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1992-05-26 第123回国会 衆議院 科学技術委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月二十六日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 近岡理一郎君    理事 斉藤斗志二君 理事 光武  顕君    理事 宮路 和明君 理事 山本 有二君    理事 川島  實君 理事 関  晴正君    理事 近江巳記夫君       中馬 弘毅君    塚原 俊平君       渡海紀三朗君    簗瀬  進君       竹内  猛君    辻  一彦君       馬場  昇君    吉井 英勝君       菅原喜重郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)  出席政府委員         科学技術庁長官 林  昭彦君         官房長         科学技術庁科学 須田 忠義君         技術政策局長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術振興局長         科学技術庁研究 井田 勝久君         開発局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         科学技術庁原子 坂内富士男君         力安全局長         科学技術庁原子 谷   弘君         力安全局次長         外務大臣官房審 津守  滋君         議官         資源エネルギー         庁長官官房審議 末広 恵雄君         官  委員外出席者         原子力安全委員 内田 秀雄君         会委員長         科学技術庁原子         力安全局原子力 塚腰  勇君         安全課放射性廃         棄物規制室長         外務省国際連合 岩谷 滋雄君         局科学課長         工業技術院総務         部総括研究開発 小林 博行君         官         資源エネルギー         庁長官官房企画 梅村 美明君         調査課長         資源エネルギー         庁長官官房省エ         ネルギー石油代 上田 全宏君         替エネルギー対         策課長         資源エネルギー         庁公益事業部原 篠原  徹君         子力発電課長         運輸省運輸政策 山内 康勝君         局技術安全課長         参  考  人         (動力炉核燃料石渡 鷹雄君         開発事業団理事         長)         参  考  人         (新エネルギー 木田橋 勉君         産業技術総合開         発機構理事)         科学技術委員会 松尾 光芳君         調査室長     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 近岡理一郎

    近岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長石渡鷹雄君及び新エネルギー産業技術総合開発機構理事木田橋勉君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近岡理一郎

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 近岡理一郎

    近岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。光武顕君。
  5. 光武顕

    光武委員 今日、エネルギー安定供給は世界的な問題でありまして、特にエネルギー資源の乏しい我が国におきましては、二十一世紀に向けて石油代替エネルギー開発導入努力をしていかなければならないことは当然であります。  このため、供給安定性、それから経済性の面ですぐれている原子力は重要なエネルギー源と認識しておるのであります。また、来週にはブラジルにおいて地球サミットが開催されるなど地球環境問題の解決が重要視されておりますが、原子力は二酸化炭素を発生しないエネルギー源としてこの分野にも貢献するものであります。このような原子力開発利用を円滑に進めていくためには、国民理解協力を得ることが不可欠であります。  ところで、最近新聞等で、科学技術庁が出した文書が話題になっております。これは、核物質輸送情報取り扱いを慎重にするよう地方自治体関係事業者協力を求めたものと聞いておりますが、原子力平和利用を進めている科学技術庁が今回どのような趣旨文書を出したのか、具体的にお聞きいたしたいと思います。  なお、本日はこのことに関しまして、民主、自主、公開といういわゆる三原則に基づく我が国原子力政策について、原子力基本法公開原則、これにも絡んでまいりますので、大きく分けまして二点お尋ねしておきたいと思うのでありますが、まず第一点、今回のこの通達に関しましてどのはうな趣旨文書であったか、お伺いしたいと存じます。
  6. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  まず、核物質防護というその言葉でございますが、この核物質防護につきましては、核物質の盗取等による不法な移転を防止するということとともに、原子力施設及び輸送中の核物質に対する妨害、破壊行為を未然に防ぐということを目的としておりまして、平和利用に徹し、安全に原子力活動を進める上で必要不可欠な措置であるというふうに認識しております。  このような核物質防護に関しましては、まず国際的には核物質防護条約というものがございます。我が国昭和六十三年、これに加盟しております。また、国内的には核物質防護に関する基本的な方針が昭和五十六年に原子力委員会で決定されておりまして、さらに原子炉等規制法においても核物質防護措置が規定されております。ちなみに原子力委員会決定におきましては、「核物質防護措置の詳細に係る情報は不必要に分散されないこと。」としております。特に、核物質につきましては、輸送中にある場合には原子力施設の中にある場合よりも不法行為等に対しては脆弱性を有するということから、その防護措置には特に慎重を要することとされておりまして、日時経路等輸送情報の詳細につきましては国際的にも慎重な管理が行われているのが実情でございます。  以上のように、核物質防護条約趣旨原子力委員会決定、諸外国状況等にかんがみまして、核物質輸送にかかわる情報を不特定多数に公表することは好ましくないというのが従来からの国の考え方でございまして、この従来からの考え方周知徹底するために、国は四月十八日付文書により、輸送計画の詳細を公表しないよう関係事業者に対して指導するとともに、安全協定等に基づいてこれら輸送情報を入手している地方自治体に対しても協力要請を行ったものでございます。
  7. 光武顕

    光武委員 お話の向きはわかるのでありますが、今もお話がありましたように、我が国はこの条約昭和六十三年に加入しているわけです。新聞の論調なんかを見ましても、公開原則というものが阻害されないかといったような議論がある反面、大体、今までこうしたことがそのまま放置されていたということに対して、むしろ遅きに失したのではないかという論評もあるわけなんです。  私も実はそう思うのでありまして、幸い今日まで特別な、そうした途中で襲われて核等が、原子力燃料等が強奪されるといったようなことがなかった。そのことは幸いでありますけれども、もしあったとすれば、これはなかなか大変なことでありまして、そういう面で、本来ならばやるべきであると考えておられたのになぜ今になってこうした要請地方自治体事業者に出したのか、そこら辺の経過、事情についてお示し願いたいと思います。
  8. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、核物質防護条約加盟したときにも、こういった一連の取り扱いについて慎重にということは周知方をやったわけでございますけれども、特に最近、御承知のように、ソ連邦の崩壊に伴う核管理の問題、または朝鮮民主主義人民共和国における核査察受け入れ問題等、国際的に核の管理について関心が非常に高まっておる。そして、こういった立場において我が国としましては原子力平和利用を進めているわけでございますが、このような国際情勢において、万が一にも核物質取り扱いに不測の事態が生ずることになれば、我が国に対する国際的信用といったものも著しく損なうことになる。こういう意味で、核物質防護に万全を期する必要性が最近とみに増大してきたということが言えると思います。  また一方、我が国では原子力開発利用に伴いまして核物質輸送も増加する傾向にございます。輸送日時、経路等輸送情報核物質防護上の取り扱いについて、こういった最近の輸送回数が増加する傾向から、各方面からの問い合わせといったものが参っておりまして、我が国国内における輸送情報取り扱いのあり方を明確にする必要が生じた、こういうことでございます。  それで、このような内外の諸情勢に的確に対応するため、昨年来、運輸省通産省等核物質防護に関する関係省庁間で核物質輸送にかかわる情報取り扱いについて検討を行ってきたわけでございますが、本年四月、合意が得られたことから、関係事業者及び自治体への周知徹底を図ることとなったというものでございます。
  9. 光武顕

    光武委員 今のお話を聞いてみましても、これまで各関係省庁間でその取り扱いについて慎重な検討を行ってきた。それがゆえに、本来ならば加盟をした時点で私は当然それに対応すべき処置をすべきであった、こう思うのでありますが、ともあれ、今日そうした自治体事業者にそうしたことを出したということについては、遅きに失したとはいえ、それなり理解できるところであります。  しかし、また一方、これは諸外国では一体どんなふうな取り扱いになっているのか、この際ひとつそれぞれ事例を挙げてお話しをいただきたいと思います。
  10. 坂内富士男

    坂内政府委員 諸外国ではどのようにこの核物質輸送にかかわる情報管理されているのかという御質問でございますが、私どもの調べた限り、つまり原子力先進国でございますアメリカイギリスフランスドイツ、こういった欧米の国々におきましては、個々の輸送にかかわる情報輸送事前事後を問わず公表されておらないといったものが実情でございます。  これらの諸国におきましては、例えばアメリカの場合ですと法律に基づく、フランス等におきましても法律に基づくという、いわゆる法令に基づいて輸送情報開示制限が行われているという場合もございますし、それからまた、イギリスドイツカナダ等におきましては、国家安全保障観点から、こういった核物質の使用、貯蔵、輸送に関する情報は最低限必要な者以外に発表しないという政策をとっておるというふうに、法令に基づくか、あるいはいわゆる国の政策に基づくかといった違いはございますが、いずれにしましても、日時経路等輸送の詳細な情報に関しましては慎重に管理すべき情報というふうに位置づけまして、最小限の必要な者以外には知らせないものとして極めて慎重に管理されているというものが諸外国の現状でございます。
  11. 光武顕

    光武委員 北朝鮮だとかイラクだとか、先ほど来もお話がありましたけれども、各国では、この原子力並びにその資材等、いろいろ分散、あるいは国から外に出ていくことについても非常に厳しい管理をやっているようでありますが、そうした問題に関連して、私は今お話を聞いた限りでは、その他のいわゆる原子力発電等をやっている国々におきましては、当然のことながらこの防護については厳しい取り扱いをしているという今のお話でありました。それだけに、日本が本来加盟をするということであれば、当然のことながらそれに対する準備があってしかるべきであったと思うのでありますが、今回の処置において、とにかく一応の出発がなされたということについては私も評価をしたいと思います。  ところで、現在の我が国における核物質輸送情報取り扱いがどういうふうになっているのか。これはいろいろあるわけですね。例えば相手方が自治体でもあれば、あるいは事業者、例えば発電所ですね、さらにはまた研究所、そしてまた、それを輸送する業者、各分野がありますけれども、そういった核物質輸送情報取り扱い実情はどうなっているのかを重ねてお伺いしておきたい。
  12. 坂内富士男

    坂内政府委員 我が国における核物質輸送にかかわる情報取り扱いにつきましては、大部分地方自治体及び事業者におきましては、核物質防護上、適切な情報管理が行われているということが言えると思います。しかしながら、一部の地方自治体及び事業者において、立地地域におけるいろいろな事情によりまして、輸送計画に関する情報事前に公表していた例が見られました。そのため、これらに対して改善方要請したところでございます。
  13. 光武顕

    光武委員 今まで公表していたところがどこどこにあったのかということとあわせまして、核物質防護上の重大な情報が慎重に管理されなければならないということは今のお話でもわかるわけですが、実際に今まで公表していた自治体にとりましては、なかなか、今回特にそれを公表しないといいますか、ある意味ではこの情報が完全に一般の住民から遮断されるということになるわけでして、地域住民にとりましては、この情報を隠すのではないかといったような印象すら持つ場合もあると思うのでありますが、今回の措置について、関係地方自治体については十分な理解が得られているのか、特に、これまで公表されておりました自治体等につきましてもお話を伺いたいと思います。
  14. 坂内富士男

    坂内政府委員 輸送情報事前に公表していた地方自治体あるいはまた事業者ということでございますが、例えば福井県、島根県等の自治体あるいはまた二、三の電力会社がございました。  それで、私ども文書発出という今回の措置を受けまして、いろいろ地方自治体にも考えていただいて、あるいはまた事業者の方でも考えていただいたわけでございますが、ただいま先生御指摘がありましたように、今回の措置を実効性あるものにするためには関係地方自治体、ひいては地元の方々の十分な理解協力を得ることが極めて重要であるというふうに認識してございます。  特に、従来からの慣行として輸送情報事前公表を行ってきた自治体にとっては、この慣行を変えるということは大変なことであるというふうに私ども認識してございます。このため、当庁としましては、今回の措置に際して、自治体要請に応じまして地元に出向きまして、誠意を持って説明を行い、自治体理解促進に努めてきたところでございまして、これまでのところ、情報を公表してきた自治体においても、核物質防護重要性等、今回の措置趣旨は十分に御理解いただいているというふうに思っております。現に、既に一部地方自治体においては個別の事前公表をやめる等、公表方法を見直していただいております。  例えば、福井県に例を挙げますと、五月の八日、立地市町との協議の上に、個別輸送に関する事前発表を取りやめる旨、記者発表を行っておりまして、また島根県におきましても、島根県の場合には、事前公表を取りやめるためには県それから町、あるいは電力、こういったものの間で結ばれている安全協定申し合わせといったものの変更が必要であるということで、三者協議の上に、五月十五日に申し合わせを変更したという事実がございます。  こういったふうに、私ども、今回の措置に関しては、地元にとりましてはいろいろ大変なことであったということもございますが、一様に理解をしていただいているのではないかというふうに考えております。なお今後とも、自治体住民の皆様の一層の御理解をいただけるように努力をしてまいる所存でございます。
  15. 光武顕

    光武委員 今のお話では、核物質防護重要性について、国の今回の措置はわかるのであります。さらにまた、自治体それなり理解を示しているやに伺いましたけれども、しかしまた一方、新聞等によれば、原発に反対する住民から、地方自治の精神を踏みにじるような要請だと、公開を続けるように申し入れを受けたといったことも書いてあります。  確かに今までは、何月何日何時ごろ、どこそこを通るといったようなことが公開されますと、地域住民にとりましては、一方では、何といいますか、善意の住民にとりましては、そのことが実は、みずからそれに対する心構えなり用心なりということができるわけです。一方、これを仮に強奪しようという者にとりましては、この情報公開というのはその者にとっては非常に有用であるわけですが、しかしながら、どうも、今までやってきたことを打ち切るということになりますと、さてその心構えはどうすればいいんだというようなことで、住民が非常に不安感を持つのではないか、そういうふうにも考えられるわけであります。  そうした住民の、安全上問題があるという意見につきましてはどんなふうに考えているか、お尋ねしたいと思います。
  16. 坂内富士男

    坂内政府委員 核燃料輸送につきましては、IAEA国際原子力機関安全基準国内法令に取り入れまして、科学技術庁を初め関係省庁において厳格な規制を実施しております。これにより、輸送容器は、平常時はもとより、火災、衝突等を想定した事故時の条件下でも十分安全が確保されることが確認されておりまして、また、実際の輸送に当たりましては、交通事故等に巻き込まれることがないよう隊列輸送を行う等、細心の注意が払われておりまして、輸送の安全は十分に確保されているものと考えております。  現に、従来、安全協定に基づきましてこれらの輸送情報を入手し、かつ、それらを公表してこなかった大部分地方自治体において、核物質輸送安全確保につき特段の問題を生じたことはなかったわけでございまして、輸送情報連絡がないということにより住民の安全上の問題があるとは思っておりません。  核物質輸送情報に関する今回の措置は、輸送日時、経路等輸送にかかわる情報が不特定多数の者に公表等されないようにすることが目的でございまして、安全協定等に基づき輸送情報を入手している地方自治体に対しましては、十分な情報管理が行われるということを前提としまして、必要な情報が従来と変わることなく提供されるというものでございます。  いずれにしましても、今後とも、核燃料物質安全輸送につきましては万全の措置をしてまいる所存でございます。
  17. 光武顕

    光武委員 今回の措置については、事業者については通産省、それを輸送することにつきましては直接運輸省指導することになっておりますので、同じ問題について、どのような事業者指導を行っておるのか、通産省運輸省にそれぞれお尋ねしたい。
  18. 篠原徹

    篠原説明員 お答えいたします。  通産省は、核物質を使用いたします施設を有する需要者としての電気事業者を監督する立場でございます。かかる立場から、核物質防護に係る関係省庁の一員といたしまして、今回の措置につきましては関係省庁とともに検討を行ってきたところでございまして、本件に関する基本的な認識、考え方は、科学技術庁と全く同じでございます。  今回の措置は、科学技術庁核物質防護に係ります関係省庁調整当局といたしまして、関係事業者指導、あるいは自治体協力要請を行ったものでございますけれども通産省といたしましても、今回の措置が実効あるものとするために、電気事業者に対しまして、科学技術庁が発出しました文書に沿いまして適切な措置をとるように指導しているところでございます。
  19. 山内康勝

    山内説明員 お答えいたします。  運輸省といたしましては、核物質輸送情報取り扱いにつきましては、今回の措置核物質防護に関する国際的な動向などの観点からも必要なものでありまして、日時経路等の詳細な輸送情報取り扱いにつきましては、これを不特定多数に公表することは好ましくないという従来からの国の考え方を明確にしたものであるというふうに認識しております。このため、今回の措置に関しましては、当省も、関係省庁として妥当なものであるというふうに認識しているところでございます。  また、関係事業者に対する指導につきましては、科学技術庁から関係省庁を代表した形で協力を求める文書が出されておりまして、当省といたしましても、関係事業者に対する指導講習等の場を通じまして趣旨周知徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
  20. 光武顕

    光武委員 それぞれ関係省庁がありますが、取りまとめとして科学技術庁が行ったということであります。  いずれにいたしましても、今までの公開をやめるということでありますから、それだけに非常に大きな責任が政府にあるわけでありまして、仮にも事故が起きて、それが地域住民の損害につながる、こういうようなことになりますと、社会的に非常に大きな問題になると思うのであります。したがって、そうした輸送の安全に対して、科学技術庁長官大臣はどのようにお考えなのか、所信をお伺いしたいと思います。
  21. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お答えいたします。  ただいま安全局長それから関係省庁からもお答えを申し上げましたが、核燃料物質輸送につきましては、原子炉等規制法等の規定に基づきまして、科学技術庁を初め関係省庁国際原子力機関IAEA安全基準に準拠した厳正な規制を実施してまいったところでありまして、現在まで安全に輸送してまいっております。  ただいま委員から強く御注意がありましたが、今後とも、国民の皆さんに御心配をおかけすることのないよう、関係省庁連絡をとりつつ事業者指導徹底を期します等、輸送安全確保に万全を期してまいる所存でございます。
  22. 光武顕

    光武委員 最初に質問した、大きく分けます第二の点であります。時間がちょっと逼迫してまいりましたが、お許しを得て、あと二問ほどお尋ねしたいと思います。  原子力研究開発を進めていく上で大原則であります公開原則、これと今回の措置との関係をお尋ねしたいと思うのですが、今、情報公開の方向に世の中が動いておりますが、今回の措置はそれに逆行するという報道も見られる一方、こうした措置は当然必要という論評もあるのであります。輸送日時、経路等輸送に係る詳細な情報公開しないことは原子力基本法公開原則に反するのではないか、こういった疑問もあるわけでありまして、その点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  23. 坂内富士男

    坂内政府委員 原子力基本法の第二条には公開原則について書いてございますが、その公開原則は、原子力研究開発利用に関する成果を公開することによって原子力平和利用を確保するとともに、原子力安全性についての国民理解を深め、原子力研究開発及び利用促進に寄与するものでございます。しかしながら、公開原則の適用に当たりましては、従来より、財産権の保護、核不拡散等観点から、ノウハウ等商業機密、核不拡散上あるいは核物質防護上の機微情報、こういったものの取り扱いについては慎重に対処してきているところでございます。  なお、核物質輸送に関する詳細な情報が不特定多数の者に分散されないようにすることは、昭和五十六年の原子力委員会決定においても定められているところでございまして、我が国原子力平和利用担保観点から、核物質防護にかかわる機微情報公開しないということは公開原則に反するものではない、かように考えております。
  24. 光武顕

    光武委員 あと一問、最後に大臣にお尋ねします。  ただいま局長からお話がありましたが、核物質防護観点から何もかも非公開にするといったことについては、当然、地方自治体事業者住民からこれに対する不安が出てまいるわけでありまして、そういう面から申しますと、問題のない、安全性説明する情報についてはできるだけ公表すべきであるというふうに私は考えるのでありますが、最後に、この一点について大臣にお尋ねしたいと思います。
  25. 谷川寛三

    谷川国務大臣 今もお答えいたしましたが、今回の措置によりまして慎重に管理されるべき情報は、輸送日時それから経路、警備体制等、核物質防護上必要最小限のものでございます。核物質防護に名をかりまして、今お話がありましたように、いたずらに情報管理をすることを避けていかなければならぬことは当然のことでございます。  このような観点からいたしまして、核物質防護上問題のない、安全性等を説明する情報は、原子力に対する国民の皆さんの理解協力を得るために絶対必要なことでございますから、従来同様公表してまいります。
  26. 光武顕

    光武委員 時間がオーバーしましたことをおわび申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  27. 近岡理一郎

    近岡委員長 関晴正君。
  28. 関晴正

    ○関委員 ただいまの御質問に同様の質問をしたいと思うのですが、今度出されました情報に関する管理考え方なんですが、この考え方は何が一番の動機でこういうものをお出しになったのだろうか、安全局長にお尋ねします。
  29. 坂内富士男

    坂内政府委員 先ほどの光武先生の問いに対してお答えした内容の繰り返しになると思いますが、核物質防護核物質の盗取等による不法な移転を防止するとともに、原子力施設及び輸送中の核物質に対する妨害、破壊行為を未然に防ぐということを目的としておりまして、平和利用に徹し、安全に原子力活動を進める上で必要不可欠な措置でございます。  このような核物質防護に関しましては、国際的には核物質防護条約があり、また国内的には核物質防護に関する基本的な方針が原子力委員会で決定されておりまして、さらにまた、原子炉等規制法においても核物質防護措置が規定されております。特に核物質は、輸送中にある場合は原子力施設の中にある場合よりも不法行為等に対し脆弱性を有するということから、その防護対策には慎重を期すこととされておりまして、日時経路等輸送情報の詳細については国際的にも慎重な管理が行われているという状況でございます。  以上のように、核物質防護条約趣旨原子力委員会決定、諸外国状況等にかんがみまして、核物質輸送にかかわる情報を不特定多数に公表することは好ましくないというのが従来からの国の考え方でございまして、この従来からの国の考え方周知徹底するためにその文書を出したということでございます。  それからなお、なぜ今の時期にということにつきましても若干御説明しますと、これも先ほどの繰り返しで恐縮でございますが、最近のソ連邦の崩壊、あるいはまた朝鮮民主主義人民共和国における核査察受け入れ等の問題、それからまた我が国における原子力開発利用の進展に伴っての核物質輸送の増加傾向、こういったことから見まして、最近、各方面からの問い合わせもございまして、我が国国内における輸送情報取り扱いのあり方を明確にする必要が生じたというものでございます。
  30. 関晴正

    ○関委員 先ほどお答えしたようなことの繰り返しの答弁ならばしなくてもよろしゅうございますから。時間の不経済です。  私の申し上げたいことは、核物質防護条約ということから来て今こういう措置をすることにしたと申しておるようですが、この防護条約というのは今から数年前に日本も批准したわけですね。今日まで我が国においてこの輸送上においてのトラブル、それから、言うなれば核物質が盗まれた場合にどうなるかという予想、それらのことにおいて考慮せねばならないようなものは一つもないと私は思う。まさしく、今回のあなたの出した局長通達というものは平地に波乱を起こすようなものじゃありませんか。我が六ケ所村に六弗化ウランが輸送されるときのあの体制がけしからぬというのでこれを出したのですか。六弗化ウランというのは防護物質の中に入っていますか。それぞれ防護物質の中に区分されておる一、二、三というのがありますね。一、二、三のいずれにも属していないのですよ。アメリカにおいても、そういうような特別の情報を秘密にしておくというのは、まずまず区分からいけば一のことでしょう。区分一に該当するようなものが、今日、言うなれば自治体において約束され、安全協定において示された内容等において侵すようなものが何一つありますか。  今後、プルトニウムが輸送される、そのことに対処してこういうことにしたのだというならばそれはそれなりの理由もわかります。だがしかし、諸外国の例を見て今にわかにこの通達をしたということについては、私は、民主主義と平和主義に彩られている日本国憲法に基づいて国の政治を行っているこの立場からいけば要らないものじゃないか。諸外国の例といいましても、今述べられた諸外国の例というのは、いずれも核兵器を持っている国々でしょう。我が国は核兵器は持たない、非核三原則原則として、言うなれば核に対する方針を持っているわけです。原子力基本法においても大きくうたわれていることは自主、民主、公開でしょう。平和利用ということに徹しているわけですよ。  そうして輸送の問題だって、人にお任せしておけばきちんといくというならば別です。至るところにあなた方の輸送の対処の中には穴があいているじゃありませんか。六弗化ウランの輸送の問題だって、これは前にも委員会で申し上げましたよ。前、後ろには警備があるけれども横には全然ないじゃないか、横から衝突を受けたときにはどうなるんだ。これとて、言うなれば関心を持つ皆さん方が、この問題について安全裏に運送ができるようにということについての願いから、本当にそう行われるであろうかということで情報を得る、その情報利用してそれぞれ対処しておる。何も兵器をつくるために、これを盗んでそうしたものを製造するなんというようなことは全くないでしょう。あなたの通達というものを私は撤回すべきが至当だと思うのです。核保有国の国々立場我が国立場は違いますと言っていいんじゃないですか。  あなたの通達というのは、どこまで法的根拠があって効力があるのですか。これは自治体においても尊重をするあるいは拒否する、いずれの態度をとってもいいものだと私は思うのですが、その点について科技庁長官に、この文書を出すときに長官はどういう考えだったのか、科技庁長官というのは何の意見もなかったのか。少なくとも私は科技庁長官の考えからいけばそぐわないものだと思っているのです。長官の意思からいけばそぐわないから局長の名前で出したのじゃないだろうかとさえ疑わざるを得ません。非常にこの問題についての考え方が、安全ということを後ろにして核防というものを先にしてしまっている。そういう姿勢になっていることについてやはり問題があると思いますから、まず第一に、撤回すべきである、こう思うのですが、大臣のお考えをいただきたいと思います。
  31. 坂内富士男

    坂内政府委員 先生の今の最後の御質問の前に、ちょっと事実に関して誤解があるようでございますので御説明をさせていただきます。まず第一点は、六弗化ウランがいわゆるこの区分の中に入っていないのではないかというものでございますが、これはIAEAの勧告、INFCIRC二二五と言っておりますが、核物質防護条約、二国間協定等の国際約束を果たすために核物質防護に関する勧告が定められておりますけれども、その附属書の中で六弗化ウランも当然含まれております。  それから第二点目に、核兵器国のみであるという御質問に対しましては、先ほど全部の国を申し上げなかったかと思いますけれどもドイツ、カナダ、オーストラリア、これがいずれも事前、事後を問わず公表しておりません。  そういったことで、先ほどの繰り返しですのでもう申し上げませんが、要するに国内外の情勢等から見て、こういった時期にこのような文書事業者及び地方自治体指導または要請する必要があったということでございます。
  32. 谷川寛三

    谷川国務大臣 先ほど光武先生の御質問にもお答えいたしましたが、先生からも御指摘があったように、私はこの書簡がむしろ遅きに失したのじゃないかという気もしております。また、二、三の新聞の社説にも今度の輸送についての意見が出ておりましたが、そこでも同様の御意見が拝見されました。  今いろいろお話がありましたが、科学技術庁としましても、輸送実情をもう一遍見直しますと、各国が日本の核燃料関係の物質の輸送についてもっと厳重にやるべきじゃないかという不安感を持っておるようにも思いましたから、事業者、県に対しまして、もう一遍ふんどしを締め直すというつもりもありまして今度の書簡を出した次第でございます。
  33. 関晴正

    ○関委員 この問題について私は時間をかけるつもりはありません。ありませんけれども、とにかく国民とともに核物質については監視をする、これが基本になきゃならないと思うのです。それを、国民を排除してこれにかかわる専門的な方々だけで輸送の問題について当たるということは、私は根本的に間違っていると思うのです。  それから、先ほどドイツの国や他の国は核を持っていないという話で答えましたが、核を持っていないにしても軍事国家でしょう、軍事力を持っている国々でしょう。私どもの日本は、軍備は持たない国でしょう。そういうことからいっても、私はこれに対する態度というのは非常に過剰心配と申しましょうか、防護過剰思想と申しましょうか、そして国民の知らぬ間に輸送が行われて持っていこうという非常に悪い考えがここに含まれていると思うのです。  先ほどのお答えの中になかったこの通達、通牒の拘束力、法的根拠、これだけをひとつ示してください。
  34. 坂内富士男

    坂内政府委員 今回の通達の法的根拠いかんということでございますが、今回の文書につきましては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第一条の趣旨に基づきまして、核物質輸送に係る情報取り扱いについて事業者指導を行い、関係自治体に対して協力要請したということでございます。ちなみに原子炉等規制法第一条におきましては、「核燃料物質防護して、公共の安全を図る」というふうに規定されてございます。
  35. 関晴正

    ○関委員 聞いていることに答えてください。あなたの通達、文書の拘束力です。これは拘束力があるのかということと、尊重する、尊重しないはそれぞれの自治体において任せられていることであって、この自治体間に交わされた安全協定を踏みにじったり、これを破棄したりする、そういうような効果はないと思うのだけれども、どうですか。
  36. 坂内富士男

    坂内政府委員 今回の文書につきましては、事業者に対しては指導を行い、かつ、地方自治体に対しましては要請を行ったというものでございます。
  37. 関晴正

    ○関委員 午後の辻さんのところでこの問題についてはさらに詳しくまたお尋ねすることになっておりますから、私としてはその程度でおきますけれども、本当に希望しておきたいことは、民主主義の国家運営、平和主義の国家運営、他国と異なって平穏裏に、平和裏に今まで来ているものに、にわかに他国のまねごとをしてここに進まんとするこの考え方だけは私は適当ではない、そういう意味において出した文書であるかもしれないけれども、速やかに撤回することを要求しておきたい、こう思います。  次は、地震の問題について安全委員長にお尋ねをしたいと思うのです。  原子力安全委員長が今回、青森県の六ケ所における高レベルの廃棄物の許可をなされました。その許可をなされる中に、私ども最も関心のある地震の問題一この地震の問題についての対処の仕方が非常におろそかにされているのじゃないだろうか、こう思います。  と申しますのは、青森県における言うなれば設計用最強の地震、設計用の最強地震として位置づけたものが三つありますよね。一つは一九七八年青森県東岸の地震、それから一九〇二年の三戸地方の地震、そうして一九三一年の青森県南東方沖の地震、これが三つ選ばれているわけであります。この三つの地震が青森県の地方に一番大きく影響を与えたという認識でお取り上げになったのだろうと思うのだけれども、それ以上に大きな影響を与えたのは十勝沖地震だったと思う。なぜこの十勝沖地震をそういう対象の中から除いたのか、意味がわかりません。戦後において、福井の地震に次いで一番国民に、死傷者の数といい被害の実態といい大きな被害地震、この被害地震をわざわざ除いてこの三つの地震を対象としたということは、どう考えても理解ができません。  これは、原子力安全委員会ではこの問題をどう見たのでございましょうか。この地震は大した地震じゃないと見たとすれば、その根拠は何でございましょうか。先にその点を伺っておきます。
  38. 坂内富士男

    坂内政府委員 十勝沖地震に対する考慮の問題でございますが、一般的に地震による敷地への影響につきましては、地震動による敷地での最大速度振幅それから周波数特性によって決まってまいります。  六カ所におきます安全審査におきましては、過去の地震の中から敷地周辺に被害を与えた地震を調査しましたところ、耐震設計上必要となる設計用最強地震の選定に当たって、地震の規模それから震央の距離から推定される敷地での最大速度振幅と周波数特性から見まして、一九七八年の青森県東岸の地震、一九〇二年三戸地方の地震、一九三一年青森県南東方沖の地震の三つの地震の影響を考慮しておけば、一九六八年の十勝沖地震も含めた過去の地震による影響は包絡されるというふうに評価しております。  それで、なぜこれが包絡されるのかということでございますが、この十勝沖地震がこの三つの地震によって包絡されることの一例を示しますと、最大速度振幅で比較した場合には、設計用最強地震の対象として選定した三地震の一つである一九七八年の青森県東岸の地震の最大速度振幅が四・五八カインであるのに対しまして、十勝沖地震の最大振幅ははるかに小さい二・二〇カインにすぎません。  以上でございます。
  39. 関晴正

    ○関委員 この地震の大きさといい、この地震の強さといい、今指摘された内容であなた方は間違いないと思っておられるのですか。あなた方の方で取り上げている、資料にしております宇佐美さんの被害地震の実態、この中にも一番大きな地震というのは十勝沖地震とされているでしょう。あなた方の出しておる三つの地震というのは、そういう被害地震からいけば除外されているほどの弱い地震でしょう。ガル計算でやってみますと、測定値と実測値において大きな違いがあることは御承知のことだと思うのですが、どれだけの違いがございました。お答えください。
  40. 坂内富士男

    坂内政府委員 先生の今の御質問の趣旨がいま一つちょっとよく理解できないのでございますが、もしその質問の趣旨が、宇佐美資料では六というふうに震度がなされておるにもかかわらず、安全審査では過小評価をしているのではないか、こういう御質問でしょうか。――もしそうであるならば、私どもはそういうことではございませんで、結論的に申しますと、六ケ所の安全審査におきましては震度階五というふうに評価してございます。
  41. 関晴正

    ○関委員 あなたたちはこの地震の問題について、十勝沖地震についての資料をどこまで調べました。震央の距離の問題で甘く見たのじゃないですか。測定値としてのガルの計算と実測値としてのガルの計算とが五倍も六倍も違っていませんか。どうしてこんな違いが出ると思っておられます。その分析はどうなされました。何でそういう差が出てきたと思っておりますか。お答えください。
  42. 坂内富士男

    坂内政府委員 私どもはこの安全審査を行う立場でございますが、十勝沖地震につきましては、気象庁から敷地を含む青森県東部地方の震度階は五というふうに発表されておりまして、申請書の記載にもそのように書いてございますし、安全審査におきましても、この気象庁の発表とおりに震度五というふうに評価をして安全審査を行ったわけでございます。
  43. 関晴正

    ○関委員 青森県で発表している内容においても震度六に近い、また震度六の場所もある。ところが、あなた方はこの震度を四と見ていたのでしょう。何でそういう見方をしたのかということのウイークポイントは何だと思っています。ガルにかかわる測定値とガルにかかわる実測値の違いというものを御存じですか。わからなかったら教えてあげますが、御存じだったら答えてください。
  44. 坂内富士男

    坂内政府委員 少し行き違いがあるようでございます。先ほどからの繰り返してございますが、先ほど十勝沖地震の震度階を四というふうに評価しているのではないかという御指摘に対しましては、申請書にマグニチュードデルタ図といったものがございますが、つまり縦軸にマグニチュードを書き、横軸に震央の距離を書いて過去の地震のデータをプロットしますと四に当たるような部分にそれが入っておるということの御指摘があったわけでございますが、私どもこれに関しましては、過去の地震がいわゆる気象庁による震度階発表のない古い地震につきまして、つまり言いかえますと、古文書を調べても敷地での被害の情報が乏しいといった地震につきましてその震度を推定するためのものでございまして、文章上には気象庁の発表とおり五というふうに評価されてございます。  なお、先ほど十勝沖地震でカインのデータを申し上げましたが、私どもはそちらで評価しているということでございます。
  45. 関晴正

    ○関委員 申し上げましょう。  十勝沖地震は、八戸において二百二十五ガル、青森において二百八ガル、室蘭において二百五ガル、これはいずれも六に近いということになりますね。五の真ん中、つまり八十と二百五十の真ん中は百六十五ガルなんです。ですから、二百五ガルというと六に近い震動なんです。一九六八年の十勝沖地震の際は、青森県東部地方の震度は六に近い五になったところが青森や八戸などであったわけです。  ところが、あなた方の方は、この申請によると、敷地における一九六八年十勝沖地震の震度は四の中間に入っている。四は二十五ガルから八十ガルまでだから、四の真ん中というと五十二・五ガルということになる。しかし、実測値は今申し上げたように八戸では二百二十五ガル、青森では二百八ガル、こういう不一致は一体どういうことなのですか。今あなたはカインで答えたから、ガルについては考えてないと言いましたが、こういうようなガルにかかわるデータがあるわけなのですから、このデータを無視するのですか。八戸の二百二十五ガルですよ、青森の二百八ガルですよ、室蘭の二百五ガルですよ。これは大変な震動でしょう。震度でしょう。  そういうことについて、あなた方は計算値では何ぼと見たのですか。四と見たというのであれば、二十五ガルから八十ガルまでの間だから、真ん中をとったとしても五十二・五ガル。五十二・五ガルと計算値を見て、そうして実測値であるところの二百八ガルというものをどうして捨てたのですか。なぜ計算値でやったのです。なぜ実測値でやらないのです。どうしてこういうことが生じたと思っておりますか。お答えください。
  46. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 大変技術的な事項でございますので、若干補足の説明をさせていただきます。  前にも一度先生に御説明したかと思いますけれども、安全審査におきます地震の審査につきましてはS1地震動、S1地震動という理論式を使ってやっております。これは、その地域で起こりました地震の周期の大きいものが被害を受ける場合あるいは震動数が大きくて被害を受ける場合とかいろいろなケースがございますので、その中の細かい周波数分析ですとかそういうものをいたしまして、一番シビアなものを拾うわけでございます。  それから、局所的に遠くで起こりましても、実際はそういう計算というのは施設をつくります場所においての影響度ということで評価をするわけでございまして、それが先ほど私ども局長説明しておりますように、S地震動の計算をする場合には今言いましたカインという数字を使っておるわけでございまして、数字で言いますと、四・五八カインのほかの地震をカバーしておりますと、先生御指摘の十勝沖地震はその約半分以下でございます二・二〇でございますので、これをカバーしておけば十分である。なお、このような周波数を出しますと、それに従いまして原子力施設はその震動にたえるように建物自身もつくりますし、施設もその震動に対して十分たえるような耐震性を持たせて設計するということでございますので、今御説明がありましたようなガルで設計をいたしておりませんので、このカインを使っているということでございます。
  47. 関晴正

    ○関委員 一番大きな地震をわきに置いて、それよりも弱い地震を中心に据えた。結局十勝沖地震にかかわる分析をあなた方は弱いものとしたのでしょう。ところが、これまで出ている資料によると、一番強いのは十勝沖地震となっているじゃないですか。宇佐美さんの出している資料によっても明らかでしょう。一番大きな被害地震の中に入っているじゃありませんか。あなた方が対象とした三つの地震やなんかは入ってないでしょう、順序からいけば。地震の権威者が発表しているものとあなた方が今言ったことで持ってきているものとでは何でこんな差があるのか。  これは、測定の方法において一番大事なところのあの地域の地盤というものと震央の深さというものについて全然配慮しなかったからでしょう。十勝沖地震の震央の深さは何ぼありましたか。深さに関係なくカインが出ている。深さに関係なく測定してガルをはかっている。そこに問題があるのでしょう。  そういう点からいけば、私は、あなた方の地震に対する調査と地震に対する審査というものについて、大きな間違いといえば言葉が過ぎるかもしれませんが、見落としと言った方がいいのかね。だけれども、あなた方の方で言い切っているでしょう、この三つの地震が一番強い地震であったって。大変に欠けているじゃありませんか。もしこの話がうそだというならば、うそだということでお話ししてください。  宇佐美さんについての文献をどこまで調べたのですか。また天文台で出している文献をどこまで調べたのですか。全部原燃産業が出したもの、原燃サービスが出したもの、それをそのままうのみにしてあなた方は審査したのでしょう。独自に調査するという立場を忘れているのじゃないですか。  さっきのガルの差について、それから今申し上げたことについて、反論があるならしてください。
  48. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 これも先生、多分申請書を全部ごらんになっての上の御質問だと思いますので御承知かと思いますが、私どもが三地震を選びましたのは、最終的にデータとして出すための地震として三地震を選んだわけでございますが、その三地震を選択するに際しましては、今御指摘のような地震も含めまして、宇佐美カタログに書かれております地震も含めまして書いてございまして、どういうものを資料として集めたかということも申請書に書いておりますので、それはごらんになっていただければ明瞭にわかることかと思います。  その中で、施設に対して影響度の高いどれを代表選手として選んだらそこの施設安全性が評価をできるかという検討をいたしまして、その結果として三地震を選択したわけでございます。もちろん、その三地震を選びます場合には、ほかの地震をすべてカバーをしているという評価をした上で三地震を選んでおりまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、例えば十勝沖地震の場合には、カインで比較をいたしますと半分以下になりますので、別の地震で十分代用されているということでございます。  この選択の過程におきましては、先ほど御質問がございました地震の発生した場所からの距離でございますとか深さでございますとか、あらゆる要素を含めまして地震の強さを選択し、その結果として三つの代表選手を選んだということでございますので、その上で、三つの選んだ地震がほかのものよりもシビアなものを選んでいるというように判断をしているところでございます。
  49. 関晴正

    ○関委員 何のお答えにもなっていません。では深さは幾らであったのですか、十勝沖地震の深さ。
  50. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 手元の資料でございますと、ゼロキロメーターということになっております。
  51. 関晴正

    ○関委員 審査の際に、ゼロメーターということを吟味の対象にされましたか、されませんか。お答えください。
  52. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 このゼロと書いておりますのは、ですから非常に厳しく評価をしているというふうに御理解いただきたいと思います。
  53. 関晴正

    ○関委員 厳しく評価をしたというのは、そこの答弁でそうかもしれぬけれども、この十勝沖地震が一番大きな強い地震であったということは、一番の原因は何かといいますと、震央の深さがゼロメートル、非常に浅いということなのです。だから一番大きな地震、災害をもたらしたのでしょう。それをあなた方は、遠い距離のことであるからと言って片づけたり、それからカインが幾らか弱いからと言って片づけたり、カインの測定方法が正しいものでもないのです。深さだとか地盤だとかという関係を忘れて測定しているところに大きな欠陥があったと思うのです。  測定値と申しましょうか、あるいは想定値、計算値と申しましょうか、それと実測値がこれほど明確に違うというこの内容はわかっておりましたか。わかっておったか、わかっておらないか、そこだけ答えてください。
  54. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 先ほども説明申し上げましたように、当然こういうデータがあるということは存じ上げた上で、私ども今の計算をしておるわけでございます。  ただ一何回も御説明申し上げますが、私どもの審査をやります場合の一番シビアな条件といいますのは、建物あるいは機器に対してどういう影響を及ぼすかということを含めて審査をいたしておりますので、そういう観点から見たシビアさで評価をしているということでございます。
  55. 関晴正

    ○関委員 何でこの質問をするかといえば、この強さに対する分析と実態についてきちんと把握しておれば、高レベルの廃棄物にしても、濃縮ウランの工場の許可の問題にしても、あるいは再処理工場の問題にしても、大きな前提がここに確立した上での判断ということになるわけですよ。  ところが、あなた方は、これを初めから、それは六つの中に入れてはみたでしょうけれども、最強地震の三つの中には入れていないでしょう。入れていない理由は何であったかといえば、あなた方も正直に答えた方がいいと思うのですが、深さを考えなかった、それから地盤についても考慮が足りなかった。あそこの地盤は軟盤ですからね。そういう地盤と深さの関係において、地震の強さというものについての計算があるいは配慮が欠けておったと思うのです。だから設計用最強地震からこれを除いたと思う。  ところが、このような地震がこれまでどれだけ起きているか。百年前にも二百年前にも起きているわけですよ。あの場所は百年に一遍ぐらいこのような大きな地震が来るところなんです。そういう計算をしますと、これが起きてからもう二十何年たっておりますから、あと七十年もすればまた大きな地震が想定されるであろう、こう見るわけであります。  そういうふうに思いながらやると、この許可に当たってはもう少し吟味しなければならない。そういうものについての配慮がもっと慎重に起こってくるはずだと私は思うのです。  ですから、この点について、どう見ても今回の地震にかかわる扱いについては大きな欠陥があった、私はこう思うのですけれども、安全委員長、どうですか、これ。――いや、安全委員長に聞きます。
  56. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 前にちょっと補足説明をさせていただきたいと思います。  先生今御指摘の数字につきましては、先般六ケ所村でこの審査をいたしまして、安全委員会主催の公開ヒアリングがございましたが、その席上ではこういう緑のパンフレットをお配りいたしまして、先生のお手元にもお届けをしたわけでございますけれども、例えば四十四ページをごらんいただきますと、六つの地震をリストアップいたしまして、今先生御指摘の十勝沖地震二・二〇カインがほかの地震と比べて低いものであるということ、なぜ我々が三地震を選んだかということを明確に資料に書いてございます。  それから、次の四十六ページに図面が出ておりますけれども、ここには地震の加速度と周期をとりまして、私どもが必要とします地震の加速度及び周期がどの地震はどういうレベルであって、実際の審査にどういう数字を使っているかということも表にして、十分御納得いただけるような資料をつくって御説明をしておるところでございますので、我々としては、こういう理論的な数字をきちっと整理をして審査をしているということを御理解賜れたらと思います。
  57. 内田秀雄

    ○内田説明員 耐震設計につきましては、今の次長の説明で大体尽きると思いますけれども、要するに歴史上大きな影響があった地震を全部リストアップいたしまして、記録のあるものについては、震央距離とか震源までの距離とか、深さも出てきましょうが、それをもとにしてマグニチュードを推定するわけでありますが、歴史上の地震をすべて包絡してS1の地震動というものを決めるわけでございますのでありますから、建物に関与する設計基準地震動は、歴史上の地震をそのまま直接受けているわけではございませんで、歴史上の地震の影響をすべてカバーするところでS1の基準地震動を決めるわけであります。  S1の基準地震動は、速度振幅を使うことが最近というか新しい耐震設計審査指針で決められておりますが、古くは加速度でございました。でありますから、現在は、先ほど来招請にありましたように速度振幅何カインで決める。それから、あと地震波を推定するわけであります。そのようなことによりまして、動的な影響も含めて歴史上の地震が全部カバーされるというのがS1の基準地震動であります。  さらに、時によりましてS1にも影響しますが、S2地震動を決めるときには、地震地体構造あるいは活断層の影響を含めましてS2地震動の基準地震動を決めるわけでございます。  でありまして、基準地震動を決めるときには、専門家の判断も当然入るわけでありますので、安全委員会としますと、審査会の専門家グループの最終判断によりましてそれの妥当性を評価しているところでございます。
  58. 関晴正

    ○関委員 とにかく、最強地震の中から最も最強であるところの十勝沖地震を除いた理由というのは、今のお答えでは理由にならない。  先ほどそれぞれの地震のカインの報告がありました。この報告によりますと、一九〇二年の三戸地方の地震は四・三〇カイン、一九三一年の青森県南東方沖の地震は三・七五カイン、一九四五年の八戸北東沖の地震は三・七七カイン、そして一九六八年の十勝沖地震は二・二〇カイン、一九七八年の青森県東岸の地震は四・二二カイン、つまり、十勝沖地震は二・二〇カインだからこれはもう話にならないとして片づけたのです。  こういうカインの算出の仕方というものは、深さが計算から除かれているのでしょう。どうですか、お答えください。
  59. 内田秀雄

    ○内田説明員 カインの計算の中には地震の場所、すなわち震源距離、深さ、震央距離でありますが、それとマグニチュード並びに地質、これはどういう地質であるかという地震波の伝わり方を考える上での地質でございますのでありますから、深さのわかっています歴史上の地震であれば、これはもちろん深さというのはその当時の推定でありましょうが、深さが与えられております歴史上の地震であれば、震源地と震源距離との関係で震央距離が出ます。したがいまして、マグニチュード、震央距離を使うわけでありますが、深さのはっきりいたしません場合には、深さをゼロとする方が厳しい影響を与えますので、震央距離、すなわち震源距離と同じというふうに扱っておるわけでございます。
  60. 関晴正

    ○関委員 もう一遍確かめますが、深さが計算されてカインが構成されているというお答えですか。
  61. 内田秀雄

    ○内田説明員 私の理解では、深さを計算するというのは、これは歴史上の地震で、どの場所でどういう震度階がある、どの場所ではどういう震度階があると、大体地震の位置、要するに震源はわかるわけであります。その震度階をもとにしましてマグニチュードと深さとを推定するわけであります。現在のような地震の知識並びに地震の測定網が進んだ場合には、恐らく深さももちろんわかりますし、震央距離もわかると思いますが、歴史上の地震では、ごく最近のものでも深さを直接測定するということにはなっていないだろうと、これは私の余り専門家でない理解かと思いますが。でありますから、深さが不明確であれば、これは震源距離をそのまま使えば非常に近いところで地震が起こったのと同じことでありますので、厳しく扱うことになるわけであります。
  62. 関晴正

    ○関委員 ただいまのお話は、カインの計算に当たっては深さの計算をしておらない。  それではガルの違いというものはどう見ますか。実際にガルが、今最強地震とした三つの地震よりも、そちらの方がガルが大きい、よって被害地震として、また強い地震として位置づけられているわけですよ。ですから、委員長はガルの計算について測定値を重んじ、実測値を重んじないという考え方があったとすれば、これは考え直さなければならないんじゃないでしょうか。これについてはどう思いますか。
  63. 内田秀雄

    ○内田説明員 今関委員のおっしゃることが、測定値と実測値との違いというのがよくわかりません。  ガルは震度階、すなわち歴史上に例えば墓石が壊れたとか、そういうようなことから震度階なりその場所でのガルを推定するわけであります。原子力発電施設に与えます古い指針であります加速度というのは、今考えております速度と震動数との関係で出るわけでありますが、現在の耐震設計の知識からいいますと、速度振幅を与えた方がより技術的に正しいというような専門家の意見でございますので、最近の耐震設計審査指針では速度階、カインを与えることになっております。カインを与えますと、当然そこからまた計算されまして加速度が出るわけであります。
  64. 関晴正

    ○関委員 実測地の話と、さっき測定値と言ったのは計算値のことでございますので、それで御理解いただきたいと思います。測定値と言ったのは計算値のことでございました。  そこで、計算値のガルと実測値のガルとがこんなに違っておるということから見れば、これは大変な地震であった、しかも何よりも強い地震であったということは委員長も御理解いただけますね。どうですか。
  65. 内田秀雄

    ○内田説明員 私は実測値と推定値のガルの比較をしているわけではございませんで、歴史上の地震の影響を全部包絡するところで基準地震動を決めるということでありまして、したがいまして、基準地震動を決めたという専門家の判断のところに歴史上の地震の影響がすべて入っているわけであります。個々の歴史上の地震を直接使っているわけではございません。
  66. 関晴正

    ○関委員 とにかく、きちんとした調査と実態に即してこの十勝沖地震というものを位置づけて当たってもらえれば一番よかった、しかし、そういうようなことについては大きな欠陥があった、私はこう思います。そういう意味においては、今私が指摘した点について再度御検討していただきたいと思うのですが、この点についてはもう絶対検討はしないという態度ですか、どうですか。
  67. 内田秀雄

    ○内田説明員 既に安全委員会として審査、ダブルチェックも終わっているものにつきましては、詳細その審査の過程を調査したいと思います。現在、再処理施設のダブルチェックをしておりますので、関委員の御発言も含めまして検討したいと思います。
  68. 関晴正

    ○関委員 とにかく過ぎたことであるといえども、指摘されたことについては御検討してもらいたい。こういうことで、ガルの問題とカインの問題、それから深さの問題、地盤の問題、深さと地盤を離れての計算値のあり方の問題、それぞれあると思いますけれども、いずれにしても戦後二番目の大きな地震であった十勝沖地震というものを外して事を進めたということについては問題があると思いますので、再検討していただくことを希望申し上げておきます。  その次は、今回、安全委員長は高レベルの廃棄物の問題について我が青森県の六ケ所村に設置されることを至当なりとしての線を出されました。まことに遺憾であります。遺憾である最大の理由は、この高レベル廃棄物についてどのような分析をされたのだろうか、ガラス固化体についての仕様がどの程度把握され、そして分析したのだろうか。このガラス固化体に対する仕様についてフランスと、またイギリスと、それぞれ日本との間においては話し合いがなされて、仕様についての文書の交換もなされたのでございましょうか。まず第一にこれを伺います。
  69. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  高レベル返還ガラス固化体の放射能濃度あるいはまた発熱量についてどのように評価したかというふうに御質問の趣旨を受け取りました。この六ケ所事業所における廃棄物の管理事業の安全審査におきましては、フランスのコジェマ社あるいは英国のBNFL社から電力会社に示されているガラス固化体の放射性物質の量及び発熱量等の仕様をもとに、当該廃棄物管理施設について放射線遮へいの設計の妥当性、貯蔵設備の貯蔵容量及び冷却機能等のほか、本施設に起因する一般公衆の線量当量が合理的に達成できる限り低くなっているということを確認しております。例えば冷却能力につきましては、提示された発熱量に基づきまして、廃棄物管理施設の収納管の内部に収納されたガラス固化体が適切に冷却されることをモデル試験の結果等により確認しております。  なお、今回の管理事業の許可に当たりましては、仕様そのものの可否といったものが安全審査の対象ではございませんで、先ほど申し述べましたように、再処理事業者から提示された仕様でもって十分安全にこのガラス固化体が管理できるかどうかといったものがいわゆる安全審査のポイントということでございます。
  70. 関晴正

    ○関委員 ちっとも聞いていることに答えていませんね。ガラス固化体の仕様について、日仏間で、また日英間で合意されたのですか、されてないのですか。されているならば、その内容を公開してください。
  71. 塚腰勇

    ○塚腰説明員 お答えいたします。  先生の御指摘は、いわゆる仕様承認とは何かということだと思いますけれども我が国電力会社九社プラス原子力発電会社がございますけれども、ここの我が国電力会社は、軽水炉の使用済み燃料の再処理をフランスのコジェマ社それからイギリスのBNFL社に委託する契約をそれぞれ昭和五十二年及び五十三年に締結をいたしております。  この契約によりますと、再処理事業者は再処理に伴って発生します廃棄物を我が国に返還する権利を有しておりまして、再処理実施に先立ち、廃棄物の仕様を示すことになっております。これらの再処理により発生します廃棄物のうち、まずフランスのコジェマ社のガラス固化体の最終仕様が昭和六十一年に各電力会社に提示されまして、この固化の各電力会社に返還する権利を行使する旨の通知がなされております。これを受けまして、各電力会社はコジェマ社よりの提示のあった最終仕様に関し検討を行いまして、海外における再処理の実施と、それに続きます廃棄物の円滑な受け入れと貯蔵が問題になるということから、国として安全委員会の方針に基づきまして、これの当該廃棄物が我が国において安全に貯蔵し得るものであるかどうかの見通しに関しまして、電気事業者からその検討結果についてチェックを行いまして、六十三年に電気事業者に対してその検討結果が妥当であるという旨の回答を行っております。
  72. 関晴正

    ○関委員 もっと簡単に答えてください。  仕様についての両国の合意が成ったのですか、成らないのですか。そして仕様についての内容は公開するのですか、しないのですか。今日何を対象としてあなた方は安全審査をなされたのですか。仕様が対象じゃなかったのですか、どうなんです。
  73. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 安全審査の仕組みを少し御説明させていただきたいと思います。  まず、安全審査と申しますのは、こういうスペックのものが施設の中へ入ってまいりますという申請に基づいて審査をいたしますので、当然その審査の段階では、こういうスペックのものであるというのは申請者が出してきたものでございます。したがいまして、これ以外のものが入ってきました場合には法律的には当然受け入れないということでございますので、フランスとの間に合意があろうがなかろうが、安全審査には何の関係もございませんで、その審査で安全が確保できるかどうかという観点で審査をすれば十分であろうというふうに考えております。  それから、ただ実際に入ってまいります場合には、当然審査をしました前提条件になっておりますスペックを満足しているかどうかということを確認の必要がございますので、これは別途、法律上輸入の際に確認の制度がございますし、事業者事業者としまして、受け入れの際に自分が宣言したスペックに合っているということの受け入れ検査をやることになっております。  これが法律的な制度でございますが、それに加えまして、今申し上げましたように、フランスの方からは別途電気事業者の方にあて処理するスペックの問い合わせがありまして、それに対しては、今の法律上の枠組みとは別にスペックの打ち合わせがあって、両国で相談がなされているというのが事実関係でございます。
  74. 関晴正

    ○関委員 実際にこれが安全であると安全委員会が線を出したわけですね。それでしたら、ガラス固化体の仕様について当然公開していいと思うのです。どうです、公開するのですかしないのですか。されているのですか、それともされていないのですか。できておるのですかできてないのですか。
  75. 坂内富士男

    坂内政府委員 返還ガラス固化体の仕様について、それが公表されているか否かという御質問でございますが、これは公表されてございます。先ほど来御説明ありましたが、公開ヒアリングがございましたが、それのときに参考資料としまして配付しました資料の中に、このガラス固化体の仕様ということで、例えばガラス固化体一本当たりの放射性物質の最大量、アルファ線を放出する放射性物質につきましては三・五掛け十の十四乗ベクレル、アルファ線を放出しない放射性物質につきましては四・五掛け十の十六乗ベクレル、あるいはまた、ガラス固化体の発熱量につきましては、ガラス固化体一本当たりの最大発熱量二・五キロワット、平均発熱量につきましては二・〇キロワット以下、ガラス固化体の最大重量五百五十キログラム・パー・本というふうに公開されてございます。
  76. 関晴正

    ○関委員 聞いたことに答えてくださいよ。仕様については公開するのですか公開しないのですか、できているのですかできてないのですかと聞いているのです。そのことをまず答えてください、公開する意思があるのかないのかもあわせて。
  77. 坂内富士男

    坂内政府委員 先ほど公開ヒアリングの配付資料に公開されているということを申し上げましたが、それに加えまして、この申請書、「六ケ所事業所廃棄物管理事業許可申請書」、この五の一の二十一ページ、第一の六の一表に「ガラス固化体の放射性物質の量及び発熱量の仕様」ということで公開されております。
  78. 関晴正

    ○関委員 青森県で出した「原子燃料サイクル事業に係る安全性について」というのがあります。これをずっと見ますというとおしまいのところにこう書かれている。ガラス固化体の仕様を満足していることが必要である、仕様の確認の方法と実施はその意味において極めて重要である、こういう指摘があるわけであります。また、お知らせしている内容もあるわけであります。そこで、私どもその仕様を見たいと思うのです。見せていただけますか。
  79. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 先ほども説明しましたように、仕様がこういうものであるということは申請書に書いてございまして、これは国会図書館にもございますし、資料公開室にもございますので、いつでもごらんいただけましたらと思います。  ただし、今、青森県の報告書の中に確認が重要であるという御説明があったとお聞きいたしましたが、これにつきましては、先ほど私御説明申し上げましたように、審査はこういうものが入ってくるという条件を示して審査をいたしておりますが、実際に搬入します場合にはそのとおりの仕様になっているかどうかということを確認する必要があるということでございまして、これは先ほども説明しましたけれども、実際に許可をしまして建設を終わりまして、そのものが現に入ってくるときに国の方も輸入の確認ということでいたしますし、事業者も自分が宣言したとおりのものである、それを超してないものであるということの受け入れ検査を当然やるわけでございまして、そこが非常に重要な問題であるということを述べたということでございますので、内容については今御説明しました申請書に書いてあるものをごらんいただけましたら、これを超えないようにということが明確に御理解いただけるかと思います。
  80. 関晴正

    ○関委員 具体的に聞きますけれども、安全委員会として濃度の高いそうして温度も高い、そういうガラス固化体を実際にどの程度吟味されたのですか。高レベルの廃棄物を混入してガラス固化体をつくられたのだ。フランスにおいてもイギリスにおいてもつくられたと言っているのだ。つくられたそれぞれの内容について我が国においてどういうテストをされたのですか。実際にどういう内容のテストをされましたか。お知らせください。
  81. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  ガラス固化体の仕様の主なものといいますと、先ほど来申し上げておりますように、放射性物質の量及び発熱量等がそのポイントだと思いますが、例えば冷却問題につきましては、提示された発熱量に基づきまして廃棄物管理施設の収納管の内部に収納されたガラス固化体が適切に冷却されることをモデル試験の結果及び解析によって確認してございます。
  82. 関晴正

    ○関委員 実際に、使用済みの燃料、高レベルの廃棄物が混入されたガラス固化体というのはやったのですか。テストをしたと言うならば、いつ、どこでおやりになったのですか。フランスで言っていることやイギリスで言っていることをそのまま受けただけじゃないんですか。安全委員会として実際にそれをおやりになりましたか。やったと言うならばそのテストの内容を具体的に示してください。
  83. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 ガラス固化体の一般的な状況につきましては、例えば日本におきましても動燃事業団等で基礎研究をやっておりますし、原子力研究所でも基礎研究をやっておりますし、フランスの基礎的なデータも入手いたしまして、安全審査をやっていく上での十分なパックデータは我々持っておると思っております。  当然、先ほども説明しましたように、安全審査といいますのは、こういう条件のものが入ってきたときに安全かどうかということで審査するわけでございます。それとは別に、本当にそのとおりなっているかどうかというのが先生の御心配がと思いますけれども、その点につきましては、先ほど来御説明を申し上げておりますように、受け入れる際に、例えば核種ごとの放射線量が申請書に書いてあるとおりになっているかどうかとか、ガラスの強度がそうなっているかどうかとか、きちっとしたキャニスターに入れられているかどうかとか、あるいはキャニスターに傷がないかどうかとか、いろいろな問題がございますが、そういうものは別途、後ほど実施します確認の中で実施するということで、これはまた入ってきたときに現物で確認しないといけないわけでございますので、その時点で行われるということでございます。
  84. 関晴正

    ○関委員 少なくとも安全委員会が、青森県の六ケ所村にそういうものが来ても心配がない、こう言う以上は、その実態についてのテストもしておかなきゃならないでしょう。何のテストもしない、そうして送られてきたときに見る、これは大変な欠陥の審査じゃありませんか。しかもフランスにおけるガラス固化体の内容あるいはイギリスにおけるガラス固化体の内容、これは我が国の軽水炉における使用済み燃料の再処理の結果の内容とは濃度において相当に違うでしょう。ガス冷却炉において扱った使用済み燃料の燃焼度だってずっと違うでしょう。燃焼度が違う、したがって温度も違う。そういう内容のもののデータで我が国へ送られてくるものについての吟味をして、何ともありませんなんというのは何と非科学的だろうと思うわけです。  しかも、動燃が今度新しく実際に高レベルの廃棄物を入れたものを百グラム実験に供しよう、こう言っておりますよね。こういうデータなんかも先にとるべきデータじゃないのでしょうか。許可してしまって、許可の後において今度はそういうような実験をしてみたい、こう言っておるわけであります。これは動燃独自の話だから、動燃としては検査にかかわりなく、審査にかかわりなくとにかくガラス固化体百グラム、高レベルの廃棄物を入れてやってみたい、こう言ってますよね。こういうことを見ますというと、原子力安全委員長がおとりになった高レベル廃棄物、結構でございますというこの審査の結果の許可というものは早過ぎたのじゃないでしょうか。その点どうです。原子力安全委員長に聞きます。
  85. 内田秀雄

    ○内田説明員 通称ガラス固化体の問題でありますが、安全委員会のもとの専門審査会の審査の過程で、このガラス固化体を安全に管理するために、これが仕様とおり作成されていることが前提であると申しておりますが、もちろん専門家の知見としてはそういうものができる可能性が十分あるという判断が中にあるとは思っております。  そこで、原子力安全委員会は、この審査結果を報告する際に、ガラス固化体中の放射能濃度及び発熱量の決定方法について所管行政庁が確認する必要があるということで、この確認の事項は安全委員会の審査の後の安全規制行政において担保されるものと理解しております。
  86. 関晴正

    ○関委員 動燃の行う実験というものと安全委員会で今お答えしたお答えというのは、これは何の関連もないことですか。
  87. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 先ほど来御説明しておりますが、具体的な確認の方法については、許可の際に安全委員会からも御指摘を受けまして、私ども既に案をつくっておりまして、これを再度安全委員会に御報告して御了解を得て、そのやり方で今度確認していくということでございます。
  88. 関晴正

    ○関委員 何度も申し上げますけれども、濃度の問題、温度の問題、そうして我が国において濃度の問題については、とにかく相当な量まで与えてみて、その結果大丈夫だ、こう言っているようですけれども、温度がその際には何ら調査の対象の中に入っていないんじゃないですか。温度も含めて、そうして大丈夫だというテストは、データございますか。
  89. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 これは先ほどの仕様のところに御説明してございますように、まず放射線につきましては、核物質ごとの限度が書いてございますし、温度につきましても当然、これ以上ないことという温度の制限値がございます。
  90. 関晴正

    ○関委員 いろいろ問題がたくさんあると思います。しかしながら、あなた方はこれを許可してしまって、私どもの青森県につくるということを認めてしまっておるわけです。でも、この高レベルの廃棄物にはいろいろと問題がある。いろいろと問題があるけれども、とにかく青森県に投げ捨てよう、ここに高レベルの廃棄物をとにかく投げ捨てよう、そうして最終処分地というものがどうなるのか、最終処分地というものが何にも定まらないままに、青森県にまずとにかくほうり込むんだ、これが先行しているわけですよね。  最終処分地というものも決めた上で、そうして最終処分地というものの内容も吟味した上で、中間貯蔵地ということでこうするというのが少なくとも行政におけるあり方じゃないだろうか。また、安全審査委員会だって、その見通し、将来というものについてもきちんと審査をして、見て、おしまいの落ちつくところはどこなんだということも示されて事を判断するのが至当ではないだろうか、こう思うんですが、最終処分地というものとこれと別個なものなりと、こう考えたままこれを認めている。延長線上にあるものを示すことのないままにこれを認めている。これは大変な、何と申しましょうか、許可のあり方において弱いんじゃな。いでしょうか。  青森県においては、一番心配しているのが、このまま居座り続けるんじゃないだろうか、最終処分地もまたあそこのままになってしまうんじゃないだろうか、こう心配しておるんですが、その心配はありませんか、ありますか。ないと言いたいならば、どうしてないと言えるか、これについての考え方もひとつ、これは安全委員長でしょうね、お答えするのは。お答えいただければと思います。
  91. 坂内富士男

    坂内政府委員 廃棄物管理事業の許可につきましては、申請者からは、本事業が最終処分が行われるまでの間において管理を行うということを目的としたものでございまして、私ども立場からいたしますと、同事業の許可に関する安全審査ということにつきましては、最終処分の可否、こういったものにつきまして、それを何か見越して安全審査を行っているという立場ではございません。  つまり、許可のいわゆる審査に当たりましては、このいわゆる廃棄物管理施設の立地条件、航空機対策、耐震設計等々につきまして厳正な審査を行って、安全上支障がないというふうに判断し、許可をした、こういうものでございます。
  92. 石田寛人

    ○石田政府委員 今の安全局長の答弁に加えまして、最終処分地関係のことにつきまして一言申し上げます。  高レベル放射性廃棄物の最終処分のあり方につきましては、これまでるるお答え申し上げてきたとおりでございます。御承知のとおりでございます。  それで、青森県が最終処分地になるかどうかということでございますけれども、御承知のように最終処分地は、現在進められておりますいろんな研究開発の成果を踏まえまして、国が適切な時期に決定いたしますところの処分事業の実施主体が地元の御理解と御協力をいただき慎重にこれを行う、そういうことにしておるところでございます。御承知のように、青森県につきましてはこれまでいろんないきさつがあったわけでございますが、地元理解協力をいただくということにつきましては、個々の場合におきまして諸般の状況を総合的に判断すべきことと考えるわけでございます。青森県知事がかねてから最終処分地について受け入れる考えはないと言明されていることは承知しておりまして、この知事の考えを重く受けとめておるところでございます。
  93. 関晴正

    ○関委員 安全委員長にお答えをいただきたいのです。  中間処分地としてこの青森県の六ケ所村をあなた方は誘致をした、しかしながら最終処分地ではない、こう位置づけておるようだけれども、最終処分地が決まらないままになれば、そのまま青森県が最終処分地になるんじゃないかというふうに思っている向きが強いんですが、そういうことはない、なぜなればしかじかかくかく、こういうことを委員長、おっしゃることができますか、お答えください。
  94. 内田秀雄

    ○内田説明員 原子力安全委員会は、申請が出た施設あるいは事業について、諮問を受けた内容についての審査をしているところでありますので、現在は廃棄物管理の事業、もちろんその中に施設が含まれるわけでありますが、それについて審査したところでございます。再処理事業などの施設については現在審査中でございます。
  95. 関晴正

    ○関委員 どうも私の聞いておることについての委員長の答弁というのは中途半端だと思いますよ。あなたは出されてきたものがあれば審査する役割であって、出されてこなければ何もそのことについて言うことがないんだという態度ですよね。しかしですよ、あなたが審査なされた高レベルの廃棄物の貯蔵地というのは、これは中間貯蔵地でしょう。最終処分地というのが、次があるわけでしょう。間違いなく最終処分地は他のところになるんだという展望がありますか。場合によっては、また青森県最終処分地、こうなればまた変わりなく吟味して、よろしいということにでもするんですか、これは仮定の話ですけれども。少なくともこれはつながっているんです、中間処分地と最終処分地は。  これは、おれは何も考えてないと言うんならば、委員長は何も考えてないんだな、こう思います。出てきたところを考えてあげるというだけの立場だ、それに間違いなければお答えしなくていいんですが、そうですか、委員長
  96. 坂内富士男

    坂内政府委員 原子力安全委員会という立場を考えますと、先ほど委員長が、諮問のあったものについて答申するという立場でございまして、まさにこれが安全行政のかなめの役目であろうと思います。
  97. 関晴正

    ○関委員 それでは、安全委員長に聞いてもしょうがないならばこれは大臣に聞きましょう。  大臣、最終処分地というものが定まらないままでいって、場合によってはそのままになることもあり得る、こう考えていますか。そうしないようにするとしても、そういうこともあり得る、こう思っていますか。どうですか。
  98. 谷川寛三

    谷川国務大臣 今、段々お答えしておりましたが、まあ四、五十年ここで貯蔵をいたしまして、いろいろ実験をいたします。決してここに最終処分地を決めるということは考えてもおりません。また、一般的に申しまして、原則的に申しまして、最終処分地を決めるときはやはり知事さんの意向を十分尊重しなければならぬと思うのでありまして、ただいまのところは何にも考えておりません。
  99. 関晴正

    ○関委員 この高レベル廃棄物にF16が爆弾を積んだままおっこちたら大丈夫ですか。委員長、お答えください。
  100. 内田秀雄

    ○内田説明員 御質問の趣旨がよくわかりませんが、施設に爆弾が落ちるということは考えておりません。
  101. 関晴正

    ○関委員 今の答え、明確でないのですが、私が言っているのは、この高レベルの廃棄物のところに二千ポンドの爆弾を積んだF16がおっこちて、そうして事態が大事態になった場合には、それでも大丈夫でございますかというんです。そういう吟味は、しておらないならばしておらないで結構です。どうですか、お答えください。
  102. 坂内富士男

    坂内政府委員 結論的には今安全委員長の答弁のとおりでございますが、私ども、六ケ所の燃料サイクル施設の飛来物に対する安全審査につきましては、いろいろな角度からの可能性を検討しております。それで、その可能性に基づきまして事業者が対策を立てておる、そして安全審査におきましては、その事業者が立てた対策が妥当であるかどうかといったことを判断する、こういうことでございます。
  103. 関晴正

    ○関委員 今申し上げた具体的なことについて答えてくださいよ。現実に二千ポンドの爆弾が青森県の三沢の沖合に投下されているわけですよ。しかも投下されたまま、依然としてまだ片づけておりません。そういうような、実弾が飛んでいる空の下なんです。ですから、そういうものがおっこちても、高レベルの廃棄物の貯蔵地にしても再処理工場にしても何ら心配ない、こういうことになっていますか、いませんか、そこを答えてください。
  104. 坂内富士男

    坂内政府委員 これは昨年来、この委員会等でも御議論いただいたところではございますが、昨年の十一月に米軍のF16が三沢沖へ実弾を投棄するという事態があったわけです。  先ほど私が申しましたように、安全審査におきましては、どんな可能性があるかという、可能性が問題でございまして、十一月のこの事態は先生御案内のように、鳥島での訓練に向かうために離陸した航空機が離陸直後にトラブルを起こしたために、米軍の安全規則に従って投棄したということでございます。また、実弾を使用した訓練というのは年六回程度であるということでございまして、こういうことから、実弾を投棄するような事態が起こる可能性は非常に低いというふうに考えられますし、また、投棄の場所につきましても、安全を確認した上で投棄するということですので、実弾が施設に到達する可能性というのは無視できるというふうに考えられます。したがって、核燃料サイクル施設につきましては現状の安全審査で十分であって、実弾が施設に投下される可能性は無視できるというふうに考えております。
  105. 関晴正

    ○関委員 何もなければ何も用がないのですよ。あったときにはどうなると想定していますか、再処理工場におっこちる、高レベル廃棄物のところにおっこちる、チェルノブイリ以上の大惨害になるんでしょう。ないと思っておるからいいかもしれぬが、あった場合はどうなるかと聞いておるのです。あっても大したことないというならば大したことないと答えてください。あった場合どうですか。想定していないのですからお答えできませんというなら、それでも結構ですよ、そんな態度なら。現実に落ちているんですもの。燃料タンクを積んだままおっこちてきたらどうなるのですか。大火災でしょう。十和田湖に落とす、小川原湖にも落とす、それで平気でいるんですよ、アメリカというのは。そういうことはあり得ないから全然考えていないということではよくないと私は思うのです。そうなった場合でも、大したことはない、きちんとしております、こう言うならそう答えてくださいよ、どうぞ委員長、答えてください。
  106. 坂内富士男

    坂内政府委員 先ほどの答弁につけ加えさせていただきますが、どのような可能性がということでございますが、先ほど可能性が無視できるということをるる申し述べましたが、実際にこの施設の上空につき属しては飛行制限といったものが先生御承知のようにありますし、安全審査において可能性が無視できるものにつきましては審査を行っておらない、こういうことになろうかと思います。  例えばの話でございますが、先生の論理をもってするならば、隕石が落ちた場合どうなるかというようなことも考えなければいけないわけでございまして……(関委員「冗談じゃないよ、インチキな話をするな」と呼ぶ)先ほどから申しますように、私ども、実弾が施設に到達する可能性が無視できるかどうか、こういった観点から審査を行っている、こういうことでございます。
  107. 関晴正

    ○関委員 隕石の落ちてくる話と爆弾の落ちてくる話と、それほど落ちてくる比率が同じですか。隕石の話は取り消してください。その答弁はインチキというのだよ、隕石じゃなくて。とにかく現実に落ちているでしょう。取り消してください、隕石と同じような認識は。これは安全委員長もそう認識しているのですか。同じ認識ですか、安全委員長。落ちているでしょう、飛行機から。落ちてきても大したことないというなら大したことない、いや、落ちてきたときは手がつけられませんというなら手がつけられません、はっきり答えたらどうですか。答えてください。取り消すものは取り消してください。恥ずかしいですよ、あなた、隕石と飛行機を一緒にされた日には。
  108. 坂内富士男

    坂内政府委員 可能性の問題につきまして少し言葉が過ぎたかということにつきましては反省いたしておりますが、実弾の可能性がないということにつきましては重ねて御答弁申し上げます。
  109. 関晴正

    ○関委員 こういうことに時間をかけても、あと幾らもなくなりましたからおきますけれども。  最後に、高レベル廃棄物の貯蔵施設ですね。あれはガラス固化溶融炉ですね。こういうようなものの耐用年数はどう考えておられますかというのと、それから、最終処分地を各国とも決めないままにこういうようなことをしている国が大多数なのか、それから、最終処分地を決める時期というのはいつごろになるのか、このことについて、言える分答えてください。
  110. 坂内富士男

    坂内政府委員 まず、ガラス固化体容器、キャニスターの耐用年数についてでございますが、この六ケ所にある管理事業の安全審査につきましては、このキャニスターが非常に耐食性にすぐれたステンレス鋼である、あるいはまたガラスといったものが非常に安定したものである、こういうことから、かなりの長期間にわたって安全に管理できるというふうに判断してございます。  それから、ほかの国の状況ということでございますが、このBNFL、コジェマの顧客としましては、ドイツの顧客それからベルギー、スイスの顧客等がございますが、こういったいわゆるBNFLあるいはコジェマの仕様等に対する確認といいますか、今後の手続といいますか、そういった一連の流れにつきましては、ほぼ日本と同じような状況であるというふうに思っております。
  111. 石田寛人

    ○石田政府委員 残余の件につきましてお答え申し上げます。  最終処分地はいつ、どう決めるのかという御質問でございます。これにつきましては先ほど申し上げましたように、現在動燃事業団を中核推進機関といたしまして、地層処分技術の確立を目指しました研究開発を積極的に進めておるところでございまして、これらの研究開発によりまして安全な最終処分ということになるわけでございますが、処分につきましては先ほども申しましたように、現在行われている研究開発等の成果を踏まえ、国が適切な時期に決定する処分事業の実施主体が地元理解協力をいただいて慎重に決めるということにいたしておるわけでございます。  それで、現在行っております研究開発は、恐らく今後十数年以上かかるものであろうと思われます。それから実施主体の決定ということにつながっていくわけでございますから、タイミング的には今申し上げたような関係にあることを御理解賜りたいと思う次第でございます。
  112. 関晴正

    ○関委員 管理施設の耐用年数と、それから今の再処理工場の耐用年数、この点についてはかなりというお話があったけれども、かなりじゃ不十分だと思うのです、数字で示してください。  それからもう一つ、この最終処分場を決めるのに、この後十五、六年もかかる、こういうことなんですか。十五、六年もかけてそれで決められるんですか。見通しがらいけば何年かかっても決められないままに終わるんじゃないですか。決められないということになりますならば、政策を大きく転換していかなきゃならないんじゃないか。そういう意味において、使用済み燃料をつくらないような、使用済み燃料を再処理するようなことを避けていく道、これをつくっていくしかないんじゃないだろうか、こう思うんです。  十五、六年たってごらん、ここで現役で働いていくことができるという人はまず見当たらないんじゃないですか。そうして青森県が高レベルの廃棄物の最終貯蔵地になってしまう、そのおそれが多分にあるでしょう。このことについて、最終処分地が決まらぬ間はやっぱりこれは認めない、これが行政のあるべき最高の良識じゃないだろうかと私は思うんです。決まらぬ場合は六ケ所になっても構わぬさと、口でこそ言わないけれども、そうなってしまうおそれが多分にある。今科技庁長官はそういうことはしないと言ったって、あなただってあと任期は幾らもないでしょう。ここでしゃべって終わりですよ。行政の継続性だから次の方が考えていくということになるでしょうけれども、今一番恐れていることは、そういうことについての不信なんです。  ですから、とにかくこの貯蔵地について原子力安全委員長は許可をしたけれども、この許可というものは非常に粗雑であると私は思う、地震の問題から見ても飛行機の問題から見ても、それからガラス固化体の安全性の問題についても、濃度といい、温度といい、実態に即するようなテストの状態についても。そうして動燃が、許可の後に安全性についての実験を百グラムやってみようかと、こう言っている。この事実から見ても、非常にちぐはぐと申しましょうか、きちんとした自信に燃えてこういう方針をとっているとは思われない。  そういう点から、私はさきの決定についてはもう一遍見直していただくことを強く要望しておきます。  次は再処理の問題について伺いたいと思うのですが、再処理の問題について伺いたいことは、今や再処理の政策というものを転換すべきじゃないか。再処理をして高レベルの廃棄物をたくさん出して、そうして始末に困るような、迷うようなことをさせるよりは一再処理によってつくり出されるプルトニウムというものは何にもいい燃料ではない。これを燃料とする時代はもう四十年後だと言うけれども、四十年後にしてみたところで、そういう時代にしていいものではない。特にプルトニウムの輸送が、この秋にフランスから日本に来る。その上、六ケ所でまた生産する。プルトニウム余剰国に日本はなってしまう。何に使いますか。もうフランスにおいては高速増殖炉スーパーフェニックスはとまったままでしょう。世界的に高速増殖炉の時代というものは後退しているでしょう。この後実証炉をつくる計画だって定まっていない。再処理の未来というものは非常に暗い。なおかつこれを明るいものとして、夢の原子炉は大丈夫でございますという夢を追うつもりか。それともここで、我が国エネルギー政策というものを大きく転換する、そういうときに今来たんじゃないだろうか、こう思うのです。  これについては科技庁長官、任期の最後のところでございますから、エネルギー政策についても自信のあるところで方策を示してほしいと思うのですが、どうです。
  113. 石田寛人

    ○石田政府委員 大臣の御答弁の前に、一言技術的な観点からのお答えを申し上げさせていただきたいと存じます。  今先生の御指摘は使用済み燃料の再処理は経済性がないのではないか、あるいはその先にありますプルトニウムの利用、あるいは高速増殖炉の経済性等について問題があるのではないかということでございました。  それで、御承知のように、何と申しましても実際核分裂を起こしましてエネルギーを発生いたしますのは核分裂性物質ウラン235でありプルトニウム239なのでございます。その核分裂性物質をエネルギーを出しながら増殖していくという技術、これは極めてとうとい、重要な技術であろうかと思われます。  なるほど、先生の今おっしゃいますように世界のウラン市場は需給緩和状態でございます。その意味では天然ウランあるいはそれから濃縮いたしました低濃縮ウラン等は比較的廉価に手に入るということであろうかとも思いますけれども、長期的なエネルギー安定供給あるいは低廉安価な原子力発電を継続していくという観点に立ちますと、必ず科学技術の力をもちまして豊富なエネルギー供給していく可能性を持ちます高速増殖炉あるいはそれに関連いたします技術、その手前にあります再処理というものは極めて重要であろうことはもう当然であるわけでございます。  そういうことでございますので、我が国はこれまで動燃事業団を中心に各般の開発を進めてきたところでございますし、これからも基本的には核燃料サイクルの重要性を認識していくことを堅持してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  114. 関晴正

    ○関委員 これは、これまで決められてきた方針で来ているから、ここでにわかにそういう方針を変えますというようなことは言えないかもしれませんけれども、これはひとつ大臣に篤とお考えいただきたいのです。  もう高速増殖炉を活用してプルトニウムを生産するという方針はフランスもやめたでしょう。ブランケットにウラン238を入れて、そうして中性子が当たってプルトニウム239をつくるということは、あり余ることはもうしない、またそういう方針をとらないということで今変わったでしょう。そうしてスーパーフェニックスが、言うなれば夢の原子炉だというのだけれども、この夢の原子炉はとまったままでしょう。百二十万キロワットの高速増殖炉でございますといって誇ったけれども、もう八十カ月近くのうちわずか五カ月しか動いていないでしょう。そうしてフランスももうにっちもさっちも動きがとれなくなって頭を抱えているんじゃないですか。  そういうことを見ますというと、何のために再処理をする必要があるのです、何のために再処理をしなければならないのです。しかもその結果生じたところのプルトニウムを、今無寄港で輸送しなければならない、核ジャックを防止するためにどうしたらいいかということで悩んでいるのもある。しかし、このキャスクが一万メートルの水圧に耐えられるのかどうかということについても心配されている。いろいろな問題がここにあって、日本も新しいエネルギーの道というものを構築するときが来たと私は思うのです。  この間の予算委員会で、この問題について宮澤総理にもお尋ねしました。何せ宮澤総理の認識がまだそこまで来ていないものですから、プログラムどおり進める考えでございますと言って終わっているのです。でも、あれから三カ月たっています。原子力委員会における最高の責任者である科技庁長官、考えなければならないのじゃないでしょうか。  日本は科学においてすぐれた国だから、みんな挫折しておっても日本がひとつ成功させてみよう、こういうように考えることは間違いだと私は思うのです。大変な金がかかる、大変な時間がかかる、大変な毒性をつくる、大変な放射能を呼ぶ、何一ついいことない。あるものは、核兵器をつくることに役立てるしかないのじゃないですか。しかし、そういう時代は終わったでしょう。また我が国としては、そういうところに踏み込むなんということは絶対に許されないし、できないことの方針を持っているわけです。  こう考えてみますと、やはりプルトニウムにかかわる社会というものを招いてはならないのだ、これを燃料とする時代はもうギブアップすべきだ、こう私は思っているわけです。そういう点について科技庁長官、少し踏み込んだお答えはできないでしょうか。私はあともう五分しか時間がなくなってしまっているのですが、長官いかがです。
  115. 谷川寛三

    谷川国務大臣 スーパーフェニックスの話が出ましたが、これはトラブルがありましたので点検をするために試運転をしているようでありまして、やめたわけではありません。ドイツもそうですし、イギリスもやっておる。  我が国の場合は、今局長からもお話がありましたし、再々お答えをしておりますが、エネルギー資源に恵まれない、それからウラン資源も有効利用を図っていかなければならぬということでありますから、原子力発電によるエネルギー供給の安定化を図るという観点からしまして、使用済みの燃料を再処理して、回収されますプルトニウムを核燃料として積極的に利用していく、これは大変重要な政策でありまして、この政策を変えるつもりはありませんが、やはりいろいろ御意見のある学者の方もおられまして、おいでになって私はいろいろお話を承っております。先生からもいつもいろいろお話を承っておりますが、そういう気持ちはありますのでいろいろな御意見を承ってやっていきますが、ただいまのところこの政策を変えるあれはありません。  それから、秋の輸送の問題が出ましたが、この間私はワシントンヘ参りましてアメリカエネルギー長官とも打ち合わせしてまいりましたが、これは御心配ないように安全に輸送いたします。またアメリカでも、日本の新聞にいろいろ出ているようだが政府として何ら心配を持ってない、今までの方針どおりやっていただきたい、こういうことでございます。念のため申し上げておきます。
  116. 関晴正

    ○関委員 大変残念であります。少なくとも再処理の方針やプルトニウムを呼ぶような方針というものはやはりきれいさっぱりとあきらめるべきだ、私はこう思います。大臣、その方向に踏み込めないということは大変残念でありますけれども、私の申し上げていることについて少しは考えてまた方策を講じていただければ、こう思います。  それから、動燃の理事長が見えておるのですが、プルトニウムの輸送にかかわる問題で、言うなればキャスクの実験をしたところが一万メートルの水圧に耐え得るようなものであった、こう言っておるのですけれども、どのくらいの時間耐え得るものなのか、そうしてどこまで過ぎるというと耐えられない状態になるのか、こういうキャスクの安全性についてなされた実験のデータについて御報告できることがございましたら御報告ください、――動燃理事長に聞きたいのです。
  117. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 お答え申し上げます。  キャスクの水圧の試験につきましては科学技術庁の方で行われたテストでございまして、動燃事業団は行っておりません。
  118. 石田寛人

    ○石田政府委員 ただいまの件につきましてお答え申し上げます。  今回の輸送に用いることといたしております輸送容器でございますが、これは国際原子力機関輸送規則に準拠したものでございまして、また既にプルトニウム輸送におきまして使用実績のあるものでございます。  今おっしゃいました一万メートルの耐圧試験でございますけれども、これにつきましては、念のために我が国といたしましてもその耐圧性能を確認するために実施したものでございます。この試験は財団法人原子力安全技術センターに委託して実施したものでございまして、試験方法といたしましては、海洋科学技術センターの高圧の試験をいたします高圧試験水槽装置に輸送容器を取りつけまして、水槽装置内に水を満たしまして水深一万メートル相当までに加圧後、装置から輸送容器を取り出して、後そのヘリウムリーク等の検査によりまして密封性の確認を行ったものでございます。  試験の結果は、ヘリウムリーク検査によりまして、一万メートルの水深に相当する水圧下におきましても容器の密閉性が維持されることが確認されたところであるわけでございます。
  119. 関晴正

    ○関委員 安全テストは、おやりになったのはそれだけでございますか。そうして、一万メートルの水圧に耐え得るということになったのだが、何分耐え得るということになったのですか。具体的な数字を簡単に説明してください。
  120. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申しましたように、このテストは念のために行ったテストでございます。したがいまして、念のために行いましたものはこの一万メートルの耐圧試験のみでございます。  それから時間の問題を今先生お問い合わせになりました。実際二十分間その圧力で加圧したところでございます。  ちなみに内容物といたしましては、酸化プルトニウムが本来中に入るわけでございますが、そのかわりに酸化鉄の粉末を容器に入れたところでございます。
  121. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 ただいま原子力局長の方から御説明申し上げましたが、この容器は、こういう試験の前に、IAEAで決めております輸送基準に満足する試験を種々やらなければならないことになっております。  例えば、九メーターの落下試験でございますとか、あるいは八百度で三十分耐火試験をやるとか種々の要件がございますが、これは当然設計承認をやり、そういうテストをやり、合格をしていくということでございます。あわせまして、このような輸送物を積む場合には運輸省の方で船の構造基準もございまして、船は多分二重になりまして、衝突とか座礁が起こりましても、あるいは傷が入りましても沈まないような別途の計算が行われるというような種々の安全対策がとられることになっております。  したがいまして、それに加えて、今原子力局長が御説明しましたようなことを念のために実施したということでございます。
  122. 関晴正

    ○関委員 この問題について、二十分間は保持されたというのだが、二十一分以降はどうなったのかということについても、説明ありませんので、何分で壊れたのか、それとも、壊れることはなくて二十分で終わって、二十分以上のことはしなかったのかということについてのお答えだけひとついただきます。  あと、時間がありませんので、エネ庁の方がお見えになっておりますので他はお答えいただきたいと思うのですが、新しいエネルギーをどうするかという問題について、特に太陽光発電のことについて、ことしの予算では八億五千万ぐらいとったのだが、私は、この八億五千万の予算が、今日、現状でどれほどの希望者がここにあっておられるか、そうしてこれをこなすのには太陽光発電に道を切り開いていくしかないと思うのです。そういう意味においては、来年度の予算においても、八億五千万なんていうものじゃなくて、一千億ぐらいの規模で太陽光発電への道を開いていく、そういう大方針をとってニューエネルギーに対する構えを示すべきじゃないか、こう思いますので、現状と、来年度予算についてお考えになっていることを示していただければと思います。
  123. 石田寛人

    ○石田政府委員 先生の御質問の前半部分につきましてお答え申し上げさせていただきます。  二十分耐圧試験をして二十一分目にはどうなったかという御質問でございますが、これは、二十分加圧いたしまして、それから減圧し、はかったわけでございます。したがって、二十分以上はなかったということでございます。  それであれば二十一分目にはどうなるかということであるわけでございますが、これは、専門家によりますると、水深の一万メートルというところでは水温は恐らく摂氏数度であろうということでございまして、このような温度におきましては、金属材料に力を加えまする場合に、時間に依存した材料の伸びあるいはひずみというものは起きないというふうに承っております。それとかあるいは輸送容器の材料等々からいたしまして、深海で長時間健全性を保つことができると考えておるところであることを御報告申し上げます。
  124. 末広恵雄

    ○末広政府委員 太陽光発電のフィールドテストの事業でございますが、これは今年度新規事業ということで始めたものでございます。今、補助金の交付要項だとかあるいは具体的な採択をどうするかということについていろいろな規定類を整備しておりまして、まだ実際に予算の執行実績が出ているという状況ではございません。しかし、近々公募してこれを決定するということにしておりますが、かなりの問い合わせが来ております。ただ、事業の実施の可能性については別に精査したものではございませんが、そういった問い合わせ等を含めますと数十件の問い合わせが既に来ております。  それから、来年度の予算のお話がございましたが、太陽光発電につきましては、クリーンな電源ということで、私ども非常に重要なエネルギー源というふうに考えております。これまでも、昭和四十九年度から既に約八百五十億円の予算措置を講じてきております。平成四年度は技術開発のために六十五億、それから、先ほど申し上げました新規事業、新規のフィールドテスト事業のために八億を計上したところでございますが、来年度の予算につきましてはこれからいろいろ省内で検討してまいります。  しかし、いずれにいたしましても、太陽光発電の重要性にかんがみまして、いろいろ、これまでの施策を通じましてこういった新エネルギーの普及促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  125. 近岡理一郎

    近岡委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  126. 近岡理一郎

    近岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。辻一彦君。
  127. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうは、前回の委員会に引き続いて、私は旧ソ連の原発の安全性、東欧原発の安全性問題、それから全般的に、国際的にも過剰と言われてきたプルトニウムとFBRの開発問題、それから今、原子力情報の制限問題がありますので、この三点について若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、前回の委員会のときにも伺ったときに、今ロシアやCIS、東欧の方は政府としては調査中である、こういうことであったのでありますが、科技、通産の政府調査団が既に旧ソ連、東欧等もかなり調べたわけでありますが、ポイントをちょっと報告いただきたい。
  128. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 四月三日から、宮澤総理の御指示によりまして、外務省、通産省ともども、科技庁、三省庁調査を行ってまいりました。このとき、私もソ連に行かせていただいたわけでございます。それからその後、五月六日と五月十二日に、三島先生を団長にしまして、両省庁調査団が別途、開係の国に参っております。  旧ソ連型の原子炉につきましては、炉のタイプによりましても若干その状況が違いますし、また、ソ連の原子炉自身が現在、チェルノブイリの事故の後、改造中でございますので、その状況につきましては、それぞれの国、あるいは発電所ごとの状況で違っておりますので、全部同じというわけでもございません。  また、今回の調査は、主としまして、日本とロシアあるいは東欧諸国の国との間でどういう協力関係があり得るかというような協力関係のニーズ調査がメインでございますので、原子炉そのものの状況の調査というには若干時間の足りない側面もあろうかと思いますが、この調査及び従来私どもIAEAあるいはOECDの場でお聞きしておりますことも含めて申し上げますと、やはりソ連、東欧の原子炉につきましては、今申し上げましたように一律に言うことは非常に難しゅうございますけれども、西側の基準と比べますとやや足りないところがあるというように認識をいたしております。また、運転管理でございますとか保守の面でも、西側の国の状況と比べますと改善が必要ではないかと思われるところもあるように感じておる次第でございます。  これにつきましては、調査団それぞれ、どういう協力が将来あり得るかということにつきましてもソ連と意見の交換をしてまいったところでございます。
  129. 辻一彦

    ○辻(一)委員 概要は今伺いましたが、我々は他国のことに干渉する意思は全然ありませんが、チェルノブイリの事故を見ると、あの遠隔の地で起きたのがグローバルな範囲で全世界に、我が国にも影響を及ぼすという点で、やはり今、旧ソ連、東欧における原発の安全性はよそごととは思えない、そういう点で十分な関心を持たなくてはならない、そういう観点から論議をしたいと思っております。  そこで、そういうような実態調査を片方では政府は行うと同時に、また、四月の原産会議におきまして各国の原子力関係の首脳部が来ておりますが、谷川長官を初め政府首脳、関係者の皆さんは、ベリホフ・ロシア科学アカデミー副総裁、あるいはテプファー・ドイツ環境自然保護原子炉安全大臣、ワトキンズ・アメリカエネルギー長官等と会って、旧ソ連の原発の安全確保につきましては随分といろいろな論議をされておると思っておりますが、そのポイントを聞かせていただきたい。
  130. 谷川寛三

    谷川国務大臣 かいつまんで御報告申し上げます。  旧ソ連製の原子炉の安全確保の問題とか、旧ソ連の核兵器削減に伴う核物質、核技術者の拡散問題につきましては、国際的に協調して取り組むことが重要であるという認識からいたしまして、今お話がありました海外の要人との意見交換を行ってまいりました。  去る四月七日には、ベリホフ・ロシア科学アカデミー副総裁、この人は原子力のなかなか権威者のようでございますが、この方と会談いたしました。旧ソ連製の原子炉の安全確保のため我が国として積極的に貢献する旨お話をしますとともに、特に、原子力安全に係る研修生の受け入れを日本でいたしますからと表明しておきました。まだ推薦してまいりませんが、早速人選をいたしますと言っておりました。また、核兵器開発関係者の平和的利用分野への転換につきましては、もう先生既に御案内でございますが、国際科学技術センター計画に積極的に取り組むことを申し上げますとともに、核兵器の削減に伴い発生する核物質の処理につきましても、国際的に取り組んでいくことが重要との認識で合意をいたしました。  なお申し上げますと、このベリホフさんは、核兵器の廃棄によりましてソ連でも多量のプルトニウム、濃縮ウランが出る、しかしこれは、核不拡散観点からいたしましてプルトニウムはそう簡単に他国へ売るとかいうことはできない、それからまた濃縮ウランの方も、ウランの市価の状況からいたしまして、世界のウラン市場を攪乱することがあってはいかぬから、これはめったなことはできませんということを私に確言しておりました。  それから、四月十日にはテプファー・ドイツ環境自然保護原子炉安全大臣と会談をいたしました。旧ソ連、東欧諸国の原子力発電所安全確保に関しまして、世界共通の問題であるとの観点から、関係国が協調して取り組むことが重要であるということを確認いたしますとともに、具体的支援方策に関し専門家による協議を行うことについて合意をいたしました。日本でやろうか、ドイツでやろうかと言っておりましたが、ドイツが東独のいろんな資料を持っておりますから、日本から専門家を派遣しますよということで派遣をいたしまして、つい数日前に帰ってまいりましたが、我が方からもこの問題につきましていろいろ提案をいたしまして、ドイツ側としても評価をしておったようでございます。また、核兵器削減に伴い発生する核物質管理、処理についても、国際科学技術センター計画等によりまして国際的に協調して取り組むことが重要であるという認識でも合意をいたしました。  なお、テプファーさんが、旧ソ連、東欧諸国の原子力発電所の安全の問題につきましてはサミットに提案をしたいというようなことを申しておりました。  それから四月三十日には、米国、ワシントンヘ参りまして、ワトキンズ長官と会談をいたしました。旧ソ連、東欧諸国の原子力発電所安全性確保のための支援、それから、国際科学技術センター計画の推進において日米欧の国際協調の重要性を確認するとともに、ITER計画の推進等につきましても意見を交換いたしました。テプファーさんとの会談の様子を話しましたら、日独だけじゃなしにひとつアメリカも加えてくれというようなことを言っておりました。  このような会談を通じまして、原子力発電所の安全問題、核兵器削減に伴う核物質、核科学者の拡散問題につきましては、国際的に協調して取り組んでいくことが重要である、各国とも共通した認識が得られました。我が国といたしましても、今後、各国と緊密に連絡協力いたしまして、積極的に貢献していく所存でございます。
  131. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も、ちょっと前でありますが、六十二年でしたが、アメリカエネルギー省も伺ってみましたし、また、チェルノブイリに行ったその前後にアカデミーとも論議をし、あと、二、三年前にドイツの環境自然保護原子炉安全省も訪ねて随分論議をしたことがありますが、いずれも原子力安全性については、ソ連はああいう事故を起こしておりますが、非常に深い関心を持って取り組んでおるところであると思っております。  そこで、これに対する対応がいろいろ急がれておるわけですが、もう一つ外務省、外務大臣の方は、モスクワでの核頭脳の流出を防止するために科学センターの構想等がありますし、また通産省の方では、国際原発の安全性研究センターをロシアの方につくるという、こういう問題がかなり具体化をされ、きょうも新聞で大きく、二十六の原発は閉鎖をすべきである、こういう勧告をサミットで出すというようなことも報じられておりますが、この二つについて、外務当局それから通産当局の取り組みの要点をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  132. 岩谷滋雄

    ○岩谷説明員 国際科学技術センターの設置に関する交渉につきまして御説明を申し上げます。  このアイデアは、ロシアで、旧ソ連邦で急速に軍縮が進んでおるということで、旧ソ連邦内で大量破壊兵器関連の研究に従事をしておりました研究者、技術者が流出をするおそれがあるのではないかという問題点を認識いたしまして、当初、ことしの二月でございますが、米国、ドイツ、ロシアが三国共同で、この国際科学技術センターの設立を行うことによって、こういった科学者、技術者たちに研究プロジェクトを与えることによって国内につなぎとめようという観点から提案を行ったものでございます。したがいまして、このセンターの目的は、第一義的には、こういった大量破壊兵器関連の科学者、技術者に対して平和目的研究プロジェクトを提供する、これによって旧ソ連からの流出を防止するということが目的でございます。  それで、このセンターの機能といたしましては、プロジェクトそのものをつくるということも若干はございますが、むしろ、旧ソ連の科学者、技術者から、これら研究者が従事をしたい研究プロジェクトの提案を受けまして、これを審査し、選別しまして、それに対して資金を提供していく、さらに、実際に研究活動が始まりましたときに、それが適正に行われているということを監視していくということで、クリアリングハウスというふうに呼んでおりますけれども、ごくごく小さな事務局で運営をしていくということになっております。  この三国共同提案を受けまして、我が国もこの趣旨に基本的に賛成であるということで、当初からこのセンターを設置するための協定づくりの作業に参加してまいりました。その交渉がようやく今般決着をいたしまして、五月の二十四日、リスボンにおいて仮署名を行ったところでございます。今後、早期にこの協定への署名にこぎつけまして、夏の早い時期までにはセンターの活動を開始するということを目指しておるところでございます。  我が国といたしましては、本件構想が核不拡散といった国際の安全保障の観点からつくられるものであるということで、全面的に趣旨に賛同いたしまして協力をしておるところでございます。資金提供につきましては、米国及びECは二千五百万ドルの資金をこれに提供するということを約束しておりまして、我が国も最近、二千万ドルの拠出の意向を明らかにしたところでございます。  以上でございます。
  133. 末広恵雄

    ○末広政府委員 原子力発電の安全訓練センター構想でございますが、今回の旧ソ連、東欧の原子力発電安全調査団が参りました際、我が国に示されました協力のニーズとして、特に運転、保守の向上といったことが挙げられております。この原子力発電安全訓練センターの構想は、旧ソ連型原子力発電所の安全水準の向上、それからセーフティーカルチャーの高揚を図るということから、旧ソ連、東欧におきまして原子力発電所の運転等に関します教育訓練を行う総合的な施設の整備へ協力するということでございます。  この構想につきましては、通商産業大臣が本年四月末から五月初めに欧米の各国首脳と会談いたしました際、この構想を提示いたしまして、基本的には前向きの反応をいただいております。現在、関係国間でこの構想の内容を含む支援策全般についての議論を行っている段階でございまして、先週末のリスボンにて開催されましたCIS支援国調整会合におきましても、米国から同様の構想が示されております。
  134. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今、政府関係の取り組みを大体伺いましたが、なお欧州開発銀行のアタリ総裁あたりも、欧州開発銀行を通して閉鎖とそれに伴う電力の不足等の対応を立てよう、こういうような構想が流されております。  私は、こういう大事なときですから、それぞれの政府関係の部局がそれぞれの分野からやってもらうということは大変大事だと思いますが、一面では何か大事な大きな問題が起こるとばらばらにそれぞれ取り組んでいるという面もある、そういう点で、この旧ソ連、東欧に対する原発の安全性対策等については、これはハード面とソフト面がありますけれども政府は何か窓口を一本にするとか一つになって一元的に取り組むというような必要はないのかどうか、こういう感じがしますが、長官、これはどういう感じでしょうか、ちょっとお伺いしたい。
  135. 石田寛人

    ○石田政府委員 本件に対しますお答えは外務省の方がより適切かもしれませんけれども、お尋ねでございますので、とりあえず私の方から今の状況を申し上げさせていただきます。  原子力安全の国際的支援に関しましては、今ほども説明もございましたように、我が国といたしましては、専門家の派遣あるいは資金的な支援等を通じまして国際原子力機関の旧ソ連製の原子炉の安全性に対する評価活動に参加、貢献するということとか、安全規制情報の交換あるいは我が国原子力安全に関する技術、知見を利用した旧ソ連、東欧の技術者等の研修等々によりましての資質向上等、これらの地域における原子力安全の確保に積極的に貢献していくということにしておるところでございます。  今、このような国際的支援の具体的な実施に当たってはどうも各省庁ばらばらにやっておるのじゃないか、そういう御指摘でございますけれども、そういうことのないように、資金的な観点も含めまして、これまでも関係省庁それぞれつかさ、つかさにおきまして連絡をしながら進めてきたと思っておりますし、これからより一層十分な連絡調整をしながら我が国として一体的な対応を図っていきたい、かように考えておるところでございます。例えば国際原子力機関に対します特別拠出にいたしましても、外務省、通産省、それから私ども、それぞれ連絡をとり合いながら、最もそれぞれの機能が発揮できるような、そういうことでやっていきたいということですり合わせをしておるということもございますけれども、今後とも御指摘に沿いまして、特に外務、通産、科技庁、三省庁さらに一層緊密な連絡を図りながら筋力を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  136. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは長官に要望したいのですが、今度のソ連の原発の事故、将来を考えるともう一度また起きてはこれは大変なことですから、そういう意味で日本の各関係省庁がそれぞれの分野で力を入れるということは大変大事だと思いますけれども、横の連携を十分図るということもまた大切なので、ソ連原発に対する関係省庁の閣僚連絡会であるとか、あるいはそれを具体化する事務当局の連絡会等々が非公式にはあるとも思いますが、そういう横の連携を十分図ってもらいたい、それについての長官の考えをお聞きしたい。
  137. 谷川寛三

    谷川国務大臣 今局長からもお答えいたしましたが、組織みたいなものはございませんけれども、常時、お話しのように連絡をとりながら統一的にやっておりますことを御承知願います。
  138. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次に、問題になっている原発のいわゆるソ連の黒鉛型、RBMKと言われるチェルノブイリ型ですけれども、これは十六基閉鎖をすべきであるという勧告が出されようとしておるし、また第一世代ともいうべき加圧型の、これは格納容器がないとか言われますが、この第一世代の加圧型が十基で、二十六基が今閉鎖すべきである、こういうような論議がされております。黒鉛型は直接日本では余り具体的なそういう面についての経験を持っていないということ、それから加圧型ではありましても大分今の日本の新しい原発とは状況が違うわけですが、そういう点で、日本の今までの原子力発電の事故等々から学びながら設備の面あるいは運転管理の面で蓄積した経験が今回ソ連のこれらにどのくらい役立つ見通しがあるのか、これについてちょっと伺いたい。
  139. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、旧ソ連それから東欧に存在いたしますRBMK型、それから非常にこれは軽水炉の加圧水型に近いと言われておりますVVER型炉につきましても、前者は今御指摘のように、言うところの黒鉛減速チャンネル型の日本にはない炉型でございますし、それからVVERにつきましても、軽水炉とは似ておるもののいろいろな機器の配置等々かなり違っておる、全体の安全の考え方も違っておるというところはあろうかと思うわけでございます。その意味では、御指摘のように、我が国はこれらの原子炉に関しまして具体的なところで共通する詳細な技術とかあるいは経験そのものを有しておるわけではないということはあろうかと存ずるところでございます。  しかしながら、我が国の長年にわたります原子力開発利用に伴いまして蓄積してまいりました技術、経験のうち、例えば計測制御技術とかそれから運転管理に関します技術とか、安全向上性に関しまして使うことができる技術はいろいろあろうかと思うわけでございます。あるいは安全規制考え方等々につきましても、我が国の知識と経験は大いに旧ソ連あるいは東欧の原子力発電のためにも利用できるというものであろうかと思うわけでございます。したがいまして、これまで我が国開発してまいりました、あるいは身につけてまいりました技術と経験を十分生かしていきたい、かように考えておるところでございます。
  140. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは安全問題の専門家であります内田委員長にも、どういう可能性といいますか、どう貢献できるか一言伺いたい。
  141. 内田秀雄

    ○内田説明員 日本の今までの原子力安全の技術がどのように適用できるかというお話かと思いますけれども、旧ソ連型のRBMK型、すなわち黒鉛減速型につきましては、あれはチャンネル型であるということが特徴でございまして、チュルノブイル事故のときにも動燃のATRの技術でかなり深い検討をしたわけでございますのでありますから、どういう設計上の問題があるとかいうことはかなり検討できるのではないかと思っておりますが、もともとRBMKは当然停止すべきものと皆考えられております。  VVERの四四〇-二三〇という加圧水型につきましては、加圧水型であるということは西方の諸国のPWRと同じでありますので、日本を含めまして各国の技術協力が相当できるのではないか、こう思っております。  ただ、ハードの面とかソフトの面で物をどのようにして取りかえるとかいうようなことは、これは相手方の意向もありますし、それからまず資金の問題もありますので、それをどうこう言うことはなかなか難しいかと思いますけれども、設計上の問題とかあるいは運転管理上の問題で検討意見を言うことは十分できるだろう、こう思っております。
  142. 辻一彦

    ○辻(一)委員 旧ソ連、東欧の原発の安全問題についてはドイツフランスも非常に熱心だということを聞いておりますが、これは事故が起これは余りにも近いのですから、当然非常な熱意を持っておるのじゃないかと思うのです。そういう点で、ドイツの場合は東ドイツを統一して、そのために、統一されたから東ドイツの中にあったソ連型の原発には相当詳しい内容について調査もし、資料も十分持っておると思うのです。既に閉鎖をしているのもありますがね。  それに比べて我が国は、確かに今言われるようにいろいろな技術の蓄積、経験の蓄積があることは十分わかりますが、ドイツが把握しているほどの東欧、ソ連型の原発の資料、内部には今のところそれほど材料の持ち合わせは十分でないと思うのです。そうすると、国際協力といっても、具体化をした場合にお金だけ出して余り物は言えないという状況になってはならないので、経費も出して分担する以上は、これだけの我が国の蓄積された技術を十分に反映さすということが大事だと思う。  そのためには、相当しっかりした調査、施策といいますか、資料を手に入れなければいかないと思うのですが、それらについてはどういう対応を考えているか伺いたい。
  143. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、何といいましても、例えばドイツは旧東ドイツを一緒にしたわけでございますから、そういう地理的関係あるいは人的交流、これは地理的にはるかに離れております我が国よりも東欧あるいは旧ソ連の情報が入りやすく、なおかつたくさん持っているということはある意味では事実であろうかと思うわけでございます。  ただ、私どもも、先生御指摘のようにこれからの原子力安全につきまして協力を展開していく以上十分な情報が必要でございます。それで、例えば国際原子力機関IAEAなどにおきまして旧ソ連型の原子炉に対します安全性に関するいろいろな調査が行われております。これらには我が国の専門家等々を積極的に参加してもらうようにいたしまして、旧ソ連あるいは東欧の原子力安全に関する情報がなるべく大量に入手できるように努力をしているところでございます。  それから、冒頭御質問のございました調査団でございますけれども、これも先ほど原子力安全局の次長から御報告申し上げましたようなことで関係省庁あるいは民間も含めまして行っておりまして、可能な限り組織的に情報を集めたいということで努力をしておるところでございます。  さらに、今ほど大臣から御答弁のございましたような、本年四月の日本原子力産業会議年次大会の機会をつかまえましてドイツ原子力安全の担当大臣でございますテプファー大臣とそれから我が谷川大臣お話し合いしていただきまして、その話し合いに基づきまして先般当庁の担当課長等がドイツに参りまして、実際原子力安全規制を行っております環境自然保護原子炉安全省、さらには原子力安全協会等を訪問いたしまして、旧ソ連製の原子炉の安全性の向上につきましてかなり突っ込んだ意見交換をしてきたということもあるわけでございます。  そういうことで、鋭意私ども努力をしておるところではございますけれども、御指摘も踏まえまして今後とも欧米各国と十分な連絡を行い、情報交換を進めまして、旧ソ連型原子炉に関します詳細な情報を入手してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  144. 辻一彦

    ○辻(一)委員 長官、ちょっと伺いますが、我が国はいろいろな面で、これだけの経済力を持てば国際的な貢献ということが人の面でも非常に要求されております。原発の安全分野では日本も失敗や苦い経験等々も積んではおりますが、こういう面もひとつ生かして人の面で貢献する非常に大事な機会じゃないか、だから、何人かの人が定期的に連絡に行くという程度ではだめであって、相当な人員もやはり派遣をして、これからひとつ政府間が協力をしてやる、ロシアやウクライナ等その他に研修の基地がつくられるとかいろいろな機会があるでしょうが、資料の収集それからそういう専門家の派遣等に人員の面でも、人の派遣でも十分貢献できるように努力をすべきであると思いますが、長官、これについての考えをひとつお伺いいたします。
  145. 谷川寛三

    谷川国務大臣 先ほどお答えしましたように、ベリホフさんとの会談の際も相当数のロシアの技術者を、学者を日本に迎えて再研修をいたしますよという話し合いをしましたし、またこちらから協力に行く人員につきましても、今先生の御意見の旨も外しまして、ひとつ積極的にやっていきたいと思っておるところであります。
  146. 辻一彦

    ○辻(一)委員 次に、私は日本のいろいろな苦い経験や技術は大事にして大いに生かすべきであると申し上げましたが、と同時に、IAEA国際原子力機関の運転管理調査団、OSARTが日本にも来て、前に関電の高浜原子炉、それから今回は東電の福島第二原発を調査をしておりますが、その報告を見ますと、見た限りでは大変いい点数がついている。果たしてあれだけの点数がつけられるのかどうか、非常に私は疑問を感ずるのでありますが、まずOSARTが今回東電に来でどういう報告、調査をしたか、その内容を要点だけ聞かせていただきたい。
  147. 末広恵雄

    ○末広政府委員 OSARTでございますが、これは世界の原子力発電所の一層の安全性の向上に寄与するということで、IAEA加盟国からの要請に基づいて調査団を派遣して運転管理状況を調査するというものでございますが、東京電力の福島第二原子力発電所三、四号機につきましては三月二十三日から四月九日、三週間にわたってOSARTが派遣されました。そして、組織管理それから教育訓練、運転、保修等八つの分野について調査が実施されたところでございます。  今回のOSARTの調査報告書につきましては現在IAEAの力で作成中でありまして、詳細な内容はまだ明らかになっておりませんが、調査終了直後におきまして行われましたプレス発表、これによりますと、福島第二原子力発電所の三、四号機の運転管理状況はすぐれており、関係者が安全運転に確実に取り組んでいるとの評価が行われておりますし、また一方で今後の一層の安全性向上に向けての幾つかの提案が推されております。
  148. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は政府の方から、このOSARTが来て、最後に帰りに行ったプレスリリースのコピーをもらっております。それから、現地の新聞あるいは日本工業新聞等も四月十八日に紹介をしておりますが、高い評価をしている。私から言うと甘い評価をしている、こういうふうに思います。  例えば、東電では、この福島第二原発では「事故の防止を最優先としており、管理者は安全運転に確実に取り組んでいる。この安全運転の実績は定期検査に時間をかけ、すべての重要なシステムについて保守、点検、試験を徹底して行うという方針が功を奏している結果だ」。それから、「保守、点検および試験の方針が成功していることは、中央制御室の警報が一つも点灯していなかったことに表れ、また設備の安全性に関する試験で過去六年間に一度も不満足な結果が生じていないこと」云々、こういうふうに高く評価をしたと報道されておるのですね。御存じのように福島第二原発の三号炉は、一昨年の正月でしたかその前に再循環ポンプに重大な事故が起きて、百キロの円板が、三十三キロ鋼鉄がすり減って粉々になって原子炉の中に流れ込んだ、そして、一年十カ月の条これを停止して、その損失は直接で補修に百二十億、一日一億、百万キロワット単位の原子炉をとめれば、損失とすれば七百八十億、約八百億の損失が出たということは予算委員会においても政府答弁を通して明らかにされている。  あのとき私も取り上げて随分とこれは論議をしましたが、あれだけの問題を起こした福島第二原発にせっかく行っておって、これだけいい点数をつけて帰ってしまうということは一体どういうことなのか。これは招請を受けて来たのだ。確かにOSARTは、私もローゼン部長とウィーンで会ったときに言っておりましたが、招かれて行くので査察に行くのじゃない、だから見せてくれるところに行って見るのだ、こういうことでありましたが、それならばそういう実態があったということを報告すべきであるし、直接の報告の中には何らその問題には触れていない。新聞記者の皆さんが記者会見で質問したときに簡単に触れたという程度であるのですね。  これでもって日本の原発は非常に優秀であるということを報告書をもって書かれる。それから、それを世界に広げている。確かに私は日本の原子力の技術はドイツフランスアメリカと並ぶところにあるとは思いますが、しかし、さりとて特別すぐれているともなかなか言いがたいと思います。私から見れば、こういう甘い評価が一般化されているということについては、国際機関の査察としては、査察といいますか調査としては非常に問題がある、こういうふうに思いますが、これについてどう思いますか。
  149. 末広恵雄

    ○末広政府委員 IAEAのOSARTは特定の事象について調査するということではなくて、発電所全体の運転管理状況をいろいろ調査、評価するという目的で行われるものでございます。したがいまして、福島第二原子力発電所三号機の再循環ポンプ損傷事象につきましては、調査終了後のプレス会見におきまして団長から、今回のOSARTはそもそもこの事象の調査目的としたものではない、それから長期間にわたり原子炉を停止し、原因究明を行って、運転再開に際しても慎重に臨んでいるというようなコメントがなされております。  OSARTの趣旨というのは、過去のいろいろなトラブルを評価するというよりも、そういったトラブルの教訓を踏まえまして今の運転管理状況はどうなっているかということを評価するということにあくまで主眼があるというふうに考えております。
  150. 辻一彦

    ○辻(一)委員 特定調査ではなくて、運転状況全般を見て、いい点はそれを各国に広げるし、足りない点があれば補う、助言をする、こういう内容だということはわかりますが、六百六十日、一年十カ月、二十二カ月にわたって、あれだけの事故を起こしてとまっておった原子炉を見に行って、いいことだけ並べているのではいかがかと私は思います。  もう一つ申し上げると、OSARTが高浜原発の運転管理調査に入ったのは昭和六十三年の九月か十月であったと思いますが、実は、私はその年の九月にウィーンヘ行ってローゼン原子力安全部長とかなり長い間懇談をして、高浜へ一遍見に行くからその後でまた会いましょうということで約束して別れた。それで、記者会見をする、彼が帰国する前の日に高浜で一時間余り感想をどうだったかと聞いたのです。同様に、大変立派だという話をしておるのです。  私が、高浜三、四号炉を見たと言うから、それは加圧型の一番新しい日本の原子炉だからそれはいいでしょう、しかし、あそこには、もう一つ加圧型いわゆるP型のウイークポイントである蒸気発生器の細管が二四%もつぶれて、それをどうするかという大きな問題が出ている原子炉だ、そういうのをあなたはそこへ行っておって何も見なかったのか、こう聞きますと、やはり同じようにそれは案内をしてくれるところを見たのだ、こう言っている。美浜も見たかと聞くと、美浜の原子炉も見に行ったと言う。では一体どこを見たのだと言ったら、美浜原子炉の三号炉、問題のないものを見ている。美浜は、御存じのように昭和四十八年であったと思いますが、既に蒸気発生器の問題で三年間ほど一、二号炉ともあの原子炉はとまった、最近でも蒸気発生器を交換するという重大な、そういう意味では問題点のある原子炉である、その一、二号炉は、いや見ていないと言うのです。  私は、今度は東電の場合もしかり、前の関電のを見に行ったときにも同じような印象を受けたのです。それはあなた、せっかくウィーンから来て国際機関としてそんな評価をしておったら、国際機関の威信を問われますよ、こう率直に言っておきました。  これは一体どこに問題があるのか。案内した方に問題があるのか。そういうことを見ようともしないOSARTに問題があったのか。そこらの問題点をどういうふうに考えるか、ちょっと科技庁の方からお伺いしたい。
  151. 末広恵雄

    ○末広政府委員 OSARTは三週間程度にわたりましていろいろ発電所調査をやるわけですが、ハードの問題というよりも、むしろ、例えば組織管理がどうなされているかとか、教育訓練がどうなされているかとか、運転面でどういうふうな体制がなされているかとか、保修体制とかいろいろなそういった運転管理体制面からの調査、評価をやっているわけでございます。三週間の間、単に発電所側の指示でいろいろ調査をやるということではなくて、あくまでこの調査の方針につきましてはIAEA調査団、団長以下の調査団で独自の判断で調査をやるという形になっております。
  152. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ソフト面の運転管理等の調査が中心だというのはわかりますが、では東電の福島第二原発の三号炉は三年前ですか、元日に回転板が事故を起こして問題が出て、一週間がらがら回っておった、一週間運転しておったのですね。そのときに警報がもう何時間も鳴り響いて、最後には大変だということでついにとめたのですが、明らかに一週間と言われたのですね。運転上の問題があったわけですよ。それはちゃんと報告書にも出ているでしょう、その反省点が。  だから、運転管理調査に来ているなら、あの重大な運転員の一週間の行動等を十分検討して、しかるべき助言をするとか、それの評価をするというのが当然ではないか、どう思いますか。
  153. 末広恵雄

    ○末広政府委員 まだ詳細な最終的な報告書が参っておりませんので具体的なことは申し上げられませんが、いわゆる過去のトラブルを評価するというよりも、そのようないろいろなトラブルの教訓を踏まえて、今の運転管理状況がどういうふうになっているかということがこの調査の主眼になっていると私ども了解しております。  例えば、今回の福島におきましてもそういったいろいろな運転管理状況についての調査の結果、例えば運転員の再訓練についての改善事項とか品質保証の監査の実施についての改善事項といったことも若干指摘されているというふうに聞いております。
  154. 辻一彦

    ○辻(一)委員 苦しい答弁を聞いておりますが、それでは私もなかなか十分納得はできません。  これは内田委員長、どうですか、東電を見れば、随分あなたはその当時厳しい、直ちに原子炉をとめるべきであった、こういうような御発言を委員長もまた当時の長官も皆しておるのです。それだけの問題が運転上あったのを見過ごしておる。私はどっちに原因があるのかわかりませんが、こういう運転管理調査のあり方についてどうお考えになりますか。どう感じられますか。
  155. 内田秀雄

    ○内田説明員 申すまでもなく、OSARTはIAEAという国際機関の調査でございますので、その報告書について、特に福島について詳細に私検討したわけではございませんが、IAEAのOSARTの調査の方法でございますので、私から何も申し上げる立場ではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  156. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それなら、政治の面からいえば長官どうですか、ちょっとIAEAに文句をつけるか交渉したらどうだというぐらい言ってもいいだろうと思うのですが、いかがですか。
  157. 谷川寛三

    谷川国務大臣 正式には調査結果を今後IAEAにおいて取りまとめるものと承知しておりますが、原子力安全委員会としましては、本調査結果が我が国原子力発電所の一層の安全確保に資するとともに、世界の原子力安全性の一層の向上に資することを私は期待するゆえんでございます。
  158. 辻一彦

    ○辻(一)委員 余り自信のないような御答弁ですが、ローゼンさんはこう言ったのです。日本の原子力安全性等を考えると、福井県の若狭湾に来て、十幾つも発電所があればあなたがやかましく言うのは当然だろう、そういうことで安全性は高められる、こう言って、一年に一回ぐらいはウィーンヘ来て論議をしよう、といったってなかなか行けませんが、私たちはまた機会があればそういう点を厳しく率直に指摘をして、よりよいIAEAのOSART活動ができるようにしたいと思いますが、政府の方もそういう点は遠慮せずに努力をいただきたいと思います。要望しておきます。  第二の問題として、プルトニウムと高速増殖炉の開発問題について若干質問したいと思います。  今、国際的には多くの再処理工場が動いて、どうも将来プルトニウムが相当余剰が出てくる。加えて、ソ連の核兵器等の解体によって相当量のプルトニウムが出る。国際的にも、また国内的にもそうでありますが、プルトニウムは相当過剰状況が予測されますが、プルトニウムの国際的な需給関係をどう見るか、ごく簡単で結構でありますから、伺いたい。
  159. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  プルトニウムの国際的な需給状況でございますが、これにつきましては、手元にどんぴしゃりこれであるというまとまった資料がないことをまず御理解賜りたいと思います。  これに関連いたしましたデータといたしましては、先般の日本原子力産業会議の年次大会におきまして国際原子力機関のダークス事務局次長、いわばIAEA官房長とでも言うべき立場の方が今後のプルトニウム需給の見通しのようなものを報告なさっておるわけでございます。この報告の根拠の詳細は私はつまびらかにはいたしませんし、なおその需給といいますのは、供給サイドはむしろ再処理の能力みたいなものであり、どれほどのプルトニウムが要るかというのはウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の加工能力みたいなもので比較をした、そういう数字をダークスさんは示されたわけでございます。  これによりますと、一つといたしまして、一九九〇年の世界の再処理能力は、重金属量にいたしまして四千百トンということでございまして、これは本当は、プルトニウムがどれほど出るかというのは、当然ながら燃焼度によって変わってくるわけでございますけれども、一応、核分裂性プルトニウムにして年間十四トンぐらいのプルトニウムが分離された。一九九〇年につきましては、これは過去のことでございます。二〇〇〇年には世界の再処理能力は約六千八百トンになるわけであって、年間約二十五トンのプルトニウムが分離されるであろうと考えられるという数字を示されたわけでございます。  一方、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の加工につきましては、一九九〇年には年間九十五トンの加工能力があったということであって、これは全量でありますから、どういう燃料をどうつくるかということで変わるわけですけれども、一九九〇年では約四トンのプルトニウムを必要とした。これは過去の話でございます。また二〇〇〇年には年間四百三十トンの加工能力と彼は言いまして、これもどういう燃料をどうつくるかということでありますけれども、約十九トンのプルトニウムを必要とするであろうということを言われたわけでございます。  こういうバランスで考えますと、ダークスさんの言い方によりますと、一九九〇年から二〇〇〇年までの間で約百十トンぐらいのプルトニウムが余る可能性があるのじゃないかということを指摘されたわけでございます。  ただし、今も申しましたように、プルトニウムの供給といいますのは再処理から来るし、プルトニウムの需要はMOX燃料加工ということでございますけれども、それぞれこれからいろいろなこともあるわけでございましょう。それから、加工につきましても、これからいろいろな考え方、計画等も加わることもあり得ないわけではないということ等々を見まして、プルトニウムは世界的に急速にビルドアップしていくということはないものと私どもは認識しているところでございます。
  160. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ダークス事務局次長が、二〇〇〇年に大体百十トン余る、こういう見通しを述べておりますね。今御答弁のとおりです。  どうしてプルトニウムが余るか、これはもう質疑の必要はない、十分それぞれ確認できることですが、要は、プルトニウムは再処理をして分離をする、そのねらいは高速増殖炉、いわゆるFBRが実用化した場合にこれに使おうというのが一番のねらいであった。ところが、この開発が非常におくれてきている。フランスのスーパーフェニックスが七年間に百七十五日しか動かなかったということが報じられておる。私もフェニックスを見に行きましたが、やはりとまっておりました。ドイツもFBRをやめた。そうしますと、世界の有数な国で、FBR、高速増殖炉を開発した国々はそれぞれ停止をしたような状況になっておる。  我が国はそれと違った道を歩んでおりますが、要はFBRに十分使えると思ったその本体の高速増殖炉がなかなか進まない、これが一つの大きな要因。そして、再処理の方はフランスイギリスで今やっておりますが、あれだけの工場、フランスの第三工場等がどんどん動けばプルトニウムが分離されてくる。そこでどうしても余ってくる。これだけではなしに、今毎日随分論議されておりますが、旧ソ連の核兵器の解体は、大体八十トンのプルトニウムを生み出すだろう、こう言われている。アメリカもソ連と並んで核軍縮に入れば、将来二百トンぐらいのプルトニウムがそれだけで余ってくるのじゃないかと言われておりますね。  そうしますと、今世界の非常に大きな課題は、こういう形で余ってくるプルトニウム、しかもそれは転用すれば核兵器に使えるわけでございます。それから、それを一部でも散布すれば、がん発病に一番有毒なプルトニウムの微粒子として、非常な影響といいますか大変なことになる。これをどう管理し、どう貯蔵し、どう処理するかということは、今世界の重要な、非常に大きな課題の一つだ、こういう認識をしております。  そこで、日本もプルトニウムの過剰状況が来るのではないか、例外ではない、こういう感じが私はします。  まず、日本のFBRも、この間見に行ってきましたが、敦賀で臨界を目指して今いろいろと努力をしていることはわかりますが、現在の実験の原型炉から、さらに将来実用化には実証炉、実用炉という道を経なくてはならないのですけれども、肝心の実証炉の開発の見通しが、今までの民間、電事連を中心にして開発する、これがこの二月に、政府機関が先に立たなければできないだろう、こういうふうな方向に変化しておるわけです。これが変わった理由というのは何があるのか、まずこの点について伺いたい。
  161. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  FBRに入ります前に、先生から先ほど我が国のプルトニウムの余剰問題について大きな御指摘があったわけでございます。これにつきましては、この席で何遍も御説明申し上げておりますように、二〇一〇年までのプルトニウム需給、例えば総需要量は八十トンから九十トン、総供給量が約八十五トン、バランスしておると申し上げておるわけでございますが、これにつきましても、私ども言い方がどうも意を尽くさないところがあったかと思っておりますのは、あたかも八十五トンが供給され続けて、積み上がって、パイルアップしていって八十五トンたまったものを使うというわけではなくて、できてきたものとのバランスにおいて絶えず使っていく。すなわち、それを累計すれば需要が八十トンないし九十トンであり、供給が八十五トンであるということでございまして、我が国は、分離されましたプルトニウムをパイルアップしていく、ため込む、ストックパイルをつくる、そういう政策では決しでないことを申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、御質問の高速増殖炉の実証炉の建設計画でございますけれども、これにつきましては、先生ごらんになっておられますような原型炉「もんじゅ」によって得られます成果を受け継ぎまして実用化に至るまでの長期的な展望のもとに全体が進んでいく、その一段階を画するものと位置づけておるところでございまして、電気事業者の主体的な役割のもとに、官民の適切な協力を図りながら一九九〇年代の後半に着工することを目標としておるところでございます。  具体的には、実証炉の設計、建設、運転の主体でございます日本原子力発電が現在設計、研究を実施しておるところであるわけでございます。  したがいまして、実証炉は今後、基本仕様の検討、選定を経まして、立地地点を考慮した詳細な設計を進めることとされておるところでございまして、一九九〇年代後半の着工を目途に計画が着実に進められていくということであろうと承知しておるわけでございます。  御指摘の、いろいろな新聞等々に報道されております議論でございますが、これは今後の高速増殖炉の開発を進めるに際しまして、さらに具体的にどのように進めているかということにつきましていろいろな御議論があることは事実でございます。私ども原子力局内に設けております検討会あるいは原子力委員会の中の集まりの御議論でいろいろな御議論があることは事実でございますけれども、現在までにいろいろ報道されておりますことは、これまで官といいますと、実際国から出資して研究開発を進めております動燃が圧倒的な主体であるわけでございますが、この動燃が持っております知識、経験をいかに我が国全体としてうまく使っていくか、言いかえれ産官民の協調の態勢をどうしていくかということにつきまして、さらにいろいろな学識経験者から御意見をいただいているところでございます。  それも踏まえながら、これからのよりよき高速増殖炉実証炉計画への一歩を踏み出していきたい、かように考えておるところでございます。
  162. 辻一彦

    ○辻(一)委員 一つだけあらかじめ聞きたいのですが、今の状況からすると、実証炉は先になる、実用炉もさらに先になる。国際的にもそうですが、二〇二〇年とか三〇年、三、四十年先でなければFBR、高速増殖炉の実用化はなかなか難しい、こういうふうに言われておりますが、それでいいのですか。
  163. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  高速増殖炉の実用化時期は、今のところ二〇三〇年ごろと言われておるわけでございます。それに至るまで我々は鋭意研究開発努力を傾注していく必要があろう、かように認識しているところでございます。
  164. 辻一彦

    ○辻(一)委員 三十年とか四十年先に実用化、FBRを開発したとしても、本格的にプルトニウムを使うとすればそういう時期になるだろうということでありますが、我が国は今お話しのように二〇一〇年までに八十五トンのプルトニウムを一応使うことになって、もちろん、ためておいて一遍に使うわけじゃなしに、できたのを使おうというわけでしょうが、その中身を見ると、論議を今までしましたから詳しくは申し上げませんが、要するにMOX燃料で軽水炉で五十トン使うということなんですね。本来の「ふげん」であるとか「常陽」、「もんじゅ」等々、これから建設しようとする実証炉を含めて、そういうのはフランスイギリスから返ってくる三十トン、東海処理工場で生産分離をする五トン等々を入れれば三十五トンで大体合う。これは簡単な計算ですが、そうなる。  八十五トンのうちの五十トンは軽水炉の中でプルトニウムをMOX燃料にして燃やそうというのですね。だから、採算の点からいって、経済的にいって、あるいは安定度からいって、軽水炉の中でプルトニウムを燃やせばまた違ったふるまいがある。お金も高くつく。  ウランは御承知のように、ソ連は核兵器解体で三年間世界じゅうの原発の濃縮ウランを賄える量があるから買わないかと言っておる時代です。そういうときに、ウランはどんどん値段が下がってくる。かつて一九八三年に一ポンド十九ドル三一、九〇年の一月には八ドル、四〇%になっているのですね。これらを見ると、ウランも値段が下がる。  そうすると、MOX燃料にして値段で高くつき、コストが高くつき、不安定性も持つ、そういうものを五十トンもこれから軽水炉の中で燃やすというようなことはちょっと無理な計画ではないか。数字のつじつまを合わすために、プルトニウムが分離されたらそれを残さないようにしたいということで、私は数字を合わすためにMOXを無理に使おうとしているというふうに感じてならない。その点の見解はいかがですか。
  165. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のように、世界的にもウランの市場価格は非常にフラットではないか、非常に安くなっておるウランの手当てのみをしておけば、それほど急いでプルトニウムを使う必要はないのではないか、かてて加えて、旧ソ連の解体核兵器から出てまいります高濃縮ウラン等々を原子力発電所で用いれば、さらにウランの市況といいますか市場は供給が非常に多い状況になるのじゃないか、そういう御指摘であろうかと思うわけでございます。  なるほど、今はウランは非常にフラットでございます。そうではございますけれども、長期的に核燃料の価格を安定させていくということになりますと、何といいましてもプルトニウムを用いることができる体系をつくっておくことが極めて重要であろうと思うわけでございます。加えまして、今の軽水炉で原子力発電所を運転します以上、必ずそこにありますウラン233は中性子を吸収いたしましてプルトニウム239になるわけでございます。そのプルトニウムを使いまして、これは午前中も申し上げましたように核分裂性物質でございまして、うまく使えば強力なエネルギー源になるわけでございます。高速増殖炉はそれを増殖することができる、あるいは減速という過程を省略することによりまして非常に中性子を効率的に使いながら発電をしていく原子炉、原子力発電所である、いわば非常に弾力性の高い、フレキシビリティーの高い原子力発電所になることができるというものであろうかと思うわけでございます。  そういうことでございますので、原子力発電所を進めていくということにおきまして必ずプルトニウムをうまく用い、これをエネルギー源としていくことは重要であろうと考えておるわけでございます。  それから経済性でございますが、先生御指摘になりましたように、今非常にウランはフラットではないかということでございます。これにつきましては、過去にもOECD、原子力機関等がいろいろなコスト比較をしたこともございます。これ等によりましても、ワンススルーの場合よりもリサイクルをした場合の方が核燃料サイクルコストが若干高いということもあるわけでございますが、これはもちろん決定的な高さでは決してないわけでございます。そういうことも含めまして、我々がプルトニウムをいかに上手に使いこなしていけるかということが、長い将来にわたりまして低廉で安定な原子力発電を継続していくためのかぎになるのじゃないか、かように私ども考えておりまして、そこに再処理あるいはプルトニウム利用の意義がある、かように認識しておるところでございます。
  166. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題で私は動燃の石渡理事長に若干お伺いしたいと思います。  今申し上げましたように、国際的にもまた国内的にもプルトニウムは過剰、余剰の状況にある、こういうことは共通した認識であろうと思います。そこで、理事長は四月二十日に外国の特派員との記者会見で述べられておりますが、「「高速増殖炉のプルトニウム増殖に力を入れる必要はなく、プルトニウムを(燃焼して)消す高速炉に重点を移した方がいい」と、政策の転換の必要性を述べた。」と新聞が書いておりますね。それから、「さらに、動燃の今後の高速増殖炉開発路線について「日本だけで決めずに、プルトニウム利用技術を持つ先進国との話し合いで決めるべきだ」と語り、わが国の原子力政策にも国際間の協議を反映させる必要があるとの考えを明らかにした。」と報道されておりますが、これはプルトニウムは高速増殖炉にという重点の置き方を、政策的な転換を意味しておるのであるかどうか。それからまた、核融合のITERのように国際協力によって、FBRは段階を追うにしてはお金がかかりますから、ITERのような形で国際的な協力ということを考えていらっしゃるのか。新聞ではこういう報道がされておりますが、まず真意をお伺いいたしたい。
  167. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 お答え申し上げます。  まず四月二十日の外国特派員協会における私の発言についてでございますが、技術体系からいいまして、高速炉の本命というのは、数十年前から考えられておりましたように、高速増殖炉であろうということは間違いないところであろうと思っております。ただ、先生先ほどから御指摘のように、その実用化が主として経済性の問題からして二〇三〇年ごろであろうというのが今国際的なコンセンサスになっておる。そうすると、御指摘のようにまだ四十年ある話であります。そうしますと、世界的に数は少なくなってきておりますけれども協力して高速炉の開発をやっていこうという者が力を合わせて、そしてより弾力的な対応、アプローチを考えるべきではないかということを申し上げたわけであります。  その弾力的なという中に、しゃにむにFBRのBを強調するのではなくて、そのときの情勢によってその増殖比を減らす、あるいはマイナスにするということまで視野に入れて開発を考えるべきではないか、そういう視点に立ちますと、例えば一見違うアプローチをしているかに見えるアメリカ開発路線等々も同じ土俵に入ってくるというふうに考えられますので、そういう意味で国際協力というものがより緊密な形態が可能になるのではないかということを申し上げたわけでございます。  要は、日本の開発路線も、路線が変わるのではなくて路線をより弾力的に幅広く考えるべきではないかということを申し上げたつもりでございます。  それから次に、ひとつ先生のお許しを得まして、プルトニウムが世界的にあるいは日本において過剰ではないかということについてでございますが、まず一点申し上げたいのは、昨年原子力委員会がおまとめになりました日本におけるプルトニウムバランスの問題は、長期の話をされているわけでございます。今日時点、動燃事業団が立たされている立場は、先生の御指導も得まして「もんじゅ」、昨年五月に完成させていただいたわけでございますけれども、そしてその初装荷燃料を我々今一生懸命つくっております。初装荷燃料の製造が終わりますと、実はプルトニウムの手持ちがなくなってしまうという事態に遭遇しているわけでございまして、我々の燃料加工能力はそう大きくございませんので、これはつくりだめをしておかなければならない状況でございます。  そうしますと、早速、最初の取りかえ燃料製造のためのプルトニウムがないという状態に近づきつつあります。そのためにヨーロッパにございます日本国籍のプルトニウムを持って帰るという必要が生じているということでございまして、極めて短期的には、我が国日本においてはプルトニウムが非常に不足しているという状態にあるということを第二に申し上げたいと存じます。  以上、とりあえずお答えさせていただきます。
  168. 辻一彦

    ○辻(一)委員 弾力的なやり方を考えたいという真意であったということでありますが、私はこういう感じがするのです。世界の原子力を扱っている国々の中で、イギリスフランス、日本は、使用済み燃料を再処理をしてプルトニウムを取り出してこれを生かそうという方向ですね。言うならば日本の場合は全部輸入しているのだから準自前のものになる、だからそういう燃料体制を確立したいというのですが、余計使っておった一番大きなアメリカやソ連、ここは使用済み燃料を再処理をせずに水につけて保管をして、三十年とかたってどうするかを考えたい、こういうやり方をとっていますね。  そしてこれは、私はローゼンさんとか、ウィーンでもちょっと何人かの人と論議したことがありますが、考え方では、今石炭や石油、ウランというものは有限なのだからそういうものを先に使う、そして最後に、もっと将来の燃料、エネルギー資源として、プルトニウムは加工、分離をせずに使用済み燃料のまま水につけて保管をして、三十年もたったら一体どうするか、処理の技術もあるし、エネルギーの状況も資源の状況もある、こういうことを頭に入れて考えているという見方もありますということを言っておったのですね。  これだけプルトニウムが世界的にも、そして国内的にも過剰という状況が生まれようとしているならば、プルトニウムを将来の燃料としていいか悪いかは別ではありますが、そういう観点からすれば、慌てて再処理をせずに水につけて、我が国もひとつ今世界的に安いウランがあり、幾らでも手に入るならばそれを活用してやって、プルトニウムは将来のエネルギー資源として貯蔵、保管を水の中に入れてするということも考え得るのであります。  慌てて今、慌ててというかFBRが開発できるという前提のもとにこの分離に、再処理に取りかかったけれども、本体のFBRは三十年も四十年も先だということになると、当然同じ計画なら余ってくるわけですから、そういうことを慌てて分離をせずに保管をする、そうすれば過剰なプルトニウムを我が国において生み出す心配もなくなると思うのです。そして、資源を自前の資源としてなお確保するなら、三十年、四十年先まで見て水に入れておいてもいいのじゃないか、こう思いますが、これについてどういうお感じをお持ちになりますか。
  169. 石田寛人

    ○石田政府委員 政策論でございますので、私からお答え申し上げます。(辻(一)委員「簡単にやってくださいよ、参考人に聞くのだから」と呼ぶ)はい。  先生御指摘のように、この時代になぜそんなプルトニウムをあえて使うかということでございます。これにつきましては、前にも申し上げましたように、一言、技術開発のあり方、技術開発のダイナミズムというものをぜひ御認識いただきたいと思うわけでございます。  今、全くプルトニウム利用技術を凍結いたしまして、もうそれをやる人もいない、あるいは継承も伝承もされない、そういう事態になりますと、いざ鎌倉となりましてプルトニウムを使おうと思いましても、急に一朝一夕にプルトニウムを使えるものでないことは、これは研究開発を担当してまいりました動燃も、あるいはそれを支えてまいりました私どもも強く認識しておるところでございます。  したがいまして、プルトニウムというものは、絶えず我々が時間をかけながらプルトニウムになじみ、なおかつそれを使いこなしていくということがぜひ必要でございまして、それには時間がかかるかもしれない、実際それを丁寧に一歩一歩やっていけば必ずプルトニウムはエネルギー源として大きな力を発揮する、そういうことでございまして、まさにそういう観点から、再処理も、それから高速増殖炉等々におきますプルトニウム利用も進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  170. 辻一彦

    ○辻(一)委員 局長のその見解は、前にも論議をして伺ってよくわかっておりますが、きょうは石渡さんにひとついろいろな御経験から、今私が申し上げた意見について御見解をお伺いしたい。
  171. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 お答え申し上げます。  大変貴重な御意見を開陳いただきましてありがとうございます。  慌ててやっているという認識は我々実はないのでございますが、まず研究開発の段階は着実に、それこそ時間をかけて確実な開発を進めておくべきであるという考えは、ただいま局長から御開陳があったわけでございまして、私も全く同感でございます。  ただ、資源論という立場からプルトニウム資源をいつ日本が使っていったらいいかということ、あるいは世界全体がという問題になろうかと思います。私ども実は、私自身戦争の時期、極めて日本が貧乏であり、また物が不足している時期を経験しておりまして、そういうことが身にしみついているりかもしれませんけれども、やはり最低のものは自前で持っているべきだということがどうしても発想の原点になるわけでございます。世界じゅうに転がっているじゃないがということはさることながら、しかし、最低のものは自前で賄うべきではないか、そのように努力をすべきではないかというふうに考えるものでございます。  非常に資源に恵まれている例えば米国が核不拡散という観点からプルトニウムの商業的な利用はやめようと簡単に決められ、まあ簡単であったかどうか知りませんが、決めるということ、あるいは、今貧乏しておられるようですが、ソ連のように同じく広大な領土を持った豊かな資源を持っている国、あるいはイギリスのように石油を獲得することに成功した国、あるいはドイツのように無尽蔵とも思える石炭資源を持っている国というふうに、それぞれの国の置かれたエネルギー資源というものがバックにあってその国の政策が判断されているのだろうというふうに思うわけでございます。  そして、何もない我々が、しかも大量のエネルギーを使っていかないと国民の生活が成り立たないというような国にとっては、やはりただいま名前を挙げさせていただいたような国々と違うエネルギー政策というのがあっていいのではないかというふうに思うわけでございます。そういう観点から、先生もおっしゃっていただきましたが、プルトニウムという国産に準ずるエネルギー源というものを我々は大事に、しかし注意深く扱っていくということによって一つの日本のエネルギー資源として考えるべきではないかというふうに考えております。  幸いにして、現在私はその研究開発を担当している者でございまして、そういう意味で、研究開発はきちんと着実にやっていくべきだ、またやらせていただきたいというふうに考えております。しかし、その技術の結果として、プルトニウムをもととするエネルギーをどのように、どの程度使っていったらいいかということについて、これは頭から決め込まなくてもいいのだろうというふうには思います。ただ、先生ただいま例示的におっしゃったのだと思いますけれども、三十年ぐらいプールにつけておけばいいじゃないかというのも一つの選択肢としてあるのかもしれませんけれども、その辺についてはまさに弾力的に、柔軟に考えるべき問題であろうというふうに思うわけでございます。  それからもう一点、ちょっと話題を変えさせていただきまして、お許しを得て一言申し上げたいのでございますが、解体プルトニウムの問題でございます。核兵器の廃絶、廃絶までいかないのでしょうけれども、削減ということで担当量のプルトニウムが主としてソ連から出てきそうだということを耳にしましたときに、ある早い時期にそれが実行に移されるのかなという印象を持ちました。そういうことになれば大変だ、それならばそういう事態に対応できる技術開発というものも我々考えなくちゃいかぬだろうというふうに個人的には思いました。また同時に、科学技術庁からも御指導がございまして、そういう観点から物を検討しておくようにという御指示もあったわけでございます。  最近、私、一部大臣のお供をした部分もございますけれども、米、欧と回ってまいりまして、主要国の政策担当者といろいろ意見交換してみたのでございますが、各国とも、冒頭先生御指摘のようにこれは大変な問題だという認識をまず示しております。しかし、どう対応するかということについてはこれはなかなか簡単に決められないなということを、各国ともその事情は違うのでしょうが結論は同じでございまして、大変な問題だけれどもどう対応するかについては、これは慎重に構えなくちゃいけないということで見解が一致していたわけでございます。  その共通している理由は、まず、相手国がなかなか政情も不安定であるし、どこでどういう相談をしたらどういうふうに進むかという具体的な話が進まないという事態があるということが直接の原因のようでございますが一とにかく大変な問題なので、いろいろなケースを想定して、しかも国際的によく相談しながらこの対応策を決めなくちゃいけないなということで一致しておりまして、非常に急いで対応策を考えなくち。やいないという事態ではなさそうだなという印象を持って帰ってきたということだけ御報告申し上げさせていただきます。
  172. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一つお伺いしますが、専焼高速炉の問題は、先ほどちょっとお話を伺いましたが、プルトニウムを貴重なるエネルギー資源としてとらえるなら、早々と燃やしてしまうということは貴重な資源をこの地球から早くなくするということにもなるのですが、そういう意味で専焼高速炉のあり方というのは、早くプルトニウムをなくしてしまうという点ではまたそういう意味があるでしょうが、資源というとらえ方をしたときにどういうふうにお考えなのか、ちょっと参考に聞かしてください。
  173. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 専焼炉というのは、プルトニウムを炉に入れて燃やした場合に再生産されてくるプルトニウムが望むべくはゼロであってほしい、なるべく少ないプルトニウムが生まれてくる、こういう炉の概念になろうかと思います。そして、我々が進めております高速増殖炉の技術の、ある幅をもって考えれば、その開発路線の幅の中に入ってきているというふうに思っているわけでございます。一方ではふやすような炉をつくり、一方ではなるべくプルトニウムが減っていくような形で炉を構成するということでありますが、基本は同じ概念の中に入っているというふうに考えております。ただ、技術的にはふやす方がどうも難しいらしいということのようでございます。  そして、我々「もんじゅ」を通じまして増殖炉の技術を獲得しましたならば、それの延長線において、幅を広げるという意味において、逆にプルトニウムが余りふえないという操業方法あるいは炉心の構成というものを考えてみたいと思っております。これはまだ私の私見の段階でございますが、勝手に開発信標を変えるわけにいきませんから、その幅を持たせていただくということで監督官庁とも御相談させていただきたいと思っております。  ただ、資源論的に言えばふやす方が二言葉は不適当かも存じませんが真っ当なのであって、エネルギーが出てくるにしろ慌ててどんどん燃やしてしまうという方は、やはりせっかくのプルトニウムの資源というものをやや粗末に使うという感じは否めないものだというふうに考えております。
  174. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それはなかなか難しい問題ですからこの程度できょうはとめておきたいと思います。  いずれにしても、世界的にまた国内的に考えましても、FBRの開発の可能性、実現のめど等々を考えれば相当プルトニウムは余ってくる、こういう中で従来どおりのいわゆる核燃サイクル計画あるいはプルトニウム政策でいいのかどうかということは相当検討する必要があるだろうとは思いますが、これを聞いても検討しますとはなかなか答弁が出ぬでありましょうから、検討すべきでないかということを申し上げて、一応プルトニウムの問題はこれで切り上げたいと思います。  最後に、原子力情報制限問題ですが、これについても若干時間が欲しいのですが、それだけの論議はできないと思いますので、大事な点を二点ほどお尋ねしたいと思います。  それは、従来電気事業者と地方の自治体安全協定等を結んで核燃料等輸送等に絡むいろいろな情報事前公開しておりました。そういうことによって一つの信頼性がつくられていく、そしてまた安全に対する理解も得られる、あるいは防災の対策も消防庁等を中心に立てられる、こういうことが二十年間ずっと私の福井県においても積み上げられてきたわけであります。  今回それが、核防護という観点から核燃料輸送にかかわる問題は情報公開しない、こういうことに通達されたわけなんですね。このことは、一つは、二十数年間自治体電気事業者の間に積み上げた一つの信頼関係、それらをもとにして住民が持つ信頼の関係を突き崩すことになりかねないということがあると思います。これについてどういう考えかということ。  それからもう一つは、安全、核防護の名に隠れて安全にかかわる資料等がこれから制限されていくのじゃないかという心配を広範に私は聞いております。政府の方はあるいは電気関係事業者の皆さんも従来できるだけ情報や資料は出さない。私も参議院以来これで、昭和四十六年からいうと、間は大分ありましたが、かなり長い間衆参両院で原子力の安全問題等にかかわってはおりますが、政府が率先して、あるいは電気事業者が言った以上の資料を出すような情報公開ということは今まで体験したことがない。どうにもならなくなってやむなく資料を出すという形が大体今まで多かったと思う。  そういう点を考えると、今回、核防護という名前に隠れて原子力安全性等に関する資料や情報が制限されていく懸念をかなり強く聞きますし、私も持ちますので、この二点についてお伺いをして、時間が来ましたから詳細はまた次の機会に譲りたいと思います。
  175. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、原子力開発利用に当たりましては国民の皆様の理解協力、これが不可欠であるということでございます。今回の核燃料物質輸送情報に関する措置によりまして慎重に管理されるべき情報は、輸送日時経路等核物質防護上必要最小限のものでありまして、地元の方々、住民の方々が最も関心を有している安全性に関する情報、例えば核燃料物質の種類、物理的、化学的な特性であるとか、あるいは輸送容器の概略、また輸送安全基準等々、このようなものにつきましては核物質防護上問題がないということが考えられますので、こういったものにつきましては、従来と同様、地元住民の方々にこういったデータをお示ししまして理解を得ることにしていきたい、こういうふうに考えております。  それで今回、長い間の、ある意味では慣習と申しますか、地元自治体がこういった情報について公表をしておったということがあるわけですけれども、私どものいわゆる地方自治体に対する要請文を受けまして、私どももいろいろ地元に出向いて説明等も行ったわけでございますが、地元地方自治体におきましては、いわゆる国際的な動向、核物質防護重要性等、このようなことにつきまして十分に理解をいただいておるところでございまして、既に一部自治体においては、従来の個別事前公表をやめる等のいわゆる見直しを行っていただいております。  例えば福井県におきましては、立地市町との協議の上、個別輸送に関する事前発表を取りやめる旨記者発表をやっておりますし、また島根県等におきましても、これに向けての行動といいますか、措置を行っておるところでございます。  もう一つの問題、これにも関連いたしますが、いたずらに情報管理を行うものではないかといった御疑念でございますが、確かに一部報道によりまして、原子力発電所の種々のいわゆる公開されている情報が今回の措置を契機にいわば制限されるおそれがある、こんなふうな指摘を私、新聞等でもって読んだことがございますけれども、この本措置があくまでも実効性のある核物質防護を求めての措置であるということでございまして、いたずらにその情報管理を行うものではないという点を重々御理解いただきたいというふうに思います。
  176. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これで終わりますが、今時間の点からこの問題は踏み込むことができなかったので、次回に譲りたいと思います。  最後に長官に一言伺いますが、確かに、出された通達といいますか、この文書に、核防護の名をかりて原子力の安全にかかわる問題の情報制限があってはならないと大変立派なことが書かれておりますが、しかし、これは書いてあるだけでは意味がないのであって、このことをきちっと守って、自主、民主、公開の重要な公開原則をこれからとも安全上の点では十分にひとつ守ってもらいたいと思いますが、これについての決意を一言伺いたいと思います。
  177. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お言葉のとおりでございます。そのように厳重に心にとめてやってまいります。
  178. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。
  179. 近岡理一郎

    近岡委員長 川島實君。
  180. 川島實

    ○川島委員 私は、既に通告をいたしております我が国エネルギー政策についてお尋ねをいたします。  政府は、平成二年六月、我が国エネルギー需要の増大と地球環境問題に対する関心の高まり等のエネルギーを取り巻く情勢の大きな変化に対応するために、新たに長期エネルギー需要見通しの改定を行い、その供給目標を達成するために、石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律に基づき、平成二十二年度におけるその種類ごとの供給数量の目標を定めております。  この目標の達成のために、民間に対しても理解協力を求めるとともに、政府の重点的かつ計画的な政策を遂行する、こういうふうに説明がなされておるわけでございますが、今日の環境の保全に対する問題、それから地球規模でのいろんな環境を脅かしている酸性雨、温暖化、大気汚染等、これらの問題についてどのような対応をなされておりますか、お伺いをしておきたいと思います。  また、この計画における原子力、石油、天然ガス、水力、地熱、その他の石油代替エネルギー等の、おのおのの一つずつの伸び率等が示されているわけでございますが、石油だけが横滑りであるわけでございます。これらの具体的な根拠をどこに置いてこれの策定がなされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  181. 末広恵雄

    ○末広政府委員 一昨年十月、閣議決定を経て改定されました石油代替エネルギー供給目標は、地球環境保全にも十分配慮しつつ、エネルギー安定供給の確保と経済の持続的発展を図るという課題を踏まえまして、二十一世紀初頭における我が国のあるべきエネルギー需給の姿を定めたものでございます。この供給目標は、政府、民間のいずれもが最大限の努力を払って初めて達成されます長期的な政策目標でございます。  通産省といたしましては、この目標を達成すべく、省エネルギー政策の強化、原子力、新エネルギー等の非化石エネルギーを初めとした石油代替エネルギー開発、導入策の充実に鋭意努めているところでございますが、今後とも国として、こういった施策の拡充に最大限の努力を傾注するとともに、関連する産業界、国民への働きかけを一層強化してまいる所存でございます。  また、今先生から御指摘ございました石油以外のエネルギー源、いずれも増加することになっているというお話でございますが、この点につきまして、今後予想されます環境変化の第一は、エネルギー需要、特に発展途上国におきます需要は大きく伸びると見込まれているのに対しまして、供給は、先進国、旧ソ連の産油量が減少に向かい、OPEC国への依存度が高まるということで、中長期的にはエネルギー需給の逼迫が予想されます。こういった意味で、我が国エネルギー供給構造は極めて脆弱であります。  今後、特定エネルギー源に過度に依存することなく、各種のエネルギー源を組み合わせる、すなわち適切なエネルギーミックスによってエネルギー安定供給を確保することが必要であるというように考えております。
  182. 川島實

    ○川島委員 おのおのの原子力、それからここに掲げられております水力、石炭、石油等、一つずつの具体的な取り組み状況、積算根拠についてお伺いしたいと思うのです。
  183. 梅村美明

    ○梅村説明員 お答えさせていただきたいと思います。  今政府委員の方から答弁させていただきますように、まず我々は、この石油代替エネルギー供給目標を作成する場合に、供給すべきエネルギー源の前に、一体どのような需要が想定されるかということをまず試算するわけでございます。  産業部門の需要がどのようになることが予想されるか、これにつきましては担当部局等へのヒアリングあるいは各種のビジョン、それから関係省庁によるエネルギー需要の算定等を参考に種々試算をしているわけでございます。また、エネルギー需要につきましては民生部門もあるわけでございますけれども、この民生部門には、大きく分けまして家庭部門と業務部門の二部門に分けて見通しを行っているわけでございます。また、運輸部門につきましては、運輸省検討結果等を十分に踏まえて算出したわけでございますけれどもエネルギー需要を旅客部門、貨物部門等に、それぞれ乗用車とか鉄道とかといった機関ごとの総走行距離等をいろいろ推計いたしまして計算をしたわけでございます。  こうした将来の需要動向に対します供給源として、我々は、政府委員の方からお答えいたしましたように、日本のエネルギーの需給構造の脆弱性ということを是正しつつ地球環境問題にも対応するということから、第一の目標は、最大限に省エネルギーをやって需要を可能な限り低くする、第二番目として、供給構造の脆弱性を是正するために石油依存度を低減する、それともう一つには、地球環境問題への対応のために非化石エネルギーを積極的に導入する、こういう最大限の政策努力を傾注したときにどの程度の量の石油代替エネルギーが可能かというようなことを各方面から試算いたしまして、二十一世紀初頭に及ぶ石油代替エネルギー供給目標というものを定めたわけでございます。
  184. 川島實

    ○川島委員 私はなぜおのおのの項目ごとにお伺いをしたいかといいますと、政府は、石油がどうも入ってこなくなれば何としてもエネルギーを確保しなければいかぬということで、多くの施策を講じているわけでございます。私どもは、今問題になっております原子力エネルギー源について、いろいろな安全性の確保から多くの問題点を提起しておるわけでござい省す。しかし、この計画の中では二・五九倍の増加が見込まれている、こういうことを考えますと、本当に原子力安全性の確保が見込まれるまでほかの新エネルギー開発にもっと力を注ぐとか、いろいろな対策がなされてもいいのじゃないか。そのためにおのおのの細かい努力目標なり具体的な積算根拠なりが私どもの知りたいところでございまして、そういう意味では、地球に優しい、環境保全のためのクリーンなエネルギーの確保、そういうものを含めてどのように考えておるかということが聞きたいわけでございます。  この計画設定以後一年半余たっているわけでございますので、それらの世界の非常な変化と流れがこれらの見直しにもつながろうかと思うわけでございますが、この辺のことについてお伺いをしておきたいと思います。
  185. 末広恵雄

    ○末広政府委員 一昨年この供給目標を改定いたしました以降、確かに主ネルギー需要は比較的高い伸びを示しております。また供給面におきましても、原子力の立地それから新エネルギー等の導入について、目に見えた形で必ずしも進展していないという御指摘があるのは私ども承知しております。しかし、この代エネ目標自体は、内外のエネルギー情勢を取り巻く最近の変化を踏まえまして、二十一世紀の初頭におきます我が国の望ましいエネルギー需給の姿を政策目標として定めたものであります。したがって、通産省といたしましては、確かにいろいろ情勢変化はございますが、いろいろな施策面での拡充強化をこれから図っていくということで鋭意努めているところでございます。  例えば省エネルギーにつきましては、これまでいろいろ予算を措置してきておりますが、そういった予算を拡充するとか、あるいはいろいろな基準を強化するということで省エネルギーの一層の徹底を図る、それから新エネルギーにつきましても、技術開発及び導入促進のための予算を拡充するとか、新エネルギーが導入されやすいような環境整備を図るといったことに努めているところでございます。  今後とも、この目標に向かって、エネルギー壁面給両面にわたります施策の拡充強化に一層努めてまいろうと考えております。
  186. 川島實

    ○川島委員 おのおのの、原子力なり水力なり石炭なり石油なり天然ガス等の関係については後ほど具体的にまたお伺いをしておきたいと思いますが、きょうは新エネルギー産業技術総合開発機構の新エネルギー担当の木田橋さんに参考人として出席をいただいておりますので、現在、国の方からいろいろ委託研究を受けながらおやりになっております新エネルギー、省エネルギーの技術開発の取り組み状況について具体的に一つずつお伺いをしていきたいと思います。
  187. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えいたします。  政府石油代替エネルギー供給目標によりますと、二〇一〇年におきまして一次エネルギー供給に占めます新エネルギーの比率は五・三%、これに地熱の〇・九%を加えまして六・二%となっておりまして、この六・二%という数字はエネルギー全体に占める比率としてはそれほど大きくはございませんけれども、現在の技術水準あるいは経済性等を考えますと、決して低い値とは言えません。その達成に相当な努力が必要と考えておりまして、我々としても引き続きこの面について努力をしていきたいと思っております。  NEDOがこれまで実施してまいりました技術開発プロジェクトは非常に広範多岐にわたっております。また、現段階におきましても開発中のものも結構多いわけでございますが、その成果の一端をお示ししますと、例えば、燃料電池につきましては現在実証研究の段階にございまして、実用間近と考えられております。また、太陽光発電につきましても、ここ十年間製造コストを十分の一近くまで引き下げることに成功しておりまして、特殊分野での実用化が一部進むとともに、近い将来の本格的導入が期待されておるところでございます。  なお、燐酸型の燃料電池、太陽光発電、この二つの技術につきましては、その試験的導入を進めまして、一般普及の素地の形成を図るべく、平成四年度より新エネルギー発電フィールドテスト車業を開始することとしております。  また、石炭液化につきましては、オーストラリアにおきます褐炭の液化パイロットプラントの運転研究を成功裏に終了したところでございまして、今後、フォローアップの研究、総合評価等浄実施いたしまして、実用化に向けての技術確立を目指す段階に来ております。  以上のとおりでございますけれども、NEDOの実施しております開発プロジェクトは、いずれも極めて長期にわたる開発期間を要するリスクの高いものでございまして、NEDO設立以来十二年の活動を通じまして、最近になりましてようやくその成果が出始めてきたという段階かと思いますが、今後こうした事例をふやしまして、新エネルギーの着実な導入を目指しまして積極的に研究開発に取り組んでいきたいと考えております。どうぞよろしくお願いをいたします。
  188. 川島實

    ○川島委員 新エネルギーについて、六百五十万キロワットが三千四百六十万キロワット、五・三二倍の伸び率を見込んでおるわけでございますが、例えば、新聞等で報道がなされております、太陽光発電が非常に有力だといろいろな記事もすごく出てきておるわけでございますけれども、具体的に、十年前の、屋根に載りているあのソーラーで太陽の光を熱に変えて、少しでもエネルギーを補うというような対応しか目に見えてまいりませんし、各地方自治体が公共の建物の屋根を全部太陽電池等をやりながら、発電まではなかなか踏み切っていないのが今日の状況だと思うわけでございますが、具体的にどのような取り組みが今なされているわけですか。太陽光発電についてお伺いをしたいと思います。
  189. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えします。  御承知のように、太陽光発電は自然のエネルギーでございますので大変クリーンなものである、あるいは燃料が不要である、それから需要地で発電できまして送電が不要というような特徴を備えておるわけでございますが、その一方におきまして、天候に左右される。当然雨の場合は発電ができませんし、また昼間のみが発電可能である。同時に、エネルギーとしましては密度が大変薄いということで、たくさんの電気を得るためには大面積の太陽電池が必要、こういう特徴を備えております。  こういう特徴といいますか、特にその制約面につきましては、我々といたしましては技術面でこれの解決を図るべくいろいろ努めておるところでございますが、まず技術開発の一つの面といたしましては、太陽電池そのものの発電効率を向上させるということが大きなねらいでございます。同時に、コスト低減ということを目指しまして、現在開発を行っておるところでございます。また同時に、全体のコストを下げるためにはインバーターあるいは架台等、これに附属する周辺機器の低コスト化というものも大変大切と考えておりまして、この技術開発を実施をしておるわけでございます。今現在、例えば光発電システムの実証研究といたしまして、離島におきます太陽光発電の、ディーゼルの発電を補助とした離島用のハイブリッドシステム、こういうものも現在研究中でございます。  以上でございます。
  190. 川島實

    ○川島委員 目に見える形で、具体的に場所、予算規模、そして将来これがどれだけ発展をしていく可能性があるか、こういう一つ一つの研究プロジェクトなりの目標と成果等ございませんか。
  191. 小林博行

    ○小林説明員 お答えいたします。  まず太陽光発電に関してでございますが、先ほど木田橋理事の話にもありましたけれども、若干ダブるのですが、太陽光電池のコストが現在約三十分の一になっております。それから発電コストが十分の一になっておりますのでも、残念ながらまだまだ既存のエネルギーに比べて高いということで、西暦二〇〇〇年には一般家庭での電気料金、現在大体二十円から三十円でございますが、そういうレベルにまで下げるべく研究開発を一生懸命やっているということでございます。具体的には光電池の変換効率の向上、量産技術の開発、それからインバーター等の周辺機器のコストダウン、こういうことでやっております。またあわせて従来の電池の二倍程度の非常に高い変換効率を持つ新しい型の光電池の開発にも取り組んでいるということでございます。  それから、あと代表的なものを一、二申し上げますと、風力でございますが、私どもずっと長い間百キロワット級の発電システムの開発に取り組んでまいりまして、これは一応終わりまして、大体実用化の段階に達している。現在取り組んでおり、将来ともちょっと取り組みたいと思っているのが三つございまして、一つは五百キロワット級の発電システムの開発、それから二つ目が集合型、いろいろな大きさの風車を組み合わせた集合発電システムの制御技術、コントロール技術、これの開発。そして、どこが風力発電にふさわしい場所がという風況調査、これらをやっているところでございます。  それから、あと燃料電池でございますが、これも先ほど話がありましたけれども、燃料電池も大きく分けますと三つのタイプがございますが、一つは燐酸型、二つ目が溶融炭酸塩、もう一つが固体電解質、この三つをやってきたわけですが、そのうち燐酸型については、これはムーンライト計画を卒業いたしまして、私ども研究開発を卒業いたしまして、今実用化、商業化の準備をしている、こういうことでございます。  それから溶融炭酸型と固体電解質型につきましては……(川島委員「質問せぬことまで答弁要らぬですから」と呼ぶ)そういうことで一生懸命やっています。以上でございます。
  192. 川島實

    ○川島委員 参考人に具体的に一つずつお伺いをしたいということで、今太陽光発電のことについて聞いているわけでございまして、横から質問をしない風力発電まで出てまいりまして、具体的なことを一つずつ、どういうふうに技術開発がなされておるんだろうかということがわからないものですから参考人に実は来ていただいているわけで、私の質問がわからなければはっきり、主観で結構ですからお答えをいただけばそれで結構なんでございまして、何ら追及をする気持ちはさらさらございませんで、現状ありのままお答えをいただければ結構かと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  例えば新聞報道で、ある公園に太陽光発電で、小屋をつくって屋根に太陽が当たると、その発電のモーターでもって地下水をくみ上げて、小川を、せせらぎをずっと、三年ぐらいはもつだろうということで流れていく、こういうユニークな報道もなされておるわけでございまして、だから技術開発で具体的にどこどこの場所でどのくらいの金額なり大きさのシステムなりというのは、私どもでわかるようにひとつできましたら御説明いただけないかしらんと思います。
  193. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のような、実際の使用の形態に即した形での新エネルギー研究を進めることは大変重要と考えておりまして、NEDOとしてもここら辺は十分認識して進めておるところでございます。  このような実際の使用形態に即しました形での研究開発としましては、例えば山小屋におきます風力発電と太陽光発電のハイブリッドシステム、これは白馬の山荘において行っているものでございますが、あるいは静岡市で行っております防災用の太陽光発電システム、あるいは集光型の太陽光発電あるいは太陽熱の利用、こういうコンパインドしたハイブリッドシステムにつきましては広島県の坂町において今実施しておるわけでございます。このような目に見えた形での実施例というのは大変たくさん全国で実施しておるわけでございます。  一方、我々としましては、このようなシステムとしての利用が経済的かつ高い信頼性をもって行われるために、システムを構成いたします個々の要素であります例えば太陽電池、そういうものの性能向上、あるいはインバーター、架台等、こういうもののコスト低減などの要素技術の研究開発が着実に行われることが必要と考えておりまして、要素技術の研究開発の実際の使用形態を想定したシステムの開発をバランスを保ちながら並行して進めていくことが肝要と考えて実施しておるところでございます。     〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
  194. 川島實

    ○川島委員 何カ所かあるわけでございますから、その中で特に二つ選んでいただいて、将来性のある研究開発の場所はどことどこですか。私どもが仮に太陽光発電についてみずから現地へ行って、これが将来大きく伸びるであろうという、お勧めだというのはどことどこになりますか。
  195. 木田橋勉

    木田橋参考人 太陽光発電は日本におきまして実施する場合、やはり独立した分散型といいますか、独立分散型という形での導入が日本では今後進むと思いますので、やはり例えば先ほど申し上げましたような山荘での電源、あるいは将来我々としましては太陽光発電の大量普及を希望しておりますので、これは特にどういうということではございませんけれども、一般の家庭の屋根に載せるような形での太陽光発電が重要かと考えております。
  196. 川島實

    ○川島委員 山小屋一つだけであとは行く光なしということでちょっと困ってしまうわけでございますけれども、例えば太陽熱の広島県がいいんだということであれば一遍そこへお伺いしたいなというような気がするわけでございますが、ほかに推薦箇所があればひとつお答えをいただきたいと思います。  私どもは一般的に見ておりまして、例えばこういう太陽熱発電なり太陽電池なりを蓄電をして、幾つか蓄電しておるものを自動車に毎日詰めかえてクリーンな自動車を走らすとか、いろいろ研究が行われているだろうと思うのですけれども、そのようなことで具体的な、我々が見てこれからここへ十分研究費を投入をして進むべきだというような指針になるような箇所というのはございませんか。私どもは一般的に見て、皆さん方が研究をおやりになって、これが将来的にいいということであれば、一生懸命勉強させていただいて政府に予算をつけるように頑張っていきたい、実はこういうつもりで聞いておりますので、ひとつ御推薦をいただきたいと思います。
  197. 木田橋勉

    木田橋参考人 先ほどのお答えのところがちょっと不十分だったので、補足させていただきたいと思いますが、現在神戸の六甲で太陽光発電、それから同時に燃料電池、それに風力を総合した実験所を動かしておりますので、ここにおいでいただきますとこの三つの新エネルギー関連の技術が一度にごらんいただけるかと思っております。
  198. 川島實

    ○川島委員 今の研究は、いろいろな業界とのタイアップの研究というのはどのように行われているわけですか。
  199. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えします。  NEDOの研究開発はすべて民間に委託という格好で実施しておりますので、それぞれの新技術、新エネルギーについての技術を持っておる民間会社に全面的に委託という格好ですべての研究開発が進められております。したがいまして、太陽電池の業界あるいは燃料電池の業界等と密接な関係を持って研究開発が進められておると考えております。
  200. 川島實

    ○川島委員 政府の方にお伺いしますが、では現在、平成四年度において民間に何カ所委託をして、予算は総額で幾らつけてあるわけですか。
  201. 小林博行

    ○小林説明員 お答えいたします。  私どもの方から、太陽光関係でございますが、ほとんどの開発費はNEDOの方に補助金として出しておりまして、それからNEDOの方から研究組合等にお金が出ている、こういうことでございます。  それで何カ所かというのは、ちょっと今データを持っておりませんが、先ほどのシステム開発、ちょうど三年度で終わったのですが、これはたしか九カ所であったと思います。白馬山とかそういういろいろなプロジェクトに対して、システム開発として出している、こういうことでございます。お金は、太陽光発電関係ではトータルで六十五億でございます。
  202. 川島實

    ○川島委員 今一番有力だと言われている太陽光発電が六十五億の開発研究費でスタートしているわけでございますけれども、非常に心もとない、これから先進むについて、たくさんあるわけでございますが、心配をいたしておるわけでございます。  次に、もう一つの有力な燃料電池発電について、現在どのように取り組みがなされておるか、お伺いをしておきたいと思います。
  203. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えいたします。  燃料電池でございますが、この技術の特徴といたしまして、熱と電力の併給が可能でございまして、また効率が大変高い、それから窒素酸化物等の発生が少ない比較的クリーンな発電技術であるということでございます。また出力が変動いたしましても高い効率が維持できるという点、需要地に設置するタイプの電源として使用が可能である、こういう特徴を備えておるわけでございます。  御承知のように、燃料電池につきましては三つの世代といいますか、三つの大きな分け方ができるわけでございます。通常第一世代と称しておりますが、燐酸型の燃料電池が第一世代、第二世代が溶融炭酸塩型の燃料電池、第三世代は固体電解質型でございますが、その最初の第一世代に属します燐酸型燃料電池につきましては研究開発についてはほぼ終了の段階、実証試験は大体終了いたしまして、これから商業化のための研究開発に重点が移るところでございます。  現在、研究開発の中心は第二世代の溶融炭酸塩型の燃料電池に移っておるところでございまして、これは第一世代に比べまして使用する温度が高いわけでございますが、同時に得られる効率も高い、また燃料といたしまして石炭ガスを使うこともできるということで、将来の電力用として期待できる技術かと思っております。これにつきましては平成四年度から、規模としてはまだ百キロでございますが、百キロワットのスタックの製作に着手しております。  第三世代の固体電解質型は、電解質といたしまして固体酸化物を用いる方式でございまして、第二世代に比べましてさらに温度が高くなる、効率も高くなるということでございますが、やはり温度が高くなるについての問題点もあるわけでございます。現在、研究開発の段階といたしましては要素研究の段階にあるかと存じます。
  204. 川島實

    ○川島委員 これはいろいろなコンパクトなものでビルごと電気の利用が全部それで賄える、こういうふうに理解をしていいわけですか。例えばガスならガスで蓄電をして、あと全部使える、こういうふうに理解していいわけですか。
  205. 木田橋勉

    木田橋参考人 そのとおりと存じます。御承知のごとく燃料電池の場合は、先ほど申し上げましたが、電力と熱が同時に利用できるということでございますので、この両方の需要があるところにおきましては大変効率よく使える技術がと存じます。
  206. 川島實

    ○川島委員 我々がここでいろいろ報道等で見て勉強している中では、文書等で問題点として、寿命が課題になっている、こういうような指摘もあるわけでございます。そしてまたコストの問題についてもいま一歩と言われているわけでございますが、その辺のことについてはいかがでございますか。
  207. 木田橋勉

    木田橋参考人 先生御指摘のとおりでございます。こういう新しい電源が実際に使われるためには、まず第一にコストの問題があるわけでございますが、同時に、信頼性といいますか、実際に使ってみて電源として十分信頼できるものである必要があるわけでございます。その一つといたしまして寿命という問題があるわけでございますが、通常、燃料電池につきまして、目標としては四万時間ぐらいの目標があるわけでございますが、現在まだそこまでには至ってないというのが実情でございます。  今後いろいろテストを重ねまして、極力そういう段階まで至るように今努力をしているところでございます。
  208. 川島實

    ○川島委員 具体的に、通常の一キロワットするための新たな、この場合は省エネになりますから新たなエネルギーを使わなければいかぬと思いますが、その辺の割合といいますか、どのくらい生み出すことができるわけですか。
  209. 木田橋勉

    木田橋参考人 御質問の趣旨が、実際に発電したものと、それから、例えば発電所で見た場合に外に出ていく電気の割合ということかと理解いたしますけれども、燃料電池の場合には、電池自体、プラント自体を維持する、動かすための、通常、補機あるいは所内動力と称しているものでございますけれども、これの割合は比較的少ない、通常の火力発電所等に比べますと少ないと考えてよろしいかと思います。
  210. 川島實

    ○川島委員 次に、風力発電についてお伺いをしたいと思います。  いろいろ、アメリカのカリフォルニア等は非常に大規模で行われているわけでございますが、我が国はまだ離島等で実験段階だと聞いているわけでございます。これらについて今後の伸び率等、予測される点についてお伺いをしておきたいと思います。
  211. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えいたします。  先ほど政府委員から御説明がございましたが、風力というものは、これもクリーンな自然エネルギーでございまして、燃料が不要という点は一般の自然エネルギーと共通でございますが、同時に、風力発電のもとになります風速等、これは自然条件でございますので大変大きく変動いたします。したがいまして出力も変わるという特徴を持っております。また、発電規模を大きくするためには数多くの風車をまとめて設置できる場所が必要というような制約要因を持っておるわけでございます。  御承知のように、アメリカ等では大変大規模な風力発電が実施されておりますけれども、国土の狭い日本におきましては、これに適合した風力発電技術を開発する必要があると考えまして、日本の国土に適合したという形で、現在五百キロワットクラス以上の風力発電機器の技術開発を実施しております。また同時に、実際に風力発電が適用できる場所が日本全国でどの程度あるかというデータを収集することが今後の風力発電の促進に大変キーポイントになるかと考えまして、現在、全国規模での風況データ、風のデータの収集を図っておるところでございます。我々、風況マップと称しておりますが、この風況マップを開発中でございます。
  212. 川島實

    ○川島委員 そうすると、今のデータ収集で設置場所等が研究されているわけでございますけれども、技術的には、世界各国で行われておるわけですから、我が国はもう今の技術できちっと、設置場所だけが確かなものであれば全部採算に合う、こういうふうに理解をしていいわけですか。
  213. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えいたします。  御指摘のように、日本では先ほど申し上げましたように現在五百キロワットクラスのものの開発をしておるわけでございますが、日本の風車のメーカーは、アメリカで使われておりますかなりの風車の提供といいますか、実際メーカーがつくって輸出しておるわけでございます。ただし、これは二百五十キロワットクラスのものでございまして、それより一段上の五百キロワットクラスというものを、日本の国情に一番合った形じゃなかろうかということで現在進めておるわけでございます。
  214. 川島實

    ○川島委員 次に、地熱発電の関係についてお伺いをしたいと思います。  これは、この計画表でも、四十万キロリットルを六百万キロリットル、十五倍の伸び率を予測しておるわけでございまして、地熱発電の資源の地域偏在等が非常に問題になろうかと思いますが、特にまた最近、高温岩体発電ということで大きくクローズアップを見ておるところでございます。これらについての研究開発はどのようになっておりますか。
  215. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおりでございますが、地熱発電というものもやはり自然のエネルギーでございまして燃料が要らない、同時に、火山国日本といたしましては大いにポテンシャルを持っておるわけでございます。これは、ほかの、例えば風力、太陽光等に比べますとエネルギー密度が高い、濃いという特徴があるわけでございますが、先生御指摘のように地域的な偏在性が当然あるわけでございます。  地熱エネルギーというのは、本質的に地面の下、地下のエネルギーでございますので、これの的確な資源量の把握が困難という大きな制約があるわけでございます。したがいまして、我々NEDOといたしましては、まず地下にある地熱のポテンシャルを的確にキャッチするといいますか、探査技術の開発、同時に、そのキャッチしましたポテンシャルを効率よく取り出すという、採取の技術開発に全力を尽くしておるところでございますが、これらに加えまして、先生御指摘のような高温岩体発電システムについても、現在NEDOといたしましては山形県の肘折というところで要素技術の開発をいたしております。  これと同時に、熱水を利用いたしまして、バイナリーサイクル発電と称しておりますけれども、井戸を掘りましても自噴してこない熱水というものがあるわけでございまして、これをいわば積極的に取り出すということで、生産井の中に組み込みました水中ポンプでございますけれども、こういうポンプで自噴してこない熱水を取り出して、これを発電にかえるというような地熱に関する技術開発を現在進めておるところでございます。
  216. 川島實

    ○川島委員 私も二十年ぐらい前に、まだ九州で一カ所電力会社が地熱発電を設置されたころに、西穂高の吉田製線という酸素をとっている会社ですが、それが、長野県の下呂温泉の八メーター近くぐらいのところへごうごうと水が出て、そこから酸素をとって、全部使い捨てをやっていて、その当時、地熱発電をということで中部電力へ持ち込んだ経過もあるわけですけれども、そのころは地下資源がどれだけ埋蔵しているかわからないで、せっかく投資をしてもいつ事切れるかわからないというようなことで投資に踏み切らなかった経過もあるわけでございます。それらの地下資源の探査等の技術が今日発達をして、大分地熱発電も大きく伸びておるようでございますけれども我が国は火山国でございますから、これはうまく利用すれば幾らでも伸びる可能性があるわけですが、これらの技術開発というのはもう安心していいわけでございますか。
  217. 木田橋勉

    木田橋参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたような形で、現在新しいタイプの発電ができるような技術開発を進めておるわけでございます。  地熱発電をやっておる国は、世界でたくさんあるわけでございますが、出力の面でいきますと、アメリカが約二百八十万キロワット、次いでフィリピン九十万キロ、メキシコ七十万、イタリア等々あるわけでございます。現在日本は、発電に利用しておるものは二十七万キロワット程度でございまして、あと、これに続きまして二十六万キロワットの建設が具体化しているところでございます。  技術につきましては、地下資源であるということでなかなか難しい点はあるわけでございますが、我々としましても、この自然の、特に日本に恵まれたエネルギー源を有効に活用すべく技術開発を積極的に進めていきたいと考えております。
  218. 川島實

    ○川島委員 では、参考人、ありがとうございました。一応いろいろお教えを賜りまして、十分といかないわけでございますが、今後現地へ行って、いろいろとまた調査をさしていただきたいと思います。  それで、政府の方にお伺いしますけれども、今いろいろお伺いをしておりまして、この新エネルギーの目標値は伸び率で非常に高いわけでございまして、いろんなデータを見ますると、二〇〇〇年ころから非常に大幅に伸びているわけですね。特に、電気事業審議会の需給部会の目標値なんか、二〇〇〇年から急激に太陽光、風力なんかがぐっと表が伸びているわけですけれども、これらも含めて新エネルギーの将来の目標値はきちっと達成ができるとお考えでございますか。
  219. 上田全宏

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の、二〇〇〇年において、ないしはそれ以降において達成できるかどうかということでございますが、先ほど来お話がありますように、二〇一〇年におきまして今の一・三%のシェアを五・三%にしたいというような需給見通しを我々持っておるわけでございます。先ほど来の質疑におきまして明らかになりましたように、ただ、自然条件の問題あるいはコストが割高という問題、いろいろございまして、近い将来におきまして我が国エネルギー供給の大宗を占めるというのはなかなか難しい問題であるということも事実でございます。そういった意味で、官民挙げて最大限の努力をしないとこの目標は達成できないであろうというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、通産省といたしましては、従来サンシャイン計画に基づきまして技術開発についていろいろ施策を講じてまいりましたが、導入促進の一層の加速化を図るために、本年度より、太陽電池、あるいは先ほど御指摘にありました燃料電池についてもそうでございますが、いわゆるフィールドテストというものを、制度を用意いたしまして、太陽電池については三分の二、燃料電池については三分の一というような高い補助率で事業を遂行し、これは実施主体はNEDO、それから具体的な太陽電池ないしは燃料電池を設置する事業者との共同研究ということでデータを収集するという目的でございますが、そういったことで、これから数年間かけまして全国的に大々的な展開を図っていきたいというような考えでおるわけでございます。  こういったような施策を通じまして、できるだけ二〇〇〇年ないし二〇一〇年の我々が掲げております目標を達成してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  220. 川島實

    ○川島委員 具体的な、おのおのの新エネルギーでどれが将来的に有効になっていくかということすらまだめどが立ってないような気がするわけです。  例えば、素人的に考えましても、今のソーラーシステムを見ても、おのおのの個人の家庭で太陽の光を蓄電池にかえて、それを毎日、天気のいい日にその電池を用意しておいて蓄電させておいて、雨が降ったときには全然効力をなさないわけですが、それにちゃんと予備が使えるような形にすれば、自動車にでも自家発電と一緒で使えるような気がするわけですね。で、先ほどの公園の話をしたような形で、一企業がビルの上でひとつきちっと整備をすれば、そこのビル全体がもうそれだけで利用が可能になるというような、具体的な企業なり一般の人たちがコンパクトに利用できるような、国民の、そういう研究開発に力を注いでいただかないと、なかなか全体として伸びないのじゃないか。大学の研究者の人たちも含めて、いろいろな形でアイデアを求めてこれからの新エネルギー対策を進めていただきたいと思うわけでございます。  ほかのいろいろな水力、石炭等について答弁を求めていくつもりでおったわけでございますけれども、時間がもう余りございません。  最後に、原子力発電がその計画によっても大分、二・五九倍という伸び率を見込んでおるわけでございまして、これまでの間に安全性や廃棄物の処理がきちっと開発がなされて、国民の多くの人の理解が得られるということであれば問題がないわけでございますけれども、それがなされない限り、水力なり新エネルギーのクリーンなエネルギーを大いに研究開発を進めていかなきゃならない、こういう立場を私どもはとっておるわけでございます。  だから、そういう意味合いにおきまして、この示されております将来の計画について、例えば水力が一・二七倍しか伸び率が考えられていない、そういう中で離島においては海水の揚水発電等の研究がなされたり、国内においても多くの夜間余剰電源で揚水ダムをつくりながらやっている箇所もあるわけでございますから、もっと力を注げばこの辺も伸び率が可能じゃないかという気がするわけでございます。この辺について、今後の日本の、CO2を発生しない地球規模の環境保持の立場からこの計画を見直していくお気持ちがあるかどうか、ひとつ大臣、御所見をお伺いをしておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  221. 谷川寛三

    谷川国務大臣 いろいろお話を承っておりました。  日本の供給不安定なエネルギー供給状況を改善いたしますために、今だんだん、御説明しておりましたようにいろいろな勉強をしております。水力、火力、地熱、波浪の研究、太陽熱等々でございますが、水力にいたしましても、もうほとんど川を利用し尽くして、清流を守ろうといういろいろな御意見があってなかなかうまくいかぬ。太陽熱にいたしましてもお金がかかる。それから地熱にいたしましても、温泉等との関係でいろいろやりにくい点がある。その経済性とか、それから供給安定性とか、非常に今問題になっております環境影響等考えていきますと、やはり原子力発電がすぐれておるんじゃないかと。  ただいま全体の電力需要量の三割まで原子力発電で賄っておる状況になっておりますが、今お話がありましたように、いろいろ、廃棄物の処理とか重要な課題につきまして、安全性を尊重しながら、並行して研究を進めながら原子力発電を今後とも推進していきたいと思っております。  重ねて申し上げますが、安全の上にも安全、これが我々のモットーでございまして、御理解を賜りたいと思います。
  222. 川島實

    ○川島委員 最後に要望しておきますが、地球サミットを前にいたしまして、外務省の方も、文化財だとか自然遺産の関係で環境問題が非常に問われておるところでございまして、我が国におきましても、そういうCO2、SOx、NOx等のいろいろな環境にかかわるエネルギー関係については、もう一度やはり計画の見直しをしながら、世界のリーダー国として、環境の中で胸を張って国連中心主義の我が国が進んでいけるような対応を心からお願いをしておきたいと思うわけでございます。  きょう、新エネルギー産業技術総合開発機構からもおいでいただいて、参考人からいろいろお話を聞きました。それらを踏まえながら、新エネルギーに向かって皆さんの努力を心からお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、光武委員長    代理着席〕
  223. 光武顕

    光武委員長代理 近江巳記夫君。
  224. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず初めに、原発の情報公開、また、核物質輸送にかかわる情報公開問題についてお伺いしたいと思います。  皆さんからも同じ質問も出ておるようでございますけれども、今回、科学技術庁としては通達を出されたわけでございます。御承知のように、原子力基本法にうたわれております民主、自主、公開、この三原則というものは、国民の皆さんも非常にその点につきましてはよく御存じでございまして、今回の科学技術庁措置というもの、通達というものが少なからず動揺を与えておることは間違いないわけでございます。そういう点で、今回の措置につきまして、この三原則に制約を加えることにならないかどうか、この点についてはどういう見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
  225. 坂内富士男

    坂内政府委員 お答えいたします。  公開原則との関連という御質問でございますが、先生御承知のように、原子力基本法の第二条に述べております公開原則につきましては、原子力研究開発利用に関する成果を公開することによって原子力平和利用を確保するとともに、原子力安全性についての国民理解を深め、原子力研究開発及び利用促進に寄与するものであるということでございます。しかしながら、公開原則の適用に当たりましては、従来より、財産権の保護、核不拡散等観点から、ノウハウ等商業機密、核不拡散上あるいは核物質防謹上の機微情報取り扱いにつきましては慎重に対処してきているところでございます。  なお、核物質輸送に関する詳細な情報が不特定多数の者に分散されないようにすることは、昭和五十六年の原子力委員会決定においても定められているところでございまして、我が国原子力平和利用担保観点から、核物質防護にかかわる機微情報公開しないということは、公開原則に違反するものではないというふうに考えております。
  226. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の措置の中身を見ますと、核物質輸送経路、日時、警備体制、先ほどから皆さん方の御答弁も聞いておりましたので、それで申し上げるのですが、それから密閉容器の開封方法、そういう、核物質をねらうテロリストに有利な情報は非公開とする。核物質防護観点から問題のない輸送容器、車両などの安全面に関する情報はこれまでどおり公開する。先ほどからこういう答弁があるわけでございます。  しかし、企業秘密等もございまして、安全面に関する情報といいましてもどこまで公開されるのか、具体的な範囲が明確ではないわけですね。また、核物質防護上必要とされます非公開の範囲も明確でない。私はそういう点で、今回の措置を契機として過剰な情報管理に走るのじゃないか、そういう危惧を持つわけでございます。そういう点、非常にこれは、法律にも三原則うたってあるわけでございますし、政府としてもシビアにこれを受けとめて、そういう疑惑を招いてはいかぬ、このように思うのですね。その点についてはいかがですか。
  227. 坂内富士男

    坂内政府委員 先生ただいま御指摘の、核物質防護に名をかりていたずらに情報管理を行うものではないか、行ってはいけない、こういうことでございまして、私どもまさにその観点から、今回の通達あるいはまた要請等を行うに当たっては、このようなことについてもある意味で厳しく自己を戒めている部分がございます。  もう一度繰り返してございますが、今回の措置というもののポイントは、今先生御指摘ありましたけれども、いわゆる慎重に管理されるべき情報に限って、必要最小限のものについて不特定多数の者に公開しないということでございまして、今回の措置を契機に他の原子力発電所等の種々の情報が制限されるのではないかということにつきましては、これはまさに当たらないのでありまして、あくまでもいわゆる実効性のある核物質防護を行うための措置であるということで、いたずらに情報管理を行うものではないということを御理解いただきたいと思います。
  228. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に福井県などは、原発銀座、このように呼ばれているわけでございますが、御承知のように事業者住民との間に協定も締結をしておるわけでございまして、今まではそういう情報というものは住民に対して提供してきたわけです。あるいはまた、情報公開条例というものも制定しておるわけでございまして、これが完全に空文化されるということは間違いないわけです。  そうしますと、ここに住民とのいわゆる信頼関係というものは非常に崩れてくる。それじゃ、これをどう埋めていくか。ひとえに政府に対する信頼といいますか、非常に政府科学技術庁の姿勢というものが問われるわけでございます。その点、住民とのそういう信頼関係という点についてはどういうふうにシビアに受けとめておるのですか、これをどのようにやっていくのですか。
  229. 坂内富士男

    坂内政府委員 今御指摘のように、関係地方自治体ないしは地元の方々の十分な御理解と御協力、こういったものを得ることがこの措置を実効あらしめるためにも極めて重要なことであろうというふうに思っております。  それで、今先生御指摘の、従来からある慣行としましていわゆる輸送情報事前公開を行ってきた一部の自治体にとっては、この慣行を変えるということは大変なことであるというふうに私ども認識はしております。それで、今回の措置に際しましては、自治体要請にも応じまして、地元に私ども出かけまして、誠意を持って説明をいたしました。そして、これらの自治体ではかなり理解が進んできたというふうに私ども思っております。  核物質防護重要性、こういったものにつきまして十分に御理解をいただいて、事前公表という形での今までの方法から、それを見直していただきまして、例えば今先生御指摘の福井県の例ですと、関係立地市町とも協議の上に、個別輸送に関する事前発表を取りやめるという旨の発表を行っておりますし、また島根県におきましても、事前公表を取りやめるためのいわゆる安全協定申し合わせといったものの変更を行っているところでございます。また、その他の県につきましても、このいわゆる事前公表をやめるという方向で検討中ということを私ども聞いておりまして、このような地元の方々の理解を得て今後とも進めてまいりたいと思います。  それにつきましても、先ほどの繰り返してございますが、やはりいわゆる安全に関する情報といったものは十分に出しまして、それで地元の皆様の理解を得、このいわゆる核物質防護という観点からの措置を実効あらしめる、このようにするべきではないかというふうに思っております。
  230. 近江巳記夫

    ○近江委員 信頼という土壌があって、そこに皆さん方の本当に真剣な誠意というものがあれば、これはきちっといくでしょう。これは日ごろのそういう不信があり、そして一方的な通達だ。これはよほど皆さんが誠意を持って信頼を回復できる行動をとらないと、私は非常にまずいと思います。  今までのこういう情報公開をいろいろ見ておりますと、安全性を一方的に強調していく、そういう情報は非常によくやっておるのですけれども、リスクはリスクとしてやはり伝えていく、そういうコミュニケーションが非常に必要だと私は思うのです。欧米と比較しますと、欧米は原子炉の事故率あるいはデータ解析の過程などのそういう情報公開しているのですね。我が国の場合においては、なかなかそういう情報公開はやらない。  それは結局、具体的に定めた法律も整備されていないということもあるのかもわかりませんけれども、要するに、都合の悪い情報はできるだけ抑えようという姿勢が今まであったことは間違いないわけです。アメリカにおきましては、連邦情報自由法などに基づきまして、行政機関が持つ原子力に関する情報公開されているわけであります。そういう点で、原発に対します国民の不信感をぬぐうためにも情報公開を保障する法制度が必要だ、このように私は思うわけでございます。  いずれにしても、それはやっているということを皆さんはおっしゃると思うのですが、諸外国に比べるとデータの公表にしてもまだまだ足らないと私は思います。その点、それじゃ、諸外国よりもすぐれた情報公開我が国はやっているとお思いかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  231. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生御質問の、諸外国より我が国情報公開がすぐれておるかどうか、この辺の比較は極めて難しいところでございます。ただ、いみじくも先生がただいま御指摘になりましたように、国民の不信感を買うような姿勢というのは極めて戒めなくちゃいかぬことは当然でございます。  なお、一方的に都合のいい情報のみを出しておるのじゃないかという御指摘もございました。これにつきましても、私ども、これまでそういうことのないように努力してきたつもりではございますけれども、先生の御趣旨を踏まえまして今後ともなお一層努力させていただきたい、かように考えるところでございます。
  232. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回の措置は、今秋から始まりますプルトニウム海上輸送防護体制について、前もってそういう体制をとられたということが巷間言われておるわけでございます。プルトニウムをフランスから海上輸送する、こういう点につきましては、よくマスコミ等で、海上保安庁の船に機関砲をつけるとか、ヘリコプターを搭載するとか、機関銃をどうだとか、そういう断片的な報道があるわけでございますけれども、しかし、非常に不安だという声もありますし、あるいは輸送の間におきますいろいろな、どういう対応をするかというような説明はほとんどされていませんね。また、我が国に持ち込まれてからの陸上輸送におきます安全対策等も、同様に何の説明もございませんし、そういうプルトニウム全体に対する情報というものはほとんどありません。ない中でこういう措置がある、ここに非常に不安が高まっておるわけですね。  今回の秋から始まるこの問題につきまして、それぞれ関係当局から、きょうは各省庁来ておるわけですから、不安なのか安全なのか、海上、陸上に分けて御答弁いただきたいと思います。
  233. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 今先生から御指摘ありました警備あるいはヘリコプターというのはむしろ核物質防護観点からでございますけれども、その前に、まず安全対策としてどうとられておるかということを御説明させていただきたいと思います。  核物質、もちろんプルトニウムも含めてでございますが、輸送します場合にはIAEA国際原子力機関がつくりました輸送規則がございまして、我が国もこれを国内法の中に取り入れて、これに従って輸送するということになってございます。これはもちろん各法令の中にその制度が取り入れられておるわけでございます。  例えば陸上輸送の場合でございますと、原子炉等規制法に基づきまして輸送物が安全につくられているかどうかということについては科学技術庁、当庁が審査をいたします。それから、安全に輸送されるかどうかというような輸送の方法につきましては運輸省が審査をする。それから、輸送経路ですとか日時について交通安全上問題がないかどうかという点につきましては国家公安委員会、都道府県の公安委員会がチェックをされるという仕組みになってございます。  また海上輸送の場合には、船舶安全法に基づきまして運輸省が同じような審査をいたしまして、交通の状況につきましては海上保安庁がチェックをするという体制になってございます。  このような規制に当たりましては、まず輸送物の安全につきましては、細かいことがいろいろ決まっておりますけれども代表的なことを幾つか申し上げますと、例えば火事が起こっても十分耐えられるように八百度で三十分の耐火性試験をやるとか、あるいは九メーターのところから落下をいたしましても破損をしない、放射線あるいは放射能漏れが起こらないというような、種々要件がございますので、そういう要件について試験をしました上で十分な安全性が確保されているというようなチェックを輸送物については行います。  さらに輸送方法につきましては、例えば船舶の場合でございますと、今回のプルトニウム輸送のような場合には非常に特殊な専用船を使いまして、船体を二重構造にしまして衝突あるいは座礁それからその他の事故に遭いましても船舶が沈没しないような対策をとるというようなことをやっておりますし、陸上輸送の場合には、隊列を組みまして、前後に警備車を配備するとかいうようなことで前後の衝突あるいは交通事故が起こらないような配慮をするというような種々の配慮をいたしておるところでございます。
  234. 石田寛人

    ○石田政府委員 今ほど原子力安全局の方から輸送物及び輸送方法の安全性につきましての御説明があったところでございます。それに加えまして、テロリストや犯罪組織からの防護、いわゆる核物質防護につきまして若干補足させていただきます。  この輸送に関しましては、日米の原子力協力協定に基づきまして、巡視船による護衛のみならずさまざまな総合的な核物質防護措置を講ずることといたしておるところでございます。すなわち、妨害行為の発生の危険や脅威を極小化するというための予防措置といたしまして、専用輸送船を使うこと、慎重な輸送経路を選定すること、それから緊急時を除き無寄港で航行すること等の措置を講ずることといたしておるところでございます。  また、万一の妨害行為等の発生に備えまして、武装した護衛者の輸送船への乗船、出発から到着まで武装護衛船の同行、それから海上における積み荷の移動の防止措置、これはクレーンとかハッチ等につきましては機能しないようにするというようなことでございます。それから多重の通信体制の確立、オペレーションセンターによる常時監視の実施、緊急時計画の作成というようなことでございます。  このような総合的な核物質防護措置を講ずることによりまして、ことしの秋に予定されておりますプルトニウムの輸送につきましては万全の態勢で実施することができる、かように考えているところでございます。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろな説明がありましたけれども、例えば容器なんかにつきましてもまだまだアメリカは非常に不安視しておりますし、それは答弁はそうかもしれませんけれども、そういう声が強いことは確かでございます。  いずれにしましても、公開の問題からこの問題をお聞きしたわけでございますが、情報公開問題につきましては、今回の措置によってこれを引き金止しないように、自主、民主、公開というものはもっとやらなきゃいけない、そういう強い決意と姿勢に立っていただく必要がある、この点は大臣いかがですか。
  236. 谷川寛三

    谷川国務大臣 もちろんお言葉のとおりでございます。とにかく核輸送につきましての必要最小限度のところへとどめまして、決して不当な情報管理をやるようなことはいたしません。要はとにかく住民の皆さんの理解協力でありますから、そういう覚悟でやる所存でございます。
  237. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、核燃サイクルの問題についてお伺いしますが、国際的な視野から物事を見なきゃいけないと思うのですね。  まずお聞きしますが、フランスにおきますスーパーフェニックス計画、これは非常にトーンダウンしていますね。これはどういう事情でそのようになってきているのかということをお聞きしたい。それから、西ドイツはバッカースドルフの再処理工場計画を破棄しております。これはなぜか。それから、米国とスウェーデンも商業用のプルトニウム回収計画と増殖炉計画を破棄しております。これはどういう理由によるのか。以上四点についてお伺いしたいと思います。
  238. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  それぞれ外国事情でございますので、私から正確にこうであるということを断定的に申し上げることは非常に難しいわけでございますけれども、知り得る状況につきましてそれぞれ申し上げさせていただきたいと思う次第でございます。  フランスでは、御承知のように高速増殖炉系統につきましては原型炉フェニックスそれから実証炉スーパーフェニックスをつくってきたわけでございます。原型炉フェニックスにつきましては、一九七四年に一〇〇%の出力を達成いたしましたけれども、一九八九年の夏に反応度が低くなるというトラブルが発生いたしまして、これにより停止しております。その年の十二月に運転を再開したわけでございますが、一九九〇年九月以来同じようなトラブルが発生してまた停止しておったわけでございます。それで、一九九一年十月九日より、このような反応度低下が起こるというトラブルの原因究明のための試運転を開始したというふうに承知しておるわけでございます。現在、次の段階の試験のための準備を行っておるところということでございまして、今後は段階を追って出力を上げつつ試験を行っていく予定と承知しておるところでございます。  それから、実証炉のスーパーフェニックスでございますが、これは一九八五年に臨界に達しまして、一九八六年に一〇〇%出力を達成いたしました。その後一九八七年には燃料貯蔵・移送ドラムからのナトリウム漏えいにより運転を停止いたしまして、一九九〇年四月から運転を再開したわけでございますけれども、その年の七月以来一次系のナトリウムの不純物増加等によって再び運転を停止中でございます。現在では問題の部分の修復も終了いたしておりまして、運転再開に向けていろいろな議論が行われているということは御承知のとおりであろうかと思うわけでございます。  次に、ドイツでございますけれども、原型炉SNR300の建設が進められてきたわけでございまして、ナトリウムの充てん、それからコールド運転による各部分の点検等を行いまして、燃料装荷と運転に関します地元のノルトラインウェストファーレン州の許認可を待つだけという状態になっておったと承知しておるわけでございます。しかし、ノルドラインウェストファーレン州の許認可の見込みが立たないこと等を理由にいたしまして、一九九一年の三月にドイツのリーゼンフーバー研究技術大臣がSNR300の計画を中止するということを発表したわけでございます。しかし、リーゼンフーバー大臣は、このプロジェクトの中止はドイツが高速増殖炉開発からの撤退を意味するものではないということを言っておられると承っておるところでございます。  それから、アメリカでございます。アメリカは、カーター政権時代におきまして高速増殖炉あるいは再処理の計画を取りやめたということがあるわけでございます。これにつきましては、カーター政権のいろいろな考え方等があるわけでございましょう。そういういろいろな背景はあるといたしましても、こういう政策をとることを可能といたしましたのは、私は個人的に認識しておりますのは、何と申しましてもアメリカの非常に豊かなエネルギー事情ということにあるわけでございまして、それぞれの国が原子力にどれほど、どう依存するかということになりますと、アメリカはそれほど緊急に原子力には依存しない、それに対しまして、フランスなり我が国なりは原子力に依存していかざるを得ない、そういう国柄がございます。それぞれのエネルギー事情を反映した判断でもあったというふうにアメリカのカーター政権の判断を私どもは認識しておるところでございます。  スウェーデンにつきましては、今ほど御質問がございましたが、これにつきましては、ある年限を区切りまして原子力発電所をやめるということ、それからだんだん原子力発電所を脱していく、そういう計画もあったわけでございます。ただ、現実にはスウェーデンも非常に原子力発電所に対する依存率が大きいということもございます。それから、やはり原子力発電は温室効果ガスを発生しないエネルギー源であるということの認識もございます。そういうことで、スウェーデンはこれまで考えられておったようなペースで原子力発電から撤退していくということではなくて、引き続き合理的な範囲で原子力発電を使っていく、そういう政策に転換しつつある、かように認識しておるところでございます。
  239. 近江巳記夫

    ○近江委員 この燃料サイクル、プルトニウムのこうした利用、国際的な、今各地におけるそういう情勢報告があったわけですが、そういう中で我が国が非常に傑出してやっておるという点、これは非常に際立っておると私思うわけでございます。  そこで、このプルトニウムの、御承知のようにCISの核弾頭解体核物質、これが商業化が実現しますと、私の聞いておる範囲では概算約百トンのプルトニウム、五百トンの高濃度ウランが市場に出てくる、こういうことを聞いておるわけでございます。日本としては、自前でいわゆる二〇一〇年までに約八十五トンのプルトニウムを保有、使用する計画であると前に聞いたわけでございますけれども、今後ますます核軍縮といいますかそれは進むと思うわけでございますが、そういう点から政府として、我が国だけが非常に諸外国に比べましても図抜けた研究をやっているわけですけれども、そういう大きな立場から、この政策自体、今見直す必要があるのじゃないかと思うのです。どのようにお考えですか。
  240. 谷川寛三

    谷川国務大臣 たびたびお答えをしておりますが、先ほど諸外国事情につきましては原子力局長からお話を申し上げました。  それはそれといたしまして、エネルギー資源に恵まれない我が国といたしましては、ウラン資源の有効利用を図り、原子力発電によるエネルギー供給の安定化を図ることが重要でございまして、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを核燃料として積極的に利用していく方針を変えるつもりはございません。また、御案内のとおり日本は世界のウラン生産量の一六%を使っております。これは将来どんどんふえていきます。考えてみますと、限られた世界の資源を一国だけで多量に使うということは、これはいろいろ批判がある、好ましくないことでございますので、そういう点も私どもがこの再処理を考えているよりどころになっているわけでございます。  また、今田ソ連の核兵器の廃棄によりますプルトニウムの話が出ました。これもさっきお答えしましたように、ベリホフ・ロシア・アカデミー副総裁と話しました際も、たしか百トンぐらいプルトニウムが出てくると申しておりました。しかし、これの管理はやはりソ連の問題でございまして、私どもの再処理の方針とは関係がないと思っております。また、ベリホフさんも、たくさんのプルトニウムは出てきますけれども、核不拡散の見地からしましてこれをどこへ売る、ここへ売るといって適当に売りさばくようなものではないということも申しておりまして、これは私、耳を傾けたところでございます。  まあ、それはそれといたしまして、ことしは原子力平和利用の長期計画をそろそろ見直しをせんといかぬかなとも思っておりますので、先ほど関先生にもお答えいたしましたが、いろいろお考えのある学者、専門家の方々の御意見をよく聞いて、いろいろ考えていかなければならぬかなということも考えておるところであります。
  241. 近江巳記夫

    ○近江委員 動燃の理事長にきょうはお越しいただいておるわけですが、あなたが外国人記者クラブの講演で発言されておるわけでございます。他の委員からの質問に対してもお答えになっておられると思いますが、真意をお伺いしたいと思うわけです。
  242. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 お答え申し上げます。  私が去る四月二十日に外国特派員協会での懇談会におきまして若干の所見を述べる機会を得たわけでございますが、その折にFBRすなわち高速増殖炉の開発というその開発路線について言及いたしました。時期はいろいろ御議論がございましょうが、やはりプルトニウムを燃やしていくということが長期的に見れば原子力エネルギー利用の本命であろうということでございます。その路線には変わりはないけれども、ただひたすらにブリーダー、すなわちプルトニウムを増殖してプルトニウムをたくさん取得していくのだ、得ていくのだという考え方についてはより弾力的に考えるべきではないかということを発言したわけでございます。  と申しますのは、高速増殖炉の開発またはその関連技術というものは非常に弾力性のある技術であって、できるだけプルトニウムをふやしていこう、あるいは余りふやさないようにしようという幅をとり得る技術体系であるということであるから、プルトニウムの状況においてその辺の運用は弾力性があってもいいのではないかということを申し上げたわけでございます。  一方、日本の場合、プルトニウムの利用に関しましては核不拡散という観点から余剰なプルトニウムを国内に持つということはしないということを方針として考えられているわけでございます。そういうことをあわせて考えますと、プルトニウムバランスというものについて弾力的に対応できるような技術体系を確立しておくべきではないか、そのFBR技術の開発についてはそういう方針で考えていきたいということを申し上げました。  結論的に申し上げますと、技術上の観点から申し上げますと、高速増殖炉の開発は長期的に見て必要な技術開発である、その技術開発を担当している事業団といたしまして、「もんじゅ」の計画を初め、その開発計画の路線は変更するものではございませんが、より広い考え方をとってその開発に対応していきたいということを申し上げた次第でございます。
  243. 近江巳記夫

    ○近江委員 CISのそうした問題もこれあり、いわゆる核物質の問題については非常に世界的に不安も高まっておりますし、またこの管理という点におきましてもあらゆる点で今ほど緊張が高まっておるときはないと私は思うのですね。そういう中で、我が国は今後八十五トンものプルトニウムを保有するということになるわけです。そうなってきた場合に、いろいろなこういう摩擦といいますかいろいろなことが国際的にも生じるのではないか、こういう心配があるわけです。特に第二次世界大戦等を経験してきた隣国にとりましては、やはりこれは緊張させる一つの要因にもなる、こういうふうに思います。  そういう点で、この保障措置、こういうことをやはり本当に今後しっかりやっていかないといろいろな誤解を招いたりいろいろなことがあると思うのですね。そういう点はもう本当にシビアにやっていかなければいかぬ、このように思うのです。その点、どういう決意と取り組みをされるのですか。
  244. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 現在核不拡散という観点から、また旧ソ連の崩壊に伴う核兵器からのプルトニウムの放出と申しますか、それが市場に放出される、出てくるといったような問題が世界の緊張を高めているということにつきましては先生御指摘のとおりであると我々も認識いたしております。  そういう観点から、日本におきますプルトニウム利用も極めて慎重であり、また世界的に透明性を持ったものでなければならないというふうに自覚をいたしております。  一方、保障措置あるいは核物質防護といった観点から、日本がプルトニウムを利用いたします場合に世界に御心配をかけないようにきちんと対応していくということも絶対条件であると認識いたしております。そういう観点から、まず保障措置等につきましては、日本といたしましてはIAEA国際原子力機関にその技術開発という面で従来から相当の協力あるいは貢献をしてきているというふうに自負しているところでございます。また、その一翼を動燃事業団も担当させていただいているところでございます。この努力は今後とも続けてまいり、世界的な御評価をぜひ得たいものだ、また、日本はその点熱心にきちんと対応しているという御評価を得るべく努力を続けてまいりたいと存じます。  そういう観点で、日本のプルトニウム利用というのは信頼できるのだといった、世界に心配をかけるようなことがないのだというふうに御評価が得られるように心してきちんと対応してまいる所存でございます。また今後とも先生の御鞭撻をちょうだいいたしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
  245. 近江巳記夫

    ○近江委員 動燃の理事長は現場の最高責任者としておっしゃったわけですが、政府はどうなのですか、大臣
  246. 谷川寛三

    谷川国務大臣 日本は原子力平和利用、これは憲法でございまして、いち早く、そういう精神からいたしまして、今話がありましたようにIAEAの保障措置を受けるといいますか、聞いてみますと、IAEAの職員が動燃事業団あたりへも一日平均七人ぐらい来まして結構査察をしておりますから、とても適当な運転などはできるはずがありませんで、プルトニウムを、余ったものをどっさり持つようなこともできませんので、そういう意味でもこれからも厳正にやっていきますこと、今理事長が申したとおりでございます。
  247. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは厳重にやっていかなければいけませんし、世界の情勢、その辺につきましては今局長から答弁があったとおりでございますし、やみくもに前進ばかりやっていくというのはいかがかと思いますし、その点もう一度慎重に、あらゆる点で政府としてはよく検討をされるべきではないか、このように思います。そういう点ひとつ十分参考にしていただいて、今後の問題については慎重に検討していただきたい、強く要望いたしておきます。  それから、旧ソ連に対します原子力協力、支援の問題ですが、政府としても調査団を出されたわけでございますけれども、皆さんも現地へ行かれていろいろ感想をお持ちであろうかと思います。IAEAの運転管理調査団、これはブルガリアで運転中の旧ソ連型の原発の設計と運転管理などを広範囲に調べた。安全面で多くの欠陥があり、非常に劣悪な状況下にある、こういうのですね。そこにはさまざまな項目が、いろいろなことを言われておるわけでございますが、今後サミットで安全対策については提案をされるというようなことも言われておるわけでございますが、どういうことを考えておるのですか。     〔光武委員長代理退席、委員長着席〕
  248. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘になりましたように、原子力発電所安全性につきましては、これは決して一国のみの問題ではございませんで、世界共通の問題と認識しておるところでございます。旧ソ連、東欧諸国におきましては、安全性につきまして懸念が指摘されております多数の旧ソ連製の原子炉がございます。御承知のようにこれはRBMKあるいはVVERという二つの系統の炉があるわけでございますが、これらの安全性に関しましては国際的な協調を図りながら取り組んでいくという必要性が指摘されておるところでございます。  このような背景から、我が国といたしましては、専門家の派遣とか資金的な支援等を通じて国際原子力機関の旧ソ連製原子炉の安全性に対する評価活動へ貢献するというようなことを進めますとともに、安全規制情報の交換、それから我が国原子力安全に関する技術、知見を利用した旧ソ連の技術者等の資質向上等によりまして、これらの地域におきます原子力安全の確保に積極的に貢献していく所存でございます。  それから、今の御質問との関係でございますが、特に旧ソ連、東欧の原子力発電所安全確保につきましては、焦眉の課題といたしまして国際的な支援方策が検討されておるわけでございます。御指摘のように七月のミュンヘン・サミットにおきましても重要な課題として検討が行われる、議論されるものと認識しておるところでございます。  先ほど申しましたようなことに加えまして、私どもといたしましては、旧ソ連製原子炉の安全確保支援方策をより一層効果的なものといたしますために、短期的な応急措置といたしまして、運転中の原子炉の安全を確保するために、運転中の原子炉の状況を把握し、異常事象が発生することに伴います音響、音を検知することによりまして、異常事象に対しまして早期に適切な対応を可能とする運転中異常検知システムというようなものも考えでございます。  これはまさに、西側の原子炉に比べますと安全の度合いにおきまして非常に問題のございます旧ソ連製の原子炉に対しまして、まさに聴診器を当てるというようなものでございまして、絶えずその聴診器を当てまして、体のぐあいとでも言うべき原子炉のぐあいを絶えず聞いておる、そういうこともやったらどうかということを考えておるところでございます。  それから、それに加えまして、西側の、これは原子力安全文化と言ってしまいますと何か変な日本語でございますが、セーフティーカルチャーを伝えまして、旧ソ連、東欧等の諸国が自助的にみずから原子力安全能力を備えるため、旧ソ連製原子炉の改造を主にいたしました総合模擬実験装置等をつくることも考える、あるいは事故あるいはその改造原子炉の運転状況等を想定いたした場合の実験を行いまして最適な運転条件を明らかにしていくとか、あるいは最適な改造仕様を明らかにしていくこと、あるいは安全規制機関の規制能力の向上を図ること等々も検討しておるところでございます。  このほかにも、もちろん新聞等に報道されております国際的な原子力の訓練センターみたいなものの設置も考えられておるわけでございまして、そういうことをすべて含めまして、私どもとしましては関係省庁と密接に協議しながら、国際動向を見きわめつつ対応していきたい、かように考えておるところでございます。
  249. 近江巳記夫

    ○近江委員 チュルノブイルの例を見るまでもなく、これはもう本当に一国の事故というものは全世界を覆うわけですね。そういう点で、事前にそうした問題につきましては対処できるように国際的な取り組みをしなければいかぬと思いますし、我が国としては先導的なそういう姿勢を持ってやっていかなければいかぬ、このように思うわけでございます。そういうふうにやっていただいているのですか。  要するに、ヨーロッパ各国、先進国がむしろリードをして我が国がそれに従っているという姿勢なのか、我が国は非常にそういう国際会議においても先導的にいろいろな意見具申をし、引っ張っていっておるのか、その姿勢についてお伺いしたいと思います。
  250. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  午前中にも議論がございましたように、全体、旧ソ連、東欧につきますいろいろな情報につきましては、どうしても地理的関係がありまして、私ども情報におくれがあるのじゃないかという御指摘もございました。それに対しまして、私どもそのハンディキャップにつきましては、なるべくこれを克服するように最大限に努力をしてきているところでございます。  リーダーシップでございますけれども、これは例え彼、今私が申し上げました音響を検知することによります異常検知システムでございますが、これは理事長おられますけれども動力炉核燃料開発事業団でいろいろこれまで知見を蓄積いたしまして、いわば世界最新鋭のマイクロホンと申し上げてよろしいのでしょうか、そういうのを開発し、これは非常に熱いところ、非常に高温のところで、なおかつ放射線の量が多いところでちゃんと機能するものを開発し、それを、先ほど申し上げましたように、谷川大臣ドイツのテプファー大臣との話し合いに基づきまして関係者がドイツに行きまして、そういうことを私どもの方からドイツの方に働きかけて話をしたこともございます。  先ほど申しましたように、地理的なハンディキャップはあるわけでございますけれども、先生の御趣旨に沿いまして、なるべくリーダーシップをとって対応できるように努力していきたい、かように考えているところでございます。
  251. 近江巳記夫

    ○近江委員 対旧ソ連につきましては、私は別の委員会でもこの質問をしたことはございますが、どうしても政権不可分の原則という北方領土の問題が微妙に絡んでくる。ところが、原発とかこういう問題につきましては、今申し上げたように、一国の一つの原発の事故は全世界に大変な影響を与えるわけですから、そういう点におきましては、微妙に絡むそういう問題を度外視した取り組みが必要だ、こういうふうに思うのです。それを政府部内で引っ張っていくのは科学技術庁長官だと思うのですね。その辺はいかがですか。
  252. 谷川寛三

    谷川国務大臣 これもいつか御答弁申し上げたかと思いますが、せんだってテプファーさんと会談をしましたときも、今言ったような問題があるけれども、この問題は別だ、世界人類の安全のために政経不可分とかそういうあれから外れて積極的に日本は協力する、少なくとも私はそういう覚悟でやるからと申して、大変喜んでおったところでございます。
  253. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど御答弁がございましたが、動燃が中心になって原発の聴診器といいますか、そういう装置を開発したとおっしゃっているわけですが、これはソ連に提供するのもいいけれども我が国の場合、例文は美浜二号炉を見ましても、私は視察団で向こうへ第一番に乗り込んだ。そうしますと、予兆、前兆現象があるわけですよ。それを運転員だってわかりながら故意に見過ごしたのかどうかわかりませんが、結局は細管の破断、ギロチンというところまでいっているのですよ。そうでしょう。  ですから、ソ連につける前に我が国の原発に、そんないい機能、性能があったら全部つけるべきじゃないですか。そして、すべてをキャッチして、安全性という点からいったら、あらゆる何重もの装置をつけて未然防止をしていくことが一番大事じゃないですか。その点についてはどう考えているのですか。
  254. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今御説明申し上げました装置は、動燃事業団が新型転換炉原型炉「ふげん」等を用いまして研究を進めるとともに、大洗工学試験センターでもいろいろな努力をしてきたところでございます。  これをすべての炉につけたらどうかということであるわけでございますけれども、もちろん、これがあることによりましてさらに検知は早くなるのかもしれませんが、今のところ、我が国で現在運転しています炉は、これは例え話を余りいたしますのは好ましいこととは思いませんが、いわば普通の健康状態の炉であるわけでございます。それに対しましてソ連の炉は、専門家の見るところ、それに比べまして全体に、運転を継続していくには若干のケアを要するものであるということでございますので、そういうものに対して聴診器を当てる、そういうことであろうかと思っているわけでございます。  ただ、全体、各種の原子炉に対する適用ぶりにつきましては今後さらに議論していくべきことと思っておりますけれども、とりあえずの応急措置といたしましては、ソ連の原子炉を対象に考えるということではなかろうかと思っておるところでございます。
  255. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたの話を聞いていますと、我が国のが極めて優秀でソ連のはどうしようもないという感じで、だからそういう聴診器を当てるのだ。我が国の原発だって二十年以上経過した原発がたくさんあるわけでしょう。どんなものだって年数がたってきますと劣化してくるわけですよ。  そういう点からいきますと、結局美浜のような、あれだって、私も報告書もいろいろそれなりに見ましたけれども、年数がたってきますと全体に劣化しできますね。ですから、いろいろなところで相乗作用が出てくるわけですよ。そういう点からいきますと、そういう老朽原発といいますか、年数がたったものについてはすべて聴診器をつける。ソ連どころじゃありませんよ。我が国の原発を余りにも過信し過ぎですよ。そういうあなた方の姿勢だと、またいろいろなことが起きますよ。大体甘過ぎるのです。  美浜の最終報告書をまとめられておるわけでございますが、きょうは安全委員長もお見えでございますので、どういう点を特に反省され、今後どのようにされていくのか、きちっとお答えいただきたいと思います。
  256. 内田秀雄

    ○内田説明員 美浜事故に関します原子力安全委員会の報告書はもうごらんいただけていると思いますが、要点だけ申し上げますと、美浜二号炉の事故は、蒸気発生器伝熱管の振れどめ金具が十分に挿入されていなかったために起こりましたフレッティング疲労によります微小な割れがスタートでありまして、その後に流体振動によります高サイクル振動が起こりまして、その疲労によって破断したものでございます。その結果、運転員の判断も適切だったと思いますが、そういう事故に対しまして、例えば加圧器逃がし弁が開く動作のときに開かなかったとかあるいは蒸気発生器の隔離弁の機能が十分に働かなかったというような問題はございましたけれども、結果的に放射能の放出はほとんど無視できる程度でございましたので、安全は確保されたと判断しております。  しかしながら、これを教訓としまして、安全委員会としますと、まず、設置許可におきます安全審査、すなわちダブルチェックといいますか、そこで見ます基本設計の問題についてどういうような教訓が得られたかということが第一でございます。それに関しましては、現在、原子炉安全基準専門部会において詳細に検討をしておりますので、その検討の結果をまちましてから、設計審査指針あるいは安全評価指針、重要度分類指針等に反映させて、必要があれば改定したいと思っております。  また、保守管理、品質保証の問題あるいは定検におきます伝熱管の損傷の検査の方法とかいうような問題につきましては、行政庁が今検討しておりますので、その検討結果の報告を受けまして、その政策についての判断をしたいと思っております。  以上でございます。
  257. 近江巳記夫

    ○近江委員 美浜の事故につきましては、これを一つの教訓としまして、またより綿密な原発の点検をさらにやっていただきまして、万全の安全対策を講じていただきたい、これを特に要望いたしておきます。  次に基礎研究の問題、これは先般も我が党としては研究強化のための提言をしておるわけでございますが、与党自民党の方でも、政府との話し合いでいわゆる政府関連予算を五年間で倍増する、こういう案を決めたようでございます。大臣は、たしか前の御答弁では七年ぐらいというような話もあったように思うわけでございますが、こういう姿が出てきたということは、科学技術庁長官としてもよく頑張ってこられた、それは評価するわけです。科学技術庁の皆さんもそれだけに頑張ってきたと思います。しかし、これは実際に具体化されて初めて言えることでありまして、今そういう言葉を上げるわけにいかぬわけですね。  そこで、前の委員会から大分時間も経過しておりますので、政府として、この基礎研究を中心といたしまして科学技術予算を五年で倍増する、これは本当に固まったものであるのかどうか、またそうであるならばどういう計画を持って前進しようとされておるのか、この点につきましてお伺いしたいと思います。
  258. 谷川寛三

    谷川国務大臣 当委員会で私は、基礎研究の衝に当たる国立大学それから国の研究施設につきまして、老朽化対策として年次計画で公共事業並みに改善を図っていくという御答弁をいたしましたが、御案内のとおり、科学技術会議で二十一世紀にわたっての科学技術の大方針を示す十八号答申というのが出ました。それを受けまして政府で科学技術政策大綱を決定いたしましたが、その中で、基礎研究費につきまして、政府研究投資につきましてできるだけ早い機会に倍増するということを明記いたしました。一方、自由民主党でも特別の委員会でそういう意味の応援をしてくれております。まだ具体的なものはできておりません。概算要求のときになりますが、そういうことで基礎研究の充実を積極的に図っていく所存でございます。
  259. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは大臣、ひとつ真剣に取り組み、結果が出るように努力していただきたいと思うわけです。来年度の概算要求も作業は既に始まっておると思いますし、強く要望いたしておきます。  それから次に、特に火山あるいは地震等の防災科学技術振興の問題でございますが、私どもとしては最大の防災は予知技術の確立てある、私自身もこのように思っておるわけでございます。ところが、予知技術というものにつきましては、政府努力はされておるけれども、まだまだ、これで果たして火山国、地震国と言われる我が国の取り組みであるかどうか甚だ疑問に思わざるを得ないわけですね。そういうことで、先般私ども、ぜひ強化をすべきであるということで申し入れをしたわけでございます。それに基づいて大臣からお伺いしたいと思います。  一つは、科学技術会議の権限強化と機能の充実であります。そこで、この科学技術会議の中に火山噴火なり地震予知あるいは地球環境保全に関する部会をぜひ設けまして計画の作成等をやっていくべきじゃないか、このように思うわけでございますが、その点についてはいかがですか。
  260. 須田忠義

    ○須田政府委員 御指摘のとおり、防災科学技術については、現在、科学技術会議の答申を受けて内閣総理大臣が定めた防災に関する研究開発基本計画というのがございますが、これに基づいて御指摘の地震予知、火山噴火予知、それから集中豪雨なり豪雪の予測、こういうことに関する研究開発科学技術庁の科学技術研究所、防災科学研究所のみならず、気象庁、国土地理院、工業技術院の地質調査所、国立大学等の各機関の連携協力のもとに実施されているところでございます。  なお、防災科学技術振興重要性については、政府としても強く認識できるところでございまして、科学技術会議の十八号答申、これは二十一世紀を見渡した今後十年間の科学技術の基本方針を定めておるものでございますが、これについても安心して暮らせる潤いのある社会の実現、構築ということで、科学技術政策の三つの目標のうちの一つということで位置づけております。それとともに今後の重要研究課題ということで位置づけてございます。これは関係各省もこれに基づいた政策を展開するということになってございます。  なお、御指摘の科学技術会議の権限強化と機能の充実ということについては、関係省庁における防災科学技術分野研究開発の状況を十分踏まえまして、関係省庁と相談しまして、一応今後の検討課題とさせていただきたい、そういうように存じます。
  261. 谷川寛三

    谷川国務大臣 今局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、特に私は地震について申し上げたいと思います。  今も話がありましたが、予知は最大の防災という認識のもとに、先般御提案がありました御趣旨をも踏まえまして、地震国会議の開催の検討を事務局に命じたところでございます。それとともに、防災科学研究所に地震予知研究総合推進本部をつくりまして、従来よりも新技術の研究開発と地震予知の研究に積極的に取り組んでいくことに決意をして進めておるところでございます。特に申し上げておきます。
  262. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣、そういう点は今までにない一歩前進の取り組みをされた、そのように思います。これだけの地震国、火山国でありながら国際会議もされなかった。私どもがそれを提唱しまして、今大臣から日本で地震国の国際会議を開きたい、その準備に入ったという御答弁がございました。  また私どもは、これだけの地震国でありながら国立地震総合研究所もないのはおかしいじゃないか、関係各省でいろいろ努力されているのはわかりますけれども、どうしてもいろいろな点におきましては総合研究あるいはまたその総合研究所に附属をいたしましてデータセンターをつくるべきである、こういう申し入れもしておるのです。一挙にいかないにしても、どのようにこれに対して対応するかと見守っておりましたら、防災センターに研究推進本部ですね、それは総合地震研究所をつくる第一段階としてそういう発想じゃないかと思いますけれども、一歩前進であると思いますし、将来にわたって国立の地震総合研究所をつくるべきだ、このように思います。  それから、今大臣から地震につきましては国際地震国会議をやりたいというお話がございましたが、火山については同じように――御承知のように火山と地震とは違うのですね。よく御承知のとおり、火山というのは結局火山性地震もありますが、マグマの噴き上げによって起きる地震ですから、その点、火山につきましても例えば環太平洋火山国会議等を地震と同じようにやるべきじゃないか。さらにまた、地震総合研究所の提起をしたわけですが、同じように国立火山総合研究所、いろいろと関係機関、大学等でもやっておられますけれども、国立のそれを設置すべきである、こういう提案をしております。これにつきましてはいかがですか。
  263. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  火山の問題は大変大きな問題でございます。特にこれはピナツボ火山の爆発もございまして、世界各国のいろいろな大きな共通の願いであるかと思うわけでございます。私どもといたしましては、これまで科学技術庁が中心になりまして自然災害軽減に関する日米ワークショップあるいは火山噴火予知と火山災害軽減に関する国際ワークショップをやってきたわけでございます。今のそういった御提言をいただきましたので、これからこういった交流をさらに強めたいと思いますし、今後ともいろいろこういった交流の拡大に取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。  それから、国立火山総合研究所を設立せよという御提言でございます。この問題につきましては、火山噴火でございますが、これは火山ごとに特性があると言われてございまして、今測地学審議会の建議の火山噴火予知計画というのは、火山ごとに国立大学、気象庁と各研究機関が分担するという体制でございまして、各機関ごとに一生懸命それぞれデータを積み重ねる、こういう体制になっているわけでございます。このデータを気象庁の火山噴火予知連絡会で総合的に評価するという体制でございます。  やはり一番これからきちっとしなければいけませんのは、そういった各機関でやっております観測データ、この積み重ねをきちっとしまして火山の予知ができるようにしなければいかぬということでございまして、そういう意味でまずそこがきちっとしなければいかぬ。そして、この集積評価をきちっとしまして、それで総合的に取り組むということで、御指摘の国立火山総合研究所、これは関係省庁が多岐にわたっておりますので、これから関係省庁と相談して検討を進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  264. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後そういう実現の方向にぜひ早く強力にひとつ前進していただきたいと思うのですね。  今局長おっしゃったように、それは各大学でそれぞれの火山に責任を持っているかもわからぬけれども、やはり少なくともこれだけの世界に冠たる火山国ですから、国立のそういう火山研究所がないこと自体、私よく皆さんと話をしますと、え、国立のそんな火山研究所がないのですかと驚くのですよ。また、地震についてもそうです。え、我が国にそんな国立の地震研究所もないのですか。ほとんどの方があると思っているのですね、地震国、火山国ですから。大きな盲点です。  ですから、大臣も前向きに、積極的にやりたいという話がございましたし、局長も今そういう非常に前向きの答弁があったわけですから、ぜひそういう方向に向かって頑張っていただきたいと強く要望しておきたいと思います。  それから、科学技術会議の権限強化また機能の充実、こういう中に私が申し上げたそういう項目もしっかり入れていただいて今後努力していただきたいと思うわけでございます。細かい提言を相当しておりますので、きょうは時間がありませんが、既に申し入れしておるわけでございますから、一項目ごとよく精査をしていただきまして、政府としては全力を挙げて取り組んでいただきたい、強く要望しておきます。  それから、これは環境庁にも関するわけでございますが、御承知のように、ことしはブラジルの地球サミットがあるわけでございまして、本当に地球のこうした環境問題、これは総力を挙げてやらなければいけませんし、先進国の中でも我が国はいろいろな点で一番取り組みとしてはいろいろ期待もされているわけですね。そういう点を考えていきますと、そういう国際貢献、やはりその核になるのは我が国の取り組み、これをもっと真剣にやらなければいけない。  例えば環境庁にあります国立環境研究所、あることはありますけれども、もっと飛躍的に、抜本的にこれはやはり機能を強化しなければいけませんし、そういう点では私どもは国立地球環境保全総合研究所、今あるのは国立環境研究所ですから、国立地球環境保全総合研究所、要するにそこにある研究所をさらに充実、機能を拡大していくという考え方もあるかもしれないけれども、あるいはもっと別のところに、やはりそれだけのものを国として総力を挙げて充実したものをつくっていく、そして国際貢献をしていく、そのくらいの取り組みがないと、これからの我が国としての果たすべき役割じゃないと私は思うのですね。そういう点で総力を挙げていただきたいと思うのです。  ですから、これをしっかりやっていくのは、所管は環境庁かもしれないけれども、やはり科学技術庁です。あらゆるすべての科学技術を駆使をしてこの環境問題の観測、調査、対策をやっていくわけですから、科学技術庁が中心にならなければいけない、この点の考え方につきまして、お伺いしたいと思います。
  265. 井田勝久

    ○井田政府委員 環境問題の解決のためにはいろいろな面からの検討が必要かと思っております。特に私どもといたしましては、地球環境というものをきちっと把握していくためには、やはり広範囲を繰り返し長期間観測ができますような人工衛星による観測も大事でございますし、また地球表面の七割を占めまして地球規模の気候変動に大変大きな影響を及ぼします海洋の観測も重要であろうかと思っております。  こういった、宇宙からの観測、海洋からの観測、そういったものにあわせまして、そういったいろいろ地上の発生源の問題もございますし、そういったものに対する対応もございます。そういうもの全般を含めまして、全体の研究開発を一生懸命これから推進していくように努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  266. 近江巳記夫

    ○近江委員 今、局長から御答弁あったわけですが、大臣、私がこのように提案をしております、国全体として特に研究の中心になるそういう国立地球環境保全総合研究所、これの設置等をひとつ長官がさらにまた力を入れて推進をしていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  267. 谷川寛三

    谷川国務大臣 今、研究開発局長から御答弁申し上げました。一遍に何もかもやるわけにいきませんのでなんでございますが、重要性は今申し上げたとおりでございまして、今後とも環境問題は環境庁と相談いたしまして、科学技術の面から積極的に取り組んでいくように努力いたします。
  268. 近江巳記夫

    ○近江委員 今度は科学技術庁が直接所管をしておる海洋研究、それは各省またがっているかと思いますが、特に海洋の研究というのは非常にまだまだ進んでないのですね。もう本当に海の役割というのは、地表の七割以上が海ですから、その中の本当にいろいろな変化というものが気象からあらゆる影響というものを与えておる。ところが、それの調査というものはまだまだ未知の分野が多過ぎるのですね。  それで、そういう点につきまして、科学技術庁としては海洋科学技術センターを持っていらっしゃるわけでございますが、これを一つの核としてさらに飛躍的な、やはり海洋国日本として国際貢献できるものにしていかなければいかぬと思うのです。今後科学技術庁としては、この海洋の調査研究についてはどういう構想を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  269. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、海洋は地球表面積の七割を占めますし、また地球温暖化問題等のこういった地球環境変動に大変大きなかかわりを持っておりまして、これからの海洋というのは、やはり何といっても大事な研究開発分野ではないかと考えているわけでございます。特に私ども海洋科学技術センターというものを持っておりまして、海洋科学技術センターは「しんかい六五〇〇」といったような深海調査船を開発いたしました。これは世界的にも注目されているわけでございまして、先ほどのこういった地震予知などにも大変大きな効果があるのではないかと言われておりまして、こういったような一つの大きな観測手段というのはなかなか各国は持ってないものでございますから、やはり日本がそういったところで一番注目されているわけでございます。こういったような調査機能をこれからも充実しなければいけない。  それからもう一つは、環境問題でございます。環境問題を解決するためには、海洋はやはり海温でございますとかそれから汚染でございますとか、そういった広いところをうまくとらえなければいけないわけでございますが、そういったもので今一生懸命やっておりますのは海洋音響トモグラフィーというものでございまして、音波を使いまして一千キロメートル四方の海水温度の分布を断層測定する技術というものを開発しているわけでございます。こういった技術の開発を通じまして世界各国とも協力できる基盤がありまして、やはり各国からも協力したい、こういうような申し出があるわけでございます。こういったことで各国と協力いたしまして、太平洋でありますとか大西洋でございますとか、あるいは、海は全体として炭酸ガスが一番あるところだそうでございまして、海の深いところに大変大きな二酸化炭素がたまっている、ですから、そういったものも状況がきちっとわかるようにするといったような研究をこれから国際的に進めていきたい、このように考えているわけでございます。  そういったことで、とにかくそういった調査機能を充実して、そういう国際的な協力の幅を広げまして海洋現象の解明をするということに努力してまいりたい、このように考えているところでございます。
  270. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点はしっかり頑張っていただきたいと思うのです。  それから、ことしは宇宙開発年でございますし、我が国としてはHⅡロケットの開発に全力を挙げておられるわけですが、関係者の皆さんの御努力には敬意を表するわけです。しかし、技術開発というのは幾多の困難が伴うわけでございます。聞くところによると甚だ難航しているようでございますが、現状について御報告いただきたいし、また計画どおりいくのかどうか、どういう問題があるのか、簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  271. 井田勝久

    ○井田政府委員 HⅡロケットの開発でございますが、これにつきましては今、種子島で一生懸命やっておるところでございまして、これまで実際にロケットの機体を立てまして地上システムとロケットの間の調整確認試験というのをやりまして、これはもう既に実施いたしました。  それで、今残っておりますのは第一段の主エンジンでございますLE7エンジンでございます。このエンジンにつきましては、これができますと世界的に見ても最高の技術水準でございますが、それだけになかなか難しいということがございまして、これまでの開発の段階で幾つかの技術的課題が生じておりまして、その都度克服して現在に至っているわけでございます。  現在の状況でございますが、このLE7エンジンについては基本的な問題は解決して設計もきちっと終了しております。ただ問題は、最終的な設計確定に向けまして信頼性をどう高めるかということで、一生懸命燃焼試験を進めているところでございます。  この燃焼試験でございますが、燃料タンクと一体となりました燃焼試験と長砂時の燃焼試験を進めております。その燃料タンクと一体となった燃焼試験につきましては、八回予定中七回が良好に終わりました。  長秒時の試験でございますが、これはこれまで五回成功させております。今の段階はとにかく信頼性のあるエンジンの設計を確定するということでございまして、今このための最後の踏ん張りをしているというところでございまして、予定どおり打ち上げることができるよう今一生懸命頑張っておるところでございます。
  272. 近江巳記夫

    ○近江委員 私の聞いておるところでは燃焼試験は失敗続きだ、来年の打ち上げもできるのかどうかというようなうわさも飛んでおる。どうなんですか、これは。あなたの報告を聞いていたら非常に何もかも成功しているなどいう報告じゃないですか。
  273. 井田勝久

    ○井田政府委員 ただいま申しましたように、今燃焼試験の、長秒時の燃焼試験を一生懸命やっておるわけでございます。これにつきましては、また今、新しい三〇四というエンジンの型でございますが、それを昨日やりまして、二十秒の試験に成功いたしまして、また月末には長秒時の試験をしていくということで、今最後の胸突き八丁でございまして、これが突き抜けられるかどうかということが一番大きなところでございます。とにかくこれを突き抜けまして平成四年度冬期の打ち上げというのが目標でございます。今全力を尽くしてそれに成功するよう努力してまいりたい、このように思っておるところでございます。
  274. 近江巳記夫

    ○近江委員 しっかり頑張っていただきたいと思います。いずれにいたしましても、現場ではいろいろな苦労もあるようでございますし、よくフォローされて、事前にいろいろな点を埋めて着々とした研究開発を進めていただきたい、強く要望いたしておきます。  それから、時間があと七分ほどありますから、きょうは細切れでいろいろ聞きますけれども、がん対策、かねて私は何回も本委員会におきましてこの対策の強化を訴えてまいりました。がん撲滅の十カ年戦略もいよいよ終わりに近づこうとしておるわけでございますが、もう今から次の十カ年、新十カ年戦略に向かって本当に着々と計画を進めなければならない。終わりました、それじゃ次に価するか、到底そうじゃないわけでしょう。やはりつなぎつなぎの段階において、次の十カ年計画についてはこうするんだというスタート、骨組みを明確につくっておかなきゃいかぬわけです。  次の新十カ年総合戦略についてはどういう取り組みをされておるのか、また中身で発表できることがあるならばどういうことをやるのか、発表していただきたい。
  275. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  「対がん十か年総合戦略」でございますが、これはもう先生御承知のように、現在がん対策専門家会議に設置されましたワーキンググループにおきまして、これまでの研究の総括と戦略終了後の問題について専門家による検討が行われているところでございます。これは厚生省が中心になって作業を進めているわけでございますが、今まで聞いているところによりますと、今検討中でございまして、この検討の結果示されました方向を踏まえまして私どもに御相談がありまして、そういうものと連携を密にして適切に進めていく、このように聞いているわけでございます。  私ども科学技術庁としては、やはり研究開発の基盤的な部面を担当しておりますので、将来もにらみまして積極的にがん研究に取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。
  276. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたの答弁を聞いてますと何か厚生省のサブのような感じがするのですよ。これは科学技術庁が中心になるのですよ、いつも申し上げているように。厚生省からそれをお聞きしてじゃない。科学技術庁というのはついていくだけですか。科学技術庁というのは調整機関、しかもその中心になってすべての科学技術をリードしていくのが科学技術庁でしょう。がんの撲滅というのはまさに人類の悲願じゃないですか。先進国として医学的にも世界最高峰にあると常にあなた方おっしゃっているのでしょう。  要するに科学技術庁が中心になっていかなきゃいけない。その迫力がないから何回も何回も言っておるのに、次の十カ年戦略につきましてもまだ浮かび上がってこない。この点につきまして、大臣にひとつお伺いしたいと思います。
  277. 谷川寛三

    谷川国務大臣 私、まだ実際にどういうふうにやっているかを承知してはおりませんから、六月早々に放医研へ参りましてようく勉強いたしまして、さらに今後どう進めていくかを私自身で決めてまいりたい、こう思っております。
  278. 井田勝久

    ○井田政府委員 いつもおしかりを受けているわけでございますが、この「対がん十か年総合戦略」のうちで、研究開発につきましては予防、診断、治療、こういった分野があるわけでございます。科学技術庁、厚生省、文部省、この三省庁合同で集中的、多角的にがん研究に取り組もう、こういうことに政府部内ではなっているわけでございますが、私どもとしてはその中の基盤研究というものを主として担当しておりまして、そういうわけで、これも一生懸命やるわけでございますが、今先生からお話ございましたように、厚生省、文部省とも相談いたしまして、一生懸命今後取り組むようにしてまいりたい、このように思っているわけでございます。
  279. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間も余りありませんので、関係者の人に来てもらっていますのであと一、二問だけお伺いします。  先ほど同僚委員の方からも新エネルギーのそうした御質問があったわけでございますが、やはり環境問題から地球サミットがあるわけでございますが、このエネルギーの問題というのは極めて重要な問題でございまして、クリーンエネルギー、これに本当に力を結集していくということはなかなか難しいかもしれないけれども、しかし普及をどんどんやっていく、そういう中でいろいろな経済的なコストも安くもなるし、そしてまた、それを集めることによってそれはそれなりの大きな力にもなろうか、このように思うのですね。  そういう点、これはエネルギー庁も中心になられていろいろな新エネルギーに対する補助政策もとっておられるわけでございますが、諸外国に比べますとそういう点はまだまだおくれております。一番そういう新エネルギーの問題については我が国が取り組まなきゃいけない。それじゃ、補助政策につきましても、民間普及の問題について、他の先進国に比べて我が国として胸を張れる、これは特に秀でておりますという問題ありますか。どういう点がすぐれておるのですか、御答弁いただきたいと思います。
  280. 上田全宏

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の諸外国との比較でございますが、私ども、先ほど来申し上げておりますように、本年度から例えば太陽電池、燃料電池についてフィールドテストということで抜本的な助成策の拡充を行っておるわけでございます。  あと例えば、最近電力業界が買電の買い取りメニューというのを策定いたしました。これは、例えば太陽電池あるいは風力につきまして、現在家庭などへ売られております販売料金と同額の買い取りをやるというような内容でございますが、例えばこれにつきましては、ドイツ法律によりますと、全体の九割までを買い取るというようなところもございまして、そういった点からいきますと、我が国が先行した一つのスキームをつくったんじゃないかというようなことが例えば例示として挙げられるわけでございます。
  281. 近江巳記夫

    ○近江委員 この地域エネルギー開発利用発電モデル事業費補助金ですね、これなんかでも、これは地方自治体が実施する事業とか学校とか病院、公共施設ですよ。やはり一般に普及できる、そういうものをやっていかないと、こういうコストの低下なんていうものは、そんなものは限られたところでやっていたってできるものと違う。  きょうはもう時間がありませんから提案だけしておきますけれども、もっと一般の民家だってそれを採用する場合においてはそれだけの補助もし、そうして普及を図っていくならコストも下がり、それがひいてはクリーンエネルギーとして大変なこれはプラスになるんですよ。ですから、これはやっておられるのは何も私、文句言っているのと違う。いいことなんですけれども、もっとさらに努力をされることを強く要望しておきます。したがって、またお帰りになってエネルギー庁長官ともよく相談されて、通産当局、次にはまた大きく前進できるようにやっていただきたいと思います。  きょうはもう時間がありませんのでこれで終わりますが、各省の皆さん、諸問題につきまして一層のひとつ取り組みをしていただきますことを特に強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  282. 近岡理一郎

    近岡委員長 吉井英勝君。
  283. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、まず科学技術庁長官に最初に伺いたいんですが、四月末から五月の初めまで米国を訪問されて、エネルギー省のワトキンズ長官とお会いになられて、そしていろ。いろ協議をされたようですが、それまでまず最初に伺いたいんですが、日米原子力協定附属書五の(b)によって、プルトニウム輸送について日米間で輸送計画書を協議してつくるということになっていますね。あなたの訪問中に日米間で合意に達したのかどうか、これを最初に伺いたいと思います。
  284. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  私は、大臣御訪米には随行いたしておりませんけれども大臣御訪米中にアメリカ側と日米原子力協定絡みの先生御質問の件についての合意は、達しておるということはないと思っております。
  285. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 合意に達していないから、協議中ということですね。  そこで、せんだってアメリカの下院の内務委員会では、国家総合エネルギー政策法案の修正条項が可決されましたね。「プルトニウム輸送容器安全性をNRCが確認しない限り、米国への我が国のプルトニウム容器を積んだ船舶は緊急事態に直面した場合でも寄港が認められない」、こういう内容でありますが、こうなると、まずこのNRCの確認の得られるような基準を何か技術的に検討しておられるのかどうか、この辺も問題になってこようかと思うんですが、この点はどうですか。
  286. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘になりましたように、アメリカの下院では、例えばアバクロンビー下院議員、あるいは別の法案がジョーンズ下院議員等からそれぞれ今おっしゃったような趣旨の、法案の修正案と言うべきだと思いますが、提出され、一部委員会で可決されておるところもあるわけでございますが、これはまだ全体、アメリカの議会を通過したものじゃ決してございません。そういうこともございますので、私どもこの法案の内容に即応した準備あるいはその他の行動をとっているわけではございません。
  287. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 五月二十七日に下院本会議で可決の見通しということも既に報道されていますね。私は、アバクロンビー議員の修正案を読んだわけでありますが、この中で「NRCによって保証、証明された場合を除いて、緊急事態であれ寄港を認めない」ということなんですが、このNRCの責任の中で、まず試験をしなければいけない、「過去の実際の最悪の海工事故に基づいて、衝突、火災及び沈没を伴う最大限生起し得る事故に最も近似した条件のもとで試験を行わなければならない」、こういうのがこの法律に入っているわけですね。いよいよ二十七日に本会議でこれ通過しようかということも伝えられているわけですが、これは大臣どうですか、これは全く検討のらち外ですか。
  288. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のような一部報道もあるわけでございますけれども、今後アメリカの下院の本会議、さらにアメリカの議会全体での御議論ということになろうと思うわけでございます。そのようないろんな議論がこれからあろうかと思いますけれども、今後どのように審議されていくか注意深く見守ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  289. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 二十七日に本会議で可決の見通しということが今言われている事態なんです。随分のんきなお話もしていらっしゃるんですが、これは本会議を通過したとなりますと、まず今日本で検討中のプルトニウムの輸送容器については根本的に事態が変わってくるわけですね。最悪の事態、「最大限生起し得る事故に最も近似した条件のもとで試験を行わなければならない」としておるのですよ。これは試験抜きでまず通らないものだ、この辺をまず最初に指摘して、少し日本の基準等について次に質問に入っていきたいと思います。  内田委員長にお伺いしたいんですが、まず放射性物質の輸送を含めた取り扱いについては、二つの問題があると思うのですね。一つは、いわゆるフィジカルプロテクションで、その観点からの検討を進めるということ、もう一つは、最悪の事態が発生しても放射性物質が漏えいしない、それから放射線も漏えいしないということを技術的に実現することによって人や環境の安全を守るということ、この二つの問題があって、特に原子力安全委員会として、内田委員長などにはその後者の方で取り組んでいただいていると思うんですが、そのときに、PPの方は核ジャック対策上必要な警備等の機微情報についての非公開部分というのもあり得ると思うのですね。  しかし、もう一つの、一方科学技術の面で安全を確保するという分野については、これは私はやはり公開原則だと思っているのですが、この点についての内田委員長の見解を最初に伺っておきたいと思います。
  290. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 御案内のとおり、日本で規則をつくっておりますが、安全に輸送するための基準は、国際原子力機関がつくりました輸送コードをベースに、これを国内法化するという形で実施をしております。したがいまして、その内容については、例えばIAEAのコード、これは当然公開されておりますし、規則の内容に入っているものについては、規則はどういうものかというのは、これは公開されております。  それから、具体的な審査になりますと、先ほど言いました核物質防護との関係ももちろんあるわけでございますが、今申し上げましたような試験で、どういう形で試験をやっているかという点については、従来から御説明をしてきているところでございます。
  291. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 実はきょう、専門部会長の青木先生が少し御健康の方のこともありまして、出席をお願いしていたところでありますが無理なので、それで特にきょうは内田先生の方からお伺いしたいと思っているのです。  青木先生の著書の中でもはっきり指摘しておられることは、これはPPの原則ということでもって、科学技術上の、安全を確保する分野まで公開を阻んだりということはうまくないんだという、これはやはり学者としての良心だと私は思っているのです。そういうお立場を見ておるわけでありますが、そこで私は内田委員長の見解を伺いたいと思っているのです。  PPの問題については、さっきも私言いましたように、警備上の機微情報等について非公開もあり得るわけです。しかし、科学技術の面で、安全確保をする分野となれば公開原則なんですから、そのことをあいまいにしたら、やはりあらゆる問題をこれから考えていく上でまず出発点がおかしくなると私は思うのです。この点についての内田委員長の見解を伺いたいと思います。ちょっと、委員長の見解を聞いているのよ。あなたの見解を聞いているんじゃないのよ。
  292. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 委員長が御答弁する前に、事務的に基本的な形を御説明させていただきたいと思います。  輸送につきましては行政庁が責任を持って審査をいたしておりまして、その審査のための技術基準とか重要事項については安全委員会にお伺いをするという形をとっておりますので、具体的な内容については行政庁からお答えをさせていただきたいと思っております。
  293. 内田秀雄

    ○内田説明員 放射性物質の輸送に関します原子力安全委員会の立場は、放射性物質安全輸送専門部会において放射性物質の輸送に係る安全の考え方、ガイドラインを検討しているところでございまして、主としてIAEA安全輸送規則の適用でございます。それの実施、輸送そのものにつきましては、これは行政庁の規制のもとに入っておるところでありまして、安全委員会としてお答えする立場ではございません。
  294. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 出発点からしてどうもそこはおかしいと私は思うのです。おかしいところはおいおい触れていきたいと思いますが、放射性物質の輸送についてIAEAの八五年基準を国内規則に取り入れるに当たって、原子力安全委員会でどんな検討をされ、いつ決められたか、これは委員長の方から伺いたいと思います。
  295. 内田秀雄

    ○内田説明員 原子力安全委員会は、平成二年八月九日、放射性物質安全輸送専門部会から、IAEA放射性物質安全輸送規則一九八五年版の国内規則への取り入れについて報告を受けました。これを受けて原子力安全委員会は、検討の結果、同報告の内容は放射性物質の輸送安全確保及び国際間輸送の円滑な実施を図る上で適当であると認められるので、同報告の内容に基づき関係省庁において速やかに関係規則等の改正を行うことが適当である旨、平成二年八月二十三日、原子力安全委員会で決定したところであります。
  296. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、その決定に基づいて九一年一月一日に施行された国内規則に照らして、今度動燃の理事長に伺いたいのですが、プルトニウム輸送容器については、耐圧とか耐熱とか耐衝撃性などについて試験成績書等を添付しなければならないわけでありますし、その点で動燃としては今度のプルトニウム輸送容器についてどんな試験をされたのか、これを理事長から伺いたいと思います。
  297. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 動燃事業団自身での試験は行っておりません。  では、どういう手続をしたかと申し上げますと、フランスのコジェマという会社がございますが、まずこのコジェマが国際基準でありますIAEA輸送規則に基づいた試験及び安全解析を行いました。コジェマは当然それをフランス政府の承認を得ているわけでございますが、そのデータを動燃はコジェマから入手をいたしまして、そしてその情報我が国政府の御当局の審査を受けたわけでございます。そして政府当局の承認を得たということでございます。
  298. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 IAEAの国際基準に基づいてのコジェマのデータがあったということで、それで、一月一日に施行された国内規則に照らしてどうなるのかということについては、結局試験をやっていらっしゃらない。  実は、九一年十月四日に設計承認証明書を出しておられますが、それについては設計承認申請書記載要項というのが、これは科学技術庁の方で決めているわけですね、その中にはいろいろなことが定められております。構造設計についてどうするかとか、材料の機械的性質については、ひずみの曲線並びに材料の性質の決定方法等をちゃんと記述しなさいとか、原型試験を行って、試験によって破損した輸送物の写真を添付することとか強度試験、落下試験についてのこと、それからまたこの要項の中では衝撃について、衝撃試験の条件により試験を行い、結果を解析すること、打撃、加熱、曲げとかずっとあるわけですね。この科学技術庁の示した記載要項に基づいて一体どんな書類を出されたのですか。
  299. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 輸送物につきましては、大きく分けまして三段階に分かれておりまして、最終的には、核物質といいますか、放射性物質を容器に収納して輸送物にした状態まで検査が続くわけでございまして、その第一歩が先ほど先生の御指摘のありました設計承認でございます。その次に容器そのものの承認の試験がございまして、最終的には放射性物質を内容物として入れた状態で確認をするという三段階をとるわけでございます。  まず、設計承認につきましては、これは前にも一度承認していたものを、規則が変わりましたものですから、変更承認という形でやっておりますが、当然IAEAの規則でございますので、国際的に、フランス政府がやっておるデータにつきましては一部それを認めて承認をしているということでございます。ただ、容器そのものにつきましては、容器承認の段階では私どもフランスヘ行って立ち会い試験をやっている部分も一部ございます。
  300. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は今動燃の理事長さんに、設計承認を国の方で示している記載要項に基づいてどんなものを出されたのですかということを聞いているのです。申請者に聞いているのに申請を受け付けた承認側が答弁するというのは、そこから余りにも異常じゃありませんか。  次に、さっき理事長の方はコジェマがやった試験のお話をされました。では伺います。コジェマは太平洋とか大西洋を横断するような外洋輸送用のプルトニウム輸送容器を使用した実績がありますか。
  301. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 輸送容器につきましては、一部変更の御承認をいただいた部分もございますが、一九八四年にフランスから我が国にプルトニウムを海上輸送いたしました場合に使用した容器と同じものと考えております。
  302. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 既にそれは変更のあるものなんですね。コジェマの製品は、さっき質問いたしましたNRCの確認を得られるような技術基準はクリアしている、動燃としてはそういうふうに見ておられますか。
  303. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 新しい法律の内容はつぶさには承知しておりませんが、現状ではNRCも承認をしている、おるいはすることができるものという理解をいたしております。
  304. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 実は、さっきも読み上げました「過去の実際の最悪の海工事故に基づいて、衝突、火災及び沈没を伴う最大限生起し得る事故に最も近似した条件のもとで試験を行わなければならない」、これが今度の法律の大事なところなんですね。これについて、これは科学技術庁の方でさえまだ検討もしていらっしゃらないことなんですが、動燃としてはこれはその試験を行わなければならないんですから、ちゃんと行う、そして技術基準をクリアできるという、そういう見解ですか。ちょっと理事長さんにもう一遍伺いたいと思います。
  305. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 御指摘の件についてはまだ検討に入っておりませんが、我々はプルトニウムの空輸、航空輸送について同じ経験をいたしておりまして、まずそういう、どちらかといえば文学的な表現の内容が技術的に焼き直すとどういうことになるかということから作業が始まりますので、そういうことになるとすれば今後どういう展開になるのか、ちょっとはっきりしない点がございます。
  306. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 全くはっきりしないわけですが、今おっしゃった航空輸送の問題ですと、IAEA基準と当時の日本の国内規則だけだったらクリアできていたというお考えでしょう。ところが、実際はアメリカの方で修正条項ができてきて、ですから航空輸送用キャスクについてもDOEそれからNRCなどと共同研究開発をやることになったわけですよね。今はそれで、それはなかなかうまくいかないということで、今度は航空輸送を改めて海上輸送へというところなんですから、今のお話のままでは、これはクリアできるという希望は希望としてお聞きしたとしても、クリアできるという確たる保証にはならない、私は理事長さんのお話を伺っていてそういうふうに思います。  何か確たる根拠があってのことでしたら、動燃の理事長さんから御答弁あればいただきたいと思います。科学技術庁の方は別にいいですから、動燃に今聞いていますから。
  307. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 法案の内容あるいはその理解についてはっきりしない段階でございますので、確たる考えということは現在の段階では申し上げることはできません。
  308. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 現在そういう時点にあるということです。  それで、次に九一年一月一日、規則の施行後、この新しい基準に照らして放射性物質の輸送容器について今度は技術顧問会の方がどんな検討をやってこられたか、これは事前科学技術庁の方からお伺いしました。一九九一年九月十七日に、使用中の六十の容器が二年間で新基準に合致していないとだめだから、そのことの検討をした、それから審査方針についてもこれを決めた、さらに、引き続いて九一年十月二十五日に研究用の容器についても検討したと伺っているのですが、端的にお答えいただいていいです、こういう報告を受けたとおりでいいですか。
  309. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 御指摘のとおり、平成三年の一月一日に規則が変わりまして、二年間の猶予期間を持っているということでございますので、それの審査方針それから従来承認を与えたものについての取り扱いについて事前に顧問会の御意見を聞いたということでございます。
  310. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、科学技術庁の技術顧問会のメンバーには動燃の方のプルトニウム輸送容器の設計承認証明書、これを皆さんにまず見ていただいて意見を求められるようにしておられますか、見てもらいましたか。
  311. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 むしろこの審査につきましてはIAEAの八五年規則、新しい規則をどう運用するかということでございまして、もちろん新しい規則になりましても、基本的にそう大きく変わるわけではございませんので、私どもは、その審査の指針あるいは八五年規則の適用の状況をお聞きすれば私どもで十分審査ができるというように判断をしたわけでございます。
  312. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 青木専門部会長は「申請書は科学技術庁の技術顧問会に付託され審査されるが、各分野の専門家から構成され、衝撃強度、耐火性、密封性、放射性遮蔽性能について規制値を満足しているかどうか、実験データ、詳細な解析によって確認する。不明な点があれば申請者に何度も問いただす」、こういうふうに青木先生は著書等の中で指摘しておられます。  今伺っておると、十月四日の日に設計承認申請書が出されて、十一月五日に一カ月で承認されたわけでありますが、その間に十月二十五日、一回顧問会を開いたのですね。ところが、設計承認書の検討をやられたということじゃなくて、別なことの審議をやっておられた。その技術顧問会の十日後に承認をおろしているのですね。ですから、事実上技術顧問会では十分な検討はこれについてはなされていない。動燃は、さっきの話ではコジェマのデータを借用しただけで改めて試験はやっていない。NRCの基準がクリアできるかというと、それは今のところそういうことは言えない。そしてこの一カ月間に、こういうことを考えたときにでは一体科学技術庁自身はどんな試験をやられたのか、何か試験をやられたことがあったら、そのやられた試験の内容だけ伺いたいと思います。
  313. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 これは先ほどの理事長の方からも御説明がありましたように、五十九年に輸送しましたものと同じ設計のものでございますが、規則が変わりましたのでその変更承認という形で出ておりまして、したがいまして、今青木先生のお話のようなものは、新規に審査するときにはその審査の内容についても御意見をお聞きする場合があることは事実でございますが、今回の場合は軽微な変更ということでございます。  それから、試験につきましては、内容につきましてはIAEAが決めております基準と同じようなものでございまして、一般的な試験条件としては落下試験、積み重ね試験、貫通試験、環境試験、それから今回はB型の核分裂性物質ということでございますので、九メーターの落下試験でございますとか、耐火試験ですとか浸漬試験ですとかさらに遮へい性能、未臨界試験等のデータをすべてチェックをいたしておるということでございます。
  314. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 何か試験のデータが動燃で試験されたかといったら、それはないのですね。それで、科学技術庁も別段試験をやられたりとかチェックをしたわけじゃないのですが、改めて古いデータをチェックしてみたというだけのお話ですね。  この機会にちょっと、技術顧問会のメンバーの中に動燃の方が何人いらっしゃるのか、これも伺っておきたいのです。
  315. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 十九名中三名でございます。
  316. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それは後ほどまた少し触れたいと思いますが、いずれにしても、この青木先生の指摘なんかも私読んでおりまして大事だなと思いましたのは、国内規則を考えるときの基準として、やはり最悪の事故の想定が大事なことをお考えとして持っておられるのですね。アメリカのさっき言いました新しい修正条項の中でも、最悪の事態を想定してのことを指摘しているのですね。  そこで私は、何か最悪の事態を考えていらっしゃるかということで伺いたいのですが、沈没したときに、きょうも「新海難論」とか海難関係のものを読んだのをちょっと持ってきておりますから、実際の海難事故で沈没とか火災とか衝突とか随分いろいろな事例が過去において世界じゅうであります。日本でもあります。そういう船舶輸送の最悪事故を考えた場合に、沈没であればどういうものを考えるのか、火災であれば何時間ぐらい燃え続けるものを考えるのか、衝突ならばどんな事態を想定するのかというのはなかなか大事なことだと思うのですが、午前中の答弁を聞いておりますと、科学技術庁の方で一万メートルで二十分間調査したというのですね、そういうお話、答弁がありました。  伺いたいのですが、水深一万メートルのところへこのプルトニウム輸送容器が沈没したとして、引き揚げるまでに二十分間で引き揚げられるとはとても考えられない話です。そうすると、長期にわたってずっと一万メートルあるいはそれを超えるところへ沈没している状態が続くということも考えなければいけないですね。そのときに長期にわたったときの腐食はどうなるのかとか経時変化を受けたときの材料の劣化その他はどうなるのか、それによる漏えい問題がどうなるのかとか、どんな試験をやられて、それで二十分でも答えが出るだろうという判断をされたのか。  私は、試験もやらないで簡単に物事を決めつけちゃいけないと思うのです。一万メートル相当の圧力をかけて二十分でいい、それで腐食の問題その他はクリアだとお考えになられた試験データか何かあるのならばお聞かせください。なければないで結構です。
  317. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 私ども安全を担当する立場から申し上げますと、まず沈没をしないようにするというのがより重要なことでございまして、そのために船は普通の船とかわりまして、今回のプルトニウム輸送のような船につきましては二重構造にして、これは国際海事機関、IMOの方でつくっております二重構造、衝突、座礁それからサイドダメージ等が起こりましても船が容易に沈まないような対策を講じる。それから火災につきましても、貨物倉に可燃物を入れないのは当然でございますけれども、万一火災が発生しました場合には、荷物を積んでおります貨物倉に水を全部張りまして火災の影響を受けないようにするというところまでの対策を今考えまして、もちろんその容器だけで安全を保つということではございませんで、今言いました船の構造、あるいはその運航の状況、三位一体になりまして安全を確保するという考え方でやっておるわけでございます。  なお、今の一万メーターの試験は、これは念のために、そういう御議論もありますので、どの程度にもつかということを試験したというように聞いております。
  318. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、念のためにやったというのは、恐るべきことをおっしゃるなと思うのです。大体、船というのは全部沈まないように設計しているのです。しかし事故があって沈んでいるのです。それが事実なんですよ。沈まないように設計したらそれで大丈夫だという議論を始め出したら、過去において沈んだ船はないはずなんです。火災も同様です。これまで火災を起こしたのは、何も燃えるものほかり積んでいるものじゃないのです。客船もあれば貨物船もあるし、とりわけ貨物船の中でも燃えないものを積んでいるもので船としては火災を起こしたものがあるわけですから、燃えないようにしているから、沈まないようにしているから大丈夫というのは全く答弁にならない。午前中の隕石の話と全く一緒だということを申し上げておきたいと思うのです。  それで、時間が大分参りましたからあと一、二問しておきたいと思いますが、申請者が、承認者である科学技術庁の技術顧問会の中に三名入っていらっしゃる。だから答弁を書いて自分で採点しておるのと同じことになるわけです。また申請者である動燃も、それからメーカーのコジェマも、水深一万メーター級の試験はやっていないですね。それにかわって承認者である科学技術庁の方が一万メーターの水深の試験をして承認を与えているわけです。これは、言ってみればできの悪い学生にかわって試験官の教授が答案を書いて、採点して百点をつけて秀という判こをついたのと同じようなものですよね。私は、審査のやり方からしてちょっと異常だと思うのです。やはりこういうあり方そのものが、今改められなきゃいけないことだと私は思います。  時間がもうあと一、二分になってきましたので大臣に伺いたいと思うのです。  私が今指摘した問題というのは、日本の原子力問題全般にわたる問題を今抱えているのです。これまで私は何度か指摘いたしましたが、諸外国と比べて決定的な違いは、やはり政府方針から独立して、政府原子力推進政策をとったとしても、原子力安全委員会というのは、あるいはその他のチェックする機関というのは、もう少し公正で客観的で第三者的に、純粋に科学技術の立場に立って判断する、チェックする、そういう役割を果たす。そういう役割を果たす機関をつくらないと、チェックだチェックだと皆さん言っているのは、悪いけれどもなれ合いだと言われても仕方のない部分が、そういうそしりを受けると思うのですよ。  そこで、もう参議院選挙も近いわけですから、谷川大臣にこの先何回質問できるかわかりませんので、私は最後にぜひいい仕事を残してもらいたいと思うのです。そのいい仕事というのはまさに、もちろんあなたは政府の一員ですから方針をお持ちです。しかし、少なくとも政府方針から離れて、公正、客観的で科学的にチェックする機関をつくっていく、そういうものをぜひ大臣として取り組んでいただきたいと思いますが、あなたの決意を伺いたいというのと、もう一つは動燃の理事長さんから、フランスのコジェマの試験データをぜひ公開をしていただきたいと思いますし、また今後動燃として、さらにアメリカの新しい法律もありますから、試験を行われるときにその試験の成績書と申しますか、試験結果については公開をする、このことをお約束をいただきたい。大臣と動燃の理事長さん、それぞれにお願いしたいと思います。
  319. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 まず審査の件でございますが、審査をいたしますのはあくまで科学技術庁の職員でございまして、顧問になっていただいております方々には御意見をお聞きするという立場でございますので、責任は科技庁の職員が責任を持ってやらせていただいているという点を御理解を賜りたいと思います。  それからなお資料につきましては、日本自身が試験をやってないじゃないかというお話がございましたけれどもIAEAの共通した規則をつくるといいますのは、輸送の場合には国内だけではございませんで国際的に流通するわけでございますので、それぞれの国が責任を持ってやりました試験については、相手の国の政府がやった試験データについては、判断はいたしますけれども、基本的なデータはお互いに受け入れるというのが国際的なルールでございまして、このIAEA輸送規則の場でも私どもはそういう議論をしているということを御理解賜りたいと思います。
  320. 谷川寛三

    谷川国務大臣 原子力関係につきましては、いつも申しておりますように、安全の上にも安全ということでやっております。どうも先生の御質問を聞いておりますと、行政庁がチェックしますね、それから安全委員会がダブルチェックするわけですが、行政庁の顧問会議と混同しているような気がするのです。顧問会議はいろいろな方が入ってきております、安全委員会の方は全く第三者的に行政庁とは独立して安全チェックしておりますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  321. 石渡鷹雄

    ○石渡参考人 コジェマのデータにつきましては、コジェマから借りているというような感じになっておりますから、コジェマと相談をいたします。  それから、新しくアメリカ法律関係で何かをやるということになりました場合には、そのデータの扱いにつきましては科学技術庁と相談させていただきます。
  322. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 時間が来ましたので、もう終わりたいと思います。  国際ルールによって何か相手がやっておればいいような話ですが、国際ルールがあるのは、そんなことはわかっているのですよ。ルールがあっても安全が守れるという保障にはならないということなんです。  それから安全委員会については、昨年の議論を谷川長官にも聞いていただきたいと思うのです。美浜原発の問題でNRCのレポートの問題を取り上げたときに、通産省の言っているとおりで追認をしておられたという、安全委員会の委員長さんに私はその問題を二回指摘しました。だから、やはり行政庁と独立して本当に安全委員会は安全委員会としての責任を果たすような、そういうものにしていかなければいけない。その点ではアメリカのあり方なんかから随分学ぶべきものがありますから、やはり専従職員をきっちりそろえるとか、そういう体制をぜひとってもらいたいし、それをあなたに、参議院選挙まで長官在任中に、やはり最後の有終の美を飾る仕事としてぜひやっていただきたいものだ、そういうふうに思っているのですが、何かその決意でもあれば伺って、これで終わりたいと思います。
  323. 近岡理一郎

    近岡委員長 ないようでありますから……。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時九分散会