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1991-11-26 第122回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十一月二十六日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 岩垂寿喜男君    理事 青木 正久君 理事 赤城 徳彦君    理事 岩屋  毅君 理事 高橋 一郎君    理事 細田 博之君 理事 小川  信君    理事 武部  文君 理事 倉田 栄喜君       井出 正一君    石原 伸晃君       江口 一雄君    岡田 克也君       福永 信彦君    森  英介君       山口 俊一君    岡崎トミ子君       川島  實君    外口 玉子君       目黒吉之助君    大野由利子君       菅野 悦子君    柳田  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長          官)      野田  毅君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 矢部丈太郎君         経済企画政務次         官       田中 秀征君         経済企画庁長官         官房長     藤井  威君         経済企画庁調整         局審議官    谷  弘一君         経済企画庁国民         生活局長    加藤  雅君         経済企画庁物価         局長      長瀬 要石君         経済企画庁調査         局長      小林  惇君  委員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      加藤 治彦君         国税庁徴収部管         理課長     皆合 達夫君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 織田  肇君         厚生省保険局保         険課長     紺矢 寛朗君         社会保険庁運営         部保険管理課長 丸田 和夫君         農林水産大臣官         房調査課長   阿部  修君         農林水産省農蚕         園芸局普及教育         課農業後継者対         策室長     和田 宗利君         農林水産省食品         流通局市場課長 近藤 和廣君         農林水産省食品         流通局商業課長 後藤 和久君         農林水産省食品         流通局野菜計画         課長      小松 兼一君         農林水産省食品         流通局野菜振興         課長      桑原 勝敏君         通商産業省産業         政策局商政課長 喜田勝治郎君         気象庁予報部長         期予報課長   吉住 禎夫君         労働省婦人局庶         務課長     佐田 通明君         自治省財政局地         方債課長    嶋津  昭君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員異動 十一月六日  辞任         補欠選任   佐藤 敬夫君     北川 正恭君   穂積 良行君     井出 正一君 同月十一日  辞任         補欠選任   木村 義雄君     山口 俊一君   岸田 文武君     岩屋  毅君   北川 正恭君     小林 興起君   中村喜四郎君     岡田 克也君   福田 康夫君     江口 一雄君 同月二十六日  理事岸田文武君同月十一日委員辞任につき、そ  の補欠として岩屋毅君が理事に当選した。 同日  理事細田博之君同日理事辞任につき、その補欠  として小林興起君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事細田博之君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りをいたします。  ただいまの理事辞任のほか、委員異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事に       岩屋  毅君 及び 小林 興起君 を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 この際、野田経済企画庁長官及び田中経済企画政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。野田経済企画庁長官
  6. 野田毅

    野田国務大臣 このたび経済企画庁長官を拝命いたしました野田毅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  我が国経済現状を見ますと、現在、拡大テンポが緩やかに減速しつつあります。これは、我が国経済がインフレなき持続可能な成長経路に移行する過程にあることを示しております。今後につきましては、雇用者数の堅調な伸び、最近の市場金利の低下、公共投資の増大に支えられ、個人消費は着実に増加し、設備投資も総じて底がたく推移するものと見込まれます。しかしながら、景気の減速が企業家消費者の心理に及ぼす影響については十分注意していく必要があり、きめ細かい対応が必要と考えております。  先般、日本銀行は、こうした点を踏まえ、公定歩合を〇・五%引き下げたところであります。  政府といたしましては、内需を中心とした経済持続的拡大を図るため、今後とも、主要国との政策協調にも配慮しつつ、物価の安定を基礎とし、適切かつ機動的な経済運営に努めてまいりたいと考えております。  物価動向につきましては、その基調は安定した動きを示しているところでありますが、今後とも、生鮮野菜果物などの価格動向にも細心の注意を払うとともに、原油価格為替レート国内需給等動向を十分注視しつつ、物価の安定に最善の努力を尽くしてまいります。また、内外価格差問題につきましても消費者重視観点から、その是正・縮小を一層図ってまいる所存であります。  次に、対外経済面につきましては、引き続き保護貿易主義の抑止と自由貿易体制の維持・強化に向け率先して努力するとともに、世界経済活性化に対し積極的な貢献を行っていく考えであります。  国民生活の面につきましては、地価の適正化内外価格差縮小労働時間の短縮等国民生活に関連する分野を重視し、消費者の視点に立った経済構造調整を積極的に進めていくとともに、消費者保護支援に積極的に取り組んでいく所存であります。  また、内外における経済社会の急速な環境変化を踏まえ、現在、国民生活審議会において、「ゆとり、安心、多様性のある国民生活を実現するための基本的方策」について御審議いただいております。  さらに、二十一世紀に備えた基礎固めとして、公共投資基本計画による着実な社会資本整備の充実、人口の急速な高齢化環境資源エネルギー制約への対応等中長期的課題にも的確に対処していく所存であります。  今日の世界情勢には予断を許さないものがありますが、私は、経済運営に誤りなきを期し、国際社会の持続的な発展のために価値ある貢献を行うとともに、活力と潤いに満ちた生活大国の形成を目指して最大限の努力を行ってまいる所存であります。  本委員会の皆様の御支援と御協力を切にお願い申し上げる次第であります。ありがとうございました。(拍手
  7. 岩垂寿喜男

  8. 田中秀征

    田中(秀)政府委員 このたび経済企画政務次官を仰せつかりました田中秀征でございます。  野田長官を助けて精いっぱい務めてまいります。本特別委員会先生方にも御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げます。(拍手
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  10. 赤城徳彦

    赤城委員 おはようございます。赤城徳彦でございます。  日ごろ、大臣そして政務次官を初めとしまして、政府関係者の方々が経済問題に大変御尽力いただいておりますことに心から敬意と感謝を表明いたします。  さて、先ほどの大臣お話にもございましたけれども、経済動向はかなり微妙な段階に来ておる。その中でも物価動向が特に目が離せないところだと思います。基調としては安定しておるわけでございますけれども、昨今の野菜価格果物、そういった生鮮物が大変値上がりしておる。ことしは台風それから長雨が多うございまして、そういったことから大分、品不足になっているということでございます。  当委員会としましても先週、築地市場を視察に行かせていただきました。現状を見てまいりました。築地市場からいただいた資料ですけれども、特に値段が上がっておりますのが白菜、ホウレンソウ、レタスキャベツ、ネギ、キュウリ、ピーマン、平年から比べますと大体二倍から三倍というような値上がりの状況でございます。そこで特に野菜につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  さて、野菜値段が大分上がっておる。これはもちろん台風長雨といった自然災害が主たる原因なんですが、どうもその野菜価格高騰に拍車をかけた要因がいろいろあるのではないかなということが新聞等々で報道されております。それが先取りと言われる問題でありまして、スーパーとか量販店開店時刻前に品ぞろえをしなきゃいけない、そこで競りが始まる前にこっそり品物を持っていってしまう、その値段が、残った二割、三割の品物競り価格の一番高い値段値段を決めるということになりますと、全体の価格を押し上げてしまうのではないかというようなことが批判されておるわけであります。  本来、卸売市場法は、競りかまたは入札で取引をするということが原則になっております。大勢生産者大勢消費者がいる。両者が競りという手段を通じて価格を決め、また価格を通じて需給調整を図っていく、そういう理念でつくられていると思いますが、そこへ先取りという方法で大量に品物競りの前に持ち出すということになると、本来の市場法理念が阻害されてしまうのではないかなというふうに思います。卸売市場法施行規則二十三条と二十四条で競り以外で取引できる場合というのが書かれておりますが、それを見ますと、予約相対取引の場合、緊急出港船舶その他やむを得ない場合、入荷量が著しく多くて残品が生ずるおそれがある場合、区域内外の他の市場へ転送する場合、こんなふうな例外規定を設けております。  先取りはこのどの規定でやるのかなというふうに考えてみまして、私は、残品が生ずる、入荷量が余りに多くて残り物があるからそれを持っていってもらうんだと思っておりましたら、どうもそうじゃなくて、緊急出港船舶その他やむを得ない場合なんだ、やむを得ないから先取りしていくんだ、こういうことのようなんです。でも、本来これは船が出ていってしまうんで先に持っていかなければならないというようなごく特別な場合を想定して、本当に文字どおりやむを得ない場合というものを想定していると思うのですけれども、この規定で七割、八割と先取りしてしまうということになりますと、市場の本来のあり方は本末転倒してしまうんじゃないかな。  もちろん先取りしなければならないという必要性、最近スーパー量販店がどんどん伸びてきている、そういうふうなニーズというものもわからないではないのですけれども、そこら辺はやはり整理して、そういうニーズに対しては、卸売市場仕組みそのものの中で正面から取り上げてそのニーズにこたえていくような方法をとらなければいけないんじゃないかな、そういうふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  11. 近藤和廣

    近藤説明員 お答えいたします。  先取りについては、先生お話の中にもございましたけれども、近年は量販店等の進出に伴い、市場取引時間以前に安定した数量での供給を求める傾向が強まっていること、それから大都市中央卸売市場集散市場としての役割が増大していること、それからさらには、交通事情の悪化のもとで夜間輸送により交通混雑を回避しようとする動きが強まっていること等を理由といたしまして、主として首都圏大都市市場で増加をしてきてございます。先生お話のように、先取りについては従来から制限的に行うように指導をしてきております。具体的には、卸売市場法施行規則先取りのケースを限定するほか、各市場において市場関係者の合意により限度が定められ、仲卸業者売買参加者を不当に差別することとならないものとして開設者が許可した場合にのみ行うことができることにされております。  特に、今回のように災害により卸売市場への供給量が著しく減少する場合には、公平な分荷の面で問題を生ずるおそれもありますので、農林水産省としても各市場において先取りの禁止または数量制限を含めて、取引の公正を確保するための措置を講ずるよう指導したところであります。  それから、先取りにつきましては、今の先生お話の中にございましたように、卸売市場法施行規則において緊急出港船舶その他やむを得ない理由を初めとして五つの場合が限定的に書かれておりますが、具体的な細目についてはさらに各市場開設者規則等で定めております。  それからもう一つ先取り価格高騰関係についてお話がございましたけれども、先取り価格関係につきましては、一方で先取りが行われれば、競りによる販売割合減少いたしまして、これによって競り価格が上昇するのではないか、そういう見方もありますが、他方で量販店外食産業大口需要者競りに参加することによる価格の上昇、そういうものを未然に防止するという一面もありまして、一概には言えないものがあるというふうに思っております。  いずれにしても、先取り市場における公平、公正な取引を確保するということが非常に肝要でございますので、従来から慎重に指導を行っているところでございます。  それから、もっと先取りといったことも踏まえて量販店ニーズに応じたいろいろな対応考えるべきではないか、そういうふうにお話がございましたけれども、量販店やあるいは外食産業等大口需要者が求めている定量、定価格といった志向にこたえるために、従来から卸売市場対応といたしましては予約相対取引制度というのがございます。それによって対応を図ってきたところでございますけれども、その予約相対取引の手続その他についてさらに改善をして、普及、定着を図ってまいりたいというふうに考えております。
  12. 赤城徳彦

    赤城委員 先取りが大分ふえてきた、その理由としてスーパー量販店、それから交通事情の問題、それから集散市場としての問題、いろいろあるわけでございまして、もちろんそういうニーズとかそういうふうな先取りが必要になってきた現状というものを否定するものではございません。ただ、やはり市場の本来のあり方として、どうも違う形態がふえてきたんじゃないかな。さらに市場外の、全く市場とは別に契約栽培をするというような市場外流通というのがふえていく、これもまた時代の趨勢なんじゃないかなと思いますので、そういった市場あり方そのものを含めて、これは今後御検討いただければというふうに思います。この問題を取り上げていますとなかなか問題が尽きないんじゃないかなと思いますけれども、次に進ませていただきます。  当委員会は、消費者の側から価格というものを通して世の中を見ていこう、こういう立場でございますけれども、今回の野菜価格高騰原因は、第一に、何といっても生産の現場での問題だと思います。特に首都圏野菜供給、これは関東の近県がそのほとんどを賄っておるわけでございまして、例えば茨城県、これはもう首都圏の第一の野菜供給基地だと申していいと思うのですが、今回大変な被害がございました。白菜でいいますと八千代町、結城市、三和町、レタスでいいますと岩井市、猿島町、結城市、こういったところを中心にしまして、全体で農産物の被害面積が一万二千六百ヘクタール、被害金額が千九百億円、ほとんど例を見ない被害があったわけでございます。  この野菜につきましては、現在指定産地制度ということをとっておりまして、産地集中化を図っておるところでございます。同一野菜面積が二十五ヘクタール以上の産地を国が指定して、大消費地へ安定的に野菜供給していこう、こういうことなわけですが、野菜のこういう供給を各地域が集団的に担っておりますので、いわばローテーションみたいに、北の方あるいは寒冷地から関東へ、そしてまた南へとローテーションを組んで産地が移動していくわけですけれども、そのちょうど真ん中の、十一月前後の供給がばたっと途絶えてしまう、こういうことになるわけでございます。この指定産地制度という趣旨供給を安定しよう、大量に消費地へ出そうという趣旨でありますけれども、こういう災害が一たん起こりますと、意外と弱い面も露呈するということでございます。  また、この指定産地制度というのが、大量に同じ野菜をつくりますので連作障害を起こす、こういうような問題も指摘されております。白菜では首都圏の八、九割を供給している八千代町ですけれども、ここでも最近は白菜からキャベツレタスに転換するという動きも見られておりまして、指定産地をもう少し分散したらどうかとか、ほかの作物と組み合わせたらどうだというような指摘もありますけれども、これからの指定産地制度、または野菜供給あり方としてどのようにお考えか、御質問いたします。
  13. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  野菜指定産地につきましては、指定消費地域に対する指定野菜の計画的、安定的供給を確保するため、将来にわたって安定的生産出荷が見込まれる産地であって、集団産地として形成することが必要と認められるものについて国が指定し、育成を図っているところでございます。  ただ、先生指摘のように、野菜指定産地面積要件に満たない産地、これも非常に野菜安定供給の上で重要な役割を果たしているというふうに考えております。ただ、そういうような面積に満たない産地につきましても、例えば特に都市近郊に立地する産地につきましては、別途、野菜指定産地制度に準じた形で都道府県が都市近郊産地として指定し、その安定的生産出荷を図るための産地育成制度都市近郊産地育成事業としてやっているところでございます。  また、いわゆる生産地分散、いわば広域的に産地育成していくということにつきましては、先生指摘のように、台風などの地域的災害のリスクの分散に資するものでもございます。また現在、野菜産地、御指摘のように連作障害等の問題も抱えているところでございます。私どもとしてこういった問題点を踏まえまして、今後とも中長期的な観点からの野菜供給体制整備のため、全国的にわたっての野菜産地育成強化などの各般の施策を総合的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
  14. 赤城徳彦

    赤城委員 今度の被害がございましていろいろ野菜農家の話を伺っていますと、なかなか野菜づくりそのものが大変だなということを痛感いたしました。野菜が高値になったのはことしだけじゃなくて去年もそうでありましたけれども、特に露地物ですね、大変天候に左右されやすいということで値段も乱高下が激しい作物でございますし、大変御苦労が多いものでございます。それで、天候不順ばかりでなくて、野菜をつくるそのこと自体が、これは農業全般に言えることだと思うのですけれども、なかなか後継者がいない。それから、特に野菜都市近郊でつくっていますので、都市化の波の影響を受けやすい、こういうことでだんだんその担い手が少なくなってきている、こういうことが指摘されております。  野菜農家がこの十年間で一八%減少している、これは全国ですけれども、全農家減少率が一〇・四%ということでありますから、それをはるかに上回るペースで農家が減っているのじゃないかということが言われております。特に重量野菜白菜などですけれども、白菜作付面積が八四年から八九年で一四%減少、そのほか大根、ナス、キュウリ、トマト、タマネギ、軒並み作付が減っている、こういうことでございます。  白菜の最大の供給基地、先ほど来出ていました八千代町なんですが、八千代町では、連作障害とか兼業化作付面積が実にこの一年間で一割減っております。大変な減少です。こういうことが続きますと、もう野菜供給そのものが続かなくなってしまうのじゃないかな、野菜価格高騰というのが去年、ことしの問題じゃなくて、これから先も構造的に続いてしまうのではないか、そういうふうに心配するわけであります。  特にこういう重量野菜白菜大根キャベツといったものは、今高齢化しておりますので、農家のお年寄りにとってはなかなか骨の折れる仕事でございます。各地域がもっと軽量な野菜に転換しているという話も聞きます。特にこの重量野菜、このまま農家に敬遠されてしまって果たして供給がどうなるのだろうかと心配するわけですけれども、そこら辺の対策をお尋ねいたします。
  15. 桑原勝敏

    桑原説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘ありましたように、野菜全国販売農家数は、農業センサスによりますと、昭和五十年から六十年にかけまして二二%減少しております。さらに六十年から平成二年にかけましては一六%の減少ということになっております。それから、野菜農家年齢別従事者数の推移を見ますと、六十歳以上の従事者割合が五十年の二一%から六十年には二九%ということで年々高くなっておりまして、労力不足に加えて高齢化が今後の問題になるものと考えております。  今お話ありました白菜大根等のいわゆる重量野菜ですが、御指摘のように、白菜L級一個で二キロから三キロぐらい、それから大根の場合ですと、L級一本で一・五キロから二キロということでかなり重量がございまして、農家労力負担が非常に大きいという状況になっております。このような状況に適切に対処し労力軽減を図っていくということが非常に大きい課題であるというふうに認識しております。  農林水産省といたしましては、指定産地中心にいたしまして、案出荷施設整備によりまして収穫後の労働軽減化を図っていく。特に労力のかかる部分についてはできるだけ農協等がそういう作業を代行するというようなシステムを取り入れていきたい。  それから、野菜について機械化が非常におくれております。例えば、キャベツとか白菜葉物収穫について有効な機械がないというようなことがございます。機械化を今後図っていく必要があるということでございますが、現在、生物系特定産業技術研究推進機構というところがございまして、そこで白菜とかキャベツ収穫機械開発を行っております。それから、野菜茶業試験場という国の試験場がございますが、そこで運搬ロボットということで、バッテリーカーなんですが、リモコンで、作業する人のそばをついていって収穫したものを載せたり、いわば作業補助として使えるような運搬機開発も今行っている。俗に犬のポチポチロボットというふうに言っているようですが、そういう開発も行っておりまして、今後ともこれらの機械開発成果等を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  16. 赤城徳彦

    赤城委員 ただいまのお答えにも関連するのですけれども、もう一つ農家にとりまして大変な重荷になっておりますのが調製作業収穫したものを仕分けしなければならない、これも大変大きな手間がかかるわけでございます。特に規格、等級が大変細かくなっているのじゃないかということが指摘されておりまして、標準規格でいいますと、トマトが品質、大きさで十種類、スイカ、メロンは十八種類、これは食品流通局長の指定する規格なわけですけれども、実際には各農協がもっと細かい基準をつくっているのじゃないかな。  先週の築地市場の視察でも、見本になるものを競り落とせば、あとは大体同じ品質のものがちゃんとそろっているというわけでありますから、その分その見本については規格をそろえておかなければいけない。そういう市場取引ニーズというものがあると思うのですけれども、それが生産面の方でも、規格、等級をきちっとそろえて出荷しないと値段が安くなってしまうということで、本来の規格、等級の数以上に細かくならざるを得ない部分があるのじゃないか、こういうことが言われています。  そこら辺の反省から、最近ではその規格を簡素化しよう、こういう動きがあると聞いております。静岡県経済連ではレタスを十二階級から九階級に、福岡県の大木町農協ではイチゴを十二階級から六階級に簡素化した、こういう報道がされておりました。もともと食品流通局長の規格というのはそんなに細かいわけではなくて、先ほど一番多いトマトとスイカ、メロンというのを挙げたわけですけれども、レタスが三階級から五階級ですか、イチゴが二から三階級、本来だったらもっと少なくて済むはずなんですね。でありますから、ここら辺は、市場がそういう細かい規格を要求しているということと、産地間の競争でどんどん品質、品質ということで競うようにしてそういう過重な規格をみずからがつくっている部分もあるのではないか。  これは考えてみますと、消費者がそんな細かい基準を要求しているわけはないので、例えばレタスが、何等級の玉がどれだけの大きさだからこれを、幾らだから買おう、そういうことを見ているのじゃなくて、実際にそのものを手にとってみて、ああ新鮮だな、こんな大きさでこんな値段だから、じゃ、買おう、こんな判断をしておると思うのですね。ですから、この市場ニーズ、流通のニーズで起こったものをもう一度もとに引き戻さなければいけないのじゃないか。農家にとってその選別作業がみんな農家にしわ寄せになってしまう。こういう過重な負担から農家を解放してあげなければいけないのじゃないかと思いますけれども、そこら辺どういうふうな対策をとられるか、お尋ねしたいと思います。
  17. 桑原勝敏

    桑原説明員 お答えいたします。  農林水産省では、お話にありましたように、野菜取引の簡素化、それから流通経費の軽減、節減に資するということを目的にいたしまして、昭和四十六年から主要な野菜につきまして標準規格の設定を行ってきております。現在まで二十七品目の設定を行ってきております。  近年、生産、流通それぞれの販売戦略という観点から、標準規格をベースにしながらも各産地の規格が非常に細分化、複雑化するという現状があるというのは御指摘のとおりであります。現在、生産農家の段階でもそうですし、それから流通段階、市場の段階でも人手不足ということが問題になっておりまして、そのために選別作業とか荷さばき業務の軽減とか、さらには資源の有効利用というふうな観点からも規格、包装の簡素化を図る必要があるという声が両方から出てきております。現在も、農協系統組織、全国農業協同組合連合会が主宰でございますけれども、青果物及び包装容器の規格の簡素化につきまして、青果物出荷規格簡素化と物流対策検討会という検討会を持ちまして、規格なり包装の簡易化についての検討を行っております。農林水産省といたしましても、そういう方向に向けて指導してまいりたいというふうに考えております。
  18. 赤城徳彦

    赤城委員 最後に、野菜高騰対策全般について、多少重複しますけれどもお尋ねしたいと思います。  野菜高騰対策につきましては、大変御苦労いただきまして、いろいろな対策がこれまでとられてきたわけでございます。出荷の前倒しとか緊急輸入、それから契約キャベツの放出、各般の施策または指導をやっておられて、最近ではやや価格が落ちついてきたという話も伺っております。これから先の野菜価格問題、これを考えていきますと、当座の対策ももちろん大事でありますけれども、やはり生産地を含めた抜本的な対策を講じていかないと、これから先もこの構造的な問題というものが降りかかってくるのではないかなというふうに思います。  そこで第一に、野菜産地育成、これをしっかりやっていかなければいけないと思います。特にその生産基盤。今回の台風長雨の反省からいきますと、排水対策、これもしっかりやらないと、ほとんどの野菜畑が水につかって、なかなか水はけが悪くて根腐れが起こった、こういうふうなことを聞いておりますので、そういった基盤の整備、これをぜひお願いしたいと思います。  それから第二に、収穫、調製それから出荷と、ここら辺の負担を軽減していかなければならない。そのための、先ほどお話ありましたけれども、収穫機械開発とか、いろいろな作業を共同化していくとか、そういった面、そういった対策ですね。  それから第三に、安定出荷のためには特に農協の役割が大事になってくるんじゃないかな。農協の共販体制、これをしっかり整備していく。それから集出荷施設、予冷施設、そういった施設的な面も整備が必要だろうと思います。  それから第四に、連作障害の対策、特に生産地の側から見た対策も野菜価格対策ということでもありますし、しっかりとした制度面あるいは予算面といった対策をお願いしたいと思いますが、その辺についてどういうお考えか、お尋ねしたいと思います。
  19. 桑原勝敏

    桑原説明員 お答えいたします。  野菜生産を取り巻く状況について見ますと、野菜生産農家高齢化労力不足、それから北海道、東北、南九州等の遠隔地のウエートが高まっている、それから御指摘ありました連作障害の発生等の状況が見られるところであります。  こうした中で、中長期的に野菜の安定的な供給体制の確立を図っていくということのために、野菜指定産地中心といたしまして、野菜産地について圃場の排水対策等の生産基盤整備、それから集出荷施設、予冷施設の整備等によります産地育成整備が重要であります。それから、収穫、育苗等の作業に係る機械開発機械化体系の確立、それから優良種苗の安定供給体制の整備連作障害等を防止するための土壌診断、土づくりの推進等、これらの各般の施策を総合的に推進してまいりたいというふうに考えております。
  20. 赤城徳彦

    赤城委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 小川信君。
  22. 小川信

    ○小川(信)委員 まず、最初に、ガット新ラウンドの農業交渉の問題で、昨日アンドリーゼン副委員長に企画庁長官もお目にかかられたと思います。新ラウンドの農業交渉は非常に重要な局面を迎えておるというふうに予測されておりますし、連日この問題が新聞に出ておるわけです。  御存じのようにダンケル事務局長がワーキングペーパーを提示されたわけですけれども、これは包括的な関税化が骨子になっている。言うなればアメリカが主張した案がその柱になって組み立てられておるというようなことですけれども、我が国は、既に御存じのように米の国内自給ということについて国会でも三度にわたって決議をしておる。  さらに、御存じのように地方自治六団体もそれぞれこの問題の所信を表明しておりますし、先般来消費者の皆さん方の大会等々でも、米については国内自給をと、こういうふうなことが決議をされておるというように、日本の国全体の共通の考え方が、まさに米の問題については国内自給をする、一括関税化のような完全自由化につながるような提案に対しては、これは受け入れないというのが日本の国民の大方の考え方じゃないかと思います。既に韓国はこのワーキングペーパーについては拒否の姿勢を明らかにしているということですけれども、まずその辺について所信をお聞かせいただきたいというのが一つです。  それと同時に、この米の問題は、日本国民の約四分の一のカロリーを供給するという主食としての位置づけもありますけれども、米というものが国内経済に及ぼす影響というのは非常に大きいものがあるというふうな分析もされておるわけです。東大の森嶋教授等が中心になって研究された論文等を見ますと、米が完全に自由化された場合に国内経済に及ぼす影響としては、国内全体、農業を含めて、製造業、金融業、サービス業等々の生産減少額が十一兆円だ、こういうふうに言っておられますし、また雇用喪失が百六十三万一千人というような、国内経済全体に及ぼす大きい影響が出てくるというふうに言われております。さらには、米を生産する水田の持つ公益的な機能というものを換算すると十一兆とも、また直接的なものとしても四兆七千億というような、五兆に近いような数字というものが計算される、これは三菱総合研究所の試算でございます。  そういうふうなことを考えると、国内経済全体にも、そして国土保全というような面から考えても。我が国に非常に大きい影響を及ぼすという問題を抱えておるわけですけれども、これらも含めて経済企画庁長官の所信を聞かしていただきたい、このように思います。
  23. 野田毅

    野田国務大臣 ただいま委員指摘のとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉がいよいよ最終局面に入ろうとしておる段階にございます。私ども日本の立場としては、少なくとも今日まで日本の経済がこれだけの繁栄を築いてきたその最大の背景の一つは、やはり何といってもガットを中心とする自由貿易体制の中に、日本もしっかりとその恩恵を受けてきた最大の受益国であるということは、これは何人も否定できないことだろうと思います。  そういった意味で、このラウンドの交渉が農業交渉のみならず全体の、そのほかにもさまざまな、金融サービスの分野であったりあるいは知的所有権の分野であったり、多くの項目がその対象になっておるわけでありますけれども、それらが一括して年内に最終合意ができるように日本としても最大限の努力をしていかなければならぬということは、一つの大事な、基本的な立場であろうと考えております。  しかし、そういう中で、ただいま御指摘ございましたが、農業の問題、特に米の問題につきましては、御指摘のとおり国会における決議もたびたびございました。そういった点を踏まえて、政府としても、日本が農産物については世界の最大の輸入国である、そしてまた米の地位というものが単なる一つの農産物、一商品というような扱いではなくて、その持つ非常に精神的な、さまざまな多面的な性格ということを考慮し、少なくともこういう基礎的食糧については国内産で自給をするという基本原則のもとに、現在精力的に交渉をやっておる最中でございます。  今いろいろなぺーパーもございました。最終局面に入ってきておりまして、現在交渉中でありますので、その中身についてどういうようなことということを具体的に予断を持って申し上げるわけにはまいらぬことは御理解をいただけることだと思っておりますが、今申し上げましたような食料輸入国としての基本的な立場が貫かれるような交渉結果になるように私どもも最大限の努力をしていかなければならぬ、このように考えておるわけでございます。  経済効果の面につきましては、さまざまな仮定を置いてさまざまな計算があるいは成り立とうかという気はいたしますけれども、基本的に今私どもはそういう予断を与えるような計算をするとかいうことは、かえって誤解を与えるもとになるのではないかということを感じております。そういう意味で、そういう計算をすることは私はまだ時期尚早といいますか、誤解を与える種をまくのではないかというふうに考えております。
  24. 小川信

    ○小川(信)委員 ストレートな御答弁がいただけなかったと思うのですけれども、もう一つの角度から見まして、輸入農産物の安全性の問題からもこの問題は極めて重要な課題ではなかろうかと思うのです。  これは精米で輸入するわけですから、そうしますと外国の今の米の輸入というのが、ポストハーベストという、残留農薬の問題が消費者にとっては非常に重大関心事であるというようなこと、これは国民生活の基本にかかわる重大な側面もあるというようなことも考えてみますと、あらゆる面で、米の市場を開放し、包括的な関税化、自由化につながるそれを政府としてははっきり拒否するんだという姿勢を、少なくとも安定的な国民生活を全体的に調整をする経済企画庁として、その側面からもはっきりした御答弁をいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  25. 野田毅

    野田国務大臣 輸入農産物の安全性についてのさまざまな角度からの消費者の不安にどうおこたえをするか、これは大事な問題だと思っております。この点につきましては、御案内のとおり、平成二年十二月に開催されました消費者保護会議におきましても、「増大する輸入食品に関し、食品衛生監視員、検査機器の整備等監視体制の一層の充実に努め、安全性の確保を図るとともに、ポスト・ハーベスト農薬を含め、残留農薬については、食品の安全性確保の観点から順次基準を作成する等適切な対応を図る。」との決定がなされたところでありまして、関係省庁におきまして今適切な対応がなされておると認識をいたしております。  いわゆる輸入農産物の安全性についてはそういうことでありますが、今御指摘のございました今回のウルグアイ・ラウンドの交渉に際して、特に米の問題に際して、いわゆるその安全性の角度を前面に出して日本が主張していくということについては、またもう少し慎重な検討を要することではないか。特に穀類に関しては、かなり世界的にいろいろ農産物の貿易が行われておることも現実でございます。  そういった点で、私どもは米について基本的な立場は、もちろんそういう角度もありましょうけれども、米というものが基礎的な食糧である、その位置づけ、国内産米で自給するという基本的な方針、こういう角度から、私どもは米についての基本的なスタンスとして交渉しておるわけであります。  特に、先ほど経済効果のお話もありましたが、数字的な経済効果ということ以上に、農村社会においては米というものがいわばその農村社会を結びつけるある種の精神的なきずなの役目を果たしておる、そういうシンボリックな要素がある。したがって、単に経済的な数字だけではない、文化なりそういう農村社会の地域というものの連帯感、そういった一つのきずなになっておるという政治的、社会的な意味というものを私どもは念頭に置かなければならぬことであるというふうに今考えておりまして、安全性の側面からこの問題を前面に出して交渉していくということには慎重な検討を要するのかな。  ただ、御指摘のとおり、一般論としての輸入食品についての安全性は非常に大事な問題でありますから、先ほど申し上げましたようにいろいろな検査体制の充実を図っていくということは、消費者行政を推進する立場からも極めて大事なことであると認識をいたしております。
  26. 小川信

    ○小川(信)委員 この議論はもう終わりたいと思いますけれども、今おっしゃいましたように、一つの大きい国民全体の不安の背景にそれがあるということ、それから基本的には国内で自給するという国会決議、それから国民全体の合意が形成されておるわけですので、それを目標にしてやっていくというのはもちろん当然でございますけれども、経済官庁としての経済企画庁長官の御努力を、一歩も引かないという御決意を、ぜひ貫いていただきたい、このように強く要請をしておきたいと思います。  実は、先ほど赤城委員の方からもお話がございましたけれども、先般築地市場に視察に行かせていただきました。昨年は大田の市場に、現地に行って勉強させていただいたわけですけれども、実は私今年の三月七日の物特の委員会野菜の問題について取り上げまして、いろいろと御質問なりまた提案をさせていただいたわけです。昨年の一-三月期の野菜価格の暴騰というような問題、いろいろと原因があったわけですけれども、先般出されました「物価レポート」の中にもこの問題が提起されて解説がされておるわけです。物価上昇の大部分は天候要因だというようなことがあるし、そのほかのいろいろな要因ということで先ほど来お話のあったような問題が出されております。  その際、もう一つここで輸入の安全弁効果というのが挙げられております。確かに、国内の野菜価格が上がったときに輸入量がふえてきておる、それが安全弁効果を発揮しているということも提起されておりますけれども、ことしの野菜価格上昇に対しても農水省が試験輸入を台湾でやられたわけです。これが確かに日本の国の野菜価格の安全弁効果はあるでしょうけれども、輸出国ではどういうふうな効果なのかといいますと、この間テレビでもやっておりましたが、きょうも日本農業新聞にも出ておりますが、「日本からの買い付け情報で台湾キャベツ高騰」こういうのが出ておるわけです。日本は金があるから、足らないときには外国から野菜を仕入れて国内での野菜の値下げに効果を発揮する。しかし、輸出のために野菜生産してない国は、日本が買い付け、動くという情報だけで価格が上がる、そういうふうな効果が、逆の効果があるわけなんです。  そういうふうに非常に野菜価格変動というのは大きい課題を抱えておるということですが、今年の質問のときに当時の物価局長さんの御答弁は、長期的な観点からこの野菜の問題については考えていこうというようなお考えが出されておりますけれども、経済企画庁として当面的なもの、そして長期的にこの野菜価格の大きな変動、高騰に対してどのようなお考えをお持ちなのか、安全弁効果だけで外国に頼るような形を毎年繰り返すのか、その辺について企画庁としてのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  27. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  先生から御指摘がございましたように、三月七日の当委員会におきまして当時の田中物価局長から、野菜価格が上昇に転じたことに関連いたしまして、当座の問題としては天候要因が一番大きいということを申し述べますとともに、天候要因以外の要因につきまして「少し長期的な観点から勉強してみたい」、このようなお答えを申し上げたと承知をいたしております。  こういう経緯をも踏まえまして本年十月に公表させていただきました、ただいま先生からも御指摘がございました「物価レポート91」におきましては、生鮮野菜需給価格動向の分析にかなり力を入れてこれを試みたところでございまして、平成二年度の生鮮野菜価格上昇のうちのやはり大部分は天候不順要因による、このようにいたしながらも、その他の要因といたしまして農家の数やあるいは担い手の減少、先ほど来御指摘がありました高齢化の進展あるいは機械化が困難である、そのことによる生産意欲の減退といった生産面等の要因について、そういった事情が背後に介在することをも指摘したところでございます。  御高承のように、十月上旬以降の最近の野菜価格高騰長雨、日照不足、台風の来襲による野菜産地の甚大な影響を受けたことによる、こういうことでありますので、御質問のございました当面の対策ということになりますと、経済企画庁といたしましても農林水産省と十分に連絡をとりながら協議を重ねてきたところでありまして、十月の二十二日には農林水産省におきまして出荷の前倒し、あるいは野菜供給安定基金によります緊急輸入の対策を講じたところでございますし、先般、十一月の十九日には、経済企画庁に計上されております国民生活安定対策等経済政策推進費を活用いたしまして、並み級品の出荷促進なり軟弱野菜生産促進、そういった事業についての対策を決定したところでございます。  さらに、先ほど来御議論がございますが、長期的な、構造的な問題の対応ということになりますと、何と申しましても生産基盤の整備を初めといたしまして野菜生産育成強化、こういった対策でありますとか、あるいは機械化等を通じます野菜生産の省力化のための対策でありますとか、あるいは農協等を通じましたいわば協同と申しますか、作業をいわば代行していくような、そういうような工夫ということも含めまして、生産面の対応強化という点につきましては、農林水産省からも先ほど来御答弁があるところでありますが、私どもといたしましても、そういう点につきましても今後とも十分農林水産省とも御相談をしながら万全の対応を期してまいりたい、このように考えております。
  28. 小川信

    ○小川(信)委員 それでは具体的なことでいろいろ質問させていただきたいと思いますけれども、今年の八月九日に、これは初めての試みだということですが、「野菜出荷変動分析調査結果」を農水省で出されております。これは夏秋キャベツと夏秋キュウリの両品目ですけれども、夏秋キャベツなんかを見ますと、労働力が不足だとか、非常に不足しておるというのが生産者段階で八九%、生産販売農家がそういうふうな声を出しておるわけですけれども、その理由としては高齢化が八四%、パート労働の確保が難しいというのが一九%。それから、どういう作業が不足だということについては収穫が六八%、出荷調整が五二%、種まき・定植が二九%というような、いわゆる手作業部分のところが非常に困難だということで作付面積減少せざるを得ないというのが六一%あるというような結果になっておるように見受けます。  また、夏秋キュウリでは五年間で販売農家も一七%ぐらい減っておるわけですけれども、労働力不足というのがやはり九六%。その中身は出荷・調製、収穫で七一%、六七%というふうな、もうはっきり問題点がこの調査結果でも出ておるというふうに思いますが、農林水産省はこの分析調査結果をどのように受けとめておられるのか、まず聞かせていただきたいと思います。
  29. 桑原勝敏

    桑原説明員 お答えいたします。  ただいま八月の調査結果の御説明がありましたけれども、私ども食品流通局におきましても昨年度、野菜研究会という研究会を開催いたしまして、その中で農協等にアンケートを出しましてその結果をまとめた中では、やはり労力問題とか後継者不足とか高齢化という問題が非常にクローズアップされておりまして、私どももそこのところが今後の野菜供給の安定化を図る上で非常に重要な点だというふうに考えております。
  30. 小川信

    ○小川(信)委員 そういうふうな現地の調査結果なんかから、結果的に作付面積縮小につながるんじゃないかと思います。二年産の野菜の主要品目を見てみますと、根菜類、大根、ニンジンなどですけれども、労働事情等によって前年産に比べてこれが減少する。それから、白菜キャベツ、これは連作障害労働事情、市場価格の不安定等でこれまた減少キュウリ、ナスなどが労働事情、他作目への転換などから減少。サヤエンドウ、サヤインゲン、こういうような豆類が労働事情などからこれも減少。果実的な野菜では、イチゴ、スイカ等が労働事情等によって前年より減少。こういうふうに軒並み作付減少をしているということですね。  そういうふうなことを考えると、野菜価格の上昇というのは、単収は上がっていくかもわかりませんけれども、飛躍的な単収増というものはなかなか期待できないということを考えると、生活に必需的な野菜というもの、いわゆる重要野菜と称されるような野菜は全体的に減少傾向にある、これが結局価格の上昇に基本的につながってきておるのではないかというように考えられるわけですけれども、その原因が、先ほどからも言われておるように、労働力事情、労働事情だというようなことですね。これはもうまさに日本の野菜生産が構造的に弱体化してきておるということですけれども、これに対して、てこ入れをどのようにされるのかということを、基本的な問題を、農水省は野菜研究会をやられておりますけれども、そこでどういうような結論が出てきたのか、お聞かせいただきたいと思います。
  31. 桑原勝敏

    桑原説明員 お答えいたします。  御指摘のように、労働力不足というのが非常に重要な問題になっておるという認識でございまして、中長期的に野菜供給の安定化を図っていくということのために、先ほど来お話が出ておりますけれども、野菜指定産地中心野菜産地育成整備をきちっとやる必要がある。それは、排水対策等も含めた基盤整備あるいは案出荷施設整備、その中で、例えば育苗だとか収穫調整だとか、スケールメリットが働くような部分について、個々の農家の経営の中から切り離したような形で、農協等がその部分を代行するというようなことで農家労力の軽減を図る。  具体的に、育苗施設を入れることによって、例えばキャベツ収穫時とレタスの育苗とが重ならなくなって、レタスの育苗を農協が代行してやることによってキャベツレタスも規模拡大ができたというような例もございますし、そういうようなことをこれから大いに進めていく必要がある。  それから、機械化の問題ですけれども、やはり省力化に一番有効なのは機械化であろうというふうに思います。機械開発というのが、ほかの、水稲とかそういうものに比べると非常におくれておりまして、野菜の消費の特質にもよるんだと思いますけれども、特に葉物だとかああいうものの収穫機の開発というのがおくれております。そういう面での開発を今生研機構というところでもやっておりますし、それから、いろいろな作業機についても国の試験場でもやっておりますし、その辺の開発をできるだけ早めてもらって、それを取り入れた機械化体系を確立することによって産地体制を強化していく。  それから、連作障害等もアンケート等の中で出てきておりまして、これも非常に重要な問題でございますので、複数の野菜を栽培してもらって連作体系を組む中でそういう問題も解消していく、あわせて、そういう中で災害等の回避も、危険分散もやっていけるというような方向で今後努めていきたいというふうに考えております。
  32. 小川信

    ○小川(信)委員 今おっしゃったこと、いろいろ必要なことだと思いますけれども、要は価格を安定するということは、生産が安定して、そして安定的な供給ができてこそ価格というものが安定できるのではなかろうか。これは天候、気象等による異常な状況があったとしても、それの危険が分散できるような産地づくり、安定的な生産をするということ、そういうふうな意味で指定産地の問題等ももう一度考え直してみなければならないと思うのです。  実は私が住んでおるところが山口県のカンラン、キャベツ白菜指定産地なんです。私のすぐそばに植えてあるわけです、田舎におるわけですけれども。そこでいつも地元の皆さん方のお話を聞くのですが、非常につくりにくいという、だんだんつくりにくくなっていくといういろいろな事情があります。それで、農協とか行政は二十五ヘクタール規模、この規模が少なくならないように農家に頼み込んで、つくってくださいと言ってやっとつくってもらって規模面積を維持しておるというのが現場の現実なんです。  そして、さっきもおっしゃるように連作障害という問題、確かにあります、この野菜にはあるわけですけれども、例えば二十五ヘクタールの作付面積を維持しようとすれば、連作障害等考えたら、白菜なんかだったら少なくとも五十ヘクタールから七十五ヘクタールぐらいは必要になってくるわけなんですね。トマトなんかだったらもっとたくさん必要になってきますけれども、そういうふうなことになると、それだけの作付可能面積を含めた農家の規模で産地というものを維持しなければならない。  先ほどからもお話があるように、二十五ヘクタールの露地の葉菜類、葉物や根物の二十五ヘクタール、それから果菜類の十五ヘクタール、規模面積としてこのぐらい以上の面積があることが、いわゆる効率的な農作業としてコストが下げられるのは広い方がいいでしょうけれども、現実、現場として考えたら、もう少し面積を小さくすることによって産地を維持する、そして、たくさんの産地を各地につくるというようなことも必要じゃないか。特定の大産地をつくっていくのも必要でしょうけれども、中小産地育成していくというようなことも野菜の安定的な供給のためには必要ではないかと思うのですね。  よその県はわかりませんが、私たちの県では県が独自で認定産地というのを持っております。これは県独自の事業としてやっておるということですけれども、こういうふうなものに国も一緒になって力を入れて産地を育て守っていくということも安定的な生産の場合には必要じゃないかと思いますし、それから単一作目の大産地というのはやはり現場としてもなかなか問題がある。複数の作目を組み合わせたいわゆる野菜産地というものをつくっていくということも必要じゃないか。そうすると、産地の中でのローテーションが組めるというようなこと等を含めて、今の指定産地の仕組みというのを前向きに再検討する必要があるのではなかろうか、こういうふうに思いますけれども、農水省のお考えはいかがでございましょう。
  33. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  野菜指定産地制度につきましては、これまで一定規模以上の、特に先生指摘のように、例えば葉茎菜類等につきましては二十五ヘクタール以上という形での一定の面積要件以上のものにつきまして、指定消費地域に対する指定野菜の計画的、安定的な供給を確保するという観点で、将来にわたって安定的生産出荷が見込まれる産地をいわば集団産地として形成するという形でもろもろの政策を推進してきているところでございます。  ただ、先生指摘のように、こういった面積要件に満たない産地でございましても、同様に指定消費地域に対する野菜安定供給の上で重要な役割を果たしている地域が現にございます。現在私どもの制度といたしましても、そういったやはり小規模な産地につきましても、別途野菜指定産地に準じた形で都道府県が都市近郊産地として指定し、その安定的な生産出荷を図るための産地育成に努めているところでございます。先生指摘山口県のいわば認定産地、ちょっとこれが該当するのか、恐らくこれに該当するものではないかと思っております。  私どもとしての産地育成考え方でございますが、そういった制度も含めまして、いわば、ただいま御議論になっておりますように、台風などの地域的災害のリスクの分散に資するという観点からも、あるいは連作障害等の現在産地が抱えている問題、そういった問題点も含めまして、今後とも中長期的な観点から野菜供給体制整備を図っていくという観点から、全国的にわたって野菜産地育成強化を図るという形で、各般の施策を総合的に推進してまいりたいというふうに考えております。
  34. 小川信

    ○小川(信)委員 ここは農林水産委員会ではございませんので、そういうふうな意味で、ひとつ安定的な供給を図るという意味で、産地育成に最大限の御努力をいただきたいということを申し上げまして、次に移らせていただきます。  先般来、野菜価格等が上がったことの原因にマスコミが取り上げたのが、先ほども話が出ました先取りの問題ですね。国民が市場取引の中における先取りという問題について非常に不信感を持ち、疑問を持っておるのではなかろうかと思うのです。先取りというものが、先ほどの質問の中でも説明がありましたけれども、どういう状況なのか全貌がほとんど国民には示されていない。例えば、先取りしたものは市場の同一品目の競り値の最高値で引き取ってもらうんだというようなことでしか説明されてないわけですけれども、現実そうなのかということです。  実は、これはNIRAの「政策研究」のナンバー九で論文が出ておりますけれども、「青果物卸売市場の七不思議」、こういうのが出ております。その中で、「セリで決まらない価格」というのがあります。  同日完売の大原則は譲れないが、どうしても出る残荷は相対取引で処分してもよいという例外規定を援用しているため、相対取引は横行している。量販店チェーンは、入荷量の多少にかかわらず必要量をセリ以前に確保してしまう。そして値下がりすれば値引きを要求する。セリより話し合いで、その日の実勢価格を決めてしまうのである。 こういうのがNIRAの論文に出ております。  それから、「改ザンでなく仕切り直し」と称して、   価格は瞬時に動く。だから産地への連絡をその日の平均価格とする商習慣は戦前からあった。しかし大型量販店はあらかじめ予想仕入れ値を持ち、定時定量の仕入れを要求する。市場のセリ値変動などは相手にしない。従ってどうしても二段締め、三段締め、時には五段締めが発生する。これは仕切り改ザンではなく、仕切り直しであると市場関係者は上品に主張している。 それから、「先付け、先取りやり放題」。   セリ、入札以前に仲卸業者は荷を引き取り、量販店に納入する。大型小売店の開店する午前十時前に荷を店頭にそろえるのが至上命令なのだから、先取りも至上命令となるわけだ。 それから、決済は翌月末決済。  市場内の仲卸業者の代金決済は東京では三日以内と条令で決まっている。ところが大型量販チェーンの仲卸業者への支払いは通例月末締め、翌月末決済、しかも手形であるケースが多い。大企業の資金繰りのしわ寄せを下請け企業が引き受ける構図そのままだ。 こういうふうに論文で書いてありますが、農水省の方、この論文について何か反論がありますか。
  35. 近藤和廣

    近藤説明員 お答えをいたします。  卸売市場先取りにつきましては先ほども答弁をいたしましたが、最近の量販店の進出に伴って市場取引時間以前に安定した数量供給を求めることとか、それから大都市化の進展、大都市中央卸売市場集散市場としての役割が高まってきておるというふうなこと、あるいは交通事情、そういうふうなことで数量的に増大をしてきております。しかし、先取りに関しましては、やはり市場の合意というふうなことをよく勘案しながら、慎重に、抑制的に行うというふうなことで指導しているわけであります。  今先生お話、三点あったと思います。まず、値段でございますけれども、まず第一点、先取りの物品の価格がどのような形で決まるか、そういうことについてお話をしたいと思います。  先取りというのは、量販店等対応で時間的に間に合わないから先取りが行われるというものでございますけれども、問題はその値決めが、生鮮食品の場合にはやはり卸売市場で形成された価格というものを使う以外に、なかなか、出荷者あるいは消費者、双方が納得するような価格というものが設定できないというところに大変生鮮食品としての特性があるわけであります。農林省の通達では、「先取りによる物品の価格は、当日における同種物品の当該市場における卸売価格によるものとする。」というふうに言っております。競りによる価格というものを基準にして決めるというふうになっているわけです。  それが農林省の指導でございますけれども、さらに各市場においては具体的な対応をそれぞれ市場ごとに決めております。競り価格のいわば最高価格で実施をするという市場もございますし、それ以外の方法、必ずしも最高価格ではないけれども、競り価格を基準として価格を設定するという市場もございます。市場において、開設者あるいは出荷者、買参人、卸売業者、そういう者から構成される委員会がございますけれども、そういうところと、どのような形で価格を設定するのが最も公平公正かということをよく検討した上で、それから各市場の商慣習というものも踏まえて、最高価格あるいはそれ以外の価格というふうに設定をしているわけでございます。ただ、実際問題としては、関係者の合意が最も得られる形というふうなことで、同一荷口の、あるいは同一階級の最高価格として決定している事例が多うございます。それが第一点でございます。  それから二番目に、量販店のいわゆる先取りがやりほうだいというふうな話がちょっとございましたけれども、これは冒頭申し上げましたように、最近の量販店割合の増大、そういったことから先取り数量というものは確かにふえてきておりますけれども、市場において量販店以外の売買参加者もたくさんいるわけでございますから、市場の性格、その市場が集散性の非常に強い市場であるか、そうではないか、あるいは買参市場であるか、それとも仲卸市場であるかという市場の構造もございます。そういったものをよく踏まえて、どのような形で数量を設定するのが一番公平かというふうなことで限度数量を決めている。そういう意味で、市場では関係者の公平公正が期せられるということが最も大切なことでございます。利害の反する関係者がたくさんございますので、そういう人たちの合意の上でルールを設定しているということで行われているわけでございます。  それから、三点目に決済の話がちょっと出ておりましたけれども、量販店数量的に増大をしていくということの結果として、決済について従来よりも若干長期化するという傾向も出てきているようでございますが、その点についてもよく慎重に見守ってまいりたいというふうに思います。
  36. 小川信

    ○小川(信)委員 今お話しの中で一つはっきりしておきたいのは、伝票の改ざんが行われておるということがこの論文で指摘されておりますけれども、伝票改ざんがあるのかないのか、仕切り直しという名前でやられておるかどうか、それを後から聞かせていただきたいと思います。あわせて先取り関係で、先付という呼び名でやられておるものと先売りという名前でやられておるものがありますけれども、これをそれぞれ説明していただきたいと思います。
  37. 近藤和廣

    近藤説明員 先ほどの先取り価格の決定について申し上げましたのは、量販店等によって先に数量がとられる場合にその価格について決定する方式としては、関係者の皆さんが満足するものとしては市場における値段しかないということを申し上げたわけです。先取りが行われても、その数量についての値段を後から実施される競り値で決めるということですから、むしろ、先取りされるものの値段を後から決めていくということなんですね。ですから要するに、あらかじめそういったものについて値段がどういう値段であるかというふうに決まっているということではないわけでございます。そういうことで御理解願いたいと思います。  それからもう一つ、先ほど先付あるいは先売りというお話がございましたけれども、卸売市場というのは、物が非常にタイトになる場合と、それから物が非常に緩和する場合と両方あるわけですね。現在の状態というのは、物の非常にタイトになった状況でございまして、専ら価格の高値あるいは数量不足ということが問題になっているわけでございますけれども、野菜の歴史の中では、産地に非常にたくさんのものができて、それが非常に全体として市場状況を緩和させているという状況がございます。  そういうときに、これらの量販店その他大口需要者ということになるわけでございますけれども、そういう人たちに、物が非常に不足するときもあるし物が非常に余るときもあるわけだから安定的に数量を消化してもらうというふうな形で行われる、そういうものが今先生がおっしゃられました先付ないしは先売りというものでございます。野菜は非常に需給というのが変動いたしまして、不足時もあるし過剰時もある、非常に長い取引でございますので、そういった形での対応もされているわけでございます。
  38. 小川信

    ○小川(信)委員 先般、全国農業新聞等にも記事が出ておりましたけれども、問題は、この先付というのは、今課長が御説明になりましたけれども、極端に言えば、産地と仲卸と量販店がルート化しているわけです。いわゆる売り先が出荷段階から既に決まっている形でずっとルート化している。だから産地も、優良産地の優良な銘柄のものはどこどこ、例えばイトーヨーカ堂ならイトーヨーカ堂へ、西友なら西友へ何ケース行くというのが産地出荷した段階でもう決まる。そして、その段階で値段が決められておるのがこの先付じゃないですか、そういうふうに私は理解しております。  それからその値段も、前年の価格とか前一週間の変動幅の中で話し合って事前に決められる。こういうふうな先付が行われておるのも先取りの中の一つとしてあるのです。  それから先売りというのは、一般の、特定した産地から特定した量販店に持っていくということが決まっていないものですけれども、これは一定の価格幅の中で相対で決められる、そしてその決められた値段が、逆に卸の競りのときにその値段で行くのじゃないですか。一つの品目の競りは、品物が決定される、値段が決められるのは大体二、三秒でしょう。その間に決められて、その値段と違うものが出そうになったら、それは残品にしてしまうというやり方を現実にやっておるのです。そういうふうな残品の、相対と逆にしてしまう。そういうふうなのが現実に行われておる。  これが量販店の、それなりのニーズはある。でしょうけれども、量販店の生鮮食品の青果類の仕入れの仕組みというものがそういうふうに宿命的になってきておるという現実を、事実は事実として認めた上で市場流通の仕組みというものを考えなければいけない時期に来ておるのではないかと思いますが、今私が申し上げたことが違えば否定していただきたいし、事実ならその辺の対応を御説明いただきたいと思います。
  39. 近藤和廣

    近藤説明員 先取り価格につきまして、当日の卸売市場競り値を基準とするというふうに申し上げまして、さらに具体的な対応については、市場によって最高値をとったりそれ以外の値段をとったり、市場によって対応に若干違いがあるというふうに申し上げました。それから、競り値の値段をとる場合に、例えば先生お話の中にもちょっとございましたけれども、上下何%かというふうな形で幅を設定するというふうなことはあるかと思います。  それからもう一つ先生からお話があった中に、量販店中心とした安定的な需要といいますか、そういうものがございますし、それから、安定的な需要ということの反対側として、特定産地からのものを安定的に集荷したいというふうなこともございますから、そういう意味で、従来の市場における取引の中にそういう安定的なものをできるだけ持ち込みたいということはやはりあると思います。  そういう意味での市場取引の改善でございますが、一つは、従来から実施している予約相対取引といったものについて、これは先生からお話があったような、量販店の大口需要というものを市場の中に取り込むということでもともとつくられた制度でございますけれども、そういったものの要件を、現在の要件の中にも少し苦しいところがございますので、そういったものを少し見直していくとか、そういった形で改善していくということは大切な課題であると思っております。
  40. 小川信

    ○小川(信)委員 なかなかはっきり言えない面もあるのかと思いますが、現実は、大口量販店、これは確かに転送物もあるでしょうし、大口の消費というのは病院とか学校とかそういうのもありましょうけれども、この論文にもありますように、まさに今は市場の中で極端に言って大量の、大口の量販店がやりたいほうだいのことをやっている、それを許さざるを得ない卸売業界の状況に現実はあるというようなことではなかろうかと思うわけです。  極端に言うと、そういうふうなことが端的に出ておるのが、先ほど言いました決済でも手形決済でおそくするとかいうようなこともありますけれども、産地直送フェアとか特売セール、そういうふうなときに市場関係者とか仲卸業者などを動員して荷を集めさせる、それから仲卸業者に人間を派遣させたり協賛金を出させるというようなことを平気で量販店がやっているというようなことからも、この辺のルールをもっとオープンにしてはっきりさせる形の中で、もちろん量販店の今の役割というのはあるわけですから、オープンにさせる必要があるのではなかろうか、このように私は思います。  先取りという問題がこのたび野菜価格高騰の大きな原因のように新聞に報道されたけれども、一般国民はその中身が全然わからないというような欲求不満を持ちながらこの野菜高騰対応しておるというのが現実じゃなかろうかというふうに思います。そういうふうなことをやはりきちんとすることが現実に必要だろうと思います。  ただ、私も先取り価格を引き上げた理由に必ずしもなってないと思うのです、先般大田市場築地を見てみましても、レタスなんかを見ましても、大田市場では先取りをやめたからといってどうでもない、それから築地市場先取り割合が少ないところですが、ここは乱高下するというように、必ずしも先取りだけが原因ではないのですけれども、とにかく取引の不明確な、わからない面があって、そこに大型量販店が入っているということをやはり考えなければいけない。  先ほど、そういうふうなことで予約取引をやろうということで、去年大田と淀橋で試験的にやられたけれども、どうも評判が悪い。評判が悪いのは、入札の集計に時間がかかってどうにもならぬということだったというふうに聞いております。市場競りというのが、本当に数秒間でどんどん競り落としていくのに比べれば、予約取引きの入札というのは手間がかかる、こういうところこそ機械化して、もっともっとスピードを上げてやっていくというようなことだってできるのではないか、こういうふうな感がしておるわけですが、そういうふうなところを詰めて、そしてその上で卸売市場の公平、公正、公開という原則を国民の前にはっきりさせる必要があるのではなかろうかというように思います。  これは農林水産省ひとりの御努力だけでは足らない面もありましょうが、経済企画庁も一緒になって、野菜、青果物価格というものが乱高下をする、それからちょっとした気象条件の変化で価格が大きく変動する、そういうふうなことを起こさないためにも、一番最後のところにある市場取引の公開をもっとはっきりする必要があるのではなかろうか、このような考え方を持っておりますが、まず農林省のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  41. 近藤和廣

    近藤説明員 先生からお話がありましたように、卸売市場にとりまして公開あるいは公正ということは最も大切なことでございまして、卸売市場はそのような場としてもともと設定されているものでございます。先生お話の中に予約相対取引の話もございましたし、それから予約取引についての言及もございましたが、そういったことについても今いろいろと検討してございまして、流通の変化に応ずる新しい工夫、そういうものも検討しつつ、市場の公開性あるいは公正な取引、そういうものを今後とも守っていきたいというふうに思っております。
  42. 小川信

    ○小川(信)委員 もう時間がなくなりましたのでやめますけれども、私は、ことしこそ野菜取引問題について抜本的に改善をするチャンスの年ではなかろうか、こういうふうに思います。また、野菜が安定的に生産できるような生産構造に仕組んでいくということについての最もチャンスの年ではなかろうかというふうに私は思っております。今から年末、来年にかけて予算編成もされるわけでしょうけれども、こういうふうな点に農水省も経済企画庁もさらに力を入れて、二年間続いた野菜高騰に対する国民の不安を政策的にもぜひカバーしていただく、そういうふうなことを強く求めまして質問を終わりたいと思います。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十二分開議
  44. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡崎トミ子君。
  45. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 きょうの物価問題等に関する特別委員会は、野菜の高値ということで自民党の赤城徳彦さん、社会党の小川信さんの質問が続きましたけれども、私も、その野菜の高値ということについてきょうは質問をさせていただきたいと思っております。  今私が手にしておりますのは、総理府の「世論調査」十一月号なんですが、その一番最初のところに、この一年間に一番値上がりしていると感じる費目を聞いています。第一位が野菜と答えておりまして、その割合が二四・二%、以下交通費七・七%、教育費七・五%、保健医療費七・二%、手間代六・二%、家賃五・五%というふうになっていまして、ダントツ野菜の二四・三%が非常に高いというふうに感じているわけなんですね。  確かに、消費者の立場からいたしますと、最近の野菜の値上がりは目に余るものがあると思います。ネギ一本買うのに百円玉では間に合わない。ホウレンソウを店頭に見に行きましても三百六十円、キャベツ五百円というときもありまして、本当に家族の健康を保つために、あるいはまた毎月のやりくりに頭を痛めていらっしゃる主婦の皆さん、消費者の皆さんにとっては毎日野菜の売り場で悲鳴に近いため息をついているというのが現状ではないかというふうに思います。消費者の立場の皆さんだけではなく、生産者の皆さんにとっても非常に深刻な現状であるということから、野菜の高値についての質問でございます。  これから冬場に向かいまして、私たちの必需品となります、よくなべ物にも使います白菜を例にとってみますと、先ほどのキャベツとホウレンソウとネギの感覚は、現実の家庭の皆さんの感覚で申し上げましたけれども、総務庁統計局小売物価統計調査報告、東京都区部のものなんですけれども、その毎年の同じ月の小売価格で見ますと、去年の十月、キロ当たり二百四十九円だった白菜、ことしの十月は三百二十六円になっています。白菜、大体一個二キロといたしますけれども、これは一個六百五十円するわけです。白菜にしては小さい方なんですね。  確かに、長雨台風影響という説明を私も伺いましたし、よくわかっておりますけれども、この野菜の高値の要因について経済企画庁はどのようにお考えでしょうか。また、農水省は農産物の安定供給を常に考えていらっしゃるお立場ですけれども、この野菜の高値についてどのようにお考えでしょうか。まずは経済企画庁の方にお願いしたいと思います。
  46. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、野菜高騰しておりますこと、これは台所に大きな影響を与えているわけでありまして、一世帯当たりが年間に野菜を購入する回数も四百三十回前後ということでありますから、それだけに生活実感の上でも大きな影響を与える面があるというふうに思うわけであります。  今回の生鮮野菜価格上昇、これは基本的にはやはり九月中旬以降の長雨、日照不足、そして相次ぐ台風の来襲、これによります冠水、浸水あるいは暴風雨といった天候の影響によるところが大きい、このように考えているところでございます。  ちなみに、台風被害が少なかった北海道を主産地といたしますニンジンは、東京の消費者物価で見ますと、昨年の同月に比べて、十月でございますが、二三%安でございますし、あるいはタマネギなどは昨年並みでございますし、また湿害に強い里芋なんかも八%ぐらい安いというようなことでありまして、そのような台風被害が少なかったものは前年並みという状況でございます。  このような天候要因が主因だと考えておりますけれども、そのほかに野菜販売いたします農家の数あるいは担い手が減少する、そういう中で高齢化が進展するといったことが中長期的には野菜価格影響を及ぼすもの、このようにも考えておりまして、こういう観点から、一方におきましては、天候要因に基づく野菜価格高騰への対応に万全を期すということが重要でありますし、このような面での対応、農林省ともどもいたしておるところでありますが、他方におきまして、構造問題に関しましても農林省七十分に連絡をとりながら、生産地対策等につきましてもその促進を図る、こういうことが必要だと考えております。
  47. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  本年の野菜の高値の原因につきましては、ただいま経企庁の物価局長からお答えになった点と基本的に私どもとしても同様の認識を持っておるところでございます。  具体的に申しますと、今年の引き続く長雨、日照不足、またたび重なる台風によりまして、特に主産地で大規模な被害が発生したために、ホウレンソウ、ネギなどの青物類を中心市場への入荷数量減少し、この結果、野菜価格高騰で推移しているというものでございます。  また、農林水産省といたしましては、今後の野菜安定供給を確保し、価格を安定させるため、去る十月二十二日、生産出荷団体による出荷の前倒し、野菜供給安定基金による緊急輸入、あるいは契約野菜市場放出、さらに卸売市場関係者に対する集荷努力の要請、さらに生産対策の面では、病害虫の防除等の技術指導の徹底、園芸施設資材の確保等の生産対策、そういったものを内容とする各般の野菜供給確保対策というものを実施しているところでございます。  さらに、経済企画庁の手当でいたしました予算を活用させていただきまして、いわゆる並み級の野菜出荷促進事業あるいは軟弱野菜出荷促進事業、そういったものもまたこれから実施をしてまいるということでございます。
  48. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまのお話でも、長雨とか日照不足とか台風被害ということで、これが非常に大きかったことはだれもが認め、そしてそのほかにも構造的なもの、長期的なもの、短期的なものでさまざまにとらえていらっしゃるということがわかりましたけれども、現実の問題として、過去五年から十年の価格の変動についてはどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。経済企画庁と農水省の方にお聞きしたいと思います。
  49. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 生鮮野菜価格の長期的な推移につきましては、昭和五十年代の初めから平成二年までをとってみますと、平均的な総合の物価上昇率に対しまして〇・七ポイントほどそれを上回る、そういうトレンドできている、このように理解をいたしております。  ちなみに、平成二年は天候の影響野菜価格が一七・四%高騰した年度でございます。この年を除きますと、平均的な物価上昇率に対して〇・三ポイントほどそれを上回る、そのようなトレンドで生鮮食品の価格が推移している、このように認識をいたしております。
  50. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  農林水産省としても、この生鮮野菜価格の長期的動向に関しましては、ただいま物価局長がお答えしましたと同様の認識でございます。
  51. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今お話をしてくださいましたように、物価の上昇よりも野菜の方が〇・七ポイント高いというような結果が出ていまして、平成二年を除けば〇・三ポイントということだったんですけれども、この消費者物価指数の月別動向を見ましても、特別のというか、天候によって大分左右されている、しかも長期間にわたって大分野菜の高値という状況が生み出されているという現状がはっきりとわかるわけでございます。そして私たちは、大体過去五年間の推移というのをもう一度現実的に経済企画庁の方と農水省の方にわかっていただくために、ちょっとその差というものを申し上げたいというふうに思うわけなんです。  これも総務庁統計局小売物価統計調査報告、東京都区部の場合です。キロ当たりの小売価格で、同じ月の野菜価格で見てみました。一九八六年の十一月と一九九〇年の十一月のものなんですが、ネギが三百四十円が五百十五円、白菜が八十六円が百七十七円、ホウレンソウが三百三十八円が五百四十四円、キャベツが百二十一円が二百二円、里芋が三百三十六円が六百十八円ということになります。  私はなぜこういうふうに同月比で申し上げたかといいますと、私たちが、最も野菜が出回る時期、そこが一番安く食べられる時期ということになりますしゅんということになりますけれども、そのときに食卓に出回る野菜がどうなんだという感覚で消費者の皆さんたちはとらえておりまして、実際に財布から出るお金ということで考えます。  ですから、平均して大したことなかったという形で表現されてしまったり、あるいは〇・七ポイント、〇・三ポイントだから大したことがないというようなことで表現されてしまいますと、実際台所を預かっている人たちの感覚からかけ離れてしまう、政治を預かっている人たちの感覚は台所感覚から大分ずれているなということを思わざるを得ないわけです。ですから、データよりも家庭ではダメージを受けているという認識をしていただきたいというふうに思います。  そこで、生活の実感で申し上げてまいりたいというふうに思います。  いろいろと長雨の問題、あるいは災害が起きた場合、今も触れていただきました人手不足の問題が挙げられると思いますけれども、その人手不足、ちょっとこちらの資料を見て申し上げたいと思いますが、おととしの新規の学卒の就農者二千百人、去年千八百人。宮城県の場合ですと、私ども農業県なんですけれども、七十一市町村で四十四人という結果でした。四十四人は割といい方だというふうに言っている方もいらっしゃいますけれども、決してそうではない、非常に後継者不足に悩んでいるということがあります。  そこで、その問題にこたえるのに、一つは魅力ある農業にしていかなければいけない、それを実体化させていくことではないかということと、農業に対するイメージをよくしていかなければいけない。これは、私たちの生活、私たちの日常的な健康につながる問題としていかに大切か、これが理解につながりますので、全体として農業のイメージをよくしていくことがとても大切だというふうに思います。最初に申し上げました魅力ある農業というのは、とりもなおさず収入にかかわってくる問題なんですけれども、つくった野菜が非常に安過ぎる、採算がとれないという感覚を生産者の方は持っていらっしゃいます。  そこで、卸売価格と小売価格を比べてみたいと思います。白菜の場合です。東京中央卸売市場東京青果物情報センターのことし十月の場合、卸売価格百九円、小売は三百二十六円でした。生産者の場合にはこの百九円よりももっと安く卸しているというような状況がありますけれども、流通に関してどのような指導をなさっていらっしゃるか、経済企画庁、農水省にお伺いしたいと思います。
  52. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えをいたします。  生鮮野菜につきましては、栽培農家の段階から集荷を経て卸売市場に集散されるわけでございますけれども、卸売市場から仲卸あるいは買参人を通じまして末端小売店まで行く過程におきまして、人件費あるいは物流費等が上乗せされるというようなことがあるわけでございまして、そのような関係から、卸売市場におきます卸価格と、そして消費者が直接購入をいたします小売価格との間に御指摘のような開差があるというようなことかと存じますが、いずれにいたしましても、生産、そして市場、流通、消費の段階を通じましてこの合理化に努めていくということが重要な課題だ、このように認識をいたしております。
  53. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  野菜の卸売価格と小売価格との関連性でございます。  今回の野菜高騰に際しまして、私どもといたしまして、関係野菜の小売団体に対しまして、今回の私どもが講じております野菜価格安定対策もろもろにつきましての要請、また消費地への安定供給に関しましても要請を行っているところでございます。  また、今回の野菜高騰時におきます小売のマージンの話でございますが、私どもが承知しておりますところでは、いわば高騰時の小売マージンという形で、平常時の小売マージンよりも低減している品目もございます。これはいわば野菜価格高騰時において小売店としての対応一つのパターンではないかと思っております。いずれにいたしましても、小売のマージンみたいな形は、野菜価格高騰とは必ずしも連動しない形で推移しているのではないかというふうに考えております。  また、小売段階のマージン、いわば卸売価格と小売価格の差でございますけれども、これにつきましては、通常は三割程度と言われているところでございますが、高騰時には、いわば基本的にはさらに低下しているという形で、小売店としても販売価格の平準化といった形に努めているというふうに承知しているところでございます。  ただ、食品の小売段階におきましては、その性格上流通におけるロスが生じることが多い、生鮮野菜の場合は特にそうでございますが、また販売単位も小口となるといったことで、どうしても小売価格が卸売価格等に比べてある程度割高となること、これはやむを得ないという面があろうかと考えております。
  54. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまのお話で、ちょっと生産者の方にも少し意見を伺ってまいりましたので申し上げたいと思うのですが、野菜出荷している人たちは殊さらにそのことを痛感しているようなのです。  というのは、杉の木のある家の人がレタスをつくった、それで一個十円で出したのですね。杉の木がありますので、レタスに少し杉の木がまざっていたので、店頭に出たものが自分のつくったレタスだというふうにわかったというわけです。それは一個十円で出したものがお店では九十円で売られていた。それから春菊なども五円くらいのときに、まとめて二、三把に束ねたものを百円として出されていた。店頭価格との差が余りにもあり過ぎて、一体どんな価格形成になっているのだろう、そういう疑問を生産者の方々が持っているわけなんです。ぜひともその辺のところを、今三割というお話を伺いましたけれども、生産者の方は大体三倍くらいというふうに今回も感じたようです。例えば流通八割、生産者一割、消費者一割という感じを、生産者三分の一、消費者三分の一、流通三分の一というふうに平等だと少し納得がいくのだけどと言う生産者の方もいらっしゃるくらいなんですね。  それから、よく無人で、だれもいないところで野菜を積み上げて大根幾ら幾ら、ホウレンソウ幾ら幾らというふうにして値段をつけて、かごの中に、ざるの中にお金を入れてもらう、こういう方式をとっている人もあるのですけれども、それはもう市場に持っていくよりもよっぽど納得がいくような値段だと言う方もいるくらいなんですね。そのことを進めるということではなくて、そんなふうにとらえているということを知っていただいて、改善の余地はないでしょうか。流通の問題からぜひ教えていただきたいというふうに思います。経済企画庁の方にお願いします。
  55. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  国民生活の安定を図り、そしてまた物価問題を考えてまいります上で、流通問題というものは大変重要な課題だというふうに私ども考えております。  このような意味合いから、昭和五十年以来私ども流通問題研究会なるものをつくりまして、これは専門の学識経験者の方々にお願いした研究委員会でございますけれども、そのような場で累次にわたり流通問題の改善のあり方についてさまざまな角度から検討、勉強してきたところでございます。  今般もつい先ごろ第九次の流通問題研究会を発足させていただきまして、ここでは特に物流問題につきましていろいろな角度から勉強する。そして一方におきまして、流通の面において情報ネットワーク化が進んでいるわけでありますから、これを物流に生かしながらトータルな物流コストをいかに削減するかというような点に眼目を置きまして、幅広く勉強してまいりたい。このようなことで、私どもといたしましても、流通、物流問題、こういうものにつきまして、多角的な検討をさらに進めてまいりたいと考えております。
  56. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまのお話で、確かに学識経験者の皆さんをお呼びしてその検討をなさる、改善はどういう方向で行ったらいいかということについて伺うという、いつも政府がとられる、あるいは自治体がいろいろと改善をする場合にとられる方法がそうなのですが、その中にもう少し本当に消費者の声ですとか、あるいは生産者の生の声というものを取り入れていく、そういうお考えはないのでしょうか。
  57. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 まさにただいま先生から御指摘がありましたように、そのような委員会の場におきましては各界の学識者の方々を委員とするわけでございますけれども、同時に外部に委託をいたしまして実態調査をするということを進めますとともに、実際に物流の各面を担当しておられます実務家、こういう方々からそのような場におきましてヒアリングと申しますか実情を、生の声を聴取する、こういうことをするということも今までもやってまいりましたし、またこれからも進めてまいりたいと考えております。  同時にまた、私ども物価モニター、これは全国で四千名の主として主婦の皆様に委嘱をしてお願いをしているわけでありますけれども、今回の野菜あるいはミカン、リンゴなどの価格高騰に際しましても、流通の問題も含めまして価格あるいは消費者の購買行動、そして価格が上がったときの消費者対応、そういうことも含めまして、まさに台所を預かります主婦の皆様方がこういった野菜果物価格高騰のときにどんな行動と意識を持たれるか、そしてまたどういう対応が重要であるか、このような面につきましても物価モニター、こういう制度を通じまして、生の声全体をまとめて把握したい、こういう努力も一方で続けているところでございますので、この点につきましても御理解を賜りたいと思います。
  58. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今魅力ある農業ということを実態化させていくために、収入にかかわってまいりますので、生産者の方々がその需給バランスというものについて非常に問題にしておりますし、ぜひとも生産者に負担のかからない機構をこれからもいろんな面から御努力をいただきたいなというふうに思います。  もう一つ、農業に対するイメージをよくしていくということで、私はさまざまな観点から努力をされているというお話を先ほどお伺いいたしましたけれども、後継者不足の問題で非常に人手不足が野菜供給減少させて、それがコストにはね返ってしまう。このまま後継者が不足していきますと、一体十年後、二十年後どういうふうになっていくのかなというのが大変心配なわけなんです。新規の学卒者の、先ほどおととし二千百人、去年千八百人という人数を申し上げましたけれども、新規の参入者、つまり農家出身者ではない人たちの新規参入者の方々の就農人数を見てみますと、一九八六年が四十二人、一九八七年が六十六人、一九八八年が七十七人ということで、確かに四十二、六十六、七十七とふえてはいるんですが、本当にわずかだな、就農者の減少に歯どめをかけるにはこれはちょっと追いつかないんじゃないかという数字だというふうに私思っているのです。  そこで、後継者の不足に対してどのような対策をお考えになっていらっしゃるか、あるいはまた新規参入者に対してどのような助成をなさっていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  59. 和田宗利

    ○和田説明員 農業後継者の問題についてお答えいたします。  農業後継者育成いたしますのには、先生もおっしゃいましたように、農業が基本的には魅力あるものでなければいけない、かように考えておるわけでございまして、構造政策なりあるいは生産基盤の整備、さらに生活環境整備、こういうようなものも進めておるわけでございますが、特に若い農業者に着目いたしました対策といたしましては、一つは改良普及員、全国に一万名ほどございますが、これが現場で技術経営指導というものをやってございます。  さらに、野菜等につきましては労働強化というような問題もあるわけでございまして、作業慣行の見直しによります労働改善、あるいは農村慣行を見直しまして例えば農休日の設定、こういうようなものにつきましても改良普及員の活動の中で現在指導を進めておるところでございます。  もう一つは、後継者の資質の向上ということで、各県に県の農業者大学校というものを私ども所管いたして設置いたしてございます。ここでの実践的な研修教育というものを現在進めております。  さらには、国内あるいは国外の先進農家への留学研修というようなものも国の助成によって進めておるわけでございます。  そのほか、特に資金の問題といたしましては、無利子資金で現在農業改良資金の中に農業後継者育成資金というものを設けておりまして、無利子の資金の貸し付けというものを現在実施しております。  それから農外からの、私ども新規参入者、こう申してございますが、その方に対しましては、昭和六十二年から農業会議所を通じまして新規就農ガイドセンターというものを設けまして、農地情報の提供というようなものを実施しておりますし、実際お入りになります場合には、先ほど申しました農業改良普及員が現場で技術経営の指導を申し上げる、こういうふうな体制をとっておるところでございます。今後ともこういう施策をさらに進めてまいりたいと思います。  要は、青年層に魅力ある農業ということで、職業として選択し得るような就農環境整備というものに努めてまいりたい、私どもかように考えておるわけでございます。
  60. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ただいまお話をお伺いしたのですけれども、まだバラ色には、きっと若い人たちはそんなふうには思わないだろうなと思うのですね。  私どもでいただきました、農業後継者育成機関として確かに今、農業者大学校がある、農業高校がある、民間の研修機関があるというお話でしたが、例えば、県農業者大学校を卒業して専ら農業に従事する人の割合は四分の一、これしかないわけですね。四分の一なんです。農業が従であるという人も含めますと三分の二ということになります。それから農業高校の卒業者の就農率は一割程度というふうになっておりまして、取り組んではいらっしゃるのですけれども、実際の効力というか、本当に農業を継ごうということにはつながっていないという現実があるのじゃないでしょうか。  それから、新規参入者の方に対しても、ガイドセンターというものを設けていろいろなさっていらっしゃるというふうにおっしゃっておりましたけれども、これについてもまだまだいろいろ改善の余地があるというお話も伺っておりますので、実効ある農業後継者育成、新規参入者の助成というものに本当に力を入れていただきたいなというふうに思います。  今、実際になさっていらっしゃることについてお伺いしましたけれども、ちょっと視点を変えまして長期的に考えてみたいというふうに思うのですね、もっともっと長期的にです。  私が今持っておりますのは、全国林業改良普及協会が出しております「森と人シリーズ」ですね。「みんなの森林(もり)ができるまで」ということで、このように漫画になって、いかに日本にはたくさんの森林があるか、木は丁寧に植えて大事に育てなければいけないか、人の手が必要であるかということについて書かれています。小学生向けということで、私もこれを読ませていただきまして大変感心いたしました。小さいときからこういう教育というものが教科書の中でもなされていったらどんなにいいかというふうに思うのです。「森と人シリーズ」ですから、農水省としては「農業と人シリーズ」ということで、小さいときからぜひこういう教育も手がけていただきたいというふうに思うのです。  今の子供たちに話を聞いてみますと、農家だと損だということと、仕事が大変つらいということだけが先に来てしまうようなのです。もっと健康の上からも、日本の中で新鮮な食料がつくられて、そして安全なものをとるということが自分の体をつくっていくというその仕組みも含めて、そういう教育が大変に大切だというふうに思います。収穫の喜びとしての学童農園というのは個々になさっている学校があるようですが、トータルに考えて、小学校の段階から教科書に取り入れなさいというような働きかけを文部省に対してなさったことがおありでしょうか。もしなさっていなかったら、働きかけるおつもりがあるかどうかお伺いしたいと思います。経企庁にも農水省にも伺いたいと思います。
  61. 和田宗利

    ○和田説明員 学校教育の問題、基本的には文部省の方で教科書をつくり、御指導いただいているわけでございまして、私どもよく参りますのは、農業高校の校長先生方の集まりでありますとか、あるいはそれを所管します文部省の職業教育課の方々、こういう方々とは、定期的ではございませんが、随時意見の交換ということをやっているわけでございます。正式に申し入れたかという御貸間でございますと、そういうことはいたしてございませんけれども、日常そういうふうな交流の中で私どもの考え方というものは御説明をいたしておるつもりでございます。恐らく文部省の方でもそういう御意見もお聞きいただいて教科書等の御指導に当たっていただいているのじゃないか、かように思います。  私どもの事業といたしましては、学校教育との連携ということで、これも昭和六十二年からやってございますけれども、若い農業者の育成確保促進対策事業というものを始めてございまして、この中で地元の教育委員会等と連携をとりまして、子供たちに農業を体験していただこうということで、例えば学校の教科書の副読本というようなものをつくるようにということで各県に助成措置を講じておるところでございまして、実際にかなりの市町村なり県なりでそういう副読本の取り組みということがなされていると聞いてございます。それ以外には学童体験農園というようなものもございます。  先生おっしゃいますように、子供のころから農業になれ親しむ、あるいは農業を理解するということが重要かと思っておりますので、現在就農しておる人たちの力もかりまして子供たちへの農業理解というものに努めてまいりたい、かように考えております。
  62. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 物価対策として直接にということでは必ずしもないわけでありますけれども、経済企画庁といたしましては経済計画を策定する立場にあるわけでありますが、経済計画の中におきまして労働力をどのように確保し、そして人的能力の向上を図っていくかということは大変重要な課題だ、このように位置づけられていると思うわけであります。  そういう中にありまして、農林水産業の分野に後継者が参入をし、そしてこれからの農業を担っていくということは大変重要な課題だ、このようなことでございまして、そういった形におきまして、各般の施策につきましては農林水産省並びに文部省がいろいろやっておられるわけでありますけれども、全体的なマンパワー政策、こういう中におきましても、農林水産業における労働力のあり方につきましてはこれを適正に位置づけていくということが重要だと考えております。  他方におきまして、最近では農山村留学というような形が広がってきておりますけれども、都市化が進みます中で子供たちと農山村との結びつきが弱まっている、こういう流れもあるわけであります。そのような広範な都市と農山漁村の交流を通じまして、都会に住む子供たちも含めて農山漁村というものの意義と役割についての正しい理解を深めていくということがこれからの農業、広くは国民生活の上でも、そしてまた健全な子供たちの生育という面からも重要な課題だと思っております。
  63. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ぜひとも子供たちの小さいころからの教育を大事にしていただきたいと思いますし、真剣に取り組んでいただくということを心からお願いしたいと思います。生産者コストの問題や農業のイメージの問題や後継者の問題、ぜひともじっくりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  もう一つ大きな要因として、消費者のつくられた高級品志向の問題があります。いびつなトマト、曲がったキュウリ、それから穴のあいた葉物というものが店頭からなくなってしまったわけですけれども、並み級品の奨励ということをなさっていらっしゃるというお話を聞きましたが、実際には出回っていない、安くたたかれているという実態があろうかと思います。また容器の規格化というものにも拍車をかけている、何段階にも等級を分けている、あるいはまた白いお皿に乗せるということを強制化されている、そういうことがやはり値段にはね返っているという現状がありますけれども、私たち消費者も本当にわがままだと言われることがよくあります。しかしそれは、いかに消費者ニーズが流通産業の側でつくられてきたのかというふうに思わざるを得ないところもあるわけです。  生産者の皆さんも、確かにきれいにして、きれいに見えたものは高く売れるということをおっしゃいますけれども、しかし生産者の皆さんたちが、例えばバーコードをつけなさいと言われたり、そろえてキュウリを箱詰めにしなければならなかったり、せっかくつくったものが規格外ということで出さなかったりという現状がたくさんありまして、この問題は生産者の皆さんたちがとんでもないというふうに言っているのです。  本当に曲がったキュウリでも味は落ちませんし、いびつなトマトだとしても味は落ちていないという現状から、真っすぐなキュウリでなくても大丈夫だ、そういう消費者の皆さんに対する啓蒙というのも大変に大切ではないかというふうに思います。その並み級品というものがどんどん市場に出回ったら助かるという農家の皆さんたちの声もございますので、農水省の方にこの辺を力強くお答えいただきたいなというふうに思います。
  64. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  規格外品、いわゆる並み級品につきましては、おのずから野菜生産の場合、一定比率の発生が見られるわけでございます。ただ、この並み級品の野菜価格につきましては、規格品に比べた場合にどうしても市場価格が低い、したがって出荷した場合も集出荷経費すら賄えないというおそれを生産者あるいは出荷者において持っているということ、また、生産者団体におきましては、出荷した場合におきまして、市場での当該産地の評価が低下することに対しての懸念を持っているということから、価格の平常時におきましては規格品に近いタイプの並み級品以外はなかなか出荷されないというのが通例でございます。その場合、ほとんどが自家消費あるいは加工あるいは産地廃棄といいますか、そういった形になっているのが実情でございます。  しかしながら、現在のような価格高騰時におきましては、価格の安定を図るためには可能な限り供給量を増加させるということが必要でございます。そういう観点からいたしますと、この並み級品の出荷促進が価格の安定のためのいわば数少ない具体策であろうというふうに考えております。  このため私ども農林水産省といたしましては、先般から生産出荷団体などに対しまして、並み級品の出荷促進等によって出荷量を確保するよう要請をいたしました。またそれと同時に、それに対応する形で、卸売市場に対しましても、そういった並み級品を積極的に活用する、あるいは集有するといった意味での協力を要請いたしました。  またこれと同時に、経済企画庁の国民生活安定対策等経済推進費を活用させていただきまして、先般並み級野菜出荷促進事業を行うこととしております。具体的には平成三年十二月、来月から平成四年三月までの間に、主な冬春野菜の十品目を対象といたしまして京浜、中京、京阪神、北九州地域へのこういった並み級品の出荷の促進を図るという事業を行うことといたしております。
  65. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 並み級品を出される対策というのをなさっていらっしゃるわけなんですけれども、その効果のほどはいかがでしょうか。おわかりになりましたら、ぜひお願いしたいと思います。
  66. 小松兼一

    小松説明員 ただいま申し上げました並み級品の出荷促進事業でございますが、これ自体は十二月から直ちに実行するという形になっております。
  67. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 並み級野菜出荷促進事業の予算が三千六百三十七万円というふうに伺っておりますけれども、このぐらいのことで十分できるのでしょうか。私はちょっと素人でその辺よくわからないのですけれども、三千六百万円ぐらいで事業が促進できるのかどうなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  68. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  私ども、一応予算をベースに事業を仕組むに際しましては、十二月から来年の三月までの間、いわば一定の、十品目と先ほど申し上げましたが、その中で価格高騰しておって価格安定対策が当然必要であるというような品目をまず絞った上で、また、卸売市場に対する出荷の期間を価格が高い期間に絞るという形でやれば、また具体的には、卸売市場での価格形成に対してしかるべき価格の鎮静効果といいますか、そういったものが期待できる数量を出そう、そういうもくろみから、こういった事業を仕組んでいるというところでございます。
  69. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 ぜひともそのように促進されますことを心から願っております。  いろいろと消費者の皆さんに対する啓発ですとか、生産者側に対しての出荷促進事業であるとか、さまざまに御努力なさっていらっしゃることは非常にわかりました。ついこの間の台風でもって、青森は大変な落果リンゴの被害を受けました。そのときに一億円かけて消費者の皆さんの理解を求めたことに対して消費者はこたえましたが、常時の消費者教育をぜひお願いしたいなというふうに思います。  さて、次ですけれども、台風対策ということで今少しお話を伺いましたけれども、そのほか緊急の野菜の輸入ということについてちょっとお伺いしたいと思いますが、これの効果のほどはいかがだったのでしょうか。
  70. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  今回の野菜供給安定基金による野菜の緊急輸入の対策でございます。これは野菜供給安定基金の売買保管事業の一環として行うものでございます。私どもの考えといたしまして台湾からのキャベツを輸入するわけでございますが、主として私どもが対象としている期間は、十二月の初頭あるいは中旬についての価格が重要であるというふうに考えまして、その時点で台湾から一定数量を入れようという形でございます。既に一部、数十トン輸入しておりますが、これはあくまでも試験輸入として実施したものでございます。
  71. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 試験的に実施して、生鮮野菜を緊急に輸入するということを、私たちは大変に不安に思うのです。必ず検疫所を通らなければいけない。虫がついているかもしれない。そこでいろいろな薬がかけられるかもしれない。そういうさまざまな不安があるのです。生鮮野菜が緊急輸入されるということについて、ふさわしいかどうかというふうに私は大変疑問に思っておりますが、その辺の手間、安心ということに関していかがでしょうか。
  72. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  生鮮野菜の輸入でございますが、これは基本的には国境障壁といいますか、輸入割り当て等、そういった制度がございませんで、自由に輸入することはできるわけでございます。もちろん、今先生指摘のように、植物検疫、そういった制度がございまして、そういったものをクリアした形で入ってくるというのが通常でございます。ただ、現実を申し上げますと、生鮮野菜の輸入は、主として価格高騰時におきまして極めて限られた用途に入っているというのが通常でございます。一部、カボチャ、タマネギ、そういった保存性のきくものは一定数量が入っておりますが、それ以外は我が国内での価格高騰時、そういったときに、コストに見合うという価格状況の際に例外的に入っているというのが通常でございます。  したがいまして、今回の私どもの緊急輸入もまさにそういうものとして、一定時期の価格高騰を冷やすための措置として一定数量のみ輸入しようという趣旨のものでございます。
  73. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 日本の中での野菜の一高騰時に緊急に入れるということなんですけれども、そのことによって相手の国が、台湾が非常に高値になってしまったというような現状考えますと、この緊急に輸入するということは相手の国の迷惑にはなっていませんでしょうか。
  74. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  私ども、今回この緊急輸入制度を実施するに際しまして、先生指摘のように輸入先国の野菜価格、特に消費者価格、これをむやみに高騰させるようなことがあってはならないという観点から検討いたしました。具体的に申し上げますと、もろもろの対象品目、もろもろの輸入先国、そういった点の需給事情あるいは価格状況、そういったものを調査した上で、先ほど申し上げましたように台湾のキャベツにつきまして一定数量入れようということにしたものでございます。  また、現在の台湾のキャベツ値段でございますが、私どもが承知する限りにおきましては、現在、台湾のキャベツ、いわば端境期になっているという点がございます。その点で若干通常の時期に比べまして高騰でございますけれども、今回の私どもの緊急輸入によって値段が極端に上がるとかいった点はないというふうに私どもとしては承知しております。
  75. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 できましたら、私はやはり自分の国で自給自足ができるという方向にぜひ努力をしていただきたいというふうに思いますし、生鮮野菜は輸入というのは絶対に合わないだろうと思います。冷凍食品の輸入は大分高い比率で輸入しているようなんですけれども、私はやはり自給自足ということに生鮮食品については殊に強くお願いしておきたいというふうに思います。  この台風の対策について、被害の救済の指導やそれから技術面での指導生産者側の皆さんに対して、あるいは供給対策ということについては消費者の皆さんへということなんですけれども、野菜供給安定基金の実効ということでお伺いしたいと思います。野菜出荷の確保、そのほかについてぜひともお伺いしたいと思います。
  76. 小松兼一

    小松説明員 お答えいたします。  野菜供給安定基金の事業でございますが、これは価格低落時、価格高騰時それぞれ事業をやっております。現在の価格高騰時におきましては、基本的には売買保管事業という形で、一定の価格高騰に備えまして、主としてタマネギあるいはキャベツ白菜、そういったものにつきましてあらかじめ一定数量消費地の倉庫に保管する、あるいは若干遠隔地の圃場といいますか、畑でございますけれども、そういったところに確保しておくという事業をやっております。  具体的に申し上げますと、大きな数量といたしましては、キャベツ白菜につきまして、これは主に年明けの出荷を念頭に置いておるんでございますが、キャベツにつきまして八千トン、白菜につきまして約五百トンの契約生産を行っております。したがいまして、私どもとしては今後の価格高騰状況を踏まえまして、こういったものの市場放出というものをさらに考えていくということでございます。
  77. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 きょうはずっとお伺いしてまいりまして、野菜の高値ということで、私だけではなくこれまでに自民党の方も、それから社会党の小川さんからもいろいろと指摘がありまして、その中で指定産地制度の問題ですとか、同じ品目を一つ地域に集中して生産されるということによる問題ですとか、あるいは連作による土壌破壊ですとか、病害虫に耐えることのできる品種への切りかえですとか、あるいは流通段階でのコストの問題、後継者不足、高齢化、さまざまにお答えをいただきました。  異常気象という問題についてもぜひとも農水省の皆さんにお考えいただきたいと思います。エルニーニョの発生とか酸性雨の問題ですとか火山の噴火など、さまざまな影響がありますけれども、その異常気象の問題も含めて長期的にぜひともお考えをいただきたいというふうに思っております。  さて、今、来年年明けの出荷のことについて触れていただきましたけれども、ただでさえ年末年始にかけては値段が非常に上がります。これまでにも野菜高騰時には消費者の皆さんたちは買い控えをいたしました。ホウレンソウが高い、キャベツが高い、白菜が高いというときには、仕方がないから、じゃ、モヤシを食べようというようなことでモヤシを食べ続けたという方もいらっしゃるくらいなんですけれども、年末年始にかけての値段がこれ以上上がらないようにぜひともその辺の対策、どのようになっているかお伺いしたいと思います。  また、例えば何かをしていらっしゃるとすれば、その実効性についてどのぐらい期待できるものかということについても含めてお答えいただきたいと思います。
  78. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  年末年始の時期は、とりわけ生活必需物資につきまして需要が増大する時期でありまして、この時期における需給価格の安定を図ることは大変重要な課題だというふうに考えております。  例年十一月末から十二月初めの時期に、私ども政府といたしまして、年末年始の物価対策なるものを策定いたしておりますけれども、現在関係省庁におきましてこの点につき御相談をいたしているところでございまして、近々、年末年始の物価対策について、これを物価担当官会議の場において取りまとめるべく、鋭意作業を進めているところでございます。
  79. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 最後に大臣にお伺いしたいと思いますが、宮澤総理が所信表明の中で、真の豊かさ、そして生活大国を目指すということをおっしゃいました。非常に大きな目標を掲げられましたけれども、食生活はなかなかままならないという状況野菜が非常に高くなっている状況、そのことによってほかにもはね返るというような心配がある中で、この生活大国というものを実現するためにぜひとも御努力をお願いしたいというふうに思いまして、大臣としてはその生活大国ということに関してどのように考えていらっしゃるか、野菜の高値ということも含めましてどういう努力をなさっていらっしゃるか、お話を伺いたいと思います。
  80. 野田毅

    野田国務大臣 生活大国ということでどういうことをイメージするかということでもございますけれども、確かに所得の水準とか、犯罪件数が外国に比べて少ないとか、あるいは失業率が低いとか、さまざまな尺度から見ればそれなりに日本も豊かになったと言われてもおりますし、特に外国からは、金持ち国日本というようなイメージもあるようであります。  しかし翻って、私ども一人一人の立場になってみて、果たして自分はそれほど、外国から思われているほど豊かなんだろうかということを考えますと、都市住民もあるいは地方で生活する者も、自分は豊かだという実感がなかなか伴わない。それはなぜだろうということを少し分析をし、これは先般国民生活白書という中で若干の視点を提起したわけでありますけれども、そういった中でいろいろな要素があると思います。  住宅とかあるいは下水道とか、そういう生活関連の社会資本の整備がまだまだ不十分であるということももちろんありますし、あるいは労働時間というものがまだ先進諸国に比べて長い、いかにそういうゆとりを持った生活ができるようにするかということも大事でありますし、今御指摘がありました、やはり物価というものが安定するということは非常に大事な要素だと思っております。  そういう点で、御指摘のありました生鮮食料品という、野菜とかそういった物価をどうやって長期的に安定させていくことができるのか、先ほど来農水省の方からもいろいろな具体的な構造対策について御努力をいただいているお話もありましたけれども、そういう要素も非常に大事なことである。あるいはまた、いわゆる内外価格差ということもございます。そういうさまざまな角度からアプローチしていかなければならぬと思っておるのです。  基本的には、いわば落ちついてゆとりのある人生というもの、充実した人生というものはいかにあるべきかということを、これは国が押しつけるものでもないと思いますが、一人一人がそういう価値の多様性というものを認め合い、そういう中で落ちついた、着実な歩みというものが生活の中に根づいていく、そういう国づくりを目指していこうではないか、これが大体生活大国ということについて、角度によってはまだまだいろいろなことを入れる人もあると思いますけれども、基本的に今申し上げたような事柄をひとつ念頭において勉強していかなければなるまい。  現在、来年の秋を目途に国民生活審議会で、いわゆるゆとり、安心、多様性のある、そういった国民生活をどうやって実現していくか、その基本的な方策について精力的な審議をしていただいておるわけでございまして、来年秋に答申が取りまとめられたら、それをひとつ土台として具体化に向けて努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  81. 岡崎トミ子

    ○岡崎(ト)委員 今おっしゃってくださいましたように、ゆとり、安心、多様性のある生活を目指してということですと、本当に人がさまざまな生き方をしている。つまり、例えば体にハンディを背負っている人たちの環境をどういうふうに整備していくんだろうか、この町に育って本当によかった、車いすでどこにでも入っていくことができるような社会環境整備ができている、あるいは小学生の子供たちの目がいつも輝いているだとか、あるいは女性の働く環境整備されている、パートで働いている人たちにも、家のこともできるし少し働いて収入を得ることもできるということによって差別をされないだとか、あるいは在日の外国の人たちのやはり環境整備していただく、あるいはお年寄りの皆さんたちの、高齢化社会の問題についても、そして地球環境の問題についてもそうなんですけれども、本当に一つ一つ小さなものに目をかけていかないと、生活大国という――生活に大国をつけるのが何となく私はこの表現が個人的には余り好きではないわけなんですけれども、ぜひとも本当に目を行き届かせていただきたい、そして、宮澤総理のおっしゃいます生活大国というものを実効あるものにしていただきたい。そして、大臣には、野菜値段も含めてぜひ物価の安定ということに御助力をお願いしたいというふうに思っております。  きょうはありがとうございました。
  82. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 川島實君
  83. 川島實

    ○川島委員 私は、既に通告をいたしております二、三の点についてお伺いをいたしたいと思います。  最初に、野田経済企画庁長官の先ほどのいろいろなお話を聞いておりまして、経済はおおむね良好に推移している、こういうふうに受け取ったわけでございますけれども、お触れにならなかった二、三の点について考え方をお聞かせいただきたいと思います。  まず一つは、証券業界始まって以来の公取のああいう勧告を受けた問題。それからもう一つは、最近の株価の非常な暴落、これについて。さらにまた、貿易の黒字が五百億とも八百億とも言われているが、この貿易の日米関係の問題が及ぼす経済状況について。それからもう一つは、建設省が住宅建設の目標を掲げておったわけですが、ことごとく外れまして、民間の住宅建設が非常に落ち込んでおる。こうした中で考えますと、先ほど雇用の増大が続いているというふうなお話がございましたが、これらとの整合性の問題等についてお伺いをしたいと思います。
  84. 野田毅

    野田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、基本的に現在の経済状況というのは、確かにピークは過ぎたと思います。私はこういう例えをよくしているのですけれども、いわゆる富士山のてっぺんは過ぎたのではないか、これはかなり高過ぎた。ある意味では俗に言うバブルを含んだ経済、こういうことを言われておるわけですね。  しかし、そこから先、ではそのままどんどん下っていくのかというとそういうものではない。むしろ、今多少霧はかかっておりますけれども、基本的にはこの先は、雇用の堅調さ、あるいは設備投資も、業種によってのばらつきはありますけれども、総じて省力化、合理化の投資あるいは研究開発投資への意欲というものは底がたいものがある、あるいは先ごろ行われました公定歩合の引き下げが金利水準に与える影響、あるいは今後長期的に見て、いわゆる四百三十兆と言われる公共投資がかなり長期的な下支えという形になっていく、そういう様相を見ておりますと、私はもう少し景気というものの見方について自信を持っていいのではないかというふうに見ておるのです。  住宅は確かに減少しております。御指摘のとおり、当初の期待よりもはるかに下回って、今や年間で百三十万戸ペースを割るかもしれぬという話なんです。しかし、持ち家の方は堅調なわけですね。御案内のとおりでございます。これはやはり分譲マンションの需要が、なかなか買い手がつきにくい。これは多少地価の問題も影響しておるだろう。地価対策の効果がじわじわ効いてきておることの逆に言えばあらわれである。したがって、もう少し待てはもうちょっと安くなるかもしれぬから、今ここで慌てて手に入れるよりももう少し先で手に入れていこうというような、消費者といいますか買い手の選択が働いておる部分もある。  あるいは自動車についても、ピークに比べれば確かに売れ行きはダウンしてきております。しかし、若干そろそろ底入れの気配もなくはないし、水準そのものは過去と比べてそう、いわゆる不況期に相当するような水準ではなくて、かなり景気がいい状況と大体似たような水準である。企業収益の動向も、確かに減益にはなっておりますけれども、売上高利益率という側面から見れば、水準自体はかなり過去のピークに近い水準を維持しておる。  そういうことを総合的に判断をいたしますと、そういう意味で、テンポが緩やかにスローダウンしつつあるということはそのとおりだと思うのですが、しかし基本的には日本の経済全体は順調な成長経路に移行しつつある、いわば異常なバブル経済といいますかそういったものに依存しない、もっと着実な企業経営あるいは消費行動、そういった形に移行しつつあるのではないか、このように見ておるわけでございます。  そこで、貿易黒字の話についても御指摘がございました。これは、一つは、いわゆる数量ベースと価格ベースで比較してみますと、数量ベースでは輸出の伸びよりも輸入の伸びの方が大きいわけであります。これはやはり一時的な円高ということが結果として、いわゆるJカーブ効果とよくいいますけれども、金額ベースでは膨らんでおるということが一つ言えると思っております。それから輸出先ということでいいますと、東西ドイツが統一をした、そういった中で一時的な需要が膨らんだ、あるいは東南アジアの諸国が非常に順調であり、東南アジア向けの輸出がふえてきた、こういったこともあって、最近はそれらの輸出の動向もかなり落ちついてきた形に実はなってきておるわけであります。  また、輸入という姿で見てみますと、いわゆる高級絵画とか高級自動車とかそういったものの輸入が、日本の経済がもう少し堅実な経済に移行するという過程の中で、昨年に比べて大幅に実は落ち込んでおる、こういうことが言えると思っております。  したがって、基本的には今日の貿易収支の動向というものは、一時的要因によって確かに現在のところ、本年度の上半期については想定よりも大幅な黒字になっておりますけれども、いわゆる経済の構造としてそういう形にまた変わってきたというものではない、むしろ着実に、構造調整努力なりいろいろな努力の結果、日本の経済は、基本的には内需を中心とする経済成長のパターンにどんどん構造変化を今来しつつあるという認識をいたしておるわけであります。  雇用の問題につきましても御指摘がありましたけれども、雇用者数の伸びは御案内のとおり今なお堅調でありますし、いわゆる人手不足感についても、二時ほどの超人手不足という状況からは変わりつつあるとは思いますが、今なお人手不足感というものは引き続き強いものがありますし、有効求人倍率も、ピークに比べれば多少は低くはなりましたが、たしかまだ一・三四くらいの有効求人倍率になっておって、この人手不足というものは、今後を考えました場合にも、労働時間短縮の問題等々もこれあり、これからも引き続き緊張ぎみの姿で推移をしていくであろう、こういうことは予想されるわけであります。
  85. 川島實

    ○川島委員 時間も余りございませんので端的にお伺いをさせていただきますが、大蔵省もお見えになっておりますので、現在の、大臣から言われた経済の見通し等含めて、今年度の財政見通しが二兆七千億不足をする、こう言われているわけでございますが、来年度の収入見通し、それからそれらの財政確保に関する方策等についてお伺いをしたいと思います。
  86. 加藤雅

    加藤説明員 お答えいたします。三年度の税収につきましては、御指摘のとおり、これまでの収納実績とかいろいろなデータを今集めて最終的な詰めをしておるわけでございますが、今までのところおよそ二・八兆円程度減収になるものと私ども判断しておるところでございます。  翌年度でございますが、翌年度は、これから予算編成の一環といたしまして、その時点までの課税実績とか政府経済見通し等の諸指標、これを総合的にあれしまして個別税目ごとに一つ一つ積み上げてまいります。今の段階ではまだ経済見通し等の数字もございませんので、これからということで今のところ何とも申し上げられない。ただ、既に先ほど申しましたように三年度の土台自体がかなり落ち込むということですので、当然のことながら四年度の税収というのは非常に厳しい。それを踏まえてどうするかというのはこれから予算編成の過程でいろいろ議論なされていくというふうに思っております。
  87. 川島實

    ○川島委員 次に、男女雇用機会均等法の実施がなされて五年余になるわけでございますけれども、その中でいろいろ多くの問題が、成果と欠陥、課題等も出てきておるわけでございますが、時間の関係もございますので、その中の特にパートで働く労働者の問題点に絞って今後具体的にお伺いをしていきたいと思います。  まず一つは、パート労働者に対して、雇用する場合に条件を明記した雇い入れ通知書、こういうものを実施するよう労働省が行っておるわけでございますが、この実施状況というのは一体どのようになっておりますでしょうか。
  88. 佐田通明

    ○佐田説明員 パートタイム労働者に対しましては、御指摘のとおり特にパートタイム労働者に対する労働指針をつくりまして、雇い入れ通知書それから労働条件の明示、こういったところを指導しているところでございます。  その件数が何件かというところにつきましては、それぞれの企業と労働者の間の雇用関係でございますので数字としては申し上げられませんけれども、労働基準局あるいは私どもの出先でございます婦人少年室、そういうところを通じて鋭意指導に努めているという状況でございます。
  89. 川島實

    ○川島委員 今、連合が組織している労働者が八百万人、パートタイムで働く労働者も八百万人になろうかと言われているところでございまして、このパートに関係をする労働諸条件の改善は非常に急務になっていると言われているわけでございます。  そこで、現在パートで働いている人が、政管健保と厚生年金に入って老後に豊かな生活をしたい、こういう希望をする人も非常に多いわけでございますけれども、厚生省はこれらに対する加入の条件と申しますか、これらについてまだ非常に枠組みが狭いような気がするわけですが、その辺のところをちょっとお伺いをしたいと思います。
  90. 紺矢寛朗

    紺矢説明員 お答えいたします。  健康保険、厚生年金保険は、常用的使用関係にある者、私ども常時雇用をこのように称しておるわけでございますが、常用的に使用関係にある方に対して適用する制度というふうに運用をいたしておりまして、その常用的使用関係にある労働者の方と比較をいたしまして労働時間が短い場合には、私どもといたしましてはそれらの方々が常用的使用関係にあるとは言えないという観点から、通例これらの方々に対しまして健康保険、厚生年金保険は適用いたしておりません。  しかしながら、医療保障ということである場合につきましては、健康保険の被扶養者あるいは国民健康保険に加入いただくということも可能でございますので、私ども医療保障という立場におきましては必要な対応は行っておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  91. 川島實

    ○川島委員 先ほど申し上げましたように組織労働者が八百万、パートで働く労働者が八百万。そのうちのパートで働く労働者の中にも、一カ月十四万六千何がしかという、これは一つの平均ですよ、三万五千の、パートで働く労働組合の人たちのもらっている一カ月の平均の給料というのが十四万六千二百五十円というデータが出ているわけですね。だから一年に直しますと百七十五万五千円。これ以上もらっている人たちが厚生年金に入りたいと言って希望してもなかなか入れてもらえぬ、こういう例があるわけです。今の新入社員なんか非常に低い人もおるわけですから、これだけ所得があれば入れても差し支えないように思うわけですが、これは日数でおたくの方が制限をしておるわけでございますか。
  92. 紺矢寛朗

    紺矢説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、私ども健康保険及び厚生年金保険につきましては、常時使用されているかどうかというものを法律の解釈の物差しといたしておりまして、先生指摘がございました時間につきましては、この労働時間というものに着目をいたし、さらには時間の前提となります労働日数やあるいは就業の形態、その仕事の内容などを総合的に勘案して決めさせていただいておるわけでございます。
  93. 川島實

    ○川島委員 それでは具体的にお伺いします。  電話の交換手、それから自治省が雇っている競艇で働く人、それから競馬で働いている人、競輪で働いている人、この人たちは非常に専門的な今までの作業の経験が要るわけですし、その人たちの雇用の年数は四年や五年じゃないのですね。何十年も働いてこう来ているわけです。給料もいいしボーナスもいい。こういう人たちが、入りたいと言った人が入れないのかどうか。
  94. 丸田和夫

    ○丸田説明員 お答え申し上げます。  健康保険法及び厚生年金保険法におきましては、法人事業所のすべて、あるいは常時五人以上の従業員を使用しております一定の事業所において雇用されている方が被保険者ということになっております。こういった事業所に適用される方につきましても、臨時に使用される方につきましては、二月以内の期間を定めて使用される方あるいは日々雇い入れられる方、こういった一定の要件に該当する方につきましては適用除外ということになっておりまして、こういった方につきましては、医療保険の面では健康保険の日雇い特例被保険者としまして、また年金につきましては国民年金の被保険者、こういう形で取り扱われているところでございます。  それで、ただいま御指摘のありました競馬、競輪あるいは競艇、オートレース、いわゆる私どもが競走事業と呼んでおります従事者の方について見ますと、一般的には当該競走事業の開催期間に対応する形で臨時的に短期雇用されておられる、あるいは期間中日々雇い入れられておられる、こういった雇用形態でございますので、法律上、二月以内の期間を定めて使用される者あるいは日々雇い入れられる者という適用除外の規定に該当するために健康保険の一般被保険者あるいは厚生年金の被保険者にはならない、こういう取り扱いでございます。
  95. 川島實

    ○川島委員 非常に答弁がわかりにくいのですが、一カ月で通常の人が実働数何日あって、例えば週二休、土日休んでいる人、この人たちは実働何日働けばそれに加入できる条件ができるのか、この辺のところを具体的にはおたくの方は答弁できませんでしょうか。
  96. 丸田和夫

    ○丸田説明員 競走事業に従事される方の法律的な適用の問題として、具体的な日数以前のそういった適用の条項に該当するかどうかということでまず判断しているところでございます。その要件といたしまして、一つが、二月以内の期間を定めて使用される者であるかどうか、あるいは日々雇い入れられる者かどうか、こういった雇用形態を見た上で判断しているというところでございます。  そういった中で、これらの要件に該当しない者であれば、常用的なものかどうかということで、いろいろな日数的な判断とかそういったもので判断していくということになっております。
  97. 川島實

    ○川島委員 この人たちは土日の開催日があると働いて、それは通常の人が休んでいるとき働いているわけですね。それも含めて、実働で十五日が今あるわけです。それで、あと一日あれば皆さん方が言う日にちに該当する、こう言っているわけですね。だから、その辺のところは、今までずっと働く皆さんの幸せ、ゆとり、いろいろなことを認めながら、五人以下についても皆さん方がずっと適用の幅を広げてきたわけですね。この人たちはもう何十年も皆さん方にいろいろ要望しておってもちっともでき上がっていないわけですよ。だから、そろそろ少し方向を考えて、これだけバートで働く人たちがおるわけですから、掛金をみずからやって、老後を幸せに過ごしたいという希望もあるわけですから、もう少し考えてあげてもいいと思うわけでございますけれども、ひとつその辺を十分検討していただくように要望をしておきたいと思います。  次に、こういう働いている人たち、自治省が実際は雇っているわけでございますけれども、自治省に監督をされている各都道府県、市町村ですね。この人たちが働くときに、年次有給休暇がもらえるところともらえないところが出てきているわけでございます。それは、そういう開催が県であったり、市であったり、町村であったり、中には市や町村が協議会をつくって、組合をつくって開催をして、雇用主が一様でないからという理由で、そう言って切られているわけですね。年次有給休暇の算定の仕方を切られて、もらえない。  あるところでは、それらは全部一つの、競馬なら競馬の施設のある市が一括して雇用した形をとっているところは全部オーケーになっている。そうでなくても、共同で一応雇用しているんだからということでオーケーのところもあるわけですが、これらのことについて自治省は、雇用関係の改善に向けて努力をなさるおつもりはありませんか、お伺いをいたします。
  98. 嶋津昭

    ○嶋津説明員 お答えいたします。  いわゆる競輪とかあるいは競馬、公営競技に従事している臨時従事員に関する労働条件に関してでございますが、六十三年の労働基準法の改正、これによりまして、臨時従事員に関しましても年次有給休暇の比例付与が適用されることになったことは私どもも承知しております。あるいは施行者も当然承知しているわけでございまして、労働省の指導によりますと、一定の基準によりまして継続勤務に該当する場合に年次有給休暇を比例付与しなくてはいけないという御指導をされているわけでございますが、あくまでも継続勤務であるかどうかについての判断につきましては、今ほど御質問にもございましたが、施行主体が雇用者でございますので、施行主体ごとに判断することが原則だというふうに御指導をいただいているそうでございます。  また、その施行主体が必ずしも同一ではなくても、それが同一と同じような実態にある場合には、勤務の実態に応じて同一と判断されるような場合には、これまた年次有給休暇を付与すべきであるという御指導がされているようでございます。そのことについても施行者は十分承知しているわけでございまして、公営競技によりまして若干実態が違うようでございますが、競輪につきましてもおよそ二十ほどの施行主体で年次有給休暇が付与されているというふうに平成三年度現在で承知しております。  したがいまして、今後とも労働省の御指導等もよく承知しながら、施行者あるいは施行者団体におきまして十分労働条件につきましては留意するように指導してまいりたい、かように考えております。
  99. 川島實

    ○川島委員 もう時間がございませんので、最後に、パート労働者が八百万人にふえてきておる中で労働省が、これらの多くの時間外労働関係だとか、賃金、賞与、退職金の適正化、福利施設の利用、教育訓練の実施、それから、正社員と実態の変わらない仕事をしていながら、皆さん方の受けとめ方がバートだということで非常に陰に追いやられているような状況等を含めまして、これらの労働条件を改善をしていくためにパート労働法の制定が今までずっと言われてきておるところでございますけれども、これらの制定についての今の状況はどのようになっておりますのか、お伺いをしたいと思います。
  100. 佐田通明

    ○佐田説明員 パート労働者に対しましてはいろいろな面からの労働条件の改善が必要であろうというふうに考えておりまして、その中心は、先ほど御説明申し上げましたパートタイム労働指針、これに基づいて労働条件の改善等を行っていきたいというふうに思っております。その中で法律に関係する部分もあるわけでございまして、例えば雇用保険の加入の問題ですとか退職金への加入、こういった問題につきましては順次法律改正をして入れるようにしているというところでございます。  改めてパートタイム労働法そのものをつくるかどうかということにつきましては、現在労使の間の意見の隔たりが非常に大きいということ、それから今先生もおっしゃいましたように、パートタイム労働者をどのようなものとして定義するか、短時間のものだけか、いわゆるパートタイムと称されている人たちも入れるのかどうか、こういったところでまだ立法技術的にも詰めなければならない問題があるというふうに考えておりまして、この点は引き続き検討課題として私どもは抱えているという状況でございます。
  101. 川島實

    ○川島委員 最後に、パートタイムで働く労働者にとって今一番、特に女性の場合がそうなんでございますけれども、恩恵がこうむれるというのは非課税枠の拡大だと言われているわけです。九十二万から今百万に拡大をされているわけでございますが、物価等の動向等から今後大蔵省はどういうサイクルでこれらの見直しを図っていかれるおつもりか、その辺のところをお伺いをしたいと思います。
  102. 加藤雅

    加藤説明員 お答えいたします。御指摘のパート所得者につきましては、いろいろ御議論ございますが、まず、先般の税制改革において配偶者特別控除というものを創設いたしまして、その後それをさらに拡充するということをいたしております。これによりまして、最も指摘の多かったパート問題、つまりパート主婦の収入が非課税限度を超えると夫の配偶者控除の適用がなくなるということで、急に税負担がふえて世帯全体の手取りが逆に減ってしまうという逆転現象が指摘されておったわけですが、この問題はまず解消されたところでございます。  それから、先生の方からも御指摘ございましたが、パート収入の非課税限度額自体、先ごろ平成元年の十一月には九十二万から百万へということで現在百万でございますが、百万円妻に収入がある場合、夫の給料と合わせますと、三百六十四万二千円までは全く所得税がかからないという状況になっております。  私ども、パートかどうかとかそういう問題ではなく、やはりお一人で所得を上げる、その所得が年間百万を超えるというような収入であれば、やはり一つの独立した納税者として適正に税負担をしていただく、これが所得税法全体の中で適切な水準であろう。これをパートだけに着目して、これだけを何らかの形で優遇していくということは、むしろ税負担の公平の面から非常に問題が多い。やはり所得税というのは、いろんな所得の方がどういう形で負担していくかという常に全体の適正な負担というものをバランスよく考えていかなきゃなりませんので、そういう意味では現実の、今の百万円というのは極めて高い水準であるというふうに認識いたしております。
  103. 川島實

    ○川島委員 パートで働く人たちが、百万円が非常に水準が高いという見方をしているのは私は絶対反対でございまして、少なくとも百五十万は最低認めてもらわないと、いろんな諸条件が、悪い条件で働いているわけでございますから、大蔵省もその辺はひとつ頭を入れかえて今後検討をしていただくように強く要望して終わります。  ありがとうございました。
  104. 岩垂寿喜男

  105. 大野由利子

    ○大野(由)委員 初めに、野田経済企画庁長官にお伺いしたいと思いますが、昨日の新聞に報道をされておりましたが、経済企画庁長官が熊本におきます記者会見におきまして、不動産融資の総量規制について、本来なら融資がついていいものまで断られるケースがあるということで、その新聞の報道、新聞の記事を拝見したわけですが、地価は一度に下げればいいものではないということで、その総量規制に対するもう一回緩和をしてもいいんじゃないかというような御発言をなさっておりますけれども、まず事実の確認をさせていただきたい、そう思います。
  106. 野田毅

    野田国務大臣 実はいろんなことを言いまして、したがって、私自身も驚いているのですけれども、新聞社によってはいろんな書き方がしてあるのです。今御指摘のようなニュアンスの書き方もあれば、さまざまな書き方をされて、受け取る側がどの辺に力点を置いて聞くとどうなるのかなということを改めて感じたのです。  私自身、この問題については、実は土地問題に長年私も携わってまいりましたし、土地の価格が世界の中で日本は異常に高い、これは事実だ。そのことがいろんな意味で公共投資を進める場合にもネックになっておりますし、何よりも住宅政策を進める場合に一番大きなガンになっておる。そういうだけでなくて、いわゆる資産格差の拡大ということがいわゆるニュープア・ニューリッチという問題にも波及をしておる、そんなことを思いますと、やはり地価の適正化ということは党派を超えた国民的な課題だ、そういう実は基本的な認識をいたしております。  じゃ、なぜ地価が高いのかということについてはさまざまな角度からのメスを入れなければならぬし、さまざまな要因がある。したがって、逆に、地価対策をやろうとする場合には、一つの手法だけでやるということは無理がある。  そういう意味で、昨年は土地税制についての改革もお願いをしたところでありますし、あるいはまた都市計画の手法の中でやるべきこともたくさんまだ残っておると思っております。あるいは本年度はまた相続税の是正の問題がありますけれども、いわゆる土地選好というか土地神話というもの、要するに土地を持っておればほかの資産を持っておるよりもはるかに有利だというこの考え方を変えていかねばならぬ。そういうためにはいろんな政策をフル動員しなければいかぬ。  その一つに金融政策もあります。しかし、金融政策だけで土地の値段を下げようということになると、これは完全なオーバーキルもあり得るわけですから、今地価というものは徐々に下がるべきである、これは私はそう思っております。急激に地価が下がるということになりますと、金融機関の担保価値が激減をするわけですね。そのことによって、金融恐慌をもたらしかねない。金融恐慌になると、それこそ経済が大混乱を来すということですから、やはり地価の今の水準は高い。これは私はそうだと思っております。  だから、これを何とか徐々に徐々に下げていかなければならぬ。そして、いずれはサラリーマンの年収の五倍ぐらいに持っていければ、また住宅も手が届くのではないか。ピークは十倍を超えていましたですね。今ようやく八倍ちょっとぐらいでしょうか。そういったことを考えますと、地価というものをとにかく一気に下げればいいんだという発想だけでは経済が混乱する。そういうことで、総量規制緩和の問題については、現在国土庁で緊急調査をやっておることでありますから、その水準を見ながらやっていかなければならぬ。  ただ、今日、その前に出されました調査の中でよく言われますのは、いわゆる金融機関が率直に言ってかなり野方図な格好で土地融資をやってきた。そしてそれに対するいろんな不祥事も起きた。その反動の中で、今度は逆に、土地と聞いただけで多少シュリンクして、そして逆に断ってしまう。だから、本当に優良な宅地造成だとかそういったことを大いに進めてもらわないと住宅政策も進まぬわけです。しかし、そういったことが逆に、土地と聞いただけで過敏になり過ぎた、いわゆるあつものに懲りてなますを吹いておる部分もある。それで実は土地の取引がほとんどストップしてしまった。だから、安くなった売買実例が出てこないものだから調査の中で反映されないという問題点も、つとに最近は指摘をされておるわけです。  そういう意味で、多少振り子が前の状態から今度は逆にちょっと振れ過ぎている、率直に言ってそういう感じはあると思います。その振れ過ぎの中に総量規制という言葉が断る口実に使われておるということも事実だろう、そういうことを実は申し上げたわけです。
  107. 大野由利子

    ○大野(由)委員 土地は急激に下がるんじゃなくて徐々に下がった方がいいという大臣お話でございましたが、ただ、国民の側から見ますると、大変やりきれない思いがするわけです。  上がるときは急激にバブルで上がったわけですね。下がるときは徐々でいいのだ、上がるときは急激だけれども下がるときは徐々の方がいいのだというのは、これはちょっと理に合わない話じゃないかな、急激に上がったものは急激に下げるべきじゃないか。徐々に上がったものは徐々に下げて当然しかるべきだと思いますけれども、そういった意味で、これが本当に高値安定になってしまう、そういうことにつながることがあっては大変だ。大臣が責任を持って元の値段に下げる、そうおっしゃってくださるのなら安心でありますけれども、総量規制の問題も含めて、バブルはやはり最後まできちっとはじけた方がいいのじゃないか、そのように私は思いますので、その辺またよろしく御検討をお願いしたいと思います。  それから、ちょっと野菜の問題、もう多々御質問が出ておりますので、私きょうは、はしょらせていただきますが、農水省さんも随分いろいろ中長期へ向けての野菜の対策を出していらっしゃいます。ただ、出していらっしゃいますが、高齢化が進んで後継者がいなくなって手間のかかる仕事に耐えられない、そういう状況もあっての野菜の高値、単なる台風影響という、一時的な天災というだけじゃなくで、そういうものもございますが、この野菜が高値安定するのじゃないか、構造的にそういう構図になっているのじゃないか、そういう不安があるわけですが、これに対して長官の御意見を伺いたいと思います。
  108. 野田毅

    野田国務大臣 野菜の問題は午前中からいろいろ御議論をちょうだいをしました。その中でいろいろ御答弁申し上げましたように、確かにことし秋になりまして、長雨、日照不足、さまざまな要因で異常な高値になったということはそのとおりでございますが、さらにいわゆる構造的な要因ということもいろいろ御指摘もございました。そういう中で、農水省を中心として、あるいは省力化のお話とか、あるいは産地育成の問題とかさまざまな構造対策を、既にやっていただいてもおりますが、これからさらに力を入れてやっていこう、こういうことでございます。  それで、先ほど物価局長からも申し上げましたが、年末にかけてこういう野菜の、生鮮食料品についての年末の物価安定のための対策を近々出そう、こういうことでございます。基本的にそういう形の中で具体策をとりながらやっていかなければならぬ。特に、多少中には高値がやや春ごろまで続くものもあるかもしれないけれども、基本的に総じて大体野菜価格は今、鎮静化に向かいつつあるというふうに考えております。
  109. 大野由利子

    ○大野(由)委員 農水省さんにお伺いしたいのですが、やはり抜本的な対策も種々講じる必要が出てきているのじゃないかと思うのです。その中の一環としまして、非常に天候等に左右をされやすいサラダ葉とかクレソンとかミツバ、青物の野菜でございますが、水耕栽培、水栽培、要するに野菜工場で安定供給ができる、そういうことが今既にやり始められているわけです。これから大いに期待できる分野じゃないかなと思いますが、こうした施設に補助を出す、そしてこれがもっと拡大できるようになるということも必要じゃないかと思いますが、この辺について、いかがでございましょう。
  110. 桑原勝敏

    桑原説明員 お答えいたします。  野菜の施設栽培でございますが、今お話ありましたように、作物の生育環境をコントロールし、気象等の自然条件の影響を軽減するということがある程度可能であります。多種多様な野菜を年間を通じて安定的に供給する上で非常に重要な役割を果たしております。  ちょっと数字を申し上げますけれども、我が国の野菜収穫量に占める施設物の割合を申し上げますと、ナスですと二八%、トマトが六二%、それからキュウリ五六%、ピーマン六四%、こういう割合で施設の中でつくられて供給されているという実態がございます。  現在の野菜の施設栽培の面積でございますけれども、平成元年には三万四千ヘクタールということで、五十年に比べまして八〇%の伸びに達しております。最近では、さらに施設内の環境条件を自動的にコントロールする複合環境制御型施設というように、より高度な環境のコントロールができるような栽培方式が開発されておりまして、例えば水耕栽培というような、全体的には養液栽培というグループに入るかと思いますけれども、こういう施設栽培が現在三百五十ヘクタールほどございまして、こういう中で、お話がありましたような軟弱野菜といいますか、カイワレだとか、ああいうようなものが多く生産されております。  農林水産省といたしましても、需要の動向に即して施設野菜安定供給に資するという観点から、生育環境要因を総合的にコントロールすることによって省力化、省エネルギー、それから品質の向上、それから増収等が可能になるような新技術を導入したモデル団地の育成等に現在も努めているところであります。採択要件を満たせば水耕栽培も対象にできるというようなことで実施しております。今後とも野菜の安定的な供給を確保するという観点から、引き続き施設野菜に係る振興策を講じてまいりたいというように考えております。
  111. 大野由利子

    ○大野(由)委員 住宅の問題についてお伺いしたいと思いますが、急激な地価の高騰によりまして東京、大阪等の三大都市圏で家を持つことが非常に困難、また良質の賃貸住宅すら難しいという状況に今なってまいりまして、そういう状況を少しでも解消しようということで、本年の税制改正の一つに、三大都市圏の特定市の市街化区域農地の特例の廃止に伴う経過措置、そういう措置によって農地所有者が農地を転用して良質な賃貸住宅を供給できるように、そういうふうな制度ができました。これは良質の住宅を提供できるいい制度ができたと大変喜んでいるわけですが、実際これが運用されようとすると種々問題点がございまして、私も相談を受けたわけでございます。  まず初めに大蔵省さんに確認をさせていただきますが、相続税の納税猶予の継続が認められた農地の抵当権は国にあると思いますが、間違いございませんでしょうか。
  112. 皆合達夫

    ○皆合説明員 お答えいたします。  納税の猶予がそのまま認められるということでございますので、抵当権が設定されておるその農地につきまして特に何ら変動はございません。そのままでございます。
  113. 大野由利子

    ○大野(由)委員 そのままそこに住宅金融公庫や東京都の融資あっせんを使いたい場合でございますが、一番抵当が国になっている、住宅金融公庫が二番、東京都の融資あっせんが三番抵当になる、そういうことで、住宅金融公庫や東京都の融資あっせんが受けられない、そういう問題が起こっているわけです。税務署に相談をしましたところが、賃貸住宅を建てるところの農地の部分だけ担保から外してもらって他の農地の再評価をしてもらえないか、そういうふうに税務署に対し農地の所有者が頼んだところが、税務署は、そういうことはできない、そのように制度上できない、そういうふうに答えているわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  114. 皆合達夫

    ○皆合説明員 ただいま先生の税務署へ相談されたという話ですが、内容をちょっとつまびらかにいたしておりませんけれども、私どもといたしましては、租税の確保という点から、当然にその納税猶予された農地の抵当権のことにつきましてはまず優先順位を確保したいということがございます。しかし、そのような場合でございましても、一定の賃貸用共同住宅を建設しようとするその農地等の部分を除いた残りの農地、今先生言われました残りの部分を再評価いたしまして、その担保価格が必要担保価格を満たしている場合には、納税者である農業相続人の申請によりましてその部分の農地の登記につきまして抵当権を一部抹消する方法がございます。そのほか、同じように農業相続人からの申請によりまして担保を変更するといったような方法もございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、そのような事例に対しましてそれぞれの個々の事情を踏まえまして適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  115. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今、必要な条件を満たしているならばとおっしゃったわけですが、前の担保価格より下がってもそれは認められるということでしょうか。範囲が狭くなるわけですから。
  116. 皆合達夫

    ○皆合説明員 再評価いたしまして、私どもが納税猶予をお認めしております税金の額というものがございますが、それに見合うものでありますれば大丈夫というようなことでございます。
  117. 大野由利子

    ○大野(由)委員 担保価格が下がっても大丈夫なわけですね。
  118. 皆合達夫

    ○皆合説明員 全体として下がっても必要な部分が担保されておればよろしいわけでございます。
  119. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今そういうお答えをいただきましたので、ぜひ全国の税務署に趣旨を徹底していただきたいなと思います。ちょっと徹底されてない税務署が現在ございまして、来年一月一日から新しい制度を利用して家を建てようという計画のある人が実際にはつまずいている、そういうケースがございますので、これは速やかに全国の税務署に徹底をされるようにぜひお願いをしたい、そのように思います。  次に、厚生省さんにお尋ねをしたいと思うのです。  ガットのウルグアイ・ラウンドの交渉が大詰めに参りまして、我が国の米問題が非常に連日報道をされております。しかし、その中に食品安全基準の国際標準化の提案、ハーモニゼーション、そのように言われておりますが、このことがこのガットで話題になっている、そのように一部報道もされておりますが、この提案の内容、また審議の模様について御報告をお願いしたいと思います。
  120. 織田肇

    ○織田説明員 ガット・ウルグアイ・ラウンドにおきましては、貿易障害の除去のため種々の交渉が行われておりまして、食品衛生の分野においても、国際基準在基礎にした各国の基準の調和及び手続の透明性の確保等が話し合われております。我が国といたしましては、科学的根拠に基づき、食品の安全性の確保を図ることを前提といたしまして対処をしておるところでございます。  このため、国際基準に基づく調和についても、原則的にはその必要性は理解するが、各国によりまして食生活のパターンでございますとか、あるいは衛生状況等が異なっていることから、必要に応じまして国際基準よりも厳しい措置をとることも認められるべきであるとの主張を積極的に行っておるところであります。また、国際基準よりも厳しい措置をとることが認められるべきというこのような主張につきましては、米国、EC等も同様に行っております。
  121. 大野由利子

    ○大野(由)委員 WHOとFAOの合同機関であります国際食品安全基準委員会がこの新基準の設定に当たっているようでございますが、このコーデックスアリメンタリウスの素性と、どういう構成でこの委員会がつくられているかについて御説明をお願いしたいと思います。
  122. 織田肇

    ○織田説明員 このコーデックスと申しますのはFAO、国際食品保健機構及びWHO、国際健康機関の合同食品規格委員会でつくっております国際食品規格というものでございまして、この規格は同委員会の加盟国が中心になって行っておるものであります。ちなみに加盟国は百三十八カ国となっております。各加盟国の代表団と申しますのは政府の担当者によって構成されておりまして、我が国でも関係の代表が出席しているところでございます。
  123. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ほとんどの国が有害な有機塩素系の農業、DDT等の使用を禁止しているにもかかわらず、このコーデックスでは残留を認めている、そのようなことは事実でございましょうか。
  124. 織田肇

    ○織田説明員 委員指摘のとおり、DDTは土壌の残留性が高いことから諸外国では既に禁止されておるところでございますけれども、先ほど申しましたFAO、WHO合同国際食品規格計画、いわゆるコーデックスにおきましては、環境汚染由来のDDTというもの、残留しておりましたDDTというのを考慮しまして、科学的根拠に基づき食品中の残留量について基準を定めております。  なお、コーデックスにおきましては、環境汚染由来のDDT残留量の実態に応じまして基準値を見直す予定であると聞いております。
  125. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今DDTのことだけを例に取り上げたわけですけれども、非常にこの基準が甘いという心配がなされております。今御報告の中にそれぞれの国の規定が優先をするというふうに、ちょっとそういうお話があったかと思うのですが、ガットの加盟国が国際の規約のもの以上に厳しい基準を設けるのは非関税障壁だ、提案の中にもそういうものもございますし、果たしてこれがどこまで守られるのかという不安があるわけですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
  126. 織田肇

    ○織田説明員 コーデックスの食品の基準というのは緩いという御指摘ございましたが、一概にそう言えないわけでございまして、例えば我が国と比べましてもやはり緩いもの、きついものいろいろとあるわけであります。  それから、この基準が、今回ガットで話し合われておりますものに基づいて調和を図っていくという一つ基礎となるというふうに議論されておるわけでございますが、先ほど申しましたように、各国も原則的にはそういうことであるけれども、国によりまして食生活のパターンでございますとか、あるいは衛生状況等が異なっていることから、必要に応じて国際基準よりも厳しい措置をとることも認められるべきである、こういう議論をしておるところでございまして、これがガットの中では各国主張しているところであり、主要な意見となっているところでございます。
  127. 大野由利子

    ○大野(由)委員 それは確実に担保されるんでしょうか。今のように、米問題にしてもそうでございますが、日本の主張が最後の土壇場になって米問題は覆されそうな気配があるという状況にもあるわけですけれども、今おっしゃったことが最後の最後まで全加盟国の賛同の上で確保されるものなのかどうか、その辺をもう一度改めてお伺いしたいと思います。
  128. 織田肇

    ○織田説明員 この点につきましては、私どもも極めて重要な点であるということでガットの場でも強く主張しているところでございますし、また先ほど申しましたように主要な米国、EC等もこの点それぞれ意見を表明しているところでございます。私どもといたしましては、この国際基準よりも厳しい措置をとり得る場合もあるという、この原則については最後まで主張する必要がある、このように考えている次第であります。
  129. 大野由利子

    ○大野(由)委員 コーデックスアリメンダリウスの委員会に、アメリカの代表に食品産業関係者が大量に含まれている、そういうことも事実かどうか、お伺いしたいと思います。
  130. 織田肇

    ○織田説明員 この点については具体的には確認はしておりませんが、コーデックスの性格といたしまして各国代表以外にオブザーバーとして、例えば国際消費者連盟の方々、それからその他の方々も認められておると聞いておるところであります。
  131. 大野由利子

    ○大野(由)委員 日本の参加されている代表者の氏名というか、どういう立場の方が入っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  132. 織田肇

    ○織田説明員 日本からはその問題に応じまして、例えば添加物あるいは農業等問題に応じまして政府委員が出ております。そのほか、アドバイザーとして民間の団体の方々が参加することもございますが、この場合もあくまで技術的問題を補佐するという立場でございまして、コーデックスでの対処方針というのは国としてちゃんと決めて政府委員がそれに基づいて発言する、こういう立場でございます。
  133. 大野由利子

    ○大野(由)委員 日本の消費者団体の代表はこの中に加わっていらっしゃいますでしょうか。
  134. 織田肇

    ○織田説明員 それについては承知しておりません。(大野(由)委員「入っていらっしゃらない」と呼ぶ)入ってないのではないかと思っております。ただ、先ほど申しましたように、国際消費者連盟、IOCU、これがオブザーバーとして参加しておりますので、そこには日本の消費者団体の意見が反映されているもの、こういうふうに思っております。
  135. 大野由利子

    ○大野(由)委員 先ほどちょっと話しましたけれども、アメリカは食品産業関係の方がたくさん入っていらっしゃる。また、ヨーロッパの代表にはIOCU、国際消費者機構の代表が入っていらっしゃる、そういう状況でございます。日本はどうして消費者の代表が日本政府の代表なりアドバイザーとして入っていらっしゃらないのか、当然入っていいのじゃないか、そのように思いますし、またこの審議の内容が、外交問題としてというよりも、こういうことが提案なされているという提案の内容等がもっと国民に情報公開なされていいのじゃないかと思うわけでございます。そういった意味で、そのことについての厚生省の御見解を伺いたいと思います。
  136. 織田肇

    ○織田説明員 先ほども申しましたように、民間の技術者の方々が参加する場合は、あくまでも技術的なアドバイザーとして参加していただいておるわけであります。消費者の方々の参加の問題については、これまでも特に要望がなかったのでということもございますし、先ほど申しましたように消費者の側の意見というのは、オブザーバーとしての国際的な機関の方からそれが表明されているというふうに現在考えておるような次第であります。
  137. 大野由利子

    ○大野(由)委員 要請がなかったなんというのは私はとんでもないことじゃないかなと思います。この問題が大変重大な問題であるとなれば厚生省の方からそれは当然声もかけられるべきでしょうし、消費者の団体も当然一緒に加わってこの大事な問題を検討していきたい、そうすべきじゃないか、そのように思います。  時間が来ましたので以上で終わりますけれども、大変重要な問題を厚生省さんはもっと本気で取り組んでいただきたいな、そう要望させていただきまして、ほかにもちょっと質問を準備していたのですが、時間が来ましたので、答弁に来ていただきながら質問できなかった方にはおわびをしたいと思います。  以上で終わります。
  138. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 倉田栄喜君。
  139. 倉田栄喜

    ○倉田委員 公明党・国民会議の倉田でございます。  まず大臣に、大臣就任のお祝いを申し上げます。経済動向多難の折でございますけれども、同郷の方々とともに心から大臣の御活躍を祈り、御期待を申し上げておきたいと思います。  そこで、まず景気の動向については、けさほど大臣のごあいさつの中で簡潔に御説明をいただきました。それに関連してお伺いをさせていただきたいと思うのですが、十一月の月例経済報告によりますと、先ほど大臣の御説明にもございましたけれども、国内需要は拡大テンポが緩やかに減速をしている、こういうふうにございます。一方、十月の月例報告には、緩やかに減速しながらも引き続き拡大をしている、こういうことで、よく読めば確かにこれは違っている、意味していることは大いに違っているんだろうと私は思うのですが、普通ぱっと読んだだけではなかなかわかりにくい。一般の方々が読んでどんなふうな印象を受けられるのだろう、こう思います。  また、確かに大臣の御説明の中で心理に対する影響も十分考えなければいけないんだ、こういう御説明がございましたけれども、これは一体どういうことなのか、結局十月と十一月では何が違ってきているのか、御説明をいただきたいと思います。
  140. 野田毅

    野田国務大臣 まず最初に、倉田委員から冒頭大変御丁重なお言葉をちょうだいをして恐縮でございます。またどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。誠心誠意頑張りたいと思います。  今、月例の言葉遣いが十月と比べて十一月と少し言葉が変わったという御指摘がございまして、何が理由でどことどこがどう違うんだ、こういうお話です。全く日本語とは難しいものでありまして、多少言葉遣いが、比べてみると確かに変わっておるということだけはお酌み取りをいただいたということだと思っておるのですが、やはり一つは、いろいろな指標があるのですが、設備投資動向について、前月に比べて十一月の月例の段階ではその数値においてやや減速の傾向が表現されておるということが一つございます。  それから、経済というのは、私も常々申し上げておるのですけれども、単に指標のみ、数字だけをもって経済運営というわけにはまいりません。基本的には経済の担い手は国民一人一人であり、特に企業家消費者のマインドがどうか、いわば生きた経済ということをやはり心がけなければならぬと思っております。そういった中で、このところ企業家の心理においてより慎重な見方がふえてきておるということも念頭に置く必要がある、こう思っておるのです。  ただ、たびたび申し上げておりますように、結論から言えば、拡大テンポが減速しつつある。しかし、基本的に今後のことを考えれば雇用情勢も堅調であるし、それに支えられて消費も堅調に推移をする。あるいは金利もこの秋からずっと下がってきておりますし、先般の公定歩合の引き下げということも行われましたので、さらにそういった面においてもプラスの効果が出てくる。  そしてより長期的には、いわゆる公共投資というものが十カ年計画もこれあり、そういった意味でかなり長い間にわたってのいわば下支え効果というものがあるということを考えますと、私は、巷間いろいろな議論がありますけれども、悲観的な見方の強い人たちの中には、やや霧がかかっておるのでそういうことになっておるのではないか、いわば今日の日本の経済の実態以上に慎重になっておる方もあるんではないか、そんなことも実は感じております。総じて日本経済は底がたく行くだろう。そして物価も安定いたしておりますから、そういう意味で内需中心型の、いわゆるバブルのない持続可能な着実な、あるいは堅実な企業経営、消費行動に基づく日本の安定的な持続可能な成長経路に今向かいつつある。  ただ、そこに至るのに減速感がピークに比べてあるものですから、多少そういう意味でのいろいろ業種によっては厳しいところももちろん出てきておるであろうし、そういったことを念頭に置きますと、今後の運営としてはまさに言葉ではなくて機動的、適切な運営、特に年末にかけて中小企業の中には極めて厳しいところもたくさんあるわけですから、そういった意味できめ細かな配慮を必要としていくだろう、このように考えておるわけです。
  141. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今大臣から非常に丁寧に御答弁をいただきましたけれども、新聞報道等によれば、結局この言葉の違いは景気の減速を鮮やかに打ち出したんではないか、こういうふうな報道もなされておるわけでありまして、そういう意味からすれば経企庁また大臣の景気のかじ取りというのが非常に重要になってくる。  そういう意味でお伺いをしたいと思うのですけれども、またこの報告書によりますと、「政府は、内需を中心とした経済持続的拡大を図るため、内外経済動向を注視し、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努める」、こういうふうにございます。この「適切かつ機動的な経済運営」、具体的な措置としてどのようなことを大臣としてはお考えでございましょうか。
  142. 野田毅

    野田国務大臣 今多少触れましたように、特にこれから年末にかけて、中小企業を中心とするいわゆる資金繰り難などを懸念する向きもあるわけですから、そういう意味で中小企業を中心とする年末金融への対策をきめ細かくやる必要があるとか、あるいはまたこれからの動向を注視しながら、そして国内経済動向もさることながら、いわゆる対外調整ということもこれあり、そういった意味で、あるいは金融の側面なりあるいは場合によっては、成り行きいかんによっては財政ということをも考えなければならぬこともそれは当然将来においてはあり得るかもしれない。  ただ、財政の出動ということを、いわゆる景気対策という形の中で今直ちに云々ということではないだろう。ただ、さっき申し上げましたように、かなり今後長期にわたっていわば財政出動ということに近い形で公共投資がこれから下支えをしていく、そういうことをやはり頭に置いた上で財政の問題も考える必要があるのではないか、このように考えております。
  143. 倉田栄喜

    ○倉田委員 それからやはり言葉の問題にこだわって恐縮でございますが、同じこの月例経済報告の中で、卸売物価とそれから消費者物価に関連して、「国内卸売物価は、落ち着いた動きとなっている。」一方、消費者の方でございますけれども、「消費者物価は、基調として安定した動きとなっている。」このような表現がございますが、これは結局どういうことなのかということをお伺いしたい。  卸売物価とそれから消費者物価、これはその動向について比例的に同じような動向でないのかどうか、そこに差異があるのか、差異があると考えるのであればその原因はどのようなことなのか、お伺いをしたいと思います。
  144. 野田毅

    野田国務大臣 私から概括的に申し上げます。後でまた物価局長から補足をしてもらいます。  実は、先ほど来いろいろ御議論いただきましたいわゆる生鮮食料品を中心とする部分が、消費者物価動向と卸売物価動向とに開きがあるということの一つ大きな理由だろうと思っております。そのほかいわゆる輸入物価、輸出物価等といったことも消費者物価との、これは卸売物価の方ではそういった部分があるわけですけれども、その辺も多少違いが出てくるのではないか。それから、一つは為替ソートの問題もタイムラグがある部分も実はございます。しかし、長い目で見ると、基本的にはその動向というものはある程度連動しながら動いていくものであるというふうに考えております。
  145. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま大臣から御答弁があったとおりでございますけれども、若干技術的なお答えを申し上げさせていただきたいと思います。  卸売物価につきましては、ここ数カ月、前月で持ち合いないしは若干の下落ということで推移をしてまいりまして、十一月の上旬でとりますと、昨年の十一月の上旬に比べて〇・〇ということでありますから、この一年間で水準は全く変わらないというところまで来たわけでありまして、そのような意味合いから「落ち着いた動き」、こういう表現を使っているところでございます。  消費者物価につきましては、生鮮食品を除く総合の季節調整済みの指数というのがあるわけでありますけれども、これは生鮮食品を除いておりますので、八月、九月ともに前月比は〇・二ということでまいりました後、十月の東京都区部速報は〇・一ということでありまして、小幅な上がり方でありますから「安定した動き」ということでありますけれども、ただ、先ほど来御議論になっておりますように生鮮食品が十月には東京都区部で二二・七%上昇いたしました。したがいまして、そのような天候要因等によります一時的な要因というものを除いたときに「基調として安定した動き」である、こういうことで卸売物価消費者物価の表現を区別しているところでございます。
  146. 倉田栄喜

    ○倉田委員 経企庁の方でこの消費者物価の指数を統計されるときには総務庁の方から数字をお受け取りになる、そういうふうなお話をお聞きしたところでございますけれども、実は先般、当委員会は二十日に築地市場を視察させていただきました。私ども公明党の消費者物価部会としては、十九日に大田の市場を視察させていただきまして、そのときに東京中央卸売市場の「指定野菜価格動向」という一覧表をいただきました。これは農水省の方で御管轄のことだと思うのです。  同時に、十九日に私どもは小学校の給食現場を視察させていただきまして、野菜が値上がりをして学校給食の現場はいかがですか、こういうふうなお話をいろいろ承ってきたわけでございますけれども、そのときに学校で仕入れになっておられる表というのを参考資料としていただきました。これがきちっとした公的な資料になるのかどうかはわかりませんけれども、現場の方が作成をされた表でございますので間違いないだろうと私は思って質問をさせていただくわけですけれども、これは小学校の給食現場の方がおつくりになった表でございますね。  これと東京中央卸売市場の表を比較させていただきますと、例えば十一月の上旬での価格調査を比較しますと、東京都中央卸売市場白菜はキロ八十五円、ところが、これは消費価格につながるものだと思うのですけれども、学校給食の方はキロ二百二十八円。それから、キャベツ卸売市場の方は百四十三円、ところが学校給食の方は三百九十円。それから、レタスは卸の方が八百五十七円、ところが学校給食の方はキロ千四百円。キュウリは卸売の方は六百二十四円、一方学校給食の方は千八十三円。これは卸売価格とそれから学校給食で扱われている仕入れ価格だと思うのですけれども、いわゆる消費者価格との差にこんなに差があるのかな、こういうふうな実は実感を持ったわけでございますけれども、この点についてはどういうふうな原因をお考えでございましょうか。これは農水省ですか。
  147. 後藤和久

    ○後藤説明員 ただいま学校給食の調達に関しまして詳しい数字がございました。私どもは学校給食の具体的な調達についてはちょっとわからないのでございますが、小売価格という問題に関しましてお答えさせていただきたいと思います。  一般に野菜の卸売価格と小売価格の差、これを仮にマージン率と申し上げますと、これは品目によって異なるわけでございますけれども、価格が高くなりますほどにそのマージン率が低下する、そういうような傾向がございます。今回の野菜高騰時におきましても、この小売のマージン率につきましてはおおむね低下しておりまして、小売価格というものが価格高騰の要因の一つになっているというふうには考えておりません。  しかしながら、農水省といたしましては、今回の野菜対策に万全を期するためということで、関係の小売団体に対しまして野菜価格安定と安定供給につきまして要請をしておりまして、今後ともその万全を期すということで対処してまいりたいというふうに考えております。
  148. 倉田栄喜

    ○倉田委員 統計上いろいろな数字が出てくるわけでございますけれども、その数字を見るときに、果たしてこれが現場の実感というものをきちんと反映をしているかな、こういう思いを持つときがあるわけでございます。経企庁におかれましても、ぜひ総務庁等と消費者物価動向の数字をおとりになるときに、きちんと現場の数字を正確に反映できるようにひとつ考えていただきたい、このように思います。  続きまして、野菜の問題、午前中から何回も御議論されておりますけれども、いわゆる本年の長雨、日照不足、これが一時的なものなのかどうか、そういう意味で、いわゆる長期の天候異変、不順というものが世界的にあり得るのではないか、こういう視点から、きょう気象庁さんにおいでいただいておりますけれども、本年の長雨、日照不足は一時的なものかどうか、世界的な天候異変が言われておりますけれども、例えばいわゆるエルニーニョ現象ですか、その発生も含めて気象庁としてはどのような見通しを持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  149. 吉住禎夫

    ○吉住説明員 お答えいたします。  ことし、梅雨どきは九州、四国地方、それから北陸、東北地方で長雨や日照不足となりました。それから、八月に入りますと、全国的な低温、そして秋雨の時期には関東地方を中心に東北の太平洋側から東海、近畿地方にかけて長雨と日照不足に見舞われました。こうした長雨や日照不足は過去においても何度か繰り返されておりまして、最近の例ですと、昭和六十三年の七月から九月にかけて記録的な長雨や日照不足となったことがございます。したがいまして、ことしのような長雨や日照不足は今後も起こり得ると考えております。  それから、エルニーニョにつきましては、ことしの春ごろから発生いたしておりますけれども、そのエルニーニョの強さの程度というのはまだそれほど顕著なものではございません。ただ、ことしの長雨や日照不足に関連してはいろいろ要因がありますけれども、一つの要因として考えられなくはないと思っております。  以上です。
  150. 倉田栄喜

    ○倉田委員 例えば、これは新聞報道からでございますけれども、本年は冷夏、日照不足による野菜不足が盛んに議論がございました。米をとってみても、十月の作況指数というのは九六から九七、昨年の一〇三から大きく落ち込む見通しであるということになっております。魚介類についても、南米沖のエルニーニョ現象で、アジとかマイワシなどのプランクトンを多く食べる魚への影響は必至であろう、また穀物についても、ことしの米国の小麦収穫量は、干ばつのために昨年を二六%も下回る大減産ではないのか、肉牛もオーストラリア、これはえさとなる牧草の生育不良から非常に大幅に減少するのではないのか、このようなことが言われております。農水省として、来年も含めてまた長期的にこの天候異変による食料需給に対してどのような見通しを持っておられますか。
  151. 阿部修

    ○阿部説明員 先生今御指摘のございましたように、特にことしの農業生産は天候異変という影響が非常に大きゅうございまして、米、野菜、果実というようなことで前年を下回るというようなことになっております。ただ、ことしに関しましては、今野菜供給安定なり万全の対策を講じているというようなところでございまして、食料の不足というようなことにはならないと思うわけでございます。  世界的な気象のあれなり長期的な食料の需給傾向でございますが、気象と食糧の供給なり需給がどういうふうにつながっていくかというのはなかなか難しい問題ではないかと思います。ただ、確実に言えると申しましょうか、需要面の方から申しますと、今から開発途上国を中心といたしまして、人口が爆発的にふえるというような傾向でございまして、そういった面では食料の長期的な需給傾向というものにつきましては決して楽観できるものではないというふうに考えております。
  152. 倉田栄喜

    ○倉田委員 食物の需給体制にかかわる問題でございますので、長期的な天候異変の問題、しっかり御検討をお願いしたいと思います。  それから「物価レポート91」、これは報告がありましたけれども、物価上昇の原因として、例えば消費者の嗜好に合わせて甘みの多いものや形の整ったものなど、天候不順に弱い品種の作付が増加をしている、それから野菜産地が形成され始め、その生産地台風などに襲われた際影響が大きい、また農家数の減少高齢化による作付面積減少がある、それから流通段階で競りによって価格を決めるため品不足となって高値がつけられる、また高齢化等にも関係するわけでございますけれども、いわゆる大根キャベツなど重い野菜農家の方が敬遠をする傾向がある、そういう問題も種々指摘されているようでございますけれども、これらの問題に対して農水省、野菜の品質あるいは体制、どんな対策をお考えでございましょうか。
  153. 桑原勝敏

    桑原説明員 お答えいたします。  先生指摘のように野菜の品種につきましては、最近消費者の嗜好等を反映いたしました品種、例えば、白菜とかキャベツについてみますと、葉っぱのやわらかい食べやすい品種というようなものの割合が増大するという傾向が見られるのは確かでございます。ただ、この場合でも、適地適品種の原則にのっとりまして、地域の気象とか土壌等の自然条件あるいは営農体系に適合した品種を選択することとか、近年変動の大きい気象のもとで被害を最小限にするため、特定品種への過度の集中とか不適地への作付を避けるような指導は、かねてから行ってまいったところでございます。  最近の傾向を見ますと、耐寒性とか耐暑性とか、いわゆる気象ストレス耐性と申しますが、そういうものの強いもの、あるいは病害虫抵抗性だけではなくて、これに消費者ニーズの高度化とか多様化にも対応した高品質、それから流通適性もある品種というようにいろいろな要素についてバランスのとれた品種が最近開発導入されてきているのではないかというふうに思います。  それから、主産地において、今回被害を集中的に受けた事例も確かにあるわけでございますが、主産地形成というのはかなり時間をかけてやってきておりまして、例えば価格変動に伴う作付変動というのはかって非常に多かったのですが、主産地形成によってそれが非常に小さくなってきたとか、集団化によりまして生産性も上がる、それから生産力も向上する、それから供給力も増大する。主産地形成によって計画的に野菜生産する、あるいは出荷するということを通じて、価格安定には非常に効果があるものだというふうに考えております。  ただ、今回一部でそういう集中的な気象災害を受けて被害が出たこともございますので、今後災害分散とか、あるいは連作障害の回避という面もあわせて、複合的な産地育成というようなことも検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、野菜の安定的な供給の確立を図るという意味で、適地適品種の原則にのっとって品種の選択指導に一層努めたい。それから、野菜指定産地中心とした野菜産地育成整備、それから排水基盤等の土地基盤整備等の総合的整備を図ってまいりたいと考えております。  それから、重量野菜労力対策ということでございますが、これにつきましては、やはり機械化による省力化ということが非常に重要だと思いますので、その面でも大いに努めてまいりたいというふうに考えております。
  154. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が少なくなりましたので、最後に大臣に三点ほど、もうない時間でございますので、簡潔にお答えいただいて結構でございます。  一つ大臣、ごあいさつの中で、生活大国ということで活力、潤いに満ちた生活大国をというお話でございました。これは、もしかしたら大臣の御持論でもないかと思いますけれども、いわゆる勤労者の給料をもっと上げるべきではないか。労働再配分率と申しますか、この点について大臣の御意見。  それから国税庁の平成二年分の年間民間給与所得の実態調査によりますと、民間サラリーマンの年収は四百二十五万円、平均四十一・四歳にいたしまして前年比五・七%増加と、昭和五十五年以来の高い伸び率を示した。しかし、一方で所得税の割合も大幅に上昇しました結果、これはモデル家族で、モデル家族というのは夫婦、子供二人、この実質可処分所得の伸び率は前年を三・一ポイント下回っておる。労働者の賃金水準というのは非常に高くしていただきたい、こういう思いと同時に、実際の実質可処分所得、これもきちんと伸ばしていかなければいけない、このように思うわけでございますが、この点についての大臣の御所見。  それから最後で恐縮でございますが、我が党、製造物責任法を今一生懸命勉強させていただいておりますので、この点についての大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  155. 野田毅

    野田国務大臣 三点の御質問でございましたが、まず労働分配率の問題です。  労働分配率という場合にいろいろな定義がありまして、何と何を比較するかという点でいろいろあるのですが、その中で、一応国民所得に占める雇用者所得という割合で見てみますと、平成元年度では六八・四%という数字になっておりまして、これは近年おおむね横ばいで推移をいたしておるわけでございます。  この労働分配率というのは、基本的には自由な労使の交渉の中で決まっていくわけですから、またどういう角度で物を見るかによってなかなか評価が分かれるところだろうとは思います。ただ、基本的にいわゆる経済成長の成果が、あるいは労働時間やらあるいは賃金やら、そういう形で国民みんなが享受できるような姿になっていくということは、これからの生活大国を目指していく上でも大事なことだと思っております。これは、政府としてどの水準が望ましいということを言うことははばかられますが、基本的には労使の間で交渉で決まっていくことだというふうには思っております。  それからもう一つございました。国税庁の多分民間給与の実態調査からの数字でお話しになったと思うのですが、いわば所得が上昇しでもいわゆる消費者物価やらあるいは税金やらそういったことで実質可処分所得がそれほど伸びてないではないかという御指摘だと思います。  事実関係についてはまだ事務当局から、後ほど場合によっては御説明申し上げたいと思うのですけれども、傾向としてはある程度の差があるのは、これは率直に言ってやむを得ざる部分ではあるわけです。平均の給与ですから、いわゆる所得の大きい人も小さい人もみんな含めた平均給与ということに実はなっておりますから、所得税あるいは住民税の体系が累進構造を伴っておりますので、そういう意味でいわゆる可処分所得がその部分だけ目減りするということは避けられない宿命だろうとは思います。そういう意味で、今後それぞれ所得税の水準なり税率構造なりがどうあるべきかということはそういう中で見直していくべき課題であろう。  やはり御質問の趣旨は、せっかく給与が伸びたのなら手取りもちゃんとそれなりにふえてもらいたい。実質所得がふえ、可処分所得がふえてもらいたい、そのためには物価もしっかり安定してくれよ、こういう御趣旨だろうと思うのです。そういう意味で私どもは、少なくとも経済運営の一番の大前提は物価の安定が最優先だ、これがあって初めて安定的な経済成長もできるのだ、そういう気持ちを持ってこれからも臨んでまいりたいと思っております。  それから最後に、製造物責任法、いわゆるPL法の問題でございますが、これは被害者救済の実効性をどう高めていくか、この問題は国際的にもこういった考え方が大体大勢になり、いずれは国際的なある種の共通のベースというものを考えていかなければならない課題だと実は考えております。  私どものところでも、国民生活審議会で去る十月十一日中間報告が取りまとめられたところであることは御案内のとおりです。なお具体的内容を含めてさらに十分に議論を尽くし、関係者の理解を深める努力をする必要があるということでございますので、引き続き精力的な御検討をお願いしてまいりたいと考えております。
  156. 倉田栄喜

    ○倉田委員 製造物責任につきましては、ぜひ大臣の前向きな御努力を特にお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  157. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 菅野悦子君。
  158. 菅野悦子

    ○菅野委員 景気の動向につきましては先ほど来いろいろとやりとりがされているわけなのですけれども、私も、経企庁長官にその問題からまず御質問させていただきたいと思うのです。  二十二日ですか、月例報告での長官のコメントですね。「日本の経済は、拡大テンポが緩やかに減速しつつある」という言葉の中でいろいろやりとりがあったわけですが、先ほど来お聞きしておりますと、いささか霧がかかっているけれども、安定という点ではそんなに心配することはないというふうなお話のようでございます。しかし一方、朝日新聞などで企業百社の経営者、これを対象に景気アンケートをやっておられますね。ここでは、現在の景気について「緩やかに下降している」というのが七八%ありますし、「急速に悪化している」というものも一五%あって、長官の見通しよりも景気に対する実感というのは弱気ではないか、先行き不安というのが先行しているんではないかというふうな指摘もあります。  また、景気を左右すると言われる設備投資はどうかと言いますと、通産省が明らかにした九一、二年度の民間設備投資計画の動向調査を見ますと、伸び率は急落して経済成長率も急速に転落する可能性も出ているというふうに言われているわけです。  そういうことで、若干見通しとしては暗いのかなと思っておりましたら、きょうの新聞を見ますと、百貨店協会が、個人消費が底がたいとは言い切れなくなってきたというふうな見解を言っておりますし、また政府・自民党のサイドでも、いろいろと景気の見通しは甘くない、そして建設省に聞いてみても心配が多いというふうなお話があったりして、二十八日にはそのため緊急の首脳会議を開くというふうな報道もございます。  こういうことを見ておりますと、先ほど来のお話を聞いていて、景気の先行きについては安定的に推移するのではないかというふうな見通しを長官はなおおっしゃっておられるのですが、ということは、この二十八日の緊急首脳会議の中でも、まあ心配しなさんな、大して、そんなに不安ではありませんよというスタンスで臨まれるのかなと思いましてもう一度お伺いしておきたいと思うわけです。
  159. 野田毅

    野田国務大臣 なかなか言葉遣いが難しゅうございまして、基本的に、この前までの経済の拡大のテンポが、たびたび申し上げておりますように、ある意味では異常に高かったと言っても言い過ぎではないかと思います。やはり五・七とかそういう水準というのは、いわゆる実体経済中心として考えた場合にバブルという言い方も実はあったわけです。そういった部分がいろいろな問題を、経済の成長を高めたと同時にいろいろな問題を引き起こしてきた。したがって、そういう部分がだんだん剥落していくということになりますと、どうしてもそれはノーマルな成長に向かわざるを得ない。  そういう過程の中で、先ほどもどなたかの御質問に申し上げたんですが、住宅投資がやはり落ち込んでおる一つは、そういう意味で土地の値段がまだ下がるだろうというような感覚もこれあり、もうちょっと下がってから手にしようというようなことが、実は分譲とかマンションとかの売れ行きを弱くしておる。だけれども、既に土地なんかは手当て済みのいわゆる持ち家ということでいくと、これはかなり堅調であるという部分もあります。  それから、今百貨店の売り上げのお話がありました。確かに百貨店の売り上げは伸びはスーパーに比べて低うございます。それは、百貨店の売り上げの中では高級絵画とかいわゆる値段の高いものの売り上げが少し弱い。しかし一方で、生活の上で堅実な消費というような姿から見れば、逆にスーパーの方は堅調であるということも実は言えるわけです。  あるいは設備投資にも御言及がございました。これも私どもの調査でいくと、この十一月の月例のときの設備投資の伸びが前月に比べてやや低目に出てきたということは、これは表現の中でそういうことをも参考にいたしてはおるわけですが、基本的に今後いわゆる人手不足といいますか、そういったこともこれあり、省力化、合理化投資への意欲は根強いということも言えるわけですね。したがって、いろいろな数字が実はあります。生産の数値もいろいろ強気、弱気の指標が実はあります。そういう意味で強気一色の数字ではないし、弱気一色の数字でもないな。  そこで、今後どういうふうに推移するだろうかということを冷静に見てみますと、雇用者数は着実に伸びてきているし、労働力は引き続き緊張感を伴いながら推移をしていくであろう。それに伴って、個人消費はそれによって下支えをしていくであろう。それから金利の水準ということは、これはまたいろいろ投資とかそういう上でも大きな影響を与えるわけですけれども、これもこの秋に入りましてから、日銀の低目誘導ということもありましてかなり低い水準に今向かってきておる、そこに公定歩合の引き下げもあった、そういう金利水準の動向。それから今後のいわゆる公共投資のテンポということを考えますと、これが下支え要因になっていくであろう。  そんなことを考えますと、基本的に今実態よりも少し慎重な物の見方がいろいろ出ておりますけれども、実態そのものはむしろ逆に、今後物価の安定を基礎としながら、内需を中心とする経済の持続的な成長が可能なそういう経路に今移行しつつある。したがって、減速感が今までに比べればかなりあるというのが実態ではないか。そういうことをみんながしっかり踏まえてもう少し自信を持ってやっていけば、そう心配する必要もないの一ではないか。ただ、経済は生き物ですし、気の問題でもありますから、そういう意味で企業家の心理、消費者の心理ということを、これが一番大事なことでもありますから、そういう意味でそういうマインドをしっかり見ながら適切な、またきめ細かい手を打っていかなければなるまい、このように考えておるわけです。
  160. 菅野悦子

    ○菅野委員 そういうことであれなんですが、あわせて内外経済情勢、これがまた大変厳しい状況にあると思うのですね。アメリカ経済というのはマイナス経済に逆戻りしかねない深刻な状況がありますし、ヨーロッパの方ではイギリス、フランス、イタリアなどが景気が相変わらず思わしくない中で、ドイツ経済まで赤字に転落というふうな状況。世界経済が非常に大きく低迷しているという事態があると思うのです。だから逆に日本の貿易黒字というのがやり玉に上げられるというふうに思うのですけれども、日本の貿易黒字は急増していますね。  ことしは四月から十月の輸出超過額というのが四百七十二億ドルということで、前年同期に比べて一・五倍、九一年度の政府見通しの五百六十億ドルというのを上回るのは確実だと言われているのですが、この貿易黒字の見通しはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのかということをお聞きしたい。  それから、あわせていろいろお聞きしたいのですが、八五年のプラザ合意以降の金融緩和政策、これはバブル経済と証券・銀行の不正事件を残して、国民に非常に多大な犠牲を転嫁して終わったということになっているのですけれども、こういうふうな金融緩和政策だけでなくて、この間、外国製部品など大量に輸入の面でも拡大に努力してきましたし、現地生産にも努力してやってきて、なお日本の場合は黒字がどんどん拡大していっているというのが現実だろうというふうに思うのですね。ですから、そういう点では従来の対応では限界に来ているのではないかと思うわけなんです。  この輸入拡大の具体的な見通し、そういうものがあるのか、まさかお米の輸入なんてことは考えておられないとは思うのですけれども。輸入拡大の見込みがなければ、今度は輸出を抑えて、さっきもちょっとおっしゃっておられましたが、内需拡大に本格的に転換するということが必要になってきているというふうに思うのですが、どのような品目でどの程度の削減が可能なのか、例えば輸入というふうなことでいいますと。そしてまた、具体的には内需拡大策、こういうものがあれば、できたら大臣の所見を伺いたいなと思うわけです。
  161. 野田毅

    野田国務大臣 盛りだくさんの御質問でございましたので、若干漏れが出るのを多少懸念いたしておりますけれども、まず初めに、世界経済現状と見通しはどうか、こういうことでございました。  これは簡単に申し上げますと、景気後退が続いておりましたアメリカなど一部の国で回復過程に入るなど、全体として世界経済は減速から脱しつつあるだろう、こう言えると思っております。ヨーロッパでは、特にドイツでは、いわゆる統一景気といいますか、統一を契機に好調な経済が続いてきたわけですが、やや内需が鈍化し、景気が減速を強めてきておるという状況にあるのではないか。フランスでは緩やかに景気が拡大をしておるし、イタリアでは内需の鈍化などから景気の基調は弱い。イギリスは景気が後退局面から脱しつつある。それから、アジアの途上国では、総じて内需が好調でありますし、輸出も増加が続いておるということから好調な拡大が続いている。東ヨーロッパは、御案内のとおり、市場経済への移行を目指す過程にありまして、経済情勢は厳しいということでありますし、御案内のとおり、ソ連も深刻な状況にある、こういう状況にあります。  今後の見通しでありますけれども、先進国経済全体としては、今後成長率は上向いていくだろうという予想を一応いたしておる状況にあります。  それからいま一つは、輸出輸入の現状と見通してありますが、先ほど御指摘がありました、確かにことしに入りまして貿易黒字が予想以上にかなり膨れ上がってきた。しかし、これはむしろ構造的な要因というよりも、基本的には円高ということが、いわゆるJカーブ効果といいますか、それによって一時膨れ上がっておるということが一つあると思っております。  それからいま一つ、いわゆるドイツが統一をした。それに伴う東独地域中心とする需要が非常に強かったということからこれが膨れ上がってきた。しかし、これはもうそろそろ減速傾向に入ってきたということであります。それから、東南アジア地域経済の拡大が続く中で、日本の輸出も大幅に伸びた。これも今輸出の伸びはやや減速傾向にある。  一方で、輸入の側面は、いわゆる高級絵画あるいは高級自動車、こういったものが、昨年はかなり大幅な輸入があったわけですが、これがすとんと落ち込んできておる。いわば一時的要因というものがある。むしろ構造的な側面で見てみると、数量ベースの伸びで見ますと、輸出の伸びよりも輸入の伸びの方が上回っておるということ、これは非常に大事なことだと思っております。  それから、より長期的に見ても、日本の経済のこのところの成長が基本的に内需で成長率を稼ぐ、いわば外需の寄与率はむしろマイナスになるというようなパターンにだんだんなってきたということが言えると思っております。したがって、これからも内需を中心にして日本が着実な成長を続けていくということが貿易収支の面でも非常に大事なことだ。しかし、何もしないでいいというわけにはいきませんので、今日までいろいろ構造調整努力ということ、この成果があったればこそ今申し上げたようなパフォーマンスになりつつあると思っておるわけですが、さらに消費者の視点をも念頭に置き、内外価格差の問題もあります、あるいは市場参入の問題もあれば、いろいろな角度からの規制緩和の話やらいろいろあるわけですが、そういった構造調整努力をしていかなければならぬ。  特に大事なことは、私どもは今日、ソ連を中心とする東側と西側との冷戦構造がずっと変わってきた。そういった中で、いわば自由主義経済あるいは民主主義の政治体制ということは決して西側だけの専売特許ではない。むしろこれは共通の価値観になってきた。  そういった中でもう一つ大事なことは、やはりフェアな姿が必要になってきておる。単に自由主義経済というだけで共通の価値観だと言えない。そういった中で、日本とアメリカ、ヨーロッパとの関係の中で、やはりそういう理念的なプリンシプルみたいなものが非常に必要になってきた。そういう意味でお互いがフェアであるということ、そういう共通のルールを持っていかなければならぬ。日本人から見れば何ら問題意識はなかったけれども、世界の目から見てフェアだという認識がなされるのかどうか、そういったことがやはり大事な時代に入ってきたように実は感ずるわけであります。そういった意味で、これから構造調整ということもさらに我々は心していかなければならぬことだと思います。  しかし、だからといって、このことと今回の農業交渉の問題を絡めてやるということでは私はないと思います。基本的に、フェアという側面から見れば、アメリカも決してフェアとは言えない部分があるわけですね。御案内のとおりウエーバー条項を持っているわけだし、ECも可変課徴金だの輸出補助金だのいろいろあるわけでありますから、そういった意味で、これは現在交渉事でありますから、いわば黒字減らしということのために私どもはここでそういった農業交渉を使うとか、あるいは何かまた内需、何といいますか、財政政策を用いて、これは冒頭申し上げましたような日本の経済現状でありますかう、ここでまた公共投資を財政政策を用いて大幅にやるということになると、かえって建設資材の暴騰を招きかねない、そういうことも実はあるわけであります。  そういった意味で私どもは、今回政府・与党の中で経済の問題について緊急の会議をやろうということになりましたけれども、それは何も現状経済の認識というものをお互いもう一遍きちっとすり合わせをして、その上で、いよいよこれから来年度の予算編成等々に向かうわけでありますから、そういった中で基本的な意思疎通を図っておこうという趣旨でそういうことになったわけであります。長くなって恐縮でございました。
  162. 菅野悦子

    ○菅野委員 大臣の話を聞いておりますと、本当にこれほど日本に貿易摩擦の問題とか、貿易黒字が大きいということでやり玉に上がって、米まで輸入をというふうな強制が何で起こるのかななんて思うような御回答なんですけれども、いずれにしろ、日本の異常な輸出力の強さということについては随分といろいろと言われているわけですので、この点については考えていかざるを得ないだろうというふうに思うわけなんです。  日本が強い、輸出力の強さの大きな要因というのに長時間労働と低賃金、低コスト、これに支えられているという面が非常にあるんじゃないかというふうに思うわけなんです。日本人の総実労働時間というのは、一九九〇年度において二千四十四時間、欧米諸国と比較しても年間二百から五百時間多く働いているという状況がありまして、特に大企業の輸出額上位三十社、この年間労働時間というのを見てみたのですけれども、これがまた全国平均を大幅に超えているという状況があるわけです。  例えばトヨタですが、二千二百六十八時間、うち残業が三百九十七時間とか、日産が二千三百六十八時間、うち残業が四百時間ということで、マツダ、三菱自動車、いすず、スズキ、こういうところが軒並み大体同じような相当高い状況にあるわけです。これらは西ドイツと比較して七百から八百時間も長い労働時間でありますし、その上に賃金も低いという状況の中で、だからまさに輸出力の強さというのは労働者の酷使で支えられているというふうな実態があると思うのです。  そういう点で、内需拡大という側面から見ても、輸出力が本当にこういうことで労働者に転嫁されているということもあるわけなのです。そういうようないろいろな面から見て、やはり労働時間の短縮、賃金の大幅引き上げ、これが貿易摩擦解消とか内需の拡大というふうなことにとっても非常に大切なのではないかと思うのですけれども、この点では大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  163. 野田毅

    野田国務大臣 半分賛成であります。労働時間短縮の問題、これはやはり欧米諸国に比べて、我々日本としてゆとりのある豊かな生活を目指してやっていこうということでは不可欠の課題でありますから、これはさらに力を入れてやらなければならないことだと思っております。  ただ、この問題と日本の輸出の強さという問題が、では直接リンクするかというと、そういうものではないと思っております。実は、私も十数年前、当時イギリスの貿易大臣と全く同じような視点の話がありまして、随分と大論争をして撃破したことがございます。むしろ、日本の輸出力の強さというものは、そういう角度よりも、率直に言っていわゆる相対価格が安いから、つまり低賃金によって日本の製品が安いから競争力があるんだという時代ではもうなくなった。むしろ質の面でより消費者ニーズに適したような質を備えてきたということが非常に大きな特徴だと実は感じております。  例えばVTRにしても、実際問題これは日本しかつくっていなかったという時代があるわけです。ただ、そこに行く過程については、アメリカのカラーテレビが結果として日本に駆逐されてしまって、そういった意味での電子産業関係がアメリカではなかなか育ちにくい状況になってしまった、そういった様相はあると思います。最近でいえば、空洞化という言葉が適切かどうかはよくわかりませんが、少なくともアメリカのいわゆる生産財、工作機械が、日本から輸入をして、そしてそれで生産をしたものをヨーロッパに輸出するという、こういうような構造的な側面も実は出てきた。したがって、まだほかにもさまざまな要因があろうかと思いますけれども、基本的に労働時間の問題、賃金の問題が競争力の問題とリンクするものではないのではないか、このように考えております。
  164. 菅野悦子

    ○菅野委員 大臣にもぜひ読んでいただきたいなと思うのですが、八八年の五月二十三日に出された「世界ととともに生きる日本 経済運営五カ年計画」がございますね。この中には、九二年度中に千八百時間に向けてできる限り短縮するというふうな目標がはっきり出ております。これも昨日あたりの報道を見ますと、この五カ年計画を前倒しにしてことしじゅうにけりをつける、そして来年度からは新しい五カ年計画の策定をというふうな方向が出ているというふうに聞いております。  それともう一つは、これは最近の、この十一月に出ている分なんですけれども、第十三次国民生活審議会総合政策部会基本政策委員会中間報告というのがございまして、「個人生活優先社会をめざして」というのがあるのです。ここには、中にいろいろ書いているのですが、ゆとりと豊かさが強調されています。きょう大臣はゆとり、安心、多様性のある国民生活ということを強調されているわけなんですけれども、その中では、この問題を「新しい角度から分析・検討する」として、「企業中心社会を変革するために、我々は何をなすべきであろうか。」という問題提起をされているのです。  そして、その企業中心社会とか会社人間化している要因として、ここに書いているのですけれども、「欧米経済へのキャッチ・アップ、そのための国際競争力の向上を我が国の最優先課題としていたことがあげられる。」というふうに書いているのです。その「弊害を是正することは、日本の社会・経済システムそのものを変革することである。」そういうふうにはっきり指摘をしておりまして、私はこれはなかなかの報告、提言だなあと思っておりまして、ぜひこういう方向でやっていただけたら、きょうの御答弁も本当にもっといろいろときっと前向きな御答弁がいただけると思って質問に立っているわけなんです。  そういう中で、労働時間につきましては週四十時間制の実現、年間総実労働時間千八百時間に向けての短縮のために、完全週休二日制、有給休暇の完全取得、所定外労働の削減が急務になっているというふうに書いておりまして、何とサービス残業の問題の解決までこれは言及しているのですね。ですからそういう点で、今も言いましたように現実問題としては千八百時間の実現どころか、むしろ輸出額上位の、日本が輸出力に強いと言われている、貿易黒字という問題がやり玉に上がっているわけなんですけれども、その強い職場、強い企業というのが千八百時間にほど遠い状況にあるということがあるわけです。  ですから、そういう点で私は、これは経済とかいろいろな問題と、今スローガンとなっているゆとり、豊かさという問題と別の問題ではないわけで、きっちりリンクした問題だというふうに思うのですけれども、長官としてそういうふうなゆとり、豊かさのある国民生活という方向でこういうふうな労働時間の問題、労働条件の問題、具体的に御指導なり提言なりしていただくということをお考えかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。
  165. 野田毅

    野田国務大臣 特に労働時間の問題につきましては私どもも最優先課題一つだと考えておりますので、この点は引き続き誠心誠意全力投球をして努力をしてまいりたいと思っておるのです。  そういう中で一つ明るい材料は、先般総理府の調査で、御案内だと思うのですが、賃金の向上を望むかあるいは時間短縮を望むかということに対して、むしろ時短の方を望むんだという声が実際に起きておる、これはある意味では非常に大事なことだと思っております。労働者が時短よりも賃上げを望むんだということがベースにあると、やはりそういうことが流れを規定しやすいわけです。  そういう点で流れが変わりつつあるということは、逆に労働者サイドにおいても、建前ではなくて本音のベースで一人一人がそういう企業人間からいわばプライベートセクターを大事にしていく、そういう視点に立って物事の、自分の一挙手一投足といいますか生きざまというものを規定をしていくような時代になっていく。なれば、必ず労使の関係もそちらに目が向いていかざるを得ない環境ができていくのではないかな。そういう中に、多様性のある、いろいろなベクトルの方向がそれぞれの方向を向きながら社会全体としては調和がとれている、そういうような多様な価値観の中の社会ができ上がっていくのではないか、そのように思っております。
  166. 菅野悦子

    ○菅野委員 時間が参りましたのであれですが、経済企画庁設置法の第六条を見ますと、本当に長官の権限が非常に大きいんだたということを改めて私痛感させられたのです。長期経済計画及び物価政策上必要があるときには、当該行政機関に重要な政策及び計画の立案を勧告することもできるし、その結果の措置について報告を求めることもできる。もっと言えば、総理に意見具申もできるということになっているわけなのですね。ですから黒字解消への努力と、労働者のゆとりある豊かな暮らしの保障、それから賃金の大幅引き上げなどによる内需の拡大、こういうふうなものの実現に向けて、ぜひこれらの権限を発揮していただきたいなというふうに思うわけです。  ですから、先ほども言いましたいろいろな問題について、ぜひ労働大臣及び通産大臣に提起、勧告するということ、とりわけ直接かかわるILOの百五十六号条約とか百六十五号勧告の批准、こういう問題ですね。こういうようなILO条約の批准などもぜひやるべきではないかというふうなことも含めて、そういうふうな積極的な提言をぜひ長官にやっていただきたいというふうに思うのですけれども、あとそれ一言、御回答をお願いします。
  167. 野田毅

    野田国務大臣 大変御激励をちょうだいしてありがとうございます。それぞれ先生方からきょういろいろ御注文もいただきました。誠心誠意それらの御指導、御鞭撻をちょうだいをしながら努力してまいりたいと思います。
  168. 菅野悦子

    ○菅野委員 通産省の方にちょっと質問をということで来ていただいたのですが、時間の関係でできません。それをおわびいたします。  終わります。
  169. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 柳田稔君。
  170. 柳田稔

    ○柳田委員 まず最初に、長官の決意をお伺いしたいと思うのですけれども、私も国会に参りまして、最初は前の越智長官でございました。今回は野田長官経済企画庁でございますから、トップがかわろうともすべてが変わるとは思ってないのですけれども、やはりトップがかわれば、その独自性といいますか、長官がこうしたいというものがあるのではないかと思うのですが、その辺も含めて最初に御決意をお伺いしたいと思います。
  171. 野田毅

    野田国務大臣 まあ、余り最初から肩に力を入れるとOBしますから、ただ誠心誠意、与えられた任務に全力投球をしてまいりたいと思うのです。  ただ、私は最近、いろいろバブルという言葉がありました。そういう中で、本当に実体経済といいますか実業の世界といいますか、そういう堅実な企業経営、着実な消費活動、そういったものによって支えられていく日本の経済、いわゆるスペキュレーションに走るようなことではなくて、そういった経済が大事にされていく。よく言われますが、額に汗して一生懸命頑張っている人たちが主役であるような。そういう経済というものをしっかり、そういう意味での足腰の強い着実な経済をつくっていかなければならぬ。  そういう中には、先ほど来いろいろ御議論もございましたが、いわゆる人間の生きざまとしても、企業人間というような姿から、もう少しそれぞれがプライベートセクター、生活というものを大事にしていく、そういうような時代に今変わってきた。あるいは消費者という視点もあるでしょう。そういった時代に入っていかないと、これは環境の問題、エネルギーの問題、いろいろなことからいって、長い目で見ての本当の意味で物価の安定した、あるいは内需中心の持続的な成長ということを達成できないんじゃないかな。そして、またそのことが世界経済との調和ということを一方では考えなければならないわけでありまして、日本だけが繁栄していけばいいんだとかいうわけにはまいらない。  最近は日本の黒字有用論という話が一方でありますが、やはり物には限度というものがあろうかと思っております。もちろん、ODAとかそういった分野で日本が大いに協力をしなければならぬわけですから多少のことはあると思いますが、それによって逆に余り日本が黒字をため過ぎることを正当化しようという印象を与えるとよろしくない。やはりともに栄えていくというか、そういう意識をしっかり持ちながら経済運営にこれから努めてまいりたいと考えております。
  172. 柳田稔

    ○柳田委員 従来の自民党さんの考えと変わったと言うと怒られるかもしれませんけれども、大分方向転換をされてきたのかなあ、私どももやはり働く人たちがまず中心である、そういう基本に立っていろいろと政策を打ってきているわけでありますが、大分同じ路線を歩めるかなあという気がしないでもないのですが、それはさておきまして、大分いい方向に転換してきているなあという感じは受けます。  今おっしゃいましたことと同じことになるかと思うのですが、宮澤新総理が所信の中で  中央、地方にわたって、住宅や生活関連を中心とする社会資本の充実を図り、質の高い生活環境を創造して、所得のみではなく社会的蓄積や美観などの質の面でも、真に先進国家と誇れるような、活力と潤いに満ちた、ずしりと手ごたえのある「生活大国」づくりを進めていきたいと思います。 というふうな所信でございました。今長官がおっしゃられたとおりだというふうに思うわけであります。この生活大国づくり、総理の重要な政策の柱だ、このことは私ども民社党が四年前から生活先進国づくりということを言ってきたわけでありますが、それと一致しているというふうには感じております。  ただ、テーマが生活大国づくりということでありますが、この生活大国の実現にはやはり長官の手腕というのも大分発揮されるところがあるのではないかというふうに思うのですが、もう少しかみ砕いてこの生活大国づくりにかける決意をお聞かせ願えませんでしょうか。
  173. 野田毅

    野田国務大臣 具体的には今柳田委員指摘のございました幾つかの視点があると思います。そういう中で、特に先ほど来御議論いただきました労働時間の問題であったり、あるいは通勤の問題であったり、そして特に住宅あるいは下水道、そういったいろんな分野があると思っております。もちろん生活大国という中にはいろんな価値観の多様性やら趣味の領域にわたるものやらいろいろあると思います。  そういった中で政治として受け持つことのできる分野というのは、これは思想面とかそういう趣味のところには政治が立ち入るべきではないでしょうけれども、少なくとも社会資本を整備していくとか、労働時間の問題であったり、そういう幾つかの分野についてはこれは積極的に責任を持ってやっていかなければならないことである、こう考えておるわけです。そういう意味で総理が生活大国づくりを目指そうということを前々からおっしゃっておった。そういう中である意味では先取りしたのかなと思えるのは、一つは四百三十兆という公共投資の資本計画もございます。これらを今後のいろんな経済計画の中でどういうふうに具体化されていくのか、これも大事なことであります。  それから同時に、たびたび申しておりますように経済運営の基本というのは、一つは何といっても物価が安定することである。物価の安定なくして生活のゆとりは出てこない、これも一つ大事なポイントであろうと思っております。幾つかございますけれども、視点を端的に例を挙げればそういうことが言えるかと思います。
  174. 柳田稔

    ○柳田委員 この特別委員会でもよく話題になったのは内外価格差でございまして、政府中心になりましてこの価格差を縮めようというお話でございました。ところが、現段階にもなってもそれほど縮まったとは思えない。逆に縮まった大きな理由は、一ドル百何円、これが一番大きな理由だというふうに私は思っているのですけれども、今物価の面とかいろいろなことをテーマに挙げてお話を願いましたけれども、正直言って、例えば今言いました内外価格差ですが、何年先までぐらいには解消したい、そのためにはこういうふうなテーマがあるから努力をするのだ、こういうふうな具体的に戦略を示していただきますと我々としても納得をしやすいのですが、大きなテーマをぽんぽんと挙げられて、すべきだとおっしゃられても、どうかなという気がするのです。  生活大国づくり、もう言うに及ばずテーマははっきりしているわけでありますが、そのテーマを本当に今世紀中に全部やるのだ、これとこれはやるのだという気構えがなければ進まないのではないかなというふうな気がするのです。そこまで強く求めたいと思うのですけれども、要するに期限はここだ、スケジュールはこうだ、いつまでと言うのは難しいかもしれません、スケジュールとしてはこうだということまでは言えないものでしょうか。
  175. 野田毅

    野田国務大臣 まあ言いたいところなのですけれども、実際にこれはそれぞれ業界、業界によってのいろいろいわゆる従来の流通慣行の問題があったり、そういったことを是正をしていきながらやらなければならぬ。  先ほども申し上げましたが、いわゆる内外価格差という問題と同時に、いわゆる経済構造をずっと、あるいは流通の構造を調整していくという、やはりそういうことをやっていく過程の中では、そのしわ寄せを受ける人たちも率直に言ってゼロではないと思います。それを切り捨て御免というわけにはなかなかいかないですね。そういった事柄を念頭に置きながら、関係者の理解を得ながら進めていかなければならぬという難しさが実はあるわけです。これはもう御案内のとおりであります。特に、流通過程の中には中小企業者が多いわけです。そういった意味で、そちらの対策もやりながらやっていかなければならぬ。  そして、内外価格差の問題。それから先ほど来申し上げましたが、いわゆるフェアネスという視点から市場をより透明性の高い公正な市場に持っていかなければならない。あるいは取引の慣行そのものも、いろいろこのところ問題も出ましたけれども、そういう公正な取引慣行ということも定着をさせていかなければいけない。そういうことが定着していけば、結果として内外価格差縮小していくということだ、手順としては逆の手順ではないかな。実際に政府が物の値段を決めるわけではありませんので、そういう意味で、これはもう御承知の上で御指摘になったわけですから、我々も内外価格差の問題は一生懸命努力をしていきたいと思いますので、またよろしく御鞭撻、御支援をお願い申し上げたいと思います。
  176. 柳田稔

    ○柳田委員 再度申すわけではないのですが、労働時間でも政府が千八百時間、一応来年までですね、そういう目標を定めていただいた結果として、労使が、会社はもう、組合も従業員もそれに向かって努力をしようということで大分進んできたと思うのです。ただ、最近の経済状況が忙しい、人手が不足したということで若干の延びといいますか、千八百時間達成の年が延びるかもわかりませんが、一つの目標をつくっていただけるとそれに向かって努力をするというのも一つの事実だと思います。たくさんテーマを挙げたら、それについては、できるものはそういう目標を立てて、逆に政府がやるよりは国民の方がどんどんそのテーマに向かって動いてくれた方が早い場合もありますので、御尽力を願いたいと思います。  次に、経済情勢についてちょっとお伺いをさせていただきたいのですが、バブルが崩壊をいたしました。さきの臨時国会で越智前経済企画庁長官に質問いたしましたら、バブルの崩壊の影響は出てません、ありませんというお答えだったのですが、あのころはまだ経済が拡大しつつあるなという感じがあったからそういうお答えになったのか、または長官が影響が出ていますと一言でもしゃべろうものなら、経営者の中にも心理的な面が出てきて、変に足を引っ張るかもしれないということがあっておっしゃらなかったのかもわかりませんけれども、現段階でこのバブルの崩壊の影響をどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  177. 野田毅

    野田国務大臣 端的にやられているのは税収面だと思いますね。そういう意味では、一財政もバブルの恩恵を受けたということだと思います。しかし、これは先ほど来申し上げておりますが、高級絵画の輸入が減ったとかあるいは高級自動車の輸入が減った、これもそういうある意味では影響かもしれません。やはりこつこつ汗水垂らして働いて得たお金ではなかなか高価なものは手に入らぬものです。そういうことからすれば、消費の動向にもややそういう影響があるのではないか。  あるいは、これをバブルと呼ぶかどうかはわかりませんけれども、住宅、いわゆる地価の問題、これも地価が高過ぎた、今なおまた高いという感覚があるから、もう少し下がってノーマルな姿になってから手に入れたい、住宅を得たいと思う人たちの消費行動、これもまた完全には抜け切ってないかもしれないということであれば、それらに関連する産業そのものが、実際に自分たちがバブルに手を出したわけではないのだけれども、そういう意味での経済影響があるということは否定はできないことだと思いますね。  あるいは金融機関の貸し出しの態度にもやや振り子が振れ過ぎた部分も率直に言ってあると思っております。あるいは証券市場においてもそういう部分があった。いわばこれは一億総財テクブームみたいになって、企業家消費者も、何かそういう財テクをやるのが当たり前のような印象になってしまった。そういう時代から、その反省に基づいて、やはり本業で勝負をしよう、そういう形にだんだん今変わりつつある。そして、できるならばその本業で日本経済が支えていけるようなそういう姿がいいな。ただ、今はまだ完全には影響下は脱しておらないかもしれません。あるいは株式市場にしても、あるいは金融にしても、多少振れ過ぎているなと思える部分はあります。もう少しノーマルな姿になっていけば、堅実な日本の内需中心型の持続的な成長を期待ができるのではないか、こう私は思っておるのです。
  178. 柳田稔

    ○柳田委員 長官が十一月二十二日に、「日本の経済は、拡大テンポが緩やかに減速しつつある」という御報告をなさいました。選挙区をいろいろ歩いておりますと、中小企業の人からは逆な言い方で、その判断は甘い、本格的な不景気が到来してくるだろうではなくて、もうしているというくらいまで強くおっしゃる方もいらっしゃるのですけれども、その中小企業関係者の皆さんのこういう発言に対してどのように思われますか。
  179. 野田毅

    野田国務大臣 私はよく理解できます。ただ、これは若干地域的にもばらつきがあると思っています。東京、大阪と地方と比べますと、減速感は大都会に大きいと思っています。  それから、中小企業は、設備投資の意欲にしても大企業に比べて総じて意欲が鈍い。そういう意味で、中小企業はいろいろな業種も実はあるわけですから、そういった中にかなり深刻な事態にあるところもあると思います、基本的に。それは避けられない部分であったのかもしれません。好景気のときでも、毎月五百件くらいはいろいろ企業倒産ということが現実にあるわけです。そういった意味で、私どもはきめ細かい配慮が必要だ。一方では先ほど御指摘がありましたような表現をしながらも、一方では総じていいから何もしないでいいのだというのではなくて、そういう中で一生懸命頑張ってもきつい立場の人もあるわけですから、そういったところにはきめ細かな配慮を一方ではしていく必要がある。ただ全体として見ると、先ほど申し上げたような、総じて日本の経済は緩やかな減速ではある。ただ、企業家あるいは消費者の心理ということも非常に大事ですから、そういったことへも十分配慮しながら機動的、適切な運営をしていく必要がある、こう思っておるのです。
  180. 柳田稔

    ○柳田委員 日銀が公定歩合を〇・五%、十一月十四日に引き下げました。その一番大きな理由は、経済拡大テンポが緩やかになったか、さらには部分的に、今おっしゃったように、まだら模様でも影響が出てきたということかもわからないわけですけれども、〇・五%引き下げたというこの事実が今後経済にどのような効果を与えるだろうか、もし御判断がありましたらばお聞かせ願いたいと思います。
  181. 野田毅

    野田国務大臣 公定歩合引き下げには実質的な意味と、少しアナウンスメント効果があると思います。すべて規制金利の時代では実質的な意味が非常に多かったと思うのです。しかし、このところ自由金利がどんどん広がってきております。そういう意味では、公定歩合というものの持つ意味が多少従来よりも違ってきておる。したがって、公定歩合引き下げよりも前に市場の実勢金利は、これは日銀の低目誘導ということもあって、実際には市中金利はずっと下がってきておる。具体的に直結して連動する部分は規制金利の部分であります。  この規制金利はもう御案内のとおり、これは既に下げを決定したわけですから、そういったことが経済の上では、やはり金利が安くなれば当然投資意欲も起きてくるわけでありますし、あるいは住宅ローンにしても、金利が下がれば意欲が出てくるという側面があるわけですから、そういう意味で、今回の公定歩合の引き下げのプラス効果ということを我々もよく見ておきたいと考えております。
  182. 柳田稔

    ○柳田委員 先ほどの御答弁の中にバブルの崩壊、税収不足が出てきた、税収不足が一つ影響だろうということでございました。また、特に湾岸危機に際しまして大変なお金を支出しました。増税措置をいたしたわけであります。先ほどのまた繰り返しになるかもわかりませんけれども、経済がだんだん緩やかなりにもまた下降ぎみになってきて、厳しいところが出てきておる。そういうことで、〇・五%の公定歩合の引き下げをしながら活力をさらに見出そうというふうにしているわけでございますが、国にとってはことしか、三兆円弱ですか税収不足が見込まれる、来年になりますともっとさらに大きな税収不足が見込まれる。しかし一方、ODAも頑張ってやらなくてはならないし、PKO法案が通ればその費用も日本が見なくてはならない、ソ連への経済支援のこともある、外に対しては大変お金がかかるわけです。  ところが内は、日本の中を見ますとお金がない。四百三十兆円も計画どおりやらなくてはならない。そういうふうに考えできますと、この湾岸危機への増税措置、来年三月でなくなるということでありますが、さっきも申しましたことを考えますと、何か増税措置をやらなくてはならないんじゃないか。そうしなければ対応できないんではないかな。経済がだんだん下降線をたどり出すときにこういう増税措置ですか、するとは、しないとは今はっきり言えない、仮定のことについては御答弁難しいかもわかりませんけれども、今行われております増税措置がそのまま続いた、来年三月で切れるんではなくて、中身は変わるかもわかりませんが、続いたと仮定をしたら、何か経済に悪い影響が出るんだろうか、その辺はもし御判断をしているようでしたらばお聞かせ願いたいと思うのです。
  183. 野田毅

    野田国務大臣 なかなか難しい御質問でございます。  基本的には、これから税制調査会に政府としてはお願いをして、具体的に来年度の税制改正でどういうようなやり方をするのが適切なのか御審議をいただくという段取りですから、余り最初から税制調査会に予断を持って臨むということは避けるべきことだと思いますし、何よりも財政政策のあり方として、お金がない、しかし需要が多いというときにとるべき対応というのは、まず第一に、歳出についてさらに徹底した見直しをして、場合によっては制度についても切り込むぐらいの意気込みでその努力をしていくということが、当然の財政当局としてのあるべき姿であるというふうに思うのです。  仮定のお話があったのですが、これまたなかなか率直に言って一概に言えないと思います。よく経済計算で増税ということだけが残ることはないのですね、それで増税をして政府が貯金するわけではありません。つまり、必ず歳出との連動性ということにつながるわけであります。だから、いろいろな仮定計算をすることになるのだろうと思いますね、どんなケースであろうと。あるいは国債を出して歳出をふやす場合、あるいは減税をする場合、あるいは増税をしてそれで歳出に充てる場合、どういう歳出に充てられるのか、いろ一いろな事柄が絡んでくると思いますから、なかなか増税ということだけで経済に具体的にどういう影響を与えるということを即断することはちょっと難しいと思っております。
  184. 柳田稔

    ○柳田委員 大変お答えしにくい質問をいたしたわけでありますけれども、我々にとっては大変気になるところでもありますし、経済の成長にも大変影響の出る大きなテーマだと思っておりましたので質問させていただきました。  最後に公正取引委員会に質問させていただきたいのです。  薬の再販制度についてですけれども、学識経験者らで構成する研究会を設置し、医薬品の対象範囲や運用等の洗い直しを進める動きが伝えられておるというふうに聞いておるのですが、この医薬品については、やはり人の生命とか健康に直接かかわる特殊性のあるものというふうに私どもは判断いたしておりまして、この再販制度、持続、維持すべきではないかというふうに思っておるのですけれども、この医薬品の再販制度について、現段階、公正取引委員会ではどのように判断されておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  185. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 普通、再販と言われておりますいわゆる再販売価格維持行為というのは、メーカーが小売業者の販売価格を決めまして守らせる行為で、小売段階での価格競争を消滅させる効果を持っている。ひいては一般消費者の利益を害するということから、独占禁止法によって原則禁止になっているわけでございますが、その例外としまして、今御指摘いただきました一般用医薬品、それから千三十円以下の化粧品、それから著作発行物について再販行為が許容されているわけでございます。  このような再販制度につきましては、かねてから臨時行政改革推進審議会などの答申においても、公正、自由な競争を基本とする市場経済において価格メカニズムを制限するような制度は必要最小限のものにする必要があるというような答申があって、そのあり方を検討するように求められておるわけでございます。  公正取引委員会のこれまでの再販問題についての取り組み状況といたしまして、昭和四十八年に主として物価対策の観点から再販商品の大幅な縮小を行いまして、当面の措置として現在の二品目を残された経緯があるわけでございます。昭和四十八年当時と現在では我が国の経済社会情勢も大きく変化してきておりますし、また特に最近、消費者利益の確保が重要な政策課題となっているというような観点から再販制度の見直しが必要になっているわけでございます。  それから一方、外国におきましても、かつては再販制度が広く認められていたわけでございますけれども、医薬品なども含めまして従来認められていた再販制度というものが主要国においてほとんど廃止されておって、我が国だけが再販制度を存続させる必要性ということについて再検討が求められておるわけでございます。  こういう状況を背景といたしまして、公正取引委員会の中に設けました政府規制等と競争政策に関する研究会が再販制度あり方について検討してきまして、その報告書がことしの七月末に出まして、再販が認められている指定商品である一般用医薬品について早急に必要な調査を行って、消費者関係業界等から広く意見を聞きつつ、指定の取り消しを含めて抜本的な見直しを行うべきであるというような提言が行われたところでございます。  公正取引委員会としましては、現在、研究会の報告で指摘されました問題点につきまして検討を進めるために、一般用医薬品の生産、流通、取引等の実態を調査しており、消費者関係業界から十分意見を聞いた上で、できるだけ早く結論を出したいというふうに考えております。
  186. 柳田稔

    ○柳田委員 どうもありがとうございました。
  187. 岩垂寿喜男

    岩垂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散