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1991-12-17 第122回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十七日(火曜日)    午前十時三分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      真島 一男君     平井 卓志君      三重野栄子君     櫻井 規順君      諫山  博君     上田耕一郎君  十一月十五日     辞任         補欠選任      平井 卓志君     真島 一男君      櫻井 規順君     三重野栄子君  十一月十九日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     諫山  博君  十二月十一日     辞任         補欠選任      野村 五男君     平井 卓志君      猪熊 重二君     片上 公人君  十二月十二日     辞任         補欠選任      真島 一男君     斎藤 十朗君      会田 長栄君     種田  誠君      竹村 泰子君     國弘 正雄君      林  紀子君     近藤 忠孝君  十二月十三日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     真島 一男君      平井 卓志君     野村 五男君      國弘 正雄君     竹村 泰子君      種田  誠君     会田 長栄君  十二月十六日     辞任         補欠選任      片上 公人君     猪熊 重二君  十二月十七日     辞任         補欠選任      岡野  裕君     関根 則之君      竹村 泰子君     翫  正敏君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。     委員長         久保田真苗君     理 事                 石川  弘君                 大浜 方栄君                 沢田 一精君                 会田 長栄君                 村田 誠醇君                 猪熊 重二君     委員                 石渡 清元君                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 関根 則之君                 野村 五男君                 福田 宏一君                 藤田 雄山君                 二木 秀夫君                 真島 一男君                 守住 有信君                 翫  正敏君                 菅野  壽君                 喜岡  淳君                 菅野 久光君                 渕上 貞雄君                 三重野栄子君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 近藤 忠孝君                 井上 哲夫君                 三治 重信君    国務大臣        大 蔵 大 臣  羽田  孜君         ―――――        会計検査院長   中村  清君         ―――――    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣  荒田  建君        官房会計課長        宮内庁次長    宮尾  盤君        皇室経済主管   永岡 祿朗君        防衛庁教育訓練  小池 清彦君        局長        防衛庁経理局長  宝珠山 昇君        外務省北米局長  川島  裕君        事務代理        大蔵大臣官房審  小川  是君        議官        大蔵大臣官房審  石坂 匡身君        議官        大蔵大臣官房審  西村 吉正君        議官        大蔵省主計局次長 田波 耕治君        大蔵省主計局次長 涌井 洋治君        大蔵省理財局長  寺村 信行君        大蔵省証券局長  松野 允彦君        大蔵省銀行局保 険部長   鏡味 徳房君        国税庁次長    冨沢  宏君        国税庁課税部長  坂本 導聰君        農林水産省農蚕  上野 博史君        園芸局長        水産庁長官    鶴岡 俊彦君    事務局側        事 務 総 長  佐伯 英明君        常任委員会専門  吉田 堯躬君        員    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  生天目忠夫君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     澁川  満君    国立国会図書館側        館     長  加藤木理勝君    説明員        総務庁長官官房  松田 隆利君        参事官        科学技術庁研究        開発局企画課防  葉賀  史君        調整官        文部省学術国際  雨宮  忠君        局学術課長        厚生省保健医療        局健康増進栄養  田中喜代史君        課長        厚生省社会局庶  亀田 克彦君        務課長        気象庁地震火山  小長 俊二君        部長        建設大臣官房技  青山 俊樹君        術調査室長        自治省財政局交  田村 政志君        付税課長        自治省財政局指  木挽 孝紀君        導課長        会計検査院事務  山本  正君        総局次長        会計検査院事務  安部  彪君        総局第一局長        会計検査院事務  白川  健君        総局第四局長        会計検査院事務  中島 孝夫君        総局第五局長    参考人        国民金融公庫総  吉野 良彦君        裁        日本開発銀行総  高橋  元君        裁        日本輸出入銀行  山口 光秀君        総裁     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算昭和六  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和六十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十三  年度政府関係機関決算書(第百十七回国会内閣  提出一(継続案件) ○昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第百十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百十七回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成元年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百二十回国会内閣提出)(継続案件  ) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  第百二十回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(第百十八回  国会内閣提出、第百二十二回国会衆議院送付) ○昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(第百十八回  国会内閣提出、第百二十二回国会衆議院送付) ○昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書(第百十八回国会内閣提出、第百二十二回  国会衆議院送付) ○昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基  づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額  調書(その2)(第百十八回国会内閣提出、第  百二十二回国会衆議院送付) ○平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(第百十八回国会  内閣提出、第百二十二回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(第百十八回国会  内閣提出、第百二十二回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その1)(第百十八回国会内閣提出、第百二  十二回国会衆議院送付) ○平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(第百二十回国会  内閣提出、第百二十二回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(第百二十回国会  内閣提出、第百二十二回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (第百二十・回国会内閣提出、第百二十二回国  会衆議院送付) ○平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その2)(第百二十回国会内閣提出、第百二  十二回国会衆議院送付) ○平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(第百二十回国会  内閣提出、第百二十二回国会衆議院送付) ○平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その1)(第百二十回国会内閣提出、第百二  十二回国会衆議院送付) ○昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(第百十七回国会内閣提出)(継続案件) ○継続審査及び継続調査要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十二日、林紀子君が委員辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと思います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事会田長栄君及び猪熊重二君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 次に、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書、以上十四件を一括して議題といたします。  まず、これらの説明を聴取いたします。羽田大蔵大臣
  6. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件の事後承諾を求める件並びに昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書の報告に関する件につきまして、その大要色説明申し上げます。  初めに、予備費使用調書等につきまして御説明申し上げます。  まず、昭和六十三年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成元年一月十日から同年三月三十一日までの、間において使用決定いたしました金額は七百六十二億円余であります。  昭和六十三年度特別会計予備費予算総額二兆一千六百七十億円余のうち、平成元年三月二十四日から同年三月三十日までの間において使用決定いたしました金額は一千六百八十九億円余であります。  昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条及び第十三条の規定により、平成元年三月二十七日から同年三月三十一日までの間において経費増額決定いたしました金額は六百三十三億円余であります。  第二に、平成年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成元年四月十八日から平成二年三月三十日までの間において使用決定いたしました金額は一千四百二十七億円余であります。  平成元年度各特別会計予備費予算総額二兆三千七百七十二億円余のうち、平成元年十月三日から平成二年三月三十日までの間において使用決定いたしました金額は二千五百九十三億円余であります。  平成年度特別会計予算総則第十一条及び第十二条の規定により、平成元年九月十二日から平成二年三月三十日までの間において経費増額決定いたしました金額は二千二百八十三億円余であります。  第三に、平成年度一般会計予備費予算額三千二百五十億円のうち、平成二年四月二十七日から同年十二月七日までの間において使用決定いたしました金額は二千五百六十七億円余であります。  平成年度特別会計予算総則第十二条の規定により、平成二年九月十八日から同年十一月二十七日までの間において経費増額決定いたしました金額は百十五億円余であります。  以上が、予備費使用調書等についての大要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。  次に、国庫債務負担行為調書につきまして御報告申し上げます。  昭和六十三年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、国が債務を負担する行為をすることができる限度額一千億円のうち、平成元年一月十日の閣議決定を経て、総額二十六億円余を限度として債務負担行為をすることといたしました。  以上が、国庫債務負担行為調書についての大要であります。  以上であります。
  7. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 以上をもちまして説明の聴取は終了いたしました。     ―――――――――――――
  8. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) それでは、ただいま説明を聴収いたしました予備費関係等十四件及び昭和六十三年度決算外二件、平成年度決算外二件のうち、皇室費国会会計検査院大蔵省国民金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行決算便宜一括議題とし、審査を行います。
  9. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  11. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 三重野栄子

    三重野栄子君 私は、昭和六十三年度一般会計補正予算並びに予備費支出をされました臨時福祉特別給付金並びに火山噴火観測体制十勝岳支出されました二点につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、臨時福祉特別給付金の問題でございますが、これが支給されるようになりました政治状況と申しましょうか、そのときの状態並びに支給までの経過につきましてお尋ねいたしたいと思います。  昭和五十三年には生活保護世帯母子家庭、失対事業従事者などに一時金の支給または就労日数増加措置決定しておりますけれども、この後、本件の臨時福祉特別給付金支給決定状況は、今申しました昭和五十三年度と関連をいたしまして、どのような趣旨厚生省支出をなさいましたか、また大蔵省はこの支出に対してどのような御見解をお持ちであるのか、お尋ねをいたします。
  13. 亀田克彦

    説明員亀田克彦君) 臨時福祉特別給付金支給でございますが、これは平成元年四月一日からの消費税導入に際しまして、老齢福祉年金受給者等生活の安定でございますとか、低所得者在宅寝たきり老人等に対する在宅介護支援に資するため、昭和六十三年度限りの臨時特例措置として行ったものでございます。  以上のような趣旨でございます。
  14. 三重野栄子

    三重野栄子君 その決定までの経過も御一緒にお願いしたいんです。
  15. 亀田克彦

    説明員亀田克彦君) 経過につきましては、国会におきまして三党の公党間の合意がございまして、それを受けまして閣議決定をいたしましてこのための要綱をつくってございます。それに基づいて支給を行った、こういう経過でございます。
  16. 三重野栄子

    三重野栄子君 その前の昭和五十三年度はどのような経過支出をされましたでしょうか。
  17. 亀田克彦

    説明員亀田克彦君) 昭和五十三年度緊急生活福祉給付金でございますけれども、このときには国会で全党の合意がございまして、この合意を受けまして同じく閣議決定により要綱をつくりまして支給を行った、こういうふうに承知をいたしております。
  18. 三重野栄子

    三重野栄子君 この点につきましては、後ほど所見を述べながら、さらにお伺いしたいというふうに思います。  今の問題につきまして、その経過趣旨について大蔵省はどのようにお考えでございましたでしょうか。
  19. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) ただいま厚生省の方から答弁がありましたように、昭和六十三年度臨時福祉特別給付金支給につきましては、平成元年四月一日から消費税導入ということで所得税減税が行われたわけでございます。その際、減税対象とならない老齢福祉年金各種手当受給者等生活の安定や低所得者在宅寝たきり老人等に対する在宅介護支援に資するために、臨時特例措置として行われたものでございます。
  20. 三重野栄子

    三重野栄子君 次に第二点について伺いたいんですが、今の臨時福祉特別給付金決定は、一月十九日に閣議決定がされまして、三月二十五日までに支給をするというような内容であったかと思います。大変短い期間の中で多数の方に支出をするようになったかと思いますけれども、その支給対象把握それからそれに要するコスト、そういう問題についてはどのように算出をされましたでしょうか。その点について厚生省並び自治省にお伺いしたいと思います。
  21. 亀田克彦

    説明員亀田克彦君) 支給対象人員は五百六十三万人、こういう方に支給をいたしてございますけれども、この方法につきましては、私ども都道府県あるいはその事務の一部につきましては市町村にお願いをいたしまして、また市町村ではさらに民生委員の方でございますとかホームヘルパーさんでございますとか、こういう方々の御協力もいただきまして把握をしていただいております。これらに要する事務費につきましては、地方自治体のための事務費、こういうことでございますが、二十三億円ほど使用をいたしてございます。  この算定ということでございますけれども、例えば地方自治体臨時職員を雇った場合の賃金あるいはいろいろな連絡会議等を行うための経費、資料の作成に必要な経費電話料でございますとか郵送料でございますとか、あるいはコンピューターの賃借料職員超過勤務手当、こういうものを積算いたしましてこの二十三億円は算定をいたし支出をいたしたところでございます。
  22. 三重野栄子

    三重野栄子君 その支出は、一〇〇%例えば自治体が超過負担をするとか、そういうことはなかったんでしょうか。それから、延べ人員はどれぐらいかということはわかりますでしょうか。
  23. 亀田克彦

    説明員亀田克彦君) 私ども承知しておりますところでは、ただいま申し上げましたように、十分を経費を積算し支出した、こういうふうに考えておりまして、地方自治体において超過負担があったというふうなことは承知しておりませんし、また、なかったというふうに考えております。  実際に地方自治体におきまして担当していただいた職員延べ人数民生委員とかホームヘルパーということを申し上げましたけれども、これは大変申しわけございませんが、現在把握をいたしておりません。
  24. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変短期間の中に、しかも緊急に突発的に起こったこの問題につきまして、職員並びに民生委員とかヘルパーとか、そういう方々が動いていらっしゃいますが、特に市町村段階職員等々につきまして自治省はどのような活動をなさいましたか。把握しておられますでしょうか。
  25. 田村政志

    説明員田村政志君) ただいま厚生省の方からお話しございましたように、この臨時福祉特別給付金全額国庫支出でございます。委託金という形をとってございます。したがいまして、その事務費等あるいは県市町村に対する協力依頼につきましては、所管省である厚生省において、地方に超過負担が起こらないように、適正に単価を積算した上で措置されたものと、こういうふうに理解をしております。
  26. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、総括的にと申しましょうか、この臨時福祉特別給付金政治的効果についてお伺いいたしたいと思います。  この趣旨は、先ほどお伺いいたしましたように、老齢福祉年金とかあるいは特別障害者手当受給者等生活の安定と福祉向上及び低所得在宅寝たきり老人等に対する在宅介護支援に資するためということで支出をされております。しかしそれは、先ほども申されましたけれども、消費税導入する過程のもう一つの課題でございまして、このたび支出されましたのは臨時福祉給付金が一万円、それから臨時介護福祉金が五万円でございました。  消費税はずっと続いていくわけですけれども、その点どのように福祉活動として役立ったかということを、政治的効果についてお伺いしたいんでございますが、厚生省並び大蔵省にお伺いいたします。
  27. 亀田克彦

    説明員亀田克彦君) この臨時措置効果でございますけれども、この措置につきましては、消費税導入に際し、その影響を緩和することによりまして、老齢福祉年金受給者等生活の安定あるいは福祉というものの向上に資したと、こういうふうに考えております。
  28. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 先ほど来お話し申し上げておりますように、消費税導入する、これに対応いたしまして大幅な所得減税を行ったということであります。  しかし、消費税導入することによりまして、物価にこれが転嫁されるということになってくるということでございまして、なかなか対応し切れない老齢者皆様方、いわゆる老齢福祉年金受給者方々ですとか、そういった手を差し伸べるべき人々、こういった方々に対する施策として実施されたものでございます。その意味で、消費税導入についての理解というものを深めることに役立ったのではなかろうかというふうに考えております。
  29. 三重野栄子

    三重野栄子君 先ほど申しましたように、臨時福祉給付金は一万円でございまして、それからまた臨時介護福祉金は五万円でございます。この金額と毎日支払わなければならない消費税との関係を考えてみますと、今おっしゃいました趣旨には余り沿い得ないのではないかと思います。  それから、もう一つの問題といたしましては、最近は来年度の歳入不足ということもありまして、あちこちで消費税のパーセントを上げるとか、あるいはまた昨年度は、税制等に関する協議会の中でも、この消費税の見直しについては一定前進をしましたものの、食料品の問題については、政府・自民党におきましても食料品は無税という状況までありましたのに、これが引っ込められているわけでございます。  そういうことから関連をいたしますと、再びやはりこの臨時福祉特別給付金に準ずるようなものを支出していただかなければ、今の趣旨というのは達成されないのではないかというふうに思うわけでございますが、その点厚生省並びに大蔵大臣、いかがでございますか。
  30. 亀田克彦

    説明員亀田克彦君) この措置につきましては、先ほど申し上げましたように、消費税導入等に伴う昭和六十三年度限りの臨時特例措置として行ったものでございまして、継続してこれを支給するということは考えておらないところでございます。  なお、この給付金の対象になりました老人の皆様あるいは障害者等につきましては、この方々所得保障ということで公的年金制度、こういうもので対応いたしておりまして、年金制度につきましては昭和年度以降につきましても物価スライド等により、世の中の変化に対応してきておると、こういうことでございます。そういうことも踏まえまして、継続して支給するということは考えておらないところでございます。
  31. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今の臨時特例措置につきましては、厚生省の方からお答えがあったとおりであります。  なお、消費税の問題につきましてでありますけれども、私どもといたしましては、消費税はことしの十月ですか、まさに揺りかごから墓場までといいますか、出産ですとかあるいは医療ですとか、また葬儀、埋葬ですね、あるいは教育関係、こういったものについて措置をするということで議員立法によってこれを改正していただきました。まずこれを私たちは定着させるということが一番大事なことでございまして、その意味で私はもうかねがねも申し上げてまいっておりますけれども、今消費税三%をどうこうするということについては私の念頭にはないし、これについては総理もたびたび皆さんに申し上げておるところであります。  なお、食料品の非課税問題につきましては、これも各党との協議機関ができてその中でお話しになったわけでありますけれども、やはりことしのたしか十月の末でございましたか協議会が開かれましたけれども、各党の考え方の中で隔たりがあったということで、この分については一つの方向を見出すことができなかったということと承知しております。  私どもとしては、今の税制というものを、新しく改正していただいた消費税というものを今定着させていくということに努めてまいりたいというふうに考えております。
  32. 三重野栄子

    三重野栄子君 現在の三%の消費税につきましても、私としましてはまだまだ逆進性と言われる消費税につきましては改正をしていただかなくちゃならないというふうに思うわけでございますが、先ほどの昭和五十三年度支出をされました状況のときには、公党全党が一致をして、さらにまた社労委員会でも決議をされながら進められたというふうに伺っております。  しかし、この臨時福祉特別給付金につきましては、自公民と申しましょうか、そういうところで協議をされたものが閣議決定をされていった。ですから、これからの問題につきましても、こういう生活弱者を救済するという立場に立ちましても、できるだけ全党一致で、しかもやっぱり所管の委員会でも十分討議をされていく、国会の納得のいく状況で進めていただきたいというふうに思います。  今、大臣が現在の消費税を定着させるということを重点に置かれましたけれども、なおこの内容につきましての改正点につきましては、パーセントを上げないで、例えば食料品の非課税問題も含めまして御検討いただくことを要望いたしまして、この件を終わらせていただきたいというふうに思います。  第二点の火山噴火観測体制の問題でございますが、これは大変専門的なことになるようでございまして、私も十分理解しかねるところがございますけれども、まず昭和六十三年十二月に噴火をいたしました十勝岳の噴火、現在は今なお長崎の雲仙・普賢岳では大変危険な状況があるということでございますので、この十勝岳の噴火に支出をされましたその状況から、現在の問題についてどのようによい方に引き継がれていったかという視点でお伺いをしたいわけでございます。  昭和六十三年度一般会計予備費から総理府科学技術庁、それから運輸省気象庁、建設省の国土地理院から支出されておりますので、そのときの必要性、主な内容について、簡単で結構でございますので御答弁をお伺いしたいと思います。
  33. 葉賀史

    説明員葉賀史君) 御説明いたします。  科学技術庁の国立防災科学技術センター、現在の防災科学技術研究所でございますが、当研究所は富士山の火山帯の予知研究を進めておりまして、六十三年当時は特に十勝岳は観測対象としてございませんでした。しかし、六十三年十二月の十勝岳の噴火後は、その活動の動向を把握するため緊急に観測体制そ強化するというような必要性から、六十三年度予備費使用しまして、多波長走査放射計によります空中からの十勝岳山体の温度分布調査を千八亘二十万円で実施いたしました。これは、ヘリコプターによりまして十勝岳の噴火の状況を上空から調査しまして、その温度分布をはかるものでございます。
  34. 小長俊二

    説明員(小長俊二君) お答えいたします。  気象庁では、十勝岳につきまして従来から常時観測火山の一つとして、火山観測を続けてきております。火山活動の活発化、六十三年の九月ごろからでございますが、六十三年の噴火に先立って火山機動観測班を派遣して地震計を増設し、十勝岳火山観測所及び旭川地方気象台において火山活動の監視を行っていました。  そして、六十三年の十二月の十六日でございますが、噴火後直ちに火山機動観測班を派遣するとともに、大学等の協力を得て観測監視体制の強化を図りました。さらに、積雪期でございましたので、泥流の発生が非常に危険性が高まりましたし、火砕流のおそれもあるということでございまして、緊急に観測体制の強化を図る必要がありましたことから、昭和六十三年度予備費によりまして熱映像装置、遠望観測装置、空振計等の整備を行いました。現在もこれらの機器により観測監視を行っておるところでございます。  今後とも、関係機関と緊密な連絡を図りながら、火山活動の観測監視に努めてまいりたいと考えております。
  35. 青山俊樹

    説明員(青山俊樹君) 建設省の十勝岳噴火前後の対応について御説明いたします。  十勝岳噴火前におきましては、国土地理院が昭和六十年度十勝岳山頂部十二平方キロメートルにつきまして火山基本図の作成及び熱映像撮影を実施しております。十勝岳噴火後におきましては、昭和六十三年十二月二十五日時点での火山噴火物の分布を示す縮尺五千分の一の噴火現況図並びに噴火対策作業用の二万五千分の一の修正図を作成しております。同じく噴火後、北海道開発局及び北海道におきまして、泥流監視装置、これはワイヤセンサーだとか監視カメラ等から成るものでございますが、この泥流監視装置を設置いたしております。  また、平成元年三月には、緊急観測監視体制の強化に必要な経費といたしまして、昭和六十三年度一般会計予備費のうち二千六百万円を充てていただきまして、縮尺一万分の一の地形図の作成及び熱映像撮影を実施いたしております。
  36. 三重野栄子

    三重野栄子君 十勝岳のことにつきましてお伺いしたからだと思いますけれども、全国的には、こういう火山とか火山の噴火、地震の問題については、やはり富士火山地帯の方が重点地区でございましょう。私は九州出身ですけれども、九州は一体どういうふうになっているでしょうか。
  37. 葉賀史

    説明員葉賀史君) 申しわけございません。科学技術庁の防災科学技術研究所の研究対象が富士火山帯を中心に大島とか硫黄島とかやっておりまして、全国的にそれは気象庁さん初め大学の方でやっておると思います。
  38. 小長俊二

    説明員(小長俊二君) 気象庁におきましては、地震観測網といたしまして、マグニチュード三以上の地震につきまして気象庁で常時監視体制をとっておりますから、これは東海地区、南関東地区を除きまして全国ほぼ一律に同じような観測ネットをしいております。  それから、火山につきましては、現在八十余りの活火山の指定をしておりますが、そのうち十九火山につきまして常時観測火山として常時火山観測を行っております。  以上でございます。
  39. 青山俊樹

    説明員(青山俊樹君) 建設省といたしましては、地理院を中心にいたしまして、活動的で特に重点的に観測研究を行うべき火山十二火山、活動的火山及び潜在的爆発力を有する火山二十三火山等を対象に重点的に火山基本図の整備等を図っております。
  40. 三重野栄子

    三重野栄子君 二十三カ所で、その中に九州の山はどれとどれとどれが入っているでしょうか。
  41. 青山俊樹

    説明員(青山俊樹君) 九州の山でございますと、二十三火山の中ではこれは大分だと思いますが、鶴見岳が入っております。
  42. 三重野栄子

    三重野栄子君 そうしますと、今の雲仙・普賢岳の火山の噴火の問題についてはどういう位置になっているかというのが一点と、もう一つは、今伺いましたほかに現在では九大島原地震火山観測所に東北大とかあるいは東大、東工大、京大等々全国国立大学の会同観測班が設置をされているというふうに伺っておりますけれども、文部省はこのような噴火あるいは地震等についてはどのような関係をお持ちでしょうか。
  43. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) 大学におきます地震予知、それから火山噴火予知研究でございますけれども、六国立大学、北大、東北、東大、名古屋、京都、九州、これらの六大学の各理学部、それから東大の地震研、京都大学の防災研を中心に実施しておるところでございまして、地震、火山の関係の観測施設自体といたしましては、全国で三十七施設がございます。
  44. 三重野栄子

    三重野栄子君 こういう特別に突如として起こったといいますか、もう一年以上になりますけれども、こういう場合には予算の支出と申しますのは、どういうところで対応されるんでしょうか。
  45. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) 二種類ございます。  一つは、設備関係の充実を図るということが一点でございます。それからもう一点は、先生御指摘のように、それぞれの観測施設の人員自体は数名の規模でございます。このような急な火山活動等がございますと、多いろんな大学からチームを組みまして駆けつけるわけでございまして、そのための旅費というのがございます。  これら設備それから旅費、これらを手当てするために、一つには私どもで持っております科学研究費補助金という補助金がございまして、これの緊急の学術研究用ということで幾分留保しておるところがございます。これらを適時支出するという方途が一つございます。それからもう一つは、先ほど申しましたように、国立大学関係の観測事業ということで国立学校特別会計を組んでおるわけでございまして、この中の予算の中から適宜緊急に支出する、この両方の方途をもちまして措置しておるところでございます。
  46. 三重野栄子

    三重野栄子君 ことしの六月ごろの新聞だったと思いますけれども、普賢岳の火山活動を調査するために科学技術庁は、科学技術振興調整費を使って緊急研究を行われるというふうなことがあるけれども、しかしこの手続もいろいろあるのでこの支出がおくれた、それで十分な対応ができなかったということが新聞に出ていたんです。  来年、平成年度の予算が編成されようとしておりますけれども、この問題についてはどのように対応されているでしょうか。
  47. 葉賀史

    説明員葉賀史君) 御説明いたします。  雲仙岳につきましては、実は平成二年の十一月に雲仙岳が二百年ぶりに噴火したわけでございまして、科学技術庁といたしましては緊急研究を、平成年度です、五千六百万円ほどで雲仙岳噴火活動に関する緊急研究ということで実施しております。  それから、平成三年五月に入りましてマグマ活動に関する雲仙岳の動きが活発化しておりまして、火砕流等も発生しました。それらの火山活動等の現象につきまして多項目、高密度、高精度の観測研究をしようということが急務になりまして、平成年度も科学技術振興調整費によりまして雲仙岳のマグマ活動に伴う諸現象に関する緊急研究を実施しておるところでございます。  それから、これは科学技術庁だけでございませんで、気象庁さんの研究所でやったり、国土地理院さんでやったり、通産省の地質調査所さんで、各研究機関総合的にやっているものでございます。  それから、科学技術庁のこれからの取り組みのところでございますが、平成年度につきましては、我々としましては雲仙岳の普賢岳の活動状況等を勘案しまして、堆積物の実態調査等できるよう予算要求しているところでございます。  今後とも火山噴火予知を含めました火山防災研究の充実に努めてまいる所存でございます。
  48. 三重野栄子

    三重野栄子君 ありがとうございました。  先ほど国立大学のお話を伺いましたけれども、文部省といたしましては平成年度、大体教育予算はいつも少ないという状況でございます。平成年度については、こういう現状があるんですけれども、十分予算はできるようになっているでしょうか。
  49. 雨宮忠

    説明員(雨宮忠君) 来年度の地震予知、火山噴火予知関係の概算要求額といたしましては二十三億二千五百万円という要求をいたしております。もちろん、これは突発のものというものを必ずしも予定しておるわけではございません。来年度の概算要求につきましては引き続き努力しておるところでございますけれども、来年度におきまして、例えば雲仙岳のようなこともございますれば、またできる限りの弾力的な運用ということでやる方途もあろうかと思うわけでございます。
  50. 三重野栄子

    三重野栄子君 十勝岳から出発いたしましてこの普賢岳の問題まで、しかも普賢岳はまだ非常に危険な状態にございますが、観測ということも大変重要であろうかと思いますから、それぞれ所管のところでよいように御検討いただきますようにお願いしたいと思います。  以上二点の私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  51. 会田長栄

    会田長栄君 会田であります。  決算委員会予備費並びに大蔵省関係の審査に当たりまして羽田大蔵大臣が就任して初めてでございますから、おめでとうございますと申し上げます。同時に、バブル経済が破綻をしてまことに厳しい経済環境の中にあって御努力されることに御苦労さんだとまず申し上げます。  私は、決算委員会の本来の任務というものはどういうものであろうかということを自問自答している一人であります。というのは、決算委員会に関係してまいりまして私三年目でありますけれども、この三年間に六十一年度決算関係、六十二年度決算関係、そして六十三年、平成元年、この四年分を今審査したという自負を持っているわけでありますけれども、まず羽田大蔵大臣決算審査の意義というものをどのように一体お考えになっているのか、御所見を承っておきたい、こう思います。
  52. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まず、就任に当たりまして激励をちょうだいしましたことをお礼申し上げたいと思います。今後とも御指導を賜りますように、私どももまた懸命に努めてまいりたいということを申し上げておきたいと思います。  今御質問のございました決算審査につきましての意義についてでございますけれども、決算はまさに予算の執行をいたしましたことの実績でございまして、決算委員会における審査というのは予算の執行が所期の政策目的を果たしているかどうか等について審査検討するものでございまして、まさに次の予算編成に当たりまして極めて重要な指針になるものであろうというふうに認識をいたしております。  政府といたしましても、従来から予算の適正かつ効率的な執行に留意してきておりまして、予算編成に当たっても決算の成果を十分反映させるように努めていかなければならないと改めて思っております。また、決算審査の重要性を十分認識するということは当然でありますけれども、私どもといたしましても、できる限りの協力を行うとの基本姿勢で対処しているところでございます。なお一層の努力をしてまいらなければいけないというふうに考えております。
  53. 会田長栄

    会田長栄君 従来の政府、大蔵省の答弁というもの、それは予算の審議と同等にこの決算の審議というものが大事であります、決算の検証を経て次の予算を編成するという答弁でございましたし、その上に、とりわけ次の年度の予算に営々とその審査の結果を反映させていきたいという重要な決算審査の位置づけというものを今回答いただきましたから、それに沿ってひとつ御努力を願いたい、こう思います。  要するに、私どもとしては、決算の審議というものは予算がどのように使われたかということを検証すると同時に、次の予算編成に反映させたい、これが最も大事ではないのかという気持ちで実はいるわけでありまして、この決算委員会も六十三年度、元年度、この両年度審査して速やかに予算上に反映させたいという意気込みで実はやってきているわけでございます。そういう意味では、六十三年度平成元年度両年度にわたりまして五月以降の閉会中に十回審査を行っているわけでありまして、さきの国会で一回やって、きょうがこの大蔵省所管と予備費とあわせて各省庁別の審査が終了するわけでありまして、これは自民党の先生方も含めまして今日まで努力してきているところでございます。そういう意味で、二年度決算審査にどうしても入りたい、こういう決意で今いるところでございます。  その上に立ってもう一言お聞きしたいのは、これは大蔵大臣にお伺いしますが、次の予算の審議開始までには前の年度提出した決算の審議というものを終了させていきたい、こう考えているところでありますが、そうでなければ決算委員会で指摘されたもろもろの問題というものがこれは予算編成上反映されないという気持ちを持っているわけでありますから、その点私は当然筋道だと見ているんです。そういう点にわたって見解などを承っておきたい、こう思います。  三年前に決算委員に私が就任したときに、変な話ですが、昭和六十一年度審査をやりますと聞いて驚いたわけですよ。それは余りにも隔たりがあって、これは御承知のとおり地方自治体などというのは、各都道府県でも市町村でも、決算審査が終わらなければ次の予算説明ができないというように厳しくなっているわけなんですよ。ところが、国に参りますと全然違うんですね。四、五年前のものを平気でやっておる、私こういう気持ちを持った一人なもんですから、前の年度提出した審議というものを終了して次の年度に入っていきたいというものをどうも持っているものですから、その点での御所見というもの、見解というものをこの機会に承っておきたい、こう思います。
  54. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今御指摘がございましたように、まさに決算は、その決算の御審議をいただき、そしてその中の問題点を御指摘いただく、それを次の予算に反映していくという性格のものである、私は全く同感に思います。その意味で、私どもといたしましても、今後とも委員会でこうやって御審査をいただけるような体制づくり、そのために私どもも今後とも努力し、また御協力を申し上げていきたいということを重ねて申し上げたいと存じます。
  55. 会田長栄

    会田長栄君 その点ではまことに認識が一致いたしまして、この点はありがとうございます。  前の年度提出した決算の審議を終了させて、決算で指摘された問題を踏まえて予算の審議に入るというのはごく当たり前のことでありまして、大蔵大臣からそういう御見解を承ったということについてはまことに決算委員の一人として感謝にたえない、こう思いますから、今御答弁ありましたとおり、審査に対しましてその体制づくりと協力に努力するということでありますから、その点は念を押してよろしくお願いしておきます。  それでは、これと関連をして、実は今度常会というのが一月召集とされましたね、この点で決算委員の一人として、これは十二月から一月に常会がなっていったら、せっかくここ三年間、約二年半ですか、営々と決算委員会に所属する我々がみんな協力して努力してきたんだけれども、この調子だとまたもとのもくあみに戻るかもしらぬという危機感を実は持っていたわけであります。その点で、当然来年の一月下旬には政府が予算を提出されますね、常会が開かれるわけでありますから、そういう意味では、閉会中でも結構です、参議院の決算委員会の総括質疑というものを終了させたいという気持ちを持っているんですよ。昭和六十三年度平成元年度の総括質疑を終了させれば、次の年度決算報告の出ているものが今度審議に入れるという状況になるわけでありまして、この点、大蔵大臣にさきの答弁のように積極的に御協力いただきたいと思いますが、御所見を承っておきたい、こう思います。
  56. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 基本的にまず財政法あるいは国会法等ですか改正していただきまして、一月召集ということになったわけでありますけれども、これはいつも十二月の二十七日とか二十八日、二十九日あたりに国会を召集してそのまま自然休会になるということであります。これはやはり国民から見たときに、この間に予算書の印刷等を財政当局としてはする、そういう理由があるわけでありますけれども、どうしてなんだということについて一般の国民に理解されないということがございまして、だとするならば、ちゃんと予算が審議できるとき、このときに国会を開いていただくことがよろしいのではないかということで私ども衆議院の方でも御提案申し上げ、また参議院の方にもそのことを実は申し上げて、それが今度の改正になったということで、この点では国民の国会審議に対する理解というものは一歩深まったというふうに私は思っております。  ただ、この間の休会中における決算について総括の審査をしたいと言われることにつきましては、これはもう一義的に国会のまさにこの委員会でお決めいただくことでございまして、私どもといたしましては、委員会が休会中の審査をされるということであるならば、万全の体制を整えながらおこたえをしてまいらなければいけないというふうに思っております。
  57. 会田長栄

    会田長栄君 私の感じからいえば、これは大蔵省あるいは政府、各省庁だけの責任ではないと私は思っています。それはやはり国会の運営の仕方にもある。御説明のとおり、決算と予算というのは車の両輪で、それは国民の前にその信託にこたえなげればいけないということをお互いにおっしゃっているわけでありますが、なかなかそういう運営がうまくいっていないということも事実であります。  これは御承知のとおり、予算委員会は間違いなく開かれる。では決算委員会は同時に間違いなく開かれるかというと、これは決算委員の先生方が御承知のとおり、並みの努力ではとても開けないということだけははっきりしている。だからそういう意味で、私はもう閉会中もやむを得ないという考え方の上に立って今日までやってきたわけでありますから、その点では決算審査の本来の任務というものを果たしていくためにも、ぜひこの閉会中にも総括審査というものを終了させて通常の形で運営できるようにしていきたい、こう思うものでありますから、この点についてはひとつ御協力よろしくお願い申し上げておきます。  その点を指摘して、私どもの国会におきましてもできる限りやれるように誠意を尽くしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたい、こう思います。  それでは次に、予備費関係についてお伺いいたします。  第一に、平成元年の十二月一日に本院において予備費の不承諾の議決がなされたことは御承知でしょう。その後の政府の対応について御見解を承りたい、こう思うんです。
  58. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 先般、予備費使用につきまして、院の事後の承諾を得ることができなかったわけでございますが、この点につきましてはまことに遺憾なことと考えているわけでございます。  なお、この院での御審議を踏まえまして、平成年度の予算編成におきまして、従来は予備費で対応してきました内閣所管のサミット出席経費につきましては当初予算に計上したところでございますし、また総理府所管の警察庁の警備経費の中の車両購入に係る経費につきましても、これは予備費使用を控え、当初予算に所要の額を計上しているというところでございます。
  59. 会田長栄

    会田長栄君 政府は従来、予備費の不承諾議決についておおよそ五点にわたって、まあわかりやすく答えているということになるんでしょうか、見解が表明されておりますね。  その一つは、「遺憾なことと受け止める。ご審議、ご指摘を踏まえ、今後とも予算の適正かつ効率的な執行に努め、国会のご理解を頂けるよう、適切に対処して参りたい。」、わかるようでなかなか十分にわかるというわけには私はまいらないと思っているんですが、これが一つです。  もう一つは、「内閣は不承諾支出について、その責任が続くという意味で、政治的責任を負うというふうに解される。しかし、政治的責任の次元の問題であり、支出行為につき効力・効果には、影響を及ぼさないと解される。」と、これも答えをいただいている。  もう一つは、「国会の意思は表明された。残るものは、政府自身が、それが国民に対して、良心に恥じない使用目的であったかどうか、ということだ。」と。  それから四つ目は、「政府の責任というものは継続すると考えるが、再提出して再び院のご判断を仰ぐという事態には至らない。院のご意思もまた、変更する事由はない訳でありますから」云々と。  そして五つ目は、「不承諾予備費を含む「決算書」においては、不承諾部分を明記すべきであるとの指摘に対しても、「決算書本来の性格になじまない」として」これはお断りしているわけですね。  この五つが大体今日まで政府・大蔵省の答弁であります。そこで私は、依然として不明確な点というのがあるわけでありますから、その点についてお尋ねいたします。  その一つは、国会における予備費支出の不承諾に関し、政府・大蔵省としての政治上の責任のとり方ということについて、具体的に国民にわかりやすくお教え願いたい、こう思うんです。その点の見解を承っておきたい。
  60. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 責任のとり方ということになりますとあれでございますけれども、私どもも平成元年十二月の予備費使用につきまして参議院の御承諾が得られなかったということは、今御指摘がございましたようにまことに遺憾でございまして、今後こういった御指摘を受けないような予備費使用につきまして十分配慮しながら、みだりに流れることのないようその適正な使用、これに努めていくということで責任を全うしてまいりたいということを申し上げさせていただきたいと存じます。
  61. 会田長栄

    会田長栄君 二つ目は、「内閣は不承諾支出について、その責任が続く」という意味で今日まで御回答いただいていたわけでありますから、政治的責任を負うというように私はやっぱり見るべきであろう。しかしこれは、要するに政治的責任の次元の問題なんですね。それはなぜかというと、「支出行為につき効力・効果には、影響を及ぼさない」、こうなっているんです。私もそうだと思います。  それでは、ここで言う「政治的責任」とは一体どんなことを指すのだろうという、これもまた疑問なんですよ、国民はわからない。そこをひとつ見解なり御所見なりあったら聞かせてください。
  62. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この点につきましては、確かに今お話がありましたように、実際に支出をしてしまっておるという現実がございます。そういったことで、これをもとに戻すということは実際にでき得ないということでございまして、今後やっぱりこういったことを再び起こさないようにすること、これからの問題に対して責任を全うするということが私は重要なことではなかろうかなというふうに考えます。
  63. 会田長栄

    会田長栄君 私は、やはり決算審査の任務ということを前提にするならば、当然次年度の予算編成に生かすということがこの中身ではないのかと、こう思っているんですよ。そのように理解して結構ですか。
  64. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) そういう御指摘のあったこと、あるいは不承諾になったという事実を私たちは謙虚に受けとめながら、これからの支出に対してそういったことのないように対応していかなければいけないであろうというふうに思います。そうでないと、やっぱり予算そのものに対しても御理解を得ることができないであろうということを考えなければいけないと思っております。
  65. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、これもまた抽象的でややこしいんですけれども、政府は「国会の意思は表明された。残るものは、政府自身が、それが国民に対して、良心に恥じない使用目的であったかどうか、ということだ。」と言っているんですね。これまた難しいんですよ。「良心に恥じない」、一体この「良心に恥じない」とは客観的にどんな定義があるのかということをまた疑問を持つわけです。なぜ予備費使用について問題だと考えられたかというと、結局本院で不承諾議決になったではないかとこう思うから、この点について改めてお尋ねするわけであります。こういうことを何年度も続けることが結構だとは私も思いませんし、政府もそういうことはできる限りなくしたいということでありますから、こういう機会というのはそう何度もないと思いますのでお尋ねするわけでありますが、ひとつお聞かせいただけませんか。
  66. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) まず御指摘の、「政府自身が、それが国民に対して、良心に恥じない使用目的であったかどうかということだ。」ということでございますけれども、これについては終局的には、議院内閣制ということでございますから、そういう中で国民がやっぱりこれに対してどういう批判をされるか、そしてそこに至るまでの間は、その後政府がどのように対応してきたかということが国民によって判断されることであろうというふうに考えます。
  67. 会田長栄

    会田長栄君 それでは次に、予備費使用調書提出の時期についてどういう御見解をお持ちか、お尋ねいたします。  これは先ほど申し上げたとおり、国会の常会の一月召集に伴い、決算書及び予備費使用調書国会提出も当たり前にいえばおくれることになるんでしょうと、こう思うのでありますが、その点はどのように今後なるんだろうかということについての見解をひとつ承っておきたい。
  68. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 今般、国会法が改正されまして、常会の召集時期が一月とされたことになったわけですけれども、それに伴いまして従来は予備費使用調書につきましては、四月から十二月分につきまして、いわゆる(その1)でございますけれども、それを翌年の二月下旬ごろに提出してきたわけですけれども、召集時期が一月になりますので、四月から一月分を(その1)といたしまして、一月に召集される常会開会中の三月下旬に、それから二月、三月分、いわゆる(その2)でございますけれども、これにつきましては翌年の一月に召集される常会の冒頭に決算書とともに提出することを考えております。我々としても速やかに提出できるよう最大限に努力してまいるつもりでございます。
  69. 会田長栄

    会田長栄君 決算関係案件国会への早期提出、迅速審査、その結果の予算審査等への十分な反映というのは我が社会党の従来の主張であります。ところが、一月常会になったためにこの提出時期も当然一カ月おくれる、こういうことになるんだろうと思います。そうすると、おのずからこの問題というのは、どのように一体決算委員会審査に発展していくのでありましょうかという視点に立ってお聞きしているわけであります。  御承知のとおり、予備費使用調書については、昭和三十七年度から(その1)、(その2)と区分されて国会提出を早めてきたという経緯がありますね。しかし、この場合にも財政法の「次の常会」というのがネックになりまして、なかなか回転よく展開してこなかったというものがありますし、大幅おくれの要因もこの辺にあったと思います。その意味で、予備費使用調書の作成期間というのは一カ月半か二カ月ぐらいならできると今日まで言われてきましたね。そういう意味で、財政法三十六条からいって、提出は(その1)が三月下旬、(その2)は次の年の一月となる、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  70. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) (その1)につきましては三月の下旬、それから(その2)につきましては翌年度の一月に召集される通常国会の冒頭に提出することを考えております。
  71. 会田長栄

    会田長栄君 従来は(その2)は五月下旬に政府としては提出することも可能だというようなお答えをいただいているわけです。これはもちろん常会の一月召集で六月までの常会開会は恒常的になりますから、その次にというところにこだわっていきますと、決算審査予備費審査を含めましておくれるということになるわけでありますから、この時期の国会提出というものはできる限り早期に提出していくように努力するというような姿勢を堅持してほしい、こう思いますが、いかがですか。
  72. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 先生のおっしゃる方向で我々は努力しなくちゃいかぬと考えております。
  73. 会田長栄

    会田長栄君 そこで、常会となりますと決まっている。ところが、このごろの国会は臨時国会というのが大変多い。だから、その臨時国会にもひとつ提出できるというような環境をできるだけつくってほしいと思いますが、その点は御見解いかがですか。
  74. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 臨時国会はまさに臨時の国会で、開催されるかどうかを含めてあらかじめ予見できないわけでございますし、それからまた会期が極めて短いケースもあろうかと考えます。我々としては、できるだけ早く努力しなければいけないわけでございますけれども、法律の規定にありますように、次の常会にお願いしたいと考えております。
  75. 会田長栄

    会田長栄君 ぜひ今後努力してほしいということを重ねて要望しておきます。  次に、予備費使用に関する事前説明のことについてひとつお尋ねいたします。  確かに、日本国憲法第八十七条は、予備費について「内閣の責任でこれを支出することができる。」と規定してあります。しかし、政治的内容、政策的経費について国会に何の説明もないまま巨額な支出を行うことは、制度運営の上で妥当性を欠くのではないかと私は思っているんです。  というのは、災害復旧、毎年のように予備費支出していきます。そうすると、この予備費に計上される災害復旧費というのは間違いなくそれと関連をして災害対策特別委員会で、当然災害の発生要因なり被害の状況なり政府の対応なり、そして最終的に財政的に裏づけるという問題を持って同時に審査しているんです。これはおわかりでしょう。他の予備費に関してはこれはないんです。災害だけはもう第一にということで並行して行われているんです。これを事前に審査した上で実は予備費を承認していく、こういう形になって支出行為が伴っているという状況になっているんです。そして、この予備費関係というのを所管するのは実際は決算委員会なんです。  ところが、これは先ほど申し上げたとおり、「内閣の責任でこれを支出することができる。」こうなっていますから、それを前面に出して、実はこの決算委員会との関係で余りに事前説明というのはないんですね。これまた私は不思議だと思っているんです。いいとか悪いとか、賛成とか不承諾どころの問題ではないんです。これだけの高額な予備費支出するとすれば、その予備費関係を所管する決算委員会に当然私は事前にそういう説明というものはあってしかるべきだと、こう思っているんです。この点はどういう御見解をお持ちですか。
  76. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 先生御指摘のとおり、確かに災害につきましては予備費なりあるいは補正予算なりで対応してまいるわけでございますが、災害が起きた場合には国会の災対におきましていろいろな議論、災害の現状とかどういう対策をとるのかとか、そういう議論が行われておることは事実でございますが、ただそれはあくまでも災害の現状とか対応についての議論でございまして、具体的に予備費を幾らお願いするということは、あらかじめ議論していただいているわけではない点について御理解いただきたいと思います。  先ほども先生がお話しのとおり、建前の話といたしまして、やはり予備費使用というのは国会の議決を得た金額の範囲内で内閣において予備費支出決定ができるわけでございますし、またその予備費支出については、内閣が事後に国会の承諾を得なければならないということになっておるわけでございまして、事前に予備費使用について国会の了承を得る仕組みにはなっていないわけでございます。もちろん、政府といたしましては、これは憲法あるいは財政法規定に基づく予備費でございますので、その適正な使用については常に留意しているところでございます。  あらかじめ国会の方にかけるということは、法律上もそういうことは考えておりませんし、なかなか実行上も難しいのではないかと考えております。
  77. 会田長栄

    会田長栄君 私は、憲法第八十三条の「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」の趣旨にどのように近づけていくかといえば、当然この予備費使用に当たっては事前説明というのがあってしかるべきだという立場を持っているんです。それは多分に予見しがたい事態にやむを得ず予備費使用で財政支出する際には、政策的経費等の場合はもちろんでありますが、その他の場合でも予備費というのは最低限国会に事前説明した方が国民にわかりやすいのではないか、私はこう思っているからこの問題を指摘しているんです。そういう点ひとつぜひ検討をして、この筋道に近づけるように御努力をお願いしたい。  というのは、もう一つこれは例でありますけれども、不幸な湾岸戦争、これに関連をして中東に対する拠出金というのがあったでしょう。これはアラブ協力理事会との交換公文で確定しているわけです。このうちの十億ドル分、これは平成年度予備費から出ているんでしょう。そして、交換公文に関する政府の見解というのは、国内の法令に従い予算の範囲内で交わすものと、国会の関与は必要ないとの姿勢だったでしょう。そのとおりでしょう。しかし、実際に十億ドルというのはどのぐらいかといったら、これは千三百五十五億とはじいていますね。予備費総額の四〇%ですよ、これ。こういう多額な支出をするときには当然私は決算委員会説明があってしかるべきだ。  それは承諾するとか承諾しないとかの問題でなくて、やっぱり決算委員会に、この種の重要な決算の上での予備費支出と関連をして、私は事前説明をするというのが信頼される政治の始まりだと見ているんですよ。ありませんでした。そして出てきた結果は、予備費の四〇%強をここで出しますと、だから承諾しなさい、承諾しませんか、ここさ来ました。そうではない。私は、政府は積極的にこの種の問題について事前説明があってしかるべきだったという主張です。その点についての御所見を最後に承っておきます。
  78. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 先生の御提言は憲法め定める財政民主主義から出てくる一つの考え方かと思いますけれども、また他方、憲法の財政民主主義の中でやはり予備費という制度が認められているわけでございます。先ほど申し上げたことと繰り返しになりますけれども、国会の議決を経た金額の範囲内で内閣の責任において予備費支出決定することが憲法上、財政法上認められているわけでございますので、その憲法、財政法の枠内で我々は対応してきたわけでございます。
  79. 会田長栄

    会田長栄君 それでは最後に、なぜこの使用について平成元年十二月一日に予備費に関して不承諾になったのか。そういう点、その予備費の中のどういうところが問題になったと把握していますか。それを一言おっしゃってください。例えば一つこれ、二つこれ、一つは今申し上げました。湾岸に関する十億ドル、との問題は出ています。その他は何ですか。
  80. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 指摘事項の中として、一つはソウル五輪の警備費用、その中で特に車両購入費につきましては、これは日常経費の不足を補うものにすぎない、必要な車両であれば当初予算に計上すべきであるという御指摘がございました。この点につきましては、この指摘を踏まえまして平成年度の予算編成におきましてこれは当初予算にその分を見込んでおりまして、以後予備費使用は車両購入については行わないこととしております。また、サミットの出席経費につきましても、これは毎年開催されるものであり、また予算編成時には開催国も決まっており、当初予算に計上可能であるという御指摘を受けたわけでございますけれども、この点につきましても、御指摘を踏まえまして、平成年度のヒューストン・サミットから当初予算に計上したところでございます。
  81. 会田長栄

    会田長栄君 私の方から一つだけ申し上げておきます。先ほど湾岸戦争の問題について十億ドルは述べましたから。  これは、この一つの課題は総理大臣の海外出張の問題だったんですよ。どこの国の総理大臣だって予定しない海外出張なんていうのは余りないんですね。就任したら友好国に行きますと、大体予定している。突発的に外交上行くなどというのは、それはもう予備費でいいでしょう。それから、通常、総理大臣に就任すれば、この年度にはどことどこぐらいへ行くというのは、これはもう明らかなんです。あえて予備費に計上しなくたって、それはもう通常予算の中でできることなんですね。、しかし、その指摘があったから平成年度よりサミット参加費は外したでしょう。各省庁の大臣は、あんた、今度アメリカを訪問する、あるいはフランスを訪問するから予備費から出すなんてやらないんです。総理大臣だけ出ているからこの問題が一つ課題になったということでございます。  その他四、五点あるわけでありますけれども、こういうことを含めまして、先ほど申し上げたとおり、当然決算委員会に事前説明というのは、賛成反対にかかわらず、後の審査のためにもあった方がいいという視点に立って質問いたしました。御回答のあったとおり、今後この決算委員会の本来の任務が十二分に果たせるようにひとつよろしくお願いをして、この件に関する質問は終わります。  次に、会計検査院にお尋ねいたします。これは端的にお答えを願えれば幸いであります。  一つは、検査院が検査を執行して各省庁などに対してここ五年間指摘した件数と合計金額というのがどのぐらいになっているか、お答え願います。
  82. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 昭和六十一年度から平成年度までの各年度における不当事項の件数と金額について申し上げますと、六十一年度が百二十九件三十九億一千万円、六十二年度が百七十件四十一億三千万円、六十三年度が百六十六件四十八億四千万円、元年度が百九十二件百二億六千万円、二年度が二百四十件八十四億四千万円となっております。ただいまの数字を合計いたしますと、八百九十七件三百十六億円でございます。
  83. 会田長栄

    会田長栄君 ちなみに、今五年間の話を聞きました。しかし、ここ十年間のものを各省庁別にひもといてみますと、指摘された件数は九百三十三件、金額にして二兆三千三百五十九億五千八百二万円、こういう大きな金額になっているんです。これは前に決算委員会でも私の方から指摘をいたしましたが、どうもこの傾向というのは同じ類型のもの、同じ件数が大体出ているもの、そして検査対象官署その他を含めまして比率にして一割未満、年々会計検査院の御努力によって検査対象事業数がふえていますね。そういう点から見ますと、これは統計的に理論づけていったら大変な金額になるのではないか、こう思うからお尋ねしたわけなんでありまして、結局大蔵省が、平成年度税収不足という話が出てきて、いろいろな政策を変更しなければならないんでないかということだけれども、会計検査院が指摘しているとおりむだ遣いがここまで来ている。むだ遣いですよ、これ。  ここで、二つ目に率直に聞きます。いわゆる検査対象比率というのは、では六十一年度以降どういう数字になっていますか。
  84. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 六十一年から申し上げますと、六十一年次が八・七%、六十二年が八・一%、六十三年が八・二%、平成元年が八・五%、平成二年が九・二%となっております。
  85. 会田長栄

    会田長栄君 一割未満でしょう。一割未満にしてこの数字が出ているんです。昭和六十三年度決算報告を見ると二百二件百五十一億を超えています。これが検査院から指摘されている。検査院が指摘しているんです。これは言葉をかえて言えば、六十三年度は百五十一億むだ遣いがあった、こういうことになるんだと思うんですよ、私流に言うと。  そういう意味で、この点に関して会計検査院として、私が今推計してこれが九・二%ではない、もしも。四〇%やったらとか一五%やったらとか二〇%やってみたらとかというようなことを、これは公式にはなかなか説明できないんだと思いますけれども、そういう推計をしてみたことがありますか。
  86. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 私どもの検査は、実際の検査に行く前に庁内におきまして各種の書類を調べる、その他いろいろな検討をするわけでございます。しかも、その検討につきましては、年次計画のもとに行っているわけでございまして、いわば綿密な事前調査というものをやっている。そして、それに基づいて重点的に検査をやっているということでございます。  それから、その九・二%でございますけれども、この中には小さな郵便局とか駅とかそういうものも含まれておりますので、直ちにこれはどうかというふうなことで推計するのは難しいかと思います。したがいまして、内容的には推計できるものもありますし、あるいは逆に推計できないという問題もございます。  ただ、私どもの指摘は指摘としまして、それはその波及的な効果と申しますか、予防的な効果というか抑制的な効果といいますか、そういうものについては私どもは大いに期待しているところでございます。
  87. 会田長栄

    会田長栄君 六十三年度決算報告の特記事項として新たに出てまいりましたのは政府開発援助(ODA)の問題です。これはまことに御苦労さんでございます。これからも精いっぱい、まずこの使用について営々と検査に力を入れてほしいとお願いしておきます。  これはなるほど昭和六十三年度会計検査院決算報告書の中で特徴的だと思うんですよ、ODA予算を事業対象にしたということは。というのは、今まで内政干渉とか外交儀礼とかあるいは外交上とかといういろいろな言葉を使って、結果的にこの金というものについてどのように適正に効率的に使用されているかというのは、なかなか結果が入らなかったわけですね。その点、会計検査院が国民の社会的な問題指摘ということを受けとめて入っていただいたことに敬意を表して、幾つか質問いたします。  このODAが初めて報告書に掲記されているんです。もちろん、会計検査院が調査した五十六事業のうち六事業が当然指摘をされているんですね。この説明資料をもとにして調査した期間、昭和五十九年から六十三年のODA金額に占める、指摘される可能性のある金額というものを推計すると、これまた大変なんです。調査対象事業数が五十六件、問題提起事業数というのが六件でありますから、これは一〇・七%、一割は問題がありと指摘されているんですね。調査対象事業金額からいきますと千五百四十七億円、うち問題提起とされた事業金額というのが百七十五億円、これは全事業の金額の一一・三%で国内より多いんだね。このケースを政府開発援助というものと、いわゆる直接借款あるいは無償資金協力あるいはプロジェクト方式、技術協力というように分けていって大半の事業所というものを検査対象にしていったら、これまた一体幾らのむだ遣いが出るんだろうかということになると恐ろしくなるんですよ。どのくらい出ましょう。  これは私の予断と推計だからどうぞ後で参考資料にして、これからの検討にしてほしいと思うのが、いわゆる全事業を調査対象とした場合に、問題提起としてどういう可能性が出てくるかということになりますと、三千億超えるんです。三千億、むだ遣いですよ。だからそういう意味で、これは今やODAの予算使用、この問題について、治外法権とか内政干渉とかあるいは国際ルール上、儀礼だとか、こういう言葉だけでは通用しないところへもう来ているんですよ。これは最終的に財政支出する責任者の大蔵大臣、私はそういう意味でこれは基本的な法体系を検討し直さなければならないのではないかと、こう思っているんですよ。これは会計検査院も同様です。外務検査課、これは当然組織拡充を図って、こういう声にこたえなければいけないと私は思っているんですよ。  その点について、どういう御所見をお持ちか会計検査院からもお聞きしたいし、これほどのむだ遣いがあるとすればどこに欠陥があるのか、検討し直さなきゃ私はいかぬと思うから、法体系整備まで含めて一体どういう御所見を大蔵大臣がお持ちか簡潔にお聞かせ願いたい、こう思います。
  88. 中村清

    会計検査院長(中村清君) ただいま先生が御指摘くださいました数字でございますけれども、実は私ども調査に当たりましては、いずれも援助対象案件の規模、内容等につきまして詳細な事前調査を行い、それによって現地調査の箇所、時期等を選定するというわけでございまして、いわば計画を策定し、効率的な検査を実施しているところでございます。  しかしながら、今先生がおっしゃったことにつきましては、その御趣旨を十分踏まえまして、またその御意向を踏まえまして、今後ともさらに整備拡充を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  89. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ODAの事業そのものの発生につきましては、各国それぞれの要請に基づいて我々は対応しているということでありますけれども、やっぱりこれはまさに国民の血税が注ぎ込まれるということになるわけでありますから、その執行というものが実際に相手国の国民の福利厚生、そういったものに役に立つものをやるべきであって、法律をつくるといいますか、ときどきあるいはその国の要請によってそれぞれ大変質の違うものでありますけれども、基本的な考え方はあるわけでありますから、そういった効果というものを十分見きわめながら、適切なODAの支出というものを考えていかなければいけないんじゃなかろうかというふうに思います。  私どもも幾つか農政なんかでもかかわってまいったことがありましたけれども、例えば国によっては大きなダムなんというもので大統領ですとかあるいは首相、そういった人たちの意思によって国威を発揚していくなんということがありました。しかし、実際に農業者ですとか地域の人にとってはそれより小さなため池みたいなものがよろしいというようなことを、検査ですとかあるいは実際に過去に執行したもの等を反省しながら、今はむしろ現地の皆さん方にそういったことも御指導申し上げているということでございまして、まさにODAというものを本当に効果あらしむるためには、そういった調査とか、またよく現地の状況というものを十分話し合った中で、そのプロジェクトというものを決めていく必要があろうというふうに思っております。  ですから、運用の面で私たちは十分配慮していく、慎重にやっていくということ、こういうことが重要でなかろうかというふうに考えております。
  90. 会田長栄

    会田長栄君 それでは次に、会計検査院の業績検査の充実強化策等について、いわゆる会計検査問題研究会から最終報告が出ていると、こうお聞きします。その最終報告と関連をいたしまして、業績検査結果の報告方法について新しい報告方式の検討がなされていると聞いているんですが、その経過についてお尋ねいたします。
  91. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 先生がおっしゃいました研究会はもちろんでございますが、それ以外にも院全体としましていろいろな検討を毎年加えているところでございます。それで、言うまでもないことでございますが、財政資金に対する事業の運営あるいはその効果につきましては国民の関心も非常に高まってきているという実情がございまして、この点につきましては私どもとしては十分承知しているところでございます。  したがいまして、検査の実施に当たりましては、単に合規性、経済性・効率性のみならず、目的の達成度合いといいますか、有効性の検査というものにつきまして積極的に取り組んでまいりましたし、また今後ともさらに取り組んでいきたいと思うわけでございます。  そして、ここ最近の検査報告を見ましても、その辺、そのような観点からの指摘事項が数多く見られるところでございまして、一般的な言い方をしますと、例えば各地の事業効果を検討した問題あるいは制度運用を評価した問題あるいは経営効率に着目した問題などと、こういうものにつきまして積極的に検査報告に掲記する、いわば検査を充実してそれに応じた報告をつくっていきたい、こういうふうに考えております。
  92. 会田長栄

    会田長栄君 それでは次に、行政機関などのソフト部門に対する検査はどうなっているのかということについての現況をひとつ聞きたい。
  93. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 仮に公共事業に対する検査をハードの検査というふうな言い方をいたしますと、それに対するものとして、これも仮にでございますが、社会保障的なものをソフト面の検査というふうな言い方をするといたしますと、私どもとしましてはそうした社会保障に関連した問題につきまして相当力を入れてまいりました。  例えば医療費につきましても数年前から力を入れてまいりまして、現在では相当対応も多く金額も多いというふうな形ですっかり検査として定着してまいりましたけれども、そういう意味では、今おっしゃったようなソフト面の充実には努めているところでございます。  ただ、私どもは公共事業とかその他の事業を問わず、その事業の中にはハード面もあればソフト面もあるというふうな理解でございますので、先ほど申し上げたような観点から大きく事業を制度運用まで及んで総合的に評価する、こういうふうな観点に立って今後とも検査を充実してまいりたい、こう考えております。
  94. 会田長栄

    会田長栄君 例えば各省庁や政府関係機関が外部に委託する調査分析するための委託費、これは検査の対象となるのか。というのは、意外どこれは予算が出ているんですね。出ているんだけれども、その調査分析した結果の報告書というのは私たちの手元にはなかなか入ってこない。そういうことがあるものだから、ちょっとそういう点の例があったら聞かせてください。
  95. 山本正

    説明員(山本正君) ただいまおっしゃられました委託につきましての報告書というのは成果物であろうかと思いますが、これにつきましてもこの関係の経費と、それに見合いの成果が上がっているかどうかということについては、私ども関心を持って従来から検査してきているところでございます。  その成果物につきましてどこまで公表するかという話になりますと、これはそれぞれの省庁あるいは団体のトップの判断の問題でありまして、私どもの立場からその点につきましてはお答えすることはちょっといたしかねるということになろうかと思います。
  96. 会田長栄

    会田長栄君 それでは次に、実際今のソフト部門に対する委託費関連で具体的に指定して数字を挙げてお聞きしたかったわけですが、これは次回に送ります。  会計検査院の最後の質問ですが、決算検査報告の掲記方法の見直しということについて御努力していることはわかります。今後その見直しというものがさらに一層強められるのか、あるいはどういう特徴があるのか、あったら聞かせてほしい。
  97. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 検査報告の改善につきましては、形式的な面と内容的な面があろうかと思います。形式的な面につきましては、国民の前にはっきりわかるようにしたい、わかりやすい記述ということで、この二年間抜本的な改善を図ったところでございます。  また、内容的なものにつきましては、従来の各種指摘事項につきまして、先ほど先生種々御指摘くださいましたようなそうした観点を踏まえて内容的に変えていくというふうな努力をしているわけでございます。一つの例を挙げますと、この平成年度決算検査報告からは、仮に指摘事項に至らないという場合でありましても社会的な関心が極めて高い、こういう問題につきましては、別途私どもの検査の状況までも含めたいわば全体的に会計検査院活動状況を示す、こういう章を新たに設けて検査報告に記述しているところでございます。  ただ、御指摘のように、検査報告につきましては今後とも改善に努力したい。そのためには、検査と報告とをいわば車の両輪というふうな考え方でやっていきたい、こういうふうに考えております。
  98. 会田長栄

    会田長栄君 平成年度決算検査報告で新たな項目が設けられたと、わかりやすくされているということについては、その御努力には敬意を表します。見直しは今後とも続けてほしい、こう思います。  最後でありますが、この決算委員会会計検査院の連携強化というのは私は非常に大事だと、こう思うんです。そういう意味で、一体どのように会計検査院とこの決算委員会が連携協力したらいいのかという点については、まだまだその内実はよくわかりませんけれども、最後ではありますが、院長の方からこの点に関しての所見があったらお聞かせください。
  99. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 会計検査院としましては、検査結果が、その所見に基づきまして速やかに是正措置や再発防止の処置がとられ、また予算編成に反映されて、検査の効果が発揮されるということを期待しているわけでございます。そのためには、国会におきまして決算検査報告の御審議を受けるということが、実効性を確保するという面からも非常に力があるというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、会計検査院としましては、国会決算委員会との密接な関係を保つことによりまして、検査結果が行財政の効率的執行に一層有効に活用されるということを希望しているところでございます。  なお、国会で種々の御論議のうち、会計検査院の業務に関係のある事案につきましては、すべての関係課にその情報を配付しまして、遺漏なきを期しているところでございます。
  100. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、次に移ります。  大蔵省は、十二月四日、九二年度予算編成での地方交付税交付金の減額問題で、少なくとも地方財政には一兆円以上の余剰が見込まれると述べて、地方交付税の圧縮規模を一兆円以上にする意向を表明したと新聞で伝えられております。そこで、配分比率の引き下げかあるいは特例的に減額し後年度に交付するなどの方法を検討している、こう言われております。これに関連をして二つ質問いたします。  一つは、「地方交付税制度に関する基本的な考え方」が地方制度調査会長から内閣総理大臣平成三年十二月六日に意見書が出ている。この中身はどんなものですか。まず、これをお聞かせください。
  101. 田村政志

    説明員田村政志君) ただいま御指摘ございましたが、去る十二月六日、地方制度調査会におきまして意見書が出されております。これは、一部で論議されている地方交付税率の引き下げ論を踏まえ、地方制度調査会において「地方交付税制度に関する基本的な考え方についての意見」を取りまとめ、総理に意見具申されたところでございます。  この意見におきましては、「地方交付税が国と地方の事務分担と経費負担区分に見合って国と地方との間の税源配分の一環として設けられている地方団体固有の財源である」、「地方分権の推進という観点から事務配分の見直しや国庫補助金等の整理合理化をまず推進すべきであって、地方固有の財源を削減しようとする地方交付税率の引下論は到底容認できるものではない。」というふうに述べられておるところでございます。
  102. 会田長栄

    会田長栄君 そこで、もう一つお尋ねしたい。  地方自治体、いわゆる各都道府県、市町村を含めまして、地方債の現状というのはまことに大きくなっていると思うんです。この点について端的に、一体地方債が伸びているのか伸びていないのか、それが顕著に町村と市と大都市と中小都市と、あるいはそれぞれの地域における都道府県別で見たら、どういう状況になっていますか。
  103. 木挽孝紀

    説明員(木挽孝紀君) 過去五年間につきまして決算ベースで申し上げますと、まず地方公共団体全体といたしましては、昭和六十年度七・八%、六十一年度八・八%、六十二年度九・二%、六十三年八・三%、平成元年度は七・五%ということになっております。  また、市町村につきましては、六十年度八・二%、六十一年度八・四%、六十二年度八・四%、六十三年度七・九%、平成元年度七・三%ということになっておりまして、市町村の方が全体よりも若干高いという傾向になってございます。
  104. 会田長栄

    会田長栄君 大蔵大臣、地方交付税の税率、これを引き下げるなどということはないでしょうね。
  105. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) ただいま予算編成をまさに直前にいたしまして、国と地方の財源調整につきまして、幅広い視点に立ちまして検討をすべきであるというふうに考えておりまして、自治省が交付税率についてこれを直ちに引き下げる状況にないと強く主張されておることにつきましては、私どもも十分承知をいたしておるということであります。  いずれにいたしましても、予算編成期を間近に控えまして、自治省と十分に話し合っていきたい。そして、やっぱり地方自治体がまさに十分な活動ができる、そういったことも念頭に置きながら対応していかなければいけないであろうというふうに思っております。
  106. 会田長栄

    会田長栄君 この問題は、過疎町村あるいは地方の中小都市、都道府県にとっては大変な問題を醸しますから、地方の要望にこたえて、ひとつ全力を挙げて財源確保に当たってほしいと申し上げておきます。  最後でありますが、簡潔に証券金融不祥事問題について、最終報告書というのはいつ出ますか。
  107. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 現在私ども大手四社に対する特別検査をまだ引き続き行っているわけでございます。その主な内容は、損失保証とか利回り保証がなかったかどうか、あるいは既に公表されております損失補てん以外にもなかったかという点を重点的に調査対象としているわけでございますが、大変膨大な書類の調査になっておりまして、特別検査の終了につきましては、なおしばらく時日を要するというところでございます。  ただ、御存じのような市況の状況で、証券会社の経営環境も非常に悪化をしてまいっておりまして、私どもも、大手四社以外の証券会社がこういう経営環境の悪化にどう対応するかという点についても実地に調べに行く必要もあるというふうに考えておりまして、特別検査についてはできるだけ早期に終了をさせたいというふうに考えております。
  108. 会田長栄

    会田長栄君 若干予定していた課題もあるのでありますが、時間が来ましたので、これで私の質問は終わらせていただきます。ひとつどうぞよろしくお願い申し上げます。
  109. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩。      ―――――・―――――    午後一時開会
  110. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件のうち、皇室費国会会計検査院大蔵省国民金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行決算及び予備費関係等十四件の審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  111. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 冒頭におわびをひとつしなきゃいけないんですが、事前に幾つかこういう箇所について質問すると通告をしておいたんですが、そのための準備もし万端整ったところで、きょうの朝方のいろいろなニュース等を聞きまして、少し質問のウエートだとか順番が狂うようになるかもしれません。御準備いただいたところにはまことに申しわけないんですが、そのことを冒頭おわびをして、質問をさせていただきます。  一番最初に、簡単にちょっとお聞きをしたいんですが、予備費の計上の仕方についてお聞きしたいんです。というのは、一般会計に対する予備費というのは、予算額に対してある程度の支出があるということがわかっておるんですが、特別会計の方の予備費の計上につきましては、予備費の計上してある額と実際にそのうち使用された額との間にトータルで見ますと相当の落差がある。これは一つ一つ分析していけば理由はあるのかもしれませんけれども、トータルとしてその予備費というものを見た場合に、予算計上額に対して、まあ大ざっぱに言えば一割ぐらいしか使っていない。こういうことであるとすると、予算の計上の仕方にちょっと工夫が要るのではないかと思われるわけでございます。一体どういうふうな考え方からこういう予算額と支出額の落差が出てくるのか、それが質問の一点目でございます。  それから二点目は、歳出に計上されている額と予備費に計上された額を見てみますと、かなり予備費のウエートが高い特別会計が見られるわけでございます。これは先般も十三日の大蔵委員会で聞いたんですけれども、農業共済、今国会にかかっておりました農業共済などは典型的な例でございましたけれども、たまたまというか、今回の台風で逆に言えば予備費が足りない状態になってしまったということがあるので一概に言えないと思うんですけれども、予算に対して予備費の額が一〇%以上超えている、一割以上超えて計上されている会計が多数見られるということから見て、あるいは相対として予備費支出額が予算に対して低いということからいけば、この辺の点について改善する必要があるんじゃないかなと思うんですが、ちょっと簡単に御説明いただけますでしょうか。
  112. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 先生御承知のとおり、特別会計には、例えば先ほど先生申されました農業共済のような、農業共済再保険特別会計あるいは漁船再保険だとか貿易保険だとかそういう保険会計のようなもの、あるいは印刷、造幣のような事業を行う会計、あるいは外国為替資金特別会計のような管理会計等、一特別会計それぞれ目的を持っておりまして、またその歳入につきましても、それぞれの特定の歳入があるわけでございます。  その中で、予備費をどの程度組むべきかということでございますが、先生御指摘のとおり、確かに全然使われない、過去において使われていないような特別会計もございます。他方、保険会計のように、ふだんは何もなければ使うこともないんですけれども、一たん事あれば相当な金額が必要になるケースもございまして、それぞれの特別会計の事業の実情に応じて一定額の予備費を積み立てなくてはいけないと考えておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、それぞれの特別会計ごとに過去の実績等を踏まえてもう少し見直したらどうかという点については、これから予算編成に当たって我々も見直していかなくちゃいけないのではないかと考えております。  それから、特に特別会計の中でも歳出予算の中で予備費の割合が高いものがあるじゃないかという点でございます。特に高いのは、農業共済再保険の果樹勘定、それから漁船再保険及漁業共済保険の漁船乗組員給与保険勘定とか、それから食糧管理特別会計の輸入食糧管理勘定等でございます。これらにつきましては、その事業の性格上、自然作用、自然に影響される農林水産物であるということもあって、予備費を多目に用意しているということと考えております。  ただ、今般の補正予算でもお願いしたところでございますけれども、農業共済再保険の果樹勘定のケースの場合、歳出予算百十億に対して七十五億予備費を用意してきたところでございますけれども、ことしの災害被害額が大変人きゅうございまして、この予備費だけでは、相当大きい予備費でも、予算の不足が生じまして補正予算をお願いしたような状況でございます。
  113. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今例に出された農業共済にしても確かにこれだけの予備費を組んでいる、だけれども不足が出た。だから、こういう異常な事態のときには補正予算を組むわけでございますから、通常一般の予備費、普通予見しがたい支出に充てる程度の部分だけにしておいて、それを大幅に超えるような事態が起こったときには補正予算で対応するのが原則じゃないかと思うんですよ。  あるいはもう一つ、考え方によっては、これは全特別会計をまだ私精査しているわけじゃございませんけれども、食糧管理会計のように融通証券を発行できる規定さえつくっておけば、これは応急的に必要だということであれば、その権限さえ会計に与えておけば、こんな過大な予備費を計上しなくてもできるはずだと思うんです。この過大というのは、一つ一つ精査をしていったのじゃなくて、全体としてこう判断した場合、こんな二兆円を超すトータルの特別会計の予備費を組まなくてもいいんじゃないかと思うんですが、そのことをもう一度ちょっとお聞きしたいと思うんです。
  114. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) 先生ただいまお述べになりました農業共済再保険の予備費でございますけれども、災害が生じたときに、ある一定規模の災害までは機動的に対処できるようにしておくということがやはり大事ではないであろうかということで、一定規模の平年の災害、さらに時々生じるような災害については、補正予算というのは国会が開かれていなければ出せませんし、ある程度まではやはり予備費で適時対応できるようにしておく必要があるのではないか。ことしの災害のように極めて大きい被害が生じるような、そう年がら年じゅうあるような災害でないようなケースにつきましては、これはまさに予備費では足りないわけでございまして、補正予算で対応していくということが予算の運営面あるいは国民に対するサービスからしてもよいのではないかと考えております。  なお、食糧管理特別会計の輸入食糧管理勘定の予備費でございますけれども、この考え方は、やはり小麦の輸入に当たっては為替のレートの変動がありますと、それに対応し得るようにしておかなくちゃいけない。あるいはフレート等の変動もございます。それに対してやはり予備費は歳出権がないと、国会でいただいている歳出権の範囲内でしか歳出ができませんので、ある程度の予備費が必要ではないだろうかということで、過去においてもこの輸入食糧管理勘定については、そのときどきに応じて予備費使用を行ってきているところでございます。
  115. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 余り時間がないのでやれませんけれども、先ほど言われたように、国会の授権がなければできないというのであれば、要するに、そのそれぞれの特別会計の杯ごとに融通証券を発行できる権限を、例えばこの特別会計であれば五百億までは出していいと、必要性に応じて出していいという授権さえしておけば恐らく今の問題は済むんだろうと思うんですよね、だから、そういうことで対応できるのではないか。もしそれ以上の災害といいましょうか、必要性があれば、それは補正予算にかけるなりなんかするということが前提条件だと思うわけです。ただ、時間の関係でちょっと先を急ぎますので、また時間が余ったらもうちょっとこの点についてお聞きしたいと思うんですが。  先ほど言いましたように、準備をしたものの中に、今大蔵省を中心に、新税なのか新しい使途なのかわからない国際貢献のための税というんでしょうか、資金をつくるということが言われておりまして、実は不吉だと言われている十三日の金曜日、その日に開かれた大蔵委員会で質問しようかなと思っておったんですが、まあ大体自民党さんの良識のある人たちからすればこれは多分つぶれるんだろうなと思って十三日にしなかったところ、どうも火の粉が燃え上がってきて、これはいかぬということで慌てて質問しようということで準備をしたら、きょうのニュースでまた何だかよくわからなくなってということでございます。  そこで、一体国際貢献のための新税なのか、国際貢献に使うための基金なのか、そういう予算項目を起こすという意味なのか。報道されている限りではよくわかりませんので、一体国際貢献のための税なのか、資金、使途なのか、ちょっと概略御説明をいただきたいんですけれども。
  116. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この問題は今、御案内のとおり、平成年度の歳入、そのための税制調査会が自民党の中で進められ、また一方では政府税調というのが進められております。この議論をしている中で党の執行部の方から、これから私たちが、予見といいますか予測されるといいますか、この数年間の経験というものに照らして国際的な役割の分担をしなければならないということが大変多くなってきておる、こういったことに対して機動的に対応するために一つの資金というものをプールする必要があるんじゃないのかという考え方。それともう一つは、ODAももう八千億を超えるというところに来まして、相当実は大きな額になってきております。こういったものを縮減するといいましても、日本はむしろ国際的な役割を果たさなきゃならないというときでありますからなかなかこれもできない。これを縮減するよりはむしろふやすということもあり得るという中で、これに対する財源というものを求めたいということでありました。  そういうことで、政府の方からおおよその案といいますか、それを出してほしいということで幾つか指摘がありまして、私どもとしてはこんなことではいかがでございましょうかというのをお出ししたのが、およそ資金としてこれを積むということは、予備費なんかとはちょっと違いますのは、これを使用するときには補正予算等で措置をするという性格のものでございまして、いずれにしましてもその資金としておよそ五千億ぐらいのものを積みたいということ。それから、今申し上げた一般会計の中におきますところのODA、こういったものに八千億円ぐらい、合計で一兆三千億円ぐらいのものを積みたいということで実は私たちとしてお願いをしたいということを申し上げて、今議論がされておるというのが現状であります。
  117. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 その資金を五千億円程度プールするというのは、よくこの二、三年起こりました鉄道整備基金とかという何とか基金、日米友好交流基金という、そういう基金の形で積むということなんでしょうか、それとも予算の枠の中にこういう国際貢献のためのという項目が起こって、そしてその金がプールされる、そのどっちなんでございましょうか。
  118. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今の後段の方でございまして、一般会計の中に資金として積むということであります。
  119. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうしますと、先ほどの大臣の御説明ですと、それを使うときには補正予算を組んで使途を明確にさせて予算の中に入って、一たん予算が、例えば来年度の予算の中に仮に五千億が計上されて使途が許可された、国会で承認されたとすれば、それをさらにもう一度補正予算で国会の議決をして使うなんということはまずおかしな話だと思うのが一つ。それから、どこの省庁に積むのかわかりませんけれども、五千億円という積算の根拠というんですか使途の根拠、何に使うのかということがわからないままとにかくトータルとして五千億積むということなのか。その辺もあわせて御説明いただけますでしょうか。
  120. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 使途につきましては今まだ議論をしているところでございますので、私どもからどうこうということを申し上げることはできませんけれども、ただ、おおよそ予測がつきますのは、やっぱり平和とか安全というものをひとつ確保するためにということがありましょう。あるいは地球環境あるいはエネルギーなんというものに対する貢献ということもありましょうし、また、あるところの問題なんかがあったときに、そこから出る難民の皆さん方に対する対応なんということ、こういったものを機動的にやろうということであります。  あといろんな形があると思いますけれども、ともかくこの数年間もう御案内のとおり本当にいろんな問題というのが非常に大きな形であらわれてくる、そしてその都度、日本が世界の国からこれに対する対応を迫られるということでございまして、こういった問題に対してきちんとやっぱり機能するために、機動的に対応するために資金というのを積み上げたらどうだろうかという発想であろうと思っております。
  121. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 もう一つ御説明いただきたいんですが、この資金のプールは三年間ほどやる、そうすると時限的な考え方で三年とか五年という感じでやって、それ以上は今のところ考えていないという、考えていないというより三年ぐらいを限度としてという報道がなされているわけですが、これは考えてみれば一つの時限的な措置と、恒久的には考えていないというふうに理解していいんですか。
  122. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 御指摘のとおりでございまして、恒久的という――これは議論の過程の中ですからまだあれしていませんけれども、おおよその考え方の基本にありますのは、今御指摘のあったとおり三年ぐらいといいますか、そのくらいの期間ということのようであります。  ただし、これはもうそのまま使わないでということじゃなくて、使いながら不用になる部分がありますね、これをまた積み立てていくという形で進めていくということで、およそ三年ぐらいであろう、恒久的なものではないというふうに聞いております。
  123. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 これはいいか悪いかの論議はちょっと別といたしまして、我が国の会計制度は単年度主義でございますから、複数の年度にわたってやっていくという、本来はその方が効率がいいのかどうかという点は別としまして、現行制度でいく限り単年度主義でございますから、そういう三カ年にわたって全部使うこともないこともあるでしょうし、あるいは極端に言えば、一回も使わないで翌年に繰り越していくということを想定すれば三年間で一兆五千億たまるわけですよね。こういう制度というのは、ただ単にこういう予算項目を起こすだけじゃなくして、予算制度の根幹に触れるような改革論議を片方でしておきませんとちょっと実現できないんじゃないかという気がするんですが、その辺の論議はいかがでございましょうか。
  124. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) やや技術的な問題ですので、私の方から答弁させていただきたいと思います。  いわゆる資金でございますけれども、これは現に例えば国債整理基金特別会計に附属する資金のように幾つもございます。それから、過去におきまして、一般会計におきましても経済基盤強化資金というものも過去において設けられたことがございます。  なお、先ほど先生もおっしゃられましたように、歳出に立てるに当たっては、その資金から受け入れて各年度の予算において歳出権をいただいた上で実際の施策に使っていくということでございます。
  125. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 もしそういう目的とある程度の時限性を持ってやるのであれば、特別会計の方式をとった方が、技術的というんでしょうか、制度論としては正しいんじゃないかと思うんですよね。五千億程度の特別会計をつくって、そしてこれは三年間やりますと言えば別途問題はないと思うんですが、そういう意味で、あくまでも一般会計の中に支出項目を起こすんでしょうか。それとも、特別会計の制度をつくって別途プールするというやり方なんでしょうか、どっちなんでしょうか。
  126. 涌井洋治

    政府委員涌井洋治君) まだこの構想が自民党の方から提示を受けまして余り時間がたっておりませんので、詳細なる検討は行われておるわけでございませんけれども、現段階での考え方としては、やはり一般会計の資金として設置しまして、国際貢献のための施策が必要になったときに機動的に対処するためにこの資金から一般会計に繰り入れて、そして一般会計を通して出していくということを考えております。
  127. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 一応今のところいろいろ報道されていますけれども、この資金に充てるべき財源、税源はどういうものを頭の中に入れておられるのでしょうか。
  128. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) これは実はいろんな議論がございまして、まさに仮定でございますから、報道等でいろいろとなされておりますけれども、それこそいろんなことについてその財源を税にやっぱり求めるものがいいだろうと。その中には、いわゆる赤字国債を発行して、それに対してあとまた補正なりなんなりで、あるいはまたそのときに税を取ったらどうだろうというような意見もあるようでございますけれども、いずれにしましても、多様な今議論をなさっておるということであろうというふうに私どもは承知しております。
  129. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それでは、もう一つお聞きしたいんですが、この資金は先ほど大臣が一応三年ぐらいの時限を念頭に置いてと、こういうことでございますから、その財源、税源となるべきものも同じように一定の年限といいましょうか、時限を含んだ臨時の税措置をとる。資金の必要性がなくなったら特別税でもつくるのか何の税をつくるのか、既存の税を引き上げるかは別としまして、こちらの税の方の手当ても、自動的というわけじゃないでしょうけれども、一応の目的年限が来たら当然廃止になるものというふうに理解していいんですか。
  130. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 私どもが今までの議論の過程を伺っておりますと、そういうものでなければいけないだろうということであります。
  131. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 先ほど言いましたように、これをもっと一生懸命やろうかと思ったら、きょうの新聞ではどうも実現についてかなり難しいという報道がありましたので概略聞きまして、次の質問に移らせていただきます。  これもきょうの新聞に載ったケースでございまして、こっちを見ましたらちょっと愕然としたわけでございますが、債券の補てんの問題仁ついては衆参でかなり論議になりまして、もう補てんがないのかということでかなり論議をしたんですが、この新聞の報道を読みますと、さらにまた隠れたというのか補てんがあるやにこの報道は読めるのでございます。  簡単に言いますと、山一証券が飛ばしという株の取引の手口を通じて一千八百億円この手口の部分があって、このうち八百億円程度は山一が責任を持って引き取る額だ、社長がこういう証言をしている。そして、この証言に対して大蔵省の証券局業務課長は、山一の説明は大筋で自分たちの調査した結果あるいは認識と一致している。この飛ばしの手口というのが我々国会で論議された補てんの手口の一つなんです。  この飛ばしの総額が一千八百億あるというこの報道と業務課長のこの説明というのは、一体どういうふうにこの記事を読んだらいいのか。証券局の方で把握している限り、まずこの記事の中に書いてある点についてどういうふうに御認識されているのか、お聞きしたいと思います。
  132. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) お尋ねの記事でございますが、私どももけさ読んだわけでございますが、山一証券に対しましては特別検査を行いまして、その中で平成三年三月期について百六十四億円の損失補てんがあったという認定をいたしまして、その具体的な内容については証券業協会を通じて公表したわけでございます。この百六十四億円の損失補てんというものを私ども特別検査で認定いたしましたときに、経済的に見て合理性が欠けるような取引で財産の供与を行うというものを広く拾い上げたわけでございます。その中に、一部この記事にございますものが含まれております。  それはどういうものかと申しますと、山一証券がお客との間で取引の結果に関して損失が出る、あるいは利益を要求されるというようなことでトラブルが起こりまして、その結果その顧客が持っております債券、この件ではストリップス債でございますけれども、これを全部引き取るというようなことが行われたわけでございます。その引き取り価格が当時その引き取り時の時価よりも高い価格で引き取っているわけでございまして、我々は引き取った際の時価と引き取り価格との差額を損失補てんだという認定をしたわけでございますが、それが百六十四億の中に含まれておりまして、この記事との関係で申し上げますと、八百億円というものに対する補てんが約百億と、こう書いてございますけれども、それが今申し上げた我々が損失補てんと認定をした部分でございます。  したがいまして、千八百億とか八百億とかいう数字がございますが、これはあくまでも全体の取引量の数字でございまして、今申し上げましたように、私どもの把握しておりますところでは、ここにありますおおよそ八百億円ぐらいのものを山一証券が時価を上回る価格で引き取っている。その結果、時価を上回る部分について我々が損失補てんという認定をしているわけでございまして、そういった観点からは、ここの記事に出ております部分は、この前私どもが特別検査の結果として報告いたしました損失補てんの中に含まれているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  133. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 まず、基本的にお聞きしたいんですけれども、俗に飛ばしの手口だとか引っ越したとか、ここでは宇宙遊泳とも書いてあるんですけれども、こういう手口というのを簡単にちょっと説明していただけますか。
  134. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 私どもも飛ばし、引っ越し、あるいはここに宇宙遊泳というまた新しい言葉が出てまいっておりますけれども、厳密に私どもはその内容について定義を下しているわけではございません。  先ほど申し上げましたように、検査の面ではあくまでも時価との関係で不合理な取引が行われた部分について損失補てんをしているわけでございますが、この記事を読みまして、山一証券の場合には、先ほど申し上げましたように、ストリップス債を顧客から時価よりも上回る価格で引き取っております。引き取ったそのストリップス債を基本的には保有しておるわけでございまして、ただ、保有するについて資金繰りをつけるという意味で、それをその買い戻し条件つきで売却をして一定期間後に買い戻すというような形で、いわゆる我々自己現先と呼んでおりますが、そういう形で保有債券の資金調達といいますか、在庫金融の一種のようなものでございますけれども、そういう形で行われているものがございます。  飛ばしとか引っ越しというものが具体的にどういう内容かというのは私どもも厳密な定義がわからないわけでございますけれども、山一証券のケースに関しては、そういうことで引き取ったストリップス債を一時的に自己金融、その金融をつけるために買い戻し条件つきで売却をするというようなことが認められているわけでございます。
  135. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今局長が御説明なさったやり方で、ことしの九月に発表された九一年の三月期の補てんリストの中の山一証券分に、三十億ちょっとの補てんをした協進トレーディングという会社があるわけです。この会社が説明しているのは、まさに今局長さんが言われた自分のところの山一から買ったものを一定期間後に一定の率でもって買い戻してもらう約束をしたものですというコメントを出しているはずですよ。それは山一の方から見て、これが補てんだと、こう言われたわけですよね。  では、現在のこの新聞に出ている千八百億、このうち八百億円程度は山一が買い取らなきゃいけないものとすれば、このうち約百億だけが補てんだというのだったら、全部買い取って補てん先が出てこなきゃおかしいんですよ。この記事は明らかに今後山一が引き取る部分というふうに読めるんですよ。だから、まだ出てくるんじゃないか、私どもはこう思うんですけれども、この八百億は現在山一が引き取って、そしてそれに対する補てん額として百億円が計上されたもの、もし局長さんの御説明が正しいのなら山一が発表したものの総金額のうち百億はこの手口を使ったものだということになるんです。  しかし、特金とかワラント債その他を通じて、市場取引でやったんですというのが今までのほとんど四大証券の手口なんですよ。飛ばしの部分でトータルで約百億ありましたという説明は、今までの国会審議の中ではたしか出てきていないと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  136. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 飛ばしというものについての定義が私どももはっきりしないわけでございますが、この山一証券のケースは、先ほど私が御説明申し上げましたように、山一証券が顧客から時価よりも高い価格で買い取りを行ったということで、その買い取りをした時点で時価と買い取り価格との差額を損失補てんというふうに認定をしているわけでございます。  それ自体は確かに買い取り行為だけではございますけれども、明らかにその時点で評価損が発生をする、つまり時価よりも高い価格で買い取るという経済的に見て不合理な取引を行っているわけでございまして、その買い取り行為を行った時点で損失を補てんしたという認定をしているわけでございます。この新聞に出ております約八百億円のそういう引き取ったストリップス債は既に現在山一証券が保有をしております。
  137. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 新聞にはこう書いてあるんです。引き取るのが八百億程度だけれども、この八首億は実際に山一がすべてを買い戻すには、契約の関係で来年三月までかかると書いてあるんです。これはまだ実行していないんですよ。途中のやつも入っているんです、この記事を読む限り。私はこの記事しかわからないので、本当だとすればこの八百億はまだ全額山一は所有していない、こういうふうに明らかになっています。むしろ、局長さんが言われるんであれば、山一が引き取った一千八百億円がそれに該当しなきゃいけないはずです。そして、これをさらに資金繰りのために他社に一定期間一定の利率を保証して売りつけた――売りづけたというか、買ってもらった部分が八百億だ、こういうふうに理解するのが一番筋だと思います。  そうすると、最初の千八百億に対する補てん額というのがここに出てくる百億じゃないはずですよ。もっとあるんじゃないかというのがこの記事から読めることなんです。事実かどうかは私らはわかりません。こういう報道がきょう朝の新聞に出ているから、そうすると、これが一番はっきりわかるのは、検査内容を明らかにはできないけれども、大筋間違いないという説明を業務課長がこういう説明をなさっているんですから、検査内容をはっきり出してもらえればこれが事実かどうか、違うかどうかということがわかると思うんです。その点についてはいかがでございましょうか。
  138. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) この記事の中身について私どもがすべてをチェックしたわけではございませんが、私どもがこの記事に基づきまして山一証券会社から報告を受けておりますところでは、この書いてあります約八百億円といういわゆる買い取ったストリップス債は既に買い取りが行われておりまして、現在山一証券が保有をしているということでございます。したがいまして、その部分についてのこの記事の記述は必ずしも正確ではないというふうに考えるわけでございます。  また、千八百億円という数字でございますが、私どもは先ほど申し上げましたように特別検査において損失補てんの有無をチェックをいたしまして、高値で買い取ったものについてはその高い部分について損失補てんという認定をしているわけでございます。それがこの約百億と書いてある数字とほぼ合うわけでございますが、いずれにいたしましても、山一証券が顧客から高値で買い取ったものは八百億円だということでございまして、千八百億という数字については、私どもは検査の過程では特に確認をしておりません。
  139. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうすると、局長さん、こういうことでよろしいですか。山一証券が発表した補てん先のリストがずっとありますね、それから金額、このうち八百億円に相当するものがここの新聞記事に書いてあるこの飛ばしという手口で八百億円を山一が引き取ったときに約百億に相当する補てんが行われた、こういうふうな理解でよろしいですか。過去の数字だということでよろしいですか。
  140. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) そのとおりでございます。
  141. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうすると、いろんな形で報道されています山一の関係のところでどういう手口を使って補てんしたかという、手口ですよね。営業特金でやったやつもあるし、ワラント債でやったやつもあるし、いろんな手口がある。株を使ったものもある。一つの分類の仕方として、この飛ばしというのか、一たん売った債券を時価よりも高く引き取った部分が約百億円あるということですから、それはどの企業を指して言っているのか、どの部分を指して言っているのか。我々が聞いているのはただ単にあくまでも利益をこっちへ供与したんだと、今度の場合は向こうが持っている債券を時価よりも高く引き取ったやつだということなんですから、今までのケースは明らかに利益を一方的に向こうに供与したような形で、必ずしもあなたが言っているような部分だけで山一の部分というのを理解しては払いなかったんですよ。そうすると、この百億円というのが既に過去の部分だとすれば、どことどこの部分になるのかということを当然私は関心を持ってこざるを得ないんです。  そういう意味で、新聞記事に書いてある八百億円に該当するこの飛ばしという手口を使ってやったものが既存の中のどの部分なのかというのは、ある程度個別名を挙げて答えていただけますか。
  142. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) これは既に補てん先として公表された中に、先ほど申し上げましたように、含まれているわけでございます。ただ、ここに書いてあります百億円という数字は、これは債券でございますから引き取った後価格はどんどん動くわけでございまして、現在時点では百億円というような数字になりますけれども、私どもが認定いたしましたのは、引き取った時点で時価よりも高い値段で引き取っている、その時価との差額を補てんだという認定をしたわけでございます。  したがいまして、私どもが損失補てんとして公表した際に、補てん額として計上されている正確な数字は六十六億円でございます。これは、相手先はホーネンファイナンス等八件ございますが、全部申し上げましょうか。
  143. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 後でリストをいただければ結構です。
  144. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) それでは、そういたします。
  145. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、過去のものだということで私もほっとするわけですね。まだこんなのが出てきたなんていうとちょっとえらい騒ぎになるんです。まあ一応これは資料を出していただけるということで、次にもう一つ証券の不祥事についてお聞きしたいんですが、二つあるんです。  一つは、先月大和証券の岡山の支店長が株の取引と絡んで取引先に損害を与えたということで逮捕されているわけでございますが、ここの会社、損害を受けたという会社も実は証券不祥事のときに補てんを受けたとされる会社なんですね。このことについて、どの程度の実情を把握しているのか、実態がどうなのか、ちょっとこれだけではわかりづらいものですかも、概略御説明いただけますでしょうか。
  146. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 本件につきましては大和証券から私どもも報告を受けたわけでございますが、その報告によりますと、十一月二十九日に岡山の石油販売会社の元役員が商法違反、具体的には特別背任でございますが、その役員の商法違反容疑に関連いたしまして大和証券の岡山支店が捜索を受けました。それとともに、岡山支店長が商法違反、これも特別背任でございますが、その特別背任の容疑で逮捕されたというふうな報告を受けているわけでございます。
  147. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 これは報道によりますと、この石油販売会社の決算期の前に取引を一回起こして利益を計上させ、決算期後に反対売買を行ってその利益をもとへ戻した。その間の株の売買手数料というんでしょうか、その損害を与えた、概略こういうふうに書いてあるんですね。  これはある意味においては補てんではないというのはわかるんですけれども、逆の言い方からすれば、株の取引を通じて法律違反行為に明らかに加担していないと――片方だけの一方通行ならこれはわかる行為なんですよね、損害が出たから補てんしたとかという意味だけなら。しかし、架空利益を出して、その出した利益を翌朝にもとへ戻しているというのをやるには、証券会社と会社あるいはその当人との間に相当の合意がなきゃできないんですけれども、当然合意があったから逮捕されたんだと思うんです。証券会社が一方で加担するという行為は大変重要な行為だと思うんですよ。  今回の補てんでこれに類似するような行為、もしくは最近こういう類似する行為をほかの会社でやっているとか、あるいはやったというふうな事実を把握なさっているんでしょうか。
  148. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 本件の債券取引でございますが、これは確かに、今おっしゃられたように、決算期をまたいで決算期の直前に買い、直後に売るというような行為が行われているわけです。これはアメリカの国債を使った売買でございますが、買った証券と売った証券とは別の銘柄のものだというふうに聞いております。こういうような取引というのは、決算期をまたいで行われるということについては、私どもは具体的に余り把握した事例はございません。  ただ、一般的にこういう債券の別の銘柄同士の取引、つまり買って別の銘柄を売るという取引は、いわゆる入れかえ売買というふうに言われておりまして、この入れかえ売買というものは通常の状態ではかなり行われております。  これはどういう目的で行われるかといいますと、主として機関投資家でございますが、機関投資家が、自分が持っております債券のポートフォリオを改善する、例えば利回りをアップする――御存じのように、債券の場合には、クーポン、表面利率の高い債券はどいわゆる直利が低くなるというような傾向がございまして、そういうようなことをやって利回りアップをすも。あるいは流動性を調整する、つまり残存期間の調整を行うというようなことが行われるわけでございまして、そういうポートフォリオの改善を目的とした入れかえ売買というのは見られるわけでございますが、本件の場合にはそれが御指摘のように決算期をまたいで行われているということが、結果として見ますと経理操作というような疑いもあるわけでございます。  なお、今捜査当局が事実を解明中でございまして、私どもも詳細な事実をまだ把握していないわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう疑いのある取引を証券会社が行い、支店長が逮捕されたというのは、非常に残念といいますか遺憾なことだというふうに思っておりますし、証券会社がそういう取引に加担をするというようなことはやはり慎むべきことではないかというふうに考えているわけでございます。
  149. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 まだ捜査が続行中で結論が出ていないから最終的なことは言えないのかもしれませんけれども、最終の結論がついた段階で、事実両者が共謀してこういうことを行ったんだとしますとこれは大変重要な問題を含んでおりますので、事実関係が確定し次第ですね、最終的な確定というのは裁判所の判決が出なきゃ無理だと思うんですが、捜査当局の捜査が確定した段階で、これは何らかの、処罰といいましょうか、大和証券に対する対応をするんでしょうか、その辺はお聞きしておきたいと思います。
  150. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたように、もしそういう行為に加担をしていたということになりますと、これは免許会社として大変適切でないというふうに思うわけでございまして、全容が解明されましたら、証券行政の観点から厳正に対処したいというふうに考えております。
  151. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 もう一件お聞きしたいんですが、公正取引委員会が去る十一月二十日、今回の補てんの問題に関して、四大証券に対してそれぞれ勧告書を出したわけでございます。このうち野村証券に関する勧告書だけがちょっと他の三社と変わっている点がございますのでお聞きをしたいんです。  その勧告をした「理由」の中の「事実」というところに、平成二年三月十三日、本店の役員会議室で開催した専務会において補てんを決定した。これは先般証人として出てきました田渕さんが同じく専務会でやったということと該当するわけなんですが、まずこの専務会というのは、どういう人たちで構成されているのか、出席対象者というのはどの辺なのか、わかりましたらちょっと御説明いただきたい。
  152. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) これは野村証券の専務以上の役員が参加する会だというふうに聞いております。
  153. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 その前後に、要するに同じような補てんをしたことが野村にも書いてあるんですが、その場合の判断した人間が担当部長の判断で補てんをすることを決定したというのが理由が二つあって、野村の場合、この三月十三日の専務会において補てんを行う旨を了承して実施したというのと二つあるんですね。ほかの三大証券については、すべて担当本部長もしくは営業本部長が決めたということで、あくまでも個人の部分で決めたように受け取れるんです。ところが、野村に関してだけは機関で決めたというふうに明確になっているし、田渕さんも言っているんですが、明らかに質的に違うんじゃないか。質的に違うのに同じような横並びのペナルティーというのはちょっと解せないんじゃないかなと思うわけです。  そこでお尋ねをしたいんですが、田渕証人はこの専務会で百六十一億、四十九の事業所に対して補てんをしたんだ、こういうふうに説明をしているんです。そうすると、公取が勧告書の中で言っている事実関係の二の(一)という項目、六十二年十月の株価の暴落を契機とするときに補てんしたというのと、この四十九件という田渕会長の国会での証言と照らし合わせてみると、この二の(一)に該当する部分の事業所というんでしょうか、補てん先のリストが該当するものがどうもなさそうな気がするんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  154. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) この公正取引委員会の勧告書の二の(一)に書いてありますことと(二)に書いてありますことのお尋ねでございますが、専務会で決定をいたしましたのは、私どもの野村証券からの報告では四十五件の百六十一億という数字でございます。四十九件という数字が田渕証人の証言のときに出ております。その際、田渕証人も「正確に覚えていませんがこと、百六十一億については明確に述べておられますが、四十九件という数字は公表分だというふうな証言をしておられますので、私どもの聞いているところでは、今申し上げましたように専務会で決定した数字は四十五件の百六十一億ということでございまして、それ以外に四件というのがあるわけでございます。  いずれにいたしましても、この中には、公取委の勧告にありますような専務会で了承したというものが四十五件あって、それ以外に四件あるというふうに理解をしております。
  155. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうすると、こういうことでよろしいんですか。公取の勧告書に書いてある二の(一)に該当して担当部長の判断で決めたのが四件、三月十三日の専務会で決めたのが四十五件百六十一億、こういうふうに分類されるんだ、こういうことでよろしいんでしょうか。
  156. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 厳密には、この四十五件の中に部長が判断をして、実施までしているものはございませんけれども、判断したものがあるとは思いますけれども、おおむね今御指摘のあったようなふうに私どもも理解をしております。
  157. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうすると、田渕さんが国会で言った四十九件と記憶していますがというのは、本人の記憶違いだというふうに理解するのがいいんですか。それとも、間違いのない事実、大蔵省のつかんでいる事実と田渕証人が証言した件とは違うというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  158. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 田渕証人の証言では、先ほど申し上げましたように「正確に覚えていませんが、全部で四十九件、公表分は四十九件だったと記憶いたしておりますがこと、こういうふうに証言をされております。したがいまして私どもは、この田渕証言も全体として四十九件だというふうに、記憶をといいますか、証言をされたというふうに理解をしているわけでございまして、その専務会の決定の分にほかの四件を加えますと全体で四十九件でございますので、その四十九件という数字をここで証言されたのではないか。したがって、基本的には食い違っていないというふうに理解をしております。
  159. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 局長さんが言われたように、その前は百六十一億という金額については田渕さんの記憶と公取が言っている、あるいは大蔵省が調べている数字と金額は合っているわけです。百六十一億という数字については合っている。しかし、件数は非常にあいま、いなんです。記憶違いかもしれないという要素も入っているんですよね。だから、局長が言われた数字の方が正しいんですということで理解していいんですかということなんです。
  160. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) そのとおりでございまして、四十九件では二百七十五億になります。したがいまして、私どもの把握しております数字が正しいというふうに理解をしております。
  161. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 そうすると、先ほどの質問に戻るんですが、ほかの各社は、いずれもこの事実については営業本部長の判断等という形で、あくまでも個人の名前を中心にした部分が出てきているんですよね。それが全部なんです。野村だけが機関の名前が出てくるという意味で少し質的に違うんじゃないかなと思うわけですよ。  ところが処分は横並び、全部一緒というのはどう考えてもちょっと理解できないんですが、その辺についてもう一度とういうふうな判断をなさったのか。この専務会というのはあくまでも個人の集まりだという意味で処分なさったのかどうかをお聞きしたいと思います。
  162. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 損失補てんの決定権といいますか、最終的な判断につきましては各社で社内の方針とか社内の規則などでまちまちなところが見受けられます。いずれにいたしましても、この損失補てんについて最終的にどういうことで判断され決定されたかという点に即して、その社内的な責任のとり方について各社で判断をするようにということを私どもは要請をしたわけでございまして、確かに御指摘のように、野村証券の場合には名実ともに専務会という組織で最終的な了承をしているわけでございますが、他社の場合には判断権者が例えば何とか本部長、債券本部長というような形で、そこで判断が終わっております。  しかしいずれにいたしましても、社内での判断の決定権といいますか、あるいは最終的な判断権というようなものが社内のルールに従って行われているわけでございまして、それに則して社内処分などをやるように、自主的に対応するようにということを要請したわけでございます。
  163. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それでは、大分時間が来ましたので最後の質問項目に移りたいんですが、土地融資の総量規制の緩和ということが言われておるわけでございますが、民間の固体の調査によりますと、九〇年度の不動産業の決算を調べてみましたら、銀行から不動産業に向けての融資が総量規制実施後であっても、大手を対象にしてみると、逆に相当ふえているという調査結果が十月に発表されておるわけでございます。総量規制――これは別に借入金がふえないという意味ではないと思うんですけれども、普通逆に少し減ってもいいんじゃないかと思っているものがかなり額がふえているというのはちょっと一般的に我々ぴんとこないんですが、その辺の実態についてはどうなっているのかが一つ。  もう一つ、総量規制をするに際して、銀行が持っております、あるいは金融機関が持っている延滞債権、不動産がよく利子分も払えないという形で不良債権化している延滞債権については、それぞれの金融機関はどのくらい抱えているのか。九月期の発表ではまだわからなかったものがかなりもうわかるんだろうと思うんですが、どのくらいあるのか、ちょっと御説明いただけますでしょうか。
  164. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まず、融資がふえておるかどうかということでございますが、先生御指摘のいろいろ民間の調査機関がその業種ごとにいろんな調査の結果を発表しておりますが、私どもが直接把握しております、例えば不動産業向け貸し付けということで、総量規制実施以降調べましたところでは、すべて総量規制の趣旨に沿って総貸し出しの範囲内におさまるような貸し出しの伸びにとどまっております。前期比で申しましても不動産業向け貸し付けは一%を下回るような伸びを続けてまいっておりまして、かつ最近の四半期二回分につきましては前期比でマイナスを示しておるというふうに、総量規制実施以降、金融機関全体としての不動産業向け貸し付けは、非常に鎮静化しておるというのが私どもの把握しておる結果でございます。  なお、二つ目の御質問で、銀行が抱えておりますいわゆる不良債権とか延滞債権とかいうものの数値でございますが、そういうものに当たるかどうかという解釈については、それぞれの金融機関が独自の判断で把握していることでもございますし、特にそういうものを私どもで計数的にまとめておるということでもございませんので、お答えは御勘弁いただきたいと存じます。
  165. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 これは、二つの意味が私はあると思うんですね。  一つは、金融の自由化をする場合、消費者から見て、利用者から見て、その銀行がどういう経営内容なのか、財務状況がどうなのかを知るためには、銀行の情報というものはできる限り公表してもらわなければ選択することができないわけですね。危険な債権をたくさん抱えているけれども、あそこは金利を高くしでいるからそっちに行こうといって預けたら、途端に倒産しちゃった。金利が高いか安いか、それぞれ判断できる材料を利用者に提供するということは重要なことだと思うんです。その際に、どういう小良債権を持っているのか、あるいはどういうところに貸し出しをしているのかということを、全部オープンにしろということではないですけれども、基本的に公表してくれなければ、選択する方がまずこれはできない。  そういう意味で、できる限り公表すべきではないか。資料を全部オープンにしろという意味じゃないですよ。重要なもの、お客さんが見て、その銀行なり金融機関の判断に値するものはできる限り公表してほしい。しなければ、片方で金利の自由化を幾ら進められても、お落さんの方からすれば危なくてしょうがないということになりますから、ぜひそれをしてほしいのが一つ。  もう一つは、すべて日本の銀行というのは横並び、護送船団方式ということが言われているわけです。これは別に銀行だけではない。しかし、一行だけ明らかにこの延滞債権について公表しているんですよね。それはもう御存じのとおり三菱銀行がニューヨークに上場しているから、それに伴うアメリカの基準に基づいて公表しているんですよ。そうすると、三菱銀行だけが発表している。それは株を上場していないからしょうがないでしょうということかもしれないんですが、これはそれだけ重要であるということを意味しているんだと思うので、これについて、各社横並びで少なくとも公表させるように大蔵省としては指導すべきじゃないかと思うんですが、そのことをお聞きしまして、特に強調しておきたい点は、金利の自由化で片方は自己原則でやっぱり銀行も選ぶということがこれからは要求されてくるとすれば、銀行のデータというものは必ずある程度の重要な部分についても公表してもらわなければいけない。そのことを強く訴えて、二点お答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  166. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) 今先生が御指摘の問題は銀行の計数のいわゆるディスクロージャーの問題かと存じますが、金融機関のディスクロージャーにつきましては、かねてから全銀協等を中心にいたしましていろんな面で積極的に取り組むように心がけてき、まだ実施してきたとところでございますが、先生御指摘のように、金融の自由化、金利の自由化というものを進めてまいりまして、金融機関の経営について利用者、国民の関心が従来以上に高まってきておる、また把握していただく必要がある。そういう中において、このディスクロージャーの問題というのはますます重要になってきておると私どもも認識しておるところでございます。  そういう中におきまして、実はきょうもあるのでございますが、ただいま金融制度調査会におきまして、そのフォローアップ会合におきましては、このディスクロージャーの問題というものを金融自由化の中でどういうふうに取り組んでいったらいいか、こういうことをも含めまして御議論をいただいておるところでございます。  そういう基本的な方向については恐らく皆さん御意見は一致しておるのかと思いますけれども、具体的にどういう項目についてどのような情報の公開をどのような手段を通じてやっていくべきか。この点についてはいろいろな意見があるところでございまして、私どももそういう問題について前向きに取り組んでいきたいと思っておるところでございます。  なお、御指摘のように三菱銀行が米国において上場をしております関係で、向こうの基準に基づくディスクロージャーをしておることは先生御指摘のとおりでございます。こういうような問題、状況をも踏まえまして、私ども今後検討をしてまいりたいと存じております。
  167. 猪熊重二

    猪熊重二君 予備費について二点ほどお伺いしたいと思います。  最初に、農水省にお伺いします。  サケ・マス漁業の減船に伴う漁業者の救済に必要な経費として三百三十二億円余が平成年度予備費から支出されております。このような救済費が必要となったいきさつを簡略に述べてください。
  168. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) サケ・マス漁業につきましては、母川国主義が国際的に定着しつつあるわけでございますけれども、一九八八年の日ソ交渉のときからソ連は一九九二年以降沖取りの全面停止を言明してきたわけでございます。さらに、八九年末に至りまして、米ソは共同して北太平洋のサケ・マスの管理に関する新たな枠組みをつくろうとする動きが強まったなど、極めてサケ・マス漁業をめぐる状況が一段と厳しい状況に置かれまして、その縮減、整理が不可避の事態になったわけでございます。  このような事態は、漁業者にとっていかんともしがたいわけでございます。また、減船ということになりますと、漁業者のみならず関係の事業者あるいは乗組員に与える影響も極めて大きいわけでございます。  減船による再編整備を円滑に行い、かつその影響を極力緩和するという意味合いで国際漁業再編対策に基づく措置を行うことといたしまして、昨年の十一月二十七日に、平成年度に減船を行うものとした者を対象としまして、三百三十二億円の予備費使用決定したところでございます。
  169. 猪熊重二

    猪熊重二君 この三百三十二億円の内訳は、いただいた資料によると、救済対策事業費補助金が百九十四億円余、不要漁船処理対策費が百三十七億円余と、こうなっております。それぞれの項目について、この補助金を受けるのはだれが受けるのか、また補助金を算定するに際しての根拠を簡略に述べてください。
  170. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) 補助金を受ける者は減船によりましてサケ・マス漁業をやめる漁業者でございますが、ただその中で、職員に対する退職金等、乗組員に対する経費も含まれておるわけでございます。それは最終的には、そこに乗り組んでおりまして退職する乗組員に支給されるということになっております。  救済費交付金でございますけれども、救済費交付金につきましては、減船時に不要となりました漁具とか今申し上げました漁船員の退職金等、いわゆる経費に充てる補てん金、それを実態に合わせて算定して計上したわけでございます。またさらに、過去の減船の際の共補償を行うために公庫資金を借りた場合に、その借入残があった場合のそれに対する補てん等が救済交付金の内容でございます。それから、不要漁船処理費交付金につきましては、不要となった船をスクラップする場合に、その船の評価額に相当するもの、これは先例に応じて一定の算式で算出しておりますけれども、それを交付することにしております。  いずれも、平成年度北洋サケ・マスの減船漁業者の実態を調査いたしまして、それに基づきまして算定をいたしたところでございます。  総額につきましては先生御指摘のとおりでございます。減船隻数は三百五十二隻と見込んだ結果が以上のような予備費決定に及んだわけでございます。
  171. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに、救済対策事業費というのは、結果的には漁業経営企業に対する損失補償、つまり営業補償的なものである。そしてまた、不要漁船処理対策費というのは、要らなくなった、使わなくなった船の取り壊し費用というか時価における買い取り費用、こういうふうに思うんですが、それでよろしいですか。
  172. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) 救済費交付金の中の経費補てんというのは、営業費の補償というよりは、現存するいろいろ漁具とか漁網とか、あるいは退職金に充てる一部の経費でございまして、営業補償というよりは実費につきまして、それに対する見舞いといいますか救済を行うための経費でございます。  ただ、その中に一部特別交付金というのがございまして、これは過去の利益の何年か分を算定して行う、それは営業に対する救済、今後の転換、その他に充てる救済の意味の経費も含まれております。  いずれにしましても、営業補償というのではなくて、この減船を円滑に行うための補助金というふうに理解していただければありがたいと思います。
  173. 猪熊重二

    猪熊重二君 結局、私が伺いたいのは、水産業を今後維持発展させるための経費ではなくして、水産業を行うことができなくなったことによる補償というふうなものではないかと、こう考えるわけなんです。そうすると、公海上におけるサケ・マス漁業は、私法的な意味において漁業権とか何らかの財産権が従前あるのかないのか。もしそういうふうな財産権的なものがあるとすれば、それに対する補償というふうなことは考えられるけれども、どういうことによるこの救済費の支給の根拠があるのか、その辺のことについて、農水省としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  174. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) この交付金の交付につきましては、損失補償とか営業補償とかいう概念はとっておりません。ただ、サケ・マス漁業その他の漁業につきましても、大臣の許可漁業でありますとか、あるいは承認漁業というようなことで事業体ができているわけでございます。それに基づきましていろいろな経済活動をやっているわけでございます。  そういう事業体がみずからの責めによらずに突然ある日それを廃業せざるを得なくなった、できるだけ転換ということも考えるわけですけれども、廃業せざるを得なくなった場合に、漁業のいわゆる財産的価値というのはもう船がほとんどでございまして、その船が廃業となりますとほかに転換できない、しかも乗組員の数が相当あるわけでございます。  このサケ・マスの場合も五千名程度の乗組員が全体であるわけでございまして、そのほかに地域の関連業者にも与える影響あるいは地域経済に与える影響等々ございまして、それを円滑にするためのいわゆる補助金というふうに理解していただきたいと思います。
  175. 猪熊重二

    猪熊重二君 今長官は、漁業労働者に対する退職金もこの中に含まれている、こういうお話ですが、確かに漁業労働者に対する退職金がこの補償の中に含まれているということになれば、それは間接的に漁業労働者に対する救済という側面もありますけれども、実際に漁業労働者に対しては、失業保険だとかあるいは雇用のあっせんとか、一般的な失業による場合の救済以上のものはほとんどなされていない。そして、三百三十二億という金額が漁業経営者にだけ支払われている。しかも、それが国の外交取り決め等によって仕事ができなくなったからと、こういうことで支払われているということになると、どの範囲のものにどの範囲国が責任を持ってこういうふうな補償をしたらいいのか。どうなのかというのは、非常に難しい問題だと思うんです。  それで、大蔵大臣にもお伺いしたいんですが、地球環境保全だとか、あるいはその他各種の見地から各国家間の協定が今後もいろいろなされることがある、あるいはなされることが予想される。その場合に、国がある取り決めをしたからそれに関連する事業がこれで成り立たなくなったというふうな場合に、全部国が常時こういう補償的なことをやっているとしたら国家財政なんて成り立たなくなってしまうだろうと思うんです。この辺について補償するなとかせよとかという意味じゃなくて、補償するならするらしくもう少し公平な制度というものを考えなきゃならぬと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) 今委員御質問のサケ・マス漁業減船者に対する救済措置につきましては、先ほど来水産庁の方からお答えがございますように、国際漁業再編対策の一環として、厳しい国際環境下にある我が国国際漁業の再編整備の円滑な推進という政策的な見地から講じられた措置であるというふうに了解をしております。  委員御指摘のように、今後例えば地球環境であるとか、いろいろな分野におきまして同じような政策的な見地から行われる助成というものが出てき得ることは否定できないわけでございますけれども、そのそれぞれにつきましてどういうふうに対応していくかということにつきましては、その問題ごとに必要性、妥当性等を個々の事情に即して具体的に判断をしていくということが適当であるというふうに考えております。
  177. 猪熊重二

    猪熊重二君 要するに一口に言って、大きな団体で圧力をかければ国から金が出てくる、しかし小さな団体あるいはそういう声を上げない団体の場合には何ら補償はないとしたら、行政の公正性というものは保たれないというふうに考えるから私は申し上げたんです。これからもいろんな問題が出てくるだろうと思うんです。  この間も質問を取りに来た人に申し上げたんだけれども、熱帯雨林の伐採禁止というふうな問題がある。それじゃ今度は、うちの製材業はやっていけないから国で補償しろ、あるいはある物質を使うと大気汚染上ぐあいが悪いと、うちは今までそれの工場をやっていたんだけれども、これでつぶれちゃうからそれじゃまた全くれと、国は無尽蔵に金を持っているわけじゃありませんから、その辺のことについて明確な客観的な、公正な基準が必要だろうという観点から大蔵省の御意見をお伺いしたわけです。  次に、予備費に関連して防衛庁にお伺いします。  航空機接触事故に係る災害賠償に必要な経費として三十九億円余が平成元年度の予備費から支出されています。この三十九億円の損害賠償金の内訳というか、だれに対してどのような金額を支払ったのかについてお伺いします。
  178. 宝珠山昇

    政府委員(宝珠山昇君) 三十九億円は、四十六年七月三十日に発生しました自衛隊機と全日空機の接触事故、いわゆる雫石事故に関連しまして、全日空社及び損保十社から提訴されておりました訴訟の判決に基づくものでございます。  ごく詳細に個別には持っておりませんが、全日空社に対しましては営業損害それから事故処理費など約十二億円、損保十社に対しましては機体保険金約二十七億円でございます。いずれも遅延損害金を含んでいる金額であります。
  179. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、この三十九億円がこの事故によって自衛隊が支払った金の総額だということでしょうか。
  180. 宝珠山昇

    政府委員(宝珠山昇君) 全日空機との事故に関連しまして国側が負担した金額でございます。
  181. 猪熊重二

    猪熊重二君 これによって自衛隊機も落ちたわけでしょう。そうすると、自衛隊機はその当時の金額としてはどのくらいだったのか、それからまた、自衛隊の隊員に対する給付金はどのくらいだったのか、お伺いします。
  182. 宝珠山昇

    政府委員(宝珠山昇君) 雫石事故に関連しましての国側の損害額ということになろうかと思いますが、この点は平成元年五月九日に東京高等裁判所での判決がございまして、過失割合を国は二それから全日空一といただいております。これによって算定いたしますと、合計といたしまして約五十四億円であります。  この内訳は、一つは、先ほど申し上げましたところですが、全日空社の営業損害等約十億円のうち七億円が国側の負担、これに遅延利息五億円を加えました十二億円であります。  第二に、損保会社の機体損害保険の代位に伴いますもの約二十三億円のうち約十五億円を国が負担し、遅延利息約十二億円を含めまして二十七億円でございます。  第三に、乗客及び乗組員の御遺族に対する賠償としまして約二十億円、このうち約十四億円を国側が負担いたしております。  それから第四に、自衛隊機の方でございますが、訓練生が乗っておりました機体及びそれらの装備品などの損害が約六億円と判示されておりまして、このうち約〇・四億円を負担したところでございます。  以上でございます。――失礼いたしました。最後に六億円と申し上げたかと思いますが、訓練生機及び装備品等の損害は約〇・六億円のうち〇・四億円を負担したところでございます。修正させていただきます。
  183. 猪熊重二

    猪熊重二君 いずれにせよ百五十五名及び乗員七名、百六十二名が死亡したという事故なんですが、まあ古い話ですけれども、この事故の教訓がその後どれだけきちんと生かされているのか。最近においても自衛隊機と民間機とのニアミス報道が時々なされる状況のもとにおいて、航空の安全ということについて自衛隊としてはどのように考えているんでしょうか。
  184. 小池清彦

    政府委員(小池清彦君) お答えいたします。  防衛庁といたしましては、事故直後、政府で決定されました航空交通安全緊急対策要綱に基づきまして、航空路等と自衛隊機の訓練空域を完全に分離いたしまして訓練飛行の規制を行いますとともに、訓練空域はこれを公示いたしまして周知徹底を図っております。また、運輸省との間に航空交通の安全を確保することを目的とした覚書の交換を行いまして、航空行政との調整を行ってきたところでございます。  さらに、もう少し具体的に申し上げさせていただきますと、防衛庁といたしましては、例えばこれから申し上げますような対策を独自に講じております。  まず、主要なレーダーサイトにおきまして、訓練空域、航空路等を書き込んだビデオマップを組み込みまして、自衛隊機が訓練空域から逸脱しないように監視、助言を行うようにいたしております。また、ジェット機の訓練飛行につきましては、可能な限りレーダーサイトで監視いたしまして、必要な助言を行っております。また、特に必要な場合を除きましては、航空路、それからジェットルートでは有視界飛行方式による飛行は行わないことといたしまして、航空路等を横断する際は、他の航空機が飛行していないことを確認した上でできるだけ速やかに横断をするようにいたしております。それから、見張りの徹底につきまして指導を強化いたしております。また、航空交通の安全のために必要な資料等をまとめた小冊子を陸海空各自衛隊ごとに毎月出しておりまして、これを配付いたしまして、パイロット等の参考にいたしております。  このような対策を種々講じさせていただきましたその成果でございますけれども、ニアミスにつきましては、残念ながら雫石事故以前の統計がございませんので、雫石事故の前と後を比べることができないわけでございますけれども、ニアミスとか衝突とかそういうことではございませんで、一般の航空事故の中で大事故についてどんなふうになったかということを御披露させていただきますと、昭和二十九年から雫石事故発生までの約十八年間に大事故が自衛隊機につきまして発生いたしました件数は三百四十七件、年間平均約十九件でございました。これに対しまして、雫石事故発生後現在までの約二十年間の発生件数は百二十四件でございまして、年間平均約六件となっております。したがいまして、それ以前の十九件が年間平均六件に数字の上では減っておりまして、長期的に見ますと事故の発生は減少する傾向にあると見ております。  また、ニアミスでございますけれども、雫石事故より前の統計がなくて比べられないわけでございますけれども、やはりニアミスも雫石事故以後は少なくなっているものと推定されます。なお最近は、昭和六十三年以来航空機のニアミスは、自衛隊に関しましては発生しておりません。そういった状況でございます。
  185. 猪熊重二

    猪熊重二君 いずれにせよ、こういう大きな事故の後の反省としてきちんとした航空運航をお願いしたいと思います。  次に、先ほど村田委員の方からも質問がありましたけれども、証券問題に関する損失補てん問題について、大蔵省にお伺いします。  大蔵省平成元年十二月二十六日に損失補てんの禁止を通達したわけです。このときには、新聞報道等にも明らかなとおり、損失補てんという具体的な事実があって、これを是正するということのために出したわけです。この通達を出した後に大蔵省としては、この通達に違反するような事実があったかないか、どの程度調査されましたか。
  186. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 通達を出しましてから、まずその通達に基づきまして、特に本省が監督しております規模の大きな証券会社につきまして、損失補てんの有無を自主的に申告をするように求めたわけでございます。その申告に基づいて、通達、行政指導に違反するとともに非常に適切な行為でないということで、厳正な社内処分を要請したわけでございます。  その後、損失補てん問題が特にことしになって明らかになってまいっているわけでございますが、私どもはその後四社に対して重点的に特別検査に入りまして、その特別検査の結果、さらに平成三年三月期についても損失補てんが認められたということで、それに対しても厳正な対応をしたわけでございます。その間も税の調査等々で明らかになった損失補てんにつきまして、通達に違反するとともに、これは証券取引の自己責任原則にも反する行為でございますので、その都度厳正な社内の対応を要求してまいったわけでございます。
  187. 猪熊重二

    猪熊重二君 そうすると、証券局長の今おっしゃった話は、いわゆる国税庁の調査というか、この問題が国税庁の税務調査の結果として公表された、そして世間の大きな問題になった、ことしの六月のことです。それ以前においてこの通達の違反の有無を実際に調査し、その違反の事実を知ってどうういふうな処置を講じたということをおっしゃったんでしょうか。これは発表になった後、特別検査したなんということは、私は聞いていないんです。
  188. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたように、平成元年の十二月に通達を出しました。この通達は、そのときに一部の大手証券会社に損失補てんというものが認められたということを受けで、通達を出して損失補てんを禁止しますとともに、その温床になります営業特金の適正化ということを指導したわけでございます。  その通達のときに、今申し上げましたように、あわせて本省監督会社に対しては損失補てんの有無について平成二年の三月までに自主的に点検して報告をするようにということを求めたわけでございまして、その結果、三月末に本省監督の証券会社から報告が参りまして、その報告を受けて、損失補てんということで行政指導――通達を出して禁止をしたわけでございますので、それに従って厳正な社内処分を要請し、実行させたということでございます。  その後、平成二年四月以降につきましても、今回明らかになりました損失補てんについて検査の過程で把握をされ、あるいは税務調査の過程で把握をされたケースがございます。昨年におきましても税務調査の過程などで把握をされてはっきり出てまいったものもございます。その都度私どもは対処をしたわけでございまして、今回は特にことしの六月にさらに税務等で損失補てんが明らかになりまして、我々にいわゆる自主報告がされていない部分が出てまいったわけでございます。それに対応いたしますとともに特別検査に入って、十月にさらに特別検査の結果に基づいて適正な対応を要請し、法人営業等の停止を要請したわけでございます。
  189. 猪熊重二

    猪熊重二君 それじゃ、平成元年十二月二十六日に通達を出してからこの問題が世の中で大きな問題になったことしの六月までの間、今局長がおっしゃった各証券会社から報告されたいわゆる損失補てん問題についての証券会社名とか金額だとか、それに対する処置だとか、そういうふうなものの資料をなるべく早い時期にいただきたいと思います。いかがですか。
  190. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 私が申し上げました自主報告あるいは税務調査で認定を受けた分等すべて補てん先も含めて、証券業協会を通じてことしの七月以降順次公表されております。後ほどお手元にお届けしたいと思います。
  191. 猪熊重二

    猪熊重二君 時間がありませんから私の方から申し上げますけれども、この平成元年十二月の通達が出た後、平成二年の一月から平成三年の六月、ことしの六月までの間、証券局の役人と証券業関係の方との会合というものが物すごい数で行われている。四社社長と局長等の会合が一年半の間に十七回、十社社長と局長等の会合が十五回、四社の副社長と審議官との会合が十七回、もうあとずっといろいろあるんです。株式部長だとか債券本部長とか、これは全部言ってもしようがありませんが、一年半の間に八十七回あるんです。そして、審議官はほとんどこの会合に出ている。月に四・八回も会っている。月に四・八回会って業界から昼飯をごちそうになって話をしている。月に四・八回ですよ。週に一回以上です。それで、全然損失補てんの問題なんか世の中に出てこやしないじゃないですか。何を話しているんです。  それは証券業界との話の中にはいろんな問題もあるでしょう。何も損失補てんがあるかないかなんというのを毎回聞いているわけにはいかぬだろうけれども、しかし、八十七回も会合している中から一度でもぴしっとこれだけの大きな問題が出てこないというのは、どういうことなんですか。しかも、こういうふうな会合を、こんなことをやっているということを橋本大蔵大臣は委員会の答弁において、極端に言えば、知らなかったとまで言っているじゃないですか。  これは、大臣、もう時間がないから私の方からしゃべりますけれども、要するに証券取引法上、大蔵大臣は証券業に対していろんな指揮監督、調査、報告徴収権を持っているんです。証券取引法二十六条だと有価証券報告書提出等に対して今のような権利を持っている。五十五条では証券会社に、七十六条では証券業協会に、百五十四条では証券取引所に対し、百五十六条の十三では証券金融会社に対し、さらにまとめて百八十四条では証券会社、証券業協会、証券取引所に対して各種の報告を求め、調査し、監視、監督する権限が大蔵大臣にあるんです。しかし、失礼だけれども、大蔵大臣がこの前の通達の損失補てんはあるかないか聞きに行くわけにはいかぬから、法律でもちゃんと当該職員をしてそういうことをさせることができると書いてある。で、当該職員にやらせたのかやらせないのか知りませんが、月に平均して五回近くも当該職員が証券四社の社長さんだとか副社長だとか、十社の社長だとか向こうの引受部長だとかいろんな人と会って昼飯食って、会合して、それで大蔵大臣に対して何の報告もない。  大蔵大臣、私が非常にこのことを心外に思うのは、それによって責任をとったのは橋本大蔵大臣だけじゃないですか。何で大臣が首失って、昼飯をこんなに一年半の間に八十四回も食った行政官僚というのが何の責任もとらぬのか、こんなことでいいんですか。大臣、どうです。大臣が本当に全部任せておいたのに。松野証券局長だって去年の六月からことしの六月まで一年の間に何回あなたはこういう四社の社長と会合している。  私は自分が弁護士だからというのじゃないけれども、検察官にしろ裁判官にしろ、どういう会合に行ったって自腹で食う以外にはお茶以外は飲まないんですよ。コーヒー飲むと、コーヒーの横っちょにはお菓子がくっついてくる。お菓子がくっついてきて、お菓子を食えばちょうど時間だからというのでおすしか出てくる。だから、お茶だけは飲まないと日本人としてのおつき合いがまずいから裁判官も検察官もお茶は飲むけれども、コーヒーは飲まないように教えられているんだ。それがまあほとんど毎週毎週昼飯をごちそうになって、ホテルで昼飯をごちそうになった人が相手にどれだけのことを言えるんですか。裁判所なり検察庁なり国税庁の役人も同じです。  私、質問といってももう聞く時間が余りないから申し上げるけれども、国税庁の役人も立派ですよ。私のところにも税務調査に来る。弁当ぐらい、お昼ぐらいごちそうすると言うと、いや要りませんと言って、どこかちゃんとラーメン屋へ行って飯を食っできますよ。同じ大蔵省の役人だって、あなた、国税庁の役人の方がよっぽど身ぎれいじゃないですか。私の方も何とか税務調査を少しうまくやってもらおうと思ってお畳お昼と言うんだけれども、向こうは絶対食わぬよ、三日来ても五日来ても。要するに、本当に物を監督し、検査しようという人間がそんなものを食ったらだめだということなんです。  大臣、この通達の違反ということを全然見つけ出せもせぬで、昼飯だけ食っているということについてどう思いますか。
  192. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 御指摘の内容を細かく私もつまびらかにいたしません。ただ、一つの大きなまた全体を動かすような組織、こういったところとの懇談というものは、あるときにはお互いにそういった内容、事情というものを本当に知るということ、胸襟を開いて話す、お互いの信頼関係をつくる、そういう意味ではあるときには懇談というものは必要であろうというふうに思いますけれども、しかし、それが今みたいなお話のように頻繁にたび重なるということになりますと、そこに癒着とかいろんな問題が生まれてくるということ、これは私たちはやっぱり人としてこれからも気をつけていかなければいけないのかなというふうに思っております。  いずれにいたしましても、さきの証券の不祥事というもの、これはまさに自由主義市場においてやっぱり資金をそこからつくっていくということがあるし、また大衆投資家もこれに参加しておるというようなことを考えたときに、この一連の不祥事というものが市場に対する信頼というものを失わしめてしまったこと、これについては私どもも本当に反省しながら、再びこういったことが起こらないように気をつけていかなければいけないということを改めて思わされております。  いずれにしましても、この問題につきましては、この委員会でもあるいは国会の各委員会の方でも御指摘いただいております。こういったことをもとにしまして、再びこういったことの起こらないように対応していきたいということを申し上げておきたいと思います。
  193. 猪熊重二

    猪熊重二君 このような会合における癒着だけでなくして、質問の時間がないから言いませんけれども、要するに大蔵省の上級職員の証券業者に対する天下りの問題があるんです。こういうふうな状況のもとにおいて、証券市場における透明性、公正性を確保するためには、大蔵省の証券局と関係があるような機関で監視、監督なんか絶対できない。先ほど国税庁のことをちょっと褒め過ぎたんだけれども、じゃ大蔵省の外局ならいいかと。むしろ外局でも証券局と行き来があるような状況だったら、ほとんどまた公正性は確保できないだろうと思うんです。  私がこのことを聞こうと思ったのは、本当は大蔵省が現在考えている証券監視機構の相当性、妥当性について伺おうと思ったんですが、時間がありませんので、いずれにせよ証券監視機構、今大蔵省でいろいろ考えておられるらしいですけれども、この問題は通常国会で法案でも出てきたときにまた審議になるんでしょうが、きょうは証券局だけしか申し上げませんけれども、証券局だ銀行局だというものと証券業界、銀行業界との、言葉は妥当であるかどうか知らぬけれども、癒着というか、なれ合いというか、ただ飯なんか食っているようなことだったらどうにもしょうがないんです。  先ほど大臣はそういう懇親的なことは必要だと言うけれども、懇親が必要だったら自腹で割り勘でかわりばんこに食ったらどうですか。何もホテルの高いのなんか食わなくたって、役所にだって幾らでも弁当があるじゃないですか。こういう感覚の官僚がまた証券監視機構なんかに入ろうたって、そんなうまくいきっこないということを申し上げて、証券監視機構についての大蔵大臣が今後どういうものをつくるのかというのを一分だけで御返事いただいて、本会議になりますのでよろしくお願いします。
  194. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今御指摘がございました一連の問題につきましては、私どもも少なくも疑惑を受けることのないようこれから努めていくということ、そしてこの委員会の方はまさに公正、透明性、これを確保するように、そういった中でこれが運営されるように対応していきたいということを申し上げておきたいと存じます。
  195. 猪熊重二

    猪熊重二君 よろしくお願いします。  終わります。
  196. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 本会議のため、暫時休憩いたします。    午後二時五十分休憩      ―――――・―――――    午後三時二十四分開会
  197. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  198. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 湾岸戦争への協力のための財政支出は、平成年度予備費、これは本委員会で今審議対象になっています。その予備費から一千三百五十五億六千万円、そのほかに二年度の第一次補正予算で一千三百億円、第二次補正及び湾岸支援財源確保法案で一兆一千七百億円、さらに三年度予備費から追加して七百億円、合計一兆五千五十五億円余、そのほかに周辺諸国へ二十億ドル、これだけ支出されております。  そこで、この二年度予備費支出も含めまして、湾岸戦争への協力の財政支出が具体的にどういう経費に使われたのか、まずそれを報告していただきたいと思います。
  199. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 昨年の九月二十一日に閣議決定されました予備費につきましては、輸送協力に充てるための費用として百十一億円、医療協力に充てるための費用として二億円、湾岸平和基金に拠出するものとして千二百二十九億円、これがそれぞれ支出されておるということであります。
  200. 川島裕

    政府委員(川島裕君) ただいま先生から累次にわたる拠出をまとめて言及されましたので、それぞれの拠出につきましてまとめたものを申し上げたいと思います。  我が国は、これまで湾岸平和協力基金に対しまして総額一兆四千九百二十八・八億円、約百十四億ドル相当を拠出しております。そのうち約九八%に当たります一兆四千六百七十五・六億円が支出ないし契約済みということでございます。  それから、国別でございますけれども、運営委員会の方から得ている報告によりますと、まず一番大きいのがアメリカなわけでございますけれども、米国向けが一兆三千五百二十五・五億円が支出ないし契約済み、それから英国向けが四百五十五億円、フランス向けが六十五億円等が支出されております。それ以外の諸国が十三カ国ございます。GCCの諸国でございますけれども、これは国名だけ例えば申しますと、サウジアラビア、これが二百八十六・二億円、エジプト百八十二・一億円、シリア九十・〇億円、あとパキスタン、モロッコ、クウエート、バングラデシュ、セネガル、バーレーン、カタール、ニジェール、フィリピン、ポーランド等に若干の額が拠出されている、こういうことでございます。
  201. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大臣の答弁に関して言いますと、この一番大きな、ほとんどの部分である一千二百二十八億円、その具体的中身は何に使われたのか。これは全部一緒になっちゃいますから、あわせてむしろ外務省にお答えいただきたいんですが。国別はわかりました。問題は、我が委員会として一番知りたいのは、何に使われたのかということです。要するに、戦争への協力ですから、その具体的中身を言っていただきたいと思う。
  202. 川島裕

    政府委員(川島裕君) 最初に、まず百二十二・八億円、これが約九億ドル相当を平和協力基金に対して拠出いたしまして、引き続きまして、これは補正だったと思いますけれども、千三百億円、十億ドル相当の拠出を行ったわけでございます。これにつきましては大きく分けて二つございます。一つは、それぞれの受益国が航空機とか船舶とかを使って輸送を行ったわけでございますけれども、その輸送の経費に充てるための資金の供与でございます。それからもう一つは物資の供与でございまして、これは例えば防署機材、暑さに対応する機材、水をつくる機械でございますか、水関連の機材等々いろいろな物資の調達に使う物資協力でございます。その両方に使いましたのが、この十九億ドルと申しますか、二度にわたる拠出でございます。  その次のいわゆる九十億ドル相当といいますか一兆一千七百億円、それからその後の七百億円、五億ドル相当でございますけれども、これは輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連、通信関連、建設関連の六分野の経費に充当するための資金協力ということで出しております。
  203. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は既に質問通告しましたよね。そんなことではなくて、もっと具体的に、何に幾ら支出したのか、これを文書で出してほしい、こういう質問をしたんですが、お答えにならない。実ばこれは湾岸支援財源確保法案の審議を大蔵委員会でやりました。このときには北米局長は出ていたんですよ。きょうどうして出てこないの。法案を通してもらうときには何とか出てきてお願いで、済ましちゃったらもういいなんというんじゃ、これは私はよろしくないと思うんです。しかもそのとき、最初はなかなか国会に報告すると言わなかったんです。しかし、もう既にその段階で、私が指摘したように、アメリカの国会には報告されておったんです。最終報告は十一月十五日と決まっているんですから。その期日も過ぎちゃった。当然、日本の外務省は何に幾ら支出されたのかわかっているはずです。どうして答えないのですか。
  204. 川島裕

    政府委員(川島裕君) 拠出に関します最終的な報告につきましては、支出が完了いたしました段階で湾岸平和基金の運営委員会が、受益国と申しますか、関係各国とも協議して財務報告を作成いたしまして、我が国にこれを報告するということになっております。それで、その報告を受けましてこれを国会の場で御報告申し上げるということは、この拠出をめぐるこれまでのやりとりで何度も申し上げた次第でございます。  ただ問題は、まだ支出が完了していないということと、それからこれはちょっと当初の予想より長引いてしまったということでございますけれども、いまだに湾岸におきまして平和回復というか、維持活動が続いておるものですから、その点で各国とも計数の締めと申しますか、財務の数字を締めるところに至らないというのが現状なものでございますから、これはいずれどこかの時点で当然のことながら運営委員会が財務報告をつくる、これはきちっとさせて、その上で報告をいたしたいということです。ただ、今の時点ではまだそういうふうに数字がまとまっていないということでございます。
  205. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 今も指摘したとおり十一月十五日には、少なくともその段階で決まったアメリカの支出ですね、これはアメリカの議会に出るんですから、ちゃんとそういう法律にアメリカの法律はなっているんです。しかも、今運営委員会がまとめて報告と言いましたけれども、四月九日の大蔵委員会における松浦北米局長の答弁は、アメリカから湾岸平和基金について報告があるので、これに関して適切な形で国会その他の場で明らかにしていきたい、私が大分しつこく聞いてやっとこういう答弁したんです。そして、決して日本が拠出したお金がどう使われたか一切報告しないという考えではございません、これはきちっとした形で報告させていただきたい、こうはっきり答弁しているんですからね。  だから、外務省がその気になれば、ならなきゃいかぬのだけれども――アメリカの議会に少なくとも報告された十一月十五日段階の報告、これはわかっているんだから、そうでしょう。当委員会で今まさにそれを審議しているわけです。先ほど二年度予備費についても、総額は言ったけれども、具体的数字言わなかった。しかし、これは全部ですよ。アメリカでいえば、防衛協力基金の中にぶち込まれて、何に使われたかそんなのはわからないですよ。あなたが言ったような輸送費とか物資供与、それだけでない。ほかに使われたかもしれぬですよ、ごちゃごちゃに全部一緒になっちゃうんだから。そこのところをどう確認できるのか。ですから、まず外務省については、既に明らかになっている段階での報告、これは国会にすべきではないのか。  それから大蔵省、これは決して人ごとじゃないですよ、大体大蔵省というのは査定して金出すのを渋る方なんだから、出したままもういいよなんというんじゃなくて、ちゃんと外務省に報告を求める、その点どうなっているのか。  それから会計検査院、まさにこれは会計検査院の一番の仕事ですよね。また、一番関心のあるところだと思うんです、額がでかいんだから。それに対してどういう踏み込んだ調査なり検査ができておるのか、それぞれ簡潔にお答えいただきたいと思うんです。
  206. 川島裕

    政府委員(川島裕君) ちょっと私どもはまだアメリカの方からはそういうふうに会計を締めたというふうに聞いておりませんし、したがってどこにどういうふうに使途、やったということがアメリカとして運営委員会に対して通報できる状況になっておるとは承知していないのでございますけれども、いずれにいたしましても、累次の国会でも申し上げましたとおり、これは用意ができ次第もちろんやるという方向には全く変わっておりません。
  207. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) 湾岸平和基金に対する拠出金につきましては、いわゆるGCCとの間の交換公文に基づきまして同基金へ拠出をしたということで、その支出について、予備費部分については現在御承諾をお求めしているところでございます。  他方、実態的に湾岸平和基金に対して我が国が出しました拠出金がどういうふうに使われているかということについては、当然のことながら関心がございまして、先ほど来外務省からお答え申し上げているとおり、私どもも湾岸平和基金からの支出が完了した段階で、財務報告を作成した上で我が国に報告をするというふうに聞いておるところでございます。それを受けまして、適切な形で国会等の場で明らかにするというふうに承知をしておるところでございます。
  208. 中村清

    会計検査院長(中村清君) 拠出金の使途につきましては、会計検査院としまして検査権限があくまでも外務省等の我が国の機関に対するものでございますので、拠出先になっている湾岸平和基金のような国際的な組織あるいは基金に及ぶものではありません。  しかしながら、私どもとしましては、先ほども先生がおっしゃったように、実態を把握するという努力を重ねておりまして、現在は我が国とGCCとの間の交換公文に基づきまして、湾岸平和基金の運営委員会から出された通報の内容について外務省から実態の把握に努めておるという状況でございます。  現在、外務省から随時説明を受ける、さらに関係資料を確認するという段階でございますが、こうしたことにつきましては今後とも続けて努力していきたい、こう考えております。
  209. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 締めを待ってからというのではいけないと思う。最終報告、それは当然やるべきです。私が言っているのは、途中でわかった段階でも、向こうの報告を待つんじゃなくて、調べればわかるんだから、そうでしょう、既に十一月十五日段階の報告が出ているんだから、ちゃんと法律はそう書いてあるんだから、それをどうして調べて報告しないんですか。そういう報告、アメリカの報告を受けてちゃんと日本の国会へ報告すると言っているんですから、その約束をひとつ果たしてほしい。  それから、大臣、ちょっと眠いかもしれぬけれども、そんなどころじゃないですよ。出すときに予備費というのは丸々中身を審査しないで出しちゃったでしょう。それから、九十億ドルのときにも橋本さんは中身を何も言わないです。総合的に決めてきたと、中身を何も言わない。大体、税金の使い道について、使い道それから金額算定根拠、この三つをそのお金を出す国の国会で明らかにして審議をする、これは二百年前からフランス人権宣言にちゃんと書いてあるんです。これが近代社会の大原則です。それが今、日本の場合にはその一番大事なところが守られていない。出すときにも中身はわからない。出した後はどうなっているのか、まだ報告を待っているだけであって、積極的に調査し、国会に報告しようとしない。会計検査院も権限が及びませんと言う。国外には及ばぬけれども、しかし及ばぬなりにも国内についてだけでも徹底的にこれを調べる。そうでなければ私は国民の税金をこういったところへ支出したその責任が果たせないんじゃないかということについての考えをお聞きしたい。  それから、先ほど話のあった国際貢献税の関係で、こんなことになるんじゃないかと心配です。決めちゃったら中身も審査できない、報告もわからない。これはまさに財政民主主義という憲法の原則がまさしく崩されるところにいくのではないか、こう思うんです。私にすればこんなものは全部反対ですよ。承認できない。しかし、それは別として、何を基準に承認するかどうかということを大蔵省なり会計検査院審査する場合にも、やはり国会答弁に従ったかどうか、決して戦争協力には使わないという、それが守られたかどうか、これは大変大事だと思うんですが、そんなことも明らかにならないままずうっと過ぎてしまうことは極めて重大な問題だと思うんですが、御答弁いただきたいと思います。
  210. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今湾岸の問題につきましては、先ほど外務省の方からもお話がありましたように、外務省の方もこれを報告しないというのではなくて、GCCの方で、運営委員会の方できちんとしたものがまとまれば、これはこちらの方に報告することになっておるということでありますから、その時点で国会の方に適切な資料等あれしながら御報告を申し上げるということになろうと思っております。  なお、今湾岸貢献につきましても、これは議論しているさなかでありますけれども、いずれにしましても、ただ予備費という形ではなくて、資金というような形でプールしながら、これを使うときには補正予算等で国会の御承認を得て使っていこうということでございまして、そういったときには、どういう目的でどういう資金をどんなふうに使っていくんだということを申し上げながら、やることができるんじゃなかろうかというふうに思っております。
  211. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 会計検査院で検査する場合に、検査の基準です、憲法違反だからだめだという検査はちょっとできないと思う、まあ我々はやるけれどもね。それはできないと思うけれども、少なくとも総理なり大蔵大臣の国会答弁に基づいた範囲がありますよね。そのとおりに使ったかどうか、要するに戦争への協力に実際支出したのかどうか、その辺は私は検査されてしかるべきだとは思うんですが、それについてお答えいただきたい。  それから、あと時間が来てしまって、せっかく来ていただいた総務庁、行政手続法要綱案というのが出ましたね、大変結構だと思うんです。その第二十九で「行政機関は、行政指導を行う場合に」「行政指導の目的、内容、責任者等を明確に示さなければならない」、そして書面で交付を求められたときには「行政上特別の支障がない限りこれを交付しなければならない」、大変結構です。これはぜひ実現してほしいと思うんだけれども、一番最後の方に、それが行政上「真に支障となる特別の事情が存すると認められる業務については、個別法において特例を設ける」、その一番の問題が要するに納税者の申告修正に対する指導、これは本当は文書にしてくれりゃ大変いいと思うんだけれども。実際現場じゃ、きょうは指摘する時間ありませんが、随分めちゃくちゃ行われているんです。これは前回指摘しかかって、きょうも指摘できないの残念ですけれども、そういうことがあるので、これは文書にできないんじゃないかと思うんですが、なぜこんなものを入れてしまったのか。これは大蔵省から大分横やりが入ったんじゃないかという新聞報道がありますけれども、それぞれお答えいただいて、私の質問を終わります。
  212. 中村清

    会計検査院長(中村清君) おっしゃいますように、会計経理の内容について確認するということは、これは会計検査院にとって特別に重要な問題であるというふうに考えているところでございます。今後とも実態把握には一生懸命努めてまいりたい、こう考えております。
  213. 松田隆利

    説明員(松田隆利君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、先般十二月十二日に総理に行政手続法の関係の答申を行革審より提出いたしております。その中で、行政指導のあり方の明確化ということで要綱案に一章設けまして措置を講じているところでございますが、御指摘の二十九の関連で注書きのところでございますけれども、行政指導もいろいろな態様によりまして場合によりますと大変業務全体に支障が生ずるようなそういう事態も生じますので、物によっては法規で例外扱いをする、あるいは場合によりましてその個別法において個別に検討していただいた方がいいものもある、そういう御議論がございまして注記が打たれているわけでございます。  納税の修正申告の問題につきましても、そのような御議論の中で注記が打たれたわけでございまして、御議論の結果としてそのようなことになったわけでございまして、いわゆる国税庁等から横やりが入ったとかということではございません。
  214. 諫山博

    諫山博君 大蔵省に質問します。  現在の日本人の喫煙者率、喫煙者増減の推移、これを男女別に説明してください。
  215. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 突然の御質問でございまして、手元に数字を持ち合わせておりませんので、後ほど先生の方に御説明に参上いたします。
  216. 諫山博

    諫山博君 厚生省に質問します。  厚生省は喫煙の健康に及ぼす影響、いろいろ調査研究を重ねているようです。喫煙が健康にどういう影響を及ぼすのか、概略を説明してください。
  217. 田中喜代史

    説明員田中喜代史君) 喫煙が健康に及ぼす影響につきましては、従来から、がん研究助成金等によりまして関連の研究を進めてきたところではございます。昭和六十二年には、これらの研究報告結果や国内外の喫煙対策の現状等を取りまとめまして喫煙と健康問題に関する報告書、いわゆるたばこ白書として発表をいたしておるところでございます。  なお現在、その後の新たな知見等を取り入れまして、このたばこ白書を改訂するための作業を行っております。  お尋ねの喫煙者と非喫煙者との健康についてでございますが、先ほど申し上げましたがん研究助成金によります研究によって行われました疫学的研究によりますと、喫煙者は非喫煙者と比べましてがんの死亡率は、男性は一・六三倍、女性は一・三六倍と高い結果にはなっております。  寿命等への影響の分析を行った研究報告については、我が国ではちょっと見当たりませんが、アメリカでは、男性については喫煙本数によって違うようでございますが、二年から六年程度の平均余命の短縮が見られるという研究報告はございます。
  218. 諫山博

    諫山博君 喫煙者と非喫煙者で平均余命にどのくらいの差が出てくるのか、男女別の違いでわかりませんか。
  219. 田中喜代史

    説明員田中喜代史君) 先ほどもお答えいたしましたが、我が国におきましては寿命への影響分析を行った研究報告がございませんでして、全体を見ましての研究報告の中では、先ほども申し上げましたが、喫煙と主要死因別死亡率との関係に関する調査というのがございまして、この調査を見てまいりますと、先ほど申し上げましたように、非喫煙者と喫煙者とを比べてみますと、がんの死亡では男性が一・六三倍、女性が丁三六倍と喫煙者の方が高いという結果でございますし、がん以外すべての疾病で見てまいりますと、脳卒中とかそういうあらゆる疾病でございますが、男性では一・二八倍、女性では一・三四倍というふうになっているという結果はございます。
  220. 諫山博

    諫山博君 厚生省の資料で喫煙習慣刑死亡比というのがありますね。この中に非喫煙者の死亡率と、そうでない人の死亡率が数字であらわされています。男性は一・二八倍、女性は一・三四倍という数字が記載されていますが、これは何を意味しているんですか。
  221. 田中喜代史

    説明員田中喜代史君) これは先ほど申し上げたところでございますが、がん研究助成金によります研究で、四十歳以上の成人二十六万人を十三年間にわたってながめていった結果によりますと、男では、たばこを吸う人と吸わない人を比べますと、脳血管疾患あるいは心臓病、がん、そういうものすべての死亡が、男の場合は喫煙者の方が一・二八倍高いということが結果としてまとまったというものでございます。  同様に、女性についても喫煙者の方は、全死因から比べますと一・三四倍喫煙している人の方が死亡する率が高いということでございます。
  222. 諫山博

    諫山博君 これは特定の病気についてではなくて、すべての病気を総合して、男性だったら喫煙者が百人死ぬところで一・二八倍と一・三四倍という数字が出ているわけですけれども、これは厚生省としての公式発表でしょう。
  223. 田中喜代史

    説明員田中喜代史君) これは厚生省におきまして進めてまいりました、がん研究助成金の研究によります研究成果でございます。
  224. 諫山博

    諫山博君 そうすると、たばこを吸う人は吸わない人よりかうんと早く死ぬということが統計的に出ているじゃないですか。そういうことなんでしょう。
  225. 田中喜代史

    説明員田中喜代史君) 先ほども申し上げましたように、同じ年齢の人で同じ年齢までいくとしますと、たばこを吸う人の方が早く死亡するということがこの結果でわかったということでございます。
  226. 諫山博

    諫山博君 私は、厚生省の公式統計で具体的な数字まで示されて、たばこを吸う人と吸わない人の平均余命が既に出ているということが重要だと思います。  そこで、大蔵省に質問です。大蔵省銀行局の資料を見ますと、生命保険の保険料率は予定死亡率、予定利率、予定事業費の三つの要素をもとに計算されると書かれていますけれども、そうですか。
  227. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) ただいまの御質問につきましては先生おっしゃるとおりでございます。  それから、先ほどの先生の御質問でございますが、喫煙状況につきましては、先ほど先生が御指摘の厚生省の報告書によりますと、日本では男子が六六%、それから女子が一四%という数字が出ております。
  228. 諫山博

    諫山博君 生命保険の保険料率がいかなる要素で決まるかというのが大事だと思いますけれども、大蔵省の資料では三つの要素がある。そこで、予定利率と予定事業費の二つの要素が変わらない限り、あとは予定死亡率、どのくらい長生きをするかによって保険料率は決まる、こういう原則ですか。
  229. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  230. 諫山博

    諫山博君 以前は男性と女性は保険料率が同じでしたね。ところが、今は男女別々の保険料率が決まっているはずです。これはなぜですか。
  231. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 生命表に基づきます料率計算でございますが、女性の平均余命の方が長いというような要素も勘案されているわけでございます。
  232. 諫山博

    諫山博君 女性の方が長生きする要素も関係しているんじゃなくて、女性は男性よりか長生きするから保険料率を下げたんでしょう。違いますか。
  233. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 保険料率の数理計算の上では、平均余命――それぞれの加入年齢に応じてその後何年生きられるかというような生命表の計算に基づきまして、女性の方が長く生きられるという統計がございますものですから、それに基づきまして料率は、女性の方が低くなっているという状態にございます。
  234. 諫山博

    諫山博君 初めに明らかになりましたように、生命保険の保険料率は三つの要素で決まる。予定利率と予定事業費が変わらない限り、あとの要素は何年長生きするかということに左右される。女性の方が男性よりも長生きをするということが統計上明らかになった。だから、女性の保険率は男性よりも下げた。違いますか。
  235. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  236. 諫山博

    諫山博君 この基礎になったのは、いわゆる男女別々の生命表ですね。ところが、女性の保険料卒が下げられたのは、男女別々の生命表が発表されるよりか五年ぐらい前ではないですか。
  237. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) その歴史的な事実は、私も突然の御質問ですからつまびらかな現在のところ手元に資料を持っておりませんが、ただ、一般に保険会社が利用しますのは、厚生省が発表しております生命表ではなくて、保険会社独自の生命計算に基づきましてその料率計算を行っているところでございますので、全国に発表されている公式の生命表の発表がなくても、その保険会社自体でデータが集まればそのような料率計算が可能になるわけでございます。
  238. 諫山博

    諫山博君 男女別々の生命表が保険会社で正式につくられたのは昭和五十六年です。ところが、男女別々の保険料率が決められたのは昭和五十年です。つまり正確な保険料、生命表の完成をまつまでもなく、女性の方が長生きすることが明らかになったから差をつけたわけです。  そこで、次の質問です。資料を見ておられますが、いいですか。  今の厚生省説明で明らかなように、たばこを吸わない人はたばこを吸う人よりか長生きをするんですよ。外国でもそうだし、日本でもそうです。そして、どのくらい長生きをするかというのがもう数字で出ているんです。お聞きでしょう、今。そうだとすれば、たばこを吸わない人の保険料率を下げるのが筋ではないかという問題提起です。どう思いますか。
  239. 鏡味徳房

    政府委員鏡味徳房君) 先生が御指摘の先ほどの厚生省の報告書では、死亡率について差があるというデータが示されていることは私ども承知しております。それから保険関係者も、これにつきましてはそのデータももとにいろいろ研究をしているということも聞いております。  ただ、いろいろとこのデータについて研究しているものから仄聞するところにょりますと、まず先ほどの厚生省の答弁にもございましたように、年齢別の寿命に対してどういう影響があるかというようなところがひとつつまびらかではない。あるいは年齢階層別のデータが示されていない。あるいは喫煙本数の多寡による影響が示されていない。それから、契約前後の喫煙の有無というようなことをどういうふうに考えるかというような問題もございまして、先生がおっしゃる死亡率の差があるという報告書は出ておりますけれども、それをどのようにその保険料率計算上に当てはめていくかといったところについては種々問題があるというふうに、現段階では、そのデータだけではなかなかそういったところまで踏み切れないという段階にあるというふうに聞いております。
  240. 諫山博

    諫山博君 大蔵大臣に質問します。  たばこを吸っているか吸っていないかというのは、割合簡単に見分けることができるそうです。私ちゃんと持ってきましたもこれは一酸化炭素がどのくらい息の中に含まれているかということを調べる極めて簡単な道具です。これに唾液を入れまして、この中にニコチン、タールがどのくらい含まっているかという検知器です。調べようと思えばすぐできるんですよ。  それから、女性の方が男性よりか長生きするから女性の保険料卒は下げた、これは合理的ですね。さっき私が指摘した大蔵省の保険料率の決め方を見ても、長生きする人は保険料率は下がる。それは当たり前のことです。たばこを吸う人は、たくさんおられると思いますけれども、これは長生きしないんですよ。統計的に明らかなんです。日本だけではなくて世界的にこれは明らかになっているんです。そうすれば、理屈からいったら、たばこを吸う人の保険料率はそうでない人に比べて高い、逆から言えば同じことですけれども。  そこで、これを放置しておくというのは私は怠慢だと思います。研究者は、単に怠慢とは言わないんですよ、保険会社に対して頭が上がらぬのじゃないかという批判をします。当然保険料率の差をつけなければならないのに、そのことは業界も大蔵省にもわかっているのに、なぜこれに手をつけないのか。私は怠慢だと思いたいけれども、そうじゃなくて、保険会社に物が言えないんじゃないかという批判もあります。ぜひ大蔵大臣の見解を聞きたいと思います。
  241. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 保険会社は、今いろんな新商品といいますか、そういったものを開発されておるということであります。もちろん、会社の健全性というものも一つの判断基準の中に実は入っておりますけれども、しかし今保険会社は新商品というのを盛んに開発しておるということでありましょう。  それで、今諫山委員が言われたのと同じような認識は保険会社もやっぱり持ってきておるということでありまして、こちらの資料の中に、生命保険協会として以前から検討課題として認識しておりまして、本年三月には日本保険医学会と共同で非喫煙者割引制度に関する研究会を発足させているなど、現在業界としても検討に取り組んでいるというふうに聞いております。  ただ、私どもの方にはまだこの申請というのは来ておらないというふうに承知しておりまして、申請が出されるならば、これはいわゆる基準――商品内容の合理性ですとかあるいは契約者間の公平性の問題、保険会社の健全性、こういった原則に基づきながら我々としては審査を進めていきたいというふうに思っております。
  242. 諫山博

    諫山博君 さっきの答弁で、たばこを吸う人と吸わない人の平均余命の違い、これは因果関係を簡単につかみにくいという説明もありましたけれども、因果関係なんか必要ないんですよ。統計で明らかになるわけです。どのくらいの人が死亡しているのか、どのくらいの人が死亡していないのか。例えば女性はなぜ男性よりか長生きをするのか、これはなかなか難しい問題だと思います。しかし、女性が長生きすることは明らかですから、因果関係が仮に証明されなくても、結果的にたばこを吸う人と吸わない人の寿命の違いがあらわれた、これだけで十分です。  それからもう一つは、業界主導型になってはいけないと思います。例えば男女の保険料率の違い、これは最終的には業界のつくった生命表によったようですけれども、その前に男女の差が明らかになりました。これは恐らく大蔵省の指導だと思いますけれども、大蔵省の認可ですから、これは大蔵省の認可にかかわる問題だということで差をつけるのが合理町だということはもう明らかです。  単に合理的ではなくて、保険料率の決め方、大蔵省のつくったこの原則から見ても放置していることの方が間違いですから、ぜひ大蔵大臣がこの際やはり今のような不正常な状態、不公平な状態を大蔵省が主導的に是正をするという立場での行政指導をお願いいたします。
  243. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) この保険というのは、任意によってまた自助のあれによって、成り立っておるというものでございます。そういう意味で、私どもはこれに行政指導をするということになるとこれはやっぱり問題になるのかなというふうに思いますけれども、しかし保険会社自身もこれに対して問題意識を持ちながら医学会の方で今検討を進めておる。しかも、ことしの三月から特にこの問題について研究をするために研究会を発足させておるということでありますから、それを私たちは見守り、またこういった中で申請があればそういったものについて検討をするというのは、私は妥当であろうかなというふうに思います。
  244. 諫山博

    諫山博君 終わります。
  245. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、連合参議院を代表しまして、大蔵省及び大蔵大臣に予備費の湾岸拠出の件と、それから給与改善費名目での予備費の計上について、お尋ねをしたいと思います。  きょうは、いろいろとこの湾岸戦争に関して、十億ドルの平成二年九月二十一日閣議決定に基づく予備費支出につきまして質疑がなされてきました。その質疑を私も途中やむを得ない事情で中座をした以外聞いておりまして、この問題は改めて、私の質問が重複するところはあるわけですが、重ねてお尋ねをしなければならない、そのように考えておりますので、御答弁をお願いしたいと思います。  この予備費は、あらかじめ内閣の責任において支出を許されているんだ、あるいはその後支出をした後にこのように国会に諮って承認を求めるわけのものであるから、湾岸の十億ドルについてもその流儀といいますか、その手法でやっただけである。こういうお答えのようでございますが、やはり本件の、今回の湾岸十億ドルの予備費支出の件に関しましては、従来の支出をした例とは全く異質のもので、憲法上あるいは財政法の精神からいっても、ここは例えば国会が開かれていないにしても衆参の決算委員会に語る、あるいはそこで議決を伴わないにしても、この支出に関しての国民の意見を聞くというために委員会にこの問題を諮ってその上で出す出さないを決める、こういうことをやるべきであったと私どもは考えております。  したがって、今回のこの部分に関しては、連合参議院としてはやはり承知はできないというふうに考えておるわけであります。これは戦費に充てる趣旨の経済協力はしない、こういう国会決議もあるわけでありまして、そういうことを念頭に置きますれば、これまできょうの御答弁にあるような形での予備費支出で十分であるというふうには私は思われないし、それは間違っている。  その意味で、今後このような今回の湾岸の十億ドルのようなケースに当たる予備費支出について、どのように大蔵大臣としてお考えであるか、お聞かせを願いたいと思います。
  246. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 予備費につきましては、ただいま御指摘がございましたんですけれども、憲法第八十七条及び財政法第二十四条によりまして、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決を得て設けられたものであります。その対象が政策的な経費であっても「予見し難い予算の不足に充てる」との要件に該当すれば、法律上は内閣の責任で予備費使用することが認められるというふうになるのではなかろうかと思っております。  御指摘のございました湾岸における平和回復活動に対する協力につきましては、まさにこの「予見し難い予算の不足に充ても」との要件に該当しまして、また国連の安保理の諸決議がなされたということ、かつ国際社会における我が国の地位にふさわしい貢献が求められたということにかんがみまして、可及的速やかに我が国の貢献策を実施に移す必要があったことから、国会の議決をいただいた予備費金額の範囲内で手当てすることとしたというふうに私どもは考えております。  いずれにいたしましても、今後政府といたしましては、やはり憲法及び財政法規定に基づく予備費の適正な使用、これについては常に留意していかなければならないというふうに考えておりまして、今後ともそういった点を十分念頭に置きながら適切に対処していきたいというふうに考えます。
  247. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 予想したお答えをいただいたわけでありますが、きょうの審議でも、予見しがたいということだけならば、災害関係の予備費支出はどうなるんだと。もちろんそれは、災害対策委員会に諮っているというのは、災害の実情を認識するために諮っているんだという趣旨がと思いますが、実際には今回の湾岸の十億ドル支出に関しては、予見しがたいということだけで国民が十分納得するであろうかということを考えますと、私はむしろそうではないと、大蔵大臣の今のお答えに反するようで恐縮でございますが、そのように考えております。  そこで、これは私の意見というより私ども連合参議院の考え方を申し上げたいと思うんですが、単に立場の違い、見解の相違だというふうな問題ではないほど、事は大きな性格の問題であるということだけ申し上げさせていただきまして、もう一つの質問に移りたいと思います。  きょう、参議院では、先ほど人事院勧告に基づく公務員の給与等の改正法案が可決、成立をいたしました。給与改善費という名前で平成年度には計上がされておるわけでございますが、平成年度については、大蔵省所管の形による給与の改善費目での計上はお考えでございましょうか、お尋ねをいたします。
  248. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) 平成年度におきましては、委員、給与改善費とおっしゃいましたけれども、給与改善予備費という形で計上をしておったところでございます。平成年度につきましては、概算要求基準段階におきまして、三年度の予算と同じような給与改善予備費と同額という考え方から、一・五%相当分のまさに給与改善費を含んで各省庁から要求をいただいているところでございます。この給与改善費は、公務員の給与改定に備えるための財源措置でございまして、これを今編成しております四年度の当初予算においてどう取り扱うかということにつきましては、かねてからの政府の人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立ちつつ、一方で非常に厳しい財政事情等を統合的に勘案いたしまして、予算編成段階において適切に対処していく所存でございます。
  249. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 この給与改善予備費の計上は、従来から計上すべきではないかというような意見があって、平成年度に久しぶりにといいますか、給与改善予備費を計上された。そういう意味から考えますと、財政状況の逼迫の折とかそういう理由でなくて、四年度も計上をすべきものと考えておりますが、この一・五%というのはどのような考えに基づいて計上をされてみえるのか。  従来ずっと前に計上されたときには、最後には一%という枠での改善予備費の計上があったようでございますが、現実に人事院勧告のこれまでの傾向を見ればとても一・五%で十分だとは言えない。いろいろな考え方はあろうかと思うんですが、予測される例えば七割とか八割は計上しておかなければ、本来計上の精神といいますか、仏つくって魂入れずということになりはしないかと思うんです。その辺をお伺いいたしたいと思います。
  250. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) 委員御指摘の給与改善費の率をどう計上するかということでございますけれども、この給与改善費は公務員の給与改定に備えるための財源措置ということでございますけれども、これは翌年度の人事院勧告が果たして具体的にどのようになるか、あるいは人事院勧告の取り扱いをどういうふうにするのかということを予算編成期に予測することは大変困難でございます。また、あらかじめ翌年度の給与改善率を何かの方法で予測して計上するということになりますと、民間部門における賃金の決定に予断を与えるおそれもあるというようなことも配慮する必要があると思います。  したがいまして、この給与改善費の計上につきましては、従来からそのときどきの財政事情等を勘案いたしまして、当初予算における計上額を決定してきているということを御理解いただきたいと思います。
  251. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 現実、人事院勧告の給与ベースの率は、もう私があえて言うまでもなく皆さん御承知のことと思いますが、計上を平成年度もすべきであるし、またその計上の率ももう少しわかりやすいような形のものにしていただきたいということを申し上げまして、農水省の方にお尋ねしたいことに移りたいと思います。  減反緩和のニュースが伝わってまいりました。平成年度に限って十三万ヘクタールの減反の緩和をするというようなことが発表されまして、今各地方どのようにそれを実行するかについて検討されておると思いますけれども、まず今回の十三万ヘクタールの減反緩和がどのような形でスムーズに達成されるといいますか実施されるか、その点についてどのようにお考えでございますか。
  252. 上野博史

    政府委員(上野博史君) 十三万ヘクタールの転作等目標面積の緩和の基本的な考え方というのは、ことしの不作に伴います来年十月末の在庫水準が非常に低くなるということを回避するために考えられたものでございまして、これまで後期対策として八十三万ヘクタールの転作をやっていたわけでございますので稲作の生産を回復しなければならない、こういうことになるわけでございます。そのために、どうしてもやはりこれまで転作の定着をしていた部分あるいは作物の生産に直接供されていない部分、転作の態様はいろいろあるわけでございますけれども、好ましい転作に悪影響を与えないような形でお米の生産を再開できるというような体制をとるために、我々とすればいろいろな面で最大の指導をしてまいりたいというふうに考えております。  その際大事なことは、やはり農家あるいはそれぞれの地域の営農の実情等を十分勘案をしながら、お米の生産に適したところ、あるいは転作を続けていった方がいろいろな面でいいと思われるところ、事情があるわけでございまして、そういう地域の間あるいは農家の間の転作のやりとり、あるいはお米の生産回復のやりとりというようなことを十分に柔軟にやってもらうというようなことで指導してまいりたい、かように考えております。
  253. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 具体的にそれじゃお尋ねをいたしますが、この平成年度のみ一年間の減反の緩和というような政策といいますか、そういう考えは、現実には相当現場の方では戸惑いが出ている。  今のお答えは一般論ですので具体的な質問に入りますが、現実に、例えば減反政策で米から麦に変えたと。今それを緩和だということで、じゃ麦畑はどうなっているか、もう既に種はまかれている。そういうふうなことや、現場の声を聞きますと、種もみが本当に緩和の部分だけ十分確保できるのか、確保できない場合はどうするんだと。さらに、これが平成年度以降この緩和策がまた逆戻りするのかしないのか。在庫云々という理由から減反緩和というふうな線が打ち出されておりますので、その点はどのようにお考えでしょうか。
  254. 上野博史

    政府委員(上野博史君) せっかく麦作が、何といいますか転作として確立をしたようなところが米に戻るというのは困るのではないかというお話でございます。  確かに、麦のみならず我々が考えております好ましい転作の形態に影響があるということは、これはできるだけ避けなければならないというふうに考えておりますけれども、転作作物の生産に直接供されていない形での転作、あるいは麦の後にお米を生産できるというような地域の麦作の転作、そういうものを考えますと十四万ヘクタールを超える面積があるだろうというふうに我々見込んでおりまして、そういうようなところを中心としてできるだけお米の生産に帰っていただくというふうな指導もいたしたいというのが第一点でございます。  それから、種もみの問題につきましては、種もみとして供される、何といいますか正規のといいますか、言葉は適当じゃないかもしれませんが、そういう種もみの確保にももちろん努めておりますし、それから不足をするような場合には、それぞれ現在いろいろな形で保管をされているもみの中から種もみとして使い得るものを確保するように、万全の通達等を行っているところでございます。  それから、これからまた先行きの話としまして、転作が強化されるのではないかという問題につきましては、この今回の十三万ヘクタールの緩和というのは当面とにかく来年の十月末におきます在庫が相当低い水準になるという、これに伴うお米の安定供給あるいは米を国内産で自給する基本方針を貫いていく、そういう考え方に立って来年とりあえずお米の生産を回復しなければならないということでやるわけでございまして、それから後の話につきましては、また来年度後期対策も終わりますものですから、いわゆるポスト後期対策の話としてこれから一年ぐらい、来年の秋ぐらいを目がけまして検討してまいらなければならない問題だというふうに考えております。その際には、来年のお米の作柄であるとか秋の時点におきます在庫の動向あるいは需要の動向というようなもの等々、諸般の情勢を勘案をいたして考えてまいりたい、かように考えているところでございます。
  255. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 時間が来ましたので要望しておきますが、現実に細かい議論でなくて、私がきょう質問をしてお願いしたかったことは、減反についても定着化については関係者は非常に努力をされてやっと定着する、それを今度緩和するときにひとまずという形で緩和をする、これはまた大きな混乱が出る。さらに、その緩和の理由として在庫量の云々というふうなことでバルブを締めたり緩めたり、こういうことが実は今いろいろガット・ウルグアイ・ラウンド等で、何といいますか、いろんな勘ぐりやそれから農政不信等言われておりますが、そういう環境にある中においては、やはりひとまずというような政策は決して好ましいとは言えない。緩和について、十月、十一月に緩和策を出しても播種は済んでしまっているとかいうことなら、作況の第一報が出る八月の中旬とか九月の中旬にそういうひとまずという政策を打ち出さない限り、やはり混乱は拡大するというふうなことを考えますと、今御答弁いただいた、この一年を見てさらに検討するという場合にも、時期とそれから逆定着ということを十分勘案されて政策決定をしていただきたいということをお願い申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。     ―――――――――――――
  256. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) この際委員異動について御報告いたします。  ただいま竹村泰子君が委員辞任され、その補欠として翫正敏君が選任されました。  質疑を続けます。     ―――――――――――――
  257. 三治重信

    ○三治重信君 私は、国債問題について御質問をいたします。  先日も、剰余金の二分の一を国債償還に充てなくちゃならぬという法律を変更して今年度予備費で全額使うということから、どうも国債の償還ですね、国債の償還関係はいろいろの制度があってきちんとしているにかかわらず、何かそのときどきの財政事情で新しく法律をつくって変更してしまっているのではないかというようなところからちょっと御質問をしたいと思うわけなんで、公債がどんどん累積して百七十兆というんですか百六十何兆かのやつになって、その利子だけでも一般会計の予算で支払いが社会保障費を突破して二割からの予算の経費のトップをなしている。  こういうようなのに対して、しっかりした国債償還方針がなければいかぬと見てみたら、きちんとあるんですよね。定額繰り入れをしなくちゃいかぬとか、国債整理基金をつくって定額繰り入れをしなくちゃいかぬとか、予算が余った場合には最低限二分の一はそれに繰り入れて国債減額に資しなくちゃならぬというふうになっているにかかわらず、どうもそれが実行されていないのはどういうわけか。せっかくこういうふうにきちんとあるのを、どうして大蔵省はそういう原則をそのときの財政事情によって破るようなことを、毎年の予算編成でそのときどき困難があればやむを得ないんだというようなのか。もう少し減債についてしっかりした方針を持たにゃいかぬのじゃないかと思う、それが私の考え方であるわけなんです。  それで、六十年以降の普通国債の償還額と借りかえ額がまず問題だろうと思って資料を出してもらったら、やはり毎年償還額の方が多くて借換債の方が若干少ない。そして、償還額は六十年以降毎年少しずつふえている。しかし、借換債の発行額の方も同じようにふえている。これは国債の残高がだんだん毎年ふえているからこういうことになっているわけなんですが、そうするとこの国債整理基金というものはどういうふうに運用されているのか、こういうことでございます。
  258. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 具体的な数字でちょっと御説明申し上げますと、少し前、例えば昭和六十年でございますけれども、そのときの国債整理基金の残高は二兆二千六百七十一億円ございました。このときの基金の収入でございますけれども、このときは定率繰り入れが停止をされておりましたので、基金の収入は運用収入等を中心とした収入、二千九百七十二億円でございました。この年の基金の支出は、先ほど委員がお話しになりました国債の償還額から借換債の発行額を除きましたネット償還額が一兆三千八十九億円でございます。この分が支出に立ちます。二千九百七十二億円の収入に対して一兆三千八十九億円の支出ということで、差し引き基金残高は期首より減少いたしまして、一兆二千五百五十四億円となりました。  少し飛びまして、六十二年度の状況を申し上げますと、六十二年度年度の基金残高は二兆三千億円でございました。ちょっと端数を省略させていただきます。六十二年度は、基金の収入としてNTTの株式の売り払い収入のほか剰余金の二分の一の繰り入れあるいは運用収入等の収入、合計五兆五千億円でございました。この年のネット償還額は二兆四千億円でございます。そのほかにNTTの無利子貸し付けのための一般会計繰り入れが四千五百八十億円ございます。差し引きの基金残高が四兆九千七百十一億円となっております。  最近時点、平成年度で申し上げますと、平成年度末の基金残高が二兆四千四百億円でございました。三年度の基金収入は定率繰り入れがラウンドのナンバーで二兆八千五百億を含めまして、まして、その他運用収入等がございまして、償還財源としては三兆九千五百億円を受け入れました。基金の支出といたしましては、ネット償還額は二兆八千二百億円、それからNTT無利子貸し付けのための一般会計繰り入れが一兆三千億円でございまして、年度末の基金残高が二兆二千七百億円になる見込みであります。こういう状況でございます。
  259. 三治重信

    ○三治重信君 だから、こういう出入りの中でこの基金の償還する割合ですね、償還金額は毎年違ってますわな。それはどういう計算でこういう償還金額がふえてくるのか、まだ償還しないで借りかえする金額は非常にたくさんあるわけなのに、こういうふうに毎年限度を設けて借りかえの金額を翌年に繰り越していながら借りかえを残していくというのはどういうことなんですか。
  260. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 国債は六十年償還ルールでございますので、例えて申しますと、十年債を発行いたしまして十年目に期限が到来いたしますと、六十分の十は償還をいたしまして六十分の五十の借換債を発行する。それが例えば五年国債でございますと六十分の五がネット償還になりまして六十分の五十五を借りかえる。それから、例えば一年国債でございますと六十分の一を、つまり期限が到来するごとにその到来分の六十分の一を償還に回してその残額を借りかえするということで借換債を発行いたしておりまして、そういうことで例えば三年度で申し上げますと償還額が二十一兆六千九百六十一億円ございますが、その期限到来の分の残りを借りかえると借換債の発行額が十八兆八千七百五十七億円、今申し上げましたような計算でやりますと出てまいりまして、差し引きのネット償還額が二兆八千二百四億円、こういうことになってまいります。
  261. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると結局、六十年国債の残高の百分の一・六、もう全然それ以上は償還しないという態度じゃないですか。きちんとそれだけ償還すればいいんだと。償還財源は六十年でもらってきてそれだけ払えばいいんだから百分の一・六しか償還しないでいいんだ、それ以上に整理基金にどれだけ収入があろうが国債は償還しないで、NTTのやつでもほかのへ使ったりなんかしてもいいんだという考えにならぬですか。じゃ、剰余金の二分の一を運用基金の中へ入れていても、それは特別の定率のやつ以外には全然償還しないでみんな繰り越して持っていていっそれを使うんだ、こういうことになる。その考え方がどうもわからぬから、私の考え方が違っているかどうかもわかりませんけれども、そこをね。  だから、予算上毎年の定率繰り入れを一時停止しておったけれども、また復活して六十年債のやつの百分の一・六の割合で計算して当初予算で定率繰り入れをやっているわけでしょう。そして、六十年債のやつをきちんと借りかえする。それじゃその二分の一以上のやつを入れたりなんかしたときの国債償還というものは、それをやれば国債償還の財源は当座要らぬじゃないか。こういうことにならぬですかということなんです。余分に何か国債残高が多くなって困る困ると言うんだけれども、国債を少なくする制度があっても六十年償還すればいいんだということで、それ以上ずっとしていないということになってくるとそういうことになりゃせぬかと、こういうことです。
  262. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) お尋ねの国債償還の仕組みでございますけれども、委員よく御存じだと思いますけれども、我が国は総合減債制度というのをとっております。先ほど理財局長からお答え申し上げましたように、公債を発行するわけですけれども、基本的にはそれは資産の耐用年数を基準として六十年間ということになっておりますので、例えば十年債ですと先ほどのように十年ごとに借りかえをしていくという仕組みにはなっております。  片っ方でどういうふうに返していくかということでございますけれども、これは委員お話しのように、定率繰り入れというのがございます。それから、これもお話に出そまいりましたけれども、剰余金の二分の一を繰り入れる、これを基本にしている。それから、さらに予算に余裕がございますれば予算繰り入れということにもなっているわけでございます。そういうポケットを設けていて、その中から償還をしていくという考え方でございます。  それじゃ、六十年償還なんだから全部ただ借りかえていけばいいのかなということになりますと、そこは決してそうではございませんで、委員おっしゃいますように、できるだけ公債の残高を減らしていくということは重要な施策になってくるわけでございます。それを減らすためにどうするかということでございますけれども、何よりもまず公債の依存度、予算の中に占める公債の比率を下げていくということがまず第一の目標でございます。それをやるということ。  さらには、これは財政制度審議会の御答申でもいただいておるわけでございますけれども、余裕がある場合ということになってくると思いますけれども、過去に発行した特例公債の早期の償還にできるだけ努めるというような形で、一種の繰り上げ償還をしていくということも考えていかなければいけないということでございます。  ただ、どういう措置ができるかということにつきましては、これは年々の財政状況にもよる。わけでございますからおのずと限度がある場合もございますけれども、基本的にはそういう考え方に沿って、公債の残高を極力私どもは累増体質がなくなるようにというようなことを目標にやっておるところでございます。
  263. 三治重信

    ○三治重信君 だから、原則は非常によくできているが、現実に定率の百分の一・六以上には六十年以降でもずっと国債を償還しているでしょう。その余ったやつだけは借りかえしているわけですね。だから、公債を減らすように特例公債でも繰り上げ償還するとか、六十年の期間のやつでも繰り上げ償還するということをどういうふうにやったかということを聞いているんです。ちっともやっていないじゃないかという質問をしているんです。繰り上げ償還というのはどういうふうなことをやっているのだと聞いているんです。
  264. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) 特例公債の繰り上げ償還の実績でございますけれども、六十二年度から二年度にかけて総額で七千二百三十三億円の償還をしておるところでございます。もし必要がございましたら、年度別に申し上げますが。
  265. 三治重信

    ○三治重信君 特例公債だけですか、繰り上げ償還しているのは。
  266. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) はい、そうでございます。
  267. 三治重信

    ○三治重信君 特例公債は、何というのですか、大平総理が国会で特例公債を出した後の償還の問題で質問されたときに、今後は、この二分の一の剰余金を繰り入れするようになっておるんだけれども、剰余金は全額特例公債の償還に充てる心構えでやっていきますというふうなことがあったことからいっても、二分の一償還の場合には全額――二分の一償還は今まで取り消したやつでも二分の一償還入れたやつでも半分半分ですよね、年度は。そうしたら、特例公債ばかりじゃなくて、まだ既存のやつだって随分資金が返せるはずのやつを残していてほかへ使っているのじゃないか、こういうことを言っているわけです。
  268. 田波耕治

    政府委員(田波耕治君) それは年々の財政事情によると思うわけでございまして、余裕がある場合は極力早期に償還に努める。ただ、平成年度の補正予算を例にとりますと、結局二分の一の剰余金繰り入れをそのままやるといたしますれば、全体の歳出歳入状況からいたしますと、その分だけ公債発行額をふやさなければいけないということになるわけでございまして、それとのトレードオフにおきましてどういう方針をとっていくかということを決めさせていただいているというのが実情というふうに思っております。
  269. 三治重信

    ○三治重信君 最後に一つ、大蔵大臣、僕はいろいろせっついてもどうもまだ償還については余り十分納得しないのですが、いろいろ制度がきちんとあるんだけれども、やはり国債発行の限度のめどについてしっかりした方針を持っていなくちゃいかぬだろうと思うんですが、そういうことについてどういうふうにお考えになりますか。
  270. 羽田孜

    国務大臣羽田孜君) 今御指摘にありましたように、やはり国債発行というものがそれによってまた償還をしなければいけない。このために完全に財政が硬直しているということが御心配で御指摘をいただいているというふうに考えておりますけれども、何らかの目標が必要なことは、もうそのとおりであろうと思っております。  昨年三月の例の財政審の報告におきまして、中期的な財政運営の新目標として、高齢化社会に多大の負担を残さず、二度と特例公債を発行しないことを基本として、公債依存度の引き下げなどによりまして公債残高が累増しないような財政体質をつくることを目指すべきであるということは、今田波次長からもお話があったとおりでありますけれども、その公債依存度の具体的水準としては、一応あそこの中では五%を下回る水準が一つの目安となろうというふうに述べられておるところでございます。  政府としてもこのような考え方に沿いまして、極めて厳しい財政事情のもとでございますけれども、公債発行額をできるだけ抑制するために、やっぱり制度の見直しですとかあるいは施策の見直し、こういったことをやりながら財政改革というものを何といっても進めていかなければならないであろう。補正予算でまた発行いたしまして結局は九%までいってしまったなんということがございまして、しかし我々は、やっぱり常にそのことを自粛していないと本当に財政が硬直化してしまうということを恐れなければいけないというふうに考えて、これからも財政運営を進めていきたいと思っております。     ―――――――――――――
  271. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま岡野裕君が委員辞任され、その補欠として関根則之君が選任されました。     ―――――――――――――
  272. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) それでは、他に御発言もないようですから、皇室費国会会計検査院大蔵省国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算審査はこの程度といたします。  予備費関係等十四件につきましては質疑を終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより予備費関係等十四件を一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  274. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、議題となっております昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件及び昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書のうち、一般会計予備費使用についての四件及び国庫債務負担行為については反対、残余の九件については賛成することを表明し、以下その理由を述べます。  一般会計予備費使用状況は、その多くは災害復旧費、医療給付費等の不足充当経費であり、予備費の目的にもかなうものでありますが、一部に政策的見地及び予備費本来の目的から到底承諾することのできない使途が含まれております。  第一に、中東湾岸戦争に際し、多国籍軍に対する協力費を支出したことであります。これは平和憲法の精神に反するものであり、国民の合意がないままの支出でありました。また、平成年度予備費の四〇%強を占める政策経費であるにもかかわらず、予備費を所管する決算委員会には事前に説明すらなかったのであります。こうした形での戦争協力には強く反対するものであります。  第二に、消費税導入の環境整備のため、老齢福祉年金受給者等に対し、一時金支給という小手先の手段をとったことであります。消費税は政府の宣伝にもかかわらず、収入の少ない高齢者、年金生活者等を苦しめています。政府・自民党は、せめて食料品を非課税にしてほしい、との国民の切なる訴えにも耳をかそうとはしていません。こそくな手段でなく、真に実効性ある負担軽減策をとるべきであります。  第三に、総理の外遊経費の問題であります。世界が一体化し、首脳外交が極めて活発になっている今日、総理の外遊経費がすべて予備費から支出されるということは健全な姿ではありません。当初予算に計上し、国会と国民の理解のもとに実施すべきであります。  第四に、昭和天皇の陵の営建に伴う政教分離問題について指摘しておきます。大喪の礼の際には、葬場殿の儀に使用された鳥居の建設費は皇室の私的な経費である内廷費から支出され、国家行事である大喪の礼の開始前に撤去されました。しかし、陵の営建に際しては、鳥居の建設費も公的な経費から支出されております。政教分離の原則からして問題が残ったと言わなければなりません。  最後に、前回の予備費審議では、初めて三件が不承諾となりました。その後、この事態に対処する政府の姿勢は、全く誠意を欠くものと言わざるを得ません。政府は、国会意思を踏まえ、国民が十分に納得できる責任体制を早急に確立すべきであります。  このような問題点を抱える中で、我が党は、一般会計予備費四件は承諾できないこと、国庫債務負担行為は是認できないことを表明し、討論といたします。
  275. 石川弘

    ○石川弘君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件に対しまして承諾を与えるべきものと議決することに、また昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書に対して是認すべきものと議決することに、いずれも賛成の意を表明し、以下討論を行います。  申し上げるまでもなく、予備費は、憲法第八十七条及び財政法規定に基づいて、予見しがたい予算の不足に充てるために、国会の議決に基づいて設けることを認められた予算であり、内閣の責任において支出された後、国会事後承諾を求めるものであります。  議題となっております一般会計予備費使用の内容を見ますと、老人医療給付費負担金の不足を補うために必要な経費、河川等の災害復旧事業等に必要な経費のような義務的経費あるいは災害復旧関係費がその多くを占めております。また、この間、国民の悲しむべき出来事でありました昭和天皇の崩御に伴う大喪の礼に要する経費等のほか、衆議院議員総選挙など国政選挙の執行経費、中東における平和回復活動に対する協力に必要な経費等について使用されたものであります。  これらの予備費使用は、憲法及び財政法規定に照らして適正なものであり、いずれも国民各位に十分納得をいただけるものと考えますが、特に昨年八月に発生したイラクのクウエート侵略という事態に際し、湾岸地域の平和と安定回復のための活動への協力として予備費から湾岸平和基金への拠出を行い、また食糧等の輸送、医療団の先遣隊派遣のほか、さらにイラクに抑留されている邦人の救出に使用したことは、予備費制度が本来予定するところであり、我が国の置かれた国際的責務等を緊急に果たす上からも、政府のとった措置は十分に評価できるところであります。  次に、特別会計の予備費使用及び特別会計予算総則規定に基づく経費増額については、貿易保険特別会計における保険事故の調査に必要な経費、厚生保険特別会計年金勘定における保険給付費の不足を補うために必要な経費、郵政事業特別会計における業績賞与に必要な経費増額などであります。  さらに、一般会計国庫債務負担行為は、昭和天皇の陵の営建を年度内に竣工させることが困難であるため、平成元年度に及ぶ債務を負担するというものであり、いずれも適正かっ妥当なものであり、異論のないものと思います。  前回の審査におきまして、予備費について十分な理解が得られぬまま、その一部の予備費について不承諾という大変遺憾な事態がありました。政府は、予備費使用あるいは予算計上のあり方についての御意見を真摯に伺い、例えば総理の先進国首脳会議出席に必要な経費平成年度から当初予算に計上する等の措置をとったところであります。  今後とも、政府は憲法の規定に基づいて内閣に与えられた予備費支出権限を厳正に行使することと思いますが、そのことを改めて確認し、また事後の国会審査が遅延しないように、我々を含めて関係者の格段の努力と配慮を要望して、私の賛成討論を終わります。
  276. 諫山博

    諫山博君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました予備費等承諾案件のうち、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)及び(その2)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)の五件について不承諾、昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書については是認できない立場を表明いたします。  これらの予備費使用の主なものは、退職手当、災害経費、社会保障関係費、恩給費、国民年金経費、遺族年金経費、選挙経費等々であり、当初予算で十分措置しておくべきなどの問題はありますが、いずれも必要な経費で、予備費使用目的、理由はおおむね妥当なものとして承諾できるものが多数あります。  しかし、同時に我が党が認めることができないものも幾つか含まれています。例えば、湾岸平和基金拠出への経費、総理の一連の外国訪問に要した経費、大喪の礼や即位の礼に関係する経費、貿易保険の事故調査費等であります。  湾岸平和基金拠出金等への経費は、イラク周辺に展開する多国籍軍支援のための拠出金で、米国の要請に応じて米軍のいかなる軍事行動、軍事物資に対しても提供されるものであります。いかなる相手であっても、武力による威嚇や武力行使のための資金提供は、憲法の平和原則をじゅうりんするものであり、断じて認めるわけにはいきません。  また、総理の一連の外国訪問は、大規模小売店舗法の廃止などの約束や、在日米軍駐留費の負担増など日米軍事協力の一層の推進を約束した九〇年三月の日米首脳会談のための訪米費などが含まれており、認められません。  さらに、絶対主義的天皇制を権威づけることを目的として制定された旧皇室諸礼にのっとって行われた葬場殿の儀などを含む大喪の礼などへの予備費支出も認めるわけにはいきません。  貿易保険制度は、我が国の大企業が輸出や海外投資をふやし、多国籍企業化を促す上で大きな役割を果たしてきたものですが、今回の事故調査費も、イラン化学開発株式会社からの保険金請求に伴うもので承諾できません。  昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為は、本来、天皇家の私的なものである陵の建設に公的行事に使用する宮廷費から支出しており、政教分離を規定した憲法にも違反するもので是認することはできません。  なお、昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外七件は、郵便貯金利子の支払い不足経費などの支出であり、予備費使用の目的、理由について特に問題はなく、承諾いたします。  以上で私の討論を終わります。
  277. 猪熊重二

    猪熊重二君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外一件について承諾することに賛成、また昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書について是認することに賛成の意を表明するものであります。  我が党は、予備費使用について、機会あるごとに、憲法第八十三条に定められた財政処理の国会議決主義の原則に基づき、予備費使用の基本原則が遵守されるよう主張してまいりました。  予備費使用は、憲法及び財政法にも明記されているように、予見しがたい予算の不足に限定されるべきものであることは言うまでもありません。予備費は、その使途目的及び個々の支出金額が未定のまま国会の審議を経ているのであって、財政事前議決の原則の例外であり、したがって可能な限り当初予算項目に計上することによって国会の審議を得るようにすべきであります。  かかる視点から、まず昭和六十三年度予備費支出事項を見ますと、十勝岳噴火に係る緊急観測監視体制の強化に必要な経費、老人療養費給付費等負担金などの不足を補うための必要な経費昭和天皇の崩御に伴う大喪関係の経費など緊急やむを得ないものであります。  また、平成元年度の予備費支出事項は、河川等災害復旧事業、山林施設災害復旧事業等に必要な経費、航空機接触事故に係る損害賠償に必要な経費、国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費、難民一時庇護センターの運営等に必要な経費、衆議院議員選挙等に必要な経費などであり、これまたやむを得ないものであります。  さらに、平成年度予備費支出事項は、中東における平和回復活動に対する協力に必要な経費、イラク共和国における邦人救出に必要な経費、河川等災害復旧事業等に必要な経費、サケ・マス漁業の減船に伴う漁業者の救済に必要な経費など、国際信義その他の観点から見て、緊急やむを得ないものであります。  なお、政府が総理大臣のサミット出席関係費用について、平成年度の当初予算から計上に踏み切ったことを評価するものであります。  しかし、なお残る問題もございます。すなわち、一般会計予備費を見ますと、従来補正で減額しており、その計上金額の妥当性に疑問なしとしません。当初予算編成時にできる限りの正確な見積もりを行うべきであり、恒常的な予備費の補正による財源化を避けることを要望いたします。  また、予備費をほとんど使用しない特別会計勘定にあえて予備費を計上し続けることも極力避けるべきであります。予算をめぐる環境の変化に伴って予備費についても不断の見直しは不可欠であり、予備費計上の必要性、計上金額の相当性を十分吟味する必要があることを強調いたします。  最後に、昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為につきましても、昭和天皇の崩御に伴うものであり、やむを得ないものであって、賛成することを申し述べ、討論を終わります。
  278. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、連合参議院を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十二件のうち、平成年度一般会計予備費(その1)については承諾することに反対、残りの十二件については賛成、また昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書に対して是認することに賛成の意を表明し、以下討論を行います。  言うまでもなく、予備費は、憲法第八十七条及び財政法規定に基づき、予見しがたい予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて設けられたものであり、内閣の責任において支出することが認められております。  議題となっております一般会計予備費使用の内容を見ますと、療養給付費等負担金の不足を補うために必要な経費、河川等の災害復旧事業等に必要な経費のような義務的経費あるいは災害復旧関係費がその大半を占めており、また、昭和天皇の崩御に伴う大喪の礼に要する経費、国政選挙の執行経費、サケ・マス漁業の減船に伴う漁業者の救済に必要な経費等は、いずれもその支出はやむを得ないものであります。  しかし、昨年八月に発生した湾岸危機に際して、平成年度予備費から湾岸平和基金へ約十億ドル拠出したことは、多国籍軍への資金協力という疑いがあり、軍事的用途に充てる経済協力は行わないという趣旨国会決議に反するものと思われます。また、予備費制度の上から見ても、将来にわたる日本の国際貢献のあり方を左右し、国民の批判の多い政策的支出を内閣限りの判断で行うことには疑問があり、補正予算を組むなど国会の議決を経るべきであります。  そのほかの一般会計及び特別会計の予備費使用等は、やむを得ないものと判断し、承諾することに賛成いたします。  次に、昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為は、昭和天皇の陵の営建を年度内に竣工させることが困難であるため、次年度に及ぶ債務を負担するものであり、その措置はやむを得ないものと判断し、是認することに賛成いたします。  最後に、内閣に与えられた予備費支出の権根が厳正に行使されることを要請して、私の討論を終わります。
  279. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、以上三件を一括して採決を行います。  これら三件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  281. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 多数と認めます。よって、これら三件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、以上八件を一括して採決を行います。  これら八件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  282. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 全会一致と認めます。よって、これら八件は全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)について採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  283. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 多数と認めます。よって本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)について採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  284. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書について採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  285. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと議決されました。  なお、これらの案件審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  286. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  287. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 次に、継続審査及び継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査につきましては、閉会中もなお審査並びに調査を継続することとし、継続審査要求書及び継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、これらの要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  290. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、閉会中必要に応じ政府関係機関等の役職員参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 久保田真苗

    委員長久保田真苗君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会      ―――――・―――――