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1991-12-12 第122回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十二日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      星野 朋市君     野末 陳平君      真島 一男君     平井 卓志君      庄司  中君     吉田 達男君      三重野栄子君     櫻井 規順君      勝木 健司君     橋本孝一郎君  十一月十八日     辞任         補欠選任      北村 哲男君     種田  誠君      常松 克安君     白浜 一良君      針生 雄吉君     片上 公人君  十一月十九日     辞任         補欠選任      諫山  博君     上田耕一郎君  十二月四日     辞任         補欠選任      西川  潔君     下村  泰君  十二月五日     辞任         補欠選任      須藤良太郎君     川原新次郎君  十二月六日     辞任         補欠選任      川原新次郎君     須藤良太郎君  十二月十一日     辞任         補欠選任      野末 陳平君     星野 朋市君      平井 卓志君     野村 五男君      片上 公人君     猪熊 重二君  十二月十二日     辞任         補欠選任      種田  誠君     会田 長栄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 鹿熊 安正君                 前田 勲男君                 吉川 芳男君                 梶原 敬義君                 久保  亘君                 佐藤 三吾君                 太田 淳夫君                 吉岡 吉典君     委 員                 井上 章平君                 石井 道子君                 石原健太郎君                 遠藤  要君                 大島 友治君                 合馬  敬君                 北  修二君                 斎藤栄三郎君                 斎藤 文夫君                 須藤良太郎君                 関口 恵造君                 田中 正巳君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 星野 朋市君                 会田 長栄君                 國弘 正雄君                 小林  正君                 櫻井 規順君                 清水 澄子君                 種田  誠君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村沢  牧君                 森  暢子君                 吉田 達男君                 猪熊 重二君                 白浜 一良君                 中西 珠子君                 上田耕一郎君                 乾  晴美君                 高井 和伸君                 寺崎 昭久君                 橋本孝一郎君                 下村  泰君    国務大臣        内閣総理大臣   宮澤 喜一君        法 務 大 臣  田原  隆君        外 務 大 臣  渡辺美智雄君        大 蔵 大 臣  羽田  孜君        文 部 大 臣  鳩山 邦夫君        厚 生 大 臣  山下 徳夫君        農林水産大臣   田名部匡省君        通商産業大臣   渡部 恒三君        運 輸 大 臣  奥田 敬和君        郵 政 大 臣  渡辺 秀央君        労 働 大 臣  近藤 鉄雄君        建 設 大 臣  山崎  拓君        自 治 大 臣        国 務 大 臣  塩川正十郎君        (国家公安委員        会委員長)        国 務 大 臣  加藤 紘一君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣  岩崎 純三君        (総務庁長官)        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      伊江 朝雄君        (沖縄開発庁長        官)        国 務 大 臣  宮下 創平君        (防衛庁長官)        国 務 大 臣        (経済企画庁長  野田  毅君        官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長  谷川 寛三君        官)        国 務 大 臣  中村正三郎君        (環境庁長官)        国 務 大 臣  東家 嘉幸君        (国土庁長官)    政府委員        内閣審議官        兼内閣総理大臣  野村 一成君        官房参事官        内閣官房内閣外        政審議室長        兼内閣総理大臣  有馬 龍夫君        官房外政審議室        長        内閣法制局長官  工藤 敦夫君        内閣法制局第一  大森 政輔君        部長        防衛庁長官官房  村田 直昭君        長        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛庁教育訓練  小池 清彦君        局長        防衛庁経理局長  宝珠山 昇君        防衛庁装備局長  関   收君        防衛施設庁施設  大原 重信君        部長        防衛施設庁建設  新井 弘文君        部長        経済企画庁調整  吉冨  勝君        局長        経済企画庁総合  富金原俊二君        計画局長        経済企画庁調査  小林  惇君        局長        科学技術庁原子  石田 寛人君        力局長        環境庁長官官房  森  仁美君        長        国土庁長官官房  藤原 良一君        長        国土庁計画・調  田中 章介君        整局長        国土庁土地局長  鎭西 迪雄君        国土庁地方振興  小島 重喜君        局長        国土庁防災局長  鹿島 尚武君        法務省刑事局長  井嶋 一友君        外務大臣官房外  渡邊 泰造君        務報道官        外務省アジア局  谷野作太郎君        長        外務省北米局長  松浦晃一郎君        外務省欧亜局長  兵藤 長雄君        外務省経済局長  林  貞行君        外務省経済協力  川上 隆朗君        局長        外務省条約局長  柳井 俊二君        外務省国際連合  丹波  實君        局長        外務省情報調査  佐藤 行雄君        局長        大蔵大臣官房長  篠沢 恭助君        大蔵大臣官房総  日高 壮平君        務審議官        大蔵大臣官房審  石坂 匡身君        議官        大蔵省主計局長  斎藤 次郎君        大蔵省理財局長  寺村 信行君        大蔵省証券局長  松野 允彦君        大蔵省銀行局長  土田 正顕君        国税庁次長    冨沢  宏君        文部大臣官房長  野崎  弘君        文部大臣官房総  井上 孝美君        務審議官        文部省初等中等  坂元 弘直君        教育局長        文部省教育助成  遠山 敦子君        局長        文部省高等教育  前畑 安宏君        局長        文部省高等教育  奥田與志清君        局私学部長        文部省学術国際  長谷川善一君        局長        文部省体育局長  逸見 博昌君        厚生大臣官房総  大西 孝夫君        務審議官        厚生省援護局長  熊代 昭彦君        農林水産大臣官  馬場久萬男君        房長        農林水産省経済  川合 淳二君        局長        食糧庁長官    京谷 昭夫君        林野庁長官    小澤 普照君        通商産業省貿易  高島  章君        局長        運輸大臣官房長  豊田  実君        郵政大臣官房長  木下 昌浩君        郵政大臣官房経  山口 憲美君        理部長        労働大臣官房長  齋藤 邦彦君        労働省職業安定  若林 之矩君        局長        建設大臣官房長  望月 薫雄君        建設省道路局長  藤井 治芳君        建設省住宅局長  立石  真君        自治大臣官房総  滝   実君        務審議官        自治省行政局長  紀内 隆宏君        自治省行政局選  吉田 弘正君        挙部長        自治省財政局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門  宮下 忠安君        員    説明員        会計検査院総務  阿部 杉人君        審議官    参考人        日本銀行総裁   三重野 康君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成三年度一般会計補正予算(第1号)(内閣  提出衆議院送付) ○平成三年度特別会計補正予算(特第1号)(内  閣提出衆議院送付) ○平成三年度政府関係機関補正予算(機第1号)  (内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、平成三年度補正予算案審査についての理事会決定事項について御報告いたします。  質疑は、本日十二日及び十三日の二日間行うこととし、総括質疑方式とすること、質疑割り当て時間の総計は二百二十一分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党四十分、日本社会党護憲共同九十八分、公明党・国民会議三十分、日本共産党連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ十五分、参院クラブ八分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりとすること、以上でございます。  ただいま御報告いたしました理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成三年度補正予算三案の審査のため、本日の委員会日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 平成三年度一般会計補正予算平成三年度特別会計補正予算平成三年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣羽田孜君。
  7. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 平成三年度補正予算の大要につきましては、既に本会議において申し述べたところでございますが、予算委員会での御審議をお願いするに当たりまして、その内容を申し上げます。  最初に、一般会計予算補正について申し上げます。  まず、歳出面におきましては、災害関係経費追加六千八十四億円、給与改善費三千二百六十七億円、義務的経費追加八百八億円、貿易保険特別会計へ繰り入れ二百三十五億円、住宅都市整備公団補給金等一千六百六十七億円、地方交付税交付金四千四十二億円等を計上いたしております。これらによる歳出追加額は一兆七千二百八十六億円となっておりますが、他方、既定経費の節減七千四百八十七億円、地方交付税交付金減額五千七百八十九億円及び給与改善予備費減額一千三百五十億円により、総額一兆四千六百二十六億円を修正減少することといたしております。  なお、一般会計及び特別会計におきまして、一般公共事業等所要国庫債務負担行為追加を行うことといたしております。  一方、歳入面におきましては、租税及び印紙収入につき二兆七千八百二十億円の減収を見込む一方、建設公債を一兆三千八百七十億円増発するほか、その他収入二千五百八十五億円の増収を見込み、さらにこれらをもってしてもなお財源が不足することから、前年度の決算上の純剰余金九千十百八十四億円について、臨時異例の措置ではありますが、その全額を不足財源に充当することとしており、この結果、前年度剰余金受け入れとして一兆四千二十五億円を計上いたしております。  なお、この剰余金処理につきましては、別途平成二年度歳入歳出決算上の剰余金処理の特例に関する法律案提出して御審議をお願いすることといたしております。  以上によりまして、平成三年度一般会計補正予算総額は、歳入歳出とも当初予算に対し二千六百六十億円増加し、七十兆六千百三十五億円となっております。  特別会計予算につきましては、交付税及び譲与税配付金特別会計貿易保険別会計など十八特別会計において所要補正を行うことといたしております。  政府関係機関予算につきましては、国民金融公庫及び中小企業金融公庫において所要補正を行うことといたしております。  財政投融資計画につきましては、国有林野事業特別会計国民金融公庫等機関に対し、総額六千二百四十一億円の追加を行うことといたしております。  以上、平成三年度補正予算につきましてその内容を御説明いたしましたが、なお詳細にわたる点につきましては、政府委員をして補足説明をさせていただきます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
  8. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 以上で平成三年度補正予算三案の趣旨説明は終了いたしました。  なお、政府委員補足説明は省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  10. 中村太郎

    委員長中村太郎君) それでは、これより質疑に入ります。梶原敬義君。
  11. 梶原敬義

    梶原敬義君 おはようございます。  平成三年度の補正予算外三案に対する質疑に入る前に、幾つかのことを聞いておきたいと思います。  最初に、これは私の地元のことですが、十一月十日から約十日間、大分県の日出生台演習場で四年前に続きまして二回目の日米合同演習が行われました。湯布院というのは、もう御承知のとおりに温泉町、温泉で有名な自然環境のいいところです。ここに隣接をしている演習場でございますが、世界が軍縮の方向に進んでおる中で、わざわざハワイから米軍に五百人来ていただいて一緒に合同演習をする。当然、地域住民の大きな反対運動が起こりました、九州全域から。なぜこういう時期に既定方針とはいいながら日米軍事演習なのか、こういう気持ちでいっぱいでございます。これは県民の多くの気持ちだと思いますが、この点についてお尋ねをします。  次に、去る七月三十日午前九時五十五分ごろ起きた対戦車ミサイル誘導装置つきミサイルですが、この誤射事故について、どういう事故なのか、それが一つ。  事故発生と同時に民有林所有者地元人たちにすぐ連絡をしなかったのはなぜか。  それから、玖珠町の役場に通知をしたのは発生時から随分経過して後のことでありますが、その点はいかがになっておるか。  それから、事故原因をいまだかつてその地域の皆さんに明らかに発表していない。にもかかわらず、来春からまた訓練を再開するという報道記事が大きく出ておりますが、この点について簡潔にお答え願いたいと思います。
  12. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) お答え申し上げます。  なぜ今どき軍事演習かという最初お尋ねでございますけれども、私どもは、自衛隊の存立の目的からいたしまして、平素やっぱり精強な部隊を錬成していくということが非常に重要でございまして、このことが我が自衛隊の任務とも言えると存じます。そういう意味で日夜厳しい訓練をいたしておりまして、今先生がおっしゃいましたように、所要計画とはいえというお言葉ではございますけれども、私ども一定訓練計画に基づいてやらせていただいておりますので、この点は御了承いただきたいと存じます。  それから、どういう事故がというお尋ねでございますが、これは本年の七月三十日に、大分県の日出生台演習場におきまして、七九式の対舟艇対戦車誘導弾、御指摘誘導弾でございますが、この演習場の外に落下した事故でございまして、私どもどしてはまことに遺憾な事故であると考えております。この事故につきまして、事件発生後私どもといたしましては、同種の対戦車誘導弾射撃訓練を全国的に中止いたしまして、現在、事故原因調査を進めるとともに、今後の安全対策を検討しているところでございます。防衛庁といたしましては、事故原因がはっきりするまで調査をいたしますが、それから安全対策の検討が終了するまではこの射撃訓練を中止していきたい、再開するつもりはございません。  なお、地元への連絡がおくれた、あるいはなぜ役場連絡をしなかったというような事実関係でございますので、詳細は教育訓練局長から答弁させていただきます。  以上でございます。
  13. 小池清彦

    政府委員小池清彦君) お答え申し上げます。  事故が起きましたのが平成三年七月三十日の九時五十五分でございます。そして、玖珠警察署通報いたしましたのが午後二時ごろでございました。お尋ね玖珠町への通報は午後四時ごろでございました。事故発生後、部隊といたしましては事故状況把握等をまず第一に行いまして、上級部隊等に報告するとともに、警察署への通報それから仲田地区の方々へのおわび、ただいまの玖珠町への通報を行ったところでございます。  そういうことで、警察署へは午後二時に通報したのでございます。玖珠町の方へはこの部隊の長が参上したんじゃないかと思いますけれども、若干おくれる結果になりました。この点は若干おそかったんじゃないかなという感じがいたしますが、おわび申し上げる次第でございます。
  14. 梶原敬義

    梶原敬義君 昭和六十二年七月三日本院決算委員会、六十二年七月六日の第百九回の国会における参議院警告決議の中で、上富良野りゅう弾砲がこの演習地からまた越えて、それも非常に何カ月もして通告するという事件が起こっておりますが、この警告決議内容を少し説明していただきたいと思います。
  15. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 先生指摘の六十二年七月三日の参議院決算委員会におきます警告決議におきまして、これ説明ということでございますが、ちょっと読ませていただきます。   内閣に対し、次のとおり警告する。   近時、航空自衛隊三沢基地新田原基地等に  所属する自衛隊機の墜落、同百里基地における  ミサイル不時作動陸上自衛隊上富良野演習場  におけるりゅう弾砲の誤射等の事故が続発し、  またこれらの事故の中には過誤によるとみられ  るもの、あるいは事故発生の公表が遅れたもの  があったことは、誠に遺憾である。   政府は、基地周辺住民等の生命及び財産の安  全を守り、また、国有財産の損失を防ぐため、  過去の教訓を生かし、事故再発防止に万全を  期すべきである。  このような警告決議を受けまして、当時の防衛庁長官が、庁を挙げて今まで事故防止に、再発防止には取り組んできたところでありますが、御決議趣旨を踏まえ、今後とも各種事故防止につきましてさらに一層努力してまいりますという決意を述べられております。  私ども、今、通告の遅延の問題等の御指摘がございましたが、何よりもまず事故防止することが重要でございますから、今後とも事故防止策につきましては一層努力してまいる所存でございます。
  16. 梶原敬義

    梶原敬義君 問題は、民有林に着弾して、そしてその後片づけをして、そしてその後警察に届け、役場に届けたと、そしてその民有林地域住民には知らせないまま後片づけをした、それは事実ですか。
  17. 小池清彦

    政府委員小池清彦君) 破裂した砲弾の破片の回収等も行ったわけでございますが、とにかく事故状況把握することが第一でございますのでそれを行いまして、その後上級部隊への報告、警察への通報を行いまして、それから仲田地区へのおわび駐屯地司令が参上いたしますとともに、玖珠町の方にも御連絡に参上したと、こういうことでございます。
  18. 梶原敬義

    梶原敬義君 もう多く申し上げませんが、片づけをした後警察に届け出をして、あるいは地域住民がおったらその実態の把握ができないんですか、そこが問題ですよ。
  19. 宮下創平

    国務大臣宮下創平君) 今の具体的ケースにつきましては、私詳細に承知しておりません、申しわけございませんが。  一般的に申しますと、やはりそういう事故発生した場合は、その外れた弾がどのような状況にあるかということを確認することは、これは第一でございますが、同時にやっぱり通報がおくれたということは反省すべきじゃないかと、私お伺いしていて感じました。しかし、現場に危険な状況のもとで役場の人がお見えになるとかそういうようなことでありますと大変なことになりますから、そこは通報はしても、現場処理はまず自衛隊が一義的に弾を発見するとか、そういうことでなければならない、このように思っております。
  20. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうものをひそかに隠してやるというやり方はいろいろと過去もあるんですが、そういう自衛隊のあり方に対して検討していただきたいと思います。  次に移ります。  総理大臣、私は、かつて総理大臣を非常に尊敬しておりましたし、また期待の念もありました。最近は少し失望をしておるんですが、しかし、何とか頑張ってほしいなという気持ちも今あります。  率直にこれから総理大臣政治姿勢なりをお聞きしたいんですが、一国の総理、トップの指導者となると、やっぱり国民に対してうそのない政治が最大の政治道徳ではないか、このように思うんですが、この点いかがでしょうか。
  21. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のとおりと考えております。
  22. 梶原敬義

    梶原敬義君 それと、やっぱり勇気が必要だろうと思うんです。こんなことを言っていいかどうか、失礼に当たるかわかりませんが、私は考えるんですが、あの太平洋戦争に突き進む軍部、軍閥の力が非常に強くなったときに、もし仮に宮澤さんが総理大臣であったらどうしているだろう、流されていたんではないかなと、最近の政治姿勢を見てそういう感じがするんですが、いやそうじゃないと、そういうような御答弁をいただきたいんですが、いかがですか。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 自分にいろいろ反省いたすべきことがございまして、それは深く反省をいたしておりますが、またこのような重い仕事をお預かりいたしましたので、国の進路を間違いなく国民と御一緒に決めてまいりたいと思います。  どうぞ何かにつけまして御教示を賜りたいと存じます。
  24. 梶原敬義

    梶原敬義君 中曽根元総理大臣が十一月十四日の毎日新聞のインタビューに答えていろんなことを言われております。御存じであろうと思うんですが、その一つが、政治改革のめどが立たない中での自民党最高顧問は早過ぎないかという記者の質問に対して、私や竹下君がリクルート問題で皆さんに迷惑をかけたのは大変遺憾だった。今回は宮澤首相からそういうお話があったので、日本は重要な段階にきていると考え、召集令状が来たような気持ちでお受けしたと答えております。総理大臣はどういう気持ちで竹下さんや中曽根さん、まさに問題の人を最高顧問にされたのか、お伺いしたいと思います。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私自身過去に不行き届きがございまして、昭和六十三年に大蔵大臣を辞任いたしたのでございますが、このような誤りは二度と繰り返してはならない、一生をかけまして心を戒めておるところでございます。その後に衆議院の選挙がございまして、私としては選挙民からは二度とこういうことを繰り返さないように、もう一度心を改めて一生懸命やれ、そういう信任を受けた、激励を受けたものと考えておるのでございますが、私どもの先輩、同僚の中にも同様の経験をされた方がおられまして、そういう方々も私と同じような心境におられることを私自身承知いたしております。  したがいまして、そういう有能な先輩、同僚の皆さんが選挙民からそのような戒めと激励を受けて国政にもう一度参加をしておられます以上、そういう方々の力量、経験は十分に国のために発揮していただくことが大事なことであろう、このように考えまして、中曽根元首相にもそういうお願いを申し上げましたし、また党の人事、内閣の大事につきましてもそのような考えを持ちまして適材適所の配置をお願いいたしておるところでございます。これは、決して過去のことを忘れていいというような軽々しい気持ちでございませんことは、どうぞお認めをお願いいたしたいと思います。(「よし」と呼ぶ者あり)
  26. 梶原敬義

    梶原敬義君 よしというかけ声がしますが、私は危険なものを感じます。  宮澤政権の戦後史における位置づけをという質問に対しまして、中曽根さんはこう答えているんですね。吉田方式というか、戦後の保守本流というものは私の内閣のときでもう脱却している。防衛費の対一%枠をやめて西側同盟を明確にした。そして、それを竹下君は継承したし、その路線があったから湾岸問題でもPKO、平和維持活動までみんなやれという方に党は動いた。海部君というのはそこまでいっていなかったんで党が強制したわけです。宮澤君もこの線に沿っていくと思う、こういうことです。これは非常に危険な思想である。これはどうお考えですか。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこは大変難しいところでございますけれども、私自身は、戦後この憲法のもとに今日まで我が国が歩いてまいりました道というのは積極的に評価をすべきである、そのことは世界から見ても同じように評価をされておると考えておるものでございます。  そこで問題は二つありまして、一つは、それは基本的にそうであるけれども、昔の我が国には昔の我が国なりの幾つかすぐれたところもある、そういうものが全部否定されてよいというわけではない、やっぱり尊重すべきものは尊重すべきである、それは私はそのとおりであると思います。  もう一つの問題は、これだけ我が国がいわば世界の経済大国になって、国際的なほとんどすべての問題に我が国の一挙手一投足というものが影響を与えるような立場になってきた今日、終戦直後の日本ではない、そういう日本は日本としての新しい国際的ないろいろ務めを果たさなければならない、そういう考え方。殊に、これは昨年の湾岸戦争において広く国民の間にそういう意識が起こったわけでございますけれども、そのような国際的貢献は我々の憲法が許す範囲において我々は最大限の努力をいたす必要がある。憲法が許しておりませんことはやることはできない、やってはならない。今、日本がそういういわば国際的な責任を持つように至ったことについて、それは敗戦直後の我が国と同じではない。そういう考え方そのものは私は理のあるところである、こう考えておるわけでございます。
  28. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうもありがとうございました。大分ニュアンスを感じ取ることができました。  次に移りますが、宮澤総理は所信表明演説で、我が国が国際社会において名誉ある地位を占め、国民が誇りを感ずることができる晶格ある国となるよう全力を挙げて取り組むと述べておられますが、これは内政と外交問題があります。内政問題で最も重要な課題の一つは、今いろいろ問題になっております政治の浄化、政治改革、この姿勢が強くインパクトが感じられない、この点いかがでしょうか。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私自身の問題を含めましてそのように世間に御心配をかけたということは、これは政治家一人一人の倫理の問題でございます。これが基本であることはもう申し上げるまでもないことでございますけれども、他方で、政治制度そのものにもこのような倫理が守られるような制度的な改変、改革が必要であるというふうに考えてまいりました。それは海部前総理がいわば政治生命をかけて改革を図られようとしたことでございますが、それが中道になりました。したがいまして、私はそういう海部さんの御抱負をそのまま何とか実現いたしたいということで、これを内政の最も大切な課題として考えまして、所信表明でもそのことを申し上げました。  問題としては、政治資金というものの、むやみに政治に金がかかるという状況を制度的に改める必要がある。また、入り用な資金はその流れが透明でなければならない。また、それらのことから選挙区制度そのものにもやはり無関係なことでないので改革が必要であろう。この三つの点にわたるわけでございますけれども、それにつきましては各党が協議をされるということで協議会が設けられるに至りました。  その協議会に対しまして、今まで国会に御審議をいただきまして廃案となりましたような、そういったようなもろもろの要素を協議会でぜひ御協議を願って具体的な結論を導き出していただきたいと念願をいたしておりますが、たまたま国勢調査等々の結果、一票の重みというものが世間から非常に問われている。裁判所においてもこれを非常に問題にしておられるわけでございますので、そのこととあわせますと、この政治改革もいつまでも時間をかけてよろしいというものではない。やはり私ができるならば一年ぐらいの目途でということをお願いいたしておりますのは、そのような考えからでございます。
  30. 梶原敬義

    梶原敬義君 次に移ります。  リクルートの江副さんと公私にわたりまして非常に親しかった、そして行革審の委員や各種の政府委員に任命をいたしました。そしてみずからこの疑獄に関与した中曽根総理、選挙に勝った、洗礼をされたからそれで事が済むというようなものではない、やっぱり議員をやめて反省するべきが大体もう世論の常識だと私は思うんですよ。しかし、それは今理屈を言っておられるわけで、私はそう思います。と同時に、宮澤総理を支えておられます、党の関係で言いますと、まず最高顧問に中曽根、竹下、そして三役の中にロッキード関係者、そしてリクルート関係者が今度入ってきた。そして、大臣の中に総理を初めとして四人ずつとおられる。  こういうようなことを考えますと、一体これはどうなっておるのか、尊敬しておる宮澤総理の神経がどうもよくわからない。品格ある国づくりが果たしてこれで内政問題を中心としてできるのかどうなのか、この点について非常に私は疑義を持っておるものであります。  この点についてもう一度お考えを伺いたいと思います。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私を含めまして、そのような方々に先ほども申し上げましたような過去のことがあり、またそれについて御反省もあり、そして選挙の洗礼を受けてこられたというようなこともございまして、そういうことはそういうことといたしまして、やはり皆さん人並み以上の大変にすぐれた力を持っておられ、また経験を持っておられる方々でございますから、そういう方々にそれらの見識を生かし、経験を生かしてお働きいただくということが国のためにもなると私は判断をいたしまして、あえてそのようなお仕事についていただくことをお願いいたしたような次第でございます。
  32. 梶原敬義

    梶原敬義君 世間の常識は、国民の目というのは、私はそうは感じていないということはこの際ぜひ肝に銘じていただきたいと思います。  この件に関しまして、関連質問として佐藤議員から続けさせていただきたいと思います。
  33. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。佐藤三吾君。
  34. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 三点セットにつきましては、昨日三閣僚はコピーでいただきました。総理についてはなぜかコピーを拒否されて見せてもらうだけ、メモをすることは結構ですと、こういうことでございますが、特別にコピーを拒否した理由は何ですか。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これに先立ちまして衆議院予算委員会に資料を御提示いたしまして、衆議院ではコピーをとらずに御回覧を願ってメモしていただくというお扱いをされました。当委員会におきましては、それより遅くない時期に委員長に御提出をするようにという御指示がありまして御提出いたしたところでございまして、当委員会においてそのようなお扱いをしていただいたというふうに承知をいたしております。
  36. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それはあなたの意思ですか。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私といたしましては、衆議院でそのようなお扱いをしていただきましたので、そういうふうにお扱いいただければ大変にありがたいことである、いろんな人のプライバシーにも関係がございますので、そういう気持ちは持っておりましたけれども、その私の気持ちと申しますよりは、それをごそんたくいただいたかとは存じますものの、委員長、理事会におけるそういうお扱いをいただいたということは私としてはありがたいことと思っております。
  38. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」、これは政治倫理綱領の一つでありますが、総理はこの綱領についてどういう認識をしておるんですか。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その綱領の趣旨を自分も最善を尽くして実践しなければならないというふうに考えております。
  40. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それにしては、コピーの問題にしても、あなたの今日までの態度にしても、全然これと違うじゃないですか。あなたがこの問題で辞任されてから三年たっておるんです。この三年間になぜ国民の皆さんに疑問の解けるように、ここにあるようにきちっとしないんですか。そういうことをした者のみがこの綱領について真剣に理解しているということを国民に向かって言えるんじゃないですか。いかがですか。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和六十三年の十二月ごろ、本院の税制特別委員会におきましてそのような資料の提示をせよというお話がございました。そのとき私は、ございますものはお目にかけます、ただプライバシーの問題がございますし、それからお求めの中に手元にないものもございますので、それは御了承をお願い申し上げますということを申し上げました。  結局このことは、その後に私が辞任をいたしまして今日に及んだわけでございますが、その後になりましてこの事件のいわば捜査関係が済みましたといいますか、時間がたちました段階で、当時ございませんでした資料の写しを作成することが関係者の御協力でできることになりました。今回お目にかけましたものの一部はその写してございまして、無論真正のものの写してございますけれども、三年前から今日までの間に幾つかのものが新たに入手できましたので、それを委員長のお手元に御提出をいたした次第でございます。
  42. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この問題についてはまだ後で触れますが、今マスコミに連日取り上げられております阿部代議士の件についてお聞きしておきたいと思うんです。  これは総理の派閥の事務総長ですね。今、巨額の詐欺事件で摘発されておる共和との関係がいろいろ取り上げられておりますが、まさに異常と言う以外にない。今捕まっておる森口さんの腹心である常務を私設秘書にしたり、さらに秘書の給料から事務所経費、選挙違反の保釈金から裁判費用、これまで億という単位の金を共和に請求しておる。さらにまた、その件の一環として鈴木元首相も登場する、こういうことでございますが、この問題について検察庁はどういう対応をしているのか、お聞かせ願いたい。
  43. 井嶋一友

    政府委員井嶋一友君) お答えをいたします。  委員ただいま御指摘のように、最近共和をめぐります疑惑といいますか事柄につきまして、事の真偽はともかくといたしまして、非常に具体的な事実がいろいろ報道されておりますことは、もちろん検察当局もよく承知をしておることと思います。  ただ、これに対してどのような対応をするかといったようなことは、委員も既に御案内のとおり、まことに捜査当局そのものの判断でございますし、さらにまた捜査の秘密にもかかわることでもございますから、私からお答えを差し控えるべきものであろうと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、一般的に申し上げれば、刑罰法規に触れるような事実があれば適切に対応するというのが捜査当局の職員でございますので、そのことだけ付言させていただきたいと思います。
  44. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、総理、あなたも今リクルート問題で三点セットを含めて大変でしょうが、派の事務総長が検察にも御迷惑をかける、こういう事態が次々に起こっておる。これは私、司法のあれを待つということでなくて、まさに先ほど読み上げたいわゆる倫理綱領からいってみても、事態を静観するんじゃなくて所要の措置をきちんととるべきじゃないか、そういうふうに思うんですが、総理はどういう御見解ですか。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 報道のことは私も読んで存じておりまして、一度御本人から事実関係を自分としても、あるいは場合によりまして加藤官房長官にでも直接聞いてもらおうと実は考えておるのでございますけれども、たまたま私は連日国会の御審議にこうして参っておりますものですから、まだ御当人と事実関係について話をする機会がございません。そういう機会をできるだけ早く得ることができますれば、そのお話いかんによりまして、私にとりましては大切な友人でございますので、友人としていろいろ心境も聞き、また私の考えもお話をしたいと存じつつ、ただいままでその機会を得ていないということでございます。
  46. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今、政治倫理の問題は、あなたも先ほど言っておったように、自民党自体も選挙の公約に掲げて政治改革をやっておるさなかの問題です。その中でこういうことが平然とやられておる。あなたが何遍ここで国民に向かって、反省しておる、生涯これを背負っていかなきゃならぬと思っておると言ってみても、あなたの派閥の事務総長が現実にこういうことをやっておって、どうして国民にそのように映りますか。そのためにもきちっとすべきだと私は言っておるんです。いかがですか。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) こういう報道がありましたことは、真実はともかくといたしまして、大変残念なことに思っておりまして、できるだけ早くその機会を見つけまして、御本人の心境も聞き、私の考えも必要ならばお伝えをしたいと思っておりますけれども、大変に御本人、良心的なお人でございますので、その点はいろいろに考えておられるに違いないと私としては実は思っておりまして、仰せのように、そういう状況を長く置いておいてはいけないとおっしゃいますことはそのとおりと思いますので、遷延いたしませんように話をきちんとしておきたいと思っております。
  48. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 限られた時間ですから先に行きますが、今の点はひとつぜひ国民の目の前にきちんと明らかにして、そして責任をきちんととっていただく、こういうことを強く要求しておきます。  ずばりお尋ねしますが、三閣僚のうち最もすっきりしておるのは、見せていただいた中では加藤官房長官ですね。ワールドサービス社から五千株購入代金の千五百万の調達、売却代金二千六百万の入金、株購入代金の利子を含めての返済、ともに一目瞭然としておると私は見ました。まさにぬれ手にアワですね。長官、いかがですか。
  49. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 私の場合は、リクルートコスモス株を購入する代金、一千五百万円ですけれども、これをファーストファイナンス社から借り受けました。したがって、もちろん消費貸借をしてちゃんと利子も払って、そしてまた株について得た利益につきましても取引税を払いという形でございますけれども総理の場合はその購入代金を――服部さんのケースの場合には、服部さん自身がいろんなところから集めてこられてという苦労のケースがあるわけですが、私の場合は全部それをやってもらったわけです。その意味では極めて手続としては正確でございますけれども、ぬれ手にアワといいますか、そういうことは事実だと思います。  私は、今度のリクルート問題のケースは、法律的には絶対大丈夫だと思ってやったことなんだけれども、なぜこんなに大きくなったかというと、政治と金についての信頼性の問題がまず第一にあって、それ以外にぬれ手にアワというような部分といいますか、国民の意識がかなり資産形成に向かっているときに、我々政治家だけが何かすべて極めて単純な形で利益を得ることができた。そういった資産形成における公正さ不公正さ、ある意味じゃニューリッチ・ニュープアの問題、そういう問題に対しての批判が非常に強かったんじゃないか。その点は我々が見落としていたところだと。  私自身は、これは大臣のポストで言うことでもなく、私、一政治家としての反省点としては、この点についてはかなり感度が鈍っていたというふうに反省いたしております。
  50. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今御本人も認めたように、典型的なぬれ手にアワですね。これをやるときには悪いと思っていなかったと言っておる。今考えてみると反省しておる、こう言っておるわけですが、これは率直といえば率直ですね。  それに反して、渡辺郵政大臣になると若干違いが出てきますね。あなたはビッグウェイから一万株ですか、東海銀行赤坂支店の通帳名義が渡辺秀雄、なぜか秀央の央が英雄の雄になっているんですね。これはどういう意味なのか私は後で聞きたいんですが、そして、三千万の振り込み先がファーストファイナンス、こうあるわけですね。ところが契約書がない。いかがですか。
  51. 渡辺秀央

    国務大臣渡辺秀央君) お答えいたします。  まず、口座の名義は、実は私の戸籍上の名前でございます。私の個人の口座でございます。  それから、契約の相手というのは、これは私、実は本当に承知をしないでおりました。秘書のせいにするつもりはありませんよ。これは私の責任でありますが、実際、当時私は、一年四カ月か五カ月の間だったと思うんですが、議員会館にほとんど出入りしていないのでございます。それで、その口座に関しての取り扱いは秘書にある程度ゆだねておりましたので、契約の名前は私の名前で、私に対することであると思って私の名前でやった、こういうふうに聞いておりますから、それをやむを得ないなと。ですから私も、やった行為は秘書がやったことではあるが、しかし責任は私にあります、こう申し上げてきたわけで、そこのところはひとつぜひ御理解をいただきたいと思うんです。
  52. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 契約書はどうしたんですか。
  53. 渡辺秀央

    国務大臣渡辺秀央君) これは、当時そういうことになろうとは夢想だにしなかったことでありましたので、保管していなかったということは事実でございます。まことに不手際だと思っております。
  54. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 けさの新聞を見ると、あなたは、秘書の給与として年四千万以上を六年間にわたって企業から援助を受けて、そして政治資金の収支報告はしていない、こういう事実が報道されておるんですが、これはまさに政治資金規正法違反でもあろうと思うんですけれども、どうなんですか。
  55. 渡辺秀央

    国務大臣渡辺秀央君) これは、実は私を後援してくださる人たちが、一つは後援会活動のためもあったりいたしまして、私、けさの話なものですからまだ全部はつぶさに承知しておりませんが、少なくとも金額的にはもちろんいろいろ違いはあると思います。  それからもう一つは、できるだけ法に対してきちんとしてくれよという指示はしておりましたので、すべてがそうだということではないと思いますし、また、もし間違っているところがあれば、これは適切に私自身の方で正していかなきゃならぬということだと思います。  ただ、本当に正直に申し上げて、これはもう毎日毎日のことでありますし、後援会、支持をしてくださる人たちの御好意に若干甘え過ぎた点もあるかもしれません。あるいは、大変至らないこんな人間でありますけれども、あなたのところで勉強させたいとか、また経験を少し積まさせてくれとかというような話に安易に取り組んだという面も指摘されるかもわかりません。そういう点を含めて反省をいたして、正すべきものは正してまいりたいと思っております。
  56. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると、きょうの報道については、金額の細部についてはともかくとして、大筋としては認める、こういうことですね。
  57. 渡辺秀央

    国務大臣渡辺秀央君) よく調べてみたいと思います、基本的には。それはひとつ御承知ください。私自身、きのうも全然そういう問い合わせがないところを実はああいうふうに出されておられるものですから、ちょっと調べてみたいというふうに思います。  それから、大筋として全部認めるということになりますと、本当に研修に来てもらっている人、そしてもうやめていった人、あるいはまた一週間のうち、一カ月のうち何日か来ている人とかいろいろありますので、その人たちにかわいそうなことでもあります。秘書といっても、個人的にやっぱり生活の保障とか、これは我々国会議員、衆議院議員の場合にはいつ選挙があって落選するかもわかりませんし、そういうことも若干あったりして、先ほど申し上げた後援者の人からの、うちの仕事も手伝いながら後援会の活動もひとつやったらどうかねというような話に甘えさせていただいた面もあるいはあるかと思います。よく調べまして、もし不適当な点があったら直ちに正したいと思います。長い間には、ちょっとそういう点を私感じましたので、実は一特注意したことがございまして、人数その他は、現状においてもし該当する、先生からおしかりいただくような点があるとしますと、極めて少人数ではないかなと思います。  そんなことで、大変急なことですからよく調べて対応いたしますので、御了承を賜れればありがたいと思います。
  58. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 自治省は来ておりますか。小杉秘書官は、こういう問題については政治資金規正法とは関係ない、報告する必要はない、こう言っておるんだが、どうなんですか。
  59. 吉田弘正

    政府委員吉田弘正君) 御指摘関係でございますが、私ども個々の具体的な事実関係をよく承知しておりませんので、これに即してのお答えということはなかなかできないわけでございますが、一般論として申し上げれば、政治活動に関する寄附のうちには、金銭によるものに限らず、職員の派遣等労務の無償提供などもあるわけでございます。しかし、具体的な事例については、それぞれの事実関係によって寄附であるかないかを判断する必要があるわけでございます。  従来から、例えば企業等が研修や訓練のために職員を派遣しているような場合には必ずしも寄附には該当しないというふうに言ってきたところでございます。あくまで個々具体の事実に即して寄附に該当する行為があるかどうかを判断すべきであるということでございます。
  60. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 国税庁は、こういう企業の行為に対してどのような措置をとったのですか。
  61. 冨沢宏

    政府委員(冨沢宏君) 一般的に、法人が政治家に対して秘書の給与を負担しておるという場合でございますが、法人が支出した秘書の給与相当額は寄附金として取り扱われる、こういうことになろうかと思います。  一方、政治家の側でございますが、その給与相当額が雑所得の収入金額になるわけでございますが、秘書の給与という形でそれを政治活動のために同額支出したということで、その限りでは課税関係が生じない、こういうことになろうかと思います。
  62. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 渡辺郵政大臣、早急に調査して検討するということですが、今お聞きのとおりです。これを踏まえてひとつきちっとしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  63. 渡辺秀央

    国務大臣渡辺秀央君) 先生の仰せのように、正すべきところは正してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  64. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それから、渡辺喜美さん。渡辺さんは、せがれと女房は言うことを聞かぬ、こう言っておったんですが、提出いただいた御努力に感謝します。だが、中身は非常に不十分です。  三起五千株ですが、九月三十日、株購入に対して代金の調達は、おたくの息子さんは民間人ですね、にもかかわらず大和銀行衆議院支店から十月二十二日に千五百万出金とある。この間の千五百万の立てかえはだれがしたのか、そして振込先ほどこなのか、いかがでしょうか。その資料がない。
  65. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) それは資料に書いてあると思いますが、個人の通帳、うちのせがれは小なりといえども実業家ですから、零細企業は零細企業ですが、その程度の金は自由になるんです。これは自分の通帳から送金しています、ファーストファイナンスに。調べてみました。結局、その後で株を売ったのがわかって、それで大和証券から株の代金が同じ通帳に振り込まれているということでありまして、だれも立てかえません。本人の話ですから。
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私が言っておるのは、十月の二十二日なんですよね、出金を見ると。この間は金はだれが立てかえたのかと、こう聞いておるわけです。
  67. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) それはわからない、実際は。わかりません。だれが立てかえたのか。ともかく、せがれにも聞いてみたけれども、要するに九月の末のころ、何か判こを押してくれとか言われてぼかぼか判こを押したと。そうしたところが、十月の何日になって払い込んでくれと。払い込む先がファーストファイナンスなんておかしいなと思ったけれども、それでいいんですというのでそこへ払い込んだと。それで後になって、十一月の何日かになって上場してから売ったと。売った金が振り込んでこられたということですから、だれが立てかえたかというようなことは全然気もつかないし、わからない。言われたとおりやったわけですから。
  68. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 確かに、十一月の五日に二千五百九十八万七千四百五十円が振り込まれておりますね。問題は、だから、九月三十日に払ったはずの金が十月二十二日になっておる。その間だれが立てかえたのか。それはあなたはわからないとおっしゃる。そこら辺はちょっと息子さんにもう少し資料を出していただく、この努力が足らぬのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) その話も聞いてみましたが、要は株を買って売った話ですから、だから自分の手に金が入ればもう後は関係ないから、そんな株売買とかなんかのあれなんか何年も前のは持っていない、すぐ破いて捨てちゃったと。これは検察に聞けば一番わかるんじゃないかと言っていましたね、検察は調べているから。だれが立てかえたか、いつ払ったか。検察庁いますから聞いてください。
  70. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 検察庁、今大臣がそう言っておるんですが、ここでできますか、どうぞ。
  71. 井嶋一友

    政府委員井嶋一友君) 今、渡辺大臣がそうおっしゃいましたけれども、私はちょっとその衝に当たっておりませんからわかりませんが、いずれにいたしましても、捜査に関係のなかった事項であろうと思いますので、これ以上答弁はできません。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 きょうは時間もございませんからこの程度にしますが、さすがに大蔵経験を持つ大臣ですな、ちゃんと肝心なところは抜いておる。そうとらざるを得ませんね。これは、もしあなたの方で息子さんを説得できるならひとつ提出してもらわないと疑いは晴れぬと思います。  そこで、宮澤、加藤、両渡辺の四氏とも出していただいた三点セットの内容から見ると、六十一年十一月五日に大和証券よりリクルートコスモス株の売却代金が同じ日に払い込まれている。これは確かです。この四氏が個別の取引でなく、全員の株は一括してどこかに預けられていたのではないか、こういう感じがします。特に、加藤さんの契約書がファーストファイナンスの融資の担保として同社に預けられておったということから見ますと、ここに一括して預けておったんじゃないかという疑いが消えません。この点について四人のお方から御説明いただきたいと思います。
  73. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 私たちは、リクルート社の方からこういう形でこういう手続をしてくださいと言われてやったわけでございまして、そういういろんな形の御好意に甘えて手続はやったわけでございますので、その先どういう形で行われているかというのは、一括だとかそれからどういう形でやられているかということはわかりません。
  74. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 服部恒雄氏の場合には代金を払い込んでおるのでございまして、消費貸借をいたしておらないのでございますけれども、株券というものを受領したことはやはりないようでございます。したがいまして、それがどのような、リクルートコスモスでございますか、それと大和証券との内部手続によりましたものか、服部氏にはわかっておらないようでございます。
  75. 渡辺秀央

    国務大臣渡辺秀央君) 私も実はどういうふうになっているかわかりません。払込金額は払い込んだことは先生見ていただいているとおりであります。そして、送られてきた金額を受け取っていることも先ほど申されたとおり事実なんですが、その株券がどうなっているかということは本当に承知しておりません。
  76. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) これは何回説明しましてもわからないんですよ。関心もないんですよ、うちのせがれからすれば。要するに株を買わないかと言われて、買いましょうと。で、判こを押して渡したら、払い込んでくれと言われたから払い込んだと。だから、払い込んで高くなったら、損じないうちに早く売らなきゃいかぬと思って早く売ったそうだ。そしたら金が入ってきたと。その段階でもう取引は終わりだから、後のことは関心ないというのが実際のところであって、大体何でファーストファイナンスに払い込んだか、そこはわからないんです。そういうふうに指示されたからそこへ払い込んだと言うんですよ。その期間のいきさつは私も興味ありませんし、これは裁判とかなんかで検察が知っているはずですよ、どうなっているかということは。  結局、何といいますか、一番関心があったのは、皆さん方どこに関心があるか知りませんが、私と江副の関係があるかということでしょう。これはありませんからね。  それから、何でそれじゃ私のところへ持ってこないでせがれのところへ持ってきたんだと。私のところへ持ってくるならやっぱり一万株ぐらい持ってきたのかもしらぬね、実際は。せがれだから半分になったのかどうか知りませんが、たまたまあそこの会社の重役が友達だと、中央大学ですから。あそこは中央大学が多いらしいんですよ。そういうことで、知り合いで話があって、それに乗ったと。だから、よく気をつけろと言ってはあるんですよ、私は。将を射んと欲すれば馬を射よということがありますからね。私は将じゃないかもしれないけれども、それはやっぱり注意しなきゃならぬということはもちろん言ってございます。  したがって、売買契約書なんかは恐らく検察というか、裁判所が持っているはずですよ。押収したのがありますから、どこと契約したかということは聞けば明らかになる話であって、それは聞いた方が早いんじゃないか。幾ら私が弁解したって本気にしないからね。検察が言ってくれれば多少は本気にするでしょう、それは。そういうことが一つ。  もう一つは、政治資金と絡んでいるんじゃないかと。これもせがれから聞いたんだが、二日ぐらい呼ばれたと。二日とか三日とか言ったな。それで、参考人でしつこく聞かれたのは、政治資金にそれが回っているんじゃないか、政治資金から出たんじゃないかと。そこのころだけうるさくて嫌になったと言っていましたよ。事実は違いますから、一つしかないから。それはわかったんでしょう。  そういうことであります。
  77. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いや、あなたが今言った中にもう尽きていると思うんですよ。江副さんでもそんなに金があり余ってまき散らしたわけじゃない。目的があるわけですからね。それは将を射んとすれば馬を射よと。あなたは五千株の将ですよ、こちらが一万株の将だから。  次に移ります。  総理、三千万の購入代金の調達先が衆議院で大変問題になっている。あなたは、さっきも言ったように、服部の四人の友人、こういう答弁をしている。それだけでは私は不十分じゃないかと思うんです。やはり、いつ、だれとだれが、幾らずつ、どのような方法で、現金もしくは振り込みで来たのか、ここら辺を明らかにすることがあなたの責務じゃないですか。
  78. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 服部恒雄氏が三千万円を調達して払い込んだわけでございますけれども、四人の友人から借りたと語っているのが最近の新聞報道にございます。これは私の個人的な金あるいは政治資金ということではございませんので、服部恒雄氏が調達をしてきた、そういうことであると考えております。  どういう四人であったかということは、これはそういう意味では服部氏個人の取引のプライバシーに属するものであろうと思いますので、私は存じておりません。
  79. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それではどうしてもやっぱり国民は納得しないと思うんですよ。例えば、今加藤さんのように、ファイナンスから金を借りて、それでその借りた金でもって払って、自分は一つも出していないわけだ。そこで操作して紙たけの交換で一千万なりをポケットにするという、これはぬれ手でアワというんですがね、それはそれなりにすきっと出ておる。  しかし、あなたのは、三千万の調達先がわからない。四人という、四人ぐらいじゃなくて、四人という友人の数は出ておるわけだ。その中で、Aは何ぼ、Bは何ぼ、Cは何ぼ、それとDは何ぼという、それで合わせて三千万だ。こういうふうに具体的にならないと、やっぱり証人喚問に服部さん出てこいと、喚問せざるを得ないというのがこれは自然の成り行きじゃないですか。
  80. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点は提出いたしました資料でおわかりいただいておると思いますけれども、昭和六十一年十月十五日に服部氏が調達いたしました三千万円という現金を、若い方の秘書でございました松本雅雄君が服部氏から頼まれましてかわりに銀行に渡しておるわけでございますが、それは証懸書類によって現金であることが確認されております。ですから、それは服部君が調達をしてきた三千万という金なんでございますけれども、これは服部氏の取引でございますから、どこのだれが幾ら出したかということはこれはいわばそういう方々に、何と申しますか、名前を出して迷惑をかけるということもいかがかと思うことでございまして、服部氏の責任において服部氏が調達をしたということでひとつ御理解をお願いいたしたいと思います。
  81. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今、松本さんの名前が出てまいりましたが、この人はおたくの事務所の会計責任者ですね。この方がファーストファイナンスに三千万を払い込んでおる。服部さんの株、個人的な株に対して事務所の会計責任者が払い込んでおる。そして、恐らく私はこれは融資または立てかえ払いしたんじゃないかと思うんですが、これにも金銭消費貸借契約書のようにすきっとわかるものが資料に出てない。ファーストファイナンス側の方は、九月三十日に購入しておるわけですからこの十月十五日までの間だれがどうしたのか、これも不鮮明。いかがですか。
  82. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず第一に、消費貸借の契約をいたしておりません。したがいまして、そのファイナンス会社の金を利用したということはございません。  次に、売買約定書をお手元にごらんいただきましたが、この売買約定書によりますと、受け渡しの時期は九月三十日でございますが、支払いの時期については売買約定書には定めがございません。十月十五日に払ってくれということで十月十五日に支払いをいたしておるわけでございます。現金で支払いをいたしておるわけでございます。
  83. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうなると、今総理の言ったことがおかしくなるんですよ。何でファーストファイナンスに払わなきゃならぬのか。やっぱりここから金を借りておったのかどうなのか、立てかえておったんじゃないんですか。ですから、そこに十月十五日払ったわけでしょう。それなら筋道は立つ。どうなんですか。
  84. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、先ほど渡辺さんがお答えになられましたのと全く同じケースでございまして、金を借りていない、消費貸借契約がないわけでございます。十月十五日になったらファーストファイナンスというところへ払ってくれよと、こういうことでそのとおりにいたしておる。それがどういう事情で先方にそういうことになっておるのかということは正確にわかっておらない、服部氏にもわかっておりません。事実は、後に売買されて売買代金が服部恒雄口座に入っておるのでございますけれども、その間に株式を見ていない、株式が来ておらないという状況であったそうでございます。
  85. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 よほど親しい仲が、ドゥ・ベスト社とファーストファイナンスとの間にどういう関係があったのか、あなたの事務所と組んで、ぐるみでそういう関係になっておったのか、それがない限りあなたの今の説明では常識的にはわからない、そう言わざるを得ないと思うんです。  やはり、そうなると衆議院と同じようにこの二人を、服部さんとそれからもう一人会計責任者松本さんをここに証人喚問に呼ばないとどうしてもそこがわからない。これをあなたが拒否するということ自体も、私はいよいよ覆い隠すんじゃないかというような感じに国民はとると思うんで、私はやっぱり進んで出すべきじゃないかと思うんですけれども、どうでしょう、あなたが説明できないなら。
  86. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの点は服部氏側にわかっていないのでございますけれども、この問題につきましては、かつて国会の御審議に際して大蔵省の証券局長が答弁をいたしておりますところによりますと、大和証券に確認をしたところが、株式は十一月四日にリクルートコスモス社が一括して大和証券に持ち込んでおりますと、こういう答弁を当時の大蔵省の調査をしました証券局長がしておられます。それは私には実は確認のできないことでございますけれども、そういう答弁がございます。
  87. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まだもう一つ問題があるんですね。服部恒雄さんの銀行口座に五千二百二万三千円が大和証券から振り込まれたのが十一月五日。しかし、さっきあなたのお話のように、四人から金を借りたと言うんだけれども、この四人の友人に対してお金を言ってきたら返しますわね、普通。その出金の証明がない。私は当然、四人から借りておるんなら銀行からおろしてお返しするのが自然だと思うんですけれどもね。この証明が出ていない。通帳をきちっと出してもらえば明確なんです。これは加藤さんのところでは、ちゃんと入って金利をつけて出金しているのがぴしっと出ているわけですね、通帳で。いかがですか。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 三菱銀行にございます。服部恒雄氏の預金通帳につきましては、資料として御提示をいたしたところでございます。  そこで、三千万円というものを借りたわけでございますから、当然返しておるであろうということはおっしゃるとおりであろうと思いますけれども、それがだれから三千万円をどう借りたのかということは、服部恒雄氏とそれらの友人との関係でございますから、要するに当委員会における御審査関係からいえば、これが服部氏の取引であるということを御了解いただければそれで事はいいわけでございますから、その服部氏が友人たちとさらにどういう関係を持ったかということは、これはひとつ服部恒雄氏のプライバシーとして、あるいは金を貸した友人たちのプライバシーとしてお許しをいただきたい、こういうふうに考えておりますわけで、ただこの入金の部分だけは、これはお示しをいたしませんと御調査に差し支えがございますから、その部分を資料として提出をいたしたわけでございます。
  89. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 確かにここに服部さんの通帳は出ておるんですが、大和証券から五千二百二万三百円か、入金というのは、預かり金というのは出ておるんです。その下が全然何か張って見えないようにして出されているわけですね。だから、肝心なところは全然出ていないんですよ。加藤さんの場合には入金も出ていれば出金も出ている。ぴしっと出ている。そういうのがないんです。
  90. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 重ねて申し上げますけれども、これは服部恒雄という個人の預金に対する入金、口座に対する入金でございます。本来ならばこの部分もプライバシーであると存じますけれども、それではしかし委員会の御審議に差し支えるわけでございますから、十一月五日に大和証券からこの金が入ったということを証するためにこの部分をお目にかけておるわけでございます。  ただ、これは個人の通帳でございますから、そのほかにどういう取引がどういう形であるかというようなことについては、これほどうぞプライバシーでお許しをいただきたい、こう申し上げておるところでございます。
  91. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 押し問答をしても時間がたつばかりですが、これはやっぱり松本さんと服部さんをひとつ証人喚問に来ていただかないと事態が鮮明にならないと思いますので、委員長に要求しておきたいと思います。よろしいですか。
  92. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 御要求につきましては、後刻理事会で検討いたします。
  93. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 総理、リクルート事件関係議員のほとんどがリクルートの系統であるファーストファイナンス、これから無利子無担保で融資を受けて、ぬれ手でアワの批判を受けたことは御存じのとおりですね。総理が、そういうこととおれは違うんだ、服部は違うんだということを明確にしたいなら、資金の出所と売却益をどう処分したのか、これをやっぱり明らかにしないと国民は納得しないと私は思う。  そうして、三年前にあなたは、服部君は友人から頼まれて名前を貸しただけと言ったのが第一回の答えだったんです。それからあなたは七回答弁を修正しておるんです。そして副総理辞任したんです。そういう経緯のある問題なんです、この問題は。だから、国民の皆さんはそのことをちゃんと見ていますから、今のあなたのような答弁ではどうしても納得できない。先ほど私が申し上げたように、資金の出所と売却益をきちんと出す。そして、国民の皆さんにうそも偽りもございませんと、こうならぬとこの問題の決着を私はつけがたいんじゃないかと思う。  先ほど梶原委員も言っておりましたが、あなたに対しては国民の期待も大きいことを知っています。心配しながら込み上げる怒りを抑えておる国民気持ちがわからないのか、そこのところが私は今一番あなたが考えていただかなきゃならぬ点だと思うんです。いかがです。
  94. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和六十三年十二月一日に本院の税制特別委員会におきまして御答弁を申し上げたのでございますが、それが今日まで最終的な事実として今日もそれを申し上げておるのでございますが、ここに至りますまでの間に、服部恒雄氏から私が事実を誤り聞きまして、正直なことを発見し得ずに何度か結果として誤った不正確なお答えを申し上げましたことは、まことにざんきにたえないところであります。本院に対して極めて申しわけないことであるし、政治家としても大変恥ずかしいことでございますので、その責めを負いまして辞任をさせていただきました。  それに至ります十二月の税制特別委員会におきまして、金を現実に払ったということを証明する書類がどうしても必要である、一つは売買約定書、次に支払いをしたという証書、それから売り払い代金がどうなったか、それを証する三点セットがどうしても必要である、それでないとおまえの答弁というものは証拠立てられないという仰せがあって、それはごもっとなお話であったわけでございます。  ただ、その当時、第一の株式売買約定書がございませんでした。これは商行為が済んでしまいましたものですから、服部恒雄君が恐らく破り捨てたものであろうと思われます。ございません。これを御提出することができなかったわけでございます。先般委員長のお手元まで御提出いたしましたのは、その後これは検察庁の押収書類の中に先方のドゥ・ベスト社側のものがあったわけでございます。それから許しを得て複製をいたしました。それが当時なかったものの一つでございます。  もう一つながったものは、ただいま佐藤委員が御指摘の金を払った証拠がないじゃないかということで、それが当時ございませんでした。その後、事件がいわば落着をいたしました後で、かねて取引をしております三菱銀行の方でいろいろ倉庫を調べてくれまして、書類が出てまいりました。それを同じく御提示をいたしたわけでございます。その書類によりますと、十月十五日に三千万円がファーストファイナンス社あてに現金で払い込まれておりまして、これによりまして払い込んだという事実を御確認いただくことができました。  もともと服部氏の口座に代金が入りましたあるいは大和証券に株式の口座を設けました書類はございましたので、これで三点セットが全部そろいました。これによりまして、金を払わなかったのではないかという点は資料をもってお答えを申し上げたと、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
  95. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間もございませんから、総理、あなたに今いろいろ御説明いただきましたけれども、しかしさっき言ったように、金をどこで調達したか、どこで出したかということを明確にしないと国民は納得しないと思います。  さらに、この問題は決して今起こっている問題ではなくて、あなたが三年前に辞任するほどの問題なんです。当時自民党は、「こら、自民党」というポスターを掲げて全国に反省のあらわれにして、そのために政治改革を約束している。何一つそれが実現していない、そういう事態なんです。  したがって、私は、やっぱりあなたにしてもこういう問題で足を引っ張られるというのは嫌じゃないかと思うんです。激動する世界の中で、何とかひとつかじ取りをやりたいという気持ちを持って総理になられたのではないかと思うんです。そのためにも、こういう疑いがあるのなら、ひとつあなた自身が進んでうそ偽りのできない証人に出てくる。喚問してくれ、おれも出る、こういう態度をもって国民に明らかにすることが大事じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  96. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、当時ああいうふうにお騒がせをいたした出来事でございますので、三点セットを御提出いたしませんと当院の御審議に対する私の責任は果たせないと考えまして、最善を尽くすということを所信表明でも申し上げたわけでございます。このようにして必要な三点セットを全部手に入れることができましたので御審議をいただいておるわけでございますけれども、それはそれといたしまして、このことにつきましての私の不行き届きということは、これは別にこれで解消するわけではない、そのことは一生自分がやっぱり反省をしていかなければならないことと存じております。  お願いを申し上げたいと存じますのは、三千万円を払ったという銀行の支払いの書類が出てまいりましたので、その三千万円を服部恒雄がどのようにして調達をしてきたかということになりますと、これは服部氏と知人との関係ということになりますので、その点のプライバシーはどうぞ尊重をお願いできないものだろうか。支払ったという事実が書類によってはっきりいたしておりますので、そういうことでお許しをいただけないかと存じておるところでありますけれども、この問題についてのしかし私の不行き届きというものは、これはいつまでも私としては反省をしていかなければならない問題だと考えております。
  97. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、さっき申し上げたように、それを晴らすのは証人喚問に応ずる、そうして例えば服部、松本それからファーストファィテンスの小林さん、こういう方々を含めてきちんと国民の前で明らかにする。同時に、あなたもひとつうそ偽りのできない証人喚問の席に進んで出て国民の前に明らかにする、こういう態度が私は必要だと思うんですが、その点についてもう一度お聞きします。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私といたしましては、殊に当院に対しましては、昭和六十三年の十二月に三点セットを提出せよというお求めがありながら、なかったこともあり、プライバシーの点もございましたが、そのお求めに応ずることができないという責任を今日まで感じてまいっておったわけでございます。いろんな方の協力によりまして全部三点セットを御提出することができた。そして、こうやって最善を尽くしてお答えを申し上げておりますので、どうぞそれによりましてこの事態そのものの真相は御了解をいただきたい。  ただ、そうでありましても、私自身の不行き届きというものを決して自分はこれで済んだというふうに考えておるわけではございません。
  99. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間もございませんのでここら辺で質疑を打ち切りますが、総理渡辺総理、それから渡辺郵政大臣の資料、答弁を含めて釈然としないものが残って残念ですが、最後に委員長に、証人喚問の要求をしました服部さん、松本さんに加えて、小林さんを含めてひとつ証人喚問を要求しておきたいと思います。いかがですか。
  100. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 協議をしましょう。
  101. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 以上で終わります。
  102. 梶原敬義

    梶原敬義君 財政問題と国際貢献のあり方について幾つか質問いたします。  我が国の財政赤字は今日百六十八兆円と聞いておりますが、今年度末における公債残高はどのくらいになるのか、それが第一点。第二点は、平成四年度末には、これは予算編成の時期ですが、どのくらいの見通しなのか、それが第二点。第三点としては、平成三年度のODA予算総額についてお願いをしたい。四点目といたしましては、湾岸戦争に伴う支援の合計、つらつら計算すると百三十五億ドルになると思うんですが、その内訳、財源について説明をお願いいたします。
  103. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 平成三年度末の国債残高の見込みでございますが、百六十九兆五千八百六十億円でございます。それから平成四年度の見込みでございますが、現在四年度予算の編成中でございまして、四年度の公債発行額が未定でございますので確定をいたしておりません。  以上でございます。
  104. 斎藤次郎

    政府委員斎藤次郎君) 平成三年度の一般会計ODA予算総額は八千八百三十一億円でございます。二年度に対して六百五十六億円、プラス八%の増加でございます。  湾岸の経費につきましては、突然の御質問でございますので今調べておりますので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。
  105. 梶原敬義

    梶原敬義君 一般会計から何ぼ出したとか、予備費から出したとかというのはすぐわかるでしょう。  それでは続けます。私は持っているんですが、合わせたいんですが、時間の関係で後で発表をしていただきたいと思います。  いずれにしても、総理大臣、新税をつくり、大変な国際貢献、支援をしておりますね。大変な金額です。私の地元大分県の一般会計予算の三年分ぐらい、それ以上ですね、三年強。大変な金額を出しておるわけです。しかし、アメリカ初め国際的に評価をされていないとあなた方は言いますね。それで人も出せと、こう言われている。そういう宣伝を繰り返してされております。この点について、ここまでしておるのにどうして日本の立場をアメリカやアメリカ国民や世界の皆さんにわかってもらえないのか、外交がどういう外交をしているのか、その点について納得のいく説明をしていただきたいと思います。
  106. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 決して湾岸協力を評価されないというわけじゃございませんよ。それはそれなりに評価は受けてはおるんですが、やはり日本は金だけかということになりますと、これは理屈のない理屈みたいのがありまして、何でも金さえ出せばいいのかと。やはりみんな人的協力を多国籍軍等はやっておる、日本は多国籍軍には協力できないというんだったらもっと協力すべきところがあるじゃないかというような国際世論があることは事実でありまして、そこで、数十カ国が参加をし、しかもノーベル平和賞を受けておるというような平和維持活動には参加をしようということで出しておるのが現在のPKO法案でございます。喜ばれているところばかなり喜ばれてもおるんです。しかし、協力が足らないと思われているところもあるというのも事実でございます。
  107. 梶原敬義

    梶原敬義君 宮澤総理、日本には日本の憲法と日本の国体のあり方というのがある。そのことが十分先方に伝わってないんじゃないかと私は思う。この前NHKで、アメリカの人と日本の人をたくさん集めて、そこで米の問題からいろんなことを議論しておりまして、日本の若い人もはっきり物を言う、日本人はそんなにはっきり物を言うのかと。そしてお互いに理解し合っているんです。そういうのを見まして、日本の外交のあり方の弱さ、その点について非常に私は残念に思いました。米しかりであります。もっと日本の立場を、日本の国のあり方の中でこうやっているんだという説明をやっぱりすべきだと思う。  私は、変な金を使うより、アメリカの民放に予算を組んで一年に一回か二年に一回、総理大臣、特に英語の上手な総理大臣が日本の立場を宣伝するぐらいのことがあっていいと思うんですね。余りにもそういう点は、一方的に向こうの言い分、言うままを聞いてきている。非常に残念です。それは、自衛隊の海外派兵、去年の国連平和協力法、後方支援ならいいなんて言ってこれが出てきた。そしてまたPKFを中心として出す。大変な議論を呼んでいるわけですが、こういう状態を見て、私はもっとしっかり外交を考えてもらわなきゃいけない。PKOは当然廃止をすべきだと思うんです。  そこで、朝日新聞の今月六日の読者の欄を読みまして私非常に感銘いたしました。京都の自由業の加藤さんという人がこう言っているんです。   湾岸戦争を境に妙な空気に変わった。それを  一口にいえば、「戦争しないと肩身が狭い」と  でもいうような、平和恐怖症候群である。戦争  に加わらず平和を通すのが面目ない、後ろ暗い  ごどのように思われてくる、そのような雰囲気  である。   よそが戦争しているのに日本だけしないので  は義理が立たない、落ち着けないといった気分こう言っている。そして、小沢さんがどうこう言っていることは省略しますが、  後藤田正晴氏は「いったん軍隊を出したらズル  ズルといってしまう」と心配して平和憲法の枠  を守れと警告しておられるのだと思う。   国際貢献といえば自衛隊派兵に一直線に短絡  して、しゃにむに、何かに追い立てられるよう  に急ぐ。そうさせているのが前述した変な空気  なのだ。こう言っている。  それからもう一つ、その日に茨城県の主婦の方が、   夫は自衛官です。地雷専門の部隊に所属して  いますので、国連平和維持軍としてカンボジア  派遣が決まれば、行く可能性は大きそうです。  その場合、私は、なんとしても引き止めるつも  りです。   自衛隊の本来の役目は、外国の侵略に対して  日本の独立と平和を守ることです。現在のほど  んどの自衛官が任官したときには、海外派遣は  絶対にないことになっていたはずです。突然の  海外派遣は契約違反ではないでしょうか。たと  え全国民にがんばってね、と見送られたとして  も、遠いカンボジアでの危険な任務はつらいこ  とです。   それなのに国民の合意すら得られず、無責任  で乱暴な政治家によるいい加減な審議で、今の  保障のない所へ行かされる。数十万個もの地雷  を処理して無事帰ってきても云々と。   派遣に賛成している政治家は、自分の息子が  行くかも知れない場合でも、賛成したでしょう  か。自分の息子を今のような状態で送り出せま  すか。こう言っているんです。  私は、まさに言い当てている、この二人のこれは国民の声だと思うんですが、総理、いかがですか。
  108. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 戦後、憲法のもとで平和を享受してまいりました。多くの国民の中には、したがいまして自衛隊そのものが違憲であると考えておられる方も、そうたくさんではないと思いますがやはり相当ございます。その自衛隊が、仕事はともかく、海外に行くというようなことになれば、そういう方々はどうしてもそういう事態を許すことができないと考えられるかもしれない。  しかし、湾岸戦争のときに国民的な議論が起こりましたのは、先ほど外務大臣も言われましたが、財政的な貢献もするが、それだけでいいのかなと。これは国外でも非常に議論がございました。先ほど梶原委員から、アメリカは日本の憲法を知っているのかというお尋ねがあって、それは恐らく、あのときまで一部の要路の人、学者を除けばそういう日本の憲法を知らなかった、アメリカの町の人はまず知らないと考えた方がよろしいのかもしれません。自分たちが戦線に行きますときに、石油の供給を一番あそこの地域に依存している日本人は何をしているのかと、そういう批判がございました。  それは憲法を知らないことによるいわば批判でございますけれども、そう申せば、私どもも、西ドイツがそういう憲法を持っておるということは、私自身実はあすこまで正確には存じませんでしたのですから、アメリカの町の人が日本の憲法を知らなかったということは後になってわかったことで、そうとがめてもいかぬことかもしれません。  しかし、国内にもやっぱり金だけではどうかなという議論がいろいろございましたわけでありまして、それで憲法の許す範囲のことはやろうというのが御審議をいただいておりますこのPKOの法案でございますけれども、先ほど申しました、戦後四十何年こういう事態はございませんでしたから、国民の間ににわかに御理解をしていただくということにやっぱり多少時間がかかる。それは、こういう御審議を通じて国民の皆さんにも理解をしていただいて、国連を中心とした我が国の平和協力を進めてまいりたいというふうに私としては考えておるわけでございます。
  109. 梶原敬義

    梶原敬義君 宮澤総理、先ほど自衛官の奥さんが言っておられた内容というのはよくかみしめていただきたいと思うんですね。  それで、あなたは、きのうの新聞を見ますと、十一日に産業労働懇話会で、日本の国連協力に関して、「カンボジアで停戦が実現すれば、後の処理は国連がになう部分が大きい。日本としてもいろいろな意味で貢献をしていかねばならない。国民的コンセンサスが成熟するよう願っている」と。  カンボジアというのは地雷がいっぱいある。いつ爆発するかわからぬのを自衛隊に行かせてそれを取らせる作業をさせようというような意図で言っているんですか。
  110. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そこは私は大変に正確に申したつもりでございまして、湾岸戦争後、国際政治における国連の役割というものが非常に大事になりました。湾岸戦争のときに前面に出たことを初めとして、もしカンボジアで和平が成立するとすれば、恐らく国連が停戦後に果たすべき役割は非常に大きい、UNTACというものの果たすべき役割は大きいと思います、そういうことを申し上げておるのでございますけれども、それは国連の役割が冷戦後の事態で非常に大きくなったということを申し上げたのでございます。  PKOというのは、我々がそういう冷戦後の国連中心の平和維持に貢献できる道だということを別途申しておりますけれども、カンボジアの国連の平和維持に我が国が直接人を送る、自衛隊を送るというようなことは私は一切申しておりません。それは一つには、法案が御審議中であるということもございますけれども、仮に法案が成立いたしましても、PKFの部分、今梶原委員の言われました大変に難しい部分、これは相当の訓練も要することでありますし、法律が通ったからといってすぐそういう活動が私はできるとは、実はそういう確言は関係者から別にもらっておりません。  ですから、仮に法案が成立いたしました、そして自衛隊の諸君が必要な訓練地域に対する知識等々を修得いたしましたそれだけの時間が経過しました後でも、果たして仮に戦争をしておりました関係の諸団体から要請があり、国連からも要請があり、周辺の国からの合意もあって、来てくれということになるといたしましても、カンボジアの国連の平和維持活動のどの部分を引き受けるのがいいのか悪いのか、これはやはりその時点でかなり慎重に考えなければならない。できることはそれだけ求められればいたしたいとな思いますけれども、別途政治的な判断もございます。周辺の国々の考え方とかいろんな事情もございますから、それはその時点でやはりよく考えるべきことである。したがって、私は産労懇ではそこのところは大変に注意をして申したつもりでございます。
  111. 梶原敬義

    梶原敬義君 いずれにしても、我々はこれは廃案を求めておりますから、平行線になると思うのでこれでやめますが、それより以前に日本の立場というものをもっと広く伝えるように努力をしてくださいよ。お願いをいたします。  次に、景気、経済問題に入りますが、我が国の景気の動向について政府日本銀行総裁お尋ねをいたします。  政府と日銀総裁に対しましても、今度のバブルの責任というのは、まさに経済政策は政府、そして金融政策は日本銀行にありまして、その点は私は、尊敬する私の郷里の先輩の日銀総裁もいらっしゃいますが、もっと反省をしていただいて、そして次にどうするかというのを一度聞きたいんですね。かつて日銀の副総裁、ずっと日銀にタッチした方ですから、その点政府と日本銀行からお聞きをしたい。それから、今後どうするかという問題についても、日銀総裁は時間がないようですからあわせてお尋ねしておきたいと思います。
  112. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今、先生の方から責任をというお話があったわけでありますけれども、この六十一年末からの高い経済成長、これがもたらしたものは、例えば労働時間が少しでも短縮されたということですとか、あるいは環境関連、こういった問題に対してみんなが関心を持つようになったということ、あるいは社会資本の整備あるいは中小企業の体質の強化、国際的な役割の分担、こういった問題で一つの成果は上げたというふうに思っております。  しかし、今御指摘のございます。あるいはこの間からお話をいただいております中でも、土地がもうむちゃくちゃに上がってしまったとか、あるいは株の投機というものが非常に大きな問題を起こした、いわゆるバブルというものをつくってしまったということ、この問題についてはやっぱり一つの負の面であろうというふうに思っております。  しかし、いずれにいたしましても、例の六十年九月のプラザ合意、このときが、非常に円高になるだろうということで全体がやっぱり景気あるいは国民の心理というものも低迷したというようなことでございまして、ああいう中で公定歩合を五次にわたって下げたということがあったというふうに思っております。しかし、その後やっぱりこういったものに対しておりにも急激な膨らみというものを抑えなければいけないということで、それぞれ金融機関等につきましても貸し出し等についてヒアリングをするとか、あるいは昨年からは総量規制を取り入れるとか、こういうことをしながら今対応してきたというふうに思っております。  いずれにいたしましても、こういったものを私たちも踏まえまして、これからもやっぱり持続的な安定した、緩やかなテンポであっても安定した成長を求めると同時に、そういう中で国民生活の質の向上というものを中心にこれから考えていかなければならないのかな、改めて今このことを思わされておるところであります。  以上であります。
  113. 三重野康

    参考人三重野康君) お答えします。  今、大蔵大臣がお話しになったことと重複すると思いますが、委員も御案内のとおり、プラザ合意、一九八五年のプラザ合意というのは世界的に日本の経済が一つの宿題を負いました。宿題というのは、いわゆる日本の経済構造を輸出主導から内需主導型へ急速な円高をてこにして変えていく、そして非常に大きな黒字、対外収支を減らすという宿題を負ったわけであります。そういった政策の流れに沿いまして、翌年から翌々年にかけて日本銀行も五回公定歩合を下げたのは御存じのとおりでありまして、その後ずっといわゆるインフレはほとんどゼロであった。しかし、対外収支の黒字の減り方はいま一つはかばかしくないということで、日本銀行は再び公定歩合を上げたのは一昨年の五月からでございます。  その間にあって、ようやく日本経済も内需主導型の構造変化を遂げることができましたし、対外収支の減少ということにも踏み切ることができましたけれども、その副次的な結果といたしまして、資産価額の高騰、証券・金融の不祥事件というようなバブル現象を生み出したことはこれは事実でございまして、もちろんこれは金融だけではないと言えばそれまででございますが、やはり政策はその結末において責任を負わなければなりませんから、その事実については金融にも責任があったということは言えると思います。この間において最大の教訓というのは、我々はいわゆるフローの物価だけではなくて、資産の価額にも十分目配りをしていかなければならないということでございまして、今後の金融政策にはその点をよく取り入れて誤りなきを期したいと思います。  それから、委員御質問の今後の景気並びに金融政策でございますけれども、現在はいわゆる住宅投資の減少あるいは国内の自動車販売の減少が主たる原因、発進地でございますけれども、その結果、引き続き減速が続いております。私どもはこの減速については、これはこれまでの行き過ぎた成長をよりバランスのとれた成長へつなぐ正常化の避けて通れない過程だというふうに思っているわけであります。  と申しますのは、過去四年間、五%の成長が続いたわけでありまして、その間においてある程度経済活動の行き過ぎた現象が出てまいりました。と申しますのは、先ほど申し上げましたいわゆる資産価額の高騰もそうでございますし、人手不足の深刻化、これもそうでございます。それから、いわゆるインフレ潜在圧力の増加というようなことでございまして、今、こういったものの行き過ぎを是正する過程でございまして、これをなし遂げて初めてその次の持続的、安定的な日本経済の成長へつなげる、そういうふうに考えているわけであります。  どういうことかと申しますと、当面これからの景気については、やはりキーポイントは設備投資だと思います。設備投資は、過去三年間非常に高い伸びが続きましたので、当然今年度は減少しておりますけれども、つい最近発表をいたしました短期経済観測によりましても、中小企業を含めまして設備投資が、ごくわずかでありますが上方修正をしております。  これはなぜかといいますと、やはりこういうときになっても技術革新あるいは人手不足に対する対策というものが必要だということだと思います。加えて個人消費、これもこういう調整期間にしては珍しくというか、非常に高い雇用水準が続いておりまして、それを背景にして個人消費もどちらかと言えば底がたい水準が続いている。したがいまして、なお減速は続くとは思いますけれども、ここに来て急速に景気が落ち込むことはないというふうに考えております。  したがいまして、私どもは、ことしの七月から公定歩合を下げ、市場金利の低下を図り、預金準備率を下げ、さらに先月またもう一度公定歩合を下げたわけでございますが、そういった一連の金融措置の効果はこれから次第に出てくるわけでございますから、そういった効果のあらわれ方も含めまして内外の経済情勢を注意深く見てまいりたい、かように考えております。
  114. 梶原敬義

    梶原敬義君 日銀総裁、一時から用事があるそうで、もう少し時間をいただきたいと思うんです。  いろいろおっしゃいました。もう信用すればいいのかもわかりませんが、戦後の経済運営を見てみますと、私も景気循環のグラフを持っておりますが、我々地方におりまして非常に悪い道で自動車を運転するときに、急にアクセルを吹かしてぶわっと走るかと思うと急にブレーキをかけるような、非常にごつごつした経済運営をずっと続けてきて中小企業や働く人たちは非常に困っておるんですね。こういう状況が続いてきました。だから、今度の場合、二・五%のあの低利の公定歩合を少し長く続け過ぎた。これは澄田さんに責任があると思うが、あなたも副総裁でしたね。そういうような状況で金融緩和と一緒にバブルを生んできた、そこらの反省をやっぱりしてもらわないといけない。  それから、私は午後少し議論したいと思うんだが、景気というのは一たん下がりかかったら想像以上に下がってきますから、その点については十分配慮していただきたいし、公定歩合についてもやっぱりもう一段という感じを強く持つんですが、その点については、前のことも含めて、いかがでしょうか。
  115. 三重野康

    参考人三重野康君) 委員のおっしゃるとおり、政策はやはり早目早目にやることが必要であるということは肝に銘じております。  しかし、現在の景気の下降というのは、ただいまも御説明いたしましたように行き過ぎの是正でありまして、それはもっと具体的な一つの例を挙げればわかりやすいと思いますが、住宅投資、これは八〇年から八六年までは大体年間百十万戸から百二十万戸でございました。それが、八七年から四年間は百七十万戸という非常に高い水準になったわけで、したがいましてその間において大工が足りない、とび職がいない、しかも大工やとび職の手間賃が高騰する、そういった現象が起きたわけであります。それが現在百三十万戸へ落ちてきている。確かに、百七十万戸から百三十万戸に落ちるというのはかなり急激な落ちではございますが、今の水準そのものは過去に比較してそんなに低い水準じゃないわけで、こういったことを経て初めて次の持続的、安定的な成長ができるわけでございます。  もちろん、それは何もしないと言っているわけじゃございません。したがって、七月以降、公定歩合を下げ市場金利を下げるというずっと一連の金融緩和措置は、こういう調整が行き過ぎたものにならないようにというつもりでやったわけでございますが、現在はやはりこれまでの効果を見守って内外の情勢を注意深く見る。もちろん景気の進行について思い込みをしてはいけませんから、その点は思い込まずに内外の情勢を冷静に見てまいりたい、このように考えております。
  116. 梶原敬義

    梶原敬義君 総裁、住宅問題について異論があり、また後で議論しますが、私は、住宅はある程度国策として、この狭いところで生活している、これは政策的にふやしていかなきゃいけない。それが百十万戸と百三十万戸と百七十万戸の数字の比較ではなくて、政策的に百五十万戸なら百五十万戸で、いい住宅をリフォームしていくなり何やらしてやっていくというような形の物の考え方でないといけない。私はこのように思っておりますから、そこは住宅を景気調節の弁に考えないようにひとつ判断としてはぜひしていただきたいと思います。
  117. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 梶原君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  118. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成三年度一般会計補正予算平成三年度特別会計補正予算平成三年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、梶原敬義君の質疑を行います。梶原君。
  119. 梶原敬義

    梶原敬義君 狂乱インフレしかり、また今度の土地、証券等のバブルしかり、これらを見まして、政府と日本銀行の経済運営、経済政策、これらはもう全く褒められたものではない、反省をしてもらわなきゃいけないと思うんですが、先ほど日銀総裁から住宅着工のことが出ました。  この点について若干触れますと、本院の七月四日の決算委員会におきまして、これは通産大臣、経済企画庁長官が出られた決算委員会で、私が質問をいたしまして、そのときに建設省の住宅局の課長が出席されておりましたが、最近の住宅着工件数の伸びは非常に落ちているのではないか、これは私、地元に帰ってずっと歩いておりまして、いろいろ木材、製材、いや、がたっと落ちましたよと、こう言う。それでどうなのかと聞いたら、いわく、六十一年度、これは最近最低だったと、その状況よりは少し上回るんではないか、したがって百五十万戸は達成できるのではないか、こういう答弁で私はぎくっとしたんです。しかし、まあそのときは自信もなかったから、最後にこう言いました。私が肌で感じたことと今言われていることはどうも違いがあるが、これは一年たってみたらわかることじゃないかと言って私は話を切ったんですが、そういうように当初の見方というのは甘かったんではないか。  先ほど言いましたように、住宅に関してはやっぱり人間生活が、もう国民が快適な生活をするためには最も必要なものでございまして、もう少し政策的に考えていくように政府に重ねて考え方をただし、住宅着工件数の状況をお聞きしたいと思うんです。
  120. 山崎拓

    国務大臣(山崎拓君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、住宅着工件数は落ち込んでおりまして、昨年十一月から十二カ月連続して減少を続けております。四月から十月までの着工戸数は八十二万二千戸でございまして、前年同期比で二二・六%の減少となっております。先生の御地元大分県は特に落ち込みの激しいところでございました、我が福岡県も同様でございます。  こうした状況から本年度の住宅着工戸数は、現段階では本年度の当初の見通しを下回りまして、平成二年度より二〇%前後の減少、百三十万戸台になるものと予測をいたしておるところでございます。
  121. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうするのかです。
  122. 山崎拓

    国務大臣(山崎拓君) 建設省といたしましては、住宅建設の減少が国民の居住水準の向上に支障を来すことがないように対処していくことが肝要であると考えております。このため、住宅金融公庫融資の金利につきまして、十月三十日以降に貸し付け申し込みを受理したものにつきまして御案内のとおりその引さ下げを行うことにいたしました。それとともに、公庫の申し込み受け付け期間の拡大も行いましたところでございます。  今後とも、居住水準の向上を重要と考えまして、住宅建設の動向を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
  123. 梶原敬義

    梶原敬義君 見通しの甘いことについては余り触れませんで、私の地元のことまで触れていただきましたが、大体なってないんですね、いいかげんな見通しを立てて。しっかりしていただきたいと思います。  次に移りますが、本年度の実質経済成長率、内需、外需の別で大体の見通しをお聞きしたい。  それから、来年度の経済の見通しですね、どのように政策的な手を打っていくかという、どのような成長率に持っていくのか、そういう誘導も兼ねて政府の方針をお聞きしたいと思います。
  124. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 今、住宅についてちょっとおしかりを受けたんですが、これは要因別には、もう御存じのことと思うんですけれども、基本的にはやはり地価の先行きに対する見方というものがかなり影響をいたしておることだと思っております。いわゆる分譲、それからマンション、この系統はやはり地価絡みでありまして、先行き値下がり感があるからどうしても買い控え現象がある。それが実は住宅の着工戸数の減少につながっておる。それに対していわゆる公庫を使う持ち家の方はそれに比べて減少割合はかなり少ないという傾向がございます。そういったいわば地価の底値感が出るのか出ないのかというようなことが実は絡んでおるということがあると思いますので、そういう点で見通しの問題についておしかりをいただくのは当然であるとしても、そういう要素もあるということをひとつぜひ御理解いただきたいことだと考えております。  それから、本年度の経済成長率につきましては、先ほど日銀総裁からも経済の現状認識についてのお話がございました。先般のいわゆる七月から九月にかけての国民所得統計の速報によりますと、御案内のとおり、年率ベースで今のところ一・六%という姿になっておるわけでございます。大体これは当初見通しを立てておりました線に沿っておる数字になっておると今のところ考えておるわけでございます。  それで、来年度の経済見通しでありますけれども、来年度につきましては、御案内のとおり、これは予算編成との関連でさらに内外の経済指標をもとに関係省庁で今相談をし、予算編成のころにあわせてお示しをするということになっておりますので、今の段階で数字について具体的なことを申し上げる段階にないということをひとつ御了承賜りたいと思います。
  125. 梶原敬義

    梶原敬義君 何にも誠意ある回答がない。  貴重な時間ですから多く言いませんが、本年度の経済成長率実質何%を見込んでおるのか。それと内需、外需は一体どうなるのか。その点は事務方で結構です。
  126. 吉冨勝

    政府委員(吉冨勝君) お答え申し上げます。  今年度につきましては、四年度についての見通しと同時に今数字を束ねておるところでございますので、内需と外需の比率についても申し上げることが残念ながらできません。
  127. 梶原敬義

    梶原敬義君 補正予算を提案しておって、それの見通しが立たぬで、要するに三・八%の成長率、ほぼそれでいくということですか。
  128. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 今、局長から申し上げましたように、今まさに調整中でございます。その点をぜひ御了承賜りたいと思います。
  129. 梶原敬義

    梶原敬義君 こんなことではだめだね、専門家は。
  130. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 今まさに調整中でございまして、具体的な数字について言及することはお許しをいただきたいということでございます。  ただ、当初は見通しを三・八と見込んでおるわけでございますが、ほぼその線に沿って推移をしているものだと見ております。
  131. 梶原敬義

    梶原敬義君 民間の調査機関や何かの数字ではもう少し厳しくなるんではないか、その辺でなかなか物が言いにくかったんではないかと思うんですが、率直にその辺は物を言っていただきたいと思います。  来年度の経済見通しの問題についても非常にあいまいで、これはもうどうも私としては納得できません。しかし、今からもう来年の見通しを立てようというときですから、景気対策について幾つか考えておられると思うんですが、その辺のことを述べてください。
  132. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 午前中も現在の景気の情勢の認識についての御議論がございました。日銀総裁から申し上げました大体その線で今日推移をしておることだと思っております。  率直に申し上げて、先ほど来御指摘がありましたように、過去の経済の情勢がやや過熱ぎみであった、そういった姿、それからいわゆるコアインフレ率といいますか、生鮮食料品とか石油製品を除くそういった大事な消費者物価の指数の中におけるコアインフレ率、あるいは卸売物価の指数などを見ますと、インフレが顕在しかねない情勢にあった。そういったところから金融引き締めという姿になってきた。そして今、なだらかにいわば堅実な消費行動あるいは健全な企業経営、こういったものによって支えられていく内需中心型のインフレのない安定成長路線に今移行しつつある段階にある、こういう情勢だと認識をいたしております。したがって、いわゆる景気対策としてのアクセルを今吹かすというよりも、どちらかというとかけてきたブレーキを外していくというか、そういう姿になっていくのではないか。  ただ、そういいましても、この数値そのものほかなりいろいろばらつきのある数値でありますけれども、やはり経済そのものは人間が担っておるわけでありまして、それぞれの消費者なり企業家なりのマインドというものが非常に大事な要素で、先行きについて私どもが考えております以上にそういう意味での警戒心が広がっておるのではないかと私どもは見ております。  そういった意味で、景気に対するそういった物の見方をどういうふうにみんなが落ちついた気持ちで見ていただけるか、そういったことを念頭に置いてこれから金融のあり方についてもあるいはまた財政政策についても判断をして、機動的な適切な処置をとっていかなければいけない。今回、いわゆる公定歩合の引き下げに続いて、この補正予算絡みで財投の面で追加なりあるいは弾力条項の活用によってかなり大幅なそちらの面での手当てが行われておるし、来年度の予算編成に向けてもそういった配慮は必要なことであると私どもは認識をいたしております。
  133. 梶原敬義

    梶原敬義君 補正予算に我が党は賛成ですが、今のような答弁を聞いていまして、これは賛成していいのかどうなのか疑問を持ちますよ。  経常収支の黒字幅が拡大しているやに報道されておりますが、一体どうなっておりますか。そして見通しは。
  134. 吉冨勝

    政府委員(吉冨勝君) 経常収支の黒字は当初の予想よりもふえつつあります。  この内容を見ますと、一つには、金投資口座にかかわる金の輸入の減少、もう一つには、対EC向けのドイツ統一に伴う輸出の増大、それから東南アジアにおける輸入の堅調による日本からの輸出の増大、それから円高による我が国のドル建て輸出価格の上昇といったようなことが重なって黒字の増大が生じております。
  135. 梶原敬義

    梶原敬義君 今、どのくらいかと言っているんですよ。
  136. 吉冨勝

    政府委員(吉冨勝君) 当初予想に比べまして約二百五十億ドルほど余分にふえつつあります。
  137. 梶原敬義

    梶原敬義君 トータルで。
  138. 吉冨勝

    政府委員(吉冨勝君) 約七百億ドル近くかと思います。
  139. 梶原敬義

    梶原敬義君 委員長、もう短い時間で言っているので、率直に答えていただくように委員長からひとつ言ってください。
  140. 中村太郎

    委員長中村太郎君) わかりやすく答えてください。
  141. 梶原敬義

    梶原敬義君 貿易黒字もありまして、これから来年に向けての景気対策、公定歩合は一体どうしようとしているのか、金融操作、金融対策はどうするのか、公共事業は一体どうするのか、財政投融資は一体どうしようとしているのか、そこいらについてまとめてぴしっとわかるように答えてください。
  142. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まず、今お話がございました金利についてどうするのかということにつきましては、もう先ほど日銀総裁からもお話があったところでありますけれども、ともかく先ごろ〇・五%公定歩合を下げたということでございまして、それと同時に、今市中金利を下げていこうという実は努力をいたしておりますところで、今、金利についてどうこうと言える段階ではないというふうに思っております。  ただ、今経済企画庁長官からもお話がありましたように、財政投融資につきましては特別な考え方を持ってきたということでありますし、公共事業については先ほど来お話がございましたように、やっぱり生活開運というものを中心にしながらこれを進めていこうということ、あるいはその他の公共事業等につきましても、これを推進しようということで新たに二千億円というものを考えておるというようなことで我々は対応いたそうといたしておるところであります。  そのほか、金融引き締めの方にもう一つ戻りますけれども、例の総量の枠を土地対策のために立てました。この問題につきましては、やっぱり土地が非常に高騰したということで対応したということでありますし、また貸し出しか一般の貸し出しに比べて非常に大きく不動産関係に伸びておったということで、これを抑えることが重要であろうということで対応してきたところ、このところ非常に順調にほかとの対比では高くなっておるという状況がございますから、こういうものに対して国土庁が今調査しているものを見きわめながら、私たちも機動的に対応すべきであろうというふうに考えております。
  143. 梶原敬義

    梶原敬義君 内需、外需の別については先ほど聞きましたが、今出ませんか。
  144. 吉冨勝

    政府委員(吉冨勝君) 三年度の見通しにつきましては、先ほど申し上げましたように、計数を内需、外需、GNPについてはじいているところでございますので、四年度の見通しと同時に提出することになるかと思います。それまでしばらく御勘弁願いたいと思います。
  145. 梶原敬義

    梶原敬義君 どうも困りますね。  それでは、補正予算に入ります。  これは、補正予算、賛成でございますが、税収見込みが当初に比べて非常に落ち込んだ、その見込み違いというものについて説明を願いたいと思うんです。
  146. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まず、税収の減額補正について申し上げますと、法人税につきまして一兆八千九十億円、それから特に有価証券取引税、これについて五千二百八十億円、それから町紙収入につきまして、不動産の低迷を反映しました登録免許税の低調によりまして四千四百五十億円ということで、合わせて二兆七千八百二十億円、これの減額補正を計上することといたしておるということであります。
  147. 梶原敬義

    梶原敬義君 補正予算の中身ですね、歳入と歳出の。資料をいただいておりますが、大まかにその中身について説明をお願いしたいと思います。
  148. 斎藤次郎

    政府委員斎藤次郎君) お答えいたします。  平成三年度の一般会計補正予算は、三年度税収の大幅な減収に対処するということと同時に、各地を襲った台風による災害等の復旧とか人事院勧告の実施に伴う国家公務員等の給与の改善等、特に緊要となった事項について措置を講ずることといたしたものでございます。  税収につきましては、今大臣から御説明がございましたように、二兆七千八百二十億円の減収を見込んだところでございます。これに対処するために、既定経費の徹底した節減、税外収入の確保、追加財政需要の圧縮等を行うとともに、建設公債につきましては、大幅な税収減に対応するためのやむを得ざる措置として、災害関係経費追加等に対応するものを含めて追加発行することとしたところでございます。しかしながら、これらをもってしてもなお財源が不足しますものですから、前年度の決算上の剰余金九千九百八十四億円につきまして、臨時異例の措置ではございますが、その全額を不足財源に充当することといたしておるわけでございます。  そういうことで、全体といたしましては、規模といたしまして二千六百六十億円の補正規模となっております。
  149. 梶原敬義

    梶原敬義君 七千億円を超える既定経費の節減というのは、これを見て私は最初にびっくりしたんですが、この点について説明を求めたいと思います。
  150. 斎藤次郎

    政府委員斎藤次郎君) 既定経費の節減でございますが、行政経費等既定経費の節約額及び見直しによる不用等の減額を行うものでございまして、内訳を申しますと、一番大きいのは金利低下等による国債費の見直しによる不用額五千五十四億円、これが一番大きなものでございまして、そのほか雇用保険の国庫負担金等の見直しによる不用額が千七百三億、それから行政経費等既定経費の節約額が七百三十億ということで、これらを合計いたしまして七千四百八十七億円の既定経費節減を計上しているわけでございます。
  151. 梶原敬義

    梶原敬義君 二兆八千億円の財源不足というような大体見通してございますが、これは自信はおありですか。
  152. 石坂匡身

    政府委員(石坂匡身君) 二兆七千八百二十億円の歳入の減額補正をお願いしてございますが、その内訳は、先ほど大臣から申し上げましたように、法人税、有価証券取引税、印紙収入でございます。これを最近の実勢をよく見きわめまして、また、これから先行きにつきましていろいろヒアリングをいたしまして数字を積み上げたものでございまして、現時点におきまして私どもは最も適正な数字である、このように考えております。
  153. 梶原敬義

    梶原敬義君 それでは、ちょっと補正予算の中身について質問いたしますが、これをちょっと眺めてみまして、災害関係経費追加が六千八十四億円、こうあるんですね。そしてその中で、特に今度の災害というのは十七号、十九号の台風による被害が非常に大きかった、しかし非常に多くの部分は建設省の河川関係の経費が大半を占めている。風倒木関係に対する予算というのが少し心配になるんですが、先ほど言いましたように、この災害の経費の内訳、その考え方について御説明をお願いします。
  154. 斎藤次郎

    政府委員斎藤次郎君) 災害関係補正予算の計上に当たりましては、まず被害額を把握いたしまして、その被害額をもとに各省と折衝を行って必要額を計上するという経過をたどっております。  災害の関係経費につきましては、私どもいわば最優先の事項として必要なものはすべてこれを認めるということで編成方針を行っておりまして、個々の項目については御質問があれば各省含めて回答いたしたいと思いますが、私どもといたしましては、少なくとも各省から要望額があったものについては十分な計上をいたしておるつもりでございます。
  155. 梶原敬義

    梶原敬義君 林野庁にお尋ねしますが、風倒木の処理状況が一体どうなっているのか、これが第一点。補正予算上はその処理及び治山、二次災害防止の観点から見てこれはちょっと不十分ではないか、そういう感じを持ちますが、その点、三番目に、激甚法の適用期間がこれは五年となっておりますが、それまでに風倒木を片づけ、また造林ができるようにやらなきゃいけないが、そういう決意があるのかどうなのか、やれるのかどうか。やっそもらわなきゃいけないと思うんだが、いかがですか。
  156. 小澤普照

    政府委員(小澤普照君) お答え申し上げます。  最初に風倒木の処理状況でございますけれども、今次台風によりまして大変大量な被害木が出ておるわけでございます。この迅速な処理を行う必要がございまして、このために幾つかの措置を講じたいと考えております。これにつきましては、この補正予算で措置をしていただく点と、それからもう一つは、やはり人手不足というような現地の状況もございますために、これらを総合して対応してまいりたいということでございます。  人手問題につきましては、各県内におきまして被害の軽微な地域から応援派遣をするということ、あるいはまた被害の少ない県等からの応援派遣、これも考えておるところでございます。それから、通常の伐採を被害木整理へ振りかえていくということも必要かと思っております。さらにまた、作業を効率的に実施するために大型の林業機械をこの際導入してまいりたいというように考えておるわけでございます。  また、国有林関係につきましても被害が発生しておりますけれども、国有林の技術、能力等に対しまして民有林の方からの応援の派遣要請もございます。このようなことから、国有林自体の復旧対策との調整を図る必要もございますけれども、これらを含めこの応援につきましての検討もいたしているところでございます。  なお、さらに二次災害防止等の観点からも復旧を進める必要がございますので、これにつきましては、まず森林災害の復旧事業につきまして、これは公益機能確保の観点から緊急を要する箇所から優先実施していくということを考えておりますし、また倒木等が次期降雨等によりまして流出して、人家、公共施設等に被害を与えるおそれがある箇所につきましては、災害開運の緊急治山事業というような形で実施してまいりたいということでございます。  これらに必要な予算につきましては、平成三年度の補正予算案に所要予算を計上させていただいているところでございまして、金額を申し上げますと、二つに分かれておりますが、一つは山林施設災害復旧事業二百十三億七百万円、それから山林施設災害関連事業につきましては百九十七億一千六百万円ということで、過年災を一部含んでおりますけれども、合計いたしまして四百十億二千三百万円ということでございます。  なお、復旧期間につきましての御質問がございましたけれども、これにつきましては、緊急に復旧いたしたいということと同時に、森林の風倒木等につきましては被害木の搬出処理及びその跡地の造林がございます。これは当年度を含めましてあと四年間、都合五年間ということを一応考えまして、この中で極力復旧を図るように総合的に実施してまいりたい、このように考えております。
  157. 梶原敬義

    梶原敬義君 大変な林業災害でありますし、総理内閣挙げて緊急に取り組んでいただきたいと思います。  次に、貿易保険補正の必要性及びその額について御説明をお願いいたします。
  158. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) お尋ね貿易保険の件でございますが、十月四日に発表した人道的支援、貿易経済活動円滑化のための支援、技術的支援から成る総額二十五億ドルを目途とする対ソ支援の中で、貿易保険としては十八億ドルの貿易保険引受枠を設定しております。  他方、貿易保険特別会計の収支は、リスケジュールの多発に起因する多額の保険金支払いの発生などにより悪化してまいりました。特に本年度においては、国際間の合意に基づきポーランド及びエジプトに対する債務軽減措置が決定されたため、今回の補正予算においてこの債務軽減を実施するために必要な資本金二百三十五億円を一般会計から貿易保険特別会計に繰り入れることといたしました。
  159. 梶原敬義

    梶原敬義君 時間があれば対ソ支援の問題は後から触れていきたいと思うんですが、貿易保険の赤字というか、その問題でイラクに対する貿易保険の滞納というんですか、その総額はどのくらいですか。二千億ぐらいと聞いておるんですがどうですか。これはちょっと通告してなかったから……。
  160. 高島章

    政府委員(高島章君) お答えをいたします。  保険が掛かっております債権、イラク向けのものは約三千億でございます。
  161. 梶原敬義

    梶原敬義君 そのうち滞っておるのは大体二千億ぐらいですか、三千億。――じゃ、後で結構です。
  162. 高島章

    政府委員(高島章君) 二千億を少し上回るかと思います。
  163. 梶原敬義

    梶原敬義君 その点はまた後日に回したいと思います。  次に、雲仙・普賢岳の噴火、非常に長引いておりまして、なお非常に危険な状況でございます。今、仮設住宅に住んでいる人たちはこの寒さで、ごたつの支給はあったんだけれども、こたつをもらったら、しかし今度は住む部屋が狭くなっている。そういう問題とかすき間風の問題もありますし、非常に苦しんでおります。また、特に農家の皆さんはとれる農作物あるいは畜産、これがだめになった。これらの補償を何とかしてほしいという願望が強いようであります。そして、来年度の見通しは立たない、こういう状況のもとで今度補正予算を組まれておりますが、その中身、総額七十一億円弱の内容についての御説明をお願い申し上げます。
  164. 東家嘉幸

    国務大臣(東家嘉幸君) お答えいたします。  雲仙岳噴火災害の被災者等に対する救済対策については、追加財源が必要となる経費は、今おっしゃられました七十一億五百万円を補正でお願いいたしているところでございます。  その内訳については、民生、中小企業、教育、降灰防除、土木、火山観測・監視等々の六項目に分かれているわけでございますが、六項目にわたってお答えいたしましょうか。
  165. 梶原敬義

    梶原敬義君 はい。
  166. 東家嘉幸

    国務大臣(東家嘉幸君) まず、民生対策経費が十五億二千万円でございます。中小企業対策二十三億円、教育対策費二億六百万円、降灰防除対策経費二億二千三百万円、土木対策経費が二十四億三千八百万円、それから火山観測・監視等経費が四億一千二百万円となっているわけでございます。  なおまた、今日までまだ活動がやみませんので、基本的な計画等については立てられない状況にございますけれども、しかし鎮静化後については早急にこの対策が講じられますように、民生安定、活性化等々も含めて、防災対策等々も踏まえて十分その対処ができるように今検討しているところでございます。
  167. 梶原敬義

    梶原敬義君 ぜひ、雲仙にはきめ細かい対応をこれからもまた続けていただきたいと思います。  次に移ります。  来年度の増税に関する新聞の記事が毎日のように出ております。政府税調あるいは大蔵省のこと、あるいは自民党の税調、もういろいろ出ておりますが、私は、安易な増税をやる前にやっぱり歳出削減、要るものは要る、要らぬものは要らぬ、不要なものはできるだけ切っていく、そういう厳しさが前面に出なきゃならないと思うんですが、その点については大蔵大臣、いかがですか。
  168. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) もう御指摘のとおりでございまして、私も実は大蔵大臣になっておめでとうと言われるんですけれども、話聞いたら決してだれもおめでとうという言葉も逆に返上するぐらいいろんな問題について既定の経費を削減しなければならない、あるいは制度についても見直していただかなければならないということを実は皆さんに申し上げておるということでございまして、私ども別に今まで放漫のあれをやったつもりはないと思いますし、また我々もそうではなかったと思いますけれども、しかしいずれにしましても、今日まで大きく膨らんだものにつきましてこれをもう一度見直していくということが大事であろう。特に時限の来ているもの、これをただいつももう一度延期しましょう延期しましょうといってやってきているんですけれども、目的を達成したもの、こういったものについてもぜひ御理解をいただきながらそういったものを削減していくというような対応をしなければいけないというふうに思っております。
  169. 梶原敬義

    梶原敬義君 私は決算委員会で長いことやってきたんですが、いろいろ決算をやっていますと大変問題が出るんです。会計検査院もお見えだと思いますが、会計検査院の指摘事項、それぞれあると思いますが、六十一年から二年まで、会計検査院の検査の概略について御報告いただければと思います。
  170. 阿部杉人

    説明員(阿部杉人君) 昭和六十一年度から平成二年度までに検査報告に掲記されました掲記事項の概要を申し上げますと、六十一年度は百五十六件、金額にして二百十四億三千万円でございます。六十二年度が二百九件、百七億円。六十三年度は二百二件、百五十一億一千万円。平成元年度が二百二十件でございまして、百四十三億九千万円。平成二年度が二百六十二件、百三億六千万円でございます。
  171. 梶原敬義

    梶原敬義君 ざっとこれを縦に今のを足しましたら、昭和六十一年から二年までに七百二十億円ぐらいになっているんですね。会計検査院の検査率というのは全体の八、九%ですね。その中からこのくらいが出てくるんだから、全部本気でやりますと、ODAも最近やって少し出ておりますが、たくさんいろんな問題が出てくると思うんですよ。ODAの問題やあるいは土建業者のそれぞれ談合の問題とか、メスを入れればもうこれは切りがないと思うんですが、その点については触れませんが、ぜひしっかり対応していただきたいと思います。  一つの例を挙げます、原子力船「むつ」。これは一体いつ計画をして、いつ幾らの計画で、いつ終了予定、目的を達成する予定だったのか、科学技術庁長官にお尋ねします。
  172. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  原子力船「むつ」は、放射線漏れが原因となりまして開発計画が大きく変わったものでございます。今先生御質問の当初計画でございますが、これを昭和四十七年度時点に立ちましてお答え申し上げますと、期間はこの開発に着手いたしました昭和三十八年度から昭和四十九年度までの十二年間という計画でございました。ちなみに、その昭和四十七年度時点までに要しました経費は決算ベースで約百三十二億円でございました。
  173. 梶原敬義

    梶原敬義君 これまで「むつ」に投入した金額は幾らになっておりますか。
  174. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げました昭和四十七年度ベースと基準を合わせまして平成元年度末ベースで申し上げますと、平成元年度末までに要しました経費は、決算ベースで約一千七十億円でございます。
  175. 梶原敬義

    梶原敬義君 本年度予算と来年度予算要求をしております。その金額ですね、その二つを新たに教えてください。
  176. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  平成三年度の予算でございますが、これにつきましては約三十八億円でございます。平成四年度の概算要求もおおむね同額の要求を現在させていただいております。
  177. 梶原敬義

    梶原敬義君 「むつ」につきましては、本院の決算委員会、本院における警告決議が、これは本会議でなされたと思うんですが、その内容はどうなっておりますか。
  178. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  原子力船「むつ」に関しましては、本院で関係いたしますもの、二度にわたりまして警告決議をちょうだいしておるところでございます。  その一つは、昭和五十一年度決算に関します警告決議でございまして、これは昭和五十五年の四月二十三日に決算委員会においてちょうだいしたものでございます。その中身は、「政府は、原子力船「むつ」開発をめぐって発生した種々の問題の経緯を反省し、国費の効率的使用について十分に配慮することはもとより、安全性の確保と将来における本船」、すなわち原子力船「むつ」、「についての基本的な考え方を、より鮮明にすべきである」という趣旨のものでございます。  それからいま一つは、昭和五十九年度決算に関する警告決議でございまして、これは昭和六十二年の七月三日、決算委員会より賜ったものでございます。これにつきましては、原子力船の遮へい改修等に関しますものでございますが、これは長崎の魚価安定基金について、「政府は、国費の効率的使用の観点からも、可及的速やかに長崎県との協議を整え、早期返還が図られるよう努めるべきである」という趣旨のものでございます。
  179. 梶原敬義

    梶原敬義君 谷川長官、私ども消費税廃止法案を出したときには、これらの問題はあなたからも三時間ぐらい質問を私ども受けましたが、全部政府委員は答弁せぬまま我々は自分でやったんですよ。いかがですか。今言いました総トータルですね、ことしの額も入れますと千百億を超えるんですが、これは全部資金コストがかかっておりますね。だから、これは民間流に考えますと、全部金利がかかってさらに累積していくんですね。単利で一体どのくらいになると思いますか、複利で民間流にいきますと、この一千億というのはこれまでどのくらい金を投入したことになりますか。
  180. 谷川寛三

    国務大臣(谷川寛三君) 計算のやり方にもよりますが、千七、八百億になりましょうかね。  ただ、申し上げたいことは、確かに修理に時間がかかりましたし、新しい母港の確保にも時間がかかりました。そのために巨額の経費がかかりましたけれども、世界有数の造船国である、それからまた海運国である日本としまして、また激動する国際情勢の中で、石油の価格も長期的に見まして安定しているという保証はありません。そう考えますと、どうしても原子力船の研究は怠ってはいかぬと思うのでありまして、「むつ」を中心にして実験航海をしながら研究をしてきておるわけでありまして、結局それはむだであったということにはならぬと思っております。
  181. 梶原敬義

    梶原敬義君 警告決議指摘をされて、しかも六%の単利で計算しても約二千億を超えておる。六%の複利でいきますと三千億ぐらいになる、ずっと。そういうことをもう警告決議があっても延々と続けている。この点については反省をしてもらいたいと思うんですね。そういうのがいっぱいあるんですよ。総理、どうですか。
  182. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 善意でやったことでございますけれども、振り返ってみますと、まことに原子力船「むつ」というのは長い長いいきさつがありました。我が国のような、諸外国から見ればミスの少ない国ですけれども、やっぱりそういう思わない経緯というのはあるものだなという感じをいたしております。これは一種の会計上の非違事項というよりは、やはり何と申しますかポリシーの運び方、また、それについて世の中の思わない批判が起こったというようなことについての問題点はそういうところであっただろうと私は思っております。
  183. 梶原敬義

    梶原敬義君 これ廃船にするのに追加経費はさらに幾ら要るんですか。
  184. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。  原子力船「むつ」につきましては、現在の状況でございますけれども、本日、最後の実験航海を終えまして十時三十分に青森県関根浜の港に帰ってまいりましたところでございます。これを踏まえまして今御質問の解役の計画を詰めるわけでございますが、解役の計画につきましては、地元青森県からちょうだいしております御要望等をも踏まえまして、後利用の仕方も考えながら解役の計画を現在検討中でございまして、現在まだ具体的な計画に絞ってございません。その意味では、所要経費もまだ申し上げる段階ではございません。
  185. 梶原敬義

    梶原敬義君 幾らぐらいかかるのかというんです。だめです、そんなの。
  186. 石田寛人

    政府委員(石田寛人君) 重ねてお答え申し上げますけれども、原子力船につきましては、解役の方法によりまして相当所要経費が変わってまいるということもございますので、今のところ具体的な解役計画が決まらないという状況でございますので、数値をお答え申し上げられないことをぜひ御了解賜りたいと存じます。
  187. 梶原敬義

    梶原敬義君 じゃ、予算委員会がまたあとありますから、引き続いてやります。  平成四年度の予算に当たりまして、当初は財源不足が六兆円だ、こういう新聞記事、大蔵省は随分流しました。それで、我々のところにもこれは困ったといって地方からどんどん来るんですね。そして、最近は二兆二千億だ、こういうことを言って、どうもきょうの新聞では八千億ぐらいじゃないか、こう言っておるんですが、どうしてそういうことが次々に出てくるのかどうも不可思議でならない。その点はいかがですか。
  188. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この点につきましてはもうよく御案内のとおりだと思うんですけれども、査定、査定といいますか算定するに当たりまして、いろいろな今までの経過というものをこうやって見詰めながら一応の概算を出すということでありまして、概算の中の概算ということで六兆円というのは実は出てきたわけでありますけれども、いよいよ予算編成期が近づいてまいりまして、さらにその精査したものの中で二兆円という数字が実は出てきておるということでございます。
  189. 梶原敬義

    梶原敬義君 予算編成に当たりましてどのくらい不足だというんですか、今の時点で、では言えるのは。
  190. 斎藤次郎

    政府委員斎藤次郎君) 先ほど申しましたように、私ども全く非公式な段階でいろんな数字を検討しております。そういうことでございまして、今まさに最終段階に入っておりまして、税収の見積もりがどうなるか、税外収入をどれほどいただけるものか、あるいは一般歳出てどれぐらいカットができるか、地方交付税の問題が先行きどうなるか、いろんな実は未定稿がございまして、現在の段階で明確にどれぐらい不足するというようなことはまだ明確に申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
  191. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、新聞には出て我々には言えないというところが困るんですね。まあいいです。  それで、消費税の問題についてはどのように総理大臣は考えておられるのかお尋ねしますが、新聞ではかつて、去年の総選挙の前に五党首の公開討論をやりまして、海部総理大臣は当時、小売段階については非課税にするという案を選挙公約しておりますが、選挙公約は選挙が済むまで、選挙前と今度の次の選挙が来るまでが選挙公約の範囲ではないか、自民党のですね、そう思いますが、いかがですか。
  192. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これにつきまして各党間でいろいろ御協議がございました。十月でございましたか、ある部分については御協議が調い、残りの部分については御協議が調わなかったというふうに承知をいたしておるところでございますが、御協議の調いました分につきまして修正、修正と申しますよりは手直しをいたしました。それが定着することを私ども今こいねがっておりまして、いわゆる三%の税率を非常に財政事情が苦しいのでどうかというお尋ねでございますれば、私はそういうことは安易に行うべきものでない、国民の御理解が得られない以上はそういうことを安易に考えるべきでないというふうに考えます。
  193. 梶原敬義

    梶原敬義君 公約でありますか、公約はいつまで有効かどうかという常識的にちょっと、選挙前に海部さんが公約をして……
  194. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税率の。
  195. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、税率じゃない。消費税の小売段階の食料品の非課税問題について。
  196. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題につきましては、たしかことしの十月に国会を通していただきまして、両院合同協議会の結果、議員立法によりまして通していただきました。そのときに例の食品、今御指摘のございました食料品の問題につきましてもどうするかというお話があり、これは両院合同協議会の中でお話しになりましたけれども、十月二十三日に開催されました協議会におきまして、各党・会派の意見の隔たりが大きいということでその一致が見られなかったというふうに私ども伺っておるところでございます。  そういう意味で、いずれにしましても私どもといたしましては、この十月に改正していただきました、修正していただきましたこの制度というものを定着させる、これを今見守っておるということでございまして、また全体の税率については今私どもは考えておらないということを申し上げたいと思います。
  197. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことを聞いているんじゃないんだ。(「選挙の公約の有効期間」と呼ぶ者あり)
  198. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 有効期限ということになりますと、私ごときがお答えするべきことではないかと思いますけれども、やはり公約は公約として私どもは、その選挙のときの公約ですから、当然その次の選挙ということはこれは基本的なことにはなるであろうと思っております。  ただ、その中にいろんな動きが出てくることがあります。そういったときに一体どう対応するのか、このことはまた率直に国民の皆さんに訴えるべきであろうと思います。もしこれが国民の皆さんに理解されなかったなら、私どもとしてはこれは国民の指弾を受けるということになるであろうというふうに思っております。
  199. 梶原敬義

    梶原敬義君 公約について、総理の見解を。
  200. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今、大蔵大臣が大変きちんとお答えになられたと思うのでございますが、私もそういうふうに思っております。
  201. 梶原敬義

    梶原敬義君 要するに、小売段階は消費税を非課税にするという自民党の公約は、選挙前にした公約はこの次の選挙が来るまでは生きているということですね。いいですね。そうでしょう。
  202. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大蔵大臣の御答弁の趣旨は基本的にそうではございますけれども、その後、世の中の情勢、経済環境等々いろいろ変わってまいりますから、そういう中で国民の御理解を得たいという場合もあるであろう。もし、そうでないのにお約束を守らなければ、それは指弾を受けるであろう、こういうお答えであったと思います。(「名答弁」と呼ぶ者あり)
  203. 梶原敬義

    梶原敬義君 めいも迷う方ですね、迷う答弁ですね。  それで、選挙の公約は選挙から選挙というのは、私は好意的にそう受けとめました。  それから、消費税の税率問題は、当然考えられぬことですが、いろいろなニュアンスがありますが、総理もやらないというような答弁と受けとめました。それでいいですね。
  204. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 国民の理解が得られないものはやれない、またやるべきでないと考えます。
  205. 梶原敬義

    梶原敬義君 財源対策といたしまして、赤字法人あるいはみなし法人税の問題がよく出ておりますが、これは一体どのように考えておられるのですか。
  206. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、今政府税調あるいは与党の税調の方でも検討いただいておる問題でございまして、今申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
  207. 梶原敬義

    梶原敬義君 何か自民党の方で国際貢献税というものを考えておるというのは、これはどういうこと。どのように自民党総裁としては……。
  208. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この点につきましては、私も昨日事務方が党の方に招かれましてこういう話を聞きましたということを承ったところでございます。  党の方といたしましても、厳しい中にあってこれから国際的な貢献というものを一体どうしたらいいのかということを税調あるいは党の幹部の皆さん方もいろいろとお考えをいただいておるということでございまして、私どもも今後こういった問題について話し合っていきたいというふうに思っております。
  209. 梶原敬義

    梶原敬義君 なかなか困りますね。  石油臨時特別税について、この内容を若干説明していただいた上で、どのように対応しようとしているのか、きょう新聞に出ておりましたが、お伺いをいたします。
  210. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 基本的には、これはまさに臨時特別に行った税であるということでございますから、それを長くするということについては考えてはいけないことなんでありましょう。  いずれにいたしましても、今この問題につきましても税調の方で議論していただいておるということであります。
  211. 梶原敬義

    梶原敬義君 石油諸税について、どんなものか説明をしていただぎたい。  それから、石油の年商売上税はどのくらいか。その中で石油諸税の占める額は一体どうなっているのか、お伺いします。
  212. 石坂匡身

    政府委員(石坂匡身君) 我が国の石油にかかる税のうち、国税といたしましては、原油等に対しまして石油税及び石油臨時特別税、ガソリンに対しましては揮発油税及び地方道路税、航空機の燃料に対しましては航空機燃料税、それから自動車、石油ガスに対しましては石油ガス税、あるいはほかにも輸入の段階で原油等の関税がございますし、地方税としては軽油に対して軽油引取税というものがあろうかと存じます。  その負担の割合でございますが、ガソリン一リッターというものを例にとってみますと、小売価格が九月平均の百二十九円程度といたしまして、その中に占める負担割合は約四七%でございます。
  213. 梶原敬義

    梶原敬義君 業界では、売上高十四兆のうちの大体四兆円が石油諸税で財政収入として入ってくる、そういうことですが、内外価格差が非常に厳しく言われているときに、また消費者のことも考えて、これをさらに続けるというのはなかなか国民感情も許さないと思いますが、この点については大蔵省、いかがですか。
  214. 石坂匡身

    政府委員(石坂匡身君) ただいま申し上げましたように、石油には確かにさまざまな税負担がかかってございます。その中には、使途が特定された財源等もあるわけでございまして、その負担の割合は先ほど申し上げたようなことでございますけれども、これは諸外国と比較をいたしますと、アメリカに対しましては確かに負担の割合が高こうございますが、ほかの欧米諸国に比べますとそうとも言えないというふうな点もございます。  いずれにいたしましても、この全体の税の扱いにつきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
  215. 梶原敬義

    梶原敬義君 大臣から。
  216. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今まさにお答えを申し上げたとおりでございまして、何というんですか、これについてのいろんな批判があることはありますけれども、しかし今お話がありましたように、アメリカと比較しますと、確かに日本の場合には負担が高いということでありますけれども、そのほかの国と比べると決して高いということでもないというふうに思っております。しかし、産油国の中から日本に対する批判があるということを私も報道なんかで承知しておるということを申し上げておきます。
  217. 梶原敬義

    梶原敬義君 もうそれ以上それは答えは出ないと思うんです。要するに、これは高いですよ、税金、百二十円のうちに五〇%近く払うというのは高いですよ。さらにこれを取るということは常識で考えられぬ。これは即刻総理大臣、こういうときには決断をせなきゃいけませんよ。申し上げておきます。  次に、地方交付税交付金のことがまた新聞に出ておりまして、何か一兆二千億円減額する、また地方の固有財源にしわ寄せするということ、これまた認められることではございませんが、どういうことなんですか、きょうの新聞等に出ておることは。
  218. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 予算編成時期が近づいできますと、こういう幽霊みたいなのがほわほわと飛び出しまして、さっぱりわかっておりません。私、そこで全然そんな話もございませんし、しかし国と地方は絶えず財政上の調整はしなきゃならぬと思っております。しかし、その実額は全然私らの方にもございませんし、先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたように、これからがいよいよ査定の正念場に入るんだろうと、こういうことを思っておりまして、いずれそういう折衝があるだろうと思っております。  しかし、この際にはっきりと申しておきたいと思いますことは、交付税の制度の根幹にかかわるようなことは私たちは絶対容認できないと思っております。財政調整はこれは時の状況がいろいろございますし、地方財政が困ったときには何兆円という資金を国から融通してもらっておりますので、その限りにおいては私はやっぱり国と地方と協調していくべきだと思いますが、制度改正につながる問題は絶対容認できない、こういう姿勢で臨んでいきたい、こう思っております。
  219. 梶原敬義

    梶原敬義君 本来ならここで総理大臣、やっぱりきちっと、地方の三千三百の自治体の皆さんが見守っておりますから、これはやらないと御答弁願いたいんですが、できますか。
  220. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題につきまして、本来、大蔵大臣は地方財政の運営に支障を来すようなことは自分は考えていないと言っておられますし、ただいま自治大臣の御答弁は、自分として譲ってはならない原則というものがある、しかし財政事情等々について考えるべきところもあるであろう、こういうお答えでございますので、大体お二人がお話しになられますといいところに結論が行くんではないかというふうに考えております。
  221. 梶原敬義

    梶原敬義君 それじゃ、そのいいところは削るということじゃないでいいところと、このように受け取っておきます。  ことしの補正予算、そして来年度予算に向けまして、いろいろ承りますと、どうも真剣に仕事をなさっておるのかどうなのかということが疑いたくなります。防衛費を削減するにしても、これはかって濱口雄幸内閣、あるいは井上準之助さんが決意をしてやったぐらいの決意がないと、命をかけてやらないと、そんなに簡単にはいかない。総理以下大蔵大臣の決意を促したいと思います。  次に行きます。  それで、米の問題と、あと一、二質問をいたしますが、米問題がガットのウルグアイ・ラウンドで非常に重要な段階を迎えておるのは御承知のとおりでございます。どのようにその交渉の現局面はなっているのか。けさのテレビ放送もありました。その点についてお伺いをいたします。
  222. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) お答えを申し上げます。  ウルグアイ・ラウンド農業交渉については、これまで行われてきました技術的検討を踏まえてやっておったわけでありますが、その後政策レベルでの判断をすべき段階に入っておると思います。十一月二十日から高級事務レベルによる非公式協議が行われております。その一方、アメリカ・EC間においては輸出補助金、これが対立点を埋めるべく努力をしておるわけであります。  今後の交渉でありますが、きょうから非公式八カ国会合、これは二十日に向けて精力的に行われるものと判断をいたしております。
  223. 梶原敬義

    梶原敬義君 農水大臣に答えていただくより、むしろ総理大臣、ソ連の状況を見ても、やっぱり食べるものがああいう形で不足しているというところに難しい問題が出ていると思うんです。日本の今日というのは、やっぱり食糧、米が特に国民の経済の中にしっかりと根づいております。これが我が国日本の安定の一つの基盤をつくっていると思うんですね。米だけは私どもはどうしても、これは瑞穂の国日本の米はやはり自給でいくという体制を、これを先ほど言いましたように、アメリカヘ行ったってヨーロッパヘ行ったって、テレビにでも出でどんどん訴えてほしい。どうしてもそれは総理としてかたい決意を持って対処していただきたいんですが、この点については政府を代表して総理大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  224. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 我が国の各種の食糧、穀類等々の自給率が四〇%、五〇%を割っておるという現状の中で、国会がしばしば米について御決議をなさる、これは自給を基本とせよ、国内産で自給することを基本とせよという意味は、そういうほかの食糧に見るような状況になってはいけないという御趣旨と私は存じておりますので、国会の御決議を基本として交渉しなければならないと思っております。
  225. 梶原敬義

    梶原敬義君 もっと強い決意をいただきたかったんですが、まあやむを得ないと思います。ぜひ頑張ってください。  次に、ソ連情勢と緊急援助問題について簡単にお尋ねします。  毎日毎日情勢が変わっておりますが、一体、外務省としてはどのように状況を見ておられるのか、それが第一点。それから第二点、対ソ支援二十五億ドルの中身。この中身は私はもうずっと調査をしておりますが、そう簡単にほいと支援できるような中身になっておりませんが、その中身と問題点。人道的な支援というものが果たしてできるのかどうなのか、その点についてお尋ねします。
  226. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 簡潔にお答えいたします。  ソ連の現状は、既にもう新聞等で御承知のとおりでございまして、スラブ三カ国が独立国家共同体の署名をいたしましたが、これに対してゴルバチョフ側は別なことを言っております。しかし、いずれにせよ、どうなるかもう少し様子を見ないとはっきりしたことはわかりません。我々としては核管理問題が一番最大の問題でございますので、これについてはどうしても一括的な厳正な管理をしてもらうように強く求めていきたい、さように考えております。  なお、ソ連に対する援助の問題でございますが、これも既に一億ドルの輸銀による援助を決定したが、それも使われていない。その後で二十五億ドルの総括的な、包括的な援助を発表いたしておりますが、これもほとんど動いていないというような状態であります。  いずれにしても、ソ連の中でだれがどういう責任を持って何をやるのかということが国内で決まっておらないものでございますから、何ともこれはもう我々手の出しょうがない、残念ながらそういう現況でございます。
  227. 梶原敬義

    梶原敬義君 二十五億ドルの中身について。
  228. 兵藤長雄

    政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。  二十五億ドル対ソ支援の中身でございますけれども、まず最初に、先生指摘のソ連の今日の食糧、医療事情にかんがみまして、食糧、医薬品、それからそれに関連した輸送手段等の支援のための五億ドルを限度といたします輸銀融資。それから、先ほど先生もお触れになりました現在のソ連の大変厳しい経済情勢を背景にして、このまま放置いたしますと、日ソ間の貿易もどんどん縮小均衡になるという状況を踏まえました十八億ドルの貿易保険の付与。さらに、二億ドルを限度相当の各個別の輸出信用、これは適切な案件、プロジェクトに対してなされるものでございますけれども、の付与。さらに、従来から続けてまいりましたペレストロイカに対します技術的・知的支援。特にこの中でもエネルギー、軍民転換、流通、原子力安全保障等の面に重点を置いた支援を行うということを骨子とするものでございます。
  229. 梶原敬義

    梶原敬義君 だから、二十五億ドルというのは非常に聞こえがいいが、非常に長期にわたる経済援助が中身の中心で、人道的な支援というのは非常に限られておる、非常に難しい内容になっておる。  それはそれといたしまして、外務省当局にお尋ねしますが、去年でしたか、外務省の予備費の中から日本赤十字社を通じて、一部食糧あるいは医薬品の何か支援をして非常に喜ばれた、このことをちょっと聞いているんですが、その中身がわかれば。
  230. 兵藤長雄

    政府委員(兵藤長雄君) 先生仰せの緊急援助は、約十億円相当の食糧、一部医薬品も供与いたしましたけれども、供与でございました。これは外務省の既定の予算の中から割り当てたものでございますけれども、主として極東地域、これはサハリン州も含めました極東地域に対して現物の供与を赤十字社を通じて支給いたしました。  この支給状況につきましては、ことしの秋に田中大使を団長といたしました各省庁の御専門の方々から成るフォローアップミッションと申しますか、これがどういうふうに配られたかという追跡調査もいたしました。かなり私どもの希望どおりの、例えば母子家庭でありますとか大変に御高齢の老人とかそういうところに、友情、人道的な援助のしるしとして届いていたということも確認をしてまいったわけでございます。
  231. 梶原敬義

    梶原敬義君 総理大臣、外務大臣、大蔵大臣、特に今のお話を聞いて私も感心したんですが、この際、そういうような形のものを外務省の予備費の中から出すんじゃなくて、国の予算の中に位置づけて、この寒い冬を乗り切るように、日本赤十字社なら赤十字社を通してそういうものを今緊急に考えたらいかがかと思います。  そして、これは十二月十日の朝日新聞によりますと、サハリン州の議長が自民党の佐藤総務会長に人道的な支援を要請している記事が載りましたが、ひとつそれはそういう外務省の予算じゃなくて、この際予算をつけるというようなことの配慮をしたらどうかと、特に極東地域において考えますが、その点いかがでしょうか。
  232. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 基本的な考え方といたしましては、本当に人道上緊急な必要が起こったということであれば、それは何をおいてもそれに対応しなければならないというのが私の基本的な考え方でございます。  問題は、どこでどういうふうなことが起こって、どこで受け取ってくれる、何がというようなことが出てまいりませんと、予算要求と申しますか予算の形をつくることができないので、そのことを大変大事に考えておりまして、そういうことがあって本当にそれが人の命を救うんだ、人道的な目的に合うんだとなれば、それは何とでもいたさなきゃならぬと思っています。
  233. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今、総理がお答え申し上げましたとおりで、まさにいわゆる人道的な、しかも緊急的なものに対してはそういった対応をしなければいけないというふうに思っております。  ただ、問題は、予備費を使って支援するということですけれども、これは欧米の場合でも、保険ですとかあるいは商業ベースのもの、こういったものを支援していくというようなことが中心でございまして、いわゆるODAの対象地域じゃない大国であるということであります。そして、今あそこの国の中の様子というのは、この前緊急の支援をしたときとはまたちょっと違っておりまして、国の中の体制が非常に乱れてしまっておるということで、一体どこにどう話したらいいのかということもわからないんではなかろうかと思っております。  いずれにいたしましても、ただ、今予備費からという中にありまして、我が方の予備費も大変苦しい中にあるということでございまして、それはケースによっては違うんではございましょうけれども、普通に予備費の中から大国に対して支援できる体制じゃないということを御理解いただきたいというふうに思います。
  234. 梶原敬義

    梶原敬義君 外務省の先ほどの説明と私とやった点について、総理はある程度問題点を把握されたが、大蔵大臣は少しずれた話をされていますから、外務省の話をよく聞いてください。  最後に、総理大臣地域改善対策協議会の最終の意見具申がありましたが、この問題につきまして海部前総理は、意見具申のとおりぴしやっとやりたいと国会答弁をしております。宮澤総理、これを尊重されますように、ひとつ御意見を承りたいと思います。
  235. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この問題は、私の自治省の方でも担当いたしておりますのでお答えいたしますが、一昨日意見を取りまとめられまして、きのう意見書として提出されたところでございまして、まだ拝読しておりませんが、長年にわたりまして御検討いただいた結果でございますので、できるだけ尊重し、各省庁と連絡して実施していきたいと思っております。
  236. 梶原敬義

    梶原敬義君 終わります。
  237. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 以上で梶原君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――
  238. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 次に、吉川芳男君の質疑を行います。吉川君。
  239. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 自由民主党の吉川芳男です。  補正予算審議に当たりまして、総理以下関係大臣に通告申し上げた諸点につきまして、順次お尋ねいたしてまいります。  まず最初は外交の問題でございますが、今日国際社会は劇的な変化を遂げていると思います。共産主義の母国であったソ連においては、本年八月の政変を経て共産主義体制は崩壊し、今や連邦は解体の危機にさらされていると言ってもいいと思います。このような中で、第二次世界大戦後の国際社会を規定していた東西間の冷戦構造は崩れ去り、国際社会は対話と協調を基調として新しい協力関係を打ち立てようと努力しております。しかし、国際社会が依然として多くの問題を抱えておることも事実であります。領土や資源、民族等を原因とする紛争は後を絶ちません。湾岸危機はその一例であります。また、ソ連情勢やユーゴスラビア情勢についても依然としてその行方には予断を許さないものがあります。  総理は、所信表明演説におきまして、このような国際情勢の現状を新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりと認識している旨のお話がございました。私は、このような不安定でありますけれども、同時に希望と期待に満ちているとも言える時期にありまして、新しい世界平和の秩序の構築のために一層積極的に貢献していくことこそ、今や世界第二の経済大国になった我が国の進むべき道だと思うわけでございますが、政府としてはいかなる政策によってこのような秩序の構築に貢献していくのか、その方針についてお聞かせ願いたいと思うのであります。
  240. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 吉川委員の言われましたとおり、大きな世界の激動の中で、私としては、新しい平和秩序への構築が始まりつつある、多少の楽観過ぎるという御批判はあるかもしれませんけれども、そういうふうに考えて対処していくべきであると考えております。  それで、幸いにしてそういう方向をたどる、またたどるように我が国としても影響力を行使しなければなりませんが、その結果として、東西、殊に米ソ間に行われました非常な軍備への支出というものがだんだん減少していきます。そうして、大きな資源と資金がそこから放出されるならば、それが南北問題の解決に、理想的なシェーマとして考えますと、放出されていく。いわゆるそれが平和の配当というものだと私は考えるわけですが、そういう世界の動きが促進されますように我々としては努力をいたすべきであろう。  南北問題には、もちろん飢餓の問題もあり難民の問題もありますが、地球環境のような問題もございます。疾病の問題もあるし、また麻薬の問題もあろうと思いますが、そういう地球的ないわば問題の解決に、今まで軍備に使われておった膨大な資源と資金が放出されるということがこの平和の構築に一番大事なことであると考えております。  及び、これも多少理想論的でありますけれども、そのような新しい世界平和の中心に国連というものが位置づけられて、そして世界百六十何カ国の国々すべての本当の利益代表である国連というものが平和の維持と増進のために力を持つことが極めて望ましい、そのために我が国も最大限の貢献をいたすべきである、このように考えております。
  241. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 続きまして、日米関係についてお尋ねいたします。  今さら申し上げるまでもなく、日米関係は現在、安保体制と緊密な相互依存関係の上に強固かつ健全であり、また日米が世界全体の平和と繁栄の維持促進に向けて協力する、日米のグローバルパートナーシップも多方面で着実に成果を上げていると考えております。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕 しかし、日米両国の報道等におきましては、日米の積極的な側面は必ずしも取り上げられることなく、むしろ米国においては対日批判だとか、日本においても嫌米感というものが取りざたされている状態を憂えているものでございます。  新たな国際秩序の構築に向けて日米の一層の協力関係が求められている今、明年一月に予定されておりますブッシュ大統領訪日は、この日米間にいささかなりともわだかまりが存在するとすればそれを払拭するとともに、良好な二国間関係をさらに増進していくための絶好の機会であると思うのでございます。  ブッシュ大統領の訪日を控えまして、今後の日米関係をどのように発展させていくお考えでありますか、お考えをお聞きしたいのでございます。
  242. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 日米は基本的に価値観を同じくいたしております。そして世界第一、第二の経済大国でございますから、これだけいろいろな交流がございますとその間にいろんな摩擦が起きるということは、これはむしろ少しも不思議でないことであって、それは価値観を同じくしておりますから率直な対話によって解決されるというふうに考えておるものでございます。  ただ、我々が今ここで注意をしなければなりませんのは、片方で我が国の経済力が非常に強くなってきた、そしてアメリカの経済力にやや競争力が欠けてきたということをアメリカ人自身がいろんな場合に気がつき始めている。そのときに、たまたまアメリカにとっては最も警戒すべき存在であったソ連というものがもはやそういう存在でなくなりつつある、そのかわりをどこかに求めるというのは不思議な言葉でございますが、何かそれならばというそういうところに日本に対する競争力の問題もございまして国民感情が向きやすい。経済が不況になりますとそういうことは起こりやすいことでございますので、それは我々が一番気をつけなければならないことと存じます。  ブッシュ大統領が来られましたときに、我々としてさらにやるべき構造改善でありますとか、あるいは自動車の問題もあるかもしれません。そういういろんな問題についてできることはやはりやっていかなければならないと存じます。その上で、お互いの信頼感の上に立って、先ほど申し上げましたこれからの世界平和の構築のために相携えて世界的な共通の責任を果たす。そういうことをブッシュ大統領と御一緒に、いわば東京宣言とでも申すべき形で世界に呼びかけたいと考えておるところでございます。
  243. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 続きまして、韓国との関係についてお尋ねいたします。  総理は、明年一月中旬ごろの韓国訪問を検討されているというふうに聞いておりますけれども、初の外遊先として韓国を選ばれたわけですが、来るこの訪問を契機として日韓関係をどのように発展させていくお考えか。先般の日本・韓国両首脳の相互訪問によりまして二十一世紀に向けて新しい日韓関係への道が開かれたわけでありますが、これをいかに発展させていくか。そして、東アジアのダイナミズムを担う日韓両国が、二国間関係にとどまらず、広くアジア・太平洋の平和と安定、繁栄のために協力していかなければならないと考えておりますが、総理の御所見を承りたいと思います。
  244. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 申すまでもなく、我が国はアジアの国でございますし、そして韓国という我々とも歴史的、文化的に非常に長い間のつき合いのございます有力な国が隣国におります。私は、そういう立場からまず最初の外遊先として韓国を訪問いたしたいと考えておるところでございます。  韓国もあのような非常に勤勉なすぐれた国民でございますから、経済力も大変に大きくなってまいりましたし、国民生活も向上してきた。このことは、私は隣国として非常に誇るべきことであると思います。そういう意味で、お互いに協力をし合うと同時に、また、摩擦が生ずるような問題についてはお互いに話し合って、それを未然に除去していくというようなつき合いをいたしたい。と同時に、吉川委員が言われましたように、我が国も有力な経済大国でございますが、韓国もなかなか力のある経済を持っている国でございますから、相携えてアジア・太平洋の平和、安定、繁栄のために何をすべきかというようなことも十分しょっちゅう御相談をしていきたい。予定しております訪韓は、そのような目的に向かっての道を開きたいとしておるものでございます。
  245. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次に、日朝関係について外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。  世界的な緊張緩和の中で多くの地域紛争が解決の方向に向かっております。しかし、朝鮮半島では、緊張緩和に向けた動きが多少見えてきているものの、依然として政治的、軍事的な対立は続いたままであり、特に最近、北朝鮮の核兵器開発についての疑惑が高まりつつあると思うんです。北朝鮮は、核兵器不拡散条約の締結国であるにもかかわらず、同条約上の義務であるIAEA保障措置協定の締結履行をおくらせて、核査察の受け入れは拒否しておると思います。また、他方では再処理施設を建設中との情報もあるわけでございますが、もし北朝鮮が核兵器の開発を進めているとすれば、我が国の安全保障のみならず東アジア地域の安全保障に大きな脅威となると言えると思います。  我が国及び東アジアの平和と安定のためには、現在行われている日朝国交正常化交渉においてこの問題をきちんと取り上げていくことが必要であると思います。ついては、政府は今後の交渉において北朝鮮の核査察受け入れ問題をどのように取り扱っていくのかをお尋ねしたいのであります。  なお、外務大臣はこれまた年明け早々中国を訪問されるとのことですが、マスコミ筋は早速、この訪問はこの問題の解決の促進に力点があるんだというふうに報道もしておりますけれども、そこらも含めまして御答弁をお願いいたします。
  246. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 日朝関係の正常化ということは、もうかねてから言われてきたことでございますが、御承知のとおり、南北両朝鮮の国連参加を契機といたしましてスピードアップをしようという空気になりました。しかしながら、我が国といたしましては、今おっしゃったように、北朝鮮が核不拡散条約に加入をしておるわけですから、その当然の義務として無条件がつ速やかに国際原子力機関の査察を受け入れてもらわなきゃ困るということで、その要求をしております。  これに対しまして、南側にも核があるじゃないかというようなことを最初言っておりましたが、これについては、これももう既に新聞等で発表のとおり、米軍は速やかなる核の撤去をしますと、それから韓国は、核はつくりもしないし、それについては持ちもしないということを言ったのであります。ところが、さらにそれについてもっと別な条件をつけてきておるわけでございますが、これらにつきましても南側はある程度寛容な形で要求の受け入れをするんじゃないか、それに見合ったものを北側にしてもらわなければならないというのが現在の状況でございます。  したがいまして、北側としては、本当に一日延ばしに核査察受け入れを拒否しているということになりますと、全言ったような疑惑が深まってくる危険があるわけでございますから、そういうふうにならないようにぜひしていただきたい。そして、これにつきましては、日本も北側に申し入れをいたしておりますが、周辺諸国等からも協力を得て、査察の受け入れ、その結果でないともちろんわからぬ話でございますが、その核爆弾製造のための一過程の建設があるかないか等も含めまして、重大な関心を持って当たっていきたいと思っております。
  247. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次に、外務大臣に、いわゆる日本人妻の問題についてひとつお伺いしたいと思うんです。  新潟港を帰還港といたしまして、北朝鮮に帰還した夫に同行して北朝鮮に渡航した日本人妻ということになっているんですが、まず、帰還者は、昭和三十四年から五十九年までは、まだ引き続いていますけれども、五十九年まででも百八十七次になって総数は九万三千人からの人がいらっしゃるわけですが、その中にいわゆる日本人妻と言われる人が一千八百三十一名、また日本国籍を有すると言われている人が六千六百七十九名おられるというわけでございます。  これらの方々の日本での家族、親族との連絡は全く消息さえ確認できないという人もおるわけでございまして、政府としても本件を日朝交渉で提起しておりまして、前回の第五回の日朝交渉では、その前の三月の第二回交渉で北朝鮮に対して依頼した二十名の里帰り、十二名の安否調査に対しまして、ようやくこれらの方々の安否について回答が得られたという状況なんでございます。しかも、里帰りや家族、親族との再会は依然として実現されてないという中で、日本に残された親族の方ももう随分と年老いてきておられます。これらの方々の心情を思うときに、政府は、日本人妻と家族との再会や里帰りを人道上の問題として、国交回復以前にも実現できるように北朝鮮に強く働きかけていただきたいと思うのでございます。  そこで、若干コメントを加えますと、国会内におきましてもこの問題の議員連盟が超党派で設立されておりまして、会長には元衆議院議長の原健三郎氏がなっておられ、また幹事長には閣僚席にいらっしゃいます東家国土庁長官になってもらっていますし、かく申し上げる私も新潟が帰還港だということで事務局長をさせられているわけなのでございまして、非常にこの問題についても関心のあるところでございますので、よろしくひとつお願いいたします。
  248. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 全く御説のとおりでございます。  政府といたしましては、人道的な観点から北朝鮮の日本人妻の問題は重視をいたしておりまして、今までも国交正常化交渉の場において、北朝鮮側に対しては、国交正常化前にも一部の方の里帰りであっても実現するようにしばしば強く働きかけてまいりました。  これに対しまして北朝鮮側の言い分は、この解決のおくれているのは、これは日朝間の国交がなかったからおくれているんだというようなことを言っておるわけであります。しかし今度、今交渉が始まっておるわけですから、人道的な立場で国交正常化前でも希望者については帰してくれと、そして二十人の安否の問題について回答してきております。今後とも、引き続き里帰り促進のために交渉を続けてまいりたいと考えます。
  249. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 続きまして、貿易黒字の問題について通産大臣にお尋ねしたいと思います。  我が国の貿易黒字は、八六年度の一千十六億ドルをピークといたしまして、九〇年度には六百九十九億ドルまでに減少しました。これはピーク時から見ますと三割以上の改善になっております。しかしながら、この貿易黒字が最近また急激に拡大しており、ことしの四月から十月までの累積の貿易黒字は前年の同期に比べて六七・五%増の六百十六億ドルに達しております。  このような貿易黒字の状況に関して通産省の認識を承りたいと同時に、あわせて改善策ということでございますが、OECDの対日年次経済審査報告によりますると、九一年の貿易黒字は九百七十億ドル、九二年には一千九十億ドルと未曾有の高水準となる模様だと報じております。また、民間機関の見通しでも、これは両年度とも一千億ドルを超えるんでないかとさえも言われておるわけでございますが、このように今後とも貿易黒字の拡大が継続するということになれば、欧米を初めとする世界各国から再び厳しい批判を受けることになることは避けられないものだと思います。  実際、新聞報道によれば、先般来相次いで来日した各国要人の多くは、我が国の貿易黒字の拡大に対する懸念を表明しているわけでございまして、そこで我が国としての調和ある対外経済関係の形成を図るためにも対外不均衡を着実に是正することが必要であると思いますが、その解決策のことについても一緒にひとつ御答弁いただきたいと思うんです。
  250. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) ただいま吉川先生指摘のように、一時改善されつつあった貿易黒字、残念ながらまだ拡大基調にございます。これには、原油価格が下がったとか、為替レートの問題とか、あるいはバブルの崩壊で高級な絵とかそういうものを輸入しなくなったとか、いろいろの要因はございますけれども、いずれにしても、このままの状態でいくと、日米でも四百億ドルを超すのではないか、日本とECでも二百億ドルを超すのではないか、全体として一千億ドルを超すのではないかというふうに心配されております。  我が国は、自由主義経済によって今日の豊かな繁栄を築いておるわけでありますから、このことが各国に保護貿易の気風を台頭させるようなことになっては、これは我が国にとっても大変なことであるとともに、世界全体の調和ある自由な経済の発展のためにもマイナスになっていくことでありますから、私どもとしては、税制の面であるいは金融の面で、予算の面で輸入拡大の努力をしていかなければならない。また、先般は有力企業の皆さん方に集まっていただいて、先生のおっしゃったいわゆるビジネス・グローバル・パートナーシップ、輸入拡大の協力を強く要請し、今それぞれの産業界において一生懸命これに取り組んでいただいております。  今後も、やはり自由主義経済を守っていくためには世界全体が調和ある発展をしていかなければならないのでありますから、輸入インフラのいろいろ政策を考えるとか、引き続いて輸入拡大の努力に全力を尽くして頑張ってまいりたいと思います。
  251. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 今ほど通産大臣から御答弁いただきましたが、その中身についても聞きたいところでありますけれども、先を急ぐところもありますので本論に移らせてもらって、財政経済の問題についてお聞きしたいと思うのでございます。  まず、今回のこの補正予算につきましては、厳しい財政事情の中にあっても国民生活上真に緊急な施策を適切に織り込むなど、当を得たものと受けとめておりまして、一日も早い成立が必要だということを申し上げておきます。  そこで、経済の現況といいますか、認識についてちょっとお伺いしますが、政府は先月の月例経済報告で、我が国は拡大テンポが緩やかに減速しつつあると述べまして、景気の勢いが鈍ってきたことは認めながらも、依然として拡大過程にあるとの判断を変えておりません。しかし、昨年後半から最近までの経済指標を見ますると、経済の実情は政府が考えているよりもかなり悪い方に向かっているのではないでしょうか。  先日発表された国民所得統計では、実質経済成長率が四-六月の〇・七%増から七-九月は〇・四%増、約半減してきておりますし、鉱工業の生産を見ましても、昨年十-十二月の前年比七・一%増が、ことしに入りまして一-三月には五・九%、四-六月では三・一%増と伸びが大きく鈍化して、この七-九月には一・二%増と、わずかに一%台にまで低下しておるわけでございます。  企業収益も、日経新聞の調査によりますと、今年度の経常利益が前年度比六・六%減、昨年度の一・七%減からさらに落ち込んでおりまして、大変な心配をしているわけでございます。  今回の景気の主役と言われた設備投資も、化学、鉄鋼、半導体などで下方修正が相次ぎ、来年度はマイナスとなる可能性が非常に高いと言われております。新設住宅着工などは昨年末にマイナスに転じて、ことし二月以降すっと二けたのマイナスが続いております。  景気のもう一つの主役で、下支えが期待されているところの消費でさえ、乗用車の新車登録台数が本年一-三月以降三期連続してマイナスになっているほか、大型小売店販売額も昨年後半のおおむね五・六%増がことし七-九月では三・二%増と伸びが半減しておるという状況でございます。  産業界の声を聞きましても、景気の先行きは政府の判断との間に大分開きがあるように思われてなりません。政府の現在の景気に対する認識をお伺いするわけでございますが、私、経企庁の事務当局に伺ったところでは、十数項目にわたる主要経済指標というもののほかに、三十二項目にもわたる指数をおおむね三等分いたしまして、それぞれに先行系列、一致系列あるいは遅行系列に分けて詳細な評価を下しているような統計を見せてもらいました。しかし、それらの指数がどこまでマイナスに転じたら景気は減速に転じたのかといいますと、これまた半数以上が赤字あるいは三角印がついたらこれはもう景気が後退期に来ているんだというふうに判断をしてもいいのかといいますと、必ずしもそうではないような話なんでありまして、その辺のこの指標の読み方等も含めてひとつ御答弁いただきたいと思うんです。
  252. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 指標の読み方については、後ほど局長から場合によっては詳しく御説明申し上げたいと思いますが、今吉川先生、いろいろな指標について数字を挙げて御説明がございました。確かに御指摘のとおり、数多くの分野で減速が明瞭に出てきておることは事実でございます。大事なことは、その方向性と同時に、いわゆる水準をどう見るかということも実はあわせて見ておく必要があるということでございます。  それで、いろいろ多くを申し上げませんが、例えば消費の問題にしましても、消費を支えるのはやはり雇用が大きな要素であります。一方で雇用の水準を見ると、失業率はいわば二・〇という水準にあり、雇用者数は着実に増加をいたしております。所定外労働時間の方がかなり減ってきております。これは一つは生産の減退ということも、いわゆる鉱工業生産の指数が減っておる、落ちておるということもありますが、同時にそれとは別に、やはり着実に労働時間の短縮ということの影響も実は一方ではあるわけでありまして、雇用者所得全体から見ると一人当たりではやはり着実に伸びてきておる。  それから、消費の中身も、乗用車は確かに水準は落ちてきておりますけれども、そのレベルそのものは過去のピークよりもはるかに高いということも現実であります。それから、大型店の問題でも、百貨店の売り上げが二・五に対して、逆にチェーンストアの方は四・五であるという、いわば消費の中身がかなり堅実な姿になってきておるということを一面では表現しておるということでもあるわけであります。収益の問題も、景況感そのものは、先般の日銀短観によりましても、今のところいわゆる業況感が非常によいと答えるものと悪いと答えるものとの差し引きでその数字が出ておるわけですが、そのプラス部分がずっと少なくなってきておるということも現実であります。  しかし一方で、景気の先を見る上で非常に大事な要素であります設備投資についての展望はどうかということで、同時に十一月の短観調査によりますと、逆に上方修正がなされてきておるということもまた一方で現実でございます。問題は、先ほど来申し上げましたのですが、いろんな面でいわば減速を示す数値が出てきておりますが、同時に底がたい数値を一方では示しておるという、それが現状だと思います。  問題は、それを一線で経済を担っておられる仕業家の皆さんや消費者の皆さんがそういうこと以上に先行きに対して心理的な慎重な見方が広がっておるのではないか。したがって、そちらの面を経済運営としてはやはり十分注意して、機動的な対応をしていかなければならぬというふうに実は判断をいたしておるわけであります。  時間の関係もございますから多くを申し上げませんが、住宅の建設につきましても、この問題はやはり土地価格の動向というものが非常に大きく影響をいたしておると思います。この点で、いわば分譲あるいはマンションの売れ行きがよくないというのは買い控え現象がある。しかし、これがまたいわば常識的な水準ということにだんだんなだらかに移行していく。それに伴って一方では金利の問題もありますが、実質所得水準の向上などということをいろいろ考えていきますと、やはり潜在的には居住水準をよくしたいという願望は非常に根強いものがあるということでありますから、そういったことを十分念頭に置きながら、きめ細かい配慮をしていく必要があるのではないかなというふうに実は考えております。  あと、DIの問題その他指標の見方について、もしあれでしたら局長から申し上げます。
  253. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 指標の見方等については個人的レクチャーを受けることにいたしまして、先へ進ませてもらいます。  そこで、通告に入っておりませんけれども宮澤総理の経済の現況についての認識をちょっとお伺いしたいと思うのであります。  今、政府はイザナギ景気以来の長期にわたる大型の景気拡大というふうに、若干これは修飾語もついていますけれども、そういうふうに見ておられるようでございます。例えば、これはこの夏の経済白書のことを言ってもどうかと思いますけれども、景気の腰は強く、戦後最長のイザナギ景気に並ぶのは目前であるという記述もあるんですね。確かに、この十一月で戦後最長のイザナギ景気と並んで、もうこれを追い越すという六十カ月の経済の景気ということになっておりますけれども、先ほど来私が申し上げているように、肌で感じた経済の実感からしてはどうもそうはとれないような気もするわけでございます。  そこで、経済通の宮澤総理に政権がバトンタッチされたわけですから、その段階で経済に対する見方を一遍見直すといいますか、変えるといいますか、こういうことがあってもよかったんではないか。前の内閣では、減速しつつも拡大と、なかなかこれはまた味のある表現かもしれませんね。しかし、なかなかそうとりにくいわけです。判断しにくいんですけれども、そういう見方を継続していかれるんですか。これはやっぱり、宮澤内閣になったら宮澤さんの言葉で経済に対しての評価をされてもいいんじゃないでしょうか。承りたいと思います。
  254. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府には優秀なエコノミスト、私も個人的に親しい人がたくさんおりますので、そういう意味での素人の私はそういう人たちと論争しようと思うものではございません。そういう意味でなく申し上げますけれども、吉川委員が今おっしゃいましたように、減速しつつ拡大というようなことは大変わかりにくうございます。理屈を言えば、それなら成長率がゼロになるまで拡大でございますよね。まさかそういう意味じゃないのでございますから、そこはやっぱり少し常識にかなった表現の方が私はいいんだということを既に申しました。  私が見ておりますと、そういうエコノミストたちは、いわゆるバブルという現象は一種の特異な現象でございますから、このことがいつまでも続くというふうにお考えいただいては困るんです、このものを除いてそのバブル以前と今とどうなっておるかといえば、それでもかなりよくなっているんだ、雇用を見てごらんなさいというような、そういう議論でございます。それから、民間で仕事をしていらっしゃる方は、バブルを除いてといっても、きのうまで高速道路を痛快に走っていたのにどうも狭い道へ入っちゃったという、そういう偽らない感じでございますから、なかなかエコノミストの言われるように悠長な学問的な見方がおできにならない。だから、どうも政府は何か我々のことわかっていないんじゃないか、こういう心理だと私は思うんです。  ですから、どっちが間違いというんじゃないんですが、多少見ている観点が違いまして、巡航速度に入ってきたなんというといかにもそれでいいようなんですが、商売をやっていらっしゃる方は、それはかなわぬなというようなところがございます。  これは私の素人談義でございますが、結論として申しますと、先ほど野田長官が結論は大変いいところを言われたと私思うのは、やっぱり投資家にしてみますと、設備投資というものは非常に大事なものでございます。殊に人手が不足でございますから、どっちかと言えばやらなきゃならぬと考えている中小企業も多いのでございますけれども、なかなか銀行か金を貸してくれない、いろんな事情がありまして。ですから、政府がああやって財投資金をたくさん、大蔵大臣が一兆七千億も今度政府金融機関に、その応援のためにかなり重点を置かれているなんていうことも大事なことなのでございますが、そういう企業家の心理。つまりやっぱり設備投資はしたいし、できると、先が暗いからよそうかというようなことでないように考えてもらうこと。  それから、先ほども百貨店の売り上げもスーパーの売り上げも企画庁長官がおっしゃいまして、比較的消費者の消費意欲は落ちておりませんけれども、しかしいかに雇用が高いといってもだんだん超過労働、つまり時間外労働が少しずつ減っていけば、それはそれだけの手当は減りますし、パートだっていっときほどの勢いであるかどうかもわからないというところがございますから、やっぱりここはこれ以上不景気にしちゃいかぬのだと、私はそういうつもりで経済を運営していかないといけないと思います。  殊に、来年度の財政が厳しゅうございますから、それだけに余計やっぱり景気が落ち込まないようないろいろな配慮をしていって、それでちょうどではないかというような感じでございます。
  255. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 次に、財政改革の決意について承りたいのでございます。  今回のこの補正予算内容を見ますると、まず歳入面では税収が大幅な減額修正となっていることが注目されております。また、税収動向につきましても、これまでの多額の増収をもたらした土地取引の好調、株式市場の活況といった経済的諸要因が流れを変えてきたことから、世上バブルの崩壊などと言われておりますが、確かに発表される月々の収納状況も芳しくなく、また先般、平成三年度の税収が当初見込みに比べて二兆八千億程度の減収が生ずる見込みが明らかにされております。改めて補正予算として提出されてみますと、財政状況の厳しさに思いをいたさずにはいられないわけでございます。  このように、税収を取り巻く状況が大きく変わる中での税収見積もりは特に苦労の多いことと思いますけれども、今回行われました三年度税収の補正の考え方については、きょう冒頭の補正予算説明にもございましたので、この点は割愛させてもらいます。  また、建設公債について一兆三千八百七十億円追加発行される、つまり満額に発行されることになるわけですが、これはただいまのような税収減が大幅となる以上はやむを得ないと思われます。しかし、我が国の財政は三年度の公債残高が百七十兆円にも上っており、国債費が他の政策的経費を圧迫しているなど、依然として極めて厳しい状態にあり、したがってこれまでの歴代内閣が大変努力して続けてこられました、そしてようやく緒についたばかりの財政再建の改革の道が、今回の建設公債追加発行を機に絶えることがあっては困ると思うわけでございます。  今後の財政改革に取り組む決意のほどについて、総理あるいは大蔵大臣からひとつ承りたいと思うんです。
  256. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ただいまの御指摘がございましたとおりでございまして、まさに平成三年度の今日補正をお願いするこの基本は、税収が非常に落ち込んだという中にありまして、私どもといたしましてどうしてもやむを得ない措置として、給与改善ですとか災害に対する対応ということで実は補正をお願いいたしたところでございます。  私どもこれをするに当たりまして、既定経費、これを節減するということ、これがまず第一であったわけでございます。しかし、そういった中にありましてもどうしても節減できない部分があるということで、災害等につきまして建設国債というものを追加発行せざるを得なかったというのが実情であります。そして、平成三年度の税収減というものを私たちが考えましたときに、これが土台になってまた平成四年度が始まるわけでございますから、その平成四年度の税収というものも相当厳しいものになっていくであろうということを私たちは考えなきゃいけないと思っております。  しかし、そういう中にあって、今御指摘のありましたように、安易に、いわゆる家庭で言うと借金ですね、これをやっぱりどんどん続けていってしまう、建設国債だったらいいだろうということでやっていきますと、これはまた大変なツケを将来残してしまう。金利あるいは元本支払い、これによってもう財政が完全に圧迫されてしまうということも常に注意しなければいけないと思っております。特に、特例公債のように、後に残さない、社会資本等を残さない、また富を生み出すものを残さない、そういうものについては、これは厳に慎んでいかなければいけないのじゃなかろうかというふうに思っておりまして、私どもこの財政運営をするに当たりましても、先ごろ立てました方向はやっぱりきちんとこの哲学は守っていかなければいけないということを私も改めて実は思いながら、難しい中で取り組んでおるということを申し上げたいと存じます。
  257. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 続きまして、通告では、本年度予算財源の一つとして前年度の剰余金をそっくり充てるということがどういうものかということについてお聞きしようと思っておったのでございますけれども、既に冒頭の大蔵大臣の提案理由の説明の中にございましたので、この点は割愛して、先に進ませてもらいます。  次は、今度は歳出面から見ますると、この補正予算は、雲仙岳の噴火災害や台風十九号等による被害の復旧など、真に国民生活のための緊急必要な経費についてきめの細かい適切な配慮がされていると思います。また一方、既定経費の節減も七千四百億余円と相当額に上っております。ともすれはここ数年の税の増収になれてやすきに流れがちなところを、極めて厳しい財政状況を踏まえながら、思い切ってめり張りをつけたと私は評価できると思うのでございます。  種々の歳出圧力の中で、どういう姿勢で今般の予算編成に臨まれたのか。歳出カットというのはなかなか容易じゃないことだと思うのでございますが、その姿勢について大蔵大臣からお伺いをしたいと思います。
  258. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 御指摘がございましたように、従来から御苦労いただいておったわけですけれども、各省の皆様方の御協力もいただきながら、私どもとしましては、まず歳出というものを縮減するために苦労してきたということでございます。  しかし、その中で、今もう既にお話がございましたように、歳出につきましても、災害関係ですとかあるいは給与の改善費ですとか、あるいはどうしても必要な義務的経費追加あるいは貿易保険特別会計への繰り入れ、住宅都市整備公団補給金等、また地方交付税交付金など、こういうものを計上するということでございまして、私どもとしましては、基本的には大きなものというのではなくて、どうしても必要なものを計上しようということで対応したということを申し上げたいと存じます。
  259. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 引き続き平成四年度の予算編成に入るわけでございますし、それに伴う税制のことについてひとつお聞きしたいと思うのでございますが、平成四年度を取り巻く財政状況も引き続き厳しいものがあるということは間違いないと思います。巨額の公債発行を見れば、財政が到底健全な姿に復したとは言いがたいわけでございますし、四年度予算も先ほど申し上げたような財政改革の着実な推進といった考え方によって編成されるべきものであることは言うまでもないわけでございます。しかも、大蔵大臣としては初めて本格的に手がけられる予算になるわけでございますので、ぜひ大臣の姿勢についてお伺いいたしたいと思います。  あわせて、税制の改正について、大まかで結構でございますが、どのような考え方を持っておられるか承りたいわけでございます。  その中でも、特に相続税関係審議がいろいろ行われているようでございますけれども、土地の相続評価の適正化に伴う負担調整をどういうふうにしてやっていくかということと、これは先ほど梶原委員からも質問があったように、きょうの朝刊各紙はすべて、来年度の予算編成に当たりまして当初六兆円からの財源不足があったものが二兆二千億ほどに詰まったと。大蔵大臣はそのことについて正式には御答弁していません、これは新聞の論調ですけれども、しかし、その穴埋めとして、一兆円くらいは新しい国際貢献税というものをつくる、あとは地方財政の負担によるというふうなつじつまの合わせ方をするんだというふうに報道されておりますが、そういうお考え方なのか、大臣としてはそういうことまでまだ考えてないということなのか、その辺についてもあわせて承らせてもらいたいと思うのであります。
  260. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 先ほども申し上げましたように、いわゆる歳入の部門につきましては私ども最大限努力するわけでありますけれども、税収の面については相当やっぱり厳しいものがあるであろうということを覚悟しながらこれに対応しなければいけないと思っております。  しかし、今御指摘がございましたように、ともかく後代にツケを残してはならない、今御指摘のとおりでありまして、私どもといたしましても、そういう中にあっても公債の発行というものは、単に赤字公債というだけでなくて、建設公債についてもこれをできるだけ虞んでいくということがやっぱり重要であろうということを基本にして対応しなければいけないと思っております。  ただ、そういう厳しい中にありましても、予算の支出面につきましては、これは総理の所信の中にもございましたように、これから生活大国というものをひとつ目指していこうということが基本にありますし、先ほど来いろんな御審議の中でもお話がありましたように、やっぱり国民の生活の質というものを厳しい中にあってもよりよいものにつくっていかなければいけないということでありまして、そういう中で、昨年から始めております生活関連、こういったものについてきちんと進めていきたいということと、もう一つは、いわゆる今度の公共臨時というものを二千億立てまして、いわゆる社会資本というものの整備というものもあわせて進めていく必要があろうというふうに考えております。  そういったことに対して、今、それじゃ借金の方はしないということで、あとどうするんだということになりますと、当然税収ということを考えなければいけないわけでありますけれども、この税収につきましては、もう基本的には政府税調並びに与党の税調の方でも実は毎日本当に御苦労いただいておるということでありまして、私どもその推移を今見守っておるというのが率直なところでございます。  ただその中で、土地の相続税評価の適正化に伴う相続税の問題についてのお話があったわけでございますけれども、この問題につきましては負担調整ということ、これらあたりを私どもはやっぱり考えるべきじゃないのかなというふうに思っておりまして、これはただ増収をあれしようということではないということが基本にあるわけでございますので、そのような考え方でこの問題は対応していきたいというふうに思っております。  なお、つじつま合わせということで国際貢献ということを何か考えているんじゃないのかということでありましたけれども、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、昨夕、実は私どもの事務方の方から、党の方で今税制を議論する中で、党の執行部の三役の方からこういう話があったということでお話を聞いたところでございます。  これは、ただつじつまというよりは、先ほど申し上げた柱の中のもう一方の国際貢献というものについても、日本がやっぱりここまで来たときに役割を果たしていかなければいけない、これも所信の中で述べられたことでありまして、こういったものを厳しい中で進めるためには一体どうしたらいいのかという中で、御負担をいただけるものがあるんだろうかということで、本当にぎりぎりの苦しい実は議論をしてくだっておるということでございまして、私どもはただつじつま合わせとか、あるいは税額が不足するからこれをあれしようということではなくて、厳しい中にあって一つの国際的な役割を果たすためにはどういうことが考えられるのか、党の方ともこれから十分にお話をしていかなければいけないというふうに思っております。  なお、今もう一つ御指摘がございました地方との問題でございますけれども、これは自治大臣とも十分にお話し合いをしながら、今までも国の方でお手伝い申し上げたこともございますし、また地方の方から助けていただいたということもございます。そういった中でこの調整というものを一体どうしていったらいいのか、これから率直な話し合いをまた自治大臣とも申し上げてまいりたいというふうに考えております。  以上であります。
  261. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 新年度予算、もうあと十数日でできるわけでございますから、私らは静かに見守りたいとは思っております。  通告には、この次、社会資本の整備のことについて承りたかったんですけれども、時間もあとわずかでございますので先へ進ませてもらいまして、総量規制の問題ですが、まず国土庁長官から、緊急地価調査をやられるというお話でございまするけれども、その目的、調査方法、また、いつを目途に取りまとめ、報告なさるのかについてお伺いしたいのでございます。
  262. 東家嘉幸

    国務大臣(東家嘉幸君) お答え申し上げます。  適正な地価水準の実現等の土地政策の目標の実現を図るため、今後とも総合土地政策推進要綱に従って構造的かつ総合的土地対策を一層推進してまいる必要があると認識いたしております。  総量規制については、地価の動向に加え、金融・経済情勢、土地政策全般の推進状況を総合的に勘案し、適時適切に対処するべきものであると考えております。  なお、このような観点から、国土庁といたしましては、現在直近の地価動向の的確な把握に努めているところでございますが、その結果を見て土地政策を総合的に推進する視点から御意見を申し上げ、各方面とも十分相談してまいりたいところでございます。
  263. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 二年前に行われた総量規制といういわば緊急措置によって、大都市圏における地価対策にかなりの効果が出ているということは私も同意いたします。しかし今、建設業界関連においては、昨今の住宅建設戸数の減少、住宅売買契約の低下というような状況を反映して、この総量規制の解除を求める声が高まっております。このまま総量規制を継続するとかえって優良な宅地開発に影響することがあるほかに、買い手にも融資がつかないということになって土地取引が進まない等、悪い面も出ているようでございます。  こうした解除の意向は、ひとり業界のみならず、大蔵省自身も、これはどういう時期にどういう大義名分をもって解除してやるかということを探っておられるんではないかなと思っているのでございますが、ここはひとつ経済の実態に対処して早急に解除の方針を打ち出すべきだと思いますけれども、大蔵大臣の御所見を承ります。
  264. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題につきましては、昨年の四月からともかく土地の高騰というものに対していろんな手当てをしてきたけれども、しかし、まだ問題があるということでございまして、全体の貸し付けに対して不動産に対する貸し付けというものが非常に大きく伸び過ぎてしまっているというもの、これを抑えましょうということで、これは実際に実施したところでありますけれども、今のところ、全体の中の貸し出しに対しまして不動産に対するものは伸び率というのが下がってきておるという現状認識をいたしております。  それと、今御指摘がございましたように、確かに大阪はたしか二けたぐらい下がっておるところがあります。東京の方はまだ少しでありますけれども、これも下がりつつある。しかし、地方にあってはまだ少し上がっておる、また二けた台上がっておるというところなんかもございます。そういったところを、今国土庁長官から御報告がありましたように、実は非常にきめの細かい調査をしてくださっておる。しかも、それもそんな遠くないうちにこれが出るであろうということであります。  しかし、いずれにしましても、私たちが考えなければいけないのは、今国土庁長官が言われたように、包括的、総合的な土地対策というのが重要であって、我々が金融の面で対応するというのは、これは主役じゃなくて一つのわき役であろう、まさに緊急な異常な事態に対して対応するものであろうというふうに考えたときに、私たちがただずるずる引きずるべきものじゃないというのは、もう今御指摘のあったとおりであろうというふうに思っております。そういう意味で、私ども今国土庁の方から出てまいりますものを見きわめ、そして関係省庁とも十分話し合いながら、しかし機動的にこれに対応していきたいということを申し上げておきたいと思います。  ただ、まだほかにもいろいろと御心配なさる皆さん方の中に、これを外したら一遍にまたすっと伸びちゃうんじゃないかというようなことがありますし、そういったものに対して対応するために、こういったいわゆる総量規制のようなことをまたすぐ行えるような、異常な事態になったらすぐ発動できるような体制もつくっておくべきだというようなことがございまして、その引き金、いわゆるトリガー方式なんということが言われておりますけれども、こういった問題についても今私ども事務方あるいは専門の皆さん方と話し合いをしながら、どういったときにもう一度発動することができるかというようなことも検討させていただいております。そういうものがきちんとできますと、やっぱり機動的に運用することができるというふうに考えておりまして、私どもも適切に対応すること、評価ができ次第機敏に対応していくことを申し上げておきたいと思います。
  265. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 続きまして、地方財政と地方振興のことについて二、三お尋ねいたします。  今、地方団体は時代の変化に敏感に反応していくためのいろいろな政策の展開のための財政ニーズに当面しており、宮澤総理が提唱されていると活大国を実現していくためにも、今までにも増して大きな役割を担うことになっております。  例えば、東京一極集中の是正に資する多極分散型の国土形成とか、あるいは昨年六月に策定されました公共投資基本計画を達成していくための住民生活に結びついた社会資本の整備とか、あるいはゴールドプランを着実に進めていくための地域福祉の充実などがあると思うのでございますが、地方団体は数多くの財政ニーズを抱えております。この一方で、地方財政を取り巻く情勢は累積した多額の借金、最近の税収の鈍化などから見ましても、必ずしも楽観は許さないものと考えておるわけでございますが、いつも地方財政のことになりますと車の両輪論が出てきますし、また国の税収減が声高に宣伝される割には地方の方がどうもというふうに思われるところもあるのでございますが、この際、地方税の見通しはどんなようになっていますか、まず自治大臣よりお伺いいたします。  あわせて、もう時間もないことでございますので、もう一問ひとつ続けさせてもらいます。承ってからお聞きすればいいんですけれども。  地方財政も国とそう変わらずに厳しい状況だとは思います。そういうために一層の強化充実に努めていく必要がありますが、中でも、地方団体が自主的に使用可能な財源でありまする地方税、地方交付税等の地方の一般財源の安定的な確保は極めて重要な問題であります。ところが、これはしばしばの機会にもう議論されておりますので言うまでもありませんけれども、地方交付税の税率の引き下げがあるのではないかというような話を聞いておるわけでございまして、先ほども御答弁がありましたけれども、三千三百の市町村長は政府の手の打ち方をかたずをのんで見守っているというような状況だと思うのでございます。  現に、自治大臣がお出ましになられた地方六団体の交付税率の堅持緊急総決起大会が先般開かれましたけれども、その際自治大臣は、こういうときに大臣が出られると、よく事務当局が書かれたものを読まれる大臣が多いわけですけれども、一切そういうものに目もくれないで、大臣の信念に基づいたごあいさつがあったということで、この会合に出た市町村長は、私の部屋へ来たときにみんな口々に、大変頼もしかった、力強かったと言ってくれているわけなんですけれども、これは外だけじゃなくて、この国会の中でもひとつ信念を吐露していただきたいと思うのでございます。
  266. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) どうも激励いただきましてありがとうございました。  実は、地方財政も、特に交付税でございますけれども政府の方の温かい配慮から、例えば消費税あるいは利子配当課税、そういうものの譲与税をどんどんと入れていたださまして、おかげさまで非常に堅実になってきたと私は思っております。  ところで、御質問の中にございましたように、地方団体個々を見てまいりますと、まさにまだ借金で苦しんでおる小さい、力の弱い団体がたくさんございまして、一例を申しますと、東京都をよく地方自治体の代表に挙げられますけれども、こういう力のある自治体と、山村に行きますとその日暮らしでしか過ごしていけないようなところがございまして、そこへ今私たちはスポットを当てて、ふるさと創生事業ということをやってもらうことによって活性化し定着を促進しようとしておるのでございますが、そういうところには全く財源の恩恵があずかっていかないというところがございます。  そうして、国全体の地方団体の状況を見ますと、やっぱり依然として財政は厳しい。しかも、先ほどいみじくも吉川先生がおっしゃった三つの大きい事業が待ち構えておるわけでございまして、公共投資計画のその実施について地方団体が負担していかなきゃならぬものも確実に出てまいります。そこへ一極集中排除をするために拠点づくり、いわば生活文化を中心とした地域づくりを進めていかなきゃならぬ、高齢化社会の受け入れをしていかなきゃならぬ、そういう将来にわたっての財政需要というものがメジロ押しに来ておるところでございますので、そういうことを考えてみますと、現在こうして交付税に十分な構造的な措置を講じていただいたとはいいながら、将来に対して大きい需要があるだけに不安な点が多々あるわけでございます。  そこで、それにもかかわらず地方財政が豊かだといろんなうわさが出てまいりますのは、一つはこの地方交付税というのが正確に認識されておらないような感じがいたします。これはやっぱり補助金のように国から地方に渡していく税金だという、そういう認識があるというところに大きい間違いがございまして、私たちがかねてから国に対しまして議員の一人として要望しておりましたことは、交付税は国税等整理資金の中に一応収納して、そこから直に地方団体に、交付税特別会計に渡してくれたらいいものを、一たん国が、国税収入に入るのは当然でございますが、そこから一般会計へ計上されて配分されるということでございますから、公債費と地方交付税が目立ってしょうがないというところだろうと思うんです。こんなに地方交付税が行くのか、十何兆円が。これは大きいじゃないかというので、これに目をつけたらどうだ、こうおっしゃるんですけれども、これは性質が全く違う。交付税というのは地方団体の固有の財源なのでございますから、その点をしっかりひとつ認識していただいて、御支援もいただきたいと思っております。  しかし、私が見ますと、国の方の財政は非常に厳しいと思います。したがって、国と地方とは一体として事業をやっていかなきゃなりませんしいたしますので、国の方の大蔵省の言い分も十分聞いて、お互いに協調し合いながら地方財政の所要財源の確保に努めていきたい、こう思っておりますので、御理解いただきたいと存じます。
  267. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 今ほどは大変力強い御答弁をいただきましたけれども、私も地方県会議員を通じまして長くおる者といたしまして、国と地方との関係で、国も苦しいと言われましてもまだまだやっぱり財政にもフレキシビリティーがあると思うんです。その点では、地方は限られた与えられた財源の中でのことでございますから、まさに地方交付税は固有の財源であるということについては同じ認識を持って今後とも頑張りたいと思っております。  次に、今ほどお話にも出ましたふるさと創生の問題についてちょっと触れさせてもらいます。  宮澤総理は、さきの施政方針演説の中で「真に先進国家と誇れるような、活力と潤いに満ちた、ずっしりと手ごたえのある生活大国づくりを進めていきたい」、こういうふうに述べておるわけでございますが、まことに的を射た表現だと思うのでございます。それが生活大国の実現のためには、地方公共団体が持てる力を十二分に発揮して、みずからの創意工夫を凝らして、思い切った発想で地域づくりに邁進していくことが大事だと思うのでございます。  それで、竹下内閣当時に実施された一億円事業、これは確かに初めは選挙目当てのばらまきだとか、金を配るだけで中身がないなどという批判を受けましたけれども、しかしこれがもとになって今や市町村のアイデアのコンクールのような様相を呈して、地域づくりに対しての大きなインパクトになってきていると思うのでございます。そして、これをもとに地域づくり推進事業というこの事業も、これはただ自治省だけでなくて各省ともそれに参画しておる。  これはよくあることなんですけれども、例えば一億円で温泉を掘って、うまく温泉が出た市町村がこの温泉を利用して温水プールやクアハウスをつくるというようなものをやっているところもあります。そのほかに、私のところの新潟県では、例えば白鳥の渡来地があるんです。有名な瓢湖があるんです。白鳥のえづけに成功した場所ですけれども、ここでは地域づくり推進事業を使って遊歩道をつくったり、傷ついた白鳥を手当てするような施設をつくっております。  新潟のことばかり紹介して恐縮でございますけれども、良寛の星とか、それから糸魚川ではヌナガワヒメの神話と越の国づくりとか、なかなか夢のあるのが多いわけです。そういうわけで、歴史公園や自然公園、美しい町並み形成と、新潟のことばかり言っては悪いですから札幌のことも申しますと、札幌市などでは凍結しやすい坂道四十五カ所にロードヒーティングを設置するというような、それこそ地道な仕事もやっているわけでございます。  ところが、この事業は三カ年というから、平成元年を初年度として二年、三年、四年ですか、これで一応その先がないような話も聞いているんですけれども、せっかく芽が出、枝ぶりもよくなってきたことでございますから、これを引き続き育てていくというお考えはないかどうか。これは総理にお伺いしたらいいのか、自治大臣にお伺いしたらいいですか。
  268. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この事業は、御存じのように、元総理の竹下先生が提唱されまして、全国的に燎原の火のごとくこの事業が広がってまいりました。最初交付税措置でいたしたのでございますが、その後事業が始められまして、仰せのように各地でお互いがふるさとというもの、自分の故郷を見直す運動が起こってきた。これは非常に私は結構だったと思いますし、それと同時に、地方自治体の自主性をこれによって取り戻してきたと思っております。  仰せのように、平成四年度で一応はこの事業の完結をということでございますけれども、しかし四年度の状況を見ますと、事業の拡大が非常に大きくなってまいりましたので、これの主体は、自治省の手当でいたします主体は起債でございますけれども、四年度は五千億近く起債を見ていかざるを得ないんだろうと、これほど拡大してまいりました。ちなみに三年度、ことしの分は三千五百億でございますから、大変な伸びになってきておると思います。  そこで、四年度以降どうするのかということでございますけれども、個々の事業を見ながらやっぱり推進はしていくという方向、この基本方針は曲げないでいきたいと思っておりますが、しかし事業の名称あるいは制度的にどうしていいかということは、三年間の実績を見まして、その上で新しい事業として後追いをしていきたい、こう思っております。  なお、これと関連いたしまして、やはり提唱がございましたが、ふるさと創生事業に相協力して地方へ進出していただく事業、企業でございますが、これに対する融資も非常に申し込みが多くなってまいりまして、関心を持たれておりまして、これは町おこしのために非常に役立っております。こちらの方に対する融資の枠も毎年五割ずつアップで伸ばしていかなきゃならぬということでございまして、来年度におきましても七百五十億円程度の融資を見込んでおるというというところでございます。一層の努力を続けていきたいと思っております。
  269. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 先日、NHKで行革審の豊かなくらし部会の活躍ぶりがテレビに出ていました。細川前熊本県知事がキャップになって、一切国のひもつきでない自主財源で運営するパイロット的な市町村をつくるというような大胆な発想のもとにお考えになっていますけれども、これなどはやっぱり今のふるさと創生事業のかなり自主的なというところを見ますと、その線を育てていったような感じがするなと思って実は聞いていたんですけれども、大変夢のある、地方がみずから考え、みずから行うという大事な事業だと思いますので、衣がえはどうなりましょうとも、この精神はひとつ受け継いで育てていただきたいというふうに思っておる次第でございます。  それから最後に、四全総の問題に関連いたしましてお聞かせ願いたいのですけれども、一極集中による過密の弊害が出ているということに対して、四全総はそれを食いとめるんだとは言っていますけれども、はてそうなっているかどいうとそうなってないわけでございます。平成二年度の国勢調査の結果を見ますと、その前の国勢調査ではわずかに一県しか人口が減少している県がなかったのに、今度は十八県にもなるというところを見ますと、どうも言われるような効果は余り出てないんじゃないかなと思うわけでございまして、多極分散という国土形成に対してどうしたら効果があるのかということについて政府はお考えいただいているかどうかということでございます。そのことについて、それでは最後に自治大臣にひとつお伺いしたいと思います。
  270. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 人口の過疎化を防止したいということから、それぞれの地域におきます拠点づくりを積極的に進めてまいりまして、東京を中心とした一極集中主義が非常に華やかにクローズアップされておりますけれども、一方、我々自治省といたしましては、全国にわたりましてそれぞれの拠点をつくって、そこに共通のシビルミニマムを持っていただくようにしたい、こういうことで広域圏行政を進めてきたところでございます。これを進めることによりまして、その地域地域における人口の定着が確実化していくのではないかと思っております。  なお、この点につきましての努力は今後もますますしていかなきゃならぬと思っておりますし、それにはやっぱり職、住というものの安定したバランスが必要であろうと思うたりいたしまして、そういう活動を今後とも続けていきたい。幸いにいたしまして、建設省あるいは通産省等各省庁ともそういうところに協力をいただいて拠点づくりの構想をしていただいておりますので、それと地方自治体がうまくマッチしてその政策にのっていけるように、我々も調整役を積極的に買っていきたい、こう思っております。
  271. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 最後と言っておきながらまた立ったわけでございますが、最後に、東京一極集中を排し、多極分散型国土を形成するという一つの手段としても道路の整備というものは非常に期待されているわけでございますが、高規格幹線道路並びに国道の昇格問題について建設大臣にお伺いしたいのでございます。  先般、十二月三日ですか、第二十九回国幹審、これは総理が座長になられまして基本計画の格上げとか整備計画の決定をなされたわけでございますし、また、来年何月ごろになるのでしょうか、国道も相当地方道から昇格されるというような御計画もあるようでございます。これは新潟県でも関越高速道路ができたときは大変企業誘致がふえたわけでございまして、全国で常に一位、二位、三位ぐらいを争っていたんですけれども、最近は福島県の方が随分と企業進出が進んでいるそうでございます。そういうことのためにも国道、高速道路の整備というのは非常に大事だと思うのでございますが、建設大臣の御所見を承って、最後にいたします。
  272. 山崎拓

    国務大臣(山崎拓君) ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほど自治大臣に御質問なさいました地方拠点都市の問題でございますが、先生指摘のとおり、昨年の国勢調査で十八道県において人口が減少したという実態を踏まえまして、建設省といたしましても、地方の成長をリードし、かつ地方における人口定住の核となるべき拠点都市の育成整備を行いたい、そういう構想を今取りまとめているところでございます。自治省、通産省、国土庁等々と十分協議いたしまして立派な地方拠点都市構想をまとめてまいりたいと思います。  次に、ただいまの先生の御質問で、多極分散型国土を形成してまいる上におきまして、高規格幹線道路整愉促進は極めて重要であることは論をまたないところでございます。御案内と思いますが、高規格幹線道路網は一万四千キロメートルの整備を目標といたしておるのでございます。実は、十二月七日に中国横断自動車道広島浜田線というのが開通いたしまして、これをもちまして高規格幹線道路の中の大宗を占めます高速道路の総延長が五千キロを突破いたしたのであります。平成四年度までに高規格幹線道路をおおむね六千キロに延ばし、かつ西暦二〇〇〇年に、平成十二年でございますが、おおむね九千キロに延ばしたい、そのような計画のもとに現在整備を推進しております。  それから、第二点の国道昇格の問題でございますが、現在国道延長は四万四千二百五十三キロメーターでございます。従来から国道五万キロ構想というのがございまして、これは一九六七年、昭和四十二年に第五次道路整備五カ年計画の際に出されましためどであると承知いたしておりますが、でございますから、あと六千キロ程度昇格せしめるということにこの構想によればなるわけでございますが、追加指定の要望は全国で百八十路線、約一万二千キロメートルに及んでおるのでございます。  その中で国道昇格を決めていくということになりますと、果たしてそれが適切なことであるかどうかということもございまして、何分にも車の保有台数は一九六七年から今日まで五倍に伸びておりますし、GNPは三倍に伸びておるということ等も踏まえまして、国道の総延長をどの程度に考えるか、今回どの程度国道昇格を認めるかということは、年が明けまして道路審議会に諮問いたしまして検討を行い、平成三年度中を目途に、つまり来年の三月末でございますが、目途に国道網の編成を行う方針でございます。
  273. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 以上で終わります。
  274. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 以上で吉川君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ―――――――――――――    〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
  275. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 次に、小林正君の質疑を行います。小林君。
  276. 小林正

    小林正君 質問に入る前に、総理にお伺いしたいと思います。  私が政治家になりましてからある方の本を読みましたら、政治学者の言葉を引用して、その中に政治家の資質として三つの条件を書いておられました。一つはパーソナリティー。政治家というのは何よりも人柄がよくなくてはならないということが一つ。そしてもう一つは、政治家は政治哲学、理念を持たなければならない。アイデアリズムが大事だという指摘。そして三つ目に、現実処理能力。リアリズムといいますか、政策的リアリティーを持った能力というものが不可欠だというこの三つを政治家の三条件と、こういうふうに指摘をされていたわけです。  宮澤首相就任一カ月余、この中で、私、長年首相の言動につきましては、例えば昨年の湾岸危機の折の宮澤私案など大変傾聴に値する内容のものも発表されておりまして、現実処理能力、そしてお人柄というようなものについては大変尊敬をしているわけでございますが、歴代の首相が教育の問題についていろいろな発言をされております。その中で、教育論を歴代首相がお述べになるということは、同時にまたその人の人生観といいますか、哲学、理念を語ると等しいというような印象を持って聞いていたわけです。  そういう意味で、首相に就任されまして、二十一世紀を展望する国際社会の中での日本という立場も含めまして、宮澤首相としての教育観といいますか、そういうものをぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
  277. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 小林委員は多年教育に御尽痺でありますが、私にはそのような経験も実はございません。しかし、時々申し上げることでございますけれども、私はやはり我が国のようなこれだけ力のある国になりましたら、国民の一人一人が自分の生活設計ができるようなそういう人になってほしいし、またそれができるような環境をつくるのが政治である。政治は人の心を支配することはできませんけれども、人が幸せになるような環境をつくることは私はできると思いますので、そういう自分自身の個性を持った生活設計ができる人を教育がつくってほしいというふうにかねて思っております。  もとより、我が国がよくこれだけ国が興ったのは、明治以来教育に熱心であったからであるということは言われます。それはそのとおりと思いますが、本来教育というのは、そういう手段であるのではなくて、一人一人が自分の人格を形成して自分の人生を歩むためのものであろうというふうに考えております。  もう一言つけ加えさせていただきますならば、ここ何年かやっております財政のいわゆるシーリングでございますが、これはもう大変に財政再建について大きな効果を発揮しておるわけでございますけれども、その結果として、例えば文部省関係予算、これは御承知のように非常に人件費が大きゅうございます。そういうところでございますと、このシーリングのもとではなかなか関連の予算が伸びにくい。金があればいいというものじゃございませんけれども、しかし必要なものはやはり必要であるので、その点は、シーリングも立派な役割を果たしてまいりましたけれども、片方でそれなりのまたデメリットもある。これはみんなが承知のことでございますから、ぼつぼつそういうことを考えていかないといけないのではないかということを思っておりますことをつけ加えさせていただきます。
  278. 小林正

    小林正君 これからお尋ねしようと思ったことについて先にお答えをいただいたような気がいたしまして、組合用語ではそういう回答を満額回答というふうに言って評価をするわけでございます。  今、総理の教育観もお伺いしたわけですが、先進国首脳会議参加の各国首脳の皆さん方が日本の教育水準について、経済的な発展とか成功というようなものとの関係でかなり日本の教育に対する評価が高いということが言われているわけですけれども、それはどういうことなのかということについてもぜひお伺いをしたいなというふうに思います。  私も現場に長くおりました関係で、先進諸国の教育の施設設備なり定数といったようなものについてはかなり各国の状況も視察をしてまいっておりますけれども、かなりそういう面では劣っているなというふうに思います。したがって、教育効果がそれほどに高まったのはひとえに教育現場が非常に頑張っているということだろうと思っているところですが、あわせまして御見解をお伺いでぎればというふうに思います。
  279. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) サミットの国の間で我が国の教育水準についての評価が高いというのはそのとおりと存じますけれども、それはどちらかといいますとやはり三つのRでございますか、そういうものについてのこと宣言われておるように私はいつも思いますので、自分自身の独特の発想といいますか、創造的な能力をつくるという意味で本当に日本の教育がいいといって褒められておるのかどうか、どうかなと思うことがよくございます。  つまり、そういう意味では三つのRというのは非常に実学的なものでございますから、日本の経済の興隆なり復興なりに非常に役に立っているし、今日また役立っておるわけでございますけれども、そういう意味でない、人の人格形成といいますか、教育というものが果たしてどのように真実評価を受けているのか、私もそういうことを時々言われながらやや疑ってみるときもございます。
  280. 小林正

    小林正君 文部大臣にお伺いをしたいというふうに思いますが、八〇年当初、国家予算に占めます教育費の割合というのが一〇・二%ということで、今総理もおっしゃいましたけれども、いわゆるシーリングの問題が出てまいりまして年々低下の一途をたどって、九二年度、ことしの概算要求も七%を割って六・九五%というところまで低下しているわけでございます。今の総理のお言葉のとおりだというふうに思いますけれども、教育という分野が概算要求というようなもので最も影響を受けたということは、結果として、本来教育予算は概算要求基準になじまない、まさに例外的な扱いとすべき部分ではなかったのか、そのように考えるわけでございます。  大蔵省が聖域を設けずに一律カット方式でやって十年間、この影響というのは今教育に非常にさまざまな影響を及ぼしてきているわけでございます。すぐにはあらわれないけれども、年を追うごとにだんだんその影響が出てくるというような性質のものでありまして、そのことがわかってからすぐ解消ができるかというと大変時間がかかるわけです。そういう意味で、教育というのは、即効性を期待することもできないし、同時に即効的に回復を図ることも困難な性格を持っている、そのことについて十分御理解を賜りたいというふうに思うわけです。  実は、十月の初めに大阪大学基礎工学部で爆発事故がありまして、若い研究者が二人亡くなって、多くの方が傷を負われた。十月の半ばに私も現場に行ってまいりました。まだ薬のにおいが生々しく立ち込めて、警察現場検証というような関係の中でそのままの状態で残っていたわけですけれども、極めて狭い部屋で、ベニヤで仕切るような研究体制というものの中で先端技術の開発、研究が進んでいる、こういう状況を目の当たりにしてまいりました。  それで、安全管理の問題についても、シランガスというような非常に危険なガスについての扱いが通産省の指導等の範疇でしかそれが扱われない、ほとんどが業者任せというような実態の中で、指導教官も不足をしているということで起きた事故であります。先端技術の非常に危険な分野で一生懸命やっている皆さん方が、この事故を契機にして、安全でないならやらなきゃいいわけですから、そういう消極的な対応になったときに、国公立大学で進めているそうした分野での研究が民間段階での開発、研究との比較の中で言うともはやおくれをとってきているというような実態もありますし、施設設備が悪くて、待遇が悪くて、そして民間の方はそれよりいい、諸外国の方が研究の機会があるというようなことになれば頭脳の流出の問題等も出てまいります。  それ以降、引き続いて文教委員会でその他の大学等の視察も行ったんですけれども、やはり大変手狭な中で研究が行われています。どこでその事故が起こってもおかしくないというような状況が今日の国公立大学の研究体制の実態ではないか、こういうふうに思ったわけで、これは長年にわたるシーリングの一つの結末として出てきた事故だと言っても過言ではないというふうに思うわけです。そういう面で、今後、教育予算を概算要求基準という方式の中で聖域を設けずに引き続きやっていこうとしているのかどうなのか、その辺について大蔵大臣、文部大臣の御見解を承りたいと思います。
  281. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) ただいまのお話は、先ほどの総理の満額回答のことを考えますと、私が向こう側に回って大蔵大臣に頭を下げたい、そういう思いがいたすようなことでございまして、きょうは総理から大変力強いお話がありましたので、大いに気をよくしているところでございます。  教育の専門家である先生はもう御承知のとおり、本年の人事院勧告三・七一%ですが、文部省の場合一%で四百三十億円ぐらいの支出増になります。ところが、そこにシーリングがかかっておりますから、その分、タコが自分の足をひもじい思いで食べていくようなそんなことが十年続いてきた間にへ一兆六千億ぐらいあった物件費が一兆円に、約六千億円減ってしまったわけでありますから、先生が今御指摘されたような悲しい事故もそういうことと無関係ではありません。ですから、そもそも教育というものが、人づくりというものがシーリングに合うかどうかということは国全体、政府全体、国会全体で考え直していただければありがたいと思うわけです。  さらに、他のいろいろな分野について、先ほど塩川自治大臣から御指摘がありましたように、新聞を朝開きますと幽霊が一匹ずつ飛び出してくるような思いがいたしておりまして、これらを、宮澤総理の先ほどの勇気ある大変ありがたい御発言や大蔵大臣の力で幽霊を退治していただければありがたいと願うものであります。
  282. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私も教育に関して思いは総理あるいは文部大臣と全く同じ思いであります。文教予算というものについて枠をはめないでやれる、そういう幽霊があるだろうとすればそれを退治する、これは本当に私としてもその気持ちは変わりはございません。  ただ、御案内のとおり、今日までも、文教予算につきましては各種の合理化ですとかあるいは重点化、こういうものを図ってまいりまして、科学研究費の拡充、そして学術をそれて推進するというようなことをやってまいりました。留学生の交流の拡充あるいは教職員の定数の改善の問題あるいは初任者研修制度の実施など、ときどきの要請によりましてこういったものを進めてまいってきておるということは言えると思っております。  ただ、問題は、今こういったものに対してどう対応するのか。やっぱり国際的にも一番言われるのは初等教育、これは特に日本の場合には進んでおるということが言われております。しかし、技術ですとか、特に基礎技術の問題についての研究ですとかあるいはその成果によっての国際的な貢献というのは日本は低い。あるときにはただ乗りなんということまで実は言われておるというのが実態であります。  そして、今先生から御指摘のあった大阪大学でもそういう事故があったということでありますけれども、ともかく各高等研究機関、高等教育の分野におきます研究機関というものが、非常に施設が老朽化してしまっておるというようなことがございまして、こういうものについて相当目を注いでいかなければならないであろう。これから日本がそういう面でも国際的な役割を果たしていかなければいけないということを考えましたときに、さあこれから予算を編成するときにはどう対応したらいいのかということが我々として一番実は苦しまなければいけないところであろうと思っております。  いずれにいたしましても、文教予算の中で人件費の占める割合が七八・何%ですか、ともかく圧倒的に人件費が占めてしまっておるということでありまして、そういう中で、一体どう対応していくのがいいのかということが問題であろうというふうに思っております。  シーリングにつきましては、これは機械的に各省の皆さん方に来年の伸びはこれだけでお願いしますよというやつなんで、これを外しちゃうということは、今総理からもお話がありましたので、我々としてもいろいろと対応を考えなきゃいけないと思っておるんです。また、人づくりというものはないがしろにしちゃいけない、何よりも大事であろうと思っております。  今、文部大臣から最後にお話がありましたように、こういった問題について本当にどうするのかということを国民の中で、あるいは国民を代表する国会、私なんかもこっちにおりますときには、林業の方だ、農業の方だ、いや魚の方だ、いや教育もだということでそれぞれ常にやってきた人間で、今振り返ってみればいろんなところに顔を出していたものだなということを実は改めて思っているんです。だから、こういう厳しいときに一体どこに重点を置くのかということの合意というものをつくっていかなければいけないんだろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、教育というものは重要であるということ、そしてその中でめり張りをつけていくということが重要であろうということだけを申し上げさせていただきたいと思います。
  283. 小林正

    小林正君 大蔵大臣は長野の御出身で、信濃教育というのは全国でもユニークな教育実践でかなり有名なところで、その人づくりが成功したいい例として大蔵大臣がそこに座っていられるんだろうと、こういうふうに思いますので、ぜひ今後引き続いて教育重視の政策を進めていただきたいというふうに思います。  教育、人づくりというのは未来にかける事業ですから、そういう意味で、教育費を削減するということは未来の発展の可能性をカットするということに等しいことなんですね。ですから、そういう意味で認識をしていただきたいなというふうに思います。  以下、教育関係について具体的に、今総論では皆さん大体一致したと思うんですが、各論にいくとそうは言いながらもという話になりかねない要素もございます。一つは、行き届いた教育を進めるためには教職員定数の改善というのが大事だし、第五次まで大変厳しい財政状況の中でとにかく一つ到達点まで来た。そして、来年度以降、児童生徒数の激減に伴って実際には一万二千人に近い減が出る。それに対する加配がわずかに千人程度、こういう形になっておりまして、新たな改善計画をスタートさせる好条件を調査という名のもとに見逃してしまったというのは非常に残念な気がするわけで、踊り場にいないでぜひ一歩階段を上っていただきたいということを強くお願いしておきたいというふうに思いますが、全般的なお話よりも各論の段階で一つだけ絞って申し上げますと、養護教諭の問題がございます。  今、児童生徒は非常に多様な肉体的、精神的な悩みを持っているわけですが、保健室がそういうことの場として新たな機能、任務を帯びるようなそういう状況に今なっております。一方、昭和十六年にいわゆる養護訓導として、それまで学校看護婦とか学校保健婦とかと言われていた職種が訓導として正式に位置づけられてことしで五十年という一つの節目の年を迎えるわけですけれども、そういう状況の中で、養護教員の配置基準というのは絶対に必要な職であるにもかかわらず非常に低いわけですね。そして、常に研修をしなければならない職種であるにもかかわらず、定数不足のために学校を離れることができない、いない間に事故が多発するというようなことがあって大変困難を感じているわけで、このことについてはぜひ積極的、前向きな対応をお願いしたいというふうに思います。  それから、地域格差がいろいろあるとは思うんですけれども、外国人労働者の家族、お子さんたちが急激にふえる地域が最近出てきて、カナダのような多民族、多言語、多文化といったような国で、受け入れる公立学校もそういう体制を整えられているところはいいんですけれども、日本のような場合は急激にそうした事態が進行するということになりますと、受け入れの方が非常に手薄になって、各市町村段階の学校では大変困難を感じているわけです。これらの実態についても点検をして、しかるべき措置、予算的な裏づけというものをする必要があると思いますが、まず、この定数問題全体に対して文部大臣の御見解を承りたいと思います。
  284. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 御承知のように、第五次定数改善計画、大変長期にわたったわけですが、その間、四十人学級も完成をいたしましたし、初任者研修も開始をいたしたわけでありますが、第六次をどうしてすぐやらないかというのは、やはりこの第五次が完成した段階でしばらく状況をよく精査させていただいて、場合によっては悉皆調査というような、そういうこともさせていただく中で次なる計画を考えていこうということであります。  また、養護教諭につきまして先生の御指摘、よくわかりますが、第五次改善計画の前年度に配置率七七・七%、完成をした平成三年、ことしか九六・四%、当然先生はこういう数字は御承知とは思いますが、それだけの改善を見た。ことしは五十周年に当たるという先生のお話も感銘深く承っておりますし、養護教員の皆様方の大変重要なお仕事がさらにその重みを増していっていることもよく理解をいたしております。  外国人労働者の件については、質問の御通告をいただいておりませんが、もしあれでしたら実態をあすにでもお知らせいただければありがたいと思います。
  285. 小林正

    小林正君 次に、学校事務職員、栄養職員の問題なんですけれども、国庫負担の適用除外ということが毎年のように繰り返されて、ことしで八年越しの問題になっているわけです。事務職員の問題についていいますと一九五三年から、そして栄養職員については七四年から適用職員になっておりまして、過日、文部大臣とこの問題について折衝をいたしました折にも、大臣の方からこの職種については学校の中の基幹職員であるというようなことも発言をされておりますし、私どもは当然のことながら、学校の中に必要なあらゆる職を置いて教育活動を支援していくという体制があって教育効果が高まっていくものだというふうに基本的に考えているわけでございます。この身分上の扱いをめぐって毎年こうしたことがこの年末に繰り返し行われるということは学校運営上もいろいろ問題がありますし、そこに従事する職員の皆さんについても同様、非常に身分上の不安感を毎年感じておられるというような実態もございます。  各学校におきます、あるいは市町村それぞれの、三千三百と言われましたけれども、それぞれの学校の教育水準を全国そんなにアンバランスのない形に保っていくための制度的な保障として今日までこのことがされてきたのが、毎年繰り返されるということはもういいかげんにしてもらいたいというのが率直な現場の声でございますが、このことについて御見解をいただきたいと存じます。
  286. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、こういう問題はイデオロギーの問題ではありませんし、与党、野党という問題ではなくて、子供をみんなで育てよう、子供は国の宝だ、そういうことから考えますと当然のことでございます。毎年この事務職員、学校栄養職員について幽霊がおどかしに出てくるというのが実態で、どうしてこう毎年出てくるのかというのが私どもも非常に疑問に思っているところでございます。  こうした方々は、確かに一般の教員とは異なっているわけでありましょうが、子供の目から見れば事務の先生であり栄養の先生であって、それら先生が全部一体となって一つの学校をつくっている、それが基幹的職員という意味でございます。義務教育国庫負担制度に必ず残るように努力をしてまいりたいと思いますので、大蔵大臣におしりを向けてしまっておりますが、お願いをしたいと思っております。
  287. 小林正

    小林正君 文部大臣として、昭和二十二、三年のいわゆる第一次ベビーブーム、私も教えたことのある世代が文部大臣になられたわけで、家系的にも非常に好調なスタートを切ったというふうに思うんですけれども、そういう点で言いますと、文部大臣就任の年にこの制度がカットされるという記念すべき年にしないようにひとつぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、私学助成の問題について。この国会に向けて全国各地域から私学助成について私立学校の先生方が請願、陳情にたくさんお見えになりましたし、父母の署名も集められてまいっておるわけですけれども、公立学校が不足をしている時代に、それぞれの私学がみずからの独自性というものを発揮しながらもその補完的な役割も果たして、各県段階で無理もお願いをしながらやってきた経緯というものがあったというふうに思います。  今日、生徒数の減少期に入って、私学経営というものが大変な時期を迎えているわけでありますけれども、この中で特に私立学校の経常経費の助成、そして地方交付税による財源措置の拡充という課題として要求が強く出されておりますし、私学の学級編制もやはり四十人学級の線でということで、現在の制度についてただし書きがあるようでありますけれども、これについてはそういうふうに是正すべきではないのかということ、さらには私立大学の経常経費の二分の一達成ということが言われているわけです。実際には達成率は一七%程度だというような指摘もされているんですが、この私学助成問題について、これもまさに超党派の課題だろうというふうに思いますので、文部大臣の御決意を承りたいと思います。
  288. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) もちろん、幼心中高大と国公立と私立の割合は、これは全然違うわけですが、日本の教育というのは特に背骨のような教育の機会均等という観点もあって、全国的にきちんとしたいわゆる公教育あるいは国公立の学校、もちろん義務教育はそれがほとんどでありますが、そうした学校群と建学の精神をもって特に個性ある教育をやる私立との見事なバランスの上に日本の教育は乗っている。私は基本的にはそのバランスは非常にいいものではないかと考えているわけであります。  私学の助成に関して大変厳しい状況にあることは御承知のとおりで、七年前に政務次官をやっておりましたときに、予算の編成が終わった大みそか近くのときにみんなで集まっておったわけですが、その年はちょうど私学助成が減額にはならなかったという年であります。スズメの涙ぐらいふえたのか、ちょうどゼロだったかという、そんな決定をして、全私学連合の石川忠雄会長が冒頭をちょっと押さえるようなしぐさをされた、まあ減らなくてよかったと。そういうお姿をお見受けしたわけですが、私は大変残念でありました。それこそ倍になってしかるべきところですが、減らなくて助かった。減らないということは、物価が上がってまいりますし、高校生がどんどんふえてまいりましたから、当然それを受け入れる大学の方も枠をふやしてまいりましたから、大体前年同額でいつでも経常経費に対する助成率は一%減ってしまう。かつて二九・五%あったものが、多分ごとしは一三%台だろうと思うんです。ですから、恐らく実質半分以下になってきている。  これは、諸先輩の皆様方が私学振興助成法をつぐられた趣旨、あるいは国会の決議があったかどうかは私よく承知いたしておりませんが、それらに反するような事態になっておりますので、私学の問題は、大学の問題も高校以下の問題も十二分に努力をしてまいりたいと思いますしつこいようでございますが、こちらの方に登場しております幽霊はちょっと強力な幽霊に見受けるわけで、この闘いは熾烈をきわめるかと思いますが、頑張ってまいりますし、御支援ください。
  289. 小林正

    小林正君 先ほどの学校事務職員の問題、栄養職員の問題、それから今の私学助成等の問題については、長年自治体で頑張っておられた塩川自治大臣からも御決意をいただければというふうに思うんですけれども
  290. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も文部大臣を全面的に応援していきたいと思っております。  つきましては、先ほどおっしゃいました学校事務職員の問題、それから栄養職員の問題、これは古くて新しい問題なんですが、はっきりしたものはやっぱりされる必要があるだろうと私は思っております。  ただ、その場合、私の立場から申しまして、もしこれを地方自治の財政で引き受けてくれという話であるならば受けてもいいと思っております。そのかわり、私は条件があるんです。  その条件といいますのは、それだけの分国費を肩がわりするのでございますから、国費が浮いてまいります。その分をさっきおっしゃったような教育研究の方へ回すということをきっちりやってくれることが大事だ。これは地方財政に振りかわるんだから、この分はもう国庫で残しておくよというんでは、私らも政治家として何か釈然としない。この分地方にかわれ、肩がわりしろとおっしゃるならば、私は相談に乗ってもいいと思います。学校のことでございますから、地元のことでございますから、私はいいと思う。そのかわりその分の相当額が、アバウトはわかりますが、その金が先ほどおっしゃった大学やとか私学やとかそういう方向に活用されていくということ、これをきっちり話ししておいていただきたい、こう思うんですが、そういう点についてひとつお願いしたい。  それからもう一つは、学校事務職員にしましても栄養職員にしましても、それぞれ組合なり協会なりというバックがついておるんです。バックのところへまた国会議員がついておる。これを一回ちゃんと整理していただかぬと何にもならぬ、こちらの方で話が決められないことになってくるんじゃないかと私は思います。それが八年間かかってまだ答えが出ない。これは臨調の第一次答申ですからね、だからもうそろそろちゃんとした制度にしていただきたいなと、こう思っております。
  291. 小林正

    小林正君 今、自治大臣からお話を伺ったんですが、経過的にもよくわかる話なんですけれども、わかればわかるほど、実はこれは大変危険だなと言わざるを得ない側面があります。  それはなぜかと申しますと、三千三百、それぞれ自治体の体力が違うんですね。そうすると、同じものをしょわせたときにしょい切れるかどうかといいますと、やり切れるところとできないところが出てきて、教育水準にどうしてもアンバランスが生じる。したがって、国庫負担適用ということで全国的にこの条件はひとつそろえようじゃないかという趣旨だったと思いますから、そのことについてはぜひ御理解をいただきたいなというふうに思うわけであります。  宮澤内閣、教育費については本来なじまない措置をしてきたと、幽霊の問題も出ましたから、総論ではほぼ足並みをそろえていただいたというふうに思いますので、今御指摘をしたような各論の段階でもぜひ足並みをそろえていただきますように心からお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、制度的な問題で今話題になっております学校五日制についてなんですが、文部省が全国六十八校の実験校を指定して、その結果について最近マスコミでも臥り上げられ、学校五日制も現実的な課題となってきているわけです。円滑な移行に向けて各県においても自主的な努力が積み重ねられているというふうに聞いておるわけですが、文部省としてこれから移行に向けてどのような施策を講ぜられようとしているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  292. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) だんだん文教委員会に近くなってまいりましたが、学校五日制の問題は、これは御承知のように実験校がございまして、実験校での実績や問題点、あるいは実験校に通わせているお子さんの親の意識の変化等も十二分に見ていかなければなりません。現在、調査研究協力者会議でも検討をしていただいて、来年二月ぐらいには最終報告をいただけるだろうと思います。先生方の御意見もいつも承っておるわけであります。  現在、議院内閣制でございますけれども、私は自民党の代議士であります。したがいまして、自民党の文教部会でお決めになった事柄は、既に決定事項、アドバイス事項かもしれませんが一つの結論が出ておりますから、これも重く受けとめなければなりません。そうしたものを全部重ねていって、合うところ合わないところ、問題点をいろいろ整理してこの問題については結論を出していきたいと思っております。  ただ、これはお子さんを受け入れる側の問題、つまり土曜日が仮に休みになった場合に、その意味は、お子さんにいろいろな生活体験、自然体験あるいは社会体験を積んでもらって、そういう中から個性が伸びていくならばという期待を込めて、そういう体験を積んでもらえるならばという条件がついているわけで、学校を土曜日休みにしたら壁体験だけがふえたというのではこれは話になりませんから、世の中の動きあるいは世論、こうしたものにも十分留意しなければならないと思っております。
  293. 小林正

    小林正君 それでは、文教委員会から少し趣をかえましてお伺いしたいと思います。  子供の権利条約の批准の問題については、ちょうど昨年のこのころだったと思いますけれども、中山外務大臣から次期国会において云々というお話がありまして、それを次期通常国会と、こういうことですから、この一月から始まる通常国会の中ではそういう体制が整うのだろうというふうに思いますけれども渡辺外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  294. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 子供の権利条約批准の問題でございますが、この条約自身は我が国の憲法に合っていることでもあるし、既に我が国では現行法の中でほとんど実行をされておるわけでございます。したがいまして、なるべく早く批准をできるように努力してまいりたいと存じます。
  295. 小林正

    小林正君 なるべく早くというのは、さっき申し上げましたような一月から始まる通常国会ということで考えておいてよろしいでしょうか。
  296. 丹波實

    政府委員(丹波實君) 先生が御指摘になられた前外務大臣の国会における答弁、私たちよく承知しております。そういうことを目標にして文部省、法務省と協議しながら、その目標を達成すべく努力をしたいというふうに考えております。
  297. 小林正

    小林正君 国連中心主義、特に日本の政府がそういうことを言いながらも、どうも人権については非常に消極的な対応をしてきたということで、超党派の国連人権議連の会議の中でも、人権に関する批准の実態というものを考えますと非常に低いわけです。ですから、やっぱり人権外交というのは基本的に大きな課題でもありますので、そうした点で国連中心主義をその面でもぜひ貫いていただきたい、このように考えます。  次に、総理大臣お尋ねしたいと思います。  当初十一月に予定をされておりましたブッシュ大統領の来日に関しましてお伺いをしたいのですけれども、この八月末の記者会見で総理は、真珠湾攻撃五十周年に当たって日米太平洋憲章を出すべきだということを語ったと伝えられております。そしてさらに九月に、アマコスト駐日大使との間に、グローバルパートナーシップをうたいとげる共同宣言を出すことで合意したとも報じられているわけであります。一方、ブッシュ大統領は内政の課題を抱えての来日になるんだということがマスコミの報道等でも伝えられているわけですけれども、アメリカの今回のブッシュ来日の意図と、そして日本側として伝えられるいわゆる東京宣言というものについて、今後の五十年を展望しての内容だといったような報道もされているわけでありまして、どのようなことを構想されておられるのか、お考えを承りたいどいうふうに思います。
  298. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 来年にずれましたけれども、当初予定されておりました時期が真珠湾五十年の時期でございました。そういう意味では大変に意義のある時期だというふうに考えまして、過去五十年間を踏んまえて、これから仮に五十年間、長い将来に向かって日米一緒に、価値観を同じくする国でございますので、ひとつこの新しい平和構築のために世界的な責任を果たそうではないかと。  基本的には、今後の我が国の、つまり先ほどもお尋ねにございましたように、いろいろなさざ波が立っておりますし、多少の雑音もございますが、そういうことを超えて、やはり本質的に価値を同じくする両国が世界の平和と繁栄のために手を携えるということを確認いたしたい。それは何の意味がないようでありましても、しかし将来何かのときに必ず物を考えるもとになるものにしておきたい、こういうふうに考えておりましたし、今日もおるわけでございます。  何という呼び名がよろしいか、十分相談しておりませんけれども、仮に東京宣言とでも申すかどうかというところでございますが、私の考えは先方に伝えておりますが、まだ先方のお考えというものとそれを調整いたしておるところでございます。大筋は大体、私は、そういう基本のところの合意は違わないと思うのでございますけれども、その上に、確かにブッシュさん御自身が、大変手近なことを申していかがかと思いますけれども、来年は選挙の年でもございますし、アメリカの景気が非常によくない。そして、せんだってのホノルルにおける演説でも、孤立主義と経済上の保護主義を戒めるということを強く言われました。これはある意味で半分は国内向けに呼びかけておられることでございます。そういう要素も、これはこちらとしてもそのことに基本的に反対でございませんから、盛っていくことも大事であろうかなというようなこどをただいま考えておるところでございます。
  299. 小林正

    小林正君 日米関係を重視していくという基本的な立場、私たち全くそれは大事だというふうに考えておるわけです。特に、パールハーバー五十年のいろんな記念式典やさまざまな方々の発言等を聞いておりましても、太平洋新時代と言われる中で、非常に重要な課題だろうというふうに思っているところですが、この場合に、日米関係と日本がアジアというロケーションに位置している中での対応という問題をどう調和されようとしているのか、特に東京宣言とのかかわりでお考えがあれば承っておきたいと思います。
  300. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは私の考えということで、打ち合わせをしておりませんのでお聞き取りいただきたいのでございますけれども、せんだっても所信表明で、我々の世界平和への努力というものは、やはりアジアの国々との連携と日米の信頼関係をもととしてというふうに申し上げましたが、何といってもアジアの国との結びつきは大切でありますし、アジアの国々が経済的にはASEANを中心に非常な交流をしつつございます。まことに幸せなことでありますが。そして、カンボジアの戦争が終結いたします、朝鮮半島もどうやらいい方に向かうといたしますと、ほとんど紛争の要因が、あちこちに少しはございますが、大きくなくなっております。  そこで、この共同宣言におきましては、アジアの地域の平和と繁栄のために――アメリカ自身も自分は太平洋国家であるという意識を非常に強く持っておられますからそれはそれでよろしいと思うので、アジアの繁栄のためにも日米相携えてやることがあるし、またアジアのそのための具体的な、例えば仕組みで申せば現実にございますのはAPECのようなものがあるわけでございますけれども、そういう仕組み、あるいはアジアの安全ということにつきましても日米間の安全保障関係がアジアの安定繁栄のためにも役に立っておるし、また今後もそうあるべきではないかというような、そういう考え方を出したらいかがであろうかと私自身としては考えております。
  301. 小林正

    小林正君 日本がいわゆる近代国家に発展する過程で脱亜入欧といったような言い方もされたり、あるいはアジアに友人がいない、孤立しているというような指摘もされながら今存在しているわけですけれども、このことを通して、今首相がおっしゃったような意味で、やっぱりアジアの中で生きる日本としての基本的なスタンスというものをぜひきちっと持ってやっていただきたいというこどが一点。もう一つは、アメリカはアメリカの事情を日本に持ち込んでくるというふうに思うんですね。それは貿易摩擦等の問題、経済的な不均衡の問題がありますから、そうした貿易不均衡等の問題とあわせて、日本の憲法、国是にかかわるような問題についての新たな問題提起ということもしてくる可能性もあるわけです。  そういうようなことを含んですべて、一切オーケーですということには到底なり得ないというふうに思いますので、基本的にアジアという立場に立ちながら、やはりアジア諸国からこの東京宣言というものが歓迎されるような内容になるということが一番大事じゃないかというふうに思いますので、ぜひそういう点での対応をお願いしたいというふうに思います。次に、外務大臣にお尋ねしたいんですけれども、いわゆるTKO法案にかかわる問題ですが、衆議院及び参議院での二日間にわたる質疑で既に問題点は明白になっているというふうに思っておりますが、これがいわゆる日米グローバルパートナーシップを目指す東京宣言との関連も含めてどういう役割を果たすのかということが一方で大変懸念もされております。  その点について、現在日本にありますいわゆる在日米軍基地に国連旗が翻っているわけです。私、神奈川ですけれども、横須賀とか座間ですね、国連旗が出ています、米軍基地なんですけれどもね。これは一体、日米安保条約、地位協定との関係も含めまして在日米軍の性格と国連旗というのはどういう関係があるのか、お尋ねしたいと思います。
  302. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘のように、キャンプ座間などでは国連の旗が掲げられております。これは、四十一年前にさかのぼりますけれども、朝鮮戦争の勃発とともに国連軍が形成されておりまして、その国連軍はその後大幅に縮小されておりますけれども、現在も韓国で活動を続けておりますし、それから、日本におきましてはその後方支援ということで司令部が置かれております。そういうものを受けまして、日本政府と国連の間に国連軍に関します地位協定が締結されておりまして、それに基づきまして、今先生が御指摘になりましたキャンプ座間、横須賀を初めといたしまして七つの在日米軍の基地が国連軍も使用することができるということになっているわけでございます。その結果、最初に申し上げましたように、これらの七つの基地におきましては国連の旗が掲げられているということでございます。
  303. 小林正

    小林正君 四十一年前、いわゆる朝鮮動乱のあのさなか、いわゆる国連憲章七章に基づく国連軍ということではないというふうに思うんですね。そして今、国連平和協力問題というのがこれだけクローズアップをされている中でそうした事態がなお残っているというのはいかにも紛らわしいというふうに思うわけです。  従来、日本ではUNを国連というふうに言っておりましたし、また湾岸戦争のいわゆる多国籍軍について、諸外国でも当初、多国籍軍マルチナショナル・フォースという言い方をしていたわけですが、その後はいわゆるアメリカとその同盟軍というような報道に切りかえている。実態を明確にしたというふうに思いますし、デクエヤル事務総長自身が、あれはいわゆる国連軍ではないということを明確に言っているわけで、どうも概念と実態が相当相違があるわけですね。このことがやっぱりいろいろな疑惑や問題を提起しているというふうに思っているわけであります。  今度仮にこの法案が成立すると、憲法九条、自衛隊法上の制約が突破をされて、安保条約を軸にして日米国連協力という構図ができ上がってくることになる。この法案を触媒として日米安保条約は質的転換を遂げ、アジア安保、世界安保になるとの指摘がされているわけです。(「デマゴーグ、デマゴーグ」と呼ぶ者あり)いや、デマというより、現にマスコミがそういう報道もしているわけですから、ここで審議をしている立場として、やはりそれをどういうふうに解明するかということが必要だと思うんです。そういうことを申し上げたいわけであります。これがこの法案の真の意図なんじゃないのかという指摘もされているわけです。これがいうところのグローバルパートナーシップという日米関係なんだとすれば、これは大変なことだというふうに思いますので、そうした指摘についてどうお答えになるのか、お聞きしたいと思います。
  304. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生指摘になりました、現在御審議いただいておりますPKO法案と安保条約、さらにはこの地位協定との関係でございますが、PKO法案は、これは私から申し上げるまでもございませんけれども、国連の平和維持活動等に対しまして我が国の憲法の枠内で適切かつ迅速な協力を行うための国内体制を整備するということを目的にした法案でございます。他方、安保条約は、我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与することを目的としたものでございまして、対象が異なっておりますので、この両者の間には直接の関係はございません。
  305. 小林正

    小林正君 実は、今までの論議の中でこうした視点からの吟味がされていないというふうに思うんです。これは今後また深めていきたいというふうに考えております。こういうような意図と内容を仮に持っているとすれば、国民的な合意というのは到底得られないだろうというふうに思います。  昨年の国連平和協力法案といい、そしてこのたびの法案といい、いずれも憲法に沿う国際貢献とは全く無縁のものと言わざるを得ないわけであります。既に我が党も対案を本院に提出しているわけでありますけれども政府として国論を二分するような法案は直ちに取り下げていただいて、国民各層に幅広い合意が得られるような国際貢献を策定するための協議の場を設置すべきだというふうに思いますけれども、これはやっぱり出直して、仕切り直しをして、より広い立場で考えて全体の合意形成を得る。立場が違うのだから幾ら話したってむだだというテーマでは全くないわけですから、ぜひそうした仕切り直しをお願いしたいと思うので、このことについての総理の御見解をいただきたいと思います。
  306. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 繰り返して申し上げる必要のないことでございますが、この法案そのものは、国連の権威と説得によって非強制的な平和の維持増進を図ろう、武力を用いるようではこの試みそのものがもう実は基本的に失敗なわけでございますから、ぜひ来てくれということを周辺から圭言われ、平和が維持される約束ができているというところでいわば手伝いをしに行こうということでございます。武力の行使をするのが目的ではない。むしろ、それはそうなれば本来の精神でないわけでございます。  でございますので、私どもはこれが憲法に違反をしているということをゆめゆめ考えたことはございません。そういう意味では先ほどから仰せられるような危惧は私はないんだと思いますけれども、十分御審議をちょうだいしている、こういう中から国民の皆さんにこの法案の趣旨とするところを理解していただいて、そして我々の国際協力への一つの道を開いていただきたいというふうに政府は念願をいたしておりまして、本院におかれましても、何とぞ、御審議の上、御賛成を賜りたいということを念願いたしております。
  307. 小林正

    小林正君 最後に、この法案の審議経過でも問題になったわけでありますけれども、アジアの近隣諸国に対するいわゆる十五年戦争の謝罪と償いの問題についてお尋ねをしておきたいというふうに思います。  これまでの政府答弁は、政府間で解決済み、謝罪演説で事足れりとする姿勢に終始していたのではないかというふうに思うわけですが、今、具体的な問題として韓国の従軍慰安婦の存在が問題化してきておるわけであります。このことについては、我が党の清水澄子議員が現地も訪れながら、この間取り組んでまいった経過もございますので、関連して質問をお許しいただきたいと思います。
  308. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。清水澄子君。
  309. 清水澄子

    ○清水澄子君 まず、官房長官に質問いたします。  去る十二月六日、太平洋戦争中に日本軍の従軍慰安婦や軍人軍属として戦場に駆り出された韓国の人たちが、日本政府に補償を求める裁判を起こしました。それに対して官房長官が記者会見をされたそうですが、朝鮮日報というこれは韓国の一般に読まれている新聞でございますけれども、この七日の朝刊の一面トップに、日本政府、挺身隊とは無関係、官房長官が会見をした、そして民間業者の行為と主張、補償拒否、こう掲載されているわけです。これがこの新聞だけではなく、いろいろ韓国の中で今大きな問題になっておりますけれども、官房長官はどのような発言をなさったのですか、ここでもう一度お答えいただきたいと思います。
  310. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) その記者会見は、従軍慰安婦の問題はかなり心の痛む話であって大変な話であるけれども、今のところ、私たちのところで政府が直接に関与した資料はまだ見つかっていません、今鋭意調査してこれから考えていかなければという趣旨のことを申したんですけれども、今のところ政府の関与したデータが集まっていないという部分だけがちょっと突出して報道されたような感じがいたしております。
  311. 清水澄子

    ○清水澄子君 宮澤総理お尋ねいたします。  総理は、真珠湾攻撃五十周年を迎えるに当たりまして、同じく十二月六日にアメリカとアジア各地の皆さんに耐えがたい打撃を与えたことを深く反省しているということを表明されておりますが、その認識の中には、朝鮮民族に加えた植民地支配の被害や従軍慰安婦問題も認識をされておられるでしょうか。
  312. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) どなたであるとにかかわらず、戦争によりましてたくさんの方に耐えがたい苦しみを与えたということは十分認識をいたしております。
  313. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、従軍慰安婦問題が存在したという事実は御認識なさっているわけですね。
  314. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) どういう形であの従軍慰安婦という問題が起きたのかとか、歴史的にあの事実がどうだったか、どこが関与していたかということは、これから調べていかなければならない問題だと思いますけれども、しかし多くの証言がございますし、多くの研究所の歴史的な考察もありますし、ですから従軍慰安婦として働かされた人がいるということは事実だと思います。それは、話を聞くにつれ非常に心の、胸の痛む話でありまして、また現実に従軍慰安婦として働かれた方が自分で名のられて話されるということ自体大変勇気が要っただろうし、また恐らく話されてまたみずから後悔したりするぐらいのいろんな心の思いを持ちながらお話しなさっていると思うんですね。その事実は、私たちは非常に重要なことだと思っております。  それで、昨日の記者会見でも申したんですけれども、単に法律とか条約とかいう問題だけではなく、この問題を見詰めていかなければならない部分があることだと思っております。
  315. 清水澄子

    ○清水澄子君 官房長官が非常に率直に自分の心のうちを述べていただいてありがたいんですけれども、しかし政府の公式見解というのは、これまでも、長官が六日に発表されたように、政府関係機関が関与したという資料は見当たらないんだと、だから政府としてはこの問題に対処することは非常に困難だという、やっぱりこれが大体今日までの政府の公式見解なんですね。  そこで、いつも政府は資料が見当たらないとおっしゃるわけですけれども、ここにアメリカの情報部が調べました調書の一部がございます。これによりますと、ビルマのミートキーナやメイミョーに十一カ所の慰安所があって、そしてそこには朝鮮人女性、中国人女性が陸軍の規則に縛られてビルマの日本軍に所属していた、そして一九四二年にはビルマに七百三人送られていたという非常に細かい調書があります。  御承知のように、ミートキーナやメイミョーというところは日本の陸軍が太平洋戦争で最初に玉砕した最前線基地であると思うわけですけれども長官は、このような占領地や最前線基地に慰安婦や民間の業者が国や軍の指示や許可を得ないで自由に出入りをしているというふうにお考えになるでしょうか。
  316. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) その問題点、よくわかります。ですから、どういう形でどういう組織がどう関与していたかということを政府のそれぞれの機関を通じて一生懸命調査していく体制を今とりつつございます。きょうも会議をいたしました。  問題は、調べてわからないという場合もありますし、例えば朝鮮人強制労働の問題も労働省を中心にかなり調べまして、またそれなりのデータを韓国政府にお届けしたこともございます。被徴用者の問題につきましても調べまして、それなりのデータをお届けしましたので、なかなか難しい問題だと思いますけれども、鋭意調査していきたいと思っております。
  317. 清水澄子

    ○清水澄子君 長官、本当にお調べになっていらっしゃるんですか。どこもそれは調べてないという、労働省でも厚生省でもそれは指示を受けてないというのが、きのうお聞きしてもそうでありましたし、これはまだ本当の意味でできていないんだと思います。ですから、これから鋭意なさるというのであれば、どういう方法で、どこの行政機関で、だれが責任を持ってどういうふうな措置をなさるかということをぜひお答えいただきたいと思います。
  318. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 今回、さらに一生懸命調査するようにという体制をここ数日検討いたしておりまして、関係する可能性のある省庁としては、外務省、文部省、厚生省、労働省、警察庁、防衛庁、こういうところでございます。  労働省が調査せよという指示を受けてないという問題は、実は私の誤解でございまして、被徴用者の問題では労働省にお願いしておるんですけれども、その問題と従軍慰安婦の問題をちょっと混同して記者会見したことから出たものでございまして、今言ったような省庁について従軍慰安婦の問題については調査を依頼しております。
  319. 清水澄子

    ○清水澄子君 勘違いなさったんじゃなくて、それが現在の政府の姿勢と現実であるということが露呈しただけだと思います。  ですから、今これを究明なさるのであれば、資料が見つからないとおっしゃるのであれば、これは敗戦直後、朝鮮人徴用の公式記録の大部分は焼却の命令が出ているわけですから、それは五日間燃やし続けたと言う証人すらあるわけですから、本当に政府が人間としてこの問題に良心を持って、誠意を持って当たるならば、やっぱりみずからの手で事実を解明すべきだと思いますが、それならば国会で証言者を呼んで、そして事実を明らかにするという意思がおありかどうか、お伺いします。
  320. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 政府としては、本当に誠意を込めて調査していきたいと思います。  国会において証人をお呼びになって審議なさるかどうかは、これは院のことでございますので、政府からは差し控えたいと思います。
  321. 清水澄子

    ○清水澄子君 八月二十七日に私は予算委員会で、この慰安婦問題というのを、このままでおけば必ず日韓間の外交問題になる、政治問題になるということを警告いたしました。現に韓国の外務省から日本の外務省に向かっていろんな要請があると思いますが、これらの問題はどのようなことがあったか。  それから、今後、この植民地時代の長い間の問題は、戦後補償そしてきぢんと戦後責任を果たさなければやはり本当の意味の国際的な名誉ある地位は得られませんし、風格も品格もあるそういう国を私たちは維持することもできないと思うわけですけれども、その点につきまして、外務大臣も総理大臣も官房長官も、三人でひとつお答えいただきたいと思います。
  322. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) ただいまの御質問のうちの前段の方だけを、事実関係でございますから、私からお答え申し上げたいと思います。  十日、一昨日でございますけれども、韓国の外務部のアジア局長が私どもの大使館の公使を呼びまして、ただいまのいわゆる従軍慰安婦の問題が韓国の国内においても大変大きな関心事になってきておるということをるる説明した上で、いろいろな事実関係から判断するに、韓国側としては、この問題について日本政府の関与があったのではないか、それは否定し得ないのではないかというふうに考えておると申しまして、いずれにいたしましても、この問題について日本政府の方におかれて真相究明のために誠実な積極的な努力をお願いしたいということを申してまいりました。
  323. 小林正

    小林正君 この問題については、まだいろいろございますけれども、時間にもなりましたので申し上げておきますが、十五年戦争、侵略、植民地支配という状況の中で非常に非人道的な行為が行われて、その資料がない、だからこれについてはということであっては、国家間の約束事は済んだかもしれませんけれども、民族同士、人種、そして人と人の関係についていえば、戦争を経過した国民は一世代にわたってそのことについては生々しい記憶としてとどめるだろうと言われておりますし、同時にまた、本当に世代間を含めまして和解ができるようになるまでには日常不断の努力が求められているというふうに思います。  失われた青春や人生を取り戻すことができないとすれば、今日本政府として何ができるのか、そのことをぜひ御検討いただきたいと思いますし、役所があっちもこっちもあってこの問題解決に向けて大変惑うというようなことのないように、ぜひひとつ窓口を設定していただいて具体的な解決への道筋をつくっていただきたい、そのことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  324. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 以上で小林君の質疑は終了いたしました。(拍手)  本日の審査はこの程度といたします。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会      ―――――・―――――