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1992-05-27 第123回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年五月二十七日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 久間 章生君    理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君    理事 坂本 剛二君 理事 武部  勤君    理事 村田 吉隆君 理事 緒方 克陽君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       衛藤 晟一君    二階 俊博君       平泉  渉君    星野 行男君       細田 博之君    増子 輝彦君       山口 俊一君    赤松 広隆君       小林 恒人君    左近 正男君       関山 信之君    常松 裕志君       細川 律夫君    山下洲夫君       浅井 美幸君    草川 昭三君       佐藤 祐弘君    高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         運輸政務次官  佐藤 敬夫君         運輸大臣官房総         務審議官    土坂 泰敏君         兼貨物流通本部         長         運輸省運輸政策 大塚 秀夫君         局長         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         運輸省海上交通 大金 瑞穂君         局長         運輸省海上技術 戸田 邦司君         安全局長         運輸省港湾局長 上村 正明君         運輸省航空局長 松尾 道彦君         運輸省航空局技 松本 健治君         術部長         海上保安庁警備 茅根 滋男君         救難監         高等海難審判庁 杉山 陽一君         長官  委員外出席者         通商産業省基礎         産業局化学品安 鷲見 良彦君         全課オゾン層保         護対策室長         運輸省航空事故         調査委員会事務 松浦 道夫君         局長         運輸委員会調査 長岡日出雄君         室長     ————————————— 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     亀井 静香君   古屋 圭司君     熊谷  弘君   星野 行男君     坂本三十次君 同日  辞任         補欠選任  亀井 静香君      衛藤 晟一君   熊谷  弘君     古屋 圭司君   坂本三十次君     星野 行男君 同月二十七日  辞任         補欠選任   古屋 圭司君     山口 俊一君   小林 恒人君     山下洲夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 俊一君     古屋 圭司君   山下洲夫君     小林 恒人君     ————————————— 五月二十五日  公共交通機関鉄道駅舎バス等アクセス  に対しバリアフリー完全実施に関する請願  (遠藤登紹介)(第二七六一号)  同(岩村卯一郎紹介)(第二七六二号)  同(木村守男紹介)(第二七六三号)  同(丹羽雄哉紹介)(第二七六四号)  同(船田元紹介)(第二七六五号)  同(保利耕輔君紹介)(第二七六六号)  同(小里貞利紹介)(第二八七六号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第二八七七号)  同(東力君紹介)(第二八七八号) 同月二十六日  公共交通機関鉄道駅舎バス等アクセス  に対しバリアフリー完全実施に関する請願  (岩田順介紹介)(第三〇〇二号)  同(田邊國男紹介)(第三〇〇三号)  同(三塚博紹介)(第三〇〇四号)  同(森田一紹介)(第三〇〇五号)  同(山中末治紹介)(第三〇七八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件      ————◇—————
  2. 久間章生

    久間委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
  3. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 まず、新幹線についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  今、新幹線営業中は千八百三十六キロ、それから工事中の整備新幹線が四百三十七キロ、未着工整備新幹線が千二十キロとなっておりますが、合計で三千二百九十三キロが営業中、整備中あるいは未着工、それを待っているという状況にあります。そうしますと、千八百キロが営業していて、工事中が四百、今からというのが千、それから、四十八年十一月に基本計画線として三千五百キロが決まっているわけでございますが、このことについて一言お尋ねをしたいと思います。  こういう状況を見まして、整備新幹線まで入れると約三千三百キロというぐあいになりますが、約三千三百キロという中で、まだ残っている基本計画線が三千五百十キロとなりますと、しかもまだ、この三千三百のうち千二十キロが未着工ということになっていますので、一体、全体をどういうぐあいにして進めていくのか、とりわけ基本計画線になっております三千五百キロについては全く見通しが立たないということになりますけれども、そういう状況の中でどういうぐあいにこれをやろうとするのか、ぜひお尋ねをしたいと思います。  また、このことをやり上げるためには何か抜本的な財政措置というか新しい仕組みを考えなければいけないのではないのかという気がしています。新幹線については、開通したところは全国的に全部地域が変わりましたので、国民の皆さんも大変大きな期待をしているし、まさに地方分権というか地方復権ということに当たっては一番大きな期待をされているし、一番大きな結果が出てくるというところでございますので、まず、これについてどういうぐあいにお考えか、お尋ねしたい と思います。
  4. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘基本計画線でまだ整備計画ができていない線というのが御指摘のとおり約三千五百キロ程度ございます。  新幹線につきましては、先生よく御承知のとおり、今開通しているもの、工事中のもの、それから整備計画が決まったもの、こうございますが、私どもといたしましては、いろいろな情勢を考えまして順次完成をさせていくという方針で今やっているところでございます。現に、昨年から工事線として約四百数十キロのものに着手いたしております。次に、一千キロほどのものが控えておるわけでございますが、さらにその先をどうするかということにつきましては大変大きな問題だと思います。  先生今御指摘ございましたように、財源の問題をどう処理していくか、これが一つの大きなポイントになるわけでございます。私どもとしましては、いわゆる基本スキームと言っておりますが、順次着工するという枠組みの中で着工しておりますけれども、確かにおっしゃいましたように、今後この基本計画線については相当大きな何らかの政策を立ててやっていかなきゃいかぬということを思っておりますのでは、どういうものでやっていくかという具体的なものをただいま持っておりませんけれども運輸政策審議会等でも鉄道の将来をどうするかという議論をしておりますので、そういうことも含めまして一環として議論をさせていただいて、何とか全国的なネットワークを完成させたい、こういうふうに思っております。
  5. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 新幹線のまさに全国的なネットワークをつくることは、日本のこれからの将来にとってどうしても必要なことだというぐあいに思います。  その中で、ちょっと九州を見ましても、実は福岡から小倉まで今あるわけですが、大分鹿児島に向けての東九州新幹線及び大分から熊本に向けての九州横断新幹線というのは基本計画線に入っているわけでございますけれども、全く見通しも立っておりませんので、この基本計画線についても、今お話がございましたように抜本的な財政措置をどう講じるかということをぜひひとつ徹底的に議論していただきたい。私ども一緒になって考えさせていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それから、大分地元の問題になりますけれども連続立体交差事業、いわゆる鉄道や駅の高架の問題でございます。こういう希望はたくさん出ておりますけれども、現実までにまだなかなか時間がかかるということであります。そういう中で、運輸省建設省の間の新しい協定ができ上がりましたけれども、その概要についてお尋ねをしたいというように思います。
  6. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  連続立体交差協定でございますが、従来から昭和四十四年の建設省運輸省の間での協定がございまして、これは昔の協定でございますけれども昭和六十二年に国鉄が民営化されたということで見直しをやろうということでいろいろ議論をしまして、先般まとまって新しい協定をつくったわけでございます。  この中身概要を申し上げますと、鉄道高架化というのは一応具体的には道路側が発議をしてくるわけですが、その場合に鉄道がどれくらいの割合で負担をするかという議論がございました。従来は国鉄は一〇%負担する、民鉄の場合は七%ということで全国一律のパーセンテージでございました。  今回の協定では、JRもいわゆる民営鉄道になりましたので、その区別はしないということ、それからパーセンテージ全国一律というのはどうかということで、全国を大きく四つの地域に区分いたしまして、最も鉄道側の受益の多い地域、これは大都市、特に東京都区内のようなところでございますが、ここにつきましては今まで一〇ないし七%だったのを一四%を負担する、その次に比較的大都市のところは一〇%にする、その次のは七%、それから非常に田舎の方といいましょうか、そういうところでは五%ということで、地域によって差を設けさせていただいております。  それから、細かいことでございますが、高架下使用権利といいましょうか、公共側に若干の面積を御提供申し上げますけれども、従来一〇%ぐらいの面積をお貸しするということだったのでございますが、これを今度は一五%都市側に提供する、こういうようなことで話がやっとつきまして、今後はこの協定に基づいて高架化をどんどん進めていく、こういうことになっております。
  7. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 大分市の大分駅についても高架について希望を出しておりまして、今、県、市挙げて具体的に動き出したところでございますので、ぜひともこれについて御協力をお願いしたいというように思います。  日豊本線小倉大分宮崎鹿児島というぐあいにずっと走っているわけでございますが、この日豊本線小倉から別府までの間に立石中山香杵築日出間というのがあるわけでございます。この間がまだ複線になっていないわけですね。小倉別府間の中で一三・二キロでありますが、この複線化見通しをぜひお尋ねしたいと思います。これは県の方も挙げてぜひ一日も早い複線化を、そしてこのことによって一刻も早い高速化実現したいということで希望しているわけですが、この複線化見通しについてお尋ねをしたいと思います。
  8. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘日豊本線立石中山香、それから杵築日出間というのは昔から複線化が懸案となっている区間でございます。国鉄時代にかなり複線化が進んでおりますが、実は認可を受けながらこの区間だけ残ってしまったということでございます。  JRといたしましては、九州は特にこの日豊本線スピードアップ、それから輸送力増強重点項目としてやっております。例えば列車本数でいいますと、国鉄改革前の昭和六十一年にはこの区間、一日平均約百本の列車でありましたが、ただいまは百二十から百三十本の列車を走らせております。そういう意味輸送力増強をかなり図ってきております。それから線路容量の点もございます。まだ若干の余裕がありますので、今すぐ着工してどうということではございませんが、そういう輸送需要の動向を十分見て適時適切にやりたい、こう思っております。  なお、JR九州の方は、この区間の利便を何とか少しでも向上申し上げたいということで、列車スピードアップということで実は高性能の振り子電車を導入することを考えております。試作車両を来年度中に何とか完成して、さらに量産車をつくってスピードアップを図りたい、こういうことで今努力をしているところでございます。  したがいまして、複線化をいつということは今申し上げられませんが、そういうような形で地元の皆様へのサービスを何とか高めたいということで努力しておりますので、私どももそれをバックアップしていきたいと思っております。
  9. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 今、各地域全国的に見ましてもまさに新幹線やあるいは道路等あるいは鉄道網全体、それが行き届いた地域と行き届かない地域というので地域発展に本当に大きな差が出てまいりました。また、それぐらいやはり効果が大きいということになるわけだと思います。  九州を見ましても、西の方には新幹線工事中あるいは整備中だというのに対して、東の方は計画はあるけれども具体的に進んでいない。それから一般の鉄道の方も、JRの方も複線化もなっていないし、とりわけ大分以南については全然その複線化見通しもない、計画もないわけでありまして、そういうようなことを考えますと、ぜひぜひ各地域に均等な形での政治の配慮がやはりもうちょっと必要ではないのかという感じがしているところであります。  日豊本線大分小倉間の高速化見通しと、それから今全然計画にも上がっていないようでありますけれども日豊本線大分以南大分から鹿 児島に向けてのこの間の高速化見通しについてお尋ねをしたいというぐあいに思います。どうぞよろしくお願いします。
  10. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  日豊線高速化の話でございますが、現在小倉大分間につきましては、先ほども申し上げましたが相当高速化をいたしたい、それからそれにあわせて若干の施設改良もしたいということで、実はこの件につきましては、大分県当局といいましょうか関係地元の自治体の方々それからJR九州一緒になりまして、今後の輸送需要がどうなっていくか、それから投資をした場合の採算性はどうかというようなことも考慮いたしまして、地元と御一緒速度向上等について、輸送力増強について勉強しておりまして、何とか地元も相応の協力をするのでぜひやってほしいということで話が進んでいるやに聞いております。  それから、大分以南の方の高速化でございますが、確かにここの区間は特急などのスピードも非常に遅いということはよく承知しております。  そこで、最近の例でございますが、JR九州も御存じのように経営安定基金をもらってやっと息をついているところでございますけれども、特に延岡宮崎の間につきまして、これは地元宮崎県それから関係の企業とJR相談をいたしまして、いわゆる本格的な複線ではございませんが、線路改良、曲線の改良等をやりまして、何とか最高時速を百十キロまでに上げてスピードアップをするということで、延岡宮崎間を、現在七十三分かかっているそうでございますけれども、これを六十分にしてしまうというようなことで、若干地元の御負担もございますがそういう道も先例としてあるわけでございます。  そんなことも頭に入れまして、今後もJR九州も各県ともよく御相談をしてやっていきたい、こう言っておりますので、もう少しJR努力、各県の御協力などを見ながら私どもバックアップしていきたい、こう考えております。よろしく御賢察いただきたいと思います。
  11. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ぜひ大分以南高速化についても県あるいはJR挙げて、私どもも県の方にも働きかけながらこれの実現に向かって努力したいと思いますので、御協力のほどを心からお願いを申し上げます。  次に、オートキャンプ場家族キャンプ村について質問をさせていただきたいと思います。  自然志向が大変高まる中で、自然に触れて、そしてまた自然の中に滞在をしながらレクリエーションを経験するということは大変多くの要望が出ているところでございますけれども、これらの要望の割に施設整備がおくれているように私ども感じておるわけでございます。このことについて今、ことしから家族キャンプ村という構想で運輸省が打ち上げているのでございますけれども、具体的なこの中身についてまずお尋ねをしたいというぐあいに思っているところでございます。
  12. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 家族キャンプ村と申しますのは、都市の住民の自然志向が最近高まってまいりましたこと、また観光レクリエーション需要が増大いたしましたことに対応しまして、都市市民方々が手軽に利用できるオートキャンプ施設を恵まれた自然の中に確保して、観光レクリエーション活動り場を確保する、あわせて地域活性化を図ることを目的としております。  家族キャンプ村は、国の補助事業として地方公共団体主体となって整備するものでございまして、豊かな自然の中でオートキャンプ施設を中核とし、周辺の観光レクリエーション施設観光資源などと有機的に連携して、自然環境保全に十分留意しながら整備を推進することとしております。  特にオートキャンプ施設につきましては、水洗トイレ、温水シャワーなどが標準仕様となっている質の高いオートキャンプ場整備する予定でございます。平成四年度におきましては新規四地区で整備着手しまして、予算額として平成四年度予算で二千万円を計上しております。
  13. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 このオートキャンプ場のいわゆる整備及び利用の現状についてはどうなっているのか、もう少しお尋ねしたいと思います。
  14. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 現在国内にございますキャンプ場関係団体等調査によりますと二千六百カ所ほどございまして、このうちオートキャンプ場としてテントサイトまで車の乗り入れができる施設は二百二十カ所程度となっております。  このうち施設の内容、環境管理サービスなどにつきまして満足のできるものは十カ所程度にすぎず、質、量とも現在のニーズを満たす状況にはなっておりません。キャンプ人口は約三百万世帯、千二百万人と推定されており、この五年間で二倍と飛躍的に増加しております。このような状況にかんがみまして、私どもの方で平成四年度予算から家族キャンプ村の整備を開始した次第でございます。
  15. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 この家族キャンプ村の整備を含んでのオートキャンプ村に対して運輸省は今後どういうぐあいに考えていくのか、またどういうぐあいに整備の順番をもって整備していこうとするのか、それをお尋ねしたいというぐあいに思います。また、私は九州でございまして、特に我が大分県からも大分要望も出ておりますので、そういうところをひっくるめてぜひよろしくお願いします。
  16. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 家族キャンプ村は、都市市民が車によるアクセスが比較的容易な自然に恵まれた地域整備される必要があることから、都市市民方々が手軽に利用できる地域整備を図っていくこととしておりますが、特に良質なオートキャンプ場が少ない地域地方要望等を踏まえて優先的に整備するよう配慮しております。  大分県からは、地元家族キャンプ村の整備が必要だという御熱心な要望が出ていることを承知しておりますので、そういう御要望を踏まえて来年度予算要求の過程で検討させていただきたいと思います。
  17. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 もう去年から一生懸命県、町挙げてやっておるようでございますので、ぜひ来年度に向けてよろしく御配慮のほどをお願い申し上げます。  さてそこで、テクノスーパーライナーについてお尋ねをしたいというぐあいに思います。  私ども大分県は、ちょうど大航海時代海運で結構栄えたところでございます。というのは、瀬戸内海の西の玄関になります。ちょうど東の玄関が大阪の堺になりますので、豊臣秀吉のころには我が大分県では大友宗麟という大名が出まして南蛮貿易をずっとやっていたわけでございますが、そういう意味では、別府湾という湾、そしてまたその中に港があるということで、内海の中でも非常に静かな良好な港湾をずっと持っておるわけでございます。まあ当時の瀬戸内海というのは私はやはり運河のようなものだというぐあいに思いますが、瀬戸内海の西の入り口大分があり、東の入り口に堺があるというような状況できたわけでございます。そういう意味で、私ども海上流通に関しては非常に興味を持って見ておるわけでございます。  また、海上輸送というのは大量の輸送を一どきにできるということで非常に大きなメリットがありますが、ここ数年陸に押されぎみだというような感じがします。海上交通海上輸送を当てにしながら我が大分県は臨海工業都市というのをつくりまして、ここに外国から石炭や鉄鉱石を運んでくる、そしてその新産業都市で、その工場の中で加工しながらそのまま外国に輸出をするということで、海を生かした形で今までやってきたわけでございますけれども、今申し上げましたように、どうしてもトラックの場合ですとドア・ツー・ドアという形になってくる。海ですとやはりスピード化というか、高速化の時間短縮という面ではどうしても陸にかなわないというところが今出ておりますけれども、そういう中で私ども、大量に、しかも高速化実現できるのであれば、まさにこれからの物流の革命になるのではないのかというぐあいに思っているところでございます。  そんな中でテクノスーパーライナー研究が始まりましたので、熱い期待を持って今見ているところでございまして、ぜひこの研究開発状況についてお尋ねしたいというふうに思っております。
  18. 戸田邦司

    戸田政府委員 テクノスーパーライナーにつきまして、平成元年から予算措置を講じまして開発を進めているところでありまして、開発の目標としましては五十ノット、スピードにしますと九十三キロほどになりますが、それから、千トン積みということで進めてきております。  現在の開発進展状況ですが、予定どおり順調に進んでまいっておりまして、平成四年からは実際に海上において実験を行うための模型船、これはできるだけ実物に近いもので技術的解明が可能であるということで全長約七十メーター程度になろうかと思っておりますけれども、その模型船設計建造を進めまして、平成六年には実際に海上実験を行う予定になっております。  この実際の海上実験でありますが、これが終了しますとこのテクノスーパーライナー実物設計建造技術をすべて解決できるものと思っておりまして、実現の時期ということになりますと大体一九九〇年代の後半ではなかろうかと思っております。この実験が終わる時期をにらみながら、輸送システムとしての構築を図っていかなければならないと思っております。
  19. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 ぜひ、一刻も早い開発期待をしていますので、頑張っていただきたいと思います。  それから、このテクノスーパーライナーに対応した港湾施設が当然整備されなきゃいけないというように思います。また、港から揚がった後の陸上のアクセスということもかかわってくるのかと思いますので、これについてどういうぐあいに港湾施設整備し、また全体的な物流を考えていくのか、それについてお尋ねしたいと思います。
  20. 上村正明

    上村政府委員 テクノスーパーライナーに対応します港湾につきましては、これまでに局内に研究会を設置いたしまして、テクノスーパーライナーが寄港する港湾に必要な機能の概略検討を既に行っております。平成四年度からは、港湾の配置ですとか高速荷役システム、それから整備する施設ごと事業主体とかその財源構成といった項目について具体的な検討をする予定でございます。  具体的なテクノスーパーライナーの港の配置につきましては、今後の調査検討結果を踏まえながら、港湾管理者とも調整の上、決定しなくてはならないと思っておりますが、いずれにしましてもテクノスーパーライナーの能力を十分生かすようなことが満足いたされなくてはならないと思っております。  例えて申しますと、外洋と港との間の高速航行が容易であること、あるいは陸上部におきましては高速道路へのアクセスが容易に確保できること、それから港の問題といたしましては静穏な泊地や十分な埠頭の用地が確保できること、あるいはさらに経済的な条件がと思いますけれどもテクノスーパーライナーが就航に必要な十分な貨物需要があることといったようなことが検討材料になると思います。  いずれにしましても、テクノスーパーライナーの実用化が一九九〇年代後半というように考えられておりますので、テクノスーパーライナーの就航に支障にならないよう、今後とも海上技術安全局と密接な連携をとりながら、適切に対応してまいりたいと存じております。
  21. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 それでもう一つ、当然、陸海空のいろいろな輸送機関というのが出てまいりますと、とりわけテクノスーパーライナーなどの基地ができますと、この背後地の物流基地というのは、運輸省を中心にいろいろな形で進められておりますけれども、今後どういうぐあいにリンクされていこうとするのか、それについてお尋ねしたいと思います。
  22. 大塚秀夫

    大塚(秀)政府委員 先生指摘のように、テクノスーパーライナーを生かせるためには、その背後における物流ネットワークシステム、またその物流ネットワークシステムを生かす内陸の基地あるいは港湾基地、全体的なシステムの整備が大変必要だと考えており、私どもとしては、具体的なケースに応じでそのようなネットワークをどう進めていくか、また基地のあり方等について現在調査検討しているところでございます。
  23. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 どうもありがとうございました。  最後に、次官にお尋ねをしたいと思います。次官の地元の秋田も、新幹線でいきますと基本計画線に入っているわけでございまして、我が大分のところも、九州はほとんど、東だけは全部基本計画で、西の方は一部着工しているところもありますけれども、ぜひぜひこういうところもうんと進めていただきたいというように私どもは思っているわけでございます。次官、そこのところの決意のほどをぜひよろしくお願いしたいと思います。
  24. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)政府委員 衛藤先生、この新幹線全体の問題に対していろいろ運輸行政の中で前向きに取り組んでいるわけでありますが、仰せやはり基本は財源問題でございまして、特に現状のシステムでまいりますと三線五地区についても十年間という、こういう大きな時間がかかりまして、本当に気が遠くなるような思いです。  しかし、現実にそういう時代がやってくることは間違いない。しかし、その間どうやって地元が気力を集めてつないでいくかという発想も必要じゃないかなと思います。新幹線と在来線を相対的なものに考えるのではなくて、その新幹線技術を、先ほどの御答弁にありましたような形で在来線のスピードアップにとりあえずどうやってつないでいくか、そういう工夫もしながら、やがて来る高速時代というものに対応していかなきゃならぬ。そんな意味で、山形、秋田なんというのは一応ミニ新幹線という形で、地元負担はかなり多目でありますが、大きな負担をいたしまして、まず地元の気力を上げ、そして、一体それに対して国は何をするのか、こういう形でもって進めているところでございますし、一日も早くこういう問題が解決するように努力を重ねてまいりたい、こう考えております。
  25. 衛藤晟一

    衛藤(晟)委員 どうもありがとうございました。私どもも同じようなそういう方向性で懸命に努力してまいりたいと思いますので、どうぞこれからも御指導のほど、よろしくお願いします。  以上で終わります。
  26. 久間章生

    久間委員長 左近正男君。
  27. 左近正男

    ○左近委員 久しぶりにちょっと質問させてもらいます。  きょうの委員会、運輸大臣おられないのです。僕としては大臣のおらぬようなところで質問するのは嫌なのだけれども、有能な副大臣、政務事官御出席だというので質問をさせてもらいます。あなたもいつになるかわからぬけれども将来大臣になられる人だと僕は思っておるので、ひとつ積極的に答弁してください。  まず、あなたは政務次官になって運輸行政についてどんな決意で今仕事をしていますか、それを言ってください。
  28. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)政府委員 お答えをさせていただきます。  どんな決意でということよりも、むしろ運輸省というのは現場の省でございまして、本省におりますと実際に現場の本当の底に潜む問題は何か、こんなことがとても大事なことだと感じました。  七カ月になりますが、各運輸局の現場を回りまして、一つ一つ現在の法律と、実際仕事をしている中でいろいろな悩みや問題点が一体どこにあるのか、こんなことを一生懸命考えながら仕事をさせていただいております。
  29. 左近正男

    ○左近委員 ひとつその決意で頑張ってください。  私、党で空港対策の特別委員長もやっておりますので、きょうはまず冒頭、空港問題について御質問をしたいと思います。  大阪空港のYS11からジャンボヘの振りかえの問題、私の立場としては、九年前に関西新空港の新しい法案ができましたときに、やはりこの伊丹 の大阪空港は欠陥空港である、だから新しい空港を設けていこうというのが航空審議会の一貫した審議の経過であったのです。  それが、時代が変わりまして伊丹の空港存続ということになりました。私の選挙区もこのコンターの中に、騒音の指定地区に入っておるわけでして、そこらの住民はかなり今回の処置の問題について根強い反対もあることは事実です。しかし、私自身も地方へ行きますと、例えば北海道なんかへ行くと大阪への乗り入れをぜひともしてもらいたいという強い要望があるわけでして、ここらは非常に自己矛盾を来しながら今回の運輸省の対応について見守ってまいりました。  幸いにして、地元十一市協との話し合いもついて、関係団体との合意も得たということを聞き及んでおりますが、今度のジェットの増便について地元に対して運輸省としてはどういうことを約束されたのか、またどういう決意でこれからその約束事項を遂行されようとするのか、明確にしていただきたい。     〔委員長退席、今津委員長代理着席〕
  30. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 大阪国際空港につきましては、日ごろ先生のアドバイスもいただきながら積極的に騒音対策を進めてまいっておるわけでございますが、今回私ども地元の強い熱意も含めまして、やはり大阪国際空港との路線ネットワークづくりというものは大変重要だと思うわけであります。  このたびYSの代替問題につきまして、具体的に地元大阪十一市協を初め関係者との間で合意を取りつけていただいたわけでございますが、本年一月三十一日に地元に提案をいたしまして、積極的にうちの担当官も現地に泊まり込みで説明会などやらせていただきまして、五月十六日にまず大阪国際空港騒音対策協議会、十八日には大阪国際空港公害調停団とそれぞれ確認ができたわけでございます。  今の先生の御指摘の主な内容が幾つかございますが、要点は、まず一つは、ジェット代替の発着枠といたしまして五十発着を関西国際空港開港までの間に段階的に設定するという点でございます。それから第二点目は、代替する機材でございますが、できるだけ低騒音機材を導入するということでございまして、例えばA320とかあるいはMD87などの機種に限定しようということでございます。それから三点目は、やはり既存ジェットがかなり大きい音の飛行機もございますが、低騒音化もあわせまして実施をいたしまして、できるだけ騒音区域の縮小を図るなど環境対策を進める。第四点目は、発着時間規制、現在朝の七時から夜の九時までという運用時間は厳守する、それから発着規制枠についても当面現行どおり一日三百七十回程度ということを守っていこう、引き続き住宅防音工事なんかの予算措置の強化を図っていくというふうなことで大阪周辺の環境対策を積極的に進めさせていただこう、こういうことでございます。
  31. 左近正男

    ○左近委員 よくわかりました。  ちょっと二、三確認をしますが、発着の時間規制、九時以降翌日の午前七時まで一切飛行機は飛ばさない、よろしいか。
  32. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 そのとおり守ってまいりたいと思っております。
  33. 左近正男

    ○左近委員 私は地元におって、やはり年間かなりの数、門限破りがあるわけですね。今航空局長がかなり決意を持って言われているけれども、現実は門限破りがあることは事実ですよ。これはやはりぴたりと解消してもらわなあかん。現在の門限破りの状況はどうですか。
  34. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま左近先生の御指摘、私ども非常に残念でございますが、平成三年の例を見ますと、今御指摘のいわゆる門限破りと称するのが夜の九時から十時までの一時間の時間帯でございまして、正確には四十二回ございました。これはしかし、十時以降はございません。  主として外国エアライン等の長距離国際便が、相手国の出発時間帯等によりまして、これが約半分近い数字になっております。私ども、そういった外国エアライン等につきまして出発時間の他国における繰り上げなども具体的に空港長からも要望いたしまして対処をしておるというふうなことで、この便数をできるだけ少なくするようにいたしたいと思いますが、天候不良あるいは一部機材故障とかその他いろいろな理由がございましてこのような状態でございます。いずれにしても門限破りのないように引き続き努力をしてまいりたいと思います。
  35. 左近正男

    ○左近委員 僕はこれが一つのやはりあかしになると思うので、外国航空名を挙げるのは嫌ですが、一番質が悪いのがキャセイ航空、これが非常に多い。したがって、一遍運輸省としても関係先にさらに努力をしていただいて、ジェットが今度三百回になる、この機会に門限破りが一切ないんだという状況努力をしていただきたいと思います。  もう一つは、発着回数の制限について一日二百回以下、今回はジェット三百回になるわけでして、この関係はどう理解をされるのか、二百回を守るということがどういうことなのか、これは明確にしてください。
  36. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 大阪の現在の一日の発着回数は全体で約三百七十便でございまして、先生の御指摘のジェット枠が二百ということでございます。六十三年のYS代替のときに五十枠、今回五十枠ということで関西国際空港の開港までの暫定措置といたしまして三百枠にふえるわけでございますが、私ども、関西国際空港開港後におきましては、原則もとに戻すという基本姿勢でもってさらに地元との協議に入らせていただきたい、このように考えております。
  37. 左近正男

    ○左近委員 僕の理解では、従来二百とYSが百七十、こういう三百七十の枠であった、だから二百をはみ出る分についてはやはり音のしない、比較的しない機種を振り向けていく、さらに二百については従来型ですけれども、さらに音を小さくする努力をしていくという理解を僕はしておるのですが、間違いですか、私の理解は。
  38. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいまの先生の御指摘のとおりでございまして、私どもそのように努力をいたしたいと思います。
  39. 左近正男

    ○左近委員 今回の代替によって、運輸省としては、平成六年の夏ごろ関西国際空港が開港をすると言われておりますが、今回の増枠についてはもう最終の処置だ、再来年、関西国際空港が開港するまでの間、もう一回もう何便かやってくれよということはあり得ないという理解でよろしいか。
  40. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西国際空港、二年後オープンということで、今全力を挙げて関西国際空港株式会社におきまして建設工事中でございまして、ただいま御指摘の五十枠というのはこの二年間の暫定措置でございますので、私どもこれ以上地元に御迷惑をかけるつもりはございません。
  41. 左近正男

    ○左近委員 前回もあなた、大体そんなことを言うた、あなたと違うけれども、前の担当者が言っておった。局長がかわるごとにあんたら便利でいいよな。しかし、これは冗談じゃなしに、もうないよ、これで一つ確認しましょう。  そこで、関西国際空港と現大阪伊丹空港との機能分担を基本的にどう考えておるのか。これをぼちぼち明確にしてもらわなければ困ると私は思うのですが、いかがですか。
  42. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 まず大阪国際空港でございますが、関西国際空港開港後におきましては、国際線の場合に一部ダイバートなどの場合がございますが、それを除きまして国際線は全部関西国際空港に引っ越しをしていただくという基本的な考えでございます。  したがいまして、関西国際空港は国際、国内のハブ空港としての機能を持たせるために、国際線と国内線との乗り継ぎ優等を含めてこれから具体的な路線形成について、私ども局内に設置いたしました関西国際空港開港推進連絡会議におきまして具体的に検討しております。  大阪国際空港は引き続き国内の基幹空港としての路線形成を行ってまいりたい、具体的中身につきましては今精力的に検討させていただいている という段階でございます。
  43. 左近正男

    ○左近委員 それじゃ今の大阪の伊丹の空港には国際線は一便も入れさせないという考え方ですか。
  44. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 国際線につきましては関西新空港に全部移転していただくというようなすみ分けを考えております。
  45. 左近正男

    ○左近委員 それはそれで結構です。  そこで、ちょっと戻りますが、今回の代替でジェットを五十便この二年間でふやすことによって騒音影響区域が拡大はしないか、WECPNLの基準値は高くならないか、それを心配しているのですが、いかがですか。
  46. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今回導入させていただくジェット機は極めて低騒音機材でございまして、具体的にはボーイング767、MD81、MD87、A300−600、A320、こういう機種に地元と約束をさせていただいております。これによりまして、かつ先ほど先生の御指摘にもございましたが、現在ジャンボで運用しておるものがございますけれども、さらに低騒音機であるボーイング747−400も積極的に導入をしていく、こういうふうなことで、既存ジェット二百枠に就航する機材の一層の低騒音化を図っていく。このような観点からいたしますと、代替完了時におきます騒音影響区域は現在の騒音影響区域より小さくするという決意でございまして、そのような方向で努力をいたしたいと思います。
  47. 左近正男

    ○左近委員 この騒音問題は、昭和四十八年の環境庁の告示でWECPNL、Wといいますが、住宅地域については七十以下、その他は七十五以下となっております。これは現在厳格に守られていますか。
  48. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 現在、民家の防音工事などを大体終了いたしまして、従来から大阪地区に騒音対策予算で約五千七百億程度予算を投入してまいりまして、民家の中ではおおむね六十Wぐらいの住居内の騒音程度だというふうに考えておりますので、御指摘の点については私どもなりに努力をしてまいったつもりでございます。
  49. 左近正男

    ○左近委員 私の選挙区にもこの対策区域の、コンターの境界線がたくさんあるのですよ。このコンターをどういうような形で設定をしておられるのか。  私は以前のこの委員会でも、小さな路地ぐらいを挟んで、こっちはコンター内だ、対策区域だ、道の右側は対策以外だ、防音もされない、こういうところがあるわけでして、そこいらについてのきめの細かい対応をしてもらいたいということを要望したこともあるのですが、このコンターの境界の決め方についてあなた方はどういうふうに指導されておるのか。
  50. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 騒音対策区域の線引きは大変難しいところがございます。基本的には騒音影響区域の予測をいたしまして、これが基本のコンターでございますが、地元関係都道府県の知事さんの意見を事前に聞きまして、具体的には直近の街路とかあるいは行政区画とか自然境界線、道路とか例えば川とか、こういうものを参考にしながら具体的に地元と協議いたして決めさせていただいております。どうしても線引きというのは大変難しゅうございますが、そういった地元集落の御意見なども聞きながら線引きをせざるを得ないという困難な問題もございます。
  51. 左近正男

    ○左近委員 地域によって若干苦情が出たようなところについては十分協議に対応していただけますか、どうですか。
  52. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 これは線引きという点でどうしても落ちるところもあるわけでございますが、実際に音のする区域でもございますので、そういった個別問題については十分御意見を聞きながら対応してまいりたい、このように考えます。
  53. 左近正男

    ○左近委員 それなら信頼しましょう。  次に、ジェットが五十便ふえるわけですが、これは一遍にふやすわけじゃないと思います。この増便についてはどれぐらいの地方空港からの大阪空港への乗り入れをさすのか、いつごろから運航さすのか、これはいかがですか。
  54. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 具体的なジェット代替でございますが、このたびやっと地元関係者の御了解をいただきましたので、私どもできるだけ早くやりたいということでございます。とりあえず五十枠のうち、これを二年間に分けてやらせていただこう、今年度はそのおおむね半分を使わさせていただこうと思っておりまして、これから具体的な手続を経るわけでございますが、本年の繁忙時期であります夏ダイヤから、具体的には大体二十日前後の土曜日ということでございまして、ことしは七月十八日実施を目途に考えたいと思っております。  実は昨日、関係航空会社から新規路線開設のための免許申請がなされたところでございます。
  55. 左近正男

    ○左近委員 それはどこの飛行場から入れさすのかと聞いているのです。
  56. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 具体的な路線でございますが、運輸審議会に諮問させていただきまして、北海道では釧路、女満別、帯広、それから沖縄で宮古、この四路線が新規開設路線でございます。それから、仙台と鹿児島の二路線につきましては増便という格好で実施いたすわけでございます。  これらの路線につきましては地元要望も大変強うございますが、需要の面からでも、将来も含めて相当旅客需要が見込まれる路線でございます。
  57. 左近正男

    ○左近委員 次に、関西国際新空港、今工事がやられております。この開港は、予定は大体言われておりますが、ほぼ確定しておりますか。
  58. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西国際空港につきましては、現在一生懸命工事をいたしておりますが、開港時期は再来年、平成六年の夏というふうに私ども考えております。  空港島の建設もでき上がりまして、約五百十一ヘクタールの用地も造成が終わりまして、現在は島内のターミナルビルとか私どもの管制塔庁舎を含めて施設面の工事に入らせていただいております。また、橋脚等につきましてもでき上がっておりまして、取りつけ部分の工事など全力を挙げて関空会社で実施いたしておりますので、再来年の夏という前提で今開港準備を急いでおるところでございます。
  59. 左近正男

    ○左近委員 この関空の工事について、事業規模は大体一兆円ということで当初出発したわけですが、今やこれは一兆四千三百億円と見積もりをかなり上回っているわけですね。この根本的な要因は何ですか。
  60. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生指摘のとおり、第一期計画全体の事業費が過去ではおおむね一兆円程度ということになったわけでございますが、その後、旅客ターミナルの整備あるいは地盤沈下対策等の要因がふえてまいりまして、実は平成三年度の予算編成過程におきまして一兆四千三百億円というふうに財政当局とも整理させていただいて現在に至っておるところでございます。
  61. 左近正男

    ○左近委員 車ほどさように、資金計画というのは非常に難しいし、また、これは大変大きな金が必要なのですね。関空の現在の経営目標、よく新聞では五、九、二十三という頭文字が出ているわけですね。五とは何やといったら、開港五年目で単年度黒字化をしていく、九年目で地方自治体なり出資企業への配当を開始する、二十三年目で借入金の全額返済をやっていく、こういうような計画を持っておるらしいですが、運輸省としてこんな計画が可能やと思われますか、どうですか。
  62. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生指摘の五、九、二十三という大変難しい数字が目標数値になっております。関空の事業計画上これを今変更するのは大変難しい問題でございまして、私どもとしては、開港までに必要な予算額が先ほど申し上げました一兆四千三百億というふうに増大いたしたわけでございますが、その中には、積極的に増収につながるような、例えば複合管理棟の建設等、増収につながるような施設増も入っておるわけでございまして、さらには今後の航空輸送需要の増大などを考えて増収対策を積極的に展開しながら、今後の運営についての経費節減も含めて、この努力目標を何とか達していきたいというのが現在の考えでございます。
  63. 左近正男

    ○左近委員 コーヒー一杯二千円にせにゃあかんと言われている。テナントのこれも物すごい金ですよ。やはり世間の常識に反するようなこういう増収対策をとってもだめだと私は思いますよ。その点もう少ししっかりした計画をしてもらわぬとうまくいかないと私は思うのです、これは要望ですが。  そこで、現在の大阪空港、これと経営を一体的にやったらどうか。現在の大阪空港はあらゆる面でペイしている状況だと僕は思うのですね。したがって、関空とこれを一体的な経営主体にしてやっていくということについて私は提起をいたしますが、運輸省はどういうようなお考えをお持ちでしょうか。私の考えはばかなことなのか、一考に値するのか、一遍お答えください。
  64. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 現在大阪国際空港は国の直轄空港でございます。関空は今第三セクターの民活会社でございますが、現在の伊丹空港につきましては、私ども空港特会から整備費を大変出しておりまして、全国航空利用者の負担によりまして整備されるいわば国の財産でございます。関空の方は、三大プロジェクトの推進によりまして空港整備事業費は急増しているために、特会の方、私どもは空港整備特別会計でございますが、特に羽田の沖合展開のためにも借入金を大変大きく受けておりまして、将来の航空利用者の負担によってこういったものは償還する必要が出てまいるわけでございます。  したがいまして、関西国際空港の今後の運営も含めて、これを一体的にやることについては全国航空利用者の利益を損なうということも考えられますので、今の御指摘については、十分勉強はしてまいりますけれども、当面は難しいのではないかなというふうに私は感じております。
  65. 左近正男

    ○左近委員 航空局長、大体第一種空港は全部国が責任を持つと法律にちゃんとなっておるわけですよね。一応成田が公団方式になった。今度関西国際空港は株式会社。私どもの党は、九年前にこの法案が出たときに反対したのです。なぜ反対したかといえば、第一種国際空港はやはり国が責任を持ってやらにゃあかんのや、それが何で会社方式にせにゃあかんのやというところがネックになって反対したわけですよね。地元では空港つくってくれということで、我が党も地元では賛成、ねじれ現象と言われたのですよ。  そんないろいろな思いがあるわけですが、やはりこれ、にっちもさっちもいかぬかったら、僕は知恵を出していく必要があるのじゃないかなと、こんな感じがするわけです。だから、きょうはそれ以上、勉強していただいて、またいつかの時点でやりたいと思いますが、これは率直なところうまいこといきませんよ。経営が。だから、もう少しあらゆる角度から一遍論議をしていただきたい、これは要望です。  そこで、第二期の工事ですね。全体構想について、大空整は平成三年から七年までですが、関空の問題について大体七年までにはどれぐらいのことをやろうとしておられるのですか。
  66. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西国際空港の全体構想につきましては、先般、昨年の十一月末の閣議決定の中の本文で特に言及をしていただきまして、私どもは積極的にこの調査を進めたいという意思表示を行わさせていただいたわけでございます。  それは、事業の健全な経営が一つと、それから円滑な実施を図るための措置につきまして本格調査関係者の間で具体的に確立する、こういう内容でございました。具体的には、今年度予算で、国費を含めて、関空会社と合わせまして三億五千万の予算措置をいただいておりまして、当面、まず地質調査を行う必要がございます。今年度は音波探査を実施するということで地元と今協議中でございまして、土質調査を本格的にやることによりましてこの五カ年計画の中で基本的な調査が完了するようにいたしたいと考えております。
  67. 左近正男

    ○左近委員 最近、地元ですが、関西国際空港全体構想推進懇談会というものがあって知事に答申をされておるのです。今関空の資金計画は、国が二、地方公共団体・民間が一と、あと七は借金、これを地元は、国が二出すのであれば一応地元も二体制に持っていこうというのが柱になっておるように私は思いますが、この答申、懇談会の考え方について運輸省としてはどういう反応をお持ちでしょうか。ああ、これであったら全体構想は前へ行くなあというんか、これでも地元はどうやとかいうんか、そこらはどうですか、航空局長。     〔今津委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま御指摘をいただきました全体構想推進懇談会、これは大阪の関西国際空港調査会の中に設置された懇談会でございますが、四月の終わりに提案が、今左近先生の御指摘の内容が出たわけでございます。  基本的な内容は、国と地元がいわゆるイコールパートナーという立場でこれから空港計画あるいは財源等につきまして協議を進めるという基本的な御提案でございます。地元が非常に熱心に御討議をいただいた貴重な提案だというふうに私ども考えております。私ども、これから六次空港整備五カ年計画の中で、そういったものも含めて勉強させていただこう、このように考えております。
  69. 左近正男

    ○左近委員 かなり前向きに評価をされているわけですが、私がこれから言うことについて、少し的外れかもわかりませんけれどもお聞きをいただきたいと思うのですね。  全体構想という前に、大体第二期工事、これは現在工事をやられている滑走路に平行してつくる、B滑走路と言われております、これを先行させていこう、その後全体構想の横風用の滑走路をつくったらどうかというような考え方らしいですが、この第二期工事だけでも一兆八千四百億円、二兆円近いお金が必要だ。場所が今よりも沖に行くわけですよね。ましてこの横風用の滑走路がかなり、今やられているのは水深二十メートルぐらいのところですが、それよりもかなり深いところに工事をしなければならない。C滑走路の建設なんてどれぐらいの金がかかるか見当もつかない。いずれにしても、全体構想をやるためにはこれから最低三兆円から四兆円の大きな金が必要なんですね。  こういうことを果たして今の株式会社方式の資金計画でできるのかどうか、私は無理じゃないかと思うのですよ。やはり関西国際空港は、国を挙げての大きなプロジェクトだと私は思うのですよ。関西の問題だけではないですよ。今、日本に二十四時間の国際空港はどこにありますか。そうであればもう少しやはりこの建設主体について国がもっと力を入れた対応をしなければ、何ぼ地元が今まで一割の負担であったものを二割にしますと言っても、これだけの資金調達は不可能ですよ。だからといって地元が熱意がないというように大蔵省なんかは受け取るわけですけれども、僕はそんなものではないと思うのですよね。  だから、もう少し発想を変えて二期工事、全体構想問題について取り組みをやっていかなければ、パンクしてしまう、今の会社方式では今回の一期工事が限界だ、私はこのように思いますが、いかがですか。
  70. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西国際空港は、民活の第一歩という格好で民活の株式会社方式になったわけでございますが、今の一期計画で、確かに採算的にも大変困難な状況がございます。  二期計画についてはこれから本格的な調査に入るわけでございますが、先生の御指摘のとおり二兆円近い事業費でございます。こういうことを考えた場合に、事業主体の問題についていろいろ御指摘があろうかと思いますが、基本的には二元的に関西会社で行うというふうなのが基本ではないかと思いますけれども、ただいま先生の御指摘の点も含めて、今後も十分検討してまいりたい、このように考えます。
  71. 左近正男

    ○左近委員 私は、地元の服部社長を初め皆さん方よくやっておると思いますよ。だから、それはそれとして、私は大きな立場から言っておるので、そこで私は一つの提起をこの際しておきたいと思うのです。  まず、今御答弁もありましたが、やはり財源的には国がもっと責任を持って経営主体の確立を やってもらいたい、これが一つ。もう一つは、土砂の埋め立てによる島方式は限界じゃないですか。今環境問題が言われているときに、今五百十一ヘクタール、これは全体では千二百ヘクタールになるのですね。これだけどこの山を崩して、大阪じゅう山は全部なしに、平野にしてしまうつもりですか。淡路島、海に沈めるつもりですか。それぐらいの大量の土砂が要るわけですよ、これから全体構想。私は、こういうことをやはり少し考え直してもらいたい。  だから、航空審議会では当初島方式にするか、浮体工法でいくか、二つの意見があったのですね。それを島方式を採用された。だから五百ヘクタールという立派な島ができたのだから、一応その島を基点にして、あとの部分については浮体工法に変更するとか、やはりそういうような形をとらなければ、私はこの土取りの場所の問題、あるいは環境の問題、そしてまた沈下の問題——今の関西新空港は深さが二十メートル、その下二十メートルが泥だ、沖積層だ。沖積層は沈下するけれども、その下の岩盤の洪積層は沈下しないというのが大体昔の土木学会の定説であったのです。ところがどうですか、今の関西新空港、沖積層の沈下については大体計算どおりだ、思わぬ洪積層、岩盤と言われている洪積層が極端に沈下をしたことによって今回の沈下問題が出たのでしょう。不等沈下の問題も心配ですよ。  だから、そこらの問題を考えたら、一応五百ヘクタールを基地にして、浮体的なものをつくることによって空港の拡張をやっていくというようなことをこの段階で考えるべきじゃないかなというのが私の意見なんです。これは私は思いついた意見じゃなしに、私、国会へ出てから九年目になります。関空の問題、ずっとどうなるのかなということを眺めながら今日までやってきたのです。これはもう僕は島方式でさらに拡張していくというのは無理だと思いますよ。その点、何か意見がございますか。また勉強ですか。
  72. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今の先生の詳しい御指摘がありましたとおり、関西国際空港建設段階におきまして、埋め立て方式があるいは浮体工法がという議論が大変なされまして、航空審議会の御答申の中ではこの埋め立て方式ということになったわけでございまして、当面私どもこれで進めておるわけでございます。  今後の具体的な建設問題については、まだ私ども結論を出しているわけでございませんが、基本的に今埋め立て方式を変更するという段階には至っていない、このように考えております。  今御指摘の浮体工法についても、貴重な御意見でございます。私どもも十分その御指摘を勘案しながら、今後の建設方式については勉強させていただきたいと思います。
  73. 左近正男

    ○左近委員 僕は、ともかく関西新空港を一日も早く開港してほしいし、全体構想を早く実現してほしい、しかし今のような形でやることにはかなり無理があるなどいう感じを持っておりますので、これは今後の問題としてひとつ検討をしていただくのであればありがたい、このように思います。  次に、身近な問題ですけれども、関西新空港がいよいよ再来年開港するわけですが、このACCT、通関の機能を持ったACCTについて、地方公共団体からここの場所を提供するからACCTの基地を置いてもらいたいというようなこと、要望がかなり来ていると思います。その辺どうでしょうか。  私は大阪出身ですが、大阪の南港の地にかなりの土地を確保しておるのですね。やはりそういうことについて、その土地を提供すると言っておるのだから非常にぐあいのいいことじゃないか、関空から海を、ちょっと船を出したらいいわけですから。そこらは今の状況はどんな形になっていますか。
  74. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま御指摘の大阪南港に国際航空貨物のターミナルを整備するということで、大蔵省の関税当局を中心に地元の勉強をさせていただいておるわけでございますが、現在の大阪国際空港の貨物地区の狭陸化対策という立場から、大阪南港の物流施設を活用して通関機能も付与するというふうなことで私ども承っておるところでございます。  関西国際空港では、通関とか検疫などの諸機能を含めまして、国際航空貨物の取り扱いにつきましては一元的に空港の中でできるような十分な施設は当面できるわけでございます。しかし、今後の問題として、成田の例を見ますように原木で通関関係もやらせていただける実績から考えれば、私ども、こういうものを排除することは適当でないし、今後の活動につきまして十分期待をしていきたい、このように考えております。  全体的な会社収支から考えますと、私どもできるだけ空港内で二元的にやれることが一番望ましいと思いますが、ただいま先生の御指摘の点についても十分機能的に可能であろう、このように考えております。
  75. 左近正男

    ○左近委員 ぜひひとつ前向きで御検討をお願いします。  次に、私どもせんだって社会党の関係議員で現地に行ったわけです。現地の、特に空港ができても扇風機の裏側になるという和歌山とか泉南地域の各首長さん方とも懇談をいたしましたら、空港島の南ルートの橋について非常に強い要望を私どもは受けたわけです。この交通量から見ればこれは十分可能だと思いますよ。しかし、保安上の問題、いろいろ災害等が起こった場合、やはり北ルートの橋だけで果たしていいんだろうか。私は、やはり南ルートの橋も必要じゃないかと思っておるのですが、この点について運輸省はどうお考えでしょうか。
  76. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今御指摘のとおり、関西空港と対岸を結ぶ道路をあわせた鉄道併用橋でございますけれども、私どもこれで当面のアクセス対策としては十分可能だろうというふうに判断し、また今先生も何とか対応できるだろうというふうな判断でございますが、この南側のルートにつきましては、地元から強い御要望を私ども直接お聞きいたしております。  当面はこの北ルートで十分対応できると思いますので、将来容量が相当ふえた場合でも対応能力もあろうかと思っております。しかし、こういった御要望でもございますので、当面の必要性は難しいと思いますが、今後の検討課題であるというように考えております。
  77. 左近正男

    ○左近委員 次に、関西国際空港の飛行ルートについてはほぼ作業が終わっているのでしょうか。いかがですか。
  78. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 飛行ルートの問題は、騒音対策との関係あるいは今後の航空路設定に伴う効率的な空港の運用問題を含めて、大変大事な問題でございます。  私ども、局内の関西国際空港開港推進連絡会議の中で、開港準備の重要なテーマといたしまして飛行経路を今精力的に勉強いたしておりまして、まだ結論を得るに至っておりませんが、その段階に至ればまず地元に十分お話をして進めさせていただこうと思っております。
  79. 左近正男

    ○左近委員 私は新聞記事だけの知識ですが、IATAの方では、コストの関係で海回りじゃなしに近畿の中央を回らせてくれというような要望が来ておるやに報道されております。やはり、何で関西新空港を陸から五キロ沖のところへつくったんかということをよう考えて運輸省、飛行ルートを設定してくださいよ。これだけはお願いしておきますよ。
  80. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 正式な飛行経路の決定に当たりましては、航空機の騒音による障害が住居地域に及ばないという基本的な考えを持っておりますので、十分そういったことを考えながら提案をして御理解を賜りたいと思っております。
  81. 左近正男

    ○左近委員 あなたが航空局長をかわってもちゃんと引き継いでおいてよ、それは。よろしいな。  次に、六空整で神戸なりびわこについては、何ですか、新規事業に位置づけられた。新規事業ではなしに何ですか、予定事業ですか。これ、新規に事業をやらせるためには、この六空整の期間 中、びわこなり神戸についてはどんな手続をして、どうしたら新規事業にさせてもらえるのですかね。
  82. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今度の六次空整の中で新しい形態として予定事業というものを入れさせていただきまして、対象空港は六つということに考えておりますが、これは空港の必要性は私どもとしては十分大事だというふうに認識をいたしております。  ただ、予定事業対象につきましてはいろいろな課題がございます。例えばびわこ空港について言えば、周辺の開発問題あるいは需要の確保の問題、神戸空港については近畿圏における空域制約のもとの運用あるいは埋め立てに伴う環境保全の問題、さらには事業費の若干割高問題、こういった課題を解決していただくべく今お願いをいたしておりまして、私どもは局内に検討委員会を既につくっておりまして、こういった問題を地元で勉強していただいた段階で、解決可能になった段階で十分ヒアリングをいたしまして新規事業に取り入れさせていただきます。その段階で、さらにこれから地元の用地買収なんかを含めまして、可能なところから新規採択になっていく、こういう段取りを考えております。
  83. 左近正男

    ○左近委員 この機会に、羽田の沖合展開の状況、成田の拡張の問題、特に成田は成田新法等いろいろ苦労されておる状況もあると思いますが、短い時間でよろしい、概括的に少し報告してください。
  84. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 まず、羽田の沖合展開事業でございます。現在、年間約三千八百万人程度のお客を扱っておりますが、一期計画は既に新A滑走路が完了して開業中でございます。二期計画といたしましてターミナル地区の整備を現在工事中で、来年の夏にはターミナル地区の整備が完了して開業いたしたい。ただ、滑走路の処理能力はその段階ではまだふえませんので、平成七年度中には新C滑走路を含めてこの五カ年計画の中で完了いたしたいというふうな段階でございます。  それから成田空港でございますが、五十三年開業以来大変な伸びで、今お客様が二千二百万人程度を超えて十二万回ぐらいの処理になっております。大した事故もなく推移いたしておりまして、早くこの五カ年計画の中で二期施設を完了させてもらいたいということで、現在、奥田運輸大臣あるいは佐藤政務次官みずから現地の公開シンポジウムにも御出席いただきまして平和的な話し合いを展開中でございまして、早期に御了解いただきながら空港整備を進めてまいりたいと考えております。
  85. 左近正男

    ○左近委員 大変御苦労があると思いますが、ひとつ頑張っていただきたいと思います。  航空関係、もうお立ちになっていただいて結構です。  次は、鉄道、バス関係について御質問します。  私は鉄道整備基金法のときにも大阪の外環状線、片福線の問題について質問をしました。特に片福線は今どういうような工事状況になっているのか御報告をいただきたいと思いますが、外環状線について、当時法案を出した大塚さん、きょう来ておられませんか、かなり前向きに取り組むということを答弁されているのです。議事録を見ていただければわかります。いつ前になるのか、後ろへ行っているのと違うかと思うぐらいでして、大阪の外環状線の問題について運輸省としてどういうところまでタッチされて指導しておられるのか、お聞きします。
  86. 井山嗣夫

    井山政府委員 御質問、二つあるかと存じます。一つは片福連絡線の工事の進捗状況でございますが、先生御承知のとおり非常に大事な線でございまして、京橋と尼崎間の十二キロでございます。工事の施行認可が平成元年にございまして、それ以降一生懸命やっております。先日ちょっと水が出た事故がございまして、地元に大変御迷惑をおかけしたのでございますが、今、六年度完成ということで工事を進めております。  現在の進捗状況でございますが、用地、必要な部分の約七割は取得済みでございます。それから工事の進捗率、これは計算の仕方が大変難しいのでございますが、一応工事費を支払った決算ベースの数字では予定額の約二割ということでございますので、一応工事工程上は今のところは順調にいっているというふうに考えております。  それからもう一つの大阪外環状線の話でございますが、確かに先国会か先々国会で当時の総括審議官から、運輸省でも、検討の促進それからその検討結果を踏まえ、答申どおりに整備されるように努力したいという御答弁を申し上げております。  現在は、大阪の地元でございますが、大阪府、大阪市、東大阪市それから守口市でございましょうか、そういう関係の公共団体、八尾も入っております、失礼いたしました、それとJR西日本が相当詰めた議論を今やっております。  何が議論になっているかと申し上げますと、やはり環状ルートにおける輸送需要がどれぐらい見込めるのか、それから、やった場合の投資採算性はどうなるか、それから、地元ではこの線ができましたらそれに合わせて駅前の整備とか関連都市計画一緒にやりたい、こういうお話もございます。それらを整合性をとりながらやらなければなりませんので、相当検討を続けております。私どもといたしましては、この線が先般の大阪の都市交通に関します運輸政策審議会の答申にもございますし、非常に大事な線だと思っております。西暦二〇〇五年までに整備することが適当であろうということになっておりますので、こういう地元での御検討をどんどん進めていただきまして、できるだけ早く工事に着手できるようJR西日本も含めまして指導していきたいと思っております。議論はかなり煮詰まりつつあるというふうに報告を受けております。
  87. 左近正男

    ○左近委員 もうちょっといろいろ質問したいから、それ以上やらぬけど、あなた、今答弁したのを責任持ちや。具体的に前へ進める段取りをしてくださいよ。よろしいか。局長、もう一遍答弁してください、それだったら。もう長い質問しないから。
  88. 井山嗣夫

    井山政府委員 私が聞いておりますのは今の状態でございますので、地元の御議論が詰まり次第、私どもとしても必要な対策はとっていきたいと思っております。
  89. 左近正男

    ○左近委員 もっと局長が前へ出てやらんかい、前へ、あなたがイニシアをとって。向こうから言われて対策するんじゃなしに、あなたがもっと前へ出なさいよ、この問題について。こないせい、こないせい言って、早うできるように。これはもう五十六年にあなた、工事認可を渡しておるねんで。そういうことが必要と違うかなあ。もうずっと僕、国会に出てきてからこれずうっとやっとんねんけんど、全然やないか。ごまかされてばっかしやないかい。次官、どうや。
  90. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)政府委員 左近先生の御質問をずっと聞いておりまして、本当に我々地元におりましてもそういう問題というのはいらいらするわけでありまして、やはり急がなきゃならないものは省が先頭に立っても進めていかなきゃならぬものと考えております。  これからいろいろまた局の中において御相談を受け、もし私が指導しなければならないことがあれば指導しながら、前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
  91. 左近正男

    ○左近委員 次官、頼むよ。あんたがもしいのうなったとき、うそ言うとったら出世しないよ。  次に僕は、この前の鉄道整備のときにも、いろいろ五カ年計画が非常に多い、だから鉄道もそういう計画を、空港整備五カ年計画港湾とかいろいろそういうような形で位置づけてやったらどうかという問題提起をさせてもらった記憶があるのですが、今度鉄道整備十カ年計画というものを運輸省としては策定していこうというようなことを聞いておるわけです。これはどういうような角度からやられるのか、その辺どうですか。もう詰まっているのですか、どうですか。
  92. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしまして、鉄道整備十カ年計画を つくるというところまで申し上げたことはないかと思うのですが、今私ども勉強しておりますのは、鉄道は、今先生御承知のとおり非常に役割が新たに見直されている。これを踏まえまして、二十一世紀に入ったときに鉄道整備がどうあるべきであるかということの議論を運輸政策審議会でただいまやっていただいておりまして、テーマとしては、二十一世紀に向けての中長期の鉄道整備に関する基本的考え方ということで、これに関する御議論を相当詰めてやっていただいておりまして、できればこの夏ぐらいまでにその考え方を示していただきたいということをお願いをしておるわけでございます。  ただ、そこでいわゆる十カ年計画というのか、そういうものを直接つくるかどうかにつきましてはいろいろ議論がございますが、ひとつ鉄道は道路、港湾のような五カ年計画と若干性格が異なりますことを御理解いただきたいと思います。  すなわち鉄道は、いわゆる民間セクターを中心とした整備主体でやっておるわけでございます。道路、港湾、空港というような公共団体あるいは国が直接整備主体となりましてやる場合と、その整備計画の拘束力といいましょうか、きつさといいましょうか、これが若干ニュアンスが違うということでございます。あくまでも私ども鉄道の場合は、今JRも民営化されましたが、民間セクターが自分なりの中長期の構想なり計画を持ってやっていくというのが原則だと思います。それを私どもが受けとめまして、ある形をつくっていくということになるだろうと思います。  そういう意味で、ただいま議論をいただいておりますところでは、そういう中長期計画の必要性はあるのかないのか、つくるとしたらだれがつくったらいいのか、それをつくりやすくするにはどういうような手だてを講じてやればいいのか、こういう議論を中心に今盛んに勉強しておるところでございます。
  93. 左近正男

    ○左近委員 またその状況があれば教えてください。  次に、公営地下鉄の補助の問題です。政府が当然しなきゃならない補助はまだ残っておるでしょう。何ぼ残っておるのですか。それで平成四年度は何ぼやったのか。
  94. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  地下鉄の補助でございますが、先生今おっしゃった繰り延べの方だけお話し申し上げますと、繰り延べは全部で百七十億まだ残っておると思います。これは先生よく御存じのとおり、平成二年の予算のときに非常に財源状況が苦しいということで、十年間に一部のものについて延べ払いをしております。  これにつきましては、私どももやはり早く返していただきたいということで、毎年度いわゆる繰り上げ、所定で十年分割しておりますが、それを少しずつ前倒しで返してもらうということでここ二年ほどやってきております。平成四年度予算におきましても、昨年も繰り上げをやりました結果、実は当初では所定の部分は九千万しかなかったのですが、これを七億四千万ほどプラスをいたしまして、これで繰り延べ回復をやっていく、こういうことで今予算を計上しているところでございます。  そういう意味で繰り延べにつきましては私ども大変気になっておるところでございまして、財政当局ともかなり激しいやりとりをしながら今やっておるところでございます。今後とも早期な繰り上げをやるように努力させていただきたいと思います。
  95. 左近正男

    ○左近委員 これはあんた、年間十億くらいずつ処理しておったら何年かかると思うの。もっとぱちっとやりいよ、やるべきことは。これを強く要望しておきますよ。お願いしますよ。  やっぱりあんたら、地方に対して偉そうなことを言うのやったら、あんた借金しておって、払うてやらんかいな。これ、払うてやらなあかんのやろう、地方に対して。あんた偉そうなことを言うのやったらな、つけるものつけて言えよ。頼みますよ。次官、これはどうや。
  96. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)政府委員 御指摘のとおり、当然努力すべきものと考えております。
  97. 左近正男

    ○左近委員 次に私は、この地下鉄の補助のやつ、十年が五年になり、建設当年度という形で、その面では運輸省もかなり努力をしていただいている点、敬意を表しますが、当年度方式になることによって、地方公共団体があの線建設してほしい、あの線してほしいといろいろとあると思うのです。今のヒアリングの状況はどうですか。それは、地方公共団体から出てきたやつについては大体工事を認めることが可能なのかどうか、その点いかがですか。
  98. 井山嗣夫

    井山政府委員 ただいま五年度の予算もございますので、公営の方々あるいは東京の場合は営団も含めますが、事務的に将来計画といいますか、これのお話を伺っております。  それで、大阪を初め幾つかのところから新線の構想がある、新線の建設をしたいという御希望があることは確かでございます。ただ、いろいろな中身を詰めてお聞きいたしますと、地元との調整、まさに地元との調整がまだちょっとできそうもない、あるいは建設計画といってもかなり具体性に乏しいというようなのがございまして、今後概算要求に向けてさらに細かく詰めさせていただきたいと思います。  今の時点で大丈夫だとかだめだと言うのは、ちょっといささか早うございますので、この程度にさせていただきます。
  99. 左近正男

    ○左近委員 環境整備ができたところは認めていくという理解でよろしいですね。そこではいと言うとったってあかんのや。マイク通さぬと議事録に出ない。
  100. 井山嗣夫

    井山政府委員 失礼いたしました。  私ども予算の枠ももちろんございますけれども、その中でできるだけ地元の便宜になるようにやらせていただきたいと思います。
  101. 左近正男

    ○左近委員 バス活性化委員会というのを各都道府県に設けよという通達を、自動車局長名で本年の二月二十四日付で出しているのですが、これは何をやるのですか。
  102. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  バス活性化委員会につきましては、バス活性化のために地方の運輸局とか陸運支局とか警察関係者、あるいは道路関係者それから地方公共団体等のいわゆる関係の行政機関の連携を密にするというような考え方で各都道府県ごとに設置したわけでございます。先生指摘のとおり、ことしの二月にこの関係の通達を発出いたしておりまして、現在逐次設置に向けて準備を進めているところでございます。  具体的には、先生御存じのとおり特に都市部にはまだまだバスの潜在的な需要は相当あるわけでございまして、サービスの改善等によりましてバスを魅力的なものにしていくことによりまして、より多くの人がバスを利用することができるようになるというふうに考えられるわけでございます。そういうことから今後関係機関が定期的に集まりまして、走行環境の改善方策等につきまして協議いたしまして、バスの活性化を図っていこうというものでございます。
  103. 左近正男

    ○左近委員 僕は、その活性化委員会の中へ公営交通の組合の代表を入れてやってほしい。これは今知恵を出していろいろやっておるわけだから、そういう意見も太いに、ただで聞けるのだからやってほしい。これは約束できますか。各地方へ通達してください。
  104. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  バス活性化委員会につきましては、バス交通活性化についての行政の円滑な遂行ということのために、先ほど申し上げましたとおり公的な機関の連絡調整の場ということで、私どもが音頭をとりまして各公共的な機関に協力していただくという形で設置したわけでございます。  したがいまして、構成員として参加していただくかどうか、そこら辺の問題があろうかと思いますが、この委員会の場で労働者の意見を聞くとか関係する利用者の意見を聞くとかというようなことを考えているわけでございまして、組合代表の 方もそのような形で御参加いただくことになろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  105. 左近正男

    ○左近委員 こんなことで、何で入れたらあかんのや。そこら、あなたちょっとおかしい。もう一遍御答弁願いたい。
  106. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもは、実はこの場につきましては、関係行政機関にバス行政に協力していただきたいということで引っ張り出して入ってもらったわけでございます。そういう意味で、私どもの一存だけでははっきりしたことを申せませんが、先生のせっかくの御指摘でございますので、できるだけ組合の方が中へ入って御意見が出せるように努力してみたいと考えます。
  107. 左近正男

    ○左近委員 どうもありがとうございます。  そこで、最近公害の問題が非常に出ておるわけですね。環境問題。今までは固定発生源が環境問題の大きな要因でしたが、近年は移動発生源、やはり自動車の問題にメスを入れぬ限りなかなか公害問題、環境問題が片づかない。NOxの問題、この点について、低公害のバスなんかについては各地方公共団体はいろいろなことをやっていますが、国としても大胆に補助金を出したり、もっとどんと広がるような手だてを運輸省としてもやるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  108. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 自動車に関連する環境問題につきまして、運輸省は前向きに取り組んでいるわけでございます。先般のNOx対策法につきましても、私どもとしては環境庁と一緒になって法案の立案をしたつもりでございます。  そこで、具体的にそういうバスについての助成をどうやっていくかという問題でございます。特に低公害車を利用するということ、これはぜひとも必要なことでございまして、私どもは、一つは自動車税あるいは自動車取得税の軽減措置を講ずるということで従来からやってきておるわけでございますが、今後さらに低公害車の普及を図るということでこの措置を前広に検討してまいる所存でございます。  さらに、先生指摘のとおり補助の問題があるわけでございますが、バス事業への低公害車の導入の問題につきまして、実は平成三年度予算におきましてバス活性化システム整備費等補助金制度によりまして、この中で先駆的事業というものに対する補助の仕組みがあるわけでございます。この制度の中でディーゼル電気ハイブリッドバスによる路線バスの事業に対しまして所要の助成を行ったところでございます。  今後他の方式によります低公害車の路線バスにつきましても、事業者が同様の補助の適用を希望するというような場合には、積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  109. 左近正男

    ○左近委員 ひとつ前向きでお願いします。  きょうは通産省の基礎産業局の鷲見オゾン層保護対策室長においでいただいておりますが、このフロンガスの問題、これはいつまでに国際的に全廃しなければならぬというのですか。二〇〇〇年までですか。そんなような時期で、もう期間もないのに、フロンガス問題に対して国としてはどんな対策をしていますか。
  110. 鷲見良彦

    ○鷲見説明員 フロンガス等オゾン層を破壊する化学物質につきましては、一九八八年にオゾン層保護法を制定いたしまして、特定フロン等の生産規制を実施しておるところでございます。  フロン等の全廃時期がいつになるかということにつきましては、現在のモントリオール議定書では二〇〇〇年ということになっておりますけれども、現在モントリオール議定書の作業部会で全廃時期の前倒しの可能性について議論が行われておりまして、ことし十一月、モントリオール議定書の締約国会合におきまして、原則一九九六年に全廃の線で合意に至る可能性が大きくなっておるところでございます。  これを受けまして、去る五月十二日、通産大臣から特定フロン等の主要ユーザー団体に対しまして、一九九六年全廃の方向でユーザーとして削減努力をしてほしいということを要請したところでございます。  国といたしましても、技術開発、それから情報提供の推進、必要に応じまして金融支援等の助成施策の活用、充実、こういう面で施策の充実を図っていくことが重要であるというふうに考えておるところでございます。
  111. 左近正男

    ○左近委員 そんな抽象的なことではこれはなかなか難しいですね。特に、具体的にバスなんかの冷房も僕はフロンを使っていると思いますので、ここらについて技術的な開発なりなんなりは、運輸省の方は力を入れているのですか、どうなんですか。ここらはどういう考え方をお持ちですか。
  112. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  冷房の媒体としてフロンガスを使う場合には、どちらかというとメーカーのサイドで必要な対策をやっていただいておりまして、その面の対応を踏まえて私どもとしては行政をやっているところでございます。
  113. 左近正男

    ○左近委員 運輸省関係ないんやな。
  114. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 そういうメーカーサイドの対応を踏まえて、私どもとしてはユーザーとして適切な利用の仕方を講じていくということになろうかと思います。
  115. 左近正男

    ○左近委員 運輸省はユーザーか。
  116. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 どちらかといいますと、つくる方のサイドとの関係でいきますと、使う方の立場で物を考えていくということになろうかと思います。
  117. 左近正男

    ○左近委員 あなた、そんなこと言っておるからだめなんだ。あなたがメーカーにきちっと国の方針をさせなければあかんのじゃないか。だから、運輸省は業者と癒着していると言われるのだ。今のお話では、二〇〇〇年が一九九六年ですか、前倒しになる。もう期間ないでしょう。そこらはもう少しあなた、主体的に運輸省はやってもらわぬとだめよ。メーカーのフォローをするだけではだめよ、こんな問題。もうそれ以上は言わないけれども。あなた人がいいのだ。答弁にそのまま出るのだ。もうちょっときちっとしなさいよ。  次に、僕は、公営バスの問題、もう余り詳しいことを言いませんが、例えば山口市が経営している、地方公共団体がやっている山口市の交通局、非常に経営ができなくて、ベースアップも三年間ストップ、五十二歳以上の人は全部やめてもらうとか、物すごい思い切ったことを、労働組合も協力をして今事業存続をやっておる。これは、中国の三原の交通も同じような状況。今これから高齢化社会になっていったら、マイカーだけに頼っておったのでは住民の足は確保できないのです。だから、やはり大量の公共交通機関をきっしりと国としても位置づけてあげんとあかんと私は思うのです。  僕も出身だから言うわけじゃないけれども、本当に涙の出るぐらいの、都市交通の各組合は、これが経営者か、立場が逆と違うかと思うぐらいのことを組合員に協力をさせて事業の存続をさせているのです。こういう状況について、もっと運輸省も、国も目を向けてもらって何らかの措置をしてあげぬと、もう中都市なんかの住民の足が確保できない。マイカーだけではできないのです。だから、そこらはひとつ真剣に考えてほしい。そのために私は、バスの運営費の補助というものを運輸省は踏み込んでもらいたい。  例えば、私は大阪市の出身ですが、三百億ぐらいの収入で、さらに五十億ぐらいの一般会計からの運営費補助をやっておるのです。もうやらんとならぬのです。だからこれは、地方公共団体も市営なんかやらなければならぬと思いますが、国もちょっとお手伝いをしてあげるべき時期じゃないかな、僕はこんな感じがするわけです。  この公営交通のバスの運営費補助について、あなた方の方で、もうそんなばかなことを言うなということになるのか、私の今言ったことをちょっとは胸にこたえていただけるのか、いかがですか。
  118. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 先生から私どもの行政に対する バックアップの言葉をいただいたわけでございまして、大変ありがたく思っているわけでございます。  ただ、現行の補助制度に加えて新たな運営費補助の制度を創設することについては、大変厳しい財政状況を考えますと、難しい問題ではないかと思っております。  ただ、こういう公営のバスについて、智恵を絞っていろいろなことをやっていくということが私どもとしては必要ではないかと思っております。特に現実的な対応といたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、都市圏におけるバス事業につきましては潜在的な需要が見込まれるわけでございますので、私どもは、走行環境の改善などの措置を講ずることによりましてバス事業を魅力あるものにしていく、そしてバスの利用を促進することによってバスの経営を改善するというようなことが必要ではないかと思っておりまして、そういう面の積極的な協力は、現実的な対応としてやってまいりたいと思っております。  これにつきましては、先ほどお話ししましたとおり、運輸省だけではなくて、ほかの役所にも御協力いただかなければならない問題であるというふうに思っておりまして、それは地方レベルの話は先ほどいたしましたが、それとあわせて中央レベルにおきましても関係各省の連絡会を設置しまして、御協力を得ながら対応してまいりたいというふうに私どもは思っているわけでございます。  それからもう一つ。先ほどちょっと話題にしましたが、バス活性化システム整備費等補助金、これは現在制度としてあるわけでございますけれども、これをうまく使ってバス利用を促進して、より一層効率的なものにしていくというふうなことができればというふうに思っております。  それから、これは主として都市部の話を私は申し上げたわけでございますが、過疎地域を運営する地方のバスについてでございますけれども、これにつきましては、民営、公営の区別なく、現在の地方バス運営費補助制度というものに基づく補助が行われているわけでございます。これをうまく活用していきたいというふうに思っております。  このように、先生の御指摘の趣旨を体しまして、新しい補助制度を創設というところまではなかなか簡単にいかないと思いますが、公営バスの経営改善のためにいろいろ知恵を絞って、できるだけの支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  119. 左近正男

    ○左近委員 ひとつよろしくお願いをいたします。  通産省、もう結構です。お忙しいところ、どうもありがとうございました。  次に、許認可の問題、権限の地方移譲の問題について私の考え方を少し申し上げておきたいと思います。  国の許認可事項というのは、私は数えたことはありませんが、大体一万件ぐらいある、こういうことを言われておるのです。その中で運輸省が一番多い。二千件近く運輸省関係する許認可事項があるんじゃないか。こういうところにいろいろと問題が出ておるんだと思いますが、きょうは私は、許認可の中で、基本的な許認可についてはやはり運輸省は当然持つべきだ、しかし、重箱の隅をつつくようなことまで大臣なり届け出なりというのはこの際もう少し整理をすべきではないか、僕はこういうように思っております。  その一つとして、例えば地方公共団体の料金問題、バスの料金なんか、これは例えば大阪であれば大阪の市議会で十分いろいろな角度から論議をして出てきているわけです。それを、運輸大臣の認可がなければだめだ。僕は、それはもう届け出でいいんじゃないか。それだけ地方自治体の議会というリトマスをくぐってきているものについては届け出でいい。バス路線の新設なり事業計画の変更、これも運輸大臣の認可。これも届け出でいいんじゃないか。起終点の終発、始発の時刻の変更、これまで届け出ろとあなたのところで言っておるわけだ。こんなもの届け出要らぬのと違うの。  だから、運輸省が持っている二千件近い許認可事項を一遍洗い直してくださいよ。僕は具体的な公営バスの問題について今提起をいたしましたが、こういうことについては一考を要するんじゃないか、私はこのように思いますが、いかがですか。
  120. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 バス事業につきましては、道路運送法に基づきまして、路線の免許とか運賃の認可等を初めといたします規制が設けられているわけでございます。これに対します行政は、他の交通機関との関係等を踏まえながら広域的な観点から推進する必要があるわけでございます。  今先生、公営バスについておっしゃいましたが、他の民営事業者との調整の問題もあるわけでございまして、そういう意味で、運輸省においてその行政を行うことが適当ではないかと思っておるわけでございます。  ただ、公営事業者につきましては、先生指摘のとおり、運賃について地方議会の議決を得るというふうなこともあるわけでございまして、そういう意味で住民の意向が反映されている面があるわけでございます。そのような実態を踏まえまして、公営バスに対する事務の処理に当たりまして今後とも迅速化を図ってまいりたいと考えております。  さらに、先生具体的な運用の問題として、細かい事項について、不必要な部分があるのではないか、公営バスに限らず、一般的に許認可で細々したところを不必要にチェックしているのじゃないかという御指摘がございましたが、私どもはこういう具体的な運用の問題につきましては絶えず見直してきているつもりでございますけれども、せっかくの先生め御指摘ございましたので、そういう免許制の細かい運用の問題について、これでいいのかどうか、さらに勉強してみたいと思います。
  121. 左近正男

    ○左近委員 ひとつよろしくお願いします。  次はハイ・タクの問題で、これは私、党のハイ・タクの特別対策委員会委員長をやっておるわけでございまして、その事務局長が常松さんで、後ほどかなり時間をかけてハイ・タク関係をやられると思いますので、基本の問題だけひとつ御答弁をいただきたい。  今回の運賃の値上げ、私どももやむを得ないと判断をしております。したがって、やはり賃金、労働時間の問題、また、お客さんとの関係、この三本柱についてはこれからも運輸省は厳しくきっしり業者も監督をして、改善のできるようにひとつやっていただきたいと思います。  そこで、今行革審なんかでタクシー運賃の多様化の問題等々いろいろ出ているのですが、私は、運輸省の許認可の中で一番大事な事項としては、同一地域同一連賃の問題だと思うのです。今八十三あるこの運賃区間を全部自由にしてしまったらどういうことになるか。乗客なり市民、国民に対して非常に混乱をもたらすと私は思います。私は、ぜひとも同一地域同一運賃はあくまでも堅持をしてもらいたい。これに対して運輸省はどういう立場をとっておられるのか、今後ともどうとるのか、運輸省の統一的な見解をこの機会に聞かせておいていただきたいと思います。
  122. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)政府委員 お答えをさせていただきます。  同一地域同一運賃の原則は、運輸省が利用者の利便を確保する観点から長年にわたって行政方針としておるものであり、利用者が安心してタクシーを利用できる環境を維持するため、今後とも基本的にはこの原則は必要であると考えております。
  123. 左近正男

    ○左近委員 それでひとついっていただきたいと思います。  次に、信楽の事故の問題ですが、原因は何だったのですか。一年たってまだわからないのか、いかがでしょう。これからは短く答弁してください。
  124. 井山嗣夫

    井山政府委員 はい、わかりました。  大変おくれておりまして申しわけございませんが、原因は何かと言われますと、ここの委員会でも時々申し上げておりますが、信楽高原鉄道が赤信号のまま出してしまったというのが原因だと私どもは推定しております。ただ、そこに信号機のシステムが何か関係をしていたのではないかということが疑問でございます。  そこで、私どもはそれも含めまして今原因究明を一生懸命やっておるところでございます。大変難しいテーマでございますので、専門家のお知恵もかりて今最後の詰めをやらせていただいているところでございます。おくれております。
  125. 左近正男

    ○左近委員 きょうはこの問題で突っ込んでやる時間がもうありません。去年の五月十四日でございました。一年がたちまして、四十二名の方々のさらなる御冥福をお祈りをし、六百十四名という大勢の方々がけがをされたわけでございますが、ともかくも一年たってまだ事故原因がわからない、こんなことがあるか、単純な路線で。僕はもう早急にやはり事故の原因の究明に努力をしていただきたい。  私は最近そこを通りましたが、車両については事故原因が判明するまで保存されるという理解をしておりますが、よろしいか。
  126. 井山嗣夫

    井山政府委員 滋賀県警の方から両社に対しまして、もう不必要なので返すというのが昨年十二月にございましたが、両社では遺族の会の方々のお気持ちを察しまして、少なくとも警察の捜査結果といいますか、これが明らかになるまでは保存いたします、その後の処理については遺族会の方々と御連絡の上やります、こういうことになっております。
  127. 左近正男

    ○左近委員 少なくとも事故原因が判明するまでやはり車両は保存すべきだと僕は思いますが、運輸省もその立場をとっていただけますか、どうですか。
  128. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  私どもとしては、車両自体は事故原因の直接の資料としては今のところは必要ないと考えておりますが、まさに遺族の方々のお気持ちもございますし、やはり当然に置いておくべきだろうと思って、そのように指導いたします。
  129. 左近正男

    ○左近委員 そういうようにお願いします。  そこで、補償の話し合いはどうなっていますか。もう大体済みましたか。
  130. 井山嗣夫

    井山政府委員 補償につきまして簡単に申し上げますと、亡くなった方四十二名、職員が五名おりますので三十七名の方がいわゆる御遺族でございますが、そのうち五名の方としかまだ示談が成立しておりません。負傷された方については六百十四名いらっしゃいますが、四百三十二名の方と一応示談を成立させていただいております。
  131. 左近正男

    ○左近委員 一日も早くひとつ話し合いをしてほしい。遺族会ができてその弁護団もおられるのでしょう。だから運輸省も見ているだけじゃなしに、当事者、JRと信楽の方に適切なアドバイスを私はしていただきたい、これは要望しておきます。  次に、事故の関係ですが、この五月六日に起こったJR東海の「のぞみ」型の三〇〇系の問題です。原因は何ですか。
  132. 井山嗣夫

    井山政府委員 五月六日に「のぞみ」の故障によりまして、皆さんに多大の御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げたいと思います。  私どもとしては、早速JR東海、それから関連いたします車両メーカーの川崎重工に対しまして事故原因を至急究明しろということで、鉄道総合技術研究所というのがございますが、その三者で実験などを交えまして調査をいたしました。現時点までの調査結果によりますと、原因は次のように考えております。  一つは、台車につけておりますモーターでございますが、これが上にボルト二本、下の方にボルト二本、計四本でとめております。これをモーターを持ってきて取りつけるときに、そのモーターの取りつけ部にかなりのペイントを塗ってあった。これが非常に厚いといいましょうか、かつ乾燥がどうも不十分であったのではないかと思われます。それをそのまま台車に取りつけましたために、だんだん乾燥する。それから、電車は走っておりますので、その関係でだんだんと上の取りつけボルトに緩みが少しずつ出てきた。これが走っているうちに緩みが進行いたしまして、脱落した。  そうしますと、上が抜けますと、当然、下で支えておりますが、その下の方も振動でもって要するに揺すられるわけでございます。そのうちに下の取りつけボルト一本がどうも抜けたのではないか。残る一本はねじ切れたといいますか、切断をした、こういうことでございます。その結果、モーターとその駆動装置とをつなぐ歯車型のたわみ軸継ぎ手というのがあるそうでございますが、これが脱落をした。ぽんと落ちまして、それがブレーキホースを切った、こういうことのように考えております。
  133. 左近正男

    ○左近委員 話にならぬ。きょうはもう時間がないのですが、これだけで一時間ぐらいやった方がいいと思います。また別の方がやられるかもわかりませんが、ともかく、最近新幹線の事故は多いように見受けるのですね。  去年の九月三十日のものなんかも、私はこの内容を「アエラ」で見たら、これはもう非常に深刻な内容だと私は思いますね。だから今回の問題も、やはりどこに原因があったのか、今言われるようなことを何で事前にチェックできなかったのか、ここが問題でしょう。  国鉄時代は新車検査室というのがあって、やはり車両をつくるときにメーカーときっしりした検修体制をやっておった。こんなものは民間でも公営でも今でもやっていますよ。それを新しいJRは全部廃止をして、メーカーに全部責任のある受け取り体制にした。やはりここに——今の新幹線なんというのは物すごいハイテク機器ですよ。外から見てそんなのわかりますか。やはりきっしりした工程に基づいた途中検修体制、検査体制をとらなあかんのじゃないですか。ここに今回の事故の原因があるのですよ。やはりそういう構造的なものをきっしり改善しなければ、第二、第三の「のぞみ」事故が起こる、私はこのように思いますよ。  その点について、監督する運輸省は、ただ単にペンキが厚かったとか、そんな子供みたいなことを言いなさんな。それなら何でそのボルトにボルトどめがついてなかったのだ。ボルトどめがついておったら、ペンキが分厚かろうとちゃんととまっておるだろう。そこら、あなた方のやっていることは余りに幼稚なんだ。もう少し、一つのピラミッドをつくったような形をやらす必要があるのじゃないですか。これだけ高速の電車が走っている。まず安全じゃないですか。まず安全。やはりこれをもう少しきしっと位置づけてくださいよ。
  134. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生のただいまの御指摘、まことにそのとおりだと思います。まず安全ということが我々の行政の基本姿勢でなければいかぬということは、十分わかっております。  ただ、今回の事故につきましては、非常に残念なことに、先ほど先生指摘のようないわゆる途中のチェックといいましょうか、これはおっしゃるとおりJR東海が行っておりません。いろいろな経緯があるようでございますが、いずれにしましても他社では、例えば途中の段階で生産管理システムがきちんと行われているかどうかのチェックに入っているという例もございます。  そういうことも含めまして、JR東海は今後品質管理につきまして、例えばメーカーへの立ち入りといいましょうか立ち会いをやるとか、それからこれはモーターをつくった方の塗装の問題もございますので、そういう部品メーカーの方の品質管理の問題、それから新車を受け取るときの安全確認といいますか、この体制を至急つくるべく、今東海でも社内で大わらわで検討しておるところでございます。私ども十分指導いたしまして、こういうことが二度とないようにさせたいと思います。
  135. 左近正男

    ○左近委員 私は、機構をきっしりしてほしい、 それを運輸省頼みますよ。  もう一つ、もう時間がないので要望だけしておきますが、やはりこれだけ速い電車が走ったら騒音も非常に強くなっていますね。新幹線の場合、騒音も少し手抜かりがあるんじゃないかなと思いますので、これは要望しておきますから、きっしりまたやってください。  次に、佐川の問題で少しだけ触れておきます。  この保証債務の残額が五千二百九億円、回収不能の見込み額が三千六百九億円ということですが、今、佐川問題は世間の注目の的なんですね。黒い霧がかかっておる。やはりこの問題を明確にせぬと、あなた方、この何カ月かほかの合併よりも時間をかけたと言いますが、そういう霧を晴らしてから中核六社の合併問題について運輸省としては結論を出すべきではなかったか、私はそう思いますよ。なぜそういうような霧を晴らさぬとあなた方は合併を認可したのか、その理由は何ですか、
  136. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 佐川急便の合併問題につきまして、先生指摘のとおり、今回認可をいたしたわけでございます。これは、貨物自動車運送事業法及び平成二年八月の局長通達、この各審査項目ごとの審査を行って、それで基準に合格しているということを判断して認可したものでございます。  先生、具体的に財務面につきましてお話があったわけでございます。私どもは、先生指摘のような多額の保証債務等を抱えておりますが、長期的な収支見込みあるいは取引銀行の支援体制等から事業継続が可能であるというふうに判断して認可いたしたものでございます。
  137. 左近正男

    ○左近委員 法律はどうか知らぬけれども、やはり今世間がこれだけ騒いでいるやつを、疑惑も明確にならぬと、事業形態だけとんとんと行くことについては、私は不信を覚えますよ。  そこで、この五千二百九億円の債務残額、その中で回収不能なのが三千六百九億円ですね。これは全部新しい佐川の会社が支払わなあかんわけでしょう。この三千六百九億円の内訳を明確にしてください。
  138. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 先生指摘のとおり、新会社の負担となりますのは、合計五千二百九億円のうちの三千六百九億円でございます。  この債務者別内訳につきまして、財務面の審査に当たりまして佐川急便側から提出を私どもは受けております。しかしながら、個々の債務者につきましては、佐川急便側から部外秘ということで提出されたものでございますし、第三者のプライバシー保護の問題ということもございますので、私どもは、これにつきましては具体的な名前を挙げて内訳を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、保証債務を分類して若干いろいろお話をさせていただきたいと思います。  まず、保証債務の総額が五千二百九億円でございますが、これを債務者の数でいきますと八十七でございました。それで、この五千二百九億円のうち、債務者が全額返済するというものが債務者の数で二十一でございまして、額といたしまして三百五十六億円でございました。  また、債務者による債務の履行または債務者の資産処分によりまして債務の一部が返済される、そして残りは新会社が負担するというようなものが債務者の数で二十四でございまして、額で四千五十五億円でございました。  さらに、債務者による債務の履行も債務者の資産処分も全く見込めない、新会社が債務の全額を負担するというようなものが債務者の数で四十二でございまして、額として七百九十八億円でございました。  それからまた、この保証債務の五千二百九億のうち新会社が負担することになる三千六百九億の債務者の数でございますが、六十六でございました。  それからさらに、これを大きな額について見ますと、例えば一債務者当たりの保証債務の額が百億円以上のものに限って数字を見ますと、保証債務の総額は四千百六十二億円で、債務者の数が十八でございました。このうち新会社が負担することとなるものが二千八百八十九億円で、債務者の数は十七というふうになりました。  一応の分類に従ってお話を申し上げたわけでございますが、他の分類による数字が必要であれば、整理してまたお話をさせていただきたいと思います回
  139. 左近正男

    ○左近委員 もう時間が来ましたのであれですが、三千六百九億円のうち六十六社が払わぬわけですね。こういうものについてはっきりした名前を何で公表できないのか。非常に不満ですよ。これはまた引き続いていろいろな形でやっていくことになるだろうと思います。  最後の質問ですが、今PKOの問題で、きょうも運輸大臣が来れなかったのも、参議院のPKOの委員会があるということでやむを得ないが、私どもの党は、自衛隊を伴った形での海外への派遣、派兵は絶対に認めない、いかなる形であっても認めないという考え方でございます。その上に立って、運輸大臣はカンボジア議連の会長をやっておられますが、私もせんだって議連からカンボジアに行ってまいりました。シアヌークさんにもお会いをし、カンボジアが今何を求めておるかということについても現地でよく勉強してきたわけであります。  そこで、運輸省の管轄の中でやれることはたくさんあるわけですよ。例えば難民を輸送するルートについては、もう大体地雷が除去されて安全なルートなんです。そこにバスを提供し、人も提供して、タイの国境におる三十七万人からの難民の方々輸送を日本がお手伝いをしていく、あるいはプノンペンの町の真ん中にメコン川があるわけですが、戦争によってもう全然しゅんせつもされておらないから船の行き来もできない、こういうようなところのしゅんせつを運輸省はお手伝いをするとか、運輸省というのは窓口がかなり広い権限を持っておられて非常に優秀なスタッフがたくさんおられる、やはりそういうものをカンボジアの今の困っている状況に対して、まあPKO問題はさておいて、当面何らかの形でやれることがたくさんあるんじゃないか。  現地ではNGOの方々が非常に苦労して自動車の修理なんかをやっておられるわけですよね。政府ももう少しああいうことに目を向けていただければ、ああ、やっぱり国もそういう文民の問題でかなりのことができるなということがわかっていただけると私は思うのですが、特に運輸省関係する、具体的にはカンボジアの難民の輸送、メコシ川のしゅんせつ、こういうことについてあなた方は手助けをするような気があるのかないのか、これは次官、御答弁願います。
  140. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)政府委員 お答えさせていただきます。  PKO法案はさておいてと言わずに、どうぞひとつ積極的な御協力をまずお願い申し上げたいと思います。  本年の八月に運輸分野におきますところの公益法人であります社団法人海外運輸コンサルタンツ協会からカンボジアに対して調査団を派遣いたしまして、このたび先生などがおいでになって具体的に調査をしたものを、さらに運輸関係のインフラの整備に関する調査を行わせたい、こう考えております。  御承知のとおり、復興の第一原則は、やはり人が交流し経済の物資が交流し合わなければならないということでありますから、港湾鉄道、空港等の運輸関係のインフラに対して私ども運輸省がかかわり合いを持つことは大変多うございます。ただし、予算等々の問題につきましては外務省、ODA等との関係もございまして、そういう意味から積極的に復興に対して協力できる指針を我々が調査段階において提案を申し上げ、御協力を申し上げる次第でございます。
  141. 久間章生

    久間委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  142. 久間章生

    久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関山信之君。
  143. 関山信之

    ○関山委員 きょう私は、環日本海時代、最近脚光を浴びて、大変マスコミやあるいはさまざまな学者の間でも新しいこの経済圏の構想をめぐって御議論が活発なわけでありますけれども、既に環日本海時代は議論の段階を終わったようでありまして、この地域の新しい経済の発展の可能性は一挙に現実性を帯びてきた、こういう状況に入ってきたのだろうと思います。ちなみに、先般私ども地元の新聞がことしの各省庁の環日本海圏に関するさまざまな事業の取りまとめをやっておりますが、その関係するところは十二省庁、この記事の中で取り扱われているだけでも二十数事業ということになっておるわけでございまして、まさにある一つの時代を迎えたかなという感じがいたします。  私、きょうはこの環日本海時代を迎えての運輸省の環日本海圏に向けた政策について主としてお伺いをいたしていくつもりでございますけれども、少し最初に能書きを申し上げさせていただきますと、環日本海という言葉が使われ始めたのは、私どもの経験ではかなり古い、昭和四十年代あたりからそういう言葉あるいはそういう構想のようなものの萌芽的な議論は始まっているわけです。しかし、御承知のとおりさまざまな政治的な制約があって、この問題は絶えず夢として語られてきたわけでありますけれども、御承知のとおり八九年の米ソの和解、冷戦構造の崩壊に伴って申し上げたような事態の展開が進んでいるのだろうと思います。  冷戦構造の終結は、同時に経済の構造変化をもたらしておるわけでございまして、グローバリゼーション、ボーダーレスの時代と言われてさまざまな動きが出てきておるわけでございますけれども、実は私、冒頭大臣に、環日本海時代における日本海側の諸地域、つまり、従来は裏日本と言われていささか、何といいましょうか、ある種の侮べつ感をその言葉の中に感じながらさまざまな政治の課題に取り組んできた、私も新潟でございますし大臣も石川県でございますが、その地域の位置づけをどのように押さえていくのかということについて、実は基本的な御認識を承っておきたいわけでございます。  それがどういう意味がと申しますと、申し上げましたような新しい状況の中での経済の流れというのは、アメリカ、ヨーロッパ、アジアという三極構造、そしてその中での新しい国家間のブロック化の流れにも通じかねないさまざまな動きや構想があることは御承知のとおりでありまして、既にECは経済統合から政治統合へ進もうとしているわけですし、一方、アジアにおきましてもEAEG、マハティール構想といったようなものがございますし、また、そこを切ってはならじというのでNAFTA、北米自由貿易連合といったようなものも具体的に議論をされているような状況にあるわけでございます。  もちろん、こういう地域経済圏というのは、そういう国民経済というものが成立している以上、そういう国家間の関係というものを抜きにして成立することはないわけでありますけれども、しかし、今私どもの周辺で起きておりますのは、そういうナショナルな枠組みを超えて一つの地域がさまざまな経済圏を構想し始めている。  ちなみに、ざっと私どもが承知をしているだけでも、アジアにおいては、これは大臣も御承知のとおりでありますが、華南経済圏、香港と広州、あるいは海峡経済圏、台湾と福建省、あるいは上海経済圏、それから黄海経済圏、あるいは中ソの間の国境経済圏、北海道と北方領土を含むあちらの方の関係は北方経済圏といったようなのがございまして、その中に環日本海圏というものが大きく位置づけられているのだろうというふうに思うわけでございます。  申し上げたいことは、一つは、やはりそういう国境を越えた新しい経済圏の流れというものが一つある。そういう全体の枠組みからすれば、やはり日本は細長い列島でございまして、一つの国家的な枠組みの中でこういう経済圏と対応していくことになるのでありましょうけれども、しかし私は、その中になお、日本海経済圏と言った場合に、環日本海と言った場合に、最初に申し上げましたような日本海に面する沿岸諸県、諸地域、これが我々がさまざまなこれから政策的な展開あるいは外交的な折衝をする場合に、国内における位置づけとしてはそこをやはりベースにするということをぴちっとさせておいてほしいというふうに思うわけです。  それは、申し上げるまでもなく、四全総も既に御承知のとおり多極分散ということを唱えておるわけでありますし、四全総に基づく運輸省政策展開もそういうものを意識しながら進められていることは私も一通りも二通りも承知をしているつもりでございますけれども、いわば国内的な課題にも積極的にこたえていくという意味での環日本海時代における日本海側諸地域の位置づけというものをまず基本にしっかりさせておきたいという思いがございまして、冒頭、大臣の御見解を賜っておきたい、かように存ずる次第でございます。
  144. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 関山先生と全く同じ日本海沿岸県に生を受けた、そういった御縁で今非常に興味深く承っておったわけでありますが、環日本海時代、いよいよ幕あけかな、そういった感慨にも浸っておったわけであります。  先生も御一緒だと思うのですけれども、私も政治の道を志した一つの大きな原点と申しますか、というのは余りにも地域によってのハンディキャップ、もっと極端に言えば表と裏の地域の格差、これを何としても、同じ日本国民、同じ日本列島内にこれだけのひずみとアンバランスがあっていいものかということでこの道を志してきたわけであります。  そういった意味では、長らく裏日本と言われておったいわゆる日本海沿岸諸地域が、今新たな社会体制、政治体制の変化に応じましてまさに環日本海構想が現実のものになってきつつあるという感じを深くいたしております。特にソ連邦崩壊、そして近くて遠い国であった朝鮮との国交正常化交渉も進んできておるわけでありますし、いろいろな意味において、朝鮮半島、旧極東の沿海州を含める諸地域、中国、そういったことを考えますと、日本海沿岸圏こそそういった表玄関になる日がやってくると私は思っております。  現に、集中化している太平洋ベレト地帯に比較して、北陸あるいは新潟を含める諸地域は、先般のいろいろな指数から見ましても、価値観の多様化した今日、自然環境を含め福祉、医療、食べ物、そしてまた教育環境すべての面において暮らしのいい、何かこう新しい価値観では私たちの地域は決して今までのようにいたずらにそういった格差の中にあえいでおるというような気持ちは全くなくなってきつつあります。特に新潟の場合などは、そういった新幹線時代も含めまして、ハバロフスクを初めとしてのそういった極東の窓口としてもこれから非常に大変な形での中核拠点になっていくだろうと大きな期待を私はいたしております。  また経済的にも、今おっしゃいましたようにそれぞれの、ECがブロック化していく、あるいはアメリカが中心になってのそういった経済圏、そういったことを考えますときに、太平洋沿岸諸地域が太平洋を挟んでのそういった大きな発展の夢を描けると同じく、私たちも大陸に目を向けて、そして大きな環日本海構想圏の中での経済的な繁栄も含めまして、私はこれからが一番大切なスタートの時期じゃなかろうかという認識を深くいたしております。
  145. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。  お話を踏まえて、この際お伺いしておきたいのですが、先ほども申し上げました各省の取り組みの中で、運輸省のことしの事業として、二つほど調査事業についてお尋ねをしておきたいのです。  一つは、日本海の将来を考える懇談会というのが設置をされまして、既に何回か会合も持たれて おるようでございます。この経済交流調査の趣旨や目的はどういうものか、そして、新聞記事などで報道を拝見いたしておりますが、この経済交流調査の延長線上にどういうことをお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと存じます。  余り時間もございませんのであわせてお伺いをしておきたいのですが、もう一つ、運輸、建設、通産の各省間の共同による新潟の国際交流拠点整備計画調査委員会というのが設けられておりまして、これについてもどういう趣旨なのか。今前段申し上げた懇談会とのかかわりなどもお聞かせいただけるとありがたいと思いますが、どういう内容のものなのか。あわせてこの種の、この種のというのは、この三省共同による調査というのはほかにもあるのかどうか、この際お尋ねしておきたいと存じます。
  146. 上村正明

    上村政府委員 お答えいたします。  まず最初に、日本海の将来を考える懇談会の設置の趣旨、目的でございます。私どもといたしましては、これまでも交流の核となります港湾、空港などの整備を進めてきたところでございますが、日本海を舞台とした交流をより一層円滑に華展させるためには、長期的かつ多様な観点から沿岸域や海洋利用のあり方を明らかにする日本海の将来ビジョンを策定する必要があると考えておりまして、その検討に当たって、各分野の有識者の方々より広く意見を聞くことを目的といたしまして、先ほど先生がおっしゃいました懇談会を設置したところでございます。  ここでつくっていただきますビジョンは、おおよそ一年後を目途にまとめていただくことにしておりまして、今後日本海沿岸域におきまして港湾等の整備計画を策定する上のガイドラインといったようなものになるのではないかと考えております。したがって、個別具体の事業につきましてはこのガイドラインに沿って逐次具体化するという性格のものになると考えておるところでございます。  それから、各省庁共同での調査でございますが、実は平成元年、二年の両年度にわたりまして新潟、富山、石川県を対象といたしまして環日本海複合拠点としての国際物流・国際交流振興の方針の策定を初めとする連携拠点地域振興整備計画調査というのを建設省、郵政省、農林水産省と共同で実施しております。  それをさらに具体化するというような意味合いも込めまして、先生指摘の新潟国際交流拠点整備計画調査があるわけでございまして、この調査平成三年度より二カ年にわたって新潟を調査対象として実施するものでございます。新潟市を中心とする地域において国際交流機能等の集積を図るために必要な各種施設整備計画を策定することを目的としております。  したがいまして、これらの調査は、どちらかといえば各省と共同しているものが割合具体的なものをねらっているのに比べまして、懇談会で考えていただいているものはもっと長いタイムスパンのものを考えていただいている、こういう位置づけになると思っております。
  147. 関山信之

    ○関山委員 私は非常に大事だと思っておりますのは、今いささか環日本海絡みでの各自治体の対応というのは過熱ぎみと言っていいぐらいにあらゆる分野でそれぞれ声を上げ、シンポジウムを計画し、対岸諸国との交流を進めている。  それ自体は非常にいいことですし、ある時期そういう過熱状態が生まれることも当然だろうとは思うのですけれども、しかし、後段触れる時間があるかどうかわかりませんが、例えば航空路の問題にしても、各県がウラジオストクと競争し合うとか、あるいはこの懇談会の発足に寄せて運輸省の方からも、港湾、海岸整備が似たような構想で投資効率に問題の多いケースもあるといったような問題意識もあるようでして、この点に関しては全体的ないわば将来構想を、しっかりとしたガイドラインをできるだけ早くお出しいただくということが大事だと思っております。  今ちょっとお話がありましたが、これは一年後にまとめますと、その次の具体的なさまざまな施策のプランみたいなものも継続されることになるというふうに承知をしておいてよろしゅうございましょうか。
  148. 上村正明

    上村政府委員 私どもそのつもりでおります。
  149. 関山信之

    ○関山委員 すべての取り組みのベースになるものだというふうに理解をいたしまして、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そこで、ここでは海上輸送の問題と航空輸送についてそれぞれお伺いをしたいと思うのですが、それにしても、大臣も格差解消はそれなりに進んできているというふうにおっしゃりながらも、なお日本海側のさまざまな経済活動が太平洋側と大きな格差があるということは、これは紛れもない事実でございます。特に海上輸送について言えば、日本海側の輸出入貿易のシェアというのは極めて低い状態にあるというふうに存じます。  港湾局からいただきました資料、これは貨物量トン数で示したものを見ましても、日本海側合計の全体的なシェアは七・九九八%でございますけれども、貿易額等で見ますとこれは極端に下がるわけでございまして、日本海側の、これは二十二だったでしょうか、その税関の関係官署の統計で見てみますと、輸出入額の割合はわずか一%程度であるというのが現状であるということでございます。「昭和六十年の一・二三%を最高に年々下降線をたどっていたが、平成元年になりようやく上昇し、一・〇七%を占めるに至ったが、まだ昭和六十年の水準に比べると〇・一六%下回っている。」というような数字を見ますと、私がそもそも日本海問題を取り上げた当時、この新潟税関支署の統計が大きな契機になっていわばこの問題に首を突っ込んだ経験があるのですけれども、この面で言えば、依然として改善どころかほとんど解決をされていない、低い低い水準にあるということなのですが、一体どの辺に原因があるのか、御認識を承っておきたいと思うわけです。
  150. 大金瑞穂

    ○大金政府委員 お答えを申し上げます。  今先生指摘のその貿易額の数字につきまして、私ども具体的なデータは持っておりませんけれども、こういった貿易額に占める日本海側のシェアが低い、その原因は種々あろうかと存じます。  私ども海運を担当いたします立場から申し上げますれば、やはり港まで荷物が現実に出てこないと運べないわけでございまして、そういった意味で、産業立地の問題あるいは内陸の物流システムの問題等々も要因の一つであろうと考えております。ただ、私の所掌しております海上輸送という観点から申し上げますれば、日本の主要な貿易相手国であるところの米国あるいは中東諸国、東南アジアとの間の定期航路を設定いたします場合に、やはり太平洋側の方が地理的に有利な条件があるということは、これは基本的に申し上げなければいけない点かと存じます。  もちろん日本海側につきましても、日本海の沿岸諸国との間におきまして、大臣の御答弁にもございました、これから表玄関になっていくという可能性を持っておられる地域でございます。  しかしながら、これまで、例えば旧ソ連でございますとかあるいは朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国、中国等、政治的あるいは経済的に若干特殊な国が相手になっておりました関係もございまして、その貿易の伸び自体がそれほど高くはなり得なかったという状況はあったのではないか。さらに、それに加えまして最近のロシアの経済的な混乱と申しますか、こういった事情も輸送需要に悪影響を与えているということも否定できないと思います。  しかしながら、今後のロシアの経済改革の進展でございます止か、あるいは中欧、東欧の経済発展、さらには環日本海の人的あるいは物的な交流の発展というものを考えてまいりました場合には、日本海側の諸港の比重というものは高まってくるのではないかと私どもも思っておるところでございます。
  151. 関山信之

    ○関山委員 私は、それではやはり問題は解決しないだろうというふうに思って申し上げているわ けですね、言葉じりにこだわるわけじゃありませんけれども。あなたはその数字が手元にないとおっしゃったのか、存じていないとおっしゃったのかわかりませんけれども、そういう認識自体が少し欠けているのじゃないだろうかというふうにさえ思うのですよ。  つまり、港湾の投資にせよ空港の投資にせよそんな小さな投資じゃございませんね。輸出入の貿易というのは経済行為ですから、それはおのずと役所がさお差せる部分というのは限られているでしょう。しかし、限られているにしても、やはり何らかの対応が政策化されていかなければならないのじゃないかということを実は申し上げたいわけです。  よく素人話になるのですけれども、向こうのナホトカから新潟に、新潟でも金沢でも伏木富山でもいいのですが、持ってくる運賃と、横浜、神戸に持ってくる運賃は、海上運賃に関しては同一運賃だ、知らない人が聞くと、へえっとびっくりするわけですね。ある程度承知をさせていただければ、いや、それは北米定航でも同じだ、あるいは航空運賃でも国建てだということはわかるのです。しかし例えば、後ほどこれも触れたいと思っておりますけれども航空運賃などについては、成田一極集中をめぐって、皆さん方のお出しになっている一極集中化への対応施策の中では、この運賃問題も考えるということが出ておりますね。海上運賃は仕組みが全然違うからと言ってしまえばそれまでですけれども、運賃だけの問題ではなくて、やはりなぜそうなっているのかということも含めて対応を政策化する必要があるのだろう、こう思うのです。  今、答申を受けて、モーダルシフトというようなことも重要な政策課題になっているようですけれども、荷主、船社に対する働きかけやら、あるいはそれ以上に港の設備なんかについても重点的にこたえていけるようなさまざまな政策というものがやはりなければならないのじゃないかと思っているわけでありまして、この点についてはぜひひとつ分析と対応をいずれの機会がに、早い機会に出していただきたい、見解をまとめて、対応を立てていただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  152. 大金瑞穂

    ○大金政府委員 お答え申し上げます。  ただいま海上運賃につきまして先生から御説明がございました。それは御説明のとおりでございます。ただ、私どもといたしまして、今後日本海側のシェアを上げていくための何らかの措置がとれないのかという点、これについて私どもの考え方を若干補足して御説明をさせていただきたいと存じます。  もちろん、これを高めていくためには、今お話にもございました港湾などのハード面の整備あるいはポートセールスの強化といったことも必要でございましょうけれども、いずれにしても新規の輸送需要を創造していくことが必要である。一方、海運の立場から申し上げましてもこれは同様でございまして、むしろ新しい航路を開設する、あるいは寄港回数を増加するというようなことで、利用者の利便の増進を図っていくことで日本海側諸港からの輸送を魅力あるものにしていくということが重要であろうと考えております。  実はその一環ということでございますが、現在、日本とロシアの関係船会社の間で、日本海地域とソ連の極東地域あるいはサハリン等を結びますフェリー航路の開設につきまして鋭意協議が行われているところでございます。これは今後の環日本海の人的あるいは物的な交流の発展をも視野に入れてこの協議が行われているわけでございまして、運輸省といたしましても、この実現に向けて積極的な支援を行っていきたいと考えております。
  153. 関山信之

    ○関山委員 私の申し上げているのは、聞き方が悪いのかもしれませんが、もちろんそういう新しい需要の喚起も大事でしょうけれども、しかし現状でも既に、冒頭申し上げましたように一極集中の排除、多極分散と、こう言っているわけですから、もう今追っかけ追っかけ、相変わらずの大きな投資はやはり太平洋側の諸港に積み重ねられているのが実態としてあるわけですね。  そういう意味では、既に投資をされている日本海沿岸の各港の荷扱い量をもう少しふやすためにも、これは運輸省だけではだめな部分もあるでしょう。例えば植物防疫所がないために一々東京へ持ってきて食料の輸出のために検査を受けてからなんというようなことをやっていれば、荷物は集まろうといったって集まるわけがないのですね。空港の問題にしてもCIQが不十分であるとか、そういう問題も含めてもう少し総合的に、この余りにもひど過ぎる格差といいましょうか、効率の悪さといってもいいのでしょうけれども、対応をお考えになることをこの際強く求めておきたいと存じます。  何しろ時間がないものですから走り走り行くよりしょうがないのですが、実はもう一つ申し上げておきたいことは、ソ連のお話が何回か出ておりますけれども、実は昨今対岸の、これは特にソ連に特化して申し上げるわけですが、港の状況の劣化が物すごいわけですね。  実は、私ども地元関係企業が調査団を出しました報告書をつい最近拝見をさせてもらったのです。例えばヴォストチヌイなんかについていえば、さまざま日本の企業が行って設備投資をしているのですけれども、メンテナンスの面でパーツ不足がひどくて機械が十分に機能しない。あるいはストラドルキャリアを三十台保有しているけれども、動かせそうなものは十八台であり、そのうち実際に稼働しているのはわずか八台だけであるといったような問題とか、これはヴォストチヌイの例です。あるいはナホトカについては、雑貨貨物が一般雑貨貨物の埠頭のところにもう所狭しと置かれていて、すき間というすき間にアルミインゴットが二万数千トンも放置されている。その間を縫って食糧の荷揚げが行われている。長期滞貨のためにこん色の色の変わった日本、韓国からの機械類、危険物等、あらゆる貨物であふれていたといったような報告がございます。  仮に外貨不足による日本からの輸出の停滞だけでなく、それが順調になったとしても、このナホトカ港に関しては今の現状ではもう貨物の受け入れは極めて困難な状況にあるといったようなレポートを受け取っておりまして、実は相手の国の話なんですけれども、港というのは、こっちの港だけ幾ら整備しても相手の方の港がこういう状態では、さまざま努力をしてもとんでもないところに隆路が出てきている。ソ連側のこういう状態というのは、私はちょっと放置をしておけないんじゃないか。  そこで大臣に、ぜひお願いといいましょうか、御理解をいただいて、今対ソ支援などが政府のレベルでいろいろ考えられておるわけでして、さまざまな支援策というのがあるんでしょうけれども、しかしやはり輸送と通信、この二つはあらゆる経済活動の基本的なものとして極めて重要だという御認識をぜひ政府全体の対ソ援助、あるいはODAのシステムの改善、改革などもいろいろ言われておるわけですが、こういうものも含めて少し積極的にお取り組みをいただけないだろうかと思うわけですね。  これは一企業の商売の損得の問題ではなくて、これ以上経済の荒廃、破壊が進んでいけば、もっともっと大変な問題に発展しかねないというようなことも含めて、これは国家的な役割じゃないだろうかというふうに思いまして御指摘を申し上げておるところでございます。これは経済的な援助だけではなしに技術的なさまざまな支援といいましょうか、協力を含めてぜひお取り組みをいただいてはいかがかなと思っているわけです。
  154. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 輸送、通信の重要性というのは対岸交流、対岸経済拡大のために絶対に必要な要件であるということは、全く同意見でございます。特にナホトカの例を引用されてのお話でございましたけれども、港の整備、これがおくれておるだろうなと、推測ですけれども思います。  ただ、ロシアは、今委員も御指摘になったようにODAの対象国ではありません。そういったこ とで、何とか早く二国間の協議形態が調って、お互いの支援プロジェクトとしてお手伝いできることがあれば積極的にやらなければいかぬ。また、そういった時期は、エリツィンさんもこの秋に来られるときの最重要課題として恐らく御提起なさると思いますけれども、そういったことがあれば、運輸省としては関係省庁とも相談しながら積極的に対応してまいりたいと思っております。
  155. 関山信之

    ○関山委員 ぜひひとつ、G7の対ソ支援二百四十億ドルなんという数字も出てきておりますので、この面、大臣から積極的に提起をお願いしたいと思っております。  残り時間が少なくなってしまいましたが、航空輸送の問題について、これも先ほどちょっと触れましたように、大変各自治体の思い入れが深いようでございまして、新空路に対する各県の要望が一挙に噴き出している感じなんです。たまたまこの問題をめぐって先般朝日新聞で、このロシアもうでの過度な、過熱ぎみな状態について運輸省としてはいささか問題だという趣旨の発言もあり、これが記事になっておるわけでございます。  この問題についての全体的な御認識と、特にここでは、目下のところは新潟−ハバロフスクあるいはイルクーツクという極めて限られた航空路線しかないわけですから、もっとこの空の便が、いろいろなところで活発に飛行機が飛ばせるような状態になればいいにこしたことはないのですけれども、その問題と絡んで自衛隊の訓練空域との関係が問題にされておりましたので、この交渉の経過などについて最後に伺っておきたいと思うのです。
  156. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 環日本海の航空路の開設につきましては、今先生指摘のとおり、私どもやはり国際交流の促進あるいは地域経済の立場から積極的に進めていきたいというふうに考えております。  現在地方空港の国際化も積極的に進めておりまして、ただいま先生の御指摘にもございましたが、環日本海でいえば千歳、新潟、小松三空港が既に定期路線といたしまして韓国あるいはロシアの極東地域におきまして週間二十便程度現に就航いたしております。また、チャーター便の実績でいきますと、平成三年度ではかなりの実績が出まして、この地域で約三百十便程度運航されておりまして、引き続き環日本海進展のためにはこういったチャーター便の積極的な活用を支援していきたい、このように考えておるわけでございます。  それから、ロシア関係の新規路線開設につきまして地元関係知事さんの積極的な訪問がございます。私ども地域振興の立場から、これら強い御要望については何も否定するわけではございませんが、外交上の立場からもいきますと、やはり秩序ある要望というものが必要ではないかな、こういう意見を申し上げておるわけでございます。  それで、新規路線の開設に当たりましては、今先生指摘のとおり、日本海側には防衛庁の大変大きな訓練空域がありまして、路線開設に当たりましては空域との幅広い調整が必要になるわけでございます。防衛業務に支障のない範囲内で、かつ、民間航空、特に国際路線は環日本海がむしろヨーロッパ路線では最重要路線になってまいっておりますので、引き続き防衛庁とも積極的な協議を行いまして、安全の確保を行いつつ、将来の民間航空の発展に支障のないように、防衛庁にも若干の譲歩もいただきながら、十分調整してまいりたい。今後も引き続き、シベリア上空路線の複線化を初め、必要な路線の開設の場合には防衛庁と精力的な協議を行ってまいりたい、このように考えております。
  157. 関山信之

    ○関山委員 四十分ではとても膨大な問題について突っ込んだ議論もできかねたわけですが、最後にこの際大臣に、これまたひとつ運輸省のレベルを超えて、ぜひ積極的な提案者になってもらいたいなと思っていることを申し上げて、質問を締めくくりたいと思うのです。  実は、私どもは一昨年から社会党としての環日本海フォーラムというのを新潟でやりまして、昨年は小樽でやりました。ことしは十一月に大臣のおひざ元で御厄介になることになっております。私どもは私どもなりに積極的な政策提言をしながら、この新しい時代を構想したいと思っているのですけれども、私は端的に申し上げますが、これは日本海開発庁というようなものをこの際お考えになってはいかがか。それこそ行革じゃありませんけれども、役所をふやすのは基本的には僕は余り賛成じゃありません。しかし北海道開発庁があり沖縄開発庁がありというレベルでいえば、確かに日本海側というのは今日まで取り残された地域として、格差の中にさまざまあえいできた。しかし、私はその延長線上でそういうものを構想してはいかがかという意味ではございません。  まさに申し上げましたような新しい国土の均衡ある発展、一極集中の排除、多極分散化という視点をしっかり見据えて、しかも新しい国際化時代に伴う対岸諸国、つまりソ連そして中国、南北朝鮮さらにはモンゴルまで含めてさまざまな課題がこれから押し寄せてくるだろうと思っています。先ほど申し上げましたように十二省庁、恐らくこれから、すべての省庁がこれはやっているんじゃないかと思うぐらいにそれぞれの取り組みが各省庁進むわけですけれども、しかし、まことにこれは不経済な話なんでありまして、財政的な面も含めて、一つの日本海開発庁といったところで大きく新しい時代の政策形成あるいは政策展開を進めていく必要があるのではないか。  例えば国際交流基金などにいたしましても、日米基金はあるけれども環日本海基金をつくったらどうかというようなことも実は私、昨年の予算委員会の分科会で申し上げたこともあるのです。この問題については私どもはこのシンポジウム、フォーラム等でも積極的に提起をしていきたいと思っておりますが、この際ぜひ、実力大臣でもいらっしゃるわけでありますから、この機会に運輸省のサイドからそういうことを閣内に提起をしていただくことをぜひお願いを申し上げておきたいと存じます。どうぞ一言。
  158. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 環日本海フォーラムを通じていつもこの問題提起に新たな視点を与えていただきまして本当にありがとうございます。今回は特に石川県でやっていただけるということで、またこれも喜んでおります。  ただ、今、日本海開発庁という雄大な構想の提言でございますので、私も気持ちの中ではそれはいいなと思います。しかし現状からいって、これはなかなか、こういった形をできるだけ北海道開発、沖縄開発庁も含めてその使命的な問題に、よくわかりますが、今の行革の体制下の中で、それとは視点は違うわけですから、全く御提起の御趣旨に沿わない答弁になりますけれども、余りにも影響の多い、興味深い、関心高い構想ではありますが、今それをすぐ開発庁の運動を起こせといっても、ちょっと今余りにも問題ケースが大きいだけに戸惑いを感じているところであります。  その方向、その気持ちに関しましては全く私も先生の御趣旨に賛同をいたします。
  159. 関山信之

    ○関山委員 ぜひひとつ、息の長い課題としてでも結構でございますから、御協力をお願いして質問を終わります。ありがとうございました。
  160. 久間章生

    久間委員長 常松裕志君。
  161. 常松裕志

    ○常松委員 きのうから東京でタクシー運賃の改定が行われました。これに関連をして大臣に御質問をいたします。  今回の運賃改定に伴う労働条件の改善及び時間短縮の実現について、労使の協定書もあるようでございますが、運輸省としてどのように御指導をいただくのか、まずお聞きをいたしたいと思います。  特に、東京の運賃改定、私の選挙区でもございます多摩地区の運賃改定も行われました。きのうから実施されているわけですが、それぞれの企業における個別協定ども結ばれて順調に運輸省の方針が進んでいるとは思いますけれども、一部、私のところに、一、二の企業でそうした個別協定などを結ぶことについて運輸省の方針を理解していないようなところもあるやに聞いているところ でございます。そのことも含めて、東京における運輸省の方針が貫徹されているかどうか、この点についても含めてお答えをいただきたいと思います。
  162. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私から事務的なお話をさせていただきまして、必要があれば大臣からまたお話をさせていただきたいと思います。  まず、東京、横浜地区のタクシー運賃改定が今回なされたわけでございますが、これにつきましては、労働条件の改善を主要な目的として改定が実施されたわけでございますので、運輸省としましては、そういう改定の趣旨に照らしまして、運賃改定の認可に当たりまして所管の関東運輸局長から業界に対しまして労働条件の改善につきまして通達を発したところでございます。  この通達によりまして労働条件の改善を強く求めるとともに、運輸局において、運賃改定実施から一定期間経過した後にその具体的な実施状況につきまして事業者から報告を求めて、その確実な実施を確保するというのが私どもの考え方でございます。  先ほど、この運賃改定に際しまして労使間の話し合いの問題が指摘されたわけでございます。先生御存じだと思いますが、今回の運賃改定の申請に際しましては、業界団体と労働七団体との間で労働条件の改善の確実な実施を内容とします覚書の締結がなされているわけでございます。このほか、個別の事業者と労働組合等との間においても覚書が締結されているところでございます。  今後さらに運賃改定実施後の状況を見ながら、労働条件の改善につきまして労使間においても適切な協議が進められるものと期待をいたしているところでございます。
  163. 常松裕志

    ○常松委員 私は、さきの一般質問の折に大臣に、多摩、東京だけではありません、タクシー業界全体の労働力不足が大変深刻なものがある、東京なんかでは三千台ぐらい車が遊んでいる状況にありますけれども、そういう状況からしてやはり適切な労働条件の確保、そしてそのためには適切な運賃の設定が必要だという提起を大臣にさせていただきました。  このたびの運賃改定でも大臣、大変御苦労いただいたというふうに思いますし、そういう御苦労をいただきながら今回の改定に踏み切っていただいたことについては私としても大変高く評価もしているところでございます。また、前回の運賃改定の際の運輸省の積極的な御指導というものについてもまた大変高く評価をしているところでございますし、その増収原資について、還元に対する適切な指導は全国でも行われておりますし、私も四国まで出かけていって協力をさせていただいたというような経過もあるわけでございます。  そこで、二つほどお尋ねをいたしますが、どうなんでしょうか、各都道府県における還元率をひとつ報告をするなりあるいは公表していただけないかどうか、これが第一の御質問です。  また、今回の改定について、一部の個別企業で仮に申請の趣旨や認可趣旨に従わないようなところがあったような場合に、そういったところの労働組合等から要請などがあれば、それらを正面から受けとめていただいて、ひとつ真剣に各運輸局で指導していただきたいというふうに思うのですが、その点どうだろうか、これが二つ目の質問です。  もちろん私、労使が真剣に話し合って解決をしていくということが基本である、労使こそが基本である、労使の交渉が基本だということはもちろんそういうふうに考えておりますけれども、なかなかそうもいかない実情を私も知っておりまして、そういう点では運輸省の、あるいは運輸局等の適切な御指導が必要だなというふうに考えているわけでございますが、その点いかがでしょうか。     〔委員長退席、今津委員長代理着席〕
  164. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  まず、先生が労働力不足問題あるいは労働条件の改善の問題についていろいろ私どもの行政に御協力しておられることにつきまして、大変ありがたく思っております。  そこで、前回の運賃改定についての都道府県ごとの還元率、それから実績について公表をしたらどうかというまず第一のお話でございますが、私どもは各地域の労働条件の改善状況について各地区ごとにその集計を行っているところでございます。そして、整理がついたところについては調査結果を公表しておるつもりでございまして、具体的には東京とか多摩とか横浜とか福岡とか名古屋とか神戸地区等については調査結果が出ましたので、公表しているところでございます。その他の地域につきましても、結果がまとまった時点で公表をいたしたいというふうに考えておるところでございます。  それから第二のお話で、具体的に労働条件の改善を怠る事業者があった場合にどういう指導をするのかというお話でございますが、先ほどお話をしましたとおり、今回の運賃改定の主たる目的の一つが労働条件の改善でございます。運輸省といたしましては、この労働条件の改善が確実に実施されるかということについて、料金認可の際に十分審査したつもりでございます。そしてその確実な実施を指導しているところでございます。  さらに、今後各事業者からの労働条件の改善実施状況の報告や、もちろん先生指摘の労働組合の御指摘ども踏まえまして、改善を怠る事業者があれば個別に局の方に招致する等によりまして協力に指導してまいりたいと考えております。
  165. 常松裕志

    ○常松委員 非常に前向きな答弁で、ありがとうございます。  ところで、今回は一九%の運賃改定の申請が行われたわけでありますが、結果、査定は一一・九%ということになりました。その申請の中には実は三つの要素が入っておりまして、収支の改善、それから週四十四時間制への移行、それから年間賃金六百八万円への改善というこの三つが運賃要素となっておりました。今回、その三つの要素のうちどこかを圧縮しなければ一九%が一一・九%にならないものですから、いろいろ調べてみましたら、今回の運輸省の改定に当たって一番末尾にモデル賃金が明示をされておりますね。モデル賃金といいますか、今回一一・九%改定するが、それがそのまま増収につながった場合には労働者にどれだけ還元されることになるか、六十六万円、こういう数字が明記をされております。  この点では大変私は高く評価をしております。そういうことによって、なかなか難しいタクシーの労使関係に積極的な影響が出てくるだろうという意味では非常に高く評価しておるのですが、どうも六十六万円ということになりますと、そうするとその年間賃金六百八万円のところが圧縮されたんじゃないか、そんなふうなおそれといいますか、そんな気持ちを持っています。しかし、仮にあのとおり六十六万円所得がふえるようになったとしても運転者の賃金は年間五百九十六万円でございますから、したがって、そういう点では年間賃金の改善がまだまだ不十分だな、こんなふうに思います。  そこでお尋ねしたいのは二つでありますが、運輸省もそのように、つまり仮に約一二%の増収が図られたとしても、なおそれでも他産業との賃金の格差がやはり残っているというふうにお考えであるかどうか。そして、引き続きやはりそれは労使あるいは運輸省協力をしながら改善を図っていく必要があるというふうに考えていらっしゃるかどうか。これが一つ。  それから二つ目に、当然今回の場合には四十四時間制への移行に必要なコストが見込まれている、そういう意味では東京の事業者は四十四時間制の前倒し実施の責任を負っているというふうに理解しているわけではございますけれども、そのように理解していいかどうか。二つ質問いたします。
  166. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 今回の改定によりまして増収が図られたとしても、依然としてタクシー運転者の労働条件につきまして全産業の男子労働者平均と比べますと格差があるわけでございます。今回、できるだけ私どもも運転者の労働条件をよくした いという気持ちで認可作業に当たったわけでございますが、他方ではやはり利用者の立場ということも考える必要があったということもありまして、御指摘のような数字になっておるわけでございます。具体的には、人件費につきましては二年間で一五・四%増という形で整理をいたしておりますが、一応こういう形で今回の処理はさせていただいた。しかし私どもとしては、タクシーが今後とも公共交通機関として必要な輸送サービスを提供していくということのためには、やはり良質な労働力を安定的に確保していく必要がある、そのためには労働条件の改善を図る必要があるというふうに考えております。もちろん、労働条件の改善につきましては労使間の努力期待するわけでございますが、運輸省といたしましても、運賃改定等に関しまして適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、今回の認可に当たりましての四十四時間制への移行の問題でございますが、今回の東京のタクシー運賃の改定につきましては、事業者からの申請を踏まえまして、週四十四時間制の前倒し実施に必要なコストというものは運輸省として織り込んで認可をしたわけでございます。認可時におきまして、その確実な実施につきまして事業者に対し通達もしたところでございます。したがいまして、事業者はこのような運賃認可の、あるいは運賃申請の趣旨に沿って確実に労働時間短縮を行う社会的責任を有するというふうに認識をいたしております。
  167. 常松裕志

    ○常松委員 ありがとうございました。  次に、今後の改定の問題ですが、他の地域におけるタクシーの運賃の改定でございますけれども、これは申請もあちこちから出てきていると思うのです。これも大体、今回の東京、横浜、多摩地区では二年ローテーションで改定してもらったわけですけれども、他の地域においてもそういうことで進んでいくのかどうか、あるいはそれらの地区のための労使の担保協定などについての御指導は東京等と同じように行われているのかどうか、あるいは東京の地区の改定については二年ぶりの二年ローテーションということで今後も続けられていくのかどうか、手短にお答えください。
  168. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 まず他の地域の改定の問題でございますが、現在タクシー運賃につきましては、福島県、静岡県、奈良県及び宮城県、和歌山県、京都府の一部などの十ブロックにおいて労働条件改善等を理由とします運賃改定の申請がなされておりまして、現在収支の状況とか需要の動向等を審査中でございます。  これらの運賃改定に伴います労働条件の改善につきましては、その確実な実施が図られるよう労使間の協定など地域の実情に応じて必要な措置を求めていると、ころでございます。  それから、東京について二年ということで、今後も二年ローテーションかというお話でございます。これは先生御存じだと思いますが、運賃を査定する場合には、その基礎となる実績年度の二年後の年度が収支償うというような形で査定をしているわけでございます。したがいまして、運賃改定後二年経過すれば運賃改定の要否を検討するということになろうかと思いますが、二年たてば必ず運賃改定するという趣旨ではないということでございます。  利用者にとりましては、できるだけ長く現行運賃が継続することが望ましいわけでございますが、一方では人件費を中心とします原価が年々上昇していくわけでございまして、事業者の経営基盤の安定が必要であるわけでございます。また、利用者の運賃負担が急増するというふうな事態は回避していく必要があるわけでございまして、そういう意味で、適時適切な運賃改定は必要ではないかというふうに思っております。
  169. 常松裕志

    ○常松委員 このたびの運賃改定に当たりまして、障害者の方々に対する割引制度で相当大きな改善が行われました。  実は、前回改定の折に私の方から、今後障害者手帳を提示するだけで運賃割引を受けられるようにしてほしい、あるいは愛の手帳でも割引を受けられるようにしてほしい、こういう御質問を当時の大野運輸大臣に行ったところですが、今回、大臣の御英断でしょう、昨年十二月一日から愛の手帳の方々も対象になり、また今回の改定で手帳の提示だけで運賃割引を受けられるようになりました。これは本当に障害者の皆さん喜んでいます。  そこで、これは問題提起ということになるかもしれませんが、障害者の方々の中で精神障害者の中途回復者の方々、これがこの対象から外されているわけでございますね。こういう方々もぜひ同じ障害者として障害者対策を進めていこうじゃないかというのが国連の障害者の十年の非常に大きな目標になっているわけであります。  したがって、人に優しい交通ということを進めていらっしゃる現運輸省でございますから、このタクシーの運賃割引に限りませんけれども、諸割引の対象にこういう精神障害者の中途回復者の方々も追加すべきだと私は思います。そういう研究検討を進めていただけるかどうか、御答弁いただきます。     〔今津委員長代理退席、坂本(剛)委員長代     理着席〕
  170. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 現在、タクシー運賃につきましては身体障害者と精神障害者について割引制度が設けられているわけでございます。  弱者に対する配慮ということでこの対象を拡大していくことも気持ちの上ではよく理解できるわけでございますが、この割引による減収分は、先生御存じのとおり一般の利用者の負担により賄われているわけでございまして、公共政策の遂行のための費用を他の利用者に負担させるということについては、他方では限界があるのではないかという議論もあるわけでございます。  精神障害者への運賃割引制度の拡大につきましては、他の公共交通機関の場合と同様に、社会福祉政策の一環として検討されるべき問題ではないかと考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、先生のせっかくの御指摘でございますので、よく勉強させていただきたいと思います。
  171. 常松裕志

    ○常松委員 最後に大臣にお伺いをいたしたいわけでありますが、行革審の豊かなくらし部会におきまして、タクシーの事業規制の緩和についての議論がいろいろ行われているようであります。ところがどうも運輸省、これは本来公共輸送機関としてのタクシーを考える場合に、まず責任官庁である運輸省こそ運輸政策審議会などのような場でこうした問題については幅広く各方面からの意見も聞きながら議論を煮詰めていくべきだ、こんなふうに私は考えているところでございますが、大臣、いかがなんでしょうか。そういう行革審なんかで話されていること、そのことをけしからぬなんと言うつもりはありませんけれども、基本としては運政審の中できちっと議論をしていただくというようにお願いしたいわけでございます。大臣のお考えをお尋ねをいたします。     〔坂本(剛)委員長代理退席、武部(勤)委員     長代理着席〕
  172. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 行革審におきまして、豊かな暮らし実現という一つの命題を達成するためにいろいろ御議論がなされていることは承知いたしております。できるだけ競争原理を働かせて、消費者サイドに立ってのそういった議論の中からタクシーの規制緩和を含む方向での論議がなされておるのだというふうに認識をいたしております。  しかしながら、このタクシー事業というのは利用者の立場に立った利便性、安全性という形を最重要視することは当然でありますけれども、しかしこれは労働条件、タクシーの運転業務に携わっている皆さん方のそういった形を十分しんしゃくして考えなければなりません。  そういったことから、行革審の論議も、緩和の方向で御論議が進められておるということは承知いたしておりますけれども、これと同時にサービス面の向上、安全性、しかもタクシー労働者の労働条件の改善、こういったこと等々青考えて、幅広く慎重な検討を私たちは行うことが必要である と考えます。  したがって、先生今言われましたように、これは行革審の議論議論としてそれは踏まえながらも、運政審の立場でこの問題を審議されて、そしてそれに基づいて前向きに検討してまいるという基本姿勢を貫いてまいるつもりでございます。     〔武部(勤)委員長代理退席、村田(吉)委員     長代理着席〕
  173. 常松裕志

    ○常松委員 どうもありがとうございました。ぜひひとつそういうことで運政審の中で御議論いただきたいと思います。自動車局長、どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。  次に、航空の問題についてお尋ねをいたします。きょう私は、ボーイング747−400の安全性及び日本航空の実運航検証を今後もしばらく継続をするようにということで、大臣に御質問をしたいと思います。  運輸事業にとって、安全は何よりも優先されるべきものだろうと思います。特に航空事業にとっては、安全が間違っても経済性によって脅かされるようなことがあってはいけない、こんなふうに思っています。日本航空、そしてこのボーイングということになりますと、我々は例の八五年八月十二日の一二三便のあの痛ましい事故、乗客乗員五百二十人の方々がお亡くなりになったあの事故を思い出さざるを得ないわけでありますが、あの大惨事は、ボーイング747のセクション41や後部圧力隔壁のフェールセーフ設計構造の欠陥を明らかにしましたし、同時に、何よりも航空機メーカー主導の安全神話について、我々運輸行政にかかわる者は、利用者の立場から幾重ものチェックを行わなければいけないということを教訓として残したんじゃないか、私はこんなふうに思っているところでございます。  ところで、私がきょう問題として取り上げる747−400は、これからの日本の空の主役になろうとしている航空機でありまして、日航、全日空、エアシステムなどで約百二十機も導入しようとしている主力航空機というふうに聞いています。この航空機について日本航空の機長の皆さんや乗員の皆さん、あるいは全日空でも機長、乗員の皆さんなどが安全性について疑問や問題点を強く指摘しているところでございます。  運輸大臣は、航空行政の最高責任者、そして空の便を利用する多くの国民の皆さんの代表という立場も含めてでございますが、このボーイング747−400の安全性について本当に保証していただくことができるのでしょうか。大臣にお尋ねいたします。
  174. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 非常に専門的御質問でございますので、御満足いくお答えになるかどうか心配ですけれども航空輸送で安全が最優先、経済性になぞらわれて安全性を云々ということになればこれは大変なことですから、この点においては、先生の安全性最重視という形については認識を全く一にしておるということです。  そして日航事故の教訓に習って、我が日本航空であれ全日空であれエアシステムであれ、二度とこのような事故回避のために、我が国の航空安全という意識に関しては、恐らくもう世界の中でも決して引けをとらないくらい、この面の認識においては各社とも一生懸命やってくれておると確信をいたしております。  ただ、今御指摘のボーイング747−400についての安全性というごとでございますけれども、これについて今保証できるかということになると、私はこの方面の知識についてどの程度のお答えになるかわかりませんが、ただ、言えることは、ボーイング747−400については、我が国にももちろん入っておるわけでありますけれども、もう既に世界で百六十機近く運航しておるという現実、そして安全性においても問題はない、もちろん問題はないと考えなければとてもこれだけの多くの飛行機を運用できないわけですから。  ただ、私に言えることは、仮にそれが完全な安全性を保証された飛行機であっても、その上にさらに、安全に関しては万全の上に万全を期してほしいということで各航空会社を指導してまいりたい。この機種の機能について一〇〇%の保証ができるかと言われても、私はちょっと、それはよくわかるけれども、その上に万全を期すようにさらに安全面に配意してやってくれよということを指導してまいりたいということでございます。
  175. 常松裕志

    ○常松委員 本当に大臣の適切な御答弁、ありがたく承りました。  そこで、実は747−400の安全の信頼について以下お尋ねをいたしたいと思いますが、まず断っておかなければなりませんのは、私に対しては松本さんが主に答弁してくれるらしいのですけれども、私は飛行機について何にも知りませんから、威張るわけじゃありませんけれども。全く素人であります。その意味では、乗客の代弁者として私の質問を受けとめていただきたいと思うのです。素人の私にでも理解できるように答えていただきたいと思います。  747−400という飛行機が747とどこが違うかということなんですけれども、要するにこれは基本的な構造その他については変わりがなくて、ただ、ダッシュ400は二名編成で運航するようなことを目的として設計されている、そのためにディジタルコンピューターやCRTの表示方式あるいはシステムの自動化とか多重化とかいうのが採用されて、航空機関士の行う業務をなくした、減らしたというふうに聞いているわけであります。そうだとすると、この747とダッシュ400との安全性を比較するという場合には、航空機関士に取ってかわったそのコンピューターがどうなんだということの点に尽きるんじゃないか、こういうふうに思うのです。  もう少し具体的に聞きますと、そのダッシュ400のコンピューターがダッシュ側の機体からのさまざまな情報というものを正確に集めてくるのかどうか、そしてそれを正確に、EICASという何か画面があるようですが、そこに正確に伝えるのかどうかということ、第二に、その伝えられた情報というものを操縦士の方々が正しく対応できるのかどうかという点にあると思うのですけれども、どうなんでしょうか、そういうふうな理解でよろしいのですか。手短に、一言で答えてください、そうなのかどうかということを。素人ですから。
  176. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 手短にということでございますが、このダッシュ400の設計につきましては、そもそもやはり航空機のいろいろな機械のモニター、こういった業務につきましては、人間というのはなかなか、常に変わらないような計器をモニターしているということは非常に不得意でございまして、そういう部分は非常に機械が得意な部分である。あるいは人間はそういった面での、ミスは犯すけれども、機械の方は非常に正確に仕事をする。こういったような設計の考え方もありまして、747−400につきましては、従来の在来型に比べまして大変自動化が進んでおります。  それで、先生お尋ねの、一体そういうコンピューターが航空機関士にかわって何をやっているかということでございますけれども、このコンピューターは、機体の各システムの状況というものを常に監視しておりまして、この状況を常にモニターしております。そういたしまして、そのデータの状況によりましてパイロットの方にその情報を伝達する、こういう仕組みになっているわけでございまして、そういった意味では、今まで航空機関士がやっていたそういう業務をコンピューターが置きかえてやっているということになろうかと思います。
  177. 常松裕志

    ○常松委員 いや、安全性について国民の立場から、素人の国民からあなたに聞こうと思っているのです。その場合に、747とダッシュ400の違いは航空機関士をコンピューターで置きかえたところにあるから、そのコンピューターが航空機関士のかわりを果たせるかどうかという点にありますねというふうに聞いているのですよ。そうでしょう、そういうことでしょう。そうかそうじゃないかだけ答えてくれればいいのです。
  178. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 はい、そのとおりでございます。
  179. 常松裕志

    ○常松委員 そこで、具体的な事例に基づいて幾つか質問いたしますけれども、去年の九月十九日にノースウエスト機が成田で火災事故を起こしましたね。三十人ぐらいの方々が緊急脱出時にけがをしまして国会でも取り上げられたところですけれども、その原因は何だったのでしょうか。そして、そのときにEICASの画面にはどういう情報が表示されたのですか。
  180. 松浦道夫

    ○松浦説明員 航空事故調査委員会では、今御指摘航空事故につきまして調査を進めているところでございまして、まだ途中でございますのであれですが、まず、その事故ではっきりしましたことは、成田を離陸しまして上昇中に、お尋ねの表示のところに第一エンジンの関連機器のところに異常を知らせる表示が出ました。そんなことで、引き返そうということで、成田空港に引き返したものでございます。そこで、引き返したときに火が出ました。第二エンジンの付近から火が出たものでございます。それでその際、そういう状況でございますので、乗客は非常脱出をいたしましたけれども、そのときに重傷者八人、ほかの負傷者も出ております。  それが事故の概要でございますが、それに対しまして私ども調べましたところで今わかっています点は、まず火災の発生した場所でございますけれども、第二エンジンの上の部分の主翼の中で発生しておりました。主翼のそこの部分をあけてみましたら、火が出ましたところの下にぶら下がっています第二のエンジンに燃料を送っているパイプに穴があいておりまして、片一方、その近くに配線が、これは第一エンジンから真ん中の方に、胴体につながる電線でございますが、その電線に穴があいておりました。六ミリという極めて小さいもので、それが当たってショートしてそこで穴があいたのではないかというものでございます。  そこで、それの穴があいたメカニズム、それから先ほど申し上げましたように火災が出ておりますけれども、ショートしたことと火災が発生するメカニズムなど、そのあたりにつきましては現在鋭意調査中でございます。
  181. 常松裕志

    ○常松委員 そのノースウエスト機の事故の一カ月後に日本航空のダッシュ欄でも同じように配線がショートした故障が発生をしているわけですけれども、その故障の原因がわからないまま四回ぐらい巡航したというふうに聞いているのです。こういうことについて航空局は日航から報告を受けていますか。また、そのEICASはこの事故の場合にどういう情報を操縦士に伝達をしたのでしょうか。及び、CMCと呼ばれている整備用のコンピューターは、なぜ電線のすれによってショートが起こっているという事実を伝達をしていなかったのでしょうか。三つ、手短に答えてください。
  182. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 先生指摘の件でございますけれども、日本航空の方から報告を受けまして承知をいたしております。  日本航空の事例でございますけれども、これは配線を押さえます取りつけ金具のうちの一個が破損をいたしまして、電線が取りつけ金具と干渉してショートしたものであるということでございまして、これは先ほどのノースウエストの場合と発生箇所は異なっておりまして、直ちに火災が発生するというおそれはございませんでした。この情報につきましては、EICASの方にはジェネレーターのフェイルという格好の表示が出たというふうに聞いております。  それで、この件につきましてなかなか発見できなかったということでございますけれども、これにつきましては電線のショートが電線の動きぐあい等によって一時的に発生していたものであるということでございまして、点検中にはなかなかそのふぐあいが再現できなかった、こういうふうに聞いておるところでございます。
  183. 常松裕志

    ○常松委員 火災のおそれのことじゃなくて、原因は同じでしょう。電線のすれによってショートして起こっているという原因は同じですね。それから、CMCという整備用のコンピューターがEICASの下のところについているでしょう。それは何ですか、そうすると、そういう故障が起こっていてもそういうことは記録していないのですか。そういうことは記録されて整備の人に伝えられるようになっていないのですか。それからEICASの画面ということなんだけれども、何ですか、そうするとどこで壊れているか、どこが故障しているかというのは、EICASの画面は操縦士に対して教えてくれないのですか。
  184. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 ただいま先生、CMCというメンテナンスの方のコンピューターにそういう情報が入っていなかったかということでございますけれども、CMCにはジェネレーターのフィーダーのフェイル、それからリファレンシャルフォールトというメッセージが記録されております。  また、場所の情報が出ていなかったということでございますけれども、これはジェネレーターの何番が故障であったか、こういう情報までは表示が出ております。
  185. 常松裕志

    ○常松委員 何、表示が出ていた。表示が出ていて四回も飛ばしているの、そうすると日航は。いいですか、その表示が出ていて、どこが壊れているというのが出ていて、それでいながら整備もしないで、故障も直さないで四回もこの飛行機を飛ばしているの。
  186. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 ただいま表示の箇所と申しましたけれども、これは単に、ジェネレーターが四つございますけれども、それの四番ということのフェイル、それが故障したということを表示しているだけでございまして、その原因でありますケーブルがどこであるかというようなところまでコンピューターが表示をするといった意味ではございません。
  187. 常松裕志

    ○常松委員 そうでしょう。だから、やっぱりコンピューターの方が人間より頭が悪いんだ。だから僕は安心したのです。人間は、どこが壊れているかというのはわかるのです。これにもし航空機関士が乗っていたらわかったのです。しかし、コンピューターは頭が悪いからわからないのです。そうじゃありませんか。素人はそういうように考える。ね、大臣、国民は皆さんそういうふうに考えると思いますよ。しかも、これがもしノースウエストのように燃料パイプとすれているようなことがあったら、同じような重大な事故の原因にもなりかねないような重大な事態だと私は思うのですね。  それだけじゃありませんで、こういうこともありますね。同じ日本航空でMECドアの警報表示が出て空中引き返しを行っていますね。これは去年の十一月七日の羽田発沖縄行きの九〇一便のことなんですが、このメッセージもミスウオーニングだった。今、その際の油圧システム制御のコンピューターも交換をされて、製造会社で原因の調査をしている、こういうふうに聞いているわけでありますけれども、この場合も航空機関士がいれば羽田へ引き返す必要はなかったわけでありまして、つまり、やっぱりコンピューターは人間より頭が悪いと思うのです。松本さん、どうですか。
  188. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 まず、ちょっと先ほどの電線のショートの件でございますけれども、これはコンピューターでも人間でもなかなか発見ができなかったのではないかというふうに私ども考えております。  と申しますのは、ショートが一時的に起こるわけでございますので、継続的にその状況を把握して、そのデータの中からどこが故障したかというようなトレンドを見て発見するというような故障の内容ではなかったのではないか。一時的にぼんと電線がショートして、過電流が生じて落ちてしまったというようなことでございますので、これは先生の御指摘ではございますけれども、人間がいても発見するということは非常に困難な事例ではなかったかというふうに考えております。
  189. 常松裕志

    ○常松委員 いや、これは僕が言っているのじゃなくて、そこの航空機関士の人たちが言っているので、僕は別に何もわからないのだから。例えば、第一ジェネレーターがダウンしたという表示がこのEICASに出るとするよ。そうしますと、航空機関士の場合は、一たんその第一のジェネレーターの電気系統だけを切ってみて、そこが過負荷の状況になっていればナンバーワンバスヘの電流を切りかえるようにする。それでもとに戻れば、そうすればその付近に何らかの異常が起こっているということは原因が特定できるわけだから、おりてから整備士に頼めば何とかなるのです。そこを整備できるのですよ。ところがこの飛行機の場合は、コンピューターは人間よりも頭が悪いから、四回も飛んでも結局まだわからなかったということでしょう。  それで、時間がありませんが、この間、全日空でも同じようなことが起こりましたね。同じようなことがというのは、こういう火災事故じゃありませんよ、全日空の飛行機が、五月十四日でしたかNHKやら新聞やらで報道されましたね、車輪を出して約一時間近く飛んだということです。飛行機が車輪を出して飛んだって別にどうってことないだろうと僕は思っていたのですけれども、今の飛行機の車輪というのは虫や何かの触角みたいなもので、ただの事じゃなくて、足がおりていることによって飛行機全体がランディングといいますか、地上にいるのと同じようなシステムに変わっちゃうんだそうですね。その結果、聞くところによると運用限界を超えて飛行していたということなんですが、そうなんですか。
  190. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 先生お尋ねの全日空の例でございますけれども、これは昨年の十月三十日の事例でございます。ワシントンを離陸しまして成田に向かっていた全日空の〇〇一便でございまして……(常松委員「時間がないから、運用限界を超えていたかどうかだけ答えてください」と呼ぶ)これは、過って足が出てしまったわけですけれども、足出しの速度が決められておりますが、その決められている足出しの速度をそのときは若干超えたという状況で足が出てしまったということでございます。その後すぐに速度は落ちておりまして、その時間はごく短時間であったというふうに理解をしております。
  191. 常松裕志

    ○常松委員 質問に答えてください。運用限界を超過していたかどうか。
  192. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 足を出した瞬間、ごく短時間につきましては運用限界を超過いたしておりました。
  193. 常松裕志

    ○常松委員 全日空から報告がありましたか。
  194. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 これにつきましては、当該飛行について、航空日誌にはこういった事例の発端になった油圧系統のふぐあいについては記載がされておりますけれども、運用限界速度を超えて足下げをした、こういったこと等につきましては記載がされておりませんでした。(常松委員運輸省に報告があったかどうか聞いているのです」と呼ぶ)したがいまして、足下げで限界ということにつきましては、その時点においてはございませんでした。
  195. 常松裕志

    ○常松委員 足下げじゃないのだよ。正確に言うと、速度が運用限界を超えていたはずです。それで、運用限界を超えているということは航空法の十一条二項に違反でしょう。にもかかわらず、そういうことであっても運輸省は報告を受けられないのですか。各航空会社とはそんな関係なんですか。そしてその程度関係で、この飛行機は安全だ、こういうふうに考えているようだけれども、もう質問時間が終わりましたから、私、結論だけ言って終わりますが、それで安全だなんというふうなことをこれまで局長は何度も国会で答弁しているけれども、そんなことは言えないはずだ、そう思うのですね。  本当に国民、利用者の立場に立ったら、大臣がおっしゃるように、安全の上にもさらに安全を確かめるということでなければならない。今、日航、全日空の機長の人たちも、あるいは乗員の人たちもみんな、これはそういう点ではまだ信頼を置けないというふうな、そういう疑問や問題点を指摘していますよ。その上に立って日航は実運航検証というのをやってきた、国際、国内便含めて一月に九百便のうちわずか八回。それを今打ち切ろうとしている。  大臣、これはぜひひとつ大臣の方から日本航空に話していただいて、この実運航検証をもうしばらくの間継続してもらいたい。乗員組合の皆さんや機長組合の皆さんが続けてくれと言っていることを、そういう意見を聞くことなく、ばんと打ち切っちゃうというのはどうかな、こういうふうに思うのですよ。そういう点では、ぜひこの実運航検証を継続してもらうように御指導いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。これで終わります。大臣、お願いします。
  196. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 安全に関することですからパイロットの皆さんもこの点の認識は一番されていることだと思いますから、そういった形で安全第一、その面に関して労使間でよく話し合いを進めてほしい。人間はコンピューターより優秀かもしれませんけれども、ある面においては、まだ人間が一年かかるようなこともこっちの方が瞬時にやってしまうといういいところがあるわけですから、やっぱり人とそういったコンピューターの機能というものと相まって、相協力し合って、補完し合っていくという形が一番大事だろうと思いますから、よく話し合いをするように進めます。     〔村田(吉)委員長代理退席、今津委員長     代理着席〕
  197. 常松裕志

    ○常松委員 お願いします。ありがとうございました。
  198. 今津寛

    ○今津委員長代理 春田重昭君。
  199. 春田重昭

    ○春田委員 貨物の輸送問題について若干お伺いします。  現在、貨物輸送主体はトラックの輸送になっておりますけれども、御案内のとおりトラックの輸送は労働力の不足の問題、排ガスによる環境汚染、また交通渋滞等の問題がございます。こうしたトラック輸送から幹線輸送として鉄道海運に転換するモーダルシフトがございますが、このモーダルシフト政策につきまして運輸省の御見解をひとつ簡潔に御説明いただきたいと思います。
  200. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいまお話がございましたように、貨物輸送をめぐる環境でございますが、おっしゃいますとおり今一番問題は労働力不足という問題でございまして、私ども運輸省といたしましても、運輸政策審議会の物流部会というところで平成二年の十二月に意見をまとめております。  そこでも、やはり一つは労働力不足、それからもう一つはエネルギー問題、それから地球環境問題からも、トラックから鉄道あるいは海運の方になるべくシフトしていくように誘導していく必要があるということで、私どもといたしましても、特に私は鉄道担当でございますが、鉄道になるべく乗っていただくということを進めていきたいと思っていろいろ考えておるところでございます。
  201. 春田重昭

    ○春田委員 ただいまの局長の答弁にあったように、平成二年の十二月の運輸政策審議会における答申では、モーダルシフトの積極的な推進、そのためのインフラ整備の促進が提言されております。  そこで、JR鉄道輸送の問題につきましてお伺いしていきたいと思いますが、鉄道は、同じ軌道を使用する旅客と貨物がございますけれども、この旅客会社と貨物会社の位置づけにつきましては運輸省はどう認識しておりますか、御所見を伺いたいと思うのです。
  202. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生今御指摘のように、線路そのものは旅客会社と貨物会社が一緒に使うわけでございます。法律上の取り扱いは、通常は旅客会社が持っております線路の上を貨物会社の列車が走るということで、そういう意味の必要な調整があるわけでございます。  私どもとしましては、位置づけの正確な意味はちょっとあれなのでございますが、別に貨物が従で旅客が土とかあるいはその逆とか、そういうことは特に考えておりません。いずれにしましても、資源の有効利用という意味から有効に線路施設を使っていただきたいと思っておるところでございます。
  203. 春田重昭

    ○春田委員 旅客と貨物の位置づけでありますけれども、ただいまの局長の答弁からすれば、要す るに共存共栄していくものであるということです。なぜ私があえてこの問題を問いただしたかといえば、貨物輸送は旅客輸送の余剰力を活用した輸送である、そういった基本的な考え方、この考え方というのは国鉄の分割当時ですか、あったみたいでございます。分割当時は貨物は当然長期低落傾向にありまして、分割した後もそう需要の増加は見られないといったことであったでしょう。  しかし、今日貨物輸送は大きく伸びまして、ある見方によれば、将来は、九〇年代は二倍ぐらいにも急成長していくのではないかと見られる。しかも今、運輸省政策としてモーダルシフトを積極的にやっていくということで、分割当時と今日で値様相が相当大きく変わってきている、こう思うのですが、このことを指導官庁である運輸省もよく認識していただきたい、こう思うわけでございますけれども、再度お答えをいただきたいと思います。
  204. 井山嗣夫

    井山政府委員 今先生からお話がございましたように、確かに分割当時には貨物がこれほど伸びるというのは私どもも実は予想しておりませんでした。  数字的に申し上げますと、昭和六十二年度にコンテナと車扱い含めまして二百一億トンキロ運んでおりました。これが六十三年度が二百三十一、平成元年度が二百四十八、二年度が二百六十八というふうに、当時から見ると三割ぐらいその四年間で伸びております。ただ、昨年度でございますが、昨年度は事故もありましたけれども、どうも輸送量の伸び悩みがございまして、平成二年度の二百六十八億トンキロに対しまして二百六十九億トンキロということで横ばいでございます。今年度に入りましても、実は発送ベースでございますが、対前年で回ないし五%の減という状況にございます。  ただ、長期的には鉄道の貨物というのが、微増があるいは急増かよくわかりませんが、伸びていくことは確かでございまして、私どもはそれなりの対応策を考えていくべきだと考えております。
  205. 春田重昭

    ○春田委員 そのように将来は伸びていくと見られているわけであります。  そこで、運輸省は、運輸政策審議会の答申を昨年の九月に受けまして物流政策推進計画を立てまして、JR貨物のコンテナ列車の編成の長大化を図るという目標を立てられました。この考え方につきまして若干御説明いただきたいと思います。また、最終、三十二両編成の構想があるみたいでございますが、その達成時期はいつまでと想定されているのか、あわせてお答えいただきたい。
  206. 井山嗣夫

    井山政府委員 平成四年の三月でございますけれども、私ども物流政策の推進計画というのをまとめておりますが、そこで考えておりましたことは、やはりJR貨物が伸びてまいります。それで一方、路線によっては列車の単純な増発といいましょうかこれはなかなか難しい、とすればどういうことかといいますと、一列車当たりの編成を長くして輸送力をふやす、これが一番効果的だろうということで、これを目がけまして考えをまとめました。  そのときの一つの考え方は、発着線それから待避線の延長、これにつきまして必要なところを順次やっていくということ、それから、それに対しまして鉄道整備基金から一部無利子貸し付けを差し上げたい、こんなことを考えて推進しようとしております。  このときの達成の目標としては、当時の貨物の伸びの趨勢からいたしまして平成十年度ぐらいを目途にそういうのを順次完成させていこう、こう考えておったところでございます。
  207. 春田重昭

    ○春田委員 現在JR貨物の列車編成は二十両が主体でございますが、二十六両編成も数本あると聞いております。これを将来長大化していく構想として三十二両編成が出てまいったわけであります。二十両編成から二十四、二十六、年々コンテナ量をふやして平成十年度ですか、三十二両達成を目標に置いております。  これが実現しますと、一千トンから一千六百トンヘと輸送量がふえます。とともに長さも四百二十メーターが六百四十メータープラスアルファという形で長くなってくるわけであります。そうなりますと、ただいま局長から御答弁ありましたように、待避線の延長の問題、それに伴う変電所の新設とか増設、それから貨物駅の発着線の延長、こういった問題が必要となってくるわけでありますが、これらの問題解決のためにはどうしたらいいと思っているのか、運輸省のお考えをいただきたいと思います。
  208. 井山嗣夫

    井山政府委員 長編成化を進めるに当たりましてやはり一番大事なことは、輸送力をつけるためには牽引する機関車がまず一つ、今の機関車では能力が足りないということで、JR貨物もこれに対しまして新しいいわば力の強い機関車を今開発して順次整備しようとしております。これにつきましては租税特別措置法上特別償却を認めるとかいうことで導入がしやすいようにやるということでございます。  それから、施設面におきましては、先生ただいま御指摘のとおり着発線とか、あるいは留置線も一部ございますが、あと旅客列車に追い抜かれる場合の待避線、こういうものの延長が順次必要になってくるわけでございます。そのほか、関連で信号設備なども一部改良が要る。それから、電力を余計食いますので変電所の増設も要る。こういうのが順次必要になってくるわけです。  そこで、今JR貨物から私ども聞いておるところでは、具体的に特に今問題なのは東海道のようでございますが、具体的にどの区間でどういうダイヤの場合にどれだけの輸送力増強の投資が要るか、これを今具体的に詰めておるところのようでございます。  そこで、私どもはもちろんいわば助成といいましょうか無利子貸し付けという制度を用意しておりますので、むしろそれを待ちまして、彼らが専門的に検討しておりますので、それを見まして対応して必要な助成等を行っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  209. 春田重昭

    ○春田委員 この旅客会社と貨物会社の関係を考えたとき、東京、大阪付近は複々線化であり、そう問題がないと聞いております。ところが、名古屋付近におきましては複線というようなことでございますので、非常に難しい。また、この名古屋付近というのは相当輸送密度も高いみたいでありまして、そういった意味ではこの東海道線は限界である、そこでJR東海とJR貨物の間でこれらの問題が協議検討されているやと伺っているわけでございますが、まだ最終結論が出ていないみたいであります。聞くところによりますと、待避線の延長、変電所の増設といった設備投資につきましてはJR貨物が全額負担する、それで今後の維持コストの負担線路使用料のあり方についてはまだ今後検討をしていく必要がある、こういったことで協議続行中である、こう聞いておりますけれども、問題、この点で間違いございませんか。
  210. 井山嗣夫

    井山政府委員 私が報告を受けておるところでは、先生ただいまお話しのとおりだと聞いております。
  211. 春田重昭

    ○春田委員 維持コストや線路使用料の負担についてがまだ結論が出ていないというのは、両社間で若干の食い違う点が出ているからであろうと思うのです。JR貨物としては、そこの線路や変電所は旅客会社の財産ではないか、ましてこの貨物駅の延長の問題とか待避線の延長、変電所の増設というのは全部このJR貨物が負担してやっていくんだから、今言ったランニングコストの問題や線路使用料については若干旅客会社の方が貨物の言い分も聞いてもいいではないか、こういった考え方があるやに伺っておりますけれども、こういった問題について運輸省としてはお聞きになっておりますか。
  212. 井山嗣夫

    井山政府委員 このモーダルシフトといいますか、長編成化に伴いまして増加する費用については、確かに先生おっしゃるとおり、まさにJR貨物のためにやるわけですから、これはJR貨物が負担せざるを得ない。それから線路使用料の問題は、先生よく御存じのとおり、改革のときに一般的に貨物列車線路使用料をどうするかというの は大きな問題になりました。いわゆる普通の計算をしているとかなり高いものになるので、アボイダフルコストといいまして、貨物列車が入るがゆえにプラスアルファになる費用、これを主として使用料として払っていただこうということで、ある意味で非常に割安といいましょうか、私どもが見たら割安と思いますが、そういうような形で線路使用料というのは全国的に決まっておるわけでございます。ちょうどこれはたしか、二年に一回ぐらいずつ見直しをすることになっておりまして、この秋が見直しの改定の時期でございます。  そういうこともございまして、JR貨物は各社といろいろなお話をしておられますが、東海とも多分その一環として、それとの絡みでお話をしておられるのだろうと思います。私はその内容の詳細については報告を受けておりませんが、いずれにしましてもJR貨物それからJR東海が、ダイヤの、先生おっしゃったように、非常にきつい中でいろいろな知恵を出し合ってやっていただかなければならないことだと思っております。よく両社のあれを見守ってまいりまして、指導に誤りのないようにしていきたいと思っております。
  213. 春田重昭

    ○春田委員 これらの設備投資には相当な多額の費用がかかると言われているわけでございまして、一説によると数百億円かかると言われております。  話し合いの中で、聞くところによりますと、待避線の延長につきましてはJR貨物としては五十キロごとに一カ所でいいんじゃないか、旅客会社の方は各駅つくれとか、変電所も現在五カ所あるのだけれども、二十二カ所といいますか、十七カ所ふやせという、そういった旅客会社からの話もあるみたいでございまして、貨物としても大変負担がかかるわけでございまして、これは最終的には貨物が全額負担となりましたけれども、そういった意味では、このランニングコストとか線路使用料につきましては十分勘案してほしい、考慮してほしいという言い分があるわけであります。  運輸省としても、全くこれは関知しない、両社に任せるというだけじゃなくして、場外からそんなように見るんじゃなくして、今おっしゃったように、平成四年度でも鉄道整備基金の中で約六十五億円が計上されているわけでありますから、両社から工事申請が提出されまして事業認可の審査に入り、そして事業認可された段階でこの鉄道整備基金が投入される、こう思うわけであります。そういった面で、どうか両社が平和的に、そして納得のいく形に解決するように御努力していただきたい。  本来なれば、この工事着手は九一年度からやる予定だったんだけれども、そういった問題で若干今おくれているということを聞いておりますので、そういった形で中に入ってひとつ運輸省が——やはり同じ線路を使用しているわけですから、いわゆる共存共栄という立場に立って、対等とは言いませんけれども、いかなかったならば、やはりこの両方のお客さん、利用者が減ってくると思うのですよ。逃げていくと思うのですよ。  そういった面では私は、非常に今いろいろな労働問題がこの旅客会社の中では言われておりますけれども、安全面を最重視して取り組むべきである、こう思っているわけでございますので、運輸省がそういった立場に立ってひとつ早急に解決するように御努力いただきたい、このように要望しておきたいと思いますが、どうですか。
  214. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生の今御指摘のとおりでございまして、私どもも今のお話を伺って、二つ問題があるかと思います。  一つはそのダイヤの問題でございますけれども先生よく御存じのとおり、貨物はどちらかというと夜中に通る、それから旅客はラッシュ時間帯、それから昼間優等列車が走ったりします。そこで、通常はある意味のすみ分けができるのでございますが、だんだん込んでまいりますと、貨物も夜中だけではなくてもう少し朝方に走りたいとか、ちょうどラッシュ時間帯に名古屋地区を通るというところでそこに何とか一本人れたいというようなことで、確かにダイヤ調整は非常に難しゅうございます。  それからもう一つ、どの場所にどういう施設を順次つくっていくべきかというようなこのあたりになりますと、非常に専門的でかつ技術的な話になりますので、私どもがこうせい、ああせいと言うことはできませんけれども、それぞれ専門家で、いわば従来一緒にやってきた仲間だと思いますし、その辺は決してけんか別れといいましょうか、そういうことのないように十分指導させていただきたいと思います。  それからもう一つの、予算執行といいますか、これにつきましても、これはことしの整備基金の予算で主要幹線鉄道の枠としまして、その他の事業も合わせまして六十数億枠をとっておりますので、それは話がつけば、私どももなるべく早く執行してほしいと思っておるところでございます。今後、少し事情も調べまして進めたいと思います。
  215. 春田重昭

    ○春田委員 それでは、最後に大臣、運輸省としてこのモーダルシフトを積極的に推進していく立場として、JR旅客会社とJR貨物会社の問題につきまして、大臣としてもひとつ中に入っていただいて、早急に解決するように御努力いただきたい。御決意をいただきたいと思います。
  216. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 JR貨物は、当初予想に反してと言ったらおかしいのですけれども、大変よく企業経営に取り組んでいただいて、当初厳しいだろうなと予測した形の中で、十分その使命を果たしつつあります。今期の決算は多少厳しい内容を持っておりますけれども、今後とも、モーダルシフトの輸送展開の中でますますJR貨物の果たしていく役割は大きいと思っております。  もしこのことでJR各社との間で、トラブル等は今のところ起きておりませんけれども、そういった形の問題点等々が御指摘されるようなことでありますれば、私としてもその調整に労をとることはやぶさかでございませんし、今後とも仲よくお互いにそれぞれの輸送使命に邁進していただくようにお願いしたいと思っております。
  217. 春田重昭

    ○春田委員 それでは、関西新空港の問題について、時間がございませんから二点だけお伺いしたいと思うのです。  先日、ある新聞によりますと、関西新空港の飛行ルートについて国際航空運送協会が、海上ルートの計画の代案として陸上ルートを運輸省に示したと報道されておりますが、運輸省の御見解を賜りたい。
  218. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西新空港の飛行経路につきましては、私ども、今非常に部内で一生懸命勉強させていただいておりますが、IATAからの御要望も出ていることも事実でございます。  ただ、関西空港は現在の大阪国際空港の空域との問題あるいは防衛庁管理の徳島の飛行場との関係、非常に狭い空域におきまして三つの飛行場がございます。将来はびわことかあるいは神戸新空港問題等がございますが、いずれにしても安全な飛行コースの設定が一番大事でございまして、私ども、この関西国際空港の整備段階におきまして、航空機騒音による障害が地域住民に、居住地域に及ばないということが基本的な考え方でございますので、この基本線に沿って、今、局内に設置いたしております検討委員会で重要なテーマの一つとして一生懸命検討いたしております。  具体的なルートの中身が決まり次第、地元にもよく御説明をして理解を得てまいりたい、このように考えております。
  219. 春田重昭

    ○春田委員 ということは、陸上ルートは考えられない、こう理解していいのですか。
  220. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 現在も大阪上空を含めてある程度の高度で上空を飛行させていただいておりまして、これは地域住民に対して直接騒音上の問題の影響は余りないというふうに判断をいたしております。  こういうことを踏まえながら、あらゆる安全上の角度も踏まえて一生懸命勉強いたしておりまして、今先生の御指摘の具体的な問題についてはまだ結論を得ておりませんので、結論を得次第、地元にも提示をさせていただきたいと考えておりま す。
  221. 春田重昭

    ○春田委員 最後に、いわゆる飛行ルートについての具体的な決定といいますか発表といいますか、大体いつごろをお考えになっているのか。それからもう一点、開港は六年の夏ごろと言われておりますけれども、現時点でその開港に障害となるようなものがないのかどうか、そして平成六年夏には間違いないのかどうか、これらの問題についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  222. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 第一点の飛行コースにつきましては、私ども部内では秋ごろには結論を出したいと思っておりますので、周囲の状況を見ながらできるだけ早く地元に御説明をいたしたい、少なくとも開港の一年前にははっきり明示はしなければならない、こういうふうに考えております。  それから開港の時期でございますが、今空港島内の施設整備を精力的にやっていただいておりまして、管制塔庁舎も形ができ上がってきていますし、ターミナルビル工事にも入っておりまして、関西会社におきまして一生懸命工事を進行中でございまして、二年後の平成六年夏の開港には特段支障はない、このように考えております。
  223. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  224. 今津寛

    ○今津委員長代理 草川昭三君。
  225. 草川昭三

    ○草川委員 二つ問題点をお伺いしたいと思うのです。  第一番目には、これはぜひ大臣に聞いていただきたいのですが、今海外旅行者が非常にふえました。一千万を超しました。外国からも日本にお見えになります。約六〇%は成田空港を利用します。成田空港と都心のアクセスというのは成田エクスプレスというのが大変今利用をされているわけです。東京駅の地下から成田へ行こうと思ってこの成田エクスプレスに乗ろうとした、当たり前ですけれども、乗ったらそのエクスプレスが反対の方へ行ってしまった。横浜の方へ行った、あるいはまた新宿の方へ行ったという例があるので、それをまず冒頭質問をさせていただきたいというように思います。  これはもう大臣も御存じのとおりでございますけれども、成田エクスプレスというのは都内の主要駅であります新宿と池袋、それと横浜の三つの駅を始発といたしまして、いずれも東京駅のみを途中停車駅といたしまして成田空港駅との間を往復しておるわけであります。成田エクスプレスは現在一日二十三往復をしているわけでありますけれども、かなり平均乗車率は高いと思うのであります。上りは何%か、下りは何%か、まずお答え願いたいと思います。     〔今津委員長代理退席、村田(吉)委員長     代理着席〕
  226. 井山嗣夫

    井山政府委員 成田エクスプレスの利用状況でございますが、これは曜日とか時間によって若干異なりますけれども、平均いたしますと、東京に来るいわゆる上り、これが七〇%ぐらいの乗車率でございます。逆に成田空港行きの方は、これはさらによくて八〇%と聞いております。
  227. 草川昭三

    ○草川委員 そのうち、東京駅から乗車をいたしまして成田へ行く利用者は何%か、あるいは一日平均何人くらいいるのか、お答え願いたいと思います。
  228. 井山嗣夫

    井山政府委員 今御質問の東京駅から成田空港駅までいわば直行する方は、この御利用者の方のうち全体の四〇%ぐらいの方と聞いております。ですから残りの六〇%の方は、先生先ほどおっしゃった新宿とか池袋とか横浜でお乗りになっていらっしゃるというふうに聞いております。  それで、片道でございますが、東京駅から成田空港直行の人が一日約二千人お乗りのようでございます。
  229. 草川昭三

    ○草川委員 二千人の方が東京駅から成田行きへ乗られる、こういう大変利用率が高いわけでありますが、御存じのとおり東京駅は地下のホームになっております。東京駅の地下のホームはプラットホームが二本あるわけであります。一本のホームは一番線と二番線という名前になっておりますし、もう一本のホームは三番線と四番線。二つあるわけであります。一番線と二番線は、通常成田の方から来て、千葉の方から来まして、品川、横浜方面に列車が進行するというようになっているわけであります。それからもう一つのホーム、それには三番線と四番線があるのですが、通常千葉、成田方面行きの列車が発車するようになっております。私どももかねがねそういう認識で東京駅の地下ホームを利用しているわけです。  そこで、東京駅から成田空港に行く一日二十三本の成田エクスプレスと成田の方から東京に入ってくる、向こうから東京駅に入ってきます二十三本のエクスプレスの発着ホームをそれぞれ私は調べてみたのですよ。そうしましたら、飛行機に乗ろうとして東京から成田へ行く二十三本の列車は、三番線から出るのが二本でございまして、四番線から出るのが二十一本。二十三本すべてがいわゆる千葉方面行きのホームから出るわけですから、これはもう乗客の頭の中には、右側か左側がは別といたしまして、この二本のプラットホームの一本の方へ行けば成田へ行くんだな、こう思っているわけですね、事実そのように出ておるわけですから。  そこで問題は、成田空港の方から今度は東京へ来る分ですね。それがどのホームに入るかといいますと、二十三本あるわけでありますが、一番線に十六本入ります、二番線に三本入ります。向こう側のホームですね。それで、三番線に二本入ってくるわけです。成田行きのホームに二本入ってくるわけですね。三番線に二本と四番線に二本入るわけです。成田方面行きのホームに成田の方から東京へ来る列車が四本入ってくるわけです。いいですか。  そこで、二十三本のうち十九本はいいですよ、品川方面行きのホームに入るわけですから、横浜だとか池袋の方へ回るわけですから、向こうからこっちへ来るやつですから。ところが、その残りの四本は成田方面のホームに入るのです。この四本が誤乗車の最大の原因になるわけです。今さら言うまでもありませんが、成田空港行きはすべて、千葉、成田方面行きに使用されているホーム、すなわち三番線、四番線に入る。成田から東京へ入ってくる、横浜だとか新宿行きのエクスプレスは横浜行きのホームと成田行きのホームの両方に入るわけですよ。なぜ、こういうことになっているのかということをきょうは篤と真剣に考えてもらいたいわけです。  問題は、通常成田空港行きが発着をする三番線、四番線に成田から来る横浜、新宿行きのエクスプレスが入るということで、一つのホームに反対の方向に行く列車が入ってくるということは、成田に行く人が横浜行きのエクスプレスに誤って乗るということになるわけです。こういう具体的な例を今から申し上げます。  朝の九時五十一分、成田からお客さんを乗せて東京駅に新宿行きのエクスプレス六号が入ってきます。初めて日本に来たという人も乗せてきますが、この六号が東京駅の地下の四番線に入るわけです、成田行きの方へ。このホームは通常千葉、成田方面行きのホームなんですが、この時間帯に反対方向へ行く新宿行きが入ります。九時五十一分に到着をして、二分間停車して五十三分に東京駅を出発をして品川方面に行ってしまうわけです。ところが、お客さんは実は十時三分に出る成田行きをもうホームに来て待っておるわけです。つまり成田から来た列車が九時五十一分に成田方面に行くホームに入ってきますから、そこでほとんどもうがらがらになるわけです、一部お客さんは残っておりますけれども。そこで十時三分に発車するお客は実はそれに乗ってしまうわけなんですよ。  ここで時差のことを申し上げますと、五十一分に成田から来た列車が五十三分に品川の方へ行くわけですが、その五十三分に出発をした四分後に、実は九時五十七分に成田空港行きの本物のエクスプレス一三号が四番線に入ってくるのです、同じホームに。ここで六分間停車をいたしまして、本来のお客さんを乗せて十時三分に発車をするわけなんです。だから、本当は十時三分でございますから十時三分までじっとしておればいいん ですが、そうはいきませんでしょう、乗客というのは大体列車が入れば成田へ行くと思っておりますから。そこへ五十一分に列車が入ってくるわけですから。だから、五十一分だから、ああちょっと早く来たなと思って乗ってしまうと、ドアがばたっと閉まって、五十三分に反対へ行っちゃうわけです。その後四分後に、九時五十七分に本来の成田行きの列車が入ってくる。さあ乗った人は大騒ぎですよ、飛行機に乗っていこうと思うのに反対の新宿へ行っちゃうわけですから。  こういう例が具体的にありました。私は、実は外人の方にエクスプレスに乗りなさい、こう申し上げたのです一朝一番で出るから、高速道路は大変込むから、夏になると三時間も渋滞するから、エクスプレスが一番ですよ、一時間弱で行くから。わかりました。その方は大変旅なれた方ですから、わかった、わかったといったら、新宿へ行ってしまったという。それでたまたまそのときに、ほかの多くの、多くとは言いませんが六人ぐらいの方がいました。それでフランスヘ行くという方は全部フランス行きの飛行機はキャンセルです。それで旅行社にも電話をしたり、現地へ電話をして大騒ぎ。  これは朝の九時五十一分の例だけではなくて、夕方にもあるのです。十八時四十五分というのがあるのです。十八時四十五分、成田から横浜行きのエクスプレス三四号が東京駅の地下の今度は三番線に入ってきます。成田方面へ通常使われている三番線に入ってきます。二分間停車をします。それで十八時四十七分にこの三四号というのは東京駅を発車して横浜へ行ってしまうのです。この後十三分後に、十九時に本来のお客さんが乗るべきであろう成田行きエクスプレス四三号が同じ三番線に入ってくるわけです。だから、同じ三番線に入る、十九時三分発に乗る人は十五分くらい前にはもうホームに来ていますよ、浮き浮きでかばんを持って。それで十五分前に入ってくるわけですから、そしてそこでがらがらになるわけですから、多分この列車は、同じホームから出るわけですから、バックしていくんだろうと思うと、ぱたっとドアが閉まって、横浜へ行くわけです。これはついせんだってもそのホームヘ、十八時四十五分、十九時ちょうど、夜の七時近くに私は見に言ったのです。駅員に、どうだね、間違う人はいないかと言ったら、いやさっきも外人が横浜まで行っちゃったよ、はっはっと言っていました。これは笑い事で済むかどうか。  こういう事例があるのでございますが、運輸省はどのように承知をしているか、お伺いしたいと思います。
  230. 井山嗣夫

    井山政府委員 確かに先生おっしゃいますように間違いがあり得ると思います、御指摘いただきまして私もダイヤをちょっと勉強してみましたが。  このようなダイヤになる、ホーム運用でございますが、なるのは、東京駅の一番線から四番線までの地下ホームが、通常のいわゆる横須賀線、それから総武線の電車が入ってまいりまして、通過するものもあれば、折り返して千葉なり、また横須賀の方へ行く電車が、この辺が通勤時間及びその過ぎたあたりで非常に錯綜いたします。そこで、もちろん先生指摘のとおりに、成田へ行く方、それから横浜なり新宿ほか全部同じホームでなければ非常に望ましいことでございますが、どうもダイヤ作成上、それからホームの運用上どうしても発着番線が制限されるのでやむを得ずこういうことをしているという事実があるようでございます。  ただ、もしそういう場合でありましても、今先生がおっしゃいましたように乗り間違いのないようにきちっとすべきだろうと思っております。そういう意味で、私どもJR東日本に対しまして、そういう案内放送等につきまして今後特段の改善策を講ずるようもう既に求めておるところでございます。
  231. 草川昭三

    ○草川委員 運輸省はそういう程度の答弁でいいのですが、JRにもう少し具体的な改善策はないかと思うのですよ。  それで、朝と十九時ですから大変ラッシュになりますよね。案内放送するといっても、耳に入りませんよ。だからもう少し人的に、どうせその四分後に入るとか、あるいは十三分後に本来の列車が入るわけですし、ドアのところでは一々チェックするわけですから、そのチェックする人が少なくとも前に出て、間違いのないようにしなさいよ、これは成田へ行きませんよ、反対へ行くんですよということを身をもって示すような方策をとらないととてもだめだと思いますし、何もこれは日本人だけが乗るわけじゃありませんから、外国語の放送もきちっとやってもらいたいと思うのです。それこそ注意、注意、注意という警戒の場内放送をすべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。
  232. 井山嗣夫

    井山政府委員 私どもただいまの時点で東日本から報告を受けておりますのは、今まさに先生から御指摘いただきましたように、間違いやすい御指摘列車の出る前後、これについては、おっしゃいますように、成田行きの方は出入り口に係員が原則一人ずつつくわけでございますが、その方々を少し早目にホームに勢ぞろいさせ。まして、それで成田から来た列車に間違ってお乗りにならないように確かめて、これは新宿行きですから間違えないようにということを御案内して乗っていただくということをまず考えたい。  それから案内放送の英語化という問題もございますが、今も一応ホームの地下一階おりたところには成田行きが何番線というような表示が出ることになっております。これは英語と日本語でかわって表示されますが、なれていないとそれが目につかないという場合もございますので、放送するとか、さらにもっといいことは、なるべく原則どおりのホーム運用にするというのが一番望ましいわけでございます。この原則どおりのホーム運用というのはダイヤの引き方上、輸送力増強という面からなかなか難しい問題もあるようですが、少なくとも御案内の仕方でお客さんが間違ってお乗りになることがかなり防げると思いますので、これは早速やってもらおうと思って指導しております。
  233. 草川昭三

    ○草川委員 大臣、過日、国際観光ホテル整備法の改正があったわけでございますが、これも外国人客に対するサービス向上というものが大きなファクターになっておるわけでございます。今のような問題を聞いていただいて、特に、せっかく日本でいい旅行をしていただいて東京駅から帰るときに、反対の横浜へ行ってしまったあるいは新宿へ行ってしまった、そのために予約をした飛行機をキャンセルせざるを得なかった、こういう大変不愉快な思いをする例が多いのです。そういう方々が現実にいるわけですから、これは早急な対応を求めたいと私は思うのですが、大臣の見解を求めたいと思います。
  234. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 今ほどお話を聞いておって、本当に聞いておるだけでも混乱いたしました。先生の大事なお客さんがこういったトラブルに巻き込まれたということで、むしろこういった場でその御指摘があるからよかったと思いますけれども、今まで間違えて泣き寝入りした人たちがどれほど多かったんだろうなと思うと、実際ふらちな話だという気持ちになります。  幸いにそういった御指摘があって今後の改善策が講じられておるようですからよかったと思いますけれども、いずれにしても、優しい交通システム、駅舎づくりということで、先生がいつも御指摘なさっているように目の不自由な方あるいは耳の不自由な方、そういった皆さんにも親切でわかりやすい表示なり声の案内なりという形をしなければいかぬ、こういう状態のときに、全く今のような事件を聞くと、正常者でも間違えるのは当たり前ですし、とりわけ外国のお客さんということになると間違えるのが決しておかしくないという状況のままで放置されているということは許されないと思っております。  今ほどありましたように、案内をするとかドアのところで切符をチェックしてあれするとか、あるいはもうそんな紛らわしいところへ入らないよ うなシステムはできないのかなと思いますけれども、これらを含めて、今後ともあってはいけないケースの問題であるという認識に立って、東日本に対して即時改善策を講ずるように、こういう過ちがないように努めさせてまいりたいと思います。
  235. 草川昭三

    ○草川委員 当面、ぜひその四本の列車のホームをかえるように、まず基本的な対応を立てていただきたいということを強く申し上げて次に移ります。  これは海上保安関係になりますが、昭和六十二年十月二十九日、神戸港で韓国船のウエスティン・ウォン号とフィリピンのジェード・フォレスト号の衝突事件がありました。これは神戸地方海難審判庁で裁決が出ておるわけでございますが、この内容で非常に重要な問題がございますので、二、三お伺いをしたいと思うのです。  平成三年三月二十六日の神戸地方海難審判庁からの裁決を見ますと、主文に、「本件衝突は、港内航路の航行管制が適正に行われなかったことに因って発生したが、ウエスティン・ウォンが、航行管制信号を遵守しなかったこともその一因をなすものである。」云々とございまして、パイロットの一カ月の停止という主文がございますが、このことに間違いがあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  236. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 お答えします。  第一審の裁決主文は、ただいま先生が読み上げられたとおりに相違ございません。  なお、本件は、第二審に係属中でございますので、裁決は確定しておりませんことを申し添えます。
  237. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、これは運輸省にお伺いをしますが、運輸省所管の海難事故の原因を探求する機関である海難審判庁が、初審であったとしても、港内航路の航行管制が適正に行われていない、こういう裁決をしておることについて重く見なければならぬと私は思うのです。その点についての見解を求めたいと思います。
  238. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 特定の大型船の入ります大きな港は、特定港として航路管制をやっておるわけでございます。全国で十七港、二十九の水路におきまして海上保安庁の航路管制官が管制をやっておるわけでございます。  神戸港におきましてもそのうちの一つでございますけれども海上保安庁といたしましては、本件衝突は、出航船のウエスティン・ウォン号、韓国船でございますが、これが管制信号に従わずに出航したことによって発生したものでありまして、ウエスティン・ウォン号の水先人が管制信号に従って航行しておれば衝突は回避できたものと考えておりまして、神戸の地方海難審判理事所の方から東京の高等海難審判庁の方に二審請求がなされておるというふうにお伺いしております。
  239. 草川昭三

    ○草川委員 今の保安庁の方は、この主文の後段にある、韓国の船が航行管制信号を守らなかったことに主たる原因があるという趣旨の答弁をしておるわけですが、この裁決文をずうっと読んでいきますと、これはかなり問題があると私は思うのですね。港内における船舶交通の安全をつかさどる航行管制業務のミスで海難事故が発生したことは非常に残念だし、この点についてはもっと素直に反省をされた方がいいのではないだろうか、こう私は思います。  今後この種の事故発生を防止するために、保安庁としてはどのような点を反省としているのか。今の場合は、ただ相手側が信号を遵守しなかったところに問題があるというのですが、実はこの信号というのは、港というのは大体出船優先ですから、出船優先だけれども、この神戸の第三航路というところだけは航行管制をしますよという、非常に国の権力で規制をするわけですから、それで信号を出すわけですから、だから当初は、出航予定のこの韓国船が出ますよと、こう言っているわけですから、Oの、要するにアウトですね、出るということを許可して出るわけですよね。ところが、その途中で管制官の方が変更するという事態があるわけですよ。その変更するいろいろなやりとりが細かくドラマのように書かれておりますけれども、私は、これは管制上のミスということを相当率直に、ある程度認めながら反省をされた方がいいのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  240. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 海上保安庁は、昭和二十七年から航行管制を当初は京浜港、それから大阪、関門というところから、三港から始めまして、先ほど申しましたように現在は十七港で管制をしておりますけれども、今までのところ管制ミスによる事故というのは発生を見ていないわけでございます。  それで今回の事故、もちろん我が方も非常に重大に受けとめておりますけれども、もともと管制と申しますのは、出入航のアウト、インの信号でやるわけでございまして、このウエスティン・ウォンの出ます前にもう一隻出航船がございまして、この出航を確認し、それから港外に当該衝突をいたしましたフィリピン船のジェード号の入航接近を確認して、十二分に入航信号に変えてもウエスティン・ウォンの出航とダブらないであろうという判断のもとに信号をインに変えた。その変えた時点をそのウエスティン・ウォン号が確認したのは約一マイル、千八百五十二メーターですから約二千メーター前で発見しておりますので、あっ、信号が変わったと申しますならば、船乗りであれば、当該信号を見て当然減速をするなりストップするなり様子を見るというふうなことが船乗りの常識としてはとるべき道ではなかったのかというふうに我々も、私も船乗りでございますけれども、そのように思うわけでございます。  それを、あらかじめ予定を言ったからそれが権利のごとく、信号は例えば赤信号だけれども、本来はこの時間には変わるべきではないのだと言って突っ込んだら、それはまさに事故のもとになるのでございまして、水先人の方は余りにも一つの港を出たり入ったりしてなれ過ぎますので、もう少しその辺のことについて謙虚に受けとめていただきたいというような辺について、我が方は管制官についてもっと厳然たる態度で管制を行うようにというようなことを、研修等をこの機会に行ったということでございます。
  241. 草川昭三

    ○草川委員 保安庁の茅根救難監の御答弁でございますが、余り保安庁の方のまずさということを認めておみえになりませんので、私はこれは言いたくないのですけれども、あえて申し上げます。  第五管区海上保安本部長の山本さんの名前で、昭和六十三年三月三日、阪神水先区水先人会会長薮内さん、いわゆるパイロットの会長に「水先人きょう導船舶の事故防止について」という、これは何というのでしょうね、呼びかけになるのか、表題はございませんけれども、ちょっと読みますよ。  昨年十月二十九日神戸港において云々と、衝突事故が発生した。「本事故においては、人命に異常がなく、また、両船の損傷も軽微であり他の船舶交通に影響を及ぼさなかったことは不幸中の幸いといえます。しかし、管制水路内において管制対象船同士が衝突するというような事は、あってはならない事故であります。」やはりあってはならない事故だとおっしゃっているわけですよ。「当該事故について調査した結果、神戸信号所における交通管制の運用に的確さを欠いたことも本事故の誘因をなしたものと考えられますので、自らを厳しく律するとともに管制の運用の見直し等により所要の対策を講ずることとしていますが、一方、管制水路を航行する船舶においても、この種事故の再発防止を図るため」以下云々というような要請があるのです。要望というのですか、指示があるのですね。  それで、これは当然のことながら三点にわたって注意をしておるわけです。港則法に定める航路内の航法に従って航行しろよ。二番、港長が信号所において交通整理のために行う信号に従え。三、他水先区水先人への嚮導引き継ぎは、航路外の操船上余裕のある海域において行いなさい。これはパイロットの引き継ぎについて若干航路の中で引き継いだというようなことは事実のようでご ざいますので、それはもう明らかにまずいと思うのです。  だから、やはり海保としてもきちっと、あってはならない事故だと言っておみえになるわけですし、的確さを欠いているというような事例もあるわけでありますので、私はいま少し反省の色が出てもしかるべきではないか。  また、韓国側の方からは、日本に対する国家賠償も請求をされておるようでございますので、この種の賠償請求等については、私は潔く賠償請求に応じて、民事とはいいますけれども、両国間の一つの話し合いのためには友好的な解決があってしかるべきだと思うのですが、その点はどうでしょう。     〔村田(吉)委員長代理退席、坂本(剛)委     員長代理着席〕
  242. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 後段の国家賠償請求訴訟につきましては、これは平成三年の四月の二十五日に東京地裁に国賠請求訴訟が提訴されております。もちろん、法務省が前面に立ってやっていただいておりますので、その中身等につきましては、あるいは国の対応ぶりにつきましては、具体的な答弁はこの席では差し控えさせていただきたいと思いますけれども海上保安庁としても誠意を持って対応したいというふうには思っております。  それから、えらい反省が足らないんじゃないかということでございますけれども、反省は十分しております。いまだかつて事故はもちろん起こしておりませんけれども、これは先生に御要望がございましてお渡ししましたように、港長業務の実施要領というのがございまして、管制官がいろいろ判断をする場合に配慮しなさいということが書いてございます。  出航船と入航船が近い場合には二十分の間隔を置くように配慮しなさい、この時間が余りにも、二十分というとちょっと間があき過ぎて、日出時、日没時は船の出入が込むわけでございます。そうしますと、どうしても航路があく期間が長くてもったいないということから、若干その管制官が航路を有効に使おうとして時間を短縮して使いがちになる。そしてその自由裁量の範囲が少し広くなって、かえって危ないんじゃないかということで、その二十分間というのを十分間に少し短くいたしまして、大体十分間ぐらいの間隔を置いて、その前後ぐらいで航路の有効利用を図っていきなさいというような手直しもやっておりますし、できるだけパイロットなりあるいは代理店等からの要望がございましたら一生懸命聞いてあげて、有効にかつ安全に航路が使えるような管制計画を立てるように、徹底的に指導しておるところでございます。反省は、十分しております。
  243. 草川昭三

    ○草川委員 時間がございませんので、これは最後の提言になりますけれども、確かに港の入航希望というのは非常にふえておると思うのですよ、夕方ですから。ですから、どうしても管制官は入航を急いでやりたい。それで出る船が少しでもおくれると、何をもたもたするか、こういう気持ちになると思うのですね。それで当然のことながら、このマニュアル等を見るときちっと張り番を置かなければいかぬとかといろいろなマニュアルもあるし、裁決文等を見ても、もう少し管制業務に人的な配置をしたらどうだと言わんばかりの問題提起もあるわけですよ。  それで私は、今度は、少し批判をしましたけれども、管制業務の実態が今でいいのかどうか、適正な人員の配置をされているのかどうか、だから人をふやすならふやしてあげないと、入出航がふえてきておるので従来の人員では無理ではないだろうかという問題提起を一つはしたいのです。  それからもう一つは、今どき大変恐縮でありますけれども、空の管制はもうほとんどハイテクの時代になりましたね。ところが、海の航行管制というのはやはり有視界でしょう。それから、事前に連絡がある出船、何時ごろに出航したい、あるいは入航を何時ごろしたいというエージェントの連絡だけでしょう。それはファクスで入るだけでしょう。私はこれはいささか時代おくれだと思うのです。  だから、これはもう少し予算を要求されて、これは運輸大臣もよく聞いておみえになりますから、来年度予算ぐらいには航行業務の大幅な予算増、特に機器機材、ハイテクということが適当かどうかわかりませんけれども、そういうものを利用して、やはり出船が大体何分で第三航路に入るということが押せばわかるわけですから、別に双眼鏡で薄暗い夕暮れの港を見るとか見ないとか見れないとかということのないように、もう少し機材に頼った管制をすべきだと思うのですが、そういうお気持ちはないのですか。これは最後の質問になりますが、お伺いします。
  244. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 大変ありがたいお言葉でございまして勇気百倍でございますが、実は東京湾の浦賀水道航路とか京浜港につきましては、レーダーとコンピューターを連動した、そういう管制システムに今移行しております。おいおいに神戸港につきましても、明石の橋ができますのを契機にセンターができると思いますので、これも近々連動して近代化されるものというふうに思っておりますけれども、現在のところ、この神戸港は管制対象船が一日に約十三隻程度、一万五千トン以上でございますので一日平均十三隻程度でございまして、若干費用対効果で今のところ近代兵器を入れるか否かという辺については検討中ということでございますが、今後十分近代化していきたいという気は我々としては切実なものがございます。  以上でございます。
  245. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  246. 坂本剛二

    坂本(剛)委員長代理 佐藤祐弘君。
  247. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 昨年五月十四日、信楽高原鉄道の事故がありました。亡くなられた方が四十二人、負傷者六百十四名、大変大きな事故だったわけですが、一年がたつ。先日は地元で一周忌の法要、こういうものも行われたと聞いております。  あの事故は、大きさとともに国鉄の分割・民営に伴う第三セクターで、しかもJR列車の乗り入れの中で起きたという点が大きな特徴でしたし、全国の第三セクター関係者も大変心配しながら注目するということでありました。  本委員会でも集中的に議論が行われて、運輸省は事故原因の徹底究明、再発防止の策、これは刑事責任追及とは別に運輸行政としてやらなければいかぬ、それから同時に、遺族の皆さんとか被災者の皆さんに対して誠意を持っていろいろ補償その他に当たっていくということを約束されたわけでありますが、現在どういう状況になっているのか、まず御説明をいただきたい。
  248. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  五月十四日はちょうど一周年でございまして、私も委員のお許しを得まして一周忌の追悼式に出させていただいて、慎んで御冥福をお祈りしてまいりました。そのときの遺族の方々のそのお気持ちを察しますと、あの種の事故が今後決してあってはならないということをその式場でもつくづく胸に、肝に銘じたところでございます。  それで、二つ御質問があると存じますが、一つはその原因究明につきましてどうなっているかということ、それから遺族補償の問題でございます。  原因につきましては、たびたびこの委員会でも経過を御報告申し上げておりますけれども、私どもとして最終的な結論をまだ得ていないのは大変申しわけございませんが、鋭意やっているところでございます。  ただ、一つ言えますことは、この列車衝突事故の直接の原因が、どうもやはり赤信号であるのをよく確かめないで動かしたというところにあるのではないかということが、一つ推定としてそういう印象を持っております。ただ、それに関連いたしまして、信号システムがどうもおかしかったのではないかという御疑問もございますので、そちらの方も含めまして、人間の要素と物的な信号システムの具体的な作動状況、それから施設状況を、実は一週間ぐらいずつの現地調査をたしか三回やっております。それから専門家にお集まりいただきまして、そのとき集めましたデータを整理いたしましたのをいろいろな角度から御検討いた だく会合を五回やっておりまして、かなり見えてはきております。  ただ、一つ非常に残念なのは、一番重要な役割を果たしていたと思われる方がこの衝突事故で亡くなっているというところが、私ども調査を進めるに非常につらいところがやはりございます。  いずれにしましても、これは大事な話でございますので、私ども慎重を期する必要がありますが、その中で一生懸命やっているつもりでございます。  それから再発防止につきましても、以前の委員会でも御報告申し上げましたが、全国のこの種の鉄道、特にすれ違いをやる鉄道、単線ですれ違いがあるところ、乗り入れをしているところ、そういうところにつきまして重点的に総点検と、私どもの職員が行ってチェックをさせていただいております。それから予算面におきましては、こういうはっきり申して中小鉄道の場合、技術レベルの維持がなかなか大変だということで、今年度から巡回指導といいましょうか、そういうための予算もどって具体的に進めておるわけでございます。その他、機会あるごとに警鐘を鳴らしております。  それからもう一つの補償の方でございますが、補償につきましては、JR及び信楽鉄道に対しまして、誠心誠意を持って遺族の方々あるいはけがをなさった方に当たりなさいということでやっております。現在までのところ、四十二名亡くなっておられますが、そのうち職員が五名おりますので、三十七名の遺族の方のうち五名の方と示談が成立しております。それから、負傷された方が六百十四名いらっしゃいましたが、きのうまでにそのうち四百三十二名の方と一応示談を成立させていただいております。  しかし、いずれにしましても、大変お気の毒な方々でございますので、今後とも、JR西日本を初め両社を指導してまいります。  具体的には、今までにJR西日本が、たしか私の聞いたところでは五億円、いろいろな形でお支払いをしておるし、信楽側は、当初はお金の手当てがつかなかったので西日本が大体全部払っておりましたが、最近は基本協定がございまして、とりあえずの立てかえは半々で負担するということできちっと対応しているというふうに報告を受けております。  今後とも、遺族の補償につきましてはきちっと対応するように指導してまいります。
  249. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 いろいろ手を尽くしてやっておられるという答弁ですが、実は一年たってもはっきりしない。当初は信号機その他が警察に押さえられておったということがあったわけですが、十一月には返ってきているわけですね。それから半年近くたっています。だから、やはり早く結論を出す必要があるということと、今局長も一周忌の法要に行っておられたということだから、実際に見聞きされたかと思いますが、JR西日本の角田社長が深くおわびするということを言われた。それはそれで当然のことですが、そのJR西日本の角田社長が責任の所在はともかくと言われた点に遺族関係者の方から非常に批判があったのですね。やはりJRにも大きな責任があるというのは常識化しているわけですよ。ところがなかなかそれを認めようとしないという点で、遺族関係者の皆さんは大変立腹もしておられるし、早く解明してもらいたいと強い要望を持っておられるということです。  この点は中身の問題にきょうは触れませんけれども、今の答弁であったように、四十二名の死者のうち五名の方にしか話が進んでない。一年たってですよ。どうしてそうおくれているのかという問題です。私たちが聞いたところでは、相談室というのをつくられていますね。高原側からとJR側からと人を出して、総勢で七十八名ですか。ところが、その相談室の接触の仕方といいますか態度が逆に反発を招いていると聞いているのです。  というのは、事故の原因は別にして、とにかく早く示談に応じてもらいたいというようなやり方でやっている。そうしますと、遺族の方の気持ちとしては、金だけのことじゃないんだということですね。そういうことだけでは死者も浮かばれない。やはり原因、責任を明確にしてもらいたい。補償の問題もあるけれども、原因、責任を明確にして、再発防止の策もしっかりと示してもらいたい。こういうところへそういう態度で接していく。ともかく示談を早くというようなことです。だから、四十二名のうち五名しか話し合いが進まないという結果になっているのじゃないですか。そういう点はどう考えていますか。補償については四十二名のうち五名済みましたという報告では私は済まぬと思うのですね、一年もたっていて。どうですか。
  250. 井山嗣夫

    井山政府委員 四十二名中五名、済みません、私法して誇っているわけではございません。確かにおっしゃるとおり、遺族の方々のあれを考えますと、なるべく早くきちんとした補償が行われるべきだと思っております。  特に先生今おっしゃったように、相談室の人の態度といいましょうか、物腰が遺族の方の感情をある意味で逆なでしているという御指摘でございましたが、そういうことがありますと、これは大変いけないことだと思います。早速状況を調べまして、必要ならば注意をしたいと思います。そこら辺は、私どもは発生直後から誠心誠意を持ってやってくださいということを常に信楽鉄道、その裏におります滋賀県、それからJR西日本にかなり口を酸っぱくして何回も言っております。  そういう意味で、遺族の方がもしそういう感情をお持ちだとしたら非常に残念なことでございますので、ちょっと事情を聞きまして、必要ならば注意をしたいと思っております。
  251. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題で大臣にもお答えいただきたいのですが、事故原因の究明についても最近いろいろ発表がされています。例えば、運輸省の交通安全公害研究所と警察庁の科学警察研究所の鑑定で、JR列車の貴生川駅出発が、JRは二分だと言っているのですね、ここでやりとりもしました。私は五分以上のおくれじゃないかと。当初の発表は、運輸省は六分おくれだった。二分おくれとJRは言っている。五分以上おくれた場合には相手側に連絡しなければならぬという協定があるのですね。そこに絡んでそういうことだったと思うのですが、最近の警察庁の研究所と運輸省研究所の鑑定では三分から八分の間だったということが言われている。五分以上の可能性も強いと。まだ断定はできませんよ。そういうことになれば、協定に従って手続を踏んで連絡しておれば事故は回避されたかもしれない、回避できたということにもなってくるわけですね。それから今の信号の問題でも、詳しくやりませんが、亀山センターの優先てこ問題などもあります。  大臣に特に要望したいのですが、二つの点があります。一つは、JR西日本が原因究明に当たって責任回避ととられるような態度をとらないで、本当に真剣に取り組むようにということが一点です。もう一点は、遺族を初め被災者の皆さんに、今局長の答弁にありましたけれども、本当に心のこもった態度で対していく。こういう点で指導に万全を期していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  252. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 信楽高原鉄道事故、一周忌を迎えて、いまだに事故原因がはっきりしないという形はまことに残念でございます。  しかし、原因究明もまさに大詰めに近づいておるようでございますし、四十二名の御慰霊をする上におきましても、このことははっきりした究明がなされなければならないと思います。と同時に、この補償につきましても、第三セクター、言ってみれば町村自治体、そしてこれだけの大事故、とてもそんな信楽高原鉄道ではこういった遺族の皆さんに対する補償の面についても到底応対できない厳しい事故内容でございます。  いずれにしても、これは二度と再発があってはいけない、厳粛な反省の上に立って、現在のところこの第三セクターのあり方についてもいろいろな方途が講ぜられたり、いろいろな対応策、補償、保険等の対応策の改善も見られたところであ りますけれども、今先生が御指摘になったJR西日本の対応、これは今でも真剣にやるように言っておりますし、また現実に、決して責任回避するという意味じゃなくて、補償対策も含めて真剣に取り組んでくれておることは間違いありません。  そういったことでJR西日本にも、そのように対応する、遺族の皆さんのお気持ちに少しでも、万分の一でもおこたえでき得るような形で対応するようにもちろん指導もいたします。そしてまた、遺族の皆さんのそういった願いと申しますか、それにも十分対応した形で補償に関しては万全の対応で臨みたいと思っています。
  253. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 次に、さきに同僚議員の質疑もあったのですが、ボーイング747−400に関する問題で私からもお尋ねをしたいと思います。  現在は日本航空二十機、全日空が七機ということですが、将来JASを含めて百二十機になっていく、主流になるということだけに、ダッシュ400の安全性を十二分に検証する、そして安全性をより確実にしていくということが大事だというふうに考えるわけです。  ダッシュ400をめぐりましては、一九九〇年の運航開始以前から安全性をめぐってさまざまな論議がありました。詳しくは省略いたしますが、航空会社側と機長組合などの三乗組の間で安全技術論議というのが重ねられて、その結果、実運航検証というのが一九九〇年の十一月から会社側の提案のもとに行われてきているということであります。  ところが、実運航検証の中で、昨年三月に燃料使用にかかわる運用限界の超過という事態が起きておったということが明らかになったというふうに聞いております。  まず確認しておきたいのですが、運用限界というのは、航空機が耐空性を維持する、その上に超えてはならない限界というように理解しておりますが、そういうことでよろしいでしょうね。
  254. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 先生お尋ねの運用限界でございますけれども航空機は用途及び運用限界を指定して耐空証明を行う、こういうことになっておりまして、原則として運用限界を超えて飛行することはできないということでございます。  また、何らかの原因で運用限界を超えた飛行が行われた場合には、超過した限界事項、限界の程度に応じて構造の点検が必要となるものでございます。
  255. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 その際明らかになった燃料使用にかかわる運用限界ということなんですが、航空機の燃料使用というのは、まず胴体タンクを使う、次に翼の内側から使っていって外側を使う、こういうことだと聞いています。これは機体の安定、安全を保障する上で大原則だということでやってきた。ところがダッシュ400の場合には、コンピューター制御になっているわけですが、従来のそういうやり方とは違った状況になっている。使用すべきタイミングでないのに外側の燃料が使われる、これが発見されたということです。  この点を実運航検証の中で発見して会社側に適切な対応を提起した。ところが会社側は、それを是正するというのではなくて、外側のタンクの燃料使用を、ゼロでなければならないところを四千ポンドまでの許容範囲に引き上げるというようなことをやったのです。これは去年の八月だったと思います。しかしその際にも、四千ポンドを超えて使われるようなことがあれば、これは運用限界超過だから点検が必要だということも同時に言っておった。ところがさらに会社側は、五月十五日になりまして、一度はみずから四千ポンドの限界という数値を出しておったのを、今度は航空機運用規程から運用限界そのものを削除するということをやったというのですね。この経過は間違いありませんね。
  256. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 そのとおりでございます。
  257. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣、これは私は本当に驚いたのです。よく聞いておいてほしいのだけれども、つまり例えて言うなら、車が猛烈なスピード違反で走ったという場合にはこのスピード違反を抑える、制限速度を超えないような措置をとるのが普通ですよね。いっとき会社側もゼロから四千ポンドにはしましたが、しかしそれでも一応の限界値を設定していたわけです。ところが今回のやり方は、速度制限そのものを取っ払ってしまう、なくしてしまうというものなんですね。これはべらぼうな話だというふうに私は思うのです。  しかもこの問題では、飛行機が飛んでいる間の、運航の最高責任者はパイロットだといっていいと思うのです、いろいろな事態を掌握しながら安全な飛行をやっていくわけですから。そのパイロットの皆さんが大変強い懸念を表明されているわけです。ここに現物もありますが、「航空機運用限界の取り扱いについて」ということで日本航空機長組合の方が正規の申し入れもされているのです。  その中で、運航本部の、限界そのものをなくしてしまうというやり方は「「安全性向上の為に設定した規程を、その後、超過事例が判明したので、その防止策を採るべきところ、逆に削除する」と言うものであり、運航乗務員の長年にわたる運航の原点に照らし、到底容認できるものではありません。」はっきりそう言って、是正するようにという申し入れを会社側にしておられる。ところが、そういう機長の皆さん方の要望があり、ほかの乗員の皆さんも要望しているのですが、こういうことを無視して五月十五日に削除を強行した。私はやはりこれは安全の上から重大な問題だというふうに思うのです。  もちろん私も素人ですが、私がいろいろお聞きしたところでは、燃料を内側から使っていくというのは、外側を早く使いますと翼が持ち上がってしまうわけですね、それが運航の安全にかかわるし、翼のつけ根の強度にもかかわってくるというようなことで、外のタンクからは使わずに内側から使っていく、こういうことでやってきているというのです。それをダッシュ側に関しては取っ払ってしまう。コンピューターがやっているんだからそれでいいんだということで、長年やってきた大原則をダッシュ400に関してだけは削除してしまう。本当に私は日航のやり方は強引に過ぎると思うし、運輸省として、国民に安全の責任を持つわけですから、慎重な対処というか十分なチェックが必要だ、そういうふうに思いますが、いかがでしょう。
  258. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 ただいま先生からは、運用限界を削除した件につきまして大変危険なことではないかということでの御指摘ではございますけれども、私どもは安全上問題ないということで運用規程の削除を行っておりますので、若干この問題につきまして御説明させていただきたいと思います。  先生指摘のように、ダッシュ400の燃料の使い方は、胴体内、主翼の内側それから外側に燃料タンクがありますので、使用順序は基本的には胴体内のタンクの燃料を最初に使いまして、次に主翼の内側のタンク、その後主翼内側のタンクの燃料が一定量以下になったときには今度は主翼の内側と外側の両方のタンクを使用するということで、こういった順序を定めますのは、先生おっしゃいますように主翼の構造、強度等の観点から決められているものでございます。  それで、先生も御指摘がございましたけれども、正しい操作をしているにもかかわらず主翼内側のタンクの燃料が使用される前に外側のタンクの燃料が少量使用される、こういうことがあったわけでございます。この点につきましては、こういうふうに若干外側が使われるということは、ダッシュ400の設計上の特質でそうなっているわけでございます。  そういうことで、これにつきましては当局から製造国の当局であります米国の連邦航空局、FAAに調査及び検討を依頼しましたところ、FAAは、当該事例は設計の段階で考慮されていた事象であり、主翼の強度等安全性に問題がないと証明されていること、また、そのようなことが運用限界に記載されていたことにつきましても、この運用限界を記述したマニュアルについては、このような事象は許容し得るため、運用限界からこれを 削除しまして明確化を図るという措置をとりました、こういうことでございまして、当局ではこの連邦航空局の措置を受けまして航空会社のマニュアルの改定を承認したものでございまして、安全上問題ないというふうに考えております。
  259. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 あなたはそう言いますけれども、一番大事な機長の組合がこれでは問題があると言っているのですよ。FAAがいいと言えばすべていいのですか。そういうことじゃないでしょう。ほかの在来型機は、当初私も言い、あなたも今繰り返し説明されたけれども、内側から使っていくというルールを現に守ってやっているわけでしょう。だから問題になっているわけですよ。  ダッシュ側についても、当初は運用限界の規程がなかったのを機長や乗員の皆さんがいろいろ折衝される過程で運用限界というのを決めたのですね。その現物も持っています。これは一たん決めたのですよ。運輸省も承認したのでしょう。その後さらに重大な事態が発見されて、四千ポンドというところに規制を緩和して、今度は削除してしまう、これは本当に大変な、べらぼうな話ですよ。FAAがいいと言っているからというだけでは済まない問題ですよ。そこのところを申し上げておきたい。  時間が余りありませんが、この問題では三乗組の方では具体的に改善の提案までしているのです。とにかく四つのスイッチがありますね、これを操作すれば従来のような原則とされてきた燃料使用ができるわけですね。それを二人乗務だからあえてそれは煩雑になってできないというようなことでコンピューター任せにする、そうするとそういう不都合が起きる、こういう状況になっている。  だから私は、本当に運航に責任を持っている、FAAの意見もあるかもわかりませんが、日本人の機長、乗員の意見を尊重すべきだということを申し上げておきたいと思います。  では、ほかにも驚くべき事例を申し上げようと思いましたが、今資料をお配りしています。実運航検証、これがこの間いろいろ成果を上げてきております。実際の件数はもっとたくさんあるのですけれども、これはごく一部を表にしたものを今差し上げたところです。今申し上げました燃料使用上の問題というのは三番目に記載してあります。  一番目、最初に記載してあるのをたまたまの例として申し上げますと、エンジンにふぐあいが起きるようなことがあり得るわけですね。現にあるのです。そういう場合に適切な表示がパイロットの前にされない、こういうことが発見された。そこで会社側に問題提起をして、会社側も実機検証、実運航検証で組合から指摘を受けたのは事実だということで、AOM、航空機運用規程の手順に項目を追加するという措置をとられている。そういった例がほかにもたくさんあるわけです。そういうものとしてこれは参考にしていただきたい。  こういうように実運航検証の中で問題点が発見され、提起され、そして改善の措置もとられてきているものもある、こういうことは運輸省も当然御存じですね。
  260. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 承知いたしております。
  261. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣も安全の問題では万全の上に万全を期せということをおっしゃったのですが、私も何よりも航空機の安全、国民の安全という観点から今疑問点をたださせていただいているということであります。  運輸省にお聞きしますが、航空機の事故というのは離着陸時に多いと聞いておりますけれども、どうですか。
  262. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 全体としてはクリティカル・イレブンということが言われておりまして、離着陸時が多いことは事実でございます。
  263. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 クリティカル・イレブン・ミニッツというそうですが、離陸時の三分と着陸時の八分、これは最も慎重にやらなければいかぬ、非常に危険度が高い時間だと聞いております。  ところで、先ほど申し上げました、資料も配付しましたようにせっかく成果を上げている実運航検証、これがこの大事な時間帯にはできない状況に現在あるのですね。その時間帯はパイロットも大変多忙でありますし、いろいろなことがありまして高度三千メートルにならなければ検証に必要なデータを見ることができない、こうなっているわけです。  そこで、そういうことからも三乗組では、今パイロットの前にパネルがあるわけですね、いろいろなメーターとか、それを後ろからのぞき込むようにして航空機関士の方が検証しているわけですが、それでは非常にやりにくさもあるから、そうではなくて別に横に表示をするようにして、そうすれば離陸の最初から十分にチェックができるということで、そのための分岐ボックスというのもみずから自費でつくられておって、私実際に見せてもらいました。このくらいの大きさのものです。それをつければ前面に表示されるのと同じようなものが横に表示できるし、さらに詳しいデータが表示できる、そういうものもつくっておられた。会社側にも提起しているということであります。  私は、ダッシュ側の安全性を高めていくという点ではこういう努力も評価して、クリティカル・イレブン・ミニッツという危険な時間帯にも検証ができるような方向で取り組むべきだと思いますが、いかがですか。
  264. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 ただいま先生指摘の装置でございますけれども、実運航検証というのは実際の運航の状況を検証するということで行われているものでございまして、運航の実態とかふぐあいの発生状況、対応操作等がどうかというようなことを航空機関士の方にある限られた便に乗っていただいて実施しておるものでございますが、それを行うに当たって必ずしもそのものが必要であるというふうには考えておりません。
  265. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 日航の社側はそういうものができればいいということを安全技術論議の中でも明言しておられるのですね。しかしなかなかそういうものはつくるのは難しいのじゃないかと言っておられたのを、三乗組の皆さんが工夫されてつくられたというのが現時点です。  ですから私は、最後にこれは運輸大臣にお聞きして質問を終わりたいと思いますが、大臣がおっしゃったように本当に空の、空に限りませんけれども、地上の車の場合ですと、何かおかしいと思えば、とめれば、とめて何かすればできるんですよ。特に空を飛ぶ飛行機の場合には、とめてというわけにはいきませんから、それだけに飛行中にもいろいろな対策を講じながら飛ぶということが必要だと思うのですね。それで、機長組合初め乗組の皆さんは、安全運航のためにということでさまざまに知恵を出し、努力もし、こういう創意工夫もしておられるわけです。  ぜひこういう点を大いに、むしろ督励するといいますか、安全性を高めていく、それから、実運航検証はもとより、それもより十分なものにしていくという方向で私は万全を期していただくべきだというふうに思いますが、最後に大臣の御所見をお伺いして終わりたいと思います。いかがでしょう。
  266. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先ほど常松先生からも同様の御指摘がございました。特に、安全第一は当然のことではございますけれども、とりわけ大量の輸送、しかも空という条件の中で、念入りに念入りに万全を期してほしいという形は、これはもう当然のことであろうと思っております。  ボーイング747−400に関して、いろいろ機器の内容についての御指摘でございますので、その面については到底お答えすることはできません。しかし、この機長組合の皆さん方の御意見の御尊重は当然でございますし、またさ力とて、FAAのやはり見解も、これもまた権威のある形としてお受けしなければいけませんし、また、現に運航しておる百六十機の、そういった現に安全運航しておるそういった状況もつぶさにやはり見なければなりませんし等々、技術は日進月歩の時代でござい ますから、そうでなかったらとてもあんな大きいずうたいのものに安心して乗っておれぬわけでありますけれども、そういったいろいろな今後の機器の発展も踏まえながら、なおかつそういった人間の感性、長年の経験の機長さんらの御意見もしんしゃくしながら、万全を期していただくように私の方からも注文をつけたいと思っております。
  267. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  268. 坂本剛二

    坂本(剛)委員長代理 高木義明君。
  269. 高木義明

    ○高木委員 私は、関西国際空港の問題につきまして、以下お尋ねをしてまいります。  なお、午前中の質疑の中にも若干の重複点がございますが、極めて重要な課題でありますし、私どもの立場を踏まえてお尋ねをしてまいります。  この空港問題につきましては、何といいましても近年の航空需要の急速な伸びというものが大きな柱になるわけでありまして、資料におきましても、一九九〇年実績、旅客につきましては九千六百二十六万人、これが二〇〇〇年、予測でありますけれども一億六千万人へ増加をするであろう。貨物におきましては、一九九〇年の実績二百二十七万トンが、二〇〇〇年の予測によりますと四百三十五万トンに増加をするということが出されておりまして、まさにこの約三分の一は新しくできる関西国際空港が担うことになる。こういう意味合いで、大変私は、このこの事業が円滑に進み、そして早期に開港ができるように切望するものであります。  特に、我が国におきましての二十四時間運用可能な空港として、しかも、アジア・太平洋地域の空輸におきましての中心的な役割を果たすいわゆる国際ハブ空港とも言われておりまして、また、内にありましては、西日本を中心とする国内航空需要に対応するという意味で大変重要なプロジェクトであります。  そこで、まずお尋ねをいたしますが、第一期計画は、その規模、滑走路三千五百メーターを一本、面積五百十一ヘクタール、能力は、年間離着陸回数約十六万回に対応し得るものとしておりますけれども、重ねて、今の進捗状況につきまして、どのようになっておるのかお伺いをしておきます。     〔坂本(剛)委員長代理退席、村田(吉)委     員長代理着席〕
  270. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいまの民間航空界、大変な速度で伸びておりまして、空港の整備が大変重要であるという点については全く先生と同一認識でございます。  関西国際空港株式会社におきましては、現時点で平成六年夏開港を目途に精力的に今工事を進めております。空港島の埋立工事につきましては、五百十一ヘクタールの用地造成はもう完了いたしておりまして、現在、島内におきますターミナルビルの整備、あるいは、私ども航空管制のための管制塔庁舎等の空港諸施設について工事が着々と進められております。  また、連絡橋でございますが、既に本体の工事は設置済みでございますが、現在、道路あるいは取りつけ部分の工事を進めさせていただいておりまして、現在までの工事進捗状況から判断いたしますれば、平成六年夏の開業については特段支障はないというふうな判断を持っておる段階でございます。
  271. 高木義明

    ○高木委員 開港予定につきましては再来年の夏と言われております。そういう意味では、当初の一九九三年初めということから大幅に延期をされたのでありまして、この延期の理由につきまして、どういった原因によるものか、この際、明らかにしていただきたいと思います。
  272. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生指摘のとおり、当初の開港目標時期が平成四年度末ということでございましたのですが、これがずれてまいって、二年後ということになるわけでございます。  開港おくれの主たる原因は、まず、漁業補償の交渉等にかなりの時間がかかりましての着工おくれもございますが、さらに、当初予測を上回るような地盤沈下などがございまして全体としてこのようなおくれに立ち至っている、このように考えております。
  273. 高木義明

    ○高木委員 そのおくれの大きな原因に、地盤沈下ということが言われました。もちろん、この事業推進に当たりましては万全の事前調査が行われたものと私は確信をいたしておりますが、今日の技術によりましてもなおかつこのようなことが起こったということについては、私は極めて残念なことと思っております。  運輸省として、この地盤沈下の実態調査、これについては十分行っているのかどうか、この点についていかがでしょう。
  274. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 着手の前に、十分なボーリング調査を含めてやってまいったわけでございますが、さらに、非常に深度、非常に深いボーリング調査が必ずしも十分であったかどうか、私どもは反省をいたしておるわけでございます。  予想をしておりました洪積層の地盤沈下というものが、相当の土量の厚みによりまして予想以上の沈下が生じたということでございます。現時点では非常に安定をいたしておりまして、今の状況でいけば、もちろん沈下は徐々にはございますが、工程に支障のあるようなことはないと考えておるところでございます。
  275. 高木義明

    ○高木委員 第一期工事が完成をし、業務を始めた後、滑走路などにおきましてはいわゆる不等沈下によるひずみというのが生じるのではないか、もしこのようなことが起きれば大変な事故につながるし、大きな問題であろう、こういうふうに言われております。この点について運輸省としての御見解をお伺いしておきます。
  276. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 不等沈下問題については私どもの一番心配をいたしておるところでございます。幸い滑走路等につきましては、基本的な部分につきましては、ほかの地区につきましても地盤沈下がございますが、年々の維持の中で滑走路に対するオーバーレイを含めて不等沈下問題については対応していきたい。むしろ建物との関係の不等沈下問題が生じますので、建物の基礎工事については特殊な工法を含めて地盤沈下に対応できるというふうな技術的な判断を行って、現在そういった特殊の工法で建築工事を進めておる段階でございます。
  277. 高木義明

    ○高木委員 私は、後の方でまた申し上げますけれども、当初この事業に当たりましての工法につきましてはかなりの議論があったということで承知をいたしております。いわゆる埋立工法に対する不安の問題点もたくさん出されておりますが、結局は航空審議会等の答申によりまして埋立工法というのがとられたわけであります。  しかし、いろいろな調査研究によりまして、こういった自信を持って工事が進められたにもかかわらず、いわゆるそういう問題が危惧されたにもかかわらず、地盤沈下あるいは不等沈下、こういったもので工事の遅延が生じたということになるわけであります。今のシステムにおきましては結果責任というのを問われない一つの状況がありますけれども、この件につきましては厳しく検証し、反省をされるべきではないかと私は思っておるのであります。  すなわち、事業の推進に当たりましては、やはり何といっても財源の確保というのが何よりも大切であります。そういう意味で、この原因によりまして当初見積もり以上に大きな工事費がかからざるを得なかった、こういうことでも私は残念に思うわけでありますが、この工事費の状況につきまして、幾らくらい増加をし、そして今後どのようになっていくのか、その辺の見通しにつきましてもこの際お尋ねをしておきます。
  278. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 第一期計画の全体事業費でございますが、当初約一兆円を予定しておったわけでございます。正確な数字では約一兆七百億円程度という数字でございますが、その後の地盤沈下対策あるいは旅客サービスヘの利用利便の向上といったような増収益事業も含めて、平成三年度の予算編成過程で全体の事業費を一兆四千三百億円ということで訂正をさせていただいたわけでございます。全体では約三千六百億程度の増加ということになるわけでございまして、今後第一期計画 の事業計画段階では出資対象事業としてはこれ以上ふえないように努力をし、将来の収支採算ベースにもはね返ってきますので、十分この事業の中でやり遂げたい、こういう考えを持っております。
  279. 高木義明

    ○高木委員 工事費が増加する中で、関西国際空港株式会社、これはいわゆる民間活力ということで株式会社方式によって運営をされておるわけであります。もちろん独立採算制の原則に立っての事業推進がなされておるわけであります。  先ほども出ておりましたように、第一種空港につきましては当然国の責任で整備をすべきだという意見もある中で、まさに新しい形の株式会社方式でこの大事業をやっていくということになったわけでありますが、工事費の増加がこの株式会社方式に将来大きな不安になるんじゃないか。経営安定の面から、莫大な事業費によって果たして独立採算というものが成り立っていくのかという危惧が現地にあっております。政府としてはこの点についてどうお考えなのか。
  280. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生指摘の関西国際空港株式会社の今後の収支計画の問題については、大変大きな問題があるわけでございますが、私ども当初方針に沿って経営努力をしたいと考えております。つまり、開港までに一兆四千三百億円という経費増がございますが、その要因の中では複合管理棟の建設などの収益増に直接つながる問題、施設増もございますので、将来さらに航空需要の増大傾向や増収対策などに積極的に努めるとともに、また経費節減についても会社の方で御尽力をいただきながら株式会社の収支計画に重大な影響が出ないように努力をしてまいりたいと考えております。
  281. 高木義明

    ○高木委員 第一期工事の進捗を期待をいたしますが、さて、今当面の課題は二期工事をどのようにやっていくのかということであると思っています。平成三年十一月に閣議決定されましたいわゆる第六次空港整備五カ年計画の中では、この二期工事については次のように述べております。  「二期計画は、一期計画よりも建設費が多額となり、また、供用されても直ちには大幅な需要増が見込めないこと等の理由により、一期計画に比べて収支採算が悪化することが予想されるので、事業費の抑制、地元負担のあり方、開発利益の還元等を含めた事業の健全な経営を図るための措置や一期計画の経験を踏まえた事業の円滑な実施を図るための措置を、地元協力を得て、あらかじめ確立しておく必要がある。」こういうことでございまして、今後「十分な見通しが立つことを前提として、その事業着手に移行するものとする。」こういうことでございます。  そういうことが触れられておりますけれども、今後二期工事に当たって、その要件といえば具体的には何を意味するのか。今私が述べましたような第六空整の意味は一体何なのかということについて、改めてこの際お示しをいただきたいと思います。
  282. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいまの先生の御指摘中身、実は航空審議会の中で御指摘をいただいたわけでございますが、昨年の十一月の第六次空港整備五カ年計画の閣議決定の中においてもほぼ同趣旨の内容が本文に書かれたわけでございまして、「関西国際空港の全体構想について、その推進を図るため、調査検討を進めるとともに、事業の健全な経営と円滑な実施を図るための措置に関し関係者間で具体的方策を確立する。」ということでございます。  この場合の「事業の健全な経営と円滑な実施」というわけでございますが、例えば二期工事のまず事業費の抑制がどの程度できるか、財源的に地元負担のあり方をどう行っていくか、あるいは将来開発利益をどう導入していくか、こういった諸問題について具体的に今後検討をこの五カ年計画の中で進めていきたい、このように考えております。
  283. 高木義明

    ○高木委員 この推進に当たりましては、本年四月に関西国際空港全体構想推進懇談会、いわゆる推進懇談会が推進に向けての報告をいたしておりますが、この報告の概要についてお示しいただきたいと思います。
  284. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西空港調査会、大阪府の公益法人でございますが、その中に、浅沼理事長ほか関係学識経験者を含めた関西国際空港全体構想推進懇談会が設置され、ただいま先生の御指摘のとおり四月に大阪府に対して内容の報告が行われたわけでございまして、基本的な提案であるわけでございます。  国と地元がイコールパートナーの立場に立って具体的な空港計画あるいは財源措置等について協議を進めるという基本的な考え方で関係者間での協調体制を確立する方向に向けての提案というふうに理解いたしております。  私どもとしましては、六次空整の中で閣議決定していただいた中身の今後の具体化の一つの指針ではないかなというふうに理解をいたしております。
  285. 高木義明

    ○高木委員 この報告の中には、例えば空港島面積は二期で千二百ヘクタール、三期においては千三百ヘクタール、また二本の滑走路はA滑走路と独立した運用が可能となるオープンパラレルの位置とすることが効果的である。あるいはまた、収支採算性を考え、第二期工事はB滑走路とC滑走路用の一部埋め立て及び第二旅客ターミナルビルの一部建設を行う。第二期工事に要する費用は一兆八千八百億円である。地元負担は第一期の負担額約千四百億円の約二・五倍、三千六百億円規模にすべきである。これらのごとが述べられておりますが、こういった内容につきましてどのような見解を持っておられますか。
  286. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 今回の提案は大変重要な関心を私どもは持っておりまして、大変熱心に御討議していただいた結果で、評価いたしております。  基本的には、三千五百メートル滑走路で、特に平行滑走路をまず優先的につくる、これは会社にとりまして需要増につながる措置だというふうに理解をし、安全対策も含めて次に横風用をつくるという段階的な建設の提案も行われております。  事業規模につきましても、全体で一兆九千億程度の話を出され、必要な工事については若干先送りをするなどの経費節減努力についても考えるべきではないかというふうな御提案もあり、今後の私どもの二期工事の具体的な勉強をする上で大変参考になるというふうに考えております。
  287. 高木義明

    ○高木委員 二期工事を含めて、三期工事というのも出てくるわけであります。それを含めて、いわゆる全体構想について事業費の抑制についてはいかなる考え方を持っておられるのか。いかがでしょう。
  288. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 全体事業費につきましては、実はこれから私ども、本年度の具体的な音波探査等を含めて、現地に立ち入らないと具体的な事業費が出てくるわけではございませんけれども、先ほどの提案の中でも大体二兆円近いような数字が出てまいっておりまして、今後具体的なこういったボーリング調査等を含めて五カ年計画内での調査を進めることによって、できるだけ事業費を抑制できるように努力をしていきたいと考えております。
  289. 高木義明

    ○高木委員 そこで、地元負担の問題が今後大きく議論をされていくと思っております。先ほどから私がいろいろお尋ねをいたしましたが、これを踏まえまして関西国際空港の場合の地元負担についてどのようなことが望ましいと考えておられるのか、その辺の御見解がありましたら、お示しをいただきたい。
  290. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 現在の関西新空港の建設につきましては、国が二割の出資、それから地元公共団体と経済界で五%ずつで一割、無償資金が三割入ってくるわけでございますが、一期工事は何とかこれで対応できるというように考えておりますけれども、二期工事についてはさらに事業費が上がってくるわけでございまして、国と地元関係につきまして先ほどの推進懇談会の中でもイコールパートナーという立場の発言も、考え方もいただいております。  私どもはこういった点が非常に大事なことでは ないかなというふうに考えて、今後の地元負担のあり方についてもお願いをしてまいりたいと思っております。
  291. 高木義明

    ○高木委員 株式会社方式でありますけれども、この事業の位置づけからすると、私はまさに地元負担を含めまして新しい財政支援、国の財政支援の枠組みを検討してもいいのではないかというふうに思っております。この点についていかがでしょう。
  292. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 現在関西国際空港株式会社という特殊法人で民活方式の事業方式になっておるわけでございまして、これによって事業を進めさせていただいておりますが、第二期工事についてもこの基本姿勢は、当面この形態でいくのがいいのかなというふうに考えておりまして、今すぐ変更するのはいかがかと思っております。  今後いろいろな問題が出てこようかと思いますが、十分検討しながら進めたいと思っております。
  293. 高木義明

    ○高木委員 前向きに検討していくということでお受けしてよろしゅうございますか。
  294. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 基本的には今の方式の延長線だと私どもは理解しておりますけれども、これから、大変事業費が割高になってくるわけでございますので、その辺の勘案もしながら十分な勉強をしたいと思っております。
  295. 高木義明

    ○高木委員 平成四年度予算におきましては、この第二期工事の前提となるボーリング調査の実施が見送られております。もちろん音波探査の予算は計上されておりますが、来年度に向けましてこのボーリング調査の実施につきまして、その見通しはいかがでしょうか。
  296. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生の御指摘どおり、今年度は全体で三億五千万の予算措置をいただきまして音波探査を実施するというのが最大の眼目でございます。この音波探査は全体の地層の沖積層とか洪積層とかそういった厚さも十分調査が可能だというふうに私どもは聞かされております。ただし、将来におきましてはやはり具体的にはボーリング調査が必要だと考えておりますので、来年度以降の予算の要求段階について検討課題として理解をさせていただきたいと思います。
  297. 高木義明

    ○高木委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、これはやはりいかにして建設事業費を節減をし、早期に完成をさせるかということが大きな柱になってくるわけであります。この問題で、これも先ほども触れましたように、過去にこの工法につきましては大きな議論があった、そういう意味で、私はこの地盤沈下問題、そして今まさに環境に優しい行政ということになりますと、埋立工法一辺倒が果たしていいのか、このことが真剣に検討されなければならないと私は考えております。したがって、その意味では現実的にかなりの技術水準も確保されておりますが、いわゆる浮体工法という利点を最大限に活用し、埋立工法と併用する工法も十分考えられていいのではないか、そのことが関西国際空港の早期そして円滑な建設推進に寄与するのではないかと私は思っております。いかがでしょうか。
  298. 松尾道彦

    ○松尾政府委員 関西国際空港の建設工法につきましては、先ほど来先生の御指摘のとおり、昭和五十五年の航空審議会の答申におきまして、今後の全体構想も含めまして、埋立工法によることが適当であるというふうに整理をされたことは御案内のとおりでございます。  それで第二期計画以降の工法でございますが、私どもはこの御答申を当面変更する特段の事情はまだないというふうに考えております。また、埋立工法を採択しても、ただいま御指摘のように地盤沈下等の問題やらあるいは環境問題等がございますが、今後十分対処が可能だというふうに考えております。  しかし、今御指摘のとおり今後十分な調査検討を進めまして、こういった問題の克服等、可能な問題につきまして調査をしていきたいと思っております。
  299. 高木義明

    ○高木委員 私は、埋立工法を含めたあらゆる可能性について検討していくベきだ、このように思いますので、後段の御答弁を大きく前向きな答弁だということでお受けをしておきたいと思います。  そこで、時間もありませんので最後になりますが、この際運輸大臣にお尋ねをしておきます。  いわゆる第一期工事が今進捗をしているわけでありますが、関西国際空港の役割について今日段階でどのように位置づけておられるのか、そして今後推進に向けて、またこれまでのいろいろな経過あるいは反省の上に立ってそういうものを克服した事業推進に向けて、その決意、所見をこの際お受けをしておきたいと思います。
  300. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 いろいろな問題点も御指摘されましたけれども、幸いに再来年の夏開港に向けて順調に進んでいると聞いております。  現に毎日のように海外から関西新空港乗り入れに関する予備交渉をやってくれということで、もう既に成田に乗り込んできている三十八カ国は別といたしましても、新たに四十三カ国近くから乗り入れの交渉を開始してくれという形が殺到してきておる現況でございます。  世界一の人工島による、しかも二十四時間、我が国においてはそういった意味では本格的な国際ハブ空港として関西圏の浮上をねらって、大きく言えば成田に集中している一極集中も是正しなければいかぬという大きな使命を担っておる関西空港でございます。何としても予定どおり、しかも今御指摘されたような工法の点において曲折はありましたけれども何とか世界に誇れる空港として開港させていきたいと願っておるわけであります。  先生の言われた浮体工法等々、今後いろいろな意味でこの海上島的な空港というのが、日本の国土条件からいっても関西のみならずいろいろな形で登場してくると思います。神戸の皆さんあたりもそういったことも考えておられるやにも聞いておりますし、いろいろな意味で今後、埋め立てだけじゃなくて、海岸線が長い我が国としては浮体工法も含めた形で工法は検討してまいらなければならぬ、そういうぐあいに聞いておりました。
  301. 高木義明

    ○高木委員 終わります。
  302. 村田吉隆

    ○村田(吉)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会