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1991-12-11 第122回国会 衆議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十一日(水曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 加藤 万吉君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       愛野興一郎君    粟屋 敏信君       井奥 貞雄君    岩村卯一郎君       内海 英男君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       唐沢俊二郎君    北川 正恭君       倉成  正君    後藤田正晴君       左藤  恵君    志賀  節君       田邉 國男君    戸井田三郎君       浜田 幸一君    林  義郎君       原田  憲君    真鍋 光広君       松永  光君    松本 十郎君       村山 達雄君    森  英介君       柳沢 伯夫君    阿部未喜男君       貴志 八郎君    串原 義直君       佐藤 敬治君    新村 勝雄君       新盛 辰雄君    辻  一彦君       戸田 菊雄君    鉢呂 吉雄君       藤田 高敏君    水田  稔君       和田 静夫君    石田 祝稔君       日笠 勝之君    冬柴 鐵三君       児玉 健次君    三浦  久君       伊藤 英成君    高木 義明君       中野 寛成君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会 塩川正十郎君         委員長         国 務 大 臣 加藤 紘一君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 岩崎 純三君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     伊江 朝雄君         (沖縄開発庁長         官)         国 務 大 臣 宮下 創平君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 野田  毅君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)  出席政府委員         内閣審議官         兼内閣総理大臣 野村 一成君         官房参事官         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一 大森 政輔君         部長         総務庁長官官房 田中 一昭君         審議官         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁人事局長 坪井 龍文君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁労務 荻野 貴一君         部長         経済企画庁調整 吉冨  勝君         局長         経済企画庁調整 谷  弘一君         局審議官         経済企画庁国民 加藤  雅君         生活局長         経済企画庁物価 長瀬 要石君         局長         経済企画庁総合 冨金原俊二君         計画局長         経済企画庁総合 太田 道士君         計画局審議官         経済企画庁調査 小林  惇君         局長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁土地局長 鎭西 迪雄君         国土庁地方振興 小島 重喜君         局長         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 井嶋 一友君         法務省人権擁護 篠田 省二君         局長         外務大臣官房審 河村 武和君         議官         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省経済協力 川上 隆朗君         局長         外務省条約局長 柳井 俊二君         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省理財局長 寺村 信行君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融 江沢 雄一君         局長         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部省初等中等 坂元 弘直君         教育局長         厚生大臣官房総 大西 孝夫君         務審議官         厚生大臣官房老 岡光 序治君         人保健福祉部長         厚生省生活衛生 玉木  武君         局長         厚生省生活衛生 小林 康彦君         局水道環境部長         厚生省社会局長 末次  彬君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 今藤 洋海君         房審議官         農林水産省経済 川合 淳二君         局長         食糧庁長官   京谷 昭夫君         林野庁長官   小澤 普照君         水産庁長官   鶴岡 俊彦君         通商産業大臣官         房商務流通審議 麻生  渡君         官         通商産業省通商 藤原武平太君         政策局次長         通商産業省産業 山本 幸助君         政策局長         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         中小企業庁長官 南学 政明君         運輸省運輸政策 大塚 秀夫君         局長         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         気象庁長官   立平 良三君         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省労政局長 清水 傳雄君         労働省労働基準 佐藤 勝美君         局長         労働省職業安定 若林 之矩君         局長         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済 伴   襄君         局長         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省住宅局長 立石  真君         自治省行政局公 秋本 敏文君         務員部長         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 杉原 正純君  委員外出席者         最高裁判所事務 今井  功君         総局民事局長         参  考  人 三重野 康君         (日本銀行総裁)         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ————————————— 委員の異動 十二月十一日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     森  英介君   内海 英男君     井奥 貞雄君   村田敬次郎君     北川 正恭君   柳沢 伯夫君     真鍋 光広君   五十嵐広三君     鉢呂 吉雄君   嶋崎  譲君     水田  稔君   辻  一彦君     貴志 八郎君   石田 祝稔君     市川 雄一君   三浦  久君     不破 哲三君   中野 寛成君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     内海 英男君   北川 正恭君     村田敬次郎君   真鍋 光広君     柳沢 伯夫君   森  英介君     岩村卯一郎君   貴志 八郎君     辻  一彦君   鉢呂 吉雄君     五十嵐広三君   水田  稔君     嶋崎  譲君   高木 義明君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   岩村卯一郎君     相沢 英之君   伊藤 英成君     中野 寛成君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成三年度一般会計補正予算(第1号)  平成三年度特別会計補正予算(特第1号)  平成三年度政府関係機関補正予算(機第1号)     午前九時二分開議      ————◇—————
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  平成三年度一般会計補正予算(第1号)、平成三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁三重野康君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 山村新治郎

    山村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 総理、リクルート問題が当予算委員会大変議論になりました。率直に申し上げて、我が党の質問に対する解明がないまま、あるいは証人の招致のないまま舞台政治改革協議会に移ろうとしているわけであります。この問題はやはり、総理のこれからの政治家日本の国を指導する総理立場からいっても、問題の解明を徹底的になされる、そういう政治の原点としての問題が潜んでいるのではないでしょうか。  したがいまして、私ども、この問題が政治改革協議会議論をされるに当たりましては、やはり事実関係、なおそれに基づく徹底的な解明、同時にこの事件がもたらした社会的な影響などを徹底的に解明して、その中で総理日本の国政を預かるリーダーとしてその資格をきちっと正されることが必要だろうと私は思うのであります。我が党はそういう立場から、舞台政治改革協議会に移ろうとしておりますが、一なお徹底的な解明証人要求資料の提出を強く求めて対応する、このことをまず申し上げておきたいと思います。  さて、総理、ことしの四月以降、景気大変停滞ぎみであります。この七——九月の統計資料によりますと、経済成長率は一・六%、平年度に直せば、そういう状況になるという状況であります。景気先行きについて大変不安が国民の中に広まっているわけでありますが、現在の経済状況について、総理高度成長論者と言われているわけでありますし、また国民の中にも、ややバブル経済時代の夢を見て、それに追いつく、ないしはそれに戻る、戻るというかそういう状況をつくり上げることを総理期待をしているのではないか、そんな感さえ私は感ずるのであります。  この際、今日の経済状況について総理の認識はどの辺にあるか、まずお伺いをしておきたい、こう思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 基本的に、景気足取りが重くなっているというふうに考えております。それにつきまして、まさに今加藤委員の言われましたことが私はそのとおりであると思いますのは、一つは、そういう感じの中に、かってのバブル経済のときの景気のよさといいますか、足取りの軽さというものが国民全体あるいは企業家の気持ちの中にもありまして、それがはじければ正常化するということはやむを得ないことでございますけれども、過去のそういうスピード感というものが何となく実感にあるものでございますから、大変にそれが鈍くなったという、少し過剰に感じておられる部分があると思います。  ただ、それだけではないので、現実に七——九のQEもああいうことでありましたし、確かに住宅建設などを見ましても、あるいは新車の登録台数自動車め新規登録台数等々を見ましても、かなり落ち込みがあるということは事実でございますから、ここで大事なことは、企業家の正常な設備投資意欲あるいは消費者の健全な消費意欲、そういうものが落ちませんようにどのように経済運営をしていくかということが問題なのではないかというふうに考えております。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、四年間続きましたバブル経済のなれといいましょうか、あるいはその反動といいましょうか、そういうものに対する総理への期待といいましょうか、逆の意味での、私の言う意味での期待ですが、そういうものが相当潜在的にある、こう見ている。  経済企画庁長官にちょっとお伺いしますが、今日の景気状況は、高度成長時代からのなだらかな下降であって、日本経済はまだ極めて堅調な基盤にある、したがってそれほど心配をする要素ではない、一言で言えばそういう見解経済企画庁官僚の方は各所で述べておられるわけです。ところが一方、そういう見方は、この七——九月の経済成長率を見ると必ずしも当を得てないのではないか、むしろ政府の考えておった予測は外れているのではないか。今日の景気状況は加速的に、不況までは言いませんが、七——九月の状況から見て相当低迷の傾向に突入をする、この段階でやはり景気に対するてこ入れをすべきだという意見がほうはいとしてあるわけですね。資料的なものはきょうは時間がありませんから申し上げませんが、在庫調整の問題、さらには自動車産業落ち込みの問題、今総理からも話がありました住宅建設の問題、一方、経済企画庁がおっしゃっておりますように、雇用求人倍率の問題であるとか、あるいは雇用状況というのは言うところの堅調な基盤的な要素だろうとは思うのです。いずれにしましてもそういう状況にある。両面があるわけですね。  長官、この辺はどういうふうに見ておられるのでしょうか。これは官僚の方よりも、これから金融政策財政政策という両面にまたがる問題ですから、大臣からひとつ答弁をいただきたい、こう思います。
  8. 野田毅

    野田国務大臣 今総理から御答弁ございましたように、基本的に、過去の経済成長のやや過熱ぎみなペースから、大きな目で見れば、むしろ堅実な消費行動あるいは健全な企業活動、こういったものによって支えられていくインフレのない着実な安定成長路線に移行する今過程にある、大きな目で見れば。そういう意味で、経済指標それぞれを見ますと、あるいは生産面の方は在庫圧迫感がかなり厳しいものがあるというところから、生産の指数は芳しくない。あるいは住宅、乗用車、そのほかにもいろいろ御指摘がありましたように指標の上ではかなり弱気なものが出ておる。一方で、雇用の側面とかまた強気なものもある。大体総じて言えば、スピードはかなり減速感があるだろう。しかし、水準そのものは依然としてかなり高いものがある。企業収益そのものも、かなり減益の傾向が強まってきておることは確かでありますけれども、これを売上高利益率ということで見ていくと、水準はかなり過去のピークに近い水準を維持しておる、こういうさまざまな数値が出ておるわけです。そういった意味で、率直に申し上げて、現在の経済情勢というものは、数値の上からいくと景気後退局面と言うにはまだ少し早いのではないか。むしろ減速というような形で見ておく方がいいのではないか。  ただ問題は、総理からも御指摘がありましたように、数値だけではない、やはり経済というものは消費者企業家の、いわばマインドといいますか、これは非常に大事な事柄であります。そういう意味で、経済の実態以上にかなり慎重な見方が今広がっておるのではないか。特に先行きに対するいわば不安感みたいなものが、多少霧がかかっておってこのままずるずるずるずるいってしまうのではないかという不安感がある。これをどう将来見ていくのかということにかかっておると思っておるんです。  そういった点で、今後の展望を考えますと、やはり何といっても第一に、いわゆる四百三十兆というこの公共投資基本計画、これを十年間、これを達成していくには平均約六%程度の形でいくわけでありますから、これが基本的に景気を長期的に下支えをしていく非常に大事な効果が一方ではあるし、それから雇用情勢につきましても、先生から御指摘がありましたけれども、これも着実に雇用者数伸びてきている。確かに所定外労働時間が少なくなったりはいたしておりますものの、一人当たりの雇用者所得もふえてきている。こういうこともしっかりとある。そして、企業家の中にも先行きに対して、人手不足に対する重圧感というものは、超完全雇用からはやや緩和はされておりますけれども、かなり長期的に人手不足感というものがある。そして、それがまた一つは背景となって、設備投資動向につきましてもそういう省力化合理化投資に対する意欲というもの、あるいはまた新商品の開発なり研究開発に対する投資意欲というものが非常に根強いものがある。過去三年間にわたって二けたを超える設備投資伸びということはほとんどなかったわけでありますが、そういった中で考えてみますと、現在の投資意欲が過去の三年間に比べてやや鈍っておるということはある程度はやむを得ない部分がな、むしろ今後を考えるとそんなに弱気になるようなものではないのではないかな。そういった個人消費動向公共投資動向あるいは設備投資動向などを考えていきますと、日本経済はやはり総じて底がかたい、将来、先行きについて私はもっと自信持っていいのではないかな。  さらに加えて、この九月以降、市中実勢金利が着実に低下もしてきておるわけでございます。先般、そういったことをもまた踏まえながら公定歩合が引き下げを行われたところでありますし、これからのそういった金利状況などを考えていきますと、決してそういうこのままずるずるといくようなものではない、私はそう感じておるわけであります。  今回、この補正予算と同時に追加が行われます財投の問題も、たしか一兆七千五百億ぐらいであったかと思うのですが、一応そういったことをも、現在の状況をも念頭に置きながら、やはり何といっても大事なことは、企業家心理消費者心理が、私はもう少し全体が自信を持ってやっていけるような、そういう意味での景気に対する配慮、そういうきめ細かな配慮というものが必要だ、そういう角度からそういう追加が行われておるんだというふうに考えておるわけであります。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 率直に言って、これからの経済先行きは、私は経済企画庁が言うほど、何といいましょうか、減速過程にあるけれどもなお基調は堅調だという見方はとり切れないんです。アメリカの景気は上向いた、しかし最近再び歩合を下げるという状況、二重底の不況状況が表面化してきているのではないか、こう言われておりますね。内需についてもそうですが、特に私はソビエトの今度の政変などを見ますと、EC圏内における経済状況なども決して私どもが見ているような甘い観測といいましょうか、いわゆる経済予測ではないような感じがしてならないのです。  それやこれやを考えてみますと、今の経済の方向というものは率直に言って先行き不透明という言葉で表現されてしかるべき状況ではなかろうか。したがって、今の指標の中で見る堅調な基盤というものだけで見過ごしていきますと、大変状況としては不況局面に突入するようなこともなきにしもあらず、こう見てよろしいのではないか、こう思うのです。  きょうは日銀総裁、おいでいただきましてありがとうございました。外務大臣兼副総理がどこかの講演の際に、今我が国の公定歩合はいま一%程度下げるべきではないかというお話をされたことを新聞で拝見をいたしました。やはり公定歩合が、インフレ懸念を大変持っておられる日銀総裁、現状で推移することが極めて日本経済施策としては、金融政策の場としては適当であるという御所見のようでありますが、ちまたには、公定歩合は相当引き下げるべきではないか、したがって、それによって投資意欲なり全体の基調を、不況と言われている、あるいは落ち込みと言われている基調を拡大をすべきではないか、こういう意見があるのですが、この際、公定歩合に対する総裁の御見解をひとつお聞きをしておきたい、こう思うのです。  それから、きょうは時間が限られておりますから、いま一つ日銀総裁にお聞きをしておきたいと思うのですが、今、市中銀行大変窓口規制が厳しくて、お金の融資その他が大変困難なようです。なかんずく中小企業などにとっては窓口規制からくる、資金需要が対応できないという状況にあるかというふうに闘いでいるわけです。これも内需、特に中小企業の面では先ほどの不況要因といいましょうか、経済減速要因を、何か次の不況段階に突入するのではないかという不安感すら巻き起こしているような感じがしているわけであります。  そこで総裁に、今の市中における金融面緩和といいましょうか、これは総量規制の問題ももちろんありますけれども、これらについてどのような見解をお持ちなのか、二点についてお伺いしておきたい、こう思います。
  10. 三重野康

    三重野参考人 お答えします。  今委員の御質問の第二点の方から先にお答えしたいというふうに思いますが、確かに現在、マネーサプライの伸び率が非常に落ちてきている、ということは、ひょっとしたら金の出方が非常に。厳しいのではないかというふうに受け取られがちでございますが、実際に金融機関の貸し出しを見ておりますと、確かに伸び率は落ちてきております。しかしこれは、一つ資金需要が落ちてきたこと。もう一つは、金利がもう少し下がるのではないか、下がってから借りようという借り控えがあります。それから、ごく最近は社債等による資本調達がかなり進んでおります。そういったことで落ちておりますが、金融機関自身は健全な企業に対しては積極的な融資態度を持っておりますので、企業金融自身が非常に逼迫しているというふうには思いません。  と申しますのは、昨日発表いたしました短観によりまして中小企業も含めた企業金融というのを見ておりますと、ここのところ若干金融緩和が後退してきたのがここで足踏みしてきた。非常に、何といいますか、企業金融はゆったりしてきたという、それは中小企業を含めてでございますが出ておりまして、かつ企業の流動性というのも減りつつありますけれども、過去に比べるとまだかなり高い水準、これは中小企業も含めまして。したがいまして、現在企業金融が非常に金詰まりで、それが経済の安定的発展を妨げでいっている、そういった状態にはない、こういうふうに判断いたしております。  そこで、第一問の方の公定歩合でございますが、これにはやはり現状判断ということを申し上げなければならないと思いますが、今総理と企画庁長官がおっしゃられましたのと多少重複しますが、ごく簡単に現在の経済に対する私どもの判断を申し上げますと、これは委員も御指摘のとおり減速は続いております。しかも、物の需給は一時に比べれば緩んでまいりました。企業先行き観も慎重感を加えてきております。これはきのうの発表しました短観にも明らかなとおりでございます。  しかしこれは、委員もちょっと御指摘になりましたけれども、現在のこの減速というのは、過去の行き過ぎた経済活動からよりバランスのとれた成長への調整過程であるというふうに思います。というのは、この過去四年間五%という高い成長が続きましたので、その間には、委員もさっき御指摘になりましたけれども、バブルの発生、人手不足の深刻化、物価上昇圧力の高まり、そういった行き過ぎたものが出てきておりまして、これを調整する過程でございまして、この調整する過程を通らなければその先の持続的、安定的な日本経済の発展はないというふうに思っております。  それで、これから当面の先行きでございますが、キーポイントはやはり設備投資だと思います。設備投資は、きのう発表いたしました短観で、過去三年間非常に高い設備投資が続きましたのでもちろん落ちてきてはおりますけれども、技術革新あるいは人手不足対策というようなもので、むしろ若干ではございますけれども、全体としては設備投資は上方修正をしているぐらいでございまして、まだ比較的底がたい展開を保つと思われます。  加えて個人消費でございますが、こういう調整期には極めて珍しいことでございますけれども、雇用が非常に高水準に維持されております。雇用が高水準にあると同時に、それはある程度ベースアップもあるわけでございますので、個人所得というものの環境はいまだにまだ良好なわけでありまして、それをバックにして個人消費も比較的底がたい。さらに、七月公定歩合を下げて以来、市場金利の低下を容認し、準備卒を下げ、またもう一度公定歩合を下げた。この金利低下傾向というのはこれから本格的に効いてくるわけでございますので、そういう点を考えますと、引き続きまだ減速は続くと思いますけれども、ここでその減速が急に加速したりあるいは落ち込んだりすることはないというふうに判断をしております。  もちろん、変わり方の激しいときでございますゆえ、思い込みを起こすことなく冷静に見ていきたいと思いますが、そういうことでございますので、現在は、これまで行いました公定歩合の引き下げ効果を見守って、それでこれからの景気情勢をそのまま引き続き冷静に見守っていきたい、こういうふうに考えております。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、それから総理、これはもう財政通でございますから私が申し上げるまでもないことかもしれませんが、私は、極めて重大な経済局面にある、こう見ているのです。  今、日銀総裁なりあるいは企画庁長官がおっしゃった方向とそれからいわゆる政府予測というものが当たっていないのではないか。むしろ、景気減速からさらに下降を超えて、昭和五十二年ですか当時の状況までは落ち込むのではないかという見方すらちまたには出ているわけです。したがって、それにてこ入れをどういう形てするのか。大蔵大臣が一兆七千五百億財投資金から資金の投入を民間に行って景気の底上げをする、これも一つの財政出動としてはあり得る形でありますね。ただ、全体をもう少し緩和してまいりますと、今度はバブル経済の方向に行ってしまって、再びバブル経済による国民的な生活の後退ということも予測されるという、そういうこともこのかじ取りいかんによっては起き得る条件ではないかと私は思うのですね。  ここでバブル経済の功罪を私は言おうとは思いませんが、確かにバブル経済というのは国民の生活水準そのものを引き上げたところはありますけれども、一方で、住宅の入手が困難であるとか、あるいは環境の破壊であるとか、さまざまなリスクの面も背負ったわけですね。したがって、健全な日本経済、私は、いわゆる潜在成長力程度、四%前後の経済の成長が最も望ましい姿だ、こう思うのであります。したがって、それに対応するような金融政策なりあるいは財政政策というものがありませんと、何か不安感だけがひとり歩きをしてしまって、それにあおられて政府平成四年度予算が違った方向で編成されていく、こういう危険性なきにしもあらずというように思いますので、今の景気動向、慎重に、しかも国民期待している経済のあり方というものに沿って平成四年度の予算が編成されるように強く期待をしておきたい、こう思います。  本当はこの問題、もっと時間をかけてやりたかったのですが、当面、問題だけ、頭のところだけ御質問申し上げて次の課題に移りたいと思います。  自治大臣、今度交付税問題、補正予算でも減額修正をされて提起をされています。どうでしょうかね。交付税、来年度予算では大蔵大臣、一兆円減額する、こう言われておりますね、一兆円ぐらいだろうと。これは、正税に対するそれぞれ料率を掛けて下がる、この額ならわかりますけれども、地方財政が豊かだから、国の歳入欠陥、歳入不足と合わせて交付税税率そのものも切り込むべきではないかという意見がどうもちまたにある。いわゆる交付税法六条三の一項、二項ですか、この制度改正をやろうという動きが出ているかに聞いておるのですが、よもや交付税の制度の改正に至る国と地方との財政調整は私はないと思いますが、大蔵大臣、御所見をまずお聞きしましょう。
  12. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 地方財政につきましては委員の方で既に御案内のとおり、毎年の地方財政計画、これの策定に当たりまして所要の歳出を見込みながら必要な財源を確保しているところでございますけれども、元年度以降の三年間は必要な歳出を確保した上でもなお財源余剰が生じておりまして、これを地方財政の健全化措置に充ててきたというふうに考えております。一方、今御指摘のとおり国の財政事情というものも大変厳しいということでございまして、いろいろな対応を迫られておるわけでありますけれども、国と地方におきますところの税収の動向などまだ不確定な要素もございまして、現時点では確たることを申し上げることができないというふうに思っております。  いずれにしましても、今申し上げましたようなことを踏まえまして、私どもといたしましては国と地方の財政調整、これにつきまして今後の予算の過程の中で検討をしていきたいというふうに思っております。いずれにしましても、四年度の地方財政の円滑な運営、これには支障を来さないように努めていかなければいけないというふうに思っております。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政調整という言葉はね、大蔵大臣、私は余り広い意味でとらえてもらっては困ると思っているのですよ。ここ三、四年間、財政調整という名で、今年度、平成三年度は五千億円の例の、国は交付税を減額したと言うし地方は貸したと言うし、という言葉がございましたね。財政調整を広い意味でとらえますと、今度は交付税率をどうするかという問題になってくるわけです。私は、基準財政需要額とそれから交付税額との差がある、そこに余剰財源があるのではないか、つまり一般財源も地方税も含めましてあるのではないか、だからその部分について財政調整をするというだけの範囲の財政調整というのは、これはあり得ることだろうと思うのです。いいとは言いませんけれども、あり得ることだろう。しかし財政調整が交付税率にかかわる問題まで入ってまいりますと、これは財政調整のことを超えて制度の改正になるわけです。六条三の二項の制度の改正に移っていくわけですね。自治大臣、これは、制度改正をまさか自治大臣はやるなんということを大蔵大臣と合意するはずは私はないと思いますが、いかがですか。
  14. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 なかなか的確なところを御質問していただきましてありがとうございます。  おっしゃるように、まさに交付税率を変えるということは制度改正につながってくると思います。私たちは、そういうことは国も地方も財政が安定しないで不安定な要因をつくるのみだと思っております。すなわち、五十九年から六十二年ごろまでは随分と交付税が赤字をしょっておりましたときに国に随分助けてもらいました。そのときに、我々もできれば交付税率を上げてほしいということを要望したのでございますが、その時分の政府の空気としては、いやこれは安定しておるからこそいいのだと、こういうお話でございまして、そこを借入金で切り抜けてきたのでございます。  それで今回、財政調整というのも、大蔵の方から私はまだ何にも聞いておりません。ですから、今のところ隣の国の上で雷が鳴っておるような感じでございまして、まだ何も感じておらないのでございますが、いずれはしかし、これは国も地方も一体となっての国の政策でございますから、この協調を図らなければならぬと思うのでございまして、所要の財源措置等を通じてそういうものの調整は当然していかなきゃならぬと思っておりますが、私たちといたしましては、そういう制度改正につながるような税率の改正というものには絶対に手を触れてもらっては困る、この安定があってこそお互いが協調していけることだと、私はそう信じておりますので、今後ともひとつよろしくお願いいたします。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは総理総理も大蔵大臣の経験者でこの辺は大変苦労されたところだろうと思うのです。基準財政需要額といわゆる一般財源、これは交付税を込めての話ですが、この差がある。しかも、都道府県では二〇%、市町村では二五%の保有財源がございますね。これを独自財源としてそれぞれ地方は単独事業を拡大をしているわけです。私は、基本的には、基準財政需要額の算定の単位費用を上げなければ、地方が求めている、いわゆる超過負担と言われておるものの解消にはならないと思うのですよ。基準財政需要額を積み上げれば、結果的に、今の交付税の基礎になります正税の掛ける料率というものは制度としていじる必要はない。  問題は、単位費用が極めて少ないですから、それの積み上げが基準財政需要額になるわけですから、それと一般財源として交付税を込めた額とのこの差といいましょうか、それが地方の余裕財源だというように、余剰財源だというように見られる節がしばしばあるのです。したがって、その部分は全部地方ではいわゆる超過負担として二〇%なり二五%の保有財源をもってこれを充当しておるわけですね。したがって、これは自治省にも、事務当局、基準財政需要額を積み上げていらっしゃるその場合でも、単位費用のあり方については十分御検討される必要があると思うのです。でなければ、この地方が富裕たがら、国の財政が手元不如意だからそこに財政調整を行うという話は際限なく続きますよ。  私は、この辺は前からも指摘をしまして、何かその金が余ったから財政調整基金にこれを積み立てるとか、あるいは特会会計の償還額を年度繰り上げして償還するとかいう、そういう財政調整をしたがゆえに、何か地方は常に余裕財源があるんだ、余剰財源があるんだ、こういう、大蔵省だけに限らず一般的にもそう見られる要素をつくり上げてしまったのではないか、こんな気がしてならないのです。一番基礎になるべき基準財政需要額の単位費用をどのくらい超過負担のないように積み上げていくのか、ここに焦点をまず移しかえてもらわなくちゃいかぬ。  最近、福祉ゴールドプラン十カ年戦略ですね、これなどを見ておりましても、例えば特養老人ホームをつくった場合に、この費用のうちの国と県の負担それぞれが全体の総費用のうちの四割、多くても四割五分くらいですね。これなどを見ましても、その足りない部分は全部地方が単独的な事業として負担をして、ないしは補助をしているわけです。これなんかももう少し超過負担という問題を真剣に一般財源の中でどう考えるかというこの考え方を示していきませんと、これから起きてくるでありましょうあの十カ年ゴールドプラン計画によってさまざま積み上げられてくるこの事業計画が消化できない、消化不良になりますよ。ぜひここはひとつお願いをしておきたいと思うのです、  それから、今の基準財政需要額の基礎になるべき単位費用についてですが、この際、単位費用は改定すべき要素がたくさんある。超過負担は結果的にはここから生まれてくるわけですから、これは事務当局でいいですから、基準財政需要額の単位費用の改定についてはどういうようにお考えですか。
  16. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 毎年度の地方財政の運営に支障のないように、まず財政計画の策定を通じまして全体の財政需要を捕捉するわけでございます。それを地方交付税の基準財政需要額に的確に反映させていくということが必要なわけでございまして、そのためにはまず地方財政計画におきましてこれから取り組まなきゃならない地方の新しい課題、例えば地域づくりの推進の問題でございますとかあるいは公共投資の基本計画を踏まえました社会資本整備の充実でございますとか、今御指摘のような高齢化社会に対する施策の展開というような新しい財政需要というものを的確に捕捉をしていく、それをまず財政計画におきまして確保した上でそれを基準財政需要額に反映させてカウントしていく、そういう過程で単位費用の見直しということを行っていかなければならないものだというふうに考えております。  御指摘のような点につきましては、毎年度毎年度の地方交付税の改正をお願いをいたしておりますが、その過程におきまして十分御審議をいただきながら今後とも充実に努めてまいりたいと思っております。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今ちょっと話が出ましたこの福祉ゴールドプラン十カ年計画の中で平成五年度までに地方自治体はそれぞれこう積み上げてくるわけですね、事業計画を。これが総予算六兆円。まあ卑近な例で言えばホームヘルパー十万人なら十万人。どうですかね、自治大臣。もしその積み上げの経過が結果として、国が想定する例えばホームヘルパー、この十万人にしましてもあるいはショートステイのベッド数にいたしましても、これが上回った場合はどうしますか。もし福祉ゴールドプランという計画が、私それだけではいけないと思いますよ、施設の問題もあると思いますが、とりあえずまあ福祉ゴールドプラン十カ年計画に絞ってみてそれが上回った場合はどうされますか。地方自治体の積み上げてきたその事業計画をそのまま認めて、そして厚生省側とこれは相談するんですか。それを実行計画として移すというようにされるんでしょうか。いかがでしょうか。
  18. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 福祉ゴールドプランについての一例としてのお話だと思っております。  ちょっと一、二分時間をいただきまして、基準財政需要額につきましての私の考え方をちょっとお聞きいただきたいと思うのです。  確かに、おっしゃるようにい基準財政需要額と基準財政収入額の間の乖離が出てまいりまして、このことは、国が地方財政に非常な配慮をしていただいていろんなものを地方財源としていただいたそのおかげだと私たちも感謝はしております。それに伴いまして基準財政需要額を、今加藤さんがおっしゃるように、今見直しをしていかなきゃならぬ時期でございまして、その中の見直しの一つといたしましては、機関委任事務だとが団体委任事務、こういうものから、国が手当てされておるもの、そして実際に地方が使っておるもの、そして地方が住民負担として当然負担すべきものの費用、こういうようなものを一度見直してみて、その分の超過の分はやはり基準財政需要額の中に入れていかなきゃならぬだろう、これが一つあるわけでございます。  それからもう一つ、基準財政需要額で見直していきたいと思いますことは、従来の交付税制度ができましてから、何遍も改正はしておりますけれども、やはり実情の方が物すごいスピードで世の中が変わってきております。例えば、基準財政需要額の中に地方が行いますところの交摘要件とか面整備に対する基準財政需要額というようなものは非常に薄く見られておるということでございまして、こういうようなものもやっていかなきゃなりませんし、それから文教関係におきますところの先ほどおっしゃいました基準単価のとり方でございますが、これも低い、こういうようなものを、新規に追加していくべき財政需要というものを計算していかなきゃならぬ、こう思っておるのであります。  そこで、先ほどお尋ねの福祉ゴールドプランの件でございますが、これは厚生省と非常に緊密に連絡いたしておりまして、実施するのはやはり地方団体でございますので、私は、でき得れば厚生省の方で一つのメニューを、これを基準にして、それぞれの地方自治体で創意工夫した方法をとっていけるようにしていただきたい。上からこうなんだということをお仕着せでやられますと非常にやりにくい点が出てまいりまして、さっきおっしゃるような財政調整の問題もこれがために非常にしにくいような状況になる。  したがって、まずこのゴールドプランを実施するについてはそれぞれに自治の特徴を生かしてもらうということが一つ。そしてその間に、そこに至らないものと、それを超過するものとあると思います。それを勘案して、福祉行政全体に幾らということを見積もっていきたい。それで私は、もし地方におきましてその福祉ゴールドプランの中の一事業がはね上がったといたしましても、それは地方でできるだけ勘案して見ていきたい、こう思っております。それがやはり地方における特色だろう。つまり、老人世帯の非常に多い過疎県等と、それから若い人の多い大都市周辺とは違うわけでございますから、そこは見ていくべきだと私は思っております。それがためには画一的な行政でないようにしたい、こう思っております。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方自治を経験の塩川大臣ですから、ぜひ大臣大臣が在任中に、今前段おっしゃったことが一番大事なんですよ、これはひとつ財政当局を含めて御検討いただきたいと思うのです。  総理、ちまたにある地方富裕論というのは、実は今塩川大臣がおっしゃったように、基準財政需要額と基準財政収入額との乖離が、超過負担の解消だとか、さまざまなこれから行われる四百三十兆円の事業もこれは七〇%以上地方が消化するわけですから、経済企画庁長官が言ったように、それも経済堅調の、日本の堅調の基礎になるべき事業だ、こういうところでありますから、今塩川大臣がおっしゃったことを厳粛に受けとめていただいて、これから平成四年度の予算が編成されるわけですから、総理、大蔵大臣と自治大臣とはこの分野については恐らく相当意見の対立が起きるのではないか、こう思いますので、総理見解をこの際聞いておきたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほど加藤委員がるるお述べになられました基準財政需要の問題、今塩川大臣答弁をせられました同じ問題を私は指摘をし議論をしておられると伺っておりまして、実際そういう問題がございますことは、だれの目にもこれはもう否定のできない明らかなところでございます。  そういう問題はそういう問題としてやはり正面から直視をしなければならない問題でございますし、もう一つの問題、つまり来年度の予算編成との関連で申しましたら、加藤委員も言われますように、このような経済状況において来年度の国の予算の編成というのは大蔵大臣は相当御苦労をやはりなさらなければならない。それは、経済運営というものもやはり非常に大事でございますので、それだけ難しい編成をなさらなきゃならないと思いますが、そういう問題について恐らく両大臣の間でいろいろなお話し合いがあることであろう。その際に、ただいま加藤委員の言われましたこと、塩川大臣のお答えになられましたこと、これはやはり現実に直視をしながらどのような調整をしていくかということを両大臣でお話をしていただきたい、こう思っております。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度の補正予算で廃棄物処理に関する交付税の追加額がございますね。これは金額では二百六十億円、率直に申し上げて、全体の交付税額からいけば金額としてはそう大きいものではございません。しかし、この中に秘められておる問題は、これからの地方と国との関係、財政調整の関係も含めて大変重要な問題が含まれているんじゃないでしょうか。  私は、廃棄物処理の整備事業に関する補助金が交付税化されたということについては原則的に賛成です。これはいいことですよ。しかし、御案内のように、交付税というのは特定な財源として指定をされるべきものではないですね。一般財源です。今度この制度が入りますと、特定財源として交付税の、まあ一部分ではありますが、指定をされておるわけです。ですから、補助金というものが、これは厚生省、私は予算の見積もりの間違いだと思うのです。見積もりの間違いと言っちゃ悪いですが、いわゆる廃棄物処理事業はこれほどの各自治体からの要求があるということを、見込みが薄がったために、結果的に補助金を交付税にカウントせざるを得なくなったという背景があります。これは、本当はこれだけでも議論をしたいのですが、時間がありませんから申し上げませんが。前段申し上げました交付税というのは一般財源です。地方が自主的にお金を、国の調達機能を通して配分をされて、それを自主的にさまざまな事業に使っていくという、そういうお金ですね。特定財源に指定されたということは大変問題ですよ。これがまず第一です。  二つ目の問題は、もし特定財源として交付税にカウントされるとするならば、私は、交付税額総体としてこれはプラスをされるべき問題ですね。交付税の額の一部分に、これはこの金に使いなさいよ、したがって交付税をという問題ではなくして、一般財源として加算をされて、そして交付税化されるべき問題だ、そういうように私は思うのです。したがって、もしそれがこれから行われていくとなりますと、どうでしょう。奨励的補助金というのは大体二兆円近くあるのじゃないでしょうか。今二百六十億円ですが、さらにそれが次から次へと事業が出てまいりまして、いや、これは交付税だ、これは交付税だ、これは交付税だということになってまいりますと、交付税の一般財源としての性格がまさに変わってくるのですよ。まあ僕は、自治省はことしは地方団体の廃棄物処理の単独事業が多いからこれに応ぜざるを得なかったという経過があるでしょうけれども、これは大変重要な問題を内容的には秘めている。この点についてまず自治大臣見解をお聞きしたい。  それから大臣、いま一つ、今度地方財源が、交付税が法人税の減額によって減額されましたね。それを特会会計の償還額の繰り入れを先延ばしをいたしまして、今年度一兆五百億だったですか、やったやつを減額しまして、それでことし交付税が削減された分を穴埋めした。あれもおかしいですね。どうなんですか。本当ならば、平成三年度の予算で行われました例の五千億ですね、そのうちの四千五百二億ですか、地方から見れば国に金を貸したという、国からはこれはもう交付税を減額したんだという、あの金を充当すべきですよ。これから償還をされるものをストップして、それを取るんでなくて、五千二百、あのときは五千億ですね、そのうちの四千五百二億円、あれを本来はこの財源に引き当てるべきじゃなかったですか。これが第二点の問題でございます。  三点目は、先ほどの問題に関連しますが、奨励的補助金を先ほど言いましたように交付税化するということは私は原則的に賛成だと言いましたが、国庫負担金についてはまさかこんなことはないでしょうね。国庫負担金については、よもや交付税化されるようなことは私はないと思うし、またそれはあってはならない。これはもう法律上決めていることですから、例えば二分の一国が負担をするという問題については、これを交付税化するなんということは絶対あり得てはいけない、こう思います。  以上三つの点について、自治大臣見解をお聞きしたいと思います。
  22. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 まず第二点の御質問でございますけれども、これは非常に事務的になる問題でございまして、交付税が、毎年国と地方との貸した借りたの、そういう覚書が頻繁に行き来しておりますので、その一つ一つについては私はようわかってはおらないのでございまして、その数字の整理につきましては、第二点は事務当局から答えるといたしまして、第一、第三の問題は、これは交付税制度の基本問題に触れる問題でございますので、私からちょっとお答えしておきたいと思っております。  まず第一点の、一般財源化して、これを補助金の補正に使っておるという、けしからぬじゃないかとおっしゃる。まさに、それは私たちは、交付税が地方の一般財源だということを十分承知いたしております。今度の廃棄物処理場の問題につきましても、であるがために、国が本当に補助事業として行うべきものと、地方が自主的に整備するものとを分けて、それで地方が自主的に負担すべきものについては地方で負担しましょう、それも全部入れまして今までは補助対象事業にしておったものを整理したということでございますが、でございますから、私は、廃棄物処理事業に対する補助金の肩がわりを交付税でやったということは全然違う、根本的に違うと思っております。整理をしたということでございまして、地方の事業としてそれを認めていくことにしたということでございます。  それから、国庫負担金の問題でございますが、これはまさに法で明記しておるとおり、確実にお互いに遵守して実行すべき問題であって、これを交付税といって、そんなことは全く理屈に合いませんし、交付税の本質にかかわる問題でございますから、そういうことは我々絶対考えておりません。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いいです、事務当局の人は私の言ったことはよくわかっていると思いますから、本来そうあるべきだという主張だけ私はしておきますから、そういうことを受けとめて今後の措置を考えていただきたい、こう思います。  それから、第一点の問題は、どうも自治大臣、まだしっかり理解をしておられないようですから、後でよく指導助言してやってください。  自治大臣、私の言っているのは、地方の単独事業であることはもう間違いないのです。それで、それに対して奨励的補助金がついておったわけですね。それを、交付税の中で、一般財源の中で入れ込んだことは原則的におかしいんですよ、制度上おかしいんですよということを申し上げているんで、これは答弁と少し食い違っているようですから、後で事務局の——時間が余りありませんから。本当は、これも一時間コースぐらいで実はやりとりをしたかった課題だったんですが、残念ながら時間の関係で省略をさせていただきます。  外務大臣、ソビエトが大変な政変でございますね。私は、ベルリンの壁が崩壊をしたということには比較にならないほどの、今度のソビエト連邦、国家の崩壊につながる課題ではないかとすら実は思っているわけであります。言われるところの核兵器の管理をだれがどう扱うのか、これは国際的にも我が国にとっても重要なことでしょう。それから、先ほど経済情勢のところでちょっと申し上げましたが、ソビエトの経済の疲弊は、国際的な経済関係、なかんずく当面我が国は経済協力で二十数億ドルですか、拠出をするという問題なども含めまして、ソビエトに対する経済援助の基本を問い直すべき問題まで含まれてきているのではないか。こういう観点から見ますと、今度のソビエトの政変というものは極めて憂慮すべき、あるいは時によっては我が国の外交のまさに真髄を問われる課題ではないか、こう思うのですが、ソビエトの政治情勢についてはどう見解をお持ちか、そして、日本の外交はどうあってしかるべきか、外務大臣に御見解をお聞きしておきたい。
  24. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 非常に時間の関係もありましょうから、かいつまんで申し上げます。  御説のとおり、本当に今憂慮すべき状態だと私も思います。ソビエトが本当に、例えば北方四島の交渉をやるにしても、今までは連邦在相手にやってきました。しかし、連邦の権限がなくなってしまうということになれば、じゃだれを相手にやるのか。当然それは共和国ロシアということになるんでしょうが、その他、いろいろな経済支援の問題その他についても、ソビエトの中の権限をだれが何を持っているのか、そういうことが今の状態ではわからない、非常に困ったものでございます。一日も早く、やはりいずれにせよソビエト国民が決めることですから、早くにきちっとどこがどういう権限を持つようになるということを決めていただきたい。その上でないと交渉のしようがありません。  それから、確かにソビエトという国が大きな人口を有する大資源国家でもございますし、今言ったように、膨大な核を各地に分散して持っておるということでありますから、これはもう世界の平和のためにも統一的な核管理をやってもらい、そして、この間の彼らの声明を聞くと、三カ国が集まって核は統一的に管理をして、これは将来廃棄の方向へ持っていくというようなことを言っておりますが、しかしそのほかに、それは戦略核の問題でしょうが、戦術核の問題になりますと、これまたどれくらいに散らばっておるのかも実際正確なことはわかっておりません。  いずれにせよ、我々は情報を的確につかんだ上で対処をしていかなければならぬ。きよう、きのうだったかな、新井大使をウクライナに早速派遣をいたしまして、現地の実態を把握して、そして正しい情報のもとに対策を立てていきたい、そのように考えております。  以上でございます。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 我が国の国民生活にも大変重要なかかわり合いを直接今度は持つわけでありますから、事外交問題でもありましょうから、これから機敏に対応し、しかも国民がソビエトの政変によって、国内の経済問題あるいは軍事的な側面も含めて、不安のない状況をつくり上げるための外交努力を外務大臣にはぜひお願いをしておきたい、こう思います。  先ほど総理、リクルート問題について、私、一つ質問を落としました。というのは、政治改革協議会でこれからやるということになったのですが、さまざまな資料証人、私どもこの要求をなお追求してまいりたい。当然これに対しては、総理がこれに対応するだけの姿勢と具体的な資料提供なり、あるいは証人喚問に対する総理自身の意思というものが強力に発動しませんと、政治改革と言われている問題の基本に触れみ原点の問題でもありますがゆえに、私は、総理自身の意思が問われるというように思うのです。私の質問時間もここでおしまいですから、この政治改革の、これから行われるであろうリクルート問題に対する総理の、どういう対応、どういう態度で臨まれるのか、この際お聞きをして、私の質問を終わっておきたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 このことは私自身の不行き届きで、まことに申しわけないことだということを今でも感じておりまして、所信表明で申し上げましたとおり、このことの解明につきましては、誠意を持って全力を尽くしていたしたいと考えおります。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  28. 山村新治郎

    山村委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。  次に、新盛辰雄君。
  29. 新盛辰雄

    ○新盛委員 まず、総理にお伺いします。  米自給堅持の上に立って農産物輸入自由化に反対をする、三回にわたる国会決議が行われたわけでございます。再度、総理の決意をお伺いしたい。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 それはウルグアイ・ラウンドに関してだと思いますが……(新盛委員「国会決議を言ったんだ。ウルグアイ・ラウンドは後にします」と呼ぶ)ウルグアイ・ラウンドにこれは関係する話ですから……(新盛委員「いや、それはまたやりますから」と呼ぶ)そうですか。ちょっと一つだけ。  国会決議は国会決議の、それは重みのあることは重々承知をいたしております。
  31. 新盛辰雄

    ○新盛委員 子供だましみたいなことを言わぬでくださいよ。  総理に、国会で何回か、本会議場でも答弁されておりますが、ニュアンスが若干変わった言い方もされた時期がございます。米の自給を堅持をして、自由化をさせない、これが国会決議ですから、これを総理は尊重してやられるつもりかどうか、決意を聞いているのです。
  32. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 従来政府は、米の問題につきまして、国会決議等の趣旨を体し国内産で自給をすることを基本的方針といたしております。  ウルグアイ・ラウンドはただいま最終段階で、各国ともいろいろな問題を抱えておりますけれども、米については、その中でただいま申し述べましたこれまでの基本方針のもとで対処してまいる考えでございます。
  33. 新盛辰雄

    ○新盛委員 内閣法制局に聞きますが、国会決議は行政府の行為をどのように拘束をするのが、お答えいただきたい。
  34. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答えいたします。  私に対する御質問でございますから、当然法律的な見地からと、こういうことだろうと存じます。  いわゆる国会の決議につきましては、法律的に申し上げれば、それ自身、国会が国権の最高機関であるという立場におかれまして決議をされることでございますから、尊重いたしますことは事実でございますが、いわゆる法律、これを誠実に執行する、こういう法律的な観点とはおのずから別個のものがあろう、かように考えております。
  35. 新盛辰雄

    ○新盛委員 では、この決議に仮に違反をするようなことになった場合はどういうことになるんですか。
  36. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 ただいま申し上げましたように、いわゆる法律と異なりまして、違反する、法律的に違反する、こういうことはなかろうかと存じます。
  37. 新盛辰雄

    ○新盛委員 違反することがなければということなんでしょうが、政府が今回の米の関税化、今ウルグアイ・ラウンドで折衝していらっしゃるわけですが、不規則発言が国内でもいろいろ出されています。過剰なぐらいにマスコミのいろいろな、例外なき関税化、一律関税化、もはやそういうことでなければ日本は孤立をするぐらいの報道がなされているわけですね。非常に異常です。同時に、内閣の中あるいは与党内部における不規則発言がたびたび出されています。部分自由化、あるいは五〇%ぐらいは認めていいじゃないかとか、こういうけしからぬ報道がなされるわけですが、政府が米の関税化とかあるいは部分自由化を約束をした場合、これは内閣としては総辞職に値する課題ではないか、私どもはこれぐらいの受けとめ方をしているわけです。総理、どうですか。
  38. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 政府といたしましては、先ほど申しましたような方針を基本に対処をする考えでございます。
  39. 新盛辰雄

    ○新盛委員 地方自治体では、これは各議会がそうでございますが、沖縄、東京を除いて現在では九四・九%、食糧安保、自給国会決議尊重、自由化反対の決議をしていらっしゃいます。もう県議会は一〇〇%です。こういう事態になっているわけですから、これから一段とこの交渉で毅然たる態度を日本は堅持をして、国会決議に基づいてやる、こういうことで明確に総理の決意をもう一回言ってください。
  40. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほど申し上げましたとおり、御指摘のような御趣旨でございます。
  41. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いまだにあいまいとして本心が見えません。  次に移らさせていただきますが、今、アメリカと欧州共同体、ECの対立は、ウルグアイ・ラウンドにおいては何なのか。年末合意はとてもできないだろう、あるいは来春になるんじゃないか、難航に難航を重ねておるようですが、この深刻な意見の相違はどこにあるのか。私ども、内容的には推測しております。しかし、基本的な問題としてECは輸出補助金百二十億ドルから三十億ドル、これを削減することによって経済が混乱するというこどはもうはっきりしています。絶対に譲らない。また、アメリカはウエーバー条項があって、自国の中においてすら、来年の大統領選挙とも関係するのでしょうけれども、いろいろとこのウエーバー条項に対する、撤廃は絶対にしちゃならぬという上下院の議員の署名活動も始まっている。こういう状況ですから、いずれにしてもこれはデッドロックに乗り上げてしまうのではないか。なのに日本だけが早目に受け入れ態勢だとか部分開放だとか、そういうことを、カードを切るようなことをしてはならぬ、このことを明確にしておいてください。
  42. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 そういうような考えでやっておるのでなかなか前に進まない。世界じゅう集まってこのウルグアイ・ラウンドを成功させようというのは、これはもう世界の一致している見解なんです。どこの国も、ウルグアイ・ラウンドを失敗させようという国は一国もないのです。ところが、総論はそうなんだが各論になると今言ったようにいろいろな問題がある。もともとこの農業問題については各国とも頭が痛いのであります。  かつて私がサミットに参加をしたときに、ある首脳が言いました。なかなか農業補助金を削除するということは困難だろう。しかしながら、そうかといって先進国が無理をして後進国の職業を奪っておるようなことをやったのでは、いつまでたっても世界の所得のバランスというものはとれないだろうと、やはりそれぞれ職業を与える必要がある。そのためには我々は大いに経済協力もしなきゃならぬと、しかし、発展途上国を我々と同じような先進国の教育水準、文化水準、医療水準にすることは不可能だと、しかし、では先進国だけでどんなに援助をしても我々はやっていけるものではない、やはり自活してもらわなきゃならぬ。そのためには、やはり我々は経済協力をしながら、LDCの自分の力で、自助努力による経済向上を図ってもらわなきゃならぬ。そのためには、何としても、無理して補助金をやったりなんかをしながら高いコストのものをたくさんつくらせるということをやっておったのでは、これは矛盾するではないかと、だから、一国だけではなかなかやれないから、世界じゅうが集まって、そうしてお互いに譲り合ったところで決めてしまう。そうすれば、世界じゅうで決まったことだから仕方がないだろうと言うしかこの国内説明はつかぬのじゃないかと言った人があるが、今考えてみると、なるほどなという気もするのであります。それが私は世界の実態だろうと思います。
  43. 新盛辰雄

    ○新盛委員 去る十一月二十一日、ガットのダンケル事務局長が包括的合意書までに至る作業ぺーバーというのを出していますね。この内容を見て各国の反応はどうであったか。あのダンケル事務局長の足元である、出身地であるスイスですらもう農業団体猛烈に反対、議会に押しかけているというふうに承っています。私どもの調べたところでは、日本、カナダ、エジプト、メキシコ、スイス、韓国、イスラエル、ナイジェリア、ジャマイカ、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、スウェーデン、チュニジア、まあバングラデシュは、これは最初は反対だったが、最近ちょっとまた格好が変わったと言われているんですが、いわゆる関税一律化に反対、この国は十三カ国です。そして、賛成だと言ったのはアメリカを初め七カ国にすぎない。いつも報道されるのは、日本と韓国だけが絶対に反対だと言っているというふうに報道されていますが、実態はそういうことです。  だから、こういう環境の中ですから、日本立場は、ガット加入の際の条件、いわゆるガットに議定書というのをつくって日本は加入したわけですね。その際に、一九五五年六月の七日にこの議定書の日付はなっているわけですが、食管法ができたのは一九四二年なんです。この内容から見て、いわゆる数量制限の禁止だとかいわゆる主要食糧の輸出入、こうしたことについては縛られない、拘束されないというふうになっているわけですから、これは、ガット・ウルグアイ・ラウンドというのは一体何か。これは農業だけじゃないんですよね、十五品目。いわゆる一番問題なのは今サービスでしょう。航空、海運。そして、これまで単純労働とかあるいは繊維だとかレコードレンタルとか、特に問題なのは特許権なんかを中心とした知的所有権、こういう問題が主力であったはずです。  米の分野になぜこう集中して、やれ米を開放しなきゃだめだだめだ、こう言っている報道も悪いんだが、これは農業分野は十五分の一にすぎないじゃないか。しかし農業分野の中でまた三作業部会があって、関税の問題とか保護の問題だとかあるいは障壁問題とか、こういうようなことが議論されているわけですから、全く一部分にすぎない。何でここにこう集中的になったのか。でん粉の取り扱い、いわゆる二十二品目から十二品目へ引き下げられた。その際にあのパネルの裁判、いわゆる灰色になったとかならなかったとかいう問題もあります。そういう作業過程というのはずっと歴史があるわけですから、牛肉・オレンジみたいに、やらないやらないと言って結果的には部分開放から漸次完全開放へという道をたどった経緯があるから、農民は不安を持っているんです。絶対にやらないんだと、余り日本が早くカードを切り過ぎているんじゃないか、こういうところにこの交渉の行く末というのはあると思うんですよね。  大蔵大臣も農水大臣やっておられるし、よく知っておられるし、いろいろな関係農林議員がいらっしゃるようですから、もう多くを申し上げませんが、その面の、いわゆるガット加入時期の問題、あるいは十一条に示される問題とかいろいろとあります。だから、この点は米市場の問題、どういうふうにこれから処理をされるのか、日本の国会決議の意思を貫き通すのか、このところなんです、問題は。どうでしょうか、総理の決意を。
  44. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 米が問題になっているというよりも、日本が問題になっていると言った方があるいはいいのかもわかりません。結局日本は、経済大国で、自由貿易で最大の恩恵を受けている国であるというように見られておりますし、事実そうでしょう。四十年前とは全く違う立場に立っているわけです。日本はガットに入れなかったのを頼んで入れてもらった方ですから、そのガットの条項をいろいろ活用して、自由貿易と自由経済によって今日の繁栄を確保した。その日本の問題で、我々は知的所有権の問題とかいろいろその他サービスの問題とかその他の問題、いろいろつき合っています。そこでこの農業問題だけが、今言ったようなことで非常にかたくなであるというから、そこのところだけが大きくクローズアップされている、これも事実だと私は思います。  しかしながら、世界の交渉事でございますので、一方には国会決議もあるし、関税化といったらば、それは食管法を第一直さなければならない、食管法を直すのには国会で承認をしてもらわなければ直らないということになりますと、空約束はしたって実行できないということになるわけですね。確かに国会決議は法律じゃありませんから、それ自身は法的な拘束力を直接持つものではありませんが、しかし、政治的な重みということはあることは事実でございます。  したがいまして、どういうようにこれを解決をしていくか。まず日本経済全体のことを考えなければならぬ。それと同時に、やはり現実にそれで生計を営んでいる米作農家の問題も考えなければならぬ。しかし、米作農家のことだけということになれば、日本経済から離れていいかというわけにもなかなかいかない。どこの国でも農業関係の反対というものは物すごくあるのですよ。どこの国でもあるのです、今言ったように。それはフランスでも、アメリカの中にもある。しかし、全体としてどう見るかということで、これはみんな一〇〇%を要求するということは不可能なんですよ。したがって、私はこの間もヒルズ代表がおいでになったときにも言ったのですが、ともかく百点というわけにはみんないかないのですから、合格点で大体まとめる方がいいんじゃないのか、合格点というのは何点ですかと言うから、何点と言われたって合格点は合格点ですね、そう言っておいたんですがね。だから、みんなが少しずつ譲り合った中でまとめていく方向で努力をしているというのが現在の立場でございます。
  45. 新盛辰雄

    ○新盛委員 米国の稲作農家の皆さんは、これはもう率直に言って南カリフォルニア、一部にすぎないのですね、一万二千戸。その皆さんですら、それは平均七百二十ヘクタールぐらいの大規模農地で経営していらっしゃるわけですが、日本が自由化をしたら我々が困るんだ、タイやベトナムのような安いところの米には太刀打ちできないんだ、だから、日本が自由化したらおれたちの方は国内措置でもってこれは補助金も打ち切られるだろうし、助成金もなくなるから絶対にそれはしちゃならぬと言って、それこそ農民団体は反対ですよ。これはアメリカの精米業者協会あたりが、これは雇われ会長がおって、五、六人しかいないというちっちゃな団体だそうですけれども、これがアメリカの通商部に提訴したんでしょう。裁判二回やって、これはヤイターさんは当時、そんなのはもう多国間交渉でやればいいんじゃないか、こういうことでガットに持ってきたという経緯もありますね。  だから、現地のこういう方々が反対している、それにかかわらずなぜ米が、今一般的な十五分野にわたる各交渉をガットはやらなきゃならぬのに農業だけに集中するか、ここに問題があるわけですから、ちまたでは農業なのか工業なのか、こういう極論を言っているところもあるわけですから、自動車部品でおれたちがなぜ犠牲にならなきゃいけないのか、こういう農家の悲痛な声というのはやはり受けとめていただいて、絶対にこの今回のガット・ウルグアイ・ラウンドで譲歩してはならない。マディガン米国の農務長官言っておられるでしょう、ガット・ウルグアイ・ラウンドは期限があるわけがない。これは、ことしの暮れかぺーパーが出るとかなんとか騒いでいるけれども、きょうの新聞では、もう来春だと言っている。しかし、期限がないはずですよ、まとまらないのですから。ECとアメリカの間は絶対にまとまらない。それは三%ぐらいの数量制限の問題は出るかもしれませんよ。しかし、これはもうまとまらない。だから、日本は毅然とした態度で進めていただきたいと強く要望しておきます。  それで、時間というのは三十分で、これは二時間ぐらいやらなきゃならぬ予定がこうなっちゃったのですが、海洋資源の問題で、これも米と魚というのは非常に関連がありますよ。最近どうですか、極めて厳しい海洋の状況です。漁業外交が非常に脆弱だから、これはそのために一歩引き、二歩引いて、状況として悪化しております。いわゆる漁業外交、アメリカに譲れ譲れでやられたらすぐ譲っちゃうというこの姿勢をまず直さない限りはどうしようもない。  こういうことで、最近ではあのいわゆるアカイカ流し網、そして大目流し網、あるいはこれはICCATでちゃんと条約で決められておったのですがクロマグロ、これもまた今度ワシントン条約にかかわる問題として来年以降、いわゆる来年の末までに禁止。鯨は、IWCに私はこの五月に行きました。もうアイスランドとかノルウェーあたりは、脱退しても構わない、それほど悲痛な叫びを上げているわけですね。この商業捕鯨の復活。  こうした一連のいわゆる国際規制、二百海里以後非常に窮屈になった日本の遠洋漁業というのは一体どう救済したらいいか。もう既に、大目流し網がもし禁止されたら六百隻の減船、そして八千人の路頭に迷うこの漁業者をどう救済するか、これは悲痛な叫びを上げているわけです。だから、来年度の補正予算ぐらいに組まなきゃならぬだろうと言われていますけれども、撤退に次ぐ撤退で果たして済まされるか。  こういうことで、総理、これからの来年の六月に開かれます国際環境開発会議、この中で恐らく議論が集中すると思うのですが、日本の姿勢はどういうふうに、まだこれからの漁業外交をどうするのか、そして水産と環境というのはどう維持されていくのか、この面をお答えいただきたいと思う。
  46. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 先生御指摘のように、大変いろんな問題が次から次と発生するわけでありますが、何といっても環境保護と資源の保護、こういう観点から大変な指摘を受けているわけであります。  ただ、私どもは、鯨にしても流し網にいたしましても、科学的根拠というものに基づいてやっておるわけでありまして、この主張は随分いたしております。しかし、混獲問題でありますとか鯨等、かわいそうだという心理の方が非常に強くて、特に環境保護団体がこれに対して真っ向から反対をいたしておるわけであります。  私どもはそういう観点から、これからも世界のルールづくりをしていかなきゃいかぬ。それは何といっても科学的根拠に基づいてやっていくという方向というものをきちっと漁業国で取りまとめて、みんなで相談して、資源も守る、環境も守るという中で進めていきませんと、このままでは本当に我が国の漁業というものは衰退の一途をたどっていくと思うのです。  そんな方向で今までも主張してまいりました。なかなか日本の提案に賛同してくれる国が、今回も一カ国もなかった。残念なことでありますけれども、粘り強くこれからも主張して、何としても、後の対策はまた後で考えるにしても、そういうことで頑張っていきたい、こう思っております。
  47. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ちょうど農林水産大臣、今の回答はそれでまたこれから続けてまいりますが、先ほどの米の扱いについて、あなた主管大臣だから、いわゆる今ウルグアイ・ラウンドでやっておりますね。国会決議を尊重して、断固として基本線を貫く、この意思、ひとつ表明してください。あなた、決意を持っておられるようですから。
  48. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 お話しのとおり、国会決議を体して全力を挙げて取り組んでおるところであります。  いろいろな考え方ありまして、さっき外務大臣のお話しのような考え方もあろうし、国内に与える影響というものはどういうものか、いろんなさまざまな観点から考えて、しかし現状では私どもは、地方の経済に与える影響、あるいは環境の問題、そういうことから国会決議というものを体して今日も努力をしておるということであります。
  49. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間が来ました。  最後に、これはJRの雇用問題で、もう既に通知してあるわけですが、九月四日に、石川中労委会長が、不採用差別について着手する、環境づくりを初めとして、もう中身の問題言いませんが、千四十七名にわたる解雇者、この皆さんの救済のために御承知のように二百五十件の地労委申請があって、そのうちの百二件に対して地労委はいわゆる訴えどおり認められているわけです。この中では、採用差別事件にかかわるもの十七件、二千八百十六人を、救済命令として、原状に復せよ。これは経緯がありますが、組合別による差別はしないとか、一人も路頭に迷わしてはならないとか、国会でお約束をされたんですが、現実は解雇という痛ましい結果になって、全国からもう家族の悲痛なお手紙が来ています。  その際に、十二月四日、運輸委員会で、我が党の常松議員が質問したことに奥田運輸大臣がお答えになった、和解に汗をかく、非常に全国の皆さんを勇気づけましたし、希望を与えました。これは中労委がやることですから、この環境づくりその他、外野の方でおやりにならなきゃならないわけですが、もう運輸大臣の決意はわかりましたので、労働大臣からお答えいただいて、最後に総理の、これに運輸大臣労働大臣のお答えがそのとおりだとおっしゃれば、そういうふうにお答えいただきたい。
  50. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 先生御指摘のJR不当労働行為事件に関しましては、御指摘のとおり、現在中労委において採用事件について関係者からの事情聴取が行われておるところでございます。  このように、独立した行政委員会である中労委におきまして、当時者間の話し合いを基本として円満な解決に向けての懸命な努力がなされているところでございますので、私としては、その努力を見守りつつ、円満な解決がなされることを期待いたしますと同時に、解決に向けての環境の整備のためにはできるだけ努力をしてまいりたい、かように考えております。
  51. 新盛辰雄

    ○新盛委員 総理、お答えください。
  52. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま労働大臣のお答えになったように考えております。
  53. 新盛辰雄

    ○新盛委員 終わります。
  54. 山村新治郎

    山村委員長 これにて新盛君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  55. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず最初に、総理に基本的な九日の質疑の結果についてお伺いをしたいと思います。  九日、当予算委員会で、宮澤総理が提出されましたいわゆるリクルートコスモス株譲渡に絡む売買約定書など三点セットの内容を中心に我々は議論をさしていただきました。しかし、総理の御答弁は全く不十分でございまして、真相解明にはほど遠く、かえって疑惑を深める結果になったのではないか。そのときに指摘をいたしましたが、宮澤事務所ぐるみの疑いが濃くなったことを裏づけたのではないかと私は思います。  そこで、各党とも、宮澤さんの当時の秘書官だった、あるいはまた第一秘書でもございました服部恒雄さん、あるいは宮澤事務所のかぎまで預かっていたと言われる松本雅雄さんらを証人喚問を要求することで、御存じのとおり、きのうの朝十時の予算委員会理事会で我々はそれを政府側に申し入れをするというところまでいったわけであります。この間の経過は御存じのとおりであります。  しかし、先日、どこでどういうことになったかわかりませんが、証人喚問はこの予算委員会ではやらない、また、関係資料も別のところでという、何かそういう話が我々の知らないところでなされたようでございます。私ども、我が党は、かかる話し合いには参加をいたしておりませんので、あくまでも証人喚問を要求をしたい、こういう態度をまず表明を申し上げておきます。  なお、あわせて、我々が要求をいたしましたところのもろもろの資料等についてもこの委員会で提示をお願いをしたい、こういうこと宣言っておるわけでございますが、このことについて、総理の御見解はどうでしょうか。
  56. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 当委員会の御審議に当たりましては、お求めのありました資料を提示をいたしまして、私もまた誠意をもって全力を挙げておこたえをいたしてまいったつもりでございます。
  57. 草川昭三

    ○草川委員 では、この委員会に我が党が要求した資料は御提示なされる、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  58. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私といたしましては、御入り用な資料は既に御提示をしてあるというふうに考えております。
  59. 草川昭三

    ○草川委員 その資料を見て、改めてきのうの十時に我が党の要求ということで御提示を申し上げたわけですが、その件については何らかの御返事はないので、再度御確認をします。
  60. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私といたしましては、あります御入り用の資料は全部御提示を申し上げてあるというふうに考えております。
  61. 草川昭三

    ○草川委員 これは押し問答になるのも、時間のことでございますが、我々は非常に不満でございます。  そうすると、よその党のことは申し上げませんけれども、今まで出した資料以外は、例えば他の機関にもお出しにならない、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  62. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 当委員会の御審議に当たりましては、私はお入り用なものをもう御提示した、こう考えておるわけでございます。
  63. 草川昭三

    ○草川委員 そうすると、我々が要求をしておる資料については、もう既に出したのだから必要ないという御答弁、こういうように理解していいわけですか。
  64. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私といたしましては、全部お入り用なものをお目にかけておるという考えております。
  65. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、実はそのもろもろの資料について御提示がないと我々は言っておるわけですよ。ですから、服部さんと松本さんの証人喚問をぜひお願いしたい、こういうことを言っておるわけでございますが、本日の報道によりますと、与党の中でもこの際真相を徹底的に究明すべきではないだろうか、証人喚問に応じてもいいのではないだろうかという一部の声があったが、官邸筋が非常に強く反対をした、こういうような報道がなされております。その官邸筋とは私は総理御自身のことではないかと思うのでございますが、総理はやはり証人喚問にただいまの現状でも御反対でございますか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私が資料を添えまして、ほぼ一日でございましたが御質問にお答えをいたしました。それをもって私の申し上げるべきことは尽きておるというふうに考えております。
  67. 草川昭三

    ○草川委員 国民期待する政治改革をぜひ行わなければいけない。その政治改革を行う上に政治倫理の話も出てくるわけでございますので、事は総理御自身の問題でございますので、私はあえてこの際、我々の要求に、恥ずべき点がない、何もおかしい点がなければ、堂々と秘書の方々を説得されて、思い切って国会へ来てしゃべりなさいというような御提言があってしかるべきではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  68. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私自身が責任を持ってお答えをいたしておりますので、それをひとつ御信用いただきたい、こう考えております。
  69. 草川昭三

    ○草川委員 では、この問題は押し問答になりますから、次に移ります。  実は、月曜日に私も時間の関係があって申し上げられなかったのでございますが、いわゆるリクルートコスモス株の問題につきまして、現在の閣僚でございますところの官房長官、それから渡辺外務大臣、それかも渡辺郵政大臣、御三方の三点セットの要求を、この際私は改めて本店で要求をしたい、こう思います。  委員長、しかるべき処置をとっていただきたい、こう思います。
  70. 山村新治郎

    山村委員長 草川委員に申し上げます。  理事会に諮って対処いたします。
  71. 草川昭三

    ○草川委員 実は新聞報道でございますけれども、参議院の予算委員会の方はもう既にその要求が出ておるわけでございます。それで、参議院の予算委員会には既にこのお三方のいわゆる三点セットが予算委員長の手元に提出されているということが明らかになっております。それで、参議院さんの方では、各会派の理事らが衆議院と同様に非公開で閲覧すもことで合意した、こういう報道になっております。  そこで、私は、その内容は別といたしまして、お三方一人ずつ約定書は出されたのか、あるいはまた払い込みのしかるべき書類を出されたのか、あるいはまた売買差益金のみを受け取ってみえる方もおみえになるわけでございますから、売買差益金が入ったところの口座を御提示なされておるのか、それぞれお三方がら御答弁を願いたいと思います。
  72. 加藤紘一

    加藤国務大臣 私のケースは、私の個人の通帳と、それから金銭消費貸借契約書、これはファーストファイナンス社との関係でそういう消費貸借しておりましたので、それと、それから返済金の領収証と、それからもう一つは、自由民主党福祉事業に寄与する会にこの差益金を後ほど寄附いたしましたので、そこの領収証ということになっております。
  73. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは私じゃございませんので、独立の事業を営む私のせがれであります。ともかく、おやじの立場もあるんだから協力してくれということで頼み込みまして、最初はもう出さないとも言っておったのですが、そうは言わぬでと押し問答の結果、売買契約書はないそうです。もうとっくにそんなものは捨ててしまって、ない。しかしながら、銀行に払い込んだあれがある、振り込み書ですか、それで払い込んだことはわかるから、それでもいいだろう。それからあとは、当然払い込んでいますから、向こうから、今度は何といいますか、ある時期が来たときにそいつを売った、売ってそいつが入金になっていますから、入金になった、銀行の自分の口座に入ったという証明書と、それからその金の出どころ、これはやはり自分の口座から送金していますから、だからこれは、だれがどこに送金をしたという銀行の証明書と、だから、金の出と入りと、もう一つ、後でそれは社会に還元するということで献血事業団に寄附をいたしたので、そこの領収証ですか、受取、それのコピーを出しました。
  74. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答えいたします。  私の場合は、払込証明書と、そして代金を受け取りました証明、そして益金を福祉関係のところに寄附をいたしました証明書等をそろえてあるはずでございます。  以上であります。
  75. 草川昭三

    ○草川委員 今お三方は極めて、我々中身は別といたしまして、約束、最初の契約、そして相手側に払い込んだという証明、ある方ない方は別といたしまして、それから受けた口座、そして受けたその使途というのはそれぞれ極めて明快に御答弁なすっておみえになるわけであります。私は、これは総理は私のものではないということを月曜日一貫して御発言なすっておみえになりますけれども、少なくとも当時の大蔵大臣の秘書官の服部さん、こういうことなっていますね。そして、そのことが理由に大蔵大臣もおやめになった。だから当然私は、言うところの第二番目の問題についてのお金を三千万円どのように服部さんが工面をなされたか、どのように払い込まれたのか、あるいはまた受けた口座の中からどのようにその三千万円という借金を払われたのかということ、あるいはまたその使途、今のお三方の御答弁を聞いていてどのようにお考えになっておられますか。人は人、私は私という御判断でございますか、お答え願いたいと思います。
  76. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 せんだっての御質問に際しましてお答えをし、また、必要な資料をごらんいただいたわけでございます。プライバシーに関するもの以外は全部そのまま申し上げております。
  77. 草川昭三

    ○草川委員 プライバシーにかかわることでも、先ほどお隣の外務大臣はきちっと説得をされて、しかじかかくかくという御答弁をなすって、しかも、使途についてはこのように益金は払い込みましたよ、官房長官も同様の御趣旨のこと童言っておみえになります。私は態度が随分と違うと思うのでございますが、その点大変私は総理大臣の基本的な姿勢として問題があるように思うのでございますが、御三人の御答弁を聞いて、いま一度総理の私の主張に対する回答をお願いしたいと思います。
  78. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 プライバシーに関します以外のものは全部申し上げてございますし、また、自民党の方に社会にそれを還元するということがございまして、私どもの方もそういうふうにこれを扱わせていただいております。
  79. 草川昭三

    ○草川委員 その服部さんの益金ですね、益金が自民党の窓口を通じてどこかへ払い込んだという御答弁でございますか。
  80. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 党がいたしましたときに、その部分は還元をしたということでございます。
  81. 草川昭三

    ○草川委員 そうなってきますと、また月曜日に私は話が戻っちゃうんですよ、この話は。それで交際費に使ったという御答弁でございますから、これは一回議事録を精査していただいて、ちょっとこれは議事は進行しませんよ。ちょっと相談してください。
  82. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 正確に申し上げますけれども、それ相当額はやはり社会に還元しなければいけない、こういうことでいたしたわけでございます。
  83. 草川昭三

    ○草川委員 いやいや、もう一回お尋ねしますが、益金を社会に還元されたのですか。されたとするならば、されたという証明が出るのですか。どうでしょう。
  84. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは二千百万円でございますか、党の方に寄託をいたしました。
  85. 草川昭三

    ○草川委員 そうすれば、月曜日の御答弁は違いますよ。撤回してくださいよ。撤回されるのか、何らかの処置をとっていただかないと、これは議論になりませんよ。
  86. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 この点は、やむを得ず私どもの方で党の方針に従いましてそれを出しておるわけで、それは立てかえとでも申しますのでしょうか、きちんといたしてございます。
  87. 草川昭三

    ○草川委員 立てかえって、何を立てかえられたのですか。
  88. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これはやはり消費いたしましたものの、これは還元をしなきゃいけないという党の決定もございまして、それに従ったところでございます。
  89. 草川昭三

    ○草川委員 そうすると、一たん受けられたのを約一年半ぐらいの間に交際費に使って、それで終わったんだけれども、世論の関係これあり、党の方へ別にまたお金を出した、二千万円という。それはだれが出したのですか。宮澤さんが立てかえられたのですか。
  90. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 服部恒雄氏が私の事務所に働いておりましたので、事務所において服部氏にかわりまして立てかえをいたしておるわけでございますから、これは正直を申しますと求償しなければいけないという理屈になろうかと思いますが、党の方から領収証をもらっております。
  91. 草川昭三

    ○草川委員 だとするならば、ますます宮澤事務所ぐるみでこの本件が処置をされたと言わざるを得ませんが、その点はどうでしょう。
  92. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、そうではございません。
  93. 草川昭三

    ○草川委員 そうではないと言うのですが、これは国民の皆さんが聞いていて、話がとても理解をするというところにいかぬのじゃないですか。そういうことが通じるようなことで、実は私は日本政治をつかさどっていただくには極めて不安定です。私は信頼ができません。もちろんお立場は違いますけれども、我々とは立場が違いますが、そういうことで言いくるめるという態度ですよ、それは。今のような御答弁があるならば、月曜日の予算委員会でどうして言われぬのですか。そういうことをおっしゃるから我々はますます服部さんの証人喚問が必要だ、こういうことにならざるを得ないのではないでしょうか。もう一度御答弁願います。
  94. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これはもう間違いなく服部氏の個人の取引でございますけれども、その結果として社会からこのような御批判を受けたわけでございますから、いやしくも私どもの事務所にいっとき勤めておった人間でございますから、事務所において本人にかわりましてこの金は党の方にお納めをした、こういうことがいきさつでございます。
  95. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにいたしましても、それは事務所ぐるみの疑いが一層濃くなったということで、これは残余なお私ども持ち越して、改めて理事会にこの処置については提言をしたい、こういうように思います。  なぜ総理、私どもがこのリクルートの問題について細かいことをお伺いをするのか。これは先ほど来申し上げておりますように、今、日本というのは内外非常に厳しい状況にあるわけでありますよ。先ほども出ましたように、ソ連邦の解体という問題をめぐる、どこの共和国と我々は話をしたらいいのか。あるいはまた一昨日来サハリンから州議会の議長が、多分これは与党の佐藤総務会長のお世話だと思いますが、お見えになったようですね。いろいろとお話を我々も仄聞をいたしますと、本当に北方四島の返還については、力ずくの交渉ではなくて、民衆レベルでのいろいろな理解が必要だという極めて大切なことを言っておみえになります。従来の外交姿勢と違うことをやらなきゃ北方領土の四島の返還もないというようなことが今、目の前に来ておるわけです。  あるいは今議論をしておりますこの予算案についても、補正予算についても我が党は大変な議論をいたしまして、今回賛成という立場をとりました。しかし、この予算案の性格を見てみますと、大幅な税収減になっていますよね。しかもその延長線からいうとするならば、平成四年度の税収減というのも、大蔵省が与党に御説明をなすったところによると、約六兆円と言われておりますね。六兆円にわたるところの税収が計画より減るということは、日本の財政にとってもこれは大変なことなんですよ。  ちょっと途中でございますが、六兆円になるのかどうか、与党に説明されたことについて、大蔵省からきちっとその税収減のこと、税収不足の数字だけ明らかにしてください。
  96. 濱本英輔

    ○濱本政府委員 お答えを申し上げます。  先般、財政の全体の姿をごらんいただきます上で、私どもが概算を試みましたものを内部でまとめましたけれども、それに載っております数字でただいま委員から御指摘がございました六兆円と申します数字は、恐らく歳入の方の不足と、それから歳出の状況と両方を組み合わせました差し引きのギャップの数字であろうと思います。  税収について申し上げますと、前にもこの機会に申し上げたことがございますけれども、平成三年度の税収が低調でございまして、これが補正予算段階で二兆七千八百二十億円減額補正を要する状況になったということでございます。平成四年度、次年度においてこれがどういう状況になるかということにつきましての正確な見積もりというものは、まだ我々も持っておりません。なぜかと申しますと、平成四年度の税収見積もりを立てます場合には、どうしてもその平成四年度の経済がどうなるかということが必要でございます。それは今政府部内におきまして経済見通しの作業を続行しておりまして、これが判明してきます段階で確定さしたいと思っております。
  97. 草川昭三

    ○草川委員 私が申し上げたいのは、いわゆることしの経済成長が三・八で行くのか三・五になるのか、いろいろな試算があるでしょう、それに基づいて税収というのは決まるわけですから。しかし、いずれにいたしましても大幅な収入減ということになると、日本経済というのはもう胃拡張になっているわけですから、大変難しい問題があるわけですから、赤字国債を発行するのか、あるいはまた新しい税を取るのか、あるいはまた節減、削減というものをどの程度やっていくのか、いずれの選択も大変難しい問題があるわけでありますよ。下手をして景気政策というのを誤ったとするなちば、四十年不況が再び来るかもわからないという重要な時期でございますから、いずれにしても国民の理解、協力を求めないと、これからの財政運営、我が国の運営というのはできないということなんです。  国民の協力というのは、国民は毎日総理の動きを見ているわけですよ。総理というのがこの国会で、どのような国会での質疑をなされているのか、あるいは日ごろからどういう態度をとっておみえになるのが、よろしい、こういう総理ならば、本格的な内閣だから、あるいは実力者の内閣だから、ひとつ国民も協力をしようということになるかならぬかの瀬戸際なんですよ、今の態度は。だから私はあえて今のことを申し上げたわけです。  ところが、月曜日の御答弁では、秘書官の服部さんが一年から一年半交際費で使ったらしいという程度のお話でございましたね。ところが、きょう私が言うと、あとの三人の方々はそれなりに具体的なことを御提示なすった。使途についても明確なことをおっしゃった。それを聞いて、いやそういうことならば、実は我が方もしかじかかくかくというのを秘書官のサゼスチョンを受けて御答弁なすってみえますよね。私は、ここはどう考えても、月曜日の論議を聞いておりましても、総理自身がこの三点セット、リクルートの反省、大蔵大臣をやめられた理由なぜやめなきゃいけなかったのか、その御反省が全然ないと思うんですが、どうですか。
  98. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 御解明をいただくことが大事だと思いましたので、所信表明におきまして、必要な資料等々最善を尽くすという意味で申し上げたわけでございますけれども、そのとおりにさせていただきまして、また、私から誠意を持ってお答えを申し上げたと確信をいたしております。
  99. 草川昭三

    ○草川委員 確信を持ったと言って、変な確信ですから、だめです。我々に理解を、私が理解するような御答弁を確信持って言ってくださいよ。確信を持ってと言ったって、大変総理は頑固だということしかわかりません、私は。過ちを反省なされるという素直さが、大変恐縮でございますが、総理には見受けられません。非常に私は残念です。  きょうの新聞にも私立大学の助成一割カットでしょう。そして、先ほど加藤さんが御質問なすったように、全国の自治体は緊急の決起大会を開いているんでしょう。我が国の財政はどうなるのか、みんな心配している。秘書官が二千万円という収益金を一年から一年半に交際費で使った。そして後で何か立てかえられて、事務所で立てかえられて、まあ世論がうるさいからどこかへ寄附された。これは国民の協力を得るという姿勢ではないということを強く申し上げたいと思うんです。  そこで、月曜日のことに少し戻りますけれども、私がこの三千万円の資金調達をどこからしたか、こういう質問に対して、各党ともそうでございますが、四人の友達から借りだということを言われました。新聞で見た程度でございますが、それとも月曜日であれだけ我々が厳しい追求をいたしましたので、総理は改めて服部さんに御連絡なすって、おい三千万円の出所については一体どうなんだ、友達四人なのか、それはもう頭割りなのか、あるいは国会で我々が要求したように、十月十五日、いわゆる宮澤事務所の口座から現金が出ているが、それは一部に使われておるのかないのか、お問い合わせになりましたか。
  100. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 本人が従来からそういうことを申しておりますのを承知しておりますので、別に確認はいたしておりません。
  101. 草川昭三

    ○草川委員 そうすると、月曜日にあれだけ、私ばかりではなくて他の党の方々が、三千万円の出所のことについてあれだけ厳しく総理に、服部さんの資金調達の中身はどうなんですかと聞かれても、あえて服部さんに御連絡なすっていない、こういうことなんですね、今の御答弁は。それは一体、何というんですか、カエルの面に小便という言葉がございますが、そういうことなんですか。
  102. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 プライバシーにわたる以外は誠実にお答えを申し上げております。
  103. 草川昭三

    ○草川委員 プライバシーとおっしゃいますけれども、何回か申し上げますけれども、あなたは今総理大臣ですよ。いいですか。服部さんというのは当時の大蔵大臣の秘書官ですよ。公的な方々でございますがら、さっき外務大臣は、自分の息子で人格が違うけれども、説得したとおっしゃっているじゃないですか。そういう態度をお隣の方はやられておるのに、あなたはやられぬのですか。
  104. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 かつて秘書をいたしておった人でございますけれども、その人にもプライバシーというものはやはりあります。それは大事にしてやらないといけないと思います。
  105. 草川昭三

    ○草川委員 では、十月十五日に宮澤事務所のお金が現金でどこかの口座に移っておるんですよ。そういうことについても特段お調べになっていないんですか。
  106. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ちょっと失礼いたします。それはどういうことでございますか。
  107. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、もう一回申し上げます。  私がこの前の月曜日のときに質問したのは、宮澤事務所の口座というものが検事の調書によっていろいろと出ておるわけです。そこにお持ちのはずなんです。あの中で五百万という指摘をしましたね、現金で。事務所から事務所への移動ならば口座間の移動だという御答弁なすってみえる。現金が出ているのはおかしいじゃないですか、その中の一部ではないですかという質問をしたのです。そういうことではないでしょうという御答弁だったんですが、調査をするとおっしゃったんですよ、あのときに。調査をするとおっしゃったんで、調査をされましたか、こう聞いているのです。
  108. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 大和銀行の口座の金、時々まとめまして現金をあそこから出しておりますが、これはこの話とは全く関係がございません。
  109. 草川昭三

    ○草川委員 全く関係のないとおっしゃるならば、その証拠を後で御提示願いたい。例えば政治資金規正法の届け出は三年間のみでございますから、実は自治省の方にはもうないんですよ、その口座の受け払いというのは。だから、これはもう宮澤事務所の中の資料だけでございますので、ぜひその資料を御提示願いたい。これも委員長に強く要望を申し上げます。取り扱いについては彼ほどで結構でございます。  それで、その三千万円の資金の調達についても、新聞で見た程度だというような御発言が今でも繰り返されておりますけれども、その後宮澤総理は服部さんと、この三年間、大蔵大臣をやめられてから三年間の間、何回ぐらい御接触になっておみえになるんですか。電話の連絡も全くないんでございますか。
  110. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 人の葬儀のときぐらいに遠くから見る程度で、実はまことに疎遠でございます。
  111. 草川昭三

    ○草川委員 それで、私どもが何回か申し上げておるのは、こちらの方からもくどいじゃないかとかしちくどいじゃないかというような御発言がありますけれども、プライバシーの問題とかということ以前に、公職者なんです。日本の国のトップなんですよ。それが国会で、私自身が納得できる資料ができたので御提示するとおっしゃったんですよ、つい最近のこの予算委員会で。ですから、総理が納得できる資料を提示しても我々は納得できないからお伺いしているんだから、そのことに対して、じゃ服部さんに電話をかけて、こういうことを言っているんだがどうだ、こうだ、なぜそういうわかりやすいことができないんですか、常識的な行為ができないんですか。ほかの御三人の方はみんなやってみえるんだから、同じようなことを。
  112. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 何度も申し上げますけれども、これは私自身について起こったことではございませんし、また、かつては秘書をしてくれた人でございますけれども、もう三年余り前にいわば退職をしておりますので、その人のプライバシーというものはひとつお認めをいただきたいと思います。
  113. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしても、今の御答弁で、ほかの三人の方と比べて著しく宮澤総理の対応は悪いということだけはこの際申し上げておきたいと思うのです。  それで、ついでながら申し上げますけれども、この大和銀行の衆議院支店の宮澤喜一さんの名義の預金口座に、それ今持っておみえになると思うのでございますが、これは先ほど来からの話で言っておるんでございますが、九月の二十九日に一千万円の小切手が入金をされております。それは御確認なされますね。
  114. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまちょっと資料を持ちませんので、よくわかりません。
  115. 草川昭三

    ○草川委員 これは先ほど来から申し上げておりますように、検事調書の中に出てくる預金通帳の中身でございますから、私もうそを言っておるわけではございません。  こういう金額というのは、少なくとも宮澤さん個人の当時の所得としては申告されておられぬと思うのです。要するに、一人の政治家というのが一年間に受けることのできる寄附は、同一個人からは百五十万、同一法人からも百五十万でございますけれども、これも江副氏から受けたところの五千万円の寄附と同様に政治資金規正法違反の疑いがあります。  このことについて何か御反論はございますか。
  116. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 その口座は私の、何と申しますか事務所関連で、私の政治活動といいますか、例えば出演料とかそういったもの、あるいは退職金というものを扱っている口座でございますが、私の税金の申告のときにはそれを税理士が見まして、その中で私の所得に属するものを分類いたしまして申告をしておるということでございます。
  117. 草川昭三

    ○草川委員 ところで総理は、私が月曜日の質問に、総理の任意団体は幾つございますかという質問をいたしました。これはあらかじめ政府委員を通じて質問をしておることでございますので、本日、任意団体の数とそのボリュームをお聞かせ願いたいと思います。
  118. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは前にお尋ねがございました点ですが、任意団体というのは文字どおり任意団体でございまして、勉強会であるとか研究会であるとかそういうものでございますので、幾つというふうに実はちょっと申し上げかねる、どこにも届け出るとかいう問題ではございませんものですから、御了承いただきたいと思います。
  119. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、総理を囲む会、まあ仮称とします。総理というよりは、当時はまだ大蔵大臣でございましたし、いろいろな御経歴を持っておみえになりましたので、仮称宮澤喜一を囲む会というのはたくさん持っておみえになると思うのです。任意団体というのはたくさん、学校の同窓会も任意団体でございますからあれでございますけれども、少なくとも総裁候補でございました宮澤さんを中心とする任意団体は、かなり年間の総量としては大きい金額を扱っておられるわけであります。当然のことながらその大きな金額、例えば一社年間百万、あるいはまた二百万、三百万という方々が年に何回か集まられて食事をされるとか、そしてその会で、どうぞ宮澤さん頑張ってくださいというような趣旨で使われている金額は多いと思うのです。  そこで、ここで自治省にちょっとお尋ねをいたしますけれども、今は答弁がないのでございますが、いわゆる任意団体で集められた金が政治家に渡り、政治活動に使われたとき、政治資金規正法の対象になると思うのですが、その点はどうでしょう。
  120. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 任意団体の問題でございますが、任意団体というものは政治資金規正法上そういう規定があるわけでございませんで、政治資金規正法上は政治団体というものが定義づけしてありまして、政治上の主義主張を推進する、あるいは特定の候補者を推薦するというような団体を言うものでございます。それが政治団体ということになっております。
  121. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、しかし、政治活動にその金が使われたならば政治資金規正法の対象になるのでしょう。もう任意団体ならば幾らお金が集まって自分が政治活動に使っても関係ないのですか。そこだけ簡単に言ってください。なるなら、なる。政治活動に使った場合の話ですよ。
  122. 吉田弘正

    ○吉田(弘)政府委員 任意団体がその資金を、政治団体や政治家個人に対して政治活動に関する寄附をしたという場合には、一般論としてこれは政治資金規正法上の寄附の規定の適用を受けるということでございます。
  123. 草川昭三

    ○草川委員 だから、もうきょうは細かい、どこどこにどういうのがあるということは申し上げません。  総理にお伺いしますが、たくさんの任意団体というのは明らかに大きな会社の集まりでございますから、総理政治活動の支援のためにかなりの金額というのが入っておるわけです。ずうっとあるのです。それは今後、どうなんでしょう、やはりそういう趣旨の政治活動として総理が受け取られた場合には、政治資金規正法の届け出を今後なされるおつもりですかどうか、お伺いをします。
  124. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはただいま政府委員答弁せられましたところからでも、それが相当であると考えます。
  125. 草川昭三

    ○草川委員 実は、そのほか総理は、大蔵大臣時代に酒造関係業者から随分いろんな入金をなされておみえになります。ですから、これはもう率直なことを申し上げまして、大蔵大臣でございますから、私は少なくとも関係企業からの献金を避けるべきではなかったかと思います、細かいことは申し上げませんけれども。そして、新しい内閣になったときに、官房長官の方から関係閣僚についてはいわゆる厳正な対応をして政治倫理を確立しよう、関係業界から癒着とされるようなことをするなという、そういう趣旨があったと思うのでございますが、今後総理は、関係業者の献金ということについてはどのような処置をされるのか、お伺いをしたいと思います。
  126. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 厳正に法を守ってまいりたいと思います。
  127. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ国民の見ておる前で、これだけ議論をしておるわけでございますので、総理として反省すべき点は反省をしながら、きちっとした対応をしていただきたいと思います。  時間があと十分でございますので、共和関連について総理にお伺いをいたします。  報道によりますと、元北海道・沖縄開発庁長官で宮澤派の事務総長の阿部文男衆議院議員は、丸紅との架空取引に絡む詐欺事件で元副社長が逮捕、起訴された鉄骨加工メーカー共和、昨年の十一月倒産、から約一億円を受け取っていたということを新聞報道では認められたようであります。  新聞社のインタビューに対し阿部議員本人が、政治資金規正法違反、所得税法違反に問われることを覚悟していると述べられていますけれども、阿部議員は総理の派閥の事務総長でございますが、総理はこれをどのように受けとめておられるか。毎日新しいニュースがどんどん報道されておりますが、どう対応されますか。
  128. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは、私、詳細を存じませんので、官房長官からお答えをさせていただきます。
  129. 加藤紘一

    加藤国務大臣 この件、報道で存じておりますけれども、閣僚とか政務次官をやっている方の問題でなくて、一政治家、個人の政治家という立場の問題でございますので、官房長官から特にこの問題にお答えしたりするということはなかなかちょっと適当ではないんじゃないかな、こう思っております。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 過日、友達として我々も承知をしたいということをはっきりと言っておみえになるんですよ。今は違うというんですか。前言を取り消されるんですか。
  131. 加藤紘一

    加藤国務大臣 昨日まで、正直なところ国会の延長の問題等で多忙をきわめておりましたので、直接阿部先生にコンタクトすることは余裕がございませんでした。  で、人づてに、この件につきましてはいろいろ御迷惑をかけてますということは伝わってまいりましたけれども、ただ、これは事実関係に基づく問題は、やはり私が間に入って、こういう場でいろいろ申し上げて、それでかえって不正確であったり、いろいろな事実関係について間違えたというようなことを申し上げてもよくないというふうに私もその後思い直しまして、そういう意味ではここでいろいろ事実関係等について申し上げるのは適当じゃないんじゃないかなと思うに至ったことを申し上げた次第です。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 例えば、それこそ事実関係で、ここで公表できないと官房長官が判断されたとしても、少なくともこの件については接触をされていなければいかぬわけですね。されて、自分の胸の中でどうしたらいいのか、あるいはここに問題があるのか、もうこれなら我々としてはこういう処置をしなきゃいかぬなとか、あるでしょう、それは。これだけ連日新聞のトップニュースになっているわけですから。だから、官房長官としては接触されたんですか、されないんですか、そこだけお伺いします。
  133. 加藤紘一

    加藤国務大臣 先ほど申しましたように、きのうの夜まで延長の問題で全部時間を費やしておりましたので、直接阿部さんとコンタクトはとれておりません。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 これは総理にお伺いしますが、きのう一日、国会というのは御存じのとおり予算委員会やっていないわけですよ。本来の日程が外れたわけですよ。本来ならばこういうときに鳩首会議をやられるべきですよ。  同じインタビューの中で、森口さん、共和の元副社長は「私以外の政治家に相当出している。三百万円とか、五百万円とか、数十人になると思う」と述べておられますね。宮澤総理にお伺いをいたしますが、あなたの政治団体、あなたの後援会、またあなたの任意団体で、共和もしくは共和関係者からお金をもらっているようなことはございませんか。
  135. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ないと思います。その人を存じませんし、ないと思います。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 これは、総理自身が御存じないとしても、先ほど来から言っておりますように、総理自身はたくさんの政治団体持っておみえになります。あるいはまた、あなたの派閥である宏池会で共和もしくは共和関係者からのお金が入っているのかいないのか、精査されたことがございますか。
  137. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 せんだってからどうもそういうお尋ねがございますけれども、私がないと申し上げたら、そのないということを御信用いただけないですか。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 大変総理御立腹なすってみえますが、そういう態度が、先ほど来から言っておるように、私は総理の御答弁がくるくる変わるし、我々を納得しておみえになるなら、あなたがそういうことがないとおっしゃるなら、ああそうですかということですよ。しかし、くるくる変わるじゃないですか、月曜日ときょうだって。
  139. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 わかりました。それじゃ、あれこれ調べてみますけれども、私は、ないと思っているんです。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 だからそういう御答弁を最初からされりゃ、それでいいんじゃないですか。  続いて、阿部文男代議士は平成元年八月十日に北海道開発長官に就任をされました。その前と後ろ、前後に共和側から約数千万円を受け取ったと言われておりますね。これはまた、近日具体的に、私はいろいろなところで出てくると思うのでございますけれども、少なくとも大臣に就任をされる前、なぜ前に入るのかどうかわかりませんが、後にも入る。しかも、それが百万とか二百万、こういう金額ではなくて数千万円という金額が支払われた、こういうことが言われております。これは私がきょうここで具体的に申し上げるというよりも、いずれこれは司直の方で解明されるんでしょうね。大臣に就任をした後、そういう大きな金額が入る。とすれば、入ったとするならば、それは遺憾なことでしょう。どう思われますか。お答えになりませんか。
  141. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 まことに恐縮でございますけれども、事実関係がよくわかっておりませんので、お答えを申し上げかねるということでございます。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 これは官房長官にもお願いをいたしますけれども、こういう私の筆書に対して、やはりお友達でございますから、またグループのリーダーの方でもおみえになりますので、積極的にみずから進んで解明をされることを私はお勧めしますが、その点、同僚としてどういうサゼスチョンをされるおつもりか、お伺いをしたいと思います。
  143. 加藤紘一

    加藤国務大臣 この国会の場でそういう御議論がありましたことは、伝えるようにいたしたいと思います。  ただ、その事実関係等につきまして、官房長官としてここでこういろいろ、かわって御答弁するということはいろいろな誤解も生じたりすると思いますので、その点は御理解いただければと思います。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 あと、きょうの新聞には、いわゆるゴルフ場、レジャークラブの名誉会長に就任をしていただくために一億円を共和は阿部さんを通じて鈴木元総理に出した、もちろん鈴木元総理は否定をしておみえになるようですが、そういう報道もございます。どうか、そういうこととあわせて、この種のことについては、我々は今政治倫理の確立ということを言っておるわけでございますので、ぜひ速やかな対応を立てられることを申し入れて、冬柴氏にかわります。
  145. 山村新治郎

    山村委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  146. 山村新治郎

    山村委員長 この際、お諮りいたします。  冬柴鐵三君の質疑に際し、最高裁判所今井民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  148. 山村新治郎

    山村委員長 冬柴鐵三君。
  149. 冬柴鐵三

    冬柴委員 公明党の冬柴鐵三でございます。  私は、国民政治に対する信頼の低下、政治家一般に対する評価の低下を嘆くものでございます。特にリクルート事件は、政官財界の癒着の実態を国民の前に露呈をいたしましたけれども、それ以上に、疑いをかけられた政治家あるいは官僚が、多くの人々がみずからの関与を否定されるだけではなく、積極的に、それは秘書が無断でやったことだ等々の弁明をされる点に国民はやるせない思いを抱くとともに、政治に対する白けた気持ちを持つに至っているのではないか、このように実感をするのであります。その弁明が社会常識に照らして納得できるものであればそれはいいわけでありますが、できない場合にこの国民の反応はより増幅されるのではないか、このように思うわけでございます。  私は、過去の裁判例の中で、総理が今もされたのと同じような弁明をされた事例はないかどうか、もしそういうものがあったとした場合に、これに対して裁判所はどういう判断をしたのかというようなことを、私、弁護士でありますから調査をしてみました。  その結果、昭和十一年九月十九日大審院刑事部判決というものを見出しました。その記録がこの法律新聞第四千四十五号というものに載っておりまして、これは実に今から五十五年も前のものでございますが、ある超大物政治家に対する汚職事件を扱った大審院の最終判断でございます。この超大物政治家とは、今はもうもちろん亡き人でありますから、名前は公にされております、写真まで出ていますけれども、あえて申しませんけれども、解説によれば、政党華やかなりしころの大政友会を切って回し、事実上の総裁たりし人で、法務大臣を、当時は司法大臣といいますが、歴任し、かつ鉄道大臣現職中の収賄を訴追されたというショッキングなものでございました。  起訴事実は、この鉄道大臣在任中にその職務に関し鉄道事業者らから鉄道敷設免許付与または私設鉄道の国の買収の報酬、謝金の名下に巨額のわいろを収受した、こういう事実が示されております。  これに対して、この大臣は全面的にその事実を否定されています。それのみならず、進んでそれは大臣の腹心と目される春日英という人、大臣の金庫番を務める守矢某という人が被告人たる大臣にないしよで鉄道事業者らからこの全員を受領したものだ、こういうふうに言って大臣は無関係を弁明し、そしてまた腹心の春日さんも金庫番と言われた守矢さんも、大臣と口裏を合わせるように共謀関係を否定して、そういう供述を行っていられます。  これに対して、原審は大臣等に対して無罪の判決を言い渡しております。ところが、私が挙げましたこの昭和十一年九月十九日の大審院判決は、その無罪判決、原審判決を破棄をいたしまして、そして懲役二年、罰金約当時で二十万円近い巨額の破棄自判をして確定をしているわけであります。こういう事件が、いろいろ調査していますと出てまいりました。  総理は、この判決を御存じですね。     〔委員長退席、村岡委員長代理着席〕
  150. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 存じております。
  151. 冬柴鐵三

    冬柴委員 なぜ御存じかはお尋ねいたしません。  その大審院判決判示はこういうものであります。春日は大臣を同郷の先輩として二十数年来これに私淑し、公私どもに次第に親交の度を加え、被告人が鉄道大臣在任中は異心同体をもって目すべき腹心であり、守矢は大臣と郷里を同じくするのみならず、多年その側近にあり、ひたすら大臣の栄達をこいねがい、献身的に大臣方の家計その他の事務一切を処理し来りたるもの。このように関係者の関係を判示いたしておりまして、その守矢、春日両名は、某電鉄会社の敷設免許に関する成功報酬として、鉄道大臣の報酬謝金を包含せしむる趣旨のもとに十五万円、今で十五億円ぐらいには相当するだろうと思います、これを収受する契約を締結し、春日、守矢らこもごも鉄道大臣にその免許方を進言し、該報酬金を取得して大臣の家計を援助せんことを企てたる上行われたる事実を認め得べく、しこうして被告人、大臣が該事情を知悉しおりたるや否明確なる資料乏しきも、右十五万円を春日、守矢らが受領する以前において、守矢は被告人たる大臣に対し大臣振り出しの額面六万円の約束手形債務を決済する資金としてこの報酬金をもってこれに充当すべき旨の報告をなしたる事実あり。しこうして被告人は春日らにおいて自己、すなわち鉄道大臣の地位を利用して金もうけをなしおれる事情を察知し、進んでこれを認容しおりたる事情を推知、推しはかって知ることができる、推知し得べきがゆえに、この点に関する被告人らの弁疎、弁明は理由なきものとして排斥せざるを得ず。このように判示をして、原判決破棄をして懲役二年の実刑判決を言い渡しているわけであります。  ここで法務省の刑事局長、いられましたらお尋ねをしておきたいのですけれども、この判決にはいろいろな事実が摘示されておりますが、その一部分を私今読み上げたわけであります。この理由の概要の説明について何か付加したりすることがあるか、誤りがあるかどうか、そういう面について御答弁をいただきたいと思います。
  152. 井嶋一友

    井嶋政府委員 お答えいたします。  今委員指摘の事件は、五十数年前という大変古い事件でございます。御通告いただきましてから直ちに調べてみましたが、直ちに記録が出てこないというような状況でございまして、恐らくもう保存年限を過ぎておる事件だろうと思います。そういう意味におきまして、私は記録に当たっておりません。したがいまして、今委員指摘の事実につきましては、御指摘の法律新聞の記載しか私も確認はできませんので、委員が今読み上げられたことは法律新聞に書いてあるとおりだろうと思います。
  153. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この法律新聞が今も残っているわけでありますが、私は、失礼でありますが、宮澤総理が本院に提出されました三点セット、そしてこれに対する弁疎というものを私は委員席で聞きながら、この一つの裁判例の指し示しているところ、すなわち差益金がどう使われたのか、どう使われているのか、それは総理の御答弁の中では、服部氏が約一年半ぐらいの間に、飲食費もあるでしょう、秘書官としてのそういうようなことで使ったのではないか、このような趣旨のことをおっしゃいました。  私は、もしこの使い道が、宮澤総理自身の政治活動、これに密接に絡むものであって、もし服部さんがそういうものを使う必要があって、もしこの金なかりせば宮澤事務所から当然支出をしなければならない、そういう関係のものがあったとすれば、この判例の射程距離に入ってくるのじゃないか。もちろん、職務権限とかいろいろな面でありますから、増収賄事件と私は言っているわけではありません。総理政治責任として、総理は今の同僚議員の質問に対しても、それは服部氏のプライバシーに属することであるから御勘弁願いたい、こうおっしゃいますけれども、それはとりもなおさず総理自身の潔白性といいますか、そういうものについての説明の内答、重要な内容をなす部分でありまして、これに対して総理が黙して語らずということは、総理自身がかけられた疑いに対してその釈明が不熱心であるという評価を受けてしまうと思うのでありますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  154. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 秘書がしたことでありましても、やはり私には監督責任というものがございますので、私は、そういう責任はやはり自分が感じなければならないものだと考えておりまして、それも当時公職をやめさせていただきました一つの理由でございますけれども、それはそれといたしまして、本人には本人のプライバシーという問題があるということも御理解をいただきたいと思います。
  155. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この服部さんは大蔵大臣の秘書官、国家行政組織法十八条に言う公務員ですね。それで、大蔵省の省に秘書官を置くということですから、大蔵省に関する職員ですね。この人が、株式上場に今しようとしているリクルートコスモス社、これは店頭公開ですから、社団法人東京証券業協会を通じていろいろ行われるわけですけれども、この店頭公開についての基準その他はその中で、協会の規則とか定款で定められるわけでありますけれども、その定款その他は大蔵大臣に届け出がされている。それから大蔵大臣は証券取引法に基づくこの証券業協会の監督責任も負っていらっしゃる。その大蔵大臣はもとよりですが、その秘書官もこれに対して密接な関係を持っている、私はそういうふうに感ずるわけであります。したがいまして、全くこの秘書官が、プライバシーだ、個人の取引だと言い切れないものがあります。  私は、この席で宮澤総理が、服部さんのことを服部氏、服部氏と、前国会も今国会もおっしゃいます。私は、もし宮澤総理のもとに長くおられて、宮澤総理の信頼を受けて事務処理をして、最後は秘書官までなられた方、そういう人が信を破って、総理の署名、押印を偽造し、そしてまた二千二百万余の金を勝手に自分で着服しているという、そういう関係を見れば、しかもそれが、それだけではなく副総理、そして大蔵大臣という地位を辞任を余儀なくされた、その張本人の人に対してあなたが服部氏というふうに氏を、敬称をつけて呼ばれることは、私にとっては耳ざわりだし、これは氏をつけなければならない何かあるのかな、こういうことすら私は思います。これは総理は温厚な方ですし、紳士ですから、そういう人に対してもつけられるのかなというふうに思っていたのですが、おとといはここで、もう一人の今の第一秘書松本さんのことをあなたは二回松本と呼び捨てにされました。それと考え合わせたときに、なぜこのように自分を裏切った人に対して、三年前に裏切った人に対して氏をつけて、敬称をつけて呼ばれるのだろうかな、こういうことは私だけじゃなしに国民感じてられると思うのですね。  私はそういう意味で、服部さんをさっきの判決の春日さん、そして宮澤事務所の金庫番だと言われるこの松本雅雄さんをこの判決に言うやはり守矢さんという人に置きかえたときに、この事案の酷似性に驚きを私は禁じ得ないわけです。五十五年前のと本当に同じなんだな、こういうふうなことを思うわけでありまして、私はその意味で、この判決は、その大物政治家の弁疎を入れずに、措信せずに原審の無罪を破棄しているというそのことを考え合わせていただければ、この点について、この金がどこへ使われたのか、そしてそれは、宮澤さんはそれを黙認された事実はないのかどうかということは、まさにこれ、核心に触れる問題でありまして、ぜひこれは総理が明らかにされなければ、政治改革を進めなければならない内閣として、私はこれは致命的な問題じゃないかと思います。その点について、総理の御所見を伺っておきたいと思います。
  156. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 その使途につきましては、御質問に対しまして本人が述べておると伝えられるところをそのまま申し上げておるわけでございます。これは何度も申し上げますけれども、服部氏の自分の金の使い方でございますので、これはやはり服部氏に属することだというふうに私は考えております。
  157. 冬柴鐵三

    冬柴委員 これは同僚も全部押し問答をやったことですから、時間がもったいないので、私はこれでおきますけれども、しかし、服部、松本、両氏がここへ出てきて説明をされるように総理は努力をされる、決してそれについて消極的であってはならないんではないか、私はそのように強く感じます。そのことを申し上げまして、次の質問に移らしていただきます。  今、ことしになってから個人による自己破産の申し立て件数が爆発的に増加しているということが伝えられております。  それで、最高裁判所に伺いたいのですが、本年に入りまして破産事件の新受件数がどういうふうにふえているのか、そしてそれは過去三年の件数と比較したときにどのようなふえ方なのか、そしてまたこれは推測を交えてしか言えないと思うのですが、個人破産の申し立て原因、あるいは宣告やあるいはその後の免責、これは大変な事務手続が要ると思うわけでありますが、この人の配置はどうしておられるのか、事務量は大変だと思うのですけれども、その点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  158. 今井功

    ○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  破産の事件でございますが、今委員指摘のとおり、本年に入りましてから新受事件が急激に増加しておるわけであります。破産事件は、昭和五十九年に約二万六千件ということで非常にピークであったわけですが、ここ数年は約一万件強と落ちついておりました。ところが、昨年でございますが、平成二年度に一万二千四百七十八件ということで、前年度を二〇・九%上回りました。ところが、ことしに入りましてからは、十月までの統計でございますが、新受事件の総数は一万八千七百七十三件でございます。昨年の同期の件数が九千八百四十五件ということでありますので、昨年と比較いたしますと九〇・七%というふうにふえておるわけであります。  このうち個人の自己破産の申し立てというのが大部分でございます。本年の一月から十月までで申し上げますと、一万七千三百七十四件ということで、全事件の九二・五%ということでございます。  このような自己破産の申し立ての原因でございますが、これについては正確な統計をとっておらないわけでございます。ただ、幾つかの裁判所の担当者にどういう事件が多いかということを聞いてみますと、最近では、支払い能力を超えてクレジットカードを使ったというようなことで、若者の破産の申し立てが相当ふえておるというようなことでございます。  この事務処理体制の問題でございますが、今申しましたように、本年に入りましてから相当事件がふえておるということで、かなりの事務があるわけでございます。各庁ともいろいろ工夫いたしまして、効率的な事務処理の工夫を重ねまして、事務処理が遅滞することのないようにということで努力をしておるわけであります。  また、私どもとしましても、こういうことに備えまして、破産手続についてわかりやすく解説をしたリーフレットというものを全国の裁判所に配りまして、裁判所の窓口ではこれを利用しておる、あるいは裁判所によりましては、破産の申し立ての用紙、定型用紙のようなものを用意いたしまして、これを申し立てをされる方にお配りするというようなことでいろいろ工夫をしておるところでございます。
  159. 冬柴鐵三

    冬柴委員 自己破産の申し立てというのは債務者にとって法律手続としては究極の選択でありますから、この全体の、去年より倍になった、二万件近いという、まだあるわけですから、十月現在ですから、これはもう大変なことでして、氷山の一角だと思うのですね。これは僕は、百万人を超える人が、年間ですよ、支払い不能に陥って債務状態になってへるんじゃないかということすら思います。  私の弁護士経験に照らしますと、これらの人々はどういう行動をとるか。破産申し立てするために金が要ります。それで免れるために、いわゆる追い込みというものを免れるために、日々蒸発、失踪ですね、いつ隠れようかなあるいはいつ自殺しようかなというふうに考えているわけでございます。そしてまた、一家離散とか離婚がその後について回るのはもうはっきりしているわけであります。こういうことにしますと、これは一刻も放置できない問題じゃないかな、国政上の重要な問題じゃないかというふうに感じているわけでございます。  今裁判所の方からも説明がありましたけれども、この原因の大きな部分がクレジットカードです。そして、この過剰な普及にあります。一人の人が何枚も持っていて、それを使い分けて物を計画なしに買う、またクレジットローン、計画なしに小口金融を受けるというものの累積がもう首を回らなくしてしまう、こういう実態であると思います。これを今多重債務者、このように呼ばれているわけでありますけれども、最高裁もおっしゃいましたように、年少者の破産申し立てがあるというのは、いかにもこれは大変な問題だと私は認識するわけであります。  そこで、クレジット物品販売を所管する通産省は、この事態をどうとらえられるのか。それからまた次に、クレジットローンを所管する大蔵省ですね、これもこの私が指摘した問題についてどう考えられるのか。そしてまた、この多重債務者に対する過剰与信の防止策として、当然個人信用情報のネットワーク化というものが進んでいると思うのです。これは多重債務を防ぐための決め手といいますか、もうそれしかないと思うのですけれども、反面、こういうものをつくってしまいますと、販売戦略、債権回収という、そういうものに利用されるおそれがあります。そればかりではなく、要するに就職の際に、こういう債務を持っていないかどうか、結婚の際に、こういう多重債務者じゃないかどうか、そういう経験がないかどうか、すなわち非常にプライバシー、個人のプライバシーというものが守られなくなるのではないか、こういう心配をするわけです。  そうしますと、この個人情報、信用情報のネットワークをつくることは必要なんだけれども、その必要性とともに、消費者信用の情報を規制する、そういうものを目的外に使用した者には相当重い罰則とかそういうものがなければ、これは大変なことになってしまうのじゃないかということを心配するわけでございます。したがいまして、まず通産大臣、それから大蔵大臣の順番に、もう時間も余りありませんので、御所見を伺いたいというふうに思います。
  160. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいま冬柴委員の御質問でございますが、消費者保護、また消費者信国産業の健全な発展のためにも極めて重要な問題だと認識をいたしております。今御指摘のあった具体的な問題等を含め、関係省庁と密接な連絡をとり、また関係団体への指導を強めて、そのようなことが起こらないようにできる限りの努力をしてまいりたいと存じます。
  161. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今御指摘のございましたように、多重債務につきましては、この情報を、貸金業者としてはこれをきちんと活用すること、これを指導しておりますけれども、それと同時に、やはり今御指摘のございましたように、これはプライバシーにかかわる問題、ほかの問題にこれを変なふうに利用することはいけないということで規定をされておると思います。
  162. 冬柴鐵三

    冬柴委員 この多重債務の恐ろしさというのは、やはり学校教育の場でもやっておいてもらわないと困ると思うのですね。文部省、どういうふうに考えておられますか。
  163. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 先般の政府消費者保護会議でも、消費者教育の大切さは議論されておりまして、現代までもいろいろと新しい社会ができてきておりますから、社会が変動すれば子供に教えなければならない内容も変わってくるということで、いろいろと教科書に取り上げておりますので、これは先生にごらんをいただければありがたいと思いますが、例えば「キャッシュレスのカード社会が到来しこというようなことで、消費者行政が難しくなったということを触れておりますし、あるいはこの中学校の教科書で「カードで買い物をしたり、簡単に金を借りたりする仕組みが、急速に広がってきています。現金を用意しないでよく、安全で便利なことが魅力です。しかし、うっかりすると、先に品物が手に入ってしまうために、支払いのときになって大変なことになる。」こういうようなことを一生懸命教えてはおりますが、これらの教科書が十二年前、すなわち今度の学習指導要領からさかのぼってみると十二年前の学習指導要領ですから、来年から小学校で新学習指導要領が始まりますが、それらの中身については、先生御指摘の点を踏まえまして、「キャッシュレス時代です。カードは便利だけれども、よく考えて使わなければなりません。」というようなこと、いわば賢い消費者をつくるために教育を進めてまいりたいと思います。  この中学校の教科書、なかなかよくできておりまして、ごらんいただきたいと思いますが、差し出がましいことでございますが、国会のルール等についても書いてありますので、ごらんください。
  164. 冬柴鐵三

    冬柴委員 ぜひ若い人たち、今から世の中に出ようという人が破産者になってしまうということは、これはもう私どももたまらぬ気持ちでございます。しかし、それによってまた失踪されましても、もう一つまた困るわけでありまして、勉強さしていただきますけれども、どうか書くだけじゃなしに、学校できっちり体に教え込むようにしていただきたい、このように思います。  大事な問題でもう一つ、私は法律扶助のことも扱いたかったのですが、三十分ではこれはちょっと無理です。総理に今の多重債務の問題、総合的に各大臣からお答えいただいたわけですけれども、宮澤内閣として、大切な問題ですから、どのような姿勢でお取り組みになるのか、お示しをいただきたいと思います。
  165. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 よく事情も調べまして、注意をいたしておきます。
  166. 冬柴鐵三

    冬柴委員 終わります。
  167. 村岡兼造

    ○村岡委員長代理 これにて冬柴君の質疑は終了いたしました。  次に、三浦久君。
  168. 三浦久

    三浦委員 総理、私はまず最初に三菱商事のルノアールの絵画取引疑惑事件についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  この事件は、報道によりますと、昨日十日、絵画取引に関係した三菱商事とその取引担当者並びに画廊アート・フランスとその役員らが古物営業法違反の疑いで書類送検をされた事件であります。この事件は、ルノアールの絵画二点を買った三菱商事は、三十六億円で買った、こう言っています。ところが売った方のアート・フランスの石原社長は二十一億二千五百万円で売却したんだ、こう言っているんですね。ですから、その差額が約十五億円あります。この十五億円が受取人がわからないで使途不明金になっている、そういう事件であります。それで国税庁が税務調査を行っているということがマスコミでも報道されておりますけれども、その調査がどうなっているのか、お尋ねをいたしたいというふうに思います。
  169. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 お答えいたします。  個別の事案の調査の内容ということでございますが、その点については御勘弁をいただきたいと思うのでございますが、私ども国税当局といたしましては、常に真実の所得者に課税するということを目的としておりますので、いわゆる使途不明金ということは課税上問題があると考えております。  したがいまして、調査に当たりましては、使途不明金の使途の解明、すなわち真実の所得者の把握に特段の努力を払っておるところでございまして、今後ともこのような考え方で対処してまいりたいと存じております。
  170. 三浦久

    三浦委員 そうすると、今のお話では、このような使途不明金については、税務行政の公正という観点から、あくまでもその使途先を解明していく、こういうお話ですね。——うなずかれたからそのとおりだと思いますが。この事件について買い手の三菱商事の諸橋社長は、ことし六月二十七日、東京九段のホテルで開かれました株主総会でこう説明しています。  八九年の三月に創価学会の八尋副会長からフランス人所有のルノアール絵画二点を三十六億円で代理購入してほしいとの依頼があり、取引場所である帝国ホテルの桂の間で額面一億円の預金小切手三十六枚を八尋副会長に渡し、引きかえに絵画二点とフランス人名の領収書を受け取った。その小切手は、受取人がだれかわからないようにするために無記名であり、そして線引きなしという、そういう小切手だったというのであります。  この事件の使途不明金を解明するためには、私はこれは極めて重要な事実だというふうに思いますが、国税庁はこういう事実を知っておられるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  171. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 先ほども申し上げましたように、個別の事案の調査の内容につきましては、答弁をお許しいただきたいと思います。
  172. 三浦久

    三浦委員 これは何も職務上知り得た秘密というようなものではないのですね。株主に公開をされた、いわゆる株主総会という場で正式に発言をされ、議事録にも残されているものであります。そしてマスコミにも大きく報道されまして、そして国民のだれもが知らないはずのない事実になっているのです。国民の知っているそういう事実を国税庁自身が知らないということはないと思うのですね。そしてまた、今言いましたように、個別な事案の件だから、そのことについて知っているも知っていないも言えないということは、これは私はちょっと無理があるだろうと思うのです、国民周知の事実なんですから。そういうものを知っているのか知っていないのかということだけを聞いているのですから、お答えをいただきたいと思います。
  173. 冨沢宏

    ○冨沢政府委員 これも一般論でお答えさしていただきますが、私ども、新聞報道等でございます事実につきましては、常に関心を持って、それの税務との関係につきましてフォローをいたしておるところでございます。
  174. 三浦久

    三浦委員 大蔵大臣、この二十一億円で買ったという取引で、十五億円というような巨額な金が使途不明金になっている、こういうことですね。これは私は、このまま放置しておいたのではもう伏魔殿みたいなものですから、ですから国民から見ればもうこんなことがしょっちゅう起きたのでは働く気がしない、そういう気持ちになるような大きな事件だと思いますね。ですから、この十五億円の使途不明金をうやむやにしてしまうということは許されないことだと思います。そういう意味でちゃんと解明すべきではないかと思うのですが、大蔵大臣の所見を承りたいと思います。
  175. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 使途不明金は課税上問題があるというふうにもこれは考えます。したがって、私どもといたしましては、従来から調査に当たりまして使途不明金の使途の解明、すなわち真実の所得者の把握に特段の努力を払っているところでございます。今後ともこのような基本的な考え方に基づいて対応してまいりたいというふうに考えます。
  176. 三浦久

    三浦委員 総理大臣に聞こうと思ったら総理大臣がおりませんので、羽田大蔵大臣に重ねてお伺いいたしますが、ことしの四月十日の参議院の予算委員会でこの疑惑が取り上げられましたときに、当時の海部総理は、次のように答弁しているのです。「その個々具体の内容について、本当にわからをいのか、あるいはおっしゃるように意図があって隠されたものなのかというようなことはこれはそれぞれの機関においてきちっと解明をしてもらうべき問題であろう、こういうように考えております。」こう言っておられるのですね。まさに私はきちっと解明をすべき問題だろうと思います。そういう意味で大蔵大臣宮澤総理に聞きたかったのですが、再び羽田大蔵大臣のこの問題にどう対処するのかという御決意を伺いたいと思います。
  177. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 基本的には海部総理からお答えになられたことと全く同じでありす。
  178. 三浦久

    三浦委員 ちょっと総理がいないんでは困りましたね。トイレですか。じゃ、ちょっと時間をとめていただけませんか。総理じゃないと質問できないのです、三点セットですから。済みません。
  179. 村岡兼造

    ○村岡委員長代理 では、続行いたします。
  180. 三浦久

    三浦委員 総理、無断で退席されたのではちょっと困る。(「いや、了解得ました」と呼ぶ者あり)そうですか。  リクルート未公開株の譲渡についての総理答弁というのはくるくる変わっていると思いますね。きょうもまた答弁が変わったと思います。一つの問題についてこういうように総理答弁答弁するたびに変わるということは、国民政治に対する信頼というものを著しく傷つけ名非常に残念な出来事だと私は考えておるわけであります。  そういう点で、今までの総理の二、三の答弁についても若干ただしてみたいというふうに思いますが、九日の日、私の指摘に対しまして、総理は株の購入代全二千万円について、三年前の蔵相当時は、服部が自分の持っておりましたいろいろなものを集めまして出した由でございます。こういうふうに述べられた。先日の委員会では、自分の持っているものも出しました、しかし、それだけではなくて、友達から出してもらったものもあります、こういうふうに述べられましたね。これは大変大きな答弁の食い違いがあると思うのです。しかし総理は、食い違いがない、こういうふうにおっしゃられましたね。  それで伺いたいと思うんですが、それなら服部さんが用立てた三千万円のうち、幾ら借金をされ、幾ら自分で用立てられたのか、いかがでしょう。
  181. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは存じませんが、もともと答弁は変わっておりませんので、自分の持っているものもあり、その他いろいろ工面をしたというふうに前から申し上げております。
  182. 三浦久

    三浦委員 この答弁が変わっていないとおっしゃられるというのは、私は全く理解ができないわけであります。総理が、じゃ幾ら借金で、幾ら自分で用立てたのかわからないとおっしゃるんなら、なぜそういうことが言えるのかということがやはり疑問に思いますね。そういう面では、総理答弁というのは非常に不正確な答弁だというふうに言わざるを得ないんです。  例えば、朝日新聞が今年の十月三十一日付の服部さんのインタビューを載せておりますね。これは総理ごらんになったと思います。そこでは、服部氏は、四人の友達に計三千万円を借りた、こう言っているんです。三千万円全部借りた、こう言っているんです。総理は、一部借りた、一部は自分で用立てた、こうおっしゃる。これは全く服部氏のインタビューの内容とも違っておられるんですよね。どっちが本当なんですか。どっちが本当なんでしょう。
  183. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いずれにいたしましても、宮澤なり宮澤事務所の金でないわけでございますから、それでよろしいんじゃないですか。
  184. 三浦久

    三浦委員 それは総理はいいかもしれないけれども、我々は総理答弁の信憑性というものを確かめているんですよ。ですから、総理答弁が全く違うということですね、前の答弁と。そして、前はやはり服部さんから聞いてお答えになっている。服部氏がインタビューで答えていることと、それがまた全く違う。我々は何を信用していいかわからないということになるわけであって、それを違っててもいいんじゃないですかという答弁は、全くいただけませんね。全く責任ある答弁というふうに言えないと思うんです。  例えば使途の問題についても、総理は三年前、八八年の十二月一日から、やめる直前の八日までの参議院の税特委での答弁でこう言っておられるんですよ。「服部恒雄氏というのは、かなりの家族もあり、自分の家もあり、また老人もおられるということでございますから、医療費であるとか生活費であるとか、それはいろいろなものに支出されておると思います。」こういうふうに答弁されているんです。ところが、今回の答弁では、秘書としての交際費に使ったと思います、こう述べておられるわけですよね。そうすると、これは全く違った答弁で、いわゆる三年前の答弁を修正されたんだ、訂正されたんだ、素直にそういうふうに見るのが素直な見方ではないかと思いますが、これは訂正されたんですか、どうなんですか。
  185. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 全く訂正いたしておりません。それは私が使った金でございませんから、やはりいろいろなものに使った、その中には交際費も無論あるであろうと思いますけれども、別に変わったことを申しておりません。
  186. 三浦久

    三浦委員 しかし、この前の答弁は、秘書としての交際費に使ったとはっきりおっしゃっているんですよ、あなた、起こしたのありますけれども。ところが三年前は、私生活に使った、そのほかいろいろなものに使った、こう言っているんですね。ですから、これは完全に違った答弁じゃありませんか。これが同じ答弁でございますなどということは、これは世間には通用しませんよ。どうしてそういうことを平気でおっしゃるんでしょうか。  それじゃまたお尋ねしますが、売却代金を入金をした通帳、これはそのコピーの一部が我々に示されました。これは八六年の十一月一日付で開設されて、五日に五千二百万円余が振り込まれている、こういうことです。ところが、その後の記載が全くないのですね。全くございません。総理は、その預金通帳を見たということを何度もおっしゃっていらっしゃいます。その後の支出について、三千万円、いわゆる借金をした三千万円を返還のために引き出しているという事実がありましたでしょうか、どうでしょうか。
  187. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 本来、個人の預金通帳を外にお見せするということは本来でないと思いましたけれども、この部分はこの問題についての御解明にどうしても必要と考えましたので、資料として御提出をさせていただきました。それによりまして、何月何日に五千二百万円の入金があったということを御審議をいただきます上で知っていただこう、こういう趣旨でございますので、それ以外に、この預金通帳にどういうものが入りどういうものが出たというようなことは、これは個人の問題でございますからお目にかけなかったということでございます。
  188. 三浦久

    三浦委員 お目にかけなかったというのは事実です。我々見ておりません。しかし、宮澤総理自身はごらんになっていらっしゃるわけです。ですから、その中から借金の返済のために三千万円の引きおろしか行われていたかどうかということをお聞きしているわけであります。
  189. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 個人の金の受け渡しのことでございますので、それは私はプライバシーに関することだと思いますし、私自身も、それ、よく存じません。
  190. 三浦久

    三浦委員 それはおかしいんじゃないでしょうか。あなた自身がその使途について、やはり解明をする義務があったわけでしょう。当時からその利益金の、いわゆる二千万円余りの利益金の使途というものが追及をされていて、そしてあなたはこの通帳を見たんだとおっしゃっている。通帳を見たとおっしゃるのなら、そのお金がどういうように使われているのか。それで、借金をしたとおっしゃる。借金をしたとおっしゃれば、金がないから借金をしたのでしょう、三千万円。ほかの預金通帳から借金が返されているのじゃなくて、この五千二百万円余りが振り込まれたこの通帳から当然三千万円というお金が引き出されて返済されている、そういうことまであなたは確かめなければ、本当に服部氏が用立てたのかどうかということを確認することができないじゃありませんか。ただプライバシーに関する問題だから、その五千二百万円振り込まれたところだけは見たけれども、その後のことは見ていないとか関心がなかったとか、そういう弁解は成り立たないんじゃないでしょうか。  重ねてお尋ねいたしますが、三千万円を引き出していると私は思いますけれども、いつ引き出されたのか、お聞きしたいと思います。     〔村岡委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 十月十五日でございますか、その現金の三千万円が銀行に振り込まれているということが明白で、これは資料でお目にかけておりますから、それで私は十分だと思いますので、五千二百万円という預金通帳は、ここに入金をしたということを御確認いただくためにお目にかけたわけでございます。
  192. 三浦久

    三浦委員 なぜ私がこれを聞くかといいますと、例えばこの通帳全体から三千万円の引きおろしかないということになりますと、その金は服部氏が借金をしたんじゃない、やはり宮澤事務所の金庫から、または通帳から出ている、そういう疑いが極めて濃厚になるから私はこの問題について聞いているわけでありますけれども、お答えがありませんので、私は次の問題に進みたいと思いますけれども、まず私は、その通帳を、全部を示していただきたい。この前も要求しましたけれども、全部を示していただきたい。それじゃなけれはこの事件の内容というのはわからないのです。お金の出どころがどこだったのか、使途がどうだったのか、こういうことがわかりませんので、ぜひ総理自身の才覚でこれを委員会に御提出をいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  193. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 個人の預金通帳を全部示せとおっしゃいますことは、それはいかがなものでございましょうか。御審議に必要な限りのことは、せんだって委員長を通してお目にかけたわけでございます。
  194. 三浦久

    三浦委員 総理は先ほどから、プライバシー、プライバシーということをおっしゃいますけれども、総理自身に、失礼ですが、プライバシーを語る資格がおありでしょうか。河合康文という全く関係のない第三者を主犯に仕立て上げて、そしてあれだけの大騒ぎを起こしたじゃありませんか。そのために河合康文さんのプライバシーというのはどれほど侵害されたと思いますか。お父さんの葬式にも出られない、そういうような状況に追いやっているんですよ。そのあなたが今白々しく、いやプライバシーですから、それも服部氏のプライバシーですよ、服部氏のプライバシーを侵すからそれは出せないんだなんということは、これはちょっと余りにもひど過ぎますよ。いいですか、総理総理自身も、これは秘書としての交際費に使ったと言っているんですよ。秘書としての交際費に使ったということは、あなたの政治活動のために使ったということであって、決してプライバシーじゃないじゃないですか。  それで、サンデー毎日のことしの十月二十七日号で、服部氏はお金の使い道について聞かれております。あなたもごらんになったと思いますが、「個人的用途といえば私も困るんですけどこういうふうに言って、個人的用途に支出したことを否定されておられるのですね。「秘書官やってますと、半分公的な、半分私的な付き合いありますよね。ゴルフにしても、酒飲むにしてもお役人、マスコミの人とも酒飲むし、同業の若い秘書さんとも酒飲みますしね。それが全部公的なものと処理できるものでもなし、すればできるんでしょうが、報告書の支出がみんな飲み食いばかりではカッコもつきませんしね。検察庁でもその話をしたんですよね。トータルすれば、あんな金じゃ済んでませんよって笑ったんですけどね。」こういうふうに述べられているのですよね。  ですから、服部氏自身もあなた自身も、これは服部氏の秘書としての活動として使ったということ、それは、宮澤さん、あなたの秘書としての公的な活動として使ったということを意味しているんであって、プライバシーの問題とは全く関係がないのです。どうですか。
  195. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま仰せられておりますのは、その服部恒雄氏の預金帳を出せとおっしゃいますから、それはプライバシーの問題だと申し上げておるのであります。
  196. 三浦久

    三浦委員 時間が来たようですからやめますが、ですから、預金通帳の内容というのは使途に関係しているわけでしょう。使途がプライバシーでなければ、その預金通帳を出すということは何もプライバシーに抵触しているわけじゃないし、服部氏がそれを拒んでいるわけでもないでしょう、もう今までの経過からいって。  もう時間が来たからやめますけれども、私は、改めてやはり証人喚問並びに資料の提出を要求して、質問を終わりたいと思います。
  197. 山村新治郎

    山村委員長 これにて三浦君の質疑は終了いたしました。  次に、高木義明君。
  198. 高木義明

    高木委員 私は、国内問題の一つの課題であります雲仙・普賢岳噴火災害に関する件につきまして、総理初め関係大臣にお尋ねをいたします。  質問に入る前に、これは私たちの地元の皆さん方の手づくりで雲仙・普賢岳の模型をつくりました。ぜひ総理に見ていただきまして、二万五千分の一の縮尺模型でございまして、色の変わったところがいわゆる火砕流の地域であります。どうぞ、どうぞ、見ていてください。  さて、六月三日の大火砕流惨事以来、既に六カ月が経過をいたしました。この雲仙の問題につきましては、日々の報道でも御承知かと思いますが、今なおその終息の兆しは見えずに、今後年も越すのではなかろうか。十二月六日に火山予知連の下鶴会長が現地に入りまして、談話を述べておりますが、これを見ましても、マグマの供給が衰える兆候は全くない、現在火砕流が起きている南東側の赤松谷だけでなく、水無川、千本木方面も注意が必要、マグマの供給は依然活発で活動はまだ続く、こういう専門的な立場から見解を述べております。私たち民社党といたしましても、十二月七日、翌日でありますが、大内委員長を初め、再び現地を視察をしたわけでありますが、これまで政府が、この災害対策といたしまして二十一分野九十項目にわたる措置を講じていただいております。それは大変私も評価をいたしておりますし、同時に、今国会におきましても三十八億円の補正予算も計上されております。これらにつきましては、雲仙の関係の皆さん方には大変力強い限りでございますが、十二月七日、私たちは現地を回りまして、いろいろ地域住民の声を聞いてみますと、必ずしも、この二十一分野九十項目の措置が末端に浸透して生かされているかといえば、疑問なしとしないわけであります。  したがって私は、特別立法の問題もありますけれども、まず現行措置が的確に適切に速やかに実行されておるかどうかというこの検証が必要ではないかと思っております。したがって、そういうことについてどのようにとらえ、そしてできれば政府の方が——これは県、市の大きな仕事でありますけれども、そうはいえども大変難しい問題であります。特に弾力的運用という措置がとられておりますので、こういう弾力的運用の問題についても、政府のどなたかが現地に赴いてチェックをし適切な指導助言をしていただく、このことが今必要ではないか、私はこのように痛感しましたが、この点についてどうでしょうか。
  199. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答えいたします。  政府においては非常災害対策本部を設置し、今次災害の状況と地元県、市、町の要望を踏まえ、被災者の救済のために、政府といたしましては、とるべき措置についてはあらゆる角度から検討の上に、今日まで二十一分野九十項目にわたる雲仙岳噴火災害にかかわる被災者等救済対策を進めているところでございます。これらの対策の中には、食住供与の問題、生活安定の問題等々、長崎県が設置する災害対策基金に対する地方財政処置などの画期的な措置も多く含まれており、現在強力に進めているところでございます。  これらの措置については、国、県及び市、町とも今次災害に関し予測し得る必要な対策は講じられるものと理解いたしております。国、県及び市町村の連携のもとに、強力に今後とも進める所存でございます。  先般、私も現地に参りまして、県、町、それぞれの立場の皆さん方と二日間にわたり現地を視察し、よくお聞き取りいたしながら、帰りましていろいろな角度からさらに検討を加え、今後の対策を講ずる努力をいたしておるところでございます。
  200. 高木義明

    高木委員 質問は、そういう施策が十分に生かされているかチェックするために、国から現地に赴いて、そしてできれば指導助言をして、多くの今なお続いておる地元の要望とかあるいは疑問に対してこたえることはできないか、これを言っているのです。後でお答えいただきます。  それから、次の問題になるのでありますが、避難生活は既に長期化を迎えておりますけれども、いわゆる国ではできないところを県の災害復興基金、いわゆる三百億円が、これは国の配慮で県が起債をし、そしてそれについては地方交付税で措置をするという手だてでございます。これについても非常に行政の直接手の届かない分野、大変私は生かされておるのではないかと思います。一部いろいろ問題はありましても、そういうことについてはこれは評価したい。しかし最近、八月のエンドにこれが決まったわけでありますが、既に三カ月、長期化しております。したがって、今県としましても、この災害復興基金の増額を強く求めておられます。この点について、私も、増額を図っていわゆる生活支援を充実強化していただきたい、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  201. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 現在、その基金は三百三十億円になっております。おっしゃるような措置でいたしておりますが、これにつきまして、実は二週間ほど前でございましたが、知事さんがお越しになりましたときに要望がございましたです。けれども、そのときにはこういうぐあいに知事さんおっしゃいました。今のところこの基金で十分な措置はできると思うけれども、これが長期化し、さらに被害が拡大するようになったら、その節にはぜひ増額をお願いしたい、そのときには改めて言ってくるから、こういうお話でございました。それから、その一週間前に市長さんが私のところにお越しになりまして、同じようなことをおっしゃっておりました。これは非常に有効な基金なんで、もし足らなかった場合にはお願いするというお話がございました。  そこで、いずれも県と私のところは非常に細かく連絡しております。したがって、今お尋ねございました、行き届いてないじゃないかという御説明でございましたけれども、これは実はいろいろと避難されておる住民側の意向がなかなか的確につかめない点があるので、部分的に措置がおくれていることはあるけれども、一生懸命県と市当局がやっておるのについて、私はそこはどんなお手伝いもするからということを申しておりますので、この緊密な関係は崩れてないと私は思っておりまして、お尋ねのように基金の増額の要請があれば直ちにその措置をとりたい、こう思っております。
  202. 高木義明

    高木委員 いわゆる避難住民は今約二千百世帯、八千百人、その中で仮設住宅におられる方が約千四百世帯の五千七百人、こういう数字が出ております。いわゆるそういう方々の要望が的確に把握できないというお答えが今ありましたので、ぜひそれを把握するためにも、私は、先ほどの答弁漏れておりますけれども、国のしかるべき方々が行ってチェックをする決意はないか、これについて一言だけでいいです。
  203. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答えいたします。  刻々と変化する今後の火砕流がまだやまないことも十分警戒しながら、今日とるべき措置については、国の方からも適宜県、市とも連携しながら取り組んでいるところでございます。
  204. 高木義明

    高木委員 そういうことをよくおっしゃられますけれども、現実に新しい要求なり要望が出ておるのです。例えば、いわゆる今後の生活設計を立てるために土地家屋の買い取りの問題、あるいは島原半島全域が疲弊をしておる、そのためには災害避難を兼ねた交通アクセスの整備も必要だ。あるいはまた、これまで既存の融資制度で助かっておられる金融業者、中小業者、しかしそういう長期化がしていけばいくほど、またそれ以上の融資制度の特例を求めておられる、こういうものについては現行制度ではなかなか進まない。したがって、特別な新規立法をつくってでも対応しなければ、とてもじゃないけれどもこたえられない。そういう意味で、宮澤内閣は本格内閣と呼ばれておるではないですか、実力内閣とも言われておりました。したがって、今までの枠組みを打ち破ってでも、この際そういう法の整備を含めてやるべきではないでしょうか。新規立法についてどうお考えですか、答えていただきます。
  205. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほども御指摘がありましたように、各省庁におきまして、地元の県はもちろんでございますけれども、九十何項目にわたりましてかつてないような広い救援体制をとっておるわけでございます。  それで、新しく新規の立法ということでございますけれども、新しく立法に盛り込むべき事項が現実には、今申しましたような広い分野での対策によって実際上行われておるというふうに政府部内では考えておるようなんでございますので、地元の方々からいえば、やっぱり新しい立法でもあればそれが何か一つ大事なことだといいますか、十分配慮がされておるとお考えになられる、そのお気持ちは私わからないではないものですから、どういう分野で新しい立法を必要とするか。今の法制で行えないことがございますとそういう問題になるわけでございますけれども、それはよく調査をしてもらっておりますけれども、私の受けました説明では、現在の施策でもって漏らすところはない、こういうふうに聞いております。なお、もし高木委員の言われるように、いや、今の施策の中でも足りないところがあると仰せられますれば、これはまた十分に考えさせていただかなきゃなりませんが、ただいまはそういう説明を聞いておるわけでございます。
  206. 高木義明

    高木委員 もう時間が来ましたので、これで最後の一言で終わりますが、災害対策の基本はやはり現場に入るということから始まると思います。既に国土庁長官あるいは副総理も現地を視察しておられます。どうか宮澤総理におかれましてもぜひ現地に、国会こういう状況で多忙な中とは思いますけれども、これも国際貢献とともに国内の大切な日本の問題であります。したがって、ぜひ現地に赴いていただきたい、その決意についてお伺いします。
  207. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 未曾有の困難を皆さんがしておられます。そうして、先がいつまで続くのかということもわからないというかつてない事態ということは、私も心を痛めております。お勧めでもございますので、しかるべき機会を考えたいと思います。
  208. 高木義明

    高木委員 終わります。
  209. 山村新治郎

    山村委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤英成君。
  210. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まず、私はソ連問題について総理にお伺いをいたします。今ソ連の国内では、ソ連邦の消滅ということが宣言されたりいたしまして大変混乱をしているわけでありますけれども、そこでソ連の情勢や日ソ関係について、総理の認識と今後の対応についてお伺いをいたします。  今の状況から判断しますと、私は今四つの大変心配する点を持つわけであります。その四つは、一つは、核管理はどうなるんだろう。今度のあの三つの共和国で全部保有しているわけでもありませんし、それさえもどうなるかわからぬという意味で、核兵器の管理はどうなるんだ、核の問題ですね。それから二番目には、あの中の領土紛争等の問題、内乱という危険性についてはどうなるんだろうか。それから三つ目は、やはり経済破綻の問題であります。これは今、いわば最悪のシナリオで動いているんではないかと思うのですが、この経済破綻の問題。四つ目には、クーデターの動きすら心配されるというふうに思うわけでありますが、この四点について、総理の見識と我が国の対応のあり方についてまず伺います。
  211. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 総理の前に一言、私からお話しいたします。  確かにこの核管理の問題は、世界のこれは重大関心事でございます。その三つの独立国が、核は何らかの形で一定の管理のもとに置くというようなことを言っておりますし、我々といたしましては、アメリカその他の先進国とも話をしながら、世界の平和に危惧を与えないような管理の仕方をしてもらわなきゃならぬということを、それは進言していかなければならないと存じます。  また、領土の問題等につきましては、これは北方領土の問題ですか。——ソ連邦内部の領土の移動の問題につきましては、今後どういうような動きが出てくるか、もう少し様子をみなければわかりませんが、これらにつきましても、武力によるルーマニアのような抗争が起きたのでは大変でございますので、そういうことがないように、いろいろ国連等を通して、これについては武力紛争が起きないように、これは指導、指導といっては言い過ぎですが、助言をしていかなきゃならぬ、さように考えております。  経済破綻の問題は、これは大問題でございまして、しかしながらばらばらでは、先進国が支援をするといってもだれを相手にどういう支援をしていいかわからないということでございますので、これはもうソ連国民自体がお互いの良識に従って、一日も早くそれぞれ安定した政権をつくってもらうようにしなければならぬ。  クーデターの問題は、これはまあ不穏な話でございますが、中にはそういうことを予告するような指導者もいることも事実であります。これなども国連等を通しまして、余りこれ以上大混乱にならないようにこれはやはり助言をしていく必要がある、そう思っております。
  212. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま外務大臣から御説明があったとおりでございますけれども、何分にも、世界一とか二とかいう立場にあった大国が中枢機能を失ってしまったわけでございますので、これはまあ、まことに何とも表現のしにくいほど大変な出来事であると考える以外にございません。  それで、今四つの問題をお挙げになられましたんですが、結局との問題もでございますね、かつて十五ございました共和国が、今仮に十二でございますか、その中で仮にスラブ系の三つが一つの連合体みたいなものを結ぶ、その中心が仮にミンスクならミンスクといたしましても、そうしますと、残りの九つの共和国はどうなるのかという答えがまだ出ておりませんわけです。ですから、私どもとして一番最初に何とかここをと申しますのは、あの十二の共和国が、今後だれがどの部分について責任を持つ体制になっていくのか、それを決めてもらいますと、そこといろいろ交渉もできますし、そこに対していろいろ要望もできるわけでございますので、やはり組織としてのその十二の共和国がどういう形で再編成されて、そしてその責任者がだれになるのかということを一番やはり、それが最も望ましいことで、今核管理、領土紛争、経済破綻、クーデター等々おっしゃいましたが、すべての問題はやはりそこのところではないかというふうに考えております。
  213. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、ソ連邦と結んでいる条約とか協定等がありますね。ソ連邦が消滅をするというふうになった場合には、これはどういうふうになるんでしょうか。
  214. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま御指摘の条約、協定等でございますが、現時点でソ連邦が決定的に崩壊しているわけではございませんが、今後ソ連邦自体がどのような姿になるのか、あるいは各共和国との関係がどのようなことになるのか、まだ明らかでございませんので、過早に断定的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。ただ、いずれにいたしましても、ソ連邦と我が国を初めとする諸外国との間で締結されている条約等に基づく権利義務関係が、ソ連邦の内部で起こりました事態によって実質的に変更を受けるというようなことは、国際的な法的な安定性という観点がら、あってはならないと思っております。  なお、十二月の八日にミンスクにおきまして、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、三つの共和国の首脳による声明が出されました。また、いわゆる独立国家共同体の設立に関する協定が署名されたわけでございますが、これらの声明及び協定におきましては、これらの三国はソ連邦が締結した条約や協定に基づく国際的な義務を遵守するという考え方が示されております。
  215. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 政府が総額二十五億ドルの対ソ支援策を取りまとめましたけれども、これがそのソ連邦政府が解体をいたしますと、その保証機関が役を果たさなくなるわけですね。そうしますと、その対ソ支援の前提が崩れることになると思うのですが、政府としてはどういうふうに対応をいたしますか。
  216. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 今御指摘の対ソ支援二十五億ドルにつきましては、現在まで具体的に、例えば五億ドルの緊急食糧、医療等の援助を申し出たわけでございますけれども、一つには、先生御指摘のソ連側におきますいろいろな組織の改廃等の事情もございますけれども、具体的に話し合いに入るという段階には至ってないわけでございます。中山外務大臣が参りましたときには、ソ連邦、ロシア共和国、日本政府と三者で話し合っていこうということが一応合意されたわけでござりますが、今後の事態でこの連邦の部分がいかなることになりますか、その推移を見ながら、ロシア共和国関係者とも相談をしつつ具体的なことは決めていきたいというふうに考え、今、事態の推移を注視しているところでございます。
  217. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の問題にも関連するのですが、ことしの一月に十億円の食糧援助を人道的見地から行いまして、現地から大変喜ばれたという話が伝わっておりますけれども、この二十五億ドルの支援とは別に食糧を中心とした援助を緊急に検討してはどうかと思いますが、総理いかがですか。
  218. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 それは、二十五億の中で十億ドルくらいのものをそういうふうに考えておりますので、それがまた使われてないわけでありますから、現在設定したものが使えるようにするのが先決ではないかと思います。
  219. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、この間、十二月八日は日米開戦五十周年ということでありまして、そして、来年の一月早々にはブッシュ大統領が日本に来られることになっております。そして東京宣言も、これからの日米関係、あるいは世界の平和のため、あるいは新世界秩序のためにということで東京宣言が発表されるというふうにも伝えられているわけでありますが、問題は、日本がただ抽象論を言っているのじゃなくて、これから具体的に何をするかということだと私は思うんですね。  そこで、今審議をされておりますPKO法案についてお伺いをするわけですが、このPKO法案がブッシュ大統領が日本に来られる前にもしも成立をしておれば、この日米首脳会談は、より大きくその会談が成功することにこの問題は貢献すると思われますか。
  220. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ブッシュ大統領とは、ただいま御指摘のように、たくさんのことの中で、今後両国がこれからの世界平和の構築に当たってどのような貢献をおのおのあるいは共同してやっていくかということを大切に話し合いたいと考えておりまして、私どもは、このPKO法案は、国連を中心とした世界平和の構築のために大変に我々としては大事な法案である、ぜひひとつ成立をさせていただきたいと考えておる法案でございます。この点は基本的に我々が日本立場から世界の平和にどうやって貢献するかという我々自身の問題でございますから。それは、それが成立すれば日米関係にもいい影響を及ぼすことは間違いないと思いますものの、基本的には我々自身がやはり決定していくべき問題だというふうに考えております。
  221. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それではお伺いいたしますけれども、この会期も二十一日までというふうに延長いたしました。そういう状況からしても、大方の見るところ、今国会でこのPKO法案が成立をするということは極めて困難な状況だと思われますね。そして、ひょっとして継続というような話になったときには、次期通常国会の冒頭でもこの法案を処理しようという決意はございますか。
  222. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私といたしましては、まだ会期が残っておりますので、私ども最善を尽くしまして、各党各派の間のひとつ御了解を得て成立をさしていただきたい、そういうふうに考えております。
  223. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これは、今予定をされている会期の中で考えれば、極めて難しい話だと私は思いますね。極めて難しい、困難な話だと私は思います。  実は私は、これからの冷戦構造後の世界の秩序云々という話がよく言われます。そういう中で、では日本はどういう役割を果たしていくんだと考えたときには、今総理の言われたように、一つは何といっても国連を中心とした活動ということになるでしょう。そしてその中のまた大きな柱は、その平和維持をどうやってやっていくかということになります。  その中で考えますと、一つはPKOの活動があり、あるいはこれからの世界を考えれば、この間のイラクの問題にありましたいわゆる多国籍軍的な活動ということが国連としてはあると思うのですね。先般私はこの国連平和特別委員会で総理に、例えば多国籍軍的な活動の後方支援としての法案を準備する用意がありますかと質問いたしましたときに、総理はそういうことは考えておりませんという話をされました。このPKOの法案についてもほとんどこの国会で成立することは私は不可能だ、こういうふうに思いますね。これから国連外交というふうに言われるのですが、何を日本はやるんでしょうか。
  224. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 もうまさに御指摘のとおりでありまして、来年から日本はまた、第三回だったかな、非常任理事国に就任をいたします。この十カ国の間でも、その他の国は何らかの形でPKO等に協力をしておる国が大半であります。みんな小さな国でございますが、中にはインドのような大きな国もあります。——七回目だそうです。そういう中で、日本はそれで何をやるんだと言われましても本当に困るのですな。したがいまして、少なくとも、平和維持活動、それはノーベル平和賞を受けるような活動ですから、まさに文字どおりの平和維持活動、それぐらいは何とか憲法違反にならない程度において協力をしたい。そうでなければ、名誉ある地位を占めたいなどと言ってみたところで、これはもう本当に信用されませんよ。したがいまして、我々としては、ぜひとも一日も早くこのPKO法案を成立をさせていただきたい、そのためのPRも国民に対しても大いに積極的にやっていきたい、そういう考えでございます。
  225. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総理にお伺いいたしますけれども、先般のリクルート三点セット等の議論がありました。総理が今日まではぼ三年間、総理のこの疑惑を明らかにしてこなかった、そのことが、その不明朗さがこのPKO法案を適切に修正もして成立させるということをますます困難にしてきた、こういうふうに思うのですね。そして、その結果が日本の国際的な位置づけを低下させるということになると私は考えるのです。そうしますと、総理の責任は極めて重大だと思いますが、いかがですか。
  226. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私としては、両方の問題に最善を尽くしてまいったつもりでございますけれども、御指摘のような御批判があれば、それはまことに遺憾なことだと存じます。
  227. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 さっき国連外交の話を伺いました。外務大臣からもいろいろお話をされましたけれども、日本が国連の安全保障理事会の常任理事国になるように努力するつもりはありますか。抜本的な改革は云々という話はいろいろあったりいたしますけれども、これからの、例えば二十一世紀の国連ということを考えたときに、核兵器のような大量殺りく兵器を持たない経済大国の日本が常任理事国で果たすべき役割というのは、私は、本来非常にあるのだと思うのですね。そのおつもりはございますか。
  228. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 何も核兵器を持たなければ常任理事国になれないということは、国連の創立の精神からいっても私はおかしいと思うのです。したがいまして、かねてから我が国はそのための努力はしてきております。今後もそういう努力は続けてまいりたいと存じます。(伊藤(英)委員「今のは、常任理事国になる努力をするということですか」と呼ぶ)常任理事国になる努力を続けてまいりたいと存じます。
  229. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、ブッシュ大統領が一月に来られます。そこで、経済問題について総理にお伺いするのですが、今経済摩擦がいろいろ言われたりいたします。それで、私は、基本的にこういうふうに思っておくべきだと思っているのですが、それは、まず第一は、何といっても自由貿易主義のメリットが実現されるような世界経済をつくらなきゃならぬということであります。そして、日米を考えれば特にそうですが、どうしても消費者にとって本当に品質のいいものをできるだけ安くつくるという努力がなければならぬ。そして第三には、やっぱりこれかもの新しい世界秩序ということを考えたときに、アメリカにその推進役として頑張ってもらわなきゃならぬというふうに考えますね。  そういうふうに考えますと、これから最も必要な話は、例えば、今私がいいものをできるだけ安くつくるという話をいたしましたけれども、そういうような問題についても、日米がどれだけ相協力をしてそういうふうにするか、そして、いわゆる経済を縮小ではなくて拡大的に発展をさせることをどうしても考えなきゃならぬということをいつも基本的に考えなきゃならぬということだと思っております。  つい先般、ハワイでパールハーバーの五十周年のときに、ブッシュ大統領も、保護主義を排すべきだ、そして日米の両国のきずなを強めることだということを強調されておりましたけれども、今私が申し上げた基本的な視点について総理はどう考えられますか。
  230. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 基本的に、仰せられることは、私はそのとおりと思います。  お互いにいろいろ苦しい問題があるわけでございますけれども、今の基本的な目標に向かって協力をするということが大切なことと存じます。
  231. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、地価の問題と不動産融資総量規制の問題についてお伺いいたしますけれども、この間、建設大臣大臣就任後の会見で、そのときに、総量規制は緊急避難的措置であって、そろそろ撤廃を検討してもよいのではないかという話を、いち早くそのときも言われたりいたしました。それからその後も、自民党首脳や大蔵省首脳も、総量規制撤廃方向の発言をいろいろされたりしております。総理も、十二月の九日の新聞によりますと、不動産融資総量規制の早期撤廃をすべきだと、したがって、大蔵省は来年一月一日から撤廃する方針だというふうに伝えられております。  そこで、国土庁長官に聞くのですが、まず、首都圏等の勤労者の住宅取得について国土庁は、政府は年収の五倍程度で持てるようにしたい、ことしの春の時点では年収の八倍程度になっているんだけれども、五倍程度にもしたいという話をしておりましたけれども、この目標は大体令達成されているんでしょうか。
  232. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 今努力しているところでございますが、まだ達成の域には至っておらないところでございます。
  233. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 国土庁長官に聞きます。  地価の動向は近いうちに結果が出るのではないかと思うのですが、いつごろ出るのですか。
  234. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答えいたします。  今、直近の地価の動向を調査いたしているところでございますし、なおまた、私ども、関係者の皆さん方とも協議しながら、今意見を聴取しているところでございますから、できるだけ早く中旬ごろまでには……(伊藤(英)委員「今月の中旬」と呼ぶ)はい、出せるように努力したいということでございます。
  235. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 地価動向状況が、今の国土庁長官の話によりますと、今月の中旬くらいに出るようであります。そういうのが出る前に、このように、自民党首脳も、あるいは総理を初めとしてそれぞれの首脳の皆さん方が撤廃すべき、撤廃すべきと出るのはどういうことなんだろうかと私は思うのです。国土庁長官は、これはもう撤廃していいと思っておりますか。
  236. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答えいたします。  私ども国土庁といたしましては、そうした調査の結果を金融当局にお伝えすることでございますから、私どもの範囲ではございませんので、報告だけは中旬ごろに申し上げたいということでございます。
  237. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 国土庁長官は土地対策の担当大臣でありますよね。そうしますと、総量規制なるものが地価の動向を左右する問題であると認識をされれば、これは撤廃していいかどうかという意見は当然持つはずですね。いかがですか、撤廃した方がいいですか。
  238. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答えいたします。  経済情勢の変化、金融情勢のそのときどきの問題、それから土地対策の今後の推進の問題等々も含めて、今日の経済状況等も十分総合的に判断して結論をお出しになることでございますから、私の方からこのことについてお答えすることではない。ただしかし、そうした長期的な、安定的な土地対策を私たちは今後推進していく立場にあることは承知いたしております。
  239. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の国土庁長官意見を聞いていますと、国土庁はひょっとしたらなくてもいいのじゃないかというふうに思いますよね。  総理、お伺いいたします。時間が参りましたからお伺いいたしますけれども、総理は、生活大国をつくる、生活者のための政治をやると標榜されて頑張っていらっしゃると私は思うのですよ。今この問題は、建設業者のために何かをやろうと考えるのだろうか、本当に生活者のために何をしようとするのだろうか、地価を下げようとするのだろうか、安定させようとするのかということだと私は思うのです。これが先ほど申し上げたように、地価の動向調査もこの十二月半ばぐらいにはまとまるのではないかという話であります。そういうものも出る前に、そういう情報もしっかりと把握をする前に、総理を初めとして皆さん方が撤廃しよう、撤廃しようというのは、いかにも生活犬国云々というふうに言っても、その実現のために現実に政策を実行しているというふうに思えないと私は思うのですが、いかがですか。これは廃止方向というようなこと、いわゆる撤廃方向のことを出されていますが、考え直すべきだと思いますが、いかがですか。
  240. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 すべての経済政策は、国民のためにどれがよいかということで考えるべきものであって、個々の業界の利益とかいうものを頭に置いて考えるべきではございません。  それで、ただいま国土庁長官が言われましたように、中旬といえば、もう間もなくのことでございます。一般的には地価が鎮静をしつつあるという一般的な認識はございますけれども、なお国土庁が具体的にそれを把握されるであろう、もう数日中のことと存じますけれども。  それで、今議論いたしておりますのは、そういう判断をいたしますときに、総量規制をやめたらそれで話が済むというわけではない。万一のことがまた起きたときにすぐ遅滞なく手が打てるということを考えておかなければなりませんので、そういうことまでもよく考えて、そういう有効な方法を十分考えました上で全体の問題の決断をしたらどうか、こういうことで今議論をしているわけでございます。
  241. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 時間が参りましたので、終わります。
  242. 山村新治郎

    山村委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  243. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、おとつい、三点セットの問題について時間がなかったので総理のお答えがなかったから、この場でもう一度お伺いしますけれども、総理の説明とあの三点セットを出された、それに添付された服部さんのメモ。無断であなたの名前を書き、押印した、約定書ですね、これは売買の株の。だから、これはあなたの説明によれば、あなたの了解なく全く無断で行った、こういうことになります。宮澤総理は一切関知していないという説明でありました。これは明らかに刑法第百五十九条の私文書偽造、それから行使、詐欺罪、こうなる。  念のため言っておきますが、東京地検特捜部の関係者は、どうして総理がああいう書類を出したんだろうか、私文書偽造の問題が起こるんではないかというあれを漏れ聞いております。弁護士のどなたに聞いても、これは成立する、もし成立しないとすれば、あなたを含めて宮澤事務所ぐるみでこの問題に関与しておる。二者択一の問題です。さあどうでしょうか、総理大臣。もし今までの説明のとおりだとすれば、だれが考えてもこれは私文書偽造です。どうでしょうか。
  244. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 国会でこの問題を解明されます上でどうしてもそのような文書が必要であるということでございまして、私もそう思いましたので御提示をいたしたわけでございます。そういう法律的な角度というものを私は実はそのときに十分考えておりませんでした。国会の御審議に必要だということで御提示をいたしたのでございます。
  245. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、私の問いに答えておられませんね。総理は相当の方ですからね、私なんかの常識よりもはるかにいろいろ知っておられる方ですから、このくらいのことが私文書偽造に当たるというぐらいのことはおわかりじゃございませんか。その点を聞いているのです、その疑いがあるんじゃないかと。
  246. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私、法律の専門家でありませんので、正確にはどうもお答えできません。
  247. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは日本総理としておかしいんじゃないですか。その程度のことがわからぬということは、それは逃げの答弁でしょう。  時間がありませんからこれは残しておきますが、その刑事訴訟法の二百三十九条、犯罪があると思われるときは「告発をしなければならない。」これはある程度の法律専門家なら知っている。それをやらないということは、本当は、さっき言ったとおり、あなたの暗黙の了解があったかもしれないというふうに思っているから告発をしないのではないですかと私は推測しているのです。この問題は残しておきます。  次に、一つだけ聞いておきますが、これは、毎度渡辺総理に申しわけありませんが、お伺いしたいことがあります。あなたは、総裁選挙に出られたときに、リクルート問題との関連について記者団から問われたときに、道義的責任などというものはあってないようなものだと答えられましたね。どういう意味ですか、それは。
  248. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは、あってないようなものだということは、裏を返せばなくてあるようなものだということです。
  249. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 宮澤総理もそう思われますか。
  250. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私の場合は、私の秘書をしておりました人のやったことでございますので、私に監督責任がある、私はそう考えております。
  251. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 やや違いますね、総理と副総理のその道義的政治的責任の考え方が。  総理は覚えておられるかもしれませんが、昭和五十一年の十月二十日過ぎだったと思いますね。三木内閣当時、あなたは外務大臣でありました。私はそのときに、アメリカの上院銀行委員会、プロキシマイヤー委員会において、当時のロッキードの会長ホートンさんが証人として呼ばれた。既にそのとき、ほかの国も含めて、全日空がリベートを取っている、一〇一一の購入について。そういう証言があった。だからあなたに、外務大臣でしたから、その議事録を下さい、取り寄せてください。それは時間はかかりましたが、いただきました。それから三カ月後二月四日、年明けて二月四日、太平洋を渡っていわゆるチャーチ委員会のあの問題が日本列島を吹き抜けていった。御承知のとおりです。そのとき私もロッキード調査特別委員でありました。  忘れてもらっちゃ国ものですよ。あってないような、そういうあいまいなものじゃない。「忘却とは忘れ去ることなり」は菊田一夫の「君の名は」では通るかもしれぬが、国会では通りませんよ。  昭和五十一年十一月二日です。そのとき、時の総理は三木さんであり、そしてあれは、法務大臣は有名な稻葉さんでしたね。そして、ロ特委員長は亡くなられた田中伊三次さん。立派な方でした、三人とも。名コンビでした。そして、今言った五十一年十一月二日のロ特で灰色高官の基準、政治的道義的責任の基準、明確に決めたんですよ、その委員会であってないようなものじゃないんです。思い出していただきたい、どういうふうにそこで決められたか。いいですか、これは検察もそう決めた。一つは、時効で不起訴になった者。それが一つです。金はもらったけれども時効で不起訴になった者。二番目に、金はもらったけれども職務権限がなかった。もう名前は挙げませんよ。五人挙げられた、そのときに。金額まで言われましたよ、秘密会にして。刑事局長がなさった。  だから、その政治的道義的基準ははっきりしておるんだから、リクルートでお金をもらった人は政治的道義的責任があるんですよ、この基準からいえば。あってないようなもの、そういうあいまいなことを言ってもらっちゃ困るんですよね。いや、そうなんです。首をひねったってだめですよ。いや、時間お許しになればまだ私やりますよ。——もういいと言っていますから。あなた、首振られてもだめ。ちゃんと決まっているんだから。その五十一年十一月二日のロッキード特別委員会の議事録を読み直してください。確実にあります、政治的道義的責任が。  終わります。
  252. 山村新治郎

    山村委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして三案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  253. 山村新治郎

    山村委員長 これより討論に入ります。  三案を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  254. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私は、自由民主党を代表しただいま議題となりました平成三年度一般会計補正予算外二案に対し、賛成の討論を行うものであります。  まず、賛成の理由の第一は、災害関係経費の追加であります。  本年は、現在もなお続いている雲仙岳の噴火災害を初めとして、豪雨災害、また、たび重なる台風被害など多くの自然災害が発生いたしました。災害により犠牲となられた方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に対しましては、心からお見舞い申し上げる次第であります。  本補正予算では、これらの災害対策として災害復旧事業費を追加計上し、その復旧進度を高めますとともに、雲仙岳噴火災害により長期避難を続けられている方々への救済措置、また、台風により果樹、野菜等生産基盤に甚大な被害を受けた農家に対する救済措置など、今回の追加措置はまことに時宜に合った適切な措置であり、評価するものであります。  賛成の第二は、当初予算編成後において特に緊要となった事項について適切な措置が講ぜられているところであります。  すなわち、歳出面においては、災害復旧関係費のほか、人事院勧告を完全実施するための国家公務員の給与改善費、サケ・マスの公海沖取り禁止への救済対策、繊維産業対策など、早急に実施が望まれる緊要のものであり、一方、貿易保険特別会計への繰り入れ等国際社会に貢献するための経費等々が計上されており、適切かつ妥当な措置であると評価するものであります。  賛成の第三は、平成三年度税収の大幅な減収に対処するため、適切な措置が講ぜられていることであります。  税収が当初見積もりより二兆八千億円程度の減収が避けられない見通しとなっております。このような厳しい財政事情を踏まえ、既定経費の節減に努めるとともに、臨時異例の措置として、前年度剰余金の全額充当及び建設公債の追加発行を行うこととされております。これらの措置は、税収の大幅減という事態に対するものとしてはまことにやむを得ない面があり、厳しい財政事情の中での適切な対応と考えられ、評価するものであります。  以上、三点にわたり賛成する理由を申し述べましたが、このような事情により、本補正予算は早期成立こそ必要であり、反対する理由はどこにも見当たらないのであります。よって、各党こぞって御賛同を得たのでありますが、ただ一党のみ反対する党があることは、全く理解に苦しむものであります。  以上、賛成する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
  255. 山村新治郎

    山村委員長 次に、児玉健次君。
  256. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、日本共産党を代表して、九一年度補正予算に対する反対討論を行います。  まず、遺憾の意をあらわさなければならないのは、宮澤総理のリクルート疑惑解明に不可欠な服部元秘書らの証人喚問が棚上げされたことであります。  この問題は本予算委員会で論議が集中し、野党がこぞって証人喚問を要求してきたものです。それを自民、社会両党の協議で、政治改革協議会の場に取り扱いを移すことで合意し、それが本委員会に押しつけられたのであります。まさに国会の正規の機関をないがしろにするものと批判せざるを得ません。私は、引き続き、宮澤総理の資格にかかわる根本問題として、本委員会における証人喚問の実現と疑惑の徹底究明を強く要求するものです。  次に、本補正予算の内容についてです。  災害関係経費の追加支出、給与改善費の計上は当然のことです。しかし、追加された災害関係予算は、個々人に対する被害対策が微々たるものであって、被害救済には極めて不十分です。  雲仙・普賢岳噴火で多数の住民が長期にわたり仮設住宅での避難生活を余儀なくされ、台風災害で例年の二倍を超す出稼ぎ者が出ている事態は、国の災害対策の貧困さを実証しています。法の整備を行い、個人被害に対する適切な補償などの対策をこそこの補正予算に盛り込むべきです。  しかも重大な問題は、こうした追加財政需要と自民党政府の失政が原因であるバブル経済破綻による税収不足の穴埋めを、財政危機を深刻化させる建設国債の増発と国民生活関連予算を軒並み削減することによって生み出しているということです。生活保護費五百七十三億円、私立学校助成費二十二億円、大学の科学研究費補助金二十九億円、原爆障害対策費までも四億四千万円の削減です。ここに総理の言う生活大国とは全く無縁の無慈悲な本補正予算案の本質が示されています。  一方、いわゆる米軍への思いやり予算は三十六億円、四・四%の増額です。防衛庁予算全体で四百九十九億円、防衛施設庁予算も四十億円の増額となっています。  アメリカの世界戦略や日本の大企業の海外進出に対応するODAの拡充に伴う海外経済協力基金への一般会計出資金が二百七十九億円、財政投融資からの七十九億円の追加、さらに貿易保険特別会計への追加繰り入れも二百三十五億円で、合わせて五百九十三億円にも達しています。まさに対米貢献、大企業優先が本補正予算にも貫かれているのであります。  このように、本補正予算案は、当初予算の軍事費十年連続の異常突出、最悪の大衆課税である消費税の定着、老人医療費の自己負担引き上げなど、対米誓約の実行を最優先し、福祉、教育を切り捨てるという国民犠牲の枠組みを変えないばかりか、一層強化するものであることを厳しく指摘し、反対討論を終わります。(拍手)
  257. 山村新治郎

    山村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  258. 山村新治郎

    山村委員長 これより採決に入ります。  平成三年度一般会計補正予算(第1号)、平成三年度特別会計補正予算(特第1号)、平成三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して採決いたします。  三案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  259. 山村新治郎

    山村委員長 起立多数。よって、三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  260. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  261. 山村新治郎

    山村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時十五分散会