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1992-04-22 第123回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月二十二日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 三野 優美君    理事 山内  弘君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       木村 守男君    久野統一郎君       塩谷  立君    野田  実君       萩山 教嚴君    光武  顕君       山本 有二君    石井  智君       木間  章君    貴志 八郎君       渋谷  修君    松本  龍君       辻  第一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 東家 嘉幸君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       藤原 良一君         国土庁計画・調         整局長     田中 章介君         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         国土庁大都市圏         整備局長    西谷  剛君         国土庁地方振興         局長      小島 重喜君         文部省高等教育         局私学部長   奥田與志清君         通商産業省立地         公害局長    鈴木 英夫君         建設政務次官  金子 一義君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境管理課長 熊谷 道夫君         大蔵省主計局主         計企画官    佐藤 隆文君         文部大臣官房審         議官      佐藤 禎一君         文部省高等教育         局企画課長   草原 克豪君         運輸省運輸政策         局地域計画課長 東澤  聰君         労働省職業安定         局労働力確保業         務室長     田宮  実君         自治大臣官房審         議官      松本 英昭君         建設委員会調査         室長      杉本 康人君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   植竹 繁雄君     奥野 誠亮君   川崎 二郎君     亀井 静香君   瓦   力君     熊谷  弘君   久野統一郎君     大石 千八君   塩谷  立君     愛知 和男君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     塩谷  立君   大石 千八君     久野統一郎君   奥野 誠亮君     植竹 繁雄君   亀井 静香君     川崎 二郎君   熊谷  弘君     瓦   力君 四月十六日  有料道路通行料金身体障害者割引制度に対する  内部障害者等への適用拡大に関する請願(山本  有二紹介)(第一五九二号)  同(石井智紹介)(第一六三九号)  同(木間章紹介)(第一六四〇号)  同(貴志八郎紹介)(第一六四一号)  同(野田実紹介)(第一六四二号)  同(松本龍紹介)(第一六四三号)  同(三野優美紹介)(第一六四四号)  同(山内弘紹介)(第一六四五号)  同(吉井光照紹介)(第一六四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再  配置促進に関する法律案内閣提出第三四号  )      ————◇—————
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置促進に関する法律案を議題といたします。  この際、国土庁地方振興局長から発言の申し出がありますので、これを許します。小島地方振興局長
  3. 小島重喜

    小島政府委員 地方拠点都市地域法案に係る四月二十日の連合審査会におきまして、公明党倉田栄喜委員の御質問に対する私からの答弁の中で一部不適切な表現がありましたことをおわび申し上げます。
  4. 古賀誠

    古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貴志八郎君。
  5. 貴志八郎

    貴志委員 一昨日から連合審査が行われまして、いわゆる拠点法に対する基本的な考え方を含めていろいろな角度からの検討が行われたわけでありますが、この法案の基本になるものは四全総であり、さらにその四全総を受けて多極分散法という訓示法があり、それを受けて実施法としての今度の拠点法がある、このような説明があったわけでございます。  それで、先般来の討議の中身を聞かせていただきますと、東京一極集中がこの法律によって排除、是正され、ネットワーク型の多極分散を実現するんだ、それも、いわゆる従前からのトップダウンの方式ではなしに、ボトムアップという新しい手法を取り入れて、地方活性化、顔の見える、そういう地方拠点都市形成していくんだ、こういうふうに声高らかにうたいとげられたと私は拝聴をいたしてまいりました。  それで、戦後続きました中央集権という政治のあり方、一つの聖域と一般的に受け取られておったわけでありますけれども、この部分にもメスを加え、地方分権という今までのかけ声はあったけれども実体のなかった、まあなかったというのは言い過ぎでございますが、かけ声に終わってまいりました地方分権という政治上の新たな手段、決して新しくないわけでありますけれども、今までのやり方と異なった手段を取り入れて、民主的に国土形成を行う、こういうことでありますから、行政の側にとっては、まさに革命的とも言える思い切った手法の取り入れである、私はそういうふうに受け取りたいのでございます。  しかし、そういうふうな発想の転換を行うことによって、住民のネットワーク方式地方ネットワーク方式と呼んだらいいのでございましょうか、そういう欧米の政治手法、そういうふうなことを学びながら果たしてこれを成功させることができるのかどうかということに、いささかの懸念を持つわけであります。  それで、この法律施行によって、これで地有分権が本当に進むのだろうか、それから、これで多様な集積を持つ魅力ある都市が育っていくのだろうか、これで一極集中は排除できるのだろうか、そういう具体的な感触をイメージとしてつかむことができるのだろうかということについて、私どもは、いささか懸念を持つわけでございます。  それで、一九八〇年代といえば、ついこの間でございますけれども、八〇年代を直前にいたしまして、我々地方におるものは、八〇年代こそ地方時代だ、こういうことをもう大いに宣伝を聞かされましたし、事実、施政方針の中でも、八〇年代は地方時代だというふうな形で大いにぶち上げられたものでありますが、結果的には、八〇年代は、地方時代どころか、逆に一極集中促進した、そういう結果をもたらした八〇年代ではなかったか、いわば八〇年代の地方時代だというのは、あれは幻想にすぎなかった、こういうことが結果としてはっきり出ておるわけでございます。そういう過去の例を見るにつけまして、今回の拠点都市法制定によって果たして建前どおりに実際が機能するのかどうか、こういうことについて、私は質問を進めていかなければならないと思うのでございます。  それで、はっきり申しますと、この法律制定によって、目的に書かれているように、あるいは四全総に述べられておるように、一極集中の終えんを迎えることができるという確かな見通しを持つことができるか、また、この法律制定によって地方時代をいよいよ迎えることになったという宣言を行うことができるか、そういうしっかりとした見通しをこれで持つことができるのかどうかということ、これについてまず冒頭関係大臣の御意見を賜っておきたいと思います。
  6. 山崎拓

    山崎国務大臣 地方時代がうたわれ、四全総におきまして多極分散型国土形成が目標とされましたにもかかわりませず、一極集中がなお進行いたしておるということは事実でございます。また、多くの県におきまして人口が減少を来しておるということも事実でございまして、私どもといたしましては、この法案の成立を待ちまして、地方時代が真に確立され、多極分散型国土形成される大事な切り札にしてまいりたいと考えているところでございます。  この法案は、地方におきましても、例えば三十六の県庁所在地人口が増加していること等にも見られますように、地方地方におきまして一極集中が起こっておる。その原因をただしてみますと、東京における原因と同じように、やはりその県庁所在地等において若者たちが大事な生活空間考えております職住遊学等の広範な、高次都市機能を備えているというところにあると思います。  したがいまして、そのような魅力を持ちました拠点都市を別途多極的に国土に展開することによりまして、多極分散型国土形成を実現することができるのではないかということが、この法案趣旨でもあるのでございます。県庁所在地は原則として対象といたしておりませんので、各県、その他の潜在力を持ちました、発展起爆力となる、地方成長牽引力となる拠点都市県知事の指定によりまして定めまして、そこに重点的な、あるいは総合的な対策を講ずることによりまして高次都市機能を持たせるということが一つでございますし、さらにまた、東京にあります産業業務施設をそれらの拠点都市地域に展開、再配置していただくことによりまして、人口分散も図れる、これがこの法案趣旨でございまして、先生の御質問のポイントにお答えするとすれば、これはまさに先生のおっしゃる地方時代を築くための切り札となるべき法案であると考えております。
  7. 東家嘉幸

    東家国務大臣 きょうは建設委員会でございますので、ざっくばらんに、なおまた砕けた気持ちできょうは答弁しやすいかなと思っているところでございますので、行き過ぎめ点がございましたら、また御指摘を賜りたいと思います。  私は戦後農業指導員をしておりました。技術指導員でございました。その後経済界に入りまして、そして戦後の今日の経済発展の経過をみずから経験したわけでございますが、当時日本はとにかく外貨を稼ぐことに全力を挙げて、戦後の窮状をどう経済発展に結びつけるかということに重点が置かれた。そのときの役所役割というものは、私は本当に行政役割というものは、日本経済を導く、そして日本の今日の繁栄をもたらしたその功績というのは大きいと、みずからそのように思っております。そういうことがやはりどうしても一極集中中央集権的な方向に行ってしまった。ところが今日は、地方日本経済大国の中で集中したことによって格差が出てきた。だから、地方もそうした経済大国にふさわしい、国土利用計画の中からもやはりお互いに分担し合うものはもっと積極的に取り組まねばならないという時代になってきたと思うわけでございます。  特に風土庁は、国土をどうしてこれから利用計画の中に均衡ある、そして今日のような状況を是正していくかということの重要な役割を今日持っているわけでございます。地球環境の問題、国内の今日のいろいろな角度からの批判も出ております乱開発ということも、これは避けていかねばならない問題等もございましょう。そういうようなあらゆる観点から総合的に見ました場合に、これからはやはり今度の法案のように、自立という精神を、どのように中央官庁の持てるノウハウを今後提供していくかという、自立していこうとするこれからの地方役割というものにどう手助けするかということが、私は骨子であろうと思っております。  現にこのような法案等が提出されるというようなこと等で、各地域皆さん方が、それぞれの市を中心とする市町村が役割分担を果たしていくためにはどうしたらいいんだということで、中央からの指導も仰ぎながら、今日非常に自立精神に燃えつつあるわけでございますから、そういう意味では、私は、中央の持てるノウハウ地方自立していこうとするその一体性を今日これから持っていくとするならば、よりすばらしいこの法案効果が生まれるものだということで、かいつまんでのことで、私の言わんとすることのまだすべてを御理解いただけないと思いますが、そういうことで、私はきのうからも答弁の中で申し上げておりますのは、各省庁がやはり一体となって取り組めば、必ずや、その支援さえしていただくならば、この法案は立派に実を結ぶことができるというような信念に立っておりますということを、たびたび申し上げているところでございます。
  8. 貴志八郎

    貴志委員 お考えをお伺いしまして非常に心強く思うわけでございますが、私も建設委員会のことでございますので少し砕いて物を申し上げさせていただきますと、若い時分にというか、少年時代余り健康でなかったものですから、薬をよく買いました。新薬が発売されるごとにそれを買いまして、効能書きを見ますと、真新しい紙にオフセットで印刷された効能書きがございます。それを読んでおりますと、いかなる業病もこれで治るんだという錯覚を持つような効能書きがございます。しかし実際には、風邪引きの熱はアスピリンで取れるけれども、病気の本体を治すことができる薬がなかなか出てこない。したがって常に失望を繰り返してきた、そういう思いがあるわけでございますが、果たして今度の拠点都市法が、言うところの対症療法の効能書きではなしに、根本治療になる内容を持っておるかどうかというところが、今日我々が真剣に問うてみなければならない問題ではないだろうか。そういう懸念を持ちながら私はこの後の質問をしてみたいと思うのです。  申し上げておきますが、私はこの法案反対の立場で質問するのではありません。この法案にさらに肉づけをしてしっかりとしたしんを持ってもらいたいという強い希望があるからこそ、いろいろな懸念についてお尋ねをするんだということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  さて、一番大事なことは、物事を決める手段東京にしかない、ちょっと言い過ぎでありますが、東京物事を決めるほとんどの手段が集まっているというところが問題です。今地方への分散を宝剣に考えるとすれば、一番最初に手をつけなければならないのは、やはり中央集権化が進んだ今日の行政政治というものをいかに地方分散をしていくかということを、ターニングポイントに今来ているんだということを企業にも国民にも知ってもらう意味で、政治行政機関そのもの分散というものを率先して行うという姿勢がなければ、この法律は生きてこないんじゃないか、私はそう思うのです。  具体的に言うと、政府行政関係機関が、実際にはその直接の機関もあれば、研究機関もあれば、公団、公社、外郭団体、いろいろなものがあるわけです。東京になければ機能ができないというものもありましょうし、地方へ行っても十分やれるというのがこの東京中心から遠く離れて、例えば我が和歌山県で拠点都市ができたら、そこへ、どこかの省庁外郭団体でもいい、研究機関でもいい、やってくるという、行きたいというふうな、いや、行かせなければならないとするような、そういうふうな政府の中自体に、行政機関そのものをみずから分散するんだという姿勢一体あるのかどうか、ここいら辺が、私は、この拠点都市をつくっていっても、実際に東京政治権力がすべてが集まっていれば、やはり絶対に有効な効果というものはあらわれないのではないかと思う。そういった点について一体どのようにお考えになっておるのか、ぜひお伺いをしてみたいと思います。
  9. 西谷剛

    西谷政府委員 行政機関移転の話でございます。  実は、平成元年の八月に、行政機関移転につきまして政府部内での申し合わせをしております。東京区部に所在いたします七十六機関自衛隊の十一部隊東京都区部外移転しようではないかということで、その移転先ないし候補地を決めて取り組んできております。現在までに二つの機関移転を完了いたしました。それから、十の機関自衛隊の十一部隊、これについては、現在用地取得あるいは建物の建築中ということで実行段階に入ってございます。それから十六機関、これは地方支分部局中心とする十六機関大宮地区に集団移転するということといたしまして、これにつきましては、本年度用地取得を行うという段取りになっております。  つまり、以上が実行段階になっておりまして、仮に自衛隊の十一部隊を除いて計算しますと、七十六機関のうちの二十八、いわば四割は手がついてきた、実行段階に入っております。残りがまだ六割ほどございます。これにつきましては、平成年度、本年度中にそれぞれ関係各省移転実施計画を具体的に策定していただく、現在このような段取りで進めているところでございます。
  10. 貴志八郎

    貴志委員 そういうことで努力をされているということは決して非難をするわけではございませんが、例えば大宮地区へ集団的に移転をする、これは確かに区部からの移転に違いはございませんがへしかし、その周辺ということで考えてまいりますと、東京圏拡大ということになって、地方分散をするというふうな意味では、日本全国的な視野から見れば、それは地方分散をしているのだ、政府自身が努力しているのだというふうなことが国民の目にはわからない。我々近畿の端の方に住んでおる者から、あるいは四国の、九州から見れば、あれは東京周辺で動いているだけだ、こんなふうにしか受け取れない。  実際に、それは津軽半島へ行くのだ、紀伊半島へ行くのだ、室戸岬へ行くのだというふうなことになってくれば、なるほど政府も本気で地方分散考えておるなということになりますけれども、これでは、本当に地方政府機関関係のあらゆるいろいろなものを分散していこうというふうな、そういう熱意というものが国民にはわかってこない、私はそういうふうに思うのですが、これはまた後で産業機能のところでもお尋ねをしますので、この問題だけにこだわっていろいろやっていてもしようがございませんが、しかし、それは政府自体がそれだけの熱意と決意を持たなければだめだということ。関東地方、そういうわけではございませんが、一極の面積の拡大を図るというふうなことではだめだということだけは厳しく言っておきますし、これからの、残る六割の移転先等については、そういう観点を絶対に忘れないでもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  続いて、マンパワーの分でございますが、現在私は、中央集権中央集権と申しておりますが、地方から見ると、絶対中央集権だと、こう思い込まざるを得ない。  例えば中央官僚出身県知事は、一体何人いらっしゃいますか。
  11. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  現在、四十七都道府県知事の中で、中央官庁出身という言葉の取り方でございますけれども、約半数ぐらいじゃないかと心得ております。
  12. 貴志八郎

    貴志委員 事ほどさように、中央官庁におられた方々が知事選に出馬して当選する。選挙という洗礼を受けるのでございますから、とやかく言うわけではございませんが、事実そういう半数近く。三役に至ってはどういうことになるだろう。いや、部長以上ということになると、ひょっとしたら、もう各都道府県の、都はともかく、各府県の中における部長以上、あるいは市の部長以上を含めますと、それはもう大変な数になってくる。いわば国で考えていることを直ちに地方実行に移せるだけの人材が地方へ張りついている。だれが見ても、これが中央集権政治だと、意図はともかくとして、結果的には受け取られる。だれも皆そう思っているに違いない。私だけではないと思うのです。  そういう人の配置、私は、中央官庁の側からいえば、それは地方の方からお願いをされてお送りをしているのですよと、こう言うかもしれませんが、実際にどうでしょうか。どなたの県でも、例えば、ある部長職はもう固定されて、ある省の出向の方によって常にそのポストは予約されている。人によってポストがかわるのではなしに、そのポストによって人がもう既に決まっておるというふうなところに、今日の改革をしなければならない重要な課題をこの法律施行前に我々は持っておるのじゃないか。こういうことについて、どのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  13. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  全国の地方公共団体中央官庁から、いろいろな役所から職員を派遣、と申しましても中央官庁を退職いたしまして、そして地方で採用されるという形でございますが、そういう形で地方地方公共団体において仕事をいたしております。その際、今先生指摘のように、それぞれの地方官庁の方から、割愛といいますか、御要請がございまして、そういうことで、それぞれの地方において適材適所と思われるところのポストについて御要請に合ったものに従って中央においてごあっせん申し上げている、さように心得ております。
  14. 貴志八郎

    貴志委員 この問題につきましても、私が声を大きくいたしまして申し上げる趣旨だけはぜひわかってもらいたいし、これでいいのかという問題を私は投げかけたつもりでございます。  あわせて、意見宣言うならば、じゃあ、地方から国に対してどれだけの人間が来ているだろうか。地方から国の方にお手伝いに来る人間は、常に、ちょっと言っては悪いが、下働きじゃないか。地方から来る部長局長があるか。常に地方は末端じゃないか。中央から来ればトップヘ来るじゃないか。そういうのが当たり前で、それに文句を言えば、中央の方でのお覚えがめでたくないということを恐れなければならない地方の存在というものは、一体どうなるのか。こんなことについて本当にお互いに、政治という場の中で、これをどうすれば改革できるかということを本当は意見を交わしていかなければ、この拠点法も生きてこないのではないかというふうなことを思います。  さて、同様の問題でございますが、パイロット自治体構想の創設ということにつきまして、第三次行革審集中審議が行われて、そうして小委員会では各省庁意見を聞くというふうな作業が行われたと聞いております。このパイロット自治体構想というのは、国の許認可権を大幅に地方に移管をする、それから補助金の使途を自由裁量に任せる方向、こういうふうなことが柱になっておると承知をいたしておりますが、そのことに対して意見を聞かれた六省庁は、もう移譲できるものは既に終わっている、これ以上の権限の移譲というのは反対だという拒絶反応を示した、これは新聞に報道されているのです。どうですか。そういう考え方に対して、行革審の小委員長は、これはもう中央の役人の常套的な論法だ、そういう返事が返ってくることを予測しておった、そう委員長は言っておるし、委員の中では、これは霞が関官僚にしみついた中央集権発想だ、荒療治をしなければ直らんぞ、そういうふうな意見を述べられております。  一体分権に対して政府はまともに考えているのだろうか。行革審の出されておるパイロット構想に対して拒絶反応を示すというのは、一体どういうことなのか。この法律目的、理念、私は冒頭お伺いいたしましたけれども、肝心の省庁がこれ以上の分権に対して拒絶反応を示すということになってまいりますと、この法律が果たして生かされて施行され、効果を上げていくことができるのか、私が疑念を持たざるを得ないというのはそこにあるわけでありまして、ぜひこの点についての御意見を賜りたいと思います。
  15. 東家嘉幸

    東家国務大臣 これはできるだけ私どもの方で取りまとめのバイパス役をさせていただいております手前から、私の方から答弁をさせていただきますが、その前に、日本役所機構というものについて、何か非常に悪い点ばかりが表に出がちな今日でございますが、これは何も私はかばうわけじゃございませんが、レーガンさんが日本に来ましたときに、日本役所機構についていろいろと我々自民党の中からもそういう意見を出しましたところ、レーガンさんいわく、いや、それは行政皆さん方がそれぞれの自分の局、各省それぞれの役割分担の中で、とにかく日本の役人さん、本当に目の色を変えて働く、アメリカと違うところはそこにあるんだ。だから今日の日本経済繁栄はそこから原動力というものが生まれたんだと自分は思うから、一概に今の日本役所機構が悪いとは思わない。しかし、これからの問題はそうはいきませんでしょうねという会話があったことを、私はなるほどなと思って聞いたことがございます。  なおまた、この場で党の立場を申し上げては恐縮でございますが、私は自民党の内閣部会長の立場にございました。そういう観点から、臨調の皆さん方、いろいろな行革審皆さん方とも随分と協議をしたことがございます。そうした会議の中で、いろいろおっしゃられる御意見も、それはよく値するものと受けとめてまいりましたし、その方向は私なりに立派な御意見だと思う節が大方ございました。  が、しかし、先ほど私は戦後の歴史から申し上げましたが、今までのそうした機構の中で、日本役所機構役割分担がそういう機構になっておったことに問題点があるわけでございますから、その機構をそうしたこれからの地方に向けて分権をし、そして日本全体の役割分担というものを地方も含めてやらなければならない時代に来ているということは、私は役所皆さん方も十分承知のことだと思っておりますし、今度のこの法律にしましても、それは建設省、農林省、自治省それぞれの役割皆さん方が自分の範囲で、非常にその役割の範囲のことで御答弁をなされることをじっと聞きながらも、それはそれで私はいいと思うのです。  しかし、それをお互い役割分担を、そこにバイパスさえちゃんとしたものがあるとするならば、そのそれぞれの各省庁のやらんとされるその力というものは結集できるんだということを、私はきのうからも申し上げたことでありますし、そのバイパスの役割分担は、不肖私ども、力足らずですけれども、取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、それはそれぞれの地域活性化のためのそういう御意見があっても、私は今後の運用の面においてそのものがしかたるものとして一体的であるならば、十分この法案は果たし得るものだというふうに考えております。
  16. 貴志八郎

    貴志委員 けさからちょっと勉強会がありまして東海大学の先生のお話を聞きまして、技術開発という面からアメリカと日本とのいろいろなやり方というふうなことをお話を聞きまして、なるほどと思って感心したのですが、アメリカの場合はトップダウン、要するに一つの問題、アイデアがあればこれでホームランを打つというふうなことを考える。日本の場合はそんな大きなことを考えずに、目の前の、じゃ、このマイクをどうすれば、その技術を利用すればどんなにいいものができるかという手近な問題から片づけていく。そういうふうなことで、オリンピックの当時に千八百万円かかったカメラが今十六万円でできる、日本で。その技術が今日の日本経済発展をもたらしているんだというふうな意味のお話を聞きました。  いわばアメリカの場合は、アメリカと  はしませんが、外国の場合、一つの問題、物をつくる場合に、注文をする。そうすると、メーカーはそれをつくるわけですが、動かない。そうすると、メーカーは設計者が悪いんだということで責任をなすり合って裁判に持ち込む場合がある、多い。日本の場合は、動かなかったら、何とかして、どれだけ損をしてでも受けた方のメーカーが動くようにする。そういうやり方は、外国の場合はいわばトップダウン方式であるし、日本の場合はボトムアップで、末端でいろいろ研究して目の前の使いやすい品物をたくさんつくってみて、コストを下げて、それから高いところの、ハイテクのいろいろなものをつくり出していく。いわゆるボトムアップだ。そんな話を聞きながら、日本の場合は経済はいわばボトムアップで成り立ってきたし、繁栄してきた。  政治の方は、その経済を引き上げてくるために一極集中中央集権でやってきて、ある場面では非常に効果を発揮したということを私も認めます。しかし、交差をした以上は、そこからそれを抜け出た以上は、いつまでたってもトップダウンという方式にこだわらずに、ボトムアップに切りかえていくことができるかできないかというのが、近代国家に、これからの未来国家として脱皮できるかどうかというふうなことの境目ではないか、私はそんなふうな思いをするだけに、今申し上げたような、多少失礼に当たると思いながらでも、強く、そういった形骸化されてはならない地方分権というものに対するある意味では警鐘を打っておきたいということで、私は今の質問を申し上げたわけでございます。  さて、やや具体的なことになるわけでございますが、市町村で基本計画を立てるというふうな作業が、あるいは連合で策定をするという作業が行われるわけですが、そういったときに、その計画の情報の公開、それからそれを策定する、決定する段階において、住民の意思としての議会の議決、そういったものは、この法律の中でどのような形で予測をしておるのか、具体的にその問題についてぜひ確かめておいてもらいたいという注文も私の方に寄せられておる向きもありますので、この点については具体的にひとつお答えをいただきたいと思います。
  17. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  この基本計画を作成いたします際の議会との関係、そしてまた住民との参加の問題等でございましたが、連合審査の際にもたびたびお答えがありましたように、関係市町村が共同して作成いたします基本計画の作成に当たりましては、地方自治法に基づきます議会の議決を定める市町村の基本構想に即して定めることといたしておりまして、そういう意味で市町村の議会の意向も反映されるものと見ているわけでございます。  また、基本計画の作成に関しましては、関係の予算審議等を通じまして、これは団体事務でございますから、議会でも十分論議されることが予想されまして、活発な論議ができるものと私ども見ているわけでございます。  また、住民参加あるいは情報公開等につきまして、現在それぞれ関係地方公共団体では、こういう問題ばかりでなくして、いろいろな形で仕細みあるいは機会をとらえて、住民参加やあるいは情報公開の機会ないし仕組みを工夫しております。そういうものを使って、地域の実情に応じた工夫によって対処されるのではないかと考えている次第でございます。     〔委員長退席、金子(原)委員長代理着席〕
  18. 貴志八郎

    貴志委員 ちょっと詰めておかぬとこれは困ると思うのですが、議会は構想策定の段階でいろいろ意見も言えるし、あるいは予算等の問題の中で十分議論をできるチャンスが与えられる、そういうふうな意味のお答えはなかろうかと思うのでありますが、議会がもっと積極的な形で関与できるようにしておかなければ、いうところの、地方に権限を持たし、地方自立、それから顔の見えるそういうふうな構想、それから住民とのしっかりとしたコンセンサス、そういったものを含めまして、やはり議会が何らかの形でしっかりと責任と義務を負う、制度上そういうことが行われなければ、これは仮に失敗に終わったときに、行政が、住民がその成否ともに、やはり参加をし、責任も同時に負う、そういう姿をここできちんとしておかなければ、この制度そのものが生きてこないのではないかというふうに私は思うわけです。  そういう点について、いま一度この点だけ、議会の議決なり、はっきりとした関与というふうなことについての何らかの措置が必要だと私は思いますが、そのことについて、今全く考えていないのかどうか、先ほどの答弁に重複しないところでお答えをいただきたい。
  19. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  地方公共団体の件に関しまして、議会のかかわりはいろいろな形のものがございます。その一つは、今先生指摘のように、議決案件とすることもその一つでございます。それから、予算その他議会の審議事項を通じていろいろ議会が関与していくことも、これまた議会の関与のあり方でございます。そのほか、いろいろな調査あるいは検査、検閲権というようなものを通じて議会が関与することも、議会の関与の仕方でございます。  この法案におきましては、その中で議会の議決ということを法令上定めてはおりませんが、例えば、場合によりましては地方団体が任意に議会の議決事項にするとか、そういうことも可能なわけでございまして、そういうことを含めて幅広い議会での論議が可能となるような仕組みになっていると考えているわけでございます。
  20. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先ほどから、いろいろとバイパス役を務めようということで、私もそれなりの、各省庁のそれぞれの関係皆さん方の御意見も賜ってきておりますが、やはり当初申し上げましたように、この法案は、創造性を持つ自立の中分ら生まれる、やはり発想というものはそこから始まっていかねばならないということの骨子になっていると私は思っております。  きのうも私は答弁の中で申し上げましたが、地方官庁の持つ土台というものは一応できました。これからやはり骨組みをつくって、そして屋根をふいて、そして内装をするという段階になってきますれば、地方のそれぞれの創造性を生かしていかねばならない。その模様というものは、それぞれの地域によって、実情によって違ってくる場合だってあろうと思っております。  私は、先般帰りまして、県議会の皆さん方会議をしてみました。こういうことでこういう法律を出して、こういうことをひとつ地方活性化のために取り組もうとしているんだということで皆さんに意見を求めましたが、やはり残念ながら、これは地方議会の方に失礼かもしれませんけれども中央と違って法律をおつくりになる立場ではございませんだけに、なかなかそこらあたりについて理解がまだ得られてない面が多分にあるなということを感じましたので、例えば、どなたか中央官庁から行って、こういうことなんでございますよ、そういうことですから、ひとつ皆さん方が、地方議会の人も、市町村、これから手を挙げんとする皆さん方一体となって勉強されませんか、それには県当局も入ってそういう勉強会をしたらどうでしょうかということで私は役所の方に投げかけまして、では、いいことですから早速やりましょうということで、やはりこれは中央官庁の方からもそれぞれの立場の皆さん方が出向いて、そしてそうした法案の骨子をよく説明し、そして一体となって取り組む、そういうことの作業が今後必要でなかろうかと私なりに感じておるわけでございますので、これは一体性を持つためには、そういう、今御質問のようなことがなければ、本当にその地方のニーズに合った、それぞれの自主性を持った、自立していこうとする将来に向けて私は不可欠なことだと思っております。
  21. 貴志八郎

    貴志委員 大臣から大変積極的な御意見を聞かせていただいて感銘をいたしました。ただ、自治省の方からの答弁で、議会の関与についてはその地方自治団体が決めて、そして議会の議決事項にするということは可能だというふうなお話をいただきましたので、その点については大変いいことだというふうに評価をいたしておきたいと思います。  ちょっと答弁者の関係もございますので、少し問題が横へ飛ぶわけでありますが、通産省にお伺いをいたしたいのでございます。  この間うちの質疑の中で、大企業にアンケートをとったところ、いろいろな機能移転したいという希望を持っている、そういう企業は四〇%に上ったというお話でございました。ただいま我々が論議をしておるのは拠点都市法の問題について論議をいたしておるのでございますから、そういう論議の中でそういう答えが出てまいりますと、これは大変すばらしいことだ、この拠点法によって東京にいろいろな施設を持つ産業が地方にどんと移ってくれる、こういう錯覚を、錯覚というか思いを、期待を持つのは当たり前であります。  ところが、いよいよと調べてまいりますと、実はそういう錯覚を抱かすような数字の答えであったと。その後の答弁でも、このアンケート調査の中に行き先は別に特定しないで移転をする希望があるかないかということを聞いた結果だそうであります。それで、そういうことになってくると、ちょっと問題があるのじゃないか。特に、東京に本社を持つ産業業務機能が本当に香川県へ持っていってくれたり和歌山県へ持ってきてくれるというのであれば、まさに拠点都市をつくって直ちに効果が出てくる、そういうことが期待できるわけでありますけれども、先ほどの中央官庁移転と同じように、どうやら東京何キロ圏ぐらいの範囲の中で物を考えている。実際には地方拠点都市へ出ていこうなんというふうなそこまでの希望をお持ちであるのかどうか、私は大変疑問を持つわけです。  それで、通産省は四〇%の移転希望があった、そういうアンケート結果をおっしゃられましたが、アンケートにはそういうふうな中身が、行き先については触れていないけれども、実態としてそういう移転希望を持っている企業が地方拠点都市ができればそこへ出ていくというふうに認識をされているのかどうか、聞いておきたいと思います。
  22. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 御指摘のとおり、昨年八月に私ども東京に本社を置きます上場企業九百五十七社を対象にいたしましたアンケートによりますと、約四割の企業が具体的な移転計画を策定中であるとかあるいは検討しているということでございました。ただ、これも先生おっしゃいましたように、これらの企業の大半は移転先も含めて検討中ということでございまして、この調査におきまして、それぞれの会社に移転先ほどこだということを十分にまだ捕捉しているわけではございません。おっしゃいますように、現段階で言いますと、東京近郊といいますか、そういうところへの移転ということもかなり含まれている可能性があるということも言えると思います。  ただ、これまで私ども別途把握いたしておりますいろいろな実例あるいは移転計画を見ますと、例えば千人を超える規模で自動車会社が豊橋に移転をされるとか、あるいは精密機械会社がやはり千人を超える規模で静岡に行かれるとか、そういう具体例も進んでおりますし、また北海道とか九州といった遠隔地への移転も最近少なからず認められておるところでございます。私どもといたしましては、現段階、企業がさらに足の長い移転をしてもらうという目的でこの法律をお願いしているところでございまして、この法律の対象としますところは、東京からの移転のほか、地元での新規立地、増設等についても積極的に支援をすることにしておりまして、これらも相まって産業業務施設地方への分散、再配置が進むことを期待しておるわけでございます。  なお私ども、企業が足の長い移転といいますか、地方への展開をするということに当たりましては、ハード面の支援だけではなくて、やはりソフト面での支援、つまり企業の地方展開への機運の醸成ということも非常に大事だと考えております。最近企業は、オフィスの維持コストといった直接的なコストを考えるだけではなくて、従業員の生活環境の改善といった点も非常に重視をしておるというような結果も別途アンケートで出ておりまして、こういう機運を定着させる、あるいは最近フィランスロピー、メセナといった企業の社会貢献ということが言われておりますけれども、これも単にお金を寄附するということだけではなくて、地方分散を図ることがやはり社会貢献の一環だ、そういうような意識を持っていただくとか、あるいは我々国民地方に展開する企業を高く評価する、そういう機運も醸成をする。そのための例えばシンポジウム等も行い、機運の醸成に努めるというような点も大事だと思っておりまして、まさにこの法律の運用によって企業の足の長い地方展開を推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 貴志八郎

    貴志委員 とりようによっては、東京の近郊へ移りたいな、そういうふうな希望を持っているときに拠点都市法ができて、東京の近郊が拠点都市になるという場合だってあり得るわけですね。それはもうまさに企業にとっては大歓迎ということになるわけですが、本来、法の趣旨からいうと、それはちょっといかがなものかと言われる部分も地方からいえばかなりあるというふうに理解をしておいてもらわないと、いろいろな誤解を生むことになってくる。そういう点は厳に注意をしながら今の企業の地方への進出というふうなことについてぜひ取り組みをしていただきたいし、また、今度の法律では、産業業務施設移転ということは考えておるけれども、製造部門の移転なりというふうなことについては考えていないようでありますが、東京湾岸の石油コンビナート、鉄鋼コンビナートというふうなものが、今日の状況からいって、これを将来果たしてどのようなものに持っていくかというふうなことなどは今極めて重要な課題ではなかろうかと思うわけでありまして、そういった点についてぜひ今後の課題として検討をいただかなければならぬと思います。  時間の関係もありますのでちょっと先を急ぎますが、文部省からもお越しをいただいております。  それで、地方の問題としてちょっと数字を挙げて申し上げますと、その県の第二の都市人口十万人以上三十万人以下の都市がない県というのは、ちょっと拾ってみて、拾い残りがあったかもわかりませんが、五県ございました。秋田、和歌山、香川、高知、鹿児島、この五県は、一つ、その県の一番大きい都市は三十万以上あるけれども、あとは十万以下だというところが五つあります。その五県の場合、人口の動態を見てみますと、秋田県でマイナス二一・二、これは四十年対比ですよ。和歌山で一一・九、香川は横ばいで〇・八のプラス、高知がマイナス一七・五、鹿児島が一一・八、いずれも人口減少県になっているのです。こういう姿が出てまいります。  そこで、例えば私の出身である和歌山県の場合をとってみますと、もう県民総所得が大体四十三番目ですね。所得は東京に比べると半分しかないのです。それから大学教育を受けるために、和歌山県の県外の専修学校を含めて二千名は県外の大学に行っておる。県内に来ているのはせいぜい百か二百ぐらいじゃないかと思うのです。そうすると、二千名の子供が県外で一カ月十万円かかるとして何と二億円かかるわけです。ことし卒業した人で二億円ですから、四年間あるとしたら八億円、再び地元に返らない金が県外へ流出している。一年間で約百億という金が出るわけです。金が出るだけではなしに、今度は卒業してもう地元へ戻って勤める企業がないから就職は外でやる、結婚をする、子供ができる、再び地元には帰らないという構図が人口減少の一つの大きな部分になっておるわけです。  いろいろな問題がありますけれども、例えば教育の問題だけを取り上げてみますと、和歌山には和歌山大学という国立校がございます。経済と教育、二学部でございます。例えば、本当に地方拠点都市をつくろうと思えば、これは総合大学、理学部もなければ産学共同のそういう計画も成り立たぬ。だから本当は拠点都市法をつくるときに文部省に入ってもらって、そうして大学の再配置なり今後の、例えば私学の移転なり、そういうふうなことを本当はやってもらうと、この拠点都市というものがもっと生き生きとしたものになってくる、その部分がどうも抜けておるのはおかしい。文部省の方は、拠点都市でなかなかそんな方へ勝手に持っていかれたら困るのだ、それはおれの方で決めるべき権限を持っているのだから、そういうふうな考えは成り立たないということでお入りになっていないのかどうか、私はその辺のところをぜひお伺いしておきたいと思います。
  24. 佐藤禎一

    佐藤(禎)説明員 御指摘のように、昭和四十年代の初めに第一次ベビーブームというのがございまして、この期間を通じて高等教育の進学率というものが大層大幅に上昇したわけでございます。そしてその期間に実は高等教育の収容力の格差というものが大変大きくなったということがございまして、私ども、昭和五十年代の初めから、その収容力の格差を是正するということは一つの政策目標として掲げてきたわけでございます。その結果、微々たる歩みではございますけれども、全体として集中化している中におきましても、逆に首都圏等での集中の度合いは相対的に減少してきているという効果を見ているわけでございます。そしてまた、来年度以降十八歳人口は減少に転じますので、全体として新増設を抑制するということになりますけれども、その中におきましても、地域間の収容力格差をできる限り是正をするということは、大変な政策目標として堅持をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  お尋ねの本法案とのかかわりでございますけれども、私どもは、その中におきまして、協議大臣としてこの法律趣旨というものをよく考えながら十分私ども意見を申し上げていきたいというふうに考えている次第でございます。  なお、文部省の意見と申しますよりも、国立大学の場合には大学の自治ということもございますし、私立大学の場合にはそれに加えて私学の自主性というものがございますので、強制的にリードする手段を、政策手段を、私どもは持ち合わせていないという状況がございますことは、御理解をちょうだいをしたいというふうに考えております。
  25. 貴志八郎

    貴志委員 強制的な手段を持ち合わせていないということは、我々もよく承知をいたしておりますし、それは必ずしも文部省だけではなしに、通産省だって、どこだって同じことであります。しかし、考え方として、地方拠点都市法というものがこれからの日本の政策としてのとる政策であって、これからの日本のために非常に有効な政策だということで位置づけられておるのでありますから、そういう路線に沿った立場で、強制力はなくとも、そういう風を吹かせるというふうなことは最もお得意な方ではなかろうかと思いますので、大いに期待をいたしておきます。  さて、時間も迫ってまいりましたので、肝心のところをお伺いしておかなければなりません。  連合審査では、拠点都市の指定は各県知事が行うということにお答えになっておりますし、そういうことでありますけれども、一方で、答弁の中で気になること、それは条件が整ったところからやっていく、あるいは、手をかせば魅力のある拠点となり得る可能性の強い都市を指定していく、こういうふうな表現がございました。私は大変気になるわけです。連合審査の中でも質疑が行われて、おくれた地域、そういったところにこそ拠点都市としての指定を、一つじゃなしに二つでも三つでもやるべきではないか。例えば北海道は一つや二つでは足らぬじゃないか、自治大臣は、その場合に三つやる場合もいいんじゃないかというふうな柔軟な答弁をされておりましたが、私は、条件の整ったところからやるということになってまいりますと、おくれたところは条件が整うまで待ってもらわなければならぬという裏返しになる、そういう危惧を持つわけでございます。  再々地元のことを申し上げて恐縮でございますけれども、和歌山県のように大変過疎化が進んでいる県、県内で指定を受けるというと南北戦争が起こる、そういうおそれすらある。それほど何らかの特典を得ながら何とかしてはい上がりたいという強い意向を、私どもの県では、おくれておればおるだけに強くそういう希望を持っておるわけです。しかし、そういうところは条件が整ってないわけです。国土軸に直結する道路がまだそこまで行ってない。しかし、そこはほっておくわけにはいかぬというふうなところがあるわけなんです。どうするんですか。直ちに条件のあるところはと言えば、もう既に今活性化の動きがある、ちょっと手をかしたら、本当に拠点都市として指定したためにすごく伸びたというふうな効果が上がる。しかし、遠く幹線軸から離れた、国土軸から離れた地域人口十万に満たないその地域で、本当は指定してやって、そこを中心に拠点をつくりたいというところは、条件が整わぬ。そんなところは後回しになって、例えば条件が、道路がそこにできてから、あるいはもうできるようになってから指定するのか、ほっておくのか、得たしておくのか、五年以内にすべてを完了するというのでありますけれども、五年以内に幹線道路ができないところはもう脈がないのか、聞いておきたいと思います。
  26. 山崎拓

    山崎国務大臣 そのような答弁を申し上げましたのは私でございますので、私から改めて申し上げますが、先生の御懸念はごもっともでございます。  しかし、拠点都市地域整備並びに産業業務施設配置促進法案なるものが、この委員会でしばしば指摘されておりますように、従来の地域立法、地域振興立法が、一定の成果を上げたものの、必ずしも十分の成果を上げたかどうかということについて御疑問が指摘されたのでございます。そういう轍を踏まないように、切り札法案でございますから、何としても成功をおさめたい、かように考えておるのでございます。  その場合に、最終的には全国一律に各県一、二カ所整備をするといたしましても、これを一斉に始めるということが効率的であるかどうかということを考えましたときに、それは大いに疑問のあるところでございます。そのとき私が申し上げましたように、やはりある程度基礎的条件が整っているということが肝心な点でございまして、人口がまことに少ないところあるいは交通道路網の整備がいまだしであるところ等々、いきなりやりましても、この法律の半分を占めております産業業務施設移転が円滑に行われるかどうか、これはこの法案のねらいが成功をおさめるかどうかに大変大きく影響するところでございますが、そういう疑問のある点は、まず条件整備を進めさせていただきたい。  これは従来からの建設行政で、例えば高速道路網、高規格道路を一万四千キロ整備いたしますが、二十一世紀の初頭には九千キロまで整備をするという予定でございます。それらのことをまず先行して行いまして、その成果を踏まえつつ地域指定が行われていくことが妥当ではないか、かように考えておるのでございます。五年間ですべてが完了するということはあり得ないことでございまして、これはもう少しロングレンジでお考えいただいていいのではないか。まず基礎的条件が整いましたところを順次指定し、整備してまいるということが得策ではないか、かように考えているところでございます。
  27. 貴志八郎

    貴志委員 私は、当面、手を少しかしてやれば火がつくというふうなところを否定するわけではありません。けれども、本当にやってあげてほしいもの、今一番おくれているところこそ、均衡ある国土づくりという建前をとるということになれば、今の効果よりも長い視野で見た効果というものを、均衡ある国土をつくっていくという立場をぜひとってもらいたいし、それは忘れないでもらいたい。  この間うちからも論議の中で、その周辺の過疎地域はますます過疎になるのではないかというふうな心配を出されて、それはちゃんと今までの制度でうまくやっていきますよと言いますけれども、実は、離島振興法ができても、過疎対策法ができても、ひとつも過疎がとまらぬじゃないか。人口の減少がとまってないじゃないか。ここで拠点法ができて、またその近くの都市へ集まっていくということになると、一体どうだろうかという心配をするわけであります。  それはさておきましても、本題の、今かなり手をかしてやれば浮上するであろう地域の、先ほど申し上げたような五つの県のようなところをやはり引き上げていく、それが均衡ある国土づくりじゃないか。その理念をひとつしっかりと踏まえながら、そういったところについても決して忘れないで、いや、忘れないでというか、何とか力をつけてやっていくために努力するということだけは、ひとつ明快にお答えをいただいておきたいと思います。     〔金子(原)委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 山崎拓

    山崎国務大臣 この法案の基本的なねらいが多極分散型国土形成にあるわけでございますから、先生のおっしゃるとおりでございまして、全国の、可能性を持ちました地域の開発につきまして、これは基本的には平等、公平に取り組んでまいるところでございますが、限られた資源の中で重点的な投資を行っていくわけでございますので、それは順次効率的に、成果が上がるように取り進めてまいりたいということを申し上げたわけでございまして、先生の言っていらっしゃるような、せっかくの希望を持ちました地域の開発に、表現は適当でございませんけれども、落ちこぼれが生じないように最終的には配慮をしてまいりたい、取り組んでまいりたい、かように考えております。
  29. 貴志八郎

    貴志委員 それでは、四全総については、再検討というか点検に入りたいというふうなお答えを連合審査の中でされておりました。  ちょっともう一遍念のために私も四全総を開き直してみますと、東京圏が昭和六十年で三千二十七万人、七十五年予測、これは四全総の予測でありまして、三千三百十万人、三千五百万人になるところをこれで抑えるのだという意味でやったと思うのですが、それでも六十年対比三百万人の増加ということになっておりまして、この四全総そのものが東京一極集中をこれからもまだとめられない、今の四全総ではそういうことになっておるわけなんです。こんなことでこの拠点法はいいのだろうか。四全総は見直すべきであるということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、東京湾の副都心計画、これは十万人のオフィスビルということでありますが、これに要する交通アクセス、ごみの処理、関連施設の従業員やその家族の問題、考えますと、これはもうかなりのインフラ整備、投資、そういったものが必要になってくるわけであります。  この間のうちの審査の中での答弁では、国際金融機関等はここでなければいけないのだというふうな意味の話をされておりまして、これを見直す予定はないのだというふうなことでございました。私は、何でそんなに固定した頭で物を考えるのだろうか、四全総だって、今時代の流れの中で、今までやってきたことについてはもっと急ブレーキをかけなければいかぬというふうなことに政府みずからが認識をすれば、急ブレーキをかけた良いいじゃないですか。副都心計画だって、今まではそれがいいと思ったけれども、本当は国際会則部門だって地方移転したらいいじゃないですか、それだけの機能を持たすようにしたら。それも絶対そこではということではないはずでございます。  時間が余りございませんので、この分については質問というより私の意見を申し上げておきますから、ぜひそういう点についての御検討をお願いいたしておきたいと思います。  地価の問題について、これはぜひお答えをいただかなければなりません。  バブルの崩壊で、三大都市圏の地価が確かに下がりました。意地悪く考えますと、今度の拠点都市法でその分だけ地方の地価が上がるんじゃないか、バブルの崩壊のツケを、拠点都市をつくることによって収支のつじつまが合ってくるんじゃないかという意地の悪い見方もあるわけなんです。というのは、拠点都市に指定をされます。いささかの値上がりがございます。産業業務機能がやってくるということになる、またその周辺の地価が上がります。通信機能がやってくる、情報が集積される、地価が上がる。人口が集まる、インフラが整備される、そうなってまいりますと、地方拠点都市、今までは田園都市であったけれども、だんだん人口の集積が行われてくるにつけ、宅地化が進むにつけて地価は確実に上がるわけです。これを単に監視制度だけでおさまりがつくんだろうか。私が心配するように、東京で安くなった分だけ地方で高くなっていくのではないか、こういう疑念を持つのは当たり前ではないか、そんなふうに思うわけです。  ついでに言うならば、東京から産業業務機能が来てくれた、ありがたい。けれども、賃金格差が、まあ、所得の割で物を言うわけにいかぬ、県民所得ということで見るわけにもいかぬでしょうが、県民所得で見ると、とにかく半分しかないわけです、来てもらう方は。一体それは地域に物価高を呼ばないだろうかというふうな心配もするわけです。そのすべてについて答えよというわけではございませんが、この地価上昇についての非常な心配、これにどう答えるか、国土庁の御意見をぜひ聞きたいのであります。
  30. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  まさに先生がおっしゃるように、地方拠点都市地域が着実に整備される、この前提としては、地価問題ということを無視するわけにはいきませんし、地価を低く抑えるということが大変重要なテーマであると私ども考えております。  そういうことも踏まえまして、本法案におきまして地価監視区域の指定をするように努めなきゃならぬという、いわば努力義務を設けたわけでありますけれども、最終的にはこれは知事が御判断になることでありましょうけれども、今のような御指摘もございますので、できるならば区域指定に先立ってそういう措置をとるように、私どもとしては積極的に指導していきたい。  それから、あわせてこの法律の中には、良質な宅地あるいは住宅というようなものの整備というようなこともございます。そういうことも両々相まちまして、こういう地方拠点都市地域の地価の高騰が生じないように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  31. 貴志八郎

    貴志委員 地価問題については、これはただいまだけの問題ではなしに、これから具体的に拠点都市をつくっていく中で問題がいろいろ提起されていこうと思いますが、言われるように、事前に監視区域の設定などを、それだけではなしに、もっと有効な地価抑制の手段というものも今から考えておいていただきたいということを注文をつけておきたいと思います。  それから、地方団体からの拠点都市に関する中央における窓口はどうするかというふうな論議もございまして、協議機関をつくるんだというふうなお答えがございました。  協議機関一体どこに置いて、そこには、六省庁のすべての問題がその窓口へ行けば片がつくことになっているのかどうか。その辺のところが、言われるところの、今まで行かなくてもよかったところが、六省庁この法案のためにくるくる回らなければいかぬし、それなりに人を出さぬとどうにもならぬというふうな、そういうことになれば、せっかくのこの法律が泣くんじゃないかと思うので、ひとつ窓口はどうするかということについてお答えをいただきたいと思います。
  32. 小島重喜

    小島政府委員 御案内のとおり、六省庁一体としてこの法律の運用に当たっていかなければならぬということは、まさに御指摘のとおりでございまして、六省庁の間で協議会をつくってやっていこう、こういうことに現在なっております。そしてこの窓口等につきましては、過般の建設大臣の御答弁等もございますし、私ども国土庁としてもできるだけその役割を果たしてまいりたい、かように考えております。
  33. 貴志八郎

    貴志委員 いずれにいたしましても、私が申し上げましたように、これで各六省庁をくるくる回らなければならぬというふうな、そういうことだけは絶対にないようにしておいてもらいたい、このことは厳にお願いを申し上げておきたいと思います。  最後になりましたが、一つだけ申し上げたい、お尋ねをしたい点がございます。  というのは、大阪湾ベイエリア構想というものが現在民間団体の運動の中で進められておるというふうに聞いておりますし、国土庁初め関係各省庁も、それに対して否定的というよりはむしろ協力的な形で、運動の推進に対して歓迎をされておるやに私は受け取っておるわけでございますが、一体この地方分散拠点都市という考え方と、大阪湾ベイエリアといういわゆる大阪圏の面的な開発構想との考え方に対して相反するものはないのかどうか、そういったことについて国土庁ではどういうふうな理解をしておるのか、お伺いをいたします。
  34. 西谷剛

    西谷政府委員 大阪湾ベイエリア地区の開発につきましては、今御指摘ございました地元、とりわけ地方公共団体中心でかなり要望が強い、計画論も熟してきた、こう考えております。  実は、四全総におきましても、当該湾岸地域については国際機能を持った高次都市機能として整備していく、一体的な整備を図っていく、こういう位置づけをされているところでございます。都市機能と申しましてもいろいろな段階があるであろう。国際的な舞台あるいは世界への影響というもの、テリトリーを頭に置いた世界都市機能、それから全国というものを頭に置いた全国的な規模の都市機能、ブロック単位の都市機能、県単位の都市機能、あるいは末端に行けばコミュニティーレベルの都市機能と段階があるであろう。  そこで、大阪湾岸地域につきましては、その一番上の、いわゆる世界都市機能という高次都市機能について、これが東京集中し過ぎているものを、東京と分担関係を持ちながら整備していく、こういうことであって、いわゆる拠点法と矛盾するということではなかろうと思っております。
  35. 貴志八郎

    貴志委員 いろいろと申し上げてまいりましたが、いずれも、これはしっかりやってもらいたいという激励のつもりで申し上げたわけでございます。どうか、この拠点都市法が本当に地方自立発展のために大いに活躍をしてくれることを期待してやみません。  終わります。
  36. 古賀誠

    古賀委員長 次に、木間章君。
  37. 木間章

    ○木間委員 大変御苦労さまです。  この地方拠点都市整備法が各省庁で検討され始めてから、地方の皆さんは非常に関心が高いといいましょうか、期待が強いと申しましょうか、話題を呼んできたところであります。  それで、国会も地方の気持ちを体して、あるいはもっと、この法案が成立をした段階でぜひ成功させたいなどの思いもありまして、先に本委員会で議論がされ、また、おととい、きのうと六省庁に関する連合審査もありまして、本日再びこの建設委員会で最後の審議の時間が設けられたのであります。皆さん方には大変御苦労さまと申し上げたいのでありますが、それだけに、今集中されております首都東京をこれ以上の麻痺状態をもたらしてはいかぬ。過密という表現で言われておりますが、他方、地方ではどんどん人口も減りまして、そのことで経済や自治体の運営も窮地に立たされておる。過疎という表現で申されておりますが、これを何とか二十一世紀に備えて均衡ある国土発展を期そう、こういうことで政府の方もいろいろ手法考えてきたところであろう、こう私は受けとめるところであります。  そこで、最初に、この法案の目指すものは何なのか、目的には書いてありますけれども、この機会に改めて確認をさせていただければ、こう思っております。
  38. 山崎拓

    山崎国務大臣 この法案目的でございますが、いわゆる過疎対策とは違っております。この法案では、地方の成長を促し、地方定住の核となり、地方発展牽引力となる潜在力を持ちました都市、そしてその周辺地域を含めまして拠点都市地域として整備してまいりまして、いわゆる若者たちが好んでおります職住遊学の生活空間形成してまいる、そういう目的を持った法案でございます。  そのためには、重点的にこれを整備いたしまして、都市機能の拡充あるいは居住環境の向上等に努めてまいらなければなりません。かつまた、ただいま申し上げました職住遊学の職を確保いたしますために、かつ同時に、一極集中を是正いたしますために、東京集中いたしております。あるいは三大都市圏に集中いたしております産業業務施設拠点都市に再配置する、そういったねらいを両々相持ちました法案でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  39. 木間章

    ○木間委員 確かに、建設大臣おっしゃるように、過疎対策については過疎法の特別立法がありますから、直接的には過疎対策のための施策ではないことは私も存じ上げております。ただ、結果的には、やはり、地方拠点都市に対して活力を与えよう、それを順次各地に広めていこう、こういうことにほかならぬと思いますから、間接的にはそういう絡みも持っておるだろう、こう申し上げてよかろうと私は思います。  それで、多極分散法とこの地方拠点都市整備法との関係、今までの論議を聞いておりますと、多極分散法は、東京一極集中を何とかこれ以上ふやしてはならぬ、できれば、間引きという表現はよくないと思いますが、幾らか地方へ出ていただいて、そして地方活性化にも役立たせよう、こういうことだろう、こう思っておるわけでありますけれども、この多極分散法地方拠点整備法との関係をどう見ればいいのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
  40. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘ございましたように、いわゆる多極法と申しますのは、第四次全国総合開発計画の基本理念でございます多極分散型国土形成ということを図る上での、言うなら基本的な考え方というようなものを主として記述したものでございまして、今の御指摘の本法案との関係から申し上げますと、同法の第六条第一項あるいは第五条等々の精神を生かしてこの法案ができてきたもの、かように考えております。
  41. 木間章

    ○木間委員 さかのぼって多極分散法が提案されたときの趣旨説明などを調べてみたわけでありますが、当時、現下の土地問題に対する基本的施策を施し、あわせて過疎地域等の活性化に役立たせるんだ、そして、国の行政機関等の移転地方の振興開発、大都市地域の秩序ある整備、住宅の供給、地域間交流を掲げているのであります。具体的には、同じ法案の中で、まず政府みずから範を垂れよう、政府機関や特殊法人の二十三区からの移転を掲げました。第二に、民間の皆さんにも協力をいただこう、民間施設の移転を掲げまして、この二つの方針を決めておるわけであります。当時、本会議で竹下首相は、この法案四全総を裏づけるもので、地域振興の基本法です、重大な決意で私以下政府は臨みます、このように表明をされておるのであります。  私は、この多極法と今度の地方拠点整備法との関係で少し時間をとりたいと思いますが、多極分散、この言葉は、一カ所にあるものを多くの拠点をつくって分散させよう、言葉はそう意味するだろうと思います。地方拠点整備とは、分散するための受け皿といいますか、各地方の極を整備しよう、この二つがそろって初めて一人前になるんだ、自分にも言い聞かせておるところでありますが、しかし政府は、先発した多極分散法政府機関移転に積極的に取り組んできたんだ、こうおっしゃるわけであります。そして、数次にわたりまして閣議決定などの確認がされておりますし、省庁の皆さんも移転推進連絡会議を積極的に持って取り組んだようでございます。あえて、ようと申し上げますが、この多極法の精神を生かして順調に進んでおるかどうか、これも議論の中にあったところでありますけれども、確認をさせていただきたいと思います。
  42. 西谷剛

    西谷政府委員 実は、先ほど御答弁させていただきましたが、七十六機関を対象に移転先を決めて推進をしておりますが、現段階ではまだ四割実行段階に入ったということで、残りが確かにございます。そういう意味で、順調がと問われますと、必ずしも自信を持ってそうだとは申し上げられませんが、まあ着実にやっているということだけはお認めいただければと存じます。
  43. 木間章

    ○木間委員 皆さんの努力は陰ながら拝見はしておりますが、しかし、結果はどうだったろうか、やはり私はこう気になって仕方がないわけです。大騒ぎした割に、何だこれだけか、ちょっと言葉は、評価はきついようでありますけれども、あえて申し上げておきたいと思います。大山鳴動ネズミ一匹、こういう言葉がありますが、これは一般市民間で交わされれば笑いも誘うわけでありますけれども、しかし私は、法律までつくって、しかも時の総理以下大臣が、各省庁が、日本の将来のためにやるのだと。決意はわかるわけでありますけれども一体これで国民は納得するでしょうか、私は胸に落ちない一人であります。  移転機関の名簿なり、移転先を拝見いたしましても、地方圏とはほど遠い首都圏域にとどまっております、一、二、札幌とか広島という例もあるわけでありますけれども。結局私は、省庁間の不協和音があったのじゃないだろうか、また内閣の指導力のなさがいま一つあったのじゃなかろうか、このように拝見をするところであります。  民間の移転等につきましてもこの地方拠点法でより拍車をかけるのだ、こういうことになるでしょうが、多極法のときに余りにも民間活力に頼り過ぎて何ら指導もしなかったからではないでしょうか。私は、制度をつくるからには、法律をつくるのですから、思い切った強制力を持ち合わせないとその制度は成功しないよ、こう考える一人でございますが、皆さんのお考えを尋ねたいと思います。
  44. 東家嘉幸

    東家国務大臣 建設委員会から始まり、きのう二日間にわたり連合審査、きょうまた建設委員会、それぞれの各先生方から、地方時代と言われて久しいにもかかわらず、今日のこういうような一極集中をどうして、その責任はどうなっているのだというようなことで、私はその先生方の責めを聞きつつ、これからどうすれば本当にいいのかということを、自分なりにあらゆる角度からその模索をしてまいったわけでございます。  そういう基本的なこれからの方向づけというものは、やはり私はこの法案をぜひ成功させなければならないということで、たびたびその決意を述べてまいったわけでございます。今回のバブルの経済と言われた中においても、地方はほとんど土地は値上がりしなかった、ということは、やはりそれだけ人が出ていく、それだけの購入者がいない、活力がないということであったろうと私は思っております。そういういろいろなこれからの総合的な、国土をどう総合的に開発するかということについては、まだまだいろいろな角度から議論が必要だと私は思っております。  それには、たびたび申し上げますように、法案を提出した各省庁の責任、そしてまた、協力いただく、その協議の役所皆さん方が本当に一体となって取り組む姿勢というもの、それだけの力、能力をお持ちなのですから、そしてまた、地方皆さん方自立していけるような、そしてその創造力をどう生かすかということにあろうと思っておりますから、先ほども先生の御質問にお答え申し上げましたように、やはり役所皆さん方はみずから地方に出向いて、そしてそれぞれの自立方向でのこの法案に沿った立派な案が出てくれるように、私は率直に御意見地方の皆さんには、足らないところには申し上げ、そしてまた、地方の求めるものを吸収し、そして私はこの法案ができたからすぐ指定がということではなくて、もっと地方自立して創造性を持ってやっていけるかどうか、これは国の金を投資するのですから、国もこれは責任があると私は思います。  そういう点から、投資効率がいいのかどうか、それはよく協議し、そして指定の段階においてはそうむやみやたらに拙速的に決めていくべきではないと私は思っております。それは十分先生方の、私は先ほども申し上げましたように、地方議会の皆さん方とも今後とも懇親会を設け、役所の方も来ていただき、そして県の方々も、そして市の、町の皆さん方とも一体となって話し合う、そしてそこから生まれる生きた法案になってもらいたいと私は心から念じております。
  45. 木間章

    ○木間委員 東家国土庁長官にずっと今のままで頑張ってもらいたい。私はあなたの建設委員会一筋に命をかけてこられたことは歩といたしますし、今の御決意を聞いていても、そのことがほとばしっておるだろう。だけれども、すぐかわっていただいては私は困ると思うのです。ぜひこの法律が実効あるものになるために頑張っていただきたいな、実はこう感ずるところであります。  ただ、先ほどもちょこっと申し上げましたけれども、あなた任せの年の暮れでは、やはり一つの制度をつくってもなかなかそれは実効あるものにならないだろう、ある程度の規制は必要だろう、強制力が伴わぬといかぬぞ、これが私の考え方であります。  後ほどまた幾つかのことについて申し上げてお尋ねしたいと思いますが、それはそれといたしまして、多極法は昭和六十三年六月に制定されております。そして実施法として今日拠点法が審議をされておりますが、日にちを計算するわけじゃございませんけれども、九四年間かかっておるのです。この四年間にやり損ねたことは、国民生活や我が国経済に大変大きな悪影響を及ぼしてきたぞ、こう指摘せざるを得ないのであります。ですから、この四年間の空白、今ほどの長官の御決意は子とするわけでありますけれども、言葉だけではこれまたどうにもならぬわけでありまして、やはりそのときどき、役所の皆さんは熱意を持ってやられる、機敏に反応される、しかし小回りがきいておったかどうかということも、私は一つは気になるわけでありますが、この四年間の空白をどうお互いに理解をすればいいのか、受けとめることができるのか、ちょっと御感想を含めてお尋ねをしておきたいと思います。
  46. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいまいろいろ御指摘ございますように、多極法に基づきまして私どもといたしましても所管公共事業の積極的な実施をいろいろ行ってきたわけでございますが、平成二年の国勢調査の結果が出まして、その内容等につきまして、ちょうど昨年の今ごろ私どもいろいろ分析しておったわけでございます。再三御答弁でも申し上げておりますけれども、十八道県で人口減少が生じておる。この人口の減少に関しましては、我が国が長期的にはいわば人口増加のピークは過ぎておるという理解もございますので、人口の増減の問題につきましては、かなりいろいろときめの細かい分析が必要であるとは思っておりますが、しかし、五年前の調査では秋田県一県のみであったのが、十八道県もふえた。  これは私どものいろいろな施策、多極分散法に基づく施策も含めましていろいろな施策をやってきたつもりではございますが、地方活性化といいますか、そういった面においては不十分な部分があったのかなというところで、なお詳細に分析した一つの結果といたしまして、これも再三御答弁申し上げている点でございますけれども地方の中枢都市、政令都市みたいなところ、あるいは都道府県の県庁所在都市はほとんどのところが人口がふえておるという現象も生じておりまして、逆にその結果といたしまして県内一極集中問題が生じておるということが出てまいったわけでございます。  こういった問題は、なぜそういう現象が起きてきておるのかということにつきましては、やはり何といっても若者の定着の問題があるということが一つの結論になったわけでございます。若者を何とかして地方に定着させる方法をとるにはどうしたらいいだろうか。なぜ若者は東京に集まるのだろうか、なぜ若者は地方の中枢都市都道府県の県庁所在都市ならある程度とどまるのだろうか。こういったようなことを考えまして、今回この地方拠点都市法案を提出させていただいたわけでございまして、御指摘のように、多極法成立以来四年間たっておるわけでございますから、その間何をしていたのかというおしかりはごもっともでございますが、この四年間の一つの結果も踏まえまして、私どもとしては、もう一つ思い切った方向からこの問題に取り組んでいきたいということであえて御提案申し上げたという次第でございます。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 木間章

    ○木間委員 五年に一度の国勢調査はいろいろの物差しになるわけでありましょうし、それによって、また、私どもはさらに、さらに決意をしなければならぬこともあるわけであります。しかし、国勢調査待ちで行政はとどまっておるわけにはまいりません。ですから、機敏に対応していく。そのときどきに対応していく。民族の大移動は今始まったわけじゃございませんので、機敏機敏にそのときに反応していく、こういう姿勢がなくてはいかぬと私は思いますから、せっかく建設大臣もおられますから、今度は大臣の御感想を承りたいと思います。
  48. 山崎拓

    山崎国務大臣 この法案を運用してまいりまして、この法案効果を上げているかどうかという点につきまして適宜検討していくということは、大事なことだと考えております。法案自体は十年後の見直しの規定を置いておりますが、実情に即しまして、点検を怠らず、十分各省庁間の協議を調えまして、また、地方公共団体との打ち合わせも十分いたしまして、効果の上がるように運用してまいりたいと存じます。
  49. 木間章

    ○木間委員 多極法の第六条では、地域社会の中心となる地方都市の育成を図っていく、そのためには、地方都市とその周辺地域一体的な振興を、行政経済、文化等に関する機能配置するのだ、こういうことになっておるわけでありますが、第二項では、農山漁村の育成の制度もやっていくんだ、あるいは第三項では、人口の減少、高齢化が進展している地域に対する制度もやろう、こう掲げておるわけでありますが、地方拠点整備法は今出されてきました第二項の農山漁村の対策がどうなっておるのか、同時に、第三項の人口の減少、高齢化が進展している地域にどういう施策をやっておられるのか。確かに、山村法とかあるいは禍疎法とかという制度もあるわけでありますが、特にこの多極分散法で取り上げておるわけでありますから、私は、今地域の状況を見ておりますと、そういうことがやはりこの多極法を見たときに一番手を打ってほしい問題の一つであろう、こう思うわけでありますが、いかがですか。
  50. 東家嘉幸

    東家国務大臣 前衆議院議員で大臣もされて大変な山持ちさんがおられまして、この間私の部屋においでられて、何千町歩かの山林があるんだ、その山林の育林に汗を流しているんだけれども、評価価額は銀座の土地の二十坪分の評価しかないんだ。これで山村はどうなるんだ。私は国会議員やめて、今地下足袋履いて毎日その山の仕事に取り組んでいるんだが、本当に将来を現場で働いておって憂うよということで、しみじみと私に今回のこの法律のことも含めて見解を賜って、私なりに、本当にこれは農山村のことを真剣に考えないかないな。  きのうも農林水産大臣が答弁の中でおっしゃっておられた。特に出身が青森、青森あたりは出稼ぎが非常に多いわけです。特にリンゴの今度の災害もあるでしょう。そういう農家の皆さん方が空っぽになるような状況にある。だから、せめて地域に職場を求めて、そして兼業農家として働きながら仕事につけるような環境をつくってほしいということを、しみじみときのうおっしゃっておられました。  だから、この法律は、確かに今の業務都市、業務地域としてのこともございましょうけれども、やはり将来はそういう大きな観点から、地域活性化、山村地域までまたがる、そういう皆さん方がそこに働きに通えるような、交通の便も非常によくなったのですから、そうした東京、大阪に行かなくても、自分の家から通って働く、そして兼業農家として若い人たちも生きていけるような道筋をつくっていく拠点地域整備であってほしいと私は思っております。
  51. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、この間の国勢調査を見てみましても、全国の市町村の四割が、四四%でございますけれども、いわゆる生まれてくる人よりも死んでいく人が多い、人口自然減の市町村がこういう状況になっておりますし、三分の二の市町村が人口減少している、こういう大変憂うべき実態がございます。そういう中で、今御指摘のございましたような同法の二項あるいは三項にお住まいの皆さん方、そういう地域というものが、恐らく今申し上げましたような地域に該当しているんだろうと思います。  そこで、農村の問題につきましては、私どももかねてより農林省等々にもお話を申し上げながら、農村の問題イコール農業の問題というようなこともございまして、これから来年度に向けて関係省庁と十分協議しながら何か新しい施策をつくり上げていきたい。それと同時に、最近特に中山間地域でございますけれども、そういう地域におきましては、もう集落自体がなくなる、そういう集落になかなか住む人がいない、こんな実態もあるわけでございます。  過般も一日国土庁を愛媛でやりました際に、ある森林組合長さんから、例えば村の中に町をつくるような仕掛けが考えられぬか、こんな御提言もございますので、私どもは、そういう集落にどうしたら定住が促進できるかというようなことも含めて、二項、三項ともども重大な問題として関係省庁と十分話し合いながら、できるだけ新しい施策を講じてまいりたい、かように考えております。
  52. 木間章

    ○木間委員 国の町づくり、村づくりの歴史的経過をたどってみますと、我が国の町づくり、村づくりは、むしろ都市部に重点的にウエートがかけられてきた、こう思っております。大正八年に例の片仮名の都市計画法が誕生しております。四十四年に全文改正を見て今日に至っておりますし、この次には都市計画法、建築基準法あわせて改正案が審議をされることになるわけでありますが、私は、やはり都市と農村漁村を分離をしてきたところに一つの大きな問題を持っておりはせぬか。  具体的中身は、都市計画法の審議のときにまた申し上げてみたいと思っておる一人でありますが、しかし、今日考えてみますと、都市化が進めば進むほど、農村漁村は単に農産物を生産すればいい、食糧の供給基地であればいいという役割だけではなくなってきております。これから夏のシーズンになりますと、海水浴、森林浴、あるいは既に制度化を見ておりますリゾートの問題だって、しかりであります。ですから、都市部になくなった、そういった生活のために、あるいは潤いを持たせるために、さらに、健康を支える場としての農山漁村の位置づけがあると私は考えるわけです。ですから、都市部に焦点を当てる、私はもちろん賛成でございますが、そういった農山漁村にも、その都度、その都度のスポットを当てていく、こうしなかったら私はいかぬのじゃないだろうか、こう考えるわけであります。  ですから、今大臣や局長からもお答えいただいたわけでありますけれども、私はいま少し踏み込んだ議論を省庁間でも展開をいただき、また私ども国会も、積極的に論議に参加をして、そうした人口減の地域あるいは高齢化がどんどん進んでおる地域、ほとんどが農山村漁村であろう、こう思う一人でありまして、ぜひ的確な対応をこれからも検討いただいて、取り組んでいっていただきたいもの、こう思っておるところであります。  午前の時間がなくなりましたので、以降の項目は、また午後一時からの再開の場に移させていただきますが、そういう思いでおりますから、ぜひお互いに頑張り合いたいと思いますから、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  53. 古賀誠

    古賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  54. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木間章君。
  55. 木間章

    ○木間委員 多極分散法で三重県のハイテクプラネット21構想が承認を受けまして、今事業に取り組んでおられるところであります。そのほか、申請を受けてただいまこの法の適用の審査中のものもあるやに聞き及んでおるわけでありますが、多極分散法で取り組んでいる三重、そうした地域は優等生じゃなかったろうかな、こう実は私は判断をしておるところであります。ですから、多極分散法の内容を完全に実施するように努めていかなければなりませんし、一方同時に、この地方拠点法が成立するわけでありますから、その内容の諸政策についても優先的に適用をさすべきではないだろうか、私はこのように提起をしたいと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  56. 市川一朗

    ○市川政府委員 本法案に基づきます地方拠点都市地域と多極法によります振興拠点地域との関係につきましては、これはいわば相互補完的な関係にあるという理解でございまして、一応形式論になりますが、制度上は両者が重複して指定されることは十分あり得るというふうに考えているわけでございます。  ただ、先般来再三御答弁申し上げておりますが、今回の地方拠点都市地域選定に当たりましては、いわゆる県内の一極集中の是正といいますか、県内全体のバランスを十分考慮に入れまして、地元でも十分お話し合いいただきまして地域を指定していくという関係になりますので、現実には必ずしも重複されるということにはならないのではないかなという感じを持っておるわけでございます。いずれにいたしましても、それが重複される場合であれそうならない場合であれ、私どもといたしましては、それぞれ二足の目的を持って指定された地域整備でございますので、例えば建設省の立場でまいりますと、道路、公園等の公共施設の整備といった所管事業の実施につきましては、積極的に支援してまいりたいと思っております。  ただいまの先生の御指摘は、むしろこの多極法の振興拠点地域を優先すべきではないかというお考えを御披瀝されたと思いますが、その辺につきましては、地方拠点都市法の運用におきましてできるだけ地方の自主性を尊重するということを掲げておりますので、それぞれの地方地域内での御議論の高まりの中で、私どもも適切に対処してまいるのが適当かなというふうに思っておるところでございます。
  57. 木間章

    ○木間委員 市川局長の御決意をお聞きしました。両法案の優位性、私はよく中身は分析しておりませんのでわかりませんけれども地方がそれぞれ今度はこの法でこのことをやりたい、こういう要望がありましたら、優等生なんですからぜひ酌み取ってあげていただきたいと思いますし、これはひとり建設のみならず他の省庁も、このことを胸に置いて成功させてあげていただきたい、このことを要望しておきたい、こう思っております。  先般来、地方拠点に何をするのか。建設大臣は、職住遊学が今の若者にとっては必要なんだ、こう力説されておりますし、私もそのとおりだな、実はこう考える一人であります。そこで、これも議論になってきたところでありますが、今日まで人口集中をさせる舞台の一つに高等教育機関があったのでありますが、この法律案の所管官庁に文部省が参加されていないのであります。どういう経過があってそのようになったのか、文部省の方から明らかにしていただきたいと思います。
  58. 奥田與志清

    ○奥田政府委員 お答えをいたします。  先生御案内のように、国土の均衡ある発展地域社会の文化、産業の振興に資するというふうな観点から考えましても、大学等の高等教育機関地域配置の適正化を図るということは非常に重要なことでございまして、私ども文部省におきましても、こういう観点に立ってできるだけ大都市圏以外の地域における大学の設置を促してきているところでございまして、そういう実績もあらわれているところでございます。  ただいまこの法案と文部大臣の関係お尋ねでございましたが、今申し上げましたような観点からも関係がございますので、基本方針の策定などに当たりましても文部大臣が協議に参画をするというふうなことを通じまして、この法律趣旨が十分生かされるよう文部省としても対応してまいりたいと考えております。
  59. 木間章

    ○木間委員 省庁共管の法案でありますから、ここに主務官庁として例記されておる以外の省庁も、今ほど御答弁あったようにその都度相談をさせていただく、あるいは相談を求めていく、こういう運用になろうと思うわけでありますが、私は東京に若者を集めたのは、反面地方で過疎を生み出したのは産業界と高等教育機関であろう、こう実は思っております。ただ若者だけ一時期東京に集まってくるならまた話は別になると思いますが、同時に学費、これは大半が親元からの仕送りになっておるのが現状でありますから、しからば親元でお年寄りあるいは年輩の人たちがせっせと働いて稼いたお金を東京に引っ張ってくることになるわけでありまして、私は若者を東京に集めると同時に、地方経済力そのものも東京に集めてきておるぞ、あえてこのことを訴えたいのです。ですから私は、単なるこの法運用に参加をする、相談にあずかるだけではなくて、積極的にこの法案の運用に、そして成功なさしめるために、ここに立案の段階から加わるべきでなかったろうかな、こう思う一人であります。  先般、出雲の岩國市長さんの講演を聞きました。二割を地方へ戻してもらいたい、このように訴えられておったのを私は印象深く受けとめておるところであります。確かに、現行法の中に首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律、こういったものがあるわけでありますが、これはあくまでこれ以上大学をつくっちゃいかぬぞ、あるいは学部その他をふやして生徒数をふやしてはいかぬぞという内容であろうと私は理解をするわけでありますが、もっと積極的に法律の中へ入っていただいて、そしてある程度強制力を持ったようにしなければならなかったのではないだろうか、こう実は思っております。  たまたま政府はこの間、私学振興にも力を入れてきました。たくさんの制度があるわけでありますが、私立大学等の経常経費に対する補助金一体どの程度になっておるのだろうか、経常経費全体の一四・一%になっておるというのを資料として文部省からいただきました。そのほか、教育研究装置施設整備費補助あるいは大学研究設備等整備費補助などがあるはずでありますから、やはり法の中へ入っていただいて、こういったものを一つのてことしたらどうかという表現はいささかどうでしょうか、これを一つ指導のバックボーンとして、ぜひ今の国土の不均衡を正していく。そういう意味合いで、国公立はもとより、これは政府の皆さんの腹次第なんですが、決意次第でできるわけでありますが、ぜひ私学についてもそういった積極策を私は打ち出してもらいたい、こう思っておりますが、いかがですか。
  60. 奥田與志清

    ○奥田政府委員 お答えいたします。  先生お話しのように、我が国におきまして私立大学が高等教育の普及充実に非常に大きな役割を果たしておりまして、例えば量的に申し上げましても、七割強が私学に学んでいるわけでございます。そのため、国におきましても私学に対する応分の支援をいたしておりまして、特にただいま先生指摘地域におきまして一生懸命経営努力をしている、そういう私学に対しまして、大きく分けまして二つの支援策をとっております。  一つは、御指摘ございましたけれども、私立大学等の経常費補助金、これにつきましては一般の大学に対します配分方法で配分をすることに上乗せをいたしまして、地方の私立大学等の教育、研究を推進するというふうな観点から特別補助を交付いたしております。それからいま一つは、例えば都市部にあります大学が地方移転をしたいというふうなときなどでございますけれども日本私学振興財団、ここにおきまして長期、低利の融資事業をいたしておりますけれども、この場合には通常の施設整備に比べまして有利な条件でこれを支援するというふうなことなど、できるだけの誘導策をとっておりますけれども、今後ともこの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 木間章

    ○木間委員 くどいようですけれども、誘導するように努力をしておる。私は、誘導だけでは本当にこの法律目的に書かれておるような結果になるのだろうか。自主判断に任せるという考え方がその中にあるわけであります。これも極めて大事なことであろう。あるいは極端な人は、どこに住もうがどこで学校を設置しようが、その関係者の自主性を尊重するのだ。確かに私はそのとおりでなければならぬと思いますが、かといって、今日このように過密現象を起こして、しかも国民生活、日本経済に大きな打撃を与えておる今の現状の中で、憲法の理念を生かしながら、できることはやはりやるべきではないだろうか。文部省のみならず、皆さん方考えてしかるべきでないだろうか。ですから私は、この法案をこれからも幾つか指摘をしながら、考えを申し上げながら皆さんのお考えをただすわけでありますが、私はやはりある程度の強制力を使うべきでないだろうか、こう考えられるのであります。ですからこれからも、そういう指摘もあったということを胸に刻んでいただきまして、ぜひお願いをしたいと思っております。  次に、通産省にお尋ねをすることになると思いますが、産業業務施設東京から地方への転出を促す、そのための受け皿としてこの施策を提案されたのでありますが、これも同様に、結果はその企業内の自主判断に任せる、こういうことに相なろうと思いますしからば、受け皿にいかなるメリットがあるのか。一体東京におったときのメリット、デメリット、地方へ出ていったときのメリット、デメリット、企業人でありますから、必ずやはかりにかけられるだろう、これはまた人情だろう、実はこう思っております。ですから、ある程度の強制力を持たせる。私はまだそこまで及びつかぬのでありますけれども、例えば事業所税や地価税を強化するとかいったものをやらないと、多極分散法でも余り成果が上がっていないということを聞いたときに、私は二の舞になるのじゃなかろうか、こういう気がするわけであります。この点について、通産省のお考えをお聞きしたいと思います。
  62. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 先生指摘のように、産業業務施設移転促進します場合に、私ども大事なことが三つあるというふうに考えておりまして、一つは、ただいま先生がおっしゃったことと関連いたしますけれども、過度集積地域におきます立地の適正化というのがある。それからもう一つは、地方での拠点づくり、受け皿づくり、これが大事である。それからさらに、その二つを結びます三点目といたしまして、産業業務機能移転促進地方立地の促進のための誘導策、こういうものが必要だろう。この三つが三位一体となってこの政策の効果が上がっていくというふうに、基本的には考えているわけでございます。  そこで、御指摘東京におきます過度集中に対する何らかの適正立地といいますか、抑制方策があわせて求められている、こういう観点から、新しい法律の第三十九条におきまして、国及び地方公共団体に対しまして、土地利用に関する計画の中で過度集中の状況を十分踏まえた対応を求める、そういう規定を置かせていただいているところでございます。  ただ、御指摘のような新たな税制措置等を通じた立地コストの負担増によって東京での立地の規制をする、あるいは東京から地方への追い出しを図るというようなことももちろん考えられないわけではないわけでありますが、昨年この問題を私ども産業構造審議会におきまして相当真剣に御議論をいただきました。その中で、直接的な規制につきましては慎重論が多数を占めまして、かつ答申の中にもそういう御指摘をいただいているわけでございます。したがいまして、こうした対策の実施につきましては、日本経済全体に与える影響あるいは国民のコンセンサスの形成といったようなものを十分見きわめていくことが大事であるというふうに考えておりまして、本年導入されました地価税の効果も見守りつつ、今後なお一層研究、勉強が必要な問題であるというふうに考えている次第でございます。
  63. 木間章

    ○木間委員 審議会の御意見も十分に拝聴した、慎重論も非常に強かった、こうおっしゃるわけです。私は決して審議会を否定するものではございませんが、しかし、その審議会の構成がやはり気になるわけです。私は名簿も取り寄せておりませんから、中身について言及は慎むわけでありますが、例えば今大きな政治課題になっております政治腐敗防止制度をつくろう、結局その関係者が集まって議論をするわけでありますから、私はなかなか突破口は開けないぞ、こう受けとめておる一人であります。ですから、その審議会の構成メンバーの中に企業の関係者がおられるとしたら、やはりそういう結果になるのじゃなかろうか。だから私はもっと広く、過密になって困っておいでる東京一般都民なり、地方で待ち焦がれております地方の一般市民なり、そういった皆さんの意見をちょうちょうはっし闘わせていくべきではないだろうか、実はこう考えるわけです。少し審議会の中身がわからないで苦言を申し上げておるようでして大変恐縮でございますけれども、私は審議会に対してかねがねそういう思いも持っておる、このこともひとつ御理解をいただきたいと思います。  それでは次へ進みますが、この法案施行後、産業業務施設移転をどのように見込んでおいでますか。そして、それに伴って東京人口の移動はどの程度想定されておりましょうか。と申し上げますのは、事務所が立地をいたしますと従業員がどんどん東京へ入ってくるわけでありますから、それを地方移転していただこう、こうなりますから、当然人口の変化も起きてくるわけでありますが、今の段階でどのように見込んでおいでましょうか、少しお尋ねをしておきたいと思います。
  64. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 御高承のとおり、東京二十三区におきます事務所の床面積、これが昭和五十五年ごろには三千三百ヘクタールぐらいだったのでございますけれども平成二年は五千百ヘクタールということで非常な拡大をしております。いろいろな調査がございますけれども、このまま放置いたしますと、新たにかなりの規模の事務所の床面積の需要が発生するという予測がなされているわけでございます。こうした業務機能集中を背景にいたしまして、東京都の人口経済審議会の見通しによりますと、今後十年間に域外からの流入を含めてさらに二百四十万人ふえるというような見通しがあるわけでございます。  そういう中でどのくらいの地方分散効果があるのかということでございますけれども、ただいま現在のところ、業務拠点の整備あるいは業務施設の計画につきまして具体的な計画がまだでき上がってない段階でございますので、御指摘のような点について明快に予測をするということはなかなか難しい状態にございます。ただ、この問題も先ほどの審議会、これは産業界のみならず学界あるいは労働組合の方、あるいは地方公共団体の方あるいは主婦連の委員の方等、委員として幅広く御意見を伺っているわけでございますけれども、この産業構造審議会での議論におきましては、今後東京圏において十年間に二百四十万人の人口増加が生じる、そのうち東京圏外からの流入、つまり社会増による人口増加が約百万人に達するというようなことを踏まえまして、今回の対策による政策効果として社会増の過半の地方圏での定着が図られることを期待するというような表現で答申がなされておりまして、私どもそういう御意見を尊重して政策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  65. 木間章

    ○木間委員 次に、これも私のとっぴな考えを申し上げるわけでありますが、やはりこれ以上マンモス化させないぞ、してはいけないぞ、こういう思いから人口動態について規制すべきは規制すべきじゃないだろうか、こう実は私は思っておる一人であります。同時に、転出される方には、例えば奨励措置などを考えたらどうだろうか。ちょっととっぴなお尋ねになるわけでありますが、東家長官いかがでしょうか、ちょっととっぴでしょうか。
  66. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先ほどから通産省の方の御答弁を聞いておりまして、私も経済界に長く席を置きまして、今の経済界皆さん方の心境というものは、やはりどうしても国際分業というものがかなりの進展を今図られている。そうすると、やはり人手不足、そしてまた低賃金を求めていくということになりますと、ややもすると田舎の企業の方が先に移転を始めている嫌いが大方多いわけです。なおまた国際金融機関、他に外国に求めようとする融資問題等でも、どうしても東京で求めなければ、手続とれなければ融資は受けられない。そういう業務等も、地方にそれぞれの出先機関があるからそういうところで手続が事済むような、やはりそういう業務の移転もしてもらわないと、こういう業務移転というものは簡単にでき得るものではないだろうという、反面私は不安を持っているわけです。  そういう点、やはり今後の国際化、産業構造の大きな変化、経済大国としての今日の状況の中に、特に日本はそうした頭脳と産業というものが今大きく進展しておりますから、ややもすると頭脳的なものはどうしても都会に集中しているというようなことですから、その頭脳の面をどうこれから移転するかという、テクノポリス等においては私は大変な効果があったと思いますから、そういうものも含めて、総体的に一口には尽くせませんけれども、私はそういう思いをしながら、国際化の中にどうあるべきか。地方移転については、今申し上げるようなそういう手続等も含めて移転していただくという総合的なこれからの検討がなされなければ、そうたやすいものではないだろうと私は思っております。  なおまた、一番大切なことは、例えば田舎の方から相当この東京集中の中に職を求めてこられた皆さん方が、東京では柱を構えられない、田舎へ帰りたいという方々が最近非常に多いわけです。そうすると、やはり親が帰るならば子供も帰ってこようというような促進策も成るわけですから、今回の目玉は何としてでもより居住性の高い、環境の整備された、求めやすい価格で供給できる、それがまた大きな誘い水になっていかねばならないというふうに、あわせてそういう総合的な判断がさらに必要ではないだろうかと私は思っております。
  67. 木間章

    ○木間委員 具体的な今後の制度運用についても、ぜひ慎重でありながらも思い切った施策を望む一人であります。  先日、東京で環境保全賢人会議が持たれました。そして、いよいよ環境を保全するための環境税のお話も登場してきております。六月にはブラジルで地球環境サミットが開催をされます。また、我が党はかねがね、環境庁を環境省にしてぜひ環境行政をきちっとやってもらおう、こういう議論もしておるところでありますが、山崎建設大臣は先般この委員会で、環境は最大限大事にしましょう、そして失われた緑は回復したい、このような御発言もあったわけであります。そこで、私どもも建設行政とのかかわりから申し上げて、今後ぜひその基本姿勢は貫いていただかなければならぬと思っておりますが、そうしますと、この法案制定に向けて、文部省と同じようなことをお尋ねするわけでありますけれども、環境庁の参加がないわけであります。これもその都度御相談ということになるのでしょうか、協議ということになるのでしょうか。  私は、今積極的に地球環境保全ということを考えたときに、やはりそのような考えがあってよかったのじゃなかろうか、こう思う一人でございますけれども、その環境庁が参加されていないこの法案について、環境庁あるいは建設省からお考えを尋ねておきたいと思います。
  68. 熊谷道夫

    熊谷説明員 お答えを申し上げます。  開発事業を進めるに当たりまして、地域の環境保全に留意すべき必要があるというのは先生指摘のとおりであると考えております。今回の法案につきましては、地方拠点都市整備を図るということを直接の目的としておりまして、環境の保全につきましては整備を進める上での配慮事項、このようなことになっておりますけれども、この環境への配慮事項が今回の法案によりまして、いわゆる基本方針におきまして主務大臣から環境庁長官に御協議がある、このようになっておるわけでございます。環境庁といたしましては、このような協議を通じまして、この地方拠点の整備に際しまして環境保全が十分図られるように努力をしてまいりたい、このように存じております。
  69. 木間章

    ○木間委員 本法の第三条二項五号に「環境の保全」という五文字が確かに並んでおります。この五文字だけでは、今まで建設大臣が、自分の所管事項である建設行政と環境のかかわりを私どもにわかりやすいように、失われた緑はぜひまた回復しましょうとおっしゃっていただいたことに値しない、私はこう思っておるところであります。ですから、ぜひ今後運用の中で積極的に、私どもは庁を省にしたいつもりでさえおるわけでありますから、ぜひ胸を張ってお願いをしたい、こう思っております。  次へ進ませていただきますが、この法案の最大の特徴は、個性ある町づくりのために地方の自主性を尊重するんだ、そして国の介入は排除した、建設大臣は胸を張っておっしゃっておられました。私は、これからの自治の運用はぜひそうでなくてはならぬ、かねがねそう思ってきた一人でありますが、今後なおそのことは大事であろう、こう思っておるところです。  ところが、問題はそうではないだろうと私は思えて仕方がございません。と申し上げますのは、法文を読んでおりまして、確かにそのようになっておるわけでありますが、問題は、財政支援策というところにひっかかるわけであります。国は財政を握っておりますから、そういう意味では、例えば承認の申請があったときにいろいろ注文をつけられるはずであります。ですから、法文の文字の並びは大臣もおっしゃっておいでるようなことではありますけれども、ところが肝心の金庫を握っておりますから、これ以上の介入はないのじゃないだろうか、このように私は考えております。  ですから、当然のことながら、自治を認めるわけでありますから、分権も同時に認めていくべきであろう、財源を地方に移譲すべきであろう。これも今まで論議を呼んできたところでありますが、この自治と分権ということについて、改めて自治省のお考えをただしたいと思います。
  70. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、地方自治の確立あるいは地方分権のためには、地方自治を担っております地方公共団体の自主性、自立性を発揮するように地方行政、財政両面にわたる基盤の強化ということが大切であることは、私どもも全く同感でございます。このために、住民に身近な行政はできるだけ身近な地方団体に権限移譲をしていくということで、私どもとしては常日ごろ努力をいたしておるつもりでございますが、先生指摘のように十分でない点は確かにまだあろうかと思います。私ども、今後機会をとらえて事務の移譲等について引き続き努力してまいりたいと考えております。  また、先生指摘の財政基盤の強化ということも同様でございまして、例えば、従来から補助金の一般財源化等につきましても、国が義務的に負担する経費、これは国と地方との財政の役割分担という観点でございますので、それはそれ相応の財政秩序のもとにおいて国が負担すべきものは負担するということですが、奨励的な補助金等については、できる限り一般財源化をした方がいいと思われるものは、そういう方向で努力してまいってきておるわけでございます。  また、この法律施行に関しましては、地方が自主的にみずからの創意工夫を生かして事業を行っていけますように、特に地方単独事業につきましてハード、ソフト両面から、地方債と交付税を使った支援措置を充実強化してまいるところでございますので、ひとつ何とぞよろしく御支援のほどをお願い申し上げたいと思うわけでございます。
  71. 木間章

    ○木間委員 今の質問は自治省にお尋ねするよりも、本当は大蔵省にぶつけたかったのでありますが、また次の機会にこういった議論もさせていただこう、こう思っております。  それで、これから地方が本法の施行に努力をするわけでありますが、窓口は当面六省庁に相なろう、こう思います。他の省庁との関係も出てくるわけでありますが、当面はこの六省庁が、窓口が五つも六つも誕生することになりましょうし、また、財政支援をするときに再びひもつきになるんじゃなかろうか、こう思うわけですが、この補助金を統合したりあるいは一元化するお考えはないでしょうか、このことを建設省にお尋ねをしておきたいと思います。
  72. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回のこの地方拠点都市構想の推進に当たりましては、地方の自主的な取り組みや意向をできるだけ尊重するという考え方に立ちまして、市町村が計画を定める、それに対して国が積極的に支援策を講じていく、こういう体系で進めてまいりたいと考えておるわけでございます。その際、国の支援態勢につきましては、それぞれの市町村が定める計画につきましては、私どもとしてはできるだけその地域の自然とか歴史も加味しました個性豊かな地域づくりをしていただきたい、それがやはりそれぞれの魅力ある地域社会の創出になるというふうに確信しておるところでございまして、そういう意味におきましては、非常にバラエティーに富んだ計画が出てまいってくると思います。  それに対しまして、現在各省が持っておるいろいろな支援措置を講じていくということを考えておるわけでございますが、それが先生の方から見ますと極めて複雑でばらばらで、うまくいかないのではないかというお考えの中でただいま御提案がなされたのだと思います。この辺につきましては、全部一本化していくということも一つ考え方として今後の検討課題だとは思いますけれども、やはりできるだけその個性豊かな地域づくりに国の関係省庁を挙げてきめ細かく御協力申し上げていく。要は、それを上手にコーディネートしていくというようなことで、いわば一つ一つの楽器を一生懸命演奏しながら、オーケストラとしてすばらしいものが演出されるというところを私どもねらっているわけでございまして、それが結果として地方から見て大変やりにくいような状況にならないように、事務の簡素化や、補助金もできるだけメニュー補助化するとかいったいろいろな努力はしてまいりたいと思っておる次第でございます。  いま一歩先生の御提言に的確な答弁になっていないことを反省しながら、とりあえず私ども考え方を述べさせていただいた次第でございます。
  73. 木間章

    ○木間委員 これから法案施行されますと、それぞれの地区で指定を受けたり、あるいは基本計画をつくるという作業が始まるわけです。これからの自治の原則は、町づくりにいたしましても、あるいは拠点都市づくりにいたしましても、自分たちの町は自分たちが参加してつくっていくんだ、こういう基本姿勢がぜひ必要であろう、私はこう思っておる一人であります。  そこで、この基本計画を立てたり、あるいは指定を受けようという段階で、情報の公開、住民の参加を認めるべきでないだろうか。これも、今日まで多くの諸先輩から論議が集中してきたところでありますが、私もそのように感じておる一人でありまして、ぜひ皆さんのお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。まず、自治省にお願いいたします。
  74. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、これからの町づくり、地域づくりにとりまして、住民がみずからの町はみずからの意思でつくっていく、そういう精神に立つべきだということは、まことに御同感でございます。私どももふるさと創生事業というものを通じて、最近そういう機運が各地域に非常に醸成されているというようにも感じておりますし、またその実績も上がっているのではないかと考えているわけでございます。  その中で特に注目いたしておりますのは、各地域がそれぞれの事情、それぞれの諸条件等に応じて多様な、住民の意思を聞いたりあるいは参加をしたり、そういう意見反映のための仕組みをおとりになっている、そしてまたそれが実績を上げていることも事実ではないかと思っておるわけでございます。この法律において特別にそういう画一的な手続は定めておりませんけれども、各地域地域において、特に市町村におきましては、そういうこれまでの実績を生かした多様な、創意工夫を凝らした住民との接触の機会というものが持たれるのではないかと、私どもも期待をいたしている次第でございます。
  75. 木間章

    ○木間委員 このことについて都市局長お尋ねしたいのでありますけれども、今自治省の松本議官から、特別に法文の規定はないけれどもいろいろな形で参加もされていくだろうし相談もあるだろう、こうおっしゃったわけです。  私はこの質問に入る前に、この法案をいま一度確認をしてきたのでありますが、一たん指定をされますと、区画整理事業が義務づけられていきます、あるいは建築行為などの制限があるわけであります。一方では住民参加を保障しないで、一方ではいろいろな規制を加える、私はいささかどうか、実はこう考えるのです。ですから、法案を立案された親の建設省としてどういうお考えなのか。やはり明文化すべきでなかったのかな、私は実はこう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  76. 市川一朗

    ○市川政府委員 今回の全体の流れを申し上げますと、国が基本方針を定めまして、その基本方針に基づきまして知事関係市町村、主務大臣と協議の上で地域指定を行います。その地域指定が行われました中の市町村が、共同して基本計画を策定する。この基本計画策定は市町村レベルで行いますので、先ほど自治省の方から答弁がございましたように、その段階では、法案には必ずしも十分書き込まれておりませんけれども、いわば住民との関係におきまして一番身近にあります公共団体が策定するわけでございますから、いろいろな形で住民との対話がなされるであろうというふうに考えているわけでございます。  ただいま先生の方から御指摘のありました私権の制限につながるような地域指定につきましては、実はその基本計画の中で、例えばここを拠点地区として整備するというようなことが決まりました場合に、その拠点地区の整備手法一つとして、そこを都市計画で区画整理促進区域として決定できる特別の制度を今回用意しました。したがいまして、これにつきましては、まずどこを拠点地区としてやるかにつきまして、ただいまの基本計画策定の段階、市町村が定める段階で決める。その市町村が定める際に、住民との対話もかなりなされるであろうということを一つ考えております。  それから次は、その基本計画の中で定まっております拠点地区、幾つかあるわけですが、そのうちの一つに関しまして区画整理手法等を導入してやろうという場合に、新しい制度を使っていただけるならば、それを特別の区画整理促進区域として都市計画で決定する。都市計画の決定でございますから、今度は市町村が都市計画決定手続に入ります。これは御案内のとおり、案の縦覧から始まりまして、場合によりましては公聴会も開いて、それでもって最終的には都市計画決定として公示する。こういう手続を踏まえた場所に関しましては、区画整理事業が実際に実行されるまでの間、その事業の妨げとなるような建築行為等についてはある程度の制約を課す。ちょっとややこしくて大変恐縮でございますが、そんな仕組みで考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、必ずしも十分だとは言い切れませんけれども、かなりの程度これは関係の地元の住民の方々との対話の中でやっていけるのではないかなというふうに思って、御提案しておる次第でございます。     〔委員長退席、北村委員長代理着席〕
  77. 木間章

    ○木間委員 確かに都市計画法では、今局長がおっしゃったような手法も盛り込まれております。私も過去十八年二カ月地方の市役所におりまして、条例、規則、制度の改廃も七年間ほど担当いたしました。そういう手続については知っておるつもりではございますけれども、しかし都市計画法そのものは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、大正八年に制定されまして片仮名の法律でした。四十四年に改正になって今日に来ておるわけでございますが、この片仮名の法律なり四十四年に全文改正された法律でも、私は横文字弱いのですけれどもトップダウン方式精神、思想がずっと流れておるわけです。  ですから、今おっしゃったように、一部にそういう手法がありますよ、あるいは、地方議会にかけるんだから当然地元の皆さんのコンセンサスをとられるでしょう、そういうことではいかぬのじゃないだろうか、こう私は思っております。やはり自分のところの町、自分のところの地域は自分たちで絵をかく。そうしますと、その後のいろいろな事業を進めていく、あるいは運用していく中で積極的に参加ができるのじゃないだろうか、期待が住民の中からわいてくるのじゃなかろうか、こう実は思っておるのです。それをつんぼ桟敷にしますから、用地の確保、買収に行っても、おれはその話に乗ることはできぬとかいろいろ連鎖反応を及ぼすわけでありまして、ぜひ今後の行政の進め方についてもそういう考え方で、私どもも処していきますし、皆さんもそのように対応していただきたいな、こう実は思っております。  もう一つ心配になるのは、地価の高騰でございます。これも議論が非常に集中した課題でもあるわけでありますが、皆さん方は、監視区域制度を十分に発揮をさせて手当てをしていくから、こうおっしゃるわけであります。しかし東京の二の舞をさせてはいかぬのでありまして、やはり事前にきちっと打つべきは打たなければなりません。  国土利用計画法の十二条は私がかねがね関心を持ってきた条文でございますけれども、この十二条の発動をこの機会にできないだろうか、こう実は思います。ただ厄介なのは、御案内のとおり、土地に対する投機行為があって、そして地価高騰があったとき、この十二条の発動は二つの条件が判断されたときに初めて発動ができるわけであります。ですから、国土利用計画法が誕生いたしましてまだ一度もこの発動がないわけでありますが、大都市東京がこのように土地問題でもてあそばれた、その発動できなかった理由は、投機行為があってなおかつ地価が高騰した、私はこの「及び」という二文字が邪魔をしたんだろう、こう考えられて仕方がございません。  そこで、監視制度だけでは私は少し心配の側面がありますから、この機会に国土利用計画法の十二条を見直したらどうだろうか。そうなりますと、この法案だけじゃなくてオールジャパンの制度とも関連をするわけでありますが、このことについて国土庁はどのようにお考えになっておりますか、お尋ねをしたいと思います。
  78. 東家嘉幸

    東家国務大臣 国土庁としては、全国の土地利用総合計画の中で取り組んでいるわけでございますが、先ほどからいろんな御意見が出ました。失敗の例、成功の例、先ほどから私ども、大変御指摘をいただいておりますリゾート法についての御指摘でござます。  ちょうど経済の大きな変化の時代にもございましたし、なおまた、いろいろな環境の問題が非常に厳しくなってきたこともございます。そういうことで、リゾート法は地方の県、市の行政の皆さんと企業とが一体となって取り組む、そうした余暇を有効に、より安く楽しんでもらいたいというようなことの発想でございましたけれども、しかし今見直しをせざるを得ない状況にあるわけです。それは今日、どの過疎地域も、手っ取り早く収入を、そしてまた働く場所をということを一斉に考えた。そこに、多くのゴルフ場またスキー場ができ上がっておりますし、今申請もされておりますし、また、せっかく購入したものを途中から、こうした経済変化によって中断しているというような状況に置かれているところも多いわけです。  今、議員立法で会員権等の規制の話がございます。このまま乱開発をされ、そして数がふえたならば、恐らくそういう現象が倒産によって生まれるでしょう。それは私は、地方にすべてを任せたということが、国土の均衡ある、再生産できない土地の利用に問題があったのではないだろうか。その点は、やはり政府中央行政の中からよく地方と協議していかねばならない。  今回、この法律によって地方で開発がなされる。では、開発がなされて、そしてそこに受け皿としてできなかった場合に、またそういうことが起きてしまう。先取りしてそれを開発する、これはよほど需要と供給を見合わせながら取り組んでいかなければ、また問題が、今のゴルフ場の問題のようなことが起きてしまいはしないだろうかというようなこと等も私は考えておりますから、土地利用というものは、国土全体の有効利用というものを含めて、やはり国の指導がまた反面必要ではないだろうかということだけは私の方もかねがね思っておりますので、先生の御意見とは若干違う点はありますけれども、危惧する面だけは私の方も考えておりますことを申し上げておきます。
  79. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 監視区域と規制区域の点につきまして若干補足させていただきたいと思いますが、地方拠点都市地域整備に当たりましては、地価の高騰が生ずることのないように十分配慮する必要がございまして、このため、委員御承知のように、私どもは本法案におきまして、第十八条に国土利用計画法の監視区域の指定の努力義務規定というものを設けまして、都道府県知事等が監視区域制度の積極的活用を図ることとしているところでございます。  ただいまお話しの監視区域でございますが、これは今回の地価高騰に対応いたしまして、従前の国土利用計画法にはいわゆる大規模な土地の取引の届け出制と規制区域という二つしかなかったわけでございますが、ある面ではよりソフトな規制ではございますが、より機動性のあるものということで、即応性のある監視区域制度というのを六十二年に国会で御議論をしていただきまして、監視区域制度というのを新たに設けたわけでございます。  今回の地価高騰の経過を見ますと、監視区域制度につきましては、後手に回らない形での先行的な指定、あるいは届け出対象面積の適切な設定、それと価格審査の厳正かつ的確な運用、この三つが的確に行われました場合には、地価高騰の抑制に相当の効果が上がるもの、あるいは上がったというように私ども理解をしておりまして、地方拠点都市地域整備につきましても、この監視区域制度の的確な運用によりまして地価高騰が生ずることのないように十分対応できるものというように考えております。  また、御指摘国土利用計画法第十二条の規制区域の指定の要件についてでございますけれども、これは規制区域の指定というものが地価を凍結し、一定の利用目的以外の取引を認めないなど、土地取引に対しまして厳しい制限を課すものでございまして、したがいまして、その指定に際しましては、地価の急激な上昇またはそのおそれという要件と同時に、投機的土地取引の相当範囲にわたる集中という厳格な要件を要求しているところでございまして、委員指摘のように、指定要件のみを緩和するということでございますれば、法制度論としても極めて困難な問題があるのじゃないかというように考えているところでございます。
  80. 木間章

    ○木間委員 ですから、昭和四十九年に私どもの先輩が皆さん方と議論をして、何とか土地を一部の方々に自由にさせない、そういう思いでこの条文も成案を見たところです。四十九年に誕生して、そして東京のああいう悲惨など言えば言い過ぎかもしれませんけれども、土地狂乱を経験してきたわけです。私は、二の舞を地方に経験させてはならない、そういう思いからもありますが、当時議論をされた意思を十分に生かして、このときにこそこの十二条の「及び」を外すべきでないだろうか、こう実は思っておる一人であります。今後、運用につきまして十分遺憾のないようにお願いをしたいと思います。  最後になりますが、法施行後十年以内に規定や実施状況について見直そう、こういう規定が盛り込まれております。十年以内といいますと、三年後も五年後も九年後も十年以内になるわけでありますが、こういう地方が待ち望んでおる制度、あるいは大都市東京が非常に困っておることを解決しよう、こういう制度でありますから、フォローアップということもぜひ必要であろう、こう私は思うわけです。それで、この十年以内というのを少なくとも五年とか、あえて三年と私は申し上げたいのでありますが、進捗状況等を検討されまして見直すべきではないか。この十年以内ということに対する皆さんのお考えを明らかにしておきたいと思います。
  81. 市川一朗

    ○市川政府委員 この附則二条で十年以内という規定が入りましたのは、ただいま先生指摘ございましたように、基本的には、経済社会情勢の変化というのは今時に速いわけでございますので、やはり十年ぐらいたったら見直す必要があるのではないかという考え方でございます。  一方、私ども施策を進めていく立場におきますと、やはり十年ぐらいは腰を据えてやれるという、いわば保証も欲しいという面もございまして、公共投資基本計画も二十一世紀までの十年間ということでスタートしているところでもございますし、御案内のとおり、私ども大体各事業ごとに五カ年計画を持っておりますので、五カ年計画でいきますと約二回分ぐらいに該当するものでございますが、これだけのしっかりとした拠点地域づくりとしては、やはりどうしても十年ぐらいはいただかないといけないというようなところで、それやこれやいろいろな議論をしながら、法制局とも議論をしつつ、関係省庁とも議論を詰めて、結局十年以内ということにしたわけでございます。  ただいま先生の方から御指摘ありましたように、いろいろな情勢の変化に対応して、そんな十年ということではなくて、五年とか三年とかという形でできるだけ見直しをしていくべきじゃないかというようなことにつきましては、そういう意味におきましては、私どもも常にこの施策の実施状況も見きわめなければいけませんし、また経済社会情勢というものも刻々と変わるわけでございますから、そういったことに対しては適宜見直しといいますか、検討を加えていく必要があるということで、現実的な対応と法文上の位置づけというようなところで、実はこれくらいの態勢ということを考えて原案を策定した次第でございます。
  82. 木間章

    ○木間委員 これ以上申し上げませんけれども、実はこの件に対しまして労働団体の方からも、専門的に研究されておる皆さんが、期間を余り長く持ったらだめだぞ、こうおっしゃるわけです。また、先ほどから私申し上げてきましたように、誘導策だけでこの法案が本当に望んでおるような実態があらわれるのだろうか、場合によってはある程度強制力を持たせなければならぬぞ、私はこういうことも考えられるわけでありまして、十年以内という余りスパンの長いお考えじゃなくて、やはり適宜に見直すということをぜひやっていただきたい、こう要請をしながら終わらせていただきます。  少し時間が延びまして失礼しました。
  83. 北村直人

    ○北村委員長代理 吉井光照君。
  84. 吉井光照

    吉井(光)委員 この地方拠点法の審議も、四月の初めの本会議から始まりまして十五日の建設委員会、そして昨日、一昨日の連合審査、そしてまたきょうの建設委員会と、非常に真剣な論議が交わされたわけでございますが、この質疑も私を含めてあと二人、あと一時間半でございます。当然その間ダブることも多々あろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  まず最初に、運輸省と文部省の参加協力についてお尋ねをしておきたいのですが、一極集中批判の代表は、経企庁の二〇一〇地域・住居研究会が昨年六月に東京圏等の限界について提言し、そして三年版建設白書でも地方圏の育成を強調しております。また、第三次行革審の中間報告でも都の臨海副都心計画に注意を促すなど、至るところでこうした問題が指摘をされているわけでございますが、今回の地方拠点都市整備法案、これはもう言うまでもなく一極集中の是正と地方活性化への一歩前進、こういうことでございまして、私も評価をしておる一人でございます。内容は、地方が拠点地域づくりの主役としたこと、それからオフィスの誘致からショッピングセンターや住宅の建設まで総合的な地域づくりを目指しているということ、また、建設省など六省庁がともかく一体となって法案をまとめたことについて、私は素直に評価をしたいわけでございます。  そうした上で、幾つかの疑問点を指摘しておきたいわけでございますが、まず仕事、教育、住宅、レジャーといったいわゆる職住遊学、これが一体となった総合的な地域都市づくりが今回の法案目的一つでございますが、にもかかわらず、学のかなめであるところの文部大臣、それから職遊のかなめとも言える運輸大臣が、この基本方針策定の主務大臣として参加しないのはどうかと思うわけでございます。  と申しますのも、この法律案は、二十一世紀を見据えた都市像を考えていくことは当然だと思うのでございます。ただ地方のこと、それから県内のこと、そうした位置づけのみを視野に入れた都市像ではないはずであります。この十年間を見ましても、我が国はもちろんのこと、世界の政治経済、文化、こうしたものもあらゆる面において想像し得ないような変貌をなし遂げているわけですが、では二十一世紀はどのような時代を想定すればいいのか。少なくとも、今回指定されるであろうところの地方都市も、国内はもとより近隣諸国、ひいては全世界に視野を広げた都市づくりというものをやはり考えていかなければならないのではないか、私はこのように思います。五年、六年、七年、八年たってやっと町づくりができた、そのときには二十一世紀を迎えた、しかし世の中はもう全く変わって時代に対応できない、そのうちに都市づくりは終わった、これでは私はいけないと思うわけです。  と考えますというと、地方拠点の交通アクセス、これは道路はもちろんでございますが、これからはやはり空と海の時代、すなわち空は地方都市間及び大都市を結ぶコミューター空港の時代、海は、漁業としての港湾ではなくて、やはりレジャー基地はもちろんのこと、産業としての港湾が中心となることを考えますというと、当然運輸省も参加してしかるべきではないか、このように思います。また、教育面での大学等の誘致は、これはもう非常に経済的波及効果が大きいわけでございます。大学が大都市圏になければ困るということは、情報化の時代の今日ではもうそれほど不便を感じないないわけでございまして、むしろ自然や住環境の素晴らしくて総合的な地方拠点の方が学園都市の立地条件には適している、このように思います。確かに、連合審査等のいろいろな答弁を聞いてみますというと、学生がだんだん減ってきた、したがって大学はもうつくらないんだ、こういうことをおっしゃっておりますが、しかしながら、今度指定されたこの都市に全部大学をつくりなさいというわけじゃありません。やはりいろいろ考えて、この指定された都市には確かに大学というものが必要だ、こういうところにやはり大学をつくる、また誘致をする、そうした努力といいますか、そうしたことがあってしかるべきだ、このように思うわけでございます。  しかしながら、大学が誘致された、こうなるとやはり一定数の若者が定住をする。そのようになったならば、あらゆる産業の集積が可能になりやすいという点も一つの魅力でもございます。この点を重視するならば、今回の改正に先ほど申し上げました運輸、文部両省が参画しないことは、この地方拠点都市調整事業を中途半端な結果に終始することも考えられはしないか。こういった点について、運輸それから文部両省としてはどのような協力ができるのか、まず確認をしておきたいと思います。
  85. 東澤聰

    東澤説明員 お答えいたします。  運輸大臣は、本法案におきまして重要な協議大臣として位置づけられております。運輸省といたしましては、先生指摘のように港湾、空港等の運輸施設の整備地域の振興にとり大きな役割を果たすものと考えていますことから、運輸施設の整備に努力することが本法案に寄与するものとなるものであると考えております。このため、運輸省といたしましては、港湾、空港等の運輸施設の整備にさらに一層の努力を傾けてまいりたいと考えております。
  86. 草原克豪

    ○草原説明員 本法案におきまして、文部大臣も協議大臣という位置づけをされております。先生指摘のように、大学等の地域配置の適正化を図るということは、地域社会の文化あるいは産業の振興に資するという観点から極めて重要なことであるというふうに私ども認識しているところでございます。  この観点に立ちまして、従来から幾つかの施策を講じておりますけれども、例えば先生今御指摘になりました大学の誘致あるいは新設ということに関しましては、昭和五十年代から大都市における新増設を抑制し、地方における整備中心に行ってまいりました。平成年度以降は十八歳人口が急減する、こういう時期を迎えますことを考慮いたしまして、大学審議会の答申にも沿って、今後新設については原則抑制という方針を前提といたしておりますけれども、その範囲内で、地域配置の適正化という観点から、必要性の高いものには認可をしていく、こういう方針でございます。  また、既設の大学につきましても、学問の動向とか時代要請地域要請等に合ったような教育内容を展開できるようにするために、重点的に学科の改組等を進めてきておりますし、また、昨年は大学設置基準を改正いたしまして、それぞれの大学において特色のある教育、研究を展開しやすいようにしたところでございます。そのほか、産学協同につきましても、共同研究を進めるとか、あるいは国立大学に共同研究センターを設置するといったような施策も進めておりますし、私学助成においても、地方の大学の活性化のための特別補助という事業を行っているところでございます。文部省といたしましては、これらの諸施策を通じて、地域拠点都市における大学等の整備についても適切な配慮がなされていくものというふうに思っているところでございます。  本法案につきましては、冒頭申し上げましたように、このような地域づくりに寄与する人材育成という観点から、主務大臣が基本方針を策定する段階で文部大臣は協議大臣として参画をしてまいりたい、こう考えております。
  87. 吉井光照

    吉井(光)委員 ひとつ積極的に協力されんことを心から要望しておきたいと思います。  次に、この法案は指定地域の資格条件、これはいわゆる各県庁所在地に次ぐところの第二、第三の市とその周辺の町村、こういうことだけで、その下は明確になっておりません。それだけに、もう既に指定希望が各知事のもとにも殺到しておる、このように言われております。どこを指定するのが地域全体の活性化に寄与するのか、こうしたことを最優先に決めるべきであるということは、これは言うまでもないわけですが、実際にはここに利害が絡み合うので、これをどう排除するかの方がかえって問題ではないかと私は思うのです。新産都市やテクノ、このとき以上の誘致合戦とでも申しましょうか、そういったことが起きそうな気配が多分にあるわけでございます。この法案が具体化する段階でも、各省庁が先を争っていた、このように言われているだけに、法案成立後の運用が権限争いの中で行われるのでは困るわけでございまして、このことは地方においても同様のことが言えると思うのです。  特に、地域指定決定権を持つところの知事にとっては、首長選挙の道具に利用される危険性が大であるということでございます。もう既に山口県でもこういう事態が起こっております。近く知事選挙が行われるわけでございますが、指定をしてくれれば選挙を応援するとか、指定を外したならば選挙なんかは全然応援しない、こういう声も出かかっているわけでございます。したがって、こうしたいわゆる利益誘導を排除するためには、指定された地方自治体の中で中立的な立場で調整検討できる地方拠点連絡協議会、これは仮称でございますが、こうしたものを設置して、ここに実質的な決定権を付与してみたらどうか、私はこのように思うわけでございます。  無論、議会の存在を排除するわけではございません。しかし、この法案は全く画期的な法案でございます。政府の方も長年かけていろいろ検討されたようでございますが、今までの縦割りの形態をなくした法案、恐らく皆さん方も清水の舞台から飛びおりるしうな気持ちでおつくりになったのではないかという気がするわけでございますが、しかしながら飛びおりて腰が抜けたのでは困るわけでございまして、こうした画期的な法案にもかかわらず、この間からのいろいろな審議過程を聞いておりますと、政府側の受け皿、それから窓口、連絡体制、そうしたものが何かはっきりしない、このような気もいたします。私は、こうした画期的な法案地方へ投げかける以上は、それこそこちらの方が画期的な体制づくりをやって、そしていつでもいらっしゃい、どんなことでも持ち込んでいらっしゃい、こういう堂々と胸を張って言えるような体制が欲しい、このように思うわけでございますが、御意見をお聞かせ願いたいと思います。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  88. 小島重喜

    小島政府委員 おっしゃるとおりに、この法律案はできるだけ地方の自主性を最大限に尊重するということと、もう一つ関係する多くの省庁が一丸となってそういう地方自治体あるいは地方拠点都市地域の要望と申しますかそういうものに、意欲にこたえよう、こういうことが主眼でございます。そういう意味で、政府の中の六省庁を初め関係省庁一丸となって、私どもは今先生の御指摘のあったようなことのないように、政府の中ではやってまいりたい、かように考えております。権
  89. 吉井光照

    吉井(光)委員 まだ答弁がちょっと半分ぐらいですけれども、次に進みます。  公有地確保と絶対的所有権、この調整でございますが、これも先ほどからいろいろと質疑がありました。地方拠点整備事業は広域的な広がりを持った地域指定になるわけですが、絶対的土地所有権の権限、いわゆるこの制限がなければなかなか実現不可能ではないか、このように思います。そして所有権者の協力いかんでは、場合によってはこれは絵にかいたもちになりはしないか。そういった意味で、土地を絶対的な資産と見ている所有権者の認識を変えること、そして現実問題として、これを変えるということは相当難しい作業だと思います。既に土地に関するところの宣言法、憲法と言われておる土地基本法というのが成立しているわけですが、政府としてはこうした問題にどのように取り組んでいかれるおつもりか、お聞かせを願いたいと思います。
  90. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 土地基本法の二条は、ただいま委員が御指摘になりましたように、「土地については、公共の福祉を優先させる」という旨を定めておりまして、これは具体的には、土地につきまして、公共の福祉のためその特性に応じた公共的制約が課されるということを明確にしたものだろうというように私ども考えておりますし、国会の御議論を通じてもそういうことが明確になったわけでございます。  一方、ただいまお話のございましたように、我が国の法体系の中で、憲法二十九条でございますけれども、第一項で財産権の保障という規定、それから二項で、法律によりますれば財産権の内容について公共の福祉を理由とする制約を課することができるという旨が定められておりまして、私どもは土地基本法は、この公共の福祉による財産権の制限を土地についてより明確にしたというように解釈できるのではないか、かように考えているところでございます。また、民法一条でも「私権ハ公共ノ福祉ニ道フ」ということにされておりますが、土地基本法は、土地の所有権等についてこの原則をより一層はっきりした。言いかえますと、土地は公共の福祉に従った利用が優先されるべき特殊の財であるということが土地基本法によって明確にされましたし、民法学者の間にも、憲法の有権解釈ということで確立したから、これからの立法政策についての一つの指針を与えるものである、こういうようにおっしゃる方もいろいろいらっしゃいます。  私どもといたしましては、土地基本法の制定一つのねらいが、こういった土地についての基本理念と申しますか、公共の福祉の優先というものを、国民を初め関係者みんながそういうコンセンサスのもとでいろいろな経済活動あるいは生活、社会活動をやっていこうということにあるわけでございますので、たまたまこの四月は土地月間ということで、そういうことについてのいろいろな普及活動もやっておりますし、あるいは青少年のときから土地についての基本理念を周知徹底していただくということで、中学、高校生用の副読本「わかりやすい土地読本」というものを十数万部づくりまして、文部省等々の協力も得まして配付をしているというような努力を逐一やってまいっておるところでございます。
  91. 吉井光照

    吉井(光)委員 しっかりした努力をお願いしたいと思うのですが、実際問題として、現地へ参りますというと、例えば国道の拡幅をする。ところが、一軒二軒反対をしておる。したがっていつまでたっても、五年たっても六年たってもその一軒二軒のためになかなか拡幅が思うようにいかない、こういう事例がやはりあちこちあるわけです。そしてそこの一、二軒が反対のために、今度は道路を曲がりくねった道路にしなければならない、こうした道路ができ上がった、こういう事例もたくさんあるわけでございます。いわゆる土地に対するところの執着といいますか、今まではバブル経済の中でいわゆる土地というものが一つの投機と考えられてきた、こうしたこともありまして非常に難しい問題だろうと思いますが、どうかひとつしっかりした御努力をお願いしたいと思います。  次は、ちょっと確認しておきたいのですが、いわゆるこの地方拠点法の目指すところの一極集中の是正と地域活性化、こうしたことは、四全総を受ける形で四年前に成立をいたしました多極法、このねらいとほぼ同じではないか、こういう意見もございます。建設省は、この多極法は基本法で拠点都市法実施法、このようにおっしゃるわけですが、やはり屋上屋を重ねているように思うわけでございます。また、総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法や新産都市法それから頭脳立地法、こうしたいわゆる地方の拠点開発という点では同じ発想に立っているのではないか。これらの拠点開発というのは必ずしも成功しているとは言えない部分もあると思うわけですが、この拠点都市法とはどのような関係になるのか。これは連合審査におきましても、この点についての質問集中したわけでございますが、もう一度ひとつ確認をしておきたいと思います。
  92. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のように、現在各種の地域立法がございます。過疎法、あるいは離島、山村といったいわゆるハンディキャップ地域の振興を図るもの、さらには新産あるいは工特、さらにはテクノ、頭脳、リゾートというように、ある意味で特定の機能というものを集積することによって地域の振興を図ろう、こういうような幾つかのものがございまして、その時代その時代要請に応じて立法がなされてきたわけでございまして、それはそれなりの成果が上がっておるというように考えておるわけでございます。  そして本法案は、御案内のとおり、従来のこういう地域立法と大きく異なりますのは、一つは、地方の言うなら自立的な開発、発展の拠点となるようなそういう都市並びにその周辺を対象にいたしまして、しかもそれについて国の方が一定の方向性を決めるのでなくて、地域がどういう方向に行くのか、そしてその中で都市機能という側面と居住環境の整備という、それをしかも地元が中心になってやる、こういう仕掛けになっておるわけでございまして、従来のものと比べますとより一層総合性の強いものになってきておると言うことができようかと思うわけでございます。従来のいろいろな地域振興立法も、現在でもまだそれなりの役割を果たしておると私どもは思いますので、従来のそういうものと相まってやっていく必要があるのではないか。  と同時に、特に先ほどお触れになりました多極法との関連で申し上げますと、多極法にいいます振興拠点地域というようなものは、全国的な規模でのものでございます。今回は、どちらかというと県内の二足地域を対象にした、しかも都市並びにその周辺を対象にしておりますのと同時に、先ほども答弁申し上げましたように、基本的には多極法の言うならば理念をこの法律によって実施をしていく、そういう意味では実施法的な性格を有するものである、かように存じておる次第でございます。
  93. 吉井光照

    吉井(光)委員 次に、リゾート法事業の見直しと地方への影響でございますが、政府は四月十六日に、バブル経済崩壊の影響と類似施設の乱立から計画中断が相次いでいるところのリゾート事業、これにてこ入れをするために、五年前に施行されましたリゾート法で承認した全国三十五道府県の基本構想を全面的に見直す方針を固めた、こういう報道がされております。これを受けて、国土庁、運輸省それから建設省など関係省庁は、実現の可能性の高い事業を選び出して、そしてここに公的資金の補助やそれから税制の優遇策を強化し、そして計画推進の後押しを図るという。十年単位の取り組みが必要とされるリゾート事業であれば、少なくとも経済社会変動などある程度の不安定要素はあらかじめ加味した上で事業化されているはずでありますが、国はこうした深刻な事態を招く前にどうして手が打てなかったのか。  こうしてリゾート法が暗礁に乗り上げたということは、一方返せば政府見通しの甘さが指摘される、こういうことも言われているわけでございますが、私は、支援対象事業選定にいわゆる漏れた地方自治体、先ほどちょっと国土庁長官が御答弁なさっておりましたけれども、この自治体はどうなるのか。結局中途半端で終わってしまう、結局それが今度は地域住民にはね返って地域住民の負担になりはしないか、こういうことを懸念するわけでございますが、いかがですか。
  94. 東家嘉幸

    東家国務大臣 先ほども若干木間先生の関連の中で御答弁申し上げましたが、このリゾート法はその時代要請に応じた支援体制であったと私は思っております。確かに今若い人たちが海外に求める余暇、レジャーというものは大変な数に上っておりますし、やはりそうした負担を少しでも軽く、そして余暇をどう有効に活用してもらうかというようなことでの出発点であったろうと私は思っております。  がしかし、経済の大きな変化がもたらした今日の行き詰まりの状況に部分的なものがあるということはよく承知いたしております。がしかし、私もいろいろなその地域皆さん方から、今日の経過そして将来の見通し等もお聞きいたしますと、非常に将来に向けて私どもは成功の方向に進んでおりますというところもございますし、中には少し数が多過ぎたというようなこと、また経済の変化で企業そのものが倒産した、計画が行き詰まりした等々の問題がございますから、やはり先ほど申し上げますような国土の総合的な利用というものを、リゾート、保養地域整備ということだけではなくて、私は今の段階においては総合的にそうした数というものを検討するべきではないだろうかと思っておりますし、なおまた、このリゾート法、海の利用の活用もありますし、いろいろな角度からの総合的なレジャーの推進を図っている地域もあるわけですから、ここは生かすところは生かし見直すところは見直すというようなことで、今回そういう保養地域についての整備をひとつもう少し研究してみようじゃないかということから、明日からこの研究会が発足し、そして検討いただき、そして私たちもその意見を十分拝聴しながら、そして国土の総合的なそういう開発というものをとり行う方向が今日必要でないだろうかと思っております。
  95. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、この地方拠点都市整備事業は、ある意味では、そのねらいやそれから規模から見ますと平成時代の列島改造論、このように言う人もございます。それだけに、リゾート法事業のようにもう見直しをしなければいけないとか、そういうわけにはいかないわけで、いわば失敗は許されないわけでございます。  現在の経済情勢、株価が暴落をしておる。こうしたいわゆる景気の動向については、専門家筋では大体秋口になれば景気が持ち直すのではないかとか、そういういろいろな憶測がされているわけでございますが、これはたとえ景気がどうあれ、やはり国の長期的な事業には、どんな不測の事態にも対応し得るだけの財源等の安定的な確保が必要不可欠の要素であろう、このように思いますのでなかったならば、最終的には国民にそのツケが回ってくることになるのではないか。政府は、この地方拠点事業の安定的な確保についてどう取り組んでいくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  96. 山崎拓

    山崎国務大臣 まず、先生が先ほどお述べになっておりましたリゾート法の反省に立つ今後の地方拠点都市地域整備の問題でございますが、先生の御指摘のような心配もございますので、私といたしましては、協議会におきまして意見を申し上げるとすれば、これはやはり地方拠点都市となるべき条件を具備いたしましたところから順次、確実な成功を期しまして整備を進めていくべきものと考えているのでございます。この点は、国土庁長官と同趣旨ではないかと考えております。  それから、ただいま申されました財源確保の御質問でございますが、これは一九九〇年代四百三十兆円の公共投資基本計画がございます。この公共投資基本計画をぜひ実現いたしたいと考えておりますが、その際公共投資を行う方向といたしまして、再三申し上げておるように、国土の均衡ある発展という大事な方向に資する形でこの公共投資を行ってまいりたい。そのことは、拠点都市地域整備にこの公共投資が有効に使われることによりまして、その目的に合致するものと考えている次第でございます。
  97. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、このいわゆるリゾート法は自由時間増大への対応とそれから地域振興、内需拡大の三点を目的にしていたわけですが、ところがその後の運用は、民間活力によるところの内需拡大に力点が置かれた、そしてリゾート利用者や地域住民の視点が欠けていた、こういうことを指摘する人もございます。  そこで、今回の法案のねらいの一つ東京からの業務機能移転があるわけですが、地方拠点に進出する企業には、金融や税制両面からの優遇措置が設けられておるわけでございますが、ややもすると企業優先に陥り、肝心の地域におけるところの創意工夫を生かすいわゆる本来の目的から外れる危険も大きいのではないか、こうした点に配慮がされているのかどうか。私は、これは非常に厳しい問題かもしれませんけれども、やはり工場それから本社機能を移してこそ初めてその目的が大いに発揮されるのではないか、初めて地方拠点らしい機能が発揮されるのではないか、このようなことを感じるわけでございます。  山口県も、御承知のごとく人口がだんだん減ってまいります。したがって、人口定住というものを最大のテーマといたしまして種々その施策を施しているわけでございますが、この人口定住ということを考える場合に、まずだれでも考えることは、いわゆる企業を誘致してそして雇用の創出を図っていく、こういうことでございます。ところが、ここ十四年間のこの実態を見てみますと、いわゆる企業の張りついた状況は二百三十五社あるのです。ところが、千人以上の雇用をしておるところの企業はわずか三社でございます。それから五百一人から九百九十九人までは一社、それから二百一人から五百人までが九社、百一人から二百人までが二十三社、あと一人から百名までが百九十九社、こういう実態でございます。となりますと、企業は張りつくものの、いわゆる現在では、先ほど申し上げましたように、わずかな雇用しかない企業しか張りつかないわけですね。  これがオフィスになりますと一体どうなるのかという問題。実際考えてみて、東京二十三区内にあるところのオフィスが、では九州の方へ行きましょう、四国の方へ行きましょうとなるかどうかという問題であります。同じ移転をするならばできるだけ東京に近いところを選びたい、これが普通の考え方ではないかと思うのですね。先ほど通産省の方からの御答弁によりますと、今企業はコストのみではなくして、従業員の福祉の面も考え出して、そして遠くの非常に環境のいいところ、こうしたものも選定をしておる、こういうことでございますが、なるほど東京に来ている人にいろいろ聞いてみましても、あなたはどういうところに住みたいですかと聞けば、いわゆる空の青い、空気のきれいで、そして緑の豊かなところに住みたい、このように口では言うわけですけれども、では実際そちらの方に移って住むかといえば、そうではない。  各県が東京東京事務所を持っております。そして二年ぐらいこちらに滞在するわけですが、最初田舎を出るときには、奥さんや子供さん方みんな反対をするのです。ところが東京へ出てきて二年を経過いたしますと、今度例えば山口の方へ帰りなさい、こうなりますと帰りたくないと言う。なぜこういうところがいいのですかということを考えてみれば、結局情報とかそうしたあらゆる集積ができる、したがって田舎の空気のきれいな緑の多いところにもう帰りたくない、こういう意見が圧倒的なのですね。そういうことを考えてみますと、ただ単にオフィスを向こうに移して地方拠点をどうとかこうとか、こういう議論というのは、私は非常に難しいのではないかという気がするのですが、いかがですか。
  98. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 まず、この法律の体系でございますけれども、私ども、オフィスが移転しても東京のすぐそばに移転するのでは意味がないというふうに考えておりまして、そういう意味地方拠点都市地域につきましては、東京一極集中の是正を図るという観点から、首都圏の既成市街地あるいは近郊整備地帯等、そういう地域を除外して、首都圏を超えて地方に行っていただくということを意識いたしまして法案をつくらせていただいておるわけでございます。  そういう法案の枠組みの中で、先ほど来申し上げましたように私ども地方に企業が展開するということに対しまして、企業、従業員ともに機運も醸成されてきているのではないかという分析もいたしております。千人を超える企業が豊橋に彩られる、あるいは浜松に移られるという事例も出てきておりますし、北海道あるいは九州等においても、最近東京からの移転というのも少なからずあるというふうに認識をしております。ただ、私どもこれまでテクノポリスあるいは工業の再配置というような政策を展開させてきていただいておりますけれども、工場の移転に比べまして事務所の移転はさらに難しい、御指摘のようないろいろな問題があるということも十分認識をしております。  このため、もちろん企業の移転誘導のための税制とか金融上の措置だけではなくて、やはり魅力のある拠点づくり、職住遊学とよく言いますけれども、そういう空間を備えた拠点形成というのが非常に大事ではないかというふうに考えておりまして、これに対しましては関係各省と一致協力をいたしまして、縦割りの弊害を排し、むしろ一足す一が三になるような効果が上がるようなことで拠点の形成を図って、企業の足の長い移転促進に努めたいというふうに考えている次第でございます。
  99. 吉井光照

    吉井(光)委員 では、次に進みます。  先ほどちょっと建設大臣から御答弁をいただいたわけでございますが、公共投資基本計画と地方拠点法との関係でございますが、この地方拠点法は、先ほどからもちょっと話が出ましたいわゆる日米構造協議で決着をした総額四百三十兆円の公共投資十カ年基本計画の受け皿づくりとして、地方自治体では大いに期待をしているわけですが、政府はこの地方拠点法を公共投資基本計画との関係ではどのようにとらえていらっしゃるのか。  ある研究機関の調べによりますというと、既に新潟県の長岡市など全国の二十五の市、地域がこの指定を目指しているようでございます。また、国は今後五年から十年かけて全国で五十から八土地域の指定をしたいという考えのようでございますが、まずは四年度に全国十カ所前後でスタートをして、そして最終的には各都道府県で一、二カ所が指定地域になる見通しのようでございますが、この地方拠点都市整備の全体計画は、公共投資基本計画との関連でいえば、計画期間と総事業費のおおよその見通しぐらいは私は立てるべきではないか。立っているかもしれませんよ。例えば厚生省を初め他の省庁が多く関係しておるところの老人福祉十カ年戦略、ゴールドプランは十年間で約六兆円の事業費をつぎ込む計画、そしてこれは国と地方と民間で各二兆円ずつ負担をする、このように非常にはっきりしております。  この地方拠点整備におけるところの地域数や計画年数、それから総事業費等の全体計画がはっきりしない一方、公共投資も十年間で四百三十兆円と言うだけで、具体的な年次計画などというのであれば、こうした中で想定する地域の数が多過ぎた場合、公共投資というものがどんぶり勘定になりはしないか、いわゆるばらまきにつながるのではないか。そして実効性を甚だ疑問視する専門家もいらっしゃるわけですが、大臣、こうした懸念はないでしょうか。
  100. 山崎拓

    山崎国務大臣 公共投資の四百三十兆円の大枠の中で、当然この事業は進められていくと思います。もちろん、公共事業以外もこの整備に使われていく。また、あるいはインセンティブとして用いられると思いますが、いずれにいたしましても、公共事業の観点から申しますと、ちょうどこの拠点都市地域整備効果が発現する期間を五年から十年と考えておりますので、公共投資基本計画が十年でございますから、そういう意味でもミートいたしておるところでございます。  この枠内で整備を進めてまいりたいと思いますが、一体拠点都市地域にどれぐらい重点的に投資せられるかということにつきましては、もちろん試算が難しいのでございます。高速道路網ネットワーク整備等は、拠点都市地域周辺のみならず全国的に整備されなければ、そのこと自体拠点都市地域にとりまして有効性を持たないというような事情もございまして、どういうふうに計算をしていくかということは大変難しいことでございますが、大枠といたしまして、たまたま一九九〇年から十年間に四百三十兆円の公共投資が行われる。この機会を逃さず、拠点都市地域整備に関しましても効果ある事業を行ってまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  101. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、地域指定の基本理念を早く明確化していかなければいけないと私は思うのです。拠点都市として指定されるのは、先ほどから申し上げますように各県で一、二カ所としますというと、各県ごとの割り当てという発想が出てきます。しかし、これは非常に画一的であって、広域行政が叫ばれている中で、これも以前にちょっと質問がありましたが、いわゆる県と県にまたがる拠点地域があっても決しておかしくはないと私は思うわけでございます。また、高度な都市機能を持たせ、そこに公共投資を集中させるには、やはり一定規模以上の都市を指定すべきだ、こういう意見もあるでありましょう。  反面、むしろ地方全体の振興という観点から拠点都市をできるだけ多くする、そういう考え方も出てくるわけでございますが、いずれにしても、どのような基本理念を持って指定するのかを明確にする必要があると思いますのでないと、地方はいろいろな面で混乱を来すのではないかと思うのですが、いかがですか。
  102. 市川一朗

    ○市川政府委員 拠点地域考え方につきましては、これまでもいろいろな形で御質問があり、また大臣も含めまして御答弁も申し上げているわけでございますが、いろいろな考え方の中で、やはり私どもといたしましては、地方拠点都市地域のねらいといたしまして、例えば公共事業にいたしましても、どうしても重点投資によって効果をあらしめたいというふうに考えておりますので、いろいろな御議論があろうと思いますけれども、やはり相当程度絞られた地域でないと難しいのではないかというふうに考えておりまして、それが最終的には各県内で一、二カ所ということを考えている根拠になる一つでございます。  その際、地方拠点地域を指定いたしまして効果あらしめるために、幾つかのポイントがさらにあるわけでございます。一つには、先ほどの建設大臣の御答弁でもございましたように、やはり事業の実施の熟度も含めまして計画を実施し、効果が生ずるような条件整備の整った地域でございませんと、単に指定をして十年間それで終わりということになるおそれもあるわけでございますので、そこのところはやはり一つ出てくるのではないかと思っております。  それから二つ目には、地方発展のためのいわば牽引となる拠点、特に若者の定着といったものを基本的なねらいとしたいというふうに考えておりますので、わかりやすく言いますと、県庁所在都市に負けないような拠点をつくりたいという考え方でございますので、やはりある意味での潜在力を有する地域でなければいけないのではないか、こんなふうに考えておりまして、そういったような内容につきまして、この三日間、特に精力的な御質問の中でいろいろ御答弁も申し上げてきたわけでございますが、大筋そういったようなことはわかりやすい形で、基本方針の中ではっきりと明記するということで明らかにしていきたいと思っておる次第でございます。
  103. 吉井光照

    吉井(光)委員 そこで、今から地域指定が行われるわけでございますが、この地域指定外の市町村、これはいわば将来ともあなたのところはもう発展性がありませんよ、このようにレッテルを張られておるのと同じになるわけですね。そうなりますというと、もう半永久的にそのままになる、また過疎がどんどん進行していく、そういう可能性があるわけですが、これでいいのかどうかという問題。この法案は、地方人口減少に歯どめをかけるということを目的としているわけですが、かえってあおる結果になりはしないか。  また、これまでは公共投資の考え方としては、いわゆる各地方均一平等、こういったことで進められてきたわけですが、今度の地方拠点法は、重点整備地域として事業を集中的に進めていく。したがって、従来の行政姿勢の大幅転衡になるわけでございます。省内でも相当な論議があったように聞いておりますが、この指定されない地域との格差がますます拡大していく、そして地域間の不協和音、こうしたものがより大きくなっていくことが心配されるわけですが、この地域間格差の歯どめ策はどのように考えていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
  104. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいま御指摘がありました点は、建設省といたしまして最も基本的な問題点の一つでございまして、御指摘ございましたように、省内でも大分議論をしておるところでございます。現実に私、都市局長を拝命しておりますが、我が都市局でも大問題の一つでございます。  地方拠点都市地域整備効果あらしめるためには、先ほども答弁申し上げましたように、予算の重点配分による重点投資ということはどうしてもやっていかなければいけないというふうに考えておりますが、一方で、例えばナショナルミニマムの最も代表の一つとして、下水道の整備というものが緊急課題としてあるわけでございまして、公共投資基本計画の中でも、その代表例の一つとして下水道の普及率につきましては、おおむね十年後に七割程度まで高めるという内容まで入った位置づけになっておるわけでございまして、その目標を達成するためには、実は、いわゆる拠点的な都市というよりは、最も問題が多いのはむしろ人口五万人未満の市町村、なかんずく町村におきまして、数にしまして千九百に上るわけでございますが下水道の未着手町村があるわけでございます。その下水道は、事業として全く着手されてないところでもそれなりにいろいろなことは施されておりますけれども、やはり長期的には下水道整備を進めていかなければならない。  そういったようなところでの整備はきちっとやらなければいけないということでございまして、昨日の連合審査会でも、建設大臣の方から極めて絶妙な御答弁があったわけでございますが、私どももその基本的な考え方で、私どもの最も基本的な使命でございます住宅、社会資本の整備国土の均衡ある発展と、両立を完全に達成してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  105. 山崎拓

    山崎国務大臣 少し補足させていただきますが、県庁所在地とか政令都市周辺では、当該都市発展のいい影響が周りに出ておるわけですね。一方、県内、先生もそうお考えになると思いますけれども県庁所在地以外、山口県の場合はちょっと特殊ですが、だんだん人口が減っておる、そして衰微していると申しますか、そういう傾向が全国各県とも見られるわけでございます。  でございますから、今度の整備は、県庁所在地並みの都市機能を持ったものを県内にあと一つか二つっくるということでございますから、それは当然くっっけてっくるわけではございませんから、その新しい拠点都市から仮に時間的な距離を三十分とか一時間とか定めまして円を描きますと、大体その全体をカバーするということが出てくると思うのです。そのことによりまして、先生御心配のような県内の不均衡が生じるというよりは、むしろ県内全域に均衡ある発展をもたらす拠点ができていくのだ、そのようにお考えいただければどうかと考えております。
  106. 吉井光照

    吉井(光)委員 非常に将来に明るい一つ見通しのいわゆる拠点法でございますので、どうかひとつ最善の努力をお願いしたいと思います。  そこで、この事業は、公共投資を初めとするところの莫大な事業費が地方都市に重点配分をされるわけですが、問題は、大都市圏でも確保が難しいとされる労働力、いわゆる若者がいない、老齢化した地方でどうしたらこの重点配分に見合うだけの労働力の確保ができるかという問題でございます。  現に、山口県におきましても十九号台風、これはもう相当な月日がたったわけでございますが、いまだもって屋根の修理が行われていないところが随分あるわけでございます。ということは、結学修理をしてくれる人がいない、こういうことでございまして、必要な労働力の確保のために先を争う事態になりますというと、人件費の異常なアップを招く結果になる。ひいては、地方の負担増にもこれがつながってくる。また、管理面からいいますと、これは無理がたたって大事故を誘発する危険性も多い。また、この間からたびたび事故も起きておりますように、全然畑違いの人がそういった作業をしなければならない、こういった大変深刻な事態を招くおそれが多分にあるわけでございますが、政府の万全な対応策、これはどうなっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  107. 田宮実

    ○田宮説明員 労働省といたしましても、今回の地方拠点都市整備事業に基づきまして産業業務施設地方移転促進されますことは、新規学校卒業者の地元就職の促進でありますとか地域の労働条件、雇用環境等の向上、改善が図られるということで、地方活性化、労働者福祉の観点からも非常に望ましいものと受けとめております。  しかしながら、先生指摘のように昨今人手不足という中で、こういった産業施設の移転あるいは公共事業等が短期間の間に重点実施されるということは、一時的にせよ当該地域の労働力需給といいますか、人手不足に拍車をかけるということが懸念されるところであります。こういったことから、こういった事業の具体的実施段階においては、地域の労働力需給の状況に十分配慮していただくというふうになっておりますし、建設業等公共工事に当たりましては、十分に安全対策を講じていただくということでございます。  労働省といたしましても、建設業における労働力確保対策といたしましては、建設労働者雇用改善法に基づきまして、ほかの産業に比べて立ちおくれております労働条件、労働福祉面での改善を推進しているところでございます。また、こういった場合に最も影響を受けます地域の中小企業事業主に対しましては、昨年八月より実施しております中小企業労働力確保法に基づきまして、労働時間の短縮でありますとか省力化設備の導入、職場環境の改善、労働者の福利厚生の充実等雇用管理の改善を支援しておりまして、こういったことでそれぞれ職場の魅力づけを図っておりまして、労働力確保を推進しているところでございます。  労働省といたしましても、これらの対策を今後とも関係省庁と十分連携をとりながら、積極的に実施してまいる所存であります。
  108. 吉井光照

    吉井(光)委員 それでは最後に、大蔵省と自治省にお尋ねをしておきたいのですが、この改正案の最大のポイント、これをよく見ますというと、地域の自主性尊重というものが大きく前面に出ているわけですが、しかしよく見ますというと、地方が自主的に判断するといいましても、それはいわゆる地域指定の段階だけですね。それも国と協議することになっているわけです。そして、支援方法が補助金交付などいわゆる従来の縦割り行政手法、これと何ら変わっていないような気がするのです。したがって、本当に地方の自主性を重視するのであるならば、思い切って補助金の一般財源化をすべきではないか、こういう点と、それから国、都道府県の権限のうち、都市計画であるとか農村整備、教育、文化それから健康保険等、いわゆる地域づくりに関するものを自治体に移管すべきではないか、私はこのように思うのですが、大蔵省、自治省の御意見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  109. 松本英昭

    松本説明員 お答え申し上げます。  財源の問題につきましては、大蔵省の方からもお答えがあると思いますが、御指摘のように、地方の拠点地域整備を推進していきます上におきましても、地方が自主的に使える財源というものは必要であろうと考えておりまして、そういう観点から特に私ども地方が創意工夫を生かして行います地方の単独事業に対して、その財源措置の充実強化をいたしているところでございます。  なお、補助金の一般財源化につきましては、また大蔵省の方からも御答弁あろうかと思いますが、国が義務的に支出する、いわゆる両者の負担関係で支出いたしますようなものは除きまして、いわゆる奨励補助金等につきましては、その役目を果たしたものとか地方になじんでいるものとか、そういうものにつきまして財源を確保した上で一般財源化するという方向で臨んでいるところでございます。  それから権限移譲の問題でございますが、権限移譲につきましても、御指摘のように町づくりとか地域づくりというようなことに関します権限、それは私どもできるだけ地方に委譲していただきたいという気持ちでございまして、第二十一次の地方制度調査会におきましても、そういう項目について取り上げていただいたところでございますが、引き続きその実現に向けて努力をいたしてまいりたいと考えております。
  110. 佐藤隆文

    佐藤(隆)説明員 ただいま自治省の方からも御答弁ございましたが、一般論といたしまして、地方の自主性を高めるために地方の自主性にゆだねることが適当と考えられる分野について、補助事業の一般財源化を積極的に検討していくべきであるという点につきましては、委員指摘のとおりであろうかと思います。  ただ他方、補助金等は、もとより一定の行政水準の維持であるとか特定の施策の奨励といったことのための政策手段として重要な機能を担っておるところでございますので、補助金等の一般財源化を進めるに当たりましては、現行制度の趣旨目的、あるいは地方の事務事業としてどの程度同化定着しているかといった点などを踏まえまして、個別の補助金ごとに十分な検討を行っていくということが必要であろうかと思います。  今のこの地方拠点都市法は、六省庁の共管ということで関連の事業もかなり多岐にわたることが考えられますので、それぞれ異なった政策目的を有する個々の補助金を一括して一般財源化してしまうというのは、なかなか難しい面があろうかと存じます。他方、関係省庁の連携のもと、また国と地方との協力関係のもとにおいて、地方の自主性が最大限に発揮されるという運用が期待されておるということではないかというふうに思います。いずれにいたしましても、補助金等一般につきましては、今後とも一般財源化を含めまして、その整理合理化に積極的に努力していく必要があろうかというふうに存じます。
  111. 吉井光照

    吉井(光)委員 終わります。ありがとうございました。
  112. 古賀誠

    古賀委員長 辻第一君。
  113. 辻第一

    ○辻(第)委員 四月十五日に引き続いて質問いたします。  四月二十日、二十一日と連合審査が行われまして、地方自治との関係でありますとか産業業務施設移転の問題、あるいは東京一極集中の問題など、問題点がいろいろと指摘をされましたが、この法案国土の均衡ある発展が図られるのかどうか、私はむしろ疑問がふえておるという状況でございます。  質問め最初に、地方振興、国土の均衡ある発展との関係で伺います。前回の質問のときに、地方拠点地域の設定に当たっては一都道府県で複数の地域指定などの対応を考えておられる、このような答弁でございましたが、これは各都道府県内での一極集中を避ける、そういう対応策ということでしょうか。
  114. 市川一朗

    ○市川政府委員 地域指定に関しましては、再三御答弁申し上げておるところでございますが、最終的には各県内で一、二カ所という考え方でいかがかと思っているわけでございますが、その基本的な趣旨は、ただいま先生から御指摘ありましたように、県内の一極集中を避けるという観点も十分含んだ考え方でございます。
  115. 辻第一

    ○辻(第)委員 都道府県内の一極集中というのはやはり避けるべきだというお考えだと思うのですが、さて、各都道府県の国勢調査によります人口動態を見てまいりますと、人口の減少は、昭和五十年と五十五年の比較では東京都だけが減少、五十五年から六十年では秋田県だけが減少でございましたが、昭和六十年から平成二年では、人口減少県が東北、四国、九州を中心に十八県と、再び人口減少の都道府県が大幅にふえております。さらに一方、各都道府県内においても、都道府県県庁所在地や主要都市人口集中する状況があると思うのですが、その状況はいかがですか。
  116. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話ございましたように、前回といいますか平成二年の国勢調査の結果を見てまいりますと、今御指摘のような、県庁所在都市に対します人口一極集中化の傾向はかなり激しいものがございます。例えば、北海道の札幌などは全人口の三割近く、それから東京は別にいたしましても、富山がやはり二九%、石川に至りましては三八、福井で三〇%というように、県庁所在地に対します人口集中の傾向がかなり顕著でございます。四十七都道府県のうち、三十六の県庁所在都市人口増になっておる。こういうことを考えてまいりますと、やはりこれらの地域には、ある程度の都市的な機能あるいは居住環境というような面から整備がされておるんだろう。そういう意味で、今後ともこんな傾向が続くのではないかというように考えられます。
  117. 辻第一

    ○辻(第)委員 一方では、非常に過疎化が進んでおります。そして一方、先ほど来お話がありましたように、それぞれの地域での県庁所在地など、人口集中をしておるということでございます。その地方、それぞれの府県、そういうところでの一極集中というのは、やはりいろいろ問題があって好ましくない面が多いと私は思うのですが、地方振興を考える場合いろいろな要素があると思うのですが、その一つに過疎の問題がございます。  地方拠点都市地域の設定によりまして、当該地域への都道府県内からの移動などによる地方拠点都市地域への集中考えられます。政府は、都道府県内での一極集中を避けるために、一都道府県で複数の地方拠点都市地域を置く、こういうことでございますが、都市整備を進めれば、そこへの人口集中は必然的に起こる、結局その周辺の自治体からの人口集中は避けられないと思います。それぞれの都道府県で複数の地域を設けると言われても、一カ所への集中ではないかもしれませんけれども、二カ所三カ所への集中というような状況が起こるのではないか、このように考えますが、お考えを伺いたいと思います。
  118. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のように、日本の状況を見てまいりますと、いわば東京一極集中、そういう同じような構図が各県に起こりつつある。そういう意味では、各県において多極分散型県土といいますか、都道府県土というようなものをつくる必要があるのじゃないだろうか。そういうことから考えますと、今回の地方拠点都市地域というのは、まさに県土を多極分散化する、そういう方向性がはっきりしてきているのじゃないか。  そして今御指摘のように、その中心になります地域と、いわゆる過疎地域といいますか、そういうところとの交通ネットワークというものはぜひ整備していかなければいけませんけれども、そういうものが整備され、そして中心のそういう業務市街地といいますか、あるいは中心地域都市機能というものが高まってまいりますと、そういう地域との交流、あるいはそういう地域からの農山漁村地域へのよい居住環境を求めて分散というようなことがむしろ出てまいりまして、私どもは、この施策が適切に行われてまいりますれば、逆に、言うならば先ほど申し上げましたような多極分散型の県土がそれによってできて、同時にその過疎の問題というものにも大きなよい影響があるのではないか、かように考えております。
  119. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、地元の奈良県に当てはめてお尋ねをしたいと思うのですが、委員長、こういう地図を見てもらいながら質問したいのですが、許されますか。
  120. 古賀誠

    古賀委員長 ただいまの申し出は、許可いたします。
  121. 辻第一

    ○辻(第)委員 ありがとうございます。  奈良県の地理的状況はよく御存じいただいていると思うのですが、これ全体が奈良県でございます。これが大阪市でございます。ここが奈良市でありまして、ここがこれから申し上げます橿原市というところでございますので、大体人口はここへ張りついておるわけです。吉野の花で有名な吉野郡というのがあるのですが、この辺が吉野町ですが、これぐらい、奈良県の三分の二は十分あるのですけれども、吉野郡ということです。三町十村あるのですが、この地域は二、三の町村を除いてどんどんと過疎が進んでおります。昭和三十年、三十五年で十一万人ぐらいだった人口が、今七万ぐらいということで、まだ進行形であります。そういうことで、今奈良県の人口が大体百三十九万です。奈良市が三十五万で、第二の橿原市が十一万七千ということなのです。  これは仮定の話ですけれども、このあたりが今度の地方拠点都市地域というようなことになりましても、やはりまたここへ集中をすると、もともと集中しておる地域でありますが、大阪のベッドタウンで、もう有数の人口の急増地域に入っておるのですが、こういう地域と、本当に深刻な過疎の地域はどうなるのか、それに好影響を及ぼすのか。先ほど国土庁の局長が、そういうところができますと周辺にまで、いわゆる道路なんかを含めてよくなりますというお話でしたけれども、こういうことになりますと、まず逆に、ここへここの人が移動されると、一層過疎を進めるのではないかというのが私ども懸念であります。過疎の問題ではいろいろな形で御努力いただいているのですが、現状やはり過疎が進んできている。日本で有数のいい森林地帯、林業を含めて、しかしもうこのままではどんどん人が減って、将来どうなるのか、日本の大切な国土、森林、それがどうなるのか、心配をせざるを得ない状況なのです。  そういうことも含めまして、国土庁長官お尋ねしたいのですが、あればおととしかさきおととしぐらい、大臣が建設委員長のときに、私も御一緒に熊本の人吉の方なんかも調査に生かしていただいたのですが、おんなしようなことやと思うのですね。関西弁で言うと、おんなしようなことということになるのですが、やはりそういう点で、この地方拠点都市法で本当に過疎の問題の解決になるのか、そこに道筋があるのか、私はやはり非常に心配をしておるわけでございます。そういう点、さらに言えばこの法律によって、今一番深刻な農山漁村などの過疎の問題の解決がどうなるのか、伺いたいと思います。
  122. 東家嘉幸

    東家国務大臣 私は、奈良の吉野地域はよく知っております、昔材木買って歩きましたので。それから和歌山の方もよく承知しておりますが、和歌山の方も、先ほどから、自分のところの地域は大変おくれるんじゃないだろうかというようなこと等の、それの地域地域のことのお話がございました。  確かに、若い女性の人たちはどうしても文化にあこがれるという面がありますし、男の若い連中は遊ぶことを優先しますし、中年の男になりますとこれはもう屋台骨を背負っていかなければならぬから、働くこと、職場をどうしても求めなければいかぬということで、やはり立場立場、イデオロギーの立場は別としましても、やはりそういう違いがあるわけなんです。そういう違いで、確かに文化のおくれもあって地方に定着しない面もあるわけです。  だから、先ほどから都市局長が申しておりますように、新たなそういう拠点をつくることによって、非常に交通網はもう便利になってきているのですから、だからそういう点に居住地域をつくって、そして文化も含めて新しいそういう機能の拠点をひとつつくろうということの発想だと私は思っておりますから、どの地域といっても、やはり時間的な格差は非常にできてきておりますから、第二国土軸の問題も今後生まれてくるでしょう。そういうことからして、やはり地域の格差というものをなくする、過疎をなくするという面からも、私はそういう通勤範囲内の三十分、東京なら一時間半、しかし私ども考えております三十分構想の中でもかなりの地域が入るわけですから、そういう点では私は過疎の対策にもつながるのではないだろうかと思っております。
  123. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣はそうおっしゃるのですけれども、私はそうですかと言うわけにはやはりまいらぬわけでありますが、時間がありませんので。  それと、指定された地域と指定されない地域が当然できるわけでありますが、そうなりますと、そこにやはり格差が出てくると思うのですね。指定されたところへはいろいろ投資がされるわけでありますけれども、されない地域というのは当然おくれてくる。そういうことで、先ほど吉井議員からそういう点のお尋ねもあったわけでありますが、もう一度そういう点での御答弁をいただきたいと思います。
  124. 東家嘉幸

    東家国務大臣 確かに御指摘のとおりでございますが、例えばその県庁所在地のところへどうしても張りつくのです。だから、そういうものをもう二つつくることによって、地域皆さん方がそこに張りつけるような環境をつくろうということで、やはり県の中でも集中する都市を少し分散を図ろうということではないだろうかと思っております。そういう意味からしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、こうした新しい拠点によってその地域がさらにそういう定住者がふえ、そして通勤し、職場も求められるというような、将来の大きな展望に立った開発が必要ではないだろうかと思っております。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 それで、過疎対策でありますとか地域の振興、そういうものを考える場合に、その地域自立することが大事だと思うのですね。それで、基本的には、それぞれの地域で雇用が確保されるということが、人口の流出を防止する上で重要な問題だと思います。都市機能の増進、居住環境の向上は必要なことでありますが、それだけでは問題解決になりません。地方拠点都市地域における拠点地区の整備でそれぞれの地域での雇用が確保できるのかどうか、この点お尋ねをいたします。
  126. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  都市機能が高度化するということは、その機能の高度化に伴って、それだけでかなり雇用力が生じてくるのだろうというように私は思います。それと同時に、今回産業業務施設の再配置というようなことも、まさに私どもはそういうことによって雇用の場の確保ということを大きなねらいにしておるわけでございます。そういう面で、今回の法律の言うならば目的といいますか、それが今申し上げました業務施設といいますか、そういうものを含めた都市機能の高度化、さらに居住環境の整備ということ、この両々相まって雇用の場の確保に努めてまいりたいというように思っておるわけでございます。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 結局、国土の均衡ある発展ということで提案された法律ですけれども、今日の東京一極集中とその対極にあります過疎問題、この過疎地域が解決されるという保証は私はないと思うのですね。  それで、そういうことを指摘して、次に地方拠点都市地域に設けられる拠点地区の問題で伺いたいと思います。地方拠点都市地域にはいろいろな拠点地区が設けられることになりますが、もちろん計画の策定は市町村が今後行うということですが、どのような拠点地区が設定されるのか。すなわち、それぞれの拠点都市に集積、整備を図られる内容はどんなものが考えられるのか、いかがですか。
  128. 市川一朗

    ○市川政府委員 拠点地区につきましては、基本的には都市機能の集積を図るための事業とか、あるいは居住環境の整備を図るための事業を重点的に実施すべき地区として基本計画で定められていくことになるわけでございます。特に、産業業務施設移転の受け皿としての拠点地区の整備といったようなものは、この法案におきますメーンテーマの一つであると考えております。  ただ、これも再三御答弁の中で申し上げておりますように、今回の法案の基本的ねらいは、若者にとりまして魅力のある職住遊学の備わったいわゆる生活空間の創造ということをねらっておりますので、したがいまして拠点地区の種類も、もう極めて多種類にわたっていろいろなものがあっていいのではないかというふうに考えておる次第でございまして、商業機能等の高次都市機能の複合的な集積を図るための拠点地区、あるいは先ほども申し上げました産業業務施設の立地、誘導を図るための拠点地区、それから主としてUターンしてくる方々をねらいといたしました住宅供給のための拠点地区、さらには文教、スポーツ、レクリェーションの拠点地区など、極端に言いますといろいろなものがあり得る、それであっていいのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 今想定されるものをいろいろお話しいただいたのですが、人材育成、地域間交流、教養文化等、これらは一つ一つ必要なことで大事なことだと思うのですが、地域の振興と結びつくことが必要だと思います。  それで、民間のつくられる教養文化施設等に係る支援措置として、地方税の特例及び不均一課税に伴う減収補てん措置がございます。つまり民間がそれらの施設を設置する場合のための規定でございますが、すべての地方拠点都市地域産業業務施設の集積を促進する拠点地区を設定するわけではありませんし、また産業業務施設移転してくる保証もないのですね。ですから、民間の教養文化施設が実際実現するのかなという疑問を呈しておきたいと思います。これはもう答弁は結構でございます。  次に、今回の制度では地方の自主性が強調されております用地方拠点都市地域整備に当たって特に必要なことは、地方独自の歴史でありますとか文化でありますとか産業、風土などを生かした町づくりだと思います。また、地場産業の振興ではないかと考えます。それで、法律はまだ審議中ですが、既に一部の都道府県では拠点都市地域の選定のための調査費を予算に計上したり、あるいは対策チーム等の設置あるいは市町村への打診を始めております。一方、市町村の側でも、例えば新潟県では長岡市は国、県への陳情や構想策定の準備を始めたそうでございますし、福島県でも、福島市などを中心にした県北地域で県に要望を出された。また、会津やいわきなどの地域でもそれぞれ同様の動きが出ており、福島県の中で動きのないのは一地区だけだ、こういうふうにも言われております。宮崎県なども、複数の地域で陳情が行われておる。まず指定を受けるための陳情合戦の様相を見せております。どうも、具体的な内容よりも、まず指定を早く受けるための動きが先行しておるように見えます。  これも、補助金の優先採択が考えられる中での財源確保ということではないかと思いますが、陳情合戦は、まず県内では指定地域となるための誘致合戦、次に早い年度に国に認められるための誘致合戦、さらに産業業務施設の誘致合戦、こういうふうになることは目に見えております。内容よりまず指定などという状況に対して、どのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  130. 市川一朗

    ○市川政府委員 ただいまのお尋ねに関しましては、関係省庁間で一番議論して詰めてきた点でございまして、できるだけ今回のスキームがそういった形での地方における陳情合戦にならないように、これはいろいろ今までの地域立法の中でそういう経験を私ども持っておるものでございますので、それを避けたい。  しからばそれにはどうしたらよろしいかということで、かなり思い切った地方の自主性の尊重、地方の創意工夫が最大限発揮できるような仕組みにしようということで、御案内のとおり地方基本計画につきましては、国は直接的な関与を一切やらないということにしたわけでございますが、確かに地域指定に関しましては数を絞る必要があるとか、先ほど来御答弁申し上げておりますようにいろいろ考え方もありまして、しかも主務大臣協議ということになっておりますから、どうしてもそこで主務大臣協議をクリアしなければならないというところで、今御指摘のような動きがあろうかと思いますけれども、とにかく基本的にはそれぞれの県の中でしっかりとした議論を固めていただいて、そこでやっていただきたい。  もちろんそういう中では、これも先ほど来御答弁している点でございますが、実効性が上がるようにしなければならないという意味では、もうとにかくよくよく関係者、協議に協議を重ねながらやっていくということに尽きるわけでございまして、それを陳情合戦という形で見られないように、私どもとしては最大限努めてまいるということを申し上げたいと思う次第でございます。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、今回の制度が中小企業にとって、また地場産業にとってどんなメリットがあるのかな、どのように対応されるのかなということをお尋ねしたいと思います。  それから地方都市では、小東京ではなく、地方の特色を生かした産業振興が非常に重要だと思います。業務用ビルやテレビ電話もいいのですけれども、再配置企業だけではなしに、本当にその地域の中小企業や地場産業を含めての振興が行われるように、十分な配慮と措置が必要ではないか、このように考えますが、答弁を求めます。
  132. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 御指摘のとおり、地方拠点都市地域整備を図ります上で、東京からの企業移転促進というだけではなくて、やはり地方の特色を生かした産業振興、こういうものも極めて重要だと、私どもまず基本的に認識をしております。  そこで、今回の対策との関連でございますけれども、今回の対策におきましても、大きく分けまして三つの措置を講ずることにしております。一つは、地元企業の業務施設の新増設、こういうものに対しましても、拠点地区で行われます場合に税制、金融上の優遇措置を講ずるというのが第一点でございます。第二点は、地元企業も含めまして業務活動の円滑な展開を支援する中核施設、例えば共同会議場のようなもの、こういう整備のために地域振興整備公団による出資等の支援事業を予定しております。第三点は、地元企業を中心といたします中小企業対策といたしまして、先生御高承の中小企業事業団の行う高度化資金、これは極めて低利の資金でございますけれども、これについて優遇した条件で貸し付けることとするというような措置を講ずることにしております。  このほかにも、御承知のように、通産省は中小企業対策、地元対策、一生懸命やっておりまして、特に最近は進出企業と地元企業との共存共栄を図るということが非常に大事だという認識も持っておりまして、異業種交流も盛んになっておりますし、技術の交流、そういうものを通じまして地元企業が新たな発展をするというケースもふえているように考えております。いずれにいたしましても、こういう対策の積極的な推進を通じまして中小企業、地元企業の円滑な事業展開を支援して、地方の特色を生かした産業振興を図ってまいりたいと存じております。
  133. 辻第一

    ○辻(第)委員 これで終わります。
  134. 古賀誠

    古賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、明後二十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十六分散