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1992-04-15 第123回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十五日(水曜日)     午前十時六分開議 出席委員   委員長 久間 章生君    理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君    理事 坂本 剛二君 理事 武部  勤君    理事 村田 吉隆君 理事 緒方 克陽君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       衛藤 晟一君    木部 佳昭君       平泉  渉君    古屋 圭司君       星野 行男君    細田 博之君       増子 輝彦君    宮崎 茂一君       赤松 広隆君    左近 正男君       常松 裕志君    細川 律夫君       浅井 美幸君    草川 昭三君       佐藤 祐弘君    高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         運輸省海上交通 大金 瑞穂君         局長         運輸省航空局長 松尾 道彦君         海上保安庁次長 小和田 統君         海上保安庁警備 茅根 滋男君         救難監         高等海難審判庁 杉山 陽一君         長官  委員外出席者         内閣総理大臣官 坂本 幸一君         房参事官         警察庁交通局交 小西  哲君         通指導課長         科学技術庁原子 坂田 東一君         力局核燃料課長         環境庁大気保全         局企画課交通公 斉藤 照夫君         害対策室長         法務省民事局第 寺田 逸郎君         四課長         労働省労働基準 山中 秀樹君         局監督課長         建設省道路局国 松浦  仡君         道第一課長         運輸委員会調査 長岡日出雄君         室長     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件  海上保安に関する件      ――――◇―――――
  2. 久間章生

    久間委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。星野行男君。
  3. 星野行男

    星野委員 本年四月一日で国鉄民営化五周年を迎えたわけであります。国鉄改革に大変な御苦労をされました関係皆様方にとりまして、五周年というのは一つの節目であり、感慨無量のものがあろうかと存じます。  ところで、昨年出されました運輸政策審議会運政審の答申によりますと、鉄道の復権を高らかにうたいとげておるわけでありますし、またJR各社経営も順調と伺っておりますが、まず、JR旅客各社営業実績はどのようになっておりますか、また政府といたしましてこれをどのように評価しておりますか、お伺いをいたします。
  4. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  ちょうど六十二年四月一日のJR発足以来五年たちました。この間、旅客六社でございますが、国鉄改革の趣旨を踏まえまして非常に積極的な営業活動それからサービス改善等営業努力をやっていただきました。また、関連事業拡大、これはまだ完全なものにはなっておりませんが、一生懸命今努力をしているところでございます。これによりまして、経営基盤の強化はかなり固まってきたというような感じがいたします。  ちょうど承継計画というのが六十二年三月につくられまして、そのときに六十二年度から五年間ぐらいの収支がどうなるかということを想定いたしましたが、平成二年度の実績をそのときの想定の数値と比較させていただきますと、一部北海道と九州見込みを若干下回っておりますけれども、全体としては非常に好調でございます。経常利益で申し上げますと、当初推定では平成二年度には六社合計九百億程度の黒字かなと想定しておりましたところ、実際は四倍以上の三千八百億という黒字を出しておるわけでございます。  特に特記すべきことは、当初の想定では旅客会社につきましては毎年地域によっては三%あるいは五、六%の運賃改定が必要かということで想定をしておりましたのですが、結局運賃改定をせずにこのようないい成績をおさめている、こういうことでございます。これは経営努力、それからちょうど景気が非常にいい、追い風であったということが影響していると思います。  それで、私どもといたしましては、せっかく非常にいい結果が出ておりますので、将来にわたって健全経営がなされるよう、JR各社に対しましてこのような努力を引き続き続けていくよう適切に指導してまいりたいと思っております。
  5. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。  旅客六社の黒字が、当初予定した九百億を四倍以上上回って三千八百億円という黒字を出した、こういうことでありますし、運賃改定もなかった、こういうことであります。大変結構なことであります。経営環境景気好況が持続して追い風であったということなどがございましても、これはJR関係者労使協力創意工夫、そしてストなしの路線が定着をいたしまして利用者から広く信頼を得、国民的な支持を回復した、そういう成果であると思うわけでありまして、大変結構だと思うわけでありますが、先般十数年ぶりにストがありました。そういうことで、これが信頼が崩れますともとのもくあみになりかねないわけでありますので、監督官庁である運輸省といたしまして、今の路線を維持して発展をさせていただきますように、よろしく御指導のほどをお願い申し上げておきたいと思います。  さて、関連いたしまして、実はきょうの日本経済新聞にも「時差通勤定期後押し」、こういうことが出ておりまして、運輸省でも検討を始めるということでありますが、実は最近、主に新幹線通勤客が大変ふえてまいりました。これを見ますと、通勤というのは月曜から金曜までで、土曜、日曜に通勤する人はないわけでありますので、土曜、日曜のレジャー客の込むときは使わない月曜から金曜までの限定された定期、そういうものを工夫してもいいのではないかと私はこの新聞を見て思ったわけであります。新幹線通勤圏拡大がいわば土地問題の解決の一助にもなるわけでありますし、そういう意味で、この定期が安く使えるということになればさらに新幹線通勤がふえるのではないか、そんな気がいたします。  したがって、今申し上げたような新幹線定期、土曜、日曜は使えない月曜から金曜までの定期、そういうようなことを工夫してみてもいいんじゃないか、こう私は思うのでありますが、何かコメントいただければお願いをいたします。
  6. 井山嗣夫

    井山政府委員 確かに先生指摘のとおり、通勤定期というのは従来は日曜日は使わないという前提で考えていたのですが、最近の労働形態が、土曜日もどんどん休むようになった、それから、逆に土曜日、日曜日に使うという方も出てきているわけでございます。これは、レジャー関係の方の通勤というのは通常土曜日、日曜日でございまして、そこら辺は大変微妙でございまして、先生がおっしゃるような定期をもし考えますとしたら、今までの通勤定期なり通学定期考え方をかなり変えなければいけないんだろうと思います。  学者先生の説によりますと、もういわゆる記名式のとか、そういう通勤通学定期ではなくて、回数券をカード化したというようなものに持っていくべきじゃないかという議論も実はあるわけでございまして、その辺は、従来の考え方と今後労働労働形態がどういうふうになっていくかというのを、相当先を見越しながら勉強しなければいけない課題だと思っております。
  7. 星野行男

    星野委員 そういうことで、運送能力には限界があるわけでありますけれども、それを一〇〇%あるいは一二〇%に活用して営業成績を上げるということが必要かと思いますので、御研究、御検討お願いをいたします。  次に、旧国鉄時代貨物部門が大きなお荷物であったわけでありますけれどもJR貨物は意外に健闘していると聞いております。トラック輸送運転手不足やあるいは交通渋滞等で伸び悩みの状況にあり、今後の環境エネルギー対策などを考えますとJR貨物の将来は大いに期待が持てると考えられるところでありますが、JR貨物の現状と将来についてどのような御認識を持っておられますか、お伺いをいたします。
  8. 井山嗣夫

    井山政府委員 ただいま先生お話のとおり、JR発足後五年でおかげさまで大変好調な拡大を図ることができたわけでございます。コンテナ列車も増発をいたしましたし、それからダイヤ改善によりましてかなりスピードアップも図ることができまして、お客様からも大変好評をいただいているということでございます。  これも、先ほどと同じように六十二年三月のころの想定と比較させていただきますと、輸送量につきましては、当時は百九十八億トンキロということで、約二百億トンキロを考えておりましたが、これに対して三五%増しの輸送量がございます。それから、経常利益平成二年度で四十億円ぐらいかなとはかっておりましたが、約二倍の七十四億円ということで、平成二年度まではおかげさまで非常に順調に来たわけでございます。  ただ、平成三年度は国内景気がやや陰りを見せてきておりますことと、例の武蔵野線の新小平駅で水が出まして、かなりの期間不通が出ました。それによりまして輸送減がございまして、輸送量利益とも、まだ決算が済んでおりませんので確定数字は申し上げられませんが、かなり減少するのではないかということで、やや暗い見通してございます。  今後どうなるかでございますが、国内景気がどうもやはり先行き後退傾向にあるということなので、貨物会社としても先行きは必ずしもバラ色ではない、かなりふんどしを締めてかからなければいかぬ、こういうことでございます。  私どもといたしましても、やはりそういう将来を見越しまして、いわゆる着実な経営ということをぜひ図ってもらいたいということでJR貨物会社にもお願いをしているところでございます。
  9. 星野行男

    星野委員 さて、問題は、当初二十五・五兆円の旧国鉄長期債務の処理であります。これにつきまして平成三年度末の状況がどのようになっておりますか、旧国鉄用地売却収入や、あるいは支払い利息総額、あるいは債務のトータル、増減等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 井山嗣夫

    井山政府委員 まず、債務総額の推移を簡単に申し上げますと、先生先ほどおっしゃいましたように六十二年度の国鉄改革当初に清算事業団が持っておりました債務が二十五兆五千億でございました。その後、六十三年、平成元年、平成二年度とややふえまして、二年度首では二十七兆一千億までふえました。  これは利払いが毎年大体一兆四千億ぐらい出るわけでございますが、それに対しまして土地を売ってつぶしていこうということでございましたけれども、当初はどうしても、土地を売るにしましても更地にしなければいけないという準備作業が要るわけでございます。それと、ちょうど土地の値上がりが激しくなりまして、いわゆる清算事業団土地売却が、入札を原則としておりましたけれども、それは地価に影響を与えるということで非常に消極的あるいは制限的に運用されましてなかなか売れなかったということがありまして、ふえました。その後、帝都高速度交通営団の持ち分の国への譲渡などがありまして、平成三年度首には二十六兆二千億まで下がりました。  四年度の首、すなわち平成三年度末の見込みでございますが、実は昨年度中に約二千億円ふえまして、まだ決算は確定しておりません、推定でございますが四年度首には二十六兆四千億、昨年度の頭と比べまして二千億ほどどうしてもふえざるを得ないという状況になりました。  これはどういうことかと申しますと、結局、三年度の不動産を取り巻く環境が極めて厳しかったということで、私ども制度改正をやりましたり、運用改善をやりましたりあるいは運輸省でも、本省、地方、さらに地方公共団体を巻き込んだ支援体制をつくるとかいろいろなことをやったわけでございますが、結局土地の売れ行きが、これはまだ精査中でございますので少し動くかと思いますが、前年度並みの八千五十億円という利益でございます。  一方、発生利子等が約一兆四千億ございますので、そういう関係債務残高がどうしてもふえざるを得なくなった。もちろん、清算事業団の中で経費の節減とかいろいろなこともやっておりますけれども債務が結果的には二千億ふえるであろうという見込みに今なっております。
  11. 星野行男

    星野委員 大変御苦労されておられることはよくわかりますが、バブルの崩壊する前にもう少し積極的に土地が売れなかったのかなという気がしないでもありません。  いずれにいたしましても、こういう状況だと幾ら土地を売りましても借金はふえるばかりだというようなことで、結局はアリ地獄みたいなことになるのではないかと大変憂慮されるわけであります。したがいまして、今後、この旧国鉄用地、まだ膨大なものがあるわけでありますが、これをできるだけ早く処分をして、元本を減らすようにしなければならないと思うわけであります。  これについては、先般、各自治体に旧国鉄用地の買収を要請をされたということとか、あるいはこの国会におきます公拡法開発公社でそういう資金的な手当てがやりやすくなるというような、いろいろな手を打っていらっしゃると伺ってはおりますが、そういう用地売却を積極的に推進をするということとか、あるいは、何といいましても、現在は株式市況が御案内のとおりでありますけれども、やはりJR株式を早急に決断をして売却をいたしまして、とにかく借金元本を減らすということを本気で考えていかなければならないと思うのでございます。  このような重要なことでございますので、この方針につきまして、大変恐縮でありますが大臣から、今後の御方針あるいは御決意をお聞かせをいただきたいと存じます。
  12. 奥田敬和

    奥田国務大臣 JR六社は、先ほど御指摘ございましたように、民営化五年の実績といいますか、それぞれ、地域事情によって異なりますけれども、個性を発揮して頑張ってきていただいたと喜んでおります。  ですけれども国民にとって一番の関心事というのは、借金の全部を引き受けておる清算事業団が果たしてこの長期債務を一体どれくらい少なくして、はっきり言って国民負担軽減というか、その努力成果がどうかということが一番大事なことであろうと思っております。特に、今鉄道局長からも話がありましたように、残念ながら決算見込みで二十六兆四千億という数字長期負債がまだ残る。この原因は、土地が思うような形で売れなかった。この事情も、先般来のあのバブル崩壊の過程の中でやむを得なかったなと思いますのですけれども、何とか広範に努力いたしまして八千億強の土地売却が見込めるようになりました。  さらに、来年度においては少し強気な見通しが立つと思います。と申しますのは、先生も御指摘なさいましたけれども自治省あたり自治体に、非常に好立地要件の地面が多いわけですから、これを先買いさせるという形で積極協力を表明していただいておりますし、現に売却予定の立っておる有望な売却予定地も相当箇所ございますし、そういったことから明年は、何とか土地売却予定目標額は、こういう土地価格一つの厳しい条件のときではありますけれども、やれるだろうと見通しております。  何分にも、土地売却をやはり予定どおり順調に進めるということ、そして地域活性化にそれを資するという方向、と同時に、JR三社、東海を含めまして、東、西、この上場要件がもうできておるわけでございますから、株式市況のこういった状況下ではありますけれども清算事業団としても何としても今年度内、この三社の株を売却する、上場するという形によって事業団長期負債軽減というか縮小に全力を挙げてまいりたいと思っております。
  13. 星野行男

    星野委員 ありがとうございました。  これは私の個人的な見解でありますが、今の株式市況も、恐らく日本経済景気が秋口にはかなり好況感が持てるようになるのではないか、私はそう思います。したがって、株式市況も後半にはかなりまた戻ってくるのではないかというふうに考えておりますので、どうぞ大臣、ひとつ御決断お願い申し上げたいと思います。  また、お話がありましたように地方の旧国鉄用地も非常に場所がいいところが多くて、これは将来の町づくり自治体が持っておれば十分使えるわけですよ。ひとつ大いに財源的なものを手当てをして、地方自治体に買っていただくように御推進方お願い申し上げる次第であります。  さて、次にミニ新幹線でございますが、御案内のように日本鉄道は広軌の新幹線、狭軌の在来線によって組み立てられているわけでありますけれども、このミニ新幹線というのは、御承知のとおり、新幹線から在来線への乗りかえ不便がなくなるというようなことの一番のメリットがありますし、交通の時間距離短縮というようなことも図られるわけでありまして、私は非常にいいことではないかと思うわけであります。  この中で、ことし七月開業が予定されております山形ミニ新幹線について、その総工事費あるいは負担内訳、そしてキロ当たり建設費等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘奥羽線福島-山形間の、我々新幹線直行特急と言っておりますが、これについては我が国で初めて、いわゆるモデルケースとして新幹線鉄道から直接在来線へ乗り入れていく、こういう構想を持ちまして、ことしの七月開業を目指しまして今最後の段階に入っているところでございます。  総事業費でございますが、全部で四百六十二億円でございます。そのうちで施設整備費というのが二百七十三億円でございますので、一キロ当たりのこの場合の単価は三億一千万、三・一億円となります。  具体的にどういう形でやっているかと申しますと、まず、山形県とJR、あるいは地元団体等出資をいたしまして、第三セクターで山形ジェイアール直行特急保有株式会社という非常に長い名前会社でございますが、そういう名前会社をつくりまして、これが施設の一部と直行乗り入れのための車両を保有する、こういうことになっております。この車両JRが借りて使う、リース料で払っていく、こういうことになるわけでございます。  このお金の負担割合でございますが、地域が大体その会社出資金の半分に当たります四十五億をまず出資しております。それから、そのほかにJRが四十五億等々出資がございます。国は、幹線鉄道活性化事業ということで、この会社に対しまして総額で四十七億円を補助する、こういうことでございます。そういたしますと、残りの事業費の三百七十億につきましては、JRは、先ほど言いました出資金のほかに、JR完成後に貸付料支払いということで順次返していくということで、最終的にはJR負担になっていく、こういう形でつくっていく、こういう構想でございます。
  15. 星野行男

    星野委員 わかりました。  それからもう一つ、いわゆる秋田ミニ新幹線と言われる奥羽田沢湖線盛岡-秋田間、これが平成三年度着工したということでございましょうか。いずれにしてもこれが工事が始まったと思うわけでありますが、このいわゆる秋田ミニ新幹線は、キロ当たりどのくらいの工事費を予定しているのでございますか。
  16. 井山嗣夫

    井山政府委員 秋田ミニ新幹線の方を簡単に申し上げますと、田沢湖線奥羽線直通運転化でございますが、これは、車両費を除きます総事業費が五百九十八億円でございます。キロ種が百二十七キロございますので、やはり三億から約四億、四億ちょっとぐらいの単価でございます。  これもついでに負担割合を申し上げますと、五百九十八億のうち、一応我々は無利子貸付事業の対象として四百九十億円を考えておりまして、その五割を鉄道整備基金、五割を地元秋田県と岩手県等から無利子貸し付けをしてこれででき上がる、完成後はJRがやはりそれを借りて使っていく、こういうような構想でやっております。
  17. 星野行男

    星野委員 今伺いました、俗に山形ミニ新幹線と申します福島-山形間のキロ当たり工事費が三億一千万、それから、いわゆる秋田ミニ新幹線が四億強ということでありますが、いわゆるフル規格新幹線は大体平均工事費キロ当たりどのぐちいかかりますか。
  18. 井山嗣夫

    井山政府委員 これは路線によって大分違いますけれども、ざっと見まして約キロ五十億というふうに考えております。
  19. 星野行男

    星野委員 そういたしますと、全くこのミニ新幹線は、新幹線直行特急でありますが、俗にミニ新幹線と呼ばせていただきますが、ミニ新幹線フル規格新幹線工事費の十分の一以下で上がる。こういう安いコスト建設ができ、しかも工期が非常に短縮されているわけであります。しかも、先ほど申し上げたように、新幹線在来線との乗りかえ不便が解消されることや、あるいは交通における時間距離短縮が図られるというようなことで、投資効果が非常に大きいと思われるわけであります。そしてまた、このフル規格新幹線とこのミニ新幹線を組み合わせたいわゆる高速交通体系ネットワークを組むことによって地域活性化あるいは経済発展、さらには多極分散型の国土形成に資するのではないか、そんなふうに思うわけでありますが、今後は、このいわゆるミニ新幹線全国的な整備計画を立てまして計画的に整備推進していく必要があるのではないか、そんな気がいたしますが、いかがでございましょうか。
  20. 井山嗣夫

    井山政府委員 ただいま御説明申し上げました二つの区間ミニ新幹線につきましては、先生指摘のとおり、非常にある意味で効果的だと思います。  ただ、これが全国に普遍的に当てはまるかというのは若干議論がございまして、実は昨年の秋に着工いたしました各新幹線の中で九州の八代-西鹿児島間というのがございます。これはいわゆるスーパー特急というものでございまして、博多と鹿児島間を何とか早く結びたいという場合に、今博多から八代までは線形もかなりいいので、百三十キロとか場合によっては百四十キロ運転がこれからもできると思うのです。その先が非常に線形が悪いために、あそこは在来線列車がそのまま入っていく。そうすると、そこの区間を百六十キロか場合によっては二百キロまでいけるのではないかと今見ておりますが、こういうところで、その区間区間によってどういうのを選んでいったらいいのか、効率といいましょうか、これを考えましたときに、私ども非常に勉強をする必要があるということで今いろいろやっておるところでございます。  いずれにいたしましても、鉄道高速化というのがこれからの鉄道の生きていく道だ、そういう使命であるというふうに私は思っておりますので、この辺はまさに路線別輸送需要がどうなるかとか、それから投資した場合の採算性がどうなるかということ、あるいは財源の問題もございますが、そういうのを含めまして、いわゆるスーパー特急とかミニ新幹線とかいわゆるフル規格新幹線とか、いろいろなものを組み合わせて実質的に全国高速鉄道ネットワークが組み上がっていくようにということで、今盛んに勉強しているところでございます。
  21. 星野行男

    星野委員 お話がありましたように、鉄道高速化を進めていくことが鉄道の生きる道である、そういうことで私も同感であります。  そこで、今スーパー特急というお話も出ましたが、在来線高速化であります。世はまさに車社会と言われておりまして、今までは鉄道利用客が大幅にマイカーに移行してきたわけでありますけれども、近時の交通渋滞あるいは自動車エネルギー多消費、環境汚染等を考えますと、在来線スピードアップを図ることにより交通における鉄道のシェアを回復することは十分可能であると考えます。  この点につきまして、フランス、ドイツなどヨーロッパ諸国における在来線鉄道はかなりスピードアップが図られているようでありますが、我が国における在来線高速化についての現状あるいは見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。
  22. 井山嗣夫

    井山政府委員 先ほども申し上げましたように、やはり鉄道高速化というのは新幹線だけではなくて在来線も一生懸命やっていかなければいけないということは、非常に我々も課題として受けとめております。  ただ、在来線は、日本鉄道の場合、例えばカーブが非常にきつい、山が多いのでその山のすそを縫って走っている、あるいは川に沿って走るということでカーブがかなりきつうございます。それともう一つは、ポイント、分岐器のところでどうしてもスピードを落とさなければいけないというようなことがございまして、この辺の曲線の改良とか、分岐器の改良あるいはつけ方の問題ということがまず施設の面では必要だと思います。  それからもう一つは、やはり車両を軽くてしかも高性能なものにする。場合によっては例の振り子電車といいますか、振り子のディーゼルカーも最近出てまいりましたが、こういうものも取り入れましてかなりスピードアップができると思います。  それで、最高速度というのが、昭和四十年代に大体百二十キロが一部の区間で実現して以来停滞しておりましたけれども、百三十キロ区間が相当ふえてまいっております。それからJRの海峡線、津軽海峡のトンネルの中でございますが、これは時速百四十キロ運転をしております。  こういうことでございまして、いろいろ改良するところが必要でございますけれども、我々も国のお金で台車の開発費とかいろいろな補助をしながら研究をしておりまして、大体一部の新しい線をつくる、例えば昔のAB線で着工したもののうち、一部はできれば時速百六十キロで走れないかということで勉強しておりますし、それから在来線でも改良によりましてやはり百六十キロ、これはもう夢でございますが二十一世紀に入ったころには何とか二百キロ運転ぐらいまでいけないかというのが今の我々の技術面の課題であります。
  23. 星野行男

    星野委員 そうなりますと、まさに鉄道の復権になると思うわけでありますが、よろしくお願いいたします。  次に、もう一点だけお願いいたします。  国際化への対応でありますが、国土の均衡ある発展を図るためにも、地域レベルの国際交流の推進は極めて重要であると考える次第であります。そういう点から、運輸省におかれましては地方空港の整備やあるいは港湾の整備に大変積極的に取り組んでいただいておりまして、敬意と謝意を表する次第であります。  ただ同時に、そういう空港等の機能を十二分に発揮させるためには、その空港への鉄道等のアクセスを整備することが急務であると考えるわけでありますが、この点についてのお考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生の今御指摘の点は全くそのとおりだと思います。現に今、新東京国際空港と羽田の東京国際空港につきましては、まさにターミナルビルの中にアクセス鉄道が乗り入れております。それから新千歳空港は、空港に接続した駅がございます。さらに、羽田の沖合展開に伴いましてターミナルビルが移転しますので、そこにもモノレール等の延伸が計画され、今工事中でございます。新千歳もこの夏に新しいビルができますので、そこにJR線が延びていきます。さらに、関西国際空港とか大阪の伊丹の国際空港、それから福岡空港に関しましては、モノレールとか地下鉄とかいろいろなものが今入っていくということで整備が行われております。そのほかに幾つかの空港におきまして、例えば新潟でございますとか広島でございますとかいろいろなところで、地元の皆様の中でアクセス鉄道整備しようということでいろいろ勉強なさっていただいておるということは構想として聞いております。  そういう意味で、私どもも空港に鉄道が乗り入れていくということは非常に結構なことだと思いますが、ただ何分お金のかかることでございまして、その辺はどういう整備手法がいいのか、それから輸送需要と投資採算性等いろいろなことを考えてやらなければならないと思いますが、方向的にはそういう方向で検討してまいりたいと思っております。
  25. 星野行男

    星野委員 はい。わかりました。  ありがとうございました。時間が参りましたので、以上で終わります。
  26. 久間章生

    久間委員長 細川律夫君。
  27. 細川律夫

    ○細川委員 私は、まず最初に四月八日未明に起きましたJR山陽線の列車転覆事故の件についてお伺いをいたします。  この事故によりまして二十名の方々が負傷されたと聞き及んでおります。また、負傷されなかったそのほかの多くの乗客の方々も大変大きなショックを受けたものと思いますし、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  まず最初に、今回の事故につきまして、どのような概要であったのか、これについてちょっと御説明をお願いいたします。     〔委員長退席、坂本(剛)委員長代理着席〕
  28. 井山嗣夫

    井山政府委員 この四月八日にJR西日本の山陽線におきまして、この区間は須磨と塩屋という駅の間でございますが、ちょうど四月八日午前零時ごろと聞いておりますが、ここでたまたま横の上を走っております国道二号線の上で交通事故がございました。その結果、ぶつかった一万の大型トレーラーの自動車がガードレールを突き破りまして線路上に転落してきた、こういうところでございます。そこにちょうど下りの寝台特急「さくら」が差しかかりまして、これは機関士があわててブレーキをかけたようでございますが間に合わずに衝突いたしました。そこで機関車が脱線転覆、それから数両がいわゆる脱線をしたわけでございます。そこへ、ここはちょうど複々線になっておりますので、同じ方向に向かっております下りの普通電車が来ておりまして、これもかなり前から見つけたのですが、前の方がかすりまして一両が脱線した、こういう事故でございます。  このため、列車の乗客と乗務員合わせまして十六名が負傷いたしましたけれども、幸いちょうどスピードもかなり落としていたということなので、軽傷でございましたのは不幸中の幸いでございました。  以上が概要でございます。
  29. 細川律夫

    ○細川委員 今説明にもございましたように、今回の事故の原因というのは、直接的には線路上に転落をいたしましたトレーラーによるものではございますけれども、こういう鉄道事故というものは一たん起こりますと大変甚大な被害を発生させるというのが通常でございまして、今回の事故でも負傷者が二十名程度だというようなことはむしろ不幸中の幸いであったんではないかというふうに私は思います。  今回のこの事故につきましては、現場は国道二号線とJR山陽線が並行して走っているところで起きたものでありまして、そうしますと、こういう事故は国道あるいは道路と鉄道が並行して走っているところでは今後も起こる可能性もあるというふうに見てよいと思います。特に、日本鉄道全国を網の目のように走っておりまして、それとまた並行して道路がございましてそこを自動車が走っている、こういうことでありますから、今回のこの事故を教訓に、再びこういう事故が起こらないようにしなければならないと思います。  こういうような鉄道の線路とそれから道路が並行して走っているところ、これについてこういう事故が起こらないような対策を立てなければならないと思いますけれども建設省及び運輸省のそれぞれの考え方を聞かせていただぎたいと思います。
  30. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  先生指摘鉄道と道路と並行して走っている場合の事故防止対策ということでございますが、私どもは、鉄道の方に今回被害を与えたわけでございまして、道路側に問題があった、自動車側に問題があったということではないかと思うわけでございまして、そういう意味で、並行して走っている場合はもちろん、一般的にこういう事業用の大型トラックの事故防止というものをさらに図っていく必要があるんではないかと思うわけでございます。  そういう意味で、実は四月八日に事故が発生したわけでございますが、その翌日に、運輸省といたしましてはこういう事業用の大型トラックの事故防止を図るために、地方運輸局に対しまして、安全速度の遵守とか適正な車間距離の保持等安全、運行に必要な基本的な事項につきまして貨物自動車運送事業者団体、いわゆるトラック協会を通じまして関係事業者に再徹底を図るよう緊急に指示をさせていただいておるということでございます。各地方運輸局レベルでそういうことをやってもらっているところでございます。  また四月十三日に、この事故そのものの問題としまして、近畿運輸局におきまして直ちに事故発生事業者に対しまして特別監査を実施して、今後その結果を踏まえて適切な措置を講ずるということを考えております。  それから、さらに四月十四日に全日本トラック協会の交通対策委員長に対しまして、事故防止委員会を開催するなど傘下会員に対しまして事故防止対策の再徹底を行うよう要請をいたしたところでございます。  運輸省といたしましては、今後ともあらゆる機会をとらえまして、特に事業用の大型トラック等の事故防止の徹底を図ってまいる所存でございます。
  31. 松浦仡

    ○松浦説明員 お答えを申し上げます。  今回事故が起きました当該箇所の道路構造は、上下三車線の国道になっておりまして、上り線が一車線、下り線が二車線となっております。鉄道側に三・三メーターの歩道がありまして、車道と歩道の間に所定のガードレール、防護さくですが、これを設置しております。  今回の事故の原因を見てみますと、事故車両が三十三・六トンの鋼材を積載しておりまして、車両制限量をはるかに超えた重量を載せて走っておりました。また、スピードもかなり出ていたようでして、詳しい原因については警察の方で調査をされておりますが、ガードレールに直角にぶつかったような形で転落したんじゃなかろうかというふうに考えております。この辺の事故の原因がはっきりしましてから、また対策については検討してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  32. 細川律夫

    ○細川委員 トレーラーが線路に落ちたということについては、ガードレールがしっかりしていたならば落ちなかったであろうというようなことも想像できるわけなんであります。今いろいろ調査中ということでございますから、ここでは特にこれ以上質問は申し上げませんけれども、車同士の事故があった場合、今回のような対向車線の方のガードレールにぶつかるというようなことも当然予測をしながらこのガートレールの強さというものもぜひ考えていただきたいというふうに思います。  聞くところによりますと、対向車線からの車がぶつかるというようなことは考慮に入れずにガードレールのあれがつくられているというようなことも聞き及んでおりますので、そういう対向車線からの車がガードレールに当たるということも考慮に入れながらぜひ強いガードレールをつくっていただきたい、強く要望をいたすところでございます。鉄道にトラック等の車が、特に重量のある車なんかが落ちますと大変な大惨事が発生をするということが十分予測をされます。ぜひその点も十分考慮されまして、ひとつ対策の方をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、朝鮮学校の生徒のJR定期などの割引についてこれからお伺いをいたしたいというふうに思います。  まず最初に、日本人の大学生などの学生の通学の定期、これの割引はJRではどのように行われているのか、大学、高校、中学、小学生などの割引率の制度の内容についてお伺いをしたいと思います。また、JR以外の地下鉄あるいは私鉄、バスというような公共の交通機関の割引率はどういうふうになっているのか、まずこの点からお伺いいたします。
  33. 井山嗣夫

    井山政府委員 御指摘JRと民鉄の学生定期それから各種学校の生徒に対する割引の適用でございます。  まず、JRでございますが、これはいろいろな歴史的経緯がございますけれども、非常にきめ細かくなっておりまして、一般用、高校生用、中学生用、小学生用と学生さんが使うので四種類ございまして、割引率も一般用が約七割引きでございます。それから、高校生用がそれのさらに一割安くて七三%引き、それから中学生が一般の方の三割引きで約七九%引きというふうに、非常にきめ細かくなっております。  それから、民鉄の方は大分けに分けておりまして、いわゆる中学生以上のものが通学の、これは一般と言っておりますが、平均的に約八割引きでございます。小学生になりますと半分、こういうことで、大きく二つの区分でございまして、これに対しましてJRは四種類に区分されております。  先生今御指摘の朝鮮人学校の方の場合は、学校教育法の一条の学校ではございませんで各種学校というふうに位置づけられておりますので、一応今のところは大学生それから専修学校、各種学校と同じで、割引率は平均の七割というのが適用されているところでございます。
  34. 細川律夫

    ○細川委員 私が質問をしょうとしたことを先にお答えをいただいたのですけれども、朝鮮人学校の学生については今七割ということでお答えをいただきました。  それでは、外国人の学生が日本の学校などに通学をしている場合には、これはどういうような割引の適用になりますか。
  35. 井山嗣夫

    井山政府委員 外国人の方でございましても日本の学校に通学するときには、その学校が学校教育法上の小学校、中学校の区分、一条学校と言っているようでございますが、これに位置づけされますと日本人の子供と同じ割引が適用になるわけでございます。これは学校によって割引の制度を決める、これは通学証明書をちょうだいするとかいろいろなことで、そういう区分でやっているようでございます。
  36. 細川律夫

    ○細川委員 朝鮮人学校のようなところに通学している学生の数というものは、大体どれぐらい全国でいるかわかりますか。
  37. 井山嗣夫

    井山政府委員 朝鮮人学校等の、つまり先ほど申したように各種学校とか専修学校の学生数というのがトータルで全国で百二十万ぐらいいるのじゃないかと言われておりますが、その中でいわゆる朝鮮人学校の学生さんは二万人ぐらいかなというふうに、推定でございますが聞いております。各種学校全部合わせますと、百二十万人のうちの十二万人ぐらいが高校生とか中学生に当たるのではないか、これは推定でございますけれども、そういう感じでございます。     〔坂本(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 細川律夫

    ○細川委員 そうしますと、今言われました約二万人ぐらいだろう、こういうことなんですけれども、これらの学生が日本人学生と同じように取り扱いをされた場合、この割引率の拡大によって年間大体どれくらいの支出額になるのか、またその負担はだれがするのか、JRがするのかどうか、そういうことについてはどうなんでしょうか。
  39. 井山嗣夫

    井山政府委員 先ほど申し上げましたように、各種学校の学生さんのうちでJRを御利用いただく方がどれぐらいいるかということがまず、先ほど言いました朝鮮人学校の場合、学生さんが約二万人ぐらいだろうと聞いておりますが、一応JRが過去にちょっと調べたところでは、JR六社の合計、ただ北海道とかあれはほとんどいませんので、やはりJR三社のところが多いのですが、約五千八百人ぐらいじゃないだろうか、こういう推定でございます。もし各種学校等全部入れますともっと多くなるわけでございますけれども。  それで、先生今御指摘の、割引を同じようにした場合にどれぐらいになるかというのは、これは非常に大胆な仮定を立てなければいけないのですが、各種学校を仮に全部やると四、五億円、それから朝鮮人学校の方々だと一億円ぐらいではないかというふうに、これは非常に粗い推定でございますのでぴたりでないかもしれませんが、推定としてはそういう感じでございます。  それから、この場合には、今の学校の割引もそうですが、特にJR等はいわゆるその分の割引の補てんというのは受けておりませんので、結局減収があった場合には他の利用者が一般的に薄めて負担するといいましょうか、そういうことになるのだろうと思います。
  40. 細川律夫

    ○細川委員 朝鮮人学校に通っている学生さんたちが、JR日本の学生と違うような形で割引率が低い、これはやはり差別になるのではないかというふうに私は思うわけなんです。なぜこういうような差別的な取り扱いをするのか、これについてはどういうふうに受けとめておりますか。
  41. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  私ども聞いておりますところでは、いわゆる差別といいましょうか、そういうことは歴史的な経緯なんだろうと思いますが、過去の議論では、何か朝鮮人学校の位置づけといいましょうか、これをどう考えるかという議論があったように聞いております。  と申しますのは、今朝鮮人学校は学校教育法一条の学校ではなくて、各種学校、専修学校と同じような扱いになっております。これは学校教育法上の扱いでございますが、その場合に、各種学校とか専修学校というのは、私も専門家じゃございませんが、いろいろな形のものがあるし、それから学校といっても内容が、技能を教えるところからいわゆる学問といいましょうか、これまで、非常に千差万別なんだそうでございます。その中で朝鮮人学校の位置づけというのはどう考えるかというのは、これはまさに文部行政の問題でもあるのかもしれませんし、私どもこれは大変頭の痛いといいましょうか難しい問題じゃないかということで、いろいろ今勉強しているところでございます。  そういう意味で、別に特にこの学校だけを差別するとかそういう意図はない、むしろもう少し歴史的な経緯等や、文部行政庁との調整の問題かなというふうに今考えております。
  42. 細川律夫

    ○細川委員 日本で育ち日本で生活をし、ただ学校だけは民族学校に通いたいということで、学校だけはそういうところに通っている、こういう学生生徒に対しては、文部省の学校の位置づけは別にしても、利用する電車の割引について、日本人と朝鮮人学校に通っている人と取り扱いを区別をいたしまして、そこに差別的な取り扱いをするということは私は法のもとの平等にも反すると思いますし、あってはならない不正義だというふうに思います。  そこで、去年でありますけれども通学定期の割引の問題で、在日朝鮮人教育団体がその改善を求めて村岡前運輸大臣に会見を行ったというふうに聞いておりますけれども、こういう事実はあったのでしょうか。
  43. 井山嗣夫

    井山政府委員 秋が聞いておりますところでは、村岡大臣の御発言は、JRと民鉄との通学定期の制度に適用上の差があるということは事実であるということを述べたので、特に日本人と外国の方と……(細川委員「どういうことを言ったかは聞いていないですよ。そういうことがあったかどうか、会見したことがあったかどうか」と呼ぶ)会見はあったようでございます。失礼いたしました。
  44. 細川律夫

    ○細川委員 その会見の中で村岡前運輸大臣は、通学定期について日本人と違うことはこれは差別だというふうに明言をいたしまして、その改善の必要性を認めた。ただ、改善の時期については、次回の運賃改定のときまでに結論を出したいというふうに述べたというようなことを私の方では聞いておるわけでありますけれども、これについて間違いがないのかどうか、また今後運輸省としてはこの問題についてどのように対応をしようとしているのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 井山嗣夫

    井山政府委員 先ほどは失礼いたしました。  村岡運輸大臣の会見のときの発言でございますが、その後、「割引格差は差別」というふうな見出しのある新聞の記事がございますけれども、その後、少し後の決算委員会の議論で村岡大臣の方から、民鉄と比較をしてみますとこれはJRの方は確かに制度上で差別がある、こういう発言をしましたけれども、朝鮮人学校を差別と言ったのではなくて、割引制度上の差別がある。そこで、その当時の答えでございますし、今も私どもも変わっておりませんが、JR各社運輸省との間で今後どうするかについて検討会を設置して、今まさに検討しておるところでございます、こういう御発言がございますし、我々もその方向で今JR各社との間でどう扱ったらいいのかということを勉強しておるところでございます。
  46. 細川律夫

    ○細川委員 割引制度についての差別があるのだ、どうもよく私には理解できませんけれども、これは明らかに私は差別であると思いますし、こういうことが日本の中で、特に法のもとの平等がうたわれております、基本的人権の尊重が高らかにうたわれております日本国憲法のもとにおいては、こういうことはあってはならないことだというふうに私は強く思うところでございます。したがって、今検討中というふうにお聞きをいたしましたけれども、ぜひこの件については速やかな解決を望むものでございます。  したがって、この点については奥田運輸大臣にぜひとも格段の御配慮をいただきまして、奥田大臣の御指導のもと、これを解決をしていただきたいというふうに私は思いますけれども大臣のこの点についての御決意をお願いしたいと思います。
  47. 奥田敬和

    奥田国務大臣 これは先生にも率直にお聞きしたいのですけれども、私が聞いている振りにおいては、この朝鮮人学校の問題というのは恐らく歴代、大臣がかわることに問題提起が強くなされてきた問題案件だと思っております。  ですけれども、これを文部省の対応だけに任せておいて、じゃ朝鮮人学校は各種学校ではないのかということになっていくと、これはアメリカンスクールも含めて大変な問題になってなかなからちが明くまいな。となれば、運賃問題ですっきり割り切っていくといった方法しかないのかな。ですから、私鉄がわかりやすい形で二段階にでんと分けております、一般と小学生というふうに。むしろJRの方が複雑、親切な、細切れみたいな段階制度という形になっているので、もっとわかりやすくすぱっと割り切った形の、はっきり言うと民営のような割り切ったサービスに変えなさいという方向でひとつ検討願えまいかな。そういったことになればもう少し、毎回この問題が提起され、しかも見方によっては法のもとの平等に反するのじゃないかとか、あるいはこれは極めて遺憾な差別ではないかという論議が起こってくる過程をどこかで割り切ってしまうぐらいの決断が必要ではないかな。  だから、文部省と運輸省が協議といっても、お互いにそういった形の制度の建前に固執している限りにおいてはいつまでもこの問題は解決すまいということで、すっきりした対応を一遍相談するように、思い切ってやるように話してみます。話してみてまた検討という言葉で言っていくと、またいつまでも続いていくような形になりますから、私の在任中にこの問題の方向づけだけをきっちり真剣に相談してみます。
  48. 細川律夫

    ○細川委員 大臣の決意をお聞きをいたしまして、大変力強く思った次第でございます。これは運賃の割引の問題でございますから、ぜひ大臣の主導のもと、早急に解決をしていただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。  次に私は、鉄道の輸送力の増強の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  これまでにも大都市圏の輸送力の増強については当委員会においてたびたび議論もしてまいったところでありますが、この問題については、私は最大の緊急課題だというふうに考えているところであります。  運政審の答申におきましてもこの重要性については触れられておりまして、その中に提言もされておりますけれども、まず最初に、大都市圏の輸送力の増強について運輸省はどういう施策のもとでいつまでにどのようにしようとしているのか、その点についてお聞きをいたします。
  49. 井山嗣夫

    井山政府委員 ただいまの件でございますが、確かに東京、大阪、名古屋といった大都市圏につきましては、従来から鉄道の輸送力増強に努めております。ただ一方、通勤通学者も増加しておるために、かなり低下はしてきておりますけれども、まだ改善の必要があるという認識でございます。  私どもといたしましては、従来から各圏域ごとに路線整備計画をつくっておりまして、具体的には運輸政策審議会の答申に基づいて計画を立てておりますが、東京圏の場合には六十年七月の答申で、平成十二年、二〇〇〇年でございますが、これを目標年次といたしまして約五百六十キロの新線あるいは複々線化等を実施するということで努力をしておるところでございます。それから大阪圏でございますが、平成元年五月の答申で、平成十七年、二〇〇五年でございますが、これを目標年次といたします約三百三十キロの計画がございます。それから名古屋圏でございますが、これはことし一月に答申が出たばかりでございまして、平成二十年、二〇〇八年になりますが、これを目標年次といたしまして約二百九十キロの計画をつくって着実に進めているところでございます。  今後とも、計画はもちろんでございますが、そのほかにいわゆる計画なしでもできる編成長の増大等、いろいろ努力をしてまいりたいと思っております。
  50. 細川律夫

    ○細川委員 今説明をいただきましたけれども、それではこの輸送力増強の計画についての今年度の予算、財源の方ではどういうふうになっているのでしょうか。
  51. 井山嗣夫

    井山政府委員 平成四年度の予算でございますが、幾つかございますけれども、まず公営地下鉄事業者等が行う地下鉄の新線建設補助でございますが、これは鉄道整備基金を通じまして年間で五百六十八億円というのが補助金の予算額でございます。  それから、ニュータウン鉄道建設費の補助というのがございますが、これはもうかなり終わりの方に近づいておりますが、四億円の補助金を計上しております。  それから、鉄道建設公団がJRあるいは民鉄、大手私鉄に成りかわりましてつくっている線がいろいろございますけれども、このようなものに対しまして、できた後譲渡をいたしますが、そのときに支払い利息がかなり高いものにつきますので、鉄道整備基金を通じまして百四十八億円の利子補給を今やらせていただいております。  これは国庫からの直接の助成でございますが、以上のほかに鉄道整備基金から無利子貸し付けという制度を昨年度から始めさせていただいております。これは交通営団の行いますいわゆる七号線、南北線でございますが、この駒込から目黒までの建設に係る費用、それから、やはりこれは鉄建公団がかわってやりますがJRの福知山線の複線化、こういうものの費用の一部につきまして無利子貸し付けを行いますが、予算としては一応二百五十一億円を予定しております。  以上合わせまして、総額で申しますと鉄道整備基金からは九百七十一億円の助成が行われます。  そのほかに、先生御承知のとおり、日本開発銀行からJRとか大都市私鉄の行う輸送力増強工事に対しまして低利の融資が相当額行われております。また、営団に対しましては財投資金が直接投入される、こういうようなことで、いろいろな補助金、無利子貸し付け、それから融資という形で推進をするように努力しておるところでございます。
  52. 細川律夫

    ○細川委員 そういう財源措置の中でこの問題に対して、例えば大手民鉄の十四社の場合には第七次輸送力増強等の投資計画、これは昭和六十二年度から平成三年度までなんですが、この計画で、約一兆六千五百億円とその前の六次に比べますと七〇%の増額であったというふうに聞いております。  こういうふうに私鉄の十四社も頑張っているわけなんですが、それでも輸送力増強はまだまだ遠いというような感じもいたします。そういう計画のもとにどの程度計画が進んだのか、その内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
  53. 井山嗣夫

    井山政府委員 確かに先生指摘のとおり、この七次計画というのは、六十二年度から平成三年度までで総額で一兆六千億円の計画でございます。現在まだ決算が確定しておりませんので確たることは申し上げられませんが、実績としてはやはり一兆六千億円から一兆六千五古億円ぐらい、大体ほぼ計画どおりの投資がなされているというふうに考えております。  この中で、特に輸送力増強関係だけを申し上げますと、鉄建公団がやっている工事も全部含めますと、計画としては一兆六千億のうち九千二百億ぐらいが輸送力増強そのものの工事でございまして、実績が約九千三百億ぐらいということで、大体計画どおり投資ベースでは行われたというふうに考えております。
  54. 細川律夫

    ○細川委員 その計画によりまして、大手民鉄のラッシュ時の平均混雑度というのを、輸送量はずっと伸びているんですけれども平成三年度でこの平均混雑度というのを一八〇%にする、こういうことでやってきたと思いますが、それについてはどうなったんでしょうか。いかがでしょうか。
  55. 井山嗣夫

    井山政府委員 御指摘のとおり目標は一八〇ということでやっておりますし、現実にも着実に下がってきております。ぴったり一八一になるかどうかというのはあれでございますけれども、平均でございますが、ほぼ計画どおりの数値を何とかできるんじゃないかと孝之ております。
  56. 細川律夫

    ○細川委員 この大手の民鉄十四社の場合には、鉄道収益の大部分をこの輸送力増強工事などに投資として投入して頑張っているというふうに聞いております。例えば小田急だとか京王、西武、東武とか、そういうような場合には一体その鉄道事業の売上高に対する鉄道事業の設備投資額、この比率というのは大体どういうくらいになっているのでしょうか。
  57. 井山嗣夫

    井山政府委員 私鉄の場合でございますが、今先生指摘のありました例えば小田急というのをとりますと、年度によって少しずつ差がありますけれども、一番ピークのときには収入の一〇〇%ぐらいを投資に回したという例もございますが、平成二年度で申しますと売り上げの六八・八%が投資に回っております。  主要な首都圏の東武、西武、小田急、京王、この四社の平均でございますが、そういたしますと平成二年度では売り上げの四九・七%、約半分が設備投資に回っているという計算になっております。
  58. 細川律夫

    ○細川委員 今私鉄の方では、平均するとその鉄道事業収入の約半分ぐらいが鉄道事業の設備の投資に回されているというふうに言われたわけなんですけれどもJRの東日本の場合にはこれらの比率は一体どういうふうになっているのでしょうか。
  59. 井山嗣夫

    井山政府委員 JRの方を申し上げますと、売り上げが平成二年度で一兆六千億ございますが、平成二年度の設備投資が一千九百六十億の計画でございますので、売り上げに対しまして一二%ということになっております。
  60. 細川律夫

    ○細川委員 そうしますと、私鉄の方から比べますとそういうJR日本鉄道事業設備投資はちょっと少ないようにも思います。もっともっと投資額を増額すべきだろうと思いますけれども、これは運輸省はどういうふうに考えていますか。
  61. 井山嗣夫

    井山政府委員 確かに先生指摘あったように、比率を見ますとJRの方がかなり低いということが言えると思います。  JR日本は発足が六十二年でございますが、その当時から見ますと、六十二年度で八百億、六十三年度で千三百億、平成元年度で千七百億、二年度が千九百六十一億とだんだんふやしてきておりまして、三年度もかなりな額を投資しております。これは、会社が発足した当初で今後の先行きがなかなかいろいろな意味で不安があったということもあったかと思いますけれども、それが一つと、それから昔の国鉄時代に設備投資が経営悪化のかなり大きな一因になったのではないかと言われておる、こんなこともありまして割と投資を車両の増強とかそういう効率的な、比較的お客様にすぐ役に立つという方に行ってきたことは確かでございます。  おっしゃるとおり投資比率が低いのでございますけれども、これは過去の蓄積とかいろいろなことで考えなければいけませんので、一時点だけでなかなかすばっといい悪いとは判断することができないのでございますが、ただ、いずれにしましてもまだまだJRにつきましても改善すべきところがたくさんあるわけでございますから、我々としても、JRというのが当然鉄道事業の公共性、公共事業という性質を捨てるわけにいきませんので、適時適切に所要の設備投資を必ずやるということで指導してまいりたいと思います。  なお、現在、運輸政策審議会鉄道部会で二十一世紀に向けての鉄道整備の基本的な考え方、一種のビジョンといいましょうか、ソフト面を含めた審議をいろいろやっていただいておりまして、その辺でいろいろな議論が出ておりますので、そういうものも参考にしながらさらにいろいろな対策を考えていきたいと思っております。
  62. 細川律夫

    ○細川委員 この首都圏というか大都市圏の輸送力増強についてはまさに緊急問題でありますし、どうしても最後には、財源をどういうふうにするかというこの対策になってくるわけでございます。この点については国民の理解も得ながら助成の強化だとかいろいろな、もっともっと強い財政的な措置を講ずるべきだというふうに考えるわけなんですけれども、これらの問題について、一体どういうふうに財源を確保していくかという点についてひとつ考えを聞かせていただきたいと思います。
  63. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  鉄道整備をどうやってやっていくかということでございますが、大原則というのはやはり直接その便益を享受する利用者負担というのが原則であって、費用はできる限り運賃収入からというのが従来の考え方でございましたし、そのこと自体は間違いではないと思います。  ただ、大都市の鉄道は、先生御承知のとおりに非常に膨大な資金と、それから投資の回収に時間がかかります。そういう意味で、利用者負担だけに頼っておりますと、一時的に利用者の負担が完成後に急に高くなるとかいろいろな問題が出てまいります。そういう意味で、利用者負担を基本としながらも、やはり公的な助成を加えながらやっていくということでございます。  そういうことで、私どもとしては従来、先ほども御説明申し上げましたように新線建設とか複々線化等大きな工事につきましては、例えば鉄建公団が資金調達をしましてそれでつくってあげて、五%を超える利息分は国と地方公共団体から助成して比較的安く新線建設ができるようにするとか、あるいは開銀とか政府関係機関からの長期低利の融資をやる、こういうようなことで進めてきておるわけでございます。  さらに、先生よく御存じのとおりに特定都市鉄道施設整備の積立金制度というのがございまして、これで運賃を若干先にちょうだいしながらやっていく、こういう方式もとっているところでございます。  さらに、昨年度からは鉄道整備基金で先ほど申し上げましたような無利子貸し付けの制度などというものもつくりましたので、こういうのをいろいろと組み合わせながら輸送力増強工事を円滑に進めていくように努力をしたいと思っております。
  64. 細川律夫

    ○細川委員 ひとつ強力な施策をお願いをいたしたいと思います。  それでは、首都圏の輸送力増強について個別に御質問をしたいと思います。  東武の伊勢崎線についてちょっとお伺いしますけれども、東武鉄道の方では、現在竹ノ塚-北越谷間の輸送力増強のために高架複々線の工事を進めております。その進捗状況及び完成時期を含めた今後の見通しはどうなっておるか、ちょっとお伺いします。
  65. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生指摘の伊勢崎線の竹ノ塚-北越谷間の複々線化工事でございますが、五十一年に工事に着手いたしまして、現在までに竹ノ塚から途中駅でございます新田までの高架複々線化工事が完了して、既に使われておるということでございます。  残る新田-北越谷につきましては、一生懸命やっているところでございますが、進捗率を数字で申し上げますと、これは平成三年度の上期までの決算しか出ておりませんが、用地取得は六四%、それから工事自体は契約ベースでございますが一一%になっております。  この工事平成九年度末というのが完成目途でございますので、ここを目がけて今一生懸命やっておりますし、特段のことがなければ何とか目標年次までに完成できるのではないかというのが会社で今考えているところでございます。
  66. 細川律夫

    ○細川委員 次に、せんだっての委員会でもお尋ねをいたしましたけれども、この東武伊勢崎線の中で北千住という駅があるわけなんです。ここの混雑ぐあいというのは異常なぐあいでありまして、特に朝のラッシュ時なんかにつきましては、これはもう人身事故が起こらないのが不思議なぐらい大変な混雑でございます。もうこの混雑状況というのはいわば極限状態にまで達しているというふうに言っても過言ではないぐらい混雑をしております。  そこで、このホームの立体化あるいは乗りかえ設備などについて改良工事が行われるというふうに聞いておりますけれども、この工事の概要あるいは完成時期あるいは工費などについてちょっと聞かせてください。
  67. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生お話がございましたように、北千住の駅というのは、東武の伊勢崎線と営団日比谷線がくっついております。それから、営団の千代田線それからJRの常磐線というのが入りまして、四線があそこで乗りかえがかなり行われておる、御指摘のとおり大変混雑する駅でございまして、これは既に一部の対策としましては、東武側のホームをJRの用地を借りましてかなり広げた、それからホームを延ばした、いろいろなことをやっておりますけれども、やはり御指摘のように抜本的な解決策にはまだなっておりません。  そこで、東武と営団がいろいろ相談をいたしましてやっと計画がまとまりまして、これから着手をする大工事がございます。これは概要を申し上げますと、今のホームがそれぞれ地表でやっておりますのを思い切って三層の駅にしてしまいます。一階を東武の伊勢崎線関係、それで二階をその連絡通路、コンコースにいたしまして、三階を営団の日比谷線のホームとする、その間は全部エスカレーター等で結ぶ、こういうことになります大工事でございます。この工事平成八年度に完成をするという予定で進めようとしております。工事費用は総額で五百十億円という額に上るわけでございます。
  68. 細川律夫

    ○細川委員 もう一点だけお聞きをしておきます。  営団七号線、南北線ですけれども、これは昨年、赤羽岩淵から駒込間、これが開業したわけなんです。その南北線が埼玉県内の方に今延伸計画がありまして、先月の二十五日に第三セクターの埼玉高速鉄道会社も設立をされまして、その実現に向けまして大きく一歩踏み出したわけなんですけれども、この南北線の埼玉県内への延伸の概要あるいは完成時期なども含めて説明をお願いします。
  69. 井山嗣夫

    井山政府委員 今お話がございました営団の七号線、南北線と言っておりますが、この線を埼玉の方へ延ばしていくということにつきましては、六十年七月の先ほど申し上げました運輸政策審議会の答申にございます路線でございまして、赤羽岩淵から浦和市東部に至る鉄道約十四キロという路線が計画されてございます。これにつきましては埼玉県が非常に御熱心でございまして、それに帝都高速度交通営団、これらを中心といたしまして、三月二十五日に埼玉高速鉄道株式会社というのができたことは先生御承知のとおりでございます。  現在、この会社におきまして具体的な事業化に向けた建設計画とか運営計画の検討が非常に熱心になされております。いずれ免許等の諸手続が今後出てくるわけでございますが、一応今のところ会社としては平成十二年ごろには完成させたいということでいろいろ進めておるようでございます。  私どもといたしましても、まだ具体的な細かい話は聞いておりませんけれども、そういう手続その他につきましてこういう検討状況を見ながらバックアップをしていきたい、そういうふうに考えております。
  70. 細川律夫

    ○細川委員 ぜひ強力なバックアップをお願いをいたしたいと思います。  これまで鉄道の輸送力増強についていろいろお伺いをしてまいりましたけれども、この四月から大手民鉄の十四社におきまして第八次の輸送力増強等の投資計画が始まったわけなんですが、この概要はどういうふうになっておるか、簡単に。
  71. 井山嗣夫

    井山政府委員 平成四年度から八年度の第八次の計画でございますが、現在民営鉄道協会の方で各社のものを取りまとめ中でございます。  私ども現時点で聞いております七ごろでは、今まで大手十四社でございましたが、これに新たに横浜にあります相模鉄道が加わりまして十五社がこの計画に参加しようということでございます。その十五社でこの五カ年間に約二兆一千億程度、この前の計画の七次が、たしか先ほど先生おっしゃった一兆六千何百億でございまして、実質約四千億くらいの増加ということで考えております。  この中で、いわゆる直接輸送力の増強に当たります工事は、鉄建公団工事を含めまして一兆三千億くらいということで、かなりの増額をしようという計画と聞いております。
  72. 細川律夫

    ○細川委員 わかりました。  最後になりますけれども、これまで大都市圏におきます輸送力増強についていろいろ質問をしてまいりました。この大都市圏の輸送力増強というのは、たびたび申し上げておりますが、今最も緊要な課題だというふうに私も考えておりますけれども、これについての運輸大臣の決意なりを最後にお聞かせをいただきたいと思います。
  73. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先ほどからJRと民鉄のいわゆる輸送力改善に関する投資の実情、データを逐一提示されてお話をいただきました。特に、首都圏の今日の混雑状況というのは私たちもちょっと恥ずかしい思いをするくらいで、現状認識を持っております。  生活大国の実現という大きな政治目標を掲げております。けれども、もし国民にゆとりと豊かさを実感してもらえる社会ということで解釈するならば、外国の、外から見た人の目による東京ということになりますと、ウサギ小屋と満員電車、ラッシュ時の電車が象徴されるような形というのは一極集中の弊害の最たるものでありますけれども、まことに皮肉であるし、また私どもとしても、政治責任というか、非常に何とかしなければいかぬ、具体的な施策を一日も早く実行段階に移さなければいかぬ、こういう気持ちに駆られます。  しかし、先生はもう御承知ですからくどくど申しませんけれども、現実には複々線化の近代化を含めて、民鉄を中心にJRの東も真剣にこの輸送力増強、改善という形には取り組んできておることも事実でございます。  イタチごっこになって混雑緩和ができないというこの現状。ですから、私はいつも企業家の皆さんにもお願いしているのですけれども、何とか時差出勤を定着させてほしい。そしてラッシュの時間、混雑の時間というのは本当に一日の中で集中的な問題ですから、これをやはり官民挙げて、輸送力改善は当然だけれども、それと同時に何とかこの問題解消にうまい知恵や御提案がないだろうか。そういうことで、私もこれから、せっかく御指摘でございますし、輸送力増強を図ると同時に、そういった通勤時差運動というものも提案しながら、何とか今日の状態というものを改善していきたいと心から願っております。  先ほど来いろいろな趣旨で私には大変勉強になる御示唆をいただきました。この面についてJR、民鉄、経営者にももちろんそういった面での努力を促しますけれども、またそういったある意味においての労使一体体制の時差出勤運動、これは先生方の御協力もいただきながらやらないと、経営者の感覚だけでもだめですし、やはり職場を持つ人たちも協力するという形の中で、ぜひこの面については御協力、御指導お願いしたいなと思っております。
  74. 細川律夫

    ○細川委員 ありがとうございました。終わります。
  75. 久間章生

    久間委員長 山中末治君。
  76. 山中末治

    山中(末)委員 公共輸送機関における労使関係というものは、安全で安定的な輸送サービスを確保する観点から見て極めて重要であると考えております。  まず、この概略について御質問申し上げたいと思いますが、運輸省御当局は、特に民営交通の中でありますけれども、労使関係をどのようにお考えであるか、お願いを申し上げたいと思います。
  77. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  バス七か軌道などの公共交通機関は市民生活に不可欠な輸送サービスを提供する公共性の高い事業であるわけでございます。安全で安定的なサービスを利用者に提供するということがその責務であるというふうに考えているわけでございます。  個別の労使関係そのものについて運輸省がコメントする立場ではございませんが、事業者がその事業経営を通じてこのような公共交通機関の責務を果たすという観点からは、やはり健全な労使関係が保たれるということが望ましいというふうに考えております。
  78. 山中末治

    山中(末)委員 今水田局長の方からお話がございました。これは今さら申し上げるまでもなく憲法二十八条に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」こういうふうに明記をされておるわけでございますから、今の水田局長の御答弁に対して私は了解をいたしたいと思います。  さてそこで、本年の二月十四日でございますが、我が党国会議員団衆参合わせて九名でありますが、労働局長を団長としまして地元の県会議員、市会議員さん等を含めて三十五名の参加を得まして、岡山市にあります岡山電気軌道株式会社の中の人権侵害、不当差別、不当労働行為等に関する調査をいたしました。  そして、岡山陸運支局、岡山労働基準局、岡山電気軌道株式会社、岡山県地方労働委員会、岡山市役所、岡山県庁等を訪問いたしまして諸般の意見を承ってまいりました。  その調査の中で、特に運輸省に係る問題についてきょうは御質問申し上げたいと考えております。そして、ただいま御答弁がございましたように正常な労使関係の確立を一刻も早く促したい、このように考えているわけでございます。  さて、岡山電軌の会社の社内では労使関係が正常ではなく、不当労働行為等の裁判あるいは地方労働委員会への提訴事件等が十一件も発生をいたしておりまして、その裁判もしくは地方労働委員会の結果、敗訴に終わったりすれば会社はすぐにまた上級審に上告をする、労働委員会の命令が出てもこれを無視される、こういうことが数多くありまして、職場においてはまだ就労面、給与面等で差別問題が非常に多くございました。  会社は、そういうことは差別ではない、区別だ、こういう表現を使って話をされておりましたが、これはもう差別であることは明らかです。区別されて被害をこうむっているのですから、これはもう明らかな差別そのものです。こういうことで、認識の相違もあるのでしょうが、ただ差別と区別という言葉だけを御存じで、それを使い分けておられるような感じがいたしまして、少し情けなく存じたような状況もございました。  こういう状況の中で、この職場で軌道関係の事故、バス関係の事故等が多発しています。これは私だけの意見ではなしに、現場の方の意見あるいは一緒に行った方々の意見等を総合しまして、労使関係がうまくいっていないということと無関係ではない、このように私は考えているわけでありまして、一例を申し上げますと、この二月十三日までの二年間に五件の鉄軌道の事故が発生をしています。  簡単に申し上げますと、九〇年の四月十六日朝五時四十五分、電気系統の故障で脱線事故、二時間ストップ。一九九〇年十月三十一日朝八時二十五分から地中配線故障で電圧ドロップ、終日電車はストップ。一九九一年九月二十二日、パンタグラフの一部破損で朝九時五十分から二時間三十分電車はストップ。一九九二年一月十一日、架線柱が一本折れ曲がって午前六時の始発から十三時まで七時間電車はストップ。一九九二年二月十三日、架線が溶断をして朝七時三十分ごろから約一時間ストップ。こういう事故が起こっております。  その他、本年の三月二十五日に中国運輸局岡山陸運局長さんあての地元の労働組合の申し入れ書の中にも記載されていますが、バス事故等も頻発をしておる状況であります。  こういう事の経過をまず申し上げて、岡山電気軌道株式会社においてはこういう事故が多発しているけれども、これは労使関係が紛争をずっと続けているということと無関係ではないというふうに感じますが、運輸省はこれに対してどのような御指導を行ってこられたのか、お尋ね申し上げたいと思います。
  79. 井山嗣夫

    井山政府委員 まず軌道の方の事故でございますが、先生今たしか五件御指摘をいただいたかと思いますけれども、五件の事故につきまして私どもの方にしかるべき報告は来ております。  確かに先生おっしゃるとおり、原因はまだ調査中のところもあるようでございますが、例えばマイナス側の饋電線の不良、最終的には断線のようですが、その結果電圧が低下したとか、それから電車線のポールといいましょうか、これが折れましてそれで運行不能になったということ。それからトロリー線の断線があったということ。それからもう一つは異線進入、これは原因はどうも私どもへの報告では運転手さんの信号不確認ではなかったかというふうに報告が来ておりますが、それによる脱線があった。それから、トラックが架線を引っかけたためにちょっと架線がずれた、そこへ電車が来たためにパンタグラフが壊れて動けなくなった、こういうような事故が幾つかあるようでございます。そのほかに、先生今御指摘ございませんでしたが、道路障害関係の事故もあるようです。それから、落ち葉によってスリップした事故というのも何かあるようでございます。  こういうようなことでございますので、私どもとしてはその自動車との接触はどうも自動車側に直前横断とか進路変更とかちょっと無謀運転があったんじゃないかと思いますし、落ち葉のものもこれは道路の問題なのでなかなか難しいところがございますけれども、いずれにしましても、そういう安全というのが輸送機関の最大の使命でございますし、それからやはり利用者に最大限輸送を確保するということが必要だということで、徹底的な指導をしているところでございます。  特に、先ほど言いました道路との関係の事故につきましては、道路管理者あるいは警察等とも協力して何とか事故防止を図るように相当厳しく指導しているつもりでございますし、今後ともこの会社につきましてはきちんと対応してまいりたいと思っています。
  80. 山中末治

    山中(末)委員 バスの方、原因は今おっしゃったようなことかもわかりません。その乗務の問題ですね。例えばお手元に実はあると思うのですけれども、バス関係の、これは岡山の陸運支局の方へ申し入れられた内容でありますが、これは運転している方の時間外労働時間等を現地で調べられた結果、実に一カ月平均七十二時間、八十一時間等の残業をしている人、これは偶然かどうかわかりませんよ、バスの運転手さんですがそういう人が出てきているわけですね。  それかと思うと、今度は組合に入っている組合員さんの方は一人一カ月平均で二時間三十四分しか残業していないとか、残業した方がいいのか残業しない方がいいのかいろいろ議論の分かれるところではあろうと思いますけれども、残業時間が特定の人、いわゆる労働組合に入っていない人の方へ偏ってしまっている、こういう問題が実はあるわけですね。これは差別だということを現場は言っているわけですが、当局の方は差別じゃない、区別だ、こう言っているわけです。ですから、そういう因果関係も私は出てきているのではないかなと実は思うのです。一カ月に八十一時間とか七十二時間とかいうふうな残業がずっと平均してやられているということ、片一方は非常に少ないということ、そういうことがある。これは故障との関係がないということは言えないのではないかなというふうに思うわけです。  その因果関係だけを追及しているわけではなしに、こういう例もございます。今まで三件出ているわけですが、一例を挙げますと、三十九度の発熱をしてどうしても出勤できないので自宅におった。会社へ発熱しているので休ませてほしいと言ったところが、仕事のことと自分のこととどっちが大事だ、こういうふうに電話でどなられて、やむなく会社へ出ていった、乗務させられたというのですね。これはバスの運転手さんです。同僚が付近におって、歩くのがふらふらしておるので危ないからやめたらどうだというふうに言ったらしいのですけれども、やはり乗務をしなければいかぬと言われて、午前中は乗務したというのですね。午後はどうしてもたまらぬからおろしてくれということで、午後はおりた、こういう問題が実はあります。  私が現地で聞いただけでも同じようなことが三件出ているわけですね。これは旅客自動車運送事業等運輸規則に抵触しているのじゃないかなというふうに思うのですが、そのあたりはどうでございますか。
  81. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 先生から御質問でございますが、二点あったと思います。最初は差別、区別の問題、それから二番目が体調の悪い人をバスに乗せているという話がございました。  まず最初の、加入組合によって乗務割等に対する差別が行われているんではないかというようなお話でございますが、バス事業者による具体的な乗務割等の行為が不当労働行為に該当するかどうかということは運輸省としてなかなかコメントしにくい立場にあるわけでございます。ただ一般論として申し上げますと、私ども運行の安全というものをつかさどっているわけでございますが、そういう運行の安全の観点から、特定の者に過度に乗務が集中するというような状態は好ましくないめではないか、そもそも労使間で乗務割等が問題となるような深刻な争議が生じるという事態になること、これ自体が好ましくないのではないかという気持ちを持っております。  それから二点目の問題でございますが、体調の悪い人をバスに半ば強制的に乗務させているのではないかというお話、それが違反ではないかということでございます。先生指摘のとおり、旅客自動車運送事業等運輸規則を見ますと、「旅客自動車運送事業者は、疾病、疲労、飲酒その他の理由により安全な運転をすることができないおそれがある運転者を事業用自動車に乗務させてはならない。」というふうに規定されているわけでございます。  先生指摘のように体調の悪い人を乗務させているということであれば、この規則に違反して運行の安全が図れないおそれが生ずるというふうに思われるわけでございます。先生からお話をお伺いしたわけでございますので、事実関係調査を行いまして、その結果を踏まえまして適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  82. 山中末治

    山中(末)委員 それで、今おっしゃったのはこの規則の二十一条の三項でございますね。後に四十八条にも「運行管理者の処理すべき事項」というところに局長御存じのように規定されておりましてここの管理者も本当に点呼といいますかそういうものを乗車前にはっきりしていないんじゃないかな。現場で聞きますと、点呼が確実にやられていわゆる飲酒とかも含めて疾病の問題とか、本人の申告とかそういうことも余りやられていないように聞いておりますので、もしもそういうことなら、この運行管理者の方についてもやはり適切な措置といいますか何かやられるべきじゃないかなというふうに思いますが、つけ加えて、いかがなものでございますか。
  83. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 先生指摘のようなことも含めまして調査してみたいと思いますし、その結果を踏まえて必要な措置を講じたいというふうに考えております。
  84. 山中末治

    山中(末)委員 ということになりますと、今日までこういう問題が現象として起こっております中で、特に運輸省当局としては電気軌道の関係、バスの関係等も含めてどういうところから本当に情報をとっておられるのか。私はできれば、先ほど申し上げた三月二十五日の地元の岡山電気軌道の労働組合からもこういうものが来ていますから、こういうものもひとつ地元の支局あたりで十分お読み願って、そして本省と御連絡を願って対応していくべきじゃないか、やはり時には立入検査というのですか、そういうものも必要だと思います。  現場の方を悪く言う気持ちはないんですけれども、私どもが行ったときには、立入検査はほとんどやられてない。労使関係についてはなかなか干渉しにくい、不干渉だというふうなことで、それは悪い意味じゃなしにそういうふうに考えておられたと思いますが、労働基準局等と十分相談しながら対応していきたいというふうに言っておられましたので、これからはそういうことをやられるんじゃないかと思いますけれども、今まではほとんど具体的な動きというものがなされておらないような印象を受けました。  これはやはり運輸省だけではどうかとは思いますけれども、行政機関の横の連絡を十分おとりいただいて、情報を的確におつかみいただいて、そしてこの安全面で二度と支障を来さないような御指導を特にお願い申し上げたいと思いますが、いかがなものでございますか。
  85. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 この労使の紛争が長期化して利用者の利便への影響が生じるということについて私どもも非常に憂慮しているわけでございます。会社側からお話を聞いたり、組合の方からもお話を聞いたりしているわけでございますが、できるだけそういうことを今後とも重ねていきたいと思うわけでございます。  また、既に数回にわたりまして現地の中国運輸局から会社に対しまして、速やかに利用者の利便を回復すべく最大限の努力をされたいというふうなことを要請してきているわけでございまして、そういうふうなことを今後行いながら必要な措置を講じてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  86. 山中末治

    山中(末)委員 次に、もう少し職場の内容、実態を調査してまいったのを御報告がたがた御質問の前提としたいと思いますが、給与配分の差別がおります。それから休憩所の差別があります。これは会社側が労働組合の組合員を組合から脱退させようという意図が明らかに出ているんじゃないか、こういうふうに私は受け取っておりますが、労働組合から脱退した組合員には新しい休憩所を与える、前からおる人たちには古い休憩所を与えて、そしてそこで一緒にさせないというふうなこともあるようです。  それから年休の問題ですね。年休の申請をしても、枠があるといって年休を与えない、欠勤扱いにしている。ひどい場合は、お葬式に参列したいために年休が欲しいということを申請してもこれが与えられてない、こういう実態もあるんです。これも組合員とそうじゃない人との間で差がひどい、こういうことが言われています。この問題につきましては基準監督署が調査をされて指導を繰り返しておられるようでございますが、会社は一向に従わない、こういう現場の報告でございました。  ひどいのは、組合の情報収集のために盗聴器をその休憩所ですかそこへ取りつけて、いろんな話を収集しておった。それがあるとき見つかりまして、それで抗議をされたら、抗議をした人が罰則を食らった。しかし会社側はその翌日の深夜にこの盗聴器を取り外した。これはマスコミで全国に報道をされたという経過もございます。組合の方が、こんなことはけしからぬやないかといって抗議を申し込んだら、就業規則違反で減給処分を食らっている、こういうちょっと普通のところでは考えられないような状態が起こっています。  これは本当のことでして、九一年十二月十七日に岡山地裁に提訴をされた判決がありまして、盗聴器設置は違法でプライバシー侵害、二十五万五千円を支払えという判決を下しています。これに対しても会社はまた上級審に控訴しているということでして、これは上告されるのは御自由でありますけれども、そういう問題が白昼堂々と職場の中でやられているという、そういう職場で働いている人が本当に安全に迅速に、確実に正確に安心して輸送に従事するような気持ちになるだろうか。  私は、戦前ですが、労働衛生というものを専門に勉強したことがあるのですけれども、そのときに、自分の家を朝出るときにげたの鼻緒が切れないように、前の日に奥様かだれかがお父ちゃんのげたの鼻緒が切れないように見ときや、そこまで言われたのですね。朝出がけに鼻緒が切れたらその人の労働意欲というものがなくなってしまうとか、極端な例ですが、そういうことを習ったことがあります。  そういうことから考えますと、これはもってのほかじゃないかな。先ほどの時間外労働の差別も含めて、これはちょっと運輸省だけで対応してもらえるべき問題でもないと思いますけれども、十分横の連絡をとっていただいて、こういう前近代的な職場の空気をなくして正常な労使関係といいますか、これがいち早く確立されるようにひとつ一段の御尽力をお願いしたいと思います。  今ちょっと御報告申し上げましたそういう差別事象、こういうものについてひとつお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
  87. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  給与あるいは年休についての差別等、また盗聴器の問題等、お話があったわけでございます。この関係の話は、先生指摘のとおり、輸送の安全とか輸送サービスの確保という観点から私ども仕事をしているわけでございますが、労働省の行政にも絡む問題でございます。それから、地元のいろいろなところとの関係もございます。  ということで、実は先生御存じだと思いますが、地元関係行政機関が集まって対応しようということで連絡会議が設けられることになったわけでございます。そういう場を活用しながら、こういう労使間が非常にこじれた事態になっていて、かつおっしゃるように今の経営者のお話なんか非常識ではないかというふうな議論もあるわけでございますので、そういうことも含めまして、関係者と協議しながら何とか対応させていただきたいと思うわけでございます。
  88. 山中末治

    山中(末)委員 運輸省だけでどうこうできないような問題だという性格はよくわかっています。しかし、このままほっておくと、また不慮の事故等が起こったときに、あのときこうだ、このときこうだという議論が出るに決まっていますので、そういうことのないうちに、ひとつ積極的に横の連携を強めていただいて、御指導とかそういうことをお願い申し上げたい、切に希望をいたします。  今ちょっとお話がございまして、そういう組織を地元でおつくりになって、岡山電気軌道の労使関係がうまくいくように、正常な労使関係になるように御尽力を願う組織ができたということを聞きましたが、私どもが行ったときには、地方労働委員会の方が、提訴事件とかいろいろな問題を一括して円満に解決するために、ひとつ同じテーブルについて話し合いをしようじゃないかとおっしゃっていましたけれども会社側は出てこない。まだ山が見えない、その時期じゃないというような表現を使って出てこなかったというようなことも聞きました。その後四月十三日に労働委員会の事情聴取に応じて出席されたというふうなニュースを得たのですが、間違いございませんか。
  89. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 先生指摘のとおり、この岡山電気軌道の労使紛争に関しまして、本年の二月から三月にかけまして地方労働委員会の和解勧告が出ておったものを会社側が拒否するという状況であったわけでございます。ところが四月十三日に至りまして、地方労働委員会による事情聴取に会社側が応じたというふうに私どもも聞いております。
  90. 山中末治

    山中(末)委員 それらの組織の正しい運営といいますか、正常な労使関係が一日も早く確立されるためのいろいろな御指導、お力添え等を強く要望しておきたいと思います。 もうちょうど時間が参りましたので、申し上げたいことはたくさんありますが、今私は、社会党の調査団として丸一日歩きまして、その中で得てきた状況等を御報告しながら御質問申し上げました。まだまだ不十分です。内容の紹介等も不十分でありますが、概要としておつかみ願えたのじゃないかなというふうに考えています。  一番後になりましたけれども、ここで大臣にお伺いしたいのは、これは全国にここだけしかないと私は思うのですけれども奥田運輸大臣のもとでこういう問題が発生しているということは、大臣のこけんにもかかわるというふうに私自身はとっています。運輸省とされては、この岡山電気軌道の労使紛争に関して、今後早期解決が図られるように責任を持っていろいろな状況を把握をして必要な措置を講じていただくべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  91. 奥田敬和

    奥田国務大臣 この岡山電気軌道に係る労使問題について、先ほど来の先生の御指摘で私なりに概要をつかむことができたかなと思っております。ただ、後段のお話会社側も地労委の事情聴取に応じて何か和解に向けて動くような兆しが見えているようなお話でございましたから、その点期待しておるわけであります。  特に岡山電気軌道側にも、これは労使双方でございますけれども、当然の基本認識として、公共性の高い事業でありますし、しかも常に利用者の利便という形のサービス、これを片時も忘れてならない業態として、先ほど来からのお話を聞いておって、少しこれは硬直し過ぎておるなという感じを持ちました。差別だとか区別だとか、いろいろな表現もあるようですが、売り言葉に買い言葉みたいな形で、なおかつ盗聴器問題等々、これは実際の事件として起こっておるようでありますから、労働基準局や陸運支局の実態調査も当然でございますし、地労委のそういった形の和解調停の行方も私は重大な関心を持って見守りたいと思います。  いずれにしても、山中先生の誠実なお人柄、そして余り偏らない公正な立場で物を言われる、私の敬愛する先生でございますから、そういった意味で、先生も願われることは、早期にできるだけ正常な労使関係を確立させたい、そしてこの輸送機関を利用される利用者の立場に立って労使とも和解に向けて努力しなさいという御意見であったと思います。私も全く基本的に先生と御一緒でございますし、また、交通行政を監督指導する立場からいっても、この問題に対して積極的な関心を持って真剣に対応してまいります。
  92. 山中末治

    山中(末)委員 今大臣の御所見を承りました。  私は、この委員会に岡山電気軌道の社長さんを煩わして参考人としてお招きして、そして本当の腹の中を実は聞きたかったのです。しかし、視察に行きました後、初めての一般質問の委員会でございますので、これはちょっと差し控えました。  今大臣を初め局長さんの方から質問に対していろいろ御答弁がございましたので、当分この行く末を、うまく好転するように祈りながら見守っていきたい、このように存じますが、我が党の視察をいたしました九名の議員はもちろんですけれども、ほかの議員におかれても、これはやはり社長さんを参考人としてお招きをして本当に時間をかけて一つ一つお聞きしたらいい、こういう意見が圧倒的でございます。今回はそういうことでお招きを留保させていただきますが、またきょうは運輸だけの質問を申し上げましたけれども、労働委員会とか他の委員会においても視察した議員の方が御質問なさると思います。そういうことも申し添えまして、質問を終わります。
  93. 久間章生

    久間委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  94. 久間章生

    久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。常松裕志君。     〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕
  95. 常松裕志

    ○常松委員 まず、自転車置き場の問題についてお尋ねをいたします。  運輸大臣、ことし二月十三日に全国自転車問題自治体連絡協議会というのが発足をしたことを御存じでしょうか。私の地元の東京都かの各市及び各区を初め多くの自治体は、放置自転車、駐輪場の不足に頭を抱えています。もう黙っていられないということで、練馬区長の岩波三郎氏が会長となって自転車問題の解決を図っていこうということになったわけでありまして、三月三日、総務庁長官あてに要望書が出されています。  この要望書の中には、次のような項目がございます。「自転車駐車場の整備に関する法律は、」「鉄道事業者の、「積極的協力義務」という規定があいまいである。このため、鉄道事業者の協力姿勢が消極的で問題解決に障害となっていることが多い。したがって、鉄道事業者の役割と責務を明確化し、鉄道事業者も応分の義務を負うよう、これを法制化すること。」このように要望されております。  大臣、最初に一言お答えいただきたいが、このような御要望が出ていることを御存じでしょうか。
  96. 奥田敬和

    奥田国務大臣 駐輪場と申しますか、これの現状においての必要性というのはもう十分私も認識しておりますのですけれども、今先生指摘のような連絡協議会ができ、そしてまたそのことが総務庁長官あてに要望書として提出されたという事実については、まだ聞いておりません。
  97. 常松裕志

    ○常松委員 私はこの要望に賛成でございます。鉄道事業者も責務を負うように法制化するために、運輸大臣にはぜひその条件整備をしていただきたいと思うわけであります。  私の地元十五市の自治体について、駅周辺の自転車置き場の実情を調べてみました。うち十二市から回答がございましたが、自転車置き場の総数が百六十一カ所、駐輪台数は十万五千八百五台、総面積は九万九千八百九平方メートル、そのうち国と市などの公共用地が五十四カ所、二万三千百一台、面積にして二万五千百九十二平方メートル、個人から借りている土地が八十カ所、台数にして六万九千八百九十台、面積が六万二千四百三十一平方メートル、私鉄から借りている箇所が十三カ所、四千二百四十一台、四千三百七十四平方メートル、JRが十七カ所一八千五百七十三台、七千八百十二平方メートルということでありまして、私鉄、JR含めましてわずか二一%、台数においても面積においてもわずか一二%しか寄与していないわけであります。  こういう鉄道事業者の協力の状態であれば、法制化してくれという要望が出てくるのは当然だと思うわけでありますが、どんなふうに運輸省は考えているのでしょうか。
  98. 井山嗣夫

    井山政府委員 駐輪場の問題で、先生先ほど協議会の要望書というのを御引用されましたけれども、これは今いろいろ議論がありまして、私どもも若干参加させていただいているところがございますけれども、今のいわゆる駐輪場法でございますが、これでやりました場合に、JR、民鉄等は確かに土地の提供に積極的に協力しろ、こういう規定になっておることはそのとおりでございます。今現実に、私ども調査では、延べで生産事業団も含めますと二千四百カ所、全駐輪場の三〇%、それから面積でいえば七十三万平米、面積という意味では約三〇%、いつも申し上げますが、延べで東京ドーム十五カ所分ぐらい、これくらいの面積を提供しているということでございます。  ただ、協議会の方の、しかるべき応分の義務づけとおっしゃいましたですか、その御趣旨がよくわからないのですが、現実に国鉄改革のときにJRに持たせる用地というのはかなり切り詰められております。清算事業団に残りまして、これが将来の債務償還の原資になるということで、今現実に清算事業団が管理し、その一部は駐輪場にお貸ししているというところがございます。  そういう意味で、JRも昔ほど土地がないということ一、それから駅周辺の用地というのは先生御承知のように大変高うございまして、そこで、仮にわざわざ土地を買って駐輪場をつくれということになった場合に、自転車に乗ってきてそこを利用する方と、していない方との間で、仮に運賃転嫁などをいたしますと非常に不平等になるんじゃないか、いろいろな議論があるわけでございます。  ただ、いずれにしましても、駐輪場が必要だということは私ども十分認識しておりますので、JR等をよく指導いたしまして、できるだけ工夫をしてお貸しできるものがあればお貸しする。例えば高架化をいたしますと、その下を使っていただくというようなこともできるわけでございます。  それともう一つ、公共団体の方に私どもがこう、いうお話があったときにお願いしているのは、今駐輪場の九〇%は平面でございます。一階建てというのでしょうか。これを立体で使うということによってかなり改善が図れるんではないでしょうか。これはJRにもそう申しておりますけれども、そんなことで何とか駐輪場問題を解決するように、我々としても寄与したいなということは十分に認識しております。
  99. 常松裕志

    ○常松委員 引き続きもちろんそうした努力はしていただきたいと思いますが、あわせて、そういう中でなお法制化しろという非常に強い要望が出てきているわけでありますから、それも含めて検討していただきたいと思いますが、この点についてはまだ別途御質問したいと思います。  次に、海上自衛隊潜水艦の「なだしお」と釣り船富士丸衝突事件についてお尋ねをいたします。  一九八八年七月二十三日、横須賀港沖浦賀水道で発生したこの衝突事件は、国民に大きな衝撃を与えました。国民の安全を守るべき自衛隊の艦船によって三十人もの方々が犠牲になったからです。助けてと叫んでも助けてくれず、その間に沈んでいった人々もいたという、あのテレビでの記者会見などは、正直私たちは自衛隊の余りの理不尽さに怒りを覚えたわけでありました。そしてその上、山下艦長を初めとする自衛隊員による資料の改ざんなども行われたわけであります。  ところで、今浦賀水道の通航でありますが、むしろ一層過密になっています。自衛隊の艦船、アメリカ軍艦などの通航も変わっていません。タンカーの巨大化、六弗化ウランなど核物質、危険物の輸送船がふえています。ああした悲劇、そしてまた甚大な被害が予想されるこうした衝突事件を起こさないためには、このなだしお・富士丸事件の原因を徹底的に究明し、そこから教訓を酌み尽くさなければならないというふうに思っておりますし、恐らくその点は運輸大臣も全く御同感だろうと思います。  さて、海難事件の場合に、その原因を究明し、再発防止のためには海難審判が行われるわけでありますが、しかし、このなだしお・富士丸衝突事件についての海難審判は不公正に行われた疑いがあります。その立場から私どもの党の松浦代議士が、去る三月三十日の衆議院予算委員会におきまして運輸大臣並びに海難審判庁長官に対して調査を求めてまいりました。その調査結果を御報告いただきたいと思います。
  100. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 お答えいたします。  小林元長官から記者懇談会当日の発言内容に関して事情聴取いたしましたところ、一般的な海難防止の観点から、小型船やレジャーボートの事故を例にとって、安全な航法について海上衝突予防法の横切り船の航法、船員の常務等の一般的な解説などを行ったということでございます。  出席した記者側が潜水艦「なだしお」、遊漁船第一富士丸衝突事件に係るコメントとして受け取った可能性は考えられます。
  101. 常松裕志

    ○常松委員 記者側が受け取った可能性が考えられるということであるとすると、やはり極めて軽率のそしりは免れないと思いますので、二度上再びそうしたことのないように慎重な態度が要請されるわけであります。  ところで、本件は高等海難審判庁の第二審裁決を不服として、東京高等裁判所において裁決取り消しの請求事件として係属中であるわけです。この取り消し請求事件におきましては、被告は高等海難審判庁長官となります。  この事件が審理される高等裁判所へは高等海難審判庁から審判官の方などが調査官として出向されています。そして、出向後はまた海難審判庁に戻ってくることになっています。このように身内が被告になっている裁判について、いわば身内の人が裁判官の代理のような形で調査をするということになっている今の仕組みでは、到底公正な裁判が行われることはないだろう、こんなふうに思うわけでありますが、現在、東京高裁に調査官として出向している職員の方の海難審判庁における前職は何だったのでしょうか。そしてまた、過去、海難審判庁から裁制所に調査官として派遣された方々の前の職務及び職名及び海難審判庁に復職後の職務及び職名はどうなっているか、御答弁いただきたいと思います。
  102. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 ただいま行っております調査官の任命前の職は、高等海難審判庁の審判官でございました。  今までに行っておりました者の調査官任命前の職を申し上げますと、十一人おりますけれども、一番最初の方から、まず元高等海員審判所長が一名です。それから高等海難審判庁審判官が八名、海難審判理事理事官が一名、横浜地方海難審判理事所長が一名となっております。ただいまの中には、先ほど申しました現在の者も含まれております。  なお、当庁に復職後は、高等海難審判庁審判官が四名、広島地方海難審判庁長が一名、海難審判理事理事官が二名、神戸地方海難審判理事所首席理事官が一名、そのまま退職した者が二名となっております。  なお、裁判所調査官は、当庁を退職した後に裁判所に採用されております。
  103. 常松裕志

    ○常松委員 いや、要するに退職してもまた戻ってきて、海難審判庁に戻るわけでしょう。
  104. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 先ほど申し上げましたそのまま退職した二名というのは、もう当庁の方へ帰ってこなかったという意味でございます。
  105. 常松裕志

    ○常松委員 それ以外の人は戻ってきたのでしょう。
  106. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 そうです。それ以外の人は戻ってきております。
  107. 常松裕志

    ○常松委員 大臣、これでは身内が身内を戴いているようなことになるし、少なくとも世間から見ればそういうふうにとられるだろうと思うのです。海難審判庁からだれを高裁に出向させるかというのは運輸大臣の御判断だろうと思うのです。  これまで東京高裁に提訴された事件のほとんどすべてについて、海難審判庁が敗訴した例はないというふうに聞いているわけでありますが、審判官を調査官として出向させるというのは公正を欠くおそれなしとしないと思いますので、今後はぜひ検討していただきたい。身内が身内の被告を不利なようにする方はないと思うのです。大体あれでしょう。さっきの話を聞いたら、「なだしお」の審判を下した審判官、合議した五人の審判官の中の一人が今東京高裁へ行っているというのでしょう。それじゃ公正な裁判は期待できないじゃありませんか。
  108. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 お答えいたします。  今行っております調査官は「なだしお」の審判に入っておりません。
  109. 常松裕志

    ○常松委員 いずれにいたしましても運輸大臣、その点誤解を持たれることのないような制度に改めていただくようにぜひ御検討いただきたいと思います。  そこで、審判そのものの内容について二、三お伺いいたしますが、あのときめ事実を見ますと、「なだしお」から保安庁への連絡がおくれたこと、衝突直後、後進したことなどが救助のおくれにつながり、死亡者が多数生じた原因となったのではないかと思われるわけでありますが、いかがでしょうか。
  110. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 第二審の裁決は、第一富士丸が衝突後左舷側に横転し沈没するまで短時間であったこと、同船の乗客及び乗組員四十八人のうち乗客十二人、乗組員七人が救助されましたが、これらの乗客はいずれも衝突前甲板上に出ていたものでありまして、死亡者の大半が客室等の船内から揚収されていることからしますと、「なだしお」側における救助の措置は原因とならないと判断されております。  しかしながら、御指摘のような事実があったことは裁決に認定されております。
  111. 常松裕志

    ○常松委員 第二審の裁決では自衛隊への勧告がなくなっておりますが、この理由について御答弁ください。
  112. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 海難審判庁の勧告ね、指定海難関係人に対する改善勧告でありまして、指定海難関係人の責任の存否を明らかにするものではございません。第二審裁決では、海上自衛隊に対して、その後にとった改善措置に徴し、勧告しておりません。  しかしながら、第一審及び第二審とも「なだしお」が衝突を避ける措置をとらなかったこと及び海上自衛隊の安全航行についての指導が十分でなかったことを本件衝突の原因として挙げております。
  113. 常松裕志

    ○常松委員 なるほどそういうことで「なだしお」が原因であるということについては裁決の中でうたわれているということでありますが、しかし、それにいたしましてもこの第二審の高等審判庁の裁決は第一審の場合と違います。どちらも船員の常務を適用しておりますけれども、この第一審では「なだしお」を主因とし、富士丸とは区別しています。しかし第二審では、言ってみればけんか両成敗といいますか、どちらも等しく責任があるんだ、双方にフィフティー・フィフティーで原因があるんだ、こういう裁決になっているわけですね。これはやはりあのとき我々が新聞報道あるいはテレビの報道その他から受けた印象とは随分かけ離れておりますし、したがって、こういう裁決をすると同時に、先ほど長官から御答弁ありましたように、小林元長官が新聞記者の方々に、この第一審の裁決が出る前に、これは船員の常務の適用なんだ、こういうふうに言っておりますと、この裁決自身があらかじめそうした予断と偏見を持って下された、こういった疑いなしとしないわけであります。  それだけじゃなくて、こういった事件が二度と再び起こらないようにするという立場からしますると、海難審判庁はこの「なだしお」の回避義務を一体どんなふうに考えているのか。海上保安庁の場合には、これは衝突予防法十五条の横切り船の航法が適用になるというふうに言っているわけですけれども、海難審判庁はその点一体どういうふうに考えているんでしょうか。
  114. 杉山陽一

    ○杉山政府委員 「なだしお」に対しては、第一富士丸に対する動静監視が十分でなく衝突を避ける措置をとらなかったばかりか、操舵号令が確実に伝達されず右転の措置がおくれたことが原因であった、このように第二審裁決は摘示しております。
  115. 常松裕志

    ○常松委員 確かにそういうふうに指示されていますけれども、しかし、とにかく双方がフィフティー・フィフティーというふうになっている点について、あれはヨットを避けようとしたことをもって第二審の裁決はそのことをかなり重視しているんじゃないかと私は思うのですが、あの浦賀水道や東京湾などでこうした事件がこれから再発する危険がもしあるとすると、やはり二つの船だけの問題じゃなくて、この場合のヨットのように第三の船とかあるいは第四の船、そういうものが必ずかかわってくることが想定されるわけですね。  したがって、この第二審の裁決についてこれ以上長官と論争しようとは思いませんが、再発防止という点からしますると大変大きな問題があるんじゃないか、こんなふうに思います。  そこで、この問題につきましては、この衝突事件後、当時竹下総理もあるいは石原運輸大臣も、二度と再び起こらないように措置をする、こういう御答弁をしているわけでありまして、自衛隊、特に潜水艦を想定した事故防止のためにどういう措置がとられているのか、運輸大臣に御答弁をお願いいたします。     〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 小和田統

    ○小和田政府委員 海上交通のルール、船舶同士の交通ルールにおきましては、自衛艦であるがゆえに特別扱いをされるということは決してございません。一般船舶と同様に海上衝突予防法、あるいは東京湾の例で申し上げれば、浦賀水道航路については海上交通安全法、それから港の中であれば港則法といったような法律がございますが、そのそれぞれについての遵守義務があるわけでございまして、これは「なだしお」事件の前も後も変わりないわけでございます。  そこで、この「なだしお」の事故以後このような事故の未然防止を図るために、海上保安庁におきましては、東京湾海上交通センターというものを浦賀水道の入り口に持っておりますけれども、そこの機能の大幅な充実強化をいたしました。その結果、東京湾内を航行するに当たりましてセンターと連絡をとらなければいけない船というものが指定されておりますけれども、この船の範囲を拡大いたしまして、総トン数百トン以上で搭載人員が三十名以上の船舶、自衛艦はよほどの小型船を除いて大部分これに入ると思いますけれども、そのような船はセンターと連絡をとるようにしたわけでございます。これはやはり自衛艦、一般船舶の区別なく実施しているところでございまして、現在では東京湾内を自衛艦といえども航行するときにはセンターの方に位置通報をしていただく、それを受けましてセンターの方では常時その自衛艦及び他の一般船舶を含めまして動静を把握しているという状況になっております。  なお、自衛隊の方におきましてもこの事件の反省といたしまして、夕方東京湾から出ていく船、まあ横須賀に入る自衛艦はそれを横切るという形になりますけれども、その東京湾から出ていく船のラッシュ時間は自衛艦は避けるように、横須賀に帰投するのであればそのラッシュの始まる前に帰投するようにというようなこと、あるいはまた、一般船から見て自衛艦が編隊を組んで行動しているというふうに見られますと、とかく一般船の方にためらいが出てくるというような問題もあろうかと思いますけれども、そういうことの起きないよう艦と艦の間の距離をもっと長くとるようにというような指導も部内でしているということでございまして、海上交通センターの監視体制の強化というようなことと相まって、この種の事故の再発防止に努力していきたいと考えております。
  117. 常松裕志

    ○常松委員 二度と再び起こっちゃいけませんし、さのう以来御指摘しておりますような大変危険な水道、水域になっておりますので、ぜひひとつ運輸省の、また海上保安庁の適切な御指導をよろしくお願いいたします。  次に、通勤通学の混雑緩和につきましてお尋ねをいたします。  実は三月十四日からJRのダイヤ改正が行われました。私が毎日利用しております中央線のラッシュ時の増便があるいは増発が行われるだろうと熱い期待をしておりましたけれども、結局ゼロでありました。私だけではなくて多くの利用者の期待を裏切ったわけですが、この背景は、今でも七時から八時の間の六十分間にわずか四分間しか開かない踏切があります。例えば小金井駅の東側の踏切なんかそうですが、その踏切が今ではあかずの踏切と言われていますが、閉まりっ放しの踏切になってしまう危険があるからだろうと思うんです。  そういうふうに考えてみますると、首都圏の通勤通学の混雑緩和のためにも、また道路の渋滞解消のためにもやはりJRの中央線の三鷹-立川間の立体化・複々線化を初め、そうした立体化なりの事業などを進めていく以外にはないんだろう、こんなふうに思います。  そこで最初に、昭和六十年七月十一日の運政審答申の進捗状況につきましてお尋ねをいたします。目標とした西暦二〇〇〇年ということになりますとあと八年しかないわけですけれども、この進捗状況、三十路線の進捗状況について御答弁をお願いいたします。
  118. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生ただいまお話しのとおり首都圏の鉄道網計画は運輸政策審議会の答申、これは七号答申と言っておりますが、これが路線計画を記しておるわけでございます。  この答申では、一応首都圏におきましては五百六十キロの新線建設あるいは複々線化等をやるべし、こういうことになっておりまして、この四月一日現在の数字をちょっとまとめてみますと、今までできましたものは、例えば京葉線、埼京線、地下鉄の七号線の一部、これは赤羽岩淵から駒込でございます。それから地下鉄の十二号線の一部、練馬から光が丘でございます。それから北総開発鉄道等、約百五十キロがもう完成済みでございます。それから横浜の三号線、それから地下鉄の七号線、今工事をやっておりますが、それから十二号線等が延べで百五十七キロございますが、これは工事中でございます。これを両方合わせますと答申路線の中の約五五%は一応今完成あるいは工事中でございます。それから、常磐新線等約八十キロがもう既に免許、特許をやっておりまして、これから工事にかかろうというところでございます。これを合わせますと約七〇%のものが一応手がついたといいましょうか、そこに至っているという状況にございます。
  119. 常松裕志

    ○常松委員 その中でJRの中央線の立体化・複々線化はおかげさまで昨年スタートをするということになることはなったのですけれども、埼京線の延長している大崎、渋谷に至る部分とか武蔵野南線など、ああいう線区がおくれているのは非常に残念なのですが、それはまた後で聞きます。  そこで、ラッシュのときのワースト二十、どういうところが込んでいるのかをちょっと挙げてください。
  120. 井山嗣夫

    井山政府委員 ワースト二十でございますが、具体的に申し上げますと、一位といってはいけないのかもしれませんが、京浜東北線の上野-御徒町、最混雑時間で二七七%という数字がございます。二位が山手線の外回りの同じく上野-御徒町間、これは二七四%、三位京浜東北線の北行きの大井町-品川間で二七三、四位が山手線の内回りの代々木-原宿間でございますが二六七、五番目が常磐線松戸-北千住間で二六二、六番目が中央線の快速新宿-四ツ谷間の二五五、以下、総武線の緩行でございますが平井-亀戸間、総武線の快速の新小岩-錦糸町間、常磐線の亀有-綾瀬間、十番目が武蔵野線の東浦和-南浦和間ということでございます。  その他非常に細こうございますので省略いたしますが、いずれにいたしましても、二十線区のうち十七番目までがJRでございます。それから、残り三つが営団の一部区間でございますが、込んでおりますところを申し上げますと、千代田線の町屋-西日暮里が二一七%、丸ノ内線の新大塚-茗荷谷が二一六%、日比谷線の三ノ輪-入谷が二一一%というような状況になっております。
  121. 常松裕志

    ○常松委員 ありがとうございます。  運輸大臣、二五〇%というのはこういう状況なのです。僕なんかもそうですが、つり革につかまりますね、電車が揺れると体が倒れますね、倒れたきりこちらに戻らない、これが二五〇%だということになっているのですね。手が動かせない状態だ。これがまだ十区間近くあるわけです。それで、二〇〇%以上というのは週刊誌程度を読むのが精いっぱいということなのです。週刊誌をこんな格好で持って読んでいますから、本当にいじらしい思いでサラリーマンは通勤してきているわけであります。  こういう通勤通学の混雑を緩和をするためには、やはり立体化、複々線化事業への助成をもう少し強めていただく必要があるのじゃないか。首都-圏では、運政審の答申に基づいて、現在、東武の伊勢崎線竹ノ塚-北越谷間、西武では池袋線の桜台-石神井公園間、新宿線の新宿-上石神井間、小田急線の東北沢-和泉多摩川間、東急の東横線多摩川園-日吉間、この五線区で立体化、複々線化事業が行われているわけですけれども、まだ残り中央線では三鷹-立川間、西武では石神井公園-保谷間、京王線では調布-笹塚間、小田急線では新百合ケ丘-和泉多摩川間あるいは新百合ケ丘-相模大野間、東急では日吉-大倉山間、こういうところの線区で事業化をしていただくことが期待されているわけであります。  こういう事業につきましては、JRを除いては特定都市鉄道整備促進特別措置法の適用を受けて行われているわけでありますが、この法律によりまする特別措置は間違いなくこれらの事業の遂行に寄与しています。これは私どもも高く評価をしているところであります。しかし、東京などの大都市、特に首都圏における通勤通学の混雑緩和のためには、正直言って民鉄各社にもっと頑張ってもらわなければならないし、投資意欲を持ってもらうことが我々利用者にとってもプラスになる、こんなふうに思っているところであります。  そこで、この特別措置法及びその施行令につき、四点にわたってお尋ねをいたします。  まず第一に、施行令の五条の四分の一あるいは六条の百分の三から百分の六までの比率の根拠、これは一体何なんでしょうか。これを引き上げることを検討することはできないのでしょうか。
  122. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問、二点あるかと思いますが、一つは、四分の一が積立限度額になっている、これはどういう根拠かということと、それから投資倍率で百分の三とか四とかなっているのはどういうことでできているのか、こういう御質問がと思います。  まず、四分の一の方でございますが、先生は制度の趣旨はよく御存じかと存じますけれども、従来から受益者負担でやってきておりますけれども、それでは完成後に急に利子負担とか減価償却費がどんと出てしまう、そうすると運賃の改定が相当大幅なものになってしまう、こういうことで、あらかじめ工事費の一部を運賃に上乗せして先取りさせていただいて、それを必ずきちんと当該工事に充てるということで御理解をいただいてやっている、こういうことでございます。  そういう趣旨でできた制度でございますが、この四分の一というのは、税制当局との間でいろいろな議論があったようでございますが、一つは、これだけの大工事になりますと、民鉄事業者も資金調達をどうするかというのが大変苦しくなるわけでございます。  そのときに我々が考えましたのは、まず工事資金の通常半分ぐらいは開銀の融資ということで制度融資がございます、これで調達できる。これは低利でございますが、それからさらに税制上の支援措置、こういうような措置で、なるべく利子のかからないお金をどれだけ入れたらいいだろうかということをいういろな意味でシミュレーションをやったわけです。  それから、もう一つ考えなければいけないのは、先取りさせていただくときにどれぐらいのパーセンテージなら御理解いただけるか、例えば前回の場合は運賃改定のときに数%それぞれに乗っけたわけでございますね。そうすると、それがどれぐらいの幅なら許されるか、こういうようなことをいろいろ検討をしたようでございます。確たる、何掛ける何が幾らで、したがって四分の一ということではございませんけれども、そういういろいろな、半分は開銀でできる、それから一部は自己調達できる、一部は先取り資金が入ってくる、こういうようなことをやりまして、ある意味のバランスといいましょうか、これをいろいろ考えた上で四分の一と決めたというふうに当時の資料でなっております。  それから、二つ目のパーセンテージの話でございますが、これもいろいろ議論があって、シミュレーションを相当やったようでございます。結局、最初に積立率を低く抑えますと工事期間中の運賃の先取り部分というのは低く済む、そのかわりただのお金が余り入らない。それから、先にたくさんいただくとありがたいのですが、そうすると、先ほど言いましたように運賃改定率はどれぐらいになるか、かなり高いものになってしまう。従来の運賃改定というのは、経験値でございますが、やはり一〇%から一五%の間ぐらい、それぐらいならまあ何とか御理解いただけるのではないかということで、通常の経費増プラス今度の先取り分のパーセンテージを乗っけた場合にどういう影響があるかということを数十通りシミュレーションをやって、それで決めたようでございます。もちろん工事費が大きい方はなるべく先にいただきたい、比較的小さい方はパーセンテージが低くてもまあ何とかやっていける、こういうふうなことをやりまして決めたということでございます。  これも何とか掛ける何とかイコールという、必ずしもそこでぴしっとした式で出したわけではないというふうに聞いておりますけれども、いずれにしましても、当該線区の年間収入の二倍未満だと百分の三、二倍から三倍だと百分の四とかいうふうに順々に率を上げているのは、そういうシミュレーションをやった結果、大体十数%の改定ということを考えながらやるとそれぐらいの範囲が限度がなということで決めた、こういうふうに聞いております。
  123. 常松裕志

    ○常松委員 当時で言えば、運輸省内部においても、また財政当局とも、非常に慎重な御議論が行われたと思うのですが、とにかく運政審答申が現在ではまだ半分しか満たされていない、今のままいっても二〇〇〇年までにあれがきちっと満たされるとは限らない状況ですから、したがって、やはりあれを満たすように促進をしていく必要がある。現実はそういう運政審答申のところまでいっていない。いっていないからには、やはり投資意欲を持ってもらって、そして何とかそれをクリアしてもらうように促していくのが運輸省の立場だと思いますから、ぜひひとつその四分の一の問題あるいは百分の三から六の問題についてももう少し弾力的に考えてもらいたいと思うわけでありますが、井山さん、仮に運賃収入の百分の六の適用の場合、これは十年間積み立てていっても例の四分の一の方に達しない場合があるのですね。これは大工事であればあるほどそうなるわけです。  しかし、今必要なのはそういう大工事、難工事、お金のかかる工事をやってもらわなければならないわけですね。そうすると、この四分の一に達するところまでは積み立てができるように運用していくということぐらいはひとつやってもらいたいと思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  124. 井山嗣夫

    井山政府委員 この制度ができますときに、先ほど申し上げましたようにいろいろな議論をやった中の一つとして今のような御議論があったように思います。その当時のいろいろなバランスを考えて、税務当局とも大議論をやって決めたところでございます。ですから、先生おっしゃる御趣旨はよくわかるのですが、確かにこれをさっと改善するのはなかなか難しい問題があるかと思いますけれども、いろいろ勉強すみことは私どもは全然やぶさかではございません。少しまじめに勉強させていただきたいと思っております。
  125. 常松裕志

    ○常松委員 少しではなくて大いにまじめにやっていただきたいと思うわけであります。  第二に、法律の方の第三条二項の二号のところで期間を十年としています。確かに法律の趣旨からいえば、十年だって私は長過ぎると思うのです。五年とか七年くらいでやってもらいたいというのが正直言って本音ですが、しかし今度は現実を見てみますると、複々線化事業の場合にはほとんど立体化事業と一体となって行われているわけでありまして、都市計画法上からくるさまざまな制約を受けつつこの事業が進められています。アセスの調査をやったり計画決定したりということで、また土地買収の難航の問題もあります。ですから、なかなか計画どおり事業が進まない、十年以内では終わらないということだって予想されているわけであります。  その場合、現行でいきますと、現に進めている工事について十年以内に終わらないと、積み立てをペナルティーとして返済しなければならないわけでありますし、また、どう考えてもこれは十年以上かかるぞという場合には、積み立てそのものが認められないような運用になっていると思うのですね。この点もやはり現実に合わせて弾力的な運用をしていただくように約束してもらえないでしょうか。  今東京など首都圏で必要となっているのは大工事なんです、難工事なんです、いっぱいお金がかかる工事なんです。そういう工事に、これはJRも民鉄もチャレンジしてもらわなければならないと思うのですね。そのためにはできるだけそういう運用を弾力化していくべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  126. 井山嗣夫

    井山政府委員 この制度をつくりますときに十年という期間を切ったのは、従来のこの種の工事の実際の工事期間を考えだということが一つございます。それから、税制上の特別措置というのは、今聞くところによりますと、その当時何か原則二年とか三年とか非常に短い、だけれども鉄道工事というのはそんなものではできるはずがないのだから、それでは困るということで大議論をやりまして、十年ということで一応一つ切ったわけです。期間を余り長くしたりあるいは不確定期間ですと、今度は利用者の方が一体いっできるんだ、運賃だけ先取りされて一体どうなっているんだ、こういう議論もあるということで、一応十年ということで切りました。  現実には各社とも一応平成九年完成ということで今頑張ってもらっております。しかし、途中で何が起こるかわかりませんから、そこはわからないのですが、ただ、現時点でその十年を緩めてあげるよというのはなかなか、ちょっと難しいと思います。これはある程度工事の進捗状況等を見ながら、やはり具体的にケースに応じて折衝していくマターではないかと思っております。
  127. 常松裕志

    ○常松委員 それで結構でして、恐らく、そういう不安を持っているとすれば、その不安だって取り除いていただくことが今の御答弁でできると思いますから、ぜひひとつ、今の御答弁を私も十分に承っておきます。  次に、この対象になる工事費の算定なのですけれども、これは認定時の単価で積算されておりますね。そうすると、その後の物価騰貴とか計画変更などもあり得るわけですし、今だとどうなんですか、途中での見直しというのは認めない運用、最初の認定額で決めていると思うのですけれども、そういう点についてももう少し、工事費などの増高が起こった場合には見直しをしていくことができるような運用を、これは御要望しておきますので、検討していただきたいと思います。  次に、工事期間中の利子分などについてお尋ねをしたいと思うのです。  仮にJRが行う中央線の立体化・複々線化事業などを例にとりますと、線増事業は約二千億ぐらいがかる。これを現在のルールでいうとほぼ全部JRが負担をするということになるわけですが、それはともかくとして、十年かけて工事完成いたしますと、現行制度ではその十年の間の利子が鉄道完成後でないと費用化できなくなっているのではないだろうかと思うのです。間違っていたら指摘してください。そういうことについて、工事期間中であっても費用化できるようにしてやった方がいいのではないかというふうに思います。  また、鉄建公団に工事を委託して行うP線工事などにつきましても、工事期間中に発生する利子が鉄道事業者に大変な負担になっているわけでありまして、これについても軽減するような方策を検討すべきではないかと思うのですが、検討が現に行われておるのでしょうか。それとも、してもらえるのでしょうか。
  128. 井山嗣夫

    井山政府委員 一般的に企業会計原則等では二つのやり方がございまして、一つは当期の費用で建設期間中の利子を落としていくというやり方は、これは認められてはおります。現に民鉄それから営団地下鉄等もみんなそれで、工事期間中に発生した利子は当期の費用で落としていくことはできます。それからもう一つのやり方は、先生先ほどおっしゃいましたように、期間中のものは全部建設費の中に埋め込んでいきまして、でき上がった後、償却費で回収していくといいましょうか、こういうやり方と、二通り選択が認められておりまして、そこは大丈夫だと思います。  それから、もう一つの鉄建公団のP線の方の話でございますが、確かに、民鉄が鉄建公団に委託をしてつくってくれといって鉄建公団工事になったときは、鉄建公団が自分で資金を調達いたします。その分だけ民鉄は何も手はかからないわけです。しかし、鉄建公団の場合は、当期の費用ということで、収入がありませんから、それはどうしても建設費の中に埋め込んでいくしかないわけでございます。そうしますと、でき上がって譲渡するときには、その期間中の利息分が資産の中に入っているということになるわけです。それを前提に譲渡をしていくときにお金をいただくわけですが、そのときに金利が余り高過ぎると困るということで、今五%を超える部分を国が利子補給をしている、こういうやり方になっております。  それで、先生がおっしゃるのは、多分、鉄建公団に頼んで、鉄建公団が資金調達をして、金利相当額も調達せざるを得ないわけですが、その部分を頼んだ方の会社の費用で落とせないかという御質問がと思いますけれども、一般的に請負工事の人に委託する場合と違いまして、これは鉄建公団がみずから資金を調達するわけでございます。会社の方は資金調達は何もしていないわけです。そこで、その費用を自分の会社の費用として落とせるかどうかというのは、これは一般論として少なくとも税法体系では認められない、そういうことは普通はないだろうと思うのです。ですから、そういう意味ではまさに企業会計の根本に触れる話かと思います。そういう意味では今の時点で、それはできるでしょうとか、やる方向でというのはちょっとお答えができないと思います。大変一般的な大原則に触れる話かなという気がいたします。
  129. 常松裕志

    ○常松委員 それは今の法律ならそうでしょう。国会で議論しているわけですから、特別の法律をつくるなりなんなりして、やりやすくできぬかということです。  今の話でいつでも、独自の事業として営団地下鉄やあるいはJRなんかが自社工事としてやる場合は、その利子分について費用化できるわけでしょう。その二つの選択性があると言いましたね。だから、やろうと思えば今からできる。だったら、鉄建公団に委嘱する場合、そういうものとのバランス上、そういう鉄建公団の場合でも、その鉄建公団の工事期間中にかさんでくる利息分について、委託している鉄道事業者が費用化できるように何とかこれは検討しても、こちらとのバランス上、おかしくないではありませんか。
  130. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生の御議論もあるかと存じますけれども、これは一つ考え方があると思うのです。  それは、もし鉄建公団に頼んだ工事について、金利が発生するのが非常に困るということは確かにあるのですが、逆に言いますと、当期の費用で金利を払っていく方法、それからでき上がったものに若干金利分が入っていて、いわば水増しになっている、これをやる。要するに企業として回収するときに、当期の費用で落とすか、それから何年かたった完成後に、減価償却費で、やはりこれも同じ費用ですから、費用として落とすか。これは実質的に効果としては同じなのですね、多分。細かく計算すると別かもしれませんが、少なくとも減価償却費で、例えば十年かかったとしましょうか、それでやっていくか、それでその完成後、十年後の毎期の費用で落としていくというやり方がありまして、それから当期でやる。そうすると、どうしても当期の費用で落としたいということであれば、あるいは自分で工事をすれば、さっき先生おっしゃったように落とせるわけですね、自分の工事としてやれば。  だから、そこのところは、やはり民鉄の方の、要するに鉄建公団に頼んで後で回収するか、あるいは自分でやって、無理してでも資金調達してやるか、そこのところはある意味の見きわめといいましょうか、そこの政策判断、会社としての政策判断の問題ではないかなという気がいたします。
  131. 常松裕志

    ○常松委員 実は井山さん、だから今のスピードで運政審答申がちっともいかない、僕らから見れば。あなたから見たら、いや、運政審答申どおりきちっといっていますということかもしれませんが、先ほど、冒頭の答弁でいえば、なかなか目標どおりいっていないし、東京でいったって、あと少なくともこれから五つやってもらわなければならないのです、二〇〇〇年までに。その中には、JRの中央線を含まないで、民鉄だけで五つかな。先ほど挙げましたけれども、中央線まで含めたら六つですよ。そういうものをやってもらおうとするときに、今までいっていないのだから、何かここで工夫して、運輸省も工夫してあげなければ、正直僕は進まないと思うのですが、ここで幾ら議論していてもしようがありませんから、少し次に進みますけれども、ぜひそういう立場で御検討いただきたいと思うのです。  そこで、実は立体化、複々線化の事業について、大臣、こういうことがあることだけちょっと、御答弁はいいのですけれども、念頭に置いていただきたいのです。  立体化、複々線化事業というのは、いわば運輸省建設省の共同事業みたいなものです。都市側と鉄道建設業者の共同事業みたいなところがあるのです。それで立体化事業の方がうまく進まないと線増事業も進まない、こういう関係にあるのです。例えば、一つの線路をつくっていく場合に、立体化の方でいろいろな反対が出てきてしまうと、そうすると線増事業も進まない、こうなります。それだけではなくて、中央線の立体化・複々線化みたいな大きな、二千億なんていう大きな事業がどんと入ってきますると、そうすると東京都に今与えられている年間の立体化のための道路事業費が全部中央線の方に行ってしまう。民鉄側が予定をしております立体化工事は全部まくらを並べておくれてしまう、こういう相互関係もあるのです。  こういうことがございますから、東京などにおける混雑緩和のためには、大臣建設大臣、あるいは大蔵大臣、全部お仲間でございますから、ぜひひとつお話しいただいて、奥田運輸大臣の時代に、そういった枠が大きく膨らむようにお願いしたいと思います。  最後に、鉄道整備基金について、一、二お尋ねをいたします。  この基金につきましては、都市鉄道建設及び複々線化工事を行う鉄建公団や営団地下鉄に対する無利子貸付枠というのがあるということになっておりますが、どの程度あるのか。この無利子貸し付けの対象となっている事業はどういう事業があるのか。中央線の立体化・複々線化の事業も当然その中に入っているはずですけれども、制度としてあったとしても、実態的に無利子貸し付けが可能なのかどうか、この点を手短に御答弁ください。
  132. 井山嗣夫

    井山政府委員 無利子制度は幾つか項目がございますが、一つは既設新幹線の輸送力増強、これは関係ございません。それから主要幹線鉄道整備、それからもう一つは都市鉄道整備、これが大きな柱でございます。  制度的には、あるいは法律の書き方等から見て、先生おっしゃった中央線の複々線化も一応対象となり得るということはそのとおりでございます。  ただ、具体的に、今おっしゃった三鷹-立川間が複々線化が今後どういうふうに、実施時期等はまだ決まっておりません、工事費等もまだわかりませんけれども一つこういうことが言えると思うんです。無利子貸し付けは、結局既設の新幹線譲渡収入一兆一千億がございました、その収入のうちの一部を、いわば先食いして使うと言ったら変ですけれども、そういう意味で、清算事業団債務の償還というものを非常に確実にやっていかなければならない、円滑にやっていかなければならないという要請との範囲内でそれを活用していこうということで、おのずからどうしても限度がございます。ですから、先生おっしゃったように複々線化、二千億でございましたか、こういうような工事が今どんと来て、これでいけるかと言われると、今のところちょっと具体的な額につきましては自信がございません。
  133. 常松裕志

    ○常松委員 というのが、大臣、実情でございます。  そこで、大臣にお尋ねをいたしたいわけでありますが、この鉄道整備基金を一層充実させるために、今後どのような御努力を行おうとしているかということについてであります。  ことしの運輸白書に、ヨーロッパにおける高速鉄道網が紹介されておりますけれども、これらはほとんど全部国税で建設されている。地下鉄などについても全く同じように国税で建設されているというふうに聞いております。  この鉄道整備基金に対することしの一般会計からの繰り入れなどというものは、こうした諸外国の例から見ると本当にわずかなものでありまして、私は、やはりこの際国税からの大幅な導入による鉄道整備基金の充実を図るべきだ、こんなふうに思いますけれども大臣の御所見を承りたいと存じます。
  134. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私も、鉄道整備基金の制度発足、そしてこういった形になってようやく新幹線整備を含め主要幹線鉄道整備が何とか年次的に、そういう大きな進捗では見られませんけれども、着実に少しずつでも進められるようになったということで、この鉄道整備基金制度そのものについては、大変この発足を歓迎いたしております。  ですけれども、今御指摘のように、これで十分かということになれば、これはとてもこの基金の果実で何もかもやっていけというようなことは大変困難でございます。今御提起されたような中央線の複々線化ぐらいのような莫大な投資、しかしこれは投資効果も上がる仕事ではありますけれども、こういった形に基金の大半が回ってしまうというようなことはとても現在の情勢では無理でございます。  したがって、この基金をもう少し多くしてもらうということが私の現在の願いでもございます。したがって、先生の言われるような事業遂行のために、この制度、特に整備基金の増額と申しますか、こういった形も含めて真剣に検討してまいらなければならぬなということでございます。
  135. 常松裕志

    ○常松委員 ぜひ大蔵大臣や内閣総理大臣と相談して、首都圏の、まだほかにもあるのです、JR新幹線の品川駅の問題とか、あれはけさの新聞では六千億かかるとか、あるいはもっと進めてもらいたいのは、お年寄りやあるいは障害者の方々のためにエレベーターをつくるとか、そういう人に優しい交通施設づくり、こういうものにも基金をぜひ適用してもらいたい。そのためには大臣の実力で一般会計からもっとたくさん持ってきてもらいたいと思うのです。  同時に、大臣、こういう声がありますよ。運輸省は乗客に対するサービスというものを、込んでもいいから安い運賃の方がいいのじゃないかというふうに誤解しているのではないか。そうじゃなくて、通勤のサラリーマンの方々なんかの場合は、運賃が多少上がってもとにかくこの混雑だけは何とかしてほしい、こういう声がありますよ。確かに、運賃が上がってもといいますけれども、ほとんどのサラリーマンの方々は定期代は会社の負担なんですね。きょうお見えの運輸省の役人の方々は自腹を切っているかどうかわかりませんが、恐らく運輸省の負担だと思うのですよ。だから、運賃が上がっても十分そちらで吸収してもらって、自分の懐が痛むのは通学定期とそれから一般普通運賃なんですね。ですから、とにかく朝あんなに込んじゃってくたびれるくらいなら、やはり多少上乗せしてでもやってほしい、そういう声がちまたに横溢している。大臣、私はそう思いますよ。そういう声についてどう思いますか。私は、そういう声を受けとめて、一定程度通勤通学の混雑緩和のために使うという限定された目的のためには、そういう声も吸収していっていいのじゃないかというふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
  136. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生大変大胆な御提言で、私も基本的にはその御意見に賛成です。しかし、仮に利用者がある程度全体的に合意していただけるなら、今のところは何でも、ちょっとでも、正しい、公益性の立派な施設に持っていくための一つの賦課というか分担金だというくらいの気持ちで、利用者がそうして対応してもらえばいいですけれども、やはり今この立場にありますと、すぐ運賃にはね返ってくるという形に非常に抵抗を感ずることも事実でございます。  しかし、物価全体にそういった大きなはね返りもなく、利用者がそういう形でもいいと合意していただけるというような世論形成ができれば、一番いいことは、そういったことの負担において自分たちの利用する路線改善が、急ピッチで快適なサービスを得られるということになれば、私は大変ありがたいと思います。  先生の非常に貴重な御提案に対して、真剣に、前向きに私も対応してまいりたいと思います。
  137. 常松裕志

    ○常松委員 ありがとうございました。
  138. 久間章生

    久間委員長 浅井美幸君。
  139. 浅井美幸

    ○浅井委員 奥田運輸大臣に最初に所感をお伺いしたいと思うのですけれども、国鉄が六十二年の四月に分割・民営ということで新しく発足をいたしました。この四月で満五年を迎えたわけでございます。  この間、経済的にも好況でございましたので、JR旅客輸送の増加はございましたので、本州三社を中心に、私ども当初分割・民営に携わった一人として喜んではいるわけでございます。予想以上の収益も上げている、やれやれという思いもございますが、その明るい反面、長期債務の方の償還のことにつきましては、なかなか当初私どもが五年前論議をした、あのいわゆるいろいろな心配が点がそのままあらわれてきている、このように思うわけでございますけれども、この五年間の経緯を大臣はどのように見ておられるか、まずお伺いしたいと思うわけでございます。     〔委員長退席、今津委員長代理着席〕
  140. 奥田敬和

    奥田国務大臣 民営化、大改革でございましたけれども、五年の記念すべき年を迎えました。先生は当時からこの民営化に関して本委員会で御関係になっていたということもお聞きいたしております。私とは全く、運輸行政、逆に立っておる私の方がむしろそっちの方においては、経験と勉強の点においては本当にかえって教わらなければいかぬ立場でございますけれども、率直に申しまして民営化五年の成果は立派だったと評価できるんじゃないかと思います。  国鉄改革の趣旨を生かして、労使が一体になって、そしてできるだけ、今までなかったサービスと、安全の面にも、いろいろな意味実績国民にも評価される事態にまで至った。特に六社それぞれ地域的な格差もあります。条件の差異もありますのですけれども、それなりによく頑張っておるし、とりわけ東、西、東海、この三社は今年度上場を事情が許せばどうしてもやりたい、そういった形にまでなってきておるということは、率直に評価していただけるのではなかろうかと思っております。  ただ、忘れてならないのは、清算事業団という、この民営六社の発足と伴いまして、いわゆる国民負担の、最後にツケをどうするかという形の、一番陰に隠れておるような形ですけれども清算事業団のそういった国民負担の、いかにしてスムーズに軽減を図っていくかという形においては、残念ながら予期した成果が上がっていない。  例えば当時予定したような土地売却等々、私は全く外から見ておった素人として言うわけじゃありませんけれども、国鉄が抱えておる膨大な土地資産、当時の土地高騰の時世にこれらの膨大な土地資産を処分すれば、それは大きな収益源にはなるだろうけれども、それが逆に土地価格の騰貴に拍車をかけて、もう清算事業団土地放出が逆に土地狂乱時代の張本人になるんじゃなかろうかと危惧したときもございました。しかし、あのときに多少でももう少し手早く売っておれば、清算事業団も今まだ二十六兆四千億近い大きなツケ、これはまあ全部が国民借金ですから、そういうことを考えると、まあいろいろな思いがふくそういたしますけれども、いずれにしても、民営化五年の成果は率直に認める、しかしこれで全部よしとしない、清算事業団のツケが残っている以上は決して全面的に一〇〇%の評価を与えるわけにはいかない、重い荷物はまだ我々の肩にかかっておる、そういった気持ちで臨まなければいかぬだろうなと思っております。
  141. 浅井美幸

    ○浅井委員 率直に大臣御答弁いただきましてあれですけれども、ただ、六社ではなくて、貨物を入れますと七社でございまして、七社だと思います。  今も御答弁の中にございましたけれども清算事業団長期債務、非常に頭の痛い問題で、確かに問題点の土地売却のことについてもお述べになりましたけれども、これについて局長で結構ですから、土地の処分問題及び株の処理問題、こういうことについての課題については、これからどのようにしようと考えているのか、これらの課題全部が終了するのはいつごろか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  142. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  まず、御議論の前提で、土地の売れ行き状況といいますか、今までの処分状況でございますが、先生御承知のとおり六十二年のときに、清算事業団法の大前提は一般競争入札が大前提でございました。大前提というより原則でございまして、公共団体等がおやりになるときには随意契約で売れる、こういうことで一部入札をしかかったことがございます。そのときちょうど折あしくといいましょうか、土地の狂乱という事態が出てまいりまして、これでいわゆる競争入札はしばらく事実上凍結しようということで、公共団体の方にいろいろお願いをして買っていただいていたということがございます。  それからもう一つは、これはやむを得ないことなのでございますが、鉄道用地はいろいろ上に建物とかレールがございますので、これを全部きれいにして更地にするという期間が必要でございました。そういうこともございまして、初めは余り売れ行きはよくございませんで、途中で二十五兆五千億が二十七兆までふえたという時期がございました。  その後平成二年度から三年度にかけて若干減りましたけれども、三年度、昨年度でございますが、特に不動産を取り巻く環境は極めて厳しくなってまいりまして、私どもいろいろな手を打ちました。例を申し上げますと、一つ運輸省の本省、地方を通じましていろいろな売却の処分推進会議みたいなものをつくりまして、これに都道府県あるいは政令指定市等の市長さんなども入っていただいて、有効な処分、よい町づくりにこの土地をぜひ利用していただきたいということをお願いする。それから、今まで土地の処分のときに割と制限がきつうございました。これは一種の準国有財産みたいなものでございますのできつかったのですが、例えば公共団体が公共事業の代替地として取得したいというときに、今まで割と目的がきちっとしていないと売れなかったのでございますが、これを制度改正あるいはその他の運用の改善をいたしまして買っていただきやすくしたということがございます。  というようなことをいろいろやりまして、つい最近では、自治大臣が特に地方の方に通達を出していただきまして、ぜひ協力をして町づくりのための用地として先行取得してくださいという通知もいただきまして、これでかなりムードがよくなっているといいましょうか、非常に売りやすくなったといいましょうか、そういう環境がだんだんできてきております。大変ありがたいことだと思っております。そういう意味では、四年度やはり一兆数千億を売らなければいけないわけでございますが、何とか目標に向かって頑張っていきたいと思っております。  それから株でございますが、株につきましては、この三年度の決算JR本州三社が多分上場の条件が全部整うと思います。そこにおきましては、私どももつい先日でございますが、四月十三日の月曜日に、これは先生御存じの清算事業団の中の資産処分審議会に対しまして、株を売りたいということで、特に株式等処分部会という部会をつくっておりま丸が、ここに諮問をいたしまして、ぜひ今年度売却をしたいのでいろいろなことについて御検討をいただきたいという諮問をさせていただきました。ここには専門家も入っていただいておりますので、ここで市場の動向などを見ながらいいタイミングで株を順次処分していこう、こういうことにつきましていろいろな検討をしていただきたいと思っております。株がうまく売れますといわゆる元金が減りますので、土地と株の処分とあわせまして、この二つをぜひ推進していきたいと思っております。いろいろ努力したいと思います。
  143. 浅井美幸

    ○浅井委員 新聞報道によりますと、去年までは順調に、二年度まではようやく土地が売れているのですけれども、ことし非常に厳しいという報道がございます。この内容を読みますと、「日本国有鉄道清算事業団が、監視区域内で地価抑制を狙った上限価格付き入札で土地売却を行った結果、今年度末までで三十七件の入札のうち、三分の一以下の十二件しか落札できなかった」、これは三月十七日ごろわかったということでありますけれども、これは石月理事長が会見で明らかにしたわけです。「バブル崩壊の影響で一般入札などによる土地売却が低調なうえ、高い売却益を見込んでいた監視区域内の売却が進まず、九一年度に約一兆円を見込んでいた土地売却収入の達成は困難な見通し」となった、こう出ています。だから、今御答弁のように希望どおりというか理想どおりというか、そうなかなかまいらない厳しい状況があるということ、これを私が申し上げているわけです。  それから、JR三社の株式上場の問題も、御存じのように今株価の低落傾向にございます。この秋までにどれほど株価の回復が見込まれるか、非常に厳しいものがある。これまた時期のおくれ、こういうものが幾つも重なってまいりますと、三月末で二十五兆八千億という圧縮見込み、二十五兆九千億だったかもしれませんが、清算事業団としては債務をそれだけ圧縮したかった、ところが清算事業団債務残高が一転して膨らむおそれが出てきている、こういう報道がございます。  確かに、大臣もお聞きいただきたいのですけれども、「平成二年度における日本国有鉄道の改革に関する施策の実施の状況に関する報告」、これは四回目なのです。あと平成三年度一回を残すだけになっているのですけれども、この日本国有鉄道清算事業団状況報告の中で、利子支払いが二年度決算額で一兆七百一億七千九百六十一万、土地売却、固定資産売却収入が八千百十三億余になっております。土地がそれこそどんどんこのときは売れて八千百十三億、利子の支払いが一兆七百億、これでは一体どういうふうになって清算事業団長期債務が減ってくるのか、これは我々は理解しがたいところなのです。これには詳しく重立ったところの面積、場所、そして入札または随意契約の相手方の名前等と出ております。これでまいりますと清算事業団の業務の遂行というのは非常に厳しい。そういう中で石月理事長は、この三月の記者会見では、「上限価格には意味がない」「入札側に心理的な買い控えを招く」と上限価格つき入札を見直すよう求めております。これは先ほどの御答弁にございましたけれども、閣議決定で売却先や売却方法を厳しく制限をいたしました。それが今裏目に出てきているという状況の中で、これをどうやって打開されるのか、伺いたいわけであります。
  144. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生今新聞記事等から御引用されました中で、一つだけ申し上げさせていただきたいことがあるのですが、石月理事長が上限価格入札は意味がないというのは、本人に厳しく確かめました。全然そういうことは言ってないと。ただ、一般的に、先生御承知のように、昨年の暮れから上限価格つきの入札は導入いたしました。その結果、御指摘のとおり、PR効果もまだなかなか出ておりませんで、不調のものが結構出ております。そういう意味では三年度は多くを期待できませんでした。四年度以降は、これがどんどんPRされますし、やれる範囲も地域的にも拡大いたしますので、かなり期待はできると思います。  その次に、では今の状態をどうするかという御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、私ども今幾つか手段を考えておるわけでございますが、それがかなり実りが出てきたように感じております。現実に私自身も都道府県の知事さんとか副知事さんがお見えになるたびにいろいろお願いをしておるところでございまして、それなりに効果は上がっていると思います。  そういう意味で、確かに利払いは現実に一兆数百億の利払いをしなければいけません。来年度は今認可しました予算で土地も一兆四千億ほど売らなければなりません。そういう目標を立てております。ただ三年度は先生指摘のように残念ながら債務はふえました。約二千億ふえまして二十六兆四千億になっております。これは利払い等、売れたのが八千億でございますから、どうしてもそういうことになったわけでございます。そういう意味で我々、四年度につきましては、制度的にもかなり緩和いたしましたし、売る環境もできてくると思います。  それから、株につきましては、やはり株式市場の、何といいますか受け入れ能力といいましょうか、これがどれぐらいかというのが、我々素人でございますのでなかなかつかめないのでございますが、例えば夏以降、秋になればかなり市場も回復するだろうという見通しもあるようでございますし、そこら辺を踏まえまして、専門家の意見を十分聞いて、いいタイミングで株式を売るように、ことしはぜひ売りたいということでいろいろ進めていきたいと思っております。
  145. 浅井美幸

    ○浅井委員 先ほども少し申し上げましたけれども、今希望的な観測に基づくような御答弁もございまして、何というか、また状況は違ってくるような気もいたしますが、きょうは時間もございませんので、余り繰り返しません。  そこで、奥田敬和運輸大臣にお聞きしたいのですけれども、この実施状況に関する報告というのは、日本国有鉄道改革法の附則第四項によって行われているわけです。これをつけましたのは、私どもが分割・民営に対して非常に危惧を抱きました。大丈夫かということで、とりあえず五年程度はその実情を各会社から報告させた方がいいだろうという強い要請でつきました附則ですけれども、これを、実施時期は昭和六十二年から五カ年とされておりますので、今の報告の次のもう一回、平成三年度分で終わりとなってしまいますが、現在、先ほど申し上げましたように長期債務の処理は利子だけでも一兆円を超えておるという状況の中で、焼け石に水という実情の中で、先ほど大臣もおっしゃったように、この長期債務の償還が失敗いたしますと国民負担がふえるという非常に問題が多うございますので、これからこの長期債務の処理についてしっかり我々も関心を持ち、またこれについて応援もしていかなければならない点があると思います。  国鉄改革の正念場はむしろこれからだということで、この長期債務の処理あるいは先行き、こういうことが、処理が終わるまでというわけにはまいらないだろうと思いますけれども先行きが見えるまで、これらの実施状況に関する報告は政府国民に対する義務と考えて、どうか大臣におきましてはこれの継続を私は特に要望したいと思いますけれども、御所見はいかがでしょうか。
  146. 奥田敬和

    奥田国務大臣 国会に対する報告義務と申しますか、これは先生の公明党の御発議で修正になったという経過を聞いております。このことは、この五カ年間、平成三年度が五年度目ということでございますから、そういった義務規定はもうあと一回ということになるわけでございましょうけれども、しかし、御指摘のとおり、この特別委員会の当時の議事録を拝見いたしましても、日本貨物を含む七つ、それと清算事業団、そういった収支、処分状況長期債務の処理状況、こういった形を毎年国会に対して報告するという義務規定になっておるわけですけれども先生の御意見はよく理解できます。  ただ、この五年間で一応収支報告のこういった法的な義務規定はあれでも、当然状況がどうかという形は、まさに清算事業団の今後の動向、売却動向にも大変関連がありますし、これにけりをつけなければ国鉄改革のこの全体が生かされてこないわけですから、そういった意味においては、本委員会はもとよりのこと、当然議会への報告に準じた形で常に公にさらしていかなければならぬ、国民の前に明示すべき問題であろうと思いますし、そういった意味では、今後とも、御発言の御趣旨を生かされるような形で、どうこれを担保すべきか、法案の修正まで持っていくのか、あるいはどういう形で、こういったこの法に示された趣旨を継続して生かしていくか、担保するかという形について、また御意見等々承らせていただきたいと存じます。     〔今津委員長代理退席、委員長着席〕
  147. 浅井美幸

    ○浅井委員 今大臣の御答弁は前向きの御答弁でございます。どうか委員長あるいは同僚議員、今質疑のとおりでございますので、この辺は当委員会で決めていただいて、できればこの法律の延長ということを私から同僚議員の皆さん方にぜひお願いしたいと思うわけでございます。よろしくまた御審議のほどを心からお願い申し上げておきます。  それでは、残された時間が非常に短くなりましたけれども、きょうは環境庁の方からも御出席いただいておると思います。  先般から、いわゆる新幹線の騒音問題、世の中の人々がスピードを求めれば求めるほどその沿線の住民は泣くという、非常に新幹線騒音の問題は長い間の問題でございまして、いまだ解決がしていない。ことしは地球環境元年の年とも言われておりますので、我が国におけるところの公害問題の一つであります新幹線騒音の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、環境庁が三月十九日に中央公害対策審議会騒音振動部会に報告をされましたけれども、その内容について聞かせてください。
  148. 斉藤照夫

    ○斉藤説明員 御説明申し上げます。  新幹線鉄道騒音につきましては、住宅密集地域が連続する地域などにおきまして七十五ホン対策区間を定めまして、平成二年度末を目途に、七十五ホンを超える地域にありましては七十五ホン以下とするよう対策が進められてまいったところでございます。  環境庁におきまして、七十五ホン対策の達成状況を把握するために、平成三年度に、沿線自治体の御協力を得まして、七十五ホン対策区間の二百二十三のポイントにおきまして騒音測定を行ったところでございます。  測定の結果、七十五ホンを達成いたしました測定地点の数でございますが、東海道新幹線で七-八%、山陽新幹線で八四%、上越新幹線で六七%、東北新幹線で五〇%、新幹線全体では七六%という数字となっておりまして、かなり騒音レベルに改善がされた地域も見られたわけではございますが、七十五ホンを達成していない地点もいまだ残されておるという状況でございました。  このため、環境庁におきましては、中央公害対策審議会の騒音振動部会にも御報告し、その了承を得まして、今回の調査におきまして七十五ホンを達成しなかった地域につきまして、早急に追加して対策を講じていただいて、平成五年度末までに、七十五ホン以下としていただくことなどの点につきまして所要の対策を講じていただくよう、関係省庁の方に要請をいたしたところでございます。
  149. 浅井美幸

    ○浅井委員 今の御答弁の中で、東北新幹線は五〇%、上越新幹線は六七%の達成率しかない。沿線住民は非常に厳しい批判をいたしております。怒りをあらわにした報道等も出ておりますように、この問題は今、スピードを求めれば求めるほど大きな問題になってくると私は思うわけでございます。  時間がございませんので、私から申し上げて答弁の方を少し省略をいたしますけれども航空機の場合は、空港周辺対策事業において、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律に基づき、昭和四十二年から平成三年まで約一兆円の予算をかけて行っている。新幹線の場合の根拠法令は、騒音対策要綱というもので閣議了解でこれを実施をしておる。ですから、いわゆる国の責任というか、国が行う施策ではないわけでありまして、完全に、昔は国鉄、そして今はJRがこれに責任を持たなければならなくなっております。  「国鉄改革後における新幹線鉄道騒音対策の推進について」ということで、閣議了解が昭和六十二年三月十七日にやられておりますけれども、「「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」の円滑な達成に資するため、「新幹線鉄道騒音対策要綱」一昭和五十一年三月五日閣議了解)に基づき、新幹線鉄道の騒音対策を実施してきたところであり、日本国有鉄道の改革後においても、その事業を引き継ぐ承継法人及び日本鉄道建設公団において同要綱に定める施策の実施を確保し、新幹線鉄道騒音対策を、引き続き強力に推進するもの」である、こういうふうになっております。片一方は、飛行機の騒音の場合は国が面倒を見、JRの騒音の場合、いわゆる新幹線の騒音の場合はJRがそれをやらなければならないというこの不公平さ、これはやはり考え直すべき問題点ではなかろうかと私は思うわけでございます。  やはり公害対策基本法の中には、この第一条の「目的」は「国民の健康で文化的な生活を確保するうえにおいて公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ、事業者、国及び地方公共団体の公害の防止に関する責務を明らかにし、並びに公害の防止に関する施策の基本となる事項を定めること」、こういうことで生活環境を保全することを目的としております。今このように、環境庁から指摘のあったように、東北新幹線や上越新幹線、東海道、山陽はやや改善されたというだけでは、まだまだ住民のいわゆるよりよい、住みやすい環境を守っているとは言えないと私は思うわけでございます。  そこで、最後に大臣にお伺いしたいのですけれども、いわゆるこのJR新幹線騒音対策について、JR会社の責任だけでなくて、国の法律でこの騒音対策がとれないかという点についてお伺いしたいのでございます。これが私の最後の質問ですので、よろしくお願いします。
  150. 奥田敬和

    奥田国務大臣 新幹線鉄道沿線の皆さんが依然として騒音の問題で苦しんでおられるという実態、こういうことでございますが、これはやはり、私は、今日の新幹線関係各社といってもJR三社にほとんど限られる結果でございますけれども、将来においては九州、北海道も全部関係してくるところでありますが、まずこの三社の努力で、先ほど環境庁の基準値が示されておりましたけれども、これは三社の責任において解決すべきであるし、また、現在のこの三社体制の実力からいえばそれはできることであるということで、むしろ沿線環境保全を図るように、積極的に強力に三社に。指導してまいりたい、こういうことで御勘弁願いたいと思います。
  151. 浅井美幸

    ○浅井委員 終わります。
  152. 久間章生

    久間委員長 草川昭三君。
  153. 草川昭三

    ○草川委員 私は、海難事故の問題をまず第一に取り上げたいと思います。  昨年、一九九一年の十二月七日、関門海峡の航路内で、韓国のチュン・キュン号二千五百九十八トンと、日本籍の引き船第二十一日之出丸、あるいはまたこの引き船の前面に連結されましたプッシャーパージ、二十一日之出丸の衝突事故があったわけでございますが、その間の経過と原因についてお伺いをしたいと思います。
  154. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの海難は、昨年、平成三年の十二月七日、ちょうど午前四時二十六分の衝突でございますけれども、関門海峡の関門航路を釜山を出まして横浜へ向け、東に向かって進んでおりました韓国のコンテナ船チュン・キュン号二千五百九十八トンと、同航路を宮崎港から壱岐島の郷ノ浦港に向かっておりました砂利を積みますプッシャーパージ、プッシャーの方が百五十四トン、その前についておりますパージが千三百トンばかりの船、これが二十一日之出丸という名前の船でございますが、これが関門海峡の関門航路内の小倉沖において衝突をいたしまして、チュン・キュン号の右舷中央部に第二十一日之出丸の船首部が当たりまして約四メーターの破口が生じまして、浸水をいたしまして、衝突後約一時間半後にチュン・キュン号が沈没したものでございます。  衝突時から沈没するまで時間がございましたので、乗組員は全員巡視艇に救助をされました。それから、二十一日之出丸の方も、人命には異状なしということでございます。  事故当時は、天候は曇りで、南々東の風が三メートル、視界が百メートル以下という大変な濃霧の中でございまして、この事故に伴いましてチュン・キュン号の燃料油が約九キロリットル、それから、積み荷のコンテナ三十一個積んでおりましたが、そのうちの二十六個が流出したわけでございます。  海難の概要は以上でございます。
  155. 草川昭三

    ○草川委員 今御説明もあったわけでございますが、被害というのですか、本船は沈没したのかどうか、改めてお伺いをします。  それから、関門海峡は一時全面的に封鎖をされ、また、船が沈船、そのままになっておるわけでありますし、相当量の油が漏れておるわけでありますから、どのような処置をしてそれが回収をされたのか、お伺いしたいと思います。
  156. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 衝突から一時間半後にチュン・キュン号は、航路のちょうど曲がり角の南の辺、航路内において沈没をいたしました。それで、同船が積んでおりました燃料油のB重油のうち九キロリットルが流出いたしました。これについては、巡視船艇あるいは港湾建設局の船、それからチュン・キュン号側の船主の手配の民間の処理船等によって処理が行われております。
  157. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、その場合に、私どもが聞いているのでは、引き船の方は航路を横切り、それから航路外に出たにもかかわらず、再び不用意にも航路内に戻ったときに韓国船と衝突をし、韓国船は沈没、こういうことになったというように聞いておりますが、その点はどうでしょう。
  158. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 本件は、門司海上保安部で、当然、海難救助と同時に業務上過失往来妨害の罪で被疑事件として両艦船長を取り調べておりますけれども、その供述等によりますと、第二十一日之出丸の方は、航路の中央寄りを走ってきて、少し航路の左側に寄り過ぎたということで、右に、本来狭い水道では右側通航が原則でございますので、右側に戻るべく転舵をして、そのときに、右に戻るときにチュン・キュン号と衝突をしたということでございます。
  159. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、日之出丸の方は業務上過失往来妨害罪の有罪の判決が確定しておるというように聞いておりますが、事実かどうかお伺いします。
  160. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 お答え申し上げます。  本件は、ただいま申しましたように門司海上保安部で捜査をいたしまして、平成三年十二月十六日に、チュン・キュン号船長とそれから日之出丸の船長両方を業務上過失往来妨害罪で福団地方検察庁の小倉支部に書類送致をいたしました。その結果、平成三年十二月二十四日に、二十一日之出丸の方の船長につきましては、小倉簡易裁判所におきまして罰金五十万円の略式命令が発せられて、即日完納して確定した。片方のチュン・キュン号の方につきましては、福団地方検察庁小倉支部において起訴猶予の処分となっております。  以上でございます。
  161. 草川昭三

    ○草川委員 それで、私が本日問題提起をしたい場合は、当然、航路内の事故があり、相当な環境を破壊をするあるいは一時航路の通航が禁止をされるというような事態でございますから、相当な被害を関係者に与えているわけであります。そこで、そういう場合の損害の過失をだれが負担をするかという問題を少し議論をしたいわけであります。  そこで、陸上の場合は一体どういうことか。これは警察庁にお伺いをしたいわけでありますが、道路上の交通事故の場合、積載物が散乱をするわけでありますけれども、それはだれの責任で措置をすることになるのか。道交法七十二条関係のことについてお伺いをしたいと思います。
  162. 小西哲

    ○小西説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生おっしゃいました、道路上におきまして交通事故が発生いたしました場合、車両の積載物等が路上に散乱する場合が当然あるわけでございますが、こういった場合につきましては、道路交通法第七十二条の規定によりまして、原則として当該車両運転手その他の乗務員が責任を持って積載物の移動等の措置を講じることとされております。
  163. 草川昭三

    ○草川委員 警察庁はそれで結構でございます。  再び運輸省にお伺いをいたしますが、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の第三十九条二項には、「大量の特定油の排出があったときは、次に掲げる者は、直ちに、」「排出油の防除のため必要な措置を講じなければならない。」というように規定をされております。すなわち、油を排出した船の船舶所有者及び原因となる行為をしたものの所有者というようなことが明記をされておるわけですが、その点について間違いないかお伺いします。
  164. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 そのとおりでございます。
  165. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、具体的に今回の事故の場合に、海上保安庁は、今私が指摘をしたような船舶所有者及び原因となせる行為をしたものの所有者に対して、必要な措置を講じるように命じられたのかどうか、お伺いします。
  166. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 これにつきましては、韓国船の船主の代理店に、直接油を流した、海難の結果流れたわけではございますけれども、その代理店にお願いをして、そこの手配によって一部民間船に出ていただいた。もちろん、海上保安庁の巡視船艇あるいは港湾建設局等の公的な機関も出ておりますし、総出でそういうものを片づけたという状態でございます。
  167. 草川昭三

    ○草川委員 私が聞いておりますのは、もちろんそのことはそれでいいのですが、もう一つ日本船の方にもどのような対応をとられたのか、お伺いをします。
  168. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 日本船にはやっておりません。
  169. 草川昭三

    ○草川委員 それはどういう理由で日本船の場合にそのような措置を講じることということを言わなかったのか、お伺いをします。
  170. 茅根滋男

    ○茅根政府委員 これは、日本船日之出丸の方は、衝突はしたわけでございますけれども、いわゆる油の流出そのものの原因ということにはにわかにはなりにくいということで、やっていないということでございます。
  171. 草川昭三

    ○草川委員 要するに油が漏れた本船に対しては物を言う。それが加害者であろうと被害者であろうと関係なく言っておるわけですね。私が言いたいのは、どっちがいいとか悪いとかいう議論は、きょう、しません、それは」大変な時間がかかりますから。陸上の場合なら、衝突事故があった場合には、常識的には双方が散乱したものは片づける、こういうことですよ。だから海の上でも、私は常識的に、おい、これは大変だからお互いに手を出し合ってやろうじゃないかというルールがあってしかるべきではないか。極めて常識的に私は物を言っておるわけであります。  そこで、非常に海上汚染及び海上災害というのは難しいようでございますけれども、特に船舶衝突事故による責任制限という問題があるわけですが、実は、きのう来から本日のこのレクをやるために運輸省側と何回かやっておりまして、船主責任制限法というのが商法に関連する独立法としてある。その法律を私は、船主に関することだから運輸省にあると思って一生懸命運輸省と話し合いをしておったわけでありますが、きのうの夕方になりまして、船主責任制限法は法務省だ、こういうことになりまして、私も大変不勉強であったわけですが、対応する皆さん方にも速やかにそういうことを私に教えてくれないという問題があったのではないかと思うのです。  すなわち、船舶所有者、海上企業活動の結果負担をする債務に対する責任制限という意味で船主責任制限法というのが私はあると思うのですが、船主の責任を制限することによって海上運送企業の維持、保護を図ろうとする船主有限責任の制度、これは日本だけではなくてお互いに各国で認め合ってできておるものだと思うのですが、これは商法に関する特別法だと思うのです。法務省、その点どのようなことになるのか、お伺いしたいと思います。
  172. 寺田逸郎

    ○寺田説明員 ただいまお取り上げになりました法律は、正式には船舶の所有者等の責任の制限に関する法律という法律でございまして、これは国際条約に基づきまして我が国がその締結に伴って作成した法律でございまして、おっしゃるとおり法務省の所管に属するものでございます。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 実は、この船主責任制限法というのがあるわけでありますが、私が指摘をしたいのは、いわゆる港則法という法律が運輸省にはありますし、海上交通安全法あるいは先ほど来から触れております海洋汚染防止法等、こういう法律があるわけでありますが、いわゆる行政上の義務として行わなければならない沈船、沈没した船の撤去あるいは油汚染の海面の清掃等いわば公共的性格を有する諸費用については責任制限の対象とすべきではない、法務省の所管をする船主責任制限法から外すべきではないかということを私はきのうから言いたいわけなのですよ。  この提言に対して答える役所は実はただいまのところないのですね。運輸省の方は、その船主責任制限法というのは、例えば五百トンだとしますと三千万円、こういうことですから、例えばこの関門の事故の場合に、相手側に民事責任で韓国側の方が払った費用、例えば二十億とか三十億かかる、自分が全部被害者だと韓国側は思っておるわけですから、被害者である韓国側は全部それを負担をする。それで日本側に持ってもらいたいというのは、あとは民事で請求すればいい、こういうことなのですね。ところが、民事で請求をしても船主責任制限法というのがございますので、例えば五百トンだと仮定をいたしますと三千万円の上限というのがある。それはいかにも今日的には不合理ではないか。だからこれを変えたいというのが実は私のきょうの主張なのです。  この主張に対して昨日来から運輸省に答弁をしろ、こう言うのですが、海上保安庁はそこは関係ない。それは確かに海上保安庁は先ほどの答弁で終わりだと思うのですね。だから、あとは船主の問題でございますから、運輸省は船主の声を聞きながら、例えば国際条約をどう改正すべきかということについて外務省とも相談をする、あるいは当該開係省庁である法務省にもそのことを働きかける、そういうことがあってしかるべきではないか。少なくとも公共的な航路、公共的な性格を有する諸費用についてはお互いが損失割合に応じて負担をすればいいではないか。五対五なら半分半分、四分六なら四分六。よく陸上であることですけれども、それがなぜ海の上ではできないのか、このことをきょうは提起をしたいわけです。昨日来から本日の午前中まで運輸省に言っておりますが、答弁できないというような趣旨のことを盛んに言っております。改めてどういう見解が、運輸省から答弁を願いたいと思います。
  174. 大金瑞穂

    ○大金政府委員 お答え申し上げます。  まさに今先生から御指摘ありましたような状況に置かれておりますので、私としても必ずしも明確な御答弁ができるかどうかちょっと自信がございませんけれども、私なりの考えを申し述べさせていただきたいと存じます。  船舶所有者、船主が第三者に損害を生ぜしめた場合、その責任を限度内に制限するといういわゆる船主責任制限の制度、これは古くから各国で認められておるわけでございまして、これは現在におきましても海運業の特殊性と申しますか、船舶を持って事業を行うために巨額の投資が必要であるということ、あるいは海上の危険性の大きいところで事業活動を行わざるを得ないということから、こういった船主責任の制限というものが海運業の健全な発展を図るために役立ってきたということ、また今後とも必要な制度であろうという点については私はまさにそう考えておるわけでございます。  確かにこの法律自体は法務省の御所管でございますので、その内容について私が申し上げることが適当とは考えませんけれども、一般論として申し上げますれば、御承知のとおり海運業は非常に国際性の強い事業でございますから、こういった船主責任の制限の具体的内容につきましては、国際的に合意された基準、合意された制度によることが適当でございまして、そういった意味で我が国だけが独自の制度をとるということは避けなければいけないことであろうと考えます。  ただ、今先生から御指摘ございました公的負担の部分についてどう取り扱ったらいいのかという点、これは新しい問題提起をしていただいたわけでございますが、もとより私どもだけで判断できる問題ではございませんけれども、今後関係省庁とも御相談をしてまいりたい、あるいは船主の意見も聞いてみたい、かように考えております。
  175. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ今後の検討課題として取り上げていただきたいと思うのです。そうでないと、衝突をした場合、油を持っていた方、汚染をした方は今お話がありましたように全部処置をしなければいけない。ところが片一方の方は手をこまぬいてじっと見ておっていいわけですよ。ということは私はどう考えてもおかしい、こういう趣旨から申し上げておるので、今局長せっかく御答弁願ったことでございますので、今後の御検討をぜひお願いをしたいということで本問題は終わりたい、こう思います。  時間がございませんので、ごく簡単にあと二点だけ質問をしますが、一つは信楽高原鉄道列車事故の問題でございます。  もう一周忌を迎えようとするわけでございますが、一向に話は進んでいないようであります。事故原因の調査報告が一体いつになるのか。このことについてまた私は今質問主意書を出しておるわけでございますが、質問主意書の答弁が来週になります。本日の席上で明らかになればお答え願いたいと思います。  同様に、事故原因が解明をされない段階でJR西日本、信楽高原鉄道の両社による事故車両の解体が計画をされたようであります。このことについて遺族が大変反発をいたしまして、新聞報道によりますと、遺族の弁護団の方が、事故車両が解体をされますと証拠資料がなくなるとして、事故車両についての仮処分というのですか証拠保全を申請をしたようです。これに対して裁判所の方から、検証に対してだけ裁判所の決定がおりたというような報道がございますけれども、その間一体どういう実情になっておるのか。あるいはこれは直接運輸省の責任ではございませんけれども、昨年来からこの国会でも何回か議論になっておるわけでありまして、運輸大臣の答弁も、信楽高原鉄道あるいはJR西日本等についても遺族と十分話し合いをするように指導するという答弁も得ておるわけでございますが、その間の経過についてお伺いをしたいと思います。
  176. 井山嗣夫

    井山政府委員 まず第一点の、先生指摘の原因調査の件でございますが、当委員会でも時々御答弁申し上げておるところでございます。事故原因につきましては、事故当初から私ども保安監査、それから関係者からの事情聴取で相当いろいろなことを調べておりますが、そのうち大きく分けて二つの分野に分かれると思います。  一つは、当日の信楽高原鉄道運転取り扱いといいましょうか、これがどうであったかという問題でございます。具体的には、例えば日ごろ運転関係従事員がどういう教育訓練を受けていて、指揮命令系統とかそういうものがどうなっていたのか。それから当日の関係者の配置とかその行動がどうしたか。それから代用閉塞をとるときに、あるいはとったのかとらなかったのか、とろうとしたときにどんな行動をとったのか、こういうような事実関係調査、これは主として人的な面のあれでございます。これにつきましては以前にも一度申し上げたことがございますが、異常時における運転取り扱いをしなければならないところでどうも不適切な部分があったのではないか、これは今の段階ではまだ推測でございますが、されるということでございます。これはあくまでも私どものいわゆる任意の事情聴取でございますので、いろいろな関係者お話の突き合わせを、いろいろ難しいところはございます。特につらいのは、一番大事など私どもが思っております課長さんと取締役さんがあの列車に乗っておられましてお亡くなりになっているというところが非常に難しいところでございます。  それから、もう一つの点は、例の信号機がこの事故とどういう関係にあったのかというところでございまして、これにつきましては非常に専門的なことになるわけでございますので、その信号保安システムに関する調査検討会をやりまして、かなり詰めてきておるところでございます。現地調査を三回、それから検討会も五回以上やりまして、いろいろな観点から分析をしております。現地に行きましては機器を具体的に全部チェックする。それから配線とか軌道回路がどういう働きをするのか、どういうふうに施工されていたか、それから実際どのように作動するかというようなことを全部チェックして、今資料の整理分析をやっているところでございます。  したがいまして、結構専門的な話でございまして、今結果の公表をいつということを具体的に申し上げるわけにはまいりませんが、さらに詰めまして、できるだけ早い時期に結論を出したいということで鋭意努力をしているところでございます。この過程におきましては、もちろん警察の方の捜査も一緒に行われているわけでございますので、その辺も見ながらやらせていただきたいと思っております。  それから第二点の、先生御質問の車両の保存の話でございますが、私ども信楽高原鉄道側とJR西日本、それと遺族の方の弁護士さんでございましょうかの細かいやりとりは存じておりませんけれども、遺族の方は残しておいてほしいという御希望があり、JRと信楽高原鉄道の方は、警察からも調査の上で必要がないのでもう還付するよという通知をいただいたということで、これはどうしようかということで、一応会社としては最終的にはいわゆる処分といいましょうかをしていいんではないかと考えている、そこまでは聞いております。  私どもといたしましても、事故原因調査の中で、あの車両自体から大体直接調査する点は今のところはないだろうというふうに判断をしております。したがいまして、これらの車両を今後どうするかというのは、まさに所有者であります鉄道事業者の方の判断かと思います。  先生先ほど裁判所のお話もなさいましたけれども、その裁判所の検証というのでございましょうか、これもあったようでございますので、その結果あるいは捜査結果の発表、このあたりまでは当然保存するだろうと思いますし、その後につきましては両社の判断でやっていただかなければいけないかな、こんなふうに思っております。
  177. 草川昭三

    ○草川委員 もう時間がありませんので、最後の件ですけれども、もちろん所有者は二つの会社ですからそういう答弁になると思いますけれども、少なくともまだ遺族との補償も最終的に行われておりません。これからだと思うので、遺族の方々の心証を大切にしていただきたいと思います。  最後に、海上保安庁がプルトニウムの輸送船護衛をするということになっておるわけでございますが、プルトニウムの容器の安全性について、アメリカの調査会社がレポートを作成した。火災や沈没などの船舶事故に耐えられない可能性があるというような報告書が出たということで、大変これは私どもも意外に思っておるわけであります。  その後、参議院の予算委員会でもこの問題が取り上げられて、科技庁長官の方から日本の護衛計画案で十分だというような答弁があるようでございますが、本店で改めて科学技術庁の方から、どのような経過でこのようなレポートが出たのか、あるいはまた容器の耐久性についての基準というものは一体米国の評価と食い違うのかどうか、その点だけをお伺いして質問を終わりたい、こういうように思います。
  178. 坂田東一

    ○坂田説明員 先生指摘の、輸送の安全性に関する報告書でございますけれども、これは先週、海外の民間のグループから公表されたものでございます。  ただ、私どもといたしまして、この報告書の中身でございますけれども先生今一端を御紹介されましたが、いかなる調査で、どのような根拠でそういう結論をお出しになったのか、詳細については承知してございません。ただ、報道されました内容を見ますと、その妥当性につきましてはやや疑問があるようなものも見受けられるように感じております。  私どもこのプルトニウムの海上輸送の実施に当たりましては、我が国それから出発国、これはフランスでございますけれども、これらの国の安全規制、こういりたものに従うことは当然でございますけれども、過去に行いましたこの海上輸送の経験も十分生かして、第一には輸送船の安全航行をきちんと確保すること。例えば最新の衛星航法装置あるいは衝突防止用のレーダー、そういったものを使って安全航行の万全を期すということが第一でございます。  それから、御指摘の輸送容器でございますけれども、これは当然ながら国際原子力機関、IAEAの安全基準等を満たすのみならず、我が国を含みます関係国の法令も満たしますし、それから輸送船の構造そのものも、これは専用輸送船でございますので特別にがっちりしたものを使用するということで、多重の安全措置を講じて、総合的な安全確保の措置を講ずることといたしたいと思っております。  いずれにいたしましても、安全輸送というのは大変大事なことでございますので、これからも輸送の準備、必要な安全措置、これらにつきましては万全を期してやっていきたいというぐあいに思っております。
  179. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  180. 久間章生

    久間委員長 佐藤祐弘君。
  181. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 まず、佐川急便問題でお聞きします。  前回の一般質疑で私は、佐川が道路運送法や道交法違反などを重ねて、運輸省も二度特別監査をした、しかし違法行為が改善されない、そういう状況を具体的な、異常な長時間勤務、そういう事実を示しながら問題にいたしました。同時に、そういう違法が繰り返されて問題になるという一方で、急激な車両増加申請、これはどんどん認めていく。やはり、そこに運輸行政のゆがみといいますか、佐川に有利に事を運ぶということはなかったかというような諸点を追及いたしたわけであります。  奥田大臣は当時の審議で、行政運営に誤りがなかったかどうか自戒を込めて反省しなければならない、また物流業界全体のためにもうみを出すべきは出さなきゃならぬというように言われました。  私は、問題点をさらに解明するために、きょうは積み合わせ許可、これをめぐる問題を中心にお聞きしたいと思います。  佐川の急成長を支えたのは、区域運送事業者である佐川が各地に拠点の地方佐川というのをつくる、また各地の区域業者を傘下におさめて全国ネットを形成していったということです。同時に積み合わせの大臣許可、これをとつまして事実上の路線営業、こういうことによって事業を拡大していったということであります。こうした佐川のやり方に対しましては、当時業界でも路線類似行為だ、あるいは道路運送法違反じゃないか、いろいろな声が上がって問題になったという経過もあります。  そこで、まずお聞きしたいのは、東京佐川の場合でいいのですが、一九九〇年までの保有車両数の推移とそのうちの積み合わせ許可台数の推移、これを明らかにしていただきたい。
  182. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 東京佐川急便の車両数の推移でございますが、六十年ぐらいから申し上げますと、六十年度末が千三百八十四でございました。その後毎年順次ふえていっているわけですが、翌年が千六百一、次の年が二千百七十三。その次が二千五百二十六、その次が二千七百七十三で、平成二年度末が二千九百三十九という数字になっております。  このうち積み合わせの車がどれだけかという御質問でございますが、積み合わせの許可につきましては先生御存じのとおり旧道路運送法時代の問題でございまして、現在新しい貨物自動車運送事業法になりまして、区域事業者は許可を受けないで積み合わせができるというシステムになっております。それから、それぞれの権限は運輸局長あるいは陸運局長が行使しておったわけでございますが、それぞれの文書の保存期間の関係がございます。関東運輸局の場合には一年間しかそれらの書類についての保存期間が決まっていないということで、実はそれ以上保存していないわけでございまして、言いわけみたいな話になったわけでございますが、具体的な積み合わせ許可の件数については我々現在把握しておりません。
  183. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 今東京佐川の車両数について答弁がありましたが、その資料は古いんじゃないですか。新しくいただいた資料と数字が若干違います。私の方は持っておりますからそれはいいのです。  問題は、全体の保有台数の伸びということと同時に、きょうはその中の積み合わせ許可、これは大臣許可ですからね、奥田大臣大臣が許可するということになっているのですよ。というよりもむしろ、もともとこの積み合わせというのは路線業者だけ認めておったわけですね。しかし、その路線業者が困難な場合には、これは道路運送法の二十四条の二にあるわけですが、困難なところでは、大臣が許可した場合は区域業者もやってよろしい、やることができる。原則禁止の例外規定なんですよ。だから非常に厳しいいろいろな制限を設けておったわけですね。  それで、佐川の場合は、区域業者のネットワークをつくると同時にこの積み合わせの許可を得ることによって初めてああいうやり方が成り立った。積み合わせの許可がなければあの佐川のやり方は成り立たなかったというかなめの問題になるわけです。これは今資料がないというふうにおっしゃった。これは非常に怠慢も甚だしい。言いわけめくがとおっしゃったが、私はまさに言いわけだと言わざるを得ぬと思うのですよ。今のこの佐川の問題というのは、急成長その他は物流二法以前に起きているのですよ。そうでしょう。そのときのいろいろな事実関係について明らかにしていくということが問われているわけですよ。そういうことで私は質問をしているわけです。  もう一点、では類似の問題でお聞きしていきたいと思いますが、その積み合わせの許可ですね。この運送法で厳しい規定があるのですが、実際にどう指導していたか。これは私たちが調べたところでは、東京陸運局の場合ですが、許可に当たって、路線事業が困難な分野、これは法律のとおりですね。通達のとおりでもあります。それから二番目に、保有台数の三〇%程度。三番目に、定期的でない。四番目に、日帰りのこととか、そういう基準を設けて許可をしておったというように聞いておりますが、どうですか。
  184. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 旧道路運送法時代の積み合わせ許可の問題でございますが、先生今基準をおっしゃったわけでございますが、実は自動車局長通達というのが何回か出ておるわけでございます。昭和三十七年の五月に出て、その後四十五年の六月、五十三年の五月と出ておりまして、それらがすべて適用になるという形になっておったわけでございますが、六十年の十二月に至りましてこれらを大幅に改めて、別の通達を流しておるという状況でございます。これは先生の資料要求がございまして、先生にお渡ししておると思いますが、そういう経緯になっているわけでございます。  そこで、六十年十二月以前と六十年十二月以降と比較して考えますと、法律の規定は、先生お話しになりましたとおり、路線事業者によることが困難である場合に許可をするということでございます。その場合の運用の問題でございますが、六十年の十二月以前の、先ほど申し上げました三つの通達を総合的に読みますと、輸送効率の向上あるいは協業化の促進を図るために、事業区域内一円にわたる積み合わせ輸送については、走路線性あるいは定期性がなければ弾力的に対応する、そして特に路線事業者との調整を要する場合には公示あるいは聴聞を行うというふうなことになろうかと思います。  それで、その後の、六十年十二月の通達が出た後の、全面改正をしておるわけでございますが、その時点の考え方は、指定区域内で一定の大きさ以下の車両を使った積み合わせ運送につきましては許可して差し支えない、原則許可という形で整理がなされておるという実情でございます。  これは、いずれにいたしましても全部通達で流しておりまして、かつ、この通達は一般に公表されておるということで、これで皆さん方申請をして許可を受けておられるというふうに理解をいたしております。
  185. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 三割というその基準があったんじゃないかという点をお聞きしたのです。今おっしゃった通達は、私もいただいたものは全部目を通しております。これは原則禁止の枠を外したということは言えないですよ、いろいろ微妙な言い方はしてあって、だんだん規制緩和はしていっているけれども。  それで、この問題は、大臣、要するに積み合わせ運送というのは、基本的にそれまでは路線業者しか認めていなかったということですね。だから、これをどんどんやることになりますと、いわゆる路線の類似行為がどんどん生まれていく。そうしますと、道路運送法の輸送秩序を乱すことになるという危険性があるから、いろいろ歯どめをかけたわけですよ。法律でも特定の場合にしか認められないよということになっているわけですね。通達もそれに基づいて出された。だんだんその通達が緩和されていくという過程はあるのですが、もともとそういうものなんですね。  だから、当初東京陸運局では許可に当たって、保有台数の三割が限度だよ、そういうことを現にやっていたというわけです。私は、当時のドラッグ業者の代表的な方、直接東京陸運局と折衝された方からお聞きしているのです、三割という数字があったと。にもかかわらず佐川には多く多く認められていった、問題じゃないかという提起であるわけですよ。一点、そういうものがあったかどうか、端的にお答えください。
  186. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 旧道路運送法時代の積み合わせの処理につきましては、先ほど申し上げました本省通達あるいは一部の局におきましてはそれを受けた形の公示によりまして処理をしておったということでございます。  それで、内部的な処理基準があったかということでございますが、昨日、先生からそういう御質問の通告があったわけでございましたので、私ども、関東運輸局に問い合わせをして調査を頼んだわけでございますが、そういう内部的な基準が定められたというふうには聞いておりません。
  187. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 文書になったものはないのですよ。実態としてやられておったということなんです。それは出先だってそうですよ。一片の通達が出ただけで、具体的にどうやるのかという目安がなければ実際の指導はできないでしょう。そういうことだったわけです。  それで問題は、佐川に特別に許可がおろされたのではないかという点なんです。  ここに一つの事実を私持ってきております。これもトラックの協会の資料なんですが、これは一九八二年の事例です。佐川が前年の七月に三百八十両の積み合わせ許可申請を一たん出すのですよ。それをどういうわけかこの年の初めに、八二年の一月末ににわかに取り下げて、一週間後に今度は一挙に六百九十三両、これは当時の東京佐川の全保有車両数です。それの積み合わせ許可を認めてもらいたいという申請を出すのです。それで六月にそのうちの三百二十二両が許可されるということがあった。これも私は非常に異常なやり方だなと思う。前年に三百八十出しておいて、一月の二十六日に取り下げて、二月の三日でしたか、一週間後ですよ、今度は一挙に六百九十三両すべて認めるという申請を出すのですね、ここにその証拠の書類があるのですが。結果的に三百二十二両許可されたわけですから、前年一たん出して撤回したのにほぼ近いものが得られだということになる。  もう一つの問題は、その同じ時期に、同業他社ですが山谷運送というのがあります。ここは申請をしておっても三年間棚ざらしにされておった。一方で大量に許可しながら他方では三年間も認めない、これは行政の不公平じゃないかというので当時大問題になったのですね。当時の交通関係の新聞には大々的に報道されております。佐川が急成長していった陰のあのやり方の一つのポイントである積み合わせの許可、これを事実に照らして解明しなければならぬと私は思うのですね。だから資料請求もしておる、こういうことです。  時間が余りありませんからこちらの方から言いますけれども、本当に運輸省みずからがそういう事実関係を正確に究明しようという姿勢が私はないと思う。極めてこれは遺憾なことだと思うのですよ。何か役所の倉庫にそういう資料がありませんということで済ませていいのかということですね。疑惑が持たれているんだから解明しなければならぬ。やる気になればこれはできることなんです。  例えば、私ここにこういうものを持ってきています。これはやはり東京のある区域事業者の方です。この方たちが積み合わせ貨物運送許可申請というのを出されておる。非常に詳細に、どういうナンバーのトラックをそれに使うんだということもあります。こういうものは各事業者は皆持っているのですよ、その社にとっては大事な歴史ですから。だから、運輸省が調べる気になればこれは簡単なことなんです。東京佐川にしても、そういう書類を出せ、あるいは調査に行けばたちどころにわかることなんですよ。それを運輸省の倉庫か何か知りませんが、あるいは関東運輸局ですか、そこにはないからということで済まそうという姿勢が私は大問題だということを申し上げたいと思うのです。  次の問題がありますので、これは運輸大臣運輸省の姿勢の問題ですから大臣に要請をしたいわけですが、古くからいえば造船疑獄以来、大きな疑獄は運輸省絡みだというので、大変今運輸省の対応が注目されているわけです。だから、運輸省みずからが真剣に疑惑の解明に努力する、必要な資料もそろえるということで取り組む必要がある。大臣にそういうことで厳格な指導をしていただく必要があると思うのですが、いかがですか。
  188. 奥田敬和

    奥田国務大臣 この積み合わせ許可をめぐって公正さを欠いた形の許可、認可をやったのではないかということでございます。これは大変重要な御指摘だと私も思います。  先生が厳しく御指摘なさいましたけれども、佐川の急成長の陰に何か物流の秩序を非常に大幅に無視したと申しますか、そういった形が成長の原因であるという御指摘でございますが、確かにいろいろな形の状況調査を踏まえて、先生の御指摘も私としてはそういうことがあったのかな。とあれば、やはりこの事実はきっちりすべきものは解明しなければいかぬ。そういうことですから、先生の疑念が少しでもはっきりするように、少し時間経過もたっておる、何か一九八一年か二年の実態の事例を踏まえての御質問でございましたけれども、いずれにしても、時間経過もさることながら、できるだけ確認をすることに努力をいたしたいと思います。
  189. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 たまたま例は八二年のものを引きましたけれども、八二年に限りません。九〇年の物流二法で佐川的商法が全面的によろしいということになる以前ですね、旧法の時代には本当に脱法すれすれのことといいますか、現に摘発されているのもあるのです。区域トラックで路線営業をやったのだから。これは業界みんな知っていますよ。だから不信があるわけです。運輸省の行政指導に対しても不信が持たれている。当時座り込みまであったんです、山梨などでは。佐川に認めるなということでトラック業者が座り込みをやったのです。そういうことまであったんです。だから徹底的にうみを出さなければならぬということを重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、整備新幹線と並行在来線の問題でお聞きしたい。  大臣、この間の日曜日、十二日に、並行在来線を守る全国集会というのが東京で開かれました。この集会には東北、北陸、信越、九州の各沿線の代表が出席されて、そういう地域では今並行在来線を守る会というのが次々に結成されているわけですが、その全国的な集会が初めて開かれた、こういうことです。大臣地元の石川の代表も来ておられたということであります。  並行在来線JRからの分離が新幹線建設の前提だ、これは政府方針です。それで非常に深刻な事態が当該地域で起きているわけです。代表の皆さんは、ぜひ大臣に自分たちの生の声を聞いてもらいたいということで十三日の月曜日に運輸省を訪ねました。その三日前までは、大臣が会ってくださるということで地元の皆さんも大変期待をしておったのですけれども、日程の都合が悪くなったというのでがっかりして帰られだということです。当日、井山鉄道局長にいろいろ要請、お話をして、大臣にしかと伝えていただきたいというふうにもお願いしたのですが、聞いていただいているかどうかということと、この問題はまだいろいろ起きてまいりますから、今後も地元の人たちの声を直接聞くそういう機会をぜひつくっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  190. 奥田敬和

    奥田国務大臣 十三日に先生が御引率になってそういった代表の皆さんがお見えになるということで、本当に喜んでお会いしようと思ってお待ちしておったわけです。本当に急な、どうしても、これは事実ですから申し上げるのですけれども、公務日程が入りまして井山局長に対応をお願いしました。  井山局長に対しては、丁寧に各地域の代表の皆さんの御意見を、御陳情をよく聞いて、その結果を私に報告するようにということで、井山局長は何か一時間近くも御面接というか御面談を願って、皆さんの御意見を詳しくレポートにして私のところに報告がございました。そして、各地区別に個々の代表のお名前と御意見と、そういった。形も詳細に御報告がございました。したがって、私がお会いした以上の答えぶりで、私がお会いするより局長の方でむしろよかったかな、先生の立場にいい結果が生まれたのじゃないかなというくらい大変いい形で応答いたしておりました。そのこともよく承知しております。  直接会うということについては、いつでもどこでもというわけにいきませんけれども、時間のある限りできるだけそのように努力いたします。
  191. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 時間が短いですから、経過を省略してお話ししますが、今非常に事態が動いているのが、大臣も石川ですから北陸新幹線は特に関心も深いと思いますが、文字どおり北陸新幹線なんです。魚津-糸魚川間を切り離す、それをのめということが言われているわけです。結局、新幹線を欲しい、私は当然だと思うのですね。ところが、今の政府のやり方は、新幹線が欲しいなら並行在来線JRから切り離すことを認めろよ、そうしないと新幹線は敷きませんよということなんです。これは本当に乱暴なやり方だと言わざるを得ぬと私は思うのですね。従来の新幹線、東海道にしても山陽にしても、並行在来線は走っているのですよ。生活線ですからね、それに加えて高速の新幹線、これは当然の姿だと思う。私はほかの地域もそうすべきだと思います。  北陸本線に乗って、朝日町でしたか、ホームのところに「夢を乗せる新幹線 生活乗せる在来線」と大きな立て看板がありました。やはり両方必要だという切実な気持ちがそこに表現されているわけですね。ところが、在来線JRからの分離を認めないとだめだぞということになっていますから、今富山の県知事初め関係市町村にJRからの切り離しをのみますという返事をせよと追っているわけですね。事実上迫っているのです。これは運輸省が迫っているのと同じことなんです。  そこで、どんなことが起きているかといいますと、北陸の場合で言いますと、魚津-糸魚川間をJRから切り離しても、第三セクターでやれば全然心配ありませんということを盛んに宣伝しているわけです。県で検討委員会というのをつくっています。ところがその内容は驚くべきものです。あの地域JR西日本の計算では四十一億円の赤字だ、赤字路線なんだというのです。それを第三セクターでやれば一億円の赤字で済むようになるという説明をしているのです。運賃は四割値上げをするとか、人員は二割削減かな、経費は四分の一減らすとか、幾つかのことを言っていますが、そういう宣伝をしているのです。知事が県議会で全国の模範になるような日本一の第三セクターがつくれるのだと言っているのですね。僕は本当に驚きました。  これまで、信楽高原鉄道の問題もありましたが、JR民営化に伴って第三セクターで幾つかありました。特定交通線ですね。このときは国からかなりの補助があったのです。なおかつ大半が赤字でしょう。黒字はほんの数社ですよ。それを、人口は少ない、そういうこともない、それなのにうまくいくのだという宣伝をやって、だからJRからの分路に賛成してくださいということが事実上押しつけられるといいますかね、住民が正確に判断する材料の提供がないのです、  私は運輸省にぜひ聞きたいのですけれども、あそこの線の場合、無償譲渡を前提に計算しているのです。それは向こうではそのとおりなんです。しかも第三セクターになってそんな経営がうまくいくのか。それは入善の役場の担当の人も率直に言っていました。四十一億が一億に減るというけれども私には理解できない、だから県に何度も問い合わせたというのです。県から満足のいく回答が得られなかった。それは運賃を四割上げ、人員を何ぼか減らすとすれば赤字は減るでしょう、赤字が減ることはわかるけれども、そんな大幅に減るなんということはとても理解できないと。町の担当者がそうですよ。そういう状況でしゃにむに合意の取りつけがやられているのです。こんなやり方はやめさせるべきだ。運輸省は、今言った数字などについてもこれは当然知っていなければおかしいと思うのだけれども、どういうふうに考えて進めていますか。
  192. 井山嗣夫

    井山政府委員 先日、十三日のときにも地元の方には私から申し上げたのですが、在来線を分離するという考え方は、当時、六十二年から三年にかけて非常に議論したときに、JR民営化した以上、新幹線在来線も両方同時にJRの責任でやれといった場合に、非常にきつい、経営上も大変だということから、JR経営から分離するという考え方がやはり妥当だろうということになったわけでございます。もちろんこのときに、私どもが廃止しろとかなんとかということではないのです。そこで各県がいろいろお考えになったのが、第三セクター方式ということで存続させようということだったのだろうと思います。  先生今富山県の具体的な例で御説明ございましたが、私ども具体的にここは幾らだから幾らの赤字になってどうというところまでは、それはまさにJRがデータを提供して、富山県が御判断になって、それで地元の市町村と御相談なさることだと思います。私どもがそれは高いとか安いとか、こうあるべきであるというのは具体的に申し上げる筋でもないし、またそれだけの能力もございません。そういう意味では、情報をどの程度やるかというのは、まさに市町村と県との間で具体的にお詰めいただくのが一番いいのではないかというふうに感じます。
  193. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 運輸省は非常に無責任だと私は思うのです。政府方針ですよ、今進めているのは。整備新幹線というのはJRが実質的に進めているという話じゃないんだから。政府方針でしょう。JRからの切り離しというのも、もとは政府・与党合意ですよ。それに基づいてやっているわけだ。私の方はその資料も知りませんとか、それは私は無責任だと思う。第三セクターをのめということに実態的にはなっているわけですよ。それならばそれで、それについての資料提供をやるべきじゃないですか。現地では、四十一億の赤字が一億に縮まるんだとバラ色の宣伝が行われているのです。  それで大臣、きょう、あす、あさってじゅうに県の合意を取りまとめることになっています。しかも、当該地域の町長に聞きましたら、十五日は先負で、あしたが仏滅、あさってが大安だから十七日に意見集約をするんだというような、本当にふざけたことを言っているのですよ。これからずっと生活にかかわる問題です。だから、仮に合意の連絡が知事から上がってきたところで、今申し上げたように、沿線住民は検討すべき材料も十分知らされない、ともかく今オーケーを出さないと新幹線を敷いてもらえなくなるから大変だぞ、第三セクターになっても大丈夫だ、こういうことでの合意ということでしかないのです。  だから私は大臣に特に要望したいのは、もう時間になりましたので申し上げたいのですが、本当に鉄道というのは大事なことですよ、生活全般にとって。だから、これを安易に強引に進めるべきではない。これは私は運輸省は責任があると思うのです。十分に時間をかけて検討して、そのために必要な資料も提供して、そして本当の住民合意を得るという方向で慎重に対処せよ、そういう姿勢で臨んでいただきたい、そう思いますが、いかがですか。
  194. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の、暮らしの路線を守る人たちのお気持ちを体しての御意見、これは心情的にはよく理解できますのですけれども、富山県の知事さんは、生活線である在来線保持に対して、先生以上に、いわゆる政治的な生命をかけて、第三セクター方式か何か知りませんけれども、それでやれば、旧国鉄時代の運営の多額赤字と違って、おれの手でやれば皆さんの協力も、地域住民の協力も得て赤字を大幅に減らすこともできるという自信を持った御発言でもあるようにお聞きしました。  とあれば、富山県は私の選挙区ではありません、隣県ではございますが、国民生活白書も含め、各金融機関データも含め、暮らしやすさでは全国のいわゆる上位にすべてランクされておる、いわゆる行政能力卓越した知事がそう県民に約束し、生活線確保に自信を持っておられるわけですから、その点もよく考慮に入れなければならぬことだな、先生の御意見の中に、本当に自分たちの生活路線を守ろうという真摯な皆さんのお声もお聞きいたしましたし、かつまたどういう形で在来線を保持するか、行政の責任者である知事さんの意見もよくお聞きした上で判断しなければならぬことだなという思いでございます。
  195. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 一言だけ、県議会のやりとりで、洪水は我が亡き後に来れじゃないか、結局は。バラ色の夢を宣伝して、本当にこれは深刻な事態になりますよ。だから、私はその人たちの意見を代表しているだけじゃないのです、運輸委員として現地を調査して、第三セクターについての余りにもばかげた虚構に保然としたのですよ。だから運輸省は、ただ合意が来ましたからやりますよというだけではなくて、本当に責任ある調査検討をやってもらいたい。大臣、重ねてそのことを要望して終わります。
  196. 奥田敬和

    奥田国務大臣 そういった形で慎重に調査して、決断、判断をいたしたいと存じます。
  197. 久間章生

    久間委員長 高木義明君。
  198. 高木義明

    ○高木委員 私は、陸運あるいは海運また航空路にかかわる諸問題につきまして、お尋ねをいたします。  まず、陸運にかかわる問題としまして、佐川問題に触れてみたいと思います。私は、貨物自動車運送事業の健全な発展を守る立場から、これまでも国会の中で議論がございましたけれども、その後の対応についてただしてみたいのであります。  去る三月十八日の参議院予算委員会でも、我が党同僚議員が行政当局の対応をただしたわけであります。それは、佐川急便グループの違法行為、すなわち貨物自動車運送事業法、労働基準法、道路交通法等を無視した事業活動、これは今日に至ってもなお是正されていない部分があるのではないかという懸念があるのでありまして、所管官庁である運輸省は、御承知のとおり、同グループに対しましては平成元年以来特別監査を行っていないわけでありますから、この際私どもも再度徹底的な特別監査を実施するよう強く求めたわけであります。  それに対しまして、運輸省政府委員の答弁は、この件は労働省との連携が必要であり、労働省が昨年十一月に全国一斉監督を行い、現在その結果を取りまとめ中であるので、その状況を踏まえた上で労働省と一緒になって対応していきたいというものでございましたけれども、この答弁で運輸省、間違いございませんね。
  199. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  予算委員会の答弁だと思います。私が答弁いたしました。間違いございません。
  200. 高木義明

    ○高木委員 それでは労働省にお尋ねをいたします。  昨年十一月の特別監督はどのような趣旨で、また具体的にどのようなことを行ったのか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  201. 山中秀樹

    山中説明員 佐川急便。グループの所属事業所に対しましては、私ども自動車運転者の法定労働条件の履行確保を期するということから、昭和六十二年以降、三回にわたり全国一斉監督を実施してまいりました。その間、一定の改善が図られてきておりますが、なお労働時間関係を中心に問題が認められるということで、先生の御指摘平成三年十一月に、主管店を中心に全国一斉監督を実施いたしました。  この監督の具体的な内容といたしましては、第一に、労働時間管理が適正に行われているのか、二番目に、時間外労働に対する割り増し賃金が適正に支払いが行われているのかということ、あるいは就業規則の届け出が行われているかという点などを中心として実施したものであります。
  202. 高木義明

    ○高木委員 現在その調査結果を取りまとめ中ということですが、先ほどの答弁でございましたように運輸省が労働省の結果待ちという状況でございますから、労働省が一日も早くその調査結果を取りまとめていただいて、それに基づいて私は適切な処置をしていく必要があると考えております。どうでしょう、労働省、調査結果の取りまとめを遅くとも何日までに行っていこうとしておられるのか、お答えをいただきたい。
  203. 山中秀樹

    山中説明員 ただいまの全国一斉監督結果については取りまとめ中でございますけれども、近く取りまとめが終了する予定でございます。めどとしては今月末ごろということで取りまとめが完成するというふうに考えております。
  204. 高木義明

    ○高木委員 もう一つ労働省にお伺いしておきますが、もしその調査結果によりまして佐川急便グループの違法事例が明らかになった場合、速やかに運輸省が同グループの特別監査を行うことに対して労働省として調査の協力とかあるいは対応とか、そういったことを含めまして特に異存はありませんね。いかがでしょう。
  205. 山中秀樹

    山中説明員 私ども、この全国一斉監督の結果の取りまとめが終了した段階において、労働基準規範の違反状況等がわかりますので、そういう情報を運輸省に提供しながら十分運輸省と連携を図ってまいる所存でございます。
  206. 高木義明

    ○高木委員 現在トラック運送業界は、私がここで取り上げるまでもなくて、いわゆる労働力不足ということも深刻化をいたしておりますし、またそれに伴う長時間労働あるいは今日的な課題である環境問題、こういったものに対応するために、それぞれの業界各社が必死になって物流の効率化、運輸秩序の確立、また労働諸条件の改善に私は労使一体となって取り組んでいるところだと承知をいたしております。ぜひそうしたトラック業界の秩序維持のためにも、またトラック業界に対する国民信頼を取り戻すためにも、私は改めて運輸省は特別監査を行い、違法体質がもしあるとするならば抜本的にこの際是正をしなければならない、このように思っておるわけであります。そういう上に立って佐川グループの再出発が始まるものだ、このように考えるわけでございます。  そこで、労働省の調査結果の取りまとめは近日中、今月の下旬まで、こういうことでございましたので、また労働省としても運輸省が特別監査を行うことには異存はないわけですから、運輸省として、違法事例が明らかになった場合は直ちに特別監査を実施していくべきだ、このように私は思いますけれども、その点につきまして運輸省、特に大切なことでございますので、この際運輸大臣のお考えなり決意なりをお聞かせいただきたいと思います。
  207. 奥田敬和

    奥田国務大臣 労働省の調査結果の報告の中で違反事実が明らかに御指摘された場合、運輸省としては当然この結果を受けて積極的に対応してまいる、その間の過程において効果的にはどうしたらいいかということは労働省とよく協議して対応させます。
  208. 高木義明

    ○高木委員 ひとつそのようにしかるべき対応をお願いをしておきたいと思います。  そこで、これまでも佐川急便グループの合併問題がいろいろ取りざたされてまいりましたけれども、今日現在この合併の見通しにつきましていかが御承知をされておるのか、その点につきましてこの際お答えを賜りたいと思います。
  209. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 佐川急便グループの合併の認可の関係の話でございますが、先生御存じのとおり貨物自動車運送事業法の事業許可の基準が合併についても適用されているということで、その基準に合致しているかどうかというものを審査しているわけでございます。ハード面の問題のほかに、新会社の財務面の基礎がどうなのか、それから社内の事業遂行のための運行管理等の体制がどうなっているかというソフト面の審査も行っているところでございます。  若干申し上げますと、財務面につきましてはいわゆる債務保証等のうち新会社の負担となる金額がどうなのか、あるいは金融機関の支援措置がどうかということについてその内容を精査をして、会社として事業継続が可能な財務面の基礎が実質的に整えられるかということを検討をさせていただいておるところでございます。  それから、運行管理等の体制につきましては、運行管理者あるいは運転者に関連していろいろ資料を出してもらっておるわけでございますが、既に提出された資料の内容の検討を行っているところでございます。  以上の問題につきまして検討いたしまして、合併案件の処理について結論を出したいというように考えております。
  210. 高木義明

    ○高木委員 私が申し上げました趣旨を十分踏まえていただきまして、その都度その都度適切な御対応を要請をしておきたいと思います。  次に、海運関係に移ってまいりますが、海の日の制定についてであります。  この問題は既に超党派のテーマといたしまして各方面でそれなりの御尽力がなされておるわけでございまして、私もぜひこの海の日の制定につきましては実現されるべきであるという立場に立って、ただいまから運輸省としてのお考えを求めていきたいのであります。  海の記念日、現在七月二十日でございますけれども、この海の記念日というのは一体何かと改めて私は百科事典で調べたわけでありますが、このように書いております。「海の記念日」「海運の重要性を理解し、海運関係者の功績を表彰し、感謝する諸行事が催される。一八七六牛明治天皇が東北・北海道巡幸の際、汽船明治丸で横浜に帰着した日にちなみ一九四一年制定。」このように書いておるわけであります。  この海の記念日は、運輸省が支援をされまして、海運関係者あるいはまた海事関係者の主催により各地で毎年活発になってきておるというふうに承知をいたしております。これにつきましては大変評価をしていきたいと思うのであります。そういう中で運輸大臣も各方面からの陳情なり要請を受けまして大変御理解ある前向きな姿勢を見せておられますので、私は非常に心強く思っておるわけでございます。  この海の日、いわゆる祝日の制定でございますけれども、私はここで特にこの意義について申し上げることはもう避けて、むしろ大臣に、この海の日について、どのような意義があり、そしてまた祝日化についてはどう考えておるのかということにつきまして御見解を求めておきたいと思っております。
  211. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は、先生から海の日制定に向けての力強い御提言をいただきまして、むしろ本当に心強く感謝申し上げます。  私はかねがね本委員会でもお話ししておると思いますけれども、これは平和も、物の面で豊かになった繁栄も含めてでございますけれども、今日の日本、まさにあの海のおかげである。七月二十日を海の記念日として、海運従事者のみならず海に感謝をささげる日と申してもいいかと思います。私は、海の記念日の祝日制定で国民世論を盛り上げていっていただく、先生を初めそういった多くの皆さんにはもう心から感謝しなければならぬ。  みんな簡単に忘れておりますけれども、今日我が国に海運によって年間運ばれてくる貨物輸送量は大体どれくらいかというと、外から入ってくる輸入量は七億トン強、七千万トン強をまた今度は逆に輸出する、大体八億トンくらいの荷物が動いておる。これは一日にすると大体二百二十万トン、十ドントラック二十二万台。ともかく函館から鹿児島まで数珠つなぎにして運ぶ、海運によってそれぐらいの量を支えられておるという形を思うときに、海上をルートにし、海を道路にし、常にこういった海のおかげで我が国の今日の豊かさ、経済大国の地位までの上がってきた日本の原点がある。四囲を海に囲まれたおかけで日本の国の平和も安全も含めてそういったいろいろな意味で、魚食民族であるという建前も踏まえて、もうすべてが海の恩恵をこれだけこうむっておる民族、国家はないんだ。  そういった形の上に立って祝日を制定して、国民が海に働く人々の、そしてまた海を大切にする、今日はこれに環境問題も含まれてまいりますから、そういった海の環境、海を大切にすることによって自分たちの生き延びる原点がまさにそこにあるという形において、海の日制定について、より一層の先生の御支援を心からお願いいたしたいと思います。
  212. 高木義明

    ○高木委員 ありがとうございます。  本日は総理府にも来ていただいておりますので、これに関連しまして、私たちは、やはり二十一世紀に向けた日本の新たな国家目標、これは国民日本経済力に見合った真に豊かな生活水準を享受できる、いわゆる宮澤総理に言わしめれば生活大国、我々は生活先進国と言っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、その一つの大きな柱はゆとりを取り戻すということにほかならないのではないかと思っておりまして、その見地から、労働時間の短縮、時間外労働の短縮等の問題もありますけれども、祝日の増加をやっていくこともこれは大切な一つの方策ではないかと主張しておるところであります。  そういう意味で、国民の祝日につきましてはあれやこれやいろいろな考え方や要望がある。したがって、この問題はなかなか難しいという総理府の考え方をこれまでも聞かされておりますけれども、私は、今こそ新しい見地に立って、例えば国民の祝日に関する法律第一条には「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め」ると書かれておりまして、まさに先ほど運輸大臣がお答えになられましたそのような精神にもそぐうのではないかと思っておりますが、この際、祝日の増加につきまして、総理府としての見解をお述べいただきたい。
  213. 坂本幸一

    坂本説明員 お答えいたします。  海の日といたしまして国民の祝日を新たに設けるということは、先ほど運輸大臣の御答弁の中にもありましたように、海の重要性に対する理解とかあるいは認識を深める上での一つの方策であろうとは思いますが、祝日とすることにつきましては、先ほど先生おっしゃいました風民の祝日に関する法律で、その祝日の意味合いを「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」ということになっているわけでございますので、この趣旨に照らしてふさわしいのかどうかということを慎重に検討する必要があると考えているわけでございます。  時短の問題もございますけれども、祝日になりますと休日になりますが、先ほどの趣旨にのっとったような祝日を定めることが本旨でありまして、その結果として休日になるということでございます。また、現在我が国の祝日は既に年間十三日が定められておりまして、数の上では先進国並みに至っております。  また、この海の日について祝日化の要望がございますけれども、そのほかの日についてもいろいろ御意見ございますし、またさらにそういった祝日の増加は国民生活やあるいは経済活動などにも影響がございますから、国民世論の動向、そういったものを十分見きわめながら対処していくというのが私ども考え方でございます。
  214. 高木義明

    ○高木委員 よく総理にも進言をしていただきまして、生活大国が今から具体化されるわけでございますので、その大きな具体化の一つとして祝日をふやす、海の日を制定するということは、私は非常にいいことだと考えております。よろしくお願いを申し上げます。  そこで、運輸省にお尋ねしますが、やはりこの問題につきましては国民の世論を盛り上げる必要があると思っております。あらゆる行事等を通じまして、あるいは教育等を通じまして、官民挙げての盛り上げというのが一つの実現に向ける大きな力になろうと思っておりますが、運輸省としてのその辺の対応につきましてお伺いをしておきたいと思います。
  215. 大金瑞穂

    ○大金政府委員 お答え申し上げます。  運輸省におきましては、ただいま先生からも御指摘ございましたように、毎年、海の記念日を中心といたしまして、地方公共団体あるいは海運、造船、港湾、水産等の海事関係諸団体の協力を得まして、いわば国民世論の盛り上げのためのイベントを種々行っておるところでございます。主要な港湾都市持ち回りで海の祭典を開催いたしております。また、例えば少年をクルーズ船による体験航海に招待するとか、こういった海洋性のレクリエーション関係のイベント、各種行事を開催しておりまして、海の果たす役割、その重要性といったものにつきまして、国民の皆様の認識と理解を深めていただくべく努力をいたしておるところでございます。  本年も、七月二十日に向けまして現在鋭意諸準備を進めておるところでございますが、この海の記念日以外につきましても、各種講演会であるとか座談会であるとか、機会があるたびに海の大切さというものにつきまして積極的に宣伝を行っておるところでございます。  今後とも、このような機会をとらえまして、海事思想の普及、宣伝に一層努め、先生の言われましたような世論の盛り上がりに役立ててまいりたい、このように考えておるところでございます。
  216. 高木義明

    ○高木委員 最後になりますけれども、ジェットフォイルの夜間航行の問題についてお尋ねをしておきます。  ジェットフォイルにつきましては、時代の要請ともいいましょうか、今我が国では八航路、十隻が就航いたしております。さらにこのジェットフォイルにつきましては、例えば、島民が日帰りできるという利用者の利便に資するだけではなくて、船の効率よい運航ができ、事業の採算面にも好影響を及ぼすことが言われております。  ジェットフォイルの夜間就航が佐渡汽船によって初めて平成三年十一月三十日から十二月末までの間、新潟-両津間でジェットフォイル「すいせい」一隻が土日のみ夜間航行を試験的に実施しております。したがって、私はこの試験の結果につきましては非常に注目をしておりますし、その実施状況あるいは今後本格運航に向けてのスケジュールあるいは安全性の確認につきましてもどのように行われておるのか、そういうことについて、その状況をお知らせいただきたいと思います。
  217. 大金瑞穂

    ○大金政府委員 御説明申し上げます。  ジェットフォイルの夜間の翼走運航でございますが、ただいま御指摘がありましたとおり、特に日の短い冬期間、利用者の利便の確保に極めて有効な方策であると考えております。また、最近二、三年の間にジェットフォイルの就航航路、これも御指摘のとおり急増してまいりました。  そこで、私どもといたしましても、一定の安全対策を実施するという当然の前提でございますけれども、その上で航路ごとに逐次これを認めてまいるという方針を昨年決定いたしたところでございます。  今御指摘の佐渡汽船によります新潟-両津航路における夜間翼走運航、これは今まで六往復が実際に運航されましたけれども、特に安全上の問題ございませんで、運航が継続をされておるところでございます。  安全対策、詳細は省略いたしますけれども、例えば暗視装置とかレーダーによる厳重な見張りを実施すること、あるいはジェットフォイルが翼走中は特別の識別の灯火を掲げること、あるいはジェットフォイル同士が高速運航時に行き合わないような航路の分離をするということ、さらに乗客に対するシートベルト装着の指導等を義務づけるということが一方にございますし、また乗組員につきましても、ジェットフォイルの昼間運航について十分な乗船経験を有する乗組員が運航することであるとか、さらに十分な教育訓練を行うよう義務づけるとか、こういった安全対策にも当然のことながら私ども万全を期しておるところでございます。  さて、今後のスケジュールでございますけれども、具体的には、まず第一段階といたしまして、現在佐渡汽船が運航をやっております。船舶交通がふくそうしていない海域におきまして、もう十分ジェットフォイルの昼間運航の経験のある事業者によって夜間翼走をとにかくやってみてもらう、これが第一段階でございます。ここで一定期実績を見ました上で、第二段階といたしまして、安全上問題がないことが確認されますれば、非ふくそう海域におけるその他の航路にもこれを広げてまいりたいと考えております。次に、こういった非ふくそう海域における一定期間の夜間翼走の実績を見た上で、やはり安全上問題がなければこれを第三段階としてふくそう海域にも広げてまいりたい、かように私ども考えておるところでございます。
  218. 高木義明

    ○高木委員 時間が来ましたので、終わりますが、ジェットフォイルの件につきましても、よろしくお取り計らいをいただきたいと思います。終わります。
  219. 久間章生

    久間委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会