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1991-11-13 第122回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月十三日(水曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四号   平成三年十一月十三日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、国土開発幹線自動車道建設審議会委員等各   種委員選挙  一、国家公務員等任命に関する件  以下議事日程のとおり      ―――――・―――――
  2. 長田裕二

    議長長田裕二君) これより会議を開きます。  この際、  国土開発幹線自動車道建設審議会委員、  北海道開発審議会委員各一名の選挙を行います。
  3. 片山虎之助

    片山虎之助君 各種委員選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  4. 小川仁一

    小川仁一君 私は、ただいまの片山君の動議賛成いたします。
  5. 長田裕二

    議長長田裕二君) 片山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 長田裕二

    議長長田裕二君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、  国土開発幹線自動車道建設審議会委員藤井孝男君を、  北海道開発審議会委員竹村泰子君を、それぞれ指名いたします。      ―――――・―――――
  7. 長田裕二

    議長長田裕二君) この際、国家公務員等任命に関する件についてお諮りいたします。  内閣から、  原子力委員会委員田畑米穂君を、  公害等調整委員会委員長谷川慧重君を、  公害健康被害補償不服審査会委員太田壽郎君及び野崎貞彦君を、  社会保険審査会委員目黒克己君を、  運輸審議会委員飯島篤君を、  電波監理審議会委員河野俊二君を、  また、地方財政審議会委員荒尾正浩君、木下和夫君、塩田章君、福島深君及び皆川迫夫君任命することについて、それぞれ本院の同意を求めてまいりました。  まず、原子力委員会委員公害等調整委員会委員及び公害健康被害補償不服審査会委員のうち野崎貞彦君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 長田裕二

    議長長田裕二君) 総員起立と認めます。  よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。  次に、公害健康被害補償不服審査会委員のうち太田壽郎君及び社会保険審査会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 長田裕二

    議長長田裕二君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。  次に、運輸審議会委員電波監理審議会委員及び地方財政審議会委員任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  10. 長田裕二

    議長長田裕二君) 過半数と認めます。  よって、いずれも同意することに決しました。      ―――――・―――――
  11. 長田裕二

    議長長田裕二君) 日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。中野鉄造君。    〔中野鉄造登壇拍手
  12. 中野鉄造

    中野鉄造君 私は、公明党・国民会議を代表して、総理所信表明に対し質問いたします。まず初めに、総理政治姿勢について伺います。  世界は今、歴史的な転換期を迎えており、新たな時代のうねりの中で、日本もまた国際社会の一員としてどうあるべきかを問われております。一方、国内的には、政治改革、米問題、財政問題等重要課題が山積しております。日本のかじ取りをゆだねられた総理はどのような政治姿勢でこれらの課題に取り組まれるのか、明らかにしていただきたいと思います。  国民の多くは、今回の宮澤政権誕生の経緯や組閣作業を見詰めながら、自民党内の派閥の駆け引きだけで次々に決定がなされていくそのプロセスに強い不満と不信を抱いております。今世界は新しい世界秩序形成に向けて激動しており、我が国に大きな期待がかけられております。このような時代に、一国の命運をかけるべき政治のリーダーを選ぶのに国民不在の密室で事が運ばれたのですから、総理のおっしゃるような品格のある国日本にはほど遠いと言わざるを得ません。国際的にも、日本は本当に民主主義国家なのだろうか、こういうふうに思われてもいたし方ありません。派閥解消を約束した自民党政治改革大綱にも逆行した今回の総裁選について、総理の御所見をまず伺いたい。  ところで、宮澤総理みずからもリクルート事件で副総理大蔵大臣を辞任されたことは国民の記憶に新しいところであります。しかも、今日現在、総理に対する疑惑の解明は不十分であります。古来より伝えられた言葉に「桃李言わざれども下自ら蹊を成す」、この史記の一節に照らして、総理総裁になられた現在、あなたはみずからの政治倫理をどのように受けとめておられましょうか。  海部総理は、党としては政治改革を確実に具体的になし遂げることがけじめであるとして、リクルート関係議員入閣排除を実行されました。選挙の洗礼を受けたのである、こういうことであるならば、海部政権も同じこと、宮澤政権になってなぜかくも変わってしまったのか、明確にお答えいただきたい。  次に、政治改革についてでありますが、廃案となった政治改革関連法案一つである政治資金規正法改正案は、不完全ながらも政治家と金の癒着にメスを入れる内容でありました。ところが、政府自民党は小選挙比例代表並立制導入に固執し、三法案一括の態度を崩さなかったために廃案となってしまいました。総理が今、本気政治改革を進めようとされるならば、国会議員資産公開を初めとする政治倫理法確立と、政治資金規正法改正強化にまず取り組むべきではないかと思いますが、その点の御所見をお伺いいたします。  また、総理は、総裁選の期間中から政治改革のめどを一年と述べてこられましたが、この一年という中には選挙制度も含めた内容考えておられるのか。その際の制度というのは、さき公職選挙法改正案導入されようとした小選挙比例代表並立制におくまでも固執されるのか、その点もお尋ねいたします。  閣僚の中には、一票の格差是正からスタートを切ってもよい、こういった定数是正先行の意見もあるやに聞きますけれども、閣内不統一の感さえあります。総理の確としたこの点の見解をお伺いいたしたいと思います。  次に、外交問題についてお尋ねいたします。  今日、全世界のGNPの約一五%を占める我が国国際的地位影響力も増大して、世界日本の動向を注視しております。総理は積極的な国際貢献を訴えられておりますが、大切なのは、こうした状況を踏まえ、いかなる理念と原則で外交政策を展開されようとするのかであると思います。その基本姿勢を伺いたい。  新しい国際平和秩序形成国連を軸とすべきであり、非常任理事国になった我が国の力量が今問われております。我が党は、既に国連憲章改正軍縮総会定例化など国連強化の具体的な提案も行っています。総理国連常設軍構想軍縮構想を提言されていますが、その内容は余りにも高尚な理想論だと思わざるを得ません。この構想本気で取り組まれるならば、そのプロセス我が国のかかわりを明らかにしていただきたい。それにも増して、我が国政治の中に現実的に国連中心主義をどのように具体化させるおつもりか、この点も明らかにしていただきたいと思います。  特に、米ソが画期的な核兵器の大幅削減に踏み切るなど、今や軍縮世界の潮流となっております。したがって、冷戦時代のままの我が国安全保障政策も再検討すべきときが来ていると思いますし、自衛隊再編縮小防衛費削減に直ちに取り組むべきだと考えますが、明確にお答えをいただきたい。  軍縮を進め、国連中心とした平和構築我が国としてもできる限り精いっぱいの努力をする、これこそ我が国が一国平和主義から脱皮する道であると思います。その意味で、継続審議中の国連平和協力法案、いわゆるPKO法案早期に成立させねばなりません。PKOは、武力による制裁でなく、停戦後に関係国同意によって地道な平和維持活動を行うものであり、PKOへの本格的協力には軍事的知識が必要とされる部門もあることから、我が党は、平和憲法を守る明確な歯どめの上に自衛隊参加を認めました。しかし、いまだに国民の間には、戦場へ自衛隊を派遣するといった誤った認識があるのも事実であります。総理PKO参加への国民理解、さらにアジア諸国理解を得るために具体的にどのような行動をとられるのか、この点もお尋ねいたします。  我が国経済協力の基盤であるODAについても、総理は機会あるごとに今までその強化を訴えてこられました。しかし、今必要なのは、量だけでなく質の充実であります。我が党はODA基本法制定一元的組織としての国際開発協力庁の設置を提言いたしますが、総理ODAに対する基本的な取り組みを含め見解を明らかにしていただきたい。  本年は、アメリカ国民にとっては忘れがたい真珠湾攻撃から五十年の節目であります。昨今の日米関係は、経済摩擦による新たな反日感情が高まっております。我が国外交の中で最も重視しなければならないのが日米関係でありますが、この反日感情が高まる中で新たな日米関係をどのように構築されるのか、明らかにしていただきたい。  さらに、ブッシュ大統領の訪日が延期されましたが、来日はいつごろになるのか、また総理の訪米はいつごろになるのか、あわせて伺います。  対ソ支援については、政府は既に総額二十五億ドルの援助を表明していますが、具体的な援助のやり方として、連邦と共和国関係をどう位置づけるのか、また、近くモスクワで開かれるG7に我が国としてどのような取り組みをするのか、その方針を伺いたいと思います。  さらに、北方領土問題についても、エリツィン共和国大統領が今世紀中に解決すると発言するなど、かつてたい好機を迎えておりますが、この状況の変化に対する見通し、また今後の交渉相手をどう認識しておられるのか、お尋ねいたします。  この際、アジア外交について特に総理見解を求めます。  我が国は、これまで巨額の経済援助をしながら、アジア各国からは真の信頼は得られておりません。むしろ、アジア外交は二義的にしか考えていたいのではないか、こういった声すら上がっております。今こそ、世界の中でも最も複雑かつ不安定な地域一つと言われるアジア安定化へ、我が国が従来の発想を超えて取り組む時が来ていると確信いたします。国連同時加盟を機に統一への第一歩を踏み出した朝鮮半島両国や、あるいはまた国連の旗のもとに和平へ動き出したカンボジアを初め東南アジア諸国に対し具体的にどう貢献していくのか、その考えをただしたいと思います。  また、このたびノーベル平和賞を受賞したミャンマーのアウン・サン・スーチーさんは現軍事政権下自宅軟禁をされておりまして、その生命の安否が気遣われております。我が国としては、人権の視点からスーチーさんの釈放を求めミャンマー政府交渉に入るべきではないだろうかと思いますが、総理所見を伺います。  外交問題の最後に、年内の合意に向けて大きな山場を迎えているガット・ウルグアイ・ラウンドにおける農業交渉をめぐる我が国対応についてお尋ねいたします。  日本米市場開放について、総理は過日の初の記者会見で、「交渉だから米国と欧州共同体がどれだけ譲歩するか。それに見合って日本が譲歩していく。失敗しないよう最大限努力をしなければならない、このように発言されました。一粒たりとも入れないという従来の政府方針変更とを言えるこの日本の譲歩とは一体何なのか、総理の真意をはっきりお聞かせいただきたいと思います。  我が党はかねてより、自由貿易体制強化するウルグアイ・ラウンドの成功と、関税化を含む米の完全自由化を阻止し国内農業を守るため、昨年来、部分自由化を主張してまいりました。しかし、政府の硬直した交渉姿勢は、今日、例外なき関税化の方向が避けがたいという極めて厳しい状況に立ち至っております。政府としてこの事態を打開するため今後どう対応されるのか、その考えをお聞きしたいと思います。  次に、宮澤内閣財政経済政策についてお尋ねいたします。  戦後最長の景気上昇を記録した我が国経済も、今や実態は、政府でさえも減速過程に入ったと言わざるを得ない実情でございます。さらに、企業の倒産も前年同月を上回り、景気診断一つの指標でありますマネーサプライも四月以降三%台で推移しており、ついに八月は二・八%で過去最低の伸び率を記録いたしました。景気の現状をどう判断されるのか、また景気対策が必要とされるならばどのような対策を実行されようとするのか、その点お尋ねいたします。  総理は、所信表明演説生活大国づくりを掲げられました。我が党は、昭和六十一年五月、二十一世紀トータルプランを発表し、既にその中で生活大国実現を訴え、そのためにかねてから生活者政治を提唱しておるところであります。総理は、生活大国内容とその実現の方途をどのように考えておられるのか、国民の前にこの際明らかにすべきだと思います。明確な答弁をお願いいたします。  生活大国実現するためには、総理も強調されておりますけれども、社会資本整備、特に住宅、下水道、都市公園環境文教施設等生活関連社会資本整備急務でございます。  そこで、四百三十兆円に上る公共投資十カ年計画について伺いたい。この計画をいかに生活関連社会資本整備に振り向けるかが大きな課題でありますが、公共事業予算分野別配分比率は過去ほとんど不変と言っていいほど固定的であります。これこそは、各省庁と自民党各部会の既得権縦割り行政の弊害の最たるものではないかと私は思います。  来年度予算では、今年度予算生活関連重点化枠二千億円に公共投資臨時特別措置二千億円を加えて計四千億円が計上されますが、これでは生活関連社会資本整備は遅々として進みません。既存の配分比率と異なる重点的な予算編成総理のリーダーシップのもとに行うべきだと思います。もしこの程度のことが実行されないようでは、総理が掲げた生活大国も絵そらごとになってしまいます。そうならないことを期待して、総理の明確な答弁を求めます。  社会資本充実のためには、地価の安定が必要であります。地価の安定は資産格差是正のためにも不可欠な条件であります。そのためには、金融、税制、さらには都市計画などが一体となった対策がとられなければなりません。総理地価対策についての見解をお伺いいたします。  国際経済関連して、今年度国際収支経常収支黒字は、政府見通し三百億ドルを八月までの累計額で既に大きく突破いたしまして、今や六百億ドル台に上方修正を余儀なくされております。当初見通し倍増黒字に海外からの批判が高まりつつありますが、過去に経常黒字増加経済摩擦日本たたきの引き金になったことは周知のことでございます。宮澤内閣は、倍増する黒字をどのように判断し、どのように対処しようとされるのか。そしてまた、現在の状況は今や小手先の対策では全く打開できないことは明らかになっております。企業経済一辺倒から国民経済重視に転換することなくして、この黒字構造を変えることはできません。総理は具体的にどのような方針でこの問題に対処されるのか、お伺いしたいと思います。  次に、台所を預かる主婦皆様が頭を痛めていると生鮮野菜値上がりについてお伺いします。  消費者物価指数は、総合で見ても昨年十月ごろから上昇傾向を強め、対前年比三%台といった状況にあります。とりわけ、生鮮野菜は昨年に比べ二けた台に上る勢いの値上がりであります。農水省はさき価格安定緊急対策を発表いたしましたが、どれほどの効果があるか極めて疑問であります。生鮮野菜価格見通しについてどのような認識を持っておられるのか、見解を伺いたい。  また、生鮮野菜が天候に左右されることはやむを得ないとしても、天候不順に強い品種の開発野菜農家をふやす対策など、構造対策が必要であると思います。また、卸売市場への野菜供給量をふやすことも重要な問題でありますが、これらの構造対策についての方針を御答弁いただきたいと思います。  さて、導入後二年半を経過した消費税は、その存廃をめぐって税制問題等に関する両院合同協議会において昨年六月以来協議を重ね、逆進性の問題などについて改善が図られ、既にこの十月から施行されております。政府自民党は、さき衆議院選挙において飲食料品は非課税にすると国民の前に公約をされたわけですし、今こそその実現努力すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、宮澤内閣として消費税率の引き上げは行わないとこの際お約束をしていただきたいと思いますが、その点お伺いいたします。  次に、災害対策について伺います。  過ぐる八月から十月にかけての秋雨前線による長雨と相次ぐ台風襲来により、とうとい生命をなくされた方々並びに御遺族に対し謹んで御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地皆様に対し心からお見舞いを申し上げるものでございます。  これらの災害に対し、以下数点について政府具体策をお示しいただきたい。  まず初めに、今回の災害で亡くなられた方々に対して政府弔慰金等の支給をなされる用意があるかどうかお尋ねいたします。  次に、被災地であっても天災融資法の発動及び激甚災害法が適用されない地域にはどのような救済策で臨むのか。また、早期支払いが求められている果樹共済は、被害額の確定まで待たせずに概算の段階で一部支払いを促進すべきではないかと思います。さらに、被災地農家の再建、再生産のための補助対策をどう考えておられるのか、明快な答弁をいただきたい。  また、雲仙・普賢岳噴火災害はいまだに危険な状態が続いておりまして、現地の皆様の長期化した避難生活ももはや限界に来ております。一日も早く特別立法による救済対策が必要であると考えますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、我が国の最重要課題である高齢化社会への対応を伺いたい。  政府は、高齢化社会への対応として老人介護充実させるゴールドプランを初め諸対策を講じつつありますが、いま一つ総合戦略積極性に欠け、財源の不十分さとあわせて、明快な高齢化社会像が全く見えません。ゴールドプラン一つにしても、それを支えるマンパワー見通しも立たず、看護職員など、医療福祉に携わる人たちの賃金や職場環境は極めて厳しい状況のままであります。介護を必要とする老人が大幅にふえるのは今後確実であります。そこで、まず、緊急課題であるマンパワー確保のため、医療福祉分野で働く人たちの処遇を大幅に改善する人材確保法次期通常国会までに提出することを、総理、はっきりと表明していただきたい。  ある日突然寝たきりや痴呆など介護が必要となったとき、過大な負担と犠牲を強いられるのはその家族でございます。働く人たちが安心して介護看護に従事することができるように、介護看護休暇法制定、さらに専業主婦自営業者を対象とした介護手当制度の創設など総合的な介護保障制度確立に着手する時期に来ていると思いますが、見解を伺いたい。  高齢化社会の急速な進展の背景には、出生率低下という大きな問題が横たわっております。出産は、一面では個人の価値観の問題でありましょう。しかし、我が国母性保護育児支援でのおくれを見逃すことはできません。ここ二年の異常とを言える出生率低下に対して、国として、六年間据え置かれたままの分娩費助産費の大幅引き上げ、保育制度の拡充など、具体的な対策急務であります。総理答弁を求めます。  各種世論調査を見ても、国民が感じる生活の不安の上位は老後の問題であります。来年度予算編成は近年にない厳しい緊縮財政を強いられる状況にあると伝えられておりますが、こういうときこそ真価が問われます。私は、現在の社会保障水準を落とすことなく一層充実させなければならないと考えますが、総理は、来年度予算編成に向けて社会保障予算についてどのように取り組まれるのか、その点お尋ねいたします。  以上、申し述べてまいりました内政、外交の諸問題は、我が国がかつて経験したことのない初めての課題でございます。今や、時代はきしみたがらも大きく変わりつつあります。そのとき、法律や政策だけはそれに即応することなく旧来の発想の域にとどまっていたとしたたらば、それこそまさに剣を落として船を刻むのそしりは免れますまい。今、国民本格政権と言われる宮澤内閣真価をじっと見守っております。総理の勇気ある指導力と賢明なる勇断を期待して、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  13. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘のように、国際社会はただいま冷戦時代を抜け出しつつございまして、新しい世界平和の秩序を構築する時代が始まろうとしておると考えております。我が国は、この中にありまして、憲法基本理念でございます国際協調主義のもとに最大限貢献をいたさなければならない、御指摘のとおりと存じます。  また、この激変は自由主義市場経済の勝利によってもたらされたものではございますけれども、市場経済の中にもいろいろなひずみ、ゆがみが起きていることも忘れてはならないところでございます。額に汗している人々が取り残されたと感じることのないような公正な社会実現し、国民の一人一人が生活の豊かさを実感できるような活力に満ちた生活大国をつくりたいと念願いたしております。  また、政治改革も焦眉の問題でございまして、真摯に取り組み政治信頼を高めなければならないと思います。  なお、私の場合、総選挙があったわけではございませんが、政権政党として総裁公選が行われました。開かれた形で自民党総裁に選出され、首班の御指名を受けまして総理指名をされたものでございます。国民の御信頼期待にこたえ、国政に誤りなきを期したいと考えております。  次に、いわゆるリクルート事件で、私の不行き届きから国民皆様に御迷惑をおかけしたことは、政治家として深く反省をしております。同じ過ちを繰り返さないように、今後の政治活動を通じて一生心を戒めていく決意でございます。なお、これにつきましての今後の国会での御議論につきましては、私として最善の努力をして対応してまいる考えでございます。政治的には、選挙におきまして心を新たにもう一度努力せよという有権者の信任をいただいたと考えております。この最後の問題につきましては、私の同僚各位も同じように心を戒めていると思っております。私は、同僚各位が高い識見と有能な才能を精いっぱい発揮し、所を得て活躍されることを期待しておるものでございます。  次に、国会議員資産公開あるいは政治倫理関係の問題は、議会制度協議会において各党間で御検討がなされておると承知をいたしておりまして、国会におきましてこの点は適切な結論が得られますことを期待申し上げております。  政治資金あり方は、選挙政治あり方と密接な関連を有するものでございますので、選挙制度改革政治資金制度改革一体として実現することが適当と考えまして、さき国会三つ法案を提出いたしました。この三つ法案廃案とされましたが、国会で御熱心な御審議をいただいておりますので、その実績を踏まえ、政治改革協議会においてこれをたたき台として各党間で十分御論議を尽くしていただき、実りのある合意が得られることを念願いたしております。  次に、外交理念についてお尋ねがございましたが、激動のさなかにある国際社会において我が国は、これからの国際秩序の根本にかかわるほとんどすべての問題に大きな影響力を持つ存在となりました。また、我が国に対する国際社会期待も高まっております。このような中で、我が国としては、みずからが追求する理念を明確に示し、世界期待にこたえていかなければならないと存じます。我が国は、平和憲法のもと、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならないとの基本方針を堅持しつつ、他の先進民主主義諸国との協調のもとに、その持てる経済力、技術力などを活用し、政治経済両面にわたって国際社会において積極的な役割を果たしていく所存でございます。  次に、湾岸危機等で示されましたごとく、冷戦後の新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりに当たりまして、国連中心的役割を果たすことに対する国際社会期待は高まっていると申すことができると思います。我が国としましても、国連がこのような重要な役割を十分に果たし得るように最大限の協力を行わなければならないと考えております。  私が折に触れて申しました国連常設軍の考え方でございますが、戦後の我が国政治に関与してきた者として、過去、現在及び将来の我が国の内政と外交につき自分の経験と考えを述べた中に、こういうことについて言及をいたしました。将来いつの日にかとの前提のもとに、国民の間で我が国国際貢献あり方に関する議論を喚起するために一つの問題提起をいたしたつもりでございます。  我が国は、長く国連中心外交を続けてまいりましたが、今般、安保理の非常任理事国に選出されたことも踏まえまして、国連において一層積極的な外交を展開していく考えでございます。国連平和維持活動への協力はもとより、今般の総会において我が国が提唱いたしました紛争予防システムの確立あるいは通常兵器移転の国連登録制度の創設だと、国連の機能強化に取り組んでまいります。また、大量破壊兵器やミサイルの拡散防止のためにも一層積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  今日の国際社会において、東西の冷戦が終えんし、ソ連における新国家体制への模索、あるいは米ソの核軍縮提案などに見られるように、世界の平和と安定への流れが強くなっていることは喜ばしいことと存じます。我が国としては、このような事実をも踏まえ、引き続き、日米安保体制を堅持するとともに、基盤的防衛力構想を取り入れた防衛計画の大綱の基本的な考え方に従いまして、効率的でまた節度のある防衛力の整備に努めていくことが適切であると存じます。  次に、PKO法案を速やかに成立させ、我が国が人的側面においても国際貢献を積極的に推進してまいるために、この問題についての国の内外の理解を深めることの重要性は御指摘のとおりと思います。国民の正しい理解を得るために、政府としても種々の国内広報努力をやってまいりました。  また、我が国がこのような国際的役割を果たすに当たりまして、近隣諸国の理解も極めて重要でございます。アジアの国々に対し、種々の機会をとらえ、我が国考え方につき従来十分に説明してまいったところでございますが、概して申しますならば、先方からはおおむね理解が得られているのではないかというふうに考えております。なお、今後とも近隣諸国に対し必要に応じ説明を行い、理解を求めてまいりたいと思います。  次に、ODAにつきまして、今や我が国援助の量においては世界の第一位ないし第二位、年によって異なりますが、そのような援助国となりました。今後とも、第四次中期目標に沿いまして、効果的、効率的な実施に十分留意をしながらODAの拡充に努めてまいります。なお、ODAの実施に当たりまして、国会に対しましても、相手国の事情等もいろいろ配慮しつつ、できるだけ御報告、資料の提出を行ってまいりました。また、情報の公開にも努めてまいっておるところでございます。我が国ODAの実施体制は全体としては順調に機能していると考えておりますので、現行の関係法令の枠内で運用の改善を図ってまいりたいというふうに思っております。  次に、今後の日米関係等についてお尋ねがございました。日米関係で最も大切なことは、両国がいわゆる基本的価値観を共有していることでございます。その上に立ちまして安保体制があり、また緊密な相互依存関係がございます。また、両国が共同して地球的規模の協力関係を構築することも大切でございます。今日、世界のGNPの四〇%を両国で合わせ持っておりますので、世界秩序の構築に当たりまして両国の責務は非常に大きゅうございます。両国間に時として個別の問題についていろいろなことが起こります。これは率直な話し合いをする、価値観を同じくするということで、率直な話し合いを通じて解決することができるというふうに考えております。  なお、大統領の訪日が延期になりましたことは残念なことでございますが、日米間では民間もまた政府間も、双方において間断のない非常に幅広い対話が常時行われておりますので、両国間の意思疎通には全く支障はございません。対話の継続には支障がないと考えておりますが、いずれにしても、大統領が早期に訪日されることを期待いたしております。先般来訪されましたベーカー国務長官にも、私からその旨の希望を伝達いたしております。なお、ただいまのところ、私の訪米につきましての具体的な計画はございません。  次に、対ソ支援に関する件でございますが、我が国は、ソ連が経済政治外交の各面にわたりて抜本的改革を推進し、新しい世界秩序の建設的な担い手となる努力に対して適切な支援を進めていく考えでございます。十月に発表になりましたいわゆる総額二十五億ドルを目途とする対ソ支援策を着実に実施してまいる考えでございます。この実施に当たりましては、最も効率的に、効果的に活用されますように、ソ連邦また関係共和国協議しつつ検討しているところでございますが、その際、日ソ間の実情に即して、ロシア共和国、なかんずく極東・サハリン支援について十分配慮してまいりたいと考えているところでございます。  なお、ソ連の抱えております経済問題のうちで対外債務問題につきましては、いわゆるG7の間で検討を行うとともに、ソ連側との協議を行ってまいりました。我が国としては、他の先進諸国と協調しつつソ連側に対しまして、先般バンコクでG7のコミュニケが出ましたとおり、経済改革プログラムの導入あるいはソ連の対外債務の返済の約束等、諸条件の実行を引き続き働きかけていく所存でございます。  北方領土問題につきましては、本年四月にゴルバチョフ大統領が訪日されましたときに共同声明が出されました。また、八月の政変以降、ロシア共和国及び連邦双方の指導部から、領土問題を法と正義の立場に立って早急に解決すべきであることについて賛同が得られております。このように、ようやく今、北方領土問題を解決し平和条約を締結すべきときが熟しつつあると認識をいたしておりまして、政府としても全力を傾注してまいる考えでございます。  この際の交渉の相手方でございますが、今後、連邦と共和国がどのような関係にたるかについてはいろいろ不透明な面もございますけれども、北方領土問題を含む対日政策についてロシア共和国が実態面で重要性を増大させてきていることは疑いのないところと存じます。このような観点からも、今後、連邦とともに同共和国関係者とも十分な対話と意思疎通を図っていくことが必要のように存じます。  次に、アジア安定化。  私は、これからの我が国の将来にアジアというものが実は大変に大切であると考えております。この点は御指摘のとおり私も考えておるものでございますけれども、今後とも、これらアジア諸国の国情に合致した協力や交流を積極的に推進しなければならないと思います。  このアジア・太平洋地域では、近年幾つかの好ましい進展が見られるようになりました。カンボジアの包括和平について一応の合意がなされ、あるいは中国とベトナム、中越関係の正常化が図られつつある。また、朝鮮半島の緊張緩和に資するような動きもございます。また、モンゴル、ネパール等における民主化の進展等がございますが、このような好ましい動きが定着いたしますように、例えばカンボジアについては和平合意の実施にかかわる我々としてなし得るさまざまな協力、あるいは朝鮮半島については南北対話推進のための環境づくりへの貢献等に引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思います。  ミャンマーのスー・チー女史のことについて御言及がございました。長期間にわたりスー・チー女史の自宅軟禁が続いていると報ぜられる問題に関しては、政府としてもミャンマー政府に対して、民主化への関心に十分な配慮を払っていくことを期待しておる旨、種々の機会をとらえて伝えてまいっております。今後とも粘り強い働きかけを行っていく考えでございます。  ウルグアイ・ラウンド交渉は、所信表明で申しましたとおり、現在最終段階に入っておりますが、農業につきましては、ECは例えば可変課徴金、あるいはアメリカはウエーバーを放棄するか撤回するかといったそれぞれ困難な問題を抱えておりますほかに、自由貿易を最も阻害していると思われます輸出補助金という問題が存在をいたしております。いずれにいたしましても、我が国の米につきましては、これまでの基本方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限努力を傾注してまいる所存でございます。  なお、私が、米国、EC、我が国の譲歩という言葉を使いました意味は、ウルグアイ・ラウンドそのものが多角的な交渉でございますので、そういう意味でこの言葉を使いました。他意があるわけではございません。  景気の現状につきまして、確かに拡大のテンポが減速しつつある、私はそれは御指摘のとおりと思います。有効求人倍率は依然として高こうございますので、完全雇用が崩れているようには思いませんけれども、しかし、景気の減速が企業家や消費者の心理に及ぼす影響は、これは十分注意をしていく必要がございます。今後とも内需を中心とした持続的な成長に努めてまいるつもりでございますが、この点につきましては、金融当局もかねてから長短金利の低目誘導等努力を続けておりまして、現状の基本認識には私どもと相違がないと考えておりますので、金融措置につきましてはしばらく金融当局の判断にゆだねたいと考えております。  次に、いわゆる生活大国についての内容、その実現方策についてお尋ねがございましたが、今日、我が国は一人当たりの所得という意味では世界の最高水準に達しております。また、失業率が低い、平均寿今も高い、そして暮らしの安全度といいますか、身に降りかかる危険とでもいうような、町の安全度というのは非常に高い国でございますから、それらの点では欧米先進国に比べて私はすぐれていると思いますが、所得水準の割にはいかにも、例えば居住水準、住宅でございますが、粗末である、あるいは社会資本整備の立ちおくれている部門が少なからずある、それから労働時間が長い、また食料品の価格や余暇関連の費用が随分高い等々が国民生活の豊かさを実感できないでいる要因ではないかと思っております。  したがいまして、対策はそれらの問題にかかわることになるわけでございますが、労働時間の短縮、あるいは内外価格差の縮小、また住宅や生活関連中心とする社会資本充実、質の高い生活環境をつくって、社会的蓄積あるいは美観などの質の面でもすぐれた生活環境をつくっていきたいと考えておるわけでございます。  公共事業のそのための配分ということにつきまして、なかなかこの公共事業の中のいわゆるシェアというものがいろいろな事情でにわかには大きく動かしがたいということは御指摘のとおりでございますけれども、多少長い目で見ますと、例えば住宅、下水道、環境衛生等が一般公共事業に占める割合は、昭和四十年度には九%でございましたが、平成三年度には二八・二%に上昇いたしております。できるだけニーズに即しましたシェアを与えていきたいというふうに考えております。  土地問題についてもお触れになりまして、各般の施策を実施してまいりましたが、東京、大阪では多少鎮静化が見えてまいりました。今年一月に総合土地政策推進要綱を閣議決定いたしました。それに従いまして推進をいたしているところでございます。  次に、我が国国際収支黒字幅について御指摘がございまして、確かに、ただいまのところ経常収支の黒字幅は政府考えておりましたところをかなり上回っております。昨年との対比で申しまして、昨年はいわゆる資産効果等で絵画あるいは高級自動車等の輸入がございましたが、これが目に見えて減っております。あるいは、円高になりましていわゆるJカーブが効いてきたということもございぎす。それから、ドイツが統一になりましてかなりドイツからの需要が大きい、それから東南アジアも好調であるといったようなことがこの黒字の増大に寄与しておるわけでございますけれども、他方で、我が国自身も製品輸入を拡大させつつありますし、また自動車等々現地生産化もかなり進んで構造的な変化も生じている点がございます。  引き続き、内需中心の持続的成長を図るとともに輸入拡大の推進にも努めまして、これは実は御指摘のようにかなり深刻な問題になりつつございますので、よく注意をして努力いたしたいと存じております。  それから、天候不順、台風等によります野菜の価格が上昇しております。産地が甚大な被害を受けたことによるものでございますが、政府といたしまして、出荷の前倒し、緊急輸入等々の対策を実施してまいりました。これからの見通しにつきまして、例えば白菜などは引き続き高値で推移せざるを得ないと言われておりますけれども、総じて見れば、ただいまよりは落ちついてまいる見通してございます。中長期的には、野菜の供給体制の整備のため、野菜産地の育成強化、作業の省力化、優良種苗の供給対策等、各般の施策を総合的に進めてまいります。  消費税につきましてお尋ねがございました。  飲食料品の問題につきましては、十月二十三日の両院合同協議会におかれまして、各党会派の意見の隔たりが大きくその一致は見られなかったと承知をいたしております。政府といたしまして、こうした立法府の御議論の経緯、結果を踏まえてまいる所存でございますが、いずれにいたしましても、先般行われました法改正が定着いたしますようにただいま努力をいたしております。  税率に関する御質問でございましたが、先般行われました改正が順調に定着することがただいま最も大事な問題だと考えておりまして、三%の税率を変える、これをどうこうするということは今私の念頭にございません。これは、基本的には経済社会の条件のもとで国民が選択される事柄でございますが、国民の御理解がなしに安易に税率の変更を行うことは私は考えておりません。  なお、災害に遭われた方々に対する災害弔慰金でございますが、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき支給をいたしておると承知いたしております。それから、天災融資法激甚災害法はこれは特別措置でございますので、一般的な災害救済対策がその以外にもちろんあるわけでございます。一般被災者を含め、中小企業者及び農林漁業者等、それぞれを対象に金融支援等々の措置をとっております。  果樹共済につきましては、仮渡しも含めまして、契約がありましたところには共済金の支払い早期にいたしますように農業共済団体に指導をいたしております。また、被災農家の営農再開等に対しましての経営資金を特別に融資する、これは天災融資法の発動、激甚災害法の指定を早急に行うべく、現在手続を進めております。また、農地・農業用施設の被災施設についても早期復旧を図ることにいたしております。  政府におきましては、雲仙・普賢岳噴火につきまして災害対策本部を設置し、被災者等の救済のために、地元の地方公共団体の要望を聞きましてあらゆる角度から検討の上、既に住宅、民生、農林漁業、中小企業、雇用など二十一分野にわたる被災者等の救済対策を決定し実施いたしております。これらの中には、食事の供与、あるいは五年間据え置きの無利子の生活安定再建資金の貸し付け、長崎県が設置する災害対策の基金に国が所要の地方財政措置を講ずるなどが含まれておりまして、お尋ねの特別立法を行うまでもなく、所要の措置を確保しつつあるものと考えております。次に、福祉医療の分野の人材確保についてお尋ねがございました。  二十一世紀の本格的な高齢社会においてもなお適切な保健医療福祉サービスが提供できますように、マンパワーの確保を図らなければなりません。看護職員社会福祉施設職員、ホームヘルパーなどを中心に勤務条件を改善する、あるいは人々を養成する、社会的評価の向上を図る等、法的措置を含む各種の施策について総合的に考えております。  総合的な介護の保障制度確立するためには、寝たきりなど介護が必要な状態になりました場合も、できる限り御自分の住みなれた家庭あるいは地域を離れないで安心して暮らしていただけることが大事だと考えておりまして、万一在宅での生活が困難となりました場合には施設利用ができるような総合的な介護体制を確立したいと考えております。平成元年十二月に、いわゆる十カ年戦略、ゴールドプランを策定いたしまして、ホームヘルパー等の福祉サービスの拡充、特別養護老人ホームなどの施設整備を進めておるところでございます。  なお、介護手当ということについてお触れがございましたが、介護手当を支給するということが具体的なサービスの利用につながるかどうかというような問題もございますので、慎重に検討すべきことであろうと存じます。  それから、出生率の問題にお触れになりました。  家庭を築き子供を育てていく人々が、それに喜び生きがいを感じるような社会づくりが大切だと考えておりまして、内閣関係各省から成る連絡会議を設置しております。本年一月に、仕事と家庭生活の調和、あるいは子育てに伴う負担の軽減等、総合的な対策を取りまとめたところでございますが、なお保育サービスの充実等、各種施策を推進してまいりたいと思います。  医療保険におきましては、分娩費助産費について、分娩の実勢費用等を勘案し所要の引き上げを行ったところでございます。今後とも適切に対処してまいりたいと存じます。  なお、社会保障制度につきまして来年度の取り組みでございますが、国民生活の基盤をなすものでございますので、高齢化社会においても安定的かつ有効に機能できるような制度の構築に努めたいと考えております。  以上でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  14. 長田裕二

    議長長田裕二君) 立木洋君。    〔立木洋君登壇拍手
  15. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、首相の所信に対して質問をいたします。  まず、昨日の衆議院本会議における日本共産党の不破委員長の質問に対するあなたの答弁は、全く不誠実、不公正きわまりないものと言わなければなりません。国会は言論の府であります。誠意を持って答弁すべきことを、まず最初に強く要求しておきます。  さて、今回の自民党内閣の人事は、国民の厳しい批判を呼び起こしています。それは、ロッキード、リクルート、明電工事件に関する黒色及び灰色と言われる議員が相次いで復権し、とりわけ、大臣二十一人中十人もがリクルートに関係があること、これはまさに政治の浄化を願う国民に対する挑戦とを言うべきものであります。  首相、金権腐敗の一掃は政治の根本問題であります。今回の総裁決定直後の世論調査で、やってほしくないこと、汚職と金権政治、やってほしいこと、きれいな政治、これが最も高いという結果が出ております。これは、ロッキード、リクルート事件はけじめがついた、みそぎは済んだなどとの言い分に対する国民の厳しい批判の目が存在していることを如実に物語るものではないでしょうか。  首相自身、リクルートコスモス社から本人名義で一万株を譲渡されていながら繰り返し発言を訂正し、結果として間違っていたと陳謝し、当時大臣を辞任されました。そのあなたが首相となり政治改革を掲げるのであるならば、株譲渡が宮澤喜一名義であった真実は何かを初め、まず御自身の問題について明らかにすべきではないでしょうか。それもないまま、選挙国民の信任を得ており政治的には解決していると述べてみても、総選挙で信任を得るのは選挙区の有権者だけであり、日本の首相及び閣僚はもちろん、国会議員は全国民に責任を負うもので、これは国民に通用する論理ではありません。  最近の世論調査でも、七割近くの人がこの点を問題にしているところであります。自民党政治改革大綱でも、「政治と金の問題は政治不信の最大の元凶である。」と指摘していたではありませんか。首相、この問題は政治家にとって試金石であります。はっきりとした答弁を求めるものであります。  政治改革でまず緊急にやらなければならないのは、一九八六年の衆院定数の抜本是正という国会決議に基づいて国民の参政権の根本である一票の価値の平等を実現することで、国会参加各党は責任を負っているものであります。首相は、投票価値の格差是正の要請にこたえるためにも、一年をめどに、さきの臨時国会政府の提出した提案をたたき台として各党協議をと述べていますが、これは一票の格差是正という国民の緊急要求を口実にしながら、さきの臨時国会廃案となった小選挙区制導入などの法案を生き返らせようという二重の意味での自民党の党利党略でしかありません。  海部前首相は内閣総辞職の談話で、政治改革法案については成立に努力したが廃案にたった、この結果を謙虚に受けとめ責任を明らかにすると述べたように、何とか三法案継続審議にさせようといろいろ手を打ったが、すべて失敗に終わったのであります。その廃案になったものを自民党がまた各党協議のたたき台に復活させようとすることは議会制民主主義の根底をじゅうりんするもので、国民の常識からも絶対に許されないことであります。ましてや、自民党が四割台の得票でも八割の議席を占められる小選挙区制などは、野党も反対し、国民の多くも全く望んでいません。  首相、自民党の党利党略からの廃案復活のたくらみはやめ、直ちに国会決議に基づく現行中選挙区制のもとでの衆院定数の抜本是正にこそ取り組むべきではありませんか。もちろん、格差が六倍をも超えた参議院の選挙区定数の是正も当然であります。  また、首相は現行定数でも解散権は行使できるという見解を述べていますが、裁判所の判決でも多くが違憲状態と述べている中で解散総選挙というのは、憲法を踏みにじる暴論と言われても仕方がないではありませんか。  これらの点について明確な答弁を求めるものであります。  今日の国際情勢の中で、ワルシャワ条約機構が解体し、ヨーロッパ及びアジアにおける外国軍事基地の撤去が進み、ソ連の脅威論の事実上の崩壊、米ソの核兵器削減計画の提案など、新しい事態が進展しています。これらの事実は、冷戦時代の産物である膨大な核兵器が無用のものであることを示し、さらに、軍事ブロックの解消や外国軍事基地の撤去が新しい世界平和秩序のために必要不可欠なものであることをますます明らかにしております。  首相は所信で激動する国際情勢に触れ、新たな事態に対応するかのように新しい世界平和秩序の構築を強調しているものの、具体的には、日米安保体制の効果的運用と信頼性の向上や節度ある防衛力の整備などへの固執に見られるように、依然として古い枠組みにしがみついているものと言わざるを得ません。真に今日我が国の進路に誤りなきを期すというのであるならば、国際的にも先駆的な平和主義を貫いた日本憲法に基づいて、最大限のイニシアチブを発揮すべきであります。  日本は、一九二八年、国際的にも不戦条約に参加しながら、その三年後には自衛のためと称して十五年間にわたる侵略戦争に突入し、日本国民を含めアジア諸国民に多大な犠牲を強いた繰り返すことの許されない体験を経てきました。この教訓から、再び戦争の道を歩んではならないというかたい誓いのもとに、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」、主権在民を宣言して憲法制定されたのであります。「政府の行為によって」と強調されていることは、中国侵略以来日本が行ってきた戦争はすべて国民の意思ではたく政府の意思によって行われてきたからであり、国民の総意を無視して戦争に乗り出した政府の行為を厳しく指摘したものであります。  ところが、昨年、自衛隊海外派兵の法案国民がノーの審判を下したにもかかわらず、今また国民多数の厳しい批判を無視し国民の意思に反して海外に武装した自衛隊を派遣するという危険な道を強行しようとする政府の行為は、まさしく憲法制定の原点を真っ向から踏みにじるものではありませんか。  憲法の平和原則として、また、「日本国民は、恒久の平和を念願しこ「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と町記しています。このことは、日本の安全と生存は軍備と戦争によるのでは全くなく、諸国民の公正と信義に依拠することを明確にしたものであって、国際問題に対して軍事的に関与することに日本は絶対にくみしないことは不動の結論であります。ところが、国際平和維持活動等に対する協力法案によって自衛隊国連平和維持活動の軍事部門に派遣し実施させようとする兵力引き離しや停戦の確保のための業務は、まさに軍事そのものであります。日本憲法の精神に照らすならば、自衛隊参加は、どのような口実であれ許されないことは当然ではないでしょうか。  憲法の平和原則としてさらに、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」としています。  このことは、過去において日本がとった利己的、独善的な国家主義によって他国を無視する偏狭な考え方と行動を厳しく戒めたものであります。さらに、民族の自決権と他国の主権の厳格な尊重を政治道徳の法則として示したもので、国際協調の理念はこの立場に立つことを求めでいるのでありますへ自国のことのみに専念してはならないという言葉をとらえて国連の名のもとに武装した自衛隊を出すなどという結論をここから引き出そうとすることは、憲法の精神を歪曲する暴論も甚だしいもので絶対に許されるものではありません。  国際的には、国際連盟発足以来七十年にわたって戦争は違法とされ、このため国連憲章第二条四項で、武力による威嚇、武力の行使を慎むよう加盟国に求めていることは言うまでもありません。しかし、国連は、平和の破壊や侵略行為について軍事的措置による武力行使を四十二条で認めています。  ところが、日本憲法では、国際紛争を解決する手段として武力による威嚇または武力の行使を永久に放棄し、一切の戦力の保持をも禁じています。そのために軍隊の不保持や交戦権も否定するなど平和主義を徹底したもので、国連と違って、すべての戦争、武力行使が否定されていることは明らかであります。国連憲章によれば、国連が軍事的措置を行う場合でも、加盟参加国と特別協定を改めて締結し、その場合は各国の憲法上の手続に従うことが明記されています。国連の名による貢献なら日本憲法の精神に反してもよいということでないことは明らかではありませんか。  ところが、首相は、最近の雑誌のインタビューで、国連常備軍に国際公務員としての参加なら憲法が禁止する武力の行使にならないと全くの誰弁を弄し、血を流す日本国民があってもいいと述べていることは極めて重大であります。既に明らかなように、国連常備軍は武力行使を行う軍隊であり、それに国が自衛隊参加させることは、日本憲法の精神と第九条に基づくならば全く許されないことは明確であります。あいまいにすることなく、明確に答えていただきたい。  首相は、核兵器について我が国が何十年も唱えてきたことが世界的に理解され始めたと述べていますが、自民党政府がこれまで主張し続けてきたことは究極廃絶であって、それは通常兵器がある限り核兵器は必要というもので、核軍拡を容認してきた立場であります。首相がその立場をとる限り、核兵器廃絶を求める人類共通の願望にこたえるものではありません。首相は、その立場を改め、米ソを初めとする核保有国が今こそ核兵器廃絶に向けた具体的交渉を開始するよう積極的イニシアチブをとるべきではありませんか。答弁を求めるものであります。  今日のガット農業交渉については、既に国会で米の自由化に反対する三度の決議があり、これを堅持しなければなりません。学者、研究者の米政策研究会が六月十八日に発表した米の輸入を自由化した場合の影響についての最終報告によれば、日本の米生産量は七十八万トンまでに激減し、百六十三万人の雇用減少を引き起こし、国内生産額十一兆円以上を減らすと指摘しているところであります。このように、自由化は米作を激減させ、日本経済地域社会に取り返しのつかない障害を与えることは明白であります。ましてや、米の自由化を行わない立場を国際孤立化の道などと称するのは全くの誤りであります。  去る七月、国際消費者機構が主催した世界消費者大会では、従来の食糧貿易の分野における自由化の達成が消費者の利益につながるとの立場を根本的に改めました。そして、農産物の輸出入に対する規制の全面撤廃は、先進国、発展途上国のいずれにおいても消費者の利益にならず、基礎食糧の供給を改善し持続可能な農業の確立こそが最重要課題であると決議したのであります。  今、八億人が飢餓に苦しんでいる世界を直視し、人口急増及び地球温暖化の影響による農業生産への打撃や生態系の保全を真剣に検討するならば、日本の基礎食糧の自給を堅持することは、日本の民族的利益を守るとともに国際的重大な責務であります。米を含め、関税化が提起されているこの重要な時期に、首相は所信であえて米の自給という国会決議の基本的な表現を削除したことは極めて重大であります。これは自由化に含みを持たすものではないでしょうか。もしそうでないというのなら、将来にわたって米の輸入自由化をしないということを国民の前に明確にしていただきたい。  最後に、消費税の問題であります。  自民党は、昨年の総選挙で、飲食料品非課税を図り、国民に一兆一千四百億円の減税をもたらすとの見直しを公約されました。首相自身もそれを明確に公約しておりました。自民党は、税制合同協でも主張していたこの飲食料品を非課税にということを十月の税制合同協の専門者会議で突然ほごにし、飲食料品に対する非課税措置を一切拒否したのは一体なぜでしょうか。少なくとも各党が一致し得る飲食料品の非課税を直ちに実行すべきではありませんか。国民に対する選挙公約を投げ捨てたことは絶対に許すことはできません。その理由を明らかにしていただきたいのであります。  さらに、税制合同協は衆参両院の本会議において全会一致で設置されたものであり、自民党一党の独断でその協議を打ち切ることはできないのであります。飲食料品に対する非課税措置を初め、消費税及び税制に関する諸問題を協議し一致点を見出すべく努力するのが責任ではないでしょうか。税制合同協の協議継続に努力されるかどうか、答弁を求めるものであります。  消費税は、消費者の生活を圧迫し、消費税の転嫁ができない中小商工業者にとって依然として大きな問題になっております。去る八月八日、日本リサーチ総合研究所が発表した消費税についてのアンケート調査によりますと、消費税は今回の見直しのまま存続させるとした人はわずか一〇%にしかすぎないのであります。これで、消費税国民の間に定着したなどと言えないことははっきりいたしているのであります。同調査では、七割の人が廃止、さらなる見直しを求めています。  首相は昨日、法改正を円滑に定着させてまいりたいと述べましたが、それは、首相が選挙公約で述べられたことにも、また国民の要求にも二重に背くものではありませんか。消費税率の引き上げなど決して行うべきではなく、国民の声に真剣に耳を傾けるならば、廃止すべきは当然であります。  以上、強く要求し、明確な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨日の衆議院本会議における不破委員長の御質問に対しまして私が答弁漏れをいたしまして、後刻補足をさせていただきました。私の不注意に基づくものでございまして、改めましておわびを申し上げます。  次に、いわゆるリクルート事件につきまして、私の不行き届きから国民皆様に御迷惑をおかけいたしました。このことは政治家として深く反省をいたします。同じ過ちを繰り返しませんように、一生心を戒めていく決意でございます。今後の国会での御議論につきましては、私といたしましても最善の努力をして対応してまいる考えでございます。  なお、政治的には、選挙によりまして心を新たにもう一度努力せよという有権者の信任をいただいたと受けとめております。このことにつきましては、私の同僚各位も同じように心を戒めておられると思います。同僚各位が高い見識と有能な才能を精いっぱいに発揮し、所を得て活躍をしてもらうことを期待いたしているものでございます。  次に、廃案となりました三法案をいわゆる復活させるたたき台にするのは議会制民主主義のじゅうりんであるという御指摘でございましたけれども、確かにこの三法案廃案にはされましたが、その間に大変に御熱心な御審議が行われました。そのような実績をも踏まえまして、政治改革協議会においてはこれをたたき台にして各党間で御協議をお願いできればと考えているところでございます。  投票価値の格差是正の要請にこたえることは緊急の課題考えております。政治改革協議会におきましてはこの問題も含め御協議いただけるものと考えておりますが、おおむね一年ぐらいを目途に具体的な結論が得られますようにと念願をいたしております。  また、参議院議員の選挙制度あり方につきましては、選挙制度審議会から答申をいただいておりまして、各党においても、定数問題を含めていろいろな御議論があるところと承っております。政府としては、このような御論議の動向をも踏まえながら対応してまいる考えでございます。  衆議院の解散権の問題でございますが、法律論として申しますなら、衆議院の解散権は、憲法上、国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に与えられておる機能でございます。いかなる場合に衆議院を解散するかは、内閣がその政治的責任で決すべきものと存じます。衆議院議員の定数の是正が行われない間におきましても、衆議院の解散権の行使が法律的に制約されることはないと考えております。  次に、日米安保体制の今日的な意義ということでございますが、国際情勢が大きく変動する中で、日米の協調と協力は、単に日米両国にとってのみならず、世界の安定にとりますます大きな重要性を持つものと考えております。依然として不透明、不安定な国際情勢が残っておりますので、我が国の安全確保にとっての日米安保条約は、抑止力でありますとともに、日米関係の基礎をつくります強固なきずなであります。また、我が国がより大きな政治的役割を果たしていく基礎でもございます。我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安定にとって、なお不可欠な枠組みとして機能しているものと考えております。日米安保体制の持つこのような意義と重要性は今日いささかの変化もない、私どもはそう考えております。  なお、今日の国際情勢において、東西の冷戦が終えんをし、ソ連における新国家体制への模索、米ソの核軍縮提案などに見られるように、世界の平和と安定への流れが強くなっていることは御同慶の至りでございます。我が国としては、このような事実をも踏まえ、引き続き、日米安保体制を堅持すると上もに、基盤的防衛力構想を取り入れた防衛計画の大綱の基本的な考え方に従って、効率的で節度のある防衛力の整備に努めていくことが適切であると考えております。  PKO法案につきまして四点のお尋ねがございましたが、いわゆるPKO活動は、暴力を用いない中立、非強制の立場で、国連の権威と説得によって停戦確保等の任務を遂行せんとするものでございますから、強制的手段で平和を回復しようとするものではございません。いわゆるPKO法案に基づいて国連平和維持活動あるいは人道的な国際救援活動に参加することは、国際協調のもとに恒久の平和を希求する我が国憲法の精神にも合致するものと考えております。憲法制定の原点を踏みにじるものというような御指摘には賛意を表しかねます。  国連常備軍ということについて御指摘がございましたが、私が申しましたことは、戦後の我が国政治に長く関与してきた者といたしまして、過去、現在及び将来の我が国の内政と外交につきまして自分の経験と考えを申し述べたのでございます。  すなわち、将来いつの日にか国連が、国際の平和と安全の維持のために現在の国連憲章のもとで想定されている以上に強固で集権的な、加盟国すべてのいわば代弁者となる、そのような機能を果たすことになるような、これは極めて好ましいことでございますが、そういう場合を想定したときに、そのような国連のもとに創設されるいわば超国家的な、おのおのの国家の主権を超えた軍事組織を仮に国連常備軍と呼びましたときに、我が国国民が国際公務員としてそれに参加することの可能性について議論をいたしたのでございます。今後の国際情勢の変化を十分に見ながら、将来の可能性として問題を提起したところでございます。  次に、核兵器廃絶へのイニシアチブについてでございますが、所信表明演説で申し上げましたとおり、新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりの中で、軍縮の分野においても米ソがともに自発的に核兵器の大幅削減取り組み始めるなど、現実の流れが大きく変化しつつございます。世界平和が依然として軍事力の均衡と抑止によって維持されていることは事実でございますし、また核拡散等の問題もございますけれども、核兵器については我が国が何十年も唱え続けてきたことが今世界的に理解され始めているものと考えております。今後とも、均衡のとれた核の削減が段階的に行われるように、米ソ両国の努力期待をいたします。我が国としても、国連等の場を通じ、核実験禁止、核不拡散等に向けてさらに努力を傾注する所存でございます。  ウルグアイ・ラウンドにつきましてお尋ねがございましたが、これは所信表明で申し上げましたとおり、現在最終段階を迎えておるところでございます。我が国としては、他の主要国とともに、この交渉が年内に成功裏に妥結するように努力をいたしつつございます。  その中で、農業につきましてはいろいろ困難な問題がございます。例えば、ECにとりましては可変課徴金というような問題がございますし、アメリカは非常にたくさんのウエーバーをとっておるところでございますから、それを放棄するのかどうかという、これも大きな問題がございます。そのほかにまた、いわゆる輸出補助金、これは自由貿易をゆがめておる最も大きな要因の一つでございますが、その輸出補助金をどうするのか。我が国にとりましては輸入国でございますからこういう問題はございませんけれども、そういう問題をどうするかということがアメリカにもECにもあるわけでございます。  そういう最後の段階の困難な交渉が続いておりますが、我が国の米につきましては、これまでの基本的方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限努力を傾注してまいる考えでございます。  次に、消費税につきましてお尋ねがございまして、両院合同協議会における合意に基づき行われました議員立法による消費税法の改正は、御承知のように本年十月から実施されているところでございます。飲食料品の問題について、本年十月を目途に協議を続けるとされていたわけでございますが、十月二十三日のこの協議会において、各党会派の意見の隔たりが大きくその一致は見られなかったというふうに承っております。政府としては、こうした立法府における御議論の経緯、結果を踏まえてまいる所存でございまして、いずれにいたしましても、先般の法改正を円滑に実施するために最大限努力を行うことが現在最も重要でございます。  なお、この国会に設置されました公党間の御協議の場としての両院合同協議会の運営、あり方等につきましては、これは院の問題でございますので、政府として申し上げる立場にないことは御理解をいただきたいと存じます。  そこで、消費税につきましては、この両院合同協議会における合意によって行われました改正を円滑に実施する、定着させるということが今一番大切な課題だと認識をいたしております。三%の税率についてどうこうするということは私の念頭にございません。基本的にはそのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択をされる問題であって、国民の御理解なしに税率の変更というようなことは安易に考えるべき問題ではかいと考えております。  また、消費税というものは本来やめるべきものであるという御指摘につきましては、税制改革の一環としての、二十一世紀を展望いたしましてのこの消費税の創設は正しい選択であったというふうに考えております。(拍手
  17. 長田裕二

    議長長田裕二君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十三分休憩     ―――――――――――――    午後一時一分開議
  18. 長田裕二

    議長長田裕二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。古川大三郎君。    〔古川太三郎君登壇拍手
  19. 古川太三郎

    ○古川太三郎君 連合参議院を代表し、質問いたします。  さきの中東和平会議で、ブッシュ大統領はその開幕演説の中で、リアルピース、つまり本当の平和を主張しました。アラブ、イスラエルは、純粋の平和、公平な平和、永遠の平和を提言しました。このように平和にはいろいろありますが、戦争にもさまざまた言葉がございます。平和のための戦争、正義の戦争、聖戦、そして侵略のための戦争。結局、悪い平和もよい戦争もないというむ なしさだけが残ります。しかし、我々が何をどう考えるか、どう行動するかによって平和にもなり戦争にもなるということだけは事実でございます。  そして今、ソ連の脅威を想定してきた日米安保条約は、第六条の極東の範囲を拡大し、ソ連、北朝鮮はもちろんのこと、中国、インド、ベトナム、さらには中東にまで関心を寄せております。米国は地域紛争に対する戦略として米本土の部隊を直ちに投入する機動展開構想を打ち出し、フィリピンの中継補給基地が撤去されれば、日本は、アジア・太平洋は無論のこと、インド洋をもにらむ唯一の米前進基地となります。おまけに、物資、装備、はたまた通信システムまで相互運用をすることになれば、日本自衛隊は事実上日米共同軍の一翼となり、質の転換を余儀なくされます。  今、世界軍縮が叫ばれるとき、日米安保の関係でこのように変わりつつある自衛隊総理並びに防衛庁長官はどのように考えられますか、お聞かせください。  このたび、日本とEC加盟国が兵器移転の国連報告制度を創設する決議案を国連に提出しました。しかし、幾ら兵器移転の透明性を高めても、兵器の生産国が輸出を自制しなければ移転そのものを抑制することにはならないのと同様に、兵器輸入国も輸入を抑制しなければ世界各国はこの提案を信用せず、また発言力も低下いたします。日本は、武器の輸出三原則と裏腹に、輸入はサウジアラビアに次いで世界第二位であり、この傾向は数年変わっておりません。韓国の国防白書が日本の防衛力の攻撃的性格への変化を懸念したように、日本の防衛力に対するアジア近隣諸国の目は実に厳しいものがございます。  兵器移転の国連報告制度日本自身の軍縮努力が伴ってこそ実効があると思いますが、我が自衛隊の縮小をどう位置づけられるか、国家財政欠乏の折から、防衛予算の問題も含めてお尋ねいたします。  世界平和秩序の構築に当たって冷戦後の国連の役割が増大し、その中で、連合参議院は、我が国も財政的貢献とともに人的貢献の必要性を痛感いたします。御案内のように、PKOは、冷戦構造下で中立国の平和に対する活動としていわばリリーフ役の形で生まれ、したがってその任務は国連憲章に明文の規定なく、これがPKOだとか、PKOはこれしかないと考えるのは非常に短絡的でございましょう。我々は、日本憲法の原則を活用しつつ、新しいPKO構想を提起しながら日本参加条件を考えていくのが理想だと思います。総理見解をお尋ねします。  今、継続審議となっているPKO法案は、国際貢献をにしきの御旗にして、何が何でも自衛隊に海外出動の道を開くためとしか映りません。国民の大多数の同意が得られる形で国連平和維持活動参加すべきであり、五十一対四十九というぎりぎりの賛成があればそれで事が足りるというものではございません。  さき国会終了後、連合参議院は独自のPKO調査団を派遣いたしました。スウェーデン、オーストリア、キプロスに行きましたが、その報告によりますと、初めは看護兵、民間警察の段階を経て、現在のPKFの段階に到達するのに実に十年以上の歳月がかかっております。したがって、その参加は可能なところから始めるのがよく、いきなり軍事面での貢献は時期尚早と考えますが、総理見解を求めます。  次に、公正な社会に関して質問いたします。  我が国は、与えられた平和のもとで、企業の成功を最優先に掲げ、経済という一点に、人、物、金、情報のあらゆる資源を集中し、効率的利潤追求のシステムをつくり上げてまいりました。そのため、日本は非常に豊かな国になりました。しかしながら、国民生活の水準は、土地高騰のための住コストの異常高、許認可行政のための一般的な物価高、過労死が世界語になるほどの労働強化、さらに不十分な社会福祉など、そのためにGNPで示されているほど豊かな国ではございません。  戦後四十六年、経済体制を長い間身近で見、またその形成に身をもって尽力された宮澤総理は、何が原因でこのような結果になったと思われますか。また、この不均衡な経済構造をどのように改善されますか。さき所信表明では何ら具体的な方法が明示されておらず、国民の怒りは今頂点に達しております。明確にお答え願います。  次に、総理の言う生活大国への前進について一つの提案をいたしたいと思います。  戦後、縦割り行政の弊害が生活小国を招いた一因と判断いたします。そこで、厚生省、建設省を生活省に、また通産省、労働省、及び大蔵省から証券局、銀行局を分離し、これを生産省に統合することをお勧めします。生産省と生活省を対峙させ、相互に目的意識を持って合目的的行政を行うことこそ国民に見える行政になり、相互に行政改革の推進と財政削減にも寄与することと思います。改革後は必ずや生活者の道路、橋、町づくりに全力を挙げること必定で、四百三十兆円の使用目的にも合致します。総理並びに関係大臣の答弁を求めます。  今、日本では、法人の名のもとならば悪事を働いても罰は軽くリスクも少ない。これは何も証券スキャンダルだけではありません。最近の食品包装用ラップ八社のやみカルテルの独禁法違反事件についても言えることで、その中には過去に勧告を受けた前科持ちの会社が六社もあります。「人間は皆犯罪者の素質を持っている。が、しかし実際に罪を犯さないのは、リスクが大きすぎるからだ」とシカゴ大学のペソカー教授は「犯罪の経済学」の中で看破されております。刑事罰が違反行為に対し十分な抑止力になるためには、それ相応の重みがなければなりません。法人に対しての罰金の上限が、日本では五百万円、米国では一千万ドル、すなわち十三億円という大きな開きがございます。この比較を総理はどのように考えられますか。  脱税についても、この一年間に資本金一億円以上の大手企業三万社のうち税務申告に疑問がある五千社を調査したところ、実に九八%に上る多くの申告漏れがありました。この多くは不正な政治献金と結びつく使途不明金であり、この日本を代表する大企業の倫理観のなさは、総理の品格ある国家理念とどこでどう結びつくのか、お答えを願います。  最近の証券、銀行等の不祥事等に関する我が国企業行動の政府と癒着した構造の一つに、外国語にもなっている行政指導があります。このことは、行政に対する国民の不信をもたらす大きな原因となっております。行政に対する国民信頼を回復するためには、法律による行政、法の支配、これを徹底し、世界に通ずる行政の透明化と公正化を図るため行政手続法の整備が緊要であると考えますが、答弁をお願いします。  国民生活審議会消費者保護部会がPL立法化の必要性を提言してから既に十六年が経過しました。この間日本は、工業製品の世界一生産大国となり、また輸出大国にもなりました。アメリカはもちろんのこと、EC諸国も国内法を整備いたしております。我が国のいつまでも続く消費者を犠牲にした産業保護優先の姿勢は、必ずや諸外国からの非難が集中することになりましょう。国際的にも通用する製造物責任法を緊急に整備する必要があると思いますが、お答えを願います。  ウルグアイ・ラウンドにおける農業交渉について質問します。  連合参議院は、ガットの基本精神は尊重するものでありますが、今、世界規模での地球環境、食糧事情を考えるとき、林業、農業など環境問題について外部経済効果の大きい産業には、工業製品と異なり、多くの留保条項をつけてしかるべきではないかと考えます。単に価格のためだけに木材を輸入することは、輸出国の森林を荒らすばかりか日本の森林をも荒らしている現実があります。 また、干ばつが続いて世界じゅうが不作になりたとき、金持ちの日本は値段がつり上がっても買うことができますが、ほかの国を飢えに泣かさないでしょうか。そうならないように、世界のためにも日本の農業を保護する必要があります。  今、マスコミを通じて米市場開放の情報が盛んに流されておりますが、国政に責任ある立場からの発言は何もなく、これが農家の大きな不安の原因になっております。この不安を解くために、政府があいまいな発言をやめて、明確な態度でその政策を示すべきではないでしょうか。総理並びに農水大臣の答弁を求めます。  最後に、総理演説で申された品格ある国家づくりについてただしたい。  さき自民党総裁選のさなか、総理は竹下派小沢会長代理の個人事務所に足を運ばれました。現在日本政治がいかなる力学で動いているか、そのときのテレビ映像は強烈な印象を国民に与えました。国民の多くが、宮澤総理を待望していたがゆえにがっかりしました。そして、今回、党三役の選任と組閣に当たり陰の組閣本部の影響を見て、今度は国民の落胆が憤慨に変わりました。  中国の史記に、韓信のまたくぐりという故事があります。韓信は大きな志のためにまたをくぐりました。宮澤総理の大志とは何ですか。その目的は何ですか。大事のために些事を捨てた心境こそ、今ここで国民の前に明らかにすべきであります。特に、日本では品格を守るためにみずからの命を絶つ散華の美学も存在したことを思えば、品格ある国家づくりを唱えられる総理の姿勢と今回の行動の落差に国民は戸惑っております。  総理みずから、これに対する釈明というよりも強烈な反論を期待して、代表質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今日の国際情勢におきまして、東西の冷戦が終えんし、ソ連におきましてはまた新国家体制への模索があり、米ソの核軍縮提案なども見られまして、世界の平和と安定への流れが強くなっていることは喜ばしいことと存じます。  我が国としては、このような事実をも踏まえまして、引き続き、日米安保体制を堅持するとともに、基盤的防衛力構想を取り入れた防衛計画の大綱の基本的な考えに従いまして、効率的で節度のある防衛力の整備に努めていくことが適切であると思っております。我が国の防衛政策の基本は、我が国に対する侵略を未然に防止することであり、いわゆる専守防衛でございますので、自衛隊が日米共同軍の一翼となる、あるいは攻撃的な性格への変化などといったことは私ども全く考えておりませんし、またそのような客観的な事実もないのではないかと考えております。  次に、PKOにつきましては、御指摘めどおり国連憲章上明文の規定はございませんけれども、中立、非強制の立場で国連の説得と権威によって平和を維持しようとして、そのための活動として徐々に確立をしてきたものでありますが、これまで四十三年間の歴史を持っており、世界の多数の国家がこれに参加をいたしてまいりました。一九八八年にはノーベル平和賞を受賞するなど、国際社会の一致した支持と評価が与えられているものと存じております。  このたび御提案いたしましたPKO法案は、国際協調と恒久の平和を願う我が国憲法を踏まえつつ、我が国がこのPKOに協力し得るための法的な枠組みを設定しようとするものでございます。政府としては、この法案について国会の御承認を得た上で、積極的に国際貢献を行ってまいりたいと考えております。  しかし、いきなり軍事面での貢献は時期尚早ではないかというお尋ねに対しましては、昨年の湾岸危機以来、我が国国際貢献について国民の間に幅広い御議論がございました。そして、財政的な貢献だけではどうも十分ではない、人的な面においても我々の憲法のもとでできることは、いわゆる汗をかくという意味で最大限に行うべきであろうというコンセンサスが生まれつつあると考えております。いわゆるPKO法案は、このような考え方に基づき、我が国としてなし得る最大限貢献を行うことを目指したものでございます。法案に基づきまして我が国が個々のPKO活動に具体的にいかなる形で参加するかは、国連からの要請、また国内の準備状況等をも総合的に勘案した上で具体的に検討してまいりたいと存じます。  次に、我が国経済構造についていろいろ御指摘がございました。確かに御指摘のような問題があると私も考えております。飛躍的な経済発展を戦後いたしましたし、まずまず国民生活の多くの面では豊かになったことは確かでございます。一人当たりの所得は世界の一応最高の水準をいっております。失業率もほとんど完全雇用に近いということでございますし、平均寿今も逐年長くなっております。世界一の水準と申してもよろしいと思います。また、日常の暮らしか安全である、いわば夜でも道を一人でも歩けるというようなことの安全ということなども、欧米先進国に比べて私はすぐれているというふうに考えております。  しかし、所得水準が高いという割にはいかにも蓄積が乏しいということは、御指摘のように否めません。一番いい例は居住、住宅でございますが、社会資本の多くのものについてそのようなことが申せます。また、労働時間が長い、あるいは食べ物の値段や、余暇関連、いわゆるレジャー、旅行等々の費用が高い、これらが国民生活が豊かでないという感じを国民に与えている私は要因であろうと思います。  したがって、その対策というのはその一つ一つの問題を処理していくということになるわけでございますから、居住水準、あるいは生活環境、消費生活、労働時間、内外価格差の縮小等々、一つ一つ政府としてもその処理に努めてまいりました。なかなか早い効果が上がりませんけれども、問題意識は十分に持って処理をいたしつつございます。  また、近年地価の上昇がありまして、ここから資産格差の拡大がございました。国内に、正直者が置いていかれるという、そういう一種の不公平感が生まれておりますし、また、この土地問題はいろいろな意味で住宅問題等々に大きな影響を持っておりますので、総合土地政策要綱に沿って土地対策等を推進してまいっているところでございます。  これらの問題を一つ一つ処理いたしまして、国民の一人一人が生活の豊かさを実感しつり、おのおのが自分の人生設計ができるような社会を何とかして実現をいたしたいというふうに考えております。  次に、生活省あるいは生産省というような、現在の各省の行政機構の再編成についての御示唆がございました。時代のニーズが変わりてまいりますと、行政組織のあり方もそれにつれて弾力的に変わってまいらなければなりません。社会経済情勢その他内外の諸情勢の変化、事態の推移を見つつ、絶えず検討を続けていくべきものと存じます。  それから、刑事罰の問題につきまして、どうも企業など法人に対する刑事罰である罰金の額が低くて、違反行為に対して十分な抑止になっていないという御指摘がございまして、これは世の中にかなりそういう御意見が多いことは事実と存じます。大変に法制的には複雑な問題だそうでございますが、現在、法制審議会においてこの問題を鋭意検討しておられます。世の中のそのような批判にこたえるための考え方について、法制審議会がやがて結論を出していただけるものと思っております。  それから、大企業の所得が適正に申告されていないものがある、少なからずあるということでございますが、いわゆる一部の企業について使途不明金というような処理がなされていることは事実 でございます。それは、その使途を解明してやはり適正な課税に努力をいたさなければなりません。適正な申告の実現に向けて一層の努力をいた、してまいります。  それから、行政手続法制の整備につきまして、我が国の行政手続の透明性の向上、公正の確保を図るため、手続法制の統一的な整備は重要な課題考えております。そこで、現在、行革審におきまして、そのような観点からこの年末に手続法要綱案を含む答申を提出すべく、鋭意調査、御審議中と承知いたしております。答申が出ましたら、その実現に取り組んでまいる所存でございます。一ウルグアイ・ラウンドにつきまして、所信表明でも申し上げましたとおり最終段階を迎えておりまして、他の主要国とともに、年内に交渉が成功裏に終結するように努力をいたしつつございます。  その中で、農業につきましてはいろいろ難しい問題が御承知のようにございまして、例えば可変課徴金というような制度はECが大変長く採用してまいりました。むしろECができる一つの要因になったとすら言える長い制度でございますし、アメリカはまた、ガットに加入のときに原交渉国としてウエーバー等々をとりました。それは非常に大きな範囲にわたっております。そういう困難を抱えておりますし、何よりも輸出補助金というものが一番自由貿易を阻害している、ゆがめる要因でございます。これはヨーロッパにもアメリカにもあるわけでございます。我が国は輸入国でございますからそういう大きな問題はございません。  そういう問題がいろいろございまして、この最終段階になって大変に議論がいういろに行われておるというのが現状であると思いますが、我が国の米につきましては、これまでの基本的方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限努力を傾注してまいる所存でございます。  なお、このたびの政権交代に当たりましての私の心構えについても御指摘がございました。  私どもの自由民主党におきまして、総裁公選規程により開かれた公選を経まして総裁に選出されました。国会において首班の御指名を受けたわけでございます。これは議会制民主主義による政党のルールにのっとったものと考えておりまして、このことは国民に御理解をいただいておるところと存じます。  なお、組閣に当たりまして、要所に適材を配置した強力な内閣をつくることができたと存じます。国民の御信頼と御期待にこたえて、国政に誤りなきを期したいと存じます。  残余の質問につきましては関係大臣からお答えを申します。(拍手)    〔国務大臣宮下創平君登壇拍手
  21. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 私に対する質問についてお答え申し上げます。  日米安保条約を堅持するとともに、みずから適切な規模の防衛力を保有することによりまして我が国に対する侵略を未然に防止するという我が国の防衛政策の基本に変わりないことは、総理からただいま御答弁があったとおりでございます。  御質問は、自衛隊と米軍との相互運用性、いわゆるインターオペラビリティーの向上に関連してのお尋ねでございましたけれども、日米間の相互運用性の向上を図りますことは、我が国有事の際におきまして日米安保条約に基づき共同対処行動をとることとなる日米両国にとりまして極めて重要な問題であり、課題であると考えております。  いずれにいたしましても、自衛隊が日米共同軍の一翼とたるなどといった先生の御指摘は当たらない、そのように存じております。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣岩崎純三君登壇拍手
  22. 岩崎純三

    国務大臣(岩崎純三君) 私へのお尋ねは二つでございます。お答えをいたします。  国政運営に当たりまして、国民生活の質的向上の実現、消費者の視点を重視いたしました社会経済の仕組みづくりといった観点は重要なものであると認識をいたしております。行政組織につきましては、変化への対応に富み、総合的、効率的であることが求められておりますが、社会経済情勢その他内外の諸情勢の変化、事態の推移等を見詰めながら検討すべきものと考えております。  我が国の行政手続の内外への透明性の向上、公正の確保を図るため、手続法制の統一整備は重要な課題であると認識いたしております。行革審発足時に当たりまして、内閣総理大臣から行政手続法制の統一整備について早急な検討が要請され、現在、同審議会におきまして、年末に手続法要綱案を含む答申提出に向けまして鋭意調査、審査が行われているところでございます。行政指導につきましても、その中で検討が進められているものと承知をいたしております。この行革審の答申を受けまして、その実現に取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣野田毅君登壇拍手
  23. 野田毅

    国務大臣(野田毅君) 製造物責任の問題についてお答えを申し上げます。  この製造物責任制度につきましては、経済社会の変化に対応した被害者救済の実効性の確保、そして国際化の進展に対応した制度の調和、これを図る観点から総合的な検討を行うことが緊急の課題であると考えております。このため、現在、国民生活審議会におきまして、製造物責任法制を含む製造物責任制度中心とした総合的な消費者被害防止・救済のあり方について御審議をお願いいたしておりまして、去る十月十一日、中間報告が取りまとめられましたことは御案内のとおりでございます。  なお、具体的内容を含めてさらに十分に御議論を尽くしていただく必要もございますし、関係者の理解を深める努力をする必要もございます。こういうようなこともございまして、引き続き精力的な検討を現在お願いいたしておるところにございます。(拍手)    〔国務大臣田名部匡省君登壇拍手
  24. 田名部匡省

    国務大臣(田名部匡省君) 古川議員の御質問にお答えをいたします。  我が国の米は、主食であると同時に、稲作の農業の基本部門でもございます。その中にあって、極めて厳しい生産調整を農家の皆さんにお願いいたしておるところであります。したがって、再三にわたる国会決議等の趣旨を体しまして、国内産で自給するとのこれまでの基本的方針のもとで対処いたしておるところであります。今後とも最善の努力をいたす所存であります。(拍手)     ―――――――――――――
  25. 長田裕二

    議長長田裕二君) 井上計君。    〔井上計君登壇拍手
  26. 井上計

    ○井上計君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、宮澤総理並びに関係閣僚に質問いたします。  質問の前に一言申し上げます。  長年の宿願であった宮澤総理の誕生に、郷土広島は喜びと期待に大いに沸き返っております。私も総理と郷里を同じくする者としてまことに欣快にたえません。国民期待に十分こたえるために、長い政治現場の豊富な経験を発揮されて責務を全うされますよう私も期待しております。  さて、総理所信表明の中で、「何百年に一度という大きな変化が起こりつつある」と述べられました。確かに、最近の世界情勢の変化は恐らく神様も予測しなかったような激変の連続であります。この国際情勢の変化に伴い、国内の構造もまた大転換期に直面しております。この難局に当たりで、日本丸の進路のかじを握る総理の責任はまことに重大であります。  このような重大なとき、国民の求めている総理の条件は、的確な判断力と先見性、勇気ある決断力と国益優先の指導力であると考えます。総理はいかがお考えでありますか。総理の御決意と政治信念を改めて承りたいと思います。  次に、具体的な質問に入ります。  新内閣発足直後に行われたある新聞社の世論調査によりますと、宮澤内閣の支持率は、新内閣のスタート時点では田中内閣に次ぎ歴代二位の高さにあります。その主たる支持理由は、総理経済政策外交政策への期待にあるようであります。国民が今、宮澤総理に速やかに実施していただきたいと希望する政策は、財政再建一本やりではなく、内需を中心とした安定成長の実現景気刺激政策であろうと考えます。  したがって、日米構造協議の約束である十年間で四百三十兆円という公共投資計画は、安易な増税に頼ることなく、建設国債を増発してでも着実に実施し、総理の経験と識見を最大限に発揮され、新たな財政運営を確立すべきであります。それによって、国民の公的負担率を上げることなく年金、福祉医療充実は可能と考えますが、いかがでありましょうか。  しかし、内外ともに前途に立ちふさがっている諸問題の処理は容易なことではありません。この難局を切り開いて総理の目標とされる生活大国実現するためにはどうしても国民理解と協力を得ることが大前提であり、これがまた政治への信頼を回復することであります。これには、第一にみずからの公約を誠実に守ることこそ重要でありますのに、最近、政府はこの政治の基本をおざなりにしようとしているような事実があるように感じられてなりません。  それは、バブル景気の崩壊と経済の減速によって税収の見込みが狂い歳入欠陥が生じるため、財政当局は公約に違反して安易な方法を求めようとしていることが最近報道されておるわけであります。すなわち、湾岸戦争協力の財源確保策として、今年度に限り法人税の二・五%の臨時特別税と石油臨時特別税を創設し、また一昨年消費税導入のとき、自動車に対しては六%の暫定税率を三年間に限って課しております。ところが、財政当局は、今年度で終了するこの公約を無視して、引き続いて来年度も継続することを検討中との報道があります。事実とすればもってのほかと言わざるを得ません。  もしこのようなことをすれば、国民政治への信頼の回復はますますほど遠くなるばかりではなく、総理所信表明で述べられた政治改革実現リクルート事件の反省等すべての公約が口先だけの建前論と受け取られ、政治不信は一層高まり、内閣支持率は低下して国際社会においての信頼を失い、大きな支障が生ずることは確実であります。総理はどのようにお考えでありますか。あわせて大蔵大臣にも御所見をお伺いいたします。  次に、国際貢献策について質問いたします。  新しい世界平和の秩序を構築するためには、我が国は、金の面でも人の面でも可能な限りの協力と貢献をしていかなければなりません。しかし、それに対してぜひ御留意をしていただきたいことがあります。それは、最近特に、外国に援助する金があるならばなぜ減税をしたり福祉や教育に回さないのかという不満を数多く耳にいたします。また、よその国のことはどうでもよい、我が国の平和と繁栄だけを考えればよいとする誤った一国平和主義がまだ多く存在しております。  我が国が敗戦ですべてを失い、戦火による廃墟の中から立ち上がって今日の経済の繁栄と平和をつくり上げたのは、もちろん日本人の努力と勤勉によることは論をまちません。しかし、その上に、当時の中華民国の蒋介石総統の対日恩情政策、またアメリカからガリオア・エロアの資金を昭和二十一年から二十四年までの四年間に十五億ドルの援助を受けているのであります。これは当時の毎年の一般会計予算の約半分ほどの多額に相当しております。さらに、昭和三十年代、世界銀行から借り入れた八億六千万ドルのおかげで、東海道新幹線や東名高速道路、さらには愛知用水、製鉄所、発電所等の建設が促進されたことを我々は思い起こさなくてはなりません。今こそ私たちは、これらの恩義に報いる国際信義の必然性を啓蒙し、国民理解を求める努力をすべきであります。  ODA等の国際協力はさらに積極的に進めるべきではありますが、改善すべき多くの課題があります。  まず、援助行政の一元化が必要であります。円借款は四省庁が関与し、技術協力は十七省庁にまたがっていては、十分な成果を上げ得ないだけでなく、むだな援助となっている事実も多くあると思われます。審査、決定、実施が効率的にできる体制づくりと、国際開発協力の基本原則からして、人道的な援助、軍事力の抑制に効果があること、これを優先すべきであります。したがって、自衛の範囲を超えた軍事力を有する国、特に核兵器を保有しあるいは開発している国に対しては直ちに援助を中止すべきであります。これは、非核三原則を堅持している我が国としては当然の方針とすべきであります。  我が党が提唱しているODA基本法制定についても、あわせて総理の御見解をお伺いいたします。  さらに、いま一つ重要な貢献策であるPKO法案の今国会での成立は急がなくてはなりません。しかし、自衛隊参加する国連平和維持軍派遣の国会承認は絶対必要であります。詳しい理由は昨日衆議院において我が党の犬内委員長が述べておりますが、自衛隊の防衛出動についても、また治安出動についてもそれぞれ国会承認を義務づけていることからしても、このPKF派遣の国会承認は当然でありましょう。  本年はあたかも第二次世界大戦が勃発して満五十年目であります。軍部が人権を乱用して戦争に突入した苦い経験からしても、シビリアンコントロールの根本である国会承認を政府案に付加すべきであります。自民党内においても多くの人が、また世論調査においても国会承認の必要性が多く言われております。総理の本音の答弁をお願いいたします。  次に、国内経済の問題と中小企業対策について伺います。  内需を中心とした経済の安定的発展を図らなければ、国際貢献も貿易摩擦の解消も、さらには日米の友好関係も継続していくことは困難になります。そのためには、産業界に急速な景気の陰りが見え始めているとき、速やかな景気浮揚対策、金融政策の転換が緊急の課題考えます。  バブル経済の崩壊による大型倒産が既に相次いております。さらに、年末あるいは年度末には多くの倒産が続出することと予想されております。これら倒産の大多数は過度の不動産投資や株投資の失敗が原因と思われますが、しかし、その余波を受けて、まじめに努力してきた中小企業者が被害を受けている事態が多く生じているのであります。現在、中小企業者の中には、日米構造協議による市場構造の変化、急ピッチで進む技術革新への対応、極端な労働力不足等、難問題が山積して、前途に大きな不安を感じ、経営意欲の減退が大きくなりつつあります。  今から二十年前、当時通産大臣をしておられた宮澤総理は、中小企業の安定なくして日本経済の発展、安定はあり得ないと言われ、積極的に中小企業の近代化政策を進めていただいたことを私は今でもよく覚えております。ところが、先日の総理所信表明の中には、中小企業問題についての政策は全く述べられておりません。まことに残念でなりません。  現在、中小企業者の直面している主たる課題、すなわち大店法緩和に伴う中小小売商対策、労働時間短縮と従業員の高齢化に対応する省力設備投資の助成、労働力確保の支援策の助成、パートタイム労働者の収入基準の見直し、在職厚生年金受給者の年金減額措置の撤廃等々、さらに外国人労働者の受け入れについても御見解を、中小企業景気対策とあわせてお聞かせいただきたいと思います。  さらに、バブル経済によって高値に張りついた土地価格のために、中小企業の事業承継がますます困難になっております。加えて、地価税創設のために相続税の土地評価額の引き上げが行われれば、事実工事業の継続が不可能となる中小企業が続出するでありましょう。そのためには、事業用土地の生前贈与制度をぜひとも導入しなければなりません。また、取引相場のない株式の評価方法の改善等、ぜひ実施しなくてはならないと考えます。総理の格段の御努力を切望いたします。  次に、東南アジアに対する経済協力と沖縄の振興計画について伺います。  発展途上国を多く抱える東南アジアの民生安定のため、経済、産業の開発への協力は我が国の責任であり、かつまた急務であります。幸いにして、現在ソウルで開かれているアジア・太平洋経済協力閣僚会議に新たに中国、中華台湾、香港の三カ国が加盟したことは、東南アジアの復興のためにまことに好ましいことであります。  そこで、我が国アジア経済と民生の安定に貢献し成果を上げるためには、中華台湾をよきパートナーとしてその協力を得ることが東南アジア各国理解信頼を得る早道と考えます。そうして、台湾と我が国との経済交流をより一層緊密にするためには、沖縄地域の振興開発をさらに進める必要があります。  沖縄は、東南アジア諸国に近く、古来より経済、文化の交流が深く、地理的条件からしても東南アジア諸国に協力していく中継基地としては最適であります。沖縄は、さきの大戦で我が国唯一の地上戦の場となり、さらに戦後二十七年間の長きにわたりて米国の施政権下に置かれて苦難な道を歩んでまいりました。その沖縄も、本土復帰以来十九年間、二次にわたる振興開発計画の実施によって本土との格差は次第に縮小され、着実に発展をしております。  しかし、まだまだ多くの課題が残っています。依然として県民所得は全国最下位であり、新しい難問題も加わって、一層厳しい経済状況にあります。明年は本土復帰二十周年に当たります。このときに当たり、初の沖縄出身の大臣が誕生じ沖縄開発庁長官に就任されたことは、沖縄県民の大きな喜びでありましょう。沖縄出身の大臣によって第三次振興計画を実施され、沖縄独自の地域特性を生かした整備を促進することが、東南アジア諸国に対する貢献のためにも重要と考えます。総理並びに沖縄開発庁長官のお考えをお伺いいたします。  雲仙の噴火並びに先般の台風被害による被災者の方々に対するお見舞いと救援については、既に各党の質問で尽くされており、また総理より具体的に答弁がなされておりますので、私は省略いたします。しかし、政府においてはタイミングを失することなく善処されるよう、私からも要望いたしておきます。  最後に、苦言を呈します。  宮澤内閣初の代表質問のこの本会議に、主要閣僚二人が欠席しておられます。大臣席の空席を見て、国民は何と思われておるでありましょうか。重要な国際会議に出席であるということで私たちはやむなく了承はいたしましたが、決して納得したわけではありません。この国際会議は半年前に決定し、外務、通産の両大臣の出席は当然予定されていたことと思いますしかるに、なぜ代表質問が行われるこの本会議日程が重なったのか。その原因は何であるのか。  今後再びこのようなことのないよう今回の事態の原因を十分に究明し善処されるよう提言して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 最初に大変御丁重なお言葉をいただきまして、ありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。  御指摘のように、国際社会はただいま冷戦時代を抜け出しまして新しい世界平和秩序を構築しよう、そういう時代を迎えております。我が国は、この中にありまして、憲法基本理念である国際協調主義のもとに最大限貢献をいたさなければならない、またそれを期待されるような国となってまいりました。また、この激変は自由主義市場経済の勝利によってもたらされたものではございますけれども、その自由主義市場経済我が国などについて見ましても、その中にまたひずみやゆがみが起きているということも忘れてはならないと存じます。  いわゆるバブル現象というようなことの中から、額に汗している人々が自分が取り残されたと感じるようなことになりますと、社会の公正というものが失われることになります。また、同時に、我が国のように社会資本が十分でない等々の理由から生活の豊かさが十分に実感できていないというような問題も持っておるわけでございますので、国内的にも処理すべき問題がたくさんございます。  なお、政治改革も緊急の課題でございまして、それによって国民政治に対する信頼を高めなければならないと存じます。そのような時代の展望の中で、政治の目標、方向を国民とともに考え国民とともに歩んでまいりたいというのが私の基本的な姿勢でございます。  社会資本整備につきましては、先般策定されました公共投資基本計画に沿いまして、特に生活関連分野の充実に重点を置いて、その着実な実施を図っているところでございます。今後とも社会資本の着実な整備努力していくことが必要でございます。これはまた、ある意味で対外公約にもなっておるところでございます。  一方、我が国の財政は巨額な公債残高を抱えておりますが、従来税収増をもたらしてまいりました経済的ないろいろな要因が、御指摘のように流れを変えつつございまして、税収の動向は予断を許しません。現時点の収納状況も極めて低調である、いわば厳しい状況にございます。やがて我が国高齢化社会に入りますので、その時代に多大の負担を残しませんように、赤字公債などを再発するというようなことを控えながら財政体質を強化していかなければならないと思います。平成四年度予算はなかなか厳しい状況のもとで編成しなければならないと存じますけれども、優先度の低い歳出の削減合理化を図りながら、社会資本整備充実など必要な財政需要には何とか適切に対応いたさなければならないと考えております。  次に、法人臨時特別税及び石油臨時特別税について御指摘がございました。  これは湾岸支援に係る臨時的な措置として講じられましたことは御指摘のとおりでございます。また、普通乗用車に対する消費税六%の課税措置は、今年度末でその期限が到来することも御指摘のとおりでございます。これらの問題につきまして明年度の税制改正でどう考えるかという御指摘でございますが、それはまことにごもっともな御指摘でございますけれども、ただいまのところ、まだ税制改正についての作業は出発いたしておりません。税調等の御意見もこれから聞かなければならない段階でございますので、ただいまお答えを申し上げることができませんことを御理解賜りたいと存じます。  それから、ODAにつきまして、我が国が過去いわゆる援助を受けた国であったこと等について、まことに同感を禁じ得ない過去のいろいろなことについて御指摘がございました。そういうこともありまして、我が国としてはいよいよ援助国としての責任を果たさなければならないわけでございますが、今ODAにつきましては世界で第一位、年によりまして一位二位の変動がございますけれども、そのような援助国になりました。今後ともますますこのODAの拡大を図ってまいらなければなりません。  この具体的な実施に当たりまして、援助を受ける国に非常に大きな軍事支出がある、あるいは大量破壊兵器等の開発がなされている、また、そういう製造等もというような動向には十分注意を払わなければなりません。援助を受ける国と我が国との関係、被援助国の置かれた国際情勢、経済社会状況等を総合的に判断しながら、援助についての具体的な方針を決めてまいらなければならないと考えておるところでございます。  次に、PKOの問題でございますが、いわゆるPKO法案早期成立の必要性につきましては所信表明で申し上げたところでございますが、我が国の人的な国際貢献を迅速かつ効果的に行うために、今国会でできるだけ早く成立をさせていただきたいということを念願いたしております。また、同時に、我が国の過去の歴史にかんがみて、いわゆるシビリアンコントロールというようなことがいささかもおろそかになってはならないという御指摘、私どももまさにそう考えております。  他方で、この自衛隊の防衛出動あるいは治安出動について国会承認が義務づけられているということの関連で、PKFへの自衛隊の派遣について国会承認を義務づけるべきであるという御指摘がございました。しかし、そもそもいわゆるPKFは、戦わない部隊あるいは敵のいない部隊と呼ばれておりますとおり、非強制的手段、力でなく非強制的手段と国連の権威と説得によって停戦等を確保しようとするものでございますので、そういうような国連の活動への参加は、それに自衛隊を派遣するということは、防衛出動、治安出動とは基本的に性格を異にしているものであるというふうに考えます。  したがって、いわゆる国会承認の問題につきましては、先ほどお話しのとおり、昨日衆議院におきまして大内委員長のお話がございました。御答弁を申し上げたとおり、PKFへ自衛隊参加する場合を含めまして、我が国PKOに効果的に協力しようということであれば国連事務総長の要請に機動的に対応する必要がございますし、また、国連との関係からいたしまして参加そのものが条件つきとなるという不安定な状態は避けたいという諸般の考慮から、本法案におきましては、政府としては、政府の判断で参加を決定させていただきたいというふうに考えておるものでございます。  もとより、政府が実施計画を決定いたしましたときには遅滞なく国会に報告をしなければならないことになっております。また、それを受けて、国会の御審議の結果を踏まえまして同計画を改めるような機会もございます。その意味でも国会との関係は十分に配慮されていると考えております。この法案につきましては私どもそのように考えておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。  中小企業問題について、るるお尋ねがございました。  我が国の中小小売商業者は、消費者のニーズが多様化、高度化いたしておりますし、また都市構造が変化をしております。大店法の改正などもございまして、大きな変化に直面をいたしております。こうした状況の中で、意欲のある商店街や中小小売商業者を支援するため、平成三年度予算におきまして、魅力ある商店街、商業集積づくりのための総合対策を講じたところでございます。  また、中小企業につきましては、経営基盤の弱さ等の問題もございまして、週休二日制の導入等の労働時間の短縮が進みにくい状況にございます。このため、同一業種、地域集団等を対象にきめ細かな指導、援助に努めるとともに、中小企業労働力確保法に基づきまして、魅力ある職場づくりの一環として中小企業組合等に対する指導、援助を行ってまいっておることは御承知のとおりでございます。今後とも中小企業における労働時間の一層の短縮に努めたいと存じております。  省力化設備投資の助成につきましては、これまで中小企業の省力化設備投資を促進するため各種の助成措置を講じてまいりました。さらに、中小企業労働力確保法を柱といたしまして労働時間の短縮のための省力化設備投資に対する支援措置については一層の拡充を図りましたが、今後とも積、極的な支援に努めてまいる所存でございます。  現在の経済情勢及び今後の中長期的な労働力需給の動向にかんがみますと、労働力の確保対策は中小企業における最も重要な課題であると考えております。このため、政府といたしましては、確保法を柱といたしまして、労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生施設の整備など雇用管理の改善に取り組む中小企業総合的に支援してまいる所存でございます。  パート所得者についてのお話がございましたが、さき税制改革におきまして、配偶者特別控除の創設、拡充、平成元年十一月のいわゆるパート減税による非課税限度の百万円への引き上げなど税制面では最大限の実は配慮をいたしておるつもりでございまして、これ以上となりますと、税負担の公平の面から問題があるのではないかというふうに考えるものでございます。  なお、老齢厚生年金は、老齢により退職した後の所得保障を行うことを基本とするものでございますが、在職中の方につきましても、賃金が一定額以下の方にはできる限り生活保障を行うという観点から、賃金額に応じて年金額の一定割合を支給するものとしておりますので、その趣旨を御理解賜りたいと存じます。  外国人労働者の受け入れの問題も、雇用確保に苦労しておられる中小企業にとっては極めて緊切かつ深刻な問題でございますが、専門的技術を有する人々は可能な限り受け入れることとしておりますが、いわゆる単純労働者となりますと国内にさまざまな問題、利害の対立がございまして、この問題にどう対処するかにつきまして十分な国内のコンセンサスができておりません。しかし、これは大変に重要な問題でございます。政府としても、今後とも多様な角度から検討を進めてまいらなければならないと考えております。  なお、景気対策について御指摘がございました。  おっしゃいますように、我が国経済の拡大のテンポは減速をいたしつつございます。しかし、他方で雇用は完全雇用を維持しておりまして、その点は堅調でございますが、やはり拡大テンポが落ちるということになりますと、家計にも、企業、殊に中小企業には非常に心理的な影響がございますので、中小企業の景況の動向については引き続き注意をしてまいらなければならないと思います。この問題につきましては、金融当局におきましても私どもとそう判断を異にしているとは思っておりません。従来から長短金利の低目誘導などをずっと続けて努力してきておりますので、基本的判断にそう差異があると思いませんので、金融政策につきましてはしばらく金融当局の判断に任せてはどうかというふうに考えておるところでございます。  なお、中小企業税制関連でございますが、先般土地税制改革の一環として、土地を持っておれば税務対策上有利だと言われていることを何とか直さなければならないということで、土地の相続税評価の適正化を平成四年から行うことを考えておるのでございますけれども、これはほうっておきますとその部分が非常な大きな増税に結果としてなりますので、課税最低限の引き上げあるいは税率区分の調整によりまして相続税の負担調整を行う必要があると考えております。ただ、相続税は抜本的な減税を三年ほど前に行っておりますので、この負担調整を超えて実質的な減税を行う環境にはないというふうに存じております。  そういう状況でございますので、株式評価の緩和や生前贈与に係る納税猶予の特例の拡充等は、土地の資産としてのいわば有利性を縮減したいという資産課税の適正化の流れからいいますと問題があるということを御理解賜りたいと存じます。  次に、沖縄問題につきまして御指摘がございまして、これはいずれ担当大臣から御説明申し上げると存じますが、第二次沖縄振興開発計画が本年度末で終了をいたします。沖縄振興開発審議会から、引き続き新しい振興開発計画を策定するとともに、特別の措置を講じていくよう意見具申をちょうだいしております。現在、沖縄開発庁におきまして、沖縄県の要望を承りだから、次期振興開発計画の策定に向け諸般の準備を進めているところでございます。  なお、昨日並びに本日の本会議に二大臣が欠席をいたしました。韓国のソウルにおきましてAPECの会議がございまして、アジアその他米国などからも外務大臣、貿易大臣が参るということで、我が国にとりましても地域にとりましても大切な問題でございますので、お許しをいただきまして海外出張いたしましたが、たまたま代表質問の日にそれがぶつかりまして、御迷惑、御不便をおかけいたしましたことを申しわけなく存じます。そのような事情でございますので、御理解を賜りたいと存じます。  残余の問題につきましては所管大臣から御答弁申し上げます。(拍手)    〔国務大臣羽田孜君登壇拍手
  28. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 井上議員にお答えを申し上げたいと思います。  ただいま御指摘のございました湾岸支援に対します臨時的な措置並びに普通自動車に対する消費税の六%の課税措置ということでございました。  この点につきましては、ただいま総理の方からもお答え申し上げたとおりでございまして、来年度の税制改正に係る作業、これはこれから税調の方でも御検討いただくということになってございます。そのことで、今ここでまた申し上げる段階でないということをお許しいただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣伊江朝雄君登壇拍手
  29. 伊江朝雄

    国務大臣(伊江朝雄君) 井上議員にお答えを申し上げます。  沖縄開発庁といたしましては、ただいま総理からお答え申し上げましたとおり、沖縄の経済社会の現状にかんがみ、一期、二期に引き続きまして、第三期の振興開発計画の策定が必要であると考えております。沖縄県の要望を承るとともに、各省庁の協力を得まして、予算編成税制改正等を通じ諸般の準備を進めているところでございます。  第三次の振興開発計画の策定に当たっては、従来の格差是正及び自立的発展の基礎条件の整備のほかに、沖縄の地域特性を十分に活用して、特色ある地域としての整備を進めてまいることが重要であると考えております。  先生から御指摘ございましたように、沖縄が東南アジア諸国との接点に位置するという地理的特性や海外交流の歴史的経験を生かしまして南の交流拠点を形成することは、我が国国際社会の発展に寄与する上で重要な視点であると考えており、第三次振興開発計画の策定に当たっては、その点にも十分考慮してまいりたいと存じております。(拍手)     ―――――――――――――
  30. 長田裕二

    議長長田裕二君) 矢田部理君。    〔矢田部理君登壇拍手
  31. 矢田部理

    ○矢田部理君 私は、日本社会党を代表して、宮澤総理中心に、その政治姿勢外交課題の二点に絞って質問いたします。  まず、政治姿勢についてであります。  リクルート疑獄に端を発した政治改革の基本は、金権腐敗の政治を一掃し清潔な政治確立することであります。そのためには、政治倫理を重視し、疑獄や汚職に連座した政治家は再び政治の場に復権することは許さない体制をつくること、資産の公開はもとより、企業献金を廃止するなど政治資金の規制と透明化を図ることが大切であります。我が党は、このような立場から、政治倫理法制定政治資金規正法の抜本的改革を求める提案をいたしております。  ところが、政府自民党は、これら政治改革中心課題をわき役に追いやり、金権政治の元凶は選挙制度にあると問題をすりかえ、小選挙区制の導入を策しました。選挙制度そのものは、民主主義の根幹にかかわる課題として、違憲状態にある一票の格差是正など緊急に改善しなければならないことはもとよりでありますが、自民党の一党長期支配をもくろむ小選挙区制の導入は断じて認めるわけにはまいりません。国民のコンセンサスを得、実りある政治改革を早急に実現するためには、政治倫理確立政治資金規制、一票の格差是正を論議の中心に据え、また他に先行させて進めるべきであると考えますが、総理所見はいかがでしょうか。    〔議長退席、副議長着席〕  次に、総理のリクルート疑獄についての認識とその責任についてただしたいと思います。  リクルート疑獄は、規模の大きさや構造の複雑さにおいて我が国政治史上空前のものであるだけではなく、議会制民主主義そのものを否定する契機をはらんでおります。株式その他、さまざまだ形を装った巨額の資金が政官界にばらまかれ、政治国民の意思によって行われるのではなく、金権や利権によって曲げられている実態が白日のもとにさらされました。しかし、明るみに出たのは氷山の一角であり、いまだにその全容は解明されておりません。総理、あなたにかかわるリクルート疑惑もまさにその一つであります。  総理は、リクルートから一万株の未公開株を宮澤名義で購入したとされています。これに関してあなたは、私の不行き届きから迷惑をかけたと述べるにとどまり、自分は直接関与していたいということを言外ににじませた弁明をいたしております。そうであるとすれば、何が真実であるかを、株式代金払込証などいわゆる三点セットを提出するなどしてみずから証明すべきであります。なぜなら、あなたは当時の釈明で、当初第三者に勝手に名前を使われた、秘書がやったことであるとして再三にわたり前言を翻し、政治家としての信を失墜させたからであります。事実があなたの言うとおりだとしても免責されるわけではありませんが、しかし、いまだにあなたから疑惑の解明はなされておりません。  それだけではありません。一九八七年の自民党総裁選挙に際して、あなたはリクルートの江副氏より五千万円の献金を受けています。にもかかわらずこれを隠し、政治資金規正法違反に問われているという新しい事実まで発覚しています。一国の首相という重い地位につくに当たって、あなたがこれらの一連の疑惑をどう明確にし清算するつもりたのかをただしたいのであります。いやしくも、国政にかかわる者が国政の基本にかかわる課題について、一選挙区の選挙でみそぎが済んだので、後は個人の倫理の問題であるなどという通り一遍の説明で国民を納得させることはできません。  さらに、宮澤政権がリクルート内閣であることも見逃すわけにはまいりません。総理自身がリクルート汚染の渦中の人であっただけに他人をたしなめる資格はありませんが、それにしても、戦後の二大疑獄事件であるロッキード、リクルートにかかわりを持った政治家を、政治改革が緒にもついていない段階で、なりふり構わず政治の第一線に復権させ党と政府の中枢に据えるということは天を恐れぬ所業であり、金権政治を一掃し清潔な政治を願う国民に対する重大な挑戦であります。  総理だけではありません。新内閣には少なくとも数名のリクルート関係者がおられますが、代表して、内閣の中枢におられる外務大臣がおられませんので加藤官房長官から、その事実関係を明らかにし、どのように反省しいかなる責任をとろうとしているのか、答弁を求めます。  次に、外交政策について伺います。  戦後世界を大きく左右してきた東西の冷戦は終わりを告げ、世界は新しい時代に入りました。その特徴は、まず何よりも軍縮にあります。核兵器の大幅削減から通常兵力の削減、解体にまで及ぶなど、劇的な進展が見られることであります。第二の特徴は、ベルリンの壁の崩壊に象徴されますように、東西を隔てた障壁がなくなり相互の交流と協力が急速に進みつつあることであります。  総理所信表明では、確かに新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりとの認識が示されましたが、しかし、核兵器の削減への言及はあるものの、依然として軍事力の均衡と抑止論に立ち、通常兵力の削減や軍事ブロックの解体など、重要な動きには一言も触れておられません。これでは本格的な軍縮時代への展望も熱意も感じ取ることができないのであります。また、市場経済の勝利をうたい、そのひずみに触れてはいますが、日本が推進すべき国際的な交流と協力の内容は明らかになっておりません。総理時代認識をもっと明確に、また具体的に語るべきではないでしょうか。  歴史の転換期において日本外交も新しい展開を求められておりますが、その前提として避けて通ることのできない課題に戦後責任問題があります。アジア諸国からしばしば日本に対する不満、抗議、非難の声が上がりますのも、その根底には、日本が植民地支配と侵略戦争の責任をあいまいにし、戦後責任を全うしてこなかったことにあると考えます。  その重要な一つに強制連行問題があります。  中国侵略から太平洋戦争へと拡大する中で国家総動員法がつくられ、百万人を超える朝鮮人、中国人が強制連行されました。しかし、いまだに連行された人々の名前さえわからず、生死不明の方も相当の数に上っております。それはアジアだけの問題ではありません。先般来日したベアトリックス・オランダ女王は、太平洋戦争で十万人以上の人が抑留されて、今なお痛みや苦しみに悩まされていると訴えています。これらの人々の苦痛や訴えに総理はどうこたえますか。  同じ敗戦国であるドイツは、降伏した一九四五年の五月八日を心に刻む日と命名し、戦争責任とナチ時代の残虐行為の犯罪性を明確にして、国家として道義的、物質的な償いを積極的に行ってきました。ドイツ降伏四十周年でワイツゼッカー大統領は、「過去に対して目を閉じる者は、現在を見る目も失うであろう。非人間的なことを心に刻まない者は、新たな感染の危険に対して、またしても無抵抗となるであろう」と演説し、ドイツ首脳の厳しい歴史認識と心からの反省の気持ちを語っています。  しかも、ドイツは物質面でも、五六年に連邦補償法をつくり、ナチの暴力支配のもとで迫害をされた人々に、年金などの方法で既に数兆円の支払いをしております。また、ナチの強制労働に服したポーランド人、その数は二百万人に上ると言われておりますが、ことしの十月に約四百億円の基金を設けて補償することを決定いたしました。  戦勝国のアメリカも、第二次大戦で強制収容された日系人に対してブッシュ大統領が、金と言葉だけでは傷ついた思い出を消し去ることはできない、不正義をわびるという趣旨の手紙を添えて公式に謝罪し、生存者六万人に各二万ドルの補償金を支払いました。カナダもまた同種の措置をとりました。  このような国際的な趨勢の中で、日本は、正式に謝罪し、戦後責任に本格的なけじめをつけてこたかったのであります。ですから、強制連行の名簿の収集ですら極めて消極的であり、補償問題に至っては国家間で決着済みと冷淡な態度をとり続けています。  そこで、この際、総理に次のことを提案いたします。  ことしは日中戦争六十年、パールハーバー五十年という節目の年に当たります。また、国際情勢が大きく変わるとき、日本外交も歴史的な転換を求められています。この新しい出発に当たって、政府が、アジアの人々に対し、また二千万を超える戦争犠牲者に対して、正式に侵略戦争の非を認め、反省と謝罪を表明し、平和に生きる決意を内外に明らかにするよう提案いたします。また、私は国会も公式の謝罪と平和の誓いを内容とする決議を行うことが必要だと思います。  他方、言葉による謝罪だけではなく、強制連行問題を初めとする被害や実態を政府国民が総力を挙げて調査、解明し、必要な補償その他の措置を講じ、史跡としての保存や資料の公開、教科書の記述を含めて正しい歴史を後世に伝えることなど、やるべきことはたくさんあります。これらを放置してどうして国際国家日本などと言うことができるのでしょうか。真の友好や国際協調はそこから始めるべきだと思います。改めて総理見解と具体的な対応を伺いたいと思います。  次に、我が国の国際協力のあり方を問題に供します。  戦後責任を根本的に明らかにし清算した上で、我が国は平和と共生という理念実現に積極的な役割を果たし、協力を惜しんではならないと思います。その中心には国連を置き、その役割や機能を強化しつつ、これに協力していくことが大切であります。同時に、日本憲法の平和主義の原則を明確にし、その立場から、何をなすべきか、何ができるかを追求すべきであります。  現在、人類の過半数が貧困に苦しみ、数億人が飢餓にあえぎ、一日に四万人の子供たちが死んでいっております。また、国内紛争や大規模災害などによる大量の難民が世界の各地で発生し続けています。さらに、熱帯雨林の消失、砂漠化、酸性雨、フロンガスなど主として先進工業国の産業活動に由来する地球環境の危機が進行しております。これらに対して、国際社会は十分な対策と対処できる組織を用意しておりません。冷戦が終わって国連の本領が発揮できる時代が訪れたと言われますが、国連の諸機関はいずれも、資金、人材などの不足に悩んでいたり実働組織を欠いております。  その解決のために、次の三点を指摘しておきたいと思います。  世界軍縮はこのための資金、人材を生み出すことができるし、生み出すべきであります。二つ目には、高度化するテクノロジーは軍事に用いられるのではなく、このような人類の共生のために活用されるべきであります。そして、人々はこのような理想の実践に参加することが期待され、それを奨励、保証する体制が確立されるべきであります。これらの課題の実践を通して国際協力を実りあるものにしていくことが大事なのではないでしょうか。  そこで、総理に、このような認識を私どもと共有することができるかどうかを問いかけたいのであります。  国際開発協力、とりわけODAは、そのような人類的諸課題に対する人道的な観点からの国際協力の柱の一つとなるべきであります。  今日、日本ODAは既に一兆六千億円に達し、今や世界のトップレベルにあります。しかし、それが利権の巣になったりして真に協力を必要としている貧困層には届かず、かえって住民の暮らしや環境破壊をもたらすなど、多くの問題点が存在しております。また、その予算計画内容については、国民の代表である国会がほとんど関与できない仕組みになってもいます。  これらを抜本的に改善、改革するためには、ODA基本法制定することが必要であります。これには、軍事にかかわらず、人権、環境を尊重し、住民の参加や情報の公開を進めるなど、一昨年六月の参議院本会議における決議の精神と内容が盛り込まれなければなりません。ODA基本法については、野党間で協力して成案を得、来年の通常国会に提出する予定でありますが、政府としてもこの趣旨を理解され成立に協力されるよう強く希望するとともに、総理所見を伺っておきたいと思います。  国際協力のもう一つの重要な課題は、人的協力であります。  日本は、従来からの青年海外協力隊の活動などにとどまらず、自衛隊とは別個のより広い範囲での文民による民生中心、しかも常設の組織体制を一日も早く確立する必要があります。その活動分野は、開発協力や環境保全など長期に及ぶものから、PKO災害救助、難民救済など緊急支援に属するものまで広範囲にわたるでありましょう。これらの国際的な要請にこたえるために、我が党はい憲法の平和主義を基本にして、非軍事、文民、民生という国際協力の三大原則を明らかにいたしました。このような方向で国際協力の分野を拡大し、常設の即応体制を整備することの方が国際的にも評価をされると思いますが、総理はどのように考えられるか、お伺いをしたいと思います。  ところが、政府は、これらの我が党が提起した国際協力のあり方に背を向け、自衛隊の海外出動を中心としたPKO法案国会に提出し成立を急いでおります。  この法案は、海外における国際紛争地域で武力行使が想定される活動に自衛隊が部隊として参加するという内容のもので、憲法無視の法案であります。それは、参議院の「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」に反することはもとより、従来政府がとってきた武力行使の可能性を持つ平和維持軍には参加が困難としていた態度をも変更し、許しがたい内容となっております。それはまた、国土の防衛に限定されてきた自衛隊の性格や行動範囲を一変させ、歴代自民党政権がとってきた外交政策と防衛政策の大転換となるものでもあります。これに対して国民の大半が反対の態度を示し、近隣のアジア諸国からも批判と警戒の声が上がっているのは当然のことであります。  我が党は、自衛隊の海外出動や軍事部門への参加は一切すべきでないという立場からこの法案に強く反対し、改めて撤回を求めるものであります。  ここで、平和の枠組みづくりについて論じたいと思います。  その第一は、日本アジア軍縮についてであります。  世界冷戦時代から軍縮時代に入りました。米ソは、最大の難点とされてきた海の核を含めて大幅な軍縮を明らかにし、実行に移そうといたしております。通常戦力につきましても、ソ連はさしあたり七十万を減らし、アメリカも大幅削減を検討中と伝えられます。ヨーロッパでは、ワルシャワ条約機構は既に解体し、NATOの軍縮日程に上ってきています。これは、長年にわたって積み上はできた全欧安保協力会議CSCEの成功があずかって力あったものであります。これに対して、アジア・太平洋はヨーロッパとは異なった条件、歴史的背景を持っており単純ではないとは思いますが、冷戦の終結はこの地にも良好な影響を及ぼしつつあります。中ソの和解、南北朝鮮の国連加盟、中越和解とカンボジア和平など緊張緩和への胎動が始まっています。  そこで、CSCEを土台にしてヨーロッパで発展しつつある平和と協力の精神をアジア・太平洋地域でも教訓としながら平和と協力の枠組みづくりを行っていくのが緊急の課題となっています。この地域における否定的条件をあげつらって消極的になるのではなく、困難を克服して、独自の形態と段階を持ったCSCEのアジア・太平洋版とを言うべきものを追求していく必要があると考えますが、総理見解を伺います。  他方、アジア・太平洋の平和と軍縮を進めるに当たっても、これに先んじて日程にのせなければならないのが日本軍縮であります。  冷戦終結後のソ連は、アジア・太平洋地域でも、基地の撤退、縮小、相当規模の軍備の削減を実行しつつあり、ソ連の国内事情等も考慮すれば、対ソ脅威論は既に説得力を失っております。これらの点で、日米安保条約解消の現実的展望が開けるとともに、一貫して軍拡路線を追求してきた日本の防衛政策軍縮へ転ずる重要な機会が訪れていると言えます。  総理、この際、日米安保条約の解消の方向と道筋を明らかにすべきではありませんか。また、思い切って日本自身の軍縮を提起し、中期防衛力整備計画の抜本的見直しを中心に、日本の軍事費と軍事力の削減の決意とその具体的なプログラムを明らかにすべきであると思いますが、いかがでしょうか。  第二は、日朝交渉についてであります。朝鮮半島においては南北朝鮮の国連加盟が実現し、首相会談で直接対話も始まりました。日朝交渉も、植民地支配の歴史の完全な清算という大目的を踏まえ、国交正常化のために今後どのようなスタンスで、またどのようなテンポで交渉を進めようとしていくつもりか、総理の基本的な姿勢を明確にしていただきたいと思います。  なお、対ソ支援につきましては、ソ連の厳しい現状にかんがみ、人道上、また平和の枠組みづくりという歴史的展望からも思い切った政策展開が必要だと思いますが、この点についても総理見解を伺います。  最後に、重要な内外の政治問題になっておる米の問題についてただします。  ウルグアイ・ラウンドの妥結をめぐって、米の輸入自由化、関税化への圧力がピークに達しようとしております。とりわけ、輸出補助金等の問題をめぐって米欧間の妥協が成立すれば、風圧はもろに日本にかかってくると思われます。この重要な時期に、総理自身が米の部分自由化を示唆するような発言をすることは重大な背信行為であります。相互協力などのあいまいな言葉で逃げることなく、真意を明確にしていただきたい。米の完全自給を基本にしてきた日本農業に壊滅的な打撃を与える米の自由化、関税化は絶対に阻止すべきであり、そのことを強く求めておきたいと思います。  質問を終えるに当たり、一言申し上げます。  かつて、戦後政治の総決算か継承発展かが問われた時代がありました。もとより、戦後政治とは憲法中心とする平和、人権、民主主義の政治であると思いますが、宮澤総理はそのいずれを選択されますか。あなたは後者だと理解しておりましたが、総裁選の一連の経緯や国会答弁を伺っておりますと、軌道修正をしているのではないかとの疑念を払拭できません。  中国に「聡明を退け紛華を謝す」という言葉がありますが、これを総理に呈します。総理、右顧左べんすることなく、戦後政治を継承発展させ、これを国際的に開花させて、平和と軍縮、共生と協力のための国際政治を追求していただきたい。そこに憲法の理想を掲げ、一つ時代を画するようなイニシアチブを発揮し、信ずる道を歩まれんことを期待して、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一登壇拍手
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、政治倫理確立の問題でございますが、国民政治に対する信頼を確固としたものにするためには、御指摘のように政治倫理確立が不可欠でございます。また、あわせて、制度面におきましても、金のかからない、政治活動政策中心とした選挙実現できるような仕組みとすることが必要であると存じます。  政治資金あり方選挙政治あり方と密接な関連を持っておりますところから、選挙制度改革政治資金制度改革一体として実現するため、さき国会に三法案を提出したところでございます。三法案廃案とされましたが、国会で熱心な御審議をいただいておりましたので、その実績を踏まえ、政治改革協議会においてはこれをたたき台として各党間で十分御論議を尽くしていただき、実りある合意が得られることを念願いたしております。  なお、国会議員資産公開政治倫理関係の問題は、議会制度協議会において各党間で御検討がなされていると承知をいたしておりまして、事柄の性格上、国会において適切な御結論が得られますことを期待いたしております。  次に、私自身の問題について御指摘がございました。  私の不行き届きから国民皆様に御迷惑をかけたことを深く反省いたしております。同じ過ちを繰り返しませんよう、今後の政治活動を通じまして一生戒めてまいります。また、今後の国会での御議論につきましては、私として最善の努力をして対応をしてまいる考えでございます。  政治的には、過般の選挙におきまして、このような過ちをもう一度起こすことなく新たに再度努力せよという有権者の信任をいただいたものと考えております。これらのことにつきましては、私の同僚各位も同じように心を戒めていることと存じます。私は、同僚各位が高い識見と有能な才能を精いっぱい発揮し、所を得て活躍されることを期待しているものでございます。  次に、新しい時代の具体的な時代認識についてお尋ねがございました。  国際社会に起こっております変化は、何百年に一度という大きなものであると存じます。ベルリンの壁の崩壊、そしてソ連共産党の解体という激変により、国際社会冷戦後の新しい世界平和の秩序を構築する時代に入っておると存じます。このような時期に、国際社会においては、米ソによる核兵器の大幅な削減や、欧州における通常兵力の削減を含む軍備管理・軍縮の進展、ワルシャワ条約機構の解体等の大きな動きがございます。また、ソ連、東欧諸国の内外政にわたる改革についても支援努力が行われており、さらに開発途上国に対する経済協力につきましても引き続き国際的な取り組みが行われておるところでございます。  次に、侵略戦争についてのいわゆる反省につきましてのお尋ねがございました。  政府といたしましては、我が国が過去において戦争を通じ近隣諸国などの人々に対し耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことへの厳しい反省を踏まえ、国際社会全体の平和と安定のためにより積極的な貢献を行っていくことが重要と認識いたしております。このような認識につきましては、さき海部内閣におきましても、シンガポールにおける海部総理大臣の政策演説等、もろもろの機会に政府の立場を明らかにしてきているところでございます。政府としては、このような認識を踏まえ、不幸な歴史を二度と繰り返しませんよう決意を新たにするとともに、平和国家として世界の平和と安定のために貢献をしていくことが大事であると考えております。  次に、強制連行問題についてお触れになりました。  いわゆる朝鮮人徴用者に関する名簿の調査については、昨年五月二十五日、日韓外相会談の際に韓国政府から要請がございました。日本政府として協力することといたしまして、誠意を持ってできる限りの調査を行ったところであります。その結果、確認いたしました名簿の写し約九万人分を、本年三月、外務省が韓国政府に提出いたしました。政府としては、名簿の調査になお専念いたしたいと考えておりまして、引き続き関係省庁が協力して誠意を持って対応してまいる方針でございます。  次に、補償の問題でございますが、戦争に係る日中間の請求権の問題は、一九七二年の日中共同声明発出後、存在していないものと考えております。被徴用者への補償の問題を含め日韓間の財産・請求権の問題は、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定により、完全かつ最終的に解決済みでございます。日朝間の財産・請求権の問題については、日朝国交正常化交渉の場においてさらに話し合っていく必要がございます。  なお、学校教育におきまして、強制連行について小中高等学校のそれぞれの教科書に取り上げられているところでございますが、今後とも、児童生徒が我が国アジアの近隣諸国との近代史、現代史を正しく理解し、これらの諸国との友好親善を深めるよう一層適切な指導が行われることが必要と考えております。  なお、朝鮮人、中国人の連行に関する遺跡につきましては、文化財保護制度上の史跡として保存することは難しいということを聞いております。  次に、貧困、飢餓、難民、環境破壊等の人類共通の課題への対応でございますが、東西間の冷戦後の新しい平和秩序を我々が模索している一方におきまして、国際社会には、環境破壊、貧困、開発途上国の抱える諸問題、難民など数々の問題が存在いたしております。我が国としては、これらの問題の一日も早い解決のために積極的に貢献していかなければならない立場にございます。この分野における我が国貢献に対する国際社会期待は特に大きいものがございまして、我が国として一層の努力を払わなければならないと存じております。  なお、東西間の冷戦が終局しつつあるに伴いまして、先ほど矢田部議員の言われましたことでございますが、実は私もせんだって衆議院における御質問に対しまして、東西間の冷戦が終局して、そうして米ソ等々を初めとする軍縮が非常に進むということによりまして非常に大きな資金と資源が開放されるはずである、この開放された資金と資源は南北問題の解決に向かって投入されなければならない、いわば平和の配当の最大の受益者は南の国でなければならないということを申し上げておりまして、この点、認識を一にしておるかと存じます。  ODAにつきましては、ODAの実施に際して国会に対しましても、援助を受ける国の立場も配慮しながら、できるだけ具体的な報告、資料の提出を行いますとともに、情報の公開にも努めてまいる所存でございます。我が国は、今や第一位、年によりまして世界第二位の援助国でございますので、いよいよその必要は大になると存じております。  なお、我が国国際的地位の向上に伴い、我が国が財政的貢献だけではなく人的貢献を行?ていくことが求められております。我が国憲法のもとでできることは最大限に行っていくべきであろうと存じます。  いわゆるPKO法案及び国際緊急援助隊法改正案はこのような考え方に基づくものでございまして、国際協調のもとに恒久の平和を希求する我が国憲法理念に合致し、かつ国際社会期待にこたえるものと存じております。また、これは我が国外交政策一つの柱である国連中心主義に沿ったものでございます。このような憲法基本理念のもとに、我が国国連平和維持活動に人的側面においても十分な協力ができる体制を整えることは、国際社会の一員としての急務であると存じております。  次に、アジア・太平洋地域の問題について、CSCEのような機構、そういう平和の枠組みができないものであろうかという御指摘がございました。  ヨーロッパにおきまして、CSCEが初期の段階ではございますが成功しつつあると存ぜられますが、ヨーロッパにおける環境条件とアジアとは、私はかなり異なっておるのではないかと思っております。幾つかの紛争地点がございまして、例えば朝鮮半島におきましてまだ南北の間には対峙がございますし、また日ソ間には平和条約がない、領土問題があるなど、カンボジアは解決の方向に向かっておりますけれども、一アジア地域、太平洋地域全体としては未解決の政治的対立や紛争が存在しております。したがって、CSCEのような会議が包括的ににわかに行われるような政治環境は、いまだ整っているとは言えないのではないかと思っております。好ましいことでございますけれども、条件がそろっていないのではないか。  したがいまして、個々の政治的対立や紛争の解決に向かって努力していくことが重要でございますし、この地域の多様性、複雑性を考えますならば、二国間関係強化に一層努力するとともに、ASEAN拡大外相会議あるいはAPEC等々既存の協議の場を十分活用しつつ、今後の地域の平和と繁栄にできる限りの努力をしていかなければならないと存じます。  次に、今日の国際情勢において、世界の平和と繁栄への流れが強くなっていることは喜ばしいことでございます。我が国の場合、引き続き、日米安保体制を堅持するとともに、基盤的防衛力構想を取り入れた防衛計画の大綱の基本的な考え方、これはもうしばらく国際情勢の動向を見きわめていく必要もあろうと存じております。  日朝交渉につきまして、日朝国交正常化は、我が国にとっては、戦後の日朝間の不正常な関係を正すという側面と、朝鮮半島の平和と安定に資するべきであるという国際的な側面の二つの側面がございます。いずれも極めて重要。でございまして、我が国としては、関係国とも緊密に連絡をとりながら誠意を持って交渉に臨む所存でございます。  朝鮮半島の核の問題につきましては、我が国は先般の盧泰愚大統領の非核化宣言を積極的に支持いたしたいと存じます。今後、日朝交渉等の機会に朝鮮民主主義人民共和国に対し、IAEA保障措置協定の早期かつ無条件の締結、完全履行を改めて求めますとともに、再処理施設保有の放棄を含む盧泰愚大統領の呼びかけに対し積極的に応ずることを強く期待する旨申し入れていきたいと存じます。  対ソ支援につきましては、北方領土問題を解決して平和条約を締結することを最重要課題として、日ソ関係全体を均衡のとれた形で拡大するとの拡大均衡の立場に立ちつつ、ソ連における政治経済外交の各面にわたる抜本的改革の推進のために適切な支援を進めていく所存でございます。  ウルグアイ・ラウンドについてもお尋ねがございました。  所信表明で申し上げましたとおり、現在最終段階を迎えておりまして、我が国としては、他の主要国とともに、何とか年内に成功裏に妥結するように努力いたしております。ただ、たくさん問題がございます中で、御指摘の農業につきましては、ECの可変課徴金、これはECの設立そのものに関係した問題でございますが、あるいはアメリカのウエーバーといったような問題がありますほかに、いわゆる輸出補助金というものが一番貿易を不自然にしている大きな問題でございまして、それらの問題についての進歩がなければなりません。我が国の米につきましては、これまでの基本的方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限努力を傾注するつもりでございます。  なお、戦後政治の総決算があるいは継承かというようなことにつきましてお話がございました。  このように激しく変動しております国際政局の中で、我が国は新しい平和秩序の構築に向かって最大限貢献をしなければならないと考えております。これはまた、国際協調の中で平和を実現し、自由と民主主義を守っていこうという我が国憲法が求めておるものと考えております。私は、このような時代認識を基本として、国民の御理解と御協力をいただきたがら国政に取り組んでまいりたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣加藤紘一君登壇拍手
  33. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) リクルート未公開株の売買の問題は、軽率な行為であったと深く反省いたしております。  政治的には、昨年二月の総選挙で有権者の信任を得たことにより一応の区切りはついたと思っておりますけれども、しかし政治家の倫理の問題としては残るものであり、今後とも深く自戒してまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣田名部匡省君登壇拍手
  34. 田名部匡省

    国務大臣(田名部匡省君) 米の関税化についてお答えを申し上げます。  御案内のように、我が国世界最大の農産物の輸入国であり、その立場を十分に念頭に置いた対応が不可欠であります。先ほど総理からも御答弁がありましたように、世界の国々はそれぞれに困難な問題を抱えております。我が国の立場もガットの場で理解を得る努力をいたしておるところであります。  また、三度にわたる国会決議の趣旨を体し、全力を尽くしてまいりたいと思います。(拍手
  35. 小山一平

    ○副議長(小山一平君) これにて質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十八分散会      ―――――・―――――