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1992-02-26 第123回国会 衆議院 環境委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成四年一月二十四日)(金曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 小杉  隆君    理事 青木 正久君 理事 塩谷  立君    理事 鈴木 恒夫君 理事 高橋 一郎君    理事 細田 博之君 理事 斉藤 一雄君    理事 馬場  昇君 理事 斉藤  節君       臼井日出男君    小澤  潔君       北村 直人君    武村 正義君       戸井田三郎君    増岡 博之君       山口 敏夫君    秋葉 忠利君       岩垂寿喜男君    岡崎トミ子君       時崎 雄司君    長谷百合子君       東  順治君    寺前  巖君       塚本 三郎君 ――――――――――――――――――――― 平成四年二月二十六日(水曜日)     午前九時四十分開議 出席委員   委員長 小杉  隆君    理事 青木 正久君 理事 塩谷  立君    理事 鈴木 恒夫君 理事 高橋 一郎君    理事 細田 博之君 理事 斉藤 一雄君    理事 馬場  昇君 理事 斉藤  節君       臼井日出男君    小澤  潔君       武村 正義君    戸井田三郎君       山口 敏夫君    秋葉 忠利君       岩垂寿喜男君    岡崎トミ子君       時崎 雄司君    長谷百合子君       東  順治君    寺前  巖君       中井  洽君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)  出席政府委員         公害等調整委員         会委員長職務代 海老原義彦君         理         公害等調整委員 石出 宗秀君         会事務局長         環境政務次官  平野  清君         環境庁長官官房 森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         環境庁企画調整 柳沢健一郎君         局環境保険部長         環境庁自然保護 伊藤 卓雄君         局長         環境庁大気保全 入山 文郎君         局長         環境庁水質保全 眞鍋 武紀君         局長         通商産業大臣官 中田 哲雄君         房審議官  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部生活経済課 松原  洋君         長         総務庁行政監察 塚本 壽雄君         局監察官         外務省国際連合 小西 正樹君         局審議官         外務省国際連合 隈丸 優次君         局社会協力課長         大蔵省主税局税 増原 義剛君         制第二課長         大蔵省国際金融 溝口善兵衛君         局開発期間課長         大蔵省国際金融 豊田  博君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫 大川 義清君         課長         林野庁指導部造 村田吉三郎君         林保全課長         水産庁海洋漁業 森本  稔君         部遠洋課長         郵政省郵務局切 井口 義勝君         手文通振興課長         建設省河川局海 葛城幸一郎君         岸課長         建設省道路局企         画課道路環境対 城処 求行君         策室長         自治省財政局地 嶋津  昭君         方債課長         参  考  人         (水資源開発公 内藤 克美君         団理事)         環境委員会調査 西川 義昌君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 二月四日  辞任         補欠選任   長谷百合子君     富塚 三夫君 同日  辞任         補欠選任   富塚 三夫君     長谷百合子君 同月十九日  辞任         補欠選任   時崎 雄司君     日野 市朗君 同日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     時崎 雄司君 同月二十一日  辞任         補欠選任   時崎 雄司君     日野 市朗君 同日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     時崎 雄司君 同月二十六日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君     ――――――――――――― 一月二十四日  空き缶、空き瓶等の回収に関する法律案(小川  国彦君外三名提出、第百十八回国会衆法第一二  号) 二月十二日  公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  環境保全基本施策に関する件  公害紛争処理に関する件      ――――◇―――――
  2. 小杉隆

    小杉委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  環境保全基本施策に関する事項  公害防止に関する事項  自然環境保護及び整備に関する事項  快適環境の創造に関する事項  公害健康被害救済に関する事項  公害紛争処理に関する事項以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進め たいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小杉隆

    小杉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 小杉隆

    小杉委員長 次に、環境保全基本施策に関する件及び公害紛争処理に関する件について調査を進めます。  この際、環境庁長官から所信を聴取いたします。中村環境庁長官
  5. 中村正三郎

    中村国務大臣 第百二十三回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力お願い申し上げたいと存じます。  本年は、環境開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットの開催を六月に控え、同会議契機として環境政策のさらなる展開を図ることが大きな課題となっております。  地球温暖化オゾン層の破壊、熱帯林の減少、有害廃棄物国境を越える移動等地球環境問題は、今や人類全体の生存基盤にかかわる緊急かつ重要な課題となっております。このような問題は、科学技術の進歩と経済発展に支えられた人類の諸活動が、自然の浄化能力を超えるほど巨大化していることに起因する問題であり、また、個々の企業活動国民一人一人の生活あり方そのものに根差した問題でもあります。人類は、これまでのようなやり方で人間活動拡大を続けていくのではなく、有限な地球環境資源の中で、環境経済統合による持続可能な開発を目指した経済社会形成していくため、国際的協力もと具体的施策推進していく必要があります。  その中で、高度な経済活動を営み、地球環境に大きなかかわりを持つと同時に、環境対策等分野で多くの経験とすぐれた技術力を有する我が国が、本分野でどのような責任と役割を果たしていけるかに今や国際的な注目が集まっております。我が国は、持てる英知を結集し、地球の将来、そして人類の幸福と繁栄をかけて、地球環境問題の解決に向け、積極的、主体的にその国際的地位にふさわしい貢献を果たしていかなければなりません。  また、一国内環境問題に目を転じますと、大都市地域における窒素酸化物等による大気汚染生活排水等による河川湖沼内湾等水質汚濁、あるいは身近な地域において緑や生き物と触れ合うことのできる自然が失われつつあるなど、地域における環境問題は山積しております。  国民の一人一人が、豊かさとゆとりを日々の生活の中で実感しながら暮らしていけるような生活大国への前進のためには、国民生活環境保全しつつ、さらに質の高い快適な環境づくり取り組み、安全で安らぎと潤いのある地域環境形成していかなければなりません。  こうした国内外の環境問題を根本的に解決するには、社会経済システムを幅広く見直し、経済活動全般環境の観点を広く織り込み、環境への負荷の少ない環境保全型社会形成が不可欠であります。  このため、環境行政をめぐる課題変化時代要請を踏まえ、法制度あり方、新たな政策手段導入等について議論を深め、地球化時代環境政策展開していかなければなりません。  以上の認識に立って、私は次の施策について重点的に取り組んでまいります。  第一に、地球環境保全のための施策推進であります。  ブラジルで開催される地球サミットは、各国首脳が一堂に会し、持続可能な開発が重要であるとの認識もと気候変動に関する枠組み条約生物多様性条約等採択に向けた交渉が行われるとともに、地球人類共通の未来のために良好な状態にしておくための人間や国家の行動基本原則を定める地球憲章採択やその具体的な行動計画であるアジェンダ21の策定、さらにはこれらを実施するための資金についての協力等について合意を得ることを目的とする極めて重要な国際会議であります。  私は、地球環境問題担当大臣環境庁長官として、地球サミットに向け、我が国がその国際的地位にふさわしい、主体的かつ積極的な貢献を行い、会議成功するよう全力を傾注してまいる所存であります。  また、地球サミット契機として、地球環境保全に対する取り組みを一層強力に推進するとともに、その成果を広く国民に普及していくことが重要であります。  このため、環境庁では、本年をアース・イヤー92とし、国民各界各層の参加のもとに、キャンペーン活動実施いたします。また、地球温暖化防止行動計画の着実な推進に努めるとともに、環境保全型社会形成に向け、環境保全活動普及拡大環境教育推進、リサイクルの促進環境経済統合に資する政策手段検討等に引き続き取り組んでまいります。  また、地球環境問題に関する調査研究強化するため、地球環境保全調査研究等総合推進計画に基づき、政府一体となって総合的な研究推進するとともに、国立環境研究所地球環境研究センターによる研究支援及びモニタリング体制充実を図ります。  このほか、アジア・太平洋環境協力計画環日本海環境協力推進、本年秋に開所予定UNEP国際環境技術センターへの支援を初めとする国際環境協力展開してまいります。  さらに、有害廃棄物国境を越える移動及びその処分規制に関するバーゼル条約への早期加入を図るための国内法制度整備を図るとともに、世界文化遺産及び自然遺産保護に関する条約の締結を目指し、関係省庁間で準備を進めるなど国際条約への取り組み強化してまいります。  第二に、自然環境保全と適正な利用推進であります。  自然環境を適切に保全するとともに、自然との触れ合いを求める国民ニーズの高まりにこたえるため、自然公園国民公園保全整備、身近な自然が一定の広がりを持って残されている地域における各種利用施設整備長距離自然歩道整備等を通じ、自然との触れ合いの場の整備促進するとともに、自然と親しむための各種行事実施及び自然との触れ合い推進する人材の育成等により、人と自然の交流を推進してまいります。  また、野生生物保護については、地球サミットでの生物多様性条約採択に向けた取り組みに加え、本年三月に京都市で開催されるワシントン条約締約国会議成功に向け努力するとともに、平成五年に釧路市で開催されるラムサール条約締約国会議に向け着実に準備を進めるなど国際的分野での貢献強化してまいります。  さらに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存のため、体系的な国内法制度整備を図るべく、今国会所要法律案提出を予定いたしております。  第三に、都市環境保全対策推進であります。  大都市地域窒素酸化物による大気汚染改善を図るため、大都市地域全体の自動車排出ガス総量抑制等自動車から排出される窒素酸化物排出抑制に資する特別の措置を講ずべく、今国会所要法律案提出を予定いたしております。さらに、低公害車普及拡大を積極的に推進する一方、基本的な対策である自動車単体に対する規制強化については、中央公害対策審議会答申に沿ってディーゼル車を中心とした排出ガス規制長期目標早期に達成されるよう所要技術開発を促すなど、鋭意働きかけを行ってまいります。  また、湖沼内湾等閉鎖性水域における水質汚濁改善するため、引き続き市町村による生活排水対策推進計画策定支援していくほか、身近な水路の汚濁改善のための浄化施設整備に対する支援強化国民に対する普及啓発を行ってまいります。  第四に、総合的な水俣病対策推進を初めとする環境保健施策推進であります。  水俣病対策については、今後とも公害健康被害補償等に関する法律等に基づき、水俣病被害者の公正な救済を進めるとともに、昨年十一月の中央公害対策審議会答申を踏まえ、水俣病問題の早期解決を図るため、平成四年度から新たに、水俣病とは認定されないが一定の症状を持つ者に療養費及び療養手当を支給する等の総合的な対策を講ずることとしております。  また、健康被害予防事業推進健康状態大気汚染との関係の継続的な監視体制づくりに取り組むなど、公害による健康被害者救済及び健康被害未然防止に引き続き努めてまいります。  第五に、環境汚染対策環境管理の総合的な推進であります。  安全で快適な生活環境を確保していくため、さまざまな化学物質バイオテクノロジー等先端技術利用による新たな態様の環境汚染未然防止、未規制発生源等による環境汚染対策を一層推進するとともに、大気汚染水質汚濁土壌汚染廃棄物対策等各種公害対策にも万全を期してまいります。また、環境影響評価公害防止計画等多角的な環境保全手法充実強化してまいります。  さらに、最近における環境行政上の主要課題変化に的確に対応するため、公害防止事業団環境事業団に改組し、新たに産業廃棄物最終処分場等整備を行う業務国立国定公園自然保護と健全な利用推進する施設整備を行う業務等を追加するため、今国会公害防止事業団法の一部を改正する法律案提出させていただいておりますので、速やかな御審議をよろしくお願いを申し上げます。  以上、環境行政の主要な課題と今後の取り組み基本的方向について所信を述べました。  二十一世紀を目前に控えた今日、地球環境問題を初め環境問題は、人類地球の将来を左右する重大課題となっており、環境行政は大きな変革を求められております。環境行政の総合的な推進の任にある環境庁としては、こうした要請にこたえるべく、現在、中央公害対策審議会及び自然環境保全審議会に対し、地球化時代環境政策あり方について総合的な検討お願いしているところであり、その審議を踏まえつつ、新たな時代ニーズに合致した環境行政展開に努めてまいる所存であります。  本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、何とぞ今後とも御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)
  6. 小杉隆

    小杉委員長 これにて大臣所信表明は終わりました。  次に、平成四年度環境庁関係予算概要について説明を聴取いたします。森官房長
  7. 森仁美

    ○森(仁)政府委員 平成四年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  平成四年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は五百八十億八千四百八十九万円であり、これを前年度の当初予算額五百三十八億二千三百七十四万円と比較すると、四十二億六千百十四万円、七・九%の増額となっております。  予算要求額の主要な項目について、御説明申し上げます。  第一に、環境保全企画調整等については、地球温暖化を初めとする地球環境保全分野我が国世界貢献するため、本年六月に開催される環境開発に関する国連会議成功に向けてこれを支援し、その成果を広く国民に普及するとともに、開発途上国等環境保全計画づくり支援等国際環境協力推進に努めるほか、地球環境保全に関する関係閣僚会議が決定した地球温暖化防止行動計画推進先端技術の進展と化学物質使用拡大に対応した環境保全施策充実国民各界各層に対する環境教育強化環境影響評価及び公害防止計画策定推進に必要な経費など、合わせて十億九千八百八十八万円を計上しているところであります。  第二に、公害による健康被害者救済等については、新たに水俣病問題の早期解決を図るため、総合的な対策実施するほか、従来に引き続き、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、公害健康被害補償予防協会に設けられている基金を活用した健康被害予防事業や総合的な環境保健施策推進することとし、これらの経費として二百三十二億九千八百四十万円を計上しております。  第三に、大気汚染等防止については、都市地域窒素酸化物対策として、自動車が排出する窒素酸化物総量抑制、低公害車普及推進等を進めるほか、オゾン層保護対策として、フロンガス等監視及び調査研究推進等酸性雨対策として、監視測定体制整備等に努めるとともに、未規制大気汚染物質対策、脱スパイクタイヤ対策及びアスベスト対策等推進を図ることとしております。  また、騒音、振動及び悪臭対策についても、引き続き推進を図ることとし、これらの経費として九億五千九十二万円を計上しております。  第四に、水質汚濁防止については、生活排水対策推進するため、市町村生活排水対策推進計画策定及び水質浄化等施設整備助成推進するほか、水質総量規制推進湖沼水質保全並びに地下水質保全等対策推進するための経費として十億八千六十六万円を計上しております。  このほか、地盤沈下防止及び廃棄物対策費として一億三千六百九十四万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億九千二百五十九万円をそれぞれ計上しております。  第五に、公害防止事業団については、国立国定公園保護及び整備推進産業廃棄物処理施設整備促進等環境行政上の重要課題に対応するため、事業の見直しを行うとともに、名称を環境事業団に改めることとし、事業団事業運営に必要な事務費等助成費として四十三億五千四百八十三万円を計上しております。  第六に、公害監視等設備整備については、地方公共団体監視測定体制等整備助成するために必要な経費として八億二千八百八十四万円を計上しております。  第七に、環境保全に関する調査研究推進のための経費については、総額五十三億八千二百万円を計上しております。  この内訳としては、まず、国立試験研究機関等公害防止等試験研究費として十九億千八百四万円を環境庁において一括計上するとともに、環境保全総合調査研究促進調整費として一億九百万円を計上し、関係省庁が所管する各種環境保全に関する調査研究総合的調整を行うほか、地球環境研究総合推進費として十九億円を計上し、関係省庁の所管する国立試験研究機関等が行う各種地球環境保全に関する調査研究総合的推進を図ることとしております。  また、地球観測衛星ADEOSに搭載する成層圏オゾン等観測機器開発光化学スモッグ環境汚染による健康影響の解明、その他大気汚染水質汚濁自然保護等に関する調査研究費についても十四億五千四百九十五万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしております。  第八に、自然環境保全対策及び施設整備について申し上げます。  まず、自然環境保全対策及び自然公園等維持管理等については、自然環境保全基礎調査を初めとする調査研究実施するとともに、国立公園等保護管理充実強化を図ることとしております。  また、野生生物保護対策については、絶滅のおそれのある野生生物種保護対策推進するとともに、国設鳥獣保護区の管理強化等を図ることとしております。  これらに必要な経費として、合わせて十六億九千百三十九万円を計上しているところであります。  次に、自然公園等施設整備については、国民の快適で安全な利用を図るため、国立国定公園利用施設長距離自然歩道自然環境保全活動拠点及び国民公園施設整備推進するほか、野生生物保護管理施設等整備に必要な経費として五十二億九千六十二万円を計上しております。  第九に、国立環境研究所については、地球環境問題等環境全般にわたる研究を積極的に推進するため、地球環境研究センターの拡充及び研究施設整備を図るために必要な経費として六十億千六百二十三万円を計上しております。  また、国立水俣病研究センター運営等に必要な経費として四億四千九百九万円を計上しております。  以上、平成四年度環境庁関係予算案概要につきまして御説明申し上げました。
  8. 小杉隆

    小杉委員長 次に、各省庁平成四年度環境保全経費等概要について、便宜、環境庁から説明を聴取いたします。八木橋企画調整局長
  9. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 各省庁平成四年度環境保全経費等概要について御説明申し上げます。  まず、歳出予算について御説明いたします。  平成四年度における環境保全経費総額は一兆五千五百十四億円であり、前年度の当初予算に比べ一千一億円、六・九%の増となっております。  これを事項別にみますと、各種基準等の設定のために十一億円、監視取り締まり強化のために六十億円、公害防止事業助成のために九十四億円、公害防止関係公共事業等推進のために一兆二千八百二十四億円、公害防止調査研究推進のために三百二十五億円、公害被害者保護対策等充実のために二百四十八億円、自然保護対策推進のために一千七百八十四億円、その他として百六十八億円が計上されています。  主要な項目については、次のようになっています。  まず、環境保全経費全体の八三%を占める公害防止関係公共事業等のうちでは、建設省等に計上されている下水道事業費九千百八十三億円、公共用飛行場周辺及び防衛施設周辺における騒音防止対策等経費として運輸省、防衛施設庁に一千三百二十五億円、さらには、厚生省、運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費一千八十四億円などがあります。  まだい公害被害者保護対策等のうちでは、環境庁公害健康被害補償対策等経費二百三十三億円、自然保護対策のうちでは、建設省等公園事業費一千二百三十七億円、環境庁自然公園等施設整備費五十三億円などがあります。  なお、近年の地球環境問題に対する取り組み重要性にかんがみ、環境保全経費とは別に、環境庁において、各省庁地球環境保全関係予算を取りまとめたところでありますが、これによると、平成四年度における総額は四千九百八十四億円であり、前年度の当初予算に比べ百七十六億円、三・七%の増となっております。  これを事項別にみますと、地球環境保全関係一般経費として八百八十億円、衛星等研究開発関係費として二百四十五億円、エネルギー対策関係費として三千八百四十三億円、その他関連経費として十六億円となっています。  特に、エネルギー対策衛星等研究開発関係費等を除いた一般経費は八百八十億円で、前年度の七百六十一億円に比べ百十九億円、一五・六%の大幅な伸びとなっています。  次に、公害防止関係財政投融資の概要について御説明いたします。  平成四年度における公害防止関係財政投融資は、貸付規模等において総額一兆九千四百九十九億円を予定しており、前年度の当初計画額に比べ九百八十九億円の増となっております。  機関別の主な内訳としては、公害防止事業団事業規模で八百九十億円、日本開発銀行が貸付規模で七百二十億円を予定しているなどのほか、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理等の事業推進するため、地方債計画において一兆七千百四十九億円を予定しております。  このほか、中小企業金融公庫、環境衛生金融公庫、北海道東北開発公庫、中小企業事業団等において産業公害防止対策所要の融資を引き続き行うこととしております。  なお、公害防止事業団については、環境行政上の主要課題変化に的確に対応するため、事業の見直しを行うとともに、名称を環境事業団に改めることとし、今国会公害防止事業団法の一部を改正する法律案提出させていただいております。  最後に、今国会において御審議いただく租税特別措置法等の改正案に盛り込まれております環境保全関係の税制改正措置について御説明申し上げます。  まず、自動車公害防止対策関係税制として、最新窒素酸化物排出ガス規制適合車への買いかえ促進及び平成五年自動車排出ガス規制適合車の導入促進のための特例措置を新設するとともに、ハイブリッド自動車など低公害車の導入促進のための特別措置の新設等の措置を講ずる予定であります。  また、リサイクルの促進を図るため、廃棄物再生処理用設備に係る特例措置の拡充、リサイクルの担い手となる登録廃棄物再生事業者の事業の用に供する施設に係る特例措置の新設、特定フロン排出抑制・回収設備に係る特例措置の拡充等の措置を講ずる予定であります。  このほか、公害防止施設に対する特例措置の延長、公害防止事業団に対する特例措置の延長など、所要の税制上の措置を講ずることとしております。  以上をもちまして、平成四年度の各省庁環境保全経費等説明を終わらせていただきます。
  10. 小杉隆

    小杉委員長 次に、平成三年における公害紛争処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。海老原公害等調整委員委員長代理。
  11. 海老原義彦

    ○海老原政府委員 公害等調整委員会が平成三年中に行った公害紛争処理に関する事務及び平成四年度総理府所管一般会計公害等調整委員会歳出予算要求額について御説明申し上げます。  まず、公害紛争処理に関する事務の概要について御説明申し上げます。  第一に、平成三年中に、当委員会に係属した公害紛争事件は、水俣病と認定された患者とチッソ株式会社との間で患者個々人ごとに具体的な損害賠償額を定める水俣病損害賠償調停事件、静岡県の住民から山梨県のゴルフ場の事業者を相手方として申請のあった山梨・静岡ゴルフ場農薬被害等調停事件、長野県等の住民から日本鉄道建設公団を相手方として申請のあった北陸新幹線騒音防止等調停事件など合計二十四件でありまして、これらのうち、平成三年中に終結したものは二十二件であります。  なお、以上のほか水俣病損害賠償調停事件については、調停成立後に申請人の症状に変化が生じたときに行われる水俣病慰謝料額等変更申請事件が二十四件あり、うち十五件が終結しております。  現在係属中の事件につきましては、適切な解決が図られるよう鋭意努力してまいる所存であります。  第二に、平成三年中に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は百六件であり、工場及び近隣の騒音に係る事件やゴルフ場などの建設反対に係る事件が多くなっております。これらのうち、平成三年中に終結したものは三十一件であります。  公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会とはそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとなっておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るという観点から同審査会との間での連絡協議に努めるとともに、参考となる情報、資料の提供を積極的に行っているところであります。  第三に、全国の公害苦情の実態についてであります。  当委員会調査によれば、平成二年度において、全国の地方公共団体公害苦情相談窓口に寄せられた苦情は、約七万四千件となっており、苦情件数は、昭和四十七年度の約八万八千件をピークに以後減少傾向を示したものの、五十八年度から再び増加傾向を示しております。  これを苦情の種類別にみますと、いわゆる典型七公害に関する苦情では、騒音に関する苦情が最も多くなっておりますが、いわゆる典型七公害に分類できない苦情も全体の約三四%を占め、年々増加してきております。  公害苦情につきましては、都道府県または市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、これらの地方公共団体に対し、職員に対する研修の実施、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。  続きまして、平成四年度公害等調整委員会の歳出予算要求額概要について御説明申し上げます。  平成四年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、公害等調整委員会の歳出予算要求額は五億四千万円であり、これを前年度の当初予算額四億九千六百万円と比較いたしますと、八・九%、四千四百万円の増額となっております。  次に、その内訳について御説明申し上げます。  第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理経費等として五億一千百万円を計上しております。  第二に、公害紛争処理を担当する都道府県公害審査会委員等及び担当職員との連絡協議のための経費等として二千九百万円を計上しております。  以上が平成三年中に公害等調整委員会が行った公害紛争処理に関する事務の概要及び平成四年度公害等調整委員会の歳出予算要求額についての概要であります。  公害等調整委員会といたしましては、今後とも公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、鋭意努力してまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。      ――――◇―――――
  12. 小杉隆

    小杉委員長 次に、環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷立君。
  13. 塩谷立

    塩谷委員 ただいま大臣環境行政に対する御決意をお伺いしたわけでございますが、その中にもありましたように、今までの我々人類の営みというものが、単に科学技術あるいは経済優先の社会経済システムのツケが一気に今日地球全体に顕著にあらわれてきたということだと思います。身近な大気汚染あるいは水質汚濁、そして地球全体に対する温暖化の問題、熱帯林の減少等の課題が山積しているわけであります。これからのあらゆる政策課題が特に環境のすべてにかかわってくるのではないかな、我々人類が本当にこれからの将来、二十一世紀に向かってこのまま生きていけるかどうかというような危惧を抱かざるを得ない状況になっているわけであります。  その深刻さゆえに、ことし地球環境サミットが開かれるわけでございますが、それに対する大臣の並み並みならぬ御決意も今お伺いしたところでありますが、ここ一カ月をとってみましても、新聞等でもいろいろな環境に関する連載がされているわけであります。日経新聞の「地球サミット課題」とか、あるいは一週間ごとの「環境問題 私の提言」とか、毎日新聞「環境はいま」、朝日新聞「地球環境経済」、あるいは最近では、世界の銀行が融資に対して環境の問題を入れるとか、いろいろな問題が出ているわけであります。それだけ人類にとって重要な問題だと受けとめるべきだと私は感じておる次第でございますが、ことし六月にそういう状況の中で行われる地球サミット、これについてそれだけ世界の関心も高く、もちろん我々としてもこれを成功させなければならないと思っておるわけですが、その地球サミットに対して日本がいかにその大会の成功に向かって努力するか、そしてリーダーシップをとって貢献していくかという問題は、我が国にとっては、この国際化時代における中で大変に国際貢献という意味でもいわゆる試金石的な今度の大きな場だと思っておるわけでございます。その点につきまして、我が国の具体的な政策、地球環境サミットに対する政策あるいは貢献する、今回の会議に向かう大臣の決意を改めてお伺いをしたいと思うわけでございます。
  14. 中村正三郎

    中村国務大臣 環境に対する考え方、それは今塩谷議員が御指摘になったことと私ども感じていることが全く一致していると思うのでございます。  昔、環境問題が、環境庁のできた今から二十年前、その前の高度成長時代のときに、悪いものを出しているガスがある、水がある、それをつかまえてそういうものを征伐するんだというような環境行政から出発したわけでありますけれども、今日に至りまして、この地球の有限性とか開発の限界、発展の限界とかそういったものが目前に迫ってまいりまして、環境に対する物の考え方も全く変わってきたという中に今あると思うわけであります。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕  しかしながら、環境問題というのは、当時からそうでありますけれども、総論賛成、各論反対の多いところでありまして、何かやろうとすると抑制しなければいけない面が出てくる。そういうことで、総論では賛成なんだけれども、どうも各論にいくと、それは困ったよ、これはまずいよというような話が出てきてやりにくいというようなことが歴史の中であったのでありますが、今はもうそういう時代を過ぎて、我々の住んでいる社会経済全体を環境保全型にしていかなければいけない、その中で持続可能な開発というものを目指していかなければいけないという時代に入ってきたと思います。  そういう中で六月にサミットが行われるわけで、まさにこれは画期的な世界のイベントだと思います。この地球環境というのは人類生存の基盤であるということで、それを保全するための具体的な方策について、地球的規模、世界的な規模で合意を目指す、合意をすることを目的とするという極めて重要な会議であります。  この会議で目標としております地球温暖化の問題だとか熱帯林の減少の問題だとかオゾン層の破壊の問題だとか、極めて重要な問題がいっぱいあるわけでありますけれども、これらの問題の解決のために条約をつくったり地球憲章をつくろうとか、また熱帯林の減少についてはなかなか条約までいけないから憲章みたいなものをつくろうかとか、合意に向けて今いろいろな努力をしているわけであります。その中で、そういったことをなし遂げるために発展途上国で技術なり資金なりが要るであろう、そうした資金の移転について国際的なメカニズムをつくろうとかいろいろあるわけでありますが、これらの会議に向かって、これらのUNCEDに向かって今準備会が方々で開かれておりまして、そこに我が国といたしましては政府一体となって、環境庁がまとめ役でいくわけでありますけれども、具体的ないろいろな提案を持って今臨んでいるところであります。  例えば、今ちょうど気候変動枠組み条約準備会がニューヨークで開かれておりまして、ちょうど終わろうとしているところなんでありますが、報道等で議員も御存じだと思いますけれども、CO2の発生の抑制についてアメリカが熱心でないということでありまして、熱心でないというのはちょっと言葉が悪いかと思いますので訂正させていただきたいと思いますが、取り組み方が違う。私どもはある一定の時期にある一定のレベルで安定させて、それから先は削減していこう、そういった目標をつくらなければいけないということで大体のECの国と日本が一致しているのですが、米国はもうちょっと科学的な研究をして総合的に考えましょうというようなことで、なかなか同じテーブルに乗れないような状況があります。その中で私どもは、強力にあらゆる手段、あらゆる段階でアメリカの説得に今当たっているようなこともしております。  また、森林の問題につきましても、当面実現可能な合意の形成を目指しまして国際的な森林憲章の策定ということを日本から提案をいたしまして、現在これを基礎としてUNCEDに向けての準備が進められているというようなことでございまして、こうした環境問題をめぐる変化、そして世界取り組み、その中に日本の果たすべき役割ということをよく自覚いたしまして、今一生懸命やっているわけであります。  そして、もう一つ大きな問題がありますのは、先ほども申しました資金の移転ということについて論議がされているわけでありますけれども、どうやって国際的に資金を捻出して、それを効果的に発展途上国にお渡しして、発展途上国に技術移転をしてやっていただこうかということになるわけですが、それを国連のUNCEDの事務局のストロングさんから頼まれまして、委員御存じだと思いますが、竹下元総理が名誉議長になって、四月に日本で賢人会議を開こう。そこでひとつ、主宰は国連のUNCED事務局になるわけですが、日本としても大きな働きをここで求められ、竹下元総理が大変にこれに努力をしてくださっているということがありまして、これも日本としての大きな国際貢献であろうと思っているようなところでございます。今まだ途中でありまして、いろいろな課題はあるわけでございますが、ともかくこの会議成功させないと、またいつできるであろうかということを考えますと、とても大変なことでありますから、政府一体となってこのUNCEDの成功に向けて環境庁頑張ってまいりたいと思っておりますので、どうか御支援を賜りたいとお願いを申し上げます。
  15. 塩谷立

    塩谷委員 ただいまの大臣のお話の中でも、大変な課題がたくさんある。きょうはその一つ一つを聞く時間がないので全般的な環境行政をお伺いしますので、その問題については、とにかく成功させるために大臣のますますの御活躍を期待するものでございます。  そして、至近の問題としまして、三月の二日から十三日まで京都でワシントン条約締約国会議が開かれるということでございますが、これはたくさんの案件があると思うのですが、具体的にその内容とそれに対して日本の対応というものをお伺いしたいと思うわけでございます。特にクロマグロの件等も、これはきのうスウェーデンの外相との話し合いがあったそうでございますが、その点も含めてよろしくお願いいたします。
  16. 中村正三郎

    中村国務大臣 ワシントン条約の締約国会議我が国で開催されもということでありまして、国際的に我が国がこういった問題に積極的に取り組んでいくという姿勢を示す非常にいい機会だと思って私どもも期待をしているわけでありまして、ここにおきましても、環境庁は調整役となって関係省庁一致協力して会議成功に向けて努力をしております。  ワシントン条約の趣旨は、国際的な野生動植物保護及び持続的な利用というのを可能にするということが目的であります。関係省庁にまたがることもありますので、この会議の内容については事務当局から御説明をさせていただきたいと思います。
  17. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 ワシントン条約締約国会議が今般、三月二日から京都で開催されますが、この締約国会議は二年あるいは三年置きに開催される条約の加盟国の総会でございます。今回は第八回目ということで、日本がホスト国を務めることになっております。  会議の内容でございますが、条約実施状況の検討、それから条約規制対象として条約附属書に掲載されております種の見直しといったような作業が行われます。特にへ新聞等に報道されておりますが、議論を呼びそうな課題といたしましては、南部アフリカ地域におきますアフリカゾウの個体群の附属書ⅠからⅡへの格下げ提案、それから大西洋クロマグロの附属書ⅠまたはⅡへの新規掲載提案などが挙げられております。  我が国といたしましては、これまで条約上多くの種を留保しておる。一番多いときには十四品目を留保しておるということで、国際的にも非難をされておりましたけれども、その後関係省庁協力、努力によりまして、これまで七品目の留保を撤回し、さらには一品目につきましても留保撤回のめどをつけておるということで、その大幅な改善が見られるところでございますが、さらには条約附属書Ⅰの種の国内での取引を規制する法律を施行するなどもございまして、条約取り組みというものは確実に前進をしておるというふうに考えております。  今般の会議は、私どもホスト国としての立場から会議の円滑な運営に努力いたしますとともに、条約附属書改正提案の検討に当たりましては、生物学的な知見に基づいて議論を進める、そして本条約が目指します野生動植物の適正な保護と持続可能な利用が図られるように努力をしていきたいと考えております。
  18. 塩谷立

    塩谷委員 特にクロマグロにつきましては、これは科学的な見地に基づいてしっかりと議論を進めてもらいたいと思うわけでございます。特にこの件については日本の食文化にかかわってくることでありますので、その点をよろしくお願い申し上げたいと思います。  さて、これから国内の問題についてちょっとお伺いをしたいと思いますが、技術的な努力によりまして、世界的に見ても、日本の環境対策というものが非常にレベルが高いということでありますが、まだまだ不十分な点はたくさんあり、特にこれから生活大国を目指す我が国にとっては環境の問題は大変多くの問題を抱えているわけでございます。  特に近年問題になっているのは、自動車交通量の大変な増大に伴って窒素酸化物、これはディーゼルカーの影響で大気汚染が深刻な課題となっているわけでありまして、今国会でその法案の提出ということが予定されているということでありますが、その法案の概要につきましてお伺いを申し上げたいと思います。
  19. 入山文郎

    ○入山政府委員 窒素酸化物による大気汚染でございますが、これは大都市地域を中心といたしまして依然として厳しい状況にあるわけでございます。特に大都市地域におきましては、工場、事業場における総量規制あるいはまた自動車一台ごとの排ガスの規制強化等の対策にもかかわらず、環境基準達成状況が極めて悪いといった状況でございます。  このため、ディーゼル車に係る単体規制強化でございますとか、あるいは低公害車の普及促進といった一層の対策推進に努めているわけでございますが、こういった対策をもってしても環境基準の達成のためには十分であるとは申せないわけでございます。このため、大都市地域における自動車からの窒素酸化物の排出の総量を抑制する新たな対策法制度として打ち立てるということが重要な課題となっているわけでございます。  環境庁におきましては、このような状況に対処するために、これまでの検討結果を踏まえまして、地域全体の自動車から排出される窒素酸化物の総量を抑制する方策について、この国会所要法律案提出すべく努力しているところでございます。  この法案の内容でございますが、これは現在調整中でございます。法案に盛り込みます事項といたしましては、大都市地域において自動車の排出する窒素酸化物の排出総量の抑制に係る施策の基本方針の策定、それから貨物自動車等を使用する者に一定の車種の使用を義務づけるための措置、それからまた、その他自動車から排出される窒素酸化物の排出の抑制に資する特別の措置といったものを考えているわけでございます。  この法案につきましては、できるだけ早く成案を得まして、今国会提出したいと考えているわけでございまして、目下そのための調整を鋭意進めているところでございます。
  20. 塩谷立

    塩谷委員 ただいまの法案実施に当たって、規制措置というもの、今調整というお話がありましたが、特に自動車業界とか通産省等の対応といいますか反応といいますか、そこら辺は見通しがわかりましたらお伺いしたいと思います。
  21. 入山文郎

    ○入山政府委員 関係方面の御理解と御協力が不可欠でございまして、先ほど申し上げましたが、調整を進めているところでございます。  現在までにこの法案の骨格となる部分につきましては、一例を申し上げますと、車種規制ということを先ほど申し上げましたが、この法案で基準を定めるとともに、その基準に適合しない自動車につきましては運輸省におきまして車検証を交付しないといったようなこと、そういったことで関係方面の御理解を得ているところでございます。  それからまた、業界等につきましてもいろいろと話し合い、調整を進めておりますが、大筋においては御協力、御理解をいただけるようになってきていると思っているわけでございます。
  22. 塩谷立

    塩谷委員 次に、我々の身近な問題として、生活環境の中で特に生活排水あるいは水質汚濁の問題が大変まだ多いわけでございまして、特に河川湖沼等の水質汚濁の状況が大変まだ改善の余地があるということでございます。  我が地元においても、佐鳴湖という湖がありますが、これは悪名高き湖でありまして、大体ワーストファイブぐらいにはいつも入っているようなところであります。また、浜名湖等も汚濁問題では今大変頭を抱えているような状況でありまして、そういう中で生活排水について具体的な対応策を今年度からやるということ、これにつきましてどのような対応が考えられるか、具体的にお話しをいただきたいと思います。例えば施設整備ということ、浄化施設整備、それにつきまして対象の施設とか箇所数ぐらいをわかりましたら内容的にお伺いしたいと思います。
  23. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 水質汚濁の問題でございますが、最近長期的な傾向としましては水質の改善が見られるわけでございますが、ここ最近ではどちらかというと横ばいというふうなことで、必ずしもよくなっていないというふうな状況でございます。  その水質汚濁の原因につきましては、先生御指摘の生活排水による汚濁というもののウエートが非常に高いわけでございます。そういうことから、産業系の排水対策とあわせまして生活排水対策推進しなければいけないということでございます。こういうことで、平成二年の六月に水質汚濁防止法を改正いたしまして、生活排水対策を総合的、計画的に推進していこうということになったわけでございます。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕  具体的には、改正法に基づきまして、生活排水対策重点地域、こういうものを指定をして、そこを重点にやっていこうということでございます。既に百十六市町村におきまして重点地域が指定されておるわけでございます。この場合に、そういう計画をつくる場合の必要な経費について補助をするというふうなことでございます。さらには、生活排水により汚濁した水路等の浄化事業を行う場合の施設整備をやるということでございます。  そういうふうなことで、大きな施設につきましては、建設省の下水道整備でございますとか厚生省の合併浄化槽というふうなこと、さらには農村部では農業集落排水事業、こういうものでやっていただくわけでございますが、環境庁といたしましても、来年度、平成四年度の予算案におきまして、生活排水対策関係予算の大幅な増額を図っておるところでございます。いわゆる生活関連重点化枠というものを活用して予算を伸ばしたわけでございます。  そういうことで、具体的な中味でございますが、これは下水道等の整備が当面は見込まれない、こういうところを対象にいたしまして、生活排水による水質汚濁の著しい身近な水路でございますとか小川に浄化施設を設置するということでございまして、そういう浄化施設で一たんきれいにいたしましてそれをまた川へ返してやる、こういう事業でございます。  それで、一カ所当たりの事業費は、平均的に見ますと四千五百万円ということでございます。国、都道府県、市町村がそれぞれ三分の一ずつ負担をする、こういう制度になっておりまして、総額で国費といたしまして一億八千万円を計上しておるわけでございます。この経費で大体十二カ所ほど補助ができるというふうに考えておるところでございます。いずれにいたしましても、生活排水対策につきましては重点的に実施をしてまいりたいと考えております。
  24. 塩谷立

    塩谷委員 今も御答弁の中にありましたが、特にこの排水の問題については、建設省の下水道あるいは農水省の集落排水等、これがいかに効率的に行われるかということが非常に問題になっていると思います。先ほどの予算説明の中にもありましたが、その点において環境庁が今回の生活排水の問題を事業として取り上げてやるに当たっては、そこら辺の調整役というかそういうことを考えているのか、あるいはもしなければぜひその点も考えながら関係各省との連絡をしっかりやっていただきたいと思いますが、その点はいかがでございますか。
  25. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 その点につきましては従来からいろいろ、例えば公共事業でございますと五カ年計画なんかを策定する場合にぜひこういう地域を重点的にやってほしいというふうなことで、水質汚濁防止の観点からそれぞれ重点的に実施をしていただくようにお願いをしておりますし、各事業実施官庁も協力をしていただいておるわけでございます。よく連絡を取り合ってできるだけ早期に水質の浄化が図られますように今後とも努力してまいりたいと思います。
  26. 塩谷立

    塩谷委員 それでは、最後に水俣病についてお伺いをしたいと思いますが、さきの東京地裁の判決で、いわゆる国の損害賠償の責任はないとしながらも、やはり政治責任というものが問われておるわけでございますが、長年のこの問題についてやはりひとつそろそろ結論を出す時期ではないかなと私は思っておりますが、今年度の予算の中にもそのような予算も講じておるということでございますが、この問題に対していわゆる政治責任というものをどう大臣が受けとめているかということをお伺いしたいと思います。
  27. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員御指摘のとおり、東京地裁の判決で、判決理由の第十一章というところで述べているところでありますけれども、まず第一に、この被害の発生と拡大防止し得なかったことについて、国家賠償法上の責任はないということになっております。これは私どもが行政当局として主張していたことと合致するわけでありまして、その点は行政当局としてはそうかなということでありますけれども、それにしても国、県にも政治的責任があるというふうに後の方で書いているわけですね。  私ども考えますに、この政治的責任というのは、やはり損害賠償責任とは異なって、国、県がそれぞれの立場でこの件の解決のために努力するべき責務があるということじゃないか。すなわち、損害賠償責任はないんだけれども、それと異なった次元でこの水俣病という問題の解決のために努力する責務があるのじゃないかというふうに解釈しているわけでありまして、環境庁といたしましても、水俣病問題の早期解決に向けて適切な行政施策推進する努力をすることによって、ここに指摘されましたその責務を果たしていくべきものであるというふうに考えております。
  28. 塩谷立

    塩谷委員 大変難しい問題でありますが、今年度の総合的な対策実施することでその政治責任を果たすというように考えてよろしいでございましょうか。
  29. 中村正三郎

    中村国務大臣 今申し上げましたように、損害賠償責任はないものの、国、県の立場においてそれぞれこの問題解決に努力しろということだと思いますので、そういったことは中央公害対策審議会の答申にもこれに似たことが記されているわけでありまして、昨年の中公審の答申を受けて、平成四年度から、新たに、水俣病と認定されない方々に対する対策も含めて総合的な対策を講じることとしているわけであります。これの予算獲得等について努力をさせていただいたわけでありますが、まさにこれから始まる四年度においてそういうことをやろうとしている、こうした対策かごの判決の趣旨にも沿ったことではないかと考えております。  したがって、このような中公審の答申に基づく四年度の総合対策推進することによって、本件の解決のために尽力すべき責務、すなわち判決の言う政治責任を果たすことにも沿っていけるものと考えております。
  30. 塩谷立

    塩谷委員 環境行政全般についてお伺いしましたが、いずれにしましても今の地球の大きな問題であり、また日本にとってもこれまた国際的に重要な課題が山積しておりますので、大臣初め関係者の皆さんの御活躍を心から期待して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  31. 小杉隆

  32. 長谷百合子

    ○長谷委員 それではまず最初に、世界文化遺産及び自然遺産保護に関する条約、いわゆる世界遺産条約と言われている条約についてでございますけれども、自然や文化遺産保護するという重大性にかんがみて、世界でもこの条約は大変重視をされております。他の条約にもまさって、既に百二十一カ国が批准をしておると聞いております。御存じのように、先進国に限って言いますと、日本以外は、オランダなどを除いてほとんどの国がすべてこの条約を批准しておるということでございます。外務省の方にお伺いしますと、なるべく早いうちにというお話もありましたけれども、何とか批准案をこの国会提出をしていただきたい。何とか六月の地球サミット前に批准をしたい、こういうふうにお約束をしていただきたいと思いますけれども、外務省いかがでしょうか――ちょっと何か不手際があったようで、質問の順番を変えさせていただきまして、先にバーゼル条約の方を……。  これは有害廃棄物の越境移動規制するという条約でございますけれども、この大切な条約に関しても日本は早期の批准を目指しておると聞いておるのですけれども、先日、二月二十三日の朝日新聞の朝刊一面の一番最初のところに「通産・厚生省 環境庁 主導権争い響く」という形で、この条約の批准が大幅におくれるんじゃないかという記事が出ております。これは地球環境保全するための条約として大変重要なものでございます。通産、厚生両省が環境庁を外すということでは歩調を合わせている、こういう記事の内容になっておるわけですけれども、これはどういうことでしょうか、こんなことがあるのでしょうか。通産省にお伺いしたいと思います。
  33. 中田哲雄

    ○中田政府委員 委員御指摘のように、バーゼル条約につきましては夏前にも発効するのではないかという見通してございまして、我が国といたしましても、条約早期に加入して有害廃棄物等の国境を越える移動の適正な規制を行うことが極めて重要だというふうに私どもも認識しているところでございます。そのために、通産省といたしましても、条約への加入に必要な国内法の早急な整備のための作業を進めているところでございまして、環境庁を初め関係省庁と事務的な調整を合しているところでございます。
  34. 長谷百合子

    ○長谷委員 そのように通産省、厚生省それから環境庁と、政府部内でいろいろな調整の努力をされている、これはもちろんよくわかっておるのですけれども、私が今お伺いしたのは、環境庁を外すという報道がされている点に関しまして、どういう事実があるのかないのか、その点をお聞きしたいと思います。
  35. 中田哲雄

    ○中田政府委員 全くそのような事実はございません。こちらにいらっしゃいます環境庁の幹部の皆様方とも御相談をさせていただいております。
  36. 長谷百合子

    ○長谷委員 よくわかりました。このバーゼル条約を批准するということは大切なことなので、地球環境保全の観点から私は、物が外に動くので輸出の問題、あるいはリサイクルの問題、ごみの問題、廃棄物の問題といろいろな視点があるのですけれども、中心は何といいましても環境保全問題だと思います。事実、このバーゼル条約の引き受け手といいますか主管しているのは、各国を見ますとほとんどが環境省あるいは環境庁というところがやっておるわけでございますので、何としても環境庁に頑張っていただかなければいけないのじゃないか。バーゼル条約批准に向けて環境庁の決意と申しますか、中心になってやっていただきたいと私は思いますけれども、長官のお考えをお聞かせ願えればと思っております。
  37. 中村正三郎

    中村国務大臣 実は私、環境庁長官に就任いたしましてまず真っ先にやりましたことは、先ほど委員が御指摘になった世界遺産条約、それからバーゼル条約早期の読解をやってくれということを外務省にお願いしまして、それで取り組みを急いでいただきまして、ここまで持ってまいりました。ですから、後々ああいう新聞報道が出ようなんということは夢にも思わずにやってまいったわけでありますけれども、今通産省が御答弁されましたように、今全く仲よくいろいろ調整をしているところであります。  委員御指摘のように、この問題は六月の地球サミットでも取り上げられる重要な問題でありまして、確かに各国環境庁が主管をして、この目的が有害廃棄物国境を越える移動に伴う水質汚濁土壌汚染などが環境の汚染につながる、そうした環境問題から発してきた条約でありますから、当然環境庁も大きな役割りをしなければいけないと思うわけですが、こういう議論になってまいりますと、そもそも環境庁ができましたときの様子からの議論になるわけであります。ごみということになると、日本は主管官庁は厚生省になっておるのであります。貿易になりますと、貿易管理令を持っているのは通産省でありまして、そういうことがあります。環境庁はできてからまだ二十年しかたっていない。その二十年しかたっていないところに、今環境行政をめぐる周囲の環境が大きく変わってきた。地球規模の環境が大変な注目を浴び、その環境保全のために世界的な合意がなされようというサミットが計画されるというような時代になってまいりました。まさにこれは日本国における環境をめぐる行政のあり方にまで入っていきませんと、究極的には解決しない問題を含んでいる問題でありますが、現状私どもは行政当局でありますから、厚生省、通産省とよく御相談をしながら、この法案をまとめてまいりたい。六月には十分間に合わせたいと思っております。  そして、最終的には、私も国会対策委員会におりましたが、みんなで話し合ってこの法案が出てきた場合に、どこの委員会で主管するかという問題が出てくるのですよ。それは国会でお決めになることですから私どもが申し上げるべきことではないのですけれども、そうした今の行政のやり方の中で最善を尽くして、今話し合って、いいものをつくって法案成立へ向けて努力をしていきたい、こういうふうに存じております。
  38. 長谷百合子

    ○長谷委員 先ほども申しましたように、もともとバーゼル条約が出てきたきっかけも、ココ事件とかセベソの汚染土壌搬出事件、こういったもので、環境問題が一番出発点であったという条約の内容の根本のところからいたしましても、また環境庁が総合的な環境の調整官庁である、こういうところからも、その役割をぜひ十分にきちっと発揮していただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。  続きまして、世界文化遺産及び自然遺産保護に関する条約、いわゆる世界遺産条約と言われているものでございますけれども、この条約についてお尋ねをいたしたいと思います。  この条約重要性ということは世界でも大変注目されておりまして、ラムサール条約やワシントン条約を上回る百二十一カ国がもう既に批准をしているというふうに聞いております。とりわけ先進国と言われるところでいいますと、日本以外はオランダを除いてはないというようにも伺っております。こういう世界遺産条約について早期の批准を主張してまいったわけでございますけれども、外務省におかれましても、今批准のための作業を大変急いでおられると聞いております。この作業を何とか早く終わっていただいて、六月の地球サミットまでに批准ができるように作業をしてぜひ提出していただきたい、こういうふうに思っておりますけれども、外務省、いかがでしょうか。お約束いただけますでしょうか。
  39. 隈丸優次

    隈丸説明員 御説明申し上げます。  先生御提起の本件条約の締結でございますが、御指摘のとおり、現在関係省庁交えまして必要な検討作業を進めておるところでございます。当省といたしましても、この条約の締結は急ぐべきだというふうに考えておりまして、今次国会への提出に向けて関係検討を終わりたいというふうに考えております。
  40. 長谷百合子

    ○長谷委員 どうもありがとうございました。大変時間がかかってちょっと遅過ぎたかなという気もしないでもありませんけれども、地球サミットまでに批准が確実になった、こういうふうに断言できると思います。関係の皆様方の御努力に心より敬意を表したいというふうに思っております。  さて、この条約を批准した場合ですけれども、国内で遺産の候補地を決めていく作業ということになるかと思いますけれども、環境庁におきましては、例えばその基準、どういうところにしていくかというようなことについてはどう考えられていらっしゃるのでしょうか。
  41. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 先ほど大臣の御答弁にもありましたような経緯で現在各関係省庁で条文の読解等をやっておりますが、そういった中におきましても、今後の世界遺産の選定方法等についてどうするかといったことも含めていろいろ検討いたしております。  自然遺産に関しましては環境庁が主として考えることになるわけでございますけれども、具体的な基準を今明確に申し上げることはできませんが、この条約の趣旨等に照らしまして、国立公園などの、すぐれた自然環境として我が国国内法等によって保護されておる地域の中から、世界的に見て傑出した価値を持つところを自然環境保全審議会等の意見を参考にしながら推薦していくということになろうかと考えております。
  42. 長谷百合子

    ○長谷委員 世界遺産ということですから、自然環境の非常に豊かなところと、そして法的な網がかかっているところはそういう目的には非常に合致しておるかと思うわけですけれども、白神のブナの原生林とか屋久島の形とか、そういったことがあるかと思いますけれども、その候補地の中に石垣島、白保のサンゴのある海域もその一つにぜひ加えていただきたいというふうに思っておるわけでございます。この石垣空港問題、まだ最終的な決着というふうには至っておりませんけれども、五月ぐらいには決着がつくのではないかというふうにも言われております。また、ここを海中公園にしていただくという環境庁の方針というものも既に確認されているところですけれども、この方針が変わっているとかそういったことについては、どうでしょうか、ありませんね。そのとおりで今も海中公園方針というのは変わっていないのでしょうか。
  43. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 ただいま御指摘の白保海域を海中公園地区に指定するという方針には変わりはございませんけれども、いずれにしましても、指定を進めていく過程におきましては、地元沖縄県あるいは石垣市等の御協力を得ることが不可欠でございます。この点も踏まえながら着実な進捗を図ってまいりたいと考えております。
  44. 長谷百合子

    ○長谷委員 変わっていないということで安心いたしておりますけれども、この海中公園化につきましては、八九年に当時の青木環境庁長官が記者会見の席ではっきりとお約束をしていらっしゃるということと、それからもうそろそろ三年たとうというような時期でございますので、今おっしゃったように、地元の関係、空港、飛行場の決着ということがあるかとも思いますけれども、できるところからどんどん早目に進めていただきたいというふうに思っております。この三月三日にはWWF総裁でありますエジンバラ・フィリップ公もここの白保のサンゴを視察するというふうに聞いておりますので、世界的にも大変注目をされているというところでございます。空港建設の問題も決着がつくという見通しを私は持っておりますけれども、それを先取りするということではないですけれども、今申し上げたようにできるところからどんどん早く海中公園化ということを積極的に検討していただきたい、これは私の方のお願いといたしておきますので、よろしくお願い申し上げます。  続きまして、先ほどもちょっと議論の中に出ておりましたけれども、四月に開かれます竹下賢人会議、四月の何日でしたか、開かれますけれども、そのことについて幾つかお伺いしたいと思います。  まず長官にお伺いしたいと思いますけれども、この竹下賢人会議、ここではかなりお金が集まるのじゃないかというような期待もあるわけですけれども、長官は地球環境保全に対する資金についてどのように把握されているのか、お答え願います。
  45. 中村正三郎

    中村国務大臣 先ほども塩谷議員の答弁でお話ししたことでありますけれども、今UNCEDでいろいろなことが検討され、そして、地球環境保全し我々の子孫に良好な環境を持った地球を送っていこうということで努力をしているわけでありますが、その中で、やはりいろいろな対策をしなければいけない、それにはお金がかかる、特に発展途上国は金も技術も不足をしているであろうということで、そういった地域に対する技術と資金のトランスファーということが一番重要な問題になってくるだろうということであります。しかしながら、各国、経済情勢というのはそれぞれ苦しいものがあるわけでありまして、そこで、どういう資金をどうやって捻出していってどうやって渡していこうということは、大変な難しいことが含まれていると思うのです。私は、まずUNCEDの事務局の方にもいろいろなルートを通じてお話ししているのですが、その資金を捻出するための手だてというものを国際的な枠組みをつくって国際協調の中でどうするかということを、ひとつUNCEDの事務局でも強力に出されたらどうか、これは環境庁長官として言うとちょっといろいろ問題があるものですから、友人に託しましたり、いろいろなことから申し上げているわけであります。  それともう一つ、やはり資金を移転した場合に、それを的確に環境保全のために使っていただけるような方策というものをきちっとつくって、それを、UNCEDでそういう決着がなされれば、その後の課題としてUNEPなりなんなりの組織の拡充というものを図らなければいけないのではないがというようなことも、私の立場ということでなくいろいろ申し上げさせていただいているようなわけであります。  そういう中で、今いろいろな議論があるわけですが、竹下賢人会議というものは、主宰はUNCEDの事務局のストロングさんの方になるわけですね。それで竹下元総理が要請されて名誉議長を務められて、東京で開くということでありますね。そして世銀のGEFという組織があるのですが、世銀の下に環境ファシリティーがあって、そこにお金を出して今いろいろな対策をやっておりますが、UNCED事務局の方ではもう一つこのGEFをどういうふうにしていこうか、これがこうした資金移転の受け皿がどうかというような議論があったのですが、この間の準備会でも、一応この世銀のGEFというものがこういった問題の受け皿となるであろうというような結論があるようでございます。  そうした中で、竹下賢人会議の成り行きというものに大変な注目と期待を持っているわけであります。しかしながら、先ほどからの繰り返しになりますけれども、世界としてどういうような資金をどういうふうに集めてどうやろうかというまずやり方、組織、枠組みを世界的に決めて、その中で日本はどういう貢献をしていくべきか、若干私見を交えながら述べさせていただきますと、私としてはそういうふうな手順でいくべきではないか。ですから、竹下賢人会議ではその枠組みをどうするかということをお決めいただけるのではないかなというような期待感を持っているところでございます。
  46. 長谷百合子

    ○長谷委員 それで、各国とも資金の提出ということになりますと、いろいろ渋ってなかなか出てごないというような点もあるのじゃないかと思うのですけれども、その集まったお金の先の使い道が、やはりこれは非常にいいんだ、こんなすばらしい環境保全に役立つじゃないか、こういうようなことがすっきり見える形になってくるとやはりお金もスムーズに集まるということになるのじゃないかと思うのですね。そういたしましたときに、どのようなプロジェクトが今具体化しているのですか。
  47. 中村正三郎

    中村国務大臣 それは今具体化しているというかいろいろ議論されているところでありまして、それには大きな地球温暖化防止枠組み条約に関することもあります。これをなし遂げるにはどうしていこうということもありましょうし、そしていわゆる熱帯林の問題に関する森林憲章をつくろうというようなことも日本の提唱でやっておりますが、そういったものをなし遂げていくにはどうしたらいいだろうか。  そこで、発展途上国によっては、グリーンファンドというようなものをつくって、そういった林の問題についてはほかにやれという御意見もありますし、まさにそれを調整していかなければいけない。そして地球憲章ができて、地球環境保全にどういうことをしていこうかという中でアジェンダ21という行動計画もつくられる、それを実現するためには一体どれだけのお金が要るんだろうか、それをまさに今詰めているところでありまして、時間も六月までと限られたことでありますけれども、その中でどうしてもこれは詰めて解決して一つの結論を導き出していかなければいけない。そういう中で、日本は先進国同士の間で調整もできますし、それからまたアジアには発展途上国がいっぱいございますので、そういうところとのいろいろな調整にも役立たしていただけるのじゃないだろうか。  また、この間、開催国のブラジルの担当大臣が私のところへ来られまして、いろいろ打ち合わせしましたけれども、ブラジルの大臣も、これから中国とインドを回るんだ、そこでもってこの会議が先進国と発展途上国の言い合いの場にならないように私も努力するというようなことがございました。今いろいろなそういった努力をする中で、どういうようにしていけばいいかということをまさにこれから具体化していかなければならない段階であろうかと思っております。
  48. 長谷百合子

    ○長谷委員 今も長官のお話、本当にこれからそういう枠をつくっていいものにしていくという御決意だと思いますけれども、そうした対外融資を含めまして、今日本が地球環境保全のために尽くす、力を入れるということは本当にいいことだと思うのです。しかし、そのときに、これから計画がつくられるわけですけれども、そういう過程も含めまして、国民にもわかりやすい形でこういうことだということを提示をしていただく、使い道、それから計画、こういったものをクリアに透明にやっていかれることが私は非常に大切じゃないかと思っておりますけれども、この辺のことについていかがお考えでしょうか。
  49. 中村正三郎

    中村国務大臣 そこで、環境庁といたしましても、ことし国連のサミットが開かれる画期的な年だということで、アース・イヤー92ということに位置づけまして、いろいろな啓発活動でございますとか、いろいろな政府の広報活動もございましょうし、あらゆる面で環境に向けて国民が関心を持っていただけますようにやっていこうということで計画をしているところでございます。本当に環境問題というのは、政府でこうしようと言っても、生活に根差した環境もいっぱいあるわけでございまして、それだけではできないことなんですね。そうした啓発活動といいますか、いろいろなそういった面に努力をしてまいりたいと存じておるところでございます。
  50. 長谷百合子

    ○長谷委員 環境庁が中心となって努力していただくというのは結構ですけれども、やはりあくまで、なるべくわかりやすく透明にということをぜひともお願いを申し上げたいと思っております。  大蔵省にお伺いいたしますけれども、世界銀行それからUNEP、UNDPの三機関によって昨年の五月GEFというものがつくられておるわけですけれども、この目的はどういったものでしょうか。
  51. 溝口善兵衛

    ○溝口説明員 地球環境ファシリティーというのが昨年五月からできておりますが、目的は四つございます。一つは、温室効果ガスの放出の抑制、すなわちCO2の放出の抑制。二番目は、種の多様性の保護ということでございます。野生動物でありますとか、熱帯におきますいろいろな珍しいといいますか希少な動植物を保護していくということ。三番目は、国際水域の汚染防止でございます。四番目は、オゾン層保護でございます。  以上でございます。
  52. 長谷百合子

    ○長谷委員 今、そういう大きな目的というこどですけれども、ここにもプロジェクトの九二年度分初回分ということで具体的に幾つかリストが挙がってきておるわけです。この内容を見ましても、例えば今後の野生生物保護地域管理計画とかあるいはフィリピンの地熱エネルギーの開発促進とかずらっとあるのですけれども、もう少しこの中身がよくわからないですね。例えばこういうものに対してどういう形の援助になるのか、ちょっと説明をしていただけますでしょうか。
  53. 溝口善兵衛

    ○溝口説明員 今、昨年の五月から始まりまして三年間でパイロットプログラムということで事業を開始されているわけでございますが、今御指摘のありました、例えばフィリピンで申しますと、地熱を利用しまして発電をするというプロジェクトが一つの候補になっております。それは世界銀行の発電所をつくるという融資に合わせまして、GEFからも贈与の資金を供与して発電所をつくるということでございます。こういうものは、いわば化石エネルギーを使わないということでCO2の抑制につながる、こういうことで進められておるわけでございます。  その他アフリカでありますとかアジア等の地域におきまして保護区、野生動植物保護するために保護区を設けたりしております。その管理を改善するために技術支援、GEFの活動は二つございまして、プロジェクトに対する資金拠出とそれから技術援助がございます。野生動物の関係なんかは技術支援が多いようでございます。
  54. 長谷百合子

    ○長谷委員 これらのプロジェクトが行われました後、それの調査とか報告というものは拠出国でもあります日本に対してはきちっとされることになるのでしょうか。
  55. 溝口善兵衛

    ○溝口説明員 今パイロットプログラムということで、年に二回拠出国の会合はございます。その際に、世銀、UNDP、UNEP三者の事務局から現状についてのレポートが出てまいります。そういうものは拠出国政府にももちろん配付いたしまして、活動状況をそういう会合で議論するということになります。
  56. 長谷百合子

    ○長谷委員 政府の方に出てくるということだと思いますけれども、それをさらに国会の場、国民の方ということでいいと思うのですけれども、あるいは場合によってはNGOの皆さん、そういったところにもオープンにしていただける、このように考えてよろしいのでしょうか。
  57. 溝口善兵衛

    ○溝口説明員 そういうレポートとかプロジェクトの概要説明したような資料につきましては、GEFの事務局の方から要望がございますと郵送したり、そういうサービスはしております。事務局の方に問い合わせたところ、そういうことでございます。
  58. 長谷百合子

    ○長谷委員 今申し上げたのは、例えば世界銀行の融資のプロジェクトで既に一度融資を決めて、途中で中止しているというようなものといたしまして、インドのナルマダ開発というものがあるかと思うのですが、これは立ち退きを迫られている住民の合意とか、森林保全環境アセスメントなどの点でいろいろな問題が出てきたということなのですけれども、この融資が停止されようとしている現実に対して、この理由は、プロジェクトの内容をしっかり日本の政府、それから国民が知らなかった、つかみ切れていなかったというようなことに原因があるのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
  59. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員に一つ御理解いただきたいことがあるのです。この環境ファシリティーですけれども、これは一つの試行として、試験的に環境に関するいろいろな援助ができないかということで、世銀の下にこういうのをつくって各国合意のもとにやったのです。ところが、今までのこうしたいわゆる発展途上国への援助や何か、これはODAベースで行われるものが多いわけであります。ODAとなりますと、これは要求国、要望する国のいろろいな要望をまとめて、外務省で予算を一括いたしまして、そこで各省と調整をとりながらやって、後でもってどういうことをやったというような結果がわかってくるようなところもあるわけであります。そういったものをこれから変えていかなければいけない時代に入っている。少なくとも環境に関するこうした援助に関しては、持続可能な開発ということの思想が出てきて、そういう総合的な計画性に基づいてやらなければいけない時代に入ってきたと我々は思うわけであります。  ところが、今の行政のやり方というのがそういうふうになってない面が、対応し切れない面があるということだと思うのです。でありますからこそ、今までも環境庁はこういった国際環境協力というものに取り組んでやってまいりました。やってまいりましたことはやってまいりました。いろいろな人材派遣にいたしましても、人材バンクをつくったり、各省と調整してやってまいりましたけれども、さらに一層これを組織的にきちっとやっていくためにUNCEDでいろいろなことが決まってくる。その暁においては環境保全の基本的政策を企画立案し、推進するという立場から、各省庁総合的調整を行ってこういったことに当たっていかなければいけない時代になってくると思うのです。ところが、今行政の組織はそういうふうに対応できるようになってない。  そこで環境庁といたしましては、地球化時代環境政策あり方ということについて、中央公害対策審議会だとか自然環境保全審議会等に諮問をいたしまして、どういうふうにこれからやっていけばいいのか、政府が一体となってこういうものを的確に先生言われるようにやっていくにはどういうふうにやっていけばいいかということを今いろいろ御審議をしていただいているところでございます。各方面の御理解を得ながら、やはり環境保全に関しては環境庁が中心にならしていただいて、総合的な調整をとってやる時代にこれから入っていくべきであるというふうに考えておるわけであります。
  60. 長谷百合子

    ○長谷委員 今環境問題も非常に国民的な関心が集まっておりまして、いいものに対してはやはりそれ相応の負担をしようというふうな覚悟も国民の方にも随分できてきているんだなということを思っております。そういったときに、私もとことん何でもけちをつけるという意味ではなくて、本当に妥当なもの、いいものというものはみんなでつくり上げていく。それに対してはみんなで積極的に援助をしていく、こういう構造をぜひつくるべきだという視点から、やはりなるべくプロジェクトの段階でもどうだろうかということを慎重に、政府内部は皆さんもちろんきちっとやられておると思うのですけれども、しかしそれ以外のところにもある程度プロジェクトの内容を明らかにしながら、国民的なところで合意を得ていった方がより的確なもの、的確ないい援助ということができるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  今ちょっとナルマダのことでは不幸なことになっておるかと思うのですけれども、第三者による中立ミッションということで調査団が入っている、こういうふうに聞いておりますけれども、この報告はいつごろ出てくるのですか。
  61. 豊田博

    ○豊田説明員 現在、UNDPの前の長官をしていらしたモースを団長といたします。その第三者ミッション、これが去年の十月からインドに入りまして調査をしておりますけれども、この第三者ミッションが発表したプレスステートメントによりますと、同ミッションの報告書は四月一日以降の適当な段階で公表される予定となっております。  以上でございます。
  62. 長谷百合子

    ○長谷委員 わかりました。そういったことで一層皆様の御活躍をお願いしたいと思います。  それから、ことしは地球サミットということで政府の派遣団ということを今検討中であるかと思いますけれども、この政府派遣団ということに関して、あと民間や国会議員やNGO、こういう方々もいろいろ参加をしたいというような声が出ておるのですけれども、参加予定者を環境庁の方ではどのように把握をしていらっしゃいますでしょうか。
  63. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生御指摘のように、地球サミットにおきましては、関連行事も含めまして、開発環境に関する幅広い人々の参加が期待されているわけでございます。そういった観点から、地球サミットの本体以外に、公認の関連行事といたしまして、地方公共団体を中心とする世界都市フォーラムとか、NGOを中心にいたします92グローバルフォーラムとか、民間企業を中心といたしました国際環境技術博覧会というものの開催が予定されているわけでございます。  そこで、地球サミット本体につきましては、各国政府及び国際機関の代表に加えまして、地球サミット事務局からあらかじめ登録し承認を得たNGOの参加が認められるということになっておるわけでございまして、現在我が国のNGOで承認を得ているものは、昨年の三回準備会合の時点で七つほどございましたが、四回の準備会合で承認を得るように幾つかの団体がさらに登録申請をやっている最中であるというぐあいに私ども把握しておるわけでございます。  それから、次にお触れになりました地方公共団体についてでございますが、これは都市フォーラムへの参加ということが考えられるわけでございますが、私ども把握しておりますのは、現在十三の団体がこれに参加を検討中というぐあいに承知しております。  それから国際環境技術博覧会への参加の問題でございますが、これはジェトロを中心にいたしまして関連する民間企業の参加準備が進められるというぐあいに、こちらは通産省の方でお取りまとめになっていますので、それはそういうことで今参加準備が進められているというぐあいに通産省の方から御連絡を受けているところでございます。  それから、最後にお触れになりました国会議員の先生方の関係でございますが、これは、その参加方法の問題を含めまして現在外務省と御相談をしている最中でございます。これにつきましては外務省と連絡をとりながら対処してまいらなければならぬというぐあいに考えております。
  64. 長谷百合子

    ○長谷委員 この地球サミットは二十一世紀の地球を占う重要な会議だということでございますけれども、その成功に向けまして、やはりこれは各省庁がかむことでございます、別にほかの省庁地球環境保全とは関係ないなどということではないのですけれども、環境庁が一層の指導力を発揮されることを強く期待いたすわけですが、長官の御決意はいかがでしょうか。
  65. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員御指摘のとおり、これは大変重要な会議でありまして、今こういった会議をここまで持ってこれたということも、世界じゅうの各国の地球環境というものに対する関心の高まりがあったからこそだと思うのです。これを失敗しますと、一体それじゃ次いつ開けるかと思いますと、もう今までいっぱい準備会議をやってきたわけです。きょうもまたニューヨークでやっているわけです。これもうまくいかなかったらもう一遍やろうということで、世界じゅうがこれに努力をしてまいりました。ですから、どうしてもこれは成功させる努力をこれからも、もう時間はないですけれども、精いっぱいやっていかなければいけない。  そして、今委員御指摘ありまして、先ほどから私がいろいろ申し上げました。日本の行政のあり方について御理解いただいた方がいいかなと思って申し上げたのですが、この問題に対して日本政府の不一致はございません。例えばCO2の安定化、削減についてもエネルギー計画とも整合性を持ってこれを強く日本として主張いたしておりますし、オゾンを壊すフロンの問題に対しましてもモントリオール・プロトコルに沿った方向で行っておりますし、すべて政府一体となってやって、それの中の中心として環境庁が働かさせていただいております。その中で、さらに将来に向かっての地球環境ということになりますと、いろいろ行政のあり方も考えていただきたいことがあるということも申し上げているわけであります。  この中で、先進国の中で発展途上国との橋渡し役も果たしながらこの会議成功へ向けて政府一体となって、また環境庁も中心となって国際的地位にふさわしい積極的な役割を果たしていきたいと思っているところでございます。
  66. 長谷百合子

    ○長谷委員 今CO2の削減に関してということで、これはエネルギー問題と非常に深く絡むものだと思うのです。この平成四年度の環境保全経費説明の中でも、エネルギー対策関係費として三千八百四十三億円というかなり大きなお金が出ているのですけれども、私、去年の分でいろいろ見ましたところ、環境庁関係ではほとんど持っていないわけですね。ほとんどが通産省や科学技術庁というところに振られておりまして、その内訳も、エネルギーでいうと原発に非常に偏重しているというような実態があるかと思うのです。CO2を減らすためのエネルギーとしては、別に原発だけじゃなぐても、既に世界の国々では風力や太陽を使ったり地熱を使ったりとさまざまな研究開発、しかもこれは実用化されているようなところもあるわけですね。例えばアメリカのカリフォルニア州には非常にたくさん風力発電をやっているというふうなことがありまして、これから二十一世紀に向けて大変有効なエネルギーになると思うわけですけれども、こういう関係については、環境庁エネルギー対策として積極的な推進あるいは研究調査、報告ということを進めていただきたいと思うのです。いかがでしょうか。これはずっと細かく見ていってもよくわからないのですが、その辺はどの程度あるのでしょうか。
  67. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生御指摘のように、エネルギー関係費につきましては、地球環境保全経費の中で大きいウエートを占めておりますのは科学技術庁と通産省になっておることは御指摘のとおりでございます。これは日本の行政の中でそういったエネルギーの研究開発を担当する部署が、そういう役所が担当することになっておるからそういうことになるわけでございますが、環境庁といたしまして決してこの問題について関心を持っていないというわけではございませんで、地球温暖化対策と密接に関係するところでございますので、平成二年十月に決定いたしました地球温暖化防止行動計画の中で重要な施策として位置づけたところでございまして、特に御指摘の太陽、風力、波力等、そういった資源エネルギーは温室効果ガスを排出しないエネルギーであるということから、その開発利用を積極的に促進していかなければならぬというぐあいに考えているわけでございます。  そこで、環境庁としては一体どういうことをそれぞれの役所の分担の中でやっていこうかということなんですが、その重要性を位置づけるということと、そのためにそういうことが大事だということを普及していくということが私どもの一番大きな仕事であるというぐあいに考えているわけでございますが、さらに進みまして、環境庁に計上されております地球環境研究総合推進費の中で、自然エネルギーの利用のための研究開発の一層の促進を図るというための経費を計上して、環境庁自体も一翼を担うということをやっておりますとともに、また、モデル事業といたしまして具体的な地域で温暖化対策促進のために計画づくり等をやります際に、例えば太陽熱の温水器とかソーラーシステムとか太陽電池の利用といった実用化されるものを普及するというようなモデル事業をやって、これを促進していくというようなことで、本年度予算におきましてもエコドピア二〇〇〇調査補助というようなことでモデル的な導入事業の補助をやっているところでございます。
  68. 中村正三郎

    中村国務大臣 一つ御理解いただきたいことがあるのですが、アメリカで風力発電等をいろいろやっておられます。ただ、結果を見てみますと、世界のCO2の発生量の二五%近くはアメリカが出しておるのです。ところが日本は、経済規模が世界のGNPの一四、五%と言われながら四・七%しかCO2を出していないのですね。ですから、日本は相当にそういった面では勤勉にやってきた方であるということも御理解いただきたいと思うのです。  それから原子力については、原子力を非常に推進している国もありますし、危ないというのでやめていく国もある。CO2がふえていくことの危険性と原子力の安全性とどう見るかということの選択の問題だと思うのですが、原子力もCO2を減らすということにおいては一つの手ではあるのですね。ただ、いろいろな総合的な判断というのはあると思いますけれども、そういう問題であるということ。でありますから私どもWWFの方とかグリーンピースの方が来られましたが、その方たちと今何をやっているかといいますと、やはり政府がやること、行政当局がやることと、いろいろなキャンペーンを張ったりしてくれるNGOのやられることとのすみ分けがあるだろうということで、WWF、グリーンピースの方々たちと一緒になって、今アメリカ政府に逆にCO2を出さないようにしてくださいというようなことをやっておるわけでありましで、結果的に見ると日本は相当にエネルギーを節約している国だということは御理解いただきたいと思うのです。
  69. 長谷百合子

    ○長谷委員 国際比較というお話も今ありましたけれども、もう時間もありませんので、原発の問題だけ一点言いますと、原発は確かにCO2を出しにくいのじゃないか、出す量が非常に少ないというようなことですけれども、やはり例えば自然エネルギーを組み合わすことによって、電気というのは御存じのように一番ピーク時に合わせて発電量を設定しなければいけないものですから、まず今の段階ででも自然エネルギーを組み合わせることによってピークを抑えることができる。そうなれば原発をさらに推進するとか、もっとプルトニウムを入れたような発電をやるなんということにどんどん行かなくても、逆に、現状からはダウンしていくという可能性も十分にあるわけで、それは、環境庁の方ではもちろんそのことはよく御存じだと思うのですけれども、だからバランスをとってそういう方にどんどん移していくべきだということが私の言いたい中身である、こういうことを申し上げまして、先ほどのエネルギー関係、これからも一生懸命やっていただくということを大いに期待して、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  70. 小杉隆

  71. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 長官の所信表明は、地球環境問題担当大臣として地球的規模のものから国内、足元の環境まで触れられておりまして、問題解決のために力を尽くされるということ、大変心強く感じました。  初めに、所信表明の中で、地球サミットでは地球憲章とアジェンダ21の策定のために役割を果たすと述べられておりましたが、これを受けて日本の環境憲章と行動計画策定する御決意があるか、まずお伺いしたいと思います。
  72. 中村正三郎

    中村国務大臣 環境問題に対する取り組みの基本にかかわる問題であると思うのです。今までは公害対策基本法だとか自然環境保全の法律、そういったものに基づいて日本の環境行政というのはやってきたわけでありますけれども、今まさに地球規模の環境保全をしなければいけない。その中で持続可能な開発というような考え方が入ってきた。私どもの社会経済あり方、我々の生活あり方自身も、その持続可能な開発という中でやっていかなければいけない。すなわち、そういった、英語ではサステーナブルディベロプメント、ブラントラントさんが言った言葉だそうですが、そういったものをビルトインした我々の経済社会のシステムにしていかないといけないという新しい時代に入った。そこでまさにサミットが開かれ、その成功に向けて努力しているわけでありまして、日本においても、今までのそうした基本法制では対応が十分でない面が出てきているのは事実だと思うわけであります。  その中で私どもも今、中公審と自環審に諮問いたしまして、この地球化時代環境政策あり方はどういうことだろう。さっき申し上げましたいわゆる地球化時代環境援助はどうであろうかということも含めまして、すべての環境問題をとらえた環境基本法というのでしょうか環境憲章というのでしょうか、そういったものを策定する方向で考えていただけないかということで今諮問をしているところであります。そうした基本的な理念をつくるに当たっては、やはりUNCEDを成功させ、その理念も入れたもので日本の憲章をつくり、その下にいろいろな法律ができていくという体系が好ましいと私は存じているところでございます。
  73. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございました。実現のために、ぜひ環境庁のお力を大きく発揮されますことを心から要望しておきたいと思います。  ところで、地球的な規模のというふうになりますと、一般市民の方々の環境への関心というふうに言いましても、温暖化とか熱帯雨林の破壊とか地球の砂漠化と、グローバル過ぎまして、考えてはいるけれども行動しにくい問題と受けとめられておりますけれども、実は本当に身近な問題で、河川や海の汚染は家庭から出される排水も大きな問題ですし、地球の温暖化も、車の排ガスだけではなくて家庭からの大量のごみの焼却にも直結しているというふうに思います。私たち市民一人一人の環境を守る行動は、もちろん市民や企業や自治体や政府が一体となることも重要になってまいります。市民の声の反映として、市民による政策提言の法制化も積極的に実現していきたいというふうに私は思うのですが、大臣は、国も自治体も、専門家の意見だけではなくて市民の声にも大いに耳を傾けていく姿勢がありますかどうか、お伺いしたいと思います。
  74. 中村正三郎

    中村国務大臣 今の時代環境というのは、昔の工場からたれ流し、排煙が出るというのでなくて都市型、すなわち我々の生活から出てくるものの環境汚染というものが深刻になって、水質汚濁等では非常に問題になっているわけです。ですから、日本の環境については一人一人の日本人の自覚と行動がなければなし遂げられないことだと思うのですね。そういう面において市民の方の声を聞く、すなわち私ども議員でありますから、先生もそうだと思いますけれども、選挙区の方たちの意見を聞く、そういったものがおのずとこの議会に反映されてくる、法律に反映されてくる、そういうシステムもあろうかと思うのです。  ですから、私は、逆にもう一つ突っ込んでいきますと、もちろんそういうレベルから一般国民、市民の方の意見を聞きながらやっていかなければいけないのですが、また市民、国民の方々に理解し、行動していただかなければならない面もいっぱいあると思うのですよ。今、缶等のリサイクルをいろいろ考えてやって、うちもエコマークをつけたりなんかしてやりますね。ところが、私の選挙区のあるボランティアの人たちが缶を集めてきたんだけれども、それの処理のしょうがないという問題が起こっている。缶を集めてやってみた。しかし、一体それをだれが処理してどうやるんだろう。幾ら看板を立てて、ごみを捨てないでくださいと言っても捨ててしまう。それから、リサイクルを考えるとすべてのことがそうですけれども、リサイクルまで持ってくる前にどっかへいってしまう、捨ててしまうというようなことが起こることがありますので、市民の方の声を反映すると同時に、私も選挙区でいろいろ御意見を伺ったり意見を言ったりしますが、また国民の方にもこうしていただかなければいけないという面が出てきやせぬか、そんな感想を持っております。
  75. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ありがとうございました。  続きまして、私はきょうは松くい虫被害対策特別措置法の改正延長に当たって質問させていただきたいと思いますが、松枯れというのは自然界から発しているシグナルだというふうに思っています。汚染は想像以上に進んでおりまして、農薬の空散だけでなく、排ガス規制とか省エネルギーの徹底とか自然エネルギーの見直しを考えるときだというふうに考えています。環境庁あるいは林野庁、農水省だけで取り組もうといってもなかなか難しいだろうというふうに思います。ですから、住民の要望として地域ぐるみで山を守っていく運動、地域運動、市民運動、そういうものを盛り上げていかなければならない、そういう時期であろうというふうに考えております。松枯れ対策として空散が制定されましてから十五年がたちました。改正延長に当たって全体的にどうだったのか、きちんと総括をしておくべきだと思います。  林野庁にお伺いします。  この十五年間の国費、それから都道府県費、市町村別費、特別防除、地上散布、伐倒駆除、特別伐倒駆除、そのほかありましたらこれらについての合計額をお伺いしたいと思います。
  76. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明いたします。  民有林におきまして国費を使用した松くい虫防除事業費についてでございますが、その松くい虫の特別措置法が制定をされました五十二年から平成二年度までの十四年間のものでございますが、先生、今お話しのございました特別防除や地上散布という予防にかかわるものがこの事業費で約七百億円でございます。それから伐倒駆除、特別伐倒駆除など駆除にかかわるものが約六百億円、合計で千三百億円程度となっているわけてございます。  また、この事業費につきまして国費と地方の負担の関係でございますけれども、国費にかかわるものが約八百億円でございます。それからこれに伴います都道府県費、市町村費等が約五百億円ということになっております。  以上でございます。
  77. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 まず空散の方には千三百億という大変なお金がかかっているわけなんですが、こんなにお金を使って、この十五年間に効果があったのかどうかということなんです。  林野庁の資料、平成二年度の数字です。一九九〇年のものです。日本の森林面積は二千五百二十一万ヘクタール、そのうち松林が二百二十二万ヘクタールで約一割、そのうち松林の被害面積五十六万ヘクタール、量にしますと被害材積九十五万立方メートル。空散は特別防除面積となっていますが、九万三千ヘクタール、年二回ですから掛ける二となります用地上散布が、これは少ないですね、七千ヘクタール、伐倒駆除が三十四万九千立方メートル、特別伐倒駆除が六万立方メートル、こういうふうになっているわけなんです。  この十五年間の数字を見てみますと、被害面積は法律が始まりました一九七七年には四十四万ヘクタール、被害量八十一万立方メートル、十四年目の一九九〇年は、被害面積五十六万ヘクタール、被害量が九十五万立方メートルと、ずっとまき続けても被害面積は数が減っていないという現状があります。このマツノザイセンチュウの解明がされたのは一九七一年で、防除、今の体制が始まったのが一九七七年ということなんですけれども、この特別防除を始めたときからすぐだんだんぐんとはね上がっているというのが現状なんですね。普通は対策をすれば、緩やかなカーブでも、実施されれば少しは減るというのが現状ではないかと思いますが、結果を見ますと数が減っていない、これはどういうふうに理解すればよろしいのでしょうか。
  78. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明いたします。  この被害対策を五十二年に特別の法律をもって講じましてから、確かに先生のおっしゃいましたようにその何年か後でございますが、たしか昭和五十四年でございますが、二百四十万立方を超える被害となったわけでございます。これは、気象条件が非常に温度が高くて雨が少ない、こういっ た状況が続きますと、運び屋であるマツノマダラカミキリが非常に繁殖をするという条件等もございますので、こういったことが重なりましてこの二百四十万立方を超える被害になったというように理解をしているわけでございます。  ただ、その後十五カ年間防除の対策を講じてまいりまして、現在九十五万立方ということで約四割の水準まで落ちてきているというのがその実態。でなかろうかと理解をしているわけでございます。しかし、まだ依然として百万立方近い異常な被害が続いているということで私どもは理解をしているわけでございます。
  79. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 気象条件が違ったり、さまざまな条件が加わったとしても、これはもう空敬一本やりというところがずっと続いてきたというふうに思いますけれども、その辺あたり、例えばもう十五年もずっとやってきても、その対策そのものが見直されなければいけないのではないかというふうに思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。これまでずっと空散をして、生態系も破壊された部分も非常に大きいですし、人体被害も出てきておりますし、しかも、なお減ってはいない。十五年たっても減ってはいないですね、最初から比べますと。そういうことについて、やはり総括を徹底的にやるべきだと思いますけれども、松枯れがあるからということで安易に法律を延長するということがどうなのかというふうに私は考えております。いかがでしょうか。
  80. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  五十二年に法律をつくりましたときには、確かにこの空中散布、薬剤の航空機を使った散布がかなり新しい事項として法律に盛り込まれたのは事実でございます。  ただ、お話のございました松の被害のありますところにすべて空散をしている、特別防除で空中散布をしているということではございませんで、先ほど先生お話のございましたように、平成二年度の例でとってみますと、五十万ヘクタールを超える中で約二割弱程度のものについて、特に重要なものについて特別防除をやっているというのが実態でございます。  それからもう一つ、この法律を制定いたしまして、過去に二回改正延長をお願いをしてきているわけでございますが、特別防除だけではなくて特別伐倒駆除というような手段を入れたり、あるいは樹種転換なり被害拡大しているところに対する緊急の伐倒駆除なり、こういった新しい手法も加えながら今日まで来ている、このように理解をいたしております。
  81. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 平成四年度の予算ということは林野庁の姿勢ということになりますけれども、特別防除に二十億円も要求しておりますし、これは平成三年度の二十二億円をほんの少し減らしただけで、これはまた松くい虫防除事業の四十四億円の約半分ということで、これでは特別防除の規模というのは今までと変わりがない、姿勢が余り変わっていないなというふうに感じられるわけです。いかがでしょうか。
  82. 村田吉三郎

    ○村田説明員 今先生お話しになりました平成四年度の政府の原案の中における予算につきましては、お話のございましたように四十四億円の中で二十億円が特別防除の予算の案であるというのはそのとおりでございます。ただ、この十五年間を見ていただければ御理解いただけるかと思いますが、ひところは四十億円を超える空中散布の予算を計上しておったわけでございます。年々守るべき松を重要なところに絞るというようなこともいたしながら予算を計上してきているわけでございまして、それで平成四年度二十億円という予算になっているということでございます。  もう一つ、この松くい虫全体の予算で申し上げますと、このほかにもう松でなくても済むところは松以外の、例えば広葉樹でありますとか、そういう森林にかえていくべぎだといういわゆる樹種転換事業等もあるわけでございます。これにつきましては平成四年度約十六億五千万円でありますが、国費でこういう予算も計上いたしまして、全体の額では八十六億円程度の予算を公共、非公共を合わせて要求をさせていただいている、政府原案として計上をさせていただいているということでございます。
  83. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 それでは、これまで多かったり少なかったりという状況があっても、やはり百万立方メートルというのは非常に多いというふうに私自身は思っていて、減っていない現状だというふうにとらえているわけなんです。  この法律の十三条に森林害虫防除員制度というのがあり良して、この大発生からこれまでの間にもどういうふうな推移で人を投入しているか、これも重要ではないかというふうに思いますけれども、簡単にお願いをいたします。
  84. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御指摘のように、森林害虫防除員につきましては、森林病害虫等防除法の規定に基づきまして都道府県の職員を都道府県知事が任命をいたしまして、森林害虫防除員を配置するということになっているわけでございます。この森林害虫防除員の数でありますけれども、時系列的な資料がなかなかつかめませんで、時点で申し上げますと、昭和五十一年度三千三百名でございました。それが昨年八月現在で三千九百六十六名となっております。  なお、そのほかに、昭和三十七年からでありますが、保安林とか山火事の多い地帯を巡視する緑のレンジャーの制度というのがございまして、これに対する国の助成も行っておりますが、これは昨年時点で約二千五百名でございます。
  85. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 やはり私は、人間の目によって、人間の努力によって防除をしていくということ、それがこれからは大切なことではないかというふうに思うのですが、技術的にも育てていただければいいなというふうに思いますし、本来人間がきちっとしておかなければならないことについて手抜きをしてはいけないと思います。人数が三千三百から十五年たって三千九百というか四千を切るというようなこの人数に努力の跡は考えられません。私は、もう少しこの辺にきちんと力を注いでいかなければいけないだろうというふうに思います。これまでの法律は、特別防除で初めは五年以内に終息させるということで通って、その後また延長されるたびに被害率を一%以内にすると言われてきましたけれども、一度も達成されたことはありませんでした。こういうことの責任はどなたがおとりになるのでしょうか。
  86. 村田吉三郎

    ○村田説明員 私ども、五十二年度に特別の法律をつくっていただきまして、それに基づきまして法律の目的を達成すべく全力を挙げてきたわけでございます。しかし遺憾ながら、過去二回の延長をもってしても終息型微害という状態にはなかなか到達していないというのが実態でなかろうかと思います。私どもさらに、伝染性の強い病害虫でございますので、冒頭先生のお話のございました日本の森林を守る、こういう観点からしっかりとやっていく、このことがこの責を果たすことになるのではないか、このように考えております。
  87. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 一九七七年当時、特別防除の効果があったと資料として提出されたところがありますけれども、この松林は現在どのようになっておりますでしょうか、把握していらっしゃいますでしょうか。
  88. 村田吉三郎

    ○村田説明員 先生御指摘のように、最初に特別措置をつくりますときに、効果の事例といたしまして九件の例を国会の方に資料として出したわけでありますが、その後その資料の訂正、間違い等がございまして、最終的には八件の事例についてお話をしたというような経緯になっていると承知しております。九件が八件になりましたのは、一件が空中のいわゆる特別防除ではなくて地上散布が入っていたためこれを除外したということによるものでございます。それでこの九件、六県で九件の事例でございますが、当時、この報告が十五年ほど前にあるわけでありますが、それが現在どうなっているかということにつきまして先生から御指摘がございましたので、急速電話等で県等から聞き取りをいたしたわけであります。不十分な点もあろうかと思いますが、事例を申し上げたいと思います。  佐賀県の虹ノ松原についてでございますが、これまで特別防除の継続によりまして微害の松林という形になっているわけでございます。  それから広島県の宮島の松林につきましては、特別防除や伐倒駆除等の実施によりましてやはり微害の松林という状況になっております。  それから兵庫県の赤穂市の松林につきましては、当初約八十ヘクタールを超える松林があったというふうに聞いておりますが、開発でありますとかあるいは樹種転換によりまして、現状は約二十ヘクタールの松林になっているというように聞いております。これにつきましては五十七年度まで特別防除を実施しておりまして、現在微害の松林、これは混交林のようでございますが、そういう状況になっているということでございます。  それから福岡県の大学演習林につきましては、昭和五十四年度以降特別防除を行っておりませんで、伐倒駆除で対応しているわけでありますが、現在被害が中書、いわゆる五%未満ということになります。一%から五%ぐらいの間を中害とお考えいただいていいと思いますが、そういう松林になっているということでございます。  それから山口県の光市、防府市の松林についてでございますが、これは広葉樹及びヒノキへの樹種転換がなされている。現状はヒノキ及び広葉樹の林であるということでございます。  それから残りの二件でございますが、これは、鹿児島県の例があと二件あるわけでありますが、担当者が不在ということできょうのこの国会に御報告が間に合いませんでした。この点をおわびをしたいと思いますが、いずれ調査が調いましたら先生のところにお持ちをしたい、こう思っております。
  89. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 微害、中害ということなんですが、私の方で、市民運動の人たちが見てきた、目で見たところでは、兵庫県赤穂市御崎の松はほとんどない。広島県安芸の宮島の松もない。これは台風の前になくなったというふうな報告も聞いておりますが、私自身が直接見たわけではありませんので、いずれ本当にきちんとした報告をしていかなければいけないというふうに思っております。  ところで、これは、空散の目的が、マツノザイセンチュウを運ぶマツノマダラカミキリを空散によって殺すということなんですけれども、これまで、山梨大学教育学部生物教室の池田清彦教授、「きれいな水を守る県民の会」が過去三年間、八九年、九〇年、九一年に、駆除によって亡くなったたくさんの生物について空散後に調査をしております。ほとんど虫は死にましたけれども、その死骸の中にマツノマダラカミキリは一匹も見られなかった。死骸は、千九百八十六匹のうちカミキリはゼロということになっております。また、いわき市で、これも九〇年九月に報告されておりますけれども、この結果を見ますと、シーツの上に死骸があったものを数えたわけなんですが、一回目で二千五百三十一匹、二回目で八百四十六匹。これを市全体として想定すると全部でおよそ十二億九千万匹の虫が死んだことになるわけなんですけれども、何とその中にもマツノマダラカミキリはゼロ四だったというわけなんです。これは、やはり科学的にそれが死んだという結果がなければいけないし、林野庁は事前にも生息調査というか、カミキリがこのくらいいるということを調査なさらずにまいて、そして終わった後でもそれが――だからこういうところでもっともっと、たくさん市民グループがやっているわけなんですが、今二つだけ例を出させていただきましたが、カミキリが見つかっていないという現状なんですけれども、これはどのようにお考えでしょうか。
  90. 村田吉三郎

    ○村田説明員 若干回り道したお話になりますが、被害地でのマツノマダラカミキリがどの程度生息をしているかということにつきましていろいろな研究があるわけでありますが、茨城県茎崎町、これは被害率が三〇%程度のところの量でありますけれども、ヘクタール当たり一万三千頭を超えるマダラカミキリを観測しているという例があるわけでございます。これは林内に存在する前年度枯死木から一シーズンを通じて脱出した成虫の数でございますけれども、そのようなデータもございます。また奈良県下のデータ、六年生のクロマツ林でありますが、木を揺すって落として成虫を調べてみると、ヘクタール当たり千七百頭を超える成虫が観測されたという例もあるわけであります。  マツノマダラカミキリの落下個体数、落ちてくる個体数ですが、この調査はその時間とかひろいとり面の状況によってかなり差があるというのが研究者の間で言われているところでございます。それはなぜかといいますと、時間で言いますと早朝に調査いたしませんと鳥やアリ等が落下虫体を運んでしまうということもございますし、調査する時期が散布当日だけとか二、三日ではその全体がつかめないということもございます。また、ひろいとり面をかなりきれいに掃除をしておかないと発見が難しいということもあるわけでございます。そういうことからやはり慎重にこのひろいとり面の調査はやっていかなければなかなかデータがつかめないということがあるわけであります。  私ども、今先生のおっしゃったことにつきまして追跡はまだいたしておらないわけでありますけれども、一例として国立林業試験場、現在の森林総合研究所でありますが、ここが実施をいたしました詳細なデータがあるわけであります。これによりますと、条件を省いて申し上げますが、虫の数だけで申し上げますと、路面上に落下したマツノマダラカミキリの一カ月半にわたる拾い上げの調査では、毎日少しずつ落ちまして、約四十四頭のマダラガミキリが採取をされているという報告もあるわけでございます。
  91. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまの報告は一九七九年のことですね。大分昔のことの調査で、私たちは、毎年毎年、年二回まかれているという側からいたしますと、それは事前に本当に必要なのかどうかという調査をして、その後の調査ということをきっちりと重ねていかなければ、十五年間もまかれて被害ばかり受けてしまった方は、こういうことを本当に効果があるというふうには理解できないわけなんです。そういうことも含めまして、私たちは、もっと別な方向で、空散ではない方向に変えるべきだ、空散は中止すべきではないかというふうに思っているところです。  そして、人体の被害もたくさん出ております。今のお話の中では、早朝に鳥がついばんでなくなるかもしれないというお話、ちょっとございましたけれども、確かに鳥がついばむことがあります。本当にのたうち回っている昆虫類を野鳥が格好のえじきとして食べている、そういう姿も確認されているわけなんですけれども、シジュウカラ一つとってみても、体重十五グラムであれば同じ十五グラムの昆虫類を摂取するということになって、これは獣医さんの専門家の報告によりますと、野鳥類の死亡率の第一位は農薬のためというふうに出ていることもぜひ知っておいていただきたいというふうに思います。  人体被害の調査なんですが、これは広島県の教職員組合が小中学生のアンケートを行いました。八八年、九一年の二回にわたりまして各学校の担任の先生が、農薬散布の直後に生徒を対象として行いました。この一番新しい九一年ですけれども、十六の市町、計八十一校について行いまして、被害を訴えている子供たちは、二万三千二百五十人中、訴えた子供の延べ数が六千七百四十二人で、二九%にも達しております。こういうふうに子供たちが、例えばこういう症状を訴えていました。腹痛や下痢、頭痛、発熱、目がちがちかする、体がだるい、のどが痛くなった、こういうようなことです。そして、農薬の飛散量に応じて人体への被害も出ているという結果がこの中では出ております。八八年そして九一年の二回にわたって、両年とも被害率は距離に反して反比例ないし指数関数的に減少しておりまして、いずれも散布地域からの距離が近いほど被害率が高いことから、農薬との因果関係が強く示されていること、これも特筆すべきではないかという、こういう結果が出ておりますけれども、このような結果が出ているにもかかわらず、ずっと林野庁はこのことを無視してきたというふうに言わざるを得ません。この人体への被害ということについて、どのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  92. 村田吉三郎

    ○村田説明員 私ども、大事な松を守るということで、特別防除が非常に有効な方法であるということでこの方法をとってきているわけでございます。もちろん、環境への影響あるいは生態系への影響あるいは人体への影響等につきましても、細心の注意を払うという通達を出しながら実施をいたしてきているわけでございます。  それで、先生いまお話のあったことにつきましてでございますが、特別防除の実施によりまして危被害が発生した場合には林野庁に報告をするようにという通達を出しているわけでございますが、これまでのところ、都道府県から特別防除の実施によって人体に被害があったという報告を私どもは受けていないわけであります。  特別防除の実施に当たりましては、先ほど申し上げましたように、事前に散布の日時とか散布場所とか使用薬剤とか実施時の注意事項等につきまして地域住民等への周知徹底を十分図るということにしておりますし、また、万一のことも考えまして、最寄りの保健所とか病院等に特別防除の実施日時、使用薬剤等の連絡をいたしまして、万一に備えた緊急の医療救急体制といいますか、こういったこともとるように指導もいたしているところでございます。私どもといたしましては、今先生からの御指摘のこともございますので、今後とも実施に当たりましては十分慎重に、しかも住民の方々に徹底するように、配慮をしながらやってまいりたい、このように考えております。
  93. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまお答えくださいましたものは、それは国が考えていることだけであって、事実、そのように通達を出して、そして自治体の側で受け入れ態勢をとったところはありません。一つもありませんと言ってもいいかもしれません。十五年間に全然なかったわけです。  なぜかといいますと、例えば住民の皆さんに事前に渡すチラシを見ても、窓口はここというふうになっていても電話番号も書いていない。例えば空散後に体の調子が悪くなった、目がちからかしたり、あるいは風邪の症状になったり、あるいは下痢、腹痛、発熱、そういうものが起きたときにぜひともここに電話をしてくださいというようなこともなければ、そういう事実として、これまで五年間市民グループが行政交渉の中でも訴えてまいりましたけれども、そのことは無視されてまいりました。いつどういうふうにそれを持っていったらいいのか。私の地元でも話を聞いてまいりましたが、行政がやること、自治体がやること、市町村がやることに関して、地域の人たちは、自分が何かを言えば変わり者扱いされる。国がやっていること、県がやっていること、そういうことになかなか反対できないというような、そういう土地柄もあるわけなんです。そういう人たちは申し出をしておりませんでした。みずから調査をすべきなんです、国が調査をすべきなんです。それを。一度もやっていないというのが現状なんです。五、六年も訴えられてそのままだということは、余りにもひどいのではないかと私は思います。  そして、農林水産航空協会の指針値というものが大変権威のあるもののように言っておりますけれども、この農林水産航空協会というのは農薬散布を推進しているところですよね。いかがですか。
  94. 大川義清

    ○大川説明員 農林水産航空協会は、空中散布の調整、実施をしているところでございます。
  95. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ですから、これは協会がつくって、国の安全基準ではないわけです。空散の反対運動の高まりに耐えかねて、空散推進の中央である協会が公正さを、まあ装うと言ったら失礼かもしれませんけれども、研究会を設置いたしました。しかし、その研究会では一体本当に、公衆衛生でかつて環境汚染と人の健康被害について直接論じた唯一の重要な疫学調査、これは農薬空中散布の環境及び健康への影響調査といいますけれども、こういうものについて文献をきちんと見ていないと思います。無視をしたというふうにいろんな人たちから聞いておりますけれども、こういうものが中に取り上げられていないわけなんです。そして、この指針値からいいますと、例えば健康被害があったとしてもそれは無視される、認められない。まれに観察されるけれども、その影響は可逆的であってという表現がありまして、頭痛とか吐き気とか、ぜんそくなどの悪化とか、かぶれなどの影響は見られるけれども、それは日常生活の中でも起こり得るものである。しばらくすると治るので、これは健康被害、影響とはみなさないというふうに言っているわけです。でも私たちは、皆さんのおっしゃる、影響は可逆的であるという、そのレベルのことを問題にしているわけです。  しかも、この指針値で出しております、例えば二十マイクログラムならば許容濃度であるというこのものについては、私たちでは、一マイクログラムでも被害を受けるという結果を得ているわけです。実際に被害が出ていることをこれまで何回も言っていもわけなんですけれども、なぜ一切目をくれないできたのでしょうか。
  96. 大川義清

    ○大川説明員 本指針値は、現在、現時点で利用可能な農薬に関します内外の知見をもとに、日本産業衛生学会の許容濃度の勧告を基礎資料といたしまして、医学、生物学、農薬の専門家から成る研究会で検討策定されたものでありまして、現時点での数値としては妥当なものではないかというふうに考えております。また、この指針値につきましては、農薬の健康影響に関する知識の増加、情報の蓄積などに応じまして改定され、あるいは追加されるべきものであるというふうに考えておりまして、現在、学問の場におきまして各方面から科学的根拠に基づいた意見の提案を待っている状態であるというふうに伺っております。
  97. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 とにかくこの数年間、健康被害を訴えても無視してきたので、それはこの指針値が非常に問題だということをもう一度検討していただかなければならないと思います。このことを環境庁でも同じ指針値を分析調査の中にのせておりますけれども、そのことと、環境庁はこうした人体被害について環境行政全般に当たっているわけですので、御意見をお伺いしたいと思います。
  98. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 空散による人体ないし環境への影響でございますが、この点につきましては、従来からこの実施をしております農林水産省、林野庁等に対しまして、先ほど来先生が御指摘いただいておりますような、例えば学校でございますとか、あるいは病院の周辺あるいは生態系上大変重要な地域については避けて実施をしていただく、こういうふうなことでお願いをしてきておるところでございます。また、こういう指針値につきましても、できるだけ科学的な根拠に基づきまして策定をしていただいておるわけでございまして、いずれにいたしましても、なかなかこういう問題につきましては、現在の知見といいますか、科学の水準から見ていろいろな制約条件がございますので、そういう点も踏まえながら、今後ともできるだけ正確な、適正な数値がとられますように、農林水産省とも相談しながら我々も努力していきたいと思っておるわけでございます。
  99. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 林野庁に健康への影響についての直接的な申し出というものが二月二十九日までに上がってくるようになっていて、自治体の方にこのアンケートのようなものを渡したようなんですけれども、この表を見たところではとても、空散が終わってから大分たっておりますし、しかも、申し出た日とそれから申し出の方法であるとか判断者であるとかありますけれども、この表からは因果関係はわかりません。しかも、これは健康被害をチェックするものでもないだろうというふうに私たちは思っております。  最後に、長官に御意見をお伺いしたいと思いますが、このようにずっと農薬というものを散布してまいりまして、人体への被害、そして生態系への被害ということで、しかも、松枯れの箇所が減っていないというような現状も含めますと、これ以上空散を続けるということは本当に間違った対策ではないかというふうに私自身は考えているわけなんですが、環境を守る、日本の環境を守っていく、そういう行政を行う環境庁といたしましては、長官、どのようなお考えを持たれましたでしょうか、最後にお伺いしたいと思います。
  100. 中村正三郎

    中村国務大臣 まず、今お話を伺っていて、私、議員として非常に考えさせられるところがあったのですが、私の選挙区でも、マツノザイセンチュウ、松くい虫だというので、松くい虫を殺せと言って一生懸命殺したけれども、だめで、今度、切れというので切り倒してだめで、それで消毒を始めてやっととまったのです。ところが、それまでにほとんどの山から松がなくなってしまいました。そして、実は私の選挙区の事務所は松林の中にあるのですが、ここは空中散布でなくて市から来てまいているわけです。ところが、幸いなことに、秘書にも私にもまだ病害は出ておりません。そういう中で、松を守ろうとする方も自然の松を守ろうとした、しかし、その守ろうとしたことが健康被害を出すようなことになった。それじゃ、ほっておいて松が全部なくなるのが自然だからそれでもしょうがないじゃないかというと、どうも松くい虫というのは外国から来たらしいからこれは日本の自然じゃないという議論が沸いてくる。  非常に考えさせるところが多いわけでありますが、いずれにいたしましても、こういう法律が現にあるということになると、それに沿って林野庁はやらなければならなくなる。法律をつくるのは我々立法府であるわけですから、その中で気をつけてもらわなければいけないことは、公害を起こさないようにやってもらうということだと思うのです。そういう中で、空中散布の自治体に対する指導ということを一生懸命やっていただいているとは伺っておりますけれども、また法改正するに当たっては基本方針の協議等があるわけでありますから、さらにこの環境保全ということから人体等に害が起こらないように十分注意してもらいたい、こういうことを農薬空中散布全体に関して、こういった環境に悪影響が出ないように万全を期してもらうようにいろいろ働きかけをしてまいりたいと思っております。
  101. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 最初に長官がおっしゃったように、市民の声というものを大切にしていただきたいと思います。そして、たくさんの資料を林野庁にも参考にしていただくように申し上げているところです。林野庁や環境庁でも農薬散布の人体への影響について真剣に取り組んでいただくように強く要望したいと思いますし、空散法制定から十五年にして遅きに失しているとはいえ、まともな行政が始まることに遅過ぎることはないというふうに思いますので、今すぐ始めましたらそれなりの意義を持っていると私も思っております。行政としてのメンツを取り払って、率直に事実を認めることから始めていただきたいというのが私の意見です。  以上で終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  102. 小杉隆

    小杉委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  103. 小杉隆

    小杉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として水資源開発公団理事内藤克美君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 小杉隆

    小杉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  105. 小杉隆

    小杉委員長 質疑を続行いたします。秋葉忠利君。
  106. 秋葉忠利

    秋葉委員 社会党の秋葉忠利でございます。  環境委員会は初めてでございますので、環境の問題が非常に大切な問題であるという認識はここに御出席の皆さんと全く同じだと思いますけれども、まだ勉強を始めたばかりでございます。ふだんは小杉委員長にもGLOBEといったような組織を通しましていろいろ御指導をいただいておりますが、とんちんかんな質問をするかもしれませんが、そのあたりは御容赦の上、いろいろ御指導いただければと思います。  最初にこんなことを申し上げるのは僣越かもしれませんけれども、自民党側の委員の出席状況が余り芳しくない。実はこれは事によったら自民党の皆さん大変お忙しいということかもしれませんし、あるいはやはり本気で環境問題に取り組む気がないんじゃないか、そういう気さえ起きてしまうような現状でございます。実はこういう経験は前に一度ございまして、借地借家法の改正を討議した法務委員会で、これまた出席率が非常に悪かった。私は借家人でございますので、借家人の、要するに家を借りている人間を代弁して質問いたしましたけれども、その際にも、代議士の皆さんはほとんど自分の家を持っているらしくて、どうも関心がわかなかったというような気がいたしました。そうでないことを祈りますけれども、実はこれを申し上げるのは後で質問をさせていただくことと関連がございます。  いろいろな問題を考えるに当たって、一つは、私は数量化といったことが非常に重要ではないかということを後で質問の中で伺いたいと思っておりますが、それに関して、やはり出欠というのは関心をあらわす一つの数量化だというふうに思います。その意味で、これがそのすべてを表現する値ではないことはもちろんですけれども、一つの数量化というところで問題提起をさせていただきました。  まず最初なんですけれども、これからの国際的な環境問題を考えるに当たって、私は、日本として幾つか重要な分野において貢献をしていかなくてはならない、その中で実は三つ非常に大事な視点といいますかキーワードがあるのではないかというふうに思っております。  一つは、これは倫理的な立場と言ったらいいでしょうか、あるいは道義的な立場。環境というのはやはりほかの問題と違って倫理的な側面が非常に強い一つの問題だと思います。そういった意味で、日本がこれから倫理的な立場あるいはそれ以前の段階としてやはり環境問題についてのどのような概念化を行うか、環境ということをどのような枠組みの中でどういうふうにとらえていくのか、そのあたりのところが今後非常に重要になってくるのではないかと思います。それが第一点です。  それから、なぜそれが大事なのかといいますと、やはり日本がこれから国際的な役割を積極的に果たしていく上で、これは長官の所信表明の中にもあった言葉ですが、主体的そして積極的に国際的役割を果たしていく上で、ただ単にお金を出したりあるいは技術の援助といったことではなくて、それがどのような目的のために行われるのか、どのような全体像の中でどういう役割を果たしていくのかということが非常に大事になってくるのじゃないか。そういう意味で、日本のリーダーシップ発揮のために必要だ。リーダーシップというのがもう一つ実は非常に大事な概念ではないかと思います。  そして、日本が効果的にリーダーシップを発揮するためには、やはり世界を引っ張っていく、ということは世界の人たちを説得するだけの力がなくてはいけない。そのためには、世界の人たちに、政府も含めてですけれども、どういうふうにアピールをしていくか、そのための基本的な作戦があるべきだと思いますし、またそれを行動によって裏づけていかなくてはいけない。そういう意味で、世界の世論に対するアピール。ですから、倫理性、それからリーダーシップ、そして世界の人たちに対する説得といったその三つが非常に大事になってくるのではないかと思います。  その観点から幾つか質問さしていただきたいと思いますが、まず最初に、こういった質問をするといったことは実は事前に通告しておりませんけれども、こういった考えは所信表明の中にもあちこちに出てまいりますので、中村長官にこういった点について、恐らく私と同じような考えをお持ちで、これまでもずっと政治家としてきちんとした仕事をされてきたわけですから、私などから今さらこんなことを申し上げるのは僭越だと思いますけれども、こういったことについてどうお考えになっているか、簡単で結構ですから一言お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  107. 中村正三郎

    中村国務大臣 先生のような極めですばらしい御経歴を持っている方にそう言われますと、私の方が穴があったら入りたい気持ちでありますが、先生のおっしゃられる通りだと存じます。  特に国際的なリーダーシップをどう発揮するかというのは、これはすべての面における日本のこれからの課題ではないかというふうに感じております。そういう面で、冷戦構造の消滅からくる国連中心ということが出てきたときに、やはりこの環境問題というのは、私どもが国際的に協力を一番しやすいところであるかなとも思いますけれども、その中で、先生の党とはちょっと意見が違うかもしれませんが、これは先生の突然の御質問でありますのでちょっと変わった言葉で御答弁させていただいて大変御無礼でありますけれども、PKO等の国際連合に対する協力というようなものも、やはりそれが一つの日本の発言力につながりはせぬかなと思っているわけであります。そういうものもあり、またこうした環境面で我々の技術なりいろいろなことができる。  それから、環境の倫理というようなことをおっしゃられましたけれども、今まさに対症療法、悪いものが出てきたから取り締まるといったものが、これからの人間生活の上で環境をどうとらえていくのか、そして度々申し上げますように、我々の生活まで含めて環境保全型の社会経済構造にしていかなければ地球がもたないんだという時代に入って、今模索しているところだと思うのですね。まさにそれをこれから構築していこう、その途上で今世界でUNCEDが、地球サミットが開かれようとしているわけでありますから、まさに先生の御指摘のようなことを考えながら、今いろいろな審議会に諮問もしているわけでございますけれども、これからの環境行政あり方ということを、大変大きなことを申し上げますようですが、考えていかなければならない、そんな自覚を持っているところであります。
  108. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  PKOについても、私は国連のより大きな役割の一部として改めてPKOの役割も考え直した上で、日本がそういった面でも、いろいろ形は違いますけれども、例えばPKFへの参加はやはりよろしくないというふうに私は思いますが、ともかく大筋では国際貢献が必要だという点では私も同じ考えでございます。突然の質問でしたけれども、粒答えいただいて大変ありがたいと思います。  実は、私は先日、水俣病の訴訟の原告の方々それから弁護団の方々と一緒に環境庁に陳情に参りました。残念ながらそのとき長官にお会いしていただけなかったわけですけれども、この水俣病の問題についても、今申し上げた道義的な面といいますか倫理的な視点から質問させていただきたいと思います。  確かに法律的な責任あるいは政治的な責任ということも、私は国として非常に大事な責任だと思いますし、そういった視点からの質問は私の同僚議員あるいは委員が各委員会あるいはさまざまな場で質問をし、問題提起をしております。それで、私は倫理的、道義的な視点から国の責任といったことを考えていただきたいというふうに思います。  なぜこの倫理的、道義的な責任ということを改めてここで申し上げているか、実はその背景、ちょっと長くなるかもしれませんが、説明をさせていただきたいと思います。そうでないと、何かこう突然空理空論、倫理という言葉だけが出てきてということになってしまうといけないと思いますので、その点を説明させていただきたいと思います。  一つは、先ほど申し上げましたが、環境の問題、倫理的あるいは道義的な側面が非常に強い問題なわけですけれども、これまでの世界的な環境の問題に対する取り組み、それを考えてまいりますと、大体四段階ぐらいに分かれるのじゃないか、そういう気がいたします。  まず第一は、大きな意味での自然保護。自然に人間の手を加えないでそのまま保護しよう、あるいは少しは加わってもともかく自然を保護しようという立場です。例えば国立公園ですとかあるいは野生動物の保護とか、そういったものがここに入るかと思います。  それが長い間環境といった問題の中心だったわけですが、戦後の経済成長の始まるころになって、世界的にも同じ時期ですけれども、例えばDDTの毒性についての新しい知見が加わって、いわば有害物質あるいは有毒物質をどういうふうに我々の環境から除いていくのか、あるいはその被害からどういうふうに我々自身を守るのかといった問題が提起されました。それが第二段階だというふうに思います。  その後、割に最近になって提起されてきた問題は、例えばオゾン層の破壊あるいは温暖化といったようなことで、物質そのものは自然に存在する物質であって、必ずしも有毒、有害とは言えないのだけれども、その量が非常に問題になってきた、自然の再生能力以上の物質が出てくることによって非常に問題が大きくなってきたということです。先ほどの答弁の中で長官もおっしゃっていましたように、この地球を次の世代によりよい形で残していくといった意味での問題提起がこの第三段階、今申し上げた物質そのものは有害ではないけれども、量によってその問題が生じてきた、それが第三段階だと思います。  ところが、ことしの六月の国連の環境会議地球サミットにおいて中心的な問題になってきているのは、その環境の問題と相まって公正さの問題、公平さの問題ということだと思います。特に南と北との間の公正さ、公平さ。実は、これは価値観によって非常に大きくその判断の分かれるところであって、まさにこれは倫理の問題であるということになってきているわけでありますし、道義の問題、つまり飢えている人が燃やす例えば一リットルの油と暖衣飽食している人が燃やす同じ量の油と同じに考えていいのかといったような、非常に根本的な人間の生き方そのものにかかわる問題が一緒になって提起されているというふうに思います。そういった意味で、現在まさに環境を考えるということは人間の倫理を考えなくてはいけないという観点で、水俣病の倫理的な責任、道義的な責任というところを問いたいと思います。  それともう一点、その倫理という言葉の裏には必ず正義という概念があるわけですが、正義というのは社会正義、社会一般において何が正しいことなのかということを求めていかなくてはいけないわけですけれども、これは欧米の社会の中には、英語で言いますとレート・ジャスティス・イズ・ノー・ジャスティスという言葉があります。つまり、仮に正義が実現されても、それが時期的におくれていたのではそれはもはや正義ではないんだという概念です。有限の時間しか生きられない人間にとって、やはり現実的にその人間が生きている間に正義が実現されるということが非常に大事である、こういう基本的な概念ももう一方にはございます。  そういった観点から考えると、やはり環境の問題の大きな部分であるこの水俣病の問題に対して国がより大きな意味での正義を実現するために、しかもそれを現在の患者あるいは水俣病によって被害を受けた、認定はされていない人たちも、たくさんいるわけですけれども、そういった多くの人たちの苦しみを救うために、その人たちが生きているうちに本当に正義正義として感謝され、そしてそれが世界にあまねく伝わって、日本の政府のとっている倫理的な立場というものがよく理解 できるような、そういった時期に和解のテーブルに着き、倫理的な立場から、より大きな立場からこういった水俣病解決を図るということが今日本政府にとって非常に大切な行動になるのではないか、私はそう信じておりますが、長官、いかがでしょうか。長官の英断で和解のテーブルに着いていただくわけにはいかないものでしょうか。
  109. 柳沢健一郎

    ○柳沢(健)政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと事実関係につきまして申し上げたいと存じます。  今先生御質問されました水俣病の問題でございますけれども、ひとつ御理解いただきたいのは、今日まで水俣病対策について手をこまねいて何もやってこなかったということは全くないということについてでございます。  私ども環境庁といたしましても、旧救済法によって昭和四十五年から、それから昭和四十九年からはそれを引き継ぎまして、新しい公害健康被害補償法に基づきまして患者を認定してまいりました。  認定された患者につきましては、補償協定に基づきまして、例えば一時金でありますなら千六百万円から千八百万円が支払われるという仕組みになっておるわけでございますけれども、その認定業務について鋭意今日までやってきたわけでございます。その結果、患者さん方について、今日まで二千九百四十二名の方々について患者さんとして認定してまいったわけでございます。この認定された患者さんというのは、初期の患者さんに見られる極めて典型的な症状を呈する患者さんだけではなくて、もうこれ以上緩めると他の疾患と区別がつかないぎりぎりの範囲にまで広げて患者さんを認定してきて、その結果、二千九百四十二名の方が認定された、こういうことでございます。  一方、認定審査会でもって認定をするに際して、確かにおっしゃるように棄却される人、認定されない人が多数おられることも事実でございます。この中には何回も何回も認定申請を繰り返して最高八回まで認定申請を繰り返す、そういう方々もおります。そういう方々も含めまして、現在御案内のとおりの訴訟が提起されてあるわけでございますけれども、環境庁といたしましても、昨年審議会にお諮りいたしまして審議会の答申を得まして、平成四年度からは、そういったように認定されない方々についても一定の条件をお持ちの方については月に一万六千円から二万二千円までの療養手当を支給することを含めましての新しい総合対策を打ち出そうということで、今回の予算案にお願いしているところでございます。  こういうことでもって、今日まで環境庁としても精いっぱいの努力をいたしてきたということにつきましては、御理解いただければありがたいと思っております。     〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕
  110. 中村正三郎

    中村国務大臣 今、秋葉委員の御質問というのは、秋葉委員の先ほどから述べておられます環境に対する倫理、そうしたことのお考え、論拠に基づいて環境庁長官の考えはどうかということであったと思うのですが、事実関係ということで役所の方は話したがるものですから、今このような御説明になりましたけれども、私はこの問題は、十年くらい前に環境委員会におりまして、そのころから地元のいろいろな議員の先生からお話を伺ったりしてまいりました。  子供のころテレビに映った猫がどうなるとかいろいろなのを見て、これはまたまさに悲惨な大変な公害だなという経験の中に育ってまいりまして、長い歴史があり、その中でいろいろな議論がなされ、いろいろな対策がとられてきたものだと思っております。そういったことを今一生懸命勉強して、地元の先生方からも伺い、地元のいろいろな方からも伺っておりますけれども、やはりなかなか簡単なことでは全部わかり切れない、非常に長い歴史を抱えてきてしまったものだなというふうに感じております。そういう歴史から見れば、私、短い時間こうして環境庁長官を仰せつかるわけでありまして、その中で考えてまいりますと、どうしても行政の長という立場でお答えしなければならなくなるということをどうかお許しいただきたいと思うわけであります。  今、こちらから言いましたように、いろいろなことをやってまいりました。そして行政の立場からいいますと、やはり行政の責任があるかどうかということで争いが起こり、それを司法の手にゆだねなければならないところまできて、双方、当事者として主張をしている。そしてこの間、東京地裁の判決があり、あれでいろいろなことが述べられておりますけれども、行政としての損害賠償の責任はないであろう、しかしながら政治的責任があるであろうということを述べられているわけであります。しかし和解ということになりますと、何らかのこうしたことによる損害が生じた場合、政府でやるということは国民全体の負担になりますから、どこまでそれを国民全体の負担として補てんすべきかということになりますと、これは行政全体のことにかかわる重要な問題になってきてしまうわけでありまして、これを交渉によって和解に入ろうかどうかということは行政の立場としてはとれない問題ではないかと私は思うわけであります。  そして今、東京裁判では不服として控訴しておられるという状況もあり、まだ隔たったまま来てしまっているわけでありますね。そういう状況の中で政治的責任ということを指摘され、これはまさに中公審の答申にもそのようなことが述べられていたわけでありますけれども、行政としてできる限り、精いっぱいのことをやろうということで、申分審の答申に沿いまして予算要求をし、平成四年度から総合対策をやっていこう、ここにおいて政治的責任に対する役割を果たしていこうという気持ちで今総合対策を最大限やるように努力をしているわけでありまして、和解ということになりますと、そういう行政の立場があるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  111. 秋葉忠利

    秋葉委員 行政の立場ということは確かにわかります。しかしながら、それは今の発言の中にも出てきたように、例えば法律的な責任あるいは政治的な責任といった立場での責任だと思います。私は、それを離れて、道義的な立場、倫理的な立場から国が行動をとることがあってもいいんではないかということを申し上げているわけです。  それはどういうことかといいますと、現に苦しんでいる人たちが目の前にいる。その人たちを救済すみ手段が具体的にある。それは一つは、国が自分たちの法律的な責任を認めるところまではいかなくてもいい、そういうふうにもうぎりぎりのところまで訴訟の原告側も実は言っているわけですから、まず国がそういった意味での何らかの形での誠意を見せること、それから原告との話し合いの上において合意できるような妥協点を探るということ、そのことによって問題が解決できるということが現実に目の前にあるわけです。責任があるかどうかといった問題とは別に、目の前に苦しんでいる人たちがいるときに、具体的に自分が救済手段を持っていてそれを使うか使わないか、これはまさに倫理の問題です。ですから私は、国にそういった道義的な責任をぜひとっていただきたい。あえて法律的な責任をとれとは言いません。  それに関しては、こういうふうに考えることもできるんではないかと思います。例えば法律的な決着、その原因、結果等についての科学的な解明、そういったものの最終的な決着は時間がかかるかもしれません。しかしながら、仮にそれが五十年先になったとして、その時点でもはや被害者として関係者の中で生きている人はだれもいなくなってしまう。そういった事態を待って科学的な真理に基づいた何らかの措置をとるというのではなくて、今彼にその科学的な答えがあったと仮定して、例えばそれが全部原告側の言い分を認めろということになると仮定をして具体的な施策をしたといたします。仮に五十年たってその仮定が間違っていたときに、それでは国は一体どのような損害を受けるかという観点から考えていただきたい。それによって得る利益は非常に大きいものだ と思います。現在苦しんでいる非常に多くの人がその苦しみから解放され、その人たちの持っている能力がさまざまな分野で活用できるという利点がありますし、国もこの問題について非常に有能な多くの役人たちの力をそれから解放してもっと建設的な方向に使うことができる。そのほかにもさまざまな利点がございます。そして仮にここで下すそういった仮定が五十年先に間違っているとしても、その時点では、あの仮定は間違っていたけれども、あの時点で行政が行った措置は特別な福祉の一部として、特例として行ったんだ、例えばそういう特例が百年のうちに二つや三つあってもいいじゃないかということで、後世の人はその行政的な措置を十分評価してくれるんじゃないかと私は思います。  私は、そういう方向で、現在苦しんでいる人たちのことを考えるとき、この題について幾つかの経験から私は必ずしもそれが事実かどうか確信できないところが残念なんですが、恐らく誠意をもってこのことに当たられているであろう多くの官僚の方々に、苦しんでいる方々の苦労を減らすという観点からも、ぜひ和解のテーブルに着くという方向で、そのための具体的な方策を探していただきたい。ただ単にできないからということを前提にして理由づけを行うのではなくて、和解のテーブルに着くための理由づけを考えていただきたい、それを道義的な立場に求めていただきたいということを再び長官にお尋ねしたいと思います。
  112. 中村正三郎

    中村国務大臣 今お答えしたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、まさにそうした被害者の救済ということで認定業務も一生懸命推進してきたわけでございまして、そして中公審の答申も踏まえて、一歩踏み出して総合対策ということをやっているわけでございます。そこが今行政がやり得るぎりぎりかなということで努力をしているわけでありまして、その行政の立場からいいますと、和解に着くということ、そうですかとなかなか言えない立場にあることを御理解いただきたいと思います。
  113. 秋葉忠利

    秋葉委員 この問題については、残念ながら四十五分で解決のつく問題ではないと思いますので、いずれもう少しじっくりと根本的なところにさかのぼって問題提起ができたらと思いますので、この水俣に関してもう一点伺いたいと思います。  それは、やはりこの水俣ということが現在日本の環境という問題の非常に大きな象徴的なものになっているといった観点から、今後の環境政策を考えるに当たっても、水俣病の患者の方とまず現地で話し合いをする、ただ単に意見を聞いていただくだけでも随分励みになると思いますし、今後の環境庁の態度を決める上でも参考になるのではないかと思いますけれども、長官として現地で水俣病の患者の人たちとまず会う、顔を突き合わせて人間的な意思の疎通を行うということをぜひやっていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
  114. 中村正三郎

    中村国務大臣 水俣病問題、このことについて、今御答弁申し上げましたように、短い時間でございましたけれども、これまでもさまざまな方から御意見を伺ってまいりました。患者の方や地元の御意見を聞くということは環境庁としてもやっておりますし、また、地元の議員の方たちの意見も随分聞いておりますし、そういうことを進めることは全くやぶさかでないのでございますけれども、私が現地を訪問するということにおいては、現下のいろいろな情勢というものも判断いたしまして慎重に対応していきたいと思っております。
  115. 秋葉忠利

    秋葉委員 慎重にということも大事だと思いますが、環境庁ができてから二十年の間に随分多くの環境庁長官が生まれました。これから五十年、百年先になって、恐らくもっとたくさんの環境庁長官が生まれると思いますが、後世の時代、これから五十年、百年先の人たちが、その環境庁長官の中で一体何人の名前を覚えているだろうかということを考えますと、恐らく、慎重に事を運ばれた方ではなくて、少々乱暴に見えるかもしれないけれども、大胆に自分の信念に従って、良心に従ってその倫理的なあるいは道義的な決断を下した環境庁長官が後世に名を残すであろうと私は思います。そういった英断をぜひ中村環境庁長官お願いしたいと思います。そういった観点からもぜひ英断を下していただきたいと思います。  実は、私は環境庁というものが庁のままでいいのかという疑問を長い間持っておりまして、これからの日本の行政の中心がやはり環境問題にある以上、例えば環境省への昇格が必要ではないか、さらに、ただ単に省になるだけではなくて、日本の政治全体を決める上でもっともっと重要な役割を果たすべき省になる必要があるのではないか、そういうことを考えております。その観点からも、やはり後世に名を残すという意味からも、そういった強力な省庁への昇格、それと同時に、道義的な立場から日本の環境行政に新たな次元をつけ加える環境庁長官として、ぜひそういった意味でも名を残していただきたいと思いますけれども、そういった環境行政の日本政治におけるリーダーシップのとり方といった点で、長官、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
  116. 中村正三郎

    中村国務大臣 環境行政あり方については、今本当に転換期であると思います。今まで、この水俣病でございますとか環境問題の原点と言われた問題、それらの問題た対応するために環境庁はそれなりの役割を果たし、一生懸命職員一同やってきてくれたと思っておりますけれども、やはり今ここになりまして、そうした従来やってきた、もちろん重要な公害防止、それに対する対策の問題に加えまして、地球規模の環境というものが問題になってきた。そういうふうになってまいりますと、持続可能な開発、そして我々の社会経済体制まで持続可能な開発ということで環境問題を真っ先に考えてその中で組み立てていかなければいけないという時代に入ってきた。そういうことになりますと、今、製品のライフサイクルアナリシスなんてことも言われますけれども、つくるときから、使うときから、捨てるときから、それを回収するときから再利用からということになってまいります。その中で、例えてちょっと考えてみましても、物を流通して貿易するということになると、これは貿易管理令で通産省の話になります。ごみはどうかというと、厚生省の主管になっております。それから、いろんな公共施設をやろうとしますと、下水道等もそうですけれども、これは建設省の主管になり、私どもも、環境庁の役割としていろいろな環境対策予算をまとめて要求をし、それを整理しプッシュする仕事はやりますけれども、例えば公共の調整費というものは持っていない。すべてこれは抜本的に見直していかなければいけない。そうでないと、これから起こってくることに対応し切れない時代に入っているのじゃないかと思うわけでございます。  そういう事態に対処するために環境庁の組織体制の強化を図ってきて、一昨年は地球環境部というものをつくったわけです。そして、これを進めていかなければならないわけでありますけれども、私は省への昇格ということは、今環境庁がどういう立場にあるかというと、環境行政に関して、総理から付与された権限において各省庁を調整する立場にあるのです。ですから私は、地球環境担当大臣ということで各省といろいろと協議ができ、いろいろな話もできるわけですけれども、一面、現実にいろいろな仕事を持って他の省と肩を並べて仕事をやる省になった場合に、そういう調整の仕事はどうす呑んだとか、いろいろな議論はあろうかと思います。これをまさに研究していかなければいけない時代で、そういったことについても今中公審に諮問をいたしまして、地球規模の環境問題に対応するためにどういうようなことでやっていったらいいかという総合的なことの答申をいただくようにしているわけですけれども、私はやはり象徴的にも考えまして、組織体制を強化するということを考えますと、省への昇格というのはそれの一つの方策だと思うのですよ。ですから、先生の御提言を非常にありがたく受けとめまして、そういう方向も含めていろいろ検討してまいりたいと感じております。
  117. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。ぜひ前向きの方向で御検討いただきたいと思います。  前向きの方向で努力をする幾つかの項目所信表明の中にありましたが、その一つがUNCED、国連の環境会議ですけれども、環境会議の中で非常に重要な問題の一つとして取り上げられている温暖化の問題、特にCO2の規制ですけれども、現在の私の理解では、アメリカが非常にこの点について後ろ向きの態度といったらいいのでしょうか、余り積極的に賛成はしていない。アメリカ次第で温暖化の問題が六月のリオの会議において解決するかどうか、そのかぎをアメリカが握っているというふうに理解いたしております。それに対して、実は日本はアメリカに対して影響力を行使し得る立場にあると私は思います。日米関係は非常に緊密です。幾つかの問題はありますけれども、この緊密な日米関係の中でアメリカに対してどのような説得を行っているのか、あるいはこれからどのような説得方法をとっていくのか、その点についてお答えいただければと思います。
  118. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員の御指摘、非常に的を射たところだと思うわけでございます。そこで私、昨年十一月に環境庁長官を拝命いたしましてから、あらゆる機会を通じて、あらゆる手段をもってアメリカに対し、またECと共同して説得するというようなことをやっております。  まず第一に、去年OECDの閣僚会議があったわけでございますけれども、これは国会の都合で私行けなかったものですから、前長官の愛知さんに特にお願いして行っていただきました。そこではむしろアメリカの環境当局者の方も、やはりこれはECや日本等と歩調を合わせていかなければいけないというような感じがあったようでございまして、むしろそういうことを大いに言ってくれないかというような雰囲気もあったやに伺っております。  そして、ブッシュさんがこちらにお見えになったときに、総理からそういうことをお話ししていただこうということで私、直接総理にもお話をいたしました。ところがブッシュさんが健康を害されて、第三回目の会談にこれを出そうといったところができなくなったということでありますが、アメリカ当局とのいろいろなお話し合いの中でこういうことが出ておりますから、十分その意向は伝わっていると思います。また、海部元総理がブッシュさんとお会いになったときも、こういうことを話していただいておると思います。  また、アメリカの環境庁の次官が来られましたときにも私から話しましたし、この間ECのブリンクホルストという環境担当の総局長が来られましたときにも、これをやらなければいけないということで、アメリカに対してどうのというのじゃないけれども、ECとこっちで環境問題に対する定期の会議を持とうやということで、一年に一遍やろうというようなことも決めまして、そういうことも踏まえてアメリカに強力にお願いをしていこうやと。そしてまた、その後アメリカの大使も私のところにお見えになりましたので、このことについてもお話ししました。そうしたら、やはり日本とECがこっちへ行って、うちがこっちへ行っちゃって、これはなかなか大変だというお話でしたけれども、そのときも、早くアメリカに来て何でもいいからそういう話をライリー長官にしてくださいというようなお話もありました。  いろいろな段階でやっておりますが、今まさにニューヨークでこの準備会議を開いておりまして、今届いた状況があるのですが、相変わらず平行線をたどっております。ただ、そういったことにアメリカが全然入ってこなかったのが若干入っていろいろなペーパーをまとめているのですが、恐らくこの会議ではどうかなという感じはするのですけれども、もう一回全体会議を開いてやるそうですから、そういうところでも、今度の気候変動枠組み条約においてやはりある時期にこういう目標でということが入らないと、これは条約自体がかなり弱いものになるのではないかということで、全力を尽くして今現地と連絡をとりながらやっているところであります。  委員は大変な御経歴をお持ちなわけでありまして、委員の御尽力を賜りたいとここでお願いさしていただきたいと思うわけでございます。
  119. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。もちろん、微力ですけれども、私にできることがあれば何でもお手伝いいたします。  今までの日米首脳会談で何度もいろいろな話があったわけですけれども、海部さんとブッシュさんとも話があったと言われましたけれども、具体的に、例えば各回の会議の中で何分ぐらい環境の問題について話をしているのか、それは簡単にわかるものでしょうか。外務省の方、もし具体的なデータがなければ結構ですが……。
  120. 小西正樹

    ○小西説明員 本件に関しましては、ただいま長官から御答弁されたとおりでございまして、先般のブッシュ大統領訪日の際の会談におきましては、大統領の身に不測の事態が生じたということで会談の時間が極めて制約されまして、明示的に取り上げたわけではございません。ただ、本件につきましては従来から日米間で緊密な話し合いが行われておりまして、私どもとしても、先生のお話にありますような関心事というものはアメリカとの間で十分話し合いをいたすように努めております。
  121. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。  実は、これはG7の会議なんですけれども、一九九〇年の会議ではかなり長時間にわたって環境の問題が討議されたけれども、次の年になるとたった十三分になってしまったというような例がございます。それと、やはりそういった首脳会議における環境の問題の取り上げ方というのも非常に大事だと思いますので、ここで改めて総理の口を通して、首脳会談あるいはG7、そういったところで日本がイニシアチブをとって環境の問題を提起していくという要請あるいは説得といいますか、そういったことをぜひ続けて環境庁長官にも外務省の方にもお願いしたいと思います。  実は、これに関連して、京都で来月ワシントン条約の締約国会議というのが開かれることになっておりますけれども、これもちょっと時間がなくなってきましたので、一般的なことも伺いたかったのですけれども、その会議において恐らくマグロの問題が取り上げられるだろうということが言われております。この問題について、日本としてはどのような立場でどのような発言をしていくつもりなのか、環境庁それから水産庁の方にお答えいただければと思います。
  122. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 ワシントン条約の締約国会議、第八回目ということで我が国で開かれることになり、三月二日から京都で開かれるわけでございますけれども、ただいま御指摘の大西洋のクロマグロの問題につきましては、他の国際機関におきまして既に絶滅のおそれがないという見解が出されておりまして、このような見解を踏まえまして、私どもとしてはワシントン条約との整合性が図られるべきというふうな立場をとりたいと考えております。したがいまして、日本政府といたしましてこの提案にはそういう観点から賛成しがたいということになるわけでございます。
  123. 森本稔

    ○森本説明員 水産庁でございます。  今局長の方から御答弁があったとおりでございまして、現在大西洋のクロマグロにつきましては大西洋マグロ類保存国際委員会というのがございまして、そこでもう二十年来にわたりましてこのクロマグロも適切に管理されてきておるというふうに私ども認識しております。したがいまして、今回スウェーデンから提案がありました案件につきまして、政府としましてはこれに反対するというふうに考えているところでございます。  具体的には、外交ルートを通じましてCITESの加盟国に日本の立場の理解のために要請をいたしてきております。それから農林水産省といたしましては、農林水産顧問を特別に重要お国に派遣をいたしまして、私どもの理解が得られるように現在努めているところでございます。いずれにいたしましても、このような提案が採択にならないように最大の努力をしていきたいと思います。
  124. 秋葉忠利

    秋葉委員 発言の内容、日本の立場というのはわかるのですけれども、実は鯨の場合も日本の立場は正しかった、政府はそういうふうに考えているわけですけれども、世界的な日本の評価、鯨に関しては必ずしも日本政府、あるいはそれ以外の人もかなりいると思いますが、の考えているようなイメージができてはいないというのが現実です。マグロに関しても実は同じような可能性が非常に高いと私は思います。ですから、自分たちの方が正しいんだということだけを国際的な場で発言すればいいのかどうかというのが実は私の問題提起なんですが、それをどういうふうにPRして、どのように世界の世論を説得していくのかというところがもう一つの問題点だろうと私は思います。  マグロの問題について私は具体的データを持っておりませんので、どの判断が正しいのかわかりませんけれども、仮に日本政府の立場が正しい立場であったにしろ、それが世界の世論にならなくては何もならないというところで、ぜひその世界の世論が日本の側につくような方策を考えていただきたい。  それについても幾つか質問をしたかったのですが、時間がございませんので、もう一つの問題について最後に伺いたいと思います。  ちょうどアルベールビルでのオリンピックが終わりまして、この次は一九九四年、二年後にノルウェーのリレハメル、それからその四年後、九八年には長野で冬季オリンピックが開かれます。それから日本では広島のアジア大会が一九九四年に開かれる。その一九九四年の冬期オリンピック、ノルウェーのオリンピックは、ブラントラント首相が環境の人権威であるせいも手伝って、これは環境的に非常にすばらしいオリンピックにするというような努力が続いているそうですけれども、日本の場合、やはり一九九八年という時点、これはちょうど二〇〇〇年というのがさまざまな意味で環境の節目に当たるわけですけれども、その二年前ということで、環境に関して世界の目が日本に集まるときだと思います。その長野オリンピックに関して、例えば環境の面から長野オリンピックがどういうふうになるのだという、世界の目が向いているその長野に対して環境庁はどのような具体的な環境政策を持っておられるのか、どの程度もう着手しておられるのか、その点について伺いたいと思います。
  125. 伊藤卓雄

    ○伊藤(卓)政府委員 ただいま御質問の最初にございました次回のリレハメルでの状況でございますけれども、環境保全型五輪のモデルを目指すということだけが新聞報道に出ておりまして、具体的な内容等についてはまだ承知しておりませんが、今後長野で開催していく場合のいろいろな参考にもなると思いますので、いろいろ情報収集には努めてまいりたいというふうに考えております。  長野の開催につきましては、今先生御指摘のとおり、自然環境保全の上から非常に注目されておるということで、これは私どもだけでなくて、実際にオリンピックを招致いたしております長野県あるいはその具体的な作業をやります招致委員会でも実際に承知をいたしておるところでございます。  私どもといたしましては、当然のことでございますけれども、競技施設あるいは関連施設整備に当たりまして十分配慮がなされるよう既に県に対しても配慮をお願いしているところでございますし、これまた御案内のように、実際にこのオリンピック招致に当たりまして例の滑降コースについて具体的に問題のある箇所からは外したというようなことで、自然保護上の配慮がなされておりますが、さらには具体的な事業の進行に応じましていろいろ御相談もあると思いますので、なお一層環境保全上の配慮がなされるよう指導等もしてまいりたいと思っております。  なお、具体的に私どもといたしましてはオリンピックの組織委員会あるいは準備対策協議会というものに大臣あるいは次官というような立場で環境保全の立場から公式に御意見を申し述べる機会もありますので、そういったところも活用してまいりたいと考えております。
  126. 秋葉忠利

    秋葉委員 県を指導する、地方自治体の指導ということが特に非常に大事ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。  これはきょうの朝日新聞ですけれども、私の県の隣の山口県の秋吉台で、県がみずからその秋吉台の五十五ヘクタールを牧草地改良工事のために破壊するということが報じられているわけですけれども、そういった意味で必ずしも県の行政が私は世界的な視野から見た環境行政と同じ方向を向いているとは思えない例が幾つか、これだけではありませんで、現在散見されておりますので、ぜひそういった観点から長野オリンピックについても指導していただきたいと思います。  広島のアジア大会についてはお答えがありませんでしたけれども、そちらの方も、私も広島ですので、私自身も努力をいたしますが、環境庁の方にも御協力をよろしくお願いしたいと思います。  時間ですので、これで私の質問を終わらせていただきます。     〔塩谷委員長代理退席、鈴木(恒)委員長     代理着席〕
  127. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員長代理 時崎雄司君。
  128. 時崎雄司

    時崎委員 冒頭に長官にお尋ねをいたしたいと存じますが、午前中の所信表明演説を聞かせていただきましたし、またその後の質疑も聞いておったのですが、どうも冒頭から六月に開催される環境開発に関する国連会議、このことを大変重要視しているようでございます。  そこで、この会議重要性とその成功に向けての我が国取り組み、若干理解ができない点もございますので、まず冒頭に長官の考え方を聞かせていただきたいと思いますが、森林憲章というのは具体的にどういうことをねらいとして日本が提起をしているのか、この点についてお考えを聞かせていただきたいというのが第一点でございます。  それからもう一つは、冒頭からこの所信表明演説の中で言われておりますから、当然この会合には長官が出席をされるのだ、私はこのように思いますが、出欠についてどのように考えておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  129. 中村正三郎

    中村国務大臣 この地球サミット重要性でありますけれども、地球環境が非常に差し迫った問題になってきている。もう委員御存じだと思いますけれども、IPCCというところで世界から集まって科学的知見をいろいろ集めておりますけれども、結論から言うと、このままほうっておくと百年ぐらいたつと海面が一メーターぐらい上がってしまうのではないかとか、今オゾン層が破壊されてどんどん紫外線が入ってきて皮膚がんが多発したり気候が変わったり植生が変わってしまうのじゃないかとか、いろいろな問題があるわけであります。それは差し迫った問題であるけれども、今まで世界の規模でそれを話し合って解決しようということがなかなかできなかったのが、ことしの六月のUNCEDで具体的な方策までまとめて、その枠組みをつくって合意を得ようということですから、大変な会議なわけであります。  その中で森林ということでありますけれども、森林の減少ということがどういうことを起こすかというのは、後に専門家からも答えてもらえると思いますけれども、今まで言われてまいりました焼き畑による砂漠化とかいろいろなことがございます。そしてまた、特に発展途上国で今森林を切る、それは焼き畑農業であり、それから燃料に使う、そしてそれを輸出して、商業伐採してお金を稼ぐというようなことで、今千七百万ヘクタールですか、大体日本の半分ぐらいの面積が年々減っていってしまう。そうすれば地球全体の環境に大変な変化を与えるであろうし、それから森林がもう一つ大きな役目をしている。森林が育つときにCO2、炭酸ガスを吸収していく。それがどんどん減ってしまうと温暖化に対して悪い影響をどんどん与えていくということで、私どもといたしましてはこれも国際条約としてまとめたいと思っているわけです。  ところが、これがやはり発展途上国のいろいろなそうした経済上の御都合や何かあって、なかなか条約としてまとめるまでいかぬだろう。それではその前の段階として森林憲章というようなものをつくって、そして一定の考え方というものをきちっとして、その中で将来に向かってまたもっときちっとしたものをつくるような目標を持っていったらどうかということで、森林憲章というのは日本が提唱して、それをベースにして今UNCEDへ向けて各国で協議が行われているところでございます。  内容については事務局からちょっと御説明させていただきたいと思います。
  130. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおりで、追加するところはほとんどございません。途上国が森林に対しまして法的拘束力のある条約を制定することに関しまして強く反発いたしましたことから、UNCEDの準備過程を通じて、少なくとも法的拘束力のない形で森林についての合意文書をまとめようということで合意したところでございます。  この内容につきましては、ただいま前文のほかに、森林資源に関する風家主権や森林政策の総合計画の統合等への原則ないしは要素といったものを書き込むということが策定されているところでございまして、引き続き現在準備会合でさらに詰めているところでございます。
  131. 時崎雄司

    時崎委員 もう一つ、長官は出席するのかどうか。
  132. 中村正三郎

    中村国務大臣 失礼いたしました。  出席しようと思っております。それから、総理にもぜひ出席してくださいということで今お願いしております。これは国会の予定との関連が出てまいりますので、御理解を得て出席させていただきたい、こう思っております。
  133. 時崎雄司

    時崎委員 地球サミットというわけですから、ぜひ総理大臣にも出席していただいて、日本の国際貢献の実を上げていただきたい、このように要望しておきます。  次から若干具体的なことについてお尋ねをいたしますが、環境問題を考えるときに、地球規模で考えて、行動は足元からと、環境庁も盛んにそういうスローガンを掲げているようでございます。そこで、私わざわざ森林憲章についてお尋ねしたのは、今お話を聞くと、どうも発展途上国の森林の問題なども言われておるわけでございますが、我が国の森林がどうなっておるのか、このことをやはり十分念頭に置いておかないと、このような国際会議で自分の国のことはどうなっているのかよくわからぬのに他国のことばかり追及するような結果になっては困るのではないか。  実は、午前中の松林の松くい虫の伐倒駆除その他の話を聞いておりまして、去年の今ごろでしたか、私の茨城県日立市で山火事が発生をしまして、大変大きな面積に上って森林が焼失しました。現実にその火災現場にも私も調査をしに参ったのでございますけれども、あれほど火災を大きくした原因の一つは、森林を余りにも放置してしまっているのではないか。例えば松くい虫に侵されて伐倒駆除をした、しかしそのままその場所に放置してしまっているのですね。これは何も松くい虫でやられた部分だけでなくて、例えば杉の林なども、間伐をしてもそれをそのままそこに放置してしまう。要するにその現地から引き揚げないでいるということ、そういうところに火災が発生したために、火つけ木をそこに置いておくようなものですから広大な火災になってしまった。  そしてまた、同じ茨城県の日立、さらにはその周辺部の国有林の調査もしてまいりましたが、ほとんど下刈りもできないし間伐もできていない、こういう実情にあるわけで、こういうことが結果として自然を破壊しているのではないだろうか、またこのような大火災に発展したのではないか、こう私は感じているところでございます。国内の森林、最近国内産の材木の値段が低迷をしているというようなことなどもあってなかなか民有地、国有地とも手が入らないというような実情にあるようでございますが、やはりそれらをきちっとして、その上でサミットなどで主張するならば発言の重みもあるとは思いますけれども、みずからの森林を放置したまま、ますます森林破壊になっているような実情の中で国際貢献と言ってもいかがなものか、こんなように思うところでございます。その点ではこれから幾つか質問いたしますが、政府なりまた地方自治体なり、どうも言うこととやることがちぐはぐな現象が幾つか起こっておりますので、長官には後ほどまた感想を述べていただきたい、こう思います。  総務庁、おいでいただいておりますか。  鹿島灘の海岸線の保全の問題についてお尋ねをいたしますが、去る平成三年十一月十四日、茨城県の行政監察事務所というところが県に対して監察の結果について報告をしておるわけでございます。その中で、海岸保全地区八十九キロのうち二十キロを調査をした。ところが、その調査結果では、海岸保全区域内において海岸の砂が不法に採取をされている、現にそれが継続しているものと思われるところが六カ所、それから過去において不法採取されたと見られるところが四カ所、それから保全区域外でも二カ所認められた、こういうことでございます。これについて、もう少し詳しく行政監察結果についてお聞かせをいただきたいと思います。
  134. 塚本壽雄

    塚本説明員 御説明申し上げます。  委員御指摘の監察でございますけれども、茨城県内におきまして砂利採取業の適正な運営が求められているという状況で、御指摘の海岸を含めまして海、山の砂利採取等の実態を調査したものでございます。  お尋ねの鹿島灘の関係でございますけれども、ただいま委員から御紹介のございましたように約二十キロの間にわたりまして私どもの茨城行政監察事務所が調査いたしましたところ、この不法採取の防止につきましては県の方でもこれまでいろいろな形で対策に努められてきているところでありましたが、御紹介ありましたように不法採取が現に調査時点におきまして継続的にされている、例えば穴が振れている、あるいは大型機械がその場に実際にあるという形でございましたものが六カ所、それから、その形状を見ますと、過去におきまして海岸の砂がとられていたというふうに見られる場所が四カ所、また、保全区域の外ではございましたけれども、過去において同様そういう行為があったと見られるというところが二カ所あったわけでございます。  これは、監察事務所の判断といたしましても、やはり不法採取が大型機械を利用いたしまして恒常的に行われておるのではないかということでございまして、必ずしも県で講じていただいておる不法採取の防止対策の効果が上がっていないのではないかという結論に達したわけでございます。
  135. 時崎雄司

    時崎委員 建設省の方、おいでですか。  これは直接建設省が行っているわけではないけれども、ここ数年、茨城県では砂をふやすために海岸保全事業というのをやられておるわけですね。私も現地を見てまいりましたが、ヘッドランド事業などといって海岸から百メートルぐらい、幅五十メートルぐらいありますか、山から石を運んできて人工の岬をつくっているのですね。聞くところによると、一本、億単位の費用がかかるぐらい。片方で砂をつけて、片一方で盗まれているのですよ。これはどういうことなんですか。  そこで、警察の方、来ておりますか。過去五年間でこの鹿島灘の砂不法採取で検挙した例がありますか。
  136. 松原洋

    ○松原説明員 お答えいたします。  過去五年間、当該地域におきまして海岸法による検挙はございません。
  137. 時崎雄司

    時崎委員 それじゃ建設省にお尋ねしますが、この侵食防止のための事業というのは平成二年度にどの程度鹿島灘でおかけになりましたか。
  138. 葛城幸一郎

    ○葛城説明員 鹿島灘におきます建設省所管の海岸事業でございますが、現在、旭村、大洋村、大野村、鹿島町、波崎町、こういった海岸で侵食対策事業実施してございます。これらの事業は、先ほど先生がおっしやられましたヘッドランド工法、これを用いまして侵食対策事業実施いたしておるわけでございます。平成三年度の事業費は六億七千二百万でございます。  以上でございます。
  139. 時崎雄司

    時崎委員 私は、二年と聞いたのです。平成二年度で幾らか、こう聞いているのです。  もう一つ聞きます。実際にこの事業をやって砂がついているんですか。
  140. 葛城幸一郎

    ○葛城説明員 平成二年度の事業費については、現在ちょっと手元に持っておりませんので御容赦いただきたいと存じます。  それから、このヘッドランド工法によります効果でございますが、この鹿島灘におきましては、過去、非常に著しい海岸の侵食がございました。それで、昭和六十年度よりこのヘッドランドを現地に建設するということに着手をいたしたわけでございます。現在二十一のヘッドランドが建設中でございますし、一基は完成してございます。二十一基につきましては建設途上でございますので、効果はまだ完全にあらわれて括りませんけれども、過去の著しい海岸侵食の進行度合いが鈍ってぎたというような傾向はございますし、完成しました一基について見てみますと、侵食が抑制されまして、砂浜の安定が見られます。こういったことから、ヘッドランドとしての効果は上がっておるというふうに私どもは理解をいたしております。
  141. 時崎雄司

    時崎委員 警察庁に聞きたいのですが、過去五年間一件もないということですね。実は私もある町村の要請に基づいて現地を見たのですが、砂をとってそのままどちらかに売り渡す、現地の人たちの話では、埼玉県の川口に主に持っていっておる、こういう話です。私は調べてないですから、川口市の方々には申しわけないんですが、現地ではそう言われている。鋳物の加工をするときに鋳型に使う、こういうことなんですが、それは砂をとってそっくりそのままトラックで運ぶというようなことではなくて、砂を不法にとったその場で一たん乾燥させて、そして袋に詰めてトラックで運ぶ、大体こうなっておるそうです。私が見た感じでも、至るところに乾燥所があるんですね。乾燥所といつでも、屋根がかかって何か燃やして、重油か灯油でも燃やして中へ砂を入れて乾燥させるという簡単なものですけれども、そういうものが幾つも海岸線にあるわけですね。これは確実に不法に採取した砂の乾燥場だというのはわかっているんですね。にもかかわらず、過去五年間で一度も取り締まれないというのはどういうことなんですか。  そして、今の建設省の話では、平成三年度の予算で六億幾らの人工岬をつくる費用をかけている。私の資料というよりも行政監察をやったときの資料ですね。それによると、何と平成二年度では十七億かけているというんですよ、十七億。一方で砂を寄せるのに多額の費用をかけでやって、片一方でどんどん盗まれて、どういうことなんですか、これは。海岸線の自然環境を守ろうということで一生懸命やっているわけですね。それがこういうちぐはぐなことになっている。これはどこが取り締まるんですか。
  142. 松原洋

    ○松原説明員 お答えいたします。  先ほど、過去五年間検挙はないというふうに申し上げましたけれども、過去全く検挙がないということではございません。昭和五十五年あるいは五十六年当時、若干ではございますけれども、検挙したという事実がございます。茨城県警察におきましては、従来からも土木事務所などの関係の機関と合同でパトロールをするとか、そういった活動は進めてきているところでございますけれども、今後そういった関係機関との連携を一層緊密にいたしまして、よく実態をつかみました上で、違法事案については厳正な取り締まりを進めてまいりたいというふうに考えております。
  143. 時崎雄司

    時崎委員 実際に行政指導の担当の任に当たっているのが、県の土木事務所とか総合事務所などで行っているようですが、私も直接担当者とも話してみたのですが、相手が相手だけに行政指導では無理だと言っているのですよ。それが日中堂々とやるわけじゃないのです。明け方だとか夜中にやるわけです。そしてそういうことをしている人というのは大体わかっているのです。どなたがそんなことをやっているのか。まともな人は盗んだりしないですね、泥棒ですから。場合によっては暴力団とかそういうことだってあるわけですね。夜中にパトロールなんかしたって、自分たちの方が先に逃げてしまうというのです。もうこれは警察にお願いするしかないですよ。ぜひ取り締まりをきっちりやっていただかないと、これは自然破壊も大変なところですよ。ぜひそういう指導を現地の警察本部にお願いをいたしたい、こう思います。  次に、霞ケ浦用水事業についてお尋ねをいたします。  私の記憶に間違いなければ、実は二十年も前からこの事業が行われています。私から概要を申し上げると、霞ケ浦の水を筑波山の中腹まで持ち上げて、これはトンネルを掘って、地元の新聞では、トンネルを掘ったおかげで、またこの地下水の変更その他で生態系が変わるなどといって連日のように新聞で報道されておりますが、この問題は別として、中腹まで上げて、そしてその落差を使って茨城県の西の方とか南の方等に農業用水、工業用水、水道水を送るという事業なんです。  ようやく概成といわれるのかどうか、工業用水については、筑波まで一たん上げた水を小貝川に一部流して、それから何十キロでしょうか、流れてきたところで、下の方でまた取水をして、そして工業用水につくり変えて工場に売り渡す、こういうことで既にその段階まできた。ところが、建設省はその小貝川に入れることについて異議を申し立てている。こういうことなんです。  なぜかといったら、霞ケ浦の水の方が小貝川の水より汚れている、だからもっときれいにしない限りは河川管理者として水は入れさせない、注入させない、こういうことです。霞ケ浦の水の汚れていることは、きのう、きょう言わなくたって、五年間の霞ケ浦の水質浄化作戦をやっても目標値に到達しないということですね。これはもうおわかりいただけると思うのですが、化学的酸素要求量、CODで計算しても、平成二年度の湖の平均値が七・六ppm、県が立てた目標値は六・八ppmであったのです。とてもこれは到達できないでいるわけです。工事が完成したその間際になって、汚れているからその水は小貝川に入れてはいかぬということなんです。汚れている水を筑波の中腹に上げて流していることはもうわかっていることですから、なぜもっと前に、少なくとも小貝川の水質よりも、同じか、もしくはそれ以上にきれいな水にして流すという計画をとらなかったのか、これについて参考人にお尋ねをいたします。
  144. 内藤克美

    ○内藤参考人 お答えいたします。  今霞ケ浦用水事業についての概要も先生からお話がありましたが、簡単に私の方からも申し上げておきたいと思います。  霞ケ浦用水事業は、先生お話しのような、前は調査でございまして、昭和五十五年九月に実施方針の指示をいただきまして、同年十一月に事業実施計画の認可を受けた事業でございます。  おっしゃるとおり、茨城県の西南地域の二十二市町村の農地約二万一千六百ヘクタールに対して畑地かんがい及び水田補給として最大十七・七六立方メートル、さらに、下妻市等の十五市町村に対して最大毎秒約〇・五八立方メートルの水を供給する水道事業、さらに土浦市等の十七市町村に対して最大毎秒約一・〇大立方メートルの水を供給する工業用水事業等から成っておるわけでございます。現在、公団事業といたしましては、この計画のうち、霞ケ浦湖岸に揚水機場を建設いたしまして、霞ケ浦から鬼怒川に至る管水路約四十キロ、トンネル十四キロ、合計五十四キロを施工することになっております。平成三年度までに揚水機場と管水路が約三十三キロ、トンネル十四キロが完成いたしておりまして、小貝川に水を供給するものと、さらに関城地区まで平成三年度に終わる、大体八三%の進捗になることになっております。  小貝川の水についてでございますが、この事業が当初農水省を主体にして計画がなされまして、五十五年に工事が着手されていたわけでございますが、農水省等の計画段階におきまして取水地点をどうするかということがありまして、霞ケ浦の中でも比較的水質に問題のなさそうなということで出島沖に取水口を設けまして、それによりまして導水路計画が今のような格好でなされたわけでございます。その後、環境等の問題がありまして、最近になって小貝川への分水、近々なされるわけでございますが、その水質等について技術的な問題がいろいろあるということで、現在おっしゃるように建設省等の御指導もあり、一方使用者側のこともありまして、いろいろ調整を現在実施しているところでございます。  それから、今水質が悪いというようなお話がありましたが、小貝川と霞ケ浦を比較した段階では、データによりますと、小貝川と霞ケ浦では例えばCODとかあるいはトータル窒素とかトータルPとかSSとか、そういうものでは小貝川よりも霞ケ浦の現在の地点の水では悪くないというデータを聞いております。
  145. 時崎雄司

    時崎委員 どうも私の調べたこととは大分違うようでして、そうしますと、小貝川の水の方がデータの上では汚れている、そして霞ケ浦の方はデータ的にはきれいだとしたら、なぜ地元の住民の方々が同意をするときに、例えば漁業協同組合、土地改良区、きれいな水をいただければ当然小貝川も薄められてきれいになるわけですね。なんで同意をいただけないのですか。また、建設省がなぜこの水を小貝川へ流すことについて異議を挟んでいるのですか。
  146. 内藤克美

    ○内藤参考人 お答えいたします。  今申し上げましたのは、例えば窒素とか、そういうものでございます。そのほかに霞ケ浦の水については、私の方から申し上げるのはちょっとどうかなと思いますが、先生御存じのとおり、いろいろ水道用水等に使う場合、あるいはそのほかについて問題が全くないわけではない、例えばアオコみたいなものが発生するよ、そういうようなことがありまして、その辺のことも含めまして、よりよい水を小貝川に流して環境整備をしていこうというような御趣旨があるように伺っております。それで、今申し上げましたのは小貝川より霞ケ浦の水が全くきれいだということではありませんで、それほど霞ケ浦の水が小貝川に比べて汚いんですよということではないと私どもは伺っております。     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 時崎雄司

    時崎委員 確かに飲料水に使っているわけですからね。余り汚ない、汚ないと言うと、それを毎日飲んでいる人――それは東京の皆さんも関係するんですからね。にこにこしている人もいるようだけれども、これは土浦周辺だけの話ではなくて。確かにアオコも発生し、私ども一九九〇年二月に当選してきて一番最初に現地調査をしたのは霞ケ浦でしたからね、環境委員会は。そのときはアオコの発生の時期ではなくて別な時期でしたから、それほどにおうなどということはありませんでした。確かに現に水を飲料水に使っていますから、余り国会のやりとりの中で変なことは言いたくないとは思います。しかし、現実にはそれが汚れていることは確かなんです。これは隠してもしょうがないことで、これは県も、先ほど私が言いましたように七・六ppmですよということはもうはっきりしているわけで、そのためにこそ周辺部の下水道事業なり、さらには建設省が大がかりにヘドロのしゅんせつをやっているわけでしょう。だから、そういうことは現実としてある。  そこで、私はどうしても公団の方に疑問を持っておるのは、その計画の中で一たん筑波に揚げた水を小貝川へ入れるというのは、これは今計画しているわけじゃなくて、この事業が始まったときからその計画があるわけですね。だとすれば当然、そこへ水柱注水をしてさらにまた取水をする、何キロかの間、小貝川を利用するということは、もう当時の計画からわかっているわけですね。にもかかわらず、その注水をすることについて建設省の許可を得られていない、もしくは地元漁業協同組合や土地改良区の同意も得られていないという計画はどうもおかしいのではないか。完成してからいただこうとしたら、もめごとが起きれば当然それはどんどん長くなってしまうということになるだろう。それが第一点、疑問なんです。計画の段階、その時点で同意をいただくということでなくとも、例えば完成二年前とか、そういう段階で同意をいただいたり、建設省の注水の許可をいただくというのは当然なことじゃないですか。今ここへ来て、三月までに完成しようというときに、さて、ということになれば、仮に工業団地の方だって水をいただくことを前提にしているわけでしょう。これはおくれてしまうわけでしょう。これが疑問だというのが第一点。  もう一つは、これからまた、既にもう工事に入っておりますが、霞ケ浦導水事業というのが、これは大がかりなものをやっているわけですね。これは水戸の近くを走る那珂川の水と霞ケ浦の水を交互に入れかえようということでしょう。私は毎日そのそばに住んでいますからわかっていますが、ここの那珂川というのは、小貝川以上に水はきれいなところですね。そうしますと、この導水事業が完成すれば、また同じように霞ケ浦の汚れた水を持ってくるのですか、何らそれを浄化してから流すということでなくて。そうなったら、漁業協同組合と補償交渉おんかできなくなるでしょう。現にもうこの用水事業でこれは実証済みでしょう、完成したって漁業協同組合から同意もらえないというんですから。そして工事だけはどんどん、地下四十メートル、直径で六メートルのトンネルを掘っているのじゃないですか。だからこの二点について、今後のこともありますので。
  148. 内藤克美

    ○内藤参考人 お答えいたします。  河川協議の関係でございますが、河川協議についておくれているではないかという御指摘でございますが、この河川協議の件については、水そのものは霞ケ浦からフルプランにのっておりますのでこれは問題なく許可いただけるわけですが、そのほかの点で農林水産省を主体にして河川協議は予備協議等から始めまして、五十三年から始めているわけですが、公団が引き継ぎまして、五十八年よりいろいろ水利権については建設省とは協議いたしております。しかし、完全に了解には達していないところがございます。  ただ、先生に申し上げたいところは、小貝川への注水については計画当初からあるわけでございますので、小貝川への注水となりますと、そこで河川協議が必要になってくる。その時点が目下のところ、おおむねその点について河川-小貝川については、さらに利水をするのは下流の工業用水関係事業でございまして、県企業局が実施されております県西の広域工業用水事業がありまして、これが水利権を取得する。そうしますと、公団といたしましては、下流の水利権者の同意を公団が取得するというようなことにはなっておりませんで、注水したものを利用するところが水利権を取得する。そのときに下流の水利権者の同意が必要になってくるわけです。その辺が実はまだおくれておりまして、公団といたしましては、県の協議が成り立ったものを添付しまして建設省にお願いするというような手続がありまして、その辺がまだ完全にいっていないということでございまして、今協議は、下流の水利権者には今後とも県企業局を中心にして説明をして了解を得ていただく。我が方としては、公団といたしましては、その同意の結果を得まして建設省にお願いをする、こんな格好になっているところでございまして、若干おくれているのはまことに申しわけない、こう思っております。  なお、もう一つの件は公団の範囲を超えておりますので、私の方からお答えできない。
  149. 時崎雄司

    時崎委員 どうも今の答弁はよく理解できないのですが、取水権を持つのは県の企業局だということですが、今取水権の話をしているんじゃなくて、注水の話をしているのですよ。小貝川の上流の方に毎秒〇・三トンの水を流すわけでしょう。それが何キロかずっと来て、水海道というところ で県の企業局がその取水権をいただいて水を揚げて工業用水をつくる、こういうことですね。建設省は関城町の黒子というところに流しちゃいかぬと言っているわけでしょう、今のところまだ。なぜかというと、その水は汚いからと言っているんですよ。あなたのところの責任でしょう、これは。取水権があるというのは、〇・三トンが流される。から〇・三トンの取水権が発生するわけですよね。今あなた方がつくっているこの用水事業は、下で取り上げる方は別としても、流すところまであなたのところの事業ですね。これは流せないのです。今それでもめているわけでしょう。そういうことは完成する間際になって騒ぐことではなくて、ぐるっと回ってきたこの本体の水が汚れていることは重々承知の上で水を揚げているのですからね。途中できれいにしてから小貝川へ流すという計画があってしかるべきでしょう。これをやらないから、水を流すことについて建設省も、そしてそこに権利を有する土地改良区とか漁業協同組合だって嫌だ、同意を与えられないと言っているわけです。  この事業はこれだけではなくて、あなたのところは、直接建設省がやっている導水事業も同じことでしょう、ケースとしては。那珂川の水を霞ケ浦に入れて、那珂川の水が足りなくなれば霞ケ浦の水を那珂川へ返す。きれいな水を持ってきて汚い水を返されれば、川を利用していも人、そこに住んでいる人、それは嫌でございますと言うのですよ。当然その計画だって、きれいな水を送ってよこしてくださいとなるわけで、だから完成前に既にそういう浄化装置なりをつけてきれいな水を川へ戻しますよ、こういうことにならなければだめでしょうと言っているわけです。わかりましたか。だから、あなたのところはきれいな水にして小貝川へ流すのですねと聞いているわけですよ。もう一度。
  150. 内藤克美

    ○内藤参考人 今の水質の件でございますが、先ほど申し上げましたとおり、水について今おっしゃるようなことで霞ケ浦の水とどうかというようなことで出てきた問題でございますが、全般的には霞ケ浦の水は小貝川に比べてそう汚くないということは確かなようでございます。それで、今注水するについてできるだけきれいな水をということで県の協力も得なければいかぬわけでございますが、建設省、そしてさらに利水省庁の皆さん方と協力しながら、その辺どうやってきれいな水にするかということについては検討中でございます。その後実施するということになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  151. 時崎雄司

    時崎委員 時間もございませんので、最後に長官にお尋ねいたします。  今申し上げたとおり、例えば霞ケ浦用水事業だったら建設の主体は水資源開発公団です。しかし、水資源開発公団自体の生い立ちを考えれば、それは国の外郭団体であるということは明らかなわけでしょう。そして、先ほどの鹿島灘の海岸線保全の問題だって、片一方で多額のお金を使って砂を寄せ集めようと努力していて、片一方でどんどん盗まれてもここ五年間取り締まりもしていないということですからね。やはり国民に向かって環境問題を訴えるときには、みずからもその姿勢を示さなければいかぬと思うのですよ。きょうは答弁で具体的なことを聞くつもりはないのですが、例えば、自動車の排気ガスの問題があるとすれば、環境庁長官の車は電気自動車だろうと私は思っているのです。環境庁長官からそういう姿勢を示してこそ国民に要求ができるんだと思うのです。そういう点では、政府も地方自治体も我々国民も一緒になって、地球に優しい生活をしていこう、こういうことにならなければならぬだろうと思うのです。まだまだ政府部内でみずからの姿勢を正す課題が多くあると私は思います。ぜひ、地球サミットに参加する長官として、国内問題にも十分目を開いていただいて、実態を理解していただいて、その上で地球規模で議論していただきたい。最後に御感想をいただきたいと思います。
  152. 中村正三郎

    中村国務大臣 先生の御主張、極めて貴重な意見としてよくわかるので、それをこれからの環境行政なり国のいろいろな行政に反映していかなければいけないと思うのでございます。  と申しますのは、例えば海岸の保全の問題でも、自然環境保全と簡単に申しますけれども、私どもが関与できるのは国立公園の中の景観保全だけでございます。ですから、普通の海岸ですと建設省なりそこの都道府県でやっていただかなければならない。また、水の問題にいたしましても、それはフランスのように河川管理から下水道から環境庁が持っているところもございます。また、そうした方がいいという御意見も国内にもございます。しかしながら、例えばごみを捨てるという問題は厚生省である。しかも、危ないものを移動して売買する、物をつくる段階からいろいろ考えていかなければならない、それをリサイクルさせるんだ、捨てたごみはどうだということになると、流通段階だとかどういうものをつくるかというのは大体通産省の所管になってくる。そういうことで総合的に環境を考えた場合、また考えなければならない時代に入ってきた場合に、まさにこれからの環境行政あり方はどうかということを考えるべき時期に入っていると思うのですね。  そこで、いろいろな審議会に今諮問をして答申をいただこうということになっているわけでありますが、一どきに解決するとは思いません。だけれども、先生のおっしゃったような御趣旨で、我々の子孫のためにきちんとした環境行政の確立に向けて努力していかなければならない時期だ、そのように思わさせていただいております。
  153. 時崎雄司

    時崎委員 ありがとうございました。
  154. 小杉隆

    小杉委員長 斉藤節君。
  155. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私は、公明党・国民会議斉藤でございます。  まず最初に、環境行政についてお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  私どもの党では早くから、我が国環境行政充実を図るために、再三にわたりまして、環境庁環境省に格上げし、我が国環境問題の解決のみならず国際協力をさらに重厚なものにしていく必要があるだろうというような主張をやりまして、たびたび環境庁に申し入れてまいったわけでございます。中村環境庁長官の代にかわりまして、昨年末あたりから環境行政の見直しの機運が一段と高まってきましたことは、まことに心強く思っているわけでございます。折しも昨年七月で環境庁も満二十歳になりまして、そのようなこともありまして、これまでの公害対策中心の環境行政を、温暖化、酸性雨あるいはまたオゾン層破壊の問題など、いわゆる地球環境の問題への取り組み強化していかなければならない、そのように特に思うわけでございます。  昨年十二月五日に環境庁長官は、地球化時代環境政策あり方について、中央公害対策審議会自然環境保全審議会の両審議会に対しまして同時に諮問なされました。このように二つの審議会に同時に諮問をするということはまことに異例なことではないかな、そんなふうに思うわけでありますけれども、そのような二つの審議会に一遍に諮問したということの何か特別な意図がおありなのかどうか、その辺お聞かせ願えればと思います。
  156. 中村正三郎

    中村国務大臣 公明党さんにはいつも環境庁の省への昇格を御主張していただいたり、いろいろ応援団をやっていただいて……(「社会党もやっている」と呼ぶ者あり)社会党さんにも、そうですね、野党の皆様、自民党も含めて応援団をやっていただきまして、まことにありがとうございます。  そして、今、時崎先生にお答えしていたところでございますけれども、まさに今転換期に来ていると思うわけであります。そして、従来の対症療法的な、悪い公害が出たからそれの対策をどうするか、未然に防いで国民生活を安全にするということから、我々の生活自体を環境保全型の中に埋め込んでいかなければいけないという時代に参っている。そこで、折しも地球環境サミットということで、全世界を挙げてこれを相談して一つの具体的な方策まで、条約づくりまでやろうというと ころまで来ているという大変な転換期だと思うわけであります。  そういうときに、私どもの環境行政が従来あった法制度だとか考え方だけでは足りぬであろうということはだれしも考えることでありまして、やはり法律にいたしましても、公害対策基本法というものばかりでなくて環境基本法のようなものが必要でないかとか、それはまたUNCEDで今討議されております地球憲章というものなどとも整合性を持たせて、地球環境という視点から考えていかなければいけない、いろいろなことを考えて変えていかなければいけないわけで、それは臨時行革審等からも御意見をいただいておりますが、そういうところから御意見をいただくのも重要なことじゃないかなと思っております。しかし先生、逆に申しますと、今まで対症療法的なことから出発した二十年の環境庁の歴史の中で、御審議を願う審議会がこの二つしか適当なところがなかった、正直申し上げてそういうことなんですね。だから、諮問する審議会のあり方自体についても変えていかなければいけない時代に入っていると思います。  ですから、大きな意図というのではなくて、やはり専門家がお集まりになり、これまでずっと環境行政にいろいろな御審議をいただいてきた中公審と自環審の方々にお願いするしかなかったというところもあるわけで、そういうことで諮問して、今答申をいただくべく御協議をいただいているところでございます。
  157. 斉藤節

    斉藤(節)委員 つまり、今までの二つの審議会では限界が来ていて、この辺で大改革をしなければならぬのじゃないかというようなことだと承りますけれども、現法律であります公害対策基本法、これは昭和四十二年の制定であります。また、自然環境保全法は昭和四十七年六月の制定であります。しかしながら、今日、今大臣もおっしゃられましたようにグローバルな環境問題になりますと、これらの法律ではカバーし切れなくなってきている、そんなふうに思うわけであります。この辺については今長官がおっしゃられましたので理解いたしましたけれども、そのためにはいわゆる公害対策基本法の抜本改正、またはこれら二つの法律の上に地球環境保全基本法なるものを制定する必要があるのではないかと私は思うのでありますけれども、大臣、その辺いかがお考えですか。
  158. 中村正三郎

    中村国務大臣 私どもも、先生御指摘のとおりだと思います。環境対策の法律、自然保全の法律といったものを中心にやってきたわけでありますけれども、その上にやはり憲法が欲しいという感じでございます。ですから、それはどういうふうに審議をしていったらいいかということで、今そういうものも含めて中公審と自環審にお願いしているわけでありますけれども、一つ大きく今国連ベースでやろうとしているUNCED、六月の地球サミット採択をされるであろう地球憲章、そういったものの内容も十分踏まえて、そして、日本の、名前はどうなるのでしょうか、日本の地球環境憲章になるのか、環境基本法になるのか、環境保全基本法になるのかといったことも含めて、大きな一つの環境に関する基本的な法律をつくる。それに付随して、例えばアセスメント法案とかいろいろな法案が付随して、今までの公害対策のようなものもあればいろいろなものができてくるという、法体系をきちっと整備しなければいけない、そんな時期に来ているのではないかと、委員と全く同じ認識を持っております。
  159. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私もそんなように思っているわけであります。  そこで、組織の改革はいわば入れ物ですね、改革でございまして、当然のことながら中身も十分強力なものにしなければ実効は期待されないのじゃないか、そんなふうに思うわけであります。  と申しますのは、いわば環境行政というのは経済的な効果からいいますと、マイナーな面が非常に多いという感じがいたすわけでございます。そのようなこともありまして、ともすると他省庁の、特に通産省とかそのほか建設省などもいろいろあると思いますけれども、そういう他省庁環境庁に対するいわゆる足の引っ張りといいましょうか、そういったようなことがありますので、この辺で他省庁をも十分リードできるような強い環境庁あるいは環境省にならなければならないのじゃないか、そんなふうに思うわけです。そのために環境庁としての事業を、いわゆる収入の面も相当考えた方がいいのじゃないか、そんなふうに思うわけでありますけれども、大臣、その辺いかがお考えでございますか。
  160. 中村正三郎

    中村国務大臣 大変問題の核心を突いた難しい問題でありますけれども、環境庁が産声を上げますときにいたしましても、いろいろな議論があったようでございます。  先ほども御答弁したのですが、例えば河川だとか下水道をやる場合に、公共の調整費を持つべきか持つべきでないかというようなこと、また、廃棄物に対して厚生省でやるのか、ここでやるのかとかいろいろな議論がなされたと思いますけれども、今、環境を悪くしていいと思うところはどこもないと思うんですね。皆さん、それは環境保全、特に地球規模の環境から発して我々の身の回りの環境まできちっとしていかなければいけない、そういったものを考えた上での経済政策であり、産業のあり方であり、国民生活でなければいかぬということは大体コンセンサスができてきたと思うんですね。ところが先生御指摘のように、いざ実際の行政になりますと、仕事をやるということになると、現在のように縦割りになっていますから大変なことになるわけであります。  意外に知られていないことは、環境庁環境行政の調整機関としてありますけれども、通産省にも立地公害局があって、そこで相当環境対策をやっている、もちろん厚生省でもやっている、建設省もやっておられる、いろいろなところでやっているわけですね。むしろ今、我こそも我こそもといって環境に御熱心になっていただいているときだと思うんですね。だから今、環境庁が相手に対して強くなる弱くなるという議論でなくて、やはり日本の環境行政はどうあるべきかという政府一体となった議論の中からつくり出していかなければいけない時期に来ているのじゃないかと思うわけであります。まあ大きくて道のりは大変だと思いますけれども、そういうふうな考え方に基づいて日本の環境政策あり方はどうなのかということを、どうあるべきかということを、政府一体となって既存の枠組みにとらわれず考え直していく時期に来ているのじゃないか。多少大きなことを言って申しわけございませんが、考え方としてはそうなんじゃないかなと思っております。
  161. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大臣のおっしゃられるとおりだと私も思うわけでございます。そのような意味で、いわゆる各省庁の強力な協力、そういうものをいただかなければならないわけであります。幾ら入れ物を新しくしても成果は期待できないのじゃないかというような声が聞かれるわけです。そういう点で、各省庁協力というものを切に私はしてもらいたいものだ、そんなふうに思うわけでございます。  最近ようやく自由民主党さんも、そんなことを言ったら怒られるかもしれませんけれども、環境問題の重要性を御認識されまして、環境基本問題懇談会というのを発足されました。語弊があるかもしれませんけれども、この懇談会にはかなり大物のメンバーの方がおられるということでございます。そういうことで、大いに環境庁を強いものにしていただきたい、これは願望でありますけれども、お願いしたいわけでございます。  環境問題での日本の国際貢献策につきましては、総理を初め環境庁長官並びに各閣僚も国内外で公約していることでもあります。そういうことで、環境庁に早く省になってもらいたいということもあるかと思うわけでありますけれども、この公約がいろいろなされておりますが、大臣はそこら辺、どういうふうに実現されようとしておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  162. 中村正三郎

    中村国務大臣 先ほどからそれは話題になっていることでありますけれども、省への昇格、これは今の環境行政のやり方ということから考えます と、私どもは総理からいただいた権限で政府の中で環境行政に対して調整機関として動くわけでありますから、むしろ、省になって肩を並べてしまって自分の実際の仕事を持つと、それじゃ他の省庁に比してどういう権限があるんだとか、いろいろなことがございまして、そうでなくて、調整権限を持った特別な機関として庁であった方がいいというような御意見の方もいらっしゃることも事実でございます。  しかし今、これだけ環境というものが重要な問題になってきて、環境行政の足腰を強くしていかなければいけない、そしてすべての政策というものが環境保全ということをビルトインした形でいくべきではないかということが世界的に議論されてくるような時期になってまいりますと、私は、象徴的な意味をもっても、やはり実態的に環境庁の組織、実態を強化していこうという一つの方策であろうと思うんですね、この省に昇格するということが。そういうことから考えますと、省への昇格ということはよろしい方向だと思っているわけでありますけれども、これもなかなか、いろいろな問題があろうかと思いますけれども、どうか御支援いただけたら、こう思っております。
  163. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大いに頑張っていただきたいと思うわけであります。  ところで、最近大変悲しいといいましょうか、環境庁の限界とはこんなのかなというような新聞記事を見たのでありますけれども、実は「乏しい環境予算と私費出張」という見出しで、これはもう大臣見ておられると思いますが、十二月十三日の新聞に愛知前環境庁長官の海外出張の旅費問題についての記事が出ておりました。この記事を読みますと、自腹を切って海外出張とは何とも情けないじゃないかと思うわけであります。この記事によりますと、前愛知環境庁長官の海外出張は欧米やアジアなど七カ国、計二十七日間。その中で公費出張されたのはただの一回しかなかったのですね。あとすべて自腹を切って私費で行っていたというのですね。その合計額が、何と驚くことなかれ、総額数百万円だというのですね。これは実際に私聞いたわけではなくて、新聞記事の情報ですから相当これかまをかけられているかもしれませんけれども。  いずれにしましても、こういうようなことがあっては、私は、十分なるこれからグローバルな問題をやろうという環境庁長官がこんなのでは情けないじゃないかなと思うのですけれども、大臣いかがお考えですか。
  164. 森仁美

    ○森(仁)政府委員 ただいまお読みいただきましたのは昨年の記事ということでございます。その中で、前愛知大臣が御出張になられた国及び日数についてはそのとおりかと記憶をいたしております。それから、公費で正式に大臣が御出張になっておられますものですから、正規の出張である限りはその出張旅費は支弁いたしております。  ただ、それ以外にいろいろなところで、例えば行かれていろいろな方にお会いになる、あるいはいろいろなところで会合を持たれるというようなときに若干お願いをしたようなこともございまして、趣旨とするところは、旅費を必要なだけ確保すべきであろう、こういう新聞の趣旨ではなかろうかと思っております。
  165. 中村正三郎

    中村国務大臣 今官房長がお答えしましたように、新聞の記事が書けば少し大きくなっておるようなところもあるようでございますけれども、そういう傾向があったということは事実でございましょう。そうして、私、環境庁長官に就任しましてすぐ新聞記者の方々から質問を受けまして、どうだと言うから、大いにこれは地球環境に向けて飛び回りたいというお話をしましたら、そんなこと言ったって環境庁長官、もう旅費がないことを御存じですかと言われまして、それからこれは大変だと思いまして、政権政党でありますから、自民党の政調にお願いし、また大蔵省当局にもお願いいたしまして、今度地球環境予算というのは三〇%ふやしてもらったのです。それで、足りない中でもまあそれなりのことができるかな。環境庁全体予算も非常に少ない中ですが、約八%ふやしていただきまして、全体予算が四・数%の伸びですから、その中では配慮していただいたかなと思うわけでございますけれども、そのような実態があったようでございます。そして私、国会議員として感じることですが、前にも環境委員長等として外国に行きましたけれども、やはり野党の方と御一緒していろいろな活動をしようとすると、委員長をやっていても自費負担というのが出たりするのですね。だから、やはりこういうところはある程度考えていかなきゃいけないことかなということも思っております。  それから、環境庁予算が比較的減ってきたのは、シーリングという方法をとってまいりましたね。やはり予算はすべて野方図にふえないように厳しく査定して、シーリングでマイナス何%とやっていくことは必要であると思います。特に、そういうことをやっていったところで、いろいうな特定の事業を持ってやろうというところはそのときの特例でやっていただいたところもあるのですが、例えば文教予算だとか環境予算というのは、シーリングの枠でかかかかっと減ってきた。こういうところも、環境庁長官として御答弁するとちょっと行き過ぎたことなんで、議員の一人として申し上げさせていただきたいと思うのですが、そんなことも含めていろいろ考えていかなければいけないところがあるかなというようなことを感じております。
  166. 斉藤節

    斉藤(節)委員 官房長は早速お話しになりましたけれども、今大臣からお聞きしまして、いろいろな問題があるだろうと思うわけです。しかし、経済大国日本が旅費ぐらいで十分に国際会議にも出れぬというのは大変なことでございますので、その辺大いに十分なる予算を獲得していただきたい、そんなふうに思うわけでございます。  さて次は、環境税問題といいましょうか、税金について、税金といっても私の考えだけですけれども、お尋ねしたいと思います。  諸外国から我が国に対する環境問題についての援助の要請というものは、公害先進国としての技術移転もかなりあると思いますが、大部分は資金の援助を求めているものではないかな、そんなふうに思うわけでございます。例えば経済協力開発機構、OECDの部会で検討している国際機関内に設ける地球環境基金とか、また去る一月二十六日に来日しましたノルウェーのブラントラント首相も、大臣もお会いになっておられますけれども、六月に開催される国連環境開発会議、いわゆる地球サミット、UNCEDについての成功のかぎは途上国が満足する資金援助、これを出さない限り会議の合意は難しいのではないかな、そのような見通しを示しております。そういうような意味で、ぜひ日本が資金調達で指導的な役割をやってほしい、そういう期待が述べられております。また、先ほども申しましたように、ブラントラント首相と大臣との会談におきましても途上国支援で一致したというような報道もございます。そのようなことで、やはり日本に対する要望が大変強いなというふうに思うわけでございます。  また、地球サミットの事務局が提示しています地球環境保全の必要経費年間千二百五十億ドル、日本円に換算しまして約十五兆六千億円、これは一年間に大変な金が要るというわけです。こういうことを推計していると報道もされておるわけですから、こういうように今後我が国は、環境問題の国際協力において相当な資金の調達が必要になるのではないかな、そんなふうに考えられるわけでございます。そりような資金の調達のための財源、これをどこに求めるのか、それについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  167. 中村正三郎

    中村国務大臣 UNCEDを成功に導けるかどうかという一つの柱が、発展途上国できちっといろいろなことがやっていただけるかどうかということ、それの裏づけをなす技術の移転、資金の移転というものが極めて重要なものであるということは先生のおっしゃるとおりだと思います。そして、いろいろな協議が今UNCEDに向かって行われておるわけでありますけれども、一つ大きな日本の貢献と申しますか、そういうことの一端としては、ストロングさん、UNCEDの事務局長から頼まれまして竹下元総理が名誉議長になられます賢人会議というのが四月に開かれるわけです。そこで世界のいろいろな識者に集まっていただいて、どうしようかということを討議するということになっております。私はその会議に非常に期待をし、その結論がどうなるかということを注目しておるわけでございます。  また一方、これは環境庁長官としてというか、ちょっと考えてみますと、例えば大きなお金を出すといっても、既存の財政の中から大きなお金というのはそう簡単に出るものではない。そういうことを考えてまいりますと、今先生の言われた税というのも考え方の一つであろう。ブラントラントさんとも話したのですが、その場合、意見が一致し次一つの大きなところは、やるんだったら世界一致してやらなければだめだ。そうしなければ、ある国だけでエネルギーに税金をかけたならばその国の経済が弱くなる、相対的競争力が弱くなる、だから全体でやらなければだめだ。  それじゃ一体税はどれぐらいのレベルでかかっているのだろうということを話し合ってみたのですが、日本は既にかなりCO2等に税金はかかっているのですね。しかもそれは石炭対策であるとか代替エネルギーがベースにあって、あとは道路だとか特定財源になっているわけであります。がちゃっとあいているところは、軽油引取税というところが半分ぐらいしかかかっていないのだけれども、そういったものをどうするかという問題もあるでしょうし、大きな問題があるわけだけれども、それじゃ全体の課税の大きさから言うとどうだというと、最近CO2税を取り出した北欧の方が全体の課税額では日本よりCO2の発生量に対する課税は大きくなっているようですね。そんなところで、世界各国こういったものがきちっと取れたらいいんだけれどもなというような話もブラントラントさんとございました。  そこで、一番問題になるのは、いつも言われることですが、アメリカのCO2に対する税が低いということで、ブラントラントさんも、ああいうところできちっと、世界で一致して取らないといかぬなという議論はございました。  いずれにいたしましても、これは政府一体となってこれから検討していく課題だと思いますが、税というものも私どもといたしましては一つの視野に入れ、そして環境庁の中にも勉強会をつくりまして、今勉強しているところでございます。     〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  168. 斉藤節

    斉藤(節)委員 よくわかりましたけれども、ブラントラントさんと大臣との会談の中にも、ブラントラントさんが、私の方は炭素税をやっているんですよと言ったら、大臣は、私の方は高いガソリン税をかけておりますというような対話があったようにも聞いております。これは、ガソリン税とブラントラントさんの言ういわゆる炭素税とは大分意味が違うのじゃないかなという気がして読んでいたのですけれども、その辺やはり何かやらなければいかぬだろう、そんなふうに思うわけでございます。  そこで考えられますのは、今大臣もおっしゃられましたけれども、もう既にノルウェー、フィンランド、スウェーデン、オランダなどの北欧諸国で実施しております炭素税とか、ドイツはさらに一歩踏み込みまして産業廃棄物税を計画しているというようなことも報道されております。このような問題にも取り組んでいくべきときではないかなと思うのでありますけれども、幸い我が国におきましても、世界の歩調に合わせるように、今大臣もおっしゃられましたように勉強会とか論議が盛んに活発化しているわけでありますけれども、実際にどういう論議がなされておるのか、その辺もう少し具体的に教えていただければな、そんなふうに思うわけでございます。  またさらに、これは新聞報道でございますけれども、何かこういう議論が起こった途端に、我が国のある業界が反対というような旗振りをやっているやにも聞いておりますのでなかなか難しい問題ではあろうかと思いますけれども、そういう点でどんな議論をされているのか、まずお聞きしたいと思います。  それから、現在、欧州共同体、ECで導入を計画していると言われておりますエネルギー税につきまして、クーニャEC委員が何か我が国に対して同調を求めている、そういう報道もありますけれども、これについても御見解を賜れればありがたいと思うわけであります。
  169. 中村正三郎

    中村国務大臣 今勉強している段階でありまして、具体的にどうしようこうしようという具体的なものはまだ固まっておりませんし、出てきておりません。また、これは政府税調等もございますし、各党の協議もございましょうし大変難しい。消費税をやったときにも匹敵するぐらいのいろいろな議論が出る問題ではないかと思っているわけでございます。  また、私はむしろ、こういうことをやるということは世界が歩調を合わせてやった方がいいのじゃないか。ですから、むしろ私、環境庁長官でございますので、今直接ストロングさんの方に意見も言うことはできませんので、いろいろな手だてを考えまして、ちょっとそういうことを言っていただきまして、今度ストロングさんの方でも、資金捻出のためには税ということが不可欠であろうという意見も強いということをおっしゃり出してくだざっているようでありまして、少し効果はあったかなと思うのですね。むしろ、国際的にこういうことをやろうよということの中で各国が考えていくという方が国際協調の上からもいいのじゃないか。そうでないと、各国で、一つ一つの国で、私のところはこういう税、私のところはこういう税ということでやったら、これはなかなか税としてまとまってこないものではないかと私は思います。  今、EC側から何かお話があったかということでありますけれども、私は今聞いておりませんが、事務当局の方で聞いていることがあったら、ちょっとお答えさせようと思っております。
  170. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生御指摘になりました、ECでCO2抑制のためにレポートを書き、日本に同調を求めてきたという、要請があったという旨の新聞報道は私も読みました。しかし、現実の問題として、ECが日本にそういったような要請をしてきたということは、私どもでは聞いておりません。ただ、EC自体がCO2の排出抑制のためにエネルギー税についての勉強をやっておるということは、私ども従前から承知しておりまして、これは日本とECの間では環境政策に対する対話の場を設けておりまして、実はそれは先月もあって、午前中私どもの大臣から、お会いしたということはお答え申し上げたところでございますが、そういうところでの意見交換はやっておるわけでございます。したがって、我が国における検討状況がまだ勉強の段階にあるということは向こうは承知しておりますし、向こうがどういうことを検討しているかということはあらまし承知しておったわけでございますが、つい最近、そういうレポートができたということでございますので、それも私どもの勉強の一つの研究課題としてこれから勉強することとしております。
  171. 斉藤節

    斉藤(節)委員 わかりました。今勉強中であるということでございますけれども、あえて、新聞報道で恐縮ですけれども、我が国では環境庁環境税を検討する環境研究会ですか、これが一橋大学の石さんを座長にやっているというようなことでございます。また、ここでは課税対象だとか仕組みなどの検討を始めているということでございます。大いに勉強していただきたいと思っておるわけでございます。  また、大蔵省さん、来ておられますか。――お聞きしますけれども、新聞報道でまた恐縮でありますけれども、九三年度の導入を目指して炭素税のあり方研究している、また政府税調に、専門委員会検討させているのだとか、あるいは政府税調の視察団が欧州諸国を回って勉強してきたというような報道がありましたけれども、それについてお聞かせ願えればと思います。
  172. 増原義剛

    ○増原説明員 お答えいたします。  いわゆるUNCEDの開催に向けまして、地球環境問題が非常に大きな問題として国民各層の関心が高まる中にありまして、先ほど来話題になっておりますように、OECDにおきましても、環境委員会だけではなく租税委員会も出まして共同のタスクフォースを開きまして、そこで環境対策としまして従来の規制的な手段に加えて税を含めた経済的な手段、これが活用できないかといったような勉強もされておるというふうに私ども聞いております。現に、私どもの方からもそれに参加いたしております。加えて、昨年七月のロンドン・サミットにおきましても、税を含めて環境保護のための経済的手段を開発する作業を奨励するというふうにされているところでございます。  また、先ほど来議論になっております北欧三国あるいはオランダにおきまして、従来の燃料課税に加えて、例えばCO2の排出量でございますね、その排出源に対して課税を強化するといったような税制上の措置が導入されておりますし、ECの事務局においても同様の案が検討されているということも私ども存じております。  先ほど政府税調云々の議論がございましたが、政府税調の方ではまだ具体的な議論がなされているわけではございませんけれども、昨年でございますが、昨年の夏、政府税調の先生方が海外に視察されました折に、先ほど申し上げたような海外の環境税の問題とか、そういったものも勉強してきていただいております。  いずれにいたしましても、大蔵省といたしましては、いわゆる環境対策に関連する税制につきまして、これまでも適宜調査を行ってきておりますけれども、特に地球環境問題の重要性にかんがみまして、今後とも国際的な動向を注意しつつ必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
  173. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。大いに勉強していただきたいと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、我が国が国際貢献していく上で資金の援助というのがかなり望まれておりますので、その辺、我が国は大変不況な状況にもなってきておりますのでいろいろと勉強していかなくちゃならぬなと思いますので、よろしくお願いしたいと思うわけでございます。  そこで、先ほども話が出ましたけれども、北欧諸国で行われております炭素税の場合でございますが、これは地球温暖化対策として、個々の排出量を減らさなくても全体として減らせばいいということもあります。また、税を有効に活用するということもできるわけであります。また、汚染発生者が排出量を減らすための費用と納税額とを比べまして経費が一番節減できる方策を選べるというような工夫もできるというようなこと、それから環境税は合理的な手段になると言われておりまして、またそれによって得た税収を使って他の税目を相殺減税して景気対策にしたり、あるいは社会が望む新しい政策に配分するなど、いろいろなメリットがあると言われております。そういうようなわけで炭素税は案外合理的であるのじゃないかと思われますので、ぜひ御検討のほどをお願いしたいものだと思うわけでございます。今、大蔵省さんからいろいろお話を聞きましたので、大蔵省さんへの質問はこれで終わりにしたいと思いますので、わざわざおいでいただきましてありがとうございました。御苦労さまでした。  次に、国連貿易開発会議、UNCTADがCO2の排出権について国際的な売買取引所の設立を提案する報告書を発表しておりますけれども、この報告書は二月にニューヨークで開かれる気候変動に関する枠組み条約の交渉の場で検討を加え、六月の国連環境開発会議、いわゆる地球サミット提出される予定ということであります。これに対しまして政府はどのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思うわけでございます。
  174. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生御指摘のように、この排出権売買につきましては、国際的にはUNCTADのように、CO2の排出権を世界各国で配分いたしますとともに、途上国で余った排出権を先進諸国が買い上げるということによりまして、世界全体のCO2の排出量の効率的な抑制ということと同時に、途上国に対して資金援助を行おうということをねらった考え方であると思われるわけでございます。こういう考え方が浮かんでくる背景には、実施例は少ないのでございますけれども、アメリカにおきまして、酸性雨の原因である硫黄酸化物対策に使われたという例があるようでございます。  この排出権売買について考えてみますと、市場の力を活用いたしましてやるということから、その効率性の面におきましてはかなりすぐれているという点が考えられるわけでございます。ただ問題は、それでは排出権の総体をどう決めて、初めにそれをどういうふうに分配するのか、そこのところが最大の問題でございまして、それが適正に行われませんと、一体公正なのかどうかという問題が起こりますほかに、そういう排出権市場というのは現実にはございませんから、どこでどういうふうな取引を行っていくのかということで、実際上の運営をどうやっていくのかということもかなり大きな問題であって、そう容易に進むのかどうかということはちょっと疑問とするところがあるわけでございます。  そういうことを考えますと、環境庁といたしまして考えますと、この排出権売買というのは理論的には非常におもしろいというのですか、一つのアイデアであって、莫大な費用が必要とされる地球温暖化対策を効率化するためには、有効な手段の一つとしてカウントできるのかなということは考えられるわけです。だけれども、実際に、現実に運用するということになると、国際的にどういったルールを確立するのかといったような問題がございますし、さらにいろいろな検討すべき課題がある。したがって、これは私ども検討対象としなければならぬということは考えますけれども、現段階ではまだ検討課題ではないか、また研究すべき課題であるというような段階ではなかろうかというぐあいに考えておるわけでございます。
  175. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、今度は提案申し上げたいと思うのでありますけれども、以上申し上げましたように、今後我が国が国際協力するために相当な資金が必要になってくると思われるわけでございます。その財源をどこに求めるかということが、これはいろいろ問題になっておるわけでありますけれども、先ほど述べましたようにエネルギー税だとか炭素税などの税金も必要になっていると思うわけでありますけれども、このような税金といいますか、直接の税金以外の何か別な方法でこの財源を確保したらどうか、そんなふうに思うわけでございます。  そこで、郵政省さん、それから自治省さんにおいでいただいたわけでございますけれども、まず、郵政省さんで今までいろいろ記念切手だとかなんか、またお年玉はがきだとかなんかをやっておられますけれども、そういうような環境保全のための、記念切手ばかりではなくて、普通の切手に割り増し金をつけた切手を売るとか、あるいははがきを売るとかそういうようなことができるものかできないものか。私、そういうような税制面というようなことは全然わかりませんので教えていただきたいのでありますけれども、そういうことができるのかどうか、また、そういうことを御検討されたことがあるのかないか、その辺をまず教えていただきたいと思います。  また、自治省さんに、宝くじが、地方自治だとかいろいろやっておりますけれども、そういう全国宝くじみたいなものをそういう環境保全のための財源として、そういうくじみたいなものはできるのかどうか、その辺また私全くわかりませんので教えていただきたい、そんなふうに思うわけでございます。まず郵政省さんからお願いします。
  176. 井口義勝

    ○井口説明員 お答えいたします。  寄附金つきのはがき、切手は環境保全事業の資金に充てられないかというお話でございますが、現在寄附金つきの郵便切手、はがきの発行につきましては二つのケースがございます。  一つは、お年玉付郵便葉書等に関する法律に基づいて発行する場合でございます。もう一つは、特別措置法に基づいて発行する場合であります。お年玉付郵便葉書等に関する法律によりますと、社会福祉事業等九つの事業を寄附金の配分対象としておりますけれども、環境保全に関する事業は対象とされておりません。一方、国家的な重要な事業、行事等を行います場合に、特別措置法を制定いたしまして、寄附金つき郵便切手を発行するような場合がございます。このようなケースとしましては、これまでに東京オリンピック記念切手等七件の切手を発行した例がございます。  いずれにいたしましても、現行制度上、環境保全事業への配分を目的とした寄附金つきのはがき、切手を発行することは困難というのが実情でございます。
  177. 嶋津昭

    ○嶋津説明員 お答えいたします。  宝くじにつきましては、今全国の四十七都道府県と、今度千葉市が入りますと十二政令都市が発売するわけでございますが、当せん金付証票法におきまして、公共事業その他の事業に充てるということになっております。どういう公共事業に充てるかというのは地方団体の自由でございます。最近どういう事業に充てているのかというのを調査してみますと、例えば公園事業、公園の整備とかあるいは緑化事業環境緑化とかあるいは街路の緑化とかあるいは大都市なんかですと廃棄物対策等にこういうようなお金が使われておりますので、それぞれ地方団体が命大事だと思った事業について自主的にその財源として充てているという意味で、環境保全のためにも宝くじの資金が有効に使われている、こういうふうに言えるのじゃないかと思います。  先生の御趣旨は恐らく、環境というための目的に限定した宝くじを発売できるのかどうかということだと思いますが、そういうことになりますと、そういう宝くじというものが市場に出るような市場の余地があるのかどうか、あるいは発売団体が、地方団体がそういうことを望むのかどうかとかいろいろ課題があると思います。したがいまして、直ちにそういうことを実施するということはなかなか難しいのではないかというふうに思っております。  ただ、環境保全対策地球環境問題から、今ほどの委員の御質問の趣旨にございましたように、身の回りのごみ問題まで非常に幅広い、かつ地方団体は環境保全対策は一つの主役だと思っております。そういう意味で、一般的に地方財政対策の中で環境保全経費を十分に措置しなくてはいけないということで、環境庁とも御相談いたしまして、本年度の地方財政計画におきまして環境保全対策経費という費目を新設いたしまして、千七百億円で地方団体の全体が行うごみ問題とかそういうものをひっくるめた環境対策を講じていこう、それに該当する前年度の経費が七百億円弱ぐらいでございましたので非常に充実をされまして、地方財政計画に基づきまして交付税の措置等も行われますので、地方団体の環境保全対策のための財源措置としては相当に充実したものになっていると考えております。
  178. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。何かやはり財源が大変厳しい状況にありますので、何とかならぬかというような変な考え方でそんなことを申し上げたわけでありますけれども、ひとつ御検討のほどをまたお願いしたいなと思うわけでございますのでは、郵政省さんと自治省さん、どうもありがとうございました。  では次に移らさせていただきますけれども、次は、先ほども大臣が言っておられましたけれども、日本の国際環境協力あり方について、環境庁は、二月十七日にまとめました原案というものがあるわけであります。これは大変思い切った提案だな、そんなふうに私は思っております。また、いろいろ話題も出ているように思われます。この提案の中で、特に環境庁さんとして強調したいものはこれなんだというものがあれば教えていただきたいと思います。
  179. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 ただいま先生御指摘になりましたのは、公害対策審議会と自然環境保全審議会にかけました諮問に基づきまして、今後の国際環境協力あり方という諮問をしたところでございます。そこで御議論をしていただくのに、どういう種があるのかということをずらっと並べまして、その中でどういう議論があるかということを一覧的に並べまして、こういうものについて御議論いただきたいということで出した経緯があるわけでございます。したがいまして、まだ環境庁の考え方というものを出したわけではございませんし、また審議会がどういう方向性を出したということではございません。したがって、まだこういう公式の場でお答えする段階には至っていないというところでございまして、これから御審議を待って、答申が出ましたら、それに基づいて私どもは積極的に貢献してまいりたいという考え方に立っておるところでございます。
  180. 斉藤節

    斉藤(節)委員 まだ公式の場では発表できないという段階だということでありますけれども、あえて私が新聞記事から見ましたことを申し上げますと、まずODAの量的拡大を図って環境ODAを年間二千億円ベースに倍増する、これはすばらしい案だと思います。それから、自然保護、生態系保全分野の資金協力は無償にする、これもまた大変なすばらしいものだ。それから三番目は、途上国の植林、緑化活動などによる緑の平和部隊をつくる、こういった内容になっているということでございます。  そこで、私はこの提案は非常にすばらしいし、私どもの党も非常に力を入れて再三大臣にもお願いをしておりますものが、これ全部そうなんでありますけれども、特に私はこの中で途上国の植林、緑化活動に当たる緑の平和部隊の創設、これは私はぜひともやっていただきたいということの一つであるわけでございます。このことは、今申しましたように、公明党が環境分野での国際貢献の一つとして創設を以前から強く主張しておりましたいわゆる緑の平和部隊、グリーンコーズですね、これと一致するわけでございます。これは、自衛隊の海外派遣などとは異なりまして、すべての国民の皆さんからも、また諸外国からも賛成が得られると思うわけでございます。今、熱帯林の伐採による荒廃から、また砂漠化などから地球を守る方策としてちょうど時宜を得ているんではないかな、そんなふうに思うわけでありまして、ぜひ創設していただきたいと思うわけでございます。  これに関しまして、私どもの党が非常に力を入れていることの一端をちょっと御紹介申し上げますと、この問題は、申すまでもなく、出雲市の市長さんの岩國さんが最初に提案しているようでございますけれども、私どももこれはすばらしい案であるということは前から考えていたんですけれども、そういうことで私どもの石田幸四郎委員長が、昨年十一月の第三十回公明党全国大会のあいさつの中で、国際貢献はPKOがすべてではない、世界の貧困、病気、地球環境保全などこそ国際貢献である、このように述べて、人、金、技術が一体となった緑の平和部隊の創設を非常に強く主張するということを言っているわけでございます。昨年末の宮澤総理との党首会談の席上でもその実現を強く要請したという経過もあるわけでございます。  そういうようなことから、ぜひとも大臣に、これだけは大臣在任中にやっていただきたいな、そんなふうに思うのでありますが、いかがでございますか。
  181. 中村正三郎

    中村国務大臣 先ほど局長から御答弁いたしましたように、今まさに諮問をいたしておりますところでああいうことが出てまいりました。かねてからの御堂の御主張を伺っておりまして、予算委員会でも二見先生から御質問があり、総理、私が答弁をさせていただいたのでございますが、発展途上国支援ということの中で人材的な支援、これは日本は相当すぐれた技術力を持っているわけでありますから、そうしたことが非常に重要なことであろうと存じております。また、そういった要望も多いわけであります。過去において、過去というか、今までずっと環境庁といたしましても人材バンクをつくりまして、登録していただきましてJICAを通じてやるわけですけれども、要請に応じて人を出すということをやってまいりました。まさに、先生のお考えと私どものやろうとしておる方向が合うと思いますので、十分御意見を承りながらやってまいりたいと思います。  そうしてODAの倍増の話もありましたけれども、けさほども論議していたところでありますけれども、ODAというもの自体従来要求ベースが多かった。向こうの方からこういうものをやってくださいというわけでくるのをやるということが多かったわけですね。それを、しかし今度環境問題がこうした地球規模で論じられるようになってきて、各国とどういうことをどうやっていこうかというルールみたいなものが決まってくるということになりますと、これは日本としてどういうことをやるのだ、人材ではこういうことをやるのだ、ODAでお金の面ではこういうことをやるのだというものをみずから計画を立ててやっていかなければいけない時代に入ってくる。そういう時代を踏まえてUNCEDの成り行きも見ながら、御意思を体して両面について努力をしてまいりたいと存じております。
  182. 斉藤節

    斉藤(節)委員 大臣、その辺はよろしくお願いしたい、特に申し上げまして、次のことについてお尋ねしたいと思います。  もう時間がほとんど二、三分しかなくなってしまいましたのであれですけれども、環境保護を訴える漫画を残しまして急死した島根県の少女、坪田愛華さん、これは新聞などをよくにぎわしておりますけれども、大臣も御案内だと思います。私はこの坪田愛華さんの御冥福を祈るわけでありますけれども、これが大変話題になっております。この愛華さんが残しました漫画を御両親の手で本にされたわけでありますけれども、さらに多くの人々から見たいという要望が強く出されましたために、島根県簸川郡斐川町が、もっと多くの子供に読んでもらいたい、全国の希望者に分けてあげたいというようなことでもって、今月十九日、四百部増刷することを決めたということであります。また、愛華さんの御両親も、全国から問い合わせが非常に多いために、私費で百部また増刷して配るというようなことをやっているということでございます。  私はこの漫画を見まして、長官の所信表明にも環境教育ということを非常に強調されておられますので、こういう漫画で、しかもこういう幼い子供がかいた漫画というのは非常に人の気持ちを強く動かすものじゃないかな、そんなふうに思います。この漫画がどんなものか、どういう内容なのか私またよく見ていないのでありますけれども、環境庁におかれましても、環境教育の一環としましてこれをちょっと調査していただきまして、非常にためになるものであれば手をかしてあげていただきたいな、そんなふうに思いまして、要望がてら御所見を承りたいなと思うわけでございます。
  183. 八木橋惇夫

    八木橋政府委員 先生ただいまお話しになりました坪田愛華さん、十二歳のお子さんだったようでございますが、おかきになりました漫画につきましては、私ども読ませていただきました。非常にまじめに、また地球環境問題をわかりやすく描かれた、なかなかすぐれた作品だと拝見いたしました。お亡くなりになったそうで、まことに残念でございます。  これを読ませていただきまして、私ども、先ほど来議論されておりますように、最近の地球環境問題なり、また都市環境問題が、市民の段階また国民各界各層のところから自主的に考え、そしてそれを訴えるというような機運が生まれてきたということは非常にありがたいことだというぐあいに考えているわけでございます。この作品につきましても、地元の町におきまして出版に協力されているというようなこともお聞きしているわけでございまして、地方公共団体がそういう取り組みに対して地域として手をかすということも、私どもは非常にありがたいことだと考えております。  先生お触れになりましたように、私ども、環境教育というようなこと、また地方公共団体における情報の普及活動ということにつきましては、事あるごとに情報を提供したり、また知恵をかしたりするというようなことをやっているわけでございまして、持っている方法の中でどういうお手伝いできる方法があるかということも考慮に入れながら考えてまいりたいというぐあいに考えております。
  184. 斉藤節

    斉藤(節)委員 これで時間になりましたので、大臣に強くいろいろなことを御要望いたしまして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  185. 細田博之

    細田委員長代理 寺前巖君。
  186. 寺前巖

    寺前委員 朝、環境庁長官から所信の表明を聞かせていただきました。なかなか味のあるお話でした。  「地球環境問題は、今や人類全体の生存基盤にかかわる緊急かつ重要な課題となっております。このような問題はこ云々と言われて、「人類の諸活動が、自然の浄化能力を超えるほど巨大化していることに起因する問題でありこほっておけぬのだという話なんですよね、必然に。そこで、いろいろな施策をやる必要がある。「国民の一人一人が、豊かさとゆとりを日々の生活の中で実感しながら暮らしていけるような生活大国への前進のためには、国民生活環境保全しつつ、さらに質の高い快適な環境づくり取り組み、安全で安らぎと潤いのある地域環境形成していかなければなりません。」  私、これをやろうと思ったらもちろん、どういうふうにやろうかという計画性と、その計画を進めるための決断、勇気が伴う問題だと思うんですよ。かつて高度成長の時期に、経済の発展なくして福祉なし、こう言って、経済発展のために公害垂れ流しとなって公害患者を生んでいき、公害基本法を変えるということを私たちは二十年ほど前に体験したわけですよ。だからそういう意味では、私は、環境庁長官が言っておられる内容が実際上生きてこようとするならば、かなりの方向づけと決断、勇気が必要なことだ。  そこで私は、具体的に環境庁長官がそういう英断を奮っていかれるのかどうかということを事実を通じてきょうは聞かせてほしい、私もそんなに体験があるわけではありませんので。  例えば、私の住んでいる京都市について聞いてみます。  京都市について言うならば、今京都高速道路計画というのがあるのです。これはどういうことをやるか。京都は碁盤の目になっています。大阪、兵庫、関西空港建設が始まっています。それが京都に入ってくる、入れてしまうんだ。そうすると、そのためには、古い町並みですから、それをつぶして、そうして、半地下で入る路線なり上を走る路線なりをして今渋帯している交通網を解決するんだ。しかし、高速の道路を入れることによって自動車台数はふえるでしょう。そうすると、そこから伴うところの排気ガスの問題が健康破壊になるし町並み破壊になるでしょう。これは大都市どこでも今直面してきた問題だと思うのですよ。  そこで私は、先ほど自然の姿のままで任せておけないんだと大臣おっしゃった。意識的に提起しなかったらこの自然環境はやれない時代に、経済に押されてしまうんだ。押されぬようにするためにはどうしたらいいんだろうか、ここの決断が要る。その京都の方で、今京都市議会で問題になっているのは、この三月にその都市計画をやろうじゃないかというところになってきた。やれるのか、健康上どういうことになりますのやということはどうしても見なければならぬ話になる。  そうすると、京都市が、将来自動車の台数もふえていく、交通量がどんどんふえていくだろうということを予想した、そういう想定のもと環境測定の予測値というのを出しているのですよ。去年の十月十四日です。それを見ると、予測値は〇・〇四六から〇・〇五四ppmでございます、環境庁がおっしゃっているところの平均〇・〇六をまあこれはクリアしていますのや、こう言う。     〔細田委員長代理退席、委員長着席〕  ところが京都市には、それより早くに京都市独自の公害対策審議会が一九八五年十月十七日に答申を出しているのです。環境保全基準というのを出している。それによるとこう書いてある。一時間値の一日平均値は〇・〇二ppm以下、ただし、当分の間、一時間値の一日平均値〇・〇四ppm以下、こうなっている。これは、独自でずっと住民との関係で、町づくりから健康を守るためにといってつくってこられた数値がある。これと比較したら、この京都市の道路・交通網整備対策特別委員会環境影響評価の数字というのはクリアせぬことになるのや。  さて大臣、ここで国が大阪、兵庫とを結ぶ高速自動車道路をぐっと入れてくる。産業の発展のためといって渋帯を正さにゃいかぬ。そのためには、国の数値は〇・〇六でございます、クリアしていますといってこれを採用するのか。大都市に住んでいる人が、そこの数値としては〇・〇二だ、まあ一九八五年にすぐにやれといってもそうはいかぬから当分の間〇・〇四でいきましょうかいな、これはクリアせぬ。  さて環境庁長官、ここへ路線を入れるときには都市計画決定、意見を申し述べなけりゃならない。そのときにどういう立場をおとりになるのか、勇気と決断が求められる。これが未来にわたって、環境庁長官、あいつは偉かったね、こういうことになるのです。どうします。市の皆さんが今から七年前ですか、おつくりになった数値が、それは大事にしなさいと環境庁長官言ってくれますか。
  187. 入山文郎

    ○入山政府委員 国が定めております大気の環境基準でございますが、これは人の健康を保護する上で維持されることが望ましいという基準でございます。その維持、達成のために大気汚染防止法などによりまして、大気汚染物質の環境への排出、基準などを定めるといったようなことによりましていろいろな施策を講じているというところでございます。  また一方、地方におきましては、これとは別に環境保全のための数値を設定しているという例があることにつきましては私どもも承知をいたしております。国といたしましては、現在の国で定めました環境基準が適切なものであるというように考えているところでございます。
  188. 寺前巖

    寺前委員 それなら自治体は要らぬことするなということや。そんなものつくるなというのと一緒です。それであなた、自然環境を云々する資格ありますか。京都市の公害対策審議会がこう言ってますよ。「市民の健康を保護し、快適な生活環境及び良好な自然環境保全するうえで、京都市が行政上維持することが望ましい環境保全基準は、次のとおり設定すべきである。」「この環境保全基準については可及的速やかに達成するよう努め、既に達成している場合にあっては、現状を維持するよう努めるべきである」。未来にわたって責任ある町づくりをやろうやないか、市民の健康を守ろうやないか、打ち出したその道は要らぬことをやっているんだ、大臣そう言いますか。私は事務的に聞いているんじゃない。決断が要ると言っているんだ。自然のままにほっといたらあかんとあなたはおっしゃった。どうします、これ尊重しますか。
  189. 中村正三郎

    中村国務大臣 今局長がお答えいたしましたとおり、京都市においてそういう基準をつくっておられるということは承知しておりますし、それは環境としては有害な物質であれば少なければ少ないほどいいのでございましょう。それはもうだれもわかっていることでありますが、私どもに聞かれれば、現行の環境基準はあるわけでありますから、それに従って私どもは行政を行っていくということになるわけでございます。
  190. 寺前巖

    寺前委員 だからだらしない。それじゃ決断がない。しかも、これは七カ所の測定地点の話なんだけれども、住民はこれでは不満だというんだよ。路線があって、その路線の横ではかろうやないか、そこではかってみようじゃないかといってはかっておられるのです。そうすると、数字はうんとまた変わってくるんですね。こうなっておる。去年の十二月二百カ所、二酸化窒素を測定したところ、堀川高辻、五条西洞院の一帯は〇・〇六一から〇・〇七二ppm。特に、七条大宮交差点では〇・一〇八ppm、住民のほかっているところではもっと高い、現実的な路線上のところへ持っていったら出てくるわけです。そうすると、大体離れたところでとんとんいっておった。しかし、それは我々の市の出している基準から見たらとんでもない数字だ。まして横ではかったらこういうことになってくる。  そうすると、形式的なことをやっているな、当局のやることは。自治体がそんな基準を持たんかてええんや、おれのところへ従え、こういう態度をとる。これじゃ一体政治はだれのためにあるんだ。憲法で自治権というのを保障している。自治を強調するならば、町の中の路線の話じゃありませんか、通過路線の話じゃありませんよ。私は環境庁がこんなことでいいのだろうかとつくづく思います。違いますか。  それなら私はもう一つ言いましょう。おたくの方で大阪、京都、埼玉など八小学校五千人を対象にして、八六年から九〇年にかけてぜんそく症状の有無、発生時期、大気汚染との関係などの調査をおやりになっている。私、ここに持っていますよ。これはおたくの方で出された資料なんです。  その資料を読むとこう書いてある。ぜんそく様症状新規発症率が、〇・〇三ppmを超過する地区は〇・〇三ppm以下の地区より高い傾向が見られ、二酸化窒素の年平均値が〇・〇三ppm以下を達成し、維持することが望ましいと書いてあるのです。これは子供の健康上の問題としてそう指摘している。  そうすると、〇・〇六をクリアしていますからよろしいとは言えぬのです、子供の健康の問題からいったら。これはおたくの方の資料から出てくるのです。私は、自治体がわざわざそういうことを出しているということは意味があると思いますよ。それでも大臣、京都市のその公害の審査会で出されて市民に明らかにしているこの道は大事にしてほしいと言えないのですか、いかがです。
  191. 入山文郎

    ○入山政府委員 若干事実関係について説明をさせていただきたいと思います。  今御指摘の〇・〇三ppmという数値でございますが、これは年平均値でございまして、換算いたしますと環境基準で言っております〇・〇六に相当する数字であろうかと存じます。  それから、御指摘のいろいろな測定値についてでございますが、一般大気測定局と自動車排出ガス測定局と二種類の測定局があるわけでございますが、一般環境大気測定局におきましてはおおむね環境基準を達成しておる。ただし、自動車排出ガス測定局におきましては、御指摘のように二カ所ほど基準を達成できないでおるというところがあることについては承知をいたしております。
  192. 寺前巖

    寺前委員 何を答弁しておるのやというんです。自治体の諸君が心配しているのにそんな基準は要らぬという立場を大臣はおとりになるのですかと聞いているんだよ。それじゃあなた、何にも自治体で要らぬことするな、国が決めた水準だけでやったらいいんだということになるやないか。おかしいと思いませんか。僕は環境庁の職員の方がおかしいと思うよ。これは大臣が姿勢をきちんとしてもらわなかったら自治体活動なんてありゃしない。自治体が一生懸命やっているんだよ。要らぬことするなというのと一緒です。  建設省はどうです。いよいよこれは今来ているのだけれども、やはり京都市の自治体で意見をまとめてください、都市計画決定は京都市がお決めになるのだから。住民が不安に思っている、そして公害のこういう基準をお持ちだ、そういうことを考慮して京都市でやってほしいと言うのか。環境庁の言うように、もうクリアしているのだ、無条件でやるとおっしゃるのか。無条件に従ってくれと京都市に言うのか。どっちの姿勢をとりますのや、あなたのところは。
  193. 城処求行

    城処説明員 京都高速道路は、京都市が京都市基本計画をもとに計画中のものでございまして、市内の交通混雑の緩和あるいは新しい京都の町づくりということに資することを目的としている自動車専用道路の計画と承っております。もちろん、一般的に言いましても、道路の計画に当たりましては、沿道環境保全に十分配慮いたしまして策定しているところであります。この道路におきましても、京都市が土地利用との調和を図り、あるいは環境面に配慮するということで素案を策定しているというふうに聞いております。  現在、京都市におきまして、都市計画の手続に先立って沿線の方々に説明をしているところと聞いておりまして、今後、都市計画の手続の中で、沿線の方々の御意見もお聞きしながら計画が定められていくことになると思っております。  現在の素案におきまして、二酸化窒素の濃度につきましては、国の環境基準を満たす計画となっていると聞いております。
  194. 寺前巖

    寺前委員 大臣に後で、今のやつは大臣に答弁してもらいます。ほんまに、自治体を破壊するのかいなというような気になる。  それから、私はそれだけではやはりあかんと思う。今度はそこに入ってくる車の問題が大きな位置を占めるだろう。大臣がきょう、当面の施策について、重点的に取り組みたいという第三に、都市環境保全対策推進というのをお述べになった。「大都市地域窒素酸化物による大気汚染改善を図るため、大都市地域全体の自動車排出ガス総量抑制等自動車から排出される窒素酸化物排出抑制に資する特別の措置を講ずべく、今国会所要法律案提出を予定いたしております。」僕はいいと思うわ。「さらに、低公害車普及拡大を積極的に推進する一方、基本的な対策である自動車単体に対する規制強化については、中央公害対策審議会答申に沿ってディーゼル車を中心とした排出ガス規制長期目標早期に達成されるよう所要技術開発を促すなど、鋭意働きかけを行ってまいります。」  さて、今度はこの中身が問題になる。大気汚染の問題で重要な位置を占めるのはディーゼル自動車だと私は思うのです。それで調べてみると、同じディーゼルエンジンでも、直噴式と副室式とでは直噴式の方が排出ガス規制値は緩く設定されている。私は、この差別的規制の結果が悪い役割をしているのじゃないだろうか。  例えば、ディーゼル自動車の保有台数、八六年末に六百八十九万三千三十三台であったものが、八九年末には九百二十四万四千三百十台と、三四・一%も増加している。か増加してないガソリンが、この数値を見ていると出てくる。また、直噴式ディーゼル自動車の割合は、八二年に二九%であったものが、八七年には四五%までに増加している。中でも八七年度の三・五トン以上の直噴式大型トラックは八六・六%に上っている。悪いやつほどどんどんふえていくのよ。技術の難易度を考慮して規制値に差を設けるとか、一見当然のように思えるけれども、緩い方へ緩い方へと自動車の代替を促進することだって自動車公害促進させることになるじゃないか。トラック流通業界からは、実施可能な案であり協力したいなんというようなことを言われて、結局どんどん悪い方向に悪い方向に走っていっているというのが実態ではないだろうか。  中間答申の検討会の段階では、総量規制とかいろいろありましたよ。ところが、総量の緩和ということになったり、罰則もなくなってきたり、もうえらい後退していきよるなと見られるのは、僕はやはりここだと思うのです。困難なところに問題を提起することによって、新しい決断をもって新しいものをつくっていこう、こういう自覚になると思うのです。  私は、ディーゼル車に対する問題というのは、やはり車両台数なり走行距離の削減を前提とした総量規制を明確に打っていくんだ、そういうふうに乗り出さなかったら、流れに流されてしまっていたら、一向に、言葉ではきれいごとを言うけれども進まないということになるんじゃないかと思いますけれども、総量規制の抑制という措置だけでいつまでも続いているというやり方はやめるべきだと思うのですが、大臣、どうですか。
  195. 中村正三郎

    中村国務大臣 このことについては寺前議員と私はかなり似た意見を持っております。  マスキー法が出てまいりましたときに、ガソリン自動車は、これは奢侈品だと見られたのかどうか、きつい規制をかけていきましたために、今現在どういうことが起こったかといいますと、結果的には、当時はそんなことをしたら自動車の生産がだめになるとか外国に負けてしまうとか言ったのですが、世界一きれいなガソリンエンジンができて、経済的にも日本の方がまさっているということになってきている。  当時の状況は、ディーゼルについては、ガソリンに比べてちょっと後だというような雰囲気がなきにしもあらずだったと私は思うのですね。その中で、普通の空気を圧縮して高熱にしたところに、ぴしゃっと燃料を吹き込んで点火させようという原理的な面からしても、非常にこうした悪い排出ガスが出やすいことがあると思うのです。そして、確かに副室式の方がNOxが少ないということもあるわけでありますね。でありますから、今やっております総量規制ということも必要でありますけれども、やはり私は根本的には単体規制をやらなければいけない。そういうことを考えまして、環境庁長官に就任いたしましてから、すぐ、自動車、特にディーゼルをつくっておられる方だちにお集まりをいただきまして、さらなる技術的開発を行って国民の健康ということに留意をしてもらわなければいけないということで、強く要請をいたしました。そして、その後、ディーゼルメーカーにも行って、工場も拝見いたしまして、さらに要請をいたしました。  そうしましたら、そのときに、NO2の排出をとめるためのいろんな施策をするために、石油の中に含まれているSO分を、硫黄分ですね、これを減らさないと対策ができないという関係にありますということでありますので、今、石油業界にもそちらの方の削減ということをお願いするということで、新聞にも昨今出ておりましたが、業界でもそれに取り組んでくださっているということでありまして、これについては私も強力に業界に要請し、今言われましたように、やはりきつい基準をつくってそれを解決していくような技術の研さんをしていただきたいということで事に臨んでまいりたいと思っております。
  196. 寺前巖

    寺前委員 それじゃ、ディーゼル車を大量に生産、販売している自動車メーカーにいろいろお話しになったようですが、七九年から八九年までの十年間のディーゼルトラックの直噴式の生産台数は、十六万五千台から四十万八千台と二・四倍にふえている。特に車両総重量三・五トン超八トン以下の直噴式は三・七九倍にも達しているということで、製造元に対するところのメスを入れるということは非常に大事だということを今おっしゃいました。  ところで、最終報告でも、自動車の製造、販売者に対しても毅然たる責務の遂行が求められる、こうしているのだけれども、低公害車の生産、販売の義務づけを示す必要があるのじゃないだろうか。  例えばアメリカの州でこういうことが出ていますよ。大気浄化法。カリフォルニア州など十州の区が、一九九八年までに二%、二〇〇一年までに五%、二〇〇三年までに一〇%というふうに期限を切って、そして無公害車を販売義務づけ、こういう強力な措置をぱっとやっている。あるいは先ほどおっしゃったところの窒素酸化物排出の硫黄分の規制の問題でも、アメリカでは九三年から硫黄分が〇・〇五%を超える軽油の分配、輸送、販売は禁止する、こうなっている。向こうではそういうふうに禁止をする、やりなさいという義務づけを明確に打ち出している。ところが日本のものにはそうなっていない。〇・〇五%まで低減は長期目標達成の見通しが立っていないことからめどが立たないとか、何か全部自主性という名のもと規制がされないわけですよ。だから、やるのだったら厳しくきちんとそういうことをやっていただきたい。私は、義務化をちゃんと位置づけるように、これはまだ法案をお出しになっていないのだから、そこはぜひメスを入れていただきたい、そのことを要望し、またあす引き続いてやらせていただきますが、さきの京都の対応の問題と今の問題について、最後に大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
  197. 中村正三郎

    中村国務大臣 アメリカに比べて、自動車の排ガス対策というのは日本が特におくれているとは思いません。結果的には日本の方がきれいな排出ガスのガソリンエンジンができているのではないかと存じるわけでございます。そして、アメリカではたしかまだ鉛の含まれたガソリンが販売されておりますが、日本はもうとっくのとうから鉛の含まれたガソリンは全く販売されていないとか進んだ面もございますが、今委員御指摘のとおり軽油の中に含まれる硫黄の成分の含有量に関しては、おっしゃられるとおりアメリカの方が来年で〇・〇五を達成しようということでやっておりますので、向こうの方が一歩進むような格好になるかと思います。  そういうことも踏まえて、私ども業界にいろいろお願いをして、ヒアリングを近々することになっております。そういう結果に基づいて、またいろいろ対策お願いしていこうというふうに考えております。  そして、何よりも私どもがやっていかなければいけないのは、環境基準の達成を図り、そしてまたこうした単体規制の達成を図る、ディーゼルガスのNOxについても長期目標というものを達成する時期を何とか早くできないかということを今いろいろ検討しているところでございます。  また、先ほどの道路の件でありますけれども、これは国の環境基準を守るようにということで我々としては対処していくようになるかと存じます。
  198. 寺前巖

    寺前委員 時間が参りましたので、またあしたにさせていただきます。
  199. 小杉隆

    小杉委員長 中井洽君。
  200. 中井洽

    中井委員 大臣所信に対しまして、久しぶりですので基本的なことを時間の間で聞いていきたい、このように思います。  昨年大臣に御就任後、地球環境という大きな目標に向かって意欲的にお取り組みをいただき、特にその中でも環境庁環境省に昇格をぜひさせたいんだ、こういう強い意欲でお取り組みをいただいているように聞いています。臨時行政改革推進審議会等も、環境問題に対する対応の強化、こういったことを打ち出され、また環境庁中央公害対策審議会自然環境保全審議会に対して、簡単に言えば公害対策から地球的規模の環境対策へどういう対応をするかという諮問をされたと聞かせていただいております。この環境庁から環境省への昇格、これをどういう形で実現をされよう、またどういうことをやるために環境庁から省へいかなければならないのだとお考えか、そんな基本的なところからお尋ねをいたします。
  201. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員御指摘のとおり、環境行政課題というのは昨今大変に激動してまいりました。地球環境問題ということが注目されまして、我が国におきましても世界におきましても、持続可能な開発という理念に基づいて、広く経済社会活動の中に環境保全という観点を織り込んでいく必要が指摘されてきているわけであります。平たく言いますと、すべての経済活動人間活動すべて、環境保全ということから考えて組み立てていかないと地球が将来危ないぞという時期に差しかかっていると思うわけであります。  そういう中で日本の環境庁を考えてみますと、できましてから二十年、できましたときは、委員とも環境委員会理事同士で御一緒したことがあるのですが、一つの対症療法として、出てきた公害をなくそう、そういったものを防いでいこうということでやってまいりました。一時は空も真っ暗になるほど公害があったのが、それはある程度克服してまいりまして、技術も蓄積されてきたし、いろいろこれからやっていこうということもわかってきた。その中で、今まさに世界的規模で地球環境の問題がこうして注目を浴び、それに対応していかなければいけない時代になった場合に、さて環境庁はどうかなというと、従来のような組織、法制度でいいかなというと、それでは足りないのではないかということをどうしても感ぜざるを得ないわけであります。  環境庁ができましたときもいろいろ御議論があったそうですが、例えばごみの処理ということになると厚生省でありますし、それからライフサイクルアナリシスというようなことになって、物をつくってからずっと生産してリサイクルまで考えていくということになると、流通とか生産になるとこれは通産省である。各省がそれなりのいろいろな環境対策をそれぞれおやりなわけでありますね。それの調整役として総理から付与された権限で、私どもが政府一体となって環境行政に取り組む調整役ということに位置づけられておりますのでありますから、今むしろ環境庁がそういう独特な立場でもって政府の中で調整して、省であっていいんだよというような御意見もあります。しかしながら、今のこの環境のいろいろな問題に対する取り組み環境からすべてのものを考えなければいけないということになってまいりますと、私は象徴的にいっても、また環境庁の組織、機能の強化ということから考えましても、やはり省への昇格ということを考えた中で、すなわち組織、機能の強化ということの一環に省への昇格というものがあるのではないかなというようなことを感じさせていただいているわけであります。いずれにしましても、これは行政組織の大変重要な問題にかかわることであります。今中央公害対策審議会、自環審に諮問をいたしまして、今後の地球化時代環境政策あり方全般について御審議いただき、答申を待っているところでありまして、そういう中でだんだん御理解をいただいていきたいなと思っているわけでありまして、委員におかれましても、ひとつ御支援を賜りますようにお願い申し上げます。
  202. 中井洽

    中井委員 お話しありましたように、私も五十一年、国会に初当選しまして、当時は公害対策特別委員会と言ったのじゃないかと思います。それが環境委員会ということで常任委員会に昇格する。また、環境庁ができました前後等もいろいろな議論がありました。しかし、野党全体あるいは世論、こういったものに全面的なバックアップをされて環境庁ができ、環境委員会がつくられ、小杉委員長みたいに二回連続で委員長に志願をなさるなんという人まで出てくる時代になりまして、大変時代が大きく変わった。また、それだけのことを日本もしてきたしこれからもやるべきだと思います。しかし、ムードだけでは、従前のように省に上るというのはなかなか大変なことだ。省になって何をやれるのか、こういったことを含めて十分国民的なコンセンサス、もちろん自民党内、政府内のコンセンサスが大事でありましょうが、議会内、こういったことの根回しも含めて御努力をいただきますように、私どももおいおいとお話を聞きながら応援できるところは精いっぱい御支援申し上げたい、このように思います。  それから、公害対策から環境対策へという、大体これはだれもが思うことでありますが、しかしこの公害対策の中で、残念なことに水俣病対策がいつまでたっても決着がつかない状況でございます。たびたび裁判も行われ、いろいろな判決が出ております。この間東京地裁で出されました判決では、争っておった国に行政の責任はないという判決でしたから、国あるいは行政側の主張が通ったということであろうかと思います。しかし、他の地裁等ではニュアンスは違いますけれども、それぞれ東京地裁も含めて一刻も早い解決を、こういう呼びかけをいただいているわけであります。医学的にもあるいは科学技術的にもなかなか難しい問題を含んで今日まで来ました。しかし、ここまで来たら政治的な解決を政府も決心すべきだ。また、患者さん側の方も悔しい、情けない思いもあるであろうけれども決着を図る、こういう機運をつくり出していくのが大事じゃないか、こんなふうに考えております。何か引き続いてまた裁判で争われるというようなことを心配をいたしております。それらの点について、大臣も古くから水俣病のことを認識をされているわけであります。政府内でいろいろと行政の側の理屈はあるのでしょうけれども、タイミングだとか時期だとか、こういったものもあろうと思います。私どもぼちぼちいい時期じゃないかと考えておりますが、政府みずからあるいは環境庁の方で和解に向かって政治的解決を模索する、そういうタイミングとお考えになっていないかどうか、お尋ねをいたします。
  203. 中村正三郎

    中村国務大臣 水俣病は戦後の環境問題の原点であり、大変悲惨な事件であり、長い歴史を持っております。私はまだ当選して十二年でありますが、そのころからいろいろ環境委員会での御議論を伺ったり、地元の先生方の御議論を伺ったりしております。また、今度環境庁長官を拝命いたしまして、いろいろ話を伺いながら勉強をさせていただいております。そして、私ども実際に水俣に住んでいたわけではございませんから、軽々になかなか物の言えない重要なことであるなというふうに認識をさせていただいております。  そういう中で、委員御指摘のとおり、東京地裁の判決がありまして、私どもが主張しておりましたように、発生、拡大に関する行政側の責任は一応否定された。そして、我々の公健法に基づく水俣病の認定業務についても、国のやり方というのはそうだったか、こういうふうに理解をいただいた。そして、その後にくっついている政治的責任が、しかしながらありますよということでございます。  しかし、それは今委員の御指摘でもありますけれども、私ども行政の立場から申しますと、和解ということになりますと、何らかの大変なことが起こったときに国がどこまで、国民全体の負担、すなわち国でやるということになると税金でやることになるわけでありますから、それを補てんしていくのかという、行政としても基本的な物の考え方にかかわる部分が出てくるわけでございます。ですから、政治的責任ということが答申でも言われておるわけでございますが、和解ということになかなか乗りにくい。そこで、私どもといたしましては、去年十一月に答申をいただきました、まさに政治的判断である部分も入っているその中公審の答申に基づきます総合対策というものについて、十分な予算措置をしてくれよということを大蔵当局にお願いをいたしまして、その予算を決め、今御審議中でありますけれども、それによって行政でできる限りの政治的配慮と指摘されたことの意味を踏まえて対策を講じさせていただきたいと考えているわけでございます。
  204. 中井洽

    中井委員 熊本県知事は、私どもと一緒に委員会で長らく水俣病のことを熱心にお取り組みいただいた福島先生であります。行政のお立場からはいろいろと理屈もあるでしょうし、裁判で争わなければならない立場もあるのでしょうが、ここに立って三十数年の経過を思ったときに、こういったところで政治家が出ていって和解の道を見つけていく、このことが私どもに課せられた使命じゃないか。前大臣のときにも、国会におきまして、あるいは和解のそれぞれの判決が出たときにも超党派で環境庁大臣に物を申し上げたこともございます。タイミングを逸し最高裁まで争うんだというようなことになりますと、日本の裁判は御承知のように大変時間がかかります。そして、その上で決着をしたところでむなしいということしか残らないと思います。そういったこともお考えいただいて、ぜひ和解へ行く道を閉ざさずに大臣として指導をされるべきだ、このように思います。もう一度御答弁をお願いします。
  205. 中村正三郎

    中村国務大臣 やはり政治的な責任、政治的な解決ということになってまいりますと、行政というのは、行政の立場で行政を預かっているということで、政治的な判断がなかなかできにくいそれなりのもともとのあれがあるような気がするのでございます。私は半分政治家ということで考えますと、自民党でありますから、自民党にも政調の中にこの対策委員会がございます。そういうところでもいろいろ御討議をいただきたいと今お願いをしているところでございまして、今度の判決の趣旨、そして答申の趣旨を踏まえて、行政としては行政の許されるできる限りの対策を誠意を持って真摯に実行していきたい、このように思っております。
  206. 中井洽

    中井委員 それでは地球サミットの問題についてお尋ねいたします。  六月にブラジルで行われるわけでありまして、私どもも去年宿屋を予約せいとか言われて予約しました。あれは委員会で行くのですかね。大臣も御対応なさっていると思いますが、そのサミットにおいてどのようなことを御提言なさり、どのようなことを決めて帰ろうとしているのか、大変大きなことであります。初めてのことでもありますからなかなか大変であろうかと思いますが、お考えを承ります。
  207. 中村正三郎

    中村国務大臣 環境に関して地球全体で物を考えて、地球サミットを開いて、そこで具体的な取り組みをして、地球環境保全を将来に向かってやっていこうということがここで話し合えるようになった。冷戦構造の崩壊ということも受けまして、非常に重要な会議に向かっているわけであります。国際的合意を得ることを目的とするということでありますから、大変難しい問題も山積しているわけですね。  しかしながら、その討議、今何回も何回も打ち合わせの会をやっておりまして、今もまさに気候温暖化に関する会議をニューヨークでやっておりまして、きょうもこういう報告書をファクスでニューヨークとやり合いながらやっておるわけでありますけれども、その中で、地球温暖化をとめていくために条約をつくろう。CO2の排出量の削減とかそういうことを含んだ条約できちっとしていこう。また、発展途上国で森林が切られてしまうので、これをとめないと、今千七百万ヘクタール、日本の面積の半分くらいが一年に削られていってしまう。そうすれば、CO2を吸収してくれる森林もなくなるし、気候にも変化をするし、生物の種の保全ということからもバランスを崩してくる。大変なことが起こっていくであろう。これをきちっと保全していかなければいけない。また、そういったものを全部ひっくるめて地球環境がどうあるべきかということを決める地球憲章というようなものも決めなければいけない。そしてその地球環境保全をするために行動計画として、アジェンダ21と申しておりますけれども、いろんな行動計画を立ててどういうことをやろうということを決めていく。そしてその中で、それを達成するためにはお金というものが要ります、技術が要ります。発展途上国には技術もお金も不足している。それを世界でどういうファンドを集めて技術とファンドを発展途上国にトランスファーしていくかということを決めなければいけない。  どれをとっても大変重要なことでありますが、例えば地球温暖化に関しましては、私どもはやはり今二〇〇〇年に、大体こういうことで来ているんですが、二〇〇〇年に一九九〇年の排出レベルに安定化させて、それから先はまた削減しようというふうな一つの目標を持ったことでなければ条約の意味がなくなるということで、これはEC寺とも話し合いながら、アメリカがちょっとこれと違った行き方をしているんですが、強く主張をして今この会議に臨んでいるところであります。  また、森林のことに関しましては、残念なことに、これはやはり発展途上国の方たちは焼き畑農業であり、まきであり、商業伐採ということですから、なかなか条約にしてきちっとやるところまでいかない。そこで、それができないならば、少なくとも森林憲章というようなものをつくって、将来に向かって熱帯林保全していく一つの目標なり考え方をつくろうよということで日本も具体的に提案をしております。  また、その資金の問題については、これはストロングさんというUNCEDの事務局長が個人的に竹下元総理にお願いをしまして東京で賢人会議を開く。竹下元総理はそこで名誉議長を引き受けて、この資金の集め方、そしてどうやっていくかというシステムづくりに貢献をしていこう、日本としては今そういったいろんな分野で具体的な主張をしてこの会議に向かっていくわけであります。非常に難しい問題を含んでおりますが、これを成功させなければ、もしできない場合は次は一体できるかなというような会議でありますから、全力を尽くしてこの成功に向けて向かってまいりたいと思っております。
  208. 中井洽

    中井委員 私どもも成功を祈るわけでありますし、日本がその成功のために大いに御活躍をいただきたい、このように思います。  ただ、心配をいたしますのは、ムード的にできもしないことばかり決められる、あるいはアメリカや日本だけが責任をとらされて厳しいことを言われる、そして出せもしないお金だけを注文される、こういう形になることを大変心配をいたしております。  私どももたびたびヨーロッパへ参りますが、あれだけ地球温暖化のことを各級議員の方や行政の方が言われるにもかかわらず、相変わらず有鉛ガソリンはお使いになっていらっしゃる。先ほど大臣のお話にもございました。セーヌやラインの川も少しは規制をやったらどうだと言うと、あれは隣の国が流しているんだと言ってやっちゃう。酸性雨対策はどうだ、こう言ったら、あれはイギリスから来るんだ、フランスへ行けばドイツから流れるんだ、みんな他人の国のせいにして、他国に対してだけ求める。自国はちっともやらない。地球環境ということに関して、世界の国会議員やあるいは行政の人たちの論調を聞いているとどうもこういう傾向がある。あるいは韓国や中国へ行って環境問題、公害対策などと言うと、日本みたいな水俣病はありませんとこれだけを答える。委員会でブルガリアか何か、おととしでしたか、視察に行かせていただき、ブルガリア一の鉄鋼団地というのを見せていただきました。公害対策をやった、何だというと、すさまじい環境でございまして、集じん機一機づけたことだけを公害対策をやったと言われる。何か意見があるか、こう言うものですから、早くこの工場を閉鎖しろと私は申し上げたのを覚えております。  世界の現状は、経済環境あるいは発展途上の状況それぞれによりまして、地球環境というところまで口では言うけれども、なかなか取り組んでいない、取り組めない、そういう実情にあることも大臣はよく御承知であろうかと思います。したがって、日本としては、ここまで苦労してやってきて、公害対策ということに関しては技術的にはもう世界一のノウハウを持っておる。それらをやはり世界の人たちに知っていただく、また日本の技術をお使いをいただく。あるいは熱帯林の減少のことなんかでも私はいつも思うんですが、世界の中で木を切ってその後植える民族は日本だけだ。これは日本人が自然に備えてきた英知だ。こういったものをやはり御利用いただく、また世界の国の人たちも対応をやっていただく、そういうことがきちっとした中で日本もお金をつくる、お金を出すというのなら、私どもも納得いたします。しかし、何か知らぬけれども金持ちだから出せ、日本は格好のいいことばかり言っておったらすぐ銭出す国だから出せ、こういうので次から次へと来られて、環境税つくれ、地球環境のために基金を出せ、こういうことでは私どもは到底納得できない、このようにも思います。  そういう意味で、いろいろと御苦労も多いかと思いますが、日本の環境行政というものに自信を持たれて、そして何か日本だけが袋たたきに遭うような印象を受ける、あるいは金だけ出させる結果に終わるような会議でないような御努力をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  209. 中村正三郎

    中村国務大臣 委員御指摘のことと私は大変同じ意見を持っている者でございます。  環境委員会で外国に参りましたときにびっくりしたんですが、先進国でさえ、石炭を燃やして火力発電をやっておるところで集じん機をつけた、何だといったら、こうメッシュのところへ水を流して、これが集じん機だというようなことを言われてびっくりしたことがあるわけです。それで、アメリカでもどこでもまだ有鉛ガソリンを使っている。排出ガスも悪い。ある国では、この排出ガスに水銀が含まれているんじゃないかということを質問しましたら、水銀が含まれているとかなんとかという意識もない、星もわからないというような状態、これは先進国の状態でありました。  そういう中で日本がどういう位置にあるかといえば、大変悪い公害を経験してきた、それを克服してきたということで、今例えば炭酸ガスの排出量にしましても、日本は一四、五%の工業生産力を持ちながら、アメリカは全世界排出量の二五%ぐらい排出し、ソ連が一六%、中国が一〇%、日本は四・七%しか出してない。日本は、これから日本の中ではやっていかなければならないことはいっぱいありますけれども、外国から見てそう怒られるようなことではないと思うんでありますね。そういうところを十分認識しながら、堂々と外国と交渉することが肝要であろう、先生仰せのとおりだと思います。また同時に、そうした技術を積極的に外国に移転してお役に立てていただくということも必要であろうと思います。  また、資金につきましては、これは先ほど申し上げましたような竹下賢人会議もございますし、これは政府を挙げて一体となって当たることでありますから、いろんな国際会議で論議され、どういうものが出てくるかわかりません。しかし私は、委員御指摘のように、世界でどのような資金を集めてどういうふうに使っていただくんだという枠組みをきちっとつくって、その前提のもとに日本はその中で経済力、技術力に応じた応分の貢献をしていくんだということ、まず世界的な枠組みをつくって、その上で日本の分担はこうなんだということを決めていく、そういう道が正しいのではないかと思っているわけでございます。
  210. 中井洽

    中井委員 御健闘をお祈りいたします。  それに関連いたしまして、環境税というのが盛んに論議をされているやに聞かしていただいております。これをどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  211. 中村正三郎

    中村国務大臣 そういうお話をすると、中井委員と大蔵委員会理事同士でやっていたことを思い出させていただいているわけでありますけれども、現実の問題は、今環境税は環境庁におきましても、恐らく大蔵省においてもと考えるのですが、勉強している段階ではないかと思います。そしてブラントラントさんが来たときも、いろいろブラントラントさんからお話を聞き、こちらの意見も言ったんですが、今ECで統合的に考えておるのはCO2税ということで、CO2の発生量に従って課税をしていこう。それから北欧で取り入れられたのも大体そういう方向であります。日本は石油製品にかかっておりますけれども、ベースのところで御存じのとおり石炭対策があり、エネルギー対策があり、それから目的税の道路等があり、かかって、見ればガソリンに対する税が高くて軽油に対して安い。だから、さっき御指摘のあったディーゼルがふえるなんというのもそこらにあるかななんという議論があるぐらい、そしてそういう中で税全体の負担がどうかなということを考えますと、日本の石油製品に関する税の負担というのは相当大きかったですね。ところが、北欧の国が皆CO2税をのせたものですから、税負担は向こうの方が少し大きくなっております。  そういう中で、ブラントラントさんと話していておもしろい話があったんですが、うちの国の財政当局は、このCO2税をつくった場合に、それをどうしても目的税ではなくて一般会計に入れたがるということを言うんですね。ですけれども、私個人の意見としては、CO2税のようなもので消費を抑制するとともに、財源は目的税にというようなことも、一つ非常に考え得るところではないかなという個人的な考えを持っているわけであります。そして、私は今いろいろなチャンネルから働きをかけたりしているのでございますが、むしろUNCEDの事務局で世界一致して環境税みたいなものを考えようや、そうしませんと、どこかの国でエネルギーに重く課税したということになって、こっちは課税していないとなれば、これは経済の競争力が変わってきてしまうわけですから、やはり世界一致して環境税なら環境税を導入しょうや、それによってファイナンスしていこうよというような思想を出してくるのが一つ正しいのじゃないかということを申し上げ、そういうこともUNCEDの事務局のペーパーに入ってきております。  そして、やはり一つの国で税金を入れるということは、これは大変なことですから、世界一致してそういうことを考え得るんだったら、CO2税になりますか何になりますか、そういったものを入れて、私個人としてはそれを環境対策に使っていくというのも一つの考え方じゃないかなと思っておりますが、結論は、申しわけありませんが、今勉強中である、こういうことでございます。
  212. 中井洽

    中井委員 私どもの党でもいろいろな議論は出ておりますが、まあ少しこれは早いんじゃないかということを含めて、また、何にということも含めて、なかなか環境税というのは万一出てきても難しい、こんな感じかなと考えております。  同時に、石油に税金をかけるといいましても、日本はヨーロッパに比べて、ちょっと比較して、少し日本の方が少ないというような形も出てまいりましたけれども、いろいろな税金がかかっております。今回、湾岸のときの石油特会もまた財源不足で残そうといたしましたところ、サウジアラビアから正式の抗議が来たやに聞いております。サウジにとりましては、これは消費を抑え込む、まして環境税なんていうのはもう一つ反対じゃないか、こういういろいろな問題があります。この環境税ということについて、かなり新聞は先走って書きますから、私どもも、そう心配はしておりませんが、十分な議論をされるように注文をつけたいと思います。  同時に、逆にこの環境税というよりも、日本はこれだけ環境対策をやってきた。ディーゼルなんかも、私、時間がなくなったので質問いたしませんが、これから長期の数値を達成するために大変な努力をしてもらわなければならない。竹下さんも、お金集めの上手な人か何か知りませんが、そういうお金を集めていただく。いろいろな形で要ります。私は、そういうところへ、環境対策で先行的にやらせるところ、あるいはお金を出してもらうところは寄附金控除をすればいい、税額控除をすればいい。そして、税制の誘導でもって環境対策をやるということも少し考えるべきだ。日本では過去二十年ぐらいの公害対策の中で幾つか税額控除等あったことはあります。しかし、やらない方が悪いんだ、やるべきだ、こういう議論で経済の生産原理からいけば到底割に合わないのを必死でやってきた、それが今日強味にもなっているわけであります。しかしここらで、もう世界の最高水準まで来たわけであります。それをまだ引っ張ってやっていくという意味では、この税額控除というものを大いにつくっていく。また同時にそういったものへ寄附を出していく。企業は寄附を出せるじゃないか。まあ寄附の限度額はあります。しかし、オリンピックもあれば文化もあれば、もうありとあらゆることにこのごろ企業は出します、自民党さんにもたくさんお出しになっているそうでございますが、出しておられる。どうも足りやしない。  そういった意味で、僕は、環境を考えるならば環境税の前に税額でお考えをということを、まあ先ほどから盛んに大蔵委員のことを言ってくれましたので、御提案を申し上げたいと思いますが、いかがお考えですか。
  213. 中村正三郎

    中村国務大臣 寄附で集める、これは相当な額でありますから、そういうことがボランタリーにできていけばすばらしいことと思いますが、ここで寄附金控除をやりますと、それは法人税収の減収になるわけですから、やはり税というのもこれは補助金と同じで、税額が減った分とこでその歳入を補てんするかという問題が出てくる。だから、税を新しくつくるか、今の税収を減らすか。減らした場合には、どこかで補てんするということになれば新しい税が必要だ。そこで、UNCEDの事務局なんかで言っていますことは、ある程度の、エネルギー税になりますか、何か税を入れて、そのある部分をほかの財源に回して、ある部分をこの環境に回したらどうかというようなこともアイデアとして出ているようであります。ただ、これは大変難しい問題でありますから、私がここでどう言ったからといってどうなるものでもないと思います。一番注目しておりますのは、世界賢人会議でどういうお話し合いになるか、それを期待を持って見守っているというところでございます。
  214. 中井洽

    中井委員 数年前郵政省でボランティア預金というのを始めました。私どもも郷里では真っ先に預金をさせられたというか、したわけであります。聞きますと、もうかなりの金額になって、百数十のボランティアの団体、今回それをまた環境対策等にも出していくのだ、こういう話がありました。各省庁いろいろな意味で環境対策やら地球環境に関心を持ち出して、いろいろとそういう制度をつくっておやりになっているわけであります。それらのところとも環境庁として十分御調整なすって、それからまた、民間団体やらいろいろなところがお金を出す。それはもう一個人、一企業で出すのじゃなしに、国全体としてこういう方向へ、こういうところへという誘導ができる。そういったことを含めて、税制の問題も含めて、十分日本人全体には地球環境を何とかしようという空気があるわけです。実のある地球環境保全への貢献ができるように大臣として御努力をいただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。
  215. 小杉隆

    小杉委員長 次回は、明二十七日木曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十八分散会