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1992-04-03 第123回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月三日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 小杉  隆君    理事 青木 正久君 理事 塩谷  立君    理事 鈴木 恒夫君 理事 高橋 一郎君    理事 細田 博之君 理事 斉藤 一雄君    理事 馬場  昇君 理事 斉藤  節君       臼井日出男君    小澤  潔君       北村 直人君    武村 正義君       戸井田三郎君    谷津 義男君       秋葉 忠利君    岩垂寿喜男君       岡崎トミ子君    時崎 雄司君       長谷百合子君    東  順治君       寺前  巖君    中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中村正三郎君        (環境庁長官)  出席政府委員         環境庁長官官房 森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         環境庁企画調整 柳沢健一郎君         局環境保健部長         環境庁大気保全 入山 文郎君         局長         環境庁水質保全 眞鍋 武紀君         局長  委員外出席者         環境庁長官官房 田村 修二君         通商産業省機械         情報産業局総務 今野 秀洋君         課長         資源エネルギー         庁石油部精製課 田中 正躬君         長         運輸省運輸政策         局総合計画課エ 福本 秀爾君         ネルギー対策室         長         運輸省自動車交 洞   駿君         通局企画課長         運輸省自動車交 石井 幸男君         通局貨物課長         運輸省自動車交         通局技術安全部 小杉 昭夫君         保安・環境課長         建設省道路局企         画課道路経済調 井上 啓一君         査室長         建設省道路局有 佐藤 信彦君         料道路課長         環境委員会調査 西川 義昌君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任           補欠選任   時崎 雄司君       大畠 章宏君 同日  辞任           補欠選任   大畠 章宏君       時崎 雄司君 四月一日               補欠選任                谷津 義男君 同月三日  辞任           補欠選任   塚本 三郎君       中井  洽君 同日  辞任           補欠選任   中井  洽君       塚本 三郎君     ――――――――――――― 三月十九日  自動車から排出される窒素酸化物特定地域に  おける総量削減等に関する特別措置法案(内  閣提出第六五号) 同月二十七日  絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関  する法律案内閣提出第八一号) 同月十三日  水俣病被害者早期抜本的救済に関する請願  (田中昭一紹介)(第五二三号)  水俣病問題徹底完全解決のための国による患  者との和解協議即時開始国会による促進に関  する請願菅直人紹介)(第六六三号) 同月二十四日  水俣病問題早期徹底解決のための裁判所和解勧  告の国による即時受諾和解交渉国会による  促進に関する請願倉田栄喜紹介)(第七四  〇号)  水俣病被害者早期抜本的救済に関する請願  (倉田栄喜紹介)(第七四一号)  同(田中昭一紹介)(第八一八号)  同(田中昭一紹介)(第八九五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十六日  地球サミットに向けた我が国の積極的な取り組  みに関する陳情書  (第六三号  )  窒素酸化物対策強化に関する陳情書  (第六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  自動車から排出される窒素酸化物特定地域に  おける総量削減等に関する特別措置法案(内  閣提出第六五号)      ――――◇―――――
  2. 小杉隆

    小杉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案議題といたします。  政府より趣旨説明を聴取いたします。中村環境庁長官。     ――――――――――――― 自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案。     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 中村正三郎

    中村国務大臣 ただいま議題となりました自動車から排出される窒素酸化物特定地域における総量削減等に関する特別措置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  窒素酸化物による大気汚染については、工場等固定発生源自動車排出ガスに対する極めて厳しい規制等の実施にもかかわらず、自動車交通量の増大、自動車ディーゼル化進展等のため、大都市地域中心として改善がはかばかしくないまま推移しております。このため、二酸化窒素に係る環境基準達成するためには、従来にはない新たな視点に立った総合的かつ効果的な施策を講ずることが喫緊の課題となっております。  本法案は、こうした状況を踏まえ、自動車から排出される窒素酸化物による大気汚染防止に関して、国、地方公共団体を通した総合的な対策の枠組みを構築するとともに、一定自動車について、窒素酸化物排出量に係る規制を行うこと等により、二酸化窒素に係る大気環境基準確保を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境保全することを目的としております。  次に、法律案主要事項について、その概略を御説明申し上げます。  第一は、自動車から排出される窒素酸化物による大気汚染防止に係る国等責務を明らかにすることであります。  自動車から排出される窒素酸化物による大気汚染に関しては、国、地方公共団体事業者及び国民が、それぞれの立場で、その防止について応分責務を有しており、これらおのおのの責務を明らかにし、対策の公平かつ効果的な推進を図ることとしております。  第二は特定地域指定であります。  大気汚染防止法による従来の措置のみによっては、二酸化窒素に係る大気環境基準確保が困難であると認められる地域特定地域として指定することとしております。  第三は、自動車から排出される窒素酸化物総量削減に関する基本方針及び計画の策定であります。  自動車から排出される窒素酸化物総量削減するためには、国、地方公共団体を通じ、各般にわたる施策を総合的、計画的に実施する必要があります。このため、国は、特定地域について自動車から排出される窒素酸化物総量削減に関する基本方針を策定することとし、特定地域都道府県知事は、これに基づき、総量削減計画を策定することとして、国及び地方公共団体が、一致協力してこの計画推進することとしております。  第四は、一定自動卓について窒素酸化物排出量に係る規制を行うことであります。  特定地域内に使用の本拠の位置を有する一定自動車について窒素酸化物排出基準を定め、自動車検査の制度を通じてその遵守を担保することにより、窒素酸化物排出量のより少ない車種の使用を義務づけることとし、現に使用されている自動車についても、適切な猶予期間を設け、逐次基準適合車への代替を図ることとしております。  第五は、事業者に対する指導等であります。  製造業運輸業等事業を所管する大臣は、事業活動に係る自動車使用に関し、窒素酸化物排出の抑制を図るための指針を定め、事業者に対して指導及び助言ができることとし、環境庁長官は、この指針に関し意見を述べ、または事業所管大臣に対し、指導及び助言をすることを要請できること等の措置を講じております。  なお、特定地域指定等に当たって関係都道府県意見を聞くこと、都道府県環境庁長官に対して事業者指導等の要請を求めることができること等の措置を講じ、関係都道府県と連携を図りつつ、施策の実効性ある推進を図ることとしております。  このほか、本法律案の適切な運用を図るために必要な関係行政機関の協力、低公害車開発普及に係る国の援助等について所要の規定を設けることとしております。  この法律案は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。ただし、特定地域指定等の手続に係る規定公布の日から、特定自動車排出基準に係る規定公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 小杉隆

    小杉委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 小杉隆

    小杉委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  6. 北村直人

    北村委員 ただいま環境庁長官から、ただいま議題となりました内閣提出法案説明がございました。  この法案の一番の問題であります対策地域につきましては、今のところこれから決めていく。わけてありますが、これは地球環境問題の中の一つとしてとらえた場合、我が国としては本当に積極的に取り組んでいく問題であろうと思います。そして、みずからの国内問題として世界の模範とならなければならない問題であろう、私はこう思います。  そして、我が国国際貢献をするときに、資金的に援助することはもちろんでありますけれども、今までに蓄積をした技術力あるいはそのノウハウを、ほかの国の賛同を得ながら自然な形で受け入れていただけるように努力をしていくべきであろうと思います。ですから、そのために、国内環境問題にしっかりとした対策を講じて地球環境問題のいろいろな分野我が国が提言をしていく、そういうことが肝要ではないかと思います。  そしてまた、本年は地球環境の年であると言われております。特に六月の地球サミット、つまり環境開発に関する国連会議、このサミット我が国地球環境への貢献を問われるという大事なサミットではないかと私は思います。  この法案で、我が国環境問題の懸案の一つであります大都市窒素酸化物大気汚染問題について改善方向へ進んでいくことと信じて、我々は積極的に取り組んでいきたいと思いますけれども、大臣のその御決意とお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  7. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員指摘のとおり、まさにことしは地球環境の年であり、地球規模環境問題がクローズアップされまして、それに対する世界国連中心となって具体的な対策についての取り決めを行おうということで、今まさに準備に入っているわけであります。  そういう中で、日本としては従来から経験してまいりました非常に厳しい公害、それを克服してきたノウハウ技術、そういったものをもって貢献をしていかなければならないということでございますが、それはそれといたしまして、国内に残された環境問題、これは最重要な問題でございまして、それに取り組んでまいらなければならない。そういう中で、大変な問題として残っております水俣病また阿賀野川の問題、いろいろございますけれども、こういったことにも取り組んでいかなければいけない、そして早期解決を図っていかなければいけないということでありますが、環境基準の問題になりますと、今問題になりますのが湖沼でございますとか内水面の水質汚濁の問題、そして大気汚染の問題でございます。  その中でSO、いわゆる硫黄酸化物については、産業界努力もありまして相当軽減をしてまいりました。ところが、御案内のとおり窒素酸化物がなかなか減らないということでございまして、これに対して一生懸命努力しているんだけれどもなかなかいい結果が出ないということで、今回は、従来の単体規制を強めていくということにプラスいたしまして、総量規制ということでもって新しい角度からの法律を出させていただいたわけでございます。  こういうこと、単体規制、またこうしたきょう御提案させていただきました法律、こういったものをいろいろな取り組み方角度からあわせていろいろな施策を講じまして、一日も早く大都市大気環境改善を図るべく努力してまいりたいというふうに考えております。
  8. 北村直人

    北村委員 ぜひ世界貢献できる日本環境としての立場を確立していただきたい、こう思うわけであります。  この法律の施行後でございますが、特定地域が選定をされて指定をされるわけであると思いますが、その場合に二酸化窒素大気環境はどのように推移していくと考えられるでしょうか。また、現状において単体規制強化等効果が、自動車交通量増加ディーゼル化進展等により相殺されてきた経過を踏まえますと、将来的な交通量増加等を勘案した場合、「国民の健康を保護するとともに生活環境保全する」という目的達成するためには、自動車交通公害対策のため税制を優遇するだけではなくて、ある意味では、このまま車社会を続けていく、これが我々人類の幸福の一つ手段でしかないということになれば、どうしてもつくるメーカー側使用する側に応分社会的な負担があってもいいんではないかというふうな気が私はいたします。  そういうふうなことを考えた上で、大臣にあるいは環境庁のどなたでも結構でございますが、この「国民の健康を保護するとともに生活環境保全する」という目的達成できるのかどうかということが一つと、もし大臣に御自身のお考えがございましたら、今言ったように、つくるメーカー側、車をつくる側とそれを使う側がやはり応分社会的な負担をしていくということが、これからの自分たちのこの社会を維持していくとすれば、我々の方でそれを変えていかなきゃならぬのかな、そんなような気が私はいたしますので、そのことについては大臣から、指針でもございますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 入山文郎

    入山政府委員 この法律に基づくいろいろな対策が実施されましてそれらが効果をあらわした場合には、特定地域におきまして、将来の交通量増加を見込みましても二〇〇〇年ごろには環境基準のおおむねの達成が図られる程度に大気環境改善が見られるのではないかと私どもは思っております。  このように、この法律に基づきまして地域環境基準達成に向けてできる限りの施策を講じていくことによりまして、国民の健康の保護あるいは生活環境保全という所期の目的確保されるであろうというふうに考えているわけでございます。
  10. 中村正三郎

    中村国務大臣 先ほども申し上げましたように、ただ単に単体規制ということを行っていただけでは環境基準というのの達成はなかなか難しいということで、まさにこうしたいわば、何と申しますか、えんきょくな生産規制ということになるのかもしれません、いわゆるある非常に汚染の激しい地域においては、その環境基準をクリアできるような車でなければ使ってはいけませんよということになるわけでありますから。したがって、その環境基準をクリアできないような車は売れませんよということになるわけでありまして、いろいろな手法を取り合わせて、国民の健康を守る環境基準を守っていかなきゃいけないということだと思います。  個人的なことで恐縮ですが、私は議員になる前、産業界におりましたので、思いを申し述べさせていただきますと、日本市場経済自由経済でやっておりますから、本当は単体規制で、汚いものを出すものは使ってはいけない、それをメーカー努力していろいろな対策をすると高くなる、高くなるから経済性に引き合わないということで使わない、公害を出さないものができればそれを使ってもいいというのが本来の姿じゃないかと思うのですね。  そこで、自動車メーカー方たちに来ていただきましていろいろお話もいたしました。石油業界方たちにも来ていただきましてお話をいたしました。ところが、聞いてみますと、なかなか今の技術レベルではそれの達成がいつまでということが約束できないというような状況にございますので、まさに今提出させていただいたような法律、いろいろなものを取り合わせということになると思います。  それから、税金のことをちらっと申されましたけれども、今から三十年ぐらい前はバスもトラックもガソリンで動いておりました。なぜディーゼルになったか、それはディーゼルオイルが安いからであります。なぜ安いか、税金が安いからでありますのでありますから、環境の面だけから考えさせていただきましたら、今のガソリン軽油にかかる税金のアンバランスは環境悪化税制と言わざるを得ないと思うわけでありまして、こういうところまで踏み込んでいかないとすべての解決はできない、あらゆる面から対策を講じていかなければならない問題であろうというふうに考えております。
  11. 北村直人

    北村委員 私も、今大臣がおっしゃったとおりだと思うのですね。本当にあらゆる面から、それこそそれぞれが負担をしながら、そしてよりよい環境をつくっていくための施策を講じつつも、やはり公害を出すことの少ないいろいろなものをつくっていかなければならないのではないかと思います。ぜひ、大臣のそのお考えのとおりの環境行政をしかとお願い申し上げる次第でございます。  先ほど「国民の健康を保護するとともに生活環境保全する」目的が二〇〇〇年には大体めどがつくかな、こういうようなお話がございました。環境基準達成に向けてできる限りの施策を講じていくという姿勢は評価できると思います。しかし一方で、今回の法律の中にあるように、二・五トン以下が自主的にガソリン車へ代替した場合、確かに特定地域だけでしたら二酸化炭素の問題は余り影響がないところに進んでいくと思いますが、しかし流れとして全国的にこれが進んでいった場合、逆に地球環境温暖化等の新たな環境問題が出てくるのではないかと私は思います。  今後一層の取り組みをするとして、例えば現状では一千台の電気自動車を西暦二〇〇〇年には二十万台にするという目標を掲げておりますけれども、しかし近年台数が増加している軽自動車分野に積極的にこの電気自動車の導入を進めて、都市内の末端の物流の担い手としての交通手段一つとして社会的に定着化をしていく、これがやはり大事なことではないかと私は思います。時間が余りないので、このことにつきましては、これをぜひ推し進めていただきたいということで答えは結構でございますので、ひとつお願いを申し上げます。  さらに、先ほど大臣からもお話がございましたが、窒素酸化物汚染改善もさることながら、粒子状物質低減もまた重要な問題であると私は思います。例えば、ガソリン車についている触媒ディーゼル車両につけるとか、あるいはEGRを適用するなどすればいいのかなというような感じが私はします。しかしながら、軽油中の硫黄分燃焼すると硫酸塩となって粒子状物質増加させ、またエンジンの耐久性を低下させるということで、現在では触媒及びEGRを適用できない一因となっているわけであります。それであれば、軽油硫黄分を取り除けばいいわけであります。  現在、我が国JIS規格では〇・五%の硫黄分、流通の段階では〇・三八というふうになっているようでございますが、平成元年度の中公審答申においても、長期的には〇・〇五%にする必要がうたわれている。これは一年でも早くこの後処理装置実用化並びに低硫黄軽油に移行していくべきであろうと私は思います。アメリカの方では、一九九三年の十月一日からは〇・〇五%になることが決まっております。ということは、五年ぐらい前にはこの〇・〇五%の低硫黄軽油を使ってディーゼルエンジンが、つまり開発ができるということではないかと思いますね。日本ではなかなかそれが難しい。今の施設を使っていっても〇・一ぐらいが限界だなんという話があります。何がそこに問題があるのかはまたお答えをいただきたいんですが、逆に私は、もし日本でそういう触媒あるいはディーゼルエンジン開発ができないというのであれば、アメリカからそういう車をどんどん輸入すればいいんじゃないか、そのことが逆に日米の摩擦をより少なくするというようなことにもつながっていくと思うわけであります。  そういう面で、実用化並びに低硫黄軽油について今の現状、そしてこれからのとっていくべき道、さらに大手精製メーカーのとっている今の現状、あるいは車メーカーのこれからの予測というものにつきましてお答えをいただきたいと思います。
  12. 中村正三郎

    中村国務大臣 通産省の方もお見えになっておりますが、その前にちょっと私の方から御説明させていただきます。  先ほど申しましたように、自動車メーカー方たちに来ていただきましていろいろ伺いました。そうしたら、委員指摘のとおり、低硫黄化をしてくれないと対策ができません、だからまず低硫黄化が前提でありますということでありました。  そこで、石油業界方たちに来ていただきまして、〇・〇五%への低減をやってくれと、〇・二に下げるということは決まっているんですね、〇・〇五まで下げてくれというお話をしましたら、技術的にはできる、問題はコストだけ、そして五年ぐらいのリードタイムがかかるから早く指示してもらえばすぐできるということでありますので、私は、これは直接の監督官庁通産省でありますから通産大臣にお願いいたしまして、今通産省で実態的にどういう指導をしてやっていくかということで、早急にスタートしてもらうように検討していただいているところであります。  ただ、自動車につきましては、アメリカの方がいいディーゼルエンジンができているということではないと認識をしております。そして、ガソリンエンジンとディーゼルエンジン燃焼のさせ方が全く違いますから、ディーゼルエンジンの場合は空気だけを高圧縮機で圧縮しておいてそこにぱっといきなり生の軽油をぶち込んで燃焼させるために、今の粒子状物質以外にアセトアルデヒドだとかホルムアルデヒド、それからベンツピレン、ニトロピレン、いろいろな芳香族HCハイドロカーボンのたぐい、物すごいものが入っております。ですから、これを取り除くためには並み大抵の努力じゃできない。それでEGRだけでもできない。それから自動車に使う触媒も使えない。そこで、今ゼオライト系触媒開発をしておりますけれども、見てまいりましたが、それも作動温度がある一定温度じゃなきゃできない。それから粒子状物質アフターバーナーを使おうとするけれども、それもすぐいっぱいになっちゃう、連続して燃焼ができないとか、大変な問題を抱えているわけでございますが、そういったものを総合的に早く技術的にも達成してもらいたいということを今お願いしているところでございます。
  13. 田中正躬

    田中説明員 先生指摘の、軽油の中に含まれている硫黄をどのように下げていくかということは非常に重要なことでございますけれども、この点は平成元年十二月の中央公害対策審議会答申指摘をされておりまして、逐次目標を掲げて硫黄低減を図るということで今努力をしている段階でございますけれども、先ほど先生指摘アメリカでの軽油硫黄は来年の十月に〇・〇五にするということが決まっておりまして、アメリカ石油に関係する業界もそういう方向努力をすると聞いております。  なぜ日本の場合にアメリカに比べて〇・〇五にすぐできないかという問題でございますけれども、日本の場合には相対的に、使っている原油が中東のものがアメリカに比べて非常に多いというのが一つの原因でございまして、中東の原油というのはアメリカ国内で使っている原油に比べて硫黄分が非常に高いというのが一つ理由でございます。  それからもう一つ理由は、日本の場合には、これもアメリカと非常に異なるんですけれども民生用の灯油のウエートというのが石油製品では非常に多いという特別な事情がございまして、この民生用の灯油というのは硫黄の濃度が非常に低くて、JIS規格でも〇・〇一五%以下というようなことになっておりまして、そういう日本の与えられた特殊な事情をいかに克服するかというのが今回の軽油硫黄低減化の問題でございます。  そういうことでございまして、この中公審答申を踏まえて我々できるだけ早く軽油硫黄を下げるという施策を展開しているわけでございますが、大気汚染防止法等によりまして平成五年の十月から新たな規制強化がなされるということでございまして、そういう措置に間に合わすという意味もありまして、本年十月を目途に、これは一つのステップでございますけれども、軽油中の硫黄分を〇・二%までに低減するということで、税制の面とか各種の財政措置を講じまして石油業界に協力を要請するということで、この本年の十月を目途に〇・二%ということはおおむね達成できる見通してございます。  また、さっき環境庁の長官も御答弁なさいましたように、軽油中の硫黄分をさらに〇・〇五まで下げるということは非常に重要な課題でございまして、先ほど申し上げましたように日本の特殊な事情もございまして、これは技術的にいろいろその目標達成すべくやっていくというのが一つのポイントになりますし、そういういい技術を持った精製装置をできるだけ早く設置するというのが緊急の課題ということでございます。  そういう意味から、高性能の触媒技術開発平成二年度以降、政府の資金的な援助で石油業界にやっていただいているということでございますし、この前、環境庁の長官と石油業界との懇談でも、石油業界としても積極的に〇・〇五%の軽油の供給ということに取り組むというお話がございまして、我々そういうことででさるだけ早く軽油中の硫黄分低減させるべく努力をしていきたいと思っております。
  14. 北村直人

    北村委員 それでは、時間がございませんので、一つだけお聞かせをいただきまして終わりたいと思いますが、環境基準の妥当性を科学的に検討することを目的とした大気汚染健康影響調査が先日報告なされました。その総合評価の中で、「二酸化窒素濃度と喘息様症状有症率との間には、全体として明かな関係が見られなかった」けれども、新規発症率に関しては、三OPPbを境として「高い傾向が見られ」、「大気汚染と何らかの関係を有している可能性は否定できずこという報告が出てまいりました。九年間平均値で三OPPb、環境基準の一日平均値が〇・〇六ppm相当、これ以下を達成し、維持することが望ましいことが示唆されたわけであります。  過去において適切な科学的判断を加味した現在のこの規制値の妥当性の証明になったと私は思いますが、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  15. 入山文郎

    入山政府委員 現行の環境基準は、昭和五十三年の改定に際しまして、疫学調査の結果も含めて百六十八の調査研究報告を総合評価したものでございます。そしてまた、今回の継続観察調査も含めまして今日まで、科学的データの充実あるいは学問の進歩に対応した適切な判断を加えてきたわけでございますが、この環境基準の妥当性は否定されていないわけでございます。したがいまして、現行の基準は、国民の健康を保護する上で適切なものであるというように考えております。  先生もいろいろ御指摘になりましたような結果があったわけでございますが、二酸化窒素濃度が高い地区では、低い地区と比較をいたしますと、新規発症率が有意差を持って高いということがわかったわけでございます。それから、大気汚染とぜんそく様症状とが、これまた何らかの関係があるという可能性は否定できないというようなこともわかったわけでございます。  そういったことからも、この二酸化窒素環境基準につきましては、早期達成すべきものであると私ども考えているわけでございます。     〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
  16. 北村直人

    北村委員 もう少し時間がありますので……。  私は、自動車我が国社会経済活動の基盤となっており、自動車窒素酸化物対策を本当に実効性があるものとするためには、規制のほかに、物流対策としての物流施設の整備や積載効率の向上ですとか、あるいは交通流の対策として、円滑に交通の流れを促す交通管制や道路整備等々、関係省庁による施策も含めた総合的な対策を実施していくことが必要だと思います。  また、自然環境保全を含めた地球環境問題についても、今回はNOxの関係でありますけれども、例えばバーゼルですとかあるいは野生生物の関係ですとかいろいろな関係について、これからは、運輸省ですとか通産省ですとか建設省ですとか農水省等々の関係各省庁には、相当なその技術力や知見の蓄積もあると考えられます。ですから、さまざまな問題に対応するためには、そういう今までの蓄積のある技術ですとかノウハウ、そういうものを、環境庁はやはり関係する各省庁と十分な協議をしていただきながら、また調整をしながら、本当に積極的にこれに取り組んでいっていただきたい、こう思います。それぞれの役所のいろいろな問題はあろうと思いますけれども、やはりここまで環境行政努力をしていただいた環境庁でありますから、調整あるいは協調ということをモットーとしながら、国民のためになる、あるいは地球全体の環境を守っていくための行政を推進していただきたい、こう思うわけでございます。  まだまだ質問をしたいのがたくさんございますけれども、いろいろと私の地元にも国立公園等々を抱えておりまして、地域のいろいろな問題がまさしく環境問題である。道路一つつくるにしても、あるいはその地域のいろいろな人力が生活をしていくためにどういう法律をつくっていただいて、どういう環境行政を望んでいるか、今非常に大きな問題を抱えておりますので、また機会がありましたら大臣のそこら辺の所見もお聞かせいただきながら、これからの環境行政について大きな御指導を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  17. 小杉隆

    小杉委員長 秋葉忠利君。
  18. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 窒素酸化物削減、これを低減するということに関して、今回出されております法案は確かに一歩前進だというふうに思います。ともかく、非常にいろいろな方面の協力を得なくてはならない問題ですので、その中でこういった形での法案がまとまり、恐らくこの方向で具体的な施策がより強力に推進されるということは大変な努力が必要であったというふうに思います。  その努力、それから結果については確かに敬意を表したいと思うのですが、そういうふうに一応評価をさせていただいた上で、あえて幾つかの問題提起をさせていただきたいと思います。ただし、これは基本的には私たちは同じ方向を見ているんだというふうに思います。大気汚染ということが問題であるということについては同じ認識を持っていると思いますし、それについて協力一致して具体的な行動をとらなくてはいけないという方向でも認識は同じだというふうに思います。ただ、その方法でありますとかその問題をとらえる視点が違っているとか、恐らくそういった面での違いだと思いますので、最初にその確固たる共通点があるんだということを申し上げて、幾つかの点について質問させていただきたいと思います。  実は、私は今国会から初めて環境委員会に所属させていただいているわけですが、この法案に関連しても環境庁の方、その他関係者のいろいろな方々から説明を受けました。例えば環境庁の方から「自動車交通公害現状対策について」、こういう立派な資料もいただきましたし、それ以外の資料もいただきました。実はそこで少し違和感を感じたのですけれども、その違和感について一言御説明をさせていただきたいと思います。  実はこれを見てみますと、例えばNOxに関しまして、一般環境大気測定局それから自動車排出ガス測定局、こういったところでの実績を見ますと、例えば環境基準非適合局数というのが非常に高い、ほとんどのところで非適合になっている。特に自動車排出ガス測定局においてはそういう結果が出ているわけです。それから、事NOxに関しては今までの記録が余りよくないということも資料をいただいてよくわかりましたし、これは今までの私の知識が少なかったということで改めて愕然としたわけですけれども、それに比べてというのはちょっと言い方がおかしいかもしれませんが、もうとっくにそんなことは十分御存じだからこそそういうふうに私の方が受け取ったのかもしれませんが、何かこういう資料を出されたりあるいはこの資料の説明をされる際に、何といいますか、まさかこれを誇りに思っているというふうに言っては確かに言い過ぎだと思いますけれども、何か危機感といいますか、これが非常に深刻な問題だという非常に切迫した認識を持っておられるというところが、何か切々とこちらに伝わってこなかったようなところがあるんだと思います。そんなところに、私は実は違和感を感じたんではないかというふうに思います。  特に、例えば具体的に健康被害を受けていらっしゃる方あるいは市民団体の人たちの持っているその緊張感といったものと比較すると、比較の対象が事によったら適切ではないかもしれませんが、何か危機感がない、緊急性において欠けるところがある。あるいは、あえてもう一つ、ここまで踏み込んで申し上げるのは失礼かもしれませんが申し上げさせていただきますと、これまで具体的な成果が上がらなかったことについての、何といいますか、客観的な意味での反省といいますか、評価というものがちょっと甘いんじゃないか、そういう気がしたんですけれども、まずその点について、問題の深刻さについて、本当に私の感じたことが正しいのか、あるいはそれはどこかに誤解があるなり私のとり方が誤っているのか、まず最初にその点について伺いたいと思います。
  19. 中村正三郎

    中村国務大臣 特にNOxの環境基準達成されないということを委員指摘だと思いますが、今お話をお伺いしていて、やはり環境問題というのは常にフレッシュな新しい目で見ていかなければいけないものだなということを感じさせていただきました。  と申しますのは、私今から十数年前ですけれども、環境委員会に所属していろいろな問題を取り上げたことがございます。そのときも、委員と同じような感じを持ちまして、一生懸命発言をさせていただきました。ところが、そのときの状況というものは、ガソリン自動車は自家用車で、これはぜいたく品だから悪いんだ、これを締めようという雰囲気が世間にございまして、トラックだとかディーゼルエンジンというのは、これは産業用だからちょっと待とうやというような雰囲気がなかったとは言いがたいと思うんですね。幾らその危険性を指摘いたしましても、これは後回しということがあった。だから、それが今はこういうような結果を招いたんではないかと私個人としては思わしていただいているのでございます。  ですから、やはり国民全体としての物事に対する感じ方というものをきちっと持って、環境問題というのをどう評価するかという原点に行かなければいけない。私どもの職員を擁護するわけじゃありませんけれども、環境問題ということでやっていくと、それに対する抵抗がございます。例えば、今CO2を削減しようやということを言うと、そんなこと言ったって危なくないよと、どうなるかわからぬ、わからぬようなことに基づいて削減はやめようよというような声が国際的にも出てまいります。常にそれとの葛藤、闘いが環境問題だと思います。そういう面でPR、いろいろな国民の方に御理解いただくということにも努めて、委員の御指摘に沿ったような危機感を持って一生懸命努めてまいりたいと思わしていただいております。
  20. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  今御指摘の、いろいろな新しい視点といいますか、例えば環境の仕事もそうですけれども、それ以外の、はっきり言ってしまえば、具体的に自分の利益にならない、ある意味で利益になるんだけれども、それが直接的な形ですぐ利益があるということがなかなか認識できないような問題について努力をし続けるというのは、確かにおっしゃるとおり、非常に難しい仕事だというふうに思います。そういう点で、私が今申し上げたことは、これまで環境関係の仕事、これは環境庁の方だけではなくて、市民団体その他業界の方も含めて、環境の問題について非常に一生懸命やってこられた方々の努力を無視するということではなくて、今の長官の善言葉で少し表現を変えさせていただければ、その困難さがあるがゆえに、往々にしてその難しさに圧倒されてしまうような危険性という意味に表現を変えさせていただいた方が適切がなということを考えておりますが、ともかく危機感を持つこと、それから、これまでの具体的な成果についての客観的な評価をするという点はやはり重要だと思います。  その上で、NOxを減らすということが具体的な問題なんですけれども、こういった大気汚染の問題についてこれを環境問題として、どういった原理原則というふうに言ったらいいんでしょうか、あるいは哲学と言ってもよろしいかもしれませんが、どういう哲学に従ってこの大気汚染の問題、特に自動車排出するガスについて取り組んでおられるのか、その環境庁の基本的な哲学、それにもし変更があるのであれば、それは客観的なその基準が達成できなかったというようなことによって今後その哲学を変えていこうとするおつもりがあるのか、あるいは哲学は変わらないけれども、その具体的な手段が違っているだけなのか、その辺のところをまず伺いたいと思います。
  21. 入山文郎

    入山政府委員 哲学ということで、大変難しい御質問でございますが、私どもの基本的な考え方につきまして、今までのバックグラウンド等も含めまして、少し説明をさせていただきたいと存じます。  二酸化窒素についての環境基準でございますが、これは昭和六十年度の達成目標といたしましていろいろな施策を実施してきたわけでございますが、環境濃度の状況大都市地域中心といたしましてどうしても改善されない、はかばかしくないというような状況が続いているわけでございます。そこで、私ども環境庁といたしましては大気保全行政の一番重要な課題の一つであると今位置づけておりまして、この二酸化窒素についての環境基準早期達成という問題に取り組んでいるということでございます。  どうしてこの基準が達成できなかったのかというようなことについて私どももいろいろ考えてみるわけでございますが、例えば近年の貨物車の交通量増加、あるいはまた、それ以上にディーゼル化の進展の度合いが激しい、それから、同じディーゼル車でございましてもエンジンの直噴式がまたふえてきておるといったようなこと、それから車齢、車の寿命でございますが、これが非常に長くなってきているというようなこともありまして、新しい車ほど規制が厳しくなっておりますから、できるだけ新しい車に買いかえていただきたいと思っているわけなんでございますが、その買いかえがおくれているといったようなこと、いろいろなことがございまして、世界でも最も厳しいと言われております単体規制効果が相殺されるようなことになっているということでございます。  こういったことに対しまして、最新の技術開発状況等も踏まえまして自動車単体規制をさらに強化していきたいというように考えておりますが、そのほかにも物流あるいは人流の問題、交通流対策の問題あるいは低公害車の普及対策などにつきましても、総合的な観点からこれを推進していきたいと思っているわけでございます。  しかし、こういった手法だけではどうしても環境基準達成が見込まれない、望めないというような状況でございまして、そういったことで、今回提案させていただいておりますような新しい角度からの規制と申しますか、制度をつくっていきたいと思っているわけなんでございます。  私ども、基本的な哲学というようなものではないかもしれませんが、私どもの考え方といたしましては、地域排出ガスの総量計画的に、また総合的に削減していくということ、これは絶対必要であると思っております。それから、ディーゼル化に歯どめをかけていきたいということがもう一つあるわけでございます。それから、こういった問題につきましては環境庁だけではなくて、関係の省庁、政府が一丸となりまして取り組んでいかなければ、なかなかそういう基準を達成するというようなことは難しかろうと思っておりますので、関係の省庁にも十分に協力を要請して、また協力をいただけるというように私どもは考えているわけでございます。さらにまた、国だけではなくて、実際の面につきましては都道府県、地方も関係してまいりますので、都道府県の役割というものもこの中に盛り込んでいきたいというように考えているわけでございます。
  22. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  それで、この法案が通過して、具体的にこれが運用された暁に、最終的にどの程度の削減が可能なのか、いつごろまでに環境基準達成することができるのか、ある程度具体的な見通しというのをお持ちだと思いますけれども、それについて、総量削減基本方針とか削減計画、そういったものの中にはまだどうなるかわからない点も幾つかあるわけですので、確実な、確定的な見通しというのは無理かもしれませんけれども、大まかなところで何年ごろまでにはどの程度の目標値が達成できるのか、伺いたいと思います。
  23. 入山文郎

    入山政府委員 初めに結論かも申し上げますと、二〇〇〇年ごろまでにはおおむね環境基準達成することができるというように私どもは思っているわけでございます。  そこで、具体的にいろいろな要素につきまして少し説明をさせていただきますが、まずこの法律に盛り込まれました車種代替、ディーゼルの直噴式をできるだけ副室式にかえていただくとか、あるいはガソリン車にかえていただくとか、あるいは最新規制の適合車にかえていただくとかといったような車種規制というもの、車種代替と申しますこれによる効果と申しますか、それは一割から二割程度見込んでいるわけでございます。それから、電気自動車あるいはメタノール車といったような低公害車の導入によりまして数%から一割程度見込んでおります。それから、物流対策によりましてこれまた数%ないしは一割程度を見込んでおります。そのほか人流対策、交通流対策といったものもあるわけでございますが、こういったものによりましてそれぞれ数%程度見込めるのではないかと思っております。それから、従来からやっております単体規制をさらに強化していくというようなことによりまして、これまた一割程度は見込めるのではないかと思っているわけでございます。
  24. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 わかりました。おおむね二〇〇〇年ということなんですけれども、実はそれは少し評価としては甘いのじゃないかという意見もございます。  実はそれに関して、というよりは少し視点を変えてこの問題を考えたいと私は思っておりますので、その点について少し話を具体的に変えて伺いたいと思います。  確かにこの法律案、一歩前進だというふうに申し上げましたけれども、実は本来であれば二歩も三歩も前進すべきところではないのか。おおむね二〇〇〇年ごろというのは、どちらかというと甘い方で、二〇〇〇年でも恐らくだめだろうという意見の方が主流の意見だというふうに私は理解をいたしております。  そういったところから考えますと、例えば使用車種の制限ですけれども、東京あるいは神奈川、大阪といった地域でのNOxの量が多過ぎる、だから特定の地域だけでも緊急に何かやらなくてはいけないという点は確かにわかります。しかしながら、この問題へのアプローチとして、例えばその地域だけではなくて全国的に使用車種の制限を行う、逆の言い方をすればこれまでの単体規制の前倒しを行うという方法の方がより積極的な方策だというふうに私は思います。しかも、その方が幾つかの点ですぐれていると考えられるというふうにも思います。  その理由を幾つか申し上げますと、まず一つには、これはやはり環境問題全体の基本的な考え方だと思いますけれども、負担が公平になるということだと思います。特定地域の例えば運送業、貨物業、そういった人たちだけではなくて、全国的に公平な負担を行うというところが一つです。  それからもう一つは、やはり車の買いかえを行うというような際に、当然メーカー側としては新しい車をつくらなくてはいけないわけですけれども、例えば特定地域だけではなくて全国に制限が行われれば、あるいは基準の前倒しか行われれば、新車種の需要が少なくても四倍か五倍ぐらいにはなるだろう、事によったら倍ぐらいかもしれませんが、とりあえず需要はふえる。そうすると量産効果が出るわけですから、コストの面でも恐らくいいだろうということが考えられます。  それから三番目の理由としては、全国的にこの前倒しということを行えば、その流入規制を行うための例えばステッカーを張るといった手段が必要だと私は思いますけれども、そういった補助的な手段を全く不必要にするわけですので、そのためのコストが下がるということだと思います。  それからもう一つ大事なことは、環境基準というのは確かに都市部では悪い、特に東京近辺、東京湾周辺それから関西の大阪湾周辺というところが悪いということはわかるのですけれども、問題は一番悪いところをちょっと改善するということが目的ではないはずで、これは低ければ低いほどいいというのは大原則だと思います。そうすると、やはり全国的にこういった方向でその基準の前倒し適用ということを行うことによって全国的に数値が下がるわけですから、その方が結果としてはるかに望ましいというふうに思います。  確かにこれを全国的に実施するということは幾つかの障害が生じると思いますけれども、そのドルードオフといいますか、その難しさとそれが最終的に生む結果とを比べて考えますと、少なくとも私の見るところでは、これは全国的に行った方がいいのじゃないか、特定地域だけではなくて全国的に行った方が、事によったら少しコストは高くなるかもしれない、しかしながらそれによって得られる最終結果ははるかにすばらしいものになるのじゃないかというふうに思いますけれども、その辺はいかがでしょう。
  25. 入山文郎

    入山政府委員 単体規制について全国一律に、しかも前倒し的に強化をしていくのがむしろ効果的であるという御趣旨がと存じますが、単体規制につきましてはできるだけ早期に長期規制も実現できるように各メーカーを督励いたしまして、現在技術開発等も進めていただいているわけでございます。いずれこれは何年かは前倒しの規制をかけることができるようになると私どもは思っているわけでございます。  それはひとまずおきまして、今のお話でございますと、それでは今回この法律に盛り込みました車種規制を全国一律にかけたらどうかというようなこともおっしゃったように思いましたが、これにつきましては、私どもはどうしても現在環境基準達成できないでおります大都市地域の特殊性というものにやはり着目せざるを得ない。どうしても緊急に、とにかくこの大都市地域につきましては最優先的にそういう規制を他の地域とはまた切り離して上乗せ的にかけていく必要があるのだろうというのが私どもの基本的な考え方でございます。  そういったことでこのような形の法案にさせていただいたわけなんでございますが、またそれから全国を見ますと、確かに局所的には、部分的には環境基準達成できないでいるところも全然ないわけではございません。そういったところもございますが、これは先ほどから申し上げておりますような単体規制強化していくとか、あるいは一般的な従来からの施策を進めていくことにょりまして、これ以上悪化させないことができるのではないか、むしろ改善を見込めるのではないか、こんなふうに考えているわけでございまして、何回も申し上げるようでございますが、大都市地域の特殊性というものに着目して、とにかく緊急にこういう措置を講じていかなければならないという考え方に立ったわけでございます。
  26. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 そこのところは十分理解しているつもりなんですが、私が申し上げているのは、確かに問題はそこにあるのだけれども、その問題に対する解決策というのは、実は全国でも実施できることである。全国で実施することにそれほど大きな障害はないのだからついでに一緒にやったらどうですか、その結果非常に大きな結果が、いい結果が生まれるじゃないですかということを申し上げているので、ですから、それを全国に実施するに当たっての障害がどのようなものがあると考えたからそれはやらないのか、あるいはこの特定三地域だけに限定して行えば、全国にこれを実施するよりもはるかにコストが安いとか、はるかに適用が簡単になるとか、そういう積極的な理由があったのだったらわかるのです。  私が今挙げた幾つかの理由、それ以外にも幾つかのメリットというのは出てくると思いますけれども、そういうことを考えても、コストとそれからベネフィットといいますか、かかる手間あるいはお金と最終的な成果とを比べると、十分に、最低限これは真剣に具体的な数字を挙げて、あるいは障害というものを数え上げてバランスシートをつくった上で検討するぐらいの価値はあるのじゃないかと思うのですけれども、具体的にそういうことをやられたのであれば、その結果として、これこれこういう点がだめだからそれはできないのですというようなお答えをいただければ納得いたしますし、そうでなければぜひ検討をしていただきたいと思いますけれども。
  27. 中村正三郎

    中村国務大臣 また細かくは局長の方から御答弁あるかと思いますが、この間、そういったことがやはり予算委員会でも話題にのっておりました。やはり単体規制が完全にできればいいんですけれども、これは今いろいろやっておりますが、前倒しは多少可能かもしれないけれども構造的に、ディーゼルエンジンの構造的になかなか難しいという返答でございます。  ですから、こういう方に踏み込むわけですが、そういたしますと、なぜディーゼルエンジンを使うのだろう。それは軽油が安いから使う、コストが安くなるからこれを使うんだ。それじゃこれはガソリンと同じ税にしていけば、こんなにディーゼルエンジンはふえないかもしれない。しかし、そうすると今八百屋さんとか大工さんとか中小企業が使っておられるところが困るかもしれない。また全国一律にやれば、中小の企業だとかディーゼルエンジンの古いのを使わざるを得ない、買いかえられないという方があった場合に、それまで全部強制的に買いかえさせるかというと、そういうコスト負担ができるかどうか。ですから今度の法律は、非常に被害の大きい都市部においてこういうことをやろうということにしたのだと思うのです。  でありますから、やはり環境をとるか経済メリットをとるかという国民の御理解とか、そういうことも得ながらやっていかなきゃいけない。その中で一番効果のある方法はどうかということで検討した結果、今最善の方法で、これであろうということで御提案させていただいた、私はそのように理解しているわけでございます。
  28. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございます。  それは十分理解できるところなんですが、ただ幾つかの私は前提があると思うのです。最初に哲学と申しますかそういうのを伺ったのは、実はその辺を整理してから問題を提起したいと思ったのですけれども、順序が逆になりましたけれども、私が考えておりますのは、例えばこの問題を解決するには、ただ単に車をつくっている人だけでももちろん解決できない。それから車を運転している運転者、それから運転者を雇っていろいろな仕事をしている人、あるいは自分で運転をしている八百屋さんであるとか、今長官おっしゃいましたお米屋さんであるとか、そういった小規模の範囲でビジネスをしていて自分でそういった車を使っている人というような範囲で、どうもこの法案を見ると大体お考えになっているようなんですけれども、実は、環境の問題すべてそうだと思いますけれども、これは全国民的な問題なわけですね。ただ、それ以外の、今私が申し上げたような特定の人以外は全部被害者で、それ以外の人が加害者であるというような簡単な図式で割り切れる問題ではないというふうに思います。  ですから、例えばコストが上がる。車を買いかえるのにコストが上がるといった場合に、それじゃ、そういう何か商売をしている方がコストは全部自分で吸収して、一切消費者の方には回さないで解決できるかというと、恐らくそういうことではないだろうと思います。となると、やはりそういったことを可能にするのは、実はこの問題が全国民的な問題であるという理解ですね。一番最初に長官がPRということをおっしゃいましたけれども、まずそういった考え方で問題に対処すべきではないか。全国民ができるだけ平等に、しかしながら一時的な責任がどこにあるかというところは、また社会の構造的な問題とかかわりますからそれは別としても、最終的にはやはり全国民的な合意によって解決すべき問題ではないか。  その前提で考えますと、例えばコストが上がった場合には、それはいつもキャベツを買いに来る八百屋さんだけがディーゼル車からガソリン車に買いかえてその負担をするというのではなくて、その八百屋さんで大根やニンジンを買っている人たちも、少し値段が上がるかもしれないけれども負担しましょうというような形で動かないと、とてもこれは解決できない問題じゃないか。逆に、そういったコンセンサスができればかなり大胆な、現在のさまざまな対策と比較するともっと大胆な対策というものが立てられるのじゃないか。  そういうことを考えておりますけれども、例えばそういう意味で、環境庁としてはある意味で世論形成のための努力ですね、そういうものと連動しての窒素酸化物削減計画、そういう考え方はお持ちなんでしょうか。
  29. 中村正三郎

    中村国務大臣 今委員指摘のことが根本問題であります。  私は鉄鋼会社出身でありますけれども、昔の仲間が、この間環境税だとかCO2の問題が出ましたときに、やめてくれと。やめてくれということは何だと言ったら、うちの会社に非常に負担になる。しかし、それはあなたの会社だけで負担することじゃありませんよ。コストにはね返って全国民で、環境をとるか経済性をとるか、国民環境をとるということならみんなで負担しなければいけないことじゃないでしょうかということを申し上げたことがあります。  今、外国のことは先生の方がお詳しいと思いますが、欧米においては比較的そういった、みんなで負担しようという思想がとりやすい素地があるのじゃないか。しかし、日本においてはどうしてもそういうことが起こると、ガソリンを買いかえなければいけない、自分が持っているディーゼルエンジンを買いかえなければいけない、コストが上がる、私が損するから反対だという、どうもそういう考え方になりそうだ。でありますから、この環境問題、特に地球規模考えていく場合には、コストはみんなで負担するんだよということを基本にしなければだめだ。  私どもはそのために、やはり法制度からして環境基本法のようなものをつくって、そういった理念をきちっとしてかからないと環境問題はなかなか解決しない。そういうことを今諮問いたしましたりして検討もし、その方向努力していきたいと思っておりますが、当面、環境庁のPRにもそうした視点からのPRが確かに足りなかったと思います。空をきれいにしようだとか水をきれいにしようとか、こういうPRではもう済まないと思っておりますので、委員指摘のような方向努力をしてまいりたいと思っております。
  30. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。ぜひそういった方向でのいろいろな検討をお願いしたいと思います。  実はそれに関連して、ついでと言ってはあれなんですけれども、話がそういう方向に行きましたので、よりいい抜本的な環境の問題のアプローチといいますか、そういう観点から幾つか提案をしたいと思うのですけれども、実はNOxの問題。この削減のための基本的な考え方といいますか、そういうものをまず広くPRする必要があると思いますし、これまでどんなことを環境庁としてやってきたのか。例えばこういった点についても十分な国民的な理解ということは、いわば環境庁側のPR不足かなというような気さえ私はいたします。  さらに、今度環境の問題をより広く国民的な問題として理解してもらうためには、実はこれまでの考え方とは少し違ったアプローチも必要なのではないか。それが現実性がどのぐらいあるかどうかは別として、やはり社会全体にかかわる問題ですので、社会全体の、ある意味で根本的なところに立ち返った議論というものはどうしても必要じゃないかというふうに思います。例えば、環境の中でも公害問題を人間の病気というふうに例えて考えると、現在ここに出されている法案というのは、いわば病気が非常に悪くなったからカンフル剤を打ちましょうというような形での対処の仕方だと思います。それはそれで確かに大事なことだと思いますけれども、そのほかにも、病気を予防するということでは大事な視点が少なくとも二つあると思います。  一つは、どういう病気があるかということがある程度わかっている場合、予防注射をするといいますか、予防的な措置をとって病気にかからないようにするというのが一つのアプローチだと思います。ですから、環境問題についても、あるいは公害問題についても、当然そういうアプローチが可能だと思います。  そのあたりは大体、今のマスコミを通してのいろいろな議論などを見ていても確かにあるのですけれども、実はもう一つ大事なことがある。それは、そもそも健康な体というのはどういうことなんだということをきちんと描いて、健康な体をつくるためのいろいろなことを考えていくというアプローチもまた非常に大事だと思います。  例えば車という技術一つをとってみると、車という技術が、これは別にある時点で国民投票を行って、車という技術は役に立つから、つまり社会の健康のためにいいからこれを社会的に導入して、それをシステムとして定着させてみんなで使えるようにしましょうという決定を行ったわけではないのですね。発明が行われて何人かの人が使って、そのうちに気がついたらもう社会全体の中に組み込まれていたという技術です。しかしながら今の時点で、例えばNOx除去の問題一つをとってみても、この問題が非常に難しい問題であるということは、実は、こういった車、ただ単にエンジンの技術ではなくて、車という総体としての技術社会の中に非常に複雑な形で入り込んでしまった、そのこと自体が根本的に絡んでいる。となると、例えば、ただ単にNOxだけではなくて、交通渋滞の問題、それから都市の物流の問題等々すべて考えて、本当に車の存在というものを社会的に認めていいのか、とすれば一体どういうようなシステムを、仮に今全然草がない社会に我々が住んでいるとして、じゃ一体、車という一つのシステムを社会の中に取り込むにはどういう条件が必要になってくるのかといった、いわばゼロから再出発するような形での再検討ということが必要になるのじゃないか、そういう気がいたします。  そういった点に立ち返って、例えばそれとNOxを結びつける、あるいはCO2のレベルを考えるといったようなこと、あるいは交通システム全体としての、社会的なコスト全部を考える。例えば鉄道であれば線路が必要になる、自動車であれば道路が必要になるといったところまで含めた、あるいは駐車場の問題等も含めた、そういう全体的な、ある意味でのシステムとしての再評価といいますか、さらには自動卓の場合には構造的に、日本の場合に一年間にどうしても交通事故で一万人の方が亡くなっているということがございます。そういったコストまで含めたある意味での再評価をすることが、視点を変えた、NOxの抜本的な解決というようなところにつながるのじゃないかと思います。  そういったことを将来おやりになる、あるいは、できるだけ早い方がいいと思いますけれども、おやりになるようなことを考えていただければ大変ありがたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  31. 中村正三郎

    中村国務大臣 非常に大きな哲学的なお話でございまして、私ども行政当局がそこまで踏み込めるかどうかということもあるかと思いますけれども、やはり行政というのは現実対応でやっていかなければならないと思います。  そこで、卓がいいか悪いかという判断をする場合に、一つは、我々の視点からいえば、公害を出すか出さないか、それから、交通事故等で害を及ぼさないか、資源多消費型ではないか、国民負担が道路等いろいろなことでかかっていかないかということであります。そういうことをクリアしていけば、あとは市場経済自由の原則で、その中で、利便性があれば国民が使い、高くなれば買わなくなるということでやっていくべき問題ではないかと私は思うわけであります。その中で、私どもは環境にかかわるところ、公害というところをやるわけでありますから、そこを押さえていかなければいけない。  先ほど委員指摘になりました予防的ということでありますけれども、基準値を設定するということ自体が予防なんですね。ところがその基準値が、設定したものが達成されなかった。これは我々率直に反省しております。そこで応急処置としてどういうことをやっていかなければいけないかということでこういう処置に踏み込んだ。被害が出てからの話はまた別の話としてあるわけでありますが、まさにその基準値を設定するというのがそういった予防的な問題であると思います。  それと、NOxだけが問題にされておりますが、ディーゼルには恐ろしいガスがいっぱい含まれております。それが未規制になっております。基準値がございません。そういうところまで踏み込んで物を考えていかなければいけない。  環境庁としては委員の御質問に答えるすべての能力を有しておりませんので、環境の面から考えればそういうことだと思っております。
  32. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  実は今のお答えも十分理解できるのですが、ある意味で、今長官がおっしゃったのは、ミクロ経済のレベルでのさまざまな要素があってそれを重視することが大切であって、それ以上のことをするのは難しいし現実的でもない、その点は確かによくわかるのですけれども、環境政策というのはマクロの点もどうしても必要だと思います。  例えば、これは別の技術ですけれども、アメリカにおける喫煙の例をとってみますと、確かにたばこを吸いたい人がいて、それを売るたばこ製造業者があって、コマーシャルが流れてみんなが買って、それでという状態が続いていたわけです。いわば資本主義経済の基本的な原則に沿ってこれがずっと続いていたわけですけれども、少なくともアメリカ社会においては、たばこという技術社会的に好ましいものではないという評価を政府が下して、その結果たばこという技術に関して、技術と言っていいかどうかわかりませんけれども、人工物ですね、それを社会から、政府のレベルでは排除する。個人の喫煙の自由まで侵したわけではないけれども、しかしながら政府立場としてはそれは好ましい人工物ではないという判定を下して、それなりの政策をとっているわけですけれども、そういう意味でも、自動車全体というところにも、例えば同じような視点でアプローチをする必要があるのじゃないかというのが私の今の問題提起でございます。確かに大きな問題ですので、これからいろいろな機会でこういった点について率直な意見の交換でもできればというふうに思っておりますので、この点についてはこれで終わりたいと思うのです。  また具体的な問題に戻りますが、全国的に例えば車種規制、車種制限を行うことができないとすれば、そして、もうどうしても緊急なんだからその三特定地域だけに限ろうということであれば、当然流入制限といいますか、その地域の外から入ってくる車に対しても同様の規制が行われなくては効果が上がらないというふうに私は思いますけれども、ステッカーを使うかどうかは別として、その流入制限ということはどうして省かれたのか。あるいは、この法案には入っていないけれども実質的にはそういうことをやりますという決意があって、本当は大丈夫なんだというところなのか、その辺について伺いたいと思います。
  33. 入山文郎

    入山政府委員 実は流入規制の問題につきましては、私どもの検討会におきましていろいろと議論をしたところでございます。しかし、結論といたしましては、どういう手段で流入規制をやるかといえば、つまるところはステッカー方式ということが一番考えられるというようなことであったわけでございますが、このステッカー方式というのは非常に費用もかかりますし、全国的に広がるという問題もございますし、それからさらに、それをチェックすると申しますか、そのための手段がなかなか難しい、とりにくい、非常に膨大な人員を投入して道路の隅々に目を光らせるといったようなことまでも必要になってくるといったようなことがございまして、検討会におきましても、これは余り現実的なやり方ではないというような結論になったわけでございます。  それからもう一つは、この流入の問題につきましては、全体の量を調査してみますと、域内草と申しますか、東京地区で車検を取って走っている車が大部分でございます。私どもの調査によりますと、例えばトラック、普通の貨物車でございますが、これは域内車が六九・九%、七割を占めているということでございます。それからさらに、この地域指定につきましては、現在の総量規制地域よりもやや広げる方向で検討しているわけでございますが、そういう広げ方をいたしますと、さらにこの比率はふえるというような結果がございます。  外から来るものは目をつぶってもいいとまでは申しませんが、全体の効率等から考えますと、車検できちっと担保してやる今回提案させていただきましたようなシステムがやはり最も効果的であろうというように私どもは考えたわけでございます。
  34. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 この流入規制に関しては、また同僚の委員の方からより詳しい質問があると思いますけれども、私は、基本的なところで少し、アプローチの仕方といいますか、この問題の考え方が違うのかなという気がいたします。  私が考えているこの問題については、確かに罰則を設けて規制をしなくちゃいけない。嫌々、こんなことはやりたくないと言っている人たちに対して、どうしてもやらなくちゃいけないんだということをやらせる、確かにそういった面があると思いますけれども、それと同時に、先ほどから申し上げていますように、やはり理解と協力というのが基本的にはどうしても必要だと思うんです。そういった面から、もう一度これを見直していただけると随分違った見方ができるんじゃないかと思います。ですから、ある意味で、流入の部分に関しては理解と協力という原則で考えた方がいいのかもしれない。つまり、ステッカーをつけるかつけないかというのは、私たちが、青森に住んでいるけれども皆さんの東京の問題について十分理解しています、だから一緒になってそれを解決しようという意思表示なんですよという見方をすれば、例えばステッカーのついてない車が都内へ入ってきたときに、東京都民がそれについて、あなたステッカーつけていないですねと言うぐらいでも物すごい圧力になると僕は思うんです。  そういった形でのステッカーということも当然考えられますので、これ以上あえて、時間がなくなってきましたので、さっき申し上げましたように、また同僚議員が詳しく質問する予定になっておりますので触れませんけれども、仮にステッカーをつけるかつけないかにしても、これはやはりトラックを使っている、あるいは他県で登録をしているような車に関しては運輸省の協力がないと、例えば仮にステッカー方式が採用されないにしても、実質的なところではかなりのことができるかもしれない。そういう点で、運輸省としてはどういう協力体制をとっているのか、協力するつもりはあるのかどうかというところを一言伺いたいと思います。
  35. 洞駿

    ○洞説明員 運輸省でございます。  先生指摘のとおり、大都市大気汚染防止という観点からは、運送事業者の理解と協力を得て、できるだけ低公害の車を、都内に持ってくる場合には使ってもらうということが必要だと私どもも十分認識しております。  このために個別の事業者特定地域内に車両を運行するような特定事業者、バス、トラック等の特定事業者については、事業者の団体を通じまして、その旨協力をお願いし、指導していきたいと思っております。
  36. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  最低限そのぐらいのことはしていただきたいと思うんですけが、これは衆議院の環境委員会の調査室の資料を読ましていただいて、いろいろな関係諸団体から、現実的なものであれば協力をしようというような発言もあったということを読んでうれしく思っているんですけれども、残念ながら現実的な問題としては、それは総論賛成、各論反対。総論としてほかの人がやってくれるのはいいけれども自分はやりたくない、損するのは嫌だというのは、やっぱり人間の気持ちとしてあると思うんです。  しかも最近の政治状況を見ますと、残念ながら、そういう非常に個人的といいますか自己中心的な考え方によって政界が腐敗をしてしまっているという状況ですので、こういう質問は事によったら失礼になるかもしれませんが、長官自身のことではなくて、ある意味では現在の政界のレベルを表現する質問としてお許しいただきたいと思うんですけれども、例えば現在、大手の運送業者が政治家と結託をして国民の利益に反するような、ことをやっているということが報道されているわけですけれども、例えば今回の問題についても、そういった関係業者あるいは団体からの圧力がかかって、これはもうできるだけ緩やかな規制にしろ、できたらもうやめてしまえというような圧力がかかっていても、まるっきり不思議はない。これはマスコミの報道を見ていれば、そういうことを考える方が自然なような状況になって、非常に日本の政治がそれほど腐敗しているということは残念ですけれども、中村長官に、例えば業界、あるいは名前を特定いたしますと佐川からそういった圧力がかかったかどうか、あるいは佐川から中村長官に多額の金品あるいはわいろに似たものが寄せられているという事実はあるのかないのか、この点、最後に一点だけ伺っておきたいと思います。
  37. 中村正三郎

    中村国務大臣 大変ありがたい御質問をいただきまして、私的なことでお許しいただければと思いますが、私は、実は路線業者でございます。トラック業者であり、バス業者であります。千葉県の南の路線は、私、今大臣だから退いておりますが、もう戦争中からやっておりまして、佐川の相棒よりずっと小さいですが、歴史のある路線業者を長年やってまいりました。  でありますからよく存じておりますけれども、私が、会社で今何百台も車ありますけれども、それにステッカー張れといったら張ります。そして、ディーゼルオイルを、先ほどから申し上げます税金を変えた場合にどれくらいバス運賃にはね返えるだろうかという試算もしてみました。二%ぐらいしか、うまく調整すればはね返りません。それは乗る方に御負担いただける範囲だと思うのです。  私の、業者としてから申しますと、むしろこういうことに対する調整が難しいのは、全く私的に申しますと、違うところでないかという気がいたします。我々は軽油の値段が上がればそれに基づいてやるし、新しいディーゼルをかえよといったらそれにかえるようにいたします。それはコストはかけていきます。そういうものを、ステッカー張れよといったら、大した手間はかかりませんから張ります。しかし、これから先、大臣として申し上げますと、やはりそれは行政としての立場でいろいろ調整をし、業界意見を聞いたりなんかして、今でき得る最善の策としてつくったのがこの法律であるということでございます。  それから佐川について、ある雑誌が、私のところへ金が来たという図表が書いてございました。それで、私は告訴するのもなんなので、申しましたら、特に三月七日号におきまして佐川急便グループと直接、間接につながりあると思われた政治家の名を、証言、既報道、謄本、資料等によって立体構成いたしました。御指摘の部分に関しましては、何だか代議士の知人から取材したものを記述したものですが、御指摘をいただきましてから再調査しましたところ、以下のことが判明しました。まず、中村正三郎環境庁長官の初当選時期に関しましては、当方の確認ミスであったこと。さらに、佐川急便グループと同長官の関係について言及したコメントに関しましては、十分な確認をしないまま取材源の発言を掲載してしまいました。以上のような点につきまして、中村環境庁長官に多大なる御迷惑をおかけいたしましたことをおわびするとともに、今後かかることのないようにいたしますので、何とぞ御寛恕をお願い申し上げます、というのが来ましたので、それ以上何もいたしませんが、私、感想を申し上げますと、こうしたことでマスコミに、私、何度もやられたことがあります。  一つは、石垣空港をずらしたのはおまえじゃないかというようなことがにじみ出るようなことを書かれました。全く関係ありません。それから、私が女を囲っているということも書かれたことがございます。それから、マリファナを吸ったということを書かれたことがございます。しかしながら、全部うそであります。今度もうそであります。  そういうことを考えると、やはり報道をされたことをどういうふうに読んだ方がいいのかなということを感じさせていただいておりまして、私は佐川と全く関係ございません。
  38. 小杉隆

    小杉委員長 時間です。
  39. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ありがとうございました。  時間ですので、これで質問を終わります。
  40. 小杉隆

    小杉委員長 午後零時十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十一分休憩     午後零時二十三分開議      ――――◇―――――
  41. 小杉隆

    小杉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤一雄君。
  42. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今回の自動車排出窒素酸化物総量削減特別措置法案についてお尋ねいたします。  最初に、NO2の環境基準についてお伺いします。  昭和五十三年七月、それまであった環境基準を三倍に緩和し、その達成期限を昭和六十年までと公約、それが達成できなくなると、今度は中期展望において達成期限を昭和六十三年度に延期、しかし結局それも実現できず、ついに新中期展望では達成期限を明示することができず、今日に至ったわけであります。当初基準達成を公約してから、実に十四年間が経過しました。  このように二度にわたって公約を破り、最後は無責任にも絶望宣言、つまりお手上げするという政府並びに行政の責任は極めて重大であります。こうした国の責任について一体どのように考えているか。環境庁及び大臣から御答弁をお願いいたします。
  43. 中村正三郎

    中村国務大臣 大変厳しい御指摘をちょうだいいたしましたけれども、政府公害防止策を有効、適切に講ずることによりまして環境基準確保されるように努めなければならないという責務を持っているわけでありまして、大都市地域において二酸化窒素環境基準が未達成であるということには、公害防止の任に当たる環境庁といたしまして率直に責任を感じなければならない問題だと存じております。  そして、午前中にも答弁させていただきましたけれども、当時私、十年以上前に環境委員会におりまして、当時の物の考え方というものが、乗用車はぜいたく品だ、であるからガソリン自動車が多い乗用車を規制して、産業用でありバスでありするディーゼルエンジンについてはちょっと後でいいのじゃないかというような雰囲気があったことは否定できないと存じております。  しかし、そのような状況があったにいたしましても、今NOxに関する環境基準達成されないということはまことに責任を感ずる問題でございますので、私が就任いたしましてからもあらゆる手段を講じまして、業界を呼びましたりお願いをしたり他の省庁に働きかけたり、いろいろ今手だてをし、その中で今度御提出させていただいた法律案によりまして、今までの単体規制に加えてほかの角度から、この排出基準達成に向けて努力をしていこうということに取り組ませていただいたわけでございます。  今後ともあらゆる手段考えまして、この環境基準達成に一生懸命、誠心誠意努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  44. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 局長は、一言。
  45. 入山文郎

    入山政府委員 今大臣から御答弁があったとおりでございますが、私どもといたしましても、この法案を一日も早く通していただきまして、大都市地域窒素酸化物環境基準達成してまいりたいと思っているわけでございます。
  46. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 もともとできないことを承知で公約したのか。それとも施策に重大な誤りがあったのか。そのいずれか、率直にお答えいただきたい。
  47. 入山文郎

    入山政府委員 見通しが悪かったという点でおしかりを受けるのはやむを得ないことと存じますが、あえて申し上げますと、自動車走行量が非常にふえてきたということ、それからさらに、中でもディーゼルの比率が非常に大きくなってきたといったようなことがございまして、単体規制強化するというようなことと相殺されるというようなことでこういった状況になったと理解しているわけでございます。
  48. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 これは見通しが甘かったとかいう問題じゃないのですよ。既に十四年間経過しているわけですね。しかも、環境基準達成期限を明示してから、すべての施策がそれぞれの段階で掲げられていたわけですが、にもかかわらず達成できなかったというわけですから、これは施策に重大な誤りがあったということであります。  それでは、環境基準達成が困難な原因として、新中期展望は、自動車走行量の増加ディーゼルトラックの保有台数の増加、直噴式エンジンの増加等を挙げ、環境庁の検討会が提言した中間報告も、原因はディーゼル車を中心とした自動車交通量の増大にあると指摘しております。  そこで伺いますが、自動車交通量の抑制についてこれまでどのような対策を進めてきたのか。また、それによって実際にはどの程度の効果を上げたのか。
  49. 入山文郎

    入山政府委員 自動車交通量の抑制に役立つ施策といたしましては、輸配送システムの改善でございますとかトラックターミナル等の物流施設の整備等の物流対策といったものが一つあるわけでございます。それからさらに、乗用車の交通量の抑制に資する公共交通機関の整備、それから利用の促進等のいわば人流対策というものがあるわけでございます。  これまで関係の省庁あるいは地方公共団体におきまして、こういった問題について取り組まれてきたところでございます。環境庁におきましても、これらの施策を取りまとめました窒素酸化物低減のための大都市自動車交通対策計画というものを昭和六十三年に策定いたしまして、その促進を図ってまいったところでございます。  量的なことで申し上げますと、なかなか思うような改善が見られなかったという点につきましては私ども反省をしているわけでございますが、正確な数字を挙げて申し上げることはなかなか難しいのでございますが、物流対策におきまして数%、さらに人流対策では一%近い効果が三年間で見られたのではないかというように推定をいたしております。
  50. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 実際にはほとんど効果を上げ得なかったということであります。長い間基準達成が困難な原因として、自動車交通量増加ということが挙げられてきたわけでありますけれども、この問題の前進がないと、ほかのさまざまな規制を幾らやってみても、私は追いつかない、こういう認識に立っているわけでありますけれども、その点についてはどうお考えですか。
  51. 入山文郎

    入山政府委員 先生指摘のことは、私ども常に考えているところでございます。今回のこの法案につきましては、車種規制あるいはその他関係省庁の協力を得まして、物流、人流等についても適切な措置を講ずることにしておりますが、法律趣旨を十分に体しまして、私どもできるだけの努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。
  52. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 関係団体から、「トラックによる輸送は我が国の経済の基本的な部分であり、そのトラックの台数や走行量そのものを規制することとなる方式は問題がある。」と意見が出されています。しかし、こうした考え方に基づいて交通量を無制限にふやしていくということはいかがかというふうに私は考えているわけですが、それについてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  53. 入山文郎

    入山政府委員 交通対策は、また別途それぞれ関係の省庁で検討していただいているところでございますし、将来に向かっては、無制限に車がふえていくというようなことは抑制していかなければならないと私ども考えているわけでございます。
  54. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今後、ディーゼル車の東京都内の保有台数の増加をどのくらい見込んでいますか。
  55. 入山文郎

    入山政府委員 現在までのトラックあるいはバスにおけるディーゼル化の傾向を踏まえましていろいろと将来の数字を計算してみますと、この法案に基づく規制を仮に講じなかったとするならば、全体で約七十万台になるのではないかというように思っております。こういった車種規制その他の措置を講ずることによりまして、この傾向はもちろん抑制されるというように私どもは思っているわけでございます。
  56. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 七十万台と言っているのは、平成何年度ぐらいのことを言われているのですか。
  57. 入山文郎

    入山政府委員 紀元二〇〇〇年ということでございまして、平成十二年の見込みということでございますが、この数字は東京地域の数字ということでございます。
  58. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 私の試算では八十二万台ということになっておりまして、七十万台というのは余りにも低目過ぎる試算であるということを指摘しておきたいと思います。  そうした実情も踏まえ、今後思い切って自動車交通量を抑制し、NOxの排出総量削減するためには、中間報告にある一定規模以上の工場、事業場に対して一定比率でNOxの排出削減を義務づけるという、固定発生源と同様の総量規制を導入する方法が最もすぐれていると思うが、なぜこの方策を取り入れなかったのか、お尋ねいたします。
  59. 入山文郎

    入山政府委員 固定発生源と同じような方式で今回もこの工場、事業場等に総量を割り当てたと仮にいたしましても、自動車からの排出に関してとり得る対応措置といたしましては、結局のところ車種の代替、それから自動車使用の合理化といった二点に絞られてくるわけでございます。それ以上の削減を求めるということはなかなか難しいということがございます。  さらに、こういった方式は、一定規模以上の工場あるいは事業場に対象が限られるということが一つございます。それからまた、大規模な工場、事業場といえども、委託輸送でございますとかあるいは取引先側による輸送等もございますので、みずから支配することができない、そういう発着する自動車もあるということがございます。効果的な制度としてこういう割り当て方式というものをとるのはなかなか難しい面があると思うわけでございます。  こういったことから、この法案におきましてはそういった方式はあえて採用しなかったということでございます。
  60. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 総量規制についての我が党の考え方を申し上げて、この法案との対比でどちらがすぐれているかということを明らかにしていきたいというふうに思います。  私どもの考え方は、まず都道府県知事総量削減計画を作成をして、これに基づいて総量規制基準を定める、極めて具体的な知事の権限と責任を明らかにしているわけですが、こういう点で、法案との関係でどう思いますか。
  61. 入山文郎

    入山政府委員 私どもの提案させていただきました法案におきましては、都道府県知事が国の承認を受けて計画を作成する、そしてさらにその過程におきまして地域における協議会も設けて、いろいろな実際の現場での仕事ができるような関係の団体あるいは官庁、その他関係の機関の参加を得て検討するということになっておりまして、現実的な案ができるのではないかと思っております。
  62. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 もう一点は、私どもが考えておりますのは、知事が総量削減計画を定めるわけですが、その際、都道府県公害対策審議会及び関係市町村長の意見を聞かなければならないと考えているわけでありますが、この点について、法案との対比ではどうですか。
  63. 入山文郎

    入山政府委員 都道府県の協議会のメンバーといたしまして関係の市町村が入るような仕組みにしておりますので、先生指摘のような点につきましては、私どもも配慮しているつもりでございます。
  64. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 都道府県公害対策審議会、これはNOx総量規制について極めて大きな役割を果たしてきておるわけです。この公害対策審議会を使おうという気は全くなかったわけですが、なぜですか。
  65. 入山文郎

    入山政府委員 地域における窒素酸化物削減目標量を達成するためには、物流、人流、交通流といったようないろいろな施策を盛り込んだ実効のある計画を策定する必要があるわけでございます。そして、こうした計画を円滑かつ効果的に推進するためには、計画に掲げられます施策を所管しあるいは実施すべき立場にある関係の機関の参画も得まして、計画に盛り込むべき施策について専門的な観点から、責任を持って検討して案を策定するということが極めて重要なことになってくるわけでございます。  このために、公害対策審議会を使うといいますか、活用するといいますか、そういったことも考え得るわけでございますが、今申し上げましたようなことで、より専門的な立場からの施策を立案するというような見地から、そのための特別の協議会を構成するということにしたものでございます。
  66. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 次の点は、事業者事業活動内容、種類及び台数を知事に届けなければならない、私どもは極めて具体的に知事の権限を含めて考えているわけですけれども、この点について、法案はどうですか。そういう具体性がないわけですね。
  67. 入山文郎

    入山政府委員 それぞれの事業所が所管と申しますか、自分のところの支配している車につきましては、届け出るというようなことにはなっておりませんが、一方で、より公害の少ない車に乗りかえていただく、いわゆる車種規制ということにつきまして、車検という非常に強力な手段による担保をするというようなことになっておりますので、効果は上がるものと私ども思っております。
  68. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 今の問題と関連するのですが、私どもの考えでは、総量規制基準に適合しない事業所が出てきた場合に、知事が指定自動車の台数を削減する、運行の方法を改善する、そのための改善命令あるいは勧告をすることができる、極めてしっかりした担保を持っているわけであります。こういう点は法案ではないですね。
  69. 入山文郎

    入山政府委員 先ほど申し上げましたように、車検できちっとした担保をするということと、それからさらに関係の省庁できちんとした指針をつくっていただきまして、それぞれ専門的な分野において有効なあるいは非常に強力な指導もしていただけるということになっております。  さらにまた、環境庁といたしましても、その実施の段階でいろいろと意見も申し上げることができるようになっておりますので、私どもは、これで十分に効果が上がるものと考えているわけでございます。
  70. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 もっともっとこの法案と私どもの基本的な考え方を対比して、いずれが現実的であり、いずれがすぐれているかということを明らかにしたいわけですが、時間の関係もありますので、次に進んでまいりたいと思います。  東京都内に流入する地域外の車はどのくらいですか。
  71. 入山文郎

    入山政府委員 総量抑制方策検討会の最終報告書における試算によりますと、東京都特別区等地域における交通量に占める地域外車の割合は、約二割程度ということでございます。
  72. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 二割程度の流入車があるということになりますと、東京としては大変な交通量あるいはNOxの増加を来すわけであります。  先ほども質問がありましたけれども、規制地域外の車の排出抑制措置というものは全く何もないというのが今度の法案の特徴なんですけれども、そのとおですか。
  73. 入山文郎

    入山政府委員 車検で担保をいたしまして規制をするといった意味におきましては域内車に限っているわけでございますが、当然流入してきます車につきましても全く問題はないと私どもは考えているわけではございません。いろいろな面での啓発あるいはPR等を通じまして、国民責務ということにつきましてもこの法案には触れでございますが、それぞれ自覚をしていただきまして、規制はかからないけれども、より公害の少ないものに乗りかえていただくというような方向で御協力をお願いしたいと考えているわけでございます。
  74. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 一部に過剰規制などという意見もあるようですけれども、本来的に考えてみますと、規制地域内を走る車は差別なく同一に扱うというのが公平の原則に照らして適切ではないか、考え方として。その点はどうお考えですか。     〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
  75. 入山文郎

    入山政府委員 私どもも、原則的な考え方と申しますか、そういう考え方は検討会を通じましてもちろんあったわけでございますが、ただ、実際に流入するものについて規制をするという手段の問題を考えますと、ステッカーを活用するというようなことが一番考えられるわけなんでございますが、その費用、あるいは全国的にそういったステッカーの交付事務等が広がるといったようなこと、あるいはそれをチェックするためのシステムがなかなか難しい、非常に多くの人員も要するといったようなことから、流入車が二割という問題は目をつぶっていいとは決して申しませんが、そのバランスの上から考えますと実用的ではないという判断に達したものでございます。
  76. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 基本的な認識が一致しておれば、あとは技術的な問題等々ということになるわけですから、ステッカー方式がいいのか、あるいは知恵を出し合って何々方式がいいのかということはあるかと思いますが、今後とも前向きに検討をしていただきたいということだけ申し上げておきます。  次に、最終報告によると、車種規制、それから自動車使用の合理化等により二〇〇〇年には環境基準達成は可能と考えられるとか、「車種規制以外の効果は必ずしも確実に期待し得るものではなく、」「これらがすべて効果を表わせば環境基準達成は可能」とか、しかし「その効果は二〇〇〇年時点において十分現われるものとは言い切れない。」などと、全く自信のない言い方をしているわけであります。その真意が一体どこにあるのか、私もこれを読んでいてわからないのですが、はっきり確信のあるところを言ってくれませんか。うそをついちゃいけませんし、またまたいいかげんな期限を設定して、二〇〇〇年のときには私どもは環境庁にいないからといった、ようなことをやっちゃいけませんので、正直なところ、真意がどこにあるのか教えてください。
  77. 入山文郎

    入山政府委員 正確など申しますか、数字をもってどれだけ削減できるのかといったようなことにつきましては、これからさらにシミュレーションその他いろいろな形で精密に積み上げていかなければならない問題であると存じますが、またさらに、先ほどもちょっと触れましたが、関係の省庁で指針をつくっていただきまして、それぞれ利用者等に対して指導をしていただくというようなことも考えているわけでございまして、その具体的な実施方法がどうなるかによっても当然この試算は違ってくるものと存じます。  しかし、私どもといたしましては、車種規制につきましてはある程度はっきりとした数字をもって計算することができる。そして、今までのいろいろな経験から照らしまして、あるいは各省庁の事務的なそういう検討の結果等も踏まえまして、二〇〇〇年ごろにはおおむね環境基準達成できるものと考えているわけでございます。
  78. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 それでは具体的にお聞きいたします。  トラック、バスについて単体規制の長期目標はいつ達成されますか。その見通しを明らかにしていただきたい。
  79. 入山文郎

    入山政府委員 長期目標につきましては、鋭意、メーカーその他関係の事業者に対しまして、できるだけ早く達成できるようにお願いをしている段階でございます。それから、技術的な面につきましても検討を進めております。また、各メーカーとも相当の開発費を投じて取り組んでいただいているところでございます。  今ここで、いついつまでには達成できるというような具体的な数字をもってお答えすることはなかなか難しいと思っておりますが、中公審答申にございました長期目標達成期限、十年をできるだけ前倒しと申しますか、早めてまいりたいと考えております。
  80. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 基準の達成は、おおむね二〇〇〇年ごろにはできますよというようなことだけはおっしゃるわけですか。今のような具体的な単体規制、長期目標ということになると、いつ規制ができるか、その見通しがさっぱりわからないということなんですよ。  そこで、関連してお尋ねするのですけれども、新聞報道によりますと、中村長官が大型ディーゼルメーカー四社の社長に対して排出ガス低減の長期目標をできるだけ早く達成するよう要請したが、メーカー側ガソリン車に比べて技術開発が難しく、目標達成の見通しは立っていないと答えたということのようですが、大臣、そのとおりですか。
  81. 中村正三郎

    中村国務大臣 今、委員の前の御質問ですけれども、今大気局長が答弁しました中公審答申の長期目標を早く達成しなければいけないということで、業者を呼びまして要請をいたしました。そしてその後に、ぜひ技術開発をしている現場を見てくれということで、いすゞ自動車に行って技術屋さんたちと会いまして、工場も見てまいりました。  そこでもって言われましたことは、ともかく一生懸命やっているんだけれども、ディーゼルエンジンという構造上の制約があり、今いつまでということは言えない、しかしながら、その長期目標以内でやるべく最大限の努力をしていくということしか返事が得られなかったわけです。  そして、そのとき条件となったことが、軽油の中のディーゼルエンジンオイルの中のサルファ分、硫黄分を減らしてくれなければいろいろな対策がとれない、だから石油の方の対策が先である。私も考えまして、石油ができないからディーゼルエンジン対策ができないんだと言われたら大変ですから、その後に石油業界の方に来ていただきまして、ことし十月には〇・二%までサルファの含有量を落としてくださるそうだけれども、その後に〇・〇五まで落とす時期を早めてくれということをお願いいたしまして、そうしたところが、石油業界の方が非常に反応が早うございまして、そこで即座に、五年間より縮めるのはなかなか難しいけれども、五年以内というリードタイムでもってすぐ対策にかかれば、多少コストにはね返るけれども硫黄分の含有量〇・〇五%は達成できるということでございまして、そこで通産省にお願いいたしまして、今実態的なそうした取りかかりについてどういうふうにしていくか、業界指導していただいているところでございます。  こういったこともやりましたので、再び自動車メーカーに、ディーゼルエンジンメーカーに早く達成するようにということで要請を強めてまいりたいと思っております。
  82. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 ぜひ大臣に強力な指導、要請を今後ともお願いしておきたいと思います。  それでは、先ほどの二〇〇〇年の基準達成に関連して、個々に具体的にお尋ねしたいと思うのです。  今のような単体規制の見通しが立たない状況ですけれども、二〇〇〇年にはどの程度の効果になりますか。
  83. 入山文郎

    入山政府委員 全体として申し上げますと、二〇〇〇年には環境基準をおおむね達成できるだろうと考えておりますが、個々のファクターにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、車種規制効果……(斉藤(一)委員「いや、質問に答えてください、単体規制について」と呼ぶ)  失礼しました。単体規制効果につきましては、私どもは一〇%程度見込んでいるわけでございます。
  84. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 東京都自動車交通量対策検討委員会削減率は一・九%、一〇%でなくて一・九%というふうに踏んでおります。  同じく車種規制効果を答えてください。
  85. 入山文郎

    入山政府委員 一割から二割くらい、一五%くらいと考えております。
  86. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 同じく東京都の削減率は七・九%、一、二割ではなくて七・九%ということになっております。  それでは次に、電気自動車、メタノール自動車など、低公害草の国内普及状況及び西暦二〇〇〇年における見通しを述べて下さい。
  87. 入山文郎

    入山政府委員 大体、西暦二〇〇〇年ごろに電気自動車が二〇万台ぐらい普及したといたしますと、五%ぐらいの低減が可能であると思っております。それから、メタノール自動車が十ないし十五万台程度普及した場合、これはメタノール自動車普及促進懇談会の報告書によるものでございますが、やはり五%程度の低減が可能であるということでございます。  こういったことを総合いたしますと、五%から一〇%ぐらいの効果が期待できるのではないかと思っております。
  88. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 同じく東京都では、削減率四・二%というふうに踏んでおります。  次に、自動車利用の合理化による効果というのはどの程度ですか。
  89. 入山文郎

    入山政府委員 これも、結論から申しますと、数%から一〇%程度の削減を見込むことが可能であるというように考えております。
  90. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 先ほど申し上げた関係団体からは、一律に合理化による削減を要求されても対応できない場合があるというようなことを言っておるようでありまして、実際問題としてはなかなか難しいんじゃないかと思います。先ほど大臣からせっかく答弁がありましたので、そのことだけを申し上げておきたいと思うのです。  私が個々にずっと申し上げてきた東京都の試算では、交通量を減らすこと、つまり、あと四千五百トン減らさなければとても達成は難しいですよ、こういうふうに言っているわけです。私は、この種のことですから、どちらが科学的で最も正しいんだと甲乙をつけようという意味で言っているつもりではありません。しかしながら、環境庁の試算と東京都の試算が、ずっと申し上げてきたようにこれほどまでに違うというのは、これはだれが考えてみてもおかしいということになるわけです。その点についてどうお考えでしょうか。  また、先日の新聞報道でも一部出されましたが、この東京都の試算に対して環境庁はいろいろ御意見をおっしゃっていますね。新聞報道にあるように、東京都の発表をするなと、ぐあいが悪いから押さえたといったような報道がありましたけれども、私はそうは言い切れませんが、少なくとも環境庁からいろいろな御意見をおっしゃった。どういう意見をおっしゃったのですか。
  91. 入山文郎

    入山政府委員 後段の御質問からお答えいたしますが、環境庁として、東京都の考え方なりあるいは試算方法なりにまだ意見を申し上げておりません。まだその段階でないと思っているわけでございます。検討会の委員といたしまして私どもの職員も参加しております。そういった関係で、委員としての立場からのいろいろな意見の陳述等はあったと思いますが、環境庁としての意見はまだ申し上げていないわけでございます。  それからさらに、前段の御質問でございますが、東京都の予測値と環境庁の予測値と食い違いがある、それについてどう思うかという御質問でございます。確かに、数値が違っているということは私どもも承知をいたしております。先生指摘のとおりでございます。ただ、東京都の予測値につきましては、検討会の過程で一つのたたき台として示されたものでございまして、都自身、今の段階では、国で法案が提出された結果、法案内容がわかったので、それも踏まえてもう一度精査してみようというようなことを言っておられるようでございますし、私どもといたしましても、これから、さらにそういった点につきまして東京都とはすり合わせを行いまして、より正確など申しますか、当を得た数値を求めてまいりたいと思っているわけでございます。     〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 東京都の地域でいろいろなことをやってきておりますので、相当のデータも持っています。専門的な職員も環境庁同様たくさんおりますので、ぜひ、今のお答えのすり合わせをしていただきたいと思うのですが、そのすり合わせの結果によっては、先ほど来局長が言われているようなことが全部崩れていくわけですよ、前段が三〇〇〇年にはおおむね達成できますなんというようなことだけが先走ってしまっていますけれども、崩れていきますので、ひとつ軽々に無責任なことはおっしゃらないでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  大臣にお伺いするのですが、御承知のとおり、中間報告から、最終報告が出まして、答申が出されて、今度の法案、こうなったわけですが、だれが見ても環境庁考えていた当初の方針が大きく後退をして、私どもの立場からいえば、ほとんど骨抜きにされてしまった。その原因は恐らく、業界あるいは他省庁からのいろいろな御意見があってそうなったんだろうと思うのです、率直に言って。大臣の率直な御感想をお伺いしたい。
  93. 中村正三郎

    中村国務大臣 先ほどからの御議論を伺っていまして、私どもの見通しが甘かったという御指摘もありましたし、私どももそれに対する責任ということを感じているわけでありますけれども、単体規制のみでやってきたことがどうしてこのようになったかということを考えますと、自動車のモータリゼーションの進展とともに、非常に車の台数がふえた、そして、その中で特にディーゼル車がふえてしまったということが、あの予測と大きく変わってきたことだと思うのです。その中で、ディーゼルエンジン単体規制というものを今急いでくれということを言っているわけでありますけれども、それがなかなか達成できない。そこで、違った角度からこうした法律をお願いいたしまして、総量規制ということも踏まえて、環境基準達成努力をしていくということになったと思います。  そして、私先ほどもちょっとお答えさせていただいたのですが、私自身が親の代から業者であるという、私的なことで大変御無礼ですが、そういうことから考えてみますと、業界の人がステッカーを張ったりなんかするのに反対するということは余り考えられないことなんです。そして、ディーゼルも買いかえろといえば、それはコストにはね返ることでありますけれども、そんな抵抗することではないように考えられるんですね。そこは御理解をいただきたいと思うのでございますけれども、少なくとも私どもの知っている範囲ではそういう文句が出たということは聞いておりません。  そして、骨抜きになったというような御指摘もございましたけれども、私は、やはり新しい観点からこういうようなアプローチができるということにおいては、まさに新しいやり方を切り開いたという意味があると思います。それと同時に、やはりこれは自由経済市場経済世界でありますし、民主主義の世の中でありますから、やはりとり得る最大効率の求められる、そして今現実にとり得る方策というものをとってそこから出発していくということだと存じますから、私は、現在御提出させていただきました法律が最善のものであり、意欲を持って新しいこうした環境基準達成目標に向かって、こうしたものを持って努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  94. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 それにしても、最終報告では自動車使用の合理化について、一定規模以上の荷主等の事業者は抑制計画都道府県知事に提出しなければならない、こうなっておりまして、知事は指針を策定し、事業者計画に対してNOx排出抑制の観点から指導助言ができる、こうなっていたわけです。つまり、事業者は知事に抑制計画を提出し、知事はそれに対して指導助言ができる。これが法案では国の権限に吸い上げられてしまったわけですね。これは全く理解できない、納得できない点であります。この点はなぜそうなったのですか。
  95. 入山文郎

    入山政府委員 検討会の最終報告でございますが、これは環境庁内部の検討会の報告ということもございまして、環境庁の権限、所掌事務といった範囲で制度を考えざるを得なかったということが一つございます。ちょっと間接的な感じはするわけなんでございますが、都道府県知事が個別の事業者に対しましてNOx抑制に関する計画の提出を求めるといった、今先生指摘のような仕組みを考えたわけでございます。  これに対しまして、関係省庁と法案の調整をしてまいりましたところ、事業所管大臣の協力を得ることによりまして、私どもが考えた案よりも一層効果的な制度とすることができるという見込みになったわけでございまして、そのような変更をさせていただいたわけでございます。
  96. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 実際はそうじゃないですよね。都道府県の場合は、御承知のように既に固定発生源に対する総量規制の導入をしていろいろな苦労と経験を積み重ねているわけですね。また、自動車使用合理化のマニュアルなどを策定して、実際にこれまでも対策を進めてきているのです。地方自治体には体制ができているのです。そうした面からも、国が指導するというようなことではなくて知事が指導することが最も適切であると私は確信を持ってここで言い切っておきたいと思うわけです。  関連して、都道府県の方の意向がどうなるかというと、今度の法案では、都道府県環境庁長官にまず要請して、環境庁長官が所管大臣に要請して、そして所管大臣事業者指導する、三段構え、まあよくも回りくどいことを決めたものだなというふうに思うわけであります。こんなことで指導がうまくいくわけないですよ。これまでも環境庁長官事業所管大臣に要請するというようなことはよくありました。長良川もそうですし、あるいは単体規制のときもそうでした。常に環境庁長官意見を述べることができる、要請することができるとありましたが、国民の見る目からいいますとほとんど効果を上げていない。権限の問題だと思うのです。それをまたまたここへ持ってきて、知事なら直接事業者指導助言ができるものを、三段構えにしてぼかして、またまた同じ袋小路に入っていこう、こういうねらいなわけですね。  そこで、環境庁長官が仮に事業所管大臣に要請して、もし所管大臣と見解を異にしたらどうなりますか。環境庁長官が要請したけれども、所管大臣意見が違いますと言ったらどうなりますか。また、その場合、都道府県から要請した事項というのはどうなるのですか。宙に浮いてしまうのですか。知事にまた環境庁長官が報告をして、こうなりましたと言って、御勘弁いただきたいということになるのですか。これはどうなるのですか。この点は明確に答えてください。
  97. 入山文郎

    入山政府委員 細部にわたりましてはいろいろと意見が合わないといったこともあるかもしれませんが、重要なポイントにつきましては、私どもいわば環境の所管の立場から強く申し入れをする、要請をする、そしてそれをあくまでも実現するように努力をするといったことで臨みたいと思っております。
  98. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 いや、だから「要請」し、と法文に書いてあるんだ。お願いし、ということですよ、僕から言わせれば。だから、所管大臣と仮に見解を異にした場合、その場合どうなっちゃうのですか。必ず要請したことはやらせますなんて、あなた、局長でそんなこと所管大臣に対して言えないでしょう、その場合、どうするのですか。
  99. 中村正三郎

    中村国務大臣 これは、いろいろな役所も一つ政府の中の機関でありますから、現実問題としてはそういう動けなくなるようなことは起こしてはいけないし、起こらないことだと思いますのでありますから、例がちょっと飛躍するかもしれませんけれども、例えば単体規制ができない、できないならディーゼルエンジンはつくってはいけない、それではメーカーの操業をストップする、というようなことができない。これは日本自由経済市場経済の中で動いております。ですから、私はある労働界の大変大物の方が来られたとき言ったのですが、NOxの法案をあれして絶対これは早く規制しろというお話でありましたから、それをばちっとやったら労働問題が起こりますよ、失業問題が起こりますよと言ったら、そういうことがあってもやるべきだとおっしゃった方もいらっしゃるのですけれども、いろいろなことを考えて動いていかなければいけないのが政府だと思います。  その中で、私どもが関係の役所に要請いたしますときは、要請を通してもらわなければいけないということでその役所にお話をし、やっていってもらうわけでございまして、最大限の努力を私どもとしてはしていく。それで、同じ政府の中でやることでありますから、政府として結論を出すときには一つの結論を出していかなければいけないものと存じております。
  100. 斉藤一雄

    斉藤(一)委員 時間も余りありませんので、最後に絞って質問するのですが、今まで質疑の中で明らかになったことは、二〇〇〇年に環境基準をほぼ達成できる見通したということを環境庁の方からも大臣の方からもおっしゃいましたけれども、その根拠が極めてあいまいであるということははっきりしたと思います。しかも、個々の具体的な問題についてほとんど明確なお答えができない、見通しが立たないということだろうと思うのです。  それで、私が結論的に申し上げたいのは、この法案だけでは二〇〇〇年の基準達成は困難である。断定いたします。そういう意味では、我が党の基本的な考え方は先ほど申し上げましたけれども、七日の委員会では修正案を出させていただきますが、完璧とは私も言えません。言えませんけれども、かなり近づく、我が党の修正案が通ればかなり近づくということだけは間違いありません。  なぜそんなことにいつまでもこだわるかというと、実は、こうした法案ができますとまたまた大変な影響を与えることになるのですよ。一例を申し上げます。  かつて東京都で都市高速道路王子線の環境影響評価をやりました、これは私が審議した問題ですけれども。そのときの評価では、「二酸化窒素環境基準値以下となるため影響は少ない。」ということを評価しているわけですね。しかも「NO2のバックグラウンド濃度は環境庁の中期展望に基づき推定した。」と。首都圏中央連絡道の場合も、「二酸化窒素環境基準を下回るため影響は少ない。」こういうふうに、国の法律なりあるいは基準達成の見通しなりというものを各自治体がまともにこれを信用して、それで環境影響評価の中でもそのとおりうたってしまっている。区長からは、そんなことはできないでしょうと言われている。住民からも、それはうそでしょうと言われている。だけれども、環境庁の中期展望でもはっきりしているんだという、国の権限をかりて区長さんたちもだまし、住民もだまして、いわゆる公害道路を建設してきているのです、ずっと長い間。またこれに利用されるのですよ。  大臣局長は、二〇〇〇年には基準は達成しますというようなことを簡単におっしゃいますけれども、そのことがまたまた、都民でいえば六万数千名もの公害病認定患者を生んでいる。その責任は大変なんですよ。先ほども申し上げたとおり、時間が過ぎてから責任をどうとってくれるんだと言ったって、見通しが甘うございました、そんなことで済む問題じゃないんです、これは。ですから、その場その場の言い逃れというようなことはもうやめなさいよ。そして、科学的な根拠に基づいたデータなり見通しをはっきりやはり示すように、今からでも遅くないんです、努力してもらいたいうそだけはついてもらいたくない。  二〇〇〇年になったら、また皆さん変わられるわけでしょう。六十年と同じなんですよ。六十年に公約してできなかった、六十三年できますと言って公約してできなかった。今度は二〇〇〇年ですよ。二十年も公約をずっと破ってどんどん公害道路ができていく、公害病の患者は東京都内で二千人ずつ年々ふえていく、そうしておいて公健法の地域指定を解除して患者は切り捨てます、そんな環境行政ではだめです。その点を強く指摘して、私の質問を終わります。
  101. 小杉隆

  102. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今斉藤理事がかなり詳細にわたって質問をいたしましたので、後ろで聞いておりましたが、できるだけダブらないようにその部分は割愛をしながら質問をさせていただきます。最初に、地元の問題を取り上げながら法案審議に加わらせていただくことをお許しいただきたいと思うのです。実は、関係が大変深いものですから。  まず建設省にお尋ねしますが、私の住まいは川崎でありますけれども、御案内のとおり川崎というところは、東名高速道路、第三京浜、首都高、それに一般国道二四六、丸子横浜線、国道一号、国道十五号というふうに市域を横切る道路がたくさんございます。この際、そのそれぞれの一日当たりの交通量を教えていただきたいと思うのです。お答えをいただきたいと思います。
  103. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  川崎市内を通過します幹線道路の交通量という御質問でございますが、平成二年度の道路交通センサスというのをやっております。それによりますと、東名高速道路が十二万六千台、それから第三京浜道路でございますが、十万一千台、それから一般国道一号線、これが六万台でございます。それから十五号線につきましては四万二千台、それから首都高速の横羽線、これにつきましては八万五千台の交通量が通っているところでございます。昭和六十三年にその前回をやっておりますが、比較しますと、一一%程度の伸びということになっております。
  104. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今お答えいただいたほかに、先ほど申し上げましたように、一般国道二四六、丸子横浜線などもございます。つまり、私は知らないわけではないのですが、なぜ建設省にお答えをいただいたかというと、これは今度は環境庁にちょっと伺いますけれども、伺うというか意見を申し上げたいのですが、そのほとんどが通過交通なんです。  川崎というところは、御案内のとおりにウナギの寝床というようなことの表現がございますが、細長い地形です。そこにこんなにたくさんの車が一日実は通っているわけであります。その中には、全国でNOxワーストワンの川崎区の池上の道路もございます。全国でワーストワンですよ。その上に今度東京湾湾岸道路を建設をしているわけです。その湾岸道路の受け皿として川崎縦貫道路ができます。いわゆる一般国道四〇九号線であります。この東京湾湾岸道路は川崎のためでないのです、これはいわばナショナルプロジェクトですから。そういうふうに言いましょう。そのために、ある意味では川崎の市民はいろいろな犠牲を引き受けることに実はなっている。川崎は、さなきだに公害の町なんて言われまして、大変どうも苦しんできました。だから、そういう状況のところにまた新しい町題が起こるわけです。そして、SOxやNOxによるところの大気汚染による健康被害によって健康や生命がいまだにむしばまれているという状態が続いている。かつて川崎の伊藤市長はそういう状況に対応して、全国に先駆けてSOxの上乗せや総量規制によって市民の健康と生命を守るために努力された。それなりの成果をおさめてきました。今では公害対策全国一の町だというようなことも言えるようになってきました。  さあそこで環境庁にお尋ねしたいのは、NOx、の規制のために今度の法律が成立して、先ほど斉藤理事も言っていましたけれども、今まで公害対策の実績で地方自治体がやってきた上乗せやあるいは総量規制やそういうようなことについて全く権限が弱くなってくる。いわんや、自動車の走行規制あるいは通過交通量に対する独自の規制措置なんというようなことをとることはできない。いわば国の下請を都道府県知事あるいは指定都市の首長がせざるを得ない。こういうのは一体どういうことかということなんです。だから、私は今度の猿田さんの出された最終報告というようなものを拝見をし、いろいろ勉強してみて、公害対策について地方自治体が果たしてきた役割というものを考えるならば、もうちょっと自治体の権限についてきちんとした保障を環境庁が守ってほしかった、担保してほしかった、こう思いますが、その点について明快な御答弁を煩わしたい。
  105. 入山文郎

    入山政府委員 従来、各都道府県、地方自治体は、それぞれ独自の工夫をされましていろんな対策を講じてこられたことにつきましては、私どもも十分に承知をしているつもりでございます。今回の法律ができたことにより、今まで都道府県がてきたことが即できなくなるというようなことは私どもはないと考えておりますが、いずれにいたしましても、この法律を的確に実施することによりまして、何回も申し上げているようでございますけれども、国の各機関がそれぞれ協力をし合って、一体となって、さらにまた都道府県知事とも連携しながら強力にNOx対策に取り組んでいける、そういう枠組みができることになるというように私どもは考えているわけでございます。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それじゃ、確かめておきます、入山さん。地方自治体が上乗せあるいは横出し、結構ですね。それは保障しますね。あなた今そういう答弁をなさったから、今までのようにと言ったから。
  107. 入山文郎

    入山政府委員 私申し上げましたのは、従来いろいろ工夫をしながら各県が実施をしてきたようなそういった事業について、法律ができたからといって直ちにできなくなるものではないと申し上げたわけでございますが、少し具体的に申し上げますと、例えば自動車に対する排出規制のようなものは、今のところ、結局のところは自動卓の構造規制となるわけでございますので、そういった性格上、地域ごとに別々に規制をするといったようなことにはなじまないものでございます。したがいまして、車種規制とかあるいは単体規制とかといったようなものにつきまして、各県が独自の上乗せをやるというようなことはちょっと考えられないというふうに思っております。
  108. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 NOx対策中心にしてやるわけですから、例えば走行規制だとか通過量に対するコントロールというようなことは、それじゃやってもいいということですね。――まあいいや、もう答えなくても。  都道府県知事総量削減計画を策定する場合に、総量削減計画策定協議会で調査して審議する、こういうふうになっている。その協議会の構成メンバーに、特に国の機関を入れると言っている。国の機関は、恐らく運輸省なり通産省でしょう。そう考えていいですね。お答えください。
  109. 入山文郎

    入山政府委員 運輸省、通産省は当然でございますが、そのほか関係のある機関、団体等にも入っていただくというように考えております。
  110. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自治体の権限が埋没してくるわけですよ。この法案を見る限りにおいて、都道府県知事というのは事務局だけやれという仕事ですよ、どっちかといえば、リーダーシップであるよりは。そういうことを含めて、やはり危惧があるわけです。例えば僕なんかそういう危惧を感ずるわけです。だから私は、やはり今度の法律の問願点というのは、地方自治体というものに対する権限、それを結果的に、それはうんととはあえて言わないけれども、弱めることになっているという現実は否定することができない。その意味で、従来の環境行政の延長線から見ると問題があるなということを指摘せざるを得ないということだけ申し上げておきたいと思います。  それで、これでやりとりをしていてもなんですから、地元の問題にまたもう一遍戻りますが、これは建設省にお願いをしたいのですが、川崎縦貫道路の交通量に対して市長が実は手も足も出ないという状況である以上は、つくる前に対策をきちんとしておかなきゃならぬと思うので、若干御質問を申し上げたいと思います。  建設中の湾岸道路は、一日二十万台と言われていますが、これで何とか市内交通が若干減るのではないかというような期待もあるわけですけれども、一方で完成がずれ込むのではないかというような懸念も指摘をされています。平成六年予定どおりにできるかどうか、お答えをいただきたい。イエスかノーかで結構です。
  111. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 首都高速の湾岸線についての御質問でございますが、この湾岸線につきましては、現在千葉県市川市から東京都の大田区まで二十六キロ、それから横浜のベイブリッジ区間三キロ、この間が供用しているところでございます。  そのうち、東京寄りの大田区から川崎市の浮島地区を経ましてベイブリッジに至るまでの区間、通称湾岸の三期及び四期と言っておりますが、ここら辺につきまして現在全面的に工事が展開しております。特に、羽田空港の絡みでそれに合わせて供用を図ろうとしております湾岸三期の一部でございますが、東京寄りの側でございますが、その間につきましてはそれに合わせて供用開始を図りたいと考えております。  それから、その次のベイブリッジまでの区間につきましては、工事も全面的に着手しておりまして、先生お話しの湾岸横断道路とか、そこら辺のバイパスに合わせるべく事業推進しているところでございます。  ベイブリッジから南の区間につきましては、現在まだ用地買収も進めているところでございますので、これについてはむしろ用地買収を完了して工事に逐次着手していきたいといった状況で進めているところでございます。
  112. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 平成六年完成予定というのがあるわけでしょう。
  113. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 事務当局の中でいろいろ検討している案の中にそういうのもございます。なるべく我々もそういう方向でというふうに検討しているところでございます。
  114. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 できるだけ早くそこのところは、通過交通の問題が、海の方でございますから、市内の車が少し減るのじゃないかという願いも込めて申し上げたわけであります。  自動車排ガスによるところのNOxの濃度が三年間連続して全国ワーストワンということを、川崎の池上のことを申し上げました。環境基準が〇・〇六ppmなんですが、日平均で六十三年は〇・〇九三ppm、平成元年が〇・一〇五ppm、平成二年は何と〇・一〇二ppmという数字になっています。川崎市の公害部大気課の田中君という若い担当者などを中心にして研究をしまして、中央の遮断壁にツタ類を絡ませて緑の壁をつくって、それから道路の両側にクスノキやキンモクセイ、シラカシやサンゴジュなどを植えて、汚染大気の浄化と道路景観の改善に役立てることにしています。  私は、建設省にお願いをしたいのですが、こうした経験を第三京浜や東名、他の国道など既存の道路に生かすことができないかということを、これは別に特別に川崎ということを申し上げているわけじゃないのです。先ほどみたいに車が物すごく密集しているという状況のもとで、御配慮を願えるかどうかということを押さえておきたいと思いますが、いかがですか。
  115. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 道路の沿道環境保全につきましては、自動車構造の改善を基本としまして、道路構造の改善、土地利用の適正化、そういったような各種の施策を総合的に実施することが必要ではないかというふうに考えております。  建設省としましては、従来から既成市街地の沿道環境保全するための、通過交通を通すことが主体になるかと思いますが、バイパスとか環状道路の整備といったものを推進しております。そういったものとともに、既存の道路につきましては遮音壁の設置とか、高速自動車国道の周辺の住宅については防音工事助成、それから沿道法に基づきます沿道整備事業といったような事業推進しているところでございます。さらに、ゆとりと潤いのある道路環境の創出といったことのために、電線の地中化とか道路景観の整備、道路緑化の推進等にも努めているところでございます。  今後とも、沿道の御協力を賜りながらこれらの施策推進しますとともに、新たな環境対策技術の研究開発といったものにも積極的に取り組みまして、良好な生活環境の形成に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  116. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 佐藤さん、書いたものを読んでいるのじゃなくて、私の質問していることに答えてよ。遮音壁だとか防音壁というようなことだけじゃなくて、例えば大気汚染との関係で、汚染大気の浄化だとか景観の問題だとかということで緑のことをまじめに考えなさい、仏そのことを言っているのです。それに答えてくださいよ、いろいろなことを答えなくていいから。
  117. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、道路につきましてもゆとりと潤いといった観点もございまして、道路の景観とか道路の緑化の推進といったことにも十分努めていきたいというふうに考えております。
  118. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の言っているのは、汚染大気の浄化という役割を持っているということが実験的にデータが出ているわけですから、そういうことを含めて道路構造を見直してみるということが必要ですよということを指摘して、これは全国そうなんだが、具体的に川崎市内のそうした通過交通の地域についても御配慮願いたいということを申し上げているのです。よろしいですね。  それで、実はその縦貫について七つの接続道路ができます。これは、今申し上げた緑の環境対策なども含めたしっかりした対策をぜひ示してほしいな、こんなふうに思うのです。  それで、第二期工事区間というのは地下の構造になるわけだけれども、これは全国で初めての道路だというふうなことも言われていますが、NOxの環境基準達成を図るために、もう一遍言いますよ、NOxの環境基準達成を図るために脱硝装置の実用化、そしてその手法の実験をこれから行うということを伺っていますが、その状況をひとつお答えをいただきたいと思います。簡単で結構ですから。
  119. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 脱硝装置についての検討はどうなっているのかという御質問というふうに伺ってよろしいですか。
  120. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それと、もう一つは七つの接続道路の環境対策
  121. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 最初の七つの道路についてでございますが、これにつきましては、昨年の十一月十三日に川崎市当局側の考え方がまとまって、市議会に説明された結果がそうなっているわけでございます。現在、そういったことを踏まえまして、市と我々、県それから関係機関といろいろ協議を進めているところでございます。そういった中で、もちろん環境対策には十分配慮して対応していきたいというふうに考えている次第でございます。  それから脱硝装置の方でございますが、これは平成三年度より四年度にかけまして、現在、首都高速の湾岸線の東京湾トンネルの前後におきまして換気の実験をやっておる次第でございます。これにつきましては、そういったことで脱硝が図られるようになれば、今後それらの小型化とか、これらを実現するための諸施策等についていろいろ検討をこれから重ねていきたいというふうに考えているところでございます。
  122. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その一つのめどというか目標というのは、環境基準達成のためにということを前提にしてお取り組みをいただくというふうに理解してよろしゅうございますね。
  123. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 脱硝装置につきましては、私お答えしておりますのは一般的な問題としてお答えしておりますが、そういった方向で検討していくということでございます。
  124. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どういうことですか。
  125. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 環境基準にという方向、そういうことでございます。
  126. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 わかりました。わからないかもしれないけれども、大体そういうふうに理解いたします。  それで、実は佐藤さん、福島治郎吉さんという人が、これは大変有力者なんですけれども、第一期工事の区間で、最近、掘り割り構造に反対して、地下構造にしろと何遍も私のところへ陳情に来られるのです。この方は、若いころから社会事業などに大変活動されてこられた方だし、そのお気持ちがわからぬわけじゃないけれども、しかしもう環境対策を含めて計画はでき上がってしまっている、市議会でも満場一致で採択されてきたんだから計画変更というのは難しいということを申し上げているんだが、これはもう皆さんよく存じておられることだと思うので、この際、これに対する建設省の見解を承っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  127. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 先生指摘の区間につきましての構造につきましては、これまで沿道の土地利用を踏まえながら構造の形を決めてきております。そういったことで、現在構造の見直しとかいったものは考えておりません。ですが、今後事業を進めるに当たって、皆様方の御理解をいただくよう努力していきたいというふうに考えております。
  128. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私もよく話はするけれども、建設省も積極的に話し合って御理解と御協力をいただくように努力をしてほしいということを申し上げておきたいと思います。  それで、実はこの湾岸道路の法案審議のときに、私は建設大臣から公約をいただいたことがございます。受け皿である川崎縦貫が完成するまでは湾岸道路は供用しない、言うまでもないことだけれども、これはよろしゅうございますね。再確認を求めておきたいと思います。
  129. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 今お話しの横断道路ができてきたときに、その湾岸道路が……
  130. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いやいや、言うまでもないけれども、縦貫ができる前に横断は供用できませんね、受け皿ができなければ、ということです。
  131. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 縦貫道路といいますと、非常に長い距離になるかと思います。そういったことで、横断道路の受け皿となる部分につきましては同時に供用していくというふうに考えております。
  132. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうなると、これは建設大臣とやりとりしたことと食い違いますから、これはまた後ほど問題にさせていただきます。だってそうでしょう、横断橋ができてどんどん車が入ってくる。途中のところで車は両方に逃げなさいなんということを言ったら、川崎はふん詰まりの町になるよ。だから私は、縦貫ができるまでは湾岸道路の供用はあかんよ、そのとおりに理解しています、こうなっているわけです。はっきりしてよ、ちゃんと。
  133. 佐藤信彦

    ○佐藤説明員 先ほど湾岸道路の方で説明させていただきましたからそちらの方をちょっと省略させていただいたのですが、取りついてきまして、湾岸道路は、東京側とかそういうものはそれにあわせての方向で検討しているといった方向で……
  134. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 何言っているのかわからない。これはやぶ蛇みたいな議論になるからやめておくけれども、私のお願いしているのは、千葉県から車が入ってきます。千葉県の人もいるけれども、いや千葉だけじゃないよ、東北、北海道から来るわけだ。橋だけできた、湾岸はできた、車は渡した、受け皿の川崎の方は縦貫道路ができていない、そうしたらどうする。海の方へでも御案内するか、それじゃ。そういうことを考えれば、受け皿の道路、つまり縦貫ができるまでは湾岸の供用はしませんよというやりとりは私は予算委員会の分科会の中で、あるいはこの法案審議の中かな、大臣ともやりとりをしていますので、あなた、申しわけございませんがきちんとそれをお調べいただいて、そういうことだということで、もういいよ、あなた言わなくてもいいよ。知らないことをいろいろ言うと余計なことになっちゃ困るから。――それじゃ言おう。横断道、横断橋の対岸の千葉県選出の中村長官、あなたは今度の川崎縦貫のアセスについて建設大臣にNOxを含む五項目の意見書を出しておられます。大変御立派な環境影響評価についてという意見書です。これは出しただけじゃ困るので、ぜひ今後とも環境庁としてこれが本当に守られるように御努力をいただきたいというふうに思いますが、これは特に私ここであえて申しますと、「脱硝装置に関する調査研究を進め、その成果を踏まえて換気塔における脱硝装置等汚染物質の除去装置の導入を図る等環境基準達成が図られるよう事業者においても最善を尽くす必要があること。」などなど、大変御立派な意見書でございますので、環境庁を挙げて守っていただくというふうに受けとめてよろしいか、明確な御答弁をいただきたいと思います。
  135. 中村正三郎

    中村国務大臣 環境庁として意見を出させていただいたように守っていただくように、最善の努力をしてまいりたいと思います。
  136. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。それじゃ、序論みたいな形だったのですが、法案の具体的な審議に入らせていただきたいと思うのです。  先ほど斉藤さんも言っておられましたが、NOxの環境基準達成というのは、当初は昭和六十年、それが不可能になって六十三年を目標に中期展望、これも達成困難で新中期展望という経過を経て今日に至っているわけです。これは、私実は二十年環境委員会にかかわってきまして、そこに座っていらっしゃる方はほとんどいらっしゃらないときから環境基準のことはかなり厳しく言ってきました。それで、大丈夫ですということを何回聞いたことか。それは非常に難しい仕事だということはわかります。わかりますが、これは国民に対して、環境庁は一生懸命努力したけれども実現できなかった、申しわけない、おわびをする、国民の健康、生命にとってゆゆしい事態だと率直にわびるという姿勢は必要だと思いますが、いかがですか。これは長官がお答えになるのが一番妥当だと思います。
  137. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員仰せのとおり、政府公害防止施策を有効、適切に講ずることによって環境基準確保されるように努めなければいけないものでございます。大都市地域において二酸化窒素環境基準が未達成であるということについても、けさほどからいろいろな御議論がおり、またお答えもさせていただいておりますが、公害防止の任にある環境庁として責任を痛感しておる次第であります。  いろいろな原因がございました。先ほどから申し上げております単体規制の始まりが甘かった。ですから、私は当時岩垂先輩とともに環境委員会におりましたときに、岩垂委員と同じ立場でNOxの規制を早くしなければいかぬぞと言っていたのが今答弁する立場になったということでございますけれども、当時の状況からしてこれほどディーゼルがふえるということの見通しが甘かったこともあろうかと思います。そういったことを踏まえて今度の対策が出たわけでありますけれども、あらゆる手段を講じまして、今まで踏み込んだことのないところまでいろいろ提言をして、注意を喚起して、NOx、対策に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  138. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁は、先ほど斉藤さんとのやりとりでちょっと聞いていたのですが、そのほかにいろいろなものを読んでみますと、NOxの環境基準を二〇〇〇年におおむね達成するためには東京、神奈川などでNOxの排出量目標年で三〇ないし四〇%削減する必要がある、そのうちの一〇%ないし二〇%を車種規制でやる、数%を物流の合理化でやる、一〇%前後を低公害車でというふうに言っているわけでございますが、そのとおりかどうか。これはとてもじゃないけれども、非常に甘い数字だ。こんなことで二〇〇〇年というようなことを言っていると、またぞろおわびをしなければならぬということになりかねないと思うが、その科学的な根拠をお示しいただきたい。
  139. 入山文郎

    入山政府委員 車種規制あるいは単体規制等につきまして正確など申しますか数値計算等によりまして算出する予測値と、それからいろいろな事業の総合的な効果といったような形で出てくる効果とあるわけでございますが、後者につきましては、これから各関係の省庁で指針をつくっていただきまして、それに基づいて最も効果的な手段を講じていただくということでございますので、今から正確な数値としての予測をすることはできない、先ほど申し上げました数値につきましては幅を持たせた形で答弁させていただいたと思いますが、そういう格好になろうかと思います。  しかし、私どもは、先ほどもちょっと申し上げましたが、環境庁としてもいろいろな形で関係の省庁に対しまして要請もできる、あるいはまた都道府県知事の申し入れ等につきましても要請することができるということになっておりますので、効果的な方法につきまして実施の段階で詰めてまいりたいと思っているわけでございます。
  140. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 では、「総量削減基本方針」というのがこの法案の中にありますけれども、目標というのは環境基準達成を目指していると思うのだけれども、そう思ってよろしゅうございますか。
  141. 入山文郎

    入山政府委員 基本方針で述べております「削減に関する目標」でございますが、これは環境基準をおおむね確保することを記載することになろうかと存じます。  ここでおおむねと言っております意味でございますが、この法案で導入をいたしました地域排出総量を抑制する施策のみでは環境改善を図ることが困難であって、むしろ道路構造の改善等の局所的な対策を講じていくべき地点、こういった例外的なと申しますかそういう地点が残るわけでございますが、そういったものを除いて達成することを考えているという意味合いでございます。
  142. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あなた任せみたいなことをおっしゃっておられるのだが、できそうもない目標を立てて、そこのところを逆算して目標基本方針を決めて、一体どうなるのだろうかということが本当に心配です。おおむねというのは本当にどの程度のおおむねなんですか。
  143. 入山文郎

    入山政府委員 なかなか、どの程度かとおっしゃいますが、表現しにくいのでございますが、先ほど申し上げましたように、こういった総合的な対策を講じてまいりましてもどうしても残る部分が、非常に狭い範囲ではございましょうがあるだろうということを想定いたしまして、一〇〇%ではないという意味でおおむねというような言い方をさせていただいているわけでございます。
  144. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも私、八〇%もおおむねだし、大体四捨五入すれば五入の方はおおむねに入るみたいなことだってあり得ないことじゃないので、これはちょっと科学的に、御努力はわかるけれども科学的にどうもたえられないという感じがしてしょうがないのですよ。だから、やはりそういう議論をきちんと、シミュレーションなり何でもいいですからやって、そしてこういうことですよということを確信を持って言ってくださいよ。入山さんが確信がないとおれだって確信持てないよ。おれが確信持てなきゃ、国民一般もですから、やはりだめだわ、それは。そして、おれだけにしんどい規制をするのかみたいな議論だけしか出てこない。その点はやはりきちんと、環境基準をどういう形でクリアしなければいかぬ、ついてはこういうことでということを、もうちょっときちんとした科学的な根拠を示していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
  145. 入山文郎

    入山政府委員 おおむねということで先ほども申し上げたわけでございますが、そういうものが残ったからそれはそれでいいのだということでは決してございませんで、そういった別の対策解決しなければならないといったことにつきましても私どもは認識をいたしております。これにつきましては、例えば長期目標達成による効果でございますとかあるいは局所的な対策、あるいは部分的な乗り入れについての規制といったようなことも考えられるかもしれませんが、そういったことも含めて今後の問題として詰めてまいりたいと思っております。
  146. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 法律を早く出したいという気持ちはわかる、UNCEDもあることだし。だけれども、やはり法律を出す以上は、ある程度きちっと国民が理解をし、納得をし、そしてそれに取り組む。これはある種の国民運動ですよ。そういうものとして受けとめられるような根拠をきちんと示してほしかったな、こんな感じがいたします。  そういうやりとりをしていてもどうにもなりませんから、次に移りますが、特定地域というのはどこを想定していらっしゃるのかということをお尋ねしたいんですが、固定発生源に係る総量規制地域と全く同じなのか、それとも多少出っ張るのか。例えば、私の選挙区のことばっかり言って申しわけないのですが、例示として御理解をいただきたいと思うんですが、川崎、横須賀も今の状況で言えば、環境基準は大変厳しい状況です。鎌倉はともかくとして、逗子はこれも厳しい状況だというように、かなりむらができできます。それはしょうがないことだろうというふうに思うんですが、そういう場合に何を基準にしてそれをお決めになるのかということがちょっと、政令事項ですけれども、お示しをいただきたいと思うんですが、一般環境大気測定局のデータなのか、あるいは自動車排出ガス測定局のデータなのか。自動車だろうというふうに私は思うのですけれども、そんなふうに理解してよろしゅうございますか。
  147. 入山文郎

    入山政府委員 大体そのようなことでございまして、私ども考えておりますのは、自動車交通の集中している地域であるということが一つの条件でございます。それから、従来の対策だけでは環境基準確保は困難であるといったことがございます。こういった二つの条件にはまるようなところであって、都道府県知事意見を聞いた上で指定をしてまいりたいと、これは政令で定める事項になるわけでございますが、考えているわけでございます。
  148. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大体、例えば県はともかくとして、市町村単位というか行政区画というものが一つの境目になるということだけは、従来の公害健康被害補償法とはちょっと違った決め方だというふうに理解してよろしゅうございますか。
  149. 入山文郎

    入山政府委員 固定発生源に対する総量規制地域というものを私ども一応基本に考えているわけでございますが、それにプラスしまして、その周辺の一部の地域が加わることになろうかと存じます。その場合、市町村の区画になるのかあるいはもう少し違う区切り方があるのか、いろいろ考え方あろうかと存じますが、そういった点につきましては、これからまたさらに詰めてまいりたいと思っております。
  150. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これはなかなか余り細切れにできないことだとは思いますけれども、その点の配慮は、ある意味で市民の公平といいましょうか、そういう観点というものも御考慮いただきたいなというふうに思っています。  これは、排出基準の設定が、私は環境庁設置法からいえば環境庁長官がやるべきだと思うけれども、それが内閣総理大臣になっている。これは環境庁長官には請求する請議権がないというようなことも口実では言うんだけれども、おかしいんですよ、これは。主管大臣なんです。胸張ってやるべきです、それは。つまり、そうだというと、環境省、環境大臣にしなければ環境問題はできないみたいな議論になっちゃう。主管大臣なんです。設置法がそのことを、調整官庁としても位置づけているんです。この点は、やはりちょっと私はよくないというふうに思いますが、こうなってしまったらどうにもしょうがないと思うけれども、思いのたけをちょっと述べていただきたい。
  151. 中村正三郎

    中村国務大臣 実は私が環境庁長官を拝命いたしましたときは、ほぼこの法律の骨格ができておりまして、私が余り発言する機会がなかったんでございますが、調整官庁という意味で、総理と一体のものであれば、総理でもよろしいのではないかとも思いますが、いろいろ今まで議論してまいりまして、私どもはこれから環境行政を進めていく上にはどうしても環境庁の組織、体制の強化というのはお願いしなければならぬことだというふうに感じます。やはり調整官庁としてでき得ることの限界ということがございます。その許された中で最大限のことをやろうという努力をさせていただくわけでありますけれども、やはり将来のことを考えますと、環境基本法というようなものがあって、その中にアセスメントがありいろいろな法律があるという法体系から整備して、やはりまず環境を大切にし、それを組み込んだ社会経済体制をつくるんだという国民的コンセンサスに基づいた法体系から組織のあり方、政府のあり方まで変えてまいりませんといけない時代に入ったなというふうに思っているわけであります。岩垂委員から思いのところを述べろということでございますので、そういう方向環境庁の組織、体制の充実強化ということに進んでまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  152. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 続いて質問いたしますが、特定地域に流入する規制車のチェックの方法、さっきもやりとりがございましたが、ステッカーがだめなら今後とも何かそういう方法というのを検討す省とお約束いただけますか。別に被害者と加害者の関係を言うつもりはありませんけれども、それはやはりその辺の区別をきちんとしなければいかぬというのが今後の課題だというふうに受けとめてよろしいですか。
  153. 入山文郎

    入山政府委員 流入車の問題につきましては、検討会におきましても相当突っ込んだ議論が交わされたわけでございます。その結果、考えられる手段としてはどうもやはりステッカー方式しかないというようなことでございまして、それではそのステッカー方式を採用した場合にはどうなるかということで議論を詰めたわけでございますけれども、これも先ほど来申し上げておりますようなことでなかなか現実的な手法ではないということで、最終報告書からはそれが抜けだというような形になっているわけでございます。  流入車の問題につきまして、私どもそれはそれでいいんだと言っているつもりはございませんで、やはりいろいろな形で、それは先ほど申し上げました国民の自覚とか責務とかといったような面からもPRをしてまいりたいと思いますし、今後の問題として検討はしてまいりたいと思っております。
  154. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは環境庁と、建設省もおられるからもし時間があればお答えをいただきたいと思うけれども、幹線遺路をつくるときに、これは大臣も聞いておいてください、御存じのアセスというのがあるのです。問題のあるアセスですが、要綱アセスだけれども、しかしその中でもいわゆる適正交通量というのは示されるわけです、道路をつくるときに。大体大型何台とか小型何台というのが計算されているわけです、こういう道路でこれだけ通りますよと。ところが、その道路ができるとそんなものは全く無視されてしまって無制限に通るという形になるわけですね。やはりそれはアセスの問題とも関係があるが、道路ができてしまったらもう無制限というようなことになったのでは何のためにアセスをやったのか、何のための適正交通量なのか、これはあかんです。本当は総量規制というのはこういう観点を重視しながら、すぐはできませんよ、しかしだんだん緩やかにでも適正交通量と言われるところへ導いていく、非常に難しいけれどもそういう行政的な対応が必要だと思う。この点は環境庁、どんなふうに考えているんでしょうかということをお答えいただきたいと思います。
  155. 八木橋惇夫

    ○八木橋政府委員 アセスにつきましての御質問でしたので私からお答え申し上げますが、先ほど先生がお触れになりましたアセスにつきまして、私どもは五つの条件を出したということは先生お触れになったところでございます。おっしゃられるように、環境アセスメントを行った事業につきまして、そのアセスの信頼性を高める上におきましても、またもう一つはアセスの手法なり予測の手法また調査の精度を高めるため、またさらには適切な環境対策を行うという点におきましても、実際に行われた事業と事前にやりました予測がどういうふうに対応するかということは極めて重要なことから、御指摘のございました川崎縦貫道路事業につきましても……(岩垂委員「川崎だけじゃなくて」と呼ぶ)いわゆる一般論として申し上げますが、必要に応じまして事後的に、またはやっております事業の最中に環境監視等を行っていくということが非常に重要な問題だと考えております。
  156. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは今、企画調整局長に縦貫について言っていただきましたからそれで大変結構だと思うんですが、これは道路一般なんです。例えば国道四十三号線の訴訟の高裁判決というのは、私はやはりこれまでの道路行政に対する頂門の一針だと思うのです。と申しますのは、従来は道路について言うと、建設省の側は、それはメーカーやユーザーにも責任がある、だから道路管理者だけの責任ではないという立場から、どちらかというと否定的にこれを受けとめてきた。ところが今度の判決は今までとちょっと違うのですね。確かに差しとめ請求というのは棄却されましたけれども、例えば生活妨害などを含めて、あるいはNOxの直接的な困果関係ではなくても、精神的な意味を含めて直接、間接の被害というものに対する損害賠償というものを命じているわけです。これは道路設置時の過失及びその後の管理上の手法、管理上のいわば手落ちといいましょうかということを判決の中にも指摘をしているわけでございまして、こういう道路というのは環八、環七、川崎産業道路などを含めて全国に十本ぐらいあると言われていますね、四十三号と大体同じようなもの。それから環境基準と言われるものをクリアしていない道路というのは八〇%。だから道路の側から、道路自身がいろいろな意味で環境基準を、道路を通る車が道路環境基準に対して、非常に環境基準達成の妨害になっているということもありますが、道路自身の構造を含めてこの際、道路行政のあり方というのを真剣に考えていく必要があるというふうに私は問題提起をしておきたいと思います。これは佐藤さんに御答弁を煩わしてもちょっと大変だと思いますから、ちゃんと受けとめておいてください。  中村長官、ディーゼルの例の平成元年中公審答申の長期、短期ですが、短期はクリアできるということをこの間も聞きましたけれども、長期は前倒しする可能性がありますか。
  157. 中村正三郎

    中村国務大臣 この間、先日でございますが、ディーゼル自動車メーカー技術屋さん、社長さんたちを呼びまして要請をいたしました。そして私は工場視察に行って、そこでも要請をし見学をしてまいりましたけれども、まさにNOxの排出量で非常に困難をしておられる川崎に参りまして、その川崎に最大のいすゞ自動車の工場がある。そこを拝見してきたわけでありますが、端的に申しますとなかなかはっきりしたことが言えないということでございました。でありますから、その理由一つになっております石油の中の硫黄分削減しなければいけない。その要請をこの間石油業界にいたしまして、こちらの方は五年以内でやるということでお約束をいただきまして、通産省にお願いして今その対策を急いでもらっているところでございます。
  158. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 やはり前倒しをしませんと、つまり十年待っているという感じじゃなくて、そんなことはないと思うけれども、例のNOxの規制のときと同じように相当追い込んでいかないとこれはなかなかできないことだと思いますので、言うまでもないことですけれども、その点は御努力をお願いをしたいと思います。  問題は、NOxの汚染寄与率の高い軽油の税率がガソリンの税率よりも低いというのは何とかしなければ、とにかくこの間ちょっと調べてみたらディーゼルが物すごくふえていますよ。ふえている理由は、確かにちょっと高いことも高いけれどもランニングコストが安いから、それからちょっと長もちするということもあるでしょう。これを考えないとどうにもなりません。それは環境白書にも、それから皆さんの御指摘の中にもあるが、これはどうやって切り込みますか。これをぜひ御答弁をいただきたいと思うのです。このままにしておいたのではだめです。
  159. 中村正三郎

    中村国務大臣 まさに御指摘、一〇〇%そのとおりだと思います。私も先ほどから申し上げますように関係者でありますので過去を調べてみました。そうしましたら、昭和四十年ごろまではバスもトラックもガソリンを使っておりました。三十年ごろからディーゼルが出てまいりました。そして、そのときの事情を調べましたら、ディーゼルエンジンは加速が悪い、そして振動が多くて悪いガスを出すというので運転手が嫌がりまして、ストライキされそうな状況もございました。にもかかわらず、なぜディーゼルにみんな切りかわっていったかというと、安いからであります。理由はそれだけでございます。そして、しかも悪いことに、最初は副室式のバス、トラックが多かったのですが、その後安いということで、馬力も出るということで全部直噴式に変わっていって、今でかいものはほとんど直噴式だということでございます。そこでまたもっと悪いことは、安いということで乗用車までディーゼルを使うようになって、どんどんそれがふえていく。  これは結果的に見れば、環境という視点からいえば、環境を結果として悪くしている税制と見る以外はないわけでございまして、これを何とかしてもらわなければいけない。しかしながら、先ほどから申し上げておりますような環境庁の限られた権限でございますので、今まさに委員指摘のところをどういうふうにしてやっていけばいいかということで頭を悩ましているわけでございます。そして、こういったことを環境白書に入れられないかとか、どういうふうにして他の省庁に働きかけたらいいかとか、また、悪いことに、委員御存じのとおりガソリン税の高い方は国税であります。それで安い方は地方税であります。しかも、ともに特定財源でございます。ですから、この税率の調整をしない限り、自由経済を守る以上、ディーゼルはふえ続けると私は思うのです。これを生産制限とかそういうことでやるよりか、やはりこのアンバランスの原因となっているところを直さなければいかぬ、これが私は根本問題だ、認識は全く同じでありますが、これからいろいろ勉強してまいりますので、委員の御支援も賜りたいと思っております。
  160. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ぜひ、この問題を抜かして問題の解決はないと私は思います。  最後に、もう時間がありませんから、大変申しわけなかったのですが、運輸省、通産省の皆さんにも低公害車開発状況などの御質問をしたかったのですが、恐縮です、時間がございませんのでそれば後日に譲りたいというふうに思います。  ただ、最後に、アメリカのカリフォルニア州で、二〇〇三年ですけれども、低公害卓、無公害車を一〇%の販売を義務づける、これはカリフォルニア州だけではなくてニューヨーク州やペンシルベニア州などを含めた北東部の各州が追随する動きがある、こういうことを指摘をしています。  これは環境委員長もあるいは中村環境庁長官も御出席になっていらっしゃると思いますけれども、例の「地球環境日本と米国の役割」の日米環境セミナーの中で、これは非常におもしろいというか大事な問題提起があるなと思うのは、アメリカの方のワシントン政策分析研究所が出している資料によれば、   自動車メーカーにはカリフォルニアの動きを無視する余裕はない。カリフォルニアでは年間百七十万台の自動車やトラックが販売され、カリフォルニア市場を上回る市場は世界の七つの国だけである。電気自動卓が人々の人気を博すまでにはなお少々の時間がかかりそうだが、カリフォルニア州が大気の質の改善にコミットしたことは、今後、一連のインセンティブの設定につながる可能性があり、それが電気自動車の魅力をかなり高め、場合によっては立法による目標を上回る電気自動車需要を生みだすことも考えられる。また、カリフォルニアの自動車市  場はきわめて競争が激しい。そこでは日本自動車メーカーが五〇%の市場シェアを占めており、また、車両メーカーは競争相手に対して少しでもシェアを譲ることに抵抗を感じている。  最後に、カリフォルニア州の議員は現在、さらに厳しい規制を行うことさえ検討している。 云々、こう書いてあるわけですね。  そして、しかもビッグスリーはアメリカのエネルギー庁ともナショナルプロジェクトをつくって、電気自動車開発に全力を挙げているという状況である。  私は、この状況というのは、日米関係、特に経済摩擦などを含めて重大な問題をはらんでいるおそれがある。これはアメリカの場合はインフラの整備などを含めて、バッテリースタンドの整備などを含めてかなりやっている。日本はその点の体制はまだまだ十分でない。そういう意味では、やはり環境庁通産省や運輸省やそういうところとも連携を密にしながらどうするか。その場合に大事なことは、役所だけじゃなくて国民的な運動として、低公害車というものが私たちの生命や健康にとってどんな意味を持っているかということをもっと積極的にPRをし、それに対するコンセンサスをつくっていく努力をしなければいかぬ。場合によったら国民協議会みたいなものをつくって、本当に今の自動車というものはある意味で被害者で加害者なんです、お互いは。ということなどを含めた対応が必要だと思うけれども、環境庁長官がこの点でイニシアチブをとる勇気があるかどうかということについて最後の御答弁を煩わしたいと思います。
  161. 中村正三郎

    中村国務大臣 やはり環境問題というのはいろいろな総論賛成、各論意見ありということを惹起しやすい分野でございますので、環境問題に対する対策を進展さしていくためにはやはり国民のコンセンサスがなければできないと存じております。その面でいろいろなPRでございますとか環境教育をお願いするとか、そういうことは勇気でなくて、これはやっていかなければいけないことだと存じておりまして、就任以来力を入れさせていただいているわけでございますけれども、やはりその視点というものが、従来のように、汚い水はいけないよ、ごみは捨てません、きれいな空はいいですよというようなことではなくて、もう一つ踏み込んだ、環境をきちっと保ってよくして、そして次世代に良好な環境を送っていくことが一つ国民の義務なんだというようなところから発するような大きな意味での環境問題に対するPR、教育等を推し進めてまいらなければならないと思います。  そして、今アメリカの話がちょっとございましたけれども、その場合トータルのエネルギー効率をちょっと見ていただきたいと思うのです。日本はこれだけの工業生産をやりながら、CO2の発生は四・七%、アメリカはいろいろな風力発電なんかやっていますけれども、世界の四分の一のCO2の発生をしている。その中で御努力をされているわけであります。日本電気自動車技術的にはアメリカにそう劣るものではない、むしろすぐれたところもあるのかなとも思わせていただいているところでありまして、先生指摘のような方向環境庁も頑張って、そうした低公害車の普及に努めてまいりたいと思っております。
  162. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもありがとうございました。  質問しないで本当に申しわけございません。
  163. 小杉隆

    小杉委員長 斉藤節君。
  164. 斉藤節

    斉藤(節)委員 公明党・国民会議斉藤でございます。  我が党は前々から大気汚染の問題につきまして環境庁そのほかいろいろ関係省庁に対しまして、早くこの大気汚染改善できるような方法を講じるべきである、また法案も早く提出すべきであるというようなことをいろいろと提言してまいったわけでありますけれども、ようやくこのたび自動車から排出される窒素酸化物特定地域に、おける総量削減等に関する特別措置法案というのが出されまして、私たち一応こういうものが出されたということに対しまして評価しているわけでございます。しかし、この法案を読んでまいりますといろいろ不安な点もございまして、その辺を何とか委員会においてお聞きしまして、万全を期していっていただきたい、そんなふうに考えまして質問申し上げるわけでございます。  まず最初に、この条文の中にあります「目的」でございますけれども、「国民の健康を保護するとともに生活環境保全することを目的とする。」このようにあるわけでありますけれども、これまでに環境庁におかれましてはいろいろと健康状態の調査をしてきておられると思うわけでございます。特に最近出されました学童の健康状態と大気汚染との因果関係について得られた結果が報告されておりますけれども、これについて概略御説明願いたいと思います。
  165. 入山文郎

    入山政府委員 御指摘の調査の結果でございますが、ぜんそく様症状の発現にアレルギー等の因子の介在が示唆されていること、あるいはまた原因特定をより困難にする要因も指摘されているということがございます。そんなことから、この調査結果からは、必ずしもぜんそく様症状の原因というものを特定することはできなかったということが一点ございます。  しかし、このぜんそく様症状の新規発症率というものにつきまして調べたのでございますが、二酸化窒素濃度の九年間の平均値が三OPPb、まあ環境基準のところに相当するわけでございますが、を超過する地区は、それ以下の地区よりもぜんそぐ様症状の新規発症率が高いという傾向が見られております。したがいまして、大気汚染と何らかの関係を有している可能性は否定できないということでございます。そういったことから、二酸化窒素の年平均値につきまして三OPPb以下を達成し維持していくということが望ましいということが示唆されているわけでございます。二酸化窒素環境基準はまさに早期達成すべきものであるというふうに思っております。
  166. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ここでちょっと横道にそれまして、通告になかったわけでありますけれども質問を申し上げますと、環境基準とは一体何かということですね。達成されなければまたさらにその基準を緩和するとか、あるいは達成する期日を決めておいて、達成されなければ延長するといったようなことで、先ほど社会党の斉藤一雄委員の方からも言われたが、昭和五十三年には〇・〇二ppmであったその基準が〇・〇四から〇・〇六ppmに変更してしまったというようなことであれば、基準とは一体何だろうかという疑問を持たざるを得ないわけでございます。もしそのように変更が自由にと言ったら語弊がありますけれども、変更することができるのであれば、これは基準じゃなくて単なる数字じゃないか、都合のいい数字じゃないかというふうに思わざるを得ないわけですけれども、その辺いかがお考えですか。まず環境基準て何でしょうか。
  167. 入山文郎

    入山政府委員 まず環境基準でございますが、これは公害対策基本法に定めているものでございまして、人の健康を保持する上で維持されることが望ましい基準でございます。私ども、この環境基準につきましてはできるだけ達成するように努力をしているわけでございますが、また、この基準の見直し等につきましては、その時点での最新の科学的な知見をもって対処するということにしているわけでございます。
  168. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今局長御答弁されたとおりだろうと思うわけでありますけれども、この大気汚染健康影響継続観察調査報告の概要というのが局長の大気保全局企画課から出されております。これは私資料いただいております。この中の二に「経緯」というのがありますけれども、この「経緯」のところで最初に書いてある「環境基準は、人の健康を保護し、及び生活環境保全する上で維持されることが望ましい基準として、公害対策基本法に基づき設定されているが、この基準については常に適切な科学的判断が加えられなければならない。」今局長の御答弁のとおりだと思うのです。じゃ、この科学的判断のもとに、いわゆる昭和五十七年に基準を緩めたんですか。その辺いかがですか。
  169. 入山文郎

    入山政府委員 昭和五十三年でございますけれども、その時点での蓄積された科学的な知見を総合いたしまして、より適切なものに変えたのでございます。
  170. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大変失礼な質問で申しわけないと思うのでありますけれども、しかし、科学的基準で、このぜんそくあるいはぜんそく様患者がだんだんとふえてきているということは、私はこれは嘆かわしいと思うわけです。ですから、どういう科学的基準か知りませんけれども、学童の健康が悪化するような基準であってはならない、このように思うわけでございます。そういう点で、今この法案が通過しまして実施された場合おおむね環境基準達成するということでございますけれども、この学童の健康状態は十分改善されるとお考えになっておられるのですか。
  171. 入山文郎

    入山政府委員 ぜんそく等につきましては、これはいわゆる原因が非特異的な疾患ということでございまして、はっきりとした原因がわかりません。いろんな要素があるものと思われます。また、二酸化窒素との因果関係というものもこれは明確ではございません。しかしながら、大気汚染がこのぜんそく様症状と何らかの関係を有している可能性というものは、これは先ほども申し上げましたが、否定できないということでございまして、そういう知見から判断をいたしますと、環境基準達成することによりまして少なくとも二酸化窒素国民の健康に悪影響を与えるおそれというものはなくなるのではないかと思っております。まあすべてのぜんそくがこれでなくなるということではないとは思いますが、そういうことでございます。
  172. 斉藤節

    斉藤(節)委員 確かに二酸化窒素による原因によってかかっていたぜんそくというのは少なくなるであろう。しかし、これは因果関係はっきりしないと言われますけれども、今も局長が御答弁されましたけれども、環境庁で調査されました報告書の概要では三OPPbですね、先ほども述べられましたように。〇・〇三ppmですけれども、これを超過する地区は三OPPb以下の地区よりぜんそく様症状の新規発症率が高い傾向が見られた。したがって、大気汚染と何らかの関係を有している可能性は否定できず、NO2の年平均値について三OPPb以下を達成し、維持することが望ましいことが示唆された。このように先ほども答弁されたとおりでありますけれども、三OPPbといいますとこれは、環境基準は平均値ですね、〇・〇四から〇・〇六ppm、これは年平均ですね。一時間当たりが今の値ですね。三OPPbというのは、これはどこを言っているわけですか。何か環境基準に合っているということを言われましたけれども。
  173. 入山文郎

    入山政府委員 環境基準でございますが、これは一時間値の一日平均値で定めているわけでございます、御存じのとおりでございますが。一日平均値の年間九八%値というものがございます。これと年平均値というものが非常に高い相関関係と申しますか関連性があるわけでございます。一日平均値で決められた環境基準、これが〇・〇四から〇・〇六ppmということでございますが、これを年平均値に、もちろん厳密な意味ではそういうことにはなりませんが、この年平均値に直しますとおおむね二〇から三OPPbという数字になる、そういうことでございます。
  174. 斉藤節

    斉藤(節)委員 この報告書によりますと、三OPPbというところに線が引かれていますけれども、そこの発症率が非常に高いんですね。どのあれを見ましても非常に高い値を持っているということで、やはりこれ三OPPb以下にあるいは二OPPbぐらいに抑えるぐらいのことをしないと、ほかの要因もあるわけでありますから、むしろ窒素酸化物による病状というのはそれによって軽減されたかどうかわからぬと思いますよ。そういう意味で、やはり二OPPbぐらいに下げるんだということにしないと、あくまで環境基準達成だけ言っているのではあるいはなまぬるいのじゃないかな、そんなふうに私は思いますが、その辺、いかがですか。
  175. 入山文郎

    入山政府委員 私どもは、この環境基準とただいま申し上げました調査の結果を結びつけまして現行の基準が妥当なものであるということを確信しているわけでございますが、それは低ければ低いほどいいという考え方もまたあろうかと思います。しかし、先ほども申し上げましたけれども、いろいろな最新の科学的な知見をもとに私ども最も妥当性の高いと申しますか、そういう値をもって環境基準としているのでございますから、現在はそういう現行の環境基準を否定すると申しますか、変更しなければならないというような知見は見当たらないというように考えております。
  176. 斉藤節

    斉藤(節)委員 これは通告の中にはありませんでしたので御答弁要りませんけれども、この報告の経緯の中に「年度毎に対象者が変わる断面調査であり、対象者の健康状態の経時的変化を観察できなかった。」とありますね。これはもうやはり研究していく上には、経時変化あるいは経口変化というのは非常に私たちも大事にするわけでありますけれども、そういう点でできないというのは、学童は毎年毎年かわっていくわけですから困るわけですけれども、これはせめて重症患者、学童の中でぜんそくが非常に激しいとかぜいぜいいうとか、あるいはそういう激しい患者については追跡調査、いわゆる小学校から中学あるいは高校または卒業してしまうかもしれませんけれども、これがどうなっているかという追跡調査をするぐらいの意気込みがなければ本当に因果関係というのははっきりしないと私は思うのですね。その点、要望ですけれども、追跡調査をやってみていただきたい、そんなふうに思うわけであります。  そこで、次の質問に移らせていただきますけれども、この法案には先ほどもいろいろ指摘があったわけでありますけれども、例えば「協力しなければならない。」とか「努めなければならない。」あるいは「定めなければならない。」とか「定めることができる。」あるいは「要請することができる。」「求めることができる。」などいわゆる強制力のない言い方が多く見られるわけです。これは法案の性質上そうなってしまうのではないかと思いますけれども、この法案は御案内のように罰則がない法律でありますから、果たしてこれが施行して守られるかどうか、その辺非常に私は危惧を抱くわけでございます。その点、これは十分に守られるというふうに断言できるのかどうか、お尋ねしたいと思うのです。
  177. 入山文郎

    入山政府委員 御指摘のように、何々しなければならないといったような強制的な表現はないわけでございますが、その実質的な内容といたしましては、例えば特定自動車規制で申しますと、遵守しなければ道路運送車両法の仕組みを通じて罰則が課せられるということが一方においてあるわけでございます。したがいまして、自動車の運行ができなくなるといったことでございますが、これは非常に強制的な規制に実質的になっているわけでございますが、そういった部分もございます。そのほかにも、いわゆる責務規定などのように強制を行うことが適当でないものにつきましては、これは表現自体がそのような形になっているわけでございますけれども、御指摘趣旨は十分に踏まえまして、法律全体が十分北尊重され守られるように意を配ってまいりたいと思っております。
  178. 斉藤節

    斉藤(節)委員 局長がそのように十分守られるということを断言されたわけでありますから、将来にわたって保障していただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  そこで次に、また質問を変えますけれども、車種規制効果がどのぐらいあるのか、そのことをお尋ねしたいと思うわけであります。  環境庁のこれまでの報告によりますと、車種規制で二〇%、そのほか物流の合理化、低公害車の普及などで基準達成が可能だ、このように述べられているわけでございます。先ほどもちょっと出ていましたけれども、東京都の試算によりますと、二〇〇〇年度の都内のNOxの排出量、これはシミュレーションしたのでありますけれども、三万七千八百トンと推定しているわけでございます。これには、車種規制効果が三千トンで、二〇〇〇年度の排出総量に占める割合が七・九%、それから車一台一台の排出量規制する単体規制強化で一一・九%、四千四百九十八トン、それから低公害車の普及拡大で四・二%、千五百七十八トン、合計二四%ぐらい見積もっているわけでございます。どのように見積もっても、それはあくまで予想でありますから、問題は果たして本当に環境基準達成されるかどうかということが重大であるわけでありまして、環境庁さんで言っております物流の合理化あるいは低公害車の普及などで基準達成が可能であるということについての具体策といいますか、それをお示し願いたいと思うのです。
  179. 入山文郎

    入山政府委員 御指摘のように、私ども、低公害車の導入によりまして上限で一割程度は削減可能である、また、物流対策によりまして同程度の削減が見込まれるというような試算をいたしておりますが、例えば低公害車の導入ということにつきましては、先ほどもちょっと申し上げたのでございますけれども、西暦二〇〇〇年ごろには二十万台ぐらいに車がふえていくであろう、そういうような持っていき方をしようということが一つございます。それから、税制の面等でいろいろなインセンティブと申しますか奨励策を講じていきた。いと思っております。現在既に一部実施しているところでございます。それから、自治体等がそういった低公害車を導入する場合には導入助成といったようなことも現に実施いたしておりますが、こういった助成策等につきましてはこれから一層充実させていきたい、こう考えております。それから、物流対策等につきましては、これは所管の省庁におきまして指針をつくって実施をしていただく、こういうような法律の仕組みになっておりますので、実施の段階で私ども環境庁としてもいろいろな意見等につきましては申し上げることができるということになっているわけでございます。できるだけ立派など申しますか効果的な指針をつくっていただき、それを実行していただくということを私どもこれからも要請をしてまいりたいと思っているわけでございます。
  180. 斉藤節

    斉藤(節)委員 この法案の中に事業所管大臣ですか、ちょっと今ど忘れしましたが、主務大臣の中に入っています、例えば通産大臣ですね。通産省でいわゆる指針をつくるわけですけれども、それをつくられなければ、どんなふうにつくられるか、今局長が言われたように、しっかり環境庁の要望を入れるということでございますけれども、この今のあれによりますと、物流によって環境基準達成させるのだという、物流だけではなくて物流も入れて。その指針ができないのにそういうことを述べているというのはちょっと私は早いのではないかなと思うのですけれども、物流の指針はどんなふうにつくられるのかわからぬわけですね。環境庁意見は述べるのでしょうけれども、まだないわけですから、そういう点で非常に心配だなという気はするわけです。その辺十分、今局長答えられたように、本当にこちらとしてはこういう物流体制をとっていただきたいんだ、でないと環境基準達成は難しいんだ、そういうある程度ごちらの腹案といいましょうか案を持って指針をつくるときに要望しないと、通産省の都合のいい物流システムをつくってしまうかもしれないわけですね。その辺しっかりとやっていただきたいなと要望しておくわけです。  そこで、次は昨年の十月のNOxの抑制検討会の最終報告、ここには運送業者ごとの排出抑制計画を知事に提出すること、これは先ほども何回もやっておりますけれども、このようになっておったわけですけれども本法案では削除されているわけですね。これは一体なぜ削除されてしまったのか。これは地方自治体の権限を強化することが特に必要だと私は思っているわけですけれども、なぜ削除されてしまったのか、御答弁願いたいと思うのです。
  181. 入山文郎

    入山政府委員 最終報告に盛り込まれておりました事業者計画制度でございますが、これは自動車から排出される窒素酸化物排出を抑制するために、特定地域内の一定事業者を対象として物流の合理化等の取り組みを求めるという制度でございますけれども、物流の合理化を効果的に進めるためには、特定の事業者だけに着目するのではなくて、中小企業等も含めまして業界全体に対して施設整備あるいは合理化支援といったような措置とあわせてこの施策推進していくということが適切であると考えられるわけでございます。このため、この法案におきましては、製造業運輸業等事業を所管してその事業活動状況等を把握している大臣が、関連施策の実施状況等を踏まえて、全国的な物資の流れの状況等を念頭に置きながら幅広い視点から必要な指導を行うこととして、都道府県については指導等を行うということを環境庁長官を通じて事業所管大臣に対して要請できるという規定を設けたということでございます。こういった国の各機関と地方自治体と一緒になってそれぞれ専門と申しますか、得意分野の広い意味での技術を生かしながら進めていくことによって十分に効果が上がる、むしろその方がベターであるというように判断したものでございます。
  182. 斉藤節

    斉藤(節)委員 そこで、次の質問に移らせていただきますけれども、ガソリン車に比べてディーゼル車の増加割合が大きいのもNOxが増加している原因であろうと私は思うわけでありますけれども、その辺はそのように理解してよろしいでしょうか。
  183. 入山文郎

    入山政府委員 そのとおりだと存じます。
  184. 斉藤節

    斉藤(節)委員 じゃ、大臣はどうですか。
  185. 中村正三郎

    中村国務大臣 まさにそのとおりでございます。
  186. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ああそうですか。じゃ、衆議院の環境委員会調査室、そこにいらっしゃる方々がつくられたこの資料をもとに私はちょっと御質問申し上げます。  これを見ますと、まずトラックにつきましては、車両総重量が三・五トン以下、このトラックに関しましては、直噴式というのは昭和五十九年ごろからつくられてきて台数は非常に少ないんですね。それに対して副室式が非常に多いんです。昭和五十四年からもう十三万一千台というようなことで非常に多いわけです。これが六十三年には三十九万七千台というようにどんどんふえてきているわけでございます。それに対しまして、車両総重量が三・五トンを超え八トン以下を見ますと、直噴式が最初は非常に少ないのですけれども昭和六十三年ごろにはだあっと多くなりまして、最初は八万一千台ぐらいだったのが昭和六十三年には二十七万六千台。それに対して、副室式のものが、最初、五十四年は二十万八千台あったのです。これがずっと減ってきまして、六十三年には三万九千台にまで落っこちてしまった。また平成元年には二万九千台に減って、直噴式が三十万七千台というふうに大変な増加率なんですね。そしてまた八トンを超えるトラックに至りましては、直噴式が最初、五十四年は八万四千台であったものが、これは平均して大体ずっとそれぐらいずつになっているのですが、副室式というのが全くないのですね。最初、五十四年には二千台、五十五年には一千台、そして五十六年からは全く一台もないというような状況になっているわけでございます。これは一体なぜなのか。この込まず、通産省さん来ていただいていますか、それからまた環境庁さんにもお尋ねします、両方お答え願いたいと思います。
  187. 今野秀洋

    ○今野説明員 お答え申し上げます。  直噴式と副室式のエンジンの比較でございますけれども、直噴式は燃費が非常にようございます。耐久性が高い。それから高出力が可能でございます。こういう利点がございます。これに対しまして、副室式につきましては、NOxの排出量が少ない、それから小型のエンジンでも製造できるといった特徴があるわけでございます。そこで大型車でございますけれども、これは車体の総重量が大きいものでございますので、重量に見合った高出力が実現できる直噴式というものが主流になるわけでございます。また、大型車はバス、トラックともに事業に利用されることが多いものでございますので、燃費のよさと耐久性のよさとか、こういったものもユーザーニーズに合致しているといったところがあるのではなかろうかと考えられます。したがいまして、車両総重量八トン以上の自動車はほとんど直噴式のディーゼル車でございます。また、三・五トンから八トンのものにつきましても、御指摘のとおり昭和五十四年、真噴式二八%、副室式七二%でございましたけれども、平成元年になりますと逆転いたしまして、直噴式が九一%、副室式が九%となっております。これはエンジン部品の精密加工技術などが進歩いたしまして、例えば三・五トン車程度の比較的小さなエンジンでも直噴式の製造が可能になったということが理由でございます。また、それに加えまして燃費のよさ、高耐久性がユーザーに支持されたということによると考えられます。
  188. 中村正三郎

    中村国務大臣 またお許しをいただいて、個人の資格でお答えさせていただけたらと思うのですが、今答えがありましたとおり、直噴式というのは直接コンプレスしたところに噴射しますから構造が簡単で安い、それでパワーが出る、しかし非常にブリミティブな燃やし方をしますから排出ガスが非常に悪い。ですから、使用します側から見ますと安い、パワーが出るということです。
  189. 斉藤節

    斉藤(節)委員 安いそれからパワーが出るということ、それはよくわかるのですけれども、大気汚染が相当早くから非常に指摘されてきているわけです。そういう点で、どんどん大気状態が悪くなってきているにもかかわらず、安いからとかパワーがあるからというだけの理由国民の健康を害するようなことの状況になってきているということは非常に私は残念だなと思うんですね。これはもう経済至上主義のこれまでの我が国がやってきたことが一番問題でありますけれども、しかしいずれにしましても、やはりこれからは、単なるパワーがあるとかあるいは燃費が安いとか、そういうことだけではいけないと。思うんですね。そういう意味で、このいわゆるディーゼルの副室式を発展させることはもちろんでありますけれども、さらにガソリン車、これは先ほど大臣も答弁されておりましたけれども、ガソリンぐらいの値段にすればいいじゃないかとかいうようなこともお話ありますけれども、確かに軽油はリッター当たり七十五円ぐらいですから安いわけでございますけれども、しかし安くてもやはりそれはやめていかなきゃならないと思う。ぜひともそういうエンジンの改良をやっていっていただきたいと思っているわけでございます。  そこで、また通産省さんにお聞きしますけれども、今ディーゼルエンジンの改良につきましてはどんなふうな状態なのか。
  190. 中村正三郎

    中村国務大臣 それではお答えいたしますけれども、この間それこそいすゞ自動車へ行っていろいろ見てまいりました。噴射を直接ぱっと入れるものですから、そこで非常に粗っぽい燃え方をするので大変だ、噴射ノズルを格好を変えようかとかノズルの数をふやそうかとか高圧で噴出しょうかとか言っていますが、いずれもまだ成功しておりません。そして、燃やして出てきてきたものを後でとらえようということでありますけれども、後でとらえるのにゼオライト系のコンバーターを使うんですけれども、それもまた作動温度や何かの点でいろんな問題がある。それと、忘れていけないのは、ディーゼル油からの排出ガスというのはNOxだけじゃないんです。あとパーティキュレートだとか恐ろしいものがいっぱい出てきています。アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ベンツピレン、ニトロビレンもあります。それからハイドロカーボンの種類はいろんなのが芳香族出てきます。それを後で燃しちゃわなきゃいけないというので、もう一遍アフターバーナーをつけて燃そうというんですが、それも長時間燃せない、燃すとすぐ詰まっちゃうということで、まだ解決のめどが立ってないというところであります。ですから私ども困り抜いて、こういう法律を出して総量規制ということに行った。  それで、私はやはり考えるんですが、今言われましたけれども、安くても使わないといっても、やはり業者としてみれば安いものを使わなければ競争に負けちゃうわけですから、同じような状況で安い燃料が提供されれば、それはディーゼルを使わざるを得ません。ですから、先ほどもお話ししましたように、終戦後はガソリンエンジンで走っていて、運転者はディーゼルは嫌がったんです。うるさい、振動する、臭い、加速は悪い。それからディーゼルにかわってガソリンエンジンの大きいのをつくらなくなっちゃった。そういう議論をしますと、よくガソリンの方が燃費が悪いからCO2の排出量では損ですよと言うんですが、今のガソリンエンジンでも相当な燃費が改善されてきており、コンプレッションレシオも相当高いエンジンが使えるようになっている。ディーゼルのコンプレッションレシオは恐らく十七対一で、ガソリンが十対一ぐらいだと思いますから、燃焼効率からいっても、私素人がお答えして非常に御無礼でありますけれども、そんな変わらない。一〇%か一五%ぐらいの燃費の効率の差であろう。そういうことを考えますと、やはり軽油ガソリンの課税のあり方を見直してくれないとこの問題は根本的には解決しないと思います。  個人的な見解を述べまして御無礼しましたことをお許しいただきたいと思います。
  191. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大臣、大変詳しい専門家のような答弁をいただきまして大変ありがたく思っております。  いずれにしましても、やはり燃費が安い軽油ディーゼルエンジンというのは、私は実際は必要だと思うんです。ですけれども、やはりそのディーゼルエンジンを使ってもNOxがふえないような、あるいは今言われましたようにアルデヒド、ホルムアルデヒドとかアセトアルデヒド、いろんなアルデヒドが出ますけれども、こういうアルデヒドの排出あるいは浮遊粉じん的なもの、微粒子、それからベンツピレンみたいなものも出ると思うんです。こういったようなものを出さないエンジンの改良が私は必要だと思うんですね。  そういうことで、ディーゼルエンジンのいわゆるガソリンエンジンのような触媒を何とかつくれないものか、なぜ触媒がうまくいかないのか、その辺を通産省さんに御答弁願いたいと思うんです。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  192. 今野秀洋

    ○今野説明員 お答え申し上げます。  ガソリン車の場合でございますと、三元触媒というものがございまして、炭化水素と一酸化炭素と窒素酸化物、これを同時に除去いたしておるわけでございます。三元触媒の問題点は、排ガスの中に酸素が存在をいたしておりますと全く効果を失うものでございます。ガソリンエンジンの場合でございますと、排ガス中に酸素が存在いたしませんようにコントロールができますので、三元触媒、非常に有効に活用できるわけでございます。ところが、ディーゼルエンジンにつきましては、原理的に排出ガスから酸素を除くということができないエンジンなものでございますので、三元触媒効果がございません。そこで、他に有効なものはないかということになるわけでございます。現在のところ、決定的な答えは見つかっておりません。ごく最近、酸素が存在してもNOxの除去が可能な物質が見つかりつつございます。これはNOx触媒として利用する道が開かれるんではないかという期待が持たれております。一言で申し上げますと、これはゼオライトを使ったものでございますけれども、これはまだ実験室段階でございまして、これを自動車メーカー触媒メーカー、大学などで研究開発に努めているという状況でございます。
  193. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今御答弁いただきましたように、何か北大の工学部グループが同ゼオライトの触媒を最近開発してやっている。しかし、ゼオライト自身あれは粘土鉱物ですから、そういう点で非常にもろいという点もありますし、確かに酸素が少々多くても窒素酸化物の分解を、窒素から酸素を抜き取るというあれはできるでしょうけれども、これからだと思います。しかし、通産省さんにおかれましては、日本の英知を総結集しまして、ぜひ早くディーゼルエンジンを安全に使えるように、そういうエンジンの開発、特に触媒、やっていただきたいなと御要望申し上げる次第でございます。  そこで、運輸省さんいらっしゃいますか。ちょっと御質問申し上げますけれども、現在走っているディーゼル車のうち、この窒素酸化物の基準に適合している車の割合はどれくらいでございますか。
  194. 小杉昭夫

    小杉説明員 お答えいたします。  使用車種規制の基準につきましては今後総理府令において定められることとなっておりますので、現時点におきましては当該基準に適合する自動車の割合がいかほどかということは算定できないわけですけれども、一つの目安になろうかと思いますが、現在使用されておりますディーゼル車のうち、最新規制でございます昭和六十三年規制平成元年平成二年規制に適合するものの全国保有台数におきます割合につきまして御報告いたしますと、平成三年三月末現在でございますが、トラックでは約二四%、バスでは約一〇%ということでございます。特定自動車の基準はまだ決まっておりません、いずれ決まると思いますが、それの決まり方次第になるかと思いますが、今言いました数字から若干差し引いたものが考えられております基準に適合する割合になろうかというふうに推定をいたしております。
  195. 斉藤節

    斉藤(節)委員 基準に適合する車が非常に少ないということでありまして、大変残念だと思うんですけれども、これは何とか適合車にどんどんかえていっていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  それに関連しまして、また通産省さんにお伺いしますけれども、低公害車開発普及、先ほども大臣からも御答弁いただきましたが、例えばハイブリッドエンジンだとかいろいろなエンジン、水素エンジンまで最近はあるようであります。そういういろいろなエンジンの開発、盛んにやっておられるところですけれども、今どの辺の段階までいっているのか、その辺御答弁願いたいと思います。
  196. 今野秀洋

    ○今野説明員 お答え申し上げます。  通産省におきましては、排出ガス対策など自動車に関します環境対策、非常に重要なものというふうに認識いたしておりまして、早くからこの研究開発等を行っているところでございます。  まず、電気自動車でございますけれども、これにつきましては昨年十月に、西暦二〇〇〇年におきまして二十万台の電気自動車の普及を目指すという目標を掲げまして、技術開発それから普及の施策、関連設備の整備といったものを検討いたしまして、その課題をまとめまして、電気自動車普及計画というものをつくったところでございます。  そこで、技術開発の中身でございますけれども、さかのぼりますと、昭和四十六年から五十一年まで工業技術院の大型プロジェクトにおきまして電気自動車開発を行いまして、それ以来、通産省では電気自動車の研究開発に努めております。最近では電気自動車の電池交換式システムの開発を実施してきておりますけれども、特に平成四年度からは、電気自動卓の充電スタンドの開発、それから電気自動車使用できます電池の開発、これに着手することにいたしております。  また、普及促進につきましては、民間団体を通じまして、リース制度により一般への普及を図っているところでございます。  それから、メタノール自動車でございますけれども、これは自動車耐久性、信頼性の確立それから燃料の安全性の確保といったような問題がございます。そのため、昭和六十年度から自動車用メタノール燃料に関する研究開発というものに着手いたしておりまして、六十三年度からは、これの路上での走行試験に入ってきております。  次に、天然ガス自動車でございますけれども、これにつきましては平成二年度から三年計画で、既存のガソリンディーゼル車の改造の可能性、それから燃料供給装置の技術的検討などを行っておりまして、この中にはエンジンの試作実験も含めて研究中でございます。  さらに、電気自動車、メタノール自動車につきましては、関係省庁とも協力いたしまして、自動車取得税それから自動車税の軽減措置を講じているところでございます。
  197. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、将来の実用化の見通しはどうですか。
  198. 今野秀洋

    ○今野説明員 先ほど申し上げました電気自動車普及計画では、二〇〇〇年、二十万台という目標を掲げております。
  199. 斉藤節

    斉藤(節)委員 それはわかりましたけれども、電気自動車だけですか、そういう二十万台の普及をしようというのですけれども。
  200. 今野秀洋

    ○今野説明員 そのほかの種類の自動車につきましては、何台といった見通しはまだつきかねているところでございます。
  201. 斉藤節

    斉藤(節)委員 電気自動車が有用なようにお聞きしたわけでありますけれども、メタノール車はそれほど有望じゃないんですかね。
  202. 今野秀洋

    ○今野説明員 お答え申し上げます。  メタノール車につきましては世界じゅうで注目されておりまして、現段階実用化している国もあるわけでございます。ただ、燃料の扱いが非常に難しい種類の自動車でございまして、かつ金属でございますと腐食するといったような問題もあるようでございまして、なかなか安定して、安心して、信頼して使える、経済的にも保障ができるというところにまだ至っていないというのが実情でございます。
  203. 斉藤節

    斉藤(節)委員 確かにメタノールは分子量が三十二ですね。ガソリンから見ますとかなり炭素の数が少ないですし、酸素の数が多くなりますので、そういう点で同じ一リッター当たりの走行距離はかなり下がると思いますね。分子量からいってもそういうふうに小さいわけですから、そういう点で有望ではありましょうけれども、なかなか実用化が難しいかもしれませんね。それから、メタノールが酸化すればアルデヒドですから、つまりそうなりますと腐食性が非常に大きくなると思いますね。そうなりますとやはり車体の材料にも、例えば燃料タンクの材料なども、またパイプなどにも問題が起こるかもしれませんが、しかしメタノールは窒素酸化物を出す量が非常に低いですし、燃料もバイオで幾らでもできるということがありますね。それから、水性ガスからももちろんできますし、一酸化炭素と水からもつくることはできます。しかし、いずれにしましても、燃料においては化石燃料よりは非常にいいと思うわけです。そういう意味で、鋭意我が国もメタノール車の開発を大いにやっていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。  そこで次に、現在使われております軽油でございますけれども、これに含まれているサルファ、硫黄分、これは〇・四%というふうに聞いておりますが、この硫黄分の低下についての、下げるということ、脱硫ですね、これについての計画がおありですか。
  204. 田中正躬

    田中説明員 お答えいたします。  ディーゼル自動車のNOxを低減させるためには、軽油中の硫黄分を減少させまして、排ガスを循環するという一つの方法が現実の技術としてはあるわけでございますけれども、この点につきましては平成元年十二月の中央公害対策審議会答申指摘をされておりまして、この答申の中に非常に大ざっぱなタイムスケジュールが示されております。  まず短期の計画でございますけれども、今現在大気汚染防止法に基づきましてNOxの規制強化平成五年十月からなされるということで、こういう規制強化に対応するために本年十月を目途に今御指摘のありました〇・四%から〇・二%に軽油中の硫黄低減させるということで今実施中でございまして、この十月になれば〇・二%の軽油が供給されるということになるはずでございます。こういうことをやるために当省といたしましても、予算とか税制面で積極的な支援を今現在やっております。  それから長期でございますけれども、長期的には軽油中の硫黄分を〇・〇五%まで低減するということが指摘されておりまして、これにつきましてはできるだけ装置のコストを下げるということで、触媒の研究開発を行う必要があるということで、予算面でも平成二年度以降サポートをやりながら今現在触媒技術開発をやっているということでございます。  いずれにいたしましても、軽油中の硫黄分をできるだけ下げるということはこのNOx対策にとって非常に重要なことでございますので、我々も積極的に政策面でバックアップをしていきたいというふうに考えております。
  205. 中村正三郎

    中村国務大臣 一言追加させていただきたいのですが、NOx対策にこれが不可欠であるということでございましたので、先般、石油業界の責任者に環境庁へ来ていただきました。そして、〇・〇五の長期目標早期達成してくれということを御要請しましたところ、やれと御指示いただければすぐ始めます、リードタイムは五年以内、五年を大きく下回ることはできないけれども五年以内でできます、その場合に軽油にはね返るのは数円というオーダーで、コストの問題がありますということでありましたので、直接の監督官庁通産省でありますので、私は通産大臣にこのことをお伝えいたしまして、今通産省、エネルギー庁で、実態的にどういうタイミングでやっていくかということをお願いしているわけでありますけれども、私どものところに来られた石油業界の代表は、即座にやれということがあればかかります、リードタイムは五年以内でありますというお話でございました。
  206. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大変大臣からは有意義な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  やはりサルファの含量が高いとどうしてもNOxとの関係がありまして、特に、また後で御質問申し上げようと思っています酸性雨の問題でございますけれども、〇・五%含んでいる、あるいは〇・四%含んでいる、硫黄分がかなり排出された場合に、SO2とNO2の間で、水に溶けたときに化学反応でどうもインタラクションする可能性がある、私はそう思っているのですよ。そういう意味で、酸性雨の非常に強いのが降るんじゃないかなと。これはぜひ御質問したいと思っているんですけれども、時間がもう五分しかないので、時間がなければまた後でやります。  そこで、時間がなくなりましたので少しはしよりまして質問申し上げますけれども、東京都公害研究所の年報、一九八二年の中に、舟島正直氏らが「大型ディーゼル車からの汚染物質排出実態」と題する論文を発表しております。それによりますと、「一般的に汚染物質排出特性は、燃費特性とは逆の傾向をもつものであり、平均車速の遅い領域で汚染物質排出量が多く、その後排出量は漸減し二十五キロメートル・パー・アワーをこえる領域で排出レベルが一定となる。」NOxの場合にも同じで、十キロメートル以下では極端に増加することが明らかになっているわけでございます。この事実から、私はやはり渋滞問題は非常に大きなNOxの排出の問題だろう、そんなふうに思っているわけです。  そこで、この渋滞対策を道路行政上どんなふうに考えておられるのか、御答弁願いたいと思います。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 井上啓一

    ○井上説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、交通渋滞は単に時間的な損失をもたらすだけにとどまりませんで、環境やエネルギー、あるいは交通安全といった面について、大変悪影響を及ぼしており、解決しなければならない国民的課題だと認識しております。特に、渋滞問題が厳しい都市部においての渋滞緩和を図るために抜本的な対策として、都心部へ流入する交通の効率的な分散導入あるいは都市内を通過する交通を排除して過度な交通の集中を是正するための環状道路を初めとする体系的な道路ネットワークの整備を図ることが重要でございますけれども、このような道路網整備を図ると同時に、交通渋滞の最近の状況に対処するためには、渋滞交差点の改良あるいは隘路打開のために部分拡幅などの既存の道路ストックを最大限活用するための現道対策も緊急に行う必要があると思っております。  そのため建設省では、体系的な道路網の整備とあわせまして、昭和六十三年より特に渋滞の激しい三十七都市圏につきまして、短期的な対策あるいは中期的な対策と分けまして、渋滞対策緊急実行計画を逐次実施中でございます。私ども渋滞対策緊急実行計画をアクションプログラムと呼んでおりますけれども、現在着手済みが約九割に達しておりまして、平成三年度末で約五割を達成しております。また三十七都市圏以外のその他の都市につきましても、平成二年度から渋滞対策緊急実行計画と同様の短期、中期に分けました渋滞対策推進計画を策定いたしまして、これに基づきまして各種渋滞対策を実施しております。  そういうようなことで、渋滞対策の最重点課題の一つとして取り組んでおります。そういう状況でございます。
  208. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。  渋滞が大気汚染の元凶の一つにもなっているということでございますので、建設省におかれましては新交通システムというのを何とか開発して、早く実現させていただきたい、そんなふうにお願い申し上げる次第でございます。  そこで、せっかくおいでいただいておりますけれども、もう時間がなくなりましたから質問ができなくなってしまいましたが、最後にこの法案につきまして環境庁さんに御質問申し上げます。  第五条に、国民責務が述べられておるわけでありますけれども、国民の協力を得るための啓蒙はどのように行われようと考えておられるのか、それを御答弁願いたいと思います。
  209. 入山文郎

    入山政府委員 自動車排出窒素酸化物の抑制をするためには、国民一人一人の自覚と協力が不可欠でございます。啓発活動が非常に重要なことであるというように私ども認識をいたしております。現在国それから地方公共団体におきまして低公害車フェアの実施でございますとか、あるいは窒素酸化物による大気汚染が著しくなる冬季、十二月でございますが、を中心とした大気汚染防止推進月間のキャンペーン行事の実施でございますとか、それからノー・マイカー・デーの実施といったようなことが行われているわけでございます。今後ともこういった取り組みの一層の充実、推進を図ってまいりたいと思っております。
  210. 小杉隆

    小杉委員長 時間です。
  211. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ちょっと、時間が終わっちゃったんですけれども、もう一問やらしていただきたいと思うんです。  実は酸性雨の問題をやりたいと思って来たんですけれども、できませんので、御要望だけ申し上げておきます。  環境庁さんの御意見だと思いますけれども、ヨーロッパその他の酸性雨につきましては原因はわかっているんだ、しかし我が国の場合は確たる原因はわからないんだ、そんなふうなことが述べられていたと思うんであります。これは新聞報道でありますから確実ではありませんけれども。私はやはりNOxとSOxは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、大体六十PPBぐらい、あるいは四十から六十ぐらいですかね、のPPBで計算しますと、単純計算ですからしっかりした計算はしてませんけれども、大体PH五・二からPH五、場合によっては四ぐらいいっちゃうんですね。大気中に中和する物質があればそれ以上になりまして、もっと高いPHになるわけですけれども。そんなようなことで、これはやはり大気中における窒素酸化物硫黄酸化物が酸性雨の原因であろうと私は思っているんですけれども、その辺を詳しくやっていただきたいと御要望だけで、もう時間がありませんから結構でございますけれども、審議官、せっかくおいでいただいて申しわけないですが、そういうことをひとつお願いしたいと思うわけでございます。  最後に大臣、この法案は、先ほど申しましたように何かあいまいなと言うと失礼でありますけれども、そんな感じを受けないわけでもないのです。特に罰則といえば車検証を出さないというぐらいで、あとはもう実行されなくてもまあまあできちゃう可能性がありますので、特に環境庁長官大臣のリーダーシップが一番問われる法案だと私は思うわけです。そういう点でぜひとも御決意のほどをお聞きしたいと思います。
  212. 中村正三郎

    中村国務大臣 今の酸性雨のことをちょっとお答えさしていただきたいと思います。  委員と同じ認識でございまして、NOx、SOxが影響していると思います。最近の調査によりましても、大陸よりの影響ということでなく、そういうことであろう、でありますから酸性雨の画が低いのは都市部に近いところであるということでありますのでありますと、SOxはかなり産業界努力で減ってきておりますから、残るNOxが影響しているだろうということは十分考えられるわけでありまして、NOxを減らさないと酸性雨は減らない。環境庁の調査では一番悪いのでPH四・三を記録しております。  それからこの決意でございますけれども、まさに今委員おっしゃられましたように頑張ってまいりたいと存じますけれども、今までの単体規制達成ということが今の技術的レベルからいってなかなか難しいという中で、こうした総量規制という新しい観点の方策を取り入れたわけであります。まずこの法律によりまして、環境基準達成ということを努力するとともに、先ほどもお話ししましたようにあらゆる角度から、今まで切り込んだことのない面まで切り込んでみて、このNOxに関する環境基準達成に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
  213. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。  また、各省の皆さん、どうもありがとうございました。
  214. 小杉隆

    小杉委員長 寺前巖君。
  215. 寺前巖

    ○寺前委員 環境庁の長官、私何回か委員会で御発言を聞いていて、きょうはなかなか感心しております、本当に詳しいなと。それにしたら何でこんな法案が出てきたのやろうかな。あれだけずばりと金の安い方に自動車が流れよるんだから、だからこんなに環境悪くなるんだ、私は体験からもそうだ、そないに言っている割には、それじゃずばりそこへメスを入れてやったらどうなんやろうかなと。私はそういうように思いながら、もう一回同じようなことを聞きますけれども、ため押しをちょっとやらしていただこうかなというふうに思うわけです。  何といっても、公害というのは発生源があるから公害が起こる。発生源をとめなあかん。発生源は一体何だ、燃料そのものを改善させるということが一つの問題になるだろう。もう一つは、それを排出するところの機械、すなわち自動車なりあるいは工場なりいろいろなところにおけるところの主要な内容ディーゼルになってきているだろう。そこをどのように抑えるのか。場合によっては使ってはならないという極論まであるのは、そこから出てくるのだ。私はやはり発生源で抑えるということが非常に大事や、発生源の周りを抑えることもまた関連して大事であろう、こう思うわけです。  きょう大臣提案理由説明を聞かしていただいておりますと、こう書いてありますね。「窒素酸化物による大気汚染については、工場等固定発生源や盲動車排出ガスに対する極めて厳しい規制等の実施にもかかわらずこいろいろやってきているんだけれども「自動車交通量の増大、」自動車がふえてくるとそんな程度ではあかんということでしょう。それから「自動車ディーゼル化の。進展等のため」だから自動車ディーゼルが問題になっているのだ。「大都市地域中心として改善がはかばかしくないまま推移しております。」だから、今までどおりのやり方をしておったらちょっともはかばかしくないのだというのが御指摘であろう。そこで、思い切りまっせ。「このため、二酸化窒素に係る環境基準達成するためには、従来にはない新たな視点に立った総合的かつ効果的な施策を講ずることが喫緊の課題となっております。」こういう話でしょう。これは筋通ってますのや。反対する理由一つもあらへんでしょう、これだけで言うと。  それじゃ、せっかくだから私ここからお聞かせいただきたいのですけれども、はかばかしくないのだから、はかばかしくいつまでにどんな事態をつくるんだと目標があって法律を準備しはったのやろうと思うのやけれども、それはどうなっていますか。
  216. 入山文郎

    入山政府委員 私ども、紀元二〇〇〇年までには環境基準のおおむねの達成が図られると考えているわけでございます。国の機関を初め地方自治体の参加も得まして、それぞれ具体的な計画を実施することによりましてそういったことが可能であると私どもは考えております。
  217. 寺前巖

    ○寺前委員 そこで、二〇〇〇年までには環境基準、こうおっしゃるのだけれども、環境基準の数字が変わってしまったら何を追いかけているのかわかりませんからな。環境基準、変わらぬでしょうな。何やそこまで近づいたら環境基準が変わってまたもうちょっと先やなんて、そんなことにならぬでしょうな。よろしいな、そこは。これは前言っておった環境基準とはもう変わってきているのやさかいに、また変えよるのかいな、そんなのインチキやないか。相撲でいえば土俵が大きくなって、押し出そうと思ったっていつまでも出ていかへんのやったらあかへんさかいな。そこは間違いないね。
  218. 入山文郎

    入山政府委員 私ども環境基準につきましては、その時点での最高の科学的な知見を基準にいたしまして、常に最も妥当な数値を採用しているところでございます。
  219. 寺前巖

    ○寺前委員 もう始めるときから、相撲をやろうというときから相撲場広がるかもわからぬでと、小そうなるかもわからぬというのをはっきり言うのやったらまだええけど、広がるかもわからぬというようなことを言っておったらどうもならぬやないか。ええこと言うなと思って褒めてやるかと思うたら、何やおかしいものになってくるな、こういう話になりますがな。  ところで、これは検討を始めてから、環境庁の中に検討会というようなものがあって、そして中間の取りまとめとか最終報告、こういうものが出てきよるわけでしょう。ええこと書いてあるのやね、その途中。私らもう単純だからすぐだまされるのか知りませんけれども、例えば中間の取りまとめを見るとこう書いてある。「各種方策ともそれぞれ課題があり、施策として実施していくには、更に具体的内容の検討を行い、その効果、実施可能性等を検討していく必要がある。本章では、早期対策を導入することが求められていることを踏まえこ早期にやらんならんと思うさかいいろいろやらんならんけれども、とりあえずやれるやつからやろうかいというので、「都市構造、物流構造、社会構造等の変革を伴うような大規模な条件整備を必要とせずこやらにゃいかぬのやけれども、そんなことちょっと横に置いて、「かつ、従来の環境規制に比較的近い手法を組み込むことが可能な方策と考えられるもの」そんな難しいことを言わんと、ともかく今やれるものからやっていこうかいということで考えたのが、「「工場・事業場に係る自動車排出ガス総量規制」、「自動車使用車種規制」及び「ステッカー方式による走行規制」を取り上げ、具体的内容効果、課題等の検討を行った。」そんなもう難しいことを抜きにして、手っ取り早く今すぐやれる話をやってみようと思ってますのや、中間報告段階にこういうように書いてあるのやわ。これはできる話やと言うとるのや、できる話を考えてみよう。ええこっちゃ、できる話からやろうかいな。  ところが、これは最終報告になり法律になってくると、できる話と言っておったやつが何やら消えていっているのと違うか。大臣提案理由説明を見ると、法律でやれというやつは一体何があるのかと思って見てみたら、義務が課せられるんだ、どこに義務という言葉が出てくるだろうかといったら第四番目に出てくるだけで、あと義務という言葉は出てきません。努力するとか特定地域指定する。これは指定やさかい、きちっとこうなるわい。この地域はというやつやさかい、これははっきりしておる。あとはっきりしているのは何があるのだろうか、はっきりせえへんがな。できるという話がはっきりせんようになってくる。  そこで聞きたいのですけれども、それではできると言われておった話が、この中ではちっと出てきておったのは一定自動車について窒素酸化物排出量に係る規制を行うことであり、義務づけるという話が出てきたんだから、その義務づける面において二〇〇〇年までにどれだけ削減をさせることができることになりますのや。
  220. 入山文郎

    入山政府委員 中間報告等に盛り込まれております規制方式が最終案ないしは今度の法案から消えているという御指摘があったわけでございますが、中間取りまとめて挙げておりました三つの方式というのは、とりあえずこの三つをやるということではございませんで、いわば幾つかできることの例示と申しますかメニューと申しますか、そういった形で挙げたものでございまして、それをさらにその後の検討会におきまして検討を経て、さらに中央公害対策審議会の御答申をいただいて、法案の御提案まで持ってまいったわけでございます。  そういうことでございますので、この法案で予定をいたしておりますいろいろな規制等を実施いたしますと、私どもは西暦二〇〇〇年までに十分に環境基準達成できるだろう。ただし、部分的にはこの規制のみでは達成できない例外的な地域は残るかもしれない。そういったことで、おおむね達成できるだろうというように考えているわけでございます。
  221. 寺前巖

    ○寺前委員 ちょっと答弁になってないのやけれども、ここで義務づけている内容のやつは何%削減することができるようになるのかと聞いたのです。
  222. 入山文郎

    入山政府委員 いわゆる車種代替というようなことで、車検をもってチェックする、そういった形で義務づけていることがございますが、その車種代替によって削減できるものは一ないし二割、一五%程度を見込んでいるわけでございます。そのほかいろいろな、例えばその事業所管大臣によって事業者指導していただくというようなこと、あるいは低公害車を導入するというようなこと、あるいは交通流対策、人流対策といったようなことを合わせますと、先ほど申し上げましたように、二〇〇〇年にはおおむね環境基準達成することができるだろうと思っているわけでございます。
  223. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、ここで目玉になるところの義務化させて車種の規制をやっていくので一五%ないし二〇%だ、あと全体として二〇〇〇年に向かって四〇ないし四五%の削減をやろう、こういう話でしょう。そうすると、この間の一五ないし二〇%と四〇ないし四五%の間は一体何でもってそうなるんやろうか、そこの数字を挙げてみてくださいな。
  224. 入山文郎

    入山政府委員 単体規制強化していく、特に長期目標をできるだけ早く実施をするといったようなことで一〇%、一割程度見込んでおります。それから先ほどちょっと申し上げました低公害車の導入といったことで、これも上限一割程度を見込んでいるわけでございます。それから物流対策で同じく一割程度、それから人流対策では数%、交通流対策でも同程度ということでございまして、総合的に見ますと環境基準達成することができるだろうと思っているわけでございます。
  225. 寺前巖

    ○寺前委員 そこで、物流対策やら何やら言うけれども、そっちの方は中間段階の場合にはちゃんときちっと規制を責任持ってやる、知事権限もきちっと持たすということで、工場・事業場に係る総量規制をやるとか、ステッカー方式によるところの走行規制をやるとかいうことで、厳しくやらないことにはそういう数字は出ないということで、実績にはできないわけでしょうな。  さっきの大臣のやつの中にありましたが、ほっといたら限界が来てしまう。厳しい規制等の実施にもかかわらず、大都市地域中心として改善ははかばかしくない。はかばかしくしようと思ったら、こうせいというやつをやらないとはかばかしくならない。それだから自治体の長も、こんな中途半端なことを言われていたらこうやれというわけにいかへんやないか、ちゃんと届け出をし、届け出とおりにしない場合には罰則、ここまで言わしてもらわんと、知事としてやれと言われたってそういうふうにならへんで、こういう心配を知事さんはされているわけでしょう。僕ら各地を回るとそういう意見が出てきますよ。だから厳しくやらないかん。  だから、ディーゼルカーの方に向かっているのは、さっき大臣はあれは税金を変えてもらわなあかんと言われた。僕もそうだと思う。全部総合的に税金変えるということを厳しくやらなかったらそれは進まない、大臣自身が税金の話だけでもああやって明確に言ってはるのや。知事さんに言わしてごらんなさいな。そんなものちゃんと届け出をやらして、そしてそれは罰則が伴うんだ、そうやったらいきまっせ、こう言ってはるんです。それぞれ所管の人はみんなそう言う、やろうという人は。  そうすると、そういう法律にしなかったら、せっかく目標値を決めてもその目標値は進んでいかんのと違うかいなというふうに私懸念を持ちますので、私、もう一回質問の日がありますのでもう一回の日に譲りますが、きょうは問題提起をしておきます。その点について大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。非常に積極的な発言でしたから、私、その点についても大臣の所見を伺いたいと思うのですよ。いかがでしょう。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  226. 中村正三郎

    中村国務大臣 これは新しい手法を導入して新しい角度から取り組もうという初めての法律でございます。そういう中でやはり行政は現実的な対応をしなければいけないわけでありまして、私、実はこれは弁解ではございませんが、この法律がいろいろ審議されている間は長官でございませんでした。後で見せてもらって勉強いたしました。いろいろな経緯があったんだと思いますが、そのときどき各界の意見を聞き、いろいろな官庁の意見を聞き、その中で今現実的にやって最大の効果を上げるものはこれだということで政府でまとめ上げたものでございますのでありますから、その審議の過程というのはいっぱいあったと思いますが、私どもとしてはこの法案を成立させていただいて、この法案に基づいて最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  227. 寺前巖

    ○寺前委員 それは法律ができたらあなた、努力するというのは当たり前の話であって、しかしその法律が、例えば燃料そのもの、自動車の車体を変えようと思ったら税金面もちょっと直してもらわなあかんでと大臣も今意見をお持ちになっているように、知事さんは、もっとやろうと思ったら総量規制をやっていく、そのためにはここのところからちゃんと、届け出をさせる、罰則を伴う、そうやってくれぬとできませんと。そんなものあなた、努力努力だけではいけなかったからこれができるのだから喜んで待っているのに、出てきたものはちょっと違うじゃないかということをやはり心配しているわけでしょう。そうすると、大臣は、この問題について努力しますと言うだけじゃなくして、新たに踏み込むことを考えなかったら効果のあるものにはならぬ、こう結論づけて、私はあのときに審議に参加してなかったので、残念なのでひとつ改めます、こう言ってくれると、そうか、さすがだな、私はそう思うのだけれども、どうもそこらになるとずずっと下がってくるから、せっかくよく知っているのにあかんな、こういうふうに思うので、これはまた要望しておきます。それでまた次回にやります。  それから、この間うち新聞を読んでおりましたら、東京都自動車交通量対策検討委員会最終報告書なるものの案が出て、それによると、環境庁が言っておられる数値とは違うぞ、そうはならぬぞというのが載りました。これはどんな案なのか、あるいは案をまとめるための意見が流れたのか、そこは棚に上げておいて、いずれにしても二〇〇〇年で窒素酸化物総量の七・九%しか減らせず、環境庁の試算値の半分以下ということが報道されているわけでしょう。そうなってくると、もともとのものよりもすかっとしないのに、東京都で、現に特別地域として指定をしていく、そこの一番研究している諸君たちがこういう数値になってくるということになってきたら、これはいよいよもって環境基準に、二〇〇〇年を目指してと言っておったって迫力のない話になるのじゃないだろうか。この出ている数字が間違っておられるというのだったら、どこが間違っているのか御説明いただきたいと私は思います。
  228. 入山文郎

    入山政府委員 御指摘の、東京都の数値と私どもの数値とに食い違いがあるということでございますが、どっちが間違っているとかどうとかということでございませんで、これからさらに東京都とすり合わせをして、より妥当な予測値というものを求めていきたいと考えているわけでございます。東京都にいたしましても、今回国の方で法案を出したということから、今後その討議の過程も見守っていこうというようなことで、従来の予測値につきましてはいわば内部的な資料にしているようでございます。私どもも、東京都の検討会に職員を委員として送っておりますので、またいろいろ意見も言わせていただくと思いますが、いずれにいたしましてもさらにこれからすり合わせをしてまいりたい、このように思っております。
  229. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、あの数字もあながち間違っているということは言い切れぬ、だからこれから詰めていきたい、こういうお話ですから、そうなってくると、いよいよもって二〇〇〇年を目指しての話がだんだん調子が悪くなっていきますね、大臣。だから危ないんだ。これ、せっかく期待を持たす法律ができたけれども、だんだん自信を失っていく。  そこでちょっと聞きますが、私はある物の本を読んでおりましたら、アメリカのワシントンでは朝夕の通勤時間帯の市内の幹線道路では乗員が二人以下の車は交通が禁止されているとか、フランスのパリでは大型トラックは昼間は都市部を走れないとか、イタリアのミラノではウイークデーの日中はバス、タクシーなどを除いて旧市街地への車の乗り入れが規制されているとか、集中してくるところに対して、環境を守っていくためにそれぞれの国がいろいろ手を考えているようです。したがって、あのステッカーにおけるところの走行規制というのは何でやれなかったのだろうか、引っ込めてしまったのだろうか。さっきも説明聞いておったけれども、これ不思議でかなわぬ。特定の地域に対して、スパイクタイヤの問題でこの前法律をつくったところです。この地域についてはスパイクタイヤはいけません。その隣の町は違ったって、スパイクタイヤいかぬなということが明確やったら、ちゃんとそれなりに自主規制がされる。いかぬということが明確なもとにおけるところの自主規制というものと、努力目標で、すべての皆さん努力してくださいということを言っておるのとはやはり違うのですよ。何でステッカー方式というのが採用されることにならなかったんだろうか、これが不思議でかなわないので、御説明をいただきたいと思うのです。
  230. 入山文郎

    入山政府委員 総量抑制検討会の中間取りまとめにおけるステッカー方式でございますが、これは、検討のたたき台としての幾つかの規制措置の案の一つということでございまして、実施上の問題点も含めて掲げられているものでございますが、その後の検討会で、いろいろな問題点がある、現実的な実施がなかなか難しかろうというようなことで、最終報告からは削除されたということになるわけでございます。  例えばこういった問題があるわけでございます。規制するための担保が路上での走行段階における取り締まりにゆだねられることになるわけでございまして、これはその実効性になかなか問題があるだろうということが一つございます。それから、特定地域大都市地域ということでございますが、この大気改善のための規制の対象が全国の自動車にまで広がってしまうといったような問題点もまたあるわけでございます。そういったことで、制度化すべき規制措置としては必ずしも適切ではないという判断に至ったものでございます。
  231. 寺前巖

    ○寺前委員 ようわからぬのです。そんなもの今までも、ここは自動車は北行だけや、南行はいけませんよとマークをぱっと張る。だれも警察官おらなくても規制しよる。いかぬということが明確になったら自主規制が進むのや。全国に広がったらいかぬ、そんなことはあらへんやろ。全国的に広がったらいいことや、全国で環境が守られていくんだから。そうしたら何でいかぬのやろな。これはちっともわからぬので、むしろ専門的に、さっき大臣はできぬことはないと言っておられたから、私は不思議に思うのだけれども、専門家の大臣からひとつ聞きたい。  もう一つ聞きます。大阪は熱心に前から、九一年八月から、大阪府自動車窒素酸化物総量規制検討委員会というのをつくられて、「自動車排出ガス総量規制に関する検討結果の報告」というのが出ているのです。そして「指定地域全体の自動車窒素酸化物総量規制の方策として、一定規模以上の事業所を対象に、使用自動車からの窒素酸化物排出総量規制する自動車排ガス総量規制を検討した結果、九二年度に総量規制を開始するとしたならば二〇〇六年ころに環境基準達成が見込める。」もう自主的に大阪はずっとやってきておるわけです。ところが総量規制というのはもう法律ですうっと消えてしまった。こうなったら、大阪府は要らぬことするなということになりますでしょう。これ、干渉してしまうことになりませんか、せっかくの値打ち。要するに、削減計画を知事がやって、国の承認を受けなければならない。自治体が独自の上乗せ規制、これができなくなってしまうのと違うやろうかというのを私が心配したのは、この間京都の高速自動車道路をだあっとつけよるのやと。京都の規制は〇・〇二PPMだ。ところが、建設省の方は〇・〇六PPMでと。環境庁どっちの立場に立って出すのやと言うたときに、もう無条件に建設省の立場やと。そんなんやったら、自治体が自主的にこれでなけりゃならぬと思ってちゃんと布告までしておるところの内容なんか、要らぬことするなということになるんやないか。この前そんな話聞いたはずなんやね。これまた、今度この法律をつくることによって、せっかく自主的に総量規制をやっていこうというものに水をかけてしまうことになるやないか、そんなことにならへんのかな。  この二点について、もう時間来ましたので、もうあんたしゃべらんで、さっきしゃべらはったんでよろしいけれども、大臣がなかなか詳しいし、心配してはるさかいに、ちょっと大臣お話を聞かせてもらったらと思います。
  232. 中村正三郎

    中村国務大臣 前段のところはお答えさせていただきたいと思いますが、先ほどは、業者として考えた場合、ステッカー張れと言われれば張りますという、それくらいの努力をしたくないために法律に反対するようなことはないでしょうというお答えをさせていただいたわけでございます。そして、ステッカーを張って取り締まる場合に、まず一方通行、一たん停止の話、そういった交通標識をやられましたけれども、あれも一ざっくばらんに言わせていただきますと、私は車を自分で運転しますが、たまにお巡りさんがいるんですね。それで、違反すれば捕まるわけですよ。それが、全国の車にステッカーを張って、流入するもの全部をお巡りさんの救うんとふやしてやろうかと、これはなかなか大変じゃないか。やはり、実効あるものとして、登録するその車検というところでとらまえるのが一番実効性があるのではないかということでこういうふうにしたのであると思っております。  あと、ちょっとこちらから……。
  233. 入山文郎

    入山政府委員 大阪府等の地方自治体が一独自の立場と申しますか自主的にと申しますか、やっているような事業についてこれからどのような影響があるのかという御趣旨の御質問がと思いますが、一般論で申し上げますと、自治体独自の施策の具体的内容に即して検討いたしませんと、これは確定的なお答えをすることは困難でございますのできるものもあるし、できないものもあろうかと存じます。  例えば、この法案に盛り込みました、車検で担保いたします車種規制といったようなものにつきましては、これはもともと自治体の事務として行い得るものではございません。したがいまして、この面での上乗せというようなことを自治体がやることはできないものと私どもは思っております。そのほかの施策につきましては、もともと自治体の事務として行い得るようなものは行い得る、この法律ができたからといってできなくなるということはないと思いますが、具体的な事例につきましては十分に検討いたしませんと、直ちにできるとかできないとかといったようなお答えはできかねますので、御理解をいただきたいと思います。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  234. 小杉隆

    小杉委員長 時間です。
  235. 寺前巖

    ○寺前委員 どうもありがとうございました。
  236. 小杉隆

    小杉委員長 中井洽君。
  237. 中井洽

    中井委員 法案に対する質問に入ります前に、一、二点環境庁長官にお尋ねをいたします。  昨日、大変議論の多い長良川河口堰に関する追加調査というものが建設省の方から発表されました。私も、この委員会で二度ほどこの問題については質問もいたしてまいりましたし、自分自身の選挙区の問題でもございます。私自身は、この河口ぜきの問題は、環境問題から問題提起はされたけれども環境問題ではない、こういうことを今日まで一貫して言い続けてまいりました。利水、治水の面から考えるべき、同時に、公共事業が三十年もかかるというところに問題があるんだ、こういったことを言い続けてまいりました。  きのうの追加調査を見ますと、まあ大体環境問題について心配はない、こういう結果であったように読ましていただきました。しかし、反対運動をなさっておる方々はいろいろと御議論のあるところでございます。この問題について環境庁は、これをお読みになられて、御報告受けられて、追加調査の項目あるいは追加調査の手法あるいはそれをお取り組みになられた学者の先生等々お考えになって、そういう不安を抱く人たちに対して十分説得力あるとお考えであるのかどうか。同時に、これをこれからどういう形で環境問題で反対運動を続けていられる人たちに御説明をされようとするのか、この説明は建設省がやるのか、環境庁が住民に対して御説明をされるということもあるのか、この二つの点でお答えをいただきます。
  238. 中村正三郎

    中村国務大臣 この長良川河口堰の建設問題はもともとは治水であり、利水の目的として計画されたものと伺っております。  その後、いろいろな環境への関心の高まりから環境に対する影響は大丈夫なのかという問題提起がされまして、そして、平成二年十二月に環境庁長官が追加的な環境影響の調査をやってくれということを申しまして、水資源公団だとか建設省でそういうことをやっていただいたわけでございます。  その結果が出たわけでございますが、調査検討結果は、河口ぜき建設による水質や魚類の生息等への影響を予測して、その結果を踏まえた環境保全のための対策を明らかにする内容となっていると存じます。環境庁としては、これらの対策の適切な実施により環境保全上の著しい影響は避けられるものと考えております。  なお、これは建設省及び水資源公団に、おいてこの調査結果を踏まえて関係自治体及び地元住民に説明し、その意見を十分に反映させた環境保全上の措置を講じることとなっておりますが、環境庁といたしましても、建設省と連絡をとりながら環境に影響が最も少ないように、良好な環境保全されるように引き続き努力をしてまいりたいと思います。
  239. 中井洽

    中井委員 一つお願いがございまして、この問題が発足以来私も地元で言い続けておるのでありますが、民主主義の世の中ですから、一つの物事に対していろいろな角度からの議論があります。そのときに国あるいは地方自治体がそれらに対して説得する場合に、地方の自治体、議会、あるいは行政機構ではありませんが町内会、こういった形での説明をしてしまう。そして了解だとなっちゃう。しかし、関心を持って運動をされている方々はそういった組織の中に入っていらっしゃらない。個々人として関心をお持ちになってやっていらっしゃる。これらに対してちっとも接触してない、あるいは議論をしていない、ここらが説得力のなさじゃないかな、こういう感じがいたします。そういう意味で遺漏のないように十分御配慮を賜りたい、このことを要望いたします。
  240. 中村正三郎

    中村国務大臣 地元の中井先生からそのようなお話があったということを関係省庁に伝えてまいりたいと思います。
  241. 中井洽

    中井委員 それでは、法案に対して幾つかお尋ねをさしていただきます。  このNOxの規制あるいはディーゼル規制につきましては、もう長い長い議論が国会においても行われてまいりました。特に、五十三年に基準値を科学的な知見に基づいた合理的なものにするということで見直しをいたしました。一部の人たちは、これは緩和だ、こういうことを言ったものでありまして、当時私はこの委員会で、私自身は緩和と考えない、科学的な集積を集めてできる限り最高のものをつくっていく、同時にリーズナブルでなければならない、こういったことで、この見直しに賛成をいたしました。当時たしか大臣はこの委員会におられたと思うのであります。そういうところから、こういう形での総量規制法案が出てきた、感無量であります。同時に、この間環境庁の皆さん方が大変な御苦労をされてこういう法律をつくられた、このことも私は敬意を表したい、このように思います。しかし同時に、リーズナブルな、五十三年当時につくられたこの基準値というのがなかなか達成できない、ここに私どもも難しい問題意識を持っているわけであります。  先ほどから、自動卓の量の想像以上の増加、あるいはディーゼル化、いろんな原因等が言われました。この問環境庁はどういう形で基準達成のために努力をなさってきたのか、そして本当に自動車の台数がふえただけで、あるいはディーゼル化が進んだだけでNOxの基準達成がこれらの地区で特にできなかったのだろうか、このことを思うわけであります。  そういった意味で、今日まで環境庁のおとりになってきた努力、そしてどこがやはり根幹的に足りなかったかといったところを、大臣、どうお思いになるか、率直にお尋ねをしたい。特に自動車なんかはこれだけ台数が乗用車等はふえておるけれども、やっている。そこらのところを含めてお考えをお聞きいたします。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  242. 中村正三郎

    中村国務大臣 やはり自動車が予想以上にふえたということと、ディーゼル自動車の普及というものが乗用車にまで広がってふえたということが一つの大きな要因ではないかと思います。それともう一つ環境基準達成されなかったということは、やはり率直に私どもの責任を認めなければならないと思うわけであります。その中で私は、前に環境委員会にいたときの状況からしまして、今になって反省いたしますことは、当時私どもが環境庁に質問をいたしますと、直噴式はいけないから全部副室式に直していくという説明を受けておりました。ところが、私が十数年たって来てみたら、ほとんど直噴式になって副室式はなくなっている。逆の現象を発見いたしまして愕然としたわけでありますけれども、こういったことにも反省をいたしまして、これから取り組んでまいりたい。  しかし、我々がなかなか今まで手の出せないでいました問題として、軽油ガソリンの税のアンバランス、値段の違いということで、このままにしてまいりますと、やはり、経済性のいい、安い燃料で走れるディーゼルがどんどんふえ続けるであろう。こういうところまで踏み込んでどうするのかなと今大変頭を悩ませているところでありますけれども、やはり重要な、公害、残されたNOxの問題でありますから、いろいろな角度から勉強して取り組んでまいりたいと思っております。
  243. 中井洽

    中井委員 それでは、法律の中で幾つかの点についてお尋ねをいたします。  この法律は、大臣地域指定されて、その指定された自治体が削減計画を立てる、こういう形になっております。しかし、三つの都市に限らず、自動車の排気規制というものを考えてみましたときに、例えば測定をいたします観測点というのは、私一ほとんど国道沿いにあるのじゃないかと思います。三つの地区がなかなか基準値を達成できないというのは、道路交通網、非常な道路混雑、こういったものがかんできて、これはやはり国道の対策じゃないかなという感じがいたします。同時に、ディーゼルのトラックやバスがどんどんふえているんだ、また自動車、トラックの台数そのものもふえているんだ、こうなりますが、ふえた自動車の、運輸業なんかの、あるいはバス業なんかの許認可というのは全部国じゃないか、地方自治体が何も権限ないじゃないか。自動車のNOxを減らしていくのに権限を持っていない。その権限を持ってない自治体がなぜ削減計画をつくるんだ、このことをやはり第一に思うわけであります。国の方で削減計画をつくらずに地方自治体にこういう形でつくらす主な原因、理由は何ですか。
  244. 入山文郎

    入山政府委員 先生指摘のように、国道沿いに設置をしている測定局というものがかなり多いわけでございます。全体の四割程度はそういったことでございますが、また一方、都道府県がみずから測定している局も多いわけでございますし、また、国道沿いに置かれている局と申しましても、これまた都道府県の設置しているものもあるわけでございます。そういったことから、実際の測定等につきましては都道府県が一番よく承知しておるということがございます。したがいまして、いろんなデータを総合いたしましてその地域に最もふさわしい削減計画をつくるということにつきましては、やはりどうしても地方自治体が関与するのが一番よろしいのではないかと思うわけでございます。しかしまた、総合的な国の基本方針というものもございます。したがいまして、国が承認をするというような形もとっているわけでございます。  いずれにいたしましても、国と地方とで力を合わせてこの問題に取り組んでいかなければならないということから、都道府県計画をつくり、国がそれを承認し、さらに国が基本方針をつくり、また関係の省庁が指針をつくって事業者等については指導していく、こういった仕組みにしたわけでございます。
  245. 中井洽

    中井委員 運輸省、急に来ていただいて恐縮でございましたが、例えば東京や大阪や横浜で新しく運輸業をやりたい、あるいは台数をふやしたい、こういう形で陸運局へお願いに行ったら、二台で運送業をやりたい、こう言うたら、いやそれはだめだ、この地区においては例えば最低十台のトラックを持ってやらないと認可しないよというような御指導をなさっている。地域地域でそういう最低の台数みたいなものがなければ新しい運送業に参入できない、こういうふうに聞いていますが、間違いありませんか。
  246. 石井幸男

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  トラック事業でございますけれども、これは今さら申し上げるまでもございませんけれども、産業基礎資材から生活必需物資に至りますまで、経済活動あるいは国民生活に不可欠な貨物輸送サービスを提供する、こういう仕事でございます。したがいまして、国民生活の向上、我が国経済の維持発展に欠かすことができない公共的な事業というふうなことで、非常に重要な役割を負っているものだと私ども認識しております。そこで、このようなトラック事業者が安全性あるいは確実性等の面で一定水準以上の輸送サービスを提供いたしますように、公的な規制を行っておりますことは、先生も御承知のとおりだと思います。  具体的に申し上げますと、私どもで貨物自動車運送事業法という法律を所管しておりまして、先ほど申し上げましたような観点に立ちまして、参入の際、これは許可制になってございますけれども、過労運転の防止、その他輸送の安全を確保することができるかどうかとか、あるいは事業を的確に遂行する能力を有するかというふうなことを審査することになってございます。その審査の項目の中に一つ、先ほど先生指摘の最低車両台数というふうなものも含まれておるわけでございます。
  247. 中井洽

    中井委員 したがって、例えばトラックの数ということ、あるいはその地区でバスやトラックも余りふやさないということをやろうと思ったって、運輸省へ新しく三台でいいわとお願いしたって、十台以上しゃないとだめだよと、無理やり十台にして何とか商売にしてやっていくというのが実態なんです。こんなのは地方自治体は何にも関係ないのです。だから、私はこの法律を見て、もっともっと国が全面的に出たらいいじゃないか、地方自治体は計画をつくって本当にこんなことを、こういう国の許認可の持っておるところまで切り込んだものを立てられるのか、そういう思いを抱きますが、もう一度とうですか。
  248. 入山文郎

    入山政府委員 地方自治体は国の承認を得て削減計画をつくるということでございますが、実際は、例えば車種規制等につきましては、これは国が責任を持ってきちっとやるという仕組みになっておりますし、それから事業者に対する指導等につきましても、これは関係省庁が指針をつくりまして、その指針に基づいてきちっとした指導をやるという仕組みになっております。一方、都道府県からのいろいろな要望等もございますので、そういったものは環境庁で受けまして、それを事業所管大臣の方へつなぐといったような形もとっておりますけれども、あくまでも国が、しかも国の各関係の機関が力を合わせてこの事業推進していこうという枠組みになっておりますので、基本的には御理解をいただけるのではないかと思っておりますが、ただし、先ほど申し上げたようなこともございまして、地方も関与させた方がよりよい結果を生むことになるだろうという考え方もあるわけでございます。
  249. 中井洽

    中井委員 運輸省にお尋ねいたします。  こういう法律ができて、問題は、この指定をされようとする三つの地区に圧倒的にトラック等が多い。わけてあります。この多いのをどうするのだ。一つ一つの数値を減らすのも一番いい効果でありますが、台数を減らす、これしかない、これも一つの方法だ。そういうときに、この運輸業全般から見ての台数量低限というのがあることは理解をいたします。しかし、環境という面から見たら、そういう最低基準みたいなのがあって、必要以上のトラックを使う、買う、こういったことはおかしいじゃないかという議論が出てきたときに、運輸省は環境庁なんかとこういった問題を率直に話し合う、直していく、そういった姿勢がとれますか。
  250. 石井幸男

    ○石井説明員 お答え申し上げます。  先ほどの、トラック事業を営む場合に保有すべき最低車両台数でございますけれども、こういう参入の許可の際に、ほかにも基準はございますが、このような基準を設けておる趣旨というのは、先ほど御説明したとおりでございまして、これは一定事業規模を確保するということでございます。事業者がみずから的確に事業を遂行する重要な要件の一つというふうに私どもは考えておりまして、その輸送の安全を確保いたしましたり、あるいは利用者の多様な輸送ニーズに安定的に、そして継続的に対応していくという観点からは、この最低車両台数ということを要件として求めるのは妥当なことではないかと考えでございます。なお、実はただいまの貨物自動車運送事業法は平成元年に従来の道路運送法から分離制定されたものでございますけれども、その法案が採決されました際の衆議院それから参議院それぞれの運輸委員会におきましても、「貨物自動車運送事業の許可に当たっては、最低車両規模の確保等適切な事業計画及び事業遂行能力が確保されるよう厳正に行うとともに、許可後においても最低車両規模等が確保されるよう指導監督を強化すること。」というような附帯決議がなされてございます。こういったことを踏まえて私どもは今の方法をとっておるわけでございますけれども、先生の御指摘もございますので、今後ともNOxの低減の方策等に関しまして環境庁さんと協力させていただきたいと考えております。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 中井洽

    中井委員 運輸省、結構です。  例えば車の数だけにつきましてもなかなか大変だ。道路網をどうするのだ、信号をできる限り減らして渋滞をなくしていく、立体交差にするとか複線化をするとかして渋滞をなくしていく、こういったことをやろうと思ったら建設省で、地方自治体は余り権限がない。県道だ何だといったって、みんな国の補助金の中でやっておる。そういうことを考えますと、この法案自体結構でありますけれども、環境庁はどうやって運輸省や建設省と本当に実りある調整ができるかといつも思うわけであります。単体の規制というものをやっていくことも大事なことでありますが、一方で総合的な対策をとるべきだ。その中で例えば、それじゃ東京にある業者をどこかへ移すのだ、横浜にいる業者にどこかに移ってもらうのだと言ったって都道府県知事に何も権限はないのです。要はみんな国だと私は思うのです。その国の中で本当にNOxを減らすために環境庁がどういう調整をして実りある政策を実現していくかということだと私は思うのです。それらについての環境庁の決意をお聞かせいただきます。
  252. 入山文郎

    入山政府委員 確かに先生指摘のように、実際の指導につきましては都道府県知事の手の及ばない面もあるわけでございます。しかし一方、地方におきましては国の出先機関もあるわけでございまして、そういった出先機関との連携を密にしながらいろいろな事業を行うといった必要性もこれまたあるわけでございます。そういったことで、地方に協議会をつくりまして、国の各省の出先機関にもそのメンバーとして入っていただきまして、そこでいろいろな実際的な地方での、地域での政策等につきましても討議していただく、検討していただく、そういうような仕組みになっているわけでございまして、先ほどから申し上げておりますが、これは国だけでできるとか地方だけでできるとかということではございませんで、やはり両者それぞれの立場での特性を生かしながら協力し合ってこの事業推進されていく、環境基準達成まで持っていくということになるのじゃないかと思っております。
  253. 中井洽

    中井委員 先ほどからの質疑の中で、大体二〇〇〇年ごろには基準を達成できる、こういうお話でありました。大変長期にわたっての効果をにらんだ法律でありますが、こういう諸制度、政策が実行されてNOxの数値がこれらの指定された地域で減り始める、効果が出てきたということが目に見えてくるのは大体何年ぐらい先だとお考えですか。
  254. 入山文郎

    入山政府委員 この法律のいろいろな基準の適用につきましては、公布の日から一年六カ月以内ということにしているわけでございまして、新車につきましては原則としてこの一年六カ月のころから適用になるわけでございますし、また現に使用している車両につきましても一定の適用猶予期間、いわば経過期間と申しますか、を経て古い自動車から順次基準が適用されて買いかえが図られるということになるものでございます。こういったことによりまして規制効果が逐次あらわれてくるということになるわけでございまして、そういった積み重ねで紀元二〇〇〇年ごろにはおおむね達成できるだろうというように私どもは考えているわけでございます。(中井委員「何年くらいから目に見えた効果が出るんですか」と呼ぶ)逐次、目に見えたという言葉の解釈にもよりますけれども、なだらかな曲線を描いて二〇〇〇年に基準達成というような形で推移していくのであろうと私ども思っております。
  255. 中井洽

    中井委員 余り自信がないような答弁に聞こえできますが、それじゃ、その二〇〇〇年のころにはこの指定されようとする三つの地域でバス、トラックの台数というのは大体どのくらいになって、今からどれくらいふえておる、こういう予想のもとに二〇〇〇年には達成できるとお考えになっていらっしゃるのですか。
  256. 入山文郎

    入山政府委員 東京都での保有台数につきまして予測をいたしますと、今のまま推移すれば、トラック、バスに限って申し上げますと現在八十八万台あるわけでございますが、そのうちの七十万台がディーゼル車になるだろうというように試算をいたしております。
  257. 中井洽

    中井委員 違います。二〇〇〇年にこの八十八万台のバス、トラックは大体何台ぐらいになっておると思ってこういういろいろな数値を予想されているんですか。
  258. 入山文郎

    入山政府委員 失礼しました。現在、といいますのは一九九〇年ということでございますが、そのときの数字で百四十五万でございますが、それが二〇〇〇年では、仮に現在のまま推移してまいりますと百五十二万八千でございます。約百五十三万ということになるわけでございます。
  259. 中井洽

    中井委員 これは、東京都では今百四十五万台のバス、トラックがあって、二〇〇〇年には百五十三万台になる、そのうちディーゼルが八十八万台あるけれども、二〇〇〇年には七十万台だ、こういう予測で、そういう数字を前提としてこの法律をおやりになって二〇〇〇年には大体基準値が達成できると考えていらっしゃる、こういことですか、いかがですか。
  260. 入山文郎

    入山政府委員 先ほど申し上げました数字でございますが、これは何もしなければ七十万台であるということを申し上げたわけでございます。この法律を施行いたしますとこのディーゼル化の傾向を食いとめることができるわけでございまして、この場合はディーゼル車は約五割弱程度となると……(中井委員「四十万台ということですか」と呼ぶ)そうでございます。四十数万台、八十八万台の半分弱というようなことを見込んでいるわけでございます。
  261. 中井洽

    中井委員 先ほど猶予期間の話が出ました。私もいろいろとお聞かせをいただいているのですが、これから政省令でお決めになるということでありますが、一つは小型、中型、大型という区分でいくのかどうか、そのときにどういうトン数で小型、中型、大型というのを区分するのか、それから猶予期間についてそれぞれどのような年数を大体お考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきます。
  262. 入山文郎

    入山政府委員 車種規制につきましては、小型車、中型車、大型車と大ざっぱに申し上げておりますが、実際の数値といたしましては、二・五トンと五トンというところに線を引きまして、二・五トン以下、それから二・五トンから五トンまで、さらに五トンを超える、この三つの領域に区分をすることにしているわけでございます。  そして、猶予期間につきましては、これはこれから詰めるべき事柄になっているわけでございますが、車齢と申しますか、その車の寿命あるいは平均的な使用期間あるいは自動車メーカーの対応等を十分に考慮いたしまして、最も適当と思われる期間を設けてまいりたいと思っております。
  263. 中井洽

    中井委員 年数で、耐用年数といいますか使用の年数でいく、これはほぼ間違いないように聞いておりますが、日本自動車はだんだんとレベルアップをしておりますから、耐用年数が長くなって古くなっても使える、こういうのがNOxの規制値がなかなか達成できない一つの原因だ、こう言われております。皆さん方が御議論なすった中で、どうしてこの年数でいくことになったのか、走行距離というのをお考えにならなかったのか。運送業の方に聞きますと、大きな車で大体八十万から百万キロくらいで買いかえる、そこらが限度だ、同時にそこらでかえていけば採算も何とかとれる、こういうことを言っております。それはまあ小型、中型でいろいろだと思うのであります。走行距離でこの期間というものをお考えにならなかったのか、あるいはこれからもう議論をする気はないのか、そういったところをお答えいただきます。
  264. 入山文郎

    入山政府委員 使用過程卓につきましては、排出ガスの量の大きい、つまり古い年式の車から順次基準適合卓へ転換を図っていくということを考えているわけでございます。環境改善効果を着生に上げるためには、そういった方法をとるのが妥当であろうと思っているわけでございます。そのために、基準の適用猶予期間につきましては車齢、車の年齢でございます車齢に応じて、その長いものから基準が適用されるように設定することにしたわけでございます。なお、この特定自動車に係る規制につきましては、自動車検査の仕組みによって実施するものでございます。この制度の運用におきましても、猶予期間の設定を車齢に応じたものとする、その方がより効率的であるというように考えたわけでございます。
  265. 中井洽

    中井委員 入山さん、さっきからお答え、ちょっと私の質問とずれているように思うんだな。僕は、耐用年数でやらずに、走行距離でどうしてやらなかったのかと聞いておる。あなたは耐用年数、車齢年数でやることに決まっております、こう言っておるから、なぜだと聞いている。何回も質問を繰り返すことになってしまいますから、もうちょっと質問を聞いてお答えいただけませんか。
  266. 入山文郎

    入山政府委員 走行距離に応じてということでございますと、いわば私どもの考えております排出ガスの量の大きい古年式車というものを排除していくということからいたしますと、余り現実的ではないということになるわけでございます。非常に走行距離が短くても古い車はあるわけでございますので、走行距離が短いからといってそれを使用可能にしておくというようなことでは環境改善されないというように思ったわけでございます。
  267. 中井洽

    中井委員 しかし、新しい走行距離の短い車の方が排気ガスの排出の基準というものに近いものだと私は思うのです。古くなれば古くなるほどやはり排気ガスというのは悪くなるのじゃないでしょうか。そこのところ、違いますか。
  268. 中村正三郎

    中村国務大臣 お聞きしていて、多分こういうことだと思います。こちらが言っているのは、新しい卓の方が新しい規制でNO2の排出ガスの少ないエンジンになっているからそういうのにかえさせていく、こういう趣旨だと思います。
  269. 中井洽

    中井委員 それはよくわかるのです。よくわかるのですが、例えば六年、七年で百万キロ走ってしまった車なんというのは、やはり僕は落ちると思うのです。排出するガスのあれが悪くなる。やはり走行距離というのもどこかで頭に置かれるという方法はなかったのかな、こういう率直な思いで聞いているわけです。
  270. 入山文郎

    入山政府委員 走行距離が長くなったということによりまして、車齢がそれほど進んでいないにもかかわらず排出ガスが悪化する、いわば公害が多くなるというようなことはないと伺っております。
  271. 中井洽

    中井委員 実は、恥ずかしい話ですが、私もディーゼルの普通車を持っております。やはり古くなると、出てくる黒い煙も物すごく多くなりますよ。前回私、三十四万キロ走ったのですよ、落選中で金がなくて買いかえられなかったということもありますが。やはりそこらも少し御研究をいただきたい。このことを要望いたしておきます。  それからもう一つは、期間をおつくりになる。そうすると、期限が来てその年の車検でぷっつんにしてしまうのか、あるいはその車検から一年以内にしなさいよという指導をなさるのか。ここらが少し法律を読んでわからないのですが、いかがですか。
  272. 入山文郎

    入山政府委員 買いかえのための適切な猶予期間というものは設定する考えでございます。
  273. 中井洽

    中井委員 中古のバス、トラックを買ったとき、このときにもやはりその猶予期間というのが置かれるのかどうか。
  274. 入山文郎

    入山政府委員 車齢に応じて考えてまいりたいと思っております。
  275. 中井洽

    中井委員 そういう政省令というのは、法案ができてからいつぐらいに大体まとまってくるものですか。
  276. 入山文郎

    入山政府委員 半年程度でそのような詰めをしてまいりたいと思っております。
  277. 中井洽

    中井委員 既に運輸省、通産省等々と十分な御議論をなさっておられるし、またそれらを通じて実際に業界からも意見を聞かれ、あるいは自動車をつくっている業界からも意見を聞かれていると私どもは承知をいたしております。しかし、例えば運送業界というのは私どもが知っておるだけで三万七、八千社ある業界でございまして、しかも大から小、また同時に協会に入っていない業者さんもたくさんいらっしゃる。そういったところが本当にどうしてディーゼルを使うのだ、あるいはどうして直噴式のディーゼルでやるのだといえば、先ほど大臣からお答えがあったように経済性であります。これをガソリン車にかえる、副室式にかえる、こう言っても、やはり馬力が落ちる、燃費が高くつく、こういったことでなかなか効果が出てこない。したがって、そういう意味も含めて猶予期間等をお置きになって配慮されていることは十分承知をしておりますが、どうぞこの猶予期間も含めてこれらのことがきちっと実行されるように周知徹底、しかも業界が極めて複雑にたくさんある、こういったことを含めて御努力をいただきたい。このことについてお答えをいただきます。
  278. 入山文郎

    入山政府委員 関係の業界とはいろいろと話を詰めてまいりまして、この法律趣旨に御賛同をいただいて協力をしていただけるということになっております。もちろん今先生指摘のようにすべてその業界団体に入っている人たちだけではございませんので、一般に対する啓発、PRにつきましても十分に意を用いてまいりたいと思っております。
  279. 中井洽

    中井委員 もう一つ、要望といいますかこうあるべきだと思っておることがございまして、この指定されます地域におかれては、例えば東京都なら都営バスというのがある。あるいは清掃の車というのがある。これらが大半ディーゼルで走っていらっしゃるのだ、私このように思います。大阪も当然そうであろうかと思います。これらにつきましては大変意欲的に地区のNOx規制をやろうとされておるという話も前々から聞いておるわけで、総量規制をおやりになろうという話も聞いております。民間と違って当然、少々燃費が上がっても、あるいは早く車を買いかえても私は大丈夫だと思います。これらのことが有効に実行されるために、まずこの地方自治体のお持ちになっている車からお決めになった期限よりも早く買いかえていく、こういうことを環境庁として私は率先してお願いをされるなり御指導をされるべきだ、このように思いますが、大臣、この点いかがですか。
  280. 中村正三郎

    中村国務大臣 今おっしゃいましたこと、大変参考になりますので、ちょっと考えて、いろいろ、相談してまいりたいと思います。  それから、先ほどのことでちょっとお答えさせていただきたいのですが、ディーゼルエンジンというのは新しいうちの方がNOxを出すのです。なぜかというと、コンプレッションがよくて高温で燃えますからNが酸化してしまうのですね。古くなって黒煙が出るようになるとコンプレッションレシオが落ちできますから燃焼温度が下がってNOxが少なくなってくる。しかし黒いものが出てくる。これは発がん物質とか何かを含んでいるものが出てくる、こういうことなのでございます。
  281. 中井洽

    中井委員 A級レーサーでいらっしゃいますからよく車のことは御承知であろうかと思います。しかしディーゼルの場合には、本当にNOxだけでなしにいろいろな浮遊物、黒煙、こういったことを含めての総合的な対策がとられなければなりません。古くなって、やはりそこらのところを猶予期間というのは非常に難しいなと思いますが、ぜひともこれらが実行できる対応策をおとりいただきますようお願いいたします。  それからもう一つお尋ねしたいのは、先ほどから大臣がたびたびおっしゃるように、要するにトータルとして経費が安いからディーゼル化していくんだ、こういうことであります。これを早く切りかえてくれ、こういうことであります。しかし、なかなか利益ということに絡むわけでありますから、口それぞれにはみんな環境を守らなければならないということはわかっておっても、実行されるかどうか大変疑問に思うところもあります。一番いいのは、やはり経済的な誘導策、この法律のとおりやっていったら優遇措置があるよ、こういうプラスがあるよというのがなければ、これはうまくいかないのではないかと心配をいたしております。そういう意味で、環境庁も優遇政策、例えばディーゼルの単体の規制値を達成できるエンジン等を開発するところに対する優遇策、あるいは早く買いかえるところへの優遇策とか、いろいろなことが考えられると思うのです。これらの優遇策を私は当然やるべきだと考えますが、環境庁はどのようにお考えで、そして、もし当然とるべきだとお思いなら、どういった方面での優遇策をお考えになってこれから政府内で決めていこうとされておるのか、その辺をお尋ねいたします。     〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕
  282. 入山文郎

    入山政府委員 買いかえ等に伴います負担があるということから、いろいろな形での優遇策あるいは助成措置のようなものを考えていかなければならないと私どもも思っております。例えば、税制上の軽減措置でございますとか、あるいは低利の融資といったようなことも考えられるのではないかと思います。具体的な内容につきましては、これから関係の省庁とも十分に協議をしながら決めてまいりたいと思っております。
  283. 中井洽

    中井委員 これを来年度の税制の中で新しくお出しになる、こういうことを、大臣は自民党の中でも大蔵族の一人でございますので、御努力いただけるとこの場でお約束をいただけますか。
  284. 中村正三郎

    中村国務大臣 精いっぱいお願いをしてまいりたいと思っております。  ただ、中井委員も大蔵でずっと御一緒させていただきましたけれども、政策税制というものをとらえた場合に、逆にディーゼル促進税制になっている軽油の課税のあり方、私はこれを政策税制として考えた場合には、それは経済性でいいということはございましょうけれども、事環境から見れば完全にその環境を阻害する方にこの税制が働いているということでありますから、ほかの税制をお願いすることもですけれども、何とかこの税制考え直すことはできないかと思っておりますので、やはり大蔵族でいらっしゃる中井先生のいろいろな御支援も賜りたいと思っております。
  285. 中井洽

    中井委員 どうも先ほどから大臣が同じお答えを他の議員にもされておりまして、それらを聞いていますと、そこらをいじることで環境税というものを考えていらっしゃるのかなと深読みをしたりいたしておりますが、それはそれとして、本当にバス、トラックをお使いになっている業界の過当競争等を考えますと、なかなかこれは実行していただくのは大変だなという思いを持っております。  過日、環境庁の人たちに、この燃費はどれくらいアップするんだ、こういう形で聞きましたら、いろいろと統計のとり方はあろうかと思いますが、一、二%燃費が上がる、こういうお話もございました。さっき言いました三万数千社の例えば運送業界の人たちの平均利益率というのは二・四%ぐらいでありまして、燃費が上がるということは実は大変経営に響くわけであります。そうすると、なかなか守られない。こういったことを含めまして、ぜひ優遇策について御努力をいただきますように、私どももまた、野党でありますが一生懸命お手伝いをしていきたい、こんなふうに考えております。  私、久しぶりに一時間ちょうだいをして、きょうだけということであったわけでありますが、実は社会党さん等の修正案等出たということもございまして、七日の日に十分だけ、まことに恐縮でありますが残させていただくということで、本日は終わらせていただきます。
  286. 鈴木恒夫

    ○鈴木(恒)委員長代理 次回は、来る七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十六分散会      ――――◇―――――