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1992-02-26 第123回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年二月二十六日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 久間 章生君    理事 今枝 敬雄君 理事 今津  寛君    理事 坂本 剛二君 理事 武部  勤君    理事 村田 吉隆君 理事 緒方 克陽君    理事 山中 末治君 理事 春田 重昭君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       木部 佳昭君    二階 俊博君       橋本龍太郎君    平泉  渉君       古屋 圭司君    星野 行男君       細田 博之君    増子 輝彦君       宮崎 茂一君    赤松 広隆君       小林 恒人君    左近 正男君       関山 信之君    常松 裕志君       細川 律夫君    浅井 美幸君       佐藤 祐弘君    高木 義明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 奥田 敬和君  出席政府委員         運輸大臣官房長 豊田  実君         運輸大臣官房総         務審議官            兼貨物流通本部         長       土坂 泰敏君         運輸省運輸政策         局長      大塚 秀夫君         運輸省運輸政策         局観光部長   後出  豊君         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交         通局長     水田 嘉憲君         運輸省海上交通         局長事務代理  和田 義文君         運輸省海上技術         安全局長    戸田 邦司君         運輸省航空局長 松尾 道彦君         海上保安庁次長 小和田 統君         気象庁長官   立平 良三君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   深山 健男君         警察庁刑事局捜         査第二課長   石附  弘君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  吉田 嚴彦君         法務省入国管理         局警備課長   大久保慶一君         外務省北米局地         位協定課長   原田 親仁君         国税庁課税部資         料調査課長   高氏 秀機君         国税庁調査査察         部査察課長   西川 和人君         労働省労働基準         局監督課長   山中 秀樹君         運輸委員会調査         室長      長岡日出雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止する  法律案内閣提出第一四号)  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政の  基本施策)      ————◇—————
  2. 久間章生

    久間委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。
  3. 古屋圭司

    古屋委員 古屋圭司でございます。  私に与えられた時間は十五分でございますので、大臣所信に対しまして若干の質問をさせていただきたいと思います。  我が国は、御承知のとおり一極集中というものが極限に達しておるような状況で、それぞれの関係各位が多極分散型の国土形成推進に向かってそれぞれの御努力をされておられます。その重要な柱の一つとして、いわゆる高速鉄道ネットワーク整備というものがあろうかと思います。  その一環といたしまして、整備新幹線につきましては、北陸新幹線の高崎−長野間であるとかあるいは東北新幹線の盛岡−青森間あるいは九州新幹線の八代−西鹿児島間というものが昨年既に着工をいたしておるわけでございまして、さらには主要在来幹線鉄道につきましても新幹線との直通運転化を進めるということで、運輸省の方でいろいろな対策を練っておられます。  さて、これら整備新幹線というものとは性格を若干異にいたしまして、いわゆる磁気浮上式リニア線というものが、その実現に向け、昨年から山梨県におきまして実用化前提としてその実験線建設というものが進んでいるわけでございます。来年度の予算におきましても、いわゆる開銀融資であるとかJR負担等々すべて含めますと八百億近い投資ということでこの実験線建設が進められているわけでございます。このリニア線こそ、まさしく二十一世紀の新世代を象徴する新しい高速交通システムということになろうと私は考えております。  平成七年の実験線完成、そして平成九年のその実験完了に向けて、いよいよ動き出したわけでございますが、一部ではこの山梨県の実験線建設に当たりまして、用地買収困難等々いろいろな支障も来しているやにもお聞きしておりますが、この平成七年の実験線完成あるいは平成九年の実験完了ということに向けまして、その進捗状況につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
  4. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話しになりましたように、山梨実験線建設は、平成二年十一月でございますが、着工式といいますか着手式をやっておりまして、現在用地買収を鋭意やっております。確かに若干地元との関係用地買収が難航しているところがございますけれども、私どもといたしましては、今現に三つのトンネルを具体的に掘っておりまして、一部は既に三百数十メートル掘削がされているところでございます。  今後、このトンネルについての工事、これが一番問題でございまして、これを進めるとともに、用地買収ができましたところから順次高架橋等工事も進めてまいりまして、できるだけ早く実験が開始できるように、関係者一同鋭意努力しているところでございます。
  5. 古屋圭司

    古屋委員 ぜひともこの実験線スケジュールどおり完成ということに向けて鋭意御努力を賜りたい、このようにお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、昨年の秋、十月三日に、宮崎の方で行われております実験線火災事故が生じました。新聞にも大変大きく報道をされておりますので、多くの方がそれを御承知かと思います。一部には、この事故によって大幅な実験のおくれあるいは影響があるのではないかという懸念を抱いている方もいらっしゃるようでございます。  昨年の末に、我が党の党本部におきまして鉄道総研の方と会合がございまして、その鉄道総研関係者の方によれば、短期的には新しい車両の製作等々でおくれるかもしれないが、長期的には何ら影響がないというようなお話を承りました。一部には、この火災が生じたことによって、これは旧来型のいわゆる下からの磁石方式でございまして、今度の山梨実験線は横の磁石方式をとるから、むしろその建設促進に向けては「災い転じて福となす」ということになるのではないか、このようなことをおっしゃる方もいらっしゃいます。しかし現実問題として、この車両火災によりましてこのリニア線実用化に向けての影響というものは一体どういうことが考えられるのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  6. 井山嗣夫

    井山政府委員 昨年の十月でございますが、思いがけずああいう火災事故というものが起きまして、リニアに対するイメージを若干ダウンさせたということは大変残念に思っておりますし、申しわけなく思っております。  ただ、先生お話しのように、この火災によりまして、とりあえず実験する車両が燃えてしまったために、若干宮崎での実験の工程におくれは確かに生じます。それで、今何をやっているかと申しますと、従来使っておりましたMLU001という車両整備されたまま残っておりますので、これを使いまして走行実験をやろうとしております。あわせまして、宮崎用の新しい車両、これはMLU002N、ニューという意味でNとつけておりますが、これをつくるめどがつきまして、設計、発注を続けていこうと思っております。来年からはこれは走行実験を始めることにしております。ただ、この車両につきましては、例の火災が起きましたので、十分な火災対策を行います。  以上のようなことで、当初のあれよりも若干ペースが落ちておりますけれどもリニア開発の全体計画は、先生先ほどおっしゃったように、平成九年度までにめどをつけるということでございます。その間におくれを取り戻しまして、何とか今のところは九年度の実用化めどを立てるというスケジュールには影響ないというふうに判断しております。
  7. 古屋圭司

    古屋委員 ぜひその線に沿ってお願いを申し上げたいと思います。  さて、御承知のとおり、東海道新幹線というのは、昭和三十九年、ちょうどオリンピックの年でございますが、開通をいたしました。私もちょうど昭和三十九年といいますと小学校六年のときでございまして、私は学校の代表で、十月十日のこのオリンピック開会式に参列をさせていただきまして、大変印象が残っております。特にことしは橋本聖子の活躍があったりして、いろいろそういったものを思い出すわけでございます。  十月一日がたしか新幹線の開業だったように記憶をいたしております。二十七年経過いたしました。この間、日本の産業の発展に大きな貢献があったということはだれも疑いのないことでございます。しかし反面、最近ダイヤというものが大変輸送力増大に伴いまして過密になっております。ある時間帯では数分に一本という極限に近いダイヤ編成をしておられるようでございます。また、と同時に、この新幹線二十七年、二十七歳の老朽化というか、こういったものも徐々に顕在化しているということが言えると思います。私も現に東海道新幹線、週に二日は利用いたします。大変横揺れが多い電車もあったり、そういった地域もあるような、これは気持ちの問題かもしれませんが、あるような気がいたします。連日何千人もの作業員を動員して修復作業に当たっているというふうに承っておりますが、一方では、近い将来には本格的な修理、すなわち長期間をかけて、長期間にわたって車両をとめて修理をせざるを得ないというような状況があるというふうにも聞いております。  この大動脈である東海道新幹線でございます。したがって、この東海道新幹線に取ってかわる代替輸送機関建設というのがまさしく急務になっているかと思います。また一方では、冒頭に申し上げましたように、一極集中を是正し、多極分散型の国土形成推進を行っていく上でも、新たな高速交通システムというものが必要になると思います。この観点から、東京から大阪を一時間余りで結ぶことが可能となりますいわゆるリニア中央線実現に向けまして、その技術開発であるとか、その実用化前提といたしました、今やっておられます山梨実験線建設というものが極めて重要であると私は考えますが、この点につきましてぜひとも大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。
  8. 奥田敬和

    奥田国務大臣 御指摘のとおり、東海道新幹線過密状況というのは、本当にこれにかわるべき施策が早急の重要問題として提起されていることは御指摘のとおりでございます。  リニア実用化平成九年に向けての成果は着々と進むと確信いたしておりますけれども、そういった意味合いでは、先生はもう立候補の出馬のときから地元民の御期待を受けながらリニアカーの誘致を訴えられておいでになった、そういったことにもかんがみまして、何とか二十一世紀を飾る超高速交通機関として、国土政策の上からいっても一極集中排除という、そういった形の大きな目的の中で、何とかこのリニア時代の到来、そして古屋先生地元皆さんにもそういった御期待にこたえられるような方向全力を尽くしてまいりたいと存じております。
  9. 古屋圭司

    古屋委員 大変力強い決意表明を承りまして、私どもも意を強くしておる次第でございます。やはり何といってもこの代替輸送機関という、そういう観点からこのリニア線建設に向け全力で取り組んでいただくということが、大臣もおっしゃいました一極集中の是正という観点からも絶対不可欠だと思いますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それと、最後に若干中部国際空港の問題についてお伺いしたいと思いますが、いわゆる第六次空港整備五カ年計画におきまして中部国際空港を入れていただきました。大変ありがたいと思っております。平成四年度予算についても、その調査費として七千万円を計上していくという方向予算が上がっておるわけでございまして、大変私どもとしてはこの中部地区、財界を含め意を強くしておるわけでございます。  しかし、この空港の場所というのは、今のところ常滑沖ということが内定をいたしております。その観点から、この空港をつくってもやはりそこに到達するアクセスをいかに整備するかということが大変重要かと思います。したがって、そういうアクセス整備についての長期的なグランドデザインでどういった方針で臨まれるのか、あるいはこの中部空港に対する取り組み等についての御質問をさせていただきたいと思います。
  10. 松尾道彦

    松尾政府委員 中部空港につきましては、昨年の十一月に閣議決定されました第六次五カ年計画の中で、今先生指摘のとおり、将来の航空需要を考えつつ、現空港との関係を含めて、採算問題とか費用負担、あるいは空域アクセスなど諸問題につきまして、地域創意工夫を反映させつつ、関係者が連携して総合的な調査を進めるということになっていまして、運輸省といたしましては、この考え方に沿いまして、この五カ年計画中に地元と分担いたしましてフィージビリティースタディーを行っていきたい、このように考えております。  平成三年度から具体的調査に着手しておりまして、今先生指摘のとおり本年、平成四年度予算におきましては七千万円を計上させていただいておりまして、これをもとに空港計画あるいは空域空港島の技術的な調査等につきまして進めていきたい、このように考えております。  アクセス問題につきましては、やはり空港そのものと十分一体的に歩調を合わせて進める必要があるわけでございまして、先般の運政審答申の中でも、将来の新空港に合わせてアクセス関係検討をするという御答申もいただいております。現在、地元関係者におきまして検討が進められておりますので、運輸省といたしましても関係機関協議をしながら積極的に対応してまいりたいと考えております。
  11. 古屋圭司

    古屋委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  12. 久間章生

  13. 増子輝彦

    増子委員 自由民主党の増子輝彦でございます。  私も十五分という限られた時間の中の質問でございますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  この機会を利用させていただきまして、まず御礼を申し上げたいと思います。実は、私ども福島県の大変大きな念願でありました福島空港が、昨年の第六次空港整備五カ年計画の中で、おかげさまをもちまして五百メートルの滑走路延長を認めていただくことができました。本当にありがとうございます。  私も県会議員時代からこれを一つの公約として頑張ってまいりました。県民一丸となって今後もこの空港整備のためにしっかりと頑張ってまいりたいと思いますし、また、首都圏の第三空港的な機能、役割も持つことのできる空港だと認識をいたしております。現在工事も着々と進行中でございまして、とりあえず来年の三月には二千メートルで開港できるということがほぼ確実になっております。  これにつきまして、この機会をちょうだいいたしまして、大臣初め関係者皆様方に心から御礼を申し上げるところでございます。本当にありがとうございました。  さて、近年の日本経済社会における変化というものは大変大きなものがあるわけでございます。戦後ずっと日本経済大国という形の中で高度経済成長を果たしてまいりました。その中にあって、国民生活をこれからよりよいものにしていくという形の中で大きな変化が出てまいっていることは御案内のとおりでございます。高齢化社会も進んできた、あるいは国際化も進展してきた、あるいは人手不足もどんどん進んできたとか、大変大きな変化が出てきたことは御案内のとおりでございます。  私は、そういう時代変化に伴いながら、これからの物流について幾つかの質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  実は、これだけ日本経済が伸展をして成長してくれば、当然物流増大というものが大変高度化多様化をしてくるということは、もう現実そのとおりになっているわけでございます。こういった高度化多様化、あるいは小ロットの問題とか多品種とか、物流というものが極めて複雑になってきているわけでございますが、さらにこの中にあって人手不足の問題だとかあるいは道路混雑等が大変激しくなってきた、加えて環境問題等も大きな制約を持ってきたということで、大変制約要因が多くなってまいったわけでございます。  こういった急速に変化する反面、先ほど申し上げましたとおり、物流高度化多様化が非常に望まれているわけでございますが、こういった物流制約要件対応しながらしっかりとした物流対応をしていくことが、今後の日本が、ある意味では生活大国とか国民皆さんが望むようなものになっていくのではないか、そういう意味で、この交通体系効率的な整備というものが極めて重要な責任と使命を帯びてくるのではないのかなというふうに私は認識をいたしているところでございますが、こういった時代変化あるいは制約要因の大変なものに対応して、今後どのような物流効率化というものを図っていかれるのか、それをお聞きいたしたいと思います。
  14. 土坂泰敏

    土坂政府委員 先生仰せのように、人手不足であるとか道路混雑であるとか環境問題であるとか、物流に関する制約条件が大変厳しいものになってきていると思います。同時に、今仰せになりましたように、国民生活が豊かになって物流に対するニーズが高度化多様化しているというのもそのとおりであると思います。  したがいまして、物流についてはこれからはやはり従来のやり方のままではやっていけないのでありまして、今おっしゃいましたように、物流というものを効率化する、それによって同じ物流量を確保しながら、より人手がかからない、また、環境道路もより負担の少ない、そういう効率的な物流体系形成を目指して今後努力をしていくべきであるというふうに思っておるところでございます。
  15. 増子輝彦

    増子委員 ただいまのような観点の中から、やはりこれからはある意味では大量輸送というものに、こういった制約要因を十分踏まえながらそれに対応していくことがより肝要かと思うわけでございますが、その中にあって、トラックより効率のよい鉄道あるいは海運への実はモーダルシフトというものが大変今後重要になってくるかと思いますし、この促進が非常に大事だというふうに私は認識をいたしているわけでございます。  そういう意味で、鉄道貨物輸送量の増加やコンテナ等整備、あるいは内航コンテナ等建造、大変これからモーダルシフト対応して進めていかなければならないことがたくさんあるかと思いますが、このモーダルシフト促進することにつきまして御見解を承りたいと思います。
  16. 土坂泰敏

    土坂政府委員 物流はちょうど川のようなものでございまして、細い川がだんだん集まって太い川になって流れるわけでございます。その幹線と言われている太い川に相当する部分は、仰せのようにトラックよりも鉄道海運を使った方が効率的であるというのはそのとおりであると思っております。そういう意味で、私どもトラックから鉄道海運ヘモーダルシフトを進めようということを考えておるところでございます。  そのためには、やはり鉄道海運が十分な輸送力を持ち、また、いいサービスを提供することが大事であると考えておりまして、国としてはその基盤となる輸送力の増強について、例えば鉄道の長編成化であるとか、あるいは船につきましては、コンテナ船ローロー船建造、あるいは港におけるターミナルの整備、こういったようなことを通じてモーダルシフトがより一層促進されるように努力をしてまいりたいと考えております。
  17. 増子輝彦

    増子委員 このモーダルシフトをひとつ速やかに促進努力をしていただきたいと思うわけでございます。  と同時に、やはり実は物流の中心的な役割を担っているのはトラック運送ということも紛れもない事実でありますし、それは大変重要なことだと思っているわけであります。  このトラック積載総量規制に関して、大臣決意といいますかお考え方を実は伺いたいわけでございますが、御案内のとおり、この業界総ぐるみで、供給力安定確保だとか低コスト輸送実現あるいは交通安全、加えて交通公害問題等対応を一生懸命実は図っているところでございます。しかし、労働力不足は、御案内のとおり外国人労働者問題等も含めながら大変今深刻な問題になってきているわけでありまして、中高年齢者やあるいは女性まで雇用しながらこの労働力不足にも対応していこうではないかというようなことの努力を実は今しているわけであります。加えて環境問題も大変重要な問題でありますので、このいわゆる環境問題等にも対応していかなければならないという状況の中で、この貨物自動車積載量を初めとするいわゆる積載等規制緩和、これは今後の物流の中において貨物自動車の果たす役割を考えたときに、道路上の問題だとか道交法の問題とかいろいろな問題点もあるかと思いますが、これからの物流観点におきまして、ただいま申し上げましたモーダルシフトと同じように、今後のこの物流の中におけるいわゆる貨物自動車積載規制緩和ということはやはり大事なポイントになってくるんではないのかと私は思うわけでございます。  昨年、前大臣もこれについては大変な決意を示したとお聞きをいたしておりますが、奥田大臣のこの件に関してのひとつ御見解を承りたいと思います。
  18. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今御指摘のように、この物流多様化と申しますか、そういった面で国民生活にも大変密着している問題だけに業界等の御要望も寄せられておるわけでありますが、今先生も御指摘なさいましたように、前大臣決意もございます。そしてまた、本委員会における附帯決議要望等々の中で、こういったいわゆる積載量緩和と申しますか、こういった面についてもよく存じておるわけでございます。  今、トラック業界からの要望としては、いわゆる一般車については二十トンから二十五トン程度へ引き上げてほしいという御要望もございます。また単車以外の車両についてもできれば一般道路も三十四トンに引き上げてほしいという要望もございます。  これに関しまして運輸省のスタンスといたしましては、目下建設省検討を進めて早急に解決可能な方向に今努力しております。建設省の方もこのことについては非常に前向きでございまして、緩和する方向検討をやっていただいております。  ただ、ここで先生もう釈迦に説法でございますけれども、現在の建設省の所管する道路相当部分、特に橋梁の部分、これは大体まだ二十トン程度の強度しか確保されていないという現状にもかんがみまして、建設省の方も、大量輸送に関しては、業界要望大量輸送、そういった、環境面にも配意した形の中で何とか解決を図っていきたい、そういったことも念頭に置かれまして両省の間で前向きに検討し、それが近々結論の出る状況まで立ち至っているということを御報告できるんじゃなかろうかと思っております。いずれにしても、誠意を持って積極的に努力をいたしてまいります。
  19. 増子輝彦

    増子委員 大臣の大変心強い決意、お考えを承り、私も力強く思っているところでございます。関係省庁機関とも十分また御協議の上、ひとつ努力をしていただければ大変ありがたいと思うわけでございます。  実は、物流コスト高騰により中小企業経営が大変圧迫されているという現実もこの物流の中にあるわけでありますが、ドア・ツー・ドアあるいはジャスト・イン・タイムと、配送の多頻度・小口化というものが非常に顕著になってきたことは御案内のとおりでございます。こういった中で、やはり、今後の中小企業対策ということも含めまして、トラックの積み合わせ輸送促進していくということも極めて重要ではないかなというふうに認識をいたしているところでございます。  そういう点を踏まえて、いわゆる荷受け、保管、流通、加工、あるいは出荷、そういった流通業務の共同化を進めながら、また、さらにこの物流というものの共同化等も含めながら、今後地域物流においてこの中小企業対策ということが大変重要になってくると私は思うわけでございます。先ほども申し上げましたとおり、やはりこの物流高度化多様化という時代変化対応するためにもこれは大変重要かと私は思っているわけでございますので、今回、いろいろな方向で今努力をされているというふうに私も認識をいたしているわけでございますが、こういったものについてどういう対策を講じていかれるのか。  加えて、実は輸入促進という観点からも、今後インフラの整備等という形の中でやはりこの整備をどんどん進めていくことも、ある意味では、いろいろな形で物流対策にとっても極めて重要かと思うわけでございます。  トラックの積み合わせ輸送促進するということとあわせて、輸入促進のためのインフラ整備を支援するということに関して、これは実はいわゆる国際物流部分になってくるわけでございますが、この辺をあわせてひとつ御見解を承りたいと思います。
  20. 土坂泰敏

    土坂政府委員 まず、積み合わせのことでございますが、先生仰せのとおりでございまして、トラックに対するニーズが非常に高度化多様化しておりますので、トラックというものを効率的に使っていく必要があると思っております。そのためには、今お話がありましたような積み合わせ輸送というものを進めていくことが大事であろうと思っております。その際、やはり中小企業は、積み合わせ輸送をやるとしましてもみんなで力を合わせてやっていただく必要がございますし、その場合に必要となる配送センターなどの整備に対しては、やはり国としてもできる限りの支援をしなければならないというふうに考えておりまして、こういう資金面、税制面からどんな支援をすべきかということを考えて、そのために必要な措置については、関係省庁とも調整をして法案を準備をするということで、現在取り組んでいるところでございます。  それから、もう一つ仰せになりました輸入の問題でございますが、輸入も我が国の今の立場から促進を図っていくこと、大変大事でございます。そのための一つの課題として、港湾、空港整備、それと同時に港湾、空港地域で輸入貨物を取り扱うための施設の整備、具体的にはターミナルであるとかそういったものの整備、こういったことも大変重要な課題になっておると思っておりまして、これに対しましても具体的に資金面、税制面でいろいろな支援ができるように、これも関係省庁と調整をして法案を作成をし、これは先般、国会に提出させていただいたところでございます。  こういったことを通じて、先生の御指摘のとおり、一生懸命頑張ってやってまいりたいと思っておるところでございます。
  21. 増子輝彦

    増子委員 ありがとうございました。
  22. 久間章生

    久間委員長 常松裕志君。
  23. 常松裕志

    ○常松委員 きのう予算委員会で、共和問題に関する証人喚問あるいは参考人の方への事情聴取が行われたわけでありますが、この共和の問題、あるいは東京佐川に関するさまざまな問題への政治家の関与につきまして、また、それとともに行政の公正というものに対する国民の皆様からの大変強い不信の念が広がっているのではないか、こんなふうに私は認識をしておりますし、また、自身自戒をしているところでございますが、大臣のその点についての御認識をまずお伺いをさしていただきたいと存じます。
  24. 奥田敬和

    奥田国務大臣 一連の不祥事を通じて、国民の政治不信というものの高まりというのは本当に肌に感じます。金と政治のまつわりと申しますか、もう砂糖に群がるアリのような、何か国民から見るとたかりの政治構造という形の中で、政治家自体、政治全体に関して国民のたえがたい不信感という形を私たちは本当に心から残念に思うと同時に、反省もいたさなければならぬと思っております。  司直の手によって一日も早くこういった形の問題が解明されて、そして、新たな政治改革への情熱を持って取り組まにゃならぬなと、本当に心から遺憾に存じております。
  25. 常松裕志

    ○常松委員 本日は、大臣の御所信に対しての私の質問でございますけれども、それに先立ちまして、佐川グループに関して、この問題についてきょうはしばらく時間を割いてお尋ねをいたしたいと思います。  東京佐川を初め佐川急便グループ全体については、暴力団との極めて親密な関係、あるいは東京佐川の旧経営陣によりまする多額な債務保証を初めとする大変放漫な経営などの不祥事が伝えられているわけであります。改めて申し上げるまでもなく、運輸大臣はこうした物流日本における総責任者であります。こうした物流界における大変な不祥事に対しての大臣の最高責任者としてのお考えを、どうかお話しをいただきたいと存じます。
  26. 奥田敬和

    奥田国務大臣 この佐川グループと、東京佐川でございますけれども、暴力団とのかかわり合い、あるいは巨額の想像もできないような債務保証、こういった不祥事に関しましては、先ほども申しましたように、大変残念であると同時に遺憾に存じます。  しかし、貨物自動車運送事業法のらち外の問題でございます。そしてまた、このような問題について物流業界全体が大変なイメージダウンにもつながりました。まじめに物流業界で仕事をしている人たちにとっては、大変悲しい残念なことで、迷惑なことであろうと存じております。  特にこういった、今御指摘ございましたように、この物流業界、自動車運送事業を所管する立場の大臣としても、このことについては本当に残念に思っておりますし、一日も早くこういった業界の不明朗な迷惑な形の払拭をぜひやっていくために、省内の諸君にも厳しくこういった形で指導してまいりたいと存じております。
  27. 常松裕志

    ○常松委員 大臣のお言葉ではございますが、暴力団とのかかわりにつきましては、ひとり東京佐川にとどまらないわけでありまして、この点につきましては後ほど申し上げますし、また、貨物自動車運送事業法の枠外というお話もございましたけれども、この点につきましても私はやや見解を異にいたしますが、その点は後でお尋ねをするといたします。  予算委員会の先日の審議の中で大臣から御答弁がございました。それは、現在佐川急便を中心にして関係六社から合併の申請が運輸省に対して行われています。これに対して大臣からは、その合併を承認をする、そういう意向であることが予算委員会で表明されたやに伺っております。  そこで、この合併の申請あるいはそれに対する認可に当たりましての基本的なスタンスについてまずお尋ねをいたしたいと思います。  第一に、これははっきりしていると思いますが、この合併申請に関する許可の権限はどこにあるのかということが第一。それから二つ目に、この許可に当たりまして大臣は省内に対してどのような御指示をなさっているのか、この点について第二。最後に、現在この合併の認可に当たっての審査がどのレベルまで進行しているのかという点について第三。三つの点についてお答えをいただきたいと存じます。最後の点につきましては、大臣からではなくても場合によっては結構でございます。
  28. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  まず、合併の認可につきましてだれに権限があるかという問題でございますが、この件につきましては、百キロ以上の特別積み合わせ、いわゆる従来の路線にかかわる事業でございますので、貨物自動車運送事業法によりまして運輸大臣が行うということになっておるわけでございます。  それから、審査の状況でございますが、昨年の十一月二十五日に佐川急便からその合併申請につきまして近畿運輸局の京都支局に出されておるわけでございます。これが本省の方に進達されまして、現在運輸本省で審査をいたしているところでございます。  それで、合併の具体的な作業でございますが、先生御存じのとおり、合併につきましては貨物自動車運送事業法の六条が準用されておるわけでございます。この六条の基準によりまして現在審査中でございます。具体的には、平成二年八月の貨物流通局長の通達がございます。「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の処理について」という通達がございますが、この通達によりまして現在審査を行っておるところでございます。
  29. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今自動車交通局長からおおむねのお話がございましたけれども、先般予算委員会でそういった御質疑がございましたけれども、誤解ないようにお願いしたいのは、結論は出しておりませんし、今月をめどに何とか申請に基づく方向性は出したいなと。しかし、これらはあくまでも担当部局において公正厳正に、しかも慎重に今検討させておる段階であるということでございます。  何分にも巨額の債務を抱えておるわけでございますし、こういった中核六社が合併する形が、果たして金融面のそういった形、あるいは現在の中核六社の持つ資産の問題、そして、運送実務面におけるハードの点についてはまあ問題はないのじゃなかろうかなと思っておりますけれども、これらに関しましては、部局当事者は全く厳正な対応で今臨んでおる、しかも、金融関係の人たちとも意思の疎通をきちっとやって状況を把握するという点に努めておるところでございます。  そういった意味で、誤解ないように。決してまだ結論は出ておりません。一部報道で見られるような形、そのことは現状の事実とは全く異なっておるということだけをはっきり申し上げたいと存じます。
  30. 常松裕志

    ○常松委員 この佐川急便という企業につきましては、この運輸委員会を初め、国会で再三にわたって取り上げられてまいりました。私は、寡聞ですからあるいは誤っているかもしれませんが、一企業としてこれくらい国会の中で何回もにわたって取り上げられている企業はほかに例を見ないのではないか、そんなふうに思っているわけであります。  取り上げられ始めたのは昭和五十二年の五月二十五日、この衆議院運輸委員会における我が党久保三郎代議士が皮切りでございますけれども、以来、五十九年四月二十六日、参議院内閣委員会における柄谷先生の御質問、同八月二日、参議院運輸委員会における伊藤郁男先生の御質問、さらには昭和六十一年から平成二年まで都合七回にわたって安恒良一先生の御質問平成三年八月二十二日及び八月二十九日、当委員会の草川先生予算委員会あるいは証取の特別委員会で御質問、そして、三年九月三日には参議院のやはり特別委員会で本岡昭次先生が御質問、合計十二回にわたって取り上げられているわけであります。  しかも、そのことごとくが道路運送法違反、道交法違反、労働基準法違反、脱法、脱税、商法違反、証券取引法違反などでありまして、まさにその違法、脱法、不法行為の数々が国会の場において指弾をされ、政府、特に監督省庁である運輸省に対して特別厳正な指導が求められているわけであります。  ただいま大臣から、この認可に当たっても厳正な審査をするというお話があったわけでございますけれども、にもかかわらず、こうしてこれまでの国会において何度も何度も取り上げられたにもかかわらず、佐川急便のこうした不法行為は一向に改善されることなく、そして今回の東京佐川のこの不祥事にまで発展をしてしまったというのが私どもの受けとめ方でございます。  きょうは各省庁にもおいでをいただきまして、佐川急便に対する各省庁の指導監督の経過並びに現況などについて御報告をいただくようにお願いをしているところでございますので、まず労働省にお尋ねをいたしますが、労働基準法等違反への監督指導につきまして、佐川急便に対してどのような指導を実施をしてきたのかというこれまでの経緯についてお尋ねをいたしますし、御報告をお願いいたします。
  31. 山中秀樹

    山中説明員 佐川急便グループ所属事業所に対しては、六十一年以降、主管店を中心に昭和六十二年、平成元年、平成二年の三回にわたりまして全国一斉監督を実施しております。  その監督指導結果を見ますと、昭和六十二年につきましては四十四事業所について監督指導を実施いたしました。そのうち四十二事業所について労働基準法等の関係法令違反が認められました。平成元年については十八事業所について監督指導を実施いたしました。そのうち十二事業所について労働基準法等の関係法令違反が認められました。平成二年につきましては十三事業所について監督指導を実施しております。そのうち十事業所について労働基準法等の関係法令違反が認められました。  これらについて主な法違反の状況を見ますと、労働時間関係に係るもの、賃金台帳に係るもの、就業規則に係るものが多く認められました。  なお、平成三年、昨年の十一月に全国一斉監督を実施いたしております。その結果について、今現在集計中であります。  また、佐川急便グループの所属事業所については、昭和六十一年に労働基準法違反事件として、主に労働時間関係ですが、二件書類送検をいたしております。  以上でございます。
  32. 常松裕志

    ○常松委員 国会の場で労働省はこれまで何回か約束をしてきています。例えば平成元年十二月十二日、当時の労働省労働基準局長の野崎さんは、平成元年の九月に実施をした全国十八カ所の事業所に対しての監督指導に基づいて、あるいはまた、十二月上旬に清和商事からも事情聴取をした、これらを踏まえて運輸省とも協議の上で清和商事に対して必要な指導をしたいとか、あるいは、特に平成二年六月十二日、参議院の運輸委員会におきまして、私どもの先輩であります安恒議員の質問に対して、賃金制度について、特に長時間労働を刺激するような賃金制度あるいは出来高払いのような賃金制度、この佐川急便の中で行われております賃金制度について、同じく労働省の野崎基準局長は、「しかるべき時期には実地に調査を行ってその状況を確認する」、こういう答弁を行っています。  その局長が国会で答弁したことについて、具体的にどういう調査なり、あるいは措置をしてきたのかにつきまして、答弁できる時点のことだけで結構ですから御答弁をお願いいたします。国会で約束したことがきちんと果たされているかどうかということをお尋ねしたいのです。
  33. 山中秀樹

    山中説明員 ただいま御質問にありました点につきましては、お約束に従いまして、各佐川の代表者を本省に招致いたしまして賃金制度あるいは人事管理制度について見直しを行うよう必要な指導を行っております。私ども、労働基準局長の文書要請を行っておりますし、それに従って佐川の代表者からそれぞれの具体的措置をとるという報告書もいただいております。  それに従って、私ども先ほど申し上げましたように、それが果たして実施されているかどうか監督指導を全国一斉にやったところでございます。
  34. 常松裕志

    ○常松委員 その答弁では、それでは今までと、安恒先生が再三にわたって労働省に言ってきたこととちっとも変わらない。昭和六十一年から安恒先生は取り上げているんです。その都度この賃金制度については取り上げて、きちっと改善に向かって指導しているのか。その都度労働省の答弁は、している、今その結果について調査中だ、その結果について今検討している最中だというのが答弁ですね。ここでもまた同じですか。改善しているかどうか。これは平成二年六月の質問ですよ。「しかるべき時期には実地に調査を行って」、呼んでではないんですよ、本省に呼んでではなくて、「実地に調査を行って状況を確認する」、こういう約束をしているのです。この約束は果たされているのですか。
  35. 山中秀樹

    山中説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、私ども昭和六十二年以降三回にわたりまして、実際にそのように実施されているかどうか全国一斉監督を実施してきております。先生指摘のとおり、監督指導結果を見ますと、いまだ労働基準関係法令に違反する事業所が多く見られているところであります。まことに残念だと思っております。  私ども、監督指導を行います場合、労働基準関係法令の違反が認められる事業所については、その速やかな是正について勧告を行っております。  平成三年十一月に全国一斉監督を行いました。その指導監督結果を十分分析して、今後的確に対処してまいりたいというふうに考えております。
  36. 常松裕志

    ○常松委員 課長もこの「佐川急便を内部告発する」という本はきっと読んでいらっしゃると思うのですね。この中でも、相変わらず佐川では十五時間、十六時間労働が行われている、世間では、佐川は非常に賃金が高い、こういうふうに言われているけれども、実際はこの長時間労働の結果であって、単位労働時間一時間当たりにすれば、むしろ佐川の賃金というものは他より安いというようなことを内部の人が告発していますね。何度の指導にもかかわらずこういうことが続いている。  今労働省から、平成三年十一月の全国一斉監督に基づいて、調査に基づいて今後指導するということですけれども、間違いなく賃金体系は改まっていないと思いますね。そういう場合に具体的にどう指導するのか、もう一回だけ決意を込めてひとつ御答弁ください。
  37. 山中秀樹

    山中説明員 先生指摘のとおり、私ども再三全国一斉監督を行ってきておりますが、先ほど申し上げましたように、まだ違反が多く見られる、こういう状況については、この平成三年の監督指導結果を十分分析いたしまして、的確に対応する考えでございます。
  38. 常松裕志

    ○常松委員 課長、現地に入らなければだめなんだ、入って指導しなければ。現場を押さえなければだめなんです。そういう指導をしていますか。
  39. 山中秀樹

    山中説明員 私ども、全国一斉監督指導と申しますのは、現実にその事業所に赴いて直接賃金台帳等の書類を見て是正勧告を行っているところでございまして、現実に入ってやっております。
  40. 常松裕志

    ○常松委員 とにかく厳格な指導を要望しておきますが、大臣、とにかく御認識いただきたいのは、労働省が何度も何度も指導しても佐川の長時間労働の実態、あるいはそれを誘発するようなそうした賃金制度になっているということは、今の労働省からのお話できっと御理解いただけると思うのです。これは安全輸送についても非常に重大なかかわりがあるわけであります。つまり、貨物自動車運送事業法と極めて不可分のかかわりを持っているというふうに私は思いますので、その点御留意をいただきまして、次に、国税庁にお尋ねをいたします。  国税庁の方から、佐川急便及び吸収される五社及び会長佐川清氏の過去における脱税行為について御報告をいただきたいと思います。
  41. 西川和人

    ○西川説明員 御指摘の佐川急便グループの脱税事件についてでございますけれども、九州佐川急便株式会社につきましては福岡国税局が、株式会社佐川急便につきましては高松国税局が、また佐川急便株式会社及び大阪佐川急便株式会社につきましては大阪国税局が、また東京佐川急便株式会社につきましては東京国税局が、それぞれ法人税法違反の疑いにより、国税犯則取締法に基づき強制調査を行いまして、福岡、高松、大阪局の事件は昭和五十二年十二月二十六日大阪地方検察庁に、東京局の事件は昭和五十二年十二月二十一日東京地方検察庁に、それぞれ告発いたしました。  大阪地方検察庁に告発した事件につきましては、昭和五十三年七月六日に起訴されまして、昭和五十四年一月二十四日、大阪地方裁判所におきまして第一審の判決がございました。また、東京地方検察庁に告発した事件につきましては、昭和五十三年九月十四日に起訴されまして、昭和五十三年十一月十七日に東京地方裁判所において第一審判決があり、それぞれ有罪が確定いたしております。
  42. 常松裕志

    ○常松委員 そういう脱税のほかにも、佐川グループにつきましては、国税当局から枚挙にいとまがないくらいいわゆる一般的な税務調査が行われ、毎年のように修正申告をしているというふうに聞いています。報道されただけでも、一九八六年申告漏れ六十億とかあるいは九一年三十五億とか、我々庶民からは本当に気の遠くなるようなことが報告されているわけであります。  最近福岡県警が突きとめた事実、一九七九年から毎月一千万円ずつ、合計十五億円にわたって広域暴力団である会津小鉄に対してこの佐川清会長ないしは佐川急便が献金をしてきたという事実を国税庁は把握をしているかどうか。仮にそれが事実であるとするならば、国税庁は税務上どのような措置を佐川急便ないしは佐川清氏に対してとるのかという点についてお答えください。
  43. 高氏秀機

    ○高氏説明員 今先生お尋ねの件は、個別にわたる事柄でございますので答弁することを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、法人が金銭を支出した場合には、その実態に応じて取り扱うわけでございますが、それが寄付金あるいは交際費等に該当するときは税法の規定によりましてその損金算入が規制をされております。限度額を超える分は課税されるということでございます。また、その使途を明らかにしない場合は、その全額を損金に算入しないということになっております。さらに、その法人の支出が役員が負担すべきものを支出したというような場合には、その役員に対する給与として取り扱うということになっております。また、その金銭を受領した側でございますが、その場合は原則として、その金銭が借入金等の負債である場合を除きまして課税の対象になるというのが一般的な取り扱いでございます。
  44. 常松裕志

    ○常松委員 今の会津小鉄への総額十五億円の献金というのも、これは新聞報道でありますけれども、そういうことを含めて、佐川清会長及び佐川グループに対して、国税庁は脱税の容疑なりあるいはかどということで特別な査察を行うべきだろうと思うのです。甘過ぎると思うのです。  これも新聞報道によりますけれども皆さんも、既に国税庁もつかんでいらっしゃると思いますが、大津市内の三万六千七百平方メートル、時価三億円の土地について佐川会長のとっている行動というのは、非常に、脱税者といいますか、脱法者常習の手口だ、こんなふうに私ども庶民は思われてなりません。  その土地を九〇年四月二十六日に佐川会長が一回会津小鉄系の組長の経営する不動産会社の栄和という京都市東山区にある企業に売却をする。一カ月後の六月五日に売買を合意解除して所有権を佐川清氏に戻し、その同じ日に佐川清氏は会津小鉄系の組員に贈与をする。この組員は同年十二月六日に再び栄和にこれを売却をする。こういうことをいたしますと、現行の土地税制でいうと、佐川清氏は、直接栄和に売却した場合には課せられる譲渡所得税や住民税を課せられることがありません。逆に、贈与された、渡辺という組員だそうでありますが、こちらには贈与税や譲渡所得税、住民税が課税をされる。ところが、この渡辺という組員が行方不明になっちゃっている。これは脱税の常習の手口であります。  さらに奇妙なことに、この土地が今度は、本来この土地は九州佐川急便の土地ということで国税庁の福岡国税局が指導して九州佐川の資産台帳に掲上させた土地だそうでありますが、それを佐川清氏が独断で暴力団に贈与をした、こういうことになりますと、これは商法上の恐らく特別背任になるだろう、こんなふうに思われるわけであります。そして、それを今度は警察に突きとめられるや否や、慌てて当該の土地を会津小鉄から返してもらっている。そして、その上で九州佐川に登記がえを行っている。私はまさに脱法専門家の手口、こういうふうに思われてならないのです。これは一例です。  国税庁はこういった佐川清氏あるいは佐川急便に対して毅然とした態度でこの措置をとるべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  45. 高氏秀機

    ○高氏説明員 お尋ねの件、個別の事柄でございますので具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、私ども、国会での議論されたこと、それから新聞の報道等、情報の収集に努めまして、それから私どもに出ております申告書等総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には、実地調査を行うことなどによりまして適正な課税に努めてまいる所存でございます。
  46. 常松裕志

    ○常松委員 国税庁に対して、非常にこの佐川氏に対して甘いんじゃないかということで大変批判が強いわけでありますから、ひとつ毅然とした御指導をお願いいたしまして、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。  そういうわけで大臣、今申し上げましたように、税法上も非常に問題がある佐川清会長であり、また佐川であります。  次いで、法務省にお尋ねをいたしますが、昨年の六月に大阪佐川急便が中国人就学生が不法就労したかどで出入国管理法違反容疑で摘発をされたわけでありますが、この件について御報告を法務省の方からお願いいたします。
  47. 大久保慶一

    ○大久保説明員 この件は、大阪入国管理局が平成三年六月、大阪府和泉市所在の南大阪佐川急便株式会社など佐川急便グループ三事業所で貨物仕分け作業員として不法就労していた中国人十四名を摘発、収容いたしました。そして、その月の十九日、貨物仕分け作業の請負元であります日本システム株式会社代表取締役を、入管法違反容疑、不法就労助長罪でございますが、これで大阪府警本部に告発いたしました。  不法就労していた中国人十四名につきましては、七月二十六日までに全員中国向け送還したものであります。
  48. 常松裕志

    ○常松委員 これがこういう出入国管理法違反についても関与しておるわけであります。  せっかくですから、法務省、実は佐川グループはそのほかにもあちらこちらで仕分け作業で中国人就学生などを不法に就労させているという風聞があります。今後、厳しくこういう点について調査をされる、あるいは査察をされるというお気持ちでしょうか。
  49. 大久保慶一

    ○大久保説明員 当局におきましては、不法就労問題につきましては全局を挙げて厳重に対処していく姿勢でございまして、そういう問題等あれば同じように適正に対応していくという所存でございます。
  50. 常松裕志

    ○常松委員 どうも法務省、ありがとうございました。  次に、警察庁にもおいでいただいておりますが、佐川急便の本社または会長である佐川清氏から警察に対して、広域暴力団会津小鉄ないしはその構成員などから寄附金、賛助金あるいは用心棒代などを要求されているというような被害届が出ているという事実があるでしょうか、あるいは大津市内に所有していた約三万六千七百平方メートルの土地を売却または贈与されるよう強要されていたというような、そういう被害届が出ているというような事実があるでしょうか、お答えください。
  51. 石附弘

    ○石附説明員 お答え申し上げます。  先生お尋ねのような事実につきましては、警察としてはこれまでのところ確認をしておりません。
  52. 常松裕志

    ○常松委員 ところが、先ほどお話ししましたように、福岡県警ではこの件で、つまり会津小鉄に一九七九年から毎月一千万円ずつ献金をしていたというかどで佐川清氏を事情聴取を行った、あるいは土地の贈与についての事情聴取も行った、こういうふうに新聞の報道があるわけですけれども、こういうことは事実なんでしょうか。また、事実であるとするならば、事実であるとするならばという前提ですが、その場合には、佐川急便及びその会長である佐川清氏は、みずから進んで広域暴力団である会津小鉄をいわば援助あるいは育成をしていたということになるのではないかと思います。  この三月一日から暴力団新法が施行されるわけでありますが、そして警察は暴力団の撲滅に向かって全力を挙げているというふうに私も受けとめておりますし、強くそれを支持するものでありますが、会津小鉄というのはそうした新法によって指定暴力団に指定されるような極めて悪質な暴力団というふうに受けとめてよろしいんでしょうか、どうなんでしょうか。  その会津小鉄のような悪質な暴力団に対して、佐川急便あるいは佐川清氏のように金品を贈与したりあるいは用心棒代を支払ったりというようなことの事実があるような場合に、この暴力団新法では、そういう暴力団育成者に対して警察はどういう措置をとることになっていくのかということをお答えいただきたいと思います。
  53. 石附弘

    ○石附説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の、十年間で相当額の用心棒代云々の報道でございますけれども、そういう報道がなされたことは承知しておりますけれども、福岡県警からこれまでのところそのような事実を確認をしたという報告は受けておりません。  それからなお、第二点の、佐川急便と暴力団会津小鉄とのいわゆる土地疑惑問題でございますが、現在、福岡県警におきまして公正証書原本不実記載及び同行使違反事件ということで鋭意捜査を行っているところでございます。なお、具体的な捜査内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。  それから第三点でございますが、会津小鉄、これは京都を本拠地といたします構成員約二千名を有する広域暴力団でございます。これは京都、滋賀地域においては最大の勢力を有するということで、警察庁といたしましても大変重要視をしている団体でございますけれども、暴力団対策法の施行に伴いまして、やはり優先して指定をしていかなければならない団体である、こう考えております。もちろん、広域三団体、つまり山口組あるいは稲川、住吉という巨大暴力団がございますが、それは最優先することは言うまでもございません。  それから第四点でございますけれども、暴力団対策法におきましては、その第九条におきまして、指定暴力団の構成員の行う暴力的要求行為等を禁止をしております。この暴力団対策法第十条におきましては、「何人も、指定暴力団員に対し、暴力的要求行為をすることを要求し、依頼し、又は唆してはならない。」といたしまして、企業等が指定暴力団に対し第九条に掲げる暴力的要求行為を行うことを、今申しましたような行為をすることを禁止をしているわけでございます。  したがって、そのような事実関係にあるかどうかということが一つございますけれども、いずれにいたしましても、一般論として申し上げるとすれば、そういう企業が暴力団との関係におきましてそういう行為があれば、この暴力団対策法の第十条、これの活用の余地があり得よう、私どもとしてはそういうものを積極的に活用いたしまして、企業の暴力団に対するいわゆる先生指摘の援助あるいは利用、そういう行為を取り締まってまいりたい、こう考えております。  いずれにいたしましても、暴力団を利用あるいは助長、容認するような企業の活動、これは健全な企業社会をむしばむ遺憾な行為であるということで、警察といたしましては、あらゆる刑罰法令の適用、あるいは新たにいただきました暴力団対策法の活用を含めて、また暴力排除活動、こういうことをやっていきましてこの問題に対処していく所存でございます。
  54. 常松裕志

    ○常松委員 どうも警察庁、ありがとうございました。  今警察庁からお話があっておわかりのとおり、貨物自動車運送事業法第五条の第一項には「第三条の許可を受けることができない。」という項もある。この佐川清氏なりあるいは佐川急便が極めてこの暴力団と結びつきが深いという点について、ぜひここで御留意をいただきたいと存じます。  最後に、運輸省にお尋ねをいたします。  これまでの運輸省としての佐川への監督指導について御報告をお願いいたします。
  55. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  佐川急便グループの貨物自動車運送事業の運営に関しましては、輸送の安全の確保という観点から監督指導を徹底する必要があるという考え方で、昭和六十一年の十二月から六十二年の八月にかけましてグループ全体に対しまして特別監査を実施したわけでございます。また、平成元年の九月から同年の十二月にかけまして、いわゆる主管店を中心といたします事業者につきまして、十三社でございますが、同じく特別監査を実施したわけでございます。  その結果、道路運送法違反の事実が明らかになりました事業者に対しましては、車両の使用停止処分等厳正な処分を行うとともに、違法行為の是正指導をその際行ったわけでございます。  行政処分の具体的な内容でございますが、第一回目の処分につきましては、一つの会社につきまして事業の停止処分、七十七社に対しまして延べ五千七百二十五日車の車両使用停止処分、四社に対しまして警告処分を行ったわけでございます。それから、二回目の処分につきましては、十一社に対し延べ五百七十三日車の車両使用停止処分、二社に対する勧告等の処分を行ったわけでございます。  さらに、この際、この関係で特に参議院の運輸委員会の方から、こういう現象面の問題も重要ですが、制度的な問題、グループ各社が過労運転の防止等の適正な運行管理、適正な措置を講じていくためには、やはりグループ全体の事業運営の問題について改善を指導していく必要があるのではないかという御指摘をいただいたわけでございます。我々も監査の過程で全く同様の感じを持ったわけでございまして、そこでその後、グループ全体の事業運営の問題、これがグループ各社の過労運転の防止等の適正な運行管理との関係で問題があるという認識で、賃金制度、精算金制度、さらには労働時間の管理体制について改善を指導してきたわけでございます。この面につきまして、我々が改善を指導したことについてある程度実現を見ている点もあるわけでございます。  具体的に申し上げますと、賃金制度につきましては、先ほど労働省の方にも御質問があったわけでございますが、従業員の給与の減額を行わないということをはっきり約束をさせております。それからボーナス制度、これもやはり月々の歩合の問題について、やはり月々はできるだけ固定した形にしてボーナスで実績を見るというような仕組みの方がいいのではないかということで、ボーナス制度の導入というものも積極的に指導したわけで、この面の改善は図られております。それから労働時間管理体制、これもいろいろ国会でも問題になりまして、私どもも具体的にいろいろ指導をいたしたわけでございますが、この面でも一定の改善が見られております。それから精算金の問題、これも一〇%以上取っておったというふうなことが国会で話題になったわけでございますが、先般運輸大臣から予算委員会の場でも御説明しましたが、四・六%程度に下げております。そういうふうなことで、こういう制度的な問題につきまして一定の改善が見られたことは事実でございます。  ただ、この制度的な問題につきまして、具体的な長時間労働なり過労運転の防止、是正に結びつけていくということが重要だと思います。そういう意味で、我々はこの制度的な問題も指導しながら、かつ、今後具体的な長時間労働の是正問題についても引き続き指導を行っていきたいというふうに思っております。
  56. 常松裕志

    ○常松委員 今改善の実が上がっているやの答弁でしたけれども平成二年六月十二日の参議院の運輸委員会で安恒先生に対して、これは一番最近の安恒先生質問ですが、当時の大野運輸大臣から御答弁がありました。このときの安恒先生質問の趣旨は、改めて申し上げることもありませんが、ドライバー一人当たりの売り上げを基準にしての賃金決定制度を改めさせよ、こういう質問をしたわけです。ボーナスとか今おっしゃるようなことではなくて、このときに安恒先生が大野大臣に約束をしていただいているのは、ドライバー一人当たりの売り上げを基準にして賃金を決めていくというこの佐川の独特のやり方について改めるように要求をしましたね。それで、その結果どうしたんですか。御報告してください。
  57. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 ただいまのお話は、平成二年の六月十二日の安恒先生質問に答えまして、大野運輸大臣が、この時点で実は佐川急便側から回答が出ることになっておりまして、回答の内容を見た上で厳正な勧告、注意をするというようなことをおっしゃったわけでございます。  そこでその後、実はこの時点で問題になっておりましたのは精算金の問題と賃金の問題でございまして、精算金につきましてはほぼ是正が図られたという形の回答をいただいたわけでございます。  そこで、今御指摘の賃金の問題につきまして佐川急便側から回答をもらっているわけでございます。先ほど申し上げましたとおり、給与の減額を行わない、それからボーナス制度の導入も今後検討をしていくという程度の話でございましたので、大野運輸大臣から、少なくともボーナスの導入ということは十分やっていくべきではないかということを、当時佐川清会長を運輸大臣室にお呼びになりまして、八月二十四日の時点でございますが、はっきり指示をいたしているわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては歩合制、売上高を基準とするような賃金制度というものは望ましいとは思っておりませんで、できるだけそういう歩合制の要素を小さくするように指導していくべきことかと思います。そういう意味で、先生のおっしゃるように百点とはほど遠いと思いますが、一歩前進が図られたというような認識は持っているわけでございます。
  58. 常松裕志

    ○常松委員 局長、そんな今から二年も三年も前に戻してもらっては困るのですね。いいですか、このときに安恒先生質問しているのは、佐川急便の一番の問題点は、ドライバーの売り上げによってすべての賃金が決まるという決め方にあるんだ、これを質問しているのです。これに対して大野大臣は、六月までに回答をもらうことになっている、その回答に基づいて指導すると言っているではありませんか。大臣答弁です。それを今ごろ三年も五年も前に戻すんですか、運輸省は。そのとき佐川からどういう回答があったのか。  間違いなく、この安恒先生質問要望、あるいは一番の問題点はここなんだ、長時間労働を誘発しているのはここなんだ、佐川で事故が多いのはそのためなんだ、こういうことで言っている賃金制度を改善させることをこの時点で大臣が約束しているのですよ、局長。それを何ですか、今、戻っているじゃありませんか。そういう賃金が望ましくないどころではありません。このときに大臣は改善の約束をしているんですよ。
  59. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 当時の議事録を読みますと、大野大臣の答弁でございますが、回答の内容を見た上で厳重な警告あるいは注意をする、私が責任を持ってやるというお答えをされているわけでございます。  その結果、回答の内容が、先ほど申し上げましたとおりその六月の時点でございますが、国会での質疑が終わった後、六月の終わりごろに佐川会長から回答が来て、給与の減額は行わない、今後の展開としてボーナスの制度の導入も考えている、それから、あと、このとき、自主的に決定してないんじゃないか、佐川清会長の独断で給与制度が決まっているのではないか、各主管店に任せるべきではないかというふうな国会での話もございまして、自主性の問題も含めまして、自主的に決定するというようなお答えを佐川急便側からいただいたわけでございます。  私どもとしては、当時の大野運輸大臣はそれではまずいということで、はっきりボーナス制度については平成二年八月二十四日の時点で、ボーナス制度は必ず実施させたいということで、佐川清会長を呼んで口頭でボーナス制度の導入について指示をされたわけでございます。その結果、佐川会長からの答えでございますが、より適切な賃金制度の確立のために、所要労働時間に対する給与額の設定とか、時間外及び休日勤務の把握による割り増し賃金の支給とか、ボーナス制度の導入というふうなことを基本に置いて、段階的に所要の作業を推進するというようなお答えをいただいているわけでございます。  それでボーナスの支給については……
  60. 常松裕志

    ○常松委員 局長質問に答えてください。このときに当時の寺嶋さんがこういうふうに答えています。「先月の末に再び清和商事会長に対して、ドライバー一人当たりの売上高を基準として賃金を決定するという現行制度を改める意向の有無並びに改善の具体的内容、」このときどうだったんですか、それじゃ。この売上高を基準として賃金を決定するという現行制度を改めるという、そういう回答はなかった、なかったにもかかわらず運輸省はそのまま放置をした、こういうことですね、今の局長の答弁は。
  61. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 寺嶋局長から質問をして照会をしたわけでございますが、それに対する回答が先ほど申し上げたようなことでございまして、ただ、全体的な仕組みをよくするというお答えはいただいていて、段階的に実施する、それでボーナスについては平成三年の七月からとするという回答をいただいているわけです。私どもは、こういう問題については今後とも指導していく必要があると思いますが、少なくともボーナス制度については改善されたという理解をしておるわけです。  ただ、先生おっしゃるように、すべての歩合給が完全になくなったかというと、そうじゃないという認識は我々も持っております。
  62. 常松裕志

    ○常松委員 局長、甘いんじゃないんですか。そういうことですと運輸省は佐川に対して極めて甘い。国会で答弁しているんですよ、国会で。くどいんですけれども局長の答弁がくどいからこっちもくどくなってしまうんだけれども、そういう賃金制度を改めさせるんだということを当時の寺嶋さんが答弁している。それに対して、改めさせるという約束がなかったにもかかわらず今まで放置しているんです。平成二年六月から今まで放置しているんじゃありませんか。これが運輸省の姿勢なんです。こういう姿勢だから、佐川の先ほどのような違法、脱法、そういう数々が繰り返し繰り返し起こっているんじゃないのでしょうか。  まだそのほかにも、平成元年の十二月にも江藤大臣のお約束がありますけれども、そういうことを省略いたしまして、とにかく今の御答弁でもわかるように、大臣運輸省の指導は、世間の目から見ても、そして私ども運輸委員の立場から見ても、どうも佐川に対して甘いというふうに言わざるを得ないと思うのです。  今各省庁からずっと、そして運輸省からも御報告をいただいたわけでありますけれども、こういう佐川急便の企業体質というのは、昭和五十二年に久保三郎先生がこの運輸委員会の場で取り上げて以来、少しも改まっていないというのが現状なんじゃないのでしょうか。私は、それが今回の東京佐川の事件を起こした、これは決して東京佐川の特殊な事件ではなくて、佐川グループというものの企業体質が生み出した事件だ、こういうふうに思われてなりません。  それは今後検察あるいは警察による追及の中で必ず明らかになっていくだろうというふうに思いますが、最後に合併の認可について二、三お尋ねをいたします。  まず第一に、この今伝えられている合併申請の内容はどうも異常ですね。例えば、佐川急便と東京佐川の合併比率が一対千八百だというのですね。そうすると、東京佐川の資本金というのは、去年の七月ですか、増資をして約二億ですから、二億円の企業をわずか十万円で合併する、こういうわけなんですね。  どうなんですか、その東京佐川の負債というのはどのくらいあるのですか。私がつかんでいる限りでいいますと、これは新聞で報道されているいろいろな債務保証なんかで四千九百億、そのほか本業で三千億と、合計七千九百億くらいの負債があるというふうに思っておりますけれども、どのくらい運輸省に報告があるか。この合併申請にかかわってどのくらいの負債を持っているというふうに東京佐川から話があるのでしょうか。逆に、資産はどのくらいあるのでしょうか。この合併比率一対千八百というのは妥当なんでしょうか。で、これ以上負債がふえるということはないのでしょうか。これはどこかの週刊誌でしたけれども、佐川会長は、債務保証が七千億あると言っていますね。  そういういろいろ今佐川から出ている、大体この佐川というのは取締役会の議事録を偽造してしまうという会社ですから、そういう佐川から出ているものをまさかうのみにしてはいないでしょうね。きちっと運輸省は進んでその財務の状況その他について子細に検討して、この合併が妥当なものかどうか、事業計画が円滑に推進されるのかどうかという点についてきちっと御検討されていらっしゃるのでしょうね。その点について、局長どうぞ御答弁をお願いします。
  63. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 東京佐川急便の債務保証とか直接融資額がいろいろ報道されているわけでございますが、私ども、この合併の審査に当たりましては、この全体の額のうちどの程度の額が新しい会社に引き継がれるか、この新しい会社がこれを引き継いでも事業継続が可能なような財務面の基礎というものが整えられるかどうかということについて、チェックをしていく必要があるというふうに考えているわけでございます。  それで、現在どの程度のことがわかっているかというようなお話も今あったわけでございますが、実はどれだけ保証債務等の額があるかということについて、冒頭に、合併の申請の際に四千億程度の説明を受けたわけでございますが、この中には直接融資分が入っておりませんでした。それで、具体的に今正確な数字を出していただくようにお願いしているところでございますが、東京佐川あるいは佐川急便側全体で個別の調査をしているところでございまして、具体的なトータルの額、あるいはそのうちからどの程度が不良債務というふうに、不良債権ということになって新会社の方に引き継がれるかということについても、まだ正確な数字をいただいておらないのが実情でございます。  ただ、我々は、その辺の問題については、十分チェックした上で、新しい会社が財務面の基礎が実質的に整えられているという判断をした上でないと、合併というものは認められないのじゃないかというふうに思っております。
  64. 常松裕志

    ○常松委員 そうすると、現段階では到底その合併について審査をできるような状況じゃない、今のそのグループ六社からの運輸省に提出されている資料では、その合併なりあるいはその合併の要件であります事業計画の円滑な遂行ということについては到底審議できぬ、検討できない、こういうふうに受けとめてよろしいですね。
  65. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 佐川急便側でいろいろな調査をしておられまして、その断片的な資料はいただいておるわけでございますが、整理した形でまだ資料をいただいておらないわけです。したがいまして、そういうものを十分もらった上でないと、先生おっしゃるように、結論は出せないというふうに理解しております。
  66. 常松裕志

    ○常松委員 先ほど冒頭、大臣の御答弁にもありましたように、そういうことも含めて、極めて厳密に、厳格に、世の中の人々から見て運輸行政は極めて公正だというふうに言われるような対処をお願いしたいと思います。  この点で最後に大臣にお伺いをいたしたいのですが、その前にちょっと、これは「挑戦する佐川急便」という、佐川急便が二十五周年記念で出版された本なのです。  それで、この中で、佐川会長がこういう御発言をなさっていらっしゃいます。「昔は鉄火場にいたから」、鉄火場というとどういうところか私は知らないのですが、多分ばくち場ではないかと思うのですけれども、「昔は鉄火場にいたからマージャン、オイチョ、チョボ一、丁半もやりました。全部知っています。しかし、あくまでも遊びのときだけで、仕事にかかると一切やりませんでした。親分衆とは兄弟分だったし、今でも関東のある親分なんかは私の舎弟分です。」こういうふうに、これは「挑戦する佐川急便」の中で佐川会長が、自慢話なのかそれともざんげかわかりませんが、文章の脈絡でいえば自慢話で話していますね。先ほど会津小鉄のことで言いましたけれども、この趣旨からすると、東京のある親分は舎弟分だとおっしゃっているわけですから、本人が。そうしますと、その暴力団の庇護者ですね、この人は。そういうことになるのではありませんか。  それだけじゃありませんで、これは新聞報道に過ぎませんが、新聞報道は私たちの大変大切なニュースソース、資料源ですが、グループの主管店長の会議の席で、稲川会の会長の石井進氏に対する債務保証についてこういうふうに佐川会長が言っているというのですね。「石井さんのところは一晩で一千億ぐらい用意できる組織だから、債務保証については何の問題もない」というふうに話した。これは警察がこういう事実をつかんでいるという報道でした。もしこれが事実とすると、例の暴力団への債務保証も佐川会長は渡辺広康氏と共謀していたということになるだろうと思うのですね。こんなふうに非常に暴力団と結びつきが強い。  この三月一日から暴力団新法が施行される。三月二十一日に合併の申請を認可してくださいという、その認可申請が運輸省に出されている、大臣が三月二十一日に向かってその審査の検討をされている、こういうことであります。  ところで、貨物自動車運送事業法の第一条というのは、読み上げる必要ありませんが、「貨物自動車運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」こういうふうになっております。これが事業法の第一条の「目的」であります。以下第三条だろうと、第五条だろうと六条だろうと、全部この第一条の「目的」に従って審査されなければならないし、全体としてこの第一条の「目的」を果たすための事業、作業でなければならないと思うんです。  ところで、その暴力団との結びつきがかくもはっきりしている事業に対して、御みずから二十五周年のこの中で公言しているようなそういう方が代表権を持っている佐川急便に対して、他の五社を合併する、あるいは先ほど各省庁からお話がありましたけれども、労働基準法違反、脱税あるいは出入国管理法違反あるいは暴力団新法にも触れるおそれ、そして肝心かなめの運輸省の諸法規あるいは道路交通法にも違反をする、こういうことがはっきりしている企業に対して、この合併の審査をするときに、この事業法の第三条とか五条に合致していればそれでいいというんではなくて、もう少し公共の福祉というところから、各省庁の御意見も十分聞いて、特に警察の意見というものは十分に聞いて、そして本当にこの合併が公共の福祉の増進に役立つものであるかどうか、こういう立場でこの認可についてしていただかない限り、あるいは認可していただくことが、大臣が御所信の中で述べました、その運輸行政に対する国民皆さんの信頼というものを本当に獲得する道じゃないか。  それを、その事業法の趣旨からいえば、出てきている書類は何のあれもない、落ち度もない、書類上は整っているから、だから認可しました、こんなことをやりましたら、どんなに運輸省皆さんが一生懸命仕事をなさっても、大臣がどんなに一生懸命お仕事をなさっても、私は、運輸省に対する、あるいは運輸行政に対する国民皆さんの信頼というものは地に落つる、こういうふうに思えてなりません。  したがって、この認可に当たりましては、ぜひひとつ大臣、労働大臣やあるいは自治大臣あるいは警察、検察、各方面と十分御連絡をとって、その上で事を進める。そして、本当に佐川急便という会社を、普通の企業といいますか、そういう暴力団と手を切って、あるいは脱税、脱法なんかもしない、あるいは長時間労働なんかもさせない、そういう健全な企業にするようにひとつこの機会に指導すべきではないか、こんなふうに思うのでございますが、大臣の御所信をぜひ承りたいと存じます。
  67. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私は昨年の十一月この大臣を拝命いたしましてから、これらの一連の不祥事にまつわる、佐川事件に関する衆参両委員会における先生方の質疑等々も勉強させていただきました。私自身漠然とした形で、まあ日本通運に次ぐいわゆる物流第二の大手であるという形で、ペリカンやクロネコヤマト、飛脚という、まあ物流御三家であるという漠然とした考え方しか持っていなかったわけでありますけれども先生の御指摘のように、暴力団等々とのかかわり合いということについては、私も大変厳しく厳正に、各省庁の御意見も承りながら対応しなければならぬと思っております。  一昨年までは国家公安委員長をやっておりまして、暴力団新法に関してはいささかなりとも原動力で推進してきた立場でもございます。そういった点で、国民生活に最も関連のある物流業界全般のまじめな運送業者の皆さん方のためにも、この問題に関しては適正厳正に対応してまいりたい、先生指摘のように、各省庁担当大臣ともよくお話し合いをさせていただきたいと存じております。
  68. 常松裕志

    ○常松委員 ありがとうございました。  念のために申し添えておきますけれども、もう昭和五十二年から、当時のたしかあれは田村運輸大臣、あるいはその後、柄谷先生質問に対しては細田運輸大臣、あるいは安恒先生質問に対しては当時の橋本運輸大臣皆さんが、各省庁とあるいは他の大臣の方々と十分連絡をとり合って対処する、こういうふうに何度もお約束をしていただいてまいりました。しかし、現実にその意味運輸省が他の省庁と完全にタッグを組んで指導したように思われるのは、私は橋本運輸大臣のあの全国一斉の調査のとき以外にはどうもなかったような気がするのです。  しかし、事ここまで至って、東京佐川というとんでもない忌まわしい事件にまで発展をして、そして今やそれこそ日本じゅうを大騒ぎさせているわけでありますから、ぜひひとつ今回は、今の大臣のお話のとおり厳正な、そして十分な連絡をとっての措置をお願いをいたしたいと思います。  それでは、次にプルトニウムの方に移らせていただきます。  大臣の所信表明の中に、ことしはプルトニウムの輸送を行うことになるということで触れていらっしゃいました。プルトニウムの輸送そのものについてはいささか意見があるところでありますが、きょうはそのプルトニウムの輸送に関する海上保安庁の護衛体制といいますか、大丈夫でしょうね、海上ジャックに遭ったりすることなどないでしょうね、そういう非常に強い懸念がございますから、ぜひその点についての海上保安庁の方のお取り組みについてお答えをいただきます。
  69. 小和田統

    ○小和田政府委員 プルトニウムの海上輸送は本年秋に予定されているわけでございますけれども、海上保安庁といたしましては、これを安全かつ円滑に実施するために、一つは、現在護衛に必要な機能を持った巡視船を新しく建造中でございます。それから、関係諸国との協議を進めるとともに、護衛に従事する要員の研修訓練を進めているところでございます。護衛計画の作成等、諸準備を計画的に進めまして、護衛の万全を期することとしております。
  70. 常松裕志

    ○常松委員 時間がありませんから、それじゃ、もう少しと思いましたけれども、わかりました。じゃまた改めての機会に御質問させていただきます。  次に、鉄道局長の方に鉄道関係について幾つか御質問させていただきます。あるいはこれは鉄道局長じゃなくて大塚さんの方なのかもしれませんが、利用者の立場に立った交通施設等の整備ということは非常に今回の大臣の御所信の中でも強く触れられておりましたし、私どもも強くそのことをこれまでも主張してまいりました。  そこで、最初に、こうした利用者の立場に立った、利用者に優しい交通施設づくりについて、ことしこの予算が通れば委員会をつくってそこで具体的な点について検討していくということでありましたけれども、前回私、質問の中で要望しておきましたが、その委員会の中に障害者の団体の代表、特に現実に、運輸省、運輸大臣も御存じのとおり車いすの団体の方々その他が非常に活発に活動していらっしゃるわけでありまして、問題意識を持って活動していらっしゃる方がいるわけであります。そういう方々の代表をきちっとその委員会の中に入れる準備を進めていらっしゃるかどうか。
  71. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 来年度予算が成立しまして四月以降にそのような委員会を設置することも検討しておりますが、委員会を設置する場合には、委員の中に障害者の方々の代表にも参加していただくように考えております。
  72. 常松裕志

    ○常松委員 要望ですけれども、その行動、運動を現実にしている団体の皆さん、これはもう二回目ですから、前回もそのことをお願いいたしましたから、ぜひひとつ具体的にそういった準備を進めていただきたいと思いますが、その際にそういう場で検討していただきますけれども、こういうことは検討されているのでしょうか。  これは、私のところに青梅に住む松永角十さんという人から手紙をいただきまして、この人は御高齢の方なのですが、JRの文字板が小さ過ぎて見えないと言うのです。今だんだん自動化が進んで、コインを、千円札を入れるわけですけれども、その文字板が小さくて、幾らかわからないと。青梅から例えば東京まで、あるいは品川まで幾らかわからない。例えばそういうことなんかも検討の対象にしていらっしゃるのでしょうか、そういった高齢者対策。  あるいは、ここにも国分寺の身体障害者の方で鈴木富男さんという方からトイレの問題、障害者にとってトイレが物すごく壁になっているということで、例えば列車のトイレがほとんど和式だと言うのです。しかし、和式ですと下肢障害者は安心して使えないわけですね。車いすの方は使えないわけです。こういう列車のトイレの実態。あるいはトイレのドアに車いすの今マークが張ってありますね。そうすると、下肢障害者とかあるいは高齢者とか妊産婦の人は利用しにくいんだそうです。あれは車いすの人でなかったら使えないというふうに世間様から見られる。もう少しそういうことを気をつけてほしいとか、車いす用のトイレには物を置く台を置いてほしい、そういうふうな非常に細かな、現実に苦労している方はそういう細かな要望がありますね。  そういう点ほどんなふうに局長、受けとめようとなさっていらっしゃるのでしょうか。
  73. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生ただいまの御指摘、二点あると思いますが、一つは表示の見にくさという問題と、もう一つはトイレの問題でございます。  表示につきましては、これは各駅ごとの壁の状況とか、これが違いますので、大変難しいのでございます。JRなども民鉄も含めまして大変いろいろ工夫をしてかなりよくはなってきていると思いますが、まだ私自身でも見にくいなというときがございます。これは、特に首都圏の場合は連絡運輸などで私鉄の関係、JRだけでなくて私鉄の関係も全部一枚の切符で行けるようにやっておりますので、その全体の駅を表示するということでどうしても小さくなる、そういうところがあるわけでございます。そういう問題はございますけれども、例えば、色を変えるとかいろいろなことで今工夫をしてもらっておりまして、かなり私自身はよくなるだろうと思いますけれども、今後ともこの辺は、一般基準をつくるということ自体は難しいかもしれませんが、見やすくするように工夫をしろということを指示しておりますし、今現に勉強会などをやっている事業者もございます。  それから、トイレの問題でございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、障害者の方が洋式のトイレの方が非常に御利用しやすいということはよくわかっておりまして、順次、例のガイドラインによりまして、こういうのをつくるとしたらこういう仕組みのものをつくれという指示をしておりまして、具体的には着々と進んでいると思います。ただ、絶対数はまだ非常に足りのうございますので、私ども整備目標を与えまして、事業者の方で順次広げていくように今やっているところでございます。もうしばらくお待ちいただければ、主要駅についてはかなり整備が進むだろうと思っております。  今申し上げましたようなことにつきましては、先ほど大塚局長からお答えしました研究会といいますか勉強会の場で障害者の方々からもそういう御意見が当然出てくると思いますので、それを踏まえまして勉強させていただきたいと思います。
  74. 常松裕志

    ○常松委員 その他、これは局長要望しておきますが、障害者の方々が例の運賃割引制度を利用しようとする場合に、JRと私鉄で全然対応が違う。私鉄の場合には子供の運賃を払えばそれで利用できる、ところがJRの方は一々記録用紙に書いたりなんかしていかないと買えない、つまり子供運賃で乗れない、こういうことで要望が来ておりますから、ここらもひとつぜひ工夫をお願いをしたいと思います。  最後に、空港問題について伺いますが、第六次空港整備五カ年計画が決定されました。その中で、首都圏における空港整備につきましてでありますが、特に東京都知事から横田基地の返還についての要望が出されておるはずであります。これはたしか防衛施設庁に対して出されているかと思うのですけれども、防衛施設庁、いかがでしょうか。
  75. 吉田嚴彦

    ○吉田説明員 昨年の七月、東京都都市計画局長から東京防衛施設局長あて、横田飛行場及び多摩サービス補助施設は、多摩の町づくりを進める上で貴重な空間であるので早期に返還されるよう御尽力願いたい旨の要請がございました。
  76. 常松裕志

    ○常松委員 防衛施設庁としてはどういうふうにそれにお答えしたのでしょうか。
  77. 吉田嚴彦

    ○吉田説明員 防衛施設庁としましては、横田飛行場は現在、在日米軍司令部、米第五空軍司令部等、在日米軍の中枢機能が置かれておりまして、また、輸送中継基地及び家族住宅としても重要な機能を有しております。  当庁としましては、当該施設の返還を米軍に求める考えはございません。
  78. 常松裕志

    ○常松委員 外務省に伺いますが、どういう重要な施設なんでしょうか、どんな程度に、安保条約上。
  79. 原田親仁

    ○原田説明員 お答え申し上げます。  横田の米軍施設、区域には、我が国に駐留する米軍の空軍、海軍、陸軍、海兵隊を統括する在日米軍総司令部と在日米軍空軍司令部が置かれるとともに、輸送空軍たる三七四戦術空輸航空団の輸送中継基地となっておりまして、さらに通信等の諸部隊も置かれております。このように、横田の米軍施設、区域は日米安保体制にとって極めて重要かつ中枢的な役割を果たしております。
  80. 常松裕志

    ○常松委員 運輸大臣に御要望申し上げておきますが、東京都知事が多摩地区の開発上非常に重要な地区だということで要望を出しているわけでありますけれども、同時に周辺の住民の方々も、夜間離着陸の禁止とか、そういう環境上も横田基地は返してほしい、そういう強い要望を持っています。そういう要望を防衛施設庁に出しても、防衛施設庁も途中で門前払いみたいな状況でありますから、ひとつぜひ運輸大臣首都圏空港、首都における空港不足ということを考えた場合に、今運輸大臣が大変御努力あるいは御苦労なさっている成田のことも含めまして、将来への東京における空港不足という点からでも運輸省にも関心を持っていただける課題じゃないか、こんなふうに思いますので、ぜひひとつ都知事からの要望を運輸大臣の方にも受けとめていただきたい、こんなふうに思うのでございますが、最後にその点だけお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
  81. 奥田敬和

    奥田国務大臣 補完的な空港として大変都知事からの要望がありますし、また私の方としても重大な関心を持ちながら調査費も計上しておる状況でございますので、そういった御趣旨に沿うような方向努力してみたいと思っております。
  82. 久間章生

    久間委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  83. 久間章生

    久間委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山中末治君。
  84. 山中末治

    山中(末)委員 午前中に佐川急便関係のことにつきまして我が党の議員から質問がございました。私は運輸委員として非常に肩身の狭い思いをせざるを得ないような感じがひとしお強いわけであります。この点について大臣はどのようにお考えだろうかということ、今後の決意もひっくるめてですね。  それからもう一つは、ついに願わぬことが世上に上ってきたといいますのは、運送業者、運送会社というのはそんなに利益が上がるものなのかということが、この佐川急便の関係関係の荷主さんの方で出てきまして、ほかの運送会社等に対して、そんなにもうかるならもっと値段を下げてはどうか、こういうことがありまして、他の運送会社が非常に困惑している、こういう状況が耳に入ってまいりました。これは本当に困ったことでございますが、その点について、運輸大臣も非常に御心配を願っていると思いますが、これも含めて御所見をまず承りたい、このように存じます。
  85. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生、シャドーキャビネットの社会党の運輸担当の閣僚さんでもいらっしゃいますから私も忌憚なく率直に答えさせていただきますけれども、本当に今度のこの佐川の不祥事件を通じて、運輸・物流業界を担当されている同業者の皆さんはもちろんでしょうけれども、運輸と名のつく分野はみんなそれぞれ肩身の狭い思いで大なり小なり悩んでおられるというのが実感だろうと思っております。特に運輸委員会でいわゆる世間で言う運輸関係の諸先生方も、そういった形の中では今まで物流の改革に努力されてきた、それだけに残念無念の思いであろうと思います。  そういった意味で、私も担当させていただく所管大臣として大変残念なことだな、しかしこれを契機に、やはり各物流を担当されている皆さん方は、国民生活の豊かさという面においては最大の貢献をなさっておられる方々ばかりですから、一層の責任を自覚されて、そして世間からいろいろの批判のない健全な業界として立派に立ち行っていただける、その一つの反省、出発点にもしていただきたいなと思っておるわけであります。私も、そういった意味において、今回の事件を契機にさらにいわゆる職員にも襟を正してその任に当たっていくように戒めてまいりたいと存じております。
  86. 山中末治

    山中(末)委員 同じことで心配をなさっていただいているわけですが、担当の局長お願いしたいのですが、これは今申し上げたように荷主さんからそういうことが出てきていますので、これを何らかの方法で、文書、通達を出すとか解説を出すとかいうことで、全国の荷主さんに事の真相というものを徹底していただくという方法はないものでしょうか。これは急に出しましたので、御検討願えるならそれで結構でございますけれども、もしもありましたらお願いしたいと思います。
  87. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  今回の佐川問題に関連いたしまして、私どもといたしましても、佐川急便に対しまして、社会から糾弾されるような不祥事を起こしたことについて大変遺憾だと率直に反省して善後策を講じてほしいということを申し入れているわけでございます。佐川急便側としては、率直に反省して暴力団との関係を断ち切る等の対応を真剣に考えたいという御返事はいただいております。  先生指摘のようなことにつきましても、今後勉強させていただきたいというふうに思っております。
  88. 山中末治

    山中(末)委員 何らかの形のある状況でひとつお願いを申し上げたいと御要望申し上げておきます。  実は、今度の大臣の所信表明を聞かせていただきました。その中で観光が果たす役割というものを非常に字数を加えて言っておられます。特に、九〇年代観光振興行動計画というものを一九八八年の四月に発表されておるわけであります。それからしばらく時期がたつわけでございますが、この機会に、観光、レジャー、レクリエーション等の問題についてひとつ基本的な考え方お話し申し上げて、そして行政実務を進めていただきたい、こういうように思いますので、その一点に絞って質問を申し上げたいと思います。  観光とかレジャーとかいろいろな余暇活動とかいうことを言われていますけれども、西欧諸国、先進国等の状況を見たり、あるいはまたフランス、イタリー、ドイツ等の憲法等を教えてもらったりしますと、やはりそういうものに関して一定の規定があるわけですね。働くということと休養するということ、この規定がある。日本の憲法でもそういうことが二条にわたってうたわれていると思いますので遜色はないと思いますけれども、実際のそういうレジャーを活用するという面になってきますと西欧諸国の方がはるかに進んでいるのじゃないか、言葉を変えますと、人間性というものを尊重して働くということと、それからいわゆるバカンスということとうまく割り振りしているのじゃないかな、そういう奨励もしているし、そういう施設等、あるいはまたそういう考え方もずっと根づいてきているのじゃないかというふうに思いまして、憲法では規定をされておりましても、まだ日本の場合はそこまで徹底していないなというふうに感ずるわけであります。  私は、バカンスということにつきましては、人が自分または自分たちの意思で自由にその過ごし方を設計し実行できる時間のことだというふうに考えておるわけでございます。それは、一日の中の何時間とか一週間の中の一日とか二日とかそういうような休みではなくて、一定の長さを持った期間であり、その使い方にほかからの強制を受けることがない、まさに人間が主体的に生きようとすることのできる時間帯だ、こういうふうに実は考えておるわけです。  こういう観点からこの九〇年代観光振興行動計画を読みますと、実に興味の深い内容で、そこまでよく検討されたなということに思い当たることが出てきます。ただし、残念なことには、まだ数年しかたっていませんから、実行が緒についたばかりだろうなというふうに思いますけれども、そういう機会であるからこそ、余暇とかレジャーとか何とかかんとかというより、やはりこの際、西欧ではるか昔からやっていますように、バカンスという概念、これをひとつ徹底して普及していき、国民各位に対してもそういう面での啓蒙、これをしていくべきじゃなかろうかなというふうに思っているわけです。  私も観光振興等については非常に強い関心を持っていますけれども、えてして、国あるいはまた地方公共団体も含めて、入れ物をどうつくるかとか施設面の充実が非常に先行しまして、そういうところを利用するバックグラウンドにある国民に対しての余暇のつくり方、バカンスのつくり方等はまだまだ徹底が不十分じゃなかろうかなというふうに実は感じておるわけであります。  入れ物をつくるのもこれは一つの方法でありますけれども、そういう考え方でいきましても、通産省の推計によりますと、余暇関連消費、これは一九八六年で五十四兆四千億という数字が出ています。これは通産省がお調べになった上での推計でありますが これは実に国民総生産の一六・四%を占めるという大きさでございます。また、将来的には経済成長率を上回る八%ぐらいが見込まれていくんじゃないかなということも書かれています。一九九五年にはこの全余暇関連消費は実に百十兆円に達する、二〇〇〇年には百六十三兆円の市場規模に達する、こういうことが言われています。  こういう大きな余暇関連市場、これは私たちが想像する以上の巨大な市場というものを形成しておるわけでございまして、これはなおざりにすることができないなというふうに思っていましたら、この今回の大臣の所信表明の中にも、その趣旨を生かして、「地域の特性を生かした観光施策を総合的・計画的に推進すること」と書かれていますから、この機会に本当にこの観光、レジャー、余暇活動というもののバックボーンをひとつ入れていただきたいなというふうに感ずるわけであります。  私は、今言うことがありませんので、この内容を見て、余暇とかレジャーとか観光とか言っていますけれども、それはそれでいいのですが、それを含んだ利用する側の促進といいますか、休養期間といいますか、これがございます。この九〇年代観光振興行動計画によりますと、一例ですが、いわゆる利用の時間帯、休暇の平準化といいますか、年間平均してお客があるようにとか、そういうことがうたわれていますけれども、本当にバカンスというものをこれからは、国際的な紛争、貿易紛争もあって、日本人は働き過ぎじゃないか、仕事ばかりやっておるということ、これが貿易摩擦の原因にもなっている。それともう一つは、日本人とつき合いしても、日本人というのはとにかく物も言えば仕事の話ばかりしよる、そんなものはちょっと信用できへんでというふうなことで、日本人自身が疎外をされてきている、こういう現象なきにしもあらず。これは過去、今まではよかったのかもわかりませんけれども、これからはちょっとそれだけではぐあい悪いなというふうに思いますので、このバカンスということを使わせてもらって、そしてこれについての考え方をお聞きしたい、こういうふうに思って来たのです。それで、このバカンスに対する意識の指導、国民に対する意識もしくは指導の強化、これを大いに深めるべきだというふうに考えますが、大臣、そのあたりはどういうお考えでございましょうか、お聞きをいたしたいと思うのです。
  89. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私たち日本も、ほかの国から見れば大変経済大国、そういった意味では豊かさを誇れるようになりましたけれども、自分たちの生活実感を通して果たして豊かなんだろうかということを振り返るときに、残念ながら、ゆとりとかそういった形を生活実感として感ずるわけにはまいりません。  先生も言われましたように、私たちは民族特性といいますか、働き過ぎといいますか、ともかく勤勉を最大の美徳として、ともかく一直線に、人一倍汗を流すことに価値観を見出してきたような立場であります。したがって、同じ旅行一つ見ていても、ともかく早く目的地に着き、そして何でも早く事を済ませ、もう外国へ行ってもショッピングに殺到して、そして肝心のバカンスを自分の心のゆとりなり次のいわゆる生活活力に持っていくという形においてはとても下手くそだ。世界の人たちから見ても、何と慌ただしくそそっかしく、そして金だけはぱっぱっとまき散らしていくという形で、やはり批判のあることも事実でございます。  今の若者が、いたずらに収入だけより、少しでもゆとりのある短時間労働なり余暇なりという形を大切にする傾向になってきたことは、ある意味において、我が国が国際化していくその過程の中で、本当に趣味なりそういったものを生かしたバカンスをうまく利用する、そういった方向に若者の思考も少しずつ変化していっておるように感じられます。私は、そのこと自体とても大切なことだと思います。そして、国の施策も、ゆとりある生活実現、その裏表に、このバカンスをいかに国民が有効に、しかもリフレッシュして次の生産活動なり社会活動に結びつけていくかという形にみんな真剣にやはり考え石必要があるなと思っております。  したがって、これらの形は大きな政策目標であることは当然でございます。したがって、やはりこれは運輸省努力しなければいかぬことは当然でありますけれども、労働、文教、その他の関係行政機関にもみんな関連することでありますから、私たちは、国内においてもバカンス利用のために、魅力のある、家族が一緒になってある程度の余暇時間でリフレッシュできる、そういった施設の整備も必要でございますし、その意味において、小さいことながら家族旅行村とかそういった施設整備にもできるだけお手伝いをしてまいろうということで、先生の御指摘のように、バカンスを新しい有効なリフレッシュの手だてとして、ゆとりある形の生活大国を目指す上において、私は政府も各行政機関も一致してこういった風潮を助長していくように努力していきたいと思っております。
  90. 山中末治

    山中(末)委員 今の御答弁で、次の質問はもうしなくてもいいなと思うのですが、実はバカンス関係につきまして、その推進のためにどこの省と庁が関与しておられるのか、これはお聞きしましたら、十七省庁ぐらいというお話を聞きまして、これはえらいことだなと。えらいことというのは、まとめていくのがね。それだけの省庁がまとまってバカンスの奨励とかそういうことになれば、これはまた画期的なものができるというふうに思うのです。今の私の感覚では、総論賛成、各論困難という状況があるのじゃないかなという感じがいたします。細かい質問の内容も持ってきましたけれども、今大臣の御答弁の中でそれも含まれていますので、若者がどういう指向をしているとか、国民がどういう指向をしているとか、これは省きます。  それで、私はここで所管大臣として特に運輸大臣お願いしたいのは、所管でございますから、それも各省庁との関係がございますから、ちょっと言葉は悪いけれども、余り力のない大臣では今までのような形で総論賛成、各論困難ということが続いていくんじゃないかなという心配があるのです。そこで、実力大臣と言われている運輸大臣が、この機会に、日本国民がそれぞれバカンスを享受できるような、そういうことに向かって機関車的な、人様を機関車に例えるのは申しわけないのですけれども機関車的な強い動きをしていただけないだろうか、このように実は考えているわけであります。  そういうことを考えて、要望をしようとしてずっと調査しますと、やはりバックグラウンドがまだ弱いのですね。バカンスを生み出す立場の人が弱い。これはもうお気づきだと思うのですけれども、労働組合あたりが、大きな組合あたりは、年次有給休暇の完全消化とかあるいは週休二日制の徹底の問題とか、またその他のいろいろな機会に休暇を設けるとか、いわゆる労働時間の短縮も含めて休む日を多くしようという要望が、ゆとりと豊かさという表現を使っていますが、実に大きなファクターで上がってきているわけですが、現場へ行きますと、実は一泊二日しか今行けへん、しかしもう一日休みがあれば家族ぐるみで行きたいんだ、こういう要望が非常に強いのですけれども、なかなかそれだけ年次有給休暇がとりにくい。自分が年次有給休暇で休んだら白い目で上から見られる、こういうのが相当たくさんありまして、大きな課題として、大きな流れとしてぐっと盛り上がっている割にはなかなか年次有給休暇がとれない。大企業でもそうですから、中小零細企業なんか特にそうですね。  これは運輸大臣の所管ではございませんけれども、そのあたりもひっくるめて機関車的な役割を果たしていただかなければ、これは容易に進まないのじゃないか、また入れ物とか景色とかそういうものばかりが整備をされて、本当にそれを使おうとする国民側がなかなかそれに即応しないのじゃないかという感じがしてなりません。今日までの経過が私は悪かったとは思っていませんけれども、まだ緒についたばかりですから、この機会国民にバカンスをとってもらう、そしてまた労働の再生産にそれを活用していただくということで、大臣、何回も言いますけれども、実力大臣のときにそれをひとつ強力に進めていただきたいと思いますが、いかがなものでございましょう。
  91. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御持論に私は全く共感しております。先生は自治体の責任者としての長い御経験もおありになりますし、私は率直に言いまして、最近の傾向はとてもいい方向に行っていると思っています。特に、ふるさと創生事業という形の中で、各自治体が本当に自分たちの文化や歴史に目を向けて掘り起こして、魅力のある自治体づくりに、しかも外からのお客様誘致に大変なそれぞれ情熱を燃やしてこられたように思っています。先生の京都のような全部が史跡と文化の塊みたいなところは別といたしましても、全国で本当に魅力のある形で町づくりが行われるようになり、旅行客、家族客の受け入れ施設等も徐々に整備されてきておることは御存じのとおりですし、特に運輸省は観光面を担当する行政庁として、いろいろなお祭りとかそういったイベントなんかにも積極的に参加して全国の自治体の魅力ある町づくりに協力しているわけですけれども、こういったことが全国ネットで完成されていくと同時に、家族が安く受け入れられるという施設整備も相まっていけば、これは私が別に先頭に立たなくても、自治省ももちろんこれに対しては協力的ですし、厚生、文教、労働はもちろんでございますけれども関係省庁に私は機会あるごとにこのことは大きく訴えていきたいと思っております。   ただ、目玉として、本年度は実現できませんでしたけれども、恐らく先生の御指摘も、バカンス利用で、最近は国内もさることながら、海外にも出かけられるようになりました。三泊四日までは社員研修の名目で税制上の恩典があるわけでございますけれども、これを何とか四泊五日に持っていきたいということで努力したわけでありますが、ことしは残念ながら見送らざるを得ませんでした。  こういったことも一つの突破口として、できるだけ国際的な、ほかの国を見てくることも勉強ですし、そしてまた国内的にも、風物、伝統の違う文化の違いの中からまた日本のすばらしさをみんなが味わっていくことも大切でございますから、何とかひとつ各省庁この面に関しては、バカンス利用という形に関しては、日本人は本当にゆとりを持つようになってきた、自分たちの住む土地柄にも自信と誇りを持つようになってきたという形を育成する上においても、私は教育者の人たちにもこのことを強く訴えて、これが定着するように、私はその意味においては、機関車になれと言われれば機関車にもなり、トロッコにでも何でもなって頑張ろうと思っています。
  92. 山中末治

    山中(末)委員 機関車になれとおっしゃられれば機関車にもなるしという力強いお考えを聞かせていただきまして、本当にありがたいなと思っております。今おっしゃったような、今のバックグラウンドの殻を突き破っていかぬと、また日本の国、国民というのは昔のままのところに逆戻りしていくのじゃないかと思いますので、一段の御努力お願いしたいと思います。  それから、今ちょっと大臣触れられましたけれども、次はやはり費用の問題でございますね。これをもう少し触れようと思っていましたが、その後、いろいろ費用の低廉化の問題、それから海外旅行の税金の問題もございますが、そういうものについて運輸省として御尽力されております。これからまだまだ努力をしていかなければならぬところもおありになるんじゃないかと思いますので、その旅行、バカンスを実行するための費用の低廉化について、実行されてきたこと、あるいはまたこれからお考えになろうとしていること等がありましたら、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  93. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 バカンスが普及してまいりますとともに、長期にかつ低廉な旅行をしたいというニーズも増加しておりますので、私どもとしましては、観光旅行施設についても、家族旅行村、家族キャンプ村あるいはユースホステル、こういった安い施設を整備して活用していただく、また交通機関の運賃についても、シーズンオフには安く旅行できるようにする、こういった施策について今までも努力してまいりましたし、今後も一層検討し、努力していきたいと思います。
  94. 山中末治

    山中(末)委員 実はきょうこういう御質問を申し上げましたのは、今までどんな委員会でも余り観光とかバカンスの問題とかいうのは取り上げられずに、本省の中でいろいろ御協議して予算化して努力しておられるということでありますので、これはやはり非常に国民生活に大事なものだということを趣旨を徹底して、そしてみんなが認め合って、そういう方向でいこうじゃないか、それが国際緊張の解消にもつながるし、日本人の不信を解消することにもつながるし、市場性もあるしということで、ひとつここで再確認をして、大臣以下運輸省皆さん方の一段の御尽力をお願い申し上げまして、質問を終わります。
  95. 久間章生

    久間委員長 細川律夫君。
  96. 細川律夫

    ○細川委員 昨日の奥田運輸大臣の所信表明の内容につきまして、私のほうから、時間の許す限り運輸行政の点について質問をいたしていきたいというふうに思います。  その前に、佐川急便問題について一点触れておきたいと思います。  今、国民の中から政治不信の高まりが極度に達していると言っても過言ではないというふうに思います。共和事件、そしてまた佐川急便事件、これが新聞等のマスコミによって報道されない日はないわけでございます。  特に運輸省につきましては、他の省庁と比べまして許認可権が一番多い省でございます。大変強い権限が与えられております運輸省でありますから、この行政の公正さということについてもこれを厳正に運用されていかなければならないと思うところでございます。  そういう意味で、この佐川急便問題については、こういうことが起こりましたことは大変残念に思いますけれども運輸行政についての指導監督の最高責任者であります大臣から、もう一度この点についてのお考えをお聞きいたしたいと思うのであります。
  97. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私、昨年十一月に運輸大臣を拝命する以前は、比較的この運輸行政そのものを外から眺める傍観者の立場にすぎなかったわけであります。正直言いまして、特に物流関係の中で、ペリカンの日通、あるいは飛脚の佐川、クロネコのヤマトといったような大手の物流関係皆さん方が本当によく苦労しているなと。言ってみれば自分たちの生活に、ドア・ツー・ドアという、私たちの生活もだんだんぜいたくになってまいりましたから、そういった意味においては大変みんな頑張っておられるなという思いで見ておったわけでありますけれども、ここを担当するようになりまして、今までの運輸委員会等々の諸先生方の質疑内容というものを議事録を通じて勉強させていただく過程の中で、今まで指摘されたいろいろな問題点、そういったことに果たして行政に過ちがなかったのだろうか、的確な管理体制をしいてきておったのだろうかということも反省材料として私自身思いを強くいたしました。  わけて、今回の佐川急便グループによって派生した不詳事件は、運送本業の面と違って、それだけに暴力団絡み、そして大きな株式投資による不良債務、こういった形の中で、まじめに運送に携わってきて、まじめに汗を流してきた、あの佐川に限らずこういった従業員、そういうグループの人たち、どんなにかこの問題に関して残念な思いをしているだろうなということを思いますときに、私たちも反省しなければなりませんし、その人たちの立場も思うときに、今後の運輸行政を担当していく立場として、許認可権の多い、指摘されるとおりでございます、そういった権限の多い役所であるがゆえに、公正厳正に今後とも国民皆さんから指弾を受けないような行政の責任を果たしてまいらなければならぬなと、反省とともに自覚をしておる、責任を感じておるところでございます。
  98. 細川律夫

    ○細川委員 大臣の方から、運輸行政について公正厳正な運営を行っていきたいという御答弁がございました。今国民皆さんからは、行政と業界が癒着をしているのではないか、あるいは業界から政治家に多くのお金が流れている、政治家と業界と癒着をしているのではないかという政治不信が大変高まってきているところでございます。その不信解消のためにも、先ほど大臣が御答弁になりましたように、ぜひ厳正公正な行政をお願いいたすところでございます。  この佐川急便グループについての数々の違法行為につきまして、既に同僚の委員の方から質問がございました。余り繰り返しては質問をいたしませんけれども運輸省として特別監査を何回か行い、いろいろな処分も行ったというような御報告もございました。この運輸業界において、果たして佐川急便グループのほかにもこのような違反をするような業者がいたのかどうか、この点についてはまだ御報告がありませんので、この点についてはいかがでしょうか。
  99. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 佐川急便グループにつきましては、過労運転あるいは長時間労働の問題がありまして、先生今御指摘のとおり、私どもは監査あるいは行政処分、さらにはその後の制度面にわたる指導というものをやってきたわけでございます。  先般、貨物自動車運送事業法の制定ということを当委員会で御議論いただいたわけでございますが、トラック業界におきましてはどうしてもこういう長時間労働あるいは過積載の問題が体質的にあるわけでございまして、私どもとしては、新しい法律ができたのを機会にそういう面の行政につきまして全力を挙げて対応していくべきことではないかというふうに認識しております。
  100. 細川律夫

    ○細川委員 私が質問いたしましたのは、運輸省の方で特別監査を何回か行っていろいろな行政処分を行った、こういうような業者がほかにもあるのか、こういうのは佐川急便グループだけではないのか、こういう質問ですけれども、いかがですか。
  101. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 それぞれの地方の運輸局において、過労運転あるいは過積載等で処分をした実例はあるわけでございますが、このように大々的に違反をやった業者というものはほかにないというふうに聞いております。
  102. 細川律夫

    ○細川委員 午前中の同僚委員の質問で、佐川急便グループの合併の申請についていろいろ質問がございました。これから審査をして決めていくということでありますけれども、私は、この佐川急便グループの合併の問題の前に、法律では運送事業の免許の取り消しという制度もあるわけでございます。そういう点について、そもそもこの佐川急便、特に東京佐川急便などについては免許の取り消しに値するような会社ではないか、運送業者ではないかというふうにも思うわけでございます。午前中の質問の中でも出てまいりました数々の法令違反の悪質な行為が繰り返し行われていたわけでもありますし、また、暴力団関係ともこれまた大変深い関係にあるわけでございます。さらには巨額の債務保証という問題。  特にまた私が指摘をしたいと思いますのは、運送業の免許をもらうには、申請のときに許可になるには、役員に刑事罰がないというようなことも要件になっているわけでございます。例えば、貨物自動車運送事業法の第五条に「欠格事由」として、「一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」、こういう者がいる場合には許可が受けられないということになっているわけでございます。そして、第三十三条には「許可の取消し」、こういうことで、同じように欠格事由にあたるような場合が出てきた場合には取り消しができるということに規定がなっているわけでございます。  したがって、今度の東京佐川急便のような場合、今は代表取締役ではありませんけれども、前渡辺社長などは商法の特別背任ということで既に捜査の対象となっており取り調べを受けているわけでありますけれども、この東京佐川急便での最高責任者といいますか代表取締役が、いずれ司法の場で懲役刑を受けるであろうということが容易に予想されるわけです。果たして、こういう人がいたこういう会社については、許可の取り消しというようなことも考えられないのかどうか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  103. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  佐川急便グループあるいは東京佐川急便につきまして、御指摘のようないろいろな問題が報道されているわけでございますが、貨物自動車運送事業法の三十三条の規定に基づきます「許可の取消し等」につきましては、事業者が貨物自動車運送事業法もしくはこの法律に基づく命令もしくはこれらに基づく処分等に違反したときと、あるいは欠格事由に該当するに至ったときということに限定して発動要件を決めているわけでございます。暴力団とのかかわりとか債務保証等を行ったことを理由に許可を取り消すこと自体は難しいと思います。  ただ、先生指摘のように、その役員がそのまま居座れば、それで刑が確定すれば欠格事由になるようでございますので、私どもとしてもこの問題は大変なことだというふうに理解をいたしまして、佐川急便グループに対して、こういう社会から指弾されるような不祥事を起こしたことについて、我々としても非常に遺憾で、率直に反省して善後策を講じてほしいということを申し入れているところでございます。グループにおきましては、私どもに対する答えとしては、率直に反省している、暴力団との関係を断ち切るように真剣に対策を立てているところだというような返事をいただいているところでございます。
  104. 細川律夫

    ○細川委員 佐川急便グループ、特に例えば東京佐川急便に対して自主的な改善というようなことを求めるのは、これまでの当委員会での審議の中でも、これは大変難しい、困難なことだというのが私ははっきりしたのではないかというふうに思います。そうしますと、運輸省の方でむしろ積極的にこの問題に取り組んでいくということが必要であろうというふうに思います。そういう意味で、この東京佐川急便のような体質的にこういうような悪いことを重ねていくという会社については、許可の取り消しなども含めて今後検討していく、そして積極的な対処をしていただきたいというふうに私は思うところでございます。  そこで、運輸省の方にお聞きをしたいのは、このような佐川急便グループだけではなくて、いろいろな法律違反をする業者に対して今後運輸省としてどのような対処をされていくのか、その点についてお聞きをいたします。
  105. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 佐川急便の問題でほかの事業者とのかかわりとの関連でいきますと、過労運転とか長時間労働の問題が非常に重要かと思いますが、これにつきましては今まで監査とか行政処分とかいろいろ指導してきたわけでございますが、これと同じような業者がいた場合には、今後とも労働省と協力しながら必要な指導を進め、さらに具体的に貨物自動車運送事業法違反の事実が確認されれば、厳正に対応したいと思います。
  106. 細川律夫

    ○細川委員 今国民の目は運輸省に対して大変厳しい目が向けられているものと思います。そういう意味で、先ほども大臣も御答弁がございましたけれども、公正で厳正な行政を積極的に推し進めていただくことをお願いを申し上げて、次に移りたいと思います。  昨日の大臣の所信をお聞きをいたしました。その基本的な考え方のところでお伺いをいたしたいと思いますけれども、昨日大臣の方からは、今後の運輸行政についての基本的な考え方については、「昨年、運輸政策審議会からお示しいただいた、二十一世紀に向けての九〇年代の交通政策の基本的課題への対応についての答申を踏まえつつ、」「運輸行政を積極的に展開してまいります。」という所信が表明されたわけでございます。この昨年出されました運政審答申を踏まえつつということは、この運政審答申に沿ってこれから運輸行政を積極的に展開をしていくということだろうと思います。  そこでお聞きをいたしますけれども、この運政審答申の基本的なところは、利用者の立場に立った、人と環境に優しい運輸行政、こういうことでございます。この人と環境に優しい運輸行政ということについては大変抽象的でもありまして、具体的になかなかわかりにくい。そこで、この人と環境に優しい運輸行政というものは一体どういう運輸行政であるかということについて、御説明をいただきたいと思います。
  107. 奥田敬和

    奥田国務大臣 答申の提言が言わんとしているところは、結局豊かさが実感できる国民生活といいましても、これは利用者の立場に立った優しい施策を展開していくことに尽きるだろうと思っています。したがって、各種交通機関が本当に利用者側から見て快適で利用しやすい、まあこういうことを言えば、すぐラッシュ時における混雑の状況とかターミナルの施設が不備だとかいろいろな御指摘があるわけでございますが、これらの諸施設を含めて改善を積極的に推進していく、と同時に、交通弱者に対するいたわり、それらに思いをいたしたいわゆる優しい施設、そういったことを行政のモットーとしてやっていく、このことが提言の基本的に主張されている姿勢であろうと思います。  そういったことで、交通弱者に対する思いやり、優しさ、そういったことが施設諸全般にもサービスにも見られるような方向でこの政策を推進してまいりたいと考えておるわけでございます。
  108. 細川律夫

    ○細川委員 今、大臣の御答弁の中で、いみじくもラッシュ時の混雑の緩和というようなものが出てまいりました。  私は今この国会に来るには、埼玉の東部の地域から電車で来ておりますけれども、東武線あるいは営団地下鉄線を利用して国会に来ております。その朝のラッシュあるいは夕方から夜にかけての混雑ぶりというのは、これはまさに、きょうこの委員会の部屋におられる皆さん方も利用されている方はもうすべての人が感じているだろうと思いますけれども、人に優しいという、そういうような電車の中の状態では全くないわけでありまして、もうその混雑たるや、本当に文字どおり身動きができない状態でずっと通勤あるいは通学をしているわけでございます。さらには、駅なども大変混雑をいたしまして、いつ重大事故が起こるかもわからないような大変危険な状態でもございます。  したがって、私は、今大臣の言われます人に優しい運輸行政というものは、緊急な課題として首都圏のいわゆる通勤通学のラッシュあるいは駅等における混雑を緩和する、これをぜひとも早急に解決をしていただくということが人に優しい運輸行政というのではないか、そこが非常にわかりやすい具体的なことだろうというふうにも思います。したがって、いわゆる首都圏の通勤通学のラッシュの緩和、あるいは混雑の緩和、これについてどういうようにこれから進めていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  109. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいままさに御指摘のとおりでございまして、私どもの方で今まで通勤通学鉄道の混雑緩和というのはいろいろ努力してまいっております。その結果、首都圏を取り上げてみますと、ここ二十年ぐらいを見ますと輸送力自体は二・二倍にふやしております。その当時の混雑度は二五〇%というのが平均的なものでございました。一方、二・二倍に輸送力をふやしましたが、通勤通学者の方も、一定時間をとりますと一・八倍にふえていらっしゃいます。その結果、混雑率が、これは平均でございますが、二五〇は今二〇〇%ちょっとというところまでやっと落ちてきたところでございます。  しかし、これではまだまだ不十分でございますので、私どもといたしましては、なお一層改善の必要があると思っていろいろな政策を考えているところでございます。具体的には、いろいろな補助制度などを活用しまして複々線化を図る、あるいは新線建設をするというようなこと、さらに、すぐできる手段としては列車編成長を延ばすとか、こういうことで鉄道の混雑緩和対策を一層推進してまいりたいと考えております。
  110. 細川律夫

    ○細川委員 今の答弁では多少緩和をされているということでありますけれども、そもそもこの混雑率が二五〇%ぐらいなんというのは、これはもう人を運ぶのではなくて、むしろ物だ、そんなことではなかろうかというふうに思います。  ただ、この鉄道関係、いろいろな整備をするにはお金、資金が大変多く必要だろうというふうにも思います。そういう意味では、昨年鉄道整備基金がつくられましたので、この活用が今後の大きな課題でもあろうと思います。  そこで、この鉄道整備に関しては、何といってもやはり中期、長期の計画的な、しかも着実な政策というものを進めていくということが必要であろうというふうに思います。そういう中期、長期の見通しに立った上での政策というのはどういうふうに進めていかれるのか、教えていただきたいと思います。
  111. 井山嗣夫

    井山政府委員 今先生の御指摘のように、やはり鉄道が都市交通のかなめになっておるということは事実でございます。それから、最近では環境問題とかエネルギー問題というのが大変難しくなりまして、交通渋滞も激しい、それから都市の機能分散も図らなければならないという意味で、鉄道役割というのが大変見直されてきていると私ども認識しております。  ただ、一方、鉄道は、先生今御指摘のとおり、投下資本が非常に大きくなっている、それから投資の懐妊期間が長い、それから採算性が長期的に見ても苦しいというところから、相当計画的に取捨選択しながら整備を図っていくという必要があると思います。  そこで、私どもといたしましても、やはり二十一世紀というものを踏まえまして、単に場当たり的ではなくて、相当中長期的な見通しに立って鉄道整備をどうしていくかということを勉強しなければならないということで、そういう意味の政策指針と申しますか、ビジョンと申しますか、こういうものをつくっていただきたいということで、昨年の六月に運輸政策審議会に二十一世紀に向けての中長期の鉄道整備に関する基本的考え方というものにつきまして御諮問を申し上げたところでございます。現在、鉄道部会等も特に設けていただきまして、さらにその下の小委員会というところで非常にいろいろな立場からの御議論をお願いしておりまして、何とか二十一世紀を踏まえた鉄道ネットワークの整備とか、あるいはさらに幹線鉄道につきましては高速化を図る、通勤通学輸送の大改善を図りたい、こういうことで、いろいろなソフト面、ハード面、両面からの御検討を今お願いして、やっていただいているところでございます。
  112. 細川律夫

    ○細川委員 今お答えのありましたように、運輸政策審議会の方に審議をしてもらっている、この点については昨日の大臣の所信の中にもあったわけでございます。その、今言われました運政審の方の諮問に対する答申は、いつごろ出てくるということになっておりますか。
  113. 井山嗣夫

    井山政府委員 この審議会におきましては、鉄道委員会が今中心に議論をしていただいております。今までに五回開催をしておりまして、さらに今後とも数回続けていきたいと思っておりますが、目標といたしましては、ことしの夏ごろに御意見を取りまとめていただいて答申をしていただく、そこでまだ結論が出ない場合にはさらに議論を続けていただくということで、ことしの夏というものを一つの取りまとめの目標、ターゲットにしているところでございます。
  114. 細川律夫

    ○細川委員 ありがとうございました。  続いて、先ほど山中委員からも質問がありました観光のことについて、私の方からも若干お尋ねをしたいというふうに思います。そこで、私のほうから具体的にお聞きをする前に、観光についての運輸省の基本的な考え方、特に大臣の所信の中でもありましたけれども、「自由で個性的な生き方が求められ」まして、今内外を問わず相互に理解を深めるという意味で、観光の果たす役割というのは大変重要でございます。そういう意味で、運輸省の観光に対する基本的な考え方、今後どういうふうに進めていくかということを、簡単で結構ですけれども、御説明いただきたいと思います。
  115. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先ほどは山中先生から、バカンス利用を通じて本当に国民がリフレッシュしていく、そういった形を育てていくことが生活大国への、豊かさを実感できる道であるという形での御高説を承ったわけでありますが、私たちは、観光はこういった余暇利用の中でとても大切な、重要な施策であるという観点に立って充実強化を図ってまいりたいと思っております。  特に、地域の活性化にも通ずることでありますけれども、各地方自治体が協力して、それぞれの地域で特色のある観光資源を開発していただく、観光施設の整備を図っていただくということをお手伝いしてまいりたいと思っております。  また、余暇利用の国際観光につきましても、いわゆる外国と日本の相互理解に貢献できるものであると同時に、いわゆる豊かな生活実感、それを海外の旅行を通じて得ていただくように、またそのためには、具体的には、先ほども申しましたけれども、税制の改正をすべき点はすべく努力いたしまして、現在三泊四日というものを、四泊五日の研修を税制の控除対象に持っていくことを目玉として、これも努力していきたいと思っております。  いずれにしても、観光政策、これを担当する役所として、豊かな国づくりの先兵役として、先ほども機関車になって頑張れということでございました、その方の目的に沿って全力を尽くしたいと思っております。
  116. 細川律夫

    ○細川委員 大臣からの積極的な御答弁がございまして、大変うれしく思うところでございます。  昨日の所信の中でも述べられました、国内の観光につきましては、九〇年代観光振興行動計画というものを立てられて具体的に観光政策を推進をされているわけでございます。この点についてはもう詳しくお聞きはいたしません。  次に、海外の旅行の方について、観光についてお聞きをしたいというふうに思います。  日本の国から海外に旅行するという人が大変多くなってきているわけでございます。昨年は既に一千百万人の方々が海外へ出ているわけでございます。これは、先ほどからも出ておりますように、所得水準の向上とかあるいは自由時間の増大というようなことから旅行者も多くなっているわけでありまして、運輸省の方で以前に策定をされました海外旅行倍増計画、テン・ミリオン計画というのも、その達成が目標時点よりも以前に既に実現をしているわけでございます。  そこでお聞きをいたしますけれども日本人が海外に旅行をする、これは一体どの国にどれくらいの人数が行っているのかという点についてまずお聞きをしたいと思います。簡単で結構でございます。
  117. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 平成二年における海外旅行者の総数は、先ほど先生も御指摘のとおり約千百万人でございますが、国別に見ますと、多い順に、アメリカが約三百六十八万人、韓国は約百三十八万人、香港が約百万人等々となっております。
  118. 細川律夫

    ○細川委員 今一番多いアメリカで三百六十八万人という方が旅行されているわけなんですけれども、これらの三百六十八万人がアメリカに行く、それによってどれぐらいのお金を使っているのか、いわゆるアメリカに日本人が旅行することによってどれくらい外貨で日本がアメリカに貢献をしているのかという点では、どれくらいになるでしょうか。
  119. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 ちょっと一方だけの額はわかりませんが、収支という形で見ますと、日銀統計で平成二年に約二百十四億ドルの赤字となっております、旅行支出全体が。そのうち日米間だけを見ますと、その赤字は約八十三億ドルでございます。
  120. 細川律夫

    ○細川委員 今、日本とアメリカの間では、貿易収支が日本の方の黒字が多い、アメリカが赤字が多い、しかもまたそれもふえている、増大をしているというようなこと、これが日米貿易摩擦などの原因になっているわけなんですけれども、今御説明にありました対アメリカでの旅行による日本のいわば赤字、これは八十三億ドルということでございます。これは日本とアメリカとのいわゆる貿易収支との比較でいくと大体どれくらいになるのでしょうか。
  121. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 平成三年の数字があとしばらくしないと出ませんので、平成二年でいきますと、平成二年の貿易収支は、同じく日銀統計によりますと日米間で約四百十九億ドルの黒字でございますので、八十三億ドルの赤字との比較ということになります。
  122. 細川律夫

    ○細川委員 日米貿易黒字として四百十九億ドル、旅行での赤字が八十三億ドルあるということは、これは収支とは全然別個でありますから、私は、旅行の関係日本人がアメリカヘたくさん行くことによって外貨の点では大変な貢献をしているんではないかというふうに思います。しかし、残念ながらこういう点についていろいろなところでなかなか公表されないというのですか、御存じでないといいますか、わからないといいますか、そういう点で大変不満といいますか、こういう点については、運輸省努力の結果こういうようにアメリカとの関係では全体的に見れば黒字減らしに大変貢献をしているわけでありますから、もっともっと宣伝、強調をしていただいてもいいんじゃないかというふうに私は思います。その点いかがでございましょうか。
  123. 奥田敬和

    奥田国務大臣 全くお説のとおりで、もう政府側としてこの面をもっともっと強調していかなければいかぬ、今肝に銘じて感じております。こういったことで国民皆さんも案外そこまでの大きな額になっているのかということは、今先生の御指摘で初めて大きな数字だな、差し引き三百万人以上も日本人の旅行者の方が多いわけで、しかも九十億ドル近いいわゆる支払い超過になっておるということは、まさに日米貿易の黒字減らしの大きな要素になっているということを私たちはもっともっと強調していくべきであろう、またいかなければならぬ、両国の親善のためにもこのことは大いに強調してまいりたいと存じます。
  124. 細川律夫

    ○細川委員 今大臣の方から大変うれしい御答弁をしていただきましたけれども、私はさらに、今大臣も言われたように、これをもっともっと拡大をしていくべきだというふうに思います。  特に海外に旅行をするということは意義のあることでありまして、これは国連の方で一九六七年、国際観光年というのが設けられたときに、そのときのスローガンは「観光は平和へのパスポート」というスローガンになっているわけでございます。そういう意味でも、相互の理解のためにも非常にいいと思いますし、また特に、この間、宮澤首相がアメリカの労働者の労働倫理観の問題で発言をしたことに対して日米双方で何となくとげとげしい空気も出たわけでありまして、そういうことも、この観光旅行、日本人がアメリカにたくさん行く、またアメリカからも日本に旅行者がたくさん来るということによって、相互理解によってその面も、難しい面も解消していくであろうというふうにも思うわけでございます。そういうことで、私は、今、日本がアメリカに旅行している人数、あるいはアメリカから日本に来ている数、これを例えば極端に言えば二倍にしていくとかいうようにしていけば、そういう目標を持ってやれば、日米間の大きな貿易摩擦という面の解消にも大いに役立つのではなかろうかというふうにも思います。  そこでお聞きをいたしますけれども運輸省の方でも観光交流拡大計画という計画をお立てになっているようでありますけれども、その内容などについてお聞かせをいただきたいと思います。
  125. 大塚秀夫

    ○大塚(秀)政府委員 運輸省では、二十一世紀を展望した総合的な国際観光の振興を図るための行動計画として昨年七月に観光交流拡大計画を策定したところでございます。  この計画におきましては、まずアウトバウンド、日本から外国に行く対策としては、国際航空ネットワークの整備や旅行の安全の確保、諸外国の文化や歴史をより深く理解できるような環境整備、こういったことにより旅行の質的向上を図ることとしておりますほか、外国人が日本に旅行するための施策として、アジアを重点とした外客誘致活動の強化、外客の地方都市への来訪の促進、外国人旅行者と日本の市民との交流機会の拡大などが内容として示されておりまして、運輸省としましては、省内に観光政策推進本部を置き、これらの施策に積極的かつ総合的に取り組んでいるところであります。  また、在日外国人の方、各界の有識者、外国政府の観光局、関連業界の代表者などで構成されます観光交流拡大推進会議を昨年暮れに設置し、この計画実施のための具体的な方策について自由な発想に立って御意見を伺い、今後の政策に反映することとしております。
  126. 細川律夫

    ○細川委員 ぜひ積極的な施策推進していただきたいというふうに思います。次に移りたいと思います。  ちょっと順序が変わりますが、昨日、大臣の所信の中でも第四番目に「安全で良好な生活環境の確保」についてということで述べておられましたけれども、この中で地震のことについても大臣の方から述べられておりました。そのことについて私の方から質問をしていきたいというふうに思います。  これはこの間の二月二日の未明でありましたけれども、東京を中心に地震がございました。私も埼玉の方の自宅にいまして、ぐっすり寝ておりましたけれども、突然地震で目が覚めて、その揺れに対して大変恐怖といいますか怖い感じがしたわけなんであります。昨年のあれは十一月十九日だったと思いますけれども、このときにも震度四の地震がありまして、電車などもとまったわけでございます。そういう二カ月半ぐらいの間に中震といいますか中程度の地震が二回も起こりますと、近い将来大きな地震がこの南関東地域でも起こるのではないかという不安も大変感じるわけでございます。  そこでお聞きをいたしますけれども国民皆さんもいろいろな不安を持っておると思いますけれども、この九〇年代に南関東エリアで大地震が起きるのかどうか、起きるというふうにお考えなのかどうか、ないとお思いなのか、その点について気象庁長官の方からひとつお答えいただきたいと思います。
  127. 立平良三

    立平政府委員 中央防災会議の地震防災対策強化地域指定専門委員会昭和六十三年に中間報告を出しておりますが、その中間報告によりますと、関東南部地域である程度の切迫性を有しているのはM七クラスの直下型の地震である、こういう報告を出しております。しかし、M七クラスでありましても局地的には大きな被害をもたらすものと考えられます。
  128. 細川律夫

    ○細川委員 専門的な機関で、南関東でマグニチュード七程度の直下型の地震の発生が切迫性を有しているということでございますから、これは近い将来にはそういう地震が起こるであろうということだろうと思います。  そういう地震が起こったときの被害のことなども大変心配をするわけなんですけれども、これまで地震については東海沖の地震がいろいろな面で検討されてまいりました、あるいは対策も立てられてまいりました。この東海沖地震、そしてまた南関東のいわゆる先ほどの直下型地震、果たしてこれが事前に予測ができるのかどうか、その予測は可能なのかどうかということを専門的にお聞きをしたいと思います。
  129. 立平良三

    立平政府委員 現在、学問的、技術的に予知が可能とされております地震は、先生指摘になりました駿河トラフ沿いで発生するM八クラスの東海地震だけでございます。これにつきましては、監視体制をしき、また、警戒宣言を出す、そういう体制ができ上がっておるところでございます。  先ほど地域指定専門委員会中間報告で指摘のありました南関東の直下型のM七クラスの地震につきましては、その規模がM七と小さいこと、それから南関東地域は非常に厚い堆積層で覆われているとか、あるいは社会経済活動が非常に活発でございますので観測にノイズが入るというふうなことから、前兆現象の把握が非常に困難でございます。現在は、その予知は非常に難しいとされておりまして、気象庁では現在、気象研究所におきましてこの直下型地震の予知に関する研究を進めているところでございます。
  130. 細川律夫

    ○細川委員 直下型の大地震が起こる可能性がある、この予知は現在のところ不可能だということで、大変心配なわけなんですけれども、先日、二月二日の朝に起きました地震ですけれども、この地震の震度につきまして、私どもは目が覚めてすぐにテレビをつけましたら、NHKは震度三でしたかの報道をされていましたし、後からいろいろ聞きますと、気象庁の発表では震度五というようなことで、同じ地震でも、例えば震度が五であるとか三であるとか四であるとか、あるいは六だとか、いろいろ今回の地震では違ったわけなんですけれども、地震の震度でありますから、当然正確にこれを把握をして、そして国民皆さんに知らせるということが大変重要なことだろうと思いますけれども、一体どうしてこういうふうな違いが出てくるのか、その原因とこれからの対応についてお聞かせを願いたいと思います。
  131. 立平良三

    立平政府委員 震度と申しますのは、地震の規模、すなわちマグニチュードとは違いまして、ある場所における地震の揺れの強さでございまして、ですから、ごく少し離れた場所でありましても、その場所の地盤とかあるいは建物の状態によって揺れ方が違うものでございます。したがって、この間のようなNHKと気象庁とのずれというふうなことが生じておるわけでございます。
  132. 細川律夫

    ○細川委員 対応についてはどうなんですか。今後どういうふうにしていくか。
  133. 立平良三

    立平政府委員 以前はこういう違いが生じますと、人間が、観測者が観測しておりましたものですから、観測者の差があるのではないかというふうなことの御指摘をいただいておりましたが、今回NHKと気象庁との差と申しますのは、これは同じ機械で測定したものでございまして、ですから震度というのは、先ほど私が申し上げましたように、そういう性格を持った量であるというふうなことで御理解いただきたいと思います。
  134. 細川律夫

    ○細川委員 そこで、時間もございませんので、最後に大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  今長官からもお話がございましたけれども、この南関東においていわゆる直下型の大地震が発生をする可能性が非常に強いという専門家の予測がある。しかもこの予知について、果たしてあるかどうかという、これを予知することは現在のあれでは大変難しいということでございます。  そこで、もし仮にそういう地震が起こった、大地震が起こったならば、特に東京というところは人口も集中しておりますし、また政治経済、いろいろな面で日本の中枢機能が集中しているのがこの南関東でございます。そういうところで地震が起こったならば、これは大変な被害が起きるであろう、その被害の甚大さというものは想像するにかたくないわけであります。したがって、この大地震の対策については、運輸省あるいは気象庁だけというわけではなくて、他の省庁とも当然連携をとらなければなりませんけれども、少なくとも大地震の予知に関しては、運輸省、気象庁が中心となってこれをきちんとすることがどうしても必要じゃなかろうか。予知をすることによって被害をできるだけ少なくするということが、運輸省、気象庁に課せられた責任ではないかというふうにも思います。  そういう意味で、特に地震の予知に対して私はもっともっと予算も計上しながら対策を十分とるべきだというふうに思いますけれども、その点についての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  135. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今ほど先生と気象庁の長官の応答を通じて、これは間違いなく南関東には、学説的にも、マグニチュード七という数字を挙げられましたけれども、しかしこれは大変なことなんで、南関東といえばこの首都圏、ここに集まっている人口なり都市機能の集積という形を考えるときに、これがもし近いうちにでも起きたら大変だな、それだけに緊急を要する問題として、予知体制の強化充実というものをもう喫緊の重要課題として取り組まなきゃいかぬなという思いを強くしておったところでございます。  もちろん気象庁の観測体制も年々充実しているようでありますけれども、今、南関東に関してはなかなか予知機能はそこまでいっておらぬという状態なので、もう早速そういった意味で勉強いたしまして、喫緊の重要課題として取り組んでまいりたいと存じます。
  136. 細川律夫

    ○細川委員 どうもありがとうございました。終わります。
  137. 久間章生

    久間委員長 春田重昭君。
  138. 春田重昭

    ○春田委員 私は、本委員会で午前も午後も同僚議員から質問がございました東京佐川急便問題につきまして、何点かについて、確認なり、また御質問をしたいと思います。  まず初めに、現在、佐川急便グループから、東京佐川急便救済のためにグループ六社の合併認可申請がされておりますけれども、申請の概要を簡潔にまずお述べいただきたいと思います。
  139. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 佐川急便グループの合併の申請の概要について御説明いたします。  この合併申請は、昨年の十一月二十五日に佐川急便から近畿運輸局の京都陸運支局に提出されているわけでございます。その内容を見ますと、佐川急便、京都にある会社でございますが、佐川急便を存続会社にいたしまして、東京佐川急便、北関東佐川急便、大阪佐川急便、中京佐川急便及び北陸佐川急便を解散会社として吸収合併するものでございます。  それから、合併についての理由といいますか考え方でございますが、佐川急便グループ内で大きな地位を占めている東京佐川急便の保証債務の履行が迫りつつあり、同社単独では履行が困難である、佐川急便グループ内主要六社の合併により同社を救済するとともに、グループ全体として輸送システムを維持することによって利用者利便の確保を図りたいということで合併をしようというものでございます。
  140. 春田重昭

    ○春田委員 運輸省としては、昨年の十一月二十五日に申請されまして、現在鋭意検討中といいますか審査中だと思いますが、この認可の時期でございますけれども、どうお考えになっておりますか。
  141. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、近畿運輸局で申請書が出された後、現在本省の方に送付されておりまして、運輸本省におきまして現在審査をいたしているところでございます。  審査につきましては、貨物自動車運送事業法の六条の基準に適合しているかどうか現在慎重に審査しているところでございまして、具体的な認可の時期については今のところどうなるかまだわかってない状況でございます。
  142. 春田重昭

    ○春田委員 一部報道では、この認可を佐川急便会社の要望日でありますことしの三月二十一日におろすやに言われているわけであります。先ほど大臣の答弁では、この二月中に基本的な考えといいますか方向を出したい、こういう御答弁がございましたけれども、この考え方といわゆる認可の時期の問題でございますが、どうリンクするんでしょうか。
  143. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 この申請の認可についての審査をどうやるかとの絡みでございますが、特に財務面の問題が非常に問題になるわけでございます。東京佐川急便の救済というふうな意味も申請の中でもあるわけでございます。したがいまして、この財務面の、特に保証債務等が現実に新会社の負担となるような形のものがどういうふうになるか、そして、これについて金融機関の支援措置がどのようになるかというふうな問題も含めまして検討していく必要があるわけでございます。そういう意味で、金融機関との意思の疎通というものも我々は図っていきたいということで、実はできるだけ早くその関係の意思の疎通というものをやっていこうということにしておったわけでございます。  ただ、この財務面の問題だけではなくていろいろな審査事項があるわけでございますので、私どもとしては十分審査を行った上で案件の処理について結論を出すべきだというふうに理解をいたしております。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 いろいろな条件なり、またこの財務状況、いわゆる金融機関の支援状況等があろうかと思いますが、大臣が、意味があるような、そういった御答弁を先ほどなさいましたので、この三月二十一日の、佐川急便からは認可してほしい、こう会社から言っているわけですね、運輸省としては、大体この三月二十一日の前なのか後なのか、そして三月二十一日ぐらいにおろすのか、その辺の御感触は大臣どんな感触をお持ちなのか、お答えください。
  145. 奥田敬和

    奥田国務大臣 誤解を与えるといけませんのではっきり申し上げますけれども、今月をめどと言いましたのは、いわゆる佐川側からの財務面の報告そしてまた金融面に対する支援措置の具体的内容等々について、詳細にチェックした上で方向を何とか見出したいなと思う意味で言った形が、何か今月中にもう既に許認可の応諾を与えて、そして三月二十一日を待たずしてもう認可に持っていくというような形で一部報道がなされました。これはまことに遺憾でありますし、決してそんな実態ではございません。  したがって、今先生が御指摘のように、二十一日の前になるのか後になるのかというきつい御質問でございますけれども、後になっても前になることはないと思います。公正にやってまいりたいと、今本当に全力を挙げて綿密に調査させている段階であるということです。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 大臣予算委員会の中でも、金融機関の支援の措置を見きわめたい、こういった御答弁があるわけでございます。今局長からもそういった御答弁があったわけでございますが、メーンバンクは三和と住友だと思うのですが、その他十数行がありますね。運輸省としてはこういった金融機関からの聞き取りといいますか、意見聴取等は現実に始まっているのですか。
  147. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 金融機関の支援状況についての調査は現在やっているところでございまして、具体的に二行を含めまして聞き取りをいたしているところでございます。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 現在の聞き取りの段階では、要するに金融機関としては支援していきたい、そういう状況なのですか。
  149. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 具体的にはっきりした答えはいただいておりませんが、前向きであるという感じは今のところ受けております。
  150. 春田重昭

    ○春田委員 それは、十数行の金融機関がございますけれども、すべてにわたってですか。
  151. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 ただいま聞き取りしましたところだけでございます。おっしゃるようにいろいろな銀行があるわけでございまして、新聞によりますと一部まだ態度がはっきりしないところもあるやに聞いておりまして、そういうところも含めましてよく勉強させていただきたいと思います。
  152. 春田重昭

    ○春田委員 その聞き取った金融機関はどこですか。
  153. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 今のところ住友と三和だけでございます。
  154. 春田重昭

    ○春田委員 十数行あるのに、ほとんど終わっているような局長の答弁でございますけれども、二行だけじゃないですか。  ところで、東京佐川急便からの聞き取りもされていると思うのですが、債務保証額と転貸しの融資額、それから直接融資額、報道等では約五千三百億とか言われておりますけれども運輸省はこの額について正確につかんでおられますか。
  155. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 保証債務等の金額でございますが、私どもが一番関心を持っておりますのは、この保証債務のうちどれだけが新会社の方に引き継がれていくようになるのか、会社の負担になるのかということでございます。その辺が一番重要なことでございますが、その前段階として、トータルの保証債務がどうなるかということも我々としては把握したいと思っております。  ただ、私どもは、先ほどの質問にもお答えいたしましたが、今のところ断片的な資料はいただいておりますが、最終的にこういう形になるという整理したものはまだいただいておりません。その辺のことについては、今後よく聞き取りをいたしまして整理をいたしたいと思っております。
  156. 春田重昭

    ○春田委員 この段階でまだ正確につかんでないというのは、運輸省としてはこの問題について真剣に考えないと指摘されてもやむを得ないのじゃないですか。
  157. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもは真剣に検討いたしているわけでございますが、佐川急便側で現在調査中でございまして、確定的な数字を出しておらないという状況でございます。
  158. 春田重昭

    ○春田委員 この中で不良債権、返済されそうにない不良債権がどれくらいなのかということは、運輸省としてはわかってないのですか。
  159. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 保証債務と転貸しと直接融資の分、三つあるわけでございますが、申請の際に実は四千億程度の説明を受けておるわけでございます。この四千億の数字は、保証債務と転貸し分を含めた数字でございます。その後、これ以外にも直接融資分が存在するという御説明を受けておりまして、トータルでどうなるかということについては、先ほど申し上げましたとおり現在会社として整理が終わってない、調査中であるという状況でございます。
  160. 春田重昭

    ○春田委員 当然この認可に当たっては、そういった直接融資額もきちっと正確に報告しない限りこれは認可されませんね。どうでしょうか。
  161. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもといたしましては、この三つの保証債務と転貸し分と直接融資分を含めましてトータルがどうなるか、そのうち、先ほど申し上げましたとおり佐川急便側が負担しなければいかぬような額が幾らになるか、その辺をはっきりさせないと審査ができないというふうに理解いたしております。
  162. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、今回の佐川急便事件というものは大変大きな問題を起こしているわけでございまして、多くの国民の方たちが厳しく監視をしております。大臣は厳正公正に今回の許認可については対処していきたい、こうおっしゃっておりますが、今後何が出てくるかわからない。したがって、グループの財務の状態がよくなったからだ、また、事業遂行にきちっと計画がなされているからだ、能力の点において間違いないからだ、そういったことだけで私は判断してもらいたくない。同僚議員からもそういった質問がございましたけれども、私はあえて今回の許認可につきましては、事件の解明が明らかになるまでは許可はしてはならないのじゃないか、そう思っておりますが、大臣どうでしょうか。
  163. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今局長からもお答えしたとおり、財務面の、相当な保証債務を含めて的確な数字把握がまだなされていない、報告されていないという現状にかんがみまして、そういった面が的確に把握され、なおかつ運送法の諸法規に照らして、グループの合併によってそういった債務の返済も、あるいは実務面の改善も含めてやっていけるという形が、諸条件が整わない限りは、なかなかそういった認可決定には至らないであろう。そのために今局長も答えにくい段階でしょうけれども、支援金融機関自体もどれだけの額になっていくかという形に関して鋭意やっておるわけでございますから、それらの支援措置体制の内容の検討も含めた上で、当方としてはそれぞれの諸法規をきちっとやれるかどうかについて検討させたいということでございます。
  164. 春田重昭

    ○春田委員 時間がないものですから指摘だけしておきたいと思うのですが、何回も言いますけれども、決して私はそういった財政面だけがよくなってきたからとか能力があるからとかいった面だけでは判断してもらいたくない、このように強く要求しておきたいと思います。  それからもう一点だけ東京佐川急便問題についてお尋ねしたいと思うのですが、この信じられないほどの多額の金が、いろいろなスポーツ界や芸能界や、またこの政界の方にも流れている、これはもう先刻、いろいろなマスコミの報道で、また予算委員会等でも問題になっておるわけでありますが、政界は今後さらに捜査の進展段階によって明らかになってくると私は思います。  そこで、運輸省の方にお伺いしたい点は、許認可という権限を運輸省は持っている、東京佐川急便はいわゆるそれを申請する立場でございますから、そういったつながりはやはりあるわけですね。それで、運輸省にそういった佐川急便問題にかかわるいわゆる国民から批判されるようなことがないかどうか、運輸省では独自でそういった調査をされましたか、お伺いしたいと思うのです。
  165. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもは常日ごろ、職員に対しまして、職務に関係のある業者との会食を初め、疑惑を招くような行為を厳に慎むよう指導をいたしているところでございます。運輸省関係者で、佐川急便から接待などを受けたり金銭の授受など犯罪にかかわった者はいないというふうに信じているわけでございます。今後とも綱紀粛正の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
  166. 春田重昭

    ○春田委員 いや、それは局長、信じているというのは、それは当然信じなければなりませんけれども、要するに局内の調査をされましたかと言っているんですよ。聞き取りはされましたか。
  167. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもは、佐川急便との関係は私ども自身問題ないという理解をいたしておりまして、大丈夫だという考え方でございます。
  168. 春田重昭

    ○春田委員 私の質問は、調査されましたかと聞いているんですよ。
  169. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもは、そういう問題は絶対ございませんから、大丈夫だというふうに理解をいたしております。
  170. 春田重昭

    ○春田委員 それはそうですよ。みんな大丈夫だと思っているんだけれども。  大臣、どうですか。これは、自動車交通局だけじゃなくして、運輸省としても省内全体の内部調査をやはり一回やるべきじゃないかと私は思いますよ。どうですか。
  171. 奥田敬和

    奥田国務大臣 私もその点は交通局長を初め運輸省の幹部を集めた席でも厳重に申し渡しておりますけれども、大体佐川体質という形は、政治家に頼っても役人には余り頼らないという従来の傾向もございまして、もう役人の中ではそういった面については徹底していると思いますけれども先生の御指摘でございますから、改めてその面については厳重にチェックいたしたいと存じます。
  172. 春田重昭

    ○春田委員 新聞報道では、佐川急便というのは年に一回大きな野球大会をやる、しかも昭和五十年から続いている、参加者も二万人前後である、来賓としては、有名人である芸能人や野球界、当然政界からも出席している、こう言われているわけですね。その中に、これは滋賀県で行われるみたいでございますから近畿運輸局の中で滋賀の支局になると思うのですが、そういった運輸省の方が来賓として過去出席されたかどうか。その辺、調査されたことはありますか。
  173. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私の方で具体的に調査したことはございません。
  174. 春田重昭

    ○春田委員 大臣、本省内も当然ではございますが、こういった地方の支局、また本局でもそういったつながりあるかもしれませんから、私は調べるべきじゃないかと思うのです。けさも報道で、正確かどうか知りませんけれども、北陸佐川急便が、新潟県の黒埼町ですか、トラックターミナルを建設するために用地の取得をする、これは地元の町役場の助役さんと何か職員さんが地権者の方と当たって用地買収した、こういった報道もされているわけでありまして、運輸省でわからない地方のそういった動きもあるかもしれませんので、私は、やはり地方のそういった本局なり支局についても十分に調査していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  175. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 私どもの方は——天下り等は一切ございませんで、問題ないというふうに理解をいたしておりますが、先生の御指摘につきまして、運輸省全体の問題でございますので、官房等とよく相談してみたいと思います。
  176. 春田重昭

    ○春田委員 大臣からも調査すると御答弁があったわけでございますから、調査の結果、当委員会の方にひとつ提出していただきたい。  委員長の方でこれは取り計らいいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、信楽の高原鉄道の問題につきまして、いよいよこの事件の究明が近くありやという形で伺っておりますので、この問題についてお伺いしたいと思います。  昨年の五月十四日、信楽高原鉄道とJR西日本の列車が衝突しました。死者が四十二名、負傷者六百余名の事故を起こしました。現在、この事故の原因につきましては、滋賀県警と、運輸省におきましては信楽高原鉄道の信号保安システムに関する調査検討会ですか、これが設置されまして、両方で目下究明中とお伺いしているわけでございますが、どの辺まで進んでいるのか、お答えいただきたいと思います。
  177. 井山嗣夫

    井山政府委員 運輸省の側の方の原因究明の進捗状況を申し上げます。  事故につきましては、五月の中旬に信楽高原鉄道等に対する保安監査を実施いたしまして、その後も原因調査のための補足調査を何回かやっております。  問題点が二つございまして、一つは、いわゆるあの日の運転取り扱いが正しかったかどうかという問題が一つ。それからもう一つは、先生今御指摘のように、信号機が問題があったのじゃないかという御指摘がございますので、この二つの面からやっております。  最初の方の運転取り扱いの話につきましては、現段階で細かいことは申し上げるわけにはまいりませんが、異常時において運転取り扱いが必ずしも適切でなかった、不十分な点があったというふうに私どもは推測しております。  それから信号システムの方は、大変専門的にもなるものでございますから、学識経験者等に集まっていただきまして信号保安システムに関する調査検討会というところで数回勉強しております。具体的には、信号保安設備につきましても、この秋から数回、現地調査をかなり期間をかけましてやっております。今、現に相当進んでおるところでございますけれども、現時点で、いつまでにどうこうするというところまではまだ至っておらないというのが状況でございます。
  178. 深山健男

    ○深山説明員 お答えいたします。  本件事故につきましては、これまでの捜査によりまして、事故当時、信楽高原鉄道列車は、信楽駅の出発信号が赤から青にならないため手信号による代用運行で出発したこと、一方、JR列車は、このような場合、本来小野谷信号場の出発信号が赤を現示し停止すべきところを、青であったためそのまま進行したということが判明しており孝す。このことから、閉塞装置と信号装置との連動システム及び信号システムの設計施工等、作動状況、同関連器具の操作状況、信号故障の際に用いられる代用運行の方法などにどのような人為的なミスがあったかを明らかにするため、部外の専門家から提出される鑑定結果などを総合的に踏まえて本件事故の原因を究明し、刑事責任の所在を明らかにしてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、警察といたしましては、今回の事故の重大性にかんがみまして、また同種事故再発を防止するため、その原因を徹底的に究明することが肝要であると考えており、できるだけ早く結論を出すべく鋭意捜査を推進しているところでございます。
  179. 春田重昭

    ○春田委員 ただいまの御答弁では、運転取り扱いの不適切、それから信号機の故障等が大体の原因だろうということでございまして、それに至る最終的な確認がまだされてない、こういうことでございますが、事故が発生してからもう九カ月たっているのですよね。上の事故は大変な大惨事でございますけれども、そんなに複雑な事故でもない、いわゆる単線における事故なんですね。それが今日に至るもまだまだ解明されない、事故原因が究明されないという点で、非常に犠牲者の中ではいら立ちがあるわけです。そういった面で早急に結論を出していただきたいと思うのです。  警察庁の方にお伺いしますけれども、伝えられるところによりますと、滋賀県警においてはもう捜査は一応終わって、二月中には発表できるのではないか、そういった話も伝わっているわけでございますけれども、その辺の感触はどうでしょうか。
  180. 深山健男

    ○深山説明員 本件捜査につきましては、御承知のとおり信楽高原鉄道の運行関係者が多数亡くなっておるということが一つあるわけであります。また、本事故に関連しまして、信号故障の際に用いられる代用運行上の問題点あるいは閉塞装置と信号装置との連動システム等々の問題点、及び同関連器具操作上の問題点、これは御承知かと思いますが、優先てこなどの問題でございますが、そういったものが複雑に絡み合っていることなどから科学的な検証が求められており、事故原因の究明及び刑事責任の所在を明らかにするためにはなお若干の時間を要するものと考えております。  いずれにいたしましても、警察といたしましても今回の事故の重大性にかんがみ速やかに結果を出すべく努力いたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  181. 春田重昭

    ○春田委員 捜査の現場は滋賀県警がやっておりまして、滋賀県警の本部長さんがもう先月交代されているのですね。これだけの事故ですから当然この本部長が陣頭指揮をとっていたわけですよ。その本部長を、定例の交代時期かもしれませんけれども、おかえになったということは、警察でも捜査は大体終わったんだ、あと運輸省との詰めの段階ではないかと私なりに想像するわけでございますけれども、そういった段階で、運輸省調査検討会ですか、これが相当手間取っているみたいな感じがするわけですが、運輸省としては現場に何回かお行きになっておりますし、三回ですか、その都度御報告はいただいているのでしょう。
  182. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  信号関係調査につきましては、延べ三回、期間もたしか一回一週間から十日かけて、いろいろな条件を設定したりして具体的に調べております。そのデータが大変複雑になっておりまして、その絡み合いとか、具体的にどういう配線になっていてそれがどういう形で機能するかというようなかなり難しいところがあるようでございます。私は直接の専門家じゃないものでございますけれども。その辺のことを細かく分析して、当日の様子を最終的には再現して事故原因を明らかにしたいということで、今鋭意詰めていただいているところでございます。
  183. 春田重昭

    ○春田委員 この信号システムがこのかぎを握っていると思うのです。しかし、現場で三回も検証をされている。警察でもほぼ捜査の段階は終わったような感じでございます。二月もあと少ないわけでございますが、どうですか局長、大体三月ないし四月の上旬には事故の原因については発表できると見ていいですか。
  184. 井山嗣夫

    井山政府委員 できるだけ早くということで頑張っておりますが、ただ、先生おっしゃるように三月中とかいつということは、ちょっと現時点では申し上げかねますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
  185. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、一生懸命やっていただいておるわけでございますけれども、相当期間がたっているわけですから、ひとつ早急に結論を出していただきたいと思います。  次は、補償問題です。  現在、犠牲者と鉄道事業者側との補償交渉が行われておりますけれども、どの段階まで進んでおりますか、お答えいただきたいと思います。
  186. 井山嗣夫

    井山政府委員 現在の補償の実態でございますけれども、JR西日本と信楽高原鉄道が、ご被災者相談室というので約七十名の体制で今誠心誠意交渉を重ねております。  ただいま現在で、まず負傷された方が六百名余いらっしゃいますが、そのうち四百五名の方と今示談が成立しております。それから、亡くなられた方が四十二名、このうち社員が五名入っておりますが、その方の御遺族とは一応訪問して面談などを行いまして、実はこちらの方はまだ三名の方としか示談が成立しておりません。なお、鋭意補償をきちんとやるように今指導しているところでございます。
  187. 春田重昭

    ○春田委員 負傷者の方たちの示談は相当進んでおりますね。六百十四名のうち四百五名ですから六六%。しかし、遺族の方は進んでない。特に遺族の中で二十名で組織されている遺族会というのがあるのですが、この人たちの声として、やはり交渉をスムーズに円滑に進めるためには、JR西日本の角田社長が交渉の場に出てきてほしいと。社長は合同慰霊祭には一回だけ御出席いただいたわけでございますが、こういった補償交渉の場には全くおいでになってないわけです。聞くところによると、社長は、原因が明らかになった時点では当然出るんだ、また、一周忌という節目にはこれは私としてもやはりJRの代表として出席をしたい、こういった御意向であると伺っているわけでございますけれども運輸省としてはこの点についてどうお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  188. 井山嗣夫

    井山政府委員 補償交渉が具体的にどういうふうに行われておるか私、詳細つまびらかにしておりませんが、西日本もそれなりの役職員の者が出てお話をしていると思います。  それから、先生おっしゃった、社長と御遺族との関係でございますが、私ども聞くところによりますと、例えば先生今おっしゃいました一周忌の場とかそういうところに出席いたしまして改めて哀悼の意を表したいというようなことも申しておるようでございますので、私ども、その辺は注意深く見ていきたいと思っております。
  189. 春田重昭

    ○春田委員 それから、JR西日本が信楽高原鉄道乗り入れに際しまして三通りの協定書を結んでおります。この三通りの協定書でございますが、これは公開はしないのですか。
  190. 井山嗣夫

    井山政府委員 三種類の協定をやっているようでございますが、特に公開をしてはならないとかすべきだということは、私どもちょっと今まで考えたことがなかったものですから、ちょっとお答えになりません。特にマル秘というものではないだろうと思っておりますが……。
  191. 春田重昭

    ○春田委員 これは運輸省は受け取っておりますか。
  192. 井山嗣夫

    井山政府委員 運輸省には、最初に乗り入れする前に、近畿運輸局の方にこういう協定のもとに乗り入れをやりますという届け出をいただいております。
  193. 春田重昭

    ○春田委員 この協定書について、要するに公開してほしい、見せてほしいという遺族の方の御要望があるみたいでございますけれども、かたくなに今日までは公開してないみたいですが、これは要望があった場合出すのですね。
  194. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  その遺族との関係の交渉の際にどういうことをやるべきかどうかというのは、ちょっと私も詳細聞いておりませんけれども、少なくとも当委員会で、たしか何回か先生方の資料要求に応じまして御提出申し上げたこともあるわけでございます。  ただ、遺族との関係で、会社と遺族の直接当事者間の関係でどういう扱いにしているかはちょっと存じませんけれども、私どもが出すべきだとか出すべきでないとかいう立場にはちょっと今ないと思っておりますけれども、当委員会の場には諸先生に協定そのものをお出ししたことはございます。
  195. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、私の方から要求いたしますので、この三通りの協定書について提出していただきたいと思います。よろしいですね。
  196. 井山嗣夫

    井山政府委員 わかりました。
  197. 春田重昭

    ○春田委員 この協定書によりますと、「貴生川駅と信楽駅間におけるJR乗り入れ列車と運転士については、信楽高原側に運行管理の権限を委譲する」となっておりますね。この条文でありますと、いわゆる今回の事故の責任問題というのはどうなりますか。どうお考えになりますか。
  198. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  相互乗り入れの一般原則でございますけれども、これは東京でも大阪でもあちこちで行われているわけでございますが、この場合は、乗り入れてもらった側といいましょうか、この場合は信楽高原鉄道側が運行管理の責任を負って、列車は、仮に車両が西日本車両でありましても信楽高原鉄道の運転管理に従う、これが大原則でございますので、そういう意味で運転管理上の誤りといいましょうか、何かありましたら、それは信楽高原鉄道の方に第一次的に責任があるというふうに考えざるを得ないと思います。もちろんそのときに、例えば乗り入れてくる場合の車両を貸す側が、何といいますか、車両に欠陥があったとかなんとかそういうことがありましたら、それはその当事者同士の後の求償関係ということで整理がされるのではないかと思います。
  199. 春田重昭

    ○春田委員 次に、JRの下り方向の優先てこが今回の事故の大きなかぎを握っているやに報道されているわけでありますが、この優先てこの目的についてちょっと簡単にお答えいただきたいと思います。
  200. 井山嗣夫

    井山政府委員 方向優先てこと申しますのは、単線自動信号区間におきまして特に列車のおくれなどが出ましたときに、それを早く回復させるためにどちらかの列車を優先的に通してやるということの信号システムでございまして、単線自動区間では非常に普及しているものでございます。  今先生指摘のように、今回の信楽高原鉄道の乗り入れに際してこの方向優先てこが使われている、それがどうも信号機が正常に作動しなかったことと関連があるのではないかという報道が確かになされております。そのことも含めまして、先ほど申し上げました調査検討会で相当調査をしているところでございます。その結果を待ちまして、私どもこの方向優先てこの問題につきましては結論を出したいと思っております。
  201. 春田重昭

    ○春田委員 この優先てこはどこに設置され、JR西日本が操作するのか、それとも信楽高原鉄道側が操作するのか、この二点についてお答えいただきたい。
  202. 井山嗣夫

    井山政府委員 これはJRの亀山というところに近畿地区のCTCセンターというのがございまして、そこの操作員が方向優先てこを扱うわけでございます。
  203. 春田重昭

    ○春田委員 今局長がおっしゃったように、優先てこは三重県の亀山でJR西日本の方が操作する。ところが、この乗り入れの協定書では、乗り入れ列車と運転士は信楽高原側に貸与しながら信楽高原側が管理運行する。いわゆる操作と運行、JRと信楽とこの辺の連携がうまくいかなかったことが原因ではないかと言われておりますけれども、この辺の関連はどうでしょう。
  204. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  方向優先てこというこのもの自体は、その操作を誤るということはまずないといいますか、安全サイドに常に働く装置だと思います。したがいまして、具体的な操作そのものにつきましてはJR西日本の亀山のCTCセンターの職員に扱わせてもそれは大丈夫だと思います。  それで、先生おっしゃったように、一般的な運行管理責任、それから一般的な運転に関する指揮権といいましょうか、こういうものはあくまでも信楽鉄道側にあるわけでございますが、その信楽鉄道側で個別具体的な信号の操作の一部を、今現にほかに貴生川のJR側から出発する駅の出発信号はJR側に委託をしているわけです、この操作は。それと同じように、方向優先てこにつきましても、CTCの亀山のセンターがJRから乗り入れ列車が入ってくるときにおくれなどが早くわかりますから、そこでその方向優先てこの操作を依頼したということは十分考えられるところでございます。ただ、先生おっしゃったようにその辺の連携がうまくいってなかったのかもしれない。その辺につきましても今調べているところでございますので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
  205. 春田重昭

    ○春田委員 この問題は警察庁の方に聞きたいと思うのですが、この優先てこというのが非常に大きく今問題になっているわけです。本来この優先てこというのは、今局長から御答弁あったように、小野谷信号所の出発信号に対しまして、下りのJR列車が通過するのに赤信号を出すのが目的であると伺っているのですけれども、これがいわゆる信楽駅の出発信号の赤に作動してそれが固定されたのではないか、こういったことを言われているわけでございますけれども、この辺の確認は、検証の段階で警察としてどうですか、あったかどうかお答えいただきたいと思います。
  206. 深山健男

    ○深山説明員 お答えいたします。  亀山CTCに御指摘のような優先てこが設置されておりまして、事故当時同てこが操作されていたということは承知いたしております。この優先てこの機能あるいは設計施工の状況、あるいはその操作状況と本件事故との関連性については、現在捜査を進めているところでありまして、これまでのいろいろな資料の分析だとかあるいは関係者からの事情聴取、そういったことを踏まえましてさらに現在専門家に鑑定を委嘱しておるわけでありまして、そういったことを総合的に判断して今後この事故との関連性というものを判断してまいりたいというふうに考えているところであります。
  207. 春田重昭

    ○春田委員 事故の大きなポイントになるとお考えになっておりますか。
  208. 深山健男

    ○深山説明員 本件事故につきましては、御承知のとおり大変種々の原因が考えられており、非常に複雑に複合しているものと理解しておるわけでありますが、その中の一つといたしましてこの優先てこの問題も検討の中に入れておるというふうに考えております。
  209. 春田重昭

    ○春田委員 事故原因の一つだとおっしゃっておりますけれども、この優先てこを今非常に警察もまた運輸省でもそれなりに重視しているんじゃないかと思うのです。  このJRの乗り入れが昨年の四月の二十日ですか。事故の発生が五月の十四日。ところが、この優先てこの届け出が運輸省に出されたのが六月の七日と聞いているわけでございますが、これはなぜこんなにおくれたのですか。
  210. 井山嗣夫

    井山政府委員 なぜかというのはちょっと私も、これはJRから届け出がおくれたわけでございますが、多分、想像でございますけれども、内部の間違いといいましょうか、ではないかと思います。これは事前に届け出るべしという規定に基づいて事前に届け出なければいけないわけでございますから、そういう意味ではJRの方に届け出義務違反があったというふうに考えざるを得ません。
  211. 春田重昭

    ○春田委員 事前に届けるべきものが、事故が起こって出てきたわけですね。そういった点で、運輸省としてもこの点やはり重要視して、要するにJRに催促したのではないんですか。
  212. 井山嗣夫

    井山政府委員 特段その催促ということはしておりませんが、事故の結果、JRでも内部をいろいろ点検しておりまして、運輸省に届け出がしてないということに気がついて、はっきり言いまして、慌てて出してきたというのが本当のところではないかと思います。
  213. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにしても、この信号システム、これはやはり優先てこというのが大きなかぎを握っているように思えてなりません。また、この信号システムの工事が、いわゆる亀山指令所と貴生川駅はJRサイドで行う、また小野谷信号所と信楽駅は信楽高原側のサイドの電機会社がやる形で、別々でやっているんですね。こういった連携の悪さも信号システムの故障の一因になっているんではなかろうかと私なりに想像しているわけでございます。  それから、最後に安全問題ですが、現場サイドの声として、列車の運行には「安全綱領」というのがあるんですが、「安全綱領」が条文が五つあった。昭和六十二年四月に国鉄が民営化されてJRになった、その段階で五条の条文が二つ減らされて三条になった。これは要するに効率を優先していわゆる安全が軽視されたのではないか、そういった声が現場から出ておるわけでございますけれども運輸省としてはどうお考えになりますか。
  214. 井山嗣夫

    井山政府委員 この先生が御指摘の綱領といいますか、内部規定でございますが、確かに国鉄時代には総裁達で、これは昭和三十九年に決まっておるものでございますが、「安全の確保に関する規程」というのがございまして、その中に第一番目のところに「綱領」として、一種の規範といいましょうか精神を述べたその五項目目に、確かに「疑わしいときは、手落ちなく考えて、最も安全と認められるみちを採らなければならない。」というのがございました。その後に、第一条以下具体的にいろいろ書いてあるわけでございます。  今度はJRになりましてからの綱領でございますが、「安全綱領」といっておりますけれども、これは運輸省令で運転の安全の確保に関する省令というのがございまして、ここでもやはり「規範」、「従事員が服ようすべき」、これは拳々服膺するという意味の「服よう」だと思いますが、「すべき運転の安全に関する規範は、左の通りとする。」その中の一つに「綱領」、三項目ございます。それから「一般準則」としていろいろ書いてございまして、その中に「作業の確実」という項がございまして、「従事員は、運転取扱に習熟するように努め、その取扱に疑いのあるときは、最も安全と思われる取扱をしなければならない。」こう書いてございます。JR西日本の新たに定めました安全規範は、この運輸省令と全く同じことを書いてあるわけです。  そういう意味では、国鉄時代もJRになりましてからも、その従事員というのが自分のやっている運転取り扱い等に疑問を感じたときは、最も安全と思われる道をとれ、あるいは安全と思われる取り扱いをしろということははっきりしておりまして、その点では全く変わりはないと思っております。その条文の立て方の問題かと思っております。
  215. 春田重昭

    ○春田委員 JR西日本は、青信号であったから出発したんだ、要するにマニュアルに従ったんだと言うんですね。しかし、今回の場合は、待避線に対向車がいないという疑問を持ちながらやはり運転士は進んでいるわけですから、そういった面では運転士は一回やはりおりて確認するというのが大事じゃないか。ところが、この「安全綱領」によりますと、おりてそういった点検をした場合は、何か新しい条文によれば、列車がおくれるという点で運転士に罰則も科せられる、罰則じゃないけれども、そういったことはしなくていいんだ、要するに青信号だったら行ったらいいんだというような形になっているやに聞いておるわけです。  そういった面で私は、やはり機械は故障をするわけですから、そういった点で運転士が疑問を持った場合には、第一義的には運転士がそういった現場へおりて安全確認するのが大事ではないか、こういったことを言いたかったわけでございまして、いずれにいたしましても、いわゆるマニュアルまた機械がすべてでありませんので、そういった面で私は、運転士のそういったいわゆる経験といいますか判断というものを重要視していただきたい、このように要望しておきたいと思っております。  それでは、最後になりますけれども、この信楽高原鉄道、JR史上最大の大惨事になったわけでございまして、村岡前大臣事故が起こって早速患者の見舞いにも行かれましたが、大臣としても、時期を見て一回現場へ行くなり、また第三セクターのそういった、どうしても効率優先といいますか経営優先という面がありますので、そういった視察も兼ねて、ぜひとも私は現場に何かの機会を見てお行きになることを勧めたいと思いますが、大臣のお気持ちはどうでしょうか。
  216. 奥田敬和

    奥田国務大臣 信楽高原鉄道事故、本当に残念な、JR発足、そしてそれに伴う第三セクターによるこういった鉄道運営の中でまことに残念な、しかも四十二名といったくさんの死者を出した、しかも六百十四名という負傷者、まさに最大の惨事で、まことに哀悼の意の尽きないところでありますけれども、私も、今先生のそういった御提言を踏まえまして、五月十四日がこの惨事の一周忌にも当たるわけでありますから、それらのころも見計らいまして、ぜひこういった形の諸霊に対して御慰霊申し上げたいし、また御遺族の皆さんにもお見舞い申し上げたいと思います。ぜひ機会をつくってそういった形で行動してまいりたいと思います。
  217. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、事故の早期の原因究明と補償交渉がスムーズにいくように、運輸省としても特段の御配慮をいただきたいと思います。  それでは、最後五分になりましたので、JRの株式の売買の問題をやる予定でございましたけれども、これは別の機会に譲りまして、放置自転車の問題を最後にちょっとお聞きしたいと思います。警察庁の方、結構です。  この放置されたままの自転車が大きな問題となっておりまして、特にJRや民鉄の駅周辺の自転車の放置台数、全国で大変な数になっている。新しい資料はありませんけれども平成元年で八十万台、近々平成三年の統計が集計されるみたいでございますが、相当またふえるでしょう。  この放置自転車の対策というのは、昭和五十五年に法律ができまして、それも長ったらしい法律なんですね。自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律というものでございますが、この法律では、大型店舗、百貨店やスーパー、また銀行等においては附置義務が決められておりまして、この駐輪場の設置が義務づけられているのですね。ところが、駅におきましては駐輪場のこの義務づけはなくて、要するに協力しなさいという形の、弱いそういった法律になっております。  こういった全国的に放置された自転車が非常に社会問題になっておりますから、今月の十三日、全国の地方自治体、百七十二ですかの区市町村、これは市町村がやっております、東京都は区ですが、この放置自転車対策協議会をつくったわけでございまして、悩める地方自治体として何とか対策をとりたいということで、法改正、国の助成、そういったことをスローガンとして今後運動していこう、こういった決議がされたわけでございます。  その中で、いわゆる鉄道事業者の協力を、いわゆる受益者であるから、要するに義務として駐輪場を設置してもらいたい、そういった法改正をしていただきたい、こういったスローガンが出されたわけでございますけれども運輸省としてはこの点でどうお考えになりますか。
  218. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  放置自転車が全国各地で問題になっていることはよく承知しております。先生先ほど引用されました法律に基づきまして、鉄道事業者といたしましても用地の提供等につきまして積極的に協力しているところでございます。  平成三年三月末現在の実態を申し上げますと、これは大手民鉄までしか集計しておりませんが、JRと大手民鉄合わせまして全国で千八百五十カ所、五十四万五千平米につきまして、地方公共団体に対して無償あるいは非常に安い貸付料で用地貸し付け等の協力を行っております。五十四万五千平米と申しますと、何か東京ドームの十二倍ぐらいの広さだそうでございますが、そういう面積を提供しているということは確かでございます。  先ほど先生指摘の市町村の協議会で御決議があった中の一つに、確かにおっしゃるとおり「鉄道事業者の役割と責務を明確化し、鉄道事業者も応分の義務を負うようこれを法制化すること」という決議がございます。この趣旨がどういうことか私もつまびらかにしておりませんけれども、現時点では駐輪場というのはいわゆる道路の附属物という扱いになっておりまして、一般の方の利用する駐輪場というのは基本的には地方公共団体あるいは道路管理者がやるということに整理をされているわけでございます。私どもとしましても、そうは言うものの、やはり鉄道に乗るお客さんが実際自転車に乗ってきて駅前に放置するという実態がありますので、先ほどの法律に基づきまして積極的に提供をしろという指導をしておるところでございます。  現実に、その義務化といいましょうか、スーパーとか先ほど先生おっしゃったようなたくさん人の集まるところと同じような形での義務化がいいのか悪いのか、これはいろいろ問題点があると思います。といいますのは、鉄道も最近は駅前広場が非常にない、あるいは非常に少ないというところで、そこでまた用地を新たに買うなどということになりますと大変お金がかかります。でも運賃に転嫁するわけにもいかない。というのは、自転車を利用する方としない方といらっしゃるわけですから。そうすると有料の駐輪場になる。そうするとえらい高いものになってしまうんじゃないかとか、それから公共団体の役割分担をどうするか、いろいろと難しい問題がございますけれども、いずれにいたしましても、駅前放置自転車の問題それから駐輪場の整備の問題につきましては、最大の関心を持って鉄道事業者に積極的に協力するよう今後とも指導してまいりたいと思っております。
  219. 春田重昭

    ○春田委員 いや、指導ではだめなんですよ。積極的にやっていると言っても、大きな用地を提供していると言っているけれども、本当に全国的にそれだけの輪になって、やはりそれでも八十万台の放置車があるわけですから、「積極的に協力しなければならない。」と法はなっておりますけれども、いろいろな地域から声が上がってきておりますが、要するにJRが土地を持っている、何とか協力していただきたいと言っても、これは今は清算事業団のものですから協力できないという冷たい返事が返ってくるのですよ。  そういった面で、現行法はやはり改正して、応分のいわゆる負担といいますか、鉄道周辺というのはほとんどやはり鉄道利用者ですよ、そういった面で私は、今後法改正のそういった形も考えていただきたい、このように要望して、この問題について大臣から一言だけコメントをいただきまして、終わりたいと思います。
  220. 奥田敬和

    奥田国務大臣 各地方自治体の御要望にこたえて、法制化にまさる積極協力の姿勢を打ち出すように指導してまいります。
  221. 久間章生

    久間委員長 佐藤祐弘君。
  222. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 きょうは大臣への御質問ですが、それに先立ちまして、昨日の本委員会での久間委員長の発言に関連して一言申し上げたいと思います。  久間委員長は、「私は身の潔白を確信しております」と言われました。これは、昨年五月以来九州大栄の、佐川系列でありますが、取締役をしておった、このことについて、無報酬なので行為規範には抵触しないと考えるということを聞きました。  しかし、私たちの調査では、委員長の秘書が、同じ系列関連の長崎第一運送の取締役をやっておられて月々三十万円の報酬をもらっている、きょうは法人登記も持ってまいりましたけれども、このことは、秘書に支払うべき手当の一部または全部を企業から受けているという関係になるわけでありまして、総じて言えば議員が実質的には報酬を得たのと同じことになる、そういう性質のものだと我々は考えております。  そうなりますと、明確に政治倫理綱領や行為規範に違反しているわけでありまして、潔白とは言えない、運輸委員長という国会の役員として問題がある、適正さを欠くというふうに考える次第です。措置をとられたいということを御指摘したいと思います。このことを申し上げましたのも、この問題は、注目の運輸委員会が本当に公正に運営されるのかどうかということにかかわるものでありますから申し上げました。  委員長発言では、引き続き理事会等で協議をしていくということを言われたわけでありますが、この問題、そういう重大な性質を持っておりますので、引き続き理事会等で協議をしていただくよう要請しておきたいと思います。よろしいですね。  さて、運輸大臣にお聞きします。  今運輸行政で重大な問題は、何といっても佐川急便疑惑であります。巨額の債務保証、暴力団への融資とかあるいは政界工作、これも多額だと言われておる、性質といい規模といい、空前の大疑惑と言っていいんじゃないかというふうに私は思っております。運輸大臣は直接の所管大臣であるわけですが、この問題でどう対応するのか、多くの国民皆さんが鋭く注目している状況だろうと思います。  しかも、きょうの審議にもありましたように、佐川急便はこれまで数々の違法を繰り返しながら成長する、事業を拡大するということをやってきたし、その線上に今回の事態も起きているということだと思うのです。こういう点では、運輸大臣大臣に就任されて間もないわけでありますけれども、その最高の責任者でありますから、こういう経過を含めて運輸行政に問題がなかったのかどうか、先ほどの答弁で大臣は、どうも佐川は役所よりも政治家に頼るようだというようなお話もあったわけでありますけれども、そういうことが運輸行政をゆがめたことはないのか、このあたりが解明されなきゃならぬというふうに私は思っております。  そういう点で、大臣が、今回の事態に関連して、これまでの行政を含めてどのように責任を感じておられるのか、そして、今後どう対応されていくのか、その点をお聞きしたいと思います。
  223. 奥田敬和

    奥田国務大臣 午前中からも御指摘ございましたように、今回の佐川急便事件は、物流本業の問題というよりも、全然らち外で、暴力団絡み、あるいはそういった形の不良の債務保証等々の問題というものはまことに遺憾な問題で、業者の反省はもちろんでございますけれども、私たち運輸行政を預かる立場の所管省としても、また大臣としても大変残念に思うと同時に、今までの行政運営に誤りなかったかどうか、そういった点も、自戒を込めて反省しなければならない大きな問題点であると思っております。  ただ、このような問題が生じたことで、物流業界全体のイメージダウン、そしてまじめにこの業界で仕事をなさってきた人たちにとっては大変な迷惑なことであります。一日も早くこういった解明、うみを出すべきものは出し、きちっとした体制の中で健全な物流業界の発展の糧にしていただきたいと思っております。
  224. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 私は、やはり運輸行政の側に問題がなかったかどうか、この点が解明されなければならぬ。今、反省すべき点は反省しなければならぬという大臣の御発言もありましたけれども。  佐川急便は、御承知のように創立以来三十年で業界第二位というところまで急成長した、その陰にはいろいろな法律違反、道路運送法違反とか道交法違反、長時間労働の強制とか、いろいろなことがあります。ですから、これはこういうことが繰り返される中で成長していった。その問題点がたびたび国会でも指摘されて、だから運輸省も特別監査、これを二度もやられたということになっておるわけであります。  その結果、監査などの結果、どのような種類の違法行為が明らかになったのか、それらが改善されてきているのかどうか、まずその点を運輸省にお答えいただきたい。
  225. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 過去二度にわたる特別監査を実施いたしまして、そして違反がはっきりしたものについては行政処分をやっているわけでございます。そしてその時点で、行政処分をやったものについては是正指導というものを具体的にやりまして、いついつまでに是正についての回答をもらう、そしてその場に行って、現認してその事案についてはチェックするという形で対応をいたしておるわけでございます。  そこで、どういう違反が多かったかという御指摘でございますが、一番多かったのは過労防止義務違反の関係あるいは点呼の違反等でございます。点呼が適切に行われなかったというふうなこと、それからさらには乗務記録の記載が適切に行われなかった、こういうところが比較的多い違反であったかと思います。そういうものについて具体的に処分をやって、そういう事実がはっきりしていたものについては具体的に対応して是正をさせております。
  226. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 今、是正をさせておるという答弁でありましたが、実態はかなり違っているということを申し上げなければならぬ。違反の内容も、本当に堂々と法律違反をやっているといいますか、これは運輸省からいただいた資料などに詳細に書いてあるわけですが、積み合わせ運送の許可を受けていないのにそれをやっておったとか、それから輸送安全のための過労防止措置をとっていない、今の答弁にもありました。これは全国的にそうなんですね。グループ全体、こう言っていいと思います。是正指導ですか、文書で回答を求めるということで、それが改善されておるのだという答弁でしたけれども、私は、それは運輸省は大変怠慢だということを言わなければならぬと思うのです。  幾つか実態があるわけですが、まず一つは、北海道の事例をここに持ってきております。これは、佐川急便系列の北海道貨物株式会社というところであります。このドライバーの勤務実態がどのようなものか。私はこれを見て本当に驚いたのですよ。というのは、ここに幾つかの勤務態様があるわけですけれども、道内便というのの勤務態様では、十七時、午後五時に出勤をするわけです。そこで、いろいろ事前の作業をやりまして、九時なり十時なりからトラックが出発するんです。そして明け方にかけて、ある場所では荷をおろし、ある場所では荷を積むというようなことを繰り返して、九時とか十時あるいは遅い場合には午前十一時までやる。これが通常の勤務員の勤務体系になっているわけですよ。  ですから、これは会社の資料なんですけれども、ここに書かれておるいわゆる時間外労働実態、ある人の場合の実例で、これは昨年の六月分の勤務表です。これで時間外労働を集計しますと、百四十四時間ということになっている。だから、今大体一般に昼間の労働時間が百七十時間台ですね、それにほぼ匹敵する。あるいはまた、平成元年度に出された労働省の指針では、一般の企業の場合には時間外労働の目安というのを出している。それは一カ月五十時間程度というのが労働省の指針ですね。この中で、表までつけて出されているわけです。そういうものから見ても、異常に長い時間外労働ということになっているわけです。  この北海道貨物株式会社についても運輸省は特別監査をされたんですよ。されて、それなりの処分、指導をされたことになっておるわけです。ところが、現状はこのような異常な長時間労働、こういうのが続いている。まず、こういう実態について運輸省承知しておりますか。
  227. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 先生から今、最近の北海道運輸についての具体的な長時間労働の実態についてお話があったわけでございます。私どもは、過労運転という立場で、労働省の二・九告示というものを守ってもらいたいということで行政をやっているつもりでございます。先生のおっしゃるような実態については、現在具体的に承知をしておらないわけでございまして、そういうものについて今後具体的に労働省と連携をとりながら勉強させていただきたいと思います。
  228. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 私は、だからちょっと運輸省のやり方は怠慢だということを言っているんです。以前一度特別監査をやったから直っているはずだと言っているわけですよ。これでは行政の責任は果たせない。あえて言うならば、そういう甘い対応が結局佐川急便グループの過労運転、異常な長時間労働というのを温存してきているわけです。私は、東京佐川のドライバーにも会いました。最近の状況も聞きました。変わってないです、基本的に。店によってあるいは個々のドライバーによっての違いはありますけれども、変わってない。これは実に大問題だと思うのですよ。そういうことの上に事業拡大、莫大な利潤を生み出す、それが債務保証や暴力団あるいは政界にまで流れているとしたら大問題ですよ。そういう仕組み全体に今問題があるわけですね。今も過労防止指導したというようなお話でしたが、そんな生易しいものじゃないのですね。  これは大臣にもよく聞いておいていただきたいのですが、今、勤務形態を言いましたね。午後五時ですよ。それから翌日の朝の十時とか十一時までやる。それでその日がお休みになるなら普通ですよ。そうじゃないのです。ここに連続の、これも会社のものですが、勤務表をここに持ってきておりますが、夕方から翌朝、翌日の昼前まで仕事をする、引き続きその日の夕方の五時には出勤するんです。こういうサイクルが連続して五日続くんです。これはまさに酷使以外の何物でもない。  私の言葉だけでなくて、それを示す写真を少し見ていただきたいと思うのです。ここにあります。ちょっと大臣にも見ていただきたいのです、委員長。  これは会社の事務所ですね。事務所に張り紙がしてあるのですよ。少し小さい紙なので読みにくいのですが、別にコピーで読みやすくしてあります。コピーの方が読みやすいかと思いますが、何と書かれているかというと、「ドライバー各位・毎日ご苦労様です。大変でしょうが、今後、明番の皆様方には明番なしでの御協力をお願い致します。」こんなむちゃな話がありますか、本当に。これが現に行われているのです。こういうふうに麗々しく、堂々とこういう張り紙までされているわけですね。大臣、これをどう思いますか。  要するに佐川急便の特徴というのは、顧客の要請に応じて早く物を届ける。そうでしょう。そのためには幾ら時間がかかってもあるいは交通法規違反を犯してでもやるということになっているのですね。それを典型的に示しているのがこの会社側の告示ですよ。大臣、こんなむちゃはやめさせるべきじゃありませんか。どうですか。
  229. 奥田敬和

    奥田国務大臣 今の勤務実態のえらいひどい状況というのは、今御指摘されましたから理解いたしますけれども、私は、佐川というのは、急成長をやった形の中で、変わった会社だなあ、高能率、高賃金、聞くところによると、一人月額百万円以上の給与所得者がいっぱいいるというような形で、そういうやり方もあるのかなあという程度に考えておったわけですが、しかし、大体平均勤務年数が四年ないし五年でもうやめていかざるを得ない。そしてまた、今御指摘のように、それは本当かどうか、午後五時から午前十一時なんていうのはちょっと普通常識で考えられない、そんなことで体がもつはずありませんけれども、それがもし実態だとするならば、これはやはりそれまで実地監査を毎年のようにやっておったという行政サイドにも私は厳しい反省の点があろうと思います。  そういったことを踏まえて、そのような先生指摘される実態が本当であるということになれば、これはやはりいわゆる労働を管理する側、そして運輸・物流行政を管理する側というものも、本当に事件を契機に真実の解明という形を的確にやらなければならぬな、今そういった思いで聞いておりました。
  230. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 これは徹底してやっていただきたいと思います。  それで、今の大臣の答弁の中で、給与が高い、百万円とか、確かに話題にもなりました。昨年ニュースにもなったと思います。しかしこれは、先ほど指摘があったように、実態は倍以上働いておるわけですよ。だから時間当たりにすれば三十数万円にしかならないんだという指摘を、これも佐川の店長を何カ所かでやられた方の本ですが、詳細に書かれていますね。  私からも申し上げたいのは、こういう無理な長時間勤務をなぜやるのか、やらざるを得なくなっているのかという問題です。これは先ほども指摘があったのですが、要するに売り上げによって給与を決めるということですね。だから売り上げを落とさないためには、これは事実東京佐川の人から聞いたのですが、自分の受け持ちの分がありますね、その分が終わるまではたとえ何時間かかろうともやらざるを得ないのだということですね。そういうことがやれない者は、やる気のない者は去れというのが佐川会長の方針なんですよ。首ですよ。だから、首にならないためにはそういう長時間労働を続けざるを得ないというところに追い込まれている。これが実態ですね。  だから、給与制度の問題、ここを全国共通の問題として、先ほどやりとりがありましたが、やはりここにメスを入れなければならぬと私も思うのです。先ほどは大野大臣の答弁があったという御指摘でしたか、ありましたけれども奥田大臣としてもやはり今こそこの実態にメスを入れなければならぬ。その一つの大事なポイントとしてその点ですね。  要するに、減給はしないという回答があったんだという話がさっきあったけれども、そういう実態になれば首になるということなんですよ。これは一定の、売り上げが幾らの場合にはドライバーの賃金は幾らになるんだ、店長の賃金は幾らになるんだということまで詳細に定められているわけです。それを達成できない者は去れという論法なんですよ。だから、多少変動があっても給与を守り続けますよという話の回答じゃないのですよ。そう読み取るのは運輸省大変甘いです。だからそこのところにぜひともメスを入れるべきだということを申し上げたいが、いかがですか。
  231. 奥田敬和

    奥田国務大臣 実態についてそういった形でメスを入れるような方向検討してまいります。
  232. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 もう一つの角度の問題で、私は、佐川急便グループが急成長した秘密という中には、やはり行政とのかかわりの問題で明らかにしておかなきゃならぬ問題があるというふうに思っています。  それは、一つのものとしては車両数ですね。保有車両数の変化、増加の問題ですね。これは運輸省の方から資料をいただいて克明に中身を見てきました。そうしますと、一九八〇年から一九八九年度末、約十年間ですが、そのトラックが幾らふえたかというのを見ますと、全国の区域トラック車両数との対比で申し上げますと、全国区域トラック車両数は伸び率が一四五・六%、約五割増しですね。五割ふえた。その同じ期間に佐川急便グループの、これはいわゆる主管店だけですが、東京とか大阪とか中京とか主管店だけで千六百九十三台から六千六百四十四台、伸び率は三九七・四%です。約四倍に急増しているわけですね。これは同様の、大手の類似の業種がありますから、それの数字も私は運輸省からいただいて比較しました。そちらは大ざっぱに言って伸びは二〇〇%です。路線業者ですね。二〇〇%に足りません、言いますと百八十数%ですね。ところが、佐川急便だけが約四倍と急増しているのですね。これは私はちょっと異常なことだというふうに思うのです。  特にこのことで申し上げたいのは、先ほどから指摘もされ、私も言いましたように、いろんな違反、違法行為、これは脱税その他もあります。そういうことが指摘されておって、ある意味では、その点では問題会社ですよ。そうでしょう。だから、特別監査を佐川グループに限って全国調査もやったということを一方ではやりながら、このリストをもらうと、車両の増加申請はどんどん受け入れていっているのです。これはどう考えてもおかしいです。やはり運輸省が佐川急便には特別な配慮をしたと言われてもこれは仕方がない。これはどうですか、運輸省
  233. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  増車の関係でございますが、まず、新しい貨物自動車運送事業法になりまして、現在は届け出制になっております。それで、その前の道路運送法時代のことでございますが、道路運送法では、事業計画の変更ということで認可制になっておりましたが、具体的に行政処分を受けて一定の月数がたっていないものについては増車を認めておらなかったわけでございます。それからそれ以外に、車庫の収容能力がない場合、これも認めてなかったわけでございますが、それ以外は直ちに認可を行うことということで、四十五年の局長通達によってそういう処理をしているわけでございます。これは佐川急便だけではなくて一般的にどなたがおいでになっても同じ対応をしておったということでございます。
  234. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 私の質問に答えていただきたいのだけれども、佐川急便だけが急激に増車をしておる、一方で特別監査をしなければならぬような事態を引き起こしながら、そういうところに対して、以前は認可だったからということでどんどん増車を認めていっている、これは一体どういうことだという点をお聞きしているのです。
  235. 水田嘉憲

    ○水田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、ほかに比べると佐川急便の増車が激しかったじゃないかというお話でございますが、私どもはやはりこの四十五年の通達で処理をさせておったわけでございます。これは各陸運支局で増車の処理をするわけでございますが、そのときの考え方がこの通達でございます。  そして、今おっしゃった違反との関係でございますが、具体的に違反をして処分が行われた場合には、その一定月数の範囲は増車を認めないという処理になっておりましたが、それ以外は同じ処理をしておった。それが実質上先ほどおっしゃった長時間労働につながっているのじゃないかという議論があろうかと思いますが、考え方としては、私どもはこの基準に従って従来からずっとやっておって、特別に佐川急便だけ余計どうこうするということじゃなかったということを御理解いただきたいと思います。
  236. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 これは御理解はできないです。実態が余りにも雄弁なんですよ。特別監査をやったときに、その時期に東京佐川もやりましたね。これはいろいろな違反の事実が道路運送法違反事項ということで三つ挙げられている。これは詳細に読む時間がありませんから言いませんが、その時期にも、東京佐川について言えば四百、五百、六百台近く増車しているのです。あるいは平成元年の調査の直後にも百七十台増車している。だから一方で監査と言い、指導ということを言っておりますが、それは名目だけのものに実際にはなっているということですよね。増車申請があれば、そういうところはそのままにしておいて、実態はそうなっているのに、実態は変わっていないのに、どんどん増車を認めていっている。これは徹底的にたださなければならぬですよ。これはある意味では癒着とも言えるようなことなんですよ、客観的には。だから大臣もそのあたりは新たな目で見てやっていっていただく必要があるというふうに思います。  ちなみに申し上げておきますと、佐川急便がいかに投資しているかということ、さっき言いましたように、東京佐川の場合でいうと十年間で四五九%の激増ですよ。一般路線トラック、ほかの路線トラックの八〇年度から八九年度の十年間の増車率はどうかというと一八六・八%ですね。だから格段の違いがあるのですね。いろいろ問題がある方がどんどんふやしていっている。こうなりますと、やはりこういう事実から何らかの、運輸省が見落としているか、過剰に遇しているかということが疑問が出るし、解明されなければならぬ。  ましてやそこに政界工作などが絡んでおったら、先ほど大臣は、どうも佐川は政治家が好きなようだ、助けを求めるようだというお話があったけれども、それはまだまだ今のところ事実関係は明らかになってきておりません。個々の出版物では私もいろいろ持っておりますし、個別の議員の名前が出たりもしておりますが、それはまだ定かなものではありませんから私もこの場では避けますけれども、そういうことがあったとすれば、文字どおり運輸行政がゆがめられた、こういうことになるわけです。そのあたりが一般の国民も今非常に強い関心を持って見ているところだと思います。そういう点が徹底的に究明され、ただされなきゃならぬということを申し上げて、もし大臣決意がおありであればお答えいただいて、終わりにしたいと思います。
  237. 奥田敬和

    奥田国務大臣 国民疑惑の焦点になっておる問題だけに、行政の公平さをモットーとして処理に当たりたいということで決意表明にかえます。
  238. 佐藤祐弘

    ○佐藤(祐)委員 どうもありがとうございました。
  239. 久間章生

    久間委員長 高木義明君。
  240. 高木義明

    ○高木委員 私は、運輸大臣の所信表明に対しまして若干の質問をいたします。  一連の佐川関連の問題につきましては、我が党におきましても既に関係者の証人喚問を要求しておりますし、今後予算委員会等で真相究明に向けて最大限の取り組みを進めていくことにしておりますので、今回は大臣所信表明に対しての運輸行政全般にわたる質問といたしまして、本問題は差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、大臣に一言ぜひお伺いをしたいのは、先ほどからいろいろ出ておりますように、私は、国民の暮らしやあるいは仕事に大きくかかわっておる運送業、これらにつきましては、その社会的使命を受けて真剣に汗を流しておられる方々、あるいはまたそういう業界の方々あるいは一般の国民の方々、そういう方々にとって大変なイメージダウンであったということで、大変残念に思っております。よく言われております許認可事項が極めて多いという運輸行政の中で、果たして時代の進展に十分対応できることとして行政がこたえているのか、あるいはまた、公正な運送事業の中でなすべき指導やあるいは監督が十分に行き届いておるのか、この点につきましては、前向きな意味でもこの際改めて考えていかなければならないと思っております。この点につきまして大臣の所見をお伺いいたします。
  241. 奥田敬和

    奥田国務大臣 先生の御指摘のとおり、先ほど来の御質疑にも答えてまいったところでありますが、今回の佐川事件、しかしながら、まじめに国民の暮らしに直結している物流・運送業務に携わっている皆さん方にこれは大変な御迷惑をおかけしておる問題だけに、心が痛む思いで先ほどからお答えしてまいったところであります。  むしろこの問題のうみを出すべきものは出し、そして公正な行政運営ということを、我々の再点検も含めて、そういった形で反省の上に立って再点検を行って、そして物流業界の健全な発展と申しますか、そういった形に努力してまいりたいと考えております。
  242. 高木義明

    ○高木委員 今後、機会をとらえてまた触れてまいりたいと思いますが、物流問題に関連をいたしまして、私はいわゆる働く者の立場から、あるいはまた生活者の立場から、今物流業界は大きな変革の波の中にあると思っております。  それは、まず第一には言われておるところの人手不足の問題、あるいは道路網の整備等による交通渋滞の問題、そして地球的な規模で言われております環境問題、こういった問題を抱えておる中で、やはり物流効率化というのがどうしても避けて通れない。  前回も私は二、三の提言をいたしましたけれども、その中で、都市間物流効率化の大きな柱でありますいわゆる運送の共同輸送あるいはまた共同配送、例えば小さな企業、会社が小さな製品を同じところに、別々に、あちこちに、また幾度となく届けていくということでありまして、大半の問題が先ほど申し上げました物流にかかわる厳しい問題だと私は思っております。そういう中で、この共同化あるいは一元化というのは、運輸政策審議会の中でも触れられておりますけれども、古くから何とかしなければならないと言われてきた問題でありますが、この進展は諸般の情勢の中でほとんど進んでないんではないかというふうに思っておりますけれども、現状についてどのように把握されておるのかお尋ねをいたします。
  243. 土坂泰敏

    土坂政府委員 仰せになりましたように、人手の問題であるとかあるいは道路混雑の問題、環境の問題、物流を取り巻く情勢が大変厳しくなっておりまして、物流効率化を進めていかなければいけない、これは仰せのとおりでございます。  その場合に、トラックにつきましては、トラック輸送量は、運ぶ物の量は確保しながらトラックの走行量を減らす、それが大切でございまして、そういう意味で、今仰せになりました共同輸送というものをぜひこれから進めていかなければならないと思っております。  ただ、現状についてのお尋ねでございましたので現状について申し上げますと、トラックの共同輸送というのは、荷主さんから見ますと、やはりほかの荷主と一緒に一つトラックを使うという意味制約を受ける、自分の都合どおりに使えないという意味でのハンディを受ける、それからトラック側から見ると、既に確保していた荷主を失う方が出てくる、そういったような問題がいろいろございまして今までなかなか進まなかったわけでございますが、最近に至りまして、冒頭申し上げましたようないろいろな制約要因が厳しくなってきましたことから、現実問題としてかなり進んできておりまして、私ども運輸省で把握しているだけでも二十数件のトラックの共同輸送が行われている事例を承知しております。
  244. 高木義明

    ○高木委員 一定の進展はあったという御回答でございますが、さらにこの問題については進めなければならない課題だと思っております。  したがって、今後こういう対策につきましてはどういう観点から取り組んでいこうとしておられるのか、その辺の決意をお伺いいたします。
  245. 土坂泰敏

    土坂政府委員 共同輸送は、基本的にはやはりトラックと荷主と両方で力を合わせて、協議をして、自分たちの力で解決をして進めていくべきものであると思っておりますが、やはり、共同輸送をやっていく場合に一つ必要になりますものとして配送センターというものがございます。これは先生案内のように、いろいろな荷主とかいろいろな仕立て地から出ました荷物をそのままばらばらに、仰せになりましたように個々に着荷主に持っていくということではなくて、一回配送センターに集めて、そこで方面別に仕分けをして一つトラックになるべく効率よく積み合わせていこう、こういう考え方でございますので、どうしても配送センターが必要でございます。  これがやはり資金的にも特に中小企業には大きな負担になりますので、中小企業が共同してこういうことに取り組む場合には、資金面あるいは税制面からこれを支援する必要があるというふうに思っておりまして、そのための法案について、今関係省庁と調整をしながら準備をしているところでございます。  また、中小企業以外の大手につきましても、同様に配送センターの整備に取り組んでいただく必要があるわけでございますが、やはり大手は中小に比べて力もございますので、これは開銀融資などによりまして支援をしていくというようなことで、国としてのバックアップをしながら共同輸送が進むように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  246. 高木義明

    ○高木委員 格段の取り組みを要請をしておきます。  次に、鉄道関係につきましてお尋ねいたします。  まず、国鉄改革に残された最大の課題でありますいわゆる国鉄清算事業団の国鉄長期債務等の解消の問題でありますけれども平成三年度初めにおきましては約二十六兆二千億円というふうに報告をされております。なかなかかかる状況下の中では、努力はされておると思いますけれども、この土地売却については困難を来しておるというふうに聞いております。  例えば、釜石、浦和、東加古川、鎌倉など七件の入札をしたところ、落札は釜石、浦和など三件しかできなかった、こういう事実も出ておりますし、また、その原因について見ますと、やはり自治体との協議がスムーズにいっていないのではないか、そのあり方にいろいろ問題があるのではないか、あるいはまた、公示から入札までの期間が二週間程度で短過ぎるのではないか、こういういろいろなものが言われておりますけれども、このような土地売却は長期債務を解消するためには大きな柱でございまして、国民負担の立場からいってもぜひ早期にそういうものが解消される知恵を絞ることが当然だと思っておりますが、この状況につきまして、また、今後の処分方法の改善等取り組みについてお尋ねをしておきます。
  247. 井山嗣夫

    井山政府委員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘いただきましたように、清算事業団の用地を売りまして国鉄の長期債務を返済していくという計画にしておりますが、確かに昨今の不動産をめぐります状況、極めて厳しい環境にございます。先生今おっしゃったように、入札にかけましても不成立のものが半分ぐらいあるというところでございます。  それで、私どもの基本的な考え方としては、競争入札が大原則でございますけれども、かつて土地の狂乱地価という問題がございまして、事実上入札は凍結されておりました。それが変わりまして、地方公共団体等にとにかく随意契約で買っていただこうということで非常にいろいろお願いをしてきておりまして、昨年の秋からも、公共団体の方が買っていただきやすいように、かなり厳しい制限をしておりましたのを、少し制度的あるいは運用面の改善をいたしまして処分をしやすいようにしたところでございます。それからもう一つは、入札が今まで原則だめだったのを、上限価格つき入札という制度をつくりまして、これで今入札を始めておるところでございます。  これらの成果を含めまして、何とか目標どおり土地の円滑な売却を進めてまいりたいと思っております。
  248. 高木義明

    ○高木委員 二つの柱でありますいわゆるJR株の売却につきまして、昨年大臣は、株式を国が保有していれば経営や人材に対する規制が続くので、早く完全な民営会社にしたいということで、株式の売却について、今年三月にもJR西日本がいわゆる上場基準を達するというところから、いわゆるJR東日本、東海、西日本、三社一斉にぜひ今年度中に売却をしたいということを述べておられますが、そのことはまさに所信の中でも語られたわけでございます。  どうですか、この見通しにつきまして、できるだけ早くということでありますけれども、お聞かせをいただきたいと思っております。
  249. 井山嗣夫

    井山政府委員 先生指摘のとおり、JR株式も長期債務の貴重な償還の財源でございますし、また国鉄改革の趣旨が、JR各社を早くいわゆる完全民営化するという趣旨もございますので、私どもも早く売りたいと思っているところでございます。具体的には、初め三年度を計画しておりましたけれども、いろいろな事情でちょっと無理だということで、四年度には何とか開始いたしたいと思っております。ただ問題は、現在の株式市場の状況がかなり難しくなってきておりますので、その辺を十分見きわめ、また関係の方々の御意見も聞きながらやっていきたいと思います。  その場合に、候補といたしましては、今先生指摘のように、JRの本州三社が今度の三年度決算でほぼ上場基準に達すると見込んでおります。そうなりました場合にどういうふうにして売っていくかでございますが、前に申し上げましたように三社一斉という考えもございますし、あるいは一社だけにするのか、いずれにしましても株式事情、受け入れの、何といいますか、取引高が今極めて減っておりますので、どれくらいの量を吸収していただけるか、それによっても大分違ってまいるわけでございますので、その辺も含めまして、まだ若干時間がございますので、関係の方々と意見を交換しながら詰めていきたいと思っております。何とか四年度には売却を開始したい、こういう方針でございます。
  250. 高木義明

    ○高木委員 ひとつできるだけの知恵と工夫をされまして、ぜひ国鉄清算事業団の長期債務を解消されますように格段の努力をこれまたお願いをしておきます。  次に、新幹線問題でございますが、御承知のように整備五線のうち、いわゆる平成元年着工しております北陸の新幹線高崎−軽井沢間に加え、東北新幹線盛岡−青森、北陸新幹線軽井沢−長野、九州新幹線八代−西鹿児島の三区間につきましては、ようやく昨年九月に着工式が行われて現在工事が進められておるわけであります。いわゆる一九七三年整備計画決定以来十八年ぶりのことでございまして、関係地元は、大変な悲願というものが達成されたことに喜びを持っておりますし、ぜひ目標内完成を祈っておるわけであります。  そこで、この整備新幹線に関しての来年度予算の政府案では、建設事業費は、今年度当初比七一・九%の増、一千七十九億円、これはJR、地方負担分を含むのでありますけれども、八年ぶりに一千億円の大台を確保しております。しかし、その内訳を見てみますと、一九九八年の長野五輪に向け、事業費の約八割が北陸新幹線の高崎−長野につぎ込まれる、こういうことで、残り約一割ずつが九州と東北に配分されるということであります。確かにオリンピックというのは一大国家行事でございまして、私もこの成功に協力を惜しむものではございませんけれども、三線三区間のそれぞれの工事推進にしわ寄せとなってくるのではなかろうか、今後の進展次第ではそういうことが大変疑念を持たれておるのも事実でございます。  大臣は、高崎−長野間につきましては六年後、盛岡−青森、八代−西鹿児島間につきましてはおおむね十年後の完成を目指していくと答えられておりますけれども、この際、ぜひ御決意お願いしたいと思っております。
  251. 奥田敬和

    奥田国務大臣 いろいろな財源の問題で鉄道整備基金という財布はできたわけでありますけれども、ここから出る果実は御存じのとおり限定されたもので、三線着工という形で、おおむね今先生指摘のとおり六年で高崎−長野間、そしてあとは十年をめど完成に持っていきたい。しかし、これをまた個々の面について見ても、それぞれ東北は東北、九州は九州、北陸は北陸で、不満、そういった形での問題点をまだたくさん抱えております。少し先走るようですけれども、九州の場合でも、やはり長崎のルート調整も含めてそういった課題も残されておりますし、北陸の場合でも、小松以西の面に関しては全くまた整備計画の実施にも至ってないという形でもございます。青森は青森で、東北の方はミニ新幹線区間、フル新幹線区間まだら模様で、地元ではいろいろな問題を提起しておるという現状でございます。  いずれにしても、九州新幹と北海道の新幹の問題は五年後の見直し期を、来年になるわけですけれども、これをめぐってまた大変な問題点として提起されるでしょうから、そういった点も踏まえまして、今後の新幹線整備計画に関しては財源面の積み上げも含めて努力してまいりたいと思っています。
  252. 高木義明

    ○高木委員 大臣から長崎ルートというのも出てまいりましたのであえてこれ以上触れませんけれども、四全総を引き合いに出すまでもなく、この整備五線につきましては、これまでの経緯からぜひ実現をできるようなスタンスで強力な取り組みをお願いをしたいと思っております。  次に参ります。  海上関係でございますが、プルトニウム輸送護衛船の問題であります。  このプルトニウム輸送につきましては、これまで、航空輸送に加えまして、昭和六十三年十月に日米原子力協定実施取極附属書五が修正され、海上輸送についても一定の方針に沿って認められ、その後平成元年十二月十二日の原子力委員会において、高速増殖炉「もんじゅ」の運転等に必要なプルトニウムを確保するため、平成四年秋、すなわち本年秋ごろまでにプルトニウムの返還輸送を実施すること、当面は海上輸送により実施することという内容の報告が了承されておりまして、その後、新しい海上保安庁の巡視船が建造され、今その準備に備えておるわけであります。  ここでまずお伺いしたいのは、本年秋からの実施ということは具体的にいつごろになるのか、この点でございますけれども、いかがでしょう。
  253. 小和田統

    ○小和田政府委員 ただいまの御質問は、政府部内で申しますと科学技術庁、それから具体的には動燃、動力炉・核燃料開発事業団がお決めになることだと思います。私どもはそれに基づいてその護衛の任務を全うするという立場でございますので、いつごろになるかということについてはちょっと私ども承知しておりません。今のところ本年秋というふうに聞いております。
  254. 高木義明

    ○高木委員 おっしゃられるとおりに、科学技術庁なり動燃が主体でございますので、その要請を受けてということになるわけであります。  しかし、私はそういうことで今答えられないというのであればそれはそれで子とするわけでございますが、やはりどうしても海上の安全輸送については気がかりでございます。特に、私たちは原子力の平和利用を推進する立場としましても、無事にこの仕事が完了するように、これは強く祈っておるわけでございます。しかし万が一ということも考えられますので、その万が一に備えた体制については、例えば乗組員の教育なりあるいは装備の充実なり、こういったことについて今から、今既に取り組まれていかなければならない問題と思っておりますけれども、その点について御所見をいただきたい。
  255. 小和田統

    ○小和田政府委員 プルトニウムは、先生もおっしゃいましたように、輸送について安全の確保という意味から万全の対応をしなければならないものだと考えております。  輸送船そのものにつきましては私ども担当しておりませんけれども、その護衛の任に当たる巡視船は、先ほど先生おっしゃいましたように現在建造中でございまして、本年四月には完成する予定になっております。護衛の任務に必要な性能、装備を備えた巡視船を現在建造中でございます。それから、乗り組みます保安官あるいは護衛の任務に当たる要員、そういうものにつきましても現在必要な訓練を実施中でございます。そのほか、関係諸国との連絡、協議等も着々と進んでおりまして、私どもとしては万全の対応をするということで準備しているわけでございますけれども、現在のところ順調に進んでいるというふうに考えております。
  256. 高木義明

    ○高木委員 とりわけ外務省と十分な連携をとり合いながら、国際情勢のその場その場の的確な把握ということも欠かせない問題だと私は思っております。とにかく万全の準備態勢を進めていただきたいと思っております。  次に、海難事故の防止についてお尋ねをいたします。  御案内のとおり、最近ではヨットあるいはクルーザー、モーターボート、これらのプレジャーボートの愛好者が増加をしておりますし、一方、それらの保有者の技術的な未熟さなどの原因から事故も増加をしておるのではないかというふうに思われております。この問題について、昨年も押し迫った十二月三十日、レースヨットが転覆するという事故が起こりましたし、また、ことしになって一月十二日には瀬渡し船が転覆をし多くの方々が亡くなるという痛ましい事故が起こっております。平成三年度の運輸白書におきましては、海洋レジャーに係る安全対策推進として、愛好者がみずからの責任において安全意識を持って行動するという基本原則の啓蒙、ルールやマナーの普及及び知識、技術の向上を図るため施策を実施していくこととしているということで、これは最も大切なことでございます。  そういう大切なことと同時に、海難事故防止の観点から、当局としてこれらのたび重なる問題にどのような認識を持ち、どう取り組んでおられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  257. 小和田統

    ○小和田政府委員 海洋レジャーにつきましては、確かに近年大変進展著しいところがございます。したがいまして、私どももその健全な発展に資するという意味から安全対策を講じてきているわけでございますけれども、やはりこのようなレジャー活動につきましては、愛好者みずからが必要な海事知識とか技術というものを習得し、あるいは十分な安全意識を備え、みずからの責任のもとに安全を確保した上で楽しんでいただくということが基本的に必要だろうというふうに考えているわけでございます。  そういう観点から、私ども現在やっておりますことは、海難防止強調運動あるいは海難防止講習会といったような海難防止活動を積極的に展開をし、そういうことを通じて海洋レジャー愛好者の方々に遵法精神でありますとか安全意識の高揚でありますとかいうことに努めていただく。それからまた、関係団体としまして昨年日本海洋レジャー安全・振興協会というものを新しく設立いたしました。そのほか小型船安全協会というような団体もございますけれども、そういうところを通じまして組織的な活動を展開する必要があると思いますので、それらの組織化の推進なり今後の強化に努めていこうと考えております。  それから、安全指導員あるいは安全パトロールといったような自主的な指導体制。それからさらには船の構造とか設備とかいうふうな面でも対策が必要な面があろうかと思いますけれども、さしあたりまして例えば無線設備といったようなことについて考えていただく必要があろうというふうに思っております。これは海上技術安全局で現在指導していただいておりますけれども、このような連絡体制の整備促進するということも大事かと思います。そのほか、安全のためにモーターボート等が使いやすい海図を別途つくるというようなこともしております。  そのような総合的な施策の中で、この海洋レジャーが安全に発展するようにということを考えて努めているところでございます。
  258. 高木義明

    ○高木委員 時間も来ましたので終わりますけれども、今回の教訓を十分に生かされまして、とりわけハイテク技術、ハイテク装備等の強化を含めてぜひ御検討いただきたいと思っております。  以上で終わります。      ————◇—————
  259. 久間章生

    久間委員長 次に、内閣提出特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。奥田運輸大臣。     —————————————  特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  260. 奥田敬和

    奥田国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶製造業経営安定臨時措置法を廃止する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  特定船舶製造業経営安定臨時措置法は、二度にわたる石油危機等経済的事情の変化による世界的な新造船需要の減退、急激な円高等により、外航船舶の建造を主体とする特定船舶製造業における経営が急速に悪化したことにかんがみ、計画的な設備の処理等を促進するための措置を講ずることによりその経営の安定を図ることを目的として制定されたものであります。  この法律は、施行日である昭和六十二年四月一日から五年以内に廃止するものとされていますが、最近における特定船舶製造業をめぐる状況にかんがみ、この法律を規定どおり廃止する必要があります。  すなわち、この法律のもとで計画的な設備の処理、事業提携等の経営の安定のために必要な措置が実施された結果、昭和六十二年当時の年間生産能力の約二割を削減したこと、グループ数を二十一グループから八グループに集約したこと等により、産業体質の改善及び安定的な経営基盤の確立が図られてまいりました。こうした対策の成果と海運市況の好転とが相まって、ほとんどの企業が経常ベースで黒字に転換するとともに、約二年分の手持ち工事量を抱えるなど、特定船舶製造業における経営状況は著しく改善してきております。  また、今後を展望してみても、タンカーの代替需要を中心におおむね現在の供給力に見合う安定した需要が見込まれることから、この法律のもとで実施したような抜本的な対策を再び講じなくとも特定船舶製造業における経営の安定が図られていくものと考えられます。  以上申し述べました理由から、特定船舶製造業経営安定臨時措置法を規定どおり平成四年三月末までに廃止することとし、本法律案を提出した次第であります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  261. 久間章生

    久間委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会      ————◇—————