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1991-11-20 第122回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月二十日(水曜日)    午前十時六分開会      ―――――――――――――    委員氏名     会 長         田  英夫君     理 事         合馬  敬君     理 事         田沢 智治君     理 事         深田  肇君     理 事         白浜 一良君     理 事         高崎 裕子君     理 事         古川太三郎君     理 事         足立 良平君                 大木  浩君                 狩野 明男君                 川原新次郎君                 鈴木 省吾君                 田辺 哲夫君                 平野  清君                 藤井 孝男君                 星野 朋市君                 向山 一人君                 村上 正邦君                 大渕 絹子君                 北村 哲男君                 庄司  中君                 対馬 孝且君                 福間 知之君                 針生 雄吉君                 神谷信之助君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり     会 長         田  英夫君     理 事                 合馬  敬君                 田沢 智治君                 深田  肇君                 白浜 一良君                 高崎 裕子君                 古川大三郎君                 足立 良平君     委 員                 大木  浩君                 平野  清君                 藤井 孝男君                 星野 朋市君                 向山 一人君                 大渕 絹子君                 北村 哲男君                 庄司  中君                 対馬 孝且君                 福間 知之君                 針生 雄吉君                 神谷信之助君    政府委員        通商産業大臣官        房商務流通審議  麻生  渡君        官        通商産業大臣官  中田 哲雄君        房審議官        通商産業省貿易  高島  章君        局長        工業技術院長   石原 舜三君        資源エネルギー  山本 貞一君        庁長官        資源エネルギー        庁長官官房審議  末広 恵雄君        官        中小企業庁指導  春田 尚悳君        部長        中小企業庁小規  石黒 正大君        模企業部長    事務局側        第三特別調査室  大平 芳弘君        長    説明員        環境庁地球環境        部環境保全対策  柳下 正治君        課長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件産業資源エネルギーに関する調査  (我が国流通の将来展望に関する件)  (我が国エネルギー需要の将来展望に関する  件)  (我が国の新エネルギーの将来展望に関する件  )     ―――――――――――――
  2. 田英夫

    会長田英夫君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、我が国流通の将来展望に関する件について政府から説明を聴取いたします。麻生通商産業省大臣官房商務流通審議官
  3. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 我が国流通の将来展望について御報告申し上げます。  まず第一に、最近の流通をめぐる環境変化でございますが、これが急速な勢いで進んでおります。第一の変化消費者ニーズ多様化でございます。その背景には、ゆとりと豊かさへの志向、あるいは人口高齢化、あるいは価値観変化というようなものが進んでいるわけでございます。  また第二番目には、国際化も進んでおります。これは海外からの商品がどんどん入ってくるようになってきた、あるいは国際交流ということに対する意識が非常に高まっておるというようなことを背景にいたしております。  さらに第三番目には、情報化というものが進んでおるわけでございます。コンピューターが非常に普及してまいりまして、POSシステムのようなものに見られますように情報ネットワークが非常に高度に発達しておる、これが流通産業のあり方も変えてきたということでございます。  このような変化のもとで、我が国流通産業課題でございますが、一つは、何といいましても、豊かな消費生活を実現するということで、多様化するニーズに適応するということが役割でございます。  二番目に、世界各地から多様な商品を調達いたしまして、輸入拡大に貢献しながら消費者ニーズにこたえていくということでございます。  また三番目におきましては、地域社会におきまして、商店というのは単に経済活動のみならず文化あるいは情報提供者といたしまして活力のある地域社会の建設に貢献すること、このような役割が期待されておるわけでございます。  さらに、二十一世紀に向けました我が国流通産業課題でございますけれども、第一には、流通システムをもっと合理化効率化するということを通じまして消費者ニーズにこたえていくということが第一でございます。  二ページ目でございますが、その際におきまして、特に中小小売業活性化ということも非常に重要であると考えております。消費者ニーズ多様化し、あるいは交通体系変化する中におきまして、特に零細店におきましてはこれにどう対応するかということで困難に当面いたしております。このような中で、意欲のある中小小売店活性化を図るということでございます。  さらに三番目に、消費者利便向上、これは本来の流通課題でございますけれども、特に多様な店舗展開あるいはサービス提供ということを通じまして消費者利便向上に資するということでございます。  さらに、情報化は今後ともどんどん進んでいくと考えられるものですから、これをうまく採用しながら流通機構の一層の効率化を図るということでございます。  さらに五番目に、近年非常に問題になっており ますのは物流の問題でございまして、物流のコストが増大いたしておりますし、また環境問題などの問題が顕在化しておるということでございますから、この物流高度化合理化を図るということでございます。  六番目に、輸入拡大ということは諸外国とのいろんな調整をしていく上におきましても非常に重要な課題でございますが、このための施策を講じていきまして輸入拡大の貢献を果たしていくということでございます。  このような点があるわけでございますが、御高承のとおり、昨年六月、日米の構造問題につきまして長い激しい協議が進められました結果、報告がまとめられております。その中でいわゆる流通問題が非常に大きな議論の的になったわけでございますが、大店舗法の問題につきましては、消費者の利益あるいは手続迅速性明確性というようなことを配慮いたしながら、第一に運用適正化措置を的確に行う、それから法律改正を行いまして手続迅速化を確定していく、さらに二年後に見直しを行うという方向での規制緩和措置を講。ずるということになっております。  さらに、商慣行の問題につきましても、簡素化明確化透明化を図っていくという内容になっておるわけでございます  三ページ目でございますが、このような流通課題あるいは日米構造協議の結果を踏まえまして、現在通産省の方では次のような政策対策実施中でございます。  第一は、大店舗法出店調整の問題でございます。既に昨年五月から運用適正化措置実施中でございますけれども、さらにさき通常国会で大店舗法改正されたわけでございますが、その実際の施行に向けて現在準備を進めておるということでございます。  主たるポイントは、現在の商調協による調整から大店審による調整を充実させるということ。あるいは出店調整期間、一年半ぐらいにというふうになっておりますが、これを一年に短縮してやっていこう、迅速化を図ろうということ。さらに、地方の独自規制につきましても、行き過ぎたものの是正を図っていこうということでございます。  商慣行の問題につきましては、リベート、返品その他の慣行につきまして改善指針を昨年六月に策定いたしまして公表いたしました。これに基づきまして、民間側におきまして改善の取り組みを促しておるところでございます。現在、五業種につきまして具体的な作業が進められております。  さらに、中小小売店の問題でございますが、魅力のある商店街あるいは商業集積づくりということが非常に重要でございまして、特にさき通常国会では特定商業集積整備促進のための法律などもできております。このような法律に基づきまして、鋭意活力のある新しい商業集積づくりに従事しておるということでございます。  四ページ目でございますが、さらに情報化の問題でございます。情報化はいろいろ進んでまいりますが、特に中小企業におきましてこれが円滑に進んでいくということが重要でございます。この意味で、中小企業における情報化の推進のために。予算的な支援あるいは技術的な支援ということを充実してまいりたいということでございます。  総合的な物流対策、これにつきましても非常に緊急な問題になっておりますものですから、現在産業構造審議会中小企業政策審議会合同でどのような対策を講じていくべきか鋭意御審議を願っておる際でございますが、この結果に基づきまして具体的な政策を早急に展開してまいりたいと考えておるわけでございます。  最後に、輸入品の問題でございますが、さきの大店舗法改正と並行いたしまして、輸入品専門売り場につきましては一千平米まで大店舗法調整対象外にするということになったわけでございます。これに基づきまして輸入の一層の促進あるいは製品の多様化を図っていこうということでございます。このような制度の運用につきましても、その的確な運用に努めてまいりますとともに、さらに広く輸入品フェアなどを一般商店街にも行っていくというような施策も講じてまいりたいと考えておる次第でございます。  このような施策を通じまして、本来の流通産業に期待されております役割の実現を図ってまいりたいと考えている次第でございます。  以上でございます。
  4. 田英夫

    会長田英夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 北村哲男

    北村哲男君 日本社会党護憲共同北村でございますが、質問をしていきたいと存じます。  我が国流通の将来展望について議論する場合にまず必要なことは、消費者ニーズが今後どのように変化するかということであろうと思います。と申しますのも、我が国流通構造消費者ニーズ変化に適応してさまざまな流通業態が登場すると考えられているからであります。  まず、幾つかの点について質問しますけれども、一つ消費者ニーズ変化小売業の態様という観点であります。今後我が国経済あるいは社会構造国民所得水準向上とか人口高齢化あるいは労働時間の短縮、さらに女性社会進出等の中で大きく変化していくことが考えられます。このような中で、まず一つは、消費者ニーズはどのように変化すると予想されるのかという質問であります。  さらにまた、消費者ニーズ変化の結果、一どのような業態小売業展開されると思われるのであろうか。補足しますと、どのような業態小売業がと申しますと、具体的なこういう小売業というふうな言い方は恐らくできないと思いますので、総合生活提案を行う業態とか、あるいは低価格販売志向する業態とか、あるいは専門性を追求する業態とかということが幾つかの報告書にも出ておりますので、そのような観点からの具体的な指摘についての御意見というかお考えをお伺いしたいと存じます。
  6. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 今委員指摘になりましたように、高齢化とかあるいは労働時間の短縮女性の社会的な進出ということ、さらにはゆとりあるいは豊かさへの志向が高まっておるということによりまして非常に消費者ニーズは変わっていくと考えております。当然、消費でございますからいいものを安く買いたいということは基本でございますけれども、その買い方も楽しく買いたいとか、あるいは清潔に買いたいとか、あるいは他のサービスと一体として買いたいとか、あるいは非常に忙しいというようなことがございまして時間を節約しながら買いたいというような需要がふえてまいるというふうに考えております。  このようなニーズ変化に対応いたしまして、業態としてどのようなものになってくるかということでございますが、一つはやはり御指摘のございましたように専門店化ということであろうと思います。特に、非常に交通的に便利なところで多様な品ぞろえのある専門店で買いたい、選択をしたいということでございまして、最近は郊外型の専門店が非常にふえておりますけれども、このような傾向は今後とも続くのではないかと思います。  またもう一つは、非常に伸びが著しいのは通信販売でございますが、非常に印刷技術が進歩いたしまして、品質の表示の仕方も発達をしてきたというようなことでございまして、このような形で物を買うということもふえてまいろうと思います。  さらに、いろんな流通関係情報をうまく小売側で組織化いたしまして、売れ筋情報をうまく使いながら商品展開をしていくという意味では、やはりチェーン化というものが進んでいくということではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  7. 北村哲男

    北村哲男君 通産省が出しておられます九〇年代の流通ビジョンという冊子がございますけれども、それによりますと、高齢化社会の進展によって中高年消費者層が一層増加すると言っておられます。その中で一般小売業は今後とも重要な役割を果たすことが期待されております。しかしながら、小売業店舗数推移を見ますと年々減少しておりまして、中でも従業員数が一、二名の小規模店昭和五十七年から六十三年までの六年間に十七万店舗減少しております。さらに、今後の見通しについては、小売業全体で二〇〇〇年には一九八五年時点に比べで三十万の店舗減少が予想をされておるという記載がございます。そこで、まず小売業店舗の中で、特に小規模の小売業は今後どのように減少するか、その見通しについてお伺いしたいと存じます。
  8. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) お答え申し上げます。  小規模小売業が今後どうなるかという御質問でございますけれども、先生今おっしゃいましたとおり、中小小売店商店店舗数推移は、昭和五十年代の後半まで着実に増加をいたしましたが、昭和五十七年の百七十一万店をピークに、その後減少に転じておりまして、昭和六十三年にはそれが百六十一万店ということになっております。特に従業員二人以下の小売店減少が著しゅうございまして、昭和六十三年には八十七万店ということで、五十七年の百四万店であったのに対しまして十六万店ほど減少をしているということでございます。  この理由背景でございますが、若干補足させていただきますと、零細な小売商店減少理由転廃業増加ということになるわけでございますが、その背景には消費者ニーズ変化とか立地条件変化とかに十分対応できないことによる業績不振、あるいは経営者高齢化、あるいは後継者不足労働者不足等の要因があるというふうに考えられております。  この傾向が今後どのように続くのか、そのあたりについて具体的に幾らであるという確たる見通しは非常に困難でございますけれども、中小小売業者消費者ニーズ多様化高級化等経済的、社会的な構造変化大店法に関する新しい措置、そういった厳しい環境変化に直面しているというふうに考えております。したがいまして、我々といたしましては、こうした厳しい状況下にある中小小売商業者意欲を持って対応したいという小売商業者支援するための対策を種々講じて積極的に推進しているところでございます。
  9. 北村哲男

    北村哲男君 従来の我が国小売構造は、店舗密度が非常に高くて零細な店が多数存在するということが一つの特徴であったというふうに言われております。その傾向が近年の流通構造変化によって今のようにどんどん減っているという状況があるようなんですが、このような小規模な小売店減少していった場合に、他面、高齢化社会を迎えまして中高年齢消費者層がかなりの消費者層を構成していくと思うんですけれども、そのようなものに対してどのような影響を与えるのかという観点からの御説明をいただきたいと存じます。
  10. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) 商店街あるいは中小小売店、これは御案内のとおり、消費者あるいは生活者に対しまして身近で容易に接近できる買い物の場を提供するという重要な役割を従来担ってきております。今後御指摘のような高齢化社会を迎える中で、行動半径の狭い高齢者が容易に接近できる買い物の場の確保の必要性ということもこれから高まってくるというふうに考えておりまして、その点は昨年十二月の産構審あるいは中政審流通小委員会中間答申の中でも指摘をされているところでございます。  通産省といたしましても、そういう事情を踏まえまして、魅力ある商店街商業集積づくりのための総合的対策という中でこれに対応してまいりたいというふうに考えております。
  11. 北村哲男

    北村哲男君 先ほどちょっと触れられたんですけれども、小規模の小売業減少している理由として幾つかの理由を挙げられました。こういうものに対して鋭意対策をとっていくというお話ですけれども、具体的にどういうふうな対策通産省としてはとっておられるのかということについて、もう少し詳しく御説明を願いたいと存じます。
  12. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) 対策具体的中身についての御質問でございますが、こういうある意味じゃ激変、激動する環境変化の中で、中小小売商業者意欲を持って前向きに対応しようというのに対する対策といたしまして、平成三年度におきましては、我々は総合的対策と称しておりますけれども、魅力ある商店街商業集積づくりのための総合対策といたしまして、商店街活性化のための計画策定あるいはコミュニティーホール等商業基盤施設整備、それだけにとどまりませんで、個店対策と申しますか、個々の店舗体質強化策といった幅広い支援策を講じているところでございます。
  13. 北村哲男

    北村哲男君 ちょっと観点を変えますけれども、小規模小売業商店街を構成している場合に、近年転廃業が非常に多くなっておるという傾向があるようですが、特に都会の中心地なんかでその跡地に貸しビルなどが建設されたり、または閉店したままの店舗が放置されて駐車場になったりといういわゆる歯抜け状態となっている商業集積地があるようなんです。東京で言えば神田地区とかさまざまなところがあるようですけれども、そういうことで既成の商業集積地に対してこれまで行ってきた近代化投資がむだになっているということも指摘されておりますし、そういうことを含めて、この歯抜け状態改善するためにどのようなことをお考えになっておるのかということについて御説明をいただきたいと存じます。
  14. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) 商店街を構成いたします商店が移転または廃業した場合に、土地や家屋がそのまま放置されたり商店街以外に使用されますと、いわゆる空き店舗が発生いたしまして商店街がいわば歯抜け状態という状況になりまして、せっかくの商店街の町並みを損なう、せっかくの商業集積度を低下させるということで、全体といたしまして商店街魅力低下という結果につながるということは御指摘のとおりでございます。  この歯抜け状態といいますか、空き店舗実態というのを若干御説明させていただきますと、昨年の十月に全国商店街でどんな空き店舗状態になっているのかというのを調査いたしましたところ、空き店舗ありというふうに回答してきたところが八割あると言われております。それから、ことしの七月に発表いたしました商店街実態調査というものによりますと、その中でいろんな問題点というのを列挙してもらっているんですけれども、その中で商店街の歯抜け現象が進行しているということを当面の問題点として挙げているケースが二割、二〇・七%というような実態でございまして、空き店舗対策ということの必要性が言われるわけでございます。  私どもといたしましては、今年度は空き店舗を円滑に商店街活性化に活用するための措置というのを幾つか用意させていただいております。具体的には、第三セクターである街づくり会社とか商店街組合といったものが空き店舗を買い上げまして他の出店希望者譲渡をするという事業中小企業事業団の高度化融資対象に加えるという方策をとりましたほか、その街づくり会社組合商業基盤施設整備に必要な土地譲渡を受けた場合には、譲渡した者に対しまして千五百万円の所得控除を認めるという税制改正実施をしているところでございます。こういう措置を活用いたしまして空き店舗対策に引き続き意を尽くしてまいりたいと思います。
  15. 北村哲男

    北村哲男君 別の質問に移りますけれども、いわゆる大店法の問題についてお伺いしたいと存じます。  大店法、正確には大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律の一部を改正する法律というのが先々国会の百二十回国会で成立しました。我が日本社会党は、この改正案に対しては、これ以上の規制緩和商店街あるいは中小零細小売業に致命的な影響を及ぼす等の理由で反対の立場をとっております。なお、この改正大店法施行は来年一月になる予定のようであります。したがってこの法改正による影響を議論することはまだ時期尚早ということはあると思いますけれども、昨年五月に通産省大店法運用適正化措置実施して以来、今日までの大店舗出店数状況についての説明を伺いたいと存じます。
  16. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 今御指摘がございましたように、大店舗法運用適正化措置を昨年の五月末以来とっております。その後の状況でございますが、昨年の五月からことしの九月末現在、一年四カ月間におきます新たな出店表明の件数は合計千七百八十一件ございました。内訳を見ますと、いわゆる第一種、これは千五百平米以上の大きな店舗でございますが、これが七百六十二件、それから第二種、五百平米以上千五百平米以下のものでございますけれども、これが千十九件であったわけでございます。月別の推移を見てまいりますと、適正化措置を行いました直後の昨年の六月から昨年の八月にかけましての出店表明は非常に大幅な増加が見られたわけでございますけれども、その後は逐次落ちついたものになってまいっておりまして、ことしの秋、ここ三、四カ月は非常に落ちついてまいっておりまして、第一種の大型案件につきましては大体三十件台で推移をしておるというような状況でございます。
  17. 北村哲男

    北村哲男君 大店法規制を緩めて、許可手続簡素化して大型店進出を容易にするということは、外国からの商業資本進出に道を開くことになるかもしれませんけれども、同時に大型スーパーや百貨店の進出及び規模の拡大を促すことになると思います。そのことは小売業間の競争を通じて消費者により広い選択の場を与える等のメリットがあるとも考えます。しかしながら、大型店進出を別の側面から見ると次のような問題が考えられると思います。  第一に、大型店の出店のためには駐車場も含めて広大な土地を必要とするところから、町の中心地から離れた郊外に立地することになることもあると思います。そして、その大型店が相当の顧客を吸収する場合には、人の流れが変わり町の中心部はかえって寂れてしまう、そして取り残されるということにもなりかねないということも考えられるわけです。そのことは地域社会の均衡のとれた町づくりにも大きな影響を及ぼすために、大型店の出店は地域の地域計画と十分調和のとれた出店が行われることが望ましいと思われます。  大型店の出店と地域社会の調和のとれた町づくりについてどのようなビジョンを持っておられるのか、そしてどのような対策をとっておられるのかということについてお伺いしたいと存じます。
  18. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 大型店が出店をいたしますと、その町におきます商業集積のバランスが非常に変わりまして、その結果、従来の町の中心地が寂れるとか新しい中心地が出現するというようなことは当然起こってまいるわけであります。その意味大型店の出店というのは、その町におきます将来の町づくりとの関係は非常に深いわけでございまして、その町づくりと大型店の出店との関係あるいは均衡をどうするかということは非常に重要な点であるというふうに認識をいたしております。  このような認識のもとに、現在、来年から施行いたします改正店舗法運用でどういうふうにすべきかということを大店番総会などでいろいろ議論をいただいておるところでございますが、その運用におきまして、町づくりという観点につきましても配慮するという視点を設けようということでございまして、そのために具体的に市町村の意見も聞く機会を設けていくというような手続も想定いたしておるわけでございます。  このような大店舗法調整手続に加えまして、もっと積極的に既存の商業集積あるいは既存の小売店活性化ということも並行して図っていく必要があるというふうに考えておりまして、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、さき通常国会で成立いたしました特定商業集積法、これがまさに従来の商店街活性化、あるいは新たに核店舗が参りまして、そして地元の商店街と一緒に出店をするという形で共存共栄を図っていくという場合もあるわけでございますが、そのような二つのパターンを想定いたしまして積極的にその活性化を図っていこうということでございます。現在この法律に基づきまして具体的にプロジェクトの検討を進めておるという段階でございます。
  19. 北村哲男

    北村哲男君 次に、日米構造協議との関連でお伺いしたいと思いますが、先ほどの報告書の中に商慣行改善という点が指摘されております。    〔会長退席、理事田沢智治君着席〕 その報告書によりますと、「我が国商慣行について、透明性の確保、経営合理化阻害要因の除去、国際的観点からの配慮という基本的な考え方のもとに、リベート、返品、建値等の幅広い商慣行について改善の方向」云々という指摘がございますが、この商慣行改善、もう少し具体的に、どのような状態をどのように改善するというふうな指針を出し、そしてそれはどのような効果を現在あらわしているのか。また、まだであればどのようにあらわそうとしているのか、どういうふうに期待しておられるのか、この点についての御説明を伺いたいと存じます。
  20. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 昨年の六月に商慣行改善の指針を出したわけでございますが、その際の基本的な考え方でございますけれども、これについては大きく三点重視をいたしました。    〔理事田沢智治君退席、会長着席〕  第一点は、これは外国からいろいろ批判をされておるところではございますが、やはりわかりやすいという意味で透明性を確保しようということでございます。第二番目は、経営の合理化あるいは効率化というものを阻害しないように、あるいは阻害するという要素を除くという点でございます。それから第三番目は、やはり国際的な商慣行とできるだけ整合性のあるようなものに持っていこうというような観点からこの改善指針を検討いたしまして公表いたしたわけでございます。  リベート、返品あるいは希望小売価格、派遣店員の問題、あるいは契約取引関係、流通系列等々にわたる問題について指針を出しております。  例えば、一つ事例を申しますと、リベートの場合にはどのような場合にリベートを払うのか、その基準を明確化するということ。あるいはその体系も非常に複雑なものもございますから、その簡素化をやるということ。あるいはむしろリベートではなくて割引というものとの関係をもっと明確にするというようなことを中心に改善指針を出しておるということでございます。  このような指針が先ほど申しました各項目ごとに出されておるわけでございますが、これに基づきまして、現在非常に問題がある、あるいは国民生活に非常に密着しておるという点で、自動車産業、家電、アパレル、化粧品、合成洗剤、このような五業種におきまして業界ごとに商慣行改善の懇談会をつくりまして、この指針に基づきましておのおのの業界でどう具体的にやっていくかという話し合いをしております。話し合いの結果に基づきまして具体的に一部の業界では報告書を取りまとめて実施に移しつつあるという状況でございます。
  21. 北村哲男

    北村哲男君 外国のことはよくわからないんですけれども、リベートなんかは外国でも同じようにあるというふうに聞いておりますけれども、どの辺が違うのか。特に日本は透明性がない、あるいは何々がないというふうに言われているリベートあるいは返品、建て値、そういうものは外国の商習慣にはないものなんですか。あるいは、あるけれどもこの辺がおかしいんだというふうなことはあるんですか。簡単で結構ですけれどもその辺をちょっとわかりやすく。
  22. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) リベートあるいは返品というのは外国にも決してない習慣ではないわけでございます。ただ日本の場合によく言われますのは、一番の問題は、非常に種類がたくさんございまして、こういうリベート、ああいうリベート、たくさんございまして非常に体系が複雑であるということが第一でございます。また、どういう場合に本当にリベートとして返ってくるのかどうかというような基準も非常にあいまいであるとか、あるいは特別リベートがあるとかいうようなことでございますから、確かに外国にもありますけれども、もっとわかりやすいものにしなければ外国なんかが参入してくる場合になかなか理解を得られないということでございます。  返品も同じような問題でございまして、返品の条件というのもやはり日本の場合には非常に複雑であるということでございます。
  23. 北村哲男

    北村哲男君 同じ報告書の中にPOSシステムということがしばしば出てまいります。よく私どもも商店街商品を買ったときに、何というんですか、バーコードシステム商品を売ったり買ったり管理したりするシステムだと思うんですけれども、後ろに出されておるグラフを見ますと、これを採用している数が昭和六十二年から平成三年まで一万一千から九万二千店に急速に伸びておりますですね。しかも、台数を見ますと平成三年で二十四万五千台というふうになっております。こういうシステムを採用しているのは恐らく小規模じゃないいわゆる中規模以上の商店だと思いますけれども、全体で見ると大体七十五万店ぐらいある中規模あるいは大規模店の十数%に及ぶわけです。  今後このPOSシステムを採用するについて、これはどんどん伸びていくだろうという予想はされるんですけれども、その条件整備のためにはどのようなことが必要なのか。あるいはこれは大中の商店には適用はされやすいと思うんですけれども、そうなると小規模零細商店とそれから大きい店との効率化においての差がますます広がっていくと思うんです。それを特に中小に採用していくための条件はどのようなものを考えておられるのか、そしてそれをすべきであると考えた方がいいのか、もうそういうことは零細は関係ないと考えるのか、そういうことについての考え方、あるいはこれからの見通し、それから対策、どういうふうに対応していけばいいのかということについてのお考えを聞きたいと思います。
  24. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) このPOSシステムでございますけれども、これは一番初めは量販店から。普及をいたしまして、それからコンビニエンスストアにずっと普及をしていきまして、さらに一般中小小売店舗にもだんだん普及するという傾向が見えています。  これがなぜ普及したかということでございますが、これは例のバーコードを読み取りまして、幾らのどういう商品がきょう幾つ売れたかということがその場でどんどん電子的に処理をされていくということでございますから、在庫管理はもちろん、売れ筋商品は何かということ、あるいはその結果のいろんな財務的な処理、あるいは仕入れというようなものにつきまして非常に迅速に基礎的なデータが得られるということでございます。その結果、いろんな形でのコストの低減にも役立っていくということでございますものですから、採用がどんどん進んできたということでございます。  これが一般中小小売店において採用されるべきかどうかということでございますが、これは私どもはやはり採用されていかざるを得ないんではないかというふうに見ております。と申しますのは、このシステムによりまして得られますメリットというのはやはり大きいわけでございまして、これによっていろんな形の合理化あるいは在庫管。理等を含めました省力化もできていくということでございますから、やはりこれが必要になってくるということでございます。ただ、中小の場合におきましては、何といいましても一つは技術的な能力ということ、特に人的な能力ということで、その支援がなければなかなかうまくやれないということもございます。それからもう一つは、資金的な問題につきましてももちろん大変でございますから、その支援が必要でございます。  また、このようなシステムは一店だけでは、例えば全体として今マーケットで何が売れておるのかということが大きな店ではわかりますが、小さな店ではわかりませんから、そのような小さな店が集まりまして全体としての傾向が読めるような情報のいわば共通化というようなことも必要になってくる、そういう意味でのお互いの協力というようなことも必要になってくる、それに対するいろんな指導、支援ということも必要であろうと思っているわけでございます。  このようなことにつきましては、金融面につきましては中小企業のいろんな商工金融制度を使って支援いたしておりますし、また技術の問題につきましては中小企業地域情報センターにおきましていろんな技術的なアドバイスあるいは支援を行っているという状況でございますが、このような対策を鋭意今後とも強化していきたいと考えておるわけでございます。
  25. 北村哲男

    北村哲男君 終わります。
  26. 合馬敬

    合馬敬君 先ほど麻生審議官から、我が国における流通の将来展望について簡にして要を得た御説明をお伺いいたしまして、大変感心いたしました。経済の発展とともに流通の果たす役割というのはますます増大しておるわけでございますが、これからの日本は単に経済大国としてだけでなく、国民が生活の豊かさが実感できる、ひとしく消費生活向上の恩恵が受けられるような生活大国の実現を目指すべきであると考えておる次第でございます。  そういうことで、今後の流通行政は消費者を重視したものに方向転換をしていくべきものであるというように考えております。その基本的な方向、そのあり方、対策について御説明をお願いいたします。
  27. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 通産省全体の政策につきましては、九〇年代ビジョンがございますが、その一番基本的な考え方の一つ消費者重視、生産ももちろん大事でありますけれども、もっと消費者を重視していこうという考え方でございます。これは特に流通面におきまして当てはまることでございまして、流通政策はそれを基本的な視点といたしまして展開をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  先ほども御説明申し上げましたように、消費者一の意識あるいは価値観というものは非常に変わってまいりました。単に物を買えばいいというだけではなくて、いろんなサービス、あるいは楽しい、あるいは知的に刺激的であるというようなことまで必要になってきておりますし、また、非常に便利でなければ困るとか、時間を短縮して買い物ができるものでなきゃいかぬとかいうような従来ない点の要請も高まっております。さらに消費者の方では、単に日本のものだけでなくて、広く世界から非常に多様なものを選択しながら買いたいというようなニーズも高まってきておるわけでございます。  このような状況でございますものですから、今後の流通政策は何といいましてもこの消費者ニーズ多様化に的確に対応するような商店活動、流通活動がうまくできるような方向で政策を組み立てていきたいと考えておる次第でございます。
  28. 合馬敬

    合馬敬君 次に流通情報化についてお伺いいたしますが、二十一世紀に向けまして我が国流通業の課題一つ情報化であることは申すまでもございません。流通業にとりまして情報機器の導入というものは、これは経営、業務の効率化にとりましては大変重要な戦略でございます。小売業などのPOS、ポイント・オブ・セールス、簡単に言いますればバーコードによる売上管理だとか在庫管理を行うということでございますが、これでレジの省力化だとか迅速化だとか、あるいは売れ筋、死に筋商品の把握、こういうものが的確にやれる。あるいは卸売業のEOS、エレクトロニック・オーダリング・システムの略でございますか、これの導入で商品の受注、発注、こういったようなものの迅速化だとかあるいは売れ筋商品情報提供、こういったようなものが図られる。これが大変小売支援に貢献するということでございます。  一方、平成元年度の中小企業白書を見ますと、今のところまだ出力データを使いこなせないとかあるいはソフトウエアが開発不十分だとか、こういう企業が多いということで、このための人材の確保、育成、ソフトの開発、こういったものが大変重要な課題になっておるということでございます。このPOS、EOSの導入につきましての現下の問題点、それからこれからの推進のあり方、こういったものについてお伺いいたしたいと思います。
  29. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 今御指摘のございました二つのシステムでございますが、POSシステムとEOSシステム、これが今基本的なシステムとして普及をしつつあるわけでございます。しかし、御指摘のございましたように、それを具体的に採用いたしますとなります場合にはいろんな問題があるわけでございます。  POSでございますが、これを小規模な小売店に採用するということになりました場合には、一つは何といいましても専門的な知識が必要でございます。また、これを使いこなすだけの技術を持った人材が必要であるということがございます。もちろん投資を必要としますから資金を必要とするということがございます。  また、EOSの方でございますが、これの一番大きな問題は、各企業がそれぞれ独自のネットワークでやりますと相互に互換性がない、あるい一は接続ができない、接続ができないまでも、する場合には非常にコストがかかってしまうというようなことがございますものですから、このような相互の接続性があるようなシステムをうまく当初から採用していくというようなことが非常に重要になってまいります。  このような問題を抱えておるわけでございますが、今通産省の方でやっております点は、第一には商品コードのデータベース、これがうまく整備されなければバーコードも使えないということでございます。したがいまして、まずこのデータベースの整備に努めております。  それからもう一つは、POS情報、これを各小売店で使うわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、各一店だけでは大数の法則が働いてこないということがございまして、各小さな店で採用します場合には、それらの情報が一本化されて市場の動向が読めるような解析ができるということが必要になってまいります。その意味でPOS情報流通促進のためのいろんなシステムづくりをやっておるということでございます。  そのほか、これらの通信方式とかあるいはデータの形式、あるいは伝票、これもいろんな形で違ってまいりますとお互いに入出力ができなくなってくるということがございますが、そのようなものの標準化を行うというような施策を講じておりまして、その普及に努めておるという状況でございます。
  30. 合馬敬

    合馬敬君 それから、情報ネットワーク化によりまして特定企業、優良産業といいますか、こういったものだけが情報の恩恵を受けるということではなくて、社会システム全体として、中小の企業を含めてこういった情報化の普及というものが図られるべきである、こういうふうに考えておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。
  31. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 全く御指摘のとおりでございまして、情報化というのは単に大企業だけではなくて中小企業にも及び、社会全体としてうまくシステム化がされ、情報化が行われるということでなければその効果を十分に発揮しないということでございます。特に中小企業の場合には、どうしても大企業の方から情報化が進んでまいりまして、中小企業に入りにくい。いろんな意味での情報力格差というものが大企業と中小企業の間にできてくるということは、社会全体はもちろんでありますけれども、中小企業の発展という観点からも問題でございます。  したがいまして、この点につきましては、中小企業のサイドにつきまして技術力、資金力等々につきましていろんな形で国が支援をしていくという形で均衡のとれた社会全体としての情報ネットワーク情報化をするように努めてまいりたいと考えております。
  32. 合馬敬

    合馬敬君 最近、流通分野ではクレジットカードが急速に普及をいたしております。それから前払いのプリペイドカード、これも物品販売分野でかなり実用化が始まっております。もちろん消費者にメリットもあるわけでございますけれども、借金がたくさんのカードで重なってくるという多重債務の問題だとか、あるいはカード犯罪、こういったような問題もあるわけでございます。もちろん流通業者として、顧客関係の情報も手に入りますから販売促進業務の効率化といったメリットもあるわけでございまして、これからのカード化というのは避けて通れない、また基本的にどんどん発展する分野だと思いますけれども、これにつきましての現下の問題点とそのあり方といいますか、対策について御説明をお願いします。
  33. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) クレジットカードは御指摘にもございましたように消費者にとりましていろんな利便を与えるということでございまして、また流通側あるいは商店の側におきましても物が売りやすくなりますし、また消費情報も別の角度から得やすくなりやすいということがございまして非常な発展を遂げておることは御承知のとおりでございます。ちなみに、八九年度末におきましてカード総数は一億六千六百万枚程度に達しているというふうに推定されるわけでございます。  しかし、御指摘がございましたように、カードというものはどうしても先の部分に対しまして影の部分が出てまいります。一つは、支払い能力を超えて使ってしまう、そして債務者になってしまうということでございますし、またカードが盗難に遭いまして、これがいろんな形で使われてしまって問題を引き起こすということがございます。  このような問題につきましては、今いろんな対策を講じておるわけでございますが、一つはやはり産業側におきまして正確な情報に基づきましてカードを発行していくということが必要である。カードを乱発するということは慎まなければいけないということがございます。そのために、現在、信用情報につきまして的確なものになるようにそのシステム整備を行っておるということでございます。  またもう一つ、カードの中でも特にプリペイドカードにつきましては、これは事前にいろんな支払いをするということでございますけれども、これも最近特にいろんな形で発展をして、いろんな。形で使われておるということでございます。これにつきましては、現在私どもの所管しております財団法人の方におきまして、安全性の確保、あるいは規格の問題につきましても、非常に規格がばらばらで、その結果といたしましてプリペイドカードの機能あるいは与信の仕方についての混乱ということが起こりますものですから、この規格の統一というようなことに努めておるという現状でございます。
  34. 合馬敬

    合馬敬君 次に、流通国際化でございますが、経済国際化する中で流通業におきましても輸入品に対する取り組みというのが不可欠になっておるわけでございます。特に製品輸入は貿易不均衡の是正の観点、今年度は一千億ドルにも上るといったような日本の貿易黒字の問題もあるわけでございます。消費者め利益、商品選択の幅を広げるとかあるいは円高メリットを消費者が享受するとか、こういったようなためにもさらに拡大すべきであるというように考えておるわけでございますが、輸入手続迅速化、適正化といったものをさらに図らなければならないわけでございます。このことは昨年六月の日米構造協議の最終報告でも指摘されておるわけでございますが、その報告の公表以来どのような対策をとられてきたのか、御説明をお願いいたしたいと思います。
  35. 高島章

    政府委員(高島章君) 御指摘のように、製品輸入をどんどんこれからも拡大していくというのは最も大切な政策一つでございますが、それの根っこにあります地味なようで実は非常に貴重な問題は、ただいま御指摘ございましたような輸入手続をいかに迅速化し適正化することであろうかと思うわけでございます。  SIIの御指摘ございましたが、それを背景にいたしまして、日米専門家によります報告書に基づきまして、輸入手続関連省庁連絡会議という関係省庁を全部網羅いたしました会議を設置いたしました。そこで輸入関連の手続迅速化につきまして可能なものから順次着手をしているところでございます。さらに、その他の場でもいろいろな実は輸入手続迅速化、適正化につきまして意見をちょうだいしております。  例えば輸入協議会というのがございますが、これは海外からの委員も入っていただきまして御指摘の点につきましての要望等承っております。さらには、市場開放問題苦情処理推進本部、いわゆるOTOと称しております本部にもいろいろな内外の要望が寄せられておりますが、こういう個々の問題につきまして関係省庁と密接な連携をとっておりまして、輸入手続をいかにして迅速化あるいは適正化するかということで、ただいま現在その条件整備に努力しているところでございます。
  36. 合馬敬

    合馬敬君 一層努力をお望みしたいわけでございますが、そういった意味で製品輸入促進を図るためにも輸入インフラの整備というものが必要であるということは事実でございます。  ハード面の方はまた別途の問題といたしまして、制度面では、本年九月、日本貿易会の港湾・物流近代化研究委員会から「製品輸入から見た国内物流実態問題点」という報告書が出されて提言がなされておるようでございます。この中で、欧米と同じように二十四時間通関体制の採用、それから貨物の出発国で通関を済ませる事前審査制の導入、それから関係官庁の業務の一元化、手続簡素化。何か輸入につきましては正規の手続のほかに例えば植物防疫とか動物防疫とか、あるいは犯罪防止関係とかいろいろあるようでございますが、非常に難しい問題があると思いますが、これらを含めまして、こういった提言等に対する考え方について御説明をお願いいたしたいと思います。
  37. 高島章

    政府委員(高島章君) 先ほど申し上げましたように製品輸入が非常に伸びておりまして、拡大しているわけでございますが、そのことはとりもなおさず、ただいま御指摘がございましたように、日本の現在の状況からいたしますとどうしても特定の空港とか港へ輸入貨物が集中をいたしまして、そのために輸入インフラの不足というのが非常に大きな問題になっているわけでございます。  ただいま御指摘ございました日本貿易会の報告書、これは非常に網羅的に今後の改善すべき点を適切に指摘しているものだと認識しておりますけれども、そういったところで指摘されております物流機能の近代化というものは、今後我々の施策の中の最も中心の一つになるべきものだと思っております。  実は、この問題も含めまして、通産省の中で産業構造審議会及び輸出入取引審議会というものの合同の部会を開きまして、この問題を広く御審議いただきまして昨日実は答申をいただいたところでございます。外国製品の日本市場への参入促進のために種々の輸入インフラを整備しろという御指摘を強くいただいております。こういったいろ。いろな提言、貿易会の提言、さらには審議会の提言をいただきまして輸入インフラの加速的な整備を図るために現在新たな施策を検討しておりまして、製品輸入がスムーズに行われますように足元をきちっと固めてまいりたいと思っているところでございます。
  38. 合馬敬

    合馬敬君 ぜひそのような方向でやっていただきたいと思います。  その次に物流対策でございますが、申すまでもなく物流というのは商品の配送、保管という機能を通じて流通の重要な役割を担っておるわけでございます。近年この物流システム効率化というのが進捗しておるわけでございますが、特に消費者ニーズ多様化によりまして、いろんな多品種の商品消費者が要求するということで小口多頻度、迅速なジャスト・イン・タイム方式の高度な物流体制というのが普及整備されつつある。  そういうことで、それはそれで結構なんでございますが、しかしこれは一方におきまして労働力不足の問題もあり、あるいは交通渋滞だ、環境悪化だといったようなことで大変社会問題にもなっておる、必然的に流通コストも非常に増大するという問題もあるわけでございますが、これらを含めましてどういうこれからの対策、あり方があるのか、これについても御説明をお願いいたしたいと思います。
  39. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 物流問題でございますけれども、近年物流需要の方が経済成長率を上回るペースでどんどん伸びておるということでございます。その結果、もちろん物流コストというものも上がっておりますけれども、物流の担当側、物流供給サイドにおきましては労働力不足、特に運転手の不足というようなことも非常に深刻になっておりまして物流関係は非常に不均衡になっているということでございます。  このような純経済的な問題に加えまして、もう一つは非常に自動車の運行がふえるというようなことがございまして環境的にも問題が多くなっておる、特にNOxが非常に大変な問題になってきておるというのが現状でございます。  したがいまして、私どもとしましては何とか物流効率化対策を早急に進める必要があるというふうに考えておりまして、現在、産業構造審議会中小企業政策審議会、これが合同いたしまして、大企業分野はもちろんでありますけれども、中小企業分野も含めましてこの効率化対策ということを鋭意検討中でございます。  一つは、何といいましても各事業者がもっと物流効率化をやっていただくという必要がございます。例えば各事業者におきまして物流効率化のためのいろんな投資、倉庫とかいうようなことに対する投資も必要でございます。  そのようなことに加えまして、物流がもっとうまく進みますためには物の規格あるいは情報の規格につきましても標準化が進むということがなければ、例えばパレットなんかもうまく積めないということでございますから、この規格化をどんどん進めていくという、標準化という問題でございます。  三番目に、単に企業サイドだけではなかなかうまくいかない。やはりインフラが必要でございまして、物流の拠点インフラの整備ということにつきましても必要な対策をとっていくという方向でございます。  また、特に中小企業、中小卸商につきましては、この物流合理化に乗りおくれるということになりますと存亡にかかわるというような深刻な事態にもなっておりますものですから、中小企業対策につきましては特に資金面、技術面につきまして手厚い対策を講じていく必要があるというふうに認識をいたしておりまして、現在御審議をいただき、早急に取りまとめ、具体化を図っていきたいと考えております。
  40. 合馬敬

    合馬敬君 次に、日米構造協議に関連いたしまして大店法の関係でございますが、昨年五月に大店法運用適正化措置実施され、法改正も行われましていよいよ来年の一月に実施に移されるというようなことになっておりますが、そういった時点からの大規模店の出店申請状況等について御説明をお願いいたしたいと思います。  聞くところによりますと、最初大変心配されたわけでございますが、最初はこれまでの大店法の適用の関係でバブル申請と申しますか、どうせなかなか許可が出ないだろうということで水増し申請が非常に行われておったのが、堅実な申請が行われるようになって安定してきておるという話でございます。これからの見通し等も含めまして御説明をお願いします。
  41. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 出店表明の件数でございますが、昨年五月末以来ことしの九月までの一年四カ月で合計千七百八十一件ということでございます。傾向といたしまして、当初はたくさんばっと出店ラッシュということが起こったわけでございますが、その後は非常に落ちついてきておりまして、特にここ三カ月ぐらいはむしろ落ちつき過ぎるんではないかというぐらいに件数は減ってきておるという状況でございます。  したがいまして、一時出店ラッシュで非常に大変なことになるのではないかというような見方も行われたわけでございますが、現実はむしろ、一方で出店表明がなされましたけれども、並行しまして、従来出店表明しておりました、昨年の五月以前にやっておりました案件につきましては一方で相当多数のものが取り下げをするというようなことも起こっておりまして、出店表明あるいは出店戦略におきまして相当の変化がどうも見られております。  それは一言で言いますと、従来でありますと、一たん出店が認められますと次の出店が認められるまでの間が相当長い時間を要しましたものですから、ともかく出店ができそうなところに早く出店しておきさえすれば相当長期間にわたりまして先行者のメリットを享受できたわけでございますが、適正化措置後はそのようなことではなくて非常に短期のうちに処理されるということになります。そうなりますと、むしろ非常に早い期間にいろんな形での後発者との競争にも耐えていかなければいかぬということになりますものですから、やはり立地の適正地点あるいは立地の収益性というようなことが非常に重視されるようになったということもございます。  そのようなことに加えまして、土地の高騰とかあるいは建築費の高騰といったことで出店一店一店の単価が非常に上がっておりますから、したがいまして投資規模が大きくなったということで、財務戦略上からも非常に慎重かつ堅実な出店政策をとらざるを得ないというような状況もございまして、申し上げましたような非常に落ちついたものになっておるということでございます。
  42. 合馬敬

    合馬敬君 それから、特定商業集積法によりまして商業集積づくりの推進というのが行われておるわけでございますが、現実の具体的な実施状況実施に当たっての問題点、それの対応策。結局、私心配しておりますのは、現在行われておるのはそういう意味では優等生の方だけが立候補してやっておられるんじゃなかろうか。全般的に経済停滞傾向にあります地方都市までこういった対策実施できるのかどうか、これについてお伺いをいたしたいと思います。  それから、中小、特に小売商業者に対します支援策もどうなっておるのか、あわせてお伺いいたしたいと思います。
  43. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 特定商業集積整備法、これは五月二十四日に公布をいたしまして、直ちに施行をいたし、これに基づきまして整備指針を六月に出すということで非常に速いペースで実施に移しております。現在、この法律に基づきまして、新たに従来の商店街を改造して活性化する、あるいは核テナントを呼びまして、その核テナントと一緒に地元の商店街が出店をして共存共栄型の新しい町づくりをしていくということで計画づくりが進められておる状況でございます。既に全国で五十五市町村に対しましてこの構想を作成しますための調査につきまして補助金を交付いたしておりまして、活発に検討がなされておるという状況でございます。  その場合に、御指摘のございましたように、地方の市町村が乗りおくれるんではないかという点でございますが、現在私どもに御相談に来られておる市町村、あるいは補助金を交付いたしました五十五市町村、これは全国に散らばっておりまして、例えば北は北海道の紋別から沖縄というようなことでございまして、地方とか中央とかいうようなこと、関東とかいうことでございませんで、やっぱり町を将来どうするかという意欲のある市町村は大変積極的に検討されておるという状況でございます。  また、これに対する支援でございますが、これはいろんな形で特に中小企業関係の予算を集中して投入するという体制を整えておりますから、具体的にプロジェクトが進展する段階ではそれの力を発揮させてまいりたいと思います。  また、このプロジェクトにつきましては、御承知のとおり、この法律そのものが通産省のみならず建設省、自治省という三省協力によってでき上がっておりますが、実際のプロジェクトの推進に当たりましても、三省非常に緊密に連絡をとりながら実施に当たっておるという状況でございます。
  44. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) 中小小売商業者に対する支援策実施状況について若干補足をさせていただきます。  全国に一万六千程度商店街があるわけでございますけれども、先ほど来の環境変化のもとで、どうやったら生き残れるかという形で非常に燃え上がっているというのが実感でございます。具体的には、商店街活性化のための計画づくりにつきましては、中小商業活性化基金を活用いたしまして本年度既に八百五十件の調査研究、計画づくりに着手をいたしております。ちなみに去年は四百八十件程度でございましたので、倍近い動きが出ているということでございます。  また、計画づくりのための指導助言を行うシニア・アドバイザー制度というのを創設いたしましたけれども、既に百五十九人ばかりアドバイザーの登録を行いまして、ぜひそのアドバイザーを我が商店街に派遣してほしい、一緒に計画づくりに手をかしてほしいというような具体的な要望も既に出てきているところでございます。  また、ハード補助金と申しますか、商業基盤施設整備に対する補助金につきましても今年度既に百二十件の箇所づけを行っております。今後さらに計画が固まりますれば要望がふえてくるものと期待をいたしております。  さらに、公共事業と一体的に商店街整備を図るという特定商業集積法に基づく中での地域商業活性化型のプロジェクトにつきましても、具体的に北海道から九州まで三十九のプロジェクトを今決めまして、中小企業庁の中の全課長をそれぞれプロジェクトに張りつけましてその推進方に努力をしているところでございます。
  45. 合馬敬

    合馬敬君 時間がもうございませんので、日本的商慣行改善問題についてもお聞きしたかったんですが、これは飛ばさせていただきます。  流通系列化の問題でございますが、公取の定義で流通系列化というのは、一番がテリトリー制ですか、それから二つ目が一手販売権の付与、それから専売制等の取引条件を伴って流通段階がメーカーによって組織されている状態、こういうよう、に定義づけられておりますが、我が国流通系列化の特徴は御承知のように取引慣行と系列店の組み合わせということになっておるようでございます。  メリットとしては取引の安定化、あるいはデメリットとしては価格に対する競争阻害、こういったようなことも挙げられておりますが、特に日米構造協議等で外国資本の参入というのが非常に大きな問題になっております。外国資本を含めました新規参入とこういう日本的な流通系列化との調整問題と申しますか、こういうことについて何か御意見があればお伺いしたいと思います。
  46. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 系列化そのものの経済的な効果は今御指摘のございましたようにいろんな面であるわけでございまして、これを頭から一概におかしいと言うわけにはまいらないし、またそう言っているわけでもございません。どこまでもこの系列化が新しい新規参入者を制限いたしまして、その結果といたしまして競争が制限されるというような場合には、これは独禁法の趣旨に反するわけでございますから厳正な対応が必要であるということでございます。  この系列が外国製品なり資本の日本への参入に対しまして制限になっておるかどうか、これはいろんな議論のあるところでございますが、少なくとも今申し上げましたような、独禁法の観点から見ましても問題があるというようなことにつきましては是正をする、あるいは改善をするということで指針が出ておるわけでございます。このような指針あるいは私どもが出しておりますような指針に従いまして改善をしていくということをやりまして透明性をさらに向上させ、あるいは一部の自動車メーカーなんかで実際に行動を起こしておりますけれども、専売条件を緩和するというようなことで、日本の自動車メーカーのいろんな系列店でも外国の自動車を売れるというような条件を確保いたしまして、障害にならないようにやっていきたいと考えておるわけでございます。
  47. 合馬敬

    合馬敬君 終わります。
  48. 白浜一良

    白浜一良君 私、大阪なんですけれども、既に御存じだと思いますが、小売店たくさんございます。非常に繁盛している、にぎわっている小売店もございましたり、非常に寂れていっているという小売店もたくさんございます。従来からの施策といたしまして、私どもが見ておりましても、例えばアーケードをつくったり、また街灯をつくったり道路を舗装したり、そういう補助を今までされてこられたんですが、そういう領域では商店街がにぎわうというような段階ではもうないわけですね。もっと抜本的に考えなきゃならないという段階に実際きているわけでございます。大型店とのいわゆる競合関係、当然そういうこともあるんですけれども、日本の消費者の行動から見ましたら、良質な小売店を育成していくというのは非常に大事でございまして、そういった観点で私何点かお伺いをしたいと思うわけでございます。  先ほど魅力ある商店街商業集積づくりの推進という具体的な施策としてのテーマを挙げていらっしゃいます。そういった観点で、明年度の通産省の概算要求、これを見させていただきましたら、リテール・サポート・センター事業の創設ですか、これを新規事業で挙げられておりますが、これはどういうことをされるんですか。
  49. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) 中小小売商業者の皆様が今後とも活発な事業展開を図るためには、先生おっしゃいますように、単にハード面の整備だけではなくて、個々の商店の方々が取り扱いの商品の企画なり仕入れなり販売といった面で消費者に支持されるよう努力をしていくことが重要であるというふうに考えております。  そういう個々の商店のソフト面の対策といたしまして、通産省といたしましては、来年度の予算要求におきまして、個々の商店商品の企画、仕入れ、販売等に関する情報提供を行うリテール・サポート・センターを都道府県単位で設置をするという要求をさせていただいているところでございます。
  50. 白浜一良

    白浜一良君 既に中小企業振興公社ですか、そういうのがございまして、そういうところでもやはり情報が大事だということで情報化センター等を進めていらっしゃるわけでございますが、それとの関係はどうなるのか、より効率化されるためにはどういうふうになるのか、その辺の説明をお願いしたいと思います。
  51. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) このリテール・サポート・センターは、各都道府県に置くことにいたしておりますけれども、都道府県にございます公共的機関、先生おっしゃいますように中小企業情報センターといったような機関に設置をすることといたしておるところでございます。
  52. 白浜一良

    白浜一良君 私がもらった書類にも一応概算要求の金額が書かれているわけでございますが、直接明年度どのくらいの規模を要望されているのか。また、今おっしゃいましたけれども、これは本当に全国につくるんですね、都道府県に。その辺ちょっともう一回言ってください。
  53. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) 予算要求といたしましては、十五カ所の都道府県に設置をするという計算のもとに四億五千六百万円の要求をいたしておるところでございます。
  54. 白浜一良

    白浜一良君 全国につくっていかれる、これはそういうことでいいわけですね。情報というのは非常に大事でございまして、そういう情報センターまたはサポートセンターですか、つくるのは都道府県に一カ所でしょう、基本的に。そういうことで、県内のそういういろんな情報を集積してサービスしていく、これはよくわかるんです。ただ、御存じのように首都圏とか関西圏とか中部圏とか県をまたがって消費行動があるわけでございます。やっぱり広域的にそういう情報を集積しなければいかぬ、こういうニーズもあるわけでございますが、この辺はどうするんですか。
  55. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) リテール・サポート・センターの柱になっておりますのは三つございまして、第一が先ほど申し上げました十五カ所の都道府県に設置をするリテール・サポート・センター関連経費、それから二つ目が中小企業事業団におきまして各リテール・サポート・センター等と連携をとって事業を進めるもの、それからもう一つが中小小売商業の短期研修、こういう三本柱になっておりまして、中小企業事業団で実施をいたします情報提供事業等を活用いたしまして都道府県のセンターとの連携を図ってまいるというふうに考えております。
  56. 白浜一良

    白浜一良君 ちょっと違うんですが、まあいいです。  もう一点、これを見ましたら、商店街等にぎわい創出事業の創設、こういう新規事業が出ておりますが、これをちょっと説明していただけますか。
  57. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) 魅力ある商店街づくりというためには、商店街の施設整備というのを進めます一方、集客力を増しましたり、にぎわいを創出するという形でのイベントというものの実施が重要であるということは申すまでもございません。こういう観点から、平成四年度の予算要求においてこのようなイベントの実施支援のための予算措置を要求いたしておるところでございます。  その内容は、例えば商店街振興組合、商工会、商工会議所といったものが国と県、事業費半分ずつを持ちまして、一イベントごと六百万円を限度に全額補助するという要求をしているわけでございます。  また、個性ある地域コミュニティーの形成に資するイベントということでございますので、一回限りのものではなくて、ある程度定着性を持たせて、それからその地域の固有の顔にできるようなイベントが地域住民と協力をして行われるというようなものであればいいなというふうに考えておるところでございます。
  58. 白浜一良

    白浜一良君 あればいいなと、そのとおりなんですけれども、今六百万とおっしゃいましたけれども、六百万でできるかなという気もするんです。既にそういう商店街で祭りを持っているところは当然ありますから、それはそれでいいんですけれども、概算要求の段階で明年度何カ所ぐらい予定されているのかということが一つと、今答弁されましたように、やはり継続されることが大事ですね。一回だけ補助金をつけてやった、二年目からもう金がないからやめました、これではそれこそ地域の商店街そのものが責任を問われますし、そういう施策を推進した皆さんの責任もあるわけでございます。大体継続性といったらどれぐらいが継続性なんですか。許せる範囲で一遍ちょっと表現してください。
  59. 石黒正大

    政府委員石黒正大君) まず、来年度何カ所ぐらいかということですが、計算上は全国で六十七カ所の要求をいたしております。  それから、これをいつまで継続するのかということでございますが、先ほど申し上げましたように、ある意味では商店街の顔でございますので、顔に定着をするということが必要であろうと思いますけれども、財政当局とも今鋭意折衝中でございますものですから、具体的にまだ何年とかいう御答弁を申し上げられない点をおわびいたします。
  60. 白浜一良

    白浜一良君 それはそうだと思いますが、これは思いつきでやったら絶対失敗しますね。大阪でもそういう地域振興のために単発的にやったことがあるんですよ、いろいろ苦労されて。そういうものが地域に定着するかどうかというのは、やっぱり単なる思いつきではだめなわけであって、継続性のあるベースと仕組み、何というんですかね、予算のベースというか、またそういう商店街の参加度、そういうものをすべてひっくるめてやはり継続性になるわけでございまして、概算要求が通るかどうかわかりませんけれども、具体的な新規事業というのはこの二つしかないわけでございまして、いろいろ厳しい予算の情勢もあると思いますが、良質な商店街小売店業を育てるためにしっかり頑張っていただきたい、このことを要望しておきたいと思います   もう一点伺いたいのは、先ほど少し出ておりましたが、物流コストの軽減化ということです。陸送、トラック輸送が非常にふえているわけでございますが、確かに道路が込んでいるということもございます。また、御存じのように人手不足でどんどんそういう陸送費、輸送費が高くなって大変だ、こういう実態もございます。通産省で資料をいただきましたら、特に物流コスト面で言いましたら大企業と中小企業のコストの格差、やはり人手不足でコストが上がっているわけですから当然なんですが、もう必要以上にコストが上がっているわけですね。この辺の原因といいますか現状といいますか、この辺をどのように分析されているか、まず御説明をいただきたいと思います。
  61. 春田尚悳

    政府委員(春田尚悳君) お答えいたします。  まず、物流コストそのものにつきましては、先ほど商務流通審議官から御説明申し上げたとおりでございまして、物流量そのものが経済成長の伸びを上回る勢いで伸びておるということがまず大前提にございます。そしてまたその内容につきましても、多頻度、小口配送の進展等がございまして、そういった需要面からの要因に加えまして、今先生御指摘いただきましたとおり、労働力不足等による物流供給面の要因と相まって物流コストが全体として増加しているというふうに承知しておるわけでございます。  今御指摘いただきました大企業と中小企業物流コストの格差でございますけれども、こういった状況のもとで、大企業におきましては自社における物流センターの建設等によりまして物流システム効率化など物流コスト増大への対応が部分的にせよ可能となっているものと承知しておるわけでございます。  一方、中小企業の方でございますけれども、まず事業規模が小そうございますし、それから経営基盤が脆弱でありますため、大企業に比べまして物流問題の対応が非常に困難であり、物流コストの増大の影響をそのまま受けているということの理由によりまして大企業との物流コストの格差が拡大しているというふうに考えておるわけでございます。
  62. 白浜一良

    白浜一良君 時間がございません。最後の質問でございますが、そういった面で、明年度の事業といたしまして中小卸売業者対象の共同物流センターですか、これをうたっていらっしゃるんですが、今の概算要求をされている段階で、その規模とどういうメリットがあるのか説明をいただいて終わりたいと思います。
  63. 春田尚悳

    政府委員(春田尚悳君) こういった事態に対しまして中小企業がどう対応していったらよいかということでございますけれども、中小企業単独では今申しましたように物流対策として積極的に設備投資を実行していくことは困難であると承知しております。しかしながら、一方で、物流高度化に対応しなければ中小企業の経営自体が成り立たないというおそれもございます。このため、複数の中小企業者が共同で物流センターを建設することによりまして、投資に見合った輸送ロットの大口化等が可能となり、効率的な物流が可能になるものと思っておるわけでございます。  来年度につきましては、現在、先ほど御説明申し上げましたとおり、物流問題につきまして、産業構造審議会それから中小企業政策審議物流問題小委員会で中小企業物流を含めまして御検討いただいておるところでございます。今後こういったことを踏まえまして最大限の支援策を検討してまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  64. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、大型店の出店規制緩和に伴う自治体の独自規制の抑制これを中心にお尋ねしたいと思いますが、時間の関係もありますから、答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  ことしの四月九日の地方行政委員会でこの問題を私質問いたしました。そのときに、行き過ぎた独自規制の是正について、かなり行き過ぎた独自規制ではないかと見ていたうちの一割近くが是正の方向に向かっているという答弁でした。そのとき独自規制をしている千百三十一件のうち、行き過ぎというのはどういう内容のものを言うのか、是正の指導をしたのはどのぐらいで、そのうち是正されたのは何件なのか。  それから、法の施行を前にして、是正措置といいますか、これを強化するというように報道されておりますが、これの計画といいますか、考え。  それから今度は、法が施行された後、残っている問題についての是正の指導、これは施行前と施行後で指導の内容というのは変わるのかどうか、この辺の問題についてまず報告してもらいたい。
  65. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 地方公共団体の独自規制の問題につきましては、今お話がございましたように、約四百件程度のものが私どもの目から見まして、大店法の趣旨から見まして行き過ぎた規制になっているんではないかというふうに考えておりまして、これの是正方を関係の公共団体に要望をいたしてきております。その結果、約一割弱程度のものにつきましては是正措置が図られておりますけれども、残りにつきましてはまだ具体的な進展がないという状況でございます。   私どもとしましては、このような行き過ぎ規制につきましては何とかできるだけ早く是正をしていただきたいと希望をいたしておりまして、公共団体に対しまして機会あるごとにその旨お伝えをしておるわけでございますが、これは新しい大店舗法が実際に施行になる前あるいは後ということとにかかわりませず基本的なスタンスは変わらないわけでございまして、前にもあるいは後でもこのような要請を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  66. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治体の方がこういった条例とか指導要綱をつくって独自規制をしている、それで一割弱ぐらいしか是正をされていない、そういう状況ですが、自治体自身がそういう独自規制をしなきゃならぬ事情についてはどのようにお考えになっていますか。
  67. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) もちろん各地域地域にはそれぞれのいろんな事情があるわけでございまして、またそのようなこともあって地方公共団体には条例制定権が法令の範囲内であるということになっておるわけでございます。したがいまして、地域のいろんな実情に合わせていろんな政策あるいは規制を公共団体自体が行うということはあり得ることであるわけでございます。  問題はその規制の内容が、本件の場合には大店舗法でございますけれども、大店舗法の趣旨を損なうものであるかどうかということであるわけでございまして、私どもは、今問題としておりますのは、この趣旨を損なうような行き過ぎたものは是正してくださいというようなことでやっているわけでございます。
  68. 神谷信之助

    神谷信之助君 七九年の大店法改正、それから八二年、八四年の通産省の自粛指導、これらがありましても異常な大型店進出ラッシュ、これが続いて地域経済や既存の小売店舗、小売商店を守るために自治体が独自の規制を設けなければならない、そういう状況が生まれていると思うんです。  大店法調整対象になっているのは売り場面積、開店日、閉店時刻、休日日数、この四項目なんですけれども、実際には大型店進出することによって既存の商店街の商業集積の衰退の問題、あるいは町内会、消防団あるいは婦人会などの活動、地域の祭り、文化行事、これらへの影響、あるいは交通ラッシュの問題、それから交通渋滞とか騒音、それからさらには過剰包装によるごみの問題、それから場合によっては上下水道の布設等々、自治体の負担もかかっているというような状況でこういうものを自治体自身が考えざるを得ない状況があると思うんですけれども、今回一の改正大店法ではこういった問題について解決できる仕組みになっているのかどうか、この辺はどうなんですか。
  69. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 大店舗法の法益あるいは法の目的といいますのは、これは改めて申し上げるまでもないわけでございますけれども、消費者の利益に配慮しながら地元の小売業者とそれから大店舗が出てまいりました場合のその事業活動との調整をするということでございます。したがいまして、今御指摘のございましたように、その具体的な調整の点といたしまして店舗面積以下四点について調整をしようということでございます。実際に大店舗が参りました場合に、御指摘のございましたように交通混雑が起こるとか、下水道をつくらなきゃいかぬとか、そういうような点が生じてくるのは、これはもう事実でございます。  ただ、そのような一種の都市計画上のいろんな問題、都市をどうするかというような問題が起こってくるということはもちろんあるわけでございますけれども、それは他の法律の法益でございます例えば都市計画法その他の問題として処理される必要があるというふうに考えておりまして、そのような問題は確かに起こり得るわけでございますけれども、それをすべて大店舗法調整という形の中でやってしまうというのは、これは法律の目的、趣旨を超えるものであるというふうに認識をいたしております。  新しい改正大店法のもとでの調整メカニズムの中でこの点がどうかということでございますが、もちろん新しい法律のもとにおきましても調整項目は今の四項目でございまして、商業的な利益、消費者の利益を十分配慮しながらやっていこうという点は変わりないわけでございます。ただ、町づくりというような要素もやはり重要な要素であるということでございますものですから、そのような点についても配慮はするということで、関係の市町村の意見も聞くというような手続を設けてまいりたいと考えでおるわけでございます。
  70. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと具体的に聞きますが、大阪の高槻市でジャスコを核店舗とするショッピングセンターのグリーンシティ高槻、これが進出。するという問題で高槻市の方で環境影響評価の調査をやっているんです。調査項目は大気質とか水質、騒音、交通安全など十一項目。十一月中には調査が完了する。これは高槻市が七月にスタートさせた環境影響評価制度の適用第一号なんですけれども、計画段階で事業環境に及ぼす影響をまず評価しよう。この事前評価がまとまると、市長に報告した後説明会を実施して、場合によったら公聴会も開く。市長は環境影響評価委員会に諮問した上で審査意見書を作成する。出店者はこれを受けて環境影響評価書を作成して市長に届け出て、それから許認可手続をとって着工に入っていく、こういう状況になります。  この審査意見書の公告は五回ぐらいあるんです。縦覧期間は合計九十日に上る。ですから、大型店の場合手続を終えるのに最低一年間は大体必要だと。市の方では、環境への影響を評価するのがねらいであって、大規模事業規制する目的ではないというように言っています。  これは、こういった都市計画の視点、町づくりの視点、あるいは環境問題から自治体としてそういうことを考えてやるのは当然のことだと思うんですけれども、これはいわゆる行き過ぎた規制とかどうとかいう問題に該当するわけですか、しないんですか。
  71. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 高槻市がどのような環境アセスメント制度を導入されておって、具体的にジャスコの案件にどのような形で適用されておるかということにつきましてはちょっと承知しておりませんものですから、このケースということで申し上げることは控えさせていただきたいと思うのでありますけれども、一般的に申しますと、市当局が都市計画をどうするか、あるいは市民なり都市全体の環境をどのように保全していくか、維持していくかということについて非常に大きな責任を持ち、そのためにいろんな制度を導入するということは、これはそれ自体よくあることでありますし、また当然のことであろうというふうに考えております。  このような手続がなされるという都市計画なり環境観点ということは、それ自体としてはいわば大店舗法とは別の法益の領域の問題でございますから、そのサイドから云々すべき問題ではないと考えますが、ただ、このような制度が実際問題といたしまして仮にも大規模店の進出を抑制するとかいうようなこと、いわば実質的に大店舗法の趣旨なり法益とは非常に違ったもの、反するといいますか、反対方向で使われるというようなことになった場合には、これはやはり行き過ぎたものというふうに考えて是正をお願いしなければいかぬというふうに思います。  したがいまして、いわばその運用のされ方が、今お話がございましたように、大規模店舗だけを目的とするんじゃなくて、一般的な都市の問題としておやりになるということ、実態としてもそういうことであるかどうかという点が非常に大事ではないかと考えます。
  72. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはしかし、今もおっしゃったように、大店法と直接関係をする問題ではないし、大店法に基づく進出の申請手続、その方はその方の問題ということになってきますね。  もう時間がありませんから何ですけれども、あとまだ中小企業対策関係の問題も少しやる予定でしたが、もうそれは省略しますが、いずれにしても、こういった大店法規制緩和が新たな無謀な進出ラッシュを引き起こして既存の商店街に大きな影響を与えていく、あるいは地域のコミュニティーを破壊していく、あるいは先ほど申し上げましたように、自治体自身がそのことによって新たな道路整備や上下水道の整備、ごみ処理など都市計画上のいろんな手当てもしなきゃならぬ、そういう問題が起こるのは目に見えておるんです。その点やっぱり日米構造協議の中で、アメリカの企業の進出やあるいは日本の大企業なんかの企業活動をさらに支えていくためにそこのけそこのけでつぶされていくというようなことは私は許せないと思うので、この点だけを指摘して終わります。
  73. 古川太三郎

    古川太三郎君 日本的商慣行改善についての先ほどのお話ですので、それについてちょっとお聞きしたいんです。特にリベートの問題ですが、五業種において検討されているということでございますけれども、業種はわかりますけれども、具体的にどのような形でリベートを検討されているのかどうか。  リベートについては、日本的には確かにたくさんの種類があると思うんですけれども、中には忠誠リベートとかいうようなものまであるように聞いております。こういったことが行われておりますと、やはりどうしてもメーカーが流通段階でコントロールする力が出てくる、こういうことが恐らく日米構造協議でも指摘されたんではないかと思うんですが、今具体的に検討されている部分をいま少し詳しくお話しいただけませんか。
  74. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) リベートは、今御指摘がございましたようにいろんな弊害も起こり得るということで改善努力を促しておるわけでございます。  改善の方向でございますが、一つはリベートの支払い基準の明確化ということでございます。一部のリベートにつきましては非常に基準が明確でございませんで、一種の非常に抽象的な形になっておりまして、特に大企業、中小企業あるいは下請関連というようなことになりました場合に、どのような場合に本当に戻してもらえるのかどうかというようなことがはっきりしないということでございますから、できるだけ定量的な基準を採用するという方向の改善でございます。  もう一つ改善の方向は、そのような基準が透明的なもの、見やすいものになったといたしましても、これがどのような形で確認をされるかという点がございます。これも非常に行われておる慣行では、はっきりした書き物になっていない場合、口約束でその解釈が非常に違って、その後の経済状況変化なんかによって了解とお互いに違ってくるというような点も起こっておりますものですから、実際に取引をしようとする際にできるだけ契約書などで明示、明確に確認をするというような慣行に改めていただきたいというような。方向でございます。  三点目はリベートの種類でございますが、これも業界によりましていろんな名前のリベートがあるわけでございます。リベート体系、これも商業の実態、伝統からつくられておるわけでございますが、これもたくさんの種類じゃなくて体系をできるだけ簡素化するという方向で改善をすべきだということでございます。大きくは以上の三点の方向で改善努力を促しておるということでございます。
  75. 古川太三郎

    古川太三郎君 今のような改善をされることは確かにいい方向なんでしょうが、こういったことはほかの業者に見えてくるものなんですか。そういう公開性というのはないですね。それが一つ。  いま一つは、業者だけではなくて消費者にどのようにそれがはね返るか、消費者にそれが見えてくるのかどうか。これはちょっと通産省の方に聞くのも場違いかもしれませんけれども、しかし少なくともエンドユーザーが喜ばない限りは生産者も流通業者もやっぱり衰退するわけなんで、一番基本は消費者にそれが見えてきて、どこまでショッピングが楽しめるか、あるいはこれはコストが一体どのぐらいかかっているんだろうということが見えて、安心して買い物ができるというようなところにくるのかどうか、その辺の視点でちょっとお話し願えますか。
  76. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) どのような改善が業界としてなされるのかという点につきましては、これは業界ごとに改善委員会をつくってずっとやっておりますから、その成果につきましては適宜レポート等の形で公表されるという方向で考えております。  実際に、では各お店において幾らのリベートが行ったり来たりしておるのか。これはまさに商業上の各秘密でございまして、それを明らかにしろと言うわけにはまいらないと思いますのでは、そういう改善をしても消費者にはね返らないじゃないかということでありますが、はね返るという点の一番重要な点はやはり競争であるというふうに考えております。いろんな形でお店同士の健全な競争がなされておりますと、返ってきましたリベートとかいうようなものを全部自分の懐に置くというのでは競争に負けてしまうはずでございますから、やはり競争環境がきちっとしておれば、これは適正な形で、競争を反映した形で価格にもはね返っていくというふうに考えております。
  77. 古川太三郎

    古川太三郎君 時間もないですからそれぐらいにしておきます。  それから、大店舗審議会の審議内容がどこまで公表されるようになるのか、そういったことについてお話し願えますか。
  78. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 今準備をいたしております大店番、これが新しい法律のもとでは従来の商調協にかわりまして出店調整の主役になってまいるわけでございます。今考えていますのは、大店番を三重の構造にするということでございまして、中央の大店番総会と各ブロックごとに置きます審議部会、それから各県に原則として置きます審査会ということであります。実際の調整は各県ごとに置かれます審査会が当たるわけでございますが、審査会、これはまず地元で関係者、消費者、その他の関係者からヒアリングをする。その結果を見ながら結論を出していくわけでございますが、ヒアリングあるいは議論の概要につきましては、適宜外からもわかるような形で出していきたいというふうに考えております。  ただ、これはよく言われますが、だれがどういうような意見を言って、その結果こうなったという、だれがというようなことまで非常に詳細にやりますと、これはいろんな形で弊害が生じてくる可能性がありますものですから、議論のポイント、概要を中心に外の方にもわかるような方向で制度を整備していきたいと考えておる次第でございます。
  79. 古川太三郎

    古川太三郎君 しかし、私はこの内容は公開が一番必要だと思っているぐらいで、これがないと本当に何といいますか、大店法の緩和をしてもそれがゆがんだ道に行ってしまう部分も相当あるだろうと思うので、できるだけ原則公開を貫いていかれるように御指導をいただきたい、こう思います。  時間が来たようで、終わります。
  80. 足立良平

    足立良平君 もう最後でございますが、私が予定いたしておりましたのはほとんど皆さん方から提起をされております。私の方は二つほどに絞ってちょっと通産当局の方の考え方を明らかにしてもらいたい、こう思います。  ことしの十月九日でございましたか、経済企画庁が物価レポート91というのを提起いたしまして、内外価格差の問題について報告書を提起をいたしております。日米構造協議で既に話が出ておりましたけれども、内外価格差の問題というものが焦点になって二年前からずっと議論してきて、現実的には物価の状況を見ると余り改善されていない、日米構造協議で大変な論議をしてきておりながら、現実的にはほとんど改善されてきていない、こういうふうな大まかな結論が出ているようであります。  その上に立って私はお聞きをいたしたいと思うわけでありますが、欧米と比較して我が国のいわゆる内外価格差、物価の問題というものは、例えば多数の中小卸業者の存在、あるいはまた流通経路が極めて多段階になっているとかいろんな要因というものが考えられるわけでございます。したがって、既にもう議論されましたけれども、そういうところから流通コストが高くついているとか、あるいは流通の効率というものが大変悪いのではないかというふうな指摘もあるわけでございます。  通産省として、物価の関係というのはこれは企画庁であるのかもしれませんけれども、産業構造の面から見て、そういうふうないろんな問題点を構造的に持っている我が国の中で、卸売段階の問題あるいは商業マージンの問題等、実態として一   体どのようにこの問題を認識されているか、この一点をまずお聞きいたしたいと思います。
  81. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 日本の流通構造はいろんな特色を諸外国に比べますと持っておるわけでございますが、その一つは今御指摘がございましたように多段階の流通経路を形成しておるという点でございます。そのほか、人口に比して小売店の数が多いとか、あるいは卸店の数が多いとか、あるいは卸と小売の比率からいいましても卸の数が多いとかいうような別の特色もございます。  この中で、特に多段階の流通経路が流通コストを上昇させているかどうかということにつきましては、これはいろんな議論があるところでございまして、必ずしも卸売業が何段階か入ったからコストが上がっておるかどうかということについては、実証的な研究上の証明は必ずしもされていない。むしろ多数の中小企業者が非常にばらばらに直接取引するよりも、中に卸売業者が入るということによりまして注文をまとめる、あるいは金融機能をつけるというような面で合理性があるというような議論、あるいは危険負担能力の点からも卸は十分機能を果たしているんじゃないかというような別の議論もございます。  したがいまして、私どもとしましては多段階であるがゆえに直ちにコスト高になっておるというふうに決めつけるわけにはまいらないと考えておりますが、しかし各段階において本当に合理的な仕組みでワークしているかどうかという点につきましては、これはやはりそれぞれの分野でこれを点検していく必要があるというふうに考えておるわけでございます。その意味で、特に卸ということになりますと中小小売が多いわけでございますが、そのような分野における効率化合理化というようなことのための政策が重要であるというふうに認識をいたしております。
  82. 足立良平

    足立良平君 多段階で必ずしも非効率ではないという議論も確かにあるわけでありますが、段階が多いということは、逆に言うと商業マージンを相当低くしないと現実的には物価に反映されてくるということになるわけでありますから、これは今後の報告書をつくるに当たってのいろんな議論のこれからの課題だということだけ申し上げておきたいと思います。  それから次の問題で、これも既に合馬委員なり白浜委員からも指摘がされているわけでございますが、物流の段階における労働力不足をめぐっての問題であります。  いろんな今日の物流というのは、日本の場合に極めてサービスというものが要求されるとか、あるいはまたジャスト・イン・タイムの配送を求められているとか、労働集約型の産業である物流業界の中で極めてそのことが要求される率が多くなってきているという実態にあるわけであります。  そうしますと、例えば労働力の状況考えてみますと、一九九〇年で若年労働力、これは十五歳から二十九歳まで約二千七百万強、それが二〇〇〇年段階になりますと二千五百八十九万ですから約二千六百万弱、若年労働力がこれから十年弱の間で百二十万ぐらい減ってくる。しかも、現実的に現在の物流業に従事している労働者というのは、今日本の労働時間というのは平均すると時間外労働を含めて約二千三百時間前後だろうと思いますが、この物流に従事する労働者の労働時間というのは何と年間二千八百時間くらいが大体今推計として出されている。一般の働いている人たちに比べると年間で約五百時間程度、これは欧米に比較した名論外でありますが、そういう労働時間の中で百二十七万人ぐらいが今物流関係に従事しているわけですね。  そうしますと、将来政府考えているように千八百時間の労働時間を想定いたしますと、驚くなかれ二百十三万人命よりも実は労働者というもの、いわゆる働いている人たちが必要になってくるんではないかという推定もある。結局将来的に労働時間をだんだん縮小しなきゃならないという世界的な動向の中で、一方ではそういうふうな問題を日本の場合には抱えている。  そうなってまいりますと、先ほど合馬委員なりあるいは白浜委員の方から質問されたことに対して、麻生審議官の方は四つほど、運転手不足の問題あるいは環境の問題とかいろんな問題がある、しかも産業構造審議会なりあるいは中小企業政策審議会で答申があってやっていくんだというふうにおっしゃっているけれども、現実的にはそのくらいのやり方で本当に物流関係の問題を解決していく、対応していくシステムというものは確立していくんだろうかということを先ほどの答弁をお聞きしながら実は私はちょっと疑問を感じているわけであります。  そういう点について通産省として、これからの物流合理化の問題あるいはそのあるべき姿の問題、極端に言ったら今までのシステムというものを少し変えていかなきゃならないかもしれない。そういう方向に政策誘導していかなければならないのではないかという感じも実はいたすわけでありますから、そういう観点で、余り時間ないんですが、ちょっとひとつ考え方を聞かせてもらいたい。  そして、この物流の問題で環境問題というのはもう既に通産省も認識されているとおりでありまして、NOxの問題、交通渋滞の問題を含めて極めて外部不経済状態になっているわけであります。そういう観点からしても、日本の物流なりそういう問題をめぐっての経済システムの問題が逆に言うと一番問題になってくるという感じがいたすわけでありますから、その点について考え方をひとつ最後にお聞かせを願いたい、こう思います。
  83. 麻生渡

    政府委員麻生渡君) 今御指摘になりましたように、物流分野の労働時間は非常に長いわけでございまして、将来の時短を考えますと、もし生産性が現状のままというふうに見ますと非常に大きな人手を要するようになるというのは事実でございます。しかも、この分野はまだ労働集約的な要素が非常に強うございまして、言われますように職場環境も非常に悪いということでございます。  そういうものの中で、先ほど申しましたような機械化投資あるいは標準化、情報化というようなことで本当に対応できるのかどうか、外部不経済考えました場合に対応できるのかどうかという非常に深刻な御質問であるわけでございますが、我々はやはり非常に地味でございますけれどもこのような投資を促進し、あるいは標準化、情報化促進しながらやっていく。システムを変えるといいましても、じゃどんなシステムに思い切って変えるのかということになりますと、やはり今のシステムの中で合理的な要素をずっと伸ばしていくという方向しかなかなか思い当たらないというのが率直な現状であります。  そのようなことでございますものですから、言われます問題の深刻さは十分認識いたしておりますが、対策について一挙にシステムを何か転換するというような方向というのはなかなか思い当たっていないというのが現状でございます。
  84. 足立良平

    足立良平君 終わります。
  85. 田英夫

    会長田英夫君) 他に御発言もなければ、本件に対するに本日の調査はこの程度とし、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時十五分開会
  86. 田英夫

    会長田英夫君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、産業資源エネルギーに関する調査を議題とし、我が国エネルギー需要の将来展望に関する件及び我が国の新エネルギーの将来展望に関する件の両件について政府から説明を聴取いたします。山本資源エネルギー庁長官
  87. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) ただいま会長から御指示のございました件につきまして、十五分以内で御説明を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。「我が国エネルギー需要及び新エネルギーの将来展望について」という資料が配付されておると思いますのでごらんいただきたいと思います。  まず一ページでございますが、エネルギーをめぐる国際情勢につきまして書いております。最近の国際石油情勢につきましては、昨年の湾岸危機におきまして、八月から九月にかけて原油価格は急騰いたしましてはぼ二倍程度まで上昇したことは御存じのとおりでございますが、十月以降年末にかけまして反落をしてほぼ安定状態に来るところでございました。その後、一月十七日の湾岸戦争発生直後には原油価格はさらに下落をいたしまして、IEAの対応、各国の備蓄あるいは代エネの導入等を背景といたしまして石油市場の鎮静化というのが見られたわけでございます。  最近の石油情勢でございますが、②に書いております。湾岸戦争終了後大体十五、六ドル近辺でドバイ原油は安定的に推移しておったわけでございますが、最近のソ連の石油供給に対する不安等を反映いたしましてやや強含みに推移し、十五日時点でドバイ原油は十九ドル弱というのが現状でございます。  さらに、イラク、クウエートからの石油輸出はまだ限定的でございますが、一方ではサウジアラビアを中心とする産油国の増産が続いております結果、石油需給はバランスを維持しているという状況でございます。  しかしながら、短期的な急激な変化が生ずるというふうには考えにくいんですが、減少が続いているソ連の石油生産、輸出動向、あるいはOPEC加盟国の原油生産動向、あるいはこの冬の需要の動向等を中心に引き続き市場動向を注視していく必要があると考えております。  次に二ページでございますが、エネルギー関連の国際会議等の動向につきまして、御案内のとおりと思いますが簡単に御報告いたしますと、本年六月に開催されました第十三回国際エネルギー機関、IEAの閣僚理事会におきまして以下のような内容の合意を見ております。  一つは、湾岸危機の教訓を踏まえて、IEAの緊急時システムの強化、石油備蓄の増強、石油製品の需要に対応できるような供給能力の必要性が強調されました。  二つ目には、原子力が世界のエネルギー供給に大きく貢献しているということ、あるいは安全性や廃棄物対策等の国際協力を強化すべきであるということについて全加盟国の合意が得られました。  第三には、省エネルギー、新・再生可能エネルギーも重要性が改めて確認されたわけでございます。  第四には、地球環境について具体的な対策を検討するために、エネルギー問題が直接関係する重要な問題であるということ、中でも技術移転、情報交換が重要であることが合意されたわけでございます。  なお、エネルギー憲章についても非差別的に策定されるべきであるということがうたわれました。  その後、本年七月のロンドン・サミットの経済宣言におきましても、今申し上げましたIEA閣僚理事会と同様の内容が盛り込まれると同時に、特に原子力発電の重要性、安全性向上のための国際協力の必要性がうたわれているわけでございます。  三ページをごらんいただきたいと思いますが、地球環境問題をめぐる動向でございます。御案内のとおりと思いますが、地球環境問題、まさにエネルギー問題と非常に深い関係がございまして、この図にもございますが、温室効果ガスの気温上昇への寄与率といたしまして、炭酸ガスは五五%である、しかもその八〇%は化石エネルギーの燃焼に起因するというのがIPCC、気候変動に関する政府間パネルの中間報告の知見でございます。  次に、地球温暖化問題をめぐる国際的な動向として、御案内のとおりでございますが、気候変動に関する枠組み条約のための交渉会議が開催されておりまして、既に三回行われました。来年六月のUNCED、国連環境開発会議における採択に向けてさらに二回の交渉が予定されておるわけでございます。   一方、我が国の本問題に対する取り組みでございますが、昨年十月の関係閣僚会議で地球温暖化防止行動計画を策定したところでありまして、その内容は、一人当たり二酸化炭素排出量について二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルでの安定化を図るという目標が定められておるわけでございます。  次に、我が国エネルギー需給実績と今後の見通してございますが、最近のエネルギー情勢といたしまして、今申し上げましたが、一つエネルギー需要の増大への対応等安定供給確保の必要性というのが一段と高まる。同時に、地球温暖化等の地球環境問題というような新たな課題への対応が求められるという新しい要請がつけ加わっておるわけでございます。  まず第一に、国内のエネルギー需要でございますが、八六年度以降の好調な景気の持続等を背景にいたしまして、九〇年度におきましても大幅な増加傾向が続いておりまして、今後もそのような需要の拡大が想定されるわけでございます。その中でもさらに電力が引き続き高い伸びを示しておりまして、夏場のピークヘの対応が必要になっておるわけでございます。表一をごらんいただきますと、八八年度、八九年度、九〇年度と三つの数字がございますが、最終エネルギー消費で五・七%、三・四%、三・八%の伸びを示しておるわけでございます。表二の一番下をごらんいただきますと、電力につきまして五・四%、六・二%、七・二%という高い伸び率を示しておるわけでございます。他方、エネルギー供給面につきまして、ここに書いておりますが非常に日本の脆弱な供給構造がごらんになれみと思います。対外依存度八四%、石油依存度五七・九%等御案内のとおりでございます。  それから③に書いておりますが、地球環境問題について今申し上げましたが、エネルギーセキュリティーの確保と地球環境の保全という二つの目的を達成する必要が生じておるということを書いておるわけでございます。  次に六ページに参りまして、エネルギー需給見通しと今後の課題でございます。総合エネルギー調査会の中間報告、昨年六月出ましたエネルギー需給見通しは表四でございますが、一九八九年度から二〇一〇年度にかけて最終エネルギー消費の年平均一・二%の伸びを想定しておるわけでございます。このエネルギー需給見通しをもとにいたしまして昨年十月に石油代替エネルギーの供給目   標が閣議決定をされました。これは二〇一〇年度を目標としたものでございますが、表五にあるとおりでございまして、石油の依存度は下がっていく、新エネルギーあるいは原子力の比率が上がっていくという想定をしておるわけでございます。  七ページに参りまして、このようなエネルギー情勢あるいは今後の見通しというものを踏まえまして一般的にエネルギー政策全体についての課題を申し上げますと、第一には省エネルギーの推進でございます。第二には原子力開発利用の推進、第三には新・再生可能エネルギー等の開発・普及促進でございます。それから第四には中長期的電力需給対策の強化、第五には革新的環境技術開発の推進、第六には、次のページでございますが、新しい石炭政策の推進、第七には湾岸危機の経験を踏まえた石油対策の推進、第八にはエネルギー問題克服への積極的国際貢献であるわけでございます。内容については、時間の都合もございますので、七ページ、八ページの詳細は省略させていただきたいと思います。  九ページに参りまして、我が国の新エネルギーの将来展望についてでございます。  第一には、新エネルギーの現状でございますが、太陽エネルギー、燃料電池、風力エネルギー等の新エネルギーは、石油代替エネルギーであるとともに、環境への負荷が少ないエネルギーであるということから、先ほど申し上げましたエネルギーの安定供給、地球環境問題への対応という点から極めて有効なエネルギーであります。  まず、再生可能エネルギーとして、太陽光発電、風力発電等につきましては、密度が希薄である、自然条件に左右される、現時点ではコストが割高であるといったような問題がございますが、従来政府としても非常に力を入れてその技術開発、導入促進等に努めておるわけでございます。  第一に太陽光発電につきまして、ここにございますが、この十年間でコストを十分の一にまで低減する等の成果を上げております。一九九〇年の生産量は約一・七万キロワットというふうに想定しております。  第二の風力発電につきましては、非常に風況のよい地点、例えばアメリカのカリフォルニア等ではもう経済性を有するわけですが、日本では、風況の特定のところにおいてでございますが既に三万三十キロワットが稼働しているわけでございます。サンシャイン計画で五十三年度から技術開発を進めておるところでございます。  ソーラーシステムにつきましては、新エネルギーの中では最も普及が進展しているものでございまして、(ロ)にございますが、民生用ソーラーシステムについては四十九年度から五十六年度まで開発をしまして、産業用ソーラーシステムについては昭和五十三年度から技術開発を推進中でございます。次のページにございますが、現在民生用ソーラーシステムが約三十五万台、温水器が四百六十万台普及しております。  次に、新エネルギーシステムとして、燃料電池、石油代替エネルギー車等について申し上げたいと思います。まず燃料電池でございますが、燃料電池は、御案内だと思いますが、水素と酸素の化学反応によって直接発電する技術でございまして、非常に高効率、公害が少ないという特徴がございます。かなり実用化に近づいておるものでございまして、昭和五十六年度からムーンライト計画において技術開発を推進中であります。現在一・三万キロワットが稼働しておるわけでございます。  石油代替エネルギー車につきましては、電気自動車、メタノール自動車、CNG車といったようなものにつきまして今フリートテスト等を実施しておるわけでございまして、幾らかの普及が既に始まりつつある状態でございます。  新エネルギー政策の現状と今後の課題でございます。最初にございますが、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律昭和五十五年に制定いたしまして、先ほど申しました代エネ供給目標を策定しておるわけでございます。  次に、エネルギー特別会計制度も五十五年度に創設させていただきまして、電源特会あるいは石油代替エネルギー対策を設けておるわけでございます。  同時に、中核的機関として、③にございますが、新エネルギー産業技術総合開発機構、NEDOを設立して各種の施策実施しておる次第でございます。  ④にございますが、サンシャイン計画、ムーンライト計画等の技術開発を進めておりまして、サンシャイン計画は四十九年度から進めておりまして、ムーンライト計画は五十三年度から進めておるわけでございます。  最後のページに今後の課題を書いておりますが、開発・導入のための効率の向上、コスト低減のための技術開発、これは引き続き必要でございますが、さらに環境整備あるいは導入促進といったような施策が必要になっておりまして、まず(イ)にございます政策支援として、補助なり利子補給に加えまして、来年度からフィールドテスト関係の補助金を太陽光発電、燃料電池について要求しておるところでございます。  (ロ)の制度的環境整備につきましては、電気事業法等の法規あるいは運用につきまして、新エネルギー、太陽光発電、コジェネレーション等を導入しやすいようなメニューなり制度を確立するための研究を今一部進め、もう既に実施しておるわけでございます。  (ハ)としては、電気事業者にも先駆的な導入をお願いして、各社の施設計画でも目標を立てて今後具体的な設置の候補地を検討、計画中と聞いております。  石油代替エネルギー車についても、電気自動車等につきましてフリートテスト等によって普及促進を図ることにしておる次第でございます。
  88. 田英夫

    会長田英夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。質疑は両件を便宜一括して行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 大渕絹子

    大渕絹子君 日本社会党大渕絹子でございます。ただいま御説明いただきましたエネルギーに関連して質問をさせていただきます。  長期エネルギー需給見通しについてお話があったわけでございますけれども、前回、八七年十月の長期エネルギー需給見通しによると、エネルギー需要は二〇〇〇年度までに一・五%の伸びを見込み、また今回、九〇年六月のエネルギー需給見通しにおいても、エネルギー需要は二〇一〇年度までに一・二%の伸びと見込んでおり、このため新エネルギー等非化石エネルギーの導入を強力に推進するとともに、一一%程度め省エネルギーを目標としたエネルギー利用の効率化を図ることが必要とされています。  九〇年度のエネルギー需給実績は、最終エネルギー消費が対前年度比伸び率三・八%と非常に増加傾向を示しております。部門別では依然として民生、運輸部門が最終エネルギー消費全体の伸びを上回る伸びとなっています。特に民生部門の業務用、家庭用の電力需要増加と運輸部門のエネルギー消費増加が著しいわけですが、この原因と今後の見通しについてどのように考えておられるか、そしてまた、エネルギー需要量を効果的に抑制する手段としてとられている措置等についてお話をいただきたいと思います。
  90. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 今先生御指摘のとおりの推移を示しておりまして、民生部門全体では最近四年間で年率四・三%という伸びを示しております。さらに、その中では業務用が非常に高い伸びを示しているということも御指摘のとおりでございます。  この背景といたしまして、生活水準の向上あるいは経済サービス化の進展が考えられますが、特に一九八七年度以降、景気の回復等を背景に個人消費が堅調に推移した、あるいは家電機器の普及の拡大、それから業務用の床面積の拡大、オフィスでのOA化の進展等が要因として考えられると思うわけでございます。  さらに、業務部門に関して申し上げますと、床面積の増加と床面積当たりのエネルギー消費増加するという状況がございまして、特に九〇年度は冷房需要増加等から業務部門は七・六%と大幅な伸びを示しております。  ただ、将来の見通してございますが、先ほど御指摘のとおり二十年弱で年率一・二%が全体のエネルギー需要の伸びでございますが、民生用につきましては二・四%というその中では比較的高い伸びを想定しております。これは、ただいま申し上げましたような要件、事情がありまして、エネルギー利用効率の改善は図るけれども、国民生活の向上あるいはゆとりと豊かさの追求、あるいは特に大都市地域における業務用の床面積の増、OA機器の普及といったような点からどうしても伸びが想定されるわけでございます。  効果的な施策につきましても御質問ございましたが、昭和五十四年にエネルギーの使用の合理化に関する法律、俗称省エネ法を制定していただきまして、その法律に基づきまして各種の施策あるいはPR等を推進しております。同時に、産業部門におきまして技術開発あるいは設備投資等をしていただくというようなことを進めておりまして、政府としても各種の助成策、誘導策を講じておるところでございます。
  91. 大渕絹子

    大渕絹子君 運輸部門について言及がなかったわけですけれども、ガソリン使用車が巻き起こすエネルギー消費とその後の環境に与える影響等々を考えますと、ガソリン車が今一番市場を占有しているわけですけれども、自動車の開発等にも力を入れていただくことによってこの運輸部門のエネルギー消費というようなものをもう少し分散させていくというようなことができるのではないかと思うわけでございます。産業部門においては大変省エネルギー化が進められておってエネルギー需要率も大変下がってきておるということの中で、民生部門それから運輸部門においてさらに省エネ化に対する努力というのは必要だろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  我が国の国内の原油価格は第二次石油危機直後のピーク時に比べて三分の一ぐらいの低水準に今あるわけでございますけれども、これが基準になって決まる電気などのエネルギー価格は今大変割安になっています。先ほど長官がおっしゃったように、八七年からそうした安い石油を使っての電気料も安いということの中で大量消費ということが生み出されてきているわけですけれども、そういうことが新しいエネルギー危機の下地をつくりつつあるということは今長官もおっしゃったとおりでございます。  そして、政府が出している長期エネルギー需給見通しの想定、先ほど言いましたように年率一。二%をはるかに上回っている現在、一方では発電施設の増設ということを考えなければならないわけですけれども、原子力発電所の建設難であるとか、あるいは環境規制からくる石油、石炭などの化石燃料使用の限界などのためにエネルギー庁が出している長期見通しが計画どおりにはいかないのではないかと思われるわけでございます。この需給見通しの見直しというようなことについてどのように考えておられますでしょうか。
  92. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 御指摘のとおり、最近のエネルギー需要の伸び率、先ほども御説明しましたが五%台、三%台程度の伸びを示しておりまして、かなりエネルギー需要見通しの水準を上回っていることは事実でございます。  ただ、私どもといたしましては、このエネルギー需要見通しは単なる推測なり想定というよりむしろ目標に近いものと考えておりまして、地球環境問題あるいはエネルギーの安定供給という点から、この程度のエネルギーの節約をやった上で、GNPの伸びを想定した上で、どの程度の伸びが必要だというような想定から一・二%を出したものでございまして、私どもとしては、確かに低い目標でございますが、その目標を達成すべくこれから大いに努力をしてまいりたい、そのために省エネルギーについても訴える、あるいは施策を講じてまいりたいと、現時点ではそういうふうに考えておる次第でございます。
  93. 大渕絹子

    大渕絹子君 それでは具体的に電気の供給ということにつきまして、これからの需要の急増にどう対処をしていくのかということをお聞かせいただけますか。
  94. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 電力につきましては、今各社の施設計画、平成十三年度を目標にしたものが私どもに法律に基づき提出されておりますが、それによりますと、電力需要の伸びは年平均二・八%、それから最大電力の伸び率が三・一%と、三%前後の想定をしておるわけでございます。  それに対する電源の確保として、各社が電力の施設計画の中で発電所の増設計画、新設計画を立てておりまして、私どもとしては、それを実現するための関係の電源立地対策、それから電源開発調整審議会を中心とする各省の御協力をお願いして、各社の施設計画で定められた電源立地計画を目標どおり達成してまいりたいと思っておる次第でございます。
  95. 大渕絹子

    大渕絹子君 電気不足というと、すぐに原子力発電所というようなことでそちらにばかり向くように私たちは思うわけでございますけれども、地球温暖化防止の決め手として期待されているのは風力であり、太陽光・熱であり、あるいはバイオマスなどの自然エネルギーの普及を目指す制度改革が必要だと思うわけでございます。  欧州諸国ではこれらの自然エネルギーの普及が非常に進んでいます。中でも画期的と注目を集めているのは、ドイツの再生可能エネルギー発電電力の公共電力網への供給法という法律があるわけですけれども、電力会社に自家発電の電力を高額で買い取ってもらうことが法的に義務づけられているわけです。我が国におきましても、民生用のコジェネレーションの導入等によって、民間部門でその発電をしているというところが非常に多くなっているわけですけれども、このような余剰電力について、先ほどこれからガイドライン等をつくって取り組んでいきたいというお話があったわけでございますけれども、今の現状と、ガイドラインではなくて、実際に買い取りを義務づけるような、そういう法制度化に向けての取り組みは前向きに考えておられるのかどうかというようなことをお聞かせください。
  96. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 電気事業者以外の人が発電をするというのは、例えば、工業用に発電所を持っておられてその余剰電力を電力会社に買ってもらうという場合、それからいわゆるコジェネレーションシステムということで、主として都市部におきましてガスタービン等によりまして発電と熱を両方とるというような方式でやる場合がございます。この場合も余剰電力を電力会社に買い取ってもらえるかどうかという問題があるわけでございます。さらに、太陽電池等を今後導入すると、その電気について電力会社が引き取るかどうか、そういう問題が生じてくるかと思うわけでございます。  この件につきましては、先ほども簡単に申し上げましたが、余剰電力を電力会社が買う、こちらへ流してもらう、電力会社が買い取るというものにつきまして一部もう既に技術的なガイドラインもできて、実際購入をしているものもあるわけでございます。ごみ発電等につきまして既に購入をしております。電気事業連合会の社長会の申し合わせでことしの一月に積極的に買っていこうという方向づけもなされたわけで、私どもとしてはそのような指導をその直前に申し上げた次第でございます。  なお、問題は技術的な整備基準と申しますか、単に系統連系をするだけじゃなくて、逆流をする場合に事故の問題とかあるいは電力の質が悪くなるといったような問題もございますので、そのような点について今さらに技術的な実証テストを行っておるところでございます。それをもとにして逆流する場合の技術基準についても、あるいはガイドラインについても、今検討中でございますので、今後策定するようにしてまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ、ドイツ等にあるような電力会社が余剰電力を買い取る義務、あるいは一定の価格で買い取るという義務につきましては、私どもとしては、買い取る義務というところまで法制的に導入するのは、なおいろいろ勉強すべき問題もあると思いまして各国の制度を今勉強中でございまして、日本の実態も踏まえて今後検討してまいりたい。ただ、積極的に電力会社が買う、あるいは買電メニューを用意する、あるいは逆流についての技術的な基準を明確にしていくというようなことについては、急いで進めつつあり、近くまたさらに完全なものにしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  97. 大渕絹子

    大渕絹子君 先ほどドイツの例を申し上げましたけれども、ドイツではこの自然エネルギーを買い取る場合に普通の電力会社が販売をしている価格の七五%から九〇%の価格で買い取る。デンマークでもこれは法制的に義務づけられていて七〇%から八〇%の価格で買い取る。スイスでは実に販売価格の一〇〇%、自家発電をした部分も公共的な電力会社がつくった分と同じ価格で買い取らなければいけないという義務があります。アメリカでも同じく電力会社が発電をする原価ということで引き取ることになっているわけですけれども、これもやはり法制度化がされていて義務づけられています。  日本は、先ほど長官は高品質の電力とおっしゃいましたけれども、高品質の電力ということをいつも前に立てて、原子力発電でなければそれが得られないようなことが私たちに伝わってくるわけですけれども、そうではなくて、今サンシャイン計画などのお話もあったわけでございますけれども、そうした自然エネルギー、自然エネルギーは無尽蔵に繰り返し使えるエネルギーとして私は最も有効であると思うわけです。  そして、サンシャイン計画等でつくられたエネルギー自体はそれほど大きなものでない、小さなものかもしれない。余る部分も少ないのかもしれない。でも、そういうものを一つ一つ有効に生かして、そして電線をつなぐことによって有効利用をしていくことこそこれからの将来に向けて原発から離れていく手段の一つではないかと思うわけです。そういうことをとらえまして、サンシャイン計画の課題として、連系化といいますか、そのことをひとつ繰り込んでいただけないかと思うわけです。
  98. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 先ほどの資料の十二ページの(ロ)にも書いておりますが、私どもとしては、余剰電力購入条件のメニューをきちっとつくるということ、あるいは一般の配電線へ逆潮流がある状態で連系するための系統連系技術要件ガイドラインを整備するというようなことを進め、かつ、電気事業者にはコジェネレーションシステムあるいは自然再生エネルギーについての買電について、あるいは系統連系について積極的に対応するように指導、要請をしておりまして、今後ともそれを強めてまいりたいと思っておる次第でございます。  法整備の問題については、今後関係各国の実情等をさらに研究しまして、私どもとしては現時点でそれが必要だというふうに考えているわけではございませんが、検討をしてまいりたいと思っております。
  99. 大渕絹子

    大渕絹子君 日本の大手電力会社を執拗に保護するために法制化を急がないようであるならば非常にそれは問題があると思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  私は、商工委員会の質問のときにもこのことを申し上げたことがあるわけでございますけれども、電気事業法等々その法制度を確立することによって、せっかく開発をされている小さなエネルギー、電力、そういうものを有効に使っていける――せっかく長い間技術者たちが大変苦労して開発をされた、サンシャイン計画の中でつくり上げられたものが実際に応用されないで蔵に入ってしまうような実情を見ているとき、そういうことを非常に残念に思うわけでございます。ぜひその地域地域に対応した形で自然エネルギーを使っていけるような、そういう体系づくりというものを法体系上からもつくっていただきたいと思うわけでございます。  また、ドイツ政府は地球温暖化の元凶である二酸化炭素の排出ということについても非常に厳しい目標を設定しているわけです。二〇〇五年までに八七年レベルに比べて二五%削減ということで、これは世界で最も厳しい目標を掲げています。そのために、石炭、石油による大規模な発電所からの供給を減らして分散型供給への転換を目指しています。地域で得られる自然エネルギーは送電ロスも少なく、またCO2の排出もないからです。そして、全国の民家に太陽光による屋根の上の発電所をつくる計画が展開中であります。その発電設備や運転資金等の助成も国庫で行われていると言われています。  一方、私たち日本では地球温暖化防止行動計画というものが出されているわけですけれども、二酸化炭素排出量を二〇〇〇年以降おおむね九〇年レベルで安定化させることとしています。この計画の進め方と予算措置、この計画を推進するための地球環境保全関係予算というのがございますね、これについてちょっとお聞きをしたいと思うわけでございます。  私ちょっと調べましたんですけれども、来年度の概算要求の中で地球環境保全関係予算として要求をされているものが五千六百四億円、前年度比で大体五・三%増になっているわけでございます。この中で通産省が要求をしている環境保全の関連予算は一千三百三十四億千六百万円でございます。この環境保全のために使うお金の中で、原子力発電に関する廃棄物、そういうものに使うお金が四百五十二億円、そして炭酸ガス対策、CO2対策に使われるのが八十五億円、省エネルギー、サンシャイン計画として使われるのが六百六十二億円、環境保全経済協力費として使われるのが十五億円、酸性雨、オゾン対策として使われるのが百二十億円、こうなっているわけでございます。  先ほど申し上げました五千六十四億円というのは、通産省とか科学技術庁とか環境庁、そういう各省庁の合計をした環境保全に対する予算の総計なんですけれども、この総計五千六十四億円の中で、原子力の廃棄物処理にかかわる予算が六一・六%、三千百二十一億円もかかるんです。低レベル放射性廃棄物ですか、それを処理するだけのお金が三千百二十一億円もかかるんです。それに対して、通産省が行おうとしている二酸化炭素対策に使われるお金が八十五億円です。エネルギーのサンシャイン計画、先ほどからとてもすばらしい新しい技術開発というようなことでうたわれているわけですけれども、その予算がわずか六百六十二億円ということなんです。  これは私はうなずけないわけですよ。これから新しいエネルギーをつくり出し、政府は脱原発とは言わないですけれども、私たちは脱原発を目指す方向として、どんどんと新しいいいものを開発していかなきゃならないそういう時期に、原子力発電によって出てくる廃棄物の処理よりも、新しいエネルギーを生み出す技術革新の予算が本当に大幅に少ない、五分の一程度しかないということに対して非常に不満に思うわけでございます。新しいエネルギー開発の予算づけに対して積極的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  100. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 今委員指摘の数字を私はちょっと確認できませんので大変恐縮でございますが、通産省関係のもので申し上げますと、新エネルギーあるいは再生可能エネルギーにつきまして、新エネルギー産業技術総合開発機構を通じまして大変な努力をしておるつもりでございまして、今御指摘のございました六百六十二億円というのはそのような目的のために講じておると思います。来年度も技術開発それから導入促進のための新たな制度、それは大陽光発電、燃料電池等につきまして相当力を入れて大蔵省に向けて要求をしておるところでございます。私どもとしては、新エネルギー、量的には確かに少ないんですが、御指摘のような大変すばらしい地球に優しいエネルギーでございますので、今後とも力を入れてまいりたいと思っている次第でございます。
  101. 大渕絹子

    大渕絹子君 力を入れていきますと言いますけれども、実際に先ほどの電力のこれからの見通しというような表を見させていただきますと、原子力に頼っている部分というのが非常に大きいわけです。そこに私は問題点があると思うわけでございます。地球に人間が存在できない状況になってからでは遅いんです。すべての政策あるいはすべての国の人たちの政治の根源はそこにあると思うんです。そういうことを考えたときに、どれだけの予算が多いのか少ないのかという基準がおのずから決まってくるのではないかと思うわけでございます。  地球温暖化防止行動計画ともう一つ、昨年七月のヒューストン・サミットにおきまして我が国が提唱した地球再生計画というのがあるわけでございますけれども、この具体化に向けての取り組み状況、それからできれば予算等々どのような形でやっておられるのかということを御説明いただければと思います。
  102. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 地球再生計画につきましては、御指摘のとおり、地球温暖化対策を中心といたしまして、産業革命以来二百年かかって変化してまいりました地球を再生しようという目的で、世界各国の協調のもとに技術開発あるいは技術移転を進めていこうという長期ビジョンでございます。  内容といたしましては、科学的基盤の整備あるいは省エネルギー・省資源の推進、クリーンエネルギーの導入、革新的な環境技術の開発、温室効果ガス吸収源の拡大等々でございます。  内容につきましては非常に多岐にわたっておるわけでございまして、国際的にもあるいは政府全体としても一体となって取り組んでいるところでございますけれども、当省といたしましては、世界的な省エネルギーの普及対策、大陽光発電等を利用いたしました新エネルギーの開発、CO2の固定化・有効利用等の革新的技術の開発、環境エネルギー分野での途上国への技術移転のための研修事業実施等を推進しているところでございます。  予算措置につきましては、先ほど委員指摘の温暖化防止行動計画の予算の中にこれらが含まれているものでございます。
  103. 大渕絹子

    大渕絹子君 それでは、温暖化防止行動計画と別建てになってやっているということでなくて、その計画の一環として再生計画ということがあるということでよろしゅうございますか。
  104. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 一環としてといいますとあれでございますけれども、温暖化防止行動計。画は日本の国としての取り組み方でございますが、こちらの地球再生計画につきましては国際協力のもとでやろう、条約というようなものができているわけではございませんけれども、国際協調のもとでやろうということでオーバーラップをしているというふうにお考えいただけたらと思うわけでございます。
  105. 大渕絹子

    大渕絹子君 せっかく日本がこんなにいい提案をヒューストン・サミットでしたわけでございますから、さらに積極的に世界のリーダーとして地球環境保全に貢献をしていく、そういう日本であってほしいと思うわけです。今PKO法案が出されているわけですけれども、自衛隊を海外に派兵させて国際貢献させるよりは、こういう環境保全の面で積極的にリーダーシップをとることの方がどれだけ大きな国際貢献につながるかわからないことを訴えさせていただいて、終わりにいたします。ありがとうございました。
  106. 針生雄吉

    針生雄吉君 我が国エネルギー需要の伸び率は、先ほどありましたように年率三ないし五%もの高さになって、政府の想定による二〇〇〇年までの長期エネルギー見込みの年率一・六%をはるかに上回っているわけでありますが、これに対して、供給の方は長期見通しの達成すら絶望視されているという現状であるわけであります。このような状況から、やがて重大なエネルギー不足を招きかねないということでございますが、政府としても大幅な省エネルギー努力によるエネルギー需要の最大限の抑制等を基本とした二〇一〇年までの目標を設定しているわけであります。  特に、我が国エネルギー需要の特色として、冷房需要エネルギー源について年間を通じて一定の時期、特に夏の間に電力需要が集中しているわけでありますが、電力事業者にとっても過酷な課題となっているところであります。ある一定の時期に電力需要が集中している、こういう状況に対する政府としての対応策についてお伺いをいたします。
  107. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 今御指摘ございましたように、特に電力につきまして昨年の夏は非常に厳しい状況でございました。ことしはたまたま涼しい夏だったためもありまして平穏に推移いたしましたが、私どもとしては、昨年の経験を踏まえまして、ことしは各電力会社に指示、指導をいたしまして、まず休止火力を復活するということ、あるいは電力会社間の融通の一層の強化というようなことをやると同時に、需給調整契約の一層の拡大といったようなことも進めましてことしの夏は少なくとも対応できるように準備をしておったところでございます。今後とも今申し上げましたような夏のピーク対策に対応するためのいろんな努力を進め、かつ、ピークカットをするためのいろんなシステム、例えばガス冷房を活用するとかいうようなこと、あるいは夏に休みを分散してとっていただくというようなこと等を含めた検討を進めておるところでございます。  この九月から総合エネルギー調査会の省エネルギー部会、さらに最近では電気事業審議会の基本問題検討小委員会で省エネルギー対策あるいはピーク対策について検討をしていただいておりまして、必要があれば今後省エネルギー対策の見直しを含めて新たな制度の検討を含めた勉強をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ基本的には、電力につきましては電源立地対策、発電所の新増設というところがどうしても必要になってまいりますので、電源立地対策に力を入れて地域住民の方々の御理解を得るという努力を今後とも進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  108. 針生雄吉

    針生雄吉君 国民の皆様方に省エネルギー対策についての協力を要望するということも大切ではございましょうが、政府としても基本的な立場でのエネルギー供給の対策をしっかりと立てていただきたいと思います。  次に、国際的なエネルギー使用の節減への国際協力の推進も必要であると思います。特に発展途上国を中心とした日本からの省エネルギー技術の国際移転についての協力、普及というものが不可欠と思われますが、我が国としてどのように推進しようとしているのか、その方策についてお伺いをいたします。
  109. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 氏本のエネルギー消費の対GDP原単位を見ますと、先進国の中で最もすぐれた水準でございまして、そういう意味で、省エネルギー技術というのが今先生御指摘のように世界で先導的な役割を果たし得る分野だと考える次第でございます。従来より通産省としても、発展途上国を中心といたしまして専門家の派遣あるいは研修生の受け入れ等を通じました省エネ分野の技術協力を行っておるところでございます。今後とも地球温暖化を初めとする地球環境問題等の観点を踏まえまして、さらにエネルギーの需給の確保ということも踏まえて省エネ技術の国際的移転に一層の努力を図ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  110. 針生雄吉

    針生雄吉君 次に、新エネルギーあるいは未利用エネルギーの開発等についてのお尋ねをしたいと思いますが、非常に広い範囲にわたる問題でありますけれども、簡潔にお答えを願いたいと思います。  石油代替エネルギーに関しまして、二酸化炭素の排出がない、あるいは少ないということで新エネルギーが今後のエネルギーとして期待されておりましてその研究開発が進められているわけであります。そのうち燃料電池、太陽電池について、その技術開発の現状と課題あるいは導入に際しての今後の課題等について、あるいは、いわゆるごみ発電、廃棄物燃焼熱の未利用エネルギーの利用、導入の現状と課題について簡潔にお示しを願いたいと思います。
  111. 石原舜三

    政府委員(石原舜三君) 新エネルギーのうち、最初に燃料電池発電の技術開発の現状についてお答えいたします。  燃料電池発電は、御承知のとおり、水素と酸素とを反応させることによりまして直接電気を取り出そうというそういう技術でございまして、発電効率が非常に高い、あるいは窒素酸化物の排出量が少ないなど多くの利点がございます。エネルギーの安定供給の確保、地球環境問題への対応等から非常に重要な技術であると認識をいたしている次第でございます。したがいまして、ムーンライト計画におきまして、昭和五十六年度から燐酸型、溶融炭素塩型及び固体電解質型の三種類の燃料電池について私たち工業技術院として技術開発を推進しているところでございます。  この三つのうち、小型の燐酸型燃料電池につきましては、ムーンライト計画の中心として産学官が一体となって開発を進めました結果、技術的には商業化可能な段階まで到達しておりまして、今後は普及を推進していく段階となりつつあるところでございます。また大規模システムにつきましても、ムーンライト計画の成果を生かした実用化研究が資源エネルギー庁において進められているところでございます。溶融炭酸塩型と固体電解質型燃料電池につきましても実用化を目指した研究開発を進めているところでございます。通産省としましては、引き続いて本技術の開発を積極的に推進してまいる所存でございます。  次に、いま一つの太陽光発電技術について申し上げたいと思います。太陽エネルギー技術につきましては昭和四十九年よりサンシャイン計画において行っておりますが、太陽から出る光とそれから熱を用いた二つの研究開発を行っているわけでございます。  太陽光発電でございますが、太陽光発電技術につきましては原理的には確立されているわけでございますが、今後は実用化に伴いまして経済性を向上させるということが重要な課題でございまして、発電コストを西暦二〇〇〇年において現在の家庭用の電気料金の水準まで低下させることを目標として研究いたしております。  具体的には、太陽電池を大量かつ安価に製造する技術の開発、二つ目としまして太陽電池の変換効率の向上、三番目に沖縄県における離島用電力供給システム、あるいは白馬山における山小屋用の太陽光発電システム、静岡県における災害時用電力供給システム等、多分野における太陽光発電システムの開発等を行っております。また、今後現在の二倍以上のエネルギー変換効率を持つ超高効率の太陽電池の開発等、新たな技術開発に取り組んでまいる所存でございます。
  112. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 御質問のごみ発電というか廃棄物発電についてもちょっと申し上げたいと思います。  廃棄物発電につきまして、平成二年度末時点で全国百二施設で行われておりまして、設備出力の合計で約三十万キロワットというのが現状でございます。非常に省資源・省エネルギーという点ではいいんですが、発電効率が低いという問題もございますので、私どもとしては効率的に行うための技術開発予算の拡充を今度また要求しております。それから税制や財投の新規要求を行っておるところでございます。さらに自治省、厚生省におきましても、売電分についても事業債あるいは補助金の対象にするというような施策も講じられるというふうに伺っておるわけでございます。
  113. 針生雄吉

    針生雄吉君 各システム問題点についても詳しくお伺いしたいところでありますけれども、時間の関係もありますので次の問題に移りたいと思います。  先ほどもお話ありましたように、一九九〇年七月のヒューストン・サミットにおいて、気候変動に関する枠組み条約を一九九二年までに策定すると経済宣言に盛り込まれたわけでありますが、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告書や世界気候会議等においても早急な対応が検討をされていることはもう既に先ほどお話があったとおりでございます。この地球温暖化防止条約の早期締結を政府としても期すべきと思うが、どうお考えになっておられるかということ。  それからもう一つ政府としては、一九九〇年十月の地球環境保全に関する関係閣僚会議の地球温暖化防止行動計画において、二酸化炭素の排出抑制については、一人当たり二酸化炭素排出量について二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルでの安定化を図るというふうにしているわけでありますけれども、我が公明党といたしましては九〇年実績の一〇%削減のレベルを主張しているわけであります。この我が党の主張のように高い目標を目指すという政策をとるべきであると思いますけれども、政府としてはどうお考えでありましょうか。
  114. 柳下正治

    説明員(柳下正治君) お答え申し上げます。  温暖化問題につきまして世界が一体となった枠組み条約をつくることが極めて重要だというふうに考えてございまして、環境庁といたしましても、来年六月の地球サミットでの締結、採択を目指しましてなお一層の各国間との対話を深める、これらによりまして温室効果ガスの排出抑制等を内容とする実効ある枠組み条約が成立いたしますように引き続き全力を尽くしてまいる考え方でございます。  二番目の排出抑制問題に関してでございますけれども、究極的には、温暖化問題につきましては、人為的な悪い影響が生じないようなレベルで温室効果ガスの大気中の濃度を抑えるというのが最終的な目標ではありますけれども、我が国といたしましては、まず第一段階といたしまして、温室効果ガスの排出量の安定化を目指すということを行うべきとの考えに立ちまして、先ほど御指摘にございましたような温暖化防止行動計画におきましてもそのような方針を定めるとともに、さらに条約交渉におきましても九〇年レベルで二〇〇〇年安定化に向け最大限の努力をするといったようなことを内容といたします提案などを行っているところでございまして、このような安定化に関する考え方というのはEC等も同様の提案を行っているところでございます。  我が国といたしましては、このような我が国の提案を踏まえた条約が成立するよう引き続き努力をいたしたいと思っでございますが、さらに環境庁といたしましては、将来的には二酸化炭素の排出の削減という課題も今後検討しなければならないものであろうとは考えでございます。
  115. 針生雄吉

    針生雄吉君 ありがとうございました。
  116. 高崎裕子

    高崎裕子君 湾岸危機あるいは地球環境問題の中で、我が国唯一のエネルギー資源である石炭を守り、発展させるなど、政府の責任あるエネルギー政策が今ほど求められているときはないと思います。    〔会長退席、理事白浜一良君着席〕 石炭問題についていろいろ言いたいところですけれども、きょうは時間の関係で原発の問題をお尋ねします。  原子力の発見というのは人類の平和と進歩の結晶であり、これを平和的に利用して、真に人類の進歩に役立てる可能性を積極的に探求するのは当然だというのが我が党の立場なんですけれども、しかし安全性が確立していない原発です。米ソの二大原発事故は言うまでもなく、我が国でも相次いで原発の重大事故が発生し、原発は私たちが容認するか否かにかかわらず現に毎日運転されているということで、改めて原発の安全性が問われているわけです。  私の地元北海道でも北海道電力の泊原発が稼働しているわけですけれども、一号機、二号機がことし相次いで亀裂事故が生じたということで道民の間に非常な不安が広がっております。    〔理事白浜一良君退席、会長着席〕 この十四日には地域住民の避難訓練が実施されて、これ自体いろいろ問題があるんですけれども、きょうは時間の関係でこの事故の原因と今後の対策に絞ってお尋ねしたいと思います。  この事故は、一号機、二号機いずれも低圧タービンの静翼部において、一、二号機合わせて八百九十六枚ある静翼中五百八十九枚、全体の六五%の静翼に合計千二百カ所の亀裂が生じたということで、大変重大な事故だと言わなければならないんです。もし運転中にタービンが破損してミサイルのように飛び散ったら大きな惨事となる危険性がありますし、タービンの事故というのはそれだけにとどまらず、炉心部の冷却の失敗から緊急炉心冷却装置の作動、ひいては炉心溶融という重大な問題につながるおそれも指摘されているわけです。私ども党の国会調査団は六月二十四日から二十六日に現地に赴いて調査をし、北電から事情聴取をしてまいりました。  この事故について、北電は原子炉本体の事故ではないということを強調して、重大事故であるという認識がどうもないように思われるんですけれども、通産省としてこの事故をどのように認識されておられますでしょうか。
  117. 末広恵雄

    政府委員(末広恵雄君) 北海道電力の泊一、二号機でこの春の定期検査、それから二号機につきましては中間点検で今御指摘のタービン静翼にひび割れが発見されたということでございますが、泊発電所につきましては、PWRということで二次系である蒸気タービン、それから一次系である原子炉というのは一応分離されております。したがいまして、タービンのふぐあいというのが直接的に原子炉に及ぶということはないわけでございますが、今回の事象、我が国でも初めての事象でございまして、原因につきましては私ども徹底的に調査を進めてまいったところでございます。
  118. 高崎裕子

    高崎裕子君 我が国初めての事故で、重大な事故であるという認識であるというふうに伺ってよろしいわけですね。  それで事故原因なんですけれども、北電は、破面状況調査の結果、亀裂は直線的であって枝分かれは認められず、高サイクル疲労特有のストライエーション、しま模様ですね、これが認められたということで、溶接部に大きな繰り返し応力が作用したことによる高サイクル疲労であると言われ、そしてこの疲労が起こった要因は、プラントの起動時等の出力が約三〇%という特定運転域で、静翼の厚さが薄く幅が狭いなど知性が小さいことにある、こうしているわけですけれども、通産省としてもこのような認識でしょうか。
  119. 末広恵雄

    政府委員(末広恵雄君) ひび割れの発見されました静翼につきましていろいろ調査した結果、今お話にございましたように、静翼の厚さにつきまして若干合理的な設計になっているということもございまして、しかも溶接部につきまして若干薄いところがあったということで、それが一つの原因になっているということは事実でございます。
  120. 高崎裕子

    高崎裕子君 この出力三〇%の特定運転域による運転方法というのはどの原発でもとられている運転方法で、こういう通常予想される運転方法でこんな事故が起こったということは、このタービン自体に問題があったと言わなければならないと思うんですね。これは欠陥商品だったのか、あるいは設計ミスだったのかという問題になるんですけれども、この原発一号機、二号機はいずれも三菱重工が製作をしたものです。  この二つの原発は、三菱重工がこれまで関東以西、六十ヘルツ地域で用いられてきたタービンを今度は関東以北の五十ヘルツ地域で初めて動かしたというものなんです。六十ヘルツ発電用のタービンを五十ヘルツに転用するのに回転数の変更が行われたわけです。この設計変更を行った際、泊一、二号機は翼の長さについて二十三ミリ、幅で六十五ミリそれぞれ短くした、そして厚さで九ミリ薄く設計をした、そして発電効率はこの薄型設計によって約一%従来型より向上したのだというふうに説明しているわけなんです。安全性が確保された上で発電効率が向上したというのであればいいんですけれども、そうではなかったというのが今回の事故だったわけですね。  問題は、新しい条件の中で新しいものをつくるという場合、実物大の実証試験、テストを行って、営業運転で大丈夫と言えるようになって初めて実用化するというのが常識だと思うんです。  原発納品時にタービンの実験データは三菱重工から北電はもらっていない、こういうふうに私どもの調査で答えられたわけなんですけれども、渡されていないという点について通産省は確認されていますでしょうか。
  121. 末広恵雄

    政府委員(末広恵雄君) 今お話ございましたように、このタービンにつきましては、従来のPWRにつきましては六十サイクルで、五十サイクルに初めて採用するということで若干の設計変更が必要になったわけでございますが、タービンにつきましては火力等で従来非常に経験がございます。タービンの安全確保を図るという観点からしますと、やはり私ども一番重視いたしますのは、今回トラブルがありました静翼、静止部分ではなくてむしろ高速回転しております回転部分の振動によってどういった応力が発生するか、これに非常に注目しております。  もう一つ大事なことは、仮に異常が発生しても、タービンが速やかに停止できるか、そういう機能が備えられているかということが重点になるわけでございますが、今回の設計に当たりましてもそういった観点からの、つまり静翼ではなくて動翼の方につきましてはいろいろメーカーにおきまして試験等を行っております。ただ静翼につきましては、先ほど申し上げましたタービンの性格からいたしまして実機での実験というのは行われておりませんので、そういったデータはございません。
  122. 高崎裕子

    高崎裕子君 新しい条件、日本でそれこそ初めてのことが行われるというときに、理論上大丈夫だということで実験をそもそも行わなかったということ自体がやっぱり非常に私は問題だろう。一歩誤れば原発の事故というのは生命にかかわる重大事、環境破壊になる重大事だということはもう周知の事実なわけですから、その点ではテストデータがないということ自体私は極めて大きな問題だというふうに言わなければならないと思うんです。  そうすると、テストをしないで納品をしたということが今の答弁の中から引き出されてくると思うんですね。周波数が変わった、その上初めてのタービンであった、そしてそれだけじゃなくて、剛性の強い形状とか材質を選定したり、振動に耐えられる溶接の溶け込みの深さだとか、設計上いろいろ考えなければならないということがあったはずなのに、やっぱりそういうことは静翼についてはされなかったという点で、机上の計算で品物をつくって納品した三菱重工の設計ミスということが浮き彫りになったと思うんです。  今年の八月三日の北海道新聞でも「泊原発の異常はもう御免だ」という社説があるんです。この中で、この「泊原発の異常の背景に、そうした疑いを抱かせる点がなきにしもあらずこだということで二点指摘しているんです。  「まず、出力約三〇%での異常振動をなぜ実証試験などで予知できなかったのか。」、周波数六十ヘルツの西日本で稼働していたものを今度五十ヘルツの本道で稼働させる場合に「異常が起こるとは予想もせず、十分なテストをしなかった、としか思えない。」ということで、現にテストをしなかったというような話が今出ていますけれども、それが一点。  それから、「第二に、周波数の減少に合わせて行った翼の設計変更で、西日本のものより羽根を薄くしたり、そり具合を変えた。異常振動を予測していなかったうえに、タービンの製造コストをぎりぎりに抑えたのではないか、という疑念がぬぐえない。要するに、技術的な過信や思い込み、あるいは経済性の追求が、安全確保に対する油断を招き、タービンの構造的な欠陥を生んだのではないか、と言わざるを得ない。」、こう断定しているわけなんですよね。  構造的な欠陥であるということは専門家も指摘をしているわけですが、種類は違うんですけれども、今回も三菱重工の製造のもので起こった事故であり、二月の関西電力美浜二号機の事故も三菱重工の設計施工のものなんですね。このように連続して起こった事故が全部三菱重工のものであるということで、政府調査特別委員会で調査をし報告をまとめられておられますけれども、これを見せていただきますと、一日で言うと工事がずさんであったということが美浜についても浮き彫りになっているわけです。営利追求、営利第一主義という北電側のいろいろな問題もありますけれども、他方、製造者である三菱重工の責任も非常に大きいと思うんです。  通産省は、電気事業法では直接国が製造者である三菱の責任を問えないものだというふうにおっしゃるんですけれども、原発の事故の重大性から考えてそれでは済まされない問題だというふうに思うんですけれども、通産省はこの点どのように考えておられますか。
  123. 末広恵雄

    政府委員(末広恵雄君) 今回のタービンの静翼のひび割れでございますが、その原因は、出力が三〇%程度、それからしかも復水器の真空度が比較的低い非常に特定の領域で蒸気の乱れが生じたということで発生したものでございまして、これは通常の運転ではまず考えられない運転状態でございます。したがいまして、こういった事象というのは、過去にこういった事象が発生したという知見もございませんでしたのでタービンの静翼の設計に当たってはここは考慮してなかったということでございますが、三菱重工におきましては、これまでの知見から問題となります例えば蒸気による静的な力とか、それから共振の回避といった問題については十分設計上配慮してきております。
  124. 高崎裕子

    高崎裕子君 従来考えられなかった事故だと言いますが、アメリカでは実際に事故が起こっているわけですから、安全性という点で、三菱重工に本当に責任を果たしてもらうということについて通産省としては具体的な手だてをぜひ考えていただきたいと思うんですが、最後にそこも含めて二度と事故を起こさないという観点から質問をしたいんです。  この一、二号機の相次ぐ亀裂事故で住民の気持ちは、もしかしたらということから本当にあるかもしれないという強い危倶、不信感に変わっている。それがぬぐい切れないまま二号機の運転が再開されているということがあるんです。例えば定期検査は年一回でいいと法律でなっているんですけれども、これをもっと期間を狭める、あるいはもっと徹底させる問題、あるいは、一号機の第一回の定期検査というのは目視だけで行われましたけれども、PT検査を入れるなどの対策が必要だと思うんです。この事故を踏まえて、二度と起こさないために具体的にどのような指導を通産省としてはされているのかというのが一つ。  それから、北電からの報告だけで、公正な第三者を入れての原因究明がされていない。もちろん通産省も直接行かれていない。犯罪を犯した犯人を犯人自身が調べるというようなことで、全く公正さに欠けると思うんですね。この事故の調査について、学者など公正な第三者を含めた究明委員会のような対策などを考えられないのかという問題。  あるいは、北電のこの事故原因等についての報告書も、一号機、二号機それぞれたった一枚しか写真を添付していないんです。それがどの部位の写真なのかということが客観的にはなかなかわからない。美浜の事故の場合にはかなり膨大な写真が公表されたので、私どもが見てもこれがどこの部位かというのは客観的にわかるわけですね。そういう意味で、北電に求めても、これは全部通産省に渡してありますからそちらからもらってほしいという一点張りで、北電の無責任な態度が浮き彫りになっているんですけれども、通産省に出しているということですので、通産省は、事故の原因究明に衆知を集める、そして自主、民主、公開という原子力の平和利用の三原則を誠実に行うということであれば、関連資料を公表すべきだというふうに思うんですけれども、公表するという形でぜひ御答弁いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  125. 末広恵雄

    政府委員(末広恵雄君) 今回の事象にかんがみまして通産省といたしましては、今回原因となりました振動、そういった振動を考慮した設計をタービンの設計上行うということを北海道電力のみならずほかの電力会社に対しましても指導しておりますし、それからタービンの静翼の溶接部の点検につきましては、定期検査での点検でございますが、これについてはさらに万全を期すということから、少なくとも初回の定検から液体浸透探傷試験という、これは特殊な試験ですが、それでもって試験をやるというふうに指導しております。  それから原因究明でございますが、現地でのいろんな調査、これはかなり北海道電力の方でやられておりますし、私どもも現地調査をやっております。それから、いろいろ北海道電力から受けました調査報告につきまして、通産省の中に原子力発電技術顧問会という専門家集団の顧問会がございます。その顧問会のそれぞれの分野の専門家とも十分相談しながら今回の原因究明を進めてきたところでございます。  それから、今回の原因究明結果につきましては、破面の写真等を報告書の中に取り入れておりますし、究明の過程、どういうふうに究明していったかということにつきましても一般にわかりやすい形の説明資料を北海道電力の方に作成させるよう指導したところでございます。既にこれらの資料につきましては北海道電力から公表されているところでございます。
  126. 高崎裕子

    高崎裕子君 時間が来ましたので、今の答弁で納得はしておりませんけれども時間がありませんので終わりますが、厳しい指導と、二度と事故が起こらないような通産省の責任ある対応を求めて、質問を終わりたいと思います。
  127. 古川太三郎

    古川太三郎君 私も福井の選挙区でございますから、今同僚議員の高崎委員がおっしゃったように、原子力発電については十分安全性に留意していただきたい、こう思うわけです。今もうほとんど高崎委員がおっしゃったので繰り返しては申しませんけれども、安全性を守るためには公正な学術的な議論が必要だと思います。それだけに、一方に偏らない学者、そういった方々からの批判も浴びながら安全性を追求していただきたい。これが一点。  いま一つは、情報公開を徹底してやっていただきたい。とにかく何か企業秘密とかいうようなことで覆い隠されるとどうしてもそれはよくない、安全性についても本当の議論ができないんじゃないか、こう思います。大蔵省なんかが証券行政で企業を育成するような方向に向いておりましたけれども、通産省は、原子力の問題というのはもう単なる財産の問題じゃなくて今までかかわっできますし、それこそまた日本の信用にもかかわることでございますから、今申し上げましたような学術的なことについての公正と情報公開を徹底的に行っていただくことを特に要望します。  それで、エネルギーは供給の面においても需要の面においても、これからはやはり環境保全の面からどうしても電力が中心になってくるんではないか。きょう提出されています四ページの「エネルギー源別最終需要動向」、この二年間で五・四から七・二ぐらいの比率で伸びている。まだまだこういうような比率がこれからも続くと予想されますか。それとも何かの原因で、あるいはどういうような形で電力の伸びは逆に抑制されるようなことがあるかというようなことについてお伺いしたいと思います。
  128. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 最近のエネルギー需要、特に電力の需要が今御指摘のように大変高い伸び率を示しております。なぜそうかということは先ほども申し上げましたが、やはりゆとりと豊かさを求めるライフスタイル、あるいは全体的な生産活動、あるいは国際貢献のためのいろんな日本の努力、そういうようなものが背景になってエネルギー需要が全体に伸びておるということだと思います。  今後の見通しにつきまして、産業部門につきましてはかなり景気あるいは生産動向に依存するわけでございますが、今後さらに省エネルギーの努力、今まで相当省エネルギーの努力をし終わったという説もあるわけですが、さらにそれを今後とも努力していただくことをお願いしたいということを申し上げたいと思っておりますし、それから民生部門あるいはビル等の業務部門につきましては、どうしても国民の皆様方に不便を忍んでとか、あるいはよりインテリジェントビル化をするのはやめてほしいというようなことはなかなか申し上げられないところでございますが、やはり暖房温度を低くするとか、あるいは省エネ機器を使っていただくというような努力をしていただいて需要の伸びを少なくする。そういう意味で、私ども先ほど申し上げましたが、省エネルギー部会で検討していただいていることをできるだけ早く実施に移して、PRもしてお願いをしてまいりたい。  需要の今後の見通してございますが、私ども今思っているものは、先ほど申し上げましたように非常に小さな需要の伸びでございます。電力については三%前後の伸び率でございますので、その伸び率に今後とも抑えるよう、今申し上げましたような各部門の努力をしてその数字内の目標を達成したいと思っておる次第でございます。
  129. 古川太三郎

    古川太三郎君 確かにあらゆる意味から電力というものは伸びていくだろうと私は見ておりますけれども、しかし、伸びるからといって即原子力発電がいいんだ、それしかないんだというのもこれまた非常に危険なことだと思います。そして、産業構造そのものに電力を非常にたくさん食う産業があるし、そういった産業をどのように誘導されるのか。それは日本でやるなとかいうものではなくて、石油を使う場合も、エネルギー消費産業については非常にコストも上げていっていいんではないか。産業が発達する必要もありますけれども、GNPばかり追っていても仕方ないので、このあたりでエネルギーコストは高いんだ、それから人件費も高いんだ、エネルギーと人件費は高いんだというようなことを徹底させるような産業構造に誘導できるようなことはないんでしょうか。
  130. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) エネルギー消費産業あるいは比較的少ない産業、いろいろございますが、それは日本の現在の産業構造の状況あるいは国際的な競争力等の関係で恐らく日本の産業構造が規定されるんだと思いますが、その中で省エネルギーを従来から各部門で努力をお願いしておるわけでございます。  それから、エネルギーコストの問題でございますが、私どもエネルギー行政を預かる者としては、エネルギー価格はできるだけ安くということでずっときております。ただ、おっしゃるようにエネルギーを節約するあるいは少なく使うという観点から、今先生も御指摘かと思いますが、エネルギーコストを上げたらどうかという議論も一部で行われております。ただ、私ども今までの実績あるいはアンケート等から推測いたしますと、エネルギー価格が多少高くなっても省エネルギーというふうになかなか走りにくいというのが民生用でございます。真夏の八月二十日の午後二時ごろにちょっと電気料金が高いから冷房をとめるというのは、なかなか実際の方はとめられないというのが実態でございます。一般的にそういうようなのが今までの実績でもございます。  産業部門について、もちろんエネルギーコストが高くなればより省エネルギー投資に向くということもあると存じますが、日本では、既に申し上げましたが、第一次、第二次オイルショックを経て非常にエネルギー原単位を産業部門では少なくしてまいっております。その余地が非常に少なくなっているということから、コストが多少上がっても目覚ましい省エネ効果はなかなか難しいというのが私どもの今の知見でございます。  それを省エネルギーを達成するために価格でということになりますと、第一次オイルショックのときのように、一つは石油の値段が例えば二倍、三倍じゃなくて五倍とか七倍とか極めて高くなるということ、あるいは石油が日本に入ってこないという現実のおそれが近いうちにあるというような、そういうような恐怖観念、そういう状況の中でやっと相当大幅な省エネが進むということはあり得るかもしれませんが、今そのような方向へいけば国民生活あるいは産業全体、あるいは日本の国際的貢献という意味からも非常に大きな別の問題が生ずるのではないかと考える次第でございます。
  131. 古川太三郎

    古川太三郎君 時間が来ましたから、終わります。
  132. 足立良平

    足立良平君 それでは、私の方から二つほど質問をしておきたいと思います。  手不ルギー問題を考えますときに、これは私見ですけれども、三つの原則があるのではないかと、こう思っております。一つは価格。エネルギー産業なり国民生活の一番中心でありますから、そういう面では価格がべらぼうに高けりゃいいというものではぐあいが悪い。それから二つ目には、エネルギーというのは量が確保されなきゃならない。わずかな量しか出ないようなエネルギーというのは中心的な我が国産業エネルギーにはなり得ない。そして三つ目に時間だろうと思うんです。十年先に技術開発が進んで、そしてそれがエネルギーの主体になり得るとしても、少なくとも現在の時点では全然意味がないということがあるわけでありますから、そういう面で時間の経過というもの、技術革新のいわゆるプロセスというものを考えなきゃならない、こういうように私は実はこの三つの原則を中心にエネルギー考えているわけであります。  そういう観点でちょっと質問をいたしたいと思うんですが、ちょうど今古川議員の方から話が出ておりました省エネルギーの問題であります。長官も今お答えになりました。第一次石油ショックで二・七ドルがたしか十二ドル、そして第二次が約三十ドル前後くらいに高騰した。これだけの価格の高騰でないと実際的な省エネルギiというのは私は進んでいかない。若干の価格の高騰だけではなかなか省エネルギーというのは進んでいかないということを長官も今お認めになりましたし、私もそのように実は考えております。  したがって、そういう観点からすると、省エネルギーというのは長期需給計画等におきましても大変重要なウエートを占めるんですけれども、その価格というのは、一方において、OPECを中心にしまして、石油ショックであのOPEC自身も学習効果があって、価格を上げれば石油の需要が減ってしまうということを勉強いたしていますから、その価格につきましてもそんなに上げようという意識も働いてこない、そして一方では、省エネルギーというものはなかなかそのことによって進展しない、こういう若干ジレンマを持っておるわけであります。  そういう面で、省エネルギーを進めていく通産省として具体的にどうしたらいいんだろうかということ、先ほどちょっと難しいとおっしゃっているんですが、さらにもし考え方があればひとつ出していただきたい、こう思います。
  133. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 省エネルギー法という体系がございますが、例えば産業部門につきましては、エネルギー管理士を設けていろんな組織的な努力をしていただいている、それに私ども関係各省も関与して推進しておるということがございます。あと機器の部門については、例えば自動車の燃費について基準を定める、住宅の断熱化について基準を定めるというようなことで努力を進めておるわけでございます。  これにつきまして今省エネルギー部会でいろいろ議論をしていただいているんですが、特に需要の伸びの高い業務用、特にビルについて今省エネ法の体系の中では余り明確な制度がございませんので、そのあたり産業部門と類似したようなエネルギーの管理の仕方を制度的に確立するというようなこと、あるいは報告をいただく制度を法律の中により明確にしていく、あるいは勧告をするとか、例えばそういうようなことが今省エネルギー部会で制度的に何かできないか、価格でやるのはなかなか大変なんで、むしろそういう制度あるいは仕組みで何かできないかという検討をいただいておるところでございます。あるいは社会の制度まで含めてどうしたらいいのかというような御検討をいただいておりまして、その結果を待って私ども具体的な施策を早急に打ち立てて、それから国民に対するPRもより一生懸命に進めてまいりたいと思っている次第でございます。
  134. 足立良平

    足立良平君 省エネルギーというのは、実際的には新しいエネルギーをつくるということに匹敵するれけでありますから、そういう面でひとつエネ庁といたしましても全精力を挙げて取り組んでいただきたい、このことだけを申し上げておきたいと思います。  時間もございませんから、少し関係ございませんが二つの点でちょっと質問しておきたいと思います。  一つは、このエネルギー問題というのは、これはまた一方におきましては環境問題との関係というのが極めて深いわけであります。実際的には、環境問題というのは突き詰めたら人口問題に私は帰結するのではないかというふうに思っていますけれども、しかしエネルギーの使い方の問題が一番焦点になっているんです。それで現在、環境税というんですか炭素税というんでしょうか、表現はいわゆる俗に言う環境税、こういうふうにしておきたいと思いますが、この環境税をめぐりまして、特にヨーロッパの関係というのは相当既に実施しているところ、導入しようとしているところ、種々ございます。  環境庁の方で試算をした結果が今出ているようでございます。いわゆるエネルギーの価格を上げるということは、一方においてGDPを引き下げるという効果が出てくるわけでありまして、そういう面で例えばこれをいわゆる環境税ということで税金を徴収して、その税金を例えば省エネ投資であるとか、あるいは機器の開発であるとか、何らか」の金をそのまま再投資を行えばGDPそのもの、GNPそのものはそんなにダウンしないんだというふうな環境庁における試算結果も出ているわけであります。そういう面で通産行政との関係からするとちょっとニュアンスの違うような感じも私受けておりますので、エネルギー庁として、この種の考え方について一体どういうお考えをお持ちなのかちょっとお聞かせを願いたいと思うのが一点です。  それともう一つ、時間もございませんからもう一点だけさらに申し上げておきたいと思うんですが、それは先ほどのエネ庁長官の冒頭における説明等をお聞きいたしましても、太陽光発馬等はいわゆるクリーンなエネルギーとしてこれから云々という考え方を提起されているんです。私もまさにそのとおりだろうと思うんですが、ただここで一つ考えておかなきゃならないのは、太陽光発電というものの持つ意味合いでございます。これは長官も御指摘になっておりますように、この光発電というのはエネルギー密度が大変小さい。したがって、そういう面からいたしますと、発電設備というものを極めて大きなものを用意していかなきゃならない。例えば原発のワンユニット百万キロワットに対して、太陽光発電を百万キロワット出そうと思いますと、東京の山手線ですか、火伏このくらいの土地がほとんど必要になってくるだろうというふうに試算をされている。  そうすると、それは自然環境なりいろんな問題に影響を実際は与えてくるわけでありますが、阜れはちょっと横に置いて、密度が大変低いエネルギーを吸収するとなりますと、それだけの大き打設備をつくるということについては、その設備右つくるに当たっての相当のエネルギーを既に投入しているわけです。仮に太陽光発電をつくるに当たっての大きな設備をつくるなり投入するエネルギー、これはいわゆる炭酸ガス、CO・を含めて考えてみますとむしろ決して温暖化対策にはならないのではないかという研究が実は最近電力中央研究所の中から出されてきております。  したがって、単にランニングコスト的なもの、あるいはまた現実にできたものだけを見るのではなしに、トータル的に環境問題というふうなものをどう考えていくのか。CO2をめぐりましても、例えば石炭の排出量を一〇〇にいたしますと、石油が八〇だ、あるいはまたLNGが六〇だというふうにCO2の排出量は計算されますけれども、現実的には、それを採集していく段階のもう少し以前の段階のメタンの漏れる分であるとかいろんなことを考えてみると、あながちそれを燃やしただけでCO2の排出量が云々ということはちょっと言えない、こういうふうなことも言えるわけでありまして、そういう観点から、新エネルギーの問題につきましても、あながちすべてがクリーンなエネルギーだということばかりは言えない、そういう要因があるのではないか、こんな感じも実は私持つわけであります。  そういう観点も含めて、新エネルギーというものをやっぱりこれから開発していかなきゃいけませんから、開発するに当たってはコストを下げるということが大事で、コストを下げようと思うと、もっともっと大量生産をして、そして実際的にはエネルギー密度の小さいものをもっと高くしていくという施策が私は根本的に必要なように思いますので、そういう観点でこの新エネルギー問題についてのエネ庁としての考え方をひとつお聞かせ願っておきたい、こう思います。
  135. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 環境税につきましてお答え申し上げますが、先生御指摘のようにEC委員会におきましてエネルギーのCO2税の提案が既になされておるということ、あるいはOECDによりましても議論がなされているということ、このあたりは私どもも承知をしているわけでございますけれども、新たな税制等の導入ということになりますと、国民に新たな負担を課するということにもつながるわけでございますので、極めて慎重に検討すべきものというふうに考えているわけでございます。税として徴収したものを支出すればGNP上は同じになるではないかというだけの議論では不十分なのではないかというふうに思っております。  例えば、二酸化炭素の排出量を抑制するための課税であるということになりますと、相当高い負担金あるいは税率にしないと実際に抑制の効果が出てこないということもあるのではないだろうか。仮にそのようなことで抑制効果の出るような非常に高い税率等にいたしました場合には、国民生活あるいは経済活動にも重大な影響を及ぼすおそれも出てくるのではないだろうか。  他方、我が国におきましては既に相当水準のエネルギー関係の諸税が課税されているということもございますし、また我が国の一人当たりのCO2の排出量あるいはGDP当たりのエネルギー原単位というものは、諸外国と比較いたしましても、長官の御説明にもございましたが大変良好な水準にあるということ、このあたりを十分に考えていかなければならないんじゃないかというふうに思っております。  なお、この環境税を環境保全対策に充てている国もあるわけでございますけれども、我が国におきましては、既にこの環境保全対策につきましては一般会計予算に加えましてエネルギー関係特別会計におきましても、二酸化炭素の固定化・有効利用でございますとか、あるいは太陽エネルギー等の新エネルギー、再生エネルギーの開発導入等でございますとか、こういう対策を既に実施しているところでもあるわけでございます。これらの点を総合的に検討しながら十分慎重に考えていきたいというふうに考えております。
  136. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 後段の新エネルギー、太陽電池等についての問題でございますが、確かにエネルギー密度が非常に小さいために、大容量のものを得ようとすれば大変な広い面積が必要であるというのは事実そのとおりでございます。そういう意味で、集中型の大規模発電所というのは太陽電池ではなかなか難しいというのは御指摘のとおりと思います。ただ、分散型あるいは特定の地域あるいはそれぞれの家庭で一部の電力需要を。賄うというのはコスト次第では今後可能性がある、地域によっても可能性があると思っておりまして、私どもとしてはできるだけその用途に応じた導入を促進するための努力を今後とも力いっぱいやってまいりたいと思っております。  それから、環境に及ぼす影響、あるいはその設備をつくるためにエネルギーが要る、あるいはその過程でCO2が要るというような問題ももちろんございまして、エネルギー収支あるいは全体の発生というかもとまでさかのぼって考えますと、もちろん全くクリーンということじゃございません。CO2の問題ももちろん根源をたどれば、太陽電池についてもその設備をつくるために必要になるということは私どもも承知ししておりまして、一部の試算があることも存じておりますが、化石燃料を燃やしてCO2が出るのに比べれば、太陽電池の今後の技術開発を考えますと、CO2の関係でも有利な方向にいくというふうには考えておる次第でございます。
  137. 足立良平

    足立良平君 終わります。
  138. 田沢智治

    田沢智治君 私は、我が国経済活動と国民生活を持続的に向上、発展させるためには、小資源国日本にとって今後ともエネルギーの安定供給の確保が極めて重要な課題となると思うとともに、需要の増大が一段と高まる情勢下に対してどのような対応策を検討されているか、まず長官にお聞きいたしたいと存じます。
  139. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 我が国は全エネルギー供給の八割を海外に依存しております。また、ほとんど全量を海外に依存しております石油の七割は中東に依存するといったような極めて脆弱なエネルギー供給構造にございます。今後のエネルギー需給につきましては、安定供給の確保というのがやはり今後とも重要な問題だと考えておるわけでございます。さらに、地球温暖化問題も顕在化しておりまして、特に地球温暖化問題はエネルギー消費と密接な関連がございますので、今後のエネルギーの安定供給ということと並んで、地球環境保全というものをエネルギー政策課題としては二大目標として掲げていく必要があると思うわけでございます。  先ほど申し上げましたが、長期エネルギー需給見通しを踏まえまして昨年十月、閣議決定で石油代替エネルギーの供給目標の改定を行ったところでございます。その供給目標で決めておることがある意味ではすべてだと思いますが、一つエネルギー利用のより一層の効率化、二つには原子力を初めとする非化石エネルギーの積極的な開発、導入、それを通じまして石油依存度の低減を目指そうというふうに考えておるわけでございまして、こういう目標に向けて私ども関係の予算の確保あるいは制度の樹立に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  140. 田沢智治

    田沢智治君 ぜひ心して対応をしっかりやってもらいたいと思っております。  また、長官も申されたとおり、我が国は主要先進国中、石油の輸入依存度は九九・七%で第一位とされておりますし、特に中東依存度が約七〇%に達しており、今回の湾岸戦争の舞台となった中東への石油輸入依存度が際立って高いということが特色になっているように思われます。  本年六月にまとめられた通商白書においても、過去の石油危機と今回の湾岸戦争の影響を比較した場合、第一次、第二次石油危機当時との経済環境の逢いは、平成二年八月現在石油備蓄が国家備蓄五十四日、民間備蓄八十八日の計百四十二日程度あったため、その活用等によって国民生活への影響を最小限度にとどめたこと、また、我が国エネルギー供給構造の脆弱性を踏まえて、今後引き続き国家備蓄等の増強を図るべきであると私は思うのとともに、民間備蓄と国家備蓄との比重について現状でよいのかどうか、どういう所見を持っておりますか、お聞かせいただければと存じます。
  141. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 今田沢先生御指摘のとおりの日本のエネルギー状況でございまして、湾岸危機の教訓もまさに御指摘のとおりでございます。  私ども、石油備蓄というのは、一つには石油の量的な安定確保、二つには国際石油市場安定化への寄与、三つ目には石油の大消費国としての国際的責務という点から従来から石油備蓄の推進を図ってきたところでございます。これが先般の湾岸危機におきましても非常に役立ちまして、備蓄の存在によって無用な混乱が回避できたと確信しておるわけでございます。そういう意味で今後とも国家備蓄の増強に努めてまいりたいと思っております。  昭和六十二年十一月に総合エネルギー調査会、それから石油審議会の石油備蓄問題小委員報告がございまして、その報告によりますと、一九九〇年代半ばまでに国家備蓄を三千万キロリットルから五千万キロリットルにまで積み増すという方向を出していただいておりまして、今年度においても三百万キロリットルの積み増しを実施いたしまして、年度末には三千六百万キロリットルにまで国家備蓄をふやしたいと考えておる次第でございます。  なお、民間備蓄につきまして、現在既に進めつつありますが、民間備蓄の備蓄義務を少しずつ日にちを少なく軽減する方向で進めておりまして、上記の報告でも民間備蓄については九十日から七十日に軽減していくということにしておりまして、元年度、二年度に引き続きまして今年度も民間の備蓄義務を四日分軽減しまして七十八日としたところでございます。
  142. 田沢智治

    田沢智治君 今聞きますと、民間備蓄を減らしつつ国家備蓄を高めて責任体制の確立を図りたい、こういう認識でよろしゅうございますか。
  143. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) そのとおりでございます。
  144. 田沢智治

    田沢智治君 これは一部の資料から私が勉強したんですが、欧州の一部の国ではLPGの国家備蓄制度等を採用している国があると聞きますが、その実態があるとすればお伺いしたいのと同時に、我が国でも石油備蓄のみならずLPGなどの備蓄を検討してはどうかと思うのでございますが、もし御所見があれば聞かせていただきたいと存じます。
  145. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 今LPガスにつきまして備蓄の制度を特定しでつくっている国は、私どもの調べでは日本とスウェーデンの二カ国でございます。ただ、スウェーデンのLPガスの需要量というのは、石化用を除きますが、二十万トン台でございまして極めて少ないわけです。民間の備蓄義務量は原則としてその四分の一ということはわかっておりますが、国家備蓄については、実は問い合わせてみたんですが、国家機密ということもあって詳細についてはまだ把握できてない状況でございます。その他、欧米諸国につきましては、LPガスを備蓄対象から除外しているというところもございますが、石油の備蓄量の算定基準の中へLPガスを計算してやっているというような国が多くございます。  日本のLPGの備蓄制度につきましては、石油備蓄法によりまして輸入会社に輸入量の五十日分を備蓄する義務をつけておるところでございますけれども、さきの中東湾岸戦争のときの経験を踏まえまして、LPGの国家備蓄が必要かどうかということも含めまして、LPGの安定供給政策について石油審議会の石油部会液化石油ガス分科会において先般検討を始めていただいたところでございます。来年できるだけ早いうちにその方向づけをいただいて勉強したいと思っておる次第でございます。
  146. 田沢智治

    田沢智治君 石油備蓄のみならず、多様化するエネルギーが国民生活にとって非常に大切な要素になっている以上、LPG等も含めて国家備蓄への道を切り開くよう、ぜひさらなる御検討をお願い申し上げたいと存じます。  近時、国際石油需給は、九〇年代を通じて開発途上国等の需要拡大傾向にある反面、ソ連の産油量減少、場合によってはもう他国に輸出しないんだというソ連の考え方、アメリカの石油輸入量の増加など、タイトになる要因も予想されると思うのでございます。将来ソ連が石油輸入国に転じた場合、これはあるかないかわかりませんけれども、老朽化した油田等を見てみるとそういう方向にいかざるを得ない面もあるんじゃないかと私は思うんですが、新たな石油危機の可能性というものも考えられるのではないだろうか。そうしたことによって今後石油危機というものが大きく招来してきた場合、我が国としてどのように対応すべきか、今後の見通しに対する御所見を伺いたいと存じます。
  147. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 御指摘のとおり、ソ連は世界最大の産油国でございますが、御指摘のような事情で今ソ連の産油量が落ちております。ただ同時に、ソ連の一般的な生産値水準も落ちているようで、需要も落ちているようでございます。それで輸出量がかなりの勢いで減少しておるのは事実でございます。IEAの統計によりましても、昨年からことしにかけて生産が減少、輸出量が低下する、今後の見通しもそうだというのを出しております。  ただ、ちょっと最初の御説明でも申し上げたんですが、サウジアラビアが増産をしているというようなこと、あるいは今生産が非常に少ないクウエート、あるいは輸出が制限されていますイラク等の生産、輸出が回復してくるというような状況も今後考えられるわけでございまして、現時点では石油需給は、短期的な問題でございますが、短期的にはそれほど大きな問題はないというのが現状でございます。  ただ、中長期的に見ますと、発展途上国のエネルギー需要の増大が極めて大きいということ、それから非OPEC諸国の石油の生産がどんどん落ちていくということ、OPEC諸国あるいは中東諸国の石油の生産の全体に占める比率は今四分の一ぐらいございますが、二〇〇五年には三分の一を超すというのがIEAの想定でもございますので、そういう意味で今後ますます石油需給あるいはエネルギー需給というのは中長期的には厳しくなるというのが実態がと思うわけでございます。  そういう意味で、中長期的なエネルギーの安定供給確保策というのは今後とも極めて重要な日本の国家的課題だと思うわけでございまして、そのために先般も御説明いたしました石油代替エネルギー供給目標に基づきまして、代替エネルギーい開発に努力をする、原子力、新エネルギー、再生可能エネルギーあるいは省エネルギー、未利用エネルギーの活用というようなことに力を入れてまいりたい。同時に、先ほど先生も御指摘ありました石油の備蓄に努めていく、あるいは自主開発原油の開発に努める、同時に産油国との協力関係を強化していくというようなことを考えてまいりたいと思っている次第でございます。
  148. 田沢智治

    田沢智治君 ソ連は東欧諸国に約八〇%のエネルギーを供給していた、こう言われておる状況を踏まえた場合、ソ連そのものの産油量が減ってきているという中、あるいは他国に輸出しないというようなことを言われるような状況を踏まえた場合、日本の安定供給に対する、長官が話したようなそういう危機意識を中長期的次元の中で意識していただいて、やはりそれに対応していく真摯な対応策というものを真剣に今後とも考えていただきたい、私はそう思うわけでございます。  さらに、本年二月にアメリカのブッシュ大統領は、二〇一〇年までにエネルギーの自立達成のための石油依存度の低減化、それから原子力開発の拡大、再生可能エネルギー源の開発等を内容とした国家エネルギー戦略を高唱しているのであります。  我が国においてもエネルギーセキュリティーは防衛、食糧と並び安全保障の一環として位置づけられるべきものであると私は思っております。さきの湾岸危機においても、中東への多国籍軍を構成する国等に対し百三十億ドルを拠出するなど、同地域からの石油依存度の高い我が国にとって応分の国際貢献を果たさなければならなかった実情もございました。したがって、湾岸戦争を契機として、今後産油国等に平常時においても種々の経済的、技術的支援等を含めた施策展開することによって日本とのきずなをより太くするということは、我が国にとって大事な役割を持つ意味があると私は考えるのでございますが、長官はどのようにお考えでございますか。
  149. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 今先生御指摘の産油国に対しての技術支援につきまして、特に精製分野におきます技術支援に積極的に従来から取り組んでおります。財団法人国際石油交流センターというのをつくりまして、そこを通じまして産油国からの研修生の受け入れあるいは産油国への専門家派遣を実施しております。平成二年度までに三千九百人の研修生の受け入れ、それから千二百人の専門家の派遣を行っておるところでございます。  それからさらに、産油国との協力を深める意味で、サウジ等とはさらにより下流部門についても日本と協力を結びたいという話も今フィージビリティースタディーの形で進みつつございまして、産油国との関係強化は一層強めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  150. 田沢智治

    田沢智治君 次に、省エネ対策の推進等について二、三お伺いをいたします。  近年エ不ルギー需要が世界的に増勢を強めるとともに、地球環境問題に対する関心も高まっております。供給面の制約条件が顕在化しているのも事実でありましょう。このため我が国では、石油危機以降省エネ法の制定等により、産業部門、民生部門を通じてエネルギー効率化が進められてきておりますが、これ以上の改善効果は見込めないという説もあるやに聞いております。  一方においては、従来型の発電システムの廃熱利用により、エネルギー効果を最大七〇%から八〇%に高めることが可能と言われている熱電併給の導入状況、業種、規模及び導入に際しての課題と対応についてお考えがあれば聞かせていただきたいと存じます。
  151. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 省エネはこれ以上無理というふうな意見ももちろん伺っておりますが、先ほど申し上げましたように、さらに一層の努力をしてまいりたいし、国民の方々にも、あるいは産業にもお願いをしてまいりたいと思っております。  コジェネレーションシステム、熱電併給につきまして御質問でございます。私ども直接持っているデータではないのですが、民間の研究会の調べたデータで恐縮でございますが、ホテルとかスポーツ施設とか病院等におきまして既に約六百件、二十七万キロワット相当に達しておる状況でございます。民生用のものでございます。当省といたしまして、現在のコジェネレーションにつきましては、そのコジェネレーションをする場合においてはNOx等の環境面の問題ももちろんございます。それから供給面の信頼度というところにも課題がございますけれども、非常にうまく使えば熱効率というか総合効率が七、八〇%にまで上げられることは御指摘のとおりでございますので、私ども技術開発を今進めておりますし、例えば燃料電池でございますが、燃料電池については導入の三分の一の補助を想定した来年度予算要求もしております。  同時に、先ほども議論ございましたが、系統電力との連系を円滑に行うというのが導入促進に非常に効果がございますので、まず高圧送配電線につきましては、系統連系の技術要件ガイドラインは既に昭和五十八年ごろにも整備しておりますし、一般配電線の逆潮流、逆潮流というのは逆にそちらから電気を受け取るということでございますが、現在六甲アイランドで実施中の分散型新発電技術実用化実証研究の成果を今得つつあるところでございます。そういうことも踏まえて、技術的な基準を整備して導入を促進してまいりたいと思っておる次第でございます。
  152. 田沢智治

    田沢智治君 総合的な対策、連携、技術開発等を含めて省エネは大事なことでありますので、真剣に取り組んでいただきたいと存じます。  地域熱供給システムと関連して、我が国の場合は専ら電力に依存している冷房のエネルギー源の多様化効率化を急速に検討すべきであると私は考えるんです。すなわち、暖房の場合は電気、ガス、灯油等消費者が選択するエネルギー源が豊宮であるのに対して、冷房についてはほとんど電気に頼っているというような問題点があるかと存じます。したがって、少なくとも中規模以上の都市の場合は、一定の地域、建物等を対象とした地域冷房を普及するための技術的研究開発を行い、その実現を図ることも考えるべきではないかと私は思っておるんですが、長官はどういうお考えでございますか。
  153. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 一つは、地域冷暖房を行いますと非常に効率的な熱利用になりますので、これはぜひ今後とも進めてまいりたい。熱供給事業法というのがございまして、その法律に基づきまして監督、指導を行っておりますし、税制とか財投融資等を通じまして助成も行っておるわけでございます。現在九十一地区で行われておりまして、五十六社が実際に稼働しておるわけでございます。  さらに、これから私ども予算的にも新たな予算も用意をしておりまして、例えば河川水とか下水道水とかごみ焼却場の廃熱といったような未利用エネルギーを使った地域熱供給システム、こういうものを導入するときには、普及促進策として補助制度を平成三年度から導入しておりまして、来年度さらにそれを拡充したいと思っておりますし、かつ、技術開発としての助成措置、二分の一補助の制度がございますが、平成四年度はその予算を九・五億円と倍増以上にしようと思っておるわけでございます。  同時に、冷房につきまして、電気だけじゃなくてガス冷房も使えるように、ただ、ガス冷房は非常に大規模なものが効果があるというか経済的にもペイするので、各家庭ではなかなか難しいんですが、今その技術開発を私ども予算でも支援をしておるところでございまして、現在業務用を中心にガス冷房はもう一五%程度普及しているというデータがございますが、今後ともガス冷房の普及、これは電力のピークをカットするという意味でも効率的だと思いますので、努めてまいりたいと思っている次第でございます。
  154. 田沢智治

    田沢智治君 多様化時代でございますので、暖房についてはいろいろなエネルギー消費者が選べる、一冷房についてはほとんど電力のみに頼るというような状況を解消して、消費者がたくさんのエネルギーを選び得るような多様な施策というものがこれから大切な条件になるのではないだろうか、こう思いますので、ひとつより研究開発に力を入れていただきたいと、こう思うのでございます。  最近、総理府において暮らしとエネルギーに関する世論調査をした結果が公表されております。それによりますと、一に、エネルギー問題に対する関心度、エネルギー消費型社会のライフスタイルを変える必要性があるとした者が七〇%おります。二番目には、日常生活において何らかの省エネを心がけている者が九〇%。三番目に、デパート等の冷房温度が低過ぎると不満を感じている者が六〇%。性別、年齢別、地域別で若干の格差があるにしても、おおむね国民のエネルギーに対する理解は健全であると評価されておるのでございます。  したがって、一般エネルギー消費者に対して省エネの必要性経済性などに関する情報、教育、技術開発等を通じて政策的に誘導することによって相当の省エネ効果が期待できるのではないかと私は思うのでございますが、こういうように国民がエネルギー、省エネというものに関心を持っているという現状を踏まえたときに、今後どのような方法でそういう効果を上げるような対応策を考えておるのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  155. 山本貞一

    政府委員(山本貞一君) 七月に行われました総理府の世論調査で今先生御指摘のように非常に心強いデータをいただきました。私ども、従来の短期的に平穏なエネルギー需給の中で、一般の国民の認識は、さきの湾岸危機の中での教訓はやはりきちっと受けとめていただいているんだなと思った次第でございます。  先ほどから申し上げておりますが、省エネ法でもいろんな手法、政策手段が入っておるわけですが、またそれは不十分ではないかという議論を関係方面からもいただいております。九月から再開いたしました総合エネルギー調査会の省エネルギー部会でもそのあたりの検討をお願いしておりまして、今申し上げる具体的なアイデアというのは、私どものアイデアというよりそこで出てきたいろんな御指摘でございます。  例えば自動車の燃費、それから家の断熱の基準等をより強化すべきであるというような点、あるいはビルのエネルギー管理について新たな仕組みを導入したらいいんじゃないかというようなこと、あるいは輸送用につきましては、個々の自動車、トラックで輸送するよりは胎とか鉄道で輸送するいわゆるモーダルシフトをより進めるとか、小口配送をなるべくやめにしたらとか、さらにはサマータイムを検討してみたらどうかというようなアイデアなり御意見、いろんな社会全体の仕掛けにも関係した議論が今なされておるところでございます。今私どもこれがどの程度効くかというような検証もまだ十分勉強しておりませんので、その調査会の成果を得て具体案を策定するように努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  156. 田沢智治

    田沢智治君 ぜひPRを含めて国民的次元の中で世論喚起に努力なされて、省エネの効果を上げるということは国家の財産をより高めることにも通ずると思いますので、ひとつ心していただきたいと存じます。  最後に地球温暖化対策について伺いたいと思いますが、昨年、地球環境保全関係の閣僚会議において決定された地球温暖化防止行動計画、一九九一年から二〇一〇年における二酸化炭素、CO2の排出量の日本の抑制目標は、一人当たり二〇〇〇年以降おおむね一九九〇年レベルで安定化を図るとされております。二〇〇〇年にまた見直しかあるという話もありますが、実際に実現が可能なのかどうか。政府全体として取り組む以上、今後二十年間の実行計画とその進め方等について二、三所見を伺いたい。  特に、日本はCO2については優秀国に入るのではないだろうか。一人当たり一番いいのがイタリアの二・〇一、フランスの二・〇四、日本は主要先進国では三番目で二・四五になっております。アメリカは六・一でございますので、かなり日本という国はそういう意味で大きな効果を上げているとは思いますけれども、その辺のところを踏まえて御所見があればお聞かせいただきたいと存じます。
  157. 中田哲雄

    政府委員(中田哲雄君) 委員指摘の地球温暖化防止行動計画につきましては、一九九一年から二〇一〇年までの二十年間、各省庁におきまして行動計画に盛り込まれた施策を積極的に推進いたしまして、このCO2問題についての非常に優秀な国としてのレベルを保っていきたいというふうに考えているわけでございます。そういう観点から各省庁でも予算の伸びにも努力をいたし、また対策のフォローアップも行っているところでございまして、通産省といたしましても、最前からお話のございます省エネルギーの推進あるいは非化石エネルギーの導入などの総合エネルギー対策でございますとか、あるいは二酸化炭素の画定化・有効利用などの革新的な環境エネルギー技術の開発等に取り組んでいるところでございます。これからも政府全体といたしまして具体的なプランのもとに対策を進め、そしてまた、国民の英知も結集してまいりまして二酸化炭素の排出抑制目標の達成をぜひとも実現していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  158. 田英夫

    会長田英夫君) 他に御発言もなければ、両体に対する本日の調査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会