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1992-04-15 第123回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十五日(水曜日)     午前九時五十二分開議 出席委員   委員長 古賀  誠君    理事 片岡 武司君 理事 金子原二郎君    理事 北村 直人君 理事 杉山 憲夫君    理事 渡海紀三朗君 理事 三野 優美君    理事 山内  弘君 理事 吉井 光照君       植竹 繁雄君    川崎 二郎君       瓦   力君    木村 守男君       久野統一郎君    塩谷  立君       島村 宜伸君    野田  実君       光武  顕君    柳本 卓治君       山本 有二君    石井  智君       木間  章君    貴志 八郎君       渋谷  修君    松本  龍君       伏木 和雄君    薮仲 義彦君       辻  第一君    米沢  隆君       和田 一仁君  出席国務大臣         建 設 大 臣 山崎  拓君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 東家 嘉幸君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       藤原 良一君         国土庁長官官房         水資源部長   山内  彪君         国土庁計画・調         整局長     田中 章介君         国土庁大都市圏         整備局長    西谷  剛君         国土庁地方振興         局長      小島 重喜君         農林水産省構造         改善局長    海野 研一君         通商産業大臣官         房審議官    中田 哲雄君         通商産業省立地         公害局長    鈴木 英夫君         郵政省通信政策         局長      白井  太君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      伴   襄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君         自治省行政局長 紀内 隆宏君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   浜田 康敬君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     中澤 佐市君         建設委員会調査         室長      杉本 康人君       ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     柳本 卓治君   米沢  隆君     和田 一仁君 同日  辞任         補欠選任   柳本 卓治君     萩山 教嚴君   和田 一仁君     米沢  隆君     ————————————— 四月七日  建築設備士資格創設に関する請願町村信孝  君紹介)(第九四五号)  住宅等国民生活関連公共事業の充実に関する請  願(小沢和秋紹介)(第一一〇〇号)  同(金子満広紹介)(第一一〇一号)  同(木島日出夫紹介)(第一一〇二号)  同(児玉健次紹介)(第一一〇三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一一〇四号)  同(菅野悦子紹介)(第一一〇五号)  同(辻第一君紹介)(第一一〇六号)  同(寺前巖紹介)(第一一〇七号)  同(東中光雄紹介)(第一一〇八号)  同(不破哲三紹介)(第一一〇九号)  同(藤田スミ紹介)(第一一一〇号)  同(古堅実吉紹介)(第一一一一号)  同(正森成二君紹介)(第一一一二号)  同(三浦久紹介)(第一一一三号)  同(山原健二郎紹介)(第一一一四号)  同(吉井英勝紹介)(第一一一五号) 同月十日  有料道路通行料金身体障害者割引制度に対する  内部障害者等への適用拡大に関する請願金子  原二郎紹介)(第一三二七号)  同(植竹繁雄紹介)(第一三二八号)  同外二件(片岡武司紹介)(第一三二九号)  同(久野統一郎紹介)(第一三三〇号)  同(古賀誠紹介)(第一三三一号)  建築設備士資格創設に関する請願(坂本三十  次君紹介)(第一三三二号) 同月十三日  有料道路通行料金身体障害者割引制度に対する  内部障害者等への適用拡大に関する請願木村  守男紹介)(第一三九七号)  同外一件(北村直人紹介)(第一三九八号)  同(小坂憲次紹介)(第一三九九号)  同外一件(塩谷立紹介)(第一四〇〇号)  同(菅原喜重郎紹介)(第一四〇一号)  同(渡海紀三朗紹介)(第一四〇二号)  同(光武顕君紹介)(第一四〇三号)  同(井出正一紹介)(第一四四九号)  同(萩山教嚴君紹介)(第一五〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再  配置促進に関する法律案内閣提出第三四号  )  離島振興法の一部を改正する法律案起草の件      ————◇—————
  2. 古賀誠

    古賀委員長 これより会議を開きます。内閣提出地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置促進に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
  3. 山本有二

    山本(有)委員 この地方拠点都市法、本日この法律につきまして、成立を待ち焦がれております四十七都道府県引く一、東京以外のすべての地方が、本当に待望している法律を、まず私がその地方の代表ということでお聞きさしていただく名誉を、本当に喜んでおる次第でございます。  さて、本日はわずか三十分でございますので、法の趣旨と位置づけ、並びに東京一極集中是正の話、そしてさらに、地方活性化のことというような順序でお伺いさしていただきます。  最初に建設省にお伺いさしていただきます。  この法律をつくるということは、国土を新しく変えていく、すなわち、国土に変化を持たそう、特に一極集中是正して地方をよくしよう、こういうことでありますけれども、この法律によってつくるべき次なる国土青写真日本人はどういう国に住めば幸せになれるか、こういうことを念頭に置かなければならないと思います。そうであってこそ、この法律が生きてくるし、国民皆さんがこの法律に信頼を寄せるだろうと思います。  ところで、青写真というと、大ざっぱに申しまして、三つぐらいいろいろな識者が言っているように私は思います。  一つは、東京一極集中、いいじゃないか、各地域集中させることは人が効率よく住むことであって、山奥に住んで高いガソリンを使って都会へ出てくるというような不効率をせずに、東京集中させればいいという考え方がA。あるいは、自転車で行ける範囲ですべての買い物ができるというような三十万都市ぐらいがベターだ、これがB。Cとしては、中山間地域まで、一次産業が活発なりし昔の、昭和二十年、三十年ごろのような日本国土、これが一番幸せに生きる道だというように、三つぐらいあるだろうと思います。  こんなことを考えたとき、一体この法律は、どのような国土を目指して考えておるのか、そのことをまずお伺いさしていただきたいと存じます。     〔委員長退席杉山委員長代理着席
  4. 市川一朗

    市川政府委員 この法案を作成するに当たりまして建設省として一番問題意識を持ちましたのは、今回の国勢調査によりまして、人口減少県が十八に及んだ、五年前の国勢調査では秋田一県のみでございましたが、十八県に及んだということにかなりショックを受けまして、これは、一極集中問題あるいは多極分散型国土形成という観点から極めてゆゆしき問題である、今までもいろいろな施策を講じてまいりましたが、何とかより有効な施策を講ずる必要があるのではないかということを考えたわけでございます。  その際に、もう一つ分析してみますと、人口は減少しておるところであるにもかかわらず、主として県庁所在都市中心でございますが、それぞれの県の中で一カ所ぐらいは人口がふえているところがある。それがまた、県内一極集中という問題も起こしているわけでございますが、しかし逆に、地方における人口問題あるいは業務施設機能集積問題等も考えますと、そういった頑張っている都市は何とか対応できているところもある。  とするならば、この辺のところにひとつ着目いたしまして、各県の中でそういったような都市をもう一つ、二つつくっていきまして、それが県内の中でバランスよく配置されるならば、県内一極集中是正されながら、ある程度の若者の流出を食いとめるような形で県土の発展が図られるだろう、こんなふうに考えた次第でございまして、先生先ほどのA、B、Cという三つの分析でまいりますと、もちろん基本的には、Cで述べられましたように、国民どこで住んでも幸せな生活がエンジョイできるということにあるわけでございますが、どちらかといえば、やはりこれから地方が頑張っていただくためには、ややBに近いような形で拠点的な都市地域をもう少しふやしていく、それが有効なのではないかというふうに考えた次第でございます。
  5. 山本有二

    山本(有)委員 よくわかりました。  その国土形成を考えておるのが、国土庁がつくりました四全総であろうと思います。四全総もできてから二、三年たちますから、大分様子が変わっているとは思いますけれども、基本的には、我が国四全総で今国土形成を考えておるわけであります。  そこで国土庁に、この法律四全総とどういう関係を持たしてこれをつくられてきたのか、お伺いさしていただきたい。
  6. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今先生からお話ございましたように、現在の国土計画といたしましては、第四次全国総合開発計画昭和六十二年につくられまして、もう五年くらいたっているわけでございますが、四全総の基本的な理念というのは、御案内のとおり、東京一極集中是正して、そして多極分散型国土形成を図る、こういうことでございます。  そういう中で、多極の極としての位置づけといいますか、それは、やはり地方におきます核都市というものが何と申しましても大変重要な役割を果たすんじゃないかというように考えておりますが、四全総におきましても、地方都市は今後都市機能集積地域発展に果たす役割がますます重要になってきている、こういうような記述がございまして、この法律におきましても、先ほど市川局長から御説明申し上げましたように、都市機能集積というようなことを目的にしてやっておりまして、そういう意味では、四全総の多極分散型国土形成に大変有効な手だてではないか、かように考えております。
  7. 山本有二

    山本(有)委員 四全総に沿う法律であろうということでありますけれども、これまでに四全総の中で、多極分散国土の均衡ある発展ということのテーマで過疎地域活性化特別措置法とか半島振興法とか、いろいろな法律がたくさんできまして、そして、それぞれ地域活性化しようと努力をしておるわけでありますけれども、さらにこの上にこの法律をつくるということになりますと、両者の、この法律とそのほかの法律との関係というのは、どういうものになるのか、御質問いたします。
  8. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今お話ございましたように、従来、いわゆるハンディキャップ地域に対しましては、過疎法でありますとか、離島山村法、それぞれいろいろな各種地域振興立法対応しておりますし、一般的なものといたしましては、例えば新産法でありますとか工特法、テクノその他の法律対応してきておるわけでありますが、従来の法律は、どちらかといいますと、都市機能だとか住環境だとか、そういうものについて、総合的な視点からというよりも、特定機能集積といいますか、そんなことを主として目的とした法律でございまして、それはそれなりに意味はあるわけでありますけれども、やはり都市というものを考えた場合には、都市機能というのはある程度丸くなければいけないだろうということで、今回はそういう観点から、この拠点地域を一体的、あるいはある意味では総合的に整備しよう、こういうことでございまして、従来の法律とは若干切り口が違う、かように考えております。
  9. 山本有二

    山本(有)委員 私は、この法律は非常に画期的であると評価をいたしております。それは、先ほど局長さん、お話しいただきましたけれども、ハンディキャップ地域、これに対する法律はたくさんありました。また、大都市に対する法律もたくさんありました。しかし、地方都市地方の個性が本当に出せるような都市に対しては、これが初めてでなかろうかというように思っております。  そういう意味で、この法律というものに私は大変期待をしておるわけでありますけれども、さて、四全総の中で多極法というのがあって、国土の均衡ある発展をこれで図っておるわけでありますが、しかし、多極法とこの法律というのは、非常に兄弟みたいに似たような目的であり、かつ、似た機能を持っておるというように私は思うのでありますけれども、では、具体的にこの法案と多極法とどういう関係にあるか、お示しいただきたいと存じます。
  10. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘ございましたように、多極法でございますが、これは、第四次全国総合開発計画の言うならばメーンテーマといいますか、それが多極分散型国土形成する、こういうことでございまして、多極法というのは、そういう意味では、言うならば四全総のある意味での実施法的なものでございまして、御案内のとおり、大都市圏からの国の行政機関移転でございますとか、あるいは地方振興についての基本的な施策、あるいはその中でのいわゆる振興拠点地域制度でありますとか、あるいは大都市圏内業務の再配置といいますか、そういうことで、業務核都市というような幾つかの制度があるわけでございます。  その中で述べてございますように、例えば民間の施設というようなものは、できるだけ地方移転するように努めなければならぬとか、あるいは地方振興の基本的な方策といたしまして、地方都市とあるいはその周辺の地域を一体としたような整備を図るように努めなければならない、こういう規定がございまして、それらは、言うならば訓示規定でございますが、その訓示規定を具体化するために今回の法律をつくったという意味で、ある意味では、基本法であります多極分散型国土形成法実施法的なそういう効果といいますか、あるいは機能というものを持っている、かように考えております。
  11. 山本有二

    山本(有)委員 私もそう思っておるわけでありますけれども、いろいろ本を読んでみますと、学校の先生あたりは、これは屋上屋を重ねることになるむだな法律だというようなことをまともに批判されておる人もございます。それで、名誉を回復するためにも、屋上屋を重ねることじゃないというところを御指摘いただきたいと存じます。
  12. 小島重喜

    小島政府委員 今のお話は若干誤解に基づく点があるのではないかと思います。  今申し上げましたように、今回の法律は、多極法の言うならば実施法的な性格を有するわけでございますが、その中に、地方振興という中で、先ほども申し上げましたが、振興拠点というような制度がございます。これは、どちらかといいますと、特定機能というものを集積させることによって地域振興を図ろう、こういうような考え方に基づいてこの法制ができておりますが、今回の法律は、そういう特定機能ということではなくて、言うならば総合的な都市機能というものを高めよう、あるいは高次の都市機能集積していこうということでございまして、屋上屋というよりも、むしろ振興拠点地域もこの地方拠点都市地域にうまく活用ができる、言うならばお互いに相補完し合うものである、かように考えております。
  13. 山本有二

    山本(有)委員 相補完する、基本法実施法関係にあるというように理解をさせていただきたいと思います。  もう一つ、しつこいようでございますが、それでは、本法案実施の面での一番の特徴となるところを一点挙げていただきたいと思います。
  14. 小島重喜

    小島政府委員 一全総から四全総までの中で、特に四全総特徴と申しますのは、従来の地域振興がどちらかというと国主導型であったものが、これからは、地域独自性でありますとか主体性というものを十分勘案してというか、それに中心を置いて地域振興を図るべきだ、こういう基本的な地域振興についての考え方があるわけでございます。  そういう点から申し上げますと、今回の法律というのは、先生も御案内と思いますけれども、従来の国主導的なといいますか、国の関与というようなものを比べてみますと、大変地域主導型である。地域の選定も知事でございますし、あるいはああいうような広域にわたる計画というようなものは、本来ですと、県知事がつくって、国が承認するというのが、従来のパターンでございますけれども、それを、関係の市町村が一緒になってつくる、こういう、言うならばまさに地域主導型の地域振興ということが、今回の法案特徴じゃないか。  それと同時に、関係省庁が、それぞれそういう中で持てる力を十分に発揮しながら地域に対して支援をしていこうというようなことで、関係省庁各種支援措置を講じていただいておるという点も、一つ特徴ではないかというように考えております。
  15. 山本有二

    山本(有)委員 ありがとうございました。  さて、この法案名前を見ますと、地方拠点都市地域整備、及びでくくられていまして、産業業務施設の再配置促進、こうあるわけでありまして、つまり、後者が、いわゆる東京一極集中機能地方へ再配置したい、前者が、地方振興したい、こう二つ名前にも掲げられておると私は思います。  そこで、後者の点、すなわち、東京一極集中是正について、これからお伺いさせていただきたいと思います。  一極集中是正するためには、東京機能地方に分散すればいいわけでありますが、私はこれはちょうど桜の樹木、木を移しかえることに非常に似ているような気がいたします。根を傷めないように静かに掘りまして、それを移動させまして、それで地方というところへ植えかえる、こういうようなことがあろうと思います。したがって、まず東京への対応、これが根を掘ることであって、次に地方への誘導、これは根を移動させていくことであって、それで地方へ植えかえる、これが地方受け皿、これが三位一体とならなければ、東京機能地方にうまく分散していかないと思います。  そこで、私はこの点について、通産省が一番このことの官庁ではないかと思いますので、通産省にお伺いいたしますけれども、この東京への対応という意味では、つまり根を掘りまして東京機能を移しかえる、その根を掘るということがどうもないのじゃないか、支援策等々見ましても、東京から排除していこうという積極性が妙に見られないような気がいたしますけれども、この法案の中身で十分かどうか、お伺いさせていただきたいと思います。
  16. 中田哲雄

    中田政府委員 業務機能の再配置促進を図りますためには、委員指摘のとおり、地方圏におきます魅力ある受け皿整備東京から地方圏への移転円滑化、そしてまた、東京における過度集中に対する対策ということがあわせて求められるものと、私どもも認識をしているところでございます。  今般の法案におきましては、第三十九条におきまして、都市計画を初めとする土地利用に関する計画を定めるに当たりまして、過度集中の状況を十分踏まえた対応を求めるという規定を置いているところでございまして、これらの計画策定あるいは見直しの際に、集中が進むことのないように配慮されることを期待しているところでございます。  なお、御指摘既存産業集積に大きな負担を課する、排除とおっしゃいましたけれども、排除をするような措置につきましては、実は私ども、昨年来、これらの点につきましても、産業構造審議会におきましていろいろ御議論いただいたわけでございます。その際に、既存産業集積に直接大きな負担を課するというような措置につきましては、慎重論が非常に多かったわけでございます。これを過度に進めますと、日本経済全体の活力をそぐことにもなりかねないということでございまして、新しい立地増分と申しましょうか、これを地方誘導していくことをまず第一にやるべきであろう。そしてまた、東京におきましては、産業機能生活機能バランスを回復していくべきであろう、こういう議論でございまして、今回の法案のような形にさせていただいておるわけでございます。
  17. 山本有二

    山本(有)委員 それでは、根を掘るところは、これが自由経済市場経済をとる我が国の体制ではぎりぎりのところだ、こういうお話でございますし、今後ふえた分は、機能がふえようとする分は、積極的に地方へ送る、こういうことで理解をしたわけでありますが、じゃ、今度はこれを、桜を地方へ持っていく、誘導の面でございますけれども、これは、この法案で十分か、通産省にもう一度お伺いをいたします。
  18. 中田哲雄

    中田政府委員 地方への誘導策につきましては、税制金融上の支援措置を講ずることとしておるわけでございますが、実は昨年八月に、通産省におきまして、東京本社を置きます上場企業を対象に調査実施いたしました。  そうしましたところ、約四割の企業で具体的な移転計画策定中または検討中という答えがございまして、しかも、これらの移転検討企業の六五%が新たなオフィス取得時の税制面金融面での支援を要望するということでございました。いわば移転コストを低減するための政策措置に対します企業の要望が非常に強いということがわかったわけでございます。  このような調査結果を踏まえまして、今ほど申し上げましたような産業業務施設移転する者に対する税制金融特別償却措置でございますとか、あるいは政策金融中小企業高度化資金活用等を行うこととしておるわけでございます。  さらに、地方におきます業務施設立地環境整備いたしますために、地域振興整備公団によります業務団地造成等整備も進めるということにしているわけでございます。
  19. 山本有二

    山本(有)委員 御努力を多とするものでございます。  先ほど来の答弁の中で、増分機能がふえる分について積極的に地方へ回していただけるということでありますが、例えば上野の、これは話が横道にそれますけれども、上野動物園パンダ、これがもし地方にあったならば、上野公園ヘパンダを見に行きたいという人たちが、たくさん飛行機代を使って、ホテル代を使って、子供連れで夫婦で来るわけでございまして、そんなことを考えますと、これが四国高知にあったならば、随分高知発展が違うだろうというようなことも思います。そんなことを考えるときに、ふえる分はもうこれ以上は東京に置かないでくれ、こういうことを、六省庁皆さんにお願いをここでさせていただきたいと思う次第でございます。  それでは、次の質問でございます。  次に、一極集中の話から、今度は地方振興のこと、つまり、桜の木を植える、今度は移しかえる方の話でございます。  この点につきまして、国土庁にちょっとお伺いさせていただきますけれども、東京機能を今度地方に備えるというわけでありますけれども、一体地方というのはそれだけの力を持っているんだろうか。例えば、ある会社が本社を札幌に移したい、移すと、かえって金がかかるというようなことも聞きます。なぜなら、得意先はほとんど東京であるし、電話代あるいは飛行機代、そんなことを考えたときには、本社の借りたり建てたりする費用は安いけれども、かえって運営面で大変な費用がかかるというようなこともございます。  そんな意味で、現状の地方都市東京機能を本当に受け取ることができるかどうか、その点を国土庁にお伺いいたします。
  20. 小島重喜

    小島政府委員 今御指摘ございましたように、東京とそれ以外の地方都市といいますか、それとの間にいろいろな意味での格差といいますか、それがあることは、事実でございます。それを私どもは是とするのではなくて、今回このような法案をつくりましたのは、何とかして東京に、とは申しませんけれども、かなり対抗できるだけの地方都市機能の増進を図ろうということで、この法案をつくったわけでございます。各種措置によりまして、今おっしゃったような、東京にまともに対抗できるかと言われますと、なかなか難しい点はあろうかと思います。その点、そういう問題につきましては、今お話ございました通信コストの問題だとか、さまざまあろうと思いますので、そういう点も今後さらに検討をして、できるだけ地方への分散を図るような措置を講じていきたい。  今お話ございましたように、仙台でありますとか、あるいは札幌でありますとか、そういう地方中枢的な都市というのは、それなりに東京に対してもある程度の力があると思いますけれども、それ以外、県庁所在地、先ほど冒頭に市川局長からお話もありましたようなそういう地域というものを、さらにビビッドにしていくといいますか、活性化していくということが必要であるというように考えております。
  21. 山本有二

    山本(有)委員 この地方拠点都市地域の指定ですけれども、これは知事さんがやられるということでございますが、私の聞くところによりますと、おおよそ八十カ所が指定されるだろうというように承っております。この八十カ所が多いか少ないか、これはありとあらゆる公共団体は指定していただきたいということでございましょうから、そういう意味では少ない。しかし、財源というのは限られておりますし、しかも東京機能を移しかえて地方へ持っていくということになりますと、しっかりしたものをつくっていかないと東京も移っていけないというわけでありますから、これは集中的な公共投資あるいは投資効果ということを考えたときには、多いような気がいたします。  そんなことを考えてみますと、東京をにらみながらのこの法案であると、多いように私は思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  22. 市川一朗

    市川政府委員 私どもが考えております地方拠点都市地域につきましては、それが地方の自立的成長を牽引いたしまして地方定住の核となるような、いわゆる地方発展の拠点となるべき地域であるということでございますから、御指摘ございましたように、重点投資ということが極めて重要なファクターであるというふうに考えております。そういう意味におきましては、その数はかなり絞られたものでないとその効果は上がらないということは、御指摘のとおりでございます。  しかしながら、冒頭でも申し上げましたように、各県単位でいろいろと問題を抱えておるわけでございますので、各県ごとに抱えておる問題への対応という意味で、県内での一極集中ということもあわせて避けていくような施策を講ずるということからいたしますと、やはり各県二カ所ぐらいは指定していくという考え方でいきませんと、真の意味での生活大国の実現につながらないのではないかというふうに考えた次第でございまして、まさに御指摘のとおり、重点投資としての的を絞るという考え方とそういった考え方とのぎりぎりのところが、県内二カ所ぐらいかなと思った次第でございます。
  23. 山本有二

    山本(有)委員 時間がないので短く答えていただきたいのですけれども、例えば四国、高知とか徳島とかいいますと、高知市内、徳島市内以外はほとんど小さな、本当に小さな町か市がわからないようなところばかりなんですが、県庁所在地、これも指定できるのか、また県庁所在地をちょっと膨らましたぐらいで指定がいただけるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。  というのは、高知にしても、一極集中高知市で進んでいます。しかし、東京機能を移してやろうとすると、どうしても高知市を中心に考えざるを得ないような状況がございます。そんな意味で、県庁所在地がこの指定の中に入れるかどうか、これをお伺いさせていただきます。
  24. 市川一朗

    市川政府委員 基本的には県内一極集中ということもこの際あわせて是正したいという考え方でございますので、第二、第三の都市を優先すべきではないかと考えておりますが、制度論といいますか、この施策の基本的な考え方は、県内事情、なかんずく知事の判断を優先したいということでございますので、一律的に県庁所在都市を外すということではございません。それなりの地域の実情によると考えております。
  25. 山本有二

    山本(有)委員 もう終わりになりますので、最後に大臣にお伺いさせていただきます。  この法案は、本当に積極的な実施法だろうと思います。特にこの公共投資、支援策の中で、都市計画、区画整理事業、これに対する期待というのが、各指定都市では熱くなるというように思っております。これが八十カ所もございます。そうすると、当然その財源の確保は大丈夫かというような点、そして六省庁がそれぞれ寄り合いでこれをつくっておりますし、これをうまく運営が円滑にいけるのかどうか、この二点について、財源のこと、それからうまくこの法案が円滑に将来いけるのかどうか、そこのあたりの取り組みの決意をお伺いさせていただきたいと思います。
  26. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 まず財源のことでございますが、御案内のとおり、一九九〇年代に四百三十兆円の公共投資を行うこととなっております。その公共投資の使途と申しますか、方向性は、一つは、国土の均衡ある発展に資する方向で使いたいということが一つございます。それからもう一点は、今宮澤内閣が掲げております生活大国づくりの方向に資する使い方と申しますか、使途を考えたいと存じます。そういう次第でございますから、この拠点都市法は、そのいずれの目的にも沿う施策でございますので、当然公共投資の重点的な配分がこの施策に行われる、そのように承知いたしております。  それから第二点は、六省庁が共管いたしましてこの法案を提出いたしておるのでございますが、その他の省庁にも御協力いただくことに相なろうかと思いますけれども、特に主管省庁間の連絡調整は十分に行える体制をとってまいりたいと考えております。
  27. 山本有二

    山本(有)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  28. 杉山憲夫

    杉山委員長代理 松本龍君。
  29. 松本龍

    ○松本(龍)委員 松本です。おはようございます。  四月二日の建設大臣の趣旨の説明を受けまして、私は党を代表して質問をさせていただきました。きょうは、一時間という与えられた時間の中で、じっくり腰を据えて質疑を行ってまいりたいと思います。  つい先日、四月十日の新聞に報道されましたけれども、経済企画庁が八九年度の県民経済計算をされました。その中で、「全国平均を一〇〇とする指数で地域間格差を見ると、東京は一五三・五、沖縄は六八・二と、八〇年度以降一貫して格差が広がっている。」というふうな記事が載っておりました。一九六五年から八〇年度までは縮小傾向があったのですけれども、八五年度あたりから東京あるいはほかの地域との格差がだんだん広がっている。これはもう東京一極集中地方活性化待ったなしの状況に来ていると私は思うのでありますけれども、そういった中で今回拠点都市法が提案をされたわけであります。  私は、これをずっと読ませていただきました。これは、私は、今までずっと地域振興策がなくてこの法案あるいはスキームを見させていただくと、これは大変すばらしい法律だなというふうに思っただろうと思うわけでありますが、過去にいろいろな事例がありました。過去のいろいろな経験を私たちは踏まえながら、やはりじっくり腰を据えて議論をしていかなければならないのではないかというふうなことを思っているわけです。つまり、果たして東京から事務所が移転するのだろうか、移転した事務所は、果たしてどこに行くのだろうか。東京から離れたところに行くのだろうか、地域受け皿はつくったが、本当に来るのだろうか、そういったベクトルがしっかり合致をするのだろうかという懸念を持っています。  さらに、ボタンのかけ違いという言葉がありますけれども、その懸念もありますが、ボタンはつくったが、ボタンホールがない、ボタンホールはつくったが、ボタンがないというふうなことすら、今懸念をしているところであります。  この間のほかの党の議員の質問のときに、ある自民党の若手議員がこういう発言を、発言といいますか、壇の下でなさったわけです、ここの委員の方ではありませんけれども。ないよりあった方がいいじゃないかというふうなことを言われました。私は、ないよりあった方がいいということでは、何にも変わらないというふうに考えています。そういった意味で、ないよりあった方がいいではなくて、必ずなければならない法律をやはり提出側はしっかり腰を据えて出してほしいということを、まずもって申し上げておきたいと思います。  ところで、都市局長にお尋ねをいたしますけれども、この法案の作成に当たって、地方の生の声、今何を考え、何を悩んでいるか、生の声を聞かれた経過があるのか、具体的にいつどういう意見が出たのか、そして法案が作成されるまでの経過もあわせて、手短にお答えを願いたいと思います。
  30. 市川一朗

    市川政府委員 まず基本的に、今回主務省だけで六省庁でございますので、各省庁間でいろいろ情報交換いたしまして、また、それぞれのところで地方の声をいろいろ聞いておるわけでございますが、建設省におきまして、まず基本的に所管行政の推進に当たりまして、一番的には毎年度の新規施策を立案するとき、あるいはその具体の予算の配分のとき、そういった機会をつかまえまして、地方公共団体からかなり突っ込んだ意見の聴取を行っておりまして、特に地方活性化の問題につきましては、ここ数年来、私自身も含めて、特に市長さん方あるいは町長さん方から、事あるごとに、それぞれの市町村の実態につきまして、いろいろと御意見を聞かせていただいておったところでございます。  それから、今回の法案作成に当たりましては、特に昨年の秋でございますが、九月から十月ぐらいにかけまして、建設省におきまして、主として県の企画あるいは都市計画の担当の課長さんを中心といたしまして、県内の各都市の状況等につきまして、問題点やら要望あるいは今後のビジョン等につきまして、具体的に聞いております。県数にしまして、首都圏とか近畿圏を除いておりますので、三十九道県について、そういったことにつきましていろいろとヒアリングした次第でございます。
  31. 松本龍

    ○松本(龍)委員 わかりました。  報道によりますと、各県一、二カ所、五年で五十から八十の地域、あるいは初年度で十カ所から十五カ所を目標としているというふうなことが書かれておりますけれども、この報道は果たして本当なのでしょうか。
  32. 市川一朗

    市川政府委員 法案策定までの段階に大分期間を要しましたので、今御指摘ございましたようなことにつきましては、私どもの検討過程でもいろいろ議論の中で出てきた数字でございまして、どうして出たのかなと思う次第でございますが、大体そういった数字を議論しておったことは事実でございますが、しかし現時点におきますと、私ども今考えておりますのは、県内で原則として約二カ所ずつというようなことを基本に考えておりますので、具体的に今五十ないし八十とかあるいは初年度は十ないし十五カ所というような数字でもって関係省庁間できちっと固めているというところではございません。
  33. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私はテクノポリス法のときの九年前の議事録をずっと読ませていただいたのですけれども、あのときも四十地域ぐらいがまず名のりを上げて、法案の審議のときは十九地域ということになって、それでも多いという議論がありました。いわゆるそういった地域が分散されて、しっかりとした拠点にならないという意見もあったわけでありますけれども、現在二十六地域というふうに言われています。  私は、今全然想定をそういった意味でしていないというふうに言われましたけれども、これはただ単なる憂慮であればいいのですけれども、初年度からたくさんの指定地域が名のりを上げることも、私は考えられると思うのです。つまり、先ほど小島局長が言われましたように、今度は特定のいわゆる基盤整備ではなくて、総合的な基盤整備であるというふうに言われました。というのは、いってみればイメージがなかなかわいてこないということもありますし、とにかくいろいろな特例があるので手を挙げておこうという地域があって、むしろ混乱が生じる。ですから、初年度からたくさんの指定地域が名のりを上げてきた場合、どう対応なさるのかというところを、都市局長にまずお答えを願いたいと思います。
  34. 市川一朗

    市川政府委員 ただいま先生の方から御指摘ございましたように、各県単位で考えていただきたいというのが法案の骨子でございますので、各県それぞれにおきまして熱心に取り組まれます結果といたしまして、各県単位で煮詰まってまいりますと、初年度においても全国数としては相当数が候補地として出てくるということは、十分考えられるわけでございます。  そういった問題につきましてどういうふうに対応するかということにつきましては、なかなか難しい問題をいろいろ抱えているわけでございますが、主務大臣といたしましては、知事さんが基本的に選定した案につきましていろいろ協議を受けるという形でございまして、協議を受けた際にどういう形で対応するかということになるわけでございますが、それは、関係省庁間でいろいろと問題意識を持っておりますので、そういった観点からのチェックと、先ほど大臣からも御答弁申し上げておりますように、そういった問題につきまして各関係省庁間で緊密な連絡をとりまして、統一した見解で対応するということになると思います。  建設省の立場で一つ考えられておりますのは、やはりその指定された地域で具体的な事業の実施が行われ、それに対して私どもが重点配分も含めていろいろと御支援申し上げるということを考えておりますので、そういった具体的な事業、計画実施の熟度といったようなところが、一つの基本的なテーマになろうかと思っております。したがいまして、たくさん出てきた場合どういうふうに対応するかということにつきましては、その辺も踏まえまして、いろいろと難しい対応をせざるを得ないなということで、今緊張しておるところでございます。
  35. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今言われましたように、この法案のいわゆる売りの部分、都道府県に主体性、自主性を任せる、知事が指定をするんだというところが、私はそこのところで非常に懸念を持っているところであります。市町村は県知事と協議をしなければならない、県知事は主務大臣と協議をしなければならない。国家行政組織法でも、また地方自治法でも、いわゆる主務大臣の指揮監督を受けるとあります。  つまり、そういった観点から見ますと、そういった調整の段階、絞り込みの段階で非常な混乱が生じるのではないかというふうな懸念を持っているわけでありますけれども、毎日新聞の二月十七日の記事によりますと、「国の役割をあくまで基本方針の策定にとどめるなど、わき役に徹すること。」「指定は知事が行うなど地方役割を重視している点」を評価しています。また、朝日でも二月二十四日、「地方に権限と自主性をより広く認めようとする姿勢がみられるのは、前進といっていい。」というふうに、まさにこの指定を県にさせるという点が評価をされているわけです。  私も一定評価をしているところでありますけれども、そもそもそういった協議あるいは調整の段階でそのスキームが崩れるのではないかという懸念を持っています。過去の例を見ますと、一極集中是正しよう、一極集中是正して地方活性化をしてくれという陳情が、まさに東京集中をして行われているという、非常に、何といいますか、やりきれない例がかつてあったわけでありますけれども、三月二日の日本経済新聞によりますと、既に二十五地域が名のりを上げているというふうに言われています。この真偽は私には今申し上げることはできませんけれども、先般の四月二日の私の質問に対しても、陳情合戦が招来をしないように我々も努めるというふうに言われました。そういった意味で、こういったいわゆる地方の主体性、自主性をしっかり尊重するという立場で、建設大臣、国土庁長官の決意の一端を述べていただきたいと思います。
  36. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 この法案は、地域発展の牽引力となるべき拠点都市地域整備するわけでございますから、そういう意味におきまして、計画地域関係市町村がつくっていただくということでありますし、また、地域の指定も知事が行うということでございまして、あくまでも地方の声を基本といたしまして、かつ、自主性を基本といたしまして、この施策は取り進められるべきものと考えております。
  37. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 少し前段のことを申し述べさせていただきますが、今まで縦割り的な行政の中で、今度六省庁、また協力官庁とともどもに連携しながらこの法案を提出し、そして実効性のあるものにしようということで、私も関係の大臣として非常に関心を持ってそれぞれの経過を聞いてまいりました。よくここまで勉強し、お互いに協調しながら進めてきたものだと、私は今日までの努力にはやはり非常に評価をいたしているところでございます。  要は、これからこれを実効性のあるものにどう取り組んでいくかということは、法案後にさらに各省庁が本当に地域活性化のためにどのように県、市町村と連携を図って取り組むかということが、もう最大の課題だと思っております。そういう意味からも、この法案を成立さしていただいて、そして今まで地方活性化がなかなか思うに任せないということの御指摘を大変いただいておりますことについて、私どもはその責任の重大さを痛感せねばならないと思っております。  少し長くなりましたけれども、さきの総理の主宰する有識者会議の中でも、この新しい法案についての期待とともに、また非常に危惧する声もございましたし、国土審議会でも、いろいろな御意見が出ておりますし、そうした首都移転問題の中でも、そういうものに関連して今まで提言をいただいているわけですから、そういう気持ちで一丸となって取り組むような指導を私たちはしてまいりたいというふうな基本的な姿勢を申し上げさしていただきます。
  38. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お話を伺ったわけでありますけれども、先日私の質問に答えていただきまして、国土庁長官、陳情合戦が今後起こらないようにということに対して、最後の方に、国としても十分相談にあずかるというふうに言われたと思います。私は逆に、相談にあずかってはいかぬ、むしろ地方の主体性、自主性をしっかり尊重するという基本姿勢は絶対崩してはならぬということを、この際申し上げておきたいと思います。  それから、指定要件のことに移りますけれども、二条に四項目ありますが、このほかに何か特別の限定条件といいますか、こういう都市はこの拠点都市にふさわしいという限定条件を設けられるのか、あるいは、人口とか財政力指数、人口密度、インフラの整備状況等々さまざまな角度から、何らかの指定条件を限定されるのかというふうなことをお伺いをします。
  39. 市川一朗

    市川政府委員 基本的な要件は、御指摘ございましたように、法案の第二条に掲げられておりますが、地域指定の考え方につきましては、そのほかに、主務大臣が定めます基本方針におきましてもう少し詳細を明らかにすることとなると考えておりまして、その中で、先ほど来御答弁も申し上げております、例えば県内一極集中が生じないように配慮することとか、そういったようなことがいろいろ書き込まれると思いますが、具体的な財政力指数とかあるいは人口について何万人以上とか、そういったようなことを書くということにつきましては、現時点で私どもは考えてないところでございます。
  40. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私、この間ずっと勉強さしていただいて一つ思ったのは、いわゆる人口とか財政力とかで全然限定をしないということ、確かに地方の主体性に任せるということは一方であるのですけれども、もう一つ考え方として、言ってみれば、何らかの厳しい限定をつけた方が、逆に、このいわゆる拠点都市法の中では、この地域をカバーするんです、ほかの地域はまた別の方法でカバーをしていきましょうというふうなやり方の方が、実はいいんじゃないかという意見もあります。私は、これは二律背反だと思いますけれども、そういった意味で、その考え方について、都市局長、何かお考えがありましたら、しかも県知事が非常に裁量が難しいといいますか、頭をひねるという問題もあると思いますが、そのことについてお答えを願いたいと思います。
  41. 市川一朗

    市川政府委員 地方拠点都市地域の定義をしております法案の第二条第一項第二号のところで一つ例えば申し上げたいと思いますが、「地域社会の中心となる地方都市及びその周辺の地域の市町村からなる地域であること。」ということでございまして、この「地域社会の中心となる」という意味合いは、やはりそれぞれの地方が自立的成長をもたらすためには、ある程度の集積も含めました力のある市を中心とするとともに、また、その周辺の地域につきましても十分思いをいたしまして、その市だけがよくなるということではなくて、その範囲を適度にとりまして、今関係省庁間ではいろいろ論議しておりますけれども、大体、今車時代でございますから、一般の国道から三十分ぐらいの範囲内までは通勤圏であり、また日常の活動圏でもございます、あるいは文化圏でもあるというところで、そこまで幅広に考えていただいて、それで、そこ自体が活性化されることが県全体の活性化につながるといったようなことになりますので、基本方針におきましてどの程度書き込むかはともかくといたしまして、そういったようなことが一つのメルクマールになると考えております。  また、再三申し上げますように、それがまた県内一極集中につながらないように、県内の東西南北のバランスということも十分考えていただく、そのためには、やはり単数ではなくて複数の方がいいのではないかという考え方。それからもう一つ、これは特に私どもの方で強く意識しておることでございますが、大体ある期間で効果を上げたいという考え方でいきますと、具体の事業実施の熟度ということ、いわゆる条件整備の熟度といったようなことも極めて重要なファクターではないか。  そういったようなことはいろいろとお示ししながら、それを踏まえて知事さん方で、知事レベルで真剣に考えていただくということが、私ども考えております理想のパターンでございまして、非常にそこの、先生が一番問題にしております、地方と余り相談するということは陳情合戦につながるのではないかという問題と、また逆に、全部自由にやってくださいというようなことでは、かえって混乱を招くのではないかという御指摘の点につきましては、私ども全く同じような問題意識を持っておりますので、今後また法案のこれからの執行過程におきまして、ただいまの御意見も十分拝聴させていただきたいと思う次第でございます。
  42. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お話を伺ったのですけれども、非常にそこのところが難しい問題であろうし、この法案が生きる、そして死ぬということ、死ぬということは失礼ですけれども、生きるかということに関しては、その辺のところが非常に大きな問題になってくると思います。ですから、十分吟味をされていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それと、今局長、第二条のことを述べられましたけれども、第二条の一、ちょっと国語の問題で申しわけないのですけれども、第二条の一に「次に掲げる要件に該当するものをいう。」ということを言いながら、「人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域及びその周辺の地域であって政令で定めるもの以外の地域であること。」と書いてあるのですが、これは真ん中の「周辺の地域であって」というところで点を打つと、全然読み方が違ってくるというふうに私は思うのです。つまり、「過度に集中している地域及びその周辺の地域」が指定の要件に該当して、政令で定めるもの以外の地域であるというふうにも私は読めたのです。まあ法制局の方に挑戦をするようなことはいたしませんけれども、ただ政令で定めるもの以外の地域と書けば実はよかったのじゃないかなということを、ちょっと申し添えておきたいと思います。  それから、基本方針についてですけれども、これは要望でありますが、基本方針は、いわゆる地域の文化や歴史、特質、主体性、さまざまな地域のあり方があります。過去の事例を見ますと、ある本では、金太郎あめが続出をするとかというふうにいろいろな法案で書かれたりしたこともありました。そういった意味で、基本方針、いわゆるこういう町づくりをするんだということに関しては、極めてフリーハンドにしてほしいということを私は要望したいのでありますが、そのところをお聞かせ願いたいと思います。
  43. 市川一朗

    市川政府委員 先ほど来御答弁申し上げておる点でございますが、地方拠点都市地域の指定は、私ども、協議は受けますけれども、知事が指定する、それから、それを受けまして基本計画の作成は市町村が行うということで、今までの、地域立法に関しましては、先ほど小島局長も詳しく御説明申し上げておりましたように、かなり国の関与という点では少ないように配慮した法案であるというふうに私ども認識しておるところでございます。したがいまして、ただいまの御指摘の点につきましては、具体的な内容を定めるに当たりまして、地域の特性を踏まえた創意工夫が十分に生かされるように配慮した基本方針ということに心してまいりたいと思っております。
  44. 松本龍

    ○松本(龍)委員 それでは、次に移ります。  過去の地域振興策の検証、反省ということについてお伺いをしたいのですけれども、いわゆる新産・工特、テクノポリス、頭脳立地、リゾート等々、さまざまの地域振興策、産業振興策が、ここ三十年来ずっと続いてまいりました。私は先般、地図落としといいますか、市町村別の現況図を見せていただいたのですけれども、テクノポリス法とリゾートが一緒になっている、頭脳とリゾートが一緒になっている、あるいは全部三つのところもあったのでびっくりしたのですけれども、そういった意味で過去の地域振興策の検証、これはもう正味の検証が私は必要ではないかというふうに思っています。  臨時行革審のいわゆる豊かなくらし部会の第二次部会報告、昨年の十二月の五日に出ましたけれども、この中にも、「時代のニーズに応じた地域産業振興を総合的・効果的に進めるため、多岐にわたる既存地域産業振興法について見直しを行い、必要性の低下したもの等の整理・統合、対象地域の見直し等を推進する。」というふうに書かれています。まさに私は、すべてが悪いと言っているわけではありません。しかし、すべてがいいとも言えないということは言えると思います。そういった意味で、過去の検証のぐあい、あるいはどういう反省点を持たれて今回の法案に至ったのかというところも含めて、都市局長の見解をお伺いいたします。     〔杉山委員長代理退席、北村委員長代理着席〕
  45. 市川一朗

    市川政府委員 この点につきましては、国土庁小島局長の方がより詳しいと思いますけれども、一応お尋ねでございますので、御答弁させていただきます。  先ほども話題として出ておったわけでございますけれども、従来のいろいろな地域立法は大きく分けて二つあると思っておりまして、一つは、工業開発とかリゾート開発等、いわばある程度特定機能に着目した地域立法であったわけでございますが、私ども、今回考えました立法のあれといたしましては、やはり総合的な都市地域づくりといいますか町づくりが極めて重要ではないか。なかんずく若者の流出をとめるということでありますと、やはり職住遊学と俗に申し上げておりますが、そういった総合的な魅力ある生活空間というものが構築されることが極めて重要であるというふうに考えておりまして、そこのところが一つ異なる部分ではないかと思っております。  それからもう一つ、いわゆる多極分散法があるわけでございますが、これにつきましては、この法律は多極分散法の実施法的な立場であるという分析を先ほども御答弁申し上げておるわけでございますけれども、多極法におきましていろいろ考えられております中で、特に拠点的な整備を行うものとしても振興拠点というような考え方があるわけでございますが、かなり範囲が広いところを対象としておりますので、その辺のところは、私ども公共事業等を行うという立場から見ましても、もう少し重点的に絞っていく必要があるというふうに考えて、そこのところは、多極法一つ実施法的な立場として特徴ある部分を御提案申し上げたというつもりでございます。  それで、今までの地域立法が必ずしもうまくいっていないという点をどういうふうに踏まえたかという問題意識もあるわけでございますが、かなりうまくいっている部分もあるし、うまくいっていない部分もあるというふうに私どもは認識しております。  それで、今回の法案が、しからば本当にうまくいくのかということにつきましては、こういうやり方で実施させていただけるならば相当程度の効果を上げるということについては、私ども自信を持っておりまして、その際、特に特徴として考えておりますのは、これも先ほど来再三御答弁いたしておりまして恐縮でございますが、いわゆる地方の自主性を尊重する。その地方をどういうふうに持っていくかということを本当に真剣に考えている人は、そこに住んでいる方々でございますし、また、そこに住んでいる方々を代表する首長さん方が真剣に考えることが、やはり一番大事なことであって、まずその首長さん方が真剣に取り組むという姿勢も必要でありますし、その取り組んだ結果として出てくる計画につきまして、国が積極的に支援する、このところをきちっとわきまえていくことが、実効性の上がるものになるのではないかというふうに思った次第でございます。
  46. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今首長さんがしっかりとしなければならないということを言われました。私もそのとおりだと思うのですけれども、実は、この間ずっとさまざまな振興策がとられてきて、なぜこういうことを言うかというと、いろいろな検証をしてみますと、テクノポリスにしろ、リゾートにしろ、いろいろな意味で、全然実効が上がらなかった、かなり実効が上がったということがあります。六割上がればいいのか、七割上がればいいのか。しかし、私はそういった意味でやはり少しでもその法律によって逆に厳しい状況になったというところをしっかりと見据えなければならないということを申し上げておきたいと思います。  つまり、整備はしたが、何もなかった。企業移転してこない、地方の財政をつぎ込んだが、思ったより実効が上がらなかった、そのときの失望感あるいは無力感というのは、これは非常に大きいというふうに思っています。自治体はもとより、地域住民のそのときの失望感といいますか、そういったことを考えたときに、いわゆる法律を提示した側、メニューを出す側の責任としてしっかり自覚をしていただかなければならないし、いってみれば、これは地方にやっていただいているのですから、我々は関係ないのだという言い方は決してできない、私はそのことはしっかり腹に据えてほしいというふうに思います。  今、都市局長振興局長が今までの法律に詳しいというふうに言われましたので、この法律を提示する側、過去の反省をしっかり踏まえて、いわゆる責任を持ってこのことを腹に据えてほしいということを、その決意をちょっとお伺いしたいと思いますが。
  47. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、過去数十年にわたりましてさまざまな地域振興立法を政府として提案し、あるいは議員の議会提案によっても私ども執行をしてきておるわけでございます。それぞれその地域振興立法におきましては、それなりのその時代の要請というものがあってそういうことになっていると思いますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、できる限りそれはその時代に合うような、そういう仕掛けをしていかなければだめだ。それと同時に、今御指摘ございましたように、私どもの仕事といたしましては、やはりせっかくつくった法律がただつくっただけだということではとんでもないことでございまして、そういう意味では、私ども国土庁自体にはそれほど力はないかもわかりませんけれども、国土庁の仕事というのは、皆さん方がそういう仕事をやりやすくしていただくということが大変重要な仕事であろうというように思いますので、関係省庁ともども一緒になりまして、せっかくこの法律を大きなものに育てていきたいというように私は考えております。
  48. 松本龍

    ○松本(龍)委員 お答えはいただいたのですけれども、現実はそうはなっていないことが非常に多い。先ほど言いましたように、地域住民のいわゆる無力感は大変なものだということも、しっかり押さえていただきたいと思います。     〔北村委員長代理退席、金子(原)委員長代理着席〕  私は、戦後日本の復興に際して、周りを海に囲まれた小さな国土日本にあっては、いわゆる東京一極集中というのは政策的に導かれたというふうに思っています。そして私自身も、これは賛否いろいろあるかと思いますけれども、ある時期までは東京一極集中はいたし方なかったのじゃないかな、あえて誤解を恐れずに言えば、そういうふうな視点も持っております。  さらに、中央集権、上意下達のシステムがずっと長年にわたって続いてまいりました。一方で、それに対抗して知恵を出す地域あるいは元気のある自治体が生まれたわけでありますけれども、あえて申し上げれば、それに依拠してきた市町村は、活力や主体性を失ってきたこともまた事実であります。私は、そういった意味では、これからの地域振興策は、非常にドラスチックな転換が必要だと思っているわけでありますけれども、そういう活力を失ってきた自治体に対して、ある人は、中央省庁は、その結果、自治体の行政能力に対して大きな不信があるというふうに言う人もいます。そういったシステムが永遠に続いていくならば、地方の時代という言葉は過去何十年言われてきましたけれども、単なる言葉遊びに終わってしまう、私はそれではだめだというふうに思っています。  私は、いろいろ批判がありましたいわゆるふるさと創生の問題でありますけれども、あれはあの時期、いわゆる竹下首相の人気取りとか予算のばらまきとか言われました。しかし私はあのふるさと創生は一定の評価をしております。といいますのは、いわゆる補助金という概念を変えた、裏負担を必要としないお金である。さらには、いってみれば政治家の裁量権がない、そして人口二千、三千の村にも、また二十万、三十万の都市にも、一億円というお金が出されてきた、つまり逆にいいますと、累進課税という言葉がありますけれども、逆の累進課税みたいなものじゃないかということで、私はあのふるさと創生という部分、一定評価をしている部分があるわけであります。そういった意味で、大きな変換といいますか、大胆な展開がやはりこれから求められているな。この法案の中身については、私はふるさと創生の方がいわゆる発想の転換としては大きかったなというふうに思っています。  一つ、ちょっとここでお話をしたいのですけれども、八年ほど前に読んだロジャー・フォン・イークという人が書いた「頭にがつんと一撃」という本がありまして、これは発想の転換ということを言った本ですけれども、その中に、タイプライター、ワードプロセッサーでキーが、左の上からずっと見ますと、Q、W、E、R、T、Yとなっています。つまりクワーティー配列というのですけれども、これはどうしてできたかということを書いてあったのですが、あれは一八七〇年代に、人間の手が速過ぎて機械がそれに追いつかない、絡まったり機械が故障したりする。したがって打ちにくい配列をクワーティーという配列でしたというふうに書いてありました。それが、いつか変えていこう、変えていこうといいながら、この百何年間ずっと続いてきたわけです。  つまり、一度確立されたルールはなかなか変えることができないということ、つまりタイプライターでさえ時代のニーズに合った変え方ができない、長年確立されたルールはなかなか変更することができないという例でまさに挙げられていたわけですけれども、そういったことを考えたときに、やはり大胆な発想の転換をこれからしていただきたいということを申し添えておきたいと思います。  さらに、都市局長にお尋ねをいたしますが、建設白書というのがありますけれども、建設白書の持つ意味といいますか、簡単にお答えを願いたいと思います。
  49. 市川一朗

    市川政府委員 建設白書は、建設省の年次報告でございます「国土建設の現況」の通称でございまして、御案内と思いますけれども、毎年七月の国土建設週間中に閣議に配付され、その後で発表されているものでございまして、大体建設省の基本的な施策につきまして報告をしているというところでございます。
  50. 松本龍

    ○松本(龍)委員 これは報告のみではなくて、指針みたいなものも含まれるわけですね。
  51. 市川一朗

    市川政府委員 最近は特にその点、意欲的に取り組んでおる報告が多うございます。
  52. 松本龍

    ○松本(龍)委員 恐らくこれからの建設行政、今抱えている建設行政が行おうとすることが書かれているというふうに思うのですけれども、一九八七年度の建設白書を読ませていただきました。ゆっくり聞いていただきたいのですが、四十四ページに「高地価下における都市整備の方策」というのがあります。その中で、「特に都心部での地価高騰への対応として臨海部の再開発や既成市街地の高度利用等によりオフィス床の供給を促進するためには、道路等の都市基盤整備が不可欠であることは言うまでもない。」という一文があります。  さらに、次のページに「規制緩和の前提となる基盤整備」という項目で「ところで、現下の東京整備に当たっては、地価高騰の背景となったオフィス床需要の増大に対応するため、特に民間活力の活用中心とした都心部の高度利用等が急がれる状況にある。」云々とありますけれども、まさにこのことは、今の拠点都市法と全く逆のことをわずか五年前に建設白書の中で言われている。私は、この責任は非常に大きいと思うのです。一極集中をまさに助長してきた建設省の責任は非常に大きいと思うのですけれども、例えば建設白書が二十年、三十年前だと、社会経済情勢が変化したというふうに言うことで片づけられるかわかりませんけれども、わずか五年前の建設白書の中に、まさにオフィス需要を増大しなければならない、それに対応しなければならない、供給を促進しなければならないというふうな一文があるわけです。つまり、そこのところの責任の重大さ、理念がないといいますか、その辺のところを、都市局長、しっかり踏まえて御答弁を願いたいと思うのですが。
  53. 市川一朗

    市川政府委員 私ども、都市政策の最も基本的な考え方といたしまして考えておりますのは、全国どこに住む人々にとりましても豊さの実感できる生活が送れるように整備していくということでございまして、それは都市政策に限りませんで、建設省施策の基本的な考え方でございまして、国土の均衡ある発展というテーマにつきましては、建設省といたしまして、昭和二十三年創設以来ずっと、表現はいろいろと変化しておるかもしれませんが、基本的なメーンテーマであったと私ども思っておる次第でございます。  その際に、都市の問題について考えました場合に、最近特に問題がありますのは、一つ大都市問題でございます。大都市における地価高騰によります問題が特にサラリーマンを中心といたします住宅取得難という形で顕著にあらわれているわけでございますが、そのほかに、通勤難あるいは交通渋滞等の問題がありまして、それをほっておくわけにはいかないというテーマがある。また一方で、特に最近顕著になってまいりました地方活性化問題がある。  実は、地方大都市との人口関係につきましては、十年前の国勢調査ではほとんど東京への一極集中がとまったかのような結果が出たこともあるわけでございますが、それが五年前には秋田で減少が起き、今回は十八道県で減少が起きてきているということで、地方活性化問題、これはもともとメーンのテーマとしてあったわけでございますが、特に顕著になってきた……(松本(龍)委員「今のことについて答えてください」と呼ぶ)そういうことでございます。したがって、そういったようなことから考えて私ども取り組んでおりますので、大都市における、抱えております重要な問題につきまして、私どもそれについて取り組むということも極めて重要なテーマであると考えておりまして、今回地方拠点都市法案を御提案申し上げておりますけれども、建設省施策の中で、なかんずく都市政策の中で大都市問題を忘れているというわけではございません。私どもは、それは両方きちっとやっていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
  54. 松本龍

    ○松本(龍)委員 全然話が違う。この中では今、これはおたくが書いた文章ですよ、「オフィス床の供給を促進する」あるいは「オフィス床需要の増大に対応する」と書いてある。そのことと、今回の法律、オフィス床を減らしましょうということとの整合性があるのかどうかということを今お尋ねをしたわけです。そのことに対してお答えをください。
  55. 市川一朗

    市川政府委員 基本的な考え方につきましては、大都市圏、なかんずく東京圏におきましても、やはり先ほど申し上げたような問題がございますので、それを例えば業務核都市とかあるいは副都心というような形で整備していきまして、東京圏自体の整備ということも必要であるというふうに考えておるわけでございますが、特に東京につきましてオフィスビルの増加を図るという考え方は、今現時点で私どもとっておらないわけでございますが、五年前の建設白書におきまして、ちょっと私、今手元にないわけでございますので、そこのところの分析が不十分でございますけれども、現時点におきまして、私どもは、オフィスビルにつきましては、やはり東京の中でもいろいろと問題を抱えておりますので、ある程度それを周辺に配置するとか、そういった副都心構想、あるいは首都圏の中で業務核都市をつくりまして分散をしていくということも、これもまた重要なテーマであるというふうに考えております。
  56. 松本龍

    ○松本(龍)委員 全然お答えになってない、これは申し上げておきます。  いわゆる東京一極集中を助長してきたということ、素直に五年前のこの文章を、いってみれば、反省をされればいいと私は思うのですけれども、何とかそこに整合性を見出そうとされる、そういったことはだめだと思います。  次の問題に移りますけれども、昨今、いわゆるバブルトラブルということでずっと問題が起きています。新聞を見るたびにいろいろあるわけでありますけれども、けさの新聞でも、バブル倒産が件数一万一千数百の大台になった、負債総額が七兆七千七百億、史上最高額になったというふうに書かれています。いわゆる土地高騰、バブルの問題等々大変なつめ跡を残して今瓦解をしているわけでありますけれども、バブルにまつわる問題でいろいろな訴訟が各地方でも生じている。  そういった中で、地価上昇のことが非常に懸念をされるわけでありますけれども、監視区域の努力規定をこの法案の十八条で設けておられます。しかし、過去後手後手で実効が上がらなかったということもありますし、監視区域だけでは手ぬるいということも言われました。そういった意味で、国土利用計画法の十二条の規制区域はまだ一度も実行されていないわけでありますけれども、自治体はこれに対応するだけの人材、財源がないと言われます。規制区域という条項の是非はともかくとして、監視区域あるいは監視区域の事前指定とかそういったもの、さらに、監視区域と規制区域の間にあるようなもうちょっと厳しい規制をかけるべきであると私は思うのですけれども、国土庁長官の見解をお伺いいたします。
  57. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今日、下落傾向がまだ続くものと思っておりますが、今おっしゃられましたように、我々は、やはり地価というものは高値圏にあるという認識の上に立って、今後構造的整備をさらに進めていく必要があると思っておりますので、監視地域問題等については継続的に行うべきものであろうというふうに私は基本的には考えております。     〔金子(原)委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 松本龍

    ○松本(龍)委員 いわゆる監視区域の努力義務規定だけで事足れりというふうに思われているわけですか、もう一度お答え願いたいと思うのです。
  59. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 各地域地域のそれぞれの御意見がございますことも承知いたしておりますが、監視地域の基本的な理念というものは、やはり高騰する地価に対し、どう抑制するかということの原理を我々はわきまえて今後とも取り組んでいかねばならないということは、不変でございます。
  60. 松本龍

    ○松本(龍)委員 時間がありませんので、次の問題に移らせていただきます。  住民参加の問題でありますけれども、本法案の第六条の八には「関係市町村は、基本計画が第六項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。」とあります。まさに、ここで初めて「公表」という言葉が使われるわけですけれども、この「公表」の意味がひとつわかりません。さらに、いわゆる基本計画策定の段階で情報公開や公聴会などのシステムの導入が必要だと私は思うわけでありますけれども、その辺どういうふうに理解してよろしいのか、お尋ねをいたします。
  61. 市川一朗

    市川政府委員 法案におきまして整備されておるところを申し上げますと、関係市町村が共同して基本計画を定めるに際しましては、議会の議決を経て定められる関係市町村の基本構想に即して定められなければならないということになっておりまして、基本的には、まずそれが、ただいま御指摘がございました地域住民との関係における一つの接点であるというふうに考えておるわけでございます。  それから、基本計画策定は市町村でございまして、御指摘ございましたように、法律上は、基本計画が「承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。」ということになっておるわけでございますが、それぞれの基本計画策定主体であります市町村におきまして、それぞれの実情を踏まえまして、住民参加やあるいは情報公開につきましては適宜講じられるものと考えられているところでございます。
  62. 松本龍

    ○松本(龍)委員 環境アセス等々今非常に問題になっています。いわゆる住民が全然知らされてなかった。いわゆる指定を受けた段階で住民が知らされたということがゆめゆめないように、私はこの点、住民参加ということをしっかり言っておきたいというふうに思っています。  アメリカなどでは、環境アセスのほかに、財政アセスというのがありまして、例えば人口がどのくらいふえるのか、税金がどのくらい減って、どのくらいふえるのか、さまざまな視点から、いわゆるその町の財政がどのようになっていくのかということを住民に知らせるというシステムがあるのですけれども、そういったことも念頭に入れながら、これからの住民参加ということに対してしっかり頑張っていただきたいというふうに思っています。  先ほど来言っております、いわゆる過去の検証として、リゾート法の問題がこのごろいろいろな報道でなされています。そういった点から、三月一日でしたか、新聞に書いてありますけれども、国土庁がリゾート法の運用見直しということを言われておりますけれども、現実に今行われているのか、状況をお伺いしたいと思います。
  63. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、リゾート地域の指定というのは昭和六十二年でございますか、以来、現在三十五地域行われているわけでございます。その間、今お話がございましたような、いわゆるバブル経済の崩壊と申しますか、そんなことがございまして、当時の構想と申しますか、そういうものと現実とのギャップがかなりあるようなところもございます。こういうところにつきましては、当然私どもは、これは国がどうこうするという前に、基本的に都道府県がしかるべき措置を講じていただきたいと思うわけでございますが、あわせて、中長期的に考えますと、良質なリゾート地域整備ということは、国民生活の上でも、あるいは地域振興の上でも、これからやはり大変必要でございます。そういう点で、近々、主として学識経験者でございますが、そういう皆さん方とともども、既にいろいろあるそういうものについての反省、現実のサンプルをとりまして、いろいろな問題点の摘出なりを進めてまいる予定にいたしております。
  64. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お話を伺いました。私は、二月に局長がNHKテレビに出られたのを見て、いろいろな意見を持ったわけでありますけれども、今、財政負担や地価の高騰や環境破壊で、日弁連が廃止を求めたり、いろいろなところからリゾート法に対する意見が出ているわけでありますけれども、私は、いいところはいいとして認めながらも、悪いところはしっかり悪いというふうに言わなければならない、やはり本音の議論で検証なり反省がなされていかなければならないというふうに思っています。そういう意味では、この間のテレビでは、まだ五年しかたっていないというふうに言われていますけれども、私はもう五年たった。したがって、いろいろな環境破壊やら森林の伐採に対して、しっかりした検証を行い、私自身は抜本的な改正が必要であるというふうに感じておるところであります。  そういった意味に関して、建設大臣にお伺いをいたしますけれども、いわゆる環境と開発の問題は大変重要な課題であります。先般、代表質問でも私は申し上げましたけれども、いろいろなところで今森林が伐採され、農業問題も含め、あるいはリゾート問題も含めて、緑が非常に少なくなっている。いってみれば、極論を言いますと、いわゆるリゾート法というのは木を切ることに対して特典を与えるというか、そういうふうなことになっています。しかし一方で、木を植えた人には植林費以外何もないような法律がずっとこの間あるのじゃないかというふうな懸念を持っているわけです。つまり、縦割り行政の中でいろいろなことがやられてきているけれども、総体として日本国土をどう守るのか、どう緑を保全し、土を守り、水を守るのかということが、なかなかトータルとして見えてこない、そういったところの懸念を、私は子供を持つ父親として思っているわけでありますけれども、そこのところの、非常にこれからの最重要課題である環境問題について、最後に建設大臣の御決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  65. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 環境問題は、今日においてもそうでございますが、これから、とりわけ国家の施策の中でプライオリティーが高まっていく、あるいは最優先課題と言ってもいいかと存じております。建設行政を進めます上におきましても、環境問題に十分配慮を加えつつ、これから取り進めてまいりたいと存じております。例えば道路をつくる際にも緑地帯を設ける、従来もそうでございましたが、これからは失われた緑を新しく回復いたしまして、あるいはそれ以上緑をふやす、それぐらいの考え方で、例えば道路づくりにも臨んでまいりたいと思っているところでございます。  環境に十分配慮しつつ建設行政を取り進めていくという決意を申し上げておきたいと思います。
  66. 松本龍

    ○松本(龍)委員 終わります。
  67. 古賀誠

    古賀委員長 渋谷修君。
  68. 渋谷修

    ○渋谷委員 先ほど、松本代議士の方から御質問を申し上げましたが、この八七年の建設白書ですけれども、確かにこの白書では「都心部での地価高騰への対応として」「オフィス床の供給を促進するためには、」云々という施策を明記しておるわけですね。今度の拠点法では、そういう施設も含めてできる限り地方移転しようという話ですね。もちろん、これは今どきの時の流れの速さですから、そのときに合わせて政策が変わるのもやむを得ない。しかし、このときの中曽根内閣の規制緩和、民活導入といった政策を継続をしながら、私もそれなりに資料は調べておりますけれども、そういう施策が都心部の地価高騰に、もちろん他の多くの要素はありますけれども、これも一つの要因になったことは事実ですね。ですから、やはり過去のそういう政策についてきちんとした評価と反省がなければ、今度新しく出してくるこういう法律あるいは新しい政策についても、それが果たしてこれから先の時代にきちんと対応できるものかどうかということが問われるわけですね。このことは、一局長なりその答弁で済む話ではない。大臣自身が、このことについてどういう御認識をお持ちか、まず最初にそのことをお伺いしたいと思います。
  69. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 過去の施策につきまして点検をいたしまして反省すべき点は反省する、そして改善すべき点は改善する、これは御指摘のとおりであると存じております。今後も、建設行政を進めていく上におきまして、その点十分留意をいたしたいと存じます。  ただいまも松本委員あるいは渋谷委員も御指摘されました建設白書のことは、先ほど来やりとりを聞いておりまして、ごもっともな点もあると反省をいたしておるところでございます。ただ、国勢調査は一九八五年に行われておりまして、その際に人口が減少いたしました県は秋田県一県でございました。一九八〇年の国勢調査では、東京のみが人口が減ったという過去の経緯もございます。一九九〇年の国勢調査で十八道県の人口が減少した。最近は、一極集中がこの数年間に急速に進みましたことも事実でございまして、そのことを踏まえまして、このたびの、略称で申し上げますが、拠点都市法も提案をされたその一つの理由でございますが、そういうこともございまして、当時の建設白書は、私ども推量で申し上げて恐縮でございますけれども、やはり都市政策は都市政策として、大都市政策でございますが、一方において進めるという見地から、その点にストレスを置いた指摘が建設白書の中に出てきたものと考えた次第でございます。
  70. 渋谷修

    ○渋谷委員 大都市問題についてはまた改めて、これはもう都市計画法の改正問題等が提案されましたら、そこで十分時間をかけてやらせていただくことにいたしますが、先ほど、反省する部分は反省をしてというお話でしたので、ぜひそういう姿勢を持って政府の施策を展開する上では臨んでいただきたいというぐあいに思うのです。  今この八七年の白書を見ますと、もう一度だけひとつ大臣に確認をしておきたいと思いまして御質問を申し上げたわけなんですが、「地価高騰の背景となったオフィス床需要の増大に対応するため、特に民間活力の活用中心とした都心部の高度利用等が急がれる状況にある。」こういう認識はもうないということですね。大都市問題は大都市問題でありますよ。そういう認識はないということですね。今後の施策の中において、例えば東京圏、大都市圏においては、オフィスをこれ以上供給をする、ふやしていくということでの施策を今後継続する考え方はないということでの反省だというぐあいに理解してよろしいですか。
  71. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 地価政策が別途ございまして、昨年の一月でございましたか、いわゆる総合土地政策推進要綱ができまして、これを進めてまいったわけでございます。税制金融の面が先行いたしましたけれども、このたび都市計画法の改正、建築基準法の改正案を国会に提出させていただきましたのは、都市政策をさらに進めていく見地でございます。  そういう観点から申しますと、これは都市計画法の改正のときに十分論議されるとおっしゃいましたが、その中でこちらも申し上げさしていただきたいと思うのですけれども、やはり住宅地域業務地域を截然と分けるために、さらに用途地域を細分化をいたしました提案をいたしておる、そういうことでございまして、その観点から申し上げますと、先生の御指摘のとおりだと思います。  ただ、需要というものがございますときに、その需要に対しまして供給をしないということであれば、そこでまた別途の問題が生ずるということもございまして、なかなかデリケートな問題でございます。  ただ、拠点都市法は、これは地方人口を分散をいたしたいというのが基本的な考え方でございまして、そのためには産業業務施設を再配置いたしたいということでございますから、先生の御指摘は当たっていると思います。
  72. 渋谷修

    ○渋谷委員 今のお話で、しつこいようですけれども、需要があるからそれに対する供給は対応しなければならない、市場の原理に任せようという話ですよね、そういう限りで申し上げれば。とすれば、拠点法という法律は、少なくともこれは国の施策で一定の支援策を講じ、そういう業務施設を外に持っていこうというわけですから、市場に任せるのではなくて、一定のこれは国が関与をしていこうという発想ですね。そこの部分なんですね。そこをどういうぐあいに理解しているのか。つまり、市場に任せておけば、あるいは東京集中ということの今の現状に任せておけば、どんどん事務所ビルは、これは需要に対して供給ですから、ふやさなければならぬという話になるわけだけれども、これを抑制するという観点から今度の法律も立てるし、今後の施策も考えているという理解でよろしいのですか。
  73. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 地方人口を吸収する需要と申しますか、それが生まれることを私どもは期待いたしておるわけでございまして、基本的には需要と供給の関係で物事が決まっていくのでございますが、施策といたしましてインセンティブを準備いたしまして、新しい需要と供給の関係が生まれるように努力したい、こういうことでございます。
  74. 渋谷修

    ○渋谷委員 そこで、この拠点法の問題に移りたいと思いますが、私は東京に選挙区もありますので、東京から出ていっていただくという側の立場で幾つかの問題点を御質問申し上げたいというぐあいに思っているのです。  そもそも今度のこの法律東京とのかかわりというのは、どういった点に具体的に出てまいりますか。
  75. 中田哲雄

    中田政府委員 産業地方分散を図ってまいりますためには、産業機能地方において整備するための受け皿をつくること、それから移転円滑化するための措置、そしてまた過度に集積をしております地域における立地の適正化を図ること、この三つの対策が必要だというふうに考えておるわけでございますが、今申し上げました三つ目の過度集積地域といたしまして、私ども東京都二十三区を考えておるわけでございまして、その点で東京都と本法案との関係があるというふうに認識いたしております。
  76. 渋谷修

    ○渋谷委員 今、過度集積地域東京の二十三区というぐあいにお答えになりましたけれども、とりあえず今出ております法律を見ましても、その二十三区というところが出てこないのですが、それはどういう形でこの法律の中に集積地域ということで定義されていくのか。
  77. 中田哲雄

    中田政府委員 過度集積地域といたしましては、事業所等の業務施設集積の程度が特に著しい、業務施設の過度の集中是正すべき地域というふうに考えておりまして、具体的には政令で指定をいたすということにしております。
  78. 渋谷修

    ○渋谷委員 二十三区といいましても、東京の中ではそれぞれちょっと事情が違うのですね。都心区においては、確かに事務所ビルの増加というものが、これは非常にペースが速いです、おっしゃるとおり。しかし、都心以外の周辺地区に至りますと、決してそういう、微増ということでの増加傾向はありましょうけれども、全体として都心の、特に例えば千代田とかあるいは港とか、いわゆる都心三区と言われる地域、中央区、それからさらに、それ以外の新宿、渋谷、豊島、こうした都心地域と周辺地区とは事情が違うというぐあいに思うのですが、この過度集積地域を二十三区とした理由をもう一度教えていただけますか。
  79. 中田哲雄

    中田政府委員 二十三区と想定してあります根拠は、オフィスの床面積の伸びをベースに考えておるわけでございます。  例えば、東京二十三区におきます昭和五十九年から六十三年までの五年間のオフィスの着工床面積の伸びを見ますと、全国が一〇・四%であるのに対しまして、二十三区で二四・三%と非常に高い伸びになっておるわけでございます。しかも、東京二十三区の東京都全体に占めます割合も九一・三%ということで、二十三区が東京都の伸びのほとんどを占めているということでございます。  なお、二十三区の中を見ますと、着工ベースでは都心三区が過去五年間一五・五%の伸びに対しまして、新宿、文京、台東等の周辺区あるいはその他の区の方は三一・九%の伸びということでございまして、新規の増分について見ますと、都心三区は大分満杯になってきておる、むしろその周辺の方が非常に高い伸びになってきておるということでございますので、どちらかといいますと、業務機能が都心部から外に向かって延び始めてきているという状況にございます。こういう観点から、都心部だけとらえますと、やはり不十分ではないかということで、二十三区を想定しているところでございます。
  80. 渋谷修

    ○渋谷委員 過度に集積している地域から地方拠点都市地域移転促進するという部分が東京とのかかわりの部分ということになるわけですが、この措置というのは、この法律の中ではどの程度の重要性を持っているわけですか。
  81. 中田哲雄

    中田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、受け皿をつくるだけでは十分でないというふうに私ども思っております。もちろん、地方に拠点をつくるということが今回の法案の最大の眼目でございますけれども、さらにそこに非常に質のよい産業集積を積極的につくっていく、こういうためには、委員指摘の、東京に対する対策というものも重要であろうというふうに思っております。
  82. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、東京集積をしている企業地方に出ていっていただかなければならない、協力をお願いしなければならないということなんですが、そもそも東京立地をしている企業が他地域へ出ていく、そういう意味でのニーズですね、これは先日も渡部通産大臣が本会議場で答弁をしておりましたけれども、それをもう一度御説明いただけますか。
  83. 中田哲雄

    中田政府委員 私ども、法案の前提といたしましていろいろな調査をいたしましたが、その中で、やはり東京都区内に立地しております企業におきましても、移転の要望あるいは移転計画というものについて非常に大きな関心がある、さように考えております。  かつまた、移転に際しまして、どういう措置が必要かというような質問に対しましては、金融税制措置あるいは従業員に対する配慮、こういったものを高く挙げている企業が多かったということでございます。
  84. 渋谷修

    ○渋谷委員 いただいている資料では、あるいはこの前も渡部通産大臣が答弁をしていたと思うのですが、本社機能移転可能性ということで、具体的な移転計画策定中、あるいは当面はないけれども検討の対象である、これを入れまして三八・五%、約四割の企業移転の可能性を持っているというような資料をいただいているのですが、これは間違いありませんか。
  85. 中田哲雄

    中田政府委員 委員、御指摘のとおりでございます。
  86. 渋谷修

    ○渋谷委員 このアンケートのより具体的なものは私の方にはいただけていないのですけれども、このアンケートの今数字をとった中に、ファクターとして、移転の、つまり今ある本社機能から次に移転をしたいという地域までの時間とか距離というのは、ファクターの中に入っていますか。
  87. 中田哲雄

    中田政府委員 調査項目には入れておりませんでした。
  88. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣、これは大変な問題なんですよ。通産省の方は、そういうニーズがあるからということで、今度の法律については積極的に関与しようとしている。  実は、本社機能を持っている企業移転をしたいというニーズは、何も東京圏から出まして、北海道だとかあるいは東北だとか四国、九州に行きたいというニーズがあるわけじゃないのです。  これは実は別に、東京都が業務機能の分散可能性に関する調査報告というのをまとめています。この中には、時間、距離というのがファクターとして入っているのです。確かに、移転をしたいということでのアンケート調査などもありますけれども、新たにそういう施設を持っていきたいところは、時間的に見ればおおむね一時間前後、つまり業務核都市のあたりには本社機能を持っていきたいけれども、それ以上のところに持っていこうなどという回答は実はないのです。これは、実は最も詳しいアンケート内容です。  時間ファクターが入っていなくて、例えば、今度の地方拠点法で各地に五十カ所から八十カ所ものいわばそういう拠点地域を設ける。どうしてそこへ東京からそういう本社機能業務地域業務施設が出ていくという根拠を設けることができますか。
  89. 中田哲雄

    中田政府委員 私ども、一つは、地域におきましても、非常に優良な国際企業もたくさん立地している例があるわけでございます。したがいまして、企業移転を決意するに足るだけの条件整備というものができれば、必ずや地方分散も進むのではないだろうか、かように考えている次第でございます。
  90. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、今の話では、そういう可能性があるというだけのことで、そういう企業のニーズを拾ったけれども、先ほど言った移転というその可能性については、私が先ほど指摘したその部分は、きちんと精査されていないということは、お認めになりますか。
  91. 中田哲雄

    中田政府委員 時間、距離につきましての調査はしていなかったというのは、委員、御指摘のとおりでございます。  ただ、今ほど申し上げましたとおり、各地域、北海道、九州、東北も含めまして、非常に優良な企業もたくさんございますし、中には世界でひのき舞台で活躍しておられる企業も多々あるわけでございます。このような実例に励まされまして、私ども移転促進していきたい、かように考えております。
  92. 渋谷修

    ○渋谷委員 それでは、もう一つ別の観点から。  そもそも東京にこれだけ企業集中しているその要因、この分析がきちんとなされなければ、東京からそういった企業なり業務施設を他へ持っていくための今回用意されている施策が、果たして適当なものであるか、十分であるかという検証が行われませんね。そういう企業東京集中している要因、そういったことの分析はされておりますでしょうか。
  93. 中田哲雄

    中田政府委員 近年、経済のソフト化、サービス化あるいは情報化、国際化といったような流れが非常に速まっているわけでございまして、こういう状況を背景に、企業業務活動を行う上で東京の優位性が高まっている。そのために、企業の中枢管理機能あるいは情報機能、国際機能などが東京集中する傾向にある、かように認識をしております。
  94. 渋谷修

    ○渋谷委員 非常に抽象的なんですけれども、もう少し分類的に整理されたような資料、つまり企業がなぜ東京集中しているかということについて分類されているような資料、その中でも特に影響が大きいもの、その順位をつけた形での資料みたいなものはございますか。ありましたら、それで説明していただけますか。
  95. 中田哲雄

    中田政府委員 経済企画庁が平成元年に東京の世界都市化と地域活性化という調査をいたしておるわけでございますが、この調査によりますと、東京圏に本社を置くメリットといたしまして、仕入れ、販売などの取引が有利である、あるいは資金の調達、運用に便利である、優秀な人材を得やすい、あるいは従業員の文化、レジャー施設等の福利厚生面にすぐれている、このようなことを挙げている企業が多いようでございます。
  96. 渋谷修

    ○渋谷委員 今のような御指摘も、それはそれとして理解をするということにしておきましょう。  その後、先ほど東京都の企画審議室の調査報告書によりますと、これは平成二年です、割と新しい報告書ですね。こちらでは、今の点ともダブりますけれども、一つは情報面の優位性ですね。それから、人材確保上の優位性。単に今、人材確保上の優位性云々というぐあいにお答えになりましたけれども、この中ではより詳しく、東京に大学がたくさん集中しているから、東京本社機能を置いておけば新卒者を採用するのに非常に便利だ、採用活動の効率上有利であるといったような具体的な指摘もあるのですね。これはほか全部言っておりますと時間がなくなっちゃいますから、つまり、その立地理由としての重要視されているものを各項目、今の情報の優位性、人材確保上の優位性、顧客地域との関係、それともう一つは、やはり首都機能、つまり、これは東京に国会や各官庁の中枢の部分が集中をしている、こういった点の指摘があるわけです。  つまり、これが東京企業集中させる求心力です、大臣。この求心力をそぐという施策がなければ、企業東京からわざわざ他の地域へ出ていくということにならないというぐあいに私は思うのですが、今度のこの法律では、その求心力をそぐための施策というのは、どのように用意されていますか。
  97. 中田哲雄

    中田政府委員 東京各種機能集積しておりまして、これが企業活動に大変有利に現時点で働いているというところは、委員、御指摘のとおりでございます。  ただ、この有利な条件といいますか、企業にとって非常に便利な環境というものをそいでいく、なくしていくという施策をとりますと、やはり日本経済全体の活力が低下するというおそれもあるわけでございます。したがいまして、東京機能をそぐというよりも、地方におきます機能を充実する、かようなことで施策整備していきたいというのが、基本的な考え方でございます。  それで、御指摘のとおり、高等教育機関の整備も必要でございますし、あるいは情報通信関係の遠近格差の是正といったことにも取り組んでいかなければならない、このような施策をこれから大いに充実するように努めまして、現在御審議をお願いしておりますこの法案も生きてくる、かように考えております。
  98. 渋谷修

    ○渋谷委員 しかし、この法律では、東京集積地域から地方拠点へ移転促進するというわけでしょう。移転促進するための具体的な支援措置というのは、どういうものが用意されていますか。
  99. 中田哲雄

    中田政府委員 今回の法律では、産業業務施設移転促進にこの施策集中しているわけでございます。  それで、内容といたしましては、移転企業に対します圧縮比率九〇%の買いかえ特例制度税制でございます。それから、移転企業に対する開銀あるいは北東公庫によります低利融資制度地方公共団体が不動産取得税の減免を行った場合の減収補てん措置、さらに、産業業務施設移転受け皿となります産業業務団地の地域振興整備公団によります造成、あるいは同じく地域振興整備公団によります事業活動の支援のための会議場、研修施設等の施設整備に対する出資、このような措置を新しくつくっておるところでございます。
  100. 渋谷修

    ○渋谷委員 特に、その九〇%の圧縮の買いかえ特例制度ですが、これを活用するためには制限がありますね。どういう制限がありますか。
  101. 中田哲雄

    中田政府委員 移転跡地の公共的利用を要件としているところでございます。
  102. 渋谷修

    ○渋谷委員 公共的利用が図られない場合は、この九〇%の圧縮は活用できないということですか。
  103. 中田哲雄

    中田政府委員 移転跡地が再び産業集積に用いられるということになりますと、せっかくこのようなことで移転誘導をいたしましても、もとのもくあみというようなことになるわけでございますので、公共的な利用に供されない場合には、この税制のメリットは受けられない、かようなことになるわけでございます。
  104. 渋谷修

    ○渋谷委員 それで、公共的な用に供するということで九〇%の圧縮を活用する場合は、その土地を地方公共団体が例えば取得をするというようなことになろうかと思うのですが、その土地を取得するために、地方公共団体は、東京であれば、当然、大変高い土地を購入するということになるわけですが、これを支援するためのこの法律による地方公共団体あるいはその他に対する支援策というのはありますか。
  105. 市川一朗

    市川政府委員 この法律では直接その支援措置はないわけでございますが、基本的な施策の中で幾つかの先買い制度等がございます。一つは、公有地の拡大の推進に関する法律に基づきます先買い制度がございます。それから、土地開発公社を積極的に活用するという問題。それから、公共団体の財源確保といたしまして、いろいろな起債とか都市開発資金等の融資の問題もございます。それから、具体的にその用地を道路とか公園等の都市計画事業の用に供する土地として活用される場合には、積極的に公共事業として買うことも可能でございますので、私どもといたしましては、大変貴重な土地でございますから、できるだけそういう方向で活用するようにということで支援してまいりたい、そういう考え方でございます。
  106. 渋谷修

    ○渋谷委員 九〇%の圧縮ということが、移転しようという企業に対する、いわば移転するということを具体化するための刺激策、動機づけということでこれを活用しようということなわけです。ところが、これが公共の用に供されない場合はこの措置活用することはできない。今るる御説明があったのは、今までもある一般的な措置です。ということでは、この拠点法による移転促進を図る措置という話ではなくて、これまでも一般的にあった話ですから、これは除いておいて、この拠点法に基づいて促進を図る措置として、例えば買いかえ特例九〇%圧縮ということを設けていても、実際にはこれは活用できない。活用できないということになりましたら、あとはどういう方法が残されていますか。
  107. 中田哲雄

    中田政府委員 移転促進税制をぜひ御活用いただきたい、かように考えておりますけれども、これ以外にも、先ほど申し上げましたように、金融措置でございますとか、地域公団によります事業等々がございますので、これらを総合的に御利用いただいて、ぜひ地方分散の促進を図っていきたい、かように考えております。
  108. 渋谷修

    ○渋谷委員 私が言っているのは、せっかくこの法律に基づいてつくりました今度の九〇%の支援措置も、実際にはなかなか活用できないのではないかということが一つ活用できない場合は、結局、一般的な八〇%の買いかえ特例を活用する以外ないではないかということを申し上げているのですが、その件についてはいかがですか。
  109. 中田哲雄

    中田政府委員 先ほど申し上げました過度集積地域として想定しております東京都におきましても、過去の公共用地の取得実績を見ますと、非常に大きな規模のものを取得なさっているわけでございまして、このような制度によりまして東京都での買い上げがさらに進むということを期待しているわけでございます。また、東京都以外にも、例えば住宅・都市整備公団等の公社、公団あるいは中小企業の高度化事業用の用地等々についての譲渡についても対象にするように考えているところでございまして、これらによりまして買いかえが進むことを期待しているわけでございます。
  110. 渋谷修

    ○渋谷委員 今の通産省の方のいろいろ御答弁をいただいても、先ほど、なぜ東京集積が進んでいるか、あるいは企業立地をするかということについての、つまり求心力の一定の分析をさせていただいたわけでありますけれども、その求心力に打ちかって東京立地している企業が出ていく要因に、今の御説明にあった支援策、とりわけ買いかえ特例九〇%圧縮というのを新たに設けたにもかかわらず、これ自体は、受け皿の側、地方公共団体の側がなかなか活用しにくいという面で、これは大した意味を持たないのではないか、一般的には八〇%圧縮があるわけですから。ということになりますと、今度の法律にありますこの程度の移転のための促進策、支援措置では、この法律の想定している効果というのは、実際には発揮できないのではないかというぐあいに、私はどう考えても危惧せざるを得ない。だから、一般的に、この法律が出てきましたときに、果たしてうまくいくのだろうか。今まで幾つかの法律があったけれども、実績がなかなか上がらない。先ほどの決して屋上屋ではないという話の多極分散法、先ほど来話を聞いておりますと、多極分散法の実施法が今度の拠点法であるという話を伺いましたけれども、そうすると、多極分散法というのは何ですか、これは実施法じゃなくて理念法なんですか。
  111. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、多極分散型国土形成促進法と申しますのは、四全総の目標といたします多極分散型国土形成というものをある意味では理念的にうたい、そして、特に地方振興あるいは業務核都市というようなところについて一部では実施法的なものもございますが、あの中の地方振興という中には、そういう実施法的なものと同時に、理念的なものといたしまして、政府は地方都市の育成を図るように努めなければならない、それから同時に、農山漁村の整備というようなことも書いてございまして、私どもは今回その法律に基づきます、六条一項だったと思いますけれども、その一項をさらに具体化しようということでこの法律をつくる、こういうことになったわけでございます。
  112. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、多極分散法は一部は実施法的な部分があるというお話ですが、その一部実施法的な部分というのは、今度の拠点法とは重複せずに完全に外れているのですか。
  113. 小島重喜

    小島政府委員 あそこに振興拠点地域というのがございますけれども、どちらかといいますと、これは特定機能というものをある程度集積する、言うならプロジェクトを推進していこう、こういう感じのものでございまして、例えば、今回の拠点都市法でそういうプロジェクトをその拠点都市地域でやろうということになれば、あの部分が適用は可能ではございます。
  114. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、その場合には、多極分散法と今度の拠点法の手続とは、受け入れる側は全く別個に対応することになるのですか、拠点法の措置だけでこの問題を、つまり、多極分散法の中にある今御説明があった部分は含んでやることができるのですか。
  115. 小島重喜

    小島政府委員 多極分散法の方の手続といたしましては、今回の拠点都市地域とは違いまして、知事がやって主務大臣の承認といいますか、そういう形になっておりまして、そういう点では手続的には異なりますけれども、恐らく、具体的な運用といいますか、そういうことになる場合には、今御提案申し上げております拠点都市法の中の拠点地区の一部といいますか、拠点地区というのは幾つかできるわけでございますが、そういうところで構想されますと、手続は同時並行的に可能ではないか。ただ、法律上それぞれ異なった手続でございますので、手続的には二度手間というか、別の手続になると思います。
  116. 渋谷修

    ○渋谷委員 それを世間では屋上屋と言っているのです。そうでしょう。拠点法で集約できてやるのだったら、どうして拠点法にその実施法の部分を取り込んで、そして多極分散法は完全に理念法ということにすることができなかったのですか。それを改めて伺います。
  117. 小島重喜

    小島政府委員 実は、多極分散法をつくる際にもいろいろな御議論がございまして、あのときに一つ考え方として、既存都市集積というものを利用して、そして多極分散型国土形成を図る方がいいではないか、こういう御議論もございました。と同時に、そうじゃなくて、やはりある程度特色のある地域づくりということを考えるならば、特定機能というものに注目をいたしまして、それで新しい地域振興を図ったらいいじゃないか、この二つの意見がございました。その中で、都市の部分というのはあそこでは一つの理念規定として残されまして、そしてそれ以外の特定機能集積について、新しい大規模なプロジェクトと申しますか、そういうことによって地域振興を図ろうということになったわけでございます。  そういう面で、言うならば切り口が違うということでございまして、振興拠点地域というのは、どちらかといいますと、特定機能集積ということで、都市中心にした総合的な整備というような考え方に立っておりませんので、その辺はやはり切り口は違いますが、恐らく運用としては、拠点都市地域振興拠点と同じようなことをやろう、あるいはそういうことをしようということになれば、拠点法で十分対応はできるわけでございますから、恐らく拠点法の手続でやっていくのだろうというように私どもは思います。
  118. 渋谷修

    ○渋谷委員 ですから言っているのですね。恐らくそういうことで拠点法で対応できるのであれば、なぜ拠点法に多極分散法のその部分を整理して、それで一体化しなかったのか。法律が次から次へと、とりわけこの都市法にかかわる部分というのは、次から次へといろいろな法律ができまして、どんどん複雑になっていく。  それならば、今お話がありましたようなところで、そもそも多極分散法で指定されて具体的に今動いている地域というのは幾つありますか。
  119. 小島重喜

    小島政府委員 現時点においては三重県だけでございます。
  120. 渋谷修

    ○渋谷委員 これは昭和六十三年にできた法律であります。もちろん私などは当選する前の話ですから、その経過は余りよく知りませんけれども、六十三年からこの法律ができていて、実際に指定された地域というのは三重県だけなのでしょう。  そうすると、これから先、拠点法ができて、この多極法に基づいて指定される地域というのは、あるいはこれに指定されようとして手を挙げてくる自治体がある、あるいは県があるというぐあいに予想できますか。
  121. 小島重喜

    小島政府委員 何回も申し上げて恐縮でございますけれども、多極法に言う振興拠点地域というあの振興制度というのと、今回の拠点都市法に基づく振興というものは、かなり切り口といいますか、今回の場合には、先ほども申し上げましたように、言うならば都市機能全体を高度化しよう、高次の都市機能を総合的に集積させようということでございます。  ところが、多極法に基づく振興拠点地域と申しますのは、例えば医療だとか、当時議論がございましたのは、例えば北海道にHIMEXといいますか、高度医療都市を新しくつくろうというような構想もございました。そのほか各県で幾つか構想はございましたものですから、そういうかなり大規模なプロジェクトを積極的に推し進めていこうということで、あの多極分散法の中の振興拠点地域というのができたわけでございます。そういう点で、かなり切り口が違っておるということ。  それから、今のお話でございますが、現在三重県だけでございますが、あと相談に、私どもといいますか、私どもの局ではございませんけれども、三件ほど来ておるようでございます。
  122. 渋谷修

    ○渋谷委員 ですから、お話を申し上げているのですけれども、そういう法律をつくった、あるいは施策を用意した。しかし、これはなかなかうまくいかない。現実に、昭和六十三年に法律ができても、他の幾つかのところは相談に来ているけれども、今のところは三重県しかない。これはまさに施策がニーズに合っていないということじゃないですか。そういうことであれば、率直にそういったところを認めながら、拠点法という新たな政策を出すのであれば、そこに集約をさせていく。できる限りむだな法律はつくらない。あるいは、かつてあった法律が陳腐化したならば、それは削除をする、あるいは廃止をするという手続を踏むのが当然の話じゃありませんか。そういうことをしていないから、屋上屋を重ねるという議論になってしまうわけですよ。この問題は、後でまた同僚の議員が指摘をするでしょうから、この程度にします。  東京観点からあと二、三御質問を申し上げたいと思います。  三十三条の移転計画の認定ですけれども、この移転計画の認定は、主務大臣に提出して認定を受けるということになっているのですが、先ほど来の質疑の中で、東京都あるいは二十三区がこの法律とのかかわりでは非常に重要な意味を持つというような御答弁もありました。跡地の利用ということについては大変重要な意味を持っているわけですから、その移転計画について東京都を関与させないということは、何か理由があるのですか。
  123. 中田哲雄

    中田政府委員 委員指摘の認定につきましては基本方針に従って行うこととしておるわけでございますが、基本方針におきましては、東京都等への売却など公共の用地に用いる、跡地をこういうところに用いるということを、認定の要件として位置づけることとしているわけでございます。このために、産業業務施設移転する者が移転計画の認定を受けようとする場合には、跡地の利用につきまして東京都等と十分に相談が行われるものと考えられますし、また当省としても、こうした相談を十分行うよう指導することとしたいというふうに考えております。  なお、東京二十三区内の土地取引につきましては、国土利用計画法によりまして都知事への届け出が義務づけられているということもございまして、移転に伴う跡地の利用につきましては、都はこちらのサイドからも事前に把握することができる体制となっているというふうに承知をしているところでございます。
  124. 渋谷修

    ○渋谷委員 基本方針の第三条を見ましても、都ということは具体的には出てこないのですね。ということは、それは今後の、例えば政省令をつくる段階で、そういうことはきちんと明記をしていくということなのかどうか。  それから、今度の拠点法をつくる上で、法律の中に過度集積地域といったような定義を設けるわけですから、当然東京都との話し合い、事前の相談などはあっただろうと思うのですが、その相談があったとすれば、その内容をかいつまんで教えていただけますか。
  125. 中田哲雄

    中田政府委員 認定制度の運用につきましては、これから各省あるいは東京都とも十分連絡をとりながら煮詰めていくわけでございまして、過度集積地域の政令におきます指定が行われました後に、これらが実際に動いていくということになろうかと思います。  また、東京都との事前の御相談でございますけれども、産業構造審議会というところで御答申をいただいたわけでございますが、この審議会の委員にも東京都の幹部にお入りいただいていろいろ御相談をしてまいりましたし、また、この審議会の場以外におきましても、私ども、東京都において産業立地の適正化を図るためにどういうことをしたらいいのかということについて、いろいろ御相談をしてまいったところでございます。
  126. 渋谷修

    ○渋谷委員 三十七条で跡地の利用についての条項がありますが、「公共の用途」「に利用されるよう努めなければならない。」ということになっております。「公共の用途」というと、一般的にはわかるような気がいたしますけれども、この「公共の用途」ということをもう少しわかりやすく説明していただけますか。
  127. 中田哲雄

    中田政府委員 いわゆる公共事業用地のほかに、住宅・都市整備公団や地域振興整備公団地方住宅供給公社等の公的機関が行います事業のための用地でございますとか、あるいはいろいろな法律で規制がございますような特定の区域、土地利用等の制限が設定されることに伴います土地の譲渡でございますとか、あるいは一定の第三セクターが行います事業、大規模工業基地でございますとか商業基盤施設でございますとか、こういったものにつきまして、公共の用途というふうに考えておるわけでございます。
  128. 渋谷修

    ○渋谷委員 今の御答弁の中に、例えば東京では非常に深刻な住宅などをあわせてつくるといったようなことも、今の公共の用途の中には入りますか。
  129. 中田哲雄

    中田政府委員 東京都区内におきます産業機能生活機能バランスの維持あるいは回復といったことが非常に重要だというふうに考えておるわけでございまして、住宅等につきましても、公的に関与のもとにつくられるものにつきましては対象になろうかというふうに思っております。
  130. 渋谷修

    ○渋谷委員 この法律に基づいて今いろいろとお話を伺ってまいりましたけれども、これ以上集中を招かない、抑止するための施策、例えば買いかえ特例だとか、今そういうお話だけだったのですが、それ以外に、国土庁なりあるいはその他の省庁の中で、これ以上東京に、あるいは二十三区にと言ってもいいです、業務施設集中を招かない方法は他にないかどうか。あるいは先ほど言いました、集中している企業に対して求心力をそいでということが活力を損なうというぐあいにとられては困るのですけれども、東京にいることの方がいろいろな意味でコストが高い、そのコストを払うぐらいだったら、他の地域に出ていった方がいいといったような、つまり税制面での支援措置ではなくて、そういう他の方法を部内で検討されたということはございませんか。
  131. 中田哲雄

    中田政府委員 委員指摘のインセンティブによります誘導策以外の手法といたしましては、本法案の第三十九条におきまして、都市計画を初めとする土地利用に関する計画の中で、過度集中の状況を十分踏まえた対応をすることを求める規定があるわけでございます。また、このような規定とともに、今年度より導入されました地価税あるいは昨年十一月に中央固定資産評価審議会におきまして方針の御決定を見ております固定資産税の評価基準の見直し等の対策がございますので、これらの対策と相まちまして一定の移転促進効果が発揮されるというふうに期待しているところでございます。  それから、インセンティブにつきましても、先ほど申し上げました金融税制等以外にも、御指摘のありました高等教育機関の問題あるいは情報通信格差の問題、あるいは技術プロジェクトの地方分散等々につきましても、政府一体となって取り組みを進めていく必要があろうか、かように考えているところでございます。
  132. 渋谷修

    ○渋谷委員 同じことについて、国土庁の中で検討されたことはございませんか。
  133. 小島重喜

    小島政府委員 私ども国土庁の現在の国土政策上の最大の眼目は、東京一極集中是正し、そしていろいろな意味での人口あるいは機能地方分散を図る、こういうことが私どもの最大の眼目でございます。  そういう中で、先ほども御指摘あったかもわかりませんけれども、行革審などの答申もございます、意見の提言もございます。さらに、私どもといたしましては、今御指摘のようなことについて、何らかの方策、まあ先ほどから御議論ございますように、角を矯めて牛を殺すということになってはまた困るわけでございますけれども、そういうことにならないような範囲内で何かいい知恵はないものかということで、私ども主として大都市圏整備局が中心になっていろいろな検討はいたしておるようでございます。
  134. 渋谷修

    ○渋谷委員 私が聞いておるところでは、今度の例えば税制上の支援措置ということだけでなくて、先ほど言いました求心力が非常に強いわけですから、その意味でいえば、先ほど通産省の方が少し説明をいたしましたけれども、つまり都市計画による対応、それから例えば都心部にこれ以上事業所が立地しないために、そのコストをアップさせるための国税としての事業所税を新たに設けるとか、そもそもこれ以上の業務施設をつくらないための、かつての工場三法のような施策を立てることも事ここまで来たら必要なのではないかといったような議論もあったように聞いていますが、いかがですか。
  135. 市川一朗

    市川政府委員 先ほど国土庁局長が御答弁申し上げましたように、主として大都市圏整備局を中心といたしましていろいろな議論がなされておることは、先生指摘のとおりだと思います。  ただいま都市計画お話が出ましたので、ちょっと御報告申し上げておきたいと思います。都市計画の基本的決定主体は、この場合東京都でございますので、国レベルにおきましては、東京都の考え方をできるだけ尊重しながら対応しなければいけないということで、連絡も緊密にとっているわけでございます。東京都におきましては、こういった問題につきましてかなり突っ込んだ検討を研究会等を設けてやっておりまして、現時点におきましての基本的な考え方は、どうしても都内の均衡ある発展というところにウエートがあるわけでございますが、国におきまして、都市計画制度の改正等も提案されておるので、その辺のところも見きわめながら、また六月以降において、さらにこういう問題について検討を進めてまいりたいと考えていると承知しております。
  136. 渋谷修

    ○渋谷委員 これまでの施策の中で一定の成果があったということで言えるのは、例えば工場についての立地規制だろうと思うのですね。そういう経験を踏まえるならば、これほど業務施設集中をする、そのことが国土全体にわたる不均衡をもたらし、さらに東京でいえば、都市問題を深刻化させているということでいえば、かつての工場の立地規制も、考えてみれば、市場の原理に任せればいいじゃないかという議論も当時はあっただろうと思うのです。しかしながら、都市の環境やその他のことを考えれば、そうもいかぬということで、これは工場三法をつくって、大都市圏にこれ以上工場を集中させない、持ってこさせない、逆に地方移転させるという施策をとったのだろうと思うのですね。業務施設についてはそういう将来的な考え方は実現することはできませんか。
  137. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  私ども国土庁として、言うなら産業政策の面もというより、むしろ国土政策あるいは大都市対策、そういう面から考えますと、今御指摘のような直接規制もすべきではないか、こういう意見も内部にあることは事実でございます。ただ、これにつきましてはまたいろいろな異論もございまして、そういう格好でまとまっているわけではありませんけれども、東京へ過度に、あるいはこれからも集中するであろうそういう業務的な機能、そのほかの機能を、何らかの形で地方へ分散させる、あるいは東京以外に分散させる、こういう施策は、私どもはさらに真剣に検討していかなければならない。国土政策としても私どもは検討していかなければならぬと考えております。
  138. 渋谷修

    ○渋谷委員 今そういう議論もあったという御答弁がありましたから、大臣、そこのところはよく念頭に置いていただきまして、今、大東京大都市の現状というのは、都市計画法の議論のときに申し上げなければいけないことになりますけれども、完全にキャパシティーを超えている。これ以上二十三区に業務施設をふやしていくことは、都市のキャパシティーの面から許されない状況になっているのですね。  そういうことでいえば、一定のコンセンサスを得ながらそういう業務施設立地規制する、直接的な立地規制ということも検討の俎上に上っていいのではないかというぐあいに思いますし、さらに、とりわけ進捗率の激しい地域については、例えば特別のコストをかけるといったような施策も当然検討されてしかるべきだろうというぐあいに思います。これはこれからそれほど遠くない将来の課題ということで、私の方からも御指摘をしておきたいというぐあいに思いますが、いずれにせよ、今度の拠点法をどんなに見ましても、それからいわば東京側から追い出すという立場で見ましても、これによって、先ほどお話を申し上げました、答弁の中でもございました、企業東京集中をしてくるという求心力、これに逆らって地方に出ていくという可能性というのは、非常に薄いというぐあいに思います。  先ほど松本代議士も最後に指摘をいたしましたけれども、今度のこういったような施策をつくるのであれば、何でもだめだ、反対だという話ではなくて、八十カ所もの地域をつくって、東京二十三区からあるいはほかの地域からもちろんそういう拠点地域に行くことは、それはそれで構わないのですよ。しかし、過度集積地域ということでとりわけ特定されている地域から、八十カ所もの地域へどんどん出ていくなどということは、現実的に考えられない。  本当を言えば、もう東京志向、東京依存で地方対策、地域対策を考えるという時代ではないのですね。これはもう発想が全然違うのです。国際化、まさに国際化時代でありますから、例えばロシアとの関係、沿海州との関係、朝鮮半島との関係、中国、そうした東南アジアも含めた関係の中で、地方自治体それぞれが独自の権限を持ちながら、独自の発想を持ちながら、東京に依存し、東京に志向するのではなくて、まさに国際社会を志向しながらそういう拠点地域を設けていくという発想がなければならないというぐあいに思うのですね。そういう意味では、せいぜい全国的に言えば十カ所以内といったところを、これは国策の、国のレベルの中で、例えばかつて神戸をつくったように、そういう中で拠点地域をつくって、そういう国際社会、国際時代に対応できるようないわば政策を用意するべきではなかったのか。今度のことは、結果として地方自治体も一生懸命努力をし、金もかけ、あるいは地権者の権利関係の調整もして、そして区画整理事業などもやったけれども、ペンペン草が生えて何も来ないということになりかねないのです。  そういうことで言えば、先ほど松本代議士も指摘したように、結果として地方への失望感、無力感を与えることになるのではないかということをやはり私も危惧をしておりまして、先ほど支援措置などについても大した支援措置は実際にはないというようなことも御指摘を申し上げまして、最後に大臣の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  139. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 渋谷委員の大変鋭い御指摘先ほど来傾聴しておりましたのでございます。大変参考にさせていただきました。  ただ、この法案は、比喩が適当であるかどうかわかりませんが、北風を吹かせるというよりは太陽を用意するという法案だと考えております。先生一極集中排除する、東京集中排除することを中心にお考えを進めていらっしゃるわけでございますが、この法案は、どちらかと申しますと、受け皿、とりわけ建設省の分担する役割といたしましては、受け皿整備するということに中心がございます。しかし、その受け皿にペンペン草が生えるのではないかという御指摘もなるほど心配される点でございまして、一遍で各県二カ所、合計八十カ所ということでいくのか、あるいは例えば高速道路網が整備されてない、あるいは通信網が整備されてない、そういうところには業務機能移転がないだろうということも、容易に推量できるところでございますから、受け皿として条件整備の熟度が進んでいる地域を優先させるということは、当然あろうかと考えております。
  140. 渋谷修

    ○渋谷委員 役割分担を決めておりまして、私は東京から追い出す側の分担をいたしまして質問いたしましたので、そこに重点を置いた質問でございました。ありがとうございました。
  141. 古賀誠

    古賀委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後零時五十一分開議
  142. 古賀誠

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井智君。
  143. 石井智

    ○石井(智)委員 それでは、逐次お尋ねをいたしてまいりたいと思います。  初めに、今回の地方拠点法における基本的な考え方についてお尋ねをいたしておきたいと思うわけでございます。  本法案目的において「地域における創意工夫を生かしつつ、」とうたわれているように、私は今回の法案が、従来の地域振興立法に比べて地方の自主性をより尊重しようという理念に基づいていることについては、評価をいたしておるところであります。しかしながら、今日、人口業務機能東京への一極集中地方における若年層を中心とする人口の流出が続いている状況に対応して、東京から本当に人や企業が移りたいと思うような個性ある町づくり等を進めることによりまして、地方活性化を図る必要がある。そのためには、地方公共団体の権限や財政について、地方分権の考え方をさらに具体的に徹底する必要があるのではないかと思うわけであります。  そこで、このような基本的な考え方について、建設大臣のお考えをお示し願えればというふうに思うわけでございます。お願いいたします。
  144. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 このたび提案いたしました法案は、先生の御指摘のとおり、国土の均衡ある発展を図る、かつその地域におきましても、場合によれば地方における一極集中が進んでいるところもございまして、その点も均衡ある地域にしたい。両々相まちまして、拠点都市地域整備し、かつ一極集中の弊害を改めますために、産業業務施設地方移転せしめたい、そういうねらいで本法案を提出いたしました次第でございます。これは、あくまでも地方の自主性を尊重いたしまして取り進めてまいりたいと考えておるのでございます。
  145. 石井智

    ○石井(智)委員 国土庁長官、お願いいたしたいと思います。  今日まで国は、国土の均衡ある発展を図るためにさまざまな地域振興立法を制定してまいりました。推進をしてきたわけでありますが、各地方に工業拠点をつくる新産法や、ハイテクランドをつくるテクノポリス法、ソフト関係の頭脳立地法などの産業立地を進め、また、過疎や半島、山村、離島などのいわゆるハンディキャップ地域と言われるところの振興を進めてまいりました。これらの施策はそれなりに役立ってきたとは思いますけれども、残念ながら地域振興の決定打とはなっていないのが現状であります。東京を初めとする大都市の魅力、吸引力の大きいところからそのことの実現性が非常に乏しかったということだろうと思いますが、今後の地域振興に当たっては、これまでのこういう地域振興立法の成果と反省を踏まえて取り組んでいかなければならない、こういう中で本法案が今回出されたわけであります。  そういう点で、これまでの地域振興立法と比較をして、どのような点で大きな特徴点を持ってこの法律をお考えいただいておるのだろうか、こういうことでお尋ね申したいと思います。
  146. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 従来より地域振興施策は、今お尋ねのいろいろな法律で今日まで進められてきたところでございます。いろいろな御意見もありますけれども、それなりの成果をおさめたと私どもは認識をいたしております。  今回のこの法案の違いは、地域が創意工夫をもってそれぞれの関係市町村の皆さん方の、地方活性化のためにみずからの知恵を出し合っての法案でございますから、今後とも各省庁とよく協議しながらそのお助け役をするということの内容になっております。ただしかし、いろいろな御意見等も承っておりますれば、本当に今度のこの法律地域活性化するのか、できるのかということになれば、先ほど先生の御質問に答えたところでございますけれども、横の連携を図りながら、そしてそれぞれのニーズに欠けた点もまだまだ地方にはあると思いますから、やはりそういうものも含めて手助けする必要があろうかと思っております。  いずれにしても、東京一極集中是正、そして地方活性化というこの大きな目標に向けて、今後とも頑張ってまいりたいと思います。
  147. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、地方分権の推進を図るために、現在、臨時行政改革推進審議会においては、いわゆるパイロット自治体制度の導入が検討されているというふうに承知をいたしておるわけでございますが、この制度は、地方自治体に対して権限、財源の大幅な移譲を実験的に行うものと理解をしております。今回の法案における地方拠点都市地域は、このパイロット自治体となるものだと理解をしていいものだろうかということと、また、地方拠点都市地域においてどのような権限移譲を考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  148. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 お答え申し上げます。  パイロット自治体制度につきましては、御案内のように、第三次の行革審におきまして昨年の暮れに第二次答申をお出しになりまして、具体的な中身については、現在、小委員会を設けて検討中という状況でございます。  御指摘がございましたように、パイロット自治体制度の暮れの答申によりますと、一定の規模、能力を持ったような都市ないしはその周辺地域合わせまして、そこに権限の移譲なりあるいは財源の付与なりという形で、いわばなかなか進まない地方分権に風穴をあけようというふうな感じでの発想に立つものと理解しております。具体的な中身につきましてまだわかりませんものですから、現在法案で予定しております地方拠点都市地域はそれとは直接には関係ございませんけれども、仮にパイロット自治体制度が具体化をして制度化をするようなことがあるといたしますれば、その場合には所要の調整を行う必要があろうか、このように考えております。
  149. 石井智

    ○石井(智)委員 この問題について、建設省自体はどういうような、権限移譲等いろいろひっくるめて、自治体を育成していくという立場でのお考えはありますか。
  150. 市川一朗

    市川政府委員 地方拠点都市地域に関しましては、地域指定の段階から基本計画策定まで、この法案におきましてはできるだけ地方の自主性、創意工夫を尊重するということで、その限りにおきまして国の役割は必要最小限のものにする、ただし支援は全面的に行う、こういう考え方でございます。したがいまして、新しくこの法案計画策定等の権限が設けられておりますが、そういったものはできるだけ市町村でやっていただくということにいたしましたので、それがいわば基本的な権限移譲という意味におきましては私どもの考え方であるということに思っておりますが、それ以上に具体の事業の実施等に関しまして、やはりそれぞれの地域の特性に応じました個性のある地域づくりということは極めて重要だと思いますので、そういう観点での創意工夫、自主性といったものにつきましては、建設省といたしましても最大限尊重いたしまして対応してまいりたいというのが基本方針でございます。
  151. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、地方の自主性を実効あらしめるための財政面の措置についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。  第一に、地方拠点法案では基本的な仕組みの点で、地方の自主性を尊重しようという努力が、今もお話がありましたように努力の跡が見られるわけでございますけれども、個々の支援策を見ますと、道路整備、農業投資等について関係省庁がそれぞれ補助等を行うという形が多く、これでは結局全国一律、個性のない地方拠点都市地域ができ上がることが懸念をされるわけであります。また、縦割り行政という点では従来と変わっていないため、複数の省庁が同じ地域において似通った助成措置を重複して行うといった事態が生じるおそれがあると考えられます。私はこの際、地方拠点都市地域については補助金の一本化、一般財源化等思い切った措置を講じることにより、財政面からも地方の自主性を高めることが必要であると考えますが、この点についてのお考えをお伺いをいたしたいと思います。  また、市町村においても自主財源の確保がなければ、真に自主性や創意工夫を発揮した思い切った町づくりを行う計画を打ち出すことは困難ではないかと思うのですが、特に地方単独事業を活用して整備を推進していくための、具体的にいかなる支援措置を講じていられるのか。この二点、お伺いをいたしたいと思います。
  152. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 御指摘のように、地方拠点都市地域振興整備に当たりましては、地域の創意工夫を生かして施策を展開するということが基本でございます。したがって、財政面からもその自主性を高めていくことが望ましいことは言うまでもございません。補助金の一般財源化等が地方の財政の自主性を高めるゆえんであるということは、私どもそのように考えておりますけれども、そのこと自体につきましては、地方拠点都市地域に限らず、地方財政全般の問題であるというふうに考えております。したがいまして、自治省としては、国と地方の財政のあり方一般の問題の一環といたしまして、今後も努力を重ねてまいりたいと思っております。  なお、今回の拠点都市地域振興に当たっては、各種の補助制度等が併存しているのではないかというお話がございましたけれども、ここは市町村が共同して基本計画をつくるわけでございまして、その基本計画の中で主体的に立派なデザインをかいていただきまして、それによって既存の補助制度等を自在に使いこなしていただくということが眼目であろうかと思っております。  なお、地方拠点都市地域におきます関係地方公共団体の財政の自主性を高める方途といたしまして、私ども計画策定から事業の実施に至るまで可能な限り交付税制度活用した措置を講ずることといたしまして、一般財源の確保を図って、このことによって地方の自主的、主体的な施策の展開が可能となるよう努めてまいりたいと思っております。  そのために、特に地域の創意工夫を生かした自主的な地方単独事業の支援が肝心でございます。ハード、ソフトの両面にわたって意欲的に支援をしてまいりたいと思っておりますが、具体的に申し上げますと、ハード事業については、地方単独事業のうち一定のものについて地方債と交付税を活用した支援措置を、またソフト事業につきましては、人材育成とか地域間交流のように広域的なソフト事業の財源とするために、一定の方式によって共同で基金を設置した場合には、地方債と交付税を活用して支援をしてまいりたい、このように考えております。
  153. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、国の関与のあり方についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  昨年の秋に拠点都市整備についての各省庁の構想が出されて以来、全国の自治体ではこれらの動きに大変注目をいたしております。特に、この法案が国会に提出されてからは、既に各県内で指定に向けての国への陳情合戦が始まっているとも聞いておるわけでございます。地方拠点法案に関しては、地方の自主性の尊重とか、地方が知恵を出し国はそれを支援をするといったことを宣伝をされているところでありますけれども、実際に制度を運用する段階に至って各自治体が関係省庁に対して陳情をしなければならないということでは、本当の意味地方の自主性を尊重するということにはならないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  例えば、都道府県知事が地方拠点都市地域の指定について国に対して協議を行う際に、主務大臣は知事の作成した原案に対してどのような観点から意見を述べるおつもりか。また、都道府県知事が関係市町村の作成した基本計画を承認する際にも、国が事実上行政指導によって口を差し挟むようなことがあってはならないと考えておりますけれども、この点についてのお考えをお伺いをいたしたいと思います。
  154. 市川一朗

    市川政府委員 地域指定につきまして知事から協議を受けました場合に、主務大臣といたしましては、基本的には法律の指定要件とかあるいは主務大臣が定めます基本方針との適合性を判断するということになるわけでございますが、やや具体的に申しますと、一つは、今回の構想の中で私ども県内一極集中が生じないようにということを、むしろ県内一極集中是正するということを一つの主要なテーマとして考えておりますので、そういった指定に当たっては県内一極集中が生じないようなことを考えていただく。あるいは国といたしましては、いわゆる公共事業等の重点実施ということ、それからソフト面等でも、先ほども自治省から答弁がありましたようにいろいろなことが考えられておりますので、そういったようなことをいろいろ考えました場合に、特にある箇所に数を絞り込むことがやはりどうしても必要なのではないかといったようなこと等を意見として申し述べるということになろうかと思いますが、大体そういったようなことは、あらかじめ基本方針の中で明記されるようになるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから、計画を市町村が作成しても実施面でいろいろとどうなるのかという点でございますが、この点につきましては、私どもといたしましてはもう再三御答弁申し上げておりますように、地方の自主性、創意工夫を尊重いたしまして、個性ある地域づくりにぜひ全面的に協力したいということで、地方考え方を最大限尊重してまいりたいという決意を申し述べさせていただきたいと思う次第でございます。
  155. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、地方拠点都市地域の指定に関しての質問をいたしておきたいと思います。  先ほども相当突っ込んだ議論がなされておりましたけれども、今回の地方拠点法案と多極分散法との関係についてでありますが、本法案は、地方拠点都市地域整備をして東京一極集中是正を図ることを主眼としているものでありますけれども、多極分散法とは共通の考え方に立っているというふうに思うわけでございます。そこで、本法案と多極法、特に、本法案における地方拠点都市地域と多極法振興拠点地域をどのように整理をしていけばいいのか、そのようなところでの一つのお考え方をお聞きをしておきたいというふうに思います。
  156. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  大きな意味では、おっしゃいますように多極分散型国土形成を図る、こういう大きな意味での目的は一緒でございます。先ほども申し上げましたように、いわゆる多極分散法というのは、四全総の基本テーマであります多極分散型国土形成を図るための施策について、網羅的といいますか、あるいは理念的に記述してある部分と、それから実施法的な部分というものがございます。多極法の第五条を見ますと、国及び地方公共団体は民間の施設について東京から他のところに移転するように努めるという規定がございます。それから、第六条におきまして、第一項で「国及び地方公共団体は、地域社会の中心となる地方都市の育成を図るため、地方都市とその周辺地域の一体的な振興」云々とございまして、地方都市機能の増進、住環境の整備というものを図るように努めよ、施策を講じなきゃならない。  と同時に、この法律におきましては、今御指摘ございましたような、言うならば実施法といいますか地域振興立法として、いわゆる振興拠点地域という制度が設けられておるわけでございます。今回の私どもの六省庁で御提案をいたしました拠点地域整備法、これは、言うならば多極分散型国土形成法の第五条の「民間の施設移転促進」に関する部分、あるいは、先ほども申し上げました第六条第一項の「地方都市の育成」に関する部分について、新たな施策を講じようということでございます。  ところで、多極法の中での振興拠点と申しますのは、もう一つ先ほどから申し上げておりますように、特定機能集積を図るということが、振興拠点地域の言うならば制度の内容でございます。ところが、今回提出いたしました私どもの拠点法におきましては、むしろ都市というものに注目をいたしまして、都市とその周辺の一定の市町村、こういうものにつきまして一体的な整備を図っていく。その中でも、特に都市機能の増進あるいは住環境の整備、こういう切り口によります地域振興立法というのは今回が実は初めてでございまして、そういう面で拠点法と多極法というものは、ある意味で相互補完的な関係にあるということを申し上げてよかろうかと思います。
  157. 石井智

    ○石井(智)委員 ちょっと今の相互補完的な意味だという法律だったら、一つ法律に統合した方がいいなというような気がするわけですが、そのあたり今の多極法そのものが、先ほども議論ありましたが、なかなか進んでいかないところに問題点があるんだろうというふうに思います。そういう点で、この拠点法というのは都市地域整備に主眼を置いたという感じで今お話がございました。そういう点で都市地域整備を図っていくと、かえって地域における一極集中を招き、拠点都市における交通混雑や地価の高騰など過密の弊害を生じるとともに、地方拠点都市地域以外の地域においては一層の過疎化をもたらすおそれがあるのではないかというふうに考えるわけであります。  そこで、以下の点について伺いたいと思いますが、バランスのとれた県土整備を行うという考え方と、一県一、二カ所の拠点都市地域を重点的に整備をしていくという考え方は、互いに矛盾をするものではないかなというふうに思うわけですが、いかがなものでしょうか。特に、人口が減少しているような県においては、地方の拠点都市地域整備県内のそれ以外の地域人口減少を一層加速することにはならないでしょうか。したがって、これらの県においては、地域指定に際して一、二カ所というような地域数の限定を行う必要はないのではないか、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  158. 市川一朗

    市川政府委員 今回の法案策定する前提におきまして、私ども国勢調査の結果の分析を行ったわけでございますが、十八道県におきまして人口が減少しておるという極めてショッキングな結果とともに、そういった人口減少県におきましても、主として県庁所在都市中心でございますが、県内での特定都市及びその地域人口が増加しているところもあるというところに着目いたしまして、こういったような都市地域整備をもう少し複数的に整備していくならば、それぞれの県内におきましての人口バランス業務機能等の集積バランス等も図られるのではないかというふうに思った次第でございます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、特定の拠点に限定いたしまして施策を推進することは、それ以外のところの過疎化に拍車をかけることになるのではないかという御指摘は、私どもも極めて大事な問題点として認識しておるわけでございますが、何せそれぞれの県におきまして人口減少という極めて現実的な状況が生じております。もっとも、日本国土全体の人口の増加というのもある程度鈍化してまいっておる状況でございますけれども、しかしいずれにしても、そういう人口減少が生じている県におきましてこれ以上の人口減少を食いとめ、なかんずく若者にとりまして魅力のあるところをつくっていくとなれば、やはりある程度拠点的に絞った方がいいという考え方に立ったわけでございます。ただ、その際、県内一極集中とか一方における過疎化問題とか、そういったことに対処する意味におきましても、ある程度複数、まあ私どもは県内二カ所ということを考えておりますが、そういったふうに複数を考えまして、県内の北と南あるいは東と西といったようなバランスも考えていく、こういうことで対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  159. 石井智

    ○石井(智)委員 例えば三重県をとってみますと、県域というのか、三重県の中でも一県で一ところとか二ところで済む話じゃなくして、その経済圏というのか地域圏というのは、北勢、中勢、南勢、紀州、伊賀という形で、それぞれ地形的にも交流が非常に不可能な関係があって、それぞれの拠点をつくらなきゃならぬというようなことが考えられますので、その二カ所に限定をするということではなくして、各県の実情に合った形というものが必要なのではないかなというふうに思いますので、ひとつさらに幅を持たせた対応をお願いをしておきたいと思います。  そしてまた、今回のこの法案の運用に当たって、地方拠点地域として指定を受けなかった地域というのが切り捨てられていくようなことになっては大変だなというふうに思うわけでございます。往々にして今、東京一極集中が全国をそういう形にしてしまった。今度はそのことが、各地方の県において同じ現象が生まれて、より以上に県の中での格差が大きく生まれていく、こういうことになりはしないかという懸念が非常に持たれるわけでございます。そういう点で、指定にならなかった地域についても整備をしていく、そのための施策というものが必要ではないか、そのあたりの具体的なお考え方というのをお聞かせをいただきたいというふうに思うわけでございます。
  160. 市川一朗

    市川政府委員 さきに三重県のお話が出ましたけれども、実は三重県は全国的に見ましても本当にバランスがとれたといいますか、一つ都市集中してないという意味では先生指摘のとおりでございまして、私どももその点につきましては三重県はかなり多極的だなという感じを持っているわけでございます。  それで、実は地方拠点都市地域以外をどうするのかという問題でございますが、これは建設省の特に都市局にとりまして極めて重要なテーマでありまして、今下水道の例で申し上げますと十年先、西暦二〇〇〇年ごろにおおむね七割くらいの普及率を達成するということをやっております。その代表は、もしやっていくとすれば、もう政令指定都市とかそういったところはかなり達成されております。人口五万人未満の市町村のところに約千九百くらいまだ下水道未着手のところがございまして、そこのところをきちっと下水道整備の方向に向けていかなければとても目標は達成できない。しかも、その下水道の問題は今や完全にナショナルミニマム化しているわけでございまして、それなくして何の生活大国ぞやというくらいのテーマだと思っております。  したがいまして、こういった地方拠点都市地域法案を提出してございますので、これはこれで進めますけれども、いわゆるナショナルミニマムを達成するための施策というのは変わらずにこれもきちっとやっていく。そこら辺のところのバランスをどういうふうにやっていくかというのはかなり難しいテーマでございますが、私どもはそこはきちっと対応しなければならない重要なテーマであると認識いたしているところでございます。
  161. 石井智

    ○石井(智)委員 自治省はどうお考えですか。
  162. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 御指摘のように、私どもが振興しなきゃいけないところは全国の市町村でございます。自治省といたしましては、かねてからふるさと創生関連施策という名のもとにいろいろな手だてを講じてまいっております。また仕組みといたしましても、おっしゃるように各地各地にそれぞれの圏域をなすところがございます。現に、私どもが手がけております広域市町村圏行政みたいなものにつきましても、全国に三百三十六の圏域を持ちまして、その圏域ごとに相談をして一定の事務の共同処理とかあるいは施設の共同設置等に力を用いておりますし、また私ども、それに対して一定の財政措置等を講じているわけでございます。  先ほどお話ございますように、全部の市町村を振興していくためにも、ある程度ダイナミックな手法を検討する必要もあるだろう。つまり一定の地域を核として整備し、これをてことして周辺にその効果を及ぼすということでございまして、今回の法案に盛られている各種措置が直接対象としている地域というのは確かに拠点都市地域ではございますけれども、その効果は他に及ぶことを期待している、そういう形をとっているわけでございます。  もちろん、地方拠点都市地域以外の地域においてもその振興を図っていくことは重要な課題でございまして、自治省におきましては、平成四年度においても地方計画におきまして、その償還につきまして、将来交付税措置を伴うような地域総合整備事業債でございますとかあるいは過疎債については拡充を図っておりますし、また若者定住緊急プロジェクトと銘打ちまして、過疎地域であるとか山村であるとかあるいは半島であるとか離島であるとか、そういう地域につきまして、地方単独事業を重点的に支援していく施策を打ち出しているところでございます。
  163. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、拠点地区についてでありますけれども、法案によりますと「都市機能集積又は住宅及び住宅地の供給等居住環境の整備を図るための事業を重点的に実施すべき地区」というふうになっております。拠点都市地域の中で拠点地区以外の区域において重点的な整備が期待できないか、こういうことと、各種整備が拠点地区に限定されるということは必ずしも望ましくないのではないか、こういうような思いがいたしております。そういう点で、この拠点地区以外の地域整備は指定区域の中でどう扱っていくのか、お伺いしたいと思います。
  164. 市川一朗

    市川政府委員 地方拠点都市地域整備というものに関します基本的な考え方は、実はその拠点地区に限る考え方といいますよりは、むしろこの地域全体につきましていろいろとハード面あるいはソフト面の事業を実施していくというのが基本的な考え方でございます。その中でいわゆる拠点地区につきましては、イメージしておりますところはいろいろあるわけでございますが、例えば代表的な例といたしまして旧国鉄ヤード跡地みたいなところの活用とか、そういったところを図りましていろいろ業務機能等の集積を図る場合もありますし、あるいは住宅等も含めました居住環境の整備を図るところ、それからそれ以外のいろいろ文化的な施設等も含めたものを図るところ、そういったようなところにつきまして、いわゆる面的整備を行うようなところにつきまして、それを拠点地区として位置づけまして、新しい事業手法も用いてきちっとやっていくという考え方でございます。  それは、そういう意味におきましては地方拠点都市地域整備のいろいろな施策の中の一つでございまして、それ以外に地域全体といたしまして抱えております公共施設整備の問題あるいは居住環境の整備の問題、そういった問題等につきましてもいろいろと取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。したがいまして、例えば建設省といたしましては、道路、公園等の公共施設整備あるいは住宅宅地の供給等、所管事業の実施につきまして特に重点的に取り組みますのは、拠点地区だけじゃなくて、地方拠点都市地域の一体的な整備を図るために必要なものについて重点的に取り組む、そういう考え方を持っておるところでございます。
  165. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、本法案のスキームによって地方拠点都市地域企業移転をした結果として、さまざまなマイナスの要因が生じないかという点についてお伺いをいたしておきたいと思います。三点にわたって質問をしたいと思います。  まず第一点は、東京二十三区から大企業のオフィスや事務所が地方拠点都市地域移転してくるだけでは、地方企業、特に中小企業にとってはプラスがないばかりでなく、むしろ進出企業に若年層を中心とした労働力を奪われるなどマイナス要因の方が多いのではないかという考え方もあるわけでございます。そこで第一に、地域が真の意味活性化するためには、新たに進出する企業と地元企業との共存共栄が不可欠というふうに考えるわけでございますが、このあたりのお考え方。  第二に、拠点都市の郊外に大規模な業務団地を造成する、企業のオフィスを建設するだけでは、都市の活力が中心市街地から郊外へ流出をしてしまうのではないのか、そういうおそれはないのか。このために、中心市街地においても商店街等のにぎわいのある空間をつくり出すことが重要であるというふうに考えますけれども、この法案におけるそのための施策というものはどういうふうに考えられているのか。  第三に、新たな企業立地人口の増加等地方拠点都市地域整備することによる効果が出てくればくるほど、地価や環境に悪影響を及ぼすおそれが出てくると思うわけでございます。地方拠点法においては、地方拠点都市地域整備に当たって具体的にどのような地価対策、環境対策を講じられているのか。この三点について、お伺いをいたしたいと思います。
  166. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 まず第一点でございますけれども、基本的認識といたしまして、地域活性化を図ります上で、企業誘致だけではなくて地元企業発展促進が図られるということが極めて重要と私どもは認識をしております。先生指摘のとおりだと思います。  このため、今回の対策におきましても、こういう点を十分考慮いたしまして、地元企業業務施設の新増設に対しましても税制金融上の優遇措置を講じるというようなこと。第二に、地元企業も含めまして業務活動の円滑な展開を支援する中核施設、例えば共同の会議施設でありますとか研修施設でありますとか、そういったものの整備を図る、このために、地域振興整備公団による出資等の支援措置も予定しているところでございます。また御指摘の、特に地元企業中心といたします中小企業対策といたしまして、中小企業事業団の行う高度化資金について、優遇した条件での貸し付けを行うというような措置も講じておるところでございます。  中央から企業が行きますと、地元の企業との間で共存共栄が図れるかという点でございますけれども、先生御承知のように、最近異業種交流といいますか、そういうものが非常に発達してまいりまして、中央から来た企業と地元の企業の方々がお互いに知恵を出し合って新しい事業の展開を図っていくというようなパターンも多く見られるところでございまして、いずれにいたしましても私ども、進出企業と地元企業、双方の円滑な事業展開を支援してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  167. 小島重喜

    小島政府委員 地価の問題あるいは環境保全との調和ということが御質問あったと思いますが、地価につきましてはまさにおっしゃるとおり、大変重要な問題であると私ども考えておりまして、地価について十分配慮するということは当然のことだというように思います。そういう意味でこの法律案の中にも、監視区域に指定するように努めなければならぬ、こういう規定を入れておりますが、私どもは、そういう兆しがある場合には積極的に、先行的に指定するようにというぐらいの指導をしてまいりたいと考えております。  また、環境の保全との調和につきましては、私ども基本方針で当然のこととして記述をいたし、そしてまさに環境保全というのは地方自治体にとっても大変重要な仕事でありますから、そういう点は十分配慮をしていただくようにしたいと考えております。
  168. 市川一朗

    市川政府委員 それから、地元の商店街等のにぎわいをつくり出すための施策その他につきまして、私どもはこれは極めて重要なテーマであるというふうに考えておりまして、進出した企業との調和の問題につきましては先ほど通産省の方から御答弁ございましたけれども、もともとこういった地方拠点都市地域におきます中心市街地の活性化の問題は、極めて重要なテーマであると考えております。拠点地区の整備あるいは既存商店街の整備等につきましていろいろな手法を駆使いたしまして、また、拠点地区につきましては新しい手法もこの法案で用意してございますが、そういったものを駆使いたしまして、そういったことについて取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  169. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、地方拠点都市地域における雇用機会の創出ということについてお尋ねを申し上げたいと思います。  私は、地方拠点都市地域以外が、本当の意味地方の成長を牽引し、地方の自立的成長を促進する拠点となるためには、今の豊かな時代において人々を引きつけるだけの魅力ある雇用の場をまず確保することが第一の基本的な課題であろうと考えております。特に、若者を中心としてJターン、Uターン、Iターンを促進するためのより強力な措置を講じなければ、本法案目的を達成することは困難ではないか。本法案に基づく措置を推進することによって、若者が魅力を感じるような雇用の場を創出することが本当に可能なのだろうか。この点について、どのようなビジョンをお持ちになっていられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  170. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 私ども、これまでいろいろな地域振興施策を展開させていただいておるわけでございますけれども、通産省といたしましては、地域開発の要請といいますのは、魅力のある拠点地域をつくることと同時に、産業の実態あるいは経済の実態が地元に根づいていく、つまり産業活動が地元に定着をいたしまして魅力のある雇用の場が生じるということが地域開発のために非常に重要であるということで、これまでテクノポリスあるいは頭脳立地等もそういう観点で推進をさせてきていただいたわけでございます。おかげさまで例えばテクノポリスの地域というのは、産業集積が全国の平均に比べましてかなり高い比率で推移しておりまして、提言いたしますと、そこに魅力のある雇用の場が生じて、地元雇用に寄与をしておるということであろうと思っております。  この法律におきましても、そうした意味で、産業業務機能地方に分散する、あるいは地方に新たに立地をしていただくということで雇用の場をつくる、それによって雇用の増大を図っていくというような考え方に基づいておりまして、さらに最近は、先生指摘のように若者の間でも、昔はシティーライフにあこがれて東京東京へという考え方がだんだん変わってまいりまして、今はむしろできるなら地方に勤務をしたい、魅力のある職場があるのなら地方に戻りたいという方も多いようでございますので、そういうトレンドとも合わせまして、この政策を有効に推進をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  171. 石井智

    ○石井(智)委員 そういうような点で、魅力のある雇用の場を創出していくということについては、企業のオフィス等が東京から地方移転をしてくるということが不可欠であろうと考えます。しかし、税を中心とした本法案支援措置によって本当に期待どおりの結果が生まれるかというと、非常に疑問に思うわけでございます。すなわち、東京二十三区内の事務所については、家賃等の各種コストが高いこと等によりその郊外に分散が進むのはわかるのでありますけれども、二十三区を出た企業もせいぜい首都圏内、それを越えたところでも山梨とか福島とか新潟とか、空間的にも時間的にも首都圏に隣接をする地域までしか移転しないのではないだろうか、こういうふうに考えられるところがあります。したがって、地方拠点法案に基づく産業業務施設の再配置促進策も、結果的には首都圏がさらに膨張、拡大をしていく、それを助長するだけに終わってしまうという懸念を持つわけですが、いかがなものでしょうか。
  172. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 まず、この政策を立案しましたときの背景でございますけれども、当省が東京本社を置きます上場企業を対象に実施いたしましたアンケート調査によりますと、約四割の企業が具体的に地方への移転計画策定中あるいは検討中であるというような御回答がありました。つまり、企業サイドでも東京は今や限界に達しているんだという認識がここ数年非常に、かつ急速に高まってきておると考えておるわけでございます。  税を中心にした施策という点でございますけれども、これらの移転検討企業の約六五%は新たなオフィス取得時の税制面金融面での支援というものを要望いたしまして、そういう制度面の要望から、移転コストを低減するための政策措置に対する企業ニーズの高さ、こういったものを示しているのではないかということで施策体系を組ませていただいたわけでございます。さらに、こうした調査結果を踏まえまして、この法律におきましては、三大都市圏以外に設定される拠点地区に産業業務施設移転する者に対します税制金融上の措置でありますとか、あるいは地方における拠点を整備するための地域公団による団地の造成でありますとか、あるいは他省庁との連携によりまして都市機能の増進、居住環境の向上、こういう措置を総合的かつ一体的に講じるということにしておりまして、その効果が期待されるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  特に、先ほど申し上げましたように、若者も地方就職志向ということで、企業の方もやはり働く人の意向というのを相当尊重しないと今後の発展はあり得ないなというような意識になっておられるようでありますし、また、地方で高齢化あるいは核家族化というのが進みまして、御両親の方が息子を東京に奪わないでほしいというような感じも非常に強くなってきておるというふうに認識しておりまして、いずれにしましても、企業地方移転志向というのは相当高まっているのではないかと私どもは分析しておるわけでございます。  先ほどちょっと申し上げましたけれども、首都圏を支援措置の対象地域から除外することにしておりまして、そういう意味では、業務機能が著しく集中しております東京都区部から首都圏を越えて地方圏へ、足の長い業務施設の再配置というようなものが促進されるのではないかというふうに期待している次第でございます。
  173. 石井智

    ○石井(智)委員 今お話しのように、私は企業地方拠点都市地域への移転、分散ということを促進するということについては、そのための魅力を拠点都市に与えることが必要なんだというふうに思うわけでございます。  そこで、第一点として、地方拠点都市地域東京との通信コストを大幅に引き下げる、また東京と同程度の通信サービスを受けられるような電気通信の高度化を促進するなど、思い切った措置を導入することが必要ではないか。また、事務所の移転、分散を促進するためには、地方拠点都市地域に単に事務所ビルを移転して建設をするということのみでなく、今お話がありましたそこで働く従業員さらにはその家族のための住宅、学校、遊びや憩いの場というものを同時に整えていかなければならない。したがって、地方拠点都市地域についてもこのような観点からの整備が必要ではないかな、こういうふうに思うわけですが、いかがなものでしょうか。
  174. 白井太

    ○白井(太)政府委員 通信関係の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。  通信コストの問題でございますが、昨今、高度情報化社会と言われるような時代を迎えております中で、いろいろ通信関係の技術というのも非常に進んできております。そして、このような技術をうまく利用することができますと、恐らく東京圏への一極集中是正ということにもきっとお役に立つことができるはずだというような立場で、私ども今回の法律案に参画させていただいているわけでございます。  ところで、通信料金の問題でございますが、電気通信事業については七年前に大幅な制度改革を行いまして競争原理を導入したわけでありますが、その後この七年の間にNTT、事業者は実は数回にわたりまして遠距離料金の値下げを行ってまいりました。少し大ざっぱに言いますと、その当時と今日とを比べますと遠距離については半分くらいになっているというふうに申し上げてもいいわけでありますが、ただ、それにしても外国などと比べてみて、我が国では遠距離料金がまだ非常に高いのではないかという強い御指摘のあることも事実であります。したがいまして、私どもとしてはできるだけ、まずは遠距離料金を事業者の努力によってもっともっと下げていただくというようなことをしていただくことが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。  それからサービスの内容について、地方においても東京にいるときと同じようなサービスが利用できるようなことを考えるべきだという御指摘があったように思いますけれども、この点についても私どもは先生のおっしゃるとおりだと思っておりまして、そのためには、今回の法律案で申し上げますれば、地方における拠点地区等における電気通信基盤の整備というのが大変重要になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
  175. 市川一朗

    市川政府委員 御質問の後半の部分でございますが、事務所の受け皿というだけではなくて、御指摘がございましたように従業員とか家族の方々のこともいろいろと考える必要があるというふうに私ども考えておりまして、実はこの地方拠点都市地域の構想におきましてはむしろそこを極めて重要視して考えておりまして、特に若者にとりまして魅力を持てるような生活空間ということで、先生の御指摘ともぴったり合うと思いますが、職住遊学といったようなことが貴重なテーマだと思っております。  その中でちょっと住宅の問題を一つ取り上げてみたいと思いますが、住宅に関する限りにおいては地方の方が大都会よりも十分魅力ある住宅に住めるわけでございまして、この辺が一つの大きな誘因にもなり得るというふうに思っておりますが、遊とか学とかいったような問題につきましては、かなり懸命に努力しなきゃいけないのじゃないかなというふうに思っておる次第でございます。
  176. 石井智

    ○石井(智)委員 次に、住民参加それから情報公開というところでの考え方を伺っておきたいと思います。  私は地方拠点法案において、地方の自主性を尊重する観点から地方公共団体、特に市町村に対して計画策定の権限をゆだねている点については評価をいたしておりますけれども、しかしながら本法案においては、市町村による基本計画の作成段階等において、地域住民の意見を直接反映させる機会というものが設けられているというふうには見受けられません。また、住民が適切な意見を持つためには、事前に基本計画に関する情報が提供される必要があるのではないかな、こういう点についての情報公開の規定というものが設けられていない、このあたりはやはり組み込んでいくべきではないかなというふうに思うわけでございます。それから、地方を定住の場として本当に魅力のある地方拠点都市地域をつくっていくためには、地域住民の意向を最大限に尊重しながらその整備を進めていくべきであります。そのためには住民参加、情報公開ということが本当に必要不可欠な問題であろうというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  177. 市川一朗

    市川政府委員 法案におきましては、基本計画策定に際しまして、議会の議決を経て定められております関係市町村の基本構想に即して定めなければならないというところで議会との関係を書いておるわけでございますが、それ以上のところは今回の法案については余り書いてないわけでございますけれども、私どもの考え方といたしましては、まずそういった基本構想に基づくというところで、関係市町村の住民の意向は基本的な部分は配慮されるのではないかということが第一点。  それから、具体的な住民参加の問題や情報公開の問題につきましては、計画策定主体は市町村でございますから、その市町村におきましてそれぞれの実情に応じまして十分そういった住民参加、情報公開等につきましても講じられるべきであるし、まあそうなるのではないかという期待感のもとにあえて法律で書いてないというところでございますが、現実的には、市町村の具体の計画策定の段階で相当程度のことが行われるものと期待しておるところでございます。
  178. 石井智

    ○石井(智)委員 最後になりますけれども、国土庁長官にこの実施体制について伺っておきたいというふうに思います。  今回の法案は、関係省庁がそれぞれ新規事業を持ち寄ってきたものであるというふうに伺っておりますが、各省庁がそういう点ではよくまとまったなという思いがいたします。しかし、これを執行していくには、問題はさらにこれからがスタートなんだというふうに思うわけでございます。それぞれの地方拠点都市地域で各省庁が主導権争いをしているようでは、地方の方では大変迷惑になるわけであります。また、地域指定の際などに、国に相談するにもあちらこちらの省庁に行き、それぞれ異なった指導が行われるようであっては、地方は大変迷惑をするわけでございます。そういう点で、今回のこの法律というのは船頭が多いということで船が進まないのではないかなという話も、もうちらほら出かけておるわけでございます。この法案が、各省庁がそれぞれの道を進み、結局は地域整備が進まない、成果が上がらない、こういうようなことになってしまっては、せっかくの法律意味がなくなるわけでございます。  そういう点で、今後実施をしていくための施行体制というものが非常に大きな意味を持つわけであろうと思います。この日本国土形成していく、そういう大局的な立場に立って国土庁というのはどういう役割を果たそうというふうに御決意いただいておるのか、国土庁長官に御一言賜りたいと思います。
  179. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 私、あるテレビの座談会に先週出まして、そのとき偉い学者先生から、あなたたちはそういう拠点地域整備法を提出しておられるようだが、とてもできるものじゃございませんよ、私はそう思いますというような、断定された意見がございました。私もそれには大変むきになりまして、今度は違いますということで、随分力んで申し上げたことでございます。そういうことで、今度はまとめていかなきゃいけない。  それと、先ほどから政府委員の方々が御答弁なされた、地方はなぜ魅力がないのかということから、やはり都会にどうしても若い人たちが魅力を求めて移動した。それが十八県に今日非常に、歯どめができたような御答弁もあったんでございますけれども、現実に十八県もの減少県があるわけなんですから、今後やはりより働く魅力のある職場をまずつくることだと思うんです。そして、まだ地価の非常に安い地域もありますから、そこに居住環境のいい住宅をどう計画的に求めやすい価格でつくるのかというようなこと。もちろん業務面の移転も、これは大切なことだと思っております。  そういう総合的なことを、今後各省庁が協議機関をつくって、そしてその協議機関の皆さん方が窓口を一本化しなければ、今御質問のように各県、市町村の皆さん方のそれぞれの意見が今後どんどん出てくるわけですから、それは協議するわけですから、そうなった場合に、じゃどういう範囲でこれをお決めになられたらどうですかということはやはり指導してやらないといけない。私ども、市町村、県あたりからいろんなことで陳情がなされる。お聞きしますと、まだまだノウハウに欠けた点がたくさんあると私は思うんです。それはやはり関係各省がよく指導してさしあげることだと思っておりますから、お尋ねの点については、窓口は一本化すべきだと私は思っておりますし、そういうことで円滑な整備を図れるように努めるのが、また私たちの役目だと心得ております。
  180. 石井智

    ○石井(智)委員 まだそういう点での執行体制の段階についてまでは意見が統一されてないようでございますので、ひとつそのあたりも今後の問題点というか、執行に入っていく中での大きな問題として内部討議をさらにしていただいて、地方が、ああ国も今度は本当に任してくれておれのところの言うことを聞いてくれたなという状態で執行のできる体制をつくっていただきたいとお願いして、終わります。
  181. 古賀誠

    古賀委員長 山内弘君。
  182. 山内彪

    山内委員 国土庁長官はいなくなりましたが、熱意のあることは非常にいいことでありますから、あとはひとつ実行を大いに頑張ってもらうということを前提にして質問をしてまいりたい、こう思うわけでございます。  今回の地方拠点法案、この背景として、今日地方においていろいろな問題がございます。特に若年層を中心として人口がどんどん減少する状況、これは先ほどもどなたか言っておりましたけれども、東京人口、政治経済などのすべての機能が一点に集中しておる、こういう問題の対策として今回の法案が準備され、各省が幅広く支援策を持ち寄ることによって、官民が力を合わせ地方拠点都市地域の総合的な整備を行うということだと思うわけでございます。私は、このような法案の意図するところは着実に具体化されなければならない、先ほど国土庁長官お話ではございませんが、熱意を持ってやってもらわなきゃならない、地方の自立的な成長を引っ張っていくような、地方での定住を促進するような地方拠点都市整備でなければならないと思うわけでございます。本法案に基づく制度全体の的確な運用を図られることを切望するのであります。  まずそこでお尋ねをしたいのは、この法案実施によって本当に地方活性化することができるのかどうか、地方の自立的な成長ということを本当に期待してよいのかどうか。すなわち今までの地域振興立法、また特定地域を対象として各省がさまざまな施策を持ち寄ってやってきた例はたくさんあるわけでございます。特に最近の例で言いますといわゆるリゾート法の問題、それから多極法がその代表的なものでございますけれども、これらの法律の目指した多極分散型の均衡ある国土発展、この問題に対する達成状況というのは残念ながら必ずしもはかばかしくないのであります。したがって本法案による地方活性化施策が、これは何人かの方々が言ったように、ともすると計画倒れになって、まさに画餅に等しい、こういうことになっては大変であります。  特にこの法案では、地方拠点都市地域として県内の第二、第三の都市を指定候補として考えておる、こう言っておるわけでありますが、このような県内の第二、第三の都市というのは、本当に若者が地域にとどまり定住してくれるほどの魅力のある就業の場が確保されておるかどうか、また大学等の高等教育のための施設を誘致することが本当に可能となるのかどうか、この点の見通しについてお尋ねをしたいと思うわけであります。
  183. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 まず、私ども通産省関係した部分についてお答え申し上げたいと思います。  私どもこれまで工業再配置政策あるいはテクノポリス政策、頭脳立地政策等、産業立地政策を推進してまいりました。まず、これらの成果でございますけれども、御承知のように工業再配置政策につきましては、最近五カ年間の全国の工場の新増設面積の約七五%が誘導地域、つまり産業を育てたいという地方において行われておりまして、工業の地方分散は着実に進展しておるというふうに考えておるわけでございます。テクノポリス政策につきましても、現在までに全国二十六地域について開発計画の承認を行ってきておりますけれども、最近、テクノポリス地域におきます立地件数でありますとかあるいは敷地面積の伸びが、ともに全国平均を大幅に上回っておりまして、特に先端産業について申し上げますと、敷地面積の伸びが指定前の年平均に比べまして二倍ぐらいのスピードで伸びておる。全国平均が一・三倍ぐらいでございますから、かなりの成果を上げているのではないかというふうに考えてきております。また、頭脳立地政策につきましても、現在十九地域を選んでやっておりますけれども、これらにつきましても着実に事業が進展しておるというふうに私ども認識しておるところでございます。  そこで、先生指摘地方の第二、第三の都市を指定候補として考えておる、こういうところで雇用の場が確保される見通しがあるのかという御質問でございますけれども、この地方拠点都市地域は、もちろんその地方の実態に応じて選定されるわけでございまして、必ずしも県内第二、第三の都市を候補として、一位の都市排除しているということではないと思います。ただ、これまでの私どもの経験によりますと、例えばテクノ地域では、二十六地域のうち県庁所在地以外でやっておりますのが十二ございます。頭脳では、十九のうち県庁所在地以外は六地域ございます。  青森は、青森市を中心にテクノポリスをやっていただいておりますけれども、頭脳の方では、先生御承知のように八戸を中心にやっていただいておりまして、八戸の業務団地は完成と同時に予約でほぼ完売するということで、大きな成果を上げておるというふうに理解をしておりまして、第二、第三の都市であっても、地方発展の拠点となるポテンシャルを有する地域でありますれば、今回の各省が協力連携していろいろな支援措置を講ずるということによって産業業務施設の再配置が進み、新しい雇用の場が生じていくというふうに私どもは期待しているわけでございます。     〔委員長退席北村委員長代理着席〕
  184. 小島重喜

    小島政府委員 先ほども申し上げておりますように、この法案は従来にない切り口があるわけでございます。と申しますのは、都市機能の高度化を図る、あるいは居住環境の整備を図る、こういう点に目標を置いて各種施策がなされ、同時に今、鈴木局長からもお話がございましたように、特にそういう地域産業業務施設集積を図っていこう、こういうことをねらいにいたしております。  そういう面で、この法案が私どもが意図するように実行されていくということになりますと、大変魅力のある地方都市が随所にできてきて、そこで若者が定住するということが可能ではないか、あるいはそうあってほしいということを私どもとしては考えておるわけでございます。
  185. 山内彪

    山内委員 答弁いろいろございますけれども、地方振興局長の引っ張ってきた熱意、非常に新しい切り口でどうのこうのということの熱意もわからないわけではない。しかし、地域活性化の効果が、今通産省の方が言ったように十分発揮できておるという説明では私は納得できない。特に地域活性化というのは、そう容易なものではないと私は思うのです。そこで、本当に期待される効果というものを上げるためには、この制度の運用にかかっているということはもちろん言えるわけでありまして、結局この法案の運用面、制度の運用というものが極めて重要ではないか、こう私は思うわけです。どう運用するんだ。  そこで、地方拠点都市地域の選定、この問題からひとつ質問させてもらいたいと思います。第一には、地方拠点都市地域の定義について法案ではいろいろ書いておりますけれども、地域を具体的にどうイメージしておるのか必ずしも明確ではない。このような状態で地域指定を行った場合、本当にうまく回転していくのかどうか、また、意味するところが明確になって地域の指定というものが円滑に行っていけるのかどうか、この辺は私は極めて疑問を感じざるを得ないわけであります。具体的な地方拠点都市地域指定の考え方、これをまず示していただきたいと思うわけです。
  186. 小島重喜

    小島政府委員 地方拠点都市地域ということでございますが、先ほども申し上げましたように都市としての機能、いろいろな機能があるわけでありますけれども、そういうものが総合的に発揮されて、そして若者がそこで働く、働きがいがあるあるいは住みがいがある地域づくりといいますか、そういうことを考えておるわけでございます。  それでは具体的にどこの地域をどうするかということ、これは私どもがどうせいこうせいと言うよりも、むしろ各県の知事さんにおいて、県内のいろいろな意味での地域バランス各種施策、そういうことも含めた上で具体的に選定をしていただく。ただし、やはり一定のポテンシャリティーというもの、つまりこれによってそこの都市あるいはその周辺が発展をする、あるいは発展する可能性が高いような地域であるということは必要だと思います。
  187. 山内彪

    山内委員 局長は、それは地元で決めるんだと言うけれども、各県ごとに一ないし二地域指定ということで書いておるわけだけれども、各県というのは必ずしも平均的な県ばかりではないわけであります。人口の問題、面積の大小、それからまた民度の問題、経済の問題、たくさんの問題があると思うわけで、一律に一ないし二という考え方は、そういう面から考えると逆に不公平のそしりを免れないという考え方も出てくるのではないか。各県ごとの地域指定というものについて、実際の地域指定の段階で、知事が運用に当たって困るという問題も出てくるのじゃないかと私は思うわけです。  また、地方拠点都市地域の問題について、当該地域において自然的、経済的、社会的条件、いろいろな問題で整備を図ることが相当と認められる地域でも、どこまでが一体的であるかという問題、これは非常に難しい問題じゃないかと思うわけでございます。具体的に地域の範囲の決め方、これは各都道府県の知事の頭の中で非常に混乱する状況が出てくるのではないかと想像されるわけでございます。そしてまた、地方拠点都市地域の範囲について、知事が地域の指定に当たって一体何を基準にして明快な考え方を出すのか。  また県庁所在地の問題は、県内第一の都市だというようなことでございますからこれは外すのだ、こういうふうに言われております。しかし、青森県あたりはもう既に立候補しているわけです。そうなってくると、第二、第三でなくて第一が重点的にとらえられるというふうな状態も出てくるわけであります。しかも、テクノポリスの関係も出てくる。いろいろな問題で、まさに混乱の極致というのが本法施行に当たっての状況になってくるのではないかというふうに私は考えられるわけであります。また、県庁所在地がそれぞれの県で立候補した場合、これはまさに複雑怪奇、法の運用というものが竜頭蛇尾に終わる、絵にかいたもちに過ぎない、心のないふわふわしたものに終わるわけです。せっかくここまで振興局長が持ってきたこの法案が、またまた単なる計画倒れに終わるようなことであってはならないのではないかと思うのだけれども、その辺の考え方をひとつお聞かせ願いたいと思うわけです。
  188. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の、人口や面積の大小いろいろあるのに、各県平均一つとか二つというのは不公平ではないか、こういうふうなお尋ねでございます。こういう拠点的に、あるいは重点的に投資をして整備をするということになりますと、全国に六百幾つかの市があるわけでございますけれども、おのずから数には限度がある。かといって、各県に一つもないというようなことではまた困るのではないかというように思います。市の配置の状況等々は、それぞれの地域地域によっても違うわけでございますけれども、私どもといたしましては、当面重点的に整備するということを考えますと、基本的には一ないし二カ所という程度が適当ではないかというように考えておるわけでございます。ただ、いろいろと県内事情等々ございますということも私ども理解できないわけでもございませんけれども、その点については今後さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、地方拠点都市地域の範囲といいますか範域はどのくらいになるのだ、こういうお尋ねであったと思います。この点につきましては、考えてみますと、都市の影響が及ぶ範囲というのはおのずから決まってきますし、またあるのだと思います。そういう意味で、中心になります都市都市圏域、これは恐らく具体的には商圏でありますとか通勤通学圏等々によって、ある程度客観的に判定をされるというように思います。と同時に、考え方としては、先ほど都市局長がお答え申し上げましたように、例えば車社会でありますから、一般の国道で車で三十分程度の範域、このくらいのところが一定の範域になるのではないかというように考えております。  それから、県内第一都市の問題でございます。これは国土の全体としての多極分散型ということと同時に、県内におきます、御案内のように最近、県庁所在地あるいは県内第一都市に対する人口集中傾向が大変強うございます。そういう意味で、県内第一都市といいますか、こういう都市に対する人口集中是正策ということも一つの目標として考えておりますので、基本的には各知事さんが御判断になることではありましょうけれども、私どもといたしましては、この法律の趣旨を各県知事さんは十分お酌み取りいただきたい。ただ、どうしても、それにもかかわらず知事さんがそういう選択をされるということまで私どもは排除はできないと思いますけれども、基本的な考え方は、私どもの考えを理解していただいて知事さんが適切な判断をしていただけるもの、かように考えております。
  189. 山内彪

    山内委員 今後の問題でございますから、これを局長と議論する気持ちはないのでございますけれども、しかし実態はそういうふうになっておるということを、法案審議に当たって、また法施行に当たって国土庁は真剣に受けとめてもらいたいと私は思うわけですし、要望しておきます。  次に、基本計画の内容に関する点についてお伺いいたしますけれども、基本計画は市町村が共同して策定する、こうなっておるわけでありますが、この計画の内容として具体的にどこまでの記載が必要なのか、必ずしもはっきりしていない。そこで、そういうような点についてひとつお尋ねしたいと思うわけであります。  まず、計画の目標期間についてであります。基本計画はおおむね何年程度を目標期間として策定するのか。また、公共事業の重点投資を行うのであれば、公共投資十カ年計画の期間に限られるのかどうか。さらに、市町村は計画期間を自由に設定できるのかどうか。まず、この点からお伺いしておきたいと思います。
  190. 市川一朗

    市川政府委員 基本計画の期間の問題でございますが、この法案に基づきます地方拠点都市地域整備の効果というものはできるだけ早くあらわれることが望ましいわけでございますけれども、しかしまた、基本計画に基づいて実施されますいろいろな事業があるわけでございまして、地方の自主性を尊重するという立場から申し上げましても、極めて多様なものが出てくると私どもも想定しております。そういう意味におきまして、一律にその期間を定めるということは適当ではないと考えております。  ただ、そういった考え方策定されました基本計画につきまして、公共事業という観点からいろいろ御支援申し上げるとするならば、ただいま先生から御指摘がございました公共投資に関します十カ年計画があるわけでございまして、そういったところをにらみながら、その十年間は一つの重点的投資ということが可能であるということでございまして、その辺ややあいまいな部分もございますが、基本的に市町村が計画策定する際に、その計画の内容に即した目標期間を定めていくということが適当なのではないかと考えておる次第でございます。
  191. 山内彪

    山内委員 次に、拠点地区はどのような考え方に立って設けるのが適当なのでしょうかということです。拠点地区は、都市機能集積または居住環境の整備に関する事業を重点的に実施する地区、このような性格の拠点地区であるのか。それから、市町村ごとに拠点地区の数に限定をつけるのか。地区の数が多過ぎた場合、事業の重点実施の効果が弱まることも懸念されるわけであります。その点に対する考え方をひとつお聞かせいただきたい。  さらに、拠点地区以外の地域の扱いをどのようにすべきか。拠点地区を設定することの裏返しとなりますけれども、拠点地区以外の地域でも公共施設整備や居住環境の整備を行うわけでありますから、具体的にはどのような整備を行ったらよいのか、その点もあわせてお尋ねをしたいと思います。
  192. 市川一朗

    市川政府委員 拠点地区に関しましては、地方拠点都市地域の育成を図る上におきまして、商業業務等の都市機能集積とか、あるいは地方定住の核となるべき質の高い居住環境を整備するとかいったようなことをイメージしておるわけでございまして、具体的な場所等はそれぞれの市町村によって違いますけれども、私などが特に意識しておりますのは、例えば地方都市地域におきます都心部といたしましては、旧国鉄ヤード跡地のあるところが結構あるわけでございまして、そういったようなところをこの機会にぜひ地方活性化の拠点として整備していただきたい。そういう面的開発のところをイメージしております。したがいまして、拠点地区の整備手法といたしましても新しい提案もしておりまして、促進区域制度とかあるいは区画整理につきまして新しい手法も用意しておるところでございます。  したがいまして、地方拠点都市地域整備に当たりまして、拠点地区をきちっと整備することは極めて重要ではありますが、その数を幾つ幾つというふうに限定することは、その自主性尊重というだけではなくて、それぞれの地方によって本当に実態が違うと思いますので、それは適当ではないというふうに考えております。今先生の方から、余り拠点地区の数がふえるとその分だけ散漫になるのではないかということにつきましては、私どもも同感でございます。その辺のところは、非常に兼ね合いを考えながらやっていくべきだと思っております。  なお、地方拠点都市地域整備ということの方がむしろ主眼でございますから、その中で拠点地区もやりますが、地域全体につきましての公共施設整備とか居住環境の改善あるいは整備、それから文化とかそういったようなところまで含めました、教育の問題も含めましたいろいろな整備、それはハード面、ソフト面、いろいろやっていく必要があると思っておりまして、むしろトータルとしてはそのことが極めて重要であるというふうに認識しておりまして、関係省庁もその方向であらゆる角度から御支援申し上げるという考え方に立っておるところでございます。
  193. 山内彪

    山内委員 この辺がこの法案の中核をなすものではないかと思うので、しっかりひとつやってもらいたいと思うわけです。  最後に、基本計画の作成主体は市町村でありますけれども、この市町村以外の主体が整備主体となる施設の取り扱いについてお尋ねをしたいと思います。例えば高速道路、空港、新幹線、いろいろな施設があるわけでございますけれども、それぞれ市町村以外の事業主体である公団、都道府県が鉄道の事業等いろいろ整備することになると思うのでございますけれども、このような施設整備についても基本計画の中で記載することは可能なのかどうか。また、可能性があるとした場合、これらの事業主体との調整が必要と考えるわけでありますけれども、どのようにして行うのか。このような施設地域整備に与えるインパクトは極めて大きい、非常に強いわけでございます。基本計画の中にぜひとも盛り込むべきであると考えますけれども、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  194. 市川一朗

    市川政府委員 基本計画におきまして盛り込まれますいろいろな内容の中で、計画は市町村がつくりますが、そういった事業といいますか施設整備主体が市町村ではなくて国あるいは都道府県等であるものはいろいろあるわけでございまして、こういったような内容も含めて基本計画に定めるというのが私どもの考え方でございます。  ただ、御指摘ございましたように、市町村が計画をつくるけれども、市町村以外のところが設置、管理することとなっているような施設につきまして、その辺はどうなるのかという問題があるわけでございますので、法律におきましても第六条の基本計画について規定しているところの第五項でございますが、「国土総合開発計画その他法律規定による地域振興に関する計画及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国又は都道府県の計画並びに都市計画との調和が保たれ、かつ、地方自治法第二条第五項の基本構想に即したものでなければならない。」ということで、いわゆる調和が保たれるべきであるということで規定されているところでございます。  したがいまして、具体的にやります場合に、ざっくばらんに言いまして、国の方でやるようなものを市町村がいわば自主的に、主体性を持って全部決められるかというところが一つのテーマになるわけでございますが、やはり国等が定めることになっております計画は、市町村の地域を超えた広域的な観点から設置されるものが多うございますので、その辺との具体的な調整というのはいろいろ図っていかなければならないのではないかというふうに思っておりまして、その過程において市町村の自主性をできるだけ尊重するということが極めて肝要であると思っておりまして、かなり難しいテーマの一つだと思っております。
  195. 山内彪

    山内委員 だんだんおいしそうなところになるといい答えが出てこない、まことに残念でありますけれども、その点はもう少し詰めていただきたいものであると思うわけでございます。  次に、今回の法案の中で地方の自主性を尊重した地方拠点都市地域整備を進める、こういろいろあるわけでございますが、さまざまな新措置が盛り込まれておるわけでございますけれども、この問題に対して若干御質問をいたしたいと思います。  まず第一に、公共事業の重点実施の問題でございますが、地方拠点都市地域について、かねてから公共事業の重点実施が大きく脚光を浴びておる。具体的にどのような運用がなされるか、この問題が非常に聞きたいところであるわけでございます。最初に、公共事業の重点実施の具体的中身でございますけれども、まず建設省は具体的に何を実施される御予定なのか、それからまた、補助事業の重点実施についてはどうなるのか。高規格道路を含め建設省所管事業全体について、地方拠点都市地域における重点投資が行われるものであると私は考えるわけでございますけれども、そう考えていいのかどうか、お答えをいただきたい。大臣でもいいですよ。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  196. 市川一朗

    市川政府委員 まず初めに、ちょっと私の方からお答え申し上げます。  公共事業の重点実施の具体的中身は何なのかということでございますけれども、これは基本計画を市町村が共同してつくるということになっておりまして、それを知事が承認して基本計画が定まるわけでございまして、その基本計画の中でいろいろな公共施設等も盛り込まれるわけでございますから、それに対して建設省としては重点実施という形で御支援申し上げるということでございまして、具体的にどういった公共事業が重点実施を行われるかということは、当該市町村が共同して作成する基本計画の中で盛り込まれたものがその対象となるというのが、私どもの基本的考え方でございます。
  197. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいまの御質問に対しまして、私からもお答えいたしたいのでございます。  それは、公共投資基本計画四百三十兆円がございますが、この四百三十兆円の公共投資の方向でございますけれども、これは日米構造協議からこの計画が生まれたということを考えますと、第一に、有効需要を喚起いたしまして経済を支えるということが一つございます。二つ目といたしまして、これは国の再々申し上げておる基本的な国土計画でございますが、均衡ある国土発展に資する方向でこの投資を行いたい。それから三番目といたしましては、今政府といたしましては生活大国づくりを志しているわけでございますから、その方向に資するために使いたい、こういうことがございます。  そこで、三つ申し上げましたのですが、第一点は別といたしまして第二点、第三点の国土の均衡ある発展あるいは生活大国づくりという観点からいたしますと、この拠点都市地域整備は非常に大事な施策になる、あるいは中心的な施策であると考えていいと思います。そこで、公共投資が重点的に拠点都市地域に配分されるということは当然であろうかと思っております。我が建設省といたしましても、道路あるいは下水、公園等々の整備を拠点都市地域はとりわけ重点的に行ってまいりたいと考えております。
  198. 山内彪

    山内委員 次に、農水省の方にお伺いいたしますが、地方拠点都市地域に含まれる農山漁村についてどのような整備を具体的にされる御予定でございましょうか、これをひとつ端的に質問いたします。
  199. 海野研一

    ○海野政府委員 お答え申し上げます。  現在、全国の農村地域の各集落では、村づくりと申しますか活性化と申しますか、そういうことを一生懸命やっている中で、やはり近いところに都市が欲しいという声が非常に大きいわけでございます。そういう意味で、私ども農林水産省といたしましても、農村地域の定住を進めるためにはやはり近いところにどうしても魅力のある都市ができてほしい、そういう観点から地方拠点都市地域整備というものは全力を挙げて一緒にやっていこうというふうに考えているわけでございます。  その場合に、特にせっかく中心都市ができましても、そこで都市と農山漁村との整備が跛行してしまうということになりますと、かえってその地域の中での拠点集中というようなことになりかねないわけでございます。絶えずこの拠点地区と農山漁村との均衡に関連しながら進めていくということが重要だろうということでございまして、この法案の中でも、農山漁村の整備促進についても配慮するという規定が入っているわけでございます。  具体的にどういうことをやるのかというお尋ねでございますけれども、例えば施設用地を一方でつくり出しながら、優良農地を守っていくという面から圃場整備事業が必要になるというケースもございます。それから、各拠点地区との通勤の関連で農業集落に人間がもっと住むようになるという場合、そこでの集落環境整備がいろいろ必要になる。この辺は地域に応じてでございますけれども、そのまさに拠点都市整備と関連をさせて必要になってくる農業生産基盤整備生活環境整備その他総合的に実施して、この拠点都市地域整備が本当に農村地域の定住に役に立つように、またそういう背後の農村が健全で初めて拠点都市大都市に対抗して魅力のあるものとなれるだろうと思っておりますので、そういう意味で、私ども農山漁村の整備について一生懸命やってまいるつもりでございます。
  200. 山内彪

    山内委員 先ほど大臣の御答弁もございましたように、四百三十兆の問題に関連してお尋ねをしてみたいと思うわけですが、重点的な実施というのと公共投資基本計画関係について、公共投資基本計画では十年間で四百三十兆公共投資を行う。その公共投資の基本的なプログラムの中で、今回の拠点法に基づいて具体的にどの程度の額がいわゆる事業の重点実施分として地方拠点都市地域に投入されるのか、また、都道府県間で事業の重点実施をするのではなくて各都道府県内で重点実施を行うにとどまるのかどうか、この点まず明確でないのでひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  201. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生から大変大事な御質問をいただいているところでございます。道路局長がおりませんので、便宜私から概括的に御答弁させていただきます。  率直に言いまして、四百三十兆という十カ年間の計画の中で拠点都市にどのくらい充てるかということは、こうやって法案を御審議いただいているさなかでございますので、どの都市がどうなるかということも決まってない今日では、まだ積み上げがございません。ただ、はっきり申しまして、四百三十兆円という公共投資を実行した暁において、私どもが目指している地方拠点都市地域整備が具体的な姿をもって二〇〇〇年を迎えられるように、こういったことは大変重要な課題である、こういう姿勢で我々臨みたいと思います。そのことは、単に都市環境への投資のみならず、先ほども大臣申し上げましたけれども、拠点都市地域全体の話になりますから、道路もしかりあるいは河川もしかり、およそ建設省関係について申しますと、そういった観点からのトータルの取り組みをしたい、こう思っております。  なお、平成三年度あるいは四年度の予算についてちょっと申し上げさせていただきますと、御案内のとおり、生活関連重点化枠というのが政府全体で二千億ございますけれども、この中で建設省は平成四年度千三百十一億円余りいただいております。こういった重点化枠の執行のあり方について、私ども大変大きな柱として地方都市活性化あるいは商店街の近代化、こういったものを主要施策として掲げて予算を配分もさせていただいているところでございまして、予算の仕組みそのものが今後どうなるかにもよりますけれども、こういった考え方は当然今後とも踏襲していきたい。あわせて、本来的な通常の予算であります道路予算、下水道、公園等々の一般的な公共事業予算についても、先ほど申しましたように、この辺の施策については重点的に取り組ませていただきたい。その際に対象とすべき事業というものは、先ほど都市局長が申しましたように、関係市町村ともども一緒になってつくる、本当に実のある地域のトータルプロジェクトというものを尊重していきたい、こういう考えで臨みたいと思っております。
  202. 山内彪

    山内委員 非常に意のあるところをお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  次に、公共事業の重点実施は、地方拠点都市地域地方の自立的成長の拠点として整備をする、広域の見地から必要となる都市機能の増進及び居住環境の向上の推進を図るものであって、身の回りの施設である公園、下水道、今官房長の言われたようないろいろな問題を含めて地域整備を今回の法案に基づいて行う、こういうふうに伺ったわけでありますが、このような考え方でさらにまた確認しておきたいことがあるわけであります。  公共事業の重点実施については大体そういうふうなことでいいわけでございますが、第二に、地方単独事業の拡大について質問をいたしておきたいと思います。今回の法案目的である、関係市町村の創意工夫を最大限に生かしつつ地方拠点都市地域整備を進めていくためには、いわゆる補助事業のみならず、地方単独事業についても十分に財源を確保することが極めて必要ではないか、こう思うわけです。そこで、具体的にこの問題にこの制度でどう検討をされておるのか、この辺が極めて微妙なところでございますので、ひとつ明確にしておきたい。  次に、この点に関連いたしますけれども、私は県土全体の均衡ある発展を図る上で、地方拠点都市地域に指定されなかった地域に対する支援もまた欠かせないものであると考えるわけでございます。特に過疎県の場合、これは地方拠点都市の指定というものも、恐らく想定するに極めて難しい要素もあるのではないかと思うわけでございまして、指定地域以外のそういう都市についても重点的に整備を行うことは、必要不可欠な問題ではないかと思うわけでございます。その実施に当たって、特に地方単独事業について財源措置の拡充強化が必要ではないかと思いますが、その考え方をまず出していただきたい。
  203. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 お答え申し上げます。  拠点都市地域振興を図る上で、補助事業のみならず単独事業が重要ではないかという御指摘、まことにごもっともでございます。自治省といたしましては、この法案で、地域の創意工夫を生かして地方の自立的成長の促進を図るという目的を掲げてございますが、そのためにも、これまでふるさと創生関連施策をやりまして、地方がみずから考えて、これを中央が支援をするというやり方で実績を積み重ねてまいりました。これを生かしながら対処してまいりたいと思っております。  具体的に申し上げますと、地方の行う単独の施策には、ハードの建設の系統のものとソフトの系統のものがございます。ハードの系統のものにつきましては、まず地方債を充当し、その地方債の償還に当たって交付税で後追いをするというような仕掛けで、地方債と交付税を組み合わせたようなものを考えております。またソフトの事業、特に広域的なソフトの事業につきましては、共同して一定の方式で基金を積み立てて、その果実によって地域間交流であるとか人材育成とかそういう仕事をしようとする場合に、これもその基金を設置するに当たって、その財源として地方債を認め、その償還について交付税で対応する、このようなことを考えております。  また、次に御質問のございました、拠点都市地域以外の地域振興も大事ではないかという件でございますけれども、これにつきましても、私どもかねてから三千三百の市町村そのものが大事であるという考え方に立っておりまして、先ほど申し上げましたように、ふるさと創生事業等で支援をしてまいってきておるわけでございます。今回は、一定の地域を核的な地域として位置づけて、これをてこに全体の底上げを図っていこうという手法もとってみるという考え方でございますが、もとより拠点都市地域以外の地域における振興を図っていくということも大変重要な課題でございます。自治省といたしましては、平成四年度の地方計画におきまして、例えば過疎債につきましても増枠を図っているところでございますし、またハンディキャップを持っているような地域、過疎であるとか半島、離島、山村、そのようなものを対象といたしまして若者の定住に資するような事業を進めようとする場合には、やはり地方債と交付税の組み合わせによって支援していく、そのような措置を新しく考えているところでございます。
  204. 山内彪

    山内委員 地方拠点都市に指定されない場合の議論、これはちょっと出過ぎた議論でありまして、予防線を張っただけにすぎないので、今後我が県などが当たらない場合の議論でありますから、これはそういう意味で、当たれば自治省とは議論はないわけでありますから、当たらなければそういうことでやっていくというふうなことで、今言っておかなければならないと思って言っておくことを、自治省の方も十二分にひとつ頭の中に入れておいていただきたい、こう思うわけです。とにかく貧乏県は外すということは非常に困ることでありますから、その点は十二分に注意をしていただきたい、こう思います。  次に、建設省は今回の法案において、地方拠点都市地域の対象として新たに都市計画の特例を設けておるわけですね。この点についてお尋ねをしておきたいと思うわけです。  まず最初に、市街化調整区域における開発許可手続の特例についてお伺いをしますが、その手続の特例は何を目的としたどのような内容の特例であるのか。また、市街化調整区域内の開発許可基準というのは一体どういうふうに見直していくのか、この特例によってどのような効果を期待しているのか。そしてさらに、地方拠点都市実施にかんがみて市街化調整区域の線引きの積極的な見直し、この点がどうなるのか、非常に関心があるわけでございます。その点についてまず御見解をお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
  205. 伴襄

    ○伴政府委員 御質問の前段でございますが、市街化調整区域における開発許可手続の特例の点でございますけれども、この仕組みといたしましては、地方拠点都市地域関係市町村が、まず自発的に基本計画で市街化調整区域の拠点地区において実施されることが適当と認められる開発行為を定めるということにしております。例えば、市町村独自の町づくり計画があって、こういうものならば認められるよといったような計画をここに掲げていただきます。そして知事の承認を受けていただいた場合には、その市街化調整区域における開発行為は二つ基準、技術基準と立地基準がございますけれども、一番大事なのは立地基準、立地できるかどうかという点でございます。その立地基準につきまして、例えば、通常は開発審査会の議を経る必要があるわけですけれども、開発審査会の議を経なくてもいい、だからあとは技術基準だけでいいということにするものでございます。  そうすることによって、効果というお話でございましたけれども、一つは、その基本計画に市町村の要望だとかあるいは創意工夫を盛り込んだ、例えば教養文化施設をそこに配置したいとか、あるいは研究施設、スポーツ、レクリエーション施設配置したいといったような施設配置等を決めますと、その市町村の自主的な町づくりも可能になる、誘導できるという意味で可能になるという点が一点ございます。それからもう一点は、手続が迅速化される、許可されるかどうかわからないというような不確定な状態でなくて、事業リスクの軽減にもなるといったようなところが大きな効果かと思っております。
  206. 市川一朗

    市川政府委員 後半の部分についてお答え申し上げます。  地方拠点都市地域が指定されて基本計画を作成する段階におきまして、基本計画が的確に実現されるように、御指摘ございましたように区域区分、いわゆる線引きを含めまして、地方拠点都市地域としての都市計画を適正に見直していくことは極めて重要であると私ども考えております。関係省庁もございますので十分協議の上で、運用基準の見直し等も含めまして、できるだけ積極的な対応ができるように検討してまいりたいと考えております。
  207. 山内彪

    山内委員 もう時間がなくなりましたから、この法案の中でまず都市の開発資金制度の問題、これがあるわけでございますけれども、この制度拡充の問題について用地の問題、地方拠点都市地域における先行取得の問題で、これはどういうふうにやるのか。  それから最後に、今後法案を運用していくに当たって事務の執行体制は一体どうなるのか、これは極めて私は重要じゃないかと思うのでございます。六省庁が共同提出したものであるけれども、ただ単なる協調体制だけでいいのかどうか。今回の法案の運用に当たって、一体事務の執行体制はどういうふうに今後整備されるか、これは非常に重大な問題でございますので、その点に対してお答えをいただきたいと思うわけです。
  208. 市川一朗

    市川政府委員 都市開発資金の問題でございますが、現行の都市開発資金は実は人口で要件が決められておりまして、都市再開発の種地につきましては人口五十万人以上とか、あるいは道路、公園等の公共施設用地の先行取得は三十万人以上の都市を対象としております。そういうことで、今回の地方拠点都市地域には必ずしも当てはまらない要件でございますので、これに限りましては都市開発資金の制度は極めて有効に働くという観点から、現行制度人口規模を満たさない都市につきましても、地方拠点都市地域に指定された地域につきましてはその貸付対象となり得るように改正してございます。  それから第二点といたしまして、特に再開発の種地の取得というのが極めて重要でございますし、また、再開発を行いますところは比較的地価の高いところでございますので、それにつきましては金利の引き下げということも行っておるところでございます。
  209. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 本法案実施体制について御質問がございました。  この法案は、御承知のように市町村が作成いたします基本計画、それから事業者が作成いたします移転計画実施に移します際の支援策を六省庁で持ち寄りましてこの法案をつくったのでございます。そういう経緯にかんがみ、かつ、他省庁にも御協力をいただく必要性もございまして、今後実施段階におきまして十分な協議体制をつくってまいりたいと考えておるのでございます。協議機関をつくる等でございますが、さらに関係地方公共団体とも十分な連絡調整ができる、そういう体制をつくりたいと考えております。
  210. 山内彪

    山内委員 以上で終わります。
  211. 古賀誠

    古賀委員長 薮仲義彦君。
  212. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、ただいま上程されております地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置促進に関する法律案、このことについて大臣並びに関係局長に、私の意見を交えながら何点か御質問させていただきたいと思います。  簡単に言えば地方拠点法、この拠点法の目指したものがしっかりと実現されていかなければならない。もう大臣も御承知のように、国は四全総一極集中から国土の均衡ある多極分散の社会を築いていこうということで、ずっと昭和六十二年以来努力を重ねてきているわけでございます。今まで新産・工特あるいは多極法、いろいろな法律があったわけでございます。あるいはリゾートの開発等も考えながら、何とか一極集中のポテンシャルを減衰させようということで、政府を挙げて努力をして今日まで来ておるわけでございますが、しかし最近の国勢調査等を見ましても、一向に一極集中人口動態が変わらないのじゃないか、こういう点は非常に懸念されている問題でございます。  きょうはそういうことで大臣に、この一極集中を多極分散へ持っていくにはどうすればいいのだろう。いわゆる今度の拠点法が一極集中のポテンシャルよりもはるかに沿うものであって、一極集中に負けないで地方業務機能あるいは職住を、快適な生活環境を築くことができるかどうか、重要な法案だと思うのです。しかも、きょうも恐らく御質問があったように、我々に残された時間はそう多くはございません。二〇〇〇年までの残された時間にやっておきませんと、やがて来る高齢時代に間に合わなくなってしまいます。今のうちにしっかりとした、この法案によってきちんと多極分散の実を上げたということを私は結果として得なければならないと思いますので、冒頭まず大臣にお伺いいたしたいのは、一極集中の動きがいまだに持続されておりますけれども、この状態を大臣はどう認識されているか、それをちょっとお伺いしたいのですが。
  213. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 一極集中が進行してまいりましたことは、平成二年度の国勢調査で明確になっておるところでございます。その後におきましても、あるいは一極集中がなお進行しているのではないかと懸念されておるのでございます。そして、一極集中の弊害はさまざまな形であらわれておりまして、薮仲委員が先日指摘をされました交通問題にもそのことは顕著にあらわれておるわけでございます。  目下、宮澤内閣は生活大国づくりを志しておるのでございますが、その中で例えば住宅問題、これも先生がしばしば御指摘なさるテーマでございますけれども、この住宅問題で快適なゆとりのある住環境あるいは住宅そのものをつくります余地は、首都圏には甚だ乏しいのでございまして、そこに例えば勤労者の所得の五倍以内で住宅を取得する可能性、これはまことに困難を極めておるのでございます。  そういう観点からいたしますと、地方には非常に大きなフロンティアが残っているのでございまして、例えば先日、私は富山県に参りましたが、富山県では一戸当たりの居住面積が百五十平米であるということを聞きました。また、つい最近、鳥取県に参りましたが、鳥取県では百二十平米である。全国平均が、ちょっと古い数字でございますけれども八十九平米でございますので、そのこと等からいたしますと生活大国、そしてその中身である快適な住環境の整備を行っていくフロンティアはまさに地方にあるということでございまして、そういう施策を推進してまいりますれば一極集中排除につながっていくのではないか、このような期待を持ってこの法案の提案理由の一つといたしまして、皆様方に御審議をいただいているということだと思います。
  214. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣に御質問する前に、お伺いしておきたいことが何点があるわけでございますが、大臣にこのテーマの最後にお伺いしたいのですが、何をお伺いしたいかというと、先ほど申し上げましたように、今までいろんな努力をしてきた。住宅政策を、今おっしゃったようにニューフロンティアといいますか、アメニティー、クオリティーな生活地方に求めようということでいろいろ御努力いただいた。ただ、全体としては、国調が示しますように十八の県で人口が減少して、首都圏に集中してくる。このエネルギーというのは相当強いんだな。  そうなってまいりますと、今回の法案の体系は、地方へ引っ張っていこう、いわゆる東京二十三区から事業所を移すのについては、税制面金融面、いろんな意味支援をして、地方へ事業の転換を図るようにいたしましょう、こういう努力をしていることはよくわかるのです。ただ、今までもそういうことを重ねてきた。後ほどお伺いしますけれども、新産・工特でも多極法でもやってきた。でも、それを引っ張ることがどこかできなかったのかなと思うわけでございます。  そこで私は、引っ張ることも大事ですけれども、ある意味ではコントロールする、これ以上入ってくることについてはちょっと大変ですよということを言わなければならないか。それを言うということが非常に困難であるならば、具体的に、じゃ東京というのは無制限にこれからもどんどん人口増が続いていいのだろうか、それとも人口増というのをこの辺で抑えなければならないのだろうか。何らかの形で抑制してコントロールする、同時に誘導する、この両方の考え方というのはあってはいけないのかどうか、お伺いしたいわけでございますが、具体的な数字をまず、国土庁のこれは計調局になるのですか。いわゆる平成二年の国調にも見られますように、ちょっと首都圏の人口動態が多いように思うのですが、いかがでございますか。
  215. 田中章介

    ○田中(章)政府委員 お答えいたします。  最近の数字を見ますと、東京圏への流入人口ですが、平成三年が一番新しい数字でございますが約八万人ということで、六十二年は十六万人ということで、その十六万人をピーク、境にしまして現在毎年少しずつ減少しつつある、これはそれなりに注目すべき事実だと思うわけです。しかし先生指摘のとおり、東京圏への集中というのは、いろいろな意味東京が世界都市としての役割を高めているとか、あるいはソフト化、サービス化といった産業構造の変化から、やはり東京圏への諸機能集中する、こういった力が強いためにそういう事実になっているわけですが、そういう中にありまして、先ほど数字を挙げましたように、若干ですが六十二年をピークにしまして東京圏への社会増というのは低下しつつある、これが数値でございます。
  216. 薮仲義彦

    薮仲委員 確かに東京への人口動態は数の上では減っているかもしれませんけれども、それが地方の県の人口減につながらなければいいのですけれども、局長も御承知のように十八の県で人口が減少しているということは、逆に言うと非常にこれ、前は秋田県一県だったわけでございますから、この動向というものは非常に注目しなければならないのじゃないかな。絶対数はそうかもしれませんけれども、ポテンシャルは一向に減衰していない。  そこで、国土庁の意見を伺っておきたいのですけれども、私は、東京にやはり容量というのはないのかなという感じを持っているわけであります。容量というのは要らないんですか。例えば、我々の生活の周りで一番問題になるのは水、ごみ、電力、それから交通のモビリティーあるいは生活環境、こういうものをこれからどんどん、たとえ八万であってもふやしていっていつまでも減らないということは、東京都民にとって果たして快適なんだろうか。生活環境はどうなんだろうか。ごみも水も電力も問題ないんだろうか。この辺については、国土庁はどういう認識か。東京にいわゆる容量というものは全然考えなくていいのか、無制限にどこまでいっても東京は受け入れることが可能なのかどうか、どう思っていますか。
  217. 西谷剛

    ○西谷政府委員 東京圏の人口は現在三千百八十万人でございますが、平成十二年、二〇〇〇年を目指しまして、四全総ではこれを約三千三百万人程度と見込んで各種施設整備なり施策を講じていく、こういう構想を立てております。  ただ、現状を見ますと、交通混雑の問題にせよ、職住遠隔化の通勤問題にせよ、大都市問題、率直に言って十分改善が見られていないということは事実でございます。水、エネルギーの需要、そしてごみの問題についても依然として留意すべき状態でありますし、水質、大気、騒音等の環境基準が達成されていない地域というものも非常に多い。総じて、それぞれかなり厳しい状況にあるなという認識を持っております。
  218. 薮仲義彦

    薮仲委員 国土庁に具体的に聞いてもそれ以上お答えがないと思いますから、きょうはいろいろな省庁にお見えいただいていると思うのですが、今お話しになったごみの問題をちょっと具体的にお伺いしたいと思うのですけれども、我々の身の周りでしょっちゅう出ているごみでございます。東京のごみですけれども、いわゆる排出量、それから今後の見通し、いかがでしょう。
  219. 浜田康敬

    浜田説明員 お答えいたします。  東京におきますごみの排出量の現状並びに今後の見通しについてのお尋ねでございます。東京都二十三区におきますごみの排出量は、昭和六十年以降元年度ぐらいまでは非常に急速に伸びまして、年率五、六%という伸びを示しております。最近この一、二年、若干各施策の成果等もございまして、横ばいあるいはやや減少ぎみということにはなっておりますが、全体的には増加傾向で推移してきているというふうに見ております。将来、東京都におきましては平成十二年度の数字を予測しておりますが、放置した場合に現状より約百万トン程度増加するであろう。それに対しまして、ごみ減量化行動計画なるものを昨年の十月に東京都におきましては策定をいたしまして、ごみの量を全体で平成十二年度二三%程度減量をいたしまして、平成三年度を下回るレベルまで排出量を減少させようという計画を持っているところでございます。
  220. 薮仲義彦

    薮仲委員 今お話ございましたけれども、これちょっと東京の資料を読んでみますけれども、「ごみの急増」東京都二十三区、「都のごみ量は、」今課長が言ったとおり「昭和六十年度以降年率五から六%の伸びで急増し、平成元年度には四百九十万一千トンと過去最高に達した。五年間に増えた年間ごみ量は百十万トンを超えるが、これは他の大都市の年間排出量に匹敵する。」他都市の元年度実際の実績、名古屋市で九十三万六千トン、札幌市で百一万トン。ですから、名古屋、札幌の年間のごみがどんと東京ではふえているわけです。それで、確かに二%程度は減少しておりますが、依然これは大変な水準です。「このごみの急増に処理施設整備が追いつかず、現在、可燃ごみの約二割を未処理のまま埋立て処分せざるを得ない」、これが東京都の実態なのです。そのまま埋めるしかありません、こうなっているのです。  課長、もう少しお願いしますけれども、では最終処分場はどのくらいありますか。
  221. 浜田康敬

    浜田説明員 排出されましたごみにつきましては、東京都が、今先生の御指摘もありましたけれどもできるだけ焼却処分をしまして、その燃え殻並びに焼却できなかった部分あるいは不燃のものを、最終処分場というところに最終的に埋め立てておるわけでございます。現在、東京都が一般廃棄物、つまりごみの最終処分場として使用しておりますものは中央防波堤の外側の埋立処分場一カ所でございまして、これは現在の埋立量を想定いたしますと、平成七年度までしか容量がないという状況でございます。
  222. 薮仲義彦

    薮仲委員 その問題も大臣に御理解いただきたいので、もう少し読みますと、   現在使用している羽田沖埋立処分場及び中央防波堤外側埋立処分場のうち、羽田沖処分場については今年度で埋立を終了する。残る中央防波堤外側埋立処分場については、ごみの急増により埋立ペースが早まり、計画期間である平成七年度までの使用が危惧されたが、埋立工法の工夫、処分計画の見直しなど種々の延命策を講じた結果、ようやくその見通しが立ったところである。 ようやく立ったのですね。  これは東京都の、今課長の言った中央防波堤の埋立処分場のパンフレットです。このパンフレットをなぜ持ってきたかというと、大臣、見てください。「これしか残っていません。」と一番最初に出ている。そして、一番最後に同じように「これしか残っていません。」これしか残っていないのです。じゃ、どうするか。  課長にお伺いしますけれども、東京はスリム作戦ということで、ごみを減らそう、減量作戦をしているわけです。減量させるためには、やはり全量を燃やさなければならない。東京都は燃やすために十カ所の焼却場をつくろうとしていますけれども、その十カ所の焼却場の進捗状況はどうですか。
  223. 浜田康敬

    浜田説明員 ごみの焼却施設についてのお尋ねでございますが、現在東京都におきましては十四施設の焼却場を持っておりまして、その焼却能力は一万二千百トンでございます。先生指摘のとおりこれでは十分ではない、あるいは将来のごみの増加にも対応しなければならないということで、向こう二十年で十工場程度の建設を計画をしております。各区ごとに一カ所というふうな考え一方で建設を進めようとしております。ただ、これにつきましてはいろいろな技術的あるいは社会的にも難しい面がございまして、東京都で今個々に鋭意計画を立て、地元等の調整を進めているというふうに聞いております。
  224. 薮仲義彦

    薮仲委員 今課長の言ったとおり、本来は自分のごみは自分の区で処分するという姿勢になればいいのですけれども、それがなかなか合意を得られない。東京都はやむを得ず、今の中央防波堤の外側にもう一回埋めましょうということを計画しているわけです。しかし、これは江東区民がもう嫌ですと言ってなかなか同意はしていただけない。今申し上げましたように平成七年に全量を焼こうとするのですが、処分場も今非常に困難です。また、海へ捨てようとしても環境影響どうなんだろう、いろいろ問題があります。特に、きょうから地球環境の賢人会議等も開かれておりますし、環境に対してはこれから国民の目は厳しくなってきます。このように、いつまでもごみをいいかげんに——いいかげんではございません、そのまま埋め立てていいのかという問題もございますので、こういうことを考えますと、ごみ一つでも大変だなと思うのです。  もっと大変なものがあるのです。東京都の産廃、どうなっていますか。
  225. 浜田康敬

    浜田説明員 東京都におきます産業廃棄物の状況でございます。  まず、排出量でございますが、これは昭和六十二年度のデータでございますが、都内の事業所から排出される産業廃棄物については年間二千百九十五万トン排出されております。今後の見通しといたしましては、東京都の推計によりますと、これが平成七年には二千五百万トンにまでふえるであろうというふうに予測をしております。
  226. 薮仲義彦

    薮仲委員 どこへ捨てていますか。
  227. 浜田康敬

    浜田説明員 それの処分の状況でございますが、この二千百九十五万トンのうち約八割は中間処理あるいは再生などによりまして減量がなされておりますが、残りました約四百五十万トンのものは最終処分ということで、先ほど申し上げたごみと同様に埋立処分等がなされるということでございます。  そのうち海洋投入処分も若干ございますので、四百四十万トンが埋立処分がなされておりますが、これの埋立場所につきましては、都内では最終処分場が大変に不足しております。これは、地価の問題あるいは土地の高度利用の問題等がありまして、そういった最終処分場の用地を確保するのが困難であるということがございまして、現在その百六十万トンは都内で処分されておりますが、六四%に当たります二百八十万トンにつきましては、千葉、埼玉、神奈川など都外で埋立処分をせざるを得ないというのが現状でございます。
  228. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、お聞きになったように、いわゆる産廃というのは、御案内のように活性汚泥に始まって建築廃材、全部あるのです。これがどんどん出るわけです。今お話しのように平成七年までどんどん増高しているわけです。ところが、東京都は自分のところで捨てられないものですからその六四%、半分以上を東京都外へ持っていって、受け取ってくださいとやっているわけです。これは東京都のごみを、極端なことを言うと全国の人に受け取ってくれませんか——まだ受け取ってくださっているからいいかもしれませんけれども、これがよその県から、東京都のごみは自分で処理したらどうですか、こう言われた途端にこの産廃だけでももうストップしてしまう。  ごみのことをもっとやりたいのですけれども、こればかりやっているとごみだらけになってしまいますから、この辺でごみはやめて次に移ります。  委員長、これは大臣に数字だけ見ていただきたいので、ちょっとお渡ししてよろしいですか。
  229. 古賀誠

    古賀委員長 はい。
  230. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、私はいわゆる容量の中で水の問題を少し大臣に御質問をしたいと思いまして、資料をつくってお渡ししたわけでございます。  東京都の水、いわゆる首都圏の水というのは一体無尽蔵なんだろうか、本当に大丈夫かどうかということ。きょうは、そこに載せたのは、ほかの資料を持ってくると国土庁に嫌われますから、日本の水資源とか二十一世紀の水需要、全国総合水資源計画それから大都市圏要覧、これは全部国土庁の資料で質問いたしますから、国土庁の水のデータをもとにして、そこに載っているのは国土庁のデータでございます。最初にお断りしておきますけれども、よそから持ってきたデータではございません。  その一ページ目のところに「地域別降水量及び水資源賦存量」とございますが、もう大臣御承知のように、賦存量というのは、日本の国に雨が降るわけでございますけれども、降った雨が川へ流れていってしまう、あるいは蒸発する水もございます。しかし、残って使える水がその賦存量としてカウントされているわけでございます。この賦存量について、一番最初に数字が出ておりますけれども、これはごく簡単に言いますと、我が国の水資源賦存量は渇水年で三千三十四億トン、平水年で四千三百四十九億トンありますよというのが出ているわけです。しかし、この賦存量というのは降水量から失われた水を差し引いた分でございますので、大体何が一番使えるかといいますと、渇水年の賦存量の七割ぐらいが使える水と我々は理解してよろしい、このように言われておるわけでございますが、こういう賦存量のことが出ておるわけでございまして、これをざっと見ていただきますと、大臣おわかりのとおり、関東の賦存量は一人当たり年六百七十立方メートルですが、全国平均は一人当たり年二千五百六立方メートルですので、大体全国の四分一しか首都圏はないんだということをまず頭に入れておいていただきたいのです。まず、絶対量が全国の四分の一しか東京都、首都圏はないんだということが大前提なんです。  それから二番目に、ちょっときょう資料を落として申しわけないのですが、東京の一番の問題は、生活用水が一番多いのです。生活用水については、全国ベースでは生活用水が大体一四%ぐらいなんです。これはついておりませんので数字で申し上げますと、工業用水が一七%、農業用水が六八・五、農業用水が七割ぐらいなんです。残りを生活用水と工業用水が半分、半分ぐらい使っていますというのが全国のバランスなんです。ところが東京都は、これはここに載せてございますけれども、東京都の場合、いわゆる首都圏はどうなっているかといいますと、生活用水が四三・三%、四割を超えてきているわけですね。逆に農業用水が三六・九、工業用水が一九・八で下がっているわけです。しかも、一番怖いのは昭和五十年以降、この表にありますように水の需要が急増しているわけです。生活用水が急増しております。この表の三ページ目の左上の上から四番目に「関東臨海」とございます。この関東臨海の生活用水の増は、二七・八億トンから三二・八億トンで五億トンふえているわけです。全体的には逆に水の需要量は少し減っています。この表では〇・四億トン減っているわけです。特に全体では減っているのに、関東臨海の生活用水の需要量は五億トンふえているわけです。この五億トンの生活用水の増高というのは、全国の水の使用量を見てみますと、五億トンというペースがどんなにすごいペースか。これでいきますと、全国の増加量の約三分の一は首都圏で占めている、首都圏がぐっとふえているわけです。これだけ人口集中して水が窮迫しているわけです。  このことについて、建設省国土庁が利根川あるいは荒川水系でフルプラン、言葉はいいですけれども、簡単に言えば降った雨を海へ流さないで徹底的に使いましょうという計画なんです。今は長良川で河口ぜき一つつくるのに大変な問題ですけれども、荒川と利根川は徹底的に水を使わなければ首都圏の水を賄えないという状態にあるわけです。しかも、これをもう少し見ていきますと、この中でもっといけないのは、四ページの下の段を見ていただきますと、どういう内容で取水しているかということです。利根川から荒川からどんどん水がとれればいいのですけれども、この表の右側に不安定取水量と地下水転換量とある。これが非常に問題なんです。  いわゆる不安定取水というのは、大臣も先刻御承知のように、河川水が豊富なときにはとれます。しかし渇水年にはとれませんという、非常に不安定な取水に現在十五億トン頼っているわけです。しかも地盤沈下なんです。地盤沈下の表を六ページに挙げてあります。これは大都市圏要覧に、載っているものです。地盤沈下が、千葉県では二千八百六十五平方キロ、埼玉でも千六百五十平方キロ、東京は九百五十五という数字が載っておりまして、地下水を抜くということはそれだけ地盤沈下しているわけです。不安定取水に頼ったり、地下水——これはフルプランの中では、不安定取水を是正しますと言っているわけなんです。しかし、本当に不安定取水や地下水が是正できるかどうか、水資源部長おいでだと思うのですけれども、フルプランの進捗状況はいかがですか。
  231. 山内彪

    山内政府委員 お答えいたします。  現在、利根川水系及び荒川水系において、フルプランに基づいていろいろ開発を進めておりまして、昭和六十年度までに毎秒約八十八トンの水を開発しております。現在の基本計画は、昭和六十一年度から平成十二年度までを計画の目標期間としておりますが、この間におきまして、新規の水需要への対応、また今先生指摘の不安定な取水の安定化のために、新たに水源の確保が必要な需要量は、水道用水が毎秒約九十三トン、工業用水が毎秒約三十五トン、農業用水が毎秒約四十三トン、合わせまして毎秒約百六十九トンを新たな水源開発が必要な水といたしております。これらの需要に対処するために、ダム、湖沼水位の調整施設あるいは多目的水路等の施設の建設を図ることにしておりまして、現在、利根川水系におきまして毎秒約百二十二トン、荒川水系におきまして毎秒約十三トン、合わせまして毎秒約百三十五トンの施設につきましてフルプランに掲上し、建設に着手しているところでございます。  なお、これらの施設のうち、平成三年度時点で申し上げますと、奈良俣ダムなどの水資源開発施設施設が完成しておりまして、これによる開発水量は毎秒約十四トンでございます。そういうことでおくれておりますが、今後ともこの供給の目標をできるだけ達成するために、関係省庁と連携をとりながら施設の建設促進に努めてまいりたいと考えております。
  232. 薮仲義彦

    薮仲委員 数字をすらすらと言われると余りよくわからないと思うのですが、ごく簡単に言いますと、平成三年度で開発水量ベースで八%の完成率なんですよ。ですから、今部長が言ったように、非常におくれているのです。果たして大丈夫かな。  ここはそのことを追及する時間もございませんからやめておきますけれども、部長、不安定取水は平成十二年度で解消できますか。
  233. 山内彪

    山内政府委員 現在、関東の臨海地域におきまして、平成三年度末のデータでございますが、年間約十六億トンの水が不安定取水となっておりまして、これは御指摘のように、都市用水使用量の約二八%でございます。こういった状況に対しまして、資金の確保とか水源地域対策等解決すべき課題は幾つかございますが、現在建設中あるいは計画中のダム、こういった施設の建設が見通しどおりに進むとすれば、おおむね平成十二年度において現在あります不安定取水の解消を図ることは可能であると見込んでおります。このため、先ほど申し上げましたように、できるだけ早期の建設促進に努めてまいりたいと思っております。
  234. 薮仲義彦

    薮仲委員 部長、お帰りになったら今の御答弁をよく調べてください。「全国総合水資源計画——ウォータープラン二〇〇〇——」の二十八ページに昭和七十五年、平成十二年における水需給の見通し、関東臨海、河川水不安定取水量十五・八、これは平成十二年の段階で十五・八の数字がカウントされています。ですから、今の御答弁じゃなくて、平成十二年になっても不安定取水は消えていないのじゃないか。フルプランが、この数字が印刷が間違っているなら直してください。私はこれをちょっと読んでみたのですけれども、これには昭和七十五年、平成十二年の数値でまだ不安定取水は消えておりませんので、私はそういう点も非常に懸念をいたしております。この問題、もう次の問題に移らないと時間がありませんからやめておきますけれども、後で調べて御返事ください。  次に、電力の問題です。通産省、お見えだと思うのですが、電力については余り専門じゃありませんので、他の人が書いた文章を読んで御答弁いただきたいと思うのでございますが、  電力 首都圏の電力需要は急増している。首都圏などを供給エリアとする東京電力の年間電力需要量の対前年度増減率の推移をみると、昭和五十九年度以降一旦一・七%まで鈍化した増勢が、六十二年度以降八・三%増、四・四%増、七・五%増と再び増勢を強めている。 これは通産省の電力需要の概要を文章で言っているだけですから、おわかりだと思います。  しかも東京電力の増加率は、九電力平均に比較し高くなっており、六十三年度の需要量は四十八年度のほぼ倍(一・九倍)の水準に及ぶなど首都圏の旺盛な電力需要を示している。   このため、冷房需要の増加などから電力需要のピークとなる八月の最大電力需要時における電力供給余力は低下している。供給余力を示す供給予備率は東京電力の場合、五十五年度の二五・五%から最近は一〇%以下の水準に低下している。また同社の予備率は、首都圏の電力需要の増加などを反映し九電力平均を下回っている。しかも六十二年度の場合、予備率は五・八%まで低下しており、 これは、平成三年は実績ではもっと下がっていますね。ここに平成四年度のがございますけれども、平成三年のものが実績でありますけれども、平成三年は五・三ですね。  低下しており、適正予備率といわれる八〜一〇%の水準を下回っている。このように首都圏においては、需要増加に対応した電力の供給が次第に困難になりつつある。   一方今後についても、順調に電源開発が進捗したとしても、平成三年度や七年度の供給予備率は八・一% とこれに出ておりますが、この平成四年度の今後の見通しにありますように、七年度から八%になっていますね。七年、八年、九年、これがずっと予備率八%です。   以上のように、首都圏における需要増加に対応じた電力供給が困難になりつつある。昭和六十二・年七月に発生した首都圏における広域停電・事故は未だ記憶に新しい。同事故は八王子市の三十九度に達する猛暑のなか、冷房需要など電力需要が急増し、三カ所の電源用変電所が停止したことを端緒としている。そして同事故により、六都県、二百八十万世帯が停電したほか、銀行のオンラインがストップしたため現金自動支払機が使用不可能となり、さらに都内の自動制御交通信号機の約二割が消え、JR、地下鉄などの交通が混乱している。このように停電は、都市型災害連鎖を通じて都市活動に大きな影響を及ぼすこととなる。 こう指摘されておりますように、東京の電力事情も今の水あるいはごみと同じように非常に厳しいという指摘がございますが、エネ庁はどういう認識でいらっしゃいますか。
  235. 中澤佐市

    ○中澤説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、全体の電力需要というのは今堅調に伸びておりまして、今後とも全国的に申しましても堅調に伸びる。その中で、東京を初めとします大都市圏集中というのを背景に電力需要の地域間アンバランス、つまり先生指摘東京等の電力需要の伸びの方が高い、これが増大するものと見込まれております。現在、電力をめぐりますさまざまな問題につきまして、電気事業審議会の中に電力基本問題小委員会というので御審議をいただいておりますが、この電力需要の地域間アンバランスの問題については、この委員会の中間取りまとめが昨年六月になされましたが、その報告書の中でも、経済社会活動の大都市圏集中を抑制、是正するため、各般の政策努力がさらに強力に推進されることを強く期待するところというふうに言われております。ただ、同時にこの取りまとめの中では、供給責任を担う電気事業者においては、電力需要の地域間アンバランスの増大がある程度長期的、恒常的に続くものとして、これに備える必要があるということも指摘されております。  先生先ほど仰せられました、先月末に東京電力から提出されました施設計画というのがございます。これは、今後十年間の電力需要を見込み、それに対する供給力というものを張りつけてどうかと、安定供給を図るための計画でありますが、向こう十年間にわたりましても、この施設計画におきましては東京電力の需要の伸びは全国平均を上回る伸びを想定されておりまして、それに対して、電源開発と同時に広域運営というのがございます。広域電源開発あるいは広域融通というものがございますが、こういうものの推進等によりまして、もちろん他電力に比べれば相対的に厳し目ではありますが、適正な供給予備率、先ほど調査レポートの中にもありました八から一〇%と言われているわけでありますが、この八%以上の供給予備率が確保される計画になっております。  それからなお、一言だけつけ加えさせていただきますが、供給予備率というのは、この計画上では平年並みの暑さを想定して、それに対して八から一〇%の予備力を持つということになっておりまして、平年以上の暑さが来た場合にはこの予備力でそれに備えるということでございまして、先ほど調査レポートの中にありました五%あるいは八%を下回る予備率というのは、そういう猛暑のときの実績の予備率ということに御理解いただければと思います。
  236. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、これは東京都がどう考えているか、東京都の企画審議室が、今の通産や東京電力のデータをもとにして私たちはこう考えていますと、東京都の考えをちょっと申し上げます。     〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕  電力 東京都内の電力需要は、昭和六十二年度時点で千三百十万キロワットであったが、官公庁、産業界などの中枢機能や重要生活関連施設集中を反映し、平成十一年度には、千八百四十万キロワット(一・四倍)程度に達するものと考えられる。 大事なのはここからです。   電力供給の安定確保をはかるためには、電力需要地に密着してその需要量を満たす電源設備があり、遠隔地からの電源・送電設備に多くを頼ることなく、極力自給することが好ましい。現状、都内の供給力は百七十五万キロワットに過ぎず、自給率は近い将来約一〇%を割り込むこととなる。 一〇%いってないんですよ。  ニューヨーク、大阪をはじめとする国内外の他の都市と比べても著しく低い。このため万一の大規模震災あるいは思いがけない自然現象などによる系統の大事故など予期せざる非常災害等が発生した場合には、広範囲・長期の停電は避けられず、また復旧に長期間を要するなど、現状では電力供給の確保に万全を期し難い状況にある。 エネ庁さんはああ言うんですけれども、東京都はそういう状態ではない。都民にとって非常に危険ですよ。  ちなみに神奈川県および千葉県の電力自給率は、それぞれ一〇一%、二五六%(平成元年度) それだけみんな持っているのです。ところが東京はわずかに一〇%を割り込むんです。  今後、他地域のためにこれ以上の電源設備を増強することについては、なかなか理解を得にくくなっている。 私の地元の静岡でも、清水の火力発電は地元の反対でできませんでした。これから電源立地というのは、環境等の問題があってますます困難になると思うのです。そんなに甘くないと思うのです。  ここから先、もっとたくさん書いてあるのですが、ポイントだけ読みますと、五百キロボルトの送電線は首都圏を取り巻く形で二重の構成とするなど、安定を図っているけれども、東京は非常に危険です。やはり電力も東京は決して丈夫じゃないのですよ。細かく見ていきますと、あのように数字だけ聞くと大丈夫かなと思いますけれども、我々が本気になって政治家の目で見ていくと、まだまだおっかないなと思うのです。  もう一つモビリティー、これは道路局長お見えになりましたか。では、ちょっとだけお伺いしましょう。たくさんお伺いしたいのですけれども、これをやっていますとほとんど時間がなくなっちゃうんですよ。では東京都の問題で二つお伺いしたいのですが、一つは道路交通状況、もう一点は、東京都で道路局が一生懸命道路をおつくりになろうとしても、二十三区内で道路をつくることは非常に大変なんじゃないかな。建設省は何とか道路事情をよくしようということで、一生懸命幹線道路やなんかをよくしようと思っても、東京の道路を広げるなんというのは、移転の補償等を考えますと気の遠くなるような事業かなと思うのです。せいぜいできるのは、首都高の中央環状とか外郭環状をもうちょっと早くできればなという感じは私は持っておりますけれども、東京都で今後、例えば人口がどんどん増加してきた場合に、非常に道路事情、モビリティーあるいは建設に困難さを加えておるのじゃないかと思いますけれども、その辺はいかがでございましょう。
  237. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  東京都の交通状況、確かに先生指摘のように東京はたくさんの人がいらっしゃいますから、それなりのものはございます。しかし全体的に見ますと、全国で交通の言ってみれば走行台キロという動く量でございますが、これが昭和五十五年から平成二年の十年間で見ますと、全国では一・三七倍にふえております。東京は一・一五倍です。そういう意味では、東京はかなり変わってきております。といいますのも、例えば都心三区の通勤、通学のときに鉄道を九〇・六%使っております。マンハッタンと比べるといかに違うかというのがわかるわけですが、マンハッタンでは五八%ということでございますから、東京は道路交通状況といいましても、鉄道社会の中で道路が助けてやっている、こんな状況だと思います。  しかし、先生指摘のように道路整備、非常に地価も高騰しております。例えばその一例を申し上げますと、昭和五十五年に街路事業で工事費がキロ当たり約二十九億、三十億弱、用地費で九十億円強かかっていたものが、現時点でいいますと、工事費で四十四、五億、用地費では四百四十億強ということで、こういったようなことと、それからやはり既成市街地を改造するということもございまして、非常に道路整備には至難な状況でございます。  そういうことで道路整備におきましては、むしろ都内に入ってくる車を見ますと、内々交通、東京都内だけで動いているのが全体の七割、外から東京に入る、東京から外に出る、これが約二五%、そして東京関係ないけれども、東京に入って東京を利用しながら外へ行ってしまうという、全く東京関係ないのが五%、こういうことでございますので、東京都をどうするかという大きな国の政策は別といたしまして、都民対策といいますか、東京都に住んでおられる方々が少しでもいい生活をしていただくというような意味合いから、外郭環状道路あるいは首都高の中央環状線、あるいは首都圏中央連絡道路といったような全体を分散していく、こういう道路を今一生懸命つくらしていただいている、このような状況でございます。
  238. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設の進捗はどうですか。
  239. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 例えば都市計画道路というのがございます。これは、言ってみれば一般の街路でございますが、これは計画延長千九百八キロございますが、整備済み延長は千七十一キロと大体五六%でございます。また、環状道路の整備もその中で五八%ということでございまして、その代表的な例がいわゆる環状七号線、環七と俗称言っておりますが、これはやっと半世紀というと大げさでございますが、四十年以上かかって完成したということで、非常に整備そのものに対しては時間がかかっているのが現状でございます。
  240. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと大臣が席を外していますので、ここで大臣にお伺いしようと思ったのですけれども、お戻りになってからお伺いします。  今、道路局長がおっしゃったように、思い悩みながらおっしゃったのかどうかしりませんけれども、約半世紀、半世紀というと五十年です、五十年で五十七・二キロといいますと、五十で割りますと年々一キロちょっとをつくるのに大変なことかなと、今初めて改めて自覚をしたわけでございますけれども、今いろいろ水の問題から道路の問題まで来たわけですので、この辺のところを踏まえて後ほど大臣にお伺いしますが、じゃ問題を変えます。  いよいよ、ならば今度地方へ引っ張るのはどうするかという話を各局長にお伺いしたいのですが、これは大変申しわけないのですが、どうしても法律の性格上、建設省都市局並びに国土庁と両省庁にかかっていますので、両省庁に同じようなことになるかもしれませんが、あるいは同じことを御意見を伺うようなこともあるかもしれませんが、お許しいただきながら質問をさせていただきたいと思います。  最初にお伺いしたいのは、先ほど来申し上げましたように、新産・工特もやはり地方都市に新しい生産拠点をつくろうということで、多極分散努力してきたわけです。生産拠点プラス住宅も目標を立ててしっかりやってきたわけです。今回また新たに、この新産・工特ではだめということではないと思いますけれども、地方拠点法ができてきたわけでございますが、なぜ新産・工特プラス地方拠点法にしたのか、この辺はいかがですか。
  241. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の新産・工特でございますが、それは先生も十分御案内のとおり、主として工業開発を中心として都市をつくっていこう、あの当時といたしましてはそれは非常にいい施策であったと思います。それとあわせて、言うなら都市的な施設整備も図る、こういうことでやってまいったわけでございます。  その後、御案内のとおり、かなり経済情勢あるいは社会情勢も変わってまいりまして、むしろ新産の方は新しい大規模な工業基地を建設するということが中心でございましたけれども、今回の拠点地域法はどちらかといいますと既存集積というもの、これはそれぞれの集積には歴史もありますし伝統もあるし文化もある。こういう既存集積というものを十分に活用を図りながら、それに新たな都市機能の高度化を図っていこう、こういうことでございまして、新産・工特と今回の法案というのはかなり切り口といいますか、ねらいとするところが違っておりまして、しかも四全総等におきましても、地方のそういう都市中心にした発展あるいは地域振興ということが必要だ、こういうこともございまして、今回の新たな拠点法というものを提案を申し上げたわけでございます。
  242. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣お戻りでございますので、先ほど来私はいろいろな問題を言いました。最後は道路の問題までいったわけでございますけれども、冒頭申し上げましたように、東京が無制限にこれから成長していっていいのだろうか。確かに成長というのは、そこに豊かな生活を享受できる社会を育成する、この考えは正しいと私は思います。ただ、その限界を超えた場合に、非常に脆弱になったり、逆にマイナスになってくるのじゃないか。  私が抑制と言うと、それは不公平だという御意見の方もいらっしゃると思うのです。しかし私に言わせるならば、例えば昔から東京に住んでいる人はそれなりの快適な生活をしておった。土地も安かった、生活もしやすかった、電車も込まなかった、道路もそう込んでなかったがなという状態が、いろいろな方が入ってきて、土地も上がった、電車も込む、乗り物もなかなか車が動かないな、水も余りおいしくないな、こういう不安定要素が出てきた。そうしますと、入ってくる方も最初にいた方に対して、それなりの思いやりというか配慮というものを両方で持つことは決して不公平なことじゃないのじゃないか。ですから、例えば過疎の村がいろいろなことによって産業あるいは基盤整備が整ってどんどん栄えていく。これは、その地域の人を非常に豊かにします。でも東京のようにある限度を超えますと、先ほど指摘したように水も非常に脆弱になってくる、電力もあるいは生活環境そのものもいろいろな意味で不便さができてくるわけですので、私はこの成長について、出ていけ出ていけと言うだけじゃなくて、入ってくる方にも少しお考えいただきながらということができないかな。  例えばニューヨークなんかはよくリンケージという言葉も、これは大臣御承知のように、入ってくるのでしたらば、ビルのオフィスをつくりたければビルのオフィスにバランスしてそれなりの住環境を整えてください、住まいをつくってください、つくらなければ基金にお金を入れてください。あるいは、道路も混雑します、駐車場も必要です、事務所をつくるのだったらそれだけの住宅なり駐車場の基金を出してください。それによって、例えば東京ならば民間の低層木賃住宅地域を再開発するためにそのお金を使って、バランスよく東京を変えていきましょう。今まで住んでいる人も、入ってくる方の努力によってよくなってくる。今まで住んでいる人が非常にいろいろな意味でマイナス要因を受けているわけですから、そういう考え方があっていいんじゃないか。  やはり私は、一つにはそういう公平さと、もう一点は生活の質のよさ、クオリティー、アメニティー、質のよさと快適さということを言いますけれども、私はやはり限りない成長ではなくして、東京の規模の適正なあり方というのも、首都圏のあり方というのも、やはり今度地方もそういう東京と、首都圏と同じような豊かさを享受できるような、これがこの法案のねらいだと思うのですけれども、やはりコントロールということも多少はこれから考えざるを得ないんじゃないか。引っ張るだけじゃなくて、どうしたらいいのか。東京とのバランスを、容量を、それを考えるときが来ているんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでございますか。
  243. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先ほど来、薮仲委員の御質問をずっと承っておりました。まず、ごみの問題から始まりまして、水あるいは電気あるいは自動車、交通でございますか、道路等々の現状を御指摘になりまして、まことに見事な帰納法的議論の御展開であったと感服をいたしておるわけでございます。なるほど、結論は先生おっしゃるとおり、これ以上の人口集中あるいは産業集積は許容の限界に来ているんでないかと、私も感じましたのでございます。  そこで、どうするかということでございますが、どうするかということでこの法案を実は国会に提案をさせていただいたと存じます。先生は、人口の流入を抑制しろ、あるいはもっと積極的に人口を外に出す政策をとれということではないかと思いますが、私どもは、ただそういうことを申しましても、やはりこれだけ東京に人が入ってきますにはそれだけの理由がある。  地方には地方一極集中が生じておりますが、それはやはりその都市が持っておりますさまざまな機能、平たく言えば魅力がございまして人口が入ってくるわけでございますから、なかなかこれを人為的にあるいは政策的に規制するということは難しい点もございます。そこで、地方に同様の魅力と申しますか機能を持ちました都市をたくさん展開いたしまして、人口の流出をとどめ、かつ人口の還元を求めると申しますか、そういう施策を積極的にとってまいりたい、そのような観点からこの法案をまとめさせていただいたところでございます。よろしくお願いいたします。
  244. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣のおっしゃる意味、私もよくわかります。  ただ、私が物理的に可能なのは何かなというと、これは都市計画等でもダウンゾーニングはやっていませんけれども、二重容積率とか誘導容積率とかいろいろ、今度都市計画法が出てくるようでございますけれども、私はオフィス系の進出ですね、人口と言うと抵抗がありますので、オフィス系の進出に対してうまい方法がないかなということは、これは一遍で結論が出ればもうこの問題は解決したと思うのですけれども、オフィス系の進出について何らかの、今度都市計画法の中で義務化していきますから、住居系というのをしっかり位置づけるということになってまいりますので、オフィス系の進出についてはある程度ブレーキもかかってくるのかもしれませんが、そのほかに何らかの方法があってしかるべきじゃないかという気持ちをまだ持っておりまして、この次の都市計画法のときにもまたもう少し自分の考えをまとめて御質問したいと思いますけれども、そういう意味で、人口と言うと何だと怒られますので、オフィス系の持っているポテンシャルをもう少し公平な形で使いたい。  要は、大臣おっしゃったとおりなんです。東京の持っているこの魅力、ポテンシャルを、例えば国会議事堂を移転するといってそのエネルギーを抜いてしまうか、入ってくるエネルギーを分散して、その地域活性化のために、あるいはグレードを上げるために使うか、こういう点も何らかの形で考えていいんじゃないかと私は今心の中で思っているだけでございますが、またこの次に御質問いたします。  そこで、この法案の方へ入ってまいりますけれども、一つは多極法もあるわけですね。多極法のスキームと今度のスキームとは基本的には変わってないように思うのですが、いわゆる多極法を持っておりながらこの地方拠点法を使うというのは、多極法は何か不十分な点があったのですか、いかがですか。
  245. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  多極法は、四全総の言うならば基本理念であります多極分散型国土形成を図っていくというために、それを一つの体系化をしたものでございます。その一つは、いわゆる行政機関東京都の特別区から外へ出す、あるいは新たな国立のそういうものは東京都の中につくらないとかそういう意味でのものと、それからもう一つ地方振興ということ、さらに大都市地域の言うなら計画的な整備、そのほか住宅の促進でありますとか交流とか、そういうようなことはございまして、大きく分けますと、あの法律の中には、言うなら基本法的性格を持つ条項と、それから実施法といいますか、措置法的な性格を持つものがあるわけでございまして、今御指摘のいわゆる振興拠点地域というのは、地方振興の中におきまして特にかなり大規模な、そしてしかも特定機能というものを言うならば特定地域集積をする、こういう手法によって地方振興を図っていきたい、こういう考え方があの振興拠点でございます。  これに対しまして、同じ地方振興の中に、同法の第六条でございますけれども、地方振興を、特に地方都市あるいはその周辺の市町村を一体的に整備するような、しかもそれによって都市機能の増進でありますとか居住環境の整備でありますとか、そういうことを含めた施策を講ずるように努めなければならない、こういう規定がございまして、今回私どもが提案をいたしています法律は、言うならば多極法の第六条第一項あるいは第五条の精神を酌みまして立案をしたものでございまして、今回のものはあの六条の第一項あるいは第五条の、言うならばそれを実施するための法制であるということで、切り口と申しますか、観点が今回のものと現在あります振興拠点地域とは違うということでございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、場合によっては両者は言うなら相共存することもあり得る、こういうことでございますが、基本的にその目立つところといいますか、対象地域等も違うということでございます。
  246. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここから非常に重要なことをお伺いしたいのです。  今度の法案の中で一番大事なのは、二十三区内の事業所が出ていくか出ていかないか。これは出ていかなければ、今局長が新産・工特あるいは多極法の御説明をいろいろなさいましたけれども、同じような法案で、屋上屋を重ねて結局同じじゃないかというそしりを免れないわけです。じゃ、東京にいたいというこのポテンシャルをはねのけて地方へ行きたい、それは地方へ設置するのは一体何が有利で、どうしたら出ていってくれるのだろう。この辺を、この法案を立案なさった両局長の御意見を今後のために聞いておきたいと思うのですが、これは国土庁の計調局長になるのですか、それから建設省都市局長。わざわざこの二十三区にいることよりも地方へ行った方がいいというメリットといいますかインセンティブといいますか、何があって東京の人は出ていってくれるのか、この法案の中でこういうこともあるから出ていくというそのポイントを、計調局長そして都市局長、要点だけお答えください。
  247. 市川一朗

    市川政府委員 この点につきましては、後ほど通産省局長の方からできましたらお願いしたいと思っておりますけれども、私どもこの点につきましては大分議論をいたしました。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、東京の持つ魅力というのが東京一極集中一つの源泉になっているわけでございますが、しかし地方におきましても、現時点においても東京に比較いたしまして、例えばオフィスの立地という点に関しましてプラスの面はあるわけでございます。まず、相対的に地価が低水準である、それから土地の利用状況もまだ低密度でございますから、利便性の高い地域に比較的安い値段で事務所を確保することが可能であるという点は、現在でもあるわけでございます。それから、従業員の方々にとりましても、いわば事務所の近くに職住近接の形で、しかもその住宅の質の面では非常に高い住宅を確保できる、それから環境も自然環境を含めまして極めて恵まれておるといったようなところから、いわゆるゆとりのある生活ということが期待され得るわけでございまして、大臣のお言葉をかりて言いますと、地方こそまさに生活大国実現のためのフロンティアであるということは現時点でも言えると思うのでございますが、やはりそうは言いながらも、東京の持つ魅力というものになかなか勝てないでいるのが現状であるというふうに考えておりまして、そこのところをもうひとつ官民挙げて、国も総力を挙げて、なおかつ地元地方公共団体が熱心に全力を挙げて取り組んでもらうことによってこのようなスキームを展開すれば、実現といいますかある程度勝負に持ち込めるのではないかというのが、私どもの強い期待でございます。
  248. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 私ども通産省として、どういうふうに考えているのかということを御説明申し上げたいと思います。  先ほど先生がおっしゃいました東京集中の弊害、これが裏返してみますと、企業地方へという志向を高める一つのインセンティブになっているのではないかというふうに基本的には考えているわけでございます。特に、今お話もありましたけれども、企業においてオフィスのコストが高いとか、オフィスのスペースが確保できない、あるいは働いている人たちの通勤、住宅事情、こういうものの生活環境が悪化しているということで、東京におけるオフィスの立地の優位性が最近失われつつあるのではないかという情勢判断が一つございます。  特に、私どもアンケート調査をしてみましても、最近移転計画を作成する、あるいは移転計画検討するという企業が非常にふえておりまして、四割近くの企業がそういうことを考えているというようなことでございます。また、同じようなアンケート調査の結果によりますと、企業が首都圏から地方ヘオフィスを移転する条件といたしましては、移転先の地域におきまして従業員の通勤、住宅事情等生活環境が充実されることというようなこと、あるいは東京との情報、交通アクセスの確保あるいは業務支援サービスの確保等がこのアンケート調査でも上位に挙げられておりまして、そういった意味では、東京から地方への移転促進するためには、移転先でのこういった面に対する各省庁力を合わせての総合的な対策が必要であるというふうに認識している次第でございます。
  249. 薮仲義彦

    薮仲委員 国土庁、言わなくてもよろしいんですね。後で言いたかったと言わないでくださいよ。  きょう時間があればもう少しやりたいのですけれども、もう余り時間がありませんから、大臣にちょっと御意見を伺いたいと思います。  私は、この問題は東京都がどう考えているかという視点を忘れていては何もならないと思うのです。これは「業務機能の分散可能性に関する調査報告書 平成二年三月東京都企画審議室」、一極集中をどうやったら分散できるかということが出ているわけですね。この中で、先ほど局長の言ったとおりなんですね。まず一つは、東京本社を置く理由として何があるか。これは余り具体的にはおっしゃらなかったけれども、やはりその魅力は、いわゆる情報量の優位性、それから首都機能があります。それから人材の確保が優位です、あるいはお客様との仕事がしやすいです、これが最も上位で挙がっているわけです。これは資本金であるとかあるいは業種別にも同じような傾向が出ております。  ただ、ここからちょっと大臣にテークノートしていただきたいのですが、「分離促進の条件」として「今後どのような条件が整備されれば東京にある業務機能の分離・移転促進されるかを、事務所賃貸料など事務所コストに関わる項目、業務機能の受皿としての産業基盤と生活基盤に関わる項目、および首都機能などに関わる項目について重要度を比較してみた。」、これは非常に大事な解析なんですね。今言ったように、事務所が高いとか安いとかいう事務所のコスト、それから営業しやすいかという問題、それから権限の問題、この三つが挙げられているわけです。  そこで、この答えは何が出てきたかというと、例えばここに出てきているのは、今国土庁業務核都市としておる地域の問題が出ておるわけです。一つは新宿NSビル、もう一つは大宮ソニックシティビル、三番目はかながわサイエンスパーク、この三つのいわゆるインテリジェントなビルディングに移転することも含めてアンケートしているわけです。地方へ行くのではなくて、まず業務核都市のエリアの中でどういう考えで移転できるか。この中で一番出ているのは、都心とのアクセスの時間の短縮が最も大事だ、いわゆる移動の時間なんです。事務所にとって、業務機能にとって移動の時間が最も重要です。さっき道路局長も言っておられましたけれども、公共輸送機関や道路網の整備によってアクセスするということ、至便であるということが非常に重要です。それから、許認可権限を持つ官庁にアクセスしたいというのがありますよ。  それから委員長、これは大臣にお渡ししたいのですがよろしいですか。この資料は後で説明しますから。  立地コストの問題ですね。立地コストについては、この場合は「それほど重要視されていない。」というのは、高い安いということは余り問題ではありませんでした。これはどういうことかといいますと、「後述する新宿、大宮などのビルのケーススタディでも、事務所賃貸料の安さを入居理由にあげた企業は極めてわずかであった。一方、東京本社を置く理由として情報収集や社内コミュニケーションなど事務所運営にかかわるコスト(業務コスト)」、本社がばらばらだった、それを一カ所のフロアにまとめることができたとか、そういう社内コミュニケーション、いわゆる事務所が使いやすいということが非常に重要であった。「事務所運営にかかわるコスト面の効率性を重要視する企業が三分の一あった」。  それから、そこの次に出てきたのは、きょうは郵政省お見えだと思うのですが、料金体系を見直して通信費が何とか安くならないか。大事なのは、事務所のビルのインテリジェントですね。と同時に、移動コストと通信コストというものを非常に重要視しております。「企業にとって事務所の新たな立地選好は単純な賃貸料水準だけの問題でなく、事務所立地に関わる総合的なコスト判断・評価の問題であることがわかる。」それで、データが出ているのですが、一つは事務所のコストで、通信、交通、移動のアクセスのしやすさが挙がっておりますし、それから権限官庁とのアクセスが出ているのです。  そこで大臣、これは非常にシビアな建設省のデータなのですけれども、建設省というよりも日本都市計画学会の論文集なのですが、事務所が立地コストを考える場合にどういうものがあるか。上の方に出ております二つは本社立地コスト、これは社会的なコスト、社員の住宅のコストであるとか通勤費用だとかを全然見ないで通信費、交通費、いわゆる社員が出てくる時間のコスト、オフィスの賃貸料、この四つのファクターでやったのがこの表の一番上です。これでいきますと、何と東京が一番安いのです。札幌とか広島、神戸、大阪と比べても、東京に事務所を置いた方が楽なのですね。ですから、東京本社を持っている一部上場の大企業なんかは動かないわけです。ここにいた方がはるかに安いのです。何が安いかというと、移動のコストと電話料なのです。このグラフが示しているように、ここにいると一番安いのです。その次に、多少社員の社会的コストを足してくるとこのグラフの様相が変わってくるのです。しかし、単純に立地コストとして事務所の賃貸料とか通信費あるいは交通費を見ますと、東京が意外や意外、一番立地コストは安いのですよ。     〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、社会的なコストをどうするかということを言わなければならない。でも本当に事務所が出るか出ないかになったら、一番上のシビアな計算をして、企業が成り立つか成り立たないかというのは、一番上のことなのです。社員の面倒を見ようと思っても、経費が余り高ければ営業ができない。そうしますと、東京から出ていくための一番大事なのは何かというと、移動コストと通信コストを安くしていくことがどうしてもこの表の中から大事ですし、恐らくさっき通産省局長も言いたかったと思いますけれども、通産省も同じような社会的なコストのアンケートをとっていらっしゃるわけです。通産省のものは従業員二百人ぐらいの企業でやっているのです。ですから、これは小さな企業ですね。でも、そこでも社会的コストを取り除きまして純粋な事務所経費だけを見ますと、東京が安くなる。  時間がありませんから一方的にしゃべらさせていただいて恐縮でございますけれども、そのように東京から出そうとすれば、やはり移動コストと通信コストというものを考えなければならない。しかし、今、移動コストを下げろ、新幹線を下げろ、道路公団に高速料金を下げろと言ったって、まず藤井局長はうんと言いませんから、これはちょっと大変です。移動コストを下げられないならどうしたらいいのだ。  もう一つ、これは「東京の新生」という提言に、私はこれは傾聴すべきことがあるなあ。大臣に、宮澤内閣のいわゆる主要閣僚としてこういう問題をこの法案の中でどうするか。今、法案の方では、計画を立てる段階で知事ができますよ、こうなっているのです。ただ、大事なことは何かといいますと、ここにありますように、ちょっと読ませていただきます。   一極集中是正にはわが国全体に及ぶ社会システムの改革が必要である。すなわち、一極集中の要因を突き詰めれば、それは中央集権的な諸制度による国家経営を軸としたわが国の社会システムそのものであり ます。では、それを是正する到達点ほどこかといいますと、  分散型社会の形成である。それも、ただ中央政府のシナリオに従う分散型国土経営の客体としてのそれではなく、自律性を獲得し、地域の多様な価値を生かせる地方主体の分散型社会でなければならない。その第一歩は、やはり中央集権的行財政システムから地方分権型行財政システムヘの転換である。また従来の社会システムは、その全容が見えにくい閉鎖的な仕組みでもあったことから、分散型社会への移行に際しては、分権と同時に透明度の高い開放型社会にすることが特に重要である。  これをもう少し詳しく述べているのです。この「一極集中是正と分散型社会の形成 二十一世紀社会における東京の基本的性格 分散型社会の形成」として何が大事か。我々は分散型社会を望んでおります。これは分権型社会でもあります。   分散型社会とは、人口産業都市機能などが特定地域に偏らず、全国各地域に適度に分散する社会である。それは、全国的な共通の価値のほか、地域の固有の価値が生かされる社会である。 これは大臣が先ほどから言ったことだと思うのです。これをやるためにはどうするかというと、  分権型社会とは、中央政府に権限が集中するのではなく、地域社会の運営に関する諸権限は地方自治体がもつ社会である。これらは、地域特性に根ざした人間性豊かなまちをつくるのに適した枠組である。それは、一極集中とは異なった社会行動をあらゆる主体に促し、中央集権型社会がそうであるような、国が企画した構想をモデルとして地方実施するというパターンではなく、地方がその地域独自性を生かして企画し実施するパターンである。効率を追及するあまり、全国一律に適用する画一型価値を押し付け、これに外れた価値を否定するようなことは、多様な価値観の存在を前提とする社会にはなじまない。   開放型社会とは、透明度の高い社会であり、参加の容易な社会である。分散型社会の形成に際して特に重要なことは、国内のどこにいても、必要な情報の所在と入手の方法が明らかになっていることである。 どこにいても、中央官庁であろうと全国の情報がアクセスできる、これがないと分散できないのですね。やはり、どこにいても必要な情報を同じコストで入手できる、こうすれば出ていけるのです。  そうすると、社会的なコストの、さっき大臣が言われた住環境であるとか生活環境の豊かさ、本当に自然のすばらしさを享受しながら生活できるのです。できないのは、余りにも中央にいろいろなことが集まっていますよ、これは私傾聴に値するなと思っているのですが、  政策情報にしろ、市場情報にしろ即時に情報入手が可能であるということは、情報の所在が明確であることが前提となる。 どこにどういう情報があるかということがはっきりしていて、  特定の機関や特定都市に情報が偏在し、アクセスのためだけに、その機関や都市やそこに近接した場所にいなければならない情報一極集中型から脱却することが必要である。   このようにして情報の所在がだれの目にも明らかであり、どこからも情報にアクセスすることができ、だれでもその情報を利用できるという透明度の高い社会をめざすことが、過剰なフェース・トゥ・フェースのための集中を少なくする重要なポイントであろう。 それでこう書いてあるのです。  閉鎖型社会のあとに来るものは開放型社会でなければならないし、また、一極集中型社会のあとに来るものは多極分散型社会でなければならないだろう。   分散型社会への移行にとって最大の支援は、地方分権である。   地方がそれぞれの個性を大切にし、活力ある地域社会を形成するとともに、東京が過密を解消し地球環境に配慮した快適なまちづくりを行なうことが国全体として自然と共生じたゆとりのある国土を実現する道であり、また日本が国際社会に受け入れられる姿であろう。地方自治体の権限を強化し、分権化することが分散型社  会への第一歩である。 とあるわけです。もっといろいろな提言があるのですけれども、これを読みまくってもしょうがないのでやめておきます。  私は何を申し上げたいかというと、今度のこの法案を成功させるのには、さっき知事がやるのですよとおっしゃった。さらに、それにプラス行財政権限、知事が思う存分、地方自治体が思う存分できるような方法を、大臣のその行政手腕で何とか考えていただきたい。  この四つのグラフを出しましたけれども、ここは何のグラフかといいますとフェース・ツー・フェースなんです。日本人は絶えず会ってあいさつしないとなかなか商売ができない。これをアメリカ並みの——アメリカはこうなっているのですね。「アメリカでは、わが国の二・七倍の電話使用頻度があり、また、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの頻度は〇・八〔回/週〕」、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションの頻度をこういうアメリカ並みに直しますと、東京のいわゆる立地コストはほかと同じようになってくるのですね。ですから情報量、ここではフェース・ツー・フェースを変えただけです。移動のコストを変えただけですね。  下は、今度は移動コスト・プラス電話の料金を一律に、きょう白井局長お見えになって、そんなことを言ったら飛んで返って、とてもすぐオーケーしてくださらないでしょうけれども、仮に一律にした場合に、東京立地コストは全国が非常に平準化してくるわけです。  ですから、私の申し上げたいポイントは、移動コストと情報コストを下げていかなければならない。これはNTT初め他の電電、第二電電の御努力もあるかもしれませんけれども、これが非常に重要なファクターだということを大臣に御理解いただくことと、もう一点は、今申し上げた分権社会、透明社会、情報がどこでもアクセスできるというような時代をつくっていただきたい。今、郵政省はいろいろなところヘテレポートをつくろうとしていらっしゃるのですが、そこにできるのですけれども、アクセスする通信料は同じなんですよ、高くなっちゃうのです。だからどうしても、テレポートがあってもそこを使う通信費が安くなるということが大事で、白井局長、本当に申しわけないのですが、本当はきょう私は遠近格差とかいろいろな問題をやりたかったのですが、時間がないので。  最後に大臣に、今、私はいろいろ申し上げました。やはりこういうような東京都の考えていることもお酌みいただいて、これが成功するのは、知事が本当に主体性を持って自分の県を、自分の町を、自分の住んでいるところをという、やはり行財政権限もつけてこの法案をどうしても成功させていただきたい。もしもこれが失敗しますと、何だこれはと言ってだれもやる気がなくなると思うのです。きょうはリゾートもやりたかったのですけれどもできませんでしたが、もうそういう失敗は許されない法案だと思いますし、まあきょうは各省庁とも本気になっておやりになる決意を伺っておりますので、どうか大臣、この地方拠点法が立派に成果をおさめるためには、今幾つか問題点を指摘させていただきましたけれども、やはりそういう意味での大臣の指導よろしきを得てうまく推進していただきたいと思いますが、最後に大臣の御意見を伺って、終わりたいと思います。
  250. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 いろいろと御卓見をお聞かせいただきましてありがとうございました。先生の御指摘なさいました幾つかの問題点につきまして、私なりの考えを申させていただきたいと思います。  まず第一点は、この表でございますが、本社立地コストの表がございまして、現状では東京が コストが大変小さいが、社会コストを加味するとそうでなくなる。まさにこの点にこれからの企業のあり方の趨勢が示唆されているのではないかと、私は勝手ながら考えておるわけでございます。企業が例えばフィランスロピーとかあるいはメセナという新しい社会とのかかわり合いを重視される時代がやってまいったわけでございますが、それは外に向かって社会的なかかわり合いを考えるだけではなくて、やはり企業内におきましても、この社会コストの中に通勤コスト、住宅コスト等が含まれておりますが、そういう点を重視する時代がやってきたのではないか。そういう点にストレスを置きますと、やはり企業がみずから進んで地方に出ていく、そういう時代を迎えつつあるという認識を持ちまして、これは主として通産省の方でインセンティブを用意してあるわけでございますが、そのことによりましてこの施策が成功するものと私どもは考えておるところでございます。  それから、通信のコストあるいは移動のコスト、これを思い切って下げなければだめだ、これはそのとおりであると思います。でありますがゆえに、今回は郵政大臣にも主務大臣になっていただきまして、その面での協力と申しますか、施策の展開をお願いいたしておるところでございます。我が建設省といたしましても、従来から高速道路網の整備に鋭意努力してまいったわけでございますが、第十一次の道路整備五カ年計画では地域高規格道路の整備、これも先生の御指摘なさいました移動コストを下げる面に大いに貢献するものと考えておるのでございます。  それから最後に、地方分権のことを先生御強調なさったのでございます。これは大事な考え方であると思いますが、それはこの法案のみの問題ではなくてもっと包括的な大テーマでございますので、行革審等でいろいろ検討、協議が行われているところでございますので、これはこれからの大きな政策テーマとして各党超党派で考えてまいりたい、そのように願っておるところでございます。この法案の中では、しばしば議論されておりますとおり、地域指定は知事が行いますし、また基本計画は当該市町村につくってもらう、中央では、知事が拠点都市地域の指定を行いますときに協議に応ずるというフレームになっておるわけでございます。ここでも地方の自立的な成長を促し、みずから地域発展の牽引力たらん意欲を持って今後地方拠点都市整備してもらいたい、そう願っておるところでございます。
  251. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  252. 古賀誠

    古賀委員長 米沢隆君。
  253. 米沢隆

    米沢委員 私は、ただいま提案されております法律に関連し若干の質問をさせていただきますが、けさほど来多くの同僚議員が質問をされておりますので、重複する部分があるかもしれませんがお許しをいただきまして、質問をさせていただきたいと存じます。  御案内のとおり、地方の時代の到来だとか国土の均衡ある発展という課題が叫ばれて久しいものがあります。政府では、この課題に対応するために、国土庁中心にして数次にわたる全国総合開発計画を立てられ、その間過疎対策や地方の開発、発展に資する目的で数多くの地域振興立法が制定され、実施に移されてきたわけであります。それなりの成果を得たものもありますし、今その成果を生みつつあるというものもありますが、しかしそのような格段の努力にもかかわらず依然として東京への人口や富の集中はもちろんのことでありますが、あらゆる機能一極集中し、それが加速されたままで、残念ながら地方振興は所期の成果を上げることもなく、平成二年の国勢調査によりますと、地方における人口減少が再び広がる傾向が顕著になったという結果も出ておりますし、その上今日では地方において、例えば三十六道県におきましては県庁所在地への集中が始まる、新たな過疎問題あるいは県内における不均衡の拡大が提起されるなど、国土あるいは県土の均衡ある発展は、進むどころか問題はさらに深刻になっていると言っても過一言ではないと思います。  その観点から申しますと、一体なぜこのように国土の均衡ある発展というものに努力しながらも目標に至らず、地域振興立法実施にもかかわらずそのような国土の均衡ある発展が遅々として進まなかったのか。今日までの施策に欠けるところありはしないかという反省も必要だと思います。その意味におきまして、まずこのようなものが一向に進まなかった原因と背景についてどういう認識をされておるのか、お聞かせいただきたい。
  254. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 先生が御指摘されましたとおり、国勢調査等によりますれば人口一極集中がさらに進行状態にある、そのとおりでございます。過去におきましては、これまた先生が御指摘されましたとおり、各般の施策国土の均衡ある発展を図ろうとしてまいったわけでございますが、そのことが成功をおさめてないということは事実でございまして、このたびの拠点都市法案の提案はまさに背水の陣で、切り札としてこの法案を提案させていただいたと私どもは自覚をいたしておるところでございまして、何としても成功をおさめたいと考えておるのでございます。  多極分散型国土形成という観点、それから同時に、これから生活のゆとり、豊かさを真に実感できる暮らし、そういうものはやはり地方においてフロンティアがあるわけでございまして、その地方東京が持っておりますような機能、あるいは若者たちが都市の魅力と考えております職住遊学の機能等を地方配置することによりまして、企業地方への進出も図り、あるいは人口をそれぞれの県内にとどめ、そして県内一極集中あるいはブロック内の一極集中もこれによって改めていく、そういうねらいを持ちました法案でございますので、過去の施策が十分いきませんでしたことは率直にお認めをしなければなりませんが、それだけ強烈な都市機能の魅力というものを東京が備えておりまして、そのことによって生じた現象であると思います。逆に、そのような魅力を地方に展開したい、こういうことでこの法案を提案させていただきました。
  255. 米沢隆

    米沢委員 既に過去の問題等についてはそれぞれ分析をされた上で今回の提案になったと思っておりますが、ただ、今大臣が御答弁されましたように、今日までいろいろと解決に向けたさまざまな対策が実施されてきたわけでございますが、基本的に何が欠けていたかといいますと、それは経済の発展段階において重点的な力の入れ方も変わってくるのは当然でございますが、私は今日までの、例えば新産都あるいは工業整備特別地域に代表されるような拠点開発構想はもちろんのことでございますが、その後の大規模プロジェクト構想、定住構想等々、ややもすると、やはり生産部門の一部を地方圏に分散あるいは再配置しようという産業立地政策面からのアプローチが中心でありまして、今問われております魅力と活力にあふれた地方都市の育成とか、あるいは均衡のとれた都市づくりという視点に立った都市政策面からの配慮の欠落があった、これは否めない事実だと思います。  第二の欠けた部分は、御案内のとおり、近年は工業再配置促進法等によりまして新しくつくられたり増設されたりする工場は約八割は地方立地しておる、こういうふうに聞いておるわけでありますが、それでもただぽつんと工場が建つだけであって、業務機能そのものの分散については余り力が入れられていない。そのあたりが一つの反省として、産構審の産業立地部会等が答申しておりますように、もっとこれからは産業機能に加えて、業務機能地方分散も強力に推進していくべきだというものにもこの法案はこたえる。  もう一つ皆さんには耳の痛いことかもしれませんが、やっぱり今日までの地方振興がうまくいきづらかったという面は、縦割り行政の原因もかなりあるような気がするわけでございます。結果として、その地方がどういう地方をつくりたいと言っても、結局流れていく金がいろいろその土地土地で違ってくる、やりたくてもそういうメニューがない等々、やっぱり縦割り行政の弊害が地方振興あるいは魅力ある都市づくりに対しては、非常に冷たかったと言ってはちょっと言い過ぎでありますけれども、やりにくいところがたくさんあった。こういう三つの基本的な欠落した部分を解消して、この反省の上に立って初めて私は今度の法案が生きてくる、こういうふうに考える一人でございます。  そういうこともありまして今回の法案の提案になったわけでございますが、平成四年度の予算の概算要求の段階では、各省庁は別々の発想でこれに取り組もうとされていたことはもう御案内のとおりでございまして、もう今さら申し上げるまでもなく、例えば国土庁地方都市整備構想、通産省産業業務機能配置促進構想、建設省地方拠点都市の戦略的育成による地域活性化の推進という意味での地方拠点都市構想、郵政省は情報拠点都市整備構想、自治省は中核広域行政圏構想等々を、各省庁の研究を踏まえた上で概算要求の段階ではいろいろと努力をされていたのを、結局一本にまとめようじゃないかということでこの法案になったというふうに聞いておるわけでございます。  ただ、そうではないかもしれませんが、例えばそれぞれの構想を持ってそれぞれの省庁が予算要求して頑張ろうというのが、結果として一本になったことは喜ばしいことでございますが、一本になることによって逆にそれぞれの構想の部分が欠落したり、あるいは地方拠点都市法案に盛られなかったり、何か中途半端にこの法律ができてしまった嫌いはないのかというところが心配でございますが、その点についてそれぞれ国土庁通産省建設省、自治省、答弁をいただきたい。これで十全であり得るかということです。
  256. 小島重喜

    小島政府委員 私どもは、今御指摘ございましたように、これからの地方振興というものをどうするかということで部内で検討いたしまして、一つは、従来のようなどちらかというと国主導型では悪いだろう、地方団体主導型の地域振興ということを考えていかなければいけない。同時に、この地域振興の際に一体どういうところに視点を置くかということを議論いたしまして、やはりそれは地方である程度ポテンシャルのある都市、そしてその都市は背景に多くの周辺の市町村も抱えているわけでありますから、その都市とその周辺の市町村を一体的に整備する必要があるんだろう。そういうものを私どもはたまたま地方都市圏と呼んでおりましたけれども、そしてそこで都市機能の高度化でありますとかあるいは住環境というようなことで総合的、一体的な整備を図っていく必要があるという考え方に基づいて、私どもはああいう構想を提案いたしたわけでございます。  今考えてみますと、結果的にはそれぞれ関係省庁の意図するところも、とにかくその対象は、従来のような拠点で新しいものをつくるというよりも、既存のそういう都市というものに着目をしていくということは各省庁共通でございまして、その範域というようなものも、その都市だけではだめだ、ある程度の広がりを持つということについても基本的に各省一致をいたしておりますので、今先生が御指摘されましたような御懸念は私はないんではないか、かように考えております。
  257. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 第一に、地域開発の重点の置き方でございますけれども、まさに先生指摘のように、私ども通産省はこれまで工業再配置あるいはテクノポリス、頭脳立地等、主として生産機能中心として地方分散施策を図ってまいったわけでございます。これは申し上げるまでもなく、一つは、地方に雇用の場をつくるということが地域開発にとって非常に大事だ、そのためには産業機能地方に根づくことが大事だという観点から推進をしてまいりました。もう一つは、やはり日本にとって物をつくるということが非常に大事でございまして、製造業が日本の戦後の経済を支えてきたという観点から、物をつくる部門をまさに地方活性化のために地方に定着させるということが大事である、そういう観点から進めてまいったわけでございます。  ただ、御指摘のように、近年の東京一極集中の状況を見てみますと、まさに過去の生産機能過度集中から、産業業務機能過度集中というものに移行しているということが明らかでございます。ちなみに全国のオフィスの床面積の増加率を見てみますと、近年五カ年間で年々一〇%ぐらいふえておりますけれども、東京ではそれが二四%ぐらいの勢いでふえておるというようなこと。あるいは、東京でのオフィスの床面積が昭和五十五年には三千三百ヘクタールぐらいでございましたけれども、平成二年には五千百ヘクタールぐらいになっておりまして、このまま推移すれば今後十年間でまた三千ヘクタールぐらいふえるのではないか。三千ヘクタールというのは、霞ケ関ビルにしますと二百本ぐらいの規模になりますので、そういう意味で、この産業業務機能過度集中というのが政策的に非常に問題であるということで今回の法案を提出させていただいたわけでございます。  特に、この法案の作成の過程におきまして、私ども予算、財投の要求をお願いいたしましたし、あるいは各省庁との連携ということに意を用いてきたわけでございますけれども、当初通産省としていろいろな予算、税制をお願いしましたものに対しまして、ほとんどのものをお認めいただいたということでございます。したがって、一本化したことによってその辺の手落ちが生じたのではないかという御指摘に対しましては、一本化したことによってほかの省庁のいろいろな手段もオフィスの移転活用させていただける、こういうことでかえって強化されたのではないかというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。  それから、そういった意味では、縦割り行政というような問題も御指摘をいただきましたけれども、私どもこの法案を作成する過程におきまして、関係省庁がそれぞれこの法案を担っていくという十分な決意のもとで共同参加し、この法案をつくらせていただいたということでございますので、そういうことで今後とも関係省庁との密接な連携を図ることによりまして、東京一極集中是正地域活性化に積極的に取り組ませていただきたいというふうに考えております。
  258. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 御指摘ございましたように、昨年の夏の時点で各省でいろいろな構想が出されました。その際共通しておりましたのは、人口大都市への集中地方における人口の減少あるいは地方における一極集中の現象等々でございます。また、これに対処する方法といたしまして、地方に拠点となるべき地域をつくって、ここに力をつけて、これをてこに全体の底上げを図っていこうという手法についても、おおむね共通の認識を持っていました。また、その際、御指摘にもございましたように、業務施設を重視して、それの再配置ということが有力な手段になるであろうという認識も一致しておりましたし、また全体として地方の創意工夫を尊重していくというスキームの仕立て上げをしようということについても、認識が一致しておりました。  そういうことで各省の当初の案の調整をやってまいったところでございますが、自治省に関して申し上げますならば、この法案で、地方の創意工夫を生かした地域の自立的成長というところに目的を置き、かつその場合の地域というのを、中心になる市とその周辺の市町村を一体として整備するという考え方によったこと。また、法案のスキーム自体が、地域の指定なりあるいは計画の作成、承認というところでも、できるだけ地方の権限を尊重するという形で仕立て上げられたこと。また、具体的な手段について言いますと、地域の一体的整備のための公共施設整備でございますとか、あるいは人材育成を筆頭とするような広域的なソフト事業、住民活動というものを重視するやり方、また各種地方行財政上の特例等々につきまして十分盛り込まれておりまして、当初私どものもくろんだものはこの法案の中に十分に盛り込まれている、このように考えております。
  259. 市川一朗

    市川政府委員 御指摘ございましたように、建設省におきましても平成四年度の重点施策の中で地方拠点都市構想を考えておったわけでございますが、その意図いたしますところは、いわば地方におきまして若者にとって特に魅力のある生活空間を創出するということによりまして、地方の成長を牽引し、地方定住の核となる地域を育成していく。そうすることが、最近の国勢調査の結果で明らかになりましたような人口減少等の問題、東京一極集中是正の問題に極めて有効に働くのではないかということで取り組んでおったわけでございますが、先ほど来各省から御答弁ございましたように、建設省限りでやれる施策にはやはり限界があるわけでございます。  一、二例を申し上げますと、私どもは地方への支援体制として公共事業の重点配分、重点投資ということを考えているわけでございますが、地方の財源確保とかあるいは地方単独事業、そういったことにつきまして自治省でやっておられますいろいろな施策の協力ということ、これは極めて大事であると私ども思っておりましたし、それから何といいましても、雇用の場の確保ということに関しまして通産省が本気で取り組むということが、私どもにとりまして大変期待し得るものでございました。また国土庁等も、いろいろ議論している過程におきまして、都市中心としてもいけないのではないか、その周辺の農村も含めた一体的整備が大事だということで、農林省の方からもその辺の御協力をいただきまして、また、農地法の転用につきましても特例を設ける。  こういったようなことを考えますと、一つの省が単独でやることにつきましてはもともと限界があるわけでございますが、そういったものを各省総合的にやることによりまして、より強力な支援体制、施策の遂行ができるということでございまして、あとは、これを本当に当初の目的どおりきちっと運用して成果を上げていくことが大事であると、今痛切に感じておる次第でございます。
  260. 米沢隆

    米沢委員 たしか昭和六十三年の八月に多極分散型国土形成促進法というのができました。今回出てくる地方拠点都市という観念からして一体どういう相互関係にあるのか、指定はダブってもいいのかダブらないのか、一体どこが違うのか、簡単に説明してほしいと思います。
  261. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘のいわゆる多極分散法に基づきます振興拠点制度、これは法律にも書いてございますように、かなり大規模な地域におきまして特定の、例えば医療その他特定機能集積を図ることによって地域振興を図る、こういう仕組みでございます。それはそれなりに意義があるわけでございますけれども、同時にそれとあわせて、地方都市中心とした周辺地域も含めた一体的な整備に努めなければならない、こういう規定があの法律にございまして、言うならばあの法律にございます訓示規定を具体化するのが今度のものでございます。  今回は、主として既存都市集積というものを十分に活用しながら、しかも特定機能ということではなくて、むしろ都市機能の高度化あるいは総合化といいますか、そういうことで全体的な都市としての機能の高次化を図ったりあるいは居住環境の整備をする、こういうことでございます。振興拠点というのは、どちらかといいますと、先ほどお話ございましたように、まさに拠点開発的な感じでございますが、今回の都市の方は、むしろ既存都市というものを十分利用しながらやっていこう、地域振興を図っていこうということで、切り口と申しますか、その点にかなり大きな違いがございます。  同時に、今回の法案におきましては、先ほどから御指摘ございますように、地方の自主性というようなものを大変尊重してやっていく。計画なども市町村がつくる、あるいは地域の選定も知事が行う、こういうことでございまして、そういう点ではかなり異なった制度であると言ってもよかろうと思いますが、同時に、また拠点都市地域振興拠点のそういう制度を使おうとすれば、それも使うことは可能でございます。
  262. 米沢隆

    米沢委員 この法律は、この名前にも記されておりますように、地方の拠点都市地域整備あるいは産業業務機能配置等、まさにその言葉どおりだと思いますが、問題は、この法律が成立した後、どのような運営がなされていくのであろうか、この法律がどのように適用されてどのように地方拠点都市が育成されていくかというイメージが、いろいろな議論があってどうもわからない、見えないというところがあります。  例えばこの法案は、三大都市圏を除く各道府県の大体一、二カ所、二番目、三番目の市とその周辺都市が対象だ、全国で五十から八十カ所くらい考えておるという話もあれば、あるいは十年間で百カ所ぐらいは出てくるであろうという話もあれば、あるいはまた、地方全体の振興という観点からは拠点都市をそんなに限定すべきじゃないのではないかという話もあれば、あるいはまたこの県境、広域行政が叫ばれている中で県と県の間で経済圏ができる、生活圏ができる、そのあたりは一体どういうふうな取り扱いになっていくのかという、そういう意味では一つ地域指定されていく状況あるいは指定されていく資格要件みたいなものを、トータルとして一体どれくらいのものをつくって育成していこうとするかという問題等々が、非常に見えにくいというのが一つあります。  それから、過去の反省に立って地方拠点都市をつくって、そこで地方の経済圏を広げていこうという発想であるならば、少なくともかなり人口減が激しい場所だとか非常に財政的に弱い場所だとか、そのあたりが優先的に指定されて、そこに重点的に予算等も配分されて、目に見える格好でこの法律が生きてくるという姿が見えないと、従来のように総花的にみんな全国にばらまいて、予算もただばらまいて、結果としていつまでたってもこの意図する姿が見えてこない、そのために結果として人口減がどんどん進むというようなばかなことがあっては何もならぬわけで、そういう意味で、総花式にならざるを得ないけれども、少なくとも人口減の激しいところ、経済的に非常に問題があるところ、あるいはそこに地方拠点をつくったならばかなり飛躍的な発展が望まれるであろうという戦略的な構想の中での地域指定等々、そのあたりがどういう方針で指定されていくのかというところがちょっと見えない。そのあたりを御説明いただきたいと思うのです。  そして、最後に申し上げますのは、この法律のまさに実効性の問題です。従来のように各都道府県、都は除くにしても府県はかなりこれに期待を持ち、関心を持っておられる。したがって、今から陳情合戦になるだろう。少なくとも、知事さんが最後の認可をされるにしても、相協議する場合にはかなりの陳情合戦が出てくるであろう。それで仕方がない、しょうがないな、言われるのはもっともだといってどんどんばらまかれていって、結果としては、近い将来といいましょうか、かなり時間をかけないと目に見える地方拠点都市ができることが何も感じられないというのでは問題があるのではないかという意味で、そのあたりの主管大臣の姿勢みたいなもの、基本方針みたいなものを一回明示してもらいたいと思っております。
  263. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 ただいまの御質問は、もっともな御疑問であると思っております。  先生も私も九州でございますが、宮崎県は人口が減っておりまして、福岡は人口がふえておるのでございます。福岡がふえますのは、福岡市といういわば拠点都市がございまして、その福岡市の魅力が人口を吸引いたしまして、福岡市がふえることによって県全体もふえたという結果が生じておりますが、実は県内では他地域におきまして人口が減少いたしておりまして、福岡市が大きくなっているという状況でございます。  こういう実態を踏まえまして、これから拠点都市地域を展開してまいるわけでございますが、その際に政令都市は、あるいは県庁所在都市もそうでございますけれども、従来から人口吸引力を持っておったわけでございますので、これは原則といたしまして対象外となると考えております。とりわけ政令都市の場合は明確にそうであると思いますが、県庁所在都市はケース・バイ・ケースであると考えております。しかし、原則的にはこれを対象外として、その県内一極集中が生じないように配慮していく必要が一つございますのと、それからブロックで見ましてもそういうことが、例えば九州ブロックでございますが、そういうことが言えるのではないかと思っておるのでございます。  そこで、一体幾つやるのかということでございますが、これはまだ決まっているわけではございませんで、関係省庁でもいろいろと議論いたしておるのでございます。最終的には国土庁にお取りまとめいただくことになろうかと思いますが、まず知事が地域指定をいたしまして、市町村が基本計画をつくって出してまいりますけれども、その計画が早くできるところ、そしてその計画の中身あるいは条件、その計画を実現していくための条件整備の熟度等が勘案されまして、それらのものがそろいましたところからやっていくということになるのではないかと考えるわけでございます。  例えば、業務施設地方に再配置いたしました際に、そこでは、きょう一日いろいろな御議論がございましたけれども、通信機能が十分整っていない、あるいは高速道路網も整備されていない、そこに果たして業務施設が行くか、業務機能が行くかという疑問もございますので、それらのいろいろな条件を具備した、計画達成の熟度が高い地域を選びながら、先生の御質問の中に示唆が含まれておったと思いますが、まずモデル的に成功させることが肝心じゃないかという御意向のように私は受けとめたのでございますが、そのことを見て、その成功例を踏まえてさらに展開を進めていくということがいいのではないか、そのように実は私も考えておるわけでございまして、限られた資源配分を行っていくわけでございますから、公共投資四百三十兆円の計画があると申しましても、これを重点的に投下していくということになりますれば、薄く広くいきなりやってしまうということがいいことかどうか、むしろ厚くいいケースをつくっていくということが重要なのではないかと私は考えておるところでございます。
  264. 米沢隆

    米沢委員 残念ながら時間がなくなりましたが、国土庁長官から一言。
  265. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 各般にわたる法律に基づく施策が今日までとり行われてきたのでございますが、その成果というものは一定の評価がなされてもいい、これは先生の御質問の中でもおっしゃられたとおりだと思っております。なおまた、質問というよりも、先生の考えておられることの方向性を私たちにもっと詰めなさいというふうに私は受けとめながら聞いておりました。  私は、まさしくそういういろいろな各般にわたる論議というものが、今日、各省庁のそれぞれの持っている能力を出し合いながら、そしてこれから地方皆さん方がいろいろなお尋ねのときでも、各省庁にまたがる御意見を賜るということはいろいろ大変な作業でもございますから、ひとつ協議会をつくって窓口を一本化して、そして協議会の皆さん方がいろいろな角度から今後さらに充実した実効性が高まるようなことの諸施策に、私は今度は真剣になって皆さん方が取り組んでおられるわけですから、今回の法律は必ずや成功を見るという確信のもとに、また私たちは立場上からも、今後ひとつ努力していきたいというふうに考えております。
  266. 米沢隆

    米沢委員 関係する省庁の大臣の御健闘を祈って、終わります。
  267. 古賀誠

    古賀委員長 辻第一君。
  268. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうは、法案の内容を中心に伺いたいと思います。限られた時間にたくさんお尋ねをしたいと思いますので、恐縮ではございますが、できるだけ簡明に御答弁をいただければ幸せでございます。  まず初めに、東家国土庁長官にお尋ねをいたします。この法案と、四全総や多極分散型国土形成促進法などとの関係について伺います。  多極分散型国土形成促進法では、振興拠点地域基本構想や振興拠点整備がうたわれております。ともに地方の拠点を整備するものでございますが、この法案では新たに地方拠点都市地域を設けることになっております。この拠点都市法と四全総、多極分散法との関係はどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  269. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 四全総国土の均衡ある発展を図るための施策でございますし、なおまた一極集中是正して多極分散を図ろうということで今日まで推進してまいったわけでございます。今回のこの法律は、そうした四全総の総合的これからのまた一環でもあるわけですから、そのことについては四全総の中における一極集中是正する新しい法律だというふうに私は解釈をいたしております。
  270. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、この法案は、地方拠点都市地域整備産業業務施設の再配置により、地方の自立的成長及び国土の均衡ある発展を図ることを目的としております。  今日、過疎過密の問題は、人口減少県の増加など過疎の問題と、東京圏などにおける住宅や通勤問題あるいは環境問題、そういう過密問題、ともに深刻化の一途をたどっております。そういう中でこの法案が提出されたのでありますが、今日このような法案を提出しなければならなかった事態をどのように認識をされているのか、また、このような過疎過密の問題が深刻になってきたその原因についての見解を伺います。
  271. 小島重喜

    小島政府委員 お答え申し上げます。  戦後、我が国の高度経済成長を通じまして、国民生活水準あるいは所得水準が大幅に向上したわけでありますが、この高度成長過程を通じまして大都市地域への人口あるいは高次の都市機能というものの集中が生じ、そして大都市では御案内のとおり過密問題、そしてそれ以外のところでは、特に農山漁村等におきましては過疎問題というものが生じたことは、先生も御案内のとおりだと思います。  それで、今回このような施策をなぜ出すのか、こういうことでございますけれども、先ほども大臣からお話し申し上げましたように、最近におきます東京への一極集中というものを何とかして是正をしていかなきゃならない。そのためには、どうしても地方都市というものに着目をしながら、地方都市機能東京都市機能に匹敵するほどの地方都市機能が高度化されればいいのですが、それはともかくといたしましても、地方都市機能というものの高度化ということに着目をし、地方には豊かな自然等もございますから、そういう住環境の整備というものをあわせて行うことによりまして、東京一極集中是正あるいは地方におきますところの過疎の防止というか、そういうことに役立てなければならない、こういう事態であるということを言うならば認識をいたしまして、このような法案を提案したわけでございます。
  272. 辻第一

    ○辻(第)委員 この法案国土の均衡ある発展を図るといいましても、今日の過疎過密がこの法案で本当に解決をされるのか。物事というのは原因があって、その原因を正すのが一番の解決方法だと思うのですが、どう見ても原因から解決をしていくような方法ではもちろんないわけでありまして、いわゆる対症的な療法といいましょうか、そういうものだと私は思うのですね。この過疎過密を引き起こした原因といいましょうか、そこからこの問題が解決できる法案なのかどうか、改めてお尋ねをいたします。
  273. 小島重喜

    小島政府委員 この法案は、先ほど申し上げましたように、最近の東京への一極集中というものを見てまいりますと、中枢管理機能あるいは金融、情報その他いわゆる高次の都市機能東京集中をしてきている、こういうことが非常に大きな原因になっている。あるいは、それに伴いまして若者にとってもにぎわいの場であるとかという意味で、魅力のある地域になってきているというようなことは確かでございます。そういう意味で、私は地方都市機能の高度化あるいは高次化ということが、これからの地域振興施策の上では大変重要じゃないか。  従来、都市機能という見方で地域立法したことは実はございません。そういう面からいたしますと、今回はある意味でのかなり斬新というか、ユニークな切り口でやっているというように私は考えるわけでございまして、そういう意味で、いろいろな意味での都市機能地方のそういう中核となるといいますか、拠点となる都市に育つ、そういうことによって同時にその効果がさらにその都市地域以外にも広がる、こういうように私どもは期待をしますし、考えております。そういう面で、これで直ちに過密過疎が雲散霧消するかというお尋ねですと、今までの経過等から考えましてもこれはそう簡単なものではございませんけれども、行く方向というのは、この法律の運用がよろしきを得て、しかもこの法律が目指すようになりますと、私は先生がおっしゃるようなことは徐々にではあるがこれによって推進されていくのではないかと考えております。
  274. 辻第一

    ○辻(第)委員 今度は建設大臣にお尋ねをいたします。  この法案は、公共投資基本計画四百三十兆円の受け皿として期待されているというふうに聞いております。建設省の平成四年度の重点施策を見ますと、公共投資基本計画の達成など建設行政を取り巻く要請にこたえるとして、主要課題の第一に地方の戦略的整備を掲げ、地方拠点都市の育成をトップに置いております。この法案による地方拠点都市地域整備は、公共投資基本計画の達成の上で重要な役割を占めているということですか、いかがですか。
  275. 山崎拓

    ○山崎国務大臣 御指摘のとおりでございます。公共投資基本計画に基づく四百三十兆円の一九九〇年代の投資が予定されておりますが、当然、漫然と公共投資が行われることは避けるべきでございまして、そこに一定の方向性が要ると考えております。  私は三つ常に挙げておるのでございますが、一つは、内需の振興に資するものであるべきだということでございます。これは日米構造協議の結果生まれてまいりました国際公約的なものでございますから、当然そういうことになると思うのでございます。そのケースの場合に、あえて申し上げれば、余り用地買収費に食われるということは、これは内需振興につながらないうらみがございまして、そういう意味におきまして、地方における社会資本の整備はより大きく内需振興に資するということが言えます。第二点は、先生がお挙げになりました国土の均衡ある発展に資するということが大事であると考えております。まさにこの拠点都市法は、国土の均衡ある発展を具体的なものにいたしますために提案されたものでございます。これはぜい言を要しないと思います。それから第三点は、生活大国づくりに資するものであるべきだということでございます。  生活関連重点化枠等である程度の方向性は加味してまいったところでございますが、この拠点都市整備によって、地方には大きなフロンティアがございまして、非常に大きなスペースを住宅でも確保できる、あるいは下水道の整備もこれからであるということ等、私は、生活大国づくりに資する公共投資の行われ方という面において、この法案は大きく貢献をするだろうと考えておるのでございます。生活関連重点化枠がございますように、あるいは拠点都市整備のための公共事業費を確保するということも、これからの課題ではないかと考えております。
  276. 辻第一

    ○辻(第)委員 地方拠点都市地域整備について伺います。  この法案整備を進めようとする地方拠点都市地域は、どのような地域を想定されているのか、その地域人口はどの程度考えておられるのか、面積などは念頭にあるのか、その他の要件についてどのように考えておられるのか、具体的に答弁をしていただきたいと思います。
  277. 市川一朗

    市川政府委員 地方拠点都市地域につきましては、地方におきまして行政あるいは経済、文化等の中心となる都市とその周辺の市町村から成る地域ということを想定しておりまして、それらの地域整備促進することによって、当該地域を含む地方発展の拠点となることが期待される地域という考え方でございます。  ただ、この地域指定に関しましては、県内事情に最も精通しております知事さんが行うということで、私どもは協議にあずかるという立場に立ちまして、法律上も極めて基本的な要件のみを規定してございまして、例えば地域につきまして、ただいまお尋ねがございましたような具体的な人口とか面積等の要件は、特に設けないことにしておるわけでございます。それから地域の広がり等につきましては、ある程度の考え方を基本方針等を定める場合にお示しすることも考えておりますが、今関係省庁間で大体コンセンサスを得ておりますのは、自動車で三十分ぐらい、ちょうどそんな感じのところが通勤圏であり、商圏であり、共通文化圏である、そんな感じを持っております。
  278. 辻第一

    ○辻(第)委員 指定地域の数でございますが、一道府県と言った方がいいのですかね一から二カ所、全国で五十から八十カ所、このように言われております。一体どの程度の地域数を考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  279. 市川一朗

    市川政府委員 最終的な数字は確定してございませんが、基本的には、原則として各県二カ所という考え方に立ちます。ただ、それぞれの道県によっていろいろ事情が異なりますし、三大都市圏の周辺の県と完全な地方の県等もございますので、その辺はいろいろあると思いますが、基本的には県内一極集中を避けるという観点からやはり複数であるべきであるし、逆に重点投資というようなことを考えておりますからやはり数は絞った方がいいというようなところから、大体各県二カ所くらいがいいのではないかというように考えております。
  280. 辻第一

    ○辻(第)委員 各県二カ所というと、大体どのくらいなのですか。
  281. 市川一朗

    市川政府委員 あくまで原則でございますので、それをあえて言えば五十ないし八十カ所という数字も一つ当てはまるのかと思いますけれども、そういう意味ではかなり幅が、県内事情等も考えなければいけませんので、現実には変わってくるのかなと思っております。
  282. 辻第一

    ○辻(第)委員 この地方拠点都市地域において展開される公共事業の公共投資の効果についてでありますが、日経新聞では数十兆ということが書いてありましたが、一体総額でどれくらいになるのか、政府のお考えを伺いたい。
  283. 市川一朗

    市川政府委員 再三御答弁申し上げておりますが、基本的には市町村が共同してつくります基本計画に基づきまして、それを支援するという考え方でございます。もちろんそのほかにも、国レベルでのいろいろな計画実施ということもございます。そういったようなものがある程度固まってまいりませんと、どれぐらいになるかということは、どうしても今申し上げることはちょっと難しいわけでございますが、先ほど建設大臣の方からも御答弁申し上げましたように、四百三十兆の予算の執行面において最重要課題として取り組んでいくという省の方針もございますし、その点に関しましては、関係省庁も含め、政府としてもそういう方向であるというふうに私ども確信しておりますので、相当額の投資ができるというふうには思っておりますが、ちょっと具体的な数字は御勘弁いただきたいと思います。
  284. 辻第一

    ○辻(第)委員 基本計画には整備の方針、拠点地区の区域、公共施設整備、住宅、住宅地の供給等居住環境の整備、人材育成、地域間の交流、教養文化等の活動に関する事項を定めることになっております。また、今回新たに拠点整備土地区画整理事制度の新設などが行われておりますが、地方拠点都市地域をどのように整備をすることを考えておられるのか、どんな町づくりを考えておられるのか、そのイメージをできるだけ具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  285. 市川一朗

    市川政府委員 基本計画につきましては、これも再三御答弁申し上げておりますように、指定されました地域関係市町村が共同して作成するということでございまして、その中では拠点地区で行う事業の内容とか、重点的に整備すべき公共施設等のハード面のほかに、広域的人材育成事業あるいは地域間交流等に関するソフト面についても定めることとされておりまして、それ以外にもそれぞれの地域の実情に応じまして、いろいろな事項が幅広く記載されていいのではないかというふうにまず考えております。  それから、どういったような地域が出てくるのかということに関しましては、やはり私どもは、とにかく若者にとりまして魅力のある生活空間の創出といったようなことは必ず必要なのではないかと思いますけれども、それがどんな形で出てくるかということは、それぞれの地域によりましてかなり違ってよろしいのではないか。いわゆる個性ある地域づくりという観点で、魅力的なものであるということでは共通項でございますが、姿かたちはそれぞれ非常に特徴があった方がむしろいいのではないかというぐらいに思っている次第でございます。
  286. 辻第一

    ○辻(第)委員 個性的な特徴のある町づくりということは、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  それから、今度は通産省にお尋ねをいたします。地方拠点都市地域には、拠点地区を設定することになっております。産業業務施設の再配置との関係でいいますと、すべての地方拠点都市の拠点地区に産業業務施設集積を図る拠点地区を設定することになるのかどうか、お尋ねをいたします。
  287. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 この法案におきまして、地方の自主性を尊重する、こういう観点から、関係市町村が基本計画におきまして、拠点地区においてどのような事業を行うかということを定めることになっております。したがって、地方拠点都市地域におきまして産業業務施設集積促進する措置を講じようといたします拠点地区を設定するか否かということは、まさに地方の特性ということから関係市町村の判断にゆだねられているというふうに私ども理解しておりまして、すべての地方拠点都市地域におきまして、この産業業務施設集積促進する措置が必ずしも講じられるとは限らないというふうに考えております。
  288. 辻第一

    ○辻(第)委員 産業業務施設集積を図る拠点地区について伺いますが、この拠点地区の設定、計画策定整備に当たっては、先に移転してくる産業業務施設を確保してから作業を進めるのか、それとも、先に地区の設定、計画策定整備を行った上で産業業務施設の誘致を進め、産業業務施設移転を実現することになるのか、いかがですか。
  289. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 関係市町村等が基本計画を定める段階におきまして、当該拠点地区への立地企業が確定しているということでつくるということも考えられないわけではございませんけれども、一般的には、当該拠点地区への企業立地の確定に先立ちまして、あらかじめ当該地区の整備が行われるというふうに認識をいたしております。これは、国としても誘導策をとっていくという基本理念からいたしましても、そういうことになろうかというふうに考えております。なお、こうした整備に当たりましては、もちろん企業立地の可能性等のフィージビリティーにつきまして十分検討を行っていただくということは、当然のことだと理解しております。
  290. 辻第一

    ○辻(第)委員 すべての拠点都市地域産業業務施設集積を図る拠点地区を設定するとは限らないということでありますが、そうなりますと、地域整備産業業務施設の再配置、これが法律で具体的にどのようにリンクをし、実効ある措置として展開をされるのですか、お尋ねします。
  291. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 私ども、従来の生産機能地方立地ということから一歩進みまして、産業業務施設の全国的な再配置促進するということでこの法案を出させていただいておるわけですけれども、この場合におきまして、産業業務施設を対象とした施策産業業務施設を移すというだけの施策では、これはなかなか難しいというふうに考えておりまして、やはり受け皿となる地域といいますか、東京に対抗し得る魅力を備えた地域があるということが非常に大事ということで、このため地方拠点都市地域の総合的な整備、それから産業移転誘導ということを一体的に推進をしていくということが大事であろうと考えております。したがって、そういう観点からこの二つの目的が一体化された法律になっておるというふうに認識をいたしております。
  292. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、産業業務施設移転がどのようになるのかという点について伺います。  東京二十三区内から地方拠点整備地区へどれだけの企業移転させようとしているのか、あるいはどれだけの企業移転、再配置されると考えておられるのか。さらに、具体的に地方に再配置される事務所、事業所はどのような業務内容の事務所、事業所とお考えになっているのか、いかがですか。
  293. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 まず第一点、この法案によりまして地方拠点都市地域にどの程度の規模の事務所が移転されるのかという御質問でございますけれども、これにつきましては、具体的な地域指定がまだなされてないという状況でございますので、私どもとしても予測は非常に困難であるというふうに考えております。ただ、先ほどもございましたけれども、今後十年間の東京における社会増による人口増が約百万人というふうに予測されておるというようなこともございまして、これらの抑制に相当の効果を及ぼすような施策に仕立て上げたいというふうに考えておる次第でございます。  それから第二点でございますけれども、どのような事務所という御質問でございますけれども、これは政令におきまして公的セクター以外の事務所、研究所全般を定めることにいたしておりまして、特に業務内容についての限定を加えることは予定しておりませんで、事務所一般、研究所一般というふうに御理解賜ればというふうに考えます。
  294. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうなりますと、産業業務施設の再配分はそれぞれの企業任せということ、都市整備は自治体主導で進むということ、そういうことで、都市整備はできてもオフィスの再配置は思うように進まなかったということもあり得るわけでございます。そうならない保証があるでしょうか。
  295. 鈴木英夫

    ○鈴木(英)政府委員 この都市整備産業配置あるいは企業との関係でございますけれども、私ども、やはりこの企業の意思といいますか移転をするという意思と、地方の条件整備といいますか受け皿づくり、これが一体となって推進されるということが非常に大事だと思っております。したがいまして、この間におきまして政府におきましても、一つ産業業務施設移転するものに対します税制金融上の支援措置、二つ目は地方における立地環境整備するための地域公団におきます産業業務用の団地造成、それからさらに業務機能の円滑な展開を支援する中核施設整備、そういうものを通産省としては推進させていただきたいと思っております。  片や、もちろんこういう産業業務機能の再配置対策に加えまして、関係省庁との連携のもとに、都市機能の増進あるいは従業員の住居環境の向上、こういうものの措置についても一体的にあわせ講じていただけるものというふうに期待をしておるわけでございます。  なお、企業につきましては、特に最近はこういう地方に分散する意欲というのが高まっておりますけれども、それに加えまして、やはり企業サイドでも、社会貢献の一環として地方に出ていくというようなマインドを醸成していただきたいと思っておりますし、かつ我々国民も、地方に展開した企業に高い評価を与えるといったようなムードの醸成といいますか、そういうものも非常に大事であるというふうに私ども考えておりまして、そういった意味での施策も講じてまいりたいと考えております。
  296. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、自治省にお尋ねをいたします。二つお尋ねをいたします。  一つは、地方自治の問題です。今回、一部事務組合にかかわる改正があります。この一部事務組合は、基本計画策定、その達成のための事務を行い、都道府県は職員派遣の配慮をする、この一部事務組合に具体的に何をさせるのか、これが一点。  それからもう一点は、地域の開発、都市整備という、自治体にも住民にも身近なことが一部事務組合の手で進められることになります。民意の反映の点で危惧がございます。一部事務組合の議会には各自治体の議会から議員が出ますが、しかし実際には、住民から一つ遠いところで行政が行われるということになります。基本計画策定やその後の事業の展開に際し、住民の声をどのように反映をされるのか、この二点お尋ねをいたします。
  297. 紀内隆宏

    ○紀内政府委員 従来の地域振興立法におきましては、複数の市町村の区域にかかるようなものにつきましては、一般的に都道府県がエリアも定めるし計画もつくる、こういう仕組みでございました。  この法案におきましては、再々御答弁ございますように、地域の自主性を最大限に尊重するということから、その地域の基礎的な自治体でございます市町村の主体性が十分生かされるよう、関係市町村が共同して計画を作成するということにしたわけでございます。共同して計画を作成する仕組みといたしましては、地方自治法上の事務の共同処理のための制度である一部事務組合を活用するということは当然考えられるところでございます。また、地域を構成する関係市町村が共同してつくりました基本計画実施に当たりましても、その市町村によって構成される一部事務組合が事務を共同処理するという例は少なくないものというふうに考えております。  また、この法案の中には、都道府県からの事務委託の特例について書いておりますけれども、都道府県の事務につきましても、例えばその都道府県が当該地方拠点都市地域をエリアとして提供するようなサービスについては、市町村の意向を反映するという意味ではこれを一部事務組合によって対処するということが適切である場合も考え得るわけでございまして、そのためには、都道府県の事務を直接にこの一部事務組合に委託できるような道を開いたというのが、この規定の趣旨でございます。  以上がこの法律案の一部事務組合に関する規定考え方でございますが、民意の反映ということにつきましては、お話にもございましたように、この一部事務組合には議会が必ず置かれているわけでございます。この基本計画につきましても、計画自体は議決の対象ではございませんが、関連予算の審議等を通じて当該議会で議論をされることになりますし、その基本計画に基づいて実施される事務事業につきましても当然予算等を通じて審議される、こういう仕組みになります。  また、この基本計画は、この法律の六条に、市町村の議決を経て定められる関係市町村の基本構想に則して定めるべきこととされておりまして、その基本構想自体は、まさに関係市町村の議会によって議決されているものでございますから、その意向が反映されると思っておりまして、計画の作成あるいは事業の実施に当たりまして住民の声は十分配慮される、このように考えております。
  298. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来ましたので、終わります。     —————————————
  299. 古賀誠

    古賀委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま本委員会において審査中の内閣提出地方拠点都市地域整備及び産業業務施設の再配置促進に関する法律案につきまして、地方行政委員会、農林水産委員会、商工委員会及び逓信委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾することとし、また、他の関係委員会から連合審査会の申し入れがありました場合には、いずれも受諾することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  300. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  また、連合審査会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  301. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会は、関係委員長と協議の結果、来る二十日及び二十一日の両日開会いたしますので、御了承願います。      ————◇—————
  302. 古賀誠

    古賀委員長 この際、離島振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来、理事会等におきまして御協議を願ってまいりましたが、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。  まず、起草案の趣旨につきまして、委員長から御説明申し上げます。  離島振興法は、本土より隔絶せる離島の特殊事情からくる後進性を除去するための基礎条件の改善及び産業振興に関する対策を樹立し、これに基づく事業を迅速かつ強力に実施することを目的として、議員提案により、昭和二十八年七月、十カ年の時限法として制定、公布されたものであります。  自来、本法は、離島振興のために少なからず寄与してまいりましたが、離島の特殊事情からくる本土との格差は依然として除去されない実情にかんがみ、昭和三十七年第四十回国会、昭和四十七年第六十八回国会及び昭和五十七年第九十六回国会において、本法の適用期限をそれぞれ十カ年延長して、諸施策が強力に実施されてきたところであります。  しかしながら、離島をめぐる自然的、社会的諸条件は厳しく、本土の著しい経済成長に追随し得ず、いまだその後進性は解消されるに至っておらず、また、最近の人口減少は他の特定地域に比べても著しいものがあり、活力ある地域社会の維持上、極めて憂慮すべき事態になっております。  一方、離島我が国の領海、経済水域、二百海里問題等に果たす役割や、最近の余暇需要の拡大、自然志向の高まりの中での離島の豊かな自然的、歴史的環境の果たす役割は極めて大きく、かつ増大しつつあり、我が国経済社会の発展及び国民生活の充実に大きく寄与しているところであります。  しかしながら、離島関係市町村の財政力は脆弱であり、関係施策を推進するためには、今後とも引き続き本法による特別の助成措置を講ずることが必要と考えられるのであります。  以上の観点から、この際、平成五年三月三十一日が時限となっている本法の有効期限をさらに十カ年延長するとともに、産業振興のための税制優遇措置の創設、地方財政への充実措置、交通の確保を初め高齢者福祉、教育、文化等への配慮規定を設けるなど、その内容を大幅に拡充するものであります。  これにより、関係住民が安んじて定住し得る地域社会の建設を図り、あわせて国民経済の発展に寄与せしめたいと存ずるものであります。  以上が本起草案の趣旨の説明であります。     —————————————  離島振興法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  303. 古賀誠

    古賀委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。東家国土庁長官
  304. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の今日までの御努力に深く敬意を表するものでございます。  政府としましては、離島の現状にかんがみ、本法律案については特に異存はないところであります。  この法律案が可決されました暁には、誠心誠意その趣旨を体して適正な運用に努め、離島地域のなお一層の振興を図ってまいる所存であります。  今後とも、委員長初め委員各位の御支援と御協力をよろしくお願い申し上げます。
  305. 古賀誠

    古賀委員長 これより採決いたします。  離島振興法の一部を改正する法律案につきましては、お手元に配付してあります革案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  306. 古賀誠

    古賀委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  307. 古賀誠

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十九分散会      ————◇—————