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1991-12-11 第122回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十二月十一日(水曜日)     午後一時三十一分開議 出席委員   委員長 中島  衛君    理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君    理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       井奥 貞雄君    石橋 一弥君       鹿野 道彦君    佐藤謙一郎君       谷  洋一君    中谷  元君       西田  司君    野中 広務君       森田  一君    渡瀬 憲明君       遠藤  登君    小川  信君       北沢 清功君    串原 義直君       小林  守君    山下洲夫君       草野  威君    山口那津男君       吉井 英勝君    神田  厚君  出席国務大臣         自 治 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         警察庁長官官房         官       井上 幸彦君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治大臣官房総         務審議官    滝   実君         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 杉原 正純君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      原口 恒和君         大蔵省主税局総         務課長     黒田 東彦君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   浜田 康敬君         地方行政委員会 渡辺  功君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   須永  徹君     山下洲夫君 十二月九日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     越智 伊平君   中谷  元君     越智 通雄君   渡瀬 憲明君     浜田 幸一君   山口那津男君     市川 雄一君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     井奥 貞雄君   越智 通雄君     中谷  元君   浜田 幸一君     渡瀬 憲明君 同月十一日  辞任         補欠選任   森  喜朗君     佐藤謙一郎君   安田 修三君     串原 義直君   市川 雄一君     山口那津男君 同日  辞任         補欠選任   佐藤謙一郎君     森  喜朗君   串原 義直君     安田 修三君     ――――――――――――― 十二月六日  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第五号) 同月九日  地方公務員育児休業等に関する法律案内閣  提出第一四号) 同月四日  地方交付税安定確保に関する請願(岩村卯一  郎君紹介)(第一〇八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月五日  議会機能等拡充強化に関する陳情書  (第五号)  地方交付税率削減反対に関する陳情書  (第六号)  暴力団壊滅のための取締強化暴力団対策立法  の促進に関する陳情書外一件  (第  七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第五号)      ――――◇―――――
  2. 中島衛

    中島委員長 これより会議を開きます。  この際、議事に入るに先立ち、謹んで御報告申し上げます。  本委員会委員でありました須永徹君が、去る十一月二十三日、逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。  ここに、謹んで委員各位とともに哀悼の意を表し、御冥福を祈るため、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いします。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 中島衛

    中島委員長 黙祷を終わります。御着席をお願いいたします。      ————◇—————
  4. 中島衛

    中島委員長 内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。塩川自治大臣。     —————————————  地方交付税法等の一部を改正する法律案。     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  5. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算により平成年度分の地方交付税が一千七百四十七億二千五百万円減少することとなりますが、地方財政状況にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税総額を確保する必要があります。さらに、雲仙岳災害対策基金に係る地方債利子支払いに要する額、廃棄物処理施設の円滑な整備に要する額、中小商業活性化対策に要する額及び特別交付税増額に要する額について財源措置を講ずる必要があります。  これらのため、本年度に予定しておりました同特別会計借入金償還額を二千二百三十億三千八百万円縮減し、この額については、平成年度から平成十二年度までの各年度において償還することといたしたいのであります。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことを心からお願い申し上げます。
  6. 中島衛

    中島委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 中島衛

    中島委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷村啓介君。
  8. 谷村啓介

    谷村委員 質問に入りますが、まず塩川自治大臣お尋ねをいたしたいと思います。  さきに小谷輝委員からも御質問がございました問題ですが、平成二年六月十一日に、当時塩川大臣大臣ではございませんでしたが、党の税調の会長として本会議におきましてこういう発言をされておるわけであります。それは、交付税について私ども賛成をした、こういう件について、「もう一つ野党の皆さんにお聞きしたいことがございます。それは地方交付税法改正法案についてであります。消費税が含まれているということで当初はこの法案反対姿勢をとっておられましたが、最終的には賛成されました。」中は省略いたしますが、「こういう突然の変身であります。」「そこが知恵がないから仕方なしに消費税の使用を認めるということ、全く納得がいきません。」こういうふうにお答えになっておるわけであります。御記憶にございましょうと思うのでございますが。  それに対しまして、私ども野党四党を代表して伊藤茂さんが当時、いやそうじゃないんだという趣旨答弁をいたしておるわけでございます。この問題については、この伊藤茂さんからの答弁にもございますように、確かに原資消費税は含まれているけれども、今回の改正消費税に直接かかわらない改正であるから賛成してほしいというのが政府自民党の当時の一貫した姿勢であったわけであります。私どもは、その原資につきましても法案が通った場合にはその措置考えるという態度でございました。  そういうふうなことで、今から読み返してみましても、自治大臣になられました塩川大臣として、この問題について今大臣としてどのような御見解をお持ちなのか、ぜひ聞いておきたいと思うのですいなぜなら、今提案がございました問題も地方交付税の問題ですから、これはいずれも消費税関係があるわけでございまして、大臣のおっしゃるようなことなら私ども反対しなければならない、こうなるわけでございますが、いかがでしょう。
  9. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 一つ制度が生まれますときには賛成反対が激しく議論されるのは当然だと思うのです。その当時、消費税が可決されます当時の雰囲気を見ますと、私たちも、これは地方議員が非常に強く反対しておりました。自民党市会議員県会議員もそうでございました。挙げて党内の議員反対しておりました中で、やはり本部としては、要するに国の将来を考えてこの消費税導入を決意して国会に出したわけでございます。  そのときにも私たち地方出身議員の方々に、消費税地方財政に及ぼす影響はもう何遍となく申し上げてきたところなんです。ですから、この税金は国も地方共同の責任なんだということを訴えてきておった、それが私はちょうど頭に残っておって、ちょっと頭へきておったのじゃないかなと思うたりもいたしますけれども、ちょっと強調し過ぎたところがあった。ただ、誤解を解消していただきたいのは、知恵がなかったというのは、そのやり方がもう少しうまくできなかったのじゃないか、要するに消費税の分についての交付税上の扱いというものを、何か方法があったのではないかということを聞いておるのでございまして、制度としてこうして税制が確立いたしました以上は、これは国民のいわば合意を得て動いてきたものだと思っております。  ただ、その税の運用とかに対しましてはそれは議論はあろうと思いますけれども、できました制度そのものに対しては既に議論は過去のものと私は思っております。ついては、今後はこの運用についてやはり国民のサイドに立った運用をすることがより一層大事なことではないか、こういうふうにしておりまして、私が本会議質問いたしましたのは、その当時の情勢を過大に自分自身判断も交えて言ったと思っておりまして、この点についての誤解はひとつ御解消いただきたいと思います。
  10. 谷村啓介

    谷村委員 深追いいたすつもりはございません、頭にきておったということでしょうから。  それでは質問に入りたいと思いますが、今回の地方交付税法改正案について伺いたいと思います。  まず大蔵省に伺いますけれども、今回の補正予算によって法人税が約一兆八千億円も減額されております。その理由をまずお聞かせ願いたいと思うのであります。
  11. 黒田東彦

    黒田説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり今回の補正予算におきまして、法人税を含めまして税収補正を行っております。具体的に申し上げますと、今回の補正予算の編成に当たりまして、これまでの課税実績、それから、特に大法人に対する聞き取り調査等を踏まえまして、個別税目ごとに積み上げにより見直しを行ったわけでございます。その結果、税収実績等から見まして、予算額に対しまして相当な異同が生ずると見込まれる税目について見直しを行いまして、あわせて、御案内のとおり二兆七千八百二十億円の減額、当初予算に対しまして約四・五%の減額を行うということとしたわけでございます。  その中で一番大きな税目法人税でございまして、御指摘のとおり、法人税のかなりの減額補正を行っております。具体的には、一兆八千九十億円という額を補正をいたしております。御承知のとおり、法人税が当初予算で十九兆強でございますので、一割近い補正の減ということでございます。これは先ほど申し上げましたとおり、大法人に対する聞き取り調査その他を踏まえまして行ったものでございまして、端的に申し上げますと、最近における企業収益減少という事態を反映したものでございます。  なおそのほか、有価証券取引税につきまして、株式取引低迷によりまして五千二百八十億円の減額、それから印紙収入につきまして、不動産取引低迷を反映した登録免許税の低調によりまして四千四百五十億円の減額補正をそれぞれ行うこととしているところでございます。
  12. 谷村啓介

    谷村委員 次にこれに関連して、平成年度地方税収の現在までの実績見通しについてお尋ねしたいと思います。国税では法人税減少になる見込みですけれども地方税収はどういうふうになる見込みなのか、これもお聞きいたしておきたいと思います。  今回の交付税減額は、当初予算において地方交付税原資である法人税を過大に見積ったからではないか、こういう気がいたしますが、いかがでしょう。
  13. 杉原正純

    杉原政府委員 まず、お尋ねの三年度地方税収実績でございますが、私どもの方で毎月県分だけを報告もらっておりますが、現在直近のものが九月末でございますが、それで見ますと徴収実績といたしまして九月末現在、県分では対前年比で五・九%の伸びということになっております。これは県税のうちの二割弱でございますが、個人関係につきましては、御承知のように昨年の所得に対してことし課税するものですから、昨年比較的よかった結果が影響しているということがございます。  それと、法人関係税県税の場合五割強を占めておりますが、これは例えばことしの二月、三月期決算法人税収は、国の場合は平成年度収入でございますけれども地方の場合は三年度収入になっておりますが、そこの平成三年の二月、三月決算期がまあまあでよかった。それが今でも影響しているということで五・九%の実績であろうかと思っております。  今後の見通してございますけれども先ほど国の方からもお話ありましたように、法人税等大変収入状況が悪いということがやがて地方にもはね返ってくるということが懸念されますことと、景気動向そのものが不透明な要素がございます。それと、先ほど申し上げましたのは県分だけでございまして、市町村分が私どもの手元の資料にございませんものですから、地方税収全体を含めました見通しといいますのはなかなかお答えしがたいと思っておりますけれども、とても大きな伸びは期待できないというふうに覚悟いたしておるところでございます。
  14. 谷村啓介

    谷村委員 大変心配をされる状況でございます。このような交付税減額を補てんするために、今回は特別会計返済金の縮減という方法をとられましたけれども、なぜこういう方法をおとりになったのか、そういう問題ですね。その理由をお聞かせ願いたいと思うのであります。  聞きますと、このような方法は初めてとられたというようなこともあるようでありますが、この点はいかがでしょう。また、総額に対しては特例加算をすべきではなかったのか、こういうふうな気持ちもいたしますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  15. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の補正によりまして、先ほど説明がございましたような法人税の大幅な減額によりまして地方交付税減額になりました。これをそのままにしておくということは、既に年度をかたり経過いたしておりますし、普通交付税も八月末に決定しているということもございまして、この額は何とか当初の額をまず保障すべきではないかという意識が一つございました。  それからさらに、年度途中の需要要素といたしましては、雲仙岳の問題でございますとか、あるいは中小商業振興というような問題、あるいは廃棄物の問題などがございましたので、そういうものも加えまして財源措置をする必要があるというふうに考えたわけでございまして、その財源をどこに求めるかということでいろいろ検討したわけでございますけれども、今回におきましては、当初において特別会計に借り入れた借入金の繰り上げ償還をする予定をしておりましたので、この繰り上げ償還をするのを一部取りやめまして、それでこの財源に充てるということをさせていただいたわけでございます。  今御指摘のように、このような措置を講じたのは恐らく初めてのことだと思いますけれども交付税原資全体がそういう形で落ち込んできている。これを何とかことしは、当初の額を保障するための方法ということで、いろいろ考えた結果、こういうことでやったわけでございます。  本来でございますと、地方財政健全化のためには繰り上げ償還をすべきではございますけれども、その繰り上げ償還の一部を取りやめるということがやはり今回のやり方としては素直なやり方じゃないか。特例加算というお話もございましたけれども、仮に特例加算をするということになりますと、国からまたその分を出してもらわなければいけないということでございますが、先ほど来のお話のように国税総額が二兆八千億円も減収になっているというようなことを踏まえますと、現在の国の財政事情でこの分を特例加算してくれといっても、事実上これは不可能な問題でもございますし、繰り上げ償還をしようという分の一部を充てた方がむしろ財源措置としては素直なやり方じゃないか、こういうふうに考えたところでございます。
  16. 谷村啓介

    谷村委員 国の財政も大変厳しいというわけでございますし、私どもそれは承知いたしておりますけれども、今おっしゃるように、こういう方法は初めてだということでもございます。地方財政だけから見ますと、当然もし国が今のような財政事情でなければ要求されたと思うのですが、そういうことは全然お考えにならなかったのかどうか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  17. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 この補てんのやり方についていろいろ検討はしたわけでございますけれども先ほど申しましたように、特例加算をお願いするといたしましても国の財政事情でなかなかそれは許されないであろうということ、それから、仮に特例加算があったといたしましても、それはやはり次年度以降返還をしなきゃならない、いわば借金をまたふやすというようなことにもなるわけでございますから、それなら、今借金を返す分の一部をむしろ返すのを一部やめるという方が全体として素直なやり方じゃないかな、こういうふうに考えたわけでございます。
  18. 谷村啓介

    谷村委員 次の質問に移ります。  本年度人勧実施のための必要一般財源は幾らなんですか。国家公務員については補正予算給与改定財源措置しておりますが、今回の交付税改正法案では給与改定財源措置されていません。ほぼ当初に措置されておるというふうなことでしょうけれども、これについてはどうなっているのでしょう。
  19. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の人事院勧告に基づきます地方公務員給与改定財源所要額は、一般財源で七千六十億円と見込んでおります。これに対する財源につきましては、従来と同様に地方財政計画上あらかじめ当初で計上をいたしております追加財政需要額、これが災害分を除きまして六千九百億円ございますので、この六千九百億円の充当と、それから残りの分は経費の節約をお願いいたしまして対応する、こういうことで今回の給与改定は対応できるものだというふうに考えたわけでございまして、そういうことで、給与改定に対する財源措置ということにつきましては、特段新たな措置を行う必要はないというふうに考えているわけでございます。
  20. 谷村啓介

    谷村委員 次に、雲仙岳というか普賢岳の噴火災害関連についてお伺いいたしたいと思います。  今回の措置の対象となった雲仙岳災害対策基金の仕組みについてお知らせいただきたいと思うのであります。特に、この基金による事業内容はどのようなものになっておるのか、今回この災害対策基金に係る地方債利子支払い額をなぜ交付税措置することにしたのか、また、今後同じような災害が起こった場合には同様の措置をおとりになるのか、この点もお聞きしたいと思うのでございます。
  21. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 雲仙岳噴火に伴いまして各種災害対策を国としても講じたわけでございますが、この中の一つといたしまして、災害対策基金長崎県が設置するということが決められましたので、これに対する財政措置を国としてもやってまいりたいということでございます。  この雲仙岳噴火災害対策基金は、長崎県が、住民自主復興支援事業でございますとか、その地域の経済復興事業などを円滑に実施するために、基本財産二十億円、これは県の一般財源でございます。それから運用財産二百八十億円、これは地方債を発行いたしまして原資を調達したわけでございますが、合計三百億円で設立いたしました財団法人でございます。この財団法人が三百億円の運用益を使いまして各種事業をやっていこうということでございまして、現在この三百億円に一部義援金を組み入れまして三百三十億円になっているというふうに伺っておりますけれども、当初設立されたときは三百億円で設立されたわけでございます。  自治省といたしましては、こういう長崎県の措置を支援するために、先ほど申し上げました二百八十億円の地方債につきまして全額政府資金をあっせんいたしまして、その利子につきまして交付税措置を講ずることといたしたわけでございます。この貸付金二百八十億円は五年間ということで政府資金をお借りしたわけでございまして、貸付利率が六・三%ということになっております。自治省といたしましては、この地方債借入利息につきまして地方交付税基準財政需要額算入をしたいというふうに考えているわけでございます。  本来行政が行うべきものはそれぞれの行政の分野におきまして事業実施するわけでございますので、普通の行政では行えないようなきめの細かい各種施策をこの基金収益金を使ってやっていこう、こういう趣旨でございまして、基金事業内容といたしましては、住民等自立復興を支援するというようなもので、災害関係融資の無利子化のために上積み利子補給を行うとか、あるいは、国の食事供与事業というのを今やっておりますが、これに加えまして、生活雑費の支給を行うというようなもの、これがまず第一でございます。それから第二といたしましては、農林水産業に係ります災害対策事業復興事業として、代替営農地の貸し付けをするとか、あるいは代替漁場整備のための魚礁設置に係る地元負担金軽減に使うとかいうような産業対策。それから第三には、商店街活性化観光振興事業というようなことの一環といたしまして、いろいろな共同施設の新築、改築の地元負担軽減を行いますとか、あるいは大型観光イベントの開催というようなものも想定いたしまして、そういうものの経費にこの基金運用益を充てていく、こんなことを今予定しているわけでございます。  こういうような事業についてなぜ交付税で、この利子支払い基準財政需要額算入したかということでございますが、ただいま申しましたように、長崎県という地元がきめの細かな財政施策をする上で県の単独事業としてこの基金を設置したわけでございますので、これの所要経費というものをやはり一般財源措置をすべきではないか、そういうことから考えまして、地方交付税基準財政需要額算入するということが一番いいやり方ではないかということで今回基準財政需要額算入を行うことにしたわけでございます。  こういう災害というものは全国でも非常にまれなケースでございますので、同じような災害が起こった場合ということを想定して今後どうするかということはなかなか申し上げられないわけでございますが、今後そういうような事態が発生した場合にはまた個別に判断をして実施をしていくべきものではないかなと思っております。
  22. 谷村啓介

    谷村委員 今後同じような災害が起こった場合には個々にケース・バイ・ケースだという御答弁であったように思いますが、一つの先例に当然なるであろうというふうに私は思っておるわけであります。  それからもう一つは、今の状況というのが、日々ニュースで見ますと、いつとまるやらわからないというような状況でございますね。そういたしますと、この基金だけで将来にわたって今おっしゃったようなことが本当にできるのか。いつまで続くやらわからないという状況ですから、事態によってはこれの増額というようなことが将来考えられるかどうか、それはいかがでしょう。
  23. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 この災害特殊性というのは、継続して、いつこの災害の状態が終わるかということが予測できない、こういうところに普通の災害とは違った特色があるのではないかと思います。そういうことで今回こういう基金を設置したわけでございますけれども、正式にできましたのがたしか九月の末でございます。そういう意味で、設置されてからまだ二月、三月弱でございますか、そういうことで、先ほど申し上げました事業内容につきましても、具体的に細部にわたってこれからまだ詰めていかなければならないという点も多々あるわけでございまして、県当局は当面この三百億というものを基礎にしていろいろな施策を講じていきたいということを私どもにもお話をしているわけでございます。  この災害が今後長く続いて、これでは対応し切れなくなるというようなことがありましたら、その節にはまたよろしくお願いしたいという話も来ておりますので、そういう事態になりましたときにまたよく検討させていただきたいというふうに考えております。
  24. 谷村啓介

    谷村委員 次の質問に移ります。  今度の提案された中に、中小商業活性化対策内容が出されておりますけれども、大店法絡みの問題だと聞いておりますが、この内容について伺いたいと思うのでありますし、平成年度、二年度にも同様の措置がありましたけれども、それぞれ金額は一体幾らであったのか、それらの措置と今回の措置との関係などはどういうふうになっておるのか、これもただしておきたいと思うのであります。
  25. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回、中小企業事業団は、いわゆる大店法の規制緩和措置実施に関連いたしまして、都道府県が中小小売商業活性化基金という基金増額される場合には、それに追加して百二十億円の高度化資金の融資を行うということになったわけでございます。  そういうことで、高度化融資を受けるためには県全体として百二十億円の一般財源が必要であるということになったわけでございまして、この国の施策に対応しながら都道府県がそれぞれの地域の実情に即した中小商業活性化施策を展開できるように、今回も国の措置に見合う百二十億円と同額を一般財源として措置ができないかということを考えたわけでございます。  この百二十億円のうち、交付団体分に相当するのが実は九十二億円でございまして、この九十二億円をそういう意味で普通交付税の額に加算をさせていただいているところでございます。こういう展開につきましては、ただいま御指摘のように平成年度から、元年度、二年度と今年度ということで三年度間続いているわけでございまして、国の措置に見合って、三年間この措置に対応して財源措置をいたしております。  平成年度につきましては国が二百六十億円措置をいたしておりますが、これに対応いたしまして交付税では、地域振興基金というのを平成年度に千五百億円設けましたので、この中でこれを措置してもらおうということで措置をいたしました。それから平成年度におきましては、国が三百億円、これと同額の三百億円を措置することにしたわけでございますが、このうち交付団体分は二百四十五億円でございます。それから平成年度につきましては、先ほど申しましたように、国の措置が百二十億円、それに対して地方措置も百二十億円、交付団体分が九十二億円、こういう形で措置を行ったものでございます。  今回行った特色といたしましては、商店街などにおいていろいろなにぎわいを創出する、あるいは個性あるコミュニティーの形成に寄与する商店街のいろいろなイベントを行うための支援のための基金造成だというふうに伺っておりますので、こういうものを通じまして、各地域の商店街のにぎわいを一層増すためにこういう措置が講じられたというふうに理解をいたしておるところでございます。
  26. 谷村啓介

    谷村委員 次の質問に移ります。  廃棄物処理施設に係る今回の交付税措置について伺ってみたいのでありますが、なぜ今回このような措置をなさったのか、まずお聞きしたいと思うのであります。  従来、国庫補助金については必要な額を確保するようにというのが自治省地方団体の主張だったと思うのでありますが、今回このような措置がとられたことについて、やや唐突な感じがするわけであります。そこで、幾つかの疑問点について確認をしておきます。  いわゆる国庫補助金の中には国庫負担金と奨励的補助金、二つの性格を持つものがございますけれども、この二つの違いは一体何か、それぞれの総額は幾らになるのかという点であります。また、今回の特別措置で救われる市町村の数は幾らぐらいになるのか、明らかにされたいのであります。  次に、今回の措置は、廃棄物処理場の国庫補助金を減額して地方交付税に振りかえた、こういう性格のものかどうか、また、今回の措置はたまたま国の予算が不足するから行ったのか、そうだとすれば単なる補助金カット、地方に対するツケ回してはないか、こういうふうな感じもするわけでありますが、いかがですか。  一般財源化は地方自治体の自主性を高める上ではよいというように私どもも主張してまいったわけですが、地方交付税総額をふやさないと地方負担がふえるだけではないかという疑問もあるのであります。これについていかがお考えかという点でありますが、さらに、一般財源化した部分は地方の自主性が高まるということになるのか、それともなおこの部分についても国が一体口を挟むのかどうか、そうとすれば一般財源化の意味が実際はたくなる、こういうふうに思うわけでございますが、いかがでしょう。
  27. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 廃棄物処理施設につきましては、本年度は特に市町村からの要望が非常に多くて、国の予算額を大幅に上回ったという事実がございまして、継続事業につきましても事業を先送りせざるを得ないような状況にあったわけでございます。これに対しまして、多くの市町村から本年度中に事業を継続して行いたい、こういう要望がございまして、こういうことを受けまして、自治省といたしましてどういう対応策が講じられるかということでいろいろ検討したわけでございます。  その結果、平成年度以前、前年度以前にも補助採択されていてそれで継続してきている分、これが補助金が少ないために補助がもらえなくなってしまったというようなものにつきましては、本年度地方単独事業としてこれを実施した場合には財源措置をしようじゃないかということ、それから、平成年度におきましては、新しい事業について国庫補助の対象範囲を重点化しようということで、例えばごみの焼却場でございますと、焼却炉などの中枢施設だけに限定して国庫補助対象にする、それ以外のものにつきましては、例えば建屋でございますとか、あるいは門、さく、塀だとかというような整備については、これは地方単独事業として地方債地方交付税を活用して財源措置をしていこう、最終的には、それまで国庫補助が採択された場合と同じような財源措置をこの際講じていったらどうだろうか、こういうことにしたわけでございます。  仰せのように、廃棄物処理施設に係る補助金は国庫負担金か国庫補助金がという問題がございます。私どもは、この処理施設の補助金は、いわゆる国庫負担金ではなしに奨励的な補助金だというふうに理解をしているわけでございます。  いわゆる国庫補助金という中には国庫負担金と奨励的な補助金があることは御指摘のとおりでございまして、私どもが国庫負担金という場合には、これは全国的に客観的な基準で画一的に行政を行うという場合、あるいは国と地方とがお互いに責任をとりながら行政をしていこうというようなものについて、国と地方とでそれぞれ経費を分担し合いながら、負担し合いながら事業実施するもの、それを国庫負担金というふうに私どもは理解をいたしております。  それから奨励補助金というのは、これは国がいろんな施策地方団体にやってもらうための誘導的な奨励的な補助でございますから、いわば財政援助のものもございましょうし、あるいは政策誘導的なものもありましょうし、そういうような一種の、国が何か一定の意図を持って支出をするものだ、こういうふうに考えることができるわけでございます。  国庫負担金というのは、これはあくまでも国と地方とが経費を負担し合って仕事をしていくということでございますから、この負担割合というものは非常に大変な重要なものだ、軽々にこれを変えるべきものではないというふうに考えておりますが、奨励的補助金というのはあくまでも国のいろいろな意図に基づいた助成でございますから、その目的が達成された場合、あるいはもうそれがなくても地方はその行政を行うことができるというようなことになった場合には、これは廃止をして地方一般財源にゆだねるということが本来の筋ではないかと思うわけでございまして、そういう意味で、そういう奨励的な補助金などというものは、できるだけ同化定着したものについてはそれを廃止して地方一般財源に切りかえていく、こういう補助金の整理合理化というものを今後推進していく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。  平成年度地方財政計画上の区分によりますと、国庫負担金の総額は七兆五千四百四十二億円でございます。それから奨励的な補助金は三兆六百六十六億円、こういう形に現在なっております。  それから、今回の措置でどのくらいの数の市町村が救われるのかということでございますが、先ほど申し上げました地方財政措置を講じてほしいということで要望のございました団体、そして特別措置をするという対象になる市町村というのは、延べ五百二十市町村でございます。  それから、先ほど申し上げましたとおり、廃棄物の処理施設の整備については、もともとごみ処理、し尿処理というのは市町村の固有事務であるということから考えますと、この整備に対する助成というのは奨励的な補助金であるということが言えるわけでございまして、今回の場合にはたまたま要求額が予算額を大幅に上回ったということで事業の先送りを余儀なくされたわけでございますが、そういうものを一つの契機にいたしまして、この際ひとつ補助金の一般財源化を進めていくということを行うべきではないかというふうに理解もいたしております。  もちろん、今回の措置を講じたことによってことしの国庫補助金の予算額減額されるものではございません。これはもともと不足しているわけでございますから減額されるものではございませんが、足らないものについて地方財政措置を講じたということでございまして、こういうことがきっかけになりまして、できれば補助金の一般財源化に一歩進めていったらどうかというふうに考えているわけでございます。なかなか国庫補助金の整理合理化ということは、言葉で総論ではいくわけですが、実際問題として、一つ一つ事業を取り上げてこれを一般財源化するということは、いろいろな面で抵抗もございますし困難なものを伴うことでございますから、いろいろなきっかけをきっかけにして一般財源化というものを進めていくことが、地方財政にとりましても有益なのではないかというふうに考えております。  そういう意味から申しまして、ごみ、し尿以外の事業につきましても、その事務事業の性格あるいは補助金の性格に即しまして、関係省庁とよく相談しながら、こういう補助金の整理合理化というものを行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  そういうことを行ってまいりますと、確かに、一般財源化するわけですから地方負担が多くたるわけでございますから、その地方負担に伴う財源措置は一体どうなるのかということが当然問題となって出てまいりましょう。これは、私ども地方財政計画を毎年度作成する過程におきまして、そういうものをのみ込んでも全体の地方財政計画の収支が償うかどうかということをよく判断した上で一般財源化というものを進めていかなければならない。もし不足するようなことがあれば、それは他の措置を講ずる必要があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、地方財政計画で収支が償うような、そういう一般財源の確保というものを前提にいたしまして一般財源化というものを行っていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  そしてまた、こういうことを行うことによりまして、一般財源化することによりまして、地方の自主性が果たして高まるのかどうかという問題がございましょう。おっしゃるとおり、国庫補助金をやめて単なるツケ回しだけであれはこれは困るわけでございまして、一般財源化する以上は、その地方の自主性というものが従来よりもより確保されるということで一般財源化というものが進められるべきものだと思います。そういう意味で、今回の措置は、そういう地域の実情に応じた地方団体の独自のいろいろな発想が一般財源化によって進められるということが考えられましてこういう措置を講ずることにしたわけでございまして、この自主性を高めるということは、一般財源化する場合の非常に重要な目標になるのではないかと思っているわけでございます。
  28. 谷村啓介

    谷村委員 この件について厚生省にもぜひ伺っておきたいと思うのでありますが、廃棄物処理場は市町村にとって不可欠なものでございますし、さっきも固有事務というふうにおっしゃいましたけれども、厚生省はどうしてこんな必要な補助金を確保できないのか、無責任と言われても仕方がないのではないかというふうに思いますけれども、当然わかっておるわけですから、そういう点についてはいかがでしょう。  特に今回、補助対象が重点化されたことによって、補助対象として残った焼却炉等中枢施設については一〇〇%補助を行うべきものであることは当然でありますが、今後、補助対象部分について、先送りしたり補助金をカットするようなことがないことをここで改めて明言をしていただきたい、こういうふうに思うのであります。
  29. 浜田康敬

    浜田説明員 お答えいたします。厚生省といたしまして廃棄物処理施設に対する補助金の確保が不十分ではなかったかという点でございます。  先ほど自治省の方からも御答弁がございましたが、私どもとしても一廃棄物処理施設の補助金の確保というのは非常に重要な課題であるということで取り組んでおるわけでございますが、平成年度予算状況におきましては、そういう中で予算枠の確保ということで最大限の努力を払ったわけでございます。その結果、廃棄物処理施設整備費補助金といたしまして対前年度比一三%増、これは他の公共事業に比べてもかなり高い伸び率でございますが、そういうことで八百八十億円を確保したというわけでございますけれども先ほどお話にございましたように、最近、昭和四十年代後半に整備されました施設の多くが更新期を迎えている、あるいは非常に急激なごみの増加があるといったことを背景にいたしまして、近年にない大きな要望額が市町村から寄せられているということで、今年度については極めて遺憾な状況になりまして、その結果、自治省大蔵省と相談の上、地方財源措置ということで、先ほど自治省の御答弁があったような方向を臨時特例的にとるということにさせていただいているものでございます。  それから二点目の、今回の措置によりまして補助対象を限定したその他の部分について補助の考え方でございます。これにつきましては、従来から私どもの補助金、廃棄物処理施設につきましては、原則として採択単価ということを定めまして、その単価によりまして規模に応じた補助をしてきているわけでございます。この単価につきましては、毎年改善を図ってきているということでございます。今回中枢部分に限った場合につきましても同様の考え方で、つまり単価方式で今後補助をしていくことになるわけでございますが、私どもといたしまして、先生の御指摘も踏まえまして、建設費用の実情を十分把握しながら補助単価の改善に努めまして、市町村におきます廃棄物処理施設整備事業の円滑な推進に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  30. 谷村啓介

    谷村委員 次に、不交付団体については、交付税も来ず、単に補助金の削減になるというふうに思いますけれども、これらの団体については何か手当てがあるのでしょうか、その点をお尋ねいたします。
  31. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の一般財源化に伴いまして、その財源措置地方債交付税でやってまいりたいということでございますが、交付税については基準財政需要額算入するということでございますから、御指摘のように、交付税の不交付団体については、これは基準財政需要額算入されたというだけで終わってしまうわけでございます。この基準財政需要額算入することによって交付団体に切りかわれば、その分は交付税が来るわけでございますが、そういうことは通常の場合は予想できないでしょうから、そういう点については資金措置として通常の地方債のほかに調整債なども準備をいたしまして、そういう不交付団体で財政運営上支障が起きそうなところについては対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  32. 谷村啓介

    谷村委員 今、補助金等の問題について議論をしたわけでございますが、もちろん今後の地方の自主性を高めるためには、このように一般財源化という問題は、これは大変重要な施策であると思います。ただ一般財源化を進めるだけでは、もう一方の方を忘れてはいけないというふうに思うわけでありますが、そうではなく、分権の問題が伴わなきゃならぬというふうに思いますね。これは塩川大臣、いつもおっしゃっておられるように思いますけれども、そういう観点というものを、零細補助金にしても一般補助金にいたしましても、そういうものを地方一般財源として移す場合に権限の問題が絶えずつきまとってくるわけでありますが、そういう問題について、この際大臣からちょっと考え方をお聞かせ願っておきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  33. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は権限問題を、法律上でうたう権限の問題もございますけれども、今、中央と地方とで一番大事な問題は、一つの権限、事業のいわゆる実施とそういうことを採択していく側との間におけるコミュニケーションと、それからどこまで運用を任せていくかということの相違だと思っておるのです。これを余り中央省庁ががりがりとこれ以外は認めませんというようなことをやりますと、非常にむだが多いし、また一方ではそれを生かしていくことはできないと思うのです。先ほど質問にございましたように廃棄物処理施設だって、これはまさにいい例でございまして、今までの補助制度でずっといきましたら、要請がたまりこそすれ消化していきませんよ。なぜかといったら、もう本体の炉がみんなやりかえの時期に来ておるのですから。それを対前年度考えている。私は、生活大国だというならば、その一定の部分のところは対前年度比という考え方ではなくして、これからどういうふうにしてやりやすいようにするかということを考えるべきときだろうと思っております。児童の扱い、それから母子家庭の扱い、これなんかも根本的に考えていかないと、今までの延長線上では、そういう施策を決して喜んでおりません。こういうようなものを徐々に見直していくべきだと思っております。  したがって、今お尋ねの問いに対して的確にお答えはできませんでしょうけれども、権限の問題、移譲の問題もあるけれども、それを運用するのにアローアンスを持たせて運用させてほしい、それをむしろ強く訴えていきたいと私は思っておるのです。
  34. 谷村啓介

    谷村委員 大臣も当分の間は大臣でしょうから、そういう点で、さすがに塩川大臣が残された方法だよというものをぜひ実績として残していただきたいと思うのです。その点はどうぞよろしくお願いを申し上げます。  さて、時間もございませんが、この提案されました中に、特別交付税を百億円、特別に増額しておられるわけでございます。その理由と、積算根拠といいますか、そういった点についてちょっと詳しくお知らせ願いたいと思うわけであります。
  35. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のように特別交付税につきましては、普通交付税増額に伴う分が二十三億円ございますけれども、それに加えまして、今回特例として百億円増額をお願いいたしております。  これは、実はことしの災害というものが非常に多い。公共土木施設関係では今までの調査では去年よりも若干減っているわけでございますけれども、農林水産関係の被害が非常に大きく出ております。台風十七号から十九号の被害、あるいはこの夏から秋にかけて長雨によります冷害被害もかなり出ておりまして、これがことしの災害の非常に大きな特色ではないかと思っております。また、先ほど来御説明申し上げております雲仙岳噴火災害、こういうような災害関係経費が全部合わせますと相当額に達するのではないか。地方財政計画で当初追加財政需要として災害分は六百億円という程度に大体用意しているわけでございますけれども、これはちょっと足らなくなってしまっているのではないかな、こういうことがございまして、それからさらに、特別交付税総額そのものが、ことしは当初の場合は前年に比べて三百五億円の増加、三・六%の増加にしかなっておりません。そういう中で、災害以外のいろいろな需要の増加もございますので、この際、特例として百億円を増額していただきたいということでお願いしているものでございます。
  36. 谷村啓介

    谷村委員 通告しておりませんでしたが、これは大臣にちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。  例の地対協が、けさの朝日新聞を見ますと一定の方針を出している、こういうことであります。一つは、一般対策化、一般行政に移行するというような、従来の方針から、これについて概算要求がされておりますけれども、そういう方向をやはり続けるべきではないかということが一つ。それからもう一つは、実態調査ですね、被差別部落の実態調査をもっとすべきではないか。もう一つは、審議会的なものをつくるべきではないかというようなことを磯村先生は恐らくきょう正式に御提言になるようでございますが、こういった方向は地方行政にとって財政的にも大変大切な問題でもございますし、とりわけ差別をなくするという観点からも非常に重要な施策でございます。突然で失礼ですけれども、もし御意見ございましたらお聞かせ願えれば、こういうふうに思います。
  37. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も地元でよく同対の基本法をめぐりましていろいろな意見を聞かされております。私も地方自治体にちょっと関係したことがございまして、この問題とのかかわり合いもございますが、私はできるだけ地元の要望にはこたえていきたいと思います。しかし、同対の基本法をつくることが根本的解決になるのかどうかということは、私自身としてはまだ十分に理解しておりません。そこで、そういう要望とかあるいはまた磯村調査会の結論とかいうようないろいろなものを勘案いたしまして、これからいろいろな意見を聞きながら参考にして決めていきたいと思っておりまして、今のところこういう方針でということを持ち合わせしておりませんので、御要望に沿いがたいかもわかりませんが、お許しいただきたいと思います。
  38. 谷村啓介

    谷村委員 大臣答弁は今のところそのとおりで私は仕方がないと思うのですが、ただ、最終答申がきょう十一日ですか正式に示されるということになっておるようでございますから、今までこの委員会でも何回か私も議論をいたしておりますし、ぜひその出されました方向を尊重していただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。以上です。
  39. 中島衛

    中島委員長 中沢健次君。
  40. 中沢健次

    ○中沢委員 まず最初に、先ほど、同僚の須永徹君の死去に対しまして、この委員会で全員が起立をして哀悼の意をささげていただきました。社会党の委員を代表いたしまして厚くお礼を申し上げたいと思います。彼自身はまだ四十一歳の若さでありまして、群馬の出身ということで、初当選以来この委員会に所属をいたしまして、一生懸命国家のために、あるいは地方自治の発展のためにと尽くされて、非常に惜しまれてあの若さで他界をされました。私ども社会党のこの委員会委員はごく少数でありますけれども、彼の志をまた受けまして、この委員会でも頑張ってまいりたいと思います。本当にお礼を申し上げたいと思います。  さて、私の与えられた時間も余り多くございませんので、今同僚の谷村委員の方から今度の改正交付税法案中心にいろいろ質疑をいたしましたが、少し角度を変えまして、主として交付税問題あるいは平成年度の地財計画と交付税関係、これを一つの大きなテーマにして拡大的にお尋ねをしたいと思うのです。  まず一つは、平成年度の概算要求、地方交付税総額がおよそ十八兆三千億と対外的にも公表されております。ただ、今も議論がありましたように、既に平成年度でも税収欠陥二兆八千億、法人税一兆八千億。そうすると、平成年度税収の見積もりが当初よりも大幅に落ち込んで、結果的には、この交付税の十八兆三千億という枠組みがもういや応なしに自動的に相当大幅に圧縮されるのではないか。私自身は全くそういう経済分析だとかあるいは正確な情報を今のところ持ち合わせておりませんけれども、およそ十七兆までにも至らないぐらいに平成年度交付税総額が圧縮を余儀なくされるのではないだろうか、このように推測をするのでありますけれども、この辺のところを、もう少し具体的な内容について、担当の局長で結構でございますので、お示しをいただきたいと思います。
  41. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 明年度の歳入見積もりは、現在大蔵省当局あるいは私どもの税務局で検討中でございますけれども、確たることはまだ具体的な計数として申し上げられる段階ではないわけでございます。  ただ、今御指摘のように、平成年度補正におきまして国税収入が相当額減額になるということでございます。特に法人税減額になるということでございますが、これはある意味では二重に、交付税減額ということと、それから今後の地方法人関係税の減収というものが予想されるわけでございまして、そういう意味で平成年度税収の動向というのは非常に厳しいものがあるのではないかなというふうに考えております。これを踏まえて明年度財政計画の作業にこれから入るわけでございますが、具体的な計数についてはちょっとまだ申し上げられませんけれども、なかなか厳しい状況になるのじゃないかなというふうに考えているところでございます。
  42. 中沢健次

    ○中沢委員 今局長の方からそういう御答弁がありました。数字的には慎重である立場上明確にされておりませんが、しかしいずれにしても全体的な状況としては、今私の指摘をしたことはかなり客観性があると思います。いずれ通常国会で新年度の地財計画あるいは交付税法案議論するのでありますが、いずれにしても予算の最終的な内示が二十二日で確定が二十八日だ、こういう目前の政治日程がありますから、この際ですから、またその都度いろいろと情報交換の場を別な機会に設定をさせていただきますようにお願いをしておきたいと思います。  さてそこで交付税問題について幾つかお尋ねをしたいのでありますが、まず一番最初に客観的な事実について確かめておきたいと思います。  これは後ほどの議論大蔵省質問にも一つの背景としても関係があると思うのでありますが、これは先月の二十二日のこの委員会で私も大臣といろいろ質疑をしたことを今思い起こしながらいるのでありますけれども、客観的な事実としてお聞かせをいただきたいのは、ごく最近の数字で結構でありますが、全国的な地方自治体における歳入、その中に占める地方交付税の比率はどうなっているか。それで、私の出身の夕張、これはもう大変財政的なピンチでありますから、これがどうなっているか。それから、北海道全体がとうたっているか。私の選挙区で長沼という純農村の町、これは米どころの町としてはかなり全国的にも有名でありますが、一様に過疎の悩みを抱えております。  今言った全国平均、夕張、北海道、長沼、これの歳入に占める交付税の比率がどうなっているか、簡単で結構でありますから、数字をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  43. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度の決算でございますけれども、まず北海道でございますが、北海道の交付税額は七千二百七十二億四千九百万円、これは歳入決算に占める比率が三一%でございます。それから夕張市でございますが、交付税額が七十二億三千三百万円、歳入決算に占める割合は三六・九%でございます。それから長沼町でございますが、交付税額が三十三億七千八百万円でございまして、歳入決算に占める割合は四九・三%、こういうことになっております。  都道府県全体で申し上げますと、都道府県全体の歳入決算に占める交付税額の比率は一八・二%、それから市町村全体の歳入決算に占める割合は一五・九%、こういうことになっております。
  44. 中沢健次

    ○中沢委員 今具体的な事実についてお示しをいただきました。もちろん私どもとしては概念的にはそうだろうと思っておりましたけれども、具体的な数字を改めて聞きまして、これは本当に大変だ。しかし一方においては、大蔵省を中心にして、国の財政から比較をすると地方財政はまだ余裕がある、したがって交付税率三二%を引き下げてもいい、あるいは一兆円に上る交付税の実額の減額をやったらどうだ、こういうことがさまざまな形で今出されているということもまた事実だと思うのですね。しかし一方においては、全国平均でも一八%ぐらいが交付税に依拠をしている。北海道は三一で、私の出芽の夕張は三七で、純農村の長沼はもう五〇%近い。これは押しなべて全国的な傾向を象徴していると思います。  そこのところを背景として、一つはこれから大臣お尋ねをしたいと思います。  今月の六日に地方六団体が、久しぶりと言っては語弊があるかもしれません、あるいは傍聴にいらしているかもしれませんが、こういう実態を踏まえて、交付税の税率が少しでも傷を受けたら大変だ、実額が減らされては大変だ、そういう危機感を持つのは当たり前だ、したがって、久しぶりに交付税三二%の税率を守って総額を確保するという意味での一点に一致結束をして、九段会館で決起大会をされた。私は、そのことは大変評価をしたいと思います。  ただ、そこで自治大臣があいさつをされた内容も聞いております。これもしっかり私どもとしては評価をしたいのでありますが、もう一つは、地方六団体の主催でありますから直接自治省には関係がないといえば関係がないのでありますけれども、その決起集会に結果的には自民党の代表が参加をされる。それで野党の、我が日本社会党も含めて野党は恐らく会場には一人もいなかった。もっと言いますと、地方からの代表というのは、社会党も公明党も共産党も議長をやったり副議長をやったりして代表が参加をしているのですよ。私の部屋にもその集会が終わった仲間が参りまして、何で社会党があの会場の中にだれもいないんだ、おかしいじゃないか、確かに与党の自民党の方々がいるのは、それは決して僕らも否定をしない、しかし少なくともこの地方交付税でいえば党派を超えてみんな心を一つにしてやっているじゃないか、何でいないんだという意味で我々に対する、抗議と言っては語弊がありますけれども、そういう不満がぶつけられました。私はあえて反論をしませんでしたけれども、この種のことがこれから先恐らくやられることもあると思いますね。  別に自治大臣にそのことについて特別に答弁は求めようとは思っておりません。しかし一方においては、自治大臣があの集会で非常に格調の高い、地方財政はしっかり大臣の責任で守る、皆さん安心してくれ、簡単に言えばそういうあいさつもされて、参加された方は、これで一つ、少なくとも交付税の三二%はもう大丈夫だな、こんな印象も半ば持って帰られたようなんですよ。ですから、せっかくああいう立派な集会をやるのであれば、やはり地方六団体にもう少しそこのところは政治的な配慮も含めてやってほしかったな、まあ画竜点睛をちょっと欠いているのではないか、私はそんな印象がするのです。  大臣にそのことについてどうかということを質問することもちょっとおかしいかもしれませんけれども地方六団体というのは自治省といろいろな関係がありますから、そこのところは、ひとつ大臣の感想といいましょうか見解といいましょうか、これから地方六団体との連携の中でどういうことをやるかということも含めて、少し基本的な問題だと思いますので、お答えをぜひお願いしたいと思います。
  45. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 実はあの大会のことにつきましては、私もこの月に入ってから聞いたと思っております。ですから、決して私たちと話し合ってあの大会を設定したということでは実はないということ、これは御承知いただきたいと思います。六日の日に大会をやるけれども大臣の日程どうだということを聞いてきまして、私も日程はわからなかったのですけれども、六日の日のその大会が、六団体主催というよりも、何か知事会の方が来られましたので知事会の会合だろうと思ってひょこひょこ出ていったら、幹部が見えまして六団体主催だということを初めて知ったようなことなんです。  よく米価大会とかそういうことがございますが、そういうときも地元代表で来られる方々が、できるだけ各党が参加しやすいように相談していただくのがいいんじゃないか。私の方から主催者に対しまして、六団体に対しまして、今後こういうことをしろよということはちょっと言いにくいことでございますし、こういう質問があったよということはお伝えしておきたいと思います。
  46. 中沢健次

    ○中沢委員 大臣からそういうお答えがありました。しかしいずれにしても、本委員会でこういう議事録が残ると思いますから、そこのところはあえて、地方六団体の皆さんあるいは自治省関係の窓口のところも、今後の問題としてひとつ十分踏まえておいていただきたいと思うのです。  さてもう一つ、これも大臣お尋ねをしたいと思います。  同じ日に地方制度調査会総会がございました。たまたま十二月の六日であります。この総会には大臣は国会の審議の日程で出席をされておりませんで、政務次官がかわりまして大臣のあいさつを申し上げておりました。私は地方制度調査会の委員でもありますが、この総会の中では、極めて異例でありましたけれども地方交付税制度をめぐる非常に厳しい状況があったという危機感がありまして、結果的には——この地方制度調査会のメンバーというのはそれぞれ、皆さん御承知のように、国会議員は各党派の代表が出ております用地方六団体の代表も出ている。学者あるいはいろいろな団体の代表も出ている極めて権威のある政府機関でもありますが、結果的には全会一致で決議が採択をされているわけですね。「地方交付税制度に関する基本的な考え方についての意見」という決議が採択をされたわけです。  大臣の見解を聞く前に、政府委員の方から。  私の知る限りではこの種の決議が総会で決まったというのは、古いことはわかりませんけれども、ごく最近では私の体験としては初めて、しかも全く異議なく全会一致で決まった。同時に、この地方制度調査会の委員の構成のほかに幹事という一つの組織がございまして、これは政府機関からそれぞれ代表の方が幹事ということで参加をしている。後で大蔵省にもそのことも含めて確かめたいと思いますが、大蔵省からは大臣官房長、主計局長、主税局長、三名幹事としても入っている。そういう全体の構成の中で総会で、くどいようですが全会一致で決まった。まず、そういう異例であるという私の認識が間違いないかどうか。それで、意見書の内容についての特徴的な中身について改めて少し紹介していただきたい。それから幹事構成について、僕は名簿を持っていますから間違いないと思うのですけれども大蔵省から三名が出ているということについても間違いがないかどうか、あえて確認をしたいと思います。
  47. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 御指摘のように十二月六日に地方制度調査会の総会が開かれまして、当面の地方財政の問題になっております地方交付税率の問題について御論議をいただきました。そして、意見という形でそれが集約されたわけでございます。  この内容は極めて簡潔に書かれておりますけれども地方交付税というものの基本的な性格をうたいとげながら、一つは、交付税というものが地方の固有財源であるということから考えると、これはかねてから地方制度調査会の答申には何度か答申の内容に盛り込まれておりますけれども、国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接交付税譲与税配付金特別会計に繰り入れるべきだということで、これは現在地方譲与税がこういう形でやっておりますので、そういうことをやるべきだということ。仮に国と地方との財源配分について論ずる必要があるといたしましても、地方分権という観点から、事務配分の見直しでございますとか、あるいは国庫補助金の整理合理化をまず推進すべきであって、地方固有の財源を削減しようとする交付税率の引き下げは、これは容認できない、こういう趣旨の御意見を取りまとめていただいて、総理に提出されたわけでございます。  こういう意見につきましては、昨年、一昨年はたしかなかったと思いますけれども、それぞれ当面する地方財政の問題が発生いたしますと、たしか国庫補助率のカットのときでございますとか、そういうようなときには、それの問題に対応する地方制度調査会の御意見というものを集約していただいて総理にやっていただくということは、過去にもあることはあるわけでございますけれども、今回は、特に地方交付税という一点に絞りましてこの意見書が出されたということについては、これは異例の御意見ではないかというふうに認識をいたしております。  また、地方制度調査会の幹事につきましては、御指摘のように各省の幹部の方々が幹事として名前を連ねていただいているところでございまして、いろいろな調査会の御意見というものは各省にもきちんと通じているというふうに理解をしているところでございます。
  48. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、大臣にこの先例答弁をお願いしたいと思います。  大臣は、二十二日の委員会でも自民党委員や私の質問に答えまして、少なくとも交付税率三二%に手をかけようという大蔵省の発想は、これは考えられない、大蔵省を教育しなければならぬ。私は、さすがに文部大臣経験者の塩川自治大臣の見識を評価してきたわけです。別にどんな教育をされたかということはお尋ねしませんが、いずれにしても、先ほど言った地方六団体の決起集会の客観的な事実、それから地方制度調査会が異例であるという答弁内容的には一々読み上げませんが、大臣お持ちだと思います。極めて単刀直入に、交付税の三二%引き下げ論は到底容認できるものではないという結論で結んでいるのです。しかも、この意見書は総理に届けられている。幹事の中には、くどいようですが、大蔵省からも相当な責任者がそろって入っている。しかし、昔の言葉で言いますと、火のないところに煙は立たない。最近も依然として三二%問題あるいは実額の一兆円の切り込み問題が新聞、テレビをにぎわしている、こういう状態だと思うのです。後ほど大蔵省にも聞きたいと思いますが、大臣として、こういう新しい客観的な事実を踏まえて、改めて決意のほどをぜひしかとお聞きをしたいと思います。
  49. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 実はきょう予算委員会でもその質問が社会党の委員の方から出まして私は答えておるのでございますけれども、私たちも、地方行政関係も部会員の一人として長い間関係してまいりました。その間に、例えば昭和五十年代を通じて地方財政が非常に苦しゅうございまして、それがために交付税特別会計が何兆円という借り入れを大蔵からしておったのです。しかし大蔵はよく助けてくれたと思っております。そして、お互いに提携して国と地方でやってきた。そのときに私たちが絶えず言いましたことは、構造的欠陥と見てこれを税率を変えてくれ、上げてくれということを何遍も要求したのですけれども、その当時の大蔵の空気並びに政府全体としては、交付税をそう上げたり下げたりしているとこれが政争の具になってしまうぞ、だからこれは安定していることが国も地方もお互いやりやすいんだという意見が支配的でございまして、それで私たちは借り貸しのことで処理してまいりましたし、それから補助率カットのときも、苦しい中で特例公債のようなものを制度を設けて切り抜けてきた。お互い知恵を出し合ってきたのです。  ですから、今回国が苦しいことは私はようわかっておりますから、いろいろな財源で、例えば、こちらで補助金で見るものをこちらの地方の権限に移して、その分の財政措置であるとか、あるいはまた負担金の持ち方、そういうような細かいものをずっと相談してみて、洗い直してみて、その調整をするのは、これはこの際当然だろうと私は思っておりまして、そういうことは労をいどうものじゃございませんが、交付税率を安易に変えていくということは、これは私たちとしても絶対にのめるものではない、これは仰せのとおりでございます。  こういうことを私は踏んまえまして、一つは、なぜこんな問題がしょっちゅう出てくるかといいますと、国の大きい予算項目を見ますと、国債費とそれから交付税の額が目立つのですね。とにかく目立つのですよ。十何兆、十何兆、これは交付税もそうだし、国債費もそうだ。これが目立っでしょうがないというところが、やはり大蔵としても気になるところだと私は思うのです。  でありますから、これはかねてから言っていますが、一般会計を通すからこういうことになるんで、交付税を本当に地方の固有財源として見るならば、長年私たち主張しておりますように、国税収納整理金ですか、とかいうんだと思うのですが、とにかく払った、そこから一般会計を通さないで地方にその分を配分してくれるということになれば、要するにかさが低くなって目立たないと言ったらおかしいですけれども、実質的な話になると思うのですけれども、このことについては、私は地方制度の方でも触れておられるように思っておりまして、そういう問題ともあわせまして、これは長年の交渉の積み重ねがございますけれども、主張することはきちっとしていきたい。  重ねて申しますが、交付税率の改正は、絶対これは自治省としてものめないということでございます。
  50. 中沢健次

    ○中沢委員 大臣から、しかとしたお答えをいただきました。もちろん国と地方財政的な協力、俗に言えば貸し借りというのは過去にもあったわけであります。私はそのことを一〇〇%否定をしているものではない。ただ、三二%の交付税率の引き下げなんというのは言語道断だ、そこのところは大臣と全く同じ見解でありまして、これからのいろいろな扱い方の問題についても、国税収納金整理資金という話が大臣からも出ました。これは地方制度調査会の意見書の中にもそのことは触れております。これは自民党の先生方にも訴えておきたいと思いますが、いずれこの委員会でも少し時間をかけまして、来年度に向けてじっくりお互いに議論をする、よりよい方法を選択するように、改めてまた問題提起もしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  それで、余り時間がありません。最後に、前書きは省略しますが、今までの議論大蔵省の方も聞いておったと思います。主計官が出席をしておりますから、大蔵省の方のこの問題についてのこれまたしかとした腰を据えた見解をぜひお聞かせをいただいておきたいと思います。
  51. 原口恒和

    ○原口説明員 お答えいたします。  大蔵省といたしましても、地方交付税地方財政の円滑な運営を保障するための重要な財源であるということは十分認識しております用地方財政につきましては、御承知のように、毎年地方財政計画の策定に当たって所要の歳出を見込み、必要な交付税を確保しているわけでございますが、元年度以降の三年間は、必要な歳出を確保した上で財源余剰が生じておりまして、これを地方財政健全化措置等に充てているところでございます。  御案内のように、一方、国の財政事情につきましては非常に厳しい状況でございますし、四年度につきましても近年になく容易ならざる状況であるというふうに予想されておるわけでございます。ただ、国・地方双方の税収の動向等、不確定な要素がございますので、現時点において確たることを申し上げられる段階ではございませんが、このような状況を踏まえて、国と地方の調整について、今後予算編成過程で検討していきたいと考えております。  ただ、いずれにせよ四年度におきましても、地方財政の円滑な運営には支障を来さないよう適切に対処する所存でございます。
  52. 中沢健次

    ○中沢委員 時間があればもう少しいろいろ議論もしたいところでありますが、きょうのところはこのくらいで済まして、いずれ通常国会でしっかりまたお互いに腰を据えて議論をするようになると思うのです。いずれにしてもきょうのところは、今ありましたように地方財政に支障を来さない、こういう答弁だけはしっかり受けとめておきたいと思うのです。  なお、先ほど同僚の谷村委員の方からいろいろ指摘がありまして、例えば補助金問題、奨励的な補助金に限って言うと、自治省側としては一般財源化に積極的だ。私は、そのこと自体は総論としては賛成です。しかし先ほどの厚生省は、例えば廃棄物問題で言うと臨時措置であった。しかし大臣は、前年度実績をベースにすること自体、発想の転換が必要だ。相当それぞれの立場での意見の違いがある。僕はそれは現状においてあってしかるべきだと思いますが、しかしこれは、これからも交付税の性格をめぐって、総論としては賛成でありますけれども各論としては非常に大きな問題がある。三兆円の奨励補助金を持っているわけですから。変な話、これが全部何年か計画で一般財源化をする、その余裕が交付税にあるのか。一方においては大蔵省からああいう攻撃があるわけですから、そこのところは一つ大きな問題であるということだけを指摘をし、あえて答弁は求めません。私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  53. 中島衛

  54. 山口那津男

    ○山口(那)委員 公明党は、かねてから生活者の政治ということを標榜いたしまして、この日本は経済大国と言われながらもその生活基盤はかなり脆弱である、こういう基本認識に立っております。言葉こそ違え、各党ともこの生活あるいは生活者という表現をうたっておりまして、もはやトレンドとなっているのではないかと思うのです。今後この生活環境の整備に当たって、下水道、町づくり、その他なすべきことは数多いと思うのですが、地方財政の役割としてどのようなことをなすべきか、この点についての所信をお伺いいたしたいと思います。
  55. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私の心得としまして申し上げたいと思いますことは、私、英語でどういうんだろうと思って聞いてみたのです。そうしますと、ミニスター・オブ・ホームアフェアズと書いてあるのですね。ホームアフェア、なるほどなと私は痛感いたしまして、なるほどこれはいみじくもよく表現しているな、日本の国という家庭の仕事は全部お世話するんだな、こういう気持ちでおりますのでございますから、自治省は、いたずらに地方自治体と自治省の町、あるいは中央省庁と地方自治体の行政の中に権限を振り回してどうこうという役所じゃないと私は思うのです。それよりもむしろ、地方団体の側に立って中央省庁との円滑な調整役をしていく仕事が自治省の仕事ではないか。そして同時に、それを実行しやすいようにかみ砕いて自治体へおろしていく、その中には財源措置もつけてやっておろしていくようにする、そういう仕事をするところだ。私は、そういうことがホームアフェアだろうなと思って受けとめております。
  56. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ふるさと創生事業というのが近年行われてきているわけでありますが、これについてはさまざまな評価があるだろうと思います。私は、各自治体が非常に独創性を試され、それによっていろいろな努力が行われたという意味で、地方活性化に大きな役割を果たしたのであろうと前向きにとらえております。この点についての評価とこの事業の今後の継続の見込みについて、これは時限的になされていると思いますが、その評価と見込みについてお伺いしたいと思います。
  57. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは御承知のように、前の竹下総理がこれを提案されまして、地方行政委員会の諸先生方の後押しかあって自治省が積極的に取り組んできた事業でございますが、おかげさまでこれが一つの転機となりまして非常に地方は活気づいてまいりました。そのこと自体は非常に効果が大きい。そして、一億円をどう使うかというこの頭の切りかえが地方自治体に一つの大きい刺激になってまいりまして、いろいろな提案が出てきております。  そこで感じましたのは、中央省庁との間の権限の問題で、実際やりたいと思っている事業がなかなかできないということが如実に出てまいりましたので、これは私も何とかそういうことの解消に努力したいなと思っておりますのですけれども、そういうふうに地方が、自治体が自分の仕事を考え出してくれたということは非常に大きい価値があったと思って、将来ともこの運動を拡大していきたいと思っております。
  58. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、各自治体が非常に小さな単位で個別に、こういう地域おこしといいますか、こういう事業をやるということ、他方で非常に細分化され零細化してしまう、もっと大規模なといいますか、いろいろな自治体が統合的にこういう事業を興す、そのための資金的援助も考えていかなければならないだろうと思うのです。その意味で、この事業の限界もあるのではないかと思うのですが、もっと広域的な地域おこしの推進についてどのようにお考えになるでしょうか。
  59. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 自治省一つの理念といたしまして、一極集中排除というのが一つの政策理念として持っております。この一極集中排除は、東京から地方へという一極集中排除もありますし、一つのブロック内におきますところの一極集中排除もありますし、しかも小さい県をとりましても、県内における一極集中もあろうと思っております。どの程度の一極集中排除で均等な配分をすることがいいのか、この点については確たるものを持っておりませんけれども、できるだけ、一言で言って公平、平等な、いわば地域の均衡ある発展をしていく方向にしていきたい。  したがいまして、これから、おっしゃるように、私は、小さくてもいいが一つ地域、例えば今自治省が進めております広域圏行政の三百三ブロックありますが、まず、ここらのこの地域のシビルミニマムはどの程度に達成されてきておるかという検討から始めていっても遅くないのではないかと思うたりもいたします。
  60. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今回の補正予算では雲仙についての対策が種々講じられております。そして、この基金に基づいて行われる事業先ほど大きく三つほどの類型が掲げられたと思うのですが、これについての金額、この事業総額といいますか、それと、それぞれの事業の内訳といいますか、それから、この基金に基づくものではなくて、特別交付税の中の特別な支出というものが百億ほど増額されていると思うのですが、この中での雲仙関係で使われるべきものということについて、それぞれ金額面からお答えいただきたいと思います。
  61. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 雲仙岳災害対策基金でございますけれども、これは当初三百億円というご士で基金が設置されておりますが、これを五年間運用いたしまして、その運用益によりまして、住民などの自立、復興を支援する事業でございますとか、地域振興に関する事業などを行うわけでございます。仮に、年六%の利回りで運用したということになりますと、使用し得る運用益は年十八億円になりますから、五年間で九十億円程度、こういうような形になろうと思います。それで、この三百億円のほかに、義援金の一部三十億円もこの基金に繰り入れられたという話も聞いておりますので、この分から五年間で九億円ぐらい、まあ九十九億、大体百億ぐらいの運用益が出ますので、これをうまく使っていくということになろうかと思います。  先ほども申しましたように、それぞれの事業でどれだけずつかかるかという点につきましては、まだこの基金が発足して二カ月足らずでございまして、そういう細部のところまで具体的に詰まっているとは承知をしていないわけでございます。だからそういう意味でもこれからの問題ではないかと思います。  それから、基金以外の問題につきまして、本来県や市町村が災害対策として実施すべき事業につきましては、国の補助金、負担金のほかに、地方の負担が当然出てまいるわけでございますが、その負担につきましては、別途特別交付税措置考えなければいけないと思っておりますし、また、災害復旧事業というようなもので建設事業などが出てまいります場合には、これは国庫負担金のほかに地方負担が出てまいりますが、これは災害復旧事業債というような地方債でこれを措置していかなければならないということで、地方債、それから特別交付税、それからこの基金利子支払いに対する普通交付税措置というようなことで、それを組み合わせながらやっていきたいと思っております。  まだ具体的に特別交付税長崎県分あるいは島原市分、深江町分に幾らというようなことは、まだこれからの数字でございますので、よく実情を調査した上で支障のないように措置をしてまいりたいと思っております。
  62. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この基金に対して義援金が三十億積み増しされたというお話がありましたけれども、さらにこの基金を積み増しし膨らまして、そのための援助をなしていくというようなお考えはございますでしょうか。
  63. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ただいまも申しましたように、この基金が発足してからまだ二カ月足らずでございますので、災害がどれくらいこれから継続していくかという問題もございましょう。これから県の方が各種施策をする上において、この三百億円で足りるのか足らないのか。当初は、長崎県の方が三百億円で一応措置ができるのではないかという見通しの上でこの基金が設置されたわけでございますので、そういう事態になったときには、私どもも十分相談をして御協議に応じたいと思っておりますが、現段階では、この三百億円を基礎にして各種施策を行うということで県の方も考えているようでございます。
  64. 山口那津男

    ○山口(那)委員 積み増しの措置がなくて済むような災害の終息を望んでいるわけてありますが、ことしは雲仙以外にもさまざまな災害がありまして、国としても予備費の活用によってかなりの努力はされているわけでありますが、地方的にもこの災害の復旧に対する備えというものにこれから万全を期さなければならないだろうと思うのです。今回特別に基金を設置したわけでありますけれども災害列島でもありますから、いつ何ときこうした異例の災害が起こるかわかりません。  そこで、この災害の対策、起きてから対処をするということではなくて、ある程度国全体としては予測されるわけでありますから、国全体として、あるいは個々の自治体ごとに、この災害のための基金を事前に設置して常なる備えをする、このようなお考えはお持ちでしょうか。
  65. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今回の雲仙岳災害のような災害はいわば特殊な災害でございまして、通常の災害、台風災害でございますとか大雨災害というようなものにつきましては、国の制度はかなりいろいろな面で整備がされていると思います。例えば、災害復旧につきましては高率の補助制度もございますし、あるいは災害の応急対策、あるいは災害救助制度というようなものを一つ一つ考えますと、それなりに整備がされているわけでございまして、こういう特殊な災害というものに対してどのように対応ができるかというような問題ではないかと思うわけでございます。  通常の災害について対応が可能だということを考えますと、この種の災害というものが非常に特殊例外的なものだということを考えますと、その災害の事情というものがそれぞれ非常に特殊性に富んでいるものだとも思われますので、あらかじめ基金を設けておくのがよいのかどうか、この辺はこれからの検討の余地があるのではないかなというふうに感じます。
  66. 山口那津男

    ○山口(那)委員 国としてかなりきめの細かいシステムができているという御答弁がありましたけれども、しかし、今回の災害対処で指摘されたことは、やはり例外的な大規模な災害であったがゆえに、これまでのシステムでは対応し切れない、そしてできる限り、最大限の拡大解釈といいますか、非常に柔軟な対処措置をとって対応してきたということが言われているわけですね。ですから、むしろ予測しがたい大規模な災害であるからこそ、抜本的な見直しをして、個別の自治体では対処し切れないものについても総合的な対応ができるような国の施策というものが必要だと私は思うのですね。その意味での基金の活用ということを申し上げているわけですが、改めてこの点について、大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  67. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど湯浅局長が答えておりますように、今までのいろいろな災害の経験をしてまいりましたし、特に激甚災害に対する措置というものが十数年前に講じられましたときにも、この議論は確かに出てきておったのでございますが、災害がそれぞれ非常な多様性を持っておりますので、やはり一つ制度としてしまうのではなくして、むしろ経験の積み重ねをもって集計して、その場その場で対応する方がいいのではないか、そういうことが一応政府内におけるコンセンサスだと私は思っております。  今回の雲仙の災害に際しましても、いろいろなケースはわかっておりましたので、それを県の方が集中的に整理いたしまして、それが二十一分野九十何項目というふうにありました。あの措置は私は的確であったと思うのでございますが、要するに、今山口さんのおっしゃるように、こういう経験をいかにして今度に生かしていくかということ、それの集積、それからこれの結果というもの、効果というもの、これを的確に残しておくことが大事なことではないかと私は思っております。  それからなお、基金の問題についてでございますが、私は、きょうも予算委員会でこのような質問がございましたけれども、知事さんは一応今のところこれで何とかやっていきたい、こう言っておられます。島原の市長さんもそうおっしゃっている。ただし、何が起こってくるか、長期にわたると不測の事態が起こるので、そのときにはやはりこの基金運用させてもらいたい、そのためには増資してもらわなければならぬのだが、そのときにはよろしく頼みます、それはいつでも応じますから、こういうぐあいにして非常に気持ちよく理解していただいておると思っております。その方針で進んでいきたいと思っております。
  68. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ぜひとも国としても手厚いフォローをお願いしたいと思います。  さて、平成年度の地財対策の中で、地域福祉基金というのが既に設置されておるわけでありますが、これからの高齢化が急速に進む中でますますの充実が期待されるものであろうと思いますが、この点の基金の積み増しを考えていく方針はございますでしょうか。
  69. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 将来の高齢化社会が急速に進展しているということで、御案内のとおりゴールドプランが既に動き出しているわけでございます。その国の施策に即応して地方も単独でいろいろな高齢者福祉対策というものを実施していかなきゃならないということで、そのための単独施策経費もこれから十分考えていかなきゃならない。そういう中で、今御指摘の、民間団体がいろいろな福祉活動がしやすいように、ことしから地域福祉基金を二千百億円設置いたしまして、これを各自治体に基金として設置するようにお願いをしているところでございまして、これは政策的にも非常に有効な制度じゃないか。また、いろいろと高い評価もいただいておりますので、できれば明年度におきましてもこれの積み増しというようなことも考えたいと思っているわけでございます。  いずれにしても、その問題につきましては、明年度地方財政対策の中の一環といたしまして十分頭に入れて考えなきゃならない。特にこの問題につきましては当委員会におきましても附帯決議をいただいておりますので、そのこともよく頭に入れながらこの問題については対処していかなければならないと思っているところでございます。
  70. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この基金の活用について、福祉については今述べられたところでありますが、さらにまた環境についても、これは世界的な大きな流れがあるわけでありますが、自治体におきましても地域の環境保護、あるいは環境水準の維持、あるいは浄化という面での基金を設けての対策というようなことも考えていいだろう、そのほかにもこの基金の活用ということはいろいろアイデアはあり得るだろうと思うのですが、一般的にどのようにお考えになられるでしょうか。
  71. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 今御指摘の地球環境の保全、あるいはもっと小さく地域的ないろいろな環境、生活環境の保全ということについて、地域の関心というものが非常に高くなっていることも事実でございます。こういうものを国の施策だけではなしに、地方のそれぞれの地域の実情に応じた施策として体系づけるためには、やはり単独施策のための財源を確保する必要があるんじゃないかという問題意識を私ども持っております。これは、具体的にこういう施策をやれ、ああいう施策をやれと国が言うのではなしに、やはり地方がその地域の実情に応じて必要なものをやっていける、そういうような財源が確保できないかなということで、今、来年度財政対策の一環といたしましていろいろと中でも検討しているところでございまして、今の御提言も含めてよく検討させていただきたいと思っております。
  72. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで地方財源対策がなお一層の強化が望まれるわけでありますが、一方で、なかなか地方税収伸びというのはそう楽観はできないわけであります。  視点を変えて、地方の公債といいますか借金、この借り入れの推移がどのようになってきておるのか。一般的には増額しているのだろうと思いますが、ただ近年、バブルというような特殊な現象もございました。そういう流れを踏まえて、この公債の推移について概観していただきたいと思います。
  73. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 平成年度末の地方財政借入金残高を見てみますと、一つ地方債、普通会計の地方債の残高、これが五十三兆八千億円、それから地方交付税特別会計借入金が約五千億円、それから公営企業債で普通会計で負担をしなければならない、例えば下水道の元利償還金の一部のようなものでございますが、そういうようなものが十四兆円ということで、平成年度末の借入金残高は約六十八兆円近くになろうかと思います。  それで、これは例えば約十年前の五十四年度は三十四兆円、ちょうど十年近くで倍になったような感じになっております。また、その前のオイルショック以前の昭和五十年代の初め、昭和五十年度借入金は十四兆円でございますので、この五十年代から急速に借入金の残高がふえてきているということが言えようかと思うわけでございます。  この借入金の残高を償還する、あるいは利払いをするための公債費の負担比率というものが、各地方団体だんだんと上がってきておりまして、平成年度状況を見ますと、公債費の負担比率が地方財政にとっては危険信号だと言われております一五%以上の団体が、四二・六%に当たります千四百四団体、約三千三百団体のうちの約四割がこの一五%を超えているというような状況でございますので、やはり借入金の残高を減らして公債費の負担を今後とも減らしていくということが、地方財政健全化のためにはどうしても必要なんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  74. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今の御指摘を踏まえて、税収伸びと比較してこの健全化を促進するための方針についてお伺いしたいと思います。
  75. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 税収伸びは、いろいろな時代のそれぞれの時の経済事情によって非常に伸びが鈍化したり、あるいは急速に伸びるというようなことがございますので、一律に税収伸び借入金の残高というものを相関関係で見るということはなかなか難しいと思います。  しかし、中長期的に考えますと、昭和五十年代のような構造的に財政状況が悪かった時代には、これは多少税収伸びても借入金の方が多かったということでございますので、そういうときに起こしました特殊な借入金については、できるだけこれを早く整理をして通常の地方債で仕事をしていくような、そういうような姿にできるだけ早くしていった方がいいのではないか、基本的にそう考えております。特に地方団体の場合には、それぞれ一つ一つの単一で見ますと非常に財政力の弱い団体が多いわけでございますので、特例的な借金というものはできるだけ早く解消していった方がいいんじゃないかな、こういうような気持ちでおります。
  76. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この公債の発行、借金の推移と税収の近年の伸びについて、バブルの影響、これがどうなったか、また、バブルがはじけることによって今後どうなるか、あるいはどういう現象があらわれてきておるか、この点の評価についてお伺いしたいと思います。
  77. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 先ほども申しましたように借入金残高は六十八兆円近くございまして、昭和六十年ごろから日本経済も非常に活況になりまして税収も非常に順調に伸びたわけです。そういう中で、例えばこの交付税特別会計で借り入れた借入金、これは一時はかなり多額なものでございましたけれども、これを税収が非常に増加したときに繰り上げ償還をしていくことを考えたり、あるいは特例的に借金をしましたいわば財源対策債といいますか、そういうような財源対策債については、これは繰り上げ償還をしようと思っても相手の金融機関がまだ償還期限が来るまでは待ってくれというような話もございました。そういう場合には基金で積み立てておいてもらうというような措置をここ数年かなりやったわけです。これがやはり借入金残高の伸びを非常に鈍化させる効果を持ちましたし、公債費の負担比率を上昇させない要因にもなりましたので、そういう点での効果は非常に大きなものがあったんじゃないかなというふうに考えております。
  78. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今回の補正法人税が減収となっているわけでありますが、この点を自治省として、つまり交付税を担当する側としてどのように評価されるか。  さらに、交付税の対象である所得税、酒税については今回は補正がなされておらないわけでありますが、国税の歳入の傾向を分析して、自治省としてはその点についてどのように評価をされておられるか、この点お伺いします。
  79. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 国税の収納状況につきましては毎月収入実績が発表になりますので、それを私どもも非常に関心を持って拝見しているわけでございますけれども、特に最近の企業収益減少ということで法人税伸びが、鈍化というよりむしろ前年度より今減少している状況のようでございます。  そういうことを見てみますと、これは地方財政にとってもかなり大きな影響が出てくる。これは一つには、法人税交付税にリンクしておりますから交付税減少につながりますし、もう一つは、地方税でございます法人事業税、法人住民税の課税標準はまさに法人税と同じものを使って算定するわけでございますから、国の法人税収入が落ちるということはとりもなおさず地方税収もこれから鈍化してくるということになるわけでございますので、交付税にしても地方税にしても、国税の影響というものがどういう推移になるかということは非常に関心を持たなきゃならない問題である。  特にもう一つの所得税の御指摘でございますが、所得税につきましては、個人住民税は御案内のとおり前年所得を使っておりますから、現在の所得税の状況がそのまま来年度の個人住民税の税収状況を占う大きな要因にもなってまいります。そういうことを踏まえて、国税の動向というものを私ども毎月注意深く今後見守っていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  80. 山口那津男

    ○山口(那)委員 所得税についての動向を見てみますと、かなりこれは好調でありまして、全く補正がなされないというのはむしろおかしいくらいでありまして、これが決算ベースで見れば必ず剰余が出るものと私は見ております。ですから、これが後に精算されるからよかろうということではなくて、やはり交付税をつかさどる側としては、歳入の見込みについてもきちんとした見解を持って大蔵当局と対応すべきではないかと思うのですね。税率の変更とかあるいは交付税額そのものの縮減とかということが報道ベースでも流されております。それに対して自治省側としては毅然たる態度で臨んでいただきたいと思うわけでありますが、そうした歳入の見込みについてを言うべきことは言うという点も踏まえて、大臣の御決意を改めてお伺いしたいと思います。
  81. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 仰せのように一生懸命努めてまいります。
  82. 山口那津男

    ○山口(那)委員 終わります。
  83. 中島衛

    中島委員長 吉井英勝君。
  84. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 吉井です。  今回の地方交付税法等の一部を改正する法律案のポイントというのは、法人税の減収に伴う地方交付税減額、この穴埋めをどうするかというところが主要なポイントでありますが、これまでも、交付税減額の責任はどこにあるのか、こういう議論というのはこの地方行政委員会でも行われたことがあります。  そこでまず最初に、交付税総額の見積もりの責任はだれにあるのか、まずこういうところから伺いたいと思います。
  85. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 交付税の見積もりは、基本的には国税正税の一定割合ということでございますから、その予算額というものは国税正税の収入見込み額を算定するということを通して出てくるわけでございますので、そういう意味では、その収入を見積もる立場の者全員が適正な見積もりをしていくような努力をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  86. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 地方交付税法第四条、もちろんよく御存じのところで、「自治大臣は、この法律を実施するため、左に掲げる権限と責任とを有する。」その一、「毎年度分として交付すべき交付税総額を見積ること。」ですから、この交付税総額の見積もりの責任というのは、もちろん自治省の皆さん方大いに頭を使ってなされるわけでありますが、責任は自治大臣にあるということになるんじゃないですか。
  87. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 ちょっと私も責任論ということになりますとはっきり申し上げることはできませんけれども、毎年度分として交付すべき交付税総額を見積もる者はやはり自治省であるわけでございますから、そういう意味では自治省が責任を持つわけですが、しかし、これは御案内のとおり、この法律にもございますように、国税正税の収入見込み額の一定割合をもってこの予算を計上しなさいよという規定も別にあるわけでございまして、ですから、私どもだけがこの見積もりをするということではなしに、国税正税を見積もる立場の方々と一緒にこの適正な見積もりをやっていかなければならぬ、こういう立場ではないかと思っております。
  88. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 ですから大蔵の方も自治省の方も大いに頭を悩ましてしっかり見積もりもしておられる、実務的にはそうなるとして、そういうことをされるでしょう。で、法律上、まず交付税総額の見積もりの責任はどこにあるのかといえば、これは第四条で自治大臣にその権限、責任があるということになるわけですから、まず非常に単純で率直な質問ですからね、だから、これはまずそこに責任ありということでいいんじゃないですか。
  89. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 交付税法上、交付税法の第四条では「権限と責任」ということで総額を見積もることをうたっております。しかし、先ほど言いましたように、単独で自治大臣がこれを見積もることはできないわけでございまして、第六条の第二項にございますように、それぞれ毎年度交付すべき総額というものはこういうふうに計算をしなさいよ、こういう規定も別にあるわけでございますから、この規定に基づいてきちっと計算をする。そういう責任はございます。しかし、それはあくまでもこの六条の二項の規定と国税収見込みというものとの相関の間でこれは決まってくるわけでございますから、そういう意味で私どもももちろん責任はあるわけでございますけれども、その国税収入との相関の関係にあるということも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  90. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 まあ一人の大臣が何兆円もの金の細かいことまですべて計算したり見積もったりできない。そんなことを言っているんじゃないです。法律上の毎年度交付税総額の見積もりの責任というのは、法律上はきちっと自治大臣にありとなっているんでしょうということを言っているのです。それをああだこうだと言われると、だんだん話がおかしくなるのじゃないですか。だから、法律上はこういうことになるのでしょう。
  91. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この法律を読みまして、実施についての責任でございますから、それはございます。ただし、調定とそれから計算の責任はここには明記しておりませんので、実施についての責任、交付税の配分と計算の責任は、これはあると私は認識しております。
  92. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 その実施というのは法律を実施するということでして、その法律実施のまず第一に、「毎年度分として交付すべき交付税総額を見積ること。」これは自治大臣の権限と責任なんだ。別に私、大臣、あなた一人の責任で、間違うた、ああせいこうせいとこの議論を今からやるために言っているんじゃないのです。やはりそれはトータルとして、作業はみんなでやるわけですから。しかし、責任としては大臣にあるのですねと、これは非常に素直な質問をやっておりますので、やはりここのところをきちっとお認めにならないと次の話に進まないですよね。
  93. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 実施の上における責任といつものは、確かに明記されておるとおりであります。
  94. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 ここで大事なことは、今回の交付税減額の責任について、かつて国会での議論でも、小沢自治大臣の時代でしたが、地方交付税の枠が国税の減収によって縮まるということは、これはまさにだれの責任だろうかということに対して、国か地方か、責任はどっちの責任だ、このときに、小沢大臣の方は、国税収入の落ち込みについて、地方団体の責任でないことは御意見のとおりであろう、こういう答弁なんですね。  ですから今私はここで四条を持ち出してお話ししましたのも、要するに、今回の交付税減額の責任は地方にはありませんねというのが一つと、それはあくまでも大臣の方で交付税総額の見積もりをする責任があるわけですから、ですからこの問題については国の方の責任なんですね、国か地方かというところで、そこのところをまず伺っているわけなんです。
  95. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 交付税総額の見積もりについて責任があるということは、これは交付税総額自治大臣がことしの総額幾らということを何の基準もなしに決めるわけじゃないわけでございまして、その基準になるのは第六条の第二項で、毎年度交付すべき総額はこういう計算基礎によっておやりなさいよという規定も法律に書いてあるわけでございますから、その規定に基づいてきちんと計算をする、そういう責任は当然自治大臣にあるわけでございます。しかし、それじゃ国税正税の見積もり額は自治大臣にあるのかと言われると、それはちょっと私どもはそこまではないのじゃないか。ただし、その収入見込み額に基づいて交付税総額を計算する責任、これは私どもにあることは、それは事実でございますから、そういう意味の見積もりの責任は私どもにあろうかと思っております。
  96. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 地方交付税法四条で、総額の見積もりについての責任はまず自治大臣にある。第七条の方で、地方財政の歳入歳出総額見込み額、地方財政計画、これについて、まず地方財政計画についてはこれを立てて、そして書類を作成して国会へ提出する、こういうことになっておりまして、そういう地方財政計画の大枠の中で、自治、大蔵両大臣の間で地方財政対策が話し合われて、そして交付税総額が決定される、こういう仕組み、内容になって今いるわけですね。  ですから、今回のこういう減額という問題が出てきたときに、これは地方の責任じゃなくて国の責任なんだ、国の責任で考えなければいけないんだということを、これを原則としてきちっと確立するかどうかということがこれから先の問題になるのですね。そこを、いや見積もりがどうしたこうしたということであいまいにしてはいけない問題なんで、そこのところを言っているのです。
  97. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 自治省もこれは内閣の一員でございますから、そういう意味では国でございます。国の責任、地方の責任という、この責任のとり方というのではなくて、やはり各省全体が一つの国の組織としてやっているわけでございますから、その一員として自治省というものがある、その自治省国税収入とあわせながら見積もりをしていくということでございますので、これはある意味では国全体でやった、計算をしたものだ、こういうふうに私どもは理解しております。
  98. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 問題は、交付税減額が出たときに、ではどこが責任を持って補てんするのかというとき、国の補てんということでやるのか、それとも自治省自身が——地方交付税については従来より、間接課徴形式による地方税だという、あるいは地方団体の固有財源であるということは繰り返し言ってきておられるわけなんです。つまり、交付税というのは地方の固有の財源なんですね。その地方の固有の財源の中でその減額分を補てんする、これは、国の方が責任を果たすことにならないで、そっくりそのまま地方でおやりなさい、地方に転嫁することになるわけでありますから。特に今回の補正減額分、五千七百八十九億円ですね。それから追加交付分の四百八十三億円。これを二年度精算分の増加分とそれから交付税特別会計の繰り上げ償還分の返済先送り、こういう形で措置をしようというわけですが、これはまさに地方団体固有の財源である交付税でもって措置をするだけのことであって、国の方は少しも責任をとろうとしていないわけですよね。  ですから、今まさに、先ほど議論ありましたけれども、来年度予算でも、特例減額制度で一兆円の交付金の削減、それから法定加算、また特例加算分、六千二百億円の翌年度以降への先送りで一兆六千二百億円の削減という、そういうことを大蔵省考えているという話が出ているときに、今回の補正でその国の責任がどこかへ行ってしまって、国の責任にかわって地方の固有財源で補てんする、こういうやり方で臨んでいただくと、これは来年度予算編成に当たって最初からもう大蔵大臣自治大臣の折衝が、自治省の方は最初から白旗掲げて折衝するということになってしまうわけですね。私は、これが今回の補正に関して非常に大事な問題だと思うわけです。この点について、大臣はどのようにお考えになられますか。
  99. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 たびたび申しておりますように、交付税のやはり責任が明記されておりますけれども、それは実施上の責任でございまして、交付税の基礎となる数字、これをはじき出しできますときに、法人税幾ら、個人所得税幾らというようなものの計数は、これは自治省の責任では推定できませんし、また税を幾らに決定するかという調定額も自治省の手では上げられるものではございません。でございますから、その実施の面と、それからそれを提供していく側との間にやはり共同の責任があるだろうと思っております。ですから、国の方で財源の見積もりの相違が出ましたら、それにこちらの方が応じていく。ただし、さっきおっしゃるように、責任が自治大臣にあるとおっしゃるならば、その範囲内において、自治省の範囲内において財源調整をして、なおかつその部分の処置ができない分は国の責任においてやるという、補完の関係でやっていかざるを得ないのではないか、これが現実的な処理ではないかと思います。
  100. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 計数の見積もりが当初から変わってくるとか、それはあり得ることでしょう。問題は、交付税減額について国の責任ということも認めていらっしゃる。地方の責任じゃない。しかし、その補てんを、地方の固有の財源であると自治省が繰り返し言ってこられたその財源でもって補てんする、そして実際には負担が地方にかぶさるだけで国の方はほっかむり、これはなりませんよということを申し上げているわけです。  最後に、今回の改正内容について申しますならば、雲仙・普賢岳の災害対策、それから台風被害の対策、ごみ処理場建設に対する財源措置など、評価すべき内容も含まれております。しかし問題は、今回の法改正の主要な側面が、私今指摘いたしましたように国税の減収に伴う交付税減額補てんにあって、その方法に国が責任をとらないで地方の固有財源をもって充てていく、こういう今回のやり方というのは、交付税法の規定に照らして問題がある以上、これは賛成できないということを申し上げまして、ちょうど時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 中島衛

    中島委員長 神田原君。
  102. 神田厚

    ○神田委員 三点ほど質問しますが、まず第一点目は地方交付税の圧縮についてでございます。  現在の日本経済は非常に多くの問題を抱えております。先般公定歩合〇・五%引き下げましたけれども、当然ながら景気の急速な拡大は見込めません。平成年度補正では二兆八千億円の税収不足、平成年度予算は、概算要求どおり行った場合約六兆円の財源不足が予想されております。そのため大蔵省は、景気の減速による国の税収不足をカバーするため、地方財政状況は歳入が歳出を三年連続二、三兆円上回っているという地方財源余剰を理由に、来年度予算編成に当たって地方交付税を圧縮すべきだと主張しております。  しかし、現在地方財政も再建の途上にありまして、交付税制度はまた、シャウプ勧告に基づく平衡交付金制度などを経て現行制度へ移行したものであり、単に国の税収減を理由に変更すべき性格のものではありません。国と地方行政事務のあり方、財源配分のあり方、権限のあり方など、二十一世紀に向け、日本にとって国と地方はどのような体制が望ましいかという理念、哲学なくして変更すべきではありません。加えて、地方分権を推進している今日、地方交付税の圧縮は時代の要請に逆行するものであります。したがって、私は地方交付税の圧縮は断固行うべきでないと考えております。  そこで、塩川自治大臣は、交付税は本来どういうふうにあるべきだというふうにお考えを持っているのか、お聞かせをいただきたいと思います。  あわせて、大蔵省は、交付税の縮減は地方分権に逆行するという論に対しましてどのような論拠で対抗するのかを聞かせていただきたいと思います。
  103. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは国と地方関係でございますから、頭から縮減だとか切り下げだということで大なたを振るっていくという態度で交渉すべきものではないと思っております。そういうことをすれば反発だけが残ってくみと思います。そうではなくして、今まで伝統的にやってまいりました国と地方との、お互い提携し合って、融通有無通ずるという関係を維持しながら私は協議をしていきたい。ただし、交付税の根本であるところの地方財源であるんだというこの認識だけは大蔵当局も崩してくれては困る。そしてそこから考えられることは、税率はやはり現行を維持していくということ、これを前提にしていろいろな財源調整というものでしょうか、それはあると思うのですが、圧縮をさすんだという頭からの考えではなくして、そういう調整をすべきときが私はある、こう思っております。  同時に、地方財政が豊かになってきたという声が聞かれるのでございますけれども、これは一方から見ましたら、私たち自治省の側の方の怠慢もあったように思います。それはなぜかといいまして、これだけ世の中が激しく変わってきておるのに、基準財政需要額のとり方がそんなに時代に即応してやってこなかったというところに欠陥が出てきておるのではないか。これを今すぐに、やはり早急に見直していかなければいかぬ時期に来ておる。  その要点ほどこにあるかといいましたら、一つは公共事業。公共投資計画ございますが、あれを実施していく場合に、地方自治体はどれだけの分担をしていくのかということをきっちり考えていかなければたちぬと思うのです。これに対する財政需要というものは相当なものが出てくるのではないか。  それから二番目の問題は、福祉ゴールドプランというのを政府は掲げております。これを実施するのは地方自治体であります。国でできません。そうすると、地方自治体がそれを実施するについて、今ですら基準財政需要額の中でこれを見込んでおるのは少ないのです。といいますことは、機関委任事務や団体委任事務でどっと押し寄せできますけれども、これが地方自治体にとりましては相当なやはり超過負担になっていることは事実なんです。これを見直してやらないと、実際、福祉ゴールドプランということを国は高々と掲げましても、実施は思うようにいかないのではないか。この面における見直しをどうするのかということがございます。  それからもう一つ大きい要件といたしまして、今政府が掲げておりますふるさと創生事業、これによって地方は非常に活気づいてきましたし、地方自治の自主性というものが大いに復活してきたところでございますが、この勢いを伸ばして一極集中排除の一つの大きい担い手にしていかなければならぬと思うのです。均衡ある国土の発展ということも、やはりふるさと創生事業と裏腹に進めていくべき問題だろうと思うのです。そうしますと、こういう一極集中排除を実施していくのに地方財政としてどれだけのものを地方自治体に裏づけしてやるかという、これも新しい基準財政需要額の需要がわいてくると思っておりますが、そういうようなものを精査して国との財源調整を図っていくべきだ、こう思っております。
  104. 原口恒和

    ○原口説明員 大蔵省の方といたしましても一地方交付税地方財政の円滑な運営を保障する、あるいは地方団体の自主性を確保する上で重要な財源だということは十分認識しております。そういう観点に立って、四年度におきましても地方財政の円滑な運営に支障を来さないように対処してまいりますが、一力で国・地方財政状況等もございますので、それを踏まえながら、調整の問題についても今後予算編成過程で検討していきたいと考えております。
  105. 神田厚

    ○神田委員 次に、災害関係でございます。  雲仙・普賢岳は先日も大変大規模な火砕流が発生をしまして、今もって現地では多くの住民が不安な日々を余儀なくされております。現地で復旧活動や生活再建のため懸命の努力を行っている方々の御苦労に対し、心から敬意を表するものであります。また、農業者や中小企業者、被災地での生活の再建のめどが今もって立たない状況に置かれている方々の心の不安に対しましても、政治の果たすべき責任は大変重いというふうに痛感するものであります。  政府は、我が党の主張を踏まえまして、雲仙・普賢岳噴火災害に対し二十一分野九十項目の対策を示し、被災地のさまざまな要請にこたえております。私は、これらの対策を大きく評価するものであります。しかし、個人災害に対する現行制度の基本的考え方は自主救済が原則となっており、被災者にとって必ずしも十分に満足していただけるものとは言えないと思っております。また、平成年度補正予算の中で、災害関係費の追加として雲仙・普賢岳関係が三十八億円計上されたことは評価をいたすにやぶさかではありません。しかし被災地自治体の要請では、なお財政を圧迫しない十分な財政支援を希望しております。今回の交付税法の改正基金地方債利子と特交が出されることにありますけれども、私は早急な実施を希望するものであります。  そこで、被災地では、災害対策にかかった経費が十分に補てんされるのかという不安があります。例えば、雲仙・普賢岳噴火災害による避難所として、災害救助法で指定のされていない客船や旅館などの宿泊代などの経費があります。特交の中でどういうふうにこれらの経費の補てんをしていくのかを御説明を願いたいと思います。  またもう一点は、台風によりリンゴやミカン、山林が被害を受けておりますが、今回の特交で措置はどういうふうに行っているのでありますか。
  106. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 まず、雲仙岳災害に関連いたしまして、客船や旅館の宿泊代をどういうふうな形で措置をするかという点でございますが、長崎県におきましては、当時、体育館に非常に長期間避難生活を強いられているということで、そういう方々に何とかゆとりある生活をしてもらうということで、客船を借り上げたり、あるいはホテルや旅館を借り上げていたわけでございますが、これは御指摘のように災害救助法の国庫負担の対象にはならないわけでございまして、結果的にこれは県の負担になっております。そういうことを踏まえまして、私どもといたしましては特別交付税でこの所要経費については措置をしてまいりたいということで、十二月分の特別交付税の算定に当たってその所要額を算定したいというふうに考えているところでございます。  それから、ことしは台風等によって非常に全国的な災害の被害を受けたわけでございますが、特にリンゴ、ミカンというような農作物被害あるいは山林被害が非常に多かったわけでございます。そういうことも受けて、今回特別に百億円の特別交付税増額をお願いしたわけでございますが、通常のルールでは農作物被害とか山林被害というのはなかなか捕捉できないわけでございます。そういうことでことしの特別交付税の算定に当たりましては、十二月の特別交付税の算定において、従来のルール算定に加えまして、このリンゴ、ミカン等の農作物あるいは山林の被害について何かルール的なもので算定できないかということで、各省庁とも御相談をして、従来のルール算定に加えてこの検討をしてまいりたいというふうに今考えているところでございます。最終的にはまた、三月の最終の交付税の決定の段階で、これらの分につきましての的確な算定を考えてまいりたいというふうに考えております。
  107. 神田厚

    ○神田委員 三番目に、廃棄物処理施設整備のための問題でございます。  一九九〇年と九一年度の二年間で建設が計画されていた百七カ所のごみ処理施設について、完成させる必要な金額が不足し、完成が先送りとなっております。今回の措置において廃棄物処理施設整備のため二百六十億円を計上しておりますが、これは本来厚生省の予算で行うべき性質のものであると考えますが、いかがでありますか。  また、この措置について国庫補助金が不足する分を地方交付税に振りかえておられますが、これは単なる補助率カットではなくて補助金の一般財風化となると考えておりますが、そういう考え方でよろしいでしょうか。
  108. 湯浅利夫

    湯浅政府委員 廃棄物の処理施設の問題につきましては、特に今年度から自治体の方の要望額が非常に大きくなりまして、国の補助金を大きく上回ったというような事態でございました。これを何とか円滑に事業実施できないかということで我々もいろいろと検討したわけでございますが、廃棄物処理というのがもともと本来の市町村の固有事務であるということ、あるいは国の補助金というのがこの場合は奨励補助金であるということを考えまして、この補助金の一般財源化の一つの方式として、今回足らないところにつきましては地方債交付税によりましてこれを措置をしていこうということにしたわけでございます。今年度以降の新しく着工する分につきましては補助対象を限定いたしまして、それ以外のものは単独事業で従来の国庫補助制度と同じような財源措置をしていこう、こういうことで財源措置をしたわけでございます。  そういう意味から見まして、一方から見ますとこれは補助金の足らないところを一般財源で振りかえただけじゃないか、財源の振りかえだけではないかという御指摘もあるわけでございますけれども、市町村の固有事務であるということ、それからこの補助金が奨励的な補助金であるということを考えますと、こういう補助金はやはり今後だんだんと整理合理化をして一般財源化をすべきものでないかというふうに私ども考えております。そういう意味で、こういうことをきっかけにいたしまして一般財源化の方策を積極的に進めた方がいいのではないかということで、今回この措置に踏み切ったわけでございます。  もちろん、財源を単に振りかえるということではなしに、その財源を振りかえると同時に地方の自主性というものを強化するということもあわせて行わなければならないわけでございますから、こういう点にも十分配慮しながら、この廃棄物処理施設につきましては一般財源化の方向できちっと措置をしてまいったいというふうに考えておるところでございます。
  109. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  110. 中島衛

    中島委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  111. 中島衛

    中島委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成起立
  112. 中島衛

    中島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 中島衛

    中島委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  114. 中島衛

    中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時七分散会     ————◇—————