ふえる状況になってきている段階でございます。その後も私たちの聞いているところではどんどんと制度が知られていき、普及されていくものと思っております。  特に先生指摘のインセンティブについてでございますが、例えば今回の改正におきましては、地区計画に予定道路が定められている場合には、これまでは予定道路による建築制限の方だけがあったものでございますが、今回は一定の要件に該当すれば前面道路とみなして建築規制の合理化を行うとか、いろいろと細やかな優遇制度等も考えているところでございまして、こういうものを踏まえながら今後とも地区計画の策定を促進するために取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  172. 平田米男

    平田(米)委員 もっと抜本的なインセンティブを与える方策をとらないといけないということをまさに建築審議会はおっしゃっているわけでございまして、私は全然やっていないという指摘はしていないわけでございますが、これでは、地区計画制度が広がって用途地域の三割、四割になるのはいつのことか。百年後なのか、いや、下手すると二百年後だ、こういう話になってしまうわけで、何らかの方策を考えていただく必要があるのじゃないでしょうか。  何か聞きますところ、都市計画法改正はこれで一段落ついた、もうしばらくは考えませんというようなことも仄聞をするわけでございますが、足りない点いっぱいあるわけでございまして、私は、本改正ではこれだけしかできなかったにしても、直ちにまた抜本的な改正へ向けての努力をしていただかなくてはいけないのじゃないか。審議会の答申でそう言っているわけでございまして、それを無視しているわけにはいかないと思うのですが、いかがでしょうか。改正に向けてやられるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  173. 立石真

    立石政府委員 現在の地区計画制度は、それぞれの地域の特性の中で用途地域制等ではできない計画的なきめ細かな建築規制を行って、そしてその地域を特色のある地域に形成していこうという制度でございます。これが全体の用途地域のうち何割までを占めることが妥当であるかということについては、私たちも見当をつけていないところでございますが、そういうような必要がある地域につきましては、今後ますます普及していくというように考えております。  先生指摘のように、審議会の答申の中でも、幾つか今後の拡充の方策について提言されているところでございますが、先ほど申し上げましたものは、その一つでございますけれども、それ以外の問題につきましても、今後とも鋭意取り組んでまいりたいと思っております。
  174. 平田米男

    平田(米)委員 鋭意取り組むということは、あれですか、インセンティブを与える方策について、また直ちに検討に入るというふうに伺ってよろしいでしょうか。もう一度お願いします。
  175. 立石真

    立石政府委員 今後とも必要に応じ鋭意取り組んでいきたいということでございます。
  176. 平田米男

    平田(米)委員 必要に応じというのは、そうすると、あれですか、建築審議会の答申については建設省は疑問を持っているというふうに今聞こえたのですが、そういうことでございますか。
  177. 立石真

    立石政府委員 今回、法改正の中で取り上げましたのはその一部でございますが、そのほか、運営上の問題としても取り組んでいきたい、推進のための方策を講じていきたいと考えておりますが、法制度において必要があれば今後も検討していきたいと考えているところでございます。
  178. 平田米男

    平田(米)委員 どうもはっきりしない答弁なのですが、建築審議会はこういう欠点を言っているわけでございまして、ちょっとここだけでやっておっては進みませんので、先に進みたいと思うのです。また、地区計画の策定を市町村に義務づけるべきだ、こういう言い方もしておるわけでありますが、これについてはどういうお考えでしょうか。
  179. 市川一朗

    市川政府委員 先ほど来、地区計画制度につきまして先生から大変高い評価をいただいておりまして、恐縮しておるところでございます。  昭和五十五年に制定された制度でございまして、基本的な考え方といたしましては旧西ドイツのBプラン等をモデルにいたしまして提案されました極めてきめ細かな都市計画制度として、今活用されつつあるわけでございまして、御指摘のとおり、非常に数少ないのではないかということでございますが、これはやはり普及までに非常に時間がかかるということが一つあろうかと思いますし、それからいろいろなメニューにつきましても、いわゆる昭和五十五年に制定された地区計画は一般的な地区計画でございますが、その後再開発地区計画あるいは住宅地高度利用地区計画用途別容積地区計画創設なども行われてきたところで、いろいろなメニューもふえてまいっております。  今後の進め方といたしましては、今回御提案申し上げております市町村都市計画マスタープランでございます「市町村都市計画に関する基本的な方針」におきまして、地区計画を策定すべき区域市町村レベルにおきまして明示するよう指導することとしておるわけでございまして、これがとりあえずのところ地区計画策定が促進される一つのきっかけになるのではないかと思っておるところでございます。
  180. 平田米男

    平田(米)委員 その地区計画を策定する地域を明示するという効果は、どういう効果があるのですか。マスタープランにおいて明示をするというのは、どういう効果があるのでしょうか。
  181. 市川一朗

    市川政府委員 地区計画策定に関します。その地区内の住民の方々の機運を高めるという直接的効果があるわけでございますが、より基本的に、そういった市町村のマスター。フランという新しい制度ができましてその中で地区計画を明示するようにということでどんどん行政展開していくということは、地区計画制度そのもののPRにもつながるといったようなことを考えているわけでございます。
  182. 平田米男

    平田(米)委員 行政には義務は生じないということのようでございますが、そういうものをやってもほとんど意味がないんじゃないかなという気がします。地区計画はやはり住民の同意が要りますけれども、全町民、全市民から権限を与えられた首長なり行政側が積極的にやるという意識を持っていかないと、それはできるわけじゃないわけでございまして、単に市民にPRする、ある程度理解を得るというだけのためにマスタープラン地区計画策定の地域を明示するというだけでは、私は弱いのじゃないかなという気がするのですね。行政が明示する以上、行政としてまず義務を感じなくちゃいかぬでしょう。感じた上で、それは広い地域であれば全部一挙にはできないわけですから、どういう順番で地区計画を順次策定していくのか、その計画ぐらいまではあわせてつくるというぐらいにしないと、単に地図上にちょこっと書いただけ、行政に対して拘束も何もないのですよ。住民の意識がないからしょうがないですわね、こう言っておるようじゃ、私はマスタープランをつくった意味もなくなってしまうという気がするのですが、どうですか。
  183. 市川一朗

    市川政府委員 まず、マスタープランにつきましては、地区計画だけではございませんでその市町村全体の今後の都市計画のあるべき姿といいますか、都市のあるべき姿というものを具体的にそのマスタープランの中で示していただきたい、そういったものであるべきであろうというふうに考えているわけでございますが、その中に一つの要素といたしまして、地区計画についても地区計画を策定すべき場所等につきまして明示するように、そういうふうにしていただきたいと考えているわけでございます。  地区計画という都市計画制度につきましてちょっと触れさせていただきたいと思いますが、我が国都市計画制度の基本的なものは、いわゆる土地利用計画というものでございまして、市街化区域市街化調整区域の線引きをまず行いまして、市街化区域は計画的に市街化を促進する。したがいまして、開発行為建築行為等もどんどん積極的にやってほしい、ただし、用途地域等の規制は守っていただきますよ。それから、市街化調整区域は基本的に市街化を抑制しながら図っていく。例えばそういう土地利用規制になっているわけでございます。  その前提として、今申し上げましたように、用途地域によってその建ち上がる建物につきましての用途規制等、それにつきましては、建ぺい率、容積率も定まっているわけでございますが、そこまではかなりそれを守りませんと現実に建築行為や開発行為ができないという厳しい都市計画制限が働くわけでございます。地区計画はそれをさらに一歩進めまして、その地区にふさわしい土地利用実現するために、地区内の建築物に係ります用途容積はもちろんでございますが、壁面の位置とか意匠とか、そういった非常にきめの細かい規制も行いまして、さらに、必要な道路公園等施設や樹林地の保全とか、ありとあらゆるきめの細かい計画ができる。  その計画を大体見ますと最終的なでき上がりまでできるということでございまして、これが旧西ドイツのBプランとして一番評価されている部分でございますが、御案内のとおり、木造住宅木造建築物主体で出発してまいりました我が国におきましては、そこにできる建物の形態まで全部決めてしまうということにつきましては、住民全体のコンセンサスを得る制度としてはなかなか難しい部分もあるわけでございまして、これは我が国都市の歴史的発展とのかかわり合いもあるテーマであるということでございまして、私どもはやはり息の長い取り組みが必要なのではないかというふうに思っておる次第でございまして、その辺が、先生の御指摘ございますように、もう少し取り組みをしっかりやるべきではないかという御指摘に対しましては、今反省しておるところでございます。
  184. 平田米男

    平田(米)委員 質問の答えに全然なっていないのです。  マスタープランも単につくるだけじゃなくて、マスタープラン市町村がつくったら、それに従って町づくりをしなければならない義務はできないのですか。今、局長の話を伺っていると、できないんだ、義務は生じないんだ、ただ一応つくりなさいというだけにすぎませんよというような印象を受けるのですよ。なぜかならば、地区計画を策定すべき地域を書けば、そこに地区計画をつくらなければならない義務というのが、マスタープランをつくってマスタープランを守るべき義務があるならば、同様に、そこに地区計画を策定すべき地域を決めれば、地区計画を策定すべき義務が当然市町村に出てくるはずだ、私はそう思ったのです。でも、そうじゃないというような答弁でございますね。  そうすると、このマスタープランというのは一体何のためなんですか。今、日本の土地区画制度というのは八種類もあって、もう全部わかり切っている人はいないんじゃないかと思うくらい複雑なんでございますが、しかし、今回マスタープランが出てきた。もう少し土地区画制度が有効ならば、ドイツのBプラン、こういう組み合わせになって、やる気のある市町村はどんどんやれるのではないか。そのために、国はどんどん、建設省も自治省も応援をしていただく、そういうことによって、自主性ある市町村町づくりというのをやっていただきたいな、そこに私は若干の光明をこの改正法に見とるわけでございます。  しかし、今みたいに、計画をつくっても、マスタープランをつくっても義務も何もありません、こんなことでは、何のためなのかという気がするのですね。その辺、どうなんでしょうか。ないならないで結構です、はっきり言ってください、もう一遍。ないのだったら、何のためにやるのだということですね。
  185. 市川一朗

    市川政府委員 直接的な義務づけといいますか、マスタープランをつくりましたら、そのマスタープランどおりにしなければ法律上罰則があるとか、そういった意味ではございません。マスタープランはあくまでマスタープランでございます。  マスタープランに基づきまして具体の都市計画決定がなされていく。その場合に、都市計画決定というものは、例えばある特定の街路を広げるというような都市計画の案になるわけでございますが、それが、自分たちの町をどういうふうにするための、今回はそれを広げる案なのかというあたりのところが、今我が国都市計画の手続の中ではいま一つはっきりしないという反省がございまして、一つ一つ都市計画の案がトータルとしてのその市町村の将来像との関係でどういうふうに位置づけられるかということをマスタープランの中で連係させていこうというのが、今回の御提案趣旨でございます。(「よくわかった」と呼ぶ者あり)
  186. 平田米男

    平田(米)委員 よくわかったと言っている人もおりますが、私はようわからぬのです。  それは罰則がある義務というのが義務だというふうに限定する必要はないわけで、市民に対してこういうふうにやりますと行政側が出した以上、まず市民に対する信頼上の義務でございますよね。それに基づいて行政をやりますよという義務ですよ。それは私はあると思うのですよ。ある以上、地区計画を策定すべき地域を決めたならば、やはり地区計画を推し進めていく義務は生ずると私は思うのです。罰則あるなしは関係なしですよ。それはお認めになるわけでしょう。そういうことじゃないのですか。
  187. 市川一朗

    市川政府委員 市町村が定める都市計画でございます地区計画につきまして、当該市町村が定める基本方針といいますかマスタープランの中で、ここは地区計画を定めるということで明示するわけでヅ」ざいますから、少なくとも市町村におきましては、法律上の制約のあるなしはともかくといたしまして、行政的な意味におきます責任といいますか、そういったものは生ずるということで、私どもは、そういう意味で、全く関係のないものではないというふうに思っていた次第でございます。
  188. 平田米男

    平田(米)委員 これはそういう重いものだという理解を我々はしたいと思うのですね。そうでなければ、市町村中心町づくりという発想がどこか消えてしまうというような気がするのですね。そういう意味で再度確認をさせていただいたわけでございます。  それで問題は、マスタープランにしても、地区計画にしてもそうですが、なかなか素人でできることじゃないわけですね。自治体の公務員というのは三年か四年で当然部署を変わっていくわけでございまして、そうしますと、この間まで地方税を集めておった人が都市計画のところに来ました、あるいはこの間まで総務をやってきた人が都市計画に来ました、あるいは全く関係ないところから来てやる。新しい部局へ入って、都市計画課に来て、専門的知識を勉強したころには、もうまた次の部局に移っていくというようなことがあったならば、これは実質、マスタープランをつくるとか、地区計画制度を推進していくといっても、効率的な、また中身のあるものは、なかなかできないのではないかというふうに思うのですね。  そういう意味で、マスタープラン土地区画制度充実させるためには、財政事情ももちろんでございますけれども、マンパワーといいますか、人材の養成、人材の確保というのをきちっとしなければいけないのではないかというふうに僕は思うのです。  文部省もきょう来ておいでになると思うのですが、今、日本の大学で都市計画を専門に教えている大学というのはあるのでしょうか、都市計画の専門家を養成する大学というのはあるのでしょうか。
  189. 若林元

    ○若林説明員 御説明申し上げます。  大学におきます都市計画に関します教育につきましては、現在、主に土木建築系の学科において実施されております。例えば都市工学講座あるいは建築都市計画講座、地域環境計画学講座というふうなものを設けまして、こういうふうな講座を中心に、環境整備工学なり都市開発工学あるいは都市計画というふうな授業科目を開設し、都市計画に関する教育を実施いたしておるところでございます。  中で特に都市計画に重点を置いた教育、研究を行っておりますところは、従前から行っておりますのは、東京大学の都市工学科でございますが、さらに平成二年には国立の茨城大学が建設工学科を改組いたしまして都市システム工学科というものを新たにつくりまして、この学科におきまして、都市整備及び住居環境あるいは地域情報処理、都市システム設計演習などの授業科目を開設いたしまして、都市計画に関します教育を重点的に実施しているところでございます。
  190. 平田米男

    平田(米)委員 要するに、今までの日本の教育制度の中は、建物、要するに箱をつくる建築学、それから堤防とか道路をつくる土木学、こちらは随分やっているわけですね。しかし、そういうものを全部組み合わせた、しかもそれに付加価値をつけたそういう都市計画、それの教育というのは非常に私は少ないのじゃないかと思うのです。現に、東大であるというふうにおっしゃいましたが、そこも専門的にそれを必ずしもやっているわけではないというふうにも聞いておるわけでありますが、私は、だから、この辺からまず発想を変えないと、都市計画そのものを幾ら法律でどうのこうの言っても、いいものはできてこない。やはり、権限と金があったって、人がいなければそれを有効に使うことはできません。そういう意味で、マンパワー、人材の確保ということをこの法律をつくると同時に、これはどんどん推し進めていただかなければいけないと思うのですよ。  文部省はお金がないので、新しい大学をつくれとか学科をつくれというのは、私はなかなか言いにくいなと思っているのですが、建設大臣、今は少なくとも建設省には建設大学校というのですか、そこがあるそうでございまして、資料をいただきましたら、平成三年度の研修一覧表を見ますと、土地利用計画というところで二十二日間、六十八名の研修をする、あと都市再開発という、まあ都市計画全体ではありませんが、一部のものもあと幾つかありますけれども、要するにそういうところでも土地利用計画という言い方をしているのですが、もっと広い意味都市をどのように質の高い、機能性のある、しかも環境を守った、そういうものにするかという、それを自治体の職員に教育をしていただきたい。それから、もっと長期間要るのだろうと思いますし、六十八名でございますからね、全自治体三千を超えておるわけでございまして、到底及ぶものではないと私は思うのですね。  この辺の力をきっちり入れるということと、もう一つは、これは自治省にもお願いをしたいのですけれども、素人の役人がやはりころころかわっておるようでは、幾ら教育体制をつくって建設大学校でそういうコースをつくっても、教えた途端にまたやめていってしまう、こんなことでは、ざるに水を入れているようなものでございまして、自治体の病院には専門のお医者さんがいます、医者は大体専門でなければできないわけでございますが。それと同じように、都市をつくるというのは、極めて専門的な仕事だろうと私は思うのですよ。だから、自治体の職員の中に都市計画の専門職というものをきちっと位置づけるべきではないかというふうに思うのですね。それはまさにお医者さんと一緒だと思うのですよ。  そういう発想が本来の自治体の自主的な町づくりにつながっていく、こんなように私は思うのですが、まず建設省から、地方の職員の養成の問題、それから自治省の方からは、専門職の問題について、御答弁をお願いいたします。
  191. 山崎拓

    山崎国務大臣 ごもっともなお話だと思っております。  今回創設されますマスタープランあるいはいろいろと御議論がございまして非常に積極的な評価をいただきました地区計画制度等を活用いたしまして、今後住民意見を反映させた町づくりあるいはビジョンを実現していくためには、都市計画の専門職員の養成は必要なことだと存じます。  このため、建設省といたしましては、従来から、都市計画制度に関する説明会の開催とか、すぐれた事例の紹介等に努めてまいりましたし、また、附属機関であります建設大学校におきまして地方公共団体の職員を対象といたします都市計画専門研修を実施してまいったところでございます。  以上のような努力を引き続き行いまして、専門職員の養成を図ってまいりたいと存じます。
  192. 平田米男

    平田(米)委員 今までのやり方ではだめだというふうに私は申し上げておるので、従来のやり方をまたやっていきますという答弁では、結局私の質問に対してはやりませんという答弁なわけで、それでは本当の都市計画というのはできませんですよ。  だからもっと、それは年に一回か二回の職員に対する講習などというのはほとんど意味がないですよ。本当にもう半年か一年ぐらいみっちりあらゆる問題について教え、あるいはいろいろなところ、現地に行って勉強もしてくる。場合によったら、海外のすばらしい都市計画についての実態まで見て勉強させる、このぐらいのことをさせないと、幾ら大臣市町村都市計画やっています、やっていますと言っても、すばらしいものは出てこないはずですよ。今までのやり方でやっていきますというのだったら、やらないのと同じですから、私はもう一度答弁いただきたいと思いますよ。
  193. 山崎拓

    山崎国務大臣 先ほど申しましたように、ごもっともな御意見でございますので、今後都市計画のスペシャリストの養成に関しましてどのような方策をもって対処してまいるか、真剣に検討してまいります。
  194. 遠目塚昭三

    ○遠目塚説明員 お答えをいたします。  現在市町村で行われております都市計画行政というのは、御案内のとおり、土木職員あるいは建築職員あるいは事務職員等を含めて総合的な体制で行われておりまして、そういった中でいわゆる専門職としての、職務的な位置づけとしての専門職の必要性については、今後私どもも勉強させていただきますけれども、実際の市町村行政の運営におきましては、やはりある程度幅を持った行政が行われる必要があるということもございまして、それぞれの地方団体でその必要度を今後十分勘案しながら、そういった職員の養成あるいはもっと大きな将来におきましては専門職としての独立した採用形態、そういったものも検討されていくものというふうに考えております。
  195. 平田米男

    平田(米)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。検討するということは、前向きに取り組むというふうに理解をさせていただきます。  もう一つ最後にお願いをしたいのですが、要するに、今回も法律改正をすればするほどメニューがどんどんふえていくわけです。私もいろいろ勉強させていただいたのですが、なかなかわからない。しかも都市計画制度をきちっと実効あるものとして行ういろいろな補助制度があるわけですね。補助制度の組み合わせあるいは融資制度の組み合わせ、これはもう非常にわからなくなってきておるわけですね。一つ制度を勉強しても、そこの中にまた幾つも種類がある。だから、一体制度というのは何十あるのか何百あるのか、こんなような状況になっているのです。これは、中央集権国家であるので、こういう非常に細分化せざるを得なくなってきているのだろうと思うのですね。これは全部自治体権限も金も与えてしまえば、自治体がやることですから、すっきりしちゃうはずなんでございますが、中央集権をやっている以上、こういうシステムにならざるを得ないのだろうと思うのですね。しかし、こんなに複雑であったならば、今みたいな訓練をし、専門職を置いたとしても、なかなか効果的な制度の活用というのはできないんじゃないかなというふうに私は思うのです。今回の誘導容積制度創設をされるということで、その適用とあわせて活用が可能な制度を挙げてくださいと言いましたら、紙二枚で挙がってくるわけですね。「国庫補助事業」、それから「税制上の措置」、それから「融資」制度、この三つがあるわけですが、国庫補助制度も、「面的整備の実施」「道路等地区施設整備」、それから「建築物敷地の共同化」、このようにまた三つに分かれていまして、面的整備もまた、「土地区画整理事業」「市街地再開発事業」、それから「道路等地区施設整備」、これも「住宅地区改良事業」云々と幾つかあるわけです。これでは、どれとどれをどう組み合わせてやったのかさっぱりわかりません。  そういう意味で、私は、自治体の職員が、こういうことをやりたいときにはこういう都市計画制度があります、そのためには、こういう補助事業制度あるいは融資制度がありますと、こういうマニュアル化をしないと、なかなか有効な活用といいますか、こんな大変だからなかなかやれないなんという心理的な圧迫みたいなことにかえってなってしまったりするのではないかと思うのですね。ですから、ぜひ建設省に、現行制度をうまく使う、改正制度も含めて、うまく使うマニュアルというものをきちっと提示すべきじゃないか、つくっていただきたいというふうに思うのです。  神奈川県は、「地区計画活用マニュアル」というのを、こんな厚いやつをつくっているわけです。こんなに厚くなればかえって困っちゃうのですが、もうちょっと薄くてわかりやすくて、しかも全般がわかるようなマニュアルというものをつくっていただけないか、こんなふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  196. 市川一朗

    市川政府委員 我が国都市計画制度につきまして、非常に多種多様なメニューが設けられておりまして複雑なものになっているということにつきましては、私も全く同感でございまして、特に、昭和四十三年に現行制度ができましたころに比べましても、相当校番がつきましたややっこしい制度になっておりまして、局長職をやっていくのもなかなか大変なくらいの複雑な制度でございます。  ただいま先生の方から、マニュアルをつくるなどして、そういったことに関する具体的な努力を図るべきではないかという御提案がございましたが、まことに時宜を得た御提案だというふうに思っております。今これだけ複雑になりました経済社会におきまして、また、それぞれの都市が抱える問題は多様でございますので、なかなかマニュアルのつくり方も、一生懸命つくるとまた複雑なマニュアルになってはいけないと思いますので、ただいまの趣旨も外しまして、できるだけわかりやすいマニュアルづくりも含めまして、私ども、今後鋭意検討してまいりたいと思う次第でございます。
  197. 平田米男

    平田(米)委員 終わります。
  198. 金子原二郎

    ○金子(原)委員長代理 次に、辻第一君。
  199. 辻第一

    ○辻(第)委員 まず、政府提出都市計画法及び建築基準法改正案について質問をいたします。  この法案提案理由を見ますと、良好な市街地環境整備し、都市の秩序ある発展を図る必要性が高まっている現状にかんがみとしています。二十二年ぶりの大幅な改正とも言われております。  この間、住宅地への事務所ビルの侵食やリゾートマンションの乱立などが広く問題になっています。一九八三年ごろから、東京都心を皮切りに地価が急騰、さらに周辺にあるいは住宅地に波及し、大都市部で勤労者が住宅を取得することは絶望的になったのであります。さらに、都心部住宅用地の地上げ、オフィスビル化、駐車場化などによる人口空洞化などの健全な町づくりの破壊の進行など、東京一極集中が激化いたしました。  さて、事務所ビル住宅地への侵食が起こったのは、言うまでもなく、これまでの用途規制住宅地へのビル建設を許容するものになっていたからであり、強い批判のあったことですが、今回の改正でこれらの点をどう対処されたのか、お尋ねいたします。     〔金子(原)委員長代理退席、委員長着席〕
  200. 市川一朗

    市川政府委員 我が国都市におきましては、住宅中心といたしまして店舗事務所混在するという形の土地利用が実は広く存在しておりまして、これに対応いたしまして、現行制度住居地域というような混在型の用途地域制が設けられまして、専用的な用途地域とあわせまして相応の役割を果たしてきていると私どもは思っておるところでございますが、さき地価高騰期におきまして、大都市地域都市部を中心といたしまして、業務ビル等住宅地進出してまいりまして、その結果、住宅地地価上昇し、住環境悪化を招く、あるいは都心部空洞化といった現象が生じたわけでございます。  今回の用途地域の細分化に当たりましても、その点に最も焦点を絞りまして、適切に住居環境保護するための制度改正を御提案申し上げているところでございます。  特に、大規模な店舗事務所等制限する住宅地のための用途地域といたしまして、現行住居地域にかわるものとして第一種住居地域というものを新たに創設しておりますが、そのほかに、中高層住宅のための専用地域といたしまして、住宅のほかは必要な利便施設のみが立地する用途地域として新たに第一種中高層住居専用地域創設するなど、いろいろと工夫を試みている次第でございます。
  201. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、いわゆる市町村マスタープランの新設ですが、これの策定に当たっては、議会の議決や同意などは何ら規定されていません。議会の議決に基づく基本構想等に基づいて定められるとはいえ、住民参加は、ともすれば形式的になりがちな公聴会だけてあります。議会や住民意見の反映をどのように保障していくつもりか。また、都市計画制度の中で基本方針の位置づけが不明確です。国はこの基本方針についてどのような位置づけをしているのか、明らかにしていただきたい。
  202. 市川一朗

    市川政府委員 市町村マスタープランとして創設いたします「市町村都市計画に関する基本的な方針」でございますが、これは、議会の議決を経て定められた市町村建設に関する基本構想に即するものとされておりまして、さらに、あらかじめ、公聴会を開催するなど、住民の意思を反映させるために必要な措置を講じて定めるものとしておるところでございます。  それから、この市町村の基本的な方針は、当該市町村町づくりのビジョンを具体的に定めるものでございますが、個々の市町村が定める都市計画は、この市町村の基本的な方針に即したものでなければならないと法律規定されておりますので、市町村の個々の都市計画の指針となるというふうに考えておるものでございます。
  203. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、用途地域の見直しに関連して伺います。  今回の用途地域が八種類から十二種類住宅系でいえば三種類が七種類になることに伴い、現在の用途地域は見直しを行い、新たな指定が行われることになると思いますが、具体的にどのような手順で作業が行われることになるのですか。
  204. 市川一朗

    市川政府委員 今回の改正法につきましては、公布の日から一年以内で政令で定める日から施行することとされております。  現行制度に基づきまして指定されている用途地域につきましては、今回の改正法施行後三年以内に新制度に基づく用途地域にすべて切りかえることとしております。具体的な切りかえに当たりましては、基礎調査を行いまして土地利用の現況を把握した上で、将来の動向も踏まえながら的確な用途地域の指定が行われるというふうに私どもは考えておるところでございます。
  205. 辻第一

    ○辻(第)委員 用途地域改正により関連する用途地域については新用途地域に移行するわけですから、現行制度の見直しということになりますね。その作業過程で用途規制緩和につながるようなことはありませんか。
  206. 市川一朗

    市川政府委員 今回の法改正で考えております最も基本的な考え方が、適切に住環境保護を図るためということで用途地域の細分化を提案しておるわけでございまして、新しく設けられます特別用途地区も含めまして、地域の実情に応じたより的確な用途地域の指定が可能になるわけでございますので、ぜひとも、そういった規制緩和につながるような方向ではなく、規制適正化が図られるように地方公共団体に対する指導も行ってまいりたいと思っておる次第でございますが、でき得ることならば、私どもの指導という形ではなくて、地方公共団体のそういう方向に持っていきたいというコンセンサスの中で実現することを私どもは切に希望しておるところでございます。
  207. 辻第一

    ○辻(第)委員 用途地域の見直しを行って新しい用途地域に移る際に、例えば現在の第一種住専から第二種低層住居専用地域に移行すれば、規制緩和が行われたということになります。もちろん、逆に、現在の第二種住専から第二種低層住居専用地域に移行することもあるかと思いますけれども、前者になりますと、関係住民にとって、結果として居住環境悪化につながることになるのではないか、こう考えます。となりますと、現実には緩和方向に移行することになりますので、そうならない保証があるのかどうか、お尋ねをいたします。
  208. 市川一朗

    市川政府委員 御指摘のような事態にならないような保証は法律上はないわけでございますが、第一種住居専用地域の中で設けられております第二種低層住居専用地域につきましては、昨今の時代流れの中でコンビニエンスストア等の利便施設等が住居系の中でも求められてきておりまして、場合によりましては、それを現行制度のままでございますと第二種住居専用地域に塗りかえるというような動きもございますから、最低限それは阻止することができるというふうに考えておりますが、現実に現在第二種住居専用地域に指定されているところでも、実態的にはまだ低層住宅がほとんどであるというようなところもたくさんございますので、そういったようなところにつきましては、そういった利便施設等がある程度配置できるような用途地域ならば低層住宅の方がコンセンサスが得られるという動きもあるということを私どもにらんでおりますので、そういう意味におきましては、実態面におきましては、決して緩和の方向だけではなく、きちっとした適正な規制が行われる方向でうまくいくものと私どもは考えておるところでございます。
  209. 辻第一

    ○辻(第)委員 いわゆる適正化ですね、規制緩和の方向でない方向で努力していただきたい、お願いをいたします。  次に、新設させた中高層階住居専用地域ですが、中高層階を住宅用途に限定するということですが「確かに住宅確保という趣旨でしょうが、いわゆる住宅環境という点で考えますと、居住地域としてふさわしい環境をどう確保するのか、明らかにしていただきたいと思います。
  210. 立石真

    立石政府委員 今回創設することとしております中高層階住居専用地区におきましては、地方公共団体条例によりまして低層階を事務所店舗などには使うことができるようにはなっておりますが、一定階以上を原則として住宅用途に供することとします、いわば立体用途規制を定めることが想定されているところでございます。したがいまして、立体用途規制を適用いたしますと、一つ建築物の中に複数の用途が併存することになるわけでございますが、住宅の良好な居住環境確保には特に留意する必要があろうというように考えております。  具体的に考えてみますと、まず立体用途規制の適用によりまして、建築物の同一階におきましては、住宅と他の用途が併存することがむしろ原則として少なくなってくるのではないだろうかと見ております。また、日照とか通風とか、そういうような観点からの住環境でございますが、中高層階に住宅がまとまってできるようになった方が、例えば事務所商店の中高層の建物がありあるいは中高層の住宅があるというよりは、むしろ良好な環境が維持できるのではないだろうかというように見ているところでございます。  なお、必要に応じまして建築基準法の第五十条に基づく条例制度がございますが、例えば併存する店舗とか工場等につきましての騒音発生の防止措置、あるいはまた住宅部分の防音のための措置、そういうような制限をさらに付加することもできることになっております。  こういうようなことから、住宅の居住環境確保することを進めていきたいというように考えております。
  211. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、誘導容積率の問題に移ります。  いわゆるダウンゾーニングは指定容積率を引き下げ、開発計画を個別に検討の上、問題が生じない範囲で旧来の容積率を認めるなどにより都市の急激な成長を抑止、コントロールする手法ですが、たしか都市計画審議会の中間答申では、その考え方が入っていたかと思いますが、今回の改正の誘導容積率制度地区計画に沿った土地高度利用ということではないのでしょうか。
  212. 市川一朗

    市川政府委員 昨年八月に都市計画中央審議会の中間報告がなされておりますが、そこでは土地の有効・高度利用の促進策といたしまして、有効・高度利用の要請が特に強い一定の地域建設大臣が指定いたしまして、用途地域において定められる容積率の一定割合に一時的に容積率を凍結した上で、住宅供給等に資する優良計画に対しては容積率の引き上げを行い、有効・高度利用を促進するという制度の検討が提案されておりました。  一方、本法案におきます誘導容積制度は、地区計画におきまして二重の容積率を定めまして、公共施設が未整備な段階では低い容積率、いわゆる暫定容積率を適用いたしまして、公共施設整備に応じまして目標とする容積率を適用するということになっておりまして、土地の有効・高度利用と良好な市街地環境の形成を図る制度でございます。  この二つ制度といいますか、提案を比較いたしました場合には、容積率の引き下げという点につきまして、前者におきましては建設大臣地域を指定して行うということになっておりますのが、法案の方につきましては、都市計画決定権者の判断を尊重するという観点から地区計画において定めるとしたところが違っておりますが、いずれも土地の有効・高度利用を促進するための制度という基本的な点におきましては、趣旨は同じものであるというふうに理解しておるところでございます。
  213. 辻第一

    ○辻(第)委員 指定容積率は当該地域で許される容積率最高限度でありますね。実態的には日陰規制などにより指定容積率を下回る部分が存在をしており、地域全体がその容積率で埋まるということはないわけですが、誘導容積率制度の結果、地域としては指定容積率いっぱいまで容積で埋まることになることがあります。結果、地域の過密状況が生じることは避けられない。これで地域環境が守れるのか、いかがですか。
  214. 市川一朗

    市川政府委員 誘導容積制度でございますが、土地有効利用が必要とされているにもかかわらず、道路などの公共施設整備が十分になされていないために低利用にとどまっている地区につきまして、公共施設が不十分なままで市街化が進行することをまず防ぐ、そうしまして、地区内の公共施設整備を図りながら土地有効利用を促進するという制度でございまして、この制度によりまして定めます目標の容積率は、その地区の望ましい市街地像に対応して定めるものでありますが、さらに、これは地区計画で定めますので、地区計画におきましては、道路公園等地区公共施設のほか、建物の壁面の位置の制限から、敷地面積の最低限度等も適切に定めまして、あわせまして、こういった制度を運用するわけでございますので、この制度を使いましてでき上がった町は、必ず良好な市街地環境確保が図られると私どもは思っておるところでございます。
  215. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、そう単純に環境が守れるとは思っておらないのですが、次へ行きます。  この間大きな問題になってきましたリゾートマンションなどの多くは、都市計画区域外用途地域未指定地域建設されたものだと思います。今回の改正で、都市計画区域外においても、条例容積率等規制する道が開かれました。また、用途地域未指定地区規制強化も行われます。しかし、対象地域の指定は知事であり、建築主事のいない市町村もある中で、地元の市町村の意向がきちんと反映されなくてはなりません。この点、どのように地元の意向を反映していかれるのか、いかがですか。
  216. 立石真

    立石政府委員 初めに、都市計画区域外でございますが、都市計画区域外につきましては、地方公共団体条例によりまして、地域の特性に応じて容積率等の必要な制限を定めることができることとされております。この条例は、都道府県知事関係市町村意見を聞いて指定する区域において定めるということになっておりまして、地元市町村の意向を十分反映する形になっていると考えております。  また、次に、用途地域の指定のない区域についてでございますが、特定行政庁都市計画地方審議会の議を経て指定する区域について、それぞれ容積率、建ぺい率の最高限度を二〇〇%、六〇%にすることができることとなっているわけでございます。したがいまして、建築行政をつかさどっている市町村におきましては、その長が区域を指定するということですから、当然同じ市町村長になるわけでございますから、反映されるわけでございます。それ以外の、建築行政をつかさどってない特定行政庁以外の市町村については、先ほどの区域都道府県知事が指定することになるわけでございますが、これらを運用するに当たりましては、当然都道府県知事が地元市町村の意向を十分に踏まえて区域の指定を行うよう指導を行ってまいりたいと考えております。
  217. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、木造三階建てに関する規制緩和に関して伺います。今回の改正規制緩和される木造三階建て建物工法についてですが、これはツーバイフォー工法などを主体としたものですか。
  218. 立石真

    立石政府委員 今回の改正によりまして、防火、準防火地域以外の地域において木造三階建ての共同住宅を認めることとしているわけでございますが、その工法といたしましては、柱、はり、壁、床等は、木造ではあるけれども、石こうボード等の不燃材料で被覆すれば防火上の性能が高いということに着目した改正でございますので、これらの趣旨から考えて、在来軸組み工法も、ツーバイフォー工法等すべての工法におきましても、主要構造部が先ほど言いましたような防火性の高い材料等をうまく使えば認められるということでございます。
  219. 辻第一

    ○辻(第)委員 今一部触れられたように思うのですが、もう一度お尋ねいたします。  今回の木造三階建ての規制緩和は、平成二年の日米林産物協議において木造三階建て共同住宅等の開発目標とするスケジュールが明確にされたことを踏まえたものだと思います。我が国独自の軸組み在来工法の場合は、どのような扱いになるのか、お尋ねします。
  220. 立石真

    立石政府委員 日米林産物協議を踏まえたものでもございますし、また基本的には、日本の木造住宅の技術が向上してきたので、それに対応するということで改正を行うものでございますので、ツーバイフォー工法ばかりではなく、我が国独自の軸組み工法についても、その対象となるというものでございます。
  221. 辻第一

    ○辻(第)委員 このようにいろいろ聞いてまいりましたが、今回の改正で、特に誘導容積率の問題など、都市の過密を激化させかねない問題点を含んでおりますが、あとは次回の質疑に譲ることとして、次に、社会党、社民連案について質問をいたします。  改正案では、市長さんへの権限の移譲、議会の議決、縦覧、意見書制度などが盛り込まれております。これらは住民参加といいますか、下からの町づくりを進めるものと思いますが、これにより郡市計画がどのように変化をするのか、お尋ねをいたします。
  222. 木間章

    ○木間議員 住民参加の拡大で都市計画はどのように移り変わっていくのだろうか、こういうお尋ねでございます。  私たちは、自分たちがこれからも住んでいく町でございますから、自分たちの町は自分たちがみんな参加をして、知恵を出し合って、どういう町をつくっていくか、ここに基本を置いておるのでございます。そうなれば、当然、土地利用計画を初め、道路や公園の整備計画に至るまで、きめ細かな、地域の個性を十分に生かした町づくりを行うことができるであろう、このように考えております。また、都市計画自体も、地域の将来に対して、地域住民の真の規範となるべきものに変化をしていくことになるであろう。  蛇足でございますが、地方自治の本旨は、その地方地方がみずから治める、文字どおり地方自治の本旨はそのようになっておりますから、住民の主体的な市町村行政へのかかわりを、歩を一歩一歩進めていけば、やがては住民自治全体を促していくであろう。もとよりこの法律単独でそのような制度が切り開けるとは思っておりませんけれども、一歩一歩進めていくことが極めて大事であろう、このように考えているところであります。
  223. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変結構な御方針を聞かせていただきまして、ありがとうございました。最後に、用途地域の細分化については政府案より細かく区分されておりますが、その基本的な考え方は何か。特別用途地域の拡充により、当該地秋の必要性に応じて用途地域を定めることができるのか。また、特別用途地域規制緩和に使われることはないのか。以上伺って質問を終わりたいと思います。
  224. 谷村啓介

    ○谷村議員 お答えをいたします。お尋ね二つでございますが、まず用途地域の細分化の考え方は何かという点でございます。用途地域の細分化に当たって第一に考えましたのは、住宅が基本であるということであります。最も基礎的な生活基盤は住宅であるということであります。例えば、かつては良好な住宅地であったものが、土地住宅投機などによって、それまで地域の人々が守り育ててきた環境というものが次第に損なわれていく、こういう状況であります。こんな状況を何とか打開したい、こういうふうに考えたところでございます。  また、実際に地域の自治会の申し合わせなど、法律規定に基づかない任意の協定による町づくり、その他の地域住民の主体的な町づくり法律面から支援をしていきたい、こういう考え方でございます。そして、私たちの案における二戸建て二世帯住宅専用の用途地域である第一種低層住居専用地域などが実はそれであります。  第二点目は、特別用途地域規制緩和につながらないかという御懸念がございますが、その点につきましては、その種類については政令による制限を廃止したということでございまして、実際に行われる規制の内容については現行のとおり、用途地域に関する制限の上乗せが原則でございます。緩和する場合には、これまでどおり制限が課せられていることには変わりはございませんので、その御懸念はないように実は考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  225. 辻第一

    ○辻(第)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  226. 古賀誠

    古賀委員長 次に、米沢隆君。
  227. 米沢隆

    ○米沢委員 まず最初に、法案の内容について質疑をする前に、この都市計画法の大前提といいましょうか、我が国において都市計画のあるべき姿は一体どういうものだというふうにイメージをされているか、一体どういうものが最適なものとお思いになっておるか、そのあたりを一回お聞きしておきたいと思います。  といいますのも、都市化の歴史的経緯も、これ特殊なものがあり、農村が一挙に都市化したというものもあったり、木造住宅が一般的であったものが、今ハイカラな住宅に変わりつつあるという問題があったり、あるいはまた、我が国における土地所有という思いはかなり絶対的なものでございまして、土地はおれのものなのになぜ物がつくれぬのかというような話等も実際あるわけでして、そういう意味では、西ドイツのような厳格な方式で都市計画を進めるわけにはいかない、そういうのも現状として認めていかねばならぬ。あるいはまた、都市の変化がかなり激しいものがありますから、この段階で事前に将来を固定的に都市計画はこうあるべきだという言い方もちょっと難しいところもある等々の、ほかの国に比べて日本の特殊性があるわけでございますから、そういう中で、いかにすばらしい都市をつくっていくのかという都市計画のあるべき姿については、外国とはやはり違ったものがあり、また日本独自のものがあり、そういう中であるべき最適な姿を追っていくという本当は哲学が一体どういうものなのかというところが、都市計画法を議論する際に一番大事な問題ではないかと思いますので、まず、その点について大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  228. 市川一朗

    市川政府委員 都市計画につきましては、我が国の場合、一般用語としての都市計画都市計画法に基づく都市計画という言葉の使われ方がございますけれども、現行都市計画法におきましては、基本理念というところで一つ規定がございまして、そこで示されておりますように、健康で文化的な都市生活と機能的な都市活動を確保することを目標としておるところでございます。計画的な土地利用の整序等を行いながら、公共施設整備を行いまして、水準の高い生活環境整備を行っていくということが求められておると思いますが、その中で特に良好な都市環境の形成と国土の均衡ある発展を図るというあたりが最近特に求められておるところだと思います。  それから、諸外国との比較におきまして、特に例に出されますヨーロッパとの関係におきましては、やはり我が国の経済社会が、やや先発型でありますヨーロッパと比べまして、建築活動とか開発活動が極めて活発な状況の中で経済活動が推移しておるわけでございますので、そういった活発な活動を確保しながら、それからさらに私権も十分尊重しながら、公共の福祉にのっとった町づくりをやっていかなければいけないというところで、そういう意味におきましては、極めて弾力的な運用の中で、長期的な目標に向かって一つ一つ、ステップ・バイ・ステップで積み上げていくという都市計画のあり方が我が国においては求められているのではないかと、私どもは認識しておるところでございます。
  229. 米沢隆

    ○米沢委員 我が国の現状からして大変難しい問題ではありますが、ややもすると、その都市計画の哲学とか理念というものが本当にはっきり確立されておりませんと、どうしても後追い行政になってしまったり、行き当たりばったりの対症療法で終わってしまったりということがあり得る都市計画を我々は持っておるのではないかというところに懸念を抱くからでございます。そういう意味で、今後こういう都市計画法改正等を通じて、できれば、理念とか哲学みたいなものをやはり確固たるものをつくっていく方向に努力してほしいということを申し上げたかったからであります。  第二に御質問したいのは、現行都市計画制度の基本的な問題点と改革の方向についてであります。  私は、現行都市計画制度には三つの問題点が内在しておると思っています。  一つは何かといいますと、現行制度は、やはりいろいろな方が指摘されますように、中央集権的な都市計画制度であって、地方自治の原則が未確立てあるのではないかという問題指摘でございます。これは、現行の方が現実的であって、トップダウン方式の方が都市計画上うまくいくという議論もあれば、あるいはまた、我々の町は我々でつくるんだから、もっと地方権限や財源をよこして、もっと地方自治が主体性を持ってやるべきだというような議論もありますから、これはまだ葛藤するさなかにあるわけでありますが、しかし、都市計画制度そのものが、どうも地方自治という観点からはまだ未消化な部分があるのではないかという問題指摘。  それから、第二の問題は、現行都市計画制度が、原則として、先ほども議論にもなりましたように、開発や建築というものはほぼ原則は自由だという前提にして都市計画制度ができ上がっておるわけでありまして、いわゆる計画なきところに開発はないというような原則はまだ未確立だ。一徐々に都市計画法が改定する方向の中では、やはり計画があって開発がある、建築があるという方向に向かいつつあることは否めない事実だと思いますが、しかし、最初から開発も建築も自由そのかわり都市計画上こういう制限をしようという発想の積み上げになっておる。こういうものが是なのか非なのか、また、今後の方向性としてどういう方向をたどっていくのかという問題の指摘がある、これも基本的な問題だと思います。  第三の大きな問題は、いわゆるデュープロセス、手続の正当性というものに欠けているのではないかという議論が、これはまたたくさんあります。すなわち、公正で開かれた手続の確立、都市計画土地開発に関する決定過程をもっと明確にすべきではないかというような問題についていろいろな議論が行われているところであります。  そういう意味で、この三つの大きな問題点を整理しながら、一つ我が国都市計画の方向というものを徐々に哲学的に固めていくということが、本当は大事な問題ではないか、そう思っているのでございますが、その点について、どのような見解を持たれますか、大臣
  230. 山崎拓

    山崎国務大臣 先ほど冒頭に、都市計画の哲学を持つべきではないかという御質問がございました。ただいま三つの観点をお示しになったのでございます。みずからの都市計画の哲学について考え方をお示しいただいたと感謝申し上げるところでございます。  今回の法案で、まず第一点の地方自治の観点から見てどうかという議論が先ほど来一貫して続いてまいったのでございます。このたびの都市計画法改正に当たりましても、その点につきましては十分留意してまいったつもりでございまして、都市計画の前提となります市町村の基本方針と申しますか、マスタープランの作成という提案をこのたびいたしておるところでございます。  次に、計画なくして開発なしという原則の問題でございますが、これはそのとおりだと存じます。都市計画法改正をいたしまして、マスタープラン地方住民の声を反映いたしました立派な計画をつくっていただいて、そして今後の都市整備を行ってまいりたいという考え方でございます。  それから、デュープロセスの正当性に欠けているのではないかということでございますが、都市計画の手順につきましては非常に複雑煩多になっておるという御指摘もございましたが、今後ともできるだけすっきりした形で住民の声が素直に反映されますような都市計画の手順というのを工夫してまいりたい、追求してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  231. 米沢隆

    ○米沢委員 今回の改正は、昭和四十三年現行制度弧確立した大改正に比べまして、先ほど申しましたいわゆる地方自治の未確立の問題、それからデュープロセスの問題に余り手がついていない。市町村マスタープランについては提案がありますが、それは手続の明確化という問題とはまた別の話でございまして、曲がりなりにもあの四十三年の改正のときには、先ほど申しました一から三までの問題点に薄く触れて改正がなされたという経緯からしますと、今回の改正は、大改正とは言いながら、二番目の計画なきところには開発がないという部分で少々前進を見たという改正にすぎないのではないか、私たちはそう考えざるを得ないのでございます。  そういう意味で、急々にこんな話をして説明はしにくい問題かもしれませんが、特に都市計画における地方自治の権限を大きくしていく方向性あるいは手続を明確にしていく方向性、残念ながら現在の制度では都市計画を決める場合の基礎の自治体権限にも問題があり、議会の関与にも問題があり、あるいは市民参加という問題でも十分な手続の体系が整備されていないという感じを私は持っておりまして、できれば、都市計画上のいわゆる計画なきどころ開発なしという原則を大きくしていくと同時に、やはり地方自治の関与の問題やあるいは手続の明確化、公平な手続、開かれた手続みたいなものについても、もっと前向きに議論がなされて、できれば、次の改正時点においては、そのあたりがある程度前進するような改正案の提案になるように努力してもらいたい、そう思いますが、大臣の御意見を聞かせてほしい。
  232. 山崎拓

    山崎国務大臣 非常に重要な御指摘をいただいたと思っております。今回の改正におきましても、市町村が持っております議会の議決を経ました基本構想を受けましてマスタープランをつくる、こういうことになっておるわけでございます。さらに、そのマスタープランをつくります段階で公聴会等を開催いたしまして住民の声を反映させるということになっております。そしてそのマスタープランに基づきまして都市計画が決定されていく。従来の基太構想と都市計画の中に寸もちろん断絶していたわけではございませんが、どうも手順的に結びつきが希薄でございましたが、今回いわゆる議会の議決を経た基本構想と都市計画の間にマスタープランというのがそこに介在をいたしまして、住民の声を反映した、議会も都市計画に基本的には参加している、そういう体制と申しますか、それが確立されていくわけでございまして、ぜひ今回の改正につきましても御評価いただければと考えている次第でございます。
  233. 米沢隆

    ○米沢委員 この問題、うるさい問題でございますから、そうしつこくやろうとは思いませんが、少なくとも例えば都道府県知事の定める都市計画等については、これは都道府県知事権限があって計画が決められるのではなくて、機関委任事務として知事が代行するというものにすぎないという点もありますよね。あるいはまた、法令等では人口十万以上の都市については大半が大臣認可の対象になっておるというのも、やはり中央集権的だなあという感じがします。あるいはまた、法令や通達や事前協議によってでき上がるまでにかなりコントロールがあるというのも事実ですよね。あるいはまた、建設大臣の指示や代行権の規定が二十四条にありますが、こういうものも、一般の機関委任事務以上に強力な規定があるというふうに思っでいいのではないか。  それで、できたものは大体全国で一律に適用されるということでございますから、まあ国が全然手を引いた場合一体どうなるかという問題は、また新たな問題としてありますけれども、少なくとも地方自治の段階でみずからが決めるということを一つの前提にしながら、国の関与と逆の方に位置づけるという方向性みたいなものは模索されて一しかるべきではないか、そう思っておることをつけ加えておきたいと思います。  それから、我が国市街地における建築物用途規制などのいわゆる土地利用規制にかかわる制度というものは、基本的な枠組みはもう御案内のとおり三つで大体枠組みができておると思っています。一つは、先ほどから議論になっておりますようなマスタープランとしての整備、開発または保全の方針というのが一つある。そしてその下にゾーニングといいましょうか、地域性としての用途地域特別用途地区の活用という問題がある。その下に詳細計画としての地区計画制度がある。三つの制度の枠組みによって構成されていると言っても過言ではないと思います。したがって、この三つの制度がそれぞれの役割を分担するなり、あるいは一体となって運用されるなり、あるいは相互に補完し合って運用されるところに、都市計画の実が上がると言っても過言ではないと思います。  しかし、今日までの運用状況を見ますときに、いろいろな問題点が指摘されておることも事実でございます。  まず第一に、これも先ほどから議論を聞いておりましたが、マスタープランについてであります。まず、都市マスタープランの位置づけ、それから内容の充実策というものは、それぞれ審議会等も提案を、提案といいましょうか、建議を行っているところでございますが、例えば都市計画中央審議会等の中間報告等を読ませていただきますと、都市マスタープランの位置づけというのは、都市全体の将来像を見据えた上で、人口の配置、住宅地、商業地、工業地や都市施設の配置や規模等についての長期的な見通しを明らかにし、土地利用規制都市施設整備及び市街地開発事業の展開を有機的、総合的に進める上でのよりどころとなるべき基本的方針としての役割を有しておる、こういうふうに言われて、四つの機能があるべきだ、こうおっしゃっています。  一つは、住民都市計画に対する理解と策定への参加を容易にするために、個別計画の背後にある都市の将来像を明示する機能を持つべきであろう。第二に、都市の将来像を見据えた長期的な基本方針として個別具体の都市計画を導く機能であって、これによってマスタープラン住民に対して拘束力を有する個別具体の都市計画との二層性の計画体系を構成することになるであろう。第三の機能として、土地利用都市施設市街地開発事業といった部門ごとの計画から成る都市計画について、相互の整合性を確保する機能というものが求められていくであろう。第四に、計画の実現の見通しとして市街地整備の手法や時期を明らかにする機能が求められている。  この四つの機能にプラスして、もっと例えば開発等でもめたときに、このマスタープランを見る限り判断の根拠が大体指導されるような形になっておるという機能があれば、とれは万全だ、こう思うわけでございます。  ところが、今日のこのマスタープランの現実は一体どうか。それぞれいろいろと述べてあるわけでございますが、現行の「整備、開発又は保全の方針」というものは、都市計画におけるマスタープランとされてはいますものの、現行都市計画法上いわゆる線引きを行う都市計画区域においてのみ定められておるという中途半端な問題でもある。また、その内容についても、先ほど申しました四つの機能を持つべきとの観点からいえば、マスタープランとしての役割は余りにも不十分だ、こう言わねばならぬと思います。  その上、制度的にも「整備、開発又は保全の方針」と用途地域特別用途地区または地区計画などの個別の都市計画建築規制制度関係規定されていない。参考として見るだけで、実際は具体的な都市計画の実施については余り連関性は求められていない。そういうものが非常に大きな問題ではないかという指摘がされているんじゃないかと私は思います。私もそう思うし、現にそういう方向に充実されていかなければ、一体とした地方の開発みたいなものは、あるいは地方整備というものは行われていかないのではないか。概念としてはそういう感じがするわけでございます。  そういう意味で、このような問題指摘に対して、どう当局としては答えようとなさっておられるのか。あるいは、用途地域地区計画の適切な活用の指針となるような土地利用にかかわるマスタープランをつくっていくべきであろうというそういう声に対して、どういう対応をなされようとされておるのか。できれば今回の改正で、この土地マスタープラン充実という面で何か改正が行われているのかいないのか、そういう点について総合的に、一回答弁を欲しいと思います。
  234. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま御指摘ございました「整備、開発又は保全の方針」におきまして、いわゆる都市計画マスタープランが定められておるわけでございますが、私どももこのマスタープラン充実を図る必要があるという認識を持っておりまして、審議会でも大いに議論があったところでございます。  それで、一体どういう点が一番問題なのかということを議論していきました場合に、都市計画は、かなり広範な土地利用計画から具体の街路等の都市施設も含めまして都市計画決定するわけでございますが、そういった一つ一つ都市計画の内容が、その地域の将来像という形でどういうふうにつながっていくのかどうか、その都市はどういうふうに将来なっていくのかといったこととの関連性がいま一つはっきりしないのではないかといったところが一つ一番大きな問題という把握をいたしまして、それならば、いっそのこと、「整備、開発又は保全の方針」の充実につきましては、もう少し日を改めましていろいろ検討するとして、思い切って、現在の制度ではないわけでございますが、各市町村ごとのマスタープランを定めてもらうことにいたしますならば、市町村単位でございますから、かなり具体的なビジョンが描けるのではないかという観点に立ちまして、新しく市町村マスタープランという形で市町村都市計画に関する基本方針というものを各市町村ごとに定めるという制度を御提案申し上げることにした次第でございます。
  235. 米沢隆

    ○米沢委員 「整備、開発又は保全の方針」等については別個に検討するようにしてというお話がありましたが、私はかなり審議をされたんだと思いますが、その部分についてもっと踏み込んだ充実策を考えていくという方向を明確にしてほしいということと、それの代替といいましょうか、それを補完する意味市町村マスタープランができたということでございますが、先ほど公明党の委員が一生懸命言われておりましたように、やはりそのマスタープラン都市計画上の特に地区計画とがうまく連動して、結果として、このマスタープランがあるから地区計画はできるんだよ、しようじゃないかとか、いわゆる連動して都市計画が推進されるというそういうものに市町村マスタープランを格上げしていくというのかな、そういう方向を目指すべきではないかというのが、先ほどの議論の焦点ではなかったかと私は思うのです。  再度、そういう方向性について、ぜひ今後の検討課題としての問題提起を当局はどう見るかという点について、お答えをいただきたい。
  236. 市川一朗

    市川政府委員 市町村マスタープランにつきましては、その市町村が責任を持って定めるものでございますので、当該市町村が定めることとなります都市計画につきまして直接連動するだけではなくて、知事が定める都市計画につきましても十分機能を果たし得るような内容になるように内容の充実を図っていく必要があるというふうに考えておりますが、法律上の規定におきましては、そこのところを必ずしもはっきりと明示しておりませんので、やはりマスタープランの内容が極めて重要であるというふうに思っておるところでございます。  それとはまた並行的に知事が定めます「整備、開発又は保全の方針」というところとの関連につきまして、ただいま先生からいろいろと御指摘があったわけでございますが、私どもも、これから都市計画というものが住民の方々に十分理解されて、いい町づくりの方向に持っていくためには、やはり個々の都市計画の内容の充実も大事でございますが、それ以上に、それぞれの町が将来どういうふうになるかという将来像につきましての明確なコンセンサスがあること、それができるだけ具体的であるということが極めて大事であり、我が国におきましては、その辺が今、少しおくれておるというような反省の上に立ちまして、懸命に努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  237. 米沢隆

    ○米沢委員 都市計画の実を上げる場合に、先ほどマスタープランの話をしましたが、もう一つぜひ御検討をいただきたいといいましょうか、活国策について知恵を絞ってもらいたいという要請は、この用途地域特別用途地区あるいは地区計画等の役割分担とその活用についてもっと知恵を働かしてもらわないかぬのかなという感じがするという点です。  今般の改正用途地域につきましては八種類から十二種類に細分化されまして、特別用途地区中高層階住居専用地区商業専用地区二つが新設、追加され、また地区計画制度の拡充も図られていることは、一歩前進だと思います。要は、これらの制度が相互によく補完し合って、あるいは一体的に運用されて活用がうまく小くかどうかというところにすべてのかぎがあるような気がしてなりません。  しかし、今日までの特別用途地区の指定面積は、全用途地区面積の約二%にすぎないとか、あるいは地区計画については、制度創設以来約十年の現時点において用途地域の約一%において策定されているにすぎない。これは、これでも活用されているのですよと見るのか、いや、まだまだ活用されていないのですよと見るのかは、その土地状況等によってそれぞれ難しい判断はあると思いますが、しかし、二%の面積、一%の面積では、やはり活用がうまくいっていないのではないかな、あるいは活用される場合にいろいろな複雑な手続や難しい問題があるのかな、こう思うのが、素直な見方ではないかと私は思うのでございます。  しかし、そういう意味では、詳細な土地利用計画の策定が要請されている地域がかなりあるにもかかわらず、これくらいの数字であるということは、もっと活国策についていろいろな誘導措置やインセンティブを与えてあげることが、うまく全国の都市計画を立派に推進する一つの大きなこれからの課題ではないか、こう言っても過言ではないと思うのでございます。  そういう意味で、これからこの特別用途地区の活用あるいは地区計画制度の推進やその活用について、一体どういうような考えを持っておられるのか。例えば、市町村マスタープランにおけるこのような特別用途地区地区計画制度を推進する位置づけ、マスタープランとこのような制度を活用する位置づけ、あるいはまた推進体制の整備、あるいはまた助成制度等の充実等々について、一体どのような考え方を持って、今後このようなものをうまく組み合わせながら都市計画の実を上げようとされているのか、それがやはり大き一な問題だと思います。御答弁いただきたい。
  238. 市川一朗

    市川政府委員 我が国都市計画制度の中での土地利用計画制度の基本は、やはり用途地域制度でございました。現在八種類でございますが、その前は四種類でございまして、四十八年に四種類を八種類に変えました。今回それを十二種類にふやしていただくということで御提案申し上げておりますが、そういった用途地域のきめ細かな細分化を図っていくという過程で、そういった都市計画土地利用計画の基本を設けてきたわけでございまして、そういった観点に立ちました場合には、ただいま御指摘ございましたように、特別用途地区とかあるいは地区計画制度がまだまだ活用されておらないのではないかといった点につきましてはどういうふうに考えるかという基本的な認識としては、私どもも、まだまだ活用されていない、もっともっと活用されるべきであるというふうに考えておりますが、地区計画建築物の形態まで決めていく計画でございますので、我が国のこれまでの都市の歴史的発展の中では、なかなか住民のコンセンサスを得るのに時間がかかる制度であるという面もあろうかと思いますが、しかし一方で、その地区計画を活用いたしましてでき上がった市街地がどんどんできてまいっておりまして、それが極めて良好な都市環境が形成されているというモデル的なケースも出てまいっておるようでございますので、かなりそういった意味では今後普及していくのではないかと思っておるところでございます。  ただいま先生の方から、助成措置あるいは推進体制、インセンティブの問題等、いろいろ御指摘がございました。私どもも細々といろいろやってはおりますけれども、また思い切った形で取り組む必要があるというふうに思っておりまして、今回の御提案の中では市町村都市計画マスタープランを定めるわけでございますが、そのマスタープランの中で地区ごとの将来のあるべき姿をより具体的に描く中で、特に地区計画とか特別用途地区、なかんずく地区計画につきましては、それを積極的に明示していくというようなところで連携づけながら、あわせまして地区計画のPRも兼ねましてその普及に努めてまいりたいと思っておりますが、その他いろいろインセンティブないし助成措置あるいは推進体制につきましても、いろいろと取り組んでまいりたいと思います。
  239. 米沢隆

    ○米沢委員 都市計画は合意形成のプロセスたという言葉がありますように、やはり合意形成をいかに図っていくのかがすべての勝負でございますから、ぜひ当局としても、その合意形成がうまくなされるようにインセンティブ等、極力充実策に努めてほしいということを申し上げまして、質問を終わります。     —————————————
  240. 古賀誠

    古賀委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、明後十五日金曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会      ————◇—————