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1992-03-05 第123回国会 衆議院 科学技術委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年三月五日(木曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 近岡理一郎君    理事 斉藤斗志二君 理事 光武  顕君    理事 山本 有二君 理事 川島  實君    理事 関  晴正君 理事 近江巳記夫君       河野 洋平君    中馬 弘毅君       塚原 俊平君    渡海紀三朗君       簗瀬  進君    秋葉 忠利君       竹内  猛君    馬場  昇君       吉井 英勝君    和田 一仁君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)  出席政府委員         科学技術庁長官 林  昭彦君         官房長         科学技術庁長官 岡崎 俊雄君         官房会計課長         科学技術庁科学 須田 忠義君         技術政策局長         科学技術庁科学 長田 英機君         技術振興局長         科学技術庁研究 井田 勝久君         開発局長         科学技術庁原子 石田 寛人君         力局長         科学技術庁原子 坂内富士男君         力安全局長         科学技術庁原子 谷   弘君         力安全次長  委員外出席者         原子力安全委員 内田 秀雄君         会委員長         国土庁大都市圏         整備局特別整備 宮地 謙一君         課長         大蔵省主計局主 乾  文男君         計官         文部大臣官房人 小林 敬治君         事課長         文部大臣官房文         教施設部計画課 西口 千秋君         長         文部省高等教育 草原 克豪君         局企画課長         文部省学術国際 雨宮  忠君         局学術課長         厚生省薬務局安 海老原 格君         全課長         厚生省薬務局監 羽入 直方君         視指導課長         資源エネルギー         庁公益事業部原 篠原  徹君         原子力発電課長         海上保安庁警備         救難部警備第二 柳田 幸三君         課長         参  考  人         (動力炉・核燃 石渡 鷹雄君         核燃料開発事業団理         事長)         科学技術委員会 松尾 光芳君         調査室長     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   永末 英一君     和田 一仁君 同日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     永末 英一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  研究交流促進法の一部を改正する法律案内閣  提出第四三号)  科学技術振興基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 近岡理一郎

    近岡委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長石渡鷹雄君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」呼ぶ者あり〕
  3. 近岡理一郎

    近岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 近岡理一郎

    近岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内(猛)君。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、先般の長官所信表明関連をして若干の質問をいたします。  長官は本委員会に十項目にわたって所信を表明されましたが、いずれもそれは、これからの方向については適当なことだと思いますけれども、なお、最近の激動する国際情勢の中で、日本科学技術が進むべき道という、いわば理念の哲学のようなものがなくてはならないと思うのです。それは米ソ軍拡経済、それが今度は軍縮、平和への方向に進んできた。それから湾岸戦争を契機として国連におけるところの平和協力という問題が新たな課題として出てきている。そして、これは国連平和協力という形で法案を国会に出したけれども、なかなかうまく通っていない。  こういうような点から考えてみて、現在、日本経済大国と言われ、そしてまた資源小国と言われ、加工貿易国である、こういうような立場から考えてみた場合に、やはりこれから果たす役割というのは、教育科学技術、こういうことが今日、より以上に大事になってきている。その前提として、私たちは何よりも平和、軍縮、それから快適な生活の環境、加えて国境や人種や宗教を乗り越えたあらゆる人間の人権を大事にする、こういうことが大前提にならなければならないと思うし、そのために私たちが進むべき道、科学技術が進むべき道というものは、一体根底にあるものはどういうことでなければならないのかということをその十項目に加えて長官決意を求めたい。
  6. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お答えいたします。  私はいつも申しておりますが、人類社会発展のためにはどうしても科学技術振興が第一に考えられなければならぬ。殊に日本は、今お話がありましたように、国土も狭いし資源小国である。それから人口も、他国に比べますと速いスピードで高齢化しつつある。したがって、労働人口も減っていく。とりわけエネルギーの問題とか環境の問題が最近大きな問題になっております。そう考えますと、どうしても科学技術立国でいかなければならぬ、このように考えておるところでございます。  そういう中で、一月に科学技術会議から「新世紀に向けてとるべき科学技術総合的基本方策について」、こういう答申内閣総理大臣に対しましてなされました。この中では、科学技術によりまして国際社会人類全体のために貢献していくことを基本的な考え方といたしまして、三つ目標を掲げまして、積極的かつ総合的な科学技術政策を展開していくべきであるという御指摘がなされております。  その三つ目標でございますが、第一は地球環境問題など人類共通の問題の解決、開発途上国等 への積極的な科学技術協力実施等を通じた「地球と調和した人類の共存」というのが挙げられております。それから第二に、基礎研究強化等を通じた人類全体の利用に供される「知的ストック拡大」、これが挙げられておりまして、第三に、健康の維持・増進、防災や安全確保等に必要な研究開発等の推進を通じた「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」、こういう三つの大きな目標が掲げられております。  科学技術庁といたしましては、今後の科学技術振興基本指針であるこの答申内容を何とかして実現しなければならぬと思いまして、最大限努力をしていく決心をしているところでございます。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今の長官の御答弁は大体第十八号答申の中に盛り込まれていることであり、これは後でまた質問します。  それで、私がなぜ最初に申し上げたようなことを言うかというと、一昨年、環境委員会を代表してソビエトからブルガリア、オランダ、フランスサウジアラビア、バーレーン、香港、中国を回って帰ってきました。たまたま湾岸戦争が始まったばかりでありまして、八月十三日にはサウジアラビアのジッダに到着をして、そこで関係責任者とお会いしました。特に戦争関係大臣ともお会いしました。そのときに我々に話があったのは、戦争は嫌だ、日本にお願いしたいことは幾つかあるけれども、その中の要点を申し上げると、一つは、海の水をきれいにして飲めるようにするための技術、それから砂漠に木を植えて林をつくる、公園をつくる、こういう技術についてぜひ協力をしてもらいたい、こういう強い要請がございました。これは私たちは戸塚さんを委員長にしてそこへ行ったわけですから、帰ってきて新聞にも出したし、報告も出しました。  そのときに、やはり国際協力という問題は、金を出し、人を出し、物を出していくという、その人の面で自衛隊を出すというようなことが議論になっているけれども、そういうことよりもむしろ日本におけるすぐれた科学技術というものを鞭撻をして、そしてそういう発展途上国なりそれぞれの国の国情に応じて協力をしていくということが一番大事じゃないのかな、こういうふうに思って、それで帰ってきて、今この場でそのことを主張する、そういう経過なんです。だから、これからの科学技術国際協力という問題についてどういうお考えか、お聞きしたい。
  8. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お答えいたします。  科学技術を通じましての国際貢献につきましては、六十一年でございましたが、前川レポートというのが出まして、その中でも強調されておったところでございます。我が国といたしましては、ただいま申しましたように、特に開発途上国に対しまして科学技術面での国際協力貢献にうんと力を入れなければならぬと思ってやっておりますが、その場合にもこういった国々自助努力をまず求めていきたい。それに対しまして、人づくり中心に側面から相手国国情に応じたきめ細かい協力をしていくことが必要じゃないか。今先生、具体的な、海水を飲めるようにするとか砂漠に植樹、緑化というお話がありましたが、私は、まず人づくり中心にしてやっていくのが一番いいのじゃないかと考えておるところでございます。  そのためにどうするか。まず開発途上国科学技術の現状なり協力のニーズを的確に把握しなければなりません。そして、それを踏まえまして国際協力事業団を通じた研修員の受け入れとか専門家派遣等技術協力拡大、それから科学技術庁にもフェローシップの制度がございますから、それによる研究者交流等人材の育成に協力をしていく、そういう面での協力強化をやりまして、こういった国々との科学技術協力を質的、量的に拡大していく方がいいんではないか、こういう方針でただいまやっているところでございます。  具体的にどういう体制がとられているかは、またお答えする必要があれば事務当局からお答え申し上げます。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは長官に、今度は先ほどの十八号答申関連をしてお尋ねします。  人づくり人づくりと言うけれども科学技術関係、これは大学研究所も含めてそうですけれども、大体日本は、科学技術関係だけじゃありませんが、特に科学技術関連をしては、年々国の支出が少なくて民間支出に依拠している。つまり、民間依存型の科学技術、人の養成、こういう形になってきているんですね。だから、本当に国が責任を持って人づくりをするのであれば、国の財政をもっと出して長期的に、しかも計画的に人づくりをしていくというのが一つ基本ではないのか。民間というのは短期に結果を求める、投資したものについては必ず見返りをとるという形になるから、人をつくって海外に出して安い土地と労働力を使って物を生産して逆輸入をしたりいろいろなことをする、これが今、日本が各地で批判を浴びていることなんだ。そういうものから、これから新たな日本的な発展をするためには、国の責任で長期的に、しかもしっかりした基礎勉強をする、こういう方法でなければならぬのに、そうなっていない。現実にそうなんですね。その点はいかがですか。
  10. 谷川寛三

    谷川国務大臣 確かに先生の仰せのとおりでございまして、各国の研究投資額に占めます国の負担の状況を見ましても、日本は一八%ぐらいに対しまして、アメリカは五割近い、ドイツも三割を超えている、フランスも五割、イギリスも四割近いという状況でございます。さっき申し上げました十八号答申でも政府役割が強く指摘されておりますが、今後とも国がもっと積極的に科学技術投資をやるように努力していきたいと思っています。  冷戦時代には安保ただ乗りという非難を受けまして、ただいまは基礎研究ただ乗りという悪評を日本はこうむっておりますが、これは考えてみますと、今お話がありましたように、国はもちろん基礎研究でございますが、民間研究はやはり応用とかそういう面に走りまして、今言った非難を受けるもとになっていると思います。今後とも国が積極的に乗り出していきまして、基礎研究中心にやるという体制をとっていきたい、努力をしたいと考えております。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 努力をすることはよくわかるけれども答申の中には人材養成研究組織活性化という明るい方向が今言われたように示されておりますけれども、一番大事な予算の問題になると、倍増ということを盛り込んではいるけれども、それをいつまでに達成するかというと、財政事情を踏まえて、こういう形で極めてあいまいなんです。いつまでにこれを達成するのかという問題ですね。しかも総理大臣長官大蔵大臣、それに経済企画庁長官等十一人の中に五人も現在の閣僚総理大臣がいて、出した内容と実効がいささかおかしいじゃないか。こういうことでは、これは答申意味をなさない。後で大蔵省から説明を聞きますけれども、恐らくシーリングがあって、だからだめなんだという。中曽根内閣のときの一つシーリング、あれはもうかなり前でしょう、その話は。ほかの方だってシーリングをちゃんと取っ払って、例えば山の問題なんか今度閣議決定によって森林法については新たな方向が出ている。シーリングがあったってそういうことは、できるんだから、これだけの顔色そろえていてこれができないなんておかしい。これは閣議決定をして、大いにこの答申をやれ、なぜそれが言えないのか、これはどうです。
  12. 谷川寛三

    谷川国務大臣 財政当局もおりますからめったなこと言えませんので残念でございますが、いつまでとなりますとなかなか難しゅうございまして、これはできるだけ早くそうしなければならぬと思っているんであります。  これは私はまだ事務当局に申したこともございませんけれども、例えば大学なり国の研究機関施設老朽化を改善していく、整備していく、これも積み上げれば金額はわかりますから、河川とか道路のように何年計画というものがつくれないかなと腹の中で考えておるのでございまして、そ れを指示するというところまでまだいっておりませんが、そういうようなことも考えて、何か大きな長期的な見通しができそうな気がするんでございます。まだもちろん財政当局とも相談をしたこともございませんが、一生懸命にやりますので、またいろいろ御指導を賜りたいと思います。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大蔵省主計官が見えていますが、大蔵省がこれに対して抵抗をしているという記事をしばしば散見する。総理大臣あるいは大蔵大臣が参加をして答申をした、こんな委員会というのは珍しいでしょう。それに対して、事務局が抵抗する。これじゃどうにもならない。絵にかいたもちよりなお悪いよ、それは。絵なんかかかない方がいい。一体どういうことですか。
  14. 乾文男

    乾説明員 お答えを申し上げます。  先ほど来の議論を伺っておりまして、科学技術振興重要性につきましては、委員同様私も今後に落ちるものではない、あるいは私だけではなくて、私ども財政当局予算編成をしてまいります場合に、科学技術振興が長期的な日本あるいは人類発展という観点に立って非常に重要だという認識を私どもも持っておるところでございます。  大蔵省事務当局が抵抗しているという記事が散見されるということでございますけれども、大体私どもは常に新聞にそういうふうに書かれるわけでございまして、そのこと自体は特に不名誉なことであるとは私ども思っておらないわけであります。  ただ、御理解をいただきたいのは、私どもこの科学技術予算につきましては非常に大切であるという認識を持っております。例えば平成四年度の予算におきましても、予算全体の伸び率一般歳出が四・五%の中にありまして、文教及び科学振興費は五・四%、とりわけその中でも、ただいま議論になっております科学技術振興費は八・〇%という非常に高い伸び率の額を確保しております。  先ほど来シーリングについての御批判等ございますけれども、申し上げるまでもなく、現下の厳しい財政状況の中でどうやって財政健全性を確保していくかという問題の中で、シーリングという手法一つ手法として機能を果たしていると私ども考えているわけなんですけれども、その中にありまして、私ども関係省庁一体となりまして、科学技術振興について特段の意を用いているということは、議員、御理解をいただきたいと思います。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大蔵省主計官のその気持ちはよくわかる。これは主計官最高の誠意だと思うけれども長官大臣だから、国務大臣なんだから、自分が入って決めた答申がそのシーリングのために抜かれてしまっておる。それで、例えば十年間でこれをやろう、五年目にはどうするか、こういうふうなことになるだろうと思うけれども、それは確かに道路や橋やそのような公共事業に金を出せば、必ずそこには結果が出るでしょう。ところが、こういう科学技術というものについては、そうにわかに思うような結果が出ないかもしれない。だから、基礎研究というものはやはり国がやるんだということで、それはちゃんと答申の中にあるでしょう。財界が、自分の会社がもうけるために勝手にいろいろ研究してにわかに利益を上げようということは、それもわかる。しかし、それでは困るんですね。  だから、国の金でしっかりした基礎勉強をして、そして応用として利益を上げていくということはわかるが、そういうことからいうと、この答申の一番の大事なところ、ここのところはやはりもう少しきちんとしなければ、この答申答申意味をなさない。これは閣僚として、やがて七月の参議院選挙で高知県も激戦で容易じゃないけれども、これをちゃんとすれば次の目は明るい、こういうふうに感じられて、また乗り込んでいって応援しなければならぬことになるが、この辺も含めて、長官、これは閣議で決めるんだ、閣議で。こっちはもう大蔵省事務当局の限界だ。閣議が、これではいけないよ。山ではやったじゃないか、山林では。なぜ科学技術ができないのか。これから科学技術立国で行こう、これが一つ方向ですね。その基本的な道筋が阻まれているとしたら、これはまずいじゃないですか。どうですか、もう一つ決意を述べてください。
  16. 谷川寛三

    谷川国務大臣 実は私も昔主計官をやっておりまして、文部省科学技術庁予算をお預かりしておりましたから、どうもなかなか難しいところにありますが、確かに今話のありましたシーリングも大きな役割を果たしてきました。しかし、何もかも同じシーリングというあれではおかしいんで、やはり必要なものにはぐっと予算をつぎ込むというようなことも、もうそろそろ勉強していかなければならぬじゃないかと、私は個人的には考えておりますが、先生の旨をよく外しまして、また財政当局ともよく話をいたしまして、しかとその点検討していきたいと思っております。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 国の予算の中で、今主計官が言われたように、確かにある部分は伸びている部分があるけれども、国民総生産、GNPの一%はやはりこの科学技術にということを念願にしているわけでしょう。ところが、〇・四五ぐらいでしかない。これではどうしても目的に達しないわけですから、そういう点ではこれからも格段の努力をしないとこの種のものは前進をしない。だから、これからは財政上の問題にすべて集中をしていきますね。大学でも研究所でもそうですよ。  それで、例えば一九七五年のときに政府は二七・五%の金を出していた。ところが、九〇年になると一六・四しか金は出さない。だんだんだんだん国の出す分は減ってきて、民間に頼る分がふえてきている。これはおかしいじゃないか。そして、科学技術国際協力だのなんだの、自衛隊などというものを出すためにはシーリングもくそもない、どんどん出している。初めに海外派兵ありでもってやっている。ところが、総理大臣も入って決めたものがなぜ実行できないのか、どう見たって国民の目から見たらこれはおかしいんだ。おかしいですよ、本当に。このおかしいことを解かなければ、これはだめでしょう。  現在の日本科学技術費を出すための努力は、例えばアメリカイギリスフランスドイツ、これに比べてみても落ちる。最低ですね。だから、もうける方だけは最高であって、今度人間をつくる方が最低で、そしてこれが財界に依拠していたら、財界政府がなめられてしまう。これでは本当の科学立国にはならない。それはどうしてもならない。だから、谷川長官の在任中にこの汚名をひとつ回復してもらいたい。いかがですか。
  18. 谷川寛三

    谷川国務大臣 竹内先生の御支援も賜りまして最大限努力をしてまいることをお誓いいたします。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは何ぼ言っても尽きないのですけれども、この答申どおりにやるには、毎年毎年一体何%伸びたらこの答申が実現できると思いますか、事務局から聞くことにします。
  20. 須田忠義

    須田政府委員 なるべく早期に倍増というのは、今後基礎研究国際貢献先生指摘のように政府役割が非常に大きくなるということで、今の政府のトータルの予算というのは少ない、それをなるべく早く倍増していくということでございます。  ただ、予算はいわゆる積算でございまして、積み上げでなっていくものだというふうに思っておりまして、いついつまでに毎年何%伸ばしてどうするという議論というのは、今回の科学技術会議答申にはなされておりません。なるべく早く倍増ということを踏まえまして、今度は政府サイドとしてどうしていくかということを関係省庁で相談しながら進めてまいることになろう、こういうふうに思います。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その答申が一月二十四日に出たばかりでまだ一カ月ぐらいしかたっていないから、なかなか事務も面倒だと思うけれども、中に盛り込まれていることはかなり厳しいことが盛り込まれていますよ、これは。倍増。ところが、そのときの経済情勢を見て考えると、こう言う。おかしいじゃないですか、それは。そこでシーリングが邪魔するわけだから、だから閣議でこれをちゃ んとしてきちんとした目標計画を立てなければ、事務局はやりにくいでしょう。今の話は、事務局もなかなか言いにくいことを言っている。腹はそうじゃないんだけれどもね、これは。  そこで、大学と国の研究所、この施設も非常に古くなっている。大体昭和の三十年から四十年ごろにつくったものは非常に資材も悪い、傷んでいる。先般、大阪大学の工学部が火事になった。あれなんかもやはり非常に古い建物で傷んでいる。東京大学も余りよくないという評判だ。国立大学はほとんど人件費に金を食われてしまって研究費がない。こういうことではどうにもならないじゃないですか。  それで、今日の大学科学技術関係の総面積というのはどのくらいあって、これを改修するにはどのくらいの金が必要かということについて文部省に伺いたい。
  22. 西口千秋

    西口説明員 お答えいたします。  現在国立学校が保有している面積は、全体でおおよそ千九百二十三万平米ございます。そのうち、理科系の学部あるいは研究所ということにして見ますと、おおよそ三分の一の六百三十五万平米を保有しております。  現在その建物状況でございますが、通常改修等の手入れが必要となる年限というのが、大体二十年経過すると何らかの手当てが必要ということになるわけでございますが、そういう二十年以上たった建物面積が三百二十八万平米ございます。これは保有面積の約半分強ということになります。こういうことから、施設老朽化が進んでおりまして、教育研究環境改善充実ということが大きな課題一つになっておるところでございます。  お尋ねの、それを改修あるいは改築するのに幾らかかるかということでございますが、仮に三百二十八万平米の建物を全部改築する、ということにいたしますと、おおよそ平米当たり三十万程度の金がかかりますので、一兆円弱の費用がかかるということになろうかと思います。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今文部省からお話があったように、国立の大学研究所の状態はそういう状態なんです。これで世界に誇れる科学技術の国だなんということは言えないですね。長官、ひとつここも閣議で文部大臣を大いに鞭撻、激励をしてもらわなければいけない。そうでないと、これは日本の恥になりますね。学生、研究者がここで魅力を持って頑張るというような意欲を持てるようなことにしなければまずいと思うのです。大学の助手は、同じ年代で会社に行った人の三分の一しかお金がもらえない、それじゃしょうがないから会社に行った方がいいよ、こうなってしまう。これじゃいい人が学校あるいは国立の研究所に残らない。これはまずいですよ。第一に人づくりをすると言ったのです。これでは人づくりができないじゃないか。文部省、この人づくりの問題はいかがですか。大学の助手と大学外の関係について伺いたい。
  24. 小林敬治

    ○小林説明員 お答えいたします。  国立大学の教員の給与改善についてでございますけれども、これまでも文部省といたしましては、教員の専門性に見合う処遇の確保という観点から努力をしてきておるところでございます。昨年も人事院勧告に先立ちまして、国立大学協会等からの要望も踏まえまして、文部大臣から人事院総裁に対しまして特に大学教員の給与改善について重点的にお願いをしたところでございます。  その結果、助教授等の中堅層を中心に俸給月額を改善いたしますとか、それから教育研究指導一の負担の特に大きい大学院の担当教官等につきまして、俸給の調整額の新規適用または調整額の引き上げなどの特別改善を認めていただいたということでございます。この中には、先生今御指摘の助手、つまり若手の研究者という位置づけで考えておりますけれども、この方たちにつきましては、修士担当の助手につきまして四%相当の調整額を新たに支給をするというような改善が入っておるわけでございます。  文部省といたしましては、特に先生今御指摘がございましたように、若手研究者民間企業等へ流出していくというふうな指摘もなされておる折でもございますので、財政事情大変厳しい折ではございますけれども、今後とも助手を含む教員の改善について十分に努力を続けてまいりたいと考えております。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一つ文部省にお伺いしますが、科学技術振興の上で人間の配置とかいろいろな問題で人事院とかかわりのある部面があると思うのですけれども、これはありますか。あったらちょっとここで説明をしていただきたいと思います。
  26. 小林敬治

    ○小林説明員 人事院と文部省とのかかわりと申しますと、国立大学関係で申しますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、これは毎年ほぼ恒例になっておるわけですが、各関係団体等からさまざまな意見を一たん文部省がいただきまして、それを整理をして、そして人事院にお願いをする、その中で人事院とも協議をさせていただいて、しかるべきものを逐次お認めいただいていく、こういうふうなことであろうかと思います。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 科学技術の国際的貢献ということについては、前回我が党の秋葉委員から恐らく話があったと思います。また、研究交流促進法という法律の改正も今度出ているわけだから、そのときにも当然この話は質問しなければならないということで、国際的に大変大事になっている科学技術、この問題については、せっかく十八号答申が出ているのですから、あれを骨抜きにするようなことでは非常に困るのですよ。総理大臣が入っているこんな会議というのは余りないでしょう。それがどうもいつになったら見通しが立てられるかわからないというようなことではどうにもならない。  それから、建物だけがきれいになったとしても、そこに入ってきて研究をする人が意欲を持てるような、そういうことが相またなければ、建物施設人間、これがしっかりしなければ成果は上がらないと思うのですね。そういう場合に、現在のように企業に依存をしていて、そして古い建物で危ないようなところで研究をするということは到底許されるわけではないから、この点についても科学技術庁長官は文部大臣にもよく相談をして、若い意欲を持った研究者が残るように努力をしてほしいということを要望します。  そこで、何といっても基礎科学の場合には、初めに利潤ありきではこれはだめだと思うのですね。初めに利潤ありきではだめだ。初めに自衛隊の海外派兵ありきという、どうも最近の自民党の姿勢はよくない。そういうところへもっていって、何とかしてそこへ数で押し切っていこうというこの姿勢が、野党にも責任があるけれども自民党の姿勢がよくない。だから、そういうことでなくて、積み上げて、国際貢献というのはこういうふうにしていくんだ。そのためには、基礎研究は国がやる、それから部分的な、ある工場に見習いに行ったり研究に行ったりして出ていって覚える、そして全体として会社もよくなるし国もよくなるし、世界のすべてがよくなる、こういうことでなければまずいでしょう。  今までみたいに会社が人間をつくって、そしてそこへ出していって、安い土地で安い労働力で、無論日本技術でつくるから、できたものはいいのができる。それを逆輸入して、あるいはそこらのところへ売ってもうける。これが今批判されているわけでしょう。そういうことを何遍も何遍も繰り返すようなことでは、これは意味がないのですね。そうじゃなくて、やはりその国の土地でその国の労働力でその国の資源を使って生産をしたものを、その国がよくなる、前進する、富んでいく、こういう方向に行かなければ、共存共栄にはならないと思うのですね。これは大臣、いかがですか、その点では。
  28. 谷川寛三

    谷川国務大臣 お説のとおりでございまして、十八号答申が、大原則が出ましたから、この旨を外しまして、先ほどから申しておりましたように科学技術振興につきましては本当に腰を据えて一生懸命やる覚悟でございます。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題、このぐらいにして、今度は地元のつくば研究学園都市の問題に触れていきます。  つくば研究学園都市が始まったのが、三十五年から計画をされて三十八年に大体計画が進んで、四十五年ごろから移転が始まっていますね。これも国が計画をし、進めてきたものであります。それで、概成、完成、現在は熟成という言葉を使っている。一体熟成とはどういう状態になったときが熟成なのか、その点について国土庁から。
  30. 宮地謙一

    ○宮地説明員 お答えします。  今おっしゃられました概成とか完成とか熟成とかいう言葉が使われておるわけでございますけれども、おのおのについて明確な定義があるわけではございませんけれども、一般的に今まで使ってまいりましたのは、特につくばに関しましては、根幹町な都市施設が整備されまして、政府が当初予定いたしました研究機関等の移転が完了した段階、これを概成と言ってまいっております。  これに対しまして、当初いろいろ都市施設を予定したわけでございますけれども、これらの都市施設が整備されまして、都市中心部におきます人口定着が進み、文化的な面とかあるいはサービス的な面を含めまして安定的な都市生活が営めるような状態を指して熟成ということになろうかと思います。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこだ、問題は。二十年たちまして、当初二十二万の人口を予定したのですね。現在はつくば市と茎崎町を入れて、これは旧六カ町村ですね、十七万人。これは五万人足りない、どうしても。それから、下水道は確かに二十二万人分の下水道をつくっている。これは余っている。だから、よそに利用している。  ところで、そういう状態になっているときに、幾つか問題が起こっているのですね。第一の問題は、つくばには、これは非常に珍しい現象ですけれども、男性が六千人多いのです。この数年間もうその数はちっとも変わらない。なぜ六千人多いかということは、単身赴任ということになる。  どうして単身赴任かというと、幾つか挙げますと、まず第一に奥さんの働く場所がない、これが第一。  高校のお子さんの入る理想的な高校が少ない、内容が。高等学校はありますよ、幾つか。やはりこの学歴社会というものは、あってはならないけれどもあるんだ。そうすると、なけなしの子供にこの高校に入れてこの大学に上げたいというのはこれは心情だ。ところがそれに沿わない。だからやはり東京のしかるべき高校に入れてこの学区内がいい、こういうことで、子供はまたそこに行く。  それからその次、やめた場合、定年で退職した場合ですね、六十歳か六十五歳、その場合に就職の場所がない、つくばは。こうなってくると、やはりここは永住するところではなくなってくる。そこへもってきて地価が上がった。今、公団がつくった土地は、あるときには坪一千万円くらいした、もとの値段は一反歩三十万か四十万ですよ。こういうようなべらぼうな値上がりをしている状態の中で、公務員が退職金と年金と月給では、これはちょっと土地を買って住むわけにはいかないですね。まあ北海道のだれかのようにあちこちから集めてくれば話は別だけれども、こういうわけにいかないんだ、一般の人は。  それから、今度は内部の交通の問題がよくない。東京との関係は何とか無理をして行けるけれども、夜中になると、巡回バスがなくなってくると、個人の車かタクシーを使わなければ、病気になっても用があっても行けない。大変経済的な負担がかかりますね。そういうことからして、やはりあそこは陸の孤島である、いまだに。とても完成なんということはちょっと、まだ完成前だ、準完成と言わざるを得ない状態、こういう状態の中で今問われていることが幾つかあるから、それに対してひとつ答えていただきたい。  それからもう一つは、高校を卒業して就職される方々が大変いらっしゃいますが、そういう人たちは、東京にいると夜間大学に入って資格が取れる。ところが、つくばにいると夜間大学がないから、まあいいところ寝るかパチンコか。一杯飲むか、こういうことになる。これは人生でしょうがない。これでは非常に困るのですね。  そこで、まず第一に求めたいことは、つくばに民間の私立の大学、これをやはりつくって、高校卒業の意欲のある勉強をしたい人、したくないのはしょうがない、したい人はそこに入って資格が取れる。それから公務員で、やめた学者、技術者、科学者、それもそこで仕事ができる、こういう一挙両得の、あるいはまたその周辺のお子さんが昼間は科学技術を覚えるような、昼は科学、夜は一般の文科系、こういうような私立大学を誘致をしたいということでいろいろ動いているのですけれども、この点については、これは国土庁になるのかな、やはりこれは科学技術庁かな、その管轄は。
  32. 草原克豪

    ○草原説明員 お答え申し上げます。  私立の大学を設置するかどうかということはそれぞれの大学の設置者の申請に基づくものでございまして、仮にそのような設置について申請がございました場合には、文部省としてはまず大学設置・学校法人審議会という文部大臣の諮問機関において専門的な見地から審査を行いまして、その結果に基づいて文部大臣として認可するかどうかということを決定することになります。  なお審議会としては、今後十八歳人口が急減していくということを考慮いたしまして、平成五年度以降の大学の新設あるいは増設につきましては原則として抑制するという方針で対応することといたしております。しかし、学術的あるいは社会経済的あるいは地域の振興といった観点から、特に必要性の高いものについてはこれを抑制の例外として対応するということにもいたしております。  お尋ねの件は夜間の大学をということでございましたけれども、今後社会人を中心として生涯学習の需要の増加が見込まれるということもありまして、夜間の教育を行うものについては、ただいま申し上げました抑制の例外に該当するものとして扱うことにいたしております。
  33. 宮地謙一

    ○宮地説明員 先ほどもう一点お尋ねございました、退職後の職場の確保が重要ではないかという問題につきましては、私どもの方でも、定住を促進する上からも非常に重要な課題と考えております。従来からも、東京家政学院の誘致でございますとか、あるいは民間研究機関の誘致等に努めてまいりましたが、今後とも就業の場の確保という観点からも、これまでの経験とか技術とかを生かせます職場の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  34. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今文部省の方からもお答えがあって、夜間の問題は例外にするということでありますが、今現在、学校法人筑波学園専門学校というのがある。これは紅露という人が学長になっていて、かなりあのところで研究をした。そして退職された方々がそこへ教授として入っておりますね。あの学校は現実にそこにあるのですから、そういうものを申請をして、どうしても夜間に勉強をするような便益を図りたいということで、ここへ来る前に私も事務長と連絡をしてきましたが、後でこれはまた相談をさせていただきます。  それから、そういうことが国土庁からもお話があったように、これは別に夜昼ということじゃなくて、やはり私立学校でないと、六十歳以上の公務員を退職した者は仕事ができないわけですから、そうなると、私立大学で昼が科学技術、こういうものを教える、夜は文科系でいく、こういうように割り切った形で一貫をして教育の場を与えてもらわないと、筑波大学には到底入るわけにいかない、あれは。  しかも、その筑波大学というのは極めて閉鎖性の大学ですね。あの学則なんてのは大体憲法違反だ。ああいうような学校の閉鎖性、最近学長選挙でアメリカの江崎さんが学長になったのはせめてもの開放した一つの形だと思うのですよ。ああいう格好だったら、これはつくばに行った意味は余りないし教授の思想を抑えて、学生運動を抑える、そういう意味はあったかもしれないけれども、今や従来の教育大学と東京文理科大学の面影は余り 見えませんね。ということは、これはちょっと付録として申し上げておく。文部省の方からひとつそのことについて、いいですか、夜間の学校の問題ですね。
  35. 草原克豪

    ○草原説明員 先ほど、現在の専門学校をもとにして大学をつくりたいという御趣旨だったかと思いますが、専門学校は都道府県知事の認可でございます。大学は文部大臣の認可でございますし、また認可に当たっての基準も相当違いがございます。したがって、手続的に申し上げますと、専門学校をもとにするかしないかにかかわらず、大学をつくる場合には大学申請、先ほど申し上げましたような手続をとっていただくことになろうかと思います。  それから、筑波大学が閉鎖的であるというような御指摘でございました。今後は十八歳人口も減少してまいりますので、大学全体としては量の拡大よりは質の充実に重きを置くべきである、こういう方針で大学審議会の答申が取りまとめられておりまして、それに基づいて昨年大学設置基準も大幅に大綱化をいたしまして、それぞれの大学において自主的にいろいろな教育課程上の工夫ができるようにしたところでございます。そういう趣旨に沿って、各大学で質的な充実を図るように、文部省としては今後とも促進してまいりたいと思っております。
  36. 竹内猛

    竹内(猛)委員 筑波大学についてお話があったからちょっと申し上げますが、これは後でひとつ調査してもらいたい。入学規則の十一条、十三条その他たくさんありますけれども、これすべてが憲法に抵触するおそれがある。それは、内藤誉三郎さんが文部大臣のころにも、僕はあの文部省のオオカミとかトラとか言われたあの人とやり合った。あと十分もあれば僕も参っちゃったというようなね。  大学の入学の規則の中に、学生の中には二十歳以上の人たちもいますよ。二十歳以上になれば選挙の投票権がある。ところが、入学するときに「学校の中の集会は、五日前に届け出をして許可を得なければならない。」こういうことを堂々と学則に書いている。そんなものは認可制で、届け出制でいいじゃないか。ところが、いやそういっても入学規則を認めて入られたのだから。そして、それに違反した者なんてみんな追放ですからね。だから今はちんとしてしまった。それで閉鎖性になってしまった。だから、筑波大学の学則を十分によく研究して、これは憲法との関係でどうか。二十歳以上になれば投票権あるんですよ。一歩外へ出れば自由に物も言える。学校に来れば言えないじゃないか。そんな大学教育大学、筑波大学。おかしいよ、それは。ま、それは余談でね。  いよいよ最後ですが、去年の十二月につくばの市長選挙があって、前の市長が落選をして、新しい市長が出ました。前の市長が悪かったのは、上からどんどん押しつけていって、あちこちに紛争を巻き起こしてきた。ごみ処理場、火葬場あるいは新線、いずれも解決しない。そして、新しい庁舎をつくるという形で、物をつくることに懸命であったわけですね。今度の市長は、そういう庁舎をつくるよりも、生活を優先しようということで、ごみ処理場についても、反対の人々と話をして、ここへつくっていいということを了解をとった。火葬場についても話ができた。  そういうときに、今度はいよいよやろうとしたらお金がない。それは地財法の関係もあるでしょうが、どうも金がないということで、今非常に往生しているのですね。この点について大学研究所や、つくばに研究所はいっぱい移ってきましたが、研究所というのは生産をしてないから余り金を出さない、固定資産税を払わない。たくさん入ってきた。これでは市の財政にならないんですね。それを仮に政策控除であるとしたら、どれくらいの固定資産税になるのか。あるいは国立機関が、今までは公団から金が入ったけれども、だんだん買い取って無税になっている。こういうものについても換算をしたらどうなるかということで、とにかく国が責任を持ってつくったところで、ごみ処理場も火葬場もできないなんて、そんなことはおかしい。これは国土庁の最終的な責任だ。完成、熟成の一番大事なところだ。これに対しては国土庁としてはどういうふうに考えているか。
  37. 宮地謙一

    ○宮地説明員 まず、ごみ処理場の整備につきましては、御存じのとおり昭和四十九年に一日当たり百八十トン処理するという施設をつくったわけでございますけれども、その後のごみの増大あるいは施設老朽化等がございまして、これに対処いたしますために、現在地元の市町において隣接市に新たな施設を整備する計画を進められております。  また、火葬場につきましても、現在のところ土浦市とか水海道市の施設を利用している状況にあります。学園都市内に整備される必要がございますけれども、これまでにも幾つかの立地の話がございましたけれども、いずれも地元の方々の理解が得られないことなどによりまして、現在のところ具体的な計画にはなっておりません。  しかしながら、これらの施設の整備につきまして、基本的には地元市町におきまして整備上の諸問題を解決して整備計画を具体化し、通常のこれらの施設整備のルールに従って整備されるべきものと考えておりますけれども、国土庁といたしましては、それぞれの整備計画が具体化した段階で必要に応じ地元の各市町から内容等についてはお話を伺いまして、国として御協力できる方法があるかどうか関係機関とも協議してまいりたいというふうに考えております。
  38. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が終わりましたから、これで終わります。
  39. 近岡理一郎

  40. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、初めにSSCの問題についてお伺いしたいと思います。  御承知のように、米ソの冷戦が終わりまして対話の時代に入った、そういう中で国連中心といたしまして世界の平和の構築が進み出した、まことにこれはうれしいことでございます。政治そして経済、科学、芸術、文化、すべての面で人類幸せの方向に世界各国が力を合わせていく。そういう意味で、国際協力ということにつきましては、すべての分野でこれは大いに進めていくべきである、このように考えているような次第でございます。しかし、このSSCの問題につきましては、どうも経緯等につきましても、何か国民の目から見ておりまして、突如として巨大なものが浮上してきた、非常にそういう気持ちがあるわけでございます。そういう意味で、まず経緯についてお伺いしたいと思います。
  41. 須田忠義

    須田政府委員 SSC計画については、昭和六十二年十二月に、当時の米国エネルギー省のヘリントン長官から宇野外務大臣あてに本計画への参加要請状が送付されたのが、我が国との関係では最初でございます。以来、日米間の関係閣僚レベルの会合等の場において累次米国から協力を求められてきているところでございます。このような経緯を踏まえて、去る本年一月の日米首脳会談において、日米間で合同作業部会を設けて本計画を国際的なプロジェクトとするための方途等について検討し、年内をめどに結論を出すこととした、これが大筋の経緯でございます。
  42. 近江巳記夫

    ○近江委員 この日米科学技術協力協定、これはいつできたのですか。
  43. 長田英機

    ○長田政府委員 一九八八年六月に署名されたものでございます。有効期限は五年でございます。
  44. 近江巳記夫

    ○近江委員 この協定に基づきまして日米間は緊密な連携をとって話し合いをしてきておるわけですね。そういう中でこれだけの巨大プロジェクトが、いろいろなことが公表されずに、そして突如として大きくクローズアップしてきた。先ほども申し上げましたように、何といいますか、非常に不自然という言葉が適切なのかどうかわかりませんけれども、そういう感が否めないわけでございます。  こういう問題につきましては、米国そしてまた欧州等でこれは話がずっと来ておったわけでございますけれども、正式にそういう話し合いの中で、一方的にアメリカが設計に入っておったわけでしょう。そういう話がずっとあるならば、もう本 当に話の初めから両国が話し合いをして、そしてまた設計の段階からいろんな点でやはりそういう話し合いがあってしかるべきだと私は思うんですね。言うならすべてずうっと話が終わってきて、ただ金だけの問題を協力せよ、こういう姿勢でこれは国民の協力が得られますか。その辺の今日までの経過をどのようにお考えなんですか、政府は。
  45. 須田忠義

    須田政府委員 今回ブッシュ大統領の来日において合意された合同作業部会、この作業部会において、国際プロジェクトとしてこれが成り立つ問題についていろいろ検討するということでございますので、これまでの経緯、今までのやっている中身、これは日本の参加を前提とした場合におけるいろいろな問題点、これらを全部合同委員会で、合同作業グループで議論し、これについて結論を出していく、こういうことでございます。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは、そういう実態を報告されたわけでございますけれども、いわゆる今までのそういう計画が進んでいく、いわゆるそのプロセスの段階において、我が国としてそれじゃどれだけ強力に今までやってきたか。ほとんどないのと違いますか、これは。その辺をもう少し説明してください。
  47. 谷川寛三

    谷川国務大臣 この計画でございますが、これは宇宙の起源、物質の起源をきわめようという問題でございまして、大変壮大な計画だと思っております。  今お話がありましたが、確かにこれまで学術的、専門的にこのSSC計画につきまして日本側で詰めたことがございませんでしたので、科学技術会議総理大臣から諮問してもらいまして、じっくり取り組んでもらうことにいたしました。率直に申しまして、お金が莫大なものでございますが、さらにどれだけかかるかということも必ずしも定かではありませんし、運転費とか維持費というのも相当かかる。そういう点もまだ詰めておりません。ですから、合同部会ではそういう点も詰めながら、やはり日本だけが協力するというものではいかぬので、非常に大きな計画でございますから、さっき局長からお話ししましたように国際的なプロジェクトとして乗っていけるかどうか、こういうものも考えていく必要がある。これはまあ合同部会。  それから科学技術会議では、今申しましたように専門的、学術的に研究していただくと同時に、国内ではさっきから御質疑があっておりますが、基礎研究等にこれまたなかなかお金がかかります。そういう点もにらみながら詰めていく必要がある、こう思いまして、別途科学技術会議でも慎重に検討させていただきたい、こう思っておるところでございます。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは確かに、大臣もおっしゃったように、いろいろな問題があろうと思うのですね。  例えば、これは十年前のコンセプトの設計ですから、超電導の材料というのはチタン・ニオブ系だろうと言われておるのですけれども、今それよりもはるかにいい、すず・ニオブ系が実用段階に入っておる、こう言われておるのですね。そうなってきますと、これだけの巨大なものが実際に要るのかどうか、そういう点にも大きな疑問がありますね。一周八十七キロ、こういう巨大な装置ですね。あるいはまた、この真空リングに漏れが発生したときに、その部分の迅速的確な検出、修復は一体できるのかどうか、こういう問題もあります。  米下院の技術委員長ブラウン氏、先般お見えになりまして、私もお会いしました。そこに米国の議員がほかにまだ三名お見えになっておったわけですけれどもアメリカの内部においても賛否両論なんですね。アメリカにおきましても、非常にいろいろな点の疑問を持っておる。この費用の点におきまして、百十三億ドル、約一兆四千億。一兆一千億だとこの間まで言われておったのが、一兆四千億はかかるだろう。日本には十五億ドル、約二千億要求しておるということを聞いておるわけでございますが、当然これだけの大きな装置でございますから、普通建設費の五%ぐらい維持費にかかるだろう、そうすると七百億ですね、一兆四千億の五%、七百億。毎年これがかかるわけですから、国際協力ということになってくれば、当然応分の負担をしなければならぬ。日本は二百億ぐらいしなければいけないのではないか、こういうようなことも言われておる。巨額ですね、実際考えてみれば。  いつも言われておりますが、全国の六万六千人の科学者が申請する文部省の科研費、これは六百億円ですよ。もう本当に研究者が必死になって、そうした気持ちで申請をするけれども、その中でまた省いていくわけです。総額が六百億。あと、基礎研究の問題については、私はいろいろ問題を提起したいと思いますが、巨額のこういうものにつきまして、何ら今までそういう正式な話し合いもそういう作業もなしに、政治的にぼんと出てきた、日本国際協力だからやむを得ない、そんなことでは国民の協力が得られないと私は思うんですよ。少なくとも、国民の理解協力があって初めてこれは進むんですね。  作業部会で今後検討していかねばと思うのでございますが、どういう点を政府としては疑念に思われ、また、その作業部会でたたいていきたいと思うのですか。
  49. 須田忠義

    須田政府委員 合同作業部会はまだ正式に両国で設置されてないわけで、今その設置の準備を進めておるわけでございますが、先生の今御指摘のニオブ・すず、そういうことで転換した場合はどういう計画の修正があるかというような問題も技術的な問題として相当残ってくるだろうし、トータル的なコストがこれでいいのかということも合同チームの重要な検討課題になるだろうと思います。すべからく、技術的な面、コスト的な面、もちろん最終的には我が国の財政事情等も議論の対象になるのかと想定しています。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 現時点におきましては、やはりこれだけの巨額の費用ということ、また、今日までの突如として出てきたこの印象をぬぐえませんから、国民の理解を得ることは非常に厳しいと思いますよ。政府は、ただもうそういう形で言われたから乗っていくんだ、そんな安易なことでは私は協力することはできないと思います。やはり政府としては、国民のそうした気持ち、世論を大事にしていただいて、そしてまた、なおかつ科学的な真剣な討議といいますか、そういうことが私は大事だと思うのです。そういう点で、拙速、そして安易な見方につきましては、到底容認することはできないと思うのですね。それを一つ申し上げておきたいと思います。  それで、今後国際的なそういうことがたくさん出てくると思うのですね。巨大科学の推進、これは今後、本当に世界的なレベルで力を結集していかなければ、到底一国や二国が進めようとしても、これはもう無理だと思うのですね。そういう点で、今後、この国際ルールといいますか、そういうものをきちんとお互いが合意して、それに乗っかってお互いが真剣な討議をして積み上げていく中で進んでいく、私はこう思うのです。そういうルール、というのは実際あるんですか。  このSSCを見たって、突如、だれも知らない、例えば海を航海しておって、目の前にはっと鯨が浮かんだような驚愕ですよ。こんなことを次から次へ繰り返していったらどうなりますか。そういうルールづくりということについては、政府はどう考えていますか。
  51. 須田忠義

    須田政府委員 メガサイエンスに対しての基本的な考え方といたしましては、我が国の研究者技術者が計画の初期段階から国際的議論に参画して、プロジェクトの基本的なコンセプト、これの形成に貢献する、これが非常に重要だと理解しておりますし、また、我が国の置かれている国際的な立場も十分認識した上で、主体性を持った形で取り組むことが必要だ、こういう基本的な理念に立ってございます。  なお、メガサイエンスの国際的なルール、これも今国際的にこういうルールをつくっていこうという機運になっておりまして、OECDで今月大臣会合も持たれるわけですが、そこでの主要テーマもメガサイエンスについての取り扱い、これの ルールづくり、これは今国際的に必要性が叫ばれてございまして、日本もそれに積極的に参加していくということになっております。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはぜひ、我が国はアメリカに次ぐ経済大国と言われておりますが、それだけ国際貢献に力を入れていかなければならない立場でもございますし、また、力も事実あるわけですね。それだけに、今局長がおっしゃったそういうことは、やはりまとめ役としてきちっとしていかないと、世の中というのはそういうきちっとしたルールといいますか、それに乗せて、そしてどんどんとその中で、また公表もして、国民の理解を深めていく、その中で協力が得られる、こういうふうに思うのですね。  ですから、確かに今世界の政治構造も極端な変動の中でございますから、今まではそういうことができておらなかったということも一面は理解はできるわけですけれども、今局長が答弁した、それをひとつ早急に進めて、国際ルールをきちっとつくるべきである、このように思います。  長官はどのようにお考えですか。
  53. 谷川寛三

    谷川国務大臣 ただいまお話ししましたように、ビッグプロジェクトにつきましての国際協力に関するルールづくり、来る三月十一日にOECDの閣僚会議がございます。もちろん私は参上できませんが、その議論も踏まえまして対処していきたいと考えているところでございます。
  54. 近江巳記夫

    ○近江委員 ぜひひとつ努力をしていただきたい、このように思います。それから、十八号答申を初め、基礎科学、基礎研究、これの強化ということが強くうたわれておるわけでございまして、これは本当に関係者すべての人が声を大にして叫んできたことでございます。しかしながら、政府の取り組み、そしてまたその力の入れ方といいますか、結果的にはみんなが声を上げるばかりでなかなか実を結ばないというのが現状ではないか、このように思うわけでございます。  そこで、私たちもこれはもう黙っておるわけにはいかないということで、我が党としまして「二十一世紀を拓く基礎科学・基礎研究強化」、こういう案をつくりまして、政府に対してもひとつ十分参考にしてもらいたいということも申し上げておるような次第でございます。  そこで、この十八号答申等にうたわれておるそういう基礎研究強化の問題につきまして、具体的にどう進めていくか、それを提言したいと思う。一つは、国立科学財団、NSFに似たようなものを設置すればどうかということを提言したいと思うのですね。同時に、研究成果を客観的に評価いたします独立機関といたしまして研究評価機関、日本版のOTA、これを私たちは強く主張したいと思うのです。この点につきまして、政府の見解を賜りたいと思います。
  55. 須田忠義

    須田政府委員 先生指摘アメリカのNSF、これは年間三千億ぐらいの予算で各研究者の支援等、また政策立案のための調査、そういう非常に幅広い活動を行っている機関と承知しております。  我が国においては、現在これらの機能というのは文部省の例えば科学研究費補助金、科研費一科学技術庁振興調整費、それから新技術事業団の創造科学技術推進制度、いろいろな制度によってこれが行われてございます。それはそれなりに基礎研究の推進に一定の効果を上げているというふうに我々理解しているところであります。  今後基礎研究を一層充実強化していくことが必要と認識しておりますが、そのための方法としてはもろもろのものが考えられます。御提案の日本版NSFの設立も一つの考え方として承っております。これらも念頭に置いて、ずっと今後中長期的な科学技術基礎研究振興方策ということが議論されることになろうかというふうに思っております。  なお、OTAは、これは御存じのようにアメリカの立法府に設けられております技術評価機関でございます、これは各行政府予算の歳出等についても相当の関与をし力を持っておりまして、毎年十五ないし二十五件の技術評価レポートがここで刊行されております。  じゃ、我が国のこれに対するシステムはどうなっておるかといいますと、我が国は関係省庁がいろいろな議論をしつつ研究テーマ、研究課題等が上がってきておりまして、それが大きなプロジェクトであれば原子力委員会、宇宙委員会科学技術会議等で評価され、さらに財政当局等の評一価も踏まえまして実現していくわけでございまして、その成果についてはその都度、例えば宇宙、人工衛星の打ち上げなどは打ち上がった段階において委員会で、専門部会で評価しておる、そういう個々の評価体制をとってございます。  なお、OTAも、これも一つの大きな役目を果たしておりますので、決して日本はOTAのようなものはだめだと言う気持ちはございませんけれども日本の評価体制というのは今そういうことで進んでおりまして、今後どういうふうに持っていくかという議論があれば、OTAも一つの視野に入れて議論されるのじゃなかろうか、さように思います。     〔委員長退席、斉藤(斗)委員長代理着席〕
  56. 近江巳記夫

    ○近江委員 日本版のNSFにつきましては今後前向きに検討する、今答弁の中でそういう意味で私とったわけでございますが、この研究評価機関、各省、またそれぞれの属する機関等でやっておる。当然財政当局は裏打ちで入るわけでございますけれども、そういうことをやっておるから弱いのですよ。日本関係各省が縄張り的なことばかりやっているから、これだけの経済力を持っておりながらそこに力が結集できない、いいものができない。ですからそういう評価機関というのをつくればいいのですよ。あなた、否定はしないで今後検討させていただくということでしたけれども、提言しておきます。  これはもう政府として本当に今こそそういう縦割りの弊害をなくして、今や時代は縦から横へという一面を持っておるのですよ。ですからそういう連係プレーといいますか、政府自体がきちっとした力を結集する中でいいものができると私は思うのです。  私が今申し上げたこと、局長が答弁しましたけれども大臣はどう思いますか。
  57. 谷川寛三

    谷川国務大臣 公明党のこの提言につきましては、せんだって詳しく拝聴いたしました。  今、この問題、局長から答弁いたしましたが、確かに一元的に研究の総合調整もやる、それから評価もやる、これは理想でございます。私もそう思っておりますが、なかなか一挙にいきませんものですから、今御答弁申し上げましたように検討の課題にさせていただきたいと思っております。
  58. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣も、非常にいいことである、時間をかけてひとつ前向きにやっていきたい、こういう答弁であったように思います。ひとつ力を入れていただきたいと思います。  次に、この基礎研究促進のための法的な整備また資金確保につきまして、これはやはりきちっとしたものをしなければ、政府は七年間で二倍増ですか、そういう考えをお持ちのようでございますけれども、それはかけ声だけで私は終わると思うのです。かけ声をかけた以上はルールをきちっとつくって、列車は走らなければならぬ、線路を敷くことが大事なんです。  今、御承知のように我が国の研究費というのは国が二割、民間八割。これは抜本的に改めなければいけない。少なくともさらに、これから技術立国として立つ我が国がこういう現状ではだめですよ。国自体がもっと力を入れて、この科学技術面におきまして総力を挙げなければいけない。言うならば、当然反間も力を入れること、これはしのぎを削って世界各国やっておるわけですから、当然努力をされるでありましょう。そういう中で、できるならば諸外国、先進国のように半分ぐらいは国がその研究費を占める、飛躍的な力の入れ方をしなければいけない、このように私は思います。  そこで、基礎研究振興法を制定する必要があると思います。そしてこの法律によりまして基礎研究振興十カ年計画を策定して、予算面等に最大の 力が入るようにしていくべきだ、このように思うのです一この点につきましてどう思いますか。
  59. 須田忠義

    須田政府委員 基礎研究振興は、六十一年閣議決定されました科学技術政策大綱に基づいて今関係省庁研究行政を遂行しているわけですが、この大綱並びに今般、一月二十四日に出されたいわゆる十八号答申においても、その政策の重要な柱と位置づけられて進めてきております。  今後の基礎研究の一層の強化を図るためには、我々十八号答申を受けまして科学技術政策大綱を改定いたしたいというふうに思っております。その政策大綱の改定等、さらに今後十八号、科学技術答申に基づいて推進していきたいというふうに思っております。  なお、基礎研究振興法を制定してさらにこれの強化を図れというのも、将来的な一つの選択肢だというふうに考えてございます。なお、これは細かく言いますと非常に難しい部分を含んでおりまして、基礎研究の定義から自然科学と人文科学をどう区別していくのか、非常に、議論してコンセンサスを得ていかないといかぬ問題が山積してございます。そういう問題を整理しながら、将来の選択肢として考えてまいりたい、そういうふうに。思っております。     〔斉藤(斗)委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長もこの点については評価をされているわけでございまして、ぜひ基礎研究促進のためにひとつその点を十分研究していただいて、力を入れていただきたいと思います。  今、この大学、国立研究機関等におきまして、いわゆる基礎研究活性化しなきゃならぬ、これはみんなの声でございますが、余りにも設備が貧弱である、研究費もない、待遇も悪い、すべての面で、外国の科学者と研究者等が参りましても、日本のそういう特に大学等の劣悪というものにつきましては、本当に驚いているわけですね。これがもう本当に経済大国と言われる日本大学の姿かと、驚いて帰るのが実情でございます。非常にこれは残念なことでございます。  先般も阪大でああいう爆発事故もございましたが、研究室の間をベニヤ板で仕切っておる。そうして、いろんな実験装置等につきましても、アフターケアをするためにも業者に頼まなきゃならぬ、その予算がない、ですから一生懸命自分らがやっておる。もういろんな点でそういう研究費不足です。  先般、私、東大の方も見てきましたけれども、これが天下の東大かなと。要するに、学部、いろいろなのがございますけれども、廊下のところにもいろんなものが置いてある、雑然としてある。部屋が狭いからやむを得ないんですよ、これは。こういう惨たんたる状況を見ておいて、基礎研究振興します、そんなお題目ばっかり唱えて、それで政府の皆さん方の責任が果たせるか。皆さん方の責任ですよ、これは。真剣にこれは反省しなきゃいかぬ。  そこで、この大学・国立研究機関再建十カ年計画を策定いたしまして、十分な研究費施設の整備あるいは大学間の教員交流、大学、国立研究機関との相互交流等、どんどんと柔軟にできるようにしていく。あるいはまた大学大学をさらに充実をしていくとか、いろいろなそういう問題がございます。財政的基盤の充実と人材養成の位置づけを明確にしていく、こういう案を持っておるわけでございますが、この点については、文部省科学技術庁はどう思いますか。
  61. 雨宮忠

    ○雨宮説明員 先生指摘のように、大学基礎研究中心であるわけでございます。したがいまして、大学の足腰を強めるということが即我が国全体の基礎研究振興に役立つ、こういうことでございます。いろいろ御批判がございます。要するに、大学施設の話もございましたけれども施設やらあるいは研究資金を十分確保するということが何よりも肝要なことでございます。  来年度予算につきましても、施設整備ということで、新たな特別整備費ということで、新規の二百億円を計上するとか、あるいは研究費につきましても、科学研究費補助金につきまして、今年度五百八十九億円でございますけれども、これにつきまして、五十七億円増という非常にこれまでにない大幅な増を計上させていただいているということでもございます。今後とも、大学の足腰を強める、研究環境を改善するということに最大の努力を払ってまいりたい、かように考えております。
  62. 須田忠義

    須田政府委員 大学については、今文部省からの答弁のとおりでございまして、あとその他国立研究機関についても、文部省と同様、研究施設、設備の老朽化、陳腐化が非常に著しいということで、我々非常に危機感を持ってございます。これについての強化を最大の課題といたしたい、そういうふうに思っています。  なお、国研、大学、これについての抜本的な研究環境強化というのが今回の十八号答申一つの柱でもありますし、我々それを踏まえて十分整備を図っていきたい、こういうふうに思っています。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、柱であるからこそ私はあえてそれをまた言っているのですよ。ですから、私が今申し上げたように、大学・国立研究機関再建十カ年計画、そういうやはりきちっとしたものをつくってやっていかないとなかなか、やりますやりますばかり言ったって、いきませんですよ、それは。時の情勢に応じてまた変動するのですから。それについてはどうなんですか、私が提案していることについて。
  64. 須田忠義

    須田政府委員 基礎研究強化策について、先ほど申しました十八号でいろいろ研究環境の整備を提言されておるわけで、それを受けた行政庁、関係省庁、いっぱいございます。文部省を初め、それの具体的な施策というのは、関係各省と今後相談して進めてまいりたいと思います。そのとき国研、大学施設のみについてそういう計画をつくるのか、さらにもっと広げた形の中長期的なものをつくるのか、そういうことについてはこれからいろいろな議論があろうと思いますので、関係各省と十分相談しながら進めてまいりたい、そういうふうに思います。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、それ以外にも広げていくのか、それは確かにそうかもしらぬけれども、中核になる国立大学あるいは国立研究機関、そういうところに力も入れずして話をまたすぐばっと広げて、そういう逃げの姿勢が見える。よくないですよ、それは。  きょうは大蔵省も来ておられるでしょう。大蔵省、こういう真剣な論議を常に積み重ねておるのに、それは若干のプラスアルファしていただいたのはわかりますけれども、もっと抜本的にやってもらわなければ、何回こういう論議を重ねても進みませんよ、これは。大蔵省の見解をお聞きしたいと思います。
  66. 乾文男

    乾説明員 御指摘のありました国立大学研究環境の整備あるいは基礎研究の充実の必要性につきましては、私ども認識基本的に同じくしているところでございまして、先ほど来文部省から答弁がありましたように、四年度予算の中におきましても従来を上回る伸びの財源の確保に努めたところでございまして、今後ともそういう方向努力をしてまいりたいと思っております。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは主計官が来られて、その辺のことはよく聞いていただき、努力もしておることはよくわかります。さらに一層これをまた本省へ持ち帰っていただいて大臣にもしかとひとつ届けていただきたい、こういうふうに思います。  それから、若手研究者等の育成、基礎研究における国際的貢献等を提言しておるわけでございます。  それからあと国際的な情報システム、いわゆる基礎研究を推進するための情報収集、開放、研究成果のストックの拡充、流通、異分野の価値観の評価、分析。研究環境を整備充実をしなきゃならぬわけでございますが、世界のそういう特許情報システムとドッキングさせまして、基礎研究を実施する上で必要な情報がリアルタイム、今情報化の時代ですから、リアルタイムでそういう国際流通する情報システム、これはやはり大事だと思うのですね。日本もそういう機関はあるわけでございますけれども、まだリアルタイムでそれだけの ことをやっていくというにはほど遠いと思うのです。この充実につきましてはどう考えますか。
  68. 長田英機

    ○長田政府委員 先生指摘のように、基礎研究の充実のためには特許情報あるいはいろいろな研究論文等の情報、それが広く早くみんなが利用できるようにする必要があると思うわけでございます。こういうことのために、科学技術庁には日本科学技術情報センターという法人を持っておりまして、ここでいろいろなデータを集積して提供することをやっております。  今御指摘の点につきましても、米国、ドイツの専門情報機関と結びまして国際的なネットワークをつくっておりまして、文献情報だけじゃなくて、米国やドイツの、世界の特許情報がオンラインでサービスができるようにやっているところでございます。このようにいろいろな努力をしておりますが、今後ともこういう面につきましてさらに努力をしていきたいと考えております。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 今や情報化の時代と言われておるわけでございますから、一層これはひとつ強化充実をしていただきたい、このように思います。これは大臣、どうですか。
  70. 谷川寛三

    谷川国務大臣 局長から御答弁申し上げておるとおりでございます。最大限努力をしてまいります。
  71. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、民間研究投資の八割を占めておる。民間は死活問題です。それだけに安閑としておれないということで、必死の姿勢が現実にそのように出ておると思うのですね。これから世界全体も対決から協調、また平和構築へと流れは大きくやはり動いていく、このように思います。そういう中で一層しのぎを削る技術開発、これが進むと思うんです。そういう点で、この民間基礎研究に対する援助、こういうこともさらにやはり考えていかなければいけない問題でございます。これにつきましてどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  72. 須田忠義

    須田政府委員 我が国の基礎研究強化を図る、強化するためには、第一義的には先ほどから議論が出ておりました大学、国研等の公的部門の研究開発活動を強化する、これが非常に重要な課題でございますが、それとともに、民間企業が基礎研究を最近重視し強化し始めておるところでございますので、我が国の基礎研究の全般的な強化ということについては非常に好ましいことではないかというふうに認識してございます。  政府として民間研究活動に対してこれまでも増加試験研究費の税額控除制度、基盤技術研究開発促進税制上の措置、それから、研究交流促進法による限定的な、例えば国研の研究との密接関連性等はあるけれども民間等も加えた共同研究推進等いろいろな措置を講じてきたところでございます。今後ともその充実に努めて、基礎研究を含む民間研究開発を支援してまいりたいというふうに思います。
  73. 近江巳記夫

    ○近江委員 この基礎研究等の問題につきましては、しっかりまた政府で受けとめていただきまして、関係各省よく御協議いただきまして、実の上がるように御努力をしていただきたいということを重ねて要望をいたしておきます。これはこれから非常に息の長い問題でございますし、毎回チェックをさせてもらいます。そういうことで、しっかり結果が出るように努力をしていただきたいと思います。  それから、ソ連が崩壊いたしまして、核廃棄の問題、そのプルトニウムをどうするかとかあるいは技術者の頭脳流出とか、いろいろなそういう心配点が上がってきておるわけでございます。これにつきまして政府はかなり熱心に考えておられるように思うわけでございますが、どういうことをお考えになっておるのか、承りたいと思います。
  74. 長田英機

    ○長田政府委員 旧ソ連の研究者、科学者の流出問題が今非常に話題になっておりますが、私どもの考え方といたしましては、旧ソ連邦地域における科学技術振興ということがその地区の経済社会発展、安定にとって非常に重要なことである。また、流出問題につきましては、基本的には旧ソ連地域の研究者が引き続き同地域内で研究に従事をして、そしてかつ軍需に携わった方が民需の方に転換をしていくということがいいんではないかというふうに思うわけでございまして、この問題につきましては、頭脳流出問題につきまして各国がどういうようなことを旧ソ連の地域に対して協力できるかというようなことが、今国際的な議論が進められておりますので、日本といたしましては、こういうような議論の動向を見た上で適切に対応していきたい、こういうふうに考えております。
  75. 近江巳記夫

    ○近江委員 旧ソ連邦との間に締結しました科学技術協力協定、この現状についてお伺いしたいと思うのですが、一つは、協定はロシア共和国が継承したのかどうか。それから、協定に基づく研究活動の現状と問題、研究活動を継続する上で現行協定で問題ないのかどうか。  以上三点につきましてお伺いしたいと思います。
  76. 長田英機

    ○長田政府委員 旧ソ連との間には昭和四十八年十月に締結されました協定がございます。この協定は今回の政変後にロシアに継承されているというふうに考えております。この研究分野につきましては、プラズマ物理学と核融合とか、放射線医学あるいは海洋科学技術に関する情報交換というようなことが、特に私ども科学技術庁関係ではこういうことがテーマになっているわけでございますけれども、私どもとしましては、今後の旧ソ連地域の科学技術の推進体制がどうなるかというようなこともよく見守った上で適切に対応していきたい、こういうふうに考えています。
  77. 近江巳記夫

    ○近江委員 この頭脳流出あるいは核廃棄の後のいわゆる管理といいますか、それにつきましてはもういろいろ国際的にも案が出ておるようでございますし、政府としても、非常に抽象論のことばかり言っておるけれども、具体的に考えておることがあったらもっとちゃんと答弁しなさいよ。
  78. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今、先生御質問の具体的な内容ということでございますけれども、具体的な解体廃棄物から出てまいりますプルトニウムあるいはウランヘの対応につきましては、いろいろな考え方につきまして現在内々いろいろな勉強をしておるというところでございます。  核兵器の解体に伴いまして発生いたしますプルトニウムは、当面の措置といたしましては安全かつ確実に貯蔵あるいは保管管理するということが必要でございますけれども、もとよりこれは恒久的な解決策ではございませんで、何らかの形で核兵器に再び戻る、再び利用されるようなことのないように処理するということが重要であろうかと思っておるわけでございます。申すまでもなく、プルトニウムはウランと同様に貴重なエネルギー資源でございますし、そういうことで原子炉の燃料といたしまして利用し発電に用いるということが、核不拡散の観点からも最も建設的かつ効果的な方法ではなかろうかと認識しておるところでございます。  以上のような観点から、科学技術庁といたしましては、核兵器の解体に伴いまして発生いたしますプルトニウムを燃焼させる専用の原子炉及びこのための燃料加工をどうしたらいいかというようなこととか、あるいはそういう考え方が一体成立するものであるかどうかというようなことにつきましての検討を始めたところでございますけれども、これはもとより内々の検討中の構想というものでございます。  いずれにいたしましても、核兵器の解体に伴いまして発生いたしますプルトニウムにつきましては、核兵器保有国による核兵器の拡散の防止とそのための厳重な管理ということが最も重要であると認識しておるわけでございまして、その上で我が国は、原子力の厳密な平和利用の推進者ということで欧米諸国とも連携をとりながら適切に対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  79. 近江巳記夫

    ○近江委員 この頭脳流出の問題については、国際的にどういう構想が出ているのですか。我が国はどう考えているのですか。
  80. 長田英機

    ○長田政府委員 頭脳流出の防止問題につきましては今国際的な検討がなされておりまして、具体的に申し上げますと、この二月二十七日、二十八日にブラッセルにおきまして米国、EC、日本、ロシア等の関係の諸国間で、国際科学技術センターという構想につきまして、その目的とか機能とか組織とか、そういうようなことについて意見の交換が行われました。  ただ、この会合で意見の交換を行っておりますが、その具体的内容についてはまだそう煮詰まっているわけではございませんので、この検討がこれからも進められていく過程におきまして、当庁といたしましては、関係各省とかあるいはほかの国ともよく相談をしながら対応をしていきたいというふうに考えております。
  81. 近江巳記夫

    ○近江委員 このプルトニウムの保管貯蔵、そしてまたそれの廃棄、いろいろなことがあると思うのでございますけれども、私は、日本が何もそんな突出して、今あくまで内々でいろいろなことを検討しておる、それはだめだとは言いませんけれども、国際国家の中で突出することはないと私は思うのですよ。  御承知のように、原発につきましては美浜のああいう一連のこともこれあり、非常に国民のそういう不安というものがあるわけですよ。それをまた、新型炉を設計してなにしてというような、これはあくまで国際的に話を進めていくということであって、我が国がはね上がって、日本がもうとにかくこうしますからというような、そういう突出する姿勢はちょっと心配だ、私はこう思います。  ですから、その点いろいろ研究、国際的な話し合いの中で対応していけるためのそういう研究はやむを得ないと思いますけれども、やはりそういう突出の姿勢は感心できませんね。それにつきましてはどう思いますか。
  82. 谷川寛三

    谷川国務大臣 御説のとおりでございます。  まず、この問題は米国とソ連、当事者間の問題でございます。あとの問題は、やはり国際協調のもとにおきまして、日本として平和利用のもとで培ってまいりました技術をどう貢献できるかということでございます。そこで、まだあんなものを扱ったことはありませんから、内々科学技術庁で、専門家レベルで勉強しておるという段階でございます。先生のお説のとおりでございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣も私と大体同じ考えでございますので、慎重にひとつ検討してもらいたい、こう思います。  大分時間も追ってきまして、いろいろ関係省庁お見えになっていただいておりますので、簡潔に中身のあるポイントで御答弁いただきたいと思うのです。  一つは、プルトニウムの輸送が今秋から始まるようでございますが、その辺につきまして、計画万全なのかどうか。それは、海上保安庁もお見えになっておりますから、ひとつお聞きしたい。  それから、先般「ふよう一号」が打ち上げをいたしましたが、アンテナが開かないというようなことで、大変こういう点は国民も、打ち上がって喜んでおった途端に、ああまたか、非常に残念な気持ちに、それはこういう科学というのは一〇〇%ということは難しいこともよくわかっておりますが、これの回復についてめどがきちっと立っておるのかどうか、どういう作業を進めておるのか、これが二つ目の質問であります。  それから、あと来ていただいておるのは、地震対策、これは何回も申し上げておりますが、二千メーター級、三千メーター級、早くやらなきゃ、まだ十年かかりますとかのんきなことを言っておってどうするか。どういう姿勢でこのテンポを速めるかということをお聞きしたい。  以上三点、お答えいただきたいと思います。
  84. 谷川寛三

    谷川国務大臣 プルトニウムの輸送につきましては、この秋第一回目が始まります。これにつきましては、平成元年十二月の関係閣僚の打合会におきまして、今お話がありましたように、海上保安庁の巡視船をもって護衛をさせるということにいたしました。自来関係省庁で巡視船を新造しましたり、いろいろ準備を進めておるところでございます。これはアメリカも了承してくれておりまして、防護装置も、日米原子力協定の附属書に書いてあります輸送の場合の安定規定にのっとりまして、厳重に施設をいたしまして、安全に万遺漏なきようにして輸送をする計画でございます。  それから、「ふよう」の問題につきましては、事務当局からも詳しく話があると思いますが、打ち上げは成功しましたが、地球資源衛星の合成開口レーダーというのが半開きでございまして、余り強力なショックを与えて開かせようとしますと、本体自体もだめになるといかぬと思いまして、命じっくり地上から試験をしておるところでございます。打ち上げは成功しましたが、大変残念でございます。報道によりますと、これで全部打ち上げの目的がパアになったと書いておりますが、半分は動いておりまして、全部だめになったわけではございません。  それから、最後、地震、これはこの前も申し上げましたが、私自身が昭和二十一年の南海大地震で肉親を二人まで犠牲にしておりますので、本当に真剣に考えております。直下型地震は、三千メーターの地下の地震計で大分予知できることが考えられておりますが、その他のものはなかなか予知が難しゅうございますけれども、これは先生お話しのように十年じゃだめだ、私も言っておりますけれども、これらの予算はもう概算要求ができでおりましたから理想的にはまいっておりませんが、今後とも予知は最大の防災ではないか、この前も先生おっしゃっていました。その精神でやっていく決意でございます。詳しくはまた事務当局からお答え申し上げます。
  85. 井田勝久

    ○井田政府委員 お答えいたします。  「ふよう」のお話でございますが、今先生指摘のように、合成開口レーダーアンテナが所要の位置まで展開しないということで、これは大変残念なことでございますが、今私ども、宇宙開発事業団と通産省で不具合対策調整会議というものをつくりまして鋭意詰めておりますのできる限りこれを早く開くように、同じような昨年打ち上がったカナダの通信衛星でございますが、三カ月後開いた例もございます。とにかく一生懸命これはやりたいと思っております。  それからもう一つ、地震対策。これはもう大臣のお言葉に尽きていると思いますが、私ども、本年度三千メートル深層観測施設、これについては非常な予算をとらしていただきました。今後とも頑張りまして、至急これにつきましてはきちっと検知能力ができるよう早急に努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  86. 柳田幸三

    ○柳田説明員 プルトニウムの海上輸送の護衛は大丈夫かという話でございますけれども、海上保安庁といたしましては、護衛に必要な性能やあるいは設備を備えた巡視船を現在建造中でございまして、これにより輸送船の護衛を実施することといたしております。  さらに、プルトニウム海上輸送の実施に当たりましては、護衛巡視船による直接護衛だけじゃなく、脅威との遭遇を避けるために慎重な輸送経路の選定や、無寄港による輸送あるいはまた厳重な情報管理などを行うこととしておりまして、さらに輸送船に海上保安官を警乗させることとしております。  このように総合的な核物質防護措置を講ずることによりまして、プルトニウムの海上輸送の護衛に万全を期したい、かように考えております。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  88. 近岡理一郎

    近岡委員長 関晴正君。
  89. 関晴正

    ○関委員 わずかな時間しかありませんので、それぞれ簡潔にお答えをいただければ、こう思います。  まず第一に、原子力船「むつ」の問題であります。原子力船「むつ」というものはどんなに金を食ったものかわかりません。七十億前後でこの船をつくって、そうして目的を果たすべく努めたわけでありますけれども、これにかかった年月、大変な年月であった、こう思います。  昭和四十二年に青森県のむつに原子力船の話が出まして、まさしくそれから計算しますというと 二十五年、二十五年の長きにわたってこの原子力船「むつ」の問題がいろいろと取り上げられてきたわけでありますが、とにかく総額において一千億を超える金で一応は終わった。この原子力船「むつ」というものが何を一体どもの今後の舶用炉の問題において効果を持ち来すのであろうか、これによって今後の我が国の計画はどう活用していくのであろうかということになりますと、これまたきちんとしておらない。きちんとしておらないというよりも、これを使う計画というのはまずほとんどないであろう、こう思うわけです。  しかしながら、この船の後の始末、今後の始末をどうするのだろうかということになりますと、あの原子炉を青森のむつにどのような格好で保管するのか、どのような方法で始末するのか、また鉛そのものは今後どういうような形になるのか。言われているところによりますと、あれを切断して原子炉だけを取り上げる、取り上げた後はこれをつないでまた船として活用しよう、こう言われているようであります。  こういうことを見ますと、まだまだ原子力船「むつ」というものには金がかかっていくことになるな、こう思いますと、本当にこれは当初いろいろ問題になりまして、そして中途においては自民党の皆さんもこれはやはり廃船にしようじゃないか、早く廃船にしておいた方がよかったのに、こうまた私は思うわけであります。失敗してしまって、その失敗をさらに失敗としないでなお無理をする。この無理というものは、いかに行政においてよろしくないものかということを示す見本が原子力船「むつ」であったのじゃないだろうかと私は思います。次にまた次の無理をしようとしておるのに再処理の問題があると私は思うのですが、その点については次にまた質問しますので、とりあえず原子力船「むつ」というものの歩んだ道とこの結末と、さらにこれをどう今後片づけていくのかということにおいてどのくらいまた金がかけられていくのかということについて、お考えになっているところを御報告いただければと思います。
  90. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  原子力船「むつ」につきましては、我が国初めての、実際の船に原子炉を積んで実験いたします研究開発計画でございまして、最初の問い合わせでございますこれまでに幾らかかったかということでございます。全体、昭和三十八年度ぐらいから仕事が始まったわけでございますが、それから今に至るまで約一千百億円と申し上げるのが適当であろうかと存じます。  この「むつ」によって一体どういうことがわかったかということでございますけれども、これはたびたびこれまでもこのような機会に申し上げてまいりましたように、普通の陸上の原子炉は全く振動、動揺のないところで運転をするのに対しまして、波浪とか風とか、そういう自然の外力によります船体の動揺、傾斜等が原子炉のプラントにどのような影響を与えるかというようなこととか、あるいはそれ以外のもろもろの海上におきます実験によりまして、陸上では得ることができない貴重な原子炉の運転のデータを得ることができたということがまずございます。  それから、国産技術によります我が国初めての原子力船が非常に厳しい海洋環境下におきまして、設計どおりにその機能を発揮したということを実証することができたわけでございます。  それから、これは実際船を運転した当事者が申しておりますけれども、原子炉が船舶の推進機関としてすぐれた性能を有しておるということがわかったということでございますが、こういうことも実証できたわけでございます。  それから、我が国初の原子力船によりまして実際航海ができた、貴重なトータルな意味での原子力船の運航経験を得ることができたということがあるわけでございます。  今先生指摘のように、第二船以降の具体的な計画が明らかになっていないじゃないかということがございます。確かに今の状況はそうではございますけれども、これからのトータルな燃料価格あるいは将来の海上輸送の需要等々を見ますと、我が国が原子力船をつくり動かす技術を持っておくことは極めて重要なことである、私ども今に至るまで確信しておるわけでございます。  さて、その次の、今後どうするかという問題でございます。これにつきましては、現在の原子力船「むつ」の担当事業主体でございます日本原子力研究所の那珂におきましていろんな検討をいたしました。それで、原子力船「むつ」の解役の具体的な方法を検討したわけでございますが、種々の観点からいたしまして、使用済み燃料、原子炉などを「むつ」より撤去することを基本といたしまして、そのための原子炉の廃止措置の方式といたしましては、撤去隔離方式を採用しておることとしたところでございます。これにつきましては、国といたしましても専門家の意見をお伺いいたしまして、十分安全に実施可能であり妥当な計画であるとの結論を得ておるわけでございます。  なお、解役終了後の「むつ」の後利用につきましては、青森県知事から地元としての御要望も承っておるところであるわけでございます。国といたしましては、これらの状況をも踏まえまして総合的に検討いたしました結果、原研の解役計画は妥当でございますし、さらに、後利用につきましても、内々海洋調査あるいは将来の舶用炉の研究開発のための理工学実験をやるための船に仕立て直したらどうかということで、後利用の方法につきましても検討を進めておるところでございます。  これらのことを踏まえまして、ことしの一月二十日でございますが、原研の理事長以下、それから私も青森県に参上いたしまして、いわゆる地元三者、すなわち青森県、むつ市、それから青森県漁連に対しまして解役計画説明を申し上げたところであるわけでございます。現在、青森県あるいはむつ市等々におきましては、この私どもの解役計画等につきましていろいろ御検討になっておると承っておりまして、本年二月二十三日、青森県が独自で開催されました委員会におきましても専門家の意見が取りまとめられておりまして、原研が計画しておる「むつ」の解役の工事は安全に実施できるものと判断するとの結論が得られたやに承っておるところでございます。  国といたしましては、今後とも事業主体であります原研を指導いたしまして、地元との十分な連携協力のもとに、安全確保に万全を期しながら「むつ」の解彼等を着実に進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。(関委員「答弁漏れがあるよ。これからどのくらい金かかるかということ」と呼ぶ)  将来計画につきましては、今申しましたように解役というのがまずあるわけでございまして、それから後利用につながるわけでございます。今申し上げましたように、後利用につきましてはまだ具体的に計画を固め切ってないというところもございますし、現在検討中でもございますので、これからの費用のかかり方につきまして今申し上げることは差し控えさせていただきます。
  91. 関晴正

    ○関委員 肝心のこれからの始末の問題で、どのくらいかかるのか。隔離をして、そしてどこへどう処理するつもりか。処理、保管の仕方というのはどうなるのか。  それから今度は、船を切断をして新しい船にするのかどうかということを見ますというと、これだって相当に金がかかることになるでしょう。その金なんかも見まして、その計画が妥当だということになるのかならぬのかということになると思います。そういう金をかけるならばまたもう少し考え直したらどうかというのも出てくるのではないだろうかと思うのだが、金のことについては全然考えていないのですか。どの程度までこの後始末はやろうという計画はないのですか。
  92. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほど申し上げましたように、後利用につきましては現在検討を進めているところでございますので、具体的な船の改造計画、これにつきましては、基本的に私どもが考えておりますのは、今先生がおっしゃいましたように、解役計画一体となりました格好で船の中心部分の原子炉を取り出 し、それからこれも青森県で御説明申し上げましたけれども、これを陸に揚げまして、その原子炉自身を展示館の中で展示させていただくというようなことも考えておるわけでございますけれども、全体、船の具体的な改造計画等が決まっておりませんので、経費については申し上げることができないわけでございます。  なお、解役につきましても、もちろんこれからいろんなプロセスがあるわけでございますので、具体的な数字を申し上げることは必ずしも妥当ではないと思いますけれども、重ねてのお尋ねでございますので、今私ども大体どれくらい考えておるかといいますと、恐らく解役そのものにつきましては、現時点におきまして、原研での見積もりを聞いてみますと、約九十五億円程度かかるんじゃないかということを言っておると承知いたしておるところでございます。
  93. 関晴正

    ○関委員 この原子炉はどこへ置くのですか。
  94. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  これにつきましては、今ほど少しく申し上げましたところでございますけれども、原子炉室におきましては、保管建屋におきまして見学の用に供する。その具体的な場所は、私どもは今の関根浜の、具体的な位置関係につきまして詳しく申し上げることはいかがかと思いますけれども、関根浜の港におきまして、港から揚げまして見学の用に供するということを考えておるわけでございますが、保管建屋につきましては、原子力のみならず他の先導的な科学技術に関します展示もあわせて行いまして、科学技術一般に対します理解の増進に資したいということを考えておるわけでございます。  あと、原子炉室を将来どうするかということもお尋ねかと思いますが、これにつきましては、展示品としての役割やあるいは処分の方法等を総合的に判断して決めていくということになるわけでございますけれども、この時期はかなり先の将来の問題であるというふうに考えているところでございます。
  95. 関晴正

    ○関委員 廃炉の処分の方法なんです、聞いているのは。どういう方法でこれは処分するのです。六ケ所のどっかへでも捨てるつもりですか。それともその場所に埋めるつもりですか。  それから、今何か展示するとかと言っていますが、その計画というのはいつごろのことになるのです。そういうものが展示に必要なものになるのですか。
  96. 石田寛人

    ○石田政府委員 今申しました展示でございますけれども、これは今ほど申しましたように、原子炉容器を中心といたします原子炉室の部分ということであるわけでございます。(関委員「廃炉の話だよ」と呼ぶ)したがいまして、まさに原子炉容器といいますのは、今先生廃炉とおっしゃいましたけれども、その廃炉におきます一番中心的な部分であろうかと思うわけでございます。  それから、固体廃棄物の処分ということにもなるわけでございますが、これは「むつ」の解役に伴いまして発生いたしましたものを含めまして、原研におきまして研究所全体として検討し、安全に処分するということでございますけれども、固体廃棄物に関しましては、処分が行われるまでの間は関根浜にございます保管建屋及び燃料廃棄物取扱棟におきまして保管することになるというふうに考えておるところでございます。
  97. 関晴正

    ○関委員 大変不十分なお答えだと思いますし、この問題についてはまだまだ検討しなきゃならない要素があると思いますので、この辺でこれにかかわる質問はおきますけれども、私は反省がなきゃならないと思うのです、反省が。これほどの、三十年近い年数をかけてやったけれども、そうしてかけられた金は当初の七十億に比べるならば、もう十四倍にもなるような金をかけて、さらにこの後また大変な金をかけていかなきゃならない。それだけの値打ちがあったかということと、この後それだけの値打ちを発揮するようなものになるのかということを考えますときに、私は、これは大きな誤算であった、こういう分析が必要なんじゃないだろうか、こう思います。  とにかくこの後も非生産的なものに金をかけていかなきゃならないでしょう。実験をやめておけばどうでもなかったものを、無理してやって、そうして得るものというのは、大変自画自賛しておられますけれども、何も国民的なものに供するものにはならない。本当に舶用炉の時代が来るというのならばこれはまた別です。舶用炉はほとんど原子力潜水艦でしょう。そういうようなものに日本はいくかとなるというと、そういうようにはいけない日本なんだ。  かつては原子力商船、こういうものを考えたけれども、原子力商船の時代は、やはり問題だというのでこれも変わってきたわけです。砕氷船はどうかという時代もあったし、あるいは気象船はどうかということもありましたけれども、おのおの当時言われたような目的はことごとく外れて、そうして今日残された形のものを何とか、何といいますかね、メンツにこだわり過ぎて、ここに残そうかという考え方に立っているのじゃないだろうか、こう思います。  そういう点で、私は、やはりこのものの利用だとかなんだとかということを考えるよりも、すっきり処分をすること、安全な方法で処分する方法を考えなきゃならないだろう。またしてもこれは、どこもないから六ケ所へ持っていって捨てるのだ、こういうようなことになっては大変だなとも思います。大変な厄介者がどう扱われるのだろうなということにも問題がありますので、そういう批判を加えておいて私は次の質問に入りたいと思います。  次の質問は、これは安全委員長お見えになっておりますから、原子力安全委員長にお聞きしたいと思うのですが、原子力安全委員長、私は当初から、美浜の原発の事故がありましたときに、なぜ真っ先に走っていかないのだということを申し上げておいた。そうしたら、いろいろなデータが出た後でゆっくり見るのが我々の仕事だ、こうあなたはおっしゃいました。ゆっくり調べたんでしょう。  しかし肝心の、今通産の方の報告書を見ながら思いますに、データを見るというけれども、そのデータそのものの内容をみずから現地に出かけていって見るというような構えのなかったのが大きな障害になっているのじゃないだろうか。例えば緊急冷却装置というものが一体どう働いたのだろうか。その働きは、一方にはこれによって五十トン以上の水が注水された、こういう報告になっておるけれども、原子力資料室においてはそんなにはいっていない、こう言っていますよね。三十トン程度じゃないかとも言っています。どっちが本当だろうかということについての解析もまた必要なのじゃないだろうか、こう思いますし、振れどめ金具がないからギロチン破断が起きたのだ、こういうことで報告はあるわけです。  じゃ、振れどめ金具がないところはみんなギロチン破断が起きるのか、そうなりますというと、そうでもありません。なかったことがすべてだというようなことにはならないだろうと思います。なくても動いているものは動いている。しかし、ないところは一層危ないということにもなるでしょう。  そうなりますというと、似たような原子力発電所に対しても、事故が起きる前にまた手だてが必要だろう、こう思うのです。では、そういう手だてを講じようとしているのかしていないのかとなりますというと、私はわかりません。そういう指導についてもしておるのならば、この際お答えをいただきたいなとも思います。  さらに、この原子炉の炉内に異常がないのか、大変な事故においてあの炉の中に与えた影響というものはどんなふうになっているのだろうか、そういう点についても、安全委員長の方からのこれにかかわる、これまでの調査に基づく御報告あるいは御見解等がありましたら聞かせてください。
  98. 内田秀雄

    ○内田説明員 関西電力の美浜二号炉の蒸気発生器伝熱管破断事故に対しましては、御存じのように通産省は調査審議の結果を報告してまいりましたが、それも参考にいたしまして、事故直後に私 たち原子力安全委員会の中につくりました原子炉安全専門審査会の発電用炉部会のワーキンググループで別途調査審議をしておりまして、その調査審議は間もなく報告されると思いますので、それを踏まえて最終的な原子力安全委員会の見解をまとめたいと思っているところでございますので、きょうのところは、しばらく意見を差し控えさせていただきたいと思っております。
  99. 関晴正

    ○関委員 これについてもまた後刻、今のようでまだ調査中と言うし、やがて報告したいということですから、その出た段階でまた論議したいと思います。  次は、安全委員長にお尋ねしたいのですが、ただいま再処理工場にかかわる審議のさなかにあると思います。高レベル廃棄物の許可の問題で今審議の最中だろう、こう思うのですが、安全委員長は、この再処理工場というものの機能、再処理工場というのはプルトニウムの生産工場ですよね。このプルトニウムの生産工場というものは必要欠くべからざるものと見ておるか見ておらないか。今日の各国の再処理工場を扱っている姿、また、再処理工場から生産されたプルトニウムを活用し、利用するその姿、高速増殖炉の運転の状況、こういうものを見ますときに、かつてこれは夢の原子炉のために必要な再処理工場だと言ったんだが、果たしてそういう機能を持つものになっていっているんだろうか、こういう点について、安全委員長にもしお考えなりこれについての御見解があれば聞かせていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  100. 内田秀雄

    ○内田説明員 原子力安全委員といたしますと、プルトニウムの利用の考え方等について何も申し上げる立場にはございません。プルトニウムの処理とか使用に対しての計画が出されましたときに安全審査をする立場でございます。
  101. 関晴正

    ○関委員 学者先生のお答えでございますから、そういうお答えしかないんだなということを受けておきます。実際ならば、私は、やはり原子力安全委員会の委員長ともなったら、今これが必要なものになっているのかどうか、安全の度合いについて調べることは当然のことだし、青森がそういう適地であるかどうかということも、これは大事なことです。地震の多発地域でもあるし、地盤の弱いところでもあるし、飛行機が落ちたら大変なところにもなります。  そういう点で、飛行機が落ちても大丈夫だというような一つのデータを出し流しておりますが、二千ポンドの爆弾が落ちても大丈夫だということになりますか。この点だけは安全委員長からお答えいただければと思います。
  102. 内田秀雄

    ○内田説明員 現在六ケ所村に設置予定とされております再処理施設につきましては、原子力安全委員会の核燃料安全専門審査会で審査中でございまして、この中のテーマとしまして航空機問題があることは十分知っておりますが、審査の結果を待ちましてからでないと、ちょっと申し上げることはできないと思います。
  103. 関晴正

    ○関委員 ちょっと、二千ポンドの実弾が落ちたらどうなるかということを考えれば、落ちても大丈夫ですかと今聞いているのですが、この点どうですか。
  104. 内田秀雄

    ○内田説明員 航空機からの爆弾が仮に当たることを考えるような場合には、その衝突の可能性がどの程度あるかということの検討がまず第一でありまして、当たりそうであるという可能性を設計上考慮しなければならないという段階に立ちましたならばその効果を検討しまして、それが安全上どういうような位置づけにあるかということを検討するのが安全審査でございまして、定量的な問題につきましては、現在核燃料安全専門審査会の審査を待っておるところでございます。
  105. 関晴正

    ○関委員 十月三十日に行われましたヒアリングにおいても、とにかく飛行機の落ち方やなんかも極めて規制されたような落ち方を前提にしての一つのお答えをされておりますが、実弾に至っては全然考えていません、訓練は模擬弾でやっておりますから、こう言ってきているのです。ですから皆さん、模擬弾のことだし実弾はないだろう、こう思っておった。思っておったところに先般、これは十一月の八日ですね、F16が実弾を積んで、そうして二千ポンドの爆弾を二個、あの三沢の沖合に投下して難を逃れた。今もってこの爆弾はあそこに投下されたままです。  この責任は何も安全委員長にあるわけではありませんから、これは我が国のアメリカに対する一つの交渉、今一生懸命やっておられるようですが、それはそこでやってもらわなければなりませんが、そういう意味において、実弾が現実に落とされておる。間違ってでも落ちたらどうなるかという予想はあり得るわけです。その上F16というものは十和田湖にも落ちましたよね。十和田湖に飛行機が補助タンクを落として、そうして難を逃れた。この物騒なF16というものはどこから飛んできてどこへ落ちるかわけのわからないものだ。ここは飛ばないし落ちないであろうということは、それは期待ですが、期待どおりにいかない。ということを考えれば、やはりこれも考慮に入れて審査の対象に十分な配慮をしていただくように私は希望申し上げておきます。  三番目の質問に入ります。  三番目の質問は、これは「もんじゅ」のことに取り組んでおるところの動燃事業団にお尋ねしたいのですが、「もんじゅ」はいつから取りかかって、そうしてどのぐらいの金がかかって、何を目的としてやっておられるものであるか、まずお聞きいたします。
  106. 石渡鷹雄

    石渡参考人 「もんじゅ」の建設の経緯でございますが、昭和四十五年ごろから始まっておりまして、昭和五十一年に環境調査を始めて、五十四年に県及び国に御報告しております。また、安全審査のいろいろな手続を経まして、昭和五十七年五月に地元の了承あるいは閣議了解を得た後、必要な許認可を得まして準備工事、そして六十年十月から原子炉の建設工事を開始した次第でございます。この機器の据えつけは平成三年、昨年の四月未に完了いたしました。現在、総合機能試験を実施しているということでございます。  このプロジェクトの目的は、当然名のとおり高速増殖炉の開発でございまして、「もんじゅ」は原型炉という位置づけでございます。  建設費でございますが、まだ最終の段階に至っておりませんけれども、六千億円弱ということを見込んでおります。
  107. 関晴正

    ○関委員 一キロワットにかかわる経費となりますと、普通の原子炉の経費と比べてどのくらいにつきますか。
  108. 石渡鷹雄

    石渡参考人 まず最初に申し上げたいのでございますが、開発途上の原型炉でございまして、今の軽水炉の何倍かという比較は適当でないと思っております。ただ、計算上の問題といたしまして、約六倍ぐらいかかっているのかなというふうに思っております。
  109. 関晴正

    ○関委員 ことしの秋臨界を予定していましたね。しかし、この臨界の予定が、予定どおりいきますか。いかないとすれば、何が原因ですか。
  110. 石渡鷹雄

    石渡参考人 まさに御指摘のとおり秋ごろかなという予定があったことは事実でございますが、幾つかの理由によりまして約半年ほど先になるかなというふうに考えております。  その理由でございますが、まずテストに移りまして、二次系の配管に我々の予想しなかった膨張の現象が起きました。これに対する手当てを現在しているところでございます。それからもう一つの点、燃料製造におきましてなかなか難航しておりまして、技術的な困難でございますが、我々の予定していたようになかなか進まないというような要因がございまして、ことしの秋ごろかなと思っておりましたのを来年の春ぐらいの予定にしたい、このように考えております。  こういう開発段階の炉でございますので、スケジュールを優先させるよりも一つ一つのテストをきちんとやっていって、その結果として臨界に至るということを優先して考えておりまして、かといっていつになるかわからぬということではなくて、おおよその予定として考えていたわけではございますが、我々の当初考えていたことより半年 ほど先になるであろうというふうに予定が変わったことは事実でございます。
  111. 関晴正

    ○関委員 「もんじゅ」の後、言うなれば実証炉という意味においての計画やその見通しというものはどうなっておりますか。
  112. 石渡鷹雄

    石渡参考人 「もんじゅ」の建設、運転の経験を十分踏まえながら、次に実証炉の段階に移り、経済性の追求ということが主眼になってくるかと存じます。この実証炉の建設は、電力業界が主体となって推進するということになっております。動燃はその技術的なサポートをするという位置づけでございます。  伺うところによりますと、計画としては一九九〇年代後半にその建設にかかるということで、現在、その研究開発を含めまして種々の検討が進められているというふうに承知をいたしております。
  113. 関晴正

    ○関委員 その計画は一基ですか、二基ですか、三基ですか。そうしてそれにかかわる経費はどのくらいと見ていますか。電力業界のおやりになる仕事だからわからないというならば、それでも結構です。
  114. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  電気事業者の行う計画でございますので、動燃事業団理事長よりも私からお答え申し上げるのが適当かと存じまして答弁台に立たせていただいた次第でございます。  今御質問のありました、現在電気事業者が一九九〇年代後半に着工することを目標としております実証炉の基数でございますが、これは今一基を考えております。
  115. 関晴正

    ○関委員 何か、発表されている内容を見ますと、九〇年代に一基、そして一〇年までに二基、後でまた一基、計三基とかというのが出ておったようだけれども、それは定かじゃないということでとりあえず一基、それも電力業界での計画のことである、こう理解してよろしゅうございますか。
  116. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生お話しになりました複数基の話が新聞紙上等に出ておったではないか、そういうことでございますが、これにつきましては、現在、原子力委員会の高速増殖炉開発計画専門部会のもとに分科会を置きまして、いろいろな検討をしておるわけでございます。  ここにおきます検討は、将来高速増殖炉を実用化していくのにいかなる道筋をたどったらいいかというようなことにつきまして、種々専門的な見地から検討がなされておるところであるわけでございます。その検討の席上におきまして、実証炉を幾つかつくるということも検討の中には入ってございますけれども、それはまだ全体の方針として決まったものではないことを申し上げさせていただきたいと存ずるわけでございます。
  117. 関晴正

    ○関委員 伝えられるところによりますと、民間ではとてもこなすわけにいかないのでこれは国側の方で負担してくれないか、担当してくれないかということも報道されておるのですが、それは国としてはできない、こういう御方針になっておりますか、それともこれもそうならざるを得ないと考えていますか。この点伺っておきます。
  118. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたようなことをも意味する報道が一部あることも私ども承知はしておるところでございます。  全体、議論は、現在、今申しました原子力委員会の専門部会で行われておる最中でございますので、私がここでいろいろなことをお答え申し上げまして審議の内容に予断を与えるようなことは本来差し控えるべきであろうかと思いますけれども基本的には電気事業者が中心となりまして実証炉計画を進めるというスタンスは変わっていないものと認識しておるところでございます。ただ、今までの議論は、そのために我が国が官民それぞれ持てる力を十二分に発揮して最善の努力を展開していく必要があろうという御議論はあるようでございまして、そういうことが一部報道されたのが、今先生がおっしゃったようなことの原因となっておる報道ではないかと認識しておる次第でございます。
  119. 関晴正

    ○関委員 動燃の方にお尋ねします。  六弗化ウランの輸送問題だとか、これにかかわる登録の問題等で厚生省もいろいろ指導してきたと思うのですけれども、この点については詳しくは時間がありませんので次回にしますけれども、とりあえず動燃の天然六弗化ウラン製造業、販売業の登録はまだしていないのではないか。明らかにこれは登録違反になっているのではないだろうかということが一つ。  もう一つは、動燃が八八年度に九州電力から三十三トンU、八九年度に四国電力から二十四トンU、九州電力からは十六トンU、九〇年度は九州電力から三十三トンU、合計百六トンUの天然六弗化ウランをそれぞれに売却しているわけです。この売却は当然として製造業と販売業の登録をしなければならないのでありまして、そういう点からは速やかに手続をすべきではないだろうか、こう思います。  それからいま一つは、量の合わない問題が一つございます。量の合わない問題は、動燃が劣化ウランについて千三十三トンの在庫がある。そのうち動燃の所有の劣化六弗化ウランは八百二十九トン。それを差し引いた残りの劣化六弗化ウランが二百四トンU、これは電力会社の所有だと科技庁は言っておるのですが、通産省によれば電力会社が動燃から引き取った劣化六弗化ウランは関西電力の三・三トンUだ、それしかやっていない。とすれば二百四トンUはだれの所有になるのだろうかということになるのでありまして、この点については動燃が言っておるところの保管しておるというのでしょうか。その内容について、二百四トンはどこに行っているのかということと、だれの所有物なのかということで、二点お答えいただければと思います。
  120. 石渡鷹雄

    石渡参考人 まず先生御高承のように、先般、動燃は劣化六弗化ウランの製造業の登録を済ませたところでございます。  天然の六弗化ウランについて製造業の登録は必要ないのかというお尋ねでございますが、現在のところ、製錬転換施設におきまして転換研究に付随した成果物でございます動燃所有の天然六弗化ウランを販売する計画はございませんし、所有権の移転を伴いませんので、毒劇法上の製造業の登録手続を今の時点では行う予定はございません。しかし、将来そういう事態が生じないということもないと言い切れないわけでございまして、また、その時点で検討させていただきたいと存じております。  次に、先ほどの数字の違いでございますが、まず結論的に申し上げますと、所有は電力会社の所有のものと我々考えております。現実は、実は濃縮過程の機械の中に入っておりまして、プロセスの途中のものであるというふうに御理解を賜ればと存じます。
  121. 関晴正

    ○関委員 厚生省の方の見解を尋ねたいと思います。  ただいまのお答えでは、天然六弗化ウランの製造業、販売業の登録は必要ない、こうおっしゃっておるのですが、私は当然に、これは天然六弗化ウランを売却しているという事実がある、事実がないというならば別でありますが、そういう事実があるという観点に立ては、しなければならないんじゃないだろうか、こう思いますけれども、厚生省、どう見ておりますか。
  122. 海老原格

    ○海老原説明員 お答え申し上げます。  この毒物及び劇物取締法によります登録につきましては、先月の十九日の日に一括して登録をいたしました。  今お話がありましたように、過去に、みずから製造した天然六弗化ウランを電力会社等に売却していたということが最近判明したのですけれども、現時点では譲渡しておりません。また、今後当分の間は製造した天然六弗化ウランを他に譲渡する考えはないということを言明しておられます。この場合には、天然六弗化ウランにつきまして毒劇法の製造業の登録も販売業の登録も不要でございます。ただし、将来その製造いたしました天然 六弗化ウランを譲渡する場合には、登録が必要になります。
  123. 関晴正

    ○関委員 もう一つ厚生省に聞きたいと思います。  電力会社が今までに輸入した天然六弗化ウラン、濃縮六弗化ウランの輸入報告書はすべて厚生省に提出されていますか。提出されているとすれば、その場合の輸入報告書の品目名はどうなって提出されておりますか。お答えいただきます。
  124. 羽入直方

    ○羽入説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の輸入報告書でございますが、これは私ども厚生省に提出をされてございます。ただし、その量につきましては、輸入量の把握を目的としてこの輸入報告書を提出させているものではございませんので、輸入量につきまして、その集計は行っておりません。  以上でございます。
  125. 関晴正

    ○関委員 あと五分よりありませんので、プルトニウムの今後の我が国の生産計画と、それからこれの使用計画の需要と供給の部面について二〇一〇年までどういうことになっておるのかお聞きしたいと思います。
  126. 石田寛人

    ○石田政府委員 プルトニウム需給につきましてお答え申し上げます。  今先生御質問の二〇一〇年ということで切ってみますと、まずプルトニウムの累積の需要でございますけれども、一番目といたしまして、高速増殖炉実験炉「常陽」及び原型炉「もんじゅ」での需要でございまして、これが十二ないし十三トン程度、それから二番目といたしまして、FBR実証炉及び実証炉以降の炉におきまして十ないし二十トン程度、それから新型転換炉原型炉「ふげん」及び新型転換炉実証炉におきまして十トン弱、それから四番目といたしまして、軽水炉によるプルトニウム利用で約五十トンということでございまして、これらをすべて合わせた総需要量は八十トンないし九十トン程度になろうかと予測されておるところでございます。  一方、二〇一〇年ごろまでのプルトニウムの累積の供給量といたしましては、動燃事業団の東海再処理工場から約五トン、それから六ケ所再処理工場から約五十トン、それから海外再処理委託で約三十トンということでございまして、総供給量は約八十五トンと見込まれておるところでございまして、かくして需要と供給はおおむねバランスするということでございます。これは昨年八月、原子力委員会の核燃料リサイクル専門部会の報告書におきまして試算されておる需給バランスでございます。  先生よく御承知のとおり、もとよりこの需給につきましては、燃料の燃やし方等々でいろいろ変動はあろうかと思いますけれども、専門部会の報告書によりますとこうなっておるということでございます。
  127. 関晴正

    ○関委員 このことについての論戦はまた次回にしたいと思いますが、今青森県の六ケ所の原燃産業におけるならし運転における事故が連続起きておりますけれども、この状態と、この原因というものについての御報告をいただきたいと思います。
  128. 坂内富士男

    ○坂内政府委員 お答えいたします。  日本原燃産業六ケ所濃縮施設でのトラブルでごいますが、今回のトラブルは、いずれも停電再起動試験中に発生したものでございます。停電再起動試験と申しますと、短時間の停電が発生しても遠心分離機を継続して運転できるということを確認するために行うものでございまして、ウラン濃縮施設の操業開始前のならし運転の一環という形で事業者が自主的に実施しているものでございます。  まず、一月二十六日の停電再起動試験の中断に至った経緯でございますが、まず初めに、停電再起動試験の準備のために、カスケードに入る原料の入り日それから製品及び廃品系の出口、こういったものをすべてとめまして、カスケード内でウランが循環する状態にいたします。次いで、停電状態を模擬するために高周波電源設備の電源を切りまして、四分後に電源を入れたところ、高周波電源設備を過電流から保護するための装置、つまり過電流リレーでございますが、それが作動して自動的に高周波電源設備の電源が切れたということでございます。と同時に、これは設計上でございますが、遠心分離機内の六弗化ウランは自動的にカスケードから排出されまして、全量がウラン吸着器に回収されてございます。したがって、環境への放射性物質の放出はございませんでした。  その後、調査の結果、起電流リレーが働いた原因でございますが、人工的に停電を起こしたことによって遠心分離機の回転数が若干落ちた状態で一度に電源を入れたことによって、高周波電源設備の入力電流が予想以上に変動したためということがわかってございます。  そのため、対策といたしまして、高周波電源設備の中の入力電流の変動を制御する回路を調整いたしました。その上で、実際に遠心分離機内にウランがない状態で停電を模擬しまして、入力電流が変動しないことを確認するとともに、二月二十一日には、遠心分離機内にウランがある状態において一分、二分というふうに分数を上げていきまして、この入力電流の変動がないことを確認しました。  そういったことを踏まえまして、二月二十四日でございますが、再度この再起動試験を行ったわけですけれども、その中断に至った経緯は次のとおりでございます。  前回と同様に、カスケードの中でウランが循環する状態にいたします。次いで、停電状態を模擬するため高周波電源設備の電源を切ったわけですが、その直後に、高周波電源設備の異常を知らせる表示が点灯いたしまして、その後、前回と同じように自動的に遠心分離機内の六弗化ウランがカスケードから排出されまして、全量ウラン吸着器に回収されたということでございます。  また、この異常を知らせる表示ですけれども、これにつきましては高周波電源設備に異常がないということを確認した後に、復帰操作、すなわちリセットボタンでございますが、それを押すことによってこれは消えております。もちろん、本件に伴う環境への放射性物質の放出はございません。  この電源設備の異常の表示が点灯した原因につきまして、現在日本原燃産業が、遠心分離機の中にウランのない状態で遠心機を回転させつつ調査を実施しているところでございます。
  129. 関晴正

    ○関委員 これもなお質問したいのですけれども、時間になりましたので次回にしたいと思います。  終わります。
  130. 近岡理一郎

    近岡委員長 吉井英勝君。
  131. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、きょうは高速増殖炉「もんじゅ」について幾つか議論をしたいと思います。  既に何点か議論がありましたが、最初に、数字の方については理事長さんじゃなくて科学技術庁の方から伺っておきたいと思いますが、「もんじゅ」に一九九一年度までに幾ら投じてきたか、これを最初に伺いたいと思います。
  132. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  もんじゅの建設費の見積もりでございますが、平成三年度までの累計額といたしまして、すべてを合わせたものということで申し上げますと、約五千億円、五千七十八億円と承知しておるところでございます。
  133. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 五千二百九十八億円でしょう、いただいている数字は。それで、九一年度末で約五千三百億円。詳細設計を終えた時点の八五年の見積もりでは建設工事費四千三百三十億円。それが、いただいている資料から見ても、九一年度までで、すなわち工事完成までの建設工事費合計が四千二百六十七億円となっておりますから、大体建設工事費については見積もりどおりいっているわけですね。ところが、これと別に、当初全く聞いてもおりませんでした準備工事費ということで七百億円などが使われているわけです。まず、この準備工事費七百億とは一体何ですか。
  134. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  七百億円の準備工事費でございますけれども、これはいろいろな敷地の整備とかあるいは高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設の、まさに広い意味で準備をする、敷地の整備その他、あの地形からい たしましてかなり費用がかかるわけでございまして、そういうのに必要な経費といたしまして、今先生のおっしゃった七百億円ということになっておるわけでございます。
  135. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 大体これまでこういう事業というのは、そういう準備段階のものも含めてのものなんですよね。私は余りにもずさんだと思うのです。大体きょうも議論のあった原子力船「むつ」の場合にしても、当初七十億が、あっちに港をつくりこっちに港をつくりということで、だんだん膨れ上がって一千百億円というお話がけさありましたね。今の七百億円というのも全くもってずさんなもので、こういうことが、大体七百億がどれぐらいに相当するか一遍考えてもらう必要があると思うのですね。  文部省の、これは科研費補助金が年間六百億円ですよ。それじゃ全然足りない一から二倍にふやして千二百億にしなきゃいけないなということになっているんでしょう。そういう話が出ているときに、余りにも気楽に七百億円、準備工事費です、そんなことでやられたんじゃとんでもない話だということを、まず指摘しておきたいと思うのです。  九一年度の「もんじゅ」の運転経費に百五十八億円使ったということ、これは資料をいただきました。ですから、これは答えてもらわなくてもいいのですが、これからも随分金がかかると思うのですね。最終的には、運転経費がどんどんこれからかかってくるわけですが、総額幾らになるという見通しですか。
  136. 石渡鷹雄

    石渡参考人 運転の経費といたしまして、大体年間二百三十億円前後で推移するかと考えております。
  137. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 ですから、それを何年まで続けるかということで、総経費がずっと変わるわけですね。
  138. 石渡鷹雄

    石渡参考人 大体その金額で推移するかと思っておりますが、完全に完成いたしますと、今度は、我々の心づもりでは売電収入を予測することができまして、その辺のバランスはまだ詳細に検討しておりません。
  139. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 売電収入があるにしても、仮に十年間運転したとして二千三百億円ですね。九一年度までの五千三百億を合わせると七千六百億円なんですね。この分は別にしても、今年度予算が六百十八億円、債務負担行為四十五億円除いての話ですが。それだけでも九二年度で累計五千九百億円使っていく、こうなるわけです。ですから物すごい金を使っているわけなんですが、二月十四日の理事長の記者会見では、臨界に達するのがことし十月の予定であったが来年の三月ないし五月に半年おくれると言っておられました。  先ほども二点ほど御説明がありましたが、理事長さんからここで伺いたいのですが、おくれの最大の原因というのは何ですか。
  140. 石渡鷹雄

    石渡参考人 現在クリティカルパスになっておりますのは燃料の製造でございます。
  141. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、実は昨年末にも動燃の担当者の方に私どもの方へ来ていただきました。お話をいろいろ伺ったわけですが、予想していたより多くのペレットが、燃料ペレットが基準以下の比重と形状不全のために規格に合わないことがわかった、製品ペレットの七〇%が基準に合わなければならないのにそうはならなかったというお話を伺っております、  それじゃ、これだけ問題になったペレットの実際の達成率、これは幾らだったのですか。
  142. 石渡鷹雄

    石渡参考人 当初非常に成績が悪かったということは、既に担当の者から御説明申し上げたとおりでございます。いろいろ原因があったわけでございますが、結論といたしまして、現在その七〇%の目標を達成しているということでございます。  ただ、そのための設備、特に検査関係の設備の用意が間に合いませんでなかなか数量的に成績が上げられなかったということがございます。
  143. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 現在七〇%を達成しているというお話なのですが、要するに問題になったのですね、達成率が非常に悪いということで。ですから、その実達成率は一体幾らだったのかというのがどうももう一つよくわからないものですから、伺いたいのです。
  144. 石渡鷹雄

    石渡参考人 詳細承知しておりませんので、大ざっぱな数字で御容赦願いたいと存じますが、当初三〇%ぐらいのところからスタートしたというふうに承知をいたしております。
  145. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、これはほぼ全面やり直しみたいな形になっているのですね。  それで、広報室の次長さんのお話などを伺っていると、密度安定剤の欠陥によって引き起こされた、それから成型加工に使用する起泡剤、ベスケーターと言うのですか、これを取りかえたので大丈夫というお話なのですが、大体、原因というのはこの密度安定剤の欠陥であったわけですか。
  146. 石渡鷹雄

    石渡参考人 密度安定剤が結果として不適当であったというのが非常に大きな原因でございますが、さらに、いろいろな設備が期待どおりに動かなかった、あるいは故障したということも重なっております。
  147. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今回の「もんじゅ」のこの問題の中で、いわば核燃料というのは肝心かなめのところなのですね。そこに重大な欠陥があったということを、今お話を伺っておってよくわかりました。  科学技術庁の方で「プロメテウス」というのを出しておられるので、私は昨年の八十四号を読んでおりまして、それで燃料第三開発室のことも紹介しているわけですね。そこを少し読んでみますと、「「MOX燃料で重要なのは一つ一つのペレットの密度だという。内部に空隙が適当に存在するようにつくる。「定められた密度にするのも大変だが、空隙を平均的につくるのが非常にむずかしい」と三島課長は苦労話を語る。 密度検査に合格してもレーザーやテレビによる外観検査がある。」」云々。  一方では、今理事長さんからお話がありましたように、この燃料の問題が非常に深刻な事態になっていたのですね。そこで、八八年の十月から三年間生産してきて、とりわけ最初二年間ですか、実稼働からになるともう少し期間が短くなるかと思いますが、大丈夫だということでやってきて、しかしそれが、検査に合格しているはずのものが品質不良、ほとんどつくり直しということになって、動燃の方では、現在二十四時間操業体制に入ったので臨界には間に合うと、かなり無理な生産体制をとっていることも既に明らかになっております。  科学技術庁の方は、核燃料についてはその安全基準とか製品検査の基準というものを何も持っていなくて、それで「プロメテウス」に載っているようになかなかよう頑張っている、こういう評価をして紹介をしていたのですか。一体、どんな基準を科学技術庁としては持っていたわけですか。
  148. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  基準につきましては、私の立場でお答え申し上げるのは適当ではないかと思いますけれども、「プロメテウス」で紹介したこと等々につきましてのことについて申し上げますと、先生よく御承知のとおりに、非常に燃焼度の高い混合酸化物燃料を適当な空隙でつくりますことは、研究開発要素のありますものであることにつきましては、よく御了解賜われるところであろうかと思うわけでございます。  動燃は、これまでも「ふげん」の燃料等々いろいろ努力してやってきたところでございまして、「もんじゅ」燃料につきましても初期の段階ではいろいろな苦労はしたことがあろうかと思います。それらを踏まえまして動燃事業団は、全体といたしましてプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料の安定な製造へ向かいまして一歩一歩歩を進めたわけでございまして、そういうことを含めて「プロメテウス」で紹介したというふうに御理解いただければ幸いでございます。
  149. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今長々とおっしゃったのですが、要するに、今回の「もんじゅ」の問題の中で肝心かなめの核燃料体に非常に大きな欠陥があったと、理事長さんはそれを率直に先ほどお話しいただい た。そういうときに科学技術庁は、これは監督官庁でしょう。監督官庁の方が、何ですか聞いてみますと基準も何もないんだと、非常に動燃さんで頑張っていただいているんだと、「プロメテウス」ではなかなかよう頑張っているという紹介の記事だけ。  私はこれは、こういう重要な問題、事安全にかかわるような問題について、監督官庁が余りにものんきというか気楽というか、こういう姿勢でおってもらうことは本当にひど過ぎると思うのです。これは、私は大臣にこのことをよく聞いておいていただきたいと思うのは、やはりこういう姿勢で科学技術庁の現場の方が動いておっては大変なことなんだ、そのことをよく認識していただきたいので、少しきついことを今言っているのです。  次に、今度は動燃の理事長に伺いたいのですが、動燃の方では九〇年九月に設置許可の補正申請を出しましたね。プルトニウム核燃料について、燃料棒被覆管に耐スエリング性が確認されるまで、試験用燃料集合体は、最高燃焼度九万四千メガワットデー・パー・トンを五百メガワットデー・パー・トン、つまり最高燃焼度を〇・五%に抑えるんだということ、それから定格出力の約一〇%に使用を制限して進めるんだ、そういうことで補正申請を出しておられます。燃料のつくり直しをやったけれども、それでも温度差やスエリングによる曲がりとか応力の発生が出てくる。それから振動によるすり傷、フレッティング、膨れの発生が避けられないということもこのところで指摘しているわけですね。  そこで私、長い質問はやめておきますので、理事長にすぱっとひとつ伺いたいのは、最高燃焼度に達するのは、大体いつの時点と見ていらっしゃるのか、これを伺いたいのです。
  150. 石渡鷹雄

    石渡参考人 まず、ただいまの御質問に関しましては、大体五年後というふうに考えております。  なお、お許しを得まして一言だけつけ加えさせていただきますが、我々動燃事業団は燃料開発に長年の経験を持っておりまして、その点非常に一生懸命やっているという意味で、監督官庁からの御信頼をいただいているというふうに考えております。決して甘い目でごらんになっているのでなくて、むしろ大臣を前に言わせていただければ、余りうるさいことを言われない方が自由に研究開発ができるというふうに我々は考えております。  なお、生産体制でございますが、三交代への切りかえは技術が見通しがついたので、予定どおり三交代制に移ったということでございますので、この際申し上げさせていただきます。
  151. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 最高燃焼度、これは理事長、五年で本当にやれるのですね。五年で本当に大丈夫ですね。
  152. 石渡鷹雄

    石渡参考人 運開後五年というつもりで五年と申し上げました。平成十二年ごろになろうかと思っております。本格運転後五年ということを申し上げました。
  153. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それは目標数値というふうに理解していいですね。本当に最高燃焼度が五年で実現できるという現在見通しが立ったという話じゃなくて、五年後をめどにして本格運転に入りたいという、そういう目標値ということですね。
  154. 石渡鷹雄

    石渡参考人 先ほどから申し上げておりますように、我々目標は持ち、期待を込めてそのスケジュールに従っていきたいと思っておりますけれども、それが優先しないということでございまして、そういう意味ではまさに期待をしておるということでございます。ただし、最大限努力はいたします。
  155. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今のお話が一番率直なお話だったと思うのです。ですから、五年後をめどに本格運転に入りたい。目標値は持っているけれども、しかし既にしょっぱなから燃料問題でつまずいているわけでありますが、最高燃焼度になるめどというものはここでは確定的なことは言えない、見通しはまだないというわけであります。  次に、資源エネルギー庁に来ていただいておりますが、科学技術庁の方が中心になって、一九八七年の原子力開発利用長期計画、この中でFBR原型炉「もんじゅ」の次に来る実証炉について、これは日本原子力発電株式会社、これを中心にして、電力九社がここを中心にしてやっていくんだというふうに既に示しておられますし、また、そのことは実際、原子力委員会、原子力委員会大臣が一番の責任者ですが、そこの高速増殖炉開発計画専門部会八八年八月の「高速増殖炉研究開発の進め方」の中でも、そのことについては、「原型炉に続く実証炉の設計、建設、運転は電気事業者が主体となって進めることが明確にされた。電気事業者は実証炉の業務を日本原子力発電株式会社(原電)に委託している。」というふうに方向ははっきり示されているわけであります。  そこで、私はエネ庁に伺っておきたいのですが、こういう電力九社でやる、原電を中心に委託して、これで実証炉をやるんだという、これはこのとおりでよろしいね。そういうふうに理解してよろしいね。
  156. 篠原徹

    ○篠原説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、FBRの開発につきましては、昭和六十二年の原子力委員会決定しました長期計画を踏まえまして、現在、官民が協力して研究開発を進めているところでございます。  さて、「もんじゅ」の次の段階でございます実証炉の開発につきましては、同計画におきまして、電気事業者が主体的役割を果たすということになってございます。現在、電気事業者は、日本原子力発電株式会社を実証炉の設計、一建設、運転の実施主体といたしましてその研究開発を進めているところでございます。御指摘のとおりでございます。
  157. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、大体出力六十万キロワットなり七十万キロワットなり、そういう実証炉ということなんですが、ですから、ポスト「もんじゅ」は通産の仕事ということになってきますね。だから、通産の方で取り組まれるのでしょうが、業界に指示してやっていかれるのでしょうが、実証炉についていつ設計を終え、そして着工するのは大体いつをめどに今取り組んでいるのか。今の取り組みの現状を伺いたいと思います。
  158. 篠原徹

    ○篠原説明員 お答えいたします。  現在、FBRの実証炉につきましては、電気事業者が、先ほど申し上げましたとおり日本原子力発電株式会社を主体といたしまして、現在予備的概念設計研究を実施している段階でございまして、まだ建設着工時期、あるいは建設費用、建設年数等の詳細については未定でございます。
  159. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 これは最初は九〇年代後半ということでやっていたはずなんですが、今のお話のように今見通しがない、そういうことであります。電力会社の方は、先ほども議論がありましたが、仄聞するところでは、大体もうFBRからどっちかというと撤退して、そして国の方にやってもらおう、こういう動きがかなり強くなっているということが伝えられております。  原子力委員会の基礎調査分科会、ここで動燃を軸とする国、民間共同開発方式に切りかえる方針が固まったと言われておりますが、原子力委員会の分科会のことですから、大臣がそこに入って決めたというものじゃありませんが、今エネ庁のお話ではめどが立っていない。そして、電力会社の方はどうもしり込み、そういう中で、動燃を軸とするこういうやり方に切りかえるという方針、これはかなりそれで走り出しているわけですか、大体固まったわけですか。
  160. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今ほど通産省から着工時期は決まってないというふうな御答弁だったということでございますけれども、先ほど先生お読みになりましたように、原子力委員会の原子力開発利用長期計画では、一九九〇年代後半と言っておるわけでございまして、私どもの原子力委員会事務当局といたしましては、ぜひいわゆる六二長計、昭和六十二年度に定められました長期計画に沿いまして進められることを強く期待しておるところでございます。  それから、分科会の議論でございますけれども、これはいみじくも今先生指摘になりましたように、分科会での議論でございます。その分科会の 議論が、一部先生が今読まれましたような報道が行われておりますことは私ども承知しております。  今転換ということを言われましたけれども体制を転換してどうこうするということではなくて、これは先ほども申しましたように、現在原子力委員会の専門部会で議論中の話でございますから、ここで余りいろいろなことを申し上げまして、その議論、審議の中身に予断を与えますようなことは差し控えるべきとは存じますけれども、いろいろな検討が行われてはおりますけれども基本的に申しまして、電気事業者主体で次の段階の高速増殖炉の開発を進めるという基本的な方向は変わっていないものと認識しておるところでございます。  ただ、先ほども申しましたとおり、官民挙げまして次の実証炉の実現に向かって最善の努力をしていく、そういう必要性があるということは議論されておるようでございますけれども、そういうことがたまたま伝えられましたのが、今おっしゃいました転換という報道にたまたまなったというふうに認識しておるところでございます。
  161. 坂内富士男

    ○坂内政府委員 大変恐縮でございますが、先ほど「もんじゅ」の燃料ペレットの基準についてお尋ねがありまして、ちょっと私ども手元にデータがなくてお答えできませんでしたが、今入りましたので、ちょっと緊急にお答えいたします。  基準がないのではないかというお尋ねでございますが、これ、につきましては、設計及び工事方法の認可において基準がございまして、これに合致しないものについては使用前検査において合格にはならないということになってございます。  なお、現在PNC、動力炉・核燃料開発事業団で実施しているものは、いわゆる国の検査に先立っての自主検査ということでもって、自分でいわゆるそのパーセンテージに達しないものについてはそれに達するように、基準に合うように、歩どまりを上げるように努力中というふうに御理解いただければと思います。失礼しました。
  162. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 要するに、動燃の方で燃料をつくっておって、そして欠陥品がたくさん出たということでつくり変えておったというのが一つの事実。それから、そういう事実があるときに、監督官庁の科学技術庁がしっかり監督もすれば指示しなきゃいけないのに、余り気楽なことを書いたような、「プロメテウス」のような報道じゃだめですよ、そういうことを私は指摘しているのでありますから、私の言ったとおりだと思います。  要するに、長計の話ですね。——いや、そんな議論はもうしてないからいいです。長計の話を今やっているのです。長計の方で、ここではっきり言われていることは、これは九〇年代後半に着工するということを目標に挙げていることと、それからさっきも既に通産からお話がありましたように、電力会社が主体なんですね。原電が中心になって委託を受けてやっていくんだ、こういうふうな方向でやってきたんだけれども、しかしこの長計の線が、今通産の方がおっしゃったように見通しがなくなってきている。ですからこの長計の話というのは、実は計画が崩れてきているんだ、そういうことが私はこの面では大事なことだと思うのです。  いみじくもさっき局長からお話があったように、結局その議論の中で、官民一緒にやっていく。もともと民間でという話だったのですよ。しかし、今は官民一緒にやっていくという議論なので、受けとめ方によってはそうなるのかなというお話ですが、そういう議論が既に進められているということを言葉の端に表明されたことは、私は報道内容が、なるほどそれが議論されていたんだなということを今あなたの答弁を聞いて感じました。  そこで、余りそういう議論をやっておりますともう時間がだんだんなくなってまいりますから、私は、大臣の方に、なぜこういう議論を聞いてもらったかということを大体おわかりいただいたと思うのです。で、七千六百億、これからも足して、もっとかかるかよくわからないのです。非常に大きな金を使って、しかもこの一番肝心かなめの核燃料体において大きな欠陥が出てきて、そして最高燃焼度になるのはいつかといったら、これも希望的な数字はあるが見通しは現在ない。実証炉をいつ設計し着工するかといったら、これも見通しがない。こういうふうな事態に今なっているんだということをまずとらえていただいた上で、これはこの国会でも随分いろいろこれまでもこの問題については議論がありましたが、今濃縮ウランは余剰という事態。それから一方、二〇一〇年に実証炉をつくってどんどん使わないならば、今度はプルトニウムの方がこれまた随分余ってくるという問題。  その片方では、このプルトニウム技術が未確立て、使用済み燃料の処理は技術的にはまだ未確立の上に、その処理の計画もないというのが現状でありますし、世界の趨勢はFBRから撤退するという方向へ行っている。こういうときに、先の見通しもなく湯水のように「もんじゅ」にどんどん投ずるというやり方は、原子力船「むつ」の二の舞になってしまう、そういう問題を持っているんだということをぜひあなたに認識していただきたいというふうに思うわけです。  一方、今日の課題として、原子力についても、美浜原発の事故を見ても、現在の軽水炉自体に安全技術の確立の上で課題がいっぱいあります。  それからまた、大学や国立試験研究機関の実態は極めて深刻で危機的です。科学技術庁関係する国立試験研究機関、本当に深刻ですよ。私は昨年秋の科学技術委員会でも取り上げたし、せんだっての予算委員会の総括質問でもこれを取り上げました。そうして少し見ておくと、国立試験研究機関の経常研究費研究者一人当たり理工系で百四十七万五千円、医学系で百二十九万五千円。実質は水・光熱費いろいろ取ると約百万円なんですよ、研究者一人当たり。これが現在の国立試験研究機関の実態なんです。  そういう中で、しかも行革だといって基礎研究費がどんどん削り倒されてきた。今や財界からも、こんなむちゃなやり方は改めてもらいたい、大学関係者も財界も挙げてシーリング枠を突破して、五年間で少なくとも研究費は二倍にふやさなければいけないという声がどんどん出てきている中で、私は、こういう先の見通しもなくこのFBRに湯水のようにどんどん投資するやり方、これは今根本的に考え直すときに来ているというふうに思うわけなんです。  時間が来たようですから、もう少しこれは突っ込んでやりたいのですが、この前科学委ではSSCに二千億円負担は反対だと言っておられた大臣が、予算委員会のときはいつの間にか、アメリカに言われて態度がころっと変わったのか、変わってしまっているのですが、そういうふうなことじゃなくて、やはり本当に日本の基礎科学をどうするか、日本科学技術発展のために何に今取り組まなきゃいけないか、どこに力を集中しなきゃいけないかということ、また全体を見ながら、今の「もんじゅ」の問題についても私はやはり考え直す必要が今出てきておると思うのです。この点についての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  163. 谷川寛三

    谷川国務大臣 もう御専門でございますから詳しくは申し上げません。原子力発電を推進していきますためにはどうしても核燃料サイクルの確立が必要でございます。その中でプルトニウムを使います「もんじゅ」による実験は大変重要だと思って推進をしているところでございます。建設費等がたくさんかかったというお話でございますが、一基だけしかかかりませんですから、やはり割高になることはやむを得ないと思います。それは実用炉でございましたら低価格で発電をすることを要請されますが、そういう事情もお考えいただきたいと思います。研究という意味が含まれておりますから、そういう点でも割高になることはもうやむを得ないと思いますが、非常に重要な施策でございますから今後とも推進をしてまいります。  いろいろ今その他のお話がございました。SSCも科学技術会議で専門的、学術的に検討いたし まして、どういうふうに協力できるかを検討するんだと。簡単に首脳会談でもお金を出すと約束はしておりませんことを申し添えたいと思います。  それから、基礎研究等にこれから相当な力を尽くさなきゃならぬことも先ほど来の御質疑で申し上げたところでございますが、今後とも科学技術振興につきましては一生懸命取り組む所存でございますことをこの機会に申し添えておきます。
  164. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 もうこれで終わりたいと思います。  ただ、核燃料サイクルの話がありましたけれども、先ほども指摘しましたように、このFBRで使った使用済み燃料のその処理をどうするかということはまだ技術的に未確立て計画もないという状態なんですから、トイレなきマンションという日本の原発のやり方の愚を繰り返しちゃならぬということだけ指摘して、時間が大分超過しましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  165. 石渡鷹雄

    石渡参考人 FBR使用済み燃料の再処理について我々は計画を持っておりまして、既にその入り口に着手しているところでございます。一言申し上げさせていただきます。
  166. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 終わります。
  167. 近岡理一郎

  168. 和田一仁

    和田(一)委員 きょうは短時間でございますけれども、プルトニウムについてさまざまな点からちょっとお聞きしたいと思っております。  初めに大臣に、今世界で大変関心の高いのは、東西冷戦後アメリカと旧ソ連との間で核兵器の削減が大幅に行われることになって、それは大変に人類にとってありがたい方向だと思うのですが、その廃絶していく核兵器の弾頭の処理、ここから出てくる放射性物質、プルトニウムとかウランとか、こういうものに対してこれからどういう取り組みをしていったらいいかということは国際的な大きな関心事になってきていると思うんですね。  七月のミュンヘン・サミット等はこういったテーマが先進国の中でも大きく取り上げられてくるのではないか。これは当事国であるソ連、アメリカにその処理全体を任せておけばいいという考えなのか、それともやはりそういったことについて、国際的な関心も高い、国際的にも話題性が非常に高くなってきた問題について、我が国として、技術先進国としてそういう問題にどういう考えで対処していくのか、積極的に国際貢献一つとして何かやることがあると考えておるかどうか、その点についてまず大臣のお考えを聞きたいと思います。
  169. 谷川寛三

    谷川国務大臣 私もこの核兵器の廃絶は一日も早くやってもらいたいと思っております。その際に出てきます、今お話がありましたようないろいろな問題、核の不拡散それから核に関する技術者の方々の不拡散、これは厳重にやっていかなければなりませんが、まず当事者のところでやってもらうということを期待いたします。  それから、やはり何と申しますか、先ほど来の御質疑にもありましたが、国際協調のもとで日本が今まで平和利用に徹して培ってきました技術をその際にどういうふうに活用できるか、貢献することができるかを考えていくべきではなかろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
  170. 和田一仁

    和田(一)委員 今新聞等に、この問題について我が国もやはり積極的な貢献策の一つとして取り組む方がいいではないかというお考えの中から、具体的な対応の検討が始まっているというふうに報道されております。  これについて少しお聞きしたいと思うのですが、まず科学技術庁として、このプルトニウムあるいはウランでもいいのですが、特にこのプルトニウムの処理について、国際会議の中で要請があれば我が国も対応していかなきゃいけない、こういう前提の中でどういうふうに検討され始めたのか。これは報道によると、今相当具体的に検討が始まっているというふうに伺っておるのですが、この点についてまずお聞かせをいただきたい。
  171. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  今私どもが検討しておりますのは、まさに今先生指摘のような枠組みの中で、国内的あるいは国際的に解体核兵器から発生いたしますプルトニウム等をいかにして平和裏に処理できるかということにつきまして、我が国の法律的枠組みの中でできますことにつきまして検討しておるところでございます。  御承知のように、核兵器の解体に伴って発生いたしますプルトニウムは、当面の措置といたしましては安全確実に保管管理することが必要でございますけれども、長期的に考えますれば、これは何らかの格好で核兵器に利用できないようにするということにしていくのが重要であろうかと考えられるわけでございます。そこで、プルトニウムは貴重なエネルギー資源でございますので、原子炉の燃料としまして利用して発電する方向で使っていくということが核不拡散の観点からも建設的であろう、あるいはプルトニウムの処理の方法としても効果的ではなかろうかと認識したわけでございます。  そういうような観点に立ちまして、私ども科学技術庁といたしましては、解体核兵器から発生いたしますプルトニウムを燃焼させます専用の原子炉、あるいはこのための燃料加工のあり方、あるいはその成立性等につきまして検討を始めたところでございまして、この検討は、まさに先生のおっしゃいますような国際的なフレームワークの中で将来検討されるべきものの事務的な、あるいは庁内内々の検討ということであるわけでございます。
  172. 和田一仁

    和田(一)委員 一つお聞きしておきたいのは、今の検討は専焼高速炉をつくったりあるいは貯蔵のシステムも考えておるということなんですが、当然弾頭の解体というようなことは、これはもうすべきものではないし、その解体後出てきたプルトニウムの話であることはよくわかるのですが、もう一つお聞きしておきたいのは、このプルトニウムを、今のお話だけではまだわからないのは、どういうところでどういう時間的な計画貢献していこうとされているのか。  というのは、一つは我が国における核燃料サイクルの計画というのがございますね。これ去年の八月ですか、二〇一〇年ぐらいまでの計画が出されておる。このころの計画の中にはこういう事態を想定してなかったと思うのですね。ということになると、それと今おっしゃったこととの関連があるのかどうか。そうではなく純粋に、これは国際貢献の一環として新しく検討を始めたということなのか。そうであっても、我が国のこのプルトニウムの、核燃料サイクルの計画との関係はどうなるのかをお聞きしたい。
  173. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  まず、最初先生お触れになりました解体との関係でございますけれども、これは大臣から予算委員会でも御答弁ありましたように、我が国は解体そのものに関することは一切知らないわけでございますし、これまで厳密に原子力平和利用に限りましてすべての原子力活動をやってきたわけでございますので、解体の技術は全くございません。その意味では、解体そのものにタッチすることはでき得ないわけでございまして、むしろ解体して出てまいりますプルトニウム、あるいは先生さっきおっしゃいました濃縮ウランをいかに有効に使いながら再び兵器に戻るような危険性のないように努力していくかということであろうかと思うわけでございます。  それから、今御指摘になりました我が国の核燃料サイクルバランスとの関係、先ほども御答弁申し上げましたように、原子力委員会の専門部会で二〇一〇年ぐらいのプルトニウムバランスというのを出しておるわけでございます。それと、ソ連等の解体核兵器から出てまいりますプルトニウムの関係をどう整理するかということでございますが、ただいまの私どもの考え方は、我が国といたしましては、国内のプルトニウムリサイクル計画とは明確に切り離した格好で、むしろ国際的な枠組みの中で世界の平和と安定の一層の促進に貢献するという、そういう立場から、別物として考えていくということで進めていくことが妥当ではな かろうかと考えておるところでございます。
  174. 和田一仁

    和田(一)委員 報道によりますと、そういった兵器解体後出てくるプルトニウムの量は、七十トンあるいは八十トンというような具体的な数字が上がっているのですが、これはそういうものでしょうか。
  175. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  実は解体核兵器からどれくらいプルトニウムが出てくるか、あるいは高濃縮ウランが出てくるか、これは結構難しい問題でございます。全体、ウランないしはプルトニウムの臨界量その他から推定することは確かに不可能ではございませんけれども、何せ私どもは核兵器の中身につきましては全然知らないわけでございますので、あくまで一般的な原子物理的あるいは自然科学的な知見から推定するほかないわけでございます。  今先生おっしゃいました七十トンないし九十トン、これは旧ソ連分と申しますのは、いろいろな前提を置きまして一つの計算として出されたものでございまして、例えば七十ないし九十トンと申しますのは、STARTあるいはブッシュ提案、エリツィン提案によります戦略戦術核兵器の弾頭の削減数というのは推定数としていろいろ出ております。  例えば旧ソ連でございますと、約一万四千五百発から一万七千五百発を削減という数字が確かに出ておりまして、かなりの期間にわたって解体される。そういうものを、例えばそれが全部高純度プルトニウム、御承知のようにこれも一般的知見から申し上げますと、プルトニウムの中に含まれております核分裂性プルトニウム、すなわち奇数番号プルトニウム、プルトニウム239、241は少ないと思いますが、湖が九三%あるいは九四%のものであろうと思われるわけでございます。そういうプルトニウムをすべての弾頭一発につきまして五キロ合むと仮定いたしました場合に今申しましたような数字になるということでございます。  ただ、ソ連、アメリカにどれくらいの高純度プルトニウムがあるかということにつきましてはいろいろな数字があるようでございまして、これは今おっしゃいました七十ないし九十といいますのは削減数であり、決して全体の数ではないということ。全体が幾らあるかということにつきましては、専門家によっていろいろな推定がなされておるようでございます。いろいろなものを見ますと、大体百数十とか二百数十とか、あるいはそれよりもう少し大き目なトン数をおっしゃる向きもございますけれども、これにつきましては私ども詳しい知識を持ち合わせているわけではございません。ただ、議論の前提といたしましてそういう計算もしてみたということでございます。
  176. 和田一仁

    和田(一)委員 弾頭の解体というのも相当経費がかかるというふうにも聞いているのですが、そこで経費をかけてでも解体したプルトニウムが、ソ連としてはこの処理について、譲るというようなこともあるいはあるのではないか、こういう気がしてならないので、これはもう核不拡散の立場からいって、そういうことのないためにも国際的な管理下に置いた方がいいということがこれから考えられていくのではないかと思うのですね。  ただ、今はっきりとこれは我が国の核燃料サイクルとの関連はない、こうおっしゃったのですが、我が国として貢献していく上で一番気をつけなければいけないのは、やはりそのプルトニウムをため込むような、痛くもない腹を探られないように、貢献策を進めるのはいいのですが、その辺をきちっとしておかないと、日本技術的に能力のある国であるので、何でプルトニウムをそんなに欲しかるのだというようなことにならぬようにしてもらわないといけない、こう思うわけなんです。  大臣はこの三月のOECDには行かれないようになってしまったのですか。
  177. 谷川寛三

    谷川国務大臣 行きません。
  178. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、そういったいろいろな国際会議の中でこれから日本科学技術上の協力も求められてくる、こう思うわけなんですけれども、いま一つ大事なのは、ソ連における技術者の流出の問題ですね。第三国への流出ということも、さっきのお話にもありましたけれども、これも何とか引き続いて研究し、平和利用へのために転換してもらえればいい。これについて大臣、もしOECDに行かれるとなればその辺のお考えを持って行かれるはずだっただろうと思うのですが、行かれなくなったにしても、そういう点についてはどういうふうにお考えで、どんな方針を出そうとされていたのかをお聞かせいただきたいと思います。
  179. 谷川寛三

    谷川国務大臣 三月の十日、十一日のOECDの閣僚会議でそういう問題を議論する場があるかどうかもはっきりしておりませんが、行く者に対しては、そういう議論が出てきたらこういうふうにという相談はしております。  と申しますのは、核関係だけじゃございません、ソ連あたり大分一般の技術者、学者の方も困っておるようでございますから、日本にもフェローシップの制度もございますし、そういうあれで迎えることも考えられるし、それからまた何か国際協力のもとに、ソ連ならソ連の自国におって研究をしてもらうように援助をする、それからその情報ももらうという技術の国際交流、そういうものもこの際考えていいのじゃないか、議論の場がありましたらそういうことも含めて議論をしてくるように指示をしてあるところでございます。
  180. 和田一仁

    和田(一)委員 局長にもう一回ちょっとお尋ねするのですが、さっきの検討が始まったという内容の中で、専焼高速炉、これは相当経費の高いものだろうと思うのですが、立地条件もあったりして、これで貢献できるとしてどういう形の貢献を描いていらっしゃるのですか。
  181. 石田寛人

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。  実際の貢献の仕方でございますが、これは先ほど先生御質問でおっしゃいましたように、基本的にはまさに国際的枠組みにおいて対応すべきものと考えておるところであるわけでございます。  したがいまして、もし私ども計画が具体化いたしました場合でも、これはあくまで関係諸国、特にロシア、それからアメリカ、あるいはヨーロッパ、関係諸国と国際的な枠組みにおきましていろいろな議論をいたしまして、そこでもしかそういうプルトニウム専焼高速炉なるものを建設するといたしますと、どこに建設するのが最も効果的で最も核不拡散の大義に沿ったものであり、あるいは民生利用という面から最も望ましいかということを検討する、まさに国際的枠組みにおいて議論していくものということでございますので、私ども今のところ、どこにどう置くべきものということを予断を持って考えているわけではございません。
  182. 和田一仁

    和田(一)委員 一つだけ。それは日本の国内ででも可能ならばやろうということなんでしょうか、それは考えていないということでしょうか。
  183. 石田寛人

    ○石田政府委員 日本の国内に置く可能性があるかどうかということでございますけれども、これは先ほどから御説明申し上げておりますように、まだ構想段階のものでございますので、実際の立地をどこにどうするというようなこととは甚だしくかけ離れておるものであることをまず御理解賜りたいわけでございます。  その場合でも、先ほども申しましたように日本国内のプルトニウムバランス、あるいはプルトニウムの需給とはっきり切り離し、国際貢献ということでございますので、私どもの今の、あるいはこれは主観的な気持ちになるかもしれませんが、そういうことでは国内に置くという意識は強く持っておりません。
  184. 和田一仁

    和田(一)委員 時間も余りありませんので、ちょっと別の観点から伺いたいのですが、先般IAEAの理事会が行われたというふうに聞いております。今まで保障措置について特別査察の点でまだ不十分な点があったようですが、今回それが実施できるようになったというふうにも聞いているのですが、このIAEAの理事会の取り決めによって新しくなったことについてお知らせをいただきたい。
  185. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 御説明申し上げます。  今回の二月の理事会におきましては、保障措置 関係につきましては、イラク等の問題に関連しまして今先生が御指摘の特別査察等の検討が行われました。  この特別査察と申しますのは、IAEAの通常の査察におきましては各国が申告した施設に対して行います通常査察があるわけでございますが、日本のように全施設に対して保障措置を受け入れている国につきましては、通常査察に加えて特別査察が実施できるということになっております。ただ、この特別査察につきまして、未申告の施設、例えばイラクのような未申告の施設について特別査察ができるかどうかというのが従来議論のあったところでございますが、本件について明確に実施ができるというのが確認されたというのが第一点でございます。  それからもう一点は、そういう査察の前提になります設計情報を、通常は核物質を搬入します百八十圧前までに申告をするということになってございますが、もっと早くから申告すべきではないかという議論がございまして、これは原子力活動の透明性の確保ということでございますが、これにつきましても、建設の段階あるいは概念設計、もう少し早い概念設計の段階を含めて各国協力して通報をしていこうということで基本的に合意を得たところでございます。
  186. 和田一仁

    和田(一)委員 いま一つついでにお聞きしたいのは、北朝鮮の査察問題について、この新しい保障の特別査察との関係はどういうことになるでしょうか。
  187. 谷弘

    ○谷(弘)政府委員 北朝鮮につきましては、一月の三十日に新しい保障措置協定に署名をいたしておりますけれども、まだ批准をいたしておりませんので国際的に発効いたしておりません。  今回、これも議題になっておりましたが、北朝鮮側、それからIAEA側の説明によりますと、二月の十八日の北朝鮮の人民会議の常任委員会で、四月に行われます全国の人民大会にかけて批准をするということになってございます。その結果、具体的な状態が進んでいくわけでございますので、まずは、先ほど御説明しましたそういう批准、発効いたしますと通常の査察が始まるということになろうかと思いますが、今回確認しましたような特別査察の必要性が出ればそれは当然適用ということになろうかと思いますが、まずは一般的な通常査察が行われるというように私ども理解いたしております。
  188. 和田一仁

    和田(一)委員 きょう私、大変時間が短い中でプルトニウムについてだけいろいろな角度でお聞きしたのですが、というのも、やはりこの核不拡散ということが非常に大事だし、これだけは厳重にやっていかなければいけない、こう思っておるわけなのですが、もう時間がありませんので、最後に一つだけ大臣にちょっとお聞きしたいのです。  先ほども質問ございました、この秋プルトニウムを日本フランスから委託した分を運んでこなければならないわけですが、このプルトニウムの輸送についてし今政府がお考えになっている輸送計画があれで万全かどうか、私は非常にこの点について、これは取り越し苦労であればいいのですが、かつて日本が運んだときの体制と比較して、ちょっとこの体制で十分かどうかをもう一回検討してもらいたいぐらいな思いがあるのです。  というのも、この問題については、やはり原子力の二国間の取り決めもありまして、アメリカ等の議会の中でも危ぶむ声が出ている、こういう報道すらあるので、今万全の体制で準備はしておられるのだろうと私は思うのですが、核シャックなどないというような安易な——この間防衛庁長官、先月ですか、そういう質問に対して全く心配のないような答弁をなさっているのですね。本当にそうであればいいのですが、あったときに、あれで果たして対応できるかどうか。  私は、核の不拡散ということがこれだけ世界で慎重にかつシビアに取り扱われている中で、日本自分のあれで初めてフランスから持ってくる体制について大臣にお考えをお聞きしたいのです。前長官は大丈夫だというようなお話だったのですが、長官、いかがでしょうか。
  189. 谷川寛三

    谷川国務大臣 この問題は随分政府部内でいろいろと検討いたしました。その結果でございますが、さっきの質問でもお答え申し上げましたが、平成元年十二月に関係閣僚の打ち合わせがありまして、やはり海上警備を第一の任務とします海上保安庁の船でやらせようということに確認がなされました。そして、御案内のとおりもう船は艤装中でございますし、それから、関係省庁といろいろ協議をいたしまして準備を進めておるところでございますが、船の中の、輸送船の中のいろいろな防護装置にしましても、日米原子力協定の附属文書にその際の措置の要領も書いてありますので、それに従いまして厳重に防護措置をいたしまして、そして無寄港で帰ってくるとかいろいろ万全の措置を講じておるところでございます。  詳細は機密に属するところもありまして、申し上げることができないのを残念に思っておりますが、絶対御心配のないように運んでまいる所存でございます。
  190. 和田一仁

    和田(一)委員 ちょっとまだ聞きたいことはいっぱいあるのですが、時間がもう過ぎてしまいましたので、きょうはこれで終わります。
  191. 近岡理一郎

    近岡委員長 内閣提出、研究交流促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。谷川国務大臣。     —————————————  研究交流促進法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  192. 谷川寛三

    谷川国務大臣 研究交流促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  研究交流促進法は、国と国以外の者との交流を促進し、国の試験研究を効率的に推進することを目的として、昭和六十一年に制定されたものであります。法制定後約六年がたち、この間、我が国の科学技術を取り巻く情勢は大きく変化いたしました。近年、科学技術面での我が国の国際貢献の必要性が高まるとともに、科学技術の一層の高度化、複合領域化等が急速に進み、基礎的・創造的な研究の積極的推進が内外から強く求められるようになっているところであります。このような状況に適切に対処していくためには、産・学・官及び外国との間の研究交流を一層促進していくことが重要であり、このため、国の研究活動を取り巻く種々の制度的制約をより一層緩和していくことが必要であります。  本法律案は、このような状況にかんがみ、国と国以外の者との研究交流を一層促進するために必要な新たな措置について定めるものであり、以下の事項をその内容といたしております。  第一は、国の研究への外部からの人材登用を促進するため、研究公務員の採用について任期を定めることができる旨規定することであります。  第二は、国の委託に係る国際共同研究の成果に係る特許権等について、諸外国との制度的調和を図り、国際共同研究への外国研究機関の参加を円滑にするため、その取り扱いの特例措置を講ずることであります。  第三は、国有の試験研究施設を外部の者が廉価で使用できるための要件を緩和し、その利用の促進を図ることであります。  以上、本法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  193. 近岡理一郎

    近岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十八分散会      ————◇—————