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1991-12-17 第122回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十七日(火曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月二十六日     辞任         補欠選任      山田耕三郎君     古川太三郎君  十二月五日     辞任         補欠選任      合馬  敬君     川原新次郎君  十二月六日     辞任         補欠選任      川原新次郎君     合馬  敬君  十二月十三日     辞任         補欠選任      合馬  敬君     大島 慶久君  十二月十六日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     合馬  敬君      井上  計君     橋本孝一郎君  十二月十七日     辞任         補欠選任      角田 義一君     西野 康雄君      橋本孝一郎君     井上  計君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岩本 政光君     理 事                 中曽根弘文君                 松尾 官平君                 福間 知之君     委 員                 秋山  肇君                 合馬  敬君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 前田 勲男君                 山口 光一君                 穐山  篤君                 梶原 敬義君                 西野 康雄君                 吉田 達男君                 広中和歌子君                 三木 忠雄君                 市川 正一君                 古川太三郎君                 橋本孝一郎君    国務大臣        通商産業大臣   渡部 恒三君    政府委員        経済企画庁調整  谷  弘一君        局審議官        経済企画庁総合  冨金原俊二君        計画局長        通商産業大臣官  内藤 正久君        房長        通商産業大臣官  渡辺  修君        房総務審議官        通商産業大臣官        房商務流通審議  麻生  渡君        官        通商産業大臣官  中田 哲雄君        房審議官        通商産業省通商  藤原武平太君        政策局次長        通商産業省産業  山本 幸助君        政策局長        通商産業省立地 公害局長   鈴木 英夫君        通商産業省基礎 産業局長   坂本 吉弘君        通商産業省生活 産業局長   堤  富男君    事務局側        常任委員会専門  小野 博行君        員    説明員        文部省高等教育  工藤 智規君        局大学課長        文部省高等教育  若林  元君        局専門教育課長        文化庁文化部著  伊勢呂裕史君        作権課長        労働省労働基準        局安全衛生部化  炭山  隆君        学物質調査課長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○高圧ガス取締法の一部を改正する法律案(内閣  提出衆議院送付) ○中小企業政策の充実に関する請願(第一三号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件 ○理事補欠選任の件     ―――――――――――――
  2. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十六日、山田耕三郎君が委員辞任され、その補欠として古川太三郎君が、昨十六日、井上計君が委員辞任され、その補欠として橋本孝一郎君が、また本日、角田義一君が委員辞任され、その補欠として西野康雄君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 福間知之

    福間知之君 高圧ガス取締法の一部を改正する法律案につきまして審議に入るわけですが、過般の趣旨説明でこの法案提出についての理由を伺ったところですが、改めてこの法案の今国会提出についての理由背景をお聞きしたいと思います。当初は次期通常国会に提案されるやに聞き及んでおったんですが、今国会になった背景なり理由をまずお聞きしたいと思います。
  5. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) ただいま福間先生からお話がございましたが、近年における高圧ガスを取り巻く諸情勢の大きな変化を受けて、次期通常国会改正案提出する予定でここ二年間をかけておっしゃるとおり準備をいたしておりましたが、本年七月には高圧ガス及び火薬類保安審議会に対して今後の高圧ガス保安対策のあり方について諮問を行ったわけでございます。  その後、御承知のように十月二日に大阪で二人の死者を出す大事故原因となったシランガスについては、これまで自主基準徹底を図ってきたところでありますが、実態把握等保安確保をさらに徹底するための法改正を考えていたやさきの大変な大事故でございました。したがって、人命にかかわる重大問題であり、いっときも早い法改正が必要であると判断し、十一月七日に審議会の答申をいただいた上で本臨時国会改正案提出したものでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 福間知之

    福間知之君 ただいまの御説明の中で、過般の大阪における阪大研究室による事故、これが直接的な一つの重要な理由というふうに伺いまして、私もこれは適切な判断じゃないか、こういうふうに思います。  ところで、今回の規制対象になる特殊高圧ガスを七つの種類に絞った理由についてお伺いしたいんですが、今回の規制対象となる特殊高圧ガス圧縮モノシラン等種類であると承知をしております。これらの特殊高圧ガスの危険な性質についておおむね明らかにしてほしいと思います。  また、特殊材料ガス災害防止自主基準で定めているところのガスは三十七種類あると承知をしておりますが、今回の改正規制対象となるガスを七種類に絞った理由というのはいかがでございますか。
  7. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 御指摘の七種類特殊材料ガス危険性でございますけれども、今回指定する予定の七種類危険性は、一般高圧ガス危険性に加えまして自然発火性自己分解性あるいは強い毒性というようなもの、それぞれ種類によって程度は異なりますが、そういう性質を持っているものでございます。  特に、このうち自然発火性と申しますのは、空気その他の支燃性ガスと接触した場合に発火源がなくても発火または爆発する性質を言っておりまして、七種類の中ではモノシラン、ジシラン、ホスフィン及びモノゲルマンがこの性質を有しております。  また、自己分解性は、物質の化合が非常に不安定でありまして、圧力上昇温度上昇によりましてみずからが分解する、それによります発熱によりましてさらに急激に膨張する性質を持っているものでございまして、今回の中ではジボラン及びモノゲルマンがこの性質を有しております。  また、最後の強い毒性を有するものといたしましては、代表的な毒性ガスであります塩素と比べましてさらに約十倍といった極めて強い毒性を持つアルシン及びセレン化水素が挙げられるわけでございます。  この七種類ガスを今回改正法案の二十四条の二で指定をしたいと考えておるわけでございますけれども、御指摘のように三十七種類ほどの自主基準が決まっております特殊材料ガスがございますけれども、そのうちこの七種類に絞る理由でございますが、今申し上げましたようなこれらのガス自然発火性自己分解性、強い毒性といった危険な物性を有しておりますとともに、また近年消費量が急増しているというようなことから、事故防止のため対策が必要であると判断をいたしまして、七種類に限りまして指定をいたすことにしたわけでございます。
  8. 福間知之

    福間知之君 自己分解性とか自然発火性とか強い毒性という三つのカテゴリーを挙げられましたが、この七種類以外のガスにおきましても、例えばスチビンというようなガスがあるそうですが、これはやはりかなり危険な性質を有するというふうに言われていますけれども、それらの使用が今後行われるという場合には改めて政令指定をするわけですか、どうですか。  また、ジクロルシランというのは規制から外れておりますが、これは今半導体工場などで使われている毒性可燃性を有するガスと聞いているんですけれども、これを除外した理由はいかがですか。
  9. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 委員指摘のように、先ほど七種類と申し上げましたけれども、三十七種類自主基準対象になっておりますがスのうち、さらに一般的にいいまして、先ほど申し上げました三つ性質を持っておるもの、こういうものの中にテルル化水素あるいはスチビンあるいはジクロルシランといったようなものがございます。  まず、前者のテルル化水素及びスチビンにつきましては、現在は消費実態がないため指定対象としておりませんけれども、今回指定いたします七種類ガスと同様の危険性を有しております。そのため、将来消費実態が生じた場合には速やかに政令改正して追加指定することといたしたいと考えております。  後段で御指摘をいただきましたジクロルシランでございますが、これも毒性可燃性を有しておりまして、かつ半導体工場でも使用されておるわけでございますけれども、実はこのガス圧力温度三十五度において一・正気圧というふうに低いためにそもそも高圧ガス取締法対象にならないというようなことでございまして、したがって、ジクロルシランにつきましては高圧ガス取り締まり観点からは自主基準による保安に期待をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  10. 福間知之

    福間知之君 ところで、後段で今申されたジクロルシラン、これは半導体工場で使われているということでございますが、しかも一九八四年に高圧ガス保安協会特殊材料ガス保安対策推進委員会が設けられまして、八五年に三十七種類特殊ガスについて災害防止自主基準が公表されました。しかし、それはあくまでも自主基準であって、法的な規制力はなかったわけでありまして、この基準当該業界におきましてこれまでどの程度厳格に守られてきたんでしょうか、また大学研究室などは対象から除外されていたのかどうか、この点をお聞きしたいというふうに思います。
  11. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 高圧ガス保安協会が作成いたしました自主基準につきましては、当省といたしましては、この自主基準関係者への周知徹底都道府県に対して通達をいたしまして、あるいは関係団体に対しましても販売店等を通じて関係者周知徹底するように指導してまいったわけでございます。この結果、現在では半導体産業等関係業界におきましては自主基準がほぼ達成されておりまして、自主基準がこれら業界保安確保に非常に重要な役割を果たしているものと私ども認識している次第でございます。  なお、大学についてでございますけれども、私ども昭和六十年八月に自主基準関係者への周知徹底都道府県に対して通達いたしたところでございますけれども、また関係団体に対しましても販売店を通じてユーザー周知徹底するように指導いたしました。これによりまして、ガスメーカー販売店に対して自主基準ユーザーへの周知を求め、これによりまして販売店から大学を含むすべてのユーザー自主基準周知徹底を行うよう求めたものというふうに承知をいたしております。  特に今回事故がありました大阪大学でございますけれども、当省からの通達に基づきまして、大阪府が昭和六十一年、販売店立入調査を行った際、販売店に対しまして周知徹底を行うよう求めまして、販売店昭和六十二年の七月に大阪大学ガスを納入しました際、大阪大学に対して自主基準周知を行ったものというふうに承知をいたしております。
  12. 福間知之

    福間知之君 大阪大学の場合は今の御説明のとおりかもしれませんが、一応販売業者から徹底はなされておった、こういうふうに理解してよろしいですね。  ところで、シランなどの特殊ガスによる事故というのはこれまでどの程度あったんでしょうか。先般、一昨年でしたか、東京小平市の日立製作所武蔵工場シランガスによる爆発事故があったと思っていますが、通産省は当然つかんでおると思うんですが、これは半導体製造工場の三階にあるクリーンルーム内に設置しているシリンダーキャビネットに付設した制御機器格納部分モノシランが漏えいし、点検作業中に爆発したというものでございました。その事故の後、日立はすべてのガスボンベを集中管理する施設、パイピングをしまして各部屋へ分配をする、こういう方式改善をしたと聞いておりますが、そういうことでございましょうか。  また、この事故は先般の阪大事故にもつながる似通った事故でございますので、文部省はこうした事実をつかんでおられるのかどうか、また阪大爆発事故以降どのような指導を行っておられるのか、文部省のお立場での御見解を聞きたいと思います。
  13. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 最初の御質問でございますが、まず災害状況でございますけれども、これまでモノシラン等特殊材料ガスによります事故は、本年十月の死者二名、負傷者五名を伴いました大阪大学事故を加えまして、昭和五十七年に実は初めて事故が発生いたしまして以来、十年間で十二件発生しております。特に、最近特殊材料ガス消費が急速に伸びたというようなことがございまして、ここ数年若干この十年間の経過の中では事故が多いのかな、こういう状態になっておりまして、ちなみに十年間で起こりました十二件の事故のうち八件につきましてはこの三年間に集中をしておるというような状況になっております。  二番目に御指摘日立製作所武蔵工場爆発事故でございますけれども先生指摘のように、シリンダーキャビネットに付設いたしました制御機器格納部内で漏えいしたモノシランが爆発いたしまして、一名が死亡し、三名が負傷するという事故平成元年の十二月に起こったわけでございます。私どもとしては、事故原因究明に努めまして、その結論の得られた平成二年三月以降、これを関係者周知徹底するとともに、高圧ガス保安協会特殊材料ガス講習会においても、事故の教訓を踏まえた講習を実施してまいったところでございます。  なお、御指摘のように日立製作所武蔵工場ガスボンベを集中管理する施設を設け、各部屋へ配管する方式といたしましたのは、私どももそのように認識をしております。
  14. 工藤智規

    説明員工藤智規君) 十月の初めに大阪大学で痛ましい事故が発生いたしまして死傷者を出しましたこと、まことに私どもも残念なことと思っているわけでございます。  これまで文部省といたしましても各大学に対しまして学生の実験、実習中の安全管理につきまして徹底をお願いしているところでございまして、大阪大学におきましても毎年学内で安全講習会を実施しているわけでございますが、本年度も四月十日から四日間ほどかけましてそのような講習会は部内的に行ったり、あるいはまた今回事故のあったガスボンベにつきましても、ボンベボックスに収納してチェーンで固定しているほかに、ボンベボックスから室外に排気筒を設置いたしましてファンによって常時排気するような体制をとっておる、さらにはボンベボックス内にシランガスセンサーを設置するなどの安全確保にそれなりに努めてきたわけでございますが、残念ながらああいう痛ましい事故が起きてしまったわけでございます。  ただいまその原因につきましては関係当局におきまして究明中でございますが、私どもとしましても、事故重大性にかんがみまして、阪大事故を契機にいたしましてさらに関係学部長会議あるいは全国の大学学長会議事務局長会議を招集いたしまして、安全管理徹底を再度お願いしているところでございます。今後、今回の法改正に伴いまして新たに対処すべき要件が生じてまいりますと、それぞれの大学におきます教育研究の円滑な遂行ということも他方で念頭に置きながら、十分安全管理をさらに徹底させてまいりまして、必要な措置を講じてまいりたいと思うわけでございます。
  15. 福間知之

    福間知之君 一つの重要な重大な経験として、これは今後に生かしてもらいたい。時間がありませんので、強く要望しておきたいと思います。  ところで、アセチレンガス事故防止につきましてお伺いをしたいんですが、アセチレンガス消費に係る事故といたしましては、アセチレンガス事故の三分の二を占めている原因が逆火、火が後ろへさかのぼる事故でございます。これがガス漏れ事故と並んで主な事故原因となっていると聞いております。  今日、この逆火を防止する逆火防止装置という安全機器がかなり普及しているわけです。このガス業界というのは五十万ほどあるそうですけれども、零細な事業者でございますので、資金的に逆火防止装置導入というのはいささか困難というふうな事情にもあると思うんです。したがって、ぜひこれは低利融資などを考えて、零細業者への助成策を講じる必要があるんじゃないかと思いますが、どうお考えですか。
  16. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) これまでのアセチレン消費事故につきましては、委員指摘のように逆火によるものが多数を占めているところでございまして、私どもも逆火防止装置などの安全装置普及が非常に大事だろうというふうに考えております。  ただ、御指摘のとおり五十万事業所アセチレン溶接機の台数にいたしまして二百万機以上と言われておるわけでございまして、こういうものにつきましては、リースを通ずる普及というものが一番現実的であろうというふうに私ども考えておりまして、現在これに対します低利融資制度を新しくつくりますように大蔵省に要求をしているところでございます。
  17. 福間知之

    福間知之君 ぜひ低利融資、その他考えられる助成策を講じてもらうことがやはり必要じゃないか、そういうふうに思います。  次に、指定保安検査機関導入理由一つに、都道府県保安検査事務増大にもかかわらず、人員増が困難な状況にあるということを挙げております。そこでお伺いしたいのは、保安行政の実情について、国あるいは県さらには民間検査機関役割分担についてどう考えるか、説明を願いたい。あわせて、その保安検査事務量推移について伺いたいのであります。私の知るところでは、保安検査については、一般ガスLPガス冷凍ガスなどを含めて、昭和六十年の一万九百七件に比べまして平成元年は九千三百十二件と減少しております。したがって、改正案理由一つに挙げておられる日常の保安検査業務の大半を占めてしまい、容器検査特定設備検査等、他の保安業務が圧迫され云々という理屈は少し合わないのじゃないかと思うんですけれども、御説明を願いたい。  聞くところによりますと、この保安検査はほぼ一年に一回というのが限度のようですが、果たして高圧ガス関係事業者に対する保安規制を強化していく上で大丈夫と言うことができるのかどうか。ちなみに、同じ事業者が再度事故を起こすケースもあると聞いております。これは、事故を起こした事業所に対する監督が必ずしも十分でないということの証左ではないでしょうか。これらの点の見解を伺いたいと思います。
  18. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) まず、第一点目の保安行政に関する役割分担でございますけれども「国は、高圧ガス取締法関係法令改正、解釈を初めといたします制度の整備、運用の統一等保安行政全般につきましての方針を決定いたしますとともに、都道府県高圧ガス保安協会、その他の関係者に対する指導を行っているところでございます。都道府県は、高圧ガス取締法関係法令の規定に基づきまして、都道府県内の事業者に対する許認可あるいは法令遵守状況検査改善指導など、主として事業者あるいは消費者等に対します直接の行政措置を担当いたしております。それから、高圧ガス保安協会は、高圧ガス関係法令に基づきます検査審査等のほかに、高圧ガス保安に関します技術的事項に係る情報収集調査研究あるいは指導など、事業者によります保安活動を支援しているわけでございます。  件数でございますけれども保安検査件数推移につきましては、昭和六十一年から六十二年にかけまして、一部機器につきまして保安検査の周期を変更したことに伴いまして若干減少をいたしておるのでございますけれども昭和六十二年以降、第一種製造者増加につれまして都道府県及び高圧ガス保安協会双方とも検査件数相当増加しているわけでございます。特に都道府県担当分増加がこの数年顕著になってきているという状況にあるわけでございます。  保安検査事務増大指定保安検査機関導入理由として挙げているがいかがなものかという御指摘でございますけれども、今申し上げましたように、保安検査件数相当ふえておるわけでございまして、都道府県業務、特に保安関係の他の業務相当に圧迫されているというふうに私ども伺っているわけでございます。さらに、特殊材料ガス消費あるいはこれに対します指導監督の強化、事業所保安活動徹底など、都道府県にとりまして新たな保安行政のニーズが非常に増大しているわけでございまして、これに対する対応も求められているわけでございます。  このような状況にかんがみまして、定型化されており、かつ行政的判断を必ずしも必要としないような検査につきましては、今回民間検査機関を活用する道を開きまして、都道府県がそれぞれの実態に応じまして重点的に取り締まりができるようにという幅を広げることにしたわけでございます。  また、保安検査を一年に一回ということで十分かという御指摘でございますが、保安検査は、第一種製造者施設であって、二足のものにつきまして技術上の基準への適合状況行政庁が定期的に確認するものでございまして、その際には、事業者施設技術基準適合維持義務を遵守しているか否かを検査しているわけでございます。この保安検査につきましての原則年一回という回数は、保安確保観点からすべての事業者につきまして最低限必要な回数として定められているものでございまして、都道府県知事保安検査のほかにも必要に応じて立入検査を行うことが可能でございますし、保安検査の際に問題点指摘いたしました事業所を中心に重点的な指導を行うことなどによりまして十分に保安確保が図られていると考えております。  また、一般的には、この保安検査とあわせまして、一年に一回以上定期自主検査というものを行うようにしているわけでございまして、両方の組み合わせによりまして、事実上は六カ月おきにチェックするというようなことを私ども指導しているわけでございます。  最後に、事故を起こした事業者が再度事故を起こすケースがあるということにつきまして、十分なチェックが行き届いていないのではないかという御指摘でございますけれども、従来から、事故を起こしました事業者につきましては、事故再発防止のための十分な対策を講じるまで事業の全部または一部を停止させることなどを行っておりまして、必要な措置確保してきているわけでございます。御指摘のように、同じ事業者が再度事故を起こしている事例もあるわけでございますけれども、これを私どもが分析いたしますと、その多くは別の設備につきまして別の原因により生じたということでございまして、今後ともこのような事故を起こした事業所保安レベルの低い事業所などにつきまして重点的に検査指導を行うよう都道府県徹底をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  19. 福間知之

    福間知之君 保安検査についての現状と問題点が御説明されました。  ところで、本改正案によりますと、特定施設における保安検査のうち、定型化しているものについては、新設されるところの民間の指定保安検査機関によっても検査はなし得る、こういうことになっております。したがって、ここでやはり心配をされることは、特定施設が爆発その他災害の発生するおそれのある製造施設という危険性の高いものにもかかわりませず、そういう民間の検査機関を加えるということは、果たしてどういうことなんでしょうか。  現在、特定施設として指定されているもの、あるいは設置されている数、あるいは事故の実績等がわかれば説明をください。
  20. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) まず、特定施設の範囲でございますけれども、通商産業省令によりまして、高圧ガスが通る部分も含めまして製造施設の主な部分をあまねく指定をしているところでございます。  この設置の数でございますけれども、一連の施設につきましてどのように数えていくかという問題があるわけでございますが、第一種製造業者がいずれも特定施設を設置しているというふうに考えられるわけでございますが、それをベースに考えますと、平成二年三月現在二万六千四百四十四でございます。  この第一種製造業者に係る事故件数につきましては、昭和六十三年に二十件、平成元年に二十一件、平成二年に十八件となっているところでございまして、その多くは、例えば作業員の保安教育、作業員に対する操作基準の整備など、事業者自身による保安活動徹底により防止されるべき事故ではないかというふうに考えているところでございます。  次に、特定施設災害のおそれがあるものであるにもかかわらず、その検査民間検査機関にもやらせることができるようにするという点でございますけれども、特定施設につきましては、委員指摘のとおりに、災害の発生するおそれがある施設でございまして、定期的に保安検査を行うことが必要でございますけれども、近年特定施設に係ります保安検査の定型化が進んでまいりました。かつ、保安検査に際しまして、都道府県行政的判断を必ずしも必要としないものも出てきているわけでございます。  例えば、タクシー用などのLPGの充てん場の検査などで継続して数字をきちっと把握すれば、それだけで判断できるといったような検査項目もあるわけでございます。このようなものにつきましては、先ほど申し上げましたように、都道府県の事務の中での保安検査業務量の増大ということもあわせ考えまして、かつまた都道府県保安行政に対します新しい行政ニーズがふえているということをも考え合わせまして、先ほど申し上げましたような定型化された検査につきまして民間検査機関を活用する道を開き、都道府県がそれぞれの実態に応じまして的確にかつ重点的に指導取り締まりを実施できるようにする措置を講じたいということでございます。
  21. 福間知之

    福間知之君 そのほかまだこの検査機関の問題とか、あるいは販売業者に依存するこれからの取り締まり体制、これに対してやっぱり若干の不安が残るわけですし、さらに高圧ガス保安協会に追加された業務と従来の業務とがどない変わるのやと、こういうことの疑問とか幾つかあるんですけれども、ちょっと時間の関係でこれは省略しまして、最後に二点お伺いしたいんです。  一つは、容器証明が廃止されることになるわけですけれども、その理由として、毎年二万件余りの紛失による再交付申請がある。これは行政庁の事務負担になっている。しかし、その手数料収入というものの確保が必要な保安協会にとって、その収入が約三千万から四千万円と言われているんですが、この収入源を失うことになる。何にその代替収入を求めるのかというふうな問題があります。  それから、最近、高圧ガスを取り扱う人たちの中に御案内のように外国人学生や労働者が徐々にふえ初めているというふうに聞いていますが、いわゆる三Kと呼ばれる職場にあって、その割合もだんだん高くなってきているようです。こういう外国人労働者を含めた保安対策保安教育というものについて配意をする必要があると思うんですが、そういう点はどうなっているんでしょうか。
  22. 中田哲雄

    政府委員中田哲雄君) 容器証明書制度に伴います高圧ガス保安協会の手数料は、実費を勘案いたしまして通産大臣の認可のもとに定められているわけでございます。容器証明書制度が廃止されますと、それに伴います人的なあるいは経費的な負担が軽減されること、また今回の法改正によりまして高圧ガス保安協会業務範囲の拡大が考えられているわけでございますけれども、これによります収入が増大すると考えられますことなどの点を勘案いたしますと、容器証明書の廃止によりまして高圧ガス保安協会の経営に支障が生じるようなことはないんではないかというふうに私ども考えているところでございます。
  23. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 外国人労働者の保安教育に関する御指摘でございますけれども、外国人労働者の高圧ガス関連事業所への就労につきましては、法令の規定等に基づきまして、各事業者保安教育を実施すべきものであるというふうに考えられます。  現行入国管理法は、国内の一般産業への就労のための在留資格であります技術、技能に関しまして、本邦において外国人が行うことができます活動をそれぞれ「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動」あるいは「産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」に限定をしておりまして、したがって高圧ガス関連事業所への就労につきましても、高圧ガスの取り扱いに対しまして十分な技術、知識及び技能を有する者に限られていると承知いたしております。したがって、現在のところ、外国人労働者向けの特別の対策は必要がないと申しますか、むしろ各事業者が、保安教育を実施するということで対応できるのではないかと考えております。  なお、ただ将来、これは仮定でございますけれども、外国からの単純労働者の受け入れが法的に認められるようになったということがもしございますれば、その時点で具体的な対策につきまして検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  24. 福間知之

    福間知之君 いろいろ御説明もございましたし、さらにこの法の運用に当たっては細部についてひとつ十分な配慮をして運用に当たっていただきたい。基本的に賛成をしたいと思っていますので、この程度にとどめたいと思います。  なお、委員長一般審査の機会がございませんので、私は、若干十分ばかり時間をちょうだいして、別の問題に入りたいんでございます。  それは、きょうの日経新聞にも出ていますけれども、いわゆるCD・レコードレンタル制度についての国際的な、特にアメリカとの摩擦でございます。これはかなり関係業界も今大わらわで取り組んでおる課題でございますので、まず文化庁においで願っていますから、文化庁から最初にお聞きしたいんです。  ことしの四月の著作権法の改正に際しまして、発売以後一年以内のすべてのレコードレンタルについて、業界の実情を考慮し、その貸与を禁止する期間を一週間ないし三週間にしようということで、文化庁、通産省の立ち会いのもとで日本のレコード会社とレンタル業界との間で契約が取り交わされました。その際、洋盤、外国レコードの扱いも邦盤と同じ扱いになるとされていました。しかし、先般十月に入りまして、文化庁から国内ルールが米国に適用できそうもないという報告が入りまして、その後何の解決策も見出せないまま法施行の来年一月一日に向けて時間切れ状態の姿に今なっております。  これについて、文化庁の見通しの甘さが少し問題になるんでございますが、一体この点をどう文化庁は考えておられるか。特にきょうのこの新聞なんかを見ますと、アメリカ側がかなり厳しいことはもうはっきりしていまして、ウルグアイ・ラウンドにおけるTRIP交渉と絡んで厳しい姿勢を見せている。さらに、先般USTRのヒルズ代表が来て、大臣もお会いになられたけれども、かなり厳しくくぎを刺して帰っているようでございます。  まず、文化庁から所見をお伺いしたいと思います。
  25. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) お答え申し上げます。  結果として、御指摘のように、当初の見通しとは違ってきているわけでございますが、その間の事情を説明させていただきます。  ことしの著作権法の改正は、我が国の現行制度を前提としつつ、内外無差別の観点から外国のレコード会社にも日本のレコード会社と同じ権利を与えることについての米国の強い要望に対応するものでございます。また、昨年末のガット・ウルグアイ・ラウンドのブラッセル閣僚会議におきます米国の我が国の制度に対する理解の姿勢や、外国のレコード会社がそれまで日本のレコード会社へ権利行使を委任してきたことなどを考慮いたしまして、法改正時におきましては、来年一月から適用される洋盤につきましても、一年間より短い期間による円満な解決が図られるものと期待していたところでございます。  ところが、この夏以降、アメリカ側は、一年間のレンタル禁止を示唆しつつ、与えられた許諾権を一年間フルに行使することが法律上司静かどうかの点を確認する姿勢に終始するようになってきております。さらに、日本のレコード会社への権利行使の委任というものを外してまいりました。この背景には、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおきましてアメリカがレンタルについて許諾権一年を不満として許諾権五十年を主張しているということと密接に関係しているものと考えておるわけでございます。
  26. 福間知之

    福間知之君 アメリカは、いわゆるビデオソフトについてはみずからの国内でもレンタル業が存在をしているわけです。CDのレコードに対してだけ言うならば難癖をつけてくるというのは、これは日本たたきもいいところじゃないかと思うんですけれども、文化庁はどういうふうに考えておられますか。
  27. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) 我が国におきましては、ビデオレンタルと同様レコードレンタルも広範に普及しておりまして、アメリカの方におきましては制度的な観点で、ビデオレンタルはいい形になっておりますが、レコードレンタルはできないというふうになっております。これは、ビデオレンタルがよくてレコードレンタルがなぜアメリカではよくないのかというのは、一般にはなかなか理解しがたいものというふうに考えております。
  28. 福間知之

    福間知之君 文化庁は、ウルグアイ・ラウンドのこの交渉には出席されて努力をされているんですか。
  29. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) 文化庁の方といたしましては、渡辺文化部長を初め担当官、著作権課の企画調査室長を派遣して、交渉に精力的に努力をいたしておるところでございます。
  30. 福間知之

    福間知之君 五十年間貸し出しができないということになると、日本の業者、業界は、壊滅的なもう打撃どころじゃなくて、なくなってしまいますね。
  31. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) 我が国の制度は、一年の許諾権と四十九年の報酬請求権ということになっておりまして、これはレンタル制度の基盤をなすものというふうに考えております。したがいまして、五十年の許諾権という制度になりますと、これはレンタル制度の基盤がなくなる。結果として、やれないことはないかもしれませんが、基盤はなくなってしまうというふうに考えております。
  32. 福間知之

    福間知之君 最悪の場合、なくなってしまってもやむを得ぬと。どうするんだと、こう聞きたいんですが、やむを得ぬ、こういうお考えですか。
  33. 伊勢呂裕史

    説明員伊勢呂裕史君) アメリカ側は、さっき申し上げましたように、五十年の許諾禁止権を主張しておりますけれども、我が国はやはり報酬請求権というものも容認されるように強くウルグアイ・ラウンドの場でも主張しております。先ほど申し上げましたように、文化庁としては担当官も派遣いたしておりますけれども、全米レコード協会に対しましても日本のレンタル制度の容認を求めるというような方法で、いろんな方法をとりまして交渉を行ってきたところでございます。  今週の金曜日にはガットのドンケル事務局長より、ウルグアイ・ラウンド全体に係ります最終テキストが公表される予定と流布されております。このテキストの内容が日本の主張に沿うものとなりますよう、現在通産省、外務省とも協議しつつ、精力的に交渉を行っているところでございます。
  34. 福間知之

    福間知之君 じゃ、通産省に引き続いてお伺いします。  アメリカのレコード製作者というのは、来年の一月から貸与権の権利行使を行おうとしているわけです。一年間の許諾期間中の貸与を禁止するという、こういうことでございます。その結果、洋盤の貸し出しを中心に営業しているレンタル業者が多いんですけれども、事実上ほとんど廃業を余儀なくされるという推測がされております。アメリカ側は、この法を守らなかったら刑事責任を問うぞということで既に日本側に文書で通告をし、訴訟も辞さないという構えだと伺っております。  このレコードレンタルの商売は一九八〇年に登場いたしまして、現代の若者を中心に業績を伸ばしてきている業界であります。今や全国で五千六百店舗を数えておりまして、売上額も年間八百億円の市場に成長しております。著作権法の法改正に伴いまして派生じたこの思わぬレコードレンタル問題ということでございますが、一説では日本で生まれたレンタル文化、この表現がいいか悪いかは別にして、レンタル文化が外圧でつぶされようとしているというふうな受けとめですね。  したがって、事の本質は、民間ベースで解決を求めることがベターだと思うんですけれども、アメリカ側は政府を挙げて、場合によっては三〇一条なども持ち出して訴訟をするなどという挙に出てきた場合に、日本政府としてもこれに対してはやはり業者の立場も考慮して対応していくべきじゃないか。特に通産行政としては、そういう零細業者を抱えている業界ですから、そういう立場でも配慮する必要があるんじゃないか。  また、日本のレンタル業界は、八百億円の年商売上額の中から百億円を上回る著作権料を既に納入しているわけですよね。そういうふうに一つの秩序を保って日本のレンタル業界というのは社会的に一定の役割を担ってもらっているわけですから、そういうことを考えると、アメリカの言い分を一概に我々は簡単には認めるわけにいかない。  通産行政の立場で、文化庁をバックアップするということも含めて、これは見解をひとつお聞きしたいと思います。
  35. 堤富男

    政府委員(堤富男君) 本問題は、先生指摘のとおり五千六百軒、八百億円にも上る業界が生死に瀕しているわけでございまして、我々といたしましては、まず第一には、現在徹夜でやっておりますが、ジュネーブでのTRIPの交渉におきまして、日本の考え方が少しでもその線に沿った形で実現す今ように努力するのがまず第一だと心得ております。  第二には、現在、これは民間ベースでございますが、アメリカのレコード業者と日本のレンタル業界との間で話し合いが行われております。これは確かに金額を幾らにするとか数カ月待ってほしいとかいうある意味では純粋なビジネスの話ではございますけれども、我々としてアメリカのレコード業者にぜひ理解していただきたいのは、文化庁を初めといたしまして、日本の著作権法が日本の法律として成立し、著作権というのは非常に大事にされるものである。そういう日本というのは法律を守った国であるということをよく理解していただき、アメリカ側にも幾つか著作権の問題では国際的でない面もあるわけでございますが、国際的に今後こういうものをバーモナイズしていく過程でそれぞれの国を理解していくという必要があろうということは、ぜひバックグラウンドとしても申し上げておきたいと思っておる次第であります。  いずれにしましても、一月から著作権法が実施されますので、それが万が一業界に問題が生ずるようなことがあれば、我々としても必要な国内的な対策も講じることを検討していかなければいけないと思います。
  36. 福間知之

    福間知之君 大臣、最後にちょっと感想をひとつお聞きをしたいんですけれども、文教委員会でことしの春とついこの間十一月に議論をされているんです。私は全部これ読んでみましたけれども、かなり厳しい議論になっているわけですね。  それで、これは文部省、文化庁だけの手にはもちろん負えないし、もともとこの三〇一条なんというのはガット違反の条文ですので、単にレコードレンタル問題だけを対象にした条文じゃない。そういうものがまかり通っているということについては大いに不快感を持たざるを得ないのでございまして、その一つのあらわれとして、そういうおどしをしながら交渉を迫ってきているというのは、どうも我々としては納得いかない。  大臣として、これからどういうふうに対応されようとするのか、その決意のほどを伺いたいと思います。
  37. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 今、政府委員から答弁したとおり、大変厳しい情勢の中で、前線で我が省の関係者が一生懸命頑張っておるという報告を聞いております。万々が一にも、私ども何とかアメリカの業者と国内の業者で円満に話し合いが行われればと、こう思っておりますけれども、厳しい情勢ということになったときは、これは福間先生今御指摘のように、大変にいろいろな面で影響が出てまいりますから、この影響の把握に努めるとともに、文部省等々関係方面とよく協力しながら、できる限り皆さん方に御迷惑をかけないような所要の施策について考えてまいりたいと思っております。
  38. 福間知之

    福間知之君 終わります。
  39. 広中和歌子

    広中和歌子君 質問させていただきます。  本日の委員会の主たる目的は、高圧ガス取締法の一部を改正する法律案審議でございますが、昨今日本経済はバブルがはじけ景気の先行きが懸念されており、経済、景気一般についても質問したく存じます。  今臨時国会では、商工委員会の開催はきょう一日だけという事情もございますから、ぜひその質問をさせていただきたいわけですけれども、与えられた二十五分間をできるだけ有効に使わせでいただきたいと思います。  まず最初に、通産大臣にお伺いしたいのでございますけれども、今国会で宮澤総理が所信表明の中で生活大国づくりを進めていきたいということをおっしゃいまして、公明党はかねてより生活者のための政治ということを言っておりましたので大変に同感するところでございます。通産大臣はこれをどういうふうに受けとめ、また通産省としてはこれまでの産業政策をどう転換されるおつもりなのか伺いたいと思います。  これまでの産業政策の中には、国内の産業、業界の優先保護が目立ち、結果としては国内での物価高を招いていることもあります。つまり、生活者の犠牲を強いるといった側面も多々あったのではないかと思いますけれども、その点も含めましてお答えいただけたらと思います。
  40. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 御案内のように、日本は戦争に負けてその後大変貧しい、毎日毎日の食べる物にも事欠くというような状態からの戦後の出発がありましたから、まず国民生活を豊かにするためには経済を発展させなければならないということで歩んできたわけでありますけれども、国民の皆さん方の努力によってようやく経済も世界のいろいろの国と比べて大きな前進を今遂げております。  そこで、これからの課題ということになると、ただ数字の上でこうこうこういうふうに経済は高くなりましたと、こういうことでなくて、国民の皆さん方が毎日毎日の生活の中で豊かさが実感できるような世の中をつくりたい。そのためには、労働時間の短縮の問題もございますし、また一極集中を排除して地方分散をして働く皆さん方が一生懸命頑張っていけば底つき一戸建ての住宅を持てるような希望のある生活環境ということもありましょうし、内外格差の是正というようなことがありましょうし、結論を申し上げれば、毎日毎日の生活の中で豊かさが実感できるような方向に向かっての政策を進めてまいりたい、こういうことでございます。
  41. 広中和歌子

    広中和歌子君 次に、経済企画庁にお伺いしたいんですが、長官はお見えになっていらっしゃいませんのでかわりの方でも結構でございますけれども、景気の見通しについてお伺いしたいと思います。  最近、経済企画庁は景気は底がたいというふうに言っていらっしゃいますけれども、土地貸し出しの総量規制の撤廃が非常に急がれていたり、また総理が景気浮揚のための財政出動といったようなことをおっしゃったということが報道されております。そういうようなことで、本当に底がたいのだろうか。もっと専門家の間には、懸念というんでしょうか先行きに関して暗い見通しもあるのではないか、そのような心配もされているわけですけれども、それについて御専門の立場からお答え願います。
  42. 谷弘一

    政府委員(谷弘一君) お答えさせていただきます。  我が国の現状につきましては、景気に不安を与えるような指標も幾つかございます。住宅建設が減少する、あるいは自動車の新車登録が急速に下がっているというような側面で景気が後退をしているのではないかという指標が幾つかございます。しかし一方では、特に労働力の関係では、失業率が依然として非常に低いところにございまして、言ってみれば完全雇用の状況にあるということでございまして、またこの完全雇用と、もう一つ有効求人倍率というようなものもございますが、これらを見ましても非常に高いところにございまして、求人が非常に強い勢いでありますというようなことがございます。  そういうことを考えますと、今後の消費につきましては、雇用者の所得というのが一つ大きな支えになるわけでございますが、これが失業の状態から見ましても雇用者数はこれからも堅調に増加していくということははっきり言えると思います。そういう面で、消費の面では今指標も依然として堅調なものがあるということでございます。  そういう中で、あと景気がやや鈍化、伸びが鈍化しておるということで、設備投資の面でも二けたの伸びから一けたへと今移ってきております。この面でも、落ちていくというよりは底がたいものとしては、合理化とか省力化、人手不足に対応するもの、そういうものに対しては企業が中長期的な対応でこれからも持続的な投資をしていくというような動きが見込まれるというようなことでございます。  そういうことで、結論的に申しますれば、これまでの景気というのがやや過熱ぎみだったのではないかということで、これが健全な消費、あるいはバブルのない消費と申しますか、あるいは健全な企業行動という方向へと今変わっていく移行期にあるということでございます。この移行期につきまして今企業家の心理あるいは消費者の心理、こういう心理的な側面も非常に大きな要因となりますので、この点につきましては機動的な金融あるいは財政の対応というものも考えていかなきゃいかぬ、こういう立場にあります。
  43. 広中和歌子

    広中和歌子君 バブル経済が調整される中で、今度こそ消費者がその犠牲をかぶることのないように期待したいところでございます。  先ほど通産大臣にお伺いしたこの生活大国について、再び今度は経企庁にお伺いいたしますけれども、生活大国の中身というものをどういうふうにとらえていらっしゃるでしょうか。  きのうNHKのニュース解説でその説明があって、経済企画庁としてはその内容として、豊かさとゆとりの実感ができる社会、二十一世紀を展望した経済基盤づくり、地球規模での平和と繁栄に協力、この三つの柱を立てていらっしゃるわけでございます。現実に日本全体としてのGNPは上がりまして、そして国民一人当たりのGNPはふえましたけれども、しかしながら実際にその所得で何が買えるかという問題になりますと、非常に具体的に豊かさというのは果たして実現できるのかどうかということが心配なんでございます。  その中身について、そしてどのような形で実現されていけるのかという見通しについてお答えいただきたいと思います。
  44. 冨金原俊二

    政府委員冨金原俊二君) ただいま先生が御指摘になりました経済企画庁としてこれからの課題として三つの点を御指摘になったわけでございますが、これは実は先般私どもの大臣が宮澤総理のところにお伺いしまして、来年度に新しい経済計画を策定することについて具体的に総理から御指示をいただいた主要なポイントでございます。  生活大国というのが一つの柱になろうかと思いますが、先ほども通産大臣がおっしゃいましたように、やはり大事な基本的な理念としては、ゆとりと豊かさを一人一人の国民が実感できる多様な価値観あるいは多様な選択ができるような、そういう公正な社会というものを一応生活大国の理念として考えられるのではないかというふうに見ているわけでございます。  一番大事な視点というのは、やはりこれまで効率優先といいますか、経済の拡大を最優先にしてきた、これは歴史的にはやむを得なかった当然のことでございますけれども、こういった考え方から、活力を維持しながらではありますけれども消費者とかあるいは生活者の立場から物事を考えて、そういった人たちの中身を豊かにしていくという視点がまず大事ではないかというふうに考えているわけでございます。  同時に、その具体的な中身につきましては、実はこれから経済審議会であるとか、あるいは私どもの企画庁では国民生活審議会というところでも議論を始めようとしているわけでございますので、その議論の結果を待たなければいけませんけれども、実は経済審議会のもとに二〇一〇年委員会、二十年後の展望をしようということで委員会を設置いたしまして、この六月に一応御報告をいただいたわけでございます。  その中で指摘をしておりますのは、経済面に限って申しますと、一つはやはり所得がふえる、つまり消費生活が豊かになるという視点が大事ではないか。もう一つは、住宅あるいはその住宅環境、これは美しい都市の美観というものも含めましてそういった社会資本の充実というものを図っていかなければいけないんではないか。もう一つは、やはりゆとりのある生活をするためには自由時間をふやしていく。具体的には、今進められておりますけれども、労働時間の短縮あるいは通勤の時間が非常に長いということをできるだけ縮める方法はないかというような視点が大きなポイントではないかということを指摘しているわけでございます。  もちろん一番大事なことは我が国の経済社会が安心して安全な社会である、これは交通問題も含まれておりますし、犯罪が少ないと言われることも当然含まれておるわけでございますが、そういったものを全体として含めながらこれから豊かな国民生活を実現していくためにどういう施策が必要かということを議論したいと考えているわけでございます。
  45. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は今一時間の通勤距離のところで電車で通っておりますけれども、非常な渋滞というか混雑でございます。時間を外せばよろしいわけですけれども、現実に一定の時間に集中している中で、本当に過酷な長時間の痛勤、本当に痛い勤務というのでしょうか、痛勤を多くの人が味わっているわけでございますし、また自動車に乗れば道路事情も悪い。そしてまた、豊かな生活の一番基本となるところの住宅が非常に悪くて、狭くて、しかもいわゆる住環境全体としての緑のスペースであるとか、それから道路、美観そうしたものも今の日本では決して豊かどば言えない。  そういう中で、本当にいろいろ私自身も考えるわけでございますけれども、何か諸悪の根源というのが土地高にある、そんなふうに思います。バブルがはじけて土地が少しは安くなるだろうというふうに言われながら、余りそれが下がっていない。それなのに、土地貸し出しの総量規制を撤廃しようという動きもあります。そのほか保有に対する地価税、それも何か中途半端な形で十分かからない。つまり、税制でもって土地を下げることもできなかったし、また私権の制限ということもされていない。そういう中で、本当にどのように諸悪の根源たる地価を下げていくのか、もし見通しというのでしょうかお考えがあれば、ぜひ通産大臣にお伺いしたいと思います。まずお伺いします。
  46. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 先生指摘のとおり、まさに毎日の生活、特に都会の皆さん方、通勤地獄、また交通渋滞のいらいら、これが大変な問題であります。したがって、地価の高騰というのが、そのほかの点ではもうこの国はテレビも自動車も持てる、あるいはもうあらゆる生活を合理化するものも持てるようなところまで可処分所得がきているんですが、残念ながらまだ都会の人たちにとっては自分の土地を持ってそこに家を建てみ、この夢はかなえられない状態にあります。  これを解消するために土地問題というのが大きな政策課題になっておるのですけれども、やはり私は基本的には大都会に今人が集中しているわけですから、通産省でも、今までテクノポリスとか頭脳立地とか工場移転とかいろいろやってまいりましたけれども、今度は企業の業務機能もこれは地方に分散するという政策の柱を立てておりますけれども、沖縄から北海道まで国土の均衡ある発展で、大都会ではこれは交通地獄になり、また土地も買えないということですけれども、地方に行けばまだまだこの狭い狭いと言われておる日本でも広い土地が使われないでおるわけですから、やはり一極集中を排除して地方分散というものが今後の大きな政策課題であると考えております。
  47. 広中和歌子

    広中和歌子君 一極集中を排し地方分散と、もう長年長と言われておりまして、耳にたこができるぐらい聞いていて実現ができないので、ぜひ私は国会移転を中心として、つまりいや応なしに我々自身、国会議員自身が動くことによりまして地方分散、一極集中へのプレッシャーを地方に分散していく、そういうようなことをぜひ推進していただきたいし、またそういうことで同僚議員にもぜひ呼びかけたいと思っております。  地価を下げることの一つとして、ちょっと疑問があるので経済企画庁のどなたかにお答えいただきたいんですけれども、これだけ景気が今下降ぎみになっていて、そして土地も下がるだろうと言われながら下がらないのはなぜなのかということなんです。金融機関とか不動産業者が土地を所有することが許されているという、そのシステムそのものが問題ではないかなというようなことをある外国の方に指摘されたんですけれども、それについての御見解をお伺いいたします。
  48. 冨金原俊二

    政府委員冨金原俊二君) 実は、外国の制度と日本の制度につきまして、例えばアメリカの制度について必ずしも的確に細かいことを承知しているわけではございませんが、制度の違いというものは、やはり歴史的なものであるとかあるいは国土の広さであるとか、いろいろな問題から生じてきていると考えられますので、制度の違いだけで土地の値段が下がらないということは必ずしも言えないのではないかという感じが実はしているわけでございます。むしろ大事なことは、基本的に土地に対する国民の考え方というものがかなり違っているんではないかという気がいたしておるわけでございます。  アメリカの場合に、私が理解している限りでは、土地はその上に建てられる建物と一体になってその利用価値があるかどうかによって評価が決まってくるということではないかと思いますが、我が国の場合には、どちらかといいますと上物よりは土地そのものの値段が重視される。その背景には、何といっても、土地の値段というのは長い目で見て必ず上がっていくんだという考え方が非常に根強くございます。一種の土地神話といいますか、そういうものが依然として背景にあるのではないかという気がしております。  もう一つは、やはり土地の利用形態でございますけれども、外国の場合にはかなり都市計画なんかでゾーニングがしっかりしておりますが、日本の場合には比較的ゾーニングが緩やかといいますか、いろいろな利用形態ができるというような、そういった土地の利用形態についてもいろいろ問題があるんではないかという気がしております。  基本的には何といっても、土地基本法にも示されておりますけれども、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、国民一人一人の私権というものをもう少し制限して、公共の利益に合致するような土地の使い方をする、そういうことを基本にして土地のメカニズムというものをもう一回見直していくということが一番大事なんではないかというふうに考えております。
  49. 広中和歌子

    広中和歌子君 では、大変遅くなって恐縮でございますけれども高圧ガス取締法案について多少触れさせていただきたいと思います。  この法案には基本的に賛成でございますし、さらに尊敬いたします福間議員から思慮深い質問がなされ、また政府委員からも細部にわたってお答えをいただきましたので、全く別の視点から質問させていただきたい。主に文部省にお伺いしたいと思います。  大阪大学事故原因、目下原因解明を急いでいるということだそうでございますが、こうした中で大学の研究設備の充実とか、それから保安対策、そういうことが浮上しているわけでございます。この面についてどのような、特に安全対策保安管理について文部省はどのような御指導をなさっているのか、お伺いしたいと思います。
  50. 若林元

    説明員(若林元君) まず先生から、どのような指導をやっているのかというふうな御質問でございます。その点について御説明申し上げたいと思います。  御案内のように、大阪大学基礎工学部におきまして爆発事故が発生をいたしまして死傷者を出しましたこと、私どもまことに遺憾なことだと考えております。特に、亡くなられた二名の方の御冥福をお祈りいたしたいと思いますし、負傷された方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  原因につきましては、今先生指摘のように、なお警察、消防等で調査中でございます。大阪大学におきましても、事故原因調査専門委員会を設けて、今鋭意調査をいたしておるところでございます。  御指摘指導でございますが、従前から文部省におきましては、学生の実験、実習中の安全確保について万全を期すよう、関係学部長会議等を通じまして大学に対してその対応方をお願いしてまいったところでございます。また、今回事故を起こしました大阪大学におきましても、危険災害防止の指針となります安全の手引、こんなものを作成いたしまして、これを学生に配付いたしますとともに、毎年安全講習会というふうなものを実施いたして安全教育を行ってきているところでございます。本年度につきましても、この四月十日に安全講習会を開催いたしまして、高圧ガスを安全に使用するための注意を行うなど、安全教育を行ってきた状況でございます。安全教育に対する指導は以上でございます。
  51. 広中和歌子

    広中和歌子君 予算についてもお伺いしたいわけでございますけれども、時間がちょっと押しておりますので、ついでに次の質問まで入らせていただきます。  日本は、いわゆる産業立国として、技術立国として実績があるわけでございますけれども、一方、大学における教育に関しまして、現実にどういうことが起こっているかというふうに見てみますと、大学全体、特に国立大学でございますけれども、設備整備費の推移では、若干の増額はありますけれども、理学系の研究設備費は年々むしろ減少している。研究設備予算の内訳は、先導的研究設備費、研究基盤設備費となっているにもかかわらず、減っていこうとしているのは、日進月歩の技術開発の今日において時代に逆行するような気がするわけでございます。  研究予算を含めまして、私は、この安全対策などというのもその一環になるのではないかと思いますので、ぜひこの点についての文部省のお考えを伺わせていただきたいと思います。  国立大学協会の調査によりますと、研究設備の陳腐化が明らかになっており、使用中の研究教育機器の性能について十分だと答えているのは本当にごくわずかでございまして、計測・分析機器に関しては、十分だと答えているのが二一%。つまり、残りが不十分と考えている。電算機・情報関連装置では、二〇%。理化学系機器に関しては、二五%しか大学または研究所が十分と考えていない。そういう実情があるわけでございます。お答えいただきたいと思います。
  52. 工藤智規

    説明員工藤智規君) いろいろ大学の研究体制の現状につきまして御心配をおかけ申しまして、まことに申しわけなく思っているわけでございます。  御案内のとおり、近年非常に国の財政事情が思うございまして、特にここ十年ほどいわゆるマイナスシーリングと申しましょうか緊縮財政が続いているわけでございます。そういう中で、残念ながら、私ども全力を尽くしているわけでございますけれども、どうしても各大学におきます研究に必要な所要経費のうちフローで流れます研究費の確保を少なくとも目減りしないようにということに努めるのが最優先でございまして、そういう面から幾らかでも耐用年数の高い設備とかあるいは施設の面にしわ寄せが来ているのは事実でございます。  ただ、このままの現状でよろしいかどうか大変私ども憂慮しているところでございまして、今なお財政事情は厳しいわけでございますけれども大学役割を考えましたときに、有為な人材の養成でございますとか、あるいは我が国の学術研究の、特に基礎研究と言われておるわけでございますけれども、学術研究の推進の上で各大学の果たす役割は大きいわけでございますので、私どもも来年度予算に向けましては、文部省全体で検討した結果、高等教育関係の予算の充実にかなり力を入れているところでございます。  具体的に申しますと、今先生からも御指摘ありましたような点も含めまして、いわゆる施設設備それから研究費、さらには後継の研究者のためも考えまして大学院生等の若手研究者の処遇改善、これらの各般にわたりまして、まだ必ずしも十分ではございませんけれども、所要の予算の増額を要求しているところでございます。
  53. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 時間が来ております。本当に手短に。
  54. 広中和歌子

    広中和歌子君 最後に、通産大臣にちょっとお伺いしたいんですが、今回の法改正背景として大阪大学事故などがあるわけですけれども、教育は文部省だけにお任せするのでなく、大学の研究費、設備費、そうした現状をぜひ御視察いただきまして、ぜひ文部省と協力をしつつこうした研究開発の分野、特に基礎研究の向上を図っていただきたい。  大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
  55. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私の所管の問題、所管外の問題はございますけれども、ゼロシーリングの長い間、基礎研究、大学の研究施設、研究費等、非常に厳しい状態にありまして、これは承知しておりますので、今広中委員指摘のような問題等十分私も勉強させて、これは何といっても学術研究、基礎研究、これは広中先生のような方がいらっしゃったから今日の日本はこれはだんなさんの方ですけれども、あるわけでありますから、できる限り努めてまいりたいと思います。
  56. 市川正一

    ○市川正一君 私は、第百二国会及び第百四国会の本委員会において合計三回、ここに会議録を持ってまいりましたが、このたび新たに規制対象となった半導体工場などで使われている特殊材料ガス規制問題で政府にただしました。しかし、私の指摘にもかかわらず、通産省は、高圧ガス保安協会のつくった自主基準で対応できる、十分効果が上がるとして積極的な対策をとらないでまいりました。そして大阪大学事故を引き起こし、今回の法改正に至っております。もちろん今回の改正は、私が提起したように規制強化の方向なのでそのこと自体に異論はありません。しかし、今日まで放置してきた通産省の責任は極めて重いことをまず率直に指摘しなければならぬのであります。  そこで、今回の法改正のポイントは、省令による技術基準がどれだけ厳しくかっ具体的であるかの点にありますが、言いかえれば従来の協会の自主基準を省令化した程度でお茶を濁したのでは効果が上がらないことは、今まで述べた経過が示しております。とすれば、省令で決める技術水準や取扱主任者の内容が実効を伴うものでなければならないのでありますが、その基準内容、規制内容がこれまでとどのように違うのか、端的にお聞かせ願いたい。
  57. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 市川先生には、御指摘のように昭和六十年の四月あるいは五月、六十一年の五月、いずれも参議院の商工委員会におきまして数々の御指摘を賜って御指導を賜ってまいったところでございます。  私どもといたしましては、この自主基準につきまして、今回は届け出にいたしまして基準策定を考えているわけでございますけれども先生の御指摘も踏まえまして、六十年十一月に高圧ガス保安協会自主基準の細目を作成するための特殊材料ガス部会を設置いたしまして種々検討を行いまして……
  58. 市川正一

    ○市川正一君 経過はいいんですよ。結論として、どこがどないなったんやというんです。
  59. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 特殊材料ガス移動指針でありますとか特殊材料ガス漏えい検知警報指針、その他のいろんな基準を作成してまいりましたので、当省といたしましては、今後こういうものを参考にいたしながら、具体的かつ実効性のある運用をしてまいりたいというふうに考えております。
  60. 市川正一

    ○市川正一君 さっぱりわからぬのです。確認いたしたいんですが、その規制は、特殊材料ガスを扱うところはすべて例外なく適用されるんですね。
  61. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 今回、特殊材料ガスにつきまして七種類指定いたしまして届け出をさせることといたしておりますけれども消費に関する技術基準の内容にこういうものを織り込みまして徹底をさせていきたいというふうに考えております。
  62. 市川正一

    ○市川正一君 これを使用するところについては、扱うところは例外なくこれが適用されるということですね。そのことを確認したいんです。
  63. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 七種類ガスについてはそのとおりでございます。
  64. 市川正一

    ○市川正一君 それでは、文部省に伺います。  今回の法改正は、大阪大学事故で急遽この臨時国会提出せられたことは先ほど大臣も冒頭述べられたところです。この事故原因について文部省は、いわゆる物理学的原因ではなしに、社会的、経済的原因がどこにあるか、またどうしたら防げたと認識されているのか。あわせてお聞きしますが、今回の法改正によって文部省としても求められる対策が十分に実施でき、事故の再発を防げるものと見ておられるのか、確認をいただきたい。
  65. 工藤智規

    説明員工藤智規君) 今回の痛ましい事故はまことに残念なことでございましたが、事故原因につきましてはただいま関係方面で究明中でございますのでこの場でその予断を申し上げるのは差し控えさせていただきます。その事故原因がどういうことであったかは別といたしまして、先ほど広中委員からも御指摘ありましたように、国立大学教育研究体制は必ずしも望ましいといいましょうか皆さんから歓迎される状況にないことにつきましては私どもも憂慮しておりまして、もちろん理工系学生の実習等におきます安全確保につきましてこれまで以上に徹底するよう各大学に求めたところでございますが、それとともに、教育研究体制の充実ということにつきまして、来年度予算を含めまして、今後予算の増額の確保でございますとか、全力を尽くして努力してまいりたいと思っているところでございます。
  66. 市川正一

    ○市川正一君 よく聞いておいてほしいんですが、前半のことはちょっと触れられた。後半は、今度の法改正でいいんですか、これで大丈夫ですかということを聞いているんですが、その点はどうですか。
  67. 工藤智規

    説明員工藤智規君) 残念なことに、特定高圧ガス指定があるかないかで必ずしもその関係者に、学生や教官も含めてでございますけれども、その危険の程度についての認識が十分でなかったという面はあるかもしれませんので、そういう意味で今回の改正によりまして高圧ガスの取り扱いについて各大学あるいは関係者を含めた周知徹底を図られるということは歓迎すべき方向ではないかと思っておるわけでございます。  また、これに伴いまして、これまでも既に指定されておりますがスの取り扱い、使用の適切の確保につきましては各大学にお願いしておるところでございますが、今回の改正に伴いまして、必要な事項につきましては万全を期して各大学指導してまいりたいと思っております。
  68. 市川正一

    ○市川正一君 最近の国立大学を含む国立の試験研究機関、その研究環境の実態は危機的状態だ。今、文部省も憂慮しておるというふうにおっしゃった。私はさっき、物理学的あるいはケミストリーのような原因じゃなしに、社会的、経済的原因が、何がとお聞きしたのはそこなんです。文部省はそのことを認められる。私は、今度の事故原因とその背景には、乏しい予算、狭い研究室、貧しい設備、そして少ない技官、こういう研究環境を軽視している文部行政の反映がそこにあると思うんです。そのために、若い研究者の今まで奪う結果に相なったと思うんです。  特殊材料ガスなどを使うのであれば、今歓迎すべきことだとおっしゃったけれども、だとすればそれにふさわしい設備や安全装置をつけること、また専門的な知識や経験を有する技官を配置するなど、万全の体制を整える必要があると思うんです。文部省は、研究者が安心して研究できるような環境を整備する責任と義務があると思うんですが、そういう研究体制を整備するとお約束できますか。
  69. 工藤智規

    説明員工藤智規君) 力が至りませんで、こういう窮状になっておるわけでございますが、これまでもサボってきたつもりではございませんで、私どもなりに努力したつもりでございます。ただ、力が及ばないところがございましたが、今後とも研究体制の充実につきましては一層の努力を続けたいと思っているわけでございます。  なお、その中で今市川委員の方から支援技術職員である技官等の専門家の確保ということにもお触れになったわけでございますが、私ども教育研究の円滑なる遂行のためには、教授、助教授等の教官、スタッフにすぐれた方をお迎えするとともに、教育研究を支える支援技術職員につきましても適切な方を配置することが必要だと考えているわけでございます。  ただ他方で、現在の定員事情等がございまして、政府全体としてできるだけ効率的で合理的な組織体制というのが求められている事情もございます。そういう中で、量的な面での定員の確保については、私どもだけではなくて、各省庁とも苦労をしているところでございます。そういう中にありながら、必ずしも十分ではございませんけれども、国立大学につきましては、できるだけの確保に努めてきたところでございますし、今後ともそういう努力を続けながら、かっ専門家の確保ということでございますので、それなりの資質のある方をお迎えし、かつ各大学におきまして毎年のように資質向上のための研修会なども行っているわけでございまして、そういう各大学の御努力をバックアップしながら、おっしゃるような教育研究条件の充実につきまして一層の努力を続けてまいりたいと思っております。
  70. 市川正一

    ○市川正一君 引き続いて注目をしておりますから、格段の御努力、御奮闘を期待しております。  次に、労働省に伺います。  私は、百二国会の本委員会で、先ほども申しましたが、半導体工場で使われる特殊材料ガスから労働者の安全と健康を守るためにこれらのガスを特化則で指定して、特定化学物質等障害予防規則でありますが、規制を強化することを要求いたしました。労働省は一九八五年度から二年がかりで実態調査や専門家の意見を聞いて対策を講じたいと答えられましたが、その研究の結果はいかが相なりましたか。
  71. 炭山隆

    説明員(炭山隆君) 御指摘シラン等の特殊材料ガスにつきましては、半導体製造工程において主に使用されておりまして、これらは労働安全衛生法の危険物の中の可燃性ガスとして規制しているところでございます。  また、半導体製造工程におきますシラン等の使用実態につきましては、ただいま御指摘のございましたように、昭和六十一年から二年間で調査研究を実施いたしました。その結果を取りまとめまして、昭和六十三年二月に半導体製造工程における安全衛生対策指針を策定いたしました。都道府県労働基準局長あて通達するとともに、半導体関係業界あて要請をいたしました。各種設備の要件であるとか、材料、容器の取り扱い作業、設備のメンテナンス、緊急時の対策、保護具、教育訓練について周知指導を行っているところでございます。  またなお、対策の充実を図るために、シラン等につきましては有害性、健康影響等につきまして引き続き調査を継続中でございまして、今後とも必要に応じまして対策を講じていく予定といたしております。
  72. 市川正一

    ○市川正一君 ここに会議録がありますが、当時の冨田説明員は結果がまとまりましたら報告するという約束をしておるんです。ところが、報告もしておらぬ、また公表もされておらぬのです。改めて確認いたしたいのですが、特殊材料ガスについて特化則で指定したのですかしていないのか、端的にお答え願いたい。指定したのですか。
  73. 炭山隆

    説明員(炭山隆君) 御指摘の特定化学物質等障害予防規則は、化学物質等によります労働者のがん、皮膚炎……
  74. 市川正一

    ○市川正一君 いや、指定したのかしていないのかということを聞いているんです。
  75. 炭山隆

    説明員(炭山隆君) 特化則に規制導入はいたしておりません。
  76. 市川正一

    ○市川正一君 研究はしたがその成果も報告しない、特化則で指定もしておらぬ、これでどうして安全が確保できるのですか。安全衛生対策指針をつくって通達を出したと今述べられましたが、じゃ伺います。これには強制力があるんですか。指針が守れない場合は法律に基づく罰則などがあるんですか。この点もあるのかないのかはっきり答えてください。
  77. 炭山隆

    説明員(炭山隆君) 先ほど申し上げました安全衛生対策指針は行政指導でございます。通達でございますので、強制力ないし罰則の伴うものではございません。
  78. 市川正一

    ○市川正一君 なぜ法的な裏づけのある規制にしないのですか。業界の自主性に任せていたのでは効果が上がらぬというのは、今回いみじくも通産省が法改正に踏み切ったことを見ても明らかです。私は、改めて法的規制要求いたします。労働省いかがですか。
  79. 炭山隆

    説明員(炭山隆君) 御指摘の特化則に規制するためには、私ども作業実態でありますとか今まで調査をしてきましたものを先ほどの通達としてまとめまして、都道府県労働基準局長、労働基準監督署を通じて指導をしているところでございます。  またさらに、今後の調査といたしまして、こういった種々の化学物質の有害性、長期毒性もございますし、亜慢性毒性というような観点もございます。そういった毒性、さらにはそれの個々の化学物質がどのような健康影響を及ぼすのかという点につきましても現在調査いたしまして、その調査がまとまり次第今後の対策を検討いたしたいと、かように考えております。
  80. 市川正一

    ○市川正一君 私は、重ねて法的規制要求いたします。  大臣にお伺いしますが、以上のようなやりとりをお聞きいただいて、今回の法改正では規制強化の部分とそれから規制緩和の部分が入り組んでいるんです。そうしますと、規制緩和の各項目について、通産省としては、大臣としては、安全上支障がないんだということを私はこの際根拠に基づいて確約をいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  81. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 私ども、御指摘のように、今回規制を強化する部分とそれから規制を緩和する部分と両方あわせまして高圧ガス法の改正をお願いしているわけでございます。特に、容器証明書の廃止あるいは輸入許可につきます合理化等も含めまして、合理化の部分がございます。これは先ほど大臣からも申し上げましたが二年間種々検討してまいりまして、安全性について十分確保し得るという範囲について合理化をお願いしておるということでございます。
  82. 市川正一

    ○市川正一君 大臣、今の御答弁でよろしゅうございましょうか。
  83. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 結構でございます。
  84. 市川正一

    ○市川正一君 時間が迫ってまいりましたので、最後に緊急する問題の一つとして、鉄スクラップ価格の暴落、電気炉メーカーの鉄スクラップ引き取り抑制等によって、鉄資源のリサイクルに重大な危機をもたらしている問題について質問いたしたいと思います。  今、各自治体や市民団体が回収した空き缶などの鉄くずが引き取ってもらえない、また処理料を負担しなければ引き取ってもらえないという、再生資源である空き缶やそういったぐいがごみ化しております。同時に、このために金属資源回収業者が転廃業などの危機にさらされて、事態はリサイクル自体が崩壊しかねないような深刻なものと相なっております。  大臣にぜひ所見を承りたいのでありますが、こういう事態を回収業者と電炉メーカーという当事者間の問題としてだけに放置するのじゃなしに、通産省が必要な対策をとって事態の打開を図る、そうしてリサイクルシステムを軌道に乗せてそれを確立していく、そういう方向に導くべきだと思うんですが、通産大臣の御所見を承りたいと思います。
  85. 坂本吉弘

    政府委員(坂本吉弘君) 鉄くずの市況の悪化につきましては、ただいま市川委員指摘のとおりでございまして、景気の後退局面に差しかかりまして需要が減退したという状況がございます。ただ、鉄くずにつきましては、従来から電炉メーカー、また一部ではございますけれども高炉メーカーにおいて利用されているところでございましで、端的に申し上げればいわば経済原則の中で処理がなされてきたというのが今日までの実情でございます。  ただ、今日のような情勢を迎えて、大変鉄くずの回収業者の方々もお困りであるという実態がございますし、もしこれが適切に引き取られない場合にはやはり都市の美観の問題、いわゆる廃棄物問題ということを引き起こしかねない、そういう認識を私どももいたしておるところでございまして、かねて電炉メーカー、さらに高炉メーカー、また回収業者という関係者に集まってもらいまして、先日、鉄源協会というところで新たに懇話会を開催していただいたところでございます。  これによりまして、もう少し多く鉄くずを引き取れないか、こういったことについて関係者間でさらに協議を進めようということにいたしたところでございまして、私どもといたしましてもそういった動き、運動につきましてこれを支援してまいりたい。また、空き缶につきましては、従来から大部分を地方公共団体のいわば回収事業というものに依存をしてきておりますので、これらについて、もし問題があれば地方団体とも相談をしてまいりたい。  全体として、委員指摘のような状況の中で、社会的な問題が惹起しないように努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  86. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 時間が来ていますので、簡単にお願いいたします。
  87. 市川正一

    ○市川正一君 最後ですが、私は、リサイクル法の所管大臣である通産大臣にぜひ御提言申し上げ、また決意を伺って質問を終わりたいと思うんです。  御承知のように、リサイクル法で例えば古紙、それからガラス、こういうものが特定業種として指定されております。私は、特定業種の中にこの鉄くずを含むということにいたしますと、高炉メーカーが自家発生の鉄くずだけでなしに、市中の鉄くずを原料として使用することによって過剰供給とかそういう問題も解決のめどがつくと思うんです。そして、高炉メーカーなど鉄鋼大企業がこういう国家的ないしは国民的課題である資源リサイクルに社会的責任を積極的に果たしていくということにも相なると思うんです。  私は、今坂本局長も申されたような、いわばごみ化する事態を防ぐためにも、また貴重な国家的資源をリサイクルに乗せていくためにも非常に緊急に求められていると思うんです。そうでなければ、結局リサイクル法が骨抜きになってしまう、そういう状況にも相なっていると思うので、事態打開のために渡部通産大臣の決意を、お久しぶりでございますが、一言賜って、私の質問を終わりたいと思います。
  88. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 限られた資源の中で、私どもは豊かな生活をさらにとわにこれは進めていかなければならないのですから、資源を大事にするということは非常に大事なことであります。また今日、環境保全、これも価値観が変わってまいりまして、昔はごみのようなことだというような一番小さな問題だったんですが、今やごみの話が一番大きな問題だ、こういうようなことで、この環境保全、これは極めて重要な問題で、これを調和させていくというところに今のリサイクル問題もあるわけでありますけれども、ただいまの御質問のことに対しての具体的な答弁は差し控えさせていただきます。
  89. 古川太三郎

    古川太三郎君 古川ですが、今までのお話を聞いておりますと、この改正法案が通ったとしても、先ほどの大阪大学事故が本当になくならないんじゃないかというような疑問もないではないんです。この法案が通れば、大阪大学のような事故が本当になくなってしまうんだろうかという疑問にもう一度答えていただきたいと思うんです。
  90. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 今回の改正によりまして、特殊材料ガス消費する者に届け出義務を課すということにしておるわけでございますけれども、これと同時に消費施設技術基準の維持義務あるいは保安教育の実施義務あるいは取扱主任者の選任義務さらには定期自主検査の実施義務、こういうものが課せられることになるわけでございます。  これらの措置によりまして、事業者保安確保上必要な消費施設を用いることが義務づけられますし、また定期自主検査の実施も義務づけられるということで施設が安全に維持されることになると私どもは期待するわけでございます。また同時に、取扱主任者の選任あるいは従業者に対します保安教育が義務づけられることによりまして、保安上必要な知識を持つ者がこういう施設を取り扱うことになるということになります。  さらに、これらに加えまして、都道府県への届け出義務を付するといいますことは、都道府県事業者技術基準遵守状況とか定期自主検査の実施状況でありますとかあるいは保安教育の実施状況等につきまして立入検査ができるということになりますので、それによりまして実態を的確に把握し、所要の指導も行うことができるようになるというようなことでございます。  以上のような法改正によりまして、大阪大学で発生いたしましたような事故再発防止に必要不可欠な法的措置が講じられるものというふうに私どもは考えておりまして、今後は本措置徹底に努めて災害再発防止に万全の努力をしてまいりたいと考えております。
  91. 古川太三郎

    古川太三郎君 保安検査指定保安検査機関に委託するような部分がございますけれども、これは一種の規制の緩和なんですか。それと、こういった第三者に委託することによって行政機関としての役目が間違って行われないか。具体的に申しますと、その検査機関の中立性とかあるいは公正、こういったものに不安がないのかどうか、お答え願いたいと思います。
  92. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 私ども、今回指定保安検査機関制度導入いたします背景には、技術の進歩その他によりまして検査が定型的になってきたというものもございますので、そういうものに対しまして特に行政的な判断を必要としないというものに関してこういう機関を利用していきたいというふうに考えておるのでございます。実際の指定につきましては、私どもの頭にありますのは公益法人のうちさらに通商産業省令で定めます検査員でありますとかあるいは検査設備等を有している者を選定することにしておりまして、このことによってまず検査能力について十分な担保をしていきたいというふうに考えております。  さらに加えまして、検査員に対しましては、公務員と同様の守秘義務、こういうものを課すことによりまして中立性を担保するということを考えておりまして、これらの規定によりまして指定保安検査機関保安検査が中立な立場で的確に実施されることが期待されておるわけでございます。
  93. 古川太三郎

    古川太三郎君 もし、今までのようにこういうガスの扱いがそういう定型的なものであって行政的な判断とかそういったものが要らないんだとすれば、むしろ今度は自主検査義務とかいうような形でそういうものを扱う方が徹底して、保安対策の義務を持っているんですから、初めから外してしまったっていいんじゃないかと思う場合もあるんですが、その点はどうですか。
  94. 鈴木英夫

    政府委員鈴木英夫君) 私ども保安の要請は、やはり高圧ガスを製造いたします製造者でありますとか、あるいはそこに働いておられる従業員の方、そういう方々が基本的に保安に対する意識をしっかりと持っていただく、いわゆる自主保安体制の確立ということが非常に大事であろうと思っております。したがいまして、私どもはこの自主保安体制の確立のためには、そういう企業の保安に対する意欲というものをなるべく促進するといいますか、奨励、エンカレッジするようなことを考えていくことが大事ではないかというふうに考えております。その中で、やはり最低限必要なものは規制をする、あるいは自主保安にゆだねてよいようなものは規制を合理化していくというような形でこの保安確保に努めていくのが最もよい道ではないかというふうに考えている次第でございます。
  95. 古川太三郎

    古川太三郎君 こういった規制というのは、広い意味にとって自由を拘束したりあるいは取引をゆがめたりするような危険性もございます。しかし、そうかといって、こういう危険なものを扱う場合には確かに規制も必要だと、このように思うんです。本当にもう要らないものであれば、しかも定型的なものであれば、これはもう検査ではなくて私は外してしまってもいいと思うんですけれども。  というのは、こういう第三者機関での検査をされるのはこのガスだけじゃございません。建築なんかでももう幾つものそういうどこから検査に来るのかわからないようなのがたくさんあるわけなんですね。そういった人たちは、今までそういう業務に携わってきた人たちのまるで退職後の内職みたいな形で、まず名目だけを検査、するのかしないのかわかりませんけれども、名前だけをかしていてそのままになっているとかいうようななおざりのケースも間々見ております。それで、業者の人も非常に迷惑をしている部分もたくさんあるわけなんです。  しかし、これはガスですから非常に危険なものですから私はそういう意味では必要かと思うんですけれども、安易にもう要らないものまでも残しておいて、そして第三者機関に定型的なものを検査させる、これで行政は済んだんだ、責任から逃れられるんだというようなものであってはならないと、こう思いますので、その点だけはよく注意して今後の方針を考えていただきたいと、こう思います。  そういう意味で、大臣に、保安対策の充実と強化についての決意をお聞きしたいと思います。
  96. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) 私、いつも考えているんですけれども、人の命は地球よりも重い、これが政治や行政に携わる者の原点でありますから、まさに保安対策の重要性は言うまでもないことであって、我々の制度やそういうもののそれが進まないために人の命に万が一のことがあってはならない、これが今回この法案提出を早めた理由でございます。
  97. 古川太三郎

    古川太三郎君 最後に、関連するかどうかは知りませんけれども、私は関連すると思うんですが、日本はもう本当に大きな製品大国になりました。それも全世界に輸出するような輸出大国にもなりました。とにかく工業大国であることは間違いございません。  それだけに、PL法、製造物責任法ですね、これはもう前からその必要性が叫ばれております。アメリカはもちろんのことですが、もうEC諸国もそういった基準で非常に努力しまして、もうほとんどの国々が、工業国というところであれば全部が全部私はPL法を持っていると思うんです。そういう意味から、日本はまだそれができていない。そして、何だかんだと言ってその成立をおくらせているような風潮も見られかねない。これは、やっぱり自本の大きな責任でありますし、日本が工業大国としてリードしていくという意味でも、ぜひともPL法の早期制定が必要だと思うんですが、大臣の任期中にぜひともつくっていただきたいと思うので、その決意をお聞きしまして終わりたいと思います。
  98. 渡部恒三

    国務大臣渡部恒三君) まことに難しい御質問で、製造物責任制度については、これは今委員指摘のように、消費者保護の充実に資するものである、こう考えておりますが、一方、その影響する大きさ、検討に当たってはいろいろ考えなければなりません。今アメリカの話がありましたが、アメリカにおいてはこの制度の行き過ぎの反省などもございます。中小企業や下請企業、あるいは流通業者等に与える影響を含め、社会経済活動等への影響なども十分考えていかなければなりません。  したがって、通産省としては、まず製品事故と被害救済の実態を十分に把握するとともに、製造物責任制度にかかわる課題を総合的な観点から十分検討していくことがまず必要であり、その上に立って、今のような問題、国民的コンセンサスが得られることによって対処してまいりたいと思っております。
  99. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  高圧ガス取締法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  100. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  102. 岩本政光

    委員長岩本政光君) これより請願の審査を行います。  第二二号中小企業政策の充実に関する請願を議題といたします。  本請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。  以上、理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  104. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  107. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  109. 岩本政光

    委員長岩本政光君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、橋本孝一郎君が委員辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。     ―――――――――――――
  110. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に井上計君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会      ―――――・―――――