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1992-04-14 第123回国会 衆議院 安全保障委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年四月十四日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中山 利生君    理事 江口 一雄君 理事 大島 理森君    理事 瓦   力君 理事 三原 朝彦君    理事 上田  哲君 理事 渡部 一郎君       石井  一君    石原 伸晃君       今津  寛君    北川 正恭君       佐藤謙一郎君    鈴木 宗男君       中谷  元君    中山 成彬君       中山 正暉君    保利 耕輔君       山下 元利君    池田 元久君       佐藤 恒晴君    沢藤礼次郎君       新村 勝雄君    松原 脩雄君       元信  堯君    山中 邦紀君       吉田 正雄君    北側 一雄君       山口那津男君    東中 光雄君       神田  厚君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宮下 創平君         (防衛庁長官)  出席政府委員         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁参事官  三井 康有君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁教育訓練 小池 清彦君         局長         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁建設 新井 弘文君         部長         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         外務省アジア局 谷野作太郎君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省国際連合 丹波  實君         局長  委員外出席者         警察庁刑事局捜 深山 健男君         査第一課長         外務省北米局安 小澤 俊朗君         全保障課長         運輸省航空局技 松本 武徳君         術部運航課長         安全保障委員会 岩永 英一君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   神田  厚君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   永末 英一君     神田  厚君 同月六日  辞任         補欠選任   元信  堯君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     元信  堯君 同月十日  辞任         補欠選任一   東中 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     東中 光雄君 同月十一日  辞任         補欠選任   中山 成彬君     松永  光君   中山 正暉君     松本 十郎君   池田 元久君     井上 普方君   宇都宮真由美君    伊東 秀子君   沢藤礼次郎君     加藤 万吉君   新村 勝雄君     串原 義直君   松原 脩雄君     新盛 辰雄君   山中 邦紀君     戸田 菊雄君   吉田 正雄君     野坂 浩賢君   神田  厚君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   松永  光君     中山 成彬君   松本 十郎君     中山 正暉君   井上 普方君     池田 元久君   伊東 秀子君     宇都宮真由美君   加藤 万吉君     沢藤礼次郎君   串原 義直君     新村 勝雄君   新盛 辰雄君     松原 脩雄君   戸田 菊雄君     山中 邦紀君   野坂 浩賢君     吉田 正雄君   中野 寛成君     神田  厚君 同月十二日  辞任         補欠選任   池田 元久君     井上 普方君   宇都宮真由美君    伊東 秀子君   沢藤礼次郎君     加藤 万吉君   新村 勝雄君     串原 義直君   松原 脩雄君     戸田 菊雄君   山中 邦紀君     新盛 辰雄君   吉田 正雄君     野坂 浩賢君   神田  厚君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     池田 元久君   伊東 秀子君     宇都宮真由美君   加藤 万吉君     沢藤礼次郎君   串原 義直君     新村 勝雄君   新盛 辰雄君     山中 邦紀君   戸田 菊雄君     松原 脩雄君   野坂 浩賢君     吉田 正雄君   中野 寛成君     神田  厚君 同月十八日  辞任         補欠選任   元信  堯君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     元信  堯君 同月二十四日  辞任         補欠選任   神田  厚君     小平 忠正君 同日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     神田  厚君 四月十日  辞任         補欠選任   元信  堯君     伊藤 忠治君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     元信  堯君 同月十四日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     佐藤 恒晴君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 恒晴君     新村 勝雄君     ――――――――――――― 三月二日  自衛隊岩国基地へのP3Cの配備中止とそのた  めの通信基地建設計画の撤回に関する請願(井  上普方紹介)(第三三五号)  同(宇都宮真由美紹介)(第三三六号)  同(小澤克介紹介)(第三三七号)  同(大出俊紹介)(第三三八号)  同(川崎寛治紹介)(第三三九号)  同(小林恒人紹介)(第三四〇号)  同(佐藤泰介紹介)(第三四一号)  同(渋沢利久紹介)(第三四二号)  同(竹内猛紹介)(第三四三号)  同(富塚三夫紹介)(第三四四号)  同(永井孝信紹介)(第三四五号)  同外一件(馬場昇紹介)(第三四六号)  同(早川勝紹介)(第三四七号)  同(堀昌雄紹介)(第三四八号)  同(松本龍紹介)(第三四九号)  同(元信堯君紹介)(第三五〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十六日  一九九二年度防衛予算の削減、日本の軍縮に関  する陳情書  (第六二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 中山利生

    中山委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
  3. 三原朝彦

    三原委員 先ほど理事会で、私は気がつかなかったのですが、東中先生が君は安全保障委員会か常任になって初めての質問者である、この名誉あることを肝に銘じて質問せよとおっしゃったのであります。まあ、それだと楢崎先生かどなたかがなさるとよかったんでしょうが、役不足の私で許していただきたいと思う次第であります。こういう和気あいあいとした雰囲気で委員会がこれからもいければなという気持ちがあるわけであります。  先日の長官所信表明でも、ソビエト崩壊以後の東アジアのいろんな状況変化の話がございました。そのことをまず最初に私は質問させていただきたいと思うのです。  ソビエトが分裂しましてCISをつくって、その中で一番強大な国というのが御存じのようにロシアでありまして、これがまた我が国の隣国でもある。このロシアは旧ソ連の核を持つ状態をそのまま継承しておるわけでありまして、四カ国のうちの一つということになっておるそうですが、核抑止に関しては我々としては米国の核の傘に頼らざるを得ない、一〇〇%頼らざるを得ないという状況が続いておることは、ソ連があったときもそれが崩壊した後も変わらない。  しかし反面、通常戦力といいますか軍事力に関しては見方がいろいろあるかとも思います。一つには、ウラル山脈から東の方の軍事力ソ連であった時代と変わってはいない。いやそれどころか、ヨーロッパが軍事力レベルダウンをお互いにした中で旧ソ連軍のいろんな武器兵器ウラルから東の方に撤退してきておる、その結果ウラルからこっち側の方はむしろ数的量的には強化されたと言ってもこれは間違いじゃないというようなことを言われておりますし、極東の旧ソビエト、今のロシア海軍力は何も変化があっておるわけでもありませんし、空軍力も同様。こういうことを総合しますと、さきに私が申し上げましたように、旧ソ連我が国に与えた今日までの脅威と何ら変わりはないじゃないかという言い方もされております。  しかし一方では、軍の秩序とか訓練の面から、またCISになった結果新しい国ができましたが、その各国出身の人がばらばらに旧ソ連軍におるような状況では民族意識とかが生じますし、また特に今問題になっているアゼルバイジャンとかアルメニアとかグルジアあたり兵士たちにとっては自分忠誠を誓う国がロシアではない、そういう忠誠心も揺らいでおるということから、精強の赤軍もかつてほどの力はないのじゃないかというようなことも言われておるわけであります。もちろんこの前の所信のときにも長官はその点に関して御説明があっておりましたが、ちょっとこの状況をより詳しくといいますか、脅威に関してはいかなる認識かということをより具体的に説明していただければと思う次第であります。
  4. 宮下創平

    宮下国務大臣 初めてのきょうの安全保障委員会でございまして、今後の実のある審議をぜひお願い申し上げたい。そして三原先生がそのトップバッターとして登場されたわけで、改めて敬意を表します。  ただいまの御指摘の点の詳細につきましては国際参事官の方から答弁させた方がよろしいかと存じますけれども、基本的にどういう状況かという点だけ私から申し上げておきますと、極東地域の旧ソ連軍動向は、ソ連CIS動向その他と大変かかわり合いを持っておると存じます。基本的には、やはり強大な今までのソ連軍質的強化が図られてきたけれども量的には若干少なくなってきているということが言われておりますが、依然としてそういった戦力が蓄積された状況にあることは間違いございません。それからまた、極東地域通常兵器核兵器の大きな変化、これもいろいろ提案されておりますけれども、具体的にどの程度まで行われているかは必ずしもつまびらかでございません。いずれにいたしましても、米国国防白書でも言っておりますように旧ソ連陸軍は最強な重装備をまだ依然として持ち続けておりますし、ソ連核兵器も依然として深刻な懸念の状況にあるというような点等々、ソビエト軍事力存在状況については、冷戦終えん後も防衛力存在としてはそう大きな変化がないと基本的には思っております。  そこで、問題はソビエトCIS動向でありますけれども、これは私ども情勢をよくキャッチし分析すべきことは当然でございますが、今現に進行中でございまして、私どももなかなかその帰趨が率直に言ってつかめない状況でございます。旧ソ連邦が解体をして各共和国別になるというようなことになりますれば、軍事面その他でもいろいろ影響を与えることも間違いないと存じておりますが、我々はこういう国際緊張緩和の動きというものを歓迎しつつも、同時に情報を的確に把握し、これに対応して我が国のきちっとした防衛体制だけは整備していくべきものと存じております。  なお、今委員から詳細な御報告を賜りたいということでございますので、国際参事官の方から地域別に、あるいは重要度に応じて御報告させていただきたいと思います。
  5. 高島有終

    高島(有)政府委員 お答えいたします。  基本的には今大臣から答弁があったとおりでございますが、若干事実関係につきまして私どもの見ておりますところを御説明させていただきます。  まず、極東におきますソ連軍戦力として重要な部分一つ核戦力でございますが、これも基本的にはただいま大臣から答弁いたしましたように大きな変化はございません。戦略核につきましては、シベリア鉄道沿線中心としてICBM、特にSS18、SS25などが配備されておりますし、また同じくシベリア鉄道沿線中心戦略爆撃機が配備されておりまして、これも基本的に大きな変化はないものと見ております。また、オホーツク海を中心といたしました海域にSLBMが配備されております。その中には、特にSSN18といった近代的な新しい弾道弾を搭載いたしておりますデルタⅢ級といったSSBNも配備されております。全体といたしましては、旧ソ連全体の三分の一から四分の一程度戦略ミサイルがこの地域に配備されているというふうに見られております。  また非戦略核につきましても、中距離爆撃機、これはバックファイアがその代表でございますが、あるいは海洋空中発射巡航ミサイル戦術核ども依然として配備されております。ちなみにこのバックファイアは、現在この極東地域には百二十五機程度あるというふうに見られております。それから同じく潜水艦でございますが、SSN21といった海洋発射巡航ミサイルを搭載したアクラ級の原潜も配備されております。  それから地上戦力でございますが、これは全体として三十八個師団程度がこの地域に配備されているというふうに見ております。その装備に関連いたしましては、ただいま先生の方から御指摘がございましたように、欧州方面から配備されたと見られております最新型のT80戦車なども昨年以来新しく見られるようになってきております。  それから、海上戦力につきましては基本的にそれほど大きな変化はございませんが、ウラジオストク、ペトロパブロフスクなどを主要拠点とした太平洋艦隊が依然としてそのまま残されているといった状況でございます。  航空戦力につきましても、旧ソ連の全体の約四分の一に当たる二千機以上の航空機がこの地域に配備されており、かつその内容も、第四世代といったミグ31、SU27などに代表されます新しい近代的な戦闘機が約二五%を占めているといった状況でございます。また、空中警戒管制機IL76メインステイといったものも新しく配備されるに至っておるわけでございます。  大体以上のような状況と私どもは見ておるところでございます。
  6. 三原朝彦

    三原委員 ソビエトが崩壊してロシアができて、そのロシアというのは人口も半分ぐらいありますし国の大部分を占める強大な国ですから、急に旧ソビエト、そして今新しくできた国家群の中の一番大きなロシアが我々にとって脅威がずっと下がるということはあり得ないことでしょう。我々はもちろんそう望むのですけれども、あり得ないことなんでしょう。しかし、いろいろな世界趨勢を見ていると全般的に軍事に対する国家支出というものは下がってきておる。そういう中で、先日来我が宮澤政権もそのことに関して考慮してこられておるわけでありますし、世界趨勢としてそういうふうに動いていっているときに我が国だけ支出の増大に固執するというわけにもやはりまいらぬであろう。  しかし反面、ならば前方の問題、つまり装備とかは現状の中で何とか勘案していくことができたとしても、私は特別委員会だったころから現地部隊あたりも何度も見せてもらいましたけれども、そこは終戦後何ら変わっていないような、本当に近代的な装備の陰に五十年前の隊舎があったり官舎があったりするような状況を多々見てきたわけであります。ならば今こそ俗に言われる後方支援、そういう面に目を向け、支出予算もそっちの方面に振り分けて隊員諸兄の日々の生活の向上安定、そういうことにこれからエネルギーを前以上に払ってもらいたいと私は思うわけであります。  ましてこのごろは労働力不足などとも言われている時代自衛隊員地連あたりでのいろいろな話を聞いてみますと、若者自衛隊にということで勧誘してもなかなか厳しい状況もある。後方支援お金をたくさん使って設備ができたからすぐそれではっと問題解決とならないかもしれませんが、しかしそれも一つ寄与することになる。このごろの同世代若者に対して先輩の年代の人が、このごろの若い者はとか、おれの若かったころはなどと言うことだけでは説得力を持たない。この四月は大学入学シーズンですが、大学生あたりは、私の九州から東京へ出てきてお父さんかお母さんに連れられて時々訪ねてこられますが、みんな個室部屋じゃないと大学に行く気はしない、下宿などというのは自分の思いの中にもないという状況ですから、それは今の若者一つの期待、欲求でもあろうと私は考えますので、個室を与えるというわけにもいかないかもしれないが、八人部屋だとかなんとかということでなくてもっとそういう点も考慮する施策をこれからもどしどしやってもらいたいと思うのですが、その点どうでしょう。
  7. 宮下創平

    宮下国務大臣 今委員の、国際情勢変化に応じて我が国防衛力も見直すべきではないかという考え方、国際情勢変化を直ちに防衛力整備に投影させることは防衛力整備の性格上なかなか難しいと思いますけれども、しかし、中期防の中においても防衛計画大綱の中においてもその検討、見直し等をするということに相なっておりますし、なさなければならないことだと私も存じます。ただ一つ基盤的防衛力構想というものに立って我が風の防衛力整備いたしておりますから、脅威大綱論ではございませんので、その辺は、正面装備についても更新近代化ということで量的な水準はほぼ達成しておりますけれども、そういうことでありますから、これは委員も十分御承知のとおりでございますが、私どもはこれからの防衛力のあり方として正面装備についても必要なものは更新近代化で、専守防衛の立場からいえばより効率的なものを数は少なくても保有することは必要であろうかと存じますが、調達その他の問題、これは延伸その他もあり得るかもしれません。  しかし、今委員指摘後方問題は非常に重要でございまして、正面後方とのバランスのとれた防衛力整備ということはずっとここ数年言われてきておりますけれども委員指摘のように隊舎宿舎等の二段ベッド解消あるいは個室化等々の問題はなおかなり経費と時間を要します。しかし本年度の予算ではこれらに最重点を置きまして、隊員施策、特に隊舎宿舎整備それからまた自衛官厚生施設整備等々、自衛官も精強な自衛隊であることを私どもが希望するならばその環境整備をやることは当然でありまして、今の若者に対して魅力ある自衛隊と言葉だけ唱えておってもだめでありまして、これはもう委員指摘のとおりでございます。自衛隊隊員募集地連中心にして大変御苦労いただいておりますが、基本的にはそういう環境条件整備とさらに国を守っていくという自衛官の心構えについての現隊員充実感といいますか、そういうものも募集に投影されてくるものと思いますので、そういった点を中心にして努力してまいりたいと思っております。
  8. 三原朝彦

    三原委員 今長官がおっしゃったように、本当にそういう気持ちでこれからもどしどし後方の方にも気を配っていただいて頑張っていただきたいと思う次第であります。  それとの関連といいますか、ことしから防大にも女の人が入ったそうでありますが、そういう面でも、私が昭和五十年代の初めですか、アメリカに行ってアナポリスに行きましたらもう女性兵学校の生徒がいまして、男性と一緒になって頑張っているのを見て驚いたのを記憶しています。それからもう十数年たっていますけれども、やっと日本にもそういう状況が来たか。もちろん費用の面では、例えばトイレ一つとっても男子トイレ女子トイレをつくらなければいけないし、お金もかかるかもしれませんが、本当の意味でのこれから先の国防というようなことを考えるなら大いに女性にも理解もしてもらうし、参画もしてもらう。アメリカあたりでも女性のやるべきような責務と男だけの責務というのは分けてあるみたいなことを聞きますけれども、私はこういう面も今から先腐心していただく、予算措置も大いにしていただいて進めていただきたいと思うのですが、その点はどうでしょう。
  9. 宮下創平

    宮下国務大臣 ことし防大入学者の中に女性が初めて、たしか三十九人だと思いますけれども入学することができました。今委員の御指摘のとおり、アメリカその他においてもこうしたことは行われているわけでございまして、我が国においても防衛医科大学の方は既にもう卒業生も出ておりますけれども防衛大学自体は初めての試みであります。  しかし、世の中全体が男女雇用平等法も成立し、あらゆる職場に女性の能力と特質を活用していこうということでございますから、防衛分野においても当然これは考えられてしかるべきものと思います。そういう意味で、女性隊員が非常に倍率が高くて優秀な人が入学できたということは大変私は喜ぶべきことだと存じております。やはり今までは男性中心防衛大学でございましたから、そのための環境整備その他をやることは当然でありまして、さらに女性の方々が防衛に対する深い関心を示し、そしてたくさんの人が応募されて優秀な人が来られるということは今後も続けてまいらなければならぬことだ、こう思います。
  10. 三原朝彦

    三原委員 前向きな答弁、大いに私ども賛同するところでありまして、これからもそういった方面で、例えば地元の地連とかそういうところでも女性にも大いに国防防衛理解を持ってもらって参画してもらうということに努力していただきたいと思う次第であります。  次の質問に移りますが、これは防衛庁国防防衛とは直接に関係ないことかもしれませんけれども、ちょっと私自身が感じたものですから質問させていただくのですが、我が国武器輸出三原則があって、我が国がつくった武器がよその国に行ってそれによって争いが起こるというようなことがないことは全くありがたいことであると考えます。また特に、私は開発途上国へ行くのが大好きなのですけれども、そういう開発途上国の貧困な状況の中で国内やまた近隣の諸国間の争いで、自分の国でようつくらぬのによその国から買ってきたり、こっそり入れられたりというようなことでよく戦いが行われておる。海部政権の当時にそういうことと日本のODA、政府開発援助とのことに関して、やはりそういうことは考慮し直さなければいかぬ、そういう武器を購入してやっておるような開発途上国には援助のことに関しては考慮し直そうというようなこともあったわけですし、またそれに関して海部政権当時に国連に対して、開発途上国への武器の移転に関しては報告したりというようなことをもっとはっきりとしようということも言われて、私は大いに賛同しておったところなのでありますが、簡単に言えば、私どもの国民、納税者人たちの血税でどこかの国でそれが血で血を洗うようなことになっておったなんということは大いに遺憾なことであると思うわけであります。  湾岸戦争のときも、イラクの使用した高性能武器というのはほとんどよその国から、それも先進諸国から購入したものでありまして、また今回のPKOの問題になっておりますカンボジアに関しても、今一万四、五千人の外国の軍隊が行って五百万発とも言われるような地雷を捜してという努力をしておられるわけでありますけれども高性能地雷はやはりほとんどよそから来ておるというようなことらしいのですね。冷戦構造が終結した今日ですが、これからも地域紛争は避けられないというようなことが言われているわけですが、この紛争長期化とか拡大はやはり一にかかってどこかから武器が来ることによることは明々白々ですから、ならば我が国は先ほど申し上げたようなODAを使ってみたりとか国連にレポートをするようなこととか、そういうことをさらに推進して、開発途上国への武器の売り込みに対しては否定といいますかネガティブな行動をさせるようにしなければいけないと思います。そういうことに関しては外務省あたりがメーンのことなのかもしれませんが、実は武器とかそういう技術的なことになるとそれこそ防衛庁が一番ノウハウもあるというようなところでありますので、これから先のそういう点に関する防衛庁の立場とか役割とかいうことに関して何か御意見がありましたらお教えいただきたいと思う次第であります。
  11. 宮下創平

    宮下国務大臣 武器の輸出入につきましては、主権国家であります以上自衛権を有しておりますし、合理的水準の安全保障体系を確保するというための武器の輸入ということは一般的には認められてしかるべきものと存じます。しかし湾岸危機の状況、ああいう結果を見ましても、一つの国が自衛のための必要をはるかに超えたような程度の、また近隣諸国あるいは世界に非常に脅威を与えるような大量の武器を取得することの危険性も明確になってきたところでございます。したがって、今先生はODAの実施の問題に武器輸入の問題等も当然リンクして考えるべきではないかということでございますが、政府全体の立場といたしますれば、私はODAの直接執行の立場にはないわけでありますけれども、当然そういった観点で従来外務大臣中心にして武器の輸入のみに使われるような、あるいは民主的な政治体制に欠けるような等々の諸条件を提示されていることは御案内のとおりでございまして、私どもその趣旨に沿って、被援助国の武器の輸出入の動向には十分注意を払っていかなければならぬと思っております。  他方、我が国武器技術輸出禁止三原則がございまして、世界平和のためにこの原則は平和志向を目的とする我が国としての基本的な立場を明らかにしたものでありまして、こういった趣旨はなるべく多くの国々に主要な武器等については賛同を得ていくことがあるいは必要かもしれません。これを我が国として提唱する立場ではございませんが、しかし通常武器の移転に関しては今委員指摘のように、昨年の十二月に国連におきましてもこの武器の通告制度についての決議がなされまして一月から一応実施されておりますが、これをさらに強化して大量の武器あるいは破壊兵器等の移転がなされないようにして、世界の傾向として軍縮・軍備管理をきちっとすべきもの、このように存じております。
  12. 三原朝彦

    三原委員 もう時間が終わりそうなんですが、もう一つお伺いいたします。  それは、数日前北朝鮮がIAEAを批准して、私どもとしては朝鮮半島の南と北の国の問題が少しばかり前進する可能性が出てきたかなとは思うのですが、しかし私はすごく強い印象を受けたのは、一昨年ですか、ワシントンに行きまして国務省の高官の人と話をしていましたら、世界で一番予測不可能、アンプリディクダブルと言われたのですが、その国は北朝鮮であると明確に言われまして、まさにそのとおりなんだな、そういう国を近くに持つ日本はなかなか苦労も多いわというような気持ちで帰ってきたことを思ったのです。  ここのところ、きのうから議員団でかなりの人が金日成氏の生誕八十周年か何かに行かれたりしていろいろなチャンネルでの北朝鮮と日本とのつながりができてきたのでありますが、向こうの国防関係の人と日本防衛庁の人が会うようなこともないでしょうけれども、しかし防衛庁としてはどうでしょう。今の北朝鮮が雪解けとまではいかないかもしれませんけれども、少しずつ何といいますか国際情勢の中へ入り込もうとしているという状況だと思うのです。我々やはり近隣の国はアンプリディクダブルな国であっては困るわけでありまして、その点に関して、これから先も軍事的な脅威は何とかして取り除くようなことをしていかなければならないと思いますが、これから先何か努力目標みたいなものがございましたら、最後の質問ですがお願いしたいと思います。
  13. 宮下創平

    宮下国務大臣 今度のアメリカ国防白書によりましても、グローバルな世界的な脅威というものはもうないだろう、しかし地域的な紛争の可能性はかえって高まっている、こういう指摘が全体としてございます。そしてその指摘の中で北朝鮮には直接言及もしております。また中東のイラン、イラク等にも言及をしておりますね。アジアで言及しているのは、北朝鮮を明確に規定しておられます。北朝鮮の核関連施設の建設問題、これはIAEAの加入それから批准が行われることになりまして大変結構なことだと存じます。それから南北対話も進み相互査察もしっかりとしたものが行われることが必要だと思います。全体としては朝鮮半島、北と南の国連の同時加入というようなことも行われておりますし、流れとしてはそうだと存じます。  今御指摘のように、きょうは我が党初め野党の議員団が金日成主席の八十歳の誕生記念ですかの式典にも行っておられますが、北朝鮮との関係の政治的な信頼それから国交回復、これが正常に行われることが非常に必要だと存じます。ただ、アメリカなんかの方々と会っておりますと核関連施設に対して非常にナーバスでありますし、同時に、北朝鮮のミサイルの長距離化への研究開発等々にもよく言及されます。私どももそういうことのないようにやはりお互いの政治的な信頼と、それから同時に安全保障に対する理解を深めていくことがこれから基本的に重要だなと思っております。
  14. 三原朝彦

    三原委員 ありがとうございました。終わります。
  15. 中山利生

    中山委員長 中谷元君。
  16. 中谷元

    ○中谷委員 私は、現在国会において審議が行われておりますPKO法案についてお伺いしますけれども、この審議ももう三国会になりますが、日本の現状はどうであれ、世界情勢は刻々と変化をしております。「歴史は、歴史におくれるものに罰を下す」という言葉がございますけれども、現状の国際情勢に対して政府の認識をお伺いしたいと思います。  まず三月十一日に、UNTACの明石代表が日本に立ち寄られましてPKO委員会や政府に対して資金や人的協力を正式に要請をされました。それから三月二十二日、カンボジアのフン・セン首相が自衛隊と警察、文民の三拍子そろった人的貢献を要請されました。それから四月八日には、ドイツがNATOの圏域以外にも衛生隊を派遣しようということを決定したというふうに伝えられておりますけれども、このようにテレビからは各国の動き、またシアヌーク殿下や明石さんなんかの懸命なカンボジアからの活動を通じて、本当にカンボジアは困っている、今の時期に助けていただきたいという姿勢が伝わってくるわけであります。  現在このUNTACの国連活動に対して各国が何カ国参加をされ、また、これから雨季を迎えるわけでありまして難民とかPKOの支援部隊の衛生状態等が心配されておりますけれども、そういった背景。また、現在地雷がたくさん埋め込まれているそうですけれども、その地雷の数とか負傷者の数とかその状態及び三月二十四日の参議院の予算委員会において防衛庁長官は、地雷の処理につきまして陸上自衛隊地雷処理能力には限定的なものがあるというお話をされましたけれども、この意味についてお話をお伺いしたいと思います。
  17. 宮下創平

    宮下国務大臣 PKO法案につきましては、ただいま御指摘のとおり人的な国際貢献の必要性から私どもは非常に重要な法案と考えておりまして、平和的な貢献を自衛隊としてもなし得るもの、なすべきものというように考えて一日も早い成立を期待しているところでございます。明石さんがお見えになったりあるいはフン・センさんがお見えになったり、またカンボジアのシアヌーク殿下の意向等々私どももいろいろ承ってはおります。しかし、カンボジア問題が今現実の問題としてこのようにクローズアップされてまいっておりますが、私どもはカンボジア問題だけのPKO法案ではございませんで、全体として国連への平和協力、これを自衛隊がなし得ることということを基本的に考えておりまして、その一つとしてアジアにおけるカンボジアの問題等がある、そのように私個人は位置づけをいたしておるところでございます。  今委員のいろいろ御質問の中で具体的な事例にわたる御質問がございましたので、これは政府委員から答弁させていただきますけれども、基本的には、このPKO法案を成立させていただきますならばこの法案の目的、趣旨に従いまして、また国連の要請に従いまして、またカンボジアにおける現状等をよくわきまえて日本としてなし得る貢献を最大限なすべきものではないか、このように存じております。  詳細な今の御質問の点については政府委員の方から答弁させていただきます。
  18. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 ただいまの御質問の中で、UNTACの参加国とかあるいは負傷者数というお話がございました。これはUNTACの実態ということで外務省の方からお答えいただくのが筋がと思いますけれども、私どもが外務省の方から聞いているところで御報告させていただきますと、派遣の決定ないし意図表明を行っている国は三十六カ国ということでございます。なお、その事務局の計画によりますと、三月末時点でUNTACへの軍事要員派遣国というのは二十七カ国が予定されているということのようであります。ちなみに、国連カンボジア先遣隊という方には二十六カ国から軍事要員が派遣されていたところであります。  それから負傷者数という点につきましては、カンボジアにおきますPKO部隊員の負傷者については一名ということのようであります。  それから地雷の処理能力についてお話がございました。これは先般防衛庁長官からも申し上げたとおりでございますが、陸上自衛隊といたしましては、我が国に対する侵略があった場合に適切な行動がとれるというためにそれに備えての訓練を日ごろから行っているところでありますけれども、PKOのような場合に果たしてどういうことができるかということであります。  カンボジアについてどうかという点について法案の通っていない現段階におきまして具体的なことを申し上げるのは適当でないと思いますけれども、一般論として申し上げますと、陸上自衛隊地雷処理能力といいますのは、いわば地雷原の中に狭い幅で通路を開設するという能力があるわけでありまして、一定地域の大量の地雷を面的に同時に処理する能力についてはかなり限られたものであるということの意味でございます。
  19. 中谷元

    ○中谷委員 地雷の処理に関連して、一般的に対人地雷というのは人の手足を飛ばすぐらいの殺傷能力だと思いますけれども、そういうのに、日本の建設業者が使っているようなブルドーザーとかキャタピラーで上をざっとかいて処理するということで地雷の処理なんかが果たしてできるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  20. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 現在自衛隊が持っております地雷の処理器具から申しますと、これは幅五十センチで前方百メートルぐらいにロケット弾を発射しまして、そのロケット弾にそれぞれ爆薬がついておりまして、スイッチを押すと一斉にそこのところの通路が開設される、こういう形のものでございます。今お話にございましたもので具体的にどうかという点についてはちょっとよくわかりませんけれども、それに似たようなものが構想としてございます。それはローラー車、地雷原処理ローラーというものがございまして、平成四年度に新たに契約をして、これは技術研究本部で長年研究をしてきたものでございますので、それが御指摘のお話にあったものとあるいは似たような考え方に基づいてでき上がっていると言って言えなくはないというふうに思います。
  21. 中谷元

    ○中谷委員 いろいろと方法はあると思うので、今までの既成観念にとらわれるのではなくて、日本にあるあらゆる機材を使って地雷の処理ができるようなことも研究をしていただきたいというふうに思います。  それから、湾岸戦争時の反省点として日本世界からどれだけの評価を受けたかということを考えてみますと、クウエート政府からは解放があった日に感謝広告も出なかった、アメリカのある新聞では敗戦国扱いになっていたということで評価はほとんど得ていないわけでございます。先日フン・セン首相が来日されたときに、そういうことで再び戦争が起こるというのは非常に不思議な国である、また時代おくれの国であるというふうな感想を述べられたそうなんでありますけれども、こういったことを考えると、もし来年の四月に和平を達成したときに果たしてカンボジア政府が日本に対してどういう感じを受けるかと考えてみますと、それ以降アンコール・ワットの遺跡の観光旅行だとか日本人商社マン、ビジネスマンが行ったり、日本人が買い物に行ったりするときにカンボジアの国民が受け入れてくれるだろうかという心配もございます。そういう意味から、湾岸時の教訓を生かしたら何らかの人的行動をするというのが国家に対する温かい思いやりの気持ちになると思いますので、どうかこういうPKO活動に対する広報活動を大いにこれから手がけていただきたいと御要請をさせていただくわけであります。  次に、自衛隊員募集活動についてお伺いするわけであります。  自衛隊員募集活動については、今まで大変慢性的な隊員不足に悩まされているわけでありますけれども、この一年間に航空自衛隊においては救援機派遣の決定、海上自衛隊においては掃海艇の派遣、陸上自衛隊においては雲仙・普賢岳での大活躍ということで非常にその意義が高まっているのにもかかわらず昨年はどうであったかということについて、まず昨年の募集の実績等を踏まえて防衛庁のデータを教えていただきたいと思います。
  22. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、民間の労働需給というのが大変逼迫しております関係で、自衛隊防衛庁のみならず一般公務員もそうでございますが、人の募集ということに大変苦労しているわけでございます。今お尋ねの平成三年度につきまして新規高卒の二士男子等、特に高卒の二士男子が減少しているということで、これは数字で言いますと年度当初に約千七百五十人ほど下回ってスタートしております。そういうことで平成三年度も当初、予算上予定しておりました充足率を補正の段階で下げざるを得なくなったという形になりまして、さらにそのことが平成四年度の予算においてもそういう状況に至っております。  充足率の関係で申し上げますと、今陸上自衛隊が八四・五%だったものが八三・六%ということで、〇・九%当初の目標に対しまして低下させております。海上自衛隊につきましては当初九四・五%であったものが九三・二%ということで、当初の目標に対しまして一・三%低下せざるを得なかった。航空自衛隊につきましては九四・五%を目標にしておりましたが九三・七%ということで、当初の目標の充足率を〇・八%下げざるを得なかったというのが平成三年度の結果でございます。
  23. 中谷元

    ○中谷委員 その数字は例年の状況に比べて昨年はプラスであるのかマイナスであるのか、例年比はいかがなんでしょうか。
  24. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 人間と充足率との関係でございますが、今私、充足率で御説明申し上げましたが、充足率の関係で申しまして例年からいいますと二%前後下がっているということでございまして、人員の募集という観点からいっても三千人から四千人ぐらい減っているということになろうかと思います。
  25. 中谷元

    ○中谷委員 冷戦の終結を受けて自衛隊の意義そのものが非常に今変わりつつあるわけでありますけれども、冷戦の構造が変化したがゆえにますます自衛隊の役割は重要になりつつあるのにこのような現状であります。しかし、これは一般的な社会現象でいわゆる三Kという職種はどこも人不足に悩まされているわけでありますけれども、事防衛に関しては国民の生命財産に関する一番重要な分野であります。将来を展望してこの人集めについて抜本的に何かいい。アイデア、いい発想が必要だと思いますけれども、この抜本的な募集のあり方について防衛庁はどのようにお考えであるのが、アイデアがあればお聞かせください。
  26. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 お答えいたします。  先生よく御案内のとおりでございますが、民間におきましても、それからほかの省庁におきましてもまさに人の募集に頭を悩ましているというのは同じ状況でございまして、防衛庁におきましても人というものがまさに組織の基本でございますので、どうしてもいい人を必要な数確保しなきやならないという大命題があるわけでございます。そしてこの自衛官募集につきましては、これは自衛隊法上、自衛隊の中に地方連絡部という組織を設けることによりましてみずからが自衛官募集するという体制になっております。もちろん地方公共団体等に機関委任事務として一部お願いしている分野もありますが、いかんせん、地方自治体におきましてもそれぞれ職員を確保するのに頭を悩ましているという状況でございますので、我々としてはやはりみずからの組織を使って精いっぱい努力をしなきゃならないということで、昨年来組織を挙げてあらゆる手だて、予算におきましてもあるいは部隊のいろいろな支援であるとか車両等であるとか通信の関係であるとかいうようなことをやってきまして、充足率は下げたのでございますけれども何とか必要な数は確保したということでございます。  将来につきましては、昨年実は募集施策の検討チームというのを部内の人事局に設けましてとにかくやれることを何でもやり、また将来にわたって今先生がおっしゃいました抜本的に役に立つような施策があればそれも検討課題として取り上げていこうということで鋭意検討しておりまして、間もなくその結果はまとまるわけでございますが、将来にわたっての我々の自衛官募集対象であります十八歳の人口であるとか十八歳から二十六歳までの人口というのが減っていく傾向にあるということでございますので、質のいい隊員をある程度確保するという問題につきましては極めて難しい問題があろうと思います。  しかしながら、一方、自衛隊の組織の中には若い人を魅了するようないろいろなやりがいのある仕事もたくさんあると思います。それからまた任期制隊員というのは、これは日本の終身雇用制の中では非常に特色のある制度でございまして、これ自身は大変マイナスの面もあるわけですけれども、またプラスのいいところを若い人に訴えることによって必要な人たち募集、確保していきたいというようなことを考えているところで、具体策がなかなか見出せない状況でございますが、今申し上げたようなことでございます。
  27. 中谷元

    ○中谷委員 なかなか苦労しながら募集をされているということでありますけれども、まさにこのような時代だからこそ募集が非常に重要なわけであります。現場の現状を申しますと、各地連中心になって広報官が活動しているわけでありますが、隊員募集する場合には、学生を対象にするともう九月ぐらいから一応話を始めて、それを半年間、四月の卒業期までまずその学生を引きとめなければなりません。その引きとめるためには、皆さん学校ですから授業が終わった後だとか深夜だとか、また土曜日とか日曜日とか、こういう時間外における広報官の活動が主になっておりますが、今時短とか休暇とかいうような感じで非常に公務員の勤務時間なんかも云々されておりますけれども、こういう面における広報官に対する指導はどうであるのか。  それからまた、活動費として広報官の場合は、何か聞くところによりますと一日六百円程度の手当てがなされているということなんですけれども、勧誘する場合に路上で話をするわけにはいかずに、喫茶店へ行って落ちついたところでお茶の一杯でも飲みながら自衛隊に来ないかねというふうなことをすると思うのですが、そういった必要活動経費等の保障の面、制度としての手当の面というのは今一体どうなっているのかという募集の業務の諸施策についてお話を聞かしていただきたいと思います。
  28. 坪井龍文

    ○坪井政府委員 二点お答えいたします。  第一線で隊員募集しておる地連の広報官の勤務状況に対しまして、休暇等をどのように配慮しているかということが一点だろうと思いますが、この点につきましては、従来から地方連絡部の広報官の勤務体制というのは通常の部隊の隊員の日課等とは異なりまして、今先生いみじくも御指摘にありましたような実態でございます。したがいまして、そういう実態に合わせて勤務体制がとれるようにそれぞれ部長であるとか上級の方でそういう指示なりをしておるところでございます。今後各土曜日も休みになるわけでございますが、地連の広報官は日曜日に出ていろいろな広報行事をやるということも多々あります。したがいまして、これまでもそうでございますが、代休等をとることによってそういうのを補っていくというようなことで、その点につきましてはそれぞれ部隊におきまして配慮しているところでございます。  それから、地連における広報官のいろいろな雑費といいますか諸経費がかかることにつきまして、お話がございましたように国としてなかなかそういった雑費を見るという格好にはなっていないわけでございますが、広報官自身に対しましては、今申されました日帰り勧誘旅費という形で大体日額六百円前後が支払われることになっております。そのほか、ことしからでございますけれども、防寒被服を貸与するというようなことで間接的にそういった出費をなるべく少なくすることによって補う、あるいは車両をなるべく多くあれする、それから通信費とか通信機材等もなるべく自前の利用できるようなものを多くするといったようなことでやっておるところでございますし、そのほか、もろもろ若干の雑費につきましては地連の運営費として予算が計上されまして、これは庁費でございますけれども、必ずしも十分だとは言えませんが、必要最小限度の手当てはしてあるというところでございます。
  29. 中谷元

    ○中谷委員 一般企業とか民間会社でも、やはり新入社員の募集とか営業とかそういう活動にはそれなりの手当が必要であるわけであります。事自衛隊は優秀な人材を集めてこそ精強な自衛隊ができるわけでありますので、この点についてひとつこれからも重点的に取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。  それから、最後に防衛庁の情報活動についてお伺いをしたいと思いますけれども、先日、PLOのアラファト議長が遭難したときに発見をされて九死に一生を得たわけでありますけれども、これには一説にはアメリカ軍の偵察衛星が所在の場所について協力したというふうに言われておるわけであります。事宇宙からの目というのもそろそろ無視できないような時代になってくるわけでありまして、我が国においても、我が国の防空上周辺諸国の監視なんかにも使えますし、領空侵犯をした飛行機がないかということは非常に大事な問題でもあります。また、最近航空機の遭難がふえておるわけですけれども、こういう航空機の遭難や船の沈没なんかにも非常に大きな力を発揮するというふうに思いますが、この衛星通信等の利用について現状はどうであるのかということについてお伺いをいたします。
  30. 宮下創平

    宮下国務大臣 現状の具体的な姿を御説明する前に。委員が今御指摘のように我が国の専守防衛の立場からいきますと、情報を総合的に正確に迅速にキャッチしていくということは極めて重要な機能だと存じます。中期防におきましても情報機能の充実強化について言及されておりますし、また同時に、今申しましたような点に着目して中央レベルにおきましてもあるいは情報本部というようなものをつくって、これはまだ確定はしておりませんけれども、そういった一元的な機能的な情報の体制を整備することは専守防衛我が国防衛のあり方からして極めて重要な機能である、このように心得ております。  具体的な点につきましては政府委員の方から答弁させていただきます。
  31. 中谷元

    ○中谷委員 あとはいいです。  今長官から情報の管理について言及がありましたけれども、現状は全般的に外国のことについてはやはり外務省が一元化をするということでそういう情報の集中は行われているわけでありますが、湾岸戦争のときの教訓でいいますと、果たしていつ地上戦が始まっていつ終わるのだろうかという軍事面での情報収集と判断が日本の政府の判断になるということで、軍事面での情報の処理というものも非常に必要だというふうに思います。  防衛庁にも非常に情報のプロと称される情報マンもたくさんおりますし、また情報の機構もたくさんあると思うのですけれども、一般的に陸は陸、陸海空そして内局があり統幕もあるということで、同じ情報を集めることに対していろいろとむだが多いと思うわけでありまして、やはりこの際、防衛庁内に情報局なり国際情報センターなりそういった統合組織をつくるべきだというふうに思っておるわけであります。この点についてお伺いをしてみたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  32. 宮下創平

    宮下国務大臣 先ほどの答弁で包括的に私の方で申し上げましたが、今委員の御指摘のように情報の発信源もいろいろございます。外務省を通ずるもの、在外公館の武官を通ずるもの、あるいはアメリカ軍によるもの等々発信源も多様でございますし、また受ける方も、今までどちらかといえば各幕も情報を収集しておりますし、また内局でもこれを一元化する努力は行われておりますけれども、私感ずるところは、先ほど申しましたような情報機能、情報といってもこれは政治情報、軍事情報いろいろございますけれども、これらを総合的に、我が国防衛の立場からして必須な情報機能というものを一元的に把握できる体制をつくることはぜひとも必要だと思います。中期防でもそのことに言及されていることは先ほど申し上げたとおりでございまして、これをどういう名前にするかどうかはともかくとして、今鋭意、情報収集あるいは通信の問題等々を含めて検討中でございます。
  33. 中谷元

    ○中谷委員 情報の問題につきましては、やはりプロの情報収集マンがいて、そしてそれをいかに運用して活用するかという問題でそれを処理する能力の向上も必要だと思いますけれども、そういう意味からいうと国家の機密に関する事項とか軍事情勢なんかについては各国ともに一番重要な職であって、その専門家が情報の処理と決定に当たっているわけであります。湾岸戦争時にアメリカの大統領が声明を上げるときには、必ず参謀長とか統合幕僚長とかそういう軍事専門家がわきにいていろいろと進言をしていたわけでありますけれども日本の場合でいうとそれが防衛庁長官であり統幕議長であるというふうに思います。  そういう意味で、防衛庁長官という仕事は情報をいかにうまく活用するかということで非常に重要な仕事でありますけれども、現在の日本防衛庁長官と申しますと内閣総理大臣の指名のもとに一年で交代をしたり、改造でころころとたらい回しのようにかわっていくというのが現状であります。各国との交渉をするときも、やはり防衛についてはこの人が専門家であるということで各国の国防長官なんかも密接に連係プレーをとるわけでありますので、長官については国家の重要性にかんがみまして一内閣では一人の長官というような形で、情報の面から見ましても大事でありますのでぜひこういう専門家が長官になっていただきたいと思いますが、そういう面から見ましては現在の宮下長官防衛に関しては大変大きな知識と認識をお持ちでありますのでぜひ続けて長官になっていただきたいということを御要望申し上げまして、時間が参りましたので私の質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  34. 中山利生

  35. 吉田正雄

    吉田(正)委員 私は、戦後一貫して教育問題とそれから防衛問題、エネルギー問題等を含む広範な意味での日本安全保障という問題について非常に関心を持ってまいったわけであります。私も教師を大分長くやりまして、明治の教育改革、そして終戦直後のいわゆる第二の教育改革というものを経て日本が大きく民主化に踏み出してきたという点で、私は、歴史の原則と発展の法則に沿って日本も歩いているんだなという感じを強く持っておるわけでありますけれども、しかし最近の一連の防衛論議を聞いておりますと、必ずしもその方向に向かっていないんじゃないかという何か危惧といいましょうか心配を感ずる論議というものが行われておる感じがいたしてなりません。  よく、歴史は繰り返すと申しますが、いいことは何回繰り返してもいいのですけれども、大体歴史は繰り返すという言葉は余りよくないものに例えて言われるんじゃないかと思っているわけです。日清、日露そして十五年戦争ということで、明治以降日本は三回の大変な戦争を経験してまいったわけです。余りお若い方は御存じないと思うのですけれども、私も大正十二年生まれですから軍事教練というものを徹底して受けてまいったわけですし、それから昭和十八年の学徒出陣のときには私も鉄砲を担いで明治神宮のあの練兵場を雨の中歩いた、そういう経験があるわけです。ただ、幸いといいましょうか運命というのでしょうか理工系であったために、徴兵検査は甲種合格だったのですけれども徴兵延期の措置を受けまして、二十年の九月十五日、つまり終戦の一カ月後に入隊予定になっておったのですが、一カ月前に終戦ということで今日生き長らえておるわけでありまして、多くの友達が戦病死をしておるということで安全保障問題というのは本当に日本の運命あるいは国民の運命がかかっておる大事な問題であるわけですから、そういう点で時流に流されるとか、あるいは長いものに巻かれろ的なそういう論議になってはいけないんじゃないかということを痛切に感じておるわけです。  そこで、去る二月二十七日の防衛庁長官所信表明、ちょうど私その日おらなかったのですけれども、後ほど要項を読ませていただいたわけです。時間の関係等もあって非常に簡略なものでありましたのできょうは少し長官の考えをお聞きをいたしたいと思って、これから幾つかの点にわたって御質問をいたしたいというふうに思います。  その前に私は、自衛隊発足について、あるいは憲法の制定について最近どうも経過なり歴史的な背景というものが国民から忘れ去られておるのじゃないか、あるいはまた若い人たちはその歴史的な経過等について正しく把握してないのじゃないか、また学校における教育も余り詳しくその件は教えていないということもありまして、今こそ日本国憲法制定の歴史的な背景なり趣旨というものを改めて国民が正しく認識すべきではないかというふうに私は思っているわけです。  長官には釈迦に説法のようでありますけれども、御承知のようにポツダム宣言は日本軍の無条件降伏と日本から軍国主義を永遠に除去することを求めており、これを受諾した日本は連合国にこれを約束いたしたわけであります。占領当初のアメリカの対日占領政策は、一九四五年八月二十九日に国務、陸軍、海軍の三省調整委員会、SWNCCが作成した「日本降伏後における米国の初期の対日方針」、その一部を申し上げますと、「日本を完全に武装解除する。軍国主義者の権限及び軍国主義の影響を日本の政治、経済、社会生活から全面的に払拭する。軍国主義や侵略精神を標榜する制度、機関等はこれを強力に弾圧する。日本は陸軍、海軍、空軍、秘密警察組織あるいは民間航空を持つべきではない。」これが今言った対日方針の一部なんですけれども、ここに明示されておりますように日本が再び米国脅威になることのないよう日本の非軍事化を徹底的に強行するとともに、ポツダム宣言に沿った民主化を進めることにあったということはもういろいろな資料から明らかになっているわけです。  ところが、残念なことにヨーロッパ情勢をめぐって米ソの対立が次第に強まり、一九四七年三月四日のギリシャ、トルコについてのトルーマン宣言あるいは同年六月、マーシャルプランが発表され、冷戦が激化して対日政策の転換につながっていったということは御承知のとおりであります。特に中国で国共の内戦が激化し、国民党の将来が危惧されるようになったことで極東政策の変更が迫られてまいったわけです。つまり、国民政府をアメリカの同盟国として育成しようとする従来の方針が破綻して、それにかわって日本極東政策の支柱として再建する方針へ転換していった。ロイヤル米陸軍長官が一九四八年一月六日のサンフランシスコでの演説の中で対日政策を修正し、日本の経済的自立を図って極東における反共の防壁に育てると言明してその具体化に着手いたした、これも歴史的に明らかな事実であるわけです。  つまり、今日の自衛隊は警察予備隊として出発し、保安隊と名称を変えながら、冷戦を背景に日本を反共の防壁にするというアメリカの対日占領政策並びに米占領軍の政策の転換によって発足し今日まで一貫して強化されてきた、これが歴史的事実であるわけなんです。  そこでお伺いいたしたいのですけれども自衛隊発足の歴史的背景と前提になっておった冷戦が終わった今、冷戦終えんの持つ意味自衛隊存在意義そのものが厳しく問われるのは当然ではないかというふうに思うわけです。単に歴史の大きな転換点という抽象的なものではなくて、これからの新しい世界、人類の新秩序あるいは社会構成等に向けてどのような意義を有しておるのか、その受けとめ方と認識について長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 宮下創平

    宮下国務大臣 今、吉田委員から我が国の終戦時前後の歴史的な事実に言及され、るる御説明がございました。私どももそのことは承知しつつ今日の日本、平和日本を築いてきたわけでございますけれども、歴史の変化というものはやはり大きな流れをつくっております。そういう中で、当時の占領下に置かれる我が国の立場と独立国となった以降の我が国の立場、これはまたおのずから変化があって当然でございますし、また世界の流れも今御指摘のように、朝鮮戦争等を契機といたしまして非常にホットな冷戦といいますか広い意味の冷戦といいますか、東西対立というようなこと等も生起してまいりました。したがって、そういう中で警察予備隊あるいは保安庁、さらには自衛隊という形で今日の自衛隊が誕生してまいりましたけれども、今日の自衛隊存在意義それ自体は、私どもは憲法の精神にのっとった防衛的な基本的な政策のもとで我が国の国民の生命財産を守る、あるいは国を守っていくということは主権国家として当然なことでございます。そういった体制のもとで今日の自衛隊存在があるわけでございます。  憲法九条の解釈につきましては吉田先生の所属される党派と見解を異にはいたしておりますが、私どもは憲法九条は、あくまで平和的な憲法でございますけれども、しかしながら集団的な自衛権はこれを排除すべきものというふうにはっきりしておると思います。国際紛争を解決する手段としての集団的安全保障、集団的自衛権は国際法上は認められておりますが、我が国の憲法では禁止されておる、しかし個別的な自衛権、つまり我が国が侵略を受けた場合にこれに対応する対応の力というものは憲法上も当然認められておるわけでございまして、これが今日の自衛隊の根拠になっております。したがって私どもは、これを一言で専守防衛と申しております。戦前において当時、国の政策の遂行手段として軍隊をいろいろな面で派遣したりしたことは事実だと思います。しかしながら、今日の自衛隊はそういう国の政策遂行の手段として海外に武力行使のために行くことは憲法上容認できないものというように私どもは思っておりまして、あくまでも専守防衛、そして同時に、我が国の基本的な防衛政策のもとで我が国防衛力整備を図っております。  なお、この防衛力の水準は、たびたび申し上げておりますように基盤的な防衛力でございまして、独立国として平和時においても保有すべき水準のものというように一言で言っていいかと存じますが、そのような整備をいたしまして国の独立を守っていくということは、私どもは主権国家として当然なことだと考えております。今後もこの方針をずっと保持して、あくまで世界の平和、日本の平和を守りながらそのための手段を具体的にきちっと整備していくべきものである。  なお、ただいまPKOその他国際貢献の問題もございます。そういった領域の問題も国連中心外交を進めておる我が国としてはこれから非常に大きな問題提起となってまいりますし、現実的な問題としてPKOの処理をお願いしておるわけでございますが、そういう傾向も考えつつ、日本自衛隊の本当に節度のあるきちっとした体制はこれからも保持していくべきもの、このように考えておるところでございます。
  37. 吉田正雄

    吉田(正)委員 時間の関係もありますから、憲法論議に余り深く入ってここで論議をする気はございません。ただ、今長官は、経過については大体そうだろう、しかし独立国家として自衛隊は、こうおっしゃったのですけれども、ただ、これは主体的に日本自衛隊、つまり保安隊とか警察予備隊をつくったのではない。  これはもう皆さんごらんになっていると思うのですけれども、在日米軍の軍事顧問団の幕僚長をやっておったフランク・コワルスキーという方が書かれた「日本再軍備 私は日本を再武装した」というのがありまして、これは有名な本なんですよ。もしごらんになっておられなかったら一回読んでいただけたらと思うのですけれども、このように書いてあるのですね。「私個人としては、あの恐ろしい戦争のあと、大きな希望と期待をもって生まれかわった民主主義国日本が、国際情勢のためやむを得ないとはいえ、みずからその理想主義的憲法を踏みにじり、国民がきっぱりと放棄した戦力を再建せねばならなくなったのは悲しいことであった。」こういうことで、これは彼はずっとかかわってきているのですね。平和憲法がつくられた、にもかかわらず再軍備せざるを得なくなった、それは日本へのアメリカの占領政策によって押しつけられたものだとずっと一貫して書いておるのです。これは歴史的にも非常に価値の高い、証拠として非常に資料性のある内容なんですね。何か機会があったら一回ごらんいただきたいと思います。  それから憲法の解釈ですね。先ほど長官は、党の立場が違うので憲法解釈が違うんじゃないかなどちらっとおっしゃったと思うのです。私は実はこの問題である程度時間を割きたいと思ったのですが、きょうは所信表明に対する質問でありますからいずれまた機会を得て。私は従来の国会の憲法論議も聞いてきたのですが、もうちょっと物足りない部分がありまして本当はきょうはせっかくの機会ですから突っ込んでと思ったのですが、時間的にもそうはいきませんので省略をいたします。  これはもう長官、釈迦に物を申すようなものなんですけれども、憲法制定議会というのはちょうど帝国議会最後の議会であって、これが今の新憲法の制憲議会にもなったわけです。当時の吉田総理の立法趣旨説明というのは余りにも有名なのでして、これも長官に申し上げるというよりも国民の皆さんに改めて聞いていただきた、いということで申し上げるのですけれども、この第九十帝国議会の衆議院本会議吉田首相が第九条の立法趣旨について次のように述べております。これはあらゆるところで引用されておって非常に有名なんですけれども、このように述べているのですね。「戦争放棄ニ関スル本案ノ規定ハ、直接ニハ自衛権ヲ否定ハシテ居リマセヌガ、第九条第二項二於テ一切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果、自衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戦権モ放棄シタモノデアリマス、」これは一九四六年六月二十六日の本会議で言っているわけです。さらにこのようにも述べておるわけですね。「戦争放棄二関スル憲法草案ノ条項二於キマシテ、国家正当防衛権二体ル戦争ハ正当ナリトセラル・ヤウデアルガ、私ハ斯クノ如キコトヲ認ムルコトガ有害デアルト思フノデアリマス、近年ノ戦争ハ多クハ国家防衛権ノ名二於テ行ハレタルコトバ顕著ナル事実デアリマス、敬二正当防衛権ヲ認ムルコトガ偶”戦争ヲ誘発スル所以デアルト思フノデアリマス、」このように趣旨説明で述べておるわけですね。  しかし、その後の憲法論議は、その解釈が世界情勢とかいろいろな情勢に左右され、影響を受けながら変転をしてきたということも長官御存じのとおりであります。きょうは時間がありませんから、いずれにしても当初の憲法九条についての趣旨説明は、提案された真意が吉田総理によってここに明確に述べられておるということだけは私どもやはりきちんと踏まえておく必要があるのではないかというふうに思っているわけです。  そこで、憲法論議はそれぐらいにいたしましてお尋ねをしたいと思うのですけれども長官所信表明の中ではアジア・極東情勢、旧ソ連情勢等について随分いろいろ述べてあるのです。要するに不安定であるとか、いろいろなそういう不安定要因等を随分述べておいでになりますが、そういう情勢に対応して、それでは日本がこれから本当に新秩序創建に向けての日本の役割というものをどのように憲法に沿って、あるいは平和国家日本の立場から積極的に貢献をしていくのか、つくり出していくのかという点についてはどうも余り触れられていないんじゃないかなという感じがするわけです。これは現在日米安保体制がありますから、そういう点で余りアメリカを追い越して、あるいは先駆けてそういうことはなかなか日本としては言えないということもわかるわけです。  そこでお尋ねをいたしますけれども、今現に日米安保条約下の日本であるわけですから、米国と旧ソ連、いわゆる十一カ国から成る独立国家共同体、CIS関係は冷戦の終結前と後でどのような変化があるというふうに分析をされておりましょうか、また両国はお互いをパートナーと位置づけておるのかどうか、アメリカ側はどのようにCISを見ておるのか、ということです。これは日本側としてアメリカCISをどのように評価をし認識をしているのかという、今度は日本側の防衛庁の観測といいますかその認識というものをお聞きをしたいと思っておるわけです。新聞報道等によればアメリカの大統領を初めとして国防長官、国務長官等高官は、もう既に今日のソ連アメリカにとって脅威ではない、むしろパートナーシップという立場での関係にあるのじゃないかという趣旨のことを至るところで発言をされておるわけです。そういう点で日本として、今のCISアメリカとの関係がどのようになっているのか、その認識、評価をお聞かせ願いたいと思います。
  38. 宮下創平

    宮下国務大臣 アメリカCISとの関係でございますけれども、私どもは大変注目をいたしておりますが、アメリカ国防白書で一応の評価が出ていると思いますね。米ソの対立構造は解消した、地球的規模での紛争処理の可能性はなくなった、しかし地域的な問題はある。同時に極東ソ連軍、我々は関心は持っておりますが、やはりアメリカも、旧ソ連邦が崩壊して今CISという格好になっておりますが、CIS動向について大変注目し、まだはっきりとした、きちっとした見通しも立てられない状況である、こう思いますし、同時にそれぞれいろいろ米ソが軍縮のイニシアチブをとったり提案もなされておりますけれども、依然としてやはりアメリカ自身も、大きなそういった戦力存在しておる、しかも核戦力の拡散その他大変色倶を抱いておることも事実だと存じます。  そういったことを踏まえながら私どもといたしましても、極東における状況あるいはCISの全体としての状況、米ソの対立構造が解消したことは好ましい事実でございますけれども、しかし依然として不安定要素を旧ソ連自体も内包しておるし、またユーゴの問題なんかもよく指摘されますが、民族的な宗教的な対立抗争もかえって激化といいますか多発の可能性もあるというような状況認識を持っておりますし、アジアについてはまだ特殊ないろいろの問題があるということも述べておるわけでございます。  私どもCIS動向についてはこれからなお一層本当に慎重にこれを見きわめ、そしてこれについての分析もきちっとやっていかなければいかぬな、そんな感じでございますが、なお詳しい情勢判断については、米ソの関係でございますから必要であれば国際参事官の方から答弁させていただきます。
  39. 吉田正雄

    吉田(正)委員 先ほどの防衛局長の説明だったでしょうか、旧ソ連軍の兵力が極東の方に随分移動しておって、量的には減少している部分もあるけれども戦力としては近代化をされ合理化をされて、むしろ増強されているのじゃないかなという印象を受けるような説明も若干あったと思います。それから今の長官のお話を聞いておりましても、確かにCISの国家同士の間にいろいろな民族問題を初め経済問題等、あるいは黒海艦隊の所属等をめぐってロシアとウクライナの間にいろいろ意見の対立があるということはあっても、かつての旧ソ連のような一本化をした強大な軍事力を行使できるという体制にないということだけははっきりしていると思うのですね。だから不安定要因があるということが、よく聞かないと何かいかにもすぐアメリカにとって、あるいは日本にとってそれが脅威になったりというふうな印象、感じを受けるような受けとめ方をされないとも限らない。だから、その点はやはりもうちょっとはっきりさせておく必要があるのじゃないかと私は思います。  それから、これは防衛局長に聞きたいのですが、ヨーロッパから極東の方にずっと軍事力を移動した、いわゆるミサイルからいろいろなものが移動したというのが防衛庁の資料の中に書いてあるのですけれども、ただ私が言いたいのは、あれだけのミサイルというのは、ミサイルを幾ら持っていったからといってもそれを使いこなす基地というものが整備をされていなければ使えないのですよね。あるいは戦車を何千台持っていっても、それを格納し、あるいは兵隊の住宅から何から基地としての機能がそれに見合って整備をされなければ兵器だけ持っていったってそれは直ちに戦力にはならないということなのですけれども、その辺は、ただ移動した飛行機の数だとか戦車の数だとかミサイルの数だとかそんなものをだだっと並べて、だから極東ソ連軍というのはむしろ強化をされたというふうな表現、記述というのはむしろ誤解を招くのではないかなというふうに思うのです。むしろその件はもっと正確な分析をする必要があるだろうというふうに思っておりますが、その点はいかがですか。
  40. 宮下創平

    宮下国務大臣 まず、SS20の問題等はこれはINFによって全廃ということでございまして、私ども極東にそれがシフトすることを非常に心配いたしておりましたが、中距離核兵器については廃絶ということでございます。通常兵器につきましては、ヨーロッパにおけるCFE、通常戦力削減交渉の結果それが見越されるということもあったやに私どもお伺いするわけですけれども、例えば、今委員の御指摘のように戦車とか火砲とか装甲革とかそういったものをかなり大量に極東に移したということはミリタリー・バランスその他の報告によっても明らかだと存じます。そういうものがやはり動く以上、軍事機能としてそういうものが動くわけでございますから、当然委員の御指摘のようなセットとして機能的な配置の転換があるものと、こう一応は私ども常識的には考えます。したがって、そういう意味極東における軍事力はCFEの関係でもそういった種類のものは増強されているということを申し上げて、防衛局長もさっき申し上げたわけでございます。  しかし、それでは総体としてそれが本当に脅威といいますか、これが行使される実態にあるかどうかという点になりますと、これはCISの中の状況が今軍事機構、軍事の管理のあり方、各共和国とロシア連邦との関係その他が依然不明でございますし、また何よりもソビエトが旧ソ連邦が崩壊をいたしまして、そして経済的にも社会的にもいろいろな困難な事情を抱えておりまして、到底旧ソ連邦のようなそういう状況にないこともこれはもう指摘するまでもございません。そういった意味で、直ちに我々がこの能力が存在するということによって前と同じような認識を持っているかといえば、私はそうではございません。しかし国際情勢変化というものはやはりある程度ロングレンジで、少なくとも中期的な展望でその帰趨を見ていきませんと、大きな変化があったとしてもその定着その他の度合いを見て、そしてそれに正確な判断を下していかないと見誤るおそれがあるということも事実だと存じますので、私どもはそういうロングレンジでもやはり定着化の動きをきちっと見ていきたいな、こう思っておるわけでございます。
  41. 吉田正雄

    吉田(正)委員 次に、ソ連太平洋艦隊の基地のウラジオストク、私は新潟県ですが本当に新潟と目と鼻の先でしてね、九百キロくらいしかないのでしょうかね。昨年新潟市とウラジオストクが姉妹都市、それから十数年前からはハバロフスクと姉妹都市でもうずっと来ておりますし、環日本時代ということで、日本海側の各自治体と沿海州あるいは極東地域ロシア側諸都市との間には現在どんどん姉妹都市、そして人的あるいは経済的、文化的な交流が随分今行われておるわけですね。だから、かつて日本海というのは日本にとってはむしろ表であって、裏というのはこれは明治以後の話ではないかなんという話もあるのです。そういう点で日本の歴史から見てもまた再びその役割を取り戻しつつあるのかなという感じもするわけで一一それだけに平和の海にしなければいかぬということで、日本海側の皆さんは今そういうふうに熱意を持って取り組んでおると思っているのです。  そこでお尋ねしたいのですけれどもソ連側からの招請に応じてアメリカ太平洋艦隊司令官がたしか去年、一昨年でしたかウラジオストクヘ訪問しているわけですね。日本防衛庁、海上自衛隊に対しても何かそういう招請があったのじゃないかなと思うのですが、新聞でちらっと見た程度で詳しいことはわからないのですが、何か日本はこれを断ってしまったということがちょっとあったと思うのですね。そうすると、これだけ今世界が冷戦が終結をしたということで、いよいよ米ソ協調、平和に向かって進むというときに何で日本自衛隊がこれを断ったのかという点については、いきさつ等よくわかりませんので何とも言えないのですが、むしろそういう機会を積極的に生かすべきではなかったのかという感じがしないわけでもないので、その辺のいきさつをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  42. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 アメリカに対してロシア、旧ソ連軍側から艦隊のウラジオストク訪問ということの要請があってそれが実現したという話はそのとおりでございまして、これは相互訪問という形で実施されたと聞いております。ただ、我が国に対してはそのような形のものは要請がございません。今御指摘のは恐らく旧ソ連軍の海上演習、海軍の演習についてオブザーバーとして参加要請があったということでございまして、これは表敬訪問の相互訪問ということとは別のものとして我々はとらえておりまして、アメリカ初め先進主要国はすべてこれに参加していないという実態でございます。  それでは我が国はどうして参加しなかったのかということでございますけれども我が国は、御承知のとおりこの辺の問題につきましては政治的な問題その他を総合的に判断をして、もちろん相互の信頼醸成ということは必要でございますけれども、ステップ・バイ・ステップということで段階を踏んで対処していくべきものということで、時期尚早ということで、ほかの主要国の参加状況等も参考にしながら我が国としてそういう判断をしたということでございまして、その点はアメリカ側も参加していないということでございます。それが事実でございます。
  43. 吉田正雄

    吉田(正)委員 日本の外交というのは、どうも世界的に見ていろいろな面で後手後手に回るというそしりを免れないのではないかと私は思っておるわけです。日中国交正常化の問題もアメリカに先を越されて慌てて追随をするというふうなことで、何だということで外務省の評判を落としたわけでありますから、そういう点で、防衛というのは何といっても外交の一翼だろうというふうに私は思っているわけです。そういう点では外務省に対して言いたい部分もあるのですけれども、それはそれとして、やはり防衛庁としても積極的なこれからの平和外交といいますか、その線に沿ったあり方というものをもうちょっと積極的に追求されていいのではないかというふうに思うのです。  それと関連をして、先ほども三原先生でしたか中谷先生でしたか、朝鮮民主主義人民共和国の核査察問題についてちょっと触れられたと思うのですけれども、率直に申し上げまして私も共和国の方には何回か行っております。単に招待をされて見せてもらうところだけ見てきたというのではなくて本当に希望するところを、もう農村部至るところへ入って見てきておりますから、日本の報道で得る認識とは現地へ行って大分違ったものを持って帰ってきておるのです。  それで、イラン・イラクの場合あるいはパキスタンの場合もそうなんですけれども核兵器というのは三つの条件がそろわないとできないと私は思っているのですね。まず核兵器をつくる意思があるかないかというのが一番基本だろうと思うのです。その次に核物質があるのかないのか、それからその核物質というものを核兵器に転換させることのできる科学工業技術力というものがなければ核兵器はつくれない。そういう点で今最も非核国でいつでもつくれるというのは、日本、西ドイツあたりは総理大臣がボタンを押せば三日もあればできちゃうだろうというようなことも私よく言っているのですけれども、そういう点で北朝鮮の場合、常に当局者が繰り返し核兵器を保有するあれはない、したがっていつでもIAEAの核査察には応ずる気持ちがあります、意思があります。ただその際に、一方的に北側だけ言っているけれども韓国側にも一千発を超える在韓米軍の核兵器があるじゃないか、これをどうするんだということを北側は主張しているわけですね。  それで先般、盧泰愚大統領が、米ソ・デタントに伴う冷戦終えんに伴ってアメリカ戦術核兵器の取り扱いが変わったということで、平和時には常時戦術核というのは軍艦なり飛行機なりにはもう積まない、あるいは前線基地からもそういうものは引き揚げるということを大統領も述べているわけなんです。ただ、撤去をするということは言っているのですが、韓国からこれが完全に撤去をされたという確証というものはまだないのじゃないかなというふうに思っておりまして、この点はどのように防衛庁は把握されておりますか。     〔委員長退席、瓦委員長代理着席〕
  44. 高島有終

    高島(有)政府委員 まず第一点申し上げなければならない点は、もう先生御承知のとおりアメリカ核兵器存在そのものにつきましては、これを肯定もしないし否定もしないという政策をとっているわけでございます。したがって、私どもが正式に確認をとっているという趣旨ではございません。ただ、韓国における核の問題につきましては韓国の大統領が不存在の宣言をいたしまして、これに対しましてアメリカの大統領がこれを歓迎するという声明を出しているということで私どもは今日の韓国における核の状況理解しているわけでございます。  他方、査察、検証といった問題につきましては、確かに御指摘のとおりIAEAの査察の問題がございます。韓国につきましては、韓国の原子力発電等の核の施設につきましてはこの査察を従来から受けてきているということでございます。北朝鮮につきましては、この協定が批准されて今後IAEAの査察が実施される状況になってきているということでございます。それと同時に、南北の核の南北双方による査察という点が現在話し合われているところでございます。  私どもとしては、このようなIAEAの査察とともに南北両当事者による査察も実効的に行。われることによって双方の核の疑惑が解消され、それが朝鮮半島の緊張緩和に役立つということを期待しているところでございます。
  45. 吉田正雄

    吉田(正)委員 日朝国交正常化に向けての外交交渉が正規に始まってからの外務省の態度等を私は見ますと、どうもいたずらにその本筋から離れたところで北に対する不信感といいますか、そういうものをあおるような態度がちらちら見えて仕方がないのですよ。そうではなくて、本当に今一番中近東と同じくアジアにおいて、カンボジア等もありますけれども、朝鮮半島がいかに民主的に平和的に将来統一していくのか、同一民族でありますから。国連にも同時加盟をいたしたわけでありますので、そういう点で平和裏に本当に民族が統一できる、平和国家、民主国家に生まれ変わっていくこういう努力というものを日本としても積極的に行っていく必要があるだろう、いたずらに恐怖感を与えるとか不信感を与えるようなそういう言動というものは厳に慎んでいく必要があるだろうというふうに私は思うのです。  今のIAEAの核査察に絡んで言うならば、盧泰愚大統領は在韓米軍の戦術核兵器というのは全部撤去されたと言っているわけですね。そうであればちっとも相互査察を拒否する理由もないし、そういう点では、それでは同時にやろうじゃないか。北側も四月九日の最高人民会議でこれを批准したわけですので、そういう点で日本政府側が、そうは言ったってあれはまたいつやるかわからぬとか引き延ばしじゃないかなんということを外務省筋がすぐ言うということが私は非常にけしからぬと思うのですよ。そうでなくて、北側がそういう方針を決めたら日本政府としても日朝交渉を通じて、それでは具体的に積極的に早期に相互核査察に応じなさい、韓国に対しても日本としてはそういうことで呼びかけますよというぐらい積極的なイニシアチブをとっていくべきじゃないか。これは内政干渉じゃないですよ、北に対しては要求しているわけですから。そういう点で、これは防衛庁に物を申すというより本当は外務省のあれなんですけれども、外交という面ではやはり一体でありますから防衛庁としてもそういう方向で努力をすべきではないかと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  46. 宮下創平

    宮下国務大臣 南北の統一、これはまことに好ましいことであり、そして同時に、今委員指摘のように民主的な平和的な国家として朝鮮民主主義人民共和国がその方向性をきちっとされて、そして韓国との関係で本当に緊密な統一的な平和的な朝鮮半島の情勢が醸成されることは我が国にとっても大変重要なことでございまして、このことは私どもの望んでおるところであります。  しかしながら、今外交面にわたっての外務省の対応その他についての言及もいろいろございましたけれども、私どもも北朝鮮の核関連施設の構築、IAEAの査察問題それから相互査察の問題等々大変関心を持っておりますけれども、いずれにいたしましても外交というのは、これは素人の発言としてお許しいただきたいのですが、表向きと裏と実際見きわめていかないといけないと私思いますね。したがって、今述べられているようなことが実効性のある、本当に行われているということであれば何ら国家間の不信感もないわけでございまして、私どもはそれを期待しておるわけです。  アメリカの北朝鮮に対する国防白書の見解も先ほど申し上げましたけれども、こういった点についてアメリカも非常にナーバスになっているということは、表向きのいろいろの問題はともかくとして、それが果たして本当に実効性があるかどうかという懸念の表明であるやにも私も受けとめております。そういう点がございますから、これは基本的に主権国家間の相互の問題でございますけれども、そういう方向に進むことを私どもとしても望んでおりますし、また我が国防衛との関係におきましても、きちっとしたそういう方向が望ましいという立場に立って考えていかなければならないことは当然であろう、このように思っております。
  47. 吉田正雄

    吉田(正)委員 日朝国交正常化の最大のネックがどうもこの問題にあるようでありますから、そういう点ではやはり外交ルートを通じて積極的にこの問題の解決に向けて努力をする、誠意を持って対応するということで防衛庁も外務省を側面的にサポートしてもらいたい。これは要望ですけれども、私はお願いをしておきます。  次に、国際情勢変化ということはたびたび申されておるわけでありますから、その変化に応じた防衛政策の転換を一体どのように図っていくのかという点についてお尋ねいたしたいと思います。  ここ数年来のソ連中心とする社会主義国家のあれだけの大変革もさることながら、実はそれ以前から例えば福田首相が第一回の国連軍縮総会において軍縮の理念、早期実現を堂々とうたいとげておいでになりますし、その後も歴代総理大臣が国連総会において軍縮の必要性を全世界に向けて訴えておいでになるわけです。宮澤総理も予算委員会等において、この世界情勢変化に対応して中期防等については前広で検討する必要があるんじゃないかという趣旨のことを述べておいでになるわけですし、それから長官もたしか予算委員会でその趣旨の発言をされておると思うのです。たしか公明党の方から湾岸戦争の九十億ドルに絡んでこれから一千億円の圧縮といいますか減額というふうな話も出まして、それ以後のことについて具体的な余り突っ込んだ答弁はなかったと思うのですが、いずれにしても総理の頭の中にはこれでいいという考えはなくて、やはり世界情勢に見合った軍縮の方向に向けての大綱の見直しなり、新中期防の見直しなり再検討というものがあるのじゃないか。場合によっては既に長官にその再検討の指示があるいは出ているかと思うのです。そういう点で現状でどのような方向に向かって、またどのような決意で取り組まれているのか。  米ソ首脳会談でゴルバチョフ大統領が、もう制服組に任せておっては軍縮なんというのは絶対できっこない、やはり政治家、最高の権力者が判断しなかったら軍縮なんかできっこないということをずばりと言った。むしろブッシュ大統領がびっくりして、あなた、そんなことを言っていいのですかというふうなことも言っているのです。何も制服組というに限らずあらゆる組織というのは組織膨張本能というものを持っているわけですから、そういう点で軍縮というのは口で言うほど簡単なものではないだろう。いろいろな点で内部抵抗も出てくるのじゃないかという感じも私はするのですね。  そういう点で、長官の決意も含めまして、これからの軍縮の方向に向かっての防衛政策のあり方あるいは自衛隊戦力防衛力の再検討をどのように構想されているのか、現状でお答えできる範囲でお答え願いたいと思います。
  48. 宮下創平

    宮下国務大臣 大変基本的な問題について言及されました。私も現在の国際情勢変化、これは本当に半世紀ないしは一世紀にわたるような変化がこの二、三年に起きたという感じすら持っておりまして、しかもその方向性は好ましい方向性にあるという認識を持っております。  しかし、お答えする前にまず一般論として申し上げますならば、国際情勢変化がこれほど厳しい、さればこそいよいよその帰趨なり落ちつきどころといいますか見通しなりをきちっと立てることも必要だと存じます。先ほどCIS状況等の御議論もございましたけれども、こういった問題の方向性というものをきちっと見きわめて、そして我が国防衛政策というものも考えていかなければいかぬ、これをまず私は考えております。そして歴代の総理大臣、特に福田元総理大臣の国連における軍縮演説あるいはその後も外務大臣の軍縮演説等もございましたが、これは私は評価すべきものだと思います。当時のまだ今日のような情勢下になかった時代において、核兵器その他を中心として核被爆国として我が国世界の軍縮政策を国連の場において積極的に唱えていた、そういう意味は非常に大きかったし、その効果もあらわれているものだと私は存じます。  しかしながら、ここで申し上げたい点は、我が国の自衛力というのは一体どういう考え方でどのようなレベルのものであるかということを予算委員会等でも十分な御説明の時間がございませんから申し上げてきておりませんけれども我が国の自衛力は先ほども申しましたように基盤的な防衛力構想に立ちまして、そして必要最小限度の、侵略に対応するいわゆる専守防衛ということでございまして、日米安保条約によってこれを補完する、そして核兵器も持たないということで日米安保体制による抑止力に期待しておるというのが現実の構造的な我が国防衛政策のあり方であります。したがいまして、私どもは今の日本の自衛力というもの、これはいろいろ客観的に比較の仕方は幾らでもございます。GNP比あるいは一人当たりの国防費あるいは兵力数、装備その他で比較はできると思いますが、決して軍事大国と言われるようなものではございません。ただ、四兆五千五百十八億円というのは、額にして我が国のGNPが高いものですからGNP比の名目価格だけで言いますと三位だとがいろいろ言われますけれども、ゼロベースからスタートした我が国防衛力整備は今の基本的な考え方に沿って整備されておりまして、私は決して軍事大国だと思っておりません。したがって、今米ソのこういった状況のもとで主要国、特に主要軍事大国が軍縮を進めておるからといって直ちに我が国自衛隊もそれに比例的に削減すべきものというようには私は考えておりません。  しかしながら、当然こういう国際情勢の定着を待って我が国の自衛力のあり方を検討すべき問題でございまして、現にしばしば予算委員会でも御答弁申し上げておりますように、防衛計画の大綱というのは今申しました基盤的防衛力構想でございます。それに基づく中期防によりまして今防衛力整備を図っておりますが、これは決して量的な拡大を意味するものではなく、質的な水準、近代化、そういうものを考えて整備しておるものでございます。  そして中期防の中には、今委員指摘のように二つの事柄が記載されております。一つは三年後の見直し。これは総額の範囲内で、今二十二兆七千五百億円の中期防でございますが、この総額の範囲内で必要に応じて修正を行うということが第一点。それから第二点は、先ほど来いろいろ議論ございますように、自衛官募集その他人的資源の制約が非常にございます。そういう意味でそういう問題を中心にいたしますけれども、それは当然部隊の装備、編成にも及ぶべきものでございまして、これは本中期防期間中に大綱の別表を中心とした見直しあるいは場合によれば防衛体制、三幕の体制の方にも影響する、こういうことを申し上げて現在その点について勉強いたしております。  今の前広にという問題は、くどいようでございますけれども中期防自体が非常に抑制的なものになっておりますが、しかし、世界のこういった現状を考えますときにさらなる検討が必要であろうという問題認識を持ってこの中期防がつくられております。したがいまして、私どもとしてはできるだけこれを精力的に進めまして、先ほど御指摘のように湾岸戦争のときに一千億の削減を約束いたしました。これはきっぱり削減をいたしますということも申し上げておりますが、さらにこうした情勢を冷静に客観的にとらえながら、そして必要な効率的な防衛力整備を一方の頭に置きながらこういった世界情勢等々をも考え、あるいは財政事情、技術水準、世界情勢等を勘案して一千億プラスアルファの下方修正もおり得るということを申し上げておる次第でございまして、この中身が余りはっきりしないのではないかという御指摘もございましたが、これは今防衛力検討委員会防衛庁内部につくりまして鋭意検討をいたしております。三幕に及ぶいろいろな問題がございますからそうすぐに結論が得られる問題ではございませんが、これを精力的に検討しておるというのが現状でございます。     〔瓦委員長代理退席、委員長着席〕
  49. 吉田正雄

    吉田(正)委員 言葉としてはよくわかるのです。そこでお聞きをしたいのですけれども所信表明の中では「脅威に直接対抗するよりもここの脅威はほぼなくなりつつあると私は思っているのですが、「我が国みずからが力の空白となってこの地域の不安定要因とならないよう、独立国として必要最小限の基盤的な防衛力整備」つまり専守防衛に徹するんだという今の御説明であったわけです。仮想敵国を持たないんだ、それからソ連脅威も従前のようなものとは変わってきたということなんですね。ただ、東南アジア等あるいはCISの中のいろいろな不安定要因がある。これはカンボジアを見たってどこを見てもそうだろうと思うのですが、それらの国が日本に侵攻するなどということは考えられないじゃないか。逆に言うと、日本がそういう不安定な東南アジアに自衛隊を派遣するなんというのは、これは先ほども長官がおっしゃったように憲法の建前上そんなことはできないんだということであるわけですね。そこで、軍事大国ではない、ならないんだという一言があるのですけれども、しかし我が日本ではそう思っておっても、他国が一体どのように評価をしているのかというバランスも考えて判断をしていく、また評価を下す必要があるんじゃないかなと思っているのです。  中期防衛力整備計画によりますと最初のいわゆる五三中業、これは八〇年度から八四年度までの五年間なんですが、七九年に策定されているのですけれども正面装備費を中心として約二兆七、八千億円ですね。それから八三年度から八七年度までの五年間のいわゆる五六中業では、同じく装備費を中心にして四兆四千億から六千億円ということになっているのですね。そして八五年の九月十八日に決定をされた五九中業、これが今度は中業と言わないで中期防衛力整備計画に格上げをされたということになるわけなんですけれども、八六年度から九〇年度までの五年間の防衛費が十八兆四千億円、そしてGNP比でその当時の経済成長率を見ますと一・〇三八%ぐらいだということなんですね。そして九〇年の十二月に決定された九一年度からの五年間の今度の新中期防衛力整備計画では、今もお話がございましたように二十二兆七千五百億円にまで膨張してきたということなんですね。  何でこんなに急速にと思ってよく見ますと、実は八〇年から八六年というのは冷戦激化のときなんですね。このとき戦略あるいは防衛力の構想等についての転換が図られて急速な増強が行われたのではないか。その一番いい例が、例えば八一年の五月に鈴木総理が一千海里防衛論を述べておりますし、八三年の一月には中曽根総理が日本列島不沈空母化、これは私は国会でも聞きました。それから四海峡コントロール論とかいうものが華々しく打ち上げられた。それから八五年九月には中期防に中業が格上げをされて、そして今度は北方防衛強化、ソ連脅威論が盛んに繰り返し言われ、洋上防空能力の向上ということで正面装備にぐっと力が入ってきたということだと思うのです。したがって、この結果を見ますと、防衛の任務の面でもあるいは防衛力の規模の面でも防衛計画の大綱を超えているのではないかということが言えると私は思うのです。  そういう点で、超える超えないは別として、例えばお隣の韓国にしろフィリピン等東南アジア諸国、ASEAN・諸国にとっても、日本の今の自衛隊戦力というのは相当な軍事力であるという認識が非常に強まっているんじゃないか、またそういうことを堂々と述べている政府高官もおるわけなんでして、防衛庁としては、そういう韓国を初めあるいは中国、ASEAN諸国等の日本自衛隊戦力に対する評価をどのように受けとめておいでになるでしょうか。
  50. 宮下創平

    宮下国務大臣 今委員が五三中業から始まって、防衛計画の大綱を定められて以降四次防が終わって、単年度防衛庁限りの計画として整備状況とその背景等について言及されました。その間、確かにある程度伸び率の上がった時点もございます。しかしながら基本的にはやはり防衛計画の大綱で定められた路線、先ほど防衛計画の大綱を超えたものではないかというような御指摘もございましたが、その枠内の整備でございまして、それぞれの科学技術に応じた能力向上等を中心にした正面装備整備でございます。  そして、何よりもこうした額がなぜそうふえていくのかという点につきましては、これは当然物価の問題等もございますし、それからまた一番大きな理由は人件費の圧迫要因ですね。今、防衛予算の中で人件費が占める比率も四〇%を超えております。そういうことで、公務員の一般のベース改定が行われれば自衛官についても当然これはやらなくてはいけません。ちなみにことしの改定、これは三・七%でございましたが、自衛隊の場合には下級公務員相当の隊員が多いわけでございまして、改定率がおのずから高くなって四・五%になっておりますし、これだけでもやはり八百三、四十億の増加要因にもなります。正面装備も質的な改善をやるという能力アップももちろんございますが、同時に物価の問題もある等々の原因によって確かに前期中期防の十八兆四千億が二十二兆七千五百億、これは平均伸率にいたしまして前期防が実質ベースで五・四%、今度は三%という抑制的なものになっておりますがこのように高まってはおります。  しかし、今言ったような諸原因が非常に背景にございますことを御理解いただきたいのと、それから防衛計画の大綱がまずつくられた背景は、私も当時大蔵省で防衛予算を査定した経験もございますが、三次防が二兆三千四百億円ぐらいでした。しかしその五年後の四次防はどうかというと、当時物価の上昇等もございましたが、四兆六千三百億とほば倍々ゲームだという議論が非常に国会等でも行われておりました。そこで、平和時における当時の国際情勢のデタントムードを背景にして、平和時における防衛力のあり方はどうかといって問われた結論が防衛計画の大綱であったわけでありまして、基本的にそれ以降今日までその路線を貫いてきております。いろいろ防衛庁の内部のどちらに重点を置くか等の配慮によって、またそのときどきの財政事情等も勘案しながら整備をやってまいったところでございまして、一義的に結局この防衛力軍事大国化を目指しているという指摘は当たりません。  アジアの諸国がこれをどう見ているかという点につきましては、私も個別にアジアの諸国の首脳と会ったわけでも何でもございません。しかし一般的に考えられている点は、私は相当理解が進んでいると思うのです。つまり日本の憲法九条に基づく専守防衛の原則、それから何よりもある程度額はふえても抑制的なものであるということを理解してくれる国々も多いようにもお伺いをいたしております。しかし一方、あの大戦の惨禍あるいは被害というものを思い起こしながら、そういった全般的な日本防衛のあり方に危惧の念を抱く向きがないわけでないことも承知をいたしております。私どもは、やはりそういった点についてはPRももちろん必要であります。あらゆる外交的努力を通じて日本防衛力のあり方というものを正確に認識していただくことがぜひ必要だと思いますし、我々もその努力をすべきものだと考えております。  今度の中期防自体も、前期中期防に比べて今申しましたようにかなり抑制的なものにしてありますし、全体としては我が国の今の情勢世界情勢の中にあって我が国の主権国家としての守るべきレベルその他妥当なものではないかな。ただ、世界情勢がさらにさらに大きく変化していく、これは我が国防衛力に対しても影響を与えることはもちろんでございますから、先ほど申しましたような中期的な検討等をいたしていきたいということを申し上げておるところでございます。
  51. 吉田正雄

    吉田(正)委員 この面に関する質問時間がちょっと不足してまいりましたので、私も端的にお尋ねしますので、端的にひとつお答え願いたいと思うのです。  先ほど申し上げました今後の防衛政策のあり方について従前と同じく北方重視の政策を続けておいでになるのか、そうではなくて、それは根本的に見直す状況になったということでの検討を開始されるのか、この点が一点。  それから、これまでの日米共同訓練は主にソ連を意識したものであったわけですね。例えばリムパック、環太平洋演習なんですが、社会党が平成四年度の防衛予算の削減案でこのリムパックの中止を要求したのは御存じのとおりなんですけれども、ことしもこのリムパックに自衛隊が参加をされる予定なのかどうか、もし参加をされるとしたらいつごろ、どこで、どのような規模、内容で行われるのか、わかる範囲でお答えを願いたいと思います。
  52. 宮下創平

    宮下国務大臣 北方重視という点につきましては、これは事実の問題として北海道の地政学的な、また隣国と非常に近接した地域であるというような点等々いろいろございましたでしょう。確かに師団の数も多いあるいは兵力配置も多いということは否定はできません。しかし、今後のあり方として我が国全体がやはり専守防衛で国土防衛ということになりますと、まず配置もいろいろな面で考慮すべき点もありましょうし、また機動力その他でもって専守防衛の趣旨を貴いていく必要があろうかと存じております。  第二の共同訓練につきましては、リムパックはことしも行われる予定でございまして、我が国の日米安保体制の実効性確保のためにこのリムパックに参加すべきもの、私はこう思っておりますが、具体的な今の予定等につきましては事務当局の方から答弁させていただきます。
  53. 村田直昭

    ○村田政府委員 リムパックに参加する時期については参加国が共同の調整をした上で発表するということになっておりますので、現時点ではまだ発表できない状態でございます。
  54. 吉田正雄

    吉田(正)委員 私は今の新しい国際情勢、米ソの関係等からして、安保条約の条文をよく読むならば、そろそろ日米安保条約の任務というのが解消されることの方がむしろ国際情勢にとって好ましい結果を導くのではないかなという、これは私の希望的観測といえばそれまでになるが、そういう感じもするのです。  それはそれとして、もうちょっと具体的な面でお聞きいたしますが、新中期防では護衛艦隊四群にイージス艦各一、計四隻を配備する計画だというのがかつてちらっと出たと思うのです。そのとおりなのかどうか。もともと空母に対する空からの防御を目的としたのがイージス艦ではないかというふうに思っておるのですね。したがって、今の国際情勢なり、日本にはもともと空母がないわけですから、それを日米運命共同体ということでアメリカの空母を守るために日本がイージス艦を買ってその防衛に当たるというならこれは別ですけれども日本の海上自衛隊独自に果たしてイージス艦が必要なのかどうなのかなという点、若干疑問があるわけです。このイージス艦一隻当たりの値段は現在幾らなのか、その整備状況といいますか、それがどの程度まで進捗をしているのか、それからイージス艦を保有している国はどことどこでそれぞれ何隻ずつ持っているのか。いきなりなんですが、おわかりでしたらお聞かせ願いたいと思うのです。
  55. 宮下創平

    宮下国務大臣 事実問題の詳細につきましては担当局長の方から答弁させていただきますが、基本的に、イージス艦は今まで三隻発注しておりましてもう一隻残っておりますが、四護衛隊群で構成し、先ほどシーレーン防衛のお話もございましたけれども我が国は海に囲まれた特殊な海洋国家でございます。そしてあらゆる資源を海上輸送に頼っておるというような点からしても、海洋防衛の必要性から四護衛隊群の組織、これは大綱にも認められておりますけれども、そのような運用になっております。  それでイージス艦の必要性につきましては、軍事的な説明は省略いたしますけれども、実は空に対して、つまり対空のミサイル攻撃、まあ防御ですね、これは当然護衛隊としてもなさなければなりません。したがって、イージス艦の前にも護衛隊群の中にDDGというのがございました。DDとかDDGの編成でやっておりますが、そのDDGというのはまさにミサイル搭載艦でございまして、さらにその水準を高めて防空能力を高めたものがイージス艦であるというように私承知しておりますので、これはぜひ整備いたしていきたいな、こう思っております。  なお、価格あるいはその他の点につきましては担当局長から答弁させていただきます。
  56. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 イージス艦の現段階におきます整備状況でございますけれども、これは今大臣からもお話ございましたように各護衛隊群に一個ということで総計四隻をそろえるということでございますが、前中期防の間にそのうちの二隻については手当て済み、契約済みでございます。それからこの中期防におきまして残りの二隻について整備するということでございまして、そのうちの一隻は既に平成三年度において契約済みでございます。残りの一隻がこれからの問題、こういうことでございます。  価格の問題等につきましては装備局長から。
  57. 関收

    ○関政府委員 イージス艦の予算価格についてお答え申し上げます。  ただいま防衛局長から御答弁申し上げましたとおりこれまで三隻分について予算措置がとられておりますが、それにつきましての予算価格を申し上げますと、六十三年度に発注いたしましたイージス艦の予算総額が約千二百二十三億円でございます、それから、平成二年度に予算措置されましたイージス艦の予算が千二百九十二億でございます。それから、平成三年度に予算措置されましたイージス艦の予算価格は千二百二十七億ということでございます。
  58. 吉田正雄

    吉田(正)委員 それから各国の保有状況を。
  59. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 いわゆるイージス艦と称するものは日本アメリカということでございますけれども、機能的に見ましてそれに見合うものというものがよその国にどういうものがあるかということは、突然の御質問でございまして事前の調査をいたしておりませんので、現段階ではつまびらかにいたしておりません。
  60. 吉田正雄

    吉田(正)委員 その点については事前に質問要項の中で申しておりませんでしたからちょっとあれかと思うのですが、じゃ、ついでに資料としてそれを出していただきたいと思いますし、あわせて、今日まで主要装備等でスクラップにした主要兵器の空海陸別の予算額が大体どれぐらいになっておるか、これも今いきなりではちょっとあれでしょうから資料として出していただきたいと思うのです。これは各省庁でも例えば机一つでもなかなか厳しく、廃棄処分だとかいうことできちんと管理しているわけなんですね。したがって私は、これからの本当に効率的な、あるいは財政面から考えてもそれをきちんとすることの方がかえっていいのじゃないかという感じがするものですから、そういう点で資料として出していただきたいと思うのです。
  61. 宮下創平

    宮下国務大臣 各国のイージス艦的な機能がどのような所有状況になっておるか、これは調べて資料として提出させていただきます。また、後段の問題につきましてもこれはあとう限り提出し、御説明することも必要であろうかと存じますので、そのような方向で提出をさせていただきたいと存じております。
  62. 吉田正雄

    吉田(正)委員 午前中の分はこれで終わります。
  63. 中山利生

    中山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十九分開議
  64. 中山利生

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田正雄君。
  65. 吉田正雄

    吉田(正)委員 それでは、午前中に引き続いて質疑を継続いたします。  先ほどイージス艦について御質問をいたしましたが、これと関連をして、年初の日米首脳会談で発表されたいわゆるグローバル・パートナーシップ行動計画で、AWACS、早期警戒管制機の取得について「米国は、この努力を支援する。」といたしております。日米間で既に調査が進んでいると思うのですけれども、進捗状況はどうなっているのか、AWACS一機の値段、また保有国と機種、これも先ほどと同様で今いきなりですから、もしわからなかったら先ほどのものと一緒にして後ほど資料として出していただきたいと思います。  そこで、当初から申してまいりましたように世界情勢は大きく変化をいたしておるわけですし、とりわけ米ソの関係が根本的に変化をした現状においてイージス艦とAWACSというものを日本自衛隊が一体必要とするのかどうなのか、一体だれを相手に何の目的でそれを保有しなければならないのか。この辺で防衛力の見直しについては徹底した検討を加えるべきではないかというふうに私は思っておりますが、長官の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  66. 宮下創平

    宮下国務大臣 日米首脳会談におきます東京宣言のアクションプログラムでしたか、そちらにAWACSのことについて言及があります。私どもAWACSの必要性を認めておりまして、しかし現在のAWACSの母体になる機種が変更になり、今生産が行われていない現状にもございます。そういうことを考えながらその取得の可能性とか妥当性について引き続き努力をしていこう、米国はこの努力に対してサポートをするということが書かれてございます。  今お尋ねのAWACSは何億円になるかという点は、見積もっておったのは三百億強だと思います。しかしその後そういった諸事情の変化もございまして、新しい母体の機種を選定してAWACS機能を持たせみとするならばかなり高価なものになるだろうということも言われておるわけでございます。AWACSというのは早期警戒機能それからコントロールシステム、AWACSのCSはコントロールシステムですが、従来、地上の監視レーダーあるいは指揮所等々あるいはナイキの部隊等の連動だけではなかなかうまくいかない、そこで機動的にコントロールシステムを有効なものにしようという目的もあわせ持っておりますから、これはぜひ私どもは専守防衛の立場からいっても必要だという感じでございます。攻撃的なものというよりも、我が国はやはり有効な防衛力を持つという意味で私はこれは必要だと思っておるのですが、しかし今申し上げた。ような種々の問題点がございまして、中期防で四機取得することを予定しておりますけれども、現実には本年度予算調査費の計上にとどまっております。七百万円ぐらいだったと思いますが、その取得の可能性等についての調査費にとどまっております。なお、その詳細がもし必要であれば政府委員の方からお答え申し上げます。  それからイージス艦につきましては、先ほど防衛局長の方からも私の説明に対して補足的な説明がございましたとおり、我が国海洋国家としてのシーレーン防衛、これは必ずしもレーンばかりではございませんで、我が国の周辺の整備も兼ねて鈴木総理のときに航路帯を設ける場合は千海里ということを申し上げておって、基本的には海峡、港湾あるいは領海等公海を含めて日本の安全のための防備体制だというように理解しておりますが、先ほど御説明したようにこのイージス艦は四護衛隊群でもって各護衛隊群に一艦すっ配置をしたい。従来のDDGを更新近代化するものという位置づけでおりまして、四護衛隊群がそれを備えておりませんと三隻だけではふぐあいなことになりますし、どうしても一護衛隊群が完全な有効な働きをするためには四護衛隊群がそういった組織を持つことが必要だと私どもは考えております。  なぜ必要とするかという御質問でありますが、私どもはそういった面でこの必要性を感じておりますけれども、特にAWACSについては今申し上げた問題点もございます。我々は専守防衛の立場でそういうことを申しておるわけでございまして、攻撃的な兵器を購入するものとは決して思っていないところでございます。
  67. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 AWACSにつきましての各国の保有状況という御質問がございました。  これは一九九〇年-九一年の「ミリタリー・バランス」というところからその時点での状況でございますけれどもアメリカが三十四機、NATOが十八機、イギリスが七機取得中、フランスが四機取得中、サウジアラビアが五機、そのほかにソ連がいわゆるAWACS相当のものとしてメインステイ十機をこの時点で保有している、こういう状況でございます。  それから、日米首脳会談におきますアメリカ側の支援ということでその進捗状況はどうかという御質問もございました。  去る二月四日から六日にかけましてアメリカ関係者が来て、新しい可能性を追求するものとしていろいろな機種についての説明会を催してくれました。これは一応の説明を受けたわけでございますけれども、今後なおこれを技術的に詰める必要があるということから近い将来今度は我が方から出向きまして、恐らくもう一度議論を詰めていくというような段取りになろうかと思います。なお、この調査をするとすれば、平成四年度予算にただいま大臣からも申し上げました七百万円相当が計上されております調査費を使っていくというようなことも考えられるところでございます。
  68. 吉田正雄

    吉田(正)委員 イージス艦と今のAWACSについては長官の説明ではちょっと納得しかねるのですが、いずれにしても侵略の名のもとに戦力を蓄えるというのはなかなか言えないことでして、いずれも防衛の名のもとに戦力は蓄えられていくのですから、そういう点で時間があればもうちょっと論議したいのですけれども、次に移ります。  もう一点、ことし一月二十三日付のアメリカのクリスチャン・サイエンス・モニター紙にモートン・H・ハルペリン氏の記事が掲載されております。これは国際情勢資料週報で紹介されているのですが、この方は六七年から六九年にかけて米国防総省の副次官補を務めた方なんです。この方が「核の傘をたたもう」という表題で論文を発表しているのですが、その中で、   太陽がさんさんと輝いている時には、分別あ  る人なら傘をたたんで片づけるだろう。今こそ  米国は核の傘をたたんで、冷戦後の世界にあっ  た新戦略を編み出すべきである。これからは、  核戦力は他の国々に核の保有を思いとどまらせ  るために、または米国やその同盟国に対する核  兵器使用の脅しを思いとどまらせるためだけに  利用すべきである。わが国の安全保障に対する  その他の脅威については通常戦力で対処できる  し、またそうすべきである。と述べているわけですけれども防衛庁としては現在でも米国の核の傘を必要と考えておいでになりますでしょうか、それとも米ソを軸とした冷戦が終わった現在、米国の核の傘というのはもう不必要だという方針でこれから臨まれるのか。結局核戦争になれば、核の傘だといったって核攻撃を受けることははっきりしているわけなんでして、こういう状況に対応してどういう方針をお持ちなのかお聞かせ願いたいと思います。
  69. 宮下創平

    宮下国務大臣 現在の国際情勢を反映いたしまして、戦略核戦術核についての大幅削減が米ソ両方から提案されております。このことはもう申し上げるまでもございません。こうした核兵器が究極的に絶滅することを本当に私どもも期待をいたしたいと存じます。しかしながら、現実にはこれはまだ提言がなされた段階でございましてそれが実現したわけでもございません。したがって、これがどれだけ実現できるか、また今の米ソ両国の提案等によりましても戦略核については、まあこれは正確な数字はちょっと後で必要であれば政府委員から補足させますが、四千発ぐらいは残るだろうとも言われておりますね。そういう現況の中においては、依然として地球上に大きな国が核兵器を保有しているという実態もしばらくは続くであろう、あるいはかなり長く続くかもしれません。  そういう状況の中でございますので、私どもは日米安保条約の核の抑止力に期待している体制というものを今直ちに改変すべきでないし、そのことは重要なことだと存じておるところでございます。しかし究極的に核が本当に廃絶になれば、もちろん申し上げるまでもなくそのことは必要でなくなるわけでございますからそれはまたその時点で考えることになりましょうが、それはなかなか遠い先の話ではないかな、私は率直にそういうふうに感ずるところでございます。
  70. 吉田正雄

    吉田(正)委員 韓国からは一応戦術核は全面的に撤去するということを大統領が発表しているわけですね。対日本政策としてアメリカ側から核戦略、戦術についての何らかの変更なりそういう点についての相談は今まであったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  71. 宮下創平

    宮下国務大臣 先ほどアメリカの核政策についての基本的な考え方を国際参事官から申し上げたとおりでございまして、核の所在等々について言及しないというのが従来の米軍の立場でございます。現実には私の方に今アジアの核はどうするとか韓国の核がどうであるとか、そういう連絡は一切ございません。
  72. 吉田正雄

    吉田(正)委員 それでは、時間がありませんからもう一つ。今PKO問題で参議院へ審議の場が移っておりますけれども日本が平和憲法のもとで平和国家として国際貢献に果たす役割というのは一体何があるのだろうか、何をやったら本当の貢献になるのだろうかということがこれからの論議の中で一番重要ではないかと私は思っているのです。ただ、場所がここではちょっとあれですし時間もございませんから、一点だけ、小沢調査会の提言について防衛庁としては一体どのように考えられ、認識をされているのかお尋ねをいたしたいと思うのです。  小沢調査会の提言というのは幾つかありますけれども一つは国連軍への参加の検討、それから日米安保条約を堅持するんだ、それからPKOなど自衛隊の任務を拡大していく、これは海外派遣を含んで。そういうものが盛り込まれておるわけです。これに対しては同じ自民党の中でも例えば栗原前の防衛庁長官等は、憲法上やはり疑義があるのじゃないか、本当にやるのだったら憲法改正をやってからやるべきでこそくな解釈改憲で拡大をすべきではない、そのことは国際的にもかえって非常にまずい結果になるのじゃないかというようなことも述べられておるのです。  安保条約第十条が効力の期限を定めているのは御存じのとおりなんですけれども、その第二項は終了の意思表示について定めておるわけですね、一項と関連して。一項には「日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」と定めてあるわけですわ。  小沢調査会の提言は安保条約第十条と矛盾をしていないか。国連が安全保障の十分な措置をとれば安保条約は不必要ということになるわけですね、安保条約の建前からして。日米安保も国連軍もという考え方は大体基本的に矛盾をしているんじゃないかというふうに思うわけです。勘ぐって言うならば、要するに自衛隊を海外に派遣したいのだ、そのことが目的なのだというふうに受けとめられないことはないわけなんですね。こういう点でこの提言は日米安保にさえ反しているのではないかと私は思うのですが、いずれにしてもこの提言について防衛庁長官はどのように受けとめておいでになりますか。
  73. 宮下創平

    宮下国務大臣 小沢調査会、今鋭意最終的な議論の詰めをいろいろやっているとお伺いしております。したがって、小沢調査会としての正式な提言はまだ政府は受けていないわけでございますので、私どもは最終的に小沢調査会がどのような提言をなさるか、これは提言を受けてみないと何ともコメントする立場にはございません。  しかしながら中間報告という形で報道されたこともございまして、私もその文書は拝見をいたしました。率直に申しまして私はそのときの会見で意見を求められた際に、自衛隊の問題と国連軍あるいは国際的安全保障論と集団的自衛権の関係等々についてのお話もございましたので、基本的には今の自衛隊は憲法九条によって個別的自衛権が認められておる、その立場に立って専守防衛の自衛力を保持しておる、それで海外における武力行使等は行わないという建前で、長い戦後の歴史の中で先ほど先生いろいろ御指摘のあった点も踏まえながら、そういうものとしてだんだん確立してきておりますから、私としてはこれを尊重すべきものというように記者会見で申し上げたこともございます。  いずれにいたしましても、小沢調査会の最終答申を得るまでは正式にコメントできない問題でございますので、その点、先生の御指摘の点はいろいろそういったポイントをついての視点かとも存じますけれども、その点の答弁は遠慮をさせていただきたいと思っております。
  74. 吉田正雄

    吉田(正)委員 時間がありませんから私は社会党の提案を申し述べまして、これはやはり政府としても真剣に検討すべきだということで要望を兼ねて申し上げたいと思うのです。  いずれにしても、PKOに自衛隊が参加をするという点についてはまだ国民的な合意というものが得られていないと私は思うわけでありまして、賛成する党にあっても内容についていろいろ意見の違いがあることは御存じのとおりであります。したがって、社会党が提案をしているように平和国家日本がなすべき国際貢献というのは、自衛隊を縮小して別組織で常設の国際協力隊を設置するということは私は国民のコンセンサスが得られるのではないかと思いますし、近隣諸国理解も得られるというふうに思うわけであります。また、緊急援助隊派遣などでもその場合迅速に対応できるのじゃないかというふうに私は思っているわけであります。そういう点で、社会党が提案をいたしております内容についてひとつ政府として真剣に検討されるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  75. 中山利生

  76. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 私は中期防にかかわりましてお尋ねをしたいと思いますが、その前に、三月二日のRF4Eジェット債察機の墜落事故についてまずお尋ねをしたいと思います。なお、質問中言葉では表現しにくい部分について説明のために地図を配らせてありますので、よろしくお願いをいたします。  まず防衛庁にお尋ねをいたしますが、RF4E偵察機は、低高度パノラマカメラほか各種のカメラを積載をしていると思いますが、この訓練中にカメラを操作して撮影をやっているのかどうか、やっているとすればネガとかポジとかそういうものは多少私的に持ち出すことを認めているのか、仮に軍事機密的な場所が写っていないもの、一般市街が写っているものでも絶対に持ち出しは禁止しているのかお尋ねをします。
  77. 小池清彦

    ○小池政府委員 偵察訓練中にカメラで偵察訓練を行うことはございます。このたびの訓練でも、カメラを使いましたりあるいはレーダーを使っての撮影の訓練等を行っておりました。ただ、平田村につきましてはカメラを使った形跡がございません。
  78. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 私は、一般的に撮影をしたネガとかポジというものを私的に多少持ち出すことを認めているのかどうかと聞いているのです。平田村も何もまだ言っていません。
  79. 小池清彦

    ○小池政府委員 そのようなことはございません。
  80. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 私はその事実についてきょうは申し上げませんが、厳重に注意すべき状況もあるようにも伺っておりますので申し上げておきます。  そこで、三月二十四日に原因不明のままに飛行を再開するという態度を決定したわけです。つまり、機体とかエンジンとかそういうものには問題がなくて突発的に発生したようだ、残っている十三機についても特に問題がないから飛行を再開する、こういうふうに述べておるわけであります。それでは現在行っている低高度訓練というのは内陸部においてはどの地域の上空をもって行っているのか、あるいは飛行高度については何メートルで飛行しなさいということでやっておるのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。  なお申し上げれば、先般予算委員会での答弁では福島、飯坂等の上空は飛んでおらないという答弁でございましたけれども、あの事故以来飯坂地区の住民は大変静かになってよろしい、こういう話をしているということは飯坂の上空は飛んでいたということでありますから、その点はひとつ申し上げておきますし、私が昨年の一月十八日、政府からいただいた答弁書によれば、福島市、伊達郡等の上空は通過をしますという答弁書をいただいている。しかしこの前の予算委員会では飛んでおらないという答弁であったわけです。それから高度の確認についてはどうしているのかという質問に対して、三月五日、福島県の社会党の皆さんが防衛庁にお邪魔をして質問をした際には、千フィート以下では飛ばないように言っているから隊員が飛ばないと答えております、そういう答弁です。今度の事故はレーダーから消えてしまったということだから、つまり高度は幾らであったかわからないという答弁です。そういうことでありますけれども、今申し上げましたように今度はどこの上空で最低何メートルの飛行を認めているのか、そして何メートルで飛行しているという事実をどのようにして基地の方では管理をしておられるのか。つまり、パイロットに任せっ放しでどこを飛んでいるかわからないということなのかどうか、お答えをいただきたい。
  81. 小池清彦

    ○小池政府委員 まず、このたびのような偵察訓練を行います場所でございますが、大体中部地方の上空ということでございます。それから高度につきましては、千フィート以上で飛ぶようにきつく指導をいたしております。このたびの訓練におきましても千フィート以上を守って飛んでおったわけでございます。それからなお、どうやってそれを確認するんだということでございますが、これはきつく指導をしておるということでございますが、確認はレーダーの航跡を見ればできますので、確認をする必要があればそういうふうな手段をもって確認しておるわけでございます。
  82. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 中部地方というのは、我々が通常学校で習う地方というのは、私のあたりは東北地方でございますが、中部地方というのは名古屋の方であります。これは皆さんの方で言う、防衛庁で専門的に言う中部方面隊のことを多分言っているのだろう、こう思うのでありますが、そうなりますと全空域になるわけでありますね。まあいいです、それは恐らくあなた方の商売としての言葉で言ったのでありましょうから。私は東北地方の上空を飛ぶのだろうと思っておりますが、じゃ今後はぜひ中部地方を飛んでください。いやいいです。後で一緒に答弁をいただきますから、もし何かあれば。  それから、必要があればレーダーで確認をしておるとおっしゃいましたけれども、それでは、先年の千九百七十何年ですか、ミグ25が函館空港に強行着陸した際の新聞記事をいろいろ読みました。レーダーに映る高度については新聞それぞれの車場で書いてあります。防衛庁はもちろん軍事機密ということで明らかにしていない。今度の場合も、レーダーで捕捉できる高度については新聞によってさまざまであります。防衛庁軍事機密だからもちろんこれを発表しておりません。三百メートル以下であるという事実を、必要があればレーダーと言いますけれども三百メートル以下ではレーダーには映らない、映らないように飛行訓練をやっておりますというのが防衛庁のマスコミに対する態度の表明じゃありませんか。それでは、三百メートル以下であるかどうかについて、レーダーにも映らないのにどうして把握するのですか。
  83. 小池清彦

    ○小池政府委員 まず、私がただいま中部地方と申し上げましたのは、本州中部というふうに訂正させていただきます。どうも申しわけございません。具体的に申し上げますと、北は宮城県、山形県付近から南は長野県、山梨県付近まで行っております。これが一つでございます。  それから、三百メーターではレーダーに映らないということでございますが、そういうことはございません。千フィートで通常はレーダーに映るわけでございます。ただレーダー基地に非常に近いところになりますと、これはクラッターが強く出てまいりますので映りにくくなる、一般的にはそういうことでございます。
  84. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 それでは、今回の事故については大滝根レーダーから捕捉をしていることになると思いますが、近かったら映らないというのであれば、福島県の上空を飛行している、しかも今回の墜落地点上空付近の空域は大滝根のレーダーでは映らない、こういうふうに理解をしていいですか、近いところは映らないというあれですけれども
  85. 小池清彦

    ○小池政府委員 必ずしもそういうことではございませんで、いろいろな地形の状況でございますとか、そういうことによって映る場合もあれば映らない場合もあるということでございます。
  86. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 つまりただいまの答弁は、全コースを捕捉したいけれども捕捉できないところがある、こういうことですね。  それではお尋ねをいたしますが、今地図を配りましたけれども、この地図でひとつ申し上げたいと思うのですが、まず右側の少し大き目に囲った図面がございますが、五十二万五千分の一です。これの北北東に向かって書いてある線は自衛隊がマスコミに発表した飛行予定コースであります。そしてそこから南南東に向かって約十キロの地点に墜落をした、こういうのが防衛庁のマスコミに対する発表であります。そこで、レーダーに映らなくなった部分はどの位置ですかという私の問いに対して、このあたりですというふうに局長が説明をしたのはこの点線の丸で囲んだ周辺であります。ということになりますと、墜落地点はこのレーダーから消えた地点から約十キロであります。おおよそ十一、二キロだと思います。ところが、レーダーから消えたのは一時五十五分ごろであります。墜落したのは午後二時ごろであります。約五分間であります。そうしますと、直線距離で言えば十二、三キロでありますけれども、五分間で仮に時速六百キロで飛行したとすれば五十キロ、あるいは七百キロで飛行したとすれば五分間で約六十キロ近くこの距離を飛行したことになるわけです。つまり直線で飛べば、十キロだからもっと早く墜落しなければいかぬ。しかし五十数キロにわたってかなりの時間迂回あるいは旋回飛行したかどうかした、こういうことになるわけであります。あなた方はこういう事実をどういうふうに状況把握として説明をされるのか。  さらに、その右側にDICというふうに書いてありまして、南南東に向かって丸にバツが書いてあります。二万五千分の一の地図であります。このDICというのは、私どもの工場の約十五メートル上空をすれすれに飛んで木が揺れました、こういうふうに工場の従業員が証言している場所であります。これは海抜約五百五十メートル、墜落した地点は海抜約五百四十メートルであります。この間の距離が約千七百五十メートルということになっているわけであります。ということになりますと、五分間にかなりの低高度在飛びながら、かつDICの上空を通過したときにはかなりの低高度になっていたということになりまして、この大きい二千五百分の一の地図であらわしました矢印のところに墜落をした。しかもそれは、現場を私は即刻見ておりませんが、尾翼の部分がここに残って、そして高圧線と書いてあるところまで機体の一部が飛散をするという状況で墜落していた。しかもこの高圧線は海抜約五百九十メートルぐらいの丘の上に立っていて、そのまま飛んでいけば高圧線にまともに当たってしまうと思われるような飛行をしたのではないか。そこで避けがたくなってここに墜落したというふうにも十分考えられる。しかも、左の下の方にバツ印がついていますが、この地点と最初に着地した地点では約三百メートル以下、二百七、八十メートルであります。ここのバツ印はどういうバツ印かというと、予告飛行をしたのではないかと新聞に報道されまして、自衛隊もそれらしい電話があったということは認めているわけでありますが、これはその電話を受けたうちの存在地点であります。これをあなた方は、コースを外れずに指示どおりの訓練をしていたという積極的な反論をしていただきたいと思います。
  87. 小池清彦

    ○小池政府委員 まずレーダーから消えた時刻、それから墜落の時刻との関係について答弁させていただきます。  防衛庁が最初に発表いたしましたのは十三時五十五分ごろレーダーから航跡が消失した、こういうふうに発表をいたしました。これは事故が起きました場合には迅速に発表をするということが何よりも大切なことでございますので、レーダーのデータの解析を行っているいとまはございません。したがいまして、レーダーを見ておりました者の証言をそのまま発表させていただいた次第でございます。その結果、十三時五十五分というふうに発表させていただきました。これに対しましてその後データの解析を行いまして、現在の段階では十三時五十九分を少し回ったころに消失したのではないかと考えております。そういう事情が常にあり得ますことを御理解いただきたいと存じます。  次に、大変低空を飛行して墜落したというお話でございますが、これは目撃者の証言からいたしましても低空に至って墜落したということでございます。なぜそういうふうに低空に至ったか。先生がただいま申されましたような低空で飛行するということは、パイロットにとりましては自殺行為でございます。したがって通常ならば絶対に行わない飛行でございます。なぜそのようになったのかということを私どもは現在鋭意調査しておるわけでございます。その辺の事情を御理解いただきたいと存じます。  次に、百里基地におりました隊員、この隊員はこのパイロットが搭乗する航空機を搭乗前に整備、点検をしておった隊員の一人でございますが、その隊員がきょう飛行機が平田村の上を飛ぶということを郷里に電話をしたということは、私どもが調べましたところ事実でございました。ただ、この隊員の自宅はこのバツ印のところではございませんで、私どもが調べましたところ、これよりもさらに北の方に二百メーターばかり行ったところでございまして、墜落地点から五百メーターぐらい離れておるところであったと聞いております。  いずれにいたしましても、隊員のうちから五百メーター離れたところに墜落したわけでございますが、私どももよく調べてみたのでございますけれども、その隊員自分のうちがここだということをパイロットに教えだということは絶対にない、このように申しております。また、搭乗して飛行をいたしますパイロットが自分の飛行機を整備、点検してくれた隊員に、きょうは君の郷里の上を飛ぶよというようなことを言うことはそれほど責められるべきことではないのではないだろうかというふうにも考えております。
  88. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 三百メートル以下ないし二百七、八十メートルのところが電話を受けたうちだと私は申し上げましたが、この「現場見取図」という大きい図面は横に書いてありますが、これを縦にしないと北の方角が出ないわけでありますから、そういうふうに見ていただければ距離数は違っても北の方角であることは間違いない。  それから、電話を受けたことについてそういうふうに否定をされておりますが、ではこれはどういうふうに理解をすればいいのでしょうか。上田部長さんという方がおられるのですか、なぜコースを変更したかわからないということでコースの変更を認めているわけですね。そういう談話を出している。それから委員会の皆さんは私的な変更ではない、こう言っておられるのですね。別の新聞では、いつものコースを飛んでいる、こう言っているわけです。新聞によって全部かぎ括弧の記事が違うわけであります。かぎ括弧というのは、マスコミの場合は普通だれかの談話とかそういうものをあらわす場合にかぎ括弧で書いてあるんだと思うのですね。それがそういうふうに新聞によって全部違うわけですけれども、今のお話によりますと五十九分ごろですか、そうすると約二時ごろですから一分間、今度は逆にちょうど十二、三キロを直線でまた飛んだごとになるのですね。  実はこういうふうになるわけでありますが、いずれにしても予定の飛行コースから十キロほど離れた地点に墜落をした、その時間差、あるいはまたコースが北北東に向かうべきものが南南東に向かっているという事実は消しがたいと思うのですね。時間をどれだけ、例えば五十五分なのか五十九分なのかというふうに仮にそこのところを正確に追ってみたとしても、コースから逆の方向に近い方向に飛んでいたという事実は間違いないと私は思うのですね。  大臣、今私が申し上げたように、ある新聞ではなぜコースを変更したかわからない、あるいはまた委員会では私的な変更ではない、あるいは別の新聞ではいつものコースを飛んでいた、これは管理隊の弁として載っているわけです。こういうさまざまな談話が出ているわけですが、大臣、これはどう思いますか。
  89. 小池清彦

    ○小池政府委員 事実関係につきましてさらに御説明させていただきますと、レーダーから消失した地点から墜落地点までの距離は、私どもが調べ。ましたところ約九・五マイルでございます。キロで申しますと十七・六キロメートルでございます。それぐらい離れておりました。これが一つでございます。  それから墜落をした時刻でございます。そこは当初私どもは知る由がなかったわけでございますが、東北電力の電線を墜落するときに切断いたしまして停電を起こしておりますので、その停電を起こした時刻について念のため東北電力に部隊が聞いてみましたところ十四時一分ごろであるということでございます。したがいまして、十三時五十九分を少し回ったころにレーダーから消えまして十四時一分ごろに墜落をした。現在の調査の段階では私どもはそのように考えております。  それから、先生が前回お示しになりましたポイント2とポイント3を結んだ直線から右の方になぜそれたかということでございますが、今私どもは鋭意事故調査中でございますけれども、ただいまの先生の御質問との関連で申し上げればいろいろな可能性が考えられるわけでございます。ある一つの偵察目標を偵察するときに旋回を行う途中で平田村上空に達した、これは大いにあり得ることでございまして、それぐらいの短い時間にそれだけの距離を飛ぶ乗り物でございますから旋回の半径も大きいわけでございまして、その途中に旋回をしたということも考えられます。また機材あるいは電源等が故障いたしまして引き返す途中で墜落したということも考えられますし、いろいろなことが考えられますので、現在私どもはいろいろな可能性を真剣に鋭意検討をいたしておるところでございます。
  90. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 余りくどい説明は結構です。積極的な説明をお願いしたいと言っているのですが、積極的な納得できる説明にならないですね。この前はこうおっしゃいましたね。対地航法レーダーですか、これを使っている飛行機であるから絶対安全だという御答弁をされました。絶対安全が絶対安全じゃなくなってしまったわけですよ。それは計器飛行と言うのだろうと私は素人なりに思うのでありますが、有視界飛行ではないと思うのでありますけれども、計器飛行ということになりますと障害物から六百メートル以上の高いところを飛ばなければいけないんじゃないですか。そうすると三百メートルを限度として、僕はそれ以下で飛んでいると思っているのですが、少なくとも計器飛行の場合には障害物から六百メートル以上を飛ばなければいかぬ、ということになれば、そういう点からいっても納得のできない飛行じゃないのかということになるわけであります。  時間がなんですから先にいきまして後でまた戻りたいと思いますけれども、運輸省の方にお尋ねをしたいと思います。  私は再三にわたってこの問題を図面をもって説明をし、高度等については結局防衛庁では「と思う」という説明きりできないわけでありまして問題があると思っておりますが、運輸省ではあの規則百七十四条の本文及びイ、ロ、ハというそれぞれの項がございますけれども、イ、ロ、ハについてはいわゆる高さあるいは距離が表示されておりますのでこれはわかります。しかし本文の方は、エンジンがとまった場合には安全に着陸できるような距離を保たなければならないとなっているわけであります。そういたしますと、グライダーや旅客機によっては自然滑降する距離が違います。ジェット機のようなものは滑降する距離が極めて短いというふうになってくるわけでありますけれども、この百七十四条の本文の問題につきましては、運航管理者か運輸省においてそういうマニュアルのようなものをある程度決めて、こういう飛行物体の場合には、つまり抽象的に着陸できる距離ではなくて、例えばグライダーの場合は、ジェット機の場合はというふうにある程度高度を示す、そういうマニュアルが必要なのではないか。そうでないと、今のようにパイロット任せでございますよ、三百メートル以下で飛んでいるかどうかについては把握できない、把握できないけれどもそれはパイロットに任せてあります、だから何メートルを飛んでいるかわからない、住民は低く飛んだと言っても低くは飛んでおりませんという答弁になるわけであります。そういう場合に、私はこの本文にある程度高度を示すマニュアルが必要ではないかと思いますが、その点を運輸省はどう考えるか。  それから、この図面をもって再三にわたって時間と飛行の距離を申し上げておりますが、この事故について運輸省は航法上問題があったとお考えになるかどうかお尋ねしたいと思います。
  91. 松本武徳

    松本説明員 お答えいたします。  先生質問の百七十四条の本文の趣旨でございますが、航空機の機種別に速度などを考慮いたしました安全高度基準の設定につきましては、飛行中動力装置が停止した場合の滑空性能は、もちろん先生指摘のように機種ごとにも違いますし、また同じ機種でございましてもそのときの航空機の重量とか速度とか、またフラップとか脚を上げているか出しているかというような航空機の形態等によりまして千差万別でございます。したがいまして、機種別に一律に安全の高度基準を設定するということは非常に難しいものと考えております。  したがいまして、自分が操縦している航空機の性能を熟知している操縦士が、操縦士は自分が操縦している航空機の性能を熟知しているわけでございますが、その操縦士がそのときの航空機の重量とか速度とか形態等に応じた性能を念頭に置きまして、またそのときの大気の状態とか地形とか人または物件がどのように存在しているかに応じましてみずから判断すべきものと考えております。  また、今回の事故に関する事故原因につきましては防衛庁調査しておりまして、その内容につきましては私どもいまだ承知しておりませんが、運輸省といたしましては、いずれにせよ最低安全高度等の航空法の所要の規定を遵守すべきことは当然のことと考えております。
  92. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 今回の事故についての所見はなかったのですが、最後に時間がありましたらまた質問したいと思います。  次に、警察庁の方にお尋ねいたしますが、今度の場合は民間の被害については電力、NTTあるいは農耕地、山林、物置等々でございまして、人家とか住民の人命には被害がなかったという意味では幸いであったわけでありますが、だからといって、事故の状況について実地検証に立ち会った程度で警察の役割は済むのかどうか。もしこれが国に対する損害賠償等で難しい問題に発展するようなことがあったら、あの時点で警察の捜査が手を引いてしまったということになったら、自衛隊内部の事故調査委員会にゆだねてしまうということは、これは国民の財産と生命を守る警察としては極めて手落ちな対応の仕方ではないのかと思うわけです。自衛隊調査委員会はあくまでも自衛隊内部のものでありまして、これはいわば国の機関であります。その国に損害賠償をしようと思ったら国の機関が調査したもので裁判が行われるなどということはナンセンスな話でありますから、いわば警察が事態の状況を捜査して例えば被害国民の要求に対応するというのが当たり前ではないか。とすれば今回はたまたま重大な事故ではないから引き揚げたということなのか、あの程度のことでいつも済ますというお考えなのか、ここのところはひとつはっきりしていただきたい、こう思います。
  93. 深山健男

    ○深山説明員 自衛隊機によります事故が刑罰法令に触れる場合でありますが、一般的には警察の捜査と自衛隊における捜査、これは御承知のとおり警務隊における捜査でありますが、これが競合することになるわけでございます。事故の内容、被害の程度等事案を総合的に判断いたしまして、適正かつ効率的な捜査が行われるよう警察と自衛隊が協議の上、捜査方針、捜査の分担などを判断してこれに当たっているところでございます。住民を巻き込むなど一般の治安維持に関係があると判断されるような場合は、従来も当然のことながら警察が主体となりまして捜査を行ってきたところであります。  今回の自衛隊の事故につきましては、事故の発生を認知した後直ちに県本部に事故対策室を設置し、警察官を現場に急行させて被害実態の確認など初動措置に当たるとともに、自衛隊と協議の上、警察は検視それから現場の実況見分、目撃者等からの事情聴取などの捜査を実施してきたところであり、現在は専門的、技術的な観点から自衛隊における捜査を見守っている段階であります。今後とも、必要があれば警察としても捜査協力を行っていく所存であります。
  94. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 時間がありませんので、飛行コース及び飛行高度、これらについては航空法の定めを逸脱している、それを積極的に防衛庁は説明をする材料を持っていないということだけを私はまず申し上げておきたいと思います。  次に移りまして、また時間がありましたらやりますが、偵察隊の増設の問題についてお尋ねをしたいと思います。  防衛大綱では、今日までもそうでありますが、ずっと一個飛行隊で来たわけであります。十四機体制でまいりました。これはずっと長い間の経過でございます。しかも防衛大綱においても一個隊だし、それから中期防の完成時、平成七年においても一個飛行隊である、こういう計画になっております。先ほどAWACSの話が出ましたが、恐らく現在の状況ではAWACSは一機に六百五十億円ぐらいかかるのではないかというふうにも報道されておりますけれども、今度の中期防の平成四年度の予算の中で二個隊にするという計画をもってとりあえず九機の改修、つまり偵察用に改修をするという予算を後年度負担という形で計上している、こういうことになるわけでありますが、防衛大綱でも一個隊、中期防完成時においても一個隊であるにもかかわらずこれから十七機を改造する、こういう計画をもって二個の飛行隊にするというのは一体どういうことなのか、御説明をいただきたいと思います。
  95. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 防衛計画大綱の中で偵察隊が一個隊であるというのは御指摘のとおりでございます。中期防の中でも一個隊の枠組みの中でこれは対応しようということでございまして、ただ、その一個隊の飛行機数が御指摘のとおり十四機程度で推移しておりますが、これでは不足するということからF4の改修を図るということで、平成四年度におきましては九機という話がございましたけれども予算上は二機の改修の計上をいたしておるところでございます。
  96. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 平成四年度の予算ではなくて平成四年度において九機を改造する、そしてその金額は後年度七十三億円というふうに計上されております。だから私はそう申し上げておるわけでありますが、合計で十七機ということになりますと、一体それでは一飛行隊というのは何機編成になるのですかということを聞きたくなるわけですね。今十四機ですから、今度十七機ふやす、それで二飛行隊だということになりますとどこでそういうふうなことが国会に明示されているのですか、二飛行隊にするということはどの時点で明示されたのですか。
  97. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 我々としては二飛行隊にするということを考えているわけではございませんで、一飛行隊の適正な機数が二十ないし三十機ということで想定されておりますので、その水準に到達するまであるいは充実をしていかなければならないであろうということから中期防の中でF4の改修を図っているところでございます。  なお、先ほど平成四年度に九機の国庫債務負担行為、後年度負担をということでございましたけれども、これは概算要求時は確かに九機ということでございましたけれども、現在予算には二機の計上で、これで後年度負担、国庫債務負担行為で二十六億七千三百万を計上しているところでございます。
  98. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 それじゃ、一飛行隊というのは十四機でもう何年やっていますかね。二十年ぐらいやっているんじゃないでしょうかね。それが一個隊は十四機だが何機にするかは自由なんだという、それでしかも予定としては今度十七機ふやすのでしょう。そんな倍以上になるのに飛行隊というのは何機にするかは自由なんだ、二十何機が一飛行隊として適切なんだ、そんな話は隊の編成として余りにも乱暴な防衛計画じゃないでしょうかね。一機か二機ふやすとかというならわかりますよ。非常に乱暴な説明だと私は思うのです。しかも、警戒機のE2C型は平成二年度末では八機でしたけれども来年はもう五機ふえて十三機になるのでしょう。警戒機がそれだけふえるのですよ、五機。しかもさらにAWACSを四機ふやそうという。これは現在は平成八年以降になるかもしれないという話ですけれども、どんどん警戒機をふやしているじゃないですか。日本防衛体制のあり方として、内陸部を低空で偵察する飛行隊をどんどんふやすというのが専守防衛の航空防衛体制のあり方でしょうかね。  私は、例えば水際作戦として領海とか領空について警戒網を張るとかあるいは第三次元レーダー網を完備するとかあるいは話題になっておりますAWACSのようなものを配備するとかというようなことであれば、私は自衛隊反対でありますけれども方法論としては理解できますね。しかし、内陸部の低空飛行をやる偵察隊がどんどんふえていくということは陸戦をやるということです。それが一飛行隊は十四機で二十年近くやってきたけれども二十何機にしてもいいのだなんという乱暴な防衛計画がありますか。これは防衛庁長官、どうですか。
  99. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 大臣からの答弁の前にちょっと私の方から補足させていただきますけれども防衛計画の大綱の中には、別表に作戦用航空機四百三十機という規定がございます。この四百三十機というのは各機種をいろいろと積み上げてございますけれども、その中には幅がある程度あるというのがまたその当時の積算のやり方でもございました。その中での位置づけでございますので、その作戦用航空機四百三十機の枠内でいろいろなそのときどきの事情に応じまして重点を置いて整備を進めているというのが実態でございます。したがいまして、やみくもに一飛行隊の定数を幾らでもふやせる、そういう性格のものではございませんで、そういう作戦用航空機の機数という上限の枠が全部についてかぶっているということは御理解いただきたいと思います。
  100. 宮下創平

    宮下国務大臣 一スコードロンの機数をどの程度にするかという問題は確かにございます。恣意的な問題ではありませんで、要撃戦闘機につきましても十八機体制とか、それが諸外国では二十四機とか、そういうような幅のある問題でございます。我が国はまだそこまでいっておりませんのでそういう縮小された編成でやっておりますけれども、おのずから幅があるという点だけは御理解をいただかなくてはなりませんし、しかし、さりとて無制限に一スコードロンの数をふやしていいものでも戦術単位としてはあり得ないと私は思います。  それから、低空偵察行動をするのは内陸作戦、上陸後の作戦を想定しているのではないかという御質問だと存じます。私ども我が国の専守防衛の立場からいって、今委員が御指摘のように機能的にはやはり上着陸阻止です。これは海空それぞれで領空、領海それから領土への侵入を防止することがまず第一義的でなければなりませんけれども、そういう状況でとどまればよろしゅうございますが、しかし実際の侵略その他の形というものはやはり上着陸ということも行われ得るわけでございまして、それらに対応するということのほかに、もしも我が国に侵略して上着陸して内陸に入ってきても、やはり相当な縦深性のある抵抗力といいますか抗戦力を持っておるということも一つの大きな抑止力になることも事実だと私は思います。そういう点で内陸の航空偵察の実戦訓練もやっておるものでございまして、よく戦車の例も引かれますけれども、私は基本的にはそういう考え方に立って構成さるべきものというふうに考えております。量的な問題は、これはまたいろいろ検討を要する問題はあろうかと存じます。
  101. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 時間がなくなってまいりましたから、飛ばしてちょっと簡単にまいります。  E2C八機体制が来年度から十三機体制になる、警戒体制が強化される、しかもAWACSの議論がされている、その上に立ってなおかつ内陸偵察飛行体制を倍以上に強化しなきゃいけないというのは私には全く理解できないし、またそういう防衛計画の立て方も問題があるのではないか、私はこう思います。  ところで、航空機の問題でありますが、過般新聞でも報道になりましたけれどもこの三年間で二百人ほどパイロットが減少している、こういうふうなお話であります。全日空の場合ですと、大体これから十年後の営業体制を考えた場合に五十人から百人ぐらい退職していく、こういう人たちを補っていくには、一人前にするためには十二年ぐらいの教育期間が必要だ、こういうことで大変な状況にあるというのは民間も同じであります。自衛隊においてはもう二百人ぐらい減少しておる、こういうことでありますが、航空機の方はどんどんふやしまして、平成七年度に完成する中期防では二百二十機の予定をしておりますけれども、平成四年度の予算でもう既に五〇%の達成率ですね。そういうことになるのじゃないかと私ははじいたわけでありますけれども、そういう人的体制に非常に問題があると私は思っております。  しかも、充足率についてもかなり無理をした数字を挙げているんじゃないか。陸上においては二%の増加、海上においては二・八%、空自においては三・三%、平成四年度には平成三年の三月末に比べてそれだけ充足率を引き上げたいということですけれども、実際にはなかなか応募者がないというのが現実の問題ではないのか。しかも、今日までさまざまな自衛隊の航空機事故が発生しておりますけれども、この事故が解明されないままに進んでいる。近いうち松島の例のブルインですか、これの問題は編隊長の空間識失調というのですか、これによって起こったのではないかということが発表になるのかもしれませんが、そういう問題はありますけれども、人的体制の問題をどうしていくのかということと、それからなぜ自衛隊の事故については解明がどんどんと進まないのか。これが民間の航空機であれば大変な問題ではないか、こう思いますので、その解明が進まない理由についてお答えいただきたいと思います。
  102. 小池清彦

    ○小池政府委員 必ずしも解明が進んでいないわけではございませんで、私どもは鋭意事故調査をやっておるところでございます。  最近起きました事故について考えますと、ことしに入りましてから起きました三件の大きな航空機事故はいずれも去る三月に起きたものでございます。したがいまして、現在まだ事故調査中ということでございます。  それから昨年起きました事故につきましては、昨年の三月に起きましたT4の浜松沖での墜落事故につきましては、既に事故調査を終了いたしましてその結果を公表したところでございます。それからただいま先生が申されましたT2、ブルーインパルスの事故につきましても近く事故調査を終了できる予定でございまして、今鋭意最後の詰めをやっておるところでございます。それから昨年起きました、あれは十月でございましたでしょうか、F15が標的のワイヤを引っ張って着陸した事故でございますが、これにつきましても事故原因の調査が終わりまして公表したところでございます。  そうしますと、昨年起きました事故のうち近く発表できる予定のT2、ブルーインパルスの事故を除きますと、残るは二件だけでございます。それは、一つは昨年七月に起きましたT4が襟裳岬沖に墜落した事故でございます。これは約八百メーターの海底に沈んだわけでございますが、現在技術が発達しておりますことで、昨年の秋にあえて事故原因を究明するため八百メーターの海底から引き揚げられるだけの残骸を引き揚げたわけでございます。現在その残骸につきまして鋭意事故調査中でございます。あと残りますのは昨年の十二月に起きましたF15の小松沖での墜落事故でございます。これも割合浅い海面なんでございますけれども、海中に墜落をいたしましたためにやはりこれを引き揚げる必要がございました。ところが冬場のためにこれを引き揚げることができませんで、去る二月の末から三月の初めにかけて回収作業を実施したところでございます。現在引き揚げました残骸につきまして鋭意事故調査中でございます。  以上のような事情にありますことを御理解いただきたいと存じます。
  103. 佐藤恒晴

    佐藤(恒)委員 時間がありませんのでこれで終わらせていたださますが、私は、E2警戒機の十三機体制あるいはAWACSの問題等々ありまして警戒体制を強化している中で、内陸戦を想定するような偵察飛行隊の増設は今度の中期防の中で見直しをやるということを要求いたしまして、終わります。
  104. 中山利生

  105. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私は、当委員会が常任委員会となりまして初めての質疑でありますのでみずからも真剣な議論を展開したいと思っておりますし、また関係の皆様にはぜひ誠実かつ充実した議論をお願いしたいと思います。  さてまず初めに、アメリカ合衆国はことしの二月二十五日、一九九三年度の国防報告を議会へ提出いたしました。この報告は、冷戦が終結し、さらに長年にわたってアメリカと対峙してきたソ連が消滅をしたということを受けて出された初めての国防報告であります。冷戦後のアメリカ国防の基本戦略を示したものとして極めて重要な意義を持つものだと思っております。そしてその内容は、一九九〇年八月二日に出されましたアメリカの新国防政策と基本的には同じ方向にあるものだろうと私は考えておりますが、この今年度出された国防報告についての大臣としての基本的な御認識を伺いたいと思います。
  106. 宮下創平

    宮下国務大臣 二月二十六日にチェイニー国防長官が、これは長官として三度目の国防報告だと存じますが、これを大統領及び議会に提出いたしました。  同報告は、湾岸危機後、ソ連の崩壊後のものとして大変注目されている国防報告であったと存じますが、この国防報告のポイントは、詳しくはまた国際参事官の方から御答弁した方がよろしいかとも存じますが、ポイントが幾つかございます。  それは一まず地域的な不測事態への対処に重点を置く、今委員指摘の新国防戦略を国防白書においてより明確にしておるという点が第一点。それから第二点は、やはりソ連の崩壊によりまして世界的な軍事的な挑戦を行い得る旧ソ連は国ではなくなったということ、しかし旧ソ連の行方はいまだ不確定である、特に旧ソ連軍存在、核の管理あるいは核や高性能兵器の技術拡散についての懸念も二番目に表明されております。それから地域的な紛争につきましても、これは国名を特記してございますが、イランとか北朝鮮などの弾道ミサイル等への懸念を具体的に表明しております。それから、アジア・太平洋地域におきます前方展開その他の同盟関係でありますが、日本と韓国とオーストラリアなどの同盟関係は引き続き重要である、保持すべきもの、このように述べております。それから北朝鮮の核開発、いろいろ議論がございますが、この問題はこの地域の平和にとって最も危険な脅威であるということが記述されております。  新国防戦略につきましては今委員指摘のとおりでございますが、効果的な戦略抑止をやろうとか前方展開プレゼンスを維持する、あるいは緊急事態に対応する戦力の保持あるいは戦力の再構築能力等々いろいろ説明がございますが、これらにつきましては省略させていただきます。  我が国との関係につきましてどのような記述がなされておるかという点は私ども大変関心のあるところでございますが、今回の国防白書におきましては非常に行数が少のうございます。しかしポイントとしては、在日米軍駐留軍経費についての評価、これは昨年新協定、特別協定を結びまして駐留軍米軍経費についての給与をある年限をかけて負担をするということ、光熱水料等についての負担をするというものでございますが、これについては高く評価をされておられます。それから日本との同盟関係は引き続き非常に重要な点であるということが述べられておりまして、同時に、湾岸危機に対し貢献した国として我が国も列挙されておる。  こういうことでございまして私ども全体として感ずることは、今の国際情勢の大きな変化を踏まえつつも、なお米国から見ていろいろの諸問題がある。つまり一言で言えば、地球的規模における脅威はあるいは存在しなくなったかもしれませんが、地域的規模における脅威というものは発生の可能性がより強くなっているんではないかというようなそういう基本的な認識のもとに書かれたもの、そのように評価をいたしておるところでございます。
  107. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今の長官の御認識に対して幾つかのポイントがあろうかと思います。まず戦略の四つの柱といいますか、戦略核抑止力を維持するという点、それから米軍の前方展開兵力を維持するということ、それから緊急展開兵力も必要であるということ、それからアメリカ戦力全体の復元能力を確保しておくこと、この四つの柱があろうかと思います。その中で前方展開兵力というか戦力というか、これを数は減らしながらも維持していく、こういう方針を述べております。そしてさらにこの維持のためには単独では実行ができないので同盟諸国の協力が不可欠である、このようなことも触れられておるようであります。この点について、数を減らす、なお同盟国の協力、存在が不可欠である、こういう表現に対して長官はどのようにお考えでしょうか。
  108. 宮下創平

    宮下国務大臣 我が国防衛という立場から見ますと米軍の前方展開能力の維持というのは、私はぜひ今後とも必要なものだとこれを評価いたしております。それから米側からいいますと、小規模ながらでも米国安全保障に影響する危機に迅速に対応するそういう戦略の柱を立てられたということ、これは新しい国際情勢のもとにおけるアメリカの考え方、これもよく理解できますし、必要なことではなかろうかと存じております。  いずれにいたしましても、私どもの立場からいいますと、こうしたアメリカの新しい情勢に対応する戦略、新国防戦略というものが真摯に討議され、そして表現され、そして同盟国への期待感が強いという点はそれなりにアメリカの姿勢として高く評価をいたしたい、このように私は思っておるところでございます。
  109. 山口那津男

    ○山口(那)委員 次のポイントといたしまして朝鮮半島の見方でありますが、国防報告では、朝鮮半島は南北朝鮮間の合意にもかかわらずアジアで紛争が発生する可能性の最も強い場所である、こういう認識を示しておるわけでありますが、このアメリカ側の認識に対して長官としてどのように評価をされるか。それともう一点は、現在日朝間での交渉が進んでおるところでもありまして、また各政党の代表団も今北朝鮮を訪問している最中であろうかと思います。こうした微妙な外交関係の中で我が国としてどのように今後対応されるおつもりか、一応防衛庁長官としてのお考えを伺いたいと思います。
  110. 宮下創平

    宮下国務大臣 南北の対話が進み、そして朝鮮半島が一つの民主的な制度のもとに本当に今までのような懸念が払拭された国家として存在することは私どもの極めて望むところでございますけれども、この国防白書指摘されている点は、ただいまも申し上げましたとおり地域脅威の増大の欄では米国はわざわざイランと北朝鮮を連書しておるという点は、やはり核関連施設への懸念とミサイルの長射程距離化の研究開発等についての言及だろうと思います。こうした点はどうしても、両国の話し合いによって相互査察もやろうとかIAEA、国際原子力機関の批准も行われているという実態もございますが、我々としてはそれが真の意味でその実態の裏づけがなされるような実効性のあるものであることを期待したいわけです。  一方、今日与野党を通じての議員団が金日成主席の八十周年の祝賀に行っておられますけれども、北朝鮮との関係も国交回復は当然政府間レベルで外務省を通じて行われておるわけでございまして、我が国周辺諸国と政治的な信頼関係を回復する、そしてまた安全保障上も本当に安心できる状況をつくり上げるということはぜひとも我が国の安全にとって必要なことでございますし、安全保障面のみならずアジアの近隣諸国との友好関係を確立するのは当然なことだと存じますので、そういった角度でこれを見守っていきたいと思っております。
  111. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今触れられた北朝鮮の核開発と弾道ミサイルの拡散の問題といいますか、その点も能力を高めていくのではないか、これに対する具体的な懸念を長官としてもお持ちである、こういう御趣旨で伺ってよろしいでしょうか。
  112. 宮下創平

    宮下国務大臣 ミサイルの長射程化の研究開発がどの程度具体的に進んでおるかということは私どもとして大変関心がございますけれども、伝えられるように一千キロ程度の射程距離を持つようになりますれば、例えばピョンヤンからの距離からしても大体我が国の関西方面は全部カバーする距離の中に入るわけでありますから、私どもとしてもこの点は大変気にしているところでございます。願わくは、そういったミサイルの輸出の問題等もいろいろ報道されておりますけれども、北朝鮮側におきましても、こういった問題について自重を促し、新しい世界の流れに即応したぜひとも民主的な国家としていっていただきたいな、そんな思いでございます。
  113. 山口那津男

    ○山口(那)委員 なお国防報告では、弾道ミサイルといいますか長射程のミサイルの開発が第三世界等にも拡散をしていく、九〇年代半ばにはかなり広がる可能性がある、それにまつわる危険度も高まる、こういう認識が示されておると思うわけでありますが、北朝鮮以外に、現在、保有国以外の地域あるいは国々に拡散をしていくであろうという具体的な見通しをお持ちであればお伺いしたいと思います。
  114. 宮下創平

    宮下国務大臣 私の知っている限りでは、そういう具体的な裏づけのある情報というものは私も承っておりませんけれども、いろいろの方々と例えば米国関係の方々とお会いする、非常にナーバスな感じを持っておられることも事実ですね。したがって、そういうことのないようにひとつせにゃいかぬなということで、なかなか現実にどこまでどうなっているのかということは、体制のまた違う国でもありますし、また国交回復もしておりませんのでよく了知できないところでございますが、願わくばそういうことのないように本当に願いたいものだな、こう思っております。
  115. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そうした拡散の危険、危機に対応してアメリカ側は従来言われたSDI構想を大幅に変更、縮小いたしまして、いわゆるGPALS、これはグローバル・プロテクション・アゲインスト・リミテッド・ストライクス、それの頭文字をとったものだろうと思いますが、限定的ミサイル攻撃防御システムとでも訳すのでしょうか、このシステムの開発に力を入れているようであります。この点については一九九二年度の国防報告にも指摘をされ、予算も一部認められ、かつまた九三年度予算においてもそれよりも多額の開発費の要求がなされている。今回の国防報告にもこの点が指摘をされているわけであります。この内容について防衛庁はどのように承知をしておられるでしょうか。
  116. 高島有終

    高島(有)政府委員 お答えいたします。  近年におきます弾道ミサイルの拡散の危険などを背景にいたしまして、確かに今先生指摘のとおり米国は九一年から、このような偶発的かつ限定的な弾道ミサイル攻撃から米国及びその同盟軍を防御するということを目的としたGPALSの研究開発の推進を決めているところでございます。このようなシステムは、あらゆる射程の弾道ミサイルをその発射から着弾まで地球的規模で継続的に監視、追跡し得る宇宙、地上配備のセンサーと、攻撃目標に対して信頼性の高い防護を与え得る宇宙、地上、海上配備の要撃兵器から構成されているものと理解いたしております。  これまでSDIが、各種の大規模なシステムの配備によりまして米国に対するソ連からの大規模な弾道ミサイル攻撃を抑止することを目的としていたものに対しまして、このGPALSは宇宙あるいは地上に限定的に配備されたシステムによりまして、規模は全地球的な規模でございますけれども限定的な弾道ミサイルの攻撃を防御するものを目指すものというふうに理解いたしております。
  117. 山口那津男

    ○山口(那)委員 アメリカ指摘では、これは同盟国を守ることをも射程に置いているわけであります。我が国もその同盟国の一つでありまして大いに関心を持つべきところだろうと思いますが、この政策決定に対して事前に日本側の意見を求められたとか、あるいはこの政策立案に対して日本側が何らかの関与をしたというようなことがありますでしょうか。
  118. 宮下創平

    宮下国務大臣 このGPALSにつきましては、ただいま議論のございましたように米国自身ばかりでなくて同盟国の限定されたミサイル攻撃に対しても防御するということは、委員指摘のとおりの目的を持っておることも承知しております。しかしながら、今防衛庁あるいは外務省ともこれは聞いてみたわけでございますけれども、GPALSについて米側からブリーフィングは受けておることは率直に認めております。しかしながら、両省とも参加する等の具体的な検討はまだしておりません。したがって、それは従来から申し上げているとおりこれからどのようなアクションがあるのか、それから、我が国としてどのような態様の場合にどういう対応をすべきかという点はこれからの検討課題じゃないか、このように思っております。
  119. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほど弾道ミサイルあるいは長射程ミサイルについての具体的な拡散の懸念について余り足かな御認識を伺えなかったように承知しています。そういう前提で、このアメリカのシステムについて日本もいわばそのシステムの中に組み込まれ得るという内容だろうと思うのですが、このシステムそのものについて防衛庁長官としてはどのように評価をされているでしょうか。
  120. 宮下創平

    宮下国務大臣 米ソ対立構造の中でとにかく戦略核兵器の攻撃を抑止しようというSDI、これは政府として特別協定をして、政府間では参加しませんでしたが民間による技術の共同研究開発等も認めるという立場をとってまいりました。しかし、GPALSはより今日の国際情勢を反映したものとして米側が考えているものでございまして、その方向性については私はSDIと違ったそういう視点がやはり必要であり、かつ、なるほどなという率直な感じを受けます。しかし、先ほど申しましたようにこれが我が国防衛政策とどういう絡みを持つのか、あるいはどのような形で具体的な問題に参加していくか、つまり政府間で参加するのかあるいは民間レベルだけの技術開発にとどまるのか、そういったことはすべて、SDIのときも随分議論いたしましたけれどもGPALSについても今後の課題であろう、このように思っておるところでございます。
  121. 山口那津男

    ○山口(那)委員 このシステムについては、いわば限定的な攻撃に対して核を使ってこれを迎撃するものではないというふうに言われているようであります。ですから核抑止戦略そのものではないのだろうと思いますが、このシステムはアメリカ側が基本的な四つの柱として出した部分のどれに該当するものだとお考えでしょうか。つまり戦略核抑止力の一部なのか、それとも前方展開戦力の一部なのか、それとも緊急展開兵力の一部なのか、あるいは戦力復元能力の一つのシステムなのか、このどれに当たるというふうにお考えでしょうか。
  122. 高島有終

    高島(有)政府委員 この四つの戦略の中で、私どもは恐らくこの効果的な戦略抑止というのに最も該当するような概念ではなかろうかというふうに考えております。
  123. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、このシステムが実際に開発されて配備をされるような時代が来たとした場合に、日米安全保障条約に基づいて例えば在日米軍基地のいずれかに配備されるとかいう要請も出てくるかもしれません。その可能性が抽象的にはあるとお考えでしょうか。
  124. 小澤俊朗

    小澤説明員 先生の言われるGPALSの構想につきましては、現在米国のSDIの予算を利用した形で米国内で研究が進められておりますけれども、今後GPALSがどういう形でどういうように実現するのかあるいはしないのか、米国の政府内で今検討中であると承知しております。我が国としましてはこのGPALSは米国国防政策の一つの方向として注目しておりますけれども、今の段階ではアメリカ側から話を聞いて情報収集、調査を行っている、こういう段階にとどまっているわけでございます。先生の言われている実際の配備の段階にまでとても話が及んでいない、こういうふうに御理解いただければと思います。
  125. 山口那津男

    ○山口(那)委員 もちろん具体的にはそこまで話はいっていないわけでありますが、ただ巷間報道されるところ、あるいは国会図書館の資料等によりまして概略言われるところは、これはいわば空間で迎撃する、空間でといいますか宇宙で撃ち落とすというのと地上からミサイルを発射して撃ち落とす。つまり、地上から発射するというのと宇宙から発射して落とす二つの系統があることはもう基本だろうと思うのです。そうしますと地上からミサイルを発射して迎撃する、この点については地上の何らかの施設が必要でありますから、その点について日本に配備されるという可能性もあるのではないかと私は思うわけであります。ですから、具体的な配備云々ということではなくて条約に基づいてこのシステムを配備する可能性があるかどうか、抽象論でいいからお答えをいただきたい、こういうことであります。
  126. 小澤俊朗

    小澤説明員 我が国としてミサイル防衛網をつくるという話については防衛庁の所掌になると思うのですが、実際にそういうようなミサイル防衛網を設置するということになりますれば、それは我が国自身の決定した計画に基づく能力を設置する、こういうことになると存じます。
  127. 山口那津男

    ○山口(那)委員 防衛庁長官も同様の認識でしょうか。
  128. 宮下創平

    宮下国務大臣 基本的に今安保課長の言われたとおりでありまして、委員の御指摘のとおりいろいろ想定することは、いろいろなケースを考えておくということは当然でございますけれども我が国の今の例えばホークの後継機と組み込まれるのではないかとか、ケースとして先生いろいろお考えかもしれませんけれども、具体的な話は一切ございませんから、これからのGPALSがどのようなものであるかしっかりつかんだ上で対応すべきもの、このように思っております。
  129. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今いみじくも言われたように日本では既にパトリオットが配備され、またホークも新規更新中ということでありますから、これらが迎撃用の地上発射ミサイルとして使われるということはもう既に指摘をされておるところでありますから、日本もそのシステムの中にいずれは組み込まれる可能性もあると私は思うわけでありますが、念のためにもう一度この点についてどう認識されるか、お伺いしたいと思います。
  130. 宮下創平

    宮下国務大臣 たびたび申し上げておりますように、まだ具体的な実行可能性その他の打診あるいは交渉も行われておりませんので、イエスともノーとも言えないというのが今の立場ではなかろうかと存じます。
  131. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ところで、報道によりますとこのGPALSの研究開発に対して日本の民間企業が米国防省から受注をして既に仕事をしている、こういう報道もあるわけであります。日本の民間企業のかかわりについて防衛庁としてはどのように御認識されているでしょうか。
  132. 関收

    ○関政府委員 今の先生の御指摘の報道、実は私承知をいたしておりませんが、私どもの知り得る限りで御説明申し上げますと、当初SDI構想がございましたときに、その一環としてWESTPAC、西太平洋地域ミサイル防衛構想研究というのがございました。これにつきましてはアメリカ国防省から委託を受けまして日本の企業が、これは主としてスタディー的なものでございますけれども、それに参加しているということは承知をいたしておる次第でございます、
  133. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今御指摘のあった西太平洋地域ミサイル防衛構想研究というものはこのGPALSにも応用可能な基礎的な研究の一つではないかと思うわけでありますが、全く関係のないものと思われますか、それとも否定はし切れないという御認識でしょうか、どうですか。
  134. 関收

    ○関政府委員 今申し上げましたようにこのWESTPACの研究自体は、西太平洋地域におきます。そういう構想についてのスタディーというか調査的なものでございます。その後、先生御案内のとおり一九九一年にブッシュ大統領からGPALSの構想が出されたわけでございますが、そのGPALSというものになりました後にこのような考え方がどのような取り扱いになるのか、これは実は必ずしも現在までのところはっきりいたしておりません。そういうわけで、今後どうなるのかということは現段階でコメントを申し述べることは難しい状況であることを御理解いただきたいと思います。
  135. 山口那津男

    ○山口(那)委員 これも報道のベースでありますが、日本の超高速コンピューター技術あるいはミサイル誘導のためのセンサーの技術等をアメリカ側が期待をしておる、こういう報道もあるわけであります。日本のこういう企業の活動というものがアメリカ側のいわゆる新しいGPALSという武器技術の開発に関与するということについて、例えば日本における対米武器技術供与に関する交換公文、こういう取り決めもあるわけでありますが、これとの関係はどうなるのか、基本的なところをお伺いいたします。
  136. 関收

    ○関政府委員 まだ将来の話かと思いますので一般論として申し上げさせていただきたいと存じますが、このようなプロジェクトに日本の民間企業が参加いたしましてそこで武器に関する技術の移転が行われます場合には、先生指摘のとおり対米武器技術供与取り決めの規定に従って行われるということになるわけでございます。それは、先生御案内のとおりその供与の可否等につきまして日米間の委員会で協議をいたします。それからまた結果的に供与されるものにつきましても、対米武器技術供与取り決めに従いまして国連憲章と矛盾する使用の禁止、目的外の使用の禁止、あるいは事前の同意なく第三国政府等に移転することの禁止等の対米武器技術供与取り決めの規定が適用されるものと理解をいたしておるところでございます。
  137. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほど指摘のありました西太平洋地域のミサイル防衛構想研究というようなもの、あの場合に交換公文の手続に従って何かなされたということはあるのですか。
  138. 関收

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  私どもの承知いたしておりますところではこの研究は調査的なもの、スタディーでございまして、今私が御説明申し上げました対米武器技術供与取り決めの対象となるような形でアメリカに提供されたといった性格のものではないと今のところは理解をいたしておるところでございます。
  139. 山口那津男

    ○山口(那)委員 日本にはその交換公文に基づく手続のほかに、武器輸出三原則というのがあります。この武器輸出三原則は武器といういわば物体といいますか有体物といいますか、こういうものの移転を規制しているものだろうと思うのです。一方で技術供与に関する交換公文は、目に見えない技術あるいはペーパーにおさめられた技術について一定の手続を必要としているものである、そして先ほどの具体的な民間の契約についてはそのいずれもその対象には当たらない、こういう御指摘でありました。そうするとどこが境目なのか、つまり形、有体物にあらわれた一つの形を規制するというやり方もあるし、目に見えないけれども確立した技術というものを規制するというやり方もあるし、あるいはもっと広い情報そのものといいますか、これがどんどん流出、拡散していくようなことになればやはり武器輸出三原則の基本精神に反するようなことも出てくるのではないかと私は懸念するわけであります。その点について一体どういうメルクマールで規制を及ぼしていくべきなのか、この点の検討が必要だろうと思うのですが、現行法での考え方について一応御見解を承りたいと思います。
  140. 関收

    ○関政府委員 我が国からの武器の輸出につきましては、武器輸出三原則によりまして極めて厳しい規制が行われていることは先生御案内のとおりでございます。この中で、五十八年に至りましてアメリカに対する武器技術供与につきましては、日米間の取り決めによりまして、一定の手続に従ってこの武器輸出三原則によらないで供与ができるという仕組みができたわけでございます。ここで想定しておりますものは具体的には技術といいましょうか、武器を製造するための技術、これは必ずしも製造に限らないものもあろうかと思いますが、そういったテクノロジーに該当するようなものが対象になると私どもは考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても実際の供与に当たりましては、先ほど申し上げましたようにアメリカ側と日本側との間で武器技術共同委員会というもの、が設けられて、そこで協議、検討することになっておりますので、そういった場でこういった仕組みをつくりました趣旨でありますとか、あるいはその対象となりますものはどういうものであるかということも含めて協議されていくものと理解をいたしております。
  141. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今の御答弁はいわば技術、テクノロジーの移転について一定の手続を踏む、こういう御説明だったと思うのですが、念のために伺いますけれども、この手続は国家間、つまり国対国での移転のみならず民間対民間あるいは民間対国家との移転、いずれの移転についても対象となる、こういうふうに理解してよろしいですね。
  142. 関收

    ○関政府委員 御指摘のとおりでございます。
  143. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そうだとすれば、例えばコンピューターの技術あるいはミサイル誘導のためのセンサー技術、これが移転をするような場合には必ずこの交換公文に基づく手続を踏まなければならない、こういうことになろうかと思います、その場合にどういう判断でこれの手続を踏むのか、どういうことがこの委員会で議論されるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  144. 関收

    ○関政府委員 お答えを申し上げます。  まず、武器技術が何であるかということが一つ問題になろうかと思います。汎用技術につきましては、現在その輸出につきましては規制が行われていないわけでございます。武器技術につきましては外国為替管理法等によって規制されているわけでございまして、この武器技術供与取り決めの中で対象となりますのはその武器技術に該当するものということになるわけでございます。具体的にどういう基準でそれを認めていくかどうかということにつきましては先ほど申し上げましたような委員会の場等を通じまして、それが武器に該当する技術であるかどうか、あるいはまたその供与する趣旨等につきまして日米間で協議をしてその可否を決定するという趣旨でございます。
  145. 山口那津男

    ○山口(那)委員 先ほどから御答弁を伺っていると、何が武器技術であるかという点が必ずしもはっきりしないということなんです。やはり技術というのは情報の一つの形だろうと思うのです。ですからその点をもっと明確にしなければいけないのじゃないかと私は思うのです。武器輸出三原則の「武器」については、これは統一見解が出ておりますからある程度国民にもわかるわけでありますが、この武器技術とは何か、その技術の範囲について汎用性のあるものとそうでないものをどう区別するのか、この点は明快にはなっていないと思うのです。どのようにお考えか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  146. 関收

    ○関政府委員 私からお答えをするのは適切かどうかわかりませんが、昭和五十一年の武器輸出に関する政府統一見解におきましては、「武器・輸出三原則における「武器」とは、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」をいい、具体的には、輸出貿易管理令別表第一の第百九十その項から第二百五の項までに掲げるもののうちこの定義に相当するものが「武器」である。」こういう定義がなされておるわけでございます。  それで、私どもが今考えております武器技術につきましても、それを製造する等の技術が武器技術ということで規制の対象になるわけでございますので、今申し上げましたような武器輸出三原則の対象になります武器の製造、場合によってはその修理等もあろうかと思いますが、それに関連する技術が対象となるものと思うわけでございます。しかしながら、御案内のとおり技術レベルが大変大きく変わっておりますから、具体的にこれが外国為替管理法で規制の対象となる武器であるのかどうか、汎用品であるのかというようなことにつきましてはそのときどきの技術レベルといいますか、あるいは技術の使われ方といったものも十分勘案しながら個々に決めていかざるを得ないという面もあろうかと思うわけでございます。
  147. 山口那津男

    ○山口(那)委員 我が国で製造されるものについては武器輸出三原則、具体的には法律の別表等に基づいて明記されているわけですけれども、外国でつくる武器について日本の技術を出そうというわけですからその定義が必ずしも当てはまるかどうか、これは言えないと思うのです。ですから武器技術供与、つまり、アメリカがつくる武器について日本が持っているそれに関連する技術をどうやってコントロールするかという問題なんですからやはり独自の考え方が必要だろう、考え方の確立が望まれるだろう、このように思うわけであります。見方を変えますとこのGPALSについては、いわゆる防御システムというものをアメリカ中心とする同盟国も含めた国々が独占する、この武器技術について独占するということをも意味しているように私は思うのです。アメリカとの間ではこの武器技術供与についての交換公文は交わされておりますけれども、もし第三国にこれらの技術について協力を求められた場合に、汎用技術があるいは武器に関する技術がということがはっきりしなければ大変な問題が生じるだろうと思うのです。ですからこの点は非常に重要な問題だと私は思っております。大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  148. 宮下創平

    宮下国務大臣 武器輸出三原則につきましては、我が国の平和志向の憲法によって国際紛争の防止というような観点から定められたものでございまして、武器それ自体の定義その他の扱いは装備局長が今申されたとおりでございます。そして一般論としてはそのような原則でいきますけれども米国との関係におきましては、日米安保条約の効果的な運用等の視点からアメリカに対して武器技術輸出を例外的に認め、そして共同研究開発の必要性を五十八年の時点で認めたものと思います。また、武器技術も武器に準ずるものという扱いが三木内閣のころ決められております。これは河本通産大臣のときだったと存じますが、そういうことですからどの国に対しても武器武器技術を開放するわけではもちろんないわけで、アメリカとの関係においてのみこれを供与し共同研究開発をやるということでございまして、その場合は今委員が御指摘のような第三国への拡散の問題等々、いろいろ我が国としての方針のもとに規制あるいは交渉すべき余地が非常に多いことかと存じます。これについては先ほど装備局長も触れましたけれども、国連の目的に合致しないような場合とか他目的に使うような場合あるいは第三国移転の場合は事前の協議なしにこの移転は行い得ないという供与に伴う条件を設定しておりますので、私どもはこの基本的な枠組み、条件をきちっと守っていきたいと思っております。  ただ、具体的に言いますと今委員の御指摘のようになかなか限界が、この汎用技術と武器技術、あるいはソフトの面の技術とハードの面の技術、この区別の問題は、これから科学技術が発達していけばいくほどいろいろ問題のあることも委員指摘のとおりだと私も思います。そういう点で、科学技術の進歩があればあるほどそういった問題について当方としても十分これらの知識を持ち、知悉し、そしてこの三原則並びに供与の制約条件その他を守っていくべきもの、このように存じております。
  149. 山口那津男

    ○山口(那)委員 確かにこの拡散をいかに防止するかというのが人類の共通の課題だろうと思いますし、我が国は輸出三原則でこの精神を高らかに宣言しているわけでありますから、その点についておさおさ怠りなく基準あるいは規制というものを及ぼさなければならないだろうと思うのです。特に汎用があるいは武器に関するものか、基礎的な技術を区別するというのは非常に困難な課題であるかもしれません。これが汎用と理解されてどんどん流出、移転されていった場合に、何らの規制もないわけですし、もちろん罰則等の裏づけもないわけですからまた大きな問題を引き起こしかねないという懸念もございます。その点を含めまして、慎重にまた積極的に御検討をお願いしたいと思います。  次の質問に移りますが、政府専用機がこのほど四月一日から自衛隊へ移管されました。今乗員等の訓練を鋭意行っているところだろうと思います。内閣総理大臣あるいは国賓等の輸送ができるということはもう既に現行法に規定があるわけでありますから、この規定に基づく実施のための訓練ということは既に行われているだろうと思うのです。実際にこの現行法に基づいて運航ができるようになるのはいつごろなのか、準備のためにどれぐらいの期間が必要なのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  150. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 政府専用機は防衛庁にとって、B747-400という大型輸送機で全くの新機種であることに加えまして、実績のない恒常的な海外運航という任務を果たすということになるわけでございますから、十分に安全性を考慮して運用体制を構築する必要があるということでございます。そのために必要な訓練を約一年程度行う予定でございまして、したがいまして、運航開始には相当程度の期間を要するというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、そういう安全性を十分配慮したという中におきまして所要の訓練を行った上で、できるだけ早い機会に運航を開始すべく努力をしてまいりたいというふうに思います。
  151. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今一年程度かかるという御指摘でありましたが、このほど来日された中国の江沢民氏から天皇陛下の訪中の要請等もあったようであります。この話が仮に一年以内に具体化した場合に専用機を使うというようなお考えもございますでしょうか。
  152. 宮下創平

    宮下国務大臣 江沢民さんが来られまして天皇陛下の訪中についての要請もございまして、総理はこれに対して慎重といいますか、真剣に検討してまいりたいという御答弁を申し上げておりますので、陛下の問題でもございますし、想定で使うかどうかというようなことは、また時期の問題とも絡みますし、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  153. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それではそのほかの偉い方々、内閣総理大臣あるいは外国の賓客等、それらについて一年以内に具体的な要請が出てきた場合に、運航を前倒しするといいますか早目にするというようなことも柔軟に考えられるのでしょうか。
  154. 宮下創平

    宮下国務大臣 今回お願いしております自衛隊法の改正は、この政府専用機の海外への邦人救出というようなことを主たる改正点といたしましてお願いをしているわけでございまして、もう言うまでもございませんけれども自衛隊法百条の五によりまして総理並びにそういう方々の国内輸送その他は十分これで可能でございます。しかしながら、ああいうジャンボ機になりますと幾ら戦闘機の、自衛隊機の練度の高いパイロットをもってしてもやはり私は感度が違うと思うのです。そういう意味で要人を乗せておる航空機の運航、これも自衛隊にとって初めての大型機の運航でございますから、これは安全の上にも安全を、つまり訓練訓練を重ねて絶対に事故の起きないような体制でこれを運航してまいりたいということでございますので、防衛局長からおおむね一年程度はかかるのじゃないかということを申し上げておるわけでございまして、民間機あるいはその他の国の例を見ましてもやはり七、八カ月以上は訓練期間を要するようでございます。私ははっきりこの時点を申し上げられませんけれども、ひとつぜひとも準備をして、そして同時に国内の要人輸送の問題にとどまらず、海外における邦人救出の問題についてもぜひこれは法案として御提出申し上げておりますので御理解をいただきたいものだな、このように存じております。
  155. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私は、この海外の邦人の輸送に関する今回の新しい改正案については何ら質問はしておらないわけでありますけれども、今の御答弁ですので内容を踏まえて今後の審議に生かさせていただきたい、このように思います。  さて、昨年末にソ連が崩壊をいたしまして極東に展開する旧ソ連軍といいますかロシア軍と言うべきなのか、一定の軍隊が控えておるわけでありますけれどもいろいろな動きが出ているようであります。これについて、例えば具体的にロシア側の航空機による領空侵犯の数がどれぐらいでどういう推移になっているのか、あるいはそれに対応するスクランブル発進の数がことしに入ってから激減している、こういう情報もあるわけですが、その点がどうなのか、空だけではなくて今度は艦船についての行動はどうなのか。この極東の旧ソ連軍動向について現時点での御認識を伺いたいと思います。
  156. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 まず最近五年間の領空侵犯件数でございますけれども、これは六十二年度が二件、六十三年度がございませんで平成元年度一件、平成二年度がございませんで平成三年度二件。それに対応するスクランブル回数ということでございますが、六十二年度が二件に対して二回、平成元年度が一件の領空侵犯に対して二回、平成三年度が二件の領空侵犯に対して八回ということでございます。  なお、そういう領空侵犯に対応するスクランブル数ではございませんで、全体の五年間の緊急発進回数で申し上げますと、六十二年度が八百四十八回、六十三年度八百七十九回、平成元年度八百十二回、平成二年度六百四回、平成三年度四百八十八回ということで、かなりの減少を見ているのは事実でございます。
  157. 高島有終

    高島(有)政府委員 艦艇の動き等につきまして御説明を申し上げます。  まず艦艇の配備という点で申しますと、昨年からことしにかけましてそれほど大きな変化は認められておりませんが、その活動状況という点につきましては一般的に申しますと低下傾向にございます。ただ、一部伝えられておりますように太平洋艦隊がすべて港に係留されているというような状況でないことはもちろんでございまして、最近でも演習が行われたという話もございます。  なお、太平洋艦隊との関連で申しますと、カムラン湾におりましたソ連の艦艇でございますが、主要艦艇はおおむね引き揚げ済みのようでございまして、若干の補助艦艇が残されている程度というふうに理解いたしております。  それから数で申し上げますと、旧ソ連関係の行動隻数でございますが、昭和六十一年六百四十五隻、昭和六十二年七百十隻、昭和六十三年五百七十隻、平成元年五百十五隻、平成二年五百十隻といったところでございます。なお、平成三年度の数字につきましては現在取りまとめ中でございまして、正確な数字はまだ現時点におきましては申し上げられる状況にございません。
  158. 山口那津男

    ○山口(那)委員 従来、ベトナムと極東との往来というのが飛行機あるいは船によって行われていたと思うのですが、今カムラン湾の状況についての御説明がありました。ベトナムヘ向かう軍用機の往来というのがかつてあったわけでありますが、この点は今どうなっているのでしょうか。それから、まだ若干カムラン湾に艦艇が残っているというお話でしたが、なお行き来があるのでしょうか。この二点について伺います。
  159. 高島有終

    高島(有)政府委員 ベトナムにおきましては、現在ソ連の航空機はほぼなくなっているというふうに私ども理解しておりますが、正確なところ一機もないのかという点につきましては私ども正確に確認いたしてはおりません。しかし、一時期かなりの数がございましたのが相当数減っていることは間違いない事実であろうと思います。そういうような状況を反映いたしましてベトナムと極東との間の飛行も大幅に減っておりますが、正確な行動機数につきましては私どもつかんでおりません。
  160. 山口那津男

    ○山口(那)委員 現在インド洋に展開しているソ連の艦艇というのはあるのでしょうか、あれば量も教えていただきたいと思います。     〔委員長退席、大島委員長代理着席〕
  161. 高島有終

    高島(有)政府委員 現在におきましては、インド洋からソ連の艦艇はすべて引き揚げたというふうに理解いたしております。
  162. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そうすると、ベトナムあるいはインド洋にかつて展開をしていた艦艇というのは極東へ全部おさまっている、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  163. 高島有終

    高島(有)政府委員 一〇〇%ということではないかもしれませんが、おおむねその大部分極東に回航されているというふうに理解いたしております。
  164. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは最後に、極東ソ連潜水艦の行動について。潜水艦は見えにくいわけでありますが、潜水艦に限っては行動力がさほど落ちてはいないという報道も一部あったのですが、この点についてはどのように認識されているのでしょうか。
  165. 高島有終

    高島(有)政府委員 潜水艦の行動状況につきましては、私どもここで正確に御説明できるような資料を持ち合わせておりません。
  166. 山口那津男

    ○山口(那)委員 それでは私の質問をこれで終わります。
  167. 大島理森

    ○大島委員長代理 東中光雄君。     〔大島委員長代理退席、委員長着席〕
  168. 東中光雄

    東中委員 冷戦が終結し、ソ連の解体という国際情勢の大きな変化の中で、政府が軍拡の最大の根拠にしてきたソ連脅威というのは消滅をしています。だから私たちは、当然政府の論理でいつでも軍縮への大幅な転換がなされなければならないというふうに思うわけであります。しかし九二年度の予算では軍事費は三・八%ふえています。そういう点でいうならば全く逆行していると思います。防衛庁長官所信表明でも、この軍備増強を防衛計画の大綱に基づく必要最小限の基盤的な防衛力整備である、こう言われている。そして軍縮ではなくて三・八%ふえる方を進めておられる、こういうことであります。しかし、大綱や前の中期防衛力整備計画にしましても新中期防衛力整備計画によっても、これで進めてきた内容というのは結局ソ連脅威に対抗するものというふうに政府自身も言ってきたと思うのです。例えば中期防中心に据えているF15戦闘機、これはソ連バックファイアに対する制空能力の強化、中曽根さんが何回も言われたところであります。P3Cの百機体制というのもソ連原潜監視体制だということは明白であります。さらに経空脅威といって進めてきたイージス艦による洋上防空体制、あるいは北海道に戦車の六割を集中するという北方重視戦略、これはいずれもソ連脅威を前提にした軍拡というふうに言わなければいかぬと私は思うのです。だから、ソ連脅威がなくなったということであればこれは転換をしなければいかぬではないか、こう思っています。  それで、ソ連脅威について私、防衛白書をちょっと調べてみたら、八九年度版の防衛白書によりますといろいろ情勢が書いてありますが、こう言っていますね。ゴルバチョフになって兵器が変わったということもあるけれども、それは実質的には変わってないのだ、近代化あるいは合理化にすぎないのだ。それで「極東方面におけるソ連軍軍事的圧力が基本的に減少することには疑問がありこ極東ソ連軍の再編、合理化が一層促進されておる。「わが国周辺においては、活発な活動が引き続き行われているが、とりわけ最近では、オホーツク海方面での艦隊の演習やわが国のレーダーサイトに対する攻撃訓練の疑いのある飛行など、わが国に近接した海空域において、艦艇や軍用機の実戦的な活動が強化されている。このような極東ソ連軍動向は、わが国に対する潜在的脅威であるのみならず、この地域軍事情勢を厳しくしている要因となっている。」こういう情勢が書かれていますね。これは八九年であります。  ところが、九〇年や九一年の防衛白書を見ますとここに書かれているような「潜在的脅威」あるいは脅威であるという言葉はなくなっていますね。これは大きな変化です。だから、軍拡の路線がソ連脅威から来た八九年の段階では依然として具体的理由を挙げて脅威、「潜在的脅威」を主張されたのです。ところがなくなったのですから、そして国際情勢ソ連の解体によって大きく変わったということは長官も言われているとおりですから、このソ連脅威という前提が変わったので中期防を含めて大綱を含めて検討し直す、あるいは軍縮に転換をするというふうにすべきだと思うのですが、長官、いかがでございましょうか。
  169. 宮下創平

    宮下国務大臣 我が国防衛力整備は、防衛計画の大綱に従いまして基盤的防衛力整備構想ということでずっと年次的に整備を図ってまいりました。現在もその基本的な方針はいささかも変わっておりません。今委員指摘のように、防衛白書等におきまして記述のニュアンスの相違があることも率直に認めます。しかし、それは同時に当時の米ソ対立の構造の中における国際情勢というものを全然無視するわけにまいりませんので、そういったことの反映であろうかと存じますが、基本的には、当時といえども我が国の専守防衛の立場に立った限定的な基盤的防衛力整備構想に変わりはなかったと存じます。ただ、脅威という言葉を最近使わなくなったのも事実でありますけれども、これは最近の国際情勢変化を踏まえまして、極東ソ連軍の力というものはいろいろ変化はありましても基本的にはまだ防衛力は存置されておると思います。  もちろん、ソ連は今CISの問題その他で、あるいは国内の経済問題あるいは社会問題、政治問題等で忙殺されておりますから状況はおのずから違うわけでございますけれども、今私どもは、やはりこういったデタントといいますか米ソ対立の構造がなくなっても、一つ地域的な紛争のおそれがあるという国際情勢の認識は持っておりますし、同時に我が国の独立国家としての必要な基盤的防衛力というものは整備が必要である、こういう認識に立っておりますから、まあ今委員指摘のような表現の変化、これは確かにございますが、しかしさればといって脅威がなくなった、ソ連軍事力その他が全くゼロベースになったかといえばそうではございません。そういう点についての私ども主権国家としての見地から基盤的な防衛力政策は依然として必要である、こう認識しておるところでございます。
  170. 東中光雄

    東中委員 表現が変わったんじゃなくて情勢が変わったのです。それで、政府としては「潜在的脅威」というふうに潜在的という言葉をつけてではありますがずっと言ってきたのが変わったんだから、具体的なP3Cの百機体制にしてもF15にしましても洋上防空体制にしましても、全部そういう点でいえば対ソ連、中曽根さんはバックファイアという言葉まで言いましたものね。そういうものとして出てきたものがそうでなくなったら、これは根本的に方向を転換しなければいかぬじゃないかというふうに私たちは思っています。  具体的な状況について若干聞きたいのですが、先ほどスクランブルについて御質問がありまして答弁がございました。自衛隊の平時における警戒活動として、領空侵犯に備えた我が国周辺上空の二十四時間監視と緊急発進を行うというのがこれは防衛白書にも書いてある警戒態勢ですから、それでつかんだスクランブルは、先ほどの御答弁で八九年度は八百十二回、九〇年度は六百四回、そして九一年度は四百八十八回というふうに局長が答えられました。結局八九年以後、九〇年では二五・六%減ってきたわけですね。そして九一年度はさらに一九・二%減っているわけです。八百台あるいは九百台というのがずっと続いておったのが四百台に下がっている。  そこで改めてお聞きしたいのですが、ソ連邦という国が解体をした去年の十二月以後毎月のズクランブル回数、これは激減したというふうに報道されておりますが、十二月から現在までの毎月のスクランブル回数はどれぐらいございますか。
  171. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 平成三年の十二月が二十七件でございました。それ以降平成四年の一月が十九件、二月が十九件、三月が二十七件、月別に見るとそういう状況になっているわけでございます。
  172. 東中光雄

    東中委員 ソ理解体後の情勢変化というのは、これはその前は四百回ということを言っているときは四十回とか六十回とか五十回とかだったんだが、今度はもうがたっと減って二十回あるいは十回台というふうに減っているんですね。こういうふうに情勢変化が端的に出てきているわけであります。こういう偵察飛行や我が国レーダーサイトを目標にした攻撃訓練もすっかり影を潜めて、スクランブルをやるのも回数がうんと減ってきた、こういう状況になっています。  現在、航空自衛隊がとっているとカ所の基地で戦闘機各一個編隊、合計七個隊を五分以内で発進できる態勢で待機されているアラート体制が今とられておりますが、これは減ったけれども依然としてそういう体制をとっていくのか、あるいはその体制を検討して減らすということになるのか、どうなんでしょう。
  173. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 現在の領空侵犯措置につきましては、我が国の主権の侵害でありますところの領空侵犯の防止を目的といたしまして一日二十四時間体制という形でレーダーによる監視を行い、戦闘機の待機を行っているものでございます。したがいまして、現在の体制はかかる任務を継続的に行う上で必要なものでございまして、近年スクランブル回数が御指摘のように減ったということではありますけれども防衛庁としては近い梓来これを変更するというつもりはございません。つまり、一日二十四時間体制ということは回数が減るということと直接の関連はないということで、その体制は維持しないといけないということでございます。
  174. 東中光雄

    東中委員 情勢は変わった、緊急発進することも激減をしておる、しかしアラート体制はそのままで進んでいくんだ、ソ連脅威論のときと同じことなんだというふうに承りました。  艦船の状況についても先ほどお話ありましたが、ついでにP3Cによる周辺海域の警戒監視体制、これは八七年度までは回数が日本海は一日一回、北海道周辺海域と東シナ海は二日に一回ということだったわけですが、八八年度からは北海道周辺海域も一日一回になった、八九年になってからは東シナ海も一日一回になった、今そういう体制ですね。対潜体制としてはやはり同じ体制を続けていくということですか。
  175. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 P3Cによります哨戒監視活動につきましては、現状において御指摘のとおりの状況の推移をたどっているところでございますが、この体制につきましても引き続きこのようなことで続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  176. 東中光雄

    東中委員 情勢は変わっても同じように対潜脅威体制のまま続けていくということであります。  時間がありませんが、もう一つお聞きしておきたいのですけれども、この二月に海上自衛隊に対潜資料隊が編成されました。横須賀の在日米軍基地内に建設、完成したASWセンター、対潜戦センターが動き出しましたし、曳航式ソナー、SURTASS装備した音響測定艦二隻が就役をしました。これはソ連の対潜水艦作戦の体制でありますが、ソ連の解体のもとでなおこれを続けていくのかどうかということとあわせまして、この対潜戦センターの運用について、コンピューターの解析機器を米側のブラックボックスが入っているからということでその中身は自衛隊が操作できないというので、米軍が契約をした技術者、アメリカの軍属がその操作をやっておる、そのための費用、予算を組んでいます。それから音響測定艦は昨年一月に「ひびき」、ことしの三月十日に「はりま」が就役しましたが、その心臓部ともいうべきSURTASSもまたブラックボックスでその操作は米軍だ、軍属だということであります。  これでいきますと、この軍属に払う金が対潜戦センターの場合は平成三年で約五千万、四年度の予算では約三億五千万ですか。それから日本装備をして基地を設置して、その中に米軍でなければ、軍属でなければ操作できないものがあって、日本が金を出して雇って日本の基地の中へ米軍が来る、軍属が来る、そしてそれが分析したものを日本がやっと使わしてもらう、そしてそれはソ連に向かっている。これはもう全く日本が全部提供して、そしてその費用まで出して米軍、軍属がする、こういう体制、日本アメリカの対潜体制の補完的役割を日本の税金を払ってやっておるということになっているわけです。これが今発足したばかりですね。  私は、こういう体制というのは旧ソ連脅威論とそれから日米安保条約のもとでの共同作戦体制を地でいっている、これはもう本当に改めなきゃいかぬじゃないか。時間がございませんのでこの二つの点について、予算が何ぼついて、そしてこのままこれは進めていくということなのか、その点をお伺いして質問を終わります。
  177. 宮下創平

    宮下国務大臣 委員指摘の点はASWセンターと音響測定艦AOSについての御指摘でございますが、この器材は米国の高度の防衛上、技術上の機密事項が含まれていることも委員御承知のとおりでございまして、この器材の維持整備米国しか行えないという部門もございます。そしてそのためにこの技術的指揮を受けるための経費として今御指摘のように平成三年度五千万、平成四年度予算で三億五千万計上いたしておりますけれども、これはすべてを米国に依存しておるということではございません。あくまで我が国防衛所要の必要性からこれを設けたわけでございまして、こうしたASWセンターとかAOSの運用はあくまで日本自身が行っておるものでございまして、委員がこれは米軍の下請みたいな感じのことを申されましたけれども、決してそのようなものでないことだけははっきり申し上げさせていただきたいと思います。
  178. 東中光雄

    東中委員 中期防のもとで経空脅威というえら。い難しい言葉が出だして、そしてイージス艦それからOTHレーダー、AWACS、空中給油機、洋上防空体制といいますか、それを今後も続けていくのだということを防衛庁長官は言われましたけれども、これは経緯からいいましてもソ連バックファイアが来るということから出発した問題ですから、これをなお進めていくというのは、情勢が変わったということを言いながら全然変わらない体制をとっておる。こういうものは地域紛争がどうのこうのという問題と全然関係ないでしょう。こういう体制は転換し、やめなきゃいかぬじゃないかということを申し上げて、時間がございませんので質問を終わりたいと思います。
  179. 中山利生

    中山委員長 神田原君。
  180. 神田厚

    神田委員 防衛庁長官質問をしたいと思っております。  まず、CIS諸国軍事力動向は現在極めて不透明でありますが、この帰趨が我が国に与える影響は非常に大きいものがあります。ソ連邦崩壊後の軍事情勢、とりわけ極東地域情勢防衛庁としてはどのように分析をしているのか、現時点での見解をお聞かせいただきたいと思います。
  181. 宮下創平

    宮下国務大臣 劇的な世界情勢変化がございまして、本当に私どもも驚くばかりでございます。しかしながら、旧ソ連邦は崩壊いたしましたけれどもCIS状況もいまだ定かでない、軍事的にも経済的にも非常に問題が多いわけですし、いろいろ政治的な面でも不透明さを増しております。そうした中で、また核兵器の拡散の問題等も懸念されている状況でございます。また、国内の民族的な対立等々も今まではなかなかはっきり出てこなかったものが今やいろいろ表に出てきておる。あるいはユーゴなんかも、私どもは単一国家だと思っておりましたが意外に民族的な対立があり、今それが噴き出してきておる。あるいは中東においてもそのような状況も見られます。またアジアにおいても大変好ましい傾向にはございます。例えば南北朝鮮の国連同時加盟でございますとか韓国とソ連との国交回復でございますとか、あるいはまた十三年も続いたカンボジアにおける紛争が包括和平によって終えんをするというような好ましい動きがございますけれども、同時にアジアにおきましてはヨーロッパ正面とまた違いまして、地政学的にも、また民族的にもいろいろ複雑な多様性を持っております。  そういう中でございますから、私どもは一概にこの変化を直ちに楽観視してもいけないのではないかな、国際情勢変化というものは、私もたびたび申し上げておりますようにこの趨勢をよく見きわめて、そしてその方向性を見きわめた上で我が国としてもこれに対応していかなくてはいけないものではないかな、このように存じておりまして、今後といえどもいろいろそういった面で我が国防衛体制のあり方についても方向性をはっきりと見きわめつつ、国際情勢の方向性をはっきり見定めつつも、基盤的な防衛力整備構想に立っております我が国防衛体制でございますからこれをきちんと見据えながら、そして中期防の見直しその他も必要に応じ行う、こういう姿勢で今臨んでおるところでございます。
  182. 神田厚

    神田委員 先ほども質問がありましたが、黒海艦隊帰属問題でロシアとウクライナが対立をしております。仮にウクライナが主張するように総艦艇数百八十隻の九〇%をウクライナに帰属せしめた場合と、ロシアが主張するように二、三〇%をロシアに帰属せしめた場合とではCIS内部の軍事力のバランスが大きく違ってくると思っておりますが、これを防衛庁はどのように評価しておりますか。
  183. 高島有終

    高島(有)政府委員 お答えいたします。  先生御承知のとおり、現在旧ソ連軍の扱いにつきましてCISの中で議論中でございます。これはCISが成立いたしまして以来の問題でございますが、今日に至るまでまだ明確な方向が出てきていないという状況にございます。このような旧ソ連軍の再編の議論の中で主要な役割を演じておりますのが、申し上げるまでもなく一つロシアであり、一つはウクライナであると見られております。このロシアとウクライナの間で当初から黒海艦隊の帰属につきまして話し合いが行われておりますが、今日までなお結論が出ていないというのは御指摘のとおりでございます。  このように、ロシアとウクライナの間の黒海艦隊の帰属をめぐります対立は、当然のことでございますけれども、今後のロシアとウクライナの軍事バランスに影響を与える問題というふうに私ども理解いたしております。しかし、同時にあわせまして非常に重要な点は、このようなロシアとウクライナの間の黒海艦隊をめぐる対立が、今日まで話し合われてきてまだ結論が得られていない旧ソ連軍CISにおける再編、CIS統一軍の維持といった問題に非常に大きな影響を与えるのではなかろうか、そしてCIS加盟各国がそれぞれ独自の軍を創設する方向へ向かう契機ともなりかねない、そういった観点からも非常に注目をいたしておる、こういうところでございます。
  184. 神田厚

    神田委員 北朝鮮がこの九日に国際原子力機関の核査察協定を批准することを決定したことは評価されてよいことでありますが、今回の決定を含め最近の朝鮮半島は、昨年の国連同時加盟、ことし一月の非核化共同宣言など緊張緩和の方向が見えてきているようにも見受けられますけれども防衛庁は朝鮮半島、とりわけ北朝鮮の情勢についてどのような認識を持っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  185. 高島有終

    高島(有)政府委員 朝鮮半島につきましては、御承知のとおり南北合わせて百四十万を超える地上軍が非武装地帯を挟んで対峙するという意味で、依然として軍事的な緊張が続いているところでございます。近年、韓国と北朝鮮の国連同時加盟あるいは南北のハイレベルの会談の進展、朝鮮半島の非核化に関する共同宣言の合意、米韓合同演習チームスピリットの中止など注目すべき動きが出てきております。私どもとしては、このような動きを通じまして朝鮮半島の緊張が緩和の方向へ向かうことを期待いたしているところでございます。  なお、北朝鮮でございますけれども、これは申し上げるまでもなくGDPの相当大きな割合を国防費に投入し、また航空機やミサイルの生産能力も保有しつつあるという状況にあるのに加えまして、核関連施設の建設といった面で核開発の疑惑も持たれ、このようなことが事実であるといたしますと、これを思いとどまらせることがこの地域の平和と安定に非常に重要であるというのが国際認識になりつつある現状でございます。私どもといたしましては、IAEAとの間で結ばれました核保障措置協定が実施されて査察が有効に働くというのに加え、南北間における相互査察も効果を発揮し、このような緊張状態が解消に向かうということを期待いたしているところでございます。
  186. 神田厚

    神田委員 プルトニウムの輸送問題でお聞きをいたします。  この秋に予定をしておりますプルトニウムの輸送について、米国防総省から日本の考えている護衛方法では不十分であると防衛庁に伝えてきたと報じられておりますが、これは事実でありますか。
  187. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 そのような報道があったことについては承知をいたしておりますが、同時にまた、その数日後にこれを否定する報道もなされたところでございまして、少なくとも米国防総省から防衛庁に対してそのような連絡があったという事実はございません。
  188. 神田厚

    神田委員 この輸送問題については我が党は前からいろいろ提案をしているわけでありますけれども、我が党としましては自衛隊が行うのが最も適当である、こういうふうに考えております。防衛庁長官はこの問題についてどういう考え方を持っておられるのか。政府部内で積極的な提案をすべきではないかと考えますが、いかがでありますか。
  189. 宮下創平

    宮下国務大臣 プルトニウムの輸送問題につきましては、平成元年十二月十九日にプルトニウムの海上輸送関係閣僚打合会というところで申し合わせを行っておりまして、海上における犯罪の予防、鎮圧は一義的に海上保安庁の任務であるので、プルトニウム海上輸送の護衛船として海上保安庁の巡視船を派遣するものでありまして、平成元年度の補正予算において巡視船の建造に必要な予算措置を講じ建造するという方針が決定されまして、ごく最近、この海上保安庁の巡視船が完成を見たところでございます。  私どもといたしましては、当時我が党におきましても今委員の御指摘のように、海上自衛隊の護衛が最も適切ではないかという議論が党内において行われたことも事実でございますけれども、それらを全体として踏まえてこのような方針決定をしたわけでございますので、私といたしましても、今防衛局長の申されたとおりアメリカにおいてもいろいろ両論あるようでございますし、我が国に対してこれで不十分だという御指摘もいただいておりません。私はこの考え方をもって現在も変わっておりませんので、この政府の定められた方針について対応すべきもの、このように考えておるところでございます。
  190. 神田厚

    神田委員 防衛庁の移転問題についてお伺いをいたします。  六本木にある防衛庁を市ケ谷台に移転する計画があると聞いておりますが、その経緯及び予算上の措置についてお伺いしたいと思います。
  191. 宮下創平

    宮下国務大臣 それでは最初にちょっと。あと委員質問の御予定もいろいろあるようでございますが、移転計画決定の経緯でございますけれども、今の防衛本庁のあります地域は、御案内のとおり商業地化の進展に伴いまして六本木衛と言われるようなところで、防衛中枢が所在する場所としては適切でなくなってきておることも事実でございます。そのために、防衛庁といたしまして六十一年度から二年間にわたりまして、桧町地区に所在する施設を市ヶ谷に移転させた場合の可能性について調査を行いまして、その結果特段の問題はないということで、こうした経過を踏まえまして六十二年の八月に防衛庁本庁庁舎移転計画を決定いたしまして、六十三年度予算から本計画が認められたものでございます。  なお、本計画は特定国有財産整備特別会計、いわゆる特待会計によって実施し処理するということでございまして、所要経費等は跡地処分収入によって賄うものということでございまして、現在その施設整備に着手をいたしまして事業実施をやっておりますが、市ヶ谷における文化財施設の関係その他もございまして進捗状況は若干おくれぎみである、こういう状況でございます。
  192. 神田厚

    神田委員 防衛庁が六本木に地下中央指揮所を完成させたのが昭和六十一年で、移転の決定が六十二年であると聞いておりますが、地下中央指揮所は移転した場合どういうようになりますか。
  193. 宮下創平

    宮下国務大臣 中央指揮所につきましては、防衛出動等の自衛隊の行動が起こった場合、情勢を的確に把握いたしまして所要の決定を行い、迅速な任務を果たさなければなりません。そういった目的のためにつくられたものでございますが、器、村費を含めまして整備費としては約八十六億円、これは建物が三十六億円で器材が約四十九億円ということで建設されております。中央指揮所の施設は五十六年から五十八年度にかけて建設され、器材整備も五十九年にすべて完了いたしまして、現在中央指揮所として機能をするべく存在しているわけでございます。  今回の移転計画におきましても同指揮所を市ヶ谷地区に移転させることといたしておりますが、この問題については過日の予算委員会等におきましても、それだけお金をかけて余り長いこと使わないのにもったいないじゃないかという議論もございました。率直に申しまして、それだけ見ればそういう可能性もあるかもしれませんが、私どもといたしましては、全体としてあの本庁庁舎の機能を持っていくということでございますので、中央指揮所についても同時に移転をいたしたい、こう思っております。なお、中央指揮所は器材等はコンピューターシステムその他ございまして、これは購入によっておるわけでありますが、技術の進歩がございますからレンタルその他に借りかえなければならないとも思いますし、また五十九年度から使用を開始しておりまして、今後また今申しましたように本当に市ヶ谷の機能が稼働するまでにはまだ相当の年月を要しますので、私どもとしてはこの機能も、これだけ経費を投じておりますけれども有効に活用できるものというように考えておるところでございます。
  194. 神田厚

    神田委員 終わります。
  195. 中山利生

  196. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 多分今出ている雑誌と思いますが、渡辺副総理兼外務大臣がインタビューの中で、PKO法案が素直にいかなかったら同日選挙、そういうことを述べた後で、PKO法案はどうしても通さなくちゃいけない、今カンボジア問題は目前にある、難民の問題もあり、橋をかけたり道をつくったり、その後にカンボジア領内に幾十万の地雷が敷設されておる、これも除去しなければならない。PKO法案と絡めて地雷除去の話を出されております。政府は昨年四月二十四日、安保会議と閣議決定、それだけによってペルシャ湾へ掃海艇の派遣をなさいました。唯一の根拠は自衛隊法九十九条。ところが地雷と機雷は、御案内のとおり英語では同じようにマインといいます。機雷も除去、地雷も除去という言葉、ほとんど概念的には一緒であります。まさか機雷除去と同じように自衛隊法の九十九条を準用して地雷除去のために自衛隊を派遣なさるようなことはあり得ないと思いますが、何をやられるかわからぬ政府ですから念のために聞いておきます。
  197. 宮下創平

    宮下国務大臣 決してそのようなことは考えておりません。
  198. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、今参議院で継審になっておるPKO法案が通ればそれは可能になりますか。
  199. 宮下創平

    宮下国務大臣 PKO法案が通りますと、現在の提出している法律では第三条にこの機能が列挙されておりまして、廃棄された兵器の処理という項目がございます。したがいまして、これに基づいて現在提出している法案が成立いたしますならばそのことは可能だ。しかし、具体的に国連から要請があり我が国がどのような内容の支援をするかは、これは我が国の自主的な判断で決めることになりますのでそのときに具体的に決めていく、こういうことになります。
  200. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは仮定の問題ですが、もしPKFが凍結されたらそれはどうなりますか。
  201. 宮下創平

    宮下国務大臣 PKFが凍結されるということは、あそこで十数項目掲げられている前半の数項目が行えないということで、今御答弁申しましたように廃棄された兵器の処理というものにずばり当たりませんので、この処理は行い得ないものだと私は考えております。  ただし、いろいろ各国の例を見ておりますと、我が国は直接この処理をいたさなくても、今いろいろな国におきましてPKFが続々とカンボジアに集まっておりますけれども、特定の国等におきましてはこの指導、ノウハウ等を使って除去についてのアドバイスをしているというようなこともございますので、こうした問題はもうちょっといろいろ検討を要するのじゃないかな、こんな感じがいたしております。
  202. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 法的な点はわかりました。し  能力の点でお伺いをいたします。現在陸上自衛隊は具体的に地雷除去の能力がありますか。
  203. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 地雷処理の能力は、限定されたものでありますけれどもあるわけでございまして、これは先ほどの御質問にもお答え申し上げたのですけれども、〇・五メートル幅、つまり五十センチ幅で向こう百メートルのところにロケットを撃ちまして、そこに爆薬がついておりまして、それのスイッチを押しますとそこのところが一斉に地雷が処理されるという形で人が通れる程度の通路の啓開、開くという能力はありますが、他方、一面を一斉に面的。に整備するという能力はその意味ではないと言って差し支えないと思います。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 やや正確な答弁だと思います。  今おっしゃったのは七〇式地雷原爆破装置のことだと思います。それは今おっしゃったとおり。これから申し上げることもそうですけれども、主として戦闘行動のときの部隊の迅速な機動を支援する目的の地雷原処理器材ですね、防衛庁にあるのは、自衛隊が持っているのは。だからその処理の仕方もそれにふさわしい処理の仕方しかできない。今の七〇式は非常に危険がある。それで今度、来年度、もう平成四年度になりましたけれども、新しく地雷原処理車システムを調達されるようになっていますね。これも具体的には非常に大げさな、しかもこれから整備するのですね、御案内のとおり。引き続いて来年度もそうです。間に合わない。それで、世界各国のあらゆるタイプの地雷処理に果たして自衛隊は通暁しているのですか。していない、そう思います。それが正直なところ。  だからこの前三月十二日の朝雲に、一三普連は一月十六日、カンボジアの地雷のこともあるから地雷のことをよく知っておかなければいかぬということで実験をやった。これは初めてと書いてある。地雷とはとういうものであるか。こういう状態の中で、外務大臣のおっしゃっているようにPKO法案を通さなくちゃいけぬという大きな理由の一つ地雷処理もあるからなんというのは、自衛隊の処理能力を知らない人の言葉だと思うのですね。そういう無責任なことをおっしゃってはいけない。私はきょうよく内容がわかりませんでした。外務大臣も要求すれば見えると思っておりましたから。どういう根拠であんなことをインタビューでおっしゃったのか。  それでお伺いしておきますが、カンボジアにはどういう種類の地雷が敷設されているのですか、何十万も。
  205. 高島有終

    高島(有)政府委員 カンボジアにどういう地雷が敷設されているかという御質問でございますが、対人地雷、対戦車地雷といった大別して二つの種類のものがあると言われておりますが、その詳細については必ずしも明確に承知いたしておりません。旧ソ連製、米国製、中国製等いろいろな種類のものや、また独自の応用地雷などが敷設されているというふうに理解している程度でございます。
  206. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 やや正確な答弁だと思います。独自に開発した地雷というところがみそである。どういう独自の開発地雷がありますか。知っていますか、カンボジアの埋められているもの。
  207. 高島有終

    高島(有)政府委員 カンボジアで非常に独特なものといたしましては、木製地雷というものがあるというふうに理解いたしております。
  208. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もしPKOが通ってそのために陸上自衛隊がやられるとして、今保有の地雷除去の装備で可能ですか。
  209. 宮下創平

    宮下国務大臣 先ほど来防衛局長等が御答弁申し上げているのは、現在の我が国防衛体制の中での地雷処理という観点から整備されているということを申し上げておるわけでございまして、PKO法案が通りますれば直ちに我が国自衛隊が行って地雷除去ができるという性格のものでもないと思うし、私は安全の上にも安全をという趣意も貫かれなければなりませんし、訓練も重ねていかなければなりません。それから、委員指摘のようにどういう地雷があるのか、どういう対処方法があるかということも研究していかなければなりませんが、私は絶対不可能ということではないと存じますし、それだけの自衛隊の潜在的な能力は持っておると私は思いますので、決まりますればよく訓練をし、きちっと対応できるような体制で臨めばある程度の貢献は可能である。しかし、それは先ほど防衛局長も申しましたようにそうグローバルなものでなくて限定的なものであるというような認識は持っておるところでございます。
  210. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間が来ましたから、簡潔に二問お伺いしておきます。  一つは、今御答弁になった木製の地雷の探知装置はありますか、それが一つ。  もし今のような限定も、言葉としては限定とおっしゃいますけれども、今能力がないと私は見ている。こういう問題は正直に実態を国民に知ら、せていただきたいと思います。外務大臣のような無責任な、地雷を除去しなければいかぬからPKOというようなことを国民に言うような姿はやめていただきたい。防衛庁長官からその点はよく注意をしておいてもらいたい。これはいずれ機会があろうと思いますが。  それで、木製の地雷の探知装置はありますか。
  211. 畠山蕃

    ○畠山政府委員 現在我が自衛隊が持っております探知器でございますけれども、七一式地雷探知器というのを持っておりまして、これは埋設された各種地雷、つまり磁性であろうと非磁性であろうと探知が可能なものでございます。ただ、今御指摘の木製の地雷という特定のものになりますと、この物自体について自衛隊は経験がございませんので、これについて探知可能なものであるのかどうか、どういう状況で敷設されたのか、そういうことがございますので、直ちにそれが探知可能ないし不可能というお答えをすることは控えさせていただきたいと思います。
  212. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間が来ましたから終わりますが、お聞きのとおり全く無責任な外務大臣の発言だと私は思います。いずれまたの機会に。
  213. 中山利生

    中山委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十五分散会